衆議院

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第16号 平成28年5月11日(水曜日)

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平成二十八年五月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 秋葉 賢也君 理事 小松  裕君

   理事 後藤 茂之君 理事 白須賀貴樹君

   理事 西村智奈美君 理事 初鹿 明博君

   理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    大串 正樹君

      木村 弥生君    今野 智博君

      新谷 正義君    瀬戸 隆一君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    中川 俊直君

      永岡 桂子君    長尾  敬君

      丹羽 秀樹君    丹羽 雄哉君

      比嘉奈津美君    福山  守君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      荒井  聰君    井坂 信彦君

      大西 健介君    岡本 充功君

      神山 洋介君    小山 展弘君

      郡  和子君    重徳 和彦君

      中島 克仁君    中根 康浩君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      濱村  進君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君    浦野 靖人君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   厚生労働副大臣      竹内  譲君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中島  誠君

   政府参考人

   (消防庁審議官)    熊埜御堂武敬君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           浅田 和伸君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           平井 明成君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       広畑 義久君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石田  優君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     瀬戸 隆一君

  村井 英樹君     今野 智博君

  大西 健介君     荒井  聰君

  重徳 和彦君     神山 洋介君

  柚木 道義君     小山 展弘君

  中野 洋昌君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     村井 英樹君

  瀬戸 隆一君     永岡 桂子君

  荒井  聰君     大西 健介君

  神山 洋介君     重徳 和彦君

  小山 展弘君     柚木 道義君

  濱村  進君     中野 洋昌君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 発達障害者支援法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中島誠君、消防庁審議官熊埜御堂武敬君、文部科学省大臣官房審議官浅田和伸君、スポーツ庁スポーツ総括官平井明成君、厚生労働省職業安定局雇用開発部長広畑義久君、雇用均等・児童家庭局長香取照幸君、社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、国土交通省大臣官房審議官石田優君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川とむ君。

谷川(と)委員 おはようございます。自由民主党の谷川とむでございます。

 本日は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案について質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 さて、障害者福祉が制度としていつから始まったのか。昭和二十四年に制定された身体障害者福祉法が最初の障害者福祉制度として考えることが多く、そう考えると、戦前には障害者に対する特定の社会福祉制度は存在しなかったと言えます。

 しかし、明治七年制定の恤救規則や昭和四年制定の救護法で、限定的ではありますが、障害によって生活に支障がある人、生活困窮者に対して、社会福祉制度というよりは、貧困対策、救貧制度はあったと言えます。言いかえれば、戦前には障害者に対する特定の社会的支援はほとんどなく、家族が支えることが当然とされていました。しかし、戦後、障害種別ごとに制度化が進められてきました。

 障害種別ごとの制度化が必要とされてきたのは、解決すべき課題が多方面にわたるからであったと考えられます。例えば、心身の障害、機能障害に伴って、いろいろな生活場面で参加の障害が発生する。仕事につけない、適切な教育が受けられない、火事や地震が起きても避難できない、スポーツ活動、文化芸術活動に参加できないなどが挙げられます。

 また、障害者の総数は、最新のデータによると約七百八十七・九万人であり、人口の約六・二%に相当します。そのうち、身体障害者は三百九十三・七万人、知的障害者は七十四・一万人、精神障害者は三百二十・一万人。障害者数全体は増加傾向であります。また、在宅、通所の障害者も増加傾向となっています。

 増加傾向にある障害者に対し、解決すべき課題もまだまだ多く、ニーズも多様化する中、きめ細かく対応するためにはさらなる支援が必要であると考えます。

 そこで、まず、安倍内閣の柱である一億総活躍社会を実現するためにも、障害者が、それぞれの希望に応じて、地域に定着しつつ、自立して生活、就労できるような環境整備が必要不可欠と考えますが、今回の法案にはどのような対応が盛り込まれているのか、厚生労働省のお考えをお聞かせください。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、今回の法案にはどのような対応が環境整備に盛り込まれているのか、こういうことでございますけれども、一つは、施設や病院から退所または退院してアパートなどでひとり暮らしを希望しても、知的障害や精神障害により生活力等が十分ではないためにひとり暮らしを選択できない方を対象といたしまして、個別の必要性に応じて、支援者が定期または随時に障害のある方の自宅を訪問し、生活の状況の確認などの支援を行う自立生活援助、これを創設いたしました。

 例えば、遅刻せずに出勤しているか、あるいは薬の飲み忘れや医療機関への受診忘れはないか等の生活状況のチェックでございます。

 それからもう一つは、就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障害のある方に対して、支援者が、就労に伴う環境変化により生じている生活面の課題を把握し、企業や医療機関等との連絡調整、問題解決に向けた支援等を行う就労定着支援、これも創設いたしました。

 こうした新たな支援の創設によりまして、委員御指摘の環境整備が進み、障害のある方が、それぞれの希望に応じて、地域に定着しつつ、自立して生活、就労ができるような環境を整備してまいりたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 自立生活援助を創設するとのことですが、障害者が地域でひとり暮らしをするためには、住まいを探すところから始まり、身の回りの家事や近隣の住民の皆さんとの人間関係の構築など、課題はさまざまであると考えます。

 自立生活援助は、こうしたさまざまな課題に対応できるようなサービスを想定しているのか、具体的にお答えいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案に盛り込んでおります自立生活援助でございますけれども、先ほど政務官からも申し上げましたように、施設や病院から退所または退院してアパート等でのひとり暮らしを希望いたしましても、知的障害や精神障害によりまして、例えば食事が偏りがちになりますとか、あるいは定期的な服薬管理がなかなかできないとか、そういった生活力等が十分ではないために、実際にはひとり暮らしを希望しても選択できない方がいらっしゃる、そういった方々を対象といたしまして、個別の必要性に応じて、支援者が定期または随時に障害のある方の自宅を訪問いたしまして、生活状況の確認などの支援を行うサービスでございます。

 これは、サービスの形として、具体的には、障害のある方の自宅へ支援者が定期的に訪問するほか、電話、メール等によりまして、随時、食事がちゃんととれているのか、体調に変わりないか、あるいは困っていることはないかといったような生活状況を確認いたしまして、必要な助言を行いますとともに、必要に応じて医療機関等の関係者との連絡調整などを行いまして、ひとり暮らしを継続できるように支援をしていくということを想定してございます。

 詳細なサービスの内容につきましては、次期報酬改定の議論の中で、利用者の障害の特性に応じた適切な支援が行えますように検討してまいりたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 きのうも、自民党の勉強会で精神障害者の方々からヒアリングを受けたときに、まず住宅を探すところが本当に大変だというお話を伺いました。

 また、生活する中でいろいろな問題も起きてくると思いますので、そのところをしっかりと対応していただければなというふうに思います。

 次に、就労定着支援も創設するとのことですが、就労系障害福祉サービスから一般企業での就労に移行する者は年間一万人に上ると聞いております。

 就労定着に向けた課題も、生活や就業の観点などさまざまではないかと考えますが、新設する就労定着支援によりどのように支援していくのか、また、雇用施策との連携も進めていくことになるのか、答弁を求めます。

藤井政府参考人 企業等で働く障害のある方は毎年増加をしてございまして、特に、精神障害のある方それから知的障害のある方の伸びは著しいものがございます。

 こうした方が就労を継続していく上で、就業面での課題のみならず、生活リズムですとかあるいは体調の管理、あるいは例えば給料を浪費していないかとか、そういった生活面の課題に対する支援が大変重要となってございます。

 今回の見直しにおきまして、新たなサービスといたしまして就労定着支援を創設しておりますけれども、就労移行支援等を利用して一般就労へ移行した障害のある方で、就労に伴う環境変化によりまして生活面の課題が生じている方に対しまして、必要に応じて、企業あるいは障害福祉サービス事業所あるいは医療機関等との連絡調整ですとか、あるいはそれに伴う課題解決に向けた支援を行うことによりまして就労の定着を図っていくということにしてございます。

 また、御指摘ございました、就労を継続していくためには、障害特性に配慮した雇用管理とか業務遂行能力の向上といった就業面での課題解決もあわせて図っていく必要がございますので、障害者就業・生活支援センターですとかあるいはジョブコーチなどの雇用施策とも引き続き連携を図りながら支援に努めてまいりたいと考えております。

谷川(と)委員 障害者の皆さんは、本当に個別的にいろいろ問題を抱えていると思っております。個々の障害者の意向をサービス提供に反映させ、利用者本人にとって最適な支援につなげていくためには、相談支援専門員の資質向上が重要であると考えます。今後どのような対策を講じていくのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

藤井政府参考人 相談支援専門員でございます。

 昨年の社会保障審議会の障害者部会におきましては、障害福祉サービスを利用する方が最適なサービスを受けることができるように、まずこの相談支援専門員の確保と資質の向上に向けまして、実地研修の実施を含めた研修制度の見直し、指導的役割を担う人材の育成を行うべきだというようなこと、それから、こうした人材の適切な活用を進めるべきだ、そういった取りまとめがなされております。

 私ども厚生労働省におきましては、こうした指摘等を踏まえまして、関係者の皆様の御意見を伺いながら、研修制度の見直し、それから、指導的役割を担う方といたしまして主任相談支援専門員といったものを創設すること、また、地域の相談支援体制の充実に向けた方策等の検討を今進めているところでございます。

 こうした検討を踏まえつつ、相談支援専門員の資質の向上に向けまして、今後とも必要な対応を講じてまいりたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 何度も申しますけれども、障害者の方々は一人一人問題を抱えていることが違うと思います。相談支援専門員の人たちがいろいろと相談を受けて、そこにまたいろいろな取り組みをしていただくことが本当に大事だなというふうに思っています。

 また、何でもやってあげるというのではなくて、エンパワーメントみたいな考え方で、しっかりと障害者の人お一人お一人が考えて動けるような取り組みをこれからも進めていっていただきたいなというふうに思います。

 次に、障害者の支援ニーズが多様化しています。非常に重度の障害があり外出が困難なお子さんや、児童養護施設等の入所者の中にも相当数の障害児の方がおられます。今回の法案により、そのようなお子さんに対してどのような支援がなされるようになるのか、お答えいただきたいと思います。

藤井政府参考人 障害のあるお子さんへの支援につきましては、重度の障害があるために外出が著しく難しい子供たちや、児童養護施設等に入所していらっしゃいます障害のある子供たちなどにもきめ細かく対応していく必要があるものと考えております。

 今般の改正によりましては、例えば、重症心身障害児などの重度の障害児でありましても、感染症にかかるリスクが高いことなどによりまして障害児通所支援を受けるための外出が著しく困難な障害のある子供たちにつきまして、自宅において発達支援を受けられるようにするために、新たなサービスとして居宅訪問型児童発達支援を創設することとしております。

 また、児童養護施設あるいは乳児院に入所している障害のある子供たちにつきましては、既にございます保育所等訪問支援という給付がございますが、これらの対象を乳児院と児童養護施設にも拡大をすることによりまして、入所しているほかの子供たちとの集団生活への適応のための専門的な支援ですとか、あるいは施設の職員に対する助言等を行うことができるようにすることとしてございます。

 今回の改正によりまして、障害のある子供たちの多様なニーズに対応できるようにさらに取り組んでまいりたいと考えております。

谷川(と)委員 医療技術の進歩により、NICU等に長期間入院した後、人工呼吸器や胃瘻等を使用し、日常的にたんの吸引や経管栄養等の医療的ケアを必要とするお子さんが増加しております。今回の法改正により、このようなお子さんに対してどのような支援が提供されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

藤井政府参考人 御指摘のような、いわゆる医療的ケアが必要な障害のある子供たちにつきましては、心身の状況に応じた適切な障害福祉サービス等を十分に利用できるようにすること、また、医療や教育などの福祉以外の分野の関係機関とも緊密に連携をして対応する必要があるといったようなことなどが指摘されてきております。

 今般の改正におきましては、そうした声に応えるべく、医療的ケアが必要な障害のある子供たちやその御家族を地域でしっかりと支えられるようにするために、医療、保健、福祉等の関係者の連携体制を構築するということを地方公共団体の努力義務とすることとしてございます。

 具体的な支援につきましては、まずは、医療と福祉の連携に関するモデル事業あるいは研究事業を活用しながら現場の実態の調査研究を進めつつ、地方自治体におきまして、医療的ケアが必要な障害のある子供たちやあるいはその御家族が地域で安心して生活を送ることができる支援体制づくりがしっかりと進んでいきますように、必要な支援の検討を行ってまいりたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 私も、ゴールデンウイーク中に支援者の方とバーベキューをしたんですけれども、そのときに、胃瘻等を使用している障害児の方をお連れになった保護者の方々といろいろとお話をさせていただきました。本当に大変のようで、やはり心も体も疲弊し切っているというところがありますし、なかなか、我々がしっかりと取り組んでいくという話も、本当なのかなというような疑問の声がたくさん聞かれたように感じました。

 皆さんやはり大変なところがあると思いますので、地方公共団体または政府がしっかりと先頭に立って、なるべくその人たちの体だったりとか心が安らげるような対応をしっかりと講じていっていただきたいなというふうに思いますので、その点を本当にどうぞよろしくお願いいたします。

 次に、今回の改正法案では、医療的ケア児が地域において必要な支援を受けられるよう、地方公共団体が保健、医療、福祉等の各分野の連携を進めることとされています。

 保健、医療、福祉のみならず、教育分野での取り組みも大変重要であると考えます。特別支援学校を初めとする学校教育の分野でどのような取り組みを進めていくのか、文部科学省に答弁を求めます。

浅田政府参考人 学校に通う医療的ケアを必要とする児童生徒等が増加傾向にある中で、保健、医療、福祉のみならず、教育の分野でも環境の充実を図ることは極めて重要だと考えております。

 このため、文部科学省としては、医療的ケアを必要とする児童生徒等の教育環境の充実を図るため、医療的ケアを行う看護師の配置に必要な経費を特別支援学校について補助してきたところでありますが、平成二十八年度からこれを小中学校にも拡大するとともに、予算積算上の人数を三百二十九名から千名に拡充したところでございます。今後ともその充実を図っていきたいと思っています。

 また、保健、医療、福祉、教育分野を含めた関係機関の連携も非常に重要です。

 各自治体では、例えば教職員に対する医療的ケアの研修の講師を医師にお願いしたり、あるいは学校で医療的ケアを行う看護師を福祉部門と連携して確保したりするなどの取り組みが行われていると承知しておりますが、今回の改正案を踏まえて、厚生労働省と連携しながら、全国の自治体に対して一層の連携を促していきたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 また、障害者が安心して暮らせる共生社会を実現するためには、今回の法改正により福祉サービスを充実させることのみならず、広く国民の意識を変えていくことも大変重要であると考えております。

 本年四月に障害者差別解消法が施行された中、政府全体でこの法律を推進していく必要があると考えます。取り組みの状況と今後の方針を内閣府に答弁を求めます。

中島政府参考人 委員御指摘のとおり、障害者差別解消法をしっかり推進していくということは大変重要な課題だと認識しておるところでございます。

 政府におきましては、この法律で定められました、不当な差別的取り扱いを禁止するということ、それから合理的配慮を提供するということについてしっかり対応をしていく必要があるということで、まず、全ての府省において、みずからの職員に向けた対応要領というものを策定、公表し、職員に徹底した上で、これらに沿った適切な対応をしていただくということが一つ。

 それから二つ目。事業を所管しておられる主務大臣におかれては、所管事業者に向けた対応指針というものを策定、公表していただいて、事業者団体等を通じて事業者に対して周知し、適切な対応をとっていただくということでございます。厚生労働省関係では福祉の分野、医療の分野等でございますし、国土交通省でいらっしゃいますと不動産業や電車、バス等の公共交通機関、そうした分野でございます。

 また、地方公共団体については、対応要領の策定が努力義務とされているわけでございますけれども、これについてしっかりつくっていただくように自治体に促すほか、障害者差別解消支援地域協議会の設置促進に向けても各種の支援を行っていきたいと考えておるところでございます。

 こうした国や自治体における取り組みを踏まえまして、合理的配慮等の事例をしっかり収集し、内閣府のホームページにデータ集等を整備する、そして、フォーラムを開催したりリーフレットやポスター等を活用して、この法律の一層の周知啓発に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

 また、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。これを契機として、障害者が身近な地域においてスポーツに親しむことができる社会の実現に向けて、障害者スポーツの普及促進に取り組むことが重要であると考えております。取り組み状況と今後の方針をスポーツ庁にお聞かせいただきたいというふうに思います。

平井政府参考人 お答えいたします。

 障害者が身近な地域においてスポーツに親しむことのできる社会の実現のためには、先生御指摘いただきましたとおり、パラリンピックを初めとする障害者スポーツに対する国民全体の理解促進や、障害者スポーツの裾野の拡大に向けた地域スポーツ環境の整備を行うことなど、障害者スポーツの普及促進に取り組むことが重要であると考えてございます。

 このため、スポーツ庁におきましては、昨年度から、各都道府県、政令指定都市において、スポーツ関係者と障害福祉関係者が連携、共同体制を構築し、相互に一体となり障害者スポーツを推進する、地域における障害者スポーツ普及促進事業を実施しているところでございます。

 引き続き、本年度も本事業を実施することによりまして、体制の整備を初めとした各地方公共団体の取り組みを支援することなど、障害者スポーツに係る連携、共同体制の構築に努めたいと思っております。

 また、今年度より新たに、障害児、障害者にとって身近な施設である特別支援学校を活用しまして、地域における障害者スポーツの拠点づくりを推進するため、特別支援学校等を活用した障害児・者のスポーツ活動実践事業を実施することとしているところでございます。

 今後、このような取り組みを推進することによりまして、障害者スポーツの普及促進に一層取り組んでまいりたいと思っております。

 以上でございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 ロンドン・オリンピックは、パラリンピックが成功したから大成功をおさめたというふうに私も聞いております。テレビを見ていると、我々もわからないような、ブラインドサッカーを見たとき僕も衝撃を受けましたし、いろいろな障害者の方々がしっかりと頑張って、自分たちができることを精いっぱいやっている姿を見ると、やはり国民の皆さんも世界の皆さんも元気づけられるのではないかなというふうに思います。こういう取り組みをどんどんどんどん進めていっていただいて普及活動に努めていっていただければなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今申しましたとおり、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピック東京大会が開催されます。障害者の文化芸術の取り組みを世界に向けて発信するまたとない機会であると考えます。厚生労働省としてどのような取り組みを進めていくのか、意気込みをお聞かせいただきたいなというふうに思います。

太田大臣政務官 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に際して、オリンピック憲章では、文化イベントのプログラムを設けることとされておりまして、これが、芸術活動に取り組む障害のある方々にとっては社会参加の促進につながる大きな活躍の場となるものと考えております。

 厚生労働省の取り組みを三つ御紹介申し上げますと、一つは、昨年六月から、文化庁と共催で、障害者の芸術文化振興に関する懇談会、これを開催いたしまして、関係者間のネットワークや情報共有を図っております。

 また、平成十三年度から、毎年一回、都道府県の持ち回りで開催をしております全国障害者芸術・文化祭の開催、お地元の大阪府は第一回に開催をしておりまして、今年度、二十八年度は愛知県で開催をする予定です。

 さらに三点目として、芸術活動を行う障害のある方々を支援するためのモデル事業、これを実施しておりまして、相談支援、人材育成、ネットワークの構築など、障害のある方々の芸術文化活動を振興するための支援も行っております。

 こうした取り組みを通じまして、今後とも、内閣官房や文部科学省など関係省庁とも連携をしながら、二〇二〇年に向け、機運の醸成を図っていきまして、障害のある方々への理解、障害のある方々の社会参加が進むように、共生社会が実現されるように取り組みを進めてまいります。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 私も、地元に帰ると、よく障害者施設の方にお伺いさせていただく機会が多いです。バザーだったりとか文化祭であったりとか運動会であったりとか。

 その中で、本当に重度の身体障害者の方とフェイスブック等でメッセージのやりとりもしているんですけれども、メッセージのやりとりをしていると普通の感覚があるんですけれども、実際お会いすると、おはようと言ってもおはようと返ってこないような、本当に重度の障害者の方です。しかし、彼は、本当に指一本ぐらいしか動かないんですけれども、それでどういうふうな形で、コンピューターを使っているところはまだ見たことがないんですけれども、その中で詩を書いたりとか、また、絵を描く人もいますし、音楽をする人たちもいます。そういう人たちの取り組みというのはすごいなというふうに思います。

 また、個展を開いたりするんですね。そのときに御案内をいただいたりとかすると、僕も時間がある限り行かせていただくんですけれども、やはりすばらしい作品が多いです。文化芸術を通してその方々が輝けるような社会がもっともっと広がっていけばいいなというふうに思います。

 また、私のことを兄のように慕う、小児麻痺でもうほとんど動かないという子と一緒に甲子園の方に野球観戦に行ったりとかいろいろするんですけれども、やはりそのときも、電動車椅子も重いですし、自分で動くこともできないですし、トイレも行かないですし、僕も初めて、し瓶を持って、おしっこをするときに手伝ったこともあります。

 本当に、御家族の皆さんとその子自身も大変苦労しているんですけれども、やはり、生まれたときからそういう状態であれば、その弟みたいに思っている子も、多分、普通という言い方はおかしいかもしれないですけれども、我々のように何でもてきぱきと活動できるような体じゃないんですけれども、そういうところも屈せずに、本当ににこやかにいつも慕ってきて、かわいらしいなというふうに思います。

 しかし、彼らがやはり一人一人が輝ける、そして活動しやすいような社会を実現していくためには、我々がしっかりと取り組んでいかないといけないなというふうに思います。これはもう、厚生労働省であれば塩崎大臣を初め皆さん方、そして内閣府、またスポーツ庁、文部科学省、各省庁いろいろ、しっかりと連携をとりながら、障害者の方々が本当に輝ける、そして共生社会の実現に向けて取り組んでいただけたらなというふうに思います。

 もうそろそろ時間でございますので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思いますけれども、今回の障害者総合支援法の見直しに当たり、公明党といたしましても、関係団体からのヒアリングも踏まえ、障害児と家族への支援、障害の特性やニーズに応じたきめ細やかな対応、さらには障害者本人が望む地域生活の実現など、目指すべき方向を示し、具体的な提言を行わせていただきました。

 本改正案には提言の内容が多く盛り込まれておりますが、なお改善が求められる課題は山積をしております。共生社会実現のため、障害者施策の充実をさらに加速させるべきとの立場から、以下、質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 初めに、総論的な話からお伺いしたいと思います。

 障害者総合支援法の施行からこれまでの間に、障害者虐待防止法、障害者差別解消法、障害者雇用促進法改正などを経て、二〇一四年一月に、日本は障害者権利条約を批准いたしました。条約の前文にうたわれる障害者の権利と尊厳の促進、あらゆる分野への参加の機会均等の実現を、現在政府を挙げて進めようとしている一億総活躍社会にどのように位置づけて推進を図っていくお考えなのか、まずお伺いしたいと思います。

竹内副大臣 お答えいたします。

 一億総活躍社会の実現に向けまして、障害のある方や難病患者の方々が安心して地域で生活できる環境づくりや、希望に応じた多様な働き方や社会参加を実現するための支援を推進していくことが重要であると考えております。

 こうした考え方のもと、今回の法案におきましては、まず最初に、障害のある方に対し地域でのひとり暮らしを支援する新たなサービスとして自立生活援助を創設するとともに、二つ目に、一般企業での就労定着に向けた支援を行う新たなサービスとして就労定着支援を創設し、障害のある方の生活と就労に対する支援を一層充実させることといたしております。

 また、平成二十八年度予算では、ロボット技術を活用した障害のある方向けの自立支援機器の開発促進や、障害のある方の職域拡大や収入拡大に向けて、農業分野における就労促進、いわゆる農福連携を進めるための取り組み、また、芸術文化活動を通じた障害者の社会参加を一層推進するためのモデル事業などを盛り込みまして、障害のある方の自立や就労、社会参加を一層推進することといたしております。

 今後も、制度、予算などあらゆる施策を通じまして、障害のある方や難病患者の方々がそれぞれの希望をかなえ、能力を発揮できる一億総活躍社会の実現に向け、政府一丸となって取り組んでまいる所存でございます。

角田委員 障害者の自立、社会参加、こうした活躍のためには、就労の支援ということも促進していかなければならないと思いますけれども、就労の形態も、一般就労のほか、いわゆる福祉的就労など、さまざまあります。

 ここで一つ、福祉的就労への支援に絞って少しお伺いをしたいと思います。

 障害者就労施設で就労する障害者であるとか在宅の就業障害者等の自立の促進に資する目的で、障害者優先調達推進法が平成二十五年四月に施行されました。

 この法律では、国や独法とともに、地方公共団体にも、障害者就労施設等の受注機会の拡大を図るための措置を講ずるよう努める責務を課しておりますけれども、ここでは、地方公共団体の調達状況について絞ってお伺いをしたいと思います。

 地方公共団体の調達の状況について伺いますとともに、あわせて、特に、調達実績がゼロ、調達が行われていない団体はどれだけあるのか、お答えいただければと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県における平成二十六年度の障害者就労施設等からの調達実績でございますが、調達件数が一万八千三百六十八件、契約額が約二十五・九億円と、前年度と比べますと、調達件数で二五・八%増、三千七百七十件の増、契約額は二一・〇%増、四・五億円の増と、これはともに増加をしてございます。

 また、市町村における調達実績の方は、調達件数が五万七千九百七十四件、契約額が約百六・一億円と、前年度と比べまして、調達件数は三三・三%の増、一万四千四百九十三件の増です。それから、契約額は二二・五%、十九・五億円の増と、こちらもともに増加をしてございます。

 一方で、先生御指摘の、調達実績がゼロの自治体でございますが、二百九十三市町村ございまして、全市町村に占める割合は一六・八%でございまして、このうち、町村が八六・三%、二百五十三町村が占めてございまして、小規模の自治体が多いのかなというふうに考えてございます。

角田委員 お答えいただいたとおり、全体として見れば確かに調達の実績はふえておりますけれども、個々の団体について細かく見ていった場合に、取り組みにはまだ非常に大きな差があるようであります。

 試みに、団体の一般会計歳出に占める調達額の割合というものを調べてみましたけれども、例えば、都道府県のそれぞれの歳出に占める調達額の割合を見ても、上位団体と下位団体では少なくとも三十倍、トップと下位との比較では五十倍以上の差が見てとれます。

 また、市町村ごとに見た場合、最も高い団体は、一般会計歳出の〇・五%、これは極めて高い数値だと思いますけれども、〇・五%に当たる金額を障害者就労施設等から調達しております。

 さらに、〇・一%、これも極めて高いと思いますけれども、超えている団体も三十団体以上ある一方で、その五十分の一以下という団体が四百以上存在をしております。

 さらに、今お答えがあったとおり、三百近い団体は調達実績そのものがゼロと、都道府県、市町村を個々に見た場合には、かなりの差があります。

 調達額の割合が大きい団体を眺めてみても、例えば、沖縄県の村であったり、大阪府の一般市であったり、北海道の町があったり、兵庫県の中核市であったり、東京都の特別区があったりと、特に団体の規模の大小というものは余り関係ないというふうに思います。これは、ある意味、考えてみれば当たり前のことで、予算があるからやるとかできないとか、そういう話ではなくて、努力するかしないかの話だということだと思います。

 ただ、現場の声を伺いますと、各部局の長を集めて会議をやっても、根拠はそもそもあるのかとか、障害者の作業所から調達しろと言われても具体的に何ができるのかがわからないとか、また一方では、財政当局からは、既にもう随意契約によって障害者就労施設から役務の調達などをしている場合についても、財政が厳しいんだから入札でやるべきだとか、そのような圧力に常にさらされている中で孤軍奮闘しているという現実もあります。

 全体の調達額が伸びている中で、障害者の自立支援のためには、団体間の格差を縮めていくことも今後の大きな課題であると考えます。地方公共団体に対して、やれと言うことはできないまでも、頑張ろうとしている担当部署を応援するための工夫の余地はあると思っております。

 これから法施行後三年目となる二十七年度の実績も挙がってくると思いますが、その結果も踏まえて、特に頑張っている団体の事例を紹介する、どのように実績を向上していったのか、どうすれば調達実績をふやすことができるのか、苦労している現場の担当者にとっても参考になるような、全庁的な取り組みを促す上で参考になる事例を積極的に発信するとか、障害者の自立支援のために積極的な取り組みを求めたいと思いますけれども、このことについて御見解をお伺いしたいと思います。

竹内副大臣 具体的な御提案、ありがとうございます。

 地方自治体におきまして、障害者就労施設等に対する調達に積極的に取り組んでいただくために、議員御指摘のように、参考となる好事例を発信することは大変重要であると考えております。

 このため、厚生労働省では、各省庁における事例や障害者就労施設などでの物品や役務の提供例をホームページに掲載をしておりますほか、全国会議等におきまして、自治体の取り組み事例も示し、こうした事例を参考にして障害者就労施設などに対して積極的に調達していただくようお願いをしているところでございます。

 引き続き、こうした取り組み事例の周知を行うことに加えまして、今後は、自治体の担当者の参考となるように、実績が伸びている自治体などの事例も追加で収集をいたしまして、積極的に発信することを通じて、地方自治体における障害者就労施設などからの物品等の調達を促進してまいりたいと考えております。

角田委員 ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。

 障害者優先調達に関して、もう一点だけお伺いをしたいと思います。

 共同受注窓口についてお伺いをしたいと思いますが、障害者優先調達推進法は、工賃の向上のためということが大きな目的であったと思います。その際、就労支援事業所では、その規模等によって、大きな、大規模な発注には対応できないことが多く、せっかくの受注機会をみすみす失うことにもなりかねない。そうならないための方策として、共同受注窓口の設置を促す規定も置かれましたが、同法施行後の全国的な共同受注窓口の設置状況や調達実績の動向を見ますと、これも都道府県によって大きなばらつきがあるようです。

 今後、障害者の工賃引き上げのために、共同受注窓口の設置促進も大切な課題であると考えますが、現状の課題、さらには今後の取り組みについてのお考えをお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 障害者就労施設等からの調達実績を向上させ、工賃向上につなげていくためには、先生御指摘の共同受注窓口の設置、これは私ども大変重要であると考えておりまして、これまでも共同受注窓口の立ち上げ支援を行ってきているところでございます。

 また、共同受注窓口が円滑に運営されてまいりますためには、まず、受注可能な物品等に関する情報発信の強化が必要であると思いますし、また、民需を含めた受注の増進といったようなことも課題であると考えてございます。

 したがいまして、私ども、今年度、平成二十八年度から、障害者就労施設等が提供する物品等を紹介いたします全国版の共同受注窓口サイトを開設するということが一つ。

 それから、共同受注窓口において、関係者による協議会、民間企業なんかも入りました協議会を設置することで、これは新たな官公需はもちろんですが、民需の創出も図っていく、そういう取り組みに対しまして支援を行うといったような、そういう政策を行っております。

 こうした取り組みを通じまして、調達実績がさらに向上するように支援をしてまいりたいと考えております。

角田委員 続きまして、私自身はこれが一番のスタートの話だと思っておりますけれども、障害者の権利の啓発ということについてお伺いをしたいと思います。

 障害のあるなしにかかわらず、誰もが地域で暮らし、活躍する共生社会実現のためには、まず、誰もが差別されずに平等に権利を有している、障害者も保護の客体ではなく権利の主体なのだという当事者の意識、自覚というものが何よりも重要だと考えております。それがあってこそ、あくまでも本人中心の支援というものが可能となり、本人中心の支援にかかわる支援者や、それを取り巻く市民との相互のエンパワーメント、ともに生きる力というものを高めることができ、私たち自身の生き方をより豊かなものに変革していくことができるものと確信をしております。

 一方で、これは少し古いですけれども、障害者を対象とした平成二十四年度の内閣府の意識調査では、共生社会という考え方を知らないと答えた人の割合が三五%、障害者権利条約のことを知らないと答えた割合は八一・五%と、その前の五年前の調査よりも知らない割合がふえているという結果も出ております。

 障害者の権利とその擁護に関する取り組みは、諸外国に比べても立ちおくれている現状にあり、今後、積極的な取り組みが求められますが、その前提となる障害者の権利の啓発にはどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。

中島政府参考人 障害者の権利擁護に関する取り組みの推進、委員御指摘のとおり、大変重要でございます。

 先ほど谷川委員の御質問にもお答えいたしましたように、障害者差別解消法を国、地方公共団体、民間を通じてしっかり推進していく、これがまず大変重要なことだと思ってございます。

 また、より大きな話といたしましては、我が国では、委員御指摘のとおり、障害者権利条約というものを平成二十六年に批准させていただいたところでございまして、その批准に向けた過程では、障害者基本法を改正する、また、この差別解消法を制定する等の国内法整備を行ってきたところでございます。そして、この条約の国内実施状況の監視機関として、基本法に基づき、障害者政策委員会というものも位置づけているということでございます。

 この条約におきましては、国連の権利委員会に対して政府報告を提出することが義務づけられておりますので、現在、その初回の政府報告の作成を進めているところでございまして、これまで障害者政策委員会で延べ十七回の御審議を経て、障害者基本計画の進捗状況についての議論の整理を取りまとめていただいて、政府報告にも反映したところでございます。近く、国連の方に外務省の方から提出をさせていただいて、そして、権利委員会の審査を受けるということでございます。

 こうした取り組みを通じまして、しっかり権利擁護について国民の皆様方の関心や理解を深めてまいりたいと考えておるところでございます。

角田委員 これは非常に重要な取り組みだと思いますので、全省庁横断的に、積極的な取り組みを要望させていただきたいと思います。

 続きまして、障害者の自立した生活を支援する事業に関連してお伺いをしたいと思いますが、障害者が地域で暮らし、社会に参加する上で最も重要となるのは、生活の本拠となる住まいの確保であります。その一つとしてグループホームというものがありますが、これは全国的に見ても整備が進んでいない状況にあります。

 今回の改正案では、グループホーム等、地域生活を支援する仕組みを見直して、賃貸住宅等でひとり暮らしを希望する障害者がひとり暮らしを選択できるように、一定期間にわたって定期的な巡回訪問や随時対応などの支援を行う自立生活援助の創設が盛り込まれておりますが、グループホームでの生活を望む障害者がグループホームにあきがないためにひとり暮らしをせざるを得なくなるということがないよう、障害の程度が軽いということだけで本人の意思に反して退所を迫られるということにならないよう、この運用には十分な配慮が求められると考えますが、自立生活援助の対象者についてはどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

藤井政府参考人 自立生活援助につきましては、アパート等でのひとり暮らしを希望しても、知的障害あるいは精神障害によりまして生活力等が十分ではないために実際にはひとり暮らしを選択できないような、そういった方を対象といたしまして、支援者が定期または随時に障害のある方の自宅を訪問して、生活状況の確認などの支援を行うサービスでございます。

 その対象者につきましては、グループホームのほか、施設あるいは病院から退所なり退院してひとり暮らしを希望する方々等とすることを考えておりますけれども、障害のある方の状態やニーズを踏まえまして、その方が適切なサービスを利用できる仕組みとなるように、次期報酬改定等の議論の中で具体的に検討してまいりたいと考えております。

 検討に際しましては、委員御指摘の点も踏まえまして、現にグループホームを利用している方が自立生活援助の創設で例えば退去を強いられるとか、そういったことが生じないように、しっかりと配慮していきたいというふうに考えております。

角田委員 グループホームと一口に言いましても、アパート型の比較的大きなものや、公営住宅の一部を利用したものなど、いろいろな形態があります。町中にある既存の戸建て住宅を活用した小規模グループホームも多数存在をしております。

 このような小規模グループホームは、親の高齢化を初めとして、さまざまな事情で家族と一緒に暮らしていくことが困難となった障害者にとってもなじみやすい住まいの形態ではないかと思いますし、少なくとも、暮らしの場の選択肢の一つとして積極的に整備が図られるべきものと考えておりますけれども、現実には整備が進んでおりません。

 これは、建築基準法で求められている、特に間仕切り壁など構造上の要求と、消防法のスプリンクラー等の設備の要求が大きな壁となっているということが主な理由でしたけれども、平成二十六年に、スプリンクラー等が設置されている場合と、小規模で火災発生初期の段階で避難できる場合には、一定の要件のもとに、これまで必要とされていた間仕切り壁の大規模な改修を要しないとするなどというようなことを内容とする、いわゆる規制の合理化というものが行われました。

 この規制の合理化の内容について、スプリンクラーの設置が必ずしも義務ではない障害者グループホームとはどのような建物であるのか、スプリンクラー未設置の障害者グループホームのうち、間仕切り壁を準耐火構造とすることを要しない建物、防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分とは具体的にどのような建築物なのか、それぞれ消防庁と国交省にわかりやすく解説をいただきたいと思います。

熊埜御堂政府参考人 消防庁からは、スプリンクラー設備の設置が必ずしも義務ではない障害者グループホームとはどのような建物かについてお答えいたします。

 避難が困難な障害者を主として入所させるグループホームにつきましては、消防法施行令の改正を受けまして、平成二十七年四月から、原則として面積にかかわらずスプリンクラー設備の設置が必要とされております。

 ただし、一定の要件を満たすものは設置が不要とされており、具体的には、入所者の居室が避難階にある延べ面積百平方メートル未満の施設であって、居室、廊下などの内装が不燃化されているもの、または火災時に短時間で屋外に避難できるもの、また、各居室が百平方メートル以内ごとに準耐火構造の壁や床で区画されているとともに、居室、廊下などの内装が不燃化されているなどの措置が講じられている施設、これらがこれに該当するということでございます。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、基準法上、間仕切り壁を準耐火構造とすることが原則になっておりますが、スプリンクラーが設置された場合、あと小規模な場合には、それが適用がない、免除されております。

 そのうち、小規模なものにつきましては、一つのフロアの床面積が百平米以下である戸建てなど、まずは小規模であること、かつ、防災の報知機が設備されているなど、火災が発生したときにその発生をすぐに知ることができること、なお、それに重ねまして、各居室から直接屋外へ出られるなど、もしくは各居室から出口までの距離が短いなど、避難が容易であること、これらの条件を満たしているものについて、準耐火構造とすることが免除される形になってございます。

角田委員 今お答えいただいたとおり、既存の小規模なグループホームについては、必ずしも大規模な改修を要しないというものが、現状、かなりの数を占めていると思います。

 そうした中で、今回の障害者の自立した生活を支援する事業そのものはよろしいことだと思うんです。それは、あくまでも、グループホームの量というものが充足をしているということが私は前提になると思います。グループホームの整備が進んでいない状況の中でひとり暮らしをせざるを得ないという障害者がふえることによって、今のグループホームの要件の中で特にもう一つあるのは、比較的程度の軽い方の割合が多いというところが、現状、スプリンクラーの設置を必要ないということにされていると思いますけれども、ちょっと確認なんですけれども、その理解でよろしいですか。

熊埜御堂政府参考人 ただいま御指摘の件については、面積が六千平方メートル以上のものに関しては該当することになると思いますが、今議論になっておりますものは千平方メートル未満のものとか延べ面積百平方メートル未満のものでございますので、これは該当しないものというふうに考えております。

角田委員 わかりました。この辺、少しちょっと議論がかみ合わないんですけれども。

 いずれにしましても、現状はグループホームの整備が進んでいない中で、比較的軽度の人がひとり暮らしをせざるを得ないというような状況になった場合、グループホームというものがある意味重度の人に特化されたという形に変質をしてしまう。それは、さまざまお互いに協力をし合いながら生活をしていくという、そういった姿自体を崩すことになってしまうと思いますし、まず、グループホームの整備促進というものが最優先で考えられなければいけないと思いますけれども、今後のグループホームの整備促進に関するお考えについてお伺いしておきたいと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 障害のある方が地域で安心して生活をできるようにするためには、グループホームというのは大変重要な施策であると私どもも認識をしてございますので、その確保は大変重要な課題であると考えてございます。

 グループホーム等の障害福祉サービスにつきましては、各自治体の障害福祉計画に基づきまして計画的な整備に取り組んでおるところでございますけれども、私どもの方の障害福祉サービスの体制整備を進めるための施設整備費につきましては、平成二十八年度の当初予算におきましては、対前年度で申しますと四十四億円増の七十億円を計上したところでございますし、今後とも、必要な予算を確保しつつ、グループホームの整備等、必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。

角田委員 自立生活援助について一点、ひとり暮らしの障害者の災害時の支援ということについてもお伺いしたいと思います。

 確かに、平時は定期的な巡回訪問など、サービスが提供されますが、地震、火災などの災害発生時にサービスを提供する事業所が直ちに動くということは困難であろうと思います。この点、障害者グループホームの指定を受けたところでは、市の条例、規則等で、非常災害に関する具体的な計画づくりであるとか、定期的な避難訓練の実施などが義務づけられており、これについて福祉部局のチェックも入ることになります。また、世話人の配置なども行われております。

 ひとり暮らしを希望する障害者がその選択をしやすくすることによって、災害時に支援が必要な方もふえてくるのではないかと思いますけれども、こうしたひとり暮らしの障害者の災害時の支援体制について、お考えをお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 ひとり暮らしをされている方も含めまして、障害のある方々は自力避難が難しい方も多うございますし、災害に際しましては、迅速に支援がなされるように日ごろから備えておくことが重要であると考えております。

 市町村におきましては、障害者等の要配慮者を把握して、災害時の安否確認のほか、必要な措置が実施できるように備えていただくこととされてございます。

 その一方で、日常、直接、障害のある方々に接してその状況をよりよく把握しておりますのは、相談支援事業者を初めとする障害福祉サービス事業所、グループホームももちろんでございますけれども、そういった方々でございますので、こういったサービス事業所が市町村と連携協力をして必要な支援につなげていくように取り組んでいただくということも、障害者の災害時の支援に力を発揮するものと考えております。

 現に、今般の熊本の災害におきましても、多くの障害福祉サービスの事業所あるいは関係の方々に本当に熱心に支援に取り組んでいただいているところでございまして、今後も、こうした取り組みが各地で進んでまいりますように、自治体や関係団体等にも働きかけてまいりたいと考えております。

角田委員 ありがとうございました。

 災害時の支援をいかに速やかにやっていくかということについては、単に福祉サービス事業者だけの話ではなくて、何よりも大切なのは、地域で日ごろからわかっていてもらう、知っていてもらう、理解していてもらう、こういった取り組みも極めて重要なことだと思います。

 これは厚労省だけの話ではないと思いますので、関係する省庁ともしっかりと連携をして、災害時の体制というものもしっかりと構築を進めていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。民進党の初鹿明博です。

 きょうは、障害者総合支援法の改正案についての質問ということでございますが、御存じの方も多いと思いますが、この法律が民主党政権のときにできたとき、私は党のワーキングチームの事務局長をやっていまして、非常に苦労をしながら何とか成立をさせたことを今でも覚えております。

 当時、政権交代をして、そのときのマニフェストで、その前にあった障害者自立支援法を廃止して総合福祉法をつくるということが書かれていて、それに基づいて法改正がされたわけですが、皆さんも御承知のとおり、総合福祉部会から骨格提言というものが出されまして、それに基づいた法律になるということが当事者の皆様方が期待をしていたところですが、きのうも参考人でいらした佐藤さんからも指摘がされたとおり、十分にその内容をこの法律に盛り込むことができないままで成立をするということになったことは御承知のとおりでございます。

 そのときに、大臣も答弁しているんですけれども、やはり財政的な制約があるから段階的に進めていくんだということで、三年後の今回の見直しということが法律にも明記をされて、今回、改正がされるということであります。

 ただ、現状、この改正案を見て、かなり進歩していると私も思いますし、評価をしたいと思うんですが、やはりまだまだ、障害者の皆様方、当事者の皆様方が骨格提言に盛り込んだ思いというものには十分に至っていない、今は途上であるというふうに思いますので、この改正案で終わりということではなくて、やはりもう少し、この先も支援を充実させていくことをまずは忘れないでいただきたいということを冒頭申し上げさせていただきまして、具体的なお話をさせていただきたいと思います。

 私は、二〇一二年に落選をしてから、自分で障害者の事業を始めました。居宅介護と相談支援と放課後デイサービスを三事業行っていまして、実は、つい先日、月曜日から放課後等デイサービスの三カ所目を開所いたしまして、今、三カ所、江戸川区で放課後等デイサービスをやっているんです。

 この事業を始めて感じたことをまず、感じたことというか問題意識を持ったことを一つ、先に話をさせていただきます。

 まず、申請の段階で非常に資料の添付が多くて、これは非常に面倒です。そして、今回、就労定着支援とか自立生活援助とか新たなサービス類型をつくりますけれども、サービス類型ごとの指定をとらなければいけないわけですね。例えば、訪問系のサービスをやるという場合でも、居宅の申請と重度訪問介護の申請とは別々にやらなければいけない。この手続が非常に煩雑で、また、添付しなければいけない資料が時に重複をしていたりするわけです。

 新たに二つのサービス類型をつくるわけですが、恐らく、既存の事業をやっている事業所が大半この自立生活援助や就労定着支援ということをやり始めるということになるわけですね。そのときにやはり、もう既に事業所としてほかの事業をやっている事業所には、添付資料をできるだけ簡素化して提出するものを少なくするとか、そういう工夫をしていただきたいなと思います。

 あともう一点、これは自治体の問題なので、厚生労働省がどうこうということではないとは思いますが、ぜひ自治体に徹底していただきたいのは、大体、添付資料をホームページからダウンロードして、そこで記載すればいいようにできているんですが、実はこのホームページでそこのページにたどり着くのに、なかなかたどり着けないんですよ。本当に、探しても探しても、検索しても、一体どこに行けばそこのページに行くのかわからないようなことになっている自治体が非常に多いので、その辺も少し工夫できないか、ぜひ自治体にも指導をしていただきたいというふうに思います。

 まず、申請に係る書類の簡素化や、また、こういうホームページの見やすくするという点について、大臣、御見解を伺います。

塩崎国務大臣 まず第一に、先ほど見直しについてお話がございましたが、この見直しにつきましては、施行後三年をめどとした検討規定に従ってやりますし、やはり絶えず制度はよくしていかなきゃいけないということで、今回も三年の見直し規定が入っているということで、絶えざる見直しをしていくという基本姿勢をまず申し上げておきたいと思います。

 書類の提出についても最初にお話がございましたが、結論から言えば、先生御指摘のとおり、書類の提出に係る事業所の負担というものが無為にふえない、過大にならないということはとても大事なことだと思いますので、手続の簡素化につきましては、出さなきゃいけないものは出していただくとしても、そこのところは、その趣旨から外れない範囲内であれば、やはり簡素化をしっかりとやるということが大事だというふうに思います。

 もう一つ、今、ホームページの、ダウンロードしようと思ってもなかなかたどり着かない。私も、よくそういうことがいろいろなところであって、諦めちゃうことがありますが、事、事業所をやっていらっしゃる方にとっては諦めるわけにはいかないので、今御指摘のように、なかなか見づらいということであれば、それは、まず厚生労働省でそういうことがあれば、絶えずこれも見直していかなきゃいけないし、地方自治体が、基礎自治体が、基本的に県がまたやっていただくということであれば、いずれのホームページでもやはり見やすさを大事にするということは私どもからもしっかりと伝えてまいりたいというふうに思います。

初鹿委員 ぜひお願いいたします。

 事業所の事務負担ということなんですが、申請時だけじゃなくて、日々の業務の中でも非常に事務負担が多いんですね。きのうも参考人でいらっしゃった加藤さんがおっしゃっていましたが、本来、障害福祉に当たっている職員というのは、直接処遇をするのに時間を割きたいわけですよ。ところが、毎日の記録を書いたりとか、そういう残さないといけないものが多くて、そこに追われてしまう。

 そして、今回の改正の中でも、自治体の実地調査をもっとやっていこうみたいなことが加えられていますけれども、自治体が調査に来て何をしているかといったら、書類のチェックなんですよ。書類のチェックをしてサービスの中身がわかるのか、私はいつも疑問に思うんですね。

 事業所の側からすると、チェックされる書類を調査の前に整えるのに必死になるという、本来、サービスの中身を、よりよいものをやっているということをきちんとチェックしてもらうべきなのに、書類を形式的にそろえることを自治体の方も求めるし、事業所の方もそこに汗をかかなきゃいけないというのはやはり本末転倒だなと思いますので、日々残しておかなければいけない記録というものも少し整理をしていただきたいと思います。

 特に、新たなサービス類型ができるわけじゃないですか。そうすると、一人の利用者で複数のサービスを利用する、そういう利用者が出てくるわけですね。そのサービスごとに同じようなものを残していくというのは、やはり職員の労力を考えるとばかげているんじゃないかと思いますので、ちょっと日々の残すべき記録、書類類の簡素化ということも検討していただきたいですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 実は今、介護の現場の方々のワークロードが余りにも大変だと。もともと介護は対人のサービスで、まさに今お話しのとおり、障害者であれば障害者に直接に接する機会が大事なのであって、介護も同じであります。

 今、実は、介護の方では、書類、事務量の半減。ですから、書類だけ減らしてIT化しても、無駄なものをIT化したって意味ないので、そもそもこれは本当に要るのかと。あるいは、国、都道府県、市町村、この三つのレベルから同じようなものが来ているということも十分あり得るということで、今、介護につきましては、そもそも記録を残すこと自体の必要性はどうなのかというところから考え直し、また、IT化ができることも含めて半減をしよう、書類関係のワークロード半減ということを今言っています。

 したがって、障害の方も同様に、そういうことをちゃんとやっていくように、私どもとしても、半減を目指していくように指示をしてまいりたいというふうに思います。

初鹿委員 これは事業所にとってみれば本当に死活問題になるような話ですので、ぜひやっていただきたいと思います。

 では、具体的な中身に入っていきますが、お手元に資料を配らせていただいております。厚生労働省が作成した今回の改正案の概要資料なんですが、一つずつ問題点を指摘させていただき、今後の検討につなげていただきたいということをお伺いさせていただきます。

 まず、重度訪問介護の訪問先の拡大ということで、入院中も重度訪問介護のヘルパーの派遣ができるようになるということで、これは非常に今までニーズがあって、当事者の方々から求められていたことであるので、私もこれは非常に歓迎をしております。しかし、残念ながら、支援区分六までの方を対象ということで、非常に限定的であるのは、現状、スタートだからやむを得ない部分もあるのかもしれませんが、少し今後の検討として対象の拡大を考えていただきたいところであります。

 特に、当事者の方々からヒアリングしたときに話が出た一つは、家に親と同居をしていて、それで、通常は重度訪問介護までは使わない、でも、入院をしたときに、そのときに、コミュニケーションがうまくできなかったり、通常の看護師さんでは対応できないようなところをやはりカバーしてもらいたいということで、通常今までは重度訪問介護は使っていないけれども、入院をしたときから使いたい、そういうニーズもあるんだということなんですね。

 障害の程度からすれば六とか五とか、そういう重いところなんだけれども、ふだん重訪を使っていない、そういう方が入院した場合もヘルパーの派遣ができるようにならないか、これはぜひ考えていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 重度訪問介護の点につきまして今御指摘がありました。

 その前に、先ほどの書類の問題ですが、初鹿委員は御自身でやっていらっしゃるので、こういうのがばかばかしいからやめろ、こういうのが具体的にあったらぜひ教えてください。(初鹿委員「はい、わかりました」と呼ぶ)

 それで、今の重度訪問介護、今回新たに導入をする制度でもございますが、四肢の麻痺があって寝たきり状態の方などの最重度の障害がある方が入院される場合について、体位交換の際に御本人に合った姿勢とかを看護師に伝えられず苦痛を感じる方、そういう姿勢を伝えられない、あるいは、環境や生活習慣へのこだわりに応じた支援がなされないで強い不安を持つという方もおられるわけでありまして、このため、今回の改正案では、入院前から重度訪問介護を利用している方について、御本人の状態等を熟知したなじみのヘルパーによって入院中も引き続き重度訪問介護を受けられるようにしようということにしたわけでございます。

 今お話がありましたが、入院前に重度の訪問介護を利用していない方については、このような状況にないので、今回のヘルパー利用の対象とすることは今のところ考えていないわけでありますけれども、そうした方々に対する入院中の支援については、まずは看護補助者の配置の充実ということで、病院という場所の特性でということで、これは視覚障害の方々の入院をされた場合のことについても前々からいろいろお話がありましたが、とりあえず看護補助者で賄えないかということ、意思疎通支援事業が入院中においても利用可能な旨を明確にすることによって、対応していきたいと考えております。

 先ほども申し上げたように、そうはいいながら、重度の障害ということで、御自宅で家族が見ていたからゆえに、それまで重度の訪問介護は利用していなかった、そういう場合があり得るわけでありますので、そういうことも含めて、先ほども申し上げたとおり、絶えずやはりそういった点については見直しの姿勢を持って見ていかなければいけないというふうに思います。

初鹿委員 ぜひお願いします。

 重度訪問介護は利用していなくても、ほかの障害福祉サービスを利用していて、なれたヘルパーさんがいる場合が大半だと思うんですよ。ですので、重訪じゃないといけないということではないと思いますので、ここは検討をぜひお願いいたします。

 今大臣から、コミュニケーションの支援も使えるんだというお話がありましたが、きのう、ALSの協会の金澤常務理事からのお話を伺っていて、やはりここが非常に重要だなと思ったんです。ALSの患者さんの中でも、やはりこの区分六に当たらない方もいらっしゃるわけで、そういう方が入院した場合に、では、コミュニケーションがとれているのかどうかということがあるわけですね。

 一枚めくっていただきたいんですが、これは、きのう、金澤さんが添付をした資料についていた参考資料なんです。

 まず、一番上に、付き添いがあったかどうかということで、その付き添いをした人がどういう人かというのが書いてあるんですが、ここで、5の公費ヘルパーの十八というのが、恐らくこれがコミュニケーション支援の事業で来ている人たちだと思うんですが、それ以外は、やはり三分の二ぐらいは家族なんですよね。家族が付き添わなきゃならないというのは、これは非常に家族にとって負担が重いと思います。

 その次を見ていただきたいんですが、入院中、必要に応じて病棟スタッフに意思を伝えられますかというところで、伝えられる八に対して、伝えられない三十八と、割合でいうと八三%。入院中に見守りがなくて困ったことがありましたか、あるが三十、ないが十二、あるで七〇%を超えているという状況でありますから、やはり一定の誰か、見守るような方は必要なんだろうと思います。

 そのときに、このコミュニケーション支援というのは、地域生活支援事業の、自治体の事業ですから、自治体でこの事業自体がないところが多い、大半がないという指摘を受けました。

 ですので、今回、区分六までということであるわけですから、六に該当しない方々で、やはりコミュニケーションのなかなかとりづらい方というのも入院をすることがあるわけですから、地域生活支援事業のこのコミュニケーション支援、特に入院中のコミュニケーション支援は、本当は私は自治体に必須にしてもらいたいんですが、これは地方分権だからなかなかそこまでは言えないということなんでしょうけれども、やはりできる限りこれは障害者のニーズに応じて、各自治体で創設していくように促していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

竹内副大臣 お答えをいたします。

 障害のため、意思疎通を図ることに支障がある障害者などの意思疎通支援につきましては、地域生活支援事業の市町村必須事業に位置づけて実施しているところでございます。

 しかし、市町村によっては、入院時の利用に対応していない実態があることも委員の御指摘のとおりでございまして、意思疎通支援事業は入院時にも利用可能であることについて、今後さらに自治体に周知を図ってまいりたいと考えております。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 もう一点、きのうの参考人招致で気になったところが、大原参考人からお話がありましたが、入院をするときに、身体的に重度な方だけではなくて、行動障害があって、非常に重度な行動障害を持っている方が入院した場合に、この対象になかなかならないという指摘がありました。

 区分六ということでありますが、例えば、区分五とか区分四でも、行動関連項目で十点以上の行動援護の対象になるような方が入院をした場合には、やはりコミュニケーションをとるのも非常に難しいですし、とっさに例えば点滴を抜いてしまったりとか、注射を打つときになかなか応じてもらえないとか、非常に医療機関としては困難があると思うんですね。私は、そういう人たちに対しても付き添いなりがつけられるように、しかも、今までヘルパーとしてかかわってきた人がついてくれるということが、入院をしている利用者にとってもプラスになるし、医療機関にとっても非常に助かるんだと思います。

 ですので、今回、重度訪問介護ということですが、今度は、その次は、行動援護のサービスも入院時に利用できるようにしていただけないかというふうに思いますが、むしろ、こちらの方が私は必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

竹内副大臣 委員よく御承知のこととは存じますが、少し整理して申し上げさせていただきます。

 最重度の知的障害または精神障害によりまして行動上著しい困難がある方が入院される場合には、環境や生活習慣へのこだわりに応じた支援がなされず、強い不安を感じる方がおられるなどの指摘があることは承知をいたしております。

 こうした指摘に対応するため、今般の見直しによって、入院前から重度訪問介護を利用している方につきまして、御本人の状態等を熟知したなじみのヘルパーにより、入院中も引き続き支援を受けられるようにすることとしたものでございます。

 そこで、知的障害等により行動上著しい困難がある方を対象とした専門的なサービスとしては、移動や行動時の危険回避の支援などを提供する行動援護がございまして、先日の参考人質疑においても御意見があったところでございます。

 しかしながら、一方で、行動援護につきましては、外出時の支援に比重が置かれたサービスであるということから、今回の見直しの対象とはしておりません。

 なお、知的障害などにより行動上著しい困難がある方々に対する入院中の支援につきましては、病院における看護補助者の配置の充実や、意思疎通支援事業が入院中においても利用可能な旨を明確にすることにより、対応してまいりたいと考えております。

初鹿委員 今の状態だとそう答えざるを得ないんだとは思いますけれども、重度訪問介護で、より利用者の状態をわかる人を今回はヘルパーとして入れましょう、そういう発想であるわけですから、看護補助者をつけるとか、今まで入院をされる方とかかわりのないような人を入れるのではなくて、やはり行動援護という、よりレベルの高い支援ができる、そして、これまでずっとかかわってきた人が入院時に対応するようになるということが今回の制度をつくった趣旨にかなうと思いますので、ぜひ、今後、行動援護のサービスも利用できるようにしていただきたい、これは検討していただきたいと思います。

 では、また一ページめくっていただいて、今度は自立生活援助の件に移ります。

 今回、アパート等でひとり暮らしをするそういう障害を持っている方を支援していくということで、この制度がつくられるわけですが、これは非常に私もいい制度だなと思います。

 ただ、「障害者支援施設やグループホーム等を利用していた障害者で一人暮らしを希望する者等」と書いてあるんですね。これだけ読むと、一回施設やグループホームに入っている人しか対象になっていないように思います。

 例えば、自宅に住んでいて、親と一緒に暮らしていました、きちんとした自宅があります、親御さんが亡くなりました、その自宅でひとり暮らしをするようになります。この人がここで暮らし続けるときに、この自立生活援助のサービスが使えればそのまま暮らし続けられる。けれども、現状、そうじゃないから、せっかく立派な家があっても、グループホームや施設に入ってしまっているわけですね。それで、今ある家はどうなっているかというと空き家になっている、そんな人がたくさんいるわけですよ。非常に私は、今まで暮らしていたところで住めなくなる当事者の方にも不幸であるし、家自体ももったいないし、家もかわいそうだと思うんですよね。

 ですので、一回施設やグループホームに入ってひとり暮らしをするということに限定するのではなくて、親元で暮らして、家族と暮らしていても、その後、ひとり暮らしをしたいとか、また、親が亡くなって、そのままその家に暮らし続けたい、そういう人もぜひ対象にしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今回、この自立生活援助につきましては、今お話があったとおり、アパートなどでひとり暮らしを希望しても、知的障害とかあるいは精神障害で生活力が十分ではない、自立がなかなかしづらいという方で、実際にはひとり暮らしを結果として選択できないという方を対象として、支援者が定期的あるいは随時に障害のある方の自宅を訪問して、生活状況の確認をしたり、いろいろな支援を行う、そういうサービスを今回新たに導入しようということでございます。

 その対象者については、確かに、今お話しのようなことも十分あり得るわけでありまして、施設や病院から退所または退院してひとり暮らしを希望される方などとすることを考えているのが現状でございますけれども、いろいろなケースがあり得て、特に、高齢化が進めば、家族に今まで見ていただいたけれどももう見られなくなる、だからということで、今の親亡き後の話もそうでしょうが、そういった対象者などの詳細については、やはり障害のある方の状況などを踏まえて、制度の施行時までに具体的に検討していくということが大事なのではないかというふうに考えているところでございます。

初鹿委員 ぜひ、今私が例に出したとおり、せっかく家があって、この制度が使えればそこに住み続けられるような場合は、特に優先して使えるようにしていただきたいと思いますので、お願いいたします。

 では次、もう一枚めくっていただいて、就労定着支援についてお伺いいたします。

 この制度も、やはり一般就労への移行が進んできていて、ただ、一般就労はしたけれども、なかなかそこに定着ができずに、また就労移行の事業所に戻ってきてしまうとか、またB型に戻ってきてしまう、そういう方が非常に多くいるということでこの制度がつくられたということだと思いますが、私も非常にこれはいい試みだと思います。

 ただ、一つ指摘をさせていただきたいのは、この対象者なんですね。「就労移行支援等の利用を経て一般就労へ移行した障害者で、」ということになっているわけです。つまり、特別支援学校を卒業して、最初から一般就労をした、そういう人は対象に含まれないということなんですよね、この記載を見る限りだと。

 でも、いかがですかね。今、特別支援学校を卒業してダイレクトで一般就労されている方、かなり多いですよね。では、そういう方々が本当に定着しているかというと、結構これは定着率が悪くて、せっかく一般就労したんだけれども、三年もたたないうちに、結局、就労移行の事業所とかB型の事業所とかに来てしまうということも多いわけです。

 また、全く障害だという手帳も持っていなくて、普通の学校を出て一般就労をしていたんだけれども、仕事をやめて、ハローワークにずっと通っていて、何となくハローワークの方から指摘をされたりとか誰かから指摘をされて、調べてみたら実は軽度な知的障害があったみたいな方もいるわけですね。そういう方が一般就労をしたときに、この制度が使えるとより定着していけるんじゃないかと思います。

 特に、発達障害が強くてコミュニケーションがうまくとれないような方にとってみれば、能力は高くて一般就労で仕事はきちんとできる、けれどもコミュニケーションができないということで、周りとうまくいかないで仕事をやめてしまうということが多いわけですから、この制度がうまく使えるときちんと仕事に定着できるんじゃないかと思うんです。

 ですので、一回施設に行って就労をした場合だけじゃなくて、学校を卒業して一般就労した場合でもこの仕組みが使えるように検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

竹内副大臣 お答えをいたします。

 委員よく御理解をいただいていることとは存じますけれども、就労定着支援は、委員から御指摘がありましたように、就労移行支援等を利用して一般就労へ移行した障害のある方で、就労に伴う環境変化によりまして生活面の課題が生じている場合に、必要に応じて、企業、障害福祉サービス事業所、医療機関などとの連絡調整や課題解決に向けた支援を行うことによって、就労の定着を図っていくものでございます。

 そこで、就労定着支援は、まず、支援の必要性の高い、就労移行支援等の支援を受けて一般就労した方を対象とすることとしているわけでございますが、それ以外の方につきましては、雇用施策と連携をして、身近な地域ごとに設置される障害者就業・生活支援センターにおける相談支援や助言というものがまずございます。そのほかにも、職場に専門スタッフが出向き、障害のある方ごとに個別に助言指導を実施するジョブコーチ支援というものもございます。こういうものにより、職場定着を支援していきたいと考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、福祉施策と雇用施策が相まって、障害のある方の就労定着が全体として進むように考えてまいりたいと考えております。

初鹿委員 恐らく、この就労定着支援をやる事業所というのは、就労移行支援やB型などをやっている事業所か、もしくは相談支援をやっている事業所じゃないかと思うんですね。

 今、障害児も、相談支援の事業所で計画をつくらないとサービスが受けられないわけですよね。ですから、子供のころからずっとかかわっている相談支援の相談員の方がこの定着支援をやって、企業の方に定期的に来ていただくということがあれば、その利用者さん、当事者の方は非常に安心すると思うんですよ。就労をしてから、そこから派遣されたジョブコーチよりも、やはり子供のころから、小さいころからずっとかかわっている人がその後もかかわり続けてもらうということは非常に意味があると思いますので、ぜひその点も踏まえて考えていただきたいと思います。

 次に、もう一枚めくっていただいて、今度は、移動の支援についてでございます。

 資料を出させていただいていますが、通勤通学に移動支援を使えるようにするべきか否かということなんですが、私は、これは非常に重要だと思っております。

 私は今、放課後デイサービスをやっているんですけれども、特別支援学校から歩いて行ける距離に一つの事業所があるんです。中学生、高校生ぐらいになると、できるだけ歩いて自分で来てもらうようにしています。

 今、放課後デイサービスというのは、学校まで迎えに行って事業所まで来て、帰りも家まで送り届ける。利用者にとっても親にとっても非常にありがたいサービスをしているんですが、私も自分でやりながら、こんな手厚いことをやっていて本当にいいのかなと思うんですよ。こんなことをやっていたら、本当に自分で通学や通勤ができなくなってしまうということを非常に問題意識を持っていますので、年齢がいって、高校生とか中学生の高学年になったら、歩いてこられる子にはできるだけ歩いてきてもらうようにということをやっています。

 うちのスタッフは、朝、通学するときも、うちの区は移動支援で通学も認められているので、最初、移動支援で一緒に行きます。それが何週間かたったら、今度は一人で行かせて、後をつけていくんですね。後をつけていくんです、本人に気づかれないように。それで、きちんと行けるかどうか、場合によっては違うところに行っちゃったときに声をかけるということで、それを何週間かやって、最終的に自分で行けるようになるということをしております。

 これは本当に、こういう訓練をきちんとすれば自分でできるようになるのに、その仕組みがないためになかなかできないままでいたり、特に通勤、通学から通勤にいくときには、一般就労できているんだから通勤ぐらいできるだろうみたいなことを考えられてしまうんですが、やはりラッシュのときに電車に乗ったりとかいうことが非常に困難な場合もあるので、この移動の支援で通勤通学ができるようにするというのは非常に重要だと思いますので、この点について御見解をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 障害のある方が通学や通勤を一人でできるようにするための訓練というのが支援として有用であると考えて、審議会におきましても、障害のある方が一般企業に就労するための訓練を提供する就労移行支援、あるいは、障害のあるお子さんに食事や排せつなどの日常生活の基本動作の習得などを支援する障害児通所支援において通勤通学に関する訓練、これは今お話がありましたように、どこを通っていくのかということの確認とかあるいは公共交通機関の乗り方などの訓練、これは極めて重要なわけですね、これを行うこととしておりまして、必要に応じて報酬でこれは評価をすべき旨が指摘をされております。

 今後、この指摘を踏まえて、就労移行支援や障害児の通所支援における通学通勤に関する訓練の実施をいたしまして、それを評価することについて前向きに検討していかなければならないというふうに考えております。

初鹿委員 つまり、今やっている地域生活支援事業における移動支援ということではなくて、個別給付で対応をする、そういう理解でよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 評価するというのは、そういう意味でございます。

初鹿委員 ぜひこれは、本当に一日でも早くやっていただきたいと思います。こういう支援をやることによって、障害を持っている人が自分で生活をしていくことができる、これが私は障害福祉の一番重要なところだと思うんです。お世話をしてあげるだけみたいな発想のものではなくて、やはり自立に向けていく支援というのが私は重要だと思いますので、ぜひその点を踏まえて、早急な検討をお願いいたします。

 では、もう一ページ開いていただいて、今度は保育所等訪問支援の支援対象の拡大というところで一つ指摘をさせていただきます。

 ちょっと時間がないので早足で行きますが、きのう加藤参考人から指摘がありましたが、なかなかこれが進まない理由として、まず、保育所に行って支援をするようなスタッフはかなり高度なスタッフである、専門知識があって外部のところに行って指導ができるような高度なスタッフであるということ、それに加えて、そういうスタッフが一カ所行くのに物すごい時間をかけて行く、この移動時間のロスが非常にもったいない、つまりコスト的に合わない事業なんですよという御指摘がありました。

 私は東京ですからまだ近く行けますけれども、もっと広い自治体、交通の便の悪いような自治体だと、多分、往復するだけでもう二時間とか三時間かかってしまうようなところに支援に行かなければいけないところもあると思うんです。

 ぜひ、コスト的に合わないということがないように中身を考えていただきたい、報酬を考えていただきたいんですが、いかがでしょうか。

太田大臣政務官 コスト的に合わない部分についてしっかり対応していくということは、報酬改定の中でどのように対応していくか、こういうことだと思います。

 これまでにも、時間がかかるところに行ったり、あるいは、高度な専門知識を持った人を派遣するなどの場合には、二十七年度の報酬改定でございますけれども、加算をするという新設もいたしておりますし、また、ほかの障害児通所支援を利用した日でも算定が可能なようにというような配慮もして、評価の充実を図ってまいりました。

 御指摘の保育所、適切な場所で適切なときに訪問できるように、これからの報酬改定の議論の中で必要な検討を行ってまいりたいと考えます。

初鹿委員 最後に、私も自分でやっております放課後等デイサービスに関係するお話をさせていただきたいんですが、今、東京都内にもう爆発的にこの放課後等デイサービスというものがふえております。ふえて、利用者にとって便利になったというのはいいんですけれども、では、質が本当に担保されているのかというと、私は非常に疑問です。ただ単に子供を預かっているだけで、療育とは言えないような施設もたくさんあります。その一方で、私は、自分のところはすごく一生懸命やって、人も配置も多くしてやっている、そういうところはなかなか経営が苦しくなっているという、この二極化がすごく進んでいると思うんですね。

 そこで、一つ、これはぜひやっていただきたいんですが、この放課後等デイサービスなどの児童の通所施設の管理者であります児童発達支援管理責任者の要件なんですが、これまで新たなサービスだからやむを得なかったと思うんですが、子供のことを全く、子供の障害者と会ったことがないような、老人介護のヘルパーの経験があるだけでも、この研修を受ければ資格が取れていたんですよ。少なくとも、これからは、子供とかかわりがある経験年数を持った人が対象となるように、要件を少し狭めてもらうというか、整理をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺委員長 簡潔にお願いします。

太田大臣政務官 はい。

 要件について、少し質の向上という観点から考えるべきであるということでございまして、これまでの要件については、既に御承知だと思います。

 ただ、審議会等の議論の中では、御指摘のように、もっと専門的な知識経験を有する人、子供に対して大変知識のある方、あるいは放課後デイサービスの従業者の経験年数等についてしっかり考慮すべきであるというような見直しを行うべきとする指摘がなされておりますので、今後、調査をいたしたいと思っております。この調査の結果を踏まえて、次期報酬改定に向けて、児童発達支援管理責任者、この重要な役割についての従業者の要件を検討してまいりたいと思います。

初鹿委員 ぜひお願いいたします。

 高齢者介護のデイサービスをやっていて、もう最近、老人が集まらないから、今度は放課後デイサービスに行こうなんという事業者が結構あるわけですよ。そういう、本当に子供のことを全く見ない人が子供の領域はできるはずはないと私は思いますので、ぜひこの要件はしっかりと見直しをしていただきますようにお願いしまして、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 私は厚生労働委員会の委員ではないのですけれども、医療的ケアということが今回の法案で初めて定義をされました、私は、画期的な事項だというふうに評価をいたしますとともに、この問題がなぜずっと放っておかれたのか、そしてこれからどういう方向性で制度の設計なりをしなければならないのか、それが結果的には医療ケア児を抱える親御さんの安心につながっていくのだ、そういう気持ちで、きょうは無理を言ってここに立たせてもらいました。

 塩崎大臣とは、原発の国会事故調の法案をつくるときに御一緒させていただきましたけれども、また全く違う立場できょうは議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、この写真を見てください。これが全てだというふうに思います。この写真の親御さんは、社会的な地位のある方であり、財産もお持ちの方だと私は思います。私財のある方であろうかと思います。しかし、その方が、これは自分のお子さんですけれども、このお子さんを預かってくれる保育園を探すのに、東京じゅうを歩き回って、そして、たった一カ所だけ東京にあった。そこの保育園に通わすために、そのお母さん一家は移転をしたということなんです。

 今、日本は、小児科医療と周産期医療は世界じゅうで一番進んでいると言われています。今や、妊娠しているときに、おなかの中にいるお子さんがもしかしたら障害児かもしれない、そのための治療も可能なぐらいに。そして、世界じゅうのお金持ちが、この小児科医療あるいは周産期医療のために日本に訪れているという状況であります。

 しかし、その結果何が生まれてきたのかというと、昔であるならば残念ながら死んでしまっていたお子さん、生まれたとき、昔、お医者さんは、赤ちゃんの足を持って、お尻をぽんぽんとたたくんですね、そして、おぎゃあと声がすれば、ちゃんと呼吸ができる子供さんだということで、よかったですねということですけれども、ぽんぽんとたたいて、息をされていないお子さんは、残念でしたという形で扱われていたのが普通でありました。しかし、最近は、そういうお子さんでも、人工呼吸器をつけるとちゃんと生きていけるんです。

 この写真をもう一回見てください。ここの喉についているのが人工呼吸器の装着部分です。夜寝るときに、この真ん中に人工呼吸器がありますけれども、これを装着しないと呼吸できないんです。そして、このおなかの中にあるのは胃瘻です。栄養をここから直接胃に送る装置であります。これがなければ、この子供は栄養補給ができないんです。

 こういう子供が、今、年間数千人生まれているんです。かつては、この子供たちに対する支援というのは行政の中でそれほど必要とされていなかったのだというふうに思いますけれども、医療の進歩あるいは生命の尊厳さ、そういうものを大事にしていこうという動きが大きなうねりとなって、この子供たちが生まれてくるようになり、成長するようになったんです。

 しかし、その負担はどこに来ているかというと、お母さんです。先ほど、そのお母さんが東京都内を走り回って保育所を探した、たった一カ所だけその保育所があったと言いました。

 私、この間の二〇一四年の選挙、やっとこさっとこ当選をして、東京に戻ってまいりました。そうしましたら、私の息子が、おやじは成長戦略だとか経済政策だとかTPPだとか大きな話ばかりやっているけれども、本当に制度のはざまで苦しんでいる人たちのための仕事をするべきじゃないかというふうに説教されました。そして連れていかれたのが、フローレンスというNPOを経営している駒崎弘樹君がやっているヘレンという施設でありました。そこで会ったのがこの子なんです。

 全国でたった一つですよ、こういう子供を預かってくれる施設は。そして、少し大きくなりましたので、ヘレンでも扱いに困って、普通の保育所に行ってくださいと言われたそうであります。普通の保育所に行くのに、探しましたら、保育所で、看護師さんをつけてくださいと。看護師さんを探すと、月五十万かかると。いかにそのお母さんでも難しいといって、そして悩んでおられたときに会いました。

 この制度のはざまで揺れている医療ケア児、これを何とかしなければということで、二〇一五年の二月に研究会を発足することにいたしました。

 普通、政治家がやる勉強会というのは超党派の勉強会というのはなかなかやらないんですけれども、そういう勉強会をやって、これは専門的な知識が必要だからということで、小児科医の前田先生というこの世界では神様のような小児科医。あるいは、たった一つのこのNPOをやっているフローレンスの駒崎君。さらには、霞が関の中で関心を持っている若手の官僚。厚生労働省では、村木事務次官にお願いをして推薦してもらいました。津曲室長です。それから、これは小児医療と密接な関係がありますから、医政局にもお願いをしました。今、文科省に出向している佐々木室長であります。さらには、教育にも大きな関係があるだろうということで、文科省のしかるべく人にお願いをして、若手の官僚を出してもらいました。齋藤室長という方でありました。

 これらで約一年間かけて熱心に研究をいたしました。私は、この難しさ、あるいは医療的ケア児というのが、この中でも知っている方はほとんどいないと思うんですけれども、その方々に対応するためには特別立法が必要なのではないか、議員立法をしようかというところまで考えたんですけれども、今回、塩崎大臣が大胆に、今度の改正法案の中に医療的ケア児という言葉を新たに定義をし、そしてこの対策を推進していくということを宣言されました。私は物すごく大きな評価をするところであります。

 余り褒めると私の党から怒られるかもしれませんけれども、久しぶりに、霞が関、特にこの厚労省関係のしょっちゅう対立をしている委員会の中で、私たち野党も賛成をする方向で取りまとめた法案の一つでございます。

 この法案の意義について、大臣から冒頭お伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほどお話がありましたように、荒井議員とはいろいろな問題で御一緒にやってきたことが多々ございますが、今回、医療的なケアが必要な子供さんたちの問題についても問題意識の共有をさせていただけるということは、大変ありがたいことと思っております。

 今般の改正で、医療的ケアが必要な障害のあるお子さんやその御家族を、病院とかあるいは入所施設だけではなくて地域でもしっかりと支えられるような体制、保健、医療、福祉などの関係者の連携体制を構築することを地方公共団体の努力義務として規定することにいたしました。

 こうした法律上の規定の創設によって、都道府県や市町村において、医療的ケアが必要な障害のあるお子さんやその御家族が地域で安心した生活を送ることができる支援体制づくりを積極的に進めていただきたいというふうに考えておりまして、厚労省としても、全国のそれぞれの都道府県の担当が集まるような会議において、好事例の提供や意見交換などを通じて自治体の取り組みを促進してまいりたいと思っております。

 私の身近にも、地元の選挙区の、うちの子供が小学校のときに同じ小学生だったPTA仲間の子供さんが、大学を今度卒業するということでありますが、高校のときに気管切開をして、今、こういう形で、人工呼吸器をつける、そういうところに至っております。

 その方が、問題が時々起きるのは、やはり、救急車で運ばないといけないというときに、先ほど保育園が受けてくれないということですが、救急病院が受けてくれない、こういうことが幾らでもあるんだという話を聞きました。やはりそうなると、こういった子供さんたち、医療的ケアが必要な子供さんたちの医療情報というものを持っていないと救急病院すら受けてくれない、こういうことを私は直接そのお母さんと本人から聞いて、びっくりしました。一か八かで、いつも行っている病院には四十分かかるけれどもいいかと言われるとやはりちゅうちょをする、しかし行って、たまたまそのときは助かった。

 そんなことがありましたものですから、今回のこの法律改正に加えて、そういった方々の医療情報を全国どこにその子供さんが行っていてもわかるような仕組みを考えられないかということを、今、実は厚生労働省の中で検討させているところでございまして、これは、先生や、私どもの自民党でいえば野田聖子さんなどが熱心に取り組んでいることからも刺激を受けて、そのようなことをさせていただいているところでございます。

荒井委員 この研究会には、野田聖子さん、それからここにおられる木村さん、それから宮川さん、あるいは公明党では山本さんなどが熱心に、必ず参加をしていただくという形で会を進めてまいりました。

 ところで、医療的ケア児という言葉、恐らく厚生労働省の中でもそんなに普通に使われている言葉ではないのではないかというふうに思うんですけれども、今、医療ケア児は人数はどのぐらいいるのか、どういう地域にどのように分布しているのか、年齢はどうなのかということを行政的に把握しているでしょうか。行政担当。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、医療技術の進歩等を背景として、低体重で生まれたことなどから出産直後よりNICUなどに入院するお子さんは増加してございまして、そのようなお子さんの中には、退院後も、日常生活を営むために人工呼吸器あるいは経管栄養などを使用して、たんの吸引などの医療的ケアを必要とする障害を持ったお子さんがいらっしゃいまして、このようなお子さんを私どもは医療的ケア児というふうに呼んでおるわけでございます。

 こうした医療的ケアが必要なお子さんの人数あるいは実態につきましては、私ども、必ずしも把握ができておりません。ただ、文部科学省の調査によりますと、特別支援学校及び小中学校における医療的ケアが必要な幼児児童生徒数は平成二十六年度で八千七百五十人でございまして、この数は近年増加傾向にあると聞いてございます。

 私ども厚生労働省におきましては、今年度、平成二十八年度から、研究事業でございます厚生労働科学研究費を使いまして、研究事業によりまして、在宅で生活をされている医療的ケアが必要な子供たちの実数を把握するための手法の開発を進めておりまして、今後とも、医療的ケアが必要な子供たちの実態の把握に努めてまいりたいと考えております。

荒井委員 対策を具体的に進めるためには、人数の把握あるいは実態の把握が絶対必要なんですよね。私は遅きに失していると思うんだけれども、やらないよりはましですので、ぜひ早急にやっていただきたい、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

 ところで、この医療的ケア児が大きな社会問題化しているというのはなぜなのかというと、重症心身障害児に対する制度というのはたくさんあるんですね、たくさんというか、かなり厚労省は重点的にやってきましたから、その対策、制度はあるんですけれども、この重症心身障害児の分類というのが、大島分類という、つくられたのは昭和の初期でしょうか、かなり昔につくられた分類に基づいて障害度の分類をしているんですね。

 しかし、この重症心身障害児のほとんど大前提は、歩けないということが大前提になっているんです。ところが、先ほどの写真を見ると、この子供は走り回れるんです、走れるんです。ということは、大島分類では該当しない、重症心身障害児にも該当しないということを意味しているんです。

 しかし、人工呼吸や経管栄養の補給という面からいけば同じなんですね。お母さんは、三十分に一回ぐらい、喀たんといって、たんを取る作業をしてやり、三時間に一回ぐらい、このおなかの中にあけた経管から栄養を補給する。ほとんど眠れていないんですね、お母さん方は。そういうケアをしながら子供たちを育ててきた。これは重症心身障害児と同じなんですよね、本来は。それがしかし、この大島分類というものがあるために対象外になっていたというふうに思います。

 そこで、これの中心的な政策が今回、児童福祉法の中で位置づけたわけですけれども、これを位置づけるのも、私は画期的だと思いますね。普通、公布の日に施行なんということはあり得ないんですね、私も法律を何本もつくったことがありますから。しかし、それにもかかわらず、この医療的ケアの部分だけは公布の日に施行なんですね。そういう特例扱いをしている。これは担当者の物すごい努力があったからだというふうに思います。

 しかし、対策の中心は医療なんですよね、小児科医療なんです。小児科医療は、先ほどもちょっと研究会のメンバーの前田先生という方を御紹介いたしましたけれども、その方が献身的な努力でこの医療の部分を支えていたんです。この医療の部門の充実というのが、私は最も中心にあるべきだというふうに思います。

 この点について、今回、在宅小児科医療の診療報酬を引き上げるというような、これも私にとっては画期的なことではないかなというふうに思うんですけれども、そのあたりも含めて、あるいは、地域の医療を充実させるために都道府県に置かれている医療総合基金といったものを積極的に活用したり、医療計画に位置づけをするというようなことが私は必要だというふうに思うんですけれども、塩崎大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 御指摘のように、医療が極めて大事だということはそのとおりでございまして、在宅で生活を送っていらっしゃる医療的ケアが必要なお子さんとその家族が、安心、安全に療養、生活できる体制の整備が喫緊の課題であるわけでございます。

 厚労省は、二十八年度の診療報酬改定で、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションが機能強化型として高い報酬を受けるための実績要件に、重症の小児の患者を訪問した実績を加味することとしております。

 それから、都道府県が、家族からの相談支援などに取り組む小児在宅医療連携拠点等の整備、小児の退院支援それから訪問看護を行う看護師に対する研修を実施する場合に、地域医療介護総合確保基金の補助対象というふうにいたしたところでございます。

 都道府県が策定をいたします医療計画、これに関する指針がございますが、ここにおいて、小児や若年層の在宅療養者に対する訪問診療、訪問看護等にも対応できるような体制の確保を計画的に整備するように求めているといった取り組みを進めてまいっているところでございます。

 今後とも、子供の状態に応じた望ましい療養環境で、地域で安心、安全に生活できるように、人材育成を初めとする小児在宅医療体制の整備を進めなければならないというふうに考えております。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

荒井委員 この医療的ケアという概念あるいはそれに対する対策は始まったばかりなので、地方からのさまざまな細かい要望というのが上がってくるんだろうというふうに思います。それに対して柔軟に対応していくということが必要なんだと思います。大島分類というこの分類があるがために、かえっていろいろな対策の制約になってしまったというような事例もあるわけですので、私は、時代の流れに沿ってさまざまな対策を細かく対応していく、そういう姿勢であるべきだと思いますので、そこのところはよろしくお願いをいたします。

 ところで、きょうは医政局長も来られていますので、医政局長にもちょっとお尋ねしたいんですけれども、この医療ケア児のケアについて、現場というか、お母さんにとって最も必要なのは何なのかというと、看護師さんなんですよ。この医療ケアができるような看護師さんが非常に少ない。高齢者向けの看護師さんというのは訪問ステーションなんかには結構いるんだけれども、この医療的ケアに必要な看護師さんというのは多くないんですね。また、そういう対応をしても、診療報酬体系の制約から必ずしもプラスにならないというような点から、断る訪問ステーションが多いといったようなこともございます。

 医療ケア、経管栄養管とかあるいは人工呼吸器のこの部分についてのケアというのは、ふだん親御さんがやっているわけですので、専門的な技術がそんなに難しい技術だというふうに私は思えないんですけれども、そういう技術をしっかり身につけてもらうような研修とか教育のあり方とか、そういうものが必要だと思うんですけれども、その対策について、きょうは医政局長は来ていないのかな。どなたかお答えできる方がおられたら。

藤井政府参考人 十分お答えできるかどうか心もとないところもございますが、看護師さんの研修につきましては、都道府県が子供たちの退院支援ですとかあるいは訪問看護を行う看護師に対する研修を実施する場合に、地域医療介護総合確保基金の補助対象としてございまして、こうした補助対象とすることで、先生御指摘の研修につきましてもしっかりと進めてまいりたいと考えております。

荒井委員 私は、医療的ケア児の実態を調査するのに、東京都の光明特別支援学校というのを視察いたしました。むしろ、医療的ケア児の必要とする対策は文科省の方が、実態の把握というか、あるいはその必要性もよく知っていて、いろいろな対策を講じてきているように思います。むしろ厚労省の方がおくれをとっていたのではないかなというふうに思います。

 教育の分野で、それでも特別支援学校を全国に普及するというのはなかなか難しいでしょうから、普通の小中学校でこのような対策、こういう受け入れる対策というのが必要だと思うんですけれども、そのあたりについて、文科省はどんなような対策を持っているのか。

浅田政府参考人 失礼します。

 公立学校で医療的ケアを必要とする児童生徒等は、平成二十七年度の調査結果によると、特別支援学校で八千百四十三人、公立小中学校で八百三十九人となっております。全体として増加傾向にございます。このような子供たちに対して、教育の充実を図るための環境整備は重要であると認識しています。

 文部科学省としては、医療的ケアを行う看護師の配置に必要な経費を特別支援学校について補助してきたところでありますが、平成二十八年度からはこれを小中学校にも拡大するとともに、予算積算上の人数を三百二十九名から一千人に拡充したところでございます。

 また、障害のある幼児児童生徒の学校生活上の介助や学習活動上のサポートを行う特別支援教育支援員の配置に必要な経費についても、配置実績を踏まえて、所要の地方交付税措置を例年計上しておりまして、平成二十八年度では、対前年度約三千人増の四万六千八百人を措置しているところでございます。

 文科省としては、今後とも、医療的ケアや介助等を必要とする児童生徒等に対する看護師や特別支援教育支援員の配置など、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築に努めてまいりたいと考えております。

荒井委員 インクルージョンという考え方が相当普及してきたというか定着してきたというふうに思うんですね。障害を持たない人たちも、障害を持っている人たちも、ともに地域で生活をしていく、ともに支え合っていく、それが社会なんだ、そういう考え方が普及しつつある。

 私は、この医療ケア児もまさしくその対象なんだろうというふうに思うんですけれども、今後とも文科省には今進めている方向をもっと大々的にやってほしいと思うんですけれども、決意を込めて政務の方から御意見をいただきたいと思います。

義家副大臣 医療ケアが必要な生徒児童を含め、障害のある子供たちについて小中学校の通常学級での受け入れを進めることは、インクルーシブ教育システムの理念からも重要であるというふうに考えております。

 このため、小中学校での通級による指導等のための教員定数の拡充、医療ケアのための看護師を初めとする多様な専門家の配置の促進、小中学校において日常生活の介助等を行う特別支援教育支援員の配置のさらなる促進、通常学級における障害者理解の推進等を図っているところでありますが、今後とも、こうした取り組みを通じ、障害のある子供たちの通常学級での受け入れを含めた教育環境の整備に全力を尽くしてまいりたいと思っております。

荒井委員 今、厚労省関係では待機児童問題が大きな問題になっているんですけれども、実は、私がいろいろな関係者から聞いたところによりますと、待機児童の問題を解決するために、障害児やあるいは医療的ケア児を受け入れると、一般の枠が少なくなる、あるいは能力がそこで小さくなってしまうので、なるべくならば障害児やあるいは医療的ケアの子供たちは受け入れたくないというのが本音なんだというようなことを保育園の経営者の方々から聞きました。しかし、これは全く違いますよね。

 そして、一億総活躍というのであるならば、この、たまたま社会的地位のある方ですけれども、ちゃんと預かってくれるところがあるならば、その方は社会的にももっともっと活躍できる立場を得ることができるんだと思います。まさしく今必要としているのは、障害児のケアのために家庭に縛りつけられている、そういう人たちを解放してやるということが必要なんだと思うんです。そのためには、そういう保育園が必要なんだと思うんです。

 今の保育園の考え方というのは、あるいは厚労省の保育の考え方というのは、障害児を受け入れる、あるいは特に医療的ケア児を受け入れるということに関して、一般の重症心身障害児の場合は受け入れる場合にはそれなりの給付がつくようですけれども、今までは大島分類のためにそれだけの給付がないので、経営的にも難しいということで断った例があって、それがたった一カ所だけ引き受けたというのが先ほど私が紹介した例なんですけれども、今後、そういう問題も含めて、保育園の引き受け、受け入れ体制というのをどういうふうに整備されようとしているのか、整備しようとしているのか、それをお聞かせ願いたいと思います。

塩崎国務大臣 保育園においては、当然のことながら、全てのお子さんが、生活、遊びを通じてともに育って、障害のあるお子さんと、他の、障害が必ずしもないお子さんがともに育み合って成長できる、こういうことが本来最も重要なことだというふうに思っております。

 先ほどインクルージョンという言葉がありましたが、まさにそういうことなんだろうと思いますし、先生御指摘のように、一億総活躍というのは、あらゆる立場の人がそれぞれの能力いっぱいいっぱいに活躍できるという意味でありますから、そういう意味では、先生の御指摘は私はそのとおりではないかというふうに思うところがございます。

 保育園における障害のあるお子さんの受け入れに関しては、受け入れに伴う保育士の加配とかそういう手だては、特に、平成十九年度から職員の配置を改善するなど、取り組んではきているわけでございますし、新たな子ども・子育て新制度においても、障害、疾病など社会的な支援の必要性が高い子供やその家族を含めて、全ての子供や子育て家庭を対象として、一人一人の子供の健やかな育ちをひとしく保障することを目指すというのが考え方として指針に書かれているわけでございます。公定価格にも療育支援加算というのが新たに設けられて、障害のあるお子さんの保育の支援を厚くしているわけであります。また、障害のあるお子さんについて、保育園を優先的に利用できる場合の一つとしているわけでございます。

 こういうことで、新制度のもとで、障害のあるお子さんの受け入れが進むような施策は打ってきているわけでありますし、また、待機児童解消加速化プランによって受け皿拡大を大いに進めておりますけれども、今申し上げた各種施策とあわせて、保育の必要のある障害のあるお子さんが待機児童とならないで、保育園の利用がしっかりできるようにしていかなければならないと思っております。

 しかしながら、今のお話があったとおり、医療的ケア児の保育園での受け入れが進んでいるというわけではないことは御指摘のとおりであって、それを進めるためには、一般的な受け皿拡大では十分ではないんだろうと思います。

 いわゆる病児保育の枠内でできること、これは当然やらなきゃいけないというふうに思いますが、しかし、今の病児保育の多くの場合は、熱を出したとかそういうときに預かっていただく。私の松山市でも、普通の保育園ではなくて、やはり、小児科医の先生の診療所に三つベッドがあってそこで寝ている。そうなると、先ほどお配りをいただいたこういうお子さんはふだんは元気ですから、そうすると、保育でいろいろな教育やいろいろなことをやることができる病児の、これを病児と呼べばですね、そういう施設があるかというと、なかなかそれはないんだろう。ですから、駒崎さんの施設だけで、今、唯一東京で一カ所だけということになっているわけでありますので。

 そうなると、私どもは、今回児童福祉法に医療的ケア児の位置づけをした限りは、これからどういう形でやることが、こういった子供たちが、いわゆる普通の子供たちが行く保育園と同じようなことで保育園で十分やりたいことがやれるようにするためにどうしたらいいのかということについて、これはやはりさらに知恵を出していかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えているわけでございまして、ぜひ、当面は病児保育を活用するにしても、それだけではフルスペックの保育をやるということに多分ならないんだろうというふうに思いますので、新しい形の医療的ケア児の必要な保育サービスということを考えていかなければならないというふうに思います。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

荒井委員 だんだん時間がなくなってしまいました。

 文科省は、普通の学校に看護師さんを配置する、そういう対策を練って、障害児が受け入れられるような条件整備をいたしました。私は、もっと厚労省は、まさしく保育園なわけですから、その保育園で看護師さんが何人かいるような、そういう、文部省の方は三百人だった体制を一千人に看護師さんを増強したんですね、そのぐらいの看護師さんの数を保育園に配置するというような政策をぜひ打ってもらいたいというふうに思います。

 ところで、親御さんたちの話を聞くと、一番大変なのは、やはり相談の窓口がなかなかないということです。大体、障害児じゃないとか、何とかの対象になっていませんとかといって窓口をたらい回しにされる。これはお役所仕事で、根拠法令がないとそんなふうになりがちですから、今回、こういう法律をつくられましたから、各自治体もそれなりに整備をしていく、またそれをウオッチする必要があると思います。

 相談窓口の話なんですが、もう一つは、彼女たちが休む場がない、子供たちをショートステイででもいいから預かってほしいと。今全国で一カ所、これはふやしていく努力はするんでしょうけれども、一気にはふえないですよね。そうすると、八千人の親御さんたちは常時子供さんについていないとだめなんです、手を離しちゃうと呼吸できなくなるという子供さんを面倒を見ているわけですから。ショートステイできるようなそういう施設がどうしても必要だと思うんですけれども、これらについて、これは厚労大臣にお聞きしようかな。

塩崎国務大臣 医療的ケアが必要な障害のあるお子さんの在宅生活を支えるためには、当然、今お話が出たショートステイみたいなものがちゃんとバックアップとしてある、あるいは、いろいろな相談、調整を行わなければならないわけで、それをコーディネートする役割の人が必要だということは、今先生の御指摘のとおりだと思っております。

 平成二十八年度から、短期入所事業所をふやすために、新規開設事業者を対象として、既存施設の取り組みの好事例等について講習会の実施などの支援をやっていこうということにしています。それから、コーディネーターを養成するための研修の実施を、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業のメニューに追加するということをやる。さらに、平成二十八年度診療報酬改定においても、医療型の短期入所サービス利用中の医療処置などについて診療報酬を算定できるということを明確化したところでございます。

 今後は、以上のような事業等を活用しながら、各自治体において、障害福祉計画に基づいて短期入所の計画的な整備を図っていただきたいと考えております。

 さらに、障害福祉サービスの利用についてのマネジメントを行っている相談支援専門員が、医療型短期入所サービスを含めて、医療、福祉、教育等の必要な支援を円滑に受けることができるようなコーディネーター役を担っていただくことも、次期報酬改定に向けて検討しなければならないと思っております。

 いずれにしても、厚労省が預かる保育の世界における看護師の配置についてもお話がございました。いろいろな議論が今、実はこの問題について行われているところでもありますので、私どもも、今回この児童福祉法に位置づけた限りは、やはり実態として本当に医療的ケア児の子供さんたちが、普通の、言ってみれば他のお子さんたちと同じような暮らしができるように心を砕いていかなければならないというふうに思います。

荒井委員 この調査研究の関係者は物すごく熱心なんですね。駒崎さんは東京だからまだなんですけれども、そのほかに、戸枝さんという、名古屋から何回もわざわざ出かけてくる、あるいは矢部さんという、この問題に非常に関心を持っている方。大体、政府系の調査だったら交通費ぐらいは出しますよね。もう一切出さないで手弁当でやった研究会でほとんど欠席がないというような、熱心な勉強会でありました。それだけに、今回のこれをベースにして大きな動きをぜひつくっていただきたいというふうに思います。

 この動きは、きょうは香取君が来ているけれども、二十数年前に介護保険制度をつくるとき、同じような社会的状況にありました。介護を必要とする人たちは在宅で家庭の娘さんかあるいはお母さんが面倒を見ればいいじゃないかというのが、その当時の社会的なある種のコンセンサスみたいなものがあって、そうではない、これは社会で支えていく必要があるんだということでつくり上げていったのがあの介護保険制度でありました。

 今も、障害者については、社会の構成員の一人であり、これを社会的に支えていくんだということが私は必要であり、これからの、厚労省がこのあたりの対策について具体的にどのような対策をつくり上げていくのか、具体的な話になると思いますので、関心を持って見させていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 民進党の重徳和彦です。

 今、荒井先生から、過去のこれまでの経緯も含めた、社会を変えるというのはこういうことなんだということを本当に実感させていただけるような質疑、大変感動的な気持ちを持って拝聴しておりました。

 障害者は、英語でチャレンジドという言葉があるように、やはり我々自身がこの日本社会を大きく変えていく、チャレンジをしていくという意味においても、本当にこの障害者施策は、私たち政治家が、これは与党も野党もなく、社会を大きく変えていく重要なテーマだというふうに思っております。

 昨日の参考人で、竹中ナミさん、プロップ・ステーションの理事長さんが来られて、障害者の皆さんにタックスペイヤーになっていただけるような取り組みを求めるというお話がありました。障害者は働けないものなんだ、働けと言ってはいけないんじゃないかという根強い意識がある、これを変える必要がある、こういうお話もございました。

 もちろん、障害の特性や程度によって働くどころじゃないという方も大勢おみえになることは重々承知をいたしておりますが、しかしながら、ノーマライゼーション、多くの皆さんが当たり前のように社会で活躍をしていただけるような、そういう施策をどんどんと推進していけるように私たちも取り組んでいきたいと思っております。

 そういう意味で、就労定着支援というものが今回サービスの一つとして創設されるということであります。きょうは、この就労定着支援について初めに質疑をさせていただきたいと思います。

 障害者の方が一定の訓練を受けて、あるいは特別支援学校を出て一般就労するということ、これに対するその後のサポート、定着を支援するということ、これが平成三十年四月から本格的に制度化されるということであります。生活のリズム、体調の管理、給料の浪費等、生活面の課題に対応することを想定しているということなのであります。

 まず最初に確認をしたいんですが、これは初鹿委員からも質問がありましたが、基本的には、就労系三事業といいましょうか、就労継続A、Bそして就労移行支援事業、ここを経由した方だけが対象というようなことが言われておりますが、そうなんでしょうか。また、なぜそうなんでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 就労定着支援の対象者につきましては、先ほど来質疑もございましたが、就労移行支援あるいは就労継続支援といった総合支援法の事業の利用を経て一般就労へ移行した障害のある方々で、就労に伴う環境変化により生活面の課題が生じている方を想定してございます。

 先ほども、これも質疑がございましたけれども、特別支援学校から直接というような方につきましては、これはまた一方で、雇用政策におきましても、就労定着の支援に資するようなそういったサービスがございますので、そうしたところとしっかり連携、役割分担を図りながら、全体として就労の定着支援をしっかりと進めてまいるようにしていきたいと考えております。

重徳委員 もう一つ確認ですが、この資料によりますと、事業所、家族との連絡調整等の支援を一定の期間にわたり行う。つまり、期間が限定されているということだと思うんですが、この期間はどのぐらいの期間を想定されているんでしょうか。また、それはなぜそのような期間になっているんでしょうか。

藤井政府参考人 この一定の期間でございますが、申しわけございません、まだ具体的な議論をしてございません。今後、関係者の意見をしっかり聞きながら検討してまいりたいと考えております。

重徳委員 それはまだ全く白紙ということもないと思うんですけれども、例えば数カ月とか数年とか数週間とか、どのぐらいの単位を、単位というか期間を想定しているんでしょうか。全く何もないんですか。

藤井政府参考人 基本的には、やはり障害のある方々というのは状態像が多様だということはもう皆さんよく御理解いただいているところだと思いますので、数カ月の場合もあればもっと長い場合もあるというふうに考えております。

 ただ、今何が申し上げられるか、まだ本当にこれから検討するというところでございますけれども、例えば何がしか一定の期間を設けるといたしましても、そこで全てを、もうそこで必ず終わりになるとか、そういうことにはなかなかできないと思いますので、さらに必要に応じてまた更新をしていくようなことも考えながら、これはしっかりと検討してまいりたいと考えております。

重徳委員 では、まだいかようにもなるというふうに受けとめましたので、しっかりこの点は議論させていただきたいんですが、まず一つ目の、対象者限定という点です。

 これは、当然、企業側も法定雇用率がありますから、二%を満たすまでいろいろなチャンネルで障害者雇用をするということになると思うんですけれども、大臣、ちょっとお聞きしたいんですが、まさしく初鹿委員のときにもやりとりがあったとおりなんですが、特別支援学校とかハローワークとか、いろいろな形で障害者の方々は一般就労されるわけですから、それらの方々に対して、せっかくつくるこの制度、定着支援ということの対象外に最初からしちゃう必要はないんじゃないですかね。あるいは、最初はそこからスタートするけれども、これから広げていくという、百歩譲ってそのぐらいのことは考えていいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今回のこの就労定着支援というのは、就労移行支援等の利用を経て一般就労に移行した障害者で、就労に伴う環境変化によって生活面でのいろいろな問題が起きる、そういう人たちにしっかりとサポートをしていこう、こういうことなんだというふうに思います。

 障害のある方で障害福祉サービスである就労移行支援事業所による支援を受けずに就職をされた方、この方々については、雇用施策として職場定着を支援しているということで、具体的には、事業主と障害のある方の双方に対して、まず職場に専門スタッフが出向いて、障害のある方ごとに個別に助言指導を実施するジョブコーチの支援による支援、それから、身近な地域ごとに設置をされる障害者就業・生活支援センター、ここにおける相談支援や助言などを実施しているという形になっているわけでございまして、これらの雇用施策と福祉施策が両々相まって、障害のある方の就労定着が全体として進むことを期待しているというのが今回の基本的な考え方であるわけでございます。

 もちろん、新たに創設をするわけでありますから、いろいろな使い勝手の問題等々あろうかと思いますので、そういうことについては柔軟にやはりしっかりと見ていくということが大事だろうというふうに思っております。

重徳委員 ぜひ柔軟に見ていっていただきたいと思います。

 雇用施策と福祉施策、余り別々に切り離すと、この後ちょっと議論しますが、いろいろなふぐあいが出てくると思います。それは、先ほど藤井部長の御答弁がありましたけれども、期間との兼ね合いも出てくるんですよね。

 といいますのは、一般就労、働くこと、これは何よりも大事なことではありますけれども、もう一つ大事なことは、働きながら、そして住まいだとか生活とかそういったことをきちんと皆さんが確保できるかどうか、維持できるかどうかということだと思うんです。

 いろいろな調査がありますけれども、ホームレスになってしまう方の多くは障害者の方だという調査もあります。つまり、一般就労が切れた、離職をした途端に福祉施策も完全に切れて、収入ももちろんないわけですから、いろいろな意味で完全に、住まい、住む場所すらなくなってしまうというようなことすらあるわけであります。

 障害者の方は、一般就労しても、健常者と同じように六十歳までとか六十五歳までばりばりと働ける方というのは必ずしも多くありません。むしろ、四十代、五十代、どこかで、必ずしもいわゆる職場の人間関係とかトラブルとかそういうことだけではなくて、やはり肉体的な面でも一般就労というものが難しくなる方も相当多いわけでありますし、そういう意味で先ほど期間の話をお聞きしたんですけれどもね。二十代で就労しても、今、健常者の若者も三年以内に三割の人がやめるとかそういう話になっていますけれども、そういうこととは違う事情が障害者の一般就労にはあるわけであります。

 その意味で、一定期間、これは部長も全然お答えにならないので、数カ月なのか数年なのかも全然わかりませんけれども、この定着支援のサービスをして一応定着をしたというふうに見ても、これは健常者のケースと違って、そのままずっといけるとは限らないわけでありますし、年齢的な限界も早く来るという方も多い。ましてその際に、福祉とのつながりが全く切れてしまっていると、路頭に迷ってしまう方も出かねないということであります。

 それから、企業側からすれば、法定雇用率を満たすということは事実上の義務になっているわけですけれども、しかし、それも、離職する障害者の方がいたら、それはもうやめてもらって新しい人を迎えるというだけの話であって、やめた後のケア、サポートなどというところまでは全く何の義務もないわけでありますから、そういう意味でも、障害者の方の仕事だけではなくて、福祉とのつながりもきちんと持って、維持する必要があるのではないかと思います。

 こういうことを通じて、やはり障害者、障害のある子を持つ親も、自分がいなくなった後この子は大丈夫なんだろうか、こういうことについても本当の意味で安心できる制度、社会、国になるんじゃないか、私はそう思っております。

 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、今回、就労の定着支援ということが制度化されるわけですが、就労がとりあえず一旦定着したかのように見えても、今言ったようにいろいろな事情でまた途切れてしまうことがある。その際の福祉的なサポート、特に住む場所の提供、グループホーム、ありますけれども、そういうつながりが途切れることのないような制度であるべきだと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、障害を持っていらっしゃる方が就労したとしても、それぞれいろいろな条件がございますので、一定程度の期間、今、何年かというのははっきりしないじゃないかという話でしたが、五年も十年もということはないにせよ、一年とか三年とか、そういうような単位で考えて支援をこの就労定着支援でやった後、もしまた離職をされるようなことがあった場合にも、必要な障害福祉サービスが受けられないということでは困るんだろうと私も思いますので、そういうことがないようにしなければいけないというふうに思っております。

 就労定着支援は、一定期間にわたって、障害のある方との相談を通じて、課題を把握し、そして企業や医療機関など関係機関との連絡調整もしっかりやる、そういう中で課題の解決を行って、就労を続けていただくということが大事なわけでありまして、もし利用期間終了後にやむを得ず離職をされた場合には、福祉サービスを利用しながら再就職を目指す場合は、まず再度就労移行支援を利用してもらって、また、加齢等によって一般就労の継続がもうなかなか難しいなというような場合には就労継続支援を利用していただくということが可能であるわけであります。

 なお、一般就労を再チャレンジしたいというような場合に、ではどういうことができるのかということについても、原則としてはやはり必要な障害福祉サービスが受けられるようにしていくという体制を組まなければならないというふうに思います。

重徳委員 大臣、ですから、その御認識はそれでいいと思うんですが、ただ、実際離職をしてしまったときに適切な障害福祉サービスを受けられる状況になるかどうかということが問題だと思うんです。

 ですから、先ほどからこだわるようですが、就労支援の事業所から行った場合はそこに戻るというような発想にすぐに思い至るかもしれませんが、特別支援学校から就労したとかハローワークから就労したというような場合に、離職をして一体どこに行けばいいのか、どうすればいいのか全然わからない、こういうようなこともあると思うんです。

 ですから、障害者の一般就労に対しては、やはり常にそういう意味でのセーフティーネットがきちんとあって、仮に何らかの事情で離職をすることになっても、そこはすぐに福祉的なサポートが受けられて、そして、いま一度就労のための訓練あるいは継続支援といったものを受けられるような、そういった万全の対応をとっていかないと、結局怖くて一般就労できないというか、一般就労してしまったがゆえにその後の人生が狂ってしまうようなことにもなりかねないというふうに思うんです。

 今、グループホームというものも必ずしも数的に足りておりませんし、その意味で、住居、住まいの確保ということも、福祉的な観点から非常に重要だと思っております。一般就労したんだからもういいよ、働けるんだから大丈夫だといっても、必ずしも最初からいい条件で、本当の意味で自立できるほどの賃金がもらえない方も当然多いわけでありますから、そういう意味で、雇用政策と福祉政策というのは常に一体となって障害者の就労を支えるべきではないかと思うんです。

 いま一度大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

藤井政府参考人 大変重要な問題提起だと私どもも考えております。

 確かに、一般就労されて、ある意味十分自立をされて生活をされているような方につきまして、自治体であれ、あるいは福祉事業者であれ、誰かずっと寄り添い続けることが適切か、あるいは必要があるかというところは、なかなかこれは難しい問題だなと思って私も聞いておりました。

 ただ、そういった場合の地域全体の支援といたしましては、今、私ども総合支援法の支援体制の中では、やはり相談支援事業者というのが核になるべきだと思いますので、一般就労として一旦福祉の事業から離れた方でありましても、離れる際には、では何かあったときにどこに相談に行けばいいのかというようなところは、御本人ももちろんですけれども、例えば、就労であれば事業者もそうだと思いますし、そういった御本人それから周囲にいらっしゃる方々に対してそういうことをきっちりお知らせしておくとか、どこの相談支援事業者だとか、あるいはどこの就労移行支援事業者だとか、そういったことをしっかりとお知らせしていくということは、少なくともできることであるし、やらなければいけないことなのかなというふうに考える次第でございます。

重徳委員 ですから、その意味で、やはり就労支援の事業者につながってくるわけなんですよね。ハローワークから行った人にしても、特別支援学校を出て新卒で就職した人にしろ、その後、会社生活、社会人生活をする中で、健常者と全く同じような自立した社会人生活を送るというよりは、やはり何か起こった場合には、一般就労の就労先の方にも、職場の方にも、何かあったときにはそういった福祉的サポートを受けるということを周知していく必要があるわけですから。

 やはり、これは最初の問いに戻りますけれども、今回の就労定着支援というものが、いわゆる就労サービスを、就労継続支援、就労移行支援を行う事業所を経由して行った方に限るとか、何か枠をはめるべきではないと思うんです。そうすることによって初めて、全ての一般就労をしている障害者の方が安心して、そして職場の方も安心して障害者を雇用できるようになるわけですから。

 その意味で、せっかくの定着支援なわけですから、一つは、定着を支援することだけじゃなくて、その後の、常に福祉とのつながりというものをちゃんとセーフティーネットで維持するということと、それからもう一つは、就労支援のチャンネルですよね、それも、いろいろなところから一般就労した方を、全てをできるだけ広く定着支援の対象とすべきじゃないか、こういうことを改めて申し上げたいと思います。

 そして、その意味で、就労支援の事業所というのは今後ますます重要な役割を果たしていくということになると思うんですが、事業所が大変ふえていますね。障害福祉事業所全体の数が、資料によりますと、この五年ほどで二倍近くになっている。平成二十二年四月には四万八千三百の事業所だったのが、平成二十七年四月には九万九百九十と急増しております。

 これは、大きな要因は、一つは、放課後デイサービスであります。子供たちなんですけれども。もう一つが、就労支援の事業所が大幅にふえているということであります。

 これは本当によくない話なんですけれども、放課後デイサービスについても、たくさん出てくれば、やはりちょっと怪しい事業所も出てまいります。

 それから、きょうは就労支援がテーマでありますので、就労支援事業についても、一般就労に向けて積極的に職場の開拓をどんどんして企業とつなげていく、あるいは訓練を行う、そういう事業所がある、こういうところがほとんどでありますけれども、中には、ブラック事業所と言われて、意図的に関連する企業に就労させて、しばらくしたらまた戻らせるとか、そんなようなことも行われているやに聞きますし、その本人の状況がどうだろうと、例えば体調が悪くてもとにかく出勤せよというようなことを強いたりだとか、そういう話も聞くわけであります。

 急激にこういうふうに事業所がふえれば、さまざまなものが混在するというのは世の常ではありますけれども、しかし、せっかく一生懸命やっているところにとっては本当に迷惑な話なんですよね。

 ですから、今、政府の方で、増大する就労支援の事業所、現状、どのように分析をされているか、そして、そういった不適切なことをされているようなところに対してはどのように対応していくのか、このあたりをお聞かせください。

藤井政府参考人 御指摘の件、就労継続支援の特にA型の事業所ですね。

 このA型事業所の中には、例えば、就労機会の提供に当たりまして、収益の上がらない仕事しか提供せずに、A型事業の収益だけでは最低賃金を支払うことがそもそも困難であるというように考えられる事例ですとか、あるいは、サービスの提供に当たりまして、利用者の意向とか能力等を踏まえた個別支援計画、これは策定して当然なんですが、こういったものを策定していない事例ですとか、あるいは、長く働きたいという利用者の意向にかかわらず、全ての利用者の労働時間を一律に短時間としているような事例ですとか、こういった不適切な事例が指摘をされておりまして、率直に申し上げまして、私どもも大変苦慮をしております。

 いろいろな対応もしてきてございますが、例えば、昨年九月には、不適切と考えられるA型の事例をまとめまして、適正な事業運営に向けた指導に関する通知を都道府県等に発出いたしました。また、全国会議等におきまして、事業所に対する指導監査の徹底もお願いをしてございます。

 今後も、都道府県等の現場の意見も聞きながらでございますけれども、このA型を利用される方の就労の質を高める、また適切な事業運営が図られますように、私ども、障害福祉サービスの指定基準の見直しも視野に入れて、必要な措置を検討してまいりたいと考えております。

重徳委員 非常に重要な役割を担うがゆえに、ぜひとも適切な指導、対応をお願いいたします。

 ちょっと話はかわりますけれども、大臣にお尋ねしたいんです。

 障害者施策に関する、きのうも参考人の御意見を伺っていたんですけれども、あるいはこれまでも党の方で各団体からのヒアリングを行ってまいりましたが、そういう中で、ちょくちょく言われるのが、日本における障害者施策に充てる予算の規模というのがOECD諸国の中で低い方にある、もっとふやさないといけないというような御指摘を受けるわけですが、実際、これはどのように認識をされていますか。

塩崎国務大臣 一昨年の年末に、介護報酬と障害者の報酬を財務省と議論した末に、障害についてはプラス・マイナス・ゼロということになりました。

 その際に、私からも強く申し上げたのは、やはり、これまでの日本の障害者の施策は、世界的に見れば、特にOECDの中で見ても、平成十二年のときに三十四カ国中三十一位、今一番近い統計で平成二十三年、ですから今から五年前、このときでもまだ三十四カ国中二十八位、こういう状況でありますから、これからさらにしっかりとした対応をしていかなければいけないんじゃないかという中で、財務省とやりとりを激しくしながら、あのような形に落ちついたということでございます。

 やはり、各国もちろん、経済規模とか社会保障制度あるいは給付と負担のあり方などが違うので、一概に比較することは難しいといえども、日本が今申し上げたようにOECD諸国の平均より低いという指摘は、もうそのとおり認めないといけないんだろうというふうに思っています。

 ですから、関連予算につきましても、利用者の増加に対応して、毎年、今着実に増加をして、この十年間で二倍以上に国費ベースで増加をしております。制度の持続性にももちろん留意をしなければなりませんので、それは留意をしつつも、引き続き、毎年度の予算編成において、やはり先進国と呼ばれるのにふさわしい予算を確保していかなければならないというふうに思います。

重徳委員 障害者の皆さんが暮らしやすい国というのは誰が暮らしても暮らしやすい国だと思いますので、大臣お認めになるように、そのための予算の規模が少ないということでありますので、このあたりはそういう認識もあわせ持って、これから私もこの障害者施策には力を入れてまいりたいと思います。

 その話を聞いたから言うわけじゃないんですけれども、これは具体的に、公益社団法人全国脊髄損傷者連合会の方からの意見として、重度訪問介護に関する移動の支援といいましょうか、ここをきちんと手当てしてもらいたいという意見が出ております。

 つまり、障害者本人の自家用車とか障害者本人が借りてきたレンタカーとか、こういったものをヘルパーさんが運転する、この移動中の時間帯についても重度訪問介護の見守りとして報酬算定の対象とすべきである、こういう御意見なんですね。

 これはもう、移動が思うままにならないというのは、本当に、日常生活、さらには、先ほどからの話、就労した場合にも、自由にならなければ就労生活の大きな支障になります。

 この点は、障害者施策としてもそうですが、介護全体の話でもありまして、やはり、今民間でも介護タクシー、全国で各地でみずから民間事業者として介護タクシーを運営している団体がありますけれども、そういう障害者、介護が必要な皆さんが自力で通勤できなきゃ、やはり働けないですね。本来働く能力があっても、通勤する能力がないというか、サポートがされないと、就職を諦めてしまう。だから、タックスペイヤーになれる人までなれずにいるという状況も往々にしてあるわけですね。

 バスに乗るといったって大変なことだし、公共交通機関はやはり利用しづらいです。それから、介護タクシーをやっている事業者に聞いたら、お一人だけじゃ大変なので、二人、三人相乗りで運ぶことができないかと言ったら、これはこれで乗り合いバスの免許がないとだめだとか、いろいろなことで隘路があるわけなんですね。

 一応通告をさせていただいていたのは、この全国脊髄損傷者連合会からの御意見に対してどのような御回答なのかということでありますが、私の趣旨としては、そういった移動する自由というものを基本的に全ての皆さんに保障できるような社会でなければ、これは本当の意味で、それこそ一億総活躍とは言えないような状況になるわけでありますから、こういった声にもきちんと応えていく必要があるんじゃないかなと思うわけでありますが、いかがお考えでしょうか。

藤井政府参考人 いわゆる移動支援につきましては、御指摘のように、大変重要な施策であると考えております。私ども、地域生活支援事業等でできるだけのことは手当てをしておるところでございますけれども、そこは今後とも引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

 脊損の皆さんの御要望は私どもも承知をしておりますが、この点につきましては、重度訪問介護とか居宅介護のヘルパーが、障害のある方々に対して見守り等の支援を行いながら運転を行うということにつきましては、これはやはり、安全の確保ですとか、何かあったときの責任の所在の問題等の課題もございますものですから、そういったことで、私どもは、運転している時間を障害福祉サービスの報酬で評価するということにつきましては慎重に検討すべきものというふうに考えております。

重徳委員 ちょっと今、理屈がよくわからなかったんですけれども、運転しながら見守ることが困難であるからこれはサービスの対象とはしがたいというのは、何かよくわかりませんね。結局、事業者からすれば、運転をするといったって、それはちゃんとヘルパーさんの時間を使って、労力を使って行っているサービスだから、それに対する報酬があってしかるべきじゃないかということであります。

 どこまでを、どれだけ遠出しても全部認めるのかとか、そのあたりはいろいろな考え方があると思いますが、移動をサポートすることは全く何にも勘案されないというのは、それは、今のような理屈は全然おかしな理屈だと思いますが、大体おっしゃりたいことはわかりましたので、とりあえずこの件はこのぐらいにしておきますけれども、障害者施策の一環でもある、そして予算規模的にも、こういったところにももっと力を入れるべきじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、社会モデルというワーディングが最近よく出てきますね。

 医学モデルに基づく障害者の皆さんの心身の状態だけを見るんじゃなくて、その当事者の生活の状況、環境、こういったものを含めた総合判断が必要である、社会モデルというものでありますけれども、障害者基本法にはその概念も盛り込まれたわけでありますが、現実に給付を伴う障害者施策の制度設計、これは具体的にはなかなか難しい、限度がある部分もあると思うんですが、社会モデルというものに対応して、現状、今どこまでのことができていて、どこから先はさすがに難しいとか、ある程度総論的でもいいんですけれども、今の現状と課題について認識をお答えください。

藤井政府参考人 障害の捉え方につきましては、医学モデルや社会モデルなど、いろいろな考え方がございますけれども、私ども、これらを総合的に勘案していくということが重要ではないかというふうに考えてございます。

 例えば、現行の制度の中でも、身体障害者手帳は、一定の客観性、明確性を確保するという趣旨から、主として医学的な観点から身体機能の状態を基礎としつつ、日常生活における制限の程度も考慮して、認定基準に基づいて判断をしてございます。

 一方で、福祉などの、障害のある方々を支援する制度につきましては、手帳の有無のみならず、それぞれの趣旨、目的を踏まえつつ、支援が必要な対象者の範囲が定められてございます。

 具体的に、くだんの障害者総合支援法におきましては、基本理念の中で社会モデル的な要素も盛り込んだ上で、手帳の等級ではなくて障害支援区分によって支援の必要性を判断することとしたり、あるいは難病患者ですとか、これは児童福祉法ですが障害児につきましては、手帳の有無を問わず制度の対象としてございます。

 今後とも、それぞれの制度の趣旨、目的を踏まえまして、必要な見直しを不断に検討しつつ、障害のある方々に適切な支援が個々のニーズに応じて提供されるように取り組んでまいりたいと考えております。

重徳委員 済みません、ちょっと質問の仕方がまずくて、総論的でいいと言ったら総論的過ぎて、やはりよくわからない御答弁で、わからないというか、総論に過ぎる御答弁だったんです。

 私は、相談支援というもの、ここがやはり非常に重要なポイントになろうかと思うんですね。今、相談支援専門員の方が一生懸命やっておられますけれども、医学モデル、社会モデルといったときに、やはり心身の状況だけじゃなく、その当事者を取り巻く環境も含めて、通学している人だったら学校との関係、通勤している人だったら職場との関係、こういったものも全て考慮し、そういうものをアセスメントして、そのニーズに応じたサービス、支援を行って、本来の意味での自立した生活を営めるように、こういうことでありますので、この相談支援専門員は極めて重要だと思うんですね。

 まず部長に、現在、相談支援専門員は一体どういう資格要件とか経験を持つ方が多いのか、どういう方が今されているのかということをお聞きした上で、大臣に。

 これは介護の分野でいえばケアマネさんですよね、非常に重要な役割を果たす位置づけだと思います。介護職員とか障害者福祉の従事者の処遇を全般に上げることが必要だと言われておりますが、とりわけそういったステータスをきちんとつくって、重要な役割であり、またゼネラリストというか幅広い視野や調整力、さまざまな能力が必要な役職であるということも鑑みると、高いステータス、処遇というものも与える必要があると思うし、そういったことを含めたキャリアパスというものを福祉従事者の皆さんに描いていただく必要があるんじゃないかと思うんですが、この点を大臣に最後にお聞きして、終わります。

藤井政府参考人 相談支援専門員の要件でございますが、まず、障害福祉関係施設のほか、保健所や老人福祉施設、医療機関といった保健、医療、福祉、就労、教育の分野における直接支援あるいは相談支援などの業務における実務経験、これは原則五年から十年でございますが、こういった実務経験に加えまして、相談支援従事者初任者研修を修了していることといったことが要件になってございます。

塩崎国務大臣 今回、昨年の審議会で、相談支援専門員の確保と資質の向上に向けて、実地研修の実施を含めた研修制度をしっかり見直す、それから、指導的役割を担う人材をしっかり育てるということ、それから、人材の適切な活用を図っていくというようなことが指摘をされておりました。

 こういうような指摘を踏まえて、厚生労働省としては、今先生御指摘のように、相談支援専門員が、まさにケアマネの役割を果たすというか、一人一人、それこそ障害のあり方もそれぞれ異なる、置かれた環境もそれぞれ異なる中で、こういった方々に、しっかり研修をしていただきながら、指導的な役割をリーダーとして発揮できるような、例えば主任相談支援専門員とか、そういうような制度をつくって、まさにキャリアパスをつくり上げていくことによって、高度なケアマネ的な支援ができるようになっていただくような人材をしっかり育てるということが大事なんだろうというふうに思います。

 また、地域の相談支援体制、先ほど、就労定着支援が終わった後もし離職した場合どこへ行くのかみたいなことで、しっかりしていないということではいけないので、そういった相談支援体制の充実をやはり我々はやっていかなきゃいけない、そういうときの中核的な人物として、今先生御指摘のような相談支援専門員の方々になってもらうようなことを私どもは今検討しておりまして、相談支援専門員の資質の向上に向けていろいろな手だてをしっかりと組んでいかなければならないというふうに思います。

重徳委員 ありがとうございます。

 財源も含めて、しっかりと手当てをよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中根康浩君。

中根(康)委員 民進党の中根康浩でございます。

 四十五項目か何か、数えていただいたら大変な数の質問項目になってしまいましたので、早速始めていきたいと思いますが、とはいえ、パナマ文書がきのうからきょうにかけて報道されているんですが、そこで、租税回避地で失われた税収が我が国だけで五兆円だとか、そんな話を聞くと、この障害者政策で何億円あるいは何千万円のお金がないと言われると、一体何のことだろう、こういう思い、むなしさすら感じるような、そんな感じでありますけれども、質問を始めていきたいと思います。

 今回の、三年後の見直しということでできた法案の評価基準なんですね。障害者自立支援法の違憲訴訟の原告と政府が平成二十二年に結んだ基本合意や、総合福祉部会が平成二十三年に示した骨格提言、これが実現しているかどうかということがこの法案のよしあしの評価基準である、こういうふうに私は考えているわけであります。平成二十四年に民主党政権から自公政権にかわって、基本合意や骨格提言は今の政府の中でまだ生きているのかどうか、有効か無効か、こういうことをまずお尋ねしたいと思うわけであります。

 社会保障審議会障害者部会では、財源は限られているから要望するだけでは通用しない、新たな施策を求めるならば廃止する施策も提案すべきだという発言が厚生労働省からもあったと聞いております。このように、財源ありきでは障害者の地域生活に向き合った議論など初めからできるはずがないわけでありまして、基本合意や骨格提言ではなく、財源が部会審議の基本になってしまったのかという疑問を感じております。

 骨格提言あるいは基本合意が生きているのかどうか、ここを確認するのと同時に、もし生きているのならば、なぜこれほど小幅な改正法案になってしまったのか、もっと障害当事者の方々がこうあってほしいという希望がかなえられるものにならなかったのか、このことについてお尋ねをしたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど重徳先生の御質疑の際にも申し上げましたけれども、私どもとしても、先進国の中で日本の障害者施策が決して自慢できる順番じゃない、三十四カ国中の二十八位というのが直近の、平成二十三年の状況ということでありまして、私どもとしては、やはり先進国と呼ばれるにふさわしいような障害者施策をしっかりやらなきゃいけないということを思っているところでございます。

 今お話しの中で、基本合意や骨格提言についてお触れをいただきました。

 基本合意は、訴訟の解決に向けて締結をされたものだというふうに理解をしておりまして、この合意の内容に基づいて、当時の障がい者制度改革推進会議、この総合福祉部会で骨格提言がまとめられたというふうに承知をしているところでございます。その後、厚生労働省では、その骨格提言に盛り込まれた各事項の内容も踏まえつつ、制度改正や報酬改定等を通じて、これまで段階的に必要な対応を進めてまいったところでございます。

 この基本合意と骨格提言は、当時、障害のある方を初め、関係者の思いが込められたものというふうに、そういった認識には変わりはないわけでございまして、こうした認識のもとで、私どもとして、言ってみれば、合意ができたところから順次改正をしていくという中で、今回御提案をさせていただいているわけでございます。

 当然、今後も障害者施策を実施し、なおかつ、今回も三年後の見直しをまたさらに入れているわけでございますので、午前中にも申し上げたとおり、不断の見直しをして、よりよい障害者施策をつくり上げてまいりたいというふうに考えているところでございます。

中根(康)委員 大臣から、基本合意は生きている、骨格提言を尊重して今後も不断の見直し、改正を進めていく、こういう御答弁をいただいたと理解をさせていただきます。

 これも午前中の議論にもあったんですが、障害者総合支援法の四条と障害者基本法第二条とでは障害者の定義が異なっております。社会モデル、先ほどもありました、この社会モデルをとっている基本法に定義を合わせるべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

竹内副大臣 お答えいたします。

 障害者基本法の障害者は、包括的に定義されておりまして、難病患者も含め、心身の機能の障害を有する者が広く対象とされております。一方で、障害者総合支援法は、障害者基本法と異なり、サービス給付法という性質を有することから、制度の対象となる方の範囲が客観的に明確になるよう、障害者の範囲を定めているものでございます。

 このため、障害者総合支援法の対象となる障害者を障害者基本法の障害者と合わせることは難しいものと考えております。

 障害者総合支援法では、平成二十五年四月から、障害者の範囲に難病患者を追加し、順次拡大を行ってきたところでございますが、今後も引き続き、適切な支援が提供されるよう、必要な見直しを行っていきたいと考えております。

中根(康)委員 そこが難しいというふうに考えておられるところに厚労省の政策の限界が、まだまだ感じるわけでありまして、全然難しくないと思いますよ。

 障害者の定義を合わせるのは、むしろ違う方がおかしいわけでありまして、これはぜひ、そんな、難しいということではなくて、合わせる方向で一回考えてみてくださいよ。正直に言って、今、何で難しいのかよくわかりませんでした。

 次に移ります。

 常時介護を要する障害者の支援は重度訪問介護の改正になっていますが、移動支援については改正点がない、個別給付化したり通勤通学を対象にしてほしいという声もあったはずだったがどうだったのか、こういうことなんですけれども、これは初鹿議員への答弁で、報酬でこれをきちんと見ていくという答弁があったので、一定の理解をしたところでございます。

 就労については、定着支援という改正になったんですが、支給決定のあり方については見直しがない。それから、意思決定支援も改正がないということ。

 こういうように、なかなか、附則三条に書かれている見直しの項目の中で、今回の改正法案として出てこないことがたくさんある。まだまだ今回の法案は、もちろん、きのうの参考人の方々もみんな、一歩前進だということで、早く成立させてほしいというお気持ちではありますけれども、しかし、それで満足しておられるわけではないということだけはぜひ十分肝に銘じてほしいということで、今申し上げているわけなんです。

 それでは、意思疎通支援はどうかということなんですけれども、ここできのうの出来事を申し上げたいと思います。

 ALSの患者当事者の方が参考人に出ることができなかった、これは、特別な通訳が必要で、そこに時間がかかるから、この委員会の運営に支障が出るから、こういうような理由であったということで聞いておりますけれども、例えば、意思疎通支援だと、聴覚障害の方々について申し上げれば、障害者基本法で手話は言語だというふうにきちんと明記されたわけでありますね。つまりは、聾者にとっての第一言語は手話であるということを国が認めたということでありまして、この手話の習得を支援する法律、例えば、ろうあ連盟などから出されている手話言語法というようなものを政府としても検討すべきだというふうにも思うわけなんです。

 まず、委員長に、ここでぜひ御検討いただきたいのは、きのうのALSの方とか、あるいは聴覚障害の方、そのほか知的障害の方も含めて、意思疎通にハンディのある方々がこの国会において十分な意思表明、意見表明ができるような委員会運営をしていただくように、そういう意思疎通に困難性を伴った方々に対してどう対応するか、ぜひ委員長を中心にして理事会等でお諮りを、これは、すぐに、例えばあしたとかあさってとか、今週中とか来週中とか、そういうことではなくて、もう少し時間をかけて結構ですので、お諮りをいただけるようにお願いしたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

渡辺委員長 理事会で協議をさせていただきます。

中根(康)委員 よろしくお願いします。

 それで、手話言語法なんですけれども、この聴覚障害の方々にとって必要だと言われている手話言語法、全ての自治体から意見書が出ていて、全国四十七の自治体において条例も制定されているわけであります。

 条例があちこちでできるということは、条例があるところとないところで格差が生じてしまうということになるわけでありますので、これは、ここまで来ると、全国を網羅した法律というものが必要になってくるのではないかというふうにも思いますけれども、この手話言語法について厚労省はどのようにお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 手話言語法の話の前に、今回の見直しで、障害者総合支援法の附則に設けられました検討規定に基づいて今回は見直しをしておりますけれども、審議会では、御指摘の意思決定支援と、それから先ほどお触れになられた意思疎通支援、それから支給決定等の課題を含めて、障害福祉制度全般にわたって議論をいただきました。

 今回の見直しに関する審議会の報告書では、この意思決定支援について、標準的なプロセス等に関するガイドラインを策定し普及をさせるべし、それから、意思疎通支援については、まさに今先生お触れの点でありますが、人材の養成、専門性の向上を図ること、支給決定については、相談支援専門員や市町村の職員など支給決定に関する業務に携わる方々の資質向上を図ることなど、多岐にわたる内容が今回含まれております。

 今の手話言語法でございますけれども、私も地元を含めていろいろな御要望もよく聞いております。認識もしております。

 この手話言語法については、障害福祉施策のみならず、教育とか司法手続とか、あるいは政治参加、放送全般、こういった幅広い施策において手話を習得した職員の配置を求めるなど、施策の総合的な推進を図ることを目的とするものと承知をしておりまして、内閣府を初めとして政府全体で検討すべき課題だなというふうに考えております。

 厚生労働省では、これまで、手話通訳等の意思疎通支援を行う者の養成や派遣、設置を障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の都道府県及び市町村の必須事業として位置づけて、聴覚に障害のある方に対する意思疎通支援の充実を図ってまいっているところでございます。

 また、今回の改正法案について御審議をいただいた審議会の報告書では、意思疎通支援について、障害種別ごとの特性とかニーズに配慮したきめ細かな見直しを行うべきという基本的な考え方のもとで、各自治体における計画的な人材養成や提供すべきサービス量の目標設定等について御提言を頂戴いたしました。

 こうした提言も踏まえて、引き続き、聴覚の障害のある方に対する意思疎通支援のあり方を検討してまいりたいというふうに考えております。

中根(康)委員 手話あるいは聴覚障害の方々についてもう一点だけ申し上げますと、今のまさに大臣御答弁になられた地域生活支援事業の中の市町村の必須事業であるコミュニケーション支援事業、手話通訳者派遣事業、要約筆記派遣事業、そしてもう一つが手話通訳者設置事業、こういう三つのものがあるわけなんですけれども、特にこの中でも手話通訳者設置事業というものが市町村において全く進んでいない。

 つまりは、簡単に言えば、市役所に聴覚障害の方が出向いて何か手続をしようとしても、そこに手話通訳者の方がほとんどの自治体でいらっしゃらない、こういうことで、相当の困難を感じておられる、不便に直面しておるということでございますので、ぜひ、これは行政と行政の間の中で求めていくことができるというか、もちろん地方分権ですから自治体に強制することはできませんけれども、こういう合理的配慮ということが求められる時代でありますので、手話通訳者設置事業をもっと推進するように厚労省としても働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤井政府参考人 御指摘の手話通訳等の意思疎通支援を行う者の養成、派遣、設置につきましては、地域生活支援事業の都道府県及び市町村の必須事業として位置づけて実施をしておりまして、聴覚に障害のある方に対する意思疎通支援の充実を図ってきておるところでございます。

 これは、御指摘のとおりでございまして、養成及び派遣事業につきましては、それぞれ九割以上の実施率となってございますけれども、設置事業につきましては、約四割の実施率となってございます。

 私どもにおきましても、毎年実施をいたします主管課長会議等におきまして、各都道府県における実施率を公表もしてございまして、事業促進のための働きかけを行っております。今後とも設置促進に努めてまいりたいと考えております。

中根(康)委員 それでは、次は自立生活援助についてお尋ねをしていきたいと思います。

 施設であろうと、グループホームであろうと、あるいはアパートであろうと、どこに住むか、どんな暮らしをするかは、利用者本人の自己決定によるべきだということであります。

 この自立生活援助というサービスの創設によって、むしろひとり暮らしの強要にならないようにしてほしい、グループホームから追い出されるというようなこと、施設から排除されるというようなことにつながらないように、適切にこのサービスが提供されるようにしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

竹内副大臣 お答えいたします。

 自立生活援助は、アパート等でのひとり暮らしを希望しても、知的障害や精神障害により生活力などが十分ではないために実際にはひとり暮らしを選択できない方を対象として、支援者が定期または随時に障害のある方の自宅を訪問し、生活状況の確認などの支援を行うサービスでございます。

 その対象者につきましては、グループホームのほか、施設や病院から退所または退院する方などであって、ひとり暮らしを希望する者とすることを考えておりまして、決してひとり暮らしの強要等の御懸念は当たらないというふうに考えております。

 いずれにしても、障害のある方の状態やニーズを踏まえ、その方が適切なサービスを利用できる仕組みとなるよう、次期報酬改定に向けて検討してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 今も副大臣の御答弁にあった、一定期間にわたり定期的にという巡回訪問や随時対応サービス、この一定期間とか定期的、この期間や頻度はどの程度のものになるか、お答えをいただきたいと思います。

藤井政府参考人 この自立生活援助につきましては、これは、障害のある方の状態、ニーズを踏まえた適切なサービスを提供するものでございますけれども、サービス、給付でございますので、やはり漫然と提供され続けることのないように、一定の期間ごとにサービスの必要性を検討していくということを予定しております。ただ、一定の期間が経過した後も、必要があれば引き続きサービスを提供する方向で検討してございます。

 具体的な、どれぐらいの期間かというところまでまだ検討に至っておりませんで、期間を含めたサービス提供のあり方につきましては、制度の施行時までにこれを具体的に検討してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 その期間ということにもかかわるわけなんですけれども、自立生活が安定するというこの判断基準、つまりは、このサービスを提供することを終了してもいいというふうに見る基準というのはどのように考えておられるか。あるいは、自立生活が場合によって達成されなかったときにはこのサービスを提供する事業者の報酬に何らかの影響があるのかについても、あわせてお尋ねしたいと思います。

藤井政府参考人 自立生活援助につきまして、お尋ねになっていただいていますのは、どういう状態になればサービスが終了するのかということなんだと思いますけれども、そういったことも含めまして、この新しいサービスの運用に関しますことは、今後具体的に検討してまいりたいと考えております。

 ただ、標準的な利用期間を設定したとして、経過したことのみをもって一律に打ち切るとか、そういったことは考えてございませんので、あくまでこれは、障害のある方の状態やニーズを踏まえて、必要があれば、繰り返しになりますが、利用期間を更新しつつ、引き続きサービスを提供することも可能であるように検討してまいりたいと考えております。

 また、報酬につきましても、これもこれからの検討ということになってしまい恐縮でございますが、このようなサービスが適切に提供されているということを評価するものが報酬でございます。そういった観点で、具体的な仕組みにつきましては、次期報酬改定に向けて検討してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 自立生活援助については、グループホーム等からのひとり暮らしを目指すことになるということでありますが、このサービスの新設が、先ほども申し上げました、グループホームを重度の方を中心にしたものにして、支援区分一だとか、あるいは非該当の人など、軽度の方をグループホームから排除することを意図したものではないかという懸念の声もあるわけでありますけれども、この点については、厚労省、どうお答えになられますか。

竹内副大臣 お答えいたします。

 御指摘のような排除する意図はないということをまず申し上げておきたいと思います。

 そもそも、委員よく御存じのように、グループホームは障害のある方の住まいとして重要な役割を担っておりまして、現在約十万人が利用しておりますが、依然そのニーズは大きい状況にあります。

 このため、グループホームの計画的な整備を進めるとともに、必要な方が適切にグループホームを利用できるよう、利用いただく方について、グループホームが果たすべき役割や障害の特性などを踏まえつつ、次期報酬改定に向けて検討することとしております。

 その検討に当たりましては、障害のある方の状況やニーズ等を踏まえまして、必要なサービスを利用できる仕組みとなるように、丁寧に検討してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 今の副大臣の御答弁で、支援区分一あるいは非該当の人など、軽度の方も引き続きグループホームに希望すれば住み続けることができ、そして、グループホームからアパート等でひとり暮らしをしたいという方がこの自立生活援助というサービスを利用することができる、こういうように確認をさせていただいたところでございます。

 このサービスが全国あまねく提供されるかどうかということでありますけれども、例えば人里離れた山合いといいますか里山といいますか、そういったところでひとり暮らしを希望される方がおられた場合、近くにサービス提供事業者がないということも当然あり得るわけなんですけれども、こういったことについては、まさに希望して山里に住むというひとり暮らしの実現、これをサポートする、支援するということもこの中には当然含まれているというふうに考えてもよろしいでしょうか。

藤井政府参考人 これは、先生御指摘のような場合も含めまして、いろいろなケースがあるというふうに思いますけれども、基本的には、やはり、障害のある方が生活することを希望する地域におきましてできる限りサービスが提供できるように、制度の施行時までに検討してまいりたいと考えております。

 また、御指摘のようなケースにつきまして、やはり、各自治体におきまして障害福祉計画をつくるわけでございますけれども、どこにどんなニーズがどれぐらいあるかというところを自治体ごとにしっかり勘案をしながら計画をし、整備を進めるべきだというふうに考えております。

中根(康)委員 次に、就労定着支援についてお尋ねしたいと思いますが、現在、就労移行支援事業所が行っている定着支援と、今回新たに創設される就労定着支援について、どう違うのか、御説明をいただきたいと思います。

藤井政府参考人 就労移行支援事業所における現在の定着支援につきましては、これは、運営基準に基づきまして、利用者が就職をした日から六カ月以上、職業生活における相談等の支援を実施しているところでございまして、その支援内容につきましては、実は、今般創設をいたします就労定着支援と共通する部分も多いと考えております。

 一方で、一般就労に移行する障害のある方がだんだん増加をしてきておりまして、就労定着支援という、そういった支援そのものが重要となってきておる中で、就労移行支援事業所の就労定着に係る体制だけではやはり十分ではないということもございます。こういったサービスの体制を拡充するという意味もございまして、今般、就労定着支援を重点的に行う独立したサービスを創設したところでございます。

 この就労定着支援は、障害のある方の就労に伴う生活面の課題に対応するために、企業あるいは障害福祉サービス事業所、医療機関等との連絡調整等の支援を行うものでございまして、事業所が取り組む合理的配慮の措置や、あるいは事業所への各種定着支援策と相まって提供されることで、障害者の就労定着がより一層進めていけるものと考えております。

中根(康)委員 一般就労に定着できないのは、働く人の側だけに問題があるわけではなくて、事業所として、定着に対する支援や配慮、まさに今回の障害者差別解消法の理念である合理的配慮、こういうことも含めて、事業者側が、職場側が行う必要な配慮というようなものもあろうかと思いますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 就労定着に当たりましては、今委員御指摘のとおり、障害のある方を雇用する事業所において定着支援のための取り組みを実施していただくことも、平等に、これは重要なことだというふうに思っております。

 事業所におきまして、四月から施行されました改正障害者雇用促進法に基づいて、雇用する障害のある方に対して、本人の能力の有効な発揮などのために合理的配慮の措置を講ずることとされておりまして、こうした取り組みによって障害のある方の就労定着が進むことを期待しているところでございます。

 また、事業主と障害のある方の双方を支援する施策としては、身近な地域ごとに設置をされております障害者就業・生活支援センターによる相談支援や助言なども実施をしているわけでありまして、今般創設をいたします就労定着支援、これは、都道府県から指定を受けた事業者が、障害のある方の就労に伴う生活面の課題に対応するため、企業、障害福祉サービス事業所、医療機関等との連絡調整等の支援を行うものであって、事業所が取り組む合理的配慮の措置や各種定着支援策と相まって提供されることによって、障害者の就労定着がより一層進むものと考えているところでございます。

中根(康)委員 これも午前中の議論にもあったんですが、一般就労だけが大切だということではなくて、一般就労が困難な人たちの福祉的な就労をさらに充実することも重要だと考えております。例えば優先調達法の活用とか、あるいは障害事業所への発注を法定雇用者数に置きかえる、みなす、こういうような仕組みを導入するとか、福祉的な就労を内職仕事から脱却するということが大切だと考えています。

 A型でも平均で大体六万円程度だと聞いておりますし、B型だと工賃一万四千円程度だということなんですけれども、このA型やB型で働く人たちの収入が地域での自立生活を支える水準に少しでも近づくような努力を政府として取り組んでいただきたいと思いますが、これからどうしたらこのA型あるいはB型で働く人たちの収入がふえるとお考えでしょうか。

竹内副大臣 お答えいたします。

 就労継続支援を利用している障害のある方が自立した生活を送るために、就労継続支援における工賃、賃金の向上を図ることは重要でございます。

 このため、特に平均工賃が低い就労継続支援B型事業所につきましては、工賃向上のために、まず、平成二十七年度報酬改定におきまして、目標工賃を達成した場合の加算措置の充実、それから、事業所の経営改善や商品開発、受発注を促進するための支援などを行っているところでございまして、引き続き、就労継続支援B型事業所における工賃向上のための支援に取り組んでまいりたいと考えております。

中根(康)委員 就労移行支援事業所で、就職できた人がゼロのところが三〇%ぐらいあるということなんですけれども、これを改善するために何が必要か。

 例えば、報酬等で、優良なところと成績が上がらないところ、何か誘導策をつくっていくとか、いろいろとあろうかと思いますし、あるいは、今回の就労定着支援というサービスを就労移行支援事業所が行うということも想定されるわけでありますけれども、この定着支援を就労移行支援事業所が実施する場合、移行率が低い事業所に対する新しい定着支援の認可というか、これについては慎重であるべきであるというふうにも思いますが、この点、いかがでしょうか。

藤井政府参考人 就労移行支援事業所につきましては、一般就労への移行率が二〇%以上の事業所の割合が増加をする一方で、御指摘のように、移行率がゼロの事業所の割合が三〇%強で推移をしておりまして、二極化したような状況になってございます。

 私どもといたしましては、平成二十七年度の報酬改定におきまして、一般就労への移行実績がない事業所に対する減算を創設したところでございます。また、移行実績が低い事業所につきましては、重点的な指導や勧告、命令等の措置を講ずるように各都道府県に通知を発出してございます。

 今後、各都道府県で適切な指導等がなされることも期待をしてございますけれども、次期報酬改定に向けて、今回の報酬改定の効果も踏まえつつ、一般就労の移行実績を踏まえためり張りをつけた評価を検討するほか、就労支援員などの支援を行う人材の育成や、一般就労への移行支援のノウハウの共有等を進めてまいりたいと考えております。

 また、就労定着支援事業に手を挙げてこられた場合につきましては、就労定着支援に係る事業者指定の基準につきましては、今後検討をしてまいるわけでございますけれども、まさに御指摘のような問題意識も踏まえまして、慎重に検討してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 ゼロのところが定着支援なんてそもそもあり得ないと思いますので、この点は、そういうまさにめり張りをつけていただきたいと思います。

 それと、就労経験がなければB型を利用できないということの現状なんですけれども、特別支援学校などを卒業して生活介護を利用する選択をするとB型に移れない、こういうことになっているんですけれども、例えば、生活介護、その次にB型、A型、あるいは一般就労、こういうように段階的に利用していくというようなことも考えられるというか、むしろ、それが望まれているようなところがあると思うんですけれども、卒業後すぐに例えばB型を利用できるようにすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

竹内副大臣 お答えいたします。

 特別支援学校卒業生などにつきましては、就労移行支援事業者等によるアセスメントによりまして、就労面の課題などを把握した上で、就労継続支援B型を利用していただくこととなっております。

 このアセスメントは、就労継続支援B型から一般就労へ移行する利用者が少ないことなどを踏まえまして、障害のある方が最も適した働く場に円滑に移行できるようにするための支援や、また、障害のある方が働く場で安定して働き続けられ、働く力を伸ばしていけるようにするための支援を行うために必要な情報を把握するものでございまして、大変重要なものであると考えておるところでございます。

 こうした点を御理解いただきまして、特別支援学校卒業生が有効に就労継続支援B型を御利用いただけるよう、引き続き趣旨の周知、理解促進に努めてまいりたいと考えております。

中根(康)委員 これは確認なんですけれども、六十五歳以上の高齢者は、就労移行、就労継続A、Bは使えるんですか、使えないんですか。

藤井政府参考人 就労継続支援B型につきましては、通常の事業所に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が難しいという方を対象としておりますので、従前より、六十五歳以上であっても、また、介護保険の方にサービスが移行してからであっても、利用が可能となってございます。

 ただ、一方で、A型あるいは就労移行支援につきましては、雇用契約を締結するサービスであること、あるいは、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者に対して提供されるサービスであることを踏まえまして、従前より、六十五歳未満の方を対象としてございます。

中根(康)委員 長寿社会になってまいりましたし、六十五歳以上、六十五歳なんてまだまだお若いですよ、障害をお持ちの方も含めて。就労移行、就労継続A、それぞれ六十五歳以上の方でも使えるようにするということは、決して何ら弊害はないような気がしますし、むしろ、そういう社会参加、少しでも長い期間社会で頑張ってもらえるという環境を整えるためにも、これは改めてもらいたいというか、改正してもらいたいということをお願いしておきたいと思います。

 重度訪問介護について、対象者として、四肢の麻痺及び寝たきりの状態にある者等とありますが、この「等」の中には、知的、精神の重度訪問介護の利用者も含まれるということでよろしいでしょうか。

藤井政府参考人 最重度の障害がある方が入院される場合につきましては、体位交換の際に御本人に合った姿勢を看護師に伝えられずに苦痛を感じるような場合、あるいは、環境や生活習慣へのこだわりに応じた支援がなかなか行われずに強い不安を感じるような場合があるというような、そういう指摘に対応するために、今般の改正法案におきまして、入院中も御本人の状態等を熟知したヘルパーの支援を引き続き受けられるようにすることとしたところでございます。

 具体的な対象者につきましては、四肢の麻痺があり寝たきりの状態にある方のほか、知的障害や精神障害により行動上著しい困難を有する方も含めて、支援の緊要度が特に高い方、障害支援区分六の方を想定してございますが、そういった方が利用できるようにすることを予定しておりますけれども、詳細につきましては、また制度の施行時までに検討することとしてございます。

中根(康)委員 詳細につきましてはという点については、六の方だけではなくて、四や五の方でも、必要性の高い方についても対象となるように制度設計をしてもらいたいとお願いしておきます。

 入院前から重度訪問介護を利用している人だけではなくて、入院前の利用の有無にかかわらず今回の新しいサービスを利用できるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 午前中にも少し議論が出ておりましたけれども、四肢の麻痺があって寝たきりの状態の方など、最重度の障害がある方が入院されている場合に、体位交換の際に御本人に合った姿勢を看護師さんにうまく伝えられないと、苦痛をそれによって感じられる方がおられる、それから、環境とか生活習慣へのこだわりに応じた支援がなされずに強い不安を感じてしまう、そういう方がおられるわけでございまして、このために、今回の改正法案では、入院前から重度訪問介護を利用している方について、御本人の状態等を熟知したなじみのヘルパーによって入院中も引き続き重度訪問介護の支援を受けられるようにする、こういうものであります。

 一方で、入院前に重度訪問介護を利用していない方についてのお尋ねでございますけれども、このような状態にないことから、今回のヘルパー利用の対象とすることは今考えてはおりませんが、そうした方々に対する入院中の支援について、病院における看護補助者の配置の充実、それから、意思疎通支援事業が入院中においても利用可能な旨をまず明確にしていくこと、そういうようなことの中でどういうことができるのか、またさらに、考えるべきときに当たって考えるべきというふうに考えておるところでございます。

中根(康)委員 いろいろな制度設計がこれからだということの中で、今のところだけ何か既に決められているということでもないでしょうから、入院前の利用の有無にかかわらず、この新しいサービスが病院で使えるように、ぜひこれから御検討いただきたいと思います。

 重度障害者等包括支援ということについてなんですが、これの事業者がふえない理由は何だと考えておられるでしょうか。

藤井政府参考人 重度障害者等包括支援は、常時の介護を要し、意思疎通を図ることに著しい支障がある方のうち、ALSや筋ジストロフィーの罹患者など、四肢の麻痺及び寝たきりの状態にあるなど、最重度の障害のある方に対しまして、居宅介護、重度訪問介護あるいは生活介護等を利用される方のニーズに応じて柔軟に、複合的に提供できるサービスでございます。

 この重度障害者等包括支援は、最重度の障害がある方が地域生活をしていく上で大変重要なサービスではございますけれども、御指摘のように、対象となり得る利用者が少ないわけなんですが、幾つか理由がある中で、一つは、一つの事業所が複数のサービスを提供するということを想定しておりまして、一部のサービスの提供を例えばほかの事業者に委託した場合に、その委託費等と報酬が見合うかどうかとか、あるいは、やはり利用者の方も余り制度の内容が周知されていないとか、そういったことによりまして、実施する事業者がふえないということが過去の私どもの調査でも指摘をされております。

 私どもとしましては、今後、この重度障害者等包括支援を利用している方々の状態像、あるいはサービス支給量やサービスの組み合わせ等を踏まえまして、地域で家族と生活する最重度の障害がある方のニーズに合わせて、活用しやすくなるように具体的に検討してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 利用者が少ないということでありますけれども、しかし、数少ないその利用者にとっても、特に最重度の知的障害の方、親亡き後というものが一番心配されておられる方にとっては、二十四時間三百六十五日、切れ目のない一貫した支援が安心して受けられるということのために、この重度障害者等包括支援というものが必要でありますので、ぜひ報酬面で事業所の採算がとれるようなものに御検討いただければというふうに思います。

 同じように、利用者主導で、特定の人による支援であったり、包括性であったり、継続性であったりということを備えた、いわゆるパーソナルアシスタンスということも求められているわけなんですが、特に、今申し上げた、親亡き後ということに対して大変懸念をしている最重度の知的障害をお持ちの方々の御家族から要望が強いというふうに私は理解をしておりますけれども、重度障害者等包括支援とあわせて、パーソナルアシスタンスということの導入については厚労省はどのように今御検討か、お答えいただければと思います。

竹内副大臣 お答えいたします。

 パーソナルアシスタンスにつきましては、審議会においても複数回にわたり御議論をいただいたところでございます。障害のある方の地域生活を支える仕組みとして制度化を望む声もあった一方で、財政面やサービスの質の確保など、多くの課題も指摘されておりまして、最終的には、パーソナルアシスタンスを導入すべきであるという結論には至らなかったという状況でございます。

 厚生労働省といたしましては、審議会において、パーソナルアシスタンスの目指すところは利用者本人のニーズに応じた柔軟な支援を可能とすべきとの趣旨ではないかとされたことを受けまして、今般の法案におきまして、医療機関への入院時に重度訪問介護による支援を可能とする内容を盛り込むとともに、重度障害者等包括支援については、地域で家族と生活する最重度の障害がある方のニーズに合わせて、活用しやすくなるよう検討してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 次に、六十五歳問題です。

 総合支援法の七条の廃止が本筋ではないか、こういう議論が数多くあるわけなんですけれども、なぜ七条を廃止するという障害当事者の皆様方の御意見が今回反映されなかったのか、お尋ねしたいと思います。

塩崎国務大臣 この第七条の介護保険優先原則についてのお尋ねがございましたが、あるサービスが公費負担の制度で提供できる場合に、同様のサービスを国民がお互いに支え合うために保険料を支払う社会保険制度で提供できるときは、社会保険制度で提供されるサービスをまず御利用いただくという保険優先の考え方が現在の社会保障制度の原則であるわけでございます。

 審議会においても、障害福祉制度と介護保険制度の関係につきまして、さまざまな御意見がございました。我が国の社会保障の基本からは、現行の介護保険優先原則には一定の合理性があるというふうにされているところでございまして、このため、障害者総合支援法第七条の介護保険優先原則を廃止すべきとは考えていないとするところでございます。

中根(康)委員 これまでの質疑の中でも、介護保険と障害福祉サービスとはそれぞれ性質や目的が違うんだからという話がもう何回も出ているわけなので、この介護保険優先原則というものはやはりどうも納得できないわけであります。

 六十五歳になるまで五年程度障害福祉サービスを受けていたなどの要件に該当する人しか軽減の対象にならないわけなんですが、この要件を設けずに全ての高齢者を対象にすべきだと考えますが、なぜ要件が必要になるんでしょうか。

塩崎国務大臣 今般の軽減措置は、高齢の障害のある方による介護保険サービスの円滑な利用を促進するために、これまで長らく障害福祉サービスを利用してきた障害のある方が介護保険サービスを利用する場合に、その負担を軽減するというものでございます。

 一方、障害がなく、障害福祉サービスを利用してこなかった高齢者の方々が介護保険サービスを使う場合は、介護保険法によって原則一割の利用者負担をしていただくということになっております。

 今般の軽減措置の対象となる方との間で、同じサービスを利用しつつ、負担額が異なることになるわけでございまして、このような一般の高齢者の方々との公平性、バランスに鑑みれば、全ての障害者を対象とすることは適当ではないというふうに考えるところでございます。

 このため、障害福祉サービスを長らく利用しており、介護保険サービスの利用者負担の発生の影響が大きいと考えられる方として、障害福祉サービスを五年以上利用してこられた方を対象とするという要件を設けることを考えているものでございます。

中根(康)委員 ちょっと、五年という理由が、合理的な理由があるようには思えないんですよね。五年というものがあると、恐らく、今までも話が出たようなALSの方だとかダウン症で早老症の方とか、そういった方々が対象外になってしまったりするということになるわけであります。

 質問なんですが、一定以上の障害支援区分が軽減対象となりますが、軽度の人は対象とならないということなんでしょうか。例えば、市町村事業になった総合事業というようなものに該当する人は軽減の対象になりますか、なりませんか。

藤井政府参考人 今回の負担軽減策の対象は、その利用者負担によって生活の見直しが大きく求められるような重度の障害のある方々を対象とすることを考えております。

 先生御指摘の地域支援事業、いわゆる総合事業につきましては、要支援者等、軽度の方が対象であるということ、それから、地域支援事業の対象となる方につきましては、介護給付を受ける方と比べて利用者負担が必ずしも大きくないと考えられること、それからまた、利用者負担を市町村がサービス内容に応じて設定できることとされておりますので、どうしても、国の関与が限定的でございますので、国費による負担軽減を行うということが適切ではないというような面があるということ、こういった点を考慮いたしまして、今回の負担軽減策の対象とはしないこととしてございます。

中根(康)委員 今回の負担軽減策は、やはり、ある、とても限定された方しか対象にならないということで、この介護保険優先原則というものがそもそもなくならない限りは、これまで負担がゼロだった人が新たな一割負担を強いられる方が相当程度出てくるという懸念を示しておきたいと思います。

 軽減対象の高齢者に低所得という要件があるわけなんですが、障害福祉サービスの利用者負担がこれまでゼロだった市町村民税非課税世帯は、引き続き負担ゼロということでよろしいのでしょうか、それとも一部軽減ということになってしまうのか。ゼロの方はゼロのままだということでよろしいでしょうか。

藤井政府参考人 対象者の具体的な要件などは政令等で今後定めることになってまいりますけれども、先ほどの、五年ですとか、そういった措置の対象となる要件を満たす方、低所得者であるとか、あるいは重度の方であるとか、そういった今後定めてまいります要件を満たす方につきましては、それまでの間、低所得者として利用者負担がゼロである方につきましては、六十五歳に到達して障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを引き続き利用する場合であれば、これは利用者負担はゼロに軽減されるということになります。

中根(康)委員 例えば、全盲の視覚障害者がホームヘルプサービスを利用していた場合に、介護保険のヘルパーさんが視覚障害者にとって適切なサービスやケアを提供できるのかどうか、聴覚障害の方がホームヘルプサービスを利用していた場合に、介護保険のヘルパーさんで手話ができない人の場合、適切なサービスが提供されるのかどうかということ。

 つまりは、介護保険の方に移った場合に、例えば、負担は軽減されたとしても、本当に必要なサービスが提供されるのかどうかということ、これについてはいかがでしょうか。

藤井政府参考人 全盲の方あるいは聴覚障害者の方々についてのお尋ねでございますが、個々の障害のある方の状況等によりまして、これを一律に論じることは難しい面がございますけれども、御指摘のように、六十五歳以上の障害のある方が介護保険サービスを利用される際には、それまで利用されていた障害福祉のヘルパーではなくて介護保険のヘルパーでの対応となることに不都合を感じる方もおられるという課題が指摘されてございます。

 こういった課題に対応いたしまして、今般、事業所やヘルパーをかえずに利用し続けることができるように、障害福祉サービス事業所が介護保険事業所になりやすくするために、介護保険事業所の人員や設備の基準を障害福祉サービスの基準に可能な限り合わせるような見直しを行うこととしてございます。

 このような見直しによりまして、高齢の障害のある方が介護保険サービスを利用する場合であっても、安心してサービスを受けていただけるようにしてまいりたいと考えております。

中根(康)委員 今のこととも関連するんですけれども、軽減の対象となるのは、介護と障害サービスと両方を同一の事業所で提供できる、そういう事業所を利用している場合だけが軽減の対象になるのか、別々の事業所を利用していても軽減の対象になるのか、これについてはいかがでしょうか。

藤井政府参考人 これも、利用者負担の軽減対象の詳細は、また今後、制度施行時までに検討していくことになりますけれども、現時点では、障害福祉サービスと介護保険サービスの両方を提供できる事業所を利用しない場合に負担の軽減措置の対象にならないというようなことは考えてございません。

中根(康)委員 時間が大分迫ってまいりましたので急ぎますけれども、介護サービスを利用する人の国庫負担基準額は、介護保険サービスを利用した分だけ国庫負担基準額が削減されてしまうという心配がなされているんですが、この点はいかがでしょうか。

藤井政府参考人 国庫負担基準は、国の費用負担を義務化することで財源の裏づけを強化する一方で、限りある国費を公平に配分するために、市町村に対する精算基準として定めておるものでございまして、これは今後とも必要であると考えております。

 介護保険給付対象者の国庫負担基準につきましては、従来より、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合に、介護保険サービスに係る保険給付が優先されることとなりますので、重度訪問介護の中でも、移動介護の部分とか、そういった介護保険では給付対象となっていないサービスに係る費用について設定しているところでございます。

 こうした国庫負担基準の考え方につきましては、今回の改正によって変わるものではございません。

 ただ、審議会の方でも、国庫負担基準に関しましては、まず一つは、財源の確保にも留意しつつ、重度障害者が多いこと等により訪問系サービスの支給額が国庫負担基準を超過せざるを得ないような小規模な市町村により配慮した方策を講じるべきだということ、また、介護保険制度移行に関する現行の取り扱いを踏まえまして、介護保険給付対象者の国庫負担基準につきましては、財源の確保にも留意しつつ、見直しを行うべきであるとされておりまして、こうしたことを踏まえまして、私ども、次期報酬改定に向けて検討してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 少し飛ばしますけれども、今回の改正案の中に、障害福祉サービスの情報公開制度の新設というものがありますけれども、この真の狙いが何かということなんです。

 経営実態調査を行って、事業所の収支差率というようなものを明らかにして、収支差率を機械的に判断して、それをもって報酬の減額の理由にしようともくろんでいるのではないかというふうにも懸念されるところであります。

 そうではないとお答えになるんでしょうけれども、この経営実態調査が、収支差率、例えば、内部留保が多いからこの事業所は報酬を下げましょうとか、このサービスは報酬を下げましょうというようなことにつながってしまいかねないわけなんですけれども、この点の不安をぜひ解消できるような、この不安がないような、この不安が解消されるような御答弁をいただきたいというふうにも思うわけであります。

 あわせて、放課後デイなんですけれども、県や市が障害児福祉計画を策定する今回の見直しなんですけれども、これが、放課後デイサービス、ふえ過ぎてというような話の中で、総量抑制につながってしまうのではないかという懸念もあるわけなんです。

 これは、事業所運営の改善を求めるということがまず先であって、やはりニーズがある放課後デイ、放課後デイでもいろいろなタイプのものがあるんですね、スポーツ型だとか、レクリエーション型だとか、学習型だとか、いろいろなのがある。その利用者のニーズに合うように、できれば、それは競争してよりよいサービスが提供されるということがいいわけであります。

 計画をつくるということが総量抑制につながらないか、あるいは、情報公開制度が報酬の改定の際に報酬削減の材料にされてしまわないか、この点について質問したいと思います。

竹内副大臣 お答えいたします。

 まず、最初の情報公表制度導入の件でございますが、障害福祉サービスなどを提供する事業所が大幅に増加しております中で、利用者が個々のニーズに応じて良質なサービスを選択できるようにするとともに、事業者によるサービスの質の向上が図られることが重要である。

 そういう点から、このため、介護保険制度や子ども・子育て支援制度における同様の仕組みを参考としながら、まず、施設、事業者に対して、当該事業所に関する事項や障害福祉サービスの内容に関する事項などを都道府県知事へ報告することといたしました。そして、都道府県知事が、報告された内容を公表する仕組みを設けることといたしました。これらによりまして、利用者による個々のニーズに応じた良質なサービスの選択につなげていきたいと考えております。

 それから、障害児福祉計画の件でございますが、障害のあるお子様の支援体制の整備を計画的に進めるためには、地方自治体におきまして、障害児支援の提供体制の確保に係る目標やサービスの種類ごとの必要な量の見込み等につきまして計画を定めることが必要でございます。

 このため、今般の改正におきまして、現行の障害福祉計画に関する制度と同様に、都道府県及び市町村において障害児福祉計画を策定することを求めることといたしたものでございます。

 今回、障害児福祉計画において定める必要な量等につきましては、障害児の人数やその障害の状況など客観的なデータを勘案して定めるものでございまして、都道府県は、定期的に、調査、分析、評価を行い、必要と認めるときは計画を変更することとされておりますことから、地域の実情やニーズに応じて必要な事業所の整備を進めるためであるというふうに考えております。

中根(康)委員 障害児福祉計画を策定することが放課後デイの総量抑制にはならないという御答弁であったと信じたいと思いますし、それから、収支差率を調べることが将来あったとしても、それを報酬改定、報酬減額の理由にはしないという約束をしていただいたというふうに理解をして、きょうは質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民進党の中島克仁です。

 本日は、障害者総合支援法の改正案の審議でございまして、午前中から各委員から質疑がされておりまして、我が党からは、本当に障害者福祉エキスパートと言える中根委員であったり、実際に携わられている初鹿委員から、さまざまな、本当に現場に即した質問等があって、私も大変勉強になったなというふうに思っているわけです。

 私からは、各論点、午前中から今までの質疑の中でいろいろなことが浮き彫りにされておるわけですが、やはり今回の改正案、総合福祉部会の骨格提言が十分に反映されたとは言えない、これに対してはたびたび答弁もされておりますので質問はいたしませんが、今後、現場のさらなる課題についてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに、午前中から聞いておっても思った次第であります。

 私としては、総論的な話もしたいわけですが、そもそも、今回の法律案が、総合支援法、そのときの附則の検討規定に基づく改正が本法案ということでございます。その後、見直し規定に沿った内容になっておるということであるわけですが、就労定着支援や自立生活援助等の創設、そういったこと、従来からやっていたことを体系化するとか、私は一定の理解をいたしますし、先ほども言ったように、まだまだあることについては取り組んでいただきたいわけですが、今法案については一定の理解を示すところです。

 そして、午前中にも質問がありましたが、今回、医療的ケアが必要な障害者への支援、これが盛り込まれたことは、これも質問にいたしませんが、午前中の質疑を聞いていて、私も地元で在宅医療をやっていて、確かにニーズがというか、数がふえたなという印象を持っています。

 そして、そもそもやはり在宅医が少ない。そして訪問看護も、小児を診ていくといったり、障害を抱えた子供をなかなか診る専門性。私も最初、気管切開をして人工呼吸器がある子供を在宅で診てくれと言われたとき、やはりちょっとためらってしまうわけですね。もともと小児科ではありませんし、そういうNICUの先生方にしっかりとした指導をしていただきながら、私は山梨県の一番北の端ですが、やはり探してもいないということで、今度は山梨県の南の端まで往診に行ったこともあります。

 そういう状況からいくと、今回の法案でそれに対する支援をということは大変いいことだというふうに思うわけですが、一方で、やはり人材の確保、そういったことはなかなか難しいのが現状ではないかなというふうに思います。

 私も最初は、おっかなびっくりと言うと変なんですが、いろいろな方に教えていただいたり、家族とコミュニケーションをとったり、そういう中で何とかできたというふうなことだと思います。やればできるというよりは、やはり携われる機会、また研修等をしっかりとやることで、こういう問題も解決できるのではないかということは、まず、質問ではございませんが、午前中の質疑を聞いていて思いましたので、話をさせていただきます。

 私からは、今回の法案の一方で、昨年の四月、障害福祉報酬の実質マイナス改定、処遇改善加算を除けば本体部分はマイナス改定、まず、厚生労働省として、現段階、その影響についてどういうふうに分析をされておるのか、お尋ねをしたいと思います。

塩崎国務大臣 二十七年度の報酬改定につきましては、障害福祉サービスは小規模な事業所が多いという特性がございまして、制度創設後十年が経過していないということなどに鑑みて、全体の改定率は、いろいろ財務省との間でやりとりはありましたが、プラス・マイナス・ゼロ%というところでとどめたところでございます。

 当該改定では、最重要の課題であります福祉、介護職員の処遇改善を図るために、一人当たり月額一万二千円相当の加算の拡充を行うとともに、重度の障害のある方であっても、病院や施設でなく、やはり地域で暮らすことができるように、地域移行支援について、グループホームの重度の利用者に係る基本報酬の引き上げ等を行ったほか、小規模な事業所や重度の利用者が多い事業所に配慮しながら、サービスの適正な実施の観点から、一般就労への移行実績がない就労移行支援事業所への減算の強化などの見直しを行ったわけでございます。

 今般の報酬改定の影響につきましてお尋ねがございましたけれども、一概にこの報酬の改定の結果どうなったかということを言うのはなかなか難しいわけでありますが、平成二十七年度以降におけるサービス提供事業所の新規指定件数あるいは廃止届け出件数は、改定前と同様の傾向で推移をしておりまして、経営面からの大きな影響があったとは必ずしも考えておらないところでございます。

中島委員 経営面では影響は出ていないではないかというふうにおっしゃいました。

 これは、介護の件で、私もしつこいと言われるぐらいたびたび質問させていただいて、実は、介護と障害福祉、これはやはり、ワンセットと言うと失礼なんですが、一体のものだ。そんな中で、なかなか障害福祉の現場がクローズアップされづらかったと私は思っています。私もいつも質問を用意するんですが、介護で終わってしまって、なかなか障害福祉現場の方まで行けなかったというのが現実なんです。私も、障害福祉施設、嘱託医を今も一件だけやっているんですが、こういう仕事もしていますから、なかなかできません。

 今回、昨年の四月、報酬改定のとき、やはり障害福祉現場からも、報酬改定プラマイゼロといいますが、先ほども言ったように、本体部分は下がっていたわけで、施設整備等、利用者へのサービス向上や安全性の確保などの費用がかかり、高齢化とかさまざまな要因からそういった費用がかさみ、さらに、国や県からの補助金が削減されていく中で、今後どうやって維持していけばいいのかと不安の声が数多く聞かれていましたし、一年たった今現在も、今後の例えば改築費用とか、さまざまな部分で、先ほど高齢化の話もしましたが、さまざまな対応に対して研修等を繰り返さなきゃいけないとか、そういったところで非常に厳しい現実があるというふうに私は思っています。

 一方で、障害者基本法、この四月から差別解消法が施行されたり、国内法の整備を行ったのを受けて、一昨年、障害者権利条約を我が国は批准したわけです。先ほども言ったように、障害福祉現場の職員の方も、やはりこの権利条約の批准で、さあ、これから日本の障害福祉が大きく展開されていくというふうに期待をしていたやさきの、実質、史上初めての障害福祉報酬のマイナス改定だった。

 そういった意味からいくと、経営状況のみならず、やはりこれから国がどう障害者福祉、先ほど先進国の中で二十八番目という話もされ、先進国の中でやはり日本の障害福祉もしっかりとやっていかなければいけないという先ほどの大臣の答弁でもございました。そういう意味からすると、やはりそういうモチベーションというか、障害福祉現場の方々が、今回の法律案でもさまざまな取り組みがされていることは大変いいことだとは思うんですが、実際に、ではそれを担う人材が本当に確保できているのかということは、これは介護と同様の課題ではないかなというふうに思います。

 先ほど処遇改善というお話もございました。昨年の四月、介護と同様に処遇改善加算が加えられたわけですが、これは資料の二枚目であります。この加算の取得率、二十八年の一月分で、昨年加えられた処遇改善加算一、取得率は五三・四%というふうになっています。

 これは、介護の方は大体七割弱だったというふうに思いますが、介護に比べて一五から一六ポイントぐらい低い取得率となっているわけですが、この取得率も含め、処遇改善加算によって現在障害福祉従事者の処遇はどのように改善されたと分析されているのか、お尋ねしたいと思います。

藤井政府参考人 平成二十七年度の報酬改定におきまして、これは私どもの方も処遇改善加算の拡充を行いましたわけですが、その効果につきましては、一つは、昨年十月に行いました調査で、平均一万五千円程度の賃金引き上げがなされているという結果が得られておりますので、金額的には加算額を上回る処遇改善が進んだというようなことにもなってまいります。

 ただ、御指摘のように、一方で、介護保険と比較して加算の取得率が低いというところがございまして、理由につきましては、推測ではございますが、障害福祉の場合、やはり設立年数が短い、五年未満の事業所の割合が全体の三二・一%ということで、設立間もない事業所につきましては、やはり経営を軌道に乗せることがどうしても最優先になってまいりまして、加算の算定要件でございます職員の賃金体系とか、あるいは研修の実施体制の整備等になかなか手が回らないというような実態はあるのかなというふうに推測をしたりいたします。

 いずれにいたしましても、今回の調査結果等を踏まえまして、この加算をより多くの事業所に活用していただけますように引き続き取り組みますとともに、今後とも、これは安定財源を確保しつつではございますが、今回の報酬改定の影響も踏まえて、障害福祉従事者の処遇についてしっかりと検討してまいりたいと考えております。

中島委員 今お答えいただいたように、去年の十月の調査、これは介護処遇改善もそうだったんですが、障害福祉の処遇改善についても調べて、私も資料をいただきました。

 これは、一万五千円上がっていたというのは、処遇改善加算一をとったところを調べたら一万五千円上がっていた。これは当然といえば当然の話でありまして、現段階で半分強というか、約半分しか処遇改善加算一をとれていない。やはり半分ぐらいの障害福祉従事者の処遇が現段階でも改善されていないというのが現状だというふうに思います。

 そして、処遇改善加算一をとらない理由が、とれない理由というんですか、やはりキャリアパス要件一を満たせないという理由であったり、そもそも加算を取得しない理由は、事務作業が煩雑だったりとか、そういった理由が一番多いわけですね。そう考えると、キャリアパス要件一を満たせない半分ぐらいの事業所というのは、やはり昨年の全体の報酬改定によっての影響が出ているんじゃないかなということは私は危惧するわけであります。

 ここで質問したいわけですが、先ほど来言っている、今回いろいろな部分で拡充して広げているのはいいんですが、専門性、介護も同様なんですが、ある意味、多岐にわたる専門性が求められる障害福祉従事者、この人材の確保に向けて、厚労省として具体的にどのように取り組もうとしているのか。さらには、一枚目の資料にもございますように、やはり介護・障害福祉従事者、全産業別に見ても十万円低い賃金水準。これをさらに処遇改善していくつもりがあるのか。お答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 障害福祉従事者の人材確保というのは重要な課題であるということは当然のことながら認識をしながら、その中にあって、二十七年度の報酬改定において、先ほど来話題になっております月額一万二千円相当の処遇改善加算、この拡充を行ってきたわけであります。

 この加算の効果は先ほど部長から申し上げたとおりでありまして、事業所独自の自主努力も含めて加算額以上の処遇改善が進められたと受けとめているわけでございます。

 しかし、今御指摘のとおり、まだまだ他の産業などと比べまして課題がたくさんあるわけでございまして、今回の調査結果などを踏まえて、この加算をより多くの事業所に活用していただけるよう、引き続き、安定財源を確保しながら、報酬改定の影響も踏まえて、障害福祉従事者の人材確保に向けてしっかりと取り組まなきゃならないというふうに考えております。

 また、今プランというのをまとめつつありますけれども、ニッポン一億総活躍プラン、この中でも、私どもとしては、総理の指示に従って、介護にしても保育にしても、そしてまたこの障害の従事者についても、処遇改善については、安定財源を確保しながら、しっかりと処遇改善を図っていくように努力をしていかねばならないというふうに考えているところでございます。

中島委員 今大臣、一億総活躍プランに障害福祉もというふうにお言葉がありましたが、連休前の四月の二十六日に、一億総活躍プラン、これは試案で、案ということでしたが、大きく報道されました。そしてそこには、保育そして介護の分野に関しては活躍プランの中に入る案になっているというふうに大きく見出しが出まして、私も連休中に障害福祉現場から、私たちはどうなっているんだというふうに聞かれたわけです。

 今大臣お答えいただきましたが、一億総活躍プラン、そもそも、我々は三月の時点で介護・障害福祉従事者の処遇改善を野党の共同のもとに出していたわけです。さらには、先ほど言った、加算がとれない困難な理由、柔軟性を持った内容になった加算、さらに処遇改善しなきゃいけないという認識を持たれながら、あっさりと否決をされてしまったわけですけれども、今後、恐らく一億総活躍プランの中で、保育そして介護の処遇改善ということは、我々詳しく見ておりませんが、障害福祉も間違いなく入るということでよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 これは、去年の九月に総理から一億総活躍社会づくりを提唱させていただいたときに、あらゆる立場の方々、すなわち、男性も女性も、高齢者も若者も、そして障害がある人もない人も、そして子供も、失敗を一度した人も、あらゆる立場の人が能力いっぱいいっぱいに活躍できるようにということでありますから、当然、障害の福祉の方で頑張っていらっしゃる方々については、先生も御指摘のように、他の産業との比較から見ても課題ありということは介護あるいは保育と全く同様でありますから、もちろん保育の中には、児童養護施設などでの、要するに夜勤がある保育士さんというのがおられる、あるいは、夜勤があるそういったところで子供さんと向き合っている人たちもいる、そういう人たちはやはりそれなりのふさわしい処遇を受けるべきというふうに私は考えております。

 そういう意味で、今先生御指摘のように、障害福祉の世界で頑張っていらっしゃる方々について、私たちはやはりきちっとした配慮をしていくべきだというふうに思っております。

中島委員 今の御答弁で私は約束していただいたというふうに受け取りますので、それでもまだ全産業別で低い賃金水準ということですので、さらなる、キャリアパスのあり方であったりとか、多岐にわたる分野、この専門性を求められる、専門職である障害福祉従事者も、やはり一生の仕事としてやりがいのある、もともとやりがいのある仕事でありますので、ぜひ処遇改善。

 今後、恐らく一億総活躍プランというものが出るんだと思いますが、我々が三月に提出した法案は、先ほども言ったように、加算がとりづらい理由を、柔軟性をもってした内容であったわけです。見ていただいたと思いますが、であるならば、やはりあのときにしっかりと全党一致のもとで処遇改善に向かっていければよかったのになということは強く申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 そもそも、先ほど来あるように、今後、日本の障害福祉、先進国の中でという話がございましたが、その方向、国のグランドデザインというか、やはりそこがいま一つ見えてこないのが現状じゃないかなというふうに思います。

 例えば、昨年四月の報酬改定も、ここ十年の間に障害福祉に係る予算が約二倍になった、そういった背景から、介護の場合は、高齢化に伴う介護費増大、これを、制度維持のために重点化、効率化、適正化ということがうたわれておるわけですが、ちょっと確認ですが、今後、障害福祉、もちろん今回、重点化することは障害分野では大変重要な観点だとは思うんですが、介護と同様に効率化、重点化、適正化という観点で取り組まれていくのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

塩崎国務大臣 どんな政策体系であっても、やはり効率的じゃない部分というのはあると思うので、適正化をしなければいけないところはして、本来回るべきところにきっちり回すという哲学は何ら変わらないというふうに思っています。

 先ほどグランドデザインの話がありましたが、さっき申し上げたように、OECD諸国の中で三十四カ国中の二十八位だのいうようなことで甘んじていてはいけないわけでありまして、正直、私も、アメリカに三年住んでいたときに、やはり子供のときから、日本でよく言うノーマライゼーションというか、同じクラスに全盲の同級生がいる、それを何の不思議も感じない、そういうところにいくにはまだまだ日本は課題がたくさんあるというふうに考えておりますから、やはりそういった大きなデザインをという先生の御指摘は私もそのとおりだと思いますし、障害福祉サービスそのものの中身はもちろん充実をしないといけない。

 そして、そこで働いていらっしゃる方々の、言ってみれば働きがいというものをちゃんと確立していくということも大事であり、それから、障害者の皆様方が社会の中で、先ほど来コミュニケーション支援の話が大分出ていますが、やはり、今申し上げたように、当たり前のようにどこにでも行って、どこででも活躍できるようにしていくというのが一億総活躍でもあるので、そういうようなことにしっかりと私たちは対処を総合的にやっていかなきゃならないというふうに考えております。

中島委員 グランドデザインというのは、例えば、今アメリカの話が出ました。私も、去年十二月ですか、フィンランドに行かせていただいて、そのあり方に大変、ショックを受けたというよりは、その考え方の違いにびっくりさせられたということです。

 現段階で、日本の障害者の割合は六・二%と言われているわけですけれども、全世界でテンポイント、一〇%だというのが一般的に言われておるわけで、日本だけが少ないということはあり得ないというふうに思うんです。だとすれば、これは、さまざまな施策を工夫されておるわけですが、まだもしかしたら四%の方々が、本来であれば支援を受けるはずが受けられていないということは容易に想定できるわけです。

 その上で、例えば、障害福祉に係る予算は確かにふえています、ただ、そこで一番ふえているのは自立支援の部分なんですよね。これは、厚生労働省を初め、さまざまな取り組み、利用者が使いやすくする、だからこそ給付がふえている。一方で、社会保障の分野からいくと効率化、適正化、もちろん効率化という言葉はいろいろな意味合いがありますが、やはりここは高齢者福祉とはまた若干違う観点で言うことが必要なんじゃないかと私は思います。

 例えば、ヘレン・ケラーという方がおられて、二歳のときに高熱から髄膜炎を併発して、聴覚、視覚、言語を失ったわけです。しかし、そこにサリバン先生という教育支援をする方がいて、さらには、御家庭も若干余裕があったのか、経済的支援もできた、その支援があったからこそ、ヘレン・ケラーは、将来、社会に貢献できるチャンスを得て、そして実際に社会に貢献したわけです。

 そういった観点からいくと、これは子供貧困もそうなんですが、その子供もしくは障害を持った方々個人の問題のみならず、しかるべきときにしっかりとした支援をしておくということは、将来、そういうチャンス。社会の中で、むしろそのチャンスを奪いかねない、これは日本にとって、我が国にとっても大変損失だと。

 私は、フィンランドに行ってその障害福祉の考え方を聞いたときに、例えば、フィンランドは、女性活躍という部分もそうなんですが、これは必要に迫られて、国益を維持していくためにやはり女性も活躍していかなければいけないだろう、まさに日本はそういう時代に入ってきたのかなというふうに思うわけですが、そういう観点、個人のみならず、将来の日本にとってどういう支援が必要なのか、そのことが将来日本の国益につながっていくという観点が、フィンランドに行っても非常に考えさせられたところです。

 時間もないんですが、ヘレン・ケラーの話が出たので、盲聾の区分について、ヘレン・ケラーの話をもってちょっと質問をさせていただきたいと思うわけですが、資料の三枚目です。

 ヘレン・ケラーも盲聾だった、盲聾障害者であったわけですが、現在、盲聾障害の方は約一万四千人おられます。資料は、視覚障害、聴覚障害、盲聾障害の方に対する意思疎通支援のニーズとその対応を表にしたものであるわけですが、その次のページは、そもそも盲聾障害の方は、視覚、聴覚、言語の組み合わせ、重複障害ということになっていて、障害手帳の組み合わせとか、視聴覚の障害の程度でこういうふうに分けられているわけです。

 意思疎通支援のあり方も、この三枚目の資料を見ていて、重複障害ということで、視覚障害、聴覚障害、それぞれの支援を受けられるということで、一見いいように思うんですが、視覚障害と聴覚障害の方への支援と、盲聾の方、特に全盲聾の方に対する支援というのは、やはり全く別物になるというふうに思います。

 この一番下のところにも書いてあるように、三枚目の盲聾の真ん中のところですが、「居宅介護、生活介護、自立訓練、同行援護などが利用可能であるが、事業者に盲ろう者に対応したコミュニケーション技術を習得している従事者が少ないため、利用は低調」というふうになっているわけです。

 私は、やはり障害区分の中に、全く支援の内容、まずはコミュニケーションがとれなければそもそも居宅介護、生活介護も成り立たないということであれば、これは先ほど言った適切なニーズが、数が少ないということではなくて、しっかりとこういう支援のあり方、そのためには、障害区分、盲聾は独立して区分するべきだというふうに思うわけですが、そのようなお考えはないでしょうか。

藤井政府参考人 盲聾の方々についてでございますが、御指摘のように、視覚障害と聴覚障害を重複しているということで、身体障害認定におきましては、視覚と聴覚の機能障害の程度を考慮いたしまして、これは総合等級として等級を引き上げて手帳が交付されることになっております。

 盲聾の方々は、視覚と聴覚の障害をお持ちの方が利用する、例えば自立支援給付で申しますと同行援護等のサービスが利用できるわけでございます。

 先生、障害等級に関するお話ではございますが、私ども、同行援護なら同行援護の障害福祉サービス等を提供する従事者の中で、先ほども御紹介がございましたが、盲聾者の支援に必要な固有のコミュニケーション技術を持った方々が少ない、したがってサービスの利用がしにくいというような声を承知しておりまして、そこは確かに問題ではないかというふうに思っております。

 こうした状況を踏まえまして、私ども、障害特性に応じてきめの細かい支援を推進するという観点から、同行援護における従事者要件のあり方等につきまして、盲聾の方々への支援を拡充する方向で検討してまいりたいと考えております。

中島委員 時間なので終わりますが、私はなぜ盲聾の話をしたか。ヘレン・ケラーから盲聾教育、盲聾障害のあり方ということなんですが、実は三月に、山梨県立盲学校で、梅津先生という方の息子さんが講演に来られてお話を聞いたんです。

 そして、調べてみたら、昭和二十三年に盲聾教育を日本で初めてやったのが山梨県立盲学校だと。そこに勤務していたのが私の母だったんですね。まさに三人の全盲聾の子供たちの世話をさせていただいたと。そのときの様子を、話を聞いたわけですが、さわっただけで家じゅう飛び回ってしまう。ヘレン・ケラーの「奇跡の人」という映画がございましたが、まさにそういう状況で、二十四時間三百六十五日寝食をともにして、まず信頼関係から築いて、ようやく指文字で意思疎通ができることがあったと。

 その様子を聞いていて、私も改めて、これは本当に原点なのかもしれないな、御本人と支援する方との信頼関係、そういう地道な努力が、ヘレン・ケラーのように社会に貢献できるポテンシャルを最大限発揮させることができるんだと。

 やはり、その観点というのは日本の障害福祉に、欠けているとは言いませんが、もう少しそういう観点で、本当に必要な方へきめ細かい支援ができるように。一方では、自立を支援するということは、その方本人の問題でもあると同時に日本社会にとっても有益なんだ。この車の両輪でしっかりと今後も取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。

渡辺委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは、質問の機会をいただきまして、障害者総合支援法及び児童福祉法の一部改正案の質疑に立たせていただきます。

 まず、大臣に、確認というか、ちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、平成二十二年一月七日に、国と十四地裁、七十一人の原告の皆さんとで結ばれた和解、この基本合意について、大臣はお読みになったことがあるんでしょうか。

塩崎国務大臣 全文を隅から隅まで読んだということではございませんけれども、要所要所はちゃんと読んだところでございます。

岡本(充)委員 全部読んだ方が望ましいわけですけれども、なかなか忙しいから全部読めないということも理解しなくはないんですけれども、長きにわたって自立支援法のもとで応益負担だということで重い負担を求められ、そしてまた、自分たちのことを自分たちで決めたいという障害をお持ちの多くの皆さん方の願いが当時かなわなかった時代が続き、違憲訴訟を起こされた。

 違憲訴訟を起こされて基本合意を結んだというこの大きな流れについて、塩崎大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。

塩崎国務大臣 特に応益負担、いわゆる定率負担の制度の問題について主に議論が集中をしていたということはよく私も聞いておったわけでございますが、この当時は我々は野党でございましたので、必ずしも議論に直接参加していたわけではございません。

 ただ、一方で、この自立支援法そのものは、私たちも何度となく議論を自民党の中で繰り返して、その上でつくった法律であったものですから、正直、私たちは障害者の皆様方の思いを踏まえた障害者自立支援法というふうに思っておりましたし、当然のことながら、応能負担と応益負担という言葉が出てまいりましたが、私たちは、基本的には、考え方の原点はやはり能力に応じて負担をしていただくというのが社会保障においても当然のことだろうというふうに思っておりましたから、応益負担を廃止せよということで、最初は我々も応能負担で考えて一割ということを言っていたつもりでございましたから、当然御理解をいただいていくものだと思っておりましたが、そうじゃないということがだんだん、こういう形での訴訟になって、浮き彫りになってまいりました。

 それで、基本合意という形で和解が成立をしたということでありますので、私どもとしては、障害者の自立、きょうは朝から何人かの民進党の先生方からも自立という言葉が出てまいりましたけれども、ですから、思いは同じ方向で、どういうやり方をするのかという言ってみればアプローチの仕方が少し違うのかなというふうな思いで私たちは、少なくとも私は思っておりました。

 いずれにしても、追って、その合意が民主党とそれから我々自民党との間でも、公明党との間でもできた上でこの障害者総合支援法というのができたわけでございますので、いずれにいたしましても、障害者の皆さん方が社会の中で活躍していただけるように、あるいは不自由がなくなるようにするという思いは何も変わらないというふうに思っているところでございます。

岡本(充)委員 私が大臣にお伺いしたいのは、与党時代に自立支援法を改正してくれという声を聞いてみえたはずなんですね。それは二〇〇九年のいわゆる衆議院選挙の前でもこうした声はあったわけですよ。そういうときに大臣はどういうふうにお考えになられていたのか。先ほど、能力に応じて払うんだということは、やはり応能負担がふさわしいと思ってみえたのか、それとも、やはり応益負担やむなしというお考えだったのか。その辺も含め、この基本合意についての評価をお聞きしたいというふうに聞いています。

塩崎国務大臣 これは、我々がまだ与党の時代に障害者自立支援法等改正法案というのを閣法で提出いたしまして、利用者負担について、応能負担を原則にするという形で出しております。

 それは、平成二十一年の七月の衆議院の解散、これに伴って廃案になっておりまして、ですから、私たちも、もともと、さっき申し上げたとおりで、決して応益負担で、頭割りで負担をしてくれという思いで設計したものではないわけであって、それを明確にするためにこの自立支援法の改正法案というのを出して、それが二十一年七月の解散で廃案になっているわけです。

 そこのところの考え方は、さっき私が申し上げたとおり、能力に応じて負担をしていただく、その能力がどうなのかということをちゃんと見ていくということにおいて、何ら考え方は、原点は変わっていないんじゃないかなと思いましたが、応益負担ということに関して随分御批判を頂戴したことは記憶に新しいところでございます。

岡本(充)委員 いや、それは事実をかなり曲げていますよ。最後に確かに法案を出しましたよ。その前の段階はどうだったんですか。思い出してくださいよ。多くの障害者の皆さん方からどれだけ当時厚生労働省は言われたんですか。やはり紙を見て話す話じゃないですよ。

 大臣、厚生労働大臣になられたわけだから、基本合意を全部読んでくださいとは言いませんけれども、それまでの経緯だとか、この大きな転換に至らざるを得なかったその背景はやはりちょっと知っておいていただきたいですよ。

 その上で、大臣、やはり基本合意に対する自分の考え方はおありでしょう。それはお述べになっていただきたいし、そういう思いで、いや、これは質問通告をしていないわけですから、大臣の率直な思いをお聞かせいただきたいと思って、あえてこうやって議論をさせていただいています。

 そういう意味で、もう一つ、大臣、では、そこから伺いますけれども、基本合意に基づいて、二十五年八月末までに総合福祉法をつくる、こういう話になり、首相を本部長とする制度改革推進本部ができて、制度改革推進会議ができて、私の記憶が正しければ、全部で十八回、総合福祉部会を開いて、一回四時間以上の議論を、私たちを抜きにして私たちのことを決めないでくれという障害者の皆さんの切実な思いを受けて、この総合福祉部会、私も出席しましたよ、そして、いろいろな皆さんのお声、いろいろなグループに分かれてディスカッションしている、そういう場に、厚生労働省のあの大きな講堂でやっていたのを今でも覚えています。

 こうした会議を経て、平成二十三年の八月だったと思います、骨格提言ができ上がりました。この骨格提言は、大臣、お読みになられたことはありますか。

塩崎国務大臣 基本合意と同じように、概略はもちろん拝見をしております。

岡本(充)委員 これも、ページ数が百四十三ページだったかな、百四十ページを超えるぐらいのページ数ですから、それはなかなか全部読めないぐらいの量だと思います。

 しかし、やはりこれだけの思いを皆さんがまとめるに当たって、この総合福祉部会は、半数以上の方が実際に障害当事者の方だったと私は記憶をしています。

 一方で、厚生労働省で社会保障審議会障害者部会をつくって、障害者総合支援法施行三年後の見直しについて議論しています。

 部長でいいです。この中で、障害をお持ちの当事者は何割ですか。

藤井政府参考人 失礼いたしました。

 障害者部会委員が二十九名中七名と承知をしております。

岡本(充)委員 大幅に障害を持っている方が減ったんです。

 こういう実態、やはり、障害者の皆さんの声を、障害者の当事者抜きに決めないでほしいという強い願いが、今また、残念ながら、かなえられていないという状況にあるということを私は指摘せざるを得ないと思います。

 そういう意味で、もちろん読んでいただきたいとは思いますけれども、当時議論になって、もちろん、当時の民主党政権でも残念ながらこの骨格提言を一〇〇%実施できなかったという思いは残っていますけれども、可能な限りその提言を盛り込もうと必死で努力をした記憶があります。そういう意味では、私にとって大変思い入れの深い法律なんであります。

 そういった中で、当時の骨格提言後に示されたいろいろな積み残しの課題がありました。例えば、制度の谷間に落ち込むいわゆる難病の方へのサービスの提供のあり方をどうするのかとか、それから、障害の範囲についても、いわゆる医療モデルから社会モデルへ転換してほしい。医療モデルという、障害をいわゆる個人の身体や健康の問題とする考え方から、社会モデルという、適切な支援を社会が持っていないことが障害という状態をつくり出すんだ、こういう考え方に転換してほしい、こういうような思いも聞いてきました。

 大臣、ここはやはり重要なところですから、ぜひそうした過去の経緯を踏まえつつ、これからの障害者施策、それは、可能な限り、できることということしかないのも事実だと私はわかります、そういう意味で、なかなか希望のとおりにいかないこともあるでしょうが、こうした経緯をぜひ踏まえて、こうした法律改正に当たっても臨んでいただきたかったというふうに思っているところでありまして、まず冒頭、指摘をしておきたいと思います。

 その上で、こうした骨格提言を受け、そして総合福祉法、そして、さらに言えば、修正をしましたね。私も、それから、今この席に見えるほかの委員でも提出者だった方がいらっしゃいますが、こうした皆さんと修正を重ね、そして今の法律になりました。

 そういう意味では、この当時のいろいろな論点、積み残しの部分について、今回どのような改正がなされた、対応がなされたということになるのか、お答えをいただきたいと思います。部長で結構ですよ。

塩崎国務大臣 今般の見直しについては、先ほども少しお話し申し上げましたけれども、障害者総合支援法の附則に設けられた検討規定がございますが、これに基づいて行っているわけで、審議会では、御指摘のような数々の宿題、例えば意思決定支援とか、意思疎通支援であったり、それから支給決定などの課題を含めて、障害福祉制度全般にわたって御議論をいただいたというふうに理解をしております。

 それは、先ほどの骨格提言の中に入っている課題も当然のことながら議論の対象になっているわけでございますが、今般の見直しに関する審議会の報告書では、意思決定支援、これは、標準的なプロセス等に関するガイドラインを策定し普及させる。それから、意思疎通支援については、先ほどもお話が大分出ていましたが、人材の養成とか専門性の向上を図る。支給決定についても、相談支援専門員や市町村の職員など、支給決定に関連する業務に携わる方々の資質を向上しないといけないというようなことなど、多岐にわたる内容がこの審議会の報告書に入れ込まれているわけでございます。

 今後、これらの実現に向けた取り組みを順次進め、そしてまた、先ほど来申し上げているように、今回も三年後の見直しを入れているわけでありますから、今回合意ができなかったとしても、課題は当然あるわけで、いろいろな御意見をしっかりと聞きながら、そして、新たに今度導入することについても、使い勝手がどうかということもよく考えながら対応をしていくということも大事だというふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 今回できなかったからといって、では次にまた御期待をという話ではなくて、やはり、前回指摘をされているものがどうだったのか。

 例えば、私のお配りした資料の三ページ目、これは修正案を提出したときにここで私が発言をしたものでありますけれども、このとき、公明党さんも自民党さんも合意をして、たまたま私がこの提出者になったわけですけれども、修正の第一はと言っていますが、障害者等の意思決定の支援に配慮をするとともに、障害者の立場に立って支援を行うように努めるという意味では、意思決定の支援、これはどういうような検討がなされて、実際どういうふうになっていますか。部長で結構です。

藤井政府参考人 意思決定支援についてでございますけれども、昨年の審議会におきましては、日常生活や社会生活等において、障害者の意思が適切に反映された生活が送れるように、障害者の意思決定の重要性を認識した上で、まず、ガイドラインを作成して普及を図りますとともに、このようなガイドラインを活用した研修を相談支援専門員やサービス管理責任者等の研修カリキュラムの中にも位置づけるべきだ、また、障害福祉サービスの具体的なサービス内容の要素といたしまして意思決定支援が含まれるということをしっかりと明確化するべきだといったような取りまとめがなされてございます。

 厚生労働省といたしましては、こういった指摘を踏まえまして、今年度、できるだけ速やかに、意思決定支援の定義や意義、あるいは標準的なプロセス、また留意点などを取りまとめたガイドラインを策定いたしますとともに、これを活用した研修の実施等に取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 結局、現時点でまだこれはできていないわけですよね。それで、恐らく、また同じような指摘を委員会から受けることになるんです。これは繰り返しなんですよね。本当にちゃんとやらなきゃいけないことであれば、やはりちゃんとやるべきですよ。

 笑い話じゃないですけれども、私の地元のとある政党の県会議員さんが、一期四年間私は何もしなかったと言って批判をする人がいると駅の街頭でしゃべっているんです。四年間何もしなかったからといって、次の四年間何もしないとは限らないのです、こう言って演説していましたよ。それを聞いたら、みんな笑うでしょう。この三年間やらなかったからといって、次の三年間やらないとは限らないのです、こういう街頭演説しますか、皆さん。しないんですよ、本当に。同じことをやっているんですよ、これは。だから、やはりこれは、根本的にちょっとやり方を考えなきゃいけないと思いますね。

 これは、第二のところもそうですね。市町村が行う地域生活支援事業として、意思疎通支援を行う者の派遣等の便宜を供与する事業及び意思疎通支援を行う者を養成し、または派遣する事業及び意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整等の広域的な対応が必要な事業を加えるものとすることということですから、実際どういう調整を市町村間で行っていますか。また、意思疎通支援を行う者の派遣に係る事業はどのくらい実施されていますか。部長で結構です。

藤井政府参考人 意思疎通支援でございますが、その前に、先ほどの意思決定支援につきましても、この三年間何もやってまいっていないということではございませんで、先ほど御答弁申し上げましたように、まさに今回の審議会の議論の中では、意思決定支援というのがいかに重要であるかということを、関係者の皆さん、しっかり共有されて、ガイドラインというものをしっかりつくろうということで今検討しているところでございますので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、意思疎通支援事業につきましては、これは平成二十五年四月一日施行でございまして、まさにこの障害者総合支援法におきまして、それぞれ地域生活支援事業の市町村それから都道府県の必須事業として位置づけられて実施をしております。

 この地域生活支援事業は、必須事業につきまして、市町村それから都道府県の障害福祉計画に事業の見込み量等を定めて実施することとしておりまして、その結果といたしまして、各事業の実施率は、平成二十五年三月末時点から二十七年三月末時点にかけて、手話通訳者派遣は七四・七%から九三・三%、手話通訳者設置は三〇・八%から三八・四%、これはまだまだ低いところでございますが、それから要約筆記者派遣が五一・七%から七五・一%というように増加はしておるところでございます。

 また、昨年末に取りまとめられました審議会の報告書におきましては、必要な意思疎通支援者を計画的に養成すること、また、提供すべきサービス量の目標を具体的に設定すること等の見直しの方向性が示されておりますので、今後、次期障害福祉計画の策定に向けまして必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 結局、これも検討、検討なんですね。

 こうやって法改正して、当時の自民党さんも公明党さんもこれでいこうという話になり、ある意味、政権がかわっても変わらない価値観の一つだったはずですよ。

 同様に、では、もう一つ伺いますけれども、市町村及び都道府県が障害福祉計画に定める事項に、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標に関する事項並びに地域生活支援事業の種類ごとの実施に関する事項を加える。これは、実際、目標はどういう目標が掲げられ、そして、実施に関する事項はどういうものが掲げられているか、厚生労働省は把握していますか。(発言する者あり)

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 藤井障害保健福祉部長。

藤井政府参考人 地活事業の目標値につきましては、実績は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、これも先ほど申し上げたところの繰り返しになりますが、審議会の報告書の中では、意思疎通支援者、スタッフを計画的に養成するということ、また、提供すべきサービス量の目標を設定するということがまさに見直しの方向性として示されたというところでございますので、次の障害福祉計画の策定に向けて検討を行っていきたいと考えております。

岡本(充)委員 部長、これは議事録に残して言うべきかどうかとも思いますけれども、正直言って、これは紙をコピーして渡していますからね。この私の、修正案の提出のときの、この実施の状況について聞きますよとちゃんと言ってきのう聞いていますから、ぜひそこはちゃんとお答えください。

 私が聞いているのは、市町村及び都道府県が障害福祉計画を定める事項に追加をされる事項、目標値、こういうものについて厚生労働省としてちゃんと行われているか把握をしていますか、どういう状況ですか、それを聞いています。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 藤井障害保健福祉部長。

藤井政府参考人 失礼いたしました。

 お答えできるところでお答えさせていただきますが、各県の計画における目標値につきましては、私どもも基本指針でいろいろな目標値を示しておりますけれども、例えば施設入所者の地域生活への移行の目標値でございますとか、あるいは福祉施設から一般就労への移行の目標値でありますとか、そういったものにつきましては、各県の目標値を集めまして集計をしてございますが、お尋ねの地域生活支援事業についてのいろいろな目標値につきましては、私ども、必ずしも情報を収集して集計をしていない、そういう状況でございます。

岡本(充)委員 私、さらっと聞いて、ここから言いたかったんですよ。そこまではきのうの段階で、質問取りに来られている方と私、議論したんですよ。市町村、都道府県、把握していないとそこで話を聞いているんです、私。それを踏まえて、これを言いたくて、把握していませんと、これだけ答えてもらえればよかったんです。

 把握していないんですよ。それで、何で把握していないんだときのう議論したんですよ。やはり、これから先、いろいろ地域生活支援事業をやっていくのに当たって、いい事例、どういう目標値で、どういう先進事例があるか、どういうことがあるか、それぞれの好事例、それから不適切事例と言うべきでしょうか、そういう事例をきちっと収集してフィードバックしていくべきだと私は思うんですね、大臣。

 やはり、私は、今の、ちょっと質疑が中断しましたけれども、前段の部分も含めてお聞きいただいていたと思いますから、しっかり厚生労働省で把握するように、大臣、指導してください。

塩崎国務大臣 おっしゃるとおり、基礎自治体、市町村によって、非常に進んでいるところと、必ずしも新しいことはやっていらっしゃらないところとのばらつきが大きいことは事実なので、そうすると、どうやってレベルの高いところに合わせるかというと、やはり、先進的なところをみんなに知ってもらうということで、よく好事例の横展開と言いますけれども、それは、少なくとも、情報収集をして、そして周知をして、こういう方向で皆さんもやってはいかがですかということは厚労省としても言っていくべきだというふうに思います。

岡本(充)委員 ぜひお願いします。

 それと、やはり、きのうもらった資料で、きょうはつけませんでしたけれども、都道府県、サービス別で見た請求事業所数というのを、一覧表をもらったんです。いや、つけていませんから手元にないと思います。またぜひ事務方からもらって見てください。

 それで、先ほど中根議員が指摘をしていました重度障害者等包括支援なんかは、もうほとんどの都道府県が請求事業所ゼロなんですよ。もう本当にちらほら、一かゼロか、最も多いのが長野県で四ですかね。こういうような状況です。

 そういう、項目があっても請求する事業所がない都道府県もあるし、もっと、それ以外でも、例えば地域移行支援、地域定着支援なんかもかなり数が少なくて、一桁ですよ、多くの都道府県が。こういうばらつき、それから、メニューがせっかく用意されていても、障害を持たれる皆さん方がそのサービスを受けたいと思っても、その都道府県で受けられないというこの格差、これをやはり厚生労働省としてどうならしていくか、これは課題だと思います。あわせて、ぜひ検討をお願いしたいと思います。いかがですか。

塩崎国務大臣 今回のこの障害者の法律の次に児童福祉法の審議をお願いしたいと私は思っていますが、それも同じような問題があって、かなりばらつきがあります。

 厚生労働省は、この法律を所管する以上は、やはり一定程度のレベルを統一するということに関してはやっていくべきでありますので、みんなそれぞれアイデアを出して、市町村長の皆さん方が頑張っているわけでありまして、そういう人たちのいい例を他のところにもちゃんとお知らせをして、いいものを選んでいただいて、御自分のまた味を出していただくということをやっていくためには、やはり厚労省として情報共有をお手伝いするというのは、当然やっていった方がいいというふうに思います。

岡本(充)委員 ぜひお願いしたいと思います、次に向けての課題だと思いますので。

 その上で、もう一つ。きのう事務方の人が来られて大分ディスカッションしたんですけれども、いろいろな福祉サービスの原則無料を求める声が結構あるんですね。原則自己負担無料を求める声がある。こういう自己負担無料を求める声があるんですが、これに応えていくためには、やはり、どういう負担でどういうサービスを受けて、どういうような方がどのぐらいの負担をしてみえるのか、それで、その方はまさに自分の居場所と出番を得るためにどういうふうなサービスを必要としているのかというような、個別のとは言いませんけれども、より人間味のあるデータが欲しいなという話をしました。

 既に厚生労働省からいただいている、所得区分を一般一、一般二で横切りにしたいわゆる利用者負担額、平成二十七年十二月は一般二が一・三億円で、一般一が二・一億円だったという数字はもらいましたけれども、これでは、やはりその人たちの、実際負担をされている方のサービスの必要性とその状況がよくわかりません。そういう意味で、これも、次に向けて、原則無料を求める声、私のところにも来ています、そういう皆さんにもやはりお応えをしていくためにも調べるべきだと思います。

 それからもう一つ。障害福祉サービス等経営実態調査の結果の概要というのをいただきましたが、概要ですから、どれだけ収支差率があるのかという数字だけがずらずらと並んだものでした。しかし、これも規模別に大分違ってくると思います。規模が違うとその収支差の持つ意味が違うんです、パーセンテージではわからない、金額が出てきますから。そういう意味で、これももう少しつぶさに調べて、やはり小規模な事業者さんが地域で数多くサービスを展開できる、こういう環境をつくるためにも、次に向けての調べなきゃいけないテーマだと私は思います。そういう意味で、データが今ないのはわかっていますけれども、もう少しつぶさに調べていただきたい。

 これについて、二点、どちらでもいいです、お答えいただければ。

藤井政府参考人 御指摘を踏まえまして、特に経営実態調査につきましては、当然のことでございますけれども、次期報酬改定のまたベースになる資料ということにもなりますので、できるだけきめ細かい把握ができるような調査をいたしたいと思っております。

岡本(充)委員 あわせて、次への課題のもう一つ、これは診療報酬にもかかわるんですけれども、いわゆる地域区分による加算の級地の問題ですね。

 皆さんの手元にも、東京の西部、それから愛知県を示しました。

 例えば愛知県なんかは、名古屋市のすぐ隣の大治町は、三級地の名古屋市と、そしてその周辺、それぞれ加算のある級地に囲まれていますが、国の官公署がないという理由で、そして、二カ所以上の官公署のある地域と接していないという理由で、ここは落ちているんですね。ゼロ%なんです。同様に、稲沢市、これはこの四月からの診療報酬改定で、同様に官公署が、これまで法務局がありましたけれども、法務局が一宮市に行ってしまった結果、例えばここでも、周りの市町村はみんな加算があるのに、ここだけすぽっと抜ける。

 ここだけ突然物価が安くなるわけではありませんから、今後は、市町村合併やさまざまな国の機関が統合されていくわけでありますから、これはやはりちょっと見方を考えていってもらわないといけない。

 一方で、ほかの市町村を言うわけではありませんけれども、豊田市なんかは、合併して物すごく大きくなると、長野県に接しているところも含めて全部これは三級地で、名古屋市と同じ加算ということになるわけですね。

 ちょっとやはり、今の市町村合併とそれから官公署の統合の流れから若干取り残されているのかな、古い制度のままかなという気がします。これもぜひ見直しを、大臣、これは保険局も老健局もかかわることですから、ちょっと御検討いただけませんか。

塩崎国務大臣 この問題については、保育もそうでありますが、さまざまなところで、特に大都市の近辺ではいろいろな形の、今言ったような官公署があるかないか、急になくなったりすると全然違うみたいなことで、やはり生活実態とか暮らしの実態、あるいはコスト構造に見合ったものにするというのが原則だろうというふうに思いますので、いろいろな方々の御意見を聞いて、今おっしゃったように、診療報酬にもはねることでもございますから、しっかりこれは検討した方がいいというふうに私も思っております。

岡本(充)委員 よろしくお願いします。

 それでは、きょうは文科省にもお越しいただいています。

 資料では五ページ以降、特別支援学校に通う生徒さん、もしくは特別支援学校を含めて義務教育自体を免除、猶予されている子供さんがいらっしゃると聞きました。その線引きは一体どこなのかということをきのう随分ぎりぎりやったんですけれども、結局、明確な指針がない。その場その場で個別ケースでの判断みたいになっているから、逆に言えば、通いたいけれども通えない、もしくは、通わすのは無理だと親が思うけれども通わせなさいと学校から言われる、こういうギャップが出てきているんだと思います。

 すぐにはできないかもしれませんが、さまざまな皆さんの御意見を聞きながら、もう少し、幾ら何でも、余りにも今の判断基準はざくっとし過ぎていると思います。そういう意味で、もう少し丁寧な指針をつくられる考えはおありかどうか、まずお聞きをしたいと思います。

浅田政府参考人 学校教育法の第十八条で、学齢児童または学齢生徒のうち、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村の教育委員会は、就学義務を猶予または免除することができるとされております。

 ここで言う病弱、発育不完全については、特別支援学校における教育に耐えることができない程度のものと解されておりまして、具体的には、文部科学省の通知において、治療または生命、健康の維持のため療養に専念することを必要とし、教育を受けることが困難または不可能な者が該当すると示しているところでございます。

 そういう通知はございますけれども、現状では、それ以上の詳しい基準は定めていないところでございます。

 御指摘のありましたように、ガイドラインのようなものをつくってはどうかということでございますが、実際の就学義務の免除、猶予については、児童生徒の障害の状態であるとか、あるいは教育を受けることが可能かどうかといったことを、一人一人の子供についてきめ細かく見て判断するということが必要になってまいります。したがって、そこの判断というのは、市町村の教育委員会の責任において御判断いただくのが適切であろうと考えているところでございます。

岡本(充)委員 最終決定はそれでいいんですよ。ただ、大枠、考え方、これはもっと示すべきじゃないですか。個別具体にといって小さな市町村の教育委員会に投げられても、なかなか、医学的な見地から、例えば、情報収集するのは難しい、こういうところもあるんですよ。もっと大枠を示すべきだということで、検討されてはいかがですかと言っているんですが、検討もされないということですか。

浅田政府参考人 少なくとも、現状においては、率直に言って検討はしておりません。

 今後の検討課題かとは思いますけれども、さっき申し上げたように、こういうケースについては、やはり具体的に一人一人の状況を一番きめ細かく見ることのできる立場にあるところで御判断いただくというのが最もいいのではないかなと。その意味では、国として一律のガイドラインを作成するということはなかなか難しいのかなと思っております。

岡本(充)委員 いや、一律と言っているわけじゃないです。

 きょうはせっかく義家さんにも来ていただいていますから、答えてください。

 私が言っているのは、一律と言っているわけじゃないです、大きな枠組み。例えば脳波の状況を見て決めるでもいいでしょう。それは例ですよ。何か例を示して、やはり、こういうような事例ではなかなか難しいでしょうというケースを示すなりしないと、これは、訴訟になったり、結局、最終的に学校とトラブルになったら、保護者も大変だし、学校もそれに対応しなきゃいけないという話になります。

 もう少しいろいろな皆さんの知見を集めて、ざくっとした、そんな個別のことを決めろと私は言っているわけじゃないんです、方向性を示すこと、検討ぐらいされたらどうですか。

義家副大臣 ちょっと繰り返しになりますけれども、猶予または免除についての大枠のガイドライン、治療または生命、健康の維持のために療養に専念することを必要とし、教育を受けることが困難または不可能な者についてという大枠はあるわけですが、委員がよくよくわかっておっしゃっているとおり、障害は一つとして同じものがないわけでありまして、どこかに細かな線を引いたときに、その線とちょっとでもずれたところに対してどうするのかという問題がまず一つあります。

 その上で、現在、就学免除、これは障害だけではなくて、不登校、十二万人いますけれども、あらゆるところでその理由をしっかりと勘案して免除しているというケース、これが一般的でございますので、百人いたら百人違う障害に対して、設置者がきちっと見詰めた上で判断していくことが適切であるというふうには思っております。また、その結果によって問題が発生しているとしたら、その問題についてしっかりと受けとめた上で、議論、検討はしていきたいと思っております。

岡本(充)委員 そういう対応だと、なかなか現場の市町村の教育委員会もお困りだと思いますよ。それはなかなか難しい。大きな方針というか、事例の提示なり、そういうものがないと、これは、やはり小さな市町村の教育委員会で議論をしてくれというのは本当に酷な話だと思います。ぜひとも検討していただきたいものと思います。

 その上で、こうした、学校に通う、通学支援も私はよく受ける御相談です。こうした皆さん方の通学支援、なかなか個別に、通学支援はどういうふうにしているのと言ったら、きのう説明に来られた役所の方は、ガソリン代を払っていますと言いました。ガソリン代の問題じゃないんですよね、これは。非常に、それこそ個別のケースに応じた通学支援の方法がある、それをやはりつぶさに見て支援していくべきじゃないかと思いますよ。

 そういう意味で、ガソリン代を払っていますということで終わらせるのではなく、福祉タクシーの利用の支援だとか、それから、もしくは保護者の皆さん方の負担軽減につながるようなサービス提供のあり方、これも検討されてはいかがでしょうか。

義家副大臣 障害のある児童生徒等が特別支援学校に就学するに当たっては、保護者の経済的負担の軽減策として、その負担能力の程度に応じて、就学のために必要な経費について、国が経費の一部を特別支援教育就学奨励費として負担しているところであります。

 具体的に申し上げますと、電車、バス等の公共交通機関の運賃、公共交通機関が利用できない場合のタクシーの利用料、学校長が保護者が車で送迎することを認めた場合におけるガソリン代等は、本経費を活用することは可能であります。同時に、今御指摘があった、介護タクシーを使用する場合には、運行に係る利用料については対象になります。一方で、介助者の人件費は現時点では対象となっておりません。

 どういうふうに応援していくのかということも含めて、これは検討させていただきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 ぜひお願いします。

 それから、学校内での支援ということで、看護師を配置するための予算をつけましたということで、その資料をいただいたから、きょうも皆様のお手元に、六ページ目、これは文科省からもらった資料ですけれども、つけました。

 必ずしも看護職である必要はなく、研修を受けた教師もこうした一部の医療的ケアができるようになってきているとは承知をしていますが、まだまだ研修を受けている教師の数が少なくて、現場でやはりニーズがあると聞いています。

 もう少しこれは、さまざまな医療的ケア、幅も広げていく必要がありましょうし、数もふやしていく必要性があると思います。これについて、どのように促進策をとるのか、お答えください。

義家副大臣 医療的ケアを必要とする幼児児童生徒が増加傾向にある中で、教育環境の充実を図ることは極めて重要であるというふうに認識しております。

 このため、文部科学省といたしましては、医療的ケアを行う看護師の配置に必要な経費を特別支援学校について補助してきたところであります。小中学校にも今年度から拡大いたしまして、予算積算上の人数を三百二十九名から一千名に拡充したところであり、今後も努めてまいりたいと思っております。

 同時に、例えば、特別支援学校における教諭の特別支援の免許状を持っている割合、これは一気に上げてきておりますが、現在でも八割という形でありまして、研修等、それから、免許をしっかりと保持していく、これは一〇〇%を目指してしっかりと進めてまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 できる医療的ケアの範囲もぜひ相談してくださいという趣旨で聞いているんです。

 厚労省としても、ぜひこうしたことに協力していただきたいと思いますが、大臣、どうでしょう。

塩崎国務大臣 当然、これは、医療的ケアが必要な子供さんのために配慮をしていくということは大事でありますから、厚労省としても、これについては協力をしてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひよろしくお願いします。

 そして、最後に、雇用の話を少ししたいと思います。障害者雇用の話。

 障害者雇用の好事例を収集すること、これは重要だと思うんですね。実際にどういう好事例を収集し、どう展開をしていくか、どのような工夫をされているのか、お答えいただきたいと思います。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、障害者雇用の好事例を把握いたしまして、普及していくということは、障害者雇用を促進していく上で重要であると考えてございます。また、本年四月に施行されました改正障害者雇用促進法に基づきまして、全ての事業主は、雇用する障害のある方に対して、本人の能力の有効な発揮などのために合理的配慮の措置を講じることとされてございます。

 この法律の施行に当たりましては、特例子会社を含みます各企業における合理的配慮の好事例を全国のハローワークから収集いたしまして、昨年六月に事例集として取りまとめました。厚生労働省のホームページにおいて公表するとともに、都道府県労働局が実施いたします事業主向け説明会等で活用してございます。

 さらに、独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営いたします障害者雇用事例リファレンスサービスにおきまして、特例子会社を含む各企業における障害者雇用のモデル事例や合理的な配慮事例を公開してございます。

岡本(充)委員 好事例、やはりしっかり展開していっていただきたい。

 一方で、いわゆる法定雇用率を満たしていない企業をどうやって公表して、ペナルティーを与えていくかという話でありますけれども、これは流れ図をいただきました。

 八ページからあるわけですけれども、昨年はたしか八件、平成二十六年度のいわゆる障害者雇用の未達成企業、公表されたところでありますが、未達成であった場合、この八ページの右側ですけれども、公表されて、二回目の雇い入れ計画をつくって、二回目の雇い入れ計画の実施期間の間に多少なりとも雇用が進んでくれば、改善があるとみなされて、結果として、これは公表されない、そういうことでいいんですか。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 毎年六月一日時点で障害者雇用の実態報告をいただいておりますので、今御指摘のとおり、第二回目の計画途中でそれが達成されてきますと、公表されないということは当然ございます。

岡本(充)委員 でも、第二回目で多少なりともと言っているんです。多少なりとも雇われればそれでいいという理解なんですか。それとも、達成しなければだめという理解なんですか。それは、判断をするのは二回目の雇い入れ計画満了のときなんですか。いつこれは判断するんですか。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 先に、基準でございますけれども、達成ではなくて、全国平均未満ではないということになりますと公表はされないということになります。

 それから、今御紹介いただきました、それぞれ一回目、二回目ございますけれども、今提出いただきました、一回目の、例えば、二十七年三月に公表されることはあるわけでございますけれども、二回目の計画の途中で、先ほど言いました、平均以上の達成がされておりますと、公表されないということになります。

岡本(充)委員 だから、平均までいかなくても、それに近いところまでいけば公表しないんですよね。

広畑政府参考人 そのとおりでございます。

渡辺委員長 許可を受けてからしゃべってください。勝手にしゃべらないでください。

岡本(充)委員 はい、済みません。残り時間が短くなったので、ちょっと急いでしまいました。

 これは、大臣、平均の雇用率まで達しなくても、多少雇い入れが進めば公表しないという仕組みになっているという問題点、二回目がね。

 もう一つは、二回目が、これは計画期間が一年以上の期間がありますから、実は、前年公表された企業が翌年公表されるかというと、翌年は実はまだ二回目の雇い入れ計画実施期間に当たるわけですから、結果としてことしはゼロでしたという三月末時点での発表は、実は、昨年八件あったのが改善してゼロになったのかどうかははっきりしないんですよ、これは。

 もう一つの問題点は、六月一日時点での雇用状況です。労福機構の問題がありました、覚えてみえると思います。あのときもそうでしたけれども、六月一日だけぴょんと超えれば、これはオーケーなわけですよね。

 そういう意味で、この公表のあり方、それから再公表のあり方、そして公表する基準のあり方、私はいずれも煮詰まっていないと思います。もう一度しっかり煮詰めてもらうように、大臣、最後に決意をお答えいただいて、終わりたいと思います。

塩崎国務大臣 大事なことは、実質的に障害者の雇用が進むということが大事なので、その観点から、こういったことについては見直しをしていくべきだというふうに思います。

岡本(充)委員 終わります。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 四月十九日の本会議で、私は、そもそも本法案の成り立ちについて指摘をいたしました。

 六年前、全国十四カ所、原告七十一名による障害者自立支援法違憲訴訟が、基本合意をもって国と和解、終結したことが出発点だったはずです。

 そこでは、本来、応益負担を原則とする障害者自立支援法を廃止して、新しい総合福祉法をつくるはずではなかったのか。そして、そのために、当事者参加で精力的に議論した障がい者制度改革推進会議総合福祉部会による骨格提言の全面具体化こそ求められていたはずです。

 塩崎大臣は、答弁で、「制度改革推進本部等の議論を踏まえ、」障害者総合支援法が制定されたと述べて、「基本合意は、障害のある方を初め当事者の皆様の思いが込められたものであるとの認識は変わりません。」と答えました。

 私は、この「踏まえ、」それから、「思いが込められた」、こういう認識でよいのかと思ったわけです。

 大臣に伺います。

 総合支援法の制定によって、約束どおり、自立支援法は廃止したと考えているのか、もう一つ、基本合意と骨格提言については、政権がかわったから約束は守らなくてもよいと考えているのか、お願いします。

塩崎国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、民主党政権下におきまして、平成二十二年に、自立支援法を廃止すること等を内容といたします基本合意が行われたわけでございます。そして、そこで障害者自立支援法の廃止ということがうたわれていたと承知をしております。

 その後、成立をいたしました障害者総合支援法、これは、制度の継続性を踏まえて、障害者自立支援法の骨格を残しつつ、関係者が協力、理解し合える内容として改正が行われたものと認識をしているわけでございます。

 先ほどお話が出ましたが、基本合意と骨格提言に関する私の認識は、障害のある方を初め関係者の思いが込められたものであるという認識は変わっておらないところでございます。

高橋(千)委員 廃止はうたわれたということは認識しているけれども、これで廃止したと思ってはいないということだと思いますよね。今の答弁はそういう意味だと思います。

 民主党政権のときの大臣の答弁は、名前が変わったしと。本当はこちらに質問したいことがいっぱいあるんですが、残念ながらきょうは与党はこちらですので、そこは大変抑えております。

 ただし、先ほど岡本委員が指摘をした平成二十四年の四月十八日、たった三時間でつなぎ法案を通したんです。そのときに、自民党の提案者は、修正案の提案者は田村元厚生労働大臣でございました。骨格提言、応益負担の仕組みを撤回したのかということに対して、答えられませんでした。撤回ということをお認めにならなかった。

 ですから、結局、廃止を目指しているんですとおっしゃった民主党さんと、骨格を残しているんですという自民党さんの、今の答弁もそうでした、それが何で一本化できるんですかということを私は指摘したんです。それをたった三時間で質疑をして、三党で修正して、これでいいのかということを、怒りを込めて反対の討論をしたことを今改めて言っておかなきゃいけないなと思うわけであります。

 やはり、今大臣が言ったように、当事者の皆様の思いが込められたものであるという認識に変わりはない。でも、これは思いが込められたというだけの話じゃないんですよ。裁判を通して、文書で、国と訴訟団が正式に約束したものです。もっと言えば、これがなければ取り下げをしなかったんじゃないでしょうか。その重みがわかっているんでしょうか。「骨格提言の内容を含め、」と本会議で答弁されました。これは、はなから全面実施をする気がないとしか受け取れません。

 事実、本会議でも紹介しましたけれども、ことし二月に滋賀県大津市で行ったアメニティーフォーラム、初鹿さんも参加されています、中島さんも参加をされていますが、そのときに、本法案の土台をつくった社保審の障害者部会の委員の一人がこういうことを言い放ったんですね。自立支援法を廃止するという合意は、社保審の障害者部会で議論があったら逃げようと思っていた、幸い突っ込まれなかったと大変正直におっしゃいました。それで、基本合意は現在では法的な効力はない、総合支援法をつくったし政権交代しているので、和解に縛られる必要はない、ここまでおっしゃった。

 まさかこんな考えではないと、大臣、確認させてください。

塩崎国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおり、基本合意、すなわち和解が二十二年に行われて、その中で障害者自立支援法を廃止するということが入っていることはよく承知をしているところでございます。その後に、さまざまな議論があって、骨格提言が出てまいりました。さらに、その後に議論が重ねられて、障害者総合支援法が、制度の継続性を踏まえて、さっき申し上げたように、障害者自立支援法の骨格を残しながら、関係者が協力そして理解し合える内容として改正が合意のもとに行われたということを理解しているわけであります。

 先ほど申し上げたとおり、基本合意と骨格提言は障害のある方を初め関係者の思いが込められたものであるという私どもの認識は変わらないというふうに申し上げたとおりでございます。

高橋(千)委員 昨日の参考人質疑でも、総合福祉部会の部会長だった佐藤久夫先生は、当時の大臣の、民主党政権のときの大臣の小宮山大臣ですけれども、答弁も引きながら、直ちに手を打つところ、一遍にできないところは三年後の見直しで、そういう提案だったということに理解を示しているんですね。だから、向かってほしいという思いを込めているんです。裏切られたという思いを持ちつつも、そこを忘れてはならない。

 今の法案を個々に見れば、前進しているところは確かにあります。障害者権利条約批准という重要な局面を経て、全体としては、全体としてはというのは、障害者施策全体としては前進している、このことも、誰も否定はしておりません。

 障害者権利条約の第一回政府報告案には、「日本政府としては、条約の実施については不断の努力が必要であるとの認識」である、こう書いてある。これは何か憲法のような、大変高い理想を掲げていると思うんですが、その中で、「障害当事者・関係者の方からの意見を求めながら、今後政策を実施していきたい。」と書いてあります。

 そこで伺いますが、政府案の提出の見通しはどうか。そして、政府報告案は、今後の取り組みについての書き込みが不足しているという指摘がございます。不断の努力との認識に立てば、今回の見直しでなお不十分な点に、さらにさらに取り組んでいくという立場であるということを確認したい。

藤井政府参考人 障害者権利条約の政府報告案についてのお尋ねでございます。

 本年一月十五日から二月十三日の期間に実施をいたしました障害者権利条約政府報告についてのパブリックコメントにつきましては、四月に結果が公表されたところでございます。

 今後、外務省におきまして、パブリックコメントでいただいた関係者からの意見を踏まえつつ、英訳作業も含めまして、できる限り早期に提出できるように取り組んでいくものと聞いてございます。

 今回の見直しに当たりましては、審議会において、当事者の団体を含む計四十五の団体からのヒアリングを行うとともに、四月から十二月にかけまして計十九回にわたって審議を行ってきたところでございますが、今後におきましても、今般の改正法案の施行状況等を踏まえつつ、当事者あるいは関係団体の意見を丁寧に伺いながら、障害福祉制度について、また必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 だんだん声が小さくなっていくので、大変心配して聞いておりましたけれども。

 先ほど、岡本委員が、基本合意を読みましたかという質問を大臣にされました。基本合意そのものは大変短いですから、これは全部読んだ方がいいと思うんですが、最初のところに、こう書いてあるんですよね。

 障害者自立支援法違憲訴訟の原告ら七十一名は、国(厚生労働省)と書いてある、による話し合い解決の呼びかけに応じ、これまで協議を重ねてきたが、今般、本訴訟を提起した目的、意義に照らし、国がその趣旨を理解し、今後の障害福祉施策を、障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くすことを約束したために、次のとおり、基本合意に至ったものである。

 ですから、幾ら検討を重ねても、違憲だ、憲法違反だと、生きていくことを利益だといって応益負担にした、そうしたことを訴えられたその趣旨をやはり理解していなければ、結局生きてこないわけですから、そのことを重ねて指摘したいと思うんです。

 それが、実際にこの法案の中でも、まだまだ課題が残っていると言っていて、ちょっと具体の話に進めていきたいと思います。

 まず、介護の優先原則について、一番指摘をされている問題です。

 六十五歳になったら介護保険が優先される原則が、より明確にされました。昨年十一月のNPO法人日本障害者センターの調査、これは資料の一枚目にあります、ごらんになっていただきたいと思うんですが、六十五歳を過ぎると、切りかえ手続が完了していなくても障害福祉サービスを打ち切る自治体が、少なくとも百三十四あるという結果が出ております。現実に裁判も起こっているわけです。

 国は、二〇〇七年から、障害福祉にしかできないサービスについては継続できるんだという通知も重ねて出してきたわけですが、何でこういう実態なんでしょうか。今後はどのようにしていくんでしょうか。

藤井政府参考人 厚生労働省といたしましても、利用者が要介護認定等の申請勧奨に応じないような場合に、障害福祉サービスの利用申請を却下する、そういう自治体が複数あるということは、自治体に対する調査を通じて把握をしているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、平成二十七年、昨年でございますが、二月に事務連絡を発出いたしまして、要介護認定等の申請を行わない障害者に対しては、申請をしない理由や事情を十分に聞き取るとともに、継続して制度の説明を行い、申請について理解を得られるよう働きかけることと周知をしたところでございます。

 今般の見直しの施行に当たりましても、また通知を発出することとしておりますので、改めてこのような考え方の周知に努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 この記事は、昨年の十二月十一日付の毎日新聞夕刊で書かれているわけですけれども、本体を見ますと、全国七百七十市と東京二十三区に発送して、五百六の区市から返答いただいて、その名前を公表しないということで正直ベースで書いていただいているわけですね。

 そうすると、要介護度五のみを認めているとか、独自の厳しい基準を決めているところが二八%、いわゆるローカルルールになっている問題が明らかになった。それから、自治体が介護保険への移行前に上乗せとか横出しなどができるんだという情報提供をしていない、これが四二%にもなっているわけなんです。

 それで、介護保険は申請主義ですから、申請しなければサービスは受けられません。だけれども、障害福祉は六十五歳になったら一方的に打ち切る、あるいは下手すれば強制移行、こんなことは絶対あってはならない。これは重ねて確認いたします。

塩崎国務大臣 厚生労働省としても、自治体に対する調査を通じて、今先生御指摘になったような自治体があることは把握をしているわけでございます。

 このため、調査結果を踏まえて、市町村において障害福祉サービスを上乗せする場合の基準を設けている場合であっても、当該基準によって一律に判断するのではなくて、介護保険サービスでは十分な支援が受けられない場合は、障害福祉サービスを上乗せして支給すること、介護保険制度との併給が可能であることを、障害福祉サービスを利用される方々などに案内を行うことを求める事務連絡を既に発出しているところでございます。

 今般の見直しの施行に当たっても、制度の適切な運用がなされるように、市町村にこのような内容を改めて周知徹底してまいりたいと思っておりまして、今回の改正の趣旨もしっかりと地方公共団体に理解をしてもらいたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 私は、先ほど中根委員も指摘されたと思いますが、七条を削除するべきだと。そういう紛らわしいことを、通達を出して徹底するとか、でもできていないところがあるねというのではなくて、そもそも削除するべきだ、このように指摘をしたいと思います。

 その上で伺いますけれども、高齢障害者が介護保険に移行できるためにということで、障害福祉事業所が介護事業所の事業もできるようにする、そのために要件緩和を行うと言っていますね。具体的にどのようなことを考えていらっしゃるのか。

藤井政府参考人 今般、障害の事業所が介護の事業所になりやすくするために、例えば、双方の人員や設備の基準につきまして、両者を可能な限り合わせる、整合をとるというような、そういった見直しを行うこととしてございます。

 基準の見直しの詳細につきましては今後検討することとなってまいりますけれども、障害の事業所が、できる限り相当する介護保険サービスに係る介護の事業所となれますように、事業所の状況等を踏まえながら具体的に検討してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 全然意味がわからないですね。整合させるというのは何ですか。

藤井政府参考人 検討の一つの切り口、流れといたしましては、今、制度の中に基準該当というような仕組みがございます。それぞれの、例えば障害者総合支援法の生活介護に相当する介護保険のサービスと申しますと介護保険法のデイサービスでございますけれども、両方の基準がそろうといいますか、もっと整合性がとれていけば、基準該当に該当して、障害の事業所が、介護の事業所の指定を受けなくても、基準該当として、いわば、みなしの介護事業所というような格好で介護保険の適用を受けることができる、そういった仕組みがございますので、そういったものを活用しながら、両方の基準を整合性がとれるようにしてまいりたい、そういうことでございます。

高橋(千)委員 まだよくわからないですが、多分、似たことをやっているからそれを読みかえるという、そういう意味じゃないかなと。ばくっと言って、そういう意味だと思うんです。

 とにかく、そこまでしても介護保険優先原則を貫きたい、そういうことの仕組みじゃないかなと思うんですね。

 それからもう一つ、本会議の質問の中で、そうはいっても、介護に移ると利用料が一割負担になるということが大きな問題になっているわけですけれども、それの補助をするからいいんだと言っている。その対象になる人はどのくらいいますかと言ったときに、三万人と大臣が答えておりますが、この根拠を伺いたいと思います。実際に、六十五歳以上の障害福祉利用者が何人くらいいて、対象となるのが何人なのか。また、それによる財政影響額を伺いたい。

藤井政府参考人 六十五歳までに相当する障害福祉サービスを利用していた障害のある方につきましては、六十五歳以前から障害福祉サービスを利用していた方の利用実績等から推計をいたしまして、平成三十年の制度施行時点におきまして約六万人と見込んでおります。

 その上で、本会議で出てまいりました対象となる約三万人と申しますのは、その六万人の中で、今回の軽減措置により介護保険の利用者負担が軽減をされる、障害福祉サービスを五年以上利用すること等の一定の要件の仮定を置くことで、その仮定に該当するような方について推計を行ったものでございます。

 また、利用者負担軽減の財政影響の所要額につきましては、対象となる方が介護保険制度をどれぐらい利用されるか等々によりまして変わり得るものでございますので、率直に申しまして、財政面の影響がどのようになるかというのを論じるのは難しゅうございますが、負担軽減の対象者を約三万人として一定の仮定のもとに単純に推計をすれば、国費ベースで約二十億円強、そんな感じかなというふうに考えております。

高橋(千)委員 言いにくいかもしれないけれども、部長の答弁が時間がかかり過ぎます、もう少し簡潔におっしゃっていただきたいと思います。

 資料の二枚目に「六十五歳以上の障害福祉サービス利用者の支援区分別人数について」というのを、一番新しいのを出しておきました。国保連データ。トータルすると八万三千七十二人いるんですが、支援区分に該当しない方、なしの方一万六千九百四十一人と区分一を除くと大体六万ちょっとになるのかな、そういうところから計算しているのかなと思っているんですが、そうはいったって、二十億円ということで、何も分ける必要はないなというふうにまず誰もが思ったのではないか、あと、四十億円になればいいだけだなということをまず指摘しておきたい。

 その上で、もう少し伺いますけれども、障害福祉の居宅介護のサービスを受けていた千葉県の天海さんは、昨年七月、六十五歳になる直前に市から介護保険を申請するように言われ、自分は介護保険の対象者ではないと断り、障害福祉サービスの継続を申請している、だけれども、これを認めず、却下されて、やむなく自費でヘルパーを依頼して、十四万円もの出費をせざるを得なくなった。

 この方は裁判に出たわけですけれども、やはり、おっしゃっているのは、六十五歳になったからといって急に身体状態が変わったわけじゃない、あるいは生活環境も変わっていない、なぜ介護保険に移行されるのか納得がいかないと主張しているんです。

 さっき、移行する事業所を、障害福祉の事業所が介護の看板もつけられる、みなすんだよという話があったわけですけれども、やはりさっきのアンケートの中にも出てくるんですけれども、自治体が何でそういうふうにするかというときに、介護とついているとか、似た名前だから、介護のサービスでも構わないじゃん、国がもともと優先と言っているんだし、そういう答えがあったんですね。やはり、そこははっきりさせておきたいと思うんです。

 それから、何で五年以上なのかということも、六十五歳を過ぎてから初めて障害者になる方もいらっしゃる、その方は、もともと介護保険優先原則が厳しく出るわけなんですよね。だけれども、六十五歳を過ぎてからなった人が、高齢のためだけではない、当然、何らかの要因があって障害者になるということはあるわけですよね、そういうことが、厳しく、なかなか認められない。そのときに、やはりサービスの違いを認めていないんだろうなと思うんですね。

 目的も内容も違うんだ、先ほど来議論されていますが、障害福祉はやはり社会参加を目指しているんだから、当然違うんだ、そして、サービス量にもともと上限がある介護とではまるでサービスの組み方も違う、言ってみれば、オーダーメードの支援をつくることができる障害とは全く違うんだ、その認識が共有できるでしょうか。

藤井政府参考人 議員御指摘のように、障害福祉制度には、同行援護など介護保険サービスに相当するものがないような障害福祉固有のサービスがございますし、また、介護保険制度では、保険で使えるサービスに上限額が設定されている等、両制度に違いがあることは、もちろん、私ども認識をしてございます。

 ただ、一方、両制度におきましては、それぞれの制度の対象者が尊厳を持って日常生活を営むことができるように支援を行うといったような目的ですとか、あるいは、ホームヘルプ等、サービスの内容や機能面でお互いに相当するサービスがあるなど、共通するところもあるわけでございます。

 審議会におきましても、障害福祉制度と介護保険制度とはその趣旨、目的が異なるといったような御意見もございましたけれども、一方で、両制度の関係はやはり共生社会の実現の観点から検討すべきだという意見もございました。

 このように、私ども、両制度ないし両制度の関係につきましてはさまざまな御意見があると認識をしております。

高橋(千)委員 改めて大臣に伺います。

 わざわざ要件を緩和して、障害福祉事業所に介護の看板をつけさせて、両方やっていることになっていますとか、補助まで出して、利用者負担がなかった人が出るようになったら、条件がある人には補助を出します、そこまでしてなぜ介護保険優先原則を貫くのか、いずれやはり介護と障害を統合したいのか、伺います。

塩崎国務大臣 あるサービスが公費負担の制度で提供できる場合に、同じようなサービスが国民の間で支え合うためのいわゆる社会保険制度、保険料を支払う社会保険制度で提供できるときは、社会保険制度で提供されるサービスをまず御利用いただくという保険優先の考え方が現在の社会保障制度の原則であるというふうに考えております。

 審議会においても、先ほど来お話が出ているように、障害福祉制度と介護保険制度の関係についてさまざまな御意見があったわけでありますけれども、我が国の社会保障の基本からは、現行の介護保険優先原則には一定の合理性があるとされています。

 今般の介護保険の利用者負担の軽減や、それから、介護サービス事業所になりやすくする見直しというのは、現行の介護保険優先原則のもとで、障害福祉制度と介護保険制度という二つの別の制度があることを前提として、高齢の障害のある方が介護保険サービスを利用するに当たって生じている課題に対応しようとするものでありまして、また、障害福祉制度と介護保険制度の関係について、先ほど申し上げたとおり、いろいろな意見が審議会でもありましたが、その結果、「障害福祉制度と介護保険制度との関係や長期的な財源確保の方策を含めた今後の在り方を見据えた議論を行うべきである。」とされておりまして、今後、議論がなされるべきものと考えているところでございます。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

高橋(千)委員 本当に重大な答弁だと思います。

 保険優先が原則だと明確におっしゃいました。そして、財政審の見解をそのまま、当然これは社保審の報告書にもされているわけですけれども、追認している、断じて認められないと思うんですね。

 社会保障と税の一体改革のときに、生活保護と障害福祉は社会保障四分野の中に入りませんでした。医療、介護、年金、子育てが四分野であるといって、そのとき分けていたわけですよね。普通の感覚からいうと、社会保障というのは、生活保護と障害福祉というのは一番入るのかなとみんな思うわけですよね。

 でも、何でそういうふうに分けたのかと思ったときに、私、そのときも本会議で指摘していますけれども、一体改革のときには、負担あってこその見返りという保険原理を社会保障でも貫く、そういうことが盛んに議論されたと思います。自民党の議員の方はたくさんそういう質問をいたしました。だけれども、その枠には入れられないものが生活保護と障害福祉である。言ってみれば、自助、共助の世界と、公助が中心の世界、そういう意味なんじゃないのかなと思っているんですね。

 だけれども、そのわずかな違いを取っ払っちゃって、自助、共助の世界に持っていくという考えではないのか。そういうことですよね、大臣が今おっしゃったのは。

塩崎国務大臣 一つ前の御質問で、介護と障害の制度を統合するのではないかという御質問がありましたが、そういうことを考えているわけではございません。

高橋(千)委員 ございませんと言っても、優先原則ですと言っている以上はこうなっちゃうんですよ、結果として。

 先ほど紹介した滋賀のフォーラムのときに、もう一人紹介しますけれども、渡辺芳樹さん、厚労省の方はよく御存じだと思いますが、こう言いました。今回、介護保険事業所になりやすくする、六十五歳以上になった障害者の利用者負担など、じわりじわりと介護保険優先の実態をつくっていっている、消費税一〇%になった後五年後くらいにはさらに上げる議論が出てくるのでは、消費税財源を障害者の方に寄せてくる議論をすべきだと。

 つまり、私が今言った、一体改革の仕切りを取っ払っちゃって一緒にしましょうということをあからさまに言っている、国会じゃないから言っているのかもしれないけれども、これが本音だということを、今はまだ決まっていないからそうおっしゃるけれども、そういう狙いがあるんだということですね。

 やはり、最初に私が言ったように、趣旨を理解しろと言ったのはそういうことなんですよ。それを障害とは違うんだということを言い続けてきて、ここまで基本合意や骨格提言で積み上げてきたことを理解していないということを重ねて指摘したいと思います。

 次に行きます。

 今回新設される自立生活援助、資料の三枚目、さっきと同じ資料です、使った方がいますけれども、地域で自立して暮らしたいと希望する人には当然あっていいと思います。それを私たちは否定するものではありません。

 まず伺いますが、自立生活援助事業所を新たにつくると言っています。一体どのくらいの供給量を考えているのか。

 それと、ちょっと時間の節約でつなげて二つ伺いますけれども、軽度者の追い出しにつながらないのかということが何度も言われている。それはなぜ言われているかというと、審議会のまとめの中に、地域生活支援の拠点整備の推進と言っている一方で、グループホームにおける重度者への対応の強化ということで重点化が打ち出されているからだと思います。今後どう重点化を図っていく考えか。二つ聞きました。

藤井政府参考人 自立生活援助につきましてですけれども、事業所は、全く新しい事業所ができるかといいますと、そういうケースもあろうかと思いますが、既存の相談支援事業所であるとか、あるいは、グループホームを運営しているような事業所が新しい事業としてこうした事業を行うということも十分考えられるというふうに思っております。

 したがいまして、供給量という意味で、対象者として、私どもは、施設や病院から退所または退院してひとり暮らしを希望される者等とすることを考えております。

 このサービスを提供する事業所数の見込みにつきまして、先ほど申しましたように、その担い手として、自立生活援助を単独で行う事業所もあってしかるべきですけれども、グループホームや地域定着支援を行っている事業所なども見込まれますので、なかなかこれは一概に事業所数がどれぐらいになるということは言えないと思いますが、利用者につきましては、例えば、グループホームを退去してひとり暮らし等の自立した生活に移行する者というのが年間約千三百人いらっしゃいますので、少なくともこのうちの一定割合の方の利用が想定されるというふうに考えております。

 それから、グループホームですけれども、グループホーム自体は、障害のある方の住まいとして重要な役割を担っております。現在、約十万人が利用してございますが、依然そのニーズは大きいと思っております。

 したがいまして、グループホームの計画的な整備を進めますとともに、必要な方が適切にグループホームを利用できるように、利用いただく方について、グループホームが果たすべき役割や障害の特性等を踏まえて、次期報酬改定に向けて検討するというところが審議会で提案をされているところでございます。

 ただ、その検討に当たりましては、障害のある方の支援の必要性を示す、例えば障害支援区分というのがありますけれども、こういったものもグループホームにおける支援の必要性を判断する要素の一つにはなり得ると考えてはおりますが、しかし、やはり障害のある方の状況とかニーズ等を踏まえまして、必要なサービスを利用できるような仕組みにしていくということは当然基本でございますので、私どもとしても丁寧に検討してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 要素の一つとして、支援区分を検討するとおっしゃいました。

 毎年、何らかの理由で自立される、グループホームを卒業される方が大体千三百人くらいいる。その方に可能な援助をするというだけであれば、それは当然なことだと思うんですよ。だけれども、そうじゃないから、同時に重点化ということが議論されているから聞いているわけです。

 では、伺いますが、現在、施設入所の利用数は幾らで、これに対して削減の目安はどう考えていますか。

藤井政府参考人 現在の施設入所支援の利用者数で申しますと、約十三万人でございます。

 また、第四期の障害福祉計画、これは平成二十七年度から二十九年度でございますが、これの策定に当たりまして国が示します基本指針におきましては、地域移行に向けた目標の設定につきましては、平成二十九年度末までに平成二十五年度末時点の施設入所者数から四%以上を削減するということとしてございます。

 また、サービス基盤の整備につきましては、市町村及び都道府県が地域に居住する障害のある方の意見を聞きつつ、それぞれの地域の実情を把握した上で、サービスの必要量を見込んだ障害福祉計画に基づき整備を行っているところでございます。

 今後とも引き続き、利用者のニーズに即した居住支援の提供が行われるように、私どもとしても尽力をしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 四%以上、きのうは五千人以上というふうに数字では聞いておりますが、目標をまず持っている、そこに当然リンクしていくわけですよね。

 資料の四に、その第四期障害福祉計画の地域生活への移行、都道府県別のをつけておきました。削減目標の合計、ここでは四千五百二十二人というトータルが出されているわけです。

 それで、これはちょっとよく見ていただきたいんですが、下の方に、各県によってばらばらですけれども、この目標値を設定していない県が四つあります。宮城、茨城、埼玉、奈良。

 これを読んでいきますと、例えば茨城、「多くの入所待機者がいることを踏まえ、施設利用者が退所しても、その代わりに新たな入所者が発生することから、削減目標を設定することは、地域の実情にそぐわないため。」「埼玉県では、入所待機者が年々増加しており、特に強度行動障害や重度障害などによる地域生活が困難な方が多数入所待ちをしている状況であり、地域生活移行による入所者数の削減が見込まれる一方で、新たな入所者が増加することから、」「削減目標については設定しない。」このように答えているわけですよね。

 これは、審議会ではほとんどスルーされております。待機の実態をつかんでいるのか。こうした自治体に対しても、目標を持てと言う。つまり、地域生活に行きたいという人がいても、そこにまた待機者がいると言っているわけですよね。それを踏まえてもさらに減らせ、そういうことですか。

藤井政府参考人 施設入所支援の利用者数につきましては、これは各都道府県におきましてさまざまな状況にあるものというふうに理解をしております。

 この施設入所に係る待機の状況につきましては、これはいろいろなケースがございます。例えば、今後の重度化等に備えて将来的に入所を希望している方ですとか、あるいは複数の施設に申し込みをしている方等々、必ずしも現在、施設入所支援が必要でないという方もおられるのではないかと思いますので、なかなか実態の把握は難しいものと考えております。

 私どもいたしましては、今後、関係者等の御意見を聞きながら、今度、第五期の障害福祉計画に係る施設入所者数の削減についてはどうするか、必要な対応をまた検討してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 こういうときだけ把握は難しいと言って、数字を出せ出せと言いながら実際に待機の実態はつかまない、これはおかしいですよ。実際、待機があるんだと言っている自治体に対してどうするのかと私は聞きました。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

藤井政府参考人 実際に待機があるというふうにおっしゃっている自治体におかれましても、今度、次期、第五期の障害福祉計画に係る検討におきまして、それぞれの県の実情を踏まえて御検討いただけるものと考えております。

高橋(千)委員 では、当然、その地域に望んで、追い出しではなくて望んで生活したいという方は応援する。だけれども、入所が実際に待機がある、その実態をちゃんとつかんで、必要であれば、当然施設をつくることを応援していくということをお答えください。

藤井政府参考人 私どもも、基本的な障害福祉施策のここ十数年の動向といたしましては、施設から地域生活への移行というのを強く進めてきてございますけれども、決して施設の役割を否定するというようなことはございません。

 もちろん、これは、施設で生活をされてしかるべき方々がいらっしゃることも間違いございませんので、入所施設につきましても整備が必要なケースもあろうかと思います。

高橋(千)委員 確認をしました。

 では、大臣に伺います。

 資料の五枚目。きょうされんが、障害のある人の地域生活実態調査の結果報告というものを出していただきました。

 これはまだ概要版なんですけれども、見出しがもう答えを言っているように、障害のある人の貧困率は、障害のない人のおよそ五倍であるということです。年収百二十二万円、いわゆる貧困線以下の割合が八一・六%、障害のない方は一六・一%。年収二百万円、いわゆるワーキングプア以下の割合が九八・一%、ない人は二四%。

 もちろん、ない人も問題ですけれども、これだけの格差が実際にある、これはまず認識していただけるかということと、地域で暮らしたいといっても、この現実、この低収入で本当にやっていけるのか、そこはちゃんと配慮しなければならない。大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 お配りをいただいたきょうされんの調査の結果につきましては拝見をしているところでございますけれども、厚生労働省において実施をいたしました平成二十三年生活のしづらさなどに関する調査というのがございますが、ここにおいても、障害のある方、これは十八歳から六十五歳までの方々でありますが、一カ月当たりの収入は、六万円以上九万円未満の割合が二四・三%と最も多く、次いで九万円以上十二万円未満が一一・二%となっており、やはり必ずしも高いわけではないというふうに認識をしております。

 障害のある方につきまして、低所得の場合には福祉サービスの利用者負担をゼロ円にするなど配慮をしているほか、障害年金や特別障害者手当等の支給、それから、障害福祉サービスによる一般就労への移行支援やハローワークによる職業紹介、障害者就労施設への発注促進や工賃向上等によります収入の確保方策に取り組んでいるところでございまして、今後とも、これらを推進してまいらなければならないというふうに考えております。

高橋(千)委員 今、数字を大臣がおっしゃってくださったんですが、やはり地域で暮らすときに、就労しながら自立するんだということを念頭に描いているんだと思うんですよね。だけれども、就労支援A型だと工賃の平均月額は六万九千円、B型は一万四千円にすぎないわけです。日に四百九十六円しかないんだ、わかっていますかという声がきのうも届いておりました。負担の方が断然多い。ずっと言われてきた議論なわけですね。

 だから、就労支援はもちろん大事ですけれども、やはり負担軽減と所得保障をあわせてやっていかなければ、ここは指摘にしますけれども、障害年金や無年金、低年金などの所得保障の問題は、自立支援法の一年目の見直し、つまり二〇〇七年、あのときに、自民党さんが今後の検討課題の中に盛り込まれていらっしゃいました。あれは非常に高く評価をし、期待をしておりましたが、いまだに実現せず、それどころか、スライドがかかっておりますので減るばかりであります。

 本当にこれを真剣にやっていかなければならないということを重ねて指摘して、またそういう検討する機会を設けていただきたいなと思っております。

 それで、先ほど来、重度訪問介護の利用者の入院の問題が出されていましたので、これは同じことになるので、簡単に一言、大臣に思いを答えていただきたいなと思うんですが、長年の要望であって、喜んでいただいているわけですけれども、やはり対象者は極めて限定的です。しかも、やはり伝達だけで実際のサービスを行うことができない、これでは本当の望んだ方向ではないだろう、さらに踏み込まなければならないと思います。

 昨日の参考人の陳述に立ったALS協会の資料を見ますと、自由記述欄があって、みんな人手不足のことを指摘している。ナースが忙しいということを指摘している。本当に切なくなりますよね。ナースは忙しい。便意を催したのでナースコールをしたが、すぐ来てもらえない、間に合わなかった。人手不足のため、吸引してほしいのにされずにつらい思いをした。気管切開、呼吸器をつけるための入院だったので文字盤の使い方もわからず、いきなりで困った。そもそも、目ではナースコールできない。そういう深刻な訴えが寄せられています。

 みんなが人手不足を言っている。結局、伝達ですから、看護師さんにかかるわけですよね。本当に、お互いに、ヘルパーの側も、そして利用する当事者も、そして入院された先の看護師さんも、みんなが物理的にも精神的にも負担なんですね。そのことをしっかり受けとめて、思い切って見直すべきだと思いますが、大臣、一言。

塩崎国務大臣 重度訪問介護のサービスにつきましてお話を今頂戴いたしましたけれども、今般の見直しによって、入院前から重度訪問介護を利用している方について、御本人の状態等を熟知したなじみのヘルパーによって、入院中も引き続き重度訪問介護の支援を受けられるようにするということにしたわけであります。

 今御指摘のような御要望があるということについては十分認識をしているわけでございますけれども、厳しい財政事情のもとで、病院との役割分担も整理をしないといけない。最重度の障害のある方に対する支援について最大限配慮をするというのが基本でございました。対象者やサービス内容を拡大することはそう簡単ではないというふうに思っております。

 先ほどお話がありましたけれども、入院前に重度訪問介護を利用していない方などにつきましては、今の制度の枠組みでいけば、やはり病院というのは看護補助者の配置が行われているので、これをどう充実していくかということがまずあること、それから、意思疎通支援事業は入院中においても利用可能な旨を明確にするといったことで、入院中の支援の充実を図っていくこととしているわけであります。

 午前中の審議でも申し上げたように、バランスを考えた上でこういう形にし、財政が厳しい中にあっての最大限のことをやっているわけでありますが、実態がどういうふうになるのかはよく見てまいらなければならないというふうに思っております。

高橋(千)委員 寝たきりではないけれども居宅介護を受けている方がどんな、いろいろな理由があるんですよね、入院というのは。例えば眼科で入院した方が、本当に看護の方が扱い方がよくわからなくて、体を動かすのに足を思い切り引っ張ってしまって、脱臼してしまった。その後、残念ながら亡くなった。それが直接の原因ではないと思いますけれども、そういう事例もございます。

 ですから、絞り込む、それはやはり財源がということが最終的には理由になっているんだろうけれども、実態に即して必要なサービスをやっていかなければ、やはり大変な、命にもかかわる大事なことになっている。そして、もともと言っていた移動の自由だとかコミュニケーションの権利だとかということすらもやはりなかなか難しい実態になっているということですので、しっかりと検討を重ねていただきたいというふうに思います。

 次に、六ページの自立支援医療についてなんですが、これは残念ながら、今回も手つかずでした。

 この資料の上段は、所得区分における利用料です。これは上限になっていますが、ゼロ円は生活保護世帯のみなんですね。低所得一が二千五百円、低所得二は五千円という形で負担が発生しています。その下の方には支給決定件数というのがありまして、低所得一と二で合わせると三五%を超えている。生活保護、つまりゼロ円の方はまだ一八・八%にすぎないわけです。

 そうすると、やはり障害福祉サービスは、いろいろあって見直しをしていただいて、実質応能負担だと言っていただいて、九割以上がゼロ円です、だけれども、医療の負担はゼロ円の人は二割を切っている。これはやはり、せめて低所得一、二の方は無料にすべきだと思います。

 ここで、通告していませんが一つ、きのう聞いているので伺いますが、そうした場合の財政影響額はどのくらいか、お答えください。

 その上で、育成医療は、子供なので、この下の段を見ていただきたいと思うんですが、当然のことながら、中間所得の方が多いわけです。それは親の収入で見るからなんですよね。でも、それでよいのか。

 全国心臓病の子どもを守る会によれば、会員の四人に一人は県外に通院しております。通院費とか付き添いの滞在費、あるいは残された兄弟姉妹がどうしているか、こうしたことを考えると、ここに出てくる医療費だけではないわけですよね。非常に重い負担がのしかかっている、この実態をつかんでいるのか、つかむべきではないのか、伺います。

藤井政府参考人 自立支援医療の利用者負担につきましても、今回の障害者総合支援法の見直しの中では、障害福祉サービスの利用者負担とあわせまして、審議会において御議論をいただいたところでございます。

 お尋ねいただきました財政影響額は、百二十億円ぐらいというふうに理解をしております。

 この審議会の報告書では、障害者総合支援法の趣旨、あるいはこれまでの利用者負担の見直しの経緯、障害者等の家計の負担能力、他制度の利用者負担とのバランス等を踏まえまして、これらの制度の持続可能性を確保する観点、あるいは障害福祉制度に対する国民の理解や納得を得られるかどうかというような点、利用抑制や家計への影響といった懸念にも留意しつつ、引き続き検討すべきとされております。

 この報告書を受けまして、私ども、今後の検討に当たってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 実態調査をするということではないんですか。

藤井政府参考人 まだ具体的な検討に入ってございませんので、その中でまた、必要に応じてどのようなことができるのか考えていきたいと思っております。

高橋(千)委員 ちょっとこれは残念に思います。

 大臣に伺いますが、きのうお答えいただいたんですね。実態調査は全然やってこなかった、それをせめてやるつもりであると、きのう説明を受けています。それぐらい答えたっていいと思うんですよ。十年たっても何にも調べていない。今言ったような、医療費の負担がどのぐらいになっているのか、医療費だけでない負担、それが暮らしにどんな影響を与えているのか、調べていただきたい。

 そして、そういうことを考えれば、皆さんが一番今望んでいること、せめてと言っていること、それは、二年後までの経過措置、これを今やめるなんということは言わないでほしい、継続してほしいと言っていらっしゃいますが、大臣、これはお答えいただきたい。

塩崎国務大臣 いずれにしても大事な医療でありますので、実態把握をさせたいというふうに思います。

高橋(千)委員 済みません、今ちょっとよく聞き取れなかったので、もう一度言っていただけますか。実態をつかんでいただけますかということと、経過措置を取りやめて負担を上げるなんということはしないと言っていただきたい。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたのは、実態の調査をさせたいと思いますということを申し上げました。

高橋(千)委員 後ろの方はお答えがなかったということですね。そういうことですね。うなずいておられます。

 実態をつかんで、当然、一定それにも時間がかかるでしょうし、やはりそこから、今負担をそれでも抑えている経過措置をやめるなんということはとてもできないだろうということを重ねて指摘したいと思うんです。

 先ほど荒井委員が、医療的ケアの必要な障害児について、実際に人工呼吸器をつけたお子さんの写真を示しながら訴えをされました。荒井委員の取り組みに応えて大臣自身が決断をされたと指摘をされていましたね。厚労省が今回の法案に盛り込んだ、これは歓迎したいと思います。我々は何でも反対とか、何でもだめだ、だめだと言っているわけじゃないんです。

 でも、在宅の人工呼吸器をつけているお子さんは今二千百二十六件、在学中の、特別支援学校と通級の学校と行っている方で医療的ケアが必要なお子さんは八千七百五十人と聞いています。ここに今回初めて光が当たった、これは大事なことです。

 だけれども、だったら、親御さんが結局二十四時間付き添っているのよという今指摘だったでしょう。それに本当に応えるためには、親御さんの負担をやはり軽減していかなければなりません。同時に、今回の法案によって、やはり福祉サービスの利用がきちんとできるように整えていかなければならないと思いますが、これは部長、一言お答えいただけますか。

藤井政府参考人 医療的ケア児に対するサービスの提供につきまして、今回、まさにこの医療的ケア児が児童福祉法の障害児に関するサービスの対象になるということが明確化されるような条文を一つ入れさせていただいております。私ども、これを根拠にして、自治体に対しまして、医療的ケア児の子供たちに対しましても必要なサービスがしっかり行き届くようになるように、サービス基盤の整備に努めていただくような、そういう流れをつくっていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ですから、サービス基盤とおっしゃいましたが、相談事業だとか連携だとか、それは当然必要です。でも、それと同時に、福祉サービスを受けられるように、そこにきちんと位置づけていかなければ、やはりそういうふうに発展していかなければ、本当の意味にはならないと思うんですね。

 ぜひ検討するでもいいし、何とかおっしゃっていただけますか。

藤井政府参考人 先生、自立支援医療の利用者負担の関係のお尋ねで、サービスの基盤であるというふうに私は理解しておりましたのですけれども……(高橋(千)委員「福祉も受けられるように。両方受けなきゃいけないでしょう」と呼ぶ)

 自立支援医療につきましては、先ほどもう私申し上げたとおりでございまして、これから、経過措置につきましてどのようにしていくかということを検討してまいるところでございますが、サービスの基盤整備につきましては、基盤整備もそうですが、また、障害報酬上もしっかりしたサービスが提供できるような検討をこれからしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 小児慢性疾患の問題ですとか、今、自立支援医療と二つのことを言ったんですよ、福祉サービスの方でもきちんと利用できるようにということを指摘したということで。済みません、ここだけはちょっと通告していなかったので、指摘にとどめたい、今後にしたいと思います。

 それで、時間になりましたので、もう質問はやめて、最後に一言だけ言わせていただきたいと思います。

 審議会のまとめでは、わざわざ財政審を書き込んで、さっき何度も大臣が答弁されたように、サービス提供のあり方や財源、利用者負担のあり方について幅広く検討を行うとされて、わざわざ障害福祉予算が十年間で二倍以上に伸びていることを指摘されました。ですが、議論されているように、先進諸国の中でもGDP比率はまだまだ低い。そして、確かに予算がふえているのは、もともとおくれていた分野だからであって、決してよそよりうんと使い過ぎているということではないと私は思うんです。

 それで、一言言いたいのは、先ほど言った障害者権利条約に対する政府の報告案の最初のところにこう書いてあるんですね。「条約上の権利実現のための資源及び費用対効果の高い方法の追求」。費用対効果、大変驚きました。高邁な理想をいろいろ書いているんです。法のもとに平等だ、だけれども、それだけでは障害のある方は平等とならないから合理的配慮が必要だとか、いろいろ書いているけれども、そう言っておきながら、費用対効果と。生きるために必要なサービス、ここに費用対効果を求めるなんてとんでもないと、この件に対して強く抗議をして、終わりたいと思います。

 以上です。

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 お疲れさまです。

 厚生労働委員会、久しぶりの九時から五時までの長時間の委員会です。皆さん、お疲れになっていないですか、大丈夫ですか。きょうは傍聴にもたくさんいらっしゃって、ずっと本当に真剣に長時間聞かれているので、しっかりと質問しないといけないなと改めて思っていますけれども。きょうは四十分いただきましたので、しっかりと質問していきたいと思っております。

 一つ目の質問なんですけれども、保育所等訪問支援事業、今回、拡充をする、対象をふやすということで、法案に改正案が盛り込まれております。拡充するのはいいんですけれども、これは参考人の方からも、拡充して果たしてちゃんと対応できるのかという指摘がありました。

 その以前に、保育園を経営する身として、この制度、実は、私は全く認識がありませんでした。恐らく使ったことがないというか、来たこと、私の運営している保育園は三つありますけれども、この制度を余り利用していないんじゃないかというふうに思っています。ほかの園の方々にも聞きました。この制度があること自体知らない人が大半でした。

 参考人の方もおっしゃっていました、これは、実は三年前からあるけれども、実際、恐らく地域によって温度差があるんだとは思うんですけれども、利用実態が全く、園の経営者からしたら、全然知らない制度というのがすごくびっくりしまして、正直、これはどれぐらい全国にあって、こういうセンターとしているところがどれぐらいあって、これまでどういうふうな取り組みをしてきたかということを、まずちょっと一度お聞かせいただきたいと思います。

藤井政府参考人 保育所等訪問支援は、保育所あるいは幼稚園などの施設を訪問いたしまして、障害のあるお子さんが他の子供との集団生活に適応するための専門的な支援を行いますとともに、施設の職員に対しまして、障害のあるお子さんの特性に応じた支援内容やかかわり方についての助言等を行うものでございます。

 今、延べ利用者数につきましては、平成二十七年十二月の時点で二千四百名ということになってございます。

 これは、参考人の御指摘にもございましたように、総合支援法の中でもいわゆる個別給付になってございまして、基本的には親御さんが御自身のお子さんについて給付を申請するというような形になってまいります。したがいまして、これまでいろいろ課題として言われておりましたのが、そういう仕組みでございますので、気になる段階の親御さんがなかなか、お子さんの障害の認知というか理解が進まなかったりしますと、給付の申請をためらうとか、そういった状況もございまして、そういった問題点が指摘されてきたわけでございますが、だんだんと、それでも、発達障害に対する認識の広がりに従いまして、利用児童数も事業所数もふえてきてはいるというふうに認識をしております。

 また、自治体によりましては、そういった個別給付ではなくて、むしろ、予算事業でございます巡回支援専門員整備事業というのがございまして、これを活用しながら、先ほどの気になる段階なんかも含めましてサービスを提供しているようなところもございます。

 私どもといたしましては、何とか少しでも活用をしていただけますように、平成二十七年度の報酬改定におきましては、まず、作業療法士とか理学療法士等の専門性の高い職員を配置した場合に上乗せをして評価をいたします訪問支援員特別加算、あるいは過疎地や離島、山間地域等への訪問支援を行った場合に上乗せをして評価する特別地域加算といったような、こういった加算も新設をいたしまして、多様なニーズに対応した評価を行ってきておるところでございまして、次期報酬改定におきましても、経営実態調査、これからやってまいりますけれども、その結果を踏まえまして、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

浦野委員 今御答弁いただいたみたいに、親御さんが、自分の子供がそうであるかそうでないかという判断をするのは、ある意味、非常に勇気が要るといいますか、ゼロ、一、二歳ぐらいだったら、ほかの子供たちと比べてまだそんなに顕著な差があるわけでも、はっきりとわかる場合ももちろんありますけれども、なかなか難しい。やはり親としては、自分の子供はそうじゃないと思いたいという気持ちもあって、なかなかそういうことを素直に、保育園でも、ちょっと専門的なところで診ていただいた方がいいんじゃないですかというアドバイスをしても、なかなか親御さんが行ってくれないという、それ以上のアプローチは園もできませんから、なかなか難しい問題では確かにあるんですね。

 だから、そういったところを、早期にそういう子供たちをケアできるような仕組みを、もちろんこの実態調査はしっかりしていただいて、この制度をこれから拡充していくに当たって、せっかくやっている制度ですから、十分に効果を発揮できるようにしていただけたらと思っております。

 人的資源も、こういうことに取り組めば取り組むほど、やはり人材不足という問題が起きますので、この点についても、保育士不足も言われていますけれども、こういった福祉職、そういう専門職もやはり国が計画的にしっかりとふやしていくということをしないと、こういう制度をつくってもなかなか前に進みませんので、それはぜひよろしくお願いをしたいと思っています。

 次の指摘も、参考人の方からも話がありました。いろいろな福祉のそういう手を差し伸べれば伸べるほど、きょうは午前中の初鹿委員の指摘にもありましたけれども、事務量というのは本当にふえていると思うんですね。

 社福の中でも、待機児童の問題に絡んで、事務の方のそういう特別な補助を打とうというお話が今回出ております。実際、これは本当に保育園の方では非常にありがたい話だと。

 保育園も非常に事務量が多いですので、そういう制度をつくってもらうのはありがたいと思っているんですけれども、これは、保育に限らず、ありとあらゆる福祉施設、日々のそういう記録から何から全て残して、初鹿さんがおっしゃったみたいに、監査となったら、その資料を用意するだけでも二、三日かかるわけですね、法人は。もう本当にあれは大変なんですよ。それで、来たら来たで、それをずっと、もう穴があくほどみんな調べはりますので、それにずっと立ち会わないといけないという、本当に大変なんです、ああいう監査とかは。そのためにだけでも事務員が一人欲しいぐらい、会計をやっているだけの人でも、一人だけでも欲しいというぐらいのレベルなので、今は。

 そういった、今回は例に出したのは保育園ですけれども、それ以外もそういうことをしっかりと対応していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

藤井政府参考人 私どもも、障害福祉サービスに係る事務負担の増大につきまして、これまでも、報酬の請求等に係る事務負担の軽減策として、例えば、二十四年度の報酬改定におきましては、幾つかの加算を基本報酬に組み込むとか、あるいは、指定事務に関する更新時の事務書類を簡素化するとか、従来、サービス提供の都度記録することを求めておりました入所施設におけるサービス提供の実績記録につきまして、一括して記録することも可能とするとか、一定のというか、幾つかの事務の簡素化を図ってきたところでございますけれども、まだまだ十分ではないとも考えてございますので、午前中、大臣からの御指示を私も直接この場で聞いておりましたので、その指示に従いまして、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

浦野委員 事務量がふえる一つの要因にもなっているんですけれども、市町村で書類の書き方が違ったりすることもあるわけです、同じことを申請するにしても。今、市町村をまたいで施設を持っている法人はたくさん、当たり前のようにあります。だから、そういったところで、この市ではこういう書類に書かないといけない、この市ではこういう書式のに書かないといけない、それを全部統一してくれたら、市の名前を変えるだけで全部つくれるんですよ。やはり、そういうことも残念ながら全然できていない部分もありますので、そういうことも一回ちょっと検討していただけたらなと思っております。

 そういう加算をしていただいているということなんですけれども、今回の法案で対象になっている施設、障害者の作業所とかそういう施設は、基本的に、これも参考人の方からもありました、自立支援法ができて最初からもうずっとずっと批判というか、何とかしてほしいと言われている日額払い、この日額払いのせいで、まず、やはり本体の収入が減っているわけですよね。本体の収入が減っているにもかかわらず、事務のそういうような加算をやっていると言われても、やはり収入が少ない中でやりくりしないといけないので、焼け石に水というのが正直なところだと思うんですね。これこそ本当に、日額払いの制度は非常にそういう施設を苦しめている。

 実際にそういう施設をやられて、私もそういう施設、社会福祉法人の理事もやらせていただいていますけれども、皆さん一生懸命頑張ってはるんですよね。できれば自分たちもそんな、国の世話になりたくない、自分たちで頑張って、自分たちの食いぶちは自分たちで稼ぐんやというて一生懸命やっているところが大半です。だから、別に、お金くれお金くれと言っているわけじゃないんですよ。ただ、やはり安定的な運営をしていかないと、そういう人たちの何かあったときの対応ができない。

 そういう意味で、この日額払いの制度というのをちょっともうそろそろ何とか考えていただきたいなと思っているんですけれども、何とかなりませんか。

藤井政府参考人 障害福祉サービス等の報酬の支払い方式につきましては、利用者が多様なサービスを組み合わせて利用することができるように、曜日を変えて別の日中活動ができるようにというのが一つの典型的な例になるかと思いますが、そういったことができるように、日割りあるいは昼夜分離方式で実施をしてきておるところでございまして、確かに、日額払いでございますので、サービス利用のない日には利用者負担も生じない、また公費の支出を行う必要がないというような仕組みとなってございます。

 一方で、やはり事業者の皆様方からの御要望を多々いただいておりまして、私どもも、例えば、急な欠席等により経営が厳しくなるとの御指摘につきましては、欠席時対応加算ですとか、あるいは訪問支援特別加算といったような、そういうことで一定の対応を図ってきております。

 利用者のサービスの選択性という観点から、基本的にはやはりこの日割りあるいは昼夜分離方式を維持すべきではないかと考えてございますけれども、介護などほかの制度も参考としながら、私どもも、経営実態あるいはサービスの利用実態、客観的、具体的なデータを踏まえまして、引き続きまた検討してまいりたいと考えております。

浦野委員 本当に、さっきも言いましたけれども、皆さん別に国にお世話になりたいというわけではなくて、自分たちで自立して、自分たちでお金を稼いで、自分たちで生活をしていきたいという思いは非常に皆さん持っているんですね。

 やはり親御さんも、今は自分たちがまだ健在だからまだ大丈夫だ、ただ、その自分たちが、自分の子供たちを残して、もちろん寿命がありますから恐らく先に自分たちが死んでいくだろう、そのときに、残された自分たちの子供たちがどうやって生活をしていくのかというのが、それがやはり一番心配だというのは、皆さんもわかっていらっしゃると思うんです。

 そのためには、やはり自分たちで自立して生活ができていくようにしていくというのは非常に重要なことだと思うので、この日額払いもそうですけれども、実際に、今そういった障害者の人たちが働いて収入を得ている、その収入の実態というのを把握されていらっしゃるのか、お聞かせください。

藤井政府参考人 私どもの就労支援事業の関係で申しますと、平成二十六年度における就労継続支援の平均月額賃金あるいは工賃につきましては、就労継続支援A型で六万六千四百十二円である一方で、就労継続支援B型が一万四千八百三十八円というふうになってございます。これは平均でございます。

浦野委員 自立して生活していくには恐らくほど遠い収入になると思うんですね。

 参考人の竹中さんもおっしゃっていました。タックスペイヤーになりたいんだというこの思いは、恐らく皆さんお持ちだと思うんですね。でも、正直、今現在のレベルでは、そういったことはなかなか難しいだろう。でも、そういうふうにしていくというのは、これはやはり一つの目標としてしっかりと忘れずにやっていっていただきたいなと。

 実際には、もう全然、多分まだまだ遠い話だろう。私は、やはりそこは、障害者の皆さんの収入が、しっかりと自分たちで稼げる人たちは稼いでいく、それが毎日のやる気を起こすという。

 正直、そういうところにいてる人たちは、きょうもたくさんいらっしゃいますけれども、皆さんすごいやる気のある人たちばかりなんですよね。私はいつも、総会とかそういう場でお話しさせてもらいますけれども、みんな元気で、自分のやりたいこと、やれること、何でもやりたいんやというふうな感じで、すごく和気あいあいとみんな集まっていらっしゃるので、そこはやはり、そういう思いをしっかりと酌んでいただいて、実際の個人の収入がしっかりと確保できていけるような、そういう取り組みをまだまだ続けていっていただきたいと思います。

 何かありますか。

藤井政府参考人 おっしゃるとおり、障害のある方々の、先ほど私が申し上げた数字でございますれば、平均月額賃金あるいは工賃といったようなところを引き上げていくということは、これも重要な政策課題だというふうに私ども考えております。

 直近のいろいろな施策で申し上げれば、例えば、先般の二十七年度の障害福祉サービス等の報酬改定におきましては、目標工賃を達成するための指導員を配置した場合の報酬を引き上げておりますし、また、工賃向上に向けまして、専門家による事業所職員に対する助言といったような、そういう事業にも取り組んでいるところでございます。

 今後も、こうした施策を充実させていって、特にB型で働く方々の工賃が向上するように支援をしてまいりたいと考えております。

浦野委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 次の質問に移りますけれども、都道府県と市町村、そういう自治体がいろいろな支援をしておりますけれども、中にはそういうことを渋る自治体も実際にあります。これは非常に残念なことですけれども、歴史的なというか、古くからそういう施設のある市町村はやはりそれなりのしっかりとしたフォローをしていただいているというのが大体の市町村で、実際、大阪でも、南の方へ行けば行くほど、そういう作業所すら全くない地域というのが実はいまだにあるんですね。そういう人たちは、家から遠いけれども自分たちの家から一時間かけて通ってきたり、そういうふうなことをしなければいけないような地域もあるんですね。

 何とか地元でつくりたいというんですけれども、なかなかつくらせてもらえない、まあ、つくらせてもらえないというわけではないんでしょうけれども、なかなかやはりつくれないというのがあって、それは本当に、恐らく市町村の財政上の理由もあるとは思うんですね。

 これまでもこういう話というのは議論はされてきたと思うんです、地方自治体のこういった財政負担のあり方というのは議論されてきたと思うんです。この部分に関してどういう議論がなされているのかというのをいま一度お答えください。

藤井政府参考人 地方自治体の支援体制の整備、これは確かに自治体によって大分ばらつきがあるというところは、先生から、また本日ほかの委員からもいろいろな指摘がございました。

 私どもといたしましては、障害福祉サービスの提供に当たりまして、利用者のニーズあるいは事業所の整備状況などはやはり地域においてさまざまでございますので、それぞれの自治体におきまして、地域の実情に応じて必要な提供体制の確保を図ることが必要だと考えております。

 私どもとしましては、障害福祉計画や今回法案に盛り込んでおります障害児福祉計画におきまして、これは国が基本指針を定めまして、その基本指針に基づきまして、各自治体が、達成すべき成果目標やそれに向けて確保すべき障害福祉サービス等の量を見込んで、その進捗状況について分析、評価を行うというようなプロセスになってございますので、私ども、この基本指針を自治体に示すというような、こういった一つの手段を通じまして、国としても、各自治体において必要な体制が確保されていくように努めてまいりたいと考えております。

 また、財政負担のあり方につきましては、障害者総合支援法をめぐる議論の中では、一つは国庫負担基準をめぐる議論がございます。

 市町村が支給する障害福祉サービスの給付に係る費用につきまして、国の負担を義務化して財源の裏づけを強化したわけでございますが、その一方で、訪問系のサービスにつきまして、限りある国費を公平に配分するために、市町村に対するいわば精算基準として国庫負担基準を定めております。

 こういったような仕組みの中で、地方自治体からは、重度障害者の多い、特に小規模な市町村においては、国庫負担基準を超過する等により負担が大きくて、改善すべきではないかという御意見もいただいております。

 今回、三年目の見直しに関する審議会におきましては、この国庫負担基準につきましても、「財源の確保にも留意しつつ、重度障害者が多いこと等により訪問系サービスの支給額が国庫負担基準を超過せざるを得ない小規模な市町村により配慮した方策を講じるべきである。」とされておりまして、今後とも、私どもも、まさに財源の確保にも留意しつつ、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

浦野委員 今回、参考人でいらっしゃった方も、皆さん口をそろえて、この法案はベストではないけれどもベターだから何とか法案を通してほしいという方がほとんどでした。

 それは私もそう思いますし、やはり、今までの指摘の中で、和解の文書、参考人の佐藤さんの資料の中にもありましたあのマル・ペケ表、あれなんかを見ても、全然前に進んでいないという印象しか受けません。その中でも、少しでも、半歩でも前進しているからこれを通してほしいという気持ちもわかります。ただ、大きな問題は、やはり財源だということだと思うんですね。

 私は、財源問題を解決できるのは政治だけだと思っているんです。何にお金を、優先的に予算をつけていくか、これは政治が決められることだと思っているんですね。もちろん、大臣は厚生労働の予算を国からとってくる最大限の努力はされていると思うんです。されているとは思うんですけれども、この問題を解決できるのは、やはり政治家の皆さん、我々を含む与党、野党の政治家しかない。

 特に、やはりそこは与党の皆さんが頑張らないと、残念ながら財源は出てこないんですよ。僕らが幾ら言うても、例えばいろいろな提案をしても、与党の皆さんがうんと言ってくれないと前に進まない、残念ながら。全然主張していることは違いますけれども、共産党さんなんかは、もっと大企業に増税したらええんや、そうしたら財源が生まれるじゃないかと。それもそうすればそうなると思うんですね。

 私たちおおさか維新の会は、公務員の給料、地方も含めたら公務員の給料は二十五兆六千億あるんですよ、それを一割カットしたらそれなりの財源が生まれるわけですよ、だから、そういった提案を我々はしていますけれども、与党がうんと言ってくれないとこれは絶対に実現しない。

 だから、財源こそやはり国の責任なんですよ。与党の責任なんですよ。その点について、大臣はいかがお考えですか。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、国会の最大の責任は、もちろん幾つかありますけれども、それは、国民からお預かりをする税金をどう分けるか、何にどれだけ使うかということが最も大事な仕事であり、これは選挙で選ばれた国会議員しか担えない。

 その中で、もちろん、与党、野党はございます。当然、政府が予算をつくるということになれば、与党が内閣を構成するわけでありますので、与党がどう考えるのか、そして内閣がどう考えるのか、これが大事になってくるわけです。

 事障害福祉について申し上げれば、今のこの障害者の、総合支援法という名前になりましたが、これは障害者自立支援法を修正してできた法律であって、障害者自立支援法というものができて初めて、義務的経費として国も責任を持ってサービスの支給に関する経費について国が負担をするということが、法律で定められた二分の一を負担するということが決まったわけでありまして、その前は支援費制度というのがあり、その前は措置ということで、これは、措置も支援費も予算措置でありますから、予算をふやさない限りは無理でありましたが、今はそれが、法律的根拠を持って障害者福祉のサービスが提供できるようになってはいるということであります。しかし、その中でどういう予算を組むかというときには、当然、私どもとして、与党の責任があることは間違いないわけであります。

 何度も申し上げますけれども、OECDの中で、障害者福祉の財政支出の対GDP比でいきますと三十四カ国中二十八位というのが直近のデータであるわけでありまして、当然これは、国民負担と財政支出というものがバランスをしないといけませんから、そこのところをどうするかという問題はありますけれども、いずれにしても、予算の配分について、私ども政治が、特に与党が、あるいは内閣が最終的には担っているというこの大きな責任は間違いのないところでありますので、私たちは、やはり政権の中で徹底議論をして、障害者施策をどう改善していくかということをしっかり考えていかなきゃいけないというふうに思っておるところでございます。

浦野委員 言うはやすし行うはかたしということを与党の皆さんは恐らく思っているでしょうし、政権を一度担った民進党さんも、恐らくそれはもう十分にわかっていることだと思っています。ただ、でも、やはり誰かが声を上げていかないとこれは前に進まないと思っているので、財源問題というのは本当に政治の責任で何とかしていくしかないというふうなことをもう一度言わせていただいて、少し早いですけれども、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 私は、日本共産党を代表して、障害者総合支援法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、附則三条に定められた見直し規定に基づくものとして提出されました。しかし、本来求められている骨格提言に基づく改正とは言えません。支援から漏れる谷間の障害については未解決です。支給決定のあり方、報酬支払い方式、国庫負担基準の廃止などの課題は棚上げされました。さらに、障害者の尊厳を傷つけた応益負担はそのまま引き継がれています。障害者、家族の求めていた内容とは大きくかけ離れ、その願いに背を向けたものと言わざるを得ません。積み残された課題に手をつけずに、参考人質疑を含め、わずか九時間半の審議で採決するなど、到底認めることはできません。

 六十五歳になったら障害者でなくなるというのかと批判された介護保険優先原則も継続されています。本法案では負担軽減の仕組みを設けていますが、さまざまな条件を課して対象者を限定しています。また、独自のルールで支給を制限する自治体が広く存在しており、障害者の命と暮らしを脅かしています。このような事態を招いた介護保険優先原則は廃止し、障害の特性に配慮した選択制にすべきです。

 本法案は、病院内での重度訪問介護利用や自立生活援助など、当事者の要望が部分的には反映されています。しかし、さまざまな要件を設けてその対象を絞り込むなど、極めて不十分なものです。自立生活援助はグループホームの軽度者外しと抱き合わせになりかねないなど、これらをもって賛成することはできません。

 基本合意は、障害者自立支援法違憲訴訟を初めとする障害者の命がけの闘いでかち取ったものです。国は、応益負担の廃止と、障害者が権利主体となる新法をつくることを約束しました。だからこそ、当事者らの英知でまとめられた骨格提言に基づく見直しがされるべきであり、障害者、関係者は大きな期待をかけたのです。骨格提言は希望の光、希望を失望にしないでと、多くの当事者の声が連日寄せられています。骨格提言こそ制度改革の羅針盤であり、政権がかわろうとも消し去ることは許されません。

 障害者の願いが詰まった骨格提言と障害者権利条約に立ち返り、障害者の人間としての尊厳が守られ、基本的人権が尊重される真の制度改革こそ必要であることを厳しく指摘し、討論を終わります。(拍手)

渡辺委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、本案に対し、秋葉賢也君外二名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中島克仁君。

中島委員 私は、自由民主党、民進党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 障害者の介護保険サービス利用に伴う利用者負担の軽減措置については、その施行状況を踏まえつつ、その在り方について必要な見直しを検討すること。また、軽減措置の実施に当たっては、一時払いへの対応が困難な低所得者への配慮措置を検討すること。

 二 障害福祉制度と介護保険制度の趣旨を尊重し、障害者が高齢になってもニーズに即した必要なサービスを円滑に受けられることが重要との観点から、介護保険優先原則の在り方については、障害者の介護保険サービス利用の実態を踏まえつつ、引き続き検討を行うこと。

 三 入院中における医療機関での重度訪問介護については、制度の施行状況を踏まえ、個々の障害者の支援のニーズにも配慮しつつ、その利用の在り方について検討すること。また、障害者が入院中に安心して適切な医療を受けることができるよう、看護補助者の配置の充実等、病院におけるケアの充実に向けた方策を検討すること。

 四 自立生活援助については、親元等からの一人暮らしを含む、一人暮らしを希望する障害者が個別の必要性に応じて利用できるようにするとともに、関係機関との緊密な連携の下、他の支援策とのつながりなど個々の障害者の特性に応じた適時適切な支援が行われるような仕組みとすること。

 五 障害者が自立した生活を実現することができるよう、就労移行支援や就労継続支援について、一般就労への移行促進や工賃・賃金の引上げに向けた取組をより一層促進すること。また、就労定着支援の実施に当たっては、労働施策との連携を十分に図るとともに、事業所や家族との連絡調整等を緊密に行いつつ、個々の障害者の実態に即した適切な支援が実施されるよう指導を徹底すること。

 六 通勤・通学を含む移動支援については、障害者等の社会参加の促進や地域での自立した生活を支える上で重要であるとの認識の下、教育施策や労働施策との連携を進めるとともに、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の施行状況等を勘案しつつ、モデル事業を実施するなど利用者のニーズに応じたきめ細かな支援の充実策を検討し、必要な措置を講ずること。

 七 障害支援区分の認定を含めた支給決定については、支援を必要とする障害者本人の意向を尊重することが重要との観点から、利用者の意向や状況等をより適切に反映するための支給決定の在り方について、引き続き検討を行い、必要な措置を講ずること。あわせて、障害支援区分の課題を把握した上で必要な改善策を早急に講ずること。

 八 障害者の意思決定の選択に必要な情報へのアクセスや選択内容の伝達が適切になされるよう、意思決定に必要な支援の在り方について、引き続き検討を行い、必要な措置を講ずること。また、「親亡き後」への備えを含め、成年後見制度の適切な利用を促進するための取組を推進すること。

 九 精神障害者の地域移行や地域定着の推進に向けて、医療保護入院の在り方、地域移行を促進するための措置の在り方、退院等に関する精神障害者の意思決定、意思表明支援の在り方等について早急に検討を行い、必要な措置を講ずること。また、相談支援、アウトリーチ支援、ピアサポートの活用等の取組をより一層推進すること。

 十 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の対象疾病については、指定難病に関する検討状況を踏まえつつ、障害福祉サービスを真に必要とする者が十分なサービスを受けることができるよう、引き続き、必要な見直しを検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、塩崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 発達障害者支援法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 平成十七年に発達障害者支援法が施行されてから十年が経過しました。この間、発達障害者に対する支援は着実に進展し、発達障害に対する国民の理解も広がってきました。一方、法施行から十年が経過し、発達障害者を支える現場からはさまざまな要望が寄せられており、乳幼児期から高齢期まで切れ目のない、よりきめ細かな支援が求められています。

 また、我が国においては、障害者基本法の改正などの法整備を行い、平成二十六年に国連障害者権利条約を批准するなど、共生社会の実現に向けた新たな取り組みが進められています。

 本案は、こうした状況に鑑み、発達障害者の支援の一層の充実を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、法律の目的に、切れ目なく発達障害者の支援を行うことが特に重要であること及び障害者基本法の基本的な理念にのっとり、発達障害者が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活または社会生活を営むことができるようにすることを明示するとともに、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを規定すること。

 第二に、発達障害者の定義を、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活または社会生活に制限を受けるものとすること。

 第三に、基本理念を新たに設け、発達障害者の支援は、社会参加の機会が確保されること及び地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに社会的障壁の除去に資することを旨とするとともに、個々の発達障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、関係機関等の緊密な連携のもとに、意思決定の支援に配慮しつつ、切れ目なく行われなければならないことを規定すること。

 第四に、国及び地方公共団体の責務に、発達障害者等からの各種の相談に対し、個々の発達障害者の特性に配慮しつつ総合的に応ずることができるようにするため、関係機関等の有機的連携のもとに必要な相談体制の整備を行うことを追加すること。

 第五に、発達障害者の支援のための施策について、発達障害者の教育、就労、地域における生活等に関する支援、権利利益の擁護、司法手続における配慮、発達障害者の家族等の支援等を強化すること。

 第六に、都道府県は、発達障害者支援センター等の業務を行うに当たっては、地域の実情を踏まえつつ、発達障害者等が可能な限りその身近な場所において必要な支援を受けられるよう適切な配慮をするものとすること。

 第七に、都道府県は、地域の実情に応じた発達障害者の支援体制の整備について協議を行う発達障害者支援地域協議会を置くことができるものとすること。

 第八に、国民に対する普及啓発、専門的知識を有する人材の確保等及び調査研究の推進に関し、規定を整備すること。

 なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 発達障害者支援法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付しております草案を発達障害者支援法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十三日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十七分散会


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