衆議院

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第17号 平成28年5月13日(金曜日)

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平成二十八年五月十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 秋葉 賢也君 理事 小松  裕君

   理事 後藤 茂之君 理事 白須賀貴樹君

   理事 西村智奈美君 理事 初鹿 明博君

   理事 古屋 範子君

      赤枝 恒雄君    大串 正樹君

      木村 弥生君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    中川 俊直君

      永岡 桂子君    長尾  敬君

      丹羽 秀樹君    丹羽 雄哉君

      比嘉奈津美君    福山  守君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      岡本 充功君    郡  和子君

      中島 克仁君    中根 康浩君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

      浦野 靖人君    河野 正美君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      竹内  譲君

   厚生労働副大臣    とかしきなおみ君

   国土交通副大臣      山本 順三君

   内閣府大臣政務官     酒井 庸行君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中島  誠君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           中村裕一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           浅田 和伸君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  三浦 公嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  唐澤  剛君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  河野 正美君     浦野 靖人君

    ―――――――――――――

五月十三日

 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官大塚幸寛君、大臣官房審議官中島誠君、政策統括官付参事官中村裕一郎君、文部科学省大臣官房審議官浅田和伸君、厚生労働省医政局長神田裕二君、健康局長福島靖正君、職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君、雇用均等・児童家庭局長香取照幸君、社会・援護局長石井淳子君、社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、老健局長三浦公嗣君、保険局長唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭の質問は、これはもう委員の皆さんもよく御承知でございますし、けさも各紙一面で報道されておられます三菱自動車さんの事案に係る、とりわけ雇用調整助成金、厚生労働省所管を中心に、これは、実は、私の地元岡山県倉敷市、水島コンビナートの水島製作所において、今回のいわゆる燃費不正データの問題、この軽自動車を製造しております。

 これはもちろん、この委員の中にも岡山県関係の国会議員の方がおられます。自民党さん、公明党さん、そして我々民進党、それぞれ岡山県連においても緊急対策本部を設置して、一昨日は岡山県知事さん、そしてその前段には地元の倉敷市長さんからも、まさに党派を超えて、もちろんこれは三菱自動車さんの、燃費データ不正の責任の所在やあるいは補償のあり方、そして再発防止策、こういった点は、今後の、日産自動車の株式三割取得等報道があるわけですが、きっちりと示し、果たしていただくことを前提に、一社救済という枠組みを超えて、地域の雇用や経済、もっと言うと、岡山だけじゃなくて名古屋も含めて、サプライヤー、販売店、あるいは整備工場関係を含めると数十万、数百万人単位で影響が及びかねない、こういった視点に立って、しっかりとした対策を講じていくことが求められていると思います。

 そういった視点から、これは参議院の決算委員会でも岡山選出の石井正弘参議院議員が質問されて、各所管関係大臣、塩崎大臣からも非常に危機感を共有いただいた御答弁をいただいているように承知をしておりますので、そういったやりとり、認識を踏まえながら、この間、国会ではやりとりをさせていただいていない、さらに具体的なやりとりについて質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、お手元の資料に、一枚物の裏表ですが、これは、過去の雇用調整助成金の特例について、七項目、厚生労働省の方にまとめていただいたものをおつけしております。

 もちろんどの項目も重要なわけでございますが、とりわけ、まず厚生労働大臣にお伺いをしたいのが、この項目でいうと二番と六番の点でございます。雇用保険の被保険者期間六カ月要件の緩和と、それから雇用量要件といって、前年同期一〇%増以下かつ四人増以下は、これは、現行であれば対象から外れるわけですがこれを特例でということで運用されている。

 この二項目については、ちょっとお考えいただければ御理解もいただけると思うんですが、一つは、これは四月に生じている事案でありますので、新年度になって、三菱自工さん本体はもとより、関係のサプライヤーさん等々、既に新入で入ったにもかかわらず自宅待機という方もおられるんですね。つまり、この要件緩和が仮に今後行われれば、その対象になり得る方が既に存在をしている。

 それから、六番目の雇用量要件については、これは三菱自工の益子会長も、再建に向けた言及の中で、軽自動車を含めて業績が好転の兆しを見せてきていた中で、何とかしっかりと、まずは独力、自力でのいろいろなことをしっかりとした上で再生を目指していかなきゃいけないという認識も示されていて、その結果、関係の、一次関連企業を初め、それ以下も含めて、私も話を聞いている中で、一定の雇用量を既に対前年比でいえばふやした形で体制をとっていた中で起こったことでもございますので、この二と六については、既にそういった対象になり得る方が存在をしているということでございます。

 ぜひ、これは塩崎大臣、九日の参議院の決算委員会では、直近三カ月の生産量などが対前年同期比一〇%以上減少しているという部分については、将来じゃなしに、過去から三カ月ということで、すぐにでも対象になって、そして、最短でいえば今月、来月等にも支給もされるという御答弁、非常に、これも地元では大変重要な御答弁をいただいているわけですが、今私が申し上げた項目二、六の、このそれぞれの雇用調整助成金の要件緩和についても、これは事が起こってからでは遅いので、連鎖倒産、失業、そういうことになる前にしっかりとした対応をお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先生御指摘の企業の問題の発生のために、その関連企業の事業活動に大きな影響が生じておって、今後、従業員の雇用の安定を図っていくことが極めて重要な問題だということであることは、私どももよく認識をしているところでございます。とりわけ柚木先生の御地元ということもあって、大変御心配をされているんだろうというふうに拝察申し上げるわけであります。

 まず、一言私も申し上げなきゃいけないのは、そもそも今回の問題はなぜ起きたのか。これは、三菱自動車の燃費に関する虚偽の、国民を、あるいは世界を欺くことをやった。その企業がまず、企業というのは自分たち一社だけで活動できるわけでは決してないわけであって、協力する企業があって初めて成り立つ、特に自動車産業は大変裾野の広い産業であります。したがって、地域経済へのプラスの影響はふだんはあるわけであります。

 今回、こういうことになりました。まず第一義的には、やはり三菱自動車が自分の協力を願っている企業のお世話をするというのは当然の、サプライチェーンを持っている製造元が責任をとるというのが当然のことであります。どこまでやっているのか私はよく聞いてみたいというふうに思いますし、今回、日産と組むということがきのう発表されたようでございますから、では日産はどう考えておられるのか。これらが日本経済にどういう影響をみずからの不正行為によって与えるのかということを深く深く考えてもらって対処してもらうというのが、一部上場企業の当然のやるべきことではなかろうかと私は思います。

 その上で、こういう状況であって、何らかの関連企業の事業主が雇用維持に前向きに取り組んでいただけるように支援することは重要なことだとパブリックポリシーとして思います。現在、地元の労働局やハローワークを通じて、雇用調整助成金の積極的な利用促進に努めているわけでございます。

 御指摘の特例措置でございますが、今後、関連企業の事業活動や雇用維持に対する取り組みの状況などについて的確に把握をした上で、通常の支援内容では雇用維持を図ることが困難と認められる状況に至っているかどうか、問題がどの程度長引きそうかなどの点を踏まえて、関連企業で働く方の雇用維持をどう図るかを第一に、地元自治体ともよく相談をしながら考えていく必要があると考えております。

 繰り返して申し上げれば、やはりコーポレートガバナンスの重視を今されているこの世の中の風潮からしてみれば、三菱自動車がみずから、今先生の御地元で起きている問題に対して、どういう責任をとって何をするのかということを、まず、地元でおつくりになられた対策本部は真っ先に言っていく先は三菱自動車だと私は思います。

柚木委員 問題意識は全く共有させていただいております。

 本社から、調達部から二名が水島製作所にも常駐をされ、そして、関係のサプライヤーさん初め、それぞれ、今まさにそのような、おっしゃられたような視点で対応に当たっているものというふうに私自身は認識しておりますが、しかし、言われるように、一義的には、自然災害、リーマン・ショック等々に対する対応で今回の雇調金という議論とはまた異なる、こういう認識ではありますので、そこはそのとおり。

 ですから、本体については、そこはそうした視点で、当然、先ほど私も冒頭あえて申し上げましたように、責任の所在、そして補償のまさにあり方、さらには再発防止策、こういったことが大前提だということはそのとおりでございますが、まさに、地元自治体と連携してしっかり雇用維持をどう図るか考えていきたいと今御答弁いただきましたので、岡山県からの要望、山下議員もおられますが、自民党県連さんにも来ておりますし、党本部の方にも行かれている中で、これは、本体だけでも一万四千百四十人、さらには岡山県内だけでも五百八十七社、もう本当に、万単位、十万人単位ということにもなりまして、これは本体以外の系列ということでありますので、そこはある意味少し整理をした上で対応いただくことが必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 二点目もそういった視点なんですが、この項目の中でいうと三、五ですね。つまりは、雇用調整助成金の支給限度日数、現行、年間百日、三年で百五十日。それから助成率についても、現行は大企業二分の一、中小が三分の二の部分について、これが要件緩和された場合に、大企業三分の二、中小企業五分の四という、これはリーマンや震災等の対応でこういったことが行われているわけです。

 まさに、本体がしっかりと関連サプライヤー等々に御対応いただくことを前提に、そして、コーポレートガバナンスの、十八日に改めて報告ということでございますが、あるいはきょう立入調査という報道も出ていますが、本当にそういったことが明確にされていく前提で、今後の軽自動車の生産の再開、そしてまた、今売り上げが半減している等々経営に及ぼしている影響、これが長期化というような見通しもある中で、この項目三、五の支給限度日数の追加や助成率についても、大臣が冒頭御答弁されたことはしっかりと踏まえつつ、ぜひ、これもしっかり、必要に応じて柔軟な運用、対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 それだけ大きな影響が及び得るかもわからない事態が起きているということは、大変重要なことで、深刻に受けとめなければならないと思っています。

 だからこそ、上場企業たるものは、どういう企業文化を持ち、地域とともに生きていくおつもりなのかどうかということが問われるので、不正をするという企業であったということであっても、今からは、やはり地元のこともしっかりと考えて、雇用維持について最優先で、みずからの協力企業に対してしっかりとした対応をとっていく。

 当然、三菱自動車、私もつぶさに見ておりませんけれども、利益を上げているんだとするならば、その利益をどう使いながらサプライチェーンを守っていくのかということをしっかりとやってもらいたいなというふうに思います。

 雇用調整助成金の特例措置の基本的な考え方についてはさっき申し上げたとおりでございますけれども、御指摘の、支給限度日数の追加、それから助成率の引き上げでございますね、お配りをいただいている三と五ですか、これについては、現在の支給限度日数が一年で百日、三年で百五十日ということ、それから助成率は中小企業で三分の二、大企業で二分の一。これは、雇用維持を図ることが困難であるかどうかという点の確認も行って、現状を的確に把握した上で、地元自治体ともよく相談しながら考えていく必要があるというふうに考えております。

 その際に、繰り返して恐縮でございますが、問題の根源をつくった企業がどの程度ちゃんと向き合ってやるかということも考慮の中に入れなきゃいけないと私は思っております。

柚木委員 冒頭の質問と同じ御答弁だというふうに認識をします。

 そこは私も、三菱自工さん本体がしっかりと、サプライチェーン、特に、ラインが再生する、再起動するということは、維持しておかなければそもそも経営形態がどうなっても車はつくれないわけですから、当然本体がしっかりと対応いただくことは一つ大前提の中で、今おっしゃっていただいたように、どのようにして雇用維持を図るか自治体とも連携をした上で対応を考えていくということについては、これはもう既に、大臣、県が緊急聞き取り調査をして、関連三十二社に緊急調査をしたら、十五社が操業停止、九社が社員自宅待機、既に影響が出ておりますので、これは本当に、本体以外、従業員の方、家族、もう影響が出始めていて、そのような中での対応のお願いでございます。

 本体のガバナンスの責任の明確化や強化については当然のことなんですが、その背景にある、全国これは関係ありますから、ぜひ、そういった視点を持って、今、雇用維持をどう図るのか自治体とも連携した上で対応を考えたいという点については、おくれをとらない、連鎖倒産とか失業者がどんどん出てくるとかいうことにならない対応を。今の前提の認識で結構ですから。地元としては、あるいは、これは全国に関係する話ですよ、日本経済。本当にそこはしっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 もう一点、大臣、御承知のように、雇用調整助成金の申請から支給までの処理期間、これは初回の申請後に二カ月以内、二回目以降は申請後一カ月以内。今回の場合は、東日本のときとか、阪神もそうですし、リーマンのときとか、ある程度本当に広域的なという部分と比較すると、岡山県あるいは愛知県等、影響はそこのエリアにおいては同じような影響が考えられるわけですが、エリアとしてはある意味局地的といいますか、地域も数も限定的でございますので、さらなる期間短縮の支給を、これは九日の決算委員会でもああいう御答弁をいただいているわけですが、ぜひ期間短縮の支給を御努力をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 繰り返して恐縮ですが、緊急的とおっしゃいますが、三菱自動車も緊急的な対応ができるはずでありますので、そこに対して岡山県の対策本部がちゃんとおっしゃっていただいているのかどうか私も聞きたいぐらいでありまして、それに対して三菱自動車がどういう対応をとった、結果としてやはりこれに頼らなきゃいけないということになっているのか、そこのところをやはりつぶさに聞かせていただけたらありがたいなというふうに思っているわけであります。

 その上で申し上げれば、雇用調整助成金というのは、構造的に競争力がなくなっているにもかかわらずそこに雇用を維持していこうという発想をもうやめよう、だからこそ労働移動を支援しよう、こう言っているわけでありますが、事こういうような場合の、緊急的に起きて、長期的に見れば決して生産が戻らないわけではないということが明らかなときには、やはり緊急避難的に雇用をしっかり守るということは大変意味のあることだと思っています。

 したがって、支給までの期間、今お尋ねございましたけれども、支給申請を受けてから支給までの期間については、初回の申請の場合は申請から二カ月以内、それから、二回目以降の申請の場合は申請から一カ月以内の目標を立てているわけでありますが、今回の事案においては、多くの取引先企業に影響が出ておりまして、助成金の迅速な支給が重要であるということは、私どもも、もちろん今の三菱自動車の対応を前提にの話でありますが、重要だと考えております。

 したがって、申請後一日でも早く支給ができるように、処理期間の短縮に努めてまいりたいと考えているところでございます。

柚木委員 本当に、厳正かつしっかりと対応いただけるという御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 国土交通副大臣にきょうはお越しいただいておりまして、まさに今の視点と全く同じなんですが、本体と関連サプライヤー等々は、ちょっとそこは整理して考えなきゃいけないと思うんですが、現在、国交省で、燃費、排ガス値の確認試験等を六末までやっている、その上で、もちろん三菱さんがしっかりとした報告を十八日にされるということが前提ですが、六末からさらに、通常二カ月かかるとされている型式の認定の審査期間、これは通常二カ月ということでございまして、この部分についてはぜひ、本当に本体にしっかりやっていただくということを大前提に、これは本当に一日の差で、現場というか関連企業の一番の大きな声は、先が見えないということでございます。

 先の見通しを示す責任は、一義的には三菱自工さんにある。しかし、国としてもできる対応をしっかりお願いしたいという意味で、この通常二カ月かかるとされる型式認定までの審査期間の短縮について、副大臣は、お勤め先のこれまでの経歴を見て、水島のコンビナートの実情も多分御存じだと思いますので、ぜひこの期間短縮について国交省としてもお取り組みいただくということで、御答弁をお願いしたいと思います。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 今般の三菱自動車工業による燃費等に係る不正行為、これはもうまさに国の自動車審査の信頼性を根本から損なうということでございますし、我が国の自動車産業への信頼を傷つけ、ユーザーにも大きな不信感を与えるものであり、大変に遺憾である、極めて遺憾であるというふうに思っております。

 国土交通省といたしましては、まず、データの改ざん等があった軽自動車四車種について、本来の正しい方法により燃費値と排出ガス値を早急に測定、算定する必要があるというふうに考えております。このため、五月二日より、独立行政法人自動車技術総合機構において、走行抵抗値及び燃費、排出ガス値の確認試験を開始いたしました。この確認試験の結果につきましては、六月中に取りまとめ、公表をすることといたしております。

 国土交通省といたしましては、今回の事案を踏まえ、自動車の型式指定審査における不正行為を防止するための方策、これについて、四月二十八日にタスクフォースを設置したところであり、今後速やかに検討を進めてまいりたいと思っております。

 軽自動車四車種の生産、販売の停止が地域経済に大きな影響を与えていることについては十分認識をいたしておりますし、国土交通大臣のもとに岡山県知事さんもお越しになったということでもありますけれども、関係省庁において金融面等から必要な支援が検討されているとも聞き及んでおります。

 このような事態を解決するために、先ほど塩崎大臣も触れられておりますけれども、まさに三菱自動車工業が、会社を挙げて今回の不正行為の全容を明らかにするとともに、その責任を明確にし、会社側が提出することとされている他のデータも含めて、改ざん等の再発防止策を講じることが大変必要であるし、全ての前提になるというふうに思っておるところでございます。

柚木委員 ちょっと他の項目があるので、副大臣、認識、前提条件はもう共有していますので、その上で、やはり国として、これは一社救済という枠組みを超えた、まさに関連の、ある意味、どの組織でもそうですね、一部でそういう不正行為があったときに全く関係のないところまで影響が及ぶ、その部分についての救済の視点というのはぜひ国としても共有いただいて、審査期間の短縮をお願いしたいと思います。

 ここまでで結構です。

 塩崎大臣、済みません、続き、もう時間がないので、通告している部分はまとめて御答弁いただくか、私も多少はしょって質問したいと思いますが、まず、通告している部分の問題認識として、待機児童問題の改善、女性活躍、そのためのことも含む男性の育児、家事参加推進について、せんだってもシンポジウムの際にお時間をいただいて、本当にありがとうございました。

 その中で、一点は、報道で私も非常に驚いておりますが、妊産婦の方が東京都二十三区で自殺した方が十年間で六十三人との調査報告があって、これはこの後の、保活の実態調査等に非常に関連すると私は思っていまして、例えば、二割の方が、妊娠前、妊娠中、つまり、つわりとか、心身、大変身重の状況下で保活を強いられている現実とかとも関連して、非常に負荷がかかっている現実もある。

 私は、一つは、妊産婦の自殺という部分の調査については、報道等も出ているわけですが、全国的な実態調査の必要性や、そのためには監察医の育成なども必要なわけですね、東京、大阪、神戸でしかできない。そういったことをしっかりと進めながら、女性活躍という視点から、さらには家族や子供さんのそういった視点もちゃんと持って待機児童の問題改善に取り組んでいきたいということをまず冒頭申し上げ、これは答弁の中で触れていただけるようだったらお願いします。

 保活の実態調査についても、今、二割の方が、生まれる前からもう保活を強いられているという部分であったり、さらには、入れている方も希望するところに入れていないというのをカウントすれば、合計でいえば四割の方が入れていないんですね、求めている保育園に。さらには、保活が失敗してどうしているかといったら、約一割の方が仕事をやめているんですね。四割近い方がそれで延長しているから、さらに保活を強いられている。その先、また離職を余儀なくされるかもしれない。あるいは、兄弟がおられる方々だけでカウントすると、その半分近い方が別々の保育園に送り迎えを強いられている現実もあるんですね。

 これは、この調査結果もしっかりと分析し、対策を講じていただかなきゃいけない、そのように考えておりまして、実は、それぞれ、自殺の妊産婦さんの調査から、このアンケート調査の結果の分析、対策は通告しているんですが、その二つを踏まえて、私が聞きたいのはその先の二つなんです。だから、踏まえて答えていただければありがたいんですが。

 一つは、大臣が非常に頑張っていただいて、厚生労働省における男性の育休取得率。これは、実は田村大臣の時代に、二〇二〇年まで三〇%、私の質問に対して目標を上方修正していただいて、二十六年度の状況は一三・八%なんですが、何と二十七年度の速報値、私も初めてこれを聞きまして、恐らく報道されていないと思いますけれども、二六・四%、本当にもう三割目前なんですね。大臣おっしゃるように、管理職の方も呼んで、課長クラスまで呼んで周知徹底してきたことの成果だと本当に思います。すばらしい数値だと思うんです。

 ですから、これを厚生労働省にとどまらず、政府全体あるいは国全体。男性社員にアンケートをとると、三割が育休をとりたいと答えています。二〇二〇年、女性管理職三割を達成するという側面支援の意味からも、ぜひもう一つの二〇三〇運動として、男性の育児休暇、二〇二〇年三〇%、この目標を、厚生労働大臣という立場もあるんですが、その先頭を切って、一億担当大臣とも連携をしながら、政府目標あるいは国の目標として取り組んでいただく。ぜひ、これは政治家としての視点も含めた御答弁をお願いしたいと思います。

塩崎国務大臣 まず、自殺の問題でございますけれども、核家族化が進んだり、いろいろな環境が変化する中で、妊娠期であったり、あるいは産後であったり、妊産婦の皆様方が大変つらいお気持ちの中でみずから命を絶たれるということは、よく最近問題視されているわけであります。

 やはり妊娠、出産の不安がまずある上に、その他のいろいろな問題があるということでございますので、私どもとしては、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援を行う子育て世代包括支援センターを平成三十二年度末までに全国展開しよう、妊娠をされたら、その時点から相談がどこでも気楽にできるような体制をつくっていこうというふうに考えておりますし、それから、妊産婦へのメンタルケアについて、厚生労働科学研究や関係学会における検討を踏まえて、妊産婦に対する健診、保健指導などにおける必要な対応をしっかりやっていかなきゃいかぬなというふうに思っています。

 保活につきましては、まだ中間取りまとめをしたところでございますので、それだけでもいろいろな実態がさらに浮き彫りになってまいりました。

 今先生御指摘のようなケースももちろんあることはよく認識をしているわけでございますし、それらを解決すべく、緊急対策を含めて、今度、一億総活躍のプランの中でも処遇の問題を含めて対応してまいりたいと思っておりますし、保活がなくなるための大前提は、やはり今までやってきた待機児童解消加速化プラン、この保育の受け皿をやはり急速にふやしていかなきゃいけないという、女性活躍に見合った体制整備をしていくということが大事であろうと思いますし、心のケアもできる体制整備が大事だと思います。

 しかし、そうはいいながら、子育てというのは女性だけでやることでは決してなくて、やはり男性が、この間大臣室に先生もイクメンでおいでをいただきました、やはり男の協力があって初めて女性もうまく子育てが回っていくということでありますので、今御紹介いただきましたけれども、厚生労働省は、私どもは、政務三役で順番に、一カ月の中で子供さんが生まれた男性を呼んで、課長とセットで、育児休業、休暇をとるように勧めているところでございまして、この育児休業の取得率を、平成二十六年度に一三・八だったのが二十八年一月時点で二六・四まで上昇しているというのは今お褒めをいただきましたが、もっともっとやっていかなきゃいけないと思っております。

 他の省庁も一緒にやはりこういうことをやっていただいて、もちろんそれぞれの工夫があって結構でございますけれども、仕事と生活の両立の実現につながることを期待し、また私も声がけをしてまいりたいというふうに思っております。

 厚生労働省が霞が関の模範となるように、まずは省の目標である三〇%達成に向けて引き続き全力でやっていかなきゃならないと思いますし、いろいろな知恵を出していきたいなというふうに思っております。

柚木委員 時間が来たので終わりますが、リーダーシップ、連携をお願いします。

 最後、これはお願いだけして終わりますが、保育士の処遇改善法案、ぜひ皆さん、御議論をお願いします。五万円アップ。上げたら離職率がどれだけ減るんだという声を以前いただいたんですが、減っているんですよ、民間企業の取り組みで。一八パー上げて、三万二千円上げて、離職率が二五から一年で一五パーまで減って、さらに五パー減らそうとしている。質の改善がそこで進められている。民間企業の話です。

 ぜひこの国会で、六千円は焼け石に水という現場の声、大臣はお取り組みをいただけると思うんですが、もう時間がないので、その取り組みをぜひここでお願いして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美です。

 十五分間の時間ですので、早速質問に入りたいと思います。

 冒頭、先日来の熊本を中心とした大きな地震により多くの医療機関が被災をしております。熊本の地域医療を担う精神科病院も、断層周辺に位置していた病院を中心として、建物への被害が極めて大きく、入院患者さんを全員転院させなければならないなどの対応を余儀なくされております。

 一方で、たび重なる地震や避難所あるいは車中での生活などによって、これまで精神科に通院していた方だけでなく、新たに精神的なケアを必要とする方もふえているものというふうに思っております。

 一方で、これに対応する医療従事者についても、実際に御自身が被災されている方も多いということで、極めて大変な状況の中でこういった良質な精神科医療提供のために頑張っておられることと思います。

 また、患者さんを転院させた病院では、建物などの再建費用とあわせて経営的な負担が極めて大きくなっており、今後の見通しも立ちにくいと思います。

 患者さんの多くは安全に避難を既にされているというふうにお聞きしておりますけれども、送り元の被災病院は、患者さんがゼロになったことによって収入がゼロになってしまうわけであります。一方で、早期再開を目指すのであれば、医師であるとか看護師であるとか医療専門職、多くの方に病院にとどまっていただかなければならない、雇用を継続しなければいけないというふうな問題になっております。収入がない上でさらに多額の人件費が発生する、極めて病院にとっては看過できないような状況にあります。

 被災地における精神科医療を持続可能なものとしていくために国による支援が不可欠だというふうに考えますが、現状認識とあわせて政府の見解を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 今回の熊本地震の発生直後から、自治体と連携をいたしまして、DPAT、災害派遣精神医療チーム、これを早期に被災地に派遣いたしまして、建物の損壊等によって精神科医療機関から転院が必要となった患者の転院の支援に迅速に取り組んでまいりました。

 地震の影響によって収入が減少している医療機関の問題でございますが、休業等を実施した場合に、それに要した費用の助成を行う雇用調整助成金の支給要件の緩和とか助成率の引き上げ等の特例措置を講ずることとしておりまして、自治体や関係団体にも周知をいたしたところでございます。

 また、現地に厚生労働省の職員を、医系技官を含めて派遣いたしておりまして、熊本県、熊本県精神科協会、大学関係者等との連携をしながら、被災をされた精神科病院への大学病院からの医師の派遣等の人的支援が円滑に行われるように取り組んでまいりました。

 今後も、引き続き、被災地のニーズを丁寧に把握し、その中には、今先生御指摘になった、医療機関としてチームで医療をやってこられた、その人たちがばらばらにならないようにするためにどうしたらいいのか、そういうことを含めて、必要な支援に取り組んでまいらなければならないというふうに考えております。

河野(正)委員 よろしくお願いいたします。

 地震で建物が崩壊し、また、チーム医療、病院の体制そのものまで崩壊してしまうということではどうしようもありませんので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 建物などの設備の復旧に当たり、精神科病院は、保健衛生施設等災害復旧費補助金の対象となります。その補助率は、公的医療機関では二分の一である一方で、民間病院は三分の一というふうになっております。

 公的医療機関と民間病院になぜこのような差がつけられているのか、理由を伺いたいと思います。

藤井政府参考人 お尋ねの災害復旧費補助金につきましては、災害の発生時にその都度交付要綱を定めて補助を行っているところでございます。

 例えば、平成十七年に発生をいたしました福岡県西方沖での地震等に係る災害復旧につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、公的医療機関の補助率を二分の一、その他医療機関を三分の一としてございます。

 一方で、東日本大震災の際には、その被害の甚大さに鑑みまして、公的医療機関の補助率を三分の二、その他の医療機関を二分の一としてございます。

 これまでの災害復旧費補助金におきまして、公的医療機関の補助率がその他の医療機関の補助率よりも高くなってございますのは、私ども、やはり、措置入院や災害医療等におきまして公的医療機関が地域で一定の特別な役割を担っていることを勘案したものであるというふうに理解しております。

河野(正)委員 我が国の精神科医療は、かなりの部分を民間が負っておりまして、措置入院も当然ですけれども、かなり民間病院がやっておるところでございますので、ぜひともそういった東日本大震災のときの経験を生かして対応をしていただきたいというふうに考えます。

 精神科病院を除く他の医療機関の災害復旧には、医療施設等災害復旧費補助金というのが使用されます。その補助率は二分の一となっております。交付対象には、公的医療機関だけでなく、病院群輪番制病院や救命救急センターなどの政策医療機関も含まれております。

 精神科病院も、県の精神科救急輪番システムを担うなど、熊本県においても大きな役割を担っておられます。しかし、現状では、公的医療機関とは差がつけられる仕組みとなっているわけでございます。このような状況の中で、民間精神科病院にとって、公的な役割を担う意欲が失われてしまうといった声も実際に熊本の方からいただいております。

 こうした懸念について、政府の問題意識と今後の制度のあり方について見解を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 今回の熊本地震によります精神科病院の被害につきましては、現在、被害状況の把握に努めております。

 甚大な被害が生じている病院ももちろんあることはよくわかっておりますので、公的医療機関の補助率の問題、今御指摘をいただきましたが、その他の医療機関の補助率よりも高くなっているわけでございますが、措置入院、災害医療等において公的医療機関が地域で特別な役割を担っているということを勘案しているということを先ほど部長から答弁して、いや、民間もやっているということで、実態はそのとおりのところもあるというふうには認識をしておりますが、いずれにしても、今回の地震による精神科病院の詳細な被害状況を把握することが大事だというふうに思います。益城町でも、やはり最初に移転せざるを得なくなったのは精神科病院でありました。

 そういうことで、精神科病院の一日も早い復旧が急務でございますので、そういうことを勘案して、実態をまずよく把握をしていきたいというふうに思います。

河野(正)委員 民間精神科病院にあってでも、本当に我が国では公的なさまざまな、いわゆるみなし公務員のような業務を負って活動しておりますので、ぜひともその点は御考慮いただきたいと思います。

 次の話題に移りたいと思います。

 来年四月より、専門医やその養成プログラムを第三者機関が認定、評価する新しい専門医制度の実施が予定をされております。既に実施まで一年を切っておりますが、医療関係団体からは、地域や診療科の間での医師の偏在を助長するおそれがあるといった懸念が相次いで出されており、制度が本当に実施に移すことができるのか、見通しにくい状況となっております。

 専門医制度というのは、本来、患者さん、国民が、この資格を持ったお医者さんならば安心できるというような、あくまで国民が安心して医療にかかることができる資格であるべきだと考えますが、今、かなり急いで、医療関係団体からもたくさんの不安の声が噴出している状況の中で、来年四月にスタートしようとしているわけですが、まず、政府の現状認識を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 この新たな専門医の仕組みについては、医師の質の一層の向上を目的として、平成二十五年の四月に専門医の在り方に関する検討会報告書というのが出ましたが、それに基づいて、中立的な第三者機関でございます日本専門医機構において、医師偏在を拡大させることのないように配慮しながら準備が進められてきたというふうに理解しております。

 しかし、社会保障審議会医療部会などにおいて、病院団体等の医療機関の関係者から、日本専門医機構における検討について、次のような懸念が示されております。

 症例数を経験できる都市部や大病院に研修医が集中してしまうんじゃないか、その一方で、地方や中小病院には研修医が来なくなって、医師の地域偏在を拡大させるおそれがある、それから、内科、外科など基礎的な分野の専門医の認定後に、どのような身体の部位やあるいは疾病別等の分野の専門医認定を得ることが可能か不明であるといった、さまざまな指摘を受けているわけでございますし、私もいろいろな方々から、この問題について懸念を示される方々が私の周りにもおられるわけでございます。

 これを受けて、厚生労働省では、ことしの三月に、医療部会のもとに専門医養成の在り方に関する専門委員会というのを設けました。新たな専門医の仕組みの開始に向けて、地域医療提供体制の確保と適切な専門医の養成体制との関係等について関係者に御議論いただいているわけでございます。

 専門医を養成すること自体は誰しもが賛成をするわけでありますけれども、これをどういうふうに養成をし、どういう働きをしていただくのか、これについてさらに検討を深めていく必要があるなというふうに思っております。

河野(正)委員 厚生労働大臣もしっかりと認識はしていただいているものと思いますけれども、そういった意味で、ちょっと質問を先に進めてまいります。

 やはり患者さんが安心できるようなシステムにしなければいけない、国民目線で考えていかなければならないと思います。専門医資格を更新するために休診するというようなことがあれば、地域の患者さんにも御迷惑をおかけするわけですし、そういった点もしっかりと勘案しなければならない。十分に検討してから実施すべき制度だと思います。

 今、日本専門医機構が発足しまして、そういったところがやっていこうというわけでありますが、こういったところがちゃんとその辺を担っていくこととして、大丈夫なのかどうか、この点も認識を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 この新たな専門医の仕組みにつきましては、先ほど申し上げた専門医の在り方に関する検討会の報告書で、学会から独立した中立的な第三者機関とされまして、プロフェッショナルオートノミー、専門家による自律性を基礎に設計、運用するということになっていたわけでございます。

 これを受けて、中立的な第三者機関としてでき上がったのが先ほどの専門医機構でございまして、日本医師会や病院団体などの医療関係団体や十八の学会を社員として、十九の診療領域の専門医養成の基準や認定の方法について検討、準備を自律的に進めてきたわけでございます。

 しかし、この専門委員会などにおいて、日本専門医機構における検討過程において、例えば、学会を中心とした社員構成となっておって、専門医養成を行う病院の基準等に病院団体等の意見が十分に反映されていないじゃないかというような問題、それから、医療関係団体との調整や情報開示等が十分ではなくて、制度の詳細や検討の過程が不透明ではないかというような懸念が示されてまいっておりました。

 このため、先ほど申し上げた専門委員会で、厚生労働省としては、地域医療提供体制の確保の検討とあわせて、この日本専門医機構の組織、運営のあり方も含めて、さまざまな論点について議論を尽くしていかなければならないというふうにしているところでございます。

河野(正)委員 時間がありませんので、最後にお聞きしたいんですが、そういった意味で、新専門医制度によって、先ほどもちょっとお話ありましたが、地域偏在という問題が懸念されております。地域の医療が崩壊するというふうになってしまえば、その地域に住むことができなくなりますので、昨今、地方創生という言葉がよく言われておりますが、地域の医療体制を守っていくことというのはその根幹であるというふうに思っております。

 先ほど来お話ししましたように、来年からもうスタートするということが初めに決められておる、前提となっております。実施時期ありきで議論がどんどん進んでいっているのではないかなと思います。地域偏在の問題に関しましては、都道府県ごとに調整会議を設けるということでありますが、現在までに機能している都道府県も少ないというふうに聞いております。

 あくまで国民目線でしっかりとした専門医制度となるために、国がしっかりとリーダーシップを発揮すべきと思っておりますけれども、厚生労働大臣、十分認識されているものと思いますが、最後に一言お願いいたしたいと思います。

渡辺委員長 既に申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。

塩崎国務大臣 十六年度に医師の臨床研修を必修化した際に、研修医の募集定員、これについて、全国の総数や地域ごとの定員枠が設定されておらないで、研修受け入れ病院が多い都市部に研修医が集中するという傾向がございました。地域の医師不在がそれによって顕在化したということもありますので、私どもとしては、新たな専門医の仕組みについても、こういった問題が起きないようにしていかなければならないというふうに思っているわけです。

 専門委員会で、委員長から厚生労働省に対して、これまでの地域での専門医養成の実績から大きく変わることのないよう、新たな仕組みにおいても、過去の養成の実績数を踏まえて、診療科ごとあるいは都道府県ごとの養成定員枠を設定するための方法等について検討するように指示があったところでございまして、今後、専門委員会において、この養成定員枠の設定方法を含めて、医師の地域偏在を助長させない仕組みについて議論してまいりたいと思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、中川俊直君。

中川(俊)委員 自由民主党の中川俊直です。

 本日、質問の機会を頂戴しましたけれども、十五分余りということで、答弁も手短にいただきますように御協力をお願い申し上げたいと思います。

 先ほど河野委員からもありましたけれども、熊本と大分の地震から一カ月が経過をいたしました。そういった中で、やはり本当に、まだまだいろいろなことをやっていかなくちゃいけませんし、心のケアを含めて、被災者に寄り添った対応というのが必要だというふうに考えております。

 そこで、国民に最も身近な行政をつかさどるのがやはり厚生労働行政でもあって、そういったところから、これからの対応への思いとか決意というものを冒頭お聞かせいただければと存じます。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、このたびの一連の地震により亡くなられた皆様方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災をされた方々に心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。

 そこで、御質問でございますけれども、私ども厚生労働省では、被災直後から、まず、命に直結する部分、DMATや医療救護班による医療の提供、避難者の健康管理、避難所の衛生管理、水道の復旧等に鋭意取り組んでまいりました。

 今は、ライフラインの復旧も進みまして、被災地のニーズが生活の安定に向けた支援に移行しておりますので、被災地における雇用の継続、それから、高齢者の方々がいろいろ苦しんでおられるということで、介護人材が足りないので、福祉施設への応援派遣、そしてさらには、暑くなってまいりました、熱中症や食中毒への対応も重要になっております。

 こういう中で、今重要なことは、保健所を含めて、自治体が通常業務をきちんとやっていける、再開できるというような体制をつくることが大事だという思いで、激震地でありました益城町を中心に、現地に現地対策本部がございますので、そこを中心に支援の度を強めております。

 今後とも、被災地のニーズをきめ細かく把握するとともに、ニーズの変化に対応した息の長い支援に努めてまいりたいと考えております。

中川(俊)委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 実は、私ども自民党の方も、今、牧原委員もいるんですけれども、青年局長で、私も青年部長を務めさせていただきながら、被災地はしっかりと回らせていただいております。やはり、こういった対応については、政府と連携をさせていただきながら、与野党問わず、本当に一緒になって被災者支援というのをやっていくべきだということを思っていますので、そういった観点からも、厚生労働省の皆さんにも、引き続き、私たちに対しても御指導賜りますようにお願いを申し上げたいと思っています。

 その上で、きょうは私、時間が限られている中で、いつもライフワークでさせていただいています健康長寿社会について御質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 これからの日本というのは、人口減少、長寿時代というのを迎えるに当たって、私もやはり、本当に、健康長寿立国というものをどんどんと推し進めていきたいということを考えているんですけれども、どうもやはり、選挙区各地を回らせていただきながら健康長寿立国をつくっていきましょうと言っても、この文字は書くとすごくいいんですけれども、何かかた苦しいとか息苦しいというようなことを、健康長寿社会をつくりましょうと言ったら、わしら、ずっと長生きせにゃいけぬのかとか、迷惑かけるんじゃないかとかというようなメッセージがどうしても伝わってくるということをよく御指摘いただくんです。

 そこで、あえて、私、本当に思うんですけれども、横文字にしたら、例えば、本当に生き生きしていったりわくわくしていくようなエージングライフというのをみんな本当に国民挙げてやっていくべきだということをいつも思っておりまして、そういったスローガンとかロゴというものをどんどんつくっていって、元気でい続けることって本当にとうといんだよというような啓蒙、啓発も含めてしっかりと取り組んでいくべきではないかなということを思っているんです。

 そういったことも、厚労省、おやりになられていると思うんですけれども、現在の取り組みやそういった思いについて、ぜひお聞かせをいただければと思います。

太田大臣政務官 先生御指摘のとおり、生涯現役で自分らしく活躍する社会を実現していくためには、生涯にわたる健康づくり、これを地域を挙げて、そして厚生労働省もそれを先導する形で進めないといけないと考えております。

 委員御指摘のとおり、国民の意識を啓発して、明るく前向きに、スローガンなども用いまして、国民運動として取り組みを進めていく、こういう考え方は大変大事だと思います。

 私ごとで恐縮ですけれども、私も知事時代に、ちょうど健康増進法が始まりまして、野菜バリバリ朝食モリモリ、たばこバイバイ、歩いてスマート、自分でやれと言われましたけれども、このようなスローガンで頑張りました。済みません。

 厚生労働省も、今しっかり進めておりまして、平成二十五年度から、第二次健康日本21、これに基づいて、国民の健康づくり運動を実施しております。運動、食生活、禁煙、検診の受診について、企業等にアクションをとってくださるように呼びかけて、スマート・ライフ・プロジェクト、これを推進しております。

 このプロジェクトは、健康寿命を延ばしましょうということをスローガンとしておりまして、その趣旨に賛同したメンバーには、健康寿命を延ばすための活動を行っていただく場合に、ポスター、CM、名刺、ホームページ等のさまざまな媒体にスマート・ライフ・プロジェクトのロゴマークを使用していただけるようにしております。

 現在、企業や自治体など、三千百九十の方に登録をいただいておりますけれども、今後は、このプロジェクトを一層推進して、国民の皆様が生涯を通じて元気で健康な生活を送れる社会の構築を図ってまいります。

中川(俊)委員 ありがとうございます。

 私は、世界に冠たる健康長寿立国で、今の統計でいったら二〇四五年ぐらいにもしかしたら百歳というのも到達してくるのではないかということを、これを喜ばしいというような、本当に元気に明るくという方向性が大事だというふうに思っておりますし、太田政務官の知事時代のお話というのも伺わせていただいて、こういうのを本当に、みんなでキャンペーンを張って、どんどん国民の皆さんと一緒に思いを共有していくということが大事だろうというふうに思っております。

 そこで、私も実は、初当選以降、そういった方向性を目指していきたいということで、例えば、鴨下一郎先生のもとで、自民党内ではヘルス&コミュニティ議員連盟の事務局長をさせていただいて、きょうお集まりの委員の皆さんの中でも御協力をいただきながら、超党派の、次世代の社会保障制度を構想する議員連盟という中でも事務局長を務めさせていただいて、とにかく国民一人一人の自助努力を喚起していこうという方向性で社会整備を進めていくという観点から、きょう、資料の方をまた持ってこさせていただいたんですけれども、資料一の一、一の二に書かせていただいています健康長寿社会形成基本法案というのもつくらせていただいております。

 そういった中では、これはやはりインセンティブというものを、健幸ポイントとして活用していきながら、しっかりとICTや民間の創意工夫というのも引き出していこうということで、しっかりと国民に多様な選択肢というのを提供していこうという観点から横串を入れさせていただいているのがこの法律でもあります。

 また、そういったところで、二年半ほど前から、例えば当時の田村厚生労働大臣も含めて、さまざまな関係閣僚にも提言書というのを持っていきまして、結果として、資料二に書かせていただいておりますけれども、いわゆる政府の骨太の方針の中にも「インセンティブ改革」という文言が昨今入ってきた。そういった中では、頑張る人を支えていく仕組みとか、シフトしていくような国民のニーズに適したさまざまな選択肢というものを提供していこうというような形になってきております。

 こういった中で、この国会では、まだまだ全てにわたっての法案等々が窮屈な中で、まだ提出には至っていませんけれども、こういったものは本当に、与野党問わず、これは政争の具にする話ではないので、ぜひ御協力を賜りたいなということも、きょうお集まりの各党の委員の先生方にもお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 そこで、今度はインセンティブの取り組みについてお話をさせていただければというふうに思っているんですけれども、このインセンティブの取り組みというのは、いわゆる特区というほどではないんですけれども、実は既に多くの自治体が実施をしているんです。

 六つの自治体が実施をしておりまして、これは資料三の方をぜひ委員の先生方にもごらんいただきたいんですけれども、筑波大学大学院の久野譜也先生が実際に新潟の見附市ですとか福島県伊達市などで、六市で実施した健幸ポイントの事業になるわけであります。こういったところで、本当に多くの健康無関心層というものが、この健幸ポイントが有効に働いた結果、事業に参加された方が、一日の歩数や、また医療費で効果が見られたと聞いています。

 そこで、ぜひ厚労省の方にもその辺の決意を伺いたいんですけれども、私も、厚労省の方もそういったインセンティブというのを広げていこうということは、今既にそういったことで動いていただいていると思うんですけれども、具体的に、今後、こういった六つの事例も踏まえてどのように対応していくのか、そのお考えをお聞かせいただければと存じます。

唐澤政府参考人 御指摘いただきましたように、加入者によるウオーキングでありますとかジョギングの取り組みなど、こうした取り組みに対して健康グッズやスポーツクラブ利用券等と交換できる健幸ポイント、これを付与する取り組みが行われております。

 昨年の医療保険制度改正の中でも、個人の健康づくりに対するインセンティブを提供する取り組みということで、保険者の保健事業に位置づけさせていただきました。

 具体的に、この健幸ポイントは、特に健康づくりに無関心な層の人たちに働きかけるという点が非常に重要でございますので、今後、その実施に当たっての留意点や推進方策をまとめたガイドラインを策定いたしましたので、これを保険者に周知してまいりたいと考えております。

 さらに、昨年七月に発足した民間主導の日本健康会議、これも幅広い皆さんに御参加をいただいておりますので、こうした健康会議とも連携をさせていただきながら、取り組みをさらに積極的に推進してまいりたいと考えております。

中川(俊)委員 ぜひ、こういった観点では、ナショナルデータベースですとかビッグデータというのも大いに活用していただきながら、随時進めていっていただきたいというふうに存じます。

 そして、あわせて、時間が限られているので、資料四をぜひごらんいただければと思います。

 これは前回もお示しをさせていただいた資料なんですけれども、フライブルグ、本当に、一九七〇年代ぐらいから、自動車を入れなくなって、一気に、こういった取り組みによって、自然と歩いて暮らせる町が実現をいたしました。本当に、中心市街地も活性化をされるばかりか、わくわくしていくような町づくりということで、音のある、にぎわいのある町になってきた。

 私は、こういった方向性というのは非常に大事だということであるならば、やはり国土交通省と連携をしていただきながら、コンパクトシティーというのを打ち出していって、やはり地域包括ケアシステムの観点からも、住宅や都市整備を進めていくというところでしっかりと連携をしていかなくてはいけないというふうに思っているんですけれども、そういった取り組みについて、ぜひまた、決意も含めてお話をいただければと思います。

三浦政府参考人 住宅施策、都市環境の整備についてお尋ねいただきました。

 政府におきましては、要介護状態となっても住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように、医療、介護、予防、住まい、生活支援、これらが包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築の実現を目指しているところでございます。このため、厚生労働省と国土交通省は、それぞれの省庁の強みを生かして、緊密に連携しながら施策を推進しているところでございます。

 具体的には、介護離職ゼロを実現するために、平成二十七年度の補正予算におきまして、二〇二〇年代初頭までに、厚生労働省においては在宅や施設のサービスの整備、また、国土交通省におきましてはサービスつき高齢者向け住宅の整備量を上積みする予算を盛り込んだほか、サービスつき高齢者向け住宅などの高齢者住まいに関する施策の適切な運用の実施、また、住宅確保が困難な高齢者などに対する支援を行うということを目的に、都道府県などが設置する居住支援協議会の先進的な取り組みや、国の居住や福祉に関する施策などについて情報交換をするために、都道府県の住宅部局担当者と高齢者福祉部局担当者への合同会議の定期的な開催などを行っているところでございます。

 今後とも、両省連携して施策を推進してまいりたいと考えているところでございます。

中川(俊)委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 本当に今、ハードの部分ばかりではなくて、私、ソフトの部分というのは非常に大事だろうというふうに思っておりまして、今、一億総活躍社会ということを政府も掲げておりますけれども、そういうのを進めていくのであるならば、例えば、生活習慣とか食育とかスポーツの推進というものをしっかりと指導していく、何か健康推進委員のようなものを私は全国に配置するべきだというふうに思っていまして、例えば、二百万人ぐらい全国にそういうのを配置して、そういったしっかりと知識を持った形で国民の皆さんに指導していくというのが大事だろうというふうに思っております。

 実は、このヘルス&コミュニティ議員連盟でも、本日から、それぞれの関係大臣、一億総活躍大臣も含めて、そういった提言を持っていこうというふうに思っていますけれども、その辺のお考えについて、どのような考えを持っていられるのか、厚生労働省についてもお聞かせをいただければというふうに思っております。

福島政府参考人 お答えいたします。

 国民の健康寿命を延ばしていくために、国民お一人お一人がみずからの健康により一層気をつけていただくというのが大事でございますけれども、その健康を支え、守るための社会環境の整備も重要なことでございます。そういう観点から、今、その健康長寿を推進する人材、この育成は大変意義深いものと考えております。

 私ども、二十八年度の予算事業として、地域密着で活躍する既存の人材の調査を行い、地域コミュニティーの中で健康づくりの取り組みを推進する人材育成のためのプログラムの策定等を行うこととしております。

 また、厚生労働省では、平成二十四年度から、「健康寿命をのばそう!アワード」、これを設けまして、健康寿命の延伸につながるような取り組みをしている自治体、企業、団体を毎年表彰しております。長野県の須坂市というのがございますけれども、保健補導員というのがございまして、その補導員会、これは平成二十六年度には最優秀賞を受賞しております。

 こういう事例、こういう地域や企業等で取り組まれております好事例について、ほかの地域あるいはほかの企業がそれを参考にできるように情報発信をして、官民挙げて、国民の健康寿命の延伸に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

中川(俊)委員 ありがとうございました。

 須坂の母ちゃんの事例というのは小松委員の御地元でもあるんですけれども、ぜひそういったのをどんどん全国に展開していただきたいというふうに思っています。

 いよいよ、二〇二〇年東京オリパラが近づいてまいりました。受動喫煙の問題等々のCOPDも、私、これも事務局の方をやらせていただいているんですけれども、本当にそういったものも、死亡者数というのが全体八位ということで、受動喫煙ばかりじゃなくて、たばこをやめる方にもぜひインセンティブのポイントを付与していただくような取り組みも大事だなというふうに思っております。

 二〇二〇年に向かって、先ほど来ありますように、明るく楽しく、国民が予防や健康づくりというのを楽しくやっていけるような方向性でこれからも進めていただきますようにお願いを申し上げて、私からの質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 十五分ですので、早速質問に入ってまいります。私も、熊本地震に関して一問、質問をしてまいります。

 発災から約一カ月間が過ぎようとしております。私も、現地の公明党の女性局長、藤岡照代熊本市会議員ですけれども、ずっと連携をとってまいりまして、今の時点での要望などを伺いました。

 長期化する避難生活で、女性、子供、高齢者が安心して過ごすことができる環境整備の充実を図ってほしい、授乳室、男女別のトイレ、物干し場、更衣室、共用スペース、照明などを設置して、運営管理者に女性を配置してもらいたい、また、女性用品などの物資は人目につかないところに保管をして、避難者に渡す際は十分な配慮をしてもらいたい、また、避難所運営の責任者には女性を参画させてもらいたいとか、また、避難所において性暴力が起きる可能性がある、この被害防止の体制強化もしてほしい、また、地震の恐怖などで傷ついた親子のメンタルサポートの体制もつくってもらいたい等々、今要望が来ております。

 もう本当に、地震が起き、水もない、食べるものもない、亡くなっている人もいる中で、女性の要望というものは言い出しにくいのが現実です。三・一一東日本大震災の後もそうでした。トイレが共用であったり、授乳のスペースがない。今回も毛布にくるまって着がえをしている女性がいるということで、私たちも、そのときしばらく国会がお休みになって、再開された国会で、私もすぐにこのことを掲げました。

 やはり大きな原因は、意思決定機関に女性が入っていない。当時、中央の防災会議は、二十六人中、女性がたったの二人でした。また、各都道府県の防災会議でも、地方の防災会議は女性の割合が四・一%でした。

 そこで、公明党も、約九百人の女性議員で防災会議を立ち上げて、現場の調査をして、二度にわたる提言を行いました。その後、中央、地方の防災会議の女性の割合もふえまして、また、備蓄品なども女性に配慮するというようなことも指針に盛り込まれたところでございます。

 今、熊本でも、熊本市男女共同参画センターの職員が避難所の運営などの確認をしているということでございますが、熊本地震、女性への配慮、この点について、内閣府にその姿勢をお伺いいたします。

大塚政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の避難所の運営につきましては、これはまさしく、男性と女性のニーズの違いなどにしっかり配慮をしていくことは重要でございます。

 私ども内閣府におきましても、発災翌日の四月十五日に、熊本県と熊本市に対しまして、まずは通知を発出いたしまして、東日本の教訓も踏まえた取り組み指針ですとか、あるいは避難所のチェックシートをまず活用して、きちんと女性等に配慮した対応をしていただくように要請をし、その後、被災市町村等にも周知をしていただいたというふうに承知をしてございます。

 その上で、先ほどお話がございました、市あるいは県が避難所を巡回する、実は、四月二十九日には内閣府の職員もそこに同行して、必要な助言等を行わせていただきました。その結果、把握をしたところでは、例えば、男女別のトイレ、授乳室、もろもろの配慮をした運営等につきましては、できているところもございます反面、確かに御指摘のとおり、更衣室がないですとか、なかなかそういう配慮が十分でない避難所もあったという報告を受けているところでございます。

 今後も引き続きまして、地元の自治体あるいは現地で支援を行っている民間団体等とも、いろいろな要望があればお聞きをし、連携をいたしまして、そういった女性のニーズを把握し、また、いろいろ頑張っている好事例もございますので、そういったところはまた我々が把握をし、逆にいろいろ情報発信をする。そういったようなことを通じまして、各避難所で少しでも女性に配慮した取り組みができるよう促していくとともに、そういった点に配慮した災害対応がなされるように引き続き支援、協力を行ってまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 女性に配慮をしていく、また、女性の声を聞いていくことが、結局は子供たちであったり高齢者であったり被災者全体に通じていくものと思われますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、児童養護施設を退所した子供が生活保護を受給している家庭に戻ったときに、施設入所時の児童手当の積立金が収入認定をされてしまうという課題について質問してまいります。

 三月九日、この件について質問をいたしました。この問題は、児童養護施設に入所していて、その間、児童手当が積み上がっていった、しかし、生活保護家庭に戻ったときに収入認定をされてしまうという。

 児童手当につきましては、民主党政権時代に法改正をして、児童養護施設に入所している子供にも出るようにいたしました。これは、養護施設を出所する際に、自立をしていく、進学をする、就職する、そのときにこの積み上がった児童手当が使える、子供のためになる、そういうことを目指して私たちも法改正をいたしました。

 しかし、この中での課題は、現行の取り扱いでは、生活保護世帯で収入認定をされてしまう、児童手当を子供の将来の自立のために使うことができない。また、一般の生活保護家庭には児童手当と同額の児童養育加算が生活保護費から支給をされている、子供の保護脱却等のためにやりくりにより積み立てた預貯金は収入認定されないということで、児童施設に入所する児童の世帯とそれ以外の世帯の間で不公平が生じるという指摘がございます。

 三月の質問の際、厚労省からは、児童養護施設を退所した子供が生活保護を受給している家庭に戻ると施設入所中の児童手当の積立金が収入認定される取り扱いについて、取り扱いの変更を検討するというふうに答弁をされています。その後の検討状況についてお伺いをいたします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のような課題があることを、私ども深く受けとめているところでございます。

 生活保護でございますが、考え方の基本としまして、利用できる資産、能力その他あらゆるものを活用する、これを前提といたしておりますために、児童養護施設を退所した子供が生活保護受給世帯に戻る場合に、入所中に積み立てた児童手当につきましても、原則として収入認定をし、保護費を減額している実態があるということでございます。

 ただ、本当に先ほど議員から御指摘いただきましたように、この取り扱いというのが、そもそも児童手当が児童の健やかな成長に資することなどを目的としていること、そして、児童手当が、制度改正されまして、最も配慮すべき児童養護施設等に入っている子供たちも支給対象となったのにかかわらず、その場合、その子の将来を考えて、施設においては積み立てることがよく行われている、それでありますのに、積み立てたものの使い道において非常に制約がかかるということは大変課題だというふうに思っております。子供の将来の自立のために活用することが困難、こういうことはやはり避けなきゃいけないというふうに考えているところでございます。

 このため、子供の貧困の連鎖の解消という観点から、児童養護施設などを退所した子供が生活保護世帯に戻った場合に、入所中に積み立てられた児童手当を高校修学に必要な経費や大学の入学金など子供の自立に資する目的に使う場合には、収入認定から除外するよう取り扱いを改めたいというふうに考えているところでございます。

古屋(範)委員 除外するように改めたいという答弁をいただきました。大変前向きな答弁をいただきました。養護施設の児童の自立について大きく資するものと思います。ですので、これを一日も早く実現していただくよう、さらに努力をいただきたいと思っております。

 さらに、生活保護世帯の子供が奨学金の給付を受けた場合についても同様の問題があります。

 現在の生活保護の運用では、高校生が奨学金を受けた場合、私立学校の授業料やクラブ活動費、修学旅行費などの高校修学のために必要な経費に充てられた場合については、収入認定から除外するという取り扱いになっています。これに加えて、現在は収入認定除外の対象となっていない、高校卒業後の自立に必要な費用、具体的には大学受験料や入学金といった大学、専修学校への進学にかかる費用、就職に当たってアパートを借りるための費用などの、自立のための準備金に奨学金を充てる場合も収入認定除外の対象とすべきというふうに考えます。私たちも、そのためにこうした制度を拡充してきているわけであります。

 生活保護世帯の子供が奨学金を大学の入学金や就職の準備に充てた場合の取り扱いについても、あわせて見直しをすべきと考えます。いかがでしょうか。

石井政府参考人 御指摘のとおり、現在の運用におきましては、生活保護世帯の子供が奨学金などを受け取った場合に、修学旅行費など高校修学に必要な経費等に充てられたときは、収入として認定をせず、手元に残る取り扱いとしておりますが、大学等の入学金や、あるいは就職に伴う転居費用などに充てる場合につきましては、収入認定の除外の対象とはなっていないところでございます。

 ただ、子供の貧困の連鎖の解消に取り組むという観点からは、生活保護世帯の子供の大学や専修学校への進学、あるいは就労による自立を支援することは重要な課題というふうに考えております。

 このため、児童養護施設等に入所中に積み立てられた児童手当に係る収入認定の取り扱いとあわせて、奨学金等につきましても、その取り扱いを見直して、現行の取り扱いに加えて、大学等の入学金や、あるいは就職に伴う転居費用などに充てた場合におきましても収入認定から除外をして、その金額が手元に残るよう、これは運用を改めてまいりたいと考えているところでございます。

古屋(範)委員 ありがとうございます。

 私たちも今、貧困の連鎖を断ち切るために、生活保護家庭の子供たちにはやはり教育支援、ここが最も重要だということで取り組んでいる最中でございます。それに向けて、ぜひともここのところの除外ということを実現させていただきたい、奨学金、また、その他についても取り扱いを見直していただきたいというふうに思います。

 平成二十六年八月に子供の貧困対策に関する大綱が出されました。これは超党派でつくった子どもの貧困対策法に基づく大綱であります。子供の将来が、どの家庭に生まれたとしても、それによって左右されることがないように、また、教育の機会均等を図っていくということが、法律、また、この大綱の極めて重要な目的でございます。

 全ての子供たちが、学びたい、あるいは高校進学、大学進学をしたい、そういう希望を実現していく、また、子供の貧困対策を前に進めていく。とりわけ、やはり生活保護家庭の子供が厳しい家庭に置かれています。親もなかなか教育に力を入れられなかったり、義務教育の、家庭で理解が十分にいかなかったり、いろいろな課題を抱えている、複合的な課題を抱えている家庭が多いわけですので、貧困の連鎖を断ち切るためにも、大学進学率の向上、就職率の向上というものが生活保護家庭において非常に重要だというふうに思います。

 貧困の連鎖を防ぐために、生活保護家庭の子供への支援が重要だと考えます。この点についてのお考えを副大臣にお伺いいたします。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されてしまうことは決してあってはならないことでありますし、特に、経済的にさまざまな困難を抱えている生活保護世帯の子供たちにはより一層きめ細やかな支援を行っていくことが必要である、このように考えております。

 このため、生活保護世帯の子供たちに対してはさまざまな支援をさせていただいておりますけれども、先ほど局長の方から御答弁させていただきましたように、貧困の連鎖を防ぎ、子供の自立支援を促進するために、今回、収入認定の取り扱いを見直していきたい、このように考えているところであります。

 こうした運用の見直しだけではなく、生活保護世帯の子供たちへの支援をさらに一歩前進させたいと考えておりますので、今後におきましても、生活保護基準やさらに生活保護制度の見直しの中で、本当に子供たちに添った自立支援というのはどういうものなのか、そして教育の機会をしっかりと確保していくにはどうしていったらいいのか、そういった必要な措置を引き続き継続して検討して、寄り添った形で対応させていただきたいと考えております。

古屋(範)委員 大変前向きな答弁、ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十六分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。民進党の大西健介でございます。

 大臣、参議院の本会議、お疲れさまでございました。

 あしたで熊本地震から一カ月ということで、きょうも地震の質問から入っていきたいというふうに思っています。

 熊本の地震では、私の地元に本社があります自動車部品メーカーの関連会社も被災をしました。その工場では、生産用の附帯設備や変電設備に被害を受けて生産を停止しているということで、今、復旧作業をやっているけれども、相当な時間がかかるだろうということでございます。建屋そのものの建てかえなんかも必要になって、年内はちょっと難しいんじゃないかという状況でございます。

 そういう中で、既に工場内から生産設備や生産金型等を搬出して、愛知県内のグループ企業に生産を移したり、他の九州内の協力企業の中で生産をしてもらったりということをやっていて、そこで働く人たちについても、配転等が既に始まっているというふうに聞いています。

 それでも、何とかやりくりできる大手はまだましだと思いますけれども、中小のところについては、そういうやりくりもなかなか難しい。そういう中小、下請では、被災して生産を停止した工場が相次ぎ、再開の見通しが立たないということで、熊本では雇用不安が広がっているということであります。

 今、資料として新聞の記事を配付いたしましたけれども、例えば、この記事によりますと、熊本労働局では、四月の下旬から専用の電話や相談の窓口を設けて対応に当たっているけれども、五月五日までに約五千五百件問い合わせがあったということであります。また、ハローワークにも長蛇の列ができているということであります。

 まず、熊本でこうした雇用不安が広がっていることに対して、厚労省としてどのように対応してこられているのか、また、どういう相談内容が多いのかについても御説明をいただきたいというふうに思います。

塩崎国務大臣 平成二十八年熊本地震によりまして、一時的な休業とか、あるいは事業縮小を余儀なくされている事業所も各所で見られておりまして、雇用への影響が懸念をされるわけでございますので、厚生労働省としても、万全の体制で臨むように努力をしているところでございます。

 こうした中で、特に影響の大きい熊本県内の四月十五日から五月十一日までの相談件数を見ますと、この報道よりはもう少しふえておりまして、約九千件、内訳を見ますと、雇用保険関係が約六割、そして雇用調整助成金関係が約二割、その他、仕事、就業関係が約一割、このような内訳になっておりまして、この雇用保険関係ということは失業保険ということになることが多いのかなと思いますので、そういう意味で、引き続き、雇用への不安を払拭するということが大事だというふうに思っております。

 働く方がやはり希望を持って働いていただくということが極めて重要でありますので、雇用調整助成金の要件緩和を既に実施しているほか、事業所の被災によって労働者が一時的に離職した場合などにも失業給付の対象とする雇用保険の特別措置を実施しているところでございます。

 また、熊本労働局それからハローワーク等に、震災関連の相談窓口を既に設置しておりまして、事業主それから労働者等からの相談に対応しているところでございます。

 列ができているのではないかということでございますが、当初に若干そういうこともございましたが、今、朝の開所のときに少しお待ちをいただくことはあっても、行列ができたりしないようにという対応をしているところでございます。

 さらに、ハローワークの利用者の増加が、これからまさにふえてくるのではないかという想定のもとで、体制の強化を図っております。九日の月曜日以降、本省や熊本県外の労働局からの職員の派遣を開始しておりまして、明日、十四日土曜日以降の土日のハローワークの開庁を既に私の方から指示したところでございます。

 現地の状況を踏まえて、さらにその体制の強化を図ってまいりたいと思いますし、完全に操業がとまっているというところも間々あるわけでございまして、これからまさに雇用をどうしっかりと守っていくかということが極めて重要な問題になると私も認識をしておりまして、万全の体制で臨んでまいりたいと思っております。

大西(健)委員 今もお話ありましたように、今回の地震の特徴というのは余震が長く続いているということで、一カ月たって、本当にこれから、雇用保険であったりとか雇用調整助成金の申請はこれからふえると私も思っておりますので、今お話しいただいたような万全の体制で行っていただきたいと思います。

 さて、私も、地元で街頭演説とかを行うときに、今回の熊本地震の義援金の募金受け付けなんかもやっているんです。先日、熊本県は、六日の日ですけれども、四月末までに寄せられた義援金約五十七億円の第一次配分を被災自治体に行ったということであります。この義援金は市町村を通じて被災者に渡されるということですけれども、先ほどちょっと古屋委員の方から生活保護のお話がありましたけれども、生活保護受給者の中にはこの義援金を受け取るかどうかを迷っておられる方がいらっしゃるということであります。

 お手元の新聞記事の、ちょうど一枚目の裏のページ、二というものですけれども、「義援金受け取り 尻込み」ということであります。

 義援金は基本的に収入に認定されるということで、受け取ってしまうと生活保護費が減額をされたり停止をされたりする、そういう可能性があるということで、本当は受け取りたいんだけれども受け取るのをためらっているというような状況があるという報道があります。

 そもそも義援金というのが収入認定されてしまうということ自体に私は少し違和感があるんですけれども、ここは何とか見直しということができないものか。いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 この生活保護の制度は、言うまでもなく、利用できる資産とか能力その他全てのものを活用しながらというのが大前提であるわけでありまして、収入があった場合には、原則として、その分保護費を通常であれば減額して、保護の停止または廃止になる場合もある、こういう仕組みであることはもう御案内のとおりであります。

 このため、そうはいいながら、義援金の扱いをどうするかということで、この問題については、一律全額収入認定をしないという取り扱いにすることはなかなか難しいわけでありますが、義援金をやはり暮らしの再建、生活保護自体は憲法に保障されております国民としての最低限の暮らしを保障するという中で、この義援金というものが位置づけられなければならないわけであって、義援金を、例えば住居の補修、生活用品や家具、家電などの、言ってみれば被災をすることによって失った生活、その生活を再建するために充てられる場合には、その金額を収入認定はしないということになっています。

 また、収入認定の除外に当たりましては、生活保護受給世帯において、義援金の使途そして金額を記載する自立更生計画というのを策定していただく必要があるわけでありますが、震災直後に緊急的に配分する義援金につきましては詳細な記載を求めないということなど、被災者の負担の軽減にも当然努めるということになっております。

 こうした取り扱いについて、被災自治体において適切に運用をしていただいて、生活保護が憲法に定められた目的に沿って運用されるように丁寧に周知をしてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 先ほどの新聞記事を見ると、例えば、熊本県弁護士会は、そもそも義援金は全額収入とみなすべきではないと主張されています。

 今お話があったように、確かに、例えば、自立更生に使った分は収入認定のところから除いてくれるということなんですけれども、では、どういう費目が自立更生のために充てられる費目かというのをきのうリストでいただいたら、今大臣からお話があったように、例えば住居の補修とか、あるいは家電を買うとか、生活用品や家具を買うとか、あるいは、例えば、就学にかかわるようなものを買うとか、墓石なんかも入っているんですね、仏壇とかも。ですから、かなり幅広く認められているんですよ。

 そもそも義援金というのは、そういう家電とか生活用品とかを買うために渡されるものですから、緊急のときで、まだ避難所で生活しているのに、わざわざ申請書を書くというようなことをしなくても、義援金程度の額だったら、初めから全額、これは収入から除いてあげても私はいいんじゃないかと。まさに、平時とは違うわけです、緊急時ですから。しかも、すごい額ではなくて、何十万という額だと思います。

 もともとそういうものに使ってくださいということで渡しているわけですから、そういうものに使ったら除かれるんですから、それを、わざわざ書類を書かないと除かれないというようなことをやらなくても、すっきりと、シンプルに、もう義援金は収入認定しないとしてしまえば私はいいんじゃないかというふうに思っておりますので、そのところはまた、ぜひ考えていただきたいと思います。

 次に、一型糖尿病についてお聞きをしたいんですけれども、一型糖尿病というのは、血糖値を下げるホルモン、インスリンが分泌されない、そういう病気でありますけれども、そのために、インスリン注射をしないと生きていけないということです。

 東日本大震災のときには、このインスリンの患者への供給がなかなか難しかったということで、いろいろな課題がありました。しかし、それを、教訓を生かして、今回、私の地元に患者団体の代表の方がいらっしゃるんですけれども、お聞きをすると、今回は非常に東日本の大震災の教訓が生きて、その部分はうまくいったということでありました。

 きょうは、一型糖尿病の幼児の入園拒否という問題、これをちょっと取り上げたいんです。

 資料の、三番目の記事ですけれども、これは、大阪市の患者団体、大阪杉の子会というのがあるんですけれども、そこの二百二十五名の方にアンケートを行ったところ、四人に一人が、入園拒否や、あるいは入園に難色を示された経験があるということであります。

 一型糖尿病というのは、先ほども言いましたけれども、今のところ完治するそういう治療法はないということでありますが、注射とかポンプでインスリンを一日に何回か注射をすれば、普通に、運動や食事の制限もなく、日常生活を送ることができる。

 例えば、阪神タイガースで活躍している岩田稔さんという投手がいるんですけれども、この方は一型糖尿病です。高校時代に社会人野球のチーム入りが一旦決まったんだけれども、一型糖尿病ということがわかってそれが取り消された、みずからもそういう経験があるということでありますが、今は、阪神タイガース、プロ野球選手として、インスリン注射を打ちながら、見事に活躍をされているということであります。

 ですから、注射さえ自分でできれば、園児であっても、これは普通に幼稚園へ通うことができるということであります。

 ところが、今言ったように、四人に一人は、そういう入園拒否や難色を示された経験があるということですので、これについては国のガイドラインとかはなくて、各園の判断に任せられているということでありますけれども、基本的には、先ほど言いましたように、医師や保護者から十分に説明を聞いて、自分でちゃんとインスリン注射が、あるいはポンプでインスリンの注入ができるということであれば、ほかの園児と一緒に通うことは可能なケースというのがかなり多いんじゃないかと思いますので、ぜひその辺の周知徹底というのを図っていただきたいんですけれども、これは厚労省と文科省、それぞれから簡潔に御答弁をお願いします。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 障害を持っているお子さん、それから、今お話しになりましたようなさまざまな疾病を持っているお子さん、こういった支援が必要なお子さんたちも含めて、やはり、全てのお子様をお預かりする、それで、健常なお子さんも含めて、さまざまな生活、遊びを通じて、生活していくのを支援していくというのは、これは私どもの基本的なスタンスでございます。

 例えば、アトピーのお子さんですとか、あるいは、最近、食物アレルギーなんかのお子さんもいらっしゃいますけれども、できるだけ個別に対応できるようにということで対応してまいるというのが私どもの基本的なスタンスでございます。

 一型糖尿病に関しまして、今お話ありましたように、インシュリン注射等の随時の医療的な処置を行うということと、あと、その際に、看護職員等による支援を行う、あるいは、看護職員などがいない場合には、医師等の指示を受けて保護者等の協力を得るという形で対応が可能になるものというふうに私どもも承知しております。

 また、お話ありましたように、これはお子様の年齢その他発達状況にもよるとは思いますが、御自分で打てるというお子さんも一定いらっしゃるということも承っております。

 私どもとしては、こういったお子さんたち、障害や疾病のあるお子さんたちの受け入れの推進ということで、まず一つは、できるだけ看護師等の配置をしていくということでまず体制の整備をしていく、あるいは、病児保育等の枠組みの中で支援をしていくということを考えてございます。

 この点に関しては、もちろん、保育園側のさまざまな努力も必要ですし、保護者の御協力も一定得なければいけないところもございますけれども、できるだけこういった方々についても受け入れができるように、具体的な知識あるいは状況について、実例等についての情報提供も含めまして、市区町村あるいは各施設に対して必要な情報を提供しまして、理解を深めていただいて、できるだけこういった方々の受け入れが進むようにということで、体制面あるいは情報提供面でできるだけ努力してまいりたいというふうに思っております。

浅田政府参考人 幼稚園についてお答えします。

 一型糖尿病を含め、単に病気があるからといって幼稚園への入園を拒否するような姿勢は適切とは言えないと考えます。入園を認めるか否かは幼稚園の判断になりますけれども、病気などで個別に配慮を必要とする幼児が入園を希望する際は、病気の状況や必要な支援の内容などを踏まえて判断することが望ましいと考えます。

 一型糖尿病の場合、インスリンの分泌を補うインスリン療法が必要になりますが、例えば、これを幼児の保護者が来園して行ったり、あるいは、保護者との緊密な連携のもとで職員が補食の調整を行うなど、園内での支援体制を整えた上で幼稚園に通っている例もあると承知しています。

 文科省としては、これまでも、担当指導主事等を集めた会議で、特別な支援を必要とする幼児への指導のあり方を協議するなどの取り組みも行ってきておりますが、今後とも、幼稚園において、個別の状況や園としての対応、支援の可能性などを十分考慮した上で適切な判断がなされるように、関係の会議等で周知を図っていきたいと考えております。

大西(健)委員 難病や障害もいろいろなものがあると思うんですけれども、先ほど言ったように、一型糖尿病というのは、注射さえ打っていれば、あるいは今、ポンプというので自動的に注入するようなものもありますので、比較的コントロールしやすいということですので、看護師が絶対いなきゃという話でもないと思いますので、ここは柔軟な対応をぜひお願いしたいと思います。

 きのう、文科省、事前にレクを受けたときには、そういう入園拒否の実態もよくわからないという話でしたので、やはりもう少し丁寧に実態把握をしていただきたいというふうに思っております。

 次に、社会保険診療報酬支払基金の組織の見直しについてお聞きをしたいんですけれども、このことは、規制改革会議の健康・医療ワーキング・グループでも繰り返し議論をされてきております。

 ことしに入って、規制改革会議の翁座長からは、支払基金の存続を前提にするのではなく、ゼロベースで見直すことを河野行革大臣からミッションとして受け取っているという趣旨の発言があって、支払基金が担っている機能を支払基金以外の組織に担わせることを前提にした方針というのが示されているというふうに聞いていますが、そういう政府の方針ということで間違いないかということについて、きょうは、熊本地震の対応で御多忙の中でありますが、私の地元でもある酒井政務官にお越しをいただいていますので、御答弁をお願いしたいと思います。

酒井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 昨年の十一月以降でございますけれども、規制改革会議の中の健康・医療ワーキング・グループの中において、診療報酬の審査のあり方の見直しに関しまして、関係者へのヒアリングや厚生労働省との議論を重ねてまいったところでございます。

 そして、本年の二月の二十九日でございますけれども、健康・医療ワーキング・グループがまとめた論点整理においては、「改革の基本的な方向性」として、「現行の支払基金を前提とした組織・体制の見直しではなく、診療報酬の審査の在り方をゼロベースで見直す。」とされているところであります。

 本改革については、本年の四月に厚生労働省内に設置された検討組織において今後検討が進められるものと承知しております。その状況を注視してまいりたいというふうに思っております。

大西(健)委員 今、酒井政務官から御答弁をいただいたように、「現行の支払基金を前提とした組織・体制の見直しではなく、」ということですから、今までどおり支払基金にこの事務を担わせるということではなくて、「診療報酬の審査の在り方をゼロベースで見直す。」、かなり厳しい見直しをするんだということが掲げられておりますけれども、厚労省もそれに当初はちょっと難色を示していたんですけれども、そのゼロベースの見直し、支払基金にやらせるという前提ではないゼロベースの見直しということで、厚労省も、言い方は悪いですけれども、全面降伏というか、のんでいるということでよろしいんでしょうか、いかがですか。

塩崎国務大臣 支払基金におきましては、年間約十億件のビッグデータの集積が進んでおります。昨年の「保健医療二〇三五」でも、このデータのより意味ある活用ということが大きな焦点にもなっておったわけでありますが、現時点では、この審査支払いの実施自体を存続意義とする業務集団にとどまっているというのが実態ではないかということを我々は認識しておりまして、その保有するビッグデータをどう十分に活用して本来の役割を果たしていただけるかということを課題と考えているわけでありまして、今、業務集団のままであれば、その役割を十分果たせているとは言いがたいという認識をしております。

 厚生労働省としては、ビッグデータとICTを最大限に活用することで、支払基金が医療の質の向上につながる新たなサービスを展開する、言ってみれば頭脳集団に転換をしていただく、その役割を再定義していこう、そういう時期に既に来ているのではないか、データヘルスを推進していこうということはもう既成の事実というふうになっているわけでございますので、そのように考えているところでございます。

 規制改革会議からは、現行の支払基金を前提としないゼロベースでの業務、組織の見直しについて指摘をされておりますけれども、我々としても、単に業務の効率化というこれまでの議論の延長のようなことではなくて、医療全体の質の向上のためにこれからの審査支払い機関がどういう役割を果たしていくべきなのかということをまさにゼロベースから考えていくべきではないかということで、まさに中身がどうなのかということがまず大事な問題だというふうに考えているところでございます。

大西(健)委員 厚労省の考え方は今よくわかりましたけれども、今、多分そういう考え方に基づいてということだと思いますが、省内に学識経験者等による検討会を設置された、これが夏ぐらいには中間取りまとめをやるんじゃないかと言われています。

 ただ、ちょっと疑問に思うのは、検討会の構成員なんですけれども、支払基金の関係者は構成員としない、直接の利害関係者ということなんでしょうかね、一方で、規制改革会議の健康・医療ワーキング・グループの委員も検討会のメンバーになっているんです。

 これは以前にもちょっと取り上げたことがあるんですけれども、規制改革会議の健康・医療ワーキング・グループの委員には、ITを活用した医療コンサルティング会社の経営者とか、レセプト点検事業をやっているような企業の経営者が入っている。診療報酬の審査支払い事務を仮に民営化した場合に、利益を得るような人が一方では含まれている。私は、これは少し、我田引水というそしりも免れないし、公平な議論のあり方じゃないんじゃないか、結論ありきじゃないのかというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 データヘルス時代の質の高い医療をどう実現していくかということが大変大事なわけでありまして、それに向けた有識者検討会だということを先ほど申し上げました。

 単に、審査支払いといういわゆる業務、それをどう改善するかという程度の話ではとどまらないで、ビッグデータとICTの活用等を通じて、これからの審査支払い機関に求められる役割を、さっき申し上げたように再定義をするというのが、それを検討していただくということが大事でありますので、そういう意味では、それぞれの知見を持った方々に入っていただくということが大事だという認識のもとで構成員をお願いしたわけでございます。

 例えば、医療保険制度に関する有識者あるいは医療関係者、つまり、保険制度とは何かとか、そういうことがよくわかっている方々。それから、ICTとかビッグデータ活用に関する有識者、つまり、ICT、ビッグデータ分析で何ができるのかとか、そういう基本的なことや、これから、あと十年後、二十年後、IoT、AI、いろいろなことを考えてみて、そういうことを踏まえて、十年、二十年、三十年ともつような審査支払い機関を新たにつくっていこうということでありますので、そういった専門家を入れる。それから、保険者機能の推進に関する有識者ということで、これからまさに保険者が医療を形づくるというぐらいの意気込みでいろいろな運動もしてもらわなきゃいけないんじゃないかと私は考えておりますけれども、そういったさまざまな立場の有識者からの御意見を伺うということにしております。

 検討会においては、ICTの活用による支払基金の経営効率化に関する議論も予定をしているわけでありますから、そうした分野の専門知識をお持ちである民間企業の代表の方にも参画をいただいているところでございます。

 また、この検討会の議論につきましては、関係審議会にも当然報告、議論を後にいただくわけでございますので、幅広く御意見を伺いつつ議論を進め、最終的には、制度化したりするときには当然審議会に諮るということになるというふうに理解をしております。

大西(健)委員 いろいろな人が入っている、その中にはITの専門家なんかも必要だということは理屈としてはわかりますけれども、一方では、支払基金の人間は、関係者は入れない、でも、相手関係者は入れる。

 安倍政権になってから、例えば派遣法なんかもそうですけれども、ワーキンググループの中に派遣事業者が入っている、今までは参考人みたいなことで呼ばれて当事者らから意見を聞くというのはあったけれども、委員そのものに利害関係者が入ってくるというのが続いていますので、そういうことは大丈夫なのかなということを私は懸念しています。

 もちろん、私も支払基金の今のあり方がいいとは思っていません。組織のスリム化とか業務の効率化は当然やらなきゃいけないし、そういう観点で以前この委員会で私は質問したこともあります。

 ただ、これは本当に、先ほど来申し上げているように、結論ありきでやるんじゃなくて、あくまで、先ほどもお話が大臣からもありましたけれども、患者、国民にとって安心で公平な制度というのはどうあるべきなのかということで議論すべきだと思います。

 仮に支払基金じゃない組織にやらせるという話になったら、支払基金には今四千三百十人の職員がいるんですね、この雇用だって考えなきゃいけないわけです。そんな簡単なことじゃない。では、この雇用をどうするつもりなのか、そんなことも考えずに、もう今の支払基金にはやらせないんだ、そんなことを軽々に言っているのかというと、私はちょっとそれは、もうちょっと慎重な議論が必要じゃないかなというふうに思っておりますので、引き続きぜひしっかり議論していただきたいというふうに思います。

 最後に、これは先日の委員会でも最後にちょっと聞きましたけれども、お配りした記事、最後の記事ですけれども、きのうですかね、小泉進次郎代議士らを中心とした若手の自民党の議員でつくる自民党内の小委員会が、厚労省を分割し、二つか三つの省庁に再編するという提言をまとめて政調会長に渡した。これは、党内でしっかり議論して、参院選マニフェストにも反映するんだみたいな話であります。

 大臣もオフレコの場ではいろいろと持論をお話しされていると私は記者から聞いていますけれども、ただ、公の場では、正面からこの厚労省分割論についてコメントしてくださいと言ってもなかなか難しいことは理解をします。

 ただ、厚労省分割論みたいなものが出てくる背景には、いろいろな課題があるからだということだと思います。

 例えば、この新聞記事をごらんいただきたいんですけれども、この中に、昨年の通常国会の国会答弁の回数、厚労大臣は二千九百三十四回、同じように、建設省、運輸省、国土庁が一緒になった国土交通大臣は六百八十七回ですから、約四倍、大臣は仕事をしているんですよね、すごいですね。それだけ答弁されている。我々がそれだけ質問しているということかもしれないですけれども。

 大臣も、大臣になられて改めて、厚労大臣は大変だな、所管も広いし、答弁回数も大変だなと実感をされていると思うんですけれども、そうしたことを初めとして、厚労省分割論みたいなものが出てくる背景にある課題というのがあると思うんです、今言ったような答弁回数の多さもそうですけれども。そういうことについて、大臣、どうしていったらいいというふうに思っておられるか。これなら多分答えられると思いますので、答えていただきたい。

渡辺委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、大臣、答弁は簡潔にお願いいたします。

塩崎国務大臣 今回、自民党の方から提言が昨日まとめられたということは報道で聞いたわけでございますが、これは、厚生労働省がいかに国民生活にとって本当に身近な、そして重要な改革課題をたくさん抱えているか、この問題意識を持っている自民党の若手の国会議員の皆さん方が提言をされたということだと思うんです。

 したがって、本当に国民の重要課題を、改革課題をちゃんとやれるような体制にせいということを議論いただいているということは、私は大いに歓迎をするところであって、どういう結果があろうとも、やはりそのことはよく議論していただいて、改革が実現をしていかないといけないというふうに思うわけであります。

 一方で、この中にも指摘をされておりますが、保健医療、介護、福祉、年金、子育て、労働、もういろいろなことが、これは膨大な業務量を求められるわけでありますけれども、根本的に、この組織をどう分けようとも、あるいは大臣を二人にしようと、三人にしようとも、この業務量と職員の数というのはバランスは変わらないので、この職員の数についてもやはりふやしていかないと難しいということも、実は、率直な気持ちとして私は持っております。

 それで、今、答弁回数がありましたが、私どものカウントでは、去年の通常国会は三千百十八回、私が答弁したということになっておりますが、やはり、国会審議のあり方についても提言では検討が必要だということになっておりまして、深夜の質問通告とか、概要のみの質問通告とか、ツイッターで探さないと質問項目が立てられないとか、こういう異常な質問の通告の仕方というものも考えてもらわないといけませんし、大臣の答弁以外は一切認めないというのも、ほかの委員会にはない、少し変わった風習であります。また、厚労省の職員の長時間労働、過重労働を招いている質問通告の仕方ということもよく考えていただきたいというふうに思うわけであります。

 これは、委員各位が委員会の運営として考えていただくということで、やはり職員も、少し頭が、考えられる頭になっていないとクリエーティブな政策立案ができないということでありますので、ぜひ、そういうことも含めて皆さん方で議論をいただくと大変ありがたいなというふうに思います。

 委員会の運営のあり方でございますので、委員長初め皆様方には、くれぐれもその辺についても御一緒に考えていただいて、厚生労働省の抱える改革課題をどう実現していくか。

 例えば、労働基準法の改正法案は去年の通常国会に出しているのに、今国会もなかなか審議入りができないというのは、やはり課題がたくさんあり過ぎているぐらいあるからだろうというふうに思いますので、国民生活にとっては重要なことをきちっと審議し、法律が成立できるような体制をつくっていただくことは大事だというふうに思います。

渡辺委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 民進党の井坂信彦です。

 大臣、答弁の中で随分好きなことをおっしゃったなというふうに思いますけれども。

 本日は、時間が短いので三点。一つは被災地の問題、それから二つ目は同一労働同一賃金の問題、そして三つ目に介護の問題についてお伺いをいたします。

 まず、ちょっと被災地の方からいきたいと思いますが、連休中、私も、熊本ですが、丸二日復興ボランティアをしてまいりました。

 初日は九時過ぎに役場に着いたんですけれども、しかし、その時点で、連休中はボランティアがたくさんで、もう受け付けは締め切りですよというふうに言われました。

 私の場合は、たまたま役場に来ていた近所のおっちゃんが、若い人手が五人でも十人でも要るんやと大声でおっしゃっていたので、これ幸いと、僕らが行きますと言ってそこでマッチングが成立して、丸二日、本当に朝から晩まで働いてきたんですけれども、しかし、現場に行ってみれば、まさに、そのおうちにもやることはたくさん、お隣のおうちにもやることはたくさんということで、人手不足が連休中でもきわまっていたわけであります。

 私がそのおっちゃんに、休憩中お茶を飲みながら、いや、朝九時に行ってももうボランティアは受け付け終了と言われたんですよと話をしたら、そのおっちゃんは、何を考えているんや、これだけ仕事があるのはそんなもの見ればわかるだろうということで激怒されていたということであります。

 ちなみに、翌日はもう朝七時半の時点で熊本のボランティアセンターは長蛇の列。報道によれば、受け付け開始の三十分前には定員に達して受け付け締め切りというような状態になったということであります。

 私は、現地はこれは野戦病院のような大変な状態でありますから、現地のボランティアセンターをああだこうだと責めるつもりは全くないんです。ただ、今ある仕組みで現地は頑張っているにしても、最近は、災害時のボランティアセンターの立ち上げというのは大体社会福祉協議会がやるという流れになってきて、これは私はいいことだというふうに思います。それは、なぜなら、毎回違うところが立ち上げるのではなくて、毎回現地の社会福祉協議会が立ち上げるということで、災害のたびにいろいろなノウハウがちゃんと蓄積をされて、どんどんどんどんグレードアップをしていけるから、とてもよいことだというふうに思うんです。

 この問題、まさに現地、連休中のボランティアがたくさん来たのに受け入れ切れなかった、多くの人にお断りをした。ところが、ふたをあけてみれば、仕事は山盛りで、連休明けになってみれば、むしろ仕事はたくさんあるから、ボランティアの人、どんどん来てください、こういう状態になっている。このミスマッチの問題は、まさに社協とそして厚労省が仕組みとして解決をしていくべきであるし、していけるというふうに思います。

 大臣にお伺いいたしますが、このニーズの把握が、ボランティアがたくさん来る休日の前に十分に把握をできなかった。今後の災害でも同様のもったいないことが起こらないように、これはこういうことがあった分だけ被災者の生活の再建が露骨におくれるということになりますから、この仕組みの問題、またセンターの立ち上げとか避難所以外のニーズ把握、またセンターからボランティア現地までの移動手段の問題、これは改善点がたくさんあると思います。大臣に、改善すべきではないかということでお伺いをいたします。

塩崎国務大臣 一般市民あるいは学生さんなどがボランティア活動をしていただけるというのは大変ありがたいことだと思っていますし、阪神大震災のときにも、日本に本当にそういったボランティアの精神が根づいているということが非常によく理解をしていただいたというふうに思っております。

 市町村の社会福祉協議会などにおいて、各地域の安全確保の状況を見ながら順次災害ボランティアセンターを開設して、ボランティアの方々には被災家屋の片づけ等を中心に支援活動をしていただいてきているわけでありますが、各センターの開設以降、五月十一日までに約四万人を超える方々が活動していただいておりまして、改めて日本人のきずなの強さというものを再認識し、活動されてこられた皆様方、井坂委員を含めて、心から感謝申し上げたいと思います。

 御指摘のように、当初かなりいろいろなボトルネックがあったと私も認識をして、初め、まだ三日ぐらいしかたっていない段階で、私も、入ろうと思っても入れないという方々から話を聞きました。

 それは、例えば海外での緊急人道支援なんかをやっているNGOの方が現地に行ってみて、なかなかボランティアの方々が来られてもそれをきちっとさばいていないという状況を聞いて、私はすぐに知事と話をし、社会福祉協議会、我々が全社協と話をし、そして県の社協、そして各市町村の社協、こういうところでもう少し徹底をしてさばいて、ボランティアの方々に分担を早く割り振ることによって、幾らでもやることはあるわけでありますので、そうしてもらいたいということを申し上げて、少し進んだわけであります。

 それでも、御指摘のように、大型連休中は、余震が継続をする中で、ニーズの把握が必ずしも十分できる状態でなかった、あるいは、ニーズを上回る数のボランティアの方々が集まったにもかかわらず、その方々に十分活躍していただけなかった。一部のボランティアの善意を受けとめることができなかったということについては、これは本当に今後の課題ということで、今御指摘をいただいたとおりだというふうに思います。

 被災地では、今後、避難所から応急仮設住宅への引っ越しなどにまた新しいニーズがいろいろ出てきます。一人でも多くの方々に参加をいただけるように、募集対象地域の拡大とか、フェイスブックを活用した情報発信などによって、募集及び広報活動を強化していこうと思っていますが、今申し上げたように、誰がちゃんとそれをさばいて、どこにどういうニーズがあるのかということを把握していないとそれがうまくいかないということは明らかでございますので、そういうことをまた全社協を通じて、そしてまた、我々の、現地にいる約三十名の厚生労働省の職員を通じて、各市町村それから熊本県にもしっかりと言っていきたいというふうに思います。

 課題や経験を本当に教訓として、今回の災害ボランティアセンターの立ち上げや、円滑な運営のための研修もふだんからやっていかなきゃいけない、そしてまた、マニュアルの改定を図るということも大事だろうというふうに思っておりますので、また関係団体とよく協議をしてまいりたいというふうに思います。

井坂委員 ぜひバージョンアップをよろしくお願いいたします。

 もう一点、被災地で、民間水道の復興についてお伺いをいたします。

 私は、先ほどのような事情で、ボランティアの余っていた熊本市から離れた西原村というところに行ってまいりました。そこは、村営水道、公共の水道ではなくて、それ以外の、集落でお金を出し合って、百軒余りで水を分け合っているというような、そういういわば民間水道というものが非常に多いんですね。

 ボランティア先の御家庭も、村営水道ではなくて民間水道で水を集落ごと引いている方で、村営水道はすぐ復旧するだろうが、民間水道は自分たちで全額自腹で直さなきゃいけないので、直るのにもしかしたら半年ぐらいかかるかもしれないと非常に心配をしておられたわけであります。

 幸い、その後、その集落の水道はもう間もなく復旧をするということでありますから、個別の案件としてはもう問題がないわけでありますが、しかし、神戸の震災の反省から、今や個人の住宅再建、生活再建にも支援金が支払われる時代です。私は、民間水道という理由だけで全額自腹でやってくださいと、財政的な支援を除外しなくてもよいのではないかというふうに考えます。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、これはもう政治決断の話だと思いますが、上水道施設災害復旧費の補助金交付要綱、これは法律ではなくて要綱です、この要綱を書きかえて、自治体が管理をしていない民営水道でも、こういう大規模災害のときには一定の財政支援をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 熊本県というのは大変水が豊富で、阿蘇から地下水で水が、熊本に至るまで伏流水として流れているわけで、熊本市は、一〇〇%地下水、浄水施設はなしということで、地下水に直接塩素を加えて水道水として各家庭にお配りをしている、こういうことだということを改めて私も今回知りました。

 山の方に行きますと、簡易水道的なものがたくさんあって、地下水を使って、益城町の隣の嘉島町というところはサントリーの工場がありますが、ここは浄水施設もないということで、皆さん井戸とかそういうので十分で、サントリーの工場がありますけれども、ここも一〇〇%地下水でビールをつくっている、こういうことのようであります。

 民営水道も、地区の住民はこれは当然重要なライフラインということで、この早期の復旧が重要だということで、私どもも、西原村には厚生労働省などから専門的知識を持つ職員を派遣して、被害状況等を調査するとともに、具体的な漏水調査の方法、仮復旧に向けた配水池の衛生管理、そして専門家が当然現場でいろいろやるということをやってまいりましたが、技術支援は公的なセクターからはやってきたということでございます。

 また、民営水道事業者が復旧工事に際して資金調達が困難となる場合には、株式会社日本政策金融公庫の低利融資、これは〇・九%下げて〇・五%ということで、ですから、普通であれば一・四%ということだろうと思うんですけれども、そういうことも用意をしているわけであります。

 御指摘の、民営水道に対する補助金交付について、今のままではまずいんじゃないか、こういうことでありますが、今の整理は、私的財産に対する災害復旧というのは自助努力が原則という整理をされておりまして、これまでの災害において補助対象となっておらず、現状では困難であるということで、今、先生が行かれた西原村は、かなり、それぞれの集落ごとに民営水道が行われているということでございまして、ふだんから水道料金等々については何の公的な規制もしていないという中でのこういう整理に今はなっているということでございますが、今の問題提起は、補助金の対象にすべしということでありますので、これは、そのためには少し課題を整理していかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。

井坂委員 今回初めて御提案申し上げましたので、ぜひ課題整理していただいて、民営水道は規模がちっちゃいですから、財政への金額は知れていると思うんですね。公共性が高い、一方で、個人の生活再建、私有財産で、阪神・淡路のときは、まさに自宅が壊れたってそこには一円も公金を出せないと言われていたのが、その後の運動で、今、生活再建支援金ということでやられているわけですから、同じような発想で、民間水道もぜひ除外をしないでいただきたいというふうに思います。

 次に、同一労働同一賃金について伺います。

 配付資料の一枚目をごらんいただきたいと思います。これは、厚生労働省が今広めている職務評価のツールであります。

 左側にあるように、ここで専門性とか職務の問題解決の難しさ、人間関係の複雑さなど、仕事の重みに点数をつけるまではよいんですが、しかし、この右側、特に右下にあるように、最後に活用係数というものを正社員の賃金に掛けるということになっているんですね。

 活用係数というのは何かというと、正社員は転勤や配置転換の可能性があって非正規より大変だ、こういう理由で、活用係数を例えば〇・八などと決めて、正社員の時給を二割差っ引いた上で非正規の時給と比べて一緒ならいいですよ、こういう仕組みであります。

 正社員でも、毎年のように全国転勤するような職種もあれば、もうずっと定年まで本社という職種もたくさんあります。また、最近では、非正規でも、配置転換や急なシフト変更、また職務命令で地方に転勤、こういうこともあるわけであります。

 せっかく真面目に職務評価をしても、最後に活用係数ということで、非正規の人は一律八掛け、一律二割引き、こういうやり方を許していたら、私は、これは同一労働同一賃金ではなくて、同一労働八割賃金、同一労働八掛け賃金、こういうことが正当化されてしまうのではないかというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、担当者ときのう相当議論をしたら、いや、そんな一律なんということは推奨していませんよということなんですが、確認です。まさか厚労省はガイドラインで、非正規の時給は職務評価した後で一律二割引きする、してよい、こんなことを、企業内の運用を認めることを推奨しているわけではないですよね。

塩崎国務大臣 結論からいえば、そんなことは全くございませんで、〇・八というのはただの例示として書いているだけで、このお配りをいただいているものの一番右の一番下のところにも、「「活用係数」(例えば、〇・七、〇・八、一・〇など)を設定して計算します。」ということですから、それぞれ企業によってどう考えるかということで、合理的な数字を考えたということにしなければならないということだろうというふうに思います。

 厚労省が策定しているこの要素別点数法による職務評価の実施ガイドラインは、現在従事している仕事について、かわりの人材を探すことの難しさとか専門性などの項目で評価をした上で、人事異動の有無あるいは範囲等、人材活用の仕組みの違いを適切に反映させるために、企業の実情に応じて設定する活用係数を用いて、正社員とパートタイム労働者の均等・均衡待遇が図られているかを確認する手法ということでございます。

 活用係数については、今申し上げたように、社内の例えば転勤制度が、全国転勤あり、一定地域での転勤あり、転勤なしとなっており、それぞれの人材活用の仕組みが異なるといった場合に、活用係数を一種類のみを定めるのではなくて、それぞれの人材活用の仕組みの違いに応じた活用係数を設定していく必要があるというふうに考えております。

 御指摘のとおり、職務評価を適切に実施するためには、企業の中で、人材活用の仕組みの実態などを踏まえて、十分に検討していただいた上で活用係数を設定することが重要だということも含めて、企業の御理解がいただけるようにガイドラインの普及啓発に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

井坂委員 大臣は今、そんなことはないとおっしゃったので少し安心をしたんですが、ただ、その後の答弁を伺うと、要は、大臣は、さすがに日本全国八掛け、そんなことはないというふうにおっしゃったわけです。でも、私が心配しているのは、そんなのはもちろん論外で、そうじゃなくて、ある会社であっても、うちの会社は活用係数〇・八でいきますよ、要は、正社員は一、非正規の人は八掛け、うちの会社はその相場観なので、それでいきますよみたいなことも私はだめだと言っているんです。

 さっき申し上げたように、正社員だって転勤可能性は多い少ない、いろいろあります。非正規だって今やいろいろあります。単に、正社員だから十割、非正規だから八割、こういうやり方自体が、同一労働同一賃金を進めていくに当たって相当まずいのではないかという問題意識を持っているんですね。

 配付資料の三番目を見ていただきたいんです。これは、国際労働機関、ILOというところが、いわゆる国際標準としての職務評価のガイドラインを出しています。

 左側にある「知識・技能」、それから「負担」、そして「責任」、最後に「労働条件」と大きく四分野。その右に小項目が全部で十一ありまして、その一番下、「労働条件」の中の「心理的環境」というところで、不規則な勤務時間とか、転勤、配置転換の可能性とか、こういういわゆる政府が今活用係数というところでくくろうとしているようなところは、ILOでは評価項目の中の一項目としてちゃんと入れ込んでいるわけであります。

 これは、さらにその下を見ていただきたいのは、ILOの評価項目では配点の案も出て、国際標準も出ておりまして、「労働条件」で差をつけていいのは五%から一五%ですよ、こういうことでありますから、今の政府のガイドラインであるみたいに、「労働条件」の中の、しかもそのうちの一つの「心理的環境」、さらにその中の、単に転勤や残業の可能性、有無、これだけで活用係数といって二割も三割も差をつけるというのは、これは国際標準からも随分逸脱をしている配点だというふうに思うんです。

 これは参考人にお伺いいたしますが、活用係数をパート全員に掛けるとか、あるいは契約社員全員に掛ける、こういう雇用形態別に一律に掛けるやり方ではなくて、転勤や残業の可能性を労働者ごとに個別評価していくという基本に立ち返れば、これは今の厚労省のガイドラインみたいに、職務評価をやって、その後活用係数でばっさり二割引きみたいなやり方ではなくて、職務評価の中に転勤や残業の重い軽いも入れ込んで一本化したガイドラインに、やはり今回の同一労働同一賃金に変えるに当たって、このやり方も変えていただきたい。

 これは、経緯はわかるんです。ガイドラインをつくったときは、パート法のときにつくったので、パート法には、職務の重さと、それから雇用形態、人材活用の方法という二本立てで法律が書いてあったので、この評価の仕組みも二段階にしたとわかるので、これは否定しません。

 ただ、今回、もう一歩進んで、同一労働同一賃金という新しい思想になっているので、ぜひこのILOのようなやり方を参考にして、評価は個人単位で一本化、間違っても非正規一律二割引きなんというやり方はだめだ、こういうふうにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

香取政府参考人 先生お話ありましたように、パート労働法の枠組みの中で、実は人材活用と職務内容の両面から判断するという法体系をつくりました。

 この法律の制定のときにも、私自身もこれには当時同じ局でかかわりましたので、議論したのをよく覚えておりますが、この考え方は、まず職務の内容を客観的に評価するということと、職務の内容に対してどういう人材をどのように充てていくかという人材管理上の、人に着目した処遇の問題というのを、いわば二本立てで、これはディメンションが違うものなので、その両面から評価をして、均衡、均等をきちんと図っていきましょうというような枠組みだというふうに思っております。

 その意味では、もちろんやり方はいろいろあるので御議論はあろうかと思いますけれども、今の日本の実際の職務の内容の評価の仕方と、実際の雇用管理、人材活用の仕組みとの関係で考えると、この二つの要素によって全体の評価を行うという今の枠組みは、基本的にはそれなりに合理性のあるものだというふうに私たちは考えています。

 そのことを前提として、今お話しの活用係数ですけれども、これは実は、正規、非正規で活用係数が一律に決まるということは、おっしゃるように、基本的にはないわけで、例えば正社員の中でも実はさまざまな人材活用の違いはあることになりますので、いわば片っ方が一で片っ方が〇・八ということはないわけです。

 私ども、さまざまな資料の中でも、実は正社員の中でも、ちゃんときめ細かく見て、活用係数はそれなりに設定をするということをお願いする。逆に、それをやりますと、明らかにほかと均衡を失した正社員の給料が高い人たちが出てくるということもありますので、いわば、問題は、お話ありましたように、公平公正に評価ができるような活用係数をきちんときめ細かくつくるかどうか、基本的にはそこの問題だと思っておりまして、その点は先生の御指摘のとおりで、一律にA、Bで、一、〇・八、〇・五、そのようなことは基本的にはないように、私どもとしてもきちんと御指導申し上げたいと思っております。

井坂委員 今の御説明を聞くと、それほど考えが違わないのかなと思うんですが、ただ、そのために二枚目をつけたんですよ。ガイドラインにどう書いてあるかというと、「活用係数の設定」と書いてあって、その一番下の段落です。「もし、パート労働者と正社員が同じ職務に従事していても、「人材活用の仕組みや運用など」の違いからみて、パート労働者の賃金は正社員の八〇%に設定するのが適正であると考えれば、「活用係数」は八〇%になります。」と。

 これはおっしゃっていることと違って、やはりパートは八掛けみたいな一律ばっさりを推奨しているんですよ。きのう説明を聞いて、私も、担当者はそんなことはありませんと言ったので、一緒ですねと言った。だから確認したくて議論しましたが、多分このガイドラインは、おっしゃっているのとちょっと違って、非正規は八掛けというやり方をむしろ推奨していますから、やはり、おっしゃるように個別にきめ細かに個人単位に活用係数を掛けるなら別にいいですよ、でも、そこまでやるなら、結局、ILOがやっているみたいに職務評価として一本化するというのが自然だというふうに思いますから、ぜひ制度設計をよろしくお願いいたします。

 最後に、ちょっと介護は時間がないので、一点だけ、重度訪問介護のヘルパーによる来客対応について伺います。

 配付資料四枚目の左上、サービス内容というところ。重度障害は、行動に著しい困難があるために常時介護を必要として、ヘルパーさんは昼の間はずっと、場合によっては二十四時間、見守りサービスとしてそばに付き添います。ところが、その重度障害者に来客があったとき、ヘルパーさんが玄関に出迎えて客間に案内する、あるいはお茶を出すといった来客対応は、これは障害者のためのサービスではなく来客のためのサービスとみなされて、堂々と許される状態にはなっておりません。実際、市役所に問い合わせても、闇サービスなら黙認しますというようなグレーな答えが返ってくるケースもあるようであります。

 私は、自分で動けない重度障害者に来客があったとき、ヘルパーの玄関出迎えやお茶出しぐらいの最低限の対応は、これは来客のためではなくて障害者本人のためのサービスだと考えます。

 そこで、これは参考人にお伺いいたしますが、一般論として、重度訪問介護は重度障害者に対する総合的なサービスと聞いておりますが、例えば来客の対応をヘルパーが行うことは、重度訪問介護のサービスの範囲に含まれると解釈してよろしいでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者総合支援法に規定をしてございます重度訪問介護は、四肢の麻痺があり、寝たきりの状態の方や、最重度の知的障害もしくは精神障害により行動上著しい困難のある方に対しまして、比較的長時間にわたりまして、日常生活に生じるさまざまな介護の事態に対応するための見守り等の支援とともに、食事や排せつ等の身体介護、調理や洗濯等の家事援助、また、コミュニケーション支援や外出時における移動の介護等を総合的かつ断続的に提供するサービスでございます。

 委員お尋ねの件につきましては、結局、個々の具体的な行為が、個別の支援の状況に応じまして、その支援の行為それぞれがコミュニケーション支援等の重度訪問介護の範囲内であるかどうかというところを市町村が検討し、判断して、該当するということであれば算定対象となるものでございます。

井坂委員 ちょっと確認のためですけれども、市町村の判断だ、現場の実態を市町村が判断するんだということでありますが、例えば、見守りに伴って、ヘルパーさんが、来客と利用者本人に、ようこそいらっしゃいましたとお茶を出しました、こういう行為もサービスの範囲に含むと市町村が判断した場合は、報酬の算定対象としても別に厚労省からとがめられるということはないという今の答弁の理解でいいですね。

藤井政府参考人 まさに、個別の支援の行為それぞれにつきまして市町村が検討して、繰り返しになりますが、例えばコミュニケーション支援等、重度訪問介護の範囲内であると判断した場合は算定対象となってまいります。

井坂委員 ありがとうございます。

 事前に当局の方とは随分議論して、すり合わせをしておりますので、全国の自治体の担当者の方、ぜひ、重度障害者のヘルパーによる来客対応、お茶出しなどについて、現実的な判断を、今の答弁を踏まえてしていただきたいというふうに思います。

 本日は三点質問いたしました。どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは各議員が熊本地震について取り上げていらっしゃいますが、あすで一月になります。改めて、犠牲になられた方、被災された皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 そこで一点、内閣府防災に質問したいんですけれども、全国からの義援金、今現在、どのくらい集まっており、熊本や大分に配分がどのようになっているでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 国民の皆様からの善意により寄せられる義援金につきましては、国の法令等に基づくものではございませんけれども、今般の熊本地震に係るものにつきましては、被災市町村に直接寄せられているほかに、熊本県、日本赤十字社及び共同募金会において四月十五日より受け付けを開始しているものと承知をいたしております。

 このうち、日本赤十字社及び共同募金会においては、直近でおおむね九十億円程度が集まっております。このうち、四月三十日現在で、熊本県に配分をされておりますものと熊本県が直接受け付けたもの、これを合わせますと約五十七億円というふうになっていると聞いております。

 この五十七億円につきましては、方法や金額などの基本ルールを決定するための配分委員会を熊本県に設置しておりまして、五月二日には、第一回の会議において、第一次配分として約七億五千万円を県内の二十五市町村へ配分し、そこから被災者に配分するための手続を各市町村で進められているところと伺っております。

 他方、大分県につきましては、この配分委員会設置のための準備会を本日開催する予定という状況と伺っておりまして、手続はこれからということになるかと存じます。

高橋(千)委員 日赤だけでいうと三十一億くらいだと思いますが、トータルで五十七億円が送金をされて、市町村には七億円配分ということ、その数字自体がちょっと衝撃というか、まだその段階なのか、要するに、たくさん集まっているけれども、市町村自体に行っているのはまだその段階なのかという思いを皆さんされていると思うんです。

 実は、東日本大震災のときも、ちょうど一月というときに、災害対策特別委員会でこの問題を質問しました。そのときには、被災県と市町村が大変多かったために配分委員会をまだ設置できていない、つまり、国が県とどういうふうに分けるかということを直接厚労省が関与して配分委員会を設置したんですが、その配分委員会が、国の委員会ができていないという段階でありました。

 ですから、今回は、逆に、限定的なところなので国レベルではそんなに面倒くさいことはないと思うんですよね、日赤に任せている。ただ、大分県も配分委員会の設置がこれからだということです。

 それで、私が思うのは、やはりまず、何も持ち出せずに避難した方、食料や物資は、最初は本当に何もないというところから始まるんですが、いずれ足りてきます。やはり必要なのは当座の現金だと思うんです。

 そのときに、配分委員会が基準を決めなければそこから先には行かないわけですよね。それで、全壊は幾ら、半壊は幾らというふうに差をつけて、一部損壊だとほとんどもらえないのが実態であります。しかし、それ自体は、配分委員会が決めれば、逆に一律に配ることも可能だと思うんですね。

 そこを確認したいのと、その基準については、例えば、共同通信によれば、罹災証明の発行がまだ二九%と大変おくれています。地震直後の困難というのは、被災者にとって、誰しも同じです。だからこそ、災害救助法による救助というのは所得や損害の程度で差をつけていないわけなんですね。

 ですから、私は、まず最初は、全部とは言いませんが、最初の配分というのはなるべく早く、そのためにも、一律に全ての被災者に配分すべきだと思います。ぜひこれを話し合っていただけないでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、義援金につきまして、国の法令等に基づくものではないということでございますので、逆に申し上げれば、配分委員会の方で適切に判断いただければ、そのような方向で進めることが可能であろうと存じます。

 国といたしましては、具体的な手法等について申し述べるべき権限がないものと理解しておりますけれども、一般論として申し上げれば、国民の皆様から寄せられた善意による義援金でございますので、被災者の方々のお手元に速やかに届けられることが大事であるというふうには考えております。

高橋(千)委員 まず、直接の権限はないということはわかって聞いておりますが、今のように、考え方を示すこと、あるいは、今言ったように、配分委員会が決めれば、必ずしも、全壊、半壊というふうに差をつけなければならない、そうでない考え方もできるわけですよね。それをやらなきゃいけないと思っているから時間がかかっている、そういうこともありますので、その時間がかかっている部分については、例えば、罹災証明を出すための人手が足りないんだ、そこに応援をすることは国はできるわけですよね。河野大臣が既に指示をしているということを聞いております。そういうことをぜひお願いしたいと思います。

 内閣府には、大変忙しいところ、ありがとうございました。ここで退席していただいて結構でございます。

 それで、大臣には一言要望だけ伝えておきたいと思います。

 実際、さっきの義援金と生活保護の収入認定の問題も、私、何度もこれは質問してきているんですよ。考えれば、募金した人から見ると、募金したお金が収入認定されて、国が出す、生活保護に出すお金が減るわけですよね。国を助けていることになるんですよ。被災者を助けたいと思って、一生懸命、わずかでも助けたいと思って出したお金が何で国を助けるんだと。国が出すお金が減ってよかったという話になってはいけないんですよ。これは本当に、東日本のときにも、義援金を出した人から言われましたよ。そういうつもりで応援しているのに何だと言われました。

 そこを考えて、やはり、さっき指摘があったように、ここは、面倒くさい、自立支援のためにこれが必要なんだということはもう抜きにして、被災者を助けるお金なんだ、収入認定はしないということを検討していただきたいと思います。

 それから、労働相談の問題で、きのうの熊本日日によると、もう既に一万件を超えているそうです。勤め先が休業状態になっているなど、雇用保険の適用関係が六割なんですね。

 雇用保険というのは、何かあるたびに改正していますよね。ある意味、一生懸命やってきたんですが、だから、そうすると、本当にプロパーじゃないとわからないんです。応援に行っても、ちょっと関係したことがあるとか、昔やったことがあるという人だけではなかなか対応できません。だから、本当にプロパーの、対応できるような応援にしてもらいたい。

 そして、その点、その応援をしたことによって大変な思いをする派遣元の労働局とかそういうところには、新たに別の、いわゆる二次応援ということを東日本のときもやりましたけれども、そういうことで、知恵を使っていただいて、万全の体制をお願いしたい。これは要望ですので、ぜひお願いしたいと思います。

 さて、きょうは、先ほど井坂さんも取り上げられましたけれども、同一労働同一賃金について伺いたいと思います。

 まず、これは、一言、簡単にお答えください。

 政府が今月中に発表する予定のニッポン一億総活躍プランに向けて、同一労働同一賃金が盛り込まれる、その目的は、非正規労働者の処遇改善、低い処遇を高い方に合わせることである、まず、確認したい。

    〔委員長退席、秋葉委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 同一労働同一賃金の主要な目的は、非正規雇用で働く方の待遇改善でございます。不合理に低くなっている方の待遇の改善を図る方向で検討すべきものと考えているところでございます。

高橋(千)委員 まず、確認をしました。

 そこで、これを具体化するために何の法律を変えるつもりなのか伺いたいんですね。

 井坂委員が三月十八日の本委員会の質疑で、御自身が中心になって出されました議員立法、大臣の答弁を読みますと職務待遇確保法と呼んでいるそうですが、その六条で明記した「三年以内に法制上の措置を含む」、この「法制上の措置」というのは派遣法のことである、パートタイム法や有期雇用契約について書いた労働契約法、これ並みの不合理な労働条件の禁止、差別的取り扱いの禁止を入れるべきではないかという質問に対して、大臣は、「踏まえた対応を検討する」と答えています。

 逆に、聞きたいのは、派遣法で同様の改正をすれば足りるという考えでしょうか。

坂口政府参考人 あわせてお答え申し上げます。

 この同一労働同一賃金の問題につきましては、安倍総理から、働き方改革の一環としまして、同一労働同一賃金の実現に踏み込むこととされまして、それで、二月の一億総活躍国民会議におきまして、我が国の雇用慣行には留意しつつ、同時に、ちゅうちょなく法改正の準備等を進めるよう指示があったところです。

 また、今、高橋議員の方から御指摘がございましたように、昨年、議員立法として成立した職務待遇確保法でございますけれども、これにつきましては、今議員からもありましたが、労働者派遣法については、パートタイム労働法であったりあるいは労働契約法にあるような差別的取り扱いの禁止の規定はなされていないということもございましたので、そういったことも踏まえて、先ほど議員から紹介のあったような形での、「均等な待遇及び均衡のとれた待遇の実現を図るものとし、」「三年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講ずる」ということとされているということで承知をしております。

 私どもとしましては、そういったことを十分踏まえた上で、総理の指示に基づいて、三月二十三日から、同一労働同一賃金の実現に向けた検討会というものを発足させて、それで本格的に検討を開始したというところでございますけれども、その中では、非正規雇用で働く方の待遇改善のさらなる徹底に向けて、パートタイム労働法それから労働契約法、労働者派遣法を含めて、どのような法制度が必要か、実効性のある方策ということについてしっかり多角的、精力的に議論していただきたいということで対応してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 私は、派遣法の改正は当然必要だと思っています。だけれども、それで足りるのかと聞いたので、もし足りると言っちゃえば、では、パート法はもうこれで十分禁止規定がきいているんだ、これで十分なんだということになっちゃうので、そうではないという趣旨でお答えになったと受けとめたいと思います。パート法も含めて検討するとおっしゃっていただきましたので、そこはお願いしたいと思います。

 また、私は、その三つだけでいいかということも当然考えておりますので、それを踏まえてまた議論を進めていきたいと思います。

 それで、四月二十二日に開催された同一労働同一賃金の実現に向けた検討会において、これまでの中間整理といいますか、各委員の主な意見をまとめているわけですけれども、これによると、パートタイム労働者、有期契約労働者については、待遇の違いを許容する判断要素として、一つは業務内容、二つは責任の範囲、三つは人材活用の仕組み等があり、それらが正社員と同一であれば同一の待遇を求めるいわゆる均等待遇の規定があるけれども、それに見合う対象労働者数は三十二万人程度と限られていると指摘をされています。

 昨年の改正で無期契約という要件があったものを削除したわけですけれども、それでも、パートタイム労働者九百四十三万人、有期契約労働者千四百八十五万人から見たら、本当にわずかなんです。これは何がネックになっているかというと、人材活用の仕組みを残していること。これが要件とすれば、極めて限られるのは当たり前です。削除すべきではないでしょうか。

坂口政府参考人 今議員の方からございましたように、パートタイム労働法については、第八条と第九条という二つの条項をもってして、不合理な労働条件の禁止あるいは差別的取り扱いの禁止という規定がなされておるところでございます。

 ただ、今議員の方からも御紹介ありました、また、私どもも検討会等にも資料として提出させていただいておりますけれども、このパートタイム労働法についての、いわゆる均等待遇と言われているところのこの第九条の対象範囲はまだ限られているというところにつきましては、実態としての数字については、今議員から御指摘があったとおりかと思います。

 ですので、どういう形で行うかというのは、これからということになるわけでございますけれども、私どもとしましては、今の現状を鑑み、非正規雇用で働く方の待遇改善のさらなる徹底ということで、先ほど申し上げましたように、パートタイム労働法も含めて、どのような形での実効性ある方策があるかということについてしっかり検討をしてまいりたいと思っております。

    〔秋葉委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 これは、やはりこれをやらないと、もともと同一労働同一賃金というのは、別に非正規と正社員との違いをどうかするという以前の、正社員の中でも、例えば男女の賃金差だとか、結局、ここから発生しているわけですから、やはり、これが根拠となってふえてはいけないし、また逆に、はなから違いをつけてしまおうということになってはならないわけですから、重ねて指摘をしたいと思うんです。

 それで、時間の節約でこれは指摘のみにとどめますけれども、大臣に質問するつもりだったんですが、今、EU指令とか諸外国の法令や裁判例などを研究していると聞いております。

 ですが、国内での裁判とかあるいは労働委員会の案件などでも繰り返し示されてきた実例というのは、本当に同じ仕事をしているんだ、面倒くさい係数だとかそんなことを考えなくても、同じラインの中で派遣社員がリーダーになっているとか、あるいは、企画部門の仕事を、ソフトウエアですとか、そういう仕事で有期雇用の労働者が企画立案の会議に参加しているとか、そういう、実態はさまざまあるんです。

 ですから、そういうのを見たら、もうとにかく、同一の仕事をしているじゃないか、だから同一賃金は当然なんだというところから出発するべきではないかなと思うんです。

 それで、ちょっと具体的なことを聞くんですが、EUでも、客観的な根拠によって正当化されない限りという文言があって、合理性があれば賃金差を認めております。その認められた合理性とは、学歴、資格、職業格付が違うとか、そもそも労働の質が違うとか、あるいは在職期間がどうかということと、そして、今言った、キャリアコース、いわゆる人材活用の仕組みに当たるのかなと思うんですね。これが根拠になってどんどん、あっても当たり前なんだということになっては、出発点の意図が途切れてしまうわけなんですね。そのことについてどう思うのかということ。

 ただし、EUにおいては、この賃金差が合理的であることの根拠は、企業側に立証責任があるわけです。パート法を改正した当初からこの議論はされてきたけれども、残念ながら、日本では立証責任の転換は採用してきませんでした。今回、政府が本気で同一労働同一賃金を実現したいと思うのであれば、この点はやるべきではないでしょうか。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今委員の方から御紹介ございましたように、ドイツであったりフランスのようなEUの諸国では、一定の正当化事由が認められる場合に、今幾つか議員の方からも御紹介ございましたけれども、不利益取り扱い禁止の例外として考慮されているということで承知をしております。

 ただ、今委員の方からも御紹介ありましたような事象があるわけでありますけれども、実際上、どういった形で裁判例としてそういったものが出てきたかということであったり、あるいは、今委員の方からもありましたような、裁判実務上の立証の責任と申しますか、主張立証の分担というようなものがどういう形で行われているかというようなことについても、やはり、私どもとしましては、今回検討会を設けておりますので、しっかり、そういったこともいま一度精査をした上で、この検討を進めてまいりたいと思っております。

 それから、現行の日本の法制についてもお触れになられましたけれども、現行の日本のパートタイム労働法の第八条、それから労働契約法第二十条でございますけれども、こちらの方の訴訟につきましては、待遇差の不合理性あるいは合理性に関する主張立証の責任については、労働者側に一方的に負わされているものではなくて、企業も負っているという形になっていると承知をしておるところでございます。

 ただ、いずれにしましても、話は戻りますけれども、こういったEU諸国の状況、あるいは現行法の今の状況を踏まえて、私どもは、総理の指示にも基づき、実効性のある方策について検討会の方でしっかり御検討いただき、私どもとしましても、しっかり対応してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 諸外国に学ぶというのなら、そこはしっかりとやっていただきたいです。

 時間が来たので、大臣に一言だけ。

 処遇を改善するのが目的だと明確におっしゃいました。それはいいんです。そのことによって、非正規労働が、もう同一なんだからいいよねということで、固定化するということはあってはならないと思います。その点について、同じ考えかどうか、一言だけお願いします。これで終わります。

塩崎国務大臣 結論的には、正社員化を進めるというのは、私どもとして、もともと正社員転換・待遇改善実現本部も厚労省内に設置をして、本年の一月から正社員転換・待遇改善実現プランというのも策定をしてまいっておるわけでございますので、当然、今後とも、正社員への転換を行う事業主を支援して、キャリアアップ助成金等の活用をしながらまたやっていきたいと思いますし、また、全国の四十七の労働局の本部で、三月までに各県ごとの地域プランを策定することにしております。このプランにも基づいて、正社員化は当然、地方でも行わなければならないということで、全国で正社員化が進むように努力をしていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 終わります。

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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