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第8号 平成13年4月6日(金曜日)

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平成十三年四月六日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 青山  丘君 理事 岸田 文雄君

   理事 新藤 義孝君 理事 馳   浩君

   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君

   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君

      伊藤 達也君    石原 伸晃君

      小此木八郎君    梶山 弘志君

      高木  毅君    竹本 直一君

      中馬 弘毅君    林  義郎君

      松野 博一君    松宮  勲君

      茂木 敏充君    保岡 興治君

      山口 泰明君    北橋 健治君

      後藤 茂之君    後藤  斎君

      鈴木 康友君    中津川博郷君

      肥田美代子君    松本  龍君

      山内  功君    山田 敏雅君

      赤羽 一嘉君    石井 啓一君

      土田 龍司君    大森  猛君

      塩川 鉄也君    大島 令子君

      宇田川芳雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   経済産業副大臣      中山 成彬君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   経済産業大臣政務官    竹本 直一君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局

   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局国

   際社会協力部長)     高須 幸雄君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境

   局長)          日下 一正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力

   安全・保安院長)     佐々木宜彦君

    ―――――――――――――

四月五日

 出版物再販制の廃止反対に関する請願(左藤章君紹介)(第一一八四号)

 脱原発への政策転換に関する請願(山内惠子君紹介)(第一一八五号)

 著作物再販制度の維持に関する請願(坂井隆憲君紹介)(第一一八六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五号)




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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省産業技術環境局長日下一正君、資源エネルギー庁長官河野博文君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君及び外務省総合外交政策局国際社会協力部長高須幸雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 おはようございます。民主党の後藤斎でございます。

 ただいま議題となりました法律案について御質問したいと思います。

 現行の石油業法、四十年近くたった今、廃止をし、また時代に合った形で制度を見直すということで、今回の法律案が提出されていると認識しております。かなり時間をかけた検討の結果だというふうにお伺いをしております。

 この四十年近く続いた、非常に規制が強かったと言われている石油業法ではありますが、それについての評価と、逆に言えば、規制が強かった分、新制度に移行する際に、輸入業者、販売業者のみならず消費者の方々にも、石油製品ということで大きな影響があるというふうに認識しております。

 その点、まず冒頭大臣に、現行法の評価と新制度の移行に伴う各流通段階への影響についてどのように考えているか、お尋ね申し上げます。

平沼国務大臣 冒頭、そこの記者会見でちょっと時間がおくれましたことを、まずおわびをさせていただきます。申しわけありませんでした。

 石油業法につきましては、石油精製業の事業活動を調整し、我が国における石油の安定的かつ低廉な供給を確保するために、昭和三十七年に制定をされました。以降、同法に基づきまして、精製業の許可制等需給調整規制を実施してまいりました。石油産業における競争がある程度抑制される面はあったと思っております。しかし、こうした規制については段階的に緩和をしてきておりまして、今般、本法案において、これまで累次にわたり行ってきた規制緩和、自由化の総仕上げとして、石油業法を廃止することにいたしたわけでございます。

 こうした自由化の過程で、石油精製業者、販売業者は厳しい経営環境に直面したことも事実でありますけれども、競争力のある石油産業が形成されつつあり、これが消費者に対する石油の安定的かつ効率的な供給という形で還元をされる、そう私どもとしては期待をいたしております。

 なお、改正法におきましては、販売業については、従前と同様届け出制を維持いたしまして、石油輸入業者については、備蓄業務の履行を確保するために、登録制を導入いたしております。これらの制度は、事業への参入を規制するものではございませんで、今申し上げましたそういう流れの中で評価をさせていただき、また、そういう時代の流れの中で、今回、石油業法を廃止する、こういうことにいたしたわけでございます。

後藤(斎)委員 諸外国では、累次の石油ショック、それ以降のいろいろな規制緩和の流れの中で、石油の輸入先の多角化はもちろん、省エネについても、我が国同様いろいろな努力をされております。

 しかしながら、我が国におきましては、石油ショック以降は、石油の中東依存度が大変減少した時期がございました。ただ、それが、この十年間を見ると、着実と言っていいかどうかわかりませんが、大変また中東依存度が増加をして、昨年では八六%というふうなことで、米国と比較するのはどうかなとは思いますが、米国が二三%、英国が一二%、ドイツにおきましても一二%ということで、比較的輸入依存度の高い国と比較しても、我が国の中東依存度は大変大きいものがございます。

 そこで、過去、自主開発と称して、緊急時に備えていろいろなリスク分散で対応しております。そんな中で、今自主開発と称して対応しているものの数値目標を、以前の審議会の中では、百二十万バレルを二十一世紀の初頭、ですから、ことしがちょうど二十一世紀のスタートですから、百二十万バレルくらいに持っていこう。実際は、自主開発の輸入原油は、着実にふえているというよりも、六十五万バレルで横ばいになっております。そして、今まで石油公団を通じて出融資をした金額が、現在の残高で一兆一千五百八十億円というふうな巨額な数字になっております。

 自主開発というものが必要だとずっと言っていたにもかかわらず、数値目標を撤廃し、さらに、もっと効率的にやっていくということが昨年の石油審議会の報告にも掲載をされています。自主開発というのは、いろいろな外交的な問題も含めて、私自身も重要だと思っています。ただ、一兆円を超えるお金が投入されているにもかかわらず自主開発の原油量はふえていないという現実を目の当たりにしながら、今般の制度改正に伴い、これからどのような形で自主開発の効率性、予算を上手に使っていくのかという点についてお尋ねをしたいと思います。

中山副大臣 お答えいたします。

 今後の自主開発を進めるに当たりましては、経済性は確保しながら、自律的な事業の維持拡大を図っていくことが重要でございまして、これは、昨年八月の石油審議会開発部会中間報告におきまして、自主開発数値目標の撤廃が提言されておるところでございます。

 また、石油公団の自主開発に対する支援の効率的、効果的なあり方につきまして、平成十年九月の石油公団再建検討委員会及び平成十一年二月の石油公団開発事業委員会におきまして報告書に取りまとめられまして、現在までに、既にそのほとんどにつきまして着実に実施してきたところでございます。

 具体的には、第一に、プロジェクトの採択の審査につきまして、メジャーが採用している手法であります定量的評価を導入いたしました。第二に、石油公団の損益見通しの明確化につきまして、企業会計原則に準じた会計処理を導入いたしまして、損失引当金の計上基準を見直しました。第三に、出融資先会社の整理につきまして、整理方針が示された十三社すべてを事業終結いたしました。第四に、情報公開の徹底につきまして、石油公団決算に対する公認会計士による任意監査を導入いたしまして、石油公団及び出融資先会社における上場企業並みの情報開示及び連結決算を実施いたしました。そして、石油公団の保有株式の売却につきましても一部実施しているところでございます。

 今後の自主開発政策につきましては、引き続き経済性に配慮しながら、我が国のエネルギーの安定供給を確保する上でより効果的、効率的な実施に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 今の副大臣のお話のように、確かにいろいろな御努力はお認めをします。

 ただ、先ほどもお話ししましたように、実際、欧米の諸国が輸入先ということでは中東依存度が低くなっている現実を目の当たりにしながら、過去の石油公団を通じた、自主開発も含めてそうですが、お金の対応の仕方、そして通産省が今まで対応してきた政策自体が、もちろん民間企業という部分にゆだねられているものはあるにしても、中東依存度が増大をしている数少ない国ということで、私は、政策の失敗があったというふうに断ぜざるを得ないと思っています。

 中東依存度が高くなったということについてどうお考えになるのか、お尋ねしたいと思います。

河野政府参考人 御指摘のとおり、我が国の中東依存度は高いわけでございます。

 欧米諸国におきましては、石油危機後に開発の進みました北海ですとか、あるいは西アフリカそして中南米などの油田からの輸入が増加しておりますので、中東依存度が低下をいたした、こういう事実がございます。

 他方、我が国におきましては、過去の石油危機の経験を踏まえて、非中東産油国からの輸入の促進あるいは非中東地域における自主開発の推進を通じて、原油輸入の輸入先の多角化に努力したわけでございます。

 その結果、一九八〇年代後半には、一時七〇%を下回る中東依存度という状況が出現したわけでございますが、その後石油需要が伸び、また原油調達先の数は一九七〇年の十五カ国から最近では二十数カ国というふうに多様化はいたしましたけれども、我が国の中東依存度自体は御指摘のように再び上昇をしております。

 これは、中国、インドネシアなどの非中東産油国からの、特にアジア、近隣諸国からの輸入が、こうした産油国の国内需要の増加などによりまして伸び悩んできているということが第一番目の理由でございます。

 また、世界の石油埋蔵量の約三分の二が中東地域に存在するわけでございまして、こういった環境というものが現に存在するわけでございます。

 また、アフリカ、中南米など、欧米諸国はこういった地域に依存しているわけでございますが、こういった産油地域と比較すると中東地域が我が国からは近いということでございまして、石油の輸送に要しますコストの観点で、どうしても経済性にすぐれた輸入元になってしまうということがございます。

 これらにつきましては、世界的な市場化が進むという環境の中では、なかなか政策による対応のみでは必ずしも克服しがたい面があるということも認めざるを得ないのではないかという気がしております。

 こうした状況を踏まえまして、我が国としては、石油依存度の低減ということも重要だということで努力をしているわけでございます。この結果、エネルギー供給に占めます石油の割合は、第一次石油危機当時の七七・四%から現在五二%まで低下をしてきているわけでございまして、エネルギー供給全体を見てみますと、中東依存度の低減に一定の成果を上げているというふうに申し上げられるのではないかと思います。

後藤(斎)委員 確かに、今お答えをいただいたように、エネルギー全体の中でこの石油の問題は対応していかなければいけないということは私も十分承知しております。

 一方で、確かに世界の石油の三分の二が中東に実際は出るということ、そしてエネルギーの多角化の中で実際石油の全体の依存度は減っているというもろもろを考えても、依然、二〇一〇年の見通しを見ても、約半分を石油に依存するということは否定できないと思っています。

 一方で、この十年くらいを見ますと、アジアの国が大変元気な時期、また人口もふえ、生活水準も上がり、自動車も使う、いろいろな要素が重なり合って、アジアのエネルギー消費、特に石油消費も大変増加をしています。

 私は、今お話のありましたような、一国だけではエネルギー全体の問題もこの石油の問題も解決できないことは十分承知しております。むしろ、第一次石油ショック直後につくられたIEAの組織の強化を含め、世界の国が一緒に考えていかなきゃいけない問題だというふうに思っています。

 そして、アジアの国の中では、IEAの加盟国はOECDに限定されているという規定が現行ではあるようなので、そういう意味ではアジアの国のエネルギーセキュリティーというものを本当にきちっと位置づけて、これからのエネルギー全体の政策、そして本法が目的としている備蓄政策や公団法の改正を位置づけていかないといけないと思うのですが、政府としてはこのアジア全体のエネルギー政策についてどんなふうにお考えになっていくのか、お尋ねをしたいと思います。

中山副大臣 御指摘のように、アジア地域が急速な経済発展を遂げておりまして、それに伴いましてエネルギー消費量も増大しております。エネルギーの輸入依存度が高い我が国、またアジアのリーダーとしての日本という立場からも、エネルギー安全保障の強化に向けまして積極的な取り組みをすることが必要であると考えております。

 このような認識のもとで、我が国といたしましても、アジア各国に対しまして、APEC等の多国間協議、あるいは中国、インドとの二国間協議等を通じまして、エネルギー安全保障に関する意見交換、協力を進めてきております。

 また、お話のありましたIEAにおきましても、中国、インド等のアジア諸国に対しまして、エネルギー安全保障に関する情報提供等の非加盟国協力が実施されているところでございます。

 現在、総合資源エネルギー調査会におきまして、エネルギー安全保障確保に向けた方策の検討を行っておりまして、今後とも、アジア地域におけるエネルギー安全保障の強化に向けまして、情報提供、技術協力などの積極的な取り組みを充実していきたい、このように考えているところでございます。

後藤(斎)委員 ぜひ、アジア版IEA的なきちっとした形のものを設けていただけるような努力も含めてお願いをしたいというふうに思います。

 そして、実際の採掘というか輸入にかかわる方は民間の方であります。

 先ほど来お話が出ているように、石油公団を通じ、また当時通産省としてもいろいろな支えを企業にしてきました。ただ、まだまだ、世界的なエネルギーグループ、企業に比べると、その脆弱性は否めません。

 そして、先ほど来お話がありましたように、今それに対応すべく諸制度の改正をする中で、昨年の石油審議会の報告の中に、中核的グループを、残された十年と称して、これから融資も含めて対応していくというふうなことが規定されています。まさにそんな時期だというふうにも思いますが、自主開発がなかなか進んでこなかった、そしてその必要性はいまだにある、なおかつ多面的な要素ということで自主開発の数値目標も撤廃をしてまいりました。

 そんなもろもろを含めて、まだ特別会計の中に剰余金的な部分もありますし、融資のみならず補助金的なやり方、これは私は正しい補助金だというふうに思っておりますが、そういうものを複数的に組み合わせて、本当に残された十年というふうに規定をされるのであれば、積極的に中核企業を育てていくべきだと思います。

 ただ、その際に、どの企業を中核的企業と定義するか、特定の企業体に対する補助ということになってしまってはいけないし、その辺はルールづくり、公正な対応の仕方をぜひお願いしたいと思います。

 中核的企業を育成する、これからどう集中的に政府が対応していくのか、この点につきましてお尋ねをしたいと思います。

河野政府参考人 今後の自主開発政策のあり方、特に中核的企業グループの育成に関するお尋ねでございます。

 昨年の八月の石油審議会開発部会の中間報告におきまして、自律的に石油開発事業が進められるような中核的な企業グループを育成することが重要だという指摘を受けたのでございます。これを踏まえまして、当面十年間を、先生御指摘ありましたように、中核的な企業グループの育成期間と位置づけまして、政策支援を重点投入したいというふうに考えております。

 このため、私どもといたしましては、今後、この法案の中で御提案をさせていただいております既発見油田の資産買収への石油公団の出資による支援、あるいは石油公団が保有する石油開発会社の株式売却などの際にこういったことをよく考慮していくというようなことで、こうした中核的企業グループの形成に努めてまいりたいというふうに考えております。

 なお、石油特別会計の剰余金の活用について御指摘をいただいたわけでございますけれども、この剰余金につきましては、基本的には備蓄事業におきます緊急時の放出、あるいは備蓄に要しております金利費用が金利の変動に伴って増大することの可能性、またこれは中核的企業の育成とも関係いたしますが、探鉱投融資事業における大型プロジェクトの採択、あるいは採択件数の増加、こういった可能性に備えたものだとお考えいただきたいと思います。

 融資による助成ももちろんやってまいりますけれども、融資よりも補助性の強い、先生御指摘のような出資という形での支援も引き続きあわせてやってまいりたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 そして、今回の法律改正の中で、その審議会報告を含めて、天然ガスに重点的にこれから対応していくという趣旨の規定がございます。もちろん天然ガスは、供給の安定性やその代替性、そして環境問題を含めると、大変これから国策として供給体制の整備が必要だというふうに思っています。

 ただ、今回、石油公団という名称はそのままのようです。先ほどもお尋ねしましたように、アジアの国の消費量がこれからふえるとしたら、既に中国も輸入国になり、そして近々インドネシアや現行の輸出国であるマレーシアも輸入国に転じていくということも、可能性としては否定できません。その三カ国だけ見ても、我が国の輸入量の一割を担っています。そこでの問題を含めて考えると、本当に緊急というか、制度的に予算を天然ガスの支援、供給体制の整備、これはサハリンのプロジェクトもそうですし、ガスパイプラインの整備、そして国内の供給体制のハードの部分も含めての対応を今やっておかなければだめであるというふうに私は思っています。

 二〇一〇年の、現行の見通しでは、現行の一二%の天然ガスのシェアがたしか一%増の一三%ほどだと思いますが、そんなに大きな需要転換、供給先のシェア増ということは規定をしないまま、本法の改正の中にガスも含めた備蓄体制を進めていくということがございます。

 今も申し上げたような形で、本当に天然ガスというものもこれから必要だ、私は少なくともそう思っておりますし、審議会でもそういうふうな御審議がなされたというふうにお聞きをしております。私は、現行以上に、天然ガス支援に集中的に、限られた予算ではもちろんありますけれども、対応していくことも必要だというふうに考えておりますが、その点いかがでしょうか。

河野政府参考人 御指摘のように天然ガスは、インドネシア、オーストラリア、サハリン、こういったアジア太平洋地域に相当の埋蔵量が期待されているわけでございます。また、御指摘のように、石油依存度の低減に役立つだけではなくて、中東依存度の低減にも役立ちますし、また地球環境問題への対応という面でも優位性があるということでございますので、これらの普及を図ることが望ましいということは御指摘のとおりだろうと思います。

 また、近年、サハリンにおきまして大規模な天然ガスが発見されたわけでございまして、これを国際パイプラインによって日本に供給するということが民間ベースで現在検討されております。これは経済性を確保しながら実現されるということであれば、供給手段の多角化という観点から望ましいと私どもも考えているのでございます。

 ただ、パイプラインによります天然ガスの供給が実現するには、需要の確保が前提条件ということになりますので、需要家に対しまして供給の安定性と価格面の優位性を示せませんと、需要家がオーケーを出さない、そして事業化が進まない、こういう状況にあるのでございます。

 こういった観点で、現在、我が国企業が主体になりまして調査会社を設立いたしまして、事業化調査を行っているところでございます。この結果を踏まえて、パイプラインの実施の有無は総合的に民間企業の間で判断されていくというふうに認識をしております。

 そういった状況下で、政府におきましても、検討が進むにつれ、環境整備として必要なことがあれば取り組んでまいりたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 今のお話のように、確かに供給部分、需要家部分ではそういう点があると思うのです。それは逆に言えば、昭和三十七年に現行の石油業法ができた時点も、ガソリンスタンドの数は、そのころ私はちょうど五歳だったのでよく覚えていませんが、今のような形で推移はしていなかったと思います。少なくなったとはいえ、五万五千軒にも上るガソリンスタンドがある、いろいろな形で、川上、川下を含めての御努力の成果だと思います。そこをまさに、環境をきちっとしていく、これから天然ガスが必要なのだという意思があれば、対応していくべきだというふうに思っています。

 そして今、国家備蓄ということで、年間二千七百三十億円のお金を投じて、建築についてはほぼ終了して、後はこれが減っていくというふうな数字です。一方で、民間備蓄は利子補給ということで大体三十五日分、四十五日を上回る分が融資対象ということなので、利子補給分の百十八億分で三十五日の備蓄をしている。二千七百三十億で、現行では、昨年の九月末の数字では八十四日分ということですから、何か国家備蓄のコストが非常に高い感じがします。これからもっと低減をしていかなければいけない、このことはぜひお願いしたいと思います。

 逆に言えば、百十八億の利子補給で三十五日分の備蓄が実際民間でされている。これは現行の石油備蓄法で対応しています。そして石油公団が民間の方に委託をし、国家備蓄と称して、八十四日分を二千七百三十億で規定をしているということで、コストにかなりの格差があるというふうに私は思っています。

 この格差をもっと低減をしていく。そしてLPガスの備蓄も、先ほど長官が話をされたように、これから必要だということで、二〇一〇年、要するにあと十年で百五十万トンの備蓄基地を建設する。ことし計上している予算は七十四億であります。本当に、天然ガスないし供給先の多角化、対象の多角化を含めて早く対応するという御趣旨なのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。

河野政府参考人 まず、もうちょっと民間備蓄を活用したらどうか、あるいは国家備蓄で相当コストがかかっているという御指摘でございます。

 国家備蓄事業のコスト削減につきましては、私ども相当の努力をしているつもりでございます。

 例えば、民間の余剰タンクの有効活用ですとか国家備蓄会社の効率化ですとか、あるいは、規制緩和を実現していただくことによって国家備蓄基地施設の検査費用を軽減する、あるいは調達金利をできるだけ低く抑えるというようなことで努力をしておりまして、このところ、国家備蓄基地建設の終了に伴いまして減価償却とか借入金の償還の進展なども見られますので、平成八年度には国家備蓄の予算が三千四百十四億円とピークでございました。平成十三年度の予算では二千七百三十億円ということで、かなりの効率化を達成してきているのではないかと思っているところでございます。

 そこで、民間備蓄との組み合わせはどうかということでございますけれども、実は我が国の備蓄制度の歴史は、まず、第一次石油危機後、備蓄の増強のために、石油備蓄法によりまして、コストを民間企業に負わせて、民間負担の民間備蓄ということで始まったのでございます。しかし、その後、さらに備蓄レベルを上げるということになりまして、それ以上民間負担をさらに負わせるのは難しいという判断で、国家備蓄制度を創設し、その国家備蓄が発足するに従いまして、民間の備蓄義務を、当初九十日であったものを七十日に軽減したという歴史がございます。

 これは、こういう経緯もございますし、実はその背景は、石油産業自身が国際的に競争しているわけでございますから、日本の精製業のみに諸外国と比べて非常にきつい負担を負わすということになりますと、日本の石油精製産業が国際競争力を失ってしまうということもありますので、この国際競争の状況にもかんがみまして、今後、備蓄の積み増しを行う際は、民間備蓄の増強で対応するというのはちょっと難しいかなというふうに思います。

 いずれにいたしましても、国家備蓄事業のコスト削減にできる限りの努力をさせていただきたいというふうに思っております。

 また、LPガスの国家備蓄のお尋ねがございました。

 おっしゃるとおり、民間備蓄、現在、年間輸入量の五十日分を産業界にお願いをしておりまして、国家備蓄でこれを上乗せしていくということになりますので、二〇一〇年度に百五十万トン、これが約一カ月分になるわけですけれども、目標として国家備蓄事業を推進しております。

 平成五年から取り組んでいるわけでございまして、種々の調査の結果、地元における御了解等々がありまして、四地点について立地決定を行いました。さらに、茨城県の神栖町で立地決定を行うための調査を十二年度に始めたというところでございます。

 備蓄基地をつくっていくためには、地点の選定、そして土地の造成、そして基地そのものの建設、どうしても物理的に時間がかかります。私どもとしても、精いっぱいそれでやりたいというふうに思いますけれども、今の目標で二〇一〇年、百五十万トンという体制をとにかく着実に進めたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 ぜひその形で、予算の効率性も配慮しながら対応していただきたいと思います。

 時間が過ぎていますが、最後に大臣にお尋ねをしたいと思います。

 COP3から米国が離脱をするという意思表示をしております。一方で、新政策を友好国と協議しながら、秋までに調整をして、COP3にかわる新しいものをつくり上げていくという提案も一部報道ではされております。

 その点につきまして、我が国として、大臣として、今後CO2の国際的な削減等についてどのように対応していくのか、最後にお尋ねをしたいと思います。

平沼国務大臣 米国は、世界の二酸化炭素排出量の四分の一を占める最大の排出国であります。国際的な気候変動問題への取り組みの実効性を確保する上で、米国の参加というのは極めて重要だと認識しております。このため、私といたしましても、今般の米国の方針表明が気候変動問題に対するこれまでの国際的な努力の積み重ねを損なうこととならないか、非常に遺憾に思っておりまして、憂慮しているところであります。

 ただ、米国のブッシュ大統領も気候変動問題については深刻なものと受けとめている、こういうふうに聞いておりまして、米国としても、この七月に開催予定のCOP6再開会合にも参加する、こういう意思表明もございます。このような情勢を踏まえまして、私といたしましては、関係閣僚とも協力をしつつ、米国の考えを注意深く聴取するとともに、米国への働きかけを行っているところであります。

 このため、既に、去る四日に派遣された政府訪米団に西川経済産業大臣政務官を参加いたさせました。また、その日に、米国の私のカウンターパートでありますリンゼー経済担当大統領補佐官とカウンターパートのエバンス商務長官、またエイブラハム・エネルギー長官へ私から書簡を出して、そのことについて強力に私どもとしてはアピールをさせていただきました。

 今後とも、国際的な気候変動問題の取り組みを真に実効性のあるものとするべく、引き続き一層の努力を行ってまいり、国際世論を積極的にリードしていきたい、このように考えております。

後藤(斎)委員 ありがとうございます。終わります。

山本委員長 鈴木康友君。

鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。どうぞよろしくお願いします。

 冒頭、先ほど後藤委員の方からもお尋ねがありました石油業法についての問題であります。

 この業法の制定時に、石油連盟の方、あるいは学識経験者の方とか、あるいは業界の方を含めて一部に、非常に経済統制的な色彩が強いので、これの制定に反対を唱えるという声があったわけでありますが、そうした関係者の間に、今回この業法が廃止をされるに当たって、これまでのそうした功罪をきちっと検証せずに廃止することに対しての反発があるというふうにも聞いております。

 そこで、まず初めに、こうした声にどうこたえていくのかということについて、総括を含めて大臣にお伺いをしたいと思います。

平沼国務大臣 石油業法につきましては、貿易の自由化、外貨割り当て制の廃止に際しまして、脆弱でありました石油産業に重大な悪影響が及び、石油製品の安定的な供給に支障が生ずることが懸念されましたことから、御承知のように、昭和三十七年に制定をされました。

 以降、石油業法に基づきまして、精製業の許可制等需給調整規制を実施してまいりましたが、これによって我が国に精製能力のある石油会社を育成することができた反面、石油産業における競争力がある程度減殺される面があった、このように私も認識をしております。

 今般、本法案におきまして、これまで数次にわたり行ってきた規制緩和、自由化の総仕上げとして石油業法を廃止することといたしたわけでございます。これを契機として、一層の構造改革に向けた石油企業の創意工夫や迅速な意思決定が促され、国際的な競争の中で、石油の安定供給を担う強靱な石油産業が形成されていくことを期待しております。

 当初そういう御指摘がありましたけれども、この業法というのは、私は、やはりそれなりに大きな役割を果たしてきた。そして、こういう自由化の中で、私どもは今回、それを廃止し、新たな体制でやっていく、こういうことにしたわけでございます。

鈴木(康)委員 その点についてはわかりました。

 次に、自主開発について何点か御質問をしたいと思います。

 国際石油資本、いわゆるメジャーと言われるところは、大体利益の半分以上は上流事業で稼ぎ出すというふうに言われているわけでありますけれども、日本のこれまでの自主開発の流れを見ますと、一九九五年の見直しが行われる段階で、その開発会社二百六十六社に約一兆七千二百六十一億円もの出融資を行った実績がある。にもかかわらず、日の丸原油として貢献をしているのは、アラビア石油とかインドネシア石油とか、ごく一部の会社に限られるわけでありまして、ほとんどが油の出ない会社、あるいは赤字の累積ということになっております。

 こうした状況を考えますと、欧米と日本、この彼我の差がどうして起こってきたのか、この点について御質問したいと思います。

河野政府参考人 御指摘のように、我が国の石油開発に携わる企業はいずれも規模的あるいは収益力の点で欧米のいわゆるメジャーには及ばないというのは、そのとおりだろうと思います。

 現在、石油開発を行っております主要な会社は、開発専業、それから精製・元売関係、商社などで約二十社ございます。これに御指摘のように個々のプロジェクトごとにつくられた会社を加えますと、さらに数はふえるわけでございます。

 ただ、現在、世界的にも石油開発会社の合併など大規模な再編が進んでいるわけでございますが、我が国の民間企業にも統合あるいは提携といった形で競争力強化を目指す動きもありますので、政府として、これは望ましい動きだというふうに考えております。

 こうした民間企業の統合、競争力の強化、これは基本的には民間企業の自主判断で行われるとは思いますけれども、先ほど来申し上げておりますような中核的企業形成の観点から、石油公団の保有株式の売却、あるいはこの法案でお願いをしております資産買収制度の活用などを通じて、こうした動きを支援していきたいというふうに考えております。

 企業の収益に関する御指摘でございますけれども、我が国石油開発企業は、正直言いまして歴史が浅い。欧米のメジャーなどが古くからこの市場に参入し、また産油国とも非常に強いきずなを持っているということに比べますと、後発組でございます。それに加えまして、油価、為替の影響をもろに受けるという面がありまして、財務的に厳しい状況にある企業があるのも事実でございますが、一方で、収益を上げている企業もありますので、今後の自主開発政策では、引き続き経済性に十分配慮しながら、エネルギーの安定供給を確保する、この目的を達成するためにより効果的、効率的な実施に努めてまいりたいと思っております。

鈴木(康)委員 今御答弁いただきましたように、日本の場合は非常に過少資本の企業が乱立をしているということが、一つ問題点としてこれまでも指摘されてきたわけであります。

 そうした中で、今、中核的な企業グループの形成を含めて、これからそうしたものの統合に向かうということでございますが、これまでそういう指摘がなされてきたにもかかわらず、なぜ資本の集中と拡大というものが行われてこなかったのか、その点についての総括をお願いしたいと思います。

河野政府参考人 幾つかの背景があろうかと思いますけれども、石油業法の自由化に伴いまして、今、日本の精製業も四つのグループに編成されつつある、これは外資系も含めてでございますが。そういった動きの中で、ようやく日本の開発分野についても統合、提携といったような動きが出ているという面がございます。

 それからまた、私どもが石油公団によりまして探鉱開発を支援していく際に、個々のプロジェクトのリスクと親会社のリスクを場合によって遮断していくということのために、プロジェクトカンパニー制度をとられたという経緯もまたございます。場合によっては、産油国からもこのプロジェクトは別の会社でやった方がいいというような指摘を受けて、プロジェクトカンパニーをつくったというような歴史を持つものもございます。

 そういうさまざまな背景で企業の数が多いということでございますけれども、先ほど申し上げた精製・元売関係の統合化のプロセスの中で開発関係もそういった動きが出ている、また、国際的に開発分野の統合が行われるというような環境を背景にそういった動きが出ているというようなことがありますので、先ほど申し上げたような公団保有の株式売却の際でありますとか、あるいは今回お願いをしております資産買収による支援というような手段を通じながら中核的企業の育成を図りたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(康)委員 わかりました。

 次に、ある新聞記事から御質問したいんですが、ことしの一月の新聞に、三菱商事が石油、天然ガスの開発を手がける、こういう上流事業に今後積極的に投資をしていくという記事が出ておりました。例えば、サハリンの開発の権益の買い増しとか、百億円を投じて三菱石油開発を完全子会社化する等々、今後も手を緩めることなく積極投資をしていくという方針のようであります。

 民間の自主性だけに任せておくとこういう自主開発というものが停滞するという主張も今まであったわけでありますけれども、民間でも積極的に上流事業に今後生き残りをかけて投資をしていこうという動きが非常に活発化しておりまして、むしろこうした動きを支援するという仕組みをこれからつくった方が効率的じゃないか。

 例えば、公団がリードしていくというよりも、政府系金融機関がこうした事業に支援策を講じるような、そうしたスキームに変えていった方が効率的になるんではないかというふうに考えますけれども、この点についていかがでしょうか。

河野政府参考人 今御指摘がありましたような、あるいは御紹介がありましたような、商社系の企業が資源のアップストリームに挑戦していく、これは従来からもある程度あるわけでございますが、さらに力を入れていく企業が出てくるということは、私ども、歓迎するところでございます。

 石油開発事業はプロジェクトに責任を持つ民間企業が明確になるような体制で行われる、これが原則でございますから、石油公団がやっておりますことも民間主導の原則の中でこうした民間企業の取り組みを後押しするということで、出資ですとか融資、場合によって債務保証という支援をさせていただいているということでございます。

 具体的に申しますと、石油の探鉱開発は極めてリスクが高い、つまり探鉱段階は特にリスクが高いわけでございますが、その段階で石油公団が出資、融資、それからさらに進んで、具体的に油を掘り出すあるいは天然ガスを掘り出すということになりますと開発段階になりますが、これは債務保証を行うということでこのリスクを補完してあげないと実際にはなかなか事業が進まないという実態にございます。ただ、開発段階の資金供給という面で申しますと、御指摘のような国際協力銀行の融資が主体になっている。ただ、信用補完という点で石油公団の債務保証もまた求められるという実態にございます。

 今後とも、民間の活力を活用しながら自主開発を効率的に進めていきたいというふうに考えております。

鈴木(康)委員 続いて、少しエネルギーの問題についてお伺いしたいと思います。

 先ほど後藤委員の質問の中にもありました。日本が石油について非常に中東依存度が高い、八六%にも達しているという数字もあるわけであります。先ほどの御答弁の中にも、日本から見て非常に中東地域は距離的にも近い、輸送コストの面から考えても効率的だというお話でございましたけれども、果たしてそれだけなのかな。

 例えば、アフリカあるいは南米、こうしたところが輸送コストの点で中東に比べてはるかに劣っているから経済的に無理であるということは、どうも考えにくい。むしろ、中東に頼ることが安易であったということが大きな理由ではないかというふうに勘ぐってしまうわけでありますが、その点についてどうなのかということと、これから石油の確保に向けての供給地の多角化戦略についてどうお考えになっているのかという点について御答弁をお願いしたいと思います。

河野政府参考人 前半の事実関係についてのみ御説明をさせていただきます。

 輸送コストの差が圧倒的かどうかという点は、金額にすると、見方によってはそれほどでないということがあるかもしれません。ただ、世界的に非常に市場化が進んでおりますので、金額的には比較的わずかと見られるようなコスト差でも、どうしても中東の方が選考されるという事実があるのを御認識いただきたいと思います。

中山副大臣 中東依存度が高いんじゃないか、こういう御質問でございますが、全く同じ問題意識を持ちまして、過去の石油危機等の経験を踏まえまして、輸入の多様化に努めた結果、一九八〇年代の後半には一時七〇%を下回る水準まで低下したわけでございます。しかし、その後また石油需要が伸びました。また、原油の調達先が一九七〇年の十五カ国から最近では二十数カ国へと拡大している一方で、我が国の中東依存度は再び上昇してきているわけでございます。

 この理由につきましては、先ほどもお答えいたしましたけれども、中国、インドネシアなどの非中東産油国からの輸入が、これら産油国の国内需要が伸びてきたということで伸び悩んでいるということ、あるいはまた、石油の埋蔵量の約三分の二が中東地域に存在するということ、さらにまた、アフリカ、中南米等の産油地域と比較すると、中東地域は我が国からの距離が近く、石油輸送に要するコスト等の面でより経済性にすぐれているということがあったわけでございます。

 このような状況のもとで、原油を含めたエネルギー供給源の多様化は我が国のエネルギー安定供給のためにも極めて重要である、このように考えておりまして、昨年八月に取りまとめられました石油審議会開発部会の中間報告におきましても、今後の自主開発支援に当たりまして、原油供給先の多角化に努めるべきである、このような指摘を受けております。

 また、我が国は、現在に至りますまで石油依存度の低減に努めてまいりました。この結果、エネルギー供給に占める石油の割合は、第一次石油ショック当時の七七・四%から現在は五二・〇%まで低下しておりまして、また、エネルギー供給全体として見ますと、中東依存度の低減に一定の成果を上げてきた、このように考えておるところでございます。

 今後につきましても、我が国といたしましては、石油依存度の低減、あるいは原油供給源の多様化を通じまして、原油を含むエネルギーの供給源の多様化に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

鈴木(康)委員 次に、石油の精製についてお伺いをしたいと思います。

 今、民間の石油会社は、精製設備、それからいわゆるガソリンスタンド、それから借入金、この三つの大きな過剰を抱えて大変に苦しんでいるわけであります。その削減に向けて今努力をしているということであります。特に精製設備の削減については、先ほど来お話が出ておりますが、合従連衡で今四グループへの集約が進んでいるわけでありますが、その中で進んでいる。

 本年の六月で、日本の精製能力が日量五百万バレルを割り込んで四百九十五万バレルになるというふうに予測をされていますけれども、この数字がまず妥当であるのか、まだまだこの精製設備がそれでも過剰であるのかということと、それから、これまで原油の輸入しか認めてこなかったという、いわゆる消費地精製主義というものについての見直しも含めてお答えをいただきたいというふうに思います。

中山副大臣 御指摘のように、平成十三年四月現在の我が国の石油精製能力というのは、一日当たり五百十万バレルとなっておりまして、本年六月には四百九十五万バレルまで削減される見通しとなっております。それでもなお御指摘のように過剰な水準であると認識しております。こうした状況の中で、石油精製会社におきましては、経営コスト削減あるいは合理化等の構造改革の一環といたしまして、過剰な精製設備の処理を行い、製油所の設備稼働率の向上に取り組んでおるところでございます。

 また、一方、今回の石油業法の廃止は、石油産業のグローバル化が進展する中で、これまでの需給調整規制によっては石油産業の強靱な経営基盤を確保することが事実上難しくなっているということを踏まえまして、これらを撤廃いたしまして、石油産業がみずから創意工夫を発揮いたしまして、構造改革に取り組みまして、強靱な経営基盤を確立できるようにするものとしたものでございます。

 経済産業省といたしましては、今般の法改正の趣旨を踏まえまして、石油精製会社が自主的な経営判断に基づきまして、今後の需給動向等を勘案しながら、過剰な精製設備の処理を進めて、設備稼働率を適正なレベルまで維持していくということによりまして、構造改革を一層進めて、石油の安定的な供給を確保するための体制が早急に確立されるように期待しておるところでございます。

鈴木(康)委員 次に、石油公団について御質問をしたいと思います。

 まず初めに、公団のこれまでの出融資の実態についてでありますけれども、平成十一年度に三千五百億円の欠損金を計上して、今残高が一兆一千五百八十億円というふうになっておりますけれども、まだまだ焦げつきというものがふえるのではないかという懸念がされているわけであります。この不良債権化したものが最悪の場合一兆円を超える状況も考えられ、ちまたでは第二の国鉄ではないかというふうにやゆされているわけでありますが、一体全体この不良化したものがどのくらいあるのかという実態についてどうお考えでしょうか。

河野政府参考人 御指摘の欠損金三千五百十八億円、これは、石油公団の出融資の中で将来見込まれる回収不能額を投融資損失引当金に計上したということで、平成十一年度決算において計上したものでございます。これは、出融資先の会社ごとに将来の損益見通しを行いまして、企業会計原則に準じて算定したものでございます。

 今後、石油公団では、一層の効果的、効率的な事業運営を行うと同時に、従来から行っております貸付金債権の回収あるいは配当の確保、さらには、石油公団の保有株式を売却するということでその含み益を実現させることで欠損金の縮小を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。

 将来の石油公団の開発事業に係る長期的な損益見込みをさせていただきました。これは油価と為替がどのように変化するかによって相当な幅のあるものでございますが、四千九百六十億円の損失に至る場合から、五千六百五十億円の利益が生ずる場合までが見込まれているという状況にございます。

鈴木(康)委員 長期の利益の見通しについては、どうも私はまだ数字が納得できないんですけれども、それはきょうのところはこれで終わります。

 これから既発見油田の買収に出資が可能となってくるわけであります。そうした中で、公団が今後どの部分にこれから力点を入れていくのかということでありますけれども、例えば、これまでのようにリスクの大きな自主開発から既発見油田の買収のようなものに力点を移すということであれば、これは逆に民間の活力をもっと生かすようなことにしていけばいいでしょうし、逆に、これまでのようにリスクを背負う油田開発というものを継続していくということであれば、これまでの実績、油の出ない会社でありますとか、累積赤字というものの実態をかんがみますと、これ以上公団で事を進めていくことが果たしていいのかどうかということが言えると思います。

 一方、備蓄についても、既に目標の五千万キロリットルというものを達成しているわけでありますから、例えば、今後、資源エネルギー庁に石油備蓄部のような部局を設けて、一般会計の中で保持をしていく、この事業を行っていくということにしていけば、開発事業は民間、そして備蓄事業は政府が行っていくというような方向でいけば、公団の役目というのが要らなくなるような気がするんですけれども、いかがでしょうか。

中山副大臣 既発見油田の資産買収につきましては、探鉱案件のように、試掘の結果、全く石油、天然ガスが存在しないというリスクはありませんけれども、しかし、事前評価の結果どおりに埋蔵量が確保できない場合とか、あるいは油層のトラブルによりまして原油回収率の予想外の悪化等の地質リスクが存在いたします。

 また、既にある程度の埋蔵量が発見されていること、あるいは、既に投下された長期間の開発生産段階における多額の開発費、操業費を負担するということから、購入価格も高くなり多額の資金が必要となるわけでございます。

 そのため、メジャーに比べまして企業体力の弱い我が国の石油開発企業が十分な自己資金を用意することは困難であるということから、石油公団による出資を通じた支援が必要と考えているところでございます。

 また、御質問のありました国家備蓄事業でございますけれども、我が国のエネルギーセキュリティーの確保の観点から、受益者負担の原則によりまして、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計予算により、国の一元的な責任、管理のもと、石油公団が主体となって実施してきたところでございます。

 五千万キロリットルの国家備蓄を達成した後におきましても、なお備蓄基地の維持とかあるいは放出に備えた備蓄原油の維持管理等の業務が必要でありますし、また、実施に当たりましては、備蓄に係る技術、ノウハウが求められるわけでございます。また、事業遂行上の効率性あるいは機動性を確保するためには、やはり国が直接対応することは困難と考えられますので、引き続き石油公団において実施することが適当である、このように考えているところでございます。

鈴木(康)委員 時間がなくなってまいりましたが、財投機関債について御質問したいと思います。

 ことしから財投の制度が改革をされるわけでありますけれども、その言ってみれば目玉というのが財投機関債を発行していくということにあるわけでありますが、石油公団としては、この財投機関債の発行の見通しというものについてはどうなのか。質問にお答えをいただきたいと思います。

河野政府参考人 石油公団によります財投機関債の発行の問題でございます。

 今般の財投改革の趣旨を踏まえまして、事業の性格あるいは現在の財務状況を前提として想定されます格付の問題なども含めまして、この発行可能性について検討を行ってまいりました。

 ただ、どうしても、備蓄事業は、エネルギーセキュリティーの確保を目的とするものでございますから、収益を目的とし得ないということもありますし、また、公団の現在の財務状況を踏まえますと、公団にとって有利な条件での発行が難しかろう、そうなりますと、結果的には財政負担増を招くということもございます。また、仮に公団の発行する財投機関債が市場で十分に受け入れられないということになりますと、現に私どもが保有しております五千万キロリットルの国家備蓄を適切に維持管理する必要な資金量が確保できないことになりかねないということがありましたので、直ちに財投機関債を発行することは難しいというのが現時点での結論でございます。

 ただ、いずれにしましても、石油公団の財投機関債の発行可能性は、財投改革の趣旨を踏まえまして、今後形成されると思われます財投機関債市場の動向にも注視をしながら、引き続き検討させていただきたいと思います。

鈴木(康)委員 この経過についてはこれからも私ども見守っていきたいと思いますが、機関債を発行できなくて財投債といえども、これは借金と変わらないわけでありまして、政府が保証するこういうものに頼るということは、いずれ税金で処理をすることを前提にしているというふうに考えざるを得ないわけでありまして、財投機関債にシフトしていくことを前向きに行っていっていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。

 同僚議員と質問が若干重なるところがありますが、用意してきた質問をそのままさせていただきたいと思います。

 昭和四十二年から今日まで、石油公団から約二兆円という予算を使って石油の自主開発を進めてきたということでありますが、調べてみましたら、日本は、自主開発原油の輸入量は六十五万バレルである、これは原油総輸入量四百三十二万バレルのうちわずか一五%にすぎない。

 日本の場合は、原油のほぼ一〇〇%を海外から輸入して依存しているわけでありますので、我が国において自主開発の分野というのは、世界的に見ても大変立ちおくれているというのが現状だと思います。ちなみに、ドイツが二六%、フランスが七五%、イタリアが三五%というような資料もいただいておるわけであります。

 この一五%という現在の日本の自主開発原油の輸入量から見て、今までの自主開発が本当に効果的あるいは効率的に進められてきたのかと総括をすべきではないかと思いますが、いかがですか。

平沼国務大臣 御指摘のとおり、石油公団は、昭和四十二年に設立されて以来、石油開発企業に対して累計で二兆八百四十四億円の出融資を行ってまいりました。その結果、昭和四十二年当初、日量二十七万バレルだった自主開発原油の輸入量は、御指摘のように日量六十五万バレル、原油総輸入量の一五%を占めるに至っております。

 石油公団の自主開発事業に対する支援の効率的、効果的な実施のあり方については、当時の通商産業省内に設置された石油公団再建検討委員会及び石油審議会開発部会のもとに設置された石油公団開発事業委員会において報告書が取りまとめられましたけれども、現在までその内容のほとんどすべての事項について着実に実施をしてまいりました。

 具体的に申し上げますと、第一に、プロジェクトの採択の審査について、メジャーが採用している手法である定量的評価を導入いたしました。第二に、石油公団の損益見通しの明確化について、企業会計原則に準じた会計処理を導入いたしまして、損失引当金の計上基準を見直してまいりました。第三に、出融資先会社の整理について、整理方針が示された十三社すべてを事業終結したところでございます。第四に、情報開示の徹底について、石油公団決算に対する公認会計士による任意監査を導入しまして、石油公団及び出融資先会社における上場企業並みの情報開示及び連結決算を実施しました。そして、残された課題でございます石油公団の保有株式の売却についても、一部について現在行っております。

 今後の自主開発政策については、引き続き、経済性に配慮しながら、我が国のエネルギー安定供給を確保する上で、より効果的に、そして効率的な実施に努めていかなければならないと思っております。

 確かに欧米に比べてその比率は低いわけでありますけれども、しかし着実に実行してきて当初よりその比率が高まっていることも事実でございまして、これからも努力をさせていただきたい、このように思います。

中津川委員 二兆円強という自主開発に使われたこの大金、これは大変な金額ですよ。とにかく、この大金、政治は結果責任ですから、国益という点から見て、将来の見通し、得になるのか損になるのか、ずばりお聞きしたいと思います。

河野政府参考人 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、累計で巨額の出融資を行ってきたのはそのとおりでございます。

 この出融資の将来的な長期損益の見通しでございます。

 石油公団が、現時点でその事業の見きわめが可能と見込まれる百二社を対象といたしまして、平成十一年度の決算にあわせてその長期的な損益の見通しを公表したわけでございます。これは幅がございまして、油価をどのように想定するか、また為替がどのように推移するかによってかなり変わります。

 非常に油価も低く、為替も日本にとって不利であるというような状況でありますと、四千九百六十億円の損失ということになります。逆に、油価も非常に望ましく、また為替面でも日本の石油企業にとって有利であるということになりますと、五千六百五十億円の利益が生ずる可能性があるというふうな幅のある見通しでございます。

中津川委員 確かに油田を探す、探索するというのは大変リスクを伴いますし、言ってみればむだの集積だと思うんですね。三千メートルの地下を探すということで、下からくみ取る、探すまでに、よく千三つとか言われておりますが、大変それはリスキーで、運を天に任すようなところがある。その苦労というのはよくわかるのですが、今日を迎えて、四十二年当時とかなり状況が変わってきております。

 そんな中で、これからもこの自主開発を進めていく意味があるのか、これが一点。それから、もし進めていくということであれば、本当にまた新しいビジョンというのをしっかりと出さなければいけないと思います。大臣の御所見を伺いたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 我が国は、一次エネルギー供給の五二%を石油が占めるといった供給構造になっているわけであります。こうした中で、長期安定的に一定量の石油を確保できる自主開発の推進というのは、エネルギーの安定的供給上極めて重要である、このように認識をしています。

 このような観点から、これまでも、政府及び石油公団が民間企業を支援する形で自主開発原油の確保に努めてきたところでございまして、この結果、先ほど委員御指摘のとおり、現在、自主開発原油の輸入量は、原油総輸入量の一五%を占めるに至っております。

 石油につきましては、市場商品性が進展する中においても、一年間で油価が三倍になるなど、依然として他の商品とは相当異なる性質を持っております。今後とも、そういう意味で、引き続き自主開発を強力に進めて石油の安定供給確保を図っていくことは必要なことだ、私どもはこのように思っております。

 このため、昨年の八月の石油審議会開発部会の中間報告を踏まえて、本法案の中で提案させていただいている、既発見油田の資産買収に対する支援等もあわせて行いつつ、より効率的、効果的な自主開発の実施に努めてまいらなければならない、このように思っているところでございます。

中津川委員 次に、私は中小企業対策についてずっと取り組んできておりますので、石油販売業、ガソリンスタンドについての質問をしたいと思います。

 平成七年の特石法の廃止、施行が平成八年ということで、石油製品がどんどん輸入され、規制緩和によって、従来の精製・元売会社に加えて、今度は総合商社等が石油製品の輸入を開始した。この特石法の廃止が検討され始めた平成六年以来、自由化を先取りした競争等の激化によって、ガソリンを中心とした石油製品の価格が大幅に低下してきた。それが、言ってみれば消費者や利用者にとっては大変なメリットがありまして、昨年まで一兆四千億円ものメリットがあったというふうに聞いておるのですが、その一方で、石油産業界は従来にない厳しい環境にあるというのも事実であります。

 そんな中で、規制緩和によって石油精製業等の経営の自由度を増して、効率化そして合理化等の経営基盤の強化を通じて国際的な競争に対応できる強靱な石油産業を形成するということはもちろん重要でありますが、特に石油製品販売業、サービスステーション、ガソリンスタンド等は、平成六年から十一年までの五年間で、何と五千軒閉鎖しているということであります。

 ガソリンスタンドの設備というのは、コンクリートが敷いてあって、地下にタンクがあって、壊すのに大変なコストがかかる。政府の方の補助も上限五百五十万円というのも聞いておるのです。この石油業法の廃止、これは確かに消費者にはいいことでありますが、今どんどん他の製品の価格が下がっていると同じように、結局どんどん価格破壊というのを招いていく流れにあるというふうに思っているわけであります。

 そういう中で、石油販売業界においても、コストを削減したり、サービスの充実、あるいは経営の多角化、工夫を凝らしながらいろいろなことをやって努力はしている。私の知人も一生懸命努力をしている実態を見ておりますが、政府は、このような厳しい状況にあるガソリンスタンド、サービスステーション等の業界の人たちに対してどのように支援していく体制を持っているのか、お聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 中津川委員御指摘のように、私の地元でも、友人がガソリンスタンドの経営者で、大変厳しい状況に置かれています。一生懸命多角化をしようといって、釣り具店を併設したりして努力をしているわけでございまして、御指摘のとおり、今置かれている環境は非常に厳しい、私もそういう認識を持っています。公正な条件のもとで競争ができる環境の確保に努めることは必要だと思っておりますし、販売業界による構造改善のための取り組みを支援していく、このことは重要だと認識をしております。

 このうち、公正な競争環境の整備につきましては、不当廉売案件処理の迅速化のための臨時の措置として、公正取引委員会に対して当省の職員を平成十年に派遣して、現在、併任を含めて九名で対応いたしております。また、差別対価について、判断基準の作成及び公表を公正取引委員会に働きかけるといった措置も講じているところであります。

 また、販売業の構造改善の取り組みに対する支援につきまして、石油製品販売業者が事業の多角化や転換を図るためのセミナーの開催、消費者ニーズの調査に対する補助、事業者が事業多角化を行うために必要な設備資金の借り入れに対する利子補給、今御指摘がございましたけれども、ガソリンスタンド施設の撤去に大変費用がかかる、それに必要な費用の補助、平成十三年度においてはこういったことに総額二百十億円に上る支援策を予定させていただいております。

 今後とも、御指摘のような厳しい現状を踏まえまして、以上のような取り組みを着実に実施することによりまして、政府といたしましても石油製品販売業の支援に努めてまいりたい、このように思っております。

中津川委員 ガソリンスタンドの経営者の人たちも一生懸命今努力をしています。大臣の方から、側面からそういうバックアップというような心強い答弁をいただいたわけでありますが、何か多角化とかいろいろ工夫をしていて成功している例があったら、ちょっと聞かせてください。

河野政府参考人 幾つかの例を御紹介させていただきたいと思います。

 一つは、平成九年に道路運送車両法の規制緩和が行われまして、自動車整備業への参入が容易になりましたものですから、車の分解整備工場をガソリンスタンドに併設するということで、車関連サービスを総合的に提供することで収益を上げる、いわゆる油外の収入を上げるというような成功例がございます。

 また、コンビニエンスストアのような小売店舗を併設するとか、あるいは非常に変わったケースでございますが、美容室のような店舗複合型のガソリンスタンドを展開して、経営をうまくやっているという事例が見受けられます。

中津川委員 先ほど大臣から不当廉売と差別対価という問題が指摘されましたが、これは公平、透明な市場をゆがめるものでありまして、当然独禁法にも違反する問題だと思うのであります。

 とにかく何でも、流通もそうですが、一番末端の販売のところが一番弱いのですよ。ですから、絶対こういうようなことがあってはならないというふうに思うわけでありますが、今度は、公正取引委員会の今まで取り組んできた実績と、またこれからどう対応していくかということをちょっとお聞きしたいと思います。

根來政府特別補佐人 ただいま委員から御指摘のありました不当廉売の問題につきましては、石油に象徴されますように、ちまたに横行しているという批判があるわけであります。結局、今まで規制産業であったために、私どもの目から非常に遠いところにあったわけでございます。

 そういうことで、今大臣がおっしゃいましたように、前の通産省の御協力を得まして、人の応援をいただいて、不当廉売の取り締まり、あるいは差別対価の取り締まりということに全力を傾注してきたところでございます。

 実績を申し上げますと、例えば平成十二年度におきましては百十件の注意を行っているところでございます。といいますのは、十分調査をしてその結果で対処しますと、どうも時期おくれになってしまうという批判がございますので、申告がございましたら原則として二カ月以内に処理してしまう、そして、処理としては、とにかく注意をして、業者に不当廉売という深みに陥らない体制をとってもらうということでやっているわけでございます。

 委員御指摘のように、今後ともそういう観点で間違いない行政をやっていきたい、こういうふうに考えております。

中津川委員 平成十二年、今百十件ということでありますが、どうなんですか、これはふえているのですか。また、これからこの差別対価も含めて増加していく懸念があるような感じがするのですが、いかがですか。

根來政府特別補佐人 これは決定的なことは申し上げかねますけれども、大局的に見ますと、石油、ガソリンの市況といいますか、原価によって事件がふえたり減ったりするということはあると思います。といいますのは、原油の価格が上昇しますと、やはり不当廉売というのは少なくなっていくという傾向があるわけでございます。私どもは、そういうことも踏まえまして、経済産業省とも十分連絡をしまして、抜かりなくやっていきたい、こういうふうに考えております。

中津川委員 経済産業省からも九名の応援団が行っているということであります。公正取引委員会もいろいろ幅広く調査するには人数が少ないというようなこともよく聞いておるのですが、ぜひ今委員長が言われたそういう考えで、ひとつ公正公明な市場をつくっていただくように努力してもらいたいとお願いしまして、質問を終わります。

山本委員長 山内功君。

山内(功)委員 民主党の山内功でございます。石油関連法の質疑に入る前に、この際お尋ねをしておきたいと思っております。

 米国政府が、地球温暖化防止条約京都議定書への不支持を公式表明いたしました。一昨日、我が党の北橋議員の質問に対しまして大臣は、米国を再び土俵に引き戻すよう努力したいと答弁されました。ぜひ働きかけを一層強めていただきたいと思います。翻って、我が国の二〇一〇年度の六%削減という義務に関して伺いたいと思います。

 達成は大変厳しいものがあろうかという見方もございます。改めて、経済産業省として不退転の覚悟で取り組むという決意をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 気候変動問題というのは、全世界的に積極的に取り組むべき課題だと思っております。その際、世界最大の二酸化炭素排出国である米国の参加が国際的な気候変動問題への取り組みの実効性を確保する上で極めて重要なことだ、このように認識しております。

 このような観点から、今般の米国の方針表明が、気候変動問題に対するこれまでの国際的な努力の積み重ねを損なうこととなる可能性が非常に大きいものですから、私としては、非常に遺憾に思い、憂慮をしているところであります。

 先ほどの答弁でも述べさせていただきましたけれども、私といたしましては、去る四日に派遣された政府訪米団に当省の西川経済産業大臣政務官を参加いたさせました。また、その日に、米国の経済担当大統領補佐官のリンゼーさん、これは一月に私がワシントンを訪問したときにじっくり話し合った方ですけれども、彼にも書簡を送り、また、カウンターパートであるこの方も会談を持たせていただきましたけれども、エバンス商務長官、そしてエイブラハム・エネルギー長官に対しても書簡を出して、アメリカのブッシュ大統領が表明されたようなことを反省して、そして、世界の非常に大きな環境問題ですから、これの再考を促したところでございます。

 今後とも、私といたしましては、関係閣僚、特に川口環境大臣ともよく連携をさせていただきまして、米国の考えを注意深く聴取するとともに、引き続き米国に対して力強く働きかけていきたいと考えております。

 また、委員御指摘のように、京都議定書に規定する我が国削減目標の達成は非常に厳しいものだと認識をしております。経済産業省といたしましては、これまで、省エネルギーの推進や産業界の自主行動計画の着実な実施等、各分野にわたる取り組みを積極的に進めてきているところでございますけれども、現在、産業構造審議会及び総合資源エネルギー調査会におきまして、我が国削減目標の達成を確実なものとするために、そのあり方について御審議をいただいているところでございます。

 私といたしましては、米国の説得を含め、これらの検討結果を踏まえて、気候変動問題への取り組みと活力ある経済及び国民生活の両立に向けて引き続き全力で努力をしていきたい、このように思っています。

山内(功)委員 では、石油関連法についてお尋ねいたします。

 言うまでもなく、安定した経済成長やエネルギー安保を確立するためには、石油依存度、輸入依存度、そして特定地域への依存度を低下させることが重要でありまして、このことはオイルショックのときから指摘され続けてきたことだと思っています。しかし、現実には、石油依存度は下がったものの、欧米の水準に比べて高く、石油の中東依存度は、一九七三年度の七八%から低減するどころか、九九年には八六%へ逆に上昇しております。この間のエネルギー政策としては問題ではないでしょうか。自主開発政策で見るべき成果を上げてこなかったこととあわせて、総括をしていただきたいと思います。

平沼国務大臣 我が国は、過去の石油危機の経験を踏まえまして、非中東産油国からの輸入の促進や非中東地域における自主開発の推進等を通じまして、原油の輸入先の多角化努力を行ってまいりました。その結果、これは委員もよく御承知だと思いますけれども、石油の中東依存度は、一九八〇年代後半には一時期七〇%を下回る水準、具体的に申しますと、八七年、八八年は六七%台まで低下をいたしました。

 その後、石油の需要が著しく伸びまして、原油調達先の数が一九七〇年の十五カ国から最近では二十数カ国、このように拡大をしております。そういう中で、我が国の中東依存度はここ二、三年は八五%台、こういうことで上昇をしているところでございます。

 その原因といたしましては、一つは原油の輸入先で、中東依存度を低くする、そういう形で、中国やインドネシア、このような非中東生産国からも輸入をしておりましたけれども、これらの産油国のいわゆる経済上昇、そういうことによって日本に対するそれらの国々の輸出量というのが減ってきた、こういうことも事実としてございました。また、世界の石油埋蔵量の約三分の二というのがあの中東地域に集中している、こういうことで、どうしてもそこから入手しやすいという背景も、実はそういう石油需要の高まりの中であったと思います。

 また、アフリカや中南米の産油地域と比較すると、中東地域は我が国からの距離が近くて、石油の輸送に要するコスト等の観点で、経済性の問題がありました。例えばアメリカがたくさん原油を輸入しているベネズエラ、これはちょうど南アメリカ大陸の大西洋側にある、こういう形で、その油を持ってくるということは、例えばパナマ運河を通るというようなことになりますと非常に量的な制約があるし、また、逆に、南アメリカ大陸の南端を回ってくるというと大変距離的に大きな問題があります。また、アフリカのアンゴラというような国からもいろいろな具体的な提案があります。

 こういったことも将来的には取り組んでいかなければならないと思っていますけれども、これまた輸送コストの問題があるわけでありまして、これらについて、世界的な市場化が進む環境の中で必ずしも政策による対応では克服しがたい難しい面があるということも事実であります。

 このような状況を踏まえまして、我が国としましては石油依存度の低減に努めてきまして、今委員御指摘のように、エネルギー供給全体では石油の割合は第一次石油危機当時の七七・四%から五二%にまで低下をしてまいりました。エネルギー供給全体として見れば、中東依存度の低減に一定の成果を上げてきたものと思っております。

 しかし、やはり、諸外国はエネルギーのいわゆる供給先の分散を図って実効を上げてきておりますので、我が国といたしましても将来的に、御指摘を踏まえながら、また、新しいエネルギーの導入等も積極的に図りながら、努力をさせていただきたい、このように思っております。

山内(功)委員 エネルギー安保の確立のために備蓄の重要性について理解しているつもりでございます。しかし、一方、備蓄量をどこまで確保しておけばいいのかという問題もございます。

 現在、国家備蓄が五千万キロリットル、八十四日分、民間備蓄が四千五百万キロリットル、七十七日分、合計約百六十日間の備蓄があるようですが、政府の方針だと、IEA加盟主要国の平均レベルを目指して今後五年間で五百万キロリットル、平成十三年度にとりあえず百万キロリットルを積み増しすると聞いております。

 しかしながら、IEAの主要平均といっても、各国それぞれ事情が異なると思っています。とりあえず平均を確保していけばいいという問題でもないと思います。三千億円のコストもかかるようですが、一体どこまで積み増しをすればいいのか、考えをお聞かせいただきたいと思います。

中山副大臣 石油備蓄についての御質問でございますが、国際石油市場の発達とともに、近年、石油の供給途絶等の緊急時の初期段階におきまして、市場の安定化等を目的として、国際エネルギー機関、IEA加盟国が協調して備蓄を放出するということの重要性が高まってきております。

 このような国際協調のための備蓄量をIEA加盟主要国と比較しますと、我が国の備蓄水準は、その平均を約五日間分程度、五百万キロリットル程度下回っているという状況にございます。

 他方、我が国は世界第二位の石油消費国でありますが、欧米諸国と比較して、石油依存度、中東依存度が非常に高い。そしてまた、石油供給構造も脆弱でありまして、IEA加盟国の協調行動によりまして享受するメリットは非常に大きい、このように考えられます。

 このような観点から、平成十一年八月の石油審議会石油部会報告におきまして、IEA加盟主要国平均を下回らないように五百万キロリットル積み増すことを当面の目的としようという提言が行われたところでございます。

 これらを踏まえまして、平成十三年度より国家備蓄の新規積み増しに着手することといたしたわけでございますが、御指摘のように、厳しい財政状況等も勘案いたしまして、国家石油備蓄予算の縮減に努力いたしました結果、対前年度比で五十九億円の節減を達成いたしました。そして、一方で、国家石油備蓄百万キロリットルの積み増しを行うということにしたところでございます。

 当面は五百万キロリットルの積み増しを目標としておりますけれども、その実施に当たりましては引き続き財政状況等も十分に勘案していきたい、このように考えておるところでございます。

山内(功)委員 民間には備蓄量を軽減してほしいという意見もあるようでございますが、民間備蓄については今後どのように対応していかれるおつもりなんでしょうか。

中山副大臣 民間備蓄についての御質問でございますが、先ほどもお話ししましたように、我が国の備蓄水準がIEA加盟主要国の平均を約五日間分程度下回っているという状況を踏まえますと、現時点におきまして民間の備蓄義務量を引き下げることは適当でない、このように考えております。

 他方、民間の石油備蓄義務は企業にとって負担になっていることは事実でございまして、平成十一年八月の石油審議会石油部会報告におきましても、将来的には民間備蓄義務の軽減の可能性について検討していくことが適当であるとされているところでございまして、これらを踏まえまして今後検討していきたい、このように考えているところでございます。

山内(功)委員 備蓄はいわば最後のとりでということで、大変重要だと思っています。

 しかし、これは考え方一つではないでしょうか。エネルギー安保の考え方からいえば、論理としては、備蓄を積み増すということと、需要を減らしたり、あるいは石油代替エネルギーにシフトしていくということと同じことではないかと考えています。

 したがって、仮に今日の備蓄レベルを妥当なものだとしても、私個人としては、備蓄にこれ以上金をつぎ込むより、例えば、クリーンな天然ガスあるいは非化石燃料にシフトしたり、省エネを進める方に力を入れた方がよいのではないかと考えているのですが、どうでしょうか。

中山副大臣 石油がその利便性等から引き続き主要なエネルギー源であると見込まれる中で、その供給のほぼ全量を輸入している日本にとりまして、石油備蓄は今後ともエネルギーの安全保障の確保を図る上で重要な地位を占めるものと考えております。

 また、新エネルギーを含む非化石エネルギーや天然ガスにつきましては、石油依存度を下げ、エネルギー安全保障上も有効であるという観点から、その利用促進にも積極的に取り組んできております。その結果、我が国の石油依存度は、第一次オイルショックの前の昭和四十八年、七七・八%でございましたけれども、現在では五二%まで低下しているところでございます。

 今後、我が国のエネルギー安全保障を確保していくためには、このように、石油そのものの安定供給確保と、それによりまして石油依存度を下げるための取り組み、この二つをバランスよく講じていくことが重要である、このように考えておるところでございます。

山内(功)委員 天然ガスについてもう少しお聞きしたいと思います。

 天然ガスは、昨年八月の石油審議会小委員会の中間報告で、「供給の安定性、地球環境問題への対応等の面における優位性があり、今後、その導入促進を図っていくことが重要」と位置づけられております。

 我が国では、一次エネルギー供給の中で天然ガスの割合は一二%、OECD諸国平均の二〇%に比べて低い数値でございます。数値目標という意味ではないのですけれども、今後、中期的に我が国としてどの程度の割合がベストミックスだと考えておられるのでしょうか。

河野政府参考人 御指摘のように、欧米では一次エネルギー供給に占めます天然ガスの比率が平均で約二割ということでございますが、これは、それぞれ自国あるいは周辺諸国で生産される天然ガスを輸送するパイプラインが整備されている、そして、パイプライン沿線需要が増大する環境が整備されている、こういった理由によるものだろうというふうに思うのでございます。

 一方、我が国では、国内の天然ガス生産は極めて少ないという状況にあります。現時点では、我が国周辺からの天然ガス供給もないということでございまして、天然ガスの利用は比較的コストの高いLNG形態で輸入の形をとっております。こうしたことから、天然ガスの一次エネルギーに占める割合は、十二年時点で約一三%ということでございます。

 ただ、御指摘のように、まさに天然ガスの導入が、石油依存度の低下のみならず、中東依存度の低下、さらには他の化石燃料に比べても環境上優位性があるということで、この利用拡大に努めなければならないとは思いますが、これがどの程度進めばいわゆるベストミックスと言えるのか、これは現在総合資源エネルギー調査会で検討させていただいておるところでございます。

山内(功)委員 我が国では現在、ガスの利用方法として、発電が七割、都市ガスが三割と言われています。電力が多いわけですが、一方、発電用燃料の構成比でいいますと、石油二一%、ガスが二〇%、石炭が一八%でございます。石炭あるいは石油を減らしてガスのシェアをふやす余地があるのではないのですか。

河野政府参考人 電源構成についてでございます。一般論として申し上げて、電源設備の形成にはリードタイムがかなり長期にわたります。特に天然ガスにつきましては、燃料調達面でも長期契約をしなければならないというようなこともあります。なかなか短期的に柔軟に変動させるのが難しい側面があることは御理解いただきたいと思います。

 こういった前提のもとで、天然ガスによる発電については、環境特性にもすぐれているということでございますから、ピークの供給力からベース供給力のすべての範囲にうまく対応する電源としてその開発を推進したいというふうに考えております。電力会社としても、こうした認識で天然ガス火力発電の開発に取り組んでいるところですけれども、この導入に、私どもとしても期待をかけているところでございます。

山内(功)委員 それでは、発電原価から指摘していきたいと思いますが、キロワットアワー当たり、LNGが六・四円、石油が十・二円、石炭が六・五円となっており、発電原価からしても十分に他と伍してやっていけるのではないでしょうか。

河野政府参考人 燃料選択につきましては、コスト面だけでなくて、先ほどちょっと御紹介しましたが、燃料調達上の、例えば、長期契約を求められることとか、発電所が既にあることなどを考慮せざるを得ない状況がございます。

 今御紹介いただきました数字は、総合エネルギー調査会の原子力部会で平成十一年の十二月に御紹介をさせていただいた数字でございます。ただ、最近では、原油価格がさらに上昇いたしまして、天然ガス価格もこれにつれて高くなっておりますので、現時点と、あるいは近い将来を考えますと、天然ガスよりも石炭火力にどうも価格優位性が見られる状況があるように思っております。

山内(功)委員 経済産業省としては、天然ガスの利用については、電力業界に、今まで、そしてこれからどのように理解を求めていく考えなのですか。

平沼国務大臣 天然ガスを利用したLNG火力については、環境特性にすぐれ、また、近年の技術進歩の結果、改良型ガス複合発電、ACCと言っておりますけれども、これは熱効率が大幅に向上して、燃料コストが低減しているなどの特性を有しており、積極的な開発が期待されるものだと思っています。

 電力会社といたしましても同様の認識を有しておりまして、当省としては、引き続き、地球環境問題への対応やエネルギーセキュリティー確保の観点から、天然ガスの利用拡大を図るべく取り組みを進めていきたい、このように思っています。

山内(功)委員 しかし、そうおっしゃいますけれども、電力十社の出した「発電電力量構成の推移」という書面によりますと、石炭は、平成十二年度で一八%、これが平成十七年度には二〇%と、むしろふえていくことになっています。

 COP3を踏まえて望ましい電源構成について総合資源エネルギー調査会で審議中と先ほどお聞きしましたけれども、電力会社の見通しでCO2排出量の多い石炭がむしろふえるというのはちょっと理解できないことだと思っています。経済産業省として、この点をどう考えておられるのでしょうか。

平沼国務大臣 電力会社が、毎年年度末に経済産業省に届け出る供給計画、各電源の経済性、供給安定性、それから運転特性及び環境特性といった点などを考慮いたしまして、必要な供給力を確保する計画となっています。御指摘のとおり、石炭火力の発電電力量に占める比率は、平成十一年度の一六・七%から、平成二十二年度には一八・五%に上昇しています。

 また、去る三月六日に総合資源エネルギー調査会において提示があった基準ケースにおきましても、石炭火力のコスト面での優位性から、そのウエートが上昇するものと見通しているところであります。

 石炭火力は、燃料供給の安定性、経済性にすぐれているため、安定供給、供給コストの低減の観点からベース・ミドル供給力を担うものと期待されておりまして、引き続き電源としては重要だと考えております。

 しかしながら、委員御指摘のように、CO2排出抑制の観点からいいますと、どの程度のウエートが適切であるかについて、今後引き続き検討していかなければならないと思っています。また、そのための必要な施策もあわせて検討しなければならないと思っておりまして、確かに今の計画の段階では御指摘の点がありますけれども、CO2排出量との兼ね合いの中で、これから将来に向かって検討していきたい、このように思っています。

山内(功)委員 それでは、天然ガスのサハリン・プロジェクトでは、LNGとあわせまして、我が国で初めてパイプラインによる国際供給が検討されております。

 先ほど引用しました石油審議会の中間報告では、「パイプラインによる天然ガス供給の経済性が確保される場合には、安全規制の整備を行うとともに、その実現に向けて、今後の事業実現可能性調査の見通し等も踏まえ、支援の必要性等を検討すべきである。」と述べています。

 我が国のパイプラインの安全性は、他国と比べてかなり厳しい、もっと規制緩和をすべきだという議論もあるようでございます。しかし一方、我が国は地震国でもございます。必要な安全規制はしっかりとしていかなければなりません。経済産業省として、パイプラインの安全規制について、今後どのような検討とか整備を行うつもりか教えていただきたいと思います。

中山副大臣 サハリン天然ガスのパイプラインプロジェクトについては、現在行われております総合資源エネルギー調査会の石油分科会開発部会天然ガス小委員会の検討に際しましても、適用法規、技術基準について、国際基準及び我が国の実態を踏まえ検討すべきではないか等の議論が行われていることは承知しております。

 また、本年三月三十日に閣議決定されました規制改革推進三カ年計画におきましても、「長距離パイプラインに係る適用法規の在り方、技術基準等について、安全の確保等を踏まえつつ検討する。」との記述がなされているところでございます。

 サハリン天然ガスのパイプラインプロジェクトにつきましては、現在、構想段階と聞いておりますけれども、今後経済産業省といたしましても、当該プロジェクトの具体的内容が明らかになるのを待ちまして、国際基準、我が国の実態等を踏まえ、パイプラインの安全規制に係る法規の適用及び技術基準につきまして所要の検討を行ってまいりたい、このように考えております。

山内(功)委員 それでは、メタンハイドレートの問題について少しお伺いします。

 メタンハイドレートの可能性について、我が国周辺には大きな埋蔵量が期待されており、天然ガスも将来、メタンハイドレートから供給されるようになるとも言われております。将来の可能性と技術開発の現状についてお伺いしたいと思います。

河野政府参考人 御指摘のように、メタンハイドレートにつきましては、日本の近海で、我が国天然ガス消費量の約百年分に相当する埋蔵量が期待されるという試算もございますので、将来のエネルギー源として期待をいたしております。

 私どもはこれまで、その賦存状況の把握ですとか、採取技術に関する調査研究を実施してきております。その一環といたしまして、昨年の一月でございますが、御前崎沖の試掘を行いました。メタンハイドレートの存在を確認したところでございます。

 ただ、メタンハイドレートは御案内のとおり、地層中に固体として存在するものでございまして、井戸を掘っても通常の天然ガスのように自噴はいたしませんものですから、資源としての利用については、掘削技術の開発も含めて、まだ基礎的な研究段階にあると申し上げざるを得ないと思います。

 今後とも、このメタンハイドレートの開発利用を目指して研究などに取り組んでまいりたいと思っております。

山内(功)委員 大臣、エネルギーは戦略性が必要だと私は思っています。総合資源エネルギー調査会の審議を待つという問題ではないと思っています。

 今までの質疑を通じまして、最後に、大臣の決意のほどをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

平沼国務大臣 確かに委員御指摘のように、エネルギー政策というのは戦略性がなければならないと思っています。そういう意味で、人的資源だけで天然資源のない我が国というのは一生懸命にエネルギーの確保に努めてきまして、私は、これまでの歴史を振り返っても、ある戦略を持ってやってきたことは事実だと思います。しかし、これから二十一世紀に向かって、環境の問題がありますし、またいろいろな、石油資源が自国にない、そういう我が国の置かれた立場もございますから、やはり今まで以上に戦略性を持ってやっていかなければならないと思っています。

 そういう意味で、産油国に対しましても、御指摘のとおり一地域に偏ることなく、安全保障の見地からやはり多角的に検討することもこれから強力に進めていかなければならないと思っております。また、ある意味では新エネルギーの時代でございますから、今ある天然ガスを含め、あるいは太陽光発電、風力発電等々も含めてやはり総合的に、日本のエネルギー安全保障のために戦略的に多角的に検討していく、このことが重要だと思っておりますので、御指摘を踏まえて、私どもも戦略性を持ってやらせていただきたい、このように思っています。

山内(功)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 肥田美代子君。

肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 平沼経済産業大臣の石油備蓄法改正案に対する趣旨説明を伺いながら、石油ビッグバンが進行しているなという実感を実は持ちました。

 八六年に石油製品が一部自由化されました。そしてその後、九〇年には給油所建設指導が撤廃されました。九六年には特定石油製品輸入暫定措置法が廃止されました。だれでもガソリンを輸入できるようになったわけです。そして今回、規制緩和の総仕上げといたしまして、石油業法の廃止が提案されております。

 政府内には当初、開発から流通までの一貫企業を育てるという、いわゆる和製メジャーの設立の意気込みがあったと聞いております。しかし、それは挫折しております。いわゆる和製メジャーを実現できなかった原因は、どこにあったというふうにお考えでいらっしゃいますか。

中山副大臣 お答えいたします。

 欧米におきましては、いわゆるメジャーが高い国際競争力を持ちまして石油開発事業を展開することによりまして、結果的に、各国の安定的かつ効率的なエネルギー供給の確保に貢献しておるということでございます。

 我が国の石油産業におきましては、メジャーに比べて海外における石油開発への参入時期が遅かったこと、あるいは石油産油国との歴史的なつながりが薄かったことや投資規模が小さかったことなどから、開発部門ではメジャーのような企業が育ってこなかったことは事実でございます。

 他方、特石法廃止等、累次の規制緩和による国内の競争激化やあるいはメジャーの再編統合といった環境変化の中で、我が国の石油産業につきましても、合併あるいは事業提携等によりまして四グループ化への再編集約化が進んでいるということは御承知のとおりでございます。

 我が国におきましては、さきに述べましたような参入時期が遅かったとか、あるいは産油国との歴史的なつながりが薄かったといった事情から、直ちにメジャーに伍するような企業あるいは企業グループを形成することは困難と考えられますけれども、しかし、経済性を重視しつつ、自律的に石油開発事業の維持、拡大を行うことのできる規模を有する中核的な企業グループの形成は、安定的供給を確保するという面から重要であると考えております。

 このため、経済産業省といたしましては、今後、本法案の中で提案しております既発見油田の資産買収への石油公団の出資による支援や、あるいは石油公団が保有する石油開発会社の株式売却等によりまして、このような中核的企業グループの形成に努めてまいりたい、このように考えております。

肥田委員 今、和製メジャーが実現しなかった原因として、参入時期が遅かった、それから、産油国と歴史的な関係がなかったというお答えがございましたけれども、資本力が、過多そして過小な企業群に分散してしまったということもあるんじゃないですか。

中山副大臣 御指摘のように、先ほど言いました参入時期の問題あるいは歴史的な問題もございますが、投資規模が小さかった、あるいは分散していたというようなこともあったかと思っているところでございます。

肥田委員 投資規模が分散したということなんですけれども、じゃ、どうして分散したのかと私は思うわけですね。要するに、機会均等主義で機械的に分けていかれたのか、それとも戦略的に、ここに大きくつぎ込めば大きく伸びるだろうという戦略があったのかどうか。どっちなんでしょう。

平沼国務大臣 それは、それぞれの企業の体質というものがありまして、また、日本的なそういう一つの基盤の中でやはり集中的にできなかった、こういうことが私はあったと思います。

 そういう意味では、確かに、分散をして、そして集中的に大きなことが展開できずに、その結果、和製メジャーが育たなかった、こういうことが私は言えると思います。

肥田委員 大臣、さらに、上流部門と下流部門が分割されてしまったということもありますね。欧米の企業なんかは、上流と下流が一緒になって一つの企業をつくり出してきている。しかし、日本の場合は、上流の方はどうしても小企業が賄って、そして下流の方は割合に大企業が賄ってという分割が起こってしまったんじゃないかというふうにも思うんですけれども、大臣、いかがですか。

平沼国務大臣 実は、私の父親が大協石油というところでずっとサラリーマンをしていました。

 日本の石油業界というのは、戦前の一つの体制を引きずってきた、そういう背景があります。そういう中で、群小の石油会社、それがある程度集積をして、それなりの規模の石油会社になった。そういう中で、それぞれまとまったところを守っていこう、そういう基本的な姿があった。

 したがいまして、今、上流が非常に弱小であったということは、戦前からのそういう一つの経緯が、私は、父がそこに勤めていたということを見ていて、そういうふうに思わせていただいています。

 そして、戦後、石油というものが、エネルギーの中で主流を占めるに当たって、また、自動車中心のいわゆるモータリゼーション、こういう中で、そこに大きなところが着目をして、そして、下流にはそういうところが非常に大きな地歩を築いた。

 ですから、御指摘のような経緯があったのではないか、私はこのように思っています。

肥田委員 それで、今大臣、お答えくださいましたけれども、要するに、上流部門については、リスクが多くてもうけが必ずしもないという考え方がありますよね。下流になってくれば、精製部門である程度の利益は獲得できる。要するに、そういう何か、上流は危険があるぞという先入観というか考え方がもう固定しているんですか。

松田副大臣 先生御案内のように、日本の場合は、おっしゃるように、上流部門、特に開発部門というのがまことに小規模な石油開発会社である、これを何とかしなきゃいけない、まさにそういう課題を抱えていることはそのとおりでございます。

 先ほど中山副大臣からも御答弁がありましたけれども、いろいろおくれて出たというような事情も手伝いまして、産油国側からの要請で、プロジェクトごとに外国企業とコンソーシアムを、組まされると言うといけませんが、大きく育つというよりも、それぞれの地域のプロジェクトごとに外国の企業と組んでやらざるを得なかったとか、あるいはまたプロジェクトのリスクをできるだけ小さくしたい、そもそも自分の力が弱いものですから。

 そうすると、大きなところでどこかがやるというよりも、そのプロジェクトごとに対応して、万が一うまくいかなかった場合、こういうお仕事ですから、探鉱という仕事ですから、必ずしも成功する保証というのは高くないわけでございます。そうすると、小さくやっておいて、万が一失敗したときはそこだけで済ませよう、こういう力が当然働くわけでございます。そんなような事情も、日本の場合には、いわゆる上流部門という大きな開発部門を持つことができなかった背景にもなっておるわけでございます。

 しかし、先生おっしゃるように、こんなことを続けておっては、まさに安定的な石油のもとを確保するということはできません。そういう意味で、今回のこの改正法もお願いしているわけでございますが、中核的な企業グループというものをぜひつくって大きくしていきたい、そこが開発も担当していく、上流部門を担当していくというふうな体制にぜひ持っていきたい。そういうことで、今回の改正もそういう考え方の中で生まれてきておるわけでございます。

肥田委員 ぜひ過去の反省も含めて、しっかりとしたメジャーをつくっていただきたいと思っております。

 日本は、石油の輸入とか消費はともに世界のトップクラスにあります。メジャーが生まれなかった要因の中に、石油業法による厳しい規制があったからじゃないか、そういう考え方もあるわけですね。外資から日本の市場を守るという産業政策が、石油政策の面では、生産から輸入、精製、流通、果ては在庫管理に至るまで政府が介入して、そういう結果を生んでしまったわけでございますけれども、そのことによって石油産業の活力がそがれました。

 石油産業の国際協力も高まらなかった、国際市場に影響力を持つ企業もあらわれなかった、こういう今日の状況が生まれているわけでございますけれども、これまでの保護と規制という石油政策の功罪についてどのように考えておられるか、お答えください。

松田副大臣 これまでの石油政策の功罪という御質問であったかと思いますが、石油業法につきましては、御案内と存じますが、貿易自由化あるいは外貨割り当て制の廃止に際しまして、脆弱でありました石油産業に重大な悪影響が及び、石油製品の安定的な供給に支障が生じてはいけないということで、昭和三十七年に石油業法を制定したわけでございます。

 自来、石油業法に基づきまして精製業の許可制等、需給調整規制を実施してまいったわけでございます。これによって我が国に精製能力のある石油会社を育成することができたということは言えると思います。同時に、しかし、石油産業における競争がある程度抑制された、これも否定のしようのない事実であろうかとも思います。

 今般、本法案におきまして、これまで累次にわたって行ってまいりました、先ほど先生おっしゃったとおりでございますが、規制緩和、自由化の総仕上げといたしまして、石油業法を廃止することといたしたわけでございます。これを契機として、一層の構造改革に向けて、石油企業の本当の意味の創意工夫あるいは企業自身の迅速な意思決定というものを促して、国際的な競争の中で石油の安定供給を担う強靱な力強い石油産業というものを形成していきたい、そういう大きな期待のもとに今回の改正となったわけであります。

 そういった意味では、改正後の新たな体制の中で、各産業界、関係者、我々経済産業省もそうでございますが、ぜひ力のある石油産業に育っていっていただきたい、こういう大きな期待をして本改正をお願いしているわけであります。

肥田委員 今回の法改正では、石油公団の業務に、石油の採取、それから天然ガスの採取に必要な資金を供給するという業務を加えるとしております。

 石油公団のもとにおける石油開発企業は、平成十二年十二月末現在、生産中、探鉱中、解散準備中含めて百八社あると聞いております。今回の石油公団法改正が成立すれば、また新しい企業の設立も想定されるわけでございますけれども、今でさえ石油公団の開発企業は乱立状態にございます。

 投融資の選定に当たっては、たくさんの自主開発をという量的なものよりも、質的な側面を重視して投融資すべきだと思っておりますが、出資や融資を行う際の基準はどういうふうになっておりますか。

中山副大臣 石油公団が出融資案件の採択を審査する際には、資源の賦存状況、経済性等について総合的に審査を行っております。

 具体的には、油ガス田が成立するための地質の状況を評価した上での石油・ガス鉱床存在の確率、事業が成功した場合の収益率、事業の成功、不成功の確率及びそれぞれの場合の収益、損失を勘案した期待現在価値等を算出するということで、プロジェクト評価の定量化を図っているところでございます。

 なお、経済性の審査につきましては、平成十一年七月に、プロジェクトの担当部から独立して経済性を専門に評価します経済評価部を設置し、審査体制の充実を図っておるところでございます。

肥田委員 今おっしゃっていただきましたのは、まとめますと、たくさんの自主開発をというよりも、むしろ量的なものよりも質的な側面を重視していく、先ほども申し上げたんですが、要するに今までのように機会均等ではなく、やはり戦略的選択をしていくというふうに伺ってよろしいんですか。

中山副大臣 そのとおりでございます。

肥田委員 国際舞台で、先ほど一番最初のお答えの中に、参入時期が遅かった、それから歴史的な関係がなかったということもおっしゃっていただいたんですが、もう一つ、交渉力、要するにバーゲニングパワーが日本になかったんじゃないか。

 それは、後からももちろんお尋ねしたいと思うんですが、先ほどもお答えいただきましたように、要するに、事業規模が小さいものばかりがあるものだから、国際的には一つの企業と相手国と交渉するわけですね。ですから、一つの企業がもしも国際的に、欧米の事業規模の三十分の一だったりしたら、結局はその交渉力も三十分の一ということになりますので、今お答えいただきました出資、融資の基準につきましては、ぜひその辺のこともお考えいただきたいと思っております。

 次に、石油公団は通産大臣経験者から通産省の恥部というふうに指摘されておりました。大変不評です。今回の石油公団法改正につきましても、公団の延命策ではないかといううがった見方まであるわけですね。また、石油業法時代の終えんとともに石油公団の歴史的役割も終わったのではないか、そういう声も聞こえております。

 石油公団の存在理由はどこにあるとお考えか、そして、国民に信頼されるための公団改革のビジョンについて、見解を大臣から伺っておきたいと思います。

平沼国務大臣 石油公団は、石油の安定供給確保のために、大きく分けて二つの事業を実施いたしております。

 まず、国家備蓄をみずから管理するとともに、民間備蓄に対する支援を行っております。また、自主開発については投融資、債務保証等を通じた支援を行っておりまして、この両方とも、我が国の石油安定供給にとっては重要な事業と考えているところであります。

 かかる観点から、石油の安定供給のためには多様な調達手段を備えつつ、石油供給途絶等に備えた緊急時対応が必要でございまして、石油公団の自主開発、備蓄事業についても、その安定供給上の意義を踏まえつつ、より効率的、そして効果的な実施に引き続き努める必要がある、このように思っております。

 ただし、昨年十二月一日に閣議決定された行政改革大綱において、すべての特殊法人等の事業、組織全般を抜本的に見直す、こういうことにいたしております。

 石油公団については、既に、プロジェクト審査、管理の充実、会計処理基準の改善、予算の効率化そして重点化、徹底した情報開示等を着実に実施しているところでございまして、経済産業省といたしましても、今後とも、石油公団が一層効果的、効率的な事業運営を行うように指導するほか、行革大綱を踏まえまして、今後の組織形態のあり方について検討を進めてまいり、一部に御批判があるようでございますけれども、その御批判を払拭するような取り組みで臨んでまいりたい、このように思っております。

肥田委員 一度失った信用はなかなか取り戻せないということもございますので、ぜひもう大車輪で国民に信頼される公団づくりに尽力してほしいものでございます。

 資源エネルギー庁は、石油公団の二〇三〇年までの最終損益見通しを、四千九百六十億円の損失から五千六百五十億円の利益と発表しております。損益見通しは原油価格や為替レートの変動で大きく変わってくると思います。前提となる油価それから為替レートはどのように想定しておられるのか、また公団が抱える不良債権の処理はどう進めるおつもりなのか、お尋ねします。

中山副大臣 石油公団の平成十一年度決算にあわせて発表されました長期損益見通しでは、御指摘のとおり、四千九百六十億円の損失から五千六百五十億円の利益までが見込まれているところでございます。

 この試算の前提となる原油価格及び為替レートの設定についてでございますが、これらの数値は御承知のように変動が激しいということで、幅を持った見方をすべきではないかということから、過去十年間の実績値の十二カ月ごとの移動平均により、上限、下限値を設定しております。

 その結果、具体的には、原油価格につきましては、一九九〇年八月以降十二カ月の移動平均値である二十・七八ドルを最高値とする一方、一九九八年三月以降十二カ月の移動平均値であります十一・七五ドルを最低値としております。

 為替につきましても、同様に、一九九〇年四月以降十二カ月の移動平均値百四十一・三〇円を円の最安値とする一方、一九九四年四月以降十二カ月の移動平均値九十三・二六円を円の最高値としております。

 石油公団の損失につきましては、合理的かつ客観的に見積もることができる長期の一定期間において損失発生が見込まれる額を既に損失引当金として計上しておりまして、その結果として、平成十一年度末現在では約三千五百億円の欠損金を計上しておりますが、今後、石油公団が保有する株式の売却を進めつつ、一層効率的、効果的な事業運営に努めることによりまして欠損金を縮小させていきたい、このように考えているところでございます。

肥田委員 この際、私は、今後のエネルギー政策についてお尋ねしておきたいと思います。

 石油公団改正法でも、天然ガスの採取に必要な資金の供給が提案されておりますが、私は、今は石油がエネルギーの中心になっていても、いつまでも石油の世紀が続くわけじゃないと思います。石油エネルギーは無限ではありません。試算によれば、あと百年で枯渇するというような計算も出ておりますけれども、この有限なエネルギーを、国民の間に地球環境の視点から石油にかわる新エネルギーへの期待が高まっているわけです。

 二十一世紀から二十二世紀という長い見通しに立てば、今確かにエネルギー全体のわずか数%にすぎない太陽光そして風力、地熱などの新エネルギーの開発も、本当に真剣に論議しなきゃいけないときだと思うのですけれども、政府の中ではどこまで議論が進んでおりますでしょうか。

中山副大臣 太陽光発電あるいは風力発電などの新エネルギーは、エネルギー安定供給の確保、地球環境問題への対応を図る観点から、その開発導入を積極的に推進することが重要であります。

 現在、政府内では、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会の場におきまして、その支援のあり方について御議論をいただいているところでございます。

 新エネルギーにつきましては、現時点では、既存のエネルギーと比べてコストが高いことや、特に太陽光、風力などの自然エネルギーは、気象条件に左右されるため出力が不安定であるといった課題がございます。

 新エネルギーの導入実績は、一九九九年度の速報値で一次エネルギー供給の約一%でございますが、現行の長期エネルギー需給見通しにおきましては、二〇一〇年度に約三倍の約三%とする高い導入目標を掲げているところでございます。このため、これまでにも、政府としては、低コスト化、高性能化のための技術開発や新エネルギー設備の設置に対する補助を通じた導入促進に取り組んでおります。

 今後の新エネルギーの政策のあり方につきましては、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会の場を通じまして、新たな導入目標を含め、さまざまな論点について検討を進めているところでございまして、このような観点を踏まえまして、新エネルギーの一層の導入促進を図るため、積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

肥田委員 今、その導入に向けて一生懸命やってくださっているというふうにお答えはちょうだいしました。ただ、先ほどもおっしゃいましたように、太陽光、それからいろいろなことに対して、まだちょっと否定的なお考えも見えるやに思えます。

 大臣、どうなんですか。新エネルギーを本当に持ってこようという思いが省庁の中にあるのでしょうか。それとも、まだまだちょっと否定的なんだよ、クエスチョンマークが五個か十個かついているんだぞということなんでしょうか。どっちなんでしょうか。

平沼国務大臣 今、中山副大臣から、現時点では一%、これを二〇一〇年には三%にしていきたい、こういうことでありました。

 確かに、今の風力にいたしまても太陽光発電にいたしましても、気候に左右されるとかまだコストが高い、こういう制約条件があります。しかし、欧米の例を見ますと、例えばドイツなどでは既に風力で五百万キロワットを超えるという実績も出てきておりまして、我が国としても、安全保障をエネルギー上確保する意味からも、やはりそういったところには力を入れていかなければならない課題だと思っておりますし、経済産業省それから資源エネルギー庁も、大変重要である、こういう同じような問題認識を持っておりまして、これから一生懸命コストの削減でございますとか新技術の開発といったことに努力をしていきたい、このように思っています。

肥田委員 それに加えて、買い取りの義務なんかもやはりきちっと押さえていく、そういう政策にも立ち入っていただきたいと思っております。

 最後の質問であります。

 既に百年間、私たちは化石燃料を使ってまいりました。残っている化石燃料はあと百年分だというふうに言われておるわけですが、現世代あるいは子の世代、孫の世代だけで貴重な再生不可能な化石燃料を使い切ってしまう、これは許されないわけでございます。国は、エネルギー政策の全体像をやはり国民に示さなきゃいけないと思うのですね。

 さらに、私は思うのですが、子供たちにわかるように示していかなければならないと思うのです。子供たちが自分たちの頭で考えて、エネルギー政策について本当に理解をしたならば、私はライフスタイルも変わってくると思うのですね。ですから、そのあたりをぜひPRしていただきたいと思うのです。

 それで、先日、産業技術と子供たちということで大臣からお答えをちょうだいいたしましたけれども、今度は、それこそエネルギー政策についても子供たちとしっかりと対話を続けていく、対話を始めていく、そういうことをしていただきたいと思うのですけれども、いかがでございますか。

平沼国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 そういう意味で、やはりエネルギーをいかに有効に使うか、そしてまた、こういう地球環境が二十一世紀の最大の課題になっているときに、エネルギーに対して若い小さな世代が問題意識を持つということは、これははかり知れない効果を持つものだと私は思っています。

 そういうことで、経済産業省といたしましても、今御指摘の点を踏まえまして、文部科学省等とも連携をとりながら、そういう啓蒙、PRといったことに努めていかなければならない、このように思っています。

肥田委員 ありがとうございます。終わります。

山本委員長 土田龍司君。

土田委員 自由党の土田でございます。

 似たような質問になってしまうのですが、党として、基本的なことからまずお伺いをしてまいりたいと思います。

 我が国の石油産業は、長年にわたって石油業法に基づいた各種規制によって縛られてきたというふうに思うのですが、昭和六十年代以降の日米貿易不均衡問題や国の行財政改革の動きなどを背景に逐次規制緩和が行われるようになり、特に平成八年三月の特定石油製品輸入暫定措置法の廃止によるガソリン、灯油等の石油製品の輸入自由化によってこうした流れは決定的なものになってきたと思います。

 今回の法改正は、一連の石油産業に対する規制緩和のいわば総仕上げのように思われるわけですが、今回の法改正の歴史的な位置づけと、今後の石油政策の基本方針について、まず政府の見解をお尋ねします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 これまで、我が国の経済社会活動の基盤である石油の安定供給を確保するため、石油業法に基づく精製業の許可制、需給調整規制を実施してまいりました。

 こうした規制については、段階的に緩和をしてきております。昭和六十年以降実施をしてきておりまして、本法案においては、安定供給を担う我が国石油産業の一層の効率化を促して、強靱な石油産業の形成を図るため、これまで累次にわたって行ってまいりました規制緩和、自由化の総仕上げとして、石油業法を廃止することにいたしたわけであります。

 これとあわせまして、石油の安定供給の確保のため、石油備蓄法を改正いたしまして、緊急時に対応するための制度を強化するとともに、自主開発政策を促進いたすために、既発見油田等の資産買収案件に石油公団が出資による支援ができるように、石油公団法を改正することにいたしているわけであります。

 政府といたしましては、今後とも石油の備蓄の保有、産油国との関係強化、自主開発原油の確保等を推進するとともに、石油産業の構造改革や環境問題の取り組みへの支援を通じ、石油の安定的かつ効率的な供給の確保に努めてまいりたい、このように思っています。

 これは長い歴史の中で、先ほど来議論がありましたように、規制というお声もありましたけれども、しかし、この業界が安定的に発展するための一定の役割を果たしたと私は思っております。しかし、グローバライゼーションの中で、世界のそういう自由化の中で、我が国もそれに対応し、そして新たな二十一世紀に向かって体制を整える、こういうことで今回石油業法を廃止いたしまして新たな体制で臨む、このようにさせていただいたわけであります。

土田委員 今回の法改正によって石油業法を廃止して、規制緩和の推進と市場原理の導入を行うというわけでございますが、その一方で、石油の安定的な確保のために備蓄の重要性を強調することによって、石油備蓄法において一部規制を強化しているわけでございます。これは見方によっては、石油業法時代の規制の一部を残すことのように見えます。

 今回の法改正では、石油精製業者は許可制から届け出制に規制緩和され、石油販売業者は従来どおり届け出制が続くことになりますが、石油輸入業者については届け出制から登録制へと規制が強化されているように感じるわけです。

 政府において規制緩和を推進していこうという方針を今聞いたわけでございますが、今改正で新たな登録制度を導入し、輸入業者だけ規制を強化するのはどういう理由か。あるいはまた、石油輸入業者が備蓄タンクを利用する権限を有していない場合には登録を拒否することも可能なわけでございますが、精製・販売業者についてはタンク能力の義務づけが行われていない、これはなぜでしょうか。二つについてお答えください。

松田副大臣 御案内のように、平成八年に石油製品の輸入が自由化されまして以降、石油製品の輸入量が増加する中で、残念なことでございますが、石油の備蓄義務を履行しない石油輸入業者が増加しております。

 これは石油精製業や石油販売業と異なりまして、石油の輸入という行為自体は、何ら生産設備や貯蔵設備、いわゆるタンクなどの実体を有することなく行うことができるわけでございます。そういったことから、備蓄義務を履行することなく容易に石油輸入業を廃業できることによるものであるわけであります。

 こういったことから、石油輸入業者における備蓄義務履行を担保するための必要最小限の規制ということで、石油輸入業者が石油の備蓄義務を履行する能力があることを事前に確認できる登録制というものを導入させていただこうというものでございます。

 このように、今般の登録制の導入は、先生おっしゃるように、従来に比べれば石油輸入業に対する規制の強化とはなるわけでありますが、現に生じている備蓄義務不履行という問題に対処するためのものでございまして、市場への参入や競争の制限そのものを目的としたものではございませんので、必要なことを実現するための必要最小限の措置として、私どもこうさせていただいたわけでございます。

土田委員 石油業法のこれまでの運用の歴史を見ておりますと、新備蓄法における登録制度においても、法運用においても、届け出に対する不受理や判断保留等、行政による恣意的な運用が行われることで引き続き参入規制行政が行われることも懸念されるわけです。

 現在は行政手続法等の制度が整えられておりますけれども、届け出制や登録制が石油業法時代のような参入規制のための道具として使われないということが言えるでしょうか。もしそうであれば、政府の新法の運用方針をあらかじめ明確にするべきだと思うのですが、どうでしょうか。

松田副大臣 今お話ししております改正法案では、石油の備蓄義務の履行を担保するために必要最小限の規制として、石油輸入業者が石油の備蓄義務を履行する能力があることを登録制により、ただいま答弁させていただきましたように、事前に確認させていただく。具体的には、これは備蓄義務を履行できるだけの貯蔵設備を確保していることが要件であり、かかる要件は外形的かつ客観的で、行政の恣意や裁量の入る余地はないものと思われます。

 また、タンクは必ずしもみずから所有する必要はなく、賃借等の契約に基づいて使用できればよいこととしておりまして、備蓄義務を履行する意思のある者であれば当然かつまた容易に手当て可能な措置でございます。

 一方、石油精製業者等の届け出制につきましては、緊急時に備えまして、平時からその所在等、必要な情報を把握しておくためのものでございます。

 このように、今回の改正法の登録制あるいは届け出制は明らかに参入規制といったことを意図したものではございませんで、またそのような運用をいたすなどという考えは毛頭ございません。

土田委員 エネルギー安定供給の確保は重要課題ではありますけれども、輸入業の登録制度や精製業者の届け出制による非常時対応という制度への移行という今回の改正に当たりまして、エネルギー分野において最近大きな流れとなってきているエネルギーの自由化問題、これについて、石油に関連するだけで結構ですが、政府の見解をお願いします。

松田副大臣 石油は御案内のとおり、我が国一次エネルギーの供給の過半、十一年度でも五二%を占めておりまして、その経済性、利便性から、今後とも日本にとりまして主要なエネルギーであることは当然のことでございまして、その安定供給の確保は引き続き極めて重要な課題でございます。

 このため、我が国といたしましては、省エネルギーの推進、先ほど来から御議論のあります新エネルギーの開発や導入あるいは原子力、天然ガスの推進といったことにより、石油依存度の低減に取り組んでまいります。同時にまた、約百六十日分の石油備蓄の保有、産油国との関係強化、自主開発原油の確保等、多様な安定供給策を推進しております。

 また一方、今お話しのように、市場原理を活用することによりまして、我が国石油産業の一層の効率化を促すことは、我が国のエネルギーコストの低減に資するのみならず、強靱な石油産業を育成していきたいということにもつながるわけでございまして、安定供給上の意義もまたあると考えられるわけでございます。

 そういう意味で、今後、特に石油の安定的な供給の確保と市場原理を活用した効率性の追求の両立を目指して、しっかりとした行政を担当させていただきたい、こう思っております。

土田委員 石油公団が実施している国家石油備蓄は昭和五十三年度から開始され、平成九年度末には当面の目標であった五千万キロリットル体制を達成いたしましたが、これまでに国家備蓄に総額でどれだけの国費を投入してきたのでしょうか。また、国家備蓄の維持管理に要する費用は、現在、一年間どの程度となっておりますか。

松田副大臣 国家石油備蓄事業につきましては、昭和五十三年度から平成十一年度決算まで、決算ベースで総額約四兆五千億円の予算を投入させていただきました。

 また、国家石油備蓄事業における直接の維持管理費用につきましては、平成十三年度予算におきまして合計約二千百五十八億円となっております。直接の維持管理費用の内訳を申し上げますと、国家石油備蓄基地における維持管理費用約千四百七億円、国家備蓄原油の一部を民間タンクを借り上げて蔵置するための費用約三百八十億円、国家備蓄原油購入資金に係る利払い金約三百七十一億円となっております。

土田委員 国家備蓄の運営の現状を見ておりますと、石油備蓄株式会社は八社あるわけですが、ほぼ各石油備蓄基地ごとに設けられて、その建設から運営までを一貫して請け負っているわけです。この石油備蓄会社の財務状況を教えていただきたいと思います。それから、これらの運営、経営状況はどのように開示されているのか、これまた御説明願いたいと思います。

 さらに、このような備蓄会社をほぼ基地ごとに設立した考え方、さらに、石油備蓄会社が、本社をすべて備蓄基地の現地でなくて東京の一等地に置いておる、この辺のことも含めてお尋ねいたします。

松田副大臣 国家備蓄会社は、先生御案内のように通常の株式会社でございます。当然のことながら、適正な原価をもとに算定された基地利用料収入により運営されており、また、営利も目的としていないため、収支はバランスしております。

 なお、各社の事業、設備の状況、財務諸表等経理の状況につきましては、当然のことながら通常の株式会社同様、有価証券報告書により一般に開示されております。

 国家備蓄会社が基地ごとに設立されている点については、基地を建設するに当たりまして、立地地点ごとに、地元との関係を含め、当該地域で事業の経験のある民間企業の出資や人的、技術的支援のもと建設、運営を行うことが適切との判断のもとに、各基地ごとに国家備蓄会社を設立したものであります。

 国家備蓄会社は、建設段階におきましては、資金調達等についての石油公団、中核民間企業、あるいは建設・設計企業等との調整業務を円滑に実施する必要から、東京に本社を置いていたところでございます。しかしながら、今後は、地元官庁、経済界、地元住民等との調整、連携による基地の安全かつ効率的な運営及び緊急時の円滑な払い出しに業務の中心が移るわけでございますので、複数の基地を有する日本地下石油備蓄を除く七社につきましては、平成十四年度末までに地方移転を実施する予定といたしております。

土田委員 現在のような我が国の厳しい財政状況下にあって、たとえセキュリティーに関する政策であっても、その維持管理経費等については最大限の効率性、経済性の追求が必要であるわけです。その費用対効果は厳しく問われなければならないと考えておりますが、国家備蓄の費用対効果に関してこれまでどのような分析を行い、あるいは具体的にどのような費用削減等に努めているのか、お答え願いたいと思います。

 それからまた、もう一つ、石油備蓄会社は効率的に運営されていると主張されているわけですが、その根拠をお示しいただきたいと思います。

松田副大臣 備蓄事業の効率性の御質問であったわけでございますが、中東情勢やアジア地域の石油需要の増大等、石油をめぐる情勢が依然として不安定であることを踏まえますと、今後とも、我が国のエネルギーセキュリティーの確保を図る上で、国家備蓄は引き続き重要な位置を占めるものとまず考えております。

 国家備蓄事業を実施するに当たりまして多額の費用を要しているのは事実でありますが、IEA加盟国の一員として九十日備蓄義務を履行するためには、民間備蓄のみならず、国家備蓄事業を実施することが必要であります。また、九〇年の湾岸危機や最近の原油価格高騰の局面におきまして我が国で大きな混乱が生じなかったことにつきましても、私どもとしては、備蓄による効果が大きかったのではないかと考えております。

 経済産業省といたしましては、できる限り効率的に国家備蓄事業を進めていくことは当然のことであります。そういう認識のもとで、これまでもコスト削減に鋭意取り組ませてきていただいてきたところだと申し上げていいと思います。

 具体的には、民間余剰タンクの有効活用、国家備蓄会社の効率化、規制緩和の実現による国家備蓄基地施設の検査費用の軽減、調達金利低減努力等によるコスト削減を図らせていただいてきたところであります。

 その結果、近年におきましては、国家備蓄基地建設の終了に伴う減価償却、借入金償還の進展等もあり、平成八年度予算三千四百十四億円をピークにいたしまして、平成十三年度予算では二千七百三十億円へと国家備蓄予算の減少、その効率化を達成してきたところでございます。

 言うまでもございませんが、今後とも、国家備蓄事業のコスト削減にさらに一層鋭意取り組んでまいりたいと思います。

土田委員 今後さらに五百万キロリットル程度の国家備蓄の積み増しが検討されているという答弁が先ほどからございましたけれども、今後とも五千万キロリットル体制を維持し続けること、また、新たに五百万キロリットル積み増すことが本当に適切なのかどうか、十分な検討を行う必要があると考えているわけです。これまで具体的にどのような検討がなされてきたのか、お答えください。

松田副大臣 五百万キロリットルの積み増しの件についての御質問でございますが、国際石油市場の発達とともに、近年、御案内のとおり、石油の供給途絶といった緊急時の初期段階において、市場の安定化を目的といたしまして、IEA、国際エネルギー機関加盟国が協調して備蓄を放出することの重要性が高まってきております。

 こういった国際協調のための備蓄量をIEA加盟主要国と比較いたしますと、我が国の備蓄水準は、その平均を約五日分程度、つまり五百万キロリットル程度に相応するわけでございますが、下回っている状況にございます。

 他方、言うまでもありませんが、日本の国は世界第二位の石油消費国でありますが、欧米諸国と比較して石油依存度、あるいは特に中東依存度が高いわけでございます。石油供給構造もそういう意味で脆弱でありまして、IEA加盟国の協調行動により受けるメリットはまことに大きいものが我が国にはあると存じます。

 こういったことを思いますと、平成十一年八月の石油審議会石油部会報告におきまして、今申したような状況を考えまして、五百万キロリットル積み増すことを当面の目標とすべきとの御提言をいただいたわけでございます。平成十三年度において、国家備蓄百万キロリットルの積み増しをその御提言を受けて行うこととしたところでございます。

土田委員 ちょっと最後に大臣にお伺いしたいんですが、いわゆる天下りの問題です。

 石油備蓄会社への天下りの実態を聞きたいと思うんですが、監督官庁から国の出資先への天下りに対して、非常に国民からは厳しい目が、批判の目が向けられております。今回もまたどうもそういう雰囲気があるんじゃなかろうかという国民の疑いがあるわけでございます。まず、この天下りに対する実績といいますか、どういった人たちがどのくらい天下っておられるのか、政府の見解について、あるいは今後の方針についてお尋ねします。

平沼国務大臣 お尋ねの国家備蓄会社における当省出身者は、平成十三年の四月現在で、役員総数五十九名のうち十名となっております。国家備蓄会社におきましては、巨大な施設や大量の原油を火災、油濁防止に細心の注意を払いつつ、各種法令を遵守して維持管理をする業務に加えまして、地域社会や関係機関との連絡調整という重要な業務があることから、このような業務内容に応じまして、個人としての経験でございますとか能力等に基づいて適材適所で人材が配置された、このように認識しております。

 今御指摘の、今のこの風潮からいいまして、役所からの天下りというのが国民の皆様方に批判を浴びている、そういうことは大きく受けとめなければならないと思っておりますけれども、国家公務員の再就職を含めた退職管理のあり方につきましては、公務員のライフサイクル全般にわたる問題として公務員制度の全般の見直しの中で検討していくべきもの、このように考えておりまして、国民の世論というものを私たちは尊重しつつ、そして、今申し上げた公務員のライフサイクル全体の中でやはりこれから厳しくやっていかなければならない問題だ、このように思っております。

土田委員 この天下りの件はきのうきょうの話じゃないわけですね。昔からといいましょうか、何十年も前から非常に批判が多い。今大臣がお答えになりましたように、公務員のライフサイクルの中から全体的な見直しをしなきゃならないということになると、ちょっと時間がかかり過ぎるような気がするんです。昔から言われているんですから。この備蓄会社への天下りがまだ通常行われていて、これからも行われるということについてはどうでしょうか。

平沼国務大臣 今御報告いたしましたように、実数としては十名、そういうことになっております。そして、これから、行政改革、そして公務員、そういった問題に関して非常に政府も挙げて取り組む、こういうことになっております。

 確かに、公務員のライフサイクルの面からいいますと、多少時間がかかる問題だと思いますけれども、しかし、公務員が今までそういう流れの中できて、そしてやはり公務員自体のやめた後の生活ということも考えますと、やはり迅速にやらなければなりませんけれども、公務員全体の処遇の面から、ライフサイクルの観点から、迅速にやるということを旨として私どもは検討しなければならない、このように思っています。

土田委員 余り進展しない話でございますし、非常に天下りの問題が言われて久しいわけでございますけれども、ある程度のところで結論を出すような方向に行ってほしいと思います。

 以上で、時間が来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十九分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 石油業界のさらなる自由化の中で、今後さまざまなことが予想されるわけでありますけれども、私は、きょう、とりわけ地域での石油製品の安定的な供給にこれまで重要な役割を果たしてまいりましたガソリンスタンド、SSの問題について質問をしたいと思います。

 まず最初に、エネルギー政策上、いわゆるガソリンスタンド、SSは、今申し上げたように、歴史的にも、またこういう石油製品の安定的な供給という点でも極めて重要な役割を果たしたと思いますけれども、このSS、ガソリンスタンドの位置づけについて、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 大森先生にお答えをさせていただきます。

 石油製品販売業は、ガソリン、軽油、灯油等の石油製品を消費者に対して直接供給する立場にありまして、消費者のニーズを的確に把握しつつ、できるだけ効率的に石油製品を供給することが求められている一方、緊急時においても消費者に対して石油製品を安定的に供給する、こういうことが期待されております。

 このような意味で、石油製品販売業は、我が国における石油製品の効率的かつ安定的な供給を確保する上で重要な役割を担っていただいている産業だ、このように認識しております。

大森委員 今大臣からお話がありましたけれども、私も、ガソリンスタンドがなければ地域社会がうまくやっていけないというほど、本当に重要な役割を果たしていると思うわけであります。特に、最近は高齢化社会などの中で、灯油などを配達するという面でのガソリンスタンドの役割、利便性の確保というような点でも大いに貢献をしているのではないかと思います。

 しかし、最近のこのSS、ガソリンスタンドは、これは政府の統計でも九六・八%が中小企業と、極めて中小企業性が高い。しかも、その経営がかなり厳しい状況に今直面をしております、廃業が相次いでいる。午前中にもお話がありましたけれども、とにかく五年間で五千軒閉鎖をするという状況で、これはもちろんこの間のセルフサービスのSSなどの新規開業も加えたものでありますから、実際に廃業者の数というのはそれをさらに上回る状況にあると思うのです。

 なぜこのように減少しているのか。この原因は一体どこにあるのか。さらには、こういう状況をどのようにごらんになっているのか。あわせて大臣の見解をお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、今石油販売業者というのは大変厳しい局面に立ち至っているということは御指摘のとおりだと思っております。

 平成八年の特石法廃止による輸入自由化等に伴うガソリンの大幅の低下がございました。例えばレギュラーガソリンで比較をしてみますと、平成六年に百二十二円ぐらいであったものが現在は百四円になっている。こういうことで大変厳しい環境にあるということが言えると思います。また、そういう背景から、全国のガソリンスタンドの数も、平成六年時には六万軒を数えるピークにございましたけれども、平成十一年は、今御指摘のように五千軒減って五万五千軒になっている。こういうことで推移しているなど、石油製品販売業は厳しい経営状況にある、そのように認識をいたしております。

 他方、厳しい経営環境の中においても、販売業の経営効率化が顕著となりまして、事業者によってはカーケアビジネスへの事業多角化等を通じて、経営の安定化、収益の向上を図っている事例も見られますけれども、やはり総体的には厳しい。

 そういう中で、政府といたしましては、いろいろな面でその支援をしていかなければならない、このように認識しております。

大森委員 なぜ減っているのかという点での解明という点で、とりわけ今効率一辺倒、とにかく数を減らせばいいのではないかというような姿勢あるいは政策があるのではないか。これまでにも石油業界では業界再編による効率化、いわゆる三つの過剰、精製能力、SS、人員とこの三つの過剰を整理するということで、人員の削減やら製油所の統廃合がこの間進められてまいりました。こういう面をしっかり見る必要があるのではないかと思います。

 この点で、これは全国石油商業組合連合会会長の関正夫さんが「エネルギーフォーラム」という雑誌の中で端的に喝破しておられるわけなのですが、元売は自分で系列の枠を強くすることによって収益を吸い上げておいて、石油製品がもうからないから他のものを販売して暮らしを立てなさいと言う、そんな理屈はないですよ、こういう形で指摘をされておりますけれども、確かにそういう側面があるのではないかと思います。

 今、とりわけ小規模のSSが大変厳しい状況に置かれている。経営改善等々もあるわけなんですが、これを支援するためにどういうことができるのか、どういうことをしていきたいのか。午前中、これは大臣から答弁がありました。大きく言って、公正な競争の環境の確保、油外収入の拡大への指導、そして閉鎖についての補助ということなわけなんです。例えば今年度の予算で見ますと、このSS支援の予算、総額で二百十億円ぐらい。その中でSS閉鎖の応援が約七割を占める、百四十億円。

 私も、この間SSの経営者何人かの方からお話を聞きました。息子にできればこの仕事をやらせたいと思っているわけなんですが、閉鎖への支援が予算の七割を占めるという状況では、孫に継がせようというような展望を持てる対策にならないのではないかと思います。

 そこで、そういう展望の持てる支援策、具体的な策を本当に行う必要があると思うのですけれども、この点いかがでしょうか。

河野政府参考人 先ほど大臣からも御説明させていただきましたように、確かに総額で平成十三年度、二百十億円の予算を用意させていただいているわけでございます。この中には、先生御指摘のように、百四十億円のスタンドの施設の撤去に対する支援がございます。

 ただ、これも、撤去いたしますことによって幾つかあったスタンドのうちの一つを整理する、それによって全体として、その企業、数カ所の石油スタンドを経営しているのであれば企業体質が強化されるというようなことも念頭に置いての措置でございます。これ以外に、構造改善をやっていただくための利子補給事業でございますとか構造改善をやっていただくことを円滑にするためのマーケティングなどへの御協力ですとか、そういったことで支援をさせていただいているところでございます。

 できるだけきめ細かにやってまいりたいと思います。

大森委員 先ほど申し上げましたように、SS業者の実態を私も聞いてまいりました。あるSSの御主人は、とにかく切り詰めるところは全部切り詰めた、今まで人を使っていたのも全部やめた、兄弟三人でやっているけれども三人分の給与も出ない、やめられる人はまだいい、売掛金、買掛金、やめるにもやめられない状況だということです。先ほどもお話がありましたし、しましたが、こういう地下タンクの放置防止事業、つまり閉鎖に当たってのパンフレットばかりを送ってくる、早くやめなさいと言われているようだと、この方は苦笑して言われたわけでありますけれども、SSの現状はまさにそういうことになっている。このことをぜひ知っていただきたいと思います。

 今の私がお会いしたこのSSの方は、月間の販売量は少ないのですけれども、長年続けてきたSSなのでこれからも続けたいと。しかし設備を更新する手持ち資金もない。経営多角化とか業種転換のための対策もいろいろあるわけなんですが、補助金といっても自己資金がない、あるいは融資といっても無利子ではないということで、そういう厳しい状況もお話しになっておりました。

 特にその中で一番言われていたのは、きょう午前中に話もありました不当廉売、差別対価の問題であります。とにかくよそのSSの販売価格を見ていると自分のところの仕入れ値、仕切り価格のわずか数円しか上乗せしていない。本当にあれでやっていけるのだろうかというところにやはりお客がどんどん吸い込まれていくという状況を日々見ているわけであります。

 そこで、これに関連して幾つかお聞きをしますけれども、まず、一九九八年八月、中小企業庁が、これは設置法に基づいて、不当廉売の取り締まりの強化を公取委に要請いたしました。その中で中小企業庁が指摘した中身は、一つは激しい価格競争、それによるSSの閉鎖、コスト割れなどの不当廉売、差別対価、元売の仕切り価格等の不透明性、こういう点を指摘されております。これは九八年でありますけれども、これらの点はこの間改善をされたでしょうか。

河野政府参考人 先生御指摘のように、平成十年の八月、当時通商産業省でございますが、公正取引委員会に対しまして、中小企業庁設置法に基づいて、不当廉売に対する迅速な処理及び実効性のある厳格な取り締まり、並びに差別対価に対する厳格な取り組みを要請させていただきました。

 その後、公正取引委員会では、この要請も踏まえていただきまして、事案処理の迅速化に努められた結果、処理に要する期間は、従来の四ないし五カ月でございましたものが二カ月程度にまで短縮されたというふうに承知をいたしております。この間、臨時の措置ということでございましたが、私どもから、きょうの御質疑でもございましたように、人員も出させていただき、お手伝いをさせていただいたというようなことでございます。

 ちなみに、石油製品についての不当廉売の注意案件の数でございますが、平成十年度の百八十五件から、平成十二年度には百十件に減少したという記録になっております。

 また、差別対価につきましては、公正取引委員会が平成十一年の十一月に、独占禁止法上問題となり得る卸価格あるいは取引条件の差別的取り扱いに関する判断基準、いわゆるガイドラインというものを策定、公表していただいております。

 私どもといたしましても、今後とも公正取引委員会と連携をさせていただいて、不当廉売、差別対価問題、こうした不公正競争の是正に取り組むことを考えておりますし、また、問題となるような事案について、差別対価ガイドライン、策定していただきましたこのガイドラインを活用させていただいて、積極的に公正取引委員会に申告が出るように石油販売業界にも働きかけてまいりたいと思っているところでございます。

大森委員 一九九八年に中小企業庁、資源エネルギー庁が指摘をしたこういう差別対価やら不当廉売の問題、今お話もありましたけれども、個々の点で改善点がなければもちろんこれはうそになるわけで、当然あるわけなんですが、しかし全体として、今SSの皆さんが一番何とかしてほしいと思っている差別対価と不当廉売の問題ではむしろ事案は拡大しているのではないか。

 現に、これは昨年の九月二十六日でありますけれども、全国石油商業組合連合会、全石連から「独占禁止法違反事案に対する厳正な対応と実効性のある措置について」という要望が公正取引委員会に出されているわけであります。

 この中で、不当廉売を行っている事態を改善する特別措置をとるよう重ねて要求をされている。その中で、例えば、これはお話もありましたけれども、一度注意を受けた者がさらにまた独禁法に違反するような行為を繰り返す、こういう者に対して、累積点数制とこの要望書の中で述べておられますけれども、こういう要望に対して、公正取引委員会それから資源エネルギー庁、何らかの措置をとる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。それぞれからお答えいただきたいと思います。

根來政府特別補佐人 午前中も御質問に答えましたように、私どもも、このガソリンの不当廉売に限らず、いろいろの不当廉売行為が行われているという情報があるわけでございます。これをどのようにして取り締まるかという問題と、その取り締まるエネルギーをどういうふうに集積していくかという二つの問題、それから不当廉売と本当の廉売との境といいますか、その境をどうするかという三つくらいの問題があるわけでございます。

 不当廉売と廉売の境につきましては、この要望書にもありますように、明確化ということを図るように努力はしているのでございますが、何分数値的に明確にすることがなかなか難しいわけでございます。一方で、消費者の利益ということも二律背反的にあるわけでございますので、こういう問題について、今酒類についてはいろいろ御指導を得てガイドラインをつくっておりますけれども、順次こういうガイドラインをもう少し業種別に明確にしていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。

 それから、二つ目の問題は、こういう問題はやはり人間の問題でございますので、人が足りないという問題がどうしてもあるわけであります。それで、これも午前中お話がありましたように、従来の通産省から応援をいただいて、いろいろ人手の方もお力をかりている。また、業界の実情についても、従来の通産省からいろいろお知恵を拝借しておるということでございますので、これからも経済産業省といろいろ協力しまして、御納得のいくような行政に努めたい、こういうふうに思っております。

 なお、その事案の数でございますが、これも午前中申し上げたように、毎年ふえているわけでございますが、最近、原油価格の高騰ということで若干減っているという傾向にございます。

大森委員 累積点数制と業界の方がおっしゃっている、繰り返しのそういう業者に対しての指導なり行政措置について、資源エネルギー庁の方にお願いしたいし、公取の方にも見解をお聞きしたいと思います。

河野政府参考人 先ほども申し上げました、私どもはこの不当廉売について、公正取引委員会の厳格な独禁法の施行について、できるだけの御協力はさせていただくということでお願いをする立場にございます。

 また、差別対価のガイドラインにつきましても、私ども、業界に周知徹底を図りながら、これを有効に活用していきたいというふうに思うわけでございますが、具体的な独禁法の運用あるいはそのペナルティーのあり方につきましては、公正取引委員会の御判断を待ちたいというふうに思います。

楢崎政府参考人 御指摘の累積点数制についてでございますけれども、私ども、申告がございましたら、原則二カ月以内に迅速に処理をする、早く不当廉売のおそれのあるような行為をやめていただくということで、迅速処理をしているわけでございます。

 あくまでも迅速処理ということでございますので、注意ということでやっているわけでございますけれども、注意は違反であるとかあるいは違反の疑いがあるというものではございませんので、注意を何回受けたから次は警告にいくとか法的措置をとるというふうなものにはなじみにくいのではないかと思っております。

 むしろ繰り返し不当廉売をするような案件につきましては、迅速処理のほかに、もう少し影響等について厳密な調査を行い、そして違反の疑いがあれば警告等の措置をとっていく、そういうような方針に立っておりまして、そういった方針で対処しているところでございます。

大森委員 不当廉売、差別対価については、それこそ長年来の課題であり、いろいろな取り組みがそれなりにやられてきたわけであります。しかし、それでもなおかつそれが正されないという状況があるわけですから、これは従来よりも一歩踏み込んだ、業界の側からこういう提案をしているということについて、資源エネルギー庁はそれは公取だ、公取の方はこれはなじまないというようなことでは前進しないのではないかと思います。

 そこで、現に公取委は、先ほどもお話がありました、九一年十一月二十日付で、不当廉売問題へのガイドライン的なものを出しているわけですね。若干注意件数についてのお話がありましたけれども、九一年以降、不当廉売の申告はどのくらい出てきたのか、何らかの措置をとったものはどういう状況か、一部御紹介はありましたけれども、年度別に再度お聞きしたいと思います。

楢崎政府参考人 御説明いたします。

 平成三年に、いわゆるガイドラインと申しますか、考え方を出したわけでございますけれども、その考え方に基づきまして、平成四年に北海道の石油販売業者につきまして警告を一件行っております。以後、多数の申告が参りまして多数の注意等を行っているわけでございますけれども、ちなみに、平成八年度は二十二件、九年度は九十四件、十年度は百八十五件、十一年度は二百十五件、そして十二年度は約半減して百十件、こういった多数の注意を行ってきたところでございます。

大森委員 十二年度こそ若干は減りましたけれども、しかし、平成八年に二十二件だったものが、今日、二百件前後と十倍になっているわけですね。やはり、これはこれまでのやり方が十分効果を出していないと見る必要があるんじゃないかと思います。そういう意味で、新たな対策が必要だと思うわけであります。

 そこで、差別対価の問題について、同様の側面からお聞きをしたいんですが、これについては、公取委では、九九年十一月十七日付で、「ガソリン等の流通における差別対価等に関する当面の対応について」、こういうガイドラインを出しました。これに基づく申告と措置の状況はどうでしょうか。

楢崎政府参考人 差別対価のガイドラインを平成十一年に出して、その周知に努めているところでございますけれども、現在まで、差別対価につきまして措置をとった事例はございません。

大森委員 巷間あれほど差別対価が指摘されながら、何ら措置がとられていないということで、少々私もびっくりするような状況であります。

 では、なぜそういうぐあいになっているのかという点でありますけれども、そういう措置をとらなかったということについて、申告者にこれは報告をされたでしょうか。その際、申告理由に該当しないということを御本人の、申告者の納得のいく形で説明をされているかどうか、この点いかがでしょうか。

楢崎政府参考人 御説明いたします。

 申告が書面で具体的な事実を摘示して行われた場合には、公正取引委員会がどういう措置をとったかとらなかったかということを書面で通知するということになっております。したがいまして、不当廉売について申告がございますれば、どういう措置をとった、とらなかったということを通知しております。

 また、通知をする前に、事前に必要な案件につきましては、申告者等に内容を説明する、あるいは申告文書で通知をした場合に、不明の点とか問い合わせがあれば、それに十分対応いたしますというふうにしているところでございます。

大森委員 不当廉売の場合でも差別対価の場合でも、申告者への報告というのは、単に注意した場合は注意しました、あるいは注意しない場合はどういう表現になるかわかりませんが、結局結果を知らせるだけということになっているわけですね。

 そこで、本当にこれを効果あるものにしていくために、納得できる具体的な理由を明らかにして、公開、開示、今日の情報公開の時代ではそこまで踏み込んだ措置をとることが必要じゃないか。特に、今自由化を言うのであれば、私はやはり、公正な自由な競争を本当に保障する上で、そういう透明化が決定的に求められている、今日的な要請として、こういう点で一歩踏み込んだ御回答をいただきたいと思います。

楢崎政府参考人 御説明いたします。

 不当廉売とか差別対価にかかわる案件につきまして、どうして注意しかとれなかったのかとか、あるいは警告という法的措置がとれなかったのかという具体的な理由を説明せよということになりますと、例えば、不当廉売ですと仕入れ価格を下回っていたかどうか、あるいは差別対価ですと、仕入れの条件、これは営業秘密にかかわることでございますので、そういう営業秘密の開示につながるおそれもあるといったことから、具体的な理由をお伝えするのは非常に難しい問題であると思っております。

大森委員 難しいかどうかは、私にはそこらの突っ込んだ理由はわかりませんけれども、しかし、本当に効果あるものにするためには、そこまで踏み込む必要があるということを指摘しておきたいと思います。

 同時に、このガイドラインの中にもありますけれども、申告の問題であります。申告、これは独禁法四十五条で、独禁法を本当に遵守させていく上で事業者あるいは国民の大変重要な権利であり、それを行使することは独禁法の執行という点でも大いに効果があると思うわけであります。

 しかし今、公取の方で出したガイドラインで、申告の要件は非常に複雑でハードルが高いものになっているわけです。差別対価に当たる場合、これは三つの類型とそれに準ずるものの四つに分けて、そのいずれかに該当する疑いのある場合に、申告により公取委が調査を開始するとなっているわけですね。しかし、今おっしゃったように、関係する会社の仕切り価格を、相当の確証を持ってそれを資料として添付して申告するということは、これは一般の皆さんではおよそ困難ではないか。それが申告件数を少なくしている、申告を断念せざるを得ない可能性があるんじゃないかと思います。

 そういう点で、こういう独禁法四十五条で保障された重要な国民の権利を、違反事実あるいはその容疑を、申告者の側に立証責任を一部負わせるような現在のガイドラインの要件、これは見直しをする必要があるんじゃないか。これは委員長、いかがでしょうか。

根來政府特別補佐人 ただいま御質問の案件でございますけれども、申告の場合に、申告者がいろいろの要件を考えて、あるかどうかを考えて申告をするという必要がないわけであります。

 端的に言いますと、申告者の方は、こういう事実を総合して、独占禁止法違反の事実があろうということで申告されればいいわけでございまして、私どもの方は、その申告に基づいて、実態的にそういう独占禁止法違反の事実の有無が確定できるかどうかということで調査をするわけでございます。

 ただ、その申告する方としては、どういうような徴憑があれば違反と言えるんだろうかという迷いがあると思います。そういうことで、一応の、こういう事実があれば独占禁止法違反の疑いということの徴憑ですが、それを説明しているわけでございますので、決してその徴憑で申告の有無を縛っているわけではございません。

大森委員 今の御答弁でありますけれども、公取委が出したこのガイドラインでは、申告案件への対応について、以下の四つの点に対応する、趣旨としてそういうことになって、やはりハードルがかなり高いものになっていると思うんです。ですから、ぜひこれは見直しを御検討いただきたいと思います。

 石油商品の流通にこれまでSS業者が本当に大きな役割を果たしてきたということ、これはもう衆目の一致するところでありますけれども、元売の都合等々で事実上どんどん今つぶされていくような状況は、私は絶対容認できないと思います。こういう点で、今申し上げた点も含めて、ぜひ大臣にも、元売会社への適正な指導とか、あるいはSS業界に対して経営が成り立つような、閉鎖のための応援策が主要な柱であるというような状況はぜひ避けていただきたいということを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。

山本委員長 大島令子君。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 私は、日本のエネルギー政策全体における石油の位置づけについて、まず大臣に質問をいたします。

 二十世紀は石油文明の時代だったと言えます。この二十一世紀も、化石燃料を利用する時代がしばらくは続くと考えられます。一方で、我が国のエネルギー供給における石油について考えてみますと、石油依存度の一層の低減化や供給源の多様化などの取り組み、COP3の合意を受けた地球温暖化防止への対応、またアジア諸国の今後の石油需要の増大予想、産油国の動向など、相互に関連したさまざまな状況の中で今後どのように石油を位置づけていくべきかということについては、必ずしも明確な国民の合意があるとは言えないと思います。

 今改正により、日本の石油政策の軸となってきた石油業法が廃止されることから、エネルギー政策における石油の位置づけについて総合的に大臣はどういう考えを持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。

平沼国務大臣 我が国といたしましては、二度にわたる石油危機の経験を経まして、石油依存度の低減に努力をしてきたところでございます。その結果、石油の依存度は第一次石油危機の約七七%から九九年度の約五二%へと低減をしております。

 しかし、他方、石油は経済性、利便性の観点から、今大島委員御指摘のように、我が国にとって二十一世紀の中でも主要なエネルギーであり続けると考えられるわけでありまして、その安定的な供給の確保も極めて重要な課題だと思っております。そのため、石油備蓄の保有を初めとして、産油国との関係強化、自主開発原油の確保等の多様な安定供給確保策を講じていかなければならない、そういうふうに思っております。

大島(令)委員 では、石油産業の自由化に対する政府の見解について、大臣にお伺いいたします。

 石油は今後とも引き続き重要なエネルギーという位置づけでございますけれども、国民の最大の関心は、過去の二度にわたる石油危機の例を持ち出すまでもなく、安定供給の確保だと考えます。

 本法案が通れば、石油業界は名実ともに完全自由化することになります。しかし、従来の石油産業は、産業規制の典型例とも言われるような政府の規制や関与のもとで、脆弱な体質のまま現在に至ったと指摘されております。これから、市場原理の導入により、経済性や効率性の追求に加えて、海外の強力なエネルギー企業との国際競争の中で日本の石油産業が生き残れると政府は考えているのでしょうか。

 もしこれが失敗したならば、エネルギーの安定供給は確保できません。ですから、石油依存度を減らし、代替エネルギーをどうしていくかについて時間をかけた議論を行うことが重要であると思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 近年、国際石油市場の発達、欧米メジャーズの再編に代表される石油産業のグローバル化、それが進展する中で、これまで規制緩和が進められてきたところですが、特に我が国石油産業は、石油製品の輸入が自由化された平成八年以降、従来にない厳しい経営環境に直面をしております。

 かかる状況に対応すべく、石油産業は各社ごとのコスト削減努力に加えまして、企業の枠組みを超えた合併提携による再編集約化、四グループ化になったわけでございますけれども、強靱な経営基盤の確立に向けて懸命な努力を行っており、経済産業省といたしましては、各社の構造改革への取り組みに対して予算措置等の支援策を講じているところであります。

 今般の法案においては、これまでの累次にわたる規制緩和、自由化の総仕上げとして、石油業法を廃止することといたしました。これを契機として、一層の構造改革に向けた企業の創意工夫や迅速な意思決定が促され、国際的な競争の中で石油の安定供給を担う強靱な石油産業の形成が図られることを期待するとともに、経済産業省といたしましては、規制緩和後においても引き続き厳しいその環境の中で支援を行っていかなければならないと思っております。

 また、石油を主要なエネルギー源としてそのほとんどを輸入に依存している我が国は、石油代替エネルギーの開発導入は、委員御指摘のとおり極めて重要な課題だと思っております。従来より、代エネ法、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律、それに基づいて各種の取り組みを行ってきているところであります。

 特に、太陽光や風力など、いわゆる新エネルギーについては、国産エネルギーであることに加え、二酸化炭素を排出しないエネルギー源であることから、その開発導入に真剣に取り組んでいるところであります。

 現時点では、経済性や出力の不安定性といった課題がございますため、これまで政府といたしましては、低コスト化、高性能化のための技術開発、新エネルギー設備の設置に対する補助を通じた導入促進に取り組んできております。

 さらに現在は、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会の場を通じまして、新たな導入目標を含めまして、今後の新エネルギー政策のあり方に関するさまざまな論点につきまして検討を進めております。このような検討を踏まえまして、新エネルギーの一層の導入促進を図るため積極的に取り組んでまいりたい、このように思っております。

大島(令)委員 輸入が自由であるということは逆に輸出も自由ということであり、石油業界は国内生産だけという構造から、輸出入を含めた供給パターンを構築することができるようになると十日の参考人に予定されています石油連盟会長の岡部氏も言っております。

 自由化によって日本が国際的な価格で迫られるのはこれからでございますが、そういう状況になることについて、政府としてはどのように考え、また把握しているでしょうか。

河野政府参考人 確かに自由化の中で日本の精製業界も国際競争にさらされているわけでございます。現在までのところ、それほど量的に多いものではありませんけれども、シンガポール、韓国などから折に触れ輸入製品が入ってくるという状況もございます。

 他方、昨年のことでございますけれども、米国におきます暖房油の在庫が非常に低いということもありまして、私どもの方から日本の精製業界に協力を依頼いたしまして、アジア向けに、アメリカの暖房油に相当いたします日本の軽油を輸出するように働きかけたというようなことがございます。

 自由化の中で、これから日本の精製業界、ますます国際競争にさらされます。残念ながら、現在のところどんどん輸出をするほどの価格競争力があるとは申し上げられないというふうに思いますけれども、私どもとしては、引き続き系列を超えたコンビナートの合理化のようなことについての支援などを通じてサポートしてまいりたいと思っているところでございます。

大島(令)委員 今回の改正で、石油公団がイランの油田の開発支援をすることができるということでございますが、イランというのはアメリカの制裁国でもあり、非常に政情不安定という印象がございます。

 第二次オイルショックのときのことを見ましても、まず一九七八年のイランでは、パーレビ国王に対する反政府運動、これに対して石油労働者のストライキが発生して、世界の石油消費国に大きな不安感が出た。その翌年、一九七九年には、今度、イランではホメイニ師のもとで暫定革命政府が成立しまして、一バレル当たり二・三倍に原油価格が上昇。また、翌年の一九八〇年から始まったイラン・イラク戦争も原油価格の値上がりということで、中東というのは現在でも紛争を抱え、一触即発というかそういう状況があるわけです。そういう形の中で、依然として日本政府は中東へ石油を依存していることに関して私は懸念をするわけでございます。

 先ほど大臣は、自然エネルギー、太陽光、風力発電に関しては経済性の問題から補助の段階にとどまっているということでございますが、では、石油依存度が現在五二%ということでございますけれども、今後ともこの低減化を図っていく考えがあるのか、その低減化を図っていく場合に代替エネルギー源は先ほどおっしゃった新エネルギーだけなのか、考えを聞かせてください。

河野政府参考人 現在、総合資源エネルギー調査会の方で、二〇一〇年に向かっての一次エネルギー供給構造についての検討を行っておりますが、現在、私どもが持ち合わせております長期エネルギー需給見通しを念のため参照させていただきますと、二〇一〇年に向かって石油への依存度は若干低下するという見方になっております。これを補うのは、化石燃料の中でいえば天然ガスなどは非常に有望でございますし、また先ほど先生から御案内のありましたいわゆる新エネルギーも、私どもの目標としては一%から三%へと三倍の増大を目標としておりますので、そういったものによってある程度置きかわる可能性があるというふうに見ているところでございます。

大島(令)委員 では、もう一度河野資源エネルギー庁長官に質問します。

 昨年八月、長官初め外務省の国際エネルギー課長がイランを訪れています。何のために行ったのでしょうか、その内容は今改正案にどう関係しているのか、御説明ください。

河野政府参考人 確かに昨年の八月にイランに参りました。我が国にとって第三位の原油供給国でありますイランと我が国の対話を強化して、これを通じまして国際エネルギー情勢の安定化、あるいはイランとの関係強化を通じた我が国のエネルギー供給安定化の観点から、第一回の日本・イランエネルギー協議というものを実施したわけでございます。

 この協議におきましては、エネルギー分野における二国間の協力の可能性につきまして幅広く意見交換をさせていただきました。石油、天然ガス、省エネルギーあるいは電力、こういった幅広い分野での今後の協力促進について両国間での合意を得ることができたと思っております。

 その後、この協議を契機といたしまして交渉を重ねました結果、昨年十一月にハタミ・イラン大統領が訪日されました際には、同行されましたザンギャネ石油大臣と平沼大臣との間で、両国のエネルギー分野における協力に関する共同声明が調印されることになりました。

 この声明では、イランの石油開発分野への我が国企業の参入について、アザデガン油田という大きな油田の開発に我が国企業が実質的に優先的な交渉権を得るということ、あるいはその他の既発見油田、ガス田についても我が国企業の事後的な参入を支援するというような内容が盛り込まれているのでございます。

 今後、当事者間で議論が進みまして、我が国企業のイランにおきます石油開発事業への参入が実現するというような際には、今回御提案申し上げております資産買収制度も活用しながら、石油公団による支援などによって、当省としては積極的に支援に取り組みたいというふうに考えているところでございます。

大島(令)委員 では、地球温暖化問題の観点から、日本のエネルギー政策の方向について大臣に伺います。

 日本は、一九七〇年代以降、二度のオイルショックを経て、石油備蓄と原子力発電を推進する政策が進められてきました。しかし、今日では、地球温暖化問題へ対応することが急務であることから、化石燃料からの二酸化炭素排出規制が国際的な重点目標となっています。

 去る三月二十八日、アメリカのブッシュ政権は京都議定書からの事実上の離脱を表明しました。京都議定書の議長国であった日本は、国際的な約束を守るよう、経済産業省からは西川政務官をアメリカに派遣しました。外務省は荒木副大臣を派遣されているということですが、どういう立場で派遣されているのか、あわせて伺いたいと思います。

 また、二酸化炭素排出量の削減という観点からは化石燃料の使用を減らすべきであり、石油備蓄、ましてや新たな油田開発などは時代に逆行する政策であると私は考えております。政府は石油の使用量をさらにふやしていこうという考えなのか。この考えと、京都議定書からのブッシュ政権の離脱に対して慌てて政府の調査団がアメリカに行っている、この関係が私にはよくわからないのでございます。二酸化炭素がふえ過ぎている、地表を覆っている、だから気候が温暖化していろいろな災害が出ている、しかし日本はまだエネルギーの重要な部分を化石燃料に頼っている、このところのなぞが私には解決できないわけでございます。政府の態度に対するなぞでございます。この辺のことを説明していただきたいと思います。

平沼国務大臣 我が国のエネルギー政策においては、環境保全は御指摘のように重要な課題であると思っております。特に、COP3の合意を踏まえて、エネルギー起源の二酸化炭素排出量を二〇一〇年度には九〇年度と同水準に抑制すること、これを目標にしているわけであります。

 このため、近時のエネルギー需給両面における各種の情勢の変化を踏まえまして、昨年四月より総合資源エネルギー調査会において、需給両面における現行施策の評価や施策全般にわたる今後のあり方、さらには長期エネルギー需給見通しについて検討を行っているところでございます。

 現在の検討状況といたしましては、三月六日に行われた総合資源エネルギー調査会総合部会及び需給部会合同部会におきまして、現在の政策枠組みを維持した場合の二〇一〇年度におけるエネルギー需給像が基準ケースとして示されたところでございます。この中で、二〇一〇年度のエネルギー起源の二酸化炭素排出量は、炭素換算で、九〇年度の二億八千七百万トンを約七%超過しまして三億七百万トンになるものと見込まれております。

 今後は、この基準ケースを踏まえまして、総合資源エネルギー調査会において、エネルギー起源の二酸化炭素排出抑制等を実現するため、需給両面における対策について幅広く検討を進めていただくことにしております。あわせて、今後目指すべきエネルギー需給の姿を目標ケースとして策定していただくことになっております。本検討を夏ごろまでに取りまとめていただき、こうした取り組みを通じて適切なエネルギー政策を構築してまいりたいと考えています。

 大島委員御指摘のように、化石燃料というのを、二十一世紀は環境問題をいかに克服するか、そしてCOP3の議定書にもあるそういう目標値を守っていくためには新エネルギーをふやしていかなければならない、それは御指摘のとおりだと思っております。

 しかし、日本もこの間ずっと取り組んでまいりまして、実は、エネルギーに占める石油依存度というのが非常に低くなってきたことは事実でございまして、かつては全エネルギーの七七%を占めておりました石油依存度が五二%になってきた、そういうことも一つの数字として出ているわけであります。決して我々としてはこれに満足することなく、新エネルギーの導入も含めて、こういう環境問題に対して適切な措置をしていかなければならない、このように思っているところであります。

高須政府参考人 私の方から、荒木外務副大臣が今アメリカに行っておりますので、その目的について簡単に御説明申し上げたいと思います。

 今般、三月二十八日、アメリカ政府が京都議定書を支持しないという立場を表明したわけでございますけれども、これは気候変動交渉に大きな影響を与えるということで、我が国政府としては強く懸念している次第でございます。こうした我が国の懸念を伝えるために、政府といたしましては、荒木外務副大臣、西川経済産業政務官、それから熊谷環境政務官から成ります関係省庁の代表を四月四日から派米した次第でございます。

 世界最大の二酸化炭素排出国であるアメリカがこの議定書を締結するということは、温暖化対策の実効性を確保するために極めて重要でございます。今次の訪米に当たっては、アメリカ政府が京都議定書の発効に向けて交渉に前向きに参加してほしい、引き続き日本と緊密に連絡、相談して積極的に合意を模索できるよう働きかけるということが主眼でございます。

 四月三日の朝の閣議後に、関係大臣による協議をいたしました。その結果、政府として一体となってこの問題に対応していくということで一致したことを踏まえて、この政府の派遣団が決まったということでございます。同じ日程で訪米いたしております与党三党の議員とともに、現在、アメリカの各政府関係要人に働きかけているところでございます。

大島(令)委員 では、大臣に伺いますけれども、やはりエネルギーの問題と地球温暖化問題、これは外務省では副大臣がアメリカに行くほど重要な外交問題と考えている。そういうことをあわせて考えますと、大臣の考える新エネルギーとはどういったものを想定しておっしゃっておられるのか、お伺いいたします。

平沼国務大臣 新エネルギーに属するものは、午前中からの質疑の中にも出ておりましたけれども、例えば風力発電でございますとかあるいは太陽光発電でございますとか、いわゆる化石燃料ではない、そういうエネルギーを総称して新エネルギーと言うと思っております。

 したがいまして、私どもとしましては、そういう新しい、風力でありますとかあるいは太陽光発電でございますとか、そういったエネルギーというものは、やはりこれからの時代には伸ばしていく必要がある、このような認識でおります。

大島(令)委員 EUは、未来へのエネルギーとして、再生可能エネルギー資源の戦略と行動計画の白書をCOP3の始まる直前、一九九七年に作成しました。欧州議会決議でも、再生可能エネルギーで世界のエネルギー需要の五〇%以上を賄い、二〇二〇年に向けた世界市場は百八十七兆円と予測しています。このようにEUでは、再生可能エネルギー、この政策を重視して条約へ組み入れることを一九九八年の欧州議会で決議しています。ヨーロッパでは、もう確実に脱石油、脱原発にエネルギー政策がシフトしているわけです。

 私たち社民党の言う新エネルギーというのは、再生可能エネルギーと申しますけれども、バイオマスや風力、太陽光、燃料電池を指します。今ほどエネルギーと地球環境問題が大きくセットされている時代に、やはり今改正案の中では、石油業法を廃止し、そして備蓄をしていく、そして新たに油田の開発を担保していく、どうもそういう地球温暖化の問題から考えますと逆の方向の法改正ではないかということが考えられるわけなのです。

 大臣は二酸化炭素を減らすために本当に努力をしていく考えがあるのか、お伺いいたします。

平沼国務大臣 確かにそういう重要な問題、それは御指摘の中に含まれていると思いますけれども、我々現実には世界第二位の経済大国で、工業立国であります。そして、国民の生活が安定をして、国民が文化的な生活を享受するためには、やはりエネルギーという問題は現実に即して考えていかなければならない問題だと思っています。そういう意味で二十一世紀を考えましたときに、やはり相当部分を石油に頼らざるを得ない、これは日本だけではなくて世界各国も恐らくそういう現実論に立って、同じ傾向にあると思います。

 ただ日本の場合には、いわゆるCO2を排出しない、安全性を確実に担保しなければいけませんけれども、原子力発電というものを安全性を担保しつつ伸ばしてきまして、そして、国民の生活が快適に過ごせる、そういうためのエネルギー政策を展開してきたところです。

 また、今御指摘の新エネルギーに関しましても、これは何も放てきをしているということではなくて、一生懸命努力をしてまいりまして、現在では確かに全体の一%、こういう少ない比率でございます。これも二〇一〇年までには三倍に高めよう、さらにできたらそれ以上に大きく拡大をしていこう、こういう形で、風力でございますとか太陽光でございますとかあるいは燃料電池、この燃料電池に関しましても、民間が主体となりまして、八十七社で燃料電池実用化推進協議会、こういうものができました。この中でいよいよ現実のものとなりつつありまして、例えば、ここも既に民間のエネルギー関係の会社が実用化に取り組んで、もう一歩のところまで来ています。

 そういう意味で、コスト面やあるいは設備のコスト面、解決すべき問題がたくさんありますけれども、我々としては現実を踏まえて、そして、その中でやはり将来、二十一世紀は環境の世紀と言われていますから、それに対応する方策も力強く展開をしなければならない、このように思っています。

大島(令)委員 直面する現実と階段を一歩ずつ上っていく現実、やはりヨーロッパでは四十年かけて化石エネルギーをやめていこうという方針を決断していくわけですね。八億人の人が住み、EUには約五十カ国の人々が住み、今世界では経済、人権、いろいろな問題が、ヨーロッパスタンダードというものがまかり通る時代になりました。

 地球温暖化によっていろいろな問題が出ております。氷河の溶解、海面上昇、サンゴ礁の死滅、また異常な気象、これらは本当に、古代文明の崩壊のときにもこういう気候の大きな変動の問題があったと言われております。気候変動に関する政府間パネルの第一作業部会、上海で開いた会合においては、二一〇〇年には地球の気温が最大五・八度上昇すると予測されております。これはまさに大変な問題であると私は思っております。

 日本が地球温暖化対策について非常に姿勢がよくないとヨーロッパの国々から指摘されております。ぜひ経済産業省においても、今後そういった意味での役割を果たしていただくことをお願いして、質問を終わります。

山本委員長 次回は、来る十日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会




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