衆議院

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第11号 平成13年5月23日(水曜日)

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平成十三年五月二十三日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君

   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君

   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君

   理事 達増 拓也君

      衛藤征士郎君    小此木八郎君

      大村 秀章君    梶山 弘志君

      後藤田正純君    左藤  章君

      高木  毅君    西川 公也君

      根本  匠君    馳   浩君

      林  義郎君    平井 卓也君

      松宮  勲君    茂木 敏充君

      保岡 興治君    北橋 健治君

      後藤 茂之君    後藤  斎君

      鈴木 康友君    中津川博郷君

      肥田美代子君    松本  龍君

      山内  功君    山田 敏雅君

      石井 啓一君    斉藤 鉄夫君

      土田 龍司君    大森  猛君

      塩川 鉄也君    大島 令子君

      西川太一郎君    宇田川芳雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策

   局長)          太田信一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  石原 伸晃君     谷津 義男君

  松野 博一君     中山 成彬君

五月一日

 辞任         補欠選任

  青山  丘君     河村 建夫君

  岸田 文雄君     北村 直人君

同月七日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     根本  匠君

  新藤 義孝君     今村 雅弘君

  中野  清君     栗原 博久君

  谷津 義男君     西川 公也君

  山口 泰明君     大村 秀章君

同月八日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     後藤田正純君

  北村 直人君     平井 卓也君

  中馬 弘毅君     衛藤征士郎君

  馳   浩君     虎島 和夫君

同日

 辞任         補欠選任

  虎島 和夫君     馳   浩君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     左藤  章君

  赤羽 一嘉君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     梶山 弘志君

  斉藤 鉄夫君     赤羽 一嘉君

同日

 理事青山丘君及び岸田文雄君同月一日委員辞任につき、その補欠として栗原博久君及び竹本直一君が理事に当選した。

同日

 理事新藤義孝君同月七日委員辞任につき、その補欠として伊藤達也君が理事に当選した。

同日

 理事馳浩君同月八日委員辞任につき、その補欠として中山成彬君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月十八日

 商工会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)

四月十三日

 脱原発に関する請願(北川れん子君紹介)(第一二〇四号)

 脱原発への政策転換に関する請願(家西悟君紹介)(第一三四〇号)

 同(川田悦子君紹介)(第一三四一号)

 中小企業・国民本位の景気回復に関する請願(石井郁子君紹介)(第一三四二号)

 同(奥田建君紹介)(第一三四三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三四四号)

 同(春名直章君紹介)(第一三四五号)

 著作物再販制度の維持に関する請願(肥田美代子君紹介)(第一三四六号)

 台湾への原発輸出に対する外為法上の許可反対に関する請願(家西悟君紹介)(第一三四七号)

同月二十日

 中小企業・国民本位の景気回復に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第一三六五号)

 同(川内博史君紹介)(第一四一〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一四八二号)

 同(石井郁子君紹介)(第一四八三号)

 同(小沢和秋君紹介)(第一四八四号)

 同(大幡基夫君紹介)(第一四八五号)

 同(大森猛君紹介)(第一四八六号)

 同(木島日出夫君紹介)(第一四八七号)

 同(児玉健次君紹介)(第一四八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四八九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四九〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四九一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四九二号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第一四九三号)

 同(中林よし子君紹介)(第一四九四号)

 同(春名直章君紹介)(第一四九五号)

 同(不破哲三君紹介)(第一四九六号)

 同(藤木洋子君紹介)(第一四九七号)

 同(松本善明君紹介)(第一四九八号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第一四九九号)

 同(山口富男君紹介)(第一五〇〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一五〇一号)

 著作物再販制度の維持に関する請願(肥田美代子君紹介)(第一三六六号)

 出版物再販制の廃止反対に関する請願(鈴木淑夫君紹介)(第一四〇九号)

五月十七日

 繊維製品の輸入急増対策に関する請願(野田毅君紹介)(第一五二八号)

 中小企業・国民本位の景気回復に関する請願(木島日出夫君紹介)(第一五二九号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第一五七四号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第一六〇九号)

同月二十二日

 中小自営業の女性事業主・起業家に対する支援策の充実等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八八一号)

 同(荒井聰君紹介)(第一八八二号)

 同(石井郁子君紹介)(第一八八三号)

 同(石井一君紹介)(第一八八四号)

 同(小沢和秋君紹介)(第一八八五号)

 同(大幡基夫君紹介)(第一八八六号)

 同(大森猛君紹介)(第一八八七号)

 同(奥田建君紹介)(第一八八八号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第一八八九号)

 同(金子哲夫君紹介)(第一八九〇号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一八九一号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一八九二号)

 同(木島日出夫君紹介)(第一八九三号)

 同(北橋健治君紹介)(第一八九四号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一八九五号)

 同(小林憲司君紹介)(第一八九六号)

 同(古賀一成君紹介)(第一八九七号)

 同(児玉健次君紹介)(第一八九八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八九九号)

 同(今野東君紹介)(第一九〇〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九〇一号)

 同(佐藤敬夫君紹介)(第一九〇二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九〇三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九〇四号)

 同(菅原喜重郎君紹介)(第一九〇五号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第一九〇六号)

 同(筒井信隆君紹介)(第一九〇七号)

 同(土井たか子君紹介)(第一九〇八号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一九〇九号)

 同(徳田虎雄君紹介)(第一九一〇号)

 同(中林よし子君紹介)(第一九一一号)

 同(原口一博君紹介)(第一九一二号)

 同(春名直章君紹介)(第一九一三号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第一九一四号)

 同(不破哲三君紹介)(第一九一五号)

 同(藤木洋子君紹介)(第一九一六号)

 同(松本善明君紹介)(第一九一七号)

 同(松本龍君紹介)(第一九一八号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第一九一九号)

 同(山内惠子君紹介)(第一九二〇号)

 同(山岡賢次君紹介)(第一九二一号)

 同(山口富男君紹介)(第一九二二号)

 同(山元勉君紹介)(第一九二三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九二四号)

同月二十三日

 中小自営業の女性事業主・起業家に対する支援策の充実等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇〇六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二〇〇七号)

 同(小沢和秋君紹介)(第二〇〇八号)

 同(大幡基夫君紹介)(第二〇〇九号)

 同(大森猛君紹介)(第二〇一〇号)

 同(木島日出夫君紹介)(第二〇一一号)

 同(古賀一成君紹介)(第二〇一二号)

 同(児玉健次君紹介)(第二〇一三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇一四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇一五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇一六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇一七号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第二〇一八号)

 同(中林よし子君紹介)(第二〇一九号)

 同(春名直章君紹介)(第二〇二〇号)

 同(不破哲三君紹介)(第二〇二一号)

 同(藤木洋子君紹介)(第二〇二二号)

 同(松本善明君紹介)(第二〇二三号)

 同(松本龍君紹介)(第二〇二四号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第二〇二五号)

 同(山口富男君紹介)(第二〇二六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇二七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇五八号)

 中小企業・国民本位の景気回復に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二〇五六号)

 繊維製品の輸入急増対策に関する請願(山本幸三君紹介)(第二〇五七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 商工会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件




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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が四名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      伊藤 達也君    栗原 博久君

      竹本 直一君    中山 成彬君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。

平沼国務大臣 このたび、新内閣のもとで再び経済産業大臣を拝命いたしました平沼赳夫でございます。引き続きどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 小泉内閣のもと、私たちは、二十一世紀にふさわしい経済社会システムを確立すべく、新たな改革に乗り出そうといたしております。

 改革の道筋は平たんではないかもしれません。しかし、新しい時代を切り開く挑戦の芽は我が国の至るところで生まれ始めており、私たちに求められていることは、痛みを恐れず、強い意思を持って改革を実現していくことであります。

 私は、昨年七月に通商産業大臣に任命され、さらに本年一月から初代の経済産業大臣として、経済構造改革の推進等、経済産業行政に全力で取り組んでまいりましたが、今般、決意も新たに、真に豊かで誇りに満ちた自立型の日本経済を構築すべく、全力を傾注してまいる所存でございます。

 まず取り組むべき課題は、日本経済再生のための経済構造改革の断行であります。

 このため、まずは、先般取りまとめられた緊急経済対策を速やかに実行に移す必要があります。経済産業省といたしましても、産業再生法の活用等により、不良債権処理とあわせ、企業の前向きな事業再構築による産業再生を進めてまいります。

 また、昨年末に経済構造の変革と創造のための行動計画を取りまとめ、二百六十項目に及ぶ具体的な施策の実施に鋭意取り組んできておりますが、この行動計画をさらに重点化、拡大すべく、具体的な提案をしていきたいと考えております。産業構造改革・雇用対策本部においては、この提案等を踏まえて、新しい市場や雇用の創出に向けた施策を早急に検討し、迅速に実行してまいります。

 また、不良債権処理や企業再建に伴う影響を最小化するとともに、中小企業の多様で活力ある成長発展を目指して、円滑な資金供給の確保等、中小企業政策の推進に全力で取り組んでまいります。

 さらに、我が国経済の中長期的な成長のためには、新しい市場の創出のためのイノベーションの推進、エネルギー・環境制約の克服と成長要因への転換、IT革命への対応等に取り組むことが必要です。

 このため、産業技術力の強化によりイノベーションを促進すべく、産学官連携による重点的、戦略的な研究開発、科学技術システム改革を推進いたします。

 環境政策につきましては、大都市圏エコタウン構想の推進等、効率的な循環型経済システムの形成を目指すとともに、地球温暖化問題については、米国の京都議定書への参加を強く働きかけ、七月に開催されるCOP6再開会合に向けた交渉に全力を尽くしてまいります。

 エネルギー政策については、環境保全、効率化、安定供給といった政策目標を実現するための幅広い検討を進めるとともに、省エネルギー、新エネルギー、原子力立地の推進と原子力安全の確保、プルサーマル計画の実施等を着実に進めてまいります。

 IT革命への対応につきましては、電子商取引の特質に応じたルール整備、電子政府の実現、IT人材の育成等の施策を推進してまいります。

 一方、世界各国では、国内の制度改革を競う一方、自国に有利な形で各国制度間の調和を追求する動きが活発化しており、我が国といたしましても、国内経済政策と表裏一体のものとして、戦略的な対外経済政策を推進する必要があります。

 このため、本年十一月のWTO閣僚会議に向けて、十分に幅広い交渉を行う新ラウンドを立ち上げるべく最大限の努力をするとともに、日シンガポール新時代経済連携協定の年内合意、日米間の新たな経済対話の枠組みの具体化等、多層的なアプローチで政策を展開してまいります。

 以上申し述べた課題への取り組みの一環として、今国会に所要の法案を提出しているところであり、よろしく御審議のほどお願いを申し上げます。国民各位の御理解のもと、経済産業行政に全力を挙げてまいる所存でございますので、御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

山本委員長 次に、松田経済産業副大臣、古屋経済産業副大臣、西川経済産業大臣政務官及び大村経済産業大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。松田経済産業副大臣。

松田副大臣 経済産業副大臣に再任されました松田岩夫でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 引き続き平沼大臣を補佐し、経済構造改革をさらに推し進め、日本経済を自律的な回復軌道に一刻も早く乗せるべく、全力で取り組んでまいる所存でございます。

 山本委員長を初め、委員の皆様方には、これまで同様御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。(拍手)

山本委員長 次に、古屋経済産業副大臣。

古屋副大臣 このたび経済産業副大臣を拝命いたしました古屋圭司でございます。昨年は商工委員長をさせていただきましたが、縁あり、所を変えて、経済産業省に参りました。

 企業の創造的な経済活動を促進し新規産業を創出するなど、二十一世紀にふさわしい経済社会システムを確立すべく、平沼大臣を支えつつ、経済産業行政に全力を傾注してまいる覚悟でございます。

 山本委員長を初め、委員の皆様方の御指導、御支援をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。(拍手)

山本委員長 次に、西川経済産業大臣政務官。

西川大臣政務官 経済産業大臣政務官の西川太一郎でございます。再び経済産業省で働くことになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 平沼大臣のもと、これまで経済産業行政の推進に取り組んでまいりましたが、時代に即応した行政ニーズに適切に対応すべく、さらに全力を尽くしてまいる所存でございます。

 山本委員長を初め、委員の皆様方には引き続き法案等の御審議をお願いすることになりますが、これまでにも増して御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。(拍手)

山本委員長 次に、大村経済産業大臣政務官。

大村大臣政務官 このたび経済産業大臣政務官を拝命いたしました大村秀章でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 経済社会を取り巻く環境が内外ともに大きく変化する中で、平沼大臣を支え、課題の山積する経済産業行政の遂行に一生懸命邁進をしてまいりたいと考えております。

 山本委員長を初め、委員の皆様方には大変お世話になりますが、特段の御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

山本委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君及び資源エネルギー庁長官河野博文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北橋健治君。

北橋委員 民主党のネクストキャビネットで経済産業省を担当しております北橋健治でございます。

 このたびは、小泉新政権発足に当たりまして平沼大臣が再任をされました。心からお祝い申し上げたいと思います。内外ともに厳しい情勢ではございますが、経済産業の再生に向かって精いっぱい御活躍をいただきますように、お祈りをしたいと思っております。

 最初に、各委員会でそうなんですけれども、それぞれの大臣の基本的な政治姿勢について、私ども民主党が注目をしております事柄について若干触れさせていただきたいと思っております。

 まず、日本とアジアの近隣諸国との関係は極めて重要でございますが、その中で台湾との関係におきまして、李登輝氏が来日されるに当たって、そのビザを発給するかどうかについては、政府・与党内部にかなりの議論が惹起されたところであります。これは、政府・与党のみならず野党、各界においても、大変難しい、また重要なテーマとして論議されたわけでございます。

 今回のビザ発給について、大臣は基本的にどのような評価をされておられるでしょうか。御所見を承りたいと思います。

平沼国務大臣 私は、政治家として、この李登輝さんの訪日の問題のときに、中国との、いわゆる一つの中国、こういう前提がございますけれども、李登輝さんは既に総統をおやめになっておられます、それからまた、台湾の国民党の総裁というのもおやめになっておられて、一私人として、そして心臓に疾患を持っておられる、こういうような状況の中で、日本の医療を受ける必然性があった、こういうことでございましたので、一部新聞報道にも出ておりましたけれども、閣僚懇談会の席でも、そういう前提があるのであればビザの発給はやむを得ないのではないか、こういうことも発言をさせていただきました。

 したがいまして、一私人、こういう形でございますから、私は、中国政府の御理解も得られる、そういう認識の上に立って閣僚懇談会の中でもそういう発言をさせていただいたところでございます。

北橋委員 新聞報道によりますと、李登輝前総統はまた訪日したいという希望を表明されているようでございますが、その場合はどうされますか。

平沼国務大臣 私も医学的なことはそう詳しくないわけでございますけれども、この心臓疾患というのは、やはりある程度期間を経て再治療の必要がある、こういうようなことでございます。そういう形で、さらに治療が必要であるということであれば、政治目的でなくて一私人として来られることであれば、例えばヨーロッパも既にそういう形でビザの発給をしておりますし、それからアメリカもそういう形で発給するやに聞いております。

 ですから、そういう観点からいえば、もちろん中国政府との連携は密にしていかなければなりませんけれども、一私人として再度そういう形で要求があったときには、当然発給しても構わない、私はこのように思っています。

北橋委員 こういう重大な外交案件については、政府、閣僚内部で一致した対応がまさに重要でございますが、今回は、政府内部でも賛否両論できしんだときもございました。

 田中外務大臣は、四月二十七日のインタビューに答えて、こう言われています。

 また訪日したいと希望していますがという問いに対しまして、今回は、民間人で人道上という判断だった、でも、これが二度三度となると政治問題化するでしょう、李氏は、政治的な発言をしなくても、政治的な影響を与えるということをねらっているかもしれないわけだから、私だったらもっと時間をかけた、病状を含めて考える必要がある、なぜ日本かというと、ドクターがたまたまいるからというが、その方が亡くなったらどうするんですかと。

 極めて慎重な発言をされておられますが、この考え方とは異なるのでしょうか。

平沼国務大臣 田中大臣は、外務大臣としてある程度いろいろなことを考慮されて御発言になったのではないかと私は推測しておりますが、その後、予算委員会等一緒に出させていただいておりまして、そして、各予算委員からの質問に対しましては、その辺に関してはそれほど細かく具体的にはお述べになっておられない、こういうようなことも私は予算委員会に出て承知をしております。

 一つのお考えだと思っておりますけれども、私は、一政治家として、私人であれば、お迎えをするということがヨーロッパやアメリカの例を見ても当然のことだ、こういうふうに思います。

北橋委員 明快な大臣の御答弁をいただきまして、ありがとうございました。この問題についてはいずれまた議論をする場があるでしょうから、その場に譲らせていただきます。

 二番目に、小泉さんが自民党総裁選挙のときからはっきり明言をされて、各界から注目されたことが幾つかありますが、靖国神社の公式参拝と憲法改正、とりわけ九条も含めて思い切った発言をされております。そして、集団的自衛権の行使については、容認できるんだという踏み込んだ発言もされてきたわけでございます。

 これは、総裁選で勝たれて総理になられてからでも、同様の趣旨の発言をめぐってこれまで幾つか国会でもやりとりがあったところでございますが、平沼大臣は、靖国神社の公式参拝についてはどのような所見をお持ちでしょうか。

平沼国務大臣 私は、五年前に運輸大臣もさせていただきました。そして昨年の七月に通商産業大臣を拝命し、さらに引き続いて経済産業大臣をさせていただいています。

 運輸大臣のときも、実は八月十五日、靖国神社には私は私人として参拝をさせていただきました。

 私は、国に殉じてくださった方々、その方の霊に対して感謝の誠をささげるということはやはり一政治家として必要なことだ、こういう信念に基づいて、私人として今まで参拝をさせていただいたわけです。

 小泉総理が、やはり同様の、国に殉じてくださった英霊に対して公式に参拝をされる、こういうことを表明されているわけであります。これに関しては、過去も閣僚の何人かは、公式、こういう形で参拝した事例もありますし、たしか中曽根内閣のときに、当時の藤波官房長官のもとで、靖国神社の参拝は憲法に照らして憲法違反にはならない、こういう見解も出ておりますから、恐らく小泉総理は、その見解に従って公式に参拝される、こういう形で表明をされているのではないか、このように思っておりまして、それは政治家である、総理大臣である小泉総理の御判断だ、このように思っております。

 ただ、やはり、憲法二十条の政教分離の問題がありますけれども、一応当時、藤波官房長官のもとのいわゆる懇談会の結論の中で、公式参拝、それは憲法違反にならない、こういう見解も出ておりますから、そういう中での参拝である、私はこのように認識をしております。

北橋委員 平沼大臣のこれまでのいろいろな政治的コメントについては、過去私ども、集められるだけのものを集めて読ませていただいております。非常に明快で、しかも大変いろいろな気配りのある御発言を常にされていると敬意を表する一人でございます。

 私人として参拝するのは私ももちろんいたします。そうすると、公式参拝というものは、総理がどう言われようともそれはやはり問題がある、あくまでも、過去の閣僚懇談会で出たような憲法解釈の範囲内で、許される範囲内でやるべきだというお考えで間違いないですね。

平沼国務大臣 私は、当然、そういう見解が出ていればそういう形だと思います。

 さらに言わせていただきますと、私の場合には、そういう御英霊に対して本当に感謝の気持ちをささげるということに関しては、公式も非公式もない、あくまでも人間、平沼赳夫としてお参りする、こういうような形で今までやってきたわけでございます。

 そういう意味では、今回、小泉総理が参拝をされるということでありますけれども、その範囲内でお参りをされるのではないか。わかりませんけれども、私は、今のところは、そういう範囲の中でお参りをされるのではないか、このように推測をしております。

北橋委員 八月の、総理並びに閣僚各位の行動を見守りたいと思います。いずれにしても、政教分離を定めた日本国憲法の精神に抵触しかねない重大な問題になり得ますので、公式参拝には我々は反対であります。そのことを表明させていただき、今後を見守らせていただきたいと思います。

 あと一点、集団的自衛権の行使について大臣の所見を承りたいと思います。これは、自民党単独政権時代から現在に至るまで、内閣法制局は容認をいたしておりません。それを小泉総理は、現行憲法の解釈でできるんだということを自民党総裁選以来発言をされて、非常に私どもも注目をいたしております。

 これは極めて問題のある発言だと思っているんですが、大臣は、集団的自衛権の行使はできるとお考えでしょうか。総理の見解に賛同されますか、それとも別の見解をお持ちでしょうか。

平沼国務大臣 私は、予算委員会等で、総理がこの集団的自衛権に対しての各委員からの質問に答えられているのを聞いておりました。そういう中で、この集団的自衛権に関して、公海上だとか自国の領海の中で、例えば共同の演習をしているときに一方が攻撃を受けた、それに対してやはり武力を行使せざるを得ないというのは当たり前のことではないか、こういう趣旨の総理の見解があったわけでありまして、私は、この集団的自衛権というものに関しては、小泉総理がそういう限られた条件を設定しながら言われていることに関しては、解釈上それは成り立つと思っております。

 しかし、かつて、例えばきのうも議論がございましたけれども、ベトナム戦争でありますとか、ソ連のチェコ侵攻、アフガン侵攻、そういった形の中で、それが強行された、そういう非常に規模の大きなものになると、それはやはり憲法上制約があるのではないか。

 ですから、私は総理大臣とこれは議論をしておりませんけれども、どうもやりとりを聞いていると、小泉総理もそこまで大きな拡大的な解釈という形ではなくて、あくまでも限定された中で、やはり同盟関係を結んでいる国と限られた中で、そういう状況が起こったときには、当然それに対しては同盟国として武力行使もあり得る、こういうことですから、その部分では、小泉総理の解釈は九条の解釈上許される範囲ではないかな、私自身はそういうふうに思っています。

北橋委員 これまでの内閣法制局の解釈を一歩踏み出すものと聞こえたんですけれども、一定の条件、制約のもとでは、これは日本国憲法も認められているんだという御発言ですけれども、これまでの内閣法制局の解釈というのは、現行憲法の解釈をどのようにやってみても、やはりこれは無理なんだ。だからこそ憲法改正の議論が出てきていると思うんですけれども、そうではないわけですか。今までの内閣法制局の見解をさらに踏み出そうとされるわけですか。

平沼国務大臣 限定的な中で、自国の領海ですとか公海上でそういう演習をやっているときに不当な攻撃を受けたときには、当然そういう形で行使をするということは、時代によっていろいろ、例えば九条一つとってもいろいろな形で解釈というものの変遷があるわけであります。

 ですから、厳密に言えば、やはり憲法九条というものをしっかりと直していくことが根本でございますけれども、しかし、法制局のそういう見解があるかもしれませんけれども、ああいう限定的な中では解釈上可能ではないかな、私自身はそう思っております。よく総理ともその辺はまだ詰めた議論をさせていただいておりませんけれども、今、やりとりを聞いている過程においては、私はそういう認識を持っているわけであります。

北橋委員 平沼大臣の憲法調査会における衆議院議員平沼先生の御見解を私は読ませていただきまして、大変高い御見識には敬意を表しております。

 この問題は非常に大事ですし、詰めたいところではありますが、本来この委員会の主たる目的ではございませんので、この集団的自衛権、憲法改正問題をめぐりまして、これはまた別途、大きな舞台で徹底的な論議を呼ぶところだと思いますから、その場に譲らせていただきたいと思います。

 さて、小泉政権になられまして、何といっても、聖域なき構造改革ということを表明されました。そして、財政構造改革についても言及をされました。プライマリーバランスを何年後にとるとまでははっきり言われていないんですけれども、具体的な中身はまだわかりませんが、しかし、台所が火の車の今の財政を何とか改革していこうという決意のみなぎった意見を表明されております。

 基本的に、その方向は民主党と同じでございます。したがいまして、今後、具体的な中身を精査させていただきまして、本当に財政構造改革、構造改革に向けて前進をされるのであれば、私ども民主党は、かつての野党のような反対勢力ではなくて、互いに具体的な改革の中身を競い合う、そういう与野党の関係になってもいい、それぐらいに思っております。

 ただ、問題は、具体的なその中身でございまして、総理も総論といいますか、一つの大きな目標というものはお示しになっておられますけれども、それが具体的にそれぞれ各省庁でどのように実行されていくかについては、抵抗勢力と総理みずからおっしゃるように、大変難しい問題もあるだろうと思います。

 そこで、直接の所管ではございませんけれども、道路特定財源の存廃問題をめぐっては、大臣は記者会見でも発言をされておられます。それをお伺いするんですが、その前に、小泉総理から、聖域なき構造改革について、経済産業省はこういう方向でやってくれという、何か具体的な方向をお示しになられたでしょうか。まずそこからお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 私が、小泉新内閣のもとで経済産業大臣を引き続きやってほしいということで官邸にお伺いしたときに、小さなペーパーをいただきまして、二つのことがそこに示されておりました。

 やはり今おっしゃったように、徹底的な経済構造改革、それはやっていただきたいということが全体のあれでございまして、その中で、一つは、新規産業を起こす、そういった形で、ITというものに関しては重点的にひとつ頑張ってもらいたい、それから、これは緊急経済対策にもございますけれども、やはり不良債権、不良債務の処理、そういった問題についても努力をしてもらいたい、こういう二点でございまして、とにかく経済構造改革担当大臣として、そのことを旨としてしっかりやってほしい、こういう二点の御指摘がございました。

北橋委員 ITも不良債権の処理も重要な政策課題であることは承知しておりますが、聖域なき構造改革といいますと、私どもは、その大きな課題が財政の構造改革にあることは間違いないと思っております。

 そこで、何といっても、その規模の大きさからいたしまして、道路特定財源の取り扱いというものが、今後財政構造改革の中の大きな焦点であることは間違いないだろうと思っております。この改革の方向と、経済産業省所管のエネルギー関係の特別会計、目的税の体系もございますので、そことも連動してまいります。

 そこで、まず、道路特定財源については、大臣は、最近、五月二十二日の記者との質疑応答におきまして、こういうふうに言われていますね。

 いろいろ抵抗があると思いますけれども、やはりそういう時期に来たのかな、そういうふうに思います、こういうことでございます。その前段には、総理が、参議院選挙前までには明確に道路特定財源の使途については限定を設けないできちっとする、こういうふうにはっきり明言されましたというふうにおっしゃって、今の言葉に続くわけでございます。

 そうしますと、使途を見直すということなんでしょうか。

平沼国務大臣 小泉総理は、いわゆる聖域なき構造改革、こういうふうに言っておられます。そういう中で、道路に対する特定財源、これは予算委員会の中でも小泉総理は明言をされて、いろいろ抵抗はあるだろうけれども、自分はこれは参議院選挙の前までには一つの姿を出したい、こういうふうに言われております。

 そういう中で、私はまだ具体的なことはお伺いしておりませんけれども、その特定財源のもちろん使途を含めて考えられている、このように私は理解をしております。

北橋委員 使途を見直すということについては、これまでも、エネルギーの特別会計でも道路特会でもやってきているんですね。ですから、今は道路をつくるだけではなしに、大都会において都市再開発をやる、そこもやはり道路がかかわるということで、かなり都市基盤の整備にも使途を拡大してきておりますし、そして、電源開発促進税一つとりましても、エネルギー情勢の不断の見直しに伴って、政策路線の修正に伴ってその使途については常に見直してきているわけです。

 これぐらいだったら今までやってきているわけですし、いわゆる量的な改革というのでしょうか、本当に質的に聖域なき構造改革、あらゆる抵抗勢力とも戦いながらと大上段に振りかぶって言われるほどのことではないわけであります。そういった意味では、道路特定財源にしても、あるいは目的税、ほかのものにしましても、一般財源まで踏み込むというぐらいの決意がなければ、あの大号令というものとの間に非常に落差を感じてしまうわけですね。

 今のお話では、平沼大臣の認識としましては、使途を見直すということに力点を置いて理解をされているようでございますが、それならば、経済産業省所管の特別会計、目的税についても、これはかなり、微修正というのでしょうか、それで済むと思うんですけれども、そのレベルではないような気がいたします。小泉さんはもっともっと大きなことを、大改革を目指していらっしゃるのではないかと思うんです。そういった一般財源化も含めた思い切ったメスを入れることを総理は考えていらっしゃるのではないかと我々は期待をしたい。というのは、民主党の一つの改革の方向でもありますし。

 そういった意味で、そこら辺について御見解を聞かせていただければと思います。

平沼国務大臣 私は、閣議後の記者会見で使途という形で表現をさせていただいて、そして、参議院選挙までには一つの姿を出すのではなかろうか、こういう形で記者会見でお答えをしたところであります。

 したがいまして、まだ実は党の方でも、きのうの総務会の中でも議論百出した、このような状況もあります。したがいまして、小泉総理は、聖域なき改革をする、そして改革断行内閣だ、こういうふうに言っておられますから、今御指摘の点も含めて考えられているのではないかと私も拝察はいたしますけれども、ただ、このことは党もあることでございますし、まだ具体的な内容ということも私承っておりませんので、私自身は、まだそこを明確にお答えする、そういう段階ではないと思っております。

 いずれにいたしましても、小泉総理は大変な決意で、そしてこの改革をやっていくんだ、こういうことでございますから、相当踏み込んだ形でおやりになる、こういう意思は持っておられるのではないか、今お答えできる段階はこの程度でございます。

北橋委員 プライマリーバランスをとるまでの間国民には痛みというものが伴う、これは大変厳しい改革の一面を持っております。

 したがいまして、目的税にはやはり、自動車のユーザーに対して道路をつくる、そういう目的があって負担を制度化してきた経緯がありますから、そういった意味で、納税者の気持ちといいますか、税を導入した経緯を無視した一般財源化というのは、私は基本的にこれは問題があると思っております。

 ただ、財政再建期間、明確な目標を定めて暫定的に、できるだけ規模なり歳出内容を見直して一般会計のプライマリーバランスをとることに貢献するという方向は、そういった意味での一般財源化を一部暫定的に考えるということは、これは主要なこれからの議題の一つになるだろうと考えております。

 今の御答弁でわかったことは、聖域なき構造改革を言われている総理は、道路特定財源について具体的な中身は示されていない、平沼大臣もまだ真意ははかりかねているというか見守っている段階、そういうことがわかりました。

 それでは、そういう状況ですから、余り聞いても方向が出ないのかもしれませんが、これから次年度の予算編成に向けていろいろな議論が始まります。電源開発促進税なり石油にかかっている税金なり、かなり大きな巨額の特別会計が経済産業省にございます。道路特定財源の問題と並行して議論が進むと思いますが、一つの見直し方向について所見がおありでしょうか。

平沼国務大臣 まだ総理自身からは、当省関係にかかわる、いわゆる特別会計に関しては具体的な御指示はありません。

 ただ、基本的な考え方として、やはり二十一世紀というのは環境の時代、環境をいかに克服するか、そういう形ですから、グリーン化という形で新たな視点でやっていく必要がある、そういうふうに私は思っております。

 まだ具体的に御指示はいただいておりませんけれども、私どもとしては基本的に、今の石油の特別会計とかそういうものに関しては、そういった概念も盛り込んで、やはり時代に対応して新しい使途というものをつくっていかなきゃいけない、そういうような基本的な考え方は今持っております。

北橋委員 これから参議院選挙が近づいてまいりまして、その選挙前までに先ほどの道路の特定財源のあり方についても結論を得るように総理は指示されているようでございます。となりますと、同じような目的税、特別会計を持った制度が経済産業省にございますので、それに準じた方向で改革されるんだろう、このように私は思います。

 今の大臣のお話を聞いておりますと、本来目的税を導入したときの経緯というものは今後とも大事にされるんでしょうか。そして、これからエネルギー政策の中身を検討して、今エネ庁の審議会でも鋭意検討されておりますので、そういう方向で、いわゆる使途を見直すということで、目的税並びに特別会計の仕組みは基本的に残すというふうに考えていらっしゃると理解してよろしいんでしょうか。

平沼国務大臣 それは、委員も先ほど言われましたように、そういう目的でつくられたものですから、目的の基本というものはやはり守っていかなきゃいけない。しかし、その中で、やはり時代に即応して、やはりいろいろな形で使途というものは変化をしますから、そういう中で何が適切かということをよく考えながらその運用をすべきだ。

 ですから、やはりそういう目的でできている税制の基本というのはそのまま変えないでいい、私はこういう認識を持っております。

北橋委員 次の問題に行く前に、もう一度繰り返すようで恐縮なんですが、道路特定財源の問題に対して平沼大臣が、先ほど私が申し上げたように、いろいろ抵抗があると思いますけれども、やはりそういう時期に来たのかな、そういうふうに思いますとお答えになっているんですが、これはどう考えても使途の見直しにとどまるものではないと思うんです。政治家の見識として、使途の見直しを超えるものがやはり必要だ、そういうときに来たんだ、このように認識されているんでしょうか。

平沼国務大臣 総理の非常に強いそういう決意の表明でございましたから、やはりいろいろ抵抗はあるであろうけれども、やはりあの強い決意の中では、使途ということを考えたときに相当踏み込んだ形になるのかな、そういう段階まで来たのかな、そういう感想を申し上げたわけでありまして、相当総理も強い決意でこれに臨んでおられる、そのことを私は肌で感じましたからそういう返答になったわけでございます。

北橋委員 昔から政府税調の幹部が、総合交通体系ということで総合交通税にしてはどうか、陸海空、それぞれの地域に一番マッチした交通体系網をつくる、そういうふうに道路の膨大な財源を使途を柔軟にして使えるようにしたらどうかという議論があったわけでございますが、何となくそういうことをお考えになっているのかなという感じもいたしました。

 これは、総理が聖域なき構造改革、財政構造改革と言われましたので、その具体的な今後の中身をめぐりまして、また別の機会に議論を重ねさせていただきたいと思っております。

 さて、きょうの大臣の所信の中にも通商について触れられたところがございます。その中で、戦略的な対外経済政策を推進する必要がある、そして、日米間の新たな経済対話の枠組みの具体化だとか、短い文章ではございますけれども非常に通商政策が今大事であるという御認識をお持ちだと思います。

 そこで、今セーフガードの問題をめぐりまして、繊維が、タオル工業会の方からこの発動の要請があって調査をされているわけでございますが、農産物については大変短い期間の間に、被害ありと認定をされて、暫定的な発動を決定されて今日に至っております。

 これに対しては当然相手国の中国との関係についても非常に問題があるだろう、場合によってはどういう形で報復措置がとられるのかということも注目されているし、木箱検疫の強化がそれに当たるのかどうかも議論があるところであります。

 同時にアメリカの方からも、USTRの報告書の中で、ブッシュ政権にかわって対日戦略がより柔軟になるんではないかというふうに私も期待しておりましたけれども、大変厳しい、名指しで、今やっている日本政府のセーフガードの政策、そして今後さらに品目が広がっていくことなどについての不満といいますか懸念が明確に表明されてきておりまして、重要な政治課題になっております。

 セーフガードの問題については、農産物ですから直接の所管ではございませんが、その決定に当たりましては財務大臣と御一緒に合い議にかかわっておられます。まず、木箱検疫の強化というのは、報復に当たるのかどうかについてはまだ今は何とも言えない、つまり、向こうの方から報復だと言ってきていないことは事実のようでございますが、中国の現地新聞によりますと、これは容認できない日本の措置に対する報復であるかのような、そう受け取れるような記事もあるようでございます。

 現時点においては調査もされてきておりますので、この中国の今回とった木箱検疫の強化というのはやはり報復の第一弾に当たるのではないかという関係者の疑問に対してはどのようにお答えになるでしょうか。

松田副大臣 御指摘の実態調査は、先般、三百四十一社に対してアンケートを行いまして、最近の中国の、おっしゃる検疫強化による影響について緊急に調査を行ったものでございます。

 その結果、およそ一割に当たる三十四社から回答がございまして、そのうち、検疫強化が行われた四月以降に影響があったとする社が六社でございました。また、規定に従って手続を行っているため問題は生じていない、そういう回答も寄せられているところであります。このように、検疫強化による影響を受けたとする企業は出ておりますが、相対的に見ますと、現在のところでは平穏に推移しているものと見られます。

 いずれにいたしましても、強化措置がとられてから日もまだ浅うございますし、影響の有無、度合い、いましばらく私どもとしても注意深く見守っているところでございます。現時点でこれを、今おっしゃいますように報復措置の第一弾というふうには考えておりません。

北橋委員 しばらく見守るということですから注目をしたいと思いますが、アメリカ側から、今後セーフガードの申請の品目がどんどん広がっていくんではないかということを懸念すると具体的に言ってきているんです。

 現に農林水産省はことしの四月に、緊急時の情報収集モニタリング体制をとって、今回の三品目に加えて、トマト、ピーマン、タマネギ、木材、ワカメ、ウナギ、これを緊急監視対象品目とするというふうにしております。

 具体的にアメリカの方からも、この農産物についてはかなり日本に市場を持っている、輸出しているものもありますので、これは日米間の新たな火種になりかねない。今後品目がどんどん広がっていきかねない。海外から、中国はもとよりでございますがアメリカからも。日本は自由貿易主義の一番恩恵を受けている国だけに、我々は明確に説明をする義務があるんですが、それにしましても品目の拡大については大変懸念されるところでありますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

平沼国務大臣 御指摘のように、我が国は自由貿易の恩恵を最大限享受している国であります。しかし、今回の野菜三品目に対するいわゆる関税割り当て、こういう措置に関しましては、やはり構造改革を前提とした中で緊急避難的に、大変著しい被害が起こったときの、WTOの一つのルールの中で決定をしたそういう措置でございます。そういう中で、私どもとしては、国内の法規そしてWTOのルールにのっとって厳正中立な判断で行ったわけであります。

 ですから、私どもとしては、その他いろいろ品目もそれぞれ出てきつつあるわけでありますけれども、それに対しては今言った基本的な考え方の中で、ルールにのっとって厳正公正に判断をしていかなきゃいけない。

 繰り返しになりますが、やはり我が国というのは世界の自由貿易の恩恵を最大限享受している国でございますから、そういう中でいたずらに他国に誤解を与えるようなことは避けるべきだと思いますけれども、しかし、壊滅的な打撃が与えられているというようなことが立証できれば、それはルールにのっとって私は粛々とやるべきことだ、こう思っております。

 いずれにいたしましても、幾つか出てきていることに関しましても、そのような観点の中で厳正中立、そしてしっかりと調査を行っていきたい、このように思っています。

北橋委員 その大臣の基本的な方針については随所で表明されておりますので承知しているんですが、やはり自由貿易主義をめぐってかなり我が国は転換期に差しかかっているんではないかと思いますね。

 そして、アメリカがまた具体的にセーフガード、こういう問題をついてきたときに、大臣は会見の中で、アメリカもアンチダンピングをどんどんやっているじゃないか、こういう話なんですが、あの不思議な保護主義的なアメリカ合衆国と同じレベルに合わす必要はないわけでございまして、資源のない国がここまで経済発展を遂げたというのはやはり自由貿易の大きな枠組みがあったからであります。

 これがたまたま中国との間においてセーフガードの問題で大きな課題が投げかけられているわけなんですが、私はやはり、これ以上の品目の拡大は大きな政治問題になるんではないか、そういうふうに思うんですね。

 例えば、また田中外務大臣のお話を出して恐縮なんですが、やはりはっきりと外務大臣はおっしゃっておられますね。中国からの輸入制限の問題も、日本の業界が全部つぶれるのか、常にこういう問題は他国とも起こる可能性がある、経済活性化の知恵とか転作とか多角的に考えないといけない、こういうコメントが四月二十九日に報道されております。これは、私は民主党と同じだというふうには申し上げませんが、一つの確かな御見識だと思っております。

 今問われているのは、三品目について、繊維については今、日中間でいろいろとお話をされていると思います、調査もされていると思いますが、これ以上の拡大についてはやはり政治的な決断として、他国にこれ以上、日本は自由貿易主義なのにどうしてこういうことをするのかと具体的に突きつけられている中で、いたずらに、我々は原則にのっとってやっているんだということだけで関係各国の理解が得られるんだろうか、ほかの品目にどんどん広がることについてはやはり慎重に、歯どめをかけるというんでしょうか、そういう時期に来ているのではないかなという気がいたしますが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 繰り返しになりますけれども、日本は自由貿易体制の中で一番その恩恵を受けている国であるということは、私はそのとおりだと思っています。さはさりながら、やはりまじめに業をなさっていて、そして一生懸命やっている方々が不当な不利益をこうむって、一方においては危殆に瀕して悲鳴を上げている、こういう現状もあることは事実であります。

 したがって、御指摘のそういう基本原則というものは、自由貿易で最大限恩恵を受けている国としてはしっかりと踏まえる必要がありますけれども、しかし、やはり国内で一生懸命やっておられて、非常に厳しい目に遭っておられる、そういう方々が不当な不利益をこうむって壊滅的な打撃を受けるというような実情があれば、これはあくまでもルール上の問題でありますけれども、ルールにのっとって粛々と厳正中立に判断をする、そのことは、ルール上の問題ですから国際的にそれほど非難される問題ではない、私はそういうふうに思っております。

 やはり基本というのは大事にしなければいけませんけれども、しかし一方においては、そういう苦しい目に遭っておられる方々の実情も冷静、客観的に判断をしながら、ルールにのっとって判断をしていく、これを基本姿勢にしていきたい、このように私は思っています。

北橋委員 所信でも、日米間の新たな経済対話の枠組みを具体化するということでございますが、アメリカからUSTRの公式文書の中で名指しで批判をされていることでもございますので、再検討していただければと思っております。

 時間が限られておりますが、アメリカのお話をさっき出しましたが、この国は、アンチダンピングの乱用はもとよりでございますけれども、極めて保護主義的な国でございまして、強い競争力を持った自分の産業については海外に市場開放を迫るというところがございます。かつて、牛肉で、日本に対しては市場開放を迫りながら、オーストラリア等からの安い加工用牛肉については輸入制限をした。その制限をしながら日本に対し市場開放を迫る、そういった理不尽な通商政策も間々目立つところでございます。

 もう一つ、この例として、最近、鉄鋼貿易問題につきまして大臣にも御尽力いただきました。そして、WTOのパネルで熱延鋼板のアンチダンピング問題の最終報告が出されまして、全面勝訴ではございませんけれども、内容的には日本にとって評価できるものになっておりました。これによってアメリカの保護主義的な動きが鎮静化するのではないかと私も期待しておりましたけれども、事実は全く逆でございまして、最近では冷延鋼板について、また、アンチダンピングの再提訴や米国通商法二〇一条によるセーフガード、緊急輸入制限措置の発動に向けた動きが見られるということであります。

 そういった意味で、やはりアメリカにも保護主義への回帰がまた一層強まるという一面がございますが、政府としては、日米対話の中でアメリカ政府のこういった動向に対して、今たまたま私は鉄鋼の業種を取り上げましたけれども、どのように対応して、具体的な成果をどのようにおさめようとしているのか、質問させていただきます。

松田副大臣 米国の鉄鋼の緊急輸入制限措置の動きについての御質問でございますが、御指摘のとおり、アメリカにおきます鉄鋼業が抱える本質的な問題は、米国鉄鋼業自身の競争力の低下にあるものと認識しております。この問題の解決を図ることなく安易に保護主義的措置を講じることは、世界の鉄鋼市場に著しい混乱を惹起する懸念があります。そのため、その旨を米国に対しましては繰り返し申し上げているところでございます。

 現在、米国内におきまして、国内鉄鋼業の救済措置の内容やリストラ策についてさまざまな議論がなされております。政府といたしましては、米国政府が自国の鉄鋼産業が抱える問題点、状況を正しく理解していただいて、前向きな取り組みがなされるよう引き続き力強くお話を申し上げるとともに、その動向を注視してまいりたいと思っております。

 いずれにしても、日米二国間の対話あるいはOECDでの鉄鋼委員会等、あらゆる機会をとらえまして、今申しました基本的な考え方でしっかり働きかけを続けていきたいと思っております。

北橋委員 時間が参りましたので終わりますが、このセーフガード、通商問題については、経済産業省所管の審議会におきましても、やはり消費者の利益というものも大事だと。問題は、相反するものではなくて、両方とも大事だと思うんですね。

 そういった意味で、ぜひとも内外に、日本が保護主義にどんどん後退をしているのではないか、こういう印象を持たれることはいろいろな意味で非常に弊害があると思いますので、基本的には、自由貿易主義の旗を高く掲げてこの問題を処理していただくように希望を申し上げたいと思っております。終わります。

山本委員長 中山義活君。

中山(義)委員 ただいま北橋委員よりいろいろ質問がありまして、その中で感じることが幾つかありました。政府の示しているこれからの国家像というものが、自由主義経済、つまり、規制緩和や自由主義を徹底してやっていく、そういう考え方なのか、これからの少子高齢化に向かって新たな社会づくりをしているのか、その辺が見えてこないわけですね。

 私は、実は、NHKで平沼大臣が出ている番組をいろいろ見てまいりました。そのときにも、閣僚の間で若干意見が違う。竹中平蔵さんなんかは、徹底した規制緩和と、そして自由主義経済というものを標榜している。その中では、当然、セーフガード、こういうものについてもやるべきではないという論議もされておりました。

 一九四九年に商工省から通産省になったわけで、五月二十五日ですから、あしたかあさって誕生日だと思うんですね。やはり一番の通産省の筋というのは、貿易を主体とした、そのために日本の生産力を高めて、少しでも安い石油を買う、少しでも安い鉄鉱石を買う、ボーキサイトを買う、そうやって各国から一番安いものを買って製品をつくってよその国へ売っていた、これで日本の国がずっと営々と築き上げられてきた、これが通産省の歴史だと思うんですね。

 そういう面では、経済産業省になって初めてセーフガードという問題が出てきた。これは、ある意味では、世の中が変わってきたという一つの判断をしなければいけない時期に来ているわけですね。つまり、日本の国がこれからどういう国になっていくのか。そういう面では、このセーフガードも一つのきっかけになるんじゃないか、このように思うんです。今までの、とにかく安い資源を買って貿易をしていく、そういうことだけではやっていけない、こういう意味合いがあると思うんですね。そういう面で、今回の構造改革にしても何にしても、何か国家ビジョンというものが全然見えてこないんですね。それで、急にセーフガードになってくると、今までの日本の行き方と全然違うじゃないかと。

 ここにもし視点があるならば、日本の国も今までとは違うんだよ、今までの成長だけを考えた国家ではなくて、そろそろ違う方向に行くのかなという考えもあるんですが、その辺を含めて、セーフガードというのは、閣僚の中でいろいろな意見がありました、どういう考え方でやるのか、もう一度理念を示していただきたいと思います。

平沼国務大臣 先生御指摘のように、日本というのは、昭和二十四年に通商産業省が当時の商工省から変わって、そしてあの戦後の荒廃の中から、やはり貿易を盛んにして産業を興そう、そういう中で一生懸命努力をしてきました。そして、自由主義貿易体制の恩恵を一番受けている国、これはもう間違いのないことであります。そういう中で、私もNHKの討論番組に出させていただきまして、非常に自由主義貿易を標榜する経済評論家とちょっと意見の対立があったりしました。

 私は、基本的には、自由貿易体制を守っていく、このことは日本にとっては絶対必要なことでございますから、そういう意味からも、やはりWTOの新ラウンドの早期立ち上げ、そういったことにも非常に今前向きに努力をしているところであります。

 さはさりながら、やはり日本の経済の現状を見ますと、日本の経済というのは、世界のGDPの一五%を占めるような経済大国になっておりますけれども、企業の数で九九・七%を占めるのが中小企業、そういうように零細企業が多いわけであります。そういう企業というものが、やはり非常に厳しい目に遭っていることも事実であるわけでありまして、本当に危殆に瀕するような状況になっている。

 そういうところに対しては、やはりWTOの中にもそういうルールがあるわけですから、やはりそれは、厳正中立に評価をして判断をしなければいけませんが、そのルールにのっとってやることは全体の流れを阻害するものではない。あくまでも限定的に、原則というものはしっかりと守っていかなきゃいけないけれども、全部そういうものも捨象してしまって、そして困っている方々を全部切り捨ててもいいのかどうか。少し構造改善をしながら、そしてあくまでもこれは構造改善をする一時的な、緊急避難的な措置でありますから、そういうチャンスをお与えして、そして努力をしていただく、そのことも私は、日本の経済の中で、措置として必要なことなんじゃないか。

 そういう形で、NHKの討論の中で少し対立的な意見がありましたけれども、私は何も保護主義になろうとかそういうことでなくて、そういう一連の中で、必要最小限のことで、そして国際的な摩擦を惹起しない範囲の中で、ルールにのっとってやるべきことはやるべきじゃないか。

 今回、野菜の三品目に関しましては、農水省それから財務省の見解が、これはやはりやむを得ないなという中で、いわゆる関税割り当てという形で、過去三年間ぐらいのデータをもって、相手側にも御迷惑をおかけしないような形の中で措置をとらせていただきました。

 また、さらに言わせていただきますと、今タオル業界からもそういう形で来ております。工業会から、非常に今厳しい状況である、こういうことで、今調査段階でございますけれども、これもしっかりと調査をしながら、しかし自由貿易体制の恩恵を受けている国であるということは常に基本に置きながら、この国の経済が全体的に、本当に不当に困る人がないような形でうまく運営できないかと私は心を砕いているわけでございます。

 そういう形で、大きく変化をさせる、変更をする、こういうことではないということを御理解いただければというふうに思っています。

中山(義)委員 どちらにしても、国家ビジョンというのが余り見えないものですから。これから、市場主義を徹底してやっていくのか、それとも若干国民負担があっても福祉とかそういうものをやっていくのか、こんな国家ビジョンだというものが今なかなか見えにくい状況なんですね。私ども、いろいろ言っても、総理大臣が、いやいやまだ始まったばかりだからというので、国家ビジョンが見えにくい。

 どういうことでこういうことが起きているのか。やはり貿易というものを一番大きな日本の産業の支えにしてきて、貿易があるから国内の産業が伸びてきた、これはもう事実ですからね。ある意味では、セーフガードというのは経産省にとって屈辱的なことかもしれないんですね。そういう面で、世の中が変わったという意識で、ここから何を始めるかという一つの起点にしてもらいたいと思うのですね。

 例えばネギだって、おそば屋さんに行きますと、中国のネギはどうしても筋がついちゃってなかなかかみ切れないとか、日本のネギはやわらかいとか、いろいろあるわけですよ。ネギだってブランドがあると思うのですよ。でしたら、国内のネギと外国のネギ、ちゃんとブランドで分けるとか。私は築地が自分の選挙区です。サバでも、関サバなんかだと三千五百円なんだけれども、普通のサバだと三匹で四百円ぐらいですよ。そうやって、同じ魚だってブランドがあるわけですよ。

 ですから、知恵を絞って、やはり国内産のネギはうまいとか、国内産のブランドとか、そういうことも含めて考えていって、本当にネギをつくっている人たちが生き返るような方法論を考えないと、このセーフガードが、結局はただ苦しいものを先送りしたというだけに終わってしまう。これは、日本の社会ではこれからいつも起こり得ることなんですね。だから、時代が変わったということを少し認識しながら、セーフガードというのは、これから経済産業省が何をやっていくかということをしっかりある意味では考えなきゃいけない問題だと思うんです。

 それと、私ども、そのテレビを見ていて、平沼大臣は、むしろ中小企業の守護神としてしっかり踏みとどまっていろいろやってくれていると思うんですよ。ところが一方、構造改革を唱える人たちは、簡単に、直接償却であるとか最終処理とか、ばんばんやるようなことを言っているわけですね。それが本当にいい方向に行くのかどうか。

 結局は、今までのゼネコンだとか銀行がいろいろなことをやってきて、今のこういうような状況をつくってきて、または政治家も、もちろん我々もそうでしょうけれども、そういう人たちがいろいろなことをやってきて失敗してきたわけですよ。多少の痛みはやはり分かち合ってとは言っているけれども、その最終的な一番の痛みが全部中小企業に来るような気がするんですね。

 そういう面で、直接償却または最終処理というものについて、中小企業がどの程度の影響を受けるのか、そういうシミュレーションはしているでしょうか。

平沼国務大臣 バブルが崩壊をいたしまして、そして、この十年は失われた十年、こういうふうに言われています。そういう中で、むしろ今までは、景気を浮揚するために政府がお金をつぎ込んで、そしていろいろな形でインセンティブを与えてまいりましたけれども、どうしても最終的に、GDPの六〇%を占めるいわゆる民間の消費というものが立ち上がらない。経済成長率もGDPもみんな低迷をしている。

 そういう中で、やはりこれは避けて通れないということが、先生よく御承知のように、一つは金融サイドにある不良資産であり、また産業サイドが持っている不良債務。こういった問題がやはり避けて通れないということで、今度の緊急経済対策の中でも、不良債権、不良債務処理をやはりやっていこう、こういう形に相なりました。

 そういう中で、やはり産業サイドの不良債務を処理していくに当たっては、やはりこれはどうしても大きな痛みが伴う。もちろん、金融サイドの不良債権の処理に当たっても、一生懸命やっている方々が、結局取引先がつぶれてしまった、そこに債権を持っている人たちは、それがとれないというようなことで、連鎖的に大変不当な形になる。そういう形で、不良債権のオフバランス化に伴って、中小企業というのは直接、間接に非常に大きな影響を受けると思います。

 ただ、その実態がどうなっているかということに関しましては、なかなかしっかりしたデータがまだ細かくはありません。大ざっぱに言えることは、金融機関、銀行の中小企業向けの融資残高というのが、これは平成十二年の九月末でございますけれども、中小企業向けには二百三十五兆二千億、これだけ融資残高があるわけです。銀行の総貸付残高というのが四百五十六兆でございますから、これは何と、その五一・六%が中小企業向けである。

 こういうことがございますので、間接的な影響として関連中小企業が連鎖倒産の危険など、経営の安定に不測の事態、そういう支障が起きないように、私どもとしては、やはりセーフティーネットを構築しなきゃいけない。大変御協力をいただいた特別保証制度も三月末に一応やめました。したがって、新たな金融面でのセーフティーネットを構築しなきゃいけないという形で、今具体的には、倒産企業に売掛金債権などを有する連鎖倒産防止方策としては、政府系金融機関による運転資金の別枠化をやるとか、それから中小企業信用保険の別枠化もして、八千万円を一億六千万円に引き上げる、こういうようなこと、それから中小企業倒産防止共済に加入している中小企業については無担保、無保証で貸し付けをする、こういうことでもろもろやっているわけであります。

 ですから、そういう中で、実態的には、データ的には、まだはっきりしたことはありませんけれども、大きくそれだけの残高があり、そして、そういう形でこれを進めていくと、間接直接、相当大きな影響が出てきますから、万全なセーフティーネットを張ろう、こういう形で今一生懸命に私どもは手当てをしているわけでございまして、金融庁とも協力をしながらやらせていただいております。

 さらには、委員御承知のように、産業再生法というものを、四月二十七日に省令と告示を改正して、あくまでも民と民がそれでうまくやっていただかなきゃいけませんけれども、我々としては、でき得る限り手助けをして、きめ細かく対応して、日本の経済が今抱えている問題解決のために、中小企業の皆様方が不当な不利益をこうむらないように、全省を挙げて頑張らせていただいている、こういうことでございます。

中山(義)委員 今のお話、大臣がいろいろほかの閣僚と話をしていて、非常に中小企業のことを思っていると、私どももテレビを見ていてよくわかりました。

 ただ、いわゆる国民に痛みを強制するような構造改革であるとか最終処理であるとか、こういうことも、その企業が、自分の企業が債務が多くて、この会社はこれからやっていけない、最終的にそういうような判断をするのはどこなのか、すごく心配なわけですよ。銀行さんがやるのか、それともそういうのを第三者機関が見てやるのか。大企業はいわゆる債権放棄をしてもらって、その基準は、今、全銀協やもちろん経団連とかいろいろ、どこがやるかやっているんでしょうけれども、最終的に、中小企業、本当に年商で二億とか三億、または一億以下とか、こういうところは銀行さんが決めちゃうんだと思うんですよ。

 そのときに、私たちがすごく怖いのは、今、我々中小企業者は、みんな個人保証で銀行にお金を借りているわけですね。だから、三万人の自殺者が毎年いるといっても、このうち個人経営者というのがすごく多いわけですよ。しかも、その個人保証という保証制度で最後にいじめられるのは、中小企業の人たちだ。先ほど大臣が言ったように、みんな真っ当に商売をやっているんですよ、一生懸命、毎日毎日。

 ところが、金融経済というものは、瞬時にしてアメリカから日本まで十億ドルとかぽんぽん動いてみたり、我々のわからないところでとんでもないことが行われたり、または、竹中平蔵さんが、一兆円の償却をすれば数千人から一万人ぐらいの失業者が出るなんて簡単に言うわけですよ。

 むしろセーフティーネットこそ先にあって、こういうものをやるから痛みに耐えてくれというならわかるけれども、痛みは当たり前だみたいな言い方をされたのでは、最後に来るのはいつも、庶民だとか下町の中小企業者とかそういう人たちなんですね。私は、そういう面でのセーフティーネットというのがよくわからないし、金融関係をどうセーブしていくかも、やはり経済産業省の大変な役目だと思うんですね。

 今までは、特別保証三十兆円のああいうものがあった。これが期限が切れて、今度八千万円にはなったけれども、特別保証じゃないということで、皆さん非常に不安がっているわけですよ。

 この辺のセーフティーネットというものに対してやはり安心感を与えないと、店を直そうと思っても直さないし、今まで、我々中小企業の考え方からいくと、大体が店を直したりするために借りますね、つまり資本なんですよ。資本として借りちゃっているから、運転資金やなんかじゃないから、結果的にはなかなか返せないんですね。

 だから、金利を返す、金利だけ払う、または借りかえる、こういうことが中小企業でやってきたことなんですね。つまり金利だけ払っている。いや、三年間金利だけしか払っていないから、おたくの会社はだめだ、もう借りかえさせないとか、返済を迫るとか、こういうことになったら、いわゆる貸し渋りどころじゃなくて、貸しはがしというのが出てくると思うんですよね。

 そういう面で、最終処理、それから直接償却、この言葉に下町の庶民はおびえているということを考えていただきたいんですが、その辺、大臣にもう一度答弁をお願いします。

平沼国務大臣 確かに委員御指摘のように、本当に、二億、三億、そういう規模で業をなさっている中小企業の皆さん方が貸し渋り等で非常に厳しい状況になっている。そういう中で、ちょうど平成十年でございましたけれども、未曾有の貸し渋りが起こって、これは一般の金融機関であったら、もう本当に苛斂誅求、そういったところに手助けしない、それはやはり国が乗り出さなきゃいけない、こういう観点から特別保証制度をつくらせていただきました。

 これは、本当に議員の先生方も応援をしていただいて、二十兆から始まったものを十兆上乗せしてやりました。これは結果的に、ことしの三月三十一日に締めましたら、まだ継続している部分もありますけれども、中小企業が五百万社ある中で百八十万を超える御利用をいただき、保証も二十九兆になんなんとする、そういう特別保証もさせていただいて、これが非常に大きな効果があったと私は思っています。

 それから、やはり、日銀がいわゆる金融緩和をしてマネーサプライをふやしたと言っていますけれども、実は銀行までは行っていますけれども、そこから下に行っていないわけです。そういう中で、今、貸しはがしというようなこともありましたけれども、私はそういう事態も認識をしています。

 そういう中で、やはりきめ細かく対処していくのには、経済産業省の中に中小企業庁というのを特別に設けておりまして、そして全国にいわゆる経済産業局という出先もあります。この前も三十七都道府県に向かって調査をして、実態をよく聞きまして、そして皆様方のそういう今の現状というものを我々しっかり把握させていただく。そういう中で、先ほどちょっと答弁で申し上げましたけれども、セーフティーネット、今こういうものがあるぞということをしっかりPRしなきゃいけませんから、そういうことも全国の我々の出先を通じてきめ細かく対応して、そしてまた御相談も受ける、そういう中で私はやっていきたい。

 それからまた、一つは、担保主義、土地担保というのがやはり日本の融資の場合には非常に大きな比重を占めていましたけれども、少なくとも政府系金融機関においては、そういうことよりもむしろ、今赤字が出ていても、その経営者のいわゆる姿勢だとか業態だとか、そういったところに着目をしながらきめ細かく我々はやっていく。

 そういうことを我々はやっていかなければ、今御指摘のように、不良資産、不良債権を処理していくに当たって、皆さん方は今非常に不安に思っておられると思います。そこを、セーフティーネット、こういうことをやっていますよということをきちっとPRし、そして皆様方に御理解をいただき、でき得る限り我々は対応していく、この姿勢が大切だと思いますので、私どももしっかりとやらせていただきたい、こう思っています。

中山(義)委員 これは要望でございます。中小企業の人たちは、特に小企業ですよ、そういう人たちは、おやじさんが、要するに個人保証で、最後は身ぐるみはがされちゃって、うっかりすれば命までとられちゃう、そういう中で苦労しているわけですね。ですから、本業を一生懸命やっているところは何とか救ってやりたい、我々はいつもそう思うわけですね。それは、金融庁よりもむしろ経済産業省がしっかりその庶民を支えていただきたい、これは大臣に本当にお願いをしたいところなんです。

 しかも、中小企業は、今言ったように身ぐるみはがされたり命までとられる。しかし大企業は、債権放棄でぬくぬくと残ったり、または全然法的な罪も何にも受けないような人がうんといるわけですよ。これは銀行だってそうですよ。政治家だってそうだと思うんですね。

 そういう面では、本当に不公平感のないような形でこれを終わらせないと、あの最終処理というのは何だったのか、結局は国民に痛みを負わせただけじゃないかということになりかねない。ということで、本当に公平感のある構造改革というものをやってもらいたいし、やはりそういうビジョンをちゃんと早く政府は示してもらいたい、このように思うわけでございます。

 中小企業の守護神として大臣がしっかりやっていただかないと、この最終処理とか直接償却というのはすごく私どもは恐ろしいような気がするんです。特にお金をとめられたらおしまいだという中小企業はうんとありますので、自殺者がふえるなどということが絶対ないようにひとつお願いいたします。要望いたします。

 最近の新聞記事に、遺伝子産業のスパイ事件がありましたね。

 これは、私ども、実は、今いらっしゃる古屋副大臣が委員長のころに海外にも視察に行きまして、WIPOですか行きまして、特許というものに関する物の考え方であるとか、それから知的財産権について、日本の常識が外国の常識、外国の常識が日本の常識になるためにはどうしたらいいのか、こんな話し合いもしてきたところなんです。

 今回の問題、この産業スパイ、これは一つは、経済産業省にまだかかわらない、いわゆるこれは文部省だとかまたは農林省だとか、いや、これは違う、これは厚生省だとか、こういうふうにやっています。やはり、こういう問題が今回初めて出ましたけれども、これに類するような問題はどんどん出てくると思いますよ。

 そういう面で、経済産業省の方で、本当は知的財産権に関しては窓口を一つに統一して、もちろん裁判外の調停まで含めてやはりやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 中山委員御指摘のとおり、二十一世紀は知恵の時代、知的財産権、この重要性というのが極めて大切だと思っております。特に目に見えない財、これからは恐らく目に見えない財をめぐる世界各国の争いというものが一層熾烈をきわめてくると思います。そういった意味で、知恵の時代と呼ばれる今日において、知的財産権というのは、国富の源泉として一層重要性を増していると思います。そういった認識の中で、我が省としても、知的財産権の保護、その政策について積極的に推進をいたしております。

 御承知のとおり、いわゆる知的創造サイクル、こういうものの構築を目指して、例えば今御指摘があったような、損害賠償制度を見直していく。あるいは、先日私は特許庁を視察してきたんですが、この特許庁のシステムは電子政府を一番先取りしておりまして、四千四百万件の特許あるいは世界の商標権等々を一括管理いたしておりまして、コンピューターですぐそれがチェックできます。また、申請もすべて、九九%電子化をされております。これはもうアメリカよりもかなり進んでおります。

 問題は、そういった特許権あるいはそういう知的財産権のいろいろな不服審査があったときに、これをいかに効果的に、そしてまた短期的に紛争の解決をしていくか、こういう問題があろうと思います。我々も、こういった観点の早期化、早く解決をするために全力を尽くしていきたいと思っております。

 また、大学等技術移転促進法によりまして、技術移転政策の展開であるとか、あるいは他者に提供する用意がある特許情報、既に三万七千件ぐらいのデータベースがあるわけでありますが、こういった知的財産の活用を促進していく政策に積極的に取り組んでいきたい、こんなふうに思っておるわけであります。

中山(義)委員 今のお話のとおり、いろいろ特許庁は一生懸命やっているということですが、私どもも、これから、農水省の所管であるとか、または厚生省の所管であるとか、または文部省の所管であるとか、特に著作権なんかは文化庁でやっておるわけですが、こういうものをやはり統合してやっていかなきゃいけない時期に来ているんじゃないかと思うんですね。

 ヤング・レポートなんかを見ていても、やはり知的財産権ということを最大の武器にして、一九九〇年代なんてキルビー特許かなんかで日本はいろいろな意味で相当訴えられて、企業がいろいろ苦労をしたわけですね。

 こういうことはこれからますます起こり得ることで、日本の常識でやっていて、いや、海外の常識に合わなかったなんということがないように、ひとつ総合的にしっかり進めていただきたいと思います。その辺、副大臣、ひとつ決意のほどを。

古屋副大臣 おっしゃるとおりでございまして、この知的財産権の問題につきましては、経済産業省だけではなくて、今御指摘があった文化庁等々、あるいはWIPO、世界的な機関とも緊密な連携をとって、知的財産権を適切に保護、活用するために必要な政策を適宜適切に講じてまいりたい、このように思っております。

中山(義)委員 ちょっとエネルギーの問題に移りたいと思うんですが、原子力発電の推進についてブッシュ大統領が言及し出しましたね。これも新聞の一面に載っているんですね。たまたまカリフォルニアの問題があって、それでアメリカが一生懸命になったんでしょうけれども、日本の場合、エネルギーといっても、電気がつくのは当たり前、車が走るのは当たり前、ストーブまたは冷房がつくのは全部当たり前、こう考えていますけれども、エネルギーの問題というのは果たしてそんなに安定したものなのだろうかということを考えたときに、やはりこれからプルサーマル計画にしても非常に大きな問題があると思うんです。

 大臣が、実際向こうに、ビラに経済産業大臣の署名で出したということがありましたね。これは私は当然だと思うんですね。国の仕事として、国家のプロジェクトとして、アメリカでは大統領が表に出てそういうのをやろうとするくらいですから、本来は小泉総理大臣が、プルサーマル計画だって、日本の将来を考えたときに、エネルギーは無限じゃない、有限なんだ、だったらリサイクルが必要だ、その面で、リサイクルができるエネルギーというのはこういうものだと、ちゃんとした説得をしなければいけないと思うんですね。

 そういう面で、アメリカは大統領が表面に出てきてエネルギーの問題の将来性まで話をしているんですね。本当に日本のエネルギーはこれで大丈夫なのか、将来性までもうちょっとしっかり言及した上で、今度のプルサーマル問題なんかも、国家プロジェクトなのか、それとも、いや、あれは東京電力の問題で、最後は企業がやるんですよ、こんな逃げ方をされたら大変だと思うんですね。

 その辺、やはり国家がやるんだ、国家が、こういうエネルギーは大事なんだ、その辺をちょっとはっきり示してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと私は思っています。エネルギー政策というのは、やはり経済大国、経済立国、エネルギーというのはその血液にも等しい大切なものでございます。

 今御指摘のプルサーマル計画に関しましては、これも委員御承知のように、この二十七日に刈羽村で住民投票が行われる、こういう形に相なりました。そこで、私も、やはり所管の大臣として、一部からは御批判がありましたけれども、しかし、その安全性と必要性、これをしっかりと認識していただかなきゃいかぬ、こういう観点に立って、私の署名入りで実は全戸に私の紙を配布させていただきました。そしてまた、賛成派も反対派も入っていただいて、実はきのう行われましたけれども、エネルギー庁長官と、それから原子力安全・保安院の長もそこに出向きまして、そして徹底的なディスカッションもさせていただいたところであります。

 そして、実はけさでございますけれども、このプルサーマルの重要性にかんがみまして、官房長官、そして私、それから科学技術担当の大臣と文部科学省の大臣、それから関係者が集まりまして、もちろんエネルギー庁長官も入ってもらいまして、私どもとしては、この二十七日に向けて、国の基幹的ないわゆる原子力のエネルギー政策、そのことに対してメッセージを、刈羽村を中心として関係のところに発出させていただいた。私どもとしても、やはり不退転の気持ちで、そしてどうしても二十一世紀も原子力はやはり必要なエネルギーでございますので、そういう意気込みでやらせていただいています。

 もちろん、きのうの予算委員会のプルサーマルに関する答弁の中でも、小泉総理大臣もそのことは力強く表明をされていました。ですから、今ブッシュ大統領が、やはりアメリカのカリフォルニアの電力危機その他、アメリカのエネルギー政策の若干のそごによって今ガソリン等が非常に足りなくなってきておる、日本からも今輸出をするというような現状もあって、エイブラハム・エネルギー長官がわざわざIEAの会合に来てアメリカの長期的なエネルギー政策を発表されました。

 ですから、御指摘のように、本当にエネルギーに関して、我々はもっともっとPRをし、総理を中心に担当大臣である各閣僚が力を合わせてやっていくということは非常に必要なことだと思っておりまして、今後とも力強くやらせていただかなければならない、こう思っています。

中山(義)委員 私は、今やはりこの問題については、ブッシュ大統領があれだけ言っているんですから、小泉さんもちゃんとしたコメントを出して、日本のエネルギーにとっての将来像、これもしっかり描きながら、はっきりしたコメントを出すべきだと思うんですね。何てったってアイドルですからね。やはり人気のある人が行ってやってくださいよ。そのくらいの気持ちがなかったらだめだ、私はこのように思います。

 とにかく、エネルギーは、自由化に向かって少しでもコストが安いもの、その反面、安定供給という問題がある。しかも、もう一つは環境に優しいエネルギーという問題がある。この三つの問題を全部解決するエネルギーというのは果たしてあるのかどうか。しかしながら、この三つを組み合わせて日本のエネルギーというものをつくっていかなきゃならない。そのときに原発というものがどういうふうな位置を占めているのか。もし絶対必要なものであれば、やはり日本のエネルギーの将来像、日本の国の将来像とともに、小泉総理大臣、現地に向かってコメントを出さなきゃいけない、このように思うんです。そういう責任を持たなきゃいけないんですよ。

 いつも私はこの石油の問題、これから質問しますけれども、あるときは企業の問題、あるときは国家プロジェクト、分けちゃうわけですよ。最終的にだめになったとき、企業の問題だからといって片づけてしまう。これはもう実に情けない話だと思うんですね。やはり国家の責任をもってプルサーマル計画をやるんであれば、そのくらいの気持ちがなきゃいけないと私は思いますが、もう一度決意をお願いします。

平沼国務大臣 まさに御指摘のとおりだと私は思っております。そういう意味では、今の御指摘を踏まえて、私からも総理にはっきりとそういうことはお伝えをさせていただきたいと思っておりますし、また、将来のエネルギー計画、これも今、総合エネルギー調査会等でまとめに入っておりますけれども、さらにそれを加速しながら、二十一世紀の日本のエネルギーの全体像、こういうものをクリアにして国民の皆様方にしっかりと提示をする、そういうことを担当大臣として私も一生懸命やらせていただきたい、このように思っています。

中山(義)委員 この種の問題は、やはり信念が必要だと思うんですね。そうじゃないと踏み込めないと思うんですよね、ちゃんとした自分の意思を出して。やはりそういう面では国民的な人気のある小泉さんの出番だ、私はこう思いますので、ぜひ総理大臣によろしくお伝えください。

 次に、今の原発の問題も含めまして、二〇一〇年ぐらいに十三基ふやすとか言っていますが、現実は、今のように大変難しい。さらに、こういうようないろいろな反応があって問題が出てきている。天然ガスも、この間の大臣の御答弁では、どうも十年ぐらいたたないとなかなかうまく機能していかない、こういうお話もありました。そうしますと、やはり石油なんですね、今のところは。

 私は、クウェートの問題をこの間質問したときはまだその時期じゃなかったんですが、五月に大変重要な会議があったと聞いているんです。私はアラビア石油からもそういう情報をとってみたら、五月に大変重要な会議があった、この会議の結果は、後々非常に大きな結果になるんで、この会議の結果をよく大臣からも聞いてください、こういうことでございますので、五月にあった、向こうのいわゆる外務大臣ですね、石油大臣というのか、そういう人たちが議長になってやったその大きな会議というのはどんな会議なんでしょうか。

平沼国務大臣 アラビア石油に関しましては、今、クウェートとの間でこれの契約期限というものが二〇〇三年に到来する、こういう状況になっています。そういう中で、クウェートにおいて、最高指導会議といいますか、SPC、契約の更改時期が迫ったアラビア石油問題についてどういう方向でやるか、こういう会合があった、こういうことでございます。

 そういう中で、アラビア石油の最高経営者も現地に飛ぶ、それから、我が省からも責任者が行きまして、いろいろ今非常に重要な段階に差しかかってきておりますので、一生懸命折衝をさせていただいております。それを踏まえて、割合近い将来に一つの方向が出ると私は思っています。

 ですから、そういう中で、私も担当大臣でございますから、時期を見てやはり現地に行きまして、そしてしっかりと、これは国にとっては非常に大切なエネルギー源、そして、これも歴史があって、そういう中でずっと両国がつき合ってきたわけですから、私どもとしても一生懸命に努力をさせていただきたい、こういうふうに思っているところでございます。

 今も交渉がいろいろ行われておりますけれども、ちょっと今の段階では、微妙な状況でございますので、多くは申し上げられませんけれども、全力でやっている、こういうことで御理解をいただきたいと思います。

中山(義)委員 今の大臣の顔を見ると、全力でというのは、反面、大変失効の危険性もあるというふうに私は見ているんです。

 実は、カフジの操業しているところはクウェートとサウジアラビアが両方で操業しているわけですね。つまり、アラ石はたまたまサウジアラビアの方の権益は失効しましたけれども、クウェートがあるためにカフジから石油をとっているわけですよ。こういう現実があるわけですね。もしクウェートを失ったとなると、中東の石油のいわゆる採掘といいますか、そういうものが非常にとんでもない状況になるということは目に見えていることなんですね。ですから、クウェートに関しては、これも先ほど総理大臣の話をしましたけれども、日本のエネルギーというものを守るためには、本来は総理大臣が行くぐらいのことだと思うんですね。

 この間も、外務大臣が答弁して、イスラム諸国、イスラム文化をなんて言っていますけれども、イスラムといったって、国がうんとあって、みんな同じなわけじゃないわけですよ。東洋人といったって、日本と中国と韓国では全然考えていることも思想も違う部分もあると思うんですよ。宗教も違うし。全部一緒だと思われるのは間違いで、やはり簡単に考えないで、現地へ行ってしっかりやってもらいたいと思うんですね。私らだって、恐らく超党派で議員連中も行かなきゃいけないぐらいの問題だと思うんですよ。

 そういう面では、このクウェートに関する問題については、絶対に権益を失効しないように、またその感触とかそういうものも再度ちょっと御答弁をいただきたいと思います。

平沼国務大臣 交渉事でございまして、多くは申し上げられませんけれども、一生懸命にやっております。そして、確かに中東最大のカフジ油田に対する日本の今権益があるわけですから、これを守るということは本当に至上命題だと私は思っています。

 ですから、そういう中で、今最終段階に入ってきておりまして、私も必ず現地に行かせていただいて、そして、必ずいい方向が出るように最大限の努力を傾けたい、私はこのように思っております。また、いずれ、今委員御指摘の議員団もつくっていただいて、行っていただけるということも非常に心強いことでございますので、そういう場合には、ぜひお力もおかしいただきたい、そのように思っております。

中山(義)委員 今、超党派で議員がというのは、何か非常に向こうは議会というものを重要視しているらしいんですね。それで、やはりそうやっていろいろな評議員の人が集まったり、または議員が集まっていろいろ論議をするらしいんですが、本当にみんなでそういう誠意を示すということが非常に大事だと思うんです。

 先ほどから言っているように、アメリカはエネルギー問題、あんなに資源のある国が、一面に大統領が新しいエネルギーに対する対策を、骨子をつくってやっているわけですよ。日本は、いわゆる安全性、それから自由経済の中でどういうふうに競争させていくか、それからさらに安定供給、それから環境に優しい、この多くの問題を抱えているわけですよ。ですけれども、そのビジョン全体が見えないんですね、どう考えているか。やはりその辺をしっかり出して、このカフジは絶対に失えない、だからクウェートの権益を絶対失効できない、こういう決意を持って取り組まないと、向こうは大統領があんなに気合いを入れてやっているんですから。日本も、エネルギーの問題は日本の根幹にかかわる問題だと思うんですね。本来は総理大臣が行ってもらいたい、このくらいに思うんですが、最後に、その辺の決意を聞いて、私の質問を終わります。

平沼国務大臣 アメリカのブッシュ大統領がああいう形で大々的にアナウンスをしたということは、やはり一つは、自由化という形でアメリカのカリフォルニアの電力事情が危機的な状況になった。それから、設備投資ということを経済原則で怠ったために精製能力等が一時的に落ち込んでしまって、そして、これまでは考えられないことでございましたけれども、まだ量は少ないのですけれども日本から緊急にガソリンの輸入をする、こういうような状況になった。しかもガソリンの値段も高騰している。そういうような背景で、アメリカの大統領はああいう形で国民に対するメッセージを強力に出したと私は思っています。

 日本もやはり、この経済大国、経済立国の血液はまさに石油を初めとするエネルギーでありますから、長期ビジョンも含めて、そして今御指摘のクウェートの石油に関しましても、私も担当大臣として不退転の決意でしっかりと取り組むことをこの場でお誓いをさせていただきたい、このように思っています。

中山(義)委員 ありがとうございました。

山本委員長 田中慶秋君。

田中(慶)委員 私は、民主党の立場から平沼大臣にお伺いいたします。

 あなたはこのたび、森内閣に引き続き小泉内閣の経済産業大臣として就任されたわけであります。森内閣の段階で、二兎を追う者は一兎をも得ないという経済の基本的な考え方、こんな考え方で政策を進めてきたと思います。小泉内閣はむしろ、聖域なき構造改革を含めながら二兎を追う、何でもあり、こんな形で今進めようとしておりますけれども、引き続き大臣として、あなた自身の考え方をまず基本姿勢としてお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 私は、今御指摘のように、昨年の七月、森内閣の通商産業大臣に就任をさせていただきました。そして、一月六日の省庁再編に伴いまして経済産業大臣、そういう形になったわけであります。

 確かに、小渕内閣そして森内閣、この内閣の基本的な経済政策というのは、むしろ、財政再建は横に置いておいて、今御指摘の二兎を追う者は一兎をも得ず、こういう形で経済をいかに安定的な軌道に浮揚させるか、こういう一連の政策を実行してきた、これが基本姿勢だったと思っています。

 私が七月に就任をしまして、そのときできましたのが産業新生会議あるいはIT戦略本部あるいはIT戦略会議、こういった形で新たに大きな日本の経済を活性化する、こういうことを議論してまいりました。その中で森内閣に、これも田中先生御承知のように、経済財政諮問会議というものが内閣の中に設置されて、森総理みずからがその本部長に相なったわけであります。

 ここで、経済と財政、それから、従来、当時の大蔵省に属しておりました予算まで、ある部分を取り込んで、そして日本の経済というものを総体的に力強くマネージをしていこう。そういう中で、経済財政諮問会議の中で、当時の宮澤財務大臣からも、財政ということも含めて検討をしてやはり一つの方針を出すべきだと。こういう形の中で、従来小渕内閣から続いてきておりましたいわゆる経済浮揚偏重という中に、これからの地方と国の分権のあり方でございますとか、社会保障のあり方でございますとか、公共事業のあり方ですとか、御承知の財政の問題、こういった問題をどうするかということに手がつき出したわけであります。

 それがこの新しい小泉内閣の中で、六月にそういう基本的な方向に基づいて骨太の基本方針が出る、当然、聖域なき構造改革の中で小泉総理は、実は二兎じゃなかったんだ、これはコインの裏表で、やはり経済の浮揚策と同時に財政再建ということも表裏一体でやらなきゃいけない、こういう形で今非常にまなじりを決して我々は取り組んでいるわけであります。

 そこで、私は、森内閣のときにはどちらかというとその中でも経済構造改革というところに力点を置きまして、そして昨年の十二月末に二百六十項目から成る経済構造の基本行動計画をまとめました。

 そういう中で、新しい小泉内閣は、それは森内閣のときから芽が生えていて、実は二兎じゃなくてコインの裏表なんだ、これを同時進行でやっていかないとだめだ、こういうことでありまして、私も、そのことに関してはそのとおりだ、さらに、財政の問題も含めて、そして不良債権の処理の問題も含めて一生懸命にやらなければいけない、これから一生懸命に頑張ろう、今このように思っております。

田中(慶)委員 当時私ども民主党が、少なくても、構造改革を含めて、二兎を追いながら表裏一体だということを申し上げてきたわけでありまして、結果的にそのことは間違っていなかったということですね。どうでしょう。

平沼国務大臣 小渕、森内閣ではやはり経済浮揚最優先、そういう政策の比重が大きかったと思います。しかしそれだけでは、一生懸命やってもなかなかこの国の経済が、例えばGDPの六〇%を占める個人消費を回復しない。それは一体何か。それは先行きの不透明感だ、国が抱えている借金の問題ですとかあるいは企業サイドの不良債権だとか、やはりそういうものを解決しなきゃいけない、そういう意味では、今御主張になられたことは方向においては間違っていなかった、私はそういうふうに思います。

田中(慶)委員 いずれにしても、長引く不況で、これを何とか打破しなきゃいかぬ、少なくてもその問題は、党利党略、派利派略ではない、やはり国家と国民の立場に立った政治を行うことであろうと私は思います。

 そこで、大臣に質問しますけれども、聖域なき構造改革の一例の中で、実は特殊法人を一つ例題にしていきたい、わかりやすく指摘したいと思っております。

 現在、経済産業省の抱えております特殊法人、認可法人合わせて十九あるわけでありますけれども、その事業規模あるいは補助金のベース、大臣答えてください。

平沼国務大臣 ちょっと今手元にデータはございません。

田中(慶)委員 それでは私から答えましょう。

 現在、二兆二千百十億円が事業ベースであります。七千五百五十一億七千二百万円というのが今の補助金であります。

 ところが、この補助金も、事業ベースの三分の一というのが今の補助金でありますが、これは正常ですか。私は正常じゃないと思います。構造改革をしていくんであれば、この特殊法人の問題等についてもっとメスを入れていく必要があるんじゃないかな、私はこんなふうに思っておりますが、大臣いかがでしょう。

平沼国務大臣 我が国の経済社会システム、これを二十一世紀にふさわしいものにしていくためには、民間にできることは民間に任せる、それから地方にできることは地方にゆだねる、これが原則だと私は思っています。行政の構造改革を進めるに当たりまして、やはりこういったことも小泉内閣の重要課題の一つだ、このように認識しております。

 今御指摘の特殊法人あるいは認可法人は、政策金融でありますとか公共投資、中小企業対策、それからエネルギーの安定供給など、さまざまな公益的な観点から政策の実施機能を果たしてきていることは事実でございます。

 しかし、昨年十二月に行政改革大綱が出まして、それに基づきまして、今御指摘のそういういろいろな問題点も含めて、新たな時代にふさわしい行政組織、制度への転換を目指す観点から、現在、これも田中先生よく御承知のように、新しい石原行政改革担当大臣のもとで、内外のいろいろな経済情勢、こういったものの変化を踏まえて、抜本的な見直しを行っております。

 したがいまして、我が省に所属しております特殊法人に関しましても例外ではございませんで、やはり抜本的な見直しをしていく、そのことが小泉内閣の一つの大きな課題だ、このように思っています。

田中(慶)委員 少なくても私自身は、特殊法人等々を含めて、もう既に役割の終わったものは廃止するべきだと思います。同時に、民間でできるものは民営化、地方でできるものは地方、どうしても国でやらなければいけないのはゼロからスタートをさせるという発想でなければ、今までのしがらみでなかなか改革はできないだろう、このように思っているわけであります。

 特に、特殊法人の中身を見てみますと、この補助金七千五百五十一億円余の中身でありますけれども、補助金というタイトルにすると額が大きくなるものですから、例えば委託金であるとか交付金であるとか、補助金であるとか補給金であるとか貸付金であるとか、こんな形でそれぞれ分散をしながら補助金を出しているというのが今の実態なんです。その性格が全部まちまちであります。ところが、束ねてみますと、補助金にすぎないんです。

 わかりにくいですよ、こんなことは。このお金を出すために、細分化してやるとわかりにくい。ある面では、額が少なくてこんな形になってしまったのかもわかりません。会計をする上での問題かもしれませんけれども、国民の立場に立った行政であるならば、私はもっともっとわかりやすくすべきじゃないかと思います。それが改革ではないかと思うんですが、どうでしょう。

平沼国務大臣 やはり小泉内閣のもとでは、今田中先生御指摘のように、国民にわかりやすく、そして納得していただく、こういうことが私は必要だと思っています。

 今御指摘がございました特殊法人等に対する予算については、個別の政策目的に従って、必要な経費を適切な形で手当てを一応はしてきました。

 例えば、今御指摘の委託費というのは、これはもう釈迦に説法でよく御承知だと思うんですけれども、NEDOの行う最先端技術の研究開発委託、国として行う必要がある事業等を国にかわって実は特殊法人としてNEDOが行ってきた、こういうことで、それは経費としてそういう形に相なっています。

 補助金というのは、金属鉱業事業団が行う海外鉱物資源基礎調査など、特殊法人等がその設立目的に沿って本来的に行うべき事業について、国家的見地から必要と認める場合に支出する助成的な給付金だ、こんなふうにして色分けがされていたわけであります。

 したがって、そのほかにも補給金、貸付金というのがありまして、今これを一本化するということはなかなか難しいことでありますけれども、しかし、御指摘のように、国民にわかりやすくしなければなりませんので、可能な限り予算を大くくりにする。このことは、私は、政策ニーズの変化に従ってやはり必要なことだと思っておりますし、事業を随時縮減、廃止するなど、同時に整理合理化を進めていくことも極めて重要だと思っています。

 こうした観点から、当省といたしましては、これまで、例えば平成十三年度予算においては日本貿易振興会に対する一般会計補助金を縮減するなど、特殊法人に対する予算の整理合理化、縮減に努めてきているところでございますけれども、今後とも、特殊法人等改革の進展を図りながら、今御指摘の点によく留意しながら、一層の合理化、そしてわかりやすい形の補助金あるいはその他の支出項目、そういった形にしていきたい、私はこのように思っています。

田中(慶)委員 大臣、今、少なくてもこの経済産業省に十二の特殊法人があるんです。すべての項目に、補給金、補助金、委託金、交付金が入っているんですよ、全部が。ですから、それぞれの事業に見合ってということじゃないんです。余計わかりにくくしている、こんなふうに私は思うんです。だから、もうそういうことは時代が変わっているんだから一本化すればいい、このように思いますよ。

 ということは、今、認可法人を含めて特殊法人に天下りと言っている人たちが七十一人いるんですよ。今の経済産業省の所管の中で、七十一人。その平均報酬が、大体千六百万円。これを七十一人掛けてごらんなさいよ、十一億のお金ですよ。そのほかに一時金、ボーナス、六百万円ですよ。この六百万円の金額というのは、平沼大臣のもらっているボーナスより高いんですよ。そして、サイクルが三年余り。退職金は同じように百分の三十六ですから、三年余りですと、三年勤めて四年分の報酬をもらっているのと同じなんです。これが現実にまかり通っているんですよ、あなた。

 こういうところにメスを入れないで、それぞれの目的があるからとか、そんな時代じゃないです。もう全部スクラップにすればいいんです。そして、ビルド、もう一度つくり直せばいい。そんな発想になりませんか。現実問題として、こういう実態なんですから。議員よりもボーナスが多いんですよ。まして、普通民間だったらば、役職定年になると下請へ行って今までの報酬の七割ですよ。ボーナスなんというのは二分の一ですよ。今は天下りになると大体報酬が一・二倍、これが現実ですよ。これからメスを入れなさいよ、あなた。どうですか。

平沼国務大臣 小泉内閣といたしましては、聖域なき構造改革、改革断行内閣、こういった形で、今御指摘の特殊法人、公益法人、これにも徹底的にメスを入れる、そのために、今石原行革担当大臣が、これは非常に精査をしておりまして、今の賃金体系の面ですとか賞与の面でございますとか、そういったことを含めて、やはり抜本的な改革案が出されると思います。

 ですから、我が省といたしましても、御指摘のように今そういう状況にある、こういうことは当然その対象の中には入っていると思いますので、やはり国民の皆様方がある程度しっかりと納得できるような改革、それをやっていかなければならない、このように思っています。

田中(慶)委員 行政改革担当大臣がやるのではなく、経済産業省はあなたがトップなんですから、あなたがやるぐらいの気構えがないと、この問題の解決になりませんよ。小泉内閣がしようとしているんだから、それをサポートするぐらいで行革担当に任せるのじゃなく、あなた自身が、自分がやりますよ、そのぐらいの意気込みがあっていいと思うんです。どうですか。

平沼国務大臣 当然のことながら、石原行革担当大臣と協力をしながら、私どもは対処していきたいと思っています。

田中(慶)委員 そこで、あなたが担当できる、例えば政府系金融機関の問題がありますでしょう。

 先ほどあなたは、これから中小企業の多様で活力のある成長発展を目指して、円滑な資金供給の確保など、中小企業政策の推進に全力を尽くすという所信を述べられているわけです。

 ところが、中小企業の実態はどうでしょう。現実には、中小企業の資金繰り、政府系金融機関の活用のあり方の問題等々述べてみましょうか。

 少なくても、資金繰りはさらに悪化をしている。特別保証制度は三月で終わりであります。中小企業の資金繰りは、民間企業の貸し渋りの横行によってさらに厳しい状態であり、政府系金融機関も民間と同様の貸し渋りを行っている。結果として、町金と言われる商工ローン、ここは連帯保証人のみで、短期間で融資を実行する仕組みになっており、突発的な資金不足等は、高い金利であるけれども安易に借りることができる、すなわち背に腹はかえられない、ついつい手を出しているのが今の実態なんです。

 その背景は、先ほどもお話がありましたように、日本の金融そのものは担保主義であります。担保主義は、すなわち土地を中心とするものであります。土地を値下げさせる、このことは政府の方針として地価を抑制したわけでありますから、少なくても政府の責任はある。企業にだけこの責任を転嫁されては困るわけであります。

 ですから、政府系金融機関は、私は少なくても、小泉内閣は、今までの発想を変えて、民間金融機関と同じような発想ではない、新たな発想をする必要があるだろう。あなたの先ほどの話の中でもそのことは出ておりますけれども、具体的にこれをやっていかないといけないんだろうと思います。そのことについて、大臣の考え方をお伺いします。

平沼国務大臣 先ほどの御答弁でも私はちょっと触れさせていただきましたけれども、やはり日本の場合には、民間の金融機関というのはどうしても担保主義、土地担保、これを大前提としておりまして、これが担保能力の乏しい中小企業に非常に厳しくなってきています。

 そういうことでございまして、中小企業に対する円滑な資金供給を図るためには、政府系それから民間金融機関を問わず、債権保全の必要性は念頭に置かなければなりませんけれども、担保主義を前提とした融資手法を見直して、中小企業の事業内容、こういったところに着目をして融資を行うべきだ、政府系金融機関には大臣としてそういう形で伝達をさせていただき、また民間の金融機関にもそういった形でお願いをしているところであります。

 このような観点から、これまでも政府系中小企業金融機関においては、多様な中小企業の資金調達ニーズにこたえるために、担保に乏しくとも高い技術力等を有しており、ある意味では成長が見込める、そういう中小企業者に対しては新株引受権つき社債、これはワラント債でございますけれども、それの引き受け等、資金供給の円滑化を図るための施策を講じているところでございまして、現在、これは百五十八件、八十六億二百万で、その中でワラント債の実績が七億一千百万、こういったデータも出てきております。

 また、先般の秋の経済対策では、情報技術の活用を図る中小企業者や、取引先金融機関の破綻等、経済的、社会的変化によりまして事業活動に支障が出ている中小企業者に対しましては、貸付額の一定の割合について担保を免除することができる、こういう貸付制度を整備いたしました。

 確かに、御指摘のとおり、この担保主義というものが中小企業の皆様方にとって大変大きな障壁になっている、このことは十分認識をしておりますので、今後とも、政府系金融機関の融資制度の適切な運用等を通じて中小企業に対する円滑な資金供給の確保に努めていきたいと思っておりますし、今田中先生から、政府系金融機関でも貸し渋りがあるぞ、こういう御指摘がございましたけれども、そういったことがないようにさらに督励をしてまいりたい、私はこのように思っています。

田中(慶)委員 現実問題として、政府系金融機関の中でも、それぞれの手続の複雑、煩雑等々の問題、あるいはまた信用力やあるいは確実性、融資の資金の使途等々を明確にしないために、それぞれの時間を必要として、結果としてそこでまた借りられない。こういうことが現実、これは民間の金融機関と同じことをやっているんです。

 そして、先ほど申し上げたように、特別保証制度がもう三月で終わりになってしまう。新たな金融政策を盛っていかないと、中小企業の人たちに、構造改革に伴って大変な事態が生じるのではないか、こんな心配をしております。

 ですから、少なくても政府系金融機関の貸し渋り等々はなくすとか、あるいはまた国金と中小企業金融公庫を一本にして、民間企業は一本になっていろいろなことをやろうとしているんですから、政府系金融機関も一本にして、これらに対抗しながら、あるいは貸し渋り等々を解消し、なおかつ資金供与ができるようなことをする等々のことを考えていかなければいけないんだろうと思います。

 私の知り合いでも、何人か中小企業の社長が亡くなっているんです。それはなぜかというと、最終的に貸し渋りなんですよ。資金繰りなんです。自分の命と交換しているんです。これが実態なんです。

 ですから、こういう問題を含めて、例えば一つの提案として、担保主義でなくするために、それぞれのリスクに応じた金利を三段階ぐらいに分けて、今新しい制度を導入してもいいんだろうと思うんです。町金に、一五%、二〇%の高い金利を払うよりは、むしろ若干の、五%とか七%ぐらいまでのアッパーの中で何段階かに分けてやられることが新たな金融制度として対応できるんじゃないか、私はこんなふうに思いますけれども、どうでしょう。

平沼国務大臣 委員御指摘の金利を状況に応じて、一律化を含めて中小企業にとっていい方向にすべきだ、こういう御提言でございますけれども、中小企業に関しては、大企業に比して債務不履行率に関するデータ等の情報の蓄積がまだ十分なされていない、こういう現状があります。

 ですから、民間を含めて、金融機関がリスクを金利に適正に反映させる形で中小企業向けに融資を行うことは、ある意味では現状では難しいと私どもは認識しています。

 現在、経済産業省といたしましては、信用保証協会、政府系金融機関及び民間金融機関が有する取引先企業情報をもとに、中小企業の信用リスクに関するデータベース、これはCRDと言っておりますけれども、これを構築するプロジェクトを今推進いたしております。四月からこれを試行的に運用を開始いたしました。今後、データの拡充及びシステムの機能強化を通じまして、中小企業の信用力について信頼性の高い評価が行われて、中小企業の資金調達環境が改善されることを我々としては期待をしています。

 政府系金融機関におけるリスク対応金利の導入については、まずこのような信用リスク情報が整備されることが、ある意味では前提となると思っています。その上で、公的機関として融資の政策的意義や幅広く利用者の理解を得る必要があるなどの点を留意しつつ、政府系金融機関の金利体系のあり方に関する重要な論点の一つとして私どもは慎重に検討していきたい、こういうふうに思っておりまして、そういう条件を整備して、そして、その上で今御指摘のような点も前向きに進めていく、こういう段階が必要だと私は思っております。

田中(慶)委員 大臣、物事はタイミングだと思うのです。同時に、今、マル特というか、特別融資制度がなくなったのです。新たなものをつくっていこうとするときに、何かのことをしていかないと間に合わなくなってしまう。構造改革を一方でする、債務の問題を含めながらいろいろなことをやってきたときに、そのしわ寄せが必ず中小企業に参りますよ。そのとき検討するといったって、これでは遅いのです。だから、もう少しあなたも現場を認識しながら、現場に合ったようなことをしていかないと、中小企業はどこが頼りなんですか、あなたを頼りにしているんです、そのことをちゃんとしておかないとだめになってしまいますよと申し上げておきます。

 次に、下請代金の支払遅延等防止法が現在あります。しかし、現在は製造業あるいは建設業等々に限定をされております。今日のようにいろいろな形でベンチャーを進めたりしているわけでありますから、例えば、図面や写真、映画、音楽、さらにはプログラマー、あるいはビルメン、さらに自動車の貨物運搬等々までその範囲を拡大するような見直しをする必要があると思いますけれども、大臣、いかがですか。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 中小企業が公正かつ自由な取引環境のもとで健全な発展が遂げられるように適切に対応していく必要があるということは、私はそのとおりだと思います。

 経済産業省といたしましては、不当な代金減額や支払い遅延など、下請代金法に違反するトラブルについて、従来から同法に基づいて検査等を行い、違反の事実が確認された場合には改善のための指導を行うなど厳正に対処しています。

 下請代金法の適用対象である製造委託と修理委託におきましては、親事業者と下請事業者との間に支配的な分業構造が成立するのに対して、御指摘の、今のサービス業等における役務委託取引においては対等な取引関係が広く見られる結果、構造的にいわゆる親企業、下請企業といった関係が製造業に比べては余り見られない、こういう事実がございます。

 サービス業の典型的な取引例といたしましては、例えばフィルム企画では、プロダクションとダビング会社、映像処理会社、パッケージデザイン会社等との取引というようなことがあります。

 また、下請代金法では、親事業者に対して発注の都度書面の交付を義務づけておりますけれども、役務の委託取引の場合には、定型的、反復的に繰り返される取引が少なく、取引条件の具体的内容をあらかじめ書面で明らかにすることが難しいものがあるわけであります。価格等の発注内容の書面交付を義務づけることは、取引の円滑化を損なうおそれもあるわけであります。

 また、役務の委託取引と一言で申し上げても、さまざまな業種にわたっておりまして、小規模事業者から大規模事業者への発注も行われるなど、その取引先の規模もさまざまなわけであります。

 このため、下請代金法のように、資本金により一律に規制することは実態にそぐわないので、かえって小規模事業者の取引機会が減少する、そして、その利益が損なわれるとの指摘も一面ではあるわけであります。したがって、御指摘の適用業種の拡大については、サービス業等の取引の実態や規制の及ぼす影響を十分見きわめることが必要と考えております。

 しかしながら、役務の委託取引が独禁法上の優越的な地位の乱用行為に該当する場合も考えられることから、必要に応じまして公正取引委員会への措置請求を行うなど、厳正な対処を行っていかなければいけないと思っています。

 なお、昨年施行されました中小企業支援法におきまして、都道府県など中小企業支援センターの業務の一環として、サービス業における役務委託取引等を含めて中小企業の取引問題について、弁護士などの専門家による相談、助言を行う事業を展開しているところでございます。

 今後とも、このような支援措置を通じまして取引の適正化に努めていかなければならない、このように思っています。

田中(慶)委員 いずれにしても、今の手形その他の問題は日本だけですから、手形サイトを勝手に延ばしたりあるいはまたそれによって支払いの段階で値切られたり、いろいろなことをするわけでありますから、こういうことを含めてちゃんとしなきゃいけないことだ思うのです。

 そこで、公取の委員長、来ていると思いますが、今、下請企業に対する被害が大変多くなってきている、こういう現状をどのように認識して、あなたの方はどのように対処をされているのか。下請から告発されたり通知をされるという例は、今までの日本の仕組みの中ではなかなか難しい状態であろうと思いますが、その辺を含めて御答弁をお願いしたい。

根來政府特別補佐人 確かに御指摘のように、自由競争というのが進みますと、片や下請いじめという現象が起こってくることも事実でございます。

 そこで、従来から、この下請取引の性格から申しまして、下請業者からの苦情といいますか、クレームについて、私どもがじっと待っておってはなかなか実態が把握しにくいということで、中小企業庁と協力いたしまして、書面調査という方法で対処しているわけでございます。

 書面調査は、親事業者と下請事業者双方に書面で申告を求めているわけでございますが、これとてももちろん十分ではないわけでございます。ですけれども、一方では、やはり書面調査の結果、こういう違反事実ということも発覚しているということも事実でございまして、昨年度中には千件ぐらいの事案に対して私どもは行政指導して是正を図っているところでございます。

 これからこういう事案についてどのように対処していくかというのは私ども委員会が抱える大きな問題でございますので、さらにいろいろのお知恵を拝借して適正な対処をしていきたい、こういうふうに考えております。

田中(慶)委員 やはり中小企業がいろいろな被害に遭わないようにぜひ努力してほしいと思います。

 同じように、例えばプロパンの関係があるわけでありますけれども、プロパンの業界というのは中小企業が非常に多いわけであります。ところが、このプロパンの省令改正、この七月に液石法の改正が行われる予定でありますけれども、大手が現在駆け込みという形の中で大変不当な販売を行っている。それだけじゃなくして、従来からは予想もつかないような、大手の企業がバスで営業マンを送り込んで、そして集中的な値崩し販売を行っている。これが実態でありますけれども、こういうアンフェアなやり方で果たしていいんだろうか。

 一方においては、中小企業は何とか頑張っていかなければいけない。まして、皆さん方は安全を中心として大変な教育をしたり、あるいはまた、それぞれの安全に対する配慮というものが行われているわけでありますけれども、こういう一連のことを含めて、値崩しをしながらあるいは原価を割りながら、一時的にはそのシェアが拡大するでしょうけれども、結果的に、後でまた高いものを売りつけることになるだろう。

 こういう現状があるわけでありますけれども、特に大手の業界がそういうことをなだれ込んでやっているわけであります。大臣及び公取委員長、これらについての見解をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 首都圏において、LPガスの顧客の獲得、顧客切りかえ、この競争が激化しまして、LPガス販売事業者間または販売事業者と消費者との間でトラブルが増加している、このことは承知をいたしております。

 このため、経済産業省といたしましても、LPガスの適正な取引を確保し、消費者がトラブルに巻き込まれることを回避することが必要である、その認識に立ちまして、LPガス業界、行政、都道府県自治体、消費者代表とともにLPガスの流通問題に関する連絡会を設けました。これら顧客獲得競争に伴う実態把握及びその解決に向けた対応等について、今鋭意検討を行っております。

 特に、御指摘のございました、顧客獲得の際のトラブルの原因となることが多いと指摘されている供給設備、ガス容器等の無断撤去なんというのが行われておりますので、無断撤去の問題につきましては、他の販売事業者所有の供給設備を無断で撤去することを禁止する旨の省令改正作業を鋭意行ってきたところでございまして、実は、昨日、五月二十二日、省令改正に関してパブリックコメントの募集を開始いたしました。今後は、パブリックコメントの手続を経た上で、改正省令をできるだけ早期に実施すべく努力をしてまいりたいと思っています。

 改正省令の着実な実施と本年四月からの消費者契約法の施行によりまして、LPガスの顧客獲得競争の健全化が図られるように一生懸命努力を傾けてまいりたい、このように思っています。

根來政府特別補佐人 これも御指摘のとおりでございまして、私どももそういうことについて従来から関心を持っておりまして、例えば、平成十一年の六月にLPガス販売業における取引慣行等に関する実態調査という調査をいたしまして、これでいろいろの問題点を提起しているところでございます。例えば、参入規制とか料金体系、顧客の移動等の制限等についてやはり行われているところもございますし、また、そういうLPガスの施設の所有権についてもはっきりしていないところがございます。そういう点について調査報告をいたしまして、また、関係省庁にもこの報告書を提供しまして、適切な措置をお願いしているところでございます。

 さらにお尋ねのような事案がございましたら、これは独占禁止法の不公正な取引方法ということで、差別対価とか不当廉売とかいうことがないかどうかという見地から厳正に対処するつもりでございますし、仮にそういうものがありましたら、厳正に対処しているところでございます。

田中(慶)委員 時間が参りましたので以上で終わりますけれども、いずれにしても、大臣、二十一世紀、あなたも政治家として、そして新しい時代を迎えているわけですから、日本の産業を繁栄させるためにより一層力を注いでいただきたいと要望申し上げて、終わります。

山本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 きょうは、この四月一日から施行された家電リサイクル法の問題、これを中心に大臣等の御見解をお聞きしたいと思うのですが、その前に、基本的な大臣の認識といいますか、お考えをお聞きしておきたいと思います。

 きょう配付をされている月例経済報告でも、四カ月連続下方修正、一言で言えば、一連の経済指標がこの年明けから急速に悪化しているということを示しているわけで、文字どおり、今、日本経済待ったなしという状況になっていると思います。

 そういう中で、小泉内閣、構造改革を通じた景気回復、これは痛みが伴うということで、不良債権の早期処理によって雇用情勢が悪化するあるいは中小企業倒産などが増加することが政府の緊急対策の中にも明確に書いてあるわけであります。

 近く、あさってですか、産業構造改革・雇用対策本部、これの会議が開かれるということで、報道によれば、大臣は、雇用問題などの平沼プランを提示するというぐあいに伺いました。そこで、プラン全体をお聞きしたらとても時間がありませんので、前提となる大臣の基本的な認識をお聞きしておきたいと思います。

 もう既に、予算委員会等でも、あるいはきょうの午前中にも質疑がありましたが、まず、失業者は不良債権の早期処理によってどの程度ふえるのか、あるいは、中小企業の倒産、これも激増するということが考えられますけれども、それを一体どの程度に見ているのか、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 不良債権処理には痛みが伴う、そういうことは事実だと思っております。ただ、不良債権や不良債務を処理する方法でございますとか、その対象でございますとか、そういう形で定量的にとらえるということはなかなか難しいと思っております。

 民間のシンクタンクでは、こういう一連の金融サイドの不良債権処理あるいは産業サイドの不良債務処理をすることによって、一番大きなデータとしては百三十万程度出るんじゃないかとか、少ない方でも百万程度は出るんじゃないか、そういうデータはありますけれども、一概に、定量的にそれを言うことは、私は今困難だと思っています。

 しかし、いずれにいたしましても、そういう処理を進めるに当たりまして、当省といたしまして考えなければいけませんのは、やはりそれの影響を受ける中小企業の皆様方、相当連鎖的な影響を受ける、そういうことも想定されます。そういう中で、私どもといたしましては、でき得る限りのセーフティーネットを張って、そして、一生懸命に、まじめにやっておられる方々がそういう不当な影響を受けないような形の対策をきめ細かく講じていかなければならないと思っています。

 それから、二十五日に開かれます産業構造改革・雇用対策本部に関しまして、そういった前提を踏まえまして、やはり新規事業が立ち上げやすい、いわゆる構造改革を主体としたメニューを、私、今鋭意準備いたしております。

 それは、細かく申し上げますと切りがございませんけれども、やはりベンチャーが育ちやすい、あるいは新規産業が立ち上げやすい。例えば、IT分野でございますとか、あるいは逆に、高齢化社会に対応して、高齢化社会にニーズが起こるような新規産業、あるいは環境対応の新規産業が立ち上げやすい。そういった形で、私は、一つの対策としては、構造改革に伴って出る痛みを吸収するような、やはり経済の構造改革を進めながら、新規の企業を起こし、そして需要を喚起する、そういった観点で、大体十五項目に分けて、一つのプランを今最終段階で詰めているところでございます。

 いずれにいたしましても、ある意味では大変痛みが伴いますので、我が省といたしましては、でき得る限り被害が少なくなるように、特に中小企業に焦点を絞って対応させていただきたい、このように思っています。

大森委員 中小企業の倒産にしろ失業にしろ、増加する、痛みがあると。当然のこととして、これをできるだけ最小のものにする、あるいはセーフティーネット、これに言及されるのは当然のことだと思います。

 私どもは、こういうような手法をとるべきではないという立場であるわけなんです。先ほど言及された失業者でいえば、百三十万人あるいは百万人以上という民間の研究がされている。それから、企業倒産についても、例えば神戸大学大学院の山家悠紀夫教授は、七万五千社が倒産の危機になるというような報告をされているわけですね。

 できるだけ最小にするとか、あるいはセーフティーネットについて言うのであれば、定量的には難しいということではなくて、こういう民間の研究あるいは研究者の報告、大体そういうものに近いものが出ると見ていらっしゃるのか、そんなものじゃない、もっと少ないんだと思っていらっしゃるのか、そういう認識についてお聞きしているんです。再度御答弁をお願いします。

平沼国務大臣 民間のシンクタンク等が出しているデータというのは、一つの参考にはなると思っています。しかし、それをいかに少なくするかという形で我々は努力していかなきゃいかぬと思っておりますし、一つは、ちょうど平成十年、貸し渋りが大変著しかったときに、政府系金融機関を中心に特別保証制度という形でやらせていただいて、その効果で相当、倒産ですとかあるいは失業というものを減らすことができました。

 そういう形で、特別保証制度というのはこの三月三十一日で一応終了いたしました。所期の目的は達しましたけれども、一般保証の中でさらに枠を拡大する、それから、それに対して、もう委員御承知だと思いますけれども、またきめの細かい一連のものも講じております。

 ですから、一つの指標にはなると思いますけれども、繰り返しになりますが、定量的にははっきりわかりません。しかし、相当数出る。それをいかに防ぐかということが我々の責任だ。一つの参考にしながら、我々としてはきめの細かい対応をしていかなければならない、このように思っています。

大森委員 先ほど紹介した山家教授なども、実は、構造改革そのものがむしろ不況の原因じゃないかという趣旨のことも話をされているわけなんです。例えば、この三年間を見ましても、これは経済財政諮問会議での内閣府の政策統括官の報告でも、不良債権の処理等、直接償却、直接減額等との関係で、大体五十万人ぐらいの非自発的失業者が生まれたというような報告もしているわけですね。

 こういうリストラ、そして政府も産業再生法等で事実上これを応援する、こういうような結果、確かに一部の企業では、いわゆるリストラ増益と言われる収益が上がりました。しかし、それももうわずかの間で、全体としては、リストラ増益をした企業にも設備投資の鈍りとか陰りが今出てきているわけですね。

 ですから、結局、経済全体としては、一部の企業の動向はともかくとして、やはりこういうような失業者あるいは企業倒産が続発する、それはもう個人消費等の大きなおもしとなって、経済全体を引っ張ってしまう。それがリストラ増益をやった企業でさえ陰りが出るというような状況になると思うんですね。

 しかも、私も前に労働委員会に一定期間所属をしておりましたが、絶えずこの間セーフティーネットということが言われてまいりました。しかし、それが事実上、雇用対策として重要な効果を発揮しなかったということは、先般の予算委員会でも私ども指摘をしたわけなんですが、仮に、セーフティーネットが働いた、失業して再雇用が実現できたとしても、これは、これまでの統計が明確に示しているように、収入、賃金は再雇用の場合必ず減る、下降移動という現象が統計上も明らかなわけですね。セーフティーネットそのものが不十分だと、仮にそれが働いても賃金は落ちる、収入は落ちるということで、労働者、国民全体の所得はやはり落ち込んでしまうということに必ずなっていくと思います。その結果が勤労者の家計の低迷ということで、これが今、日本の経済の危機的な状況の最大の要因になっているんじゃないか。

 私どもは、そういう立場で、個人消費を直接温める緊急の提言ということで提起して、大臣にも、これは後でお届けして、ぜひ見ていただきたいと思うんですが、個人消費を本当に温める、そういう施策をぜひとっていただきたいということを冒頭申し上げて、家電リサイクルの問題についてお聞きをしたいと思います。

 九八年六月に家電リサイクル法が制定されて、二年九カ月にわたる周知期間が終わりました。四月一日から施行され、テレビ等でもいろいろ報道されておりますけれども、全体として施行状況はどうなっているか、この点。

 それから、対象品目の排出数量あるいは指定引き取り所の扱い数量、リサイクルプラント工場、私も先般視察をしてまいりましたけれども、処理数量、リサイクル率の到達点、さらに、指定引き取り場所やリサイクル工場の設置状況、リサイクル料金、運搬料金、そういうものの状況について、これは項目が多いんですけれども、簡潔にお答えいただけたらと思います。

太田政府参考人 お答えいたします。

 大森先生御指摘のように、本年四月一日から家電リサイクル法が施行されました。この施行までに、リサイクル義務者である製造業者等により、全国各地三十七カ所に家電リサイクルプラントが設置されております。また、三百八十カ所に指定引き取り場所の整備が進められてまいりました。

 また、排出者から製造業者等の指定引き取り場所までの廃家電の運搬、これが必要になるわけでございますが、各地域において、自治体、小売業者、それから製造業者等の関係者による話し合いにより、法施行までに各地域の実情に合った収集運搬システムが構築されてきているところでございます。

 また、製造業者等が排出者から徴収するリサイクル料金でございますが、これは昨年九月以降、各製造業者等から公表されたところでございまして、また、小売業者が排出者から徴収する収集運搬料金につきましても、四月当初の私どもの調査で、ほぼすべての小売り業者が収集運搬料金を設定、公表しているところでございます。

 どのくらいの数が集まったかというお尋ねでございますが、四月一日以降五月一日までに指定引き取り場所に持ち込まれた廃家電は約三十万台、そのうち二十万台がリサイクル工場の方に運ばれております。私どもとしては、四月当初から順調に増加しており、今後さらに増加する傾向にあることから、廃家電の収集運搬が円滑に行われてきているものと認識しております。

 リサイクル率については、法令により定められた水準、それぞれ四品目によって違いますが、現在、各リサイクルプラントにおいて適正なリサイクルが進められているものと認識しております。

 ぜひとも、今後ともしっかり見ていきたいというふうに考えているところでございます。

大森委員 法律制定以来、リサイクル費用を消費者に負担させるという仕組みになっている点から、不法投棄が当初から心配をされていたわけなんですけれども、施行後の対象四品目の不法投棄の実態について、掌握されているでしょうか。

松田副大臣 不法投棄の御質問でございますが、家電リサイクル法では、御案内のように、小売業者に対しまして、廃家電を引き取り、製造業者等に適切に引き渡す義務を法律上課しておりますし、製造業者等に対しましては、廃家電を引き取り、適正にリサイクルする義務を課しておりまして、不法投棄のないよう適正にリサイクルされる仕組みとして、法の制度はできておるわけでございます。

 このような義務を履行しない事業者は、当然のことながら、命令、罰則の対象となっております。これにより、廃家電が廃棄されず適正にリサイクルされる仕組みを制度として確保しておるわけでございます。

 その他、マニフェスト制度といったことも導入しておりますし、また、不法投棄防止のために、本制度について、消費者、事業者の理解を得るということが必要不可欠でございます。そこで、環境省や各自治体とも連携をとりまして、ポスター、パンフレット、ステッカー等、いろいろの努力をこれまで積み重ねてきているところでございます。法施行後におきましても、家電リサイクル法にのっとった適正な排出、処理が確保されるよう、政府としては、積極的な普及啓発活動を行ってきたところでございます。

 もちろん、こうした取り組みに加えまして、自治体におきましても、不法投棄を防止するために、監視カメラを設けるとか、警察等の連携によりまして通報体制を整備するとか、いろいろな努力が積み重ねられてきておるところでございます。

 一体どういう実態にあるのかという御質問でございますが、正直、御案内のように、家電リサイクル法、本格的に施行されて一カ月半を今経過したところでございます。

 不法投棄の実態につきましては、法施行前に比べまして増加しておるという自治体もございます。豊田市とか千葉県の市川市等、増加したという自治体もございます。また一方、減少したとする自治体もございます。千葉県の東金市とか、茨城県龍ケ崎市、茨城県古河市等では減少しておるといった報告も聞いておるわけであります。

 いずれにいたしましても、今後の状況をしっかりまだ見守る必要が一方であると感じております。

 環境省におきましても、当然のことでございますが、不法投棄の実態を把握するための調査を今行っていると聞いておりますし、こういった調査結果を踏まえまして、不法投棄が行われないよう、環境省、自治体とも協力しつつ、法の厳正な運用、そして、さらに積極的な普及啓発を図っていきたい。そうしたことを通じて、不法投棄があることは現実でございますので、不法投棄を防止するように、さらに一層全力で努めてまいりたいというふうに考えております。

大森委員 私も、先般横浜市に参りまして、いろいろ対策等について伺ったわけなんですが、確かに四月に特にふえたということではありませんでした。

 その理由として、一つは、横浜市、都市部というところで、海岸部とかごく一部以外は不法投棄しにくいというような面もあるわけなんです。しかし、それでも、おっしゃったような、御答弁にあったような監視カメラ、大体一台五十万のものを数十台用意されたり、住民と連携した夜間のパトロール、これはテレビ等でも紹介もされましたけれども、そういうことを大変御努力されているわけですね。

 横浜市で掌握した不法投棄されたものについては二百八十数個だったんですが、そういう四品目について、環境対策上収集せざるを得ないということで回収した場合は、当然これは粗大ごみとして処理できない、リサイクルシステムに乗せなくてはならないと自治体もなっているわけですね。手間暇かけて、監視カメラでやったり、住民と一緒にパトロールをやって、そういう網の目をくぐり抜けて不法投棄されたものを回収したら、今度はそれを自治体の負担等でシステムに乗せなくちゃならないというのは、やはりこれはどう考えても不合理じゃないかなと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

松田副大臣 不法投棄につきましては、先生御案内のように、従来から、地域の生活環境の保全という意味で、廃棄物処理法に基づきまして、自治体による処理や取り締まりが行われてきたわけでございます。現在もまさにそういう制度になっておりまして、今おっしゃったように、不法投棄されました廃家電につきましても、引き続き自治体におきまして処理が行われておるわけでございます。現在の建前は、そういうことであります。

 いずれにしても、問題の根源は不法投棄をなくすことであります。そういう意味で、我々としては、まずはこの不法投棄をなくすために最大限の努力をするということではないかということで、先ほど御答弁申し上げましたような努力を今続けておるところでございます。

大森委員 建前はもうわかりましたから。

 今申し上げたように、不法投棄をなくすという点で、国も自治体もまた警察もそして住民もそれぞれ大変な努力をされているわけです。しかし、自治体においては業務量が当然ふえるし、横浜市でも専属のチームなどをつくって臨んでいるわけですね。業務量も経費も当然増大するわけであります。したがって、これをただ自治体に、監視費用、その他回収費用はやむを得ない面があるとしても、リサイクル費用も自治体でやりなさいというのについてはやはり不合理感が残るということで、少なくともこれについてどうするかということは、施行後一定期間たって、五年先じゃなくて、施行して半年なら半年で、見直しも含めてこういう点での関係者の協議などを行う、少なくとも自治体の意見を改めて聞くというぐらいはしてもいいんじゃないでしょうか。これは大臣、いかがでしょうか。

松田副大臣 不法投棄につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、現行の廃棄物処理法で、自治体によってなされておるということでございます。

 いずれにしても、家電リサイクル法を円滑に定着させてまいりますためには、今お話しのように関係者の間で、一カ月半たちましたがこの一カ月半の経過も踏まえ、常に密接な連携をとりながら、現実的な課題についていろいろ御相談をしながら最もいい制度をつくり上げていくということに尽きるわけでございます。そういう意味では、今先生おっしゃったように、関係者といろいろ御相談も申し上げていきたいと当然のことながら考えております。

大森委員 現実的な課題について、当然のことながら打ち合わせ、協議等をしていきたいと。その中に、現実的な課題の一つとして、そういう不法投棄された廃家電についてリサイクル料をどうするかもぜひ加えていただきたい。

 そこで、こうした不合理が起こるのはやはり、私ども法案審議の際から指摘をしてまいりましたように、排出時にリサイクル料金を徴収する仕組みに問題があるんじゃないかということで、EU諸国ではもう既に常識になっている、さらに最近は強化されているようでありますけれども、製品価格にコストとしてリサイクル料金を含めていくというシステム、これをとるべきじゃないかと思います。

 ヨーロッパでは、対象品目についても、あるいはリサイクル率の目標にしても、日本とは格段の大きな開きがあって、ヨーロッパへ進出した日本のメーカーについてはそれを現にやっているわけですね。ですから、欧州でやれて日本の国内でやれないはずはないんじゃないかということで、ぜひこの点は大臣に御見解をお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 平成十年の家電リサイクル法導入時におきましては、既に販売され家庭内で使用されている三億台の家電製品についてもリサイクル料金を徴収すべき等の観点から、産業構造審議会及び生活環境審議会の報告等をも踏まえまして、廃家電を引き取る際に排出者に対して料金を請求する、こういうふうにしたわけであります。

 家電リサイクル法においては、小売業者に対しまして、廃家電を引き取り製造業者等に適切に引き渡す義務を課し、製造業者等に対して、廃家電を引き取り適正にリサイクルする義務を課しておりまして、不法投棄のないよう適正にリサイクルされる仕組みといたしております。このような義務を履行しない事業者は命令、罰則の対象となっておりまして、これにより、廃家電が廃棄されず適正にリサイクルされる仕組みを確保しているわけであります。

 また、小売業者が確実に廃家電を製造業者等に引き渡すようマニフェスト、管理票制度が導入されておりまして、こうした仕組みによりまして法が厳正に運用されるように担保させているところであります。

 さらに、不法投棄防止のためには本制度について消費者、事業者の理解を得ることが必要不可欠であります。

 そこで、環境省や自治体とも連携をとりつつ、普及啓発用ポスター、パンフレット、ステッカー、これは約百十万部、ビデオの作成、製造業者及び小売業者に対する説明会の開催、これは五十一回行いました。市民参加型のシンポジウム、これも十回ほど行ったところでございますが、このような普及啓発活動を行ってきているところでございます。法施行以降におきましても、家電リサイクル法にのっとった適正な排出、処理が確保されるように積極的に普及啓発活動を行う所存でございます。

 これらの制度の厳正な運用及び積極的な普及啓発活動により不法投棄を防止することがまず重要と認識しておりまして、委員御指摘でございますけれども、まずこのことが重要だ、こういう形で進めさせていただいているところでございます。

大森委員 ちょっと質問と答弁がずれているような感じがしますけれども。

 最近もEUで廃家電製品について新たな指令が出されて、その中でどんどん無料で引き取っていくというシステムがさらに一層拡大されているという中で、やはりもうそれこそ生産と消費そして廃棄という従来の三つの概念のごちごちのイメージを本当に取り外すときではないかということを、私、今回、リサイクル品の排出からずっとリサイクルプラントまで全部拝見しまして強く思いました。

 こういう点で、引き続きぜひシステム全体の見直しについては、五年後を待つことなくそういう立場で検討していただきたいと思います。

 リサイクル料金についてお聞きしたいんですが、これは法案審議の際にも当時の通産省の局長からもたびたび、とにかく競争して価格は可能な限り低減、お互い競争し合って安くなっていくんだということを大変強調されておりました。ところが、今回は事実上の統一料金になっているわけですね。

 家電リサイクル法第十九条ではリサイクル料金を請求できることになっているけれども、適正な原価を上回るものであってはならないと規定されているわけです。同じ家電製品でもそれこそメーカーによって千差万別であるにもかかわらず、全部同じ値段ということなんですね。しかも、冷蔵庫などにしても相当大きさにも違いがあると思うんですが、全部同じということで、これが本当に法律に照らして適正かどうか判断できる基準を経済産業省として示す必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

松田副大臣 昨年九月、御案内のように、大手家電メーカーが相次いでリサイクル料金を公表しております。公表された料金は、施設の建設、整備やその運営等に要する費用を考えるとともに、家電産業の厳しい企業間競争を踏まえ、それぞれのメーカーが設定したものと認識しております。

 リサイクル料金は適正かどうか、どう考えておるのかということでございますが、各家電メーカーが原価を上回らない範囲で、家電リサイクル法によれば設定、公表することとなっておるわけでございますが、当省といたしましては、法施行に向けた準備段階で、施設の建設、整備、システムの開発等に要したコストやこうした施設等の運営に要した費用を検討しておりまして、公表された料金は適正な原価を上回らない水準にあるものと認識しております。

 また、公表された料金は、家電リサイクル法の国会審議等において、先生おっしゃるように言及された範囲内であり、消費者を初めとする関係者の御理解を得られる水準におさまるものと考えられます。

 いずれにいたしましても、リサイクル料金が低減され、家電リサイクルシステムが円滑に定着する、これが願いでございまして、メーカーによるコスト削減努力に引き続き大いに期待しておるところであります。

大森委員 私の時間がなくなりましたが、公正取引委員長にせっかくお願いをしましたので、今のに関連して、独禁法上の指針を検討されているやに伺っておりますが、考え方の基本について簡潔にお聞きをしたい。

 それから、これは公取委員長じゃないんですが、義務外品のリサイクルルートについては、排出者は郵便局まで行ってリサイクル料金を、振り込み料金まで負担して振り込まなくちゃならないとなっているわけですね。しかも一品ごとに手続をしなくちゃならない。せめて振り込み料金ぐらい、これは七十円で額は少額でありますけれども、通常料金加入者負担にしてもいいんじゃないか。この二点を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

山本委員長 簡潔に願います。

根來政府特別補佐人 御承知のとおり、私どもはリサイクルガイドラインの原案を公表しております。これをいろいろ説明すると長くなるので省略させていただきますが、これについて御意見をちょうだいして、六月中旬を目途にガイドラインを確定したいというふうに考えております。要するに、競争促進と、片やリサイクルの公共目的をどういうふうに理解してやっていくかということに尽きるわけでございます。

太田政府参考人 今、郵便局を利用したリサイクル料金の回収システムでございますが、これは、自治体による回収等の際に消費者及び自治体の利便性を確保したいということで、家電リサイクル券の印刷と各郵便局への配布、郵便局における振り込み業務、振り込み手数料の負担のあり方等制度の運用方法について、民間事業者が、旧郵政省、現在の郵政事業庁と検討してまいりました。

 確かに手数料はお払いいただくわけですが、やはり身近なところにある郵便局でどうしても小売業者がいないような場合にお求めいただくということで、一生懸命民間事業者が考えた制度でございますので、その点よろしく御理解いただければと思っております。

大森委員 終わります。ありがとうございました。

山本委員長 達増拓也君。

達増委員 けさ平沼大臣から新内閣のもとでのお言葉をいただいたわけでありますけれども、その中で、政策の第一に掲げられているのが緊急経済対策の速やかな実行であります。小泉総理大臣の所信表明演説でも、やはりイの一番、政策論の冒頭に出てくるのはこの緊急経済対策でありますから、これは小泉内閣として最も重視している政策というふうに受けとめております。

 この緊急経済対策でありますけれども、つくられたのは森内閣でありました。どうも自民党の総裁選挙のときに、小泉当時候補は緊急経済対策には反対をしていたような記憶もあるのでございますけれども、そこで、確認したいことは、緊急経済対策の基本的考え方の中に、景気回復に軸足を置きつつという言葉があるんですね。これは大きいポイントだと思うんですけれども、この景気回復に軸足を置きつつという基本的考え方、これは小泉内閣のもとでも変化ないと理解してよろしいんでしょうか。

平沼国務大臣 午前中の答弁の中でもちょっと触れさせていただきましたけれども、やはり小泉新内閣におきましても、森政権のときに策定いたしました緊急経済対策を重要視する、こういう基本姿勢は変わりません。その中で、景気回復に軸足を置くということも変わらないスタンスでございまして、この国の景気を持続的な安定軌道に乗せるためには、やはり緊急経済対策として幾つかやっていかなければならないことがある。

 御承知のように、その中で幾つかの柱がございまして、例えば金融サイドの不良債権の処理ですとか産業サイドの不良債務の処理、またIT関連の一連の新規産業が創出して雇用が確保できる、そういった体制、あるいは都市再生といった問題、そういったもろもろのことを包含いたしまして、やはり景気回復に軸足を置く、その基本姿勢は変わらない、御指摘のとおりだと思います。

達増委員 小泉総理は、痛みを恐れずという言葉をよく使っていらっしゃいます。けさの平沼大臣の言葉の中にも痛みを恐れずという言葉が入っておりまして、この痛みを恐れずという言葉は小泉内閣の公式スローガンのようなものだと思うのです。

 緊急経済対策のまず第一に掲げられているのが不良債権処理でありまして、特に、小泉総理の所信表明の中では、不良債権の最終処理を二、三年以内に目指す、そこがはっきりうたわれているわけであります。

 これは、痛みを伴うとして、どのくらいの痛みなのか。民間シンクタンクがいろいろと、不良債権の最終処理を断行した場合に大量失業が出るという予測をしておりまして、少なくても五十万人、多いと百万人を超える規模の大量失業が出るという予測をしておりますけれども、政府として、そういった大量失業のリスク、そこを覚悟していらっしゃるんでしょうか。

平沼国務大臣 今、達増委員御指摘のとおり、民間のシンクタンクでは、こういう不良債権処理に伴って、たしか一番多いのは百三十万、今御指摘の少ないので五十万。いずれにしても、そういう痛みは伴う、こういうことは事実だと私は思っております。

 ただ、まだこれは定量的にはっきりとらえることはできませんけれども、私どもとしては、金融サイドの不良債権処理を進めると、例えば整理する企業がある、そこに売掛金債権を持っている企業が大変不当な状況になる、そして経営が危機に瀕する、あるいは産業サイドの不良債務を処理していくと、また同様のそういう事態が起こる可能性が出てきます。

 我々経済産業省といたしましては、中小企業庁を中心にそういった痛みが出ることを極力防ぐためのセーフティーネットをしっかりと構築して、痛みを少しでも和らげる、こういうことを責任を持ってやっていかなければならない。確かに、そういう意味では、今御指摘のような形で、はっきりした数字は申し上げられませんけれども、そういう痛みが伴うことは事実だ、このように思います。

達増委員 セーフティーネットその他で痛みを最小限に抑えるということは、これは非常に大事なことだと思います。雇用の確保というのは政府の大きな責任の一つでありまして、生活の糧を奪われる生きるか死ぬかの問題でありますから、安全保障ですとか、治安ですとか、そういったことに匹敵する重要な問題。ですから、失業の問題には、政府はよほど真剣に取り組んでいかなければならないと思います。

 小泉総理大臣が当初、二、三年間マイナス成長でも仕方がないというようなことを御発言されていましたけれども、マイナス成長というのはとても恐ろしいことでありまして、一%マイナス成長をしますと、五百兆円ある国の総生産のうちの一%、五兆円がなくなっちゃう。それは所得が五兆円減るということでありまして、五百万円給料をもらっている人、百万人分の所得がなくなっちゃうんですね。ですから、五百万円給料水準で考えると、一年で百万人が職を失う計算になってしまう。

 大ざっぱに言うと、一%のマイナス成長は、一億人の一%、百万人の失業につながるわけでありまして、そんなことが三年間続くと、三百万人失業者がふえまして、三十人に一人が失業状態、三十人学級が実現しているとすれば、クラスに一人は親が失業している、そういう世の中になってしまう。実は今そうなっているんですね。今、三百万人を超える失業者が出ているのでありまして、失業率も四%を超える水準になっている。それをさらに倍にふやすことに対して、国民の八割、九割が支持しているわけでは決してないと思うので、そういうことがないように、政府に強く希望するわけであります。

 さて、そうしないためにも、構造改革ということを通産省時代から経済産業省はずっと続けてきたわけであります。

 そもそも、構造改革なくして景気回復なしというスローガン、これも小泉内閣の公式スローガンの一つ。構造改革なくして景気回復なしと言われていますが、もともと通産省、経済産業省のラインでは、景気回復のためにこそ構造改革をやり遂げようということでずっとやってきたわけでありますね。そういう意味では、景気が回復しなければ構造改革ではないと言っていいと思います。

 景気が回復しなければ構造改革ではない、そういう覚悟で経済産業の構造改革に今まで経済産業省は取り組んできて、これからもやろうということで、けさの大臣のお話の二番目に出てきたのが、経済構造の変革と創造のための行動計画、これの新行動計画ができたので、それを実行していくということであります。

 今までの行動計画と新しい行動計画を比べたときに幾つか気がつく点があるんですけれども、まず、前の行動計画では、新規産業、雇用創出の十五分野というのがあったわけですね。新規産業を創出して、そこの雇用をふやす。医療・福祉関連分野に始まって、生活文化関連分野、情報通信関連分野、新製造技術関連分野、流通・物流関連分野、環境関連分野云々と、十五分野それぞれについてかなり本格的に取り組んできたということだと思うんです。

 この十五分野というのが今回の新計画には見当たらないのでありますけれども、そこのところはどうなっているんでしょうか。順調に成長してきて、うまくいっているから外したのか、その辺、実態をどう把握しつつ、今回どういう扱いになっているのか、伺いたいと思います。

古屋副大臣 お答え申し上げます。

 今御指摘がございました、平成九年に取りまとめました経済構造改革の行動計画の中で、現在それはどういう状況になっているのかが一つ、それからもう一点は、今度の新行動計画、これはいわば昨年の十二月に平沼大臣が中心になって取りまとめたものでございますが、この内容とはどういう差異があるのか、こういった趣旨の御質問だと思います。

 まず、平成九年に策定した経済構造の変革と創造のための行動計画は、二〇一〇年における雇用規模あるいは市場規模の見通しについて想定をしたものでありまして、いわば努力目標でありまして、相当な幅を持って想定をしているということを御理解いただきたいと思います。

 そういう中で、昨年の十二月に改定をいたしましたいわば二百六十項目の行動計画につきましては、既に平成九年に示されております分野、すなわちITであるとか医療・福祉等、新規成長分野の発展に向けた構造改革をさらに加速する、こんなふうに位置づけられておるわけであります。

 この計画に示された雇用規模は、先ほども御指摘させていただきましたけれども、あくまでも努力目標を示したものでありまして、計画遂行による雇用創出規模を正確にお示しするということは困難でありますけれども、新たな市場や雇用の創出に着実に結びついているものと確信をいたしますし、また、私どももその新たな雇用の創出に向けて不断の努力を続けていく、これは申し上げるまでもないことであります。

達増委員 旧行動計画と新行動計画の違いでもう一つ気がついたところは、旧行動計画には、中心市街地活性化という項目が大項目として見出しにあったわけであります。これが新行動計画の中には入っていない。

 中心市街地活性化というのは、商店街、商工会議所、そういった関係の方との接触がある皆さんであれば今物すごいホットなイシューでありまして、法律に基づいて自治体が基本計画を立てて、それに基づいてTMO、タウン・マネジメント・オーガニゼーションが立ち上がってきて、いよいよ本格的に町づくり、町おこし、商店街から景気回復、地方から経済再建、そういう芽がようやくわっと出てきたところなので、経済構造の変革と創造のためにはやはり今非常に重要なテーマだと思うんですけれども、この点はいかがでしょう。

古屋副大臣 今御指摘ございました中心市街地活性化事業、これは商店街を中心とした中心市街地の活性化事業でございまして、いわば日本の商業文化の原点ともいうべきものでありまして、私どもは、この活性化は極めて重要であるというふうに認識しております。

 したがいまして、この重要性については我々もいささかも減じておるわけではございませんで、御承知のとおり、昨年十二月に改定をされました経済構造の変革と創造のための行動計画におきましても、柱立ての変更に伴って、大項目としては入っておりませんが、しかし、商業基盤施設整備を通じた中心市街地の活性化を図るということを明確に記載しまして、その着実な実行を図っているというところでございます。

 中心市街地活性化施策の重要な要素といたしましては、市街地からの新しい事業、このクリエーション、創出というものを掲げておるわけでございます。具体的には、ソフトウエアであるとかデザイン等、中心市街地の都市機能にふさわしい都市型事業の創出、こういうものも含まれると思いますし、また、インキュベーション施設の整備等を支援していくということになっておるわけでございます。

 中心市街地の活性化及び地域における新事業の創出促進は、冒頭にも申し上げましたように、我が国の経済の活力のいわば源泉でございまして、経済産業省といたしましては、新たな産業の創出と良好な雇用機会の確保のために今後とも積極的に取り組んでまいりたい重要課題だと認識をいたしております。

達増委員 先ほど、新規産業、雇用創出の十五分野について質問した際、お答えの中で、あれはあくまで努力目標だったということなんですけれども、経済産業構造改革というのは今や一種の危機管理のような水準になっていて、日本の経済社会を立て直していくに当たっては、政府としてももっと戦略的に、このくらいの目標を設定し、これは必ず実現するというような戦略プログラムとして取り組んでいく必要があるんだと思います。

 御答弁を伺うと、今、特にITですとか医療・福祉関係、恐らくあと環境関係もそうなんでしょうけれども、そういった分野に重点化されてきている。その重点化の方向性は正しいと思います。

 OECDの統計なんでありますけれども、各国の産業構造の比較をしまして、その産業構造の中、農林水産業、鉱業、製造業、建設業とかに分けていったときに、OECDのこのデータでは地域・社会・個人サービスと呼んでいるんですが、社会的産業、医療福祉ですとか環境関係ですとか、そういった非消費型の社会的なサービスにかかわる産業分野、これは日本がまだまだ立ちおくれている状態なんですね。九八年のデータですが、日本はまだ二八%にしかなっていない。アメリカは三五%、スウェーデンは三七%、日本は二八%であります。

 二十一世紀というのは高度サービス産業社会になると思います。したがって、こういうサービス産業分野、ITはITで重要なんですけれども、アメリカの九〇年代の経済成長は、ITもありますけれども、ヘルスケアなどのこういった社会的産業の拡大に負うところもかなり大きいと思うんですね。ですから、日本政府としても、アメリカ、ヨーロッパ並みにこの社会型産業を拡大していく、そういうビジョンを持つべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

古屋副大臣 今、達増委員御指摘のとおり、地域・社会・個人サービス、これはこれから極めて重要な分野であるという御認識でございますが、私どもも全く同感でございます。

 特にその中でも、ヘルスケア産業、これは極めて重要な分野だというふうに認識をいたしております。高齢化社会の進展というのは、単に国民の医療費負担の増加というマイナスの側面だけではなくて、医療産業に対する需要の増加という面もあることは御指摘のとおりでございます。

 消費者への透明性の確保であるとか、あるいは競争制限的な規制の見直しなどの改革を積極的に行っていくことによりまして、消費者に対してより質の高いサービスをより効果的に提供していくということが可能となれば、医療産業というのは、新たなサービスの創造というものも含め、我が国経済の持続的成長の大きな原動力の一つになり得るポテンシャルを持っている、私はそのように考えております。

 今後とも、厚生労働大臣とも緊密に協力をしまして、経済財政諮問会議あるいは産業構造改革・雇用対策本部、もう既に立ち上がっておりますので、このような場を活用いたしまして医療分野の構造改革にも全力で取り組んでまいりたい、このように思っております。

達増委員 今、副大臣の方からも、医療関連分野の重要性を指摘していただきましたけれども、やはり社会的産業の中でもこの医療というのは一つ大きいポイントなんだと思います。

 そもそも数十兆円規模の巨大産業でありまして、この数十兆円規模の巨大産業がどういう状態か。これもある民間シンクタンクが調査した結果でありますけれども、日本の医療関連分野の生産性はアメリカと比較してその七五%しかない。生産性が低いわけであります。特に、高度医療サービス分野の生産性は、これは生産高ですけれども、アメリカは日本よりも四〇%も生産高が高い。それだけ経済の規模拡大、雇用に貢献しているということであります。

 この調査によると、設備と薬のコストが高過ぎる一方で人件費が低く抑えられている、そこをうまく調整することで、百万人規模の雇用を新たに創出しつつ、高いサービス水準を実現することができるというふうに言っているわけであります。

 どのくらい設備とか薬のコストが高くなっているかといいますと、日本の平均入院日数というのはアメリカよりも四倍も長い。また、処方薬の使用量は、日本がアメリカの二倍も薬を使っている。つまり、設備そして薬、このコストが二倍も四倍も高くなっているわけですね。

 しかし、日本の医療費は国際水準で比べると低い、安い医療費なわけですけれども、なぜそうなっているかというと、人件費を思い切り圧縮しているからであります。

 例えば、日本の医師の数二十三万人、国民一人当たりの医師数はアメリカより三五%以上少なく、ドイツより五〇%少ない、お医者さんの数が少ないわけであります。看護婦さんの数や関係の医療従事者の数もまた同様でありまして、人件費を低く抑えているがゆえに医療費は安い。

 でも、当然これはコスト高でサービスが悪いという構造になりまして、例えば外来患者に対する医療サービスが圧倒的に低い。長い待ち時間、短い診察時間、そして入院患者に対応する要員の不足、治療の選択肢が少ないとか、画期的新薬がすぐに入手しにくいという問題もあります。

 私が最近目撃した事例でも、ある県立病院、コスト削減を図って、病院の清掃業務、これはビルメン業者に委託するわけですけれども、その人数が今切り詰められちゃっている。こうなりますと、最近院内感染とかが問題になっておりますけれども、そういう危険すら出てくる。サービスの低下、医療ミスの問題も多くなっておりますけれども、数十兆円規模の巨大産業でありながら、そういう惨たんたる情勢にあるのがこの医療関連分野であると言えましょう。

 そこで、いろいろな規制の改革も、現実に処方せん、まさに処方せんですが、提案されております。

 広告規制の緩和ですとか、第三者評価の充実ですとか、また、保険負担と自費負担をまぜる混合診療の解禁、特定療養費制度の対象拡大、介護サービスについては民間事業者の活動の一層の円滑化、さらに、診療報酬制度に関連しては患者の自己負担率の引き上げ、これは、率は引き上がるわけですけれども、薬や設備のコストを下げることで医療費自体が下がれば、負担率が上がっても負担は下がるわけであります。出来高払いから定額払いへの移行。また、医療の情報化も重要であります。医療機関に関する情報化、カルテの電子化、標準化、保険者によるレセプト審査の充実、レセプトの電算化、保険者による一次審査、さらに、病床規制の撤廃ですとか企業の病院経営の解禁ですとか、そういった本格的な改革をこの医療関連分野に行えば、百万人規模の雇用創出も可能。

 今のような経済の危機的状況の中で、やはりここまで踏み込んだ経済産業構造改革というものが求められていると思うんです。ちょっと長くなってしまいましたが、ここでそれについてのコメントをいただきたいと思います。

平沼国務大臣 確かに、今、達増先生御指摘のとおり、特にヘルスケア、医療の分野、ここの構造改革を進めて、そしていろいろな規制を取り払ってインセンティブを与えるということが、雇用の創出にもつながりますし、二十一世紀にふさわしい福祉社会を実現することになっていくと思っております。そういう意味で、今の御指摘の点は、私は非常に正しい方向だと思っております。

 実は私も、新しい二百六十項目、昨年末取りまとめましたけれども、さらにこの改革断行内閣という形で、小泉総理、大変一生懸命頑張っておられますので、この二十五日に開催される予定の産業構造改革・雇用対策本部においてそういったものも含めたプランを私は出させていただこうと。

 まさに今達増委員の御指摘、非常に正しい、そういう形で我々は果敢にチャレンジをしていかなければならない、私はこのように思っています。

達増委員 こういう改革のためのいろいろな行動計画とか、またいろいろな何とか計画、そういうのがどんどん出るわけでありますけれども、そういうものは、本当に改革をなし遂げるぞという迫力を持ってやらなければならないと思うんです。これだけ経済が危機管理的な状況になってきますと、例えは悪いんですけれども、一種の戦争指導のような体制になってきていると思うんですね。日本で戦争指導というと、日本のかつての軍国主義を思い出してしまうかもしれませんが、世界各国には民主主義的に戦争指導を成功させた国々もあるわけでありまして、そういう民主主義的プロセスで強力なリーダーシップをつくり、国全体を大きく変えていくということが今求められているのだと思います。

 したがって、本当に内閣全体として、必要に応じては、戦争指導であれば、五省会議といって、総理大臣のほかに海軍大臣、陸軍大臣、外務大臣に内務大臣でしょうか、経済に関するそういう五省会議を臨機応変に開くとか、とにかく勝算のある戦略をつくってやっていただきたいと思います。

 ともすれば、縦割り行政の中で、陸軍とか海軍とかあって、またそれぞれに戦車部隊、歩兵部隊、いろいろな部隊があって、その限りで、今自分の部隊にできる最善のことは何だろうかとか、自分の部隊が活躍して、自分の部隊をさらに強化していくためにはどういうことができるだろうか、そういうことを下から集めて積み上げて、それが何か国全体の戦争指導の計画になってしまう。それでは勝てるはずがないんでありまして、やはりいい意味でのトップダウン、本当に総理を首班とする内閣として、成長率はこのくらいは確保する、この分野の産業はこのくらいにまで拡大する、それで雇用は何万人確保する、そういう本当に迫力のある戦略を立て、それを実行する強い内閣でなければならないと思うんですけれども、いかがでしょう。

平沼国務大臣 確かに、御指摘のそういう国としての戦略、これをぴしっと決めて、そしてそれを着実に実行する、そういう体制をとるということは、私は非常に大切なことだと思っております。

 そういう中で、今、総理大臣が長となって、経済財政諮問会議、これが開催をされています。これは、言うまでもなく、経済、財政、そして予算まで踏み込んで、構成メンバーは、総理大臣を長として主要閣僚がそこに入り、それから、経済大国ですから、中小企業を初め企業の代表の方々、あるいは民間の有識者、こういった方々が入って、それから日銀の総裁も入ります。

 そういった中で、そういう基幹的な、いわゆる予算も含めてやはり議論をしていく、そういうことが今御指摘の機能を持つ新しい体制だと思っておりまして、私もその一員でございますので、私もその中で経済構造改革、その担当大臣といたしまして、そういう問題意識を持って、しかし、決してかつての軍国日本のような誤った方針を出さない形で、民主的な運営の中でしっかりした方針を出していく、そういうことのメンバーの一員として努力をさせていただきたい、このように思っています。

達増委員 改革の戦いというのは本当に負けられない戦いでありますから、本当に勝ちにいくという覚悟でやらなきゃだめだと思います。もし本当にそういう覚悟で、必勝の戦略、必勝のシナリオみたいなものができれば、大きい変化はあるかもしれないけれども、痛みのない改革といいましょうか、つまり、たとえ今ある会社がなくなり、今勤めているところを離れなきゃならなくなったとしても、もっといい産業、もっといい働き場所、そして、もっといい人生がその先に待っている。それがはっきり見えれば、それは痛みを我慢するとか、痛みを恐れずとかという話ではなくて、変化を超えれば、そこにはよりよいものが待っているわけでありますから、そういう意味では、本当の改革には痛みは伴わない、ただ変化だけがあると言い切るくらいのものをつくっていかなければならないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 大島令子君。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 小泉政権になりまして、社民党が反対している原発推進という方向が鮮明に出されました。きょう、冒頭の平沼大臣の就任あいさつの中でも明確に述べられました。そこで、きょうは、山口県上関原発の問題と、昨日の参議院予算委員会でも我が党の清水議員が取り上げました新潟県柏崎刈羽原発の住民投票の問題についてのみ質問をさせていただきます。

 まず、大臣にお伺いします。

 上関原発についてでございますけれども、五月十一日に電源開発分科会への上程が決められ、四月二十三日には山口県知事からの意見書が出され、経済省はこれを知事の同意のように説明されております。しかし、この知事の意見書では、六項目に区分した二十一の条件を列挙し、今後の対応状況により、県が所有する権限、事務協力を留保することもあり得るとしております。特に、いまだ炉心を含む建設用地の取得が七〇%ほどしか行われていないことへの懸念も表明されております。

 また、社民党は、五月十五日に、電源開発分科会への上程を行わないことなどを申し入れております。しかし、翌五月十六日、同分科会は開催され、上関原発一、二号機は国の電源開発基本計画に盛り込まれました。

 これまで、炉心の土地すら取得できていない状態での分科会上程というたぐいのものはありましたでしょうか。そしてもう一点。このように条件が整っていない状態での見切り発車は、かえって強引な土地取得や地元の混乱を招くと考えますが、大臣の見解を求めます。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 旧電源開発調整審議会上程地点における用地取得について、審議会上程時に完了していないケースは幾つか見られるところでございます。近年では、電源開発の大間原子力発電所建設計画が、炉心から半径五百メートル以内に未取得の用地が残されておりましたが、平成十一年八月の電源開発調整審議会に上程をされました。

 なお、一般論として申し上げますと、すべての用地が確保されていなければ電源開発基本計画に組み入れられないというものではないと思っております。

 また、当省といたしましては、上関地点につきましては、昨年十月に第一次公開ヒアリングを開催したこと、二番目に、環境アセスメントについては、昨年十一月に当省の環境審査顧問会で了承されたこと、三番目といたしまして、地元の上関町においては、一貫して建設に前向きに取り組んでおりまして、また、四月二十三日には、当省資源エネルギー庁長官から行った山口県知事への意見照会に対して、同意であるという旨、口頭により回答を得たこと、四つ目といたしまして、五月十一日に関係行政機関の長より異存はない旨の回答を得たこと、こういったことから、状況を総合的に判断させていただきまして、電源開発基本計画に組み入れる機が熟したものと判断し、所要の手続を進めているところでございます。引き続き、地元の理解を得ながら本計画を一歩一歩着実に進めていくことが重要だと思っております。

 さらに、炉心用地そのものが未取得でという御質問でございますけれども、近年、現時点で把握できます昭和五十六年の原子力発電所以降においてはそのようなケースはない、このように認識しておりますけれども、炉心に近い土地の取得が未了だったケースもあり、炉心そのものか否かということが大きな問題になるものとは私どもは考えておりません。

大島(令)委員 上関原発は、計画が立ち上がってから二十年弱の時間が経過しております。用地問題、漁業補償問題、自然環境問題、住民合意の問題など、多くの課題が未解決のままであると私どもは考えております。

 そして、原子力の安全神話の崩壊。例えば、茨城県東海村のジェー・シー・オー東海事業所の臨界事故の記憶は新しいはずです。昨夜の深夜のテレビを見ていました。放射能で被曝した大内さんの治療に当たられた医師、看護婦の物語でございますけれども、現在、放射線を被曝した方々の治療法というのがまだ確立されていないという報道でございました。

 こういう状況の中で、私は、電力需要が逼迫しているわけではなく、これから電力も自由化を進めていこうという中で、なぜ急いで電源開発分科会に上程する必要性があったのか、疑問に思っております。

 これは長官に伺いたいと思いますが、知事意見の回答期限を過去の慣例より期間を短くした理由を教えてください。

河野政府参考人 知事の意見をいただくに当たって、特段過去の前例に従ってどうこうというふうに考えたわけではございませんが、たしか二十五日までに御回答いただきたいというふうにお願いを申し上げたところ、二十三日に御回答いただいたような記憶をいたしております。

大島(令)委員 では、ちょっと意見がかみ合いませんので、次の質問に移ります。

 大臣、このパネルにしてきましたチラシ、大臣の自筆の署名でございますよね。

平沼国務大臣 そのとおりでございます。

大島(令)委員 大臣、このパネルを、今国会で何回拝見されていますか。

平沼国務大臣 昨日の予算委員会と本日の二回でございます、そのパネルとしては。

大島(令)委員 昨日の予算委員会で、我が党の参議院議員清水澄子さんがこのパネルを作成したのを借りてきたものでございます。私は、これは非常に問題だと思います。あとこのパネルにしたチラシに関して質問をさせていただきます。

 まず、大臣、このチラシを配布した目的は何ですか。五月二十七日に行われます住民投票で、プルサーマル反対派が多数を占めることを防ぐためですか。

 二点目。どういう方法でこのチラシを刈羽村に配布しましたか。

 三点目は、地方自治の精神からいって、特に刈羽村長が介入を拒否しているにもかかわらず、国がこういうことをやることは不当ではないでしょうか。もし五月二十七日にプルサーマル否定が多数になった場合、住民投票の結果を尊重すると理解してよろしいでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 プルサーマル計画というのは、我が国における将来のエネルギーの安定供給確保のためぜひとも必要なものと考えておりまして、今お示しいただいたそのパネルのメッセージにおいて、そのようなプルサーマル計画の必要性及び安全性を説明させていただき、住民の方々の御理解を得るために配布をいたしました。そういう意味では、高圧的であるとか、それから介入をするといったような気持ちは決してございませんで、正しく理解をしていただきたい、こういう気持ちで配布をさせていただきました。

 また、配布した方法でございますけれども、当初は新聞の折り込みを考えておりましたけれども、新聞社、販売店と条件面で折り合いがつきませんで、製作を担当いたしました財団法人立地センターの職員と、それから投函業者に配布を依頼いたしました。そのような方法で、大体朝の四時半ぐらいに届くような形でさせていただいたわけでございます。

 それから、住民投票に関してその結果、こういうことでございますけれども、私どもは、今一番、住民の方々の御理解をいただいて、そして住民の方々に賛成をしていただく、こういうことで全力を挙げておりまして、その結果について今私どもは申し上げる段階ではない、このように私は思っております。

大島(令)委員 では、大臣にもう一度聞きます。

 私どもが事前に経済産業省から資料照会したところ、このチラシ四千枚の作成費用は三百三十二万円と聞きました。製作費が八十八万円ですから、投函費用、いわゆる刈羽村全戸にポスティングする費用が約二百四十四万円と計算されます。約千五百世帯ですから、少なく見積もっても一枚の配布代が千六百円です。

 私も、国会議員としまして、国会報告を選挙区の有権者に配ります。十八万世帯です。私ども国会議員に一月支給される文書交通費百万円の一年分、一千二百万円を全額投入して十八万世帯にビラを配布しようとしても、一枚約七十円です。

 それを、国の税金を使って、一枚千六百円のコストをかけてこの時期にまくというのは、大臣は、今、必要性と安全性を正しく理解してもらうというにしては、余りにも国民の税金を刈羽村だけに使い過ぎていると私は思います。この点に関しての見解も聞かせてください。

 そして、もう一点。この住民投票に関しましては、関係する国会議員の名前の入ったチラシが二枚ございます。田中外務大臣ですとか、御夫婦で署名をされています。あと、住民の会でも、地元選出の、ここも同じですけれども、田中眞紀子外務大臣、御主人の田中直紀農林水産副大臣とか、国会議員の署名もしくは名前入りのチラシ、そして、それにも増して大臣ですよ、三つそろっているんです。ここまでしてやる理由が、通常の私たちの常識では考えられないわけなんです。

 そう考えると、二十七日に結果の出る住民投票に対して、国としてやはり何らかの大きな意思を持ってやったのではないかと推察されるわけです。もう一度大臣の見解を聞かせてください。

平沼国務大臣 確かに、費用の点、細かく御指摘をいただきました。これは、配布した枚数は一千五百枚、御指摘のとおりでございます。

 ただ、これは、先ほど申し上げましたように、新聞の折り込みを考えておりましたけれども、販売店と、新聞社と条件が折り合わなかったために、やはり職員とそれから投函業者に依頼をいたしましたので、費用がかさんだわけでございます。そういう意味で、御指摘の、高過ぎる、こういうことがあると思いますけれども、そういう事情があったということであります。

 それから、繰り返しになりますけれども、私どもとしては、国のエネルギーの基幹的な政策、これを遂行するに当たって、やはり住民の皆様方にその必要性と安全性というものを理解していただく、こういう必要性を感じまして、決して介入をするとかあるいは押しつける、そういう形じゃなくて、その文章も読んでいただきますとおわかりいただけると思いますけれども、そういう今の二つの観点に力点を置いて配布をさせていただきました。

 また、地元の選出の国会議員の方々も、それぞれその必要性を感じて、それぞれの御意思でそういう形で出されたものと思っておりまして、その方々の文章も私は承知をしておりますけれども、決して高圧的というものではなくて、必要性そしてその安全性を説明している、こういったことでございまして、私どもは、居丈高に介入をして、そしてそれを左右しよう、そういうようなことは毛頭考えていなかったことを御理解いただければと思います。

大島(令)委員 しかし、国会議員とか大臣の名前が出たビラに関しまして、一般の方と違いますよね。私たち国会議員は、例えば犯罪を犯しても国会開会中は逮捕されないというように、国民の代表として、私たちの立場は憲法に規定されているわけです。そういう意味で、私たち国会議員の署名とか名前というのは、国民に対して非常に重たい意味を持っていると思うわけです。

 ですから、私は、これはやってしまったことでございますけれども、今後、同じような原発をめぐる賛否に対して、住民投票ですとかその自治体がやろうとしていることに同じ態度をとり続けるのか、その点を大臣に伺いたいと思います。

平沼国務大臣 私どもといたしましては、この国にとって必要な基幹的な政策、それをやはり住民の方々にきちんと理解していただく、そして、その安全性も理解をしていただいて安心をしていただく、そういう必要があれば、国の基幹的な政策に関しては私は当然やらせていただく、こういう考えを持っております。

大島(令)委員 では、このチラシの内容に関しまして長官に質問をさせていただきます。

 大臣は先ほど、必要性と安全性を正しく理解してもらうと答弁されました。正しく理解してもらうのであるならば、このチラシは正しい内容でなければならないと思っております。

 しかし、一つずつ検証してみますと、まず、「プルサーマルは世界で実績があります。」とここに書いてございますけれども、実績というのはドイツのたった二基です。よその国ではみんなやめてしまっています。世界で実績があるというのは、今の実情では外国に笑われてしまうと私は思います。

 また、「リサイクルするのが「プルサーマル」」とここのチラシに書かれております。これも正確ではありません。プルサーマルをした燃料はリサイクルできないのに、どうしてリサイクルと言えるのでしょうか。

 次に、もう一つ正しくないこと、「プルサーマルは、原子力発電を末永く続けていくために必要です。」とここに書かれております。原子力は今、電力の自由化などを前にして、今後末永く続けていける状態どころではありません。プルサーマルをすれば、コスト高により、原子力は電力自由化を迎えより不利になります。

 反対しているたくさんの人たちはうそと言っていますが、ここは国会ですから、私は、不正確、妥当ではない内容が書かれていると思っております。これは経済産業省がつくったチラシでございます。正しく理解してもらうならば、このチラシはもっと、国が私たちの税金を使って払うビラであるならば、堂々と真実を書いて配るのが国のやることだと思います。

 長官の、今の質問に対する答弁をください。

河野政府参考人 ビラに関します御説明をさせていただく前に、私は昨日夜、刈羽村に伺って、反対派の皆さんとの討論会に参加をさせていただいてきました。その場で、今御指摘があったようなことも含めて討論をさせていただきました。私なりに堂々とやらせていただいたつもりでございます。

 それから、この実績でございますが、プルサーマルは現在、世界の五カ国で三十五基で行われております。先生御指摘のように、BWRという形については比較的基数が少ないということではございますけれども、実績があるという点については、相当数の規模に上っているのでございます。この実績は十分評価するに値するものだと思っています。

 それから、MOX燃料がリサイクルになるかという御指摘でございますけれども、まず御理解いただきたい点は、発電所で使いました使用済みの燃料を再処理工場に持ってまいりまして、そこで再処理をすることによってプルトニウムを取り出す、またウランを取り出す。これは有用資源でございます。それを再度燃料に加工するということが第一段階目のリサイクルでございまして、そういう意味で、MOX燃料そのものがリサイクルでございます。

 さらに、反対派の方がおっしゃる場合に、MOX燃料を再処理しないんじゃないか、だからリサイクルといっても一回ではないかというお話があるわけですけれども、MOX燃料をリサイクルした経験は我が国も海外も持っております。ただ、問題は、もっと技術を磨いたり、あるいは商業的にそれをやっていくかどうかということはさらなる判断が要るということだと思っております。

 それから、自由化を控えて原子力発電は高くつくのではないか、そういう中でMOX燃料を使ったら末永くではないのではないかというコストのお話でございます。

 これは、一昨年の秋であったと思いますが、私どもの当時の総合エネルギー調査会の原子力部会で、原子力発電のコストについて分析をして公表をさせていただきました。そのときの原子力発電のコストは、キロワットアワー当たりでありますけれども、約五・九円ということでございまして、他の電源に比べて決して遜色がないということでございました。その中には、再処理の費用ですとか燃料の加工費用、これは場合によって一定のMOX燃料を含むということで計算をしたと私は記憶しておりますけれども、それでコスト的には遜色がないということが当時の結論でございました。

 ちなみに、その後、火力、特に石油、天然ガスは価格も上昇しておりますから、そういったことも今の段階では考慮に入れてお考えいただく必要があるかなというふうにも思います。

大島(令)委員 では、もう一度長官にお尋ねします。

 このチラシの中に、プルサーマルが実施できなければ使用済み燃料を青森に運ぶわけにはいかないと書かれております。であるならば、住民投票でプルサーマルが否定されたときは、使用済み燃料を青森に運ばないようにするつもりなのですか。

河野政府参考人 ここで書いてありますことは、プルサーマル計画ができなくなればということでございます。

 プルサーマル計画は、二〇一〇年までに十六基ないし十八基ということで長期間をかけた計画でございます。今回の住民投票の評価そのものにもいろいろ御議論はあるんだろうと思いますが、その結果だけでこのプルサーマル計画が左右されるということでは必ずしもないようにも思います。いずれにしても、そこで書いてありますことは、仮にプルサーマル計画そのものができなくなったらということでございます。

 そして、できなくなった場合には、再処理をしてリサイクルをするプルトニウムあるいはウランを使う意味がなくなってしまうことになるわけですから、再処理そのものをすることは意味がなくなってしまう。そういうことであれば、今青森県は、電気事業連合会などとの安全協定で、昨年から各地の使用済み燃料を、再処理工場の運転前にあらかじめ準備として引き取りを続けているわけですけれども、それを引き取り続ける理由がなくなってしまうというようなことを申し上げているわけであります。

大島(令)委員 ということは、青森に運ぶわけにはいかないということになるわけで、住民に対するおどしというふうに理解されるのではないでしょうか。

河野政府参考人 私どもは、こういう長期間にわたる核燃料サイクルという政策のもとで、個々の原子力発電所も、例えば、外国との比較において、使用済み燃料プールの規模が比較的小さ目につくってあるとか、そういったことを前提にして考えるとこういう実情にあるということを素直に申し上げたわけでございます。

 そして、もし、私どもが安全性について自信のないようなプルサーマル計画というものを国民の皆さんに提案しているのであれば、それは、本来信用されもしないことを提案しておどかしているんではないかという御批判を受けるのかもしれませんけれども、私どもは、安全性について原子力安全・保安院が自信を持って判断を下した、その計画について、ぜひ地元の御理解を得たいということで、そういった点についても説明をさせていただいたわけでございます。

大島(令)委員 では長官に伺います。

 略称平沼大臣ビラと呼ばせていただきますけれども、このビラの中では、原子力発電は、本来ウラン燃料で動くように設計されているものであり、MOX燃料の装荷ができないといって、停止するような事態になるように書かれております。柏崎刈羽原発三号機一基のプルサーマルができないことが原因で原発が停止するというふうにとられます。では、停止するのはいつごろだと経済省は考えていますか。

 次に、このビラに、「我が国の電力の三分の一以上を発電する原子力発電所が停止するようなことになれば、電力不足のような問題が発生」すると書かれております。しかし、私の入手した資料では、夏場のピーク時でさえ原子力発電の設備容量を超える余剰設備を抱える日本で、いつ電力不足が発生するのか疑問でございます。

 例えば、平成十一年、十二年の電力九社の八月の供給力の予備率は一七%、そして十二年が一五%です。適正な予備率というのは大体一〇%ということでございます。ですから、これも、これが否決されればエネルギー不足になるというようなおどしと私には読み取れます。これも説明してください。

 そしてもう一点、「プルサーマルは、原子力発電を末永く続けていくために必要です。」と見出しに書かれております。このような観点は、国策としてどのように位置づけられた、まあ定式化されているのか、長官に示していただきたいと思います。

河野政府参考人 まず、供給予備率の点から御説明をさせていただきたいと思います。

 御指摘のように、供給力を例えば平成十二年でとってみますと、一億九千六百七十四万キロワットという数字になります。実際の需要は一億七千百七十三万キロワット、ピーク時でございます。予備力は一五%ということでございます。

 ただし、この供給力というものの中には、実は、定期検査ですとか補修などにかかわって、どうしてもとめておかなければならない機械がございます。そういった機械の力を差し引きますと、実は、予備力は、例えば平成十一年度ではマイナス六%、平成十二年度ではマイナス七%になってしまう。つまり、原子力を仮に動かさないといたしますと、そういう数字になってしまうというのが実情でございます。

 それから、核燃料サイクルについての政府としての組織立ったといいますか、位置づけでございますけれども、核燃料サイクルの議論というのは、歴史は非常に古いわけでございまして、昭和三十年代から原子力委員会において議論をされてきているわけでございます。その原子力基本法に基づいて五年に一度原子力委員会が決定してまいりました原子力長期計画でも、当初のころから政策的に明確な位置づけを受けております。

 特に最近のものを御紹介すれば、昨年十一月に策定されました新しい原子力長期計画におきましては、核燃料サイクルにつきまして、供給安定性等にすぐれている原子力発電の特性を技術的に向上させるとともに、原子力が長期にわたってエネルギー供給を行うことを可能とする技術ということでございまして、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効に利用していくことを基本的考え方とするということになっており、また、プルサーマルについては、計画的かつ着実に進めるというふうに述べられております。

 そして、プルサーマルを含みます核燃料サイクルにつきましては、平成九年の二月の閣議了解で、その推進を政府として確認しているということでございます。

 こういった核燃料サイクルが原子力発電を末永く続けていくために必要だということをこういう場で確認をし、私どもも御説明を申し上げているわけであります。

大島(令)委員 答弁漏れが一つございますけれども、時間がございませんので、最後に一点だけ。

 先ほど需要の件で言いましたけれども、これを計算するときには、発電容量と設備容量というのがございます。日本の場合は、余剰設備がありますので、ピーク時におきましても、大体補修とか点検でとめても、例えば、原子力発電所でも、一号機、二号機、二基で一組で、定期点検に入るときに一つを稼働しているという状況でございますので、やはりこの数字を見ますと、総設備の中の何%かを引いた中での発電容量の一〇%を予備率としているわけですから、先ほど長官が言われました、私も資料を持っていますけれども、原子力供給力控除後がマイナス七%、マイナス六%というのは、私どもの考えでは多少違うと思っていますので、そのことを申し添えておきたいと思います。

 そして、やはり最後に、刈羽村の品田村長も、事業主である東京電力にも今度の住民投票に介入してほしくないと言っているのに、国が私たちの税金を三百三十二万円もかけてこのチラシを配布したということがどんな意味を持つかということを、もう一度改めて、私は、大臣及び経済産業省の方々に考えていただいて、質問を終わらせていただきます。お願いいたします。

山本委員長 宇田川芳雄君。

宇田川委員 21世紀クラブの宇田川芳雄でございます。

 御好意で質問の時間をいただきましたけれども、限られた時間でございますので、今回も各項目を一括して質問させていただきます。平沼大臣に後でまとめてお答えをいただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 第一点でございます。

 小泉内閣の構造改革理論の政策が、森内閣時代に策定された緊急経済対策で果たしてきちんと対応できるのかどうか、やはり心配になるわけでありまして、両内閣に在籍しておられる平沼大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 第二点であります。

 構造改革で最大の痛みを受けるのは、何といっても中小零細企業であります。そのセーフティーネットはいろいろと用意をされておられるようでありますが、従前の手法だけでなく、私は、従前の手法に加えて、新たに協業化であるとか企業合併などを推進して、政府がそれをしっかりとバックアップするような政策行動を進めるべきではないかと思います。そのようなハードランディングに進んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 第三点。失業率の増加が懸念されております。大企業労働者には制度的に保護された面もかなりあるわけでありますけれども、中小企業、零細企業に働く労働者への対策はお寒い限りであります。厚生労働省への働きかけを強化すると同時に、あわせて、経済産業省としても、失業対策について、受け入れ企業のあっせんをするなどの対策を講ずべきと思いますが、いかがでございましょうか。

 第四点。規制緩和の流れの中で、町の小売店はスーパー、コンビニ、大型店の大資本攻勢に埋没しようとしております。最も日本的な商業構造である商店街というものをなくしてしまっていいんだろうかどうか。消費者の一面も持っている商店街の経営者などの生き残り策を図るために、政府は構造改革の一環として商店街ぐるみの協業化対策など思い切った対策をここで講じてみる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 そして、第五点。刈羽村におけるプルサーマルは住民投票が二十七日に迫っているわけであります。国の原子力政策に大きな影響を及ぼすまさに国家的な問題でありますから、経済産業大臣として、改めて決意と所信を表明していただきたい。

 以上、五点について質問をいたします。

平沼国務大臣 それでは、五点についてお答えをさせていただきます。

 まず第一点の、森内閣で策定された緊急経済対策が小泉内閣の構造改革政策において対応可能か、こういう御質問でございますけれども、小泉内閣の最重点事項も、やはり、森内閣で策定されました、与党三党の合意による緊急経済対策を最優先に位置づけております。そういう意味で、この件は、森内閣から小泉内閣にかわりましても最重点テーマとして継続されて実行に移される、このように私は思っておりまして、また、担当大臣といたしましても全力で頑張らせていただこう、このように思っております。

 また、中小零細企業が構造改革によって痛みを伴う、この御心配でございます。

 私どもも、中小企業を中小企業庁という形できめ細かく対応させていただいている役所といたしまして、やはりきめ細かいセーフティーネットを構築しなければならない。不良債務処理に伴って、中小企業の皆様方がまじめに働いていながら連鎖的にそういう影響を受ける可能性が非常に多うございますので、そうあってはなりませんので、我々としては、例えば運転資金の問題でございますとか、あるいは政府系金融機関を通じて、担保主義ではなくて、業態だとかあるいは業種ですとか将来性、そういったものに着目しながら中小企業を伸ばしていく、こういう形で対応させていただきたいと思っておりますし、特別保証制度はなくなりましたけれども、一般保証制度を拡充いたしました。また、非常に不良債権処理に伴って不当な連鎖を受けるようなところに対しては、限度額を倍増しまして一億六千万までは面倒を見させていただこう。そのほかにも随分ございますけれども、そういう形で万全を期していきたい、こういうふうに思っております。

 また、それに伴って失業が出る。それに対してやはり厚生労働省との連携は必要だけれども、経済産業省としても経団連等と連携をとりながらしっかりとした受け皿づくりをしていけ、こういうことでございます。

 私どももそのとおりだと思っておりまして、連携を深めて一生懸命させていただきたいと思っておりますし、さらに、この二十五日に開かれます産業構造改革・雇用対策本部、私も本部のメンバーでございます。その中で、雇用を創出するような、今までの二百六十項目に加えて新たな政策も私今まとめておりまして、そういう中でさらに経済産業省といたしまして、雇用確保のインセンティブを高める、こういう努力もさせていただきたいと思っています。

 また、規制緩和が進む中で、地方の文化の一翼を担っていただいている地方のいわゆる小売業、商店街、こういった方々に対しましては、やはり地域と密着した歴史ある商店、中小企業でございますので、我が省といたしましてはそれに対しまして積極的に対応させていただいているところでございます。

 まず、モータリゼーションの時代でございますから、アーケードでございますとか駐車場の整備、そういった基盤整備に対しまして補助をさせていただく、こういうこともやっておりますし、また、現在本当にシャッター通り、こういうふうに言われるような状況もございまして、空き店舗率が平均八・五%もございますので、低家賃で新規創業者に場所を提供するチャレンジショップ、こういうような対策も講じて、なるべくシャッターが開くような空き店舗対策、こういうことも力強く実施をしているところでございますし、また、商店街間の買い物バスの運行、共同駐車場の活用など、なるべくお客様が来やすいシステムも一生懸命今構築をしているところでございます。

 またさらに、もうこれは委員よく御承知だと思いますけれども、中心市街地における商業活性化事業の推進として、タウンマネジャーのTMO、こういうものがあります。TMOが行ういろいろな、駐車場経営ですとか経営基盤確立のための事業を支援する、こういう対策も制度として確立をしていろいろやらせていただいておりまして、今後とも当省といたしましては、創意と工夫と熱意あふれる商店街づくり、これに全面的に応援をしていきたいと思います。

 最後、五つ目の御質問でございますけれども、さきの大島委員からの御質問もございました、例の刈羽村のプルサーマル。これはやはり国の基幹的なエネルギー政策の一環でございます。そういう意味で私は実は、先ほどパネルの提示もいただきましたけれども、全村民の皆様方にその必要性、そして安全性を訴える文書を配布させていただきました。

 また、資源エネルギー庁長官と原子力安全・保安院の長も昨日現地に参りまして、賛成派だけではなくて反対派の方々にも入っていただきまして、そして熱心な討議をさせていただいて、理解を深める、こういう形で政府の責任において対応させていただきました。

 また、けさは、エネルギー関係の関係者が朝一堂に会しまして、官房長官を中心に、私そして文部科学大臣、科学技術担当大臣それに資源エネルギー庁の長官等が入りまして、やはり国の重要な、基幹的な政策でございますから我々としてはメッセージを発出しよう、こういうことで記者会見もその後させていただき、また刈羽村に対しましてもその安全性、必要性について、関係の閣僚、関係者が集まりましてメッセージの発出もさせていただいたところでございます。

 以上、非常に簡単でございましたけれども、五点についてお答えをさせていただきました。ありがとうございました。

宇田川委員 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、内閣提出、商工会法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 商工会法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平沼国務大臣 商工会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 商工会は、四十年余にわたり、地域の総合的な経済団体として商工業の改善発達と社会福祉の増進に寄与するとともに、経営改善普及事業の担い手として小規模事業者の経営の改善発達を支援する事業を実施し、関係者の努力により成果を上げてまいりました。

 しかしながら、近年の開廃業率の逆転、情報通信技術の発達や地域経済活動の広域化等に伴って、創業、経営革新や情報化への支援、広域的な地域経済の活性化等の新たな課題への対応が求められるなど、商工会に求められる役割が多様化する一方で、商工会は、規模が小さいことから、新たな要請に十分に対応していくことが困難な場合も出てきております。

 このため、合併による規模の拡大を通じて、商工会の事業の効率的かつ効果的な実施を図るため、商工会の合併に関する規定等を整備するための法律案を作成し、ここに提出した次第でございます。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、商工会の合併に関する規定の整備を行うこととしております。現行の商工会法には合併に関する規定が設けられていないため、複数の商工会が統合し組織を拡大するためには、商工会を解散し清算の手続を経ることを要しており、このような手続のもとでの民事法上、税法上の負担を軽減するため、商工会の合併に関して所要の規定の整備を行うこととしております。

 第二に、商工会の設立後に市町村の廃置分合、すなわち合併等があった場合における商工会の地区の特例を設けることとしております。現行の商工会法においては、商工会の設立後に市町村の廃置分合があった場合、商工会は廃置分合前の市町村の区域を地区とすることが認められておりますが、廃置分合後の市町村の区域に存続する商工会の一部が統合し、廃置分合後の市町村の区域の一部を地区とすることは認められておりません。このため、こうした場合であっても、合併を認める特例を設けることとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十五日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十二分散会




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