衆議院

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第12号 平成13年5月25日(金曜日)

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平成十三年五月二十五日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君

   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君

   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君

   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君

      衛藤征士郎君    小此木八郎君

      大村 秀章君    梶山 弘志君

      後藤田正純君    高木  毅君

      西川 公也君    根本  匠君

      馳   浩君    林  義郎君

      平井 卓也君    松宮  勲君

      茂木 敏充君    保岡 興治君

      井上 和雄君    北橋 健治君

      後藤  斎君    鈴木 康友君

      中津川博郷君    中村 哲治君

      肥田美代子君    松本  龍君

      山内  功君    山田 敏雅君

      赤羽 一嘉君    石井 啓一君

      土田 龍司君    大森  猛君

      塩川 鉄也君    大島 令子君

      西川太一郎君    宇田川芳雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官

   )            浦西 友義君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    西川 和人君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    中村 利雄君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  後藤 茂之君     中村 哲治君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 哲治君     井上 和雄君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 和雄君     後藤 茂之君

    ―――――――――――――

五月二十四日

 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律案(内閣提出第九四号)

同月二十五日

 脱原発への政策転換に関する請願(植田至紀君紹介)(第二二五三号)

 中小自営業の女性事業主・起業家に対する支援策の充実等に関する請願(中川智子君紹介)(第二二五四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 商工会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)

 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律案(内閣提出第九四号)




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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、商工会法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として中小企業庁長官中村利雄君、金融庁総務企画局参事官浦西友義君及び金融庁検査局長西川和人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。よろしくお願いいたします。

 さて、今回の商工会法の一部を改正する法律案のまず一番のポイントというのは、これまで法律になかった合併手続の規定を盛り込むということにありますけれども、その背景には大きく二つの要因があると言われています。

 一つは、市町村合併によって行政区が変わるということ。それによって、一つの行政区に一つの商工会という原則から外れるために、その合併を促進させるという意味。それから、商工会自体の持つ広域化あるいは経営指導の高度化といった要請にこたえるために、その合併あるいは広域化というものを推進していくということがあると思いますけれども、まず、この背景について御確認をしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 最近の我が国中小企業の状況というのは、伝統的な小売商業が停滞をいたしております。そして、開廃業率、経営者の高齢化など、あらゆる面におきまして、構造変化の問題に直面をしているわけであります。こうした中、小規模企業においても、従来の税務相談等を中心とした支援内容に加えて、創業、経営革新支援や情報化支援等の充実を求められているところであります。

 しかしながら、商工会の小規模事業実施体制を見ますと、約九割の商工会におきまして、小規模事業者支援に当たる経営指導員が三人未満である等、多様化、高度化する事業者のニーズに対応することが非常に困難な状況になっていることも事実であります。

 したがいまして、今般の法改正というのは、今委員が御指摘のように、市町村合併の動きと相まった地域経済圏の広域化に対応して商工会の合併を円滑化することによりまして、商工会の事業実施体制を強化しやすくする、こういう趣旨でございます。

鈴木(康)委員 商工会の合併の促進あるいは広域化という方向性については、私も賛成をするところであります。

 実態をお伺いしますと、そういう問題意識を持っているのは、例えば連合会とか、上部の皆様であって、実際のところ、個々の商工会には必ずしもそこまでの危機感や問題意識がないという指摘もされていますけれども、この点はいかがでございますか。

平沼国務大臣 商工会の事業実施規模が十分でなくて、商工会同士が合併、連携により広域的に事業を実施するべきであるという認識は、私は、商工会におきましても十分ある意味では共有されているものだ、このように認識しています。

 例えば、昨年私も出席をさせていただきましたけれども、全国商工会連合会が行った商工会全国大会での大会決議におきましては、商工会の広域連携、合併の促進が明確にうたわれておりまして、また、今回の法改正についても強く要望する等、強い危機意識を有しているところでもございます。

 また、地方のレベルでも、三十以上、本年四月には三十五の都道府県におきまして、都道府県、都道府県商工会連合会、商工会等が参加をいたしまして、各都道府県内の商工会の広域連携、合併の具体的プラン策定が既に着手されておりまして、今後、かかる検討を通じまして、商工会の事業実施体制が整備されていく、このように私考えておりまして、そういう意味でも今回の法改正は大いに意味がある、そういうふうに私どもは認識をさせていただいています。

鈴木(康)委員 今大臣からお答えをいただきましたけれども、先日、私、静岡の連合会へお伺いをしたときに、お話をお伺いしたところ、今回の法改正に当たって具体的にすぐに合併を計画しているところもない、あるいは近々そういう方向に進むというところもないということでございました。

 将来、静岡の場合は、静岡と清水が合併をする方向で今進んでいるとか、そうした市町村合併の方向に合わせて商工会の合併という要請も出てくるという可能性が指摘をされておりましたけれども、今現在はないということであります。

 今大臣の御指摘、幾つかの県でそういうことが実際進んでいるということでありますが、現実のところ、どのくらいのいわゆる商工会の単位でこの合併あるいは広域化へ向けての取り組みが進んでいるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣が申し上げましたように、現在、三十五の都道府県におきまして、都道府県、都道府県商工会連合会、商工会等が参加いたしまして、都道府県内の商工会の事業実施体制の広域化について、具体的なプランづくりに着手されているところでございます。

 具体的に申し上げますと、秋田県では、現在六十四存在します商工会につきまして、五年後を目途に二十三に統合するというような具体的な計画案が策定されております。また、長崎県では、今後三年間に、現在七十二存在します商工会を十五に統合するというような計画が策定されております。

 それから、先生御指摘の静岡県におきましても、引佐郡でございますとか賀茂郡等の商工会で事業を広域化するための研究会が開催されておりまして、今日の法律改正によります商工会の合併を視野に入れまして、今後検討が進むものと考えております。

鈴木(康)委員 今お答えをいただきましたけれども、多少やはり、県によって問題意識の持ち方あるいは取り組み方に濃淡があるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

中村政府参考人 今回の法律につきましては、これは、各商工会の自主的な判断を尊重するという趣旨でございます。そういう意味におきまして、各県におきまして、それぞれの考え方に若干の相違があるということは事実であろうと思います。

鈴木(康)委員 わかりました。

 今、合併あるいは広域化への積極的な取り組みもなされているということでありますけれども、逆に、そういった社会的要請があるわけであります。個々の商工会を見ていきますと、例えば、合併によって役職が減る、あるいは職員の方の数が減少するとか、そういったやはり身近に降りかかってくる問題がありまして、必ずしも前向きなところばかりではないということも伺っております。

 そういう意味で、方向性としては賛成なんだけれども、個々にそういう問題が持ち上がると抵抗するような、総論賛成、各論反対みたいな空気が実態としてないのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 今委員の御指摘がありましたように、リストラによって役職がなくなる等、各商工会にそういう反対の声があるんではないかというような御指摘だったと思います。

 これに対して、今回の法改正は、自主的に合併をする体制強化を選択した商工会において、合併を円滑化することを目的としているものであります。したがいまして、行政が強制的に商工会のリストラを進めていこうというものでは決してありません。合併につきましては、あくまでも商工会がそれぞれの組織の現状等を十分に踏まえまして自主的に判断されていくもの、このように考えているわけであります。

 また、我が経済産業省といたしましては、合併した商工会においてはその体制が変化することになるわけでありまして、そういった場合に、小規模事業者に対する支援内容が低下をすることのないように、実情を踏まえまして所要の支援措置を検討してまいりたい、このように思っておるわけであります。

鈴木(康)委員 今、個々の商工会の自主的な取り組みにというお話でございましたけれども、確かに今回の法改正というのは、あくまで合併をしやすくする、そういう環境整備であるというふうに私も理解をしております。といたしますと、実際にこの法律の改正の趣旨が生かされるためには、やはり自主的に、積極的に個々の商工会あるいは県単位の連合会などが取り組んでいく必要があると思うわけであります。

 現実的に考えますと、合併や広域化によって、今後、事務の効率化、あるいは指導体制を高度化、効率化させるという大義や目標があるわけでありますけれども、そうしたことを達成するためには、広域化をして体制そのものは変えないということであれば、やはりどうしても前と同じになると思うんですね。

 ですから、中身を変えていくということになりますと、職員の数のことを検討したり、あるいは職員の方の質と申しますか、そうしたことについての検討もしていかなきゃいけない、やはりそういう覚悟の上に行っていかないと、実際、合併はしたけれども中身は何ら変わっていないということにもなりかねないと思うんですけれども、その点について、いかがでございましょうか。

中村政府参考人 全く先生御指摘のとおり、合併をして広域化したときに、事業実施体制が拡大するわけでございますから、それによって効果が上がらなければいけないというふうに考えております。現実には、合併いたしますと、商工会の経営指導員等も増加するわけでございまして、よりきめ細かな経営指導を行う体制が整備されるのではないかというふうに期待いたしております。

 具体的には、経営指導員が増加することになりますと、おのおのが役割分担をして、専門化することが可能になるのではないかということで、より高度な指導が可能になるものと考えております。

 さらに、経営指導員等が増加することとしますと、経営指導業務を融通することが容易になりまして、研修等を容易に受けられるというようなことで資質の向上も期待される、こういうようなことで、全体として効果を上げていきたいというふうに考えております。

鈴木(康)委員 今お答えをいただきましたけれども、確かに目標としてはそういう方向で取り組んでいかなければならないわけであります。

 例えば、単に合併をしたあるいは広域化をしたということで、新たに人数がふえるということでないと、個々のエリアで見ていけば、今までと同じ一人当たりの抱える人数というのは変わってこないわけでありますから、確かに、広域化をすることによって経営指導員の方なんかが複数になるということになれば融通をし合えるというメリットは出てくると思いますけれども、やはり、さらに踏み込んだ中身の改革というものもないと、なかなか今回の趣旨が生かされないと私は思いますので、その点、さらに御検討いただきたいと思うわけであります。

 さて、商工会法には、先ほども申しましたが、一町村に一商工会という地区原則があるわけであります。今後、市町村の合併なんかが進んでいきますと、一つの行政区に複数の商工会が存在をするということになる可能性があるために、今回、この合併手続を簡素化するようなことが行われるわけでありますが、今回の改正によって、今も既に一つの行政区に複数の商工会が存在するようなケースがあるわけですが、今後、その地区原則というものと現実の商工会の存在というギャップが埋まっていくのかどうか。

 あるいは、さらに市町村合併が進んでいったときに、例えば商工会の合併がなかなか進まなかったような場合、規定には、市町村長の意見を聞いた上で都道府県知事がその合併を促進させる、そういう指導ができるという項目がありますけれども、これまでほとんどそれは発動されなかったというふうにも聞いておりますが、今後、もう少し積極的な意味での、行政が介入をしたような合併に向けての指導という可能性があるのかどうか。その点についてお伺いをしたいと思います。

古屋副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 先ほども答弁をさせていただきましたけれども、個々の商工会が合併するか否かは、あくまでも当該商工会の自主的な判断に基づき行われるものであるというふうに認識をいたしております。

 一方、商工会法においては、商工会地区が市町村地区と不一致の商工会において、それをそのまま存置することが不適当と都道府県知事が認める場合、こういう場合には地区変更等の勧告をすることができるというふうになっているところであります。勧告を行うか否かにつきましては、あくまでも都道府県知事の判断にゆだねたい、このように考えておる次第でございます。

鈴木(康)委員 この後、大臣がちょっと御退席をされる予定があるということでございますので、ちょっと先に、別の観点から御質問をさせていただきたい点があります。

 というのは、商工会には商工政治連盟という組織があるというふうに聞いておりますけれども、この組織がどんな組織で、商工会とどういう関係にあるのか、あるいはどのような活動をしているのかということについて、まずお伺いをしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 商工政治連盟につきましては、都道府県レベルで設立されている商工政治連盟と、その全国団体である全国商工政治連盟がありまして、それぞれ、政治資金規正法に基づく届け出を行った上で一定の政治活動を行っている団体と承知をいたしております。

 また、商工政治連盟は、地区内の商工業者が個人の立場で加入しているものでございまして、商工会法に基づく商工会、商工会連合会とは異なる組織である、このように承知をしております。

 なお、商工政治連盟に対しまして国からの補助金は支出されておらず、また、その具体的活動については承知をいたしておりません。

鈴木(康)委員 商工会というのは、御承知のとおり、運営の六割以上が国、県あるいは市町村からの補助金によって賄われているわけでありまして、そういう意味では公益団体であるわけであります。

 そういう団体と今の商工政治連盟というものは全く切り離されている、別個のものだということでありますが、いろいろなところから、ややそこが一緒になって活動をしているといううわさも聞くわけでありまして、特定の政党あるいは特定の候補にそういう公益団体が支援をするような疑いがあることは慎むべきであるというふうに私は思います。

 これから実態等、またわかりましたら別の機会に御質問させていただくことがあるかもしれませんけれども、もしそういう実態があるとしたらぜひ厳正に対処をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 さて、次に、商工会の問題にまた戻りたいと思いますけれども、商工会の内部から、危機感から変革に向けて勉強会が行われて、昨年四月に「商工会等変革への提言 十八のアクションプラン」と呼ばれる報告書が取りまとめられて、この方向性に基づいて、直ちに変革に向けての行動を起こすべきである、そういう指摘がされているわけであります。この中身を私も読ませていただいたんですが、非常にすばらしい、意欲的な内容になっていまして、このとおりに進んでいけば、相当組織が活性化もしますし、変わっていくだろうなというふうに思います。

 この中に幾つか具体的な目標ということも見受けられましたので、この点について御質問をしたいと思います。

 例えば、ある調査で、商工会の活動に対して、ほとんど役に立っていないという厳しい評価がされた、そういう調査をもとにして、こうした評価を真摯に受けとめて、まず、今の会員にどういうニーズがあるのかということを的確に把握することが改革への第一歩であるという認識がされております。

 そこで、県連主導のもとに、全国商工会において、平成十二年度中に会員のニーズの把握、分析をするという目標設定がされているわけでありますが、十二年度中ということでありますと、既に昨年度に終了をしているというふうに思われるわけでありますが、実際にこの調査が行われたのかどうか、もし行われたとすれば、その結果がどういう結果であったのかについて、お答えをいただきたいと思います。

古屋副大臣 お答えさせていただきます。

 今、委員から、全国商工会連合会のアクションプランについての具体的な調査内容についてお尋ねがございました。まず、この商工会連合会の十八のアクションプランの進捗状況はどうなのかといった趣旨の御質問だったと思います。

 全国商工会連合会では、商工会を取り巻く環境変化に対応するため、平成十二年四月に商工会の人事交流の推進であるとか広域連携・合併に関する基本方針の策定を内容とする「商工会等変革への提言 十八のアクションプラン」というものを取りまとめた、このように承知をいたしております。

 個々のアクションプランの進捗状況については、都道府県により、またアクションプランにより異なるわけでありますけれども、例えば、人事交流については三十七の都道府県で既に実施に移され、また、人事評価システムについては三十八の都道府県で平成十三年度までに構築をされる予定である等、着実に実行されているもの、このように認識をいたしております。

中村政府参考人 先生御指摘ございました事業評価でございますが、十八のアクションプランの中にも、商工会事業評価システムの活用推進、そのようなことがうたわれているわけでございまして、十二年度におきましては、十二県連で事業評価の実施を終了いたしております。

鈴木(康)委員 今の事業評価システムの件であります。その前段階で、各商工会の会員の方がどのような相談ニーズを持っていらっしゃるかということについて調査をする、それを十二年度中に終わらせるという目標設定がこのアクションプランの中にあると思うんですが、その点について再度お伺いしたいと思います。

 今、実際に商工会の会員の方にどのようなニーズが存在をしているのかということについて、まず私は改革の第一歩としてきちっと把握をしておかなければならないと思うわけでありますが、その点についていかがでしょうか。

中村政府参考人 まことに申しわけありませんが、事業ニーズについての調査の内容については、現在、ちょっと把握いたしておりません。後ほど御報告させていただきたいと思います。

鈴木(康)委員 先ほど事業評価システムと人事評価システムについての御回答が若干ございましたけれども、再度確認の意味で、今この点についてどのくらい導入が進んでいるのか、その進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

中村政府参考人 まず、人事評価システムにつきましては、三十八の都道府県で、平成十三年度までに構築される予定でございます。それから、事業評価につきましては、先ほど御報告いたしましたが、十二県連で実施をいたしております。さらに、人事交流につきましては、三十七都道府県で既に実施に移されております。

鈴木(康)委員 これについては、今も順次行われているというふうに理解してもよろしいでしょうか。

中村政府参考人 順次実施に移すべく、努力いたしております。

鈴木(康)委員 やはり商工会の役割の一つが、経営指導ということにあるというふうに思います。

 その中で、今大体平均しますと、一つの商工会に経営指導員の方が一・八人ぐらいというふうに理解をしております。そうした点をカバーするためにも、広域化をして、指導員の方を複数にして、あるいは商工会同士の人事交流を行って活性化をしようということでありますけれども、私もその方向には大いに賛成であります。

 実際にそういうことで進まれていると思いますが、今現実に、それがどのぐらいの効果というか、実施状況も含めてなっているのか、その点についてお伺いをしたいというふうに思います。

中村政府参考人 人事交流等も始まったばかりでございまして、それによって、経営指導員の方々の意識も相当変わってきているというふうに思っております。まだその具体的効果を把握するには至っておりませんが、そのような効果が上がるように、今後とも努力してまいりたいと考えております。

鈴木(康)委員 ちょっと耳の痛いことばかり御質問すると思いますが、私ちょっと入手した資料に、東成エレクトロビームという会社の上野さんという社長さんの、これは中小企業庁さんの方で発行された「中小企業政策の新たな展開」という論文の中に、商工会の指導員の方についての記述がございます。

 よくそういった講演に行くと、その聴講態度というか意識というものが非常に低調であるという御指摘がなされていまして、やはり私はその意識の改革というものがまず前提になければならないと思うんです。

 この点について、今どういうふうにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。

中村政府参考人 従来、経営指導員の方については、税務相談あるいは記帳指導とか、そうしたものが中心であったわけでございます。そういうものから高度なものへ指導ができるようにならなければならない。そのためには、もちろん経営指導員の資質の向上、意識の改革ということが必要でございまして、そのためにも、人事交流でございますとか、人事評価システムを確立するということによって、経営指導員の方々の努力を促しているということでございます。

鈴木(康)委員 県連の方にお話をお伺いしに行ったときも、最近の相談ですと、例えば、IT関連でいきますと、自分の商売にパソコンを導入したいというようなあいまいとした相談ではなくて、例えば、ホームページを今持っているけれども、ここをこう変えたいんだとかいうような非常に具体的な質問もたくさん来るということであります。

 そういうことになりますと、受け手側もやはりそれ相当の知識というものを持ち合わせていかなきゃいけない。経営指導員の方にすべての分野でそうした専門的な知識を求めるのは酷かと思います。

 そういう意味では、これからいろいろな専門家の方との交流、あるいはそういうところに相談の輪を広げるということも必要かと思いますので、そんなこともまた御検討いただければと思います。

 次に、商工会と商工会議所の関係について御質問したいと思います。

 市町村合併が進んできたときの、商工会の合併規定については今回改正が行われるわけでありますけれども、例えば、町村同士の合併だけではなくて、これから、市が周辺の町村を吸収合併するというようなことも往々にして起こってくるだろうと思います。そうなりますと、一つの行政区に商工会議所と複数の商工会が併存をするというようなケースが出てくる可能性もこれから出てくると思うんです。

 商工会同士の合併というのはわかりましたけれども、これから、同じような機能を持つ商工会議所と商工会の合併、そういう要請も出てくるというふうに思います。そういうものを促進するために、今後、商工会法の改正だけではなくて、例えば商工会議所法の改正、そこまで踏み込んでいかれるのかどうか。その点についてお伺いをしたいと思います。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 商工会と商工会議所の合併についてどういう見解を持っているのか、こういった御趣旨の御質問だと思います。

 商工会と商工会議所は、事業面から見ますと、全支出に占める小規模事業者事業の割合が、商工会では約三分の二になります。これに対しまして、商工会議所は大体二割程度というふうになっております。したがって、商工会が中小企業施策の活動に重点を置いているのに対して、商工会議所はむしろ、中小企業施策に加えて、より総合的な活動を行っている、こういう分類ができると思います。

 組織運営上も、商工会は会員が各一個の選挙権を有しておりますが、一方、商工会議所は会費口数に応じた選挙権を有するということでありまして、商工会の方がより中小企業の意見が反映をされやすい、こういうシステムになっているということが言えると思います。

 このように両者の性格が異なっておりますので、現在まで、商工会と商工会議所の合併のニーズというものはほとんどなかったというのが実情であります。当事者から特段の要望がなされていなかったということもありまして、今回の法改正では商工会議所と商工会の合併のための規定は整備をいたしておりませんけれども、今後このようなニーズがあれば、それを踏まえて検討していきたい、このように思っております。

鈴木(康)委員 今、古屋副大臣の方からお答えをいただきましたけれども、まさに今、商工会と商工会議所の役割が、商工会が地元に密着をしてきめの細かな相談に当たるとすれば、商工会議所はもう少し総合的な相談業務を行うような機能的な違いがあるというお答えでございましたけれども、私もまさにそのとおりだと思います。

 今は、商工会と商工会議所の関係というのは、言ってみれば、市のような行政区の場合は商工会議所、あるいは町村は商工会という形のすみ分けがなされていると思いますが、これから機能別にすみ分けていく必要があるのではないかと私は思います。

 具体的に言いますと、よく商工会というのは開業医さんに例えられますけれども、商工会が開業医さんだとすれば、商工会議所は総合病院のような関係に当たる。医療の分野でも、開業医さんと総合病院は機能的なすみ分けをして、かかりつけ医のような形で患者さんの相談に乗るのが開業医さん、そして、開業医さんが診断をして、さらに高度な治療が必要という場合には総合病院に患者さんを送るというような機能分担が今されているわけでありますが、この商工会と商工会議所の関係も非常に似たような形でできるのではないか。

 それから、もう少し広域的なエリアでこの関係を見直して、例えば日常の相談については商工会が担当するけれども、その相談内容によって、有機的に商工会議所と結びつけて、高度あるいは専門的な相談があった場合はそちらに引き受けてもらうというような、少し機能によるすみ分けというものを検討していったらいいのではないかと思います。

 時間が参りましたので、その点について、これは質問というよりも私の意見としてお話をしておきたいと思います。

 今回の法改正については、私は基本的に賛成でございますけれども、仏つくって魂入れずということにならないように、実態についてのさらにチェックというか検討を引き続きお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 午前十時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十一分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。

 小泉総理は、所信表明演説で、二年から三年以内に不良債権の最終処理を目指します、このため、政府の働きかけのもとに、銀行を初めとする関係者が企業の再建について話し合うためのガイドラインを取りまとめるなど、不良債権の最終処理を促進するための枠組みを整えるとおっしゃっております。

 本来なら総理に直接伺うところなんですが、きょうはいらっしゃらないので、所管の金融庁に説明を求めたいと思います。

浦西政府参考人 お答え申し上げます。

 不良債権処理についてのお尋ねでございますが、金融機関の不良債権処理につきまして、金融庁といたしましては、経営者の判断によって不良債権処理をする場合の環境整備が重要であるということで、今御指摘をいただきました、例えば不良債権処理についてのガイドラインの作成につきまして、金融界あるいは産業界に対して要請を行っております。現在、金融界、産業界におきまして、具体的な研究会の立ち上げ等鋭意検討がなされているところでございます。

中津川委員 平成十一年の七月一日に出した金融検査マニュアルというのがありますね。あれによりますと、経営改善計画等の計画期間が原則としておおむね五年以内であり、計画の実現性が高いこと、ただし、経営改善計画等の計画期間が五年を超えおおむね十年以内となっている場合で云々と書いてあるんですが、五年か、遅くても十年で経営改善計画をやるように、こういう指導でございますね。

 ところが、最終処理、小泉総理は二年か三年、こう言っているわけでありますが、この整合性はどうなっているんですか。

浦西政府参考人 お答え申し上げます。

 五年、十年というのは、検査マニュアルにおきまして再建計画を評価する際の期間でございまして、二年、三年というのは、不良債権を処理する、オフバランス化する期間でございます。

 どういうことかと申し上げますと、例えば、既存の不良債権については二年以内にオフバランス化ということでございますから、仮にそれが再建される企業であれば、二年以内にそういった例えば十年計画というのを立てまして、その再生計画につきまして金融団等の合意が得られれば、再生ということが私的整理という形で決まるわけでございます。そうした場合に、検査マニュアル上、再生後の債権につきまして、五年以内、あるいは五年から十年のところの評価をする、そういった関係になっておるわけでございます。

中津川委員 実は、金融機関、都銀、地銀、信金、信組、百社ほどに私個人的に緊急アンケートを出したんですよ。

 どんなアンケートかといいますと、政府は二、三年で不良債権処理を行うと言っていますが、金融機関への公的資金は投入が必要かとか、あるいは銀行の貸し渋りは今でも続いているか、銀行の立場で答えてもらう。あるいは、株の買い取り機構が必要であると思うかとか、また、不良債権処理について私見があったらお聞かせくださいとか、効果的な中小企業対策の私見があったらお聞かせくださいとか。

 この中で、結局、金融機関の人たちに小泉総理の不良債権の処理内容がはっきり伝わっていない、それで今、私が質問をしたその辺のところが非常に混乱している、どういうことなんでしょうねというふうに逆に質問が来ているんですよ。

 小泉総理のこの不良債権の最終処理の内容、小泉さんがイメージで言っているか、思いつきで言っているか、やる気だけを表明しているのかはわかりませんけれども、二年から三年、こうはっきり言っているんですから、それで金融機関は、五年から十年、これは先生どうなっているんでしょうねと、これは電話でも確認しましたが、かなりの銀行で混乱していますよ。

 金融庁もこれをしっかり理解しているのか、そして、金融機関にもわかりやすくその辺のところを伝えてあるのかどうか。いかがですか。

浦西政府参考人 お答え申し上げます。

 不良債権の二年から三年の処理は、現在でいいますと、主要十五行に対する一つの努力目標でございまして、それ以外の金融機関については、そういった目標は設定しておりません。

 ただ、不良債権処理というのは金融機関全般にとって大変重要な課題でございますので、その環境整備ということはやらせていただいておるわけでございます。

 それから、金融機関への説明でございますが、この緊急経済対策につきましては、銀行あるいは信金、信組すべてに対しまして、説明の機会を設けまして詳しくその趣旨を説明させていただいておりまして、まだ不十分ということであれば、さらに努力はしたいというふうに思っております。

中津川委員 いや、現実にこうやってアンケートが、これは直前一週間のアンケートなので、銀行の方も、送ってきたのはなかなか勇気があると思うんですよね。

 だけれども、金融庁から今答弁がありましたけれども、扱っている銀行、それから信用金庫、信用組合、地銀、小泉総理が二年、三年と言っているんですから、五年、十年、そんなふうに今理解していないですよ、だから、それをやはりしっかりと伝える責任があります。

 繰り返しますが、金融機関の方も非常に困惑しているんですよ。私もびっくりしたんです。そこのところをぜひひとつ強く要望しておきますので、金融機関の方にしっかりと説明する責任があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、もう一つ大事なことなんですけれども、この不良債権の中身なんですが、一つの会社であっても銀行によって査定がばらばらであるというようなことが報道機関で明らかになりました。

 例えば、大手金融グループ、これは一つのグループの中の債務者区分の相違の例なんですが、中堅不動産会社A社は、X銀行では要注意先、それでY銀行では正常先、それからZ銀行では要注意先。また、大手流通業のC社においては、X銀行では正常先でY銀行でも正常先、しかしZ銀行では要注意先。また、大手住宅メーカーD社では、X銀行が要注意先でY銀行が要注意先、しかしZ銀行では正常先。

 これは同じ金融グループ内での話ですよ。ですから、他銀行間ではもっとばらばらだということが推測されるわけです。

 二年から三年で不良債権処理を行うというこの小泉総理の意気込みを実現するには、まず銀行間の自己査定のばらつきをなくさなければ間接償却も直接償却もないと思うのです。この金融機関の査定基準をしっかりとやらなければ、最終処理なんかはできっこないのですが、いかがですか。

西川政府参考人 お答えを申し上げます。

 金融機関の資産の査定につきましては、基本的には、金融機関自身がまず自己査定を行い、私ども検査に参りました際に、その自己査定について事後的にチェックをするという仕組みでその適正性を確保するということにいたしております。

 ただ、まず金融機関が自己査定を行います際には、各金融機関自身がみずからの責任においてつくり上げました自己査定の基準というものがございます。その自己査定の基準に基づいて債務者区分等が行われるということ、それからまた、その判定のもとになります債務者に関する財務状況、あるいはまたその金融機関との関係におきます貸出金の返済の状況等々が、金融機関ごとに違っている場合が往々にしてございます。そういったことから、ある金融機関の行います同一の会社、債務者に対する債務者区分でございましても、他の金融機関と必ず同一であるということにはならない面がございます。

 それから次に、私ども検査に参りました際に、そうした債務者区分の適正性について事後的にチェックをさせていただいているわけでございますが、検査における債務者区分の検証というものは、基本的には、先ほど申し上げましたような、金融機関自身が把握をしております債務者に関する財務情報等に基づいてチェック、検証を行っておりますことに加えまして、検査において資産査定を検証する際の基準日も、検査に入る時期によりまして金融機関によって異なる場合もございます。こういったことから、同一の債務者でございましても、私どもが検査を行った際の債務者区分の認定に違いが出てくることもございます。

 以上、申し上げましたように、各金融機関ごとに債務者区分にある程度のばらつきが生じることはやむを得ない面があることにつきまして、御理解をいただけたらと存じます。

中津川委員 今の御答弁の中で、金融機関独自が自己査定の基準をつくっているということをおっしゃいました。そうすると、金融機関が独自でつくるということは、もうこの段階でばらばらじゃないんですか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたのは、若干舌足らずといいますか、十分でなかった点があるかと思います。おわび申し上げます。

 金融機関自身が自己査定の基準をつくると申し上げましたけれども、それは、基本的には私どもが策定をいたしまして、かつ公表をしております、先ほど先生が言及されました金融検査マニュアルがございます。金融検査マニュアルの中に、債務者区分あるいはまた債権の分類、そういったことについてのいわば基準が示されてございます。

 したがいまして、金融機関はみずから自己査定の基準をつくります際には、いわば金融検査マニュアルにのっとって、その趣旨なり内容に沿ったものとして自己査定の基準をつくっておるということでございます。

中津川委員 この金融検査マニュアルというのを読ませてもらいましたけれども、非常にわかりにくいですね。金融機関はどの程度これを理解しているか。専門の立場だからしっかりやっているというふうに期待はするのですけれども、とにかく今、金融機関そのものがもう大変な病気状態です。自分の頭のハエを追うことで、自分のところの数字をきれいにすることで精いっぱいです。そんな金融機関が、自分の方で自己査定の基準をつくってやる。ですから、こんなふうにもう同じグループの中で債務者の評価が違ってしまうわけです。

 それで、折しもきょうの新聞に、東京三菱銀行「不良債権残高が倍増」と書いてあるが、三菱銀行は、もう大変財務内容のいい、残るんだったらこの銀行ぐらいだろうなんて言われるぐらいのいい銀行で、私は、あれ、どうなっているのかなと思ったら、要するに「自己査定基準を厳格化」ということで、見出しだけを見たらマイナスかと思ったら、しっかり厳密にやっているからこういうふうな数字が出たということが朝刊に載っていたわけです。

 要するに、銀行が自分たちでお手盛りで、勝手にやっている現状ですから、不良債権処理なんていうのは。その前に、不良債権なんていうのは結局数字もあいまいです。数字も、もう何回も我々が要求しても、この間百五十何兆円、全部でそうだというのがようやく出してもらえましたけれども、あいまいです。

 ですから、もう銀行にそこまで期待してはいけないんじゃないだろうか。金融庁のかかわりというものは、私はこれから大きな役割があると思うのです。どう考えていますか。

浦西政府参考人 お答え申し上げます。

 不良債権の数字あるいは百五十兆円という数字が出たわけでございますが、百五十兆円自体は不良債権ではなくて、業況がちょっと心配な企業について銀行がよく注意しておる先という数字が百五十兆円でございまして、預金取扱機関全体で申し上げますと、不良債権は四十一兆円ということでございます。

 ディスクローズでやっておる不良債権の数字は、金融庁が基準をつくりまして、それに基づいて各金融機関がディスクローズしているわけでございます。一方、金融機関は自分自身の責任に基づいて自己査定をし、みずからの金融機関のリスク管理をしておるということでございまして、金融庁といたしましても、監督の観点から金融機関のリスク管理については常に指導しておるところでございますが、やはり金融機関自身のリスク管理についての自己努力というのが大切だというふうに思っております。

中津川委員 こればかりちょっとやっていられませんので、次に移らせてもらいたいのですが、とにかく十年間、政策不況です。

 それでまた、後で大臣とも例のごとく担保至上主義云々のことをやりたいと思うのですけれども、とにかく土地担保至上主義です。十年間政府は、土地を下げる政策をしてきたわけです。考えてみてください。不良債権処理、幾ら公的資金を投入したって、イタチごっこじゃないですか。しかもその査定があいまい。何をやっているかということです、これは。幾らたっても不良債権の中身も数字もはっきりしない。政府がやっていることは担保至上主義で、土地を担保にとっていて、そして結局土地を下げる政策を続けてきているんですから、こんなおかしな国はないと思います。

 それで、この不良債権処理を進めていけば、中小企業に与える影響は非常に大きいと思うんですよ。このアンケートの中でも、これは信用金庫なんですけれども、「協同組織金融機関は、取引先のほとんどが赤字中小零細企業で、その支援のため融資取引をしている。そこで、破綻懸念先に対する処理をした場合、中小零細企業にとっては多大な影響が予想される。」これは金融機関が言っているんですよ。ほとんど取引が赤字零細企業であると。「よって、金融機関の業態別に処理方法を導入すべきだ」というようなことが、自由に書いてもらうところで来たんです。この信用金庫は、名前は申し上げませんけれども、東京でも非常に優良な信用金庫です。だけれども、ほとんどは赤字の取引先だということですね。

 このような考えが返ってきておりますが、大臣、御答弁いただきたいんですが。

平沼国務大臣 委員御指摘のとおり、金融サイドの不良債権または産業サイドの不良債務、これを処理していく、そういう意味では大変いろいろな影響が出てくると私は思います。

 不良債権のオフバランス化、これを促進してまいりますと、中小企業への具体的な影響というのは、不良債権処理の手法や対象となる企業によって影響度合いが異なるため、定量的にどれだけある、こういうことは今なかなか一概に申し上げられないわけでありますけれども、例えば一つの数字を出させていただくと、金融機関、銀行の中小企業向け融資残高、この実績は、平成十二年九月現在では二百三十五兆二千億あるわけであります。これは、総貸付残高というのが四百五十六兆でございますから、中小企業向けというのは、割合としては五割を超えて五一・六%ある。そうしますと、不良債権処理による影響、これは非常に大きな問題、そういうことを私どもは認識しております。

 したがいまして、今委員御指摘のように、中小企業、零細企業で一生懸命業をなさっている方が、そういう不良債権、不良債務処理に伴って、不当に、連鎖的にその影響を受けて、そして非常に苦況に陥る、そういったことに対しては、中小企業庁を擁しております経済産業省といたしましては、しっかりとしたセーフティーネットを構築してそれに対応させていただかなければならない、こういうふうに思っております。

 一つは、連鎖倒産防止対策としては、もうこれは委員よく御承知だと思いますが、政府系金融機関によります運転資金の別枠かつ低利の融資、これは倒産対策資金、こういうことで対応させていただく。

 また、これも委員よく御承知だと思いますけれども、中小企業信用保険の別枠化、これは無担保保証の限度額、八千万円でございますけれども、これを倍増の一億六千万円に引き上げ特例措置を設ける、こういうようなこともさせていただいております。

 また、中小企業倒産防止共済に加入している中小企業について、無担保、無保証での貸し付け等の措置を講じております。

 その他この他、御指摘のように、そういう不良債権のオフバランス化を進めるに当たって、繰り返し私は申し上げますけれども、中小企業というのは、この経済大国の日本のまさに基盤を支えていただいているわけでありまして、雇用の七割、そして数の中では九九・七%を占め、そして皆様方が本当に一生懸命やっておられますので、経済産業省といたしましても、本当にきめ細かく、そういったまじめに業をなさっている方々に一生懸命に対応させていただかなければならない、こういった基本姿勢で臨ませていただきたい、このように思っております。

中津川委員 日本の国を支えているのは中小企業だという大臣の御認識、私も全くそこは同感なんですが、今、小泉総理が何か新しいことをやりそうだ、今までが余りにも悪かったからそれが目立つ。これから具体的なものに入って、具体的な形で表に出てくる。そのときに、あれ、こういうことだったのかと。そこで、まずその心配があるのがやはり中小企業対策だと思うんですよ。つまり、大企業とか銀行は救済するけれども、不良債権処理を二年から三年でやって、中小企業者はぽいでいいんだよというような心配をしている、毎日額に汗を流している中小企業の方はたくさんいるというのもこれは事実ですね。

 そこで、今、雇用に与える影響について、この間、竹中経済担当大臣が、失業者が数万から数十万人ふえるということを明らかにしまして、その上で、アメリカではITの進展で失業者がふえたが、その二倍の新たな雇用が生まれた、離職者が出てもそれを上回る新規雇用をつくるのが構造改革のねらいだ、五、六年後には日本の人口が減り始め、日本はむしろ人手不足に悩む国になると。ちょっとこれは楽観的過ぎないか。数字にしても、民間は大体百十万とか百五十万とか予測していますね、失業者を。アメリカとは市場も違うし、融資の方法も違うし、風土も文化も違うので、これはちょっと竹中大臣、少し甘いんじゃないかな、こんなふうに私は思っているんです。

 平沼大臣もきのうプランを発表して、私もじっくり読ませていただきましたが、それもあわせてひとつ所見を賜りたいと思います。

西川大臣政務官 大変大事な御指摘で、主要な部分はもちろん大臣から、きょうの朝一回目の会合がございましたいわゆる平沼プランにつきまして御説明を申し上げるわけでございますが、その前段でございますけれども、ただいま委員御指摘の、中位推計に基づく人口のピークというものが二〇〇七年、それ以降は減少していく、これに伴って我が国の労働力人口も逼迫してくるであろう、こういう単純な推計を竹中大臣はおっしゃったものと認識をいたしております。

 他方、短期的には、不良債権の最終処理を数年以内に進めるということになれば、先ほど来委員がおっしゃっております非効率的な部門を淘汰していかなければならないということになります。

 その部門における失業者の発生というようなこと、いわゆる社会の痛みというものが当然起こってくるわけでございまして、構造改革に伴う情勢変化に的確に対応していくということをしていかなければならないわけでございまして、緊急経済対策に盛り込まれました雇用面でのセーフティーネット整備、これを効果的に進めていかなければならない、こういうことだろうというふうに存じます。

 主要な部分につきましては、私では到底能力が及びませんので、大臣から御答弁を申し上げることになっておりますので、引き続いてよろしくお願いします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 この不良債権の抜本的な処理などによる雇用への影響を最小限にするためには、新たな市場をつくる、これを果敢に切り開いていかなければ雇用を生み出すことができない。多様な雇用形態や効率的な能力開発を可能とする雇用システムをやはり全力を挙げて構築して、それに取り組んでいかなければならないと思っています。

 確かに日本は、先ほど委員御指摘のように、この十年間、失われた九〇年代と言われています。その一方において、アメリカは、やはりITを一つの起爆剤として、そして新規産業が非常にたくさん出てまいりまして、そこに雇用が吸収され、未曾有の景気、こういうことになりました。

 しかし、委員御指摘のように、アメリカとはいろいろ制度や仕組みが違います。だから、そのまま日本に適用できるとは私も思っておりません。ただ、やはり一つのモデルにはなると私は思っています。

 そういう中で、きょう実は、新しく小泉新内閣のもとで産業構造改革・雇用対策本部が立ち上がりました。それに対しまして、大変皆様方の御協力をいただいて、昨年十二月に、我が経済産業省が、もう縦ばかりではだめだから横の連携をとろうということで、他省庁の皆様方と本当に真剣に議論をしながら、また産業新生会議等の議論も踏まえて、二百六十項目に及ぶ新しい行動プランをつくり、そのうち百はもう既に実施して、その八〇%はもう着手している。

 しかし、やはりこういう状況で、既往の不良債権はとにかく二年以内で、新規に発生したものは三年以内に処理するというような大変ドラスチックな政策をやってまいりますと、この二百六十項目以外にも、もっともっとやらなければならないことがあるんじゃないか。こういうことで、きょう立ち上がった新しい本部に向けまして、これも事務レベルで横の打ち合わせをしつつ、実は、私、本日の産業構造改革・雇用対策本部に、たたき台として十五のポイントを列挙して、ひとつこれをもとにして議論をしていただきたい、こういうことで提示をさせていただきました。

 詳しくは新聞等に出ておりますから御存じだと思いますけれども、ポイントを申し上げますと、一つは未来の産業を生み出すイノベーションシステムの構築、これが私は重要だと思っております。

 例えば、やはり大学というものは非常に知識が集結しておりますし、ポテンシャリティーがあります。しかし、日本の現状を見ると、アメリカや欧米と比べて、大学発のベンチャー企業というものが非常に誕生しにくい状況になっている。だから、産学が協力をして、そこに官も入って、やはり少なくとも大学発のベンチャー企業が三年で一千社ぐらいになるように、それでそこに雇用が吸収できるようなことを私どもは戦略として出していかなきゃいけない、こういうことも一つの柱にさせていただきました。

 また、我が国にベンチャースピリットを植えつけなければなりません。ただ、そのベンチャースピリットを植えつけるに当たっては、日本はまだ金融資産がたくさんあるんですけれども、新規産業にそれを投資しやすい環境がない。ですから、そういう個人にある、いわゆる金融資産というものを新しいそういうものに投資しやすい環境をつくっていく、そういう条件整備もやはりこの際思い切ってやっていかなきゃいけない。

 そういう中で、今本当に残念なんですけれども、開業率と廃業率、これは日本の場合には廃業率の方が大きくなってきている。そうあってはなりませんから、新規開業というものを五年で倍にしようじゃないか、そのためには、いろいろな形で、人材も確保しなきゃいけませんし、あるいは資金の調達も今申し上げたように必要でございますし、税制をどういうふうにするか、そういったことも環境整備として今進めていかなきゃいけない。

 それから、少し長くなりますけれども、少子高齢化というのは、どっちかというとマイナスにとらえられている。しかし、昔は織田信長が人生わずか五十年といって能を舞いましたけれども、今、八十年の時代です。ですから、やはり有用な知識を持ち、経験を持ってまだ元気のあるお年寄り、高齢化の中でそういった活力を活用して、やはりこの国の産業を安定的成長軌道に乗せる。そういった、マイナスというように思われていたことも実は成長のエンジンに変えて、環境もそうですけれども、そういったもろもろのことを導入して、私ども十五の提案をさせていただき、これが六月に中間取りまとめ、こういうことになっておりますので、九月にはもうしっかりしたプランになります。

 平沼プランなんて言っていただくと私もちょっとこそばゆい気がしますけれども、私は、たたき台としてきょう出させていただいて、これから、いわゆる縦割りじゃなくて、省庁そして民間の活力、そういったものを導入して、一生懸命に頑張らせていただきたい、このように思って発表させていただきました。

中津川委員 今、大臣にとうとうと大変夢のある話をしていただいたんですが、大臣、それを実現するためには一つ欠けているんですよ。

 それは、やはり中小企業、産業の育成というところで、融資の方法。前からいろいろ議論していますが、土地担保主義を廃止するよ、それからアメリカと同じように個人保証も、そういった慣行をなくします、まず隗より始めよで政府系中小企業金融機関から率先してやります、それが入っていないと、やはりこれは夢だけで終わっちゃうと思うんですよ。

 ベンチャーを立ち上げるといったって、先立つものはお金でしょう。海とも山ともわからないところに融資なんてしないですよ。今の制度というのは、途中までやって、そして先行きが見えてきたら貸すわけですから。それが欠けていると思うんですが、いかがですか。

平沼国務大臣 大変重要な御指摘だと思っておりまして、私も当委員会で答弁もさせていただきましたけれども、実は、土地担保主義というものを切りかえるべきだ、そして、それはまず政府系金融機関から率先してやるべきだということで、政府系金融機関にも民間の金融機関にも、やはりその事業者のいわゆる意欲、経営姿勢、そしてまた業態の内容、そういったことに着目をして、土地担保主義というものをやはり切りかえていくべきだ、こういうことで、私は既に担当大臣として金融機関には申し入れをしております。

 ですから、御指摘の点は非常に大切なことだと私は思いますから、これからも引き続きそういうことを念頭に頑張らせていただきたいと私は思っています。

中津川委員 もう大臣とも担保至上主義の廃止というのは何回もここで議論しまして、大臣の気持ちは十分伝わっているんですが、では、それを今度実行に移さなきゃしようがありません。大臣のお立場だからできるわけですから、私がやると、それをぜひ示してもらいたいというふうに思っているんです。

 質問をたくさん用意しているんですが、そろそろ時間なので、最後に、これは感想だけを述べて終わりたいと思うんです。

 五月二十四日の朝日新聞朝刊で、「朝日新聞記者とのインタビューに応じたグレン・ハバード米大統領経済諮問委員会委員長は、日本の不良債権問題の早期解決に向け、日米で官民合同の新しい協議を提案した。」「ここで不良債権問題を取り上げることについて、日本側では経済産業省が前向きだ。」というふうに書いてありますね。それで、「米国は経済と安全保障を結びつけようと考えている。個別問題を担当官庁同士が協議するだけでは対応できない」、こんなふうに言っております。また、金融庁の方は、これは「専門的な問題。包括的な経済協議にはそぐわない」と。各省庁いろいろ、新聞報道によりますと、内閣府も割と消極的、外務省も消極的ということで、この事実確認もしたかったんです。

 私は、アメリカが日本をもう見かねて、不良債権がこんなにあるんだ、一人で、なかなか自分でできないから、お手伝いするよ、相談に乗ってやるよ、こういうことだと思うんですよね。それだったら、ありがとう、サンキューということで、その経済産業省の姿勢というのは、私はすごく評価するんですよ。プライドも何もないじゃないですか。今、他人様の力を、しかも一番頼りにしているアメリカの力をかりないとできっこないんですよ。ぜひ、プライドも見えも捨てて、そして今までのしがらみも捨てて、小泉総理はそういうことで今受けているわけですから、平沼大臣、私はお人柄も、そしていろいろ御見識も十分尊敬しておりますので、強烈なリーダーシップを持ってやるんだと。景気がよくなってみんな豊かにならないと、やはり暗い毎日ですよ。ぜひそこのところを今度は具体的に、理論じゃなくて行動に移してもらいたいということをお願いしまして、少し長くなりました、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 山内功君。

山内(功)委員 民主党の山内功でございます。

 政府は、これまでいろいろな施策を通じて中小商工業者の支援を行ってきました。しかし、先般の伝統工芸品の改正案、あるいは工業製品についてもセーフガードで保護していこうということで、随分商工業者の体力が衰えているなと感じております。

 まず、育成あるいは支援体制の構築をするその第一義的な責任は一体どこが果たすべきだと大臣は考えておられるでしょうか。

平沼国務大臣 地域における中小企業対策につきましては、新しい中小企業基本法のもとで、基本的には、国と地方公共団体とがイコールパートナーとして適切な役割分担のもとで責任を負って施策を推進していくべきもの、このような基本認識でございます。

 そして、私どもとしては、中小企業庁というものを持って、中小企業に対してその窓口を持ってしっかりやっておりますから、やはり地方と一緒に一義的に責任を持ってやらなければならない、このように思っています。

山内(功)委員 これから不良債権処理が進む、あるいは国債の発行に限度額を設けよう、そういうような中小業者にとっても相当な痛みを覚える構造改革が進められていくと思います。その中で、地域の産業に密接に関係している商工会のあり方について、これからの方向性を含めて御見解をお願いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えいたします。

 平成十一年の中小企業基本法の改正によりまして、中小企業政策の理念といいますのが、大企業との格差の是正から多様で活力ある中小企業者の支援、こういった形で転換をされたところであります。したがいまして、商工会につきましても、このような政策の理念に基づきまして、意欲のある中小企業者の多様なニーズに的確にこたえられるよう、経営改善普及事業の充実を図ることが肝要であると思っております。

 今回の法改正も、商工会合併を円滑化するための環境を整備することによりまして、商工会の自主的取り組みを最大限尊重しつつ、小規模企業者に対するきめ細やかな事業の実施のための体制強化に資するものだと考えております。

山内(功)委員 古屋副大臣、岐阜の方を一度御一緒に視察もさせていただきました。地方では半農半商で細々と営業しておられる高齢な事業者がたくさんおられます。このような方々の相続とか、あるいは事業の承継という問題について、地区の商工会は心のよりどころになっているのじゃないか、そう思っています。

 このような小規模事業者に対しての商工会の役割などについてどのように評価されているか、副大臣、お願いできますか。

古屋副大臣 今委員御指摘のように、昨年、私が商工委員長を務めさせていただいておりますときに、視察で岐阜県に同行させていただきました。

 御承知のとおり、全国九九・七%が中小企業ということでありますけれども、特に地方はその中小企業者の集積であります。そういう中で、議員御指摘のように、小規模事業者の事業の相続、承継に関しては、経営指導員が後継者の世話等きめ細かな指導を行っているということは、特に地方部において高く評価すべきだ、私はそんなふうに思っております。

 今後とも、経済産業省といたしましては、今回法改正がございましたけれども、これを契機といたしまして、小規模事業者に対する支援がさらに充実して、いわばかゆいところに手が届く、こういうような支援になるように、私どもといたしましても全力で取り組んでまいる所存でございます。

山内(功)委員 合併のことについて言いますと、商工会が今回の法改正によって合併をしていくということになりますと、行政区割りと商工会の地域割りとが離れていってしまう、乖離していってしまうということ、そういう現象も起きてきます。むしろ、一町村一商工会ということの方が効率性があると思うのですが、どうでしょうか。

平沼国務大臣 御指摘の点は、私は確かにあると思っております。商工会の地区と市町村の行政区域との整合性が重要である、私はそのとおりだと思います。他方、商工業の状況によっては、二つ以上の市町村区域を商工会地区とすることが効率的である、こういった場合も考えられるのではないかと思っています。

 今回の法改正というのは、商工会がそれぞれの事情に応じて自主的な判断に基づきましてより効率的な体制実現のための合併を選択する機会を提供するものでございます。

 繰り返しになりますけれども、基本的には、今委員御指摘の一行政区画一商工会、これが非常に効率的にいいと思っておりますけれども、しかし、商売をやるに当たって、またがっていた場合も、商圏の面とかそういうことでも別の場合も想定されます。したがいまして、あくまでもそういう自主的な判断の中で実態に即した形で行われることが必要ではないかな、そのように思っています。

山内(功)委員 商工会の役員さんは町の名士がたくさんおられます。ABCという町の商工会が合併した場合に、Aに本部が置かれてBやCの商工会の役員さんがAの商工会の役員さんになるということも考えられます。そうすると、例えばBやCの役員さんはAの会合にいつも出なければなりません。あるいはお祭りなどがありますと、Cの役員さんは、今まで余り関係のなかったA町やB町の祭りにも顔出しをしなければならない。自分の家の業務、家業を抱えながら東奔西走する商工会の役員さんの姿が目に見えるようなんですけれども、そういう新たな負担について、省としてどういうふうに考えておられるんでしょうか。

松田副大臣 山内委員おっしゃるとおりだと思います。商工会の合併によるメリットもまた大きいわけでございますが、もちろん、物事はメリットがあればデメリットもあるわけでございます。

 今おっしゃったように、広域的になることによって役員の方の御負担が大きくなることは私も容易に想像できることでございます。それをいかにうまく合併によるメリットを生かしながら対応していくかということに尽きると思うのでございますけれども、今おっしゃったB地区あるいはC地区の御出身の役員の方もおられることと存じます。あるいはそういう方にも役員になっていただくことによって、例えばB地区、C地区の今おっしゃったようなお祭りであるとかいろいろな会合を御担当いただくとかいったようなことで、商工会全体として、役員相互間でお互いに協力し合ながら、一方でメリットを生かしながら、他方で今おっしゃったようなデメリットといいますか、そういったものをお互い補完していっていただく、そういうことになるのではないか。そういうことを通じて、商工会としても活動をさらに効果的にやっていっていただけたらな、そう願っております。

山内(功)委員 中小企業庁からの百数十億円の財政的支援が都道府県を通じて行われております。しかし、地方分権の理念、そういうことからすると、商工会という機関が町村の商工行政と密接不可分な関係にあるということを考えますと、まず町村にお金を落とす、そして、町村の商工会の皆さんが自分たちで、県の組織が必要だと思われれば、負担金とか上納金とかの制度をつくって県の連合会をつくっていく、そういうことの方が地域のニーズにはマッチしているんじゃないかと考えるのですが、どうでしょうか。

松田副大臣 その点についても委員と私自身は非常に考え方をともにするわけでございます。

 現状をちょっと御説明させていただきますと、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律に基づきまして、国から商工会、商工会議所が行う事業への補助の大部分は都道府県を通じて行うものでございまして、平成十三年度においては百十五億円の予算が計上されております。しかし、商工会、商工会議所が行う地域活性化のための事業の一部につきましては、国が平成十二年度から、今おっしゃったようなことも踏まえまして、市町村を通じて補助することといたしまして、平成十三年度におきましては八億円を計上してございます。

 商工会議所や商工会が市町村の商工行政と密接な関係がありますことは、まさにおっしゃるとおりでございます。また他方、市町村ということになりますと、人的資源あるいは財政的な資源といいますか、財政事情等各市町村間でかなりのまた格差があることも事実でございます。そういうことを考えまして、商工会による小規模事業者への支援事業をある程度、どの市町村でも共通したものとすることもまたとても大事な視点でございます。都道府県を通じた補助がそういった意味で主体とならざるを得ないことはこれまた現実否めない事実であろうと存ずるわけであります。

 しかし、また、先生おっしゃったお気持ちはよくわかるわけでございまして、今後とも、市町村を通じた国からの補助につきましては、都道府県、市町村、それぞれの御意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。

山内(功)委員 合併が進むということは、職員のリストラということも発生すると思っています。

 例えば、五年間経過措置として職員さんの身分を保障する、あるいは、商工会がなくなってしまう地区も生ずるわけですから、そういうところにも暫定的に経営指導員さんを置いていく、そういうような経過措置がある程度必要ではないかと私は考えるのですが、省のお考えを示してください。

松田副大臣 経営指導員の人件費につきましては、現在、都道府県の一般財源から支出されておりまして、合併に際しまして経営指導員の定数をどうするのかは都道府県の裁量にゆだねられておることでございます。現在、都道府県の人件費補助におきましては、商工会の合併に際しまして、合併時に在籍している経営指導員が退職するまでは定数を超過して設置する旨の配慮がなされておると承知しております。

 経済産業省といたしましては、こうした都道府県の対応ができるような交付税措置の要求等、十分な御援助を申し上げていきたい、経済産業省の立場としてできることをしていきたいと考えております。

山内(功)委員 現在、経営指導員さんの数は、大体三百商工業者に一名というような基準で行われていると聞いております。しかし、その三百業者を仮に下回ったとしても、例えば中山間地あるいは過疎地などのような地方についても十分な経営指導を行っていく、そういう支援の心構えが私は役所としては必要ではないかと考えるのですが、どう思っておられますか。

松田副大臣 先ほど申しましたように、指導員の人件費は都道府県の一般財源から支出されておりまして、その設置基準は都道府県の御判断、裁量ということになっております。

 今申しましたように、経済産業省としては、都道府県がおのおのの商工会の地理的な条件あるいは経済的な実情、そういったものを十分勘案した上で適切な経営指導員の配置をしてくださるよう、都道府県を通じて御指導申し上げていきたい、こう考えております。

山内(功)委員 大変時間がなくなりました。省の、これからも商工会議所あるいは商工会を育成、支援することによって地域の商工業者の発展を応援していくという気持ちが私にも伝わってまいりました。特に経営指導員さんやあるいは職員さんが本当に地域で誇りを持って働けるような、そしていろいろな適切なアドバイスができるような、そういう仕組みをこれからも考えていっていただきたいと思っています。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 達増拓也君。

達増委員 商工会法の改正であります。商工会、平成十二年の調査によりますと、今百八万五千人の会員数、その会員のうち小規模事業者が九十七万六千人、全体の九〇%を占めております。特にその規模にさらに注目しますと、常時使用する従業員のない会員が全体の四四%、従業員が一人から二人というのが二五・四%、三人から五人が一四・六%でありまして、全部合わせて従業員五人以下の事業者が全体の八四・〇%を占めている。やはり商工会というのは、小規模事業者対策というところにその本質があると思うわけであります。

 ところで、平成十一年の中小企業基本法改正によりまして我が国の中小企業政策が大きく転換をいたしました。それは、ベンチャーですとかイノベーションですとかそういう側面が重視され、積極的な中小企業政策。これはこれでいいと思うのですけれども、そういう中小企業の中に小規模企業というものも入っているわけであります。

 先ほど山内委員の質問に対する平沼大臣の答えの中で、そういう中小企業対策の新しい考え方を商工会関係にも生かしていくと。確かに、合併しやすくするとか、今回の改正の趣旨はそういうベンチャーやイノベーションの側面についても配慮といいますか、そういう方向性ということが一面あると思うのでありますが、ただ、五人以下の規模がほとんどで、しかも郡部、町村に立地している、そういうことから考えますと、やはり小規模ゆえのハンディを補うというところに軸足を置いていかないと小規模企業政策としてはなかなか効果的じゃないんではないかと思うのですけれども、改めて、小規模企業政策の基本理念というものを伺いたいと思います。

平沼国務大臣 大変重要な御指摘だと思っております。

 平成十一年の中小企業基本法改正によりまして、今御指摘のように、創業や経営革新の側面が重視されることとなったことはそのとおりだと思っております。しかし、同時に、中小企業基本法第八条にございますとおり、小規模企業への配慮も依然として重要な位置づけにはなっております。

 すなわち、特に経営資源の確保が困難であることが多い今御指摘の小規模企業者の実情を踏まえまして、小規模企業の経営の発達及び改善に努めるとともに、金融でありますとか税制その他の事項について、小規模企業の経営の状況に応じまして必要な配慮を払うもの、こういうふうにされているところであります。

 我々経済産業省といたしましても、今後とも、小規模企業の実態に即しまして適切な配慮を払う必要があると思っておりますし、商工会等が実施する経営改善普及事業等を初め、小規模事業者を支援するための所要の政策を講じてまいりたい、このように思っております。

達増委員 小規模企業とはいえ、やる気のある企業、ベンチャーやイノベーションに果敢に挑戦する企業、そういうところも少なくはないと思うのですけれども、そういう企業はどちらかというと、商工会議所に属していたりとか、あるいはそういうスキームなしで一人で何でもやってしまうとか、そういうのが多いんじゃないかと思います。

 そういう意味で、商工会の会員である小規模企業対象の政策というところには、今御答弁いただいたような、小規模ゆえのハンディを補うようなところ、ここはしっかりやっていかなければならないということを申し上げたいと思います。

 さて、商工会は町村に立地しているわけでありまして、そういうところで地域に根差して仕事をしている会員の皆さんには、地域振興の視点が、商工会を通じた小規模企業政策にはやはり不可欠であると思います。いわば地域振興なくして商工会の発展なし、地域振興なくして小規模企業の発展なしということも言えるかと思います。社会一般の福祉の増進に資することというのが商工会の目的にも入っておりまして、個々の企業の利益の増進、経営の発展ということが社会全体、地域全体の発展とともにあるということがやはり重要なんだと思います。

 そういう意味で、経済産業政策としては中心市街地活性化ということが近年取り組まれているわけでありまして、まさに地域の力を合わせて昔からの商店街を中心に町づくりを進めていこう、こういう中心市街地活性化のスキームもあわせて、商工会の小規模企業政策というのを進めていけるんだと思います。実際、中心市街地活性化のためのTMO、タウン・マネジメント・オーガニゼーションも商工会が中心になってどんどん全国に立ち上がってきているわけでありまして、そういったところをにらみながら、地域振興が進んでいくような施策の工夫が必要と考えますが、この点、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 達増委員御指摘のとおり、総合経済団体としての商工会が、今御指摘のTMO、もう御承知だと思うんですけれども、これは今十五の商工会がTMOとして認定をされておりますけれども、地域の町づくりなどにおいて地域振興の中心的な役割を果たすことは非常に重要なことだと思っています。

 そこで、経済産業省といたしましては、商工会が行います地域振興のために実施するビジョンの策定、調査事業等に対して都道府県そして市町村とともに支援をさせていただく、商工会活動が社会一般の福祉の増進に資するように積極的に支援をしてまいりたい、このように思っております。

達増委員 地域振興の観点から一つ重要ではないかと考えているんですけれども、それは、農林水産業従事者の皆さんあるいは農林水産業関係団体との連携であります。

 商工会は農山漁村とともにあるわけでありまして、そういう農村、山村あるいは漁村、隣り合わせにあったりあるいは囲まれている。したがいまして、そういったところとの連携が商工会としての発展、その事業の充実にも非常に重要と考えます。実際、商店街のテナントがいなくなってシャッター街になっちゃうのを防ぐため、あるいはそれを積極的に打破して商店街を盛り上げるために近隣の農家の方々がつくったものを商店街で産直として売るといった工夫、これが全国で行われて、いろいろな成功例が紹介されております。また、地域のお祭りを一緒にやるとか、そういういろいろな工夫があるんだと思います。

 私もこの前、岩手県の盛岡市の南に隣接する矢巾町で商工会主催の産業祭りというのがあって、そこに行ったんですけれども、農業関係者も大々的に参加していまして、米の転作で推奨されているそばを、地元でつくったものをテントを出して振る舞っていたりとか、地元の商店街、商工業者の発展ということと農業の発展ということをうまくタイアップしながら、近くの住宅地に住んでいる消費者がたくさんそこに来て、非常に盛り上がりを見せておりました。

 政府としてもそういったことについて積極的に取り組んでいくべきと考えますが、いかがでしょうか。

古屋副大臣 委員御指摘のように、地域振興を図る上では、やはり商工会の枠を超えて、例えば今例の挙げられました地域内の農林水産業の従事者であるとか農林水産関係の団体との密接な連携を図っていくこと、これは極めて重要だと私も思っております。

 現在でも、例えば今委員が御指摘になったケース以外でも、私どもも調べてみました。徳島県の勝浦町の商工会においてはJAと共同でミカンの特産品の宅配事業を実施している、こんなようなケースもあります。また、千葉県の富津の商工会におきましては農協とか漁協と実は協力をして海産物とか農産物の加工に取り組んでいる、実際に商工会が農協とか漁協と協力をして地域振興事業を実施しているというのが実態だと思います。ちなみに、私の岐阜県におきましても、商工会と農業関係団体がイベント等で密接な連携をとって事業の展開をしている、これは事実だと思います。

 経済産業省としても、今後とも、商工会がそういった農林水産関係団体の中小企業業者と密接な協力をしながら地域の振興事業を効率的に実施していく、このようなことをぜひ積極的に支援してまいりたい、このように思っております。

達増委員 次に、IT関連について質問をいたします。

 急速なITの発展に伴いまして、小規模企業といえどもこのIT化に対応していかなければならない現状となっていると思います。会計処理でありますとか文書作成でありますとか、またインターネットへの対応、電子メールの利用やホームページの活用がかなり進んでいるわけでありまして、注文も電子メールでとか、取引、交渉、契約とかもネット上でという状況でありますから、小規模だからといってそういうところに背を向けているわけにもなかなかいかない。かといって、常時雇用している従業員がいないとか、いても一人か二人、まあ五人ぐらいまで、そういったところはIT化がなかなか大変だと思います。私の事務所もそのくらいの人数規模なんでありますが、やはりIT化に対応するのがなかなか大変、そういう実感を持っているのであります。

 経営改善普及事業、これが商工会を通じた小規模企業対策の非常に重要な柱でありますが、この経営改善普及事業にIT化への対応ということをかなり盛り込んでいかなければならないと考えますけれども、いかがでしょうか。

古屋副大臣 委員御指摘のように、IT化というのは中小企業者にとっても極めて重大な課題だと思っております。特に、e―Japan計画あるいはIT基本法ができました、国を挙げてIT化を進めていこう、こういう中であります。

 特に達増委員とも協力をして、一九九九年から二〇〇〇年にかけてY2K問題がございましたけれども、あのときは連携をして中小企業対策を行っていこうということで取り組みました。あのときでさえも、約七十万社程度はネットワークされたコンピューターを活用しているだろう、こういう予測をしたわけでありまして、恐らく今はもっともっとふえていると思います。

 そういった意味で、小規模事業者のIT化というものは極めて重要な課題でありまして、商工会等による経営改善普及事業においてIT化の支援のための実施というのは重要でありますから、今後ともこれを推進していきたいと思っております。

 具体的には、まず小規模事業者のためのIT講習会、商工会等におきましてIT研修が実施できるようにするためのパソコンの設置事業、あるいは、地域内の小規模事業者がインターネット上で情報発信することができるようにするための商工会、商工会議所のホームページ作成事業等に対する支援策を講じておることは御承知のとおりと思います。

 今後とも、経済産業省といたしましても、商工会がIT化支援にもきめ細かに対応できるように積極的に支援をしていきたい、このように思っております。

達増委員 最後の質問でありますけれども、緊急経済対策との関係、緊急経済対策実行に当たって商工会の役割について伺いたいと思います。

 政府の緊急経済対策については、まだその中身、具体的な全貌については法案提出を待っている段階でありますけれども、特に不良債権処理の断行ということ、これを小泉総理が二、三年以内に最終処理を行うということを所信表明でも明言していまして、もし本当にそのとおりやっていくとすれば、経済全体がかなり危機管理状態になると思います。

 先ほどの答弁で古屋副大臣はコンピューター二〇〇〇年問題のときのことを言及されましたけれども、あのときも商工会というものが一つの危機管理センターと位置づけられて、そういう危機管理の一翼を担ったわけであります。

 金融、お金の問題、またさまざまな事柄でいろいろ徹底していかなければならないこと、手を打っていかなければならないこと、特に、小規模企業の命運を左右するに当たって商工会がかなりの役割を果たさなければならないと思うんですけれども、その点、政府のお考えを伺いたいと思います。

平沼国務大臣 先般取りまとめられました緊急経済対策におきましては、特にこの四月六日の経済対策閣僚会議の中で、中小企業自身の健全化に向けての前向きな努力を経営革新対策により積極的に支援する、こういうふうになっております。このため、商工会に対しましては、経営指導を通じまして中小企業の経営革新を支援するように指導をしてまいりたいと思っております。

 具体的には、本年四月に商工会が中小企業支援センター等と連携をいたしまして、個々の事業者にとって新たな取り組みを行おうとする中小企業者からの相談に積極的に応じるように要請をしております。

 我々といたしましては、そういう緊急経済対策、そして不良債務の処理、そういう背景の中できめ細かく対応させていただきたい、このように思っております。

達増委員 おとといの質問では、内閣トップのレベルのそういう覚悟を決めた戦略の重要性を述べましたが、それがいわば末端といいますか、現場に近いところ、そういう商工会のところでもきちっと徹底していく、そういうことがなければ日本の経済再生はあり得ないということを申し上げて、私の質問を終わります。

山本委員長 塩川鉄也君。

塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 商工会は、商工会議所とともに地域の総合経済団体と位置づけられております。会員の構成は、従業員二十人以下の小規模事業者が九五・九%を占めております。もともと商工会の大きな目的の一つだった経営指導員の体制の問題を見ても、財政面などを含めて大変弱いところが多いというのが実情であります。

 会員の方の多様な声にこたえた商工会活動を行うための手段の一つとして、合併という手段があることは理解はできます。同時に、大切なのは、合併の議論がどこから出てくるのかということであります。会員の声から出発するのではなく、合併が押しつけられるようなことであれば合併規定を設ける意味が変わってまいります。

 中小企業庁長官にお伺いしたいんですが、二月二日に行われた中小企業政策審議会小規模企業部会の中で中小企業庁の真鍋小規模企業参事官は、合併するか否かはおのおのの商工会における商工業者の意見に基づき、自主的に決定されるべきものだと発言をされております。

 経済産業省、中小企業庁としてこの立場に変わりがないか、まず御確認したいと思います。

中村政府参考人 先生御指摘のとおり、商工会の合併はあくまでも商工会の自主的な判断により行われるべきものと考えておりまして、今回の法改正は、商工会の合併を強制するものではなく、自主的に合併を選択した商工会がより円滑に手続を進められるよう、手続規定の整備などの環境整備を行おうとするという趣旨のものでございます。

塩川(鉄)委員 一方で進められております、市町村合併の動きをよく見ておくことも必要だと思います。財政を地方自治体に依存している状況ですとか、自治体の小規模企業施策を担っているという実態から考えますと、商工会の合併と市町村の合併の議論が並行して進められるということも考えられます。

 市町村合併の進め方を見ると、政府が目標自治体数として一千という数字を設定するですとか、知事に合併パターンをつくらせるですとか、さらに合併促進のための市町村への勧告権を付与するなどなどの、上からの合併のやり方が検討もされております。商工会は会員の組織でありますし、会員の要求から出発せずして何のための合併かということになります。商工会の自主性に基づくということを再度大臣に確認させていただきます。

平沼国務大臣 私は、塩川委員御指摘のとおりだと思っておりまして、やはりあくまでも商工会の自主的な取り組みによって合併が促進されていくべきだ。

 今、市町村合併が上からの一つの大きな力によってなされている、そういったことに巻き込まれないように、こういうふうな趣旨の御指摘がございましたけれども、私どもといたしましては、御指摘のとおり、あくまでも自主的に合併をしていただくようにこれからも指導をしていきたいと思っております。

 また、商工会の自主的な取り組みとして、現在三十五の都道府県におきまして、都道府県、都道府県商工連合会、商工会の参加のもとに、都道府県内の商工会の広域連携、合併が検討はされている、こういうふうに聞いております。

 ですけれども、経済産業省といたしましては、このような自主的な取り組みに対して商工会の合併が円滑に進展するように今回の法律改正をいたした、こういうことでございまして、あくまでも自主的な合併を尊重していきたい、このように思っております。

塩川(鉄)委員 先日、私の住んでおります埼玉の埼玉県商工会連合会にお伺いして、役員の方からお話もお伺いしました。

 埼玉県内には七十の単位商工会があって、会員数の方が七万二千人ほどで推移をしているといいます。年間目標を持って会員の拡大の努力をしているけれども、転廃業が多く、会員を維持するのが精いっぱいだ、こういうお話をお聞きしました。

 全国的にも、今、倒産も大変ふえている。東京商工リサーチの調査などでも、昨年の倒産件数のうち、不況型の倒産が六四・四%となっております。特に、十二月は不況型倒産が七三%と過去最悪を更新するなど、年末の資金繰りの厳しさなどもあらわしておりました。

 全国商工会連合会の中小企業景況調査、この中でも、売上額、採算、資金繰りの景気動向指数がそろって三期連続悪化をする。中小企業の景気の深刻さを物語るとともに、この調査の指摘でも、今後、不良債権処理の本格化に伴って予想される倒産や失業の増加に対してセーフティーネットの拡充などの手当てを行うことが求められると指摘がされております。

 そのセーフティーネットの一つとして、中小企業倒産防止共済制度が挙げられると思います。取引先企業の倒産の影響を受けた連鎖倒産を防止するために、中小企業倒産防止共済制度が設けられております。

 しかし、今、在籍状況は、五百万中小企業の一割にも満たない四十万程度にとどまっていると聞いております。毎年の加入件数は九三年以来減り続けておりますし、しかも、九六年以降は加入件数よりも解除件数の方が上回っている。こういう状況がなぜ起こっているのか、ぜひお伺いしたいと思います。

中村政府参考人 倒産防止共済制度につきましては、倒産によりまして売掛金債権の回収が困難になった中小企業者にとって、大変大きな役割を果たしているわけでございます。平成十二年度においては一万二千三百四十六件、八百七十七億六千五百万円の共済金貸し付けを無担保、無保証で行っているところでございます。

 最近の会員の推移状況は御指摘のとおりでございますけれども、景気の動向の中で、なかなか掛金を支払い続けることが困難であるということで、とりあえず資金を必要とするということで解約されるようなこともございまして、このような状況で推移をしているわけでございます。

塩川(鉄)委員 今年度の加入目標が四万件というふうにお聞きしておりますけれども、この四万件という根拠は何でしょうか。

中村政府参考人 お答えがおくれて申しわけございません。

 ここ数年来、四万件程度を目標に会員募集をいたしております。四万件の根拠について、ちょっと今正確に把握しておりません。後ほど御説明申し上げます。

塩川(鉄)委員 今年度は昨年に比べても二億円の予算の増額もして、積極的に対応するということでの取り組みというふうに聞いております。大体一昨年ぐらいの、各年度ごとの解除の件数が四万一千とか、四万を超えるような規模でありますから、四万という目標ですと、在籍の件数そのものもふえていかないような状況でもありますから、そういう点でも、この対応についてより前向きに考えていく必要があるんではないかというふうに思います。

 中小業者の方にとって、この制度が本当に魅力のあるものになっているのかどうかというところが問われてくるんだと思うんです。ぜひとも運用上の改善を求めたいと思います。

 私のところにも、この倒産防止共済制度についての相談も幾つか寄せられておりましたけれども、例えば、不渡りを二回出したら銀行取引停止になるけれども、月末締め、五月三十日、六月三十日の日付の手形の発行を受けている場合、最初の不渡りを受けてから二回目の不渡りまで一カ月かかる。この時点でやっと共済金の請求ができることになるわけです。日付によっては、もっと長い可能性もあります。しかも、共済金を請求してから、審査を受けて、共済金がおりるまで約一カ月も待たなければならない。こんなに待たされたら自分が連鎖倒産してしまう、こういう業者の方の声は当然だと思うんです。

 ですから、こういう事例なども含めて、中小業者の方が加入しやすいように掛金を引き下げることですとか、あるいは迅速な審査ができるように事業団の体制を拡充することなど、運用面での改善も含め、運用実態をよく点検をして、必要があれば中小業者の要求にこたえて改善の取り組みに努力すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 取引先の倒産に直面した中小企業者にとっては、委員御指摘のとおり、簡易迅速に貸し付けを受けられることが極めて重要だ、このように思っています。

 中小企業総合事業団では、貸付審査員を増員する等によりまして、貸し付けの簡易迅速化に努めてきております。その結果、まだ時間がかかるという御指摘でございますけれども、平均の共済金貸付請求処理期間というのは、平成九年度には約七週間かかりました。それが、平成十二年度には、まだちょっと長いという御指摘がございましたけれども、四週間、一カ月、そこまで短縮されてきたところでございます。

 また、審査過程において特に問題のない貸し付け請求はおおむね三週間以内で処理をされている、こういうことに相なっております。

 確かに、厳しい状況に立たされている中小零細企業にとって、期間の短縮、そういったことは非常に重要なことだと思いますので、引き続き簡易迅速な共済金の貸し付けに努めまして、本制度が中小企業のセーフティーネット対策として有効に機能するように、これからも努力を傾けていきたい、このように思っています。

塩川(鉄)委員 中小企業家の方からこの間お話を伺っていますけれども、昨年末から景況がぐんぐん悪化をしているような状況で、今回の政府の緊急経済対策、特に不良債権処理については、中小企業の債権がどう扱われるのか、この点での危惧が強いということをお聞きしております。

 一期赤字でも破綻懸念先ということになれば貸し渋りに遭うようなことですとか、貸し手は有限責任で借り手は無限責任というのは欧米諸国にないような問題じゃないか、こういうこともお聞きをしました。

 地価下落の中で、担保価値が下がると追加担保を要求されるけれども、このように当初の契約をほごにするような事例というのは、これはおかしいじゃないか、こういう声というのもお聞きしております。連帯保証もとられて、場合によっては一族含めて路頭に迷ってしまう、こういう問題も当然生まれてくるわけであります。

 私どもは、今回の政府の言う不良債権処理のあり方の問題については反対でありますけれども、現実に起こっている深刻なこの事態に対応できる仕組みづくり、この点では大いにやはり努力すべき問題があると思います。

 その点での、今の共済制度のお話も含めて、改めて大臣としての立場での積極的な決意をお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 確かに御指摘のとおり、今、金融サイドの不良債権、そして産業サイドの不良資産、これを既往のものについては二年以内、新規のものについては三年以内に処理をしていく。こういうことを進めてまいりますと、非常に厳しい状況が想定されます。

 そこで、中小企業を管轄しております経済産業省といたしましても、やはり本当に一生懸命業をなさっている中小零細企業の皆様方に対しては、でき得る限りその影響が少なくなるようなセーフティーネットを構築していかなければいけない、こういう形で、委員御承知のように、いろいろなことを対策として講じさせていただいております。

 我々といたしましては、なるべくきめ細かく対応させていただかなければならない、こういうふうに思っておりまして、この不良債権の処理による影響に的確に対応していくことは、言うまでもなく極めて重要であると認識しておりまして、具体的には次のような対策を講じて、そして安心をしていただこう、こう思っております。

 一つは、倒産企業に、売掛金債権等を有する中小企業者の連鎖倒産防止対策としまして、政府系金融機関による運転資金の別枠かつ低利の融資、これは倒産対策資金、こういうふうに言っておりますけれども、これをさせていただいております。

 また、先ほどの答弁の中でも言わせていただきましたけれども、中小企業信用保険の別枠化、これは無担保保証の限度額八千万円、これを倍増の一億六千万円にさせていただいて、こういった特別措置をさせていただく。

 それから、今もお話が出ましたけれども、中小企業倒産防止共済に加入している中小企業についての無担保、無保証での貸し付け等の措置もさせていただいているところであります。

 またさらに、不良債権処理の対象となる企業の事業活動の制限により影響を受ける取引先中小企業や周辺地域の中小企業に対しましては、中小企業信用保険法の別枠化等の措置を講じております。

 さらに、第三に、最近の経済環境の変化等によりまして、売上高の減少等の影響を受ける中小企業に対しましては、政府系中小企業金融機関による運転資金の別枠での融資、これは運転資金円滑化資金、こう言っておりますけれども、そういった施策の活用を図っているところでございます。

 また、直接的な影響を受けて民事再生手続等の再建型倒産手続に入った企業を対象とした資金供給に、いわゆるDIPファイナンスでございますけれども、政府系金融機関が取り組むことについては、もちろんモラルハザードを防止する等の適切な対応に留意をしつつ、こうした措置によりまして、企業の再建を可能とする環境整備を行うこととして、我々としては、きめ細かく対応をさせていただきたい、このように思っております。

塩川(鉄)委員 そういう中身の対策そのものが昨年来とられてきた施策の延長であり、四月六日の緊急経済対策以降新たにというのがほとんど見られないというのが実情だと思うのです。その意味でも、この点での取り組みが問われてくると思います。

 私、最後に大臣に一言ぜひお伺いしたいのが、信用保証協会のサービサーの問題であります。

 昨年の臨時国会で中小企業信用保険法が改正をされて、信用保証協会が代位弁済に伴う求償権をサービサーに委託することができるようになりました。これで何が起こっているのか。

 四月十日、都内のある中小業者の方のところに信用保証協会から郵便が送られてきました。これが写しでありますけれども、せっかくですから、大臣どうぞ。

 そこにもありますように、「保証協会債権回収株式会社への委託にかかるご通知」となっており、「当協会が貴殿に対して有する求償金債権等について、この度その管理回収業務を保証協会債権回収株式会社に委託することといたしました。」とあります。

 この方は、安定化融資で代位弁済になっていない方であります。回収株式会社という名前からしても大変ショックを受けておられて、こんな人にも通知が来るのはおかしな話であります。また、安定化融資で条件変更したら、保証協会が金融機関に担保を押さえるように言った、こういう例も聞いております。

 こういう拘束的なやり方は本来許されないはずであります。回収の対象には、安定化融資でない一般融資も含まれているという話も聞きます。いわば、四月からのスタートの現場において大変な混乱が起こっているんではないでしょうか。

 このサービサーを決めた際の附帯決議には、「債務者の状況を踏まえた適切な回収に努めること。」と指摘がされております。ぜひとも、中小業者の方の立場に立って、この四月以降の現場の実態をしっかりつかんでいただく調査をやっていただきたい。また、強引な回収にならないように適切な指導を行っていただきたい。この点について大臣、お願いいたします。

平沼国務大臣 昨年の臨時国会、衆議院の商工委員会で、今委員が御指摘のとおり、「信用保証協会を督励し、求償権回収体制を強化するとともに、債務者の状況を踏まえた適切な回収に努めること。」また、参議院の経済・産業委員会でも、「代位弁済の増加に対応するため、信用保証協会の債権回収体制を強化するとともに、債務者の状況を踏まえた適切な回収に努めること。」こういうことになっております。

 四月十日から業務を開始して、いろいろ今事例を出していただきましたけれども、委託による回収を行うに当たっては、中小企業政策の一環として、過酷な回収を避けまして、債務者の状況を踏まえた適切な回収計画を策定して対応すべきと考えておりますので、私ども、よく調査をして、そして過酷なそういう回収にならないように督励してまいりたい、このように思っています。

塩川(鉄)委員 終わります。

山本委員長 大島令子君。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。答弁は、簡潔に短くお願い申し上げます。

 まず、大臣に質問します。

 商工会法第六条三項の原則について伺いますが、法文では、「商工会は、これを特定の政党のために利用してはならない。」とあります。これは、政治的中立性を意味すると解釈してよろしいでしょうか、また、この原則が各商工会で徹底されているのでしょうか、答弁をお願いします。

平沼国務大臣 お答えいたします。

 商工会法第六条第三項は、御指摘のとおり、商工会が総合的経済団体としての基本性格を逸脱して政治団体化し、特定の政党に利用され、そのための政治活動を行うようなことがあってはならないという趣旨に基づく規定でございます。商工会の公的性格からして当然のことと私どもは考えております。

 経済産業省といたしましては、商工会に対し、商工会法第六条第三項の遵守に努めるように指導しております。仮に、商工会法第六条第三項にもとるような事実があれば、法に基づき報告の聴取や検査等の必要な措置を講じてまいりたい、このように思っております。

大島(令)委員 昨年十月、実は大阪府であったことなんですが、大阪府商工会連合会も主催団体の一つとして開催されましたある大会に、来賓として特定の複数政党のみに案内がございました。これに対し、来賓案内のなかった政党が申し入れたところ、回答は、日ごろの政策要望活動を陳情した実績がないという経緯で政党を絞ったということでございます。

 その案内書がここにございますけれども、商工会の連合会の方たちが、中小企業者の方が一堂に会して政治や行政に対していろいろな課題の解決に向けて集会などを開催するのは、私はいいと思いますけれども、そういう自分たちの主張を訴え、その実現に向けた政策の推進を求める大会に対して、特定の政党を排除したという実績があるわけなんです。

 これに対して、六条の三項の規定からして大幅に逸脱しているのか、やはりこれはよくないなとか、大臣の見解をちょっとお願いいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 商工会の役割の中に政策の実現というものがあるわけでございます。したがいまして、その政策を掲げまして、それを決議し、いろいろな政党に働きかけるということがあるわけでございまして、そうした中で、どの政党に働きかけるかという場合にいろいろなケースがあるということでございますので、それをもって六条三項違反であるということは一概に言えないと考えております。

大島(令)委員 ほとんどの商工会が会議室を持っているわけなんですが、先ほど、民主党のある議員の質問の中でも、商工会が政治連盟を持っています。私たちが一般的に、私は社民党ですけれども、その部屋を貸してくださいというときに、商工会の事務所の二階とか三階に会議室がありまして、政治連盟に入っていないので貸せないと。大体、政治連盟と建物と事務室が一体化されている中で、こういうことが地域の商工会でふだん行われているわけなんです。

 これも、私は、違法か適法かという問題ではなく、ここに書いてある法律の解釈かもしれませんけれども、やはりある程度不当性、厳密な意味での違法かどうかは私はわかりませんけれども、やはり社会通念上好ましくないと思います。

 大臣に見解を求めます。中小企業庁の長官ではございませんので、お願いいたします。

平沼国務大臣 商工会館の使用につきましては、当然のことながら、主として経営改善普及事業実施のために利用されていると思っております。あいた時間に貸すことはあると聞いています。しかしながら、貸し出しに際しましては、その使用目的、使用主体等にかかわらず、申し込み順に貸し出しをしており、特定の政党にのみ利用されているということはないと承知をしております。

 ちなみに、ちょっと調べてみましたけれども、幾つかの都道府県で、例えば宮城県では、ある市では公明党さんの地区会議、また自民党あるいは公明党、共産党、東京では自民、公明、民主、共産、東久留米では自民、公明、共産、そして御党社民党、こういうような形で、あいている時間には申し込み順に貸し出している、そういう事例がございまして、私は、特定の政党にのみ利用されているということはないと承知をしております。

 そういう中で、繰り返しになりますけれども、主に経営改善普及事業実施のために使うことが必要ですけれども、やはりあいているときにはそういう形で利用していただくということも、特定の政党に限定しないで幅広くいろいろな形で使っていただくということも、彼らの自主的な判断の中で行っているのではないか、このように思っています。

大島(令)委員 御答弁、感謝申し上げます。

 実際、私自身も、私の政党の選挙においてもこういう事実がございましたので、今の答弁を受けて、今度は、そういうことがあったときに商工会に申し入れをいたしますし、やはりそういうことがないように指導していただきたいということが、私の今回の質問の趣旨でございます。

 二番目でございますけれども、これは長官にお伺いいたします。

 単会人件費の段階的な一般財源化についてお伺いします。商工会、商工会議所の単会人件費は、平成五年度から段階的に一般財源化されました。平成四年度は国の補助率が五〇%でございましたけれども、平成五年度は四〇%、平成六年度は二〇%、平成七年度は〇%となり、現在はすべて一般財源化されております。この時点で、三つの懸念が関係方面から指摘されました。

 その三つというのは、一番目、確かに三十二年間補助金が交付され、都道府県の施策として定着してきたとはいえ、今なぜ一般財源化なのか。二点目は、一般財源化すると、従来どおりの設置基準、補助単価が維持されなくなるのではないか。三つ目、都道府県の自由裁量で予算が決まるので、その保証がないのではという懸念でございました。

 私は、ここで、国の補助がゼロとなってから六年経過しましたので、ある県の一般財源化後の予算での人件費の補助額を調べたところ、実態は横ばいでした。

 質問でございますけれども、全都道府県の実態も、このように理解してよろしいでしょうか。また、このことによる商工会の業務等への影響がなかったか、国として把握調査しましたか。簡潔に答弁をお願いいたします。

中村政府参考人 先生御指摘のとおり、商工会、商工会議所の経営指導員等の人件費につきましては、平成五年から、それまで国庫補助二分の一としていましたものを、都道府県の一般財源で措置することといたしました。これは地方分権の流れと、先生御指摘になりましたように、定着をしているということで、したわけでございます。

 この結果、二年間の経過措置の後、平成七年には完全に一般財源化いたしまして、経営指導員に対する人件費の計上については、都道府県の裁量にゆだねられることになっているわけでございます。

 ただ、経済産業省といたしましても、引き続き、従来の経営指導員への補助が確保されますよう、都道府県に要請いたしますとともに、その後も都道府県に十分な交付税措置がなされるよう努めております。

 また、一般財源化以後、中小企業庁では、経営指導員の人数等につき毎年調査を実施しておりまして、状況の把握に努めておりますが、当該調査によりますと、一般財源化の前後を通じて、経営指導員は全国でおおむね八千五百人台で推移しており、御指摘のとおり、横ばいで推移しているわけでございます。

 そうしたことから、懸念されましたような一般財源化による経営改善普及事業への大きな影響はなかったものと考えております。

大島(令)委員 私は愛知県出身でございますので、愛知県のことを申し上げれば、愛知県の予算があって初めて成り立つものでございます。愛知県は、財政状況の悪化で、本年度、県の人事院勧告に基づき、経営指導員の給与も本俸が二%カット、ボーナスは〇・二月カットが実態でございます。手取りはどうですかと聞きましたところ、介護保険料含めて年金も上がりました、社会保険料アップのため、当然実質な手取り額は減ったと。

 今までこの方たちは、経営指導員としての仕事をやっていましたが、ほかに産業振興の仕事もふえているということでございます。仕事量がふえ、実際、やはり都道府県の財政状況も悪化している中で、こういう実態もあるわけなんです。これに関して、長官、国としては、どういうふうに考えていますか。

中村政府参考人 御指摘のとおり、各県の財政事情にも影響されるところでございますけれども、私も愛知県の出身でございますが、愛知県は非常に厳しい財政状況でございまして、経営指導員に限らず、県庁職員も給与の削減等になっているわけでございます。そうした観点から、経営指導員も、全体のバランスの中でそのようなことがなされたのではないかと、私も推測するわけでございます。

大島(令)委員 愛知県の経営指導員だけ辛抱してくれというような答弁に受け取れましたけれども、やはり一般財源化ということは、少なからずこういう問題が起きてくるわけなんですね。ですから、こういうきめ細かな都道府県に対する配慮も、大臣、国としてお願いしまして、次の質問に移ります。

 中小企業支援体制は有効に機能しているかということでございます。

 中小企業庁は、「ここに来れば、答えがあります。」というものを出しております。これは、三つのセンターの宣伝をしているわけなんですが、全国、国で八カ所の中小企業・ベンチャー総合支援センター、そして四十七都道府県、県レベルでは中小企業支援センター、そして地域には全国二百五十拠点にある地域中小企業支援センター、何か言葉がもつれちゃいそうなんですが、国、県、地域とそれぞれ中小企業支援センターなるものが設置されております。これは設置されて一年たちました。

 これら三類型の支援センターによる事業内容は、相談とか情報、専門家派遣、そして新規創業の窓口、資金、経営等の支援に応じるということが事業内容ということでございます。これらの機関が本当に連携を図り、有効に機能しているのかをお尋ねいたします。

中村政府参考人 御指摘のとおり、平成十二年度から、中小企業が抱えるさまざまな悩み事に対してきめ細やかに対応するワンストップサービスを提供するために、地域中小企業支援センター、都道府県等中小企業支援センター及び中小企業・ベンチャー総合支援センターから成る支援体制を整備しているところでございます。

 現在におきましては、地域中小企業支援センターが全国で二百五十カ所、都道府県等中小企業支援センターが全国で五十四カ所、中小企業・ベンチャー総合支援センター、これは国がやっておりますが、全国で八カ所整備されておりまして、これまでに中小企業から延べ約十万件の相談が寄せられておりまして、徐々にふえつつございます。資金調達、経営全般等、相談内容に応じてさらにきめ細やかに対応するために専門家も派遣しておりまして、十三年度予算におきましては、休日に対応するというようなこともできるようにするように努力をしているわけでございます。

大島(令)委員 地域の中小企業者の相談窓口でございますので、やはり利用しやすくしなければいけないと思います。

 そこで、専門家のアドバイスとかいうこともございます、派遣もございます。では、弁護士とか税理士などのアドバイスは無料なんでしょうか。それとも、いつでも相談しやすいという意味で常駐しているのか。二点目、専門家の派遣、これは有料なのか無料なのか、聞かせてください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 支援センターにおきましては、弁護士、会計士、いろいろな専門家の方を登録していただいておりまして、それぞれの相談内容に応じて、そうした専門家の方に対応をしていただくということでございます。弁護士のような方の場合には、ある日にちを決めてそのときに相談に応ずるというようなこともいたしているわけでございます。

 原則的には、最初の相談というのは無料でございますが、例えば、具体的に企業の設立について細かく相談をするという段階に至っていますと、有料化されてくるということでございます。

大島(令)委員 税理士とも申し上げましたので、ちょっと答弁漏れだと思います。常駐しているのかということもございます。これは時間から省いてください。

中村政府参考人 税理士も登録いたしておりますし、常駐はいたしておりません。

大島(令)委員 ことし三月の、地域中小企業支援センター、これは今二百五十拠点にあるそうなんですが、そこに寄せられた相談件数は、三万六千八百三十三件あるそうです。うち、二万二千八十八件が創業に関する内容だということでございます。

 この三類型の支援センターの中で、創業、ベンチャーというのは国の八機関が中心になってやるわけなんですが、一番中小企業者の身近である地域中小企業支援センターにこういう創業に関する相談内容があるということです。実際、どういう人たちが来るかというと、小さな創業が大多数で、高齢者ですとか女性、そして特に最近では、失業者の方が創業希望業種としてサービス業を求めて相談に来るそうなんです。

 しかし、この支援する指導員もまた経験が浅く暗中模索ということで、三類型の目的としているセンターの内容に応じた相談ではないということなんですね。だから、地域中小企業支援センターに来る人たちは、まず事業計画書の書き方を知らない、貸借対照表が読めない。こういう人たちがあすのベンチャー企業と言えるだろうかという疑問があるそうなんです。

 ですから、私は、この三類型の連携が大切ということは、ベンチャーと創業というのが同じカテゴリーの中にあるような誤解を与えている。「ここに来れば、答えがあります。」といいますけれども、事業内容が中小企業の人にわかっていないのではないか。一年しかたっていないので無理もないかなとは思いますけれども、すそ野拡大活動がこの三類型の目的であるとすれば、やはりもう少し整理して広めるべきではないかと思います。

 これは、中央省庁の要請によって、日本全国どこでも同じ目的で横並びのカリキュラムを用意することが創業予備軍である人たちの望みではないと思うんですね。じっくりと地域のニーズに合ったものを酌み取り、その相談に乗ることが必要だと思うんです。ですから、国、県、地域、やはりこの三類型の連携を持たせることがせっかくつくったこういう支援センターの役割だと思います。

 ことし実態を調べまして、来年度以降どのような形でやっていくのか、考えを聞かせてください。

中村政府参考人 まだできて一年ということでございまして、まだ十分浸透していないということもあります。したがいまして、ことしの初めから私ども精力的に地域支援センター等のPRのためのセミナーを全国で実施いたしまして、その役割等について中小企業の皆様方に広報をいたしているわけでございます。

 それから、三類型のセンターがそれぞれ連携をしなければいけない、それは全くそのとおりでございまして、例えばナショナルセンターは各地域の支援センターをサポートするような体制になるとか、あるいは自分でできないものについては他のセンターの協力を得るとか、いろいろな連携を図るということにいたしております。

 いずれにしましても、できて一年ではございますが、先ほどの十万という相談がございまして、幾つかの成功例も出ているということで、さらに充実を図りたいと考えております。

大島(令)委員 時間がございませんので、これで終わりにいたします。どうもありがとうございました。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、商工会法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、竹本直一君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守党及び21世紀クラブの七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。中山義活君。

中山(義)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    商工会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、地方分権化等の進展に伴い地域の総合的な経済団体としての商工会の重要性が増大することにかんがみ、商工会事業の効率化・広域化の推進が喫緊の政策課題であることを十分に認識し、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 商工会の広域連携・合併は、地域の自主性により行われるべきことは当然であるが、国としても、多様化・高度化する中小企業者のニーズへの十分な対応を可能とするための事業体制の強化及び支援サービスの質的向上等を実現するためには不可欠との観点から、本改正の内容の周知に努めるとともに、地方自治体、商工会等の関係者に対し、その慫慂に一層努めること。

 二 地域の中小企業者にとって最も使いやすい体制を整備することが重要との観点から、商工会、商工会議所をはじめとする地域の各種中小企業支援組織のあり方について不断に見直しを行い、地域の実態を踏まえた相互の協力・連携の強化及び統合の促進をも視野に入れた検討を行うとともに、必要な制度整備に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。

平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

山本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、内閣提出、特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平沼国務大臣 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国及び欧州共同体が相互の市場への進出を容易にし、貿易を促進する上で、製品に係る規格への適合性の評価を相互に承認することが重要であること、また、規格の国際的な調和の促進を図ることに相互承認協定が積極的に寄与し得ること等にかんがみ、相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定への署名を本年四月に済ませたところでございます。

 この協定につきましては、承認をいただくために、今国会に提出されているところでありますが、我が国といたしましては、この協定の適確な実施を確保するために、通信端末機器、無線機器及び電気製品に係る国外適合性評価事業の認定等に必要な事項を定めるほか、電気通信事業法、電波法及び電気用品安全法の特例を定める等の国内法整備を行うことが必要であります。

 このような要請に対応するため、今般、本法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、欧州共同体向けの通信端末機器、無線機器及び電気製品に係る国外適合性評価事業を行おうとする者は、協定に定める欧州共同体の基準に適合していると認められるときは、主務大臣の認定を受けることができるものとし、認定を受けた者について協定に従い登録の手続をとる旨を規定するとともに、必要な監督措置を整備しております。また、主務大臣は、国外適合性評価事業の認定に当たり、その指定する指定調査機関等に認定に関する調査の全部または一部を行わせることができることとしております。

 第二に、登録を受けた欧州共同体の適合性評価機関が実施した、我が国向けの端末機器、特定無線設備及び特定電気用品に関する我が国の関係法令に定める技術上の要件への適合性評価の結果を我が国において受け入れることができるようにするため、電気通信事業法、電波法及び電気用品安全法の特例を定めることとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律案は、一部を除き、協定の効力発生の日から施行することといたしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十一日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十六分散会




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