衆議院

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第14号 平成13年6月13日(水曜日)

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平成十三年六月十三日(水曜日)

    午後零時三十三分開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君

   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君

   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君

   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君

      衛藤征士郎君    小此木八郎君

      大村 秀章君    梶山 弘志君

      後藤田正純君    高木  毅君

      滝   実君    根本  匠君

      馳   浩君    林  義郎君

      平井 卓也君    松宮  勲君

      茂木 敏充君    保岡 興治君

      北橋 健治君    後藤 茂之君

      後藤  斎君    鈴木 康友君

      中津川博郷君    葉山  峻君

      肥田美代子君    松本  龍君

      山内  功君    山井 和則君

      赤羽 一嘉君    石井 啓一君

      土田 龍司君    大森  猛君

      塩川 鉄也君    大島 令子君

      西川太一郎君    宇田川芳雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  篠崎 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境

   局長)          日下 一正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・

   ガス事業部長)      大井  篤君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  松本 省藏君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十三日

 辞任         補欠選任

  西川 公也君     滝   実君

  山田 敏雅君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  滝   実君     西川 公也君

  山井 和則君     葉山  峻君

同日

 辞任         補欠選任

  葉山  峻君     山田 敏雅君

    ―――――――――――――

六月八日

 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案(内閣提出第九二号)(参議院送付)

 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第九三号)(参議院送付)

同月一日

 中小自営業の女性事業主・起業家に対する支援策の充実等に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二二九七号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第二二九八号)

 同(中林よし子君紹介)(第二二九九号)

 同(春名直章君紹介)(第二三〇〇号)

 同(不破哲三君紹介)(第二三〇一号)

 脱原発への政策転換に関する請願(山花郁夫君紹介)(第二四一三号)

同月八日

 中小自営業の女性事業主・起業家に対する支援策の充実等に関する請願(山口わか子君

 紹介)(第二四六〇号)

 同(三村申吾君紹介)(第二五六〇号)

 中小企業・国民本位の景気回復に関する請願(三村申吾君紹介)(第二五五九号)

同月十三日

 中小自営業の女性事業主・起業家に対する支援策の充実等に関する請願(川田悦子君紹介)(第二八〇六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 計量法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)

 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案(内閣提出第九二号)(参議院送付)

 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第九三号)(参議院送付)




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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、計量法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省産業技術環境局長日下一正君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長大井篤君、厚生労働省健康局長篠崎英夫君、環境省環境管理局長松本省藏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。肥田美代子さん。

肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日の環境破壊は、二十世紀の大量生産、大量消費、大量廃棄型のライフスタイルや経済活動に原因があると指摘されております。そうした暮らしのあり方や経済の仕組みを見直し、環境を重視した持続可能な経済社会を実現して、美しい地球を次の世代に残さなければいけない、これはもう私が申し上げるまでもございません。

 大臣は、資源節約・環境重視型産業への転換を進めるためにどのようなリーダーシップを発揮されるつもりか、そのことをまずお伺いしたいと思います。

 あわせまして、これは私どもからの提案でございますが、環境負荷軽減に資するものについては税の負担を軽くし、環境負荷を増大させるものについては税負担を重くしてはどうでしょうか、大臣の御見解をお伺いします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 資源、エネルギーを有効に利用しながら環境面での制約を克服いたしまして、持続的発展が可能な経済社会を構築するためには、今御指摘の、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムから脱却をいたしまして、循環型の経済社会を構築することが重要だと考えています。

 このため、経済産業省といたしましては、いち早く事業者によるリサイクル促進のための取り組みに着手をいたしました。先生も御承知かと思いますが、平成三年から、産業構造審議会業種別・品目ガイドラインを策定いたしまして、産業界の取り組みを促進するとともに、現在、これは十八業種、二十八品目について実施しておりますけれども、この促進に鋭意励んでおります。

 また、同じく平成三年に再生資源利用促進法を制定いたしまして、古紙やスラグ等の原材料としての再利用やリサイクルに配慮した設計、分別回収の表示を実施してきたところでございます。

 また、これらの実績を背景といたしまして、平成七年以降、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法を制定しまして、利用後の回収リサイクル分野について事業者に一定の責任を負わせつつ、地方自治体や消費者についても役割分担を求める経済社会システムの整備を環境省と協力して取り組んできているところであります。なお、自動車リサイクルシステムの高度化についても検討を今進めているところでございます。

 さらに、廃棄物・リサイクル関連産業や環境に配慮した製造業などの環境関連産業の発展が必要であることから、経済産業省といたしましては、エコタウン事業などのリサイクル施設整備に対する補助を実施し、リサイクルに資する設備の導入に際しての設備の特別償却、固定資産税、事業所税等を軽減するためのリサイクル施設に対する税制優遇措置等、さらには民間事業者の有する効率的な、スリーのRと言っておりますけれども、リデュース、リユース、リサイクル関連技術の実用化開発に対する約四億円の技術実用化補助金等といった施策を講じることによりまして、環境関連産業の育成に努めているところでございます。

 先生御指摘のとおり、やはり二十一世紀というのは、環境を克服して、そしてこの地球を環境破壊から守る、こういうことが重要でございますので、今挙げたような施策を通じて一生懸命に取り組んでいるところでございます。

 そこで、資源節約・環境重視型産業への転換を進めるための政策方法の一つとして、先生御指摘の税制の活用についてでございますけれども、そもそも、環境政策の方法としては、行為者に経済的負担を課すか、経済的誘因を提供することにより望ましい行為を誘導する経済的手法、また、遵守すべき基準を法令等で示して、違反する行為に対して経済的、社会的なペナルティーを課す、そういう規制的な手法、あるいは事業者がみずからの行動に一定の努力目標を設けまして、自主的に環境保全への取り組みを行う自主的取り組みといった幅広い手法があるわけであります。

 このうち、経済的な措置につきましては、補助金等の助成措置、排出量取引等各種の手法のほか、税、課徴金制が存在しまして、環境問題の具体的様態に応じまして最も有効な措置を選択または組み合わせることが考えられます。

 御指摘の、いわゆる重軽課の併用につきましては、実際に導入された例といたしましては、自動車税のグリーン化がございまして、排ガス性能のよい車、低燃費自動車等を取得した際には、取得後二年間、自動車税をおおむね一三%から一番大きいところは五〇%軽課する。他方、新車登録から十一年以上経過したディーゼル車、ガソリン車については十三年以上にしておりますけれども、おおむね一〇%重課する税制措置を講じる、こういうことにより、利用段階にある自動車の環境負荷の低減が図られるもの、こういうことをやっておりまして、御指摘のように税法上、そういう形をしながら環境を守っていく政策はやはり必要だ、このように思っております。

肥田委員 計量行政審議会答申は、これまで計量制度が想定していなかった極微量物質の計量ニーズの例として、ダイオキシン類、アンモニアガスの不純物、発電所のボイラー循環水に含まれる塩素などを挙げております。消費者にとっても無視できないものばかりでございます。

 この答申を受けた計量法一部改正案も、消費者保護を視野に入れると受けとめておりますけれども、なぜか計量行政は消費者にとってなじみがないんですよね。どこに姿があるのかわからないという状況もあるわけでございますが、今回の法改正によって、消費者はどのようなサービス、恩恵を受けることができるのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

平沼国務大臣 お答えいたします。

 経済活動及び国民生活全般にわたりまして、常に正確な計量が行えることは必要不可欠なことでございまして、計量制度はそのための技術的な社会共通の基盤だと思っています。

 今回の改正は、一兆分の一グラムレベルの計量を伴う極微量物質の濃度の計量証明といった新たな社会ニーズへの対応のための措置や、証明される内容に対する外部からの信頼感を揺るぎないものとするような措置を講ずることによりまして、計量制度が直面している喫緊の課題に対応するものであります。

 これらの措置を講ずることによりまして、今、消費者には見えにくい、こういう御指摘がございましたけれども、消費者にとって、計量制度に対する信頼感をより確保することができる。もちろん、それと並行して、こういう形でお願いをしている極微量物質、こういうもののいわゆる計量の完璧を期すということも同時にPRをして、やはり消費者の皆様方には徹底をしていかなければならない、そういうふうに思っています。

肥田委員 今回の改正では、システム全体にわたる工程管理が適切に行われているかどうかを認定する制度が導入されております。これは、この法案の重要な点だと思います。

 私も、サンプリングの採取から最終的な濃度値確定に至るまで、一連の工程が厳密に管理され、維持されなければ国民の信頼を得ることはできないと思います。特にダイオキシンの場合には、計量結果も不正確で、同じサンプルでありながら、事業者によっては最大二千七百倍もの計量の誤差が出ていた、これはまさに消費者の不安を高めてまいっております。

 こうした誤差は事業者の工程管理のよしあしによって生まれたと言われておりますが、今回の改正で、こうしたばらつきは完全に解消できるんでしょうか。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 今御指摘のように、超微量物質、例えばダイオキシンのようなものを計量する場合には、その計量工程によりまして、計量結果に大きなばらつきが生じているということはございます。今御指摘がございましたように、一昨年行った調査では二千七百倍の誤差があったということでございます。

 これに対しまして、今回の法律改正によりまして、事業者の計量証明システム全体の工程管理が適切に行われるということになりますれば、ヒューマンエラーを誘引しないシステムと高度な技術力というものが両方実現をされるということになりますので、信頼性の高い計量証明結果が期待される、このように考えております。

 この点につきましては、昨年の計量行政審議会の答申におきましても、極めて技術的に難易度が高い、いわゆるピコグラム、一兆分の一グラムレベルなどの極微量物質の計量計測であるにもかかわらず、その誤差が大体プラスマイナス五〇%程度の範囲内にまで抑えることができる、したがって、計量証明結果の数値のばらつきの少ない、信頼性の高い計量計測結果が実現される、こういうふうに言われているところでございます。

肥田委員 経済産業省の事前説明でお聞きしましたところ、従来型の公害物質の計量は、家庭のおふろに一個のお砂糖を溶かして、その砂糖の濃度分析を行うようなものであったのが、極微量物質の場合には、東京ドームに水をいっぱいにして一個の角砂糖を溶かして、その砂糖の濃度分析を行うようなものだということを伺いました。しかも、従来型公害物質の分析所要時間は一検体当たり約一日であったけれども、極微量物質の分析所要時間は一、二週間である、そういうふうにも伺いました。

 計量ニーズが高まり、分析時間も長くなるということになれば、問題は人の配置ということになります。現在、計量士の登録者数はおよそ二万二千人となっておりますが、このうち、極微量物質の計量に当たる計量士はどのぐらいいらっしゃるのか、そしてそれは適当な人数なのか、お答えください。

古屋副大臣 お答えをさせていただきます。

 計量士の中で、ダイオキシンの計量分析を行うことができる者についての正確な統計というものは現在ございませんけれども、しかし、ダイオキシン類の計量証明に必要な機器を有して国内で事業を行っている証明業者、これが大体百社から百五十社程度はあるというふうに見込まれております。そういった観点から類推しますと、全体ではこのような計量士が二百人程度はいるものと見込んでおります。

 また、事業者内におきまして工程管理の中核となるべき立場にある計量士の育成であるとか、その資質の維持、向上を図るということは、このような極微量物質の適正な計量のためにも極めて重要であるというふうに考えております。

 こういった点から、独立行政法人であります産総研におきまして、専門的知識やあるいは経験を有する教授を配して、そして研修制度を実施する予定となっておりますけれども、このような研修制度などを通じて、高い専門知識を持つ計量士が着実にふえていくということを期待いたしております。

肥田委員 極微量物質の計量は極めて高度で繊細な分析能力を必要とするわけでございますけれども、今副大臣がおっしゃいましたように、人材の育成はしっかりとやっていくと。それで、現在おおよそ二百人というふうに伺ったんですが、この数で大丈夫なのか、それとも、何年間の計画でどのぐらいの数にしていくのがこれからのニーズに合っていくのかというシミュレーションを少しなさっていらっしゃったら、お答えください。

古屋副大臣 特に正確なシミュレーションというものはしておりませんけれども、今申し上げましたように、研修等を着実にすることによって、そういった専門的知識を有する計量士は確実にふえていくもの、このように期待をいたしておる次第でございます。

肥田委員 では、私も期待することにいたします。

 国民に信頼される計量行政を実現するためには、分析処理工程の厳密な管理を欠かすことができません。また、消費者への計量証明事業者の告知も必要だと思うんですね。計量証明事業者の指導、研修する機関はありますか。

 それから、これからは認定業者に合格マークが出されますが、認定を受けている事業者の名称や場所、サンプルの持ち込み方法などについて、消費者に周知徹底して、消費者と計量行政の距離を縮めてほしいと思うんですが、どのような方法で周知徹底、そして普及啓蒙活動をなさるのか、お尋ねしたいと思います。

古屋副大臣 計量証明事業者に対する指導や研修等につきましては、社団法人であります日本環境測定分析協会というのがございまして、ここで環境計量士の技術研修であるとか、計量証明事業者の品質システム構築についての講習会などを実施しているというふうに承知をいたしております。

 また、今回の法改正に合わせまして、計量士に必要とされる知識であるとか経験に関し、産総研において専門的知識、技能を教授する研修を実施する予定といたしておりまして、このような研修につきましては、国としても積極的に支援をしてまいる所存でございます。

 また、もう一つ、認定を受けている事業者の名称などにつきましては公示することを予定いたしておりまして、また、認定を受けた事業者は特別な標章を計量証明書につけることができることになるわけでありまして、認定を受けた事業者であることが、計量証明の依頼者や消費者など、外部から簡単に判別ができるということになるわけであります。

 これらにつきましては、新しい制度の広い理解を得るため、各都道府県などとも連携をいたしまして、十分なる広報、周知徹底をしていきたいと思っております。

肥田委員 極微量物質の計量証明にいわば物差し的な役割を果たします標準物質というものが必要なわけでございますが、現在、アメリカでは約二百五十種類、それに対して日本は六十種類でございます。ちなみに、お隣の韓国は七十種類。国際的な経済力においてはアメリカと日本は一位と二位の関係にありますが、標準物質の開発はおよそ四分の一でございます。

 アメリカや韓国と比較した場合、日本の開発のおくれが際立っておりますけれども、その原因はどこにあると思われますか、大臣、お答えください。

平沼国務大臣 我が国における技術開発というのは、これまで、経済的、技術的キャッチアップの過程の中で製造プロセス技術等を中心に発展をしてまいりました。その技術的基盤を海外に依存する傾向が強い体質であったという事実がございまして、それが今御指摘のような、アメリカやあるいは諸外国に比べて標準物質が非常に少ない、こういうことの原因の一つだと思っております。

 計量標準等産業活動の基盤となる知的基盤につきましても、経済活動の国際化に伴いまして海外からの導入が可能となったものについては、海外依存が進み、国、学界、産業界とも知的基盤の重要性は認識をしておりましたけれども、みずから整備をする、こういう意義が薄れておりまして、組織的な取り組みが十分に行われていなかった。

 したがいまして、今おっしゃいましたように、アメリカが約二百五十種類、EU諸国全体は二百八十種類、そういう統計がございまして、韓国は七十種類という形で、我が国は非常に今おくれをとっているわけでございますけれども、やはりこういったことを契機に、その辺の充実に努めていかなければならない、私はこのように思っています。

肥田委員 具体的に、何年ぐらいまでに先進国に追いつこうという御計画が多分おありだと思いますが、そこのところもお聞かせください。

平沼国務大臣 国家標準物質については、化学物質の計測、分析における技術的信頼性を確保するための基盤だけではなくて、研究開発活動の基盤でもあることから、当省では、その重要性にかんがみまして、近年、開発、供給に鋭意努めてきたところでございます。

 また、従来、工業技術院のもとで計量研究所、物質工学工業技術研究所及び電子技術総合研究所が担当していた計量標準に関する研究業務はすべて産業技術総合研究所の計測標準研究部門に統合されました。そこで効率的な研究体制の構築が可能となったもの、このように承知しております。

 さらに、先般閣議決定されました、経済構造の変革と創造のための行動計画、科学技術基本計画に示された方針に基づきまして、二〇一〇年を目途に、標準物質については、世界最高の水準、今御指摘になられました米国並み、約二百五十種類の整備を目指して、環境保全対策に必要なもの等に重点化しつつ、さらに強力に推進してまいりたい、このように思っています。

肥田委員 今回の改正で、都道府県の業務が一段とふえると思うんですね。これまで、計量器の製造の届け出事務、計量証明事務の審査、登録事務、計量器の定期検査を担当していらっしゃいましたけれども、これに今回の極微量物質の計量証明に係る仕事が加わるわけでございます。こうした業務に係る事務は、外部委託できるんですか。

古屋副大臣 お答えいたします。

 都道府県の計量証明にかかわる事務はアウトソーシングができるのかどうかといった趣旨の御質問だと思いますけれども、計量証明事業者に関する都道府県の事務、すなわち事業者の登録であるとか立入検査、報告の徴収などにつきましては、アウトソーシングを行うといった性格のものではないというふうに考えておりまして、現行計量法においても、都道府県が行うというふうになっておるわけであります。

 ただ、計量証明事業者が使用します計量器の検査につきましては、その技術的側面から、都道府県からの指定を受けまして民間の機関が業務を代行する制度、すなわち指定計量証明検査機関制度、こういうものを導入している次第でございます。

肥田委員 いずれにいたしましても、都道府県の方にかなり重荷が行くわけでございますけれども、職員がやはり少ないですね。それから、専門職の人とか、それから行政改革によって一般業務に配置される例もあると聞いておりますけれども、地方分権で税財源が伴わなければやはり自治体に犠牲を強いるだけに終わってしまいますので、都道府県の計量業務を外部に委託、今、一部できるとおっしゃいましたけれども、ほとんどの部分はやはり委託すべきでないというふうにお答えいただいておりますので、せめて新たに加わる極微量物質の業務に必要な人材の育成とか、それから財政について、国の支援を行うべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。それがやはり地域住民への本当のサービスにつながると思うんですが、大臣、ここのところをお願いいたします。

古屋副大臣 お答えをさせていただきます。

 都道府県が行います計量行政事務は自治事務とされているものでありまして、これに対しての直接的な財政支援を行うという予定はございません。しかし、都道府県の職員に対しましては産総研が計量行政に必要な研修を実施いたしておりまして、その資質の維持あるいは向上に向けた支援を行っているところであります。

 今後、こういった極微量物質の計量に関しましても、都道府県の職員の資質レベルが極めて重要になってくるわけでありまして、これに必要な研修を実施していくなど、引き続き都道府県に対しては積極的な支援をしてまいりたい、このように考えております。

肥田委員 この法律で五年後の見直し規定がございますけれども、先端的な計量については、ニーズが新たに生まれた場合には五年以内に見直しということもあるいは考えていらっしゃるのかどうか、その辺のお答えをいただきたいと思います。

古屋副大臣 御指摘の点につきましては、私どもといたしましては、見直しは考えております。五年程度をめどにですね。その期間についてははっきり申し上げることはできませんが、今後その推移を見守りながら見直しを考えております。

肥田委員 最後に大臣にお伺いをしたいと思うんですが、やはりこれから地方分権の体制下で、こうやって実質的に地方自治体の仕事がどんどんふえてまいりますね。そのときに税財源がきちっとした伴い方をしなければ、迷惑をこうむるのは住民だと思うんです。地方分権と税財源について大臣はどのようにお考えか、お聞かせください。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 地方分権を進めていくということは必ず必要なことでございまして、そういう意味で地方分権の法律ができましたけれども、しかし、これは今御指摘のいわゆる地方の財源という面でまだ不備なところがございます。

 したがいまして、経済財政諮問会議等の議論の中でも、やはり地方に自主的な財源が必要であると。ですから、こういった、例えば極微量物質の計量を進めて、それが都道府県等に過重な負担を強いる、そのためにはやはり財源の裏づけが必要だ、こういうふうに思いますし、地方分権を進めていくに当たっては、やはり地方独自の財源を確保する、そういうことをやっていかなければならない、私はそのような基本的な考え方を持っております。

肥田委員 地方独自の財源とおっしゃいましたけれども、税財源の配分を変えるというふうにはまだお考えじゃございませんか。もう一度だけお答えください。

平沼国務大臣 今、いわゆる国で集める国税というのは六〇%でありまして、地方が四〇%。しかし、実際、地方は地方交付税等で六〇%を使うというようないびつな状況になっています。したがいまして、配分を含めてそこをぴちっとバランスよくしていく、そのことが必要だ、このように思っています。

肥田委員 ありがとうございます。民主党もしっかりとその部分、応援していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございます。

山本委員長 鈴木康友君。

鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。よろしくお願いします。

 このたびの法改正に当たりまして、極微量物質の計量証明、これが新たに、工程管理が適切に行われるかどうかについての認定が行われるようになりますけれども、認定をするためには、認定側も、技術面あるいは管理面で高度な専門機関でなければならないわけでありまして、また、その認定に際して、客観的な基準というものも必要になってくると思います。その点についての方針をまずお伺いしたいと思います。

 また、その認定を行うのが、今度、製品評価技術基盤機構と指定民間機関ということになります。この指定民間機関についてですけれども、この指定民間機関はだれがどういう基準で認定をするのか、その点についてまずお伺いをしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 極微量物質の計量証明事業が適切に行われるためには、計量証明システム全体の工程管理が適切に行われることが不可欠であります。このような工程管理の適切さについて認定する際には、認定する側も、技能面や品質システム管理面でより高度な能力を持つ専門的機関であることが必要であると考えております。

 このため、今回導入する認定制度においては、このような能力を有します独立行政法人の製品評価技術基盤機構が認定を行うことといたしておりまして、また、民間能力の活用の観点から、能力を有する民間機関も認定が行えるようにしたものでございます。

 また、このような認定の基準としては、法律上示された要件をさらにより具体的かつ客観的に示したものを策定し、そして公表する考えであります。

 指定民間機関の指定は、経済産業大臣が行うこととしておりますが、その指定に当たりましては、認定を行うに必要な知識経験を有する者が認定を実施していること、必要な経理的基礎を有していること、認定が不公平になるおそれがないこと、こういうことを指定の基準としているところでございます。

 独立行政法人の製品評価技術基盤機構と指定民間機関は、ともに、法律に示される共通の要件に照らし認定を行うものとなりますけれども、さらに、この要件自体についても、客観的かつ具体的な認定基準としてあらかじめ公表したものに基づいて行われることから、その認定の内容の整合性は担保される、このように思っております。

鈴木(康)委員 次に、この極微量物質の測定結果の信頼性についてお尋ねをしたいと思います。

 極微量物質の測定の代表的な例として、ダイオキシンがあります。ダイオキシン測定の精度管理というものは、内部精度管理と、環境省などが実施する統一精度管理調査などに代表される外部精度管理というものがあります。平成十年と十一年に当時の環境庁が行ったダイオキシン分析の統一精度管理調査が外部精度管理の代表的なものですが、十年度は六十、十一年度は百の検査機関が参加をいたしております。

 その試験結果なんですけれども、残念ながら、各参加者の間でかなり大きな開きがあったわけであります。試験ですから、もちろん満を持して、きちっと準備をして、心構えもできた上での挑戦でありますけれども、それでもこれだけの開きが出るわけですから、日常の分析については、やはりもっと大きな開きが出てくる可能性があるんだろうなと思います。先ほどのお話の中でも、昨年行った調査で、二千七百倍の開きが出たということもありますけれども。

 こうしたことを考えていきますと、認定制度においても、工程管理が適切に行われているかどうかということに加えて、例えば、三年に一度ぐらい、こうした統一の精度管理試験を行って、そこで、結果として検査精度の劣る機関は認定の継続を取り消すといった、能力検定を同時に行うということが必要になってくるだろうと思うんですけれども、その点についての御意見をお伺いしたいと思います。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、この認定に当たりまして、当然、このような事業を適正に行うのに必要な管理組織を有するとか、あるいは必要な技術的能力を有するというのは、認定におきます適合しているかどうかの基準になっているわけでございますが、そのような能力が維持されていくということが大変重要であると考えております。

 今回の制度におきましては、認定の更新という制度が導入されておりまして、この認定は、これは政令で定めることになっておりますが、三年を下回らない期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失うというような規定になっておりまして、これは、制度が熟してきて非常に成績がいいということになりますと長くなるかもしれませんが、例えば、立ち上がりとしては三年ごとに更新をするというような制度になるのではないかと考えております。このような更新制で、定期的に認定事業者の能力が確認されるということが担保されているわけでございます。

 また、その三年間の期間中におきましても、技能試験や実施調査を、サーベイランスでございますが、実施いたしまして、認定された能力が保持されているかどうか、保たれているかどうかということについて確認をすることを予定しております。例えば三年間とすれば、間の一年半とか二年過ぎたところまでぐらいの中間時点が適正かと思いますが、中間時点でもそのような試験、調査などを実施することによって、事業者の能力の確認に万全を期したいと考えているところでございます。

鈴木(康)委員 今お答えをいただきましたけれども、主に工程管理についての認定になるかと思いますが、私は、どちらかといえば、能力を厳しく、結果として精査するというような仕組みが必要ではないかと思うんですね。後でもまた申し上げますけれども、どうも日本は、一回入り口だけ精査をしてしまいますと、後、そこが出した結果については余りとんちゃくをしないという傾向がありますので、そのきちっとした結果が出せるかどうかという能力検定をやはり考えていただきたいということを申し上げたいと思います。

 次に、少しダイオキシンの検査についてお伺いをしたいと思います。これは、環境省の方にお伺いをいたします。

 環境測定データを非常に重要な政策決定として用いているアメリカでは、九〇年に精度管理指針というものをつくっています。この中に、測定データに精度管理補助データというものを添付することを指定しているわけであります。例えば、それは、操作ブランクでありますとか絶対及び繰り返し精度、内標準回収率などでありますけれども、そうした補助データを分析ロットごとにとることを義務づけている。これによって、出たデータの信頼性を確保し、何か問題があった場合には、どこでその問題が生じたかということが突きとめられるような仕組みになっているわけであります。

 私は、そのデータの信頼性を担保するためにもこうした手段を取り入れることが必要だと思うわけでありますが、日本では残念ながらこうした義務づけがなされていないと思いますけれども、その点について、環境省としての御所見をお伺いしたいと思います。

松本政府参考人 ダイオキシン類の適正な精度管理を実現するという観点から、環境省が平成十二年の十一月十四日に定めましたダイオキシン類の環境測定に係る精度管理指針、この指針におきまして、お話のありましたような操作ブランク、二重測定あるいは回収率などの分析データ以外の各種の補助データを、依頼者への測定分析結果報告書の中に、品質保証、品質管理のレポートとして盛り込むように求めているところでございます。

 なお、ダイオキシン類の測定方法を定めましたJISにおきましても、精度管理に関する補助データを記録して、必要に応じて分析データとともに依頼者へ報告するよう求めているところでございます。

鈴木(康)委員 改善が行われているということでありますので、よく理解をさせていただきたいと思います。

 次に、昨年の八月にダイオキシン二〇〇〇国際会議というものが開かれたわけでありますけれども、そこで、ダイオキシン類の測定方法について、どういう測定方法が使われたかということを調べてみますと、アメリカのメソッド一六一三という方法が一番多く使われているわけであります。これは、米国以外にも、欧州とかアジアとかいろいろな国で汎用的に使われておりまして、そういう意味では国際的に信頼性の非常に高い分析方法であるのではないかというふうに推察できるわけでありますけれども、日本ではJIS、環境省メソッドというものが一般的に使われていますけれども、これから国際規格などが必要になってくる現状を考えますと、こうして世界で通用しているようなメソッドについても日本で普及をさせていく必要もあると思いますけれども、いかがでしょうか。

松本政府参考人 メソッド一六一三は、米国のEPAが一九九四年に公表いたしましたダイオキシンの環境分析方法でございますが、分析の目的に応じて簡略化を行った合理的な方法であると私どもも理解をいたしております。

 一方、我が国では、ダイオキシン類対策特別措置法を円滑に施行するための公定の分析方法といたしまして、米国のメソッド一六一三なども参考にしながら、一九九九年にJISの測定法を定めたところでございます。極めて精度の高い方法となっているものでございます。

 なお、現在、環境省におきましては、この公定法を基本としながら、簡易測定法を初めとしていろいろな測定分析法について検討を進めているところでございます。また、国際的にはISO、国際標準化機構でございますが、ここにおいてダイオキシン類の測定分析に係る国際規格を検討していることから、今後ともこれらの検討に際しまして、アメリカのメソッド一六一三を参考にしてまいりたいと考えております。

鈴木(康)委員 次に、少し専門的な質問になるかと思いますけれども、操作ブランクと呼ばれる、汚染が試料の分析結果に及ぼす影響について検証するということがあります。これは、JISのマニュアルでは、操作時の汚染などに対して十分な管理がなされていれば日本では毎回行わなくてもよいということになっておるわけであります。一方、アメリカのEPAマニュアルでは、分析ロットごとにこれを行うことが義務づけられているわけであります。それはなぜかといえば、実際にその作業を進めていく上でどこかで汚染が入る危険性というのがあるわけですから、それがいつの時点でどの程度混入したかということを常に監視することによって、その分析結果の採用あるいは不採用というものを判定したりあるいはその結果について担保するということに使っているわけでありますが、これもデータの信頼性を確保するためには必要だと私は思います。

 日本はどちらかといえば、一回汚染がないということを確かめてしまったら後は、多分汚染が起きないだろうということで監視をしていないわけでありますけれども、アメリカの方がすぐれていると私は思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

松本政府参考人 アメリカEPAのメソッド一六一三では、委員御指摘のように、毎回の分析ごとに操作ブランクを確認するように記載があるというふうに承知しております。

 一方、我が国のJISでございますけれども、これは御指摘のような一回限りということでは必ずしもなくて、一つは、新しい試薬を使用したり、あるいは新しい機器や修理した機器を使用するなど前処理操作に大きな変更があった場合、あるいは、測定対象試料の間で汚染が生ずる可能性があるような高い濃度の試料を測定した場合、こういう場合に操作ブランク試験を行うということにしているわけでございます。

 我が国のJISは、これまでの国内での分析経験を踏まえました専門家による検討の上で策定されているものでございまして、精度管理の観点からは合理的に設定されているものであろうと私どもは考えております。

 今後とも、環境省としては、精度管理の向上に一層努めてまいりたいと考えております。

鈴木(康)委員 時間が参ったようでございますので、最後に一点だけお伺いをいたしたいと思います。

 日本のダイオキシン測定マニュアルの中には、測定結果に問題が生じないように、その過程についてはいろいろなチェック項目があるわけでありまして、そういう意味では厳しいチェックがされていると思うんですけれども、最終的なデータに対しての信頼性を担保する方法については言及をされていないということであります。

 今回の法改正なんかを見てもそうなんですけれども、どうも日本は、入り口は厳しくするけれども後は、結果については、もう既にチェックした機関が出した結果だから信頼性があるんだというふうな考え方があるように思えてなりません。ちょうど日本の大学もそうですけれども、入学するときは厳しいチェックがありますが、後はところてん式に卒業できるようなものでありまして、そんな気がしてならないわけであります。

 もっと、結果としての測定データを評価して、その測定データに対する信頼性を高めることを考えていかければいけないと思うんですが、最後にその点をお伺いしたいと思います。

松本政府参考人 最終的な数値のチェックという御指摘でございますけれども、ダイオキシン類の測定分析につきましては、適切な測定分析能力を有する機関が、その分析の各プロセスあるいは全体にわたって先ほどのようなブランク試験を行ったり回収率をチェックしたりあるいは二重測定を行ったりする、こういうようないわゆる精度管理をその過程の中で的確に行っていくことによってより正確なデータが得られるということではないかと思います。

 このため、環境省といたしましては、民間分析機関の測定分析能力の向上を図るために、先ほどもお話がございましたが、標準試料を用いた統一精度管理調査を行いますとともに、ダイオキシン類の環境測定に係る精度管理指針、これはいわゆる内部精度管理指針でございます、あるいは、ダイオキシン類の環境測定を外部に委託する場合の信頼性の確保に関する指針、これはいわゆる外部精度管理指針でございますが、このようなものを策定いたしまして、信頼性のある測定分析結果が得られるように努めているところでございます。

鈴木(康)委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 本案に入る前に、数点についてお尋ねをしたいと思います。

 平成九年の二月四日に、「当面の核燃料サイクルの推進について」ということで閣議了解をされております。その中で、我が国のエネルギー供給上の原子力発電の重要性ということで、核燃料サイクル、四点について今後推進をしていくということであります。一点が、先般もお尋ねをしましたプルサーマルの問題であります。そして、四点目に高速増殖炉の開発ということ。平成七年に「もんじゅ」が中断をして以降、この点についてはなかなか進んでおりませんでした。

 先般、六月五日、くしくも第一回プルサーマル連絡協議会が開かれた日でございますが、福井県知事と敦賀市長から基本的な「もんじゅ」再開の了解が得られたというふうな報道がございました。

 プルサーマルの住民投票については先般議論をしたとおりの進め方だと思いますが、これから、高速増殖炉「もんじゅ」の問題も含めて、原子力の長期計画並びに経済産業省としてどのような予算措置を持ちながら高速増殖炉を閣議了解の決定の中で推進をしていくのか、お尋ねをしたいと思います。

大井政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの高速増殖炉でございますけれども、昨年十一月に原子力長期計画が策定されまして、その中で、将来のエネルギーの有力な選択肢を確保しておく観点から着実にその開発に取り組むことが重要である、こういう指摘がなされております。私どもといたしましても、エネルギーの将来の技術の選択肢を広げるものとしてこの動向について注視しているところでございます。

 それから、高速増殖炉「もんじゅ」につきまして、御承知のとおり、この予算につきましては文部科学省の方で計上しておりまして、核燃料サイクル機構が主体となって研究開発を進めているところでございます。私どもといたしましては、直接的に「もんじゅ」についての予算措置を講じているわけではございません。

後藤(斎)委員 今のような形だと思うんですが、閣議了解の方向性が現時点でも正しいという経済産業省としてのお考えがあるのであれば、関係省としての働きかけをぜひ今後もお願いしたいと思います。

 次に移りたいと思います。

 昨日は、平均株価が一万三千円を割れました。これは、景気の減速感というのはもちろんですが、今、小泉内閣の進める構造改革でデフレ効果への懸念ということが一つあるというふうに言われております。

 そして、先ほど肥田委員からもお話がありましたように、二十世紀は経済と環境が対立し、それの統合を模索した世紀であるというふうに思っています。そして、二十一世紀は経済と環境が統合し、共存をする世紀であるというふうに言われています。

 小泉内閣が改革をお訴えしているにもかかわらずなぜ今デフレ懸念になるのかというのは、将来、こういうふうな経済の仕組み、青写真になるんだというものが見えてこないからだというふうに私は思っています。

 せんだっての五月二十五日の大臣の平沼プランにおかれましても、第七章だったと思いますが、環境エネルギーの推進ということでうたっております。その具体的な戦略が、どのような雇用を生み、そしてどのような市場規模になるのかということをまず明示していくことが、市場のみならず国民の方々から改革というものが真に支持をされるというふうに私は思っております。

 昨年、経済産業省が委託をされた数字では、雇用も市場規模も大きくなるという積極的な数字があるわけですから、そのようなことも含めて、これからの平沼プランの環境部門での推進の仕方、戦略性を大臣にお尋ねしたいと思います。

平沼国務大臣 今株価が、昨日は一万三千円を切る、そしてけさの新聞等でもデフレ懸念だ、こういうことで大変厳しい状況になっております。また、最近示されている経済諸指標もなかなか厳しいものがあるわけでありまして、今委員御指摘のように、先行きが非常に不透明である。

 ですから、一方においては改革を断行する、そして構造改革をやっていく、こういう中で、先行き、しっかりとした青写真を明示していないといったところが、やはり国民の皆様方に、例えばGDPの六〇%を占めている消費に火がつかない、そのためにデフレ傾向が強まる、こういうことは御指摘のとおりだと私は思っています。

 産業構造や経済システムを環境共生型に転換いたしまして、循環型社会、それからCO2抑制社会を構築するためには、廃棄物・リサイクル関連産業や環境に配慮した製造業などの環境関連産業の発展が必要だと思っています。

 この二十五日に立ち上がりました産業構造改革・雇用対策本部に向けまして、「新市場・雇用創出に向けた重点プラン」、私は十五項目提示をさせていただきました。今御指摘のようにその七番目の項目に、環境・エネルギーの成長エンジンへの転化、こういう形でその必要性を特記させていただいたわけであります。

 このような新たな産業を育成するためには、経済産業省といたしましては、エコタウン事業の推進でありますとか、環境関連技術の開発に対する助成、あるいは低公害車の普及など、ごみゼロやエネルギー効率のさらなる向上のために、一つは経済社会システムのルールをつくる、二つ目は技術革新を実現する、いわゆるイノベーション、技術開発を行っていく、三つ目は実社会への導入をスムーズに行うためにその支援をしていく、こういうものをパッケージで進めていくことが必要であり、それがある意味では国民の皆さん方に見える形につながっていく、こういうふうに思っています。

 今環境関連の市場と雇用規模は、平成九年五月に閣議決定されました経済構造の変革と創造のための行動計画によりますと、これは委員もう既に御承知の数字だと思いますが、一九九五年には約十五兆円で約六十四万人の雇用といった数字が、今言ったような一連のところを推進していくことによって、二〇一〇年にはそれぞれ約三十七兆円と百四十万人、倍以上の規模になると予測されているわけです。また、直近、その次に行った昨年三月の調査でも、二〇一〇年にはほぼ三十八兆円で約百三十六万人、大体同程度の数字が出ておるわけであります。

 そういう中で、改革をしたその先はどういう形になるか、やはり国民の皆様方にこういうゴールをしっかりと明示し、それに向かってのきめ細かい政策を着実に実行していくことが肝要だ、御指摘のとおりだと思っております。

後藤(斎)委員 ぜひ、そんな形で対応していっていただきたいと思います。

 その関連でお話を本論にしていきたいと思います。

 今大臣がおっしゃられた成長していく市場規模が、十年後の二〇一〇年には三十七、八兆になり、雇用も約六十四万人から百四十万人程度になるということ、その成長していく環境ビジネスの下支えが本法の計量法であるというふうに思っております。

 ただ、今計量法で、特に環境計量では、大体一回の証明の単価が実勢で十万から二十万強程度という話をされております。そして、今環境の施設的なもの、機械を売り出すときに、その数値が高いか低いかによってその単価が変わってきます。そのことは、計量した結果のデータ改ざんが仮にあったものであっても、計量証明がきちっとついていれば高くそのものが売れていくという悪循環が想定をされるということでもあるというふうに思っています。

 先ほど来話があるように、計量制度、この制度の信頼性が損なわれるかどうかということが、これから環境ビジネスが本当に国内市場のみならず海外からも注目をされ、輸出産業にも転じるということになると思っています。

 本法の規定には、百十三条の登録の取り消し規定、そして百七十条以下の罰則規定、そして百四十八条の立入検査等の担保措置はあるものの、立入検査はまだ年間二百三十七件。五年間で一回りをする立入検査はしておりますが、立入検査の結果、その業務の取り消しないし罰則規定がまだ対応されていないというふうにもお聞きしております。

 これから計量制度について信頼性を高めることこそが、全体の環境ビジネス、そしてそれが国民の経済に大変重要だと思いますが、経済産業省として具体的にどのような形で信頼性を高めていくのか、お伺いをしたいと思います。

松田副大臣 お答え申し上げます。

 後藤委員御指摘のとおり、信頼性の高い正確な計量制度を確保していくことが極めて大事なことだと我々も考えておりまして、こういった観点から、従来の計量法におきましても、計量証明事業者に対する所要の行政命令や登録の取り消し処分、さらには罰則規定が設けられておりまして、計量制度の信頼を損なう行為を防止するための各種措置が用意されておったわけでございますが、さらに今般の法改正によりまして、新たに、虚偽の計量証明書を発行するなどといった不正な行為に対しまして直ちに登録の取り消しができるといった制度を用意させていただいたところでございます。

 また、現在、都道府県が計量証明事業者に対しまして毎年五百件から六百件程度に上る立入検査を実施しているところでございますが、引き続き、計量制度の信頼性の向上に向けまして、こういった立入検査の活用など、都道府県ともよく連携をとらせていただきまして、信頼性の高い、厳正な計量行政を進めてまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 ほかにもたくさん質問がありましたが、時間がありませんので、きょうは終了させていただきます。改めてお願いします。

山本委員長 土田龍司君。

土田委員 計量法についてお尋ねをいたしたいと思います。

 我が国の計量制度においても、現在、地方分権化は積極的に進められているわけでございまして、登録制度を初め、多くの実務が各都道府県にゆだねられております。

 今回の改正によって、極微量物質の計量証明事業の認定あるいは登録制の導入において、都道府県においては、極微量物質の計量証明事業の審査、登録事務と法に基づく報告徴収や立入検査を行うこととなっていると聞いております。

 一方において、都道府県における行政改革等の進展によって、計量を専門とする関係職員の総数が八百五十名程度というふうに非常に減少してきているわけでございまして、また、その中でもこういった極微量物質の計量証明に対応可能な化学系の職員となると、さらに非常に少ないわけでございます。

 今後、極微量物質の計量証明ニーズの高まりによって当該登録事務等の増加も予想されるわけでございますし、仮に不正等の疑義が生じた場合に、事業者に対して報告徴収や立入検査も必要になってくる。そういったことを考え合わせますと、都道府県においての対応能力を整備しておくことは非常に重要であるというふうに思うわけです。

 そこで、この点について、国の都道府県への協力あるいは支援についてどう取り組んでいかれるのか、お尋ねしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 地方分権の推進に伴いまして、計量証明事業の登録を初めとする都道府県知事の事務は、地方の自立的な責任のもとで行う自治事務となっているわけであります。このため、都道府県の実施体制の確保は今までにも増して重要なもの、このように考えております。

 先生御指摘のとおり、そういう中で非常に業務もふえる、また非常に専門的な業務である、こういう形で、その対応というものが非常に都道府県にとってもある意味では負担を強いることにつながると私は思っております。

 そこで、当省といたしましては、都道府県の職員の方々に対しまして、独立行政法人の産業技術総合研究所において、必要な技術及び実務を教授していく、そのことも力強く実施していかなければいかぬと思っておりますし、また、全国計量行政会議等の場を通じて計量行政に係る情報交換に努めているところでありまして、御指摘のような点がございますので、私どもといたしましても、今後とも、都道府県、地方と密接な連携をとりながらでき得る限りの協力をさせていただきたい、このように思っております。

土田委員 次に、今回、極微量物質の計量証明事業におきまして、国または国の指定する機関による認定を都道府県による登録の要件として前置するわけでございますけれども、これは地方分権化の方向に反することにならないのかなと思うんですが、この辺の見解をお聞かせください。

松田副大臣 現行計量制度におきましては、委員御案内のように、関係事務の執行は広く都道府県の自治事務とされておりまして、いわゆる国が直接承認とか指示などをしない仕組みとなっておりまして、そういう考え方の中に、今の委員御質問の点も含まれておるわけでございます。

 他方、一般論でございますけれども、このまさに社会的基盤たる計量制度の統一的な運営というものも必要なことでございますが、そのために、国と都道府県との連携、これもまた極めて重要であると考えておりまして、また、そういう意味で、計量行政に携わります職員の方々の資質の向上について都道府県を支援することも有益なことと考えております。

 このため、日ごろから都道府県との情報交換などの連携や職員に対する支援を行っているところでございますが、今の特に地方分権との関係で、平成十年五月に閣議決定しておりますが、地方分権推進計画におきましては、自治事務に係る国の関与として、同意、許可、認可及び承認、指示をすることのないようにしなければならないとされておるわけでございますが、今申しました都道府県職員に対する教習とかあるいは都道府県との情報交換はこういったことには該当しないということで、計量制度の全国的な整合のとれた運営という意味では必要なことであり、また地方分権とは相両立していくことだと考えております。

土田委員 私も念のために聞いたわけでございまして、そのとおりで結構だと思いますが、もちろん必要とされる技術の高度性及び都道府県の対応能力等から考えると、地方分権化の方向には反しないというふうに私も思っております。

 他方、今、副大臣からも答弁がございましたように、各都道府県において、地方の行革や人事異動によって計量を専門とする職員が手薄になってきているということについて、現状はどうなっているのか、あるいはその対応はどうされるのかについてお尋ねしたいと思います。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生御指摘のように、都道府県の計量関係職員は、平成十二年度末で八百五十二名となっておりますけれども、平成九年度以降、減少傾向となっております。

 これは、各都道府県におきまして、やはり行政改革の観点から、例えば指定定期検査機関の活用でありましたり、製造事業者による自己確認の普及などが相まって実施された結果でございますので、行政体制の低下を招いているとは考えておらないところでございます。

 先ほど大臣の方からも申し上げましたとおり、当省としては、こういう都道府県の職員に対しまして、独立行政法人産総研においての技術及び実務の教授を充実する。これは、現在、一般計量教習ということで、地方公共団体の職員を対象にいたしまして、三カ月とか二カ月のプログラムがございますし、また、環境計量特別教習ということで、七週間のコースが、環境計量行政を担当されている方につきましてございます。

 このようなものをさらに充実して、新しい改正後の法体制が円滑に施行されるように、こういう教授を行うこととともに、私ども、あるいは産総研、都道府県、特定市の計量行政に携わっている方々の四者を構成員として開催している連絡会議でございます全国計量行政会議などの場を通じまして、地方自治の本旨も踏まえながら、しっかりした法施行を行っていきたいと考えているところでございます。

土田委員 わかりました。

 一方で、計量証明事業の認定が国または国の指定する機関によって行われるということになるわけですね。規制緩和の必要性、特にこの計量業務のような基準・認証にかかわるものは、規制緩和の推進において重要な分野の一つとなってきているということを考えますと、やはり民間会社を可能な限り積極的に指定していく必要があるんじゃなかろうかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、しっかりした、条件を満たす民間機関からの申請が出てくることになりましたら、積極的に指定を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 しかしながら、極微量物質の計量証明を行う事業者の計量証明システム全般の工程管理が適切に行われているかどうかを認定するということは、最初にもお話がございましたとおり、極めて専門性の高いものでございますので、認定する側も、非常に高度な能力を持つ専門的機関であることが必要でございますし、また、その認定が統一的、客観的及び継続的に責任を持って行われる体制であることが不可欠でございますので、そのような能力、条件を満たす民間機関が出てくることを期待しているところでございます。

土田委員 現在の景気低迷下で、経済産業省におかれましても、新規産業創出を目指したさまざまな政策が行われているというふうに思っております。

 今後、環境規制による環境汚染物質の計量ニーズ、あるいは先端機器等の製造業の場における不純物等の計量ニーズの増大も予想され、計量証明の需要がますますふえてくるということが言えると思うんです。また、計量ニーズは景気変動の影響も少なくて、計量証明事業の運営も、どちらかというと割合と安定していると思っております。

 そこで、こういった極微量物質の計量にかかわる計量証明事業でございますが、その規模と業績の推移、あるいは今後の事業展開等についてはどういうふうな見通しを持っておられるか、お答え願いたいと思います。

日下政府参考人 計量証明事業者全体の事業規模につきましては、統計はございませんが、環境計量証明に関係する業界団体によりますと、環境計量証明の全体の事業規模を約千八百四十億円と見ております。

 環境計量証明を取り巻く状況及び将来の状況はどうか、こういうお尋ねでございます。

 NOxなどの従来型環境問題の計量ニーズ、これも拡大してまいります。また、今回の法対象になっていますダイオキシンに見られるような新たな計量ニーズが発生して、増大してくる。これは計量法の外でございますが、食品、人体に関する計量分析ニーズがふえてくる。このような需要サイドの展開がございます。また、事業者の能力確認制度に関する国際的整合性の要請でございましたり、計量機器や分析手法に係る技術の急激な進展など、事業を取り巻く環境の大きな変化もございます。

 このように、ニーズの増大、片方で環境変化、このようなことに事業者みずからが積極的に対応していくことが、この事業の展開にとっては大切なポイントでございます。

 いずれにしましても、この環境計量証明事業が将来に向けて健全な発展を遂げていくためには、その計量計測の正確性、計量結果に対する信頼性の確保が不可欠であるのは言うまでもないと考えております。

土田委員 そうした場合、このような分野は、意欲を持っている中小企業が参入できるかどうかという問題ですね。参入が可能であれば、こういった新規参入者に対する支援措置なども考えていいのではないかと思うんですが、この点はどうでしょうか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、業界団体の方におきましても、このようなニーズに対して的確にこたえていくために環境計量事業を行っている。しかし、ダイオキシンについては、この極微量についてはまだ対応ができていない事業者に対して、業界内で支援研修プログラムを設けるということで準備をしてきているところでございますし、私どもの方も、中小企業政策の支援措置なども活用いたしまして、健全な新規参入が行われるように応援をしていきたいと考えております。

土田委員 この計量証明は、経済取引に用いられるだけでなくて、今回のように、環境汚染物質であるカドミウムやNOxやSOx、ダイオキシン等、有害物質の検出結果を保証するような公的な側面があるわけでございます。

 最近では、ダイオキシンによる土壌汚染等が社会問題化して、その汚染状況と人体への影響について非常に国民的関心も高くなっております。また、多大な心配や懸念もあるわけでございます。このような中で、仮に、不正確で誤差の大きい計量がなされたり、公表されたりすることがあれば、社会に与える影響が非常に大きいのではないかということを心配するわけです。ですから、計量証明結果は正確で厳密なものであることは当然でございますし、信頼性の確保は特に重要であるというふうに思うわけです。

 そこで、万一、計量証明データの改ざんあるいは捏造などによってうその証明が行われたということになれば、今言ったように、社会に与える影響は非常に大きいわけでございますので、不正防止についてどのような対策を講じようと考えておられますか。

日下政府参考人 従来の計量法におきましても、計量証明事業者に対する所要の行政命令でございましたり、改善命令に従わない場合の登録の取り消し処分、さらには罰則規定があったわけでございますが、さらに、今般の法改正におきまして、新たに虚偽の計量証明書を発行するなどといった不正な行為に対しましては、直ちに登録の取り消しなどの厳重な処分ができる形になっておりまして、そのことによって、正確な信頼性の高い計量の実施を担保していきたいと考えているところでございます。

 また、現在、都道府県が計量証明事業者に対して毎年五百件から六百件程度に上る立入検査を実施しているところでございますが、引き続き、計量制度の信頼性の向上に向け、立入検査の活用など、都道府県ともよく連携して、厳正な計量行政を進めてまいる考えでございます。

土田委員 立入検査やあるいは罰則、もちろん大事なことでございますけれども、やはり、外からの力だけでなくて、それに従事する方の職業倫理といいますか、そういったことも醸成することが必要ではないかと思うのですが、この点はどう考えられますか。

日下政府参考人 全国に二万人を超える計量士の方がいらっしゃるわけでございます。計量士全体を束ねる団体もあるということでございます。特に、このような極微量の計量にかかわられる計量士の方は、先ほどから議論にもございますように、現在で二百人程度。それに関連して、技術者の方で計量士でない方も実際には分析に携わっているわけでございますが、非常に限られた、高度な能力を持たれた方でございます。

 私どもとしましても、そのような計量士の方の能力アップにさらに努めるとともに、今回、そのような証明結果につきましては、法律上位置づけをしたり、そのための標章といいますか、これは正式な証明であるという位置づけも与えていくところでございますので、従来に比べて、計量の世界における計量士の位置づけ、証明書の位置づけというのははるかに増してくるところだと思います。私ども、そのような機運がさらに高まるように努力していきたいと考えているところでございます。

土田委員 ありがとうございました。

山本委員長 大島令子さん。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 まず、大臣に質問をさせていただきます。

 計量法に基づく計量制度は、この法律の目的を実現するために、計量単位の統一、そして適正な計量の実施等を通じて、産業活動の合理化、消費者保護、学術の振興を促進することが基本的な性格であると認識しています。

 また、今回の改正で、新たな計量単位としまして、質、量、体積ともに一兆分率、千兆分率を追加することになりました。ダイオキシンに象徴されるような極微量の有害化学物質を使い続けた結果が、このような計量ニーズの高まりになったとも言えると思っています。

 今後、このような単位を、単に測定するということではなく、測定した結果を環境保全という観点からどのように生かしていくのか、大臣の見解をお伺いいたします。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 大変重要な御指摘だと思っております。国民生活全般にわたりまして、常に正確な計量が行われることは不可欠な要素でございまして、計量制度は、そのための技術的な社会共通の基盤であると思っております。今回の法改正も、このような計量制度の本旨にのっとりまして、いわゆる極微量物質の正確な計量ニーズ等に対応するためのものでございます。

 他方、計量結果が、計量証明事業者の社内や依頼者にとどまるだけではなくて、行政当局や地域住民を始め、広く世の中で活用されることも数多くあることと思われ、なおさら、計量証明事業や計量証明書に対する信頼感が社会的にも特に重要なものになってきていると考えています。

 このため、いろいろな形で活用される信頼性の高い計量結果を確保する制度であることが、本制度の原点であると考えておりまして、まさに測定結果が、さまざまな主体によりまして、御指摘の消費者保護や環境保全に広く活用される、そのことを前提にしたものであります。そのことは、まさに御指摘のとおりだと思っておりますので、そういう方向で運用をしなければならないと思っております。

大島(令)委員 ありがとうございます。

 私も気の遠くなるような単位で、一ppmは百万ppt、要するに百万パーツ・パー・トリリオンということで、今まで水道水の塩素も一ppmで言っていたのが、pptに直すと百万pptという単位になるんだということで、非常になじみのない単位ということでございます。

 ということは、結局、それだけ精度がよくなるということなわけです。今までの有害化学物質の基準というものもppmとかであらわされておりましたけれども、精度がよくなるということは、規制する側も規制される側も、そういう有害化学物質を地球上に出したらいけないんだよというふうなことで利点があると、今の大臣の答弁は理解してもよろしいんでしょうか。

平沼国務大臣 先ほど、人体に有害なダイオキシン、このことを例にお出しになられましたけれども、やはりそういう極微量物質というのが人体に非常に悪影響を及ぼす、そういった観点から考えれば、今委員がおっしゃったことはそのとおりだと私思っております。

大島(令)委員 では、次の質問に参ります。

 適正な計量の実施の確保ということが経済の発展とか文化の向上に寄与するということについては、私も納得しております。しかし、実際の計量は、計量器そのものが適正に維持管理され、専門的な知識と経験を有する人によって行われなければならないと思っています。

 現在、計量士は、一般計量士と二区分された環境計量士の三つに分かれ、先ほど来から人数も出ておりますが、登録者数は二万一千六百人ということでございます。今度の改正でますます高度で専門的な知識が要請されるだけに、よい仕事をする上で、何よりも大事なことは、これらの人々が社会的にまず安定した地位にいるということであると思います。

 計量士の多くの方々は、計量機器製造メーカーですとか、計量器のユーザー等、幅広いところで仕事をしていると思いますが、今回改正される法案の対象となる極微量物質を計量する上で、もっともっと専門的かつ高い知識、そして経験が求められると思います。こういう分野で計量士として仕事をしていく上で、国は、研修制度など、どのような具体的な支援策を考えているんでしょうか。

平沼国務大臣 確かに、そういう意味で、今の委員の御指摘、私はそのとおりだと思っておりまして、極微量物質の計量証明事業を行う計量証明事業者において、高度な知識、経験を有する計量士が計量管理に携わることが重要であるということは言をまたないところであります。

 事業者内において計量管理の中核となるべき立場に当たる計量士の育成や、その資質の維持向上を図ることは、極微量物質の適正な計量のためにも重要と考えております。このような考え方から、独立行政法人産業技術総合研究所におきまして、専門的知識経験を教授する研修制度、これを実施する予定となっておりまして、本年は九月に予定をいたしております。

 このような計量士の育成を積極的に支援する、そのことがやはり、今先生御指摘の、非常に重責を担う計量士の資質向上、そういったものにつながる、このように思っておりまして、国としても責任を持ってやってまいりたい、このように思っています。

大島(令)委員 蛇足ですが、前の参議院の未定稿を見ましたところ、副大臣は、支援をしてまいると。きょう衆議院になりまして、大臣は、九月にという具体的な日程を答弁してくださいました。後で審議するのもなかなかいいなと今思いました。

 次に、事業所の現状についてでございますけれども、計量行政審議会の報告によりますと、濃度ですとか音圧レベル、振動加速度レベル、こういうことの計量証明事業ができる事業所は全国で千五百ということでございますが、今回の法改正では、先ほど来、百から百五十社ぐらいではないかということでございます。

 例えば、私の地元に東レの工場があるんですが、そこでも、あと東芝の跡地からも、ダイオキシンが地下に浸透して地下水汚染ではないかということが頻繁に報道されております。全国各地でこういうことが報道されている中で、きのうはまた、大田区のこともニュースで言っていました。

 実際、そういう体制が百五十社ぐらいでできるのかどうか。どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、現在、ダイオキシン類の計量証明に必要な機器を有して国内で事業を行っている計量証明事業者は、約百から百五十社程度あると見込まれております。

 これらの事業所は、特に大都市に偏在していることもなくて、全国各地に存在しているところでございます。先ほど先生の地元のお話が出ましたが、愛知県をとりましても、名古屋市、東海市、四日市市などを初めといたしまして、約十社程度、現にこのような能力を持っている事業者がいると見られております。

 なお、計量証明事業者は、事業所の所在する都道府県の登録を受けるものでございますが、その活動エリアはその都道府県内に限られるものではございませんので、その時々によって、仕事の量に、忙しくなるとき、あるいは手のあくときがあろうかと思います。そこは、私企業でございますので、営業活動として、それぞれの地域の、地方自治体でございましたり企業のニーズにこたえる形で、全体として的確な計量が能力のある事業者によってなされることが担保されることを期待しているところでございます。

大島(令)委員 では、次に、政府参考人に伺いますけれども、計量器の検定満了に伴う問題について伺いたいと思います。

 私は分譲マンションに住んでいます。八年から十年に一回、子メーターをかえるんですね。それは検定満了制度を否定することではなくて、正確に動いて、水道料金が正確に計測されて払うということで、歓迎していることなんですが、実は、一戸建ての家ですと、親メーターは水道事業者が貸与してくださる。しかし、分譲マンションで、遠隔操作によって、子メーターを取りつけられている集合住宅の方は自分で払う。賃貸の場合は、そのマンションの所有者が、八年から十年ごとに一括して何百万と払う、それが家賃に転嫁される。これが現行の水道法の中でやられているわけなんです。

 やはり私、地方での問題を国会で皆さんにわかっていただきたいんです。都会の人というのは、本当に戸建て住宅に住んでいる人が少ないんですよね。不平等だと思うんです。幾ら水道法で、水道の貯水槽までしか水道水を上げないから、そこから分けるのはそこに住んでいる人の責任だよと定められているにしましても、同じように計量に協力している、戸別検針に協力している人に、一戸建ての家はただで貸与、マンションや集合住宅の人には払いなさいよというのは、国民感情からしたらおかしいと思うわけなんです。

 電気ですとかガスの事業者は民間です。そういう人たちは、ちゃんと事業者がいつの間にか新しくかえてくれる。しかし、水道事業というのは公営企業ですとか市町村が運営しています。そういうところは、水道法で、検定満了になると私たちが負担する。これに対して、私は改善してほしいというお願いなんですけれども、政府参考人の方にちょっと意見を聞かせていただきたいと思います。

篠崎政府参考人 大島先生のおっしゃるとおりだと思います。集合住宅における個々の居住者の方は、実質的には一般の一戸建ての住宅の居住者と変わるところがないわけでございますので、集合住宅の設置者あるいは管理者の方から要望があった場合には、当該集合住宅における個々の居住者を給水対象者とみなしまして、水道メーターの設置も含め、一戸建て住宅の居住者と同様の取り扱いをするよう指導してまいっておるところでございます。

 現状においては、なお、事業者により、指導と異なった取り扱いをしている場合があると認識をいたしております。現在、国会で私どもの水道法の改正案を御審議いただいておりますが、集合住宅の中の水道を貯水槽水道と呼んでおりますが、その貯水槽水道に関しまして、設置者と水道事業者との責任分担の明確化を図ることといたしておりますので、この水道法を成立させていただきました暁には、改めて必要な、今も申し上げたような指導を徹底してまいりたいと考えております。

大島(令)委員 質問してよかったなと思います。ありがとうございます。

 私も中部水道企業団の議員を地方議員のときにやっていまして、企業長の町長に幾ら言っても、法律が変わらない限りできないんだよという答弁だったものですから、国会に来たせっかくのチャンスですから、こういうことを申し上げて、法律を変えて、私たちは平等に水道料金を払っていきたいなと思っております。ありがとうございます。

 では、最後の質問に入ります。これは政府参考人に質問いたします。

 計量行政審議会の答申の中の、分業体制の進展等新たな事業形態への対応ということが、今改正に反映されていないと私は思っています。計量証明を依頼する者にとっては、契約の履行責任は相手である事業者にあるため、だれがどのように工程を担っているのかという情報を把握することは、証明の信頼性を把握する上で非常に重要であると思っているわけなんです。そのことが、正確な計量証明と責任を明らかにする上で大切であるわけなんですね。ところが、依頼者にとっては、その工程がわからない。どこに委託しているのかわからない。そういう意味では、依頼者に、請け負う事業者は説明責任が必要だと思うわけで、その説明責任ができることが証明結果の信頼性を確保する上で大切であると私は思っているわけなんです。

 この分業体制については、今回の法改正では明文化されていません。今後どのように対処していくのか、考えを聞かせてください。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、そのような分業が仮に行われましたときに、それが依頼者にとって透明性のある、信頼できるものでなければならないというのは最も大切な点だと考えております。

 今回新たに導入いたします認定制度は、委託や下請の契約などによりまして計量証明事業の工程の一部分を他者に行わせるいわゆる分業体制自体を排除するものではありませんけれども、先生御指摘のように、これらによって正確な計量が損なわれることや、責任が不明確となってはいけないと考えているわけでございまして、委託先も含めたすべての計量管理が、最初に依頼者から受けました事業者によって確実、適切に行われるものであることを確認することとしております。

 今回の法改正におきまして、計量証明書の信頼性を確保するために、計量証明書を法的に位置づけ、その記載事項を省令で明示することとしております。この法的に位置づけられました計量証明書を活用いたしまして、その記載事項の一環といたしまして、いわゆる分業の場合には、計量証明書の上で、だれにどのような工程を担わせたかが明記され、責任関係が明確になる仕組みを導入することを予定しているところでございまして、先生御指摘のような形で、依頼者にとって、だれが工程を担い、全体としてだれが責任を負っているのか明らかになるようにしたいと考えているところでございます。

大島(令)委員 今の答弁は、証明書の中に、どこに委託をし、だれが下請で仕事をしたのかという情報を明示することを義務づけるというふうに理解してよろしいでしょうか。

日下政府参考人 そのとおりでございます。

大島(令)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

山本委員長 大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 最初に、先日、計量行政室のお力をおかりしまして、つくば市にある産業技術総合研究所の計量標準にかかわる研究部門などを視察し、勉強させていただきました。短い時間でありましたけれども、各部門で研究活動の忙しい中、大変親切に、熱心に御説明をいただきました。改めて、この場をおかりしてお礼を申し上げたいのですが、それに関連して、この計量法改正に最もかかわりの深い、重要なかかわりのある標準の問題、この問題についてお聞きをしたいと思います。

 まず最初に、計量標準の役割、あるいは計量標準研究の位置づけなどについて、大臣の御認識についてお伺いをしたいと思います。

平沼国務大臣 国家の計量標準につきましては、計測、分析における技術的な信頼性を確保するための基盤だけではなくて、研究開発活動の基盤でもあり、当省では、その重要性にかんがみまして、従来から開発、供給に鋭意努めてきたところであります。

 現状について申し上げますと、現在の我が国の計量標準の整備状況は、他の主要先進諸国と比較して十分な水準にあるとは言えません。例えば、国家計量標準の整備が最も充実している米国においては、我が国に比しておおむね三倍以上の計量標準の整備がされています。

 そういったことで、やはりこの計量標準というのは、今申し上げたように、技術的信頼性を確保するための基盤と研究開発活動の基盤でもありますので、私どもは、やはりこれから鋭意整備に努めていかなければならない重要な役割を担っている分野だ、このように思っております。

大森委員 今科学技術の基盤という重要な位置づけがありましたけれども、私もあれこれ若干物を読ませていただいたんですが、ある研究論文の書き出しでは、昔、王国が成立すると、まず計量用の升を制定した。計量の基準、標準を握ることが権威の象徴であり、同時にそれが実利も伴うということで、今おっしゃったように、それこそ科学と技術を結ぶ役割として、この標準の研究の持つ重要性というのは極めて今日大きいものがある。にもかかわらず、今大臣の答弁にもあったように、国際的に大変立ちおくれているということ。

 では、なぜそのように立ちおくれたのかという点をお聞きしたいと思います。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、計量標準の整備状況につきましては、八十二種類の物理の標準、七十六種類の標準物質を供給しているところでございます。それぞれ、私ども、必要性の高いところから着手をしてきたわけでございます。

 標準物質は、まさに御指摘のように、各種の化学分析などの計量計測におきまして定量的な目盛りの役割を果たしたり、機器の使用条件、特性、分析者の差異などを補正する役割を担っておりまして、これがなければやはりいろいろな分析、計量、商取引、相互比較、各種の規制対策、安全規制などができないという基盤でございます。

 その中で例えばアンモニアガスは標準物質として決まっておりますが、これなどがあることによって、クリーンルーム、半導体の製造工程で一番の工程の汚染要因でございますクリーンルームのクリーンさが確保されたり、こういう必要性の高いところから着手しているところでございます。

 残念ながら、御指摘のように、今までのところとしては、先ほど申し上げたような数字にとどまっているところでございます。

大森委員 なぜそのように国際的に立ちおくれたか、立ちおくれの現状も三倍というようなものじゃない。これは、大臣の認識としては改めていただきたいと思うんです。

 日本物理学会誌に掲載された国際相互承認を受けた国際標準の数は、日本は三十、これに対して米国は五百、それから韓国、同じアジアの韓国でも百、ドイツで二百と大きな差異になっているわけですね。研究者の数でも同じ。これは学術会議の提言、後でも触れますけれども、その参考資料などで示された数字で見ますと、標準の研究に従事する研究者の数、アメリカが千八百人、あるいは韓国は四百九十人、これに対して、旧計量研究所それから電子技術総合研究所、これを合わせても五十五人と、圧倒的な大きな差異になっているわけですね。三倍どころの格差じゃない、大臣の認識を改めていただきたいと思います。

 そこで、具体的に、法改正ともかかわって、標準物質の供給確保についてお尋ねしたいんですが、ダイオキシン、これの標準物質の供給確保についてはどのようになっているでしょうか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 ダイオキシン類の標準物質の供給は、我が国を初め世界的にも、残念ながらアメリカ及びカナダの二社の民間企業が供給するものに依存しているのが現状でございます。

 しかしながら、これらの標準物質は、アメリカ商務省国立標準・技術研究所を初め各国の標準物質関連の研究所におきまして相互比較を行うことによりまして、その信頼性が確認されておりますので、正確な計量を行う上では問題がないと考えているところでございます。

大森委員 アメリカ、カナダから供給を受けているということで、日本はその能力がないのか、決してそうじゃないと私は思うんですね。

 先ほど、なぜおくれているかという点でお答えがなかったわけなんですが、やはりこの研究というのが光の当たる部門と比べれば地味な、もちろん基礎的な研究であるということで、体制上、予算上等々、後景に追いやられていたというのが私は最大の原因であると思うんですね。そういう点を抜本的に改めなくてはならないと思うわけなのです。

 このダイオキシンの問題でいえば、平成十二年三月に、ダイオキシン類測定精度管理分科会成果報告書というのがダイオキシン対策検討会から出されました。それを見ると、当面海外から供給を受けるけれども、「標準物質及び標準液は、信頼性のある測定を行うための根幹であり、知的基盤の一つとして本来的には国家として整備すべき性質であることに鑑み、」「中長期的には、我が国における開発・供給のための施設・設備の整備等必要な体制の整備の要否等について検討していくことも必要である。」こう述べているわけですね。

 こういう指摘を将来の課題として先送りするならば、かつてあったように、研究開発ただ乗り、こういう批判がまた日本に寄せられるということになるとも限らない状況にあると思うんですね。この点、お答えをいただきたいと思います。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 ダイオキシンは、毒性が極めて強く、難分解性の物質で人体の蓄積性等が懸念されることから、ダイオキシン標準物質の研究開発に当たりましては、環境対策等に万全を期した施設を整備した上で取り組むことが必要でございます。

 このため、ダイオキシン標準物質の整備につきましては、環境への配慮、安全性の確保などを念頭に置きながら、標準物質整備計画、これは先ほど先生から、我が国の組織的取り組みが十分でなかった、そのためにアメリカに比して標準物質の開発、供給に大きな差が出てきたのではないかという御指摘がございましたが、そのキャッチアップのために標準物質整備計画の中で適切に取り組んでいきたいと考えております。

大森委員 ダイオキシンについては、いろいろ困難な条件が当然あると思います。

 それでは、こういう対策検討会からわざわざ出された報告の中で指摘されていることに対して、具体的にどういう態度をとるのか。先ほどの、これからの課題の中に具体的に挙げられているのか、挙げられていないのか、この点はいかがですか。

日下政府参考人 具体的に、標準物質は化学系でございますと二百五十ぐらいございますが、二〇〇〇年、二〇〇一年、二〇〇五年、二〇一〇年とそれぞれ整備の予定目標の時期を決めまして、取り組みのターゲットを決めておりまして、具体的な取り組み、方針について、期近なものからそれぞれの専門家の中で検討が始まってきているところでございます。ダイオキシンについてはこれからでございます。

大森委員 ダイオキシンについては、中期、長期ともに具体的課題にはなっていないというわけですね。

 そこらも関連してお聞きしたいので、その前に一点確認しておきたいわけなのです。

 計量標準の研究主体は工業技術院ですね。ことしの四月から独立行政法人産業技術総合研究所になりました。工業技術院はアメリカの商務省国立標準・技術研究所との間で実施取り決めを行っているわけなんですが、今まで国と国の関係で結んでいたこういう取り決め、それが片方は独立行政法人になったわけですね。

 そこで、国立の試験研究機関間のそういう協定はどうなるのかということですね。産業技術総合研究所の位置づけ、そこで働く職員、研究者、技術者などの地位や位置づけはどのように保障をされるのか。国際的な信頼ということも含めてお答えいただきたいと思います。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 計量標準の分野における協力につきましては、一九九九年に旧工技院とアメリカ商務省国立標準・技術研究所との間で実施取り決めを結んでおりまして、計量標準の高度化に関する共同研究を実施してきたところでございます。

 本年四月、御承知のように、工業技術院が独法であります産総研になったわけでございますけれども、現在、産業技術総合研究所とアメリカ国立標準・技術研究所との間で新たに実施取り決めを結ぶために検討がなされている、このように聞いております。当省としても、両者の間での取り決めが早急に締結をされますように積極的に支援をしてまいりたい、このように思っております。

大森委員 一番お聞きしたかったのは、いわゆる国家の機関ではなくなったという時点において、政府として独立行政法人産業技術総合研究所の国家に準ずる位置づけをきちんと担保するかということです。これは間違いないですね。よろしいですね。その点だけ、時間がありませんから。

古屋副大臣 おっしゃるとおりでございます。

大森委員 先ほど、今後の課題ということで標準についてお話がありました。

 産総研の平成十三年度計画があるわけなんですが、この中で、国家計量標準の開発、維持、供給について、百四十種類の既存標準の維持、供給を継続し、中期目標期間末までに新たに百五十八種類の供給開始を目標にする、そのため、今年度は物理標準三十五種類以上、標準物質三十五種類以上、合計七十種類以上の新たな標準の供給を目指す、こうなっているわけですね。十一分野について具体的に目標が決められております。この中にダイオキシンは入っていないということは、先ほどお答えがありました。一年間で七十種類の標準を供給する。

 私、研究者のお話なども聞きましたけれども、それを聞いた後で、正直言ってこの課題は耳を疑いました。大体、標準の物によっても当然違うわけなんですけれども、研究者の皆さんは、一年間でよくて一つ供給できるかどうか、そういう状況なんですよ。それを、さっき言ったような体制のもとで一年間で七十種類以上の標準を供給する。それに見合うマンパワー、研究者、技術者その他の体制がつくられているのか、本当にこれが現実可能なものになっているのか、これは明快にお答えをいただきたいと思います。

古屋副大臣 旧来、工業技術院のもとで、計量研究所、物質工学工業技術研究所及び電子技術総合研究所が担当してまいりました計量標準に関する研究業務というものは、すべて産総研の計測標準研究部門に統合をされたわけでございます。したがいまして、今まで以上に効率的な研究体制の構築が一元的にやれるということで、可能になったというふうに承知をいたしております。

 また、計量標準に関する成果普及あるいは国際関係部門も新たに設置をされることになっておりまして、これらの部門と計測標準研究部門がお互いに密接な連携を図りまして、計量標準に関する研究並びに供給業務というものを一体的かつ総合的に推進しているところでございます。

 したがいまして、計量標準に関する独立行政法人、いわゆる産総研の取り組みにつきましては、今申し上げましたような体制のもとで効率的、効果的、確実に実施をされていくというふうに考えております。

大森委員 副大臣も大臣も、これは直接研究に当たっている皆さんの現場の声をぜひ聞いていただきたいと思う。そんなにすらすら読めるような状況じゃないということを、私ははっきり申し上げておきたいと思います。

 これに関連して、平成九年に、日本学術会議の第五部が、標準の研究体制強化についての提言を出しました。これについては、経済産業省は御承知されていると思うんですが、念のためですが、お聞きしたいと思います。

日下政府参考人 先生御指摘のとおり、平成九年、日本学術会議の報告書で、国立研究機関における計量標準研究を抜本的に強化すること、計量標準成果の外部への供給が円滑に行われるための体制を整備することなどが提言されているのは私どもとして承知をしており、当省といたしましては、計量標準の重要性を認識しまして、これらの提言につきまして、今までも対応してきたわけでございますが、今後しっかりと対応していきたいと考えているところでございます。

大森委員 私もこの提言を拝見させていただいたわけなんですが、やはり現状を憂えて、非常に真剣な提起をされているんですね。

 それで、今の日本の国際的なおくれというのは、必ずしも最初からあったんじゃない。戦後から七〇年代までは、まだ欧米と比較してもキャッチアップの時代にあった。しかし、だんだん差がついてきたというわけですね。

 一例として、例えば、これは計量研究所の場合によると、昭和五十年、研究者百三十三名中八十五名が標準関係だった。つまり、このときは六四%ですね。それが昭和六十年には、研究者百二十五名のうち五十五名、四四%に比率が落ちた。さらに平成八年には、百十八名のうち三十五名、比率三〇%。十年ごとに半分ずつ比率が落ちている。こういうことが指摘をされて、七つの提言をされているわけですね。

 今お話があったように、非常に緊急の抜本的な提起であると思うんです。そのために、特に第一番目に、中核となる国立研究機関における標準研究を抜本的に強化する、そのために必要な予算、人員は他の分野と区別して考慮すること等々提起をされております。

 これは、独法にはなりましたけれども、さっきおっしゃったように、国家的な位置づけのもと、やはり供給体制の強化、これは他の分野その他のいろいろな関係がありますけれども、それが基盤であるなら、本当にこれは真剣にやっていただきたいということで、大臣のこの点での決意を伺って、もう質疑時間が終了しましたので、私の質問を終わりたいと思います。

平沼国務大臣 先ほど委員が御指摘のように、この件に関しまして非常に日本がアメリカその他に比べて立ちおくれているということは、一つは、研究者が育たないような形、インセンティブが与えられなかったということがおっしゃるとおり背景にあったと思いますし、またもう一つは、やはり日本が、戦後、加工主体の工業を伸ばしてきた、そういうことで、そういう基本的なことを他国のそういうものに依存してきた、こういう歴史的な背景があったと思います。

 ですから、そういう反省の上に立って、やはり先ほど申し上げたように、技術の基盤に相なるわけですし、産業の基盤になる重要な問題でございます。そういうことで、先ほど、実際に現場に行かれて研究者の声もお聞きになられた、そういう中で、こなしていくについてもなかなか限度がある、こういうお話も承らせていただきましたので、私どもといたしましては、総合的にこれが推進できるように国としても全力で取り組んでいきたい、このように思っております。

大森委員 終わります。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、計量法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、竹本直一君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、保守党及び21世紀クラブの八派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。田中慶秋君。

田中(慶)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    計量法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 環境汚染物質等の計量証明結果の社会に及ぼす影響が益々重大となってくる実情にかんがみ、今回導入される計量証明書の標章制度について周知徹底を図るとともに、計量証明事業者に対する認定及び登録の取消制度の厳正な運用を行うこと等により、特定計量証明事業の健全な発展を促すよう努めること。

 二 都道府県知事の自治事務として行われている計量証明事業の登録制度に、本法により初めて、政令で定める極微量物質の計量証明事業に限り、国又は国の指定する機関による認定の取得が要件として附加されることにかんがみ、地方分権化推進の観点から、本法施行五年後の見直しの際に、全面的に都道府県に委ねることがなお困難か否かについて弾力的に検討を行うこと。

   また、国の指定する機関についても、民間能力の活用を促進するとの観点から、可能な限り民間事業者も指定するよう努めること。

 三 極微量物質等の計量証明に用いられる標準物質の開発に積極的に取り組むとともに、国内供給体制の整備を進めること。

   また、アジア地域を始めとした諸外国に対する技術協力、支援措置等計量標準に関する国際協力を積極的に推進すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。

平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

山本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、内閣提出、参議院送付、電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案及び内閣提出、参議院送付、不正競争防止法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案

 不正競争防止法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平沼国務大臣 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年のITの進展に伴い、パソコンのマウスやキーボードを用いるのみで契約を締結する機会が増加してきております。しかしながら、このように電子的な方法を用いた契約は、単純な操作で容易に成立をしてしまうことから、特に操作になれていない一般消費者と事業者との契約においては、操作ミスによって意図しない契約の申し込みを行ってしまった場合の契約の効力をめぐってのトラブルが増加しております。

 また、隔地者間の契約は、現行の民法では意思表示の通知が到達するまでに相当の時間を必要とする郵便等を前提としているため、契約の申し込みに対する承諾の通知が発信された時点で契約が成立することとされております。しかしながら、電子的な方法を用いた契約の場合には、意思表示の通知を契約の相手方に瞬時に到達させることが可能である一方、不到達のリスクがあるため、契約の申し込みに対する承諾の通知の発信時点での契約を成立させると、申込者にとって契約の成立が不明確になるという不都合が生じております。

 このような状況を踏まえ、電子的な方法を用いる契約の特徴を十分に踏まえた取引ルールを策定するため、今般、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、電子的な方法を用いた場合の消費者の操作ミスに関する民法第九十五条の特例措置を講じます。

 これは、ウエブサイト等を活用する電子的な方法を用いる契約において、消費者が操作ミスにより契約の申し込みまたはその承諾をしてしまった場合には、事業者がその意思の有無について確認を求める措置を講じた場合等を除き、消費者の意思表示の無効主張に対し、事業者が消費者に重過失があった旨の反論ができないようにするものであります。

 第二に、隔地者間の契約において電子的な方法を用いた場合の契約の成立時期について民法第五百二十六条等の特例措置を講じます。

 これは、隔地者間の契約において、瞬時に意思表示の通知を契約の相手方に到達させることが可能な電子的な方法を用いた契約の場合においては、申し込みの承諾の通知が到達した時点を契約の成立時期とするものであります。

 以上が、本法律案の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

 続きまして、不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年のITの進展に伴い、インターネット上の住所であるドメイン名は、消費者を特定のウエブサイトに引き寄せる上で重要な機能を果たしております。しかしながら、ドメイン名が実質的な審査もなく先着順に取得できることを利用して、他人の商標等と同一または類似のドメイン名を取得し、商標権者等に対して不当に高い額での転売を図ったり、商標権者等の信用を傷つけるようなウエブサイトを開設する等の不正な行為が、我が国でも問題となっております。

 また、本法では、平成十一年に発効した、国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の確実な実施を図るため、外国公務員等への贈賄を禁止しておりますが、国際的な法整備の進展を踏まえ、この条約のより効果的な実施を図るため、禁止行為の要件を国際的に一層整合的なものとする必要があります。

 このような要請に対応するため、今般、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、不正の利益を得る目的で、または他人に損害を加える目的で、他人の商標等と同一または類似のドメイン名を取得する等の行為を、本法における不正競争行為と位置づけ、差しとめ請求等の対象といたします。

 第二に、外国公務員等への贈賄に関して、贈賄側の事業者と収賄側の外国公務員等の属する国が同一である場合には本法の適用除外としていた規定の削除等を行うことといたします。

 以上が、この法律案の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

山本委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十五分散会




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