衆議院

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第10号 平成14年4月17日(水曜日)

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平成十四年四月十七日(水曜日)
    午前九時七分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 竹本 直一君
   理事 中山 成彬君 理事 鈴木 康友君
   理事 田中 慶秋君 理事 河上 覃雄君
   理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      梶山 弘志君    金子 恭之君
      後藤田正純君    阪上 善秀君
      下地 幹郎君    西川 公也君
      根本  匠君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    茂木 敏充君
      保岡 興治君    山口 泰明君
      山本 明彦君    生方 幸夫君
      川端 達夫君    北橋 健治君
      城島 正光君    武正 公一君
      中山 義活君    松原  仁君
      松本  龍君    山田 敏雅君
      山村  健君    漆原 良夫君
      福島  豊君    都築  譲君
      土田 龍司君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      西川太一郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            鍋倉 真一君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   官房審議官)       上野  宏君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局長)      鈴木 孝之君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        上杉 秋則君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           鈴木 直和君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・
   ガス事業部長)      迎  陽一君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   政府参考人
   (中小企業庁次長)    小脇 一朗君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
 辞任         補欠選任
  大村 秀章君     山口 泰明君
  平井 卓也君     後藤田正純君
  茂木 敏充君     西川 公也君
  保岡 興治君     金子 恭之君
  川端 達夫君     城島 正光君
  後藤 茂之君     武正 公一君
  土田 龍司君     都築  譲君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     保岡 興治君
  後藤田正純君     平井 卓也君
  西川 公也君     茂木 敏充君
  山口 泰明君     大村 秀章君
  城島 正光君     川端 達夫君
  武正 公一君     後藤 茂之君
  都築  譲君     土田 龍司君
    ―――――――――――――
四月十七日
 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)
 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案(内閣提出第七六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)
 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)
 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案(内閣提出第七六号)

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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りをいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局官房審議官上野宏君、公正取引委員会事務総局経済取引局長鈴木孝之君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君、公正取引委員会事務総局審査局長上杉秋則君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君、中小企業庁長官杉山秀二君、総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君及び厚生労働省大臣官房審議官鈴木直和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島豊君。
福島委員 おはようございます。委員長、大変御苦労さまでございます。
 現在、日本の経済は大変な危機の中にあるわけでございます。その中で個々の企業は、みずからの競争力を高めるために大変な努力を行っている。それは、事業の再構築、そういうものを通じて競争力を回復しようとしている。そのためには、さまざまな形で、企業買収ですとか不採算部門の売却ですとか、こういうものを進めているわけでございます。そして、このことは日本国内だけにとどまるわけではありませんで、国際的な企業の合併というものも進んでいる。むしろ、今後、国際競争力を保っていこうとすれば、そうした形で規模を拡大する、そういうことが要請されている時代でもあろうかと思っております。
 今回のこの独禁法の改正ということに当たりましては、今日本が、そしてまた世界がどのような経済状況の中に置かれているのか、このことについて十分配慮を払う必要がある、そのように思っているわけでございます。
 今回の一般集中規制の見直しのポイントは、第九条の二を廃止する。持ち株会社と大規模会社を区別せずに、事業支配力の過度集中という実質的な基準による規制に統一する。また、事業に関する報告書の提出義務に関しての規制緩和を行う、このような内容になっているわけでございます。しかしながら、こうしたことについては、経済界からはまだまだ不十分であるという意見が寄せられていると認識していいのではないかと思います。
 経団連の「「独占禁止法研究会報告書」に関するコメント」では、企業の経済活動がグローバル化し、市場規模が拡大する中で、一般集中規制は、企業活動を不当に制限するだけで既に存在意義を失っているということを述べているわけでございます。そしてまた、第九条に基づく持ち株会社、この報告届け出のありましたものは、平成十四年の三月末現在で十三件のみということで、必ずしも加速されておらないという現実もあるわけでございます。
 この点について、今回の改正、その後に事業支配力の過度集中についての判断のためのガイドラインの見直しも行うというふうにお聞きいたしておりますけれども、それをどういうふうに見直しをしていくのか。そしてまた、さらに、これは規制緩和をした方がいいのではないかという指摘もあるわけでございます。その点について、今後どのように検討をしていくのか。この二点について、競争政策と産業政策の調和という観点から御回答をいただきたいと思います。
根來政府特別補佐人 御指摘のように、今、日本の経済実態というのは大きく変化しているわけでございます。一つは、リストラという方向がございます。あるいは、一つは、国際競争力をつけていくという方向もあるわけでございまして、そういうわけで、経済実態は一昔前と大きく変化しているわけであります。また、企業自体の実態についても変化していることは御指摘のとおりでございます。
 そういう変化に応じて今回の改正をお願いしているわけでございますが、変化していると言いながら、まだやはり日本特有の持ち合いとか系列とかいう問題が残っているわけでございまして、そういう点からいって、やはり一般集中規制というのは現時点では必要であろうか、こういう考え方であるわけであります。先日もお答えいたしましたように、将来は、あるいは一般集中規制というのはなくする方向が正しいかもしれないのでございますが、現時点ではやはり必要であろう、こういうふうな判断であります。
 それから、そういう判断の中で、競争政策というのと産業政策というのをどういうふうに考えるか、それをガイドラインの中でどういうふうに表現していくかという問題でございますけれども、確かに一昔前は、競争政策というのと産業政策というのは、言うなれば東と西とを向いておったような感じがするのでありますけれども、今は構造改革という時代を迎えまして、産業政策は、やはり自由な競争を基盤にしないと成り立たないという観念がもう大体浸透しているように思うわけでございます。したがいまして、競争政策を推進するということは産業政策を推進していくということとほぼイコールになっていると思うのでございます。
 そういうことで、私たちの立場からいうと、独占禁止法の目的である事業支配力の過度の集中ということを防止して、そして自由競争をよりよく促進していくということがすなわち産業政策にかなうことではないか、一般抽象的にはそのように考えております。
 そういう見地に立って、将来ガイドラインをつくるときには、そういうことを十分盛り込みながら、配慮しながらつくっていこうというふうに考えている次第であります。
福島委員 ただいま委員長から基本的な考え方の御説明がございました。この独禁法の改正に当たりまして、独占禁止法研究会が調査をした、そしてまた、株式持ち合いの解消といっても、企業グループの中ではそれほど進んでいるわけではなくて、それ以外との関係であるとか、そしてまた、貸出比率にしても、同じ企業グループの中では逆にふえているではないか、ですから、一般集中規制というものは依然として必要であるという結論を導かれたんだというふうに思います。
 ただ、現在の経済の変化のスピードというものが非常に速くなっていると私は思います。そしてまた、不良債権の処理というものが進むと同時に、そうしたものも将来的に、この一年、二年、三年と、さらにまた変わっていくんだろうというふうに思っています。そういう意味では、今回の改正の後どうするのかということについては、さらに引き続き、実態がどう変わっていくのかということについて十分注意をする必要があるし、また、調査をする必要もあるのではないかというふうに思います。ドッグイヤーという言葉もありますが、そのような変化の速い時代ですから、独禁法の改正も、これにとどまるということではなくて、その時代の変化に合わせて適切な見直しをしていただきたい、そのように思います。
 そしてまた、先ほど申しましたように、MアンドA等を初めとする企業の再編というものは国際的なものでございます。こうした国際的な企業の合併というものに対して迅速に対応する必要がある、そう思っております。そういう意味では、それぞれの各国の競争当局が判断を下すわけでございますけれども、その判断を下すプロセスというものが迅速に進んでいくためには二国間協定というものを積極的に結んでいく必要がある、そのように思うわけでございます。この点についての政府の見解をお聞きしたいと思います。
根來政府特別補佐人 最初に触れられました御説に対しましては、私どもも全くそのとおりだと思っております。やはり経済のスピードについていくためには、私どもも足腰を鍛えてその経済を追い抜くぐらいの気持ちでいかないといけないということは事務当局の方も十分わかっているはずでありますし、また、そういう事態を踏まえまして法律の改正もお願いすることもあろうかと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 それから、二国間協定でございますが、理想を言えばマルチの協定が一番いいわけでございますけれども、なかなか、みんな文化的、経済的基盤が違うものですからマルチというわけにはいきませんので、とりあえず二国間協定でしのいでいこうという方針であることは間違いありません。
 数年前にアメリカ合衆国と協定を結びました。その後、EUとも協定についていろいろ協議をいたしておりまして、これは、ほぼまとまっているといえばまとまっているわけでございますが、まだ若干手続問題が残っております。
 それから、御承知のように、シンガポールとは包括的協定ということで既にまとまっているわけでございますが、そういうことで、徐々に二国間協定をふやしていく、そして、お話しのように国際的なハーモニーをとりながら迅速に処理していこう、そういう地ならしをしていこうという考え方でおるわけであります。
福島委員 時間が限られておりますので、通告しました御質問を若干省略させていただきたいと思います。
 次に、銀行、保険会社による議決権保有の制限についてお尋ねをしたいと思います。
 今回の改正のポイントでは、金融会社を銀行、保険会社へ限定する、そしてまた、金融会社同士の議決権保有の原則自由化ということが盛り込まれているわけでございます。
 我が国の現在の経済の問題、多々ありますけれども、その一つは、新規の創業というものが極めて低調になっている。そしてまた、ベンチャーの育成というものがいまだ十分に進んでいない。それは、さまざまな問題があるわけでございます。そうしたベンチャー企業に対して投資をする投資家というものが、エンゼルというものが日本には余りいない、層が薄いというようなこともございます。
 そういう中で、銀行または保険会社が金融面でベンチャー企業の立ち上げを支援していくことは十分に意義のあることでもありますし、これからそうした役割というものを拡大していっていただきたい、私どもはそう思っているわけでございます。
 そういう意味では、この銀行、保険会社による議決権の保有、それぞれ五%、一〇%となっているわけでございますけれども、ベンチャー企業については、こうした水準というものについて一定の規制緩和がなされるべきではないか、そういうことが時代の要請ではないかと思いますが、この点についての政府の見解をお聞きしたいと思います。
鈴木(孝)政府参考人 お答え申し上げます。
 ベンチャー企業はいわゆる一般事業会社でございまして、銀行または保険会社とこのような会社の関係、結びつくことについては、第十一条の規制趣旨から見て、これを包括的に同条の適用除外とすることは適当ではないと考えております。
 しかしながら、現在ベンチャー企業に対する資金供給については、第十一条の規制対象ではないベンチャーキャピタルからの出資等を通じて行われているほか、証券市場に上場していないベンチャー企業等を投資対象とする中小企業等投資事業有限責任組合に関して、第十一条の適用除外を設けておるところでございます。
 また、今般の改正によりまして、証券市場に上場後のベンチャー企業等を投資対象とすることができる一定の民法組合について、第十一条の適用除外規定を追加することとしておりまして、これらの組合という器に銀行、保険会社等は出資が可能でございますので、この第十一条の規制があることによって、銀行、保険会社によるベンチャー企業に対する投資について特段の支障が生じていることはないものと承知しております。
福島委員 引き続きまして、次は、公正取引委員会の執行力の強化ということについてお聞きをしたいと思います。
 私も余り記憶が明確ではないのですが、昨年も、ポリプロピレンでしたか、これについて告発を見送ったということがあったかのように記憶をいたしております。なかなか公取が実際に告発措置をとるという件数は多くないわけでございます。これは、政府部内でのさまざまな意見があるということもあるのかもしれません。
 今回の改正におきましては、罰則の強化ということで罰金を一億円から五億円に引き上げておりますけれども、しかしながら、罰金の引き上げということだけでなくて、個々のケースで公取がどういうふうに対応するのかということが同時に大切なことだろうというふうに私は思っております。
 例えば入札談合にしましてもいまだに繰り返し報道されるわけでございまして、経済の構造改革はしなきゃいかぬと言っていますけれども、一方ではそうした談合体質のようなものがまだまだ日本の経済には色濃く残っておる。そしてまた、現在、経済の状況が非常に厳しいわけですから、むしろそういうものについてインセンティブが働くのではないかというような思いもいたします。
 そういう中で、公取の機能強化ということをしていかなきゃいけない。その幾つか論点があろうかと思います。例えば犯則調査権限の付与というものが必要である、こういう主張も今までずっと言われてきているわけでございます。また、罰則の制度についても、課徴金制度というものが罰金と同時に並んで存在しますので、こういった措置体系全般も見直す必要があるのではないかというような指摘もあるわけでございます。
 この公取の執行力を強化するためにどうしていくのかということについて政府の御見解をお聞きしたいと思います。
根來政府特別補佐人 この執行力の強化ということは、公正取引委員会が抱える一番大きな問題であります。私も五年以前に任命されたときに、これからこういう問題についてどういうふうにやっていくかということについていろいろ日夜考えてきたわけでございますが、おっしゃるような犯則調査権限を導入するということもあるいは必要かもわかりませんし、二十一世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会で指摘されたいろいろな問題についても考える必要があると思うわけであります。
 ただ、問題は、そういう制度改正ということについては、やはり甲論乙駁という問題もございますので、十分検討する必要があると思うわけでございます。そこで、差し当たり、申し上げたように、現行の制度のもとで私どもは最大限力を発揮するということがまず一番問題であろうというふうに思っているわけでございます。
 今回、罰金五億円という引き上げをお願いしているわけでございますが、これも、私の考え方からいいますと、談合に対する世間の認識がまだひとつ徹底しないところがあるわけでございます。悪いと言いながら、やはり談合は仕方がないなという観念があるわけでございまして、談合は倫理的な悪であるということを徹底させるためにはやはり法定刑の引き上げも必要であろうということで、五億円の罰金ということをお願いしているわけであります。
 それから、与党の中でも野党の中でもいろいろ御検討いただいておりますように、発注者の責任、要するに発注者と応札者がだんごになって談合しているという現状もあるわけでございまして、これは何とかしないといかぬと私どもも思っているわけでございますが、残念ながら、この独禁法の外側にあるものですから、各政党の御尽力をお願いしているわけでございます。
 そういうことも含めまして、社会情勢も含めまして、全体的に談合を防止する。私どもが与えられた範囲内で談合の防止に力を尽くすということに尽きるのじゃないか、こういうふうに考えております。
福島委員 私ども公明党は、官製談合を禁止する法律もつくらなきゃいけないということを年来主張してまいりましたし、そしてまた、入札制度のあり方そのものをきちっと見直しをする、電子入札の導入といったようなことも一つの手法でございますけれども、そういうことも連立政権の中で継続して訴えてきたことでございまして、委員長から、独禁法の枠外の部分は政党でしっかり取り組んでいただきたいという御指摘がございましたけれども、その御指摘、私ども、まことにごもっともだと思いますし、努力をしてまいりたい、そのように思っております。
 残り時間が少なくなりました、あと一点でございます。
 国際的な協力、先ほど二国間またはマルチということもありましたけれども、競争当局による合併等の審査に関してのことを申し上げました。今回の改正には、外国の事業者に対して文書送達をする、この規定が盛り込まれているわけでございます。しかしながら、この規定だけでは、その都度当該国に同意を求めなければいかぬということがあるわけでございまして、これはさまざまな国が関与いたしますから、当然マルチの条約というものをきちっと早期に締結するための努力をしなければいかぬ、そのように思うわけでございますが、この点についての政府のお考えをお聞きいたします。
鈴木(孝)政府参考人 司法の分野におきましては、民事訴訟手続に関する条約、こういった多国間の国際的な条約がございますが、独占禁止法になりますと、私ども、行政手続ということで、このような多国間条約について、各国における競争法の内容、執行手続等に差があることで、直ちに整備することは困難な状況にございます。
 しかし今後、まずは個別の合意により外国送達を行い、その蓄積を踏まえ、この条約の整備の必要性が生じた場合には、二国間における条約締結の可能性について検討を行い、その後、多国間で統一的な仕組みにより送達を実施すべきとの機運が高まった場合に、御指摘のような多国間条約締結の可能性について検討を行うことが合理的と考えておるところでございます。
福島委員 以上で終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 時間が余りありませんから、ぶっきらぼうな質問で恐縮ですけれども、いきなり質問をさせていただきます。
 我が国の経済にとって重要なことは、言うまでもなく、公正かつ自由な競争が確保されることによって国民経済が発展をしていくということであろうと思います。独禁法はそのためのルールをきちっと確保する法律と認識をしているわけでありますが、いわば経済活動の基本ルールである独禁法も経済社会の変化というものをニーズとしてとらえていかなければならない。
 そういう意味で、今回、平成十三年三月の閣議決定、いわゆる規制改革推進三カ年計画に基づいての改革とはいえ、もう一度、さっきの質問者からも同様なお尋ねがあったわけでありますけれども、私も、質問に先立って、この改正の趣旨、背景というものを根來委員長はどう認識しておられるのかを、最初に確認させていただきたいと思います。
根來政府特別補佐人 お尋ねでございますが、提案理由説明の際に大臣から申し上げましたように、改正の点は幾つかございます。幾つかございますが、その中で大きな問題としては、大規模会社の株式保有総額の制限に係る規定を廃止すること、それから罰金額について、罰金の上限を五億円に上げること、あるいは外国における送達規定を設けることなどでございます。
 大規模会社の株式保有総額の制限というのは、形式的には、ただいま御指摘のありました規制改革の閣議決定、あるいは前に持ち株会社の御審議をいただいたときの附則というようなことが形式的にはあるわけでございますが、実質的な意味におきましては、おっしゃるように経済実態の変化ということでございます。
 これは独占禁止法の研究会でも指摘しておりますように、一昔前は六大企業集団ということで一つの旧財閥の銀行などを中心とした企業集団が形成されていたのでありますけれども、今や六大企業集団といっても何のことかわからないような時代になってしまいました。
 そういうふうな時代を踏まえまして、あるいは経済実態の変化を踏まえまして、やはり一律規制というのは規制のし過ぎであろう、まずかろうというので、事業支配力の過度の集中ということを一つのメルクマールとして防止するということで改正をお願いしているわけでございます。
 ただ、先ほども御指摘ありましたように、これを全く廃止してしまうというのはまだ時期尚早ということであろう。やはり企業の倫理の確立とか、そういうことも必要でありましょうし、あるいは持ち合いも全面的に解消されていないということもございますので、やはりこれは現行の事業支配力の過度の集中の防止ということを観点に置く必要があろうということでございまして、これも、おっしゃるように、経済が変転しましたならば、あるいはこれは廃止する運命にあるかもわからないということでございます。
 改正の理由としては、簡単に申し上げると以上のとおりであります。
西川(太)委員 独禁法による規制も、ただいまのお話にもありましたように、過剰なものであっては事業者の自由な、濶達な経済活動というものを束縛しかねない、これは言うまでもないことでありますが、今回の改正のポイントとして、いわゆる大規模会社の株式保有を総額で制限するという規定を廃止しよう、いわゆる九条の二の廃止ですね。今、大まかの御認識は承ったわけでありますけれども、具体的に、第九条の二の大規模会社の株式保有総額制限の規定を廃止するというのは、経済実態の変化のどういう部分をつかまえてこういう措置に出られるのかということをお尋ねしたいと思います。
鈴木(孝)政府参考人 この九条の二につきましては、当時、昭和五十二年改正時でございますが、総合商社等の大規模会社による株式保有が進展し、企業の系列化、企業集団の形成という傾向が強まることを対象としたものでございますが、この点につきましては、同条が導入された当時、主に規制対象として念頭に置かれていた総合商社の経済力が現在では大幅に低下しておりますこと、それから経済のグローバル化、時価会計制度の導入によりまして株式保有のリスクを考慮する必要性が生じてきていること等、現在の状況がございます。これにより企業は株式持ち合いを減少させていく動きが見られることがございます。一般的な株式保有を解消していく動きがあるということから、商社等の大規模会社による一般的な株式保有を一律形式的に制限する規制を課す必要はなくなってきている、それが今お尋ねのところの経済実態の変化の要因でございます。
西川(太)委員 これは通告にないお尋ねをして恐縮ですけれども、今の御答弁というのは私は大変重要だと思うんですよ。すなわち、経済実態の変化というのが、いわゆる先を見通して、我が国の経済の実力が、言葉を選ばずに言えば、衰退しつつある、つまり大規模な総合商社、ただいま御答弁にあったようなそういう企業の活動というものが、これからは規制をしなくても済む程度の微弱な活動しかできないというような認識ともとれるような御答弁と私は承ってしまったのですが、間違いでしょうか。
 すなわち、私、鈴木局長にお尋ねしたいのは、公正取引委員会は、我が国経済がいわゆる縮小の方向に向かっていくという認識に基づいてこの九条の二を撤廃するのか、私はそうじゃないと思ってお尋ねしているんですけれども、ただいまの御答弁では何かそんな認識に受けとめられるんですが、それは私の誤解でしょうか。
鈴木(孝)政府参考人 ただいま申し上げました総合商社の経済力の観点でございますが、これは絶対的な評価ということで、それが衰退していくとかそういうことではございませんで、我が国経済の中に占める総合商社の比重でございまして、その後の我が国の経済の拡大の中で、融資力あるいは輸入輸出の面で、一般企業等も、銀行等も含めて、その辺の実力の充実というのがありましたので、その相対的なかかわる割合が減ったということでございます。
西川(太)委員 それならば理解ができます。
 次の質問に移ります。
 今回の改正は、ただいまもるるお話があったいわゆる経済実態の変化に合わせた一般集中規制の全体的な緩和と私は認識をしているわけでありますけれども、今回の改正後に銀行または保険会社による事業会社の株式保有についての制限は維持されるということを承知しておりますけれども、その理由を伺いたいと思います。
根來政府特別補佐人 金融会社の持ち株についてはいわゆる五%ルールというのがあるわけでございますけれども、若干内容は、証券会社等については省くというふうな改正をお願いしているわけでございますが、これはやはり、金融会社が株式を所有するということと、金融会社の事業会社に対する融資というのが一体になってさらに事業支配力が強固になるというおそれが現在まだ残っているからでございます。
 その実態調査をいたしましたら、中堅・中小企業においては、やはり借り入れの依存度が高くて取引先金融機関を変更しにくい状況があるとか、金融機関は影響を及ぼし得る立場にあるとか、あるいは企業にとって、次回の融資が困難になることや取引関係の悪化の懸念から、意思に反しても金融機関の要請に応じざるを得ないという優越者と非優越者の関係にあるわけでございますので、それが、株式所有と融資というのが結びつけばその力がさらに強くなるのではなかろうかということから、従来の五%ルールというのをまだ置いておく必要があるという判断をしたわけであります。
西川(太)委員 今優越者と非優越者というお話がありましたけれども、これは今の御答弁と直接つながるわけではないんですが、いわゆる大企業による中小企業への不公正取引というものはやはり今のような考え方だろうと思うんですが、これについての取り組みを端的に伺いたいと思います。
根來政府特別補佐人 国会でもいろいろこの点について御要請がございまして、私どももその御要請に応じ、またさらに私どもの立場からも、そういう問題について十分な関心を払ってきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、一つは、下請取引の公正化ということで、下請法を厳正に運用するということでございます。その中で、電気機械機器、一般機械機器、輸送用機器メーカーに対する立入検査を特別に実施しまして、また書面調査の拡充を図っているところであります。
 それから二番目には、例えば繊維製品の卸売業者に対する報告徴収、検査等を実施して、下請取引の適正化に努めているところでございます。この繊維製品については、委員が十分御承知のように、セーフガードの問題とか中国からの輸入の問題とか、そういう問題がございまして、やはり日本の繊維製品についての下請業の関係について不透明さが大きいというようなことがございまして、特にこの点を調査いたしまして整理、公表をしたところでございます。
 そのほかに、コンビニエンスストアにおける本部と加盟店との問題について調査をいたしまして、このガイドラインの改定原案を公表して、パブリックコメントを求めたところでございます。
 さらに、現在は、大規模小売業者、スーパーとかデパートと納入業者の取引について調査を行っております。
 それから、不当廉売、差別対価の問題につきましても、これはいつも不十分だというおしかりを受けているわけでございますが、私どもは精いっぱい、それをどういうふうに防げるかということについてガイドラインを作成し、また、取り締まりという言葉を使うと語弊がございますが、端的に申しますと取り締まりの徹底をしているところでございます。
 それから、これも国会からの御示唆に基づいてやっていることでございますけれども、全国の商工会とか商工会議所と連携をとりまして、いろいろの金融等の不満、不平等についていろいろ御連絡をいただいて、独占禁止法上問題がある問題については、私どもが適正に対処するということでやっているわけでございます。
 ちょっと答弁が長くなりましたけれども、そういうことでございます。
西川(太)委員 ありがとうございます。大変結構な答弁だと思います。
 次に、経済取引局長に伺いますが、いわゆる十一条の金融会社による議決権保有の制限の条項は、金融業を取り巻く情勢が御承知のような状況ですから、これを機動的に定めることができるということは大変時宜を得ていると私は思っておりますが、今回のこの改正、非常に難しいんですよね、なかなかわかりにくいんですけれども。
 この十一条第一項の第六号というのが新設されているわけですね、この法案を見ますと。いわゆる適用除外の内容を委員会の規則で定めることができるようになるわけですけれども、こういう規定を置くようにした理由というのは、この改正の審議のポイントだと思うんですけれども、これをお尋ねしたいというふうに思います。
 それから、もう時間がないので、最後に委員長に。
 経済のグローバル化が進展をしている中で、このこととは逆に、我が国で活動する外国企業もふえている。独禁法が我が国の市場における公正かつ自由な競争を確保するための法律であるならば、その規制対象は外国企業、日本企業を問わないものだというふうに存じますけれども、今回の改正によって在外者への書類の送達規定の整備が図られることになるわけでありますけれども、その趣旨をお尋ねして質問を終わりたいと思います。
鈴木(孝)政府参考人 まず私から、お尋ねの十一条第一項第六号の新設についてお答えを申し上げます。
 御指摘のように、金融業を取り巻く情勢が急激に変化しているところは私どもも同じ認識を持っておりまして、近年、商法等関連法制度の改正が頻繁に行われております。これに伴いまして、第十一条の適用除外として短期的な議決権の保有を認めることが適当と考えられるものが生じております。
 このため、状況の変化に迅速に対応することを可能とするため、公正取引委員会規則により適用除外議決権を定めることができることと考えたものでございます。
 具体的に、新設されます適用除外で、規則で定める事項としましては、例えば、取引先である会社との間の合理的な経営改善のための計画に基づき株式保有をする場合、いわゆる債務の株式化、デット・エクイティー・スワップに伴い株式を保有する場合等を想定してございます。
根來政府特別補佐人 独占禁止法の適用につきましては、内外無差別ということは当然でございます。ただ、非常に技術的な問題でございますが、日本にある外国法人の営業所なり代理人がおるときには送達が可能なんですけれども、ないときには送達ができない、空振りに終わるということがありますので、今回、特に送達の規定の改正について国会でお願いしている次第でございます。
西川(太)委員 終わります。
谷畑委員長 林義郎君。
林(義)委員 独占禁止法、私もこれで四十年ぐらいおつき合いをさせていただいておりまして、いろいろと問題があったと思います。今回の改正は、やはり今考えていかなければならない諸問題を、九年にやりました改正の後をどうするか、こういうところが一つ大きな問題だと思いますが、私は、経済が大変変わってきている、動いてきている、こういうことからいたしますと、いろいろなことを考えていかなくちゃならないんじゃないかなと。
 昨今は、政治家の秘書が口ききをしたと。たくさんの事例が出て、加藤紘一君などは、自分の秘書だった人がやったので議員を辞職するまでの話になった。私は、これはやはり社会的にも大変な大きな問題だと思います。国会で、この前も加藤君と鹿野君とやりましたし、そういったような問題をどうするか。
 実は、私は別のところでやっていますのは、官製談合という話をやっておりまして、与党の方の議員さん方とお話し合いをいたしまして、十二回にわたっていろいろと談合の実態を議論しているんです。談合をするというのは業界の人の話ですよ。それに官が関与する。今度は、政治家ですから政が関与する、こういうふうな形になって談合の実態というものがいろいろな形で出てきているんじゃないかなと、こう思っています。
 しかし、そういったような問題をこれからやはり考えていかなくちゃならない。私は、公正取引委員会が持っているところの競争という政策は、日本の資本主義社会において基本的に考えなくちゃいけない話じゃないかな、こう思います。
 そうした意味で、私は、この辺の問題も含めて総合的にやはり考えていかなくちゃならない事態が出てきたなあと。一つ一つの問題はやはり解決していくことも必要でありますが、プリンシプルとして、口ききであるとか談合であるとかというものは排除していかなくちゃならないというのは私は一つの方向だと思いますが、公正取引委員会の委員長はどういうふうにお考えでありますか。
根來政府特別補佐人 お尋ねいただいて大変恐縮でございますが、独占禁止法第一条の、私的独占、不当な取引制限あるいは不公正な取引方法、これを禁止するということ、それから、今回お願いしておるような事業支配力の過度の集中を防止するということが私どもに課せられた最大の課題でございまして、これを国民の納得のいくように対処していくということが必要でございます。
 そして、ただいま御指摘のありました不当な取引制限に関連して、いわゆる発注者責任が生ずるような事態もあるわけでございます。これは元来、そういうことは想定しにくいのでございますが、日本の特殊な風土といいますか、そういうことが背景になりまして、いわゆる官製談合というようなものがあるわけでございます。
 これに関しましては、独占禁止法自体からどうしてもはみ出すものですから、先生を初め皆様方の御尽力をいただいておるわけでございますが、何とかそういう発注者責任を問うような法律をお願いいたしまして、そして、これは事業者の方の不公平感というのもあるわけでございますし、国民から見ても、発注者が関与して税金のむだ遣いをしているという批判もあるわけでございますから、そういう法律を何とか完成していただいて万全を期していただければ大変ありがたい、こういうふうに考えている次第であります。
林(義)委員 私は、今お話し申し上げましたようなことですが、これは日本の国内であるという話ではない。今、委員長から日本の特別な風土だというふうな話がありましたが、しかしながら、むしろその風土は、国際的に見て改善をしていかなくちゃならない話じゃないか。
 一九九八年の四月に、OECDのハードコアカルテルに対する効果的な措置に関する理事会勧告というのがありまして、ハードコアカルテルは競争法の最も悪質な違反行為である、こういったことをぜひ抑えていかなきゃならぬ、こういうふうな話になっております。国際的にもこれは認められたルールだろうと思います。公正取引委員会の昨年の九月に公表された年次報告、独占禁止白書によりますと、ハードコアカルテルなどカルテル全体を見ても、私はまだまだ厳しく規制していかなくちゃならない。カルテル全体を見ても、平成十二年度一年間における処理件数が二十五件だ、しかも、勧告に至っているのはうち十二件にとどまっている、こんなような数字です。もう少しやはり厳しい姿勢というものをとっていくことが必要じゃないかな、私はこう思っておるところであります。
 そういった点について、たった十二件で済んだのかねえと。また、その中で、せっかく二十五件やったんだけれども、あとは、十二件の残りはおいておいた、こういうふうな話であります。もう少しやはり厳しい態度をとっていかないといかぬのじゃないかな、こういうふうに思っておるところでありますが、お答えいただきたいと思います。
根來政府特別補佐人 お説のとおりでありまして、何らお説に対して反論するつもりはございません。
 ただ、いつも申し上げている愚痴話になるわけでございますが、本当に件数にあらわれているのは十何件ということでございますが、実態は、一件百会社あるいは二百会社という関係者がおるわけでございまして、それに関与する者は、百人、二百人という関与者がおるわけでございます。
 そういうことからいうと、企業数からいうと大変大きな人数になっておるわけでございまして、御承知のように、私もほかの役所から参りましたけれども、公正取引委員会は少ない人員で大変みんな熱心にやっているなという印象を持っているわけでございまして、決して手抜きをしているとか見逃しているとかいう話はないと思うわけでございます。
 ただ、これは評論家的になりますけれども、こういう談合の端緒というのはなかなかとりにくいわけでございまして、これは贈収賄とか税金の問題よりずっと難しい端緒のとり方でありまして、最近は一室に集まって談合するというような古典的な談合がございませんで、意思相通じというような非常にややこしい形になっているわけであります。
 そこで、最近の情報化の時代に伴いまして、いいことか悪いことかは別として、内部告発というのが大変多くなっておるわけでございまして、その内部告発をある意味では頼りにしてやっているところも否定できないわけであります。
 そういうようなことで、私どもも、端緒の把握をどうしていくか、そして、把握した件をどのようにまとめ上げていくか、それから、さらに証拠固めをして、でき得れば告発というふうにするにはどのような証拠固めをするかというのは大変難しい問題でございますけれども、これは検察当局とも意見交換をしまして、検察当局の方も大変関心を持っておることでございますので、将来はもう少しうまい形で結実していくのではないかというふうに期待しているわけでございます。
 繰り返すようでございますが、私どもも全力を振り絞ってやるわけでございますし、関係機関とも十分協議をしてやっていきたい、こういうふうに考えております。
林(義)委員 お気持ちはわかりますが、せっかく公正取引委員会の人員をふやした。私は、普通の人員のふやし方でなくて、今お話があったように、要するに取り調べをしてどうだという話でありますから、やはり法律家の方々とかエコノミストの専門家の方々を外部から登用してくる。そういった形で、役所的な考え方だけでなくて、やはり外部のそういった人を入れて法律的にはっきりやれるような体制をつくっていったらいいんじゃないかな、これは公正取引委員会の方にお願いをしておきたい、こう思っておるところです。
 それから、制度面で見ますと、アメリカでは刑事罰、欧州委員会では制裁金をそれぞれの制裁の手段としてとっていますが、我が国は刑事罰と課徴金とを併用し得る制度となっています。こうした中で、カルテルの摘発によって積極的に進めていくことになれば、両者の関係が具体的に事案において問題となることがだんだんとふえてくるんじゃないか。どちらをとるか、この場合になぜこちらをとるんだ、こういうふうな話。それから、先ほどお話し申し上げました、警告でとどめる、こういうふうな話もありますから、そういったような観点をやっていったらどうかなと。
 今回の改正では刑事罰の上限額の引き上げのみを実施しようとしていますが、私は、全体として規制を強化していくという形でいろいろなことをやはり考えていかなくちゃならない。今回は、私はこの刑事罰のなにをやるということについて反対するものではありませんが、あり方として、これからどういうふうにそれをやっていくのか。
 例えば、日本で警告を受けているような事件がある、国外の何とかというような事件があります。同じ事件が、日本では単なる警告である、勧告である。アメリカではちゃんとした罰金を取られている。ヨーロッパでも同じような事件が、同じ人に対して、同じ業者に対して制裁金を取られている。
 そういったような形でいいますと、さっき申し上げましたようなカルテルの国際的な考え方からすると、日本は何かカルテルについて非常にあいまいではないか、やり方が甘いんじゃないかという御批判を受けるんじゃないかな、私はこう思っておりますので、やはりその辺をこれから整理していただくことが必要じゃないかと思います。
 委員長のお考えをお聞きしたいと思います。
根來政府特別補佐人 最初のお尋ねでございますけれども、私どもの方も、要するに役所の中の論理で物事を進めるということについてはいろいろ問題がございますので、例えば弁護士の資格を有する者、あるいは経済、知的財産権の専門家、そういう者を、最近の法改正に従いまして数名、職員として迎え入れているわけであります。これは、将来積極的にもう少し外部の方の任用ということを考えていきたいというふうに思っております。
 それから、いろいろの手段でございますけれども、これは御承知のように、私が申し上げるのもおこがましいことでございますけれども、独占禁止法は責任を追及する法律になっていないところがあると思うわけであります。要するに、違法行為がありましたらそれをなくしてもらう、あるいは将来それが起こらないようにやっていくということでございまして、責任追及という形になっていないものですから、その辺、大きな問題があるわけであります。
 一般の方々はやはり、公正取引委員会しっかりしろ、独占禁止法をもっと活用しろ、こういうふうに言われるわけですけれども、責任追及型になっていないところが一番問題であろうかと思うわけであります。
 これについては、まあいろいろ御意見があろうと思いますので、法律体系を責任追及型法律に変えていく、それには、いろいろ御指摘にあります犯則手続を導入するとかあるいは制裁金を入れていくとか、あるいは、もう極端なことを言えば、専属告発を取っ払ってしまうとか、そういういろいろのお考えがあると思いますけれども、これも有識者あるいは国会の御意見を聞いて、将来、それは遠くない将来に改善を、改正をしていかねばならないというふうに考えておるところでございます。
林(義)委員 もう一つ私は問題があると思いますのは、欧州で制裁金を、アメリカで刑事罰を科すような事件でありましても、我が国では警告にとどまっています。こうしたような問題をどういうふうにこれからやっていくのか。
 例えば、同じ事件が、日本で商売をしてやったら警告だ、アメリカへ行ったら罰金だ、ヨーロッパへ行って同じような商売をやったら、これは課徴金だ、そうすると、商売している人からするとおかしなことになってくる。特にヨーロッパの企業が日本に入ってきてやるような話になったら、簡単にできるから、これは日本は楽だなという話になってくる。私は、国際的に、こういったようなルールというのはやはり一緒にしておいた方がいいんじゃないかな、こう思います。そういったようなことで、これからどういうふうにしていくのかというのを考えていかなくちゃならない、こう思います。
 もう時間もありませんから、さらに私はもう一つ申し上げておきますが、一般集中規制そのものについても、一体どうするのかというのは私はさらに考えていかなくちゃならない。今回は、この前、九年に改正しましたときにできた規制を若干残してあります。
 大体、九条の規制というのは、私はそのとき言っていたんですが、憲法九条の改正と独禁法の九条の改正と同じことだと。九条の改正はというような意見があった。しかし、その九条に、持ち株会社を設立してはならないという規定は、戦後の時代におきまして、財閥の解体を図っていこうと。アメリカの方から言われて、財閥の解体を図っていくという意味においてこの持ち株会社の設立を禁止する、こういうふうな格好でできた話。そこを、経済の規模が大きな形、あるいは集中がひどいという形で、この点だけ押さえればよろしいという形で九年のときにやったわけです。しかし、果たしてそれが今いいかどうかというような問題も私はあると思います。
 これは基本問題でありますから、今回はその辺の関係を若干修正しておられますけれども、私はこの辺の問題を、大きく経済が変わってきた、そういったことからもう一遍考え直していかなくちゃならない。
 特にアジアの関係で、非常な経済的な交流が進んできている。ヨーロッパで通貨圏が、EUで通貨圏が一つになっている。アジアでもいろいろな自由貿易地帯とか云々な話が出てきている。昨今は、シンガポールで自由貿易地帯をつくっていきましょうと、こういうふうな話です。
 今度は、中国とやはり日本が貿易をしていくときに、中国は中国だ、日本は日本だという話でなくなってくるだろうと思うんです、隣国との間に。そうしたときに、一体中国の方をどうするかということを考えていかなくちゃいけない。
 中国は、かつては社会主義の国であった。したがって、みんな国営企業でやっておったんです。そうではなくて自由企業が随分ふえてきている。しかも中国でも、社会主義の国でありましたものが、今や独占禁止法をつくっていこう、そういった形で日本にも勉強に来たりヨーロッパにも勉強に行ったりしているわけです。
 そういった自由競争の体制をアジアにもつくっていく、こういうふうな話になったときに、一体この辺をどういうふうに考えていったらいいのかと。これからのやはり考え方を私はやっていかなくちゃならぬ。
 今すぐに系列を外すことはないというふうな形に今なっています。私は、原案としてはそれだと思いますが、この辺は将来の問題として考えていかなくちゃならない。公正取引委員会としてこの系列の問題を外しちゃったら、公正取引委員会の存続が問われるんじゃないか、こういうふうな心配もあるかもしれませんよ。しかし私は、その心配よりは、経済の実態、日本の経済の国際化にあって、必要なところの規制はやっていかなくちゃならないが、そうじゃないところの規制はやはり考えていくという姿勢をとるべきだろうと私は思っております。
 実は、ここでずっとお話を聞いておりまして、この前の委員会、きょうの委員会、私は皆さん方の御意見を聞いておりますと、これは我が党だけではない、民主党も含めてほかの党にもそういう考え方の方々がいる。むしろ政府対我々、こういうふうな話ではなくて、議員の中でいろいろ議論し合って、こうしたらどうだというような話にしちゃった方が私は物事が進むんじゃないかなぐらいに思っておる。私は、聞きましてそういうふうな感じを持ったところであります。
 まあ、きょうはそういうことでありますが、せっかく政府から出してきた案でありますからこれを修正するとかなんとかというような話はしませんが、私は、問題点は確かにある、こういうふうに思いますので、一体、公正取引委員会はこの辺についてどういう問題意識を持っておられるのか聞かせていただきたいと思います。
 私の質問時間は終わりましたので、残念ですが、これで終わらせていただきます。
根來政府特別補佐人 具体的事件で欧州とアメリカと日本の取り扱いが違うということでございますが、これは細かく言うといろいろ、時間もとる話でございますが、事案とかその実施した場所とか、そういうことは違うわけでございまして、必ずしも事案自体は一緒ではないということを御理解いただきたいと思います。
 それから、最後に触れられました中国等との国際的な問題でございますが、確かに中国は今独占禁止法をつくっております。実際私どもの方にももう五回も十回も、年に一カ月ぐらい、研修といいますか勉強に来られている方がたくさんおるわけでございますから、意見交換については十分やっているという認識でおるわけでございます。
 それから、法律全体の話でございますが、これは私の個人的な考えですけれども、御承知のように昭和二十二年に法律ができて、その基本は現在も変わっていないわけでございますから、そういう意味では、その時代時代に合わせて、言うなれば継ぎはぎで改正をお願いしてきたわけでございますから、ある時期には、大改正といいますか、根本的に考え直さなければならないという時代は当然来ますし、あるいはもう来ているかもわかりません。
 そういうことについては大きなエネルギーが要るものですから、まだなかなか、私どもの役所では日々の仕事に追われてそこまでいっていないわけでございますが、おっしゃるようなことについて私どもは全く否定する気持ちもありませんし、そういう役所の権限についてどうだということは全く考えておりませんので、今後とも御指導をお願いしたい、こういうふうに思っております。
    〔委員長退席、伊藤(達)委員長代理着席〕
林(義)委員 終わります。
    ―――――――――――――
伊藤(達)委員長代理 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、政府参考人として中小企業庁次長小脇一朗君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤(達)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
伊藤(達)委員長代理 山田敏雅君。
山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。
 きょうは、時間をいただきまして、公取の方に二つのことをお伺いしたいと思います。一つは、先ほどから議論がございます公共事業の談合の問題、もう一つは、中小企業に対する金融機関の優越的な地位を利用した取引、この二点についてお伺いしたいと思います。
 まず最初に、談合の件なんですが、先ほど委員長から御説明がありました。大変難しいと。談合はほとんどもう巧妙になって、これを摘発するのは難しい、唯一できるとすれば内部告発じゃないかな、こういう御説明がございました。
 この内部告発、新潟県の刈羽村というところに電源三法交付金の公共事業がございまして、これはもう一年半、私はやっているんですけれども、この中に内部告発がございました。これは大成建設に入札が決まったんですが、ある大手の入札にかかわる方がたまたま前の日に村を訪ねられて、その方のあるお知り合いの方が、親戚に近い方で、つい漏らして、入札は来たけれどももう既に大成に決まっているんだ、こういうようなお話がございました。
 この件は新聞にかなり大々的に出ましたので、この件について、これに基づいて談合を調査するというのは非常に難しいと思うんですが、ちょっと委員長にお伺いしたいのは、このようなケースの場合、公取としてはどういうふうに調査を進めていかれるのか、お答えいただけますでしょうか。
根來政府特別補佐人 私どもの立場から申しますと、具体的な案件についてどういうふうにするか申し上げると非常に不適切だと思いますので、一般的に申しますと、要するに、私どもも、先ほど若干誤解を与えたかもわかりませんけれども、内部告発がなければできないというような話じゃなくて、内部告発があれば非常に有力になるということでございますので、その辺お許しいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 内部告発なり事件の申告がございましたら、その申告に基づいて審査局の方で種々その周りを調査いたしまして、そしてこれは、そういう申告あるいは内部告発どおりの談合的なことがあるという感触を得ましたときには、四十六条の立入検査ということをして、まず、物証といいますか関係書類の提出を命じる、あるいは関係者の供述を得るという形で進んでいくものでございます。そこまで来れば、まあ勝負は大体ついているというとおかしいですけれども、五〇%ぐらいは勝負はできているわけでございますが、そこまで行くまでに大変難しい問題があるということでございます。
山田(敏)委員 先日来議論がございますけれども、公取の審査をされる方は約三百名ということでございます。このケースでも、十社ということはなくて、大体二十社とか三十社が対象になると思うんですけれども、全部で三百人、仮に二十社へ行くと、公取はいろんな仕事を抱えていらっしゃって、ちょっと事実上、効果的なこういう談合の取り締まりというのはできないんじゃないかというふうに思うんですが、それはいかがでしょうか。
根來政府特別補佐人 確かに人員の制約があるわけでありまして、今から十数年前までは、談合というのは余りみんなの関心がなかったというとおしかりを受けますけれども、関心がなかったわけでございますが、規制緩和ということが急激に進みますと、やはり談合というのはけしからぬという話が、一般的にそういうふうに観念されてきたと思うんです。そういうことからいって人員が不足であるということは、これは申し上げていいと思うわけです。私は、人員は不足であるけれども、一人が二人ぐらいの仕事をやるつもりで事務当局にお願いしているわけでございますので、これという事件については、もう三百人といわず、ほかの係の者も動員いたしまして適正に対処することと思っております。
    〔伊藤(達)委員長代理退席、委員長着席〕
山田(敏)委員 刈羽村の生涯学習センター、ラピカの建設、それから運動公園を建設したんですけれども、この件は非常に詐欺的な工事が行われまして、世間あるいは住民の方は非常に強い関心を今日まで持っております。
 先ほど、談合があったのではないかという情況証拠的な数字がいろいろございます。例えば、備品の購入が九九・九九%というので決まっている。これは図書館の備品でございますけれども、納められた方が、備品を扱う方じゃなくて弁当屋さんだった。しかも、スチールのパイプいす、これが一個六万円、一メートルの丸テーブルが十一万円、図書館の四人がけの机が百万円とか、それが九九・九九%の購入ということで、非常にこれは、情況証拠的に極めておかしい。
 これは、備品だけじゃなくて、この工事そのものが、実は始めるときに、総合コンサルタントが周りの類似した施設を全部調べまして、適正な基準価格は平方メートル当たり三十五万円ですという結論を出して始まったのです。ところが、これは延べ面積が約八千平方メートル、三十五万円にしますと二十八億円になるのですが、この入札工事費は四十七億円で決まりました。差額は約二十億円になります。
 経済産業省にきょう来ていただいているのですけれども、この交付金の申請書類が、あるいは単価がかなり最初から異常なものであったということがあります。これは、詳しく言いますと時間がございませんので簡単に申し上げますけれども。
 あと、運動公園、これは写真を持ってきておりますが、私も現場に行って見てまいりましたけれども、本当にびっくりするような件がたくさんございました。
 ちょっと遠くであれなんですけれども、例えば、コートの真ん中にひび割れが入っている。ゲートボール場は雨が降ると水たまりができる。もちろん地盤沈下とか、もっとひどいのは、これをつくったときの埋め立て、これは、この下が産業廃棄物ですから、土を一メートルぐらい埋め立てて運動場をつくるということなんですが、もう表面に産業廃棄物がたくさん出てきまして、これはコンクリートの塊、産業廃棄物ですね。これは表面をちょっとさわっただけでこんなに出てきました。これでも取り切れなくて、取った後、まだ表面に産業廃棄物が出ている。あるいは基礎工事がずさんであるためにこの前が沈下している。こういう、およそ三百カ所ぐらい非常におかしなことが起こりました。
 そこで、ちょっと経済産業省にお伺いいたします。
 このラピカの本体と別に、約二十億円で源土運動公園、今写真でお見せしました。ちょっと常識では考えられない工事が行われたわけですけれども、これについて一切調査、検査、そのたぐいのものは行われていないように思うのですが、副大臣、いかがでしょうか。
迎政府参考人 お答えいたします。
 刈羽村の生涯学習センター、ラピカにつきましては、補助金の適正な執行上、問題を生じたということは大変遺憾なことだと思っております。
 それで、私ども、この問題が起こりましてから、生涯学習センター本体あるいは陶芸館、茶道館等の建設工事については各種調査等を行いまして、昨年末、会計検査院の御指摘も踏まえた上で、最終的な結論として補助金の返還という手続をとったところでございます。
 それから、ただいま源土運動広場についての御指摘がございましたけれども、これは村に対する交付金の適正執行というふうなことで、私どもが調査をした対象には含まれておらなかったわけでございます。
 これは、県を通じて村に交付をした事業ということでございまして、私ども、直接調査はいたさなかったわけでございますけれども、会計検査院が、ラピカの本体と同時に、この運動公園、源土運動広場の交付事業についての会計検査を実施しておりまして、そこの中では、先生御指摘の産業廃棄物の混入につきましては、多目的広場全体の施工が不適切であるとまでは認められない。ただし、こういった混入が広範囲に及んでいるとすれば、その利用に支障が生じるおそれもあるのではないか、こういうふうな御指摘を得ております。
 それから、地盤の沈下につきましては、地盤の沈下の予測を正確に行うことが技術的に難しいというふうなことを考慮すると、現状ではやむを得ないという検査院の認定をいただいておるところでございます。
 したがいまして、工事が不適切というふうな、あるいはそれに係る補助金を返還すべきである、こういう御指摘は受けなかったわけですけれども、実際にその利用に支障が生じるということではまずいわけでございまして、これは、当事者の村等で埋め戻しをするとか、そういったことを実際に行って、利用に支障が生じないように適正な埋め戻しをするとか表面を直すとか、そういったことで対処をしておる、こういうふうなことでございます。
山田(敏)委員 会計検査院の調査を私も見ましたけれども、今、会計検査院が調査したからこれは大丈夫だというような御答弁だったのですが、私も現場に行きました。ちょっと雨が降ると水浸しになります。とても運動場として使えるようなものじゃありませんし、ゲートボール場なんか傾いていますから、これは基礎から非常に不正が行われた。その周りに芝生が生えているんですが、そこにいろいろなプラスチックとか産業廃棄物がむき出しになっている。これで適正な工事が行われたということは、この会計検査院及び経済産業省の検査そのものが適正ではないということではないでしょうか。
 去年、古屋副大臣にお願いしまして、このラピカの最終検査、通産省の検査を行って、八十億相当のお金が払われたわけですけれども、四回にわたって検査されている。これはもう御存じだと思うんですが、茶室とか今の備品とか、非常に詐欺的な工事がたくさんあるんですけれども、これについて一件も発見できなかった。すべて問題ありませんということで、全額支払われたわけです。そもそも、単価が異常に高いということについても言及がなかった。
 そこで、副大臣にお願いして、その検査をされた四名の方がわかりますので、もう一度、どういう検査をしたのかということをお願いしました。副大臣は課長補佐の方に言われて、この検査結果をいただきました。その担当官が、どういうふうに見たんですかと。例えば、御存じのように、茶室の十三万円の畳が数千円の畳だった。数万円のかわらが、三百円のかわらが入っている。総御影石の数百万円の庭石が、何でもないただの石が置いてある。あるいは総ヒノキづくりの室内が、それが全部合板で、厚さ三ミリで張ってある。こういう、もう市民でもわかるようなことがたくさん、今、私は図書館の備品も申し上げましたけれども。
 そこで、四回にわたって延べ九名の方が最終検査をして、確定検査をして、問題ありませんということですので、一応このヒアリングをされた結果がございます。これを見ますと、何を見たんですか、どういうふうにやったんですかと。これははっきりお答えにならないんですね。例えば、ざっと見て、何もなければ大丈夫と判断しました。じゃ、現場を見たんですかと。いや、図面を見るのが忙しくて現場は見ていません、たしか五時ごろ終わったから六時ぐらいに行ったと。すなわち、六時、七時というのはもう日が暮れていますから、一時間しか現場を見ていない。朝行けばいいんですね。そういうことが延々と続いているわけです。
 それで、一体全体、現場で何をしたんですかと言うと、巻尺を持って長さをはかった、これを一カ所二カ所やりました、プールの長さをはかったとか。余りにもやり方が幼稚過ぎちゃって、とても八十億円の国費を使う立場の役所の態度ではない、こう思います。
 これについて、副大臣、覚えていらっしゃると思うんですけれども、こういう結果が出ましたので、ちょっとコメントをお願いいたします。
古屋副大臣 昨年の委員会のときだったと思いますけれども、委員から御指摘を受けまして、私も事務方に対して、精査をするようにという指示をさせていただきました。その結果、最終的に私どもが認知をいたしましたのは、二億六千万円相当が不当であるということを確認しました。例えば、施工部分については約六千六百万円、茶道館関係については約七千七百万円、茶道館以外でも一億二千万円の不適切な部分があったということで、私どもは、これについて厳正な対処をさせていただいたわけでございます。
 こういう事件が起きてしまったということでございますので、私どもは今後、その再発をいかに防止していくかというところに我々の責務があるというふうに考えておりまして、その再発防止策につきましても、もう委員御承知のように、幾つもの項目を並べまして、それをしっかり実行できるような体制をつくっております。
 検査マニュアルを作成していくとか、あるいは担当職員の能力を向上させていくということも必要でございますので、説明会を機会あるごとにやったり、あるいはテレビ会議等々通じて対応したりとか、あるいは検査に関しまして知見を有する皆さん、専門家の皆さんをさらに活用していく、こういうようなことをやって私どもとしては再発防止に努めていく、これが、一番我々としての責務だというふうに考えております。
山田(敏)委員 今おっしゃったことは、三月の検査でおやりになったということでよろしいんですか。
古屋副大臣 今、そういう形で私どもはさせていただいております。
山田(敏)委員 国は、原子力行政、非常にエネルギー問題の根本にかかわる問題を持っております。この刈羽村は、住民投票が行われまして、プルサーマルの住民投票の結果、否決をしたわけです。その刈羽村の住民の方が私の部屋に来られました。どうして反対するんですかということをお聞きいたしました。結局、不安だと。どうしてプルサーマルが不安なんですかと。情報公開が本当に正しく行われているという気がしない、こういうことなんですね。
 そうすると、経済産業省のエネルギー政策として非常に重要な課題は、住民の方がこんなびっくりするような工事をしたことに対して、今後、経済産業省が、だれにもわかるように、なるほどこうだという形で決着をつけないといけないと思うんですね。先ほどおっしゃった、二億六千万の返還をしたからこれでいいんだ、こういうことなんですが、実はそうじゃない。
 ここに資料がございますけれども、もともとこの工事は竣工図面がないんです。竣工した、完成した、どこに材料を使ったか、何があるかという、これは紛失しているんです。後でつくった。もっと大事なことは、入札したときの設計図面がないんです。四十七億で、何をどんな単価でやったかという図面が紛失しているんです。この竣工と入札の図面がない状況で、今二億六千万の差額が出ました、これで会計検査院の検査もやりましたと、こういうことなんですね。後から大成建設と相談して竣工図面をつくった、でき上がったものを見て。それから、後から入札のときの図面をつくった、こういうことなんですよね。
 もうそのこと自体、これは抜本的に一から、経済産業省は、今の基本単価に基づいて、これは平均的に全部で三十五万だ、約二十億円ぐらいがどこか行っちゃったわけですけれども、運動公園を合わせると三十億円近いお金がどこかへ行ってしまった、こういう観点をもっとやっていただきたいと思うんですね。
 今の入札、それから竣工図面、後でつくったものなんですけれども、それに基づいて調査をされて二億六千万。この図面が、その積算が今正しいということなんですけれども、これは、住民の方たちが、この膨大な資料を大変な時間をかけて、一つ一つ単価と金額を全部チェックされまして、この間違いの箇所の一覧表を私に届けてこられました。
 これは大変な間違いがたくさんございます。単価の間違い、集計そのものの間違い、それから掛け算をするときに一けたわざと間違っていたり、帳じりを合わせたものなんですね。要するに、交付金を申請したときの金額より設計図の金額は低いということをつくるためにこの積算数をやっている。
 これを全部やり直して、この図面だけをやり直してみたら、その反対になっちゃったんですね。交付金申請より設計図の方が単価が高くなる。どういうことかというと、今資源エネルギー庁、答弁なさいましたけれども、会計検査院がやったからという、会計検査院はもちろんこれに基づいてやっているわけですけれども、ということにはならないと思うんですね。
 副大臣、もう一回この件を、今のエネルギー行政は非常に私は大事だと思うんですけれども、住民の方が納得できる形でもう一回抜本的な検査が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
古屋副大臣 具体的な事実関係については事務方の方から再確認の答弁をさせますけれども、基本的に私ども、この事件が起きまして、まず、私どもが基本としてしっかりとして実行していかなきゃいけないことは、まず内容を明らかにさせること、それからもう一つ、やはりこういうことが二度と起きないように体制を組むこと、これは私は重要だと思う。特に、やはり信頼を回復するという意味からは、今後こういうことが二度と起こらないようにする、そのために私も、今申し上げましたように再発防止策も対応させていただきました。
 一方では、こういった施設をつくるときに、やはり基本計画からしっかり内容を吟味した上で、そして交付金の交付要綱に基づいて、それに従って、いろいろ批判を受けないように、例えば華美な施設にし過ぎないとか、こういったことも含めて対応していくことが一番重要だと思っておりまして、私どもはそういう視点に立って対応してまいりたい。また、事務方にもそういった趣旨の指示を徹底させていただいております。
 また、事実関係につきましては事務方の方から答弁をさせます。
迎政府参考人 当省で調査をいたしました際に、やはりこういった事業が適正に行われているかどうかをチェックする上において、当初の設計というものがどうなっているかというふうなことが大変重要になるわけでございますけれども、御指摘のように、計算ミスとか誤記とか、こういったものがあった。こういったものはできるだけ訂正をいたし、適正なものに復元をする、あるいは図面等現在存在しなくなっているものにつきましても復元をするというふうなことをできるだけ行いまして、これをもとに、当初設計の、交付申請時の設計の内容と実際の工事内容、金額を精査した上で評価を行ったものでございます。
 私どもとしては、当然、補助金執行をする立場ということでございますので、会計検査院にすべて投げる、こういうふうなことではなくて、私どもとしてできる限りのきちっとした調査を行ったというふうに考えておるところでございます。
 なお、検査院の方でさらに精査をそれについてされまして、例えば施工管理についての考え方、私どもは、工事の不適正な部分に相当した施工管理の金額の返還ではないかというふうなことを考えたわけでございますけれども、そもそも、その施工管理にかかわる交付金については全額返還すべきというふうな検査院の方の、私どもと異なる見解等がございました。
 こういったものを踏まえて最終的な結論を出したということでございまして、そういう意味において、私どもとしてもできる限りの調査を行い、なおかつ、検査院の指摘も踏まえた上で適切な補助金の処理を行ったというふうに考えておる次第でございます。
 なお、その再発防止について力を入れていかなければならないということは、ただいま副大臣が申し上げたとおり、私どもとしても、これはきちっとやっていかなければならない、こういうふうに思っております。
山田(敏)委員 今のお話も、去年のお話と一緒なんですけれども。
 まず、二つ確認したいんですが、一つは、計算が違っているという書類がそちらへ行っていますか。これをお認めになりますか、どうですか。
迎政府参考人 ただいま御指摘の点については、私どもでも入手をしております。事実関係として、誤記、計算ミスというものがあるということを認識した上で、これについての処理を調査という形でお出しをした、こういうふうなことでございます。
山田(敏)委員 ちょっと今のは意味不明なんですけれども、これは認識した、これは正しい、だけれども、これは考慮に入れなかったと。ちょっと意味不明なんですけれども、もう一回答弁していただけますか。
迎政府参考人 これは過去においてつくられた積算等、ちょっとこの書類というのについて計算違いとかがあるというふうなことでございまして、そういったものを織り込んだ上で、我々は交付金の額の適不適というのを調査して判断したということでございます。
山田(敏)委員 部長、それは事実認識の誤りです。これは補助金申請が終わったその後で出てきたものなんです。これを踏まえてやったわけじゃないんです。これは後から出てきたんです。事実じゃないですよ。
迎政府参考人 おっしゃるとおり、補助金申請の後の書類であることは確かでございます。ただ、我々が昨年来、交付金の適正な額はどうかというのを調べる際に、こういったものが存在をして、こういったものを踏まえ、誤っているものを訂正して、その復元をした上で交付金の額の適不適を私どもで判断をしたということでございます。
山田(敏)委員 時間がかかりますので、部長、もう一回しっかり勉強して出てきてください。交付金の返還請求をした、それは、この間違いの書類に基づいてやってあるんです。その申請をした後にこれが出てきたんです。もう一回、ちょっとよく事実を勉強して、後で書類で届けていただきたい。
 私の質問は、これを認めるかどうかということが一点。もしこれを認めるのであれば、今まで会計検査院及び通産省がやったデータそのものが非常にあいまいな、いいかげんな、ずさんなものであったということだと思うので、もう一度、私が副大臣にお伺いしたいのは、最初の原点に戻って、今言いましたように、これはもともと図面が存在しないんですね。入札の図面がない、竣工の図面がない、どこがどうなっているのかわかりようがないものを調査したとおっしゃっているんですね。
 それならば、最初の原点に戻って、周辺の基準価格を出して、平米三十五万ですね、これに基づいてやるべきであれば、住民の方々も納税者も納得ができるというふうに思うんですけれども、それを検討していただけますでしょうか。
古屋副大臣 今、その点につきましては迎部長から答弁をさせていただきましたけれども、再度事務的に確認をした上で委員に御報告をさせていただきたいと思います。
山田(敏)委員 ありがとうございました。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 次に、中小企業に対する金融機関の優位的地位を利用した取引についてお伺いいたします。
 平成十三年の七月に公正取引委員会がアンケートをいたしました。結果はここにございます。これを見ると、こういうアンケートに基づいて、金融機関に対して独占禁止法上の問題となる行為を文書で知らせた、したがって、金融機関の優位的な地位を利用してやった独禁法違反のものはもうないんだ、問題ないんだ、こういうような御説明でございました。
 しかし、このアンケートは非常に時間のむだというか、やっても意味のないことをおやりになった。一つは、今、金融機関が一番優位的な地位を利用して取引をしているのは、中小企業を相手にやっているんです。大企業相手にはこういうことはないんです、ほとんど。このアンケートの中には、このアンケートにお答えになった方は、三八%しか中小企業の人は入っていないんです。日本の全国で九九・七%。しかも質問事項は、公取が最初からつくったもので、本当に今、中小企業の方が銀行の約定書によって非常に不当な取引を強いられているという現状が何も出てきてない、こういうふうに思います。これについてコメントしていただけますでしょうか。
楢崎政府参考人 お答えいたします。
 公正取引委員会では、最近の金融取引の実態の変化を踏まえて、どういうふうな取引が行われているかという実態、主として融資を受ける企業の側から、アンケート調査によりまして不公正な取引方法の観点から調査をしたものでございます。
 先生御指摘のように、五千社に対して調査をしたわけでございますけれども、アンケートの送付先の分布は、大企業が二二%、それから中堅企業が三八%、中小企業が三九%、約四〇%、こういった形で、大企業であると中小企業であるとを問わず、無作為に抽出をしてアンケートをやったわけでございます。
 そして、主として不公正取引の観点からといったことでございまして、融資に係る取引条件の設定にかかわる設問、それから、金融機関が商品、サービスを提供しているわけですけれども、それ以外、融資以外の商品等の押しつけ販売等があるかないかといった観点から調査したものでございまして、我々の調査によりますと、金融機関がさまざまな要請をして、融資先企業としてはそれを受け入れざるを得ないような状況がかなり認められたという実態結果を取りまとめたところでございます。
山田(敏)委員 このアンケートをやるとき、一回現場をしっかり歩いてアンケートの項目をつくっていただかないと、質問した以外答えられないんですから。
 今、中小企業の問題、非常に大きな倒産がふえております。金融機関は個人保証をやります。その中で、本来必要でないものについても連帯保証をとる、あるいは第三者保証をとる。これは中小企業で日常的に行われております。この中小企業が、連帯保証はお断りします、第三者保証はお断りしますと言ったら、融資はできないんですよ。このようなことは、優越的な地位を利用して必要以上にそういうことをやったために、どんなことが起こっているか。
 今、倒産が非常にふえておりますけれども、御存じのように、個人保証をやると身ぐるみ全部はがされる、日本の法律は今。自由財産ありません。二十一万しか残らない。次の日から生きていくことができない。それがたまたま連帯保証をしたとか、そういうことが起こっているんですね。
 今、大体一万五千人の方が、この経済的な理由によってみずから命を絶たれている。私は先日地元に行きましたら、心不全で亡くなったという経営者の方がいらっしゃいます。しかし、よく聞いてみると、これは自殺なさったというようなこともございまして、数としては社会的に非常に深刻な問題を今提起していると思います。
 この個人保証について、優越的な地位、この質問の中に入っていないんですよ、それが。一問もないんです。まだほかにもたくさんありますね。例えば、保証を要求するときに説明しない。根保証、額を決めないで保証する。これについて、される方について、まずとりあえずは、こういうことですよという説明をしなきゃいけない。説明なしにやる。やらなかったら貸さないんだから、どっちみち同じことですよね。そういうことがこれは全然入っていないんですよ。それについてどう思われますか。委員長、いかがですか。
根來政府特別補佐人 お尋ねのような問題について公式にお答えはなかなかしにくいのであります。というのは、そういう社会状態を私どもが認めているわけでは絶対にないわけでございまして、それは断じて許されない話だ、こういう前提でございますが、ただ、独占禁止法の問題から少し離れている問題ではないかと。
 要するに、独占禁止法というのは、継続的な取引がございまして、その取引条件をバックにしまして、そして不公正な取引方法に及ぶというところに独占禁止法違反ということがあるわけでございまして、ただ、契約の際に個人保証を求める、あるいは連帯保証を求める、それだけでは、私どもの狭い間口からいうと違反にならないということしか言えないわけで、そういう意味で私は、大変答えにくい問題だということを申し上げたわけでございます。
 やはり継続的な取引とか、何か継続的な問題、よく国会でも問題がございましたけれども、貸し渋りという問題がございます。貸し渋りも、それは中には独占禁止法違反というのもあり得るわけでございますが、単なる貸し渋りは、やはり優越的地位の乱用にはちょっと当たりにくいということがございます。
 そういう御質問の御趣旨は、気持ちとして大変よくわかるわけでございますし、私個人として、それが結構なことだということは決して申し上げるつもりございませんけれども、法律の執行という立場からいうと少し問題が内包しているんじゃないか。
 ただ、それも、事案によってはそれはあり得る事例もあると思いますが、そこは詳細に検討しないと何とも申し上げかねるところであります。
山田(敏)委員 委員長、まさに詳細に検討していただかないといけないんですね。
 中小企業は、お金を借りるときは約定書というのがあるんですよ。そこに書いてあるんです。これはまさに継続的な取引なんですよ。不特定多数の人に――約定書というのは印刷してありますから。その中に、ひどいケースは、相手方に渡した約定書を金融機関が自分で持っている、相手にはわからないと。これをよく読むと、非常に不公平な取引が書いてあります。例えば、担保はいつでも追加担保やりますよとか、保証人の追加はできますよ、金利はいつでも私が言ったとおり変えますよと、そういうことが書いてあります。
 これはまさに、今委員長がおっしゃった、詳細によく検討していただいて、改めまして、このアンケート調査に何もその問題が、大企業は個人保証ないんですよ。大企業の経営者は、幾らお金を借りても個人保証ないんです。中小企業の経営者は、銀行からお金を借りたときに保証。その大企業をアンケート調査してやって、本当の問題はそこにはないんですよね。この辺をいかがお考えですか、委員長。
根來政府特別補佐人 そのアンケートのやり方が問題だとおっしゃれば、検討を再検討するにはやぶさかではございませんけれども、その時点ではやはりいろいろの私どもの関心事をアンケートという形で調べたものですから、それは他の人が見れば、ここが落ちている、あそこが落ちているということは当然あり得ると思うわけでございますので、再検討が必要だとおっしゃれば、それについて再検討することについてやぶさかではございませんが。
山田(敏)委員 経済産業省にお伺いするんですが、この個人保証の問題は、今、平沼プラン、新しい会社をどんどんつくっていこうという点で非常に大きな問題になっております。
 新しく創業するという場合は二つあるわけですね。一つはお金がある、それからやる気がある、この二つがあれば新しい会社が創造できるんですが、今、日本の場合は、創業する方のほとんどは銀行から借り入れをする。アメリカのようにエンゼルあるいはベンチャーキャピタルが数兆円あるという状況ではございません。
 もう一つ、やってみようかというやる気を起こす。これは主に成功体験、失敗体験を見ればわかるわけですね。アメリカの場合は、私もハーバード大学の先生にこの間お会いしましたけれども、自分の隣の部屋の人が特許で上場して数十億円の利益を上げた。隣の部屋の人ですね。隣のあのばかができるんだったら、私だったらもちろんできる、これで、その方も創業を始めて、やった。
 アメリカの場合は、個人保証ありますけれども、自由財産、もし倒産したときに一年間生きていけるお金を残すと。だから、アメリカのベンチャーキャピタリストは、倒産したら次の日から新しい会社をつくってやればいいじゃないか、こういうふうに言いました。
 私が、サンフランシスコでシンポジウムをやったときに、日本では、非常に優秀な企業の経営者でも、今、連鎖倒産ありますね。取引先がたまたま倒産して、企業自体は立派にされているんですけれども、融資を受けなきゃいけない、そうすると担保不足、それで銀行は断る、そうすると倒産。個人保証がありますから、優秀な方も、みずからの命を絶って保険金で家族の生活費を出さないと次の日から生きていけない。こういうのがあるんですよと言いましたら、アメリカのベンチャーキャピタルの方は、そんな不思議な、そんなこの世のものとも思えない、そんなことがあるんですか、倒産したら次の日から新しい会社をつくってやればいいじゃないかと。これを経済産業省はどういうふうにお考えになりますでしょうか、副大臣。
古屋副大臣 確かに日本は、個人保証を中小企業はとっております。それによって、今委員の言うように、余り言葉は適切かどうかわかりませんが、身ぐるみはがされてしまう、そういうリスクがあると、今廃業が創業を上回っている中で、本当に能力があって、なおかつやる気もある、こういう人たちが、余りのリスクの大きさにやはりちゅうちょしてしまうということがあると思います。
 したがいまして、この個人保証をどうするかという問題につきましては、今幾つかのいろいろな場面で検討されている。例えば、きのうも委員、総務委員会で御質問されて、私も議事録を拝見させていただきましたが、破産倒産法制、今度法務省の方で検討されております。私どもも、やはり中小企業者の実態というのはよくわかってもらわなきゃいけないものですから、その研究会に実際に中小企業者もメンバーに入ってそこで意見を表明してもらっていますし、また、我々中小企業庁からも行って、これはしっかりやる。
 もう一方では、これはもう平沼大臣が何度も言っておりますように、また、私どもも昨年の臨時国会でまとめましたように、やる気と能力のある人に対しては、例えば創業するときには無担保無保証、個人保証なし、これでスタートさせようじゃないかということで、現実に今、四月時点で既に三百四十一件の実績が出てきておりまして、これも徐々にそういう姿になってきております。
 それからもう一つは、事業内容を担保にして融資をしていく制度、そして、それにはどういうリスクがあるのかということをやはりしっかり分析をしていかないといけない。我々、クレジット・リスク・データベースをつくりまして、信用協会あるいは政府系金融機関がそれを推進しておりますけれども、やはり民間の企業にもそういうものを大いに取り入れていただきたい。私どもも、そのためにはいろいろなデータベースの提供等々協力はさせていただくということで、各金融機関にも働きかけをさせていただいております。担保至上主義からこれからは能力至上主義というふうに転換をしていくチャンスだと私は思っております。
山田(敏)委員 最初におっしゃった破産法の改正ですが、これは去年十一月に日経新聞の一面に出まして、アメリカ並みの、今言いましたように、大体、年間現金を四百万残す、それから車を残す、それから、家を売った場合には二百万、一年間だけ住める住居費を残す、こういうのがアメリカのやり方なんですけれども、それについて破産法で改正を行うという記事が出ました。実はこれが間違いの記事でございまして、破産法は今現在二十一万円まで、これをせいぜい三十万円にしようかとか四十万円でいこうかとか、そういう議論をなさっている。
 さっき副大臣が御案内されていましたように、きのうも私言いましたけれども、こういう問題を議論する審議会部会、この倒産法部会では、二十六名の委員の中で会社の経営を知っている人はたったの一名しかいない。そこで議論をして、いや、法律的にはこうだと。しかし、本当にその法改正で影響をもろに受けるのは企業の経営者なんですよね。これをぜひ法務省に対して本当にしっかりやっていただかないと、今の会社法部会もそうなんですけれども、とんでもない議論がされて、後で大変なコストがかかるというふうになっております。
 そこで、破産法について、経済産業省としてもうちょっと自由財産を思いきってやるように申し入れをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
古屋副大臣 委員御指摘のとおり、やはり現場の実態、商売の実態をしっかり踏まえてこういった大きな法律改正をしていく必要があると思っております。そういった視点で自由財産の範囲のあり方につきましても検討がなされておりますけれども、その検討の場に実際に中小企業者が今参加しているというお話を申し上げましたけれども、やはりそういった方の意見をしっかり聞いてもらうように、私どもも法務省にも引き続き強力に働きかけをしていきたいと思っています。
 また、メンバーの中に幹事として私どもの事務方も入っておりますので、そういった事務方も適宜発言ができるようになっておりますので、委員の御指摘も踏まえて私ども対応していきたいと思っております。
山田(敏)委員 前向きな答弁をありがとうございました。
 あと一点。これ、平成十五年にやる、今から一年後にこの破産法の改正を出すと。今申し上げましたように、一日に大体三十三名の方が自殺を、毎日起こっているということを考えれば、役所のルールでこれは一年かかるんだと言わないで、それを三カ月でやるとか四カ月でやるとか、非常に人命にかかわることですので、ぜひその点もお願いいたします。
 それから最後に、先ほど経産省は、個人保証、担保主義で今までやってきたわけですが、それではもう担保もなくなってしまったということで問題だ、もっと事業そのものあるいは経営者そのもの、そしてそういうリスクの評価をする、こういうふうにおっしゃいました。
 そこで、御提案があるんですが、商工中金、中小企業金融公庫、信用保証協会、これは一生懸命経産省に指導していただいて、こういう方向に今検討している、勉強している、こういうことですが、まずここから個人保証をとらない、個人保証以外のリスクを担保するやり方でやっていこう、それで民間の金融機関が個人保証をできるだけとらないようにやっていこう、こういう提案はいかがでしょうか。
小脇政府参考人 お答えを申し上げます。
 一般的に申し上げまして、中小企業の多くの方々、企業資産が大変少のうございまして、経営者個人として保証あるいは財産への担保を付さなければ資金調達がなかなかできない、こういった現実がございます。
 こういった現実のもとで、融資に際しまして、ある程度個人保証を徴求するということはやむを得ない面がある、このように考えておりますけれども、ただ、先生御指摘のとおり、金融機関が過度に担保あるいは個人保証に依存せずに、中小企業に対しまして円滑な資金供給を図るということが極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。
 したがって、これは、政府系、民間金融機関を問わず、債権保全の必要性も念頭に置きつつも、担保主義を前提とした融資方法を見直して中小企業の事業内容に着目した融資を行うべき、このように考えているところでございます。
 とりわけ政府系金融機関におきましては、その先導役を果たしていく、そういう役割が期待されるところでございまして、これまでも政府系金融機関におきましては、担保に乏しい、ですが高い技術力を有する、そういう企業に対しまして、ワラント債を引き受ける等々いろいろな政策を拡充してきているところでございます。
 そしてまた、昨年の秋には売り掛け債権担保融資保証制度を創設して、目下その普及啓発に全力を挙げているところでございますし、さらにまた、先ほど古屋副大臣からも御答弁がございましたが、創業を志す人のリスクの挑戦を後押しする、そういう観点から、担保や、あるいは過去の勤務経験ではなくて事業計画、ビジネスプランそのものを審査いたしまして、すぐれた内容の創業者に対しましては、無担保で、かつ第三者保証、そしてまた本人の個人保証なしで国民生活金融公庫が保証する、融資をする、そういう新創業融資制度を創設をしたところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも政府系金融機関におきましては、個人保証あるいは担保に過度に依存せずに、中小企業の事業内容に着目したそういう融資制度の拡充に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
山田(敏)委員 言葉はいいんですけれども、具体的に今おやりになるということですので、ぜひ早急に実態的なものを挙げていただきたい。また引き続き議論したいと思います。
 副大臣にお伺いしますが、アメリカやドイツは、金融機関、今、独禁法でお伺いしましたけれども、取り締まりの法律がございます。我が党も、金融機関取引規正法というものなんですけれども、今独禁法の方でなかなか、ほとんど手つかずになっております。
 アメリカ、ドイツでは、こういう不平等的な、一方的な話、今私が申しました約定書を見ればわかるんですけれども、そういうことを、違反である、法律で禁止する。中小企業者と金融機関の地位は圧倒的に違うわけですね、借りようとする人と貸す人と。それによってこれをしっかりとやっているということでございます。
 日本だけ、この法律がございません。これについて、経済政策の立場から、ぜひ、必要かどうかお答えいただきたい。
古屋副大臣 大切なことは、やはりすべて個人保証でがんじがらめにするという体制をいかにして脱却していくかということだと思います。ドイツの例を出されましたけれども、法律で対応しているところもあります。やはり私たちは、その実態をいかに変えていくかというところが経済産業省としては極めて重要だと思っています。
 要するに、過度な個人保証による責任追及の弊害を改めていく。このために、今私も答弁申し上げましたけれども、事業内容に着目をして融資するであるとか、あるいはCRDをさらに活用して、人によってリスクが違うわけですね。そういうときには、例えば弾力的に金利を変えて、金利の多様化によって運営をしていくとか、いろいろな工夫が私はできると思います。
 そういったことを所管官庁にも積極的に働きかけて、私どもとしての考え方あるいは方針を実行していくために努力をしてまいりたいと思っております。
山田(敏)委員 今のところ、今の金融機関の取引規正法についてはお考えになっていないという御答弁なんですが、これはアメリカでも非常に有効な法律でございますので、一度真剣に検討していただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 私の質問を終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 平沼大臣にお伺いします。平成十二年の法改正で、電力の自由化は本当に進んでいるのかということに関してお尋ねいたします。
 電気・ガス、鉄道などの自然独占事業につきまして、平成十二年の独禁法の改正におきまして適用除外を定める規定が廃止されました。これによって電力が部分自由化されました。特に、電力の自由化については世界的な潮流となっておりまして、こういう中で、自由化政策が本当に実効性を持って進んでいるのか、私はいささか疑問を感じております。
 この件に関しましては、平成十二年から始まった部分自由化におきまして、主要電力会社以外のシェアは今も数%、平成十三年八月現在は〇・〇九%と、いまだに地域独占の状態が続いております。
 この電力の自由化ということを申し上げますと、すぐに皆さんはアメリカのカリフォルニアの電力危機のような市民生活を麻痺させる大事件を引き合いに出して、自由化そのものに問題があるという意見もございます。しかし、経済産業省の調査報告書が指摘しているように、カリフォルニアの電力危機は、発電能力確保義務の欠如ですとか、小売価格凍結などの独特なシステムの欠陥から生じたものというふうに言われております。欠陥の原因は、利害関係者による安易な妥協にあるとされております。
 政府においては、このカリフォルニアの経験を踏まえ、三年後といわず、早急に電力の完全自由化の制度設計に着手するべきであると私は思っております。特に、発電と送配電の分離は、この自由化を進めていく上には不可欠であると思っていますが、これに対して大臣の考えを聞かせてください。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 電力につきましては、御指摘のように、平成十二年三月から、全需要の約三割を占める大口需要家に対する小売の自由化というものを導入させていただきました。
 自由化導入後、約二年間経過をいたしましたけれども、これまで新規参入者として届け出があったのは九社でございます。このうち、六社が既に電気の供給を行っているところでございまして、自由化対象の大口需要家に対する販売電力量に占める新規参入者のシェアというのは、〇・〇九というような数字もありましたけれども、約〇・五%になっております。
 また、この間の電気料金の推移を見ますと、まず規制料金につきましては、平成十二年十月に各社平均五・四%の値下げが行われました。また、本年四月一日からは東京電力株式会社が平均七%の追加値下げを行ったなど、多くの電力会社で追加値下げの動きが見られています。
 次に、自由化部門について申し上げますと、例えば官公庁の電力調達入札の結果を見ますと、従来比で大体数%の値下げの例が少なくなく、中には、例えば鹿児島県の庁舎ビル、これは九州電力でございますけれども、最大二〇%強の値下げの例も見られるところでございます。
 このように、新規参入者の実際のシェアというのは御指摘のとおりまだ低いものでございましたけれども、こうした規制緩和による動向を踏まえて、確実に現実の料金は低下をしている。このことは、私は効果があったと思っております。
 経済産業省としましては、こうした現行制度の運用実績でございますとか、海外自由化の事例の成果が明らかになってきたことを踏まえまして、昨年十一月に総合資源エネルギー調査会のもとに電気事業分科会を立ち上げました。そしてそこで、電力の安定供給を効率的に達成し得る公正かつ実効性のあるシステムの構築に向けて、今後の電気事業制度のあり方はいかにあるべきか、これについて今御審議をいただいております。
 具体的に申し上げますと、本分科会では、五回にわたりまして、現行制度の評価でございますとか海外の事例及び電力の今後の需給構造についての審議をしていただいておりまして、その結果を踏まえ、中間でございますけれども、本年四月四日に具体的な論点等の整理を行ったところであります。今後は、これを踏まえまして具体的な制度のあり方に関し検討を行っていただく予定になっております。
 御指摘のように、送配電部門の中立性の確保は公正な競争を確保する上で極めて重要であると考えておりますが、これを担保する仕組みについてはさまざまな考え方、方法が考えられます。今後、この分科会の場において、予断を持つことなく幅広く検討をしていただき、そしてよい方向を出していただきたいと思っています。
 御指摘のカリフォルニアの電力クライシス、このことを私どもはある意味では他山の石とさせていただいています。それは、いろいろな要因があったと思いますけれども、電力の安定供給ということがやはり一番大切でありまして、電力を使う家庭あるいは工場、そういう電力の消費者の皆様方に、やはりそういうカリフォルニアのようなクライシスがあってはならない、いかに安定的な供給が担保できるか、そして安全性をいかに確保できるか、こういう視点も私は非常に必要だと思いますので、いずれにいたしましても、総合的に、そして最終的には消費者がコストの面でその利益を享受できる体制を築いていくことが肝要だ、このように思っております。
大島(令)委員 発電と送電、配電を、今の制度ですと主要な一般電力事業者が一括して持っていますね。ですから、自由化されましても結局送配電部門が自由化できない。ですから託送料金を新たな業者が払うわけで、これが外国では一キロワットアワー一円のところを大体日本では三円である。しかし、その三円の根拠もまだ情報公開されていないということで、例えば大臣は自然エネルギーを二〇一〇年でしたか、三%まで引き上げると言いますけれども、では、そういう自然エネルギーを導入するときに、この託送料金が問題になって電力会社に買ってもらえない、そういう不安、法的に電力会社が発電、送電、配電を持っているので、そういう法的な安心感がないから新しい発電を試みてもできないという声が出ているわけなんですね。
 そういう意味で、改めて大臣個人としまして、一電力事業者が発電、送電、配電を持っている、これの分離、完全な分離した会社をつくるということに対しての大臣の考え方を聞かせていただけないでしょうか。
平沼国務大臣 我が国の託送費用というのは、電力会社の経営効率化努力等を反映した将来の適正な費用をもとに行政が定めたルールにのっとって算定をされています。この将来の適正な費用というのはフォワード・ルッキング・コスト、こういうふうに言っておりますけれども、そういったルールにのっとって算定をしているところでございます。
 託送制度というのは、平成十二年三月の小売の自由化と同時に創設されたものでございまして、これまでの二年間の間にも各社平均約七・三%の値下げが行われました。さらに、本年四月一日からは東京電力株式会社が平均五・九%の追加値下げを行ったなど、多くの電力会社でも追加値下げの動きが見られるところであります。
 託送料金の国際比較、これは今大島委員も、一円、ほかのところは数倍、こういう例をお示しになられましたけれども、託送サービスに含まれる内容でございますとか各国における設備の建設時点の相違、そういったことから単純なそういう国際比較というのはなかなか難しいところであります。
 今新エネルギーということもお話しになりましたけれども、そういう意味では、新規事業者から託送料が高い、こういう指摘がなされていることはそのとおり事実でございます。
 私自身としましては、送電コストを含めまして、電気事業の高コスト構造の是正は、制度の検討に当たっての重要な課題だ、このように認識をしております。具体的な託送料金のあり方については、私どもとしては、現在開催されている電気事業分科会の場においても幅広く御審議をいただく予定でありまして、将来、新エネルギーの導入、そういうことを考えていく場合に、この託送料金ということがある程度大きな問題になる可能性があります。そういうことも含めて私どもは総合的にこれは勘案をしていかなければならない、このような考えでございます。
大島(令)委員 では、参考までに伺いますけれども、平成十二年から経済産業省のビルは、東京電力管内のダイヤモンドパワーと入札によって契約をしたと聞いておりますけれども、どのくらい安くなったのか、参考までにお示しいただけますか。
平沼国務大臣 ここに入札結果の概要がありまして、当時の通商産業省は、本省のビルと別館、これをダイヤモンドパワー、こういうところにかえました。従来比で削減率というのが出ておりまして、平成十二年の八月、これは約四%というデータです。それから、平成十三年の八月、一年後ですけれども、二・三%、こういう形になっているところでございます。
大島(令)委員 いずれにしましても、電気事業者が発電、送電、配電というのを一体化しておきますと、これから電力の自由な競争というのができないわけですので、今後前向きに、別会社であるという方向性でもって検討していただきたいということを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
 次は、公正取引委員会の問題でございますけれども、平成元年に開始されました日米構造協議において、日本の市場を国内外にも公正で自由に開かれた市場にする観点から、競争政策の重要性が指摘されてきました。しかし、このときの日本の経済状況というのは、経済のグローバル化の中で、日本の過剰な貿易黒字による摩擦が大きくなっているというバブルのころの経済背景でございました。
 しかし、現在の日本の状況は、これまでの経済社会システムが立ち行かなくなり、抜本的な構造改革によって経済を活性化するとの認識から、規制緩和とともに、市場経済のルールとなるいわゆる競争政策強化方針が打ち出されていると思っております。
 そこで、質問でございますけれども、企業の買収、合併などの企業結合を考えたとき、その是非を判断する場合に、基準を国内の市場に置くのか、それとも世界市場に置くのかでその結果はかなり異なってくると思います。日本企業の国際競争力の低下ですとか産業空洞化と失業率の増加が現実のものである現在、この判断の基準をどちらに置くのかということは、言いかえれば、競争政策と産業政策、あるいは競争力政策のどちらに軸足を置いていくのかという問題であると思います。この点に関しまして、公正取引委員会の考えをお伺いしたいと思います。
鈴木(孝)政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、企業結合規制を考えていく場合に、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとならないようにということで、この場合、我が国市場における競争を主体として考えていくものでございます。
 しかし、世界的には、経済がグローバル化している中で、国際競争力を確保するために経営戦略として事業再編が行われており、こうした状況のもとで、国際的競争力を勘案した企業結合審査をすべきではないかとの意見があることも承知しておりまして、公正取引委員会としても、国際的な競争という視点も重要と考えております。
 そのために、企業結合審査においては、世界での競争も視野に入れて、グローバルな競争が国内市場の競争に影響を及ぼしているのであれば、国内の市場シェアだけでなく、ユーザーの購買行動、あるいは国際価格と国内価格の連動、輸入圧力等の実態も踏まえて総合的に判断いたしておるところでございます。
 なお、国内ユーザーにとって、あるいは国内の消費者にとりまして、国内事業者の供給する商品または役務しか利用可能性がない、国際的な競争の影響を受けないような国内市場への輸入圧力が働かない場合には、国内市場における競争状況が国内の消費者、ユーザーに不利益を与えないように競争が維持されるということを判断する材料としてまいっているところでございます。
大島(令)委員 公正取引委員会の委員長に御質問しますけれども、今の答弁ですと、先ほど来の一般集中規制は今後どうなるのかという質問に対して、委員長は、まだ必要であるということで御答弁されました。私ども社民党も、まだこの法案に対する賛成か反対かの立場が決まりかねているのは、このところに問題があるわけなんですね。ひょっとすると、これは中小企業の倒れる現状というのを、無視というわけではないんですが、ほうっておいて、実は、海外で企業が戦うに当たり、今回の九条も必要ではないかという疑問を感じているわけなんです。
 今の経済取引局長の御答弁を聞いて、本当にこの法案が、日本の国内で中小企業がばたばた倒産している現状を守っていく方向になるのか、ならない方向なのか、そのところの考え方を委員長からお聞きしたいと思います。
根來政府特別補佐人 繰り返し申し上げていますように、従来は、一定の基準額を標準にいたしまして、その基準額を超える事業会社についてある量の株式の所有を禁止しておったわけでありますけれども、そういう一律禁止というのは今の時代に合わないんじゃないかということで廃止させていただくということが第一点でございます。
 そして、廃止して、それでは大きな会社が自由にやっていいかどうかということについて、そこに私どもが一つの留保を持っておりまして、事業支配力の過度の集中というメルクマールを立てまして、そういうものについては、株式所有はだめですよ、こう言っているわけでございまして、そこに、大会社、大事業者の恣意的な行動というのを抑止しているつもりであるわけであります。
 これは御理解いただいていることでございますから申し上げることもございませんけれども、独占禁止法というのは、中小企業の保護というのは間接的な話でございまして、あくまでも競争、それも公正な競争ということを主体にしているものですからそういう実現の方法になっているわけであります。
 また一方では、そういう事業支配力の過度の集中ということもやめてしまったらどうかという御意見も片やあるわけでございますが、これは、御承知のように、何も企業性悪説に立つわけではございませんけれども、やはりアメーバのように増殖していく可能性があるものですから、そこにやはり歯どめが必要であろう。そういう歯どめをすることによって、間接的でございますけれども、中小企業を保護するということに相なっていくのではなかろうか、こういうふうに思っているわけであります。
大島(令)委員 私も、公正な競争は必要であるという大前提の中で、それがメカニズムとして今の市場の中で働いているかということがやはり問題であると思っているわけです。
 例えば、一見、訴訟逃れということも報道されております日本興業銀行が訴えられた株主代表訴訟では、興銀が、第一勧銀と富士銀行とともに持ち株会社であるみずほホールディングスを設立してその傘下に入ったため、東京地裁が訴えを棄却し、昨年の十二月に和解したわけですよね。そうすると、持ち株会社、要するに、もう訴えられても利益がないということで、被告適格がなくなるわけで、こういうことも起きているわけです。
 そういう意味での影の部分もこの制度というのは出てくるわけですので、このあたりのことに対して委員長の見解を伺い、最後の質問とさせていただきます。
根來政府特別補佐人 これも非常にお答えしにくい問題でありますけれども、これは持ち株会社の問題というよりも、株主代表訴訟の問題であろうかと思うわけであります。だから、所掌官庁を批判、誹謗するわけではありませんけれども、そういう持ち株会社の制度のもとで株主代表訴訟を起こされた場合に、どういうふうに後始末をするかということを少しお考えいただいた方がよかったんじゃないか、そういうふうに思うわけで、持ち株会社の功罪とはちょっと違うような感じがするわけであります。
大島(令)委員 時間が来たということですので、以上で終わります。
谷畑委員長 達増拓也君。
達増委員 公正取引委員会の政府部内における位置づけについて質問をします。
 今は総務省にあるわけでありますけれども、厳格な独立性、中立性を確保する観点から、よりふさわしい体制への移行を図ることが必要ではないかという意見が出ておりまして、例えば内閣府に置く方が適当ではないかというふうに私も考えておりますが、これについて、公正取引委員会の方で所管している独占禁止懇話会という有識者の議論の場、また二十一世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会という去年行われた懇談会、そういったところでも、公正取引委員会を内閣府に置くべしという意見が出ているようでありますけれども、その辺どういう議論になっているんでしょうか。
鈴木(孝)政府参考人 ただいまの御指摘がありました点で、どういう議論かということを御紹介申し上げます。
 昨年十一月に出されました二十一世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会の提言書におきましては、「市場における公正・自由な競争ルールの実現を目指す競争政策は、経済構造改革をはじめとする政府の施策全般の中で、最も基本に位置付けられるべき性格のものである。したがって、競争政策を中核的に担う公正取引委員会の位置付けは、特定の事業を所管する省庁の下ではなく、内閣の重要政策に関する事務を掌る内閣府がふさわしく、将来的に内閣府に移行させることも検討すべきである。」というような御指摘、また、これにつきまして、独占禁止懇話会で本年二月に御紹介申し上げましたとき、「総務省の外局であるという公正取引委員会の位置付けには違和感を覚える。」というような御意見も出されたところでございます。
達増委員 独占禁止懇話会の方では、世論を盛り上げて内閣府のもとに置かれるように運動しようなどという過激な意見も出たというふうに聞いておりますけれども、これは、競争政策、独禁政策の見直し、また独禁法の見直し、そういうラインと別に、政府の機構の見直しということで、行政改革の話で省庁再編が起きて、その辺、その両方の議論がうまくすり合わないまま今のような形になってしまっているのかなとも思います。
 こういう国会の議論の場は非常に重要でありまして、これについてさらに政府に質問しても、立法府が決めた法律に基づいて今やっている話ですから、変えよう変えようという盛り上がり、政府部内からはなかなか出てきにくいのでありましょうけれども、ここは立法府の側でもさらに議論していかなければならないことですし、また国民世論との対話も重要な点だというふうに思います。
 さて次に、今回改正される持ち株会社制度、またその関連、一般集中規制の問題などありますけれども、独禁政策の対象となる企業結合、あるいは企業の集団化といいますか、そうした実態について幾つか伺いたいと思います。
 これは参考人質疑ができればいいなと思っていたんですが、この委員会でこの問題について参考人質疑はしないことにしてしまいましたので、そのかわり、公正取引委員会の方で、大規模事業会社とグループ経営に関する実態調査というのをやったと聞いております。そういう大きい事業会社、またグループ経営を行っているようなところ、その実態について伺っていきたいと思います。
 といいますのも、前回十二日、先週金曜日の委員会の質問でも指摘したのですけれども、大規模事業会社やグループ経営の我が国固有の問題があるというふうに思います。古典的な独占や集中の問題として、個人やあるいは家族が中心となってピラミッド状に産業を支配する、そういう古典的なコンツェルンでありますとか、マネーの論理で巨大化していくコングロマリットとか、ただ、そういう典型的な支配の体制としての独占や集中というのは、我が国、特に戦後我が国にはなかなか見られず、むしろもたれ合い、大きい会社同士がもたれ合う中で、外に対しては排除の論理が働いてしまう。
 今、みずほグループのコンピューターネットワークの問題が非常に深刻なことになっているわけですけれども、あれも、巨大化企業がその支配力で世間に迷惑をかけているというよりは、内なるもたれ合いの構造が外に対して実害を及ぼしている、そういう例なんだと思います。
 そういう問題意識から伺いますが、まず、我が国の企業間関係の特色である株式持ち合いについて、昔は高度成長、右肩上がりのころであればいわば錬金術のようなものでありまして、持ち合った株の資産価値がどんどん高まって、安定経営、大胆な経営にも役立ったのかもしれませんが、今そういう経済情勢ではございません。この株式持ち合いについて、最近どういう傾向にあるのか、今後どう変化すると予想されるのか、伺いたいと思います。
鈴木(孝)政府参考人 ただいま御紹介いただきました平成十三年五月に公正取引委員会が公表しました大規模事業会社とグループ経営に関する実態調査報告書によりますと、株式保有主体としては銀行が最も多く、株式持ち合いも広く行われておりますが、時価会計制度の導入により株式保有のリスクを考慮する必要があることなどから、企業は、株式保有のリスクと持ち合い先との取引関係の重要性の度合い、それから収益性等を勘案いたしまして、株式持ち合いを選別いたしたり、あるいは減少させていくものと考えられるところでございます。
 しかしながら、現状におきまして、持ち合いをほとんどあるいは全く解消させるとする企業はほとんどなく、今後持ち合う場合の目的として、取引関係の維持強化を挙げます企業も多数を占めており、株式持ち合いの状況については引き続き注視していく必要があるものと考えております。
達増委員 経済情勢がこうなってきていますから、それに応じて合理的な選択、活動もだんだん出てきているけれども、まだ昔ながらのスタイルが残っているところもあるというようなことだったのだと思います。
 さて次に、銀行による企業支配に関して伺いますが、いわゆるメーンバンクの問題。
 今、どんどんメーンバンク制を見直すという傾向があるということも聞いているのですが、事業会社に対するメーンバンクの影響力というのは今どのようになっているのか。また、銀行が融資先を支配するような、いわゆる要請という形で、その融資の額でありますとか、条件でありますとか、さらには経営に口を挟むとか、そういう融資先の支配になるような要請をどの程度行っているのか、伺いたいと思います。
鈴木(孝)政府参考人 事業会社に対するメーンバンクの影響力につきましては、公正取引委員会が行いました大規模事業会社とグループ経営に関する実態調査によりますと、銀行からの借り入れに依存する度合いの低い大規模な会社を中心に、メーンバンクがないとする企業も一定数ございますが、なお多くの企業はメーンバンクがあるとしておりまして、そこでは継続的、安定的な融資を期待している状況が見られるところでございます。
 また、銀行の融資先に対する要請につきましては、この点につきましても、金融機関と企業との取引慣行に関する実態調査を行いまして、これによりますと、金融機関が行った各種の要請のうち、融資に関する取引条件の設定や変更、さらに自己の提供する金融商品・サービスの購入をしてくれ、そういうことが多く、意思に反してこの要請に応じた企業も多数存在するとの状況がなお見られたところでございます。
達増委員 数字的にはメーンバンクとの関係というものがまだまだ存在し、その中で、かなり融資先に対する支配するような要請もまだあるということですので、この点については気をつけて見ていかなければならないことだと思います。
 次に、連結対象外の企業との取引について伺いたいと思います。
 古典的な旧財閥とか六大企業集団とか、そういう戦後日本的なグループ経営から徐々に脱却していこうという動きがあると言われているわけですけれども、この辺どういうふうになっているのか伺いたいと思います。
鈴木(孝)政府参考人 株式持ち合いの目的といたしましては、取引関係の維持強化を挙げる企業が多く、連結対象企業を中心に出資関係のある企業との取引は、現状においては、傾向としては総じて高いウエートを占めて、こういうウエットな関係はあるわけでございます。
 ただいま御指摘いただきましたように、連結対象外の企業との継続的取引については、今後とも従来の取引関係を継続するという企業が、従来の関係を見直し選別を強化するという企業よりもかなり多いが、継続的取引の理由としては、供給が安定している、品質がよい、それから価格が安い等、価格、品質等経済的合理性を挙げる企業が多い状況に、この連結対象外企業との取引についてはございます。
達増委員 これも、旧来のもたれ合いのような状態と、そこから脱却する動きとのせめぎ合いのような格好になっているんだと思います。
 次に、企業グループの経営について、この持ち株会社制なども解禁されまして、いろいろ分社化ですとか合併、買収、また業務提携など組織再編を積極的に行えるような法整備が曲がりなりにも進んでいるわけで、経済のグローバル化とかIT化にも対応したそういう組織再編というものが傾向としてあるんだと思いますけれども、この辺の状況はどうなっているんでしょうか。
鈴木(孝)政府参考人 これまでも御紹介しております私どもの調査、大規模事業会社とグループ経営に関する実態調査によりますと、大規模事業会社の八六%が、分社化、持ち株会社化、合併及び買収のいずれかの組織再編ツールの利用に対しては積極的であると回答しておりますので、こういった組織再編に対する意識は高いものと考えられるところでございます。
 なお、つけ加えさせていただきますと、この調査によりまして、組織再編の目的として多かったものは、分社化では、当然のことと考えられますが、独立採算制の徹底、それから意思決定の機動性向上、合併では、生産効率の向上等経営合理化、事業の整理統合、買収では、既存市場でのシェア拡大、新規事業、新規市場の獲得、それから業務提携になりますと、新規技術やノウハウの獲得、新規事業、新規市場の獲得というものを挙げる企業が多いところでございました。
達増委員 この組織再編については、伝統的な既存市場でのシェア拡大ということをねらって拡大を図るケースや、また、最近の景気の低迷、経済の不調から、消極的な意味で事態を打開するため事業の整理統合を図る、とりあえず現状から逃れるためのそういう企業組織再編もあるし、また、新規技術、ノウハウの獲得、生産効率の向上といった積極的に前向きな目的での組織再編。いろいろな、多様な目的でそういう組織再編が行われているので、これも独禁政策としてはそこをきちんと見ていって、ただ会社がくっついて大きくなる、そういう形式だけではなく、その実態のところをやはり見ていかなければならない、そういう状況なんだと思います。
 次に、持ち株会社でありますけれども、どうもまだ解禁されて五年たっている割には持ち株会社というものがそれほどふえていないと思うんですが、設立予定のものがまだ幾つかある、これからできる持ち株会社もあると聞いております。この五年間にできた持ち株会社、また、これからもうすぐできるという持ち株会社、どのような形で利用されているのか。こういう目的でつくったとか、また設立のタイミング、そういったところの調査結果を伺いたいと思います。
鈴木(孝)政府参考人 持ち株会社形態の利用目的でございますが、戦略的なグループマネジメントを行うことや各事業分野ごとの経営責任の明確化を図ることを挙げる企業が多く、戦略的なグループ経営を行うという目的から、持ち株会社形態が選択肢の一つになっていると考えられるところでございます。
 ただ、もう一つ、企業風土が異なる会社間で具体的な事業統合が検討される場合に、統合に伴います摩擦を軽減するなど、持ち株会社形態を合併と区別してというか、合併代替的に利用する企業も多い状況にございます。
 なお、タイミングでございますが、持ち株会社の設立時期の決定要因としては、連結納税制度等の企業組織関連法制、税制の整備が、このアンケート調査では企業側から挙げられているところでございます。
達増委員 これもまた、時代を先取りして前向きに攻めの姿勢でできているものと、また、経営危機から何とか脱却しようとして苦し紛れにつくっているようなケース、両方あるということを踏まえながら、この持ち株会社制度というのを見ていかなきゃならないということだと思います。
 さて、法案の改正部分についての質問に戻りますけれども、銀行の議決権保有の制限の問題であります。
 今回の改正で、金融会社による議決権保有の制限が緩和されることになるわけでありますけれども、それでもまだ銀行と保険会社については、それぞれ五%、一〇%という制限が残る。
 一つ気になりますのは、ベンチャービジネスとの関係であります。なかなか直接金融でお金を借りるのが難しい、そういう中で株式を発行したりするわけですけれども、ベンチャービジネスの立ち上がりの部分で、やはり銀行というものが主として支援する格好になるというのはあり得ると思うんですね。
 銀行にしても、貸し渋りの中で国債ばかり買っているよりは、まだそういうベンチャーの株式などを保有する方が、銀行のためにもなるし、また、経済全体の健全のためにもいいと思うんですけれども、このベンチャー企業を立ち上げる、育てるようなことについての議決権保有については例外扱いにしていいんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
鈴木(孝)政府参考人 ベンチャー企業につきましては、いわゆる一般事業者でございまして、銀行とこのような会社が結びつくこと、つまり、金融会社と一般事業会社との関係をこの十一条の趣旨から考えますと、これを包括的に第十一条の適用除外とすることは適当でないと考えられたものでございます。
 しかしながら、御指摘のような点につきましては、現在でも、ベンチャー企業に対する資金供給については、第十一条の規制対象ではないベンチャーキャピタルからの出資等を通じて行われているほか、証券市場に上場していないベンチャー企業等を投資対象とする中小企業等投資事業有限責任組合に関しましては、第十一条の適用除外規定を設けているところでございます。
 また、今回の改正案によりましても、証券市場に上場後のベンチャー企業等を投資対象とすることができる一定の民法組合につきましては、第十一条の適用除外規定を追加することとしておりまして、銀行が民法組合という器を通じて出資可能でございますので、その辺も考えてのことと御理解いただければと存じます。
達増委員 根來委員長に質問する部分、時間がなくなってしまってできなくなってしまったのですが、要は、談合に対する厳正な対処、また、下請業者、中小事業者に関する公正な競争の確保ということについてでありますので、この点についてもきちっと取り組んでいくことを訴えまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 先週に続いて、まず根來委員長にお聞きします。
 独占禁止法の第一条の目的においては雇用の問題をどのように位置づけておられるのか、お伺いしたいと思います。
根來政府特別補佐人 これは第一条に規定しておりますけれども、私的独占あるいは不当な取引制限、さらには不公正な取引方法を禁止して、事業支配力の過度の集中を防止して、その結果として、雇用を増進し、あるいは消費者利益を保護し、そして民主的な経済運営をするというふうに書いておりますから、やはり独占禁止法の基本である、言葉をかえれば、自由競争、公正な自由競争を確保することによって雇用を確保していく、こういう理念をうたっているものと考えております。
塩川(鉄)委員 条文にもありますように、雇用及び国民実所得の水準を高める、こういった表現で、独禁法による規制の効果ないしねらいというのが、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇用及び国民実所得の水準を高めることであるということを明らかにしている。こういった文言そのものも、根來委員長のもと公正取引委員会の事務総局がまとめた「独占禁止政策五〇年史」の中にも記述されているところであります。雇用の問題についても独禁法にはしっかりと記述をされているわけです。
 その上で、純粋持ち株会社解禁を決めた五年前の独占禁止法改正の際の衆議院の附帯決議を見ていきたいと思います。その後の具体的な純粋持ち株会社解禁後の取り組みはどうなっているのかということであります。
 配付してあります資料の一枚目ですけれども、九七年の独占禁止法改正、純粋持ち株会社解禁の際の附帯決議とその措置状況であります。六項目ありました。
 一番の、持ち株会社に関するガイドラインということでは、持ち株会社九条ガイドラインの策定ということで措置済みであります。
 金融持ち株会社についても、持ち株会社の設立等の禁止の解除に伴う金融関係整備法及び銀行持ち株会社の創設のための銀行等合併手続特例法という形で法制定済みであります。
 三番の、持ち株会社グループの情報開示制度、子会社への関与、子会社関係者の権利保護のあり方についても、ディスクロージャーの問題を含めて制度の見直し済みとなっております。
 五番の、連結納税制度等の税制上の検討については、二〇〇一年度の企業組織再編税制の整備や、今年度、連結納税制度の創設に係る法案の作業中という形での準備が行われております。
 六番の、企業組織の変更が円滑に行えるよう、分割制度、株式交換制度についての検討も、この間の商法改正において対応がされているところであります。
 このように、純粋持ち株会社解禁後、企業組織再編を促す一連の法制上の整備や税制上の措置がとられてきているところであります。
 それで、お聞きしますが、この附帯決議に基づく純粋持ち株会社解禁に伴う労働者保護の仕組みの整備はどうなったのか、厚生労働省の担当の方からお聞きしたいと思います。
鈴木(直)政府参考人 平成九年の独占禁止法改正時にあの附帯決議がございました。その附帯決議を踏まえまして、同じ年の八月に、労使と学識経験者から成ります持株会社の解禁に伴う労使関係懇談会というものを設けて、そこで検討を行い、平成十一年十二月、二年ちょっとでございますが、平成十一年の十二月に中間報告が取りまとめられております。
 この中で、団体交渉の当事者としての持ち株会社の使用者性等について検討した結果、この中間報告の中では、純粋持ち株会社においては、子会社の労働組合との関係において問題を生じることは、一般の親子会社等の関係に比べより少ないと考えられるとしておりますが、その上で、子会社の具体的な労働条件の決定にまで関与する場合など、使用者性が問題となるケースであっても、これまでの判例の積み重ね等を踏まえた現行法の解釈で対応することが適当であると考えられるというふうにまとめております。
塩川(鉄)委員 今のお話にありましたように、これまでの判例の積み重ねを踏まえた現行法で対応する、現在の仕組みで結構だ、十分だ、こういうお話だったわけです。つまり、純粋持ち株会社解禁という今までなかった事態に対応した新たな措置はとられていないというのがこの時点での措置状況でありました。
 純粋持ち株会社解禁に伴う企業組織再編のための手だてについては、ここの措置状況でごらんいただきましたように順次手が打たれてまいりましたが、労働者の権利や労働条件の保護については穴があいたままだったというのがこの状況であります。
 その上で、企業組織再編のやり方については、これは法務省の資料などでも、三つのやり方、企業合併と営業譲渡とそれから企業分割、この三つが例示をされてきております。このそれぞれについて、産業再生法の際の附帯決議に基づく措置がどうなったのか、また、会社分割に伴う労働契約承継法の附帯決議に基づく措置がどうなったのか、お答えいただきたいと思います。
鈴木(直)政府参考人 御指摘の問題については、この間、附帯決議等がございました。この問題については、学識経験者で構成します企業組織再編に伴う労働関係上の諸問題に関する研究会、これを開催しておりまして、これは平成十三年二月から検討を行っております。
 これまで研究会においては、労使団体からの意見の聴取、あるいはその関係の企業あるいは労働組合からのヒアリング、それから諸外国の実態調査等も行っておりまして、これらを踏まえて、平成十四年中には検討結果を取りまとめていただきたいというふうに考えております。
平沼国務大臣 産業再生法については、その附帯決議も踏まえまして、労働組合等と必要な協議を行うなど労使間で十分に話し合いを行うことを事業再構築計画の認定要件として明示をしておりまして、当該計画が従業員の地位を不当に害するものでないと認められるときにのみ認定を行い、雇用の安定に配慮した法律の運用を行っているところであります。
 なお、現在までに認定された百三十四件の事業再構築計画中には、解雇の伴うものは入っておりません。
塩川(鉄)委員 厚生労働省の方のお話で、これは労働契約承継法に基づく研究会のお話でしたけれども、この産業再生法を踏まえ、労働契約承継法に向けた研究会の報告のまとめがあると思うんですけれども、その点を確認したいと思います。
鈴木(直)政府参考人 今御指摘の問題については、平成十一年の十二月から検討して、それが承継法の中に盛り込まれておるところでございます。
塩川(鉄)委員 配付資料の二枚目に、今の内容について整理をさせていただきました。九七年の独禁法改正、純粋持ち株会社解禁と、九九年の産業再生法、二〇〇〇年の会社分割法に対応しての労働契約承継法であります。それぞれ労働関係部分の附帯決議を引用してありますけれども、これに対応して、以下の措置状況となっております。
 独禁法改正に対応しては、懇談会の中で、結果として、現状では持ち株会社の設立はほとんど進んでいないということもあって現行法で対応ということでありましたし、産業再生法を踏まえて行われた研究会の報告では、分割については、立法措置を講じることが適当だ、同時に、合併や営業譲渡については、現時点では立法措置は不要という結論となって、この分割についての立法措置を講じるということを踏まえて、労働契約承継法が国会に提出をされるといういきさつになっております。
 この承継法に基づく附帯決議に沿った措置状況では、今研究会のお話がありましたけれども、合併や営業譲渡の企業組織の再編に伴う労働者保護のあり方について、立法上の措置を含めて研究するというふうになっております。つまり、営業譲渡の場合の労働者保護のあり方についても、いまだ具体的な措置はとられていないということで、ここでも穴があいているような状況が生まれているわけです。
 同時に、会社分割については立法措置が必要となって、会社分割法と一体のものとして、不十分ながらも労働契約承継法ができたわけであります。
 私は、そこで、ぜひとも強調したいのは、この純粋持ち株会社においては、雇用の水準を下げるようなやり方に対してのチェックも歯どめもない。ですから、会社分割法と労働契約承継法が対になっているように、純粋持ち株会社解禁に対応する労働者保護法をつくるべきじゃないか。この点、厚生労働省、いかがでしょうか。
鈴木(直)政府参考人 先ほど、懇談会の取りまとめ、中間報告について申し上げました。その中では、今後のフォローアップについても触れております。この懇談会の中間報告が取りまとめられてから、約二年間ぐらいたっております。そういう観点から、今年度、日本労働研究機構に委託をして、持ち株会社における労使関係の実態、そういったものを把握したいと考えております。
塩川(鉄)委員 そういうように具体的に検討、研究する実態が今進んでいるということであるわけですね。
 純粋持ち株会社をつくるための企業組織再編の進め方というのは、多種多様であります。その会社の実情に応じていろいろなやり方が行われております。純粋持ち株会社をつくったみずほグループの場合も、まず組織再編の第一段階として株式移転制度を用いて、第二段階として会社分割制度を用いる、こんなことも行われています。
 ことしの一月に私が調査に伺った和歌山の住友金属の場合も、多様なやり方で純粋持ち株会社化の準備が進められておりました。住金が昨年四月に発表した「変革と再生」プランについては先週も一部お話をしましたけれども、最終的には純粋持ち株会社をつくる計画でありますが、それに至るまで何段階もの組織再編が行われていくわけです。
 昨年の十月からは、子会社や関連会社への出向者九千百五十人に対して、出向先への転籍が行われてまいりました。この転籍は出向者全員が対象で、年齢制限もありません。入社したばかりの十代、二十代の青年まで解雇し転籍させるというものであります。賃金についても、出向先の水準となるために、二割から四割ものカットとなります。さらに、昨年十二月には、本体の労働者の賃金を五%から一〇%切り下げると発表しております。
 そして、これも踏まえて、この四月からはカンパニー制を導入するというふうになっております。これまでの製鉄所単位の枠を取り払って、事業内容ごとに大きく四つに分社化して、業績に応じ労働条件も変更されるということになります。そして、来年にも、会社分割制度なども視野に入れて純粋持ち株会社をつくるということであります。
 このように、純粋持ち株会社をつくる際に多種多様なやり方を駆使する企業組織再編に対して、トータルな労働者保護の対策が必要になってきているわけであります。
 この純粋持ち株会社解禁を行った九七年の独禁法改正の際の附帯決議に基づく懇談会の中間取りまとめの時点では、純粋持ち株会社はほとんどありませんでした。今では、報道されているだけでも数十社に上るわけです。
 この懇談会の座長の山口浩一郎上智大教授も、会社分割制度と連結納税制度ができると、純粋持ち株会社は軌道に乗ってくると思います、その時点でもう一度必要があれば検討すべきと述べています。
 今答弁がありましたように、研究するということですが、この具体的な内容、現状をどのようにとらえての対応を研究するということになっているのか、その点についてお聞きしたいと思います。
鈴木(直)政府参考人 今後の対応というお話ですが、いずれにしても、持ち株会社における労使関係の実態がどうなっているのか、それを把握するのが当面の急ぐべき問題であろうと考えておりますので、そうした実態を調査、分析してみたいと考えております。
塩川(鉄)委員 この懇談会の座長を務められた山口教授はこういうふうにあるところで述べておられました。
 純粋持ち株会社は他の会社を支配することを目的にしているのですが、その支配する手段は株式の保有となり、この株式というものが非常に重要な手段になります。今の日本の企業の調査ものによりますと、株主と従業員とをバランスよく考えていくのが経営者の役割だと回答している経営者が多いのですが、株主と同時に従業員についても配慮する、こういうことを回答している経営者が多いのですが、当然これは、つまり純粋持ち株会社に進むことが株主重視、つまり、株主主権を尊重するところに向いていくと思います。これが懸念をされるということが現状であるわけですね。
 まさに、現状が進もうとしている方向というのが、利潤追求第一主義のもとに労働者の労働条件が切り捨てられはしないか、このことへの懸念というのが大きく広がっている状況だと思います。これは、懸念ということではなくて、現実に大きな被害となって広がっているのが実態だと思うんです。
 そこで、平沼大臣にお聞きします。
 この純粋持ち株会社解禁に伴い企業組織再編の仕組みは急速に整備をされましたけれども、労働者保護の立場の仕組みがまともにつくられておりません。純粋持ち株会社解禁に伴う労働者の不利益を是正する措置が今求められていると思いますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 景気の変動でございますとかグローバル化など、経済社会の構造変化によりまして企業を取り巻く環境が大きく転換する中で、企業がその発展あるいは存続を図るために事業の再構築を行う、そういう場合がございます。
 現在、企業が取り組んでいる事業再構築は、労働力や資本等の経営資源を得意分野に集中し、成長の見込みのある分野に果敢にチャレンジをしていく前向きな取り組みを含むものもあるわけであります。
 しかしながら、御指摘のように、場合によっては、事業の縮小あるいは離職者の発生、企業組織変更に伴う労働者の移転、そういうものが生じることもあるわけでございます。そのような場合にも、失業の予防でございますとか雇用の安定を図る、このことが非常に重要なことだと政府は認識しておりまして、政府といたしましても、適切な施策を講じていく必要があると思っています。
 このため、先ほど来御議論の中で出ておりますけれども、企業組織の変更に伴う労働者の保護については、会社分割に伴う労働契約承継法によりまして、会社分割の場合の労働者保護に関して所要の措置を講じているところでございます。合併や営業譲渡の場合の労働関係上の問題についても、先ほど来御答弁がありましたけれども、現在、厚生労働省において検討が進められていると承知しております。
 また、仮に、労働者が離職を余儀なくされるような場合であっても、先般の総合雇用対策に盛り込んだように、労働者の再就職のための支援に積極的に取り組んでいるところでございます。
 御指摘のような点も踏まえ、今後とも、私どもは、厚生労働省ともしっかりと連携をしながら雇用の安定に万全を期していかなければならないと思っております。
塩川(鉄)委員 今問われているのは、労働者の既得権をどう保護するのかという問題です。その点で、EUには既得権指令というものがあります。これは、企業の合併や買収が増大する中で出されたもので、企業や営業の譲渡の際に労働者の既得の権利を守るための指令であります。
 この既得権指令は、企業譲渡の時点で存在する労働契約や労働関係から生じる譲渡人の義務と権利は譲渡先の受取人に移転すると明記をされております。企業譲渡を理由にした解雇を禁止するという中身になっているわけです。
 EUでのこの持ち株会社のもとでの労働者保護のルールもつくられているわけですから、大いに日本でも学んでいく、このことを改めて求めて質問を終わります。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより総務大臣に対する質疑を中心に議事を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中慶秋君。
田中(慶)委員 総務大臣、大変御苦労さまでございます。
 あなたの所管している関係の問題で若干最初に質問させていただきますが、実は、かつて行革を進めた段階で、当時小渕総理、太田総務庁長官等々に、独禁法を含めた公取の問題で、現在、総務省の中に現場として郵政がありNTTがあり電波の関係があるわけでありますが、現実に所管されている省庁としてこれは若干おかしいじゃないかということで質疑をさせていただいた経過があるわけでありますが、そのときに、できるだけ早い機会に見直しをする、当時こういうことであったわけであります。
 現実問題として、もう既にスタートされて二年以上たっているわけでありますけれども、こういうことを含めて、公取というものは三条委員会ということでありますから、内閣府にちゃんと帰属するのがある面では公平な行政というものが行われるのではないかと私は思いますけれども、これらについて担当大臣としてどのようにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 今田中委員からお話がありましたが、この点はもういろいろ議論があるところですね。それで、恐らく公取そのものは準司法的な独立した三条機関ですよね。だから職務はもう完全に独立しているわけで、法律にも書いておりますしね。だから、どこについておろうが公取としての職務というのは中立で公平に、ほかに影響されることなく行われると私は思うんですが、組織として内閣のどこかに置かなければいかぬ、どこがいいだろうか、こういうことで、恐らく内閣府という意見もあったと思いますよ。しかし最終的には、橋本行革のときですけれども、総務省と。
 こうなったのは、何でも内閣府になりまして、内閣府がもう、ごみためじゃありませんよ、ごみじゃありませんから。ごみじゃありませんが、何でも内閣府に集まっちゃう、そういうことは内閣の機能不全になるんじゃなかろうかと。総務省というのはそういう意味では大変幅広ですから、その他の属せざるものを集めるような感じもありますので、総務省につけておこうということに私はなったんじゃなかろうかと。現に、公取だけじゃないんですよ、例えば公害等調整委員会だとか日本学術会議も総務省なんです。
 だから、結局、内閣府と総務省とどっちに置くか。むしろ内閣府の純化ということで、内閣府的な、幅広の、所管が広いところにつけておこう、こういう感じでなかったろうかと私は思いますので、それは一つの考え方だと思うんですね。
 それで、今二年と言われましたが、公取が総務省に入りまして一年四カ月です。総務省そのものが一年四カ月ですから。そこで今どっちへどうするというのは、私は朝令暮改じゃないかと。もう少しじっくり検討して、それから全体も検討して、総務省と内閣府だけじゃなくて中央省庁全体のあるべき姿を、その中で結論を出したらどうだろうかと私は言っております。
田中(慶)委員 確かに幅広でいろいろなことがありますけれども、NTTなり郵政なり電波という現場を抱えているのはここだけなんですよ、はっきり申し上げて。公取だけなんです。こういうことを私は、現場を抱えて、普通ならば、現実に指導を受ける方と指導する方が一緒にいるということ自体が基本的に不自然な、だれが見ても不自然であるということで、当時そのことをお認めになって、できるだけ速やかに、いろいろなことを含めて、今はスタートだからこうしてほしい、こういうことで、さんざんこれでやり合ったわけでありますけれども。
 このことについて、総務大臣がほかのものも一緒だということで、別に私はごみためなんて言っていませんよ。そういうことを含めて、現場を抱えている具体的な問題とすれば公取だけじゃないか、私はこんなふうに思っておりますよ。もう一度。
片山国務大臣 先ほども申し上げましたが、職務は完全に独立して行っているんですよ。総務省におりますけれども、恐らく内閣府に行っても同じだと思います。何ら官房長官に影響されずに、総理にも影響されずにやっているので。もう総務大臣になんか全く影響されていませんから、それは制度的に。
 そこで、今総務省が何をやっているか。庶務をやっているんですよ。例えば法案を出すときに、行政委員会ですから、大臣でなきゃいけませんから手続面で私が補佐をしているのです。また、こういう委員会で私が提案理由を読んで、委員の質問に答えなければいかぬような、こういう関係なんですね。職務はもう完全に独立でございますのでね。
 その点は、ただ委員が言われるように、現場があるから疑われるおそれがあるぞと。疑われる。疑われてもどうということはないんですよ、独立してやっているんだから。だから、そういうことの懸念はあるのかなと、私もこういうふうには思っております。
田中(慶)委員 三条委員会ということはよくわかっているわけです。ですから内閣府以外にどこに置こうが独立機関としてはそれは結構ですが、あなたが今言っているように、疑われるようなことはしちゃいかぬですよ、まして行政が。
 別にあなたの揚げ足をとるわけじゃありませんけれども、そういうことであるならば、むしろ私は内閣府にしっかりと、あそこは現場がないですから、はっきり申し上げて。そういうところに直属の機関として、三条委員会として独立していることはわかっておりますから。であるならばなおかつそうあるべきだと私は思って、これは前から私の主張としてずっと繰り返しているわけでありますけれども、そのことについて、あなたの前々任者ですか、まさしく同感であります、こういうことを言われている。
 そして、現場が今既に、二年と言いましたけれども一年四カ月、五カ月たっているわけでありますから、そろそろそういうことを含めて検討されたらどうなんですか。
 ということは、独禁法見直し懇談会の中でもそのことは指摘をされているわけですから、やはり、至るところでそういうことが指摘をされるというのはだれが見ても不自然だ。あるいは、疑いがあるということを見られること自体が、行政とすればそういうことは見直しする必要があるだろう。もう一度答弁してください。
片山国務大臣 委員のような御意見はありまして、規制改革推進三カ年計画、この中にも「公正取引委員会の位置付けについて、規制当局からの独立性及び中立性等の観点からよりふさわしい体制に移行することを検討する。」こう書かれているんです。これをどう書くかということで、私どもにも相談がありまして、こういうふうに書いてくれと私どもも言ったんです。
 ただ、組織というのは安定性が要りますから、去年やったものをまたばたばたというわけにはそこはいかぬので、タイミングその他、検討をして、どういう結論を出していつ変えるかというのについては、私はもう少し時間をかけるべきだ、こういうふうに思っております。
田中(慶)委員 このことだけで議論をするわけにはまいりませんけれども、しかし時代は大きく変わっているわけですから、変化に十分対応してやることが私は行政のあり方だと思っておりますので。今すぐとかということで、見直しそのものが今から始まったって一年ぐらいまたかかるんですから。そんなことを含めて心しておいてください。
 次に、またあなたの関係に、直接関係が、あなたも政治家ですから。
 実は今、コンビニフランチャイズというのが大体全国で約五万軒をもう既に超しているわけであります。ところが、これ、独立するときには非常に夢があって、脱サラみたいな形でぼんぼんやってまいりましたけれども、今このことについてあなたはどう認識しておられるかわかりませんけれども、いいところの二、三社は大変経常収支もいいんですけれども、しかしあとは経営困難という形の中で、地獄商法とか奴隷商法とか言われているんですよ。あなた、それを御存じですか。
片山国務大臣 それほど私も詳しくありませんが、そういう話は聞いたことはございます。
田中(慶)委員 あなたも政治家ですから、少なくとももう少し……。
 この問題は、私の親戚の人間も脱サラでスタートしたんです。ところが、今やめようとすると返済金を、こんな形で、ある面ではやめることもできない。もうはっきりこの業界は大変な厳しい環境にある。こういうことで、我々がいろいろな形で新しく法案をつくるべきじゃないかというぐらいまでに来ている。
 ですから、少なくともあなたは総務大臣ですから、いろいろなことを含めて、政治家であり、行政のトップなんですから、そういうところをちゃんとしておく必要がある、そう思いますけれども。
片山国務大臣 言われるとおり、コンビニエンスストアのフランチャイズ契約の実態というのはいろいろなことが言われておりまして、恐らく委員は体験として、身近な方のそういうこととして御認識をされていると思いますけれども、先ほども言いましたが、それほど私は詳細に承知しているわけではありませんが、いろいろな問題点があることは私もそれなりに知っているつもりです。
 したがいまして、もし法に触れるようなことがあれば、いろいろな法律上の対応がもちろんあるわけでありますし、公正取引委員会もまさにそのためにあるわけでありますけれども、そこのところは、本部と加盟者というのでしょうか、応募される方とこの間がしっかりと協議して、契約を結ぶときにしっかりと確認をされてということも一つあるのかな、こういうふうに思っておりますけれども、基本的には、いろいろな問題点があるのは、そういう問題点が解消されることが望ましいことは言うまでもないと考えております。
田中(慶)委員 公取委員長、そこでお伺いしますけれども、あなたはこの問題、どう認識されているのか。
 今、総務大臣は、少なくとも法的に問題がなければと述べられているわけです。法的に問題がないわけじゃありませんよ。今、具体的にこのことは法的に問題になっているから、なおかつ、これが奴隷商法であるとか地獄商法であるとか、そんなことまで言われているんですよ。ですから、公取委員長がこのことをどのように認識されているのか、答弁ください。
根來政府特別補佐人 国会でも再々にわたってこの問題について御指摘がございました。私どもも、おっしゃられるまでもなく、このフランチャイズシステムというのは、大変問題のある商法といいますか、やり方だと考えております。
 そこで、従来からガイドラインというのがあったわけですけれども、先ほど来いろいろおっしゃっているように、経済というのは変転しております。このフランチャイズシステムも変転しておるわけでございますので、実態調査をいたしまして、さらに、ガイドラインの変更を要するところがあればという考え方で調査いたしまして、ことしの二月でございますが、ガイドラインの変更ということでパブリックコメントに掲げたところでございます。
 いずれにせよ、問題は大きく言えば二つありまして、一つは、やはり契約時の契約状況がもうひとつはっきりしない。これは後で問題になりましても、その書面がはっきりしていないものだからどうしても水かけ論になってしまうわけでございます。例えば、店を開いたらどれだけの売り上げがあるかとか、将来近辺に同じような店ができないかとか、そういう問題について、十分協議したか協議していないかよくわからない点がございます。だから、そういう契約のときに情報開示をしてもらう、それできっちり契約をしてもらうということがまず第一でございます。
 それから第二番目は、やはり契約中に優越的地位の乱用といいますか、これも先ほど来いろいろ問題がございましたけれども、優越的地位の乱用という問題があるわけでございます。そういう問題について、どういうことがあれば優越的地位の乱用に当たるよということをガイドラインで明確にしたつもりでございます。
 いずれにせよ、そういうふうなガイドラインを明確にしまして、両方の納得のいく商売をしていただきたいというのが私どものまず期待でございますし、そして、そのルールを踏み外したときには、私どもは適切に法に照らして対処する、こういうことでございます。
田中(慶)委員 今委員長が述べられているように、契約に問題がある。しかし、この契約は、不公平な契約だとも言われているわけです。
 まして、いいですか、自殺者が次々と出ているのですよ、この人たちは。人間の命というものは、そんなに簡単に粗末にできないわけでありますから、私は、今のように不公平な契約ということが叫ばれていながら、今ガイドラインと言っておりますけれども、動きが遅いのですよ。
 これだけ次々と、ある面では便利さという形で非常に多くの人たちが利用しておりますけれども、そうではない。日本という、一つの商法で、あれがいいと思うとみんなそれに集まってくるという状態で、それが今次々と出店されているわけでありますけれども、しかし、そこには大きな落とし穴がある、こんなことでありますし、命と交換までされているのですよ、現実に。
 こんなことがあるわけでありますし、一方、その救済として、例えばこの返済のために金融関係に相談してもだめ、これが現実なんですよ。ですから、ガイドラインだけではなくして、私は、新たな法律をつくる必要があるだろう、こんなふうに認識をしておりますけれども、委員長、答弁を願いたいと思います。
根來政府特別補佐人 このフランチャイズシステムというのは、こう言うとお言葉に反するようですけれども、ある意味では、最初発足した当時よりも悪くなっているか、よくなっているかという点が、若干これは議論のあるところであると思います。
 私どもは、弱小ながら、力を振り絞って何とかいい方向にというふうに考えておりまして、チェーンストア協会とか、そういう業者団体とも連絡をとり、できるだけ間違いのないようにしているわけでございますけれども、法律をつくるということになると私どもだけの話ではございませんので何ともお答えしかねるわけですけれども、繰り返すようですが、私どもの守備範囲の中で適正にやっていこう、それがまず第一番だろうと考えております。
田中(慶)委員 まず一つは、あなた、三百六十五日働かなければいけないということは、労働基準法に照らし合わせてどう思いますか。
根來政府特別補佐人 私、労働法の専門ではありませんので、実態にもよるし、また、雇用関係があるか、あるいは商店主が働いているかという、いろいろ問題があろうかと思います。
田中(慶)委員 基本的には、先ほど申し上げているように、商店主が働かないとだめなんです、現実には。夫婦二人で、こういう夢のある商売だということで脱サラをしてやって、それは非常に軌道に乗って、いいところは経営者として夫婦二人で働かなくても済むでしょうけれども、今そうじゃない。そのために、少なくとも地獄商法であるとか、そこまで指摘をされているというのは大変なことなんですよ。
 三百六十五日働かなければいけないから奴隷商法だと言われているわけですから、やはりこういうことを含めて、我々もこれからしっかりと立法してまいりたいと思っておりますけれども、独禁法という立場でもう少しこれは研究をしておいた方がよろしいと思いますので、その辺はしっかりと要望しておきますから、ちゃんと調査をしておいてください。
 次に、総務大臣、私どもが今国会に提案をしている官製談合防止という問題であります。
 今ちょうど徳島で知事選挙をやっておりますね。そのほかにも首長さんが三人ほどおやめになった。これをずっと見てみますと、官製談合なんですよ、はっきり申し上げて。ですから、私たちは、この官製談合というものが、やはりこれから、今の時代、こういうことを含めてやめさせる必要があるだろう、こんな考え方を持って、少なくとも今国会に議員立法として提案をしているわけであります。これは立法として提案をしておりますけれども、基本的に、あなたの所管されている特に地方自治体が多いんです、はっきり申し上げて。
 ですから、あなたはこれをどう認識されて、この法律があった方が私はいいと思うから提案をしているわけですけれども、あなたはどう思いますか。
片山国務大臣 今言われましたように、地方の首長さんがこういう事態で逮捕等されるということは、大変あってはならないことでありますし、極めて遺憾だ、こういうように思っております。
 特に、地方の場合には、委員御承知のように大統領制ですからね、国は議院内閣制ですけれども。だから首長さんに全部権限が集まるんですね、独任制の執行機関だし。そういう意味では、首長さんはいやが上にもクリーンであっていただくということが我々の願いなんですね。特に、地方分権をやろう、地方に権限も財源も渡そう、こういう時代にこういう不祥事が起こりますと、結果としては何だ、こういうことになりますので、大変私自身も残念に思っている次第でございます。
 官製談合阻止といいますか、防止には、公共工事入札契約適正化法だとかその指針だとか、政府としてもいろいろ対応しているわけでありますし、民主党さんの方でも法案を用意されていると聞いておりますし、与党三党でも今検討中だ、こういうように聞いておりますから、そういう御検討や御議論の状況をしっかりと見守りながら政府としての対応を考えてまいりたい、こう思っております。
田中(慶)委員 昨今の政治そのものが、だんだん国民に政治不信というものを招いているわけですね。今度の国会でも、それぞれ具体的には名前を申し上げるのは失礼だと思いますが、いろいろな問題が次々と出ましたよね。そういう中で政治不信が募る。一方においては、こういう官製談合を含めていろいろな問題が次々と起こる。
 あるいは、私、これは調べていったら、大臣、天の声というのがあるんですね。あなた、天の声というのを知っておりますか。こんなことを含めて、こういうことがまかり通っているということ自体が私はおかしいんじゃないかな。これは、天の声がある以上、競争入札であろうと一般入札であろうと、これは全く同じですよ。その裏には官製談合なんですから。
 こういうことを含めて、司法で、競争入札であろうが一般入札であろうが、そのことは基本的に、天の声と言われておる官製談合が、極端なことを言えば、罰則が明確になっていれば、本来ならば罰則なんというのはない方がいいわけですけれども、これだけいろいろなところで政治不信が募る、こういうことであるならば、こういうことはしっかりと対応していかないと、やはり地域の常識と永田町の常識が違うというのはこういうところにあるんじゃないかと思うんですが、どうですか。
片山国務大臣 天の声ということを私も聞いておりまして、最近は天の声も少なくなったと思いますけれども、こういうことは本当はあってはならないことだ、こう思っております。
 今私どもの方では、電子政府、電子自治体というのを二カ年計画で、特に申請、届け出をオンライン化しようと。そういう中で、電子調達、電子入札、これを進めようと、特に地方団体に。こういうことをやると、談合も何もできないんですね。現に、実験的にやっているところの話を聞きますと、そういう意味ではコストも下がったというようなことも聞きますし、わかりませんよ、まだトライアルの段階ですから。
 ただ、そういうことを含めて、こういういわば官製談合と言われるような事態は、できるだけこれはなくしていく努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
田中(慶)委員 私は、電子でやろうが何しようが、また次のいろいろなことを研究されてくると思いますから、そういう点では法律でちゃんとしっかりと対応していった方がいい、こう思っております。
 そこで、大臣、もう一つお聞きしたいんですが、中小企業の問題であります。
 今、大変な中小企業は生き残りをかけているわけであります。日本の中小企業というのは全体の九七%、八%と言われているわけでありますが、ある面でその中小企業が非常に困っていることは、下請代金支払い遅延というのが非常に多い。そのために、仕事をまともにする、契約をしてやる、ところが、完成しますと、それからダンピングをされ、手形が三月手形、半年手形、こうなっていくんです。こういう現実を含めて、私どもは、下請代金支払い遅延防止法改正案を今これは用意させていただいているんです。特に、いろいろな問題が次々と出てきているわけであります。
 例えば、今経済産業省では、土地の価格が非常に下落をしておりますから、土地担保から売掛金担保という制度を導入しております。そうしますと、今度は、仕事は注文書を切らないんです。口頭でやって仕事をさせる。それで具体的に、今度は支払いその他の条件が非常におくれてくる。こんなことが次々と今至るところに出てきているというのが現状なんです。
 そんなことを考えたときに、一番日本の経済を支えている根底、九八%、しかし一番弱い中小企業、ここに下請代金支払い遅延防止法、こういう適用をされればいかがか、このように私どもは考えて今改正法案を用意しているんですけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 今の下請、あるいは中小企業ですね、大変厳しい状況の中にあるということは私もよく承知しておりまして、代金の遅延なんかについて具体的な相談を受けることも地元であるわけでありまして、その状況は十分認識しております。
 今いろいろな関係で、公正取引委員会が、この関係、独禁法だとかいわゆる下請法だとかを厳正に適用して対応してもらっていると思いますけれども、それで仮に十分でないとすればどういうことがあるのか、それは私は今後検討する余地があるのではなかろうか、こういうふうには思っております。
田中(慶)委員 時間も余りありません。公取委員長、今のことについてどう思いますか。
根來政府特別補佐人 再々申し上げていますように、いわゆる下請法でございますが、この厳正執行ということについては私どもの大きな問題でございます。それもそうですが、一般的に、独占禁止法の運用を通じた中小企業の保護ということも、これも大きな問題でございますので、これにいろいろ工夫を凝らしてやっているところでございますし、また、下請法の中に、製造あるいは修理委託のみならず役務ということを入れるというのも一つの御見解だと思っているわけでございます。
 そういうことで、いろいろ調査もし、また調査の結果も、先ほどのガイドラインみたいなものに戻りますけれども、そういうものを考え、またいろいろの御意見も伺って厳正に対処していくつもりでございます。
田中(慶)委員 委員長はそういうふうに言われているわけですけれども、現実に今の現場はそうなんですよ、はっきり申し上げて。建設であろうと、あらゆるところにそういうところが出てきている。これが現実ですよ、はっきり申し上げて。ですから、こういうことを含めてちゃんと新しい法的措置をとらなきゃいけないと思っております。
 直接担当しております、せっかく来ていただいておりますから、中小企業庁長官、ちょっとこのことをどう認識されてどう取り組んでいるのかをお聞きしたい。
杉山政府参考人 今先生の御指摘にございましたように、非常に中小企業をめぐる経済状況が厳しい中で、例えば、代金減額とか支払い遅延とか、こういったいわゆる下請事業者への締めつけといいますかしわ寄せといいますか、そういったものが非常にふえているという御指摘があることは私どもよく承知をしております。
 したがいまして、昨年の十月から十一月にかけまして、特に私どもに苦情が多いといいますか相談が多い、そういった業種を中心にしまして、百五十社に対して緊急の特別立入調査をいたしました。あわせて、過去違反をした事業者、企業、これは四百社ほどですが、これを経済産業省及び経済産業局に全部役員に来てもらいまして、再度注意をするというようなことをいたしました。
 緊急立入調査の結果でございますが、百五十社ほど調査をしたのでございますが、三十八社に違反が認められました。私ども、支払い遅延だとか、今先生がおっしゃいました代金の減額といったものがその中で多いわけでございますが、特にそのうち八社、非常に重いということで、厳重注意をするとともに、改善の計画をまとめて文書で私どもに提出するようにということを強く要請いたしたところでございまして、公正取引委員会とも連携をしながら、こういった立入検査とかあるいは厳重注意だとか、そういったことについて十分、一生懸命努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
田中(慶)委員 時間が参りましたが、最後に申し上げておきますけれども、現実に、今言っているのは本当にごく一部であろうと思います。私たちがいろいろな形で現場からの声として聞いているのは大変な状態になってきているわけですから、そういう点で、やはり最後は法的に、立法としてそういうことがない、だからいろいろなところをみんなくぐり抜けてしまう、そういうことを含めてしっかりと対応していかないと、やはりデスクワークじゃだめですから、現場でそういうことを確認してちゃんとしないと、日本の企業なり日本の経済が、幾らいろいろなことをしても何もならなくなってしまう。だから、そのことを、現場をもう少し、本庁だけにいるんじゃなくして、現場をもうちょっと把握してきっちりとタイムリーな対応を打ってください。
 以上、申し上げて終わります。
谷畑委員長 達増拓也君。
達増委員 公正取引委員会に関する質問の前に、ちょっと片山大臣に伺いたいんですけれども、きのうテレビのニュースを見ておりましたら片山総務大臣が映っていまして、何のニュースかと思ったら機密費の問題でありました。
 官房機密費支出記録が今回明らかにされて、一九九二年、平成四年十月二十七日付、宮澤内閣、加藤官房長官の時代です。片山大臣のパーティー券二十万円を買ったという支出記録が官房機密費に残っているそうなんですけれども、これは事実なんでしょうか。
片山国務大臣 そういう報道がなされておりますけれども、ちょっと確認できないんですね。ただ、平成四年にパーティーをやった事実はあります。ただ、今私どもの方のあれでは確認できないので、あるいはパーティーに来ていただいて、そのときあれされたのかなと思いますけれども、そういう状況でございます。そういう趣旨のことを申し上げたと思います、テレビで。
達増委員 二十万円のパーティー券を買っていただくというのは、私の感覚からすればかなりの額なので、印象に残って忘れないんじゃないかなとも思うんですけれども。
 ひとつ、大臣、今総務大臣ということで選挙あるいは政党について所管しているわけですが、税金の使い方の問題として、税金を時の政府が恣意的にある特定の議員に支出したり、あるいは特定の政党に支出するというのは、税金の使い方としては甚だよくないと思うんですね。
 いわゆる機密費というものは、使途を明らかにしなくていいとは言われているんですが、何に使ってもいいということではなく、もちろん違法な支出はだめですし、また、公序良俗でありますとか行政としてふさわしからざる支出というのはやってはいけないと思うんですけれども、今、選挙や政党を所管する大臣の立場から、たとえ機密費といえども、それをパーティー券の購入とか特定の議員や政党への支出のような格好で使うことはよくないと思うんですけれども、この点いかがでしょう。
片山国務大臣 内閣が、内閣としていろいろな行政、施策、政策を行う場合の必要性に応じて、しかし機密性を持つものについて支出されるのが正しいやり方だと思いますから、大変抽象的、一般的でございますけれども、そういう使われ方をすべきものだ、こういうふうに考えております。
達増委員 今は政党助成金の制度も整備されていて、税金と政党の関係、政治とお金の関係もより制度が整備されているわけですから、変な使い方がされないように、これは総務省として内閣官房をチェックするとかいうことも必要だと思うので、その点指摘したいと思います。
 さて、公正取引委員会の話ですけれども、先ほど田中理事からの質問への答弁にもありましたけれども、中立性は損なわれていないから今総務省のもとに公正取引委員会があるのでいいんだという御趣旨でしたけれども、やはり聞いていますと、であれば別に総務省じゃなくてもいいということになるんですね。
 これは午前中の委員会の審議の中で答弁をいただいていたんですが、独占禁止懇話会とか二十一世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会とか、そういう有識者による独禁政策、競争政策に関する懇話会の中でかなり、内閣府に公取を置くのが望ましい、より中立的に、より厳格に公正取引委員会を政府の中に位置づけるには、やはり内閣府にある方がよいのではないか、そういう有識者の意見も多数出ているんですね。そういう意味で、私もやはり内閣府にある方がいいと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
片山国務大臣 既にお答えしましたが、職務については完全に独立して、中立的、公正に行われておりますが、どこに属してもそれは変わりはないと思いますね。公正取引委員会の存在というものの法的な位置づけというのはそういうことになっているんですね。
 ただ、どこに属するかによって、例えば法案の提出だとか予算の要求だとか締めだとか、そういう庶務的なことをやるわけですね。今、仕事以外のそういうことは私どもの方でやっているわけでありまして、それが内閣府がふさわしいのか、あるいは総務省なのか、また別なのか。
 そこで、内閣府に相当いろいろなものが今御承知のように集まっていますよね。特命大臣も何人もおられるわけで、みんな内閣府所属ですから。そういうことで、内閣府そのもののあり方を考えて、やや機能の純化ということから、内閣府まではいきませんが、各省のいわば連絡調整をやる総務省に、所属というより所轄なんですね、管轄しているだけで、全く我々の出先機関でも下部組織でもないわけでありまして、そういう判断で現在の仕組みになったのではなかろうかと私は考えております。
達増委員 一つ気になった例があるんですが、それは今、規制緩和、規制改革の問題が大きく言われている、強く言われている電気通信事業分野に関してなんですが、その電気通信事業分野のガイドラインを公正取引委員会が総務省と共同でつくることになったわけですね。
 これは、同じガイドラインといっても、事業を監督する省庁の立場と独禁政策、競争政策の立場から見るのではかなり違うのでありまして、変にそこを共同でやることでかえって癒着のような中身になってしまうのではないかということが懸念されるんですが、ひとつこれも、内閣府じゃなくて総務省の方に公正取引委員会があったからこういうことになったのかなと思ったんですが、この点はいかがでしょうか。
片山国務大臣 規制関係の役所と、それから公取とのガイドラインというのは、ほかにも例えば電気事業、ガス事業だとか、そういうのがありまして、これは例の規制改革推進三カ年計画の中で、電気事業、ガス事業、電気通信事業、運輸事業などについては事業所管官庁と公正取引委員会がガイドラインをつくれ、その方が非常に競争政策もうまくいくのではなかろうか、こういう提案があるんですね。それに基づいて私どもの方ではガイドラインを電気通信事業についてつくったわけであります。
達増委員 行政改革について今、特殊法人問題それから規制改革、この二つは、内閣府の方で石原大臣の下でやっているわけですね。その他の行革は今総務省という仕切りになっていて、例えば特殊法人改革で独立行政法人にするという、特殊法人を独立行政法人にしていきますよということは内閣府でやるんですが、できた独立行政法人のあり方については総務省が監督する、こういう仕切りというのは非常にやりにくいんじゃないかと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
片山国務大臣 今委員の言われました特殊法人も独立行政法人も、法制度としては総務省の所管なんですよ。ただ、特命大臣ということで石原大臣が任命されまして、そこで本部をつくりまして、本部で、石原さんも副本部長、私も副本部長、財務大臣も副本部長ですけれども、そこでやっている、こういう格好でございまして、制度ができるまでは石原さんに担当していただいて、できた後の実施というんですか、施行については、今の仕組みだと総務省でやる、こういう分担であります。
達増委員 最後にもう一つ伺いますが、総務省の中に、郵政事業とそれから行政を監督、評価する部署が並んで入っているわけでありますけれども、郵政事業というのは、今行われている行革の非常に大きい柱の一つなわけですね。これは小泉総理の総裁選挙のころからの目玉だったわけでもありますが、そういう今の改革の大きい流れの中で、郵政事業と行革を両方抱えてやっていくというのは非常にやりにくいところがあって、むしろ行政を監督する、管理する、評価する旧総務庁業務については内閣府の方でやった方がいいんじゃないかとも思われるんですが、この点はいかがでしょうか。
片山国務大臣 この辺も議論が多々あるところだと思いますけれども、それは達増委員の方がお詳しいかもしれませんが、国の組織というのは、それぞれ職務権限がきちっと分かれて、法律に根拠があってやっているんですね。
 だから、例えば今の行政評価局は、郵政関係についてじゃんじゃん勧告していますよね、昔の監察をやって。それから行政管理局は、郵政の方についてもきちっと、組織も定員も審査、査定しておりまして、私、見ていまして、全くそれはその他と同じです。ただ、たまたま同じ総務省にある、こういうことでございまして、その点はぜひ御理解賜りたい、このように思います。
達増委員 終わります。
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 総務大臣出席の場でもありますので、日本最大の持ち株会社の一つでもありますNTTの問題についてお聞きしたいと思っております。
 公正取引委員会の資料でも、報告届け出のあった持ち株会社について、NTT、日本電信電話、グループ総資産が約三十一兆一千三百十四億円、子会社数も二百九十六社、主な子会社を見ただけでも、NTT東日本、NTT西日本、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズと大変大きな会社、持ち株会社の規模を持っているということがうかがわれるわけです。
 そこで、まずお聞きしたいのが、この間新聞報道などでも大きく取り上げられておりますNTTの二〇〇二年三月期連結決算、この見通しがどうなるのか、特別損失の状況がどうなっているのかをお聞きしたいと思います。
鍋倉政府参考人 NTTは、今月の四日に平成十三年度の連結決算の業績予想を修正しまして、二兆九百五十億円の特別損失を計上する見込みと発表したところでございます。
 この内訳は、NTTドコモがAT&Tワイヤレス社、それからオランダのKPNモバイル社等への海外投資関連で八千百三十億円、それからNTTコミュニケーションズのアメリカ・ヴェリオ社等への海外投資関連で五千九百億円、それからNTT東西の構造改革、いわゆるNTTが構造改革と言っておりますが、NTT東西の構造改革関連で六千九百二十億円になる見込みであるというふうに承知をいたしております。
塩川(鉄)委員 この内訳をもう少しお聞きしたいんですが、NTTドコモ、またNTTコムズにおける特別損失、KPNモバイル社やATTワイヤレス社やヴェリオ社、こういった天文学的な損失というのがなぜ生まれたのか、お聞きしたいと思います。
鍋倉政府参考人 ちょっと具体的な数字を持ち合わせておりませんけれども、いわゆる世界的なITバブルということでございまして、例えばNTTコミュニケーションズが出資をいたしましたアメリカのヴェリオ社、それからNTTドコモのKPNモバイル社、あるいはAT&Tワイヤレス社すべてそうでございますけれども、株価等の下落で再評価をしたということでございます。
塩川(鉄)委員 電気通信分野の会社などでもそうですけれども、IT産業などでも、おととしから去年の初めぐらいについては、もう行け行けだ、もうかるんだということで、さんざん言っていたわけですよ。それが去年から途端に傾いていく、こういった状況については、私は、これは経営者の見込み違いというのが前提にあるんじゃないか。それはやはり、経営者の経営責任というのを問うていくということが必要なんじゃないか。
 そういう意味でも、片山大臣にお伺いしますが、政府はNTTの最大の株主でもありますし、NTTの監督責任を負う総務大臣として、この大赤字の経営責任を経営陣に対してきちんと問う、このことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 一般論を申し上げますと、総務省としましては、NTTの経営の自主性を尊重してまいりましたし、また、海外投資はそれぞれの民間企業の経営判断の問題だ、こういうことでございますけれども、今度のような特別損失が出たということは、私は、経営者としてはそれなりの責任を感じてもらわなければならない、こう思っております。
 ただ、海外投資は、これが成功か失敗かは、少し長い目で見る必要があると思うんですよ。海外展開したいということで、ドコモもコムズも海外投資したんですね。結果としては、今の株価やいろいろな状況を考えると、高い買い物になったようでございますけれども、これで海外展開が大きく広がっていくとすれば、それは私はまた別の評価もあるのではなかろうか。
 そういうことで、現在、NTTグループは経営三カ年計画をつくりまして、きのうも宮津社長が私のところへ来られて、これでやりたい、こういうことでございますから、大いに頑張ってほしいということも言いましたし、体制もできれば若返りを含めて考えたい、こういうことでございますので、ぜひそういうことを考えてしっかりやってほしいと申し上げたところでございます。
塩川(鉄)委員 それなりの責任を感じてもらわないと困ると、当然のことだと思うんですね。私、その点でもはっきり物を申すということが必要なんじゃないかと思うんですよ。何も言わない、何もやらない、そういうことではやはり、我々、国民の信を得て今の政治を行っている中では、国民の信頼にかかわる問題だと思うんです。そういう点で、大臣として改めてきちんと物を申すという点ではどうでしょうか。
片山国務大臣 だから、先ほど申し上げましたように、きのう相談に来られましたときに、今後の三カ年の経営計画についても、体制の一新についても、私の方からはっきり申し上げておきました。
 ただ、ここですぐ、株主総会、いろいろな関係がありますから全部申し上げるのはちょっとぐあいが悪うございますけれども、基本的には、この特別損失等の問題を含めて、私として申し上げるべきことは申し上げたところであります。
塩川(鉄)委員 あわせて、このNTT東西会社の特別損失の主要な原因ですけれども、構造改革というふうに言われました。その具体的な内容についてお伺いしたいと思います。
鍋倉政府参考人 ちょっと手元に具体的な数字をきょう持っておりませんけれども……(田中(慶)委員「通告を受けたんだろう」と呼ぶ)通告を受けておりません。
 いわゆる構造改革ということで、東西を中心にしまして、東西から子会社、これは三系統に分けます、営業部門ですとか広報部門ですとか分けますけれども、そういった子会社を各地域別に複数つくりまして、東西の子会社という形でアウトソーシングをし、五万人、たしか五万人だったと思いますが、全部で、今の子会社を含めますとトータルで十万人になりますが、十万人規模のアウトソーシング会社への移行を行うということでございます。
塩川(鉄)委員 連結決算の見通しということになれば、当然のことながら、こういった特別損失、東西会社での十万人を超える大リストラの状況が当然出てくるわけですよ。
 例えば、では、この激変緩和一時金についても、平成十四年度以降に、つまり来年度以降に発生予定の一時金についても、見積もりを行い計上するとありますね。これはどういう中身ですか。
鍋倉政府参考人 発生予定の退職者への一時金ということでございます。
塩川(鉄)委員 平成十四年度は今年度ですけれども、そういう意味では、昨年度も含めて、将来まで見込んでのリストラ損を計上していくわけですよ。こういったやり方というのは、日産を初めとしてこの間大いにやられているものです。ビッグバス方式と言われるように、一挙に損失を計上して、一時的にはマイナスになるかもしれないけれども、翌年以降、急激な回復に見えるという、いわばまやかしのやり方でもあるわけですね。
 このもとで十万人を超える方が今の職を離れてアウトソーシング会社へ移る、退職されて新しい職に移らざるを得ない。そういう中で、賃金だって七割、八割に減っていくわけですよね。そういったことが現に行われる一方で、今の経営陣について、それは株主総会とか体制の一新ということを言われましたけれども、これは前からもう体制の一新という話で名前が挙がっていたことですから、まさに現時点に立ってきちんと責任を問うということは、一方でリストラで、労働者の方にはこういったことを強いておきながら、経営陣が今のままで座っているというのはおかしいんじゃないか。改めてどうですか。
片山国務大臣 いろいろな考え方がありますが、この際、一遍に基盤強化をしたい、再出発をしたい、そういう考えでこういう今の一時金の問題等があったと思いますし、今言いましたように、体制や人事の一新については現在NTTグループが鋭意検討中でございまして、いずれ近々にそれが明らかになる、こう思いますが、私どもは、新しい経営三カ年計画で、新しい体制でしっかりして立ち直ってもらいたい、国民のためのNTTになってもらいたいということを申し上げているわけであります。
塩川(鉄)委員 そもそも、投機にまがうようなこういった大規模な損失というのは、労働者の責任ではありません。やはり経営者がきちんと責任をとるべきだ。そういった中で、現実にはリストラという形で労働者の皆さんにしわ寄せが行っている、これはおかしいと、それは国民的な感情だと思うんですね。経営者の投機にまがうようなこの失敗のツケを労働者にしわ寄せするのはおかしいと。私は、こういった今のリストラ計画、構造改革そのものをきちんと見直すべきだ、こういうことを思いますが、改めていかがでしょうか。
片山国務大臣 私は、リストラ計画とは思いませんけれどもね。構造改革計画で、それは労使の合意に基づいてやっていると聞いております。
塩川(鉄)委員 国民の立場からきちんとした体制をとることを求めて、質問を終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 まず、大臣に質問しますが、一般集中規制のあり方と存在意義に対する大臣の考えをきょうは具体的に聞かせてください。
 一般集中規制は、国民経済全体における一部の企業への支配力が集中することを防止するための規制だと思っております。また、企業活動のグローバル化の中で、一般集中規制は企業活動を縛るだけであり、既に存在意義はないという指摘が経済界からは出ております。独禁法が経済の実情に即したものでなければならないということは言うまでもございませんが、事前規制から事後チェック型へという規制緩和の流れの中で、一般集中規制に抵触する場合でも、事後的に規制することで対処すればいいのではないかという指摘もございます。
 この法案は、その方向へ向けた第一歩であると考えていいのか。一般集中規制のあり方と存在意義に対する大臣の考えをお聞かせください。
片山国務大臣 一般集中規制は、旧財閥のように極めて巨大な企業グループの形成を防止するものであると承知いたしております。このような巨大な企業グループが形成されますと、競争がゆがめられ、その結果として企業の活力は失われ、グローバルな競争力に悪影響を与える危険性もあることから、現時点ではこうした規制を引き続き維持することが重要であると私は考えております。
大島(令)委員 その御答弁を聞きまして、社民党もこの法案には賛成するということで態度を表明しております。やはり私どもの政党は、非常に資本力の弱い中小企業に視点を置いた政策を持っておりますので、その答弁を待っていたわけでございます。
 では、次の質問でございますが、これも大臣でございます。産業競争力の強化と中小企業の健全な育成、活性化をどのように両立させていくのかということでございます。
 本改正案では、経済社会環境の変化に対応して、規模拡大や資源の集中などによる事業再編を容易にし、企業の国際競争力を強化していくことが期待されているように思いますが、一方で、産業界の提携や事業の集中が進めば、大企業と中小企業の格差がますます拡大される危険性もあります。
 中小企業は我が国の企業の九九・七%を占め、経済においても重要な地位を占めております。現下の不況の克服は中小企業の活性化がかぎであると言っても過言ではありません。その中小企業が一部の企業の過度な事業支配によって市場参入の機会を制限されたり不利益をこうむるようなことは絶対にあってはならないと思っております。下請取引ですとか独禁法の適正な運用が必要であることは論をまちません。
 そこで質問ですが、大臣は、産業競争力の強化と中小企業の健全な育成、活性化をどのように両立させていくのか、このことに関する見解を聞かせてください。
片山国務大臣 今回の改正によりまして大企業の国際競争力があるいはつくものという考え方もできると思いますけれども、大島委員言われますように、我が国はある意味では中小企業の国なんですね。中小企業が健全にしっかりと自立していかなければこの国の産業というのは危ないんじゃないか、私はこういうふうに思っておりまして、そういう意味では、中小企業の健全育成のために我々は努力する必要がある、こういうふうに思います。
 そこで、公正取引委員会では、独禁法や下請法がありまして、これは中小企業の育成そのものを目的としておりませんけれども、この適正な運用によって公正かつ自由な競争を促進する観点から、この法律を運用して、結果として大企業と中小企業の取引が公正なものになる、中小企業が活躍できる公正な競争環境が整備される、こういうふうに考えておりまして、そういう意味で、この二つの法律の適切な運用、公正取引委員会の存在がこれからもいよいよ重要になる、こういうふうに思っております。
大島(令)委員 しかし、現状の経済状況は独占化、寡占化ということで、地方の中小企業はどんどんつぶれていっているわけですね、こういういろいろなさまざまな法律がありましても。
 そこで、私は、この法案を見たときに、国会に来て一年生議員ですので初めて独禁法の審査をするわけなんですが、非常に難しい法律なんですね。この法律のねらいは一体何なんだろう。中小企業を助ける側面を持っているのか。それとも、グローバル社会の中で海外に軸足を置いてどんどんもう淘汰して、また、金融機関もどんどんどんどん地銀がつぶれ、静岡県では中部銀行がつぶれました。そして、大きな昔からの財閥のグループだけが残っている。本来、独禁法の歴史を見ますと、財閥の支配によることをやめようということで戦後この法律ができたと聞いているわけなんですが、今日は本当に系列化したグループ会社だけが残っているというふうに私は見ているわけなんです。
 レクの政府の人と話をしていたときに、こういう議論があったんですね。中小企業を泳げない子供とした場合、泳げない子供をプールに落としたとする。公正取引委員会の役割は、その沈めようとするものを規制するのであると。そこに浮き輪を投げる、そして救ってあげるのが経済産業省なんだ。
 きょうは総務大臣しかおりませんけれども、やはり経済の中で経済産業省と総務省所管の法律とがうまく微妙なバランスで運用されないと、プールに浮き輪も持たずに泳げない中小企業がおっこちたら救ってもらえないんですね。また、経済産業省も、浮き輪のサイズを変えて大きい浮き輪ばかり使って、融資を受けられない会社をいっぱいつくっているのが実態なんです。このことに関しまして、きょうは総務大臣との質問は初めてですので、見解を聞かせてください。
片山国務大臣 大変難しい質問ですけれども、中小企業が泳げないなら、浮き輪を投げるんじゃない、泳げるようにすべきですよ。泳げることを教えるべきです。そういう場をまずつくるべきですね。それから浮き輪も、いろいろな大きさの浮き輪を考えなきゃいけません。
 それで、公正取引委員会は、直接は中小企業の育成だとかなんとかを当面のあれにしていませんけれども、結果としては、中小企業を育成していくというのか、活躍の場を与えようというのか、そういうことを考えておりますからね。ただ、そこはちょっと経済産業省とは立場が違いますから。ただ私は、連携をするということは、委員が言われるように必要だ、こういうふうに考えております。ぜひ泳げるようにひとつみんなで努力しましょう。
大島(令)委員 この法律、二日目で、大臣に総括的な質問をと、私なりに努力をいたしました。
 大臣は、泳げることを教えるべきだと言いますけれども、では、そういう政策を政府、内閣の一員として、平沼大臣や小泉総理と一緒に連携をとって、真剣に、私は実効性ある政策を出していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
 本案は、戦後半世紀にわたって禁止してきた純粋持ち株会社を解禁した一九九七年の改正後、五年見直しの附則を受けて提出されたものであります。
 この五年間に、みずほホールディングスを初め世界的規模の四大金融グループやNTTグループを初めとする巨大企業が誕生し、株主利益最優先の持ち株会社が多数生まれました。
 我が党は、当時、持ち株会社解禁が、巨大企業グループ、多国籍企業の経済支配を著しく強めるとともに、経団連、財界のねらいどおり、大企業による大リストラを遂行する体制づくりを容易にし、そのてことなると指摘をしました。事態は、まさにその危惧が現実のものとなっているのであります。
 質疑でも指摘したように、ここ数年、日本列島にはかつてない大リストラのあらしが吹き荒れています。
 持ち株会社の解禁を契機とする一連の商法、税制等の企業組織再編制度の整備、産業再生法など政府のリストラ支援によって、大企業を中心に、グループ内の不採算部門の子会社の売却、工場、店舗の縮小、閉鎖など、企業組織の身勝手な切り売りと合併、買収、さらに下請中小企業、関連協力企業の切り捨てを通じて、労働者の分社、分割会社への出向・転籍による賃下げ、首切り、解雇、労働条件の悪化と一方的な不利益変更の強要が横行しております。
 本改正案の反対理由の第一は、労働者保護の法制度等を何ら手当てしないまま、こうした大企業の企業再編リストラを一層容易にするものだからであります。これは、結局、労働者の権利と暮らし、中小企業経営を圧迫し、ひいては大量失業と国内産業の空洞化を加速させるものと言わざるを得ません。
 第二に、大規模会社の株式保有の総量制限、九条の二の撤廃は、大規模な合併、買収にブレーキをかけているという経団連の撤廃要求にこたえるもので、巨大企業グループの資本集中を歯どめなく促進するものであります。独占禁止法を強化改正し、この規定を新設した歴史的教訓を没却させるものであります。
 第三に、九条の二の撤廃に伴う九条の規制方式の見直しは、事業持ち株、純粋持ち株を問わず、何ら法的拘束力のない現状追随のガイドライン方式によるいわば持ち株会社全面解禁の総仕上げであり、九条そのものを形骸化させるものだからであります。
 第四に、金融会社による株式保有制限の縮減は、この間、行政当局による裁量権を逸脱した立法行為にも近い運用解釈によって行われてきた金融会社の肥大化という既成事実を追認、合法化するものであるばかりか、巨大銀行グループによる地域金融、中小金融機関に対する金融支配を無制限に拡大するものであります。持ち株会社、大銀行グループの社会的使命を忘れた横暴勝手を醸成することにつながり、到底容認できません。
 以上申し述べて、反対討論を終わります。(拍手)
谷畑委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 この際、本案に対し、竹本直一君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、新法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 事業支配力の過度集中に関して、公正取引委員会の考え方を明らかにするガイドラインの作成にあたっては、事業者の不必要な負担を軽減し円滑な事業遂行に資する観点から、判断基準を事業者が予測可能なものにするとともに、過度な規制とならないよう十分配慮すること。
 二 経済社会構造を改革し、公正かつ自由な競争を通じて我が国経済を活性化させるため、規制緩和とともに競争政策の積極的な展開が求められている状況にかんがみ、公正取引委員会の体制等の一層の整備、強化を図るとともに、同委員会の政府部内における位置付けについては、厳格な独立性、中立性を確保する観点からよりふさわしい体制への移行を検討すること。
 三 経済の国際化に伴い、我が国の市場に影響を及ぼす国際カルテルや反競争的な企業結合等に対応するため、競争分野における二国間協力協定の締結を進めるとともに、多国間での協定締結に向けて我が国が主導的な役割を果たすこと。
 四 世界的な大競争時代における産業再編を通じて、企業間の規模の較差がさらに拡大することにより、不公正な取引の強要など中小企業、信用金庫等が不利益を被ることがないよう、下請取引の適正化、独占禁止法の厳正な執行に万全を期すること。
 五 独占禁止法違反行為に対する抑止力の強化の観点から、課徴金、刑事罰や公正取引委員会の調査権限の在り方を含めた違反行為に対する措置体系全体について早急に見直すこと。
 六 この法律の施行後、経済的・社会的環境の変化を見究めるとともに、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、速やかに新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
以上であります。
 附帯決議の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
谷畑委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、片山総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
谷畑委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案及び電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案の両案を議題といたします。
 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案
 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
平沼国務大臣 まず、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国は、従来から、燃料資源の石油依存度、輸入依存度が高い等の脆弱なエネルギー供給構造を有しておりますが、近年、オフィスビル等の業務部門におけるエネルギー消費の増加傾向が著しい等エネルギー消費が構造的に変化しつつあること、大量のエネルギー消費が地球環境に及ぼす影響に対する懸念が高まっていること等、我が国のエネルギーをめぐる経済的社会的環境が大きく変化している状況にあります。このような状況を踏まえ、政府といたしましては、エネルギーの使用の合理化の措置をこれまで以上に徹底するとの認識に立ち、エネルギーの使用の合理化に関する法律を改正するため本法律案を提出した次第であります。
 次に、法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、工場及び事業場に係る措置の強化として、現在、製造業等の五業種に限られている第一種エネルギー管理指定工場の指定対象業種の限定を撤廃し、エネルギー消費量が大規模である事業場についても指定対象とし、エネルギーの使用の合理化のための中長期的な計画の作成及びその提出等を義務づけるとともに、エネルギー消費量が中規模である工場または事業場に対し、現在のエネルギー使用状況等の記録義務にかえ、大規模な工場または事業場と同様に定期報告の提出を義務づけることといたします。
 第二に、建築物に係る措置の強化として、床面積二千平方メートル以上の住宅以外の建築物を建築しようとする建築主に、建築物の設計及び施工に係る省エネルギー措置に関する事項の届け出を義務づけるとともに、国土交通大臣から建築主事を置く市町村長等に、建築物に係る指導等に関する権限を委譲することといたします。
 以上が、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨であります。
 引き続きまして、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国は、既に申し上げましたとおり脆弱なエネルギー供給構造を有しており、地球温暖化防止の観点も踏まえれば、石油などの化石燃料から他のエネルギーへと代替していくことが重要な課題であります。折しも、欧米諸国においては、電気事業者に対して、一定割合の再生可能エネルギーの導入を義務づける制度を積極的に導入しつつあります。
 以上のとおり、風力や太陽光を初めとしたいわゆる新エネルギー等の利用をこれまで以上に大幅に促進することにより、環境の保全にも寄与しつつ、エネルギー源の多様化を図ることが必要となっております。このような状況を踏まえ、政府といたしましては、このたび、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、経済産業大臣が、総合資源エネルギー調査会及び関係大臣の協力を得つつ、新エネルギー等電気について、電気事業者が利用すべき量の目標を定めることとしております。
 第二に、経済産業大臣は、新エネルギー等電気を発電し、または発電しようとする者からの申請に応じ、関係大臣の協力を得つつ、その設備等について認定をすることとしております。
 第三に、電気事業者に毎年度、その供給する電気の量のうち、一定量以上の量の電気を新エネルギー等電気とする義務を課すこととし、その義務の量に満たない場合には、経済産業大臣がその者に対し新エネルギー等電気を利用しなければならない旨の勧告及び命令をすることができることとしております。
 以上が、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ、この二つの法律案について、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
谷畑委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十五分散会

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