衆議院

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第13号 平成14年4月24日(水曜日)

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平成十四年四月二十四日(水曜日)
    午前九時十五分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      下地 幹郎君    根本  匠君
      林 省之介君    林  義郎君
      平井 卓也君    福井  照君
      増原 義剛君    松島みどり君
      茂木 敏充君    保岡 興治君
      山本 明彦君    吉野 正芳君
      生方 幸夫君    川端 達夫君
      北橋 健治君    後藤 茂之君
      中山 義活君    松原  仁君
      松本  龍君    山田 敏雅君
      山村  健君    斉藤 鉄夫君
      福島  豊君    土田 龍司君
      大森  猛君    塩川 鉄也君
      大島 令子君    西川太一郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   議員           金田 誠一君
   議員           武山百合子君
   議員           塩川 鉄也君
   議員           大島 令子君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   国土交通大臣政務官    森下 博之君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長
   )            今村  努君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            岡本  巖君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局長)          太田信一郎君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 丸山  博君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     林 省之介君
  松島みどり君     福井  照君
  漆原 良夫君     斉藤 鉄夫君
同日
 辞任         補欠選任
  林 省之介君     阪上 善秀君
  福井  照君     吉野 正芳君
  斉藤 鉄夫君     漆原 良夫君
同日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     松島みどり君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)
 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案(内閣提出第七六号)
 自然エネルギー発電促進法案(田中慶秋君外五名提出、衆法第一五号)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案及び電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案並びに田中慶秋君外五名提出、自然エネルギー発電促進法案の各案を議題といたします。
 まず、田中慶秋君外五名提出、自然エネルギー発電促進法案について議事を進めます。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。金田誠一君。
    ―――――――――――――
 自然エネルギー発電促進法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
金田(誠)議員 おはようございます。民主党の金田誠一でございます。
 ただいま議題となりました自然エネルギー発電促進法案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
 二十一世紀最大の環境問題である地球温暖化を防止するために、化石燃料の使用を抑制し、クリーンで再生可能な自然エネルギーを大幅に導入することが強く求められています。
 風力発電を例にとれば、昨年末に世界全体で二千三百万キロワットを超え、この一年間だけで五百五十万キロワット、三割以上も成長しました。
 一方、我が国においては、風力発電はここ数年は倍増ペースが続いているものの、それでも世界全体のわずか一%程度と大きく立ちおくれています。
 こうした中で、国会においては三年前に超党派の自然エネルギー推進議員連盟が発足、多くのNGOや自治体首長、自然エネルギー発電事業者の方々とともに、昨年、自然エネルギー供給促進法案、いわゆる議連統合案が策定されました。この法案は、自然エネルギーで発電した電力を固定価格により安定して買い取るもので、類似の法律は既に多くの欧米諸国で実績を上げています。
 ところが、この法案に対して、経済産業省はRPS方式を対置してきました。RPSとは、一般的に、自然エネルギーで発電した電力の買い取り量を割り当てし、それに証書取引がセットになる制度で、証書取引の部分で市場原理が働くとされているものの、自然エネルギーの普及が著しく立ちおくれている我が国において十分に機能し得るとは到底考えられない方式です。
 そこで、超党派の議連としては、その欠陥を可能な限り補うものとして、RPS議連検討案を策定し、さらに、公表された政府案に対しては、七項目にわたる意見書を提出して善処を要請してきたところです。
 しかしながら、こうした努力はことごとく無視され、このたび電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案として提出された政府案は、RPSとも呼べない奇妙なものとなっています。
 以下、政府案の問題点を指摘します。
 第一に、法律の目的に地球温暖化防止ということが全く触れられていません。
 第二に、RPSといううたい文句にもかかわらず、証書取引を初めとする価格決定システムについては何の規定もありません。これでは官僚に統制されたやみ市場ができるだけです。
 第三に、エネルギーの種類を分けずに一括で割り当てを設定するため、安価で大規模な廃プラスチックなどの廃棄物発電が大部分を占め、風力、太陽光、バイオマス、中小水力など本来の自然エネルギーは廃棄物発電に割り当ての枠をとられて衰退します。
 第四に、割り当ての中に入ってくる廃プラスチックなどの石油系廃棄物の燃焼によって、日本の二酸化炭素排出を二%もふやしてしまうと推計されています。
 第五に、以上の問題点に加え、移行措置の配慮がないため、風力発電はことしはゼロ成長にとどまる懸念があります。また、価格の高い太陽光発電は実質的に対象外となり、バイオマスは廃棄物とごっちゃにされて促進が阻害されるなど、今あるささやかな自然エネルギーにも大打撃となります。
 第六に、政府案は、官僚が密室でつくった法案であり、官僚の裁量と監視を基本とする制度です。これは、政治主導、地方分権、情報公開、市民参加のすべてに逆行するものです。
 我々野党四党は、以上のような認識のもとに、原点に立ち返って、既に普及拡大の実績がある固定価格による自然エネルギー買い取りを保障する法制度の実現を目指し、このたび、自然エネルギー発電促進法案を提出いたしました。
 次に、法律案の要旨を説明します。
 第一に、法律の目的として、枯渇しないエネルギー資源の有効な利用及び温室効果ガスの排出の抑制による地球温暖化の防止を図り、持続的に発展することができる社会の構築に資することを明確に規定しています。
 第二に、自然エネルギー発電の定義として、自然現象または生物体に由来する枯渇しないエネルギー資源による発電であることを明記し、廃プラスチック発電等を除外しています。
 第三に、政府が定める供給目標等は、自然エネルギー発電の種類ごとに定めるものとし、価格の高い太陽光発電なども実質的に除外されることのないようにしています。
 第四に、供給目標、供給促進計画、買い取り約款、技術上の指針等、重要な事項についてはこれを公表することとし、情報公開を担保しています。
 第五に、電気事業者は、自然エネルギー発電の種類ごとに、買い取り条件について買い取り約款を定め、いわゆる回避可能原価を下らない額で買い取ることとしています。
 第六に、国は、自然エネルギー発電を行う者の電気の売り渡しについて、予算の範囲内において必要な補助を行うことができることとし、経済産業大臣は、補助の基準となる単価を、いわゆるセカンド・プライス・オークション方式の入札によって定めるものとしています。
 第七に、国は、自然エネルギー発電の設備に要する費用の一部及びいわゆる系統連結等に要する費用について、予算の範囲内において必要な補助を行うことができることとしています。
 第八に、電源開発促進対策特別会計法の一部を改正し、自然エネルギー発電促進法の規定に基づいて行う補助ができるものとしています。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨です。
 既にお気づきのとおり、本法案は、いわゆる議連統合案に基づき、同案が電力のほかに熱の供給についても対象としていたものを整理して、電力のみを対象としたものです。したがって、与党のメンバーも含めて、今日的に考え得る最も効果的かつ現実的な法案として合意されたものであり、十分に御理解いただけるものと存じます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
谷畑委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 次に、ただいま議題となっております各案について議事を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省製造産業局長岡本巖君、経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君、資源エネルギー庁長官河野博文君、文部科学省研究開発局長今村努君、国土交通省大臣官房審議官松野仁君、国土交通省政策統括官丸山博君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより各案に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北橋健治君。
北橋委員 民主党の北橋健治です。おはようございます。
 きょうは、内閣提出の自然エネルギーの法案、そしてまた、超党派で野党で提案しました自然エネルギー発電促進法案につきまして審議をさせていただくわけでございますが、これから連休を前にいたしまして、エネルギーに関する重要な案件がたまたま福島県の方で持ち上がっておりますので、最初にその問題から入らせていただこうと思っております。
 新聞の報道によりますと、原子力立地のございます福島県の方におきまして、今検討中というように伝えられておりますけれども、核燃料税を中身を変えて大幅に引き上げるという、その検討に入っているという報道がなされております。これはまだ検討中ではございますけれども、もし、伝えられているような方向でこれが実施されるとなりますと、消費者へのはね返りを含めまして大変大きな問題を惹起することになるのではないか、こう思っておりますが、大臣としては、この問題に対してどのような所見をお持ちでしょうか、まずお伺いいたします。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 御指摘の福島県における核燃料税に関する検討結果、これは昨日、中間報告書が発表になりました。これを踏まえまして事業者が試算をいたしましたところによりますと、現行の税負担額がおおむね二・四倍、こういうことに相なると聞いております。既に、全地方自治体の法定外普通税収、約二百十二億円でございますけれども、このほとんどを、これは約九三%になりますが、電気事業者が負担する既存の核燃料税によって占められているというようなことを考えますと、試算結果にあるように、電気事業者への課税をさらに強める場合には、検討すべき事項も多いと考えております。
 本件については、一義的には、徴税者と納税者との間で十分に時間をとって誠実な話し合いが行われることが重要であると考えておりまして、当事者間の合意が基本であると私どもは考えております。
 他方で、こういった自治体での検討の背景には、原子力立地に伴う財政需要の増大があるものと認識しておりまして、こうした要請にこたえるために、委員も御承知のように、一昨年成立をいたしました原発立地地域振興法に基づき、公共施設の整備等に係る国の負担割合の特例などの措置が講じられているところでございまして、私どもといたしましては、大変大きな負担増につながることなのでございまして、当事者間で基本的にしっかりと話し合っていただきたい、このように思っております。
北橋委員 当事者間でしっかりと話し合うということは、確かに、原則論としては、そこがスタートであることはよくわかっております。
 ただ、この原子力の立地という問題につきましては、それは議員によって、会派によっていろいろと姿勢は違うにしましても、現に五十一基が動いているわけでございまして、その地域の皆様方のコンセンサスを得ながら円滑に進めざるを得ない状況にあるわけです。そういった意味で、国の姿がそこに余り見えていないと、今の答弁をお聞きしまして感じております。
 たまたま、与党提案でエネルギー政策基本法案という、もう既にここで一度趣旨説明がございました。私どもも、以来、その案文を一条一句検討させていただいておりますが、与党三党も、この基本法案の中で、これから国の役割、地方の役割というものをしっかりしていこうということを書かれております。
 これは、プルサーマルの一件に見られましたように、結局のところ、事業者と自治体との話し合いということで、私ども、なかなか国の姿が見えなかったという認識を持っておりましただけに、これから地方分権で大事にすることは当然でございますが、一方において、やはり国としてしっかりとしたビジョンを示して、そして、地方の意思を尊重しながらも、エネルギーの国策としてのあり方からいろいろとお話を進めていく、その積極的な姿勢もまた、与党三党が基本法案でお示しになっているのではないかと思うのですね。
 もしこの検討が実現いたしますと、膨大な税負担増になるわけでございますが、それは結局、消費者の電気コストにはね返ってくるという問題でもございまして、今の大臣の答弁の中で、あれはたしか議員立法でございましたね、原子力立地の振興法、これは公共事業のかさ上げということでございましたが。
 今回、福島県で税を上げて何をするのかというと、伝えられるところによれば、防災のための道路整備であるとかいろいろな施設のために使うんだと。つまり、原子力に対するいろいろな不安というものもあって、それに対する行政需要がふえるからだという説明もあるやに聞いております。
 これはまさに、あのとき与党が提案されて、時間のない中を激しく切り結び合いながら成立をしていった法律でございまして、そのためにあの法律を提起されて成立しているわけですね。福島県は平成十四年度中に指定する方向で検討中と聞いているんですが、まさにこういった問題は、国会で成立をした法律でもって対処するのが筋ではないか。
 そういった意味において、当事者間の話し合いを見守るだけではなくて、それを大事にしつつも、国としてもこういう法律をつくった、これは国としても全面的に支援をする体制ができているんだ、そういう角度からやはりお話を持っていくべきではないか、そういう感じがいたしますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 おっしゃるように、国としても、一昨年成立をいたしました原発立地地域振興法に基づきまして、しっかりと公共施設の整備等にかかわる国の負担、その特例などの措置を講じておりまして、これまでのところ、この法律に基づいて、福井県及び島根県の振興計画の決定でございますとか、その両県を含む八地域の指定がなされているわけであります。
 私どもとしては、こういったこれらの指定に基づいて、計画策定地域と密接な連携を図りつつ、関係省庁が一丸となって必要な施策を進めていくことが重要だと思っておりまして、当省といたしましても、その基本法案の精神も踏まえまして、そして、この税金に関しては総務大臣の所管でございますけれども、総務大臣とも私どもはしっかり話をしながら、そういう基本的な精神は生かしていかなければいけない、こう思っています。
北橋委員 それでは、総務大臣にも、その話し合いの中でいろいろと平沼さんの方からおっしゃるということでございますが、もう一度確認します。
 今回のような形で、国会の法律があって、防災のため、いろいろな施設のために国がサポートをするんだ、にもかかわらず、それをやるためにこういう増税をいきなり出してくることは問題であるという認識なんですね。好ましくないという認識なんですね。その認識を改めて確認させていただきたいと思います。
平沼国務大臣 これは冒頭申し上げましたように、基本的には徴税者と納税者、ここがしっかりと話し合うことが基本だと思っています。
 しかし、一方において、国がそういった基本法、そういうものの精神というものも守っていかなければならないわけでございまして、私どもとしては、基本的には、この納税者、徴税者のこれからのしっかりとした話し合いを見守っていきたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、やはりこういった問題に関しては総務大臣とも連携をとり、国のそういった基本的な考え方というのも当然反映をしていかなければならないと思っています。
北橋委員 これから政府並びに福島県の方でも検討が進むと思いますけれども、一方において経産省は、原子力は国の大事なエネルギーと位置づけてその行政を推進されておりますし、そしてまた今、規制緩和によって、エネルギーコストのダウンを図るために相当バイアスをかけてコストを下げる、そういった方向を模索されているわけですね。私は、そういった意味からいたしまして、これはやはりゆゆしき方向ではないかと思うんですね。
 ですから、地方自治にかかわる問題でございますから慎重にお考えになっていることは理解できるわけでございますが、私は、やはりこれは原子力立地振興法でもって対処するんだ、その経産省のお立場をしっかりと総務省にお伝えいただきまして、円滑な合意に至りますように努力をお願いしたいと思っております。
 それでは、自然エネルギーの発電の法案について質問をさせていただきます。
 きょう、御案内のとおり、野党四党で自然エネルギー発電促進法案を提出させていただきました。私ども、揺籃期にあるこの再生可能エネルギーを大事に大きく発展させていくために、この私どもの考え方が一番ベストであると考えておりまして、委員各位の御賛同を心からお願いを申し上げる次第でございます。
 そこで、政府の提案の中で、まずはその目的でございますけれども、これも既にこの委員会で同僚委員から、なぜ地球温暖化の防止ということを明確にうたっていらっしゃらないのかという質問はあったわけでございます。これは、政府の説明の中では、地球温暖化は大事だというお話で、その一環としてお考えになっているというふうな説明があるわけですが、法律に書いてないわけですね。
 地球温暖化対策推進本部に大臣も役員でお入りになっていらっしゃいますけれども、その中で、今回の省エネの法案とこの自然エネの法案は重要な地球温暖化対策本部の案件に掲上されているわけでございまして、そういった意味からして、目的にこれが入っていないところに非常に私ども疑念を感ぜざるを得ないんですが、明快な答弁をいただきたいと思っております。
平沼国務大臣 これは、前の委員会でも私から御同様の質問に対してもお答えをしたところでございますけれども、本法案というのは、エネルギー事業者たる電気事業者に新エネルギー等による電気の利用を義務づけることによりまして、新エネルギー等の利用の促進を図るものであります。
 これは、現下のエネルギー情勢等の経済的、社会的環境を踏まえまして、我が国のエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保に資するとともに、環境の保全に寄与するための措置として、新エネルギー等の利用の促進を図ることを基本的な目的としております。
 新エネルギー等は、CO2の追加的な排出量が少ないことから、地球環境対策にも資するという特性も有しているため、本年二月十三日の地球温暖化対策推進本部決定においても、本法案はその対策の一部として位置づけられているところでございます。
 このため、本法案は、地球温暖化防止に資するものではありますけれども、それ以外にも、NOx対策などの大気環境保全にも資するものであるため、第一条の目的規定においては、これらを包含する概念として環境の保全を、これは私自身が事務方に強く指示をして明記させたところなんですけれども、明示をしたところであります。
 また、本法案第三条では、経済産業大臣が新エネルギー等電気の利用目標を定める際には、地球温暖化対策担当大臣たる環境大臣の意見も聞くこととしておりまして、これは地球温暖化防止の観点からも密接に連携を図っていく、そういう所存でございまして、御指摘のように地球温暖化という文言はございませんけれども、その精神の中にはそのことは十分に含まれている、このように私どもは思っております。
北橋委員 法案の立案の過程を振り返りますと、これは超党派の議員連盟の皆さん方が長い間英知を絞って方向性を出し、具体的な試案をまとめてきたわけですね。その中を、政府はRPS方式ということで、まあRPSと呼べるかどうか議論はありますが、独自の考えを出した。ところが、この地球環境への配慮という言葉がなかったので、途中でその超党派の議連は、少なくとも七項目の修正要求というのを政府に求めているわけですね。それで入ったのが環境の保全という言葉でありまして、私は、そういった意味で、その立案の過程からしましても、地球温暖化も含めたというお話でございましたけれども、やはりそれは超党派の議連からも強い要望があって、最終的に環境の保全という言葉に落ちついたのであって、法律の正面から目的に掲げるのには非常に弱かったのではないかというふうに思わざるを得ないんですね。
 改めて確認しますが、環境の保全という言葉の中には地球温暖化の防止は含まれている、当然地球温暖化防止はその目的の一つに入っている、このように理解してよろしいわけですか。
平沼国務大臣 それは目的として、主要目的として入っているわけであります。
北橋委員 それでは、環境の保全という言葉の中にはNOxその他いろいろな問題もあるということで、その中には、超党派の議連からの要望もこれありで、地球温暖化の防止という視点も入っているのだというふうに、仮にそう理解をいたしましょう。
 そうしますと、この法案の体系というのは、いろいろなところで大変大きな疑問点、疑念というのが必然的に起こってまいります。それが、産業廃棄物、とりわけ廃プラ発電、これを、別に私どももやめろということは言ってはいないわけです。しかしながら、これを、自然エネルギーを育てていく、それを支援する法律のスキームに加えることに私どもは反対をしてきたわけでございまして、これまで同僚委員の質問に対しましても、どうせ燃やすのだからそれだけではもったいない、発電に利用してもいいじゃないか、こういう開き直った答弁が続きまして、愕然としております。
 ですからこそ、最初に、この法律の目的は一体何なんですかということをお尋ねしたのです。そうすれば、環境の保全とうたっているけれども、地球温暖化の防止も入っておる、こういうことでございますから、改めて廃プラの発電については、皆様方の考え方を聞かせていただきたいと思うのです。
 きのうの参考人質疑でも私は取り上げさせていただきましたが、飯田参考人からも、環境自然保護団体あるいはNGO、NPOですね、そういったところから、いろいろな再生可能エネルギーの将来の予測ということで非常に心配があるという指摘がございました。
 まず、ここから、ちょっと政府の見解をお尋ねしてまいりたいと思います。
 湖、池の生態系を破壊するといって今話題を呼んでおりますのはブルーギルという魚でございまして、外来種でございます。よくブラックバスがほかの魚を食べると言いますが、ブラックバスは河口湖でも共存しているという例もございますので、ブラックバスの名誉のためにここはブルーギルと言わせていただきますが、ブルーギルというのは、ワカサギからフナから何から全部食べちゃいまして、重大な生態系の破壊になっている。物すごい生命力があるのですね。
 自然エネルギーというのは、最初はコストが非常に高いわけですね。ですから、マーケット原理からいうと、すぐには立ち上がって対等に勝負ができないわけです。だから、法律が必要なんですね。ところが、この廃プラというのは、物すごい競争力を持ったローコストのものができる可能性が指摘されております。そうなりますと、環境自然保護団体あるいは環境に詳しい議員の中には、やはり、今のスキームでは大切な自然エネルギーというものが相当に駆逐されてしまう、こういう懸念を指摘してきたわけです。
 それで、お尋ねをいたしますが、多くの識者は、八割ぐらいはごみ発電になる。つまり、この政府の法案はごみ発電促進法ではないかと言っていますが、そうではないとおっしゃるのであれば、例えば風力、太陽光だとかバイオマスだとか、そういう大切なものを育てていけるのだとおっしゃるのならば、その根拠を改めてお伺いしたいと思います。
河野政府参考人 昨日、飯田参考人がお話しになっておられるのを私も伺わせていただきました。
 NGOの方々の試算については、一定の前提条件、特に供給曲線などについて前提を置かれたものだと思いますけれども、この数値が公表されておるわけではございませんので、ちょっとその辺は私どももさらに勉強する必要があると思います。
 他方、私どもの推定といいますか試算ということで、飯田参考人も御紹介になりました。私どもも新エネルギー部会の過程でシミュレーションいたしましたので、それが御紹介の内容になっていると思うのですけれども、これは実際に関係業界の方の参加を得て、幾つかのケース分けをして、実際にこの市場に参加してもらうということでどの程度の結果が出るかということを、いわば模擬実験のように行った結果でございます。
 そういう意味では、いずれも試算にすぎないわけでございますけれども、事業者の方々が想定される御自分方のコストを念頭に置いて、これぐらいいけるのではないかという結果においてそういうシミュレーションができたということでございます。
北橋委員 私どもは、民主党の部会として、幾たびも経済産業省にお越しをいただきまして、こういった問題についても議論してまいりました。
 その中で、私どもが経済産業省からいただいているコスト比較によりますと、新エネルギーの発電のコストというのはどれぐらい見込まれるか、そうすると、太陽光発電というのは、住宅用で四十六円から六十六円キロワットアワー、風力発電、事業用で九円から十四円、廃棄物発電は九円から十二円としてあります。バイオマス発電は七円から二十一円、これだけ大変大きなコスト差があるわけです。
 飯田参考人も指摘されたように、今北海道でスタートしようとしている会社は四円ないし五円ぐらいではないかと言われているのです。だからこそ、大変な強い競争力を持っていると。したがって、この廃プラというのをそのまま認めてしまうと、全然コスト競争力が、ほかのものがまだ育っていないわけですから、そういった意味では、今の御説明では五円、あるいは四円と言う人もいますけれども、それぐらいの競争力を持った廃プラ発電をもしもこれで保護の対象にしてしまうならば、どうやってほかの自然エネルギーを育てていけるのか、それは説明が足りないと私は思っております。
 そこで、ここは皆さん方も答弁で頑張ってきたところでありまして、押し問答していても過ぎませんから。きのうも私は新エネルギー部会長に申し上げて満足のいくお答えをいただけませんでしたが、なぜこれだけ将来の市場予測に違いが出るのか。
 多くの環境に詳しい議員あるいは環境NPOの方々は、ごみ発電、とりわけ廃プラがどんどんほかのものを駆逐していくだろうと。ところが、経済産業省のシミュレーションによれば、五〇%強は風力発電になるんだ、そしてバイオマスもそこそこに稼げるんだということでありまして、廃棄物の発電というのは、ここでは産業廃棄物と一般廃棄物で試算をしておるようでございますけれども、半分強それは間違いなく再生可能エネルギーでいけるんだと言う。全然違うわけですね、飯田さんらの言っているのと。
 一体どうしてそういう違いがあるのかといえば、それは費用供給曲線という、シミュレーションするときに最も大事なファクターというものが公開されていない。こういったものを世間に知らしめてやれば、国民の前に納得のいくような将来の市場予測の絵が描けるのではないか、示せるのではないかと思うのですね。これをお出しいただきたいのですが、いかがでしょうか。
河野政府参考人 先ほど御紹介をいたしました、新エネ部会でシミュレーション作業をいたしました。このシミュレーションには、実際の電気事業者、さまざまな分野ですけれども、この方々に参加をしていただいたわけでございます。
 その参加した方々がどのようなコストを想定しているかということで、供給曲線を作成いたしました。その供給曲線を作成するに当たりましていただいた発電コストの情報は、それぞれの方が非公表を前提に私どもに提供してくださったということでございますので、この情報については公開をさせていただいていないわけでございます。
 このシミュレーションに参加した事業者の現実的な発電コストを本当に使用しているということでやむを得ないことだと思いますけれども、結果につきましては、一方でそれだけ現実的な、妥当性のあるものではないかなというふうに思っております。
北橋委員 それでは国民の前には、これから再生可能エネルギーをどうやって育てていくかという議論をするに当たって、大事な問題についてポリシーの方向が見えてきません。
 そこで、シミュレーションの中で、廃プラ発電は幾らと見込まれているのですか。それも言えないのですか。
河野政府参考人 具体的な数字、今ちょっとすぐ手元に出ませんので、後ほど御報告させていただきます。
北橋委員 質問通告がなかったかもしれませんけれども、ちょっと調べておいてください。大丈夫ですか。――それでは、お答えいただきたいと思います。
河野政府参考人 恐縮でございますが、資料として、表などでお答えすることはできるのですけれども、今ちょっと、実数を確認させていただきたいと思いますので、後ほど……。
北橋委員 具体的に四円から五円ぐらいではないか、これは事業者の間では通説になっております。
 きょう、私は事前に、廃プラ発電は適用の除外とすべきである、これが民主党としての最大の要求であるということをお伝えしておりましたが、確かに、このシミュレーションの中でどうなっているか、いろいろな膨大な数字があるかもしれませんが、シミュレーションの中で非公開である理由は、提出先からないしょにしてくれ、こういうことだと。これは、国民の目から見れば甚だ理解できないことではありますけれども、それが提出できないのであるなら、経済産業省は幾らだと見ているんですか。我々には、経済産業省の資料から、発電コストで、例えば風力発電は九円から十四円、こういう数字が来ているんです。廃プラは幾らなんですか。
河野政府参考人 実は、産業廃棄物による発電実績、これは極めてこれまで例が少ないわけでございます。そして、御指摘のありました北海道の事業者も、まだ実は発電事業を行っているわけではないわけでございまして、そういう意味では、正確に廃プラ発電が幾らかということを想定することはなかなか難しいというふうに申し上げておきたいと思います。
北橋委員 それでは、長官も経済産業省の皆さん方も、廃プラ発電がどれぐらいのコストでできるかということについてはいろいろと、ここでお話しできるかどうかは別にしろ、聞いていらっしゃると思うんですよ。でも、一般に九円から十二円とか十四円とかと言われているものに比べて半分ぐらいの値段でできるということは御存じじゃないですか。
 そのコスト競争力というものを、よくわかりません、まだスタートしていない、実例も余りないということで、それで廃プラ発電を、この国会の答弁で、皆さん方は、これも大事なんだというふうにおっしゃってきているんですね。
 なぜこの問題が話題になっているかというと、風力だとか太陽光だとかバイオマス、いろいろな大切な再生可能エネルギーをこれから後押ししようというときに、ブルーギルと言っちゃうと当事者には申しわけないかもしれませんけれども、すごい競争力を持っている、だから駆逐されてしまう。だから私どもは問題点を指摘しているんですよ。
 五円ぐらいなんでしょう、大体。私は、廃プラ発電が始まったら、六円という数字は聞いたことがない。四円台というのは人によっては分かれるけれども、大体五円ですよ。半額ですよ。それをこの法律の中に入れちゃうんですか。廃プラ発電のコストをどう見ていらっしゃるんですか。
河野政府参考人 現在、電力事業者が自主的な購入メニューで廃棄物発電の電力も購入をいたしております。地方公共団体などが関与いたしました一般廃棄物による発電は、たしか約十一円程度で購入していると思います。
 他方、産業廃棄物は、先ほど申し上げたように余り例がないわけですけれども、導入の例がないと申しますのは、導入に際して、電力事業者が自主購入メニューではたしか五円程度での購入を公表していると思います。しかし、それに応じて、廃プラ発電といいますか、産業廃棄物の発電で事業化している事例は今のところは非常に少ないという実態がございますから、そういう意味では、それを上回るコストだと見るのが一般的な見方ではないかなという気もいたします。
北橋委員 合点がいかない御答弁なんですけれども。
 要するに、廃プラ発電はこれからの問題なのでよくわからないけれども、一説には五円ぐらいという安いものでできるものもあるということはお認めになるんですね。このコスト競争力からして、ほかの大切な再生可能エネルギーを駆逐するおそれはないと言えるんですか。
河野政府参考人 廃プラ発電のコストは先ほど申し上げたようなことでございますけれども、これは規模によっても相当ばらつきがあるというふうに思います。そして、廃棄物発電全般のコストについても、先ほど先生御引用になりました九円ないし十数円というばらつきがある。しかし、廃プラ発電については、さらに低いかもしれませんけれども、これも規模等によってはばらつきがあるということでございまして、これによって廃プラ発電がすべてを凌駕してしまうということにはならないとは思いますけれども、他方において、これについて慎重に対応するということは考えていかなければならない課題だと思っているわけでございます。
北橋委員 駆逐するおそれはないというのは、一体何を根拠におっしゃっているんですか。
 これだけの大きなコスト、ばらつきがあるのはわかりますよ。風力だって九円から十四円ですか、経済産業省の御説明では。ばらつきがあるのはわかります。でも、五円前後から若干のばらつきがあるとしても、断然コスト競争力を廃プラは持っているわけです。それがどうしてほかの再生可能エネルギーを駆逐しないと言えるんですか。その根拠を説明してください、納得ができない。
河野政府参考人 先ほど申し上げましたように、実績が乏しいものですから、具体的なコストを申し上げるのはなかなか難しいんですけれども、私どもが特定の事業者から幾つか想定したコストを聞いたことはございます。ただ、これは、一般的に、先生の御質問のように、今後の廃プラ発電すべてを代表する数字と申し上げられるかどうかはわからないのですけれども、七・五円ないし十四円ぐらいという数字を示されたことがございます。
北橋委員 今の答弁を聞いておりまして、既に国会で大臣あるいは長官が、政令で指定をできるものの中に廃プラ発電は加えてあるんだ、それをやっていけるんだという御説明をしてきた割にはとても納得がいかないですね。これはやはり、やってみなければどの程度落ちつくかというのはわからない面はありますけれども、実際にやってみるとこれは相当大きな問題が起きる。このまま走り出せば、ほかの風力その他の再生可能エネルギーがどんどんしぼんでいく。私は、これは自然エネルギーの発電を促進するどころか縮小させかねない重大な問題点をはらんでいると思いますね。
 最初、法律でしっかり廃プラを書いてくればいいのです、風力だとか太陽光は書いているんだから。ところが政令で書けるようにしている。ずるいやり方なんです。そういった意味で、廃プラなんというのは絶対書き込めないように書いてあるんです、超党派の我々の法案には。
 そういった意味では、よくわからないのなら、何でそんなものを政令で勝手にできるようにしてしまうんですか。そういうところに潜り込ませてしまうところに、多くの関係者から、今回はシミュレーションの内容も出せないだとか、密室で議論が進められている。これが、国民の協力を得て再生可能エネルギーを盛り上げていくその法案の過程なんでしょうかね。私は長官の答弁には甚だ、理解できない、疑問を感じるわけです。
 大臣、それでお伺いいたしますけれども、今のお話を聞いておりましても、我々は、廃プラ発電がほかのものを駆逐するおそれはますますこれで高まってきました。何度お話を聞いても、いろいろな角度から聞いても、結局明快な御答弁はいただけない。そういう中で、この法律のスキームで廃プラ発電を加えることは、我々はとても容認できない。国民が納得しないと思うのですね。
 大臣、これは再考していただけませんか。そうしなければ、促進ではなくて自然エネルギーをこれは縮小させる法律になってしまいます。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 特に、本委員会でこれまでもこの問題は多々御指摘がございました。産業廃棄物の現状も踏まえまして、法案第二条に規定する政令により、廃プラスチック等化石燃料系の廃棄物による発電を対象に指定する場合には、循環型社会形成推進基本法の原則にのっとり、本来、再使用、再生利用すべき廃棄物の焼却が促進されないように、抑制的な観点から私どもは当然慎重に検討しなければならない、こう思っています。
北橋委員 今の大臣の御答弁で、きのうまでのこの廃プラ発電に対する認識は軌道修正されていくかどうか、もう少し私ども部内で検討させていただきますけれども。
 抑制的な観点から慎重に検討するということですね。その前提として、循環型社会形成推進基本法の基本原則にのっとりと。これは、プラスチックというものはできるだけ再利用して、そしてリサイクルをして、どうしてもならないものだけを処分するという趣旨でございますね。つまり、廃プラ発電に回すというのはぎりぎり最後の手段ということにも読めるわけでございますが、その点、環境省お越しいただいていると思うのですけれども、この法律は環境省所管の法律ですよね。
 経済産業大臣は、基本原則にのっとりと言いますけれども、どういうふうに具体的に話を進めるんですか、政府部内におきまして。
平沼国務大臣 これは、基本原則にのっとって、環境省とよく連携を密にして、抑制的に、そういう新しく育てるべき新エネルギーが、その伸びが阻害されない、そういうことを観点によく相談をしてやっていきたい、こういうふうに思っています。
北橋委員 環境省、お越しいただいていますね。この廃プラ発電、我々は反対であるんですけれども、政府はそれを肯定してきたわけです。
 そこで、今の大臣の御答弁で、政令で指定をするかどうかという問題になったときには、御省、環境省と十分協議をするという御答弁が今あったわけですけれども、それを受けて、基本的にこの問題については、法律を所管されてきただけに、どういうふうに受けとめますか。
飯島政府参考人 今経済産業大臣からお答えがありましたように、循環基本法の原則は、まずリデュース、リユース、マテリアルリサイクル、そして、廃棄物発電を含む熱回収というのはその次に位置しておりますので、当然この基本原則を尊重していくべきであると思っております。
 このため、どうしても焼却せざるを得ない廃棄物、廃プラスチックの中でもどうしても焼却せざるを得ない廃棄物については、廃棄物発電を行うということも熱回収の有効な手法と考えております。
 ただし、今御指摘ございましたように、政令で廃棄物発電が追加されることによって過大に進んで、これまで再使用や再生利用に回っていたものが発電に回ってしまうということはこの基本原則が損なわれることであると考えておりまして、これまで焼却されていた廃棄物の利用に限るなど、一定の条件のもとで実施される必要があると思っております。
 そのために、政令についても今後御相談させていただきますし、また、設備の認定に当たっても、あらかじめ環境大臣に協議していただく規定が入っているところでございまして、環境省といたしましては、循環基本法の基本原則に反することのないよう、適切に実施されるよう協力してまいりたいと思っております。
北橋委員 これまで廃プラ発電をやって何が悪いという姿勢から、環境省と十分協議をして抑制的な観点から慎重に検討するという答弁をいただきました。部内でよく検討させていただきますが、私どもは基本的に、まだ実績がない、わからないとなれば、危険性があるだけに、廃プラ発電は政令で指定すべきではないという意見を表明させていただきたいと思っております。
 さて、時間が限られてまいりましたが、あともう一点、財政の支援という問題について簡単に触れさせていただきます。
 野党四党の共同提案の法案では、やはり、この再生可能エネルギーを育てるためには国は財政的な支援を惜しむべきではないということで、具体的には電源開発特会からの補助金を出して、速やかに大きく普及するように国としてもバックアップをするという内容になっておりますが、国の方はそれがないわけです。これから、例えば風力でも、送電線を引くだとか、あるいはバックアップの電源をつくるだとか、いろいろな系統の連系をするためには大変多くの投資を必要とされるわけですね。
 したがいまして、きのう電気事業者の参考人の方からお話があったように、非常に大きな負担がかかると。それだけに、単に割高のものを引き取るだけでもそれはコストアップになるわけでございますが、それに加えて、いろいろな設備投資で相当にコストがかかるという意味で、数量を設定するときにはできるだけその辺をよく勘案してやっていただければという御要望の意見がありました。私、それはごもっともだと思うんですね。
 最初のうちは揺籃期ですから一気にふえることはないかもしれませんけれども、これから二〇一〇年に向けて着実に大きくふやしていくためには、そういったところで財政的な支援というものが必ず大きな課題になる。場合によっては、それに的確にこたえなければ大きな壁になってしまうということです。野党四党は、私どもは、その点が非常に重要な自然エネルギー対策の骨格の一つだということを訴えてきました。残念ながら、政府の提案を見ると、そういった配慮というものが見られません。
 そういった意味で政府にお伺いいたしますけれども、この系統連系対策だとか、具体的にそういう設備投資が必要になってまいります。それを、具体的な手だてをはっきりさせないと、私は再生可能エネルギーはとまってしまうと思うんですね。私は、この点について明快な方針を打ち出すべきだと思うんです。国としても思い切ってバックアップするんだ、そういう姿勢がこの法案にないだけに、大臣、所見をお伺いしたいと思います。
河野政府参考人 新エネルギーの導入につきましては、予算上の措置といたしまして相当大規模な支援をし、結果的に電力購入サイドの費用負担を軽減するような努力をいたしております。それは先生も御承知のことと思います。特に系統連系につきましては、昨日の参考人質疑でもございましたように、私どもの試算でも、二千二百億ないし五千五百億円ぐらいの費用が要るのではないかという点がございます。
 この報告書の趣旨を踏まえまして、まず私どもは、具体的な系統状況の把握あるいは必要な系統連系対策の内容、費用規模、またその実施、負担のあり方を検討してまいりたいというふうに思っております。
 そして、その検討がまとまるまでの当面三年程度の間につきましては、この系統連系に支障がないといいますか、系統対策がまだ動いていないという状況でも可能な導入を図っていくということが対応でございまして、この旨、報告書でも指摘を受けておりますので、そういう考え方で臨んでまいりたいというふうに思います。
北橋委員 時間が参っておりますので、この点については最後に大臣の所見を承って終わらせていただこうと思うんですが、これから期間を置いて検討されるということなんですが、やはりここは哲学だと思うんです。政治の判断、ポリシーだと思うんですね。やはり再生可能エネルギーのためには国もやってこられていますよね。新しい施設をつくるときに補助金を出したり、いろいろやってこられているわけです。
 今度、新たにまた系統対策でかかるだろう、それは検討しますということなんですが、要するに、今ある自然エネルギーに対する補助を継続する、そして新たにかかるものについては、やはりこれは、電気事業者に規制緩和でコストダウンを迫っているわけですから、何でもかんでも事業者にやれというのは、私は筋が通らない話だと思うんですね。
 そういった意味におきまして、大臣にお伺いしますけれども、この自然エネルギーをこれから飛躍、大きく前進させるために、今ある自然エネルギーに対する補助の継続はもとよりですが、これからも国としてもバックアップをするんだという姿勢をお示しにならないと、これから財務当局といろいろな予算折衝をするときに、この法律をつくるときに、そういった毅然たる政治の姿勢というものをやはり明らかにされてはどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 二十一世紀というのは、いかに環境問題というものをしっかりと克服していく、それが非常に大きな問題だと思っています。そういう意味では、新エネルギーを伸ばすということは、人類にとっても日本にとっても重要な課題でございますから、御指摘の点、私どもは積極的にやってまいりたい、このように思っております。
北橋委員 それでは終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 鈴木康友君。
鈴木(康)委員 今、廃プラ発電を中心に白熱した議論があったわけですが、私はまず、これまでの新エネ促進についての総括からお伺いをしたいと思います。
 大体一九八〇年代に入りまして、世界的に環境問題あるいは資源問題への関心の高まりから、新エネルギーを導入していかなきゃいけないという一つの潮流ができたわけであります。一九九四年に我が国では、総合エネルギー対策推進閣僚会議において、初めて国として新エネルギー導入大綱というものが決定をされました。これによれば、新エネルギーの効果的導入のため、重点的に種類を絞り、関係省庁が一体となった総合的な施策の展開、地方公共団体など地域レベルの積極的な取り組みで新エネルギーの効果的な導入を図るということになっております。
 さらに、一九九七年には新エネ法が制定をされたわけでありますが、これまでこうしたいろいろな取り組みがなされてきた、その一連の取り組みの成果というか、それが果たしてどこまで効果があったのか、あるいはなかったのか、これからどうつなげていくのか、その辺のまず総括からお伺いをしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 御指摘のように、一九九四年、平成六年に新エネルギー導入大綱が総合エネルギー対策推進閣僚会議において決定をされまして、この大綱においては、二〇一〇年度において新エネルギーの導入目標、これは新エネルギー全体で千九百十万キロリットルが示されました。
 さらに、大綱で示された導入のためのシナリオを実現すべく、今御指摘の一九九七年、平成九年四月に制定されました特別措置法の施行以降、政府による新エネルギー導入促進策の強化が図られるとともに、地方公共団体や民間企業・団体等による活発な取り組みが進められてきたと思っております。これまでに新エネルギー導入に一定の成果が得られている、こういうふうに私ども思っております。
 しかし、新エネルギーは、技術面、経済性などの面における課題がございまして、一次エネルギー総供給に占める割合は御承知のようにまだ一%台にとどまっており、今後、一層の導入促進に努力をしていかなければならないものだと思っています。
 このため、経済産業省といたしましては、低コスト化でございますとか高性能化のための技術開発、新エネルギー設備の導入に対する予算補助等を活用した支援について、平成十四年度予算においても、前年度と比べ、厳しい中でございますけれども、三百四十四億円増となる一千四百四十九億円を計上いたしましてこの施策の強化を図っているところでございます。
 この目標達成のため、新たな導入促進策として、特に電力分野における新エネルギーの利用の拡大を図るため、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案を提案して、この審議をお願いしているところでございます。
 まだまだ不十分、こういうことでありますけれども、今後ともさらなる努力をし、施策の強化に努めていかなければならない、このように思っております。
鈴木(康)委員 今、大臣から御答弁をいただきました。さきの北橋議員の最後の御質問に対しても、これからさらに意欲的にこの新エネの促進を行っていくという御方針をいただいたわけであります。
 大臣の御答弁にもありましたように、新エネルギーというのは技術的に非常に難しいこともありますし、これを定着させて広げていくというのは、やはり非常に息の長い仕事であり、作業であると私は思っています。ですから、これからがある意味で本番であるという認識を私どもも持っているわけであります。
 そこで、お伺いをしたいわけですが、この新エネの促進というのは、別の角度から見ると、分散型電源の時代に突入をしたのではないかということであります。これまでの集中的なものからだんだん電源自体が拡散していく、分散していく、そういう方向性に動いているわけですが、この点についてどう評価をされているのか、あるいは今後の展望等をまずお伺いしたいと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 エネルギー供給に当たっては、安定性、効率性、そしてまた環境に優しい、やはりこの三本柱が必要でございまして、そういった視点からすると、今委員御指摘のように、今まではやはり大規模集中型発電というのが一番その役割を果たしているということでございました。しかし、技術革新等々によって分散型発電というものも将来の一つの有力な手段というふうにとらえられてきております。
 例えば、蓄電池と組み合わせた太陽光であるとか排ガスを利用した天然ガスのコージェネ等々、これは発電地と利用地が接近をいたしておりますので、送電する際のエネルギーロスというのはほとんどない、そういう意味でも非常に効率的であるということであります。あるいは、災害が生じたときに機動的な対応ができる等々、私どもとしても、こういった分散型の発電が順次積極的に導入をされていくということが期待されていると思っております。
 ただ、一方では、まだまだコスト的に、特に太陽光は、もう委員御承知のように相当高いコストがかかりますので、経済面の問題もございます。
 また、コージェネについても、いわゆる廃熱を十分に利用しないということになると、結果的にいわゆるエネルギー効率が悪くなってしまうという問題もあるわけでありまして、そういったことを一つ一つ解決しながら、技術革新をして問題を克服していくことがやはり小規模分散型の発電というものを推進していくことになると思いますし、またそれは、環境問題あるいは効率性、安定性という視点からも十分に資するものだというふうに考えております。
鈴木(康)委員 今御答弁に出ました太陽光発電については後ほど詳しくお伺いをしたいと思います。
 次に、先ほど大臣のお話の中でもありました二〇一〇年度の目標値についてお伺いをしたいと思います。
 これは、総合資源エネルギー調査会のもとに設置をされました新エネルギー部会の検討の結果、二〇一〇年度、新エネルギーの導入目標として、千九百十万キロリットル、一次エネルギー総供給に占める割合として三・二%まで引き上げるという数字が示されているわけです。これは今の約三倍であるわけですが、この数字、三・二%という数字の達成のために、今回新たにつくられる制度のもとでこれをどのように推進していくのか。目標達成のためには、ある意味で強引にその量を決めてそれを割り当てていくのかどうなのか、その辺の方向性についてお伺いをしたいと思います。
古屋副大臣 委員御指摘のように、二〇一〇年度の新エネルギーの導入目標が千九百十万キロリットル、一次エネルギー供給の三%程度というふうに設定をされております。
 この設定を実現するために、経済産業省としても、まず、低コスト化あるいは高性能化のための技術開発への支援、そして、そういった新エネルギー施設の導入に対しましての予算を補助する、あるいはエネルギー需給構造改革投資促進税制、また政策投資銀行によります環境・エネルギー・防災・福祉対策枠がございまして、こういったものを活用して幅広く支援に取り組んでいきたいと思っております。
 また、当省の新エネルギー関係の予算につきましては、過去五年間で倍増以上になってきております。ちなみに、二〇〇二年度の予算においても、三百四十四億円ふえまして千四百四十九億円を計上させていただいております。
 こういった目標達成のために、新たな導入促進策として、今回もこの法案の審議をお願いしておるわけでございまして、今後ともさらなる施策の強化を図っていくことによりましてこの導入目標を達成していきたい、こんなふうに思っております。
鈴木(康)委員 今、導入促進に対する幾つかのお考えをお伺いしたわけですが、今回導入されますRPSという制度によりますと、いわゆる新エネの割り当てが各電気事業者に行くわけですね。そういういわゆる割り当て量とこの三・二%という新エネの目標設定、この相関関係がどうなっていくのか。三・二%を達成するためには、少し強引にそうした割り当て量をふやしていくのかどうか、その辺の方向について、追加で御質問したいと思います。
河野政府参考人 先生御承知のように、今お答えを申し上げました三%程度という数字は新エネルギーの導入量全体でございまして、新エネルギーの利用形態には電気と熱と両方ございますので、これらを総合した数字でございます。
 今回の電気事業者によりますこの購入の義務づけの法案は電気の分野だけでございまして、私どもの目標として、これまでの新エネ部会の数字などを念頭に置いて考えておりますあらましの線といいますのは、現在電気事業者が扱っております量の中で、いわゆる新エネ電気、〇・二%でございますので、これを五倍の一%程度にまで引き上げたいということを念頭に置いております。
鈴木(康)委員 つまり、強引な数字設定はしないということですね。再度御確認したいと思います。
河野政府参考人 目標の設定に際しましては、総合資源エネルギー調査会にお諮りをして、いわば英知を結集してやらせていただきますので、さまざまな御意見を拝聴する中で決定させていただきたいというふうに思っております。
鈴木(康)委員 今質問させていただきましたのは、この法律が成立をしますと来年四月からこれは施行されるわけですね。そのときに、肝心の利用目標あるいは基準利用量がどのように決められるかということについてまだ非常に不明瞭である。これは、すぐ決めて、はい、あしたからやりなさいよということができないわけですから、この非常にまだ不透明さが残る部分についていつはっきりさせるのか、その辺の見通しについてお伺いをしたいと思います。
河野政府参考人 御指摘のように、義務づけ部分が来年度の四月一日から施行されるわけでございますから、この法律を通していただきましたならば、速やかに策定できるように早急に対処いたします。
鈴木(康)委員 速やかに、早急にという、それは意気込みであって、私は早く、具体的にいつというめどをつけていただきたいということを再度お願いをしたいと思います。
 さて、今回、新エネルギー全体の導入目標というものは示されているんですが、それぞれの新エネルギーの種類ごとの導入促進というものをどうするのか。先ほど、廃プラの問題も出ておりました。一つのエネルギーに偏っていくようなことがないのか、個々の目標を設定してそれを誘導していくのか、あるいは、その辺はもう市場に任せますよということで投げるのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
平沼国務大臣 本法案の制度というのは、どの種類の新エネルギー等電気を利用するかという選択を電気事業者にゆだねるとともに、発電事業者側においても企業努力によってコスト削減を図ることにしております。これによりまして、市場原理を活用した効率的な新エネルギー等の普及と、電気料金を支払う国民全体の負担の最小化を目指すものであります。
 他方、新エネルギー等の種類ごとに目標を持って誘導することを徹底するためには、例えば、新エネルギー等の種類ごとに電力会社が買い取るべき量を定めること等が考えられるわけでございますけれども、仮にそのような仕組みとした場合、本制度の利点である新エネルギー間の競争が制限されるためにコスト削減のインセンティブが損なわれ、結果として、社会全体としての新エネルギー等の導入コスト負担が過大となる可能性も一面あるわけであります。ですから、私どもはこれは適切ではないと思っています。
 ただし、万一、エネルギーの安定供給と地球環境問題への対応という本法の趣旨にそぐわない状況になるような場合には、私どもとしては、これは適切に見直しをし、検討することも必要だ。ですから、法文上も、見直しをする、こういう規定を置いているところでございます。
鈴木(康)委員 つまり、この新エネ促進を進めていく過程において、例えば、あるエネルギーが突出をするというような事態に陥ったとき、具体的には、例えば、コスト的に非常に優位性を持つであろう廃プラがこれによって非常に進んでしまう。先ほど北橋議員は、ブラックバスの例を出して、駆逐されるというふうにおっしゃられましたけれども、そういうあしき傾向が出てきたときにはこれを厳しく見直すというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
平沼国務大臣 今御指摘の廃プラ等の非常にコストが安い、競争力のある、そういうものは、先ほどの御答弁の中で、全体を見て、そして基本法の精神にのっとって、私どもは抑制的に、それは環境省と相談をやる、ですからそういうことは起こらない、そういう歯どめはかけていきたいと思います。
 しかし、やっている中で、いろいろなバランスの問題だとか、新しいことをやるわけでございまして、当然そういったいろいろな問題が想定されますので、そういう場合にはやはりよく見直しをする、そういうことで対応する、こういうことに相なっております。
鈴木(康)委員 今度の法律によって新エネの導入がある意味で半ば強制的に義務づけられるようになるわけですね。これまでいろいろな政策によって、電気事業者なども、こういう新エネルギーというものを導入しようという自主的な取り組みというものを一方で行われてきたわけでありますが、今回、法律で縛りをかけることによって、これまで自主的に行われてきた取り組みというものに対して悪い影響が出ないのかということを私はちょっと懸念するわけであります。
 例えば、現在、太陽光発電でつくられた電気のうち、余剰電気は小売価格と同じ価格で電気事業者が引き取るというようなことも実施しているわけでありますが、今度の法律によって、こうした今やられていることがどんどんある意味で駆逐をされていくというようなことがないのかどうか、その辺のことについてお伺いをしたいと思います。
河野政府参考人 現在、電気事業者が、新エネルギー等電気といいますか、新エネルギーで起こしました電気を導入することに前向きに取り組んでいるのは御指摘のとおりでございまして、具体的には、余剰電力購入メニューですとか、あるいはグリーン電力基金、これは個人向けの制度でございます。さらに、グリーン電力証書システム、これは企業向けの制度でございまして、こうしたさまざまな自主的な取り組みをしていただいております。
 この法案では、確かに電気事業者に一定量の義務づけを行うわけでございますけれども、必ずしもこれはこの自主的な取り組みと矛盾するものではないというふうに思っておりまして、また、これらと相まって新エネルギー等電気の導入を促進してほしいなというふうに思っているところでございます。
 御指摘の、例えば太陽光について申しますと、現時点におきましては、やはり発電コストが他の新エネルギーに比べても高いということがございまして、市場機能に任せるのみでは必ずしも十分な導入は難しいのではないかと、この点は新エネ部会でも議論になりました。当分の間は電気事業者も、余剰電力購入メニューを続けるというようなことをこの新エネ部会でも御発言いただいているわけでございまして、これをもとに、相当の導入を期待してよいのではないかというふうに思っております。
 また、この法案におきましては、発電事業者及び電気事業者によります新エネ等電気の導入促進が図られます反面、グリーン電力基金などでは一般企業あるいは個人からの資金提供による促進が図られるということでございますので、やり方も異なりますし主体も違いますので、この法案によってこういった自主的取り組みが損なわれないようにということも考えてまいりたいと思います。
鈴木(康)委員 この自主的な取り組みがだんだんトーンダウンしないように、これはぜひ注意をしていただきたいと思います。
 さて次に、太陽光発電について幾つか御質問したいと思います。
 最初に、実は太陽光発電というのは日本が世界一その導入量を誇っているわけでありますが、なぜこの太陽光発電が日本が世界一になったのか、その辺の理由についてどうお考えなのか、まず、その点についての御所見をお伺いします。
河野政府参考人 御指摘のように、太陽光発電の規模は日本が世界最大の規模でございます。
 ここに至りますまでには、やはり国民の皆様の新エネルギー導入に対します熱意、御理解、こういったものも背景にあったと思いますし、また私ども、長年技術開発を支援させていただいて、コストの低減が図られてきたということもあると思いますし、また、導入補助という制度をやってまいりました。電力会社も、自主的な購入メニューを提示して協力をしていただきました。こうしたことがさまざま相まってこれだけの規模になったということではないかと思っております。
鈴木(康)委員 私は、今幾つか出た原因のうち、日本が太陽光発電、特に太陽電池についての技術力が突出をしているということがやはり普及にいい意味での大きな影響を与えたんだろうと思うんですね。そういう意味で私は、日本は太陽光発電の先進国であるというような位置づけをしてもいいのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか、その点。
河野政府参考人 導入量も確かに世界一でございますけれども、そのメーカーの生産量も世界一でございまして、この背景には、先生がおっしゃいましたようなメーカーの技術力、これが裏打ちとなっているというふうに思っております。
鈴木(康)委員 私は、そういう意味で、ぜひ太陽光発電、これは日本がもっと力を入れてやっていく分野だというふうに考えています。
 政府の方針を見ますと、二〇一〇年度に太陽光発電は四百八十二万キロワットを達成するという目標を立てられていますけれども、まず、この目標をどうやって達成するのか。ある意味で、今までは一つの技術力がこれを引っ張ってきたと思いますが、これからはその普及を促進するためのいろいろな施策が必要だと思いますが、その点、いかがでしょうか。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 この太陽光発電は、今長官の方からも答弁させてもらいましたけれども、日本が一番進んでいる。その背景には、今長官から答弁をさせていただいたことに加え、やはり、日本人の国民性というか、太陽に対する親和性というか、そういうものは非常に多いと思うのですね。ですから、そういった精神的なものもあるわけですから、しっかり導入を促進していくということが重要ではないかなと思います。
 ただ、現時点では、御承知のように、四十六円から六十六円かかりますので、経済的には極めて非効率でございますので、そういった観点から、まず、初期需要の創出というものを図っていかなくてはなりません。その結果、システム価格の引き下げをしていく、促すという観点から、まず、その施設設置費用の一部の助成、これは委員御承知のとおりでございまして、今は、十三年度までは一キロワット当たり十二万円、十四年度は十万円ということで支援をさせていただいております。
 また、技術開発の側面からも、いろいろ経済性の課題についても取り組んでおりまして、特に、低コストタイプの太陽電池の開発、それから、これら技術の市場投入の迅速化、こういうものについて努めてまいりたいと思っております。
 こういうことが相連携をしていくことによりまして価格が下がっていくことを期待いたしておりまして、実際に下がっていくということは過去の例でも示されておりまして、最終的には、やはり市場がしっかり自立をしてこの太陽光発電の促進を図っていくということが私は理想だというふうに考えております。
 これまで、一般個人を中心とした太陽光発電を導入しようと、今私が申し上げましたように非常に国民的な意識も強いものですから、まず、平成四年度からは、電力各社による余剰電力の購入メニューによる買い取り、これはもう委員御承知のとおりでございます。平成六年度からは太陽光発電の補助金の実施、それから、太陽光発電各メーカーによりますコストダウン、この三つの方向からの支援が有機的に結びついていく、こういうことによって、今三十一・七万キロワットでございますけれども、これで、現時点では世界一の水準に達してきたということでございます。
 二〇一〇年の四百八十二万キロワットということは、十数倍ということでございますので、高い目標でございますけれども、こういった施策を講じていくこと、またもう一つは、太陽光だけではなくて、例えばハイブリッドでいろいろ活用していくことによってその導入促進を図れるということもあろうかと思いますので、今後とも、太陽電池の一層の導入促進に向けて我が省としても積極的に取り組んでいきたいと思っております。
鈴木(康)委員 今、古屋副大臣から積極的に導入を促進したいというお答えをいただきましたが、その意気込みの割には、逆に、補助の実態を見てみますと、今、NEFがこの導入促進に向けての補助をしているわけですが、二〇〇〇年の上期にはキロワット当たり二十七万円の補助をしていたのですね。それが下期には十八万円、今お答えがあったように二〇〇一年には十二万、そしてことしはとうとう十万に下がってしまったわけですが、導入促進をしなきゃいけないこの時期に、なぜ補助金の額がどんどん下げられているのか、その理由についてお伺いをしたいと思います。
河野政府参考人 この導入補助の単価でございますけれども、御指摘のように下がってきているわけでございますが、これは、予算要求年度の太陽光発電システムの設置に要します費用、特にトップランナーの価格を念頭に置きまして、電気料金により償却される価格との差額、その二分の一を補助させていただくということでやってみました。
 この補助金のねらいどおり、トップランナー価格は、先ほども副大臣が申し上げましたように年々低下をしてきているわけでございまして、補助単価もそれに応じて見直しをしてきているということでございます。結果的に補助単価の比率は下がったということでございますけれども、システム価格の低下に伴うものでございますから、御家庭の実質的な自己負担額もまた低下してきておるという状況にございます。
鈴木(康)委員 機械的に補助金の額が減らされたということになっているわけですが、私は、やはり初期の導入というものは政府が積極的にこれを進めていく必要がある、先ほどの御答弁でもありましたが。数がふえていくときにどんどんそれを抑制するような政策でいいのかどうかということを私はちょっと疑問に思います。
 現在、政府の方では、新エネ導入のための個別具体的な施策として、導入者の負担軽減を図ることにより導入を促進するとともに、量産化を通じてのコスト低減による市場自立化を早期に実現するため、集中的な導入補助を実施しているということになっていますが、この基本方針というものはこれからも堅持をされていくというふうに考えてよろしいでしょうか。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 初期コストが高いいわゆる住宅用の太陽光発電システムについては、やはり導入者の負担軽減を図るという観点から、一定の期間における集中的な導入補助というものを実施してきております。その成果が現実にあらわれてきているということでございます。
 こういった新しいエネルギー分野での導入補助につきましては、機器、システムの高度化を通じた性能向上、あるいはコスト低減というものに対して非常に有効でございますので、今後とも、新エネルギーの種類ごとの普及状況とかその特性というものをしっかり踏まえながら適宜適切な措置をしていきたいというふうに考えております。
 また、平成十四年度からは、住宅用太陽熱高度利用システムの導入につきまして、これは石油代替エネルギー効果が非常に高いということもありまして、初期需要の創出を図るという視点から、一定期間の集中的な導入補助を行うというふうにさせていただいております。
鈴木(康)委員 今ある補助事業というのはことしで終わるわけですね。そうしますと、それにかわるべき補助というものがこれからつくられるのかどうか、その点について確認をしたいと思います。
河野政府参考人 この制度、先ほど副大臣が御答弁申し上げましたように、初期需要を拡大する、それで市場価格の引き下げ、自立化を目指すということでやってまいりました。一定の時間的目標がメーカーの皆さんに対しても設定されるということで、引き下げ努力が促進されるということでございましたので、支援期間も一定期間を区切っているのでございます。平成九年度の事業開始当初は、実は終期を平成十二年度というふうに設定いたしておりました。太陽光発電の導入状況あるいは価格低下状況を踏まえまして、十四年度ということで延長した経緯がございます。
 この事業は、御指摘のように十四年度をもって終期を迎えるわけでございますけれども、導入促進策につきましては、太陽光発電システムの普及状況、それからコストダウンの状況を踏まえて検討させていただきたいというふうに思っています。
鈴木(康)委員 これはある専門家の御指摘でありますけれども、大体、三キロワット百五十万で全システムが導入をされますと、これはかなり、償却その他がありますが、そこまで落ちてくれば商業電気料金と比較しても遜色なくなるという御指摘がございます。つまり、キロワット当たり五十万でありますけれども、まだそこまで至っていないわけですね。
 例えば、このキロワット当たり五十万というのを達成している春日井市というのは、上限二十万まで国の補助に対して上乗せをして補助をしているわけであります。この補助を使いますと、大体キロワット当たり三十万の補助がもらえますから、そうすると、今、大体キロワット八十万ですから、それが、三十万補助があれば五十万まで落ちてくる。そうしますと、ある専門家が言う分岐点まで大体落ちてくるわけでありまして、相当にこの春日井市というのは普及が促進をされているという点がございますが、ですから私は、まだ初期導入としては中途半端な段階である、いつまでも、永久的にこれを続けろということではありませんが、もう少し自立をできるところまで続けるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
河野政府参考人 春日井市の例も大変ありがたい例だというふうに思っております。そういった地方自治体が協力していただいている数は、補助制度で百九十一、融資制度で十一、利子補給制度で八自治体というふうに多くを数えるに至っておりますので、この点については敬意を表していかなければならないと思っております。
 ただ、この事業自身は、二〇〇二年度で終期というふうに設定されておりますけれども、先ほど申し上げたようなことで、今後これについては検討させていただきます。
鈴木(康)委員 これは、ある意味で、国だけがやっているわけじゃない、自治体がかなり、今おっしゃられましたように参加をしまして、そのことが随分その普及の促進に大きな貢献をしていると私は思っています。
 その自治体でありますけれども、例えば私の地元の浜松でも、この太陽光発電の導入に際して、国の補助の五分の一を浜松市が追加で補助をするという制度があるわけですが、ある市会議員の方が市議会でこの問題を取り上げて、国の補助がなくなった場合に浜松市としてどうするのかということを質問したところ、それは国の政策の推移を見ながら制度のあり方を検討するという、ある意味で国がどういう方針で臨むのかという様子見をしているということが報告をされています。
 春日井市等の一部の行け行けどんどんみたいな自治体は別としまして、多くの自治体が、やはり浜松と同じように、国がどういうふうにこれをリードしていくんだということを注視していると思うんですね。
 そこで、国がここでやめてしまえば、ほとんどの自治体がそれに右に倣えで腰が引けてしまうわけでありまして、その点について私は非常に危惧をしているんですが、御所見をお伺いしたいと思います。
河野政府参考人 御指摘のように、地方自治体の協力、これは上乗せ補助が多いというのはそのとおりだと思います。そういうこともこの検討の際には参考にしながら検討させていただきたいと思います。
鈴木(康)委員 簡単な御答弁で終わってしまいましたが、ぜひこれはもっと真剣に考えていただきたいと私は思っています。
 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、お配りをしましたこの写真をちょっと見ていただきたいと思います。
 この一番下の非常灯という、一番下の写真の真ん中でありますが、ちょっとS字型にくねったような街路灯がありますね。これは何かといいますと、太陽光発電を利用した防災灯であります。私の地元のある中学校に設置をされたものでありまして、PTAがこれを寄贈いたしました。全部で設置に八十万かかったそうであります。
 これは、この非常灯の中に蓄電池が備えてありまして、太陽光で発電をしたものもある程度その蓄電池でためるというシステムになっているんですが、さらに懐中電灯あるいはラジオを備えつけて、何か大地震が起こったりしましてライフラインが切断をされてもこれで十分に対応できるというようなものになっています。年間の維持費が一万二千円ですけれども、これもPTAが子供たちと一緒にメンテナンスをしているということであります。これは一基八十万でありまして、例えばこれを千本市内に取りつけても八億で済むんですね。
 私は、これは非常にいいアイデアだと。子供たちのいろいろな省エネに対する関心を高めるためにもいいし、あるいは防災にも寄与する。こうしたものが太陽光発電でできるのであります。こういういろいろなアイデアというものがまだまだ眠っているんですね。こういうものをぜひ育てていただきたい。
 例えば、経済産業省が文部科学省に言って、こういうものを全国の学校にやったらどうだというようなことをぜひやっていただきたいんですが、大臣、いかがですか。
平沼国務大臣 このいろいろ多くの例示の写真を見せていただいて、こうやって非常に積極的に皆さん方やってくださっているんだな、そういうことを痛感しました。
 文部科学省等ともよく相談をし、やはりこういうものをどんどん普及していくことが新エネルギーの促進につながると思っておりますので、積極的に連携をとってやらせていただきたいと思います。
鈴木(康)委員 実は、本当に民間あるいは草の根ではいろいろなこういうアイデアというものがたくさん眠っているんですね。いわゆる自然エネルギーを利用してこういうものがいろいろ試行錯誤の中でやられているわけですから、ぜひこういうものを育てていくのが国の役割だと私は思っていますので、これからも積極的にこの点については促進をさせていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
谷畑委員長 川端達夫君。
川端委員 大臣、提案者、よろしくお願いいたします。
 初めに大臣にお伺いしたいんですが、今回のこういう、まさにこれからの国のあり方、国民生活の過ごし方も含めて、環境という問題、そしてエネルギーという問題にかかわる分野の一つだというふうに思うんですが、こういう法律が出てくるとき、そして実効性が、先ほどのお二人の議論を聞いていても、やはり確固たる信念に基づく理念というものと、それを不退転の決意で行うということがないと、各論の部分で非常に迷走した議論になるという感じを非常に受けるわけです。
 そういう部分できょうは、この政府提案の法律を読ませていただいて、法律というのはいろいろなできてきた経緯はあるんですが、この目的を読んでも、どうもいまいちよくわからない。何のためにやるのかと。まさに、これからのエネルギーを考えたときにということから始まって、こういうためにという大きな国策の前提のもとに法律はつくられているし、あと動いていくんだと思うんですが、そういうことがあってこそ法律というのが成り立ち、そして、この第二条に「「新エネルギー等」とは、」という定義がされているんですが、そういうものもそれに基づいて定義されたものとして出てくると。
 大もとのこうあるべきだという理念と、それに基づいた定義としての新エネルギーというのがあるべきだと思うんですが、この法律を見て目的を読んでも、どうもいまいち何を目指すのかよくわからぬなと。そして、この定義がどういう、要するに思想としての基準がどこにあるのかがよくわからないので、頭が悪いんだと思うんですが、ひとつ御説明をいただきたいというふうに思います。
平沼国務大臣 本法案の目的として、内外の経済的、社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保に資するため、電気事業者に新エネルギー等の利用を義務づけまして、もって環境の保全に寄与しまして、国民経済の健全な発展に資する、これが目的ですけれども、二十一世紀というのは環境の世紀と言われています。そういう中で、環境に優しいそういう新エネルギー、これを促進することがやはり環境問題を克服する一つの大きな手だてになる、そういう基本的な理念がその背景にある、こういうふうに私どもは思っております。
 したがいまして、この目的を達成するために、今御指摘の本法の二条二項においては、一つは、石油を代替するエネルギーでありまして、エネルギーの安定供給にも資すること、それから、CO2の追加的な排出もなくて、これはいわゆる地球温暖化に結びついていることでありますけれども、環境保全にも寄与するもの、そういうことでございまして、そういう意味で政策的に支援が必要である、そういう観点から、太陽光でございますとか風力、水力、地熱、バイオマス等のそういった新しいエネルギーを対象にする、そういう基本的な考え方でございます。
川端委員 今の話の中で、一つは、いわゆる環境に優しいということで、議論があったんだと思うんですが、ここにはあえて書いていませんが、京都議定書の温暖化というのは非常に大きな問題であるということも、どうして書かれなかったのかなと思うんですが、視野には当然入っていると。そして、もう一つは石油代替、それにも関連するんでしょうけれども、代替機能としての部分であると。
 私は、そういう部分で考えると、提案理由をいま一度読んでみますと、一番初めに、石油の依存度と原油の中東依存度が非常に高いと書いてあるんですね。そして、脆弱なエネルギー供給構造を有している、こういうふうに提案理由に書いてあるということでは、やはり、一つの大きな背景としては、石油に依存をしているという体質が、非常にエネルギーのセキュリティーという部分で問題があるということが一つの柱としてあるんだろうなというふうに思うんです。
 それから、もう一つ、この新エネルギーの部分を見ると、わざわざ「原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。」というのが五に書いてある。六には、「原油及び揮発油、重油その他の石油製品をいう。」そして、「を熱源とする熱以外のエネルギー」ということで除いてあるという部分では、脱石油というものを一つの柱にしておられるのかなと、この基準を読むと。
 もう一つは、おっしゃったように、いわゆる地球温暖化というもので、いわゆるクリーンなエネルギーということで見ると、「風力」「太陽光」と、こう書いてあるということが大きな柱としてあるのかなと読むんですが、そうしたときに、そういうエネルギーの脱石油と温暖化防止ということであるならば、「風力」「太陽光」「地熱」「水力(政令で定めるものに限る。)」と書いてあるんですが、いろいろな議論の経過やエネ庁の資料等政府の説明資料では、我々ヒアリングした段階でも中小規模に限るということで、脱石化エネルギーであり、そして環境に優しい、CO2対策に非常に寄与するという部分でいうときに、水力は限定しておられる。そして、原子力は外れている。ということでいうと、もう一つの考え方が入っているのではないか、この基準には。
 それは、いわゆる経済ベース、既に電力各社で発電しているもの、これは当然ながら商業ベースでやっているわけですね。そういう部分で、既に競争力があって供給されているものは除外すると。多分、これが、今競争力は弱いけれども、環境に資し、そして脱石化であるというものを応援してあげようというのが背景にあるんだろうと。
 私は、この三つの、脱石化エネルギー、それから地球温暖化防止、そして商業ベースに乗り切れていないというのが、この定義の、新エネルギーというものの柱ではないかというふうに理解をしているんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 非常に詳細にお述べいただきましたけれども、まさに私はそういうコンセプトだと思っています。既存のものは、そういう意味では商業ベースに乗っております。
 環境に優しいそういう新エネルギーというものにインセンティブを与えて、そして、ある意味では競争力をつけ、環境の問題に資する、それがひいてはエネルギー安全保障に結びつく、そういうことで、それは御指摘のとおりだと私は思っております。
川端委員 最終的な電力、発電というものにつながる部分でという法律の体系はそれなりの意味があるんですが、私はその部分を担当するセクション、行政の機構はその部分に特化してずっといろいろ議論をされていくんだと思うんですが、大臣初め政治家が政治の、政策のジャッジメントをし遂行するときは、いつもその一番大もとは何かということを見据えて、そして、そこの部分にめり張りつけて強力に推進する、そういうことをするのが私は行政の上に立つ政治家の使命だというふうに思っているんです。そういう意味で、あえてこのことを確認させていただきました。
 できるならば、本当は、メッセージとしてはそういうことだという、そして、そういう国をつくろうというメッセージがもっともっと出ていてこういう話にならないと、なかなか各論の部分で、先ほどの議論を聞いていると、何か本筋を忘れているんじゃないかなという気がしたものですからあえて伺いました。
 それで、ちょっとこれは技術的な問題ですが、水力に関しては「政令で定めるものに限る。」と書いてあるんですが、これは規模的なものを、中小と別の説明資料にあったんですが、数値的なものを想定されているのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
河野政府参考人 数値的なものを想定しておりまして、まだ検討中ではございますけれども、一千とか数千キロワット程度ということを念頭に置いてさらに検討を進めたいというふうに思っております。
川端委員 それはなぜ数値的なもので区切ろうとされているのか、お伺いしたいんですが。
河野政府参考人 実は、大規模なものは既に十分開発されているのが現状かと思います。そしてまた、適地もかなり開発し尽くされているという状況にございまして、今後の開発余地は乏しいということでございますので、この潜在的な開発の余地を残しました中小規模の水力を対象とするというのが考え方でございます。
川端委員 水力発電のダムとか云々というのが本当にいいのかというのはいろいろな議論があるんですが、これはちょっとおいておきまして、開発の余地があるというふうにおっしゃったんですが、コスト的な部分というのはその背景にあるのかないのかをお聞かせいただきたい。
河野政府参考人 中小水力は、先ほど来申し上げております水力のコストの中でまだ技術的な開発の余地もあろうかと思いますので、コストもさることながら、潜在的な開発余地ということで考えてまいりました。
川端委員 では、次に、またかという話でありますが、六号に、「前各号に掲げるもののほか、石油を熱源とする熱以外のエネルギーであって、政令で定めるもの」ということで、ここに産廃発電、特に廃プラが入るのか入らないのか、入れるべきか入れるべきでないかという議論がずっとやられているんですが、これは今の、「政令で定める」ということですが、念頭に入っているのか入っていないのか、お聞かせをいただきたい。
河野政府参考人 第二条第二項第六号では、廃棄物発電も対象にすることを検討しております。将来的には、技術の動向いかんによりますけれども、波力とか潮力とかその他のことも考え得るものだと思っております。
 ただ、この廃棄物発電につきましては、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、この委員会で多々御指摘がございました。また、産業廃棄物の現状も踏まえまして、この法案第二条に規定いたします政令によりまして、廃プラスチック等の化石燃料系の廃棄物による発電を対象に指定いたします場合には、循環型社会形成推進基本法の原則にのっとりまして、本来、再使用、再生利用すべき廃棄物の焼却が促進されないように、抑制的な観点から慎重に対処してまいりたいというふうに考えておりますので、この大臣の御指示に従いたいと思っております。
川端委員 私、一番初めに、こういう基準、背景で決められているのかなというふうに申し上げました。その部分でいいますと、議論はありましたけれども、幾らでできるんやという話で、一つは、コストとして競争力がそこそこあるという状況のものは、促進する意味がないから外すという一つの大きな考え方がある。ここにまずかなりの部分で抵触する、あるいは近い将来抵触するということがあるのではないかというのが一点です。
 それから、もう一つは、基本的には石化製品は外す、石化燃料は外すという部分に関して、産業廃棄物の中に、特に廃プラ発電というのは、そのエネルギーを、廃プラスチックをメーンの熱源として発電をしようというのは、まさにここに書いてある「石油(原油及び揮発油、重油その他の石油製品)を熱源とする熱以外のエネルギー」というものではなくて、まさに、そのエネルギーであるということではないのか。脱石化という部分を、発電のためにこれをつくろうという意味ではないですけれども、このことにおいても、基本的な流れからいうと大きく違うのではないか。
 もう一点、環境に優しいという意味で、私は、もう熱にして処分するしかないというものの熱を利用する、あるいはそれを発電にするということを拒否するものでは全くありません。しかし今、循環型社会を国として目指していこうという大きな流れの中で、こういう種類のもので発電する人は頑張れというときに、買い取りの部分に、別にエネルギーに色をつけない、対象は区別をしないという法の仕組みの中では、一番競争力があってという部分で、これが強くなることが本当に廃プラの回収というものを阻害するのではないか。
 現に、いろいろなデータがあって、どれが実態かよくわからない、調べても調べてもよくわからないんですが、資料で、環境省のデータでも、例えば金属くずというのは再生利用率が七八%ある。身近なものでいいますと、紙くず、紙ですね、これは五〇%の再生利用率。廃プラスチック類というのは二二%で、やはりプラスチックというのはまだまだ回収、リサイクルがされていない。そういうリサイクル社会というのをもっと伸ばそうというときに、これは再生利用ですから、何かに利用するという再資源化ではないです。そういう部分でいうと、流れに逆行することになるのではないか。
 もう一つ、プラの再資源化という部分で、捨てるものを使うんだからという観点でのデータがあるんですけれども、それは、発電に使おうと熱に使おうと有効利用ではないかということがあるんですが、しかし、これを加速することは、結局は炭酸ガスを、新たに負荷をふやすということにしかならない。
 したがって、一番初めに申し上げましたけれども、脱石化であるということと、それから環境に優しいということと、しかしながらコストはなかなかやっていけないんだということが大きな根幹の思想から導き出された定義であるならば、こんなものが入るはずがないと私は思うんですけれども。
 初めに、せっかく議員提案が出ておりますので、提案者の方から、こういう視点で法律はあるべきだと私は思うんですが、いかがな御認識かお尋ねしたい。
金田(誠)議員 先生には今、法律制定の意義をきっちりと整理していただいた、こう思っておりまして、ありがたく拝聴をいたしました。御指摘のとおりだ、こう思うわけでございます。
 一点目の、脱石油という観点からしてもこれはもう問題外だ、こう思っておりますし、コストの面からしても、いろいろな説がございますけれども、苫小牧に今計画されております廃プラ発電所、キロワット五円というふうに推計をされております。これに対して火力は七・三円。現状でももう十分競争力がある。仮にこの五円が六円、七円だったとしても、まだまだ競争力がある。これに対して風力はどうかといいますと、十円ないし二十四円と言われておりますし、太陽光などは四十六円から六十六円。こういう、本来の自然エネルギーの中に、五円とも言われている廃プラ発電が入ってきて、同じ土俵で勝負をさせようなどということ自体もう考えられないことである、法律の趣旨そのものに照らしてもあり得ない、こう考えているところでございます。
川端委員 先ほど来の北橋委員の議論も含めて、私も大体そういうことじゃないのかなと思うんです。
 それで、各論を、法律をつくっていくと、それぞれに悩ましい問題がいっぱい出てくることは事実だと思うんです。その部分は、多分長官とかの部署では、担当部署としていろいろ知恵を出して、ああだこうだとやっておる。私は、大事な部分は、最後に大きな理念のもとに政治家が判断するということだと思うんです。そこにかかっているんだと思うんです。
 先ほど来、これから環境省も含めてこのあり方を議論するということをおっしゃっていただきましたけれども、前提としては、私確認したところで、先ほどの御答弁でも、長官からは、一応それも視野に入れてやるという前提で今まで来たということですが、先ほど来からの議論も含めて大臣の御所見を伺いたいと思いますし、現に外国ではいろいろな、アメリカでは州法ですが、いろいろな国でいろいろ検討されてきているときに、オーストラリアは……(発言する者あり)そうそう、メモを無視して、政治家の判断を問うているわけです。
 オーストラリアとかは、ごみ燃焼で非化石燃料起源分のみとか、イギリスでは、廃棄物はあるけれども非化石燃料起源分のみ等々、やはり諸外国においてもそういうことを排除するということに細心の注意を払ってきているという流れだと思うんです。これだけの議論を含めて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 川端委員から非常に明快な分析がありました。私としても、再三再四先ほどから御答弁させていただいておりますけれども、廃プラスチック等化石燃料系の廃棄物による発電、それを対象に指定する場合には、これは厳にここのところはしっかりやらなきゃいかぬと思いますけれども、循環型社会形成推進基本法の原則にのっとりまして、本来、再使用、再生利用すべき廃棄物の焼却が進まないように、抑制的な観点を大切にして慎重に検討をし、そういう場合もよく環境省と連携をとって私どもはやらなければならない。そういう形で、おっしゃっているそういう観点の中でこのところはしっかりとやっていきたい、このように思っています。
川端委員 この部分は、そういうことで慎重に御対処いただくということの御答弁を先ほどからしていただいているんですが、これからのコストは幾らになるかわからないとか、どれぐらいになるのかようわからぬみたいな話がしばしばあるんですけれども、そうであるならば、先ほど、一番初めの大もとの基準を整理いたしましたけれども、こういう事態になったものは外すということがあってしかるべきだと思うんですよ。
 先ほど、例えばソーラーは、推進するためには初期は一定のバックアップをしていくけれども、大体広がってきたからもうだんだんやめていくんだというのであれば、ひとり立ちしたようなものは、そんなものはやめればいいんですよ。そういう歯どめの条項やチェックする条項がなくて、政令だけでということに非常に心配をしているわけです。ですから、そこの部分、慎重に対処するというだけじゃなく、ぜひとも御議論いただきたい。
 同時に、政令はどういうプロセスでいつごろお決めになる御予定なのか、お聞かせいただきたい。
河野政府参考人 十分慎重に議論する点は、先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。
 政令の手続でございますが、これは、環境大臣との事前の相談も含めまして直ちに取りかかりますけれども、十分時間をかけて慎重に検討することが必要だと思いますので、そういう意味では、時間をかけた検討を考えております。そのプロセスで、専門家あるいは関係業界の方々にも十分意見をお聞かせいただきたいというふうに思っております。
川端委員 何か、いつまでかよくわからなかったんですが。
 我々これだけ審議をして、法律は国会でということで、政令は我々がイエス、ノーと言わないという仕組みでありますけれども、議論をそういうふうに慎重にされるのであれば、中間段階ででも、これは理事会の協議かもしれませんが、議論を、我々の議論にも付していただきたいことを、これは御要望申し上げておきたいというふうに思います。
 それでは、もう金田先生結構です。ありがとうございました。
 次に、大臣、資料をお配りしましたけれども、菜の花プロジェクトというのはお聞きになったことがあるでしょうか。今まで何か見聞きされたことはあるでしょうか。
平沼国務大臣 たしかテレビで一回やっていたような感じを持っておりますけれども、体系的にしっかりと、私、これを説明を受けて理解したという段階じゃございません。たしか何かテレビか雑誌で見たという気があります。
川端委員 それは非常に残念なことでありまして、まさにこれからの社会はどうあるかということの中で、このプロジェクトは、実は、国だとか地方自治体がこんなことを考え出してやろうという話から始まったのではないんです。まさに家庭の主婦が、自分たちが使うてんぷら油がどんどん捨てられていく、私は滋賀県ですが、滋賀県の琵琶湖が汚れる、だからこれを石けんにしようということから始まったんですね。
 粉石けんで、石けん条例と言われる条例が、滋賀県は、有機燐を含む洗剤を売ってはいけないという、当時からいったら画期的な条例をつくったんですが、そうしたら、民間の洗剤会社が無燐洗剤というのを開発したということで粉石けんが売れなくなってしまった。しかし何とかならないだろうかというときに、いろいろな研究の中で、ドイツの例も含めて、ここに漫画がありますけれども、要するに、田んぼに菜種を植える。菜種をとって菜種油をとる。それをいわゆる食用油として給食とかに、これは回収がしやすいということで給食に油として使って、その廃油を回収して、これに簡単な装置でメタノール添加してエステル化しますとディーゼル燃料になる。これは、全く通常のディーゼルと同じ能力のものが今はできるようになっています。
 そして、油を搾った油かすは肥料にするか飼料にする。飼料にしたものは、家畜のえさですから、またその排せつ物が有機肥料になるということで、完全循環するというバイオマスとして地域ネットワーク的に動き出してきた。かなり全国的に、かなりというより、ぽちぽちと広がってきた。今、菜の花盛りでありますから、お花畑ができてきた。
 調べてみますと、私の滋賀県で、昔は、まさに菜の花畑に入り日薄れという春の原風景なんですよね、田んぼが黄色い。一番多いときで一万ヘクタールぐらいあった。今調べたら、これでやっている十ヘクタールだけと、ほとんどなくなってしまった。
 しかし、これを見直してみると、大変今の時代に注目すべきものではないのか。一つは、いわゆる菜種の実ができる部分に含まれるカーボンというのは、空気中の炭酸ガスを吸って、それを光合成で固定化するわけですから、最終的に燃やして炭酸ガスが出る分は完全にプラマイ・ゼロという、要するにマスバランスのとれているものである。それから、今御説明しましたように、完全に循環型社会に適した、すべてを有効に使う。そして、当然ながら、脱石油化学、脱石化燃料。
 加えて、減反政策というのを農業でやっているわけですけれども、この減反政策で荒れ地になってほっておくよりははるかに意味がある。昔懐かしい景色がよみがえってくる。今の子供は、春になって菜の花畑を見ていませんから、原風景がないんですよ。我々は菜の花畑を見ると、ああ、昔はこうだったな、きれいだったんだなと思いますけれども、今の子供は何も思わない。だから、両方知っている我々に原風景のいいものを残す責任があると私は思っています。
 今、東京湾を見て汚くなったなと思うのは、徳川家康は思うかもしれないけれども、私はここ東京に来て十数年で初めから汚れていますから、ある部分でいえば何も思わない。しかし琵琶湖は、子供のとき泳いだのに泳げなくなった、これは何とかしなければならない。私はそこが非常に大事な我々の責務だと思っているんです。
 ドイツは国策として、石油危機のときにこれをエネルギー、要するにディーゼルエネルギーとして位置づけたということで、いろいろな部分でバックアップしているわけです。私は、これは政策の、政治のやはりやるべきことを果たしてきたんだと思うんです。それで、環境と農業とエネルギーの三つの分野で、これはぜひとも推進しなければならない政策であるということで、当然ながら、いわゆる日本で言う減反奨励金みたいな部分の作付のときの所得保障。
 そして、ドイツで言ういわゆる石油税というのがあります、当然ディーゼルで走るときに。ガソリンスタンドの供給のボックスがありまして、こちらに普通のディーゼル、こちらにバイオディーゼルと書いてあるんです。こちらからつげば普通のディーゼル、こちらからつげばバイオディーゼル。安いんですよ、バイオの方が安い。なぜかというと、石油税をかけない、ということで優遇している。
 大臣、これは報道で聞いたんですが、ハイブリッドカーか何かにお乗りですね。ハイブリッドカーは、あの車自体にいろいろエコ税制とかいうことで優遇する。総理が一生懸命言っておられます電気自動車もそうだ。ハードを手に入れるのに優遇する、国としてはいろいろな施策をやっている。当然ながら、環境に優しいということでやっているんでしょう。
 そうしたときに、結果として、ハードだけではなくて、ハイブリッドカーになれば燃費がよくなる、ということでガソリンを使わない、それは消費者にとってもメリットですね。同時に、同じ百キロ走るのに十リッターのガソリンが要ったのが五リッターで済むというメリットだけではなくて、道路を傷めるというのは同じなんですよ。道路を傷めるからという道路目的税、今話題の道路目的税で、五十円のガソリンだけれども百円払いなさいといっている部分も軽減されているんですよ、実は。電気自動車に関してはそういう税金はないわけですから。ところが、このバイオディーゼルをやろうとすると、ディーゼルだろう、軽油引取税を払えというのが今の日本の政治なんですよ。私は、こういうことは、この国は何なんだろうというふうに思うんですね。
 そういう部分で、初めて御提起をしたのであれかと思いますが、これは相当力を入れてやる値打ちがあると思われませんか。
平沼国務大臣 バイオマスディーゼルの、ディーゼルエンジンを回す石油代替というのが非常に私はすばらしいものだ、そういうふうに今お話を伺って思わせていただきました。
 バイオディーゼル、BDFについて軽油引取税がかかるというお話がございました。これは、現在の税法におきましては、自動車用の液体燃料を販売する場合に、炭化水素、炭素と水素だけから成る化合物がそれに含まれている場合には、その含有量によって軽油引取税またはガソリン税が課税されることになっています。なお、炭化水素を含有しない一〇〇%バイオディーゼル燃料の場合には、これらの税金はかからない、こういうことに相なっています。
 私どもは、やはり、自然に優しい、今御指摘の循環型のそういう体系をつくっていくということは非常にいいことだと思っておりまして、積極的に検討に値する課題であるというふうに思います。
川端委員 ちょっと説明が言葉足らずでありました。BDFだけで力が出ないという部分があるんですね。比率はいろいろあるんですけれども、少し入れると、これは経緯からいうと、引取税をある種脱法行為的にするためにいろいろまぜてやるという部分をブロックするために、まぜても全部取るよということが経過としてあるわけですね。そこにひっかかるわけですよ、少し入れた瞬間に。
 ということがあって、入れただけを支払うのはいいけれども、全部だというふうな税制になっている部分もありますし、何よりも、ハードとかいろいろな部分での、ハイブリッドカーとか電気自動車とかいう部分は、あなたたちはいいことをしていますね、頑張ってくださいねと言いながら、今のそういう自動車に関連する部分でいうと、本当のエネルギー源に関する部分が非常に手薄になっている。要するに、今の法体系のもとに暮らせ、インセンティブを与えてあげようということがないんですよね。
 そこが、これからのこういう環境、特に京都議定書の問題を含めてのときに、新しいエネルギーをというのが、今はこれを発電に使うという切り口で発電の部分でつなげたということだけれども、いろいろある。実は、エネルギーのもとが一番議論のもとになっているわけです。
 ドイツでは、普通の発電電力価格が四ないし六ペニヒ・キロワットアワーというのが、植物油でやると十四・六ペニヒとべらぼうに高いわけですけれども、ドイツでは、国の施策により植物油による電力は通常発電より高く買い取る制度がある。常にこの価格で電力会社が買い上げる、これに関連する部分で言うと。要するに、先ほどこれも北橋委員が言いましたけれども、何らかの形でコスト差をカバーしてでも環境にすぐれたものは伸ばしていこうというのを、まさに大きな政策判断としてドイツはやっている。
 ですから、電源特会含めていろいろやるべきではないかという指摘がありまして、もう重複は避けますけれども、そういう部分を含めて、やはりこれからの時代に、本当に環境を考え、脱石油を考えたときにいえば、整合性とか既存の部分でいうといろいろあるんでしょうけれども、大胆にいくということをやらないと進まない、そんな感じを強く持っております。
 それと、この菜の花の件は、全く地域から始まったということは特筆すべきことではないかと私は思っています。このことも、ぜひともにいろいろな施策でお進めをいただきたいということでありますが、最後に御所見を伺って終わりにしたいと思います。
平沼国務大臣 非常に示唆に富んだ有意義なお話を承りました。非常に検討に値するお話だったと思っておりますので、私どもも、経済産業省の政策の中で今のお話を生かしながら検討していきたい、こういうふうに思っております。
谷畑委員長 後藤茂之君。
後藤(茂)委員 後藤でございます。早速質問に入りたいと思います。
 新しい制度をつくる場合には、どういう制度をつくっていくか、制度設計というのは非常に難しいというふうに思います。RPSについても、世界的に見ても確立した成功事例というのはないというふうに認識しております。
 ドイツについても、固定価格による買い取り方式で非常にたくさんの自然エネルギーが買い取られている、発電されていると言われますけれども、これは固定価格が高く設定されているからであって、もしこれが低く設定されれば、イタリアのようにうまくいかないということになると思います。一方、一度固定価格が設定されるとなかなかこれが下がっていかないという問題もあるんだろうというふうに思います。
 RPSについては、決められた枠の範囲内で市場原理を通じて、エネルギー間の競争が働いて価格が下がるということを予定しているわけであります。
 そこで伺いますが、電力事業者と新エネルギー発電者との間で定まる相対価格ですが、これはRPSの枠の設定によってマーケット原理が働き、市場裁定が働いて決定されるものですけれども、自然エネルギー発電者の合理的な成長を可能とするだけのきちんとした総枠の設定がなされるのか、どうやってその適切な目標水準を定めるのか、その考え方について伺いたいと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 この法案におきましては、新エネルギー等電気の利用目標を定めるに際しましては、総合資源エネルギー調査会の専門的な意見を聞いておりまして、そして、環境大臣あるいは農林水産大臣あるいは国土交通大臣の意見も聞きながらその目標設定をするということでございまして、現状では例えば総販売電力量の〇・二%でございますけれども、二〇一〇年には、これはまだ検討中でございますが、見込みとしては大体一%程度というようなことを利用目標として定めるということでございます。
 その際、詳細につきましては今後いろいろ種々の検討を加えていくということになるわけでございますけれども、まず一点は、新エネルギー等電気の供給可能量、これはポテンシャルということだと思います。それから二番目が、導入実績の推移。そして三番目が、いろいろな新エネルギーがございますけれども、それについては環境の変化がございますので、こういった要素を踏まえながら設定をするということになっていくと思います。
 これによりまして、本法案におきましては、新エネルギー等電気の発電事業者の成長の可能性であるとかコストの削減努力等に応じまして、効率的に新エネルギーの導入が進んでいくように、新エネルギー等の利用目標の適切な設定のために私どもとしては万全の対策をとっていきたいというふうに考えております。
後藤(茂)委員 今、二〇一〇年において発電電力量の一%程度の目標という話がありましたが、この目標と枠の設定の関係について、余り長くじゃなく端的にお答えいただきたいと思います。
河野政府参考人 長期的に、二〇一〇年に向かって一%程度を念頭に置いて今後詳細検討でございますが、それを段階的に区切りまして年度別の数字を出していく、それも年度ごとにどの程度の供給可能性があるか等を考慮して決めていくということでございます。
後藤(茂)委員 新エネルギーの定義についていろいろ議論になっていたわけでありますけれども、少し細かいことですが、技術的なことを確認しておきますが、一九九七年に施行された新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法において、「新エネルギー利用等」として規定されていまして、我が国が積極的導入促進を図るべき政策的支援対象というふうに位置づけられています。
 今回の本法の「新エネルギー等」とこの定義規定、これは一体どういう関係にあるのか伺いたいと思います。
河野政府参考人 御指摘のいわゆる新エネ促進法でございますけれども、この第二条の定義、ちょっと長いので引用は省かせていただきますけれども、具体的には、太陽光、風力など、そういった発電、さらには太陽熱、雪氷冷熱などのような熱利用、さらに利用面でございまして、クリーンエネルギー自動車のような新しい利用などを対象にいたしております。
 今回の法案は、発電利用に限定しておりますので、基本的には、この新エネ利用促進法の対象のうちの発電分野のものと、さらに水力、地熱を加えたものを新エネルギーなどとして定義づけているのでございます。
後藤(茂)委員 「新エネルギー等」という、「等」で何でも読めるというのでは、これははっきり言って、政策の一貫性というか、先ほども申し上げました、法律を何でつくるのかということが不明確になると思います。そういう意味では、「新エネルギー等」の範囲というのは、やはり政策的な目的によって限定されていくべきものだと思いますが、その辺のところはきちんとした政策判断で考えていっていただかなければいけないというふうに思っております。
 そのことからいうと、現状において、埋立処分ができない部分についてこれを焼却せざるを得ないという問題がありまして、その部分について発電機をつけるということは、確かに追加的なCO2の発生を起こさないことだろうというふうに思いますし、あるいは、マヨネーズがべっとりついた容器をきれいにしてマテリアルリサイクルに戻すということは、かえって環境の負荷を高める、そして環境に優しくない結果となるということも事実だろうというふうに思います。
 その意味では、廃プラを頭から新エネルギーから排除するということは間違いだというふうに私も思いますが、しかし、だからといって、基本的に価格競争にすべて任せていいのかということは、これは慎重に検証すべきことだろうというふうに思います。
 これまでるる話がありましたから繰り返しませんが、太陽光、風力、廃棄物、バイオマス、それぞれの価格コストが出ております。御指摘があるように、個々の立地条件や燃料条件や発電規模、あるいは電力系統へのアクセスの条件等で全くその価格コストというのは変わってくるという御説明は確かにそのとおりだろうというふうにも思います。しかし、今後の技術進歩や普及の度合いというような、そういうような問題によっても競争力というのは大きく変わってくるわけであります。
 今後の見通しに基づいて恐らく枠も設定されるし、いろいろな政策手段をセットされていくということになるわけでありますけれども、現時点において、今後の各新エネルギーの種類ごとの発電コストとか競争力の見通しについてどう考えておられるか伺いたいと思います。
河野政府参考人 現在、私どもが総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会で検討し情報収集してまいりました結果は、昨年六月の報告書に記載されているわけでございますけれども、この報告書によりますと、発電コストといたしましては、キロワットアワー当たりでございますが、太陽光で、これは住宅用でございますが、四十六円ないし六十六円、風力で九円から十四円、廃棄物発電で九円から十二円、バイオマス発電で七円から二十一円、水力、これは大規模も含んでおりますが、十三円少々、地熱発電で十六円ぐらいという見通しが述べられております。
後藤(茂)委員 ちょっと時間がないので先へ行きます。
 長官はこれまで、答弁の中で、個別のものが一概に有利なものとは言えないという発言を委員会において何回かされているわけですが、逆に言えば、例えば産業廃棄物、廃プラが非常に有利になるという可能性も否定されていないということでしょうか。
河野政府参考人 個別のものが他を圧してしまうというようなことは、コストのばらつきなどから見てならないのではないかというふうに申し上げました。
 ただ、これは、今後のコストの動向、分析その他やっていかなければならないこともございますし、また、事業者の皆さんの計画をこれから把握していくことも必要だろうと思いますので、そういった分析をした後の結論をまたさらに待つ必要があると思います。
後藤(茂)委員 いろいろな条件はやはり考えなければいけないというふうに思います。そうだからこそ電力業界の中にも、廃プラの競争力に対して懸念の声が一部からやはり出ているという現状もあるんだろうというふうに思います。
 それから、これまでの審議の中で、ドイツのように新エネルギーの種類ごとに買い入れ価格を固定化してはどうかという質問がなされたのに対して、電源の選択は電力事業者の自由な選択に任せるというふうに答弁がされていますけれども、一般論として、その言葉というのは非常に耳ざわりのいい、正しいせりふだというふうに思いますけれども、しかし、政策的に種々の新エネルギーのウエートを確保していくという、そういう政策意識を経済産業省として持っておられるのか、その点を大臣に伺いたいと思います。
平沼国務大臣 今御指摘のドイツにおける固定価格買い取り制度、これは一つのやり方だと思っています。今委員御指摘のように、これはこれでまた値段が下がらなくなる、そういった弊害もあるというようなことで私どもはその方法をとらなかったわけであります。
 そういう中で、この新しいいろいろなエネルギー、そういうものをやっていくためには、電気事業者にとってどの新エネルギー等を利用することが効率的で、その時々の技術水準ですとか経済動向及び個々のプロジェクトの立地条件等によって異なるものでありますから、だからそういう中で一概には言えないんですけれども、私どもとしては、そういう流れの中で、どういった新エネルギーというものがその動向でよくて、これをこうやってもう少し伸ばすべきだとか、こっちのをこうやるべきだ、そういう判断はやはりしていかなければならないと思っています。
 ですから、そういう意味では、エネルギーの安定供給と、先ほど来言っています地球環境の問題への対応、そういう趣旨というものをよく踏まえながら、そしてその時々の状況を見て、私どもは、新エネルギーの中でもどういった形でそれにプライオリティーを与えて進めていくか、それは事業者の選択には任せますけれども、やはりその流れを見て、役所としても的確にそれをつかみながら協力をしてやっていく、そういうことだと思っております。
後藤(茂)委員 考え方はそういうことでしょうけれども、それでは、具体的に、新エネルギー等の種類別の二〇一〇年における導入目標、これは数字だけお答えいただけますでしょうか。
河野政府参考人 もし、御質問が発電分野における新エネルギーの導入目標ということでございますと、今大臣が御答弁申し上げましたように、種類別には目標値を設定するという仕組みではございませんので、現在のところ、そういうものを設定してはいないのでございます。
後藤(茂)委員 私は、考え方はそのとおりだと思いますけれども、しかし、きちんとした目標みたいなものをつくるということはやはり必要だろうかなというふうに思っております。
 というのは、じゃ、具体的にいいますと、実績値で議論をしますけれども、廃棄物発電の実績値は、現状では九十万キロワットということになっております。その内訳は、一般廃棄物で八十四・五万キロワット、産業廃棄物で五・六万キロワットということになっていますね。こういう現状になっているというのは、電力会社が、一般廃棄物については十一円で買う、しかし産業廃棄物については五円でしか買わないということだからこういうことになっているんじゃないんでしょうか。
 ついでにいえば、太陽光発電についても、国民の省エネ意識を高めるために、特別に業界の事業としてやっているとか、あるいは、これは顧客に対するサービスの一環だとかいう理由はあるでしょうけれども、特別に高い価格の二十三円で買っているから住宅用で二十万キロワットの実績が上がっているのではないか、そういう認識でよろしいでしょうか。
河野政府参考人 廃棄物発電について申しますと、例えば廃棄物を安定、大量に低コストで集めることができているかどうかとかいった、その他の要素もあるとは思いますけれども、余剰電力購入メニューの効果もあるというふうに認識しております。
後藤(茂)委員 そういうことからいえば、私は、先ほどの基本的な考え方に従っていろいろ新エネルギーの電源についてもやはり考えていくわけであろうと思いますけれども、その場合に、新エネルギー等の導入目標を達成するために、政府として、今回の法律以外に、官民双方で一体どのような政策手段を講じてそうした目標値を達成していこう、値ははっきりしていないとおっしゃいますが、いろいろな目標を達成しようとしておられるのか、そのことについて大臣に伺いたいと思います。
平沼国務大臣 新エネルギーの導入促進に当たりましては、本法以外にも各種の導入支援策を講じておりまして、私どもとしては、それらのトータルによってバランスよく新エネルギーを促進していきたいと思っています。例えば、地域新エネルギー導入事業の補助でございますとか、新エネルギー事業者の補助、それから、これは出ておりますけれども、住宅用太陽光補助、こういったことを組み合わせて、私どもとしては、総合的に、政策的に種々の新エネルギー、そういったものをやっていきたい、こういうふうに思っています。
後藤(茂)委員 資源エネルギー庁長官に伺いますが、先日の審議の中で、偏りが出たら見直すというふうに答弁されました。しかし、考えてみると、エネルギー供給は長期契約を前提にしてやはりやるものですから、十分慎重な制度設計を図っていかないと、エネルギーに偏りが出てきたら見直しますよというような姿勢でやっていては、実を言うと、新エネルギー発電関係者は大変困るのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
河野政府参考人 長期契約で供給しているものもかなりあると思います。他方、そうでないものもあるわけでございますけれども、確かに、一度発電設備を設置した後、制度の対象から外れるというようなことで急に発電ができなくなるということでは困りますから、先ほど申し上げたように、もともと、政令指定の段階も慎重にいたしますし、また、目標設定に際しましても、供給可能量とか導入実績、あるいは各エネルギーを取り巻く環境変化ということを考慮に入れて慎重に対応させていただきたいと思っております。
後藤(茂)委員 慎重にやっていただきたいという一点に尽きますが。
 私はいろいろ言いますけれども、新しい制度導入、特にこういう新エネルギーに促進的に働くような新しい制度を導入するときには、もちろん、まずやってみることが重要で、不都合が生じたときにはそれを直していくというアプローチそのものが、別に、決して基本的に間違っているというふうに申し上げているつもりはありません。しかし、あらかじめ議論が予定されているような、あるいは議論が出ているような問題については丁寧に、慎重に検討する。そのために、必要であれば、政令の指定の時期も十分慎重に検討できるだけの時間をとってやっていくということも賢明な策なのではないかというふうに思います。
 それから、新制度の導入の円滑化を図っていくという観点からいえば、三年後の見直し規定というのもあります。余りしょっちゅう見直すぞと言われれば、さっき言った制度の安定性の問題もありますけれども、しかし単純に、さらっと一般的な三年後の見直しというのではなくて、もうちょっときちんと、制度の全体について、どの部分を見直すのかとか、そういった丁寧な対応ぶりも、制度の予見可能性を高め、制度の透明性を高めていくことにつながっていくのではないかなというふうに思っております。
 次に、マテリアルリサイクルとの関係で話を伺いたいと思います。
 循環型社会形成推進基本法においては、廃棄物の利用に関して、これはもう御承知のとおり、排出抑制、再使用、再生利用、熱回収、適正処分の順で優先度を決めております。この原則との整合性を図るために、焼却すべきでない廃棄物が焼却され、過度に発電に利用されないように、環境省とも十分協議して対応する法案の仕組みになっていますというのが経済産業省の御説明であります。
 確かに、発電を行う者が、新エネルギー等を電気に変換する設備が経済産業省令で定める基準に適合することの認定を受けることができる旨の規定もあったりしますし、それなりに制度の中にいろいろなことが盛り込まれていると思いますが、本当にこれで果たして十分と言えるんだろうか。
 焼却すべきでない廃棄物が焼却されて発電に利用されることがないような、一体、どのようなチェック体制をとっていかれるおつもりなのか伺いたいと思います。
河野政府参考人 まず、その発電施設が、特に廃棄物について申しまして対象になった場合に、設備認定をいたします。ここで環境省ともあらかじめ協議をいたしますので、そこで使われます廃棄物、これがこの制度に合うものかどうか、そういうことは十分確認をいたしたいというふうに思っております。
 また、発電設備の運用状況につきましても、帳簿を用いて管理をしていただくことを考えておりますし、必要があれば報告徴収あるいは立入検査という条項も用意されておりますので、これらの実績を確認するということでチェックをしていくということも可能だろうと思います。
後藤(茂)委員 もう一つ、容器包装リサイクル法に従いまして、今、全国各地の市町村で、といってもまだ半分ぐらいだと思いますが、分別回収を行う市町村がどんどんふえてきております。各市町村が行っている分別回収、これは国民の省エネルギーに対する意識改革という点からは非常に大きな効果を上げているというふうに私は思っています。
 例えば、私の地元でも十以上に分別回収している市町村もあるわけです。そうした市町村へ行きますと、例えばコンビニだとかいろいろなところに買い物に行ったときに、ビニール袋に何でも入れてもらうというようなことは好ましくない、格好悪いというような意識が確かに定着されてきている。そういう意味での抑制効果というか、いわゆるごみを出さない抑制効果というのは、私はやはり出てきているなというふうに思うわけであります。
 分別回収されたごみについては焼却できないということにはなっております。しかし、制度についてもう一歩踏み込んで考えてみると、現行の容器包装リサイクル法によれば、分別回収を、そのこと自体を本当にやるかやらないかということ自体は、これは各市町村の決定に任されています。ですから、やるかやらないかということは市町村の責任だということになっていまして、そういうことから考えますと、廃棄物発電によって分別回収のインセンティブが下がってしまうということの心配がないのかということは、これは実を言うと大きな問題だと私は思っております。
 そして、この問題は、所管事項からいえば、これは容器包装リサイクル法の所管者である環境省の、そしてこの法律の分野の問題かもしれません。しかし、マテリアルリサイクルとサーマル利用のトータルな制度設計を図るという観点から見れば、この問題についてもきちんとしたやはり手当てをしておく必要が、私は、日本社会全体としてみれば必要なのではないかというふうに思います。
 こうした動きをきちんと切断することが担保されるような措置を講じるべきではないかと私は思いますけれども、本法案の所管者である経済産業省としての見解を伺いたいと思います。
河野政府参考人 先生も今おっしゃいましたように、この容器包装リサイクル法自身、市町村の責任ということもございまして、市町村の能力の問題その他もあろうかとは思います。
 ただ、おっしゃいますように、廃棄物発電、特に廃プラスチック発電などが、そういった容器リサイクル法の目的に反するというような効果を持つといけないということはそのとおりでございますので、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、この委員会で多々御指摘があったこと、そして産業廃棄物の現状も踏まえて、法案の第二条に規定する政令によりまして、廃プラスチック等の化石燃料系の廃棄物による発電を対象として指定する場合には、こうした循環型社会形成推進基本法の基本原則にものっとって、本来、再使用、再生利用すべき廃棄物の焼却が促進されないように、抑制的な観点から慎重に検討するという基本的な私どもの姿勢を説明させていただいておるわけでございます。
後藤(茂)委員 そういう対処方針の大きいところは大臣からきちんと答弁していただこうと思って、その前にいろいろな技術的な問題を詰めていたつもりでありますが、既にきちんとした御答弁を前の委員の審議でもいただいているということでありますので、しかし、やはり大事なことなので、大臣、もう一度御答弁ください。
平沼国務大臣 もう一度決意表明をさせていただきます。
 抑制的にしっかりとその辺はやらせていただき、また、その都度、環境省とも緊密な連携をとってやらせていただきたいと思っています。
後藤(茂)委員 新エネルギーに関係してというか、省エネルギーの問題に関係してでありますけれども、温室効果ガス対策の目標として、エネルギー起源の二酸化炭素の排出を九〇年度の水準に抑制するということになっております。大変であります。現行施策を単純に今継続していくと二千万トンの超過となる。そこを省エネで六百万トン、新エネで九百万トン、その他の燃料転換で五百万トンの削減を図ろうというのが目標であります。国民意識をやはり変えていかないとなかなかできない。省エネというのは、その中でも最も難しい目標だと私は思います。
 省エネ対策について、どのような具体的政策手段を講じていくのか、そのことについて伺いたいと思います。
古屋副大臣 委員御指摘のように、省エネ対策というのは、やはり国民にひとしくその認識を持ってもらって実行していただくということが極めて重要でありまして、地球温暖化対策本部の大綱におきましても、国民への啓蒙活動、また国民にそういった意識を持っていただくということがしっかり記されているわけでございます。
 また一方、具体的な省エネ対策としては、現行の対策、五千万キロリットルでございますが、これにプラスをしまして、原油換算で約七百万キロリットルの追加対策というものを積み上げさせていただきます。
 この追加対策の具体的な内容は、御承知のように、民生部門あるいは運輸部門が著しく増加をいたしておりますので、こういったものに対して、例えば大規模オフィスビル等に対する大規模工場に準じたエネルギー管理の仕組みを導入するとか、あるいはトップランナー基準の規制対象機器にガスであるとか石油機器、自動販売機等を追加するとか、それから、従来の製品に比べて省エネ性の高い給湯器の普及促進、これは平成十四年度からの補助で、従来機との価格差の二分の一を補助させていただきます。
 それから、最近は、IT技術を活用して家庭あるいはオフィスビルのエネルギー需要を全体として抑制していく、いわゆるヘムスとかベムスと言われるシステムでございますが、こういったものに対しても、平成十四年度から設置費用の三分の一を助成していくことになっております。
 また、そのほかにも、例えばトップランナー基準適合車のさらに加速的導入をしていただく、これも総理が大変熱心に言明をされておられますし、またハイブリッド自動車等々の導入も積極的に導入をしていく。こういうような総合的な対策によりまして、省エネルギーを推進していく。
 そして一方で、もう一つ大切なことは、やはり経済と両立をしていくということも大切でありますし、やはりそういった省エネルギーを導入していくことが技術革新にもつながるということでございますので、我々としては、総合的な省エネルギー対策を徹底的に進めていきたいと思っております。
後藤(茂)委員 助成の枠組みの議論を超えて、やはり国民の省エネルギーに対する意識改革をきちんとできるような条件整備をするだとか、あるいは新しいビジネスモデルやライフサイクルをどうやってつくるかという発信をやはりぜひしていくという形で、省エネルギー対策をトータルな設計としてやっていっていただきたいというふうに思います。
 それから、最後になりますけれども、森林の吸収源にかかわる問題でもありますし、またバイオマス発電ということにもかかわる問題について、一言ぜひお話をしたいというふうに思います。
 森林活動による吸収によって、エネルギー起源のCO2を三・七%削減するんだということに京都議定書の枠組みでは認められているわけであります。しかし、吸収源としてカウントされるためには、単にそこに山や森があるというだけでは吸収源ではないので、その森林を保護育成するためにどれだけの手段を講じたかということが吸収源とカウントされるための前提であります。
 それに加えて、そもそも昨年六月に森林・林業基本法というのが通りまして、そういう意味では、日本の森林・林業の行政を基本的に構築し直すということで、さまざまな制度もスタートしております。
 例えば、直接支払いということで、一定の面積に一定の支払いをすることによって森林の所有と管理の体制を分けていくようにしよう、そうでないと山が放棄されちゃって到底人の手が入らないと。人の手が入らない人工林というのは、これは朽ち果てていくだけなんで、そういう意味では、そういう施策もどんどんやろうということになっています。あるいは三条に、これも議員修正で入ったんですが、持続的森林経営を可能にするということのための森林政策の強化、これも加えられておりまして、そういう意味では、これまでに比べて間伐を実際にすることとか、あるいは間伐材を運び出すこととか、そういうことについては急速にこれまでよりもきちんと進んでいく体制が整えられてきているわけです。
 それに加えて、森林・林業基本法は、これも議員修正で二条の二項に目的規定の追加新設がされまして、その中には山村の振興ということが書き込まれました。この山村の振興ということについても、バイオマス発電だとか熱利用というのは政策課題として非常に重要な位置づけになるというふうに、これは森林・林業の関係の行政でも位置づけられているわけであります。
 そういうことから考えますと、森林政策ときちんと連携することによって、いわばありていに言えば、森林政策によって履かされたげたと一緒にカウントすればバイオマス発電のコストというのはトータルとして大きく下がるということが予想されるわけです。自然と共生することでしか生きられない山村の事態を考えてみますと、そういう意味でいえば、分散電源の問題だとか、あるいはその地域のコジェネだとか、こういうことは山村の政策としては政策的評価が非常に高いわけであります。
 ちょっと随分長く語りましたけれども、いや、これは、私は森林・林業も非常に大切だというふうに思っておりますので、決して農水委員会だと間違えているわけじゃありませんが、しかし林野庁と十分な連携を図りつつ、木質バイオマス発電に積極的に取り組んでいくべきだというふうに考えますし、経済産業省としてその問題にきちんと取り組むべきだというふうに思いますが、答弁をお願いします。
平沼国務大臣 大変心強い御意見だと思います。
 先生は長野県の御出身、私は岡山県で非常に中山間地が多くて、そして私の地元でも、木質のバイオマスによるエネルギー、これに大変関心があります。ですから、そういう意味では、御指摘になられた地球温暖化防止、そういった観点からも、私はこの木質バイオマスエネルギーの利用の促進を図っていかなければならないと思っています。
 したがいまして、新エネルギー促進法の中にも、この一月に政令の中に木質バイオマスなどのバイオマスを入れましたし、また、今お願いしている法案の中にもこれを明文化させていただいています。そういう意味で、非常に大切なことだと思っておりますので、林野庁、農林水産省としっかりと連携をとってやっていきたいと思います。
後藤(茂)委員 終わります。
谷畑委員長 山田敏雅君。
山田(敏)委員 午前中の最後でございます。
 私は、去年、自然エネルギー法案というのを一生懸命やりました。この自然エネルギー法案は理念がございます。地球の温暖化を効果的に防ごう、それから、環境、エネルギーという問題を環境・エネルギー政策としてとらえようという理念、そして新しい産業を起こそう、例えば風力とか、新たに雇用を起こそう、こういう理念がございます。今回の新エネルギー法案、どうもこの理念がどこかに行っちゃっているというふうに私には見えます。
 そこで、この法案がどういう発想で、どういうプロセスででき上がっていったのかなということをきのうの参考人の皆さんに、部会に参加している方もいらっしゃいましてお聞きしました。率直に申し上げて、大臣、この法案ができ上がる過程で、今日でき上がって出てきたわけですけれども、大臣の意見を言われる場所はございましたでしょうか。
平沼国務大臣 私、この法案を作成するに当たりましては、省内におきましてはいろいろ議論をさせていただきました。その省内の議論というのは、当然、いろいろ学識経験者、そういった関係者の意見を総合した中で省内でまとめていった。ですから、私が表へ出ていってそういった方とじかに議論をした、こういう形態はとっておりませんでした。
山田(敏)委員 ここに新エネルギー部会の委員名簿と、それから今回の、今までずうっと議論になっております、RPSにするのか買い取り制度にするのかというところを議論した新市場拡大措置検討小委員会、この名簿が二つございます。
 きのう、RPSについて非常に議論が多かった。しかし、ヨーロッパのドイツ、フランス、スペインでは、買い取り制度をつくって成功している、こういうことですね。では、なぜこの委員会でRPSに決まったのかということに興味がございます。
 きのうの柏木さんの意見陳述でございますけれども、十五人の委員の中の十人の方がRPSに賛成でした、五人の方が反対でした、マジョリティーですから、これはRPSに決まりました、こういう御意見です。このメンバーは、小委員会ですので電力会社の部長さんクラスの方を置いていらっしゃいます。ドイツ、フランス、スペイン、そしてイタリアの例について、本当に正しく知識と見識を持ってRPSか買い取りかと言われたような人物ではないような、失礼ですけれども、そういう気がいたします。
 そして、では、どういう議論をされたんですかと。一人三分、意見を言ってください、それで終わりですと。すなわち、四十五分でこの件について意見を言っていただきました、三分言って終わりました、じゃ、どっちですか、十人の方がRPSと、こういうやり方ですね。
 しかし、本来この新エネルギー、自然エネルギーの問題は、非常に高度に政治的な理念が重要にかかわってくる問題だと思います。コストが高いわけですから、それをいかにして、だれがどういうシステムで負担するのかということが非常に重要であります。その効果を、今まさに我が国が直面している地球温暖化の、CO2削減にどういうふうにつなげるかということだと思うんですね。この議論に基づいてRPSあるいは廃プラの議論がされたということでございます。
 私は、もう一度、政治的な理念に基づく判断がここの中に入るべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 今お話がございました新エネルギー部会は、委員ももう御承知だと思いますけれども、平成十一年十二月から十三年の十二月までの間、計十九回、そのほかに、同部会に設置された小委員会、こういった形で検討しました。つまり、平成十三年七月から十一月までの間に四回開催して、新エネルギー等の新たな導入促進策について御審議をいただいた、その結果に基づいて報告書を取りまとめたところであります。
 新エネルギー部会、小委員会とも、数多くの専門家、利害関係者に集まっていただいて、会議の限られた時間の中で幅広く意見を述べていただいたために、最終段階で結果として一人当たりの発言の時間が少なくなった、このことは言えると思います。しかし、その前にいろいろ集中的にやっていたということも御理解をいただきたいと思います。
 それから、この一つの基本的な理念というのは、先ほどの御議論の中からも浮かび上がってきましたけれども、一つは、二十一世紀は環境の世紀と言われて、今御指摘のように、いかに環境に優しく、環境問題を克服するか、そのためには新エネルギーの導入を図っていこうという促進効果があります。
 それからもう一つは、日本のエネルギーの安全保障の見地からいって、将来ともバランスよく国民の経済活動にとって、また生活にとって必要不可欠なエネルギーを安定的に得よう、そういう中で私どもとしては、やはり新エネルギーの導入を幅広く図っていかなければならない、そういうことですね。
 それからまた、この新エネルギーをやっていくためには、やはりコストの面ですとか、そういう中で国民に対して使いやすいエネルギーも生み出していかなければいけない、そんなことを総合的に考えて、それを一つの理念として、コンセプトとしてこの法案を出させていただいた、こういうことでございます。
山田(敏)委員 大臣、御存じだと思うんですけれども、ドイツは十年前に、電気料金の九〇%で買い取りをするというふうに、自然エネルギーの促進のために非常に抜本的なことをいろいろやりました。その結果、ことしで、CO2ベースで一千万トン削減しました。二〇一〇年に三千万トン、今の日本の目標よりもはるかに高いわけですけれども。そして、風力等の自然エネルギー産業は約一兆円産業になった。新たな雇用が約六十万人ふえた。私どもが去年ずっとやってきた自然エネルギー法案の理念にすかっと、すっきりといったということだと思うんですね。それに見習って、スペインも今非常に大きな勢いで風力発電が伸びている。
 こういう明確な成功した例がここにあって、一方で、RPSというのはまだよくわからない。廃プラスチックをこの枠組みの中に入れると、自然エネルギー、風力とか太陽に比べて、先ほどから何回も議論になっていますけれども、非常にコストが安い廃プラを入れてしまうと、もう何をやっているのかわからない、こういう法律にでき上がってしまった。そこで、先ほど私が申し上げましたように、政治的な判断が要るんじゃないかと。
 大臣がさっきおっしゃったように、新エネルギー部会というのは三十五名いらっしゃいます。各業界の代表の方、意見を述べなさい、じゃ私の業界はこうですという意見を三十五名の方が述べられて、今ドイツがやっているような、集中的に、効果的に、しかもちゃんとした目標を持って大きな効果を上げるということは私は非常に難しい、矛盾したことをやっているんじゃないかなと。そこを補う意味で何かもう一回政策的なプロセスを入れる必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 私どもとしては、部会の専門家の方々に、先ほど言いましたように、しっかりと議論をしていただき、それに基づいて私どもの政策を決めていったわけです。そういうことですから、私どもとしては、必ずしも、今御指摘のように、業界の代表で意見をばらばらに言って、それで非常に整合性のない政策ができた、こういうことではないと思っておりまして、そういう方々の御意見というものをやはり慎重に聞かせていただいて判断をして、そして、今一%である新エネルギーというものを、最大限の努力をして三%に二〇一〇年には高めていこう、そういう目標も設定をさせていただきました。
 ドイツの例を、それからスペインの例も出されました。確かにそれは我々は見習うべきだと思っております。ですから私どもも、今こういう日本の現状の中で最大限新エネルギーを活用して、そして、先ほど言った大きな目的にかなうように我々は努力をしていかなきゃいけない、そういうことで、我々としてもしっかりとした政策目標をつくってやるべきだ、現にそれはやらせていただいている、こういうことでございます。
山田(敏)委員 日本の風力の現状ですけれども、今、例えば北海道電力は十五万キロワットを上限にして買い取りましょう、東北電力は三十万キロワット、もう既に十万、五万キロワットいきましたと。では、来年、再来年からはもっと風力をやろうかということはもうほとんど見えてこない。その大きな障害は、系統電力がない、北海道、東北で幾らやっても余っちゃう、こういうことでございます。
 そうなると、やはり政策的な判断で大きな資金を投入して系統電力をつくる、二千億とも五千億とも言われておりますけれども。そうすると、税制だとかそういう財源について、これは政治的な判断じゃないとできないというふうに思います。
 電源三法交付金というのがございます。去年からずっとしつこくやっておりますので、新潟県の刈羽村のケースを、この交付金の一つの見直しをするいい機会ではないか、こういう用途を見直す機会にということでちょっと申し上げたいと思います。
 刈羽村は、人口五千人、年間の村の予算が大体二億円ぐらいだそうですが、ここに二百四十億円、交付金が行きました。体育館が五つつくられました。公民館が四つ。それから保育園とか幼稚園、これは四つ新たにつくられたんですね。もちろん道路は一〇〇%舗装。上下水道は一〇〇%完備。その上で、体育館は五つつくった、公民館は四つ。それで、問題になっておりますラピカの事業は、六つ目の体育館をつくる、五つ目の公民館をつくる、さらに茶道館とかいろいろなものをつくる、こういうふうに使われたわけです。
 私、地元の住民の方とお話ししました。本当に五千人の村に六つも体育館が要るんですか、公民館が五つも要るんですかと。もちろん利用していないですねと。利用していませんと。古くできた体育館は特に利用していないですね。それで、本当にこれで交付金の使い方が正しかったんでしょうかと。
 今あそこは世界最大規模の原子力発電所ですから、例えば、この間のテロのようにジャンボ機が突っ込んだ場合には、これははっきり当局の方は申しませんでしたけれども、本当に大変なことになるわけですね、ジェット戦闘機ぐらいだったら大丈夫なんですけれども、ジャンボ機が突っ込むと。
 それに対して、刈羽村の住民の人たちは何ができるのか。例えば防護服とか防護マスクとかシェルターとか、そういうのはありますかと。この五つの体育館が避難所のかわりだというふうに思うんですけれども、それはありませんと。この防護服とか防護マスクとかシェルターというのは、そんな二百四十億円もかかるようなお金じゃない。非常に少額のお金ですね。
 私は何を言いたいかというと、ここで電源三法交付金というのは本当に正しく支払われたのかどうか、本当に住んでいる人たちの安全とそれを守るために使われたのか。この間のラピカのように、非常に不明朗なわけのわからないことにお金が使われたという事件があったわけですから、この際、電源三法交付金の見直しを含めて、どういうふうに見直すか。
 ドイツやスペインがやったように、思い切ってコストの高い、そしてCO2を大幅に削減する、そこに財源を持っていく、そういう必要が今起こっているのではないか、今回の法案を見て。といいますのは、今回の法案には重要な財源措置とかいうのは一切ありませんので、それを少し考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 電源立地交付金につきましては、まず基本的な考え方としては、市町村の規模ではなくて、むしろ発電施設の出力規模というものに着目をして交付をされる、そして周辺施設の整備等々に活用していただいているということであります。
 今委員から御指摘のありました刈羽村は二百四十億円使われているではないか、トータルでは確かに二百四十億円なんですが、昭和五十三年からでありまして、二十四年間で二百四十億ということで、一年間にしますと約十億円ということであります。
 ただ、先日のラピカの事件、委員も何度もこの委員会で御指摘をいただいております。ああいった事件が起きることがやはりこの交付金の運用の信頼性というものを損なうということにもなりかねませんので、私どもとしては大変遺憾なことでございまして、今、その交付金の一部返還等々処置をさせていただきました。
 大切なことは、やはりこういった事件が二度と起きないようにいかに再発防止策を講じていくかということでありまして、これについても私ども万全の措置を今考えているところでございまして、これも委員にこの場を通じまして、あるいは個別的にもお話をさせていただいた次第でございまして、こういったことがございますので、これから地方公共団体がこの交付金を使う際に、その使途が正しく使われるように徹底をしていく、そして、我が省としても、そういったものに対して管理機能をさらに強化していくということが大切だと思います。
 一方、では、この交付金については、ややもすると硬直化しているじゃないかという指摘だと思います。
 確かに、かつてはいろいろな施設を充実させていくということが住民の大きな総意でございました。しかし、時代が変遷するに従いまして、その運用の見直し、改善というものも行っていく必要があると思っておりまして、やはりそういった硬直的、非効率的ということの批判を受けないように、今後とも、この交付金のあり方について幅広い見地から検討を重ねていきたいというふうに思っております。
山田(敏)委員 ちょっとよくわからないんですけれども、検討したいというのは、もう一回ちょっと考えてみるという意味でよろしいでしょうか。
古屋副大臣 交付金の交付のあり方も含めて幅広く検討していくということであります。
山田(敏)委員 本当におっしゃるとおり、この電源三法交付金及び電源特会の使われ方は非常に硬直化しています。毎年同じ額を同じようなところに同じように使われております。本当にそれが必要なのか必要でないのか、余り考えておられない。
 例えばここに一覧表がございます。これは電源立地促進策の体系という資料でございますけれども、電源立地に対する政府の広報対策、毎年七十億円。しかし、政府の広報対策というのは、また別に広報予算というのを経済産業省も持っていますし、いろいろな広報予算があります。総理府も持っています。毎年七十億円が決まったように広報対策として、一般の理解を得るためにこれは使われているんだと書いてありますけれども、本当に必要なんだろうか。
 さらに、地方自治体の広報に助成をします、これも毎年二十五億円ぴったり、自治体が広報するのにそれを助成します、こういう使われ方をされている。
 それから、水力発電施設の周辺の地域に交付金を出します。周辺だから、ダムの周りということなんでしょうけれども、これも毎年六十五億円。ダムの周辺でどんなことが起こるかといいますと、本当に奇妙な施設ができます。例えばダムのちょっと裏にだれも使わないようなリフトがこの交付金でできたり、これは毎年六十五億使うから、非常に硬直的に使うということですね。
 今、日本が直面している環境とエネルギーの問題、それから地球温暖化の問題、そしてこの自然エネルギーの問題、これに緊急の予算をつけなきゃいけないときに、こういう、毎年毎年決まったお金を、私は、電源立地に対する政府の広報対策で七十億円、本当に要るんでしょうか。それは本当に役に立っているんでしょうか、電源立地に対する広報に七十億円を使って。例えばそういうことをもう一回考え直して、この自然エネルギーを、一千億とか二千億とかそういうお金を使ってやっていくべきときに来たのではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 経済立国であり産業立国であります日本にとっては、やはりエネルギー、電力というのは非常に大きな意味を持っています。そういう意味で、やはりエネルギーのいわゆる生産に協力をしてくだすっているそういう地方自治体に対してそういう意味の交付金等を出すということは、私どもは非常に必要である、そういう形で政策を進めてまいりました。
 七十億の広報費のお話をなさいましたけれども、特に原子力発電等に対しては、国民の皆様方の幅広い御理解をいただく、そのような観点から、やはりその広報というものを毎年徹底をしてやる、そういうことで私どもは必要な経費だと思っています。
 しかしながら、先ほど古屋副大臣からの答弁にもありましたけれども、電源立地のそういう問題に関しても、硬直化をしルーチン化をしているということは事実であります。ですから、せっかく協力をしていただいている地域の方々、そういった方々にはやはりもっと生きた形でそれが使用される、そういうことが望ましいわけでありますから、我々は、その辺は柔軟に、そしてこれから、もちろん地方自治体の方々とも御相談をしなければなりませんけれども、その辺は、そういうことを正して、本当に地域住民の方々に役立つ使い方をしていただくように努力をしていかなければならないと思います。
山田(敏)委員 ちょっと具体的に質問したいことがございますが、長官にお伺いしたいんですけれども、先ほどから申しておりますが、ドイツ、スペイン、フランスというのは、固定買い取り価格で非常に成功して数量が伸びたわけですが、このような成功事例が明確にある、にもかかわらずRPSがいいというのはどういう理由なんでしょうか。
河野政府参考人 この制度の選択は、先ほども先生からお話がありましたような委員会で検討を重ねてきたわけでございますけれども、固定買い取り価格制度、確かに御指摘のように、ドイツで導入されまして量的に大きな成果を上げたということは、おっしゃるとおりだと思います。
 他方、電気事業者に対しまして、新エネルギーを使いました発電事業者の発電した電気の全量を、政府が認定する個別電源ごとの固定価格で購入する義務を課すわけでございますので、電源間の競争といいますか、コスト削減インセンティブ、あるいは個々の電源におきましてもコスト削減インセンティブがなかなか働かないという問題が指摘されているわけでございます。そしてまた、一度価格が設定されますと、これは引き下げがなかなか実現しないというようなことも指摘されているわけでございます。
 実際問題として、ドイツにおきまして、私どもの知るところでは、発電コストは量産などによりまして下がっているように伺っておりますけれども、買い取り価格はむしろ引き上げられているというような例もありますので、こういった点がしんしゃくをされまして、やはり電気事業者の電源選択の自由度が高い、そして発電事業者のコスト削減努力のインセンティブがあるというようなことで、その際、それを市場機能の発揮という形でできるということを眼目にこのRPS制度が選択されたということでございます。
山田(敏)委員 ちょっとよくわからない点は、発電コストは下がったんですね、今おっしゃったように。それで、何ですか、コストを下げるという努力が働かないとおっしゃったんですね。言っていること、違うんじゃないですか。発電コストは下がった、八百万キロリットルの風力発電になったんだからコストは下がっているんだ。コストが下がる要素が働かない、高いので買い取るのでと。言っていることは、違うことを言っているんじゃないんですか。
河野政府参考人 今、私が発電コストと申し上げましたのは、発電者といいますか、風力発電なら風力発電をする事業者にとってコストは下がったわけでございますけれども、電気事業者が買い上げる際のコスト、買い上げ単価といいますか、こちらの方は下がっていないということでございますので、電力のエンドユーザーにとっては負担が決して下がっているわけではないという実態でございます。
山田(敏)委員 自然エネルギーというのは発電コストが高いわけですから、それを量的に拡大することによってコストが下がるということは非常に重要なことですよね。ただ、今買い取っている値段が高いということであれば、それは政府の環境税、今の電源特会を含めてそういうところで補っていけばいいので、本当に我が国がやるべきことは、自然エネルギーを長期にわたってコストをどんどん下げていく、そして新しい産業を起こすということが重要なことであって、電力会社が買う値段が、コストが高いからこれは問題だということはちょっとおかしいと思いますし、RPSをなぜとったんですかという私の質問に対しては、この高価買い取りが、こういう問題があるからRPSですと、それじゃ説明になっていないんじゃないですか。どことどこを比べてどこがいいからRPSになった、こういうふうに答えていただかないと。
河野政府参考人 やや繰り返しになりますのでお許しいただきたいと思いますけれども、発電コストといいますのは、風力発電なら風力発電を行います事業者にとっての発電をするためのコストと電力会社が買い取るコスト、そしてそれは結局、ドイツの場合においても電力ユーザーに転嫁されるわけでございまして、そのコストと両方あるわけでございます。
 ドイツの例を引き、またRPSを選択しました理由は、電力を発電するコストも下げ、そして電力事業者が買い取る際に必要とされるコストもそれによって下がっていく、結果として、新エネルギーは導入されるし、また電力ユーザーの方にとっても負担が低減していく、あるいは膨大になっていかないということでRPS制度を選択したわけでございます。
山田(敏)委員 ドイツがいいから一〇〇%全部ドイツのことをコピーするという必要はないわけですよね。ドイツのやったことで非常にいいことは、自然エネルギーが膨大な量に広がったことと、新しい産業が起こったこと、そしてCO2を一千万トン削減したこと、これはいいことなんです。ただ、悪いことは高値に固定したということなんであれば、我が国はそれに対してこういう方法でやればいいと、そこを修正すればいいんです。RPSなんて、全然成功した事例はないんじゃないですか。
 しかも、長官がおっしゃったように、これは自由度がありますと。自由度ってどういうことですか。高い値段、安い値段、いろいろな値段あるけれども、いろいろ選んで買えますと。では、風力とか太陽光とか本当に振興すべきエネルギーが振興されないじゃないですか。廃プラは、今の発電で四円とか五円でやられているものを一緒にまぜて、自由度がありますから、どうぞこれはいい制度ですと。どこがどういうふうにいいのか、それをよくわかっておっしゃっているのかどうか、もう一回ちょっと。
河野政府参考人 ドイツで固定価格買い取り制度で大量に普及が進んだというのは、先生御指摘のとおりだと申し上げました。
 これは、固定価格買い取り制度であると同時に、いわばある種高値安定といいますか、そういう価格設定がなされているということで恐らく導入が進むということになるんだと思うんですね。高値安定という意味は、買い取ります発電事業者あるいは最終的に電力を使うユーザーにとってはコストが、発電事業者あるいは発電機械のメーカーにとっては下がっているんだけれども、最終的なエンドユーザーにとっては下がっていない、反映されていないという事情があるわけでございます。
 したがって、高値安定を下げていくということで新エネ発電の事業者間での競争とかあるいはエネルギー間の競争が働くということを念頭に置いてRPS制度を導入しているということを申し上げているわけでございます。
山田(敏)委員 ちょっと話がかみ合わないんですけれども、さっき太陽光発電も我が国が世界一になりましたという御説明がありましたね。なぜか。それは二十二円という値段で買い取っているからなんですよ、四円とか五円じゃなくて。だから日本で太陽光発電は普及していったわけですよ。普及したからコストが下がって、それで競争力がついて、私も三洋電機のあの施設を見てまいりましたけれども、世界一の工場を見てまいりましたけれども、それは世界じゅうに輸出しています。それは、日本の技術が世界一で、そして製造コストが下がったから、それで新しい産業が起こったわけですね。重要なことなんですよ、それが。あなたがおっしゃっているように、これは自由度があります、高くなってユーザーに迷惑がかかりますと。一%の目標に対してどれだけユーザーに迷惑がかかるんですか。
 さっき私が大臣に申し上げたのは、では、このコストを少しでも埋めようということであれば、例えば電源三法交付金とか電源特会であるんじゃないですかと。この中身を見ると、非常に硬直化して、そして、ラピカの事件のように、五千人の村に過大な投資をして、住民の方も喜んでいるような様子ではないということであれば、政治的な判断をもってこれをやっていくのが日本の、理念を持った政治家としての判断ではないでしょうかということなんですけれども、いかがですか。
平沼国務大臣 私どもは、いろいろな総合的なことを勘案しまして、そしてRPS方式というものを採用させていただきました。
 これは、RPS方式を利用している国は、日本のほかにも、アメリカの州でございますとか幾つかございます。ですから私は、そういうインセンティブを働かせていけば、この新エネルギーの普及促進は進むと思いますし、コストダウンも当然行われると思いますし、また、雇用の創出、新事業の創出というのも必ず行われると思っています。要は、これをいかに生かすように運用していくか、こういう問題です。したがいまして、いろいろインセンティブを与えることもあると思います。
 ですから、先ほど来御答弁させていただいて、私どもといたしましては、今の電源のいろいろな対策というのは、それなりに今、産業立国、経済立国の日本にとってまさに血液と言われる電源を受け持ってくださっている地域に対して、そういう形で交付金等を出して、そしてそれを利用していただく。その利用の仕方は確かに硬直化しているから、また新しい発想でしていかなければいけない。それはあくまでも地方自治体の決めることであるけれども、そういう中で、我々としては新しい発想で考えていくことも一つのことだと思っておりますし、私どもとしては、今お願いしているこの新しい方式を、RPSを根づかせるために一生懸命努力をしたい、こういうふうに思っております。
山田(敏)委員 大臣、もうちょっと事実の認識を明確にしていただきたいんですけれども、こういう制度で新しい産業が起こりますとか新エネルギーができます、こういうことにはならないんですね。
 例えば風力についても、今北海道と東北でやっていますけれども、既にもうこれ以上要りませんと。どうやってドイツやフランスやデンマークがやったように、新しい何千億という産業が起こる、もう何もないんですよ。その状態のときに、こういう法律を持ってきて、四円とか五円でできる廃プラを一緒にやりましょうと。ますますだめになってくる。これが事実ですから、大臣、抽象的な言葉とは別に、事実として、これは起こらないということを認識していただきたいと思います。いかがでしょう。
平沼国務大臣 日本の場合というのは、やはり自由主義経済体制の中で事業者という人たちに自由裁量、そういうことも一つ大きなコンセプトとしてあります。したがいまして、余り強制的に押しつける、こういうことじゃなくて、やはり自主的な判断と、それから経済原則によってそこにインセンティブが出てきて、そしてそれが向上していく、こういうことが私どもの一つの基本的な考え方です。その中で、RPS方式というものは日本のとってきた今までの政策になじみがある。
 その中で、おっしゃったように、新しい事業を起こし、雇用を起こし、そして新エネルギーの拡大を図っていくために全力を挙げていかなきゃいけない。おっしゃる意味はよくわかりますけれども、そういう基本的な一つのポイントがあるということもおわかりいただきたいと思います。
山田(敏)委員 ヨーロッパの環境エネルギー政策をもう一回ちょっとよくレビューしていただきたいんです。
 今おっしゃったような経済原則に任せて基本的にやっていこうというやり方でうまく成功した例は私はないと思うんですね。環境エネルギー政策は、理念に基づいてこうやるべきだという非常に強い強制力と、その行く先にこういうことがあるという、これがないと進まない。
 今のような、長官がさっきおっしゃいました、自由裁量でどれも選べます、これは自由です、これでは日本だけが世界の環境エネルギー政策に取り残されると思いますので、その点を指摘して私の質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。達増拓也君。
達増委員 理事会、理事懇の方で、政府提出二法案、きょうで質疑終局ということが決まりまして、いよいよ大詰めを迎えつつあるエネルギー二法審議でありますけれども、まずは省エネ法について、残っている論点を幾つか質問させていただきたいと思います。
 今回の省エネルギー法によりまして、従来の製造業、鉱業、電気、ガス、熱供給業以外の業種についても法律の対象となりまして、第一種エネルギー管理指定工場に指定されるところについては、さまざまな義務を負い、そして必要に応じて政府が合理化計画に係る指示及び命令を出せるようになっております。
 しかしながら、製造業、鉱業、電気、ガス、熱供給業といった、従来の監督の対象になっていた業種と、新しく、これはホテルでありますとか病院でありますとかその他一般のオフィスビル、その省エネのやり方とか、そこに必要な技術ですとかノウハウといったものにはかなり違いがあると思うんですが、特に、この合理化計画に係る指示及び命令を出す決断を、判断をする場合に、従来の延長線上で、新たなその他の業種についてもこれはきちっと見ていくことができるんでしょうか。
河野政府参考人 御指摘の指示、命令、これは、告示で示します判断基準に照らし合わせましてそれがどうかということで、非常に不十分ということであるとそういった措置をとるわけでございますけれども、今までは、おっしゃいましたように、主に製造業など五業種のための判断基準でございまして、こういった事業はどちらかといえば動力源とかエネルギー源に使っておりますので、そういうものと、今回のビルのようなものは、例えばビルの場合は照明、空調、こんなものが多いということで、使用の形態もかなり違いますので、この判断基準も適切に見直していく必要があるというふうに思っております。
達増委員 かなり新しい分野に広がって、政府としても新しい領域での省エネルギーというのを監督していかなければならないということで、それにきちんと対応していかなければならないと指摘したいと思います。
 今回の改正で、改正されるもう一つポイントとして、建築物、建物に係る指導及び助言等に関する権限を市町村長等に移譲することが規定されております。
 国土交通大臣が持っていたその権限を市町村に移譲するわけでありますけれども、現場ではこの新しい権限についてきちっと対応できるんでしょうか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 今回の改正案では、建築主に対する指導助言、あるいは指示、公表等の権限を、所管行政庁、いわゆる建築主事のいる市町村あるいは都道府県に移譲することとしております。
 この際問題になりますのが、まずは事務量でございますが、最も大きな事務量のものは届け出の受理及びその内容の審査であると思われます。
 届け出が必要な二千平方メートル以上の建築物の着工数は、全国で年間約六千件程度と見込まれております。所管行政庁、全国で約二百六十ございます。平均いたしますと、一行政庁当たり年間約二十数件程度ということでございますから、所管行政庁の負担が著しく増大するというものではないと考えております。
 また、この審査をする担当者でございますが、所管行政庁の職員は、建築確認等におきましても、建築物の構造や建築設備に関する技術的審査を行っております。これまで、建築物の省エネルギー措置についての必要な指導助言もお願いしてきております。十分能力的にも専門家だと言える人たちでございます。そういう意味で、現場で対応することは十分可能であるというふうに考えております。
達増委員 建築物に係る指導及び助言を市町村でやっていく場合、現場での対応に関連してもう一つ伺いたいんですが、建築における省エネ技術というのは、日進月歩の技術革新が目覚ましい分野だと思うんですね。二重窓が望ましいというときに、一枚でも二重窓と同じくらいの効果があるものができたりとか、断熱材についても、新しい素材がどんどんできているところであります。そうした省エネ技術の進歩という点に対して行政がきちっと対応していけるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 省エネルギー法に定めております建築主の判断の基準というのがございます。これは、具体的な個々の技術に基づいて具体的ないわゆる使用基準として決めているものではございませんで、目覚ましい進歩にも対応できるように、いわゆる断熱性能とかあるいはエネルギーの使用量を算定して、性能そのものの基準値を満足しているかどうかを判断するいわゆる性能基準ということになっておりますので、こういった今後の新しい省エネルギー技術の進歩に柔軟に対応できる仕組みにしております。
 また、先ほども申し上げましたが、この審査する人たちは、建築物あるいは設備に関する審査を十分に行える専門家の方々でございます。こういった技術の進歩にも十分対応できるというふうに考えております。
達増委員 では、省エネ法に関する質問の最後、大臣に、産業部門の省エネの現状について伺いたいと思います。
 省エネルギーについては、産業部門、民生部門また運輸部門などいろいろ分けることができるわけでありますが、何といっても、エネルギー消費の約半分、産業部門というのは非常に大きなウエートを占めているわけでありまして、所管官庁大臣として、特に産業部門の省エネの現状、またこれは、単に現状というだけではなく、特にこれからどのように取り組んでいくのかということも含めて伺いたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 我が国は、一九七〇年代の石油危機以降、省エネルギー設備や技術導入等の官民挙げた省エネ努力を行ってきた結果、石油危機発生時の一九七三年度と比較しまして、GDPが約二倍に伸びているわけでございますけれども、産業部門のエネルギー消費というのはおおむね危機当時の横ばい、そういう水準でございます。ですから、そういう意味では、非常に省エネに関しては世界でも進んでいる国だ、こういうふうに思っています。
 しかし、その一方で、御指摘のように、依然として産業部門のエネルギー需要が総需要の五〇%近くを占めておりまして、一層の取り組みは必要だ、こういうふうに認識しております。経団連の自主行動計画に基づく産業界の自主的取り組みを柱に、私どもはさらなるきめ細かい対策をやっていこうと思っています。
 経済産業省といたしましては、省エネルギー法の運用強化や、今申し上げた支援措置、そういったことの推進によりまして、産業部門における取り組みの実効性を高めていきたい、このように思っているところでございます。
達増委員 それでは、新エネ法について質問をしていきたいと思います。
 けさ、自然エネルギー発電促進法案、衆法として趣旨説明が行われまして、比べながら審議できるような格好になっております。
 そこで、まず第一条の目的について伺いたいと思います。
 自然エネルギー発電促進法案の方では、目的の中にはっきりと「温室効果ガスの排出の抑制による地球温暖化の防止を図り、」そして、「環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展」云々というふうに、目的の中ではっきり地球温暖化防止ということがうたわれているわけであります。午前中の審議の中で政府側の答弁の中で、こちら政府案、新エネ法の第一条の目的、「環境の保全に寄与し、」という中に温室効果、地球温暖化防止も含まれるという趣旨の答弁があったと思いますけれども、それが重要であるなら、やはりはっきりそう書いた方がいいと思います。
 この目的というのは、その後の法律の解釈、さらにその法律に基づく政令の中身にも大きく影響を及ぼす、特に、その「新エネルギー等」の中にどういうものを含めていくかという政令の中身にも影響を及ぼす非常に重要なポイントであると思いますので質問いたしますけれども、政府案のこの目的の中に、環境の保全ということで地球温暖化防止ということはちゃんと入っているのかどうか伺います。
平沼国務大臣 午前中の質疑の中でもお答えをさせていただきましたけれども、これは明らかに、この「環境の保全」の中に地球温暖化防止ということも含まれております。
 新エネルギー等は、CO2の追加的な排出量が少ないことから地球温暖化対策にも資するという特性も有するために、本年二月十三日の地球温暖化対策推進本部決定においてもその対策の一部として位置づけられているところでございまして、私どもは、それを含めぴしっとさせていただいております。
達増委員 今の答弁のとおりでありますと、やはり、この目的条項によってその後の法律の解釈や政令の中身についてこれは大きな縛りになっていく。地球温暖化を防止できない、あるいは地球温暖化をさらに促してしまうような運用でありますとか政令の制定ということはできないというふうに理解したいと思います。
 さて次に、この政府案によりますと、経済産業大臣が四年ごとに八年間の新エネルギー利用の目標を定めるということになっています。今後八年間の新エネルギー利用の目標を定める、これは、やはり八年ぐらい先の目標が明らかにならないと、新エネルギーを推進する側、風力発電を立ち上げようとかそういう新エネルギーをこれからやろうという事業者が投資をしていく、それを決めるに当たって、やはり八年くらい先まで見通せないと安定した投資ができない。
 ところが、この新エネルギー利用の目標については、四年ごとに変えることができるわけです。このように、目標、特に目標量ですね、新エネルギー利用の目標量が四年ごとに変わってしまうということになると、安定的な投資が難しくなるのではないか、投資に当たってちゅうちょしてしまうことが起きてしまうのではないか、この点、いかがでしょうか。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
 発電事業者にとっても電気事業者にとっても、新エネルギー等電気の計画的な発電、利用の促進をするためには目標の設定は必要だというふうに思っております。
 ただし、八年間という長期でありますから、技術の進歩や経済情勢の変化、そして、現時点で予測し得ないような供給能力や発電コスト等の変化が生じてきた場合に、一切見直しをしません、厳格にこれを適用しますというふうになりますと、決めた目標が過大になったり過小になったりする可能性が出てくる。
 そういうようなことにならないように適切にするためには、目標の中間地点である四年ごとにチェックをして見直しをすることも許されるということがいいのではないかなというふうに思っております。ただし、今先生が言ったように、発電事業者の心配がありますから、そういうふうなものは悪影響が出ないように慎重に見直しをしていく必要があるというふうに考えております。
達増委員 四年ごとに恣意的に目標が変更されたりすることはなくて、技術的あるいはエネルギーを取り巻く事情から、本当に必要最小限のときに見直しがあり得るという趣旨だと思います。
 これに関連してですが、政府案の三条三項には、さらに、特に必要があると認めるときにはいつでもその目標を変更できるという規定があります。これは、四年ごとに変わるのも問題なわけですけれども、さらにいつでも変更されてしまうということになりますと、投資の安定性というものがこれまた損なわれる危険性があるわけですけれども、ここもきちっと、安定的な投資を妨げないような形で運用されていくのかどうか、この点について説明いただきたいと思います。
河野政府参考人 先生がおっしゃいましたように、長期の目標を定めるのは安定的な投資を何とか確保していこうということでございますから、これが短期的な要因で頻繁に見直されるという不安定性は避けなければならないと思います。
 ただ、「特に必要があると認めるとき」として考えられますことを例えとして申し上げますと、新エネルギー等電気の供給が、事業者の計画などがなかなかそこまで届かないというようなことで供給そのものが追いつかないような状況になった、あるいは逆に、新エネルギーの発電コストが技術進歩によって下がりまして、むしろ利用が予想以上に進むというような場合、こういった場合に見直しをしていくということになろうかと思います。
達増委員 余りに量というものを頻繁に見直さなきゃならないようであれば、量的な目標、クオータ制で新エネルギー、自然エネルギーの推進を図るというよりは、固定価格制度で価格を固定しながら普及を図るということが利があるというふうになっていくんだと思いますので、このクオータ制、目標を設定するというやり方をやりながらその目標を頻繁にいじるということになっては、これは矛盾したシステムになると思うので、今の答弁は、そうではないということだったと思いますが、ここは非常に重要な点だと思うので指摘をさせていただきます。
 この目標を定めるに当たってですけれども、法案によれば、環境大臣、農水大臣、国土交通各大臣の意見を聞いて経済産業大臣が目標を定めるということになっています。
 この新エネルギー利用の目標を定めるに当たっては、京都議定書など国際的な約束、国際的な取り決めからの観点というのが非常に重要であると思います。国際的な水準から見てこのくらいは必要であろうとか、こういう約束をしているので最低このくらいはしなきゃならないとか、そういった国際的な観点からの意見というのはだれが述べることになるんでしょうか。どのようにしてこの決定に反映されることになるんでしょうか。
河野政府参考人 利用目標の設定に当たりまして、法定協議といいますか、法定で意見を聞くべき大臣を挙げさせていただきました。そういう意味では、法定で御意見を伺うのは、国際約束といえども国内措置によって履行していくわけでございますから、主管官庁といいますか、そこは環境省が代表しておっしゃるのではないかというふうに思います。
 ただ、これは法定で御意見を伺うわけですから、政府部内でいろいろな御意見があれば経済産業省としていつでもお伺いするということだと思います。
達増委員 そうした国際的な観点からの意見というものをきちっと反映して目標も決められていかなければならないというふうに思います。
 さて、経済産業大臣が新エネルギー利用の目標を定めた後で、毎年基準利用量というものが省令で決められます。八年間のエネルギー利用の目標という長期の目標のもとで毎年毎年の基準利用量というものが決定されて、それが本法案のRPS制度の根幹になって電気事業者に義務を課していくわけですけれども、この基準利用量の決め方について、法案には詳しく定められていないんですが、どのように定められるんでしょうか。
河野政府参考人 四条の基準利用量でございます。
 これは、比較的単純な一定算式を考えているわけでございますけれども、電気事業者の前年度の電力供給量を基礎といたしまして、三条で長期的な目標を定めますので、これを年ごとに区分いたしまして、ただ、その際には、どういうスピード、テンポでやっていくかということもまた考えなければならないわけでありますけれども、そこに到達するような毎年の比率をブレークダウンして掛けていくということになります。その際には、総合資源エネルギー調査会の意見も伺いながら具体的な数字については考えていくということになろうかと思います。
達増委員 そのように毎年の基準利用量というものが決まって、そして、この法案第六条、電気事業者は、他の電気事業者がその基準利用量を超える新エネルギー利用をした場合に、それを肩がわり、自分のものにできるというこの制度の根幹がこの第六条のところに規定されているわけであります。ただ、非常にシンプルな書きぶりになっていまして、ある電気事業者がほかの電気事業者と相談して、おたくが超えた分はうちの方の足りないところに埋めさせてもらうよと、ただそこで話がついて、経済産業大臣の承認さえ得ればそれでいいというような格好に読めるんですけれども、これがきちっと経済のそういう市場原理にのっとって、このやり方でいくと非常に効率的に新エネルギーが促進されるということがこの条文からはよくわからないんですが、具体的にはどのような取引が展開されていくことになるんでしょう。
河野政府参考人 これは、ある電気事業者の方が義務量よりも多く調達をしていた、他方、ある電気事業者の方はそこに達しないというようなときに、超過達成している方に取引を持ちかけて、その超過達成した方の分を自分のいわばカウントにしてもらうということに同意を得るという手続が必要になります。それは恐らく、通常はある種の契約のようなことをやることになると思います。
 しかし、そういう取引の対象にすることがこの条文の目標でございまして、また、それが真正でなければなりませんので、私ども、それなりに確認をさせていただくということになろうかと思います。
達増委員 審議会、新エネルギー部会の議論などで、いわゆるRPS制度のメリットとして指摘されるのは、市場原理に基づいていて、効率的に事業者が合理的な判断をして新エネルギーを促進することができると言われるんですけれども、今の御説明ですと、例えばどこかの自治体、あるいは自治体の支援を受けて、きのうの参考人質疑で例が出てきましたけれども、ああいう小さい民営の風力発電をやっているようなところが、果たしてうちの風力発電というのはどのくらいで売れるのだろう、価値があるのだろうと思っても、大手電気事業者、北海道電力でありますとか東京電力でありますとかそういう大きいところが、個別に相対で、うちの余った分の、基準量を超えた分の新エネルギーをこれくらいで融通するとか、そういうことで決まっていくのであれば、新エネルギー市場というようなものがきちっと展開していかないんじゃないか、新しくそういったところに参入していこうという人たちに開かれた市場にならないんじゃないかという懸念がわいてきます。
 このRPS制度が、効率性の点で肯定される、理念としても正しいと言われるためには、それなりの健全な新エネルギー市場、特にその中で自然エネルギーというものが成長していく、そういう市場が形成される必要があると思うんですけれども、その点、いかがでしょう。
河野政府参考人 このRPS制度は、我が国において全く初めて導入するわけでございます。そういう意味で、私どもも、これまで審議会の場などで関係の方々から伺ってきた限りで申し上げると、やはり発足当初は相対取引が主体にならざるを得ないのではないかなという気はいたしております。
 ただ、その際に、全体としてのトレンドとかいうことを、個別企業の秘密情報を開示するということにはなりませんけれども、できるだけ情報提供するということを通じて、中小のといいますか、そういった発電事業者の方々にもそれなりの情報提供ができるように努力をいたしたいと思います。
 それからまた、市場の形成という意味では、申し上げましたように、当初、相対取引以外のものはなかなか当事者たちもちょっと考えにくいようなことは言っておりますけれども、長期的な課題ということで考えていきたいと思います。
達増委員 実際、運用してみた場合、どういうことになるかを想像してみますと、電気事業者間で基準利用量を超えた新エネルギーを融通し合う場合に、経済産業大臣の承認を受ける必要がありますから、常に経済産業省を巻き込んだ形での相対取引ということになって、その相対取引のすべてについて経済産業省が横で見ているわけですから、経済産業省の方が、結局、今このくらいの値段が相場だろうとか、このくらいの値段で引き受けろとか、これはちょっと高過ぎるとか安過ぎるとか、さらに言えば、この手の、風力発電じゃなくて、もっと別の、こっちの方の発電でつくったものを使えとか、結果として非常に官主導の、もうこれは、新エネ市場というよりは、官が管理する取引場のような格好になってしまうと思うんですけれども、その点はいかがでしょう。
河野政府参考人 私どもは、個々の取引に介入するといいますか、そういった考えは全く持っておりません。
 ただ、超過達成した方が、どれだけ超過達成している、そのうちのどれぐらいの分を未達成の方に取引でゆだねるというようなことが真正でないと困りますので、そういった確認的なチェックをするというのが私どもの役割だと思っております。
達増委員 これは先週の議論から続いていることで、また、きょう午前中も議論をされたことなんですけれども、今回の法案で、仮に、万が一、政令で廃プラスチック発電も、廃棄物発電も新エネルギーに含むと決めてしまった場合でも、政府側の答弁によると、そういう廃棄物発電、廃プラスチック発電ばかりが伸びるわけではないという答弁があって、何でそう断言できるのか、そう言い切れるのかというような質問が続いていたと思います。
 今伺ってきたようなそういう取引のやり方を考えた場合に、なぜ政府がそう断言しているのかを想像しますと、廃プラスチックばかり電気事業者が買おうとしたときには、そこにはもう承認を出さないとか、値段の面でいろいろ指導しながら、結局ほかの、廃棄物以外の、廃プラスチック以外の発電の方に誘導するような、そういう一種の行政指導を念頭に置いているから大丈夫、大丈夫と言い続けているようにうかがわれるんですけれども、この点、いかがでしょう。
河野政府参考人 繰り返し申し上げますが、私ども、個々の電気事業者の電源選択の自由度を増すことがこの制度の眼目だと申し上げてまいりましたので、それについて政府が指導したり、そういった考えを持っているわけではございません。
 ただ、廃棄物発電については、午前中の御審議でも大臣から御答弁申し上げましたように、抑制的な観点から慎重に検討して、政令指定をする場合にはそういった考え方で臨むというふうに申し上げておりますので、それが、私どもが廃棄物発電ばかりになってしまうわけではないということを申し上げている背景でございます。
達増委員 これも改めて伺いたいと思いますけれども、廃プラスチック発電を含む廃棄物発電について、答弁の中で、抑制的な観点から慎重に対処する、判断するということですけれども、きのうの参考人質疑でも、四人の参考人の方、そろって廃棄物発電、なかんずく廃プラスチック発電には消極的だったと思います。電事連の代表として出てこられた勝俣参考人もまた、廃プラスチック発電については新エネルギーの対象外にした方がいいという意見を述べていらっしゃいました。事前の、経済産業省のもとで審議会としてつくられた新エネルギー部会の枢要なメンバーでさえ、廃プラスチック発電にはかなりの疑問を呈している。
 そういうところから考えて、この法案の政令事項のところで新エネルギーを定義するに際して、やはり廃プラスチック発電については対象外にするということをはっきりさせた方がいいと思うんですけれども、きのうの参考人質疑に対する考え、コメントなども含めてお答えいただければと思います。
河野政府参考人 昨日の参考人質疑に出席の方々も、それから新エネ部会の委員の方々にもそういった御意見はあったわけでございます。
 ただ、やや繰り返しになって恐縮でございますけれども、産業廃棄物としての廃プラスチックの排出量のうち、四四%ぐらいが焼却処分をされている。しかし、発電に回されているのは六%にすぎないというような現状があるわけでございますから、これを有効に活用することも望ましい。
 他方、循環型社会形成推進の観点との折り合いをどうやってつけるかということもあるわけでございまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、そういう両方の観点を含めまして、これを政令指定するような場合には、抑制的な観点から慎重に検討するということをお答え申し上げているわけでございます。
達増委員 この廃プラスチック発電をめぐる問題については、民意を議会としていかに統合していくかという立法府の側の仕事の仕方としても、審議を終えた後また与野党超えて協議をして、審議会の意見ですとかを含めて民意が反映されるような議会としての意思表示を考えていかなければならないというふうに思っております。
 さて、基準利用量の問題に戻りますけれども、今までになかった制度を導入して、その取引がうまくいくかどうか、発足当初はまだ新エネルギー市場、そういう利用量市場といったようなきちっとオープンなシステムがなかなかできないという答弁だったと思いますけれども。
 今回の法案が成立したとしても、新エネルギーをやろうという人たちが、とりあえずちょっと様子を見ようかということで余り投資をせず、新エネルギーの供給が伸びなかった場合に、基準利用量の決め方によれば、かなりの超過需要、相当の売り手市場になってしまう危険性も指摘されております。そうしますと、価格がウナギ登りになってしまうわけでありますが、この点、価格に上限を設けるべきという意見もきのうの参考人の中にもありましたけれども、この点についてどう考えますか。
河野政府参考人 確かにこの制度では、義務対象者は電気事業者でございます。他方、新エネルギーで発電をする発電事業者の方は特段義務を負うわけではありませんで、事業活動として電気を供給されるわけですから、場合によって、発電の方の投資が進まなければ売り手市場となる、価格高騰、これは論理的にあり得る話になります。
 実は、その点も新エネルギー部会では議論になりまして、この小委員会の報告書におきましては、「価格が際限なく上昇する恐れがあるため、これを防止するため、例えば、あらかじめ適切な水準で上限価格を設定する等、何らかのセーフティーネット的なシステムが必要である。」というふうな報告書になっております。こうした議論を含めまして、上限価格のコントロールのあり方についても、これから専門家の方に御意見を伺いながら、どうしたらいいか検討してまいるという考えでございます。
達増委員 特に、新しい制度のスタートの時点で基準利用量というものが決められるわけでありますけれども、一体幾らで新エネルギーが売れるのかどうか。新エネルギーをつくる、電力を供給する側にとっては、非常に不透明な形で制度がスタートしてしまうんだと思います。したがって、ちゅうちょして少ししか投資せず、当初、なかなか自然エネルギーを中心とした新エネルギーが、普及促進、劇的な拡大を見ないでしまうかもしれません。
 特に、我が国の場合は、欧米に比べましてかなり立ちおくれている。一%にも満たない普及の割合でありますから、これを一気に普及拡大させていくためには、ドイツなどで成功している固定価格買い取り制度ですね、これは、諸外国で成功しているというだけではなく、日本の特殊事情、いまだに一%に及ばない自然エネルギーの普及率である、それを新しい制度の中で劇的にふやしていきたい、そういうことであれば、やはりRPS制度よりも固定価格買い取り制度の方が望ましいのではないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょう。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
 新エネルギーの普及拡大というのは各国が今取り組んでおりまして、各国が国々の制度に合わせて、固定価格買い取り制度をやるのか、RPSをやるのかというふうに決めているわけです。我が国においては、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会のもとで小委員会が行われて、審議を重ねた結果、RPSがいいだろうというふうなことになっているわけですね。
 固定価格買い取り制度というのは、ドイツで導入されていますけれども、メリットとしては、量的には成果を上げることができるというメリットはあります。しかし、これのデメリットとしては、コスト削減インセンティブがなかなか働きにくいというのが一点ありますし、一度価格を決めたらなかなか引き下げができないという状況もあります。また、ドイツにおいては、発電コストが安くなっているにもかかわらず、この買い取り価格はむしろ上がっている、コストが市場と逆になっているというふうなこともあります。
 一方、RPSの場合には、量の目標を設定しますから、確実な量の設定ができるというのが一点あります。また、先ほど先生がおっしゃっているように相対でありますので、市場原理に伴って効率のいいエネルギーの供給ができるというふうなこともありますし、電気事業者の電源選択の自由度が高いというのもあります。
 いろいろと勘案をした結果、RPSの方がいいのではないかなというふうなことでこの選択をさせていただいておるわけであります。
達増委員 次に、罰金の問題について伺います。
 政府案では罰金百万円以下ということになっているんですけれども、これであれば、大規模事業者にとっては、罰金さえ払っておけば新エネルギー基準量まで使わないでおいても百万円で済むなら安いものということで、ペナルティーとしては安過ぎるのではないかと思われるんですけれども、この点はいかがでしょう。
河野政府参考人 この罰金刑百万円につきましては、他のエネルギー関係の義務違反のような場合とのバランスも考えて設定したものでございます。
 また、電気事業者も、いわゆる公益事業と呼ばれますように社会的な存在でございますので、罰金刑がちょっと安いからといって法律で定められた義務をあえて無視するということはなかなか考えにくいと思いますし、また、電力会社の幹部職員ですとかあるいは代表者ですとか、こういった個人にも刑罰が及ぶようになっておりますので、そういう意味でも歯どめとして十分効果があるというふうに思っております。
達増委員 独禁法改正のときにも述べたのですが、市場ルールを守るということについてはかなり高い罰金を科してもいいんだと思います。ですから、他の電力関係、エネルギー関係の罰金との横並びというよりも、むしろそういう新エネルギー市場というものをつくっていこうというわけですから、そういう市場を守っていくという観点から罰金についても検討していくことが望ましいんだと思います。
 さて、この新エネルギー、なかんずく自然エネルギーの普及促進のためには、地方自治体も非常に熱心であります。各都道府県が五カ年計画などで、およそどの都道府県も自然エネルギーの開発促進ということを盛り込んでいると思いますし、さらに、市町村を含めますと五百を超える地方自治体が実効性のある自然エネルギー発電促進法の早期成立を求める意見というものを決議しています。そのような地方自治体の熱心な取り組みと国、政府が自然エネルギーの促進についてどのように連携していくのか、これについて伺いたいと思います。
古屋副大臣 昨年六月に取りまとめられました新エネルギー部会報告書でも、地方公共団体が実施していく自然エネルギー、それは太陽光発電であるとか風力発電、これは極めて有効であり重要であるといった報告が出ておりまして、大きな役割を果たしていただけると思っております。
 したがって、そういった視点から、私どもとしても、地方公共団体が取り組むいわゆる自然エネルギーの導入については積極的に応援をしていきたいと思っておりまして、具体的には、例えば、地域新エネルギー導入促進対策ということで、これは平成九年からですけれども、百一億円、これは二分の一補助でありますし、地域地球温暖化防止支援事業、これは平成十三年度からですけれども、こういった支援事業を講じてきておりますし、今後とも、やはり地方公共団体が積極的に取り組んでいただくということが不可欠でございまして、私どもとしても大いにそれを支援をしていきたいというふうに思っております。
達増委員 最後に、通告はしなかったんですが、やはり大臣に最後に質問したいと思うんですけれども、きのうの苫前町長、久保田町長の参考人としての発言を聞いていても、世界全体、地球全体のエネルギーの問題、そして日本としてのエネルギーの問題、そういう天下国家のことを地方から考えて行動していこうということで、さまざまな苦労を乗り越えてあれだけの風力発電を実現した、そういう自治体、五百を超える自治体がやろうやろうと言っている。ほぼすべての都道府県がそういう計画を、事業を考えている。やはりそうした民意というものも含めた形での新エネルギー市場、なかんずく自然エネルギーを発展させていく市場というものをつくらなければならない。
 ですから、基準利用量の設定ですとか、その相対取引をいかにオープンな市場と呼べるにふさわしいものに制度設計していくか、そこがやはり大丈夫という得心が得られないと、なかなかこのRPS制度について賛成できないんですが、その点について、最後のまとめのような形で大臣に答弁をいただきたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、地域の方々の御協力というのは非常に大きなポイントです。したがって、今実際に五百以上の地方自治体の方々が熱心に取り組んでいただいている、大変心強いことだと思っております。そういった真摯な取り組みに対して阻害要因がないように、この新しい制度というものを、私どもは地域の要望も踏まえてしっかりと運営をしていかなければならない、このように思います。
達増委員 新エネルギー、なかんずく自然エネルギーに関する市場の設計、そういうシステムを政府としてつくっていくという点についても伺いたいんですけれども。
平沼国務大臣 それぞれ取り組んでいただいている新エネルギー、そういう問題に対して、今回我々としては、やはり自由主義社会の中にあって、事業者が自由に選択できるというRPS制度を導入しました。そういう中で、私どもはその制度というものを周知徹底をして、そして新エネルギーに対してそういう地方の方々も本当に安心して参入できる、そういったことを配慮しながら法の運用をやっていかなければならない、私はそういうふうに思います。
達増委員 終わります。
谷畑委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 最初に省エネルギー法案についてお聞きをしたいと思います。
 大臣は、提案理由説明でも、「大量のエネルギーの消費が地球環境に及ぼす影響に対する懸念が高まっている」と述べておられますが、この法案は、九七年十二月の京都会議、COP3以降検討されてまいりましたCO2削減目標の達成のために、その対策の一環として提出されたものと当然考えますけれども、まず、その点の確認と、政府の方では去る三月十九日、新しい地球温暖化対策推進大綱を定め、国際公約であるCO2の排出量を一九九〇年と同じ水準にするための対策ということを明らかにしたわけですが、この国際公約とそして大綱、さらにこの法案とはどういう関係、どのようにリンクしているのか、この点まず大臣に最初に伺いたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 我が国のエネルギー政策というのは、環境保全や効率化の要請に対応しつつ、エネルギーの安定供給を実現する、こういった基本目標を掲げております。その同時達成の実現を私どもは目指しているところであります。
 このようなエネルギー政策の目標を踏まえまして、今回の省エネ法の改正というのは、我が国のエネルギー供給構造が依然として脆弱であること等の事情に加えまして、今御指摘になられました京都議定書に基づく我が国の削減目標の実現性をより高める必要がある、このことも大きな一つの背景で、それで私どもは実施をしたい、こう思っております。
 また、さきに取りまとめられた地球温暖化対策推進大綱にもこれは位置づけられているわけでございまして、我が国のエネルギー政策上、やはり京都議定書、これに、その削減目標を高めるということを、私どもはその目標の一つとして取り組んでいかなければならない、このように思っています。
大森委員 今回の省エネ法改正がそういう対策の重要な一環である、その一つであるということであるわけなんですが、そこで、我が国の最終エネルギー消費量、これについては七九年の第二次オイルショック以降、若干の凹凸はありますけれども、一貫してふえ続けてきている、これは部門別に見ても共通しているわけなんですが、この法律、今回の省エネ法、これは一九七九年六月に制定されて以来、約四半世紀たったわけでありますけれども、実際に消費実態を踏まえて、この法律の成果はどのようであったのか、総括的にお伺いをしたいと思います。
大島副大臣 お答えをいたします。
 まず、マクロの視点から見てみますと、省エネ法が施行されて以来、産業部門におきますエネルギーの消費量は、生産量が大幅に増加をいたしております一方で、エネルギー原単位の減少によりまして、最終エネルギー消費量は石油危機以降ほぼ横ばいとなっております。産業部門のエネルギー効率の改善に省エネ法は一定の役割を果たしてきている、こういうふうに我々は見ております。
 次に、ミクロの視点からでございますけれども、平成十三年度から実施をいたしております工場ごとの総点検結果によりますと、点検対象工場の約九割におきましては適正な管理がなされております。そういった意味では、この機能はうまく働いている、こういったことを指摘していいかと存じます。
 また、省エネ法に基づきます現場におけるエネルギー管理の担い手となりますエネルギー管理士制度につきましては、企業におきましても職員に対して積極的にエネルギー管理士資格の取得を奨励してくれております。そういった意味では、法令で定められております人数の数倍ものエネルギー管理士資格を有する方たちが在籍をいたしております。本制度が工場におけるエネルギー管理に積極的に活用されていることが明らかとなっている次第でございます。
 このように、現行の省エネ法に基づきます仕組みは、工場におけるエネルギー管理の徹底に十分機能しているものと我が省は考えているところでございます。
大森委員 マクロ的には一定の成果を上げているということですが、そこで、具体的にちょっとお聞きをしたいわけなんです。
 まず、第一種指定工場、これについてのエネルギーの消費量の合計が最終エネルギー消費に占める割合はどのぐらいになるのか。そして、今回の法改正によって第一種指定工場を拡大されるわけですが、その割合はどのように変化をするのか、この点、お聞きをしたいと思います。
河野政府参考人 一九九九年度の我が国の最終エネルギー消費量は、原油換算で約四億キロリットルでございます。一方、同じ年度の定期報告に基づきます、転換部門、発電部門が主体でございますが、これを除く第一種エネルギー管理指定工場のエネルギーの消費量は、合計で約一・六億キロリットルというふうになっておりまして、最終エネルギー消費量全体に占める第一種エネルギー管理指定工場のエネルギー消費量の割合は、約四〇%ということになります。ただ、これは、産業部門で申しますと、カバー率として七〇%という数字になっております。
大森委員 今回の法改正による変化というのは御答弁がなかったんですが。
 では、あわせて、今のは製造業と鉱業に関してが約四〇%ということですね。一緒に御答弁ください。
河野政府参考人 四〇%と申し上げましたのは、我が国のエネルギー消費全体でございまして、産業部門の割合というふうに申しますと、七〇%ということになるわけでございます。
 それから、今回の法改正によりまして、第一種管理指定工場のエネルギー消費量は一・七億キロリットルになりますので、四二%に増大をするということになります。ちなみに、今回の法改正の主たる対象でございますいわゆる業務部門は、民生部門の中で、この改正によりまして新しく第一種となる分野は約二割をカバーするということになります。
大森委員 製造業、鉱業など産業部門の比率が大変高いということなんですが、そこで、産業部門のエネルギー消費原単位、これの推移がどうなっているかという点で、第一次オイルショック当時、九〇年当時及び直近の状況について御説明をお願いします。
河野政府参考人 七〇年代の石油危機以降、省エネルギー設備あるいは技術導入、いろいろな努力が行われてまいりました。石油危機発生時の一九七三年度と比較いたしましてGDPが約二倍に増大しているわけでございますけれども、産業部門のエネルギー消費はおおむね石油危機当時の水準にとどまっている実情にございます。
 具体的には、GDP当たりの産業部門のエネルギー消費原単位について、石油危機発生時の一九七三年度を一〇〇といたしますと、一九九〇年度は五二、直近の一九九九年度は五〇まで低減をいたしております。
大森委員 原単位について、では九〇年と九九年を比較して、産業部門、主要産業、例えば製造業等は上昇していますか、あるいは減少していますか、原単位そのものはどうですか。
河野政府参考人 産業部門の原単位は、九〇年と九九年度を比較いたしますと、五二から五〇ということでございますので、減少いたしております。
大森委員 エネルギー消費原単位は上昇しているんじゃないですか、産業部門について。例えば製造業では、これは調査室の資料でありますけれども、このグラフを見たら明らかに上昇していますね、九〇年から九九年、比較して。
河野政府参考人 お届けさせていただきましたグラフでございますけれども、一九七三年を一〇〇といたしまして、一〇六まで上昇いたしましたのがエネルギー消費のトータル数でございまして、原単位自身は、お手元のグラフでいきますと一番下のラインに当たりまして、九〇年の五二から五〇と、わずかではございますが、やや改善という状況だと思います。
大森委員 確かに、七〇年代から比べたら九〇年代まで、エネルギー消費原単位は各産業で減少しておりますけれども、長官は何を指して言っているのか。製造業でいえば、このグラフの数値は、厳密には言えませんけれども、これを見たら明らかに上昇していますよ。そうじゃないんですか。上昇しているとすれば、その原因は何ですか。
河野政府参考人 お手元のグラフのうちの一番下の線が消費原単位でございまして、グラフ自身、一九九〇……(大森委員「お手元のグラフと違うんじゃないですか、それは」と呼ぶ)違いますか。ちょっとお手元の資料と突合させていただきたいと思いますが、私どもの数値を申し上げますと、九〇年と九九年に五二から五〇ということで若干の改善を見ておりますが、ただ、非常に直近の、例えば九五年から九九年という数字を見てみますと、このグラフではやや上昇しているようにも見受けられますので、このところの経済低迷の中で原単位の改善が進みにくかったというようなことを反映しているのかと思います。
大森委員 これはGDP当たりの単位でしょう。ですからこの調査室の、今来ましたけれども、私がお聞きしたのはエネルギー消費原単位の推移ですよ。GDP当たりのことを伺っているわけじゃないんです。これは明らかに上昇しているわけですよ。これはごらんいただきたいと思います。その上昇している原因についてお尋ねしているんです。
河野政府参考人 製造業のIIP当たりといいますか、製造業の独自の原単位ということになりますと、IIPでその原単位をはかるわけでございますが、これは御指摘のように、このところ、九〇年から九九年に向かって悪化をしております。これは恐らくは、経済が停滞する中で省エネ投資などがなかなか進まない、他方、経済停滞の中で生産量自身が物によっては減少するというようなことになりますと、原単位が上昇するということがあろうかと思います。
大森委員 そこで、これはエネルギー庁の方からいただいた資料ですが、第一種エネルギー管理指定工場の原単位の改善状況、これで見ますと、例えば九五年と九九年を比べると、一%以上改善した工場の割合は、九五年が四二%に対して九九年は五三%と、こちらは明らかに改善をされているわけですね。全体としては、今おっしゃったように上昇している、つまり悪化している。にもかかわらず、このように一%以上改善した工場の割合はふえているということはどういう意味かということでありますけれども、この資料からわかることは、エネルギー消費量の少ない工場は頑張っているけれども、エネルギー消費量の多い大規模な工場は改善されるどころか悪化しているんじゃないかということが読み取れると思うんですね。
 客観的な理由を、先ほどは不況等の理由を挙げられたわけなんですが、この法律自体に問題はなかったのか、あるいは執行上の問題はなかったのかという点はいかがでしょうか。
河野政府参考人 原単位の点につきましては、先ほど申し上げたようなことが原因であろうかと思います。また、特にこの経済停滞の中で、いわゆる重厚長大といいますか、エネルギー消費の多い産業の生産がより多く停滞したというようなことも反映されているかと思います。
 執行状態につきましては、私どもも、この十三年度に入りまして、総合資源エネルギー調査会が新エネルギー、省エネルギーを検討していくというプロセスの中でいわゆる総点検を実施するというような体制で臨んでおりますので、これから一層改善してまいりたいと思っております。
大森委員 今指摘をしたように、一%以上改善した工場の割合が五年間ほどで四二から五三と一〇ポイント以上上がっているのに、全体としては悪化していることについての御答弁はなかったと思うのですね。こういう現状を踏まえてさらに質問をしたいと思うのです。
 今回の大綱については、国際公約を果たすため、産業部門では七%減の目標を掲げているわけですが、その進め方が、産業界の自主的な取り組みを尊重するということになっているわけですね。ところが、今回のに関して、経団連の環境自主行動計画温暖化対策編では、「二〇一〇年度に産業部門およびエネルギー転換部門からのCO2排出量を一九九〇年度レベル以下に抑制するよう努力する」こう言っているわけですね。これは明らかに大綱の立場と違っているんじゃないかと思いますが、こういう状況をこのまま放置しておけば目標達成は困難と言わざるを得ないと思うのです。
 経団連の今井会長は、この大綱の決定に関するコメントの中で、「産業部門で七%削減が目標になっているが、」「今後この数値が一人歩きしないよう政府には万全の注意をお願いしたい。」こういう注文を逆につけている。はっきり言えば、このコメントの中身は、七%削減を無視する、こう言っているようなものでありますけれども、大臣はこういうことの中でどう対応されるか、御見解をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 経済団体連合会の環境自主行動計画を初めとする産業界の積極的な自主的な取り組みによりまして、産業部門においては、先ほど来出ておりますけれども、二酸化炭素の排出量は横ばいで推移しているところであります。むしろ民生部門、運輸部門における排出量が大幅な伸びを示している中で、産業界の自主的な取り組みはある意味では着実な成果を上げているものと思っております。
 地球温暖化対策に当たっては、国民経済や雇用、国際競争力などに及ぼす影響等を十分に踏まえまして、温室効果ガス削減への取り組みが我が国の経済活性化や雇用創出などにつながるような環境と経済の両立を目指すことが私どもは基本だと思っております。
 今般取りまとめられました地球温暖化対策推進大綱においては、産業界の行う地球温暖化対策については、技術革新あるいは創意工夫が生かされる自主的取り組みを基軸としておりまして、経済産業省といたしましても、経団連とも連携をとり、やはり自主的な取り組みを基軸として、引き続き産業界と十分連携協力して、産業界の積極的な取り組みを促していきたい、このように思っています。
大森委員 自主的な取り組みに期待するということでありますけれども、いわば自主的な目標として九〇年とプラス・マイナス・ゼロということでは、目標達成は極めて困難と言わざるを得ないと思うのですね。
 この点で、今回の改正で、特定建築物について規制が強化されるわけですが、同じく経団連環境自主行動計画は、建設、住宅、不動産の業界個別計画を見ますと、例えば不動産業界の温暖化対策は、エネルギー負荷の抑制、省エネ対策の検討、関連業界との連携の推進、啓発活動の推進ということで、言葉だけはずらっと羅列されているような感じを強く受けるわけなんですが、目標があいまいで具体的になっていない。こうした計画の現状を放置しておいて、国際公約のこれも重要な一環を担うわけなんですけれども、果たせることになるのかという点、国土交通省、いかがでしょうか。
森下大臣政務官 経団連の環境自主行動計画の中には、御指摘のように、建設、住宅、不動産分野に関する省エネを取り入れた設計、設備の導入などがそれぞれ盛り込まれておるところであります。この行動計画は、建築物の省エネルギー化に関する具体的な目標値は盛り込まれていないものの、建築物の省エネルギー対策を推進する上で重要かつ基本的な方針を示したものと認識をいたしておるところであります。
 国土交通省といたしましては、今後、業界全体として省エネ法に基づく建築物の省エネルギー基準を達成すること等のより具体的な自主行動計画が作成されますように、関係業界団体に対し積極的に働きかけてまいりたいと考えておるところであります。
 以上であります。
大森委員 冒頭述べたように、法施行後二十三年たって、法の執行上問題ないのかという点で懸念を表明したわけなんですが、それとの関連でお聞きしますと、第一種管理指定工場に対する指導助言あるいは勧告、命令、これはそれぞれ法律で規定されているわけなんですが、その実施状況はどうでしょうか。
河野政府参考人 御質問は、第一種管理指定工場に対します省エネ法の第五条の指導助言等でございます。
 これにつきましては、まず、指導といたしましては、エネルギー管理者あるいはエネルギー管理員を対象といたしますシンポジウム、あるいはパンフレット等の配布あるいは現地での診断指導などを実施してきております。
 また、第一種エネルギー管理指定工場につきましては、先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、平成十三年度から新たな総点検プロセスによる工場現地調査を実施いたしておりまして、その結果を踏まえながら、必要があると判断した場合には書面による指導を行うということで臨んでおります。平成十三年十二月までに五百工場の現地調査を実施いたしました。その結果、約七十工場が省エネ法に基づく指導が必要であると判断されたところでございまして、これらの工場に対しまして、省エネ法に基づく指導を行っております。
 また、第十二条に基づきます指示、命令あるいは勧告でございますけれども、これにつきましては、現行法の十二条が創設されました平成五年以降、あるいは十二条の五に基づきます第二種エネルギー管理指定工場に対する勧告につきましては、制度が創設されました平成十年以降、これらの措置は具体的にはとられておりません。
 ただ、第一種エネルギー管理指定工場については、平成五年に定期報告の制度が創設されておりまして、それ以降の経年的な原単位の動向も踏まえながら、平成十三年度から今申し上げましたような総点検を実施しておりますので、必要があると判断した場合には、法律の第二十五条には立入検査の規定もございます。その結果、工場判断基準に照らして著しく不十分ということであれば、法第十二条に基づきます合理化計画の作成指示等の法的な措置を実施することも考えられると思っております。
大森委員 今も御答弁があったように、十二条とか十二条の五ですか、実際に発動したのは全くゼロ、十九条、二十一条についても二十三年間全く一回もなし、国土交通省の関係の十五条の二ですか、これについても平成十二年度以前はゼロ件、十三年度にやっと二件あるだけ、こういう状況なわけですね。ですから、二十三年間こういう勧告、命令が一度も出されていないということが、あるいは当然罰則の適用もないということで、こういうのが、とりわけ九〇年代以降悪化している大きな理由の一つじゃないかと思うんです。
 そういう点で、指導等だけじゃなくて、本当に厳密な調査と必要な勧告、命令等も含めた毅然たる、厳然たる法の執行、これを行うべきだと思いますが、重ねてその点御答弁をお願いしたいと思います。
河野政府参考人 先ほど御報告申し上げましたように、十三年度から総点検のプロセスに入っております。このプロセスを今後も続けてまいりますので、こういった機会をとらえて適正な指導を行ってまいりたいと思います。
大森委員 それで、今回の削減目標の達成を本当に図っていく上では、もう既にヨーロッパでは実際にEU指令などで行われております事業所ごとの二酸化炭素の排出量の枠を設定する、あるいはエネルギー消費効率改善の到達目標を事業所ごとに設定していく、そして事業所ごとにチェックしていく、正当な理由がないのにそれが守られないときは罰則をかけるというぐらいのことを、きちっとそういう措置をとらないと本当に目標達成は困難になってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
大島副大臣 お答えをいたします。
 工場等のエネルギーの消費量は、業種だとかあるいは経済状況によって大きな影響を受けております。先生がおっしゃるように、仮に画一的な省エネルギーの量的基準をもって規制をした場合には、企業による柔軟な対応を妨げ、適切な事業活動に支障を来すおそれがある、こういうふうに私どもは思っているところでございます。画一的な省エネルギーの量的基準を定めるのではなく、企業の各現場におきましてエネルギーの自主的管理が徹底される仕組みの構築を図っていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
 したがいまして、現在実施中の工場の総点検結果に基づきまして、管理が著しく不十分な工場に対しましては、所要の法的措置を講じる等、現行の仕組みの運用をさらに一層徹底してまいりたい、かように思っておるところでございます。
大森委員 もう一つ看過できないのは、やはりこの大綱を二〇一〇年までに達成するという点で、原発をさらに十三基新設するという問題ですね。欧米の主要国のほとんどが今原発増設計画を持たない、むしろ廃止の方向にある。世論調査でも国民の多数が反対している。原発について、昨年の十一月のCOP7マラケシュ合意でも、原子力により生じた排出枠を目的達成に利用することは控えるとされているように、COP3以来、二酸化炭素削減のために原発建設促進の日本政府のオプションは、これは国際的にも認められていない、そういう方向ではないかと思います。大綱にある原発推進計画は撤回すべきではないか、これは大臣にお答えをお願いします。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 原子力発電につきましては、燃料供給や価格の安定性に加えまして、発電過程におきましてCO2の排出がない、こういう環境特性を有していることは事実であります。こうした原子力発電は、我が国のエネルギー供給におきましては、既に二〇〇〇年度の実績で発電電力量の三四・三%という重要な割合を占めておるわけであります。
 地球温暖化対策推進大綱におきましても、二〇一〇年度までの間に、今委員が御指摘になられましたけれども、発電電力量を二〇〇〇年度と比較して約三〇%増加することを目指すことといたしております。
 環境保全及び効率化の要請に対応しながらエネルギーの安定供給を確保するとの我が国のエネルギー政策の基本的な目的を実現するためには、原子力の導入を積極的に進めていくことが私どもは不可欠だと思っています。当然のことながら、安全確保ということは大前提でございまして、私どもは、これを第一義として、地元の皆様方の御理解を得つつ、一歩一歩着実に原子力立地を進めていくことが必要だ、このように思っております。
大森委員 世界の大勢、流れに逆行するようなやり方については、これは厳しい態度で臨まなくてはならないと思います。
 次に、新エネ法に関連しまして野党四党が今回提出しました自然エネルギー発電促進法案、これに対して一問だけ質問させていただきたいと思います。
 政府案の方は新エネルギー等電気の利用促進という名目で出されているわけですが、新エネルギー促進ということで国民が期待するのは、廃プラによるごみ発電などではなくて、やはり太陽光や風力など自然エネルギーだと思うんですね。だから、廃プラ発電は除外すべきというのは、これは当然のことだと思います。
 そこで、提案者にお聞きしたいのは、自然エネルギーの導入促進という観点から、RPS制度と固定価格買い取り制度との比較評価ですが、ドイツなどの実績からも、固定価格による導入効果は明白であります。その重要な要因が、自然エネルギー発電事業への参入リスクが小さいということがあると思うんです。提案者のこの点での御見解をお聞きしたいと思います。
金田(誠)議員 固定価格買い取り制度の優位性ということで御質問をいただきました。
 私ども、共産党さんを含む野党四党で提出している対案の内容でございますが、この固定価格制度の優位性は歴史的事実によって既に証明されている、このように考えてございます。
 風力発電で世界の先頭を切るのがドイツでございます。二位がスペイン、三位がデンマーク、こうなっておりますが、この三カ国すべて固定価格買い取り制度でございます。ヨーロッパは世界の風力発電の三分の二を占めているわけでございますが、そのうちの八割がこの三カ国に集中をしている、このことからも固定価格の優位性は明らかである、こう考えてございます。
 その一方、イギリスでございますが、競争入札制を導入したわけでございますが、豊富な風力資源にめぐまれているイギリスのこの環境にもかかわらず、ドイツのわずか二十分の一にすぎないわけでございます。この違いは、御指摘のとおりでございまして、固定価格制度は、自然エネルギー発電事業者の参入リスクが小さいこと、したがって金融機関が容易に融資し得るということによると考えております。
 また、RPS制度についてでございますが、イギリスの競争入札制度と類似の極めて不安定な制度であり、参入リスクの高い制度であることは明らかでございます。さらに、このRPSは、アメリカの一部の州で導入されている程度でございまして、実績を比較するまでにも至っておらない未確立の制度である、こう考えてございます。
 さらにつけ加えて言わせていただければ、今回政府案として提出されている内容は、このRPS制度のレベルにも至っておらない実にお粗末なものだ、こう思っているところでございます。
大森委員 ありがとうございました。
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 前回の質問で、この新エネ法案が廃棄物発電、廃プラ発電を推進するものとなり、風力発電など自然エネルギーの普及拡大の妨げになるだけではなくて、資源循環、ごみ排出抑制にも逆行するという問題を指摘しました。この点についてさらにただしていきたいと思っております。
 循環型社会形成推進基本法では、循環資源について、その優先順位を、排出抑制、再使用、再生利用、熱回収、適正処分と設けております。この間施行された一連のリサイクル法が、この熱回収、サーマルリサイクルをどう位置づけているのかを確認したいと思います。
 最初に、一九九五年六月制定の容器包装リサイクル法では、廃プラのリサイクルについて、熱回収をどう位置づけているのか、お聞きします。
飯島政府参考人 容器包装リサイクル法では、市町村が分別収集いたしましたペットボトル及びその他のプラスチック製容器包装の再商品化の方法として、再生利用、マテリアルリサイクルするものとしておりまして、焼却して熱回収することは再商品化の方法としては位置づけておりません。
 容器包装リサイクル法に基づく具体的な再商品化の方法としては、基本方針及び再商品化計画において規定されておりまして、例えばペットボトルにつきましては、フレーク等に加工いたしまして、医療品とかカーペットなどの繊維製品あるいは卵パックなどの原材料として、また、その他のプラスチック製容器包装につきましては、ペットボトルと同様の原材料としての利用もありますけれども、多いのは、鉄鋼業における高炉やコークス炉での還元剤などの利用方法、また、ガス化によりまして化学工業の原料などに利用されているところでございます。
塩川(鉄)委員 容器包装リサイクル法では廃プラの熱回収を行わないということでした。
 次に、一九九八年六月制定の家電リサイクル法では、廃プラのリサイクルについて、熱回収をどう位置づけているか、お聞きします。
太田政府参考人 お答えいたします。
 特定家庭用機器再商品化法、いわゆる家電リサイクル法でございますが、その第二条におきましては、再商品化等として、一つには、製品の部品または原材料としての利用、いわゆるマテリアルリサイクル、それからもう一つ、熱回収が位置づけられております。
 このうち、熱回収につきましては、廃家電から分離した部品及び材料のうち、マテリアルリサイクルされたもの以外のものを熱を得るためにみずから利用する、または利用する者に有償または無償で譲渡し得る状態にする行為とされております。すなわち、マテリアルリサイクルを優先し、熱回収は、マテリアルリサイクルされたもの以外のものについて行うべきであるとの考え方をとっているところでございます。
 また、この考え方に基づきまして、現時点では、一定以上の効率を有する熱回収施設の整備が十分に進んでおりませんということで、同法施行令第四条で定められた再商品化等の基準におきましては、熱回収を対象としておりません。
塩川(鉄)委員 家電リサイクル法では熱回収を入れてあるけれども、政令において熱回収を当面除外しているということでありました。
 次に、ことし四月に国会提出されております自動車リサイクル法案では、この廃プラを大量に含むシュレッダーダスト、このリサイクルについて、熱回収をどう位置づけているのか、お聞きします。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 先般提出させていただきました使用済自動車の再資源化等に関する法律案、いわゆる自動車リサイクル法案におきましては、再資源化の方法としてマテリアル、それから熱を得ることに利用するというサーマル、この両方を規定いたしております。
 先生御存じのように、自動車の場合には約八割現にリサイクルが行われておりまして、その二割のシュレッダーダストについてさらなるリサイクル処理をするということで、私ども今回の法案を提出させていただいているところでございますが、その再資源化につきましては、主務省令で再資源化についての基準を定めることにいたしております。
 この基準の検討に当たりましては、シュレッダーダストの再資源化の技術的な動向や経済性などを踏まえながら、産構審及び中央環境審議会において、専門的見地からの熱回収の位置づけを含めまして、あるべきリサイクル基準というものを検討していただく予定にいたしております。
塩川(鉄)委員 確認ですけれども、例えば中央環境審議会の中間報告でも、再使用、再生利用後、残ったもののうち可燃物についてはサーマルリサイクルを促進する、このように報告で提言されていると承知しておりますが、その点よろしいでしょうか。
岡本政府参考人 私どもも、マテリアルリサイクルを可能な限り進める方が望ましいということは考えているわけですが、同時にコストの点もあわせて考える必要があろうかと思っております。ユーザーの方々に御負担していただくリサイクル料金の低減化というのも一つの大事な要素でございますので、その点もあわせ勘案しながら、あるべきリサイクルの基準ということについて、産業構造審議会及び中央環境審議会の専門の方々の御意見を伺いながら、十分に検討してまいりたいと考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 三つの法律、法案を比較してまいりましたけれども、九五年制定の容器包装リサイクル法では、熱回収というのは入っておりませんでした。九八年制定の家電リサイクル法では、条文上は熱回収も入っておりますが、この再生利用、マテリアルリサイクルのための努力を尽くすということもあり、政令では当面熱回収を除外しております。それが、ことし提出された自動車リサイクル法案では、主務省令云々という話はありますけれども、産構審や中央環境審議会の中間報告の内容を見ましても、熱回収がしっかり位置づけられているものであります。
 そこで、経済財政諮問会議のメンバーでもあります平沼大臣にお伺いします。
 経済財政諮問会議の循環型経済社会に関する専門調査会の中間取りまとめでは、サーマルリサイクルをマテリアルリサイクルと同等に位置づけ、両者の合理的な選択ができるようにすべきだ、この場合、サーマルリサイクルは単純焼却ではなく高効率のエネルギーを生み出すことが前提と、廃プラ発電を推奨しております。循環型社会形成推進基本法では、優先順位としてマテリアルリサイクルがあり、サーマルリサイクルがあるのを、この中間取りまとめでは、ひっくり返していもいいんだ、燃やすことを優先することもあり得るんだという中身になっているわけですね。私は、この推進基本法の基本原則を覆すことになるんじゃないか、このように思いますけれども、大臣の御認識を伺います。
平沼国務大臣 経済財政諮問会議というのは、いろいろな有識者、そういう方々の御意見を参考にいろいろ議論をして取りまとめるわけであります。その中の一つの意見として、今言われたような一つの意見が出てきているわけでありまして、それはそれで一つの考え方だと私は思っております。しかし、やるに当たって、例えば自動車リサイクルの場合の処理の仕方も、産構審等の意見を十分に踏まえる、こういうことに相なっておりまして、その辺を私どもも十分意見をお聞きしながら、そして、その基本的な精神に基づいてこういう問題はしっかりと考えていかなければならないと思っています。
塩川(鉄)委員 日刊工業新聞を拝見しておりましたら、自動車リサイクルについての特集記事がありました。そこに、自動車メーカーのホンダの関係者の方のコメントが載っておりましたけれども、シュレッダーダストをサーマルリサイクルして、その結果九八%までリサイクルできるなら、解体性のよい設計に全力を挙げることなど意味がなくなる。シュレッダーダスト処理は、マテリアルリサイクルよりサーマルリサイクルの方が安上がりという指摘でもありますし、何よりも、ごみにならない物づくり、排出抑制を図るという方向に逆行することになる、このような声というのを現場の方が上げていらっしゃる。
 私は、この間の一連のリサイクル法の流れを見ると、再生利用、マテリアルリサイクルのための努力は棚上げして、安易に燃やすことを奨励することになるんじゃないか。今回の法案が、燃やすことを有利とする仕組みをつくることで、資源循環の優先順位を覆して、ごみの排出抑制の努力そのものを損なうことになるんじゃないかと率直に思いますけれども、大臣、改めて、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 私どもは、この循環型社会を形成するその非常に有用な手段として自動車リサイクル法をお願いをするところでありまして、私どもは、その精神というのを守りながらその法は運営していかなければならないと思っています。
塩川(鉄)委員 今回の新エネ法案は、安上がりに廃プラを燃やすことを推進して、排出抑制や再使用、再生利用のための努力を棚上げするものになると思います。ごみ排出抑制という世界の流れにも逆行する。結局、今回の新エネ法案は廃プラ発電促進法案と言わざるを得ない。こういう法案は出し直すべきじゃないかと率直に思うものです。
 あわせて、新エネ発電の制度設計の問題にかかわってお聞きしますが、風力発電については二〇一〇年に三百万キロワットを目指すことになります。そこで問題となるのが、風力発電推進のネックとなっております系統連結の問題であります。北海道電力が風力発電の買い取り上限枠を十五万キロワットに制限したのも、東北電力がやはり三十万キロワットというのを設定したのも、電気の品質安定のための系統設備の余力がないということが理由だったわけであります。
 そこで、政府は、この風力発電の目標達成に向けて、電力会社に対してどのように設備増強を促していくのか、この点を確認したいと思います。
河野政府参考人 御指摘のような系統整備の問題がございます。これは、総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会のもとの新市場拡大措置検討小委員会の報告においても基本的な考え方は示されているわけでございますけれども、風力発電の大規模な導入を行いますためには、既存系統の増強あるいは周波数変動抑制などの系統安定化が必要になる。その費用については、一定の仮定のもとで、約二千二百億円ないし約五千五百億円という試算もあるわけでございます。
 この報告書の趣旨を踏まえますと、まずは、非常に幅のある試算でございますので、具体的な系統状況の把握とそれに基づく必要な系統連系対策の内容、費用、そしてその負担のあり方等を検討していかなければならないというふうに思っております。
塩川(鉄)委員 本気でやる気であるのならば、きちんとしたこういった設備増強を図っていくことが必要なわけで、そういう点でも、ドイツなどの固定価格買い取りの義務化の中での努力にこそ学ぶべきだと思います。新エネルギー財団のドイツ、デンマークの調査報告の中でも、ドイツの例として、再生可能エネルギー電力を受け入れるための系統の増強を必要とする場合の費用は系統運用者の負担とする、日本でいえば電力会社が負担することが義務づけられているわけです。
 私は、この制度設計の問題でいっても、固定価格買い取りの義務化でこそ本格的な推進ができる、このことを改めて指摘して質問を終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 まず、大臣にお伺いします。
 二〇一〇年で電力の一%という新エネルギーの目標数値なんですが、これはEUの一二%に比べて非常に低いと思っております。自然エネルギー以外の廃プラスチックを入れ込んで、新エネルギー法案という中身であるにもかかわらず、目標数値が低いことに対しまして、政府の自然エネルギーへの取り組みに対する消極的な姿勢を感じますけれども、大臣はこの点についてどのように考えておられますでしょうか。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 大島先生は、廃プラスチックを取り込むという表現をされましたけれども、決してそういうことではなくて、できる限り抑制的に私どもはやっていくという基本方針でございます。
 新エネルギーの政策に関しましては、太陽光、風力、それからバイオマス、水力、地熱などにつきましては、本法案におきまして導入促進を図るほか、もちろん低コスト化、そして高性能化のための技術開発、自治体、事業者向けの先進的な新エネルギー導入への補助、住宅用太陽光など初期需要創出による市場自立化のための補助を今までも行ってきたところであります。さらには、エネルギー需給構造改革投資促進税制、それから政策投資銀行による環境・エネルギー・防災・福祉対策枠等を活用した支援を積極的に取り組んできております。
 当省の新エネルギー関係予算に関しましても、過去五年間で倍増以上の拡大をしてきておりまして、平成十四年度予算においても、前年度と比べて、大変厳しい財政状況の中、三百四十四億円増となる千四百四十九億円を計上しております。
 そういう中で、今、ほかの地域に比べて二〇一〇年度の目標は非常に小さいではないか、こういうことでありますけれども、私どもは、一生懸命やって、今一%のものを三%に高めていこうと。新エネルギーというのは、既存のエネルギーに比べていわゆる発電量が低い、そういったところもあります。それで、技術的にもこれから立ち上がる、こういうことがありまして、確かに今の一%を三%にするというのは小さな目標というふうに思われるかもしれませんが、私は、それは一つの目標であって、これから推進していくために、その三%が四%、五%になるようにやはり努力をしていかなければいけない、また、役所の方にもそういう気持ちでひとつこの問題に取り組んでほしい、こういうことでやっておりまして、その辺を御理解いただければと思います。
大島(令)委員 一九九七年に、今法案から電気事業者によるという文言を取りました新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法というのがあるわけなんですが、この法律の中に廃棄物発電ですとか廃棄物熱利用ですとか、エネルギー源が書いてございます。本来ならば、この法律の二条二項六号の廃プラスチック発電がなければ、この法律の名前は、まさに私たち野党が出しました自然エネルギー発電促進法と名前を打って、堂々と新法として内閣から提案できる法案だと私は思っていたわけでございまして、非常に残念でございます。
 今法案を見ますと、RPS制度は、電気事業者に供給する電力の一定割合を賄うよう義務づけるものなので、一定割合までは導入が進むけれども、全く逆の、自然エネルギーの促進を阻む危険性もあると思っております。これを見ますと、全く旧来の化石燃料依存のエネルギー政策から脱皮できない体質が読み取れます。
 先般から、今国会が始まりましてから、よく、失われた十年ということで一九九〇年代のことが、二〇〇〇年に入る前の最後のことが言われておりますが、そのときに失ったものは、経済だけではなく、持続可能なエネルギー、これに向かった大きな流れも私は完全に取り残している法案だと思っているわけです。
 私は、自然エネルギーを軸にして大きく社会が変わりつつあるドイツや北欧を大臣はどのように見ていらっしゃるのか、考えをお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 新エネルギーの総量という観点で見ますと、確かに、風力というようなものを比較するとドイツに対しては非常に劣っている、こういう面は事実であります。私どもとしては、そういう状況の中で、今回お願いしている法律によってインセンティブを与えて、そしてそこのところを伸ばしていこう、こういう基本方針でやっておりまして、新エネルギーのほかのものを入れた場合の総量というのはそれほど他国に比べて遜色はありません。風力でございますとかそういったところは非常に開きがありますけれども、例えば太陽光発電なんというのは、日本は世界一の実績を持っておりますし、またその機器も世界に対して輸出をしている、こういうような実績があります。
 ですから、これから、その風力でございますとかあるいはバイオマス、そういったところはしっかりと伸ばして、今の段階でも全体を入れればそう悪い水準じゃないわけでありまして、私どもとしては、さらに世界の中で新エネルギー利用度を高めて、エネルギーの安全保障、そういう観点からも新エネルギーの導入の促進に努力をしていかなければならないと思っています。
大島(令)委員 日本は島国でございます。政治家が日本を、どういうふうに政治をやっていこうかと考えるとき、私は、まず地球儀、そして日本列島を頭の中に浮かべて、どういう地理的条件にあるかということからいろいろなことを考えます。
 例えば、エネルギーの省エネの分野におきましても、日本は、日本の国民が食べる食料を輸入に依存しなければ運輸面での輸送のエネルギーコストの削減にもなるわけでございますが、日本はどうやら、この戦後半世紀の間に非常に逆転してしまったという印象があります。例えば、江戸時代ですと、風力エネルギーを利用した帆船が大阪からミカンを積んで江戸に、またその逆もありました。そしていろいろな鉱山等では水車を利用する。まさにこれは自然エネルギーでございます。
 私は、先ほどから言われております再生可能循環型の社会を、資源の乏しい国では、エネルギーの政策目標を掲げるときに、やはり広い意味で持たなければいけない、そういう視点を持つことが、大臣にはその役割が課せられているんだ、そういう思いで大臣にお尋ねしているわけなんです。
 改めて、そういう日本列島の特殊性にかんがみて、持続可能な社会に向けた再生可能エネルギー、そういう政策目標を問い直す重要な法案であると私は思っておりますので、そのような視点から改めて大臣の見解を伺いたいと思います。
平沼国務大臣 江戸時代の例をお出しになられました。これは委員も当然御承知のことで言っていると思いますが、江戸時代と比べて、人口一つとっても、経済規模一つとっても、それは雲泥の差でございまして、これだけの経済的な基盤ができますと、今の自然エネルギーの効率からいっても、それを全部賄うということは非常に難しいことだと思っています。しかし、二十一世紀は、再三再四申し上げておりますように、いわゆる環境をいかに維持していくか、これが人類に課せられた課題です。
 そういう中で、今のエネルギーの体系といったものをやはり徐々に転換をしていって、そしてエネルギーの安全保障の見地からも、多様化をしてしっかりとエネルギーの安定供給を確保していく、そういう意味で、新エネルギーというのも非常に重要なファクターを持ってきた。
 ですから、地球儀を頭に置いて、日本列島をさらに描いて、そしてその中で政治家としてやれ、私は常にそうしておりますし、天然資源のないこの日本、そういう中でいかに外国とお互いに補完関係を築いてやっていくか、そのために、やはり必要なエネルギーを安定的に我々は得る、そのために、新エネルギーというものも重要な要素、そういう形でこれから推進をしていかなければならない、そういう自然のサイクル、そういうこともこれからの発想の中に十分に取り上げていかなければならない、このように思っています。
大島(令)委員 エネルギー源としまして、私どもの政党は原発は反対でございますけれども、原発、そして石油、化石燃料、自然エネルギー、いろいろあるわけなんですけれども、私は、今日のように幅広いエネルギー源を政策目標にして掲げる場合に、基本的なところは、やはり社会的な合意、国民の合意というものが必要であると。やはりここが欠けて、この法をどんなに政府がいい法律だということで出しましても、私は合意は得られないと思っているわけなんです。
 そこで、社会的合意というのは、あくまでも利用者も含めた電気事業者、そして一九九七年ですか、独禁法の改正によりまして、自然独占事業、電気・ガス、鉄道の規制緩和がなされまして、新たに、発電事業者ではなく、電力を売る会社も生まれたわけで、電力の自由化が事実上進んだわけです。
 そういう状況を考えれば、本気で自然エネルギーを考えたときに、RPS方式というのは本当に、先ほど来議論になっておりますけれども、私ども社民党としても効果に疑問を持っております。
 全量買い取り制度にして、国内で賄える風や太陽光などの事業者の立場をまず安定させて、これを成長産業にすべきではという考えを持っております。RPS方式ですと、自然エネルギー事業者の電気の買い取りに保証がありません。特に太陽光発電などコストが高いエネルギーは、先ほど来、市場交渉力がなくなり成り立っていかなくなるのではという、そういう疑問を持っております。こういう問題に対してどのような議論を踏まえたのか、御答弁いただきたいと思います。
大島副大臣 お答えをいたします。
 なぜ全部買い取り制度にしなかったか、その理由と、RPS制度を選ぶに当たってどんな議論があったのか、こういうお尋ねでございます。
 固定価格による全量買い取り制度だとかあるいはRPS制度、そんな制度を対象に、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会及びその下部組織でございます小委員会におきまして、我が国に沿った制度はどんなものがいいのか、こういう審議を重ねてまいったところでございます。
 そして、たびたび話題にのっておりますけれども、固定価格によります全量買い取り制度、これは先生御指摘のとおりドイツ等で導入されておりまして、量的には非常に大きな成果を上げている反面、発電した新エネルギー等による電気の全量を政府が認定する電源別の固定価格で買い取る義務を課す制度でございますから、発電事業者のコスト削減に対するインセンティブが働きにくい、また、一度価格が設定されますとなかなか引き下げが困難である、こういう問題を抱えております。
 ドイツにおきましては、事実、発電コストが急速に低下しているにもかかわらず、買い取り価格はむしろ引き上げられている、こういう事実もあるわけでございます。
 一方で、先生御指摘のRPS制度でございますけれども、これは、一定量の新エネルギー等の導入を義務づけいたします。そして、電気事業者の電源選択の自由が高まると同時に、発電事業者のコスト削減努力の誘因になりますし、何よりも市場の機能が発揮され、効率的にエネルギー等の導入を進めていくことができる、こういうことでございます。
 我が国におきましては、全量買い取り制度よりもいわゆるRPS制度の方がふさわしいということで、新エネルギー部会等の報告を踏まえまして、本法案を今国会に提出させていただいたところでございます。
大島(令)委員 先ほど来、コストということをよく答弁の中で使っておりますけれども、だれに対するコストなんでしょうか。
 今度の、私どもが提案しておりますドイツの法律に倣った固定価格買い取り制度は、電力会社にのみ費用負担を求めるものではなく、広く社会全体でコストを引き受けることで、地域社会にとっても、国民全体にとっても、自然エネルギー発電事業者にとっても、電力会社にとってもメリットのある仕組みということでございます。
 きょうで二回目の審議になりますけれども、オイルショックがあればこういうエネルギー、何々があれば島国である日本は、このエネルギー源という形で非常に不安定であります。そういう意味で、先ほど来から言われているコストというのは、一体だれのためにとってのコストが高い、安いなんでしょうか。私たちは、理解を求めれば、このコストというのは国民にとって重要な要件ではないと思っております。自然エネルギーというのは自然からの贈り物、ただで使える、風力、太陽光というのはそういうエネルギー源でございます。
 副大臣にお伺いしますけれども、私たちは、電源開発促進税ということで、消費税とは別に、電力料の中に明記されずに、一世帯一カ月平均大体四百三十円ぐらい、原発の立地のために払っているわけなんです。そういうことをほとんどの国民は知らないわけなんです。自分たちで、地球に負荷のかからないそういうエネルギー政策を求めて私たちはこの野党案を出したわけなんです。
 今、私が述べました観点から、もう一度、副大臣もしくは大臣、御答弁をください。
河野政府参考人 税のお話もございましたので若干事務的にお答えをさせていただきますけれども、確かに、電源開発促進税制によりまして電力の消費者の皆さんから税金をちょうだいし、場合によりこれを原子力発電所の立地に際しての交付金に充て、また、実は新エネルギーの導入補助にも充てているわけでございます。
 コストはだれのためのものかと御質問でございますけれども、やはり究極的には、自由化をやっておりますのも、電力を使う最終ユーザーの皆さんにとってより安いエネルギーを、あるいは高目の新エネルギーであるけれども、その中でも比較的廉価のエネルギーを供給できる方策がないかということで工夫をしているわけでございまして、そういう意味では、最終的なコストというのは、エネルギーをお使いになる国民の皆様にとってどうかということでございます。
 また、税金という形で取っておりますのも、そういう意味では、消費者の皆さんにコスト負担をかけているという意識を持っております。
大島(令)委員 私が考えるのは、やはり豊かさ、なかなか言葉で言いあらわすことができませんけれども、豊かさに関するコストが、どの金額が妥当かという、やはりそういう議論をしてほしいわけなんですね。
 大分前に民主党の中山議員が言いました。例えば、今日本ではペットボトルの水二リットルが約二百円、ガソリンが一リットル約百円、この現状で日本は本当に豊かなのか。昔、小さいころ、水は水道の蛇口からひねって飲みました。しかし、今、塩素の入った水道の水をこの委員会の会場の中の何人の人が飲みますか。私も買ったペットボトルの水を飲みます。それほど地球環境が悪化しているわけなんです。
 そういうことを踏まえて、先ほど来、コストですとか、この自然エネルギーがどのくらいの目標を設定するべきなのかという議論を、私は二日にわたって議論を積み重ねてきたと認識しているわけなんです。
 改めて、どなたでも結構ですから答弁をお願いいたします。
平沼国務大臣 私は、今でも水道の蛇口から水を飲んでいる一人ですけれども。
 確かに、それはある意味では、日本が豊かになって、そして健康を非常に考えることになり、またそういう産業が育ってきて、いろいろな、いわゆる深層水でありますとかそういう天然の水というのが一つの産業として育って、それはそれなりに経済の活性化につながっていると私は思っています。
 確かに、自然のエネルギーを活用するということは非常に大切なことだと私は思っています。しかし現実の問題として、例えば、では今、風力発電だけでこれだけの経済大国の日本のエネルギーを賄えるかといったら、これは全く不可能であります。現実には発電量の〇・二%ぐらいの比率しかないわけでありまして、したがいまして、その比率をいかに高めていって循環型の社会をつくっていくか、そのことが今我々に問われていることでございます。
 私どもは今までも努力をしてきましたけれども、これからこういう法案も御賛同いただいて、そしてさらに、そういったいわゆる自然の力を利用しながら、そして環境に優しい、そういったエネルギー政策もあわせて行って安定的なエネルギー供給をしていこう、こういう趣旨でやらせていただいているところでございます。
大島(令)委員 次に、長官にお伺いいたします。
 電力会社に販売電力量に応じました新エネ導入目標の達成を義務づけることになりますけれども、風力発電などは導入に立地上の制約があるために、目標を達成できない電力会社は他社から新エネを買い取る、こういうことでございますけれども、どのような仕組みで新エネルギーだとわかるのか、御説明いただきたいと思います。
河野政府参考人 まず、各電力会社には、新エネルギーをもとといたしました電力の利用状況について義務を課しますし、その履行状況について報告を求めるわけでございます。これは真正なものでなくてはなりませんので、しっかりした法律上の規定に基づいて報告をいただきます。
 その報告によりまして、どの電気事業者が義務を達成しているか、あるいは超過達成しているか、そういった現状は正確に把握できるわけでございまして、その超過達成をしている人と未達の人が取引をいたしまして、超過達成の方から未達の方が、義務を履行したとみなしてもらえるような取引を行うということになります。この取引もまた、きちっとした真正なものでなくてはなりませんので、そこについては法律上も確認をするということが手当てされているわけでございます。
大島(令)委員 それでは、対象電源はどうなっておりますでしょうか。今の仕組みの中で、対象電源はどうなっているのか説明をしてください。
河野政府参考人 この法律の対象エネルギーでございますが、この法律第二条の定義がございまして、ここでは風力、太陽光等々具体的に例示をさせていただいております。
 ただし、この第二条には、政令によって追加的に指定できるという条文がございますので、この政令指定の対象として、さらに、例えば廃棄物発電、御議論いただいておりますが、こういったものも検討対象に加えることを考えておりますが、その際の検討の姿勢については、累次大臣から御答弁申し上げているようなことでございます。
大島(令)委員 導入目標を対象電源ごとに義務づけるんでしょうか。
河野政府参考人 この点は、先ほど大島副大臣が御答弁申し上げましたように、このいわゆるRPS制度は、電源を特定せずに電気事業者にトータルとして新エネルギー発電の利用を義務づけるものでございますから、その内訳を定めるという考え方は採用していないのでございます。
大島(令)委員 そうなりますと、当然、事業者としましては、やはり安価な電源にならざるを得ないということで、先ほど来の、一キロワットアワー当たりの発電コストの一番安い電源になってくるということで、事前に資料請求しましたけれども、二〇〇一年六月の新エネルギー部会の報告書によれば、太陽光で、住宅用ですと四十六円から六十六円、次に高いのがバイオマス、七・四円から二十一円、次に風力が九円から十四円、次に廃棄物が九円から十二円というふうになっております。
 そこで、今回問題になっております廃プラスチック発電は、経産省の想定では大体何円ぐらいとしているんでしょうか。
河野政府参考人 廃棄物発電の中には廃プラスチック発電も含まれるわけでございまして、昨年六月の総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会の報告書での資料によりますと、廃棄物発電のコストは、キロワットアワー当たりおおむね九円から十二円ということになっております。
 ただ、きょうの午前中の御審議でも、最近、より安い廃プラスチック発電を行えそうな事業者がいるのではないかというようなお尋ねがございました。ただ、この廃プラスチック、特に産業廃棄物の廃プラスチック発電を、電力化をして事業を行っている者は現時点では非常に少ないわけでございまして、そういう意味では、的確に、特に将来のコストは幾らぐらいかという点については、やや不透明でございます。
大島(令)委員 では、この件は後で伺いますけれども、午前中、北橋委員に対してですか、七・五円ないし十円と答弁していましたが、私たちが把握しているコストは五円くらいと聞いております。倍くらいの開きがあるわけなんですが、午前中の答弁を踏まえて、その試算の根拠をお聞きしたいと思います。
河野政府参考人 先ほど申し上げましたように、産業廃棄物の中の廃プラスチック発電ということになりますと、事業化している事業量が非常に少ないものですから具体的な数字についてはなかなかお答えができなかったわけですけれども、ただし、ある事業者から能力、規模などを類型立ててどれぐらいと見積もりますかというようなことを聞いた例がございます。ただ、これは特定の企業での説明でございますから一般化できるかどうか、そこまでは申し上げかねるわけですけれども、それによりますと、先ほど御紹介させていただきましたように、大規模であれば七・五円ぐらい、小規模であると十四円ぐらいというような資料提供を受けたことがあるということを申し上げました。
大島(令)委員 次に、今法案は、目的に「環境の保全に寄与し、」ということで、大臣も先ほど来、法の精神の中では地球温暖化防止を踏まえているですとか、法の目的に地球温暖化防止ということが精神的には入っているというふうに答弁を繰り返されております。
 この観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 実際、廃プラスチック発電を今後どの程度と見ているのか、具体的な設備はどのようなものか、また廃プラスチック発電をするときに燃料を固形化しないといけないと思いますが、そのようなときに出るCO2、二酸化炭素をどの程度と見積もっているのか、お尋ねしたいと思います。
河野政府参考人 今、私、手元でお答えできますのが、将来の姿というよりは現在私どもが把握している数字を御紹介させていただきたいと思いますけれども、産業廃棄物としての廃プラスチックによる発電、二〇〇〇年度の実績では、設備容量で五・五万キロワット、発電電力量で二・二億キロワットアワーという数字になっております。
 これは、我が国の総発電電力量の〇・〇二%程度になるわけでございますけれども、この発電電力量を確保するために必要となる廃プラスチック相当分、実際には廃プラスチックとそれ以外のものがいろいろまざって燃えているようでございますけれども、その廃プラスチック相当分を焼却した場合に生じるCO2を一応計算してみますと、CO2換算約二十万トン程度という計算がございます。
大島(令)委員 それでは、廃プラスチック発電による二酸化炭素ですとか、二酸化炭素は今答弁がありましたけれども、ダイオキシンなどの排出量をどの程度と計算していますか。このことに関して環境省からどのような意見が出されたのか示してください。
河野政府参考人 ダイオキシンの問題につきましては、環境省とこの法案を制定するプロセスで、廃棄物発電をどのように扱うかも含めまして議論した中でたしか話題になったことがあると思いますけれども、ダイオキシンの発生につきましては、別途ダイオキシンの発生を規制する法体系がございまして、産業廃棄物を燃焼して発電をする事業所といえども、その焼却設備につきましてはこういったダイオキシン関係の法規制を受けるわけでございますから、この法規制で定められた基準排出量を上回ることはないというふうに思っております。
大島(令)委員 大臣に伺います。
 実は、三月二十五日の参議院の予算委員会で、大木環境大臣は、この法案は環境対策にはならないと発言しているわけなんです。二日目の質問に当たって、大臣の答弁と見解に私はそごがあるように思います。目的で環境の保護に言及するのであるならば、環境破壊につながるような事態を想定して、その場合の対応策を明記するなど必要ではなかったかなと思っております。
 一日目の質問のときにも私は、環境省とどうして共管にならなかったのかとか、一日目の質問の中で、随分環境省とは事前に協議したというような答弁をいただいておりますので、こういうことは御存じだと思いますので、どうしてこういう食い違いがあるのか伺いたいと思います。
河野政府参考人 大木大臣がお答えになりました趣旨は、ちょっと十分確認しないままお答えするのも失礼でございますけれども、恐らく、この新エネ導入法は、温暖化対策の国内担保法、つまり条約を遵守するための国内実施法ではないという趣旨で御答弁なさったのではないかと思います。
 この法律は、国内実施法という位置づけではございませんで、しかし温暖化対策に資することは間違いないわけでございますし、累次大臣も御答弁申し上げておりますように、目的におきまして環境保全への寄与ということが明確に書いてありますので、温暖化大綱においては明確に位置づけられている、そういう性格の法律でございます。
大島(令)委員 そのときの会議録がありますけれども、大木大臣は、地球温暖化対策推進法改正案というものを別途出させていただきますと答弁し、その後、この法案は、では、それの担保法ではないのですかという質問に対しまして、これは我が党の福島瑞穂参議院議員が質問したときの会議録でございますけれども、大木大臣は「直接には担保法ではございません」というふうに述べているわけでございまして、きょう二日目の審議ですが、先ほど来、我が平沼大臣は、環境の保全というのには温暖化対策という精神的な意味が込められているんだと何度も何度も答弁してきているわけなんです。どうして環境省と経済産業省とこのような食い違いの答弁になるのか、説明していただきたいと思います。
平沼国務大臣 エネルギー庁長官から御説明したことですべてでございますけれども、私どもは、いわゆる環境保全、そういうことをその精神の中にうたっていて、その中にいわゆる地球温暖化防止ということも当然入っていると。しかも、大木大臣の言っている基本的な法律というのは、これは、条約が発効しないと効力は発効しないと。私どものこの法律は、条約に関係なく、そういった環境保全、こういう機能があるわけでございますから、別に環境省とそごを来しているということじゃなくて、この法律をつくるに当たっては、やはり十分連携をとりながらやっていることでありまして、ですから、前回の質疑のときも今回も環境省から担当者が来て、いろいろな御質問に対して環境省としてのこの法律の見解、その御答弁をさせていただいているところでございまして、そういうそごはないということで御承知おきをいただきたいと思っております。
大島(令)委員 では、今サニックスという会社が、廃プラスチック専門の設備を本年の秋ぐらいにスタートするということをインターネットのホームページで私は拝見したんですが、実はこの会社が、またインターネットを調べますと、持ち株会社になるということも報道されております。
 この法律が通りますと、私の想像では、この会社が新規参入会社として、廃プラスチック発電の本当に大もと、持ち株会社になっていっぱい事業会社を全国につくる、そういうことになるのではないか、この会社がもう唯一のこの法案の成長産業になるのではないかというふうに推測されますが、そうならない担保はあるのか、御説明願いたいと思います。
河野政府参考人 御指摘のように、サニックスという会社が、北海道で廃プラスチックを燃料とする発電あるいは売電事業を営もうとしているということは私どもも伺っております。
 ただ、産業廃棄物の中の特に廃プラスチック発電を政令で指定していく際には、十分抑制的に慎重に検討するというふうに申し上げているわけでございまして、これをどのように政令指定していくかということはまだ今後の検討課題でございます。
大島(令)委員 例えば附帯決議がついた場合、政令にきちっとした縛りができるのかどうか、その辺がやはり法案への賛否の態度になると私は思っております。まだその辺のことは野党間でも調整していませんし、どういう縛りをということも今まだ検討中でございますので申し上げられませんが、今の、政令で定めることに関しては、きちっと今までの野党の質問にこたえた形で配慮していただきたいと思っております。
 次の質問です。
 この法案ですと、発電量と価格が、先ほどからコストと言われておりますけれども、最優先されるため、今まで地域や自治体、あと市民主導で育ってきた自然エネルギーは評価されなくなるのではという懸念を持っております。
 このことに関して、今まで風力に取り組んできた自治体をどのように今後育てていくのか、お伺いしたいと思います。
河野政府参考人 新エネルギーの導入に際しまして、地方自治体の皆様の御協力、あるいは市民の皆さんの主導によります取り組みについては敬意を表しているわけでございますけれども、あわせて、私どもといたしましても、そういった活動に支援をさせていただいております。
 具体的に申し上げますと、自治体向けについては、予算措置といたしまして、地域ごとの新エネルギー導入ビジョンの策定を支援するビジョン策定事業、さらに地域新エネルギー導入促進対策に対する助成事業などを行っておりますし、こういった支援を引き続き行っていくことによりまして、市民の皆さんの活動あるいは地方自治体の活動に積極的に協力をしていきたいというふうに思っております。
大島(令)委員 私が求めている答弁は、このパンフに書いてある答弁を求めているのではありません。今長官がおっしゃったのは、「「地域新エネルギービジョン策定事業」の実施自治体(各年度)」ということで表になっております。国会の委員会で質問をするには、私どもだってそれなりに事前にある程度のことを調べて質問するわけですから、もっと深く突っ込んだ、実効性のある答弁をいただきたく質問しているわけなんです。ここに書いてない、以外の答弁をお願いいたします。
河野政府参考人 市民主導あるいは自治体の皆さんの活動によります新エネルギー発電といいますか、そういうものがこの電力の買い取り義務制度の中でぜひ電力事業者の皆さんに買っていただけるように、こういった支援措置を講ずることで少しでもそのコスト低減に役立てばという気持ちを持っているわけでございます。
大島(令)委員 長官のお立場ですと、御答弁になかなか踏み込んだものがいただけないと思いますので、やはり政治家としての責任者である大臣に、この法案が万が一このまま通ったときに、今までやってきた……(発言する者あり)それはだって、私たち野党の勢力の方が負けていますからね。
 ですから、今まで頑張ってきた風力発電を、エネルギーとして見ないで、町おこしですとか観光とかそういうものにも使ってきたわけなんですね。私たちも、自然エネルギー促進議員連盟の総会を開いたときに、瀬戸内海の町の町長さんですとか北海道の町の町長さんたちが来ていました。私たちの感覚と非常に違っていたわけなんです。それは、まず、衰退していく町おこしのためにこの風力を立てて観光のために来てもらうんだ、エネルギーじゃないと、私は、非常にそのときショックを受けたんです。私たちとやはり自治体の首長さんとは違うんだな、同じ風力発電一つをとらえるにしても、動機が違う。
 ですから、この志を持った小さな町の首長さんたちに対して、この法案が実行されたときにどのような安心したメッセージを大臣として送れるのか、そこを私は聞きたいのです。
平沼国務大臣 地域で一生懸命取り組んでおられる方、それは、町おこし、村おこし、そういった観点もあると思います。そういった方々の努力が無にならないように、電力事業者と今御提案をしているそういった方式、やはりそういうことを有機的に結びつけて、そして両々相まっていい形ができるように私どもは努力はしていかなければならないと思います。
大島(令)委員 最後に、大臣、この野党案をお読みになっていただいていると思いますけれども、感想を一言伺って私は質問を終わりたいと思います。
平沼国務大臣 野党四党により提出されました自然エネルギー発電促進法案、承るところによりますと、これまで約二年間にわたって検討されてきた集大成である、このように承知をしております。私は、その多大な御熱意には深く敬意を払わなければならないと思っております。
 しかしながら、総合資源エネルギー調査会を中心に検討をしてまいりました成果である電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案と比較をしますと、いろいろ御意見が分かれるところかもしれませんが、その効果の確実性でございますとか、財政負担の増加と費用削減努力の阻害要因、さらには、経済効率性の問題、財政負担のあり方という問題、そういう問題点が私どもはあると思っております。
 私としては、非常に、その熱意、そして皆様方の二年間にわたって検討されたその御努力というのは多といたします。しかし、私どもとしては、経済産業省といたしましては、賛成ができない、こういう立場でございます。
大島(令)委員 では、もう本当に簡潔に一言。
 BSE問題、エイズ、新ヤコブ病、どれ一つをとっても、日本は、他国に比べおくれをとって被害を拡大してまいりました。今度は、環境先進国であるドイツをやはり見習う、モデルがあるわけですから、そこを見習って、世界の動きに逆行することなくエネルギー政策を進めていただくことを私は切に大臣にお願いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
谷畑委員長 松島みどりさん。
松島委員 自由民主党の松島みどりでございます。
 今、各委員から、新エネルギーについて、いろいろ技術的な話その他難しい議論がございました。
 私は、前半で省エネルギー、この法律の改正がございますが、省エネルギーについて基本的なことからお伺いさせていただきたいと思います。
 最初は、ちょっと笑われそうな話でございますが、率直な質問でございます。
 省エネルギーというときに、まず基本として夏の冷房の問題、いえ、これは夏だけでございません。今確認しましたら、この部屋も冷房は入っております。きょうは、一七七で確認したら、最高気温二十一度。私は、最高気温二十一度の日に冷房は要らないと感じておりますが。また、この部屋を見ますと、全部カーテンを閉め切って、そして電気をつけている。これは、例えば私の地元の区役所などだと、とにかく省エネしないとお金がないという観点で省エネを進めておりますから、昼休みは全部暗くするし、電気を切りますし、カーテンをしたまま電気をつけるということは考えられない。こういうことが実際に、いろいろなビジネスというか、官庁街でも行われているわけでございます。
 そこで、省エネルギーを推進する意味で、夏の間、背広の上着とネクタイの着用を禁じるような法律、あるいはそういう動きというものができないでしょうか。
 私は、実を申しますと、この男社会と言われる中で何十年かやってきまして、ほかのことは我慢できても、夏の冷房だけは耐えに耐えて生きてまいりました。電車からしてそうでございます。弱冷房の電車を探しますが、これはかなり多くの女性が同じ気持ちを共有しております。これは男の人であっても、例えば農林水産業に従事していらっしゃる方は、そのときに、その季節に一番ふさわしい服装をしている。商店の方、これも、八百屋さんでもお豆腐屋さんでも、何も夏場に背広を着て冷房はかけない。
 としましたら、国会議員というのが国民の模範とは言いがたいかもしれませんけれども、国会議員がまず模範を示して、ぜひそういう運動あるいは法律をつくっていけないか。かつて内閣総理大臣で省エネルックという方、いらっしゃいましたけれども、そのファッションセンスがいいかどうかは別といたしまして、新しくつくらなくても、上を着ないだけで大分涼しいですから、大臣、いかが思われるか。
 そしてまた、大臣は、暑がりか、汗かきかどうかということも含めて御回答いただきたいと思っております。
平沼国務大臣 まず、私はそう暑がりではないタイプであります。
 私は、国民のライフスタイルを変えて、そして、その季節季節にあって快適に過ごすということは必要だと思います。しかし、それを法制化するということは、例えば今ネクタイのことをおっしゃいましたけれども、ネクタイをこの前やめようと提唱した人がいましたら、たちどころにネクタイ製造メーカーの皆さん方が大変お困りになる、こういうことがあります。ですから、あくまでも主体主体のライフスタイルに任せる。
 ただ、非常に日本の場合には、冷房にしても暖房にしても過度にわたっている面があります。せんだってもちょっとお見受けしましたら、松島先生も非常に寒いと、こういうふうにおっしゃっていました。ですから、そういうことを考えますと、やはり自然の中で生まれたお互いですから、自然に順応し、そして自然により近い形で生活をするということがいいと思っていまして、私は、学校教育の中でも個人のいわゆる主体を尊重しながら、そういった形でそれぞれのライフスタイルというものを高めていくことは必要なことだと思っております。
松島委員 ぜひそれを、法制化は難しいとしても、そういう運動を進めたいなと思っているところでございます。
 暑いときに一枚上着を脱ぐのが常識になるべきであって、冷房の温度を下げる、冷房を強めるのが常識という状況は変えたいなという気がしているところでございます。例えば、ホテルなどで上着を着用に限るというのがある。せめてこれぐらいをやめてもらうための働きかけが、わざわざ省エネルギーの法律改正までするのですから、具体的なこととしてどうだろうかと思っている次第でございます。
 そもそも、今回の省エネ法の改正について、新エネ法の方もそうなんですけれども、私は基本的な疑問を感じております。
 京都議定書に調印することになった。日本で、京都で国際会議をやった。アメリカも乗ってこないような厳しい状況をつくり出して、そして、もう既に日本の場合は、対GNP当たり比率で見まして、CO2の排出量はアメリカの三分の一、EUの二分の一にすぎない。随分よく頑張っている日本がこれ以上負担をかけられるという非常におかしな状況じゃないか。京都議定書について今さら文句を言っても仕方がないかもしれませんけれども、私は思うところでございます。
 それを前提にいたしまして質問なんですが、省エネ法の改正です。
 これは一体、基本のところにおきまして何なんだろうと言うと変なんですけれども、エネルギー管理士なるものを今は大きな工場だけに置いていた。これから、ある規模以上のオフィスやホテルや病院にも置いて省エネルギーの計画を出させる。これは義務だけれども、中身について経済産業省が文句をつけるというふうでもない。そしてまた、よく頑張ったからといって税制の誘導があるわけじゃない。守らなかったからといって、罰則があるわけじゃない。決まっているのは、エネルギー管理士を置くということと計画を出しなさいということだけのように私は読み取っております。
 そうすると、一体これは何なんだろう。まるで、あたかも小学校の学級委員会で目標をつくって、廊下を走らないようにしようとか言ってつくっているだけのような、あるいは夏休みの自分の計画を出させるだけ出させるという、そしてだれも守ったためしがないという、これに等しいんじゃないか。
 もし、企業に対して性善説に立つならば、さっき申しましたように、企業というものはお金を使いたくない、少しでも節約したい、企業だけでなくて、いろいろな、区役所に至るまでそう思っておりますから、性善説に立つならば、こんなエネルギー管理士をわざわざ置かせてこういうことをさせる必要はない。性悪説に立つならば、罰則を設けるか、あるいは税制上の誘導をしなければ意味がない。一体、これは役所の中途半端なおせっかいじゃないかと私は考えますが、いかがでございましょう。
河野政府参考人 中長期計画の作成、提出の義務づけでございますけれども、事業者の皆さんの自主的な取り組みを最大限尊重しながら、一方で計画的に省エネルギーを進めるための仕組みをつくるという考え方でございます。
 確かに、中長期計画で示される内容につきましては、罰則担保とかそういうことではございませんけれども、事業の今後の運営に直結するということで、経営者が判断をしていただいて、それが進むことが一番いいのではないかというふうに思っております。
 ただ、この計画を作成することになりますと、改めて設備の診断あるいはエネルギー管理の運用の見直しなどが行われるわけでございまして、実際の効果にも結びついていると私どもは考えております。例えば、平成十年に法律改正をいたしまして、第一種の事業者の皆さんに中長期計画の策定を義務づけさせていただいたわけですけれども、その後、やはりエネルギー原単位が一%以上改善している工場の割合は高まっているというデータがございます。
 それから、強制するわけではないんですけれども、省エネに向けた計画を実施していくような事業者の設備の改善のような取り組みに対しましては、支援を行うべく、補助制度、これは平成十四年度の予算額で約九十一億円に当たりますけれども、創設いたしました補助制度によりまして運用でこれを重点的に支援していきたいというふうに考えております。
松島委員 私の思うところとはちょっと違うんですけれども、エネルギー管理士というものをわざわざつくってこれを置くということの負担その他でいかがなものかと感じております。
 それと、それで実際に効果が上がっているということでございましたら、実際上がっているんだと思いますけれども、やはりお上の御威光というのは今なお強いものがあるのかな、そういう思いをしているところでございます。
 先ほど申しました、国が国際的に環境問題について、日本の場合、EUよりも実質的負担が強い、かつての水準から見ると大変である、そして、アメリカもやらないことをやる、そういうふうにこの問題で世界をリードしようということでございましたら、その前提に立ちますならば、次の新エネルギーでございますが、これについても果たして、もう野党の委員からも質問がございましたけれども、国の関与というもの、補助的なもの、そしてまた、税制の誘導措置、そういったことをする必要があるんじゃないか、エネルギーの開発について。
 エネルギーの開発というのは、この場合は今は電力でございますけれども、今、規制緩和を進めて、電力事業者、どんどんコストを削減して、今までと違うんだ、もう自分らで血のにじむ努力をしろと言っておいて、こっちで負荷を、負担をかけるということは、やはりそこに対して何らかの配慮が必要じゃないか。こういった問題は、ほかの面でいいますと、電力もそうですし、今回は出てきませんけれども、例えば天然ガスの自動車なんて開発するときにも、これもやはり研究とか普及についてのそういうものを、誘導措置をとるということを含めまして、国の政策と、あめとむちの部分ですね、あめに当たる部分についてお考えをお聞きしたいと思います。
河野政府参考人 政府がやっておりますこの新エネルギーの導入政策は、全体としてごらんをいただきますと、先生がおっしゃったあめとむちといいますか、義務づけの部分と奨励策というふうになっているように思います。
 まず、予算的な分野で申しますと、住宅用の太陽光発電の導入でありますとか、あるいは風力発電の設備を建設する事業者の方々に対しましても補助制度で支援をいたしております。そういう意味では奨励策も行っているわけでございまして、平成十四年度の予算では、こういった予算が全体で約五百七十一億円になるのでございます。
 他方、これだけでは新エネルギーの導入目標に届かないのではないかという新エネ部会の分析もございまして、二〇一〇年度の新エネルギーの導入目標を実現するために、さらに上積みの措置として、この法案によって、電力会社に対して新エネルギーの導入の拡大を義務づけるというような、先生のお言葉を拝借すれば、むちのような政策も導入するということでございますので、全体として、いろいろな方法によってこの新エネルギーの導入を支援していくという考え方でございます。
松島委員 その両輪を考える際に、今前提として、これだけ自由化を進めるという、その負担をまず強いている時期であるということをぜひ御考慮に入れていただきたいと思います。
 それから、今自然エネルギーを中心とする、もちろんごみも含めて新エネルギーの話が出てきますときに、野党の議員からは別の角度で質問がございましたが、私は、原子力発電というものの意義を見出している人間として、必要なものであるという立場から伺います。
 しばしば世の中で勘違いされる、新エネルギー発電というものをどんどんふやしましょうと、たかが一%にするだけなわけでございますが、それでも新エネルギーという言葉が躍ることによりまして、原子力発電の立地促進について非常に水を浴びせられるときがある。原子力って、もう要らないじゃないか、やっぱりこんなものは引っ込めて、風と太陽と自然のままで世の中うまくいくみたいなことを言われることがしばしばございます。
 私は、これは非常に危険なことだと思いまして、原子力発電もなお日本の発電の中で安定的な、つまり火力や太陽光には不安な要素がある、それに比べて安定的なものとして必要であるということをここでしっかりと、世の中の人にも誤解のないように、経済産業省、政府としても進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 おっしゃいましたとおり、日本はいわゆるエネルギー資源というものがほとんどない国であります。そういう中で、これだけの経済の国を動かしていく血液にも等しいエネルギーを一生懸命確保しているところでありまして、原子力発電というのは、今電力の三四%以上を占める主要な電源になっております。
 そういう中で原子力発電というのは、安全性を担保するということが大前提でありますけれども、しかし、二十一世紀を見回しまして、発電過程においてCO2の排出量がゼロだ、環境にある面では優しい、そういうエネルギーでもありますし、それから安定的に電力の供給をすることができる、こういう特色を持っています。
 したがいまして、私どもは、新エネルギーも促進をすることも大事です。しかし同時に、やはり既存のこういった原子力発電というものも国民の皆様方の御理解をいただきながら推進をしていくことは大事だと思っておりまして、そういう意味では、特別措置法もつくらせていただいて、そしてまた、政府からも地域住民の皆様方の御理解をいただくためにいろいろな面でPRをさせていただいて、この推進には努めていかなければならないと思っています。
松島委員 私は、地元は電力の消費地でございます。しかし、その発電の負担を強いている立地の皆さんにしっかりと感謝の念を持ちつつ、今大臣がおっしゃったような趣旨で私自身も活動を続けていきたいと思っております。
 最後に確認なんですが、この新エネルギー法の基準というものは、今の法案を見る限りは、電力事業者、一般事業者と特定事業者が対象でございますので大丈夫とは思うんですが、今後ともにおきまして、例えば一般製造業の自家発電、これには適用させるようなことにはならない、私はなるべきじゃないと思っているんですが、このあたりの確認でございます。
河野政府参考人 新エネルギー部会でも、義務対象者に自家発を含めるかどうか議論になりました。しかし、やはり電力の小売をしている方に、ユーザーの方に売っている方にこの義務を負担していただこうということで、自家発は対象から除かれております。
松島委員 安心いたしました。安心いたしましたというか、今製造業の方々、本当に諸外国との競争の中で大変な思いをして素材産業も組み立ての方もやっておられる。この中で、やはり少しでもコスト削減という観点でこの自家発電を活用しているわけでございますから、ぜひその姿勢は続けていただきたいと思っております。
 少しだけ時間がございますので、さっきの追加でちょっと申し上げますが、電力の小売業者の先ほどの負担でございます。
 もうたびたびほかの委員に対してもお答えがございましたけれども、特にこれは見えない部分、今推測のつかない、風力発電のときの電線に対する負担とか、まだまだ幾らかかるかはっきりしない部分がございます。これについてはぜひ配慮していただくとともに、今の法律では二〇一〇年の目標はありましても、それまで今の〇・二%から一%にするまでの過程というものはまだ出てきていないわけですけれども、これについては、現実にどのように新エネルギーが本当に拡大していくのか、大丈夫なのかということを十分御判断の上進めていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 斉藤鉄夫君。
斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。
 私は、新エネルギーの利用に関する特別措置法案に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、資源エネルギー庁長官に確認をさせていただきたいと思いますが、新エネルギー部会での議論、そしてその結果を経て今回の法案を出したということでございますが、実は昨年、与党三党で、自然エネルギーに関するプロジェクトチームというものがございまして、十数回にわたる精力的な議論を行いました。
 そのときの議論の主な論点は、一つは買い取り制度かRPS制度か、また廃棄物発電をどのように位置づけるか、きょう委員会でまさに論点になっていたようなことがその与党三党プロジェクトでも大きな議論になりまして、私たちの結論としては、日本にはRPSがふさわしい、このように結論を出し、また廃棄物発電についても、今何の利用もされなくて、熱とCO2をどんどん空気中に放出しているその何も利用されていないものを利用するという意味においては、これを大いに利用していかなきゃいけないという形でこれを位置づけて、与党三党の結論を昨年六月三十日に出したところでございます。
 今回の法律案は、その与党三党の自然エネルギーに関するプロジェクトチームの結論を踏まえて出た法案であるのかどうか、またその内容は、その三党の結論と相違しているのか一致しているのか、この点について確認をまず最初にさせていただきます。
河野政府参考人 与党三党のプロジェクトチームが方向を出されましたのは、新エネ部会が結論を出しますよりも前でございます。したがいまして、私どもはこの与党プロジェクトチームのお考えも十分参考にさせていただきましたし、また新エネ部会にも、先生方のお考えがこういう方向性であるということも紹介をさせていただきました。
 その与党プロジェクトチームの方向性と今回提出をさせていただいておりますこの法案、方向性、一致していると思っております。
斉藤(鉄)委員 わかりました。
 それでは、ちょっと法案を離れますが、特に太陽光発電について質問をさせていただきます。
 よく、新エネルギー、特に太陽光発電は不安定なものである、曇りになればだめ、夜はもちろんだめ、こういうことでございますが、この技術開発を進めることによって非常に安定したものになり得る可能性があると言われております。それがいわゆる宇宙太陽光発電でございます。
 将来的には、地上三万六千キロメートルの静止軌道上に太陽パネル、これは、例えば原子力発電所百万キロワット相当に相当するためには何十キロ平方メートルの太陽パネルを張らなくてはならないわけですが、宇宙は、静止軌道上といいましょうか、地球周回軌道上は基本的に微少重力でございますので、ある意味で非常に簡単な構造体でそれができるということもございます。
 そして、静止軌道上ですので赤道面上にございます。地球は太陽に対してちょっと傾いておりますので、赤道面上を考えていただきますと、その赤道面上も太陽に対して傾いておりますから、ほとんど食がないんですね。夏の間、冬の間は、この静止軌道上の衛星は常に太陽の光を受けております。その軸がちょうど太陽に対して平行になる春分の日と秋分の日だけ食が存在する。その前後四十日間程度しか食がない、かつ、それも最大七十分ということでございますので、もちろん曇りはありません、安定している。
 それから、太陽の光も、光の強さですけれども、大体、日本では一日、一平方センチメートル当たり一・二キロジュールと言われておりますが、静止軌道上ではその十倍の十二キロジュール・パー・平方センチ・デーということでございますので、非常に強いエネルギーもある。どうやって発電した電気を地上に運ぶかですけれども、線を引っ張るわけにいきませんので、マイクロウエーブという方法が考えられているようでございます。
 このような太陽発電衛星、夢物語とよく言われるんですけれども、現在アメリカと日本でその研究が進んでおりまして、決して夢物語ではない。もちろん今すぐはできませんけれども、将来、例えば二十年、三十年という、宇宙開発の技術と太陽パネルの技術開発、耐久性等が向上すれば、十分これは将来実用にたえ得るものになるという学者の強い見解もございます。
 このような太陽発電衛星を将来の安定した自然エネルギーの、太陽光発電の一つの柱にしていくべきではないか、私はこのように考えているところでございますが、まず大臣、この太陽発電衛星について、エネルギー政策上も大変重要な柱になるのではないかと私は思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
平沼国務大臣 さすがに工学博士でいらっしゃる先生の御質問だと、大変感銘をして聞かせていただいております。
 このSSPSといいますか、宇宙の太陽光発電、これは、もう先生御指摘のとおり、熱効率の面からいっても、それから気候に左右されないという面からいっても、非常に人類としてチャレンジをしなければならない技術開発に入る、私はそういうふうに思っております。
 当省といたしましても、ちょっと御指摘がありましたけれども、平成十三年度からまず二年間かけまして、幅広い観点から宇宙太陽発電システムの実用化に関する調査検討を行うべく、所要の予算を計上させていただきました。
 しかしながら、最近の技術革新のもとでもその実現にはまだちょっと長い時間がかかる、こういうことが予想されております。また、開発のためのコストも大変膨大だ、こういうことでございますから、当面のエネルギー政策の研究開発目標に掲げるまでにはまだ至っていない段階であります。
 しかし、この宇宙太陽発電システムの実現性というのは、これは人類に福音をもたらす、そういうことだと思っておりまして、私どもとしては、現在進捗中の調査結果も踏まえながら検討を進めてまいる所存でございまして、一部技術についての試作試験、地上実験、こういったものも行う予定にしているところでございまして、非常に重要なテーマだと思っております。
斉藤(鉄)委員 大臣の大変力強いお言葉を聞いて、私も非常に心強く思うわけですけれども、次は文部科学省にお伺いします。
 この研究ですけれども、現在アメリカと日本の二カ国が行っている、このように聞いております。アメリカは、一九八〇年ごろ大きくぶち上げましたけれども、一たん下火になりましたが、一九九五年からNASAを中心としてこの宇宙太陽発電の研究を本格化しているということで、一九九八年から二〇〇一年度までに三十二ミリオンダラー、三十八億円、二〇〇二年度以降も三十六億円の予算を投入する、二〇〇六年には大体五百億円を投入して技術実証衛星を上げる計画、このように、結構アメリカは宇宙開発の今後の一つの柱としてこれを取り上げて頑張っております。
 これに対して日本では、経済産業省と文部科学省の宇宙開発事業団が、ある意味では非常に自主的な研究として細々と、民間の研究者等も研究会をつくってやっている、このように聞いておりますけれども、文部科学省、NASDAを中心とする研究の現状の認識と、今後の方向性についてお伺いします。
今村政府参考人 お答え申し上げます。
 宇宙太陽光発電システムにつきましては、先ほどお話のございましたように、宇宙空間で得られるクリーンな太陽エネルギーを利用するという非常に夢のある、かつ潜在的な可能性のあるエネルギー源であるということでございまして、基礎的な研究開発を行ってその可能性を探求するということは極めて有意義なものではないか、このように考えております。
 こうした考え方のもとに、文部科学省といたしましては、平成十年より、宇宙開発事業団を中心に産学官の専門家から成る検討委員会を設置いたしまして、宇宙太陽発電システムの成立性の可能性に関する調査研究を約二年間実施いたしたところでございます。
 この調査研究におきまして、宇宙太陽発電システムの技術的な可能性あるいはコストの問題、これらの検討が行われまして、この結果といたしまして、例えば発電システムの高効率化、送電システムの高性能化など、今後達成すべきさまざまな技術課題についても明らかになったところでございます。
 こうした検討結果を踏まえまして、平成十二年度からは、この宇宙太陽発電システムの実現可能性に関する調査研究といたしまして、マイクロ波送受電技術、高電圧送電技術あるいはレーザー送電技術などの基礎的な技術につきまして調査研究及び試験等を実施していく、このような状況でございます。
 今後とも、こうした考え方のもとに、可能性を明らかにいたしまして、一歩一歩研究開発を進めるように着実に取り組んでいきたい、このように考えております。
斉藤(鉄)委員 巨大構造物を宇宙につくるという宇宙建設技術、ロボット技術の一つの試金石になると思いますので、これは事エネルギー問題だけでなく、非常に大きな、すそ野の広い技術開発につながっていきますので、ぜひ力を入れていただきたい、このように思います。
 次に、経済産業省にお伺いしますが、このように、日本はまだ細々と、しかしアメリカは結構国を挙げて、予算をつけて一生懸命研究しているということなんですけれども、過去のスーパー三〇一条の例に見るように、米国企業及び米国政府は、民間企業により構築されたエネルギー市場に国家予算を導入して参入するのは商取引上アンフェアであるとして、太陽発電衛星後発国を排除する危険性が将来高まってくる、このような声も研究者の間から上がっております。
 そのような事態を回避するためにも、米国に先駆けてとはなかなかいきませんが、米国と同等に商業化を実現する、商業化の手をつける、この必要があると思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
岡本政府参考人 宇宙太陽光発電の意義については、先ほど先生からの御指摘にもあり、大臣もお答え申し上げたとおり、私どもも大変大事なものだと考えております。
 アメリカの三〇一条云々というのは、多分、衛星についての調達の話としまして、アメリカがかつて我が国に、商業用の衛星の政府調達ということについて一連の要求があった次第でございますが、研究開発用の衛星についてはそのルールというのは適用されないということになりますので、私どもが進めていく研究については、それが制約になるということはここしばらくの間は少なくともないのではないかと思います。
 それから、先生の御指摘のこの研究を進めていくということについては、やはり克服すべき技術的な課題というのも非常に大きいと思います。
 それから、コストの面でも、特に大きな構造物を打ち上げるということでございますので、今ですとトン二十数億かかっているそういう打ち上げのコストというものを、多分百分の一とか、場合によっては千分の一ぐらいに低減するという輸送手段の効率化の話でありますとか、先生お話しの、マイクロウエーブを地上のアンテナに向けてある程度絞って送ってくるその辺の技術、それが環境に及ぼす影響はどうだろうかとか、その辺の見きわめというのを十分にやっていく必要があろうかと思いますので、外国における研究の動向、それから国内で、先ほど文科省から御答弁のあったNASDAでの研究の動向、そういったものを見ながら私どもも一生懸命勉強してまいりたいと考えているものでございます。
斉藤(鉄)委員 このように、将来これが実用化されれば、原子力にも匹敵するベースロードになり得る安定した、CO2を排出しないエネルギー源ということでございますので、どうか検討をお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。これは先ほど出てまいりましたけれども、原子力との関係でございます。
 我々も、与党三党で議論をしているときに、なぜ自然エネルギー、新エネルギーを促進するか、それは、やはり地球環境問題を考えて二酸化炭素を排出しないということに最大のポイントがある。二酸化炭素を排出しないエネルギー源として原子力があるではないか、ではその原子力も一緒にRPSに入れたらどうか、こういう議論までございました。
 さすがにこれはちょっと、巨大ガリバーと小人との共存ということはなかなか考えにくいわけでありまして外したわけですけれども、その議論にありましたように、やはり地球環境ということを考えたときに、原子力の位置づけをもう一度国民の皆さんに理解をしていただいて、プルサーマルも含めてこれを推進する。自然・新エネルギーの促進もやっていく、そして原子力についても促進して、いわゆる化石燃料の比重を減らしていくということが本当に大事だと思いますけれども、先ほどと同じ質問になりますが、この点についてお願いします。
古屋副大臣 先ほどは大臣が答弁させていただきましたので、今度は私がさせていただきたいと思います。
 委員御指摘のように、この原子力発電というのは、総合資源エネルギー調査会の二〇一〇年の長期見通しにおきましても十三基の新設を必要としておりまして、やはり効率的そして安定的、なおかつCO2が出ないということで、まさしく環境に優しいということでありまして、この原子力発電を推進していくということはエネルギー政策の中でも重要な柱であることは、委員の御指摘のとおりだというふうに私どもも認識をいたしております。
 ただ、そのためには、やはり安全性、そしてもう一つ、信頼というものをしっかり国民の皆さんに啓蒙して確保していかなきゃいけないということがあろうかと思います。
 残念ながら、最近、事故があったりして、そういうものについて信頼がややもすると失墜をしていますので、私どもは、その辺をしっかり心して、安全性、そしてまた、国民に対する正しいPR活動というものを徹底することによってこの原子力政策というのを推進していきたいというふうに思っております。
斉藤(鉄)委員 最後の質問です。
 新エネルギーの中に核融合を加えるべきだ、こういう議論もございました。これはまだまだ実用化されていないわけですけれども、核融合こそ、宇宙が始まったときから存在する最も自然エネルギー、自然な宇宙に存在する自然エネルギーの最たるものだと思いますけれども、この核融合について研究の現状と、ITER誘致云々という問題も今言われております、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
今村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、核融合は、いわゆる究極のエネルギー源の確保という人類共通の目標を達成するために世界の英知を結集して取り組むべき課題、このように考えております。
 文部科学省といたしましては、国際協力を積極的に行いつつ、国内では、原子力研究所あるいは大学等におきましてその研究開発を推進しているところでございます。
 特にITER計画につきましては、核融合がエネルギー源として実際に使えるかどうかというその可能性を実証する極めて重要な段階のプロジェクトでございまして、国際協力のもと、これに積極的に参画していく必要があるというふうに考えております。
 このITER計画に対する我が国の参加、誘致の問題は、現在、総合科学技術会議で御審議をいただいているところでございますが、総合科学技術会議の有識者の議員の先生方の間に、ITER計画に積極的に参加すること、さらには、できればこれを我が国に誘致すべきだという見解も出していただいているところでございまして、こうした御見解、さらには、このITERについてはヨーロッパも極めて積極的、熱心でございますが、ヨーロッパの動向等も踏まえまして、我が国といたしましても、その参加、誘致について方針を決めて積極的に対応してまいりたい、このように考えているところでございます。
斉藤(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 エネルギー資源に乏しく、原油の中東依存度が極めて高い我が国でございます。エネルギーの安定供給を実現することが経済を高いレベルで維持をし、国民生活を、よってもって文明度の高い暮らしを維持するという意味でも大変重要なことであります。
 こういう中で、石油危機が過去二回我が国を襲ったわけでありますが、そのことを私どもは相当な省エネの努力の試金石として、そしてその結果、非常に世界有数の省エネ大国と言ってもいいくらいのものを果たしていると思うのでありますが、我が国が今主要国と比較してどれぐらい省エネが進んでいるのか、お尋ねをしたいと思います。
河野政府参考人 御指摘のように、一九七〇年代の石油危機をいわばきっかけといたしまして、それ以降、省エネルギー設備あるいは技術の導入に官民挙げて努力をしてまいりました。その結果、我が国では、石油危機当時と比較いたしましてGDPは約二倍に増大する、その一方で、産業部門のエネルギー消費はおおむね石油危機当時の水準にとどまっているということでございますので、産業部門を中心に省エネルギーが非常に進展したと申し上げられると思います。
 その結果、GDP当たりの総エネルギー消費の原単位を比較いたしますと、例えば、アメリカに比べますと我が国は三分の一、イギリスと比べますと二分の一というようなことでございまして、主要国と比較いたしまして最高水準の省エネルギーレベルと思っております。
西川(太)委員 いろいろな御意見があろうかと思います。私は、御批判覚悟で申し上げますけれども、こうした中で、京都議定書において、我が国は温室効果ガスの排出量を、二〇〇八年から二〇一二年のいわゆる第一約束期間に、一九九〇年のレベルに比較して六%削減する、これは、私流に言わせれば、乾いたぞうきんを絞るようなものだという感じを率直に持っているんですね。とりわけ、これ以上産業界に負担をかけることは、我が国経済の現下の情勢、これからの趨勢を想像しても悪影響を与えかねない、こう危惧しているわけでありますけれども、これまでも、産業部門におけるCO2削減対策の大部分は経団連の環境自主行動計画の着実な実施というようなことに大きく依存しているわけでありまして、産業界の自主性が尊重されてきたということであります。
 そこで、お尋ねをするわけでありますが、これは、経済産業省と、きょうは政府参考人で環境省の局長にもおいでをいただいておりますので、お二方にお尋ねをしますが、産業部門のCO2の削減対策、これを引き続き産業界の自主性によることを基本として進めていくことが重要だ、自主性に基づいて進めていくことが大事だ、私はこう思うのでありますが、いかがでございましょう。
古屋副大臣 まず、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 委員御指摘のように、地球温暖化対策に当たっては、産業界のいわば自主的な努力というのは尊重されるべきであり、やはり環境と経済の両立、これが大原則でございます。それを前提に、やはり自主的な努力を私は評価すべきだと思っております。現に、この自主的な努力の中で、産業部門については、九〇年と比べてほぼ横ばいでございます。民生あるいは運輸部門が、一七%あるいは二三%CO2の排出量が伸びている中で、これは十分に評価をされるというふうに私は考えております。
 今後とも、この地球温暖化大綱で取りまとめられました産業界の行う地球温暖化対策につきましても、やはり自主的な取り組みというものを私どもは大いに期待いたしておりまして、その自主的な取り組みの中から、技術革新、そして創意工夫が生かされて、目標達成のために産業界を挙げての取り組みというのを期待いたしておりますし、また、私どもも、そういった考え方に基づきまして、技術革新、創意工夫のためのあらゆる支援策を講じていきたいと思っております。
岡澤政府参考人 産業部門のCO2削減につきましては、経団連の自主行動計画によりまして、産業界の自主的取り組みがこれまで大きな成果を上げてきているというふうに認識しております。当面、この取り組み内容の透明性、信頼性、実効性を確保しながら、一層の取り組みを促すことが適当だろうというふうに考えております。
 今般、地球温暖化対策推進大綱の見直しを行ったわけでございますけれども、この中でも、自主的取り組みを産業部門における取り組みの中核の一つとして位置づけているわけでございまして、産業界の自主的な取り組みを中心に対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
西川(太)委員 くれぐれも過剰な重い負担を産業界にかけないようにしていただきたい、そう思います。
 次に、今般の法改正によるいわゆる現場の規制、特に工場現場の規制についてお尋ねをしたいと思います。
 一定量以上のエネルギーを使用する工場に対して、現場におけるエネルギー管理の仕組みを構築することが法律の目的になっているわけでありますけれども、実際にどのような手段で省エネを進めていくのかということは、事業者の自主性にゆだねられている部分が多いわけであります。このように自主性を尊重した枠組みというのは、一律に数値基準に基づく規制をかける方法に比べて、経済合理性の観点から見てすぐれた制度であると私は考えておりまして、一方で、この制度をうまく機能させるためには、現場の管理者の能力ということが非常に重要であります。
 と申しますのは、工場現場における管理が徹底される仕組みがこの実効性を高めるということにつながるからでございまして、現場における省エネの責任者の資質を担保するために今回の法改正ではどういう措置を経済産業省として講じようとしておられるのか、お伺いいたします。
河野政府参考人 従来から、省エネ法におきましては、製造業などにおきまして一定量以上のエネルギー使用をする工場などに対しまして、エネルギー消費をする設備の維持管理などのような、まさにおっしゃる現場の業務を担う責任者として、国家試験などによりましてエネルギー管理に関する専門的な能力が確認された方をエネルギー管理士として選任することを義務づけてまいりました。工場の現場においてエネルギー管理士を中核とするエネルギー管理体制が構築される、こういう仕組みになっているわけでございます。
 企業においても、職員の資質向上の観点から、積極的にこの管理士資格の取得を奨励していただいておりますし、多くの工場で法令で定められた人数以上の管理士資格を取得した方が在籍するというようなことで、エネルギー管理の改善に大いに活用されているということだと思いますが、今回の改正によりまして、業務用の需要家に対しましても、製造業に準ずるようなエネルギー管理士資格者の活用をお願いしているわけでございます。
西川(太)委員 私は、なぜそういうことをお尋ねするかというと、先ほど冒頭の、省エネを日本はどれぐらいやっているんですかというお尋ねに対して、石油危機以降、今日は、GDPは二倍である、それに対してエネルギー消費は横ばいであると。ところが、民生とか運輸の部門では、ほかの産業部門はおっしゃるとおりほぼ横ばいです、データを見ても。しかし、民生部門それから運輸部門、こういう部門は増嵩しておりますね。やはりこういうところに対してしっかりとした、言葉は適当ではないけれども、規制をかけていくということが大変大事だろう、私はこう思うわけでありまして、特に民生の中で業務部門と言われるところが近時エネルギー消費が非常にふえているというデータがあります。
 産業部門と同様、業務部門における主体は事業者であることからすれば、こうした分野についても、経済活動を妨げることがないように、しかし、経済合理性の観点から配慮された省エネの仕組みというものをきちっとこの分野でやっていかないとしり抜けになっちゃう、私はそう思うのでありますが、この対策をお尋ねしたいと思います。
河野政府参考人 先生御指摘いただきましたように、この省エネ法の措置といいますものは、エネルギーの自主的な管理を現場において徹底する仕組みをつくっていくという考え方でございます。
 今回の改正もこうした基本的な考え方は踏襲しておりまして、さらに、従来相当量のエネルギー消費をする工場において講じられた措置に準ずるエネルギー管理のための措置を大規模なオフィスビルなどにも拡大する、まさに業務用の分野に拡大するというものでございます。
西川(太)委員 民生部門としては、今言った大型の業務用ビル、これも大事でありますけれども、やはり圧倒的に多い家庭部門ですね、これもやはり大変重要な対策をとらなければいけない。エアコンとか冷蔵庫のいわゆる家電機器、白物、こういうものについてはトップランナー方式に基づく厳しい基準が課せられておりますし、そのことを踏まえて、家電機器の省エネ性能というのは非常に高くなっているわけであります。
 これはあくまで家電機器を製造する企業に対する対策であったわけですね、このトップランナー方式というのは。家庭における国民一人一人のライフスタイルの改革というものも、これからやはり期待していかなければいけないんじゃないのか。
 先般取りまとめられた地球温暖化対策推進大綱においても、国民一人一人が取り組むべき事項として、家族が同じ部屋で団らんするとか、テレビ番組を選ぶといった具体的な、かなり細かい対策が講じられているわけでありますけれども、これをいかに国民の皆さんに協力をしてもらうか、実行してもらうかということを担保していくことが大事だと思うんです。
 国民一人一人が、自由な、価値観の多様化を求めている社会の中で、これはむしろ、そうじゃない、ちょっと細かくまとまって、なるべくエネルギーをむだに使わないようにしてもらおう、こういう政策でありますけれども、これを、環境省岡澤地球環境局長としてどんなふうに対策を講じるか、伺わせてください。
岡澤政府参考人 先生が御指摘のように、地球の温暖化問題では、ライフスタイルとのかかわりが非常に大きいわけでございまして、温暖化防止のための国民一人一人のライフスタイルの変更ということが大変重要だという認識でございます。
 政府としては、従来から国民の意識啓発を行ってきたわけでありますけれども、これまでのところで見ますと、必ずしもそれが行動に結びついていないというのは御指摘のとおりでございます。
 そのために、今、国会に提出しております地球温暖化対策推進法の改正法案におきましても、国民の取り組みを強化するための枠組みといたしまして、都道府県センターの指定要件の拡充、地球温暖化防止活動推進員の活動にいわゆる地球温暖化対策診断を追加するということ、それから、地球温暖化対策地域協議会の設置などの措置を盛り込んだところでございます。また、二月から、環(わ)の国くらし会議というのを開催しておりまして、国民一人一人の取り組みを促す効果的な方法についての検討を行っておりますので、そうしたものを集大成して国民に訴えかけていきたいというふうに考えております。
西川(太)委員 私ども、この京都議定書を国内法でいかにきちっとやっていくかということをやるために、いろいろ産業界の方々の御意見なんかを伺っているわけであります。そういう中で今、民生部門において、いわゆる自動車の燃費というものが、省エネ法のトップランナー方式、これも自動車業界に課せられた対策でありますけれども、その成果でかなり上がっていると。
 しかし一方で、我々のところも、私、時々家で留守番なんかしていますと、寝ていられないぐらいピンポン、ピンポン鳴るんですよ。ほとんどが宅配便。家族がどこかへ行ってお土産を買って送ってきたとか、それから、このごろ書類まで、郵便屋さんじゃなくて、届いたり。
 運輸部門の対策として、私はいわゆるモーダルシフト対策というものが重要だ、こういうふうに思っているわけであります。自動車に比べてエネルギー効率の高い鉄道とか船舶といった運送手段へのシフトを進めたり、交通体系の整備などを進めることによって渋滞を解消して、スムーズに物流ができる、またはトランスポーテーションができる、こういうことで政府みずからがより一層の交通対策を講じていくことが必要だ、こう思うわけであります。
 もう時間が来たので、最後に、丸山政策統括官にわざわざ国交省からおいでいただいていますので、運輸部門における物流交通対策に対する国交省の姿勢を、このエネルギー問題に絡めて伺っておきたい、こう思います。
丸山政府参考人 先ほど来御指摘をいただいておりますが、環境問題、エネルギー問題に対応するために、なおかつ、物流を効率化するという観点から、モーダルシフトが非常に大切であるという認識は私どもも同じでございます。特に、鉄道、内航海運につきましては、環境負荷が自動車に比べて非常に少ないということがございます。
 国土交通省として、モーダルシフトを促進するために何をしておるかということでございますが、まず、受け皿でございます、基本的なインフラでございます拠点的な港湾の整備、モーダルシフトに適した船の建造、それから貨物拠点駅の整備等を推進してきたところでございます。
 数字を若干申し上げますと、鉄道と内航海運が長距離の雑貨輸送をどれだけ行ったかという数値で申し上げますと、平成元年度は三四・五%でございましたけれども、平成十一年度は四〇・四%へ上昇しております。
 昨年七月に閣議決定されました新総合物流施策大綱におきましては、この数値を二〇一〇年までに五〇%を超える水準とすることを目指すということでございますので、私どもは、先ほど申し上げましたハードとソフト両面からの施策を推進することによりまして、この目標の達成に向けて努力してまいりたいというふうに思っております。
西川(太)委員 地球温暖化防止に向けては、事業者や国民一人一人といったそれぞれの主体が、バランスのとれた取り組みを行っていくことが大事であります。また、講じられる対策は、できる限りそれぞれの主体に対して負担が少ない、そして経済合理性にかなったものであるということが大事であろうと思います。
 こうした観点を十分踏まえて、この法案の成立を見た後にもしっかり取り組んでいただきたい、この御決意を平沼大臣に最後に承って質問を終わりたいと思います。
平沼国務大臣 このお願いしている法律は、一つは、エネルギー安全保障という観点から、今、石油依存度というのは五二%でございまして、そのうち中東依存度が八五%になっている、こういったことを是正し、いかに多様なエネルギーを活用し、そして、二十一世紀に向かって、やはり地球環境に優しい、そういったインセンティブを与えるための施策、そういったことが重要だと思っています。
 そういう意味で、この新エネルギーというものをやはり柱にしつつ、それから、今数々御指摘のあった、モーダルシフトだとかそういうことも組み合わせて省エネにも努めて、そして効率のいいエネルギー体系をつくっていく、そのことで努力をしてまいりたいと思っています。
西川(太)委員 終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 これにて、各案中、内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案及び電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案の両案に対する質疑は終局いたしました。
 次回は、来る二十六日金曜日午前九時理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十八分散会


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