衆議院

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第18号 平成14年5月29日(水曜日)

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平成十四年五月二十九日(水曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      阪上 善秀君    下地 幹郎君
      根本  匠君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    茂木 敏充君
      保岡 興治君    山本 明彦君
      生方 幸夫君    川端 達夫君
      北橋 健治君    小林  守君
      後藤 茂之君    中山 義活君
      松原  仁君    松本  龍君
      山田 敏雅君    山村  健君
      漆原 良夫君    福島  豊君
      樋高  剛君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      原  陽子君    西川太一郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            岡本  巖君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局長)          太田信一郎君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           洞   駿君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十九日
 辞任         補欠選任
  松本  龍君     小林  守君
  土田 龍司君     樋高  剛君
  大島 令子君     原  陽子君
同日
 辞任         補欠選任
  小林  守君     松本  龍君
  樋高  剛君     土田 龍司君
  原  陽子君     大島 令子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 使用済自動車の再資源化等に関する法律案(内閣提出第八六号)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、使用済自動車の再資源化等に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省製造産業局長岡本巖君、経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君、国土交通省自動車交通局長洞駿君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原仁君。
松原委員 今回、自動車リサイクル法が出てきたわけでありまして、二十一世紀の社会は循環型社会を目指すということであります。地球が有限であるということを我々はひしひしと感じておりまして、循環型の社会をつくるということがこれからの特に日本の大きな使命ではないかというふうに思っております。
 そういった意味において、循環型社会の構築に向けて、例えば容器包装リサイクル法とか家電に関するリサイクル法とかが従来から次々と施行されてきたわけでありまして、最終ランナーとしてという表現が適切かどうかわかりませんが、ここで自動車のリサイクルということが出てきたわけでありまして、そのことは時代の時宜を得たものだろうというふうに思っております。
 重要なことは、実際、地球環境という観点で、今のままのマスプロダクション、大量生産、大量消費がいいという議論はないわけでありますけれども、そのことはわかっているけれども、こういった新しい従来にないものがどのように理解をされるかということが一番大事だと思っております。
 今回のこの自動車リサイクル法を拝見するに、費用的なものが大方どうもユーザーに押しつけられているのではないか、こういうふうな印象を持つわけでありますが、その辺についてどんなふうな御感想か、お伺いいたします。
平沼国務大臣 おはようございます。それでは、お答えをさせていただきます。
 ユーザーに押しつけたリサイクル制度ではないかとのお尋ねでございます。
 本法案によりまして、これまで自動車リサイクルに直接にかかわっていなかった自動車メーカー等が、新たなリサイクル制度の中心的な役割を果たすことになるものと思っております。
 具体的に申し上げますと、自動車メーカー等に対して、みずからが製造または輸入をした自動車が使用済自動車となった場合に、その自動車から発生をいたしますフロン類、エアバッグ及びシュレッダーダストを引き取りましてリサイクル等を適正に行うことを義務づけている、こういうことに相なっております。
 自動車ユーザーは、自動車メーカーが設定するリサイクル料金を負担していただくことになりますけれども、現状におきましても、中古ディーラー等に廃車を持ち込むに当たりましては、実質的には自動車ユーザーが相応の廃車処分費用を負担している、こういうことでございまして、本法案においても、このような排出者負担の考え方を変えるものではございません。
 いずれにいたしましても、自動車メーカー等を中心として関係者がそれぞれの役割を適切に果たすことによりまして、新たな自動車リサイクル制度が機能をし、御指摘の循環型社会の構築が図られていく、このように私どもは考えております。
松原委員 自動車を新車で買う人も、また中古で買う人もいるわけでありまして、私は中古で買って中古で売るというのが好きでありますが、そういうケースの場合はこの処理費用はかからないわけでありまして……(発言する者あり)中古を愛好しているわけではありませんが、経済的にそうなっているので。
 それはおいておいて、そういった意味ではやはり理解が必要である。現状でも、最終処分をする人が持ち込む場合は、少し前はそれでも買い取ってくれたんですよ、今から十年以上前なんかは。今は逆有償みたいなことに、そのコストがかかってきたのでなるんだけれども。こういう制度というのは、また違う観点からきちっと、新車購入時においてそういった意味ではコスト計上をされるわけですから、それはかなり似ているけれども違っていると私は思っておりまして、そういう意味で、必要なのはやはりユーザーの理解だと思うんですよね。
 これだけ不景気で、会社員の人も、家のローンも大変で、なかなか時間外手当も出ない、こういうふうなときに、ある種さらなる負担が明らかにもう確実に来るんだ。もちろん、そういったものは廃車するとき既にあったではないかという議論もあるけれども、そうではないケースもかなりあるわけでありまして、そういった意味では、ユーザーに対する理解をどのようにして求めるのか、それについての御所見をお伺いいたします。
岡本政府参考人 今先生御指摘のように、こういった制度をつくるに当たって、ユーザーの方々の御理解をいただくというのは大変大事だと思っております。
 実は、私ども、この制度の設計に向けての議論、経済産業大臣の諮問機関であります産業構造審議会の中にリサイクルのワーキンググループを設けて議論を始めましたのはほぼ二年前でございます。
 以来、そのワーキンググループの中にユーザーの代表の方々にももちろんお入りいただいておりますが、あわせまして、関係者の役割分担でありますとか、費用の負担のあり方でありますとか、節目節目で、ある程度議論がまとまったところでパブリックコメントに回付して、ユーザーの方々を含む広く各層の方々から御意見をいただくということでやってまいりました。
 それだけではまだ多分足りないでしょうから、私ども、法律のこういう審議と並んで、これからの施行ということをにらみましても、ユーザーの方々に御理解をいただくべく、担当者ともども各地に出かけて十分に御説明申し上げること等を通じまして、ユーザーの御理解を極力いただく努力をこれからも重ねてまいりたいと考えております。
松原委員 実は、私は、きょうの質問で一番の骨格は、ユーザーの理解を得られるかどうか、この一点だろうと思っているんですね。
 大きな流れの中で、地球環境を守ろうよ、リサイクルは必要だ、これはだれも異論はないわけでありまして、それならば、今回のこのリサイクル法がそれに合致し、まあおおむね合致していると、しかし、その中に一部いかがなものかという部分があってユーザーの理解が得られないとするならば、かえってそれは、本質的なものからすると、非常にマイナスの方が大きくなってしまう、こういうことなんですね。
 ちょっと通告した質問と違う内容が若干入るものですから、岡本局長でも結構なんですが、幾つか申し上げたいのです。
 そういった意味では、このことによって、今言ったように、やはりユーザーがいろいろな負担をすることになっていくわけであります。これが施行されて、世論というか、何が問題になるだろうかとつらつらインスピレーションをかき立ててみるわけですね。どういうことが一番問題になるだろうか。幾つかあるわけですよ。
 端的に言えば、まず、この資金管理団体ですよね。これは、よく言われるように、この時代に、行政改革という流れからすると逆行するのではないかという議論は従来からも行われていたわけでありまして、約一台二万円の処理費とするならば、今七千万台とすれば一兆四千億、これは非常にアバウトな数字でありまして、それは、ちっちゃな軽と十トン車、二十トン車が同じ価格というふうには到底思えないわけでありますが。
 そういった場合に、この一兆四千億のお金を扱う資金管理団体、そのものの透明性の問題、こういったものは非常に、そこでまたそれが天下り先になってしまうのではないかとか、こういうふうな問題点が今からも指摘されている。将来も、それが問題になって、せっかくのリサイクルそのものが斜に見られてしまうということがあってはいけないと思うのですが、その点はどんなふうになるか、ちょっとお伺いします。
岡本政府参考人 私ども、この間の審議会を中心とした議論の中でも、費用の徴収の方法をどうするかというのが大きな論点でございました。
 当初は、排出時に費用を徴収するという、自動車メーカー等はむしろその方式を希望して議論に臨んだわけでございますが、ユーザーの方々あるいは中立委員の方々から、不法投棄の防止の観点から、新車販売時にあらかじめリサイクルの費用を徴収すべしという強い意見が出され、かたがた、豊島を抱えてらした香川県の知事さんを初め自治体の首長さんたちからも、今度は排出時じゃなくて新車販売時に費用を取るというようにぜひしてもらいたいという強い御要請がありまして、あらかじめリサイクル料金をいただくという方式にした次第でございます。今先生御指摘の資金管理法人というものは、この関係で出てまいったものでございます。
 実は、料金を最初にいただくについても、私ども、最初は、メーカーがそれぞれリサイクル料金を収受して管理すればいいじゃないかというふうに考えていたのですけれども、議論の過程で、一つは、今度、メーカーに加えて輸入業者というのが義務者になっているのですけれども、先生御案内かと思いますが、並行輸入なんかをされている輸入業者の方々、零細な方々を含めて約一千社と呼ばれていて、したがって、あらかじめいただいた費用の滅失というものを真剣に心配せざるを得ない、そういうことから、やはり企業の中にそのお金を置いておくという方式はまずいということで、外へ出す方式ということで今の資金管理法人という方式に至った次第でございます。
 この資金管理法人の資金の管理あるいは運用の方法について、今御指摘の外部監査を含めて、極力、透明でかつ安全確実なものにするという点については御指摘のとおりでございまして、私ども、今御提案申し上げている法案の中にも、その点に配慮した幾つかの規定を入れさせていただいているところでございます。
 いずれにしましても、資金管理法人が、まさに今先生おっしゃいましたように、所期の目的を透明な形でかつ限定的な形で機能していくという方向に向けて、私どもも十分に意を用いてまいりたいというふうに考えております。
松原委員 聞いていない部分のお答えまであったわけでありまして、ちょっとそこも聞こうかと思っていたところなんですが、一つは、さはさりながら、確かにそれはいいんですよ、第三者機関でやるということは。その会社が、どんな大きな会社だってそれはわからないわけですから、ダイエーだっていろいろとあったわけだしね。そういった意味では、実際問題として、これ、必要なの、それはいいと。しかし問題は、その運営の仕方その他が問題なんだろうということなんですね。
 私が申し上げたい一つは、いろいろと見ますと、例えば、いわゆる自動車リサイクル促進センターというのが民間の自工会等を中心にしてつくられているわけでありますが、それとこの資金管理団体はどういう関係になるんでしょうか。
岡本政府参考人 法律の上で、資金管理法人は非営利の法人ということで、申請に基づいて指定をするという形にいたしております。したがって、今具体的にどこの法人がということで申し上げるのは控えさせていただきたいと思いますが、私ども、今ありますリサイクル促進センターも有力候補の一つというふうに考えております。
松原委員 オランダの事例を見ると、いわゆる自動車メーカー、輸入業者、解体業者、シュレッダーダスト業者、そういう人たちが集まったところがいわゆる日本の言う資金管理団体の役目を果たしているということであるわけですね。
 ですから、私は、民間の一社というわけにはいかないと思いますが、それは民間の会社が全部淘汰されるとは思いませんから、そういった意味では、やはりなるべく国が、国は理念は提示すると、しかし、例えば天下りの人間がこの資金管理団体に行って専務理事になるとか、そういうふうなことがあると、リサイクルまで使って行政は生き残りをかけているのか、こういうふうな認識を国民は持つと思うんですよ。
 ですから私は、この資金管理団体をつくるということは、これは必要かもしれない。しかしながら、そこに、専務理事とか、そういったところに役人は行かないというふうなことを、言明しろと言ったってなかなか言明できないかもしれないけれども、それを言明するのが平沼大臣の使命ではないかと思うので、ちょっと大臣、一言、その辺、天下りの問題に絡んで、そういった要職に天下りが来ないかどうか。
平沼国務大臣 天下りが起こるのではないか、こういうことでございますけれども、資金管理法人というのは、自動車ユーザーからリサイクル料金を預かる者として重い責任を負った立場となるわけでありまして、専門知識を有する職員の配置等体制の整備に努めるとともに、資金管理業務諮問委員会から意見聴取を行う等、専門家の意見を伺って適切に対処していかなければならないと思っています。
 本法人は民間主体の法人でございますから、人的構成についても民間が主体的に判断を行うものでありまして、本法人が行う資金管理業務に精通した人材は民間ビジネスを経験された方々の中に数多くおられると思っております。したがいまして、本法人の常勤役員は、当然、そうした民間の方々の中から適切な方が起用されることを想定しておりまして、そういった御懸念のようなことが起こらないように担当大臣としてしっかりと監督しなければいけない、このように思っています。
松原委員 今大臣から、まさに、この天下りに関しては、起こらないようにきっちりとやっていくんだというふうなお話でありまして、本当にそこは、私は、趣旨に照らして、きちっとやっていかなければいけない部分だと思うのですね。
 一兆四千億、一兆四千億というのは今の数字ですから。例えばリサイクル率、一台の車で今八〇パーとかその辺で数値を考えて二万円と、こうやっていますが、これを例えば将来九五%に持っていこう、こういうふうな話になっているので、九五%になった場合に、果たして一台二万円、もちろん技術がどうやって進んでいくかということもあるけれども、九五%は恐らくヨーロッパのEUか何かと横並びで考えたのではないかと私は思っております。その根拠というのが、なぜ九六、九七じゃないかという根拠は僕はないと思うのだけれども。そうでしょう。
 これに関して、本当にやっていく場合に、恐らく一兆四千億よりもっとプールされる可能性もあると思うのですよ。そういった意味では、今大臣がおっしゃったように、きちっとそれをチェックしていく必要がある。それは、天下りというか、役所の人間が専務理事だとか、そういうふうに現実に影響力を行使しないと。それは、あくまでもいわゆるフェアなジャッジをする人間として、不正がないかどうかチェックするならいいですが、それ以上のことをやっては僕は行政改革に逆行する、こういうふうに思うわけであります。
 大体、自動車の耐用年数というのは何年かといえば、十年ぐらいまで頑張っている場合が多いわけでありますが、簡単に言えば、新車の場合、十年先に必要なリサイクルコストの費用を十年前に取るわけですね。十年間、このお金をどういうふうにするんでしょう。
岡本政府参考人 リサイクルの料金につきましては、私ども、法案にもまさに明記しているところですが、各メーカーが競争の中で独自に決めていただくということにいたしておりまして、メーカーの方々、幾らということは今どこも言ってはおりません。私どもは、できるだけ安くなることというのを期待申し上げております。
 一点、先ほど来、先生、一兆四千億ということで御指摘でございましたが、リサイクルの料金は三本立てでございまして、シュレッダーダスト、ASRの処理費用、エアバッグの取り外し・展開による処理費用、フロンの回収・破壊費用、三本立てでございます。
 例えば、エアバッグについては、今七千万台ある既販車については、エアバックを装着している車というのはそうそうありませんので、実はエアバッグの処理費用というのは、エアバッグが何台も装着していれば結構高いものになるというようなこともありまして、私ども、既販車について、しばしば言われている二万円というのは、これはフルセットの場合に一つの試算として出されたことのある数字なんですけれども、エアバッグがないとかということになればそれは随分変わってくるということになろうかと思います。
 それから、十年間という点につきましては、この資金管理法人で、車ごとに、それからメーカーごとにアカウントを設けて、メーカーごとのアカウントの中で車ごとにいただいた費用は安全確実に運用して、実際にリサイクルの処理が行われた場合に請求に基づいて払い渡していく、そういう形で実際には運用されていくということになろうかと思います。
松原委員 今、運用ということをおっしゃったんですが、この運用が非常に心配なんでありまして、運用した先で、運用の中身はわからないけれども、今は何たってペイオフの時代ですから、すべてリスクがあるわけですよ。
 でかい金庫でも買って、お金は火事だと燃えますから、燃えないようにして、一括プールしておくのは、どうも今の政治の姿を見ていると、運用するよりはきちっとたんす預金をしてもらいたいと。行政の中の新しい官邸も立派なものができたわけでありますから、あの中にお金をプールする金庫をつくってもらって、そこの中に押し込めておくのが一番安全、安心じゃないか、こういう気もするんですが、運用というのは具体的にどういうことを考えているんでしょう。
岡本政府参考人 法律に基づいて経済産業大臣あるいは環境大臣が法人に対して指示していくということにしようと思っておりますが、私ども、大宗は、元本がしっかり保証されるような、安全確実なものに運用するというのを基本にして、一部、運転資金的なものを賄う必要もありますので、銀行預金というのもこれは許容する必要はあろうかと思いますが、その預託先ということにつきましては、今先生がおっしゃいましたようなペイオフということのリスクというのも勘案しながら、資金管理法人において慎重に、現金の部分の預託先というのは選定をするということになろうかと思います。
 いずれにしましても、現金を預金するという形の運用はごくごく限られたものになろうかと思います。
松原委員 私、今岡本局長が私どもと、こう言ったところが既にこれは大変に問題だと思っているわけですよ。岡本さんが、私どもはと、これはまあ、それは私どもという表現しか日本語がないのかもしれないけれども、このようにして運用しますなんと言ったら、ああそうか、これは役人がやるのか、こういうことになるわけですよ。僕は、それなら、さっき言ったように、自工会を中心にして例えば促進センターがあるわけですよ、責任をそっちに、しりを持ってもらって、そこでやってもらった方がはるかにいいわけですよ。
 だって、例えば二万円が、まあさっき二万円がどう、フル何とかコストだ何とかだって言っていたけれども、例えば二万円の価格云々にしても、これはそれぞれの自動車メーカーが設定する。実際、十年たって処理をする段階になったら、もっとかかるかもしれないわけですよ。
 例えば、処理場が小さくなって、五%のそのシュレッダーダストだけだって、爆発的にこれは金がかかるよ、一台五万円になったよと。そういうとき、どうするんですか。そういうときは責任を持つ自工会が払うわけでしょう。違うんですか。それは役所が払うんですか。
岡本政府参考人 将来の技術がどういうふうに変わっていくかとか、あるいは最終的な処分費用がどうなるかとか、そういったことを勘案しながらメーカーがそれぞれ独自に決めるわけですけれども、まあ、ハイパーインフレのような物すごい、あるいは天変地異というようなそういう場合は別としまして、通常のコストインフレの場合には、私どもは、コストが上がった分というのは、結果として料金をコストが上回ったという場合に、そのリスクは自動車メーカーに負担していただくという考え方でございます。逆の場合もあろうかと思いますが、逆の場合も調整はいたしませんが、コストの変動分というのは、基本的には各メーカー、料金を設定したメーカーが負担するという前提で考えております。
松原委員 そうすると、しりを持つのはその自工会ですよ。だったらば、運用も自工会を中心にして当然やらないかぬわけであって、それについてこの段階で局長が、こういう方針だ、私どもはこういうふうに思っているとかは言っちゃいかぬし、僕は、これはもう完全に自工会の見識で、彼らが、例えば海外の銀行やそういう金融機関や含めて、リスクをヘッジしましょうと、そうやらせればいいし、彼らが、汚い言葉で言えばけつを持つわけだから、彼らがそのしりを持つんだから、彼らに全部任せるというのは当然のことであって、それはオランダ方式がそうだということかもしれぬけれども、そうだと思うんですよ。
 それから、さっき平沼大臣の御答弁にあったように、天下りもしませんということも含めて、それはもう最後に責任を負うところに、そのかわり責任を持たせるんだから、途中をこっちがやって、何か最初は、いわゆる自車方式でやる、年金方式じゃないといって、いつの間にか自車方式が五年たったら年金方式になりました、いやどうも収入と支出がアンバランスなんで年金方式になりましたみたいになっちゃいかぬわけだから、そういった意味では、僕は、そこはもう完全に任せると。そうしなければ、自工会だって責任を持ってできないですよ。どうですか、それ、ちょっと大臣、その辺はいかがでしょうか。
岡本政府参考人 先ほどの私の答弁について先生からの御指摘ありましたので、大臣の前に一言お答えさせていただきます。
 私が先ほど基準をお示しするということを申しましたのは、ユーザーの方々から大変多額の資金をお預かりしますので、それの安全な運用ということで、一つの基準として、国債とか地方債とか、そういった安全な債権を中心に保有するということをお考えになったらいかがでしょうかと。
 それから、一部はやはり預金をするという場合もあろうかと思いますが、それについて、どこの金融機関を選ぶかというような判断は、これは資金管理法人が独自にやっていただけばいいかと思いますが、資金の大半をとにかく安全確実に保全しながら運用していくという点についての必要最小限の基準は、法人を監督する主務大臣の立場から基準をお示しする必要があるということを申し上げたまでのものでございます。
松原委員 実は二万円とか、とりあえず設定するわけですよね。これは趣旨は、いわゆる企業の中で検討してやるわけじゃなくて、まさにユーザーが負担をするお金になるわけです。それが一万五千円か三万円か、それはそれぞれの自動車のメーカーが決めるわけですよね。
 そのときに、さっきおっしゃったように、例えば、じゃ二万円と仮定しましょう、二万円と仮定したものが、将来の十年後に三万五千円かかるかもしれないわけですよね。そうすると、一万五千円分のオーバーの部分は、当然自工会の、そのメーカーが払う、こういう認識になるわけですよね、これは。当然そうだと思うんですよ。
 逆に、それが一万円だった場合、その一万円は、自工会じゃなくて資金管理団体にそのままプールされるわけですよね。その辺はいかがでしょう。
岡本政府参考人 まさに先生今御指摘になられましたように、料金はそれぞれのメーカー、輸入業者が決めるというのが大きな基本でございます。したがいまして、コストを上回る場合、これはメーカー、輸入業者がみずから負担していただく。逆に下回った場合に、これはこの資金管理法人に剰余金としてプールするということではございませんで、各メーカーが設定して預託を受けた料金でございますので、これはそのままメーカーに渡すということで、資金管理法人がプールをするということはいたしません。
 そういう意味において、コストオーバーランの場合も、コストが逆に下回る場合も、メーカーの責任において設定した料金を、資金管理法人はその車種ごとのリサイクル料金として払い渡しをしていくということになろうかと思います。
松原委員 ちょっと、そうすると、そのリサイクル費用を例えば二万円と今仮定しましょう。それはユーザーが払っているわけですよ。実際ユーザーは、廃車のときに、今だったら廃車時一万円リサイクルコストで払う、普通、十年たってね。こういうケースの場合、実際はそれは、資金管理団体に預託しているわけですわ。その一万円はユーザーじゃなくて自動車メーカーに戻ると。そうすると、自動車メーカーはそれを、ユーザーに一万円戻すんですか、その場合。
 つまり、二万円であれしたときに、リサイクルコストが一万円で済んだと、その計算は非常に難しいけれども、例えばですよ。そうすると、一万円は剰余金じゃない、メーカーに戻しますと今おっしゃいましたよね、局長は。そうすると、その一万円はメーカーの売り上げじゃないんですよ、それは預託した金なんですよ。ユーザーからリサイクル費用としてもらった金でしょう、それ。それはユーザーに戻すんですか。
岡本政府参考人 料金の設定ということはメーカーにそれぞれやっていただくということにいたしているわけですが、メーカーは、先生御存じのように大変熾烈な販売の競争の中にありますので、リサイクルの料金についても極力引き下げる方向で努力をするものというふうに私ども考えております。
 したがいまして、今議論されていますようなお尋ねのケースというのが早々起こるということは少ないのではないかと思っておりますが、上昇の場合にはメーカーにそこは負担していただくということに割り切っているわけですが、他方で、低減した場合においては、資金管理法人がそれをプールするということでなくて、設定して預託を受けた料金はやはりメーカーに渡すということに私どもはすべきではないかと思うのです。
 これをもしやらない場合には、メーカーは、やはりコストをできるだけ低減するという方向に向けてのドライビングフォースが働かなくなると思いますので、まず大前提として、極力低い料金の設定に向けて競争の中でメーカーは向かうということを、そこを前提にして考えました場合に、コスト変動、オーバーランの場合のリスクというのを負担するのと、それとの見合いで、多少のコストが低減した場合においてもメーカーに資金管理法人からは預託を受けた料金をそのままお渡しするというのが基本ではないかというふうに考えているものでございます。
松原委員 今、平沼大臣も非常に不思議がっておられたんですよね、今の答弁。私だけじゃなくて、恐らく委員会のみんな、えっという感じだと思うんですよ。それは、確かにおっしゃるとおりですよ。メーカーは安くする、預託料金を安くする、それは当然やりますよ。そんなの当たり前ですよ。
 ただ、私が言っているのは、現実にいかなることだってあり得るわけだから、今の逆有償も、そうじゃなくなることだってあり得るわけだから、現状は。そうしたら、メーカーに戻しますと、メーカーはだってそれは利益じゃないんですよ。それは、メーカーはユーザーに戻すということはどこかに書いてないんですか。当然、返すだろうという期待感で言っているのか、それとも、そんな煩雑なことはしないと思っているのか、それがまず第一点。それはやはりきちっと答えてもらわないと話にならない。
 そういうふうな概念と、僕は、ちょっとこれも次に本当は、時間が終わっちゃうので、聞こうと思ったのは、五百万台のうちの百万台は中古車で海外へ出ますわね。この百万台については剰余金でプールするんでしょう。返すの。ああそう。どっちにしても、そうしたら、返すのは、ユーザーに行くというのはその辺はどういうふうになっているのか、もうちょっとわかりやすく、大臣もうなずくような答弁をお願いできませんか。
岡本政府参考人 今、先生御指摘の中古車の場合には、これは国内でリサイクルの処理が行われませんので、今度の御提案申し上げている法律の中で返還請求を受けて最後のユーザーにこれをお返しする、返還するということにいたしております。
 それから先ほど来の、上回った場合、下回った場合ということで、特に下回った場合の御指摘でございますが、重ねてお答えさせていただきますが、極力やはり下げるという方向での料金設定がなされて、したがって、実際のコストが上回るケースというのがあろうかと思うんですが、そこのリスクを一方でメーカーにのんでもらうということにしました場合に、多少、今度は逆に事態が生じた場合に、そこはメーカーが自動的にそれを吐き出す、そういう両面にわたるリスクをメーカーは負担するという覚悟で料金を設定するというのが、私ども、審議会の議論の中で共通認識として得られたところでございますので、そういう方向でやっていただくことで今考えているところでございます。
松原委員 そうすると、自車方式というふうな認識を持っておりましたが、一〇〇%自車方式ではない、若干、年金方式的な要素も入れて――でも違うわな、非常に、よくわからないんだよな、これ。年金方式じゃないな。大臣は納得した。ああ、そうですか。
 ちょっとそこのところはやはりおかしいと思うんだよね。理論的にはおかしいと思うんですよ。だから、それはもうちょっと精査をしてもらわなければいかぬなというふうに思うわけであります。
 余りこういう議論を厳しくやるのは私の性格上合っていないんですが、しかし、ちょっと、もう少ししっかりとしてもらわなきゃいけないと思うので、大臣いかがですが、今の議論を聞いていて。
平沼国務大臣 局長から御答弁をいたしましたけれども、金額を設定するに当たって、それから超える場合もある、しかし、競争原理で努力をして、その余った分はインセンティブを与えるという意味でメーカーに渡すということも私は一つの考え方だと思っています。
 しかし、その中で、今委員御指摘のようなそういう問題点も私はあるような、そういう認識も持っております。ですから、おっしゃったように、そこのところはよくメーカーとも話をしながら、お金がうまく生きていくか、そして、実際に払われたユーザーの方々の納得が得られるか、こういうことは検討をしていく必要があるのではないかな、こういうふうに思います。
松原委員 私、冒頭言ったように、ユーザーが理解をするということは、これはもう地球環境やリサイクルが大事だというのはだれもわかっているんだ。ユーザーが納得しないですよ、これ、今の話では。それは、もう自車方式云々じゃなく、自分の車のそれはリサイクル費用だと思ったけれども、そうじゃないケースも出てくるわけだから、そうなったら。余った分がほかに回されるとか。それはやはり説明をきちっとしてもらわないと、これはアカウンタビリティーの問題だから、そこがはっきりしていないところに今の政治のさまざまな問題もあると言われているぐらいですから。
 これから少なくともつくろうとしていて、しかも、ある種、時代と逆行とは言わぬけれども、こういうものをつくってやろうということ自体、やはりどうかな、天下りが来るんじゃないかなとか、そういうふうな既に問題点の可能性があるわけですよ。
 そういうときに、こういった、不透明とは言わぬけれども、はっきり言ってまだ精査されていないような領域があるというのは、僕は甚だ法案としては、もうちょっと頑張ってもらいたいな、こう思うわけなんですね。
 それで、先ほど、新車を買うときに預託する、こういう話でした。中古車の場合は最初の車検時、こういうことですよね。そうすると、中古車を途中で買った人間というのは、当然、リサイクルのコストは、車を使用するけれども払うことはないわけですよね。そうですよね。もちろん、新車で預託されたものを中古車で買った人間も、それはリサイクルのための費用を払わないわけですね。それは、だって、自動車メーカーが負担しているんじゃなくて個人が負担しているんだから。
 そうすると、哲学的な議論なんだけれども、要するに、自動車を使っている人間の中で、ある人は預託金を払って、そしてそれはなくなる、ある人は預託金を払わずに自動車を乗り続けられる、これはフェアな原則に反するという議論もあると思うんですが、なかなか難しいと思うけれども、この辺はどういうことですかね。
岡本政府参考人 リサイクルの費用は新車購入時に最初の購入者の方々が負担するわけですが、それが中古の市場で転々流通する場合には、リサイクル料金を負担したものということがわかるような形で流通する、そういう工夫を私どもメーカー等に考えてもらいたいというふうに今期待を申し上げておりますが、いずれにしても、そういう形で譲り受けた方々もリサイクル料金をこの車は負担した車、そういう前提で相応の価格、その部分見合う価格を含んだそういう中古車の価格で譲り受けるということになろうかと思いますので、そういう形を通じて中古の譲り受けたユーザーの方々もリサイクルの費用を応分に負担していただくということになろうかと思います。
松原委員 用意した質問がかなりまだ残っておりますが、最後に、現在、自動車関連の税金が、試算によりますとトータルで九兆円というふうにも言われております。そういう中で、さらなる消費者に対してリサイクル費用を徴収するというのは、特に自動車の税金の中にはいわゆるぜいたく税の費目として計上されたものもあるわけでありまして、この九兆円、もう今は自動車はぜいたく品ではないわけでありまして、法の趣旨からいくとちょっと違う時代状況に入っているだろうというふうに私は思っております。
 そういった意味では、九兆円を運用することによって、例えば、今二万円とすれば一兆四千億ということでありますが、こういう部分にこれを充当することはできないかというふうなことが、特に今不景気でありますから、やはり新しく事実上の、増税とは言わないけれども、増税的な色彩があるわけですよ、ユーザーにしてみれば。
 そういった意味では、こういった部分での、自動車関連の税金の中でこれを考えるということが可能ではないかと思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
古屋副大臣 委員の御質問の趣旨は、自動車の関連税制の一部を活用したらどうかといった御質問だと思いますけれども、この法案は、いわゆる三品目ですね、これを実際リサイクルするための料金設定をメーカーがするということでありますから、そのメーカーがある一定の金額を指示いたしますと、新車を買うユーザーは、その金額をやはり判断基準として買うことになると思いますね。そうなると、やはりメーカーとしてはできるだけ安く設定する。安く設定するためには、いかにリサイクルをするときのコストを安くしていくか。そのリサイクルの容易性の高い自動車をつくっていく、ある意味で技術革新のインセンティブが働くわけでありまして、税金でやるということになると、そういうインセンティブはある意味では働かないということになると思います。
 それからもう一点。現状でも、実際に車を処分、廃車をするときには、使用手数料としてお金を、排出する実際の当事者が払っておりますので、そういう意味では前倒しでいただくという考え方もできるかと思いまして、そういったことから、私どもとしては、自動車関係の税制をこれに活用するということは好ましくないということで今回の法案を提案させていただいた次第でございます。
松原委員 これはこれで確かにこういうたぐいのものですから、それは別にきちっとやった方がいいだろうという議論もあるし、自動車メーカーがそれによってインセンティブが働くというのは、それは大事なことですが、ユーザー側からすればそれはまた別の議論なので、それは余りごっちゃにするのは適切かどうかという気もいたします。
 そうであるならば、やはりユーザーサイドのことも、これは経産省が考えることかどうかわかりませんが、いわゆる税金的に結果的に取られる、お金はお金で色がついていませんから、そういった意味ではこっちの富裕税の部分を見直すとか、本来であればそういったことも含めて検討しないと、少なくとも、ぱっと目に見えるところでは、こっちはそのまま、さらに新しくお金を取られる、これはもう現実の現象がそうなんですから、そこはぜひ検討をしてもらいたいな、私はこういうふうに思う次第であります。
 質問時間が参りましたので以上で終わりますが、これは内容的には重要な法律案だと思っております。しかしながら、ユーザーの了解というか納得を得るには、私はまだ十全なものになっているというふうには思いませんから、一層の努力をお願い申し上げたいと思います。平沼大臣、最後に御決意を。
平沼国務大臣 今松原委員も御指摘いただきましたように、二十一世紀は、環境をいかに克服するか、この大命題がございます。その中で、冒頭の松原委員の御指摘もありましたけれども、家電をやっていく、その他の廃棄物をやっていく、そして自動車、こういうことで仕上げの法律でございます。
 いろいろな御指摘をいただきましたけれども、私どもとしては、さらにいろいろな検討を加えて、そして国民の皆様方に納得をしていただく、そういう意味では、私どもとしては、これはぜひやらせていただかなければならない法案だ、このように思っております。
松原委員 終わります。
谷畑委員長 中山義活君。
中山(義)委員 おはようございます。
 今、平沼大臣から大変格調の高い御答弁があったというふうに思うのです。それは、一つは、不法投棄が多いから、不法投棄をなくすために今度の法律をつくったんだという、そんなちっちゃいものじゃないわけですね。本当にリサイクルが完全に行われている社会をつくるために今回の法律は動き出した、私はそういうふうに理解をしたいのです。
 たまたま、今いろいろな業界で、二万円ずつ取るので、七千万台だと一兆四千億円、これがひとり歩きしているのですね。ですから、これは今後の課題として、もうちょっとしっかりとした説明をしていかないとよく理解ができないわけですよ。
 例えば、不法投棄が多い、年間で二万七千台だと。二万七千台で二万円なら、それを計算すれば、掛ければ六億ぐらいじゃないかとか、何でそんなに一兆四千億円も集めるんだとか、いろいろな論議がされているわけです。また、シュレッダーダストにしても、それを売ったらこの程度、とても一兆四千億円なんかは必要ないじゃないか、いろいろな論議があります。
 また、車で、先ほど言いましたように、消費税並びにぜいたく税、取得税みたいなものを取られて、さらにガソリン税を取られて、さらに今度のお金が上乗せされる。しかも将来は、CO2を出さないために、炭素税なんかも出てくるんじゃないか。こうやると、もう自動車を買うのにがんじがらめで、税金から将来のリサイクル料まで取られてしまう、こういう社会になるのではないかという心配があるわけですね。そこで、やはり経済産業省に大きな理念というものがなきゃいけないのですね。
 だから、もう一度、リデュース、リユース、それからリサイクルという問題を思い出してもらいたいのですが、例えば家電の場合は、最終に処分するときにお金を取る、これはなかなかちょっとうまくいっていなくて、不法投棄が多いということで、いろいろやってみたときに、今回いろいろなアイデアが生まれたんだと私は思うのですが、不思議に、静脈産業というのは、過去には自分たちが独自にやっていたものが随分あるわけです。
 例えば紙ごみがありますね。東京ではよく、紙のごみは四百万トン出ていると言われたんです。実は、八百万トン近く出ているのです。そのあとの四百万トンは何かというと、業者が古紙パルプにしているわけですよ。だったら、あとの四百万トンも全部古紙パルプにすればごみなんか集める必要ないじゃないか、こういう論理になりますが、実は、古紙パルプに四百万トンしたけれども、もうそれ以上売れないのですね。要するに、再生したものが売れないのです。だからある程度限界がある。だから、あとの四百は燃してしまうとか、そういうことになるわけですね。
 今回のことも、本当に今度のシステムで静脈産業というものがしっかり育って、日本のリサイクルというものを確立する。しかも、静脈産業がもうかって、ちゃんと利益を上げて、税金を払って、会社に入っている人たちがそれなりの給料をもらって、社会一般の大企業と同じように稼ぎがある、こういうふうに育てないとまずいと思うのですね。
 ただ、今までは、よく逆有償だ何だかんだと。有償のうちは、これはごみじゃなくて資源。ところが、逆有償になると、これは経済産業省から厚生省へ行ったりするのですよね。こういうようなおかしなシステムもありますので、ここは、静脈産業を育てるという大きな目的で新しいことをやっていくんだというその意欲を、まず大臣からひとつお示しをいただきたいと思う。
平沼国務大臣 中山委員御指摘のように、確かにこの問題というのは、大きくとらえて、いかに環境を克服して、そして循環型社会をつくっていくか、こういうことが法律の私は趣旨だと思っております。
 御指摘のとおり、循環型社会の構築のためには、静脈産業をしっかりと確立することが大前提だと思っておりまして、本法案におきましては次のような措置を講じさせていただいているところであります。
 まず、既存の自動車リサイクルシステムに関しては、それが最終処分費の高騰や鉄スクラップ価格の低迷等に起因して機能不全に陥っている現況に対しまして、使用済自動車が関係事業者間をおおむね有価で流通する環境を創出することによりまして、その機能の再生を期していかなければならないと思っています。
 次に、現在リサイクルがほとんど行われていない大量のシュレッダーダストあるいはエアバッグについては、今後、自動車メーカー等がその引き取り及びリサイクルを行うことになるわけでありますけれども、そのためにはシュレッダーダスト等のリサイクル施設の整備が当然必要になるわけであります。経済産業省といたしましては、今後、他省庁、環境省とともに、リサイクル基準の検討を踏まえまして、所要の支援措置等を行って必要な整備を適切に推進していかなければならないと思っています。
 また、使用済自動車に係る中古部品市場が活性化することも重要であると思っておりまして、現在、自動車解体業者などの関係業界及び有識者から成る検討会を設けて検討をお願いしているところでございまして、中古部品の品質表示や保証内容のあり方などについて今御提案をいただいているところであります。
 さらに申し上げますと、本法案においては、国は、その責務として、使用済自動車の再資源化等に関する研究開発の推進等について必要な措置を講ずるように努めるべき旨を規定しておりまして、かかる責務規定を踏まえまして、シュレッダーダストのリサイクル技術の開発に対する助成でございますとか、自動車のリサイクルに必要な整備に対する金融でございますとか税制上の支援措置、これを御指摘のように当然に行って、そして静脈産業がしっかりと育つようにしなければならない、このように思っております。
中山(義)委員 幾つかあると思うんですが、リユースの問題としては、今中古市場の話が出ました。これは、国内でいつも必ず、古紙パルプなんかでも限界があって、もう国内では売れない、輸出をするということが、やはり一番ぽっと発想が出ると思うんですが、ハンドルの位置の関係、左ハンドル、右ハンドル、いろいろありまして、日本の車が必ずしもすべての外国で通用するとは思われませんが、日本の中古車が七〇%ぐらい走っているという国もあるようでございまして、そういう面から見ますと、日本の中古車というのはまだまだ輸出ができるのではないか。その辺にもっと視点を持ってもらって、できる限り何回も使っていくというような視点をちょっとお聞きしたいんですが、輸出に対する対策とか、そんな発想を持っているかどうか。
岡本政府参考人 先生御指摘のように、国内では商品価値として低下している車も海外では十分使用可能、そういうケースもございますものですから、海外で使われるということは、長期使用ということに資するというふうにとらえることができるかと思います。
 他方で、海外でそういう形で一定期間使った後、最後はリサイクルという処理に回るかと思うのですけれども、その場合に、日本の国内におけるのと同様のリサイクルが海外で十分行われるだろうかという点について若干の疑問なしとしないところもございます。そういう御指摘もあるところでございます。
 したがいまして、中古車の輸出に関しましては、私ども、基本は、市場原理に基づいて行われるべきものではないかというふうに考えておりまして、この法案の中におきましては、中古車輸出を特に積極的に促進するという措置を講ずるものではございません。もちろん、他方で中古車輸出を抑制するという措置も同様に講じないということにいたしているものでございます。
中山(義)委員 どっちかといえば、経済産業省が、新しい社会というので、リサイクル、リユース、リデュースを言ってきたわけですよ。だから、まずそういうところから入っていかなきゃいけないじゃないかということを言っているんですね。
 それからもう一つは、今の車の十年という、今後リデュースという面から見ていった場合、耐用年数を十年と決めていますが、今の車というのは、やはりデザインからいって、いや、五、六年でかえないとどうも今の生活様式からいってとか、または、逆に言えば、今後、もうそろそろ車も、あとつけるといったらパソコンぐらいでしょうね、いろいろな新しいものは。そうすると十年以上もつんじゃないかとか。
 今の十年という決め方ですが、もっと長く使う、そういうような観点というのもあり得るかもしれないので、その辺はいかがなんでしょうか。
岡本政府参考人 今、平均的な使用年数ということを乗用車で見ますと、二〇〇一年で、日本の場合、乗用車で十・四年、トラックで十・六八年、バスで十三・七二年ということになっております。アメリカの乗用車の平均車齢というのは、日本の六年に対して、アメリカの平均車齢は一・五倍の九年ということで、日本の自動車に比べて随分長く使っているというのが今の実情かと思います。
 私どもといたしましては、従来から、自動車を資源有効利用促進法の指定省資源化製品に指定をして、耐久性の向上等を通じて自動車の長期使用を図る措置というのを講じてきておるところでございますが、本法案におきましても、自動車の長期使用に向けた取り組みを自動車メーカーの責務として規定をしているところでございます。
中山(義)委員 そうすると、いよいよこのリサイクルということになりますが、車のリサイクルにも、最後のシュレッダーダストの使い方ですね。私たちも前回、新エネルギーの問題をやりました。そのときに、廃プラ発電であるとかごみ発電であるとか、いわゆるリサイクルの仕方にも、マテリアルリサイクルとサーマルリサイクル、要するに熱にかえて電気で売っていくというリサイクル、二つの方法があると思うのですが、端的に言いまして、頭にあるのはどっちなんでしょうか。またそれは、どっちでもなくて、これから考えていくというのか、その辺ちょっと正しいあれを示していただきたいと思うのですね。
岡本政府参考人 この法案におきましては、サーマルリサイクルについてもシュレッダーダスト等の再資源化の一つの方法として認めているところでございます。
 許容されるサーマルリサイクルの具体的な範囲なり態様につきましては、マテリアルリサイクルをサーマルリサイクルに優先するとの循環型社会形成推進基本法における基本原則を前提としつつ、平成九年に当時の通産省が定めました自動車リサイクル・イニシアティブにおける、二〇一五年におけるリサイクル率九五%、それを達成するという目標や関係の業界におけるリサイクルの実施状況、それから技術の動向、そういったこと等を踏まえながら今後鋭意検討してまいりたいと考えております。
中山(義)委員 マテリアルが当然優先するわけですね。できた商品が商品として社会にやはりこれは通用する商品でなければいけないわけですね、最後、これを売買するという前提で考えると。
 一方、サーマルの方は、これからの電力の自由化に伴って一キロワットアワーで五、六円でできるという、近くに送電設備があるようなところは有効に生かせる、こういうふうに考えられますね。
 我々はなぜこういうことを言うかというと、最後のところでもしお金を生むシステムがあるのであれば、初めから平均して二万円という費用についても、もっと市場原理が働くのではないか、こう思うのですけれども、この辺の理解ですね。
 いや、燃やした方がいいという場合は、例えば送電設備が近くにあるとか、一定の条件によって決まってくるとは思うのですが、深いそういう読みがないと、今なかなか製品にして売るといっても売れないわけでしょう。その辺の比率ぐらいまでやはり予想して考えていくというのは大事なことだと思うのですよ。
 なぜこの委員会の前にエネルギーの問題をずっとやってきたか、それは新しいエネルギーとは何かとか、そういう論議をもうしているわけですよ。もっと次元の高い、理念的に言えば次元の高いことを国会でやっているわけですよ。
 ですから、私どもは、今回の問題については、最終的に処分したシュレッダーダストをどう活用していくかという大きな問題、または、タイヤにしても電池にしても、いろいろなやり方があると思うのですが、最後、お金を生むような方式というのをやはり編み出さなきゃ、経済産業省がこれを編み出したというところで、まだ具体的な答えが返ってくるかどうかわからないのですが、局長からは具体的なお話で、大臣からは、ちょっと理念的なお話を聞きたいのですが。
平沼国務大臣 先ほどの御答弁でも、循環型社会を形成する、そのためにはいろいろな角度から検討をすべきだ、こういうことを申し上げました。今御指摘の、そういうシュレッダーダストにしても、あるいはタイヤ、あるいは電池、そういったものをいかに効率よく処理をし、それがまたこういう新たな産業の活力になる、そういった視点も大変必要なことだと思います。
 その際やはり考えなければいけないのは、いかに環境との調和が図れるかということは前提になると思いますが、そういう中で、私どもは、これから幅広い角度で検討をしていかなければならないし、また検討をしていく決意でございます。
岡本政府参考人 先生御指摘のように、シュレッダーダストの処理をどうやって進めていくか、マテリアルが優先、そこは大原則でございますが、同時に、あと、実際にそこで回収したものがマーケットで利用される、あるいは売れる、そこを目指して開発、工夫を凝らしていくというのが非常に大事なポイントかと思います。
 今、金属の回収で、樹脂の部分は防音材にするとか、あるいはガス化溶融炉で溶融することによって金属を回収すると同時にスラグが出ますので、そこから路盤材のようなものをつくっていくとか、それから、銅の精錬メーカーがこのシュレッダーダストの処理ということについても準備をいたしているわけですが、当然ながら銅の原料として利用する。
 そういうことで、メーカーの方々、自動車メーカーはもとよりでございますが、関連をする、シュレッダーダストの処理を業として行うべく準備をされている方々あるいは現に行っている方々が、まさに先生御指摘のように、マテリアルを優先するという中で、マーケットでどういう使い道、対価を得ながら売っていく、その再利用製品のめどが立つだろうかということに向けて今懸命に努力をしていただいているところでございます。
 まさに先生の御指摘の中にもありました、リサイクル料金を一方でできるだけ低減するということをにらみながら、あわせて、シュレッダーダストをマテリアル優先という中で極力効率的に処理していく方策というものを、関係の事業者の方々の努力を促すべく、私どもも引き続き十分に注意を払ってまいりたいと思っております。
中山(義)委員 これは、先ほどからいろいろ言われているように、基本は、税金を使わないでメーカーに預けるという形ですから、要するに、形としては民民ですよね。役所は絡んでいないというふうに見るわけですね。
 だとすると、やはりできるだけコストを下げるためには、その自動車メーカーからずうっと続いてきて、例えば最後のリサイクルをするところまで、このリサイクルをするところが、本来は自分たちの力でもうかっていて少しでも安くできれば、当然一番初めに預かる金額だって安くなるし、その安い値段というのは当然競争原理が働いて、他社よりも少しでも安くするということによって自分のところの車が売れる。
 自分のところの車を売って、最後の段階に行ったときにやはりうまくできたという、それは、最後に、今言った完全にマテリアルが先行するんだということともう一つは電力に変えていくということ、この辺も確かに優先はするんだけれども、電力というのも有力な資源であることは間違いないんです。この辺のコストの差というのは計算を実際されたことがありますか。
 もし、廃プラ発電でやる、ごみ発電でやる、その場合にはこれだけの有益な金額が入ってくる、しかもそれは、例えば条件があってもいいんですよ、送電線が近くにあったという条件であればサーマルリサイクルは極めて有効だとか、そういうことはありますか。
岡本政府参考人 今先生が御指摘になられましたようなケースについて、突っ込んだ勉強というようなものは、私ども、これまでのところはいたしておりません。
 先ほどお答え申し上げましたように、私ども、自動車についてマテリアル優先ということですが、もう先生御案内のように、自動車は、金属、鉄の部分あるいはアルミの部分というのを結構大量に含んでいますので、マテリアルの回収というのは率も相当高うございます。
 それに加えまして、サーマルは、一定程度はやはり許容されてしかるべきというふうに考えておりますので、そういう考え方を関係の事業者の方々にお示しする中において、具体的な処理プラントのロケーションによって、まさに先生がおっしゃったように、仕上がりコストというのが大きく違ってくるというところもありますでしょうから、マテリアルを優先しつつも、しかしサーマルも許容する、そういう考え方のもとで、できるだけリサイクルの率を高め、かつ経済性というものを十分重視したそういう具体的なリサイクルの処理計画というものを、関係の事業者の方々が突っ込んだ検討をしていただくべく、私どもも一緒になって考えてまいりたいと思っているところでございます。
中山(義)委員 私は、とにかく逆有償の部分だけでいわゆる静脈産業を支えている人たちが損をしてしまう、実はそうじゃなくて、何かほかにもうちょっとうまい活用の仕方があれば、彼らは、何も二万円取らなくても、業者として十分できるのではないかという問いかけをしているわけであります。メーカーでも、二万円をできるだけ取らないで一万円ぐらいでやっていくとか、これは本当にユーザーにとってはこれから大きな負担になると思うんです。
 車にかかわる税金は、さっき言った消費税とか取得税とか重量税とか、またはガソリン税とか、特定財源みたいなものも随分あるわけですね。原子力発電でもよく言われるのが、立地法や何かで払われているいろいろなお金が結構ずさんに使われているというような例もありまして、もっとうまく使ったらいいんじゃないか、今国にある、使っているお金をもっとうまく活用できないかということも随分言われているわけですよ。
 ですから、車に税金をかけることによって車の販売台数が減って、日本の経済にとんでもない大きな問題点を残すのではないかということを心配しているので、最終的に、今言ったサーマルとマテリアルの問題というのは新エネルギーのときも随分問題になりましたけれども、この辺の理念を本当に、サーマルも実は新エネルギーをつくって、これは非常にすばらしいリサイクルなんだ、そういうような視点があればもっとうまくやっていけるのかなという気もするんですが、大臣、この間のエネルギーのときに、新エネルギーはCO2をできるだけ出さないという前提だった。しかしながら、一キロワットアワーが十七円、十八円ではやはりなかなか買い切れないと、その差額は国家が補償しろとなるわけですね。
 ですが、廃プラ発電で非常に高温でやってCO2を出さないような状況であれば、それはやはりリサイクルとしてかなり意味のあるものだし、それを電気の需要に変えていくということもかなり有効だと思うんですが、この辺の理念をもう一度、エネルギー問題としてもお話をいただきたいと思うんです。
平沼国務大臣 私は、ある意味では御指摘のとおりだと思っております。
 これも中山委員の今の御意見の中にありましたけれども、やはり環境をいかに保全するかということが我々としては一番留意しなければならないところだと思います。したがって、廃プラ発電に関しましても、高温で、そしてCO2の排出が少ない、こういうようなことでしっかりとして技術的な担保ができましたら、当然、今おっしゃったようないろいろな形でインセンティブを与えるために、選択肢の一つとしては意味があることだ、そういう総合的な判断の中で、いかにユーザーの負担を少なくする、そういうことも同時進行で考えていかなければならない、私はこのように思っています。
中山(義)委員 この法律においてはそういうところは何か規定していますか。最終的な使い方については、リサイクルという意味合いについては、いろいろなリサイクルがあるという幅広いものなのか、それともマテリアルしかいけない、そういうあれなのか、その辺はいかがですか。
岡本政府参考人 法律におきましては、マテリアルを優先しつつも、サーマルも許容するという考え方で御提案を申し上げているところでございます。
中山(義)委員 そうすると、法律の中では、サーマルリサイクルも活用していくということでいいわけですね。業者の方がある程度選びながら、そこには、少しでもユーザーの方に余り負担をかけないように、ある意味では安い設定ができて、新車を買うときにこのくらいの安い設定でできる。
 要するに、私たちがさっきから言っているのは、競争原理、国が二万というお金をぽっとつけて何か競争原理がなくなってしまうようなイメージをみんな持っているわけですよ。しかも、一兆四千億円というお金がもうひとり歩きしちゃっているんですね。九兆円も今まで車で負担をかけておいて、今度また一兆四千億円もということがあるので、実はこの一兆四千億円というのは、必ずしもこの金額じゃなくて、メーカーの努力によってはもっと安くなることがあり得るというぐらいの説明をしっかりしていただきたいんですよ。
 我々は、メーカーを選ぶとき、やはり最後まで考えて、少しでも静脈産業まで考えてくれて、なるべく静脈産業を育てて、なるべくそこで、お金を上げてやってもらうとかというんじゃなくて、そこで本当に企業としてもうかるようなシステムをしっかりつくれることが、やはり今度の大きなシステムの一番大事なところなんですね。
 もし、お金もらったからいいや、税金もらったからいいや、それで、少し補助しちゃおうなんていう形が起きてくるとこの産業は育たないんじゃないかということで、ここは大事な問題ですから、ひとつ、もう一度、いろいろなシステムがあるということも、柔軟性のある考えを持っていただきたい、このように思います。
 あと、先ほどちょっと外国へ輸出の話をしましたが、これは絶対に伸びる方策がないと思っているのか、それとも、日本の場合は右ハンドルですね、相手の国の交通のあり方によっても違いますわね。車がいいからといって、必ずしも全部売れるわけじゃない。だけれども、輸出というのは伸びる可能性はあるんでしょうか。どうですか、それは。
岡本政府参考人 もちろん、中古車の輸出がふえるという可能性はあろうかと思いますが、一方で、先ほど先生の御議論の中にもございましたように、やはり日本の中でも、車をできるだけ長く使おう、そういう方向に向けてのユーザーの方々の意識の変革を含む御努力も進むということもあろうかと思いますので、確実にということは必ずしも言えないんじゃないかと思っております。
中山(義)委員 もう時間もないので、不法投棄のことについてちょっと申し上げますが、これは今まで車両法だとか何とかでかなり厳しくやっていましたね。不法投棄という言葉を何回も出して、不法投棄が多いから今度の法律ができるというような、そういう意味合いもあるようなことを言ったんですが、不法投棄というのはやはり法律違反ですよね、はっきり言って。これはその法律でやればいいので、不法投棄が多いから国民から二万円ずつ取ってこの法律をどんどんやっていくというような、そういう単純な書き方をまずやめてもらいたい。
 これは、どういう意味があるかというのをもう一度考えてもらいたいわけですよ。不法投棄しない、なぜしてはいけないのかというところをやはりもうちょっと明確に出してもらわないと、不法投棄が多い、それから家電もそうですよ、不法投棄が多い、だからこういうふうにお金を取った、不法投棄が多い、また何かでお金を取る、いつもそのやり方でしょう。だから、不法投棄が行われない、それはやはり、罰則や何かについても、道徳的にどれだけまずいことかとか、こういうこともやはりしっかり規定して、罰則についてはある程度の重さがあってもいいと思うんですよね。
 その辺で、今回この法律をやるに当たって、車両法の方でかなり罰則は強くするようですが、車両法でしたっけ……(発言する者あり)廃棄物、その法律では今回は厳しくなるんですか。この法律を出すことによって、同時に罰則の方も厳しくなる、お金を二万円取ることによって不法投棄についても罰則が厳しくなる、これはどうなんですか、この関係は。
飯島政府参考人 放棄自動車に限らず、不法投棄された廃棄物については、これは廃棄物処理法の違反でございますので、これについては厳しく罰する制度が廃棄物処理法でできております。
 今回の自動車リサイクル法が施行されて、それに伴って不法投棄の罰則を強くするのかというお尋ねもあったと思いますけれども、産廃の不法投棄の罰則は、平成九年、平成十二年、年々改正しておりまして、他の環境法関係に比べまして格段に厳しいものになっております。
 今回の自動車リサイクル法の施行の関係では、きちんとしたリサイクルのルートが整備されますので、それを外れたものは明らかに不法投棄物、廃棄物として認知しやすくなります。その認知しやすくなった廃棄物につきまして、廃棄物処理法に基づいて厳しく処罰をしていく、行政処分をしていく、こういう方針でおります。
中山(義)委員 捨てる人というのは、そういう下の方の業者の方が捨てるか、またはユーザーが捨てるかですね。そうすると、メーカーは、捨てられた車についてはどういう責任を負うんですか。
 例えば、エアバッグであるとか、それからシュレッダーダストだとか、あとはフロンですか、こういうものに対してはある程度メーカーはそういう規定があるんだと思うんですが、車が捨てられたというのは、最終的にはだれの責任であって、やはりメーカーの責任も実は問われるんですか、不法投棄されたときに。
飯島政府参考人 現在の状況でございますけれども、廃棄物が不法投棄された場合には、もちろん不法投棄実行者の責任になります。ですから、都道府県知事は、あるいは市町村長の場合もございますが、不法投棄実施者に対して、そこを改善するような措置命令をかけます。
 問題は、措置命令をかけた相手が見つからないとか、あるいは措置命令をかけた相手の会社が倒産してしまったとかお金が払えないといったときに、生活環境の保全に支障が生ずる場合は、都道府県知事が行政代執行で片づける、こういう行為をするわけでございます。
 ですから、現状の段階では、まず第一に、排出者、不法投棄実行者、それを補完する役割として、地域の生活環境保全の立場から、都道府県知事や市町村長が措置をとる、それに対して後で求償することは可能である、こういう仕組みが廃棄物処理法の中に規定されているわけでございまして、自動車リサイクル法が施行されれば、その不法投棄に対する行政代執行の費用についても支援する制度というのを考えているところでございます。
中山(義)委員 そうすると、今度はもし二万円を平均取った場合には、メーカーもそれなりの責任を負う、負うというか、プールしたお金の中からそういうものを処理する費用が出せるという理解でいいんですか。
古屋副大臣 今般の法案が成立をさせていただいた場合に、剰余金が出ますので、この剰余金が出た場合には、そういった大量に放棄をされている、よく街道筋を走っていますと山積みになっているような車がございますけれども、不法投棄、こういったものの処理は、この剰余金を使って処理をすることができるというふうになるわけです。
中山(義)委員 ちょっと剰余金について確認だけしたいんですが、剰余金は、例えば外国の車を日本で買った、そして外国に戻っちゃったとか、または輸出したときにそれが戻ってくるとか、副大臣、そういう意味ですよね。いわゆる剰余金といったって、お金をちゃんと一台について幾らともらっているわけだから、剰余金というのは本来は出てくるわけじゃないんだけれども、今言った輸出だとかまたは外国に行った者とか、そういうところから出てくるんですか。ちょっとその辺だけ確認。
岡本政府参考人 剰余金の発生事由は、大きく三つあろうかと思っております。
 一つが、中古車で輸出された場合に返還するということにしておりますが、携行品輸出という、ロシアの船員の方々なんかが持ち帰ったというような場合には返還請求がないということが考えられます。そういう場合に剰余金が発生するのが一つでございます。
 それから二つ目は、スクラップの原料にするために廃車がらで輸出をされて、その場合には、シュレッダーダストの処理の工程というのは不要になりますので、その関係で剰余金が発生する。
 三つ目は、フロンの回収・破壊をやっていただくわけですけれども、去年の国会で成立をしておりますフロン回収・破壊法においても、一部回収フロンの再利用というのが認められているわけですけれども、その場合には、フロンの回収・破壊費用というものをお支払いしないということになりますので、その関係で発生してくる、この三つが剰余金の発生事由でございます。
中山(義)委員 今お話しのとおり、剰余金の発生がある程度可能性があるということなんですが、副大臣、例えば離島やなんかに今ありますわね、軽自動車か何かわあっと積んであって、それからいろいろな地域を見ますと、道路側に赤さびて本当に哀れな自動車がある。こういうものが法律によって日本からなくなるという面では、剰余金というのはやはり、もし生まれてくるのであれば、活用さえ問題がなければそれは悪いことじゃないと思うんですが、副大臣、日本全国からそういう車がなくなる、日本にはそういう廃棄された山積みのものがなくなる、こういうような御答弁をいただければ今度の法律は喜ぶと思うので。
古屋副大臣 今岡本局長からも答弁をさせていただきました剰余金、これは初年度から出ることがあるわけでございまして、特に輸出をされている場合ですね。その場合、十億から数十億という規模でございますので、かなりまとまった金額だと言うことができると思います。そういったときに、大量に放棄をされている自動車の処理、廃棄自動車の処理に私は有効に活用することができると思いますので、今後、この剰余金の活用というものをそういうところに向けていきたいと思っております。
 また一方、一台一台放棄されているような自動車、現状でも、いわゆる路放協がございますので、ここで処理をされておりますので、両方のシステムがうまく有効に機能することによってこういった放棄自動車対策が推進されていくことを期待いたしております。
中山(義)委員 時間ですので最後に申し上げておきますが、エネルギーのときもそうでした、効率性、安定性、供給の安定ですね、それからCO2をなくす、これは、ある意味では全部の法律に言えるんじゃないかと思うんですね。
 ただ、今度の場合は、一兆四千億円というお金がひとり歩きするというようなこともありますので、この法律によって本当に静脈産業というものが生き返って、日本はちゃんとしたリサイクルができる国だというふうに仕上げてもらいたいんですね。
 さっきからずうっと言っているんですが、リユース、リデュース、リサイクルの問題でも随分、二年か三年前からずうっと大臣ともお話をしてきた。ここはやはり最後の締めぐらいに思って、この法律によって日本のリサイクル事業は完成される、日本の国の中には赤さびた車だとかタイヤが山積みにされている、もうこういう危険性はないようにする、このように最後大臣から決意を述べていただいて、私の質問は終わりたいと思います。
平沼国務大臣 この自動車リサイクル法案というのは、日本のいわゆる産業廃棄物、それを総仕上げ的にぴちっとけりをつける、そういう意味で私どもは御提案を申し上げています。
 ですから、当然、おっしゃったようなことを我々としては目標として、全力を尽くしていかなければならないと思います。
中山(義)委員 終わります。
谷畑委員長 鈴木康友君。
鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。
 まず初めに、私は、この法案の出てきた前提となる背景から御質問をしたいと思います。
 この自動車リサイクル法のいろいろな議論をしていても、なぜこれが必要なのかというときに、今中山議員も話しましたいわゆる不法投棄の問題、これが深刻だからこういうリサイクル法をつくらなきゃいけないんだ、あるいは、循環型社会基本法の流れの中で、使用済み製品のいろいろなリサイクル法が出てきた、その流れの中で、自動車も例に漏れずやらなきゃいけない、これがいわゆる最後の大物であるといった議論もありますし、いろいろな背景となる理由が述べられます。
 私は、今回のこの自動車リサイクル法については、自動車リサイクルというのは、今まではかなり、ほかの製品に比べれば、リサイクルというものがビジネスのベースとしてうまく機能してきたということが言えると思うんですね。そうした中で、いわゆるシュレッダーダストと言われる最後の最後のごみでありますが、これの埋立地がもう限界に来ている、結局、埋立地がないから多額のお金を、費用を払わないとそれが処理できない、それがどんどん川上に回ってきて、今までうまく回ってきたこのリサイクルというものがうまく機能しなくなってきたということ、ここが私はこの自動車リサイクル法が必要になってきた一番のポイントだと思うんですね。その辺のまず御認識を明確にしていただきたいというふうに思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 御指摘のとおりでございまして、昨今、産業廃棄物最終処分場の逼迫が進行しておりまして、シュレッダーダストの極小化はより喫緊の課題になっている、これが背景として一つ大きくあります。
 また、最終処分費というものが高騰しておりまして、首都圏でトン三万円前後と、五、六年前の水準と比較しますと二倍以上に相なっております。鉄スクラップ価格がトン一万円を切る水準で低迷をしておりまして、こうした状況に起因して、従来の自動車リサイクルシステムはある意味では機能不全に陥っている、不法投棄、不適正処理の懸念というのが増大していることが背景にあるわけであります。
 本法案は、このような状況を踏まえまして、自動車メーカー等を初めとする民間事業者の活力を最大限に生かしまして、適切な公的関与を行うとの基本理念のもとに、関係者の役割分担、リサイクルに要する費用の負担などについて定めて、使用済自動車のリサイクル等を適切かつ円滑に実施する、その新たな仕組みを構築する、こういうことでございまして、御指摘のとおりの問題があります。
鈴木(康)委員 ですから、言ってみれば、どうしてもここは法律で定めて処理をしていかなきゃいけないという部分についてやるということで、今回、三品目になったと。この中でも、私は、やはりシュレッダーダストが一番大きな問題だろうと思っていますけれども、その方法については、私はこれは了としているところであります。そういう意味で、これからちょっと中身について順次御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この費用負担のあり方の問題ですが、非常にここは議論の分かれるところであります。当初、自動車工業会さんなどは、いわゆるリサイクル費用を排出時に負担すべきであるという御主張をされていたり、家電リサイクルなども、指摘するまでもなく、今排出時負担ということになっております。私も、排出時負担の方が、いわゆるタイムラグがないとか、いろいろなコスト変動のリスクがないとかということで、一番合理的だとは思うんですね。これでうまくこのシステムが回れば一番合理的だと思いますが、残念ながら、大きな不法投棄の懸念等々でいわゆる前払い式になったわけですね。
 その間の経緯、どういう審議の過程で、どういう意見のやりとりの中で、排出時負担から前払いの方に決定してきたのかという、まず、その議論の過程をお伺いしたいと思います。
古屋副大臣 委員御指摘のように、この費用の徴収時点につきましては、産構審あるいは中央環境審議会等々でいろいろな議論がございました。確かに、排出時に徴収をしたらどうかという意見もあったのは事実でございます。
 しかし、たび重なる関係者からのヒアリングあるいは検討の結果、まず、排出時に徴収をするということになりますと、車というのはそもそも大きいですから、その影響というのが非常にある。特に不法投棄をされますと非常に大きい。排出時に徴収をすると、そういった不法投棄をむしろ助長してしまう危険性があるのではないかという意見がございました。これが一点でございます。
 それから、購入時あるいは車検時に徴収をするということになれば確実にそのリサイクル料金を確保することができる、こういった視点がございまして、最終的にはこういった形で決めさせていただいたということ。
 また、御指摘のありました家電リサイクルでは排出時に徴収をいたしておりますけれども、家電の場合は、もう委員御承知のように、ユーザーが直接排出をいたしますので、車のように流通はいたしませんし、また、三億台とも言われている家電がございますので、やはり排出時に徴収をするのが現実的であろうということでやったわけでありまして、その背景はこの自動車の場合とは異なっているということを御理解いただきたいと思います。
鈴木(康)委員 私も、今回この法案を審議するに当たりましていろいろ考えてみました。例えば、今度車両法も改正されましたけれども、廃車の手続のところを厳重にするとか、いろいろな方法によって出口のところでしっかりと監視をすれば、あるいは、ドイツで行われているように、不法投棄なんかして行方がはっきりしなくなったら自動車税をかけ続けるとか、いろいろな方法によって排出時の処理でもいけるんじゃないか、そちらの方がある意味で合理的じゃないかという気持ちはいまだに残っているわけでありますが、今回、いわゆる前払いの自車充当方式ということになりましたので、その観点で後ほどその仕組みについても御質問したいと思いますが。
 私は、自動車税についてちょっと大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
 先ほど同僚議員の質問にもありましたけれども、今、自動車関係諸税というのは大変にいろいろな税金がありますね。取得税があったり、重量税があったり、自動車税があったり、さらにガソリンにかけられる地方道路税があったりとか、本当にいろいろな形で税金が取られている。私は、非常に負担が重くていびつな税体系になっていると思います。
 ですから、いずれこれをきちっと整理して、例えば暫定税率を正すとか、もっと負担を軽減する方向に持っていかなければいけないというふうに個人的には考えているんですけれども、経済産業大臣としてその辺どういう御見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 自動車諸税というのは、数え上げますと九種類あるわけでございまして、御指摘のように非常に複雑でありまして、また負担水準が高い、こういう指摘がなされていることも私どもはよく承知しております。
 経済産業省といたしましては、自動車産業の健全な発展、それから環境負荷の小さい自動車社会の構築でございますとか、負担者である自動車ユーザーにとっての合理性の確保等の観点から、自動車諸税のあり方については、御指摘のように、やはり不断に見直していかなければならないのではないか、こういうふうに思っています。
 ただ、一方、自動車諸税のあり方については、今申し上げたような視点に加えまして、それを財源としている地方財政がございますし、ちょっと御指摘になられましたけれども、道路特定財源、こういった制度とも密接に結びついて、ある意味では非常に関係の広い、すそ野の広がりがあるわけでございます。
 やはりこういった問題点というのは、非常に今国民の間でも問題意識として出ておりまして、いろいろな方面からの御指摘もございます。そういう意味では、経済財政諮問会議等の場におきまして、今、税制改革全体のあり方ということで検討を進めておりまして、私どもも、やはりこういうのは不断の見直しをしながら、どういうことが適切かということはしっかりとやっていかなければならない、このように思っております。
鈴木(康)委員 今御指摘のありました道路特定財源の問題などは非常に悩ましい問題でありますが、いろいろ今言われた九種類の中でも、例えば自動車取得税などはもうそろそろ、私は、こういうぜいたく税的なものは、これだけ国民の足として車が普及した段階で必要なのかどうかという疑問を持っています。
 大臣も今、自動車関係諸税、やはり重いという御感想をいただきましたけれども、そうした中で今回、実は新たにリサイクル料金を新車購入時に負担をしなきゃいけないということになりまして、ある意味で、消費者の側から見れば、これは新たな税負担のような感覚になると思います。ですから、えっ、また何か負担がふえるのかなという率直な気持ちをやはり持つだろうと思うんですね。
 とするならば、例えば、今回この方式でいきますと、リサイクル料金は極めて明快になります。フロンが幾ら、あるいはシュレッダーダストが幾ら、エアバッグが幾らという形で料金明示をされて、支払った料金というものは明らかになりますから、それを支払い証明のような形でもってして自動車取得税からその払ったリサイクル料金、これを減税するとか、そうしたことをすれば、トータルとして消費者のコスト負担にはならないと思うんですね。私は、そんなことも経済産業省の立場としてぜひ御主張いただきたいと思うわけでありますが、その点についての御意見をお伺いしたいと思います。
古屋副大臣 今般のリサイクルに要する費用について、自動車税の減免を活用したらどうかといった趣旨の御質問だと思いますけれども、この法案の基本的な考え方は、三つの品目の処理に対して、自動車メーカーがその処理費用を設定するというシステムをとっております。自動車メーカーが金額を設定いたしますと、ユーザーが車を買うときにできるだけその金額設定が安いところを当然選ぶでしょうから、そういう意味での自動車メーカーでのリサイクルの技術革新はやはり相当進んでいくということを私ども期待いたしております。
 もし、その自動車関係の税金を使ってやるといった場合に、やはりメーカーとしても、リサイクルしやすい車をつくっていこう、そのためにできるだけコストを下げながらつくっていこうという、ある意味での競争インセンティブが働かない危険性が出てくると思います。
 それと、一方では現実問題として、今自動車のユーザーは、最終的にみずからの車を処分するときにある程度の費用負担をしているという現状があるわけですね。そういうケースが相当あります。ですから、ある意味ではその負担時点を前倒ししているという考え方もできるかとは思います。
 今、それぞれの委員からも御指摘がありましたように、やはり二十一世紀は環境循環型社会をつくっていこう、リデュース、リユース、リサイクル、それぞれの関係者が応分の負担と努力をしながら環境循環型社会をつくっていくということが大切だと思いますので、そういった考え方から、今回、新車購入時あるいは車検時に費用負担をしていただくという形にさせていただいたということでございます。
鈴木(康)委員 今、副大臣に御説明いただきました。その御説明も納得できないわけではないんですが、例えばメーカーのインセンティブの問題を考えますと、車というのは今もうグローバルな商品でございまして、ヨーロッパでもこれから厳しいリサイクルの基準がEU指令に基づいてできてまいりますけれども、そうした観点からいくと、国内だけでインセンティブというよりも、全世界でこれからそういうリサイクルの動きの中で、当然メーカーとしてはリサイクル率の高い車をつくらなきゃいけないという、これはもう当然のごとくのインセンティブが働くと思うんですね。
 先ほど私、税の減免の話をしましたけれども、こうしたことをやれば、やはり消費者に対するその効果の与え方が全然違うと思うんですね。新たな負担が追加をされるというよりも、リサイクルはこれから時代の要請だから負担をしてもらいますけれども、その分、税金は引きますよというようなことをすれば、これは消費に与える影響も少ないでしょうし、ぜひそんなことも御検討いただきたい。やはり産業を育成する立場でもありますから、そんな観点もお持ちをいただきたいと思います。
 少し自動車リサイクルの本題に入りたいと思いますが、今回の仕組みというのは、いろいろな役者さんというか役割を分担する皆さんがおられるわけです。メーカーさん、それから引き取り業者、解体業者、破砕業者、いろいろな業界が一本の線となって、その中でそれぞれの役割を果たしていくということで、それぞれがしっかり機能するかどうかということが非常に重要でありますから、この法案をつくるに当たって、そうした各業界の状況あるいは現状というものをきちっと把握をされているのかどうかということが一点と、この仕組みがうまく回っていくためにはどこかに無理が起こってもだめなわけですから、それぞれの業界の方たちがこの仕組みは妥当であるということをちゃんと理解、納得をされているのか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
岡本政府参考人 今回のリサイクルの仕組みには、自動車メーカー、輸入業者に加えまして、引き取り業者ということで、中古のディーラーの方々、あるいは整備業者の方々、それから解体業者、それから破砕業者、たくさんの方々が関係してまいります。
 私ども、審議会のメンバーとして議論に加わっていただくというケースもあれば、あるいは産構審、中環審、それぞれヒアリングを行う、あるいはパブリックコメントについて意見をお伺いする、それから私ども行政の担当者が出向いていって御説明をする、そういう形で、いろいろな機会を通じて皆さんの御意向というものをその都度その都度把握しながら練り上げてまいったところでございます。
 こういうプロセスを経て御提案申し上げておりますので、私どもは、解体事業者であるとかあるいはシュレッダー業者の方々を含めて関係の方々に、今やこのリサイクルの制度の速やかな成立、それから施行というものについて御理解をいただき、あるいは期待もいただいているというところに来ているのではないかというふうに考えているところでございます。
鈴木(康)委員 続いてちょっと関連して御質問したいんですが、今回この仕組みができますと、ある意味で、許可を持った業者さんにその処理が集中をしてまいると思います。オランダでも、同様の仕組みの中で、やはり免許を持った事業者さんに、使用済自動車の八七・六%がそういうところに集中しているという数字もありますけれども、恐らく日本でもその許可業者に処理が集中をする。
 ある意味で、今回の法律というものはそうしていくんだから当然であるということだろうと思いますが、そうした仕組みから逆に漏れていく零細の事業者さんというのもこれはあると思うんですね。特に解体業者さんとか破砕業者さんとか、零細業者さんもたくさんある業界であると聞き及んでおりますし、そういう意味でいけば、許可を受ける業者はいいけれども、そういうところから漏れる零細の業者さんに対してどういう対応をしていくのか。
 それは企業努力だと言ってしまえばそれまでですけれども、やはり私は、そこに何らかの配慮がされなければならないと思うんですが、そういうところに対する配慮あるいは支援措置というものはお考えになっているのかどうか、お伺いをしたいと思います。
岡本政府参考人 許可の点については、先生御案内のとおり、作業の中身というものが周辺の生活環境に影響を及ぼすというようなこともあり得るということで、今の廃掃法におけると同様に、再資源化業者の方々、許可ということにしているわけでございます。
 一方で、今御提案申し上げておりますこの法案の施行によりまして、使用済自動車がおおむね有価で流通するという状態に戻ってくるということになりますでしょうから、解体業者の方々をめぐる経済面での事業環境というのは相当に改善されるというところがあろうかと思います。
 それから、一方で、今先生御指摘の中小零細の業者の方々が多いものですから、それこそ登録なりあるいは許可の基準に対応できるような準備というところが大事になってこようかと思いますので、例えて申しますと、フロンの抜き取り装置については、十二年度の補正予算で私ども応援をするという形でやりました。それから税の面では、固定資産税の減税措置でありますとか、いろいろな中小企業の施策を通じて、こういう方々が登録なりあるいは許可なりの基準に見合うだけの準備体制をこれから速やかに整えていただくということに向けて必要な支援というのをやってまいりたいというふうに考えているものでございます。
鈴木(康)委員 どうしようもない、意欲のない業者さんは別としまして、零細だけれどもとにかく意欲のあるという業者さんに対しては、速やかに許可をとるような、今申しましたような支援措置、ぜひ前向きにやっていただきたいと思います。
 さて、今回の仕組みで最大の争点になってくるのが、この第三者機関を初めとする公益法人の部分だろうと思うのですね。そこで、その点について御質問をしたいと思います。
 今回、資金管理法人と言われる先ほど来問題になっている法人のほかに、情報管理センター、指定再資源化機関という三つの法人が、三つのある意味で機能を持つ法人が想定されていると聞いておりますが、以前に議論をしたときにも、この三つが、三つそれぞれに設立をされるのか、あるいは一つに集約をされるのか、その点が大きな問題になりました。
 私は、個人的に言えば、これは三つばらばらにつくってしまうと、それぞれにやはり肥大化をしていく危険性もありますし、考えてみれば、この自動車リサイクルという一つの目標に向かって機能する法人でありますから、やはり三つを一つに集約すべきだと思いますが、今、どういうふうに今後この法人を想定されているのか、その点、お伺いいたします。
岡本政府参考人 指定法人は、先生御案内のとおり、あくまで申請に基づいて指定するということでございまして、今の時点で、三つの指定業務を一つの法人でということで決め打ち的に申し上げるのは、これは適当ではないと考えます。
 他方で、三つの指定法人の機能ということで見ました場合に、それを一つの法人でまとめてやるということは、効率性という面からは大変望ましいものだというふうにも考えるものでございまして、今後、資金管理業務、指定再資源化業務、それから情報管理業務、それぞれの業務内容というのを、これは一義的には、関係する民間の方々がどういう形で一番効率的にやっていくかということでお考えになられるかと思いますが、私どもも行政の立場でいろいろ相談に乗りながら、効率性ということも含めて望ましい体制というものを民間の方々を中心にお考えいただけるものというふうに期待をしているところでございます。
鈴木(康)委員 先ほど申しましたとおり、私は、できれば一つに集約をするのがいいと思いますので、その意見を再度申し上げておきたいと思います。
 さて、この三つの法人でありますが、やはり一番問題は、一兆円前後の資金を管理することになるこの資金管理法人のあり方であると思います。
 この資金管理法人が巨額の資金を管理するということになりますと、この法人自体の管理コストの問題等も大きな議論になるところでしょうし、ここに参加をするスタッフがどのくらいの規模で、そしてどういう人材がここに入ってくるのか、また、それをどのように集めてくるのかということも重要な点だと思いますが、今どういう御検討段階なのか、お聞かせを願いたいと思います。
岡本政府参考人 資金管理法人の人員の規模、あるいは業務の執行体制ということにおきましては、関係の事業者の方々が今から検討に着手されているところだというふうに伺っておりますが、まだその詳細というのは固まるには至っておりません。
 立ち上がりの時期においてはかなり人数を要するというところもあろうかと思いますが、いずれにしましても、先ほど先生の御指摘にもありましたように、やはり効率的な業務の遂行体制ということは、これは民間の人たちが中心になる団体ですから、当然彼らもそれを第一に考えておりますので、余り大きいものになるというふうには聞いておりません。多分、最大でも数十人規模というものにとどまろうかと思います。
 いずれにしましても、電算システムによる省力化とかアウトソーシングの活用によって、組織のスリム化あるいはコストの最小化が図られますように、私ども行政の立場からも監督し、あるいは必要な助言をしてまいりたいと考えているところでございます。
鈴木(康)委員 先ほど別の質問者の中でも出ました天下りの問題であります。
 公益法人というと必ずこの問題が大きく議論の焦点になるわけですが、今局長からも御答弁いただきました今回のこの公益法人は、いわゆる民民ベースでつくられるものと伺っておりますが、行政委託型の公益法人とはそこで性格を異にするということは私も理解をするところでありますが、しかしながら、さはさりとて、そこにやはり役所から、専務理事等々の肩書を持って何人かの皆さんがそこに入るのではないか、こういう懸念もされるわけですが、そういうことがないということをぜひ大臣から御答弁いただきたいと思います。
平沼国務大臣 先ほど松原委員の方からも同種の御質問がございましてお答えをいたしましたけれども、今おっしゃったように、本法人というのは民間が主体に行うものでございまして、人的構成についても当然民間が主体的に判断を行うものだと思っております。
 したがいまして、私どもは、御懸念のようなそういう状況は生じない、こういうふうに思っております。
鈴木(康)委員 明快な御答弁、ありがとうございました。
 さて、この資金管理法人のあり方をチェックすることがやはり大切だと思うんですが、そのチェック機関として資金管理業務諮問委員会なる組織が今想定をされているわけでありますが、この委員会の位置づけというものは私は大事だと思うんですね。この委員会の委員構成がどうなるのか、そして、この委員会はいかなる方法で、あるいはいかなる権限でこの資金管理法人を監視、監督していくことになるのか、その点についてお伺いをいたします。
岡本政府参考人 この諮問委員会の委員は、法律の九十九条三項において、学識経験者及び一般消費者の意見を代表する者のうちから、主務大臣の認可を受けて、資金管理法人の代表者が任命するということになっております。したがいまして、委員会は、学識経験者あるいは一般消費者の代表の方々から構成するということになろうかと思います。
 委員会の機能としましては、資金管理法人の代表者の諮問に応じて、預託金等の運用を初めとする資金管理業務の実施に関する重要事項について意見を述べる役割を担っておりまして、資金管理業務について健全な運営が確保されますよう、資金管理法人の内部においても第三者の目によるチェックを働かせる仕組みと位置づけられているものでございます。
鈴木(康)委員 ここの役割というのは私は大変に重要だと思います。形骸化をしないように、ぜひ御留意をいただきたいと思います。
 さて、今回、取扱品目というものは三品ございます。シュレッダーダスト、そしてフロン、それからエアバッグ、この三点が、いわゆるビジネスのベースに乗らないものであるから処理費用をいただいて処理をするということになりますが、品目というのはやはり時代によって変わってくるものだろうと思うんですね。恐らく近い将来、フロンというものは消えていくでありましょうし、逆に言えば、自動車のあり方も、今のガソリン車からいずれ燃料電池車のようなものになっていく。そうすると今度は、巨大なバッテリーの処理をどうするかというような問題も出てくると思います。
 ですから、時代時代、状況状況によって迅速に取扱品目の増減というものをやっていかなきゃいけないと思うわけでありますが、その点について、その取扱品目の増減にどう迅速に対応し、それを決定する基準はどのようなものであるかという点についてお伺いいたします。
岡本政府参考人 先生御指摘のとおりかと思います。
 現時点において、いわゆる三品目、フロン、エアバッグ、シュレッダーダストの三品目を増減するということは直ちには考えておりませんが、この法律の施行後、制度が所期の目的に照らして円滑に行われているかについてのフォローアップを行って、リサイクルをめぐるその時々の環境変化も踏まえつつ、必要に応じ、その見直しを含めて検討する必要があろうかと思います。
 先生御指摘の例えで言いますと、カーエアコンの冷媒ということについては、非フロン系の冷媒の技術開発というようなことも今真剣に進められつつあるというような状況もございますので、そういった動向をにらみながら、将来、そのときそのときの状況に応じて必要な見直しを検討していくということにいたしたいと考えております。
鈴木(康)委員 この品目の追加あるいは削除については、政令で指定することになるんですかね。ですから、これは固定化しないように対応していただきたいと私は思うんですね。ぜひその点だけ御留意をいただきたい。
 それから、今の品目の点でいけば、今回、この品目には入りませんでしたけれども、タイヤとかバッテリーというものが議論の対象によく上がるわけであります。特にタイヤは、いわゆる不法投棄が非常に多いということも指摘をされていますし、このタイヤのリサイクルをどうするかということも、今回の法律とは別に考えなければいけない。
 確かに、車の最終処理段階で出てくるタイヤというのは廃タイヤ全体の二割程度である、八割ぐらいはその中間で、タイヤのつけかえでありますとかそういうときに出てくるということでございますが、そうだとするならば、この自動車リサイクル法を議論するのを契機に、タイヤのリサイクルについて考えるべきであると私は思いますが、どういう法体系があるのかということも含めまして、御答弁をいただきたいと思います。
岡本政府参考人 自動車の廃タイヤにつきましては、今先生御指摘のとおり、整備の過程で取りかえる、その関係が八一%、それから使用済自動車の廃タイヤというものが一九%、そういう内訳でございます。
 この廃タイヤのリサイクルということにつきましては、業界の自主的な自主行動計画というようなものに基づくリサイクルというのが進展しておりまして、直近時点で、リサイクル率で八九%というかなり高い率になっております。
 それから、野積みのタイヤの問題というのも、私どもも非常に大事な取り組むべき課題だと考えておりますが、これも、昨年においてはかなり、野積みタイヤの処理が百万本強進んだというようなこともあって、野積みのストック量もかなり減ってきているというところにございます。
 廃掃法に基づくマニフェストというものが昨年から最終の処理業者のところまでちゃんと回るということになったこともあって先ほどのような進展が見られるところでございますが、整備の過程で取りかえの廃タイヤというものが八割、そういう実態もありますものですから、私ども、業界の自主的な今の取り組みというものはそれなりに効果を有しておりますので、今度のリサイクル法におきましては、再資源化の基準といたしまして、解体業者の方々に、しっかりとしたこのリサイクルのルートにタイヤを取り外して乗せてくださいということを求めていくということを中心に対応を考えているところでございます。
鈴木(康)委員 まだちょっとそのタイヤについて、もしその自主的な取り組みがうまくいかなかった場合には、やはり何かリサイクル法というものが、タイヤリサイクル法になるのか、何かのリサイクルの法律に品目として追加するのかわかりませんが、そういったことが必要だろうと私は思うんですね。やはり野積みタイヤの問題というのは今非常に大きいと言われていますので、ぜひまたこれは別の機会にも議論をしたいと思います。
 さて、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、タイヤとともに問題になっているバッテリーについて、どういう状況になっているかを御質問したいと思います。
太田政府参考人 お答えいたします。
 自動車用バッテリーにつきましては、整備過程で出てくる使用済みバッテリー、大体四分の三ぐらいになりますが、も含めまして、平成六年から産業構造審議会のガイドライン等に基づき、電池メーカーがみずから生産した製品の排出量に見合う再生鉛を鉛再生業者から買い取る方式によるリサイクルシステムが運営されております。解体業者等は、使用済みバッテリーを鉛再生業者に売却することでこれまで順調にリサイクルが行われている状況にございます。大体毎年一〇〇%近く回収され、再利用されております。
 ということで、私どもとしては、自動車バッテリーを自動車リサイクル法の指定回収物品に指定する必要は現在のところないと思っておりまして、先ほど申しましたリサイクルシステムが円滑かつ安定的に運営されるよう努力していきたいというふうに考えているところでございます。
鈴木(康)委員 ちょっと時間がもうなくなってまいりました。
 もう少しシュレッダーダストの処理についての御質問などをしたかったんですが、最後に、リサイクルの問題については、循環型社会基本法でも、まずリデュース、いわゆるごみを減らすんだということが最優先、そしてリユース、そしてリサイクルの順でその処理の優先順位というものが決められているわけでありますが、そういうことからいきますと、やはりリユースというものもこれは非常に重要なポイントだろうと思うんですね。
 一つは、車自体のリユース、中古車市場の活性化、今非常に新車以上に中古車が売れているという現状もあるわけですが、この活性化と、もう一つは、非常に日本が立ちおくれているのは中古部品なんですね。アメリカに比べてはるかに市場規模が小さいわけでして、やはりこの中古部品の市場を拡大し、そして活性化をするということが私は非常に重要なことだろうと思うんです。
 最後にその点について御答弁をいただきまして、質問を終わりたいと思います。
大島副大臣 お答えをいたします。
 先生の御趣旨は、自動車の長期使用を促すべきじゃないか、こういう御質問かと思いますけれども、私もそのように、同感でございまして、この法案では、メーカーとユーザーがそれぞれの責務を果たしていく、このことにより長期使用が促進をされる、こういうふうに期待をいたしておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、まずメーカー側の責務でございますけれども、第三条の第一項におきましては、「自動車の設計及びその部品又は原材料の種類を工夫することにより、自動車が長期間使用されることを促進する」よう努めることといたしております。
 また一方、ユーザーの責務といたしましては、第五条におきまして、「自動車をなるべく長期間使用することにより、自動車が使用済自動車となることを抑制するよう努める」ことといたしております。
 以上でございます。
鈴木(康)委員 質問と御答弁がちょっと食い違ったようでありまして、長期使用の問題は、日本は中古市場が今活性化をしているので、むしろその部品、立ちおくれている部品を何とかしてくれということを私はお伺いしようと思ったわけですが、時間が参りましたので、そのことについては意見として申し上げておきまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 生方幸夫君。
生方委員 民主党の生方でございます。
 今の鈴木康友議員の質問にもございましたが、今度の法律については、エアバッグ、シュレッダーダスト、エアコンという三品目に限ってリサイクル法の中に取り込まれているわけですけれども、ヨーロッパでは廃自動車全体についてメーカーが責任を持つという格好になっているわけで、私は、三品目に限らず自動車総体に対して拡大生産者責任というのを果たすべきで、全体に対してリサイクル法をかけた方がより本当のリサイクルというふうになるんじゃないかと思うんですが、その点をまず大臣にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 本法案におきましては、社会的効率性に配慮しつつリサイクルを円滑に進める観点から、解体業者や破砕業者など既存のリサイクル事業者を最大限活用しつつ適切な公的関与を行うことを基本的な考え方にいたしております。
 このような考え方のもとで、自動車メーカーにいかなる品目について引き取り及び再資源化を義務づけるべきかについては、産構審等の場において検討が行われました結果、以下の理由により、シュレッダーダスト、フロン類及びエアバッグの三品目を対象とすることとされた経緯がございます。
 第一に、シュレッダーダストの引き取り・再資源化義務につきましては、最終埋立処分量を極小化するとともに、使用済自動車がおおむね有価で関係事業者間を流通する状況を創出して、もって既存のリサイクルシステムの機能の再生を期す、こういうことが第一であります。
 第二に、フロン類及びエアバッグの引き取り・再資源化義務につきましては、フロン類の回収処理やエアバッグの取り外しは関連事業者にとって最近の新たな対応項目でございまして、かつ、個別の関連事業者においては、フロン類やエアバッグの適正かつ効率的なリサイクルは困難であるために、適切な処理ルートを確保いたしまして、環境負荷の発生を防止するとともに、安全な処理の確保を図るもの、こういう意味がございます。
 なお、三品目以外の他の品目、タイヤですとかバッテリーですとか全般でございますけれども、おおむね有価で有用部品市場等において流通をしておりまして、従来から関連事業者において対応がなされている、または関係業界の自主的な取り組みが行われている、こういうことで、おおむね円滑にリサイクルまたは適正な処理が行われているものと私どもは考えておりまして、今申し上げたような御意見、そういった考え方を踏まえまして、今回このような形にさせていただいたところでございます。
生方委員 日本の場合は、リサイクル業者というのが非常に活発に動いていて、今大臣がおっしゃいましたように有価でそれが引き取りができる。有価でできない部分に関して今回法律の網をかけたというのは、その趣旨はわかるんですけれども、これから先、今は有価で行われているものも有価でなくなってしまう可能性があるものもあるし、我々としては、総体がきちんとリサイクルされる、その趣旨からいえば、自動車メーカーが全体についてまず責任を持って、有価で取引されるものはもちろん有価の方に回して、そうでなくて、お金をかけなければ処理できないものは処理するという、全体に網をかけてやれば、静脈産業も別に、それでかけたからといって静脈産業が廃れるわけではもちろんないわけで、全体に責任を持つという考え方が私はやはり重要なんじゃないかなと。
 この三品目をまず手始めにして全体というのならばいいんですけれども、康友議員も言いましたけれども、いろいろな時代の流れの中で、有価になったり、もともとは自動車総体、中古車そのものが売れたのが、今は我々お金を払わなきゃ処理してもらえないように変わってくるわけですから、いろいろな時の流れの中で変わってくるということを考えますと、やはり全体にかけた方が私は安心ができるかなと。
 ヨーロッパの流れもそういう流れになっているんじゃないかと思いますので、すぐにどうこうということではないんですけれども、将来的にはやはり全体にかけるという方向に向かっていっていただきたいなと思うんですが、大臣はいかがでございましょうか。
平沼国務大臣 この三品目という形に限定しましたのは、今申し上げたような考え方にのっとっております。
 しかし、先ほど来の御議論に出ておりますとおり、これから自動車が進化して、例えば燃料電池というような問題が出てくる、あるいはその他のいろいろな状況の変化によっていろいろな形が想定されます。ですから、今委員御指摘のようなそういう考え方も一つの選択肢だと思いますけれども、いずれにいたしましても、我々としては、これを固定的に考えないで、やはり状況状況に応じてその都度考えていく、こういう基本姿勢で臨んでいきたいと思っています。
生方委員 この法律では、新車の登録時あるいは車検が来たときにリサイクル料金を払うというシステムになっていますよね。実際にそのリサイクル料金が使われるのは十年なのか十一年なのかわかりませんが、かなり先に支払われるということになっていまして、家電なんかで同じような法案ができたときには、処理をするときにお金を払うという格好で、処理料金と払う料金というのはミスマッチはあり得ないで、比較的ユーザー側にも見えやすいんですけれども。
 幾らになるかこれはわかりませんけれども、仮に二万円とかという額を払ったとして、本当に十年後に二万円で済むのか、あるいは一万円で済むのか、三万円なのかというのは、ユーザー側にはわからないわけですね、いわばみなしでやるわけですから。
 私は、本来はやはり最終的に処分をする直前に払うというのが一番わかりやすいシステムだと思うんですけれども、どうしてこれは新車購入時あるいは車検時というふうになってしまったのか、そこをお伺いしたいと思います。
岡本政府参考人 費用の徴収の方法につきまして、当初、自動車業界等は、今先生がおっしゃいました排出時に費用をいただくという家電の場合と同様の方式を考えていたわけですが、議論の過程で、消費者の代表の方々あるいは中立委員の方々から審議会の中で、自動車の場合には、不法投棄がなされた場合の環境へのインパクトがやはり非常に大きいものですから、あらかじめ費用を徴収するという販売時徴収という方法をとるべきだという意見が非常に強く出されました。それから、都道府県、市町村という自治体の方々からも同様な御要望が相次いで寄せられました。
 さらに申しますと、去年の通常国会でフロンの回収・破壊法案というのが議員提案で成立をされましたが、あの議論の過程においても、やはり排出時徴収というのを今度の自動車のリサイクルについては避けて、販売時徴収という方向を目指すべきだという強い御指摘もございました。そういった御意見も審議会の委員の方々にも御紹介した次第でございます。
 私どもは、そういった経緯の中で、自動車という、環境への負荷が非常に多くて、それから既販車について――家電の場合には車検とか登録制度がないものですから、今回の自動車におけるのと同じような一定時期にあらかじめ料金をいただくという制度を仕組むのは非常に難しいのですけれども、自動車の場合には車検登録制度の存在によってその部分の対応も可能ということで、あらかじめ料金をいただくという方式を採用した次第でございます。
生方委員 支払う側からすると、そのリサイクル料金が幾らになるかわかりませんけれども、それが適当であるかないかという判断をするのがなかなか難しいと思うんです。現時点で、どういう形でそのリサイクル料金というのを、これはもちろんメーカー側が設定をするわけですけれども、メーカー側が設定された価格が適当であるのかないのか、もちろん我々ユーザーは判断のしようがないんですけれども、役所としては、それがどういう基準で適当であるのかないのかというのを判断なさるおつもりでございますか。
岡本政府参考人 リサイクルの料金は、今三品目のリサイクルを予定しておりますので、三品目ごとに料金を決めるということになろうかと思います。すなわち、カーエアコンからのフロンの抜き取り・破壊費用、それからエアバッグの取り外し・展開処理費用、それからシュレッダーダストの処理費用という三本立てでございます。それぞれにつきまして、まず、今の処理のコストというのがどの程度かかっているのかという、そこの実態の把握というのが一つ必要になってまいろうかと思います。
 それに加えまして、シュレッダーダストの処理等につきましては、新しい技術の開発なり導入が準備されつつありますので、そういうことに伴うコストの変動というのがどうなるかという点。それから、どうしても一部は、二〇一五年に九五%リサイクルを目指すにいたしましても、シュレッダーダストの埋立最終処分という部分が若干残りますので、その最終処分費用のこれからの推移がどうなるか、その辺を見届けながら、私ども、今度の御提案申し上げている法律におきましても、基本は民間の各メーカーが定めるわけでございますが、おかしい場合には主務大臣から勧告、命令で是正ができるということにいたしておりますので、私どもも、さっき申しましたような三品目それぞれについての諸要素をこれから真剣にフォローしながら、不当な料金設定が行われる場合には、法律に照らして必要な是正の指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
生方委員 現時点で十年後を見通すことはなかなか難しいわけで、よく言われているのは二万円ぐらいじゃないかというふうに言われていますね。大きな技術革新がこれから十年の間で進んで、十年後に仮に一万円で済んじゃったといった場合、一万円多くユーザーは十年前に負担しちゃったわけですね、その場合は、そのお金はどういうふうな扱いになるんでしょうか。
岡本政府参考人 十年後の前に、ちょっと二万円について一言御説明させていただきたいのですが、二万円というのは、審議会で一時そういう数字が出たことはあるのですが、三品目を全部やったという場合、フルセットの場合の一つの試算でございます。
 先生御案内のように、既販車でいえばエアバッグがついている車というのは今ですと一五%とかその程度ですので、エアバッグの部分の取り外し・処理費用というのは実は非常に大きな部分を占めておりますので、その分がどんと外れますと、既販車については一万円台の前半というところに多分とどまるというぐらいにコストが大きく変わってこようかと思います。
 それから、十年後について、先生が今挙げられましたように、料金をいただいたよりも実際のコストが下がるという場合もあろうかと思いますが、逆に大きく上回るという場合も十分あろうかと思います。メーカーは競争の中でこのリサイクルの料金を設定していくということにいたしておりますので、私ども、実際のマーケットにおける力は、極力リサイクル料金を低くするようにということでメーカーの背中を押すことになろうかと思います。
 したがいまして、先生のおっしゃったように、実際のコストが料金を大幅に下回るというケースは考えられるケースとしては非常に少ないかと思いますが、先ほど申しましたコストオーバーランの場合のリスクをメーカー等に負担していただくということとの見合いで、多少のコストの低減ということがあった場合に、これは、あらかじめ預託しているリサイクル料金を、資金管理法人から各メーカー等に対しては調整しないでそのまま払い渡しをするということにすべきだというふうに考えているところでございます。
生方委員 先ほど申し上げましたように、新車登録時とそれから車検時に払うわけですね。そうすると、例えば、私が今新車を買って一たん払いますね。次に、次の車を買いかえるのでそれを売ったとすると、その中古車を買った人はこのリサイクル料金は払わないんですよね。だから、その中古車をまた買った人がいるとすると、一番最初に買った人だけが負担をして、二回目の中古車、三回目の中古車を買った人については負担が全くないというのは、これはやはりちょっと公平の原則に反するんじゃないかなと思うんですが、その辺はどういう処置になるんですか。
岡本政府参考人 この法案におきましては、自動車の所有権の移転に伴って新しい所有者が旧所有者にかわってリサイクル料金を預託したものとみなすということにいたしております。
 このことに伴いまして、中古車の譲渡に当たりましては、直前の所有者から次の所有者にリサイクル料金を預託済みであるとの地位も譲渡されることとなりますので、実際に中古車の譲渡を受ける方々は、リサイクル料金相当額を中古車の売買価格に付加して直前の所有者に対して支払うということになろうかと思います。
 したがいまして、御指摘の二次使用者につきましても、当該自動車を取得する時点においては、一次使用者にかわってリサイクル料金を負担することになろうかと思いますので、中古での転々流通が行われた場合においても、譲り受けた方々もそれに相応するリサイクル料金というのは御負担いただくということになろうかと思います。
生方委員 それは、将来的ですからわかりませんけれども、例えば中古車の価格が三十万でしたら、三十万プラスこれはリサイクル料金二万円払っていますから三十二万円ですというような表示になるということですか。
岡本政府参考人 表示の方法をステッカーのようなものにするか、とにかくリサイクル料金を新車の段階で払ったということがはっきりわかるような工夫をぜひメーカー等の方々にやってもらいたいというふうに私ども考えておりまして、その方向での相談もしておりますので、したがって、この車はもうリサイクル料金を頭に払った車として中古市場で評価をされて、それなりの値段で譲り受けられるということになっていこうかと思います。
生方委員 最終的に日本国内で処分されるのならリサイクル料金は取ってもいいんですけれども、途中で輸出されちゃう車がありますね。新車のとき輸出するのならそれはいいんですけれども、輸出されちゃう車があった場合、そのリサイクル料金というのはどういう処理になるんですか。
大島副大臣 お答えをいたします。
 輸出中古車にかかわりますリサイクル料金の返還についてのお尋ねでございます。
 本法案では、自動車が使用済自動車となった場合に必要となるリサイクル料金について、再資源化預託金等として自動車ユーザーに預託を義務づけているわけでございます。
 したがいまして、あくまでリサイクルの目的で預託されたものである以上、中古車輸出により国内で使用済自動車としてリサイクルされないことが確実となった自動車に係るリサイクル料金は、それを預託した当該自動車の所有者に返還すべきものと整理をさせていただいているわけでございます。
 一方、この法案では、自動車の所有権が移転した場合につきましては、その所有権を譲り受けた者がリサイクル料金を預託した者の地位を継承することとなっておりますので、結果として、当該自動車を輸出する最終所有者がリサイクル料金の返還を受けることで法律上の整理をさせていただいているところでございます。
生方委員 我々は、車を売っちゃった場合、その車がどうなったかというのは、これはわかりようがないわけで、結局、結果的には、中古車を輸出する業者のところへリサイクル料金がそのままたまっちゃうということになるんじゃないですか。それじゃ幾ら何でも不公平であって、払った人にきちんと戻るようにするか、あるいは何らかの処置をしないと、年間の中古車の輸出台数は百万台とかというふうに言われておりますので、仮に百万台に二万円掛ければ、さっき二万円も払わないで一万円でいいかもしれぬという話ですけれども、まあ一万円としたって大変な額が、いわば税金のような形で納められたお金が本来の使用目的じゃないところへたまっちゃうという危険性があると思いますが、大臣、それはいかがですか。
平沼国務大臣 リサイクル料金は料金を支払った人に返還すべきではないか、こういうお尋ねでございます。
 先ほど御説明申しましたとおり、中古車を購入した人は、当該中古自動車の所有権の取得に伴って、法律上リサイクル料金を預託したものとみなされることになっております。
 したがって、通常、輸出業者が輸出を目的として中古車を購入する際に、直前の所有者からリサイクル料金を預託済みであるとの地位も譲り受けることとなりますので、リサイクル料金分の額を中古車の売買価格に付加して取引されることになりまして、輸出事業者がリサイクル料金を負担した最終所有者として料金の返還を受けるべきもの、こういうふうに整理をしていることでございます。
生方委員 預託金だからそういうことになるんでしょうけれども、何か余り納得いかないんですけれどもね。
 では、先ほどの問題に戻るんですが、結局、リサイクル料金というのは中古車価格と別に、やはりきちんと何か、何でもいいですけれども、確実に払っていますというものをくっつけてもらってわかるようにしてもらわないと、不当にそんなお金が輸出業者に入ってしまうというのは、これはやりきれないということだと思いますので、その辺はしっかりしていただきたいというふうに思います。
 それから、先ほどから問題になっております、法人を新たにつくることになるということで、かなりの多額のお金がそこにプールされることになるということでございまして、その資金の管理・運用について先ほど来質問が出ておりますが、運用基準というのは何かきちんと政府側で定めるのか、それとも法人側で自主規制みたいな、内部規定みたいなものを設けるように指導なさるおつもりなのか、どちらでございますか。
岡本政府参考人 御提案申し上げております法律の中で、この運用について一定の基準を定めて制限をするということにいたしております。
 具体的には、運用の方法としまして、一つは、国債その他主務大臣の指定する有価証券の保有によること、それから、銀行その他主務大臣の指定する金融機関への預金または郵便貯金によること、三つ目に、信託会社または信託業務を行う銀行への金銭信託、この三つを法定いたしておりますが、リサイクル料金の払い渡しに必要な最低限の額の銀行預金を除いては、国債、地方債等の安全な債権の保有がこの運用の中心になっていくものと私ども考えているところでございます。
生方委員 よくこういうので、また変なところへ手を出して穴をあけるというようなことがあってはいけないので、資金運用についての情報公開もきちんとしていただきますようにお願い申し上げておきます。
 それから、今度の場合は、情報管理システムをつくる、新たにそういう法人もつくるということになっておりますけれども、現在でも、よく放置されている自動車を見ると、ナンバープレートを外しちゃう。ナンバープレートを外しちゃうと所有者がだれだかわからないから、結局、放置されたままになるわけで、情報管理システムをつくるというのであれば、ナンバープレートを外しても、だれがどこでどういうふうに所有したのかというのを、例えばICチップを埋め込むとかなんとかで、所有者がかわった途端にそのICチップをまたかえるというような格好で、ずうっと、きちんとだれが所有していたのかというのをわかるようにすれば、最終的に廃棄されたときに、それを見ればだれが廃棄したのかわかるというようなことになると思うんですけれども、そういうシステムになるんですか、それとも、ならない、今のままなんですか。
岡本政府参考人 先生御案内のように、車に車台番号というのがあって、それぞれの車を特定して、それがちゃんとリサイクルの工程で、引き取り業者のところでいつ引き渡されて、いつ次のフロン回収業者あるいは解体業者のところに渡って、そこからいつシュレッダー業者のところに渡って処理されたか、そういうのを全部電子マニフェストによってほぼリアルタイムで把握できるという仕組みを用意いたしておりますので、通常かかる時間の中で次の工程に行かないというような場合には、すぐ問い合わせをしてチェックを入れるということが今度は迅速に可能になってまいりますので、そういう今度の情報管理システムの運用を通じまして、不適正処理あるいは不法投棄、そういったことの未然防止に十分努力をしてまいりたいと考えております。
生方委員 そうしますと、これからは、例えば河原や何かに放置された車の車台番号を見れば直前の所有者というのがすぐわかるようになるということですか。
岡本政府参考人 リサイクルの工程でだれのところをいつ経由したものかということは、容易に確認することが今度は可能になろうかと思います。
生方委員 私は、全体で管理するよりも、チップを埋め込んでそのたびにかえれば非常にわかりやすく、それはシステム上の運用の問題ですからあれですけれども、その方がわかりやすくなるんじゃないかなというふうに思いますので、その辺は法人の方でお考えいただければいいと思います。
 最終的に一番大事なことは、その車がきちんと処理をされたかどうかということが一番大事なわけで、そのチェックをどのようにするのか、どういうチェック体制ができているのかというのを御説明いただきたいと思います。
飯島政府参考人 この法案に規定されております移動報告制度、今情報管理センターのお話がございましたが、この移動報告制度によりまして、使用済自動車が、引き取り業者あるいはフロン回収業者、解体業者、破砕業者、こういった関連事業者または自動車メーカーの間で適正に引き取り、引き渡し及び再資源化が行われたことを確認することになります。
 また、この情報がない場合には、それぞれの関連事業者がその前の人に確認をして、それでもわからない場合には情報管理センターに報告するという形になっておりますので、その情報管理センターの通知を受けまして、都道府県知事や保健所設置市長が、関連事業者に対して報告の徴収や立入検査ができる、自治体の方がチェックができる仕組みも用意しておりまして、使用済自動車のリサイクル・適正処理が実施されていることは、こういった意味で二重の仕組みで確認をされるということになります。
 また、廃棄物処理法の処理基準の遵守義務でございますが、この法律では、関連事業者をすべて廃棄物処理法の業者とみなして適用することになります。したがいまして、不適正な処理が認められた場合には、廃棄物処理法に基づく都道府県知事などの改善命令や措置命令、こういったものがかかってくる、こういう仕組みになっております。
生方委員 私が一番心配するのはシュレッダーダストなんですけれども、これがきちんと捨てる場所が確保できるのかどうか。お金は集めたはいいけれども、捨てる場所がなくなってしまったというようなことはあったら困るし、もちろんその間に技術革新が進むから、今のように大量なのが圧縮されて何かに活用されることもできるかもしれませんけれども、そこの部分だけきちんとそれは行政の方が監視をしておかないと、お金を集めたはいいけれども、そのシュレッダーダストがどこかで野積みになっていて困ったというようなことがないように、しっかりと運用するようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
谷畑委員長 小林守君。
小林(守)委員 民主党の小林でございます。
 きょうは、経済産業委員会の方で時間をいただきまして、環境委員会に所属はしているんですけれども、この自動車リサイクル問題は、リサイクルシステムをつくっていく、循環型社会を形成するという視点からは共通の課題でありますので、そういう点でも御質問をさせていただきたいと思います。
 今度の温暖化対策推進大綱の中でも、経済と環境の両立ということが今日の世界的な課題であり、また、日本の二十一世紀の経済社会のあり方、基本的な理念というふうにも掲げられているわけであります。そういう視点でも、今度の使用済自動車のリサイクルシステムについては、本当に経済と環境との両立というようなものになっているのかどうか、そういう視点で御質問をさせていただきたいと思います。
 既にいろいろ議論はされているところでありますけれども、まず、ユーザーのリサイクル料金が、今度のシステムでは、企業の外部、業界団体の外部に預託方式をとられたわけであります。先ほどの議論を聞いておりますと、完全な自車充当方式ではないなということが明らかになってきていると思いますが、基本的な枠組みは自車充当方式。しかし、余剰金の問題の話を聞いていると、完全なものではないなということが明らかになったと思いますが、外部預託方式にした経過について、そしてその理由について、それからメリットというのですか、なぜそうなったのかお聞きをしたいと思います。
 というのは、この自動車リサイクルシステムをつくっていく過程の中では、産業構造審議会、それから環境省所管の中央環境審議会、それぞれの審議会が並行的に審議をし、答申をされて、そして、この法案にまとまる過程の中で合同で調整をしてまとめ上げてきたというような経過があります。
 その経過の中で、いわゆる外部方式というんですか、この預託方式というのが、経産省の方の考え方がA案という形であって、もう一つ、環境省の考え方の中では、私の言葉で適切かどうかわかりませんが、企業内部の賦課方式というような形で、他車充当も可能だというようなものが環境省の所管の中央環境審議会などで構想されてきたものではなかったのかなと。これがB案という形で、A案、B案で相当の議論と各省庁折衝もあったんだというように思います。
 その辺の経過について、なぜその外部預託方式、自車充当方式になったのか、まずお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 経過に関しましては、今小林委員がおっしゃいました審議会等におきまして、関係の各分野の方々に参画をしていただきまして相当深く議論させていただきました。その過程においていろいろ意見が出たことは事実でございますけれども、地方自治体の皆様方の御意見でございますとか、あるいはユーザーの方々等の御意見の中で、今御指摘のように自車充当方式、やはりこれが望ましい、こういう形で採用するに至った経緯がございます。
 リサイクル料金を御指摘のようにそれぞれの自動車ごとに設定することにいたしましたのは、自動車の購入者が、リサイクル料金の額や自動車の設計、素材選択において、リサイクルに配慮されているか否かといった情報を通じて自動車を選択することによりまして、自動車メーカーにリサイクルしやすい車を開発しようというインセンティブが働くこと、これが期待できるのではないか、これが一つであります。
 また、このリサイクル料金を新車時に負担していただく制度とするに当たりまして、これを資金管理法人が管理することにいたしておりますけれども、これは外部預託方式でありますけれども、各自動車メーカー等が管理することとした場合には、自動車メーカー、輸入業者が倒産あるいは解散をした場合、リサイクルに必要な資金が滅失してしまうおそれがある、そういう理由が考えられる、こういうことでございまして、いろいろな御意見を勘案して、やはりこの方式がいいのではないか、こういう形で議論をしていただいた過程を踏まえてこういうことにさせていただいた、こういうことでございます。
小林(守)委員 私の聞いていた範囲では、二つの、外部預託にしてリサイクル料金を表示することによって、明示することによって国民に対する啓発にもなるだろうし、また環境に優しいというか、環境負荷の少ない自動車を購入していただくというようなインセンティブになるのではないかという一つの側面ですね。それからもう一つは、倒産対策だというようなお話がございました。
 もう一つ私はあったというふうに聞いておるんですが、要は課税対策というか、その辺の経過についてはいかがだったんですか。
岡本政府参考人 先生御指摘のように、もう一つ、あらかじめ預託する料金を各企業がその企業の中に収受してそれをプールするということにいたしました場合に、法人税の課税所得になるという問題が会計士あるいは税務当局から指摘をされました。
 その問題で仮に課税がされるということになりますと、いただくべき料金の水準が一・七倍ぐらいに増加するということで、この問題を避けるためにどうしたらいいかということで私どもいろいろ考えて、その結果、会計士とかそういう方、あるいは税務当局の意見も聞きながら、社外に、公益法人のようなところに、外に積むということによってこの問題も回避できるということで、これも、先ほど大臣がお答え申し上げました義務者の、輸入業者等の倒産等による滅失というのが第一でございますが、第二に、今申しました課税の問題というのも、もう一つ私どもにらんだポイントでございます。
小林(守)委員 きっかけとしては非常にこれが大きかったというふうにお聞きしているんですが。
 ただ、私たちが議員の立場で考えるならば、税制のグリーン化という視点から考えるならば、少なくとも、法人税の課税対象から、内部的に引当金制度をきちっと位置づけて非課税制度にできるならばこの問題はクリアできたのではないか、しかも、税制のグリーン化という視点から、むしろこれは積極的に推進していくべき課題ではないか、こんなふうに思うわけなんですけれども、少なくとも、財務省との交渉の中で、政府税調がなかなかそういう方向ではないんだ、どうしてもクリアできないというような背景があってこういう選択になったんだというふうに私は受けとめているんです。
 私たちは、議員サイドから言うならば、いや、それは基本的に、税制上の法改正を考えながら税制のグリーン化というものを導入していくべきだ、そういうことがあったのではないかなというふうに思えてならないんですよね。そこに問題点が一つあるなというふうに思います。
 例えばパソコンは、少なくともこれは、法人税法の改正の問題じゃなくて、企業内の引当金制度でやっているわけですよね。パソコンができて、なぜ自動車ができないのか。私これは疑問なんですが、それはどうなんですか。
岡本政府参考人 引当金という方式は一つの選択肢として考えられるかと思いますが、今先生御指摘になられましたように、政府の税制調査会において、引当金のようなものは極力縮減、あるものも縮減していく、新規のものは認めるべきでない、そういう方向が打ち出されるという税務当局サイドの意向が一つございました。
 それに加えまして、引当金でやるという場合に、これはやはりメーカーあるいは輸入業者ごとに料金を収受するということになりますので、したがいまして、倒産とかあるいは市場からの退出に伴う滅失のリスクという問題は、これはやはりなくならないというところがありますので、それをあわせ考えました場合に、やはりしっかりとした外部に預託するという方式がいいのではないかということでこういう御提案に至ったものでございます。
小林(守)委員 わかりました。
 確かに市場経済である限り、倒産とか解散とか、滅失の問題は避けられないというか、どうしても可能性としては否定できない問題だと思います。例えば銀行も破綻するというような時代であります。そういう点で、市場経済の中で、その市場経済の持っている有効な資源配分の機能を生かしながら、どうやって金融なら金融のシステムの公共性を守っていくかという問題があるんだと思います。
 しかし、今度、資源循環という視点から考えるならば、リサイクルシステムの公共性というものをどうやって担保していくかということの視点から倒産対策を考えなきゃならない。その一つの手段として、外部の方が、資金の積み立てをしていくことによって、保全の確率が高いというか安全性が高いというふうに言えるのだろうということなんだと思います。
 ただ、問題は、倒産対策の中で、では、資金管理法人自身の持っているリスクはないのか。あるいは、先ほど来の議論の中で、価格変動のリスクはメーカーが負担しますと。そして余剰金というか、剰余金については、どういう形、後でちょっと質問したいと思うんですが、いずれにしても、余剰金が出る場合と不足が出てしまう場合とある。しかし、十年後のリサイクル料金についての価格変動のリスクはメーカーが背負うということになっています。しかも、そのメーカーが破産した場合に、しかもリサイクル料金が不足するような場合、しかもメーカーの預託金が足りなくなってしまっている場合、こういうことが可能性としては私は否定できないと思うんですよね。そうなってきますと、外部に積むことによって安全なんだという選択は、必ずしも安全とは言えないという理論的なところがあるんだと思います。
 一つは、そういうメーカー自身が倒産した場合どうするかという問題ですね。それからもう一つは、資金管理法人そのものが、資金運用の中で絶対安全といったものはどういう運用があるのかということになると、預金をしないで、金庫に金の延べ棒を積んでおくとかお金を全部積んでおくとか、たんす預金と同じですけれども、それが今の時代では絶対安全と言っていいのかもしれませんけれども、しかし、資金運用をしないと、やはりこれは資産的な目減りになるわけでありますから、どうやって安定した運用をするかということになると、国債とか地方債とかということしかないんだと思うのですよね。
 しかし、決済の関係からいうならば、リサイクル料金をメーカーに払い渡しするときに、当然現金にしておかなきゃならぬということになると、銀行とのつながりというか、預金、定期預金になるのかどうかわかりませんけれども、一定額は少なくとも預金しておかなきゃならぬ。しかし、では銀行の破綻はないのかといえば、今度は、もう破綻もあり得るということでペイオフという制度が出てきたわけですよね。一千万までは保証するけれども、ほかは知りませんよという話になってくるわけですよ。
 そういうことを考えると、資金管理法人自身が運用の中で穴をあけてしまう可能性があるというふうになります。そのときに、資金管理法人のその穴はだれが埋めるのかということは、これは可能性としては少ないかもしれませんけれども、これは、法理論上からいって、法体系からいって、穴のあいている部分ではないかなと思えてならないのですが、これについてはどういうふうに考えているのか。
 外部預託が安全なんだ、だから選んだ、倒産対策なんだと言うからには、資金管理法人自身のリスク、それからメーカーが倒産したときのリスク、これをどういうふうにとらえられているのか、お聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 確かに、小林委員御指摘のように、可能性としては今おっしゃったことは否定できないことだと思っております。
 ただ、資金管理法人の資金運用につきましては、リサイクル料金の払い渡しに必要な、今御指摘のように、最低限の額の銀行預金を除いては、安全を担保する意味で、国債あるいは地方債等のそういう安全な債権の保有を中心にしなければならないと思っています。資金管理法人が運用する資金の大半は、そういう意味ではペイオフの対象にはならない、心配ないもの、こういうふうに考えております。
 しかし一方、リサイクル料金の払い渡しのための銀行預金として保有する一部の資金ですね、今ちょうど御指摘になられましたけれども、これはペイオフの対象となるために、預金先の金融機関を慎重の上にも慎重に選択をしなければならないと思います。
 資金管理法人は、自動車ユーザーからリサイクル料金を預かる者として重い責任を負った立場となりますが、専門知識を有する職員の配置等体制の整備に努めまして、預金先の金融機関の経営状況を平常時からしっかりと注視するとともに、資金管理業務諮問委員会から意見の聴取を不断に行いまして、そうした形で専門家の意見をよく伺って適切に対応することが求められていると思っております。
 こうしたことを通じて、これは一〇〇%とは言えませんけれども、御懸念のような事態を招くことのないように細心の注意を払ってまいらなければならないと思っています。
 極めて安全な銀行を選択した上で倒産する事態が発生したとすれば、そうやって慎重の上にも慎重を期してぴちっと選んだところでございますから、そういう場合には、恐らく日本の経済そのものが厳しい状況になるような、そういうことに相なるんじゃないかと思っておりまして、そこまで慎重に見きわめてやらなければいけない、それだけの責任はあると思っております。
 それから、リサイクル費用の価格変動のリスク、そのメーカーが倒産した場合にどういうことになるか。これは、自動車製造業者等が倒産をいたしまして、いずれの者にも自動車製造業者等が承継されないような場合、これが想定されます。当該倒産をした自動車製造業者等の製造または輸入を行った自動車に係るシュレッダーダストの再資源化等は、指定再資源化機関により行われることに相なるわけです。
 その際、資金管理法人に預託されているリサイクル料金を用いることとなることから、基本的には、指定再資源化機関は、預託された金額の範囲内で再資源化等が可能となるよう、再資源化等の実施方法を選択するといった対応を行う、こういうことが想定されると思います。
小林(守)委員 努力する、そういうことはないように努力するというだけで、法律的には、最終的な責任は、そうすると、国全体の経済がおかしくなっちゃっているときなんで、これは国の責任なんですか。
平沼国務大臣 これに関しましては、やはり一般的なルールというのは存在しておりません。ですからそういうことは、裁判とかそういう形で最終的な結論を出す、こういうことだと思います。
 ただ、可能性としては、私は非常に少ないものだ、そういうふうに思います。
小林(守)委員 考えられることは、メーカー負担というふうなことも当然あっていいと私は思います。メーカーが責任を持つにしても、最終的にはこれは価格でユーザーに転嫁されるということでありますから、メーカーが破綻した場合はまた別ですけれども、資金管理法人の穴埋めとかなんかの問題は、メーカーがやはり基本的な責任主体であって、外部に委託している、預託してもらっている、しかも、ちゃんとやれば払い渡しを受けるわけだから、基本的にはメーカー責任で、確率は少ないでしょうけれども、これは、理論的にあり得ないということは絶対ないわけです、市場経済である限り。しかし、最後は裁判で決めてくれという話はちょっといただけないというか、やはりメーカー責任というふうなところが出されるべきだ。
 最終的には、メーカー負担だけれども、しかし、そのメーカーの負担は結果的には製品に価格転嫁されるわけですから、要は、ユーザー負担ということになるわけですけれども、基本的にメーカー負担ということを打ち出すことはできないですか、考え方を打ち出すことはできないですか。
岡本政府参考人 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、本当に、お金のデーリーな出し入れの部分を銀行に委託するということだと思いますので、その部分は非常に限られた部分だと思います。
 先生もこれはもう十分御理解なさった上で御質問なさっているかと思いますが、確率としては非常に少ないということで、万一そういう場合ということは、これは基本的には各メーカーなんかの共通インフラともいうべき資金管理法人という仕組みでございますから、したがって、その資金管理法人を構成しているメンバーの方々がまず一義的には御相談なさる、そういう対応がまずあろうかと思いますので、私どもは、その資金管理法人を監督する主務大臣という立場で、環境省とも御相談をしながら、しっかりとした対応ができるべく、仮に万々一そういう事態に立ち至った場合には関係者と十分な協議をしてまいりたいと考えております。
小林(守)委員 一義的にはメーカー責任というふうなことになるということでよろしいですか。
岡本政府参考人 資金管理法人として、指定に向けて、既存のところ、あるいは、多分そういうことは余りないかもしれませんが、新設のところで、非営利の法人が手を挙げて申請をしてこられると思いますので、その法人の理事者の方々の間で、一番大きく資金管理法人の業務を利用するというのは、これは自動車メーカー、一部輸入業者ということでございますので、そういう方々を中心とする法人の理事者の間で、万々一そういう事態に至った場合には、善後策を相談して、私どもにも相談があろうかと思いますので、私どもも鋭意真剣に協議に臨んでまいりたいと考えているものでございます。
小林(守)委員 法律的にいって、これはまだ非常にあいまいな、責任の所在が明らかでない、法律上の何か空白というか、穴と言っていいか、そういうふうに言えるのかなというように思うんですけれども、基本的には、資金管理団体を構成するメーカー、そしてそれに関与する行政、国が相談をするということなんですか。
平沼国務大臣 一つのポイントの御指摘だと思っています。
 今も、一般的なペイオフの場合も、これははっきりしたそういう仕組みはまだできておりません。だから、今局長からも答弁をさせていただきましたように、そういう、ほとんどケースとしては想定されませんけれども、理論的には可能性がございます。そういったところは、やはり話し合いをするなり、我々役所が、そういう中でどういう解決策を見出すか、こういうことをやはりその場で真剣に協議をしていく、こういうことになると私は思っております。
小林(守)委員 問題としてこれは指摘しておきたいと思います。
 市場経済の中で、リサイクルシステムという公共財をどうつくっていくかということだと思いますね。例えば金融システムの場合は、やはり預金保険機構というものがあって、万一のときの破綻をみんなで、業界団体が負担し合う。しかも、預金保険機構に対して国が保証つきの国債を出すとか、そういうやり方をしておりますよね。金融システムというのは国民経済の動脈であるし、これは大きな公共性を持っているものなんだろうというふうに思うんですよ。
 ただ、私は、新たに循環型社会をつくっていくという視点に立つならば、やはりリサイクルシステムは大きな公共財だというふうに思うんですよね。リサイクル責任のある会社が破綻してリサイクルができないという、市場経済の内部から外に出てしまうようなものをどうやって公共性を保っていくか、リサイクルシステムを保っていくかという問題なんだというふうに思います。
 要は、今まで外部不経済だったものを内部化していく、その内部化が破綻したときにまた外へ出ていってしまう、それをどうやって内部にとどめていくかというようなものなのかなというふうに思うんです。
 例えばリサイクルシステムの保険機構的なものを、個別に自動車リサイクルの保険システムみたいなものはあるかもしれません、あるいは不法投棄の原状回復みたいなそういう仕組みも一応検討されてきて、ある程度のものは出てきているわけなんですけれども、全体的に何か、リサイクルシステム保険機構みたいなものが、これから静脈経済をきちっとつくっていく、循環型社会をつくっていくという中では必要になってきているのかな、私は、国のシステムとしてなければならないものなのかなというふうに思うんですが、これはちょっとまだ思いつきみたいなところなので、そういう時代にもうなっているなというふうに、今度の倒産対策で外部預託方式をしたんだというようなところからちょっと考えたんですけれども、その辺については、御感想で結構ですから。
平沼国務大臣 二十一世紀というのは、いかに人類が環境問題を克服して、そして子孫によりよい形で地球を残していくか、これが一番大きな至上命題だと思っています。そういう大きな観点から考えますと、御指摘のような循環型社会を形成するに当たって、そういう担保すべきものを検討する時期に来ているのではないかな、こういうふうに思っています。
小林(守)委員 問題として、今後の課題も含めて指摘をさせていただきたいと思います。
 それからもう一つ、先ほど来の議論の中で余剰金の問題が指摘されておりました。自車充当方式という原則にのっとって考えるならば、余剰金が出るのは基本的にはあり得ないはずなんですよね。当然返すべきだというふうに思います。
 ただ、中古車については、新車から中古車になったものについては、先ほどの説明では、みなすと。既にリサイクル料金を預託されているものとみなすという言い方をされていましたね。私は、これはもう中古車の価格に内部化されたものだと。内部化なんですよ、これは。外部表示じゃなくて内部化なんですよ。中古ではもう内部化なんですよ。私はそういうふうに考えておくべきだというふうに思うんです。
 それで、ちょっと理屈の整理の上で、余剰金というのはだれのものなんですか、これは。例えば不法投棄対策に使うとか、それから国民に対するいろいろな啓発的なものにも使いたい、それから離島対策にも使いたいとかいうふうになっていますが、基本的にユーザーのものですよ。自車充当方式からいえば、さっきも議論になったように、基本的には返すべきものなんですよ。ところが、余剰金というのは、使い方は諮問委員会か何かに諮りながら、何か違うところに使われるんですよ。
 しかし、この法律の仕組みからいって、全体的にはぎじぎじと詰めてきた法律だと思いますよ。かなり融通がきかないぐらいにぎじぎじに詰めてきてしまった法律だと思うんです。さっきも言ったように、資金管理法人のリスク管理をどうするんだという問題については何か詰め切っていないところだなというふうに思えてならないんですが。
 それともう一つは、余剰金なんというのも、これもちょっと詰めていない部分で、あいまいな性格のものである。余剰金というのは基本的に出てこないんじゃないかというふうに思えてならないんですよ。この余剰金というのはだれのものかということについてお聞きしたいと思います。
岡本政府参考人 リサイクルの料金はユーザーから預託を受けているものでございますので、預託を受けた車について所期のリサイクルの作業が行われないという場合に、あらかじめお預かりしている料金をお返しするというのが先生がおっしゃったように筋でございますので、そういう意味においてはユーザーにお返しをするというのが基本だと思います。
 それで、私ども今御提案申し上げている法律の中で、剰余金について、使途を限って法律の中で限定的に使わせていただくということを御提案申し上げているわけですが、そこは、全体のお預かりする預託金の額に比べまして、ここで想定している剰余金の額というのは相対的には非常に小さいものにとどまろうかと思います。中古輸出についても、多くの場合は返還請求がありますでしょうから、これは戻していく。ただ、ロシアの船員のような方々が携行品で持ち出したような場合に、一部返還請求はないかもしれないので、そこは余剰になってしまうというケースが想定される。
 それから廃車がらにつきましても、今は、関係の事業者の方々によると、年間数十万台、廃車がらがスクラップの原料とすべく海外に輸出されているというふうに言われておりますけれども、今度御提案申し上げております法律によって、シュレッダーダストの処理を含む、逆有償の大きな原因になっている部分というのが今度はしっかりとした制度によって適正に処理が行われていくということになれば、今は外にお出しになっている動機の一つが、やはり、シュレッダー業者さんに回せば最終処分費用ということを負担しなきゃいかぬということで、それよりは中国等にスクラップ原料に出した方がいいということで、廃車がらの輸出がかなりの台数に上っているんですけれども、この制度が動き始めれば、そこの事情というのは大きく変わりますでしょうから、がらの輸出というのもあろうかと思いますけれども、その規模はこれまでに比べればはるかに小さくなってくる可能性はあるんじゃないだろうか。
 そういう形で想定される、相対的には少額の余剰金でございますので、ユーザーの方々の、大きくリサイクル社会を実現していこうという観点から見ました場合の共通の関心事である野積み、不法投棄対策であるとか、あるいは処理がどうしても難しい離島における一部の費用補てんであるとか、あるいはシステム全体のメンテナンスであるということで、使途を限定した上で使わせていただくという御提案を申しているものでございます。
小林(守)委員 趣旨はわかっている。そういうことで使われるというのはわかるんですが、私の質問は、これはだれに所属するものかということを答えていないですよね。だれに所属するんですか。資金管理法人に所属するんですか、それともメーカーに所属しますか。
岡本政府参考人 ユーザーにお返しすべき筋のものでございますので、理論的にはユーザーに帰属してしかるべきものというふうに考えます。
小林(守)委員 ユーザーに所属するということになると、では、それを返さないでプールして使うということについて、国民に対してどこまできちっと啓発なり理解を得られるかという問題はありますね。
 先ほどの議論の中でも思ったんですが、例えば払い渡しの中で二万円のリサイクル料金を今払って、十年後に例えば一万円になったということになると、一万円の余剰金が出てきますね。要は、資金管理法人は十年後でも二万円を、自車充当方式ですから二万円をメーカーに返すということになりますね。そうすると、実際は一万円しかかからなかったんだから一万円の余剰金が出る。
 これは稼ぎというか、技術開発なり、有効な、効率的なリサイクルシステムを開発したからだというようなことにもなるのかもしれませんけれども、その一万円について、払い渡し金で二万円が来て、一万円が余剰になるわけですね。その余剰金に対しては税金かかりませんよね。この金はユーザーのものですか。二万円の払い渡しをメーカーが受けます、メーカーは一万円余剰金として残ります。そのお金は税金かかりませんよね。では、そのお金はどこのものになるの、ユーザーのものなんですか。
岡本政府参考人 まず最初にお答え申し上げたいのは、メーカーの方々は、これは先生重々御案内のとおり、競争の中で料金を決めていきますので、したがって、リサイクルの料金を極力下げるという方向にドライブというか力が働くということになろうかと思います。私ども、そのことを現に強く期待を申しております。
 したがいまして、あり得るケースとしては、むしろ実際のコストの方が料金を上回るという事態、これも十分あろうかと思うんですけれども、議論の過程で、それはやはり自動車メーカーがそういうコストフラクチュエーションのリスクというのは負担していいんじゃないかということで審議会の議論の中で落ちついたわけです。
 逆の場合で今先生おっしゃっていて、理論的には先生がおっしゃったようなこともあろうかと思います。その場合において、そこの剰余金というのは、それはメーカーの懐に入った段階では、これは課税所得になってまいろうかと思います。
小林(守)委員 ちょっと何か整理が、また混乱しますね。
 じゃ、余剰金が入った場合に、課税所得になる、所得になるわけですね、法人所得に。例えばリスク管理みたいな形で、例えば料金が高くなった事態に備えるということもあるわけですよね。
 聞きたいのは、払い渡しを受けた額については、メーカーは別に何か口座みたいなものをつくっておいて、別に会計をつくっておいて、内部留保みたいなものになるんだと思うんですよ。引当金みたいなものになるんだと思うんですが、税法には触れない何か別預金会計みたいなものをつくっておいて、そこでリスク管理、実際のリサイクル料金、負担してもらった預託金よりも多くかかってしまったときの企業の負担と、それから今度はもうかったときの、穴埋めといってはおかしいけれども、その余剰金から、基本的には、不法投棄対策等なんかに拠出しなきゃならないんでしょう。
岡本政府参考人 メーカーは払い渡しを受けて、それは実際に作業が行われたということを情報管理センターのエビデンスによって確認して払い渡しをしますので、そちらへの支払いにほぼ瞬間タッチで支払いが行われていくということになろうかと思います。
 したがって、通常であれば、その払い渡しを受けた額について見合いの作業が行われて、そこに向けての支払いが行われますので、課税所得は発生しないということになろうかと思います。
小林(守)委員 そうすると、資金管理法人に積んである預託金の方が余剰金としてふえるということなんですか。
 例えば、一台の車を二万円のリサイクル料金で預かった。実際にやってみたら一万円だった。そのお金は資金管理法人からすっと処理業者の方へ流れた。そうすると、一万円は使わないで済むわけでしょう。だけれども、お話では、払い渡しは二万円ちゃんとメーカーに出しますよとさっき答弁していたでしょう、メーカーの方に二万円来るわけだから。しかし、メーカーは一万円分支払えばいいわけでしょう。その一万円はどこに残っているんですか。
 それは課税されるということになると、何か性質がおかしいじゃないの。資金管理法人は非課税で、企業の方に払い渡しされたお金について、一万円について、今度は課税されるんですか。だったら、資金管理法人に置いておいた方がいいじゃないですか。
岡本政府参考人 預託金でリサイクルの費用というのはメーカーごとに決められていて、資金管理法人は各メーカーのいわば共通インフラでございますので、その資金管理法人が預かっている預託金が仮に今先生がおっしゃっているように二万円なら二万円だとして、その車についてのリサイクルの作業が行われて、当該メーカーなり輸入業車に二万円を払わないで、一万円なら一万円を資金管理法人がみずからの収入としてそれを収受するということは、これは予定をしておりません。
 資金管理法人は、各、あらかじめ決められている預託金の額、それに安全確実な運用をした運用果実の部分を乗っけたものを当該車に係るメーカーなり輸入業者にそのままお渡しをするというのが資金管理法人の通常の予定されている業務のやり方でございますので、したがって、資金管理法人にそれをキープさすというのは私は適当でないと考えております。
小林(守)委員 ですから、基本的には払い渡しで、二万円そのものを、預かった金を渡すわけでしょう。利息がついていれば、利息もそっくり渡すわけでしょう。そのときに、メーカーはその金をどこへ入れるんですか。メーカーは、少なくとも過重負担になっているときには自腹を切らなきゃならないわけですよ、リスク負担するんですね。それともう一つは、不法投棄対策とかなんかで拠出するんじゃないんですか、それは。それはしないの。
岡本政府参考人 不法投棄対策につきましては、この法律で剰余金の使途として予定しております野積みあるいは不法投棄対策というのは、これはメーカーの拠出ではございませんで、携行品輸出で返還請求がない中古輸出の余る部分、あるいは何がしかは残るでありましょうがらの輸出に伴うシュレッダーダストの処理工程が不要になる部分、あるいはフロンの回収・破壊で再利用という道も一応認められていますので、再利用がフロンの回収業者において行われた場合については、これは回収・破壊費用を払う理由がないものですから、そういう場合に浮いてくる部分も剰余金の原資として三つ想定をしているところでございまして、それとは別にメーカーに不法投棄対策として拠出を予定するというものは、この法律では予定をしておりません。
 多分、一つありますのは、いわゆる路放協、路上放置車について自動車工業会ベースで、市町村が路上放置車についての対策をする場合に、その費用を従来から自動車工業会が出捐をして協力してまいっておりますが、これはこの法律とは一応別の話として、従来からやっておりますものをこれからも続けていただくということになろうかと思いますが、この関係でメーカーに拠出ということは考えておりません。
小林(守)委員 私、ちょっと調査室資料などの精査が不十分なのかもしれませんが、離島対策とかあとは啓発費用とか、要は、指定再資源化機構あたりにも出さなくちゃならないのと違うんですか。
 では、指定再資源化機構の財源は、余剰金と、もちろん輸入業者から、みずからがシュレッダーダストなどのリサイクルができないという業者については、そこに委託すればそこがやってくれるわけですよね、それは意味としてわかります。しかし、離島対策とか不法投棄対策をする指定再資源化機関、これの財源は余剰金を使うとなっているでしょう。説明資料ではそうなっているんですよ、余剰金から。その余剰金には、企業の方のもうけ、これは使わないんですか。
岡本政府参考人 私の説明が不十分だったかもしれませんので、もう一度御説明をさせていただきます。
 再資源化法人ということで、ここは、事務所が不存在あるいは倒産等の場合にかわってやるということをやりますのと、もう一つ、支援業務をやるということで、不法投棄それから野積み対策なんかの始末をされた市町村に対する出捐の事業と、それから今先生がおっしゃった、離島なんかで運賃がどうしても割高になりますから、そういう離島の市町村なんかが運搬の面で一定の事業をなさった場合のコスト補てんの支援業務、そういったことも再資源化法人の業務として予定をしているところでございます。
 その原資をどうするかということで、それにつきましては、資金管理法人について発生する可能性のあります剰余金を充てるということに法案の上ではさせていただいております。
 その剰余金の発生事由としては大きく三つを想定しておりまして、一つが、中古輸出車について返還請求がない場合、具体的には多分携行品輸出というようなことになろうかと思います。二つ目が、廃車がらの輸出に伴ってシュレッダーダストの処理の工程が不要になった部分、その部分で浮いてくる剰余金、それから三つ目が、フロンの回収・破壊ということで、去年の国会で先生も提案者になられておつくりいただきましたが、あれで再利用という道も別途認められていますので、再利用の方を選ばれて破壊が行われない場合に、これはやはりフロンの回収・破壊の部分の料金をお支払いする理由がありませんので、そこは資金管理法人において剰余金として扱わせていただく、以上三つのソースから出てくるものが剰余金でございまして、その使い道として、さっき再資源化法人で支援業務をやらせていただくということで御提案申し上げているものでございます。
小林(守)委員 説明で大体わかったんですが、一つ今度またわからないことが出てきました。
 フロンの再利用は、これは余剰金という形になってくるということなんだけれども、フロンを再利用するということ、では再利用した人はどうするんですか、再利用した人のリサイクル負担金はどこがやるんですか。
 だって、さっき言ったように、中古車は価格に内部化されたと同じようにみなすということになったわけです、預託されているとみなすと。そうすると、再利用された車はもう預託されたとみなすということだから、その車のフロン、カーエアコンのフロンが再利用で充てんされたという車は預託されたとみなすわけでしょう。ところが、今のお話だと、再利用のやつは余剰金だから利益の方に行っちゃっているわけでしょう。それはどうなんですか。
岡本政府参考人 フロンについて私ども、望むらくは回収に加えて破壊まで行われるということが望ましいかと考えておりますが、一部に再利用をされるというものがあろうかと思います。ただ、これも、先生御案内のように、CFCを冷媒とするカーエアコンというのはどんどんこれからもう減っていきますので、したがって再利用をしようというニーズ自体が、マーケットにおける需要自体が年とともにこれから減少していくということになりますので、過渡的な事象として再利用というものをおやりになる方が一部いらっしゃるかと思います。
 したがって、その場合の料金は三本立てでございますので、フロンの部分とエアバッグとシュレッダーダストという三本立ての最初のフロンの関係でいただいた料金というものを、これをそのままメーカーに渡すというのは理由がありませんので、そこで、一つの選択肢として、一つの割り切りでございますが、剰余金の原資の方に回させていただいて、先ほど申し上げた不法投棄対策とか、あるいは離島で本土の方のリサイクル工場なんかに運んでくるときにどうしても割高な運賃がかかりますので、そういったところの支援に充てるということで御提案をさせていただいているものでございます。
小林(守)委員 余剰金というのは、確かにいろいろなところで出てくるものがあるなというのはわかってまいりましたけれども、要は、そうすると、これはユーザーのものです、国民の、ユーザーのお金なんですということはいいわけですね。その使い道については諮問委員会などでいろいろやるけれどもということでいいんですね。それは国民の、ユーザーの負担でリサイクルシステムをつくるという形で使われているんですよということなんですね。そういうことで確認したいと思うんですが。
岡本政府参考人 ユーザーのものという点は、先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、剰余金扱いにさせていただくということにいたしておりますが、その場合における使い道としては、法律上限定列挙をして、なおそれで余る場合には、今度は、ユーザーにお返しをすべく、将来の料金の引き当て原資に充てるべしということまで法案の中に規定をさせていただいているところでございます。
小林(守)委員 それでは、別の論点に移りたいと思います。
 別枠で外部預託方式をとった一つのメリットというか一つの特徴として、国民に対するリサイクル意識というか、リサイクル料金がかかるんですよというのを明示するというようなことで、ユーザーも、環境負荷の少ない車を、リサイクルがきちっと行われている、しかも安い料金を選ぶインセンティブが働くという話を先ほどの答弁の中からもお聞きしておりましたけれども、実際に私が疑問に思うのは、そのリサイクル料金の価格変動リスクはメーカーが負うということになっています。これはいいですよね。ということは、メーカーは、当然価格変動リスクを織り込んでリサイクル料金を設定するというふうに言えると思うんですよ。
 ということになると、リサイクル料金は、必ずしも実際のリサイクル料金ではなくて、営業戦略的に、一部は内部化して、リサイクル料金を外部化する額はちょっと少なくしよう、その方が売れ行きがよくなるとか、そういう、営業戦略的にメーカーに設定されるということは絶対避けられないというふうに思うんですよ。
 ですから、リサイクル料金を表に出すことによって国民にそういう意識づけをするんだということは、これはごまかしではないかというふうに思えてならないんですが、そこはどうお考えですか。実際にこれは行われますよ。
飯島政府参考人 今の先生の御指摘、リサイクル料金の多寡と、それから環境負荷を小さくするという話が矛盾した形で運用されるんじゃないかという御懸念だと思うんですが、一般に、リサイクルを適正に行うことによりまして環境負荷は低減すると言えると思います。ただ、リサイクル料金が安いから環境負荷が小さいとは必ずしも言えません。一般的には、きちんとしたリサイクルをすれば当然コストは高くなる。
 ところが、今回の場合は、リサイクル容易性というのも、これからの話でございますので、リサイクル料金に反映されてまいります。すなわち、自動車を設計する段階や素材を選択する段階におきまして、リサイクル配慮がなされていればなされているほどリサイクルしやすくなり、かつリサイクルコストは小さくなるわけです。
 こういう問題を抱えておりますので、車を買う人が、リサイクル料金の水準がどういう形で決められているか、これは公表いたしますので、それを見て、判断材料として、リサイクルしやすい自動車設計がどんどん行われるようなインセンティブが働くのではないかというふうに考えております。
 なお、リサイクル料金を自動車メーカーが設定して公表いたしますが、恐らく、御指摘になったような営業戦略というのも当然競争の中で働いてくると思われます。
 ただ、これはこれからの話でございますが、我々が主務省として考える適正原価に比べまして著しく過不足がある場合には、主務大臣としてこれは勧告ができますので、これをどうやって具体的に決めるかというのはこれからの話になると思いますけれども、先ほど申し上げたような製品設計段階でのリサイクル配慮等も含めまして過不足があれば、指導、勧告という措置をとっていきたいと思っております。
小林(守)委員 外部というと、非常に透明でわかりやすく、国民の選択が可能だというような言い方があるんですけれども、例えば、家電リサイクル法でも外部化されています。あれは廃棄時ですけれども、外部化されていますよね。しかし、どうにも不思議に思うのは、冷蔵庫、それからテレビ、洗濯機、ルームエアコン、この四品目について、リサイクル料金は、運搬料金は別ですよ、しかし、リサイクル料金を外部化しました。ところが、冷蔵庫は大きくてもちっちゃくても四千六百円とか、全国統一料金じゃないですか、あれ。テレビは幾ら、洗濯機は幾らと。今の理屈が働かないんですよね。おかしいじゃないですか。
 結局、今度の自動車リサイクル法についても、外部化することによってメーカーの競争が、できるだけ良質なリサイクルをしてコストを安くしていくというのは製造段階から働くんだというお話なんだと思いますが、しかし、結果的には、メーカーの価格変動リスクをしょい込みたくないと。そして、とにかく静脈経済、環境経済というのは、しばらくはなかなか、国民の環境意識の問題もあるでしょう、なかなかそれを負担するというのについて抵抗があるというふうな意識、風土もあると思うんですよ。
 そういう中にあって、要は、公的に指導してくれているということもあって、高目安定というか、お互いの会社、では二千ccの車はこれでいきましょう、お互いにここだけは競争しないようにというか、まあリサイクルシステムをとにかく守っていかなくちゃならない会社が穴をあけちゃ困る。そういう意識が働けば、当然、護送船団方式的に、まあ二千ccはどこの会社も大体このくらいでいこうとか、運搬料金は別ですよ、そうなってきますよ。高目安定、リサイクル的なインセンティブは働かない。家電リサイクルを見ていりゃそのとおりですよ。あれは全国一律同じ料金でしょう。大きくても小さくても、冷蔵庫は四千六百円ぐらいだと思いますよ。これは何だということなんですよ。
 これと同じようなことが、自動車のリサイクル料金の外面に表示化することによって、本当の意味での環境負荷を少なくするリサイクルシステムができていくというんじゃなくて、何か非常に官僚経済というか、官僚経済と言っていいか社会主義経済と言っていいかわかりませんが、私は、変な静脈経済になってしまうんじゃないかということを指摘しておきたいんですが、それについていかがですか。
岡本政府参考人 先生の御懸念もわかりますが、一方で、まさに先生が今御質問の中でおっしゃったように、各メーカーが、設計あるいは部材、素材の選択、そういったことを通じて、あるいは最後のリサイクルの処理という、あるいはそこで、処理で得られた再生品のマーケティングということまで視野に入れて、全体のコストを下げるということに向けて真剣な努力を各メーカーにやっていただきたいという私どもの非常に強い期待を終始一貫持っておりまして、今先生御指摘になりましたように、各メーカーがそういう方向で真剣に競り合ってできるだけしっかりとしたリサイクルをやった上で、なお料金は可能な限り引き下げる、そういう方向が実現するように、私ども大臣からも常日ごろ業界を指導するようにというふうにきつく言われておりますので、私ども、担当として、その方向で各社に対して引き続き努力を促してまいりたいと考えます。
小林(守)委員 時間がもう――さっきの生方さんが十分早く終わっているんですが、十分、その分いただけますか。
谷畑委員長 はい、結構です。
小林(守)委員 大丈夫ですか。ありがとうございました。そのつもりでいたものですから、配分がちょっと狂ってきまして。
 リサイクルの義務化三品目についていろいろ今までも議論がありました。それで、なぜ三品目なのかということをお聞きしたいと思うんですが、時間の配分も考えて、ちょっとまた逃してしまわないように。
 フロンの回収・破壊について、特に自動車の途上国への輸出車、これについては、フロン回収・破壊の義務なんというのは、これは輸出しちゃえばどうにもならぬわけですよ。しかも、途上国は、CFC、クロロフルオロカーボンという、オゾン層破壊の強力な物質、なおかつ温暖化係数が、CFC12では一万六百倍ぐらいあるんですね。炭酸ガスに比べて一万六百倍も効果のあるフロンガスなんですよね、CFC12というのは。これを途上国ではまだつくっていいんですよ。国際協定でつくっていいんですよ。そういう状態にある。日本でつくるフロンガスと途上国でつくるフロンガスは、温暖化の効果は全く同じですよね。
 ということになると、やはりこれは地球環境という観点から考えるならば、温暖化防止という地球環境的に考えるならば、それじゃこのまま輸出して、CFCをどんどん途上国で使って、日本がかつてやってきたように、大気中への放出も当たり前にやらせておいていいのかという疑問がちょっとあります。
 しかし、今日の世界経済システムからいって、これはどうにもならぬ。輸出国へ行ってフロンを回収してこなければ輸出できませんなんということはできませんよね、そんなことは。
 しかし、幸いなことにというか、ようやく温暖化防止の京都議定書の中で京都メカニズムというのが導入されました。それで、途上国において、クリーン開発メカニズム、CDMですね、これを活用することによって、先進国の温暖化ガスの削減にカウントできるという制度が取り入れられてきているわけなんですね。
 要は、では、途上国へ輸出した車のCFCを、冷媒フロンを日本がそこで回収すれば日本の温室効果ガスの削減としてカウントできるという、それは上限があるかもしれません、これからの話なんだと思いますが。一定程度、日本の温室効果ガスの削減としてカウントできる。炭酸ガス一グラムを削減するよりも、フロンガス一グラムを削減すると一万六百倍なんですよ。これだけ強烈な効果があると言ったら語弊がありますが、非常に効果の高い、また、これは大変なオゾン層の破壊物質でもあるんですね。
 ただ、今度の温暖化京都議定書では、残念ながら、それは世界各国に製造禁止、回収するのが当たり前だったので、もう既に当たり前になっているものだから、一生懸命、今、フロン回収・破壊法をしてやっても、温暖化削減としてはカウントされないんです、CFCは。しかし、その代替フロンであるHFCはカウントされます。
 HFCは、大体、温暖化係数が千三百倍ぐらいと言われています。炭酸ガス一グラムに対してHFCの温暖化は千三百倍ぐらいありますから、これも、代替物質として、日本もこれからどんどん使うということになってきているわけですし、途上国においても当然使われるということ。しかし途上国では、残念ながら、それは回収・破壊するなどというよりは、どんどん放出しちゃっているのが実態ではないかと思うんですよ。
 それについて、日本の温暖化対策の中で、フロン回収・破壊対策を、海外にまで足を伸ばしていくというような形で、日本の温暖化ガス削減にカウントできるような方策を、私は、日本の何らかの制度資金を活用しながら、例えば、余剰金でやれないのかなといったらちょっと無理ですね、とても無理な額のような感じなんですが、例えばODA、これを活用して、あるいは、自工会なら自工会の削減のカウントみたいにするような形で自工会が資金を出してやるとか、その方策はいろいろあると思うんですよ。
 国が排出権取引でCO2を買ってくるよりは、私は、そこへ金を投資してフロンを回収・破壊した方がはるかに効率的だ、こんなふうに思えるのですけれども、その辺についてどう検討されているか、状況についてお聞きしたいと思います。
岡澤政府参考人 途上国でのフロン対策についてでございますけれども、途上国からのフロンの放出、ただいま御指摘のように、オゾン層の破壊、それから温暖化の進展について大変重要なかかわりを持っておりまして、国際的にも重要な問題と認識しております。
 環境省では、特にアジア諸国でのフロン対策への取り組みについて、いろいろな機会を通じて情報収集しておりますけれども、このアジアの国の中にも、今でもフロン回収に取り組もうとしている国々もありまして、今後どのような対策が可能か、途上国支援の枠組みの中で検討しているところでございます。
 特に、御指摘のありましたHFC等代替フロンにつきましては、京都議定書上でも、CDMとして取り組む可能性というのが指摘されておりますので、ODAを使うということもありますし、また、民間事業者自身が回収・破壊をすることによってクレジットを稼ぐというようなことも可能だというふうに考えておりますので、そうした取り組みが進みますように、その枠組み等につきまして国の方で検討してまいりたいと思っております。
小林(守)委員 時間が終了したようですが、例えば有害化学物質の使用禁止の問題などもありますし、基本的には、冒頭申し上げましたように、環境と経済の両立という日本の基本的な理念の視点からいうと、今度の法律は中途半端だな、両立までいっていない、まだ経済優先の方のウエート、シフトが大きいんじゃないか、こんなふうに私は思っているのです。
 経済と環境との両立、統合という考え方に立つならば、基本的には、私は、生産者がその価格に内部化をしてリサイクルまでやるんですというのが当たり前になるような社会をつくっていく、それに対してどういうふうに経済的インセンティブを差し込んでいくかというようなことなんだと思いますが、今回の法律は、外部化して、非常に公的な管理もせざるを得ないというようなところを考えると、まだまだ、もちろん三品目に限定しておりますから拡大生産者責任とは言えないということでありまして、そういう点で、経済と環境との両立からいうと、ちょっとまだ経済の方にウエートの置かれた法律じゃないか、こんなふうに指摘をさせていただいて、終わります。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。達増拓也君。
達増委員 いわゆる自動車リサイクル法案でありますけれども、日本型の自動車リサイクルシステムを構築しようという非常に野心的な内容でありまして、提案理由の中にも、「再資源化等を適正かつ円滑に実施する新たな仕組みを構築することが必要」である。そういう新たな仕組みとして法案に規定されておりますうち、機構面についてきょうは質問したいと思います。
 三つの指定法人についてであります。この野心的なシステムを機構面から支えるものとして、資金管理法人、指定再資源化機関、情報管理センター、三つの指定法人が規定されているわけでありますけれども、年間約六百万台の国内販売があり、既に売られて買われている車が七千万台、一台二万円のリサイクル費用がかかるとして一兆四千億円規模のお金を取り扱うことになる、非常に規模の大きいシステムなわけでありますけれども、このシステムを支える三つの指定法人の規模、人数がどの程度になるものと想定しているのでしょうか。
岡本政府参考人 各指定法人の人員、規模につきましては、指定法人の業務の詳細の詰めとあわせて、それぞれの指定法人としてこれから手を挙げてくるべく準備をされている法人において検討が進むものと考えております。
 現時点であえてその規模を推測するといたしますれば、組織のスリム化やコストの最小化を精いっぱい図ることを前提に、人員で申しますと、最大でもそれぞれ数十人規模というふうに想定されます。
 当省といたしましては、資金管理業務、指定再資源化業務、情報管理業務の詳細な業務内容を検討した上で、いかなる形が効率的であるかを含めて鋭意検討してまいりたいと考えております。
 さらに、電算システムによる省力化やアウトソーシングの積極的活用によって、組織のスリム化やコストの最小化が図られますよう主務大臣として監督してまいる所存でございます。
達増委員 公益法人を指定してやっていくということなわけですけれども、公益法人というもの、ともすれば必要以上に肥大化してしまったり、予算をむだに使ってしまったり、また不透明な運営が行われたり、いろいろ問題を起こしている公益法人もあるわけであります。
 この自動車リサイクルに関する指定法人がそのようなむだなことをしない、金食い虫にならないことが非常に重要なわけであります。最大数十人規模ということでありましたけれども、数十人、まあ百人を超えない程度なんでありましょうが、それだけの人件費、通常の、一般の運営にまつわる経費、またコンピューター等による省力化をしても、そのコンピューター自体、システム自体のそういった費用などなど、それなりのコストがかかると思うんです。
 公益法人といえば政府の補助金を思い浮かべるわけでありますけれども、これらの指定法人に対して政府から補助金を出していくことになるんでしょうか。
岡本政府参考人 今度御提案申し上げております法案は、自動車メーカー等を初めとする民間事業者の活力を最大限生かしながら適切な公的関与を行うとの基本理念のもとに、関係者の役割分担やリサイクル費用の負担について定めたものでございます。
 このうち、リサイクルに係る費用につきましては、排出者負担の考え方に基づき、自動車を使用し、廃車とする自動車ユーザーがシュレッダーダスト等のリサイクル料金を負担するものでございます。
 したがいまして、自動車リサイクルシステムの運営に関し、指定法人に対する補助金を支出することは想定しておりません。既存の関連事業者の活力を十分に活用することにより、民間ベースで必要最小限の社会的コストによって実効性のあるシステムが構築、運用されることが十分可能だと考えているものでございます。
達増委員 補助金については後でまた具体的に伺いますけれども、その前に情報管理センター、三つの指定法人のうち自動車リサイクルにまつわる情報を取り扱う情報管理センターについて幾つか質問をいたします。
 情報管理センターは、既に出回っている七千万台、年間約六百万台新規に販売される自動車の一つ一つに関して、それがきちんとリサイクルされていくかどうかを情報として管理するわけでありますが、そうした自動車を一台一台情報管理するものとして、国土交通省の陸運局あるいは陸運支局の自動車登録ファイルというものが既にあります。道路運送車両法に基づく登録制度が既にあるわけであります。
 車両法に基づいて今自動車の登録が行われていて、車台番号で管理して所有者等さまざまな当該自動車にまつわる情報が管理されているわけでありますけれども、新しく情報管理センターを立ち上げてリサイクル情報を管理していく場合に、かなりの部分、情報の共有、それぞれのファイルの中での情報の共有ということができると思うんですけれども、そういうふうにやっていくんでしょうか。
岡本政府参考人 情報共有をやっていきます。
 それで、私どもの方から先にお答えさせていただきますが、情報管理センターが、今先生御指摘になりましたような移動報告制度の中枢機関として役割を果たしていくわけでございますが、他方で、今国会に提出されています改正道路運送車両法案においては、陸運局における解体を事由とする抹消登録を行うためには、自動車リサイクル法案においてリサイクルの対象となる自動車については、その解体が適正になされたことを確実に証する情報管理センターへの移動報告情報が必要というふうにされております。当該移動報告情報は、情報管理センターと陸運局の間での共有を前提としたものでございます。
 他方、中古車の輸出が行われた際のリサイクル料金の返還等に当たっては、不適正な返還の防止のため、改正道路運送車両法により新設される輸出抹消登録が行われたことを証する書類の提出を求めることを予定しております。
 また、資金管理法人は、リサイクル料金が剰余金となるかどうかを認識するために、陸運局がお持ちになっている輸出抹消登録の情報や自動車検査証に関する情報を活用させていただくことも想定いたしております。
 以上、申しましたように、自動車リサイクル法と道路運送車両法は、情報の面におきまして相互補完の関係にありますものですから、適切な連携を図ってまいりたいと考えております。
達増委員 その登録抹消の制度のところでつながっているんだという御答弁だったと思います。
 ただ、せっかく同じ自動車一台一台を管理するシステムで、七千万台とか年間六百万台とかそのくらいの規模でやるわけでありますから、なるべくむだがない方がいい、効率的であった方がいいと思うんです。
 そういう意味で、今度は国土交通省の側に質問しますけれども、国土交通省の側、陸運局、陸運支局の側でも、新しくできるその情報管理センターとの連携を踏まえ、なるべく互換性を高めていくような工夫をしていく必要があると思うんですけれども、この点、いかがでしょう。
洞政府参考人 陸運支局と情報管理センターとの連携によります情報の互換性を高める工夫についてのお尋ねでございますが、自動車の登録制度等につきまして定めております道路運送車両法につきましては、使用済自動車のリサイクル促進、それから不法投棄防止の観点から、自動車リサイクル法の制定に合わせまして、同法の枠組みに従って適正に解体処理されたことを確認した上で抹消登録等を行う仕組みに改める改正案を今国会で御審議いただいております。
 この改正後の抹消登録等の事務処理に当たって必要となります当該自動車が確実に解体処理されたかどうかということについての確認につきましては、まさしく国土交通省と情報管理センターが情報交換をすることにより行うこととしておりまして、抹消登録等の申請者、いわゆるユーザーは、情報管理センターに報告されてあります自動車の解体記録が特定できる事柄を明らかにしていただくだけでいい極めて簡便な手続とすることを考えております。
 このように、陸運支局等におきます抹消登録等の事務処理におきましては、情報管理センターの解体記録を効果的に利用するためには、正確な情報入力が必要であることはもちろんでございますけれども、コンピューター同士のネットワークが可能となるよう情報形式等の互換性は必要と考えております。このために、これらの点に関しまして、経済産業省、情報管理センターと今後十分調整させていただきたいと思っております。
達増委員 御答弁を聞いていますと、陸運支局の情報管理から情報管理センターの情報管理のところ、登録抹消制度という線があって、そこから前は陸運支局、そこから後が情報管理センターという、二つこうくっついているような感じだと思うんですけれども、実際には車を買った時点、販売された時点から情報管理センター側にも情報は入るわけでありましょうし、そうすると、その二つが背中を合わせているというよりは入りまじっている、情報が、管理の対象がダブっているところもかなりあると思うんですね。であれば、いっそもう、それを推し進めれば、完全に一つに、同じ情報をカバーするところまでできるのではないか。
 せっかく民間主導で、百人を超えない規模で、そういう、日本にあるすべての自動車の情報を管理する情報管理センターというものができるのであれば、今陸運支局がやっている情報管理についても、民間が自主的につくる組織なる情報管理センターがカバーするようにすれば、かなりの行政改革、陸運支局が行っている自動車情報管理事務を大きく削減することができると思うんですね。
 日本全国に陸運支局というのはあって、膨大な情報管理の仕事をしているわけでありますけれども、ナンバープレートとか車庫証明とか車検とか、そういったところも自動車業界とユーザーが協力しながら自主的に情報管理をしていくというシステムに移行できれば非常に大きな改革になると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
洞政府参考人 私ども国土交通省は、自動車の車名、型式、車台番号などの車両を特定する情報、あるいは所有者の氏名、住所、使用の本拠の位置などを自動車登録検査業務情報処理システムと呼ばれるコンピューターで管理しておりますけれども、これは日々の新車の登録や所有権の移転、一台一台の車検証の発行等の膨大な登録検査事務を迅速かつ正確に処理するために不可欠であるからでございます。また、道路運送車両法に定められております自動車という財産の所有権の公証という機能も果たしております。また、リコールの際の確実な実施等にも極めて効果的に活用させていただいております。
 この自動車リサイクル法の情報管理センターは、使用済自動車が現在リサイクルのどの過程にあるかといった情報について主として管理を行うこととされておりますけれども、先ほど御説明申し上げましたとおり、国土交通省として必要とする情報を、現在のところ、まだ、情報管理センターがすべて管理するということにはなっておりません。そういう意味で、情報管理センターの情報だけで私どもの陸運支局の事務処理を行うということはなかなか難しいと考えております。
 しかしながら、先ほども申しましたように、抹消登録等の際に必要になります解体記録の効果的な利用等によりまして、情報管理センターの情報を有効に活用していただいて、不法投棄の可能性のある自動車及びその所有者に関する情報を陸運支局等が早目にキャッチして、業務の効率的な事務執行に役立てたいということで考えているところでございます。
達増委員 この情報管理センターというものは、変につくってしまいますと巨大な金食い虫としてむだな、グロテスクな組織になってしまう危険性もあると思うんですけれども、一方で、うまく工夫してやっていって、今申し上げたような既存の行政事務をカバーできないかというところまで踏み込んでいけば、かなり日本一新、日本の構造改革にも資する可能性も持っていると思いますので、そこのところを一つポイントとして指摘しておきたいと思います。
 もう一つ、情報管理センターに関して一つ懸念がありますので、そこをただしておきたいと思います。
 それは、情報管理センターが扱う個々の自動車とその所有者に関する情報というものは、言ってみれば個人情報でございまして、今盛んに議論されている個人情報保護の問題という観点から、例えばだれがどういう車を買ったけれどもたちまち事故を起こして廃車になってしまったとか、そういったことがわかってしまうわけであります。
 また、そういう純粋な個人情報というもののほかにも、一種、企業の営業秘密といいましょうか、どこの販売店でどういう車をこの期間に何台集中的に売ることができたとか、こういう車、車種であればリサイクル手続が非常にスムーズでうまくいっているとか、業界の人たちからすればのどから手が出るほど欲しいような情報もこの情報管理センターにいろいろ集まってくるんだと思います。
 このような情報を、目的外利用など、そういった乱用から保護する仕組みというのはきちんとなっているんでしょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 御指摘のように、情報管理センターが扱う情報には個人のプライバシーに属するものがあることはそのとおりでございまして、したがいまして、その適正な保護を行っていくことが必要だと思っております。
 本法案では、移動報告の閲覧が可能な者を当該使用済自動車に携わった者等に限定するとともに、情報管理センターの役職員には秘密保持義務を課しているところであり、義務違反に対する罰則規定も設けているところでございます。
 このような制度を適正に運用することによりまして、御指摘の目的外利用等の防止に万全を期していきたい、このように思っております。
達増委員 それでは次に、自動車リサイクル促進センターについて伺います。
 この自動車リサイクル促進センター、平成十二年の十一月、自動車関係の日本自動車工業会でありますとか関係九団体が集まってつくった公益法人でありますけれども、三つの指定法人、それぞれというかすべてにこの自動車リサイクル促進センターが選ばれるのではないかという下馬評高い公益法人であります。
 自動車リサイクル促進センター設立に際しましては、そもそも平成九年五月に、当時の通産省が、使用済み自動車リサイクル・イニシアティブというものを策定し、その中で既にこういう公益法人構想が提示されていましたし、同じ平成九年十二月、産業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会廃自動車処理・再資源化小委員会でも同様の構想が提示されておりまして、民間団体が自主的につくったものでありますけれども、政府の指導というものもかなりそこに見られる、言ってみると、そういう微妙な法人なわけであります。
 調べてみますと、この自動車リサイクル促進センターは現在理事十八名、評議員十九名の役員がいるということでありますけれども、このうち、官僚OBは何名ほど含まれているんでしょうか。
岡本政府参考人 お答えを申し上げます。
 本年五月現在で、自動車リサイクル促進センター、常勤とかあるいは給料をいただいている官僚OBは皆無でございますが、今先生御指摘になりました、理事十八名あるいは評議員ということを見ますと、理事十八名中、中央省庁出身者は五名おります。いずれも非常勤、無給という役員でございます。評議員十九名のうちには同様の中央省庁出身者が二名おりますが、これにつきましても非常勤、無給ということになっております。
達増委員 公益法人が天下りの温床になってはならないという大原則があるわけでありまして、午前中の答弁を伺っていても、この自動車リサイクル法でできる指定法人がそういう天下りの温床になってはならないというのは政府の見解でもあるということが確認されていたと思います。
 そういう意味で、この自動車リサイクル促進センターが指定法人に選ばれていくに当たっては、こういったところも気をつけて見ていかなければならないと思うわけでありますけれども、官僚OBの役員就任と並んで、公益法人が官僚の食い物になっていく、金食い虫、予算をそこでむだに使って、それがいろいろな形で官僚に還元されたり、政官業癒着の温床になったりする、そういう問題が今一般的に指摘されているわけでありますが、この自動車リサイクル促進センターは、平成十二年度の場合、収入が八億七千万円あるわけであります。平成十二年度の財務諸表によりますと、収入は四捨五入して八億七千万円、そのうち六億七千万円が、補助金、委託費に依存しているわけですね。収入約八億七千万円のうち六億七千万円は補助金、委託費であると。
 そうしますと、これが指定法人に選ばれた後も、このようにかなりの部分、補助金、委託費に依存をしてやっていくということになると、毎年毎年かなりの税金を注ぎ込む羽目になると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
岡本政府参考人 本法案の指定法人については、先ほど御答弁申し上げましたように、私ども、民間の事業として十分運営していけるものと考えておりまして、政府の補助金を出すというようなことは考えておりません。
 このリサイクル促進センターにつきましては、今先生御指摘のとおり、十二年度にかなりの補助金をこのセンターに供与したのは事実でございます。ただ、この中身はフロンの回収・破壊ということで、大部分は十二年度補正で補助金を出すことにいたしたのでございますが、当時、ちょうどフロンの回収・破壊ということを進めるべく法案の準備が与党の中で進んでおりまして、その関係で、零細な解体業者の方々あるいは一部整備の業者の方々がフロンの抜き取り装置あるいはボンベ、そういったフロン回収に対応できるための設備的な対応を急ぐ必要があるということで、そのための補助事業を、この自動車リサイクルセンターに国は補助金として出して、かつ、ほぼ同額を自動車工業会というか業界からも費用を集めて、零細な業者の方々にフロンの抜き取り装置とボンベを配付するという事業を大急ぎでやったわけですが、その関係で補助金を出しましたけれども、それが大部分でございまして、指定法人につきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、私ども政府の補助を出していくということは現時点で考えておりません。
達増委員 今、補助金、委託費、その大きいものとしてフロン回収・破壊事業があったということなんですけれども、確かに調べてみますと、補助金、委託費のうち、ほとんどを占めているのはフロン回収事業、それに加えて自動車リサイクル業務支援システムのあり方に関する調査、またマニフェスト実証研究モデル事業、この三つの事業について、厳密に言えば、最初のフロン回収事業について補助金、あとの二つの事業について委託費が出ているわけであります。それだけのお金をかけた成果がきちんと出ているのかどうか、この三つの事業の評価について伺いたいと思います。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、フロンの回収事業につきましては、先ほど申しましたような趣旨の補助でございますが、四十七都道府県で説明会をし、それからこのとき大変大々的にキャンペーンもやりましたが、そういうPR事業、それに加えまして、千九百二十一台のフロン回収装置の導入をお手伝いいたしました。
 それから、自動車リサイクル業務支援システムのあり方に関する調査に関してでございますが、これは委託費でやらせていただきましたが、五百万円ですが、学識経験者なり業界関係者から成る検討会で、自動車リサイクルにおけるマニフェスト制度やその運営に際して具体的にどういう情報が必要か、そういったことについての分析、検討を行ったものでございます。
 それから、マニフェスト実証研究モデル事業につきましては、これは国土交通省からの請負により行ったものだと承知しておりますが、マニフェストの起票から保存、管理までを電子的に行う情報システムの実験的な構築及びシステムの仕様、運用等の課題を取りまとめたものでございます。
達増委員 その三つの事業の内容は、今度の法案で新しくつくられる情報管理センター等の指定法人の仕事を、そのままその準備をするような事業なわけであります。そして、この自動車リサイクル促進センターの設立に当たっての対外的に公表された文書を読みますと、自動車関係業界による今後の自動車リサイクル対策の推進機関とすることを目的に設立するものであるというふうに書かれていまして、あたかも最初から、生まれたときから、今回の自動車リサイクル法の指定法人になるためにつくられたような法人というふうにも受け取られるわけであります。
 最後に確認させていただきますが、今までは収入のかなりをそういう補助金や委託費に依存していたわけでありますけれども、これは、そういうあり方がそのまま指定法人になって自動車リサイクル法のもとで運用されていくわけではなく、自動車リサイクル法のもとでの指定法人というのは、原則そういう補助金の支出を想定していない、業界と、そしてまたコスト負担をすべき関係者がきちんと自主的に運営していく、そういう形に本当になるのかどうか、そこをもう一度確認させていただきたいのです。
岡本政府参考人 重ねてお答え申し上げますが、今御提案申し上げておりますようなリサイクルの制度のもとで、これは民間の事業として十分運営していくことが可能だと私どもは考えておりますので、政府の補助といったようなものに頼ることなく適切に業務をやっていけるものというふうに考えておりまして、その方向で引き続き指導してまいりたいと考えております。
達増委員 この指定法人のあり方というものがこの法案の最も重要なポイントの一つであるということを指摘して、私の質問を終わります。
谷畑委員長 樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうはお時間をいただきましてどうもありがとうございました。
 今回、自動車リサイクル法ということで、大臣、副大臣、そして役所の方々、そして委員の皆様方、こうして議論なさっておりますことに心から敬意を申し上げたいと思います。
 まず、入ります前に、ちょっと大臣に一問だけ質問をさせていただきたい。それは、ワールドカップサッカー、いよいよあさってから始まります。日韓共同開催ということで、全世界が注目をしている、オリンピック以上に実は注目度の高い大会がいよいよあさってから始まるわけであります。
 役所としても準備をしてきたというふうに私はるる伺っておりますけれども、成功に向けてどういった対策をなさってきたか。
 何で私はそれを申すかといいますと、実は、ワールドカップサッカー成功に向けてもう十年前から取り組んできました。
 と申しますのは、私は、十一年前の二十五歳のときに、小沢一郎現自由党党首の門をたたきまして、入門をいたしまして弟子入りしたわけでありますけれども、小沢党首の自宅に住み込んで、庭掃除、靴磨き、皿洗いから始めて今日があるわけなんですけれども、そのときに小沢一郎先生が、十年前ですけれども、日本にワールドカップサッカーを招致しようということの議連の会長だったんです。そういう経過がありまして、近くで携わってきたものですから、本当に感慨無量な部分があるわけであります。
 また、今回、議員になりましてからも、先般厚労委員会では、ワールドカップサッカー成功に向けて、自分なりに議員としてできることは何かということで、もちろん議連にも入ってもおりましたし、例えば、救急医療体制、坂口厚労大臣に準備は万端なのかと、また、警察庁警備局長さん、また法務省の副大臣さんにも、いわゆるフーリガン対策、テロ対策、いわゆる治安維持対策は大丈夫かということで、議員としても委員会で質問もいたしました。
 また、実は一議員ではなくて一市民としても、今度、私の地元であります横浜、横浜国際総合競技場では決勝戦も開かれるんですけれども、そこでは、観戦する方ではなくて場外でボランティア活動をしようということで、横浜市の登録しているボランティア活動で、場外で案内誘導係をやるということであるのであります。
 大臣、ワールドカップサッカー、大臣はサッカーに興味があるかどうかわかりませんけれども、所見、また、成功に向けて役所としてどのような取り組みを行っているのでしょうか。
平沼国務大臣 今回の日韓共催のワールドカップサッカーの大会というのは、大変日本にとっても大きな意味があると思っています。
 したがいまして、内閣の中でも、各省庁が協力をし合って、そして、この成功に向けてお互いに連携を密にして努力をしていこう、こういうことで、特に、今フーリガンのことも言われましたけれども、警察庁を初めとして、そういった対策も万全にしておりますし、また、国土交通省におきましては、これも御承知のように、いろいろなチケットの問題でありますとか、あるいは、例えば国立博物館は無料で見られるとか、そういうインセンティブを与えることも総合的にやっています。
 私ども経済産業省は、そういう中で、各省庁との連携の中で、最大の効果が出るように、役所としていろいろな形で御協力できる面がありますから、そういうことについて今全力を挙げてやらせていただいているところであります。
 また、私は、個人的にも運動は大好きでございます。ただ、私がちょうど育ったころはまだサッカーがそれほど日本ではポピュラーではなかった。こういうことで、私はもう一つポピュラーでなかったアメリカンフットボールをちょっとやったんですけれども、しかし、サッカーというのは、最近日本の中でも非常に人気が出てまいりましたし、私どもは、これを通じてすばらしい経済効果も出ると思います。ですから、そういう経済効果が出る、そういう側面から経済産業省としては支援をしていく、こういうことでやらせていただいているところであります。
樋高委員 経済効果、これを機会に、ある意味で本当にさまざまなきっかけをつくれるわけでありますから、そういうことも踏まえた上で、役所として主体的にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 自動車リサイクル法に関しまして、まず、環境省さんからきょう政務官にお越しいただいておりますので、質問をいたしたいと思います。
 この今回の法律案を見まして、私はさまざまな問題意識を持っておりますけれども、何か現時点での課題はあるかといったら、いや、これは今閣法として出しているから問題ないんだという答えでしょうけれども、将来的に、環境の側面から考えて、環境省の立場から考えて、課題はどこにあると思いますか。
奥谷大臣政務官 お答えしようかなと思ったら、その件についてはもういいということで、将来に対する課題ということなんですが、これを出しておる現時点で最善の策と考えておりますので、この法案が成立しまして施行された後に、法案の中に、五年以内に、いろいろな状況を把握して、必要な措置を講ずる、そのようなことも法案に盛り込んでおりますので、現時点では最善のものと考えております。
樋高委員 それは当然の話でしょうけれども、要は、環境省として、しっかり環境の側面からも、政府は今、方針では、経済と環境の両立ということを言っているわけですから、堂々と、別に対立案件じゃないんですよ、そうじゃなくて、お互いに高めていくものだということにのっとった上で、環境省として、環境の側面からどうなのかということの問題意識をしっかりと持っていただきたいと思います。
 それで、この法律案を見ましたときに、私、一番最初に思ったのは、随分重い法律だなと。その分しっかりとしたリサイクルするシステムをつくろうという意気込みのあらわれであるというふうにいいように解すればいいんですけれども、本法律の制度においては、いわゆる自動車のリサイクルという目的の達成のために余りにコストがかかり過ぎている面が否めないのではないか。なぜ、ここまで巨大な管理を要するような仕組みをつくり上げてしまったのか。要するに、もう重厚長大というのは時代の潮流ではないんです。余りにちょっと大がかり過ぎるのではないかという批判も多いわけであります。法律案文だけで百四十三条まであります。そして、附則だけで二十三条、合計百六十六条文もあるわけです。
 この自由主義経済下においては、私ども自由党では、フリーでフェアでオープンな市場、社会をつくっていこうということで、なるべく規制はしないようにしようじゃないかということなんですけれども、私も環境委員会の方の理事をしておりますから、どうしても環境の側面からも見てしまうのでありますけれども、一方で、この経済活動を見たときに、いわゆるリサイクルの部分の費用の流れなり情報の流れなり、それを一つ独立してしまって、ある意味で市場から切り離すことによって、確かに正確にはなってきますけれども、経済活動という側面からすると、硬直的な側面を私は否めない。自由主義経済においては、まだそういう部分、もう少し議論が必要なのじゃないか。
 もちろん、自動車リサイクルは、私、積極的にすべきであるという論者ではありますけれども、こういった、余りにコストがかかり過ぎ、余りに大がかりになり過ぎという批判には、どのようにお答えになりますでしょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 本法案というのは、御承知のように、新車販売時にリサイクル料金の預託を義務づけることによりまして、使用済自動車の不法投棄を未然に防止をしつつ、リサイクルコストの低減に向けた各事業者間の競争原理、これを働かせることを主眼としまして制度の設計を行ったものであります。制度全体としては、解体業者、破砕業者といった既存業者による、既にあるインフラを最大限に活用することを主眼として構築をいたしました。
 そのほかに、資金管理法人や情報管理センター等については、御指摘のように、かなり大がかりな制度となる可能性があるという点については、私もそのとおりだと思っております。しかしながら、リサイクル料金を安全確実に管理するとともに、確実な引き取り、引き渡しと再資源化実施を確保するためのマニフェスト制度を効率的に運営しまして、結果的に社会的なコストの最小化を図るためには必要な枠組みである、私どもとしては、こういう考え方に基づいて作成をさせていただきました。
 いずれにいたしましても、こうした指定法人の業務につきましては、電算システムによる省力化でございますとかアウトソーシングの積極的な活用によりまして、組織のスリム化、コスト最小化が図られるように、そういう大きな一つの中でできる限り努力を主務大臣としてさせていただきたいと思っています。
樋高委員 そのスリム化が物すごく重要な部分でありまして、ほうっておいたらどんどん雪だるま式にふえていくのがやはり行政上の仕事であったりするわけでありますから、その部分をしっかりと主務大臣として責任を持ってやっていただきたいと思います。
 奥谷政務官にお聞きします。
 そういう管理にかける労力により発生するコスト、一方で、いわゆる本来の環境対策、つまり再資源化のコスト、仮に、自動車のリサイクル料金を二万円だとして、その二万円のうち、コスト的な計算、これは後で計算しなくちゃわからない話ですけれども、ある学者さんの試算によりますと、二万円のうち一万二千円分が、実は、そういった情報管理、お金の管理、人件費、テナント代、トータル、窓口からいろいろな情報を収集する、そういった経費の方にかけてしまって、本来の再資源のための、環境のための、いわゆるフロンを破壊したり回収したり、本来の環境対策の費用のコストの方が少なくなってしまうんじゃないかという懸念も聞かれますけれども、どのように考えますか。
奥谷大臣政務官 管理の労力により発生するコストと、それから環境対策に対するコストの差の話でございますが、これは、具体的に細かく数字を今挙げることはできませんけれども、いわゆる既存のリサイクルのシステムであります自動車ディーラーとか解体業者あるいは破砕業者等、できるだけ既存のものを活用してまいるということと、それからまた、関係者に対する新たな義務づけ等も、適正なリサイクルを行う上で必要不可欠なものに限るというようなことで、自動車リサイクルの新たな仕組みに要するコストは最小限になるようにしております。
 また、法の実際の運用に当たりましても、リサイクルシステムの管理に要するコストはできるだけ高くならないように配慮してまいりたいと考えております。
樋高委員 松政務官、同じ神奈川でございます、ちょっとお聞きしたいと思います。
 いわゆるこのリサイクル料金剰余金の方の話でありますけれども、これはどの程度の金額が見込まれているのか。要するに、今回法律をつくるに当たっても、実際やってみなくちゃわからないという話でしょうけれども、ある程度の試算は必ずやったはずであります。やったからにはその数字が出ているはずでありますから。そして、ちょっと私、環境の側面から、しつこくて申しわけないのですが、そのうちの何割、何%を不法投棄あるいは野積み対策に充てる方針なのか、伺いたいと思います。
松大臣政務官 お答えさせていただきます。
 剰余金の規模につきましては、リサイクル料金そのものの額がまだ決まっていない現時点においては推計が困難であると言わざるを得ないんです。しかし現在でも、実は、ユーザーの方がこれを廃車したい、とりに来てと言いますと、大体一万円くらい、五千円から一万円と言われていますけれども、払うというふうに言われております。
 あえて予想される規模について申し上げれば、剰余金の金額の多くを占めると思われますのは、いわゆる廃車がら輸出なんですね、それに伴って不要となるシュレッダーダストのリサイクル料金でございます。今現在でも、大体、これにかけますと一台一万円ぐらいはかかるわけですね。したがって、廃車がら輸出の量が、現状、年間三十万から五十万台ぐらいに及ぶと言われております。
 こういうことにかんがみますと、法律の施行後、廃車がら輸出が減ることも考えられますけれども、それらを由来とする剰余金の額は、大体ですけれども、幅があるんですけれども、十億円から五十億か六十億円くらいに及び得るものというふうに試算がされております。
 また、そのパーセントということでございますけれども、剰余金をどの程度不法投棄あるいは野積み対策に充てるかということにつきましては、離島の地域についての対策、また自動車ユーザーの料金負担の軽減、これらも勘案して、これらの三つ、この点から、そのバランスも勘案しつつ、適切に対処するべきものと考えております。
 いずれにいたしましても、発生した剰余金につきましては、法律の規定に基づいて適切に処理をしてまいるところでございます。
樋高委員 ありがとうございました。
 剰余金、十億から数十億ということの計算、先のことはわかりませんけれども、めどということでありますけれども、この中で、要するに不法投棄、野積み対策に充てる、そういうふうにうたわれているのですけれども、何らかのトラブルも、将来何があるかわからないわけでありますから、剰余金が必ずしも確保されるとは限らないということも考えた上で手を打っていかなくちゃいけないんじゃないかなというふうに私は思うのでありますが、実は私、不法投棄による環境汚染というのを物すごく懸念をいたしております。
 例えば横浜市なんかは、昨年は一年間で六百六十台撤去しました。私が住んでおります都筑区というところは一番多くて、去年一年間で百二十台撤去した。自治体にとってもコストがえらいかかっているということであります。
 国交省さんに聞きましても、年間で不法投棄は二万台は下らないだろうという試算でありまして、さまざまな問題もありますし、さまざまな手も複合的に打っていかなくちゃいけないのでありますけれども、そこの部分はある程度、バランスをとってという話でありますが、きちんと手当てをしていただきたいと思うのであります。
 奥谷政務官に伺いますけれども、いわゆるこの不法投棄、野積み対策について具体的にどのように行う計画でしょうか。
奥谷大臣政務官 このリサイクル法が施行されましたら、確実に不法投棄等は減少していくと思います。
 しかしながら、それとあわせまして、監視パトロールの強化、これはもう絶対に強化を図らねばなりませんし、また、違法者に対する厳格な対応というものも必要かと思います。このために、都道府県が行う監視パトロール強化への助成を引き続き行うとともに、平成十三年度に整備した携帯情報端末による監視システムの活用や人工衛星を活用した監視手法の開発など、効果的な監視手法の導入を進めておるところでございます。
 また、廃棄物処理法の厳格な運用を図るためには、都道府県に対して、行政指導に頼らず、速やかに改善命令や措置命令等行政処分の実施を求めているところであります。
 さらに、代執行によりまして原状回復を行う地方公共団体に対しまして、自動車リサイクル法において剰余金を活用した資金の出捐制度も予定されております。
 このような制度も活用いたしまして、不法投棄対策の一層の拡充強化を図ってまいりたいと考えております。
樋高委員 まさしく拡充強化、しっかりとお願いをしたいと思います。
 最後に、お伺いをいたします。
 ちょうど一年前でありますけれども、フロンの回収・破壊法案ということで、私自身も、議員立法、委員長提案という形になりましたけれども、昨年携わってまいりまして、カーエアコンにつきましてことしの十月から施行されるということでありますけれども、今回の自動車リサイクル法ができることによってその部分は引き継いでいくんだというふうになるわけですけれども、実は、細かいところを見てみますと、ちょっといろいろと仕組みが違ったりシステムが違ったりしておりまして、スムーズな本法への移行が行われるかどうかということも私、心配なんです。
 移行するときにさまざまな混乱が生じれば、またそこにはフロンが大気中に放出されたりしかねないわけでありまして、今後の段取りも含めまして、そこら辺のところ、どのようにスムーズに移行していくおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のとおり、フロン類回収・破壊法のカーエアコンに関する規定につきましては、自動車リサイクル全体の制度構築に先駆けて、本年十月末までに施行されることに相なっております。
 他方、カーエアコンに充てんされているフロン類の回収・破壊につきましては、使用済自動車のリサイクル過程において一体的に行うことが適当であると考えております。
 フロン類回収・破壊法の附則におきましても、自動車リサイクル法の検討に当たって、両者を一体的に扱うという観点から廃止を含めた見直しを行い、必要な措置を講ずる旨規定されているところであります。
 このため、フロン類回収・破壊法におけるカーエアコン部分の規定については、本法案の附則においてこれをぴしっと廃止をして、本法案の中で規定し直す、そういう形に相なっております。
 その際、フロン類回収・破壊法の登録を受けている事業者につきましては、何らの手続も要することなく、本法施行と同時に自動的に引き取り業者またはフロン類回収業者の登録を受けたもの、このようにみなすこととしております。
 このような措置を講ずることによりまして、事業者の手続負担が軽減されるとともに、スムーズな移行が確保されるものと私どもは認識しております。
樋高委員 この自動車リサイクル法が施行になる前に、フロン回収・破壊法に基づいた法律がずっと続いていって、それが実態として行われている最中にまた次の新しい制度、説明を、どんどん普及啓発を行っていくところで一部混乱が生じるのはやはり目に見えている話でありますから、そこまでよく踏まえた上で行っていただきたいというふうに思います。
 リサイクルということの取り組みはまだまだ日本はおくれていると思います。どうか、循環型社会実現に向けて、これからも、私も取り組んでまいりますし、関係の皆様方もしっかりと取り組んでいただければというふうにも思っております。きょうはありがとうございました。
谷畑委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 本法案の審議に先立って、私どもも、近く当委員会も視察に行くようでありますが、啓愛社を初め幾つかの解体工場などを見てまいりました。そういう調査を通じて明らかになった問題点や、幾つかの基本点などについて、大臣を中心に質問をしてまいりたいと思います。
 まず最初に、この使用済自動車の再資源化を進めるために決定的に重要なこととして、私は、自動車製造業者等の果たすべき責任、特にその自動車の設計・製造だけじゃなくて、使われている原材料の材質まで熟知している、つくった本人である製造業者の責任が極めて重要だと思いますけれども、まずその点から、これは大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 自動車メーカーが自動車リサイクルにおいて果たすべき責任についてのお尋ねでございますけれども、本法案では、解体業者や破砕業者などの既存のリサイクル事業者を最大限活用しつつ、拡大生産者責任の考え方に基づきまして、これまで自動車リサイクルに直接かかわっていなかった自動車メーカーが中心的な役割を果たすものといたしているところでございます。
 具体的には、自動車メーカーあるいは輸入事業者は、みずからが製造または輸入をした自動車が使用済自動車となった場合には、その自動車から発生するフロン類、エアバッグ及びシュレッダーダストを引き取り、リサイクル等を適正に行う法的責任を有することとしているところでございます。
 また、解体業者等に設計情報等の提供などの協力を行うことによりまして、リサイクルの適正かつ円滑な実施を図るとともに、御指摘の自動車自体につきましても、設計等の工夫により長期の使用の促進あるいはリサイクルの容易化等に努めるように、そういう責任を有していることとしておりまして、自動車メーカーが自動車のリサイクルシステム全体をリードする役割を期待している、そういうことでございまして、御指摘のように、設計の段階でいかにリサイクルしやすい、そういう概念をやはりきちっと果たすべきだ、こういうことを盛り込んでいるところでございます。
大森委員 今、大臣が、拡大生産者責任、EPRの立場に立って自動車メーカーがこのリサイクルの中心的な役割を果たすという御答弁がありましたけれども、実は、私のこの質問の最大の前提といいますか、疑問といいますか、本当にそうなっているのかという点であります。
 具体的にお聞きをしたいわけなんですが、既にいろいろお話があったように、フロン類、エアバッグ、ASR、三品目の引き取り義務があるわけでありますけれども、まず、フロン類やエアバッグについて、これは自動車メーカーが直接やることになるでしょうか、それとも、エアバッグについて、みずからその再資源化を実施することになるのかどうか、この点はどうでしょうか。
岡本政府参考人 自動車メーカーには、まず三品目を関連事業者から引き取ることを義務づけておりますが、エアバッグについてはリサイクルを、それからフロン類の破壊については、フロン回収・破壊法の破壊業者への委託を行うことを義務づけております。
 エアバッグのリサイクルを自動車メーカー自身が行うのか、あるいはメーカーが委託した者が行うのかについては、制度上、自動車メーカーの判断にゆだねております。
 いずれにせよ、リサイクルコストの最小化を目指しつつ、自動車メーカー自身の責任で対応すべきものとされているところでございます。
大森委員 実態的には、フロン類の破壊については化学メーカーが行う、それからエアバッグの再資源化、私どもも工場で見てまいりましたけれども、解体業者が行っているというわけですね。
 では、その一番最大の問題であるシュレッダーダスト、ASR、この再資源化については、自動車製造業者等はどういうかかわり方をするのか。みずからこれは実施するのかどうか、この点はいかがですか。
岡本政府参考人 シュレッダーダストの処理につきましても、自動車メーカー自身がリサイクルを行うか、あるいは他の事業者に委託をして行うか、これは自動車メーカーの判断にゆだねられておりますが、いずれにしても、自動車メーカーはリサイクルコストを下げるということを大きな目標にしながら、自動車メーカー自身の責任において一番いい方法を選択すべきものと考えております。
大森委員 日本政策投資銀行の「調査」という雑誌に資料が掲載されておりますが、「使用済み自動車リサイクルを巡る様々な取り組み」という中で、ASRの再資源化に、十二社の例を紹介しております。内容を見ると、プラントメーカー、鉄鋼、非鉄金属など大手企業が技術開発や実用化に取り組んでいるような状況であります。
 自動車製造業者は、恐らく全面的にこうした企業に委託をするということになると思うんですが、では、その費用はどうなるのか。製造業者みずからがこれを負担することになるのか。どうでしょうか。
岡本政府参考人 ただいまの先生の御指摘はASRの処理ということについてかと思いますが、ASRの処理について、御指摘のように、例えば銅の精錬メーカーでありますとか、あるいはガス化溶融炉については鉄鋼メーカーでありますとか、あるいはプラントメーカー、一部はガラスあるいはセメントの業者の方々もいろいろな方策を勉強されております。自動車メーカー自身も、例えば豊田メタルのように、ASRの高度処理ということに向けて実証プラントを用意して研究しているところも現にあるところでございます。
 自動車メーカーが今度の法案でリサイクルの処理ということについて中心的な大きな役割を担いますので、それのコストの低減ということを目指しながら、技術開発の面、それから実際に処理プラントを投資して設置するというのが自動車メーカーになるか、それとも既存の設備を持っていらっしゃる方々あるいは技術を持っている方になるかというところは、これは一番効率的な方法を関係事業者の間の相談で決めていただければよろしいかと思っております。
 いずれにしましても、自動車メーカーも、技術開発、それから場合によっては、プラントの建設についても相当の初期投資を含む費用を負担してまいることになろうかと思います。(大森委員「費用はどこが負担するの」と呼ぶ)
 実際のASRの処理についての費用は、自動車リサイクルの料金ということでユーザーの方々からあらかじめ預託していただくということで賄ってまいりますので、費用の負担はユーザーの方々にお願いをするということになろうかと思います。
大森委員 そうすると、フロンは化学メーカーが行う、エアバッグについては解体業者が行う、そしてASRについてはプラントメーカーとかに委託して行う、費用は消費者、ユーザーが負担するということになるわけですね。
 そうすると、大臣が冒頭に言われた拡大生産者責任、この立場、これは、厳密な定義で言えば、製品の生産から廃棄後の過程まで生産者が責任を持つという拡大生産者責任ですね、これはそういう立場に立っていると本当に言えるのか。EPRを具体化したものと私は言えないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
岡本政府参考人 実際のリサイクル処理を行うに当たって、例えばフロンの破壊ということについて、廃棄物処理業者の方々が破壊プラントをお持ちになっている、あるいはセメントのキルンをお持ちの方々がそれの破壊プラントを持っていらっしゃるという場合に、これを使いながら効率的にやっていくということは、自動車メーカーがリサイクルの、例えばフロンの破壊についての責めを果たしていくということを実際に実行するに当たって、私は、それがより効率的な方法であれば、そこに委託してやるというやり方はあってしかるべきだと思います。そのことをもってして自動車メーカーが拡大生産者責任を果たしていないということには直ちにはならないんだろうと思います。
 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、まさに先生も御指摘なさいましたように、自動車メーカーの設計の点あるいは部品、材料の選択の点、そういったことを含めて、リサイクルしやすい車をつくり、さらには長く使える車をつくり、それから、リサイクルの処理費用を極力低減するということで、みずからの技術あるいは関係者の一番持っているいろいろな技術なりファシリティーをうまく結び合わせることによって、一連の効率的なリサイクルの制度を実際につくり上げ運用していくということが拡大生産者責任というもとで自動車メーカーに期待される役割だと思いますので、私どもは、そういう役割はそれぞれのメーカーにきっちり果たしていただくべく、この法律の施行とあわせて促してまいりたいと考えているものでございます。
大森委員 局長は、このEPRの立場、私はこの廃棄物政策において、今EPRの立場というのは今日世界の流れになっていると思うのですが、これは、OECDが二〇〇〇年に発行した「拡大生産者責任」、政府向けガイダンスマニュアルでありますけれども、そこで厳密に定義をしているわけですね。大臣もこれはごらんになったことがあると思うのですが、この中で、今の局長のEPRの立場というのは国際的に通用しないと思うのですね。
 具体的に申し上げますと、OECDでは、これは日本の厚生省、かつての環境庁も加わって、一九九四年以来四回にわたってワークショップを開いて検討してきてまとめたものであるわけですね。
 この中には、日本の厚生省、環境庁に謝意を表したいというようなことも前文にはありますけれども、その中では、「製品に対する製造業者の物理的および(もしくは)財政的責任が、製品ライフサイクルの使用後の段階にまで拡大される環境政策アプローチと定義する。」ということになっているわけですね。
 さらに、もうちょっと申し上げますと、「製品ライフサイクルにおける使用後の段階における影響という点では、問題となっている環境影響を軽減するよう製品の設計変更を促す暗黙のシグナルが生産者に送られる。生産者らが責任を引き受けるのは、製品ライフサイクル中の環境影響を最小化するようその製品を設計するときであり、また設計によっては排除できない影響に対して物理的および(または)財政的責任を引き受けるときである。」と。さらに、「EPRの第一の機能は、廃棄物管理の財政的および(または)物理的責任の、地方自治体および一般納税者から生産者への移転である。」ということを言っているわけですね。
 今回の法案は、メーカーの費用負担を逆に消費者に移転するというものになっていると思うのですね。したがって、今申し上げた、例えば「廃棄物管理の財政的および物理的責任の、地方自治体および一般納税者から」、これは現在の姿でありますね、「一般納税者から生産者への移転」というのが第一の機能だと明確に規定しているわけです。それは、この法案でどういうふうになっているのですか。
平沼国務大臣 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、この法案におきます拡大生産者責任の内容でございますけれども、本法案においては、解体業者や破砕業者などの既存のリサイクル事業者を最大限活用しつつ、これは局長からも御答弁させていただきましたけれども、拡大生産者責任のそういった考え方に基づいて、これまで自動車リサイクルに直接にかかわっていなかった自動車メーカーが中心的な役割を果たすもの、こういうふうにいたしているわけであります。
 具体的には、もうこれは委員もよく御承知ですけれども、自動車メーカー、輸入事業者は、みずからが製造または輸入した自動車が使用済自動車となった場合に、その自動車から発生するフロン類、エアバッグ及びシュレッダーダストを引き取ってリサイクル等を適正に行う法的責任を有すること、こういうふうになっているわけでございます。
 OECDの政府向けガイドライン、ここの規定を言われました。その拡大生産者責任の考え方は、OECDの政府向けガイドラインにおいては、御指摘のように、製品に対する製造業者の責任が製品ライフサイクルの使用後の段階まで拡大される政策アプローチと定義されている、このように認識しております。
 この考え方に立った上で、具体的にどのようなリサイクル制度を構築していくかにつきましては、それぞれの製品の特性に応じてバリエーションがある、私どもはこういうふうに思っておりまして、先ほど来御説明しておりますとおり、今こういったお願いをしている法律の中では、拡大生産者責任の考え方にこれはかなっている制度だ、私どもはこういうふうに思っておるところであります。
大森委員 このOECDの拡大生産者責任の全体について、やはり理解が決定的に私は異なると思いますね。
 この中及びこれ以前に出されたフェーズ2フレームワークリポートなどの中では、拡大生産者責任の本質は、だれが廃棄物処理システムのための費用を支払うかということを言っているわけですね。あるいは、EPRの核心は費用負担、EPRの導入は、廃棄物の処理・リサイクルの主体を従来の自治体住民から、これは先ほど申し上げたとおりでありますが、消費者に転換していくことにあるということで、費用負担の問題がこの核心だというわけですね、物理的なあれこれじゃないというわけですよ。費用負担について、生産者はどういう形でこの負担を明確にしているんですか、この今回の制度では。
岡本政府参考人 EPRの具体的な形というものは、先ほど大臣が御答弁なさいましたように、それぞれの国において、それからそれぞれの製品、物に応じて、その消費あるいは廃棄物になった後の流通の実態、そこにどういう方々がかかわっているか、そういったことを勘案しながらそれぞれの国の中で制度を設計していくというのがOECDにおけるEPRの基本的な考え方だと思います。
 それを受けて、日本の場合には、循環型社会形成推進法というのができているかと思いますので、日本の中で、自動車に即して、私ども、関係する方々の意見を過去二年余にわたって伺いながら今度の御提案をさせていただいているわけでございます。
 費用の点については、その点のみからEPRを判断するのはいかがかと思いまして、メーカーが仮に費用を負担するにいたしましても、きょう午前中の議論にもありましたように、最終的にはユーザーの方々に負担していただくということになっていくんだと思うのですけれども、そういういろいろなオプションがある中で、今の自動車のリサイクル、それから管理型の処分場が大変逼迫してきている、あるいは回収するメタルの価格がどんどん下がってきている、そういう中で適正処理を確実にやっていくための仕組みとして今回の御提案を申し上げている次第でございまして、費用負担については、この法案では、販売時にユーザーの方々に御負担していただくということをベースにした費用負担の制度設計にさせていただいているところでございます。
大森委員 各国の事情に応じて行うというのは、これは当然のことであって、だからこそガイダンスマニュアルとなっているわけですよ。これは当たり前のことです。ただ、その核心の部分をこれはゆがめたらだめだと思うんですね。
 費用の負担は結局は消費者に行くんだという理屈は、これはもう成り立たない。やはり生産者がみずからの費用としてこれを、製造の過程でその思想、理念等を貫いていくということにおけるインセンティブというのは決定的に違ってくると思うし、質的にこのリサイクルを前進させる大きな力にメーカー自身なっていくんだということだと思うんですね。
 OECDの考え方については、今、そういうゆがめた形で進めるような答弁をされたわけですが、では、同じこのOECDの拡大生産者責任を受けて、EUではELV指令、廃車指令、これが二〇〇〇年に出されました。これにおいて廃車処理の費用負担はどうなっていますか。
岡本政府参考人 二〇〇〇年十月に発効しましたEUにおける廃車指令においては、EU加盟国は、二〇〇二年七月以降に販売される新車及び二〇〇七年一月以降に発生するすべての廃車が最終所有者の負担なしに引き取られることを制度化し、自動車メーカーが回収・処理費用のすべてまたは多くの部分を負担することを保証するための措置を講ずべき旨について規定しているものと承知をいたしております。
大森委員 今お読みいただいた部分にも入っておりますけれども、EUのELV指令ですね。「最終保有者および/または所有者が当該車を許可された処理施設に無償で引き渡すことができるよう確保しなければならない。加盟国は、これらの実施費用のすべてまたはそのかなりの部分を生産者が負担することを確保しなければならない。」さらに言えば、「廃車およびその部品の解体、再使用およびリサイクルに関する要件は、新車の設計および生産のなかに統合されなければならない。」と明確に規定をしているわけですね。OECDのそれをきちんと受けてEUの指令はなっているわけです。
 あれこれの理屈をつけて一番肝心な部分を日本の制度、法案はやはりゆがめているんじゃないかと思います。EUの廃車指令が「車両の引き渡しが最終所有者の負担なしに」と述べている点は、この意味で本当に重要だと思うんですね。
 このOECDのをEUが受け、今度はドイツがこれを受けてさらに制度改善をやるわけですね。ドイツでは使用済自動車のリサイクルシステムについてどう対応しているかつかんでいるか。現在、廃車両法案というのを審議しているようでありますけれども、ドイツのこの廃車両法案についてつかんでいられることをお聞きしたいと思います。
岡本政府参考人 ドイツにおきましては、御指摘のように、廃車の処理に関してEU指令に基づき国内法を整備すべく、現在議会において法案を審議中であると聞いております。
 この法案におきましては、自動車メーカー等に、二〇〇二年七月以降に販売される新車と二〇〇七年一月以降に発生するすべての廃車の無償引き取りを義務づけるとともに、当該廃車の処理費用につきましては、自動車メーカー等が一次的な負担をすることを前提に、それに必要なリサイクル費用に関して無税の引当金を積むことについての義務づけを制度化する内容となっているものと承知をいたしております。
大森委員 お聞きいただいたように、自動車メーカーの、一定の年限はありますけれども、無償引き取りということと、さらに、そのために自動車製造業者に処理費用の無税積み立て、こういうことが盛り込まれているということで、日本の今回の制度、法案と大きく違うんじゃないかということが明らかになったと思うんですね。
 そういう意味で、私は、大臣が冒頭にEPRの立場に立ってと言いましたけれども、国際的な世界の流れ、そういうEPRの立場と似て否なるものが今回の制度だということを申し上げたいと思うんです。
 預託金の問題については、いろいろお話もありましたけれども、私の方も一、二問、聞いておきたいと思うんです。
 預託金の計算根拠が適切かどうか、それが適切に使われているかどうか、自動車の所有者からチェックできる仕組みがあるのか、こういう点も含めて、私は、自動車メーカーが中心的な役割を果たしていると言うが、そうじゃないと。では、消費者は負担はさせられるけれども、こういう費用の計算根拠、それに関する情報のチェック等々に関与できないということで、こういう意味では自動車製造業者本位の仕組みになっているんじゃないかと思いますが、この点、いかがですか。
岡本政府参考人 ただいまの御質問にお答えする前に、ドイツについては先ほど先生のお尋ねに御答弁申し上げましたが、もう一つ、EU指令に基づいて、自動車のリサイクルについてヨーロッパの中で先進的な事例として言われているのがオランダでございます。
 オランダにおきましては、今回私どもが御提案申し上げると同様に、費用を外部化して、ユーザーの方々に負担していただいてリサイクルをやっていくということで従来から進めておりまして、それはEU指令との関係でも整合的という評価を得ているものがヨーロッパの中にあるということを一言付言させていただきたいと思います。
 その上で先ほどのお尋ねでございますが、リサイクルの費用につきましては、大きく三つの要素から、すなわち、フロンの回収・破壊費用、エアバッグの取り外し・展開処理費用、それからASRの処理費用でございます。
 フロンにつきましては、昨年来のフロン回収・破壊法の準備の過程で、メーカーとフロンの回収を行う解体業者あるいは破壊業者の方々の間でかなりコストについてのすり合わせというのをやってきておりまして、徐々にめどが立ちつつあるところでございます。
 エアバッグにつきましては、九九年以降、エアバッグの取りつけというのが相当進んでまいっているのですけれども、取りつけの箇所、それから構造によってコストがかなり違うということで、その辺の実態を今精査しながら、現状でどうなるか、それを先々にわたってどう低減できるかということで、関係の事業者の間で突っ込んだ勉強が今進んでいるところでございます。
 ASRについては、先ほど御指摘がございましたように、精錬あるいはガス化溶融炉あるいはセメントキルンというようなものを使う、いろいろな可能性があろうかと思いますが、今のコストと、それから、二〇一五年をにらむということになろうかと思いますが、処理率を九五%まで引き上げていくということを目指しながら、技術のこれからの展開によってコストがどういうふうに変動していくか、その辺の事情を私どもも、メーカー等に一方的に頼らずに、我々自身もあわせて独自に勉強、調査をしながら、適切なコストというのが那辺にありやということの情報を持ちながら、メーカー側に極力安い料金を設定していただくべく法律の運用に臨んでまいりたいと考えているものでございます。
大森委員 今の点、もう一問だけお聞きしておきたいのですが、今も申し上げたのですが、自動車の所有者、ユーザーがチェックできる保証といいますか、システムというか制度、それはどうなっているんでしょうか。
岡本政府参考人 一つには、各自動車メーカーは、そのリサイクル容易性というものを端的に公表する指標として、リサイクルの料金というのを極力下げる、そういう方向に向けて競争が働くということを期待しておりますが、あわせて、リサイクルの実施に関するいろいろな情報の開示というものを各メーカーあるいは輸入業者の方々に努力していただきたいというふうに私ども考えております。
 そのことを通じて消費者の側が、リサイクルあるいは循環型社会という面から見て、よりよい車を選択していただくということにつながっていくのではないかというふうに考えているところでございます。
大森委員 次に、別の面からお聞きをしたいわけですが、特に解体業者、先ほど答弁にありましたように、既存の市場メカニズムあるいは流通経路といいますか、そういう既存の流れをできるだけ活用するというお話もありました。
 自動車販売業者と整備業者などの引き取り業者から破砕業者までずっと、それらの段階ごとに引き取り義務、引き渡し義務があるわけなんですが、物としての使用済自動車、上流から下流に必ず流れるという仕組みになっているわけですね。その場合、正当な理由がなければ拒むことはできないということになると思うんですが、拒めるのはどういうようなときでしょうか。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 関係事業者は、天災等の不可抗力により引き取りを行うことができない場合、あるいは、引き取りを求められた使用済自動車に使用済自動車以外の廃棄物も搭載されているといった場合には使用済自動車の引き取りを拒否できるものと考えております。
大森委員 多くの場合は事実上拒むことができないということだと思うんですが、こういう中で、使用済自動車あるいは廃車がらなどを引き取るに当たって、有償あるいは逆有償であれ、金銭の授受は認められるのでしょうか。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 使用済自動車は関連事業者間をおおむね有価で流通するということが想定をされておりますので、そういった視点からすると、関連事業者が使用済自動車を引き取る際に金銭の授受は当然認められるというところでございます。
大森委員 そうしますと、解体業者は引き取り業者に、それから破砕業者は解体業者に何がしかの金額を支払うということになると理解していいわけですね。
 それで、解体業者が使用済自動車の再資源化に向けた処理の中で三品目以外に廃車から取り外して処理処分するという場合に経費が必要になるというものがあると思うんですが、この辺の実態ですが、これは御存じでしょうか。つかんでおられる内容についてお聞かせいただきたいと思います。
岡本政府参考人 三品目以外にも、解体事業者あるいはシュレッダー業者の方々において、人件費でありますとか設備費でありますとか、いろいろなコストがかかるということは私どもも伺っております。
 ただ、自動車のリサイクルというのは、先生御案内のように、かつては有償で回っていた、そういう世界なんですけれども、近年において、一方で、シュレッダーダストの最終的な処分費用が著しく増嵩したということ、それから、回収したスクラップの価格が大幅に下落したという両面から逆有償に今至っているということで、今度、三品目についてしっかりとした費用負担の仕組みを伴いながら作業をやればメーカーのところでその対価というものを支払っていただく、そういう制度ができますので、解体業者あるいはシュレッダー業者の方々において、その他の経費の部分というのは全体の中でうまく回していくことが可能になってくるのではないかというふうに私どもは考えているところでございます。
大森委員 現在の業界の実態についての認識が極めて不十分じゃないかと私は思うんですね。
 これは、私どもの調査の中で見せていただいた解体関係の業界団体から、ディーラー等、つまり排出事業者各位殿ということで要望書を出しておられるわけなんです。
 この中で、最終ランナーとして、健全なる社会生活の構築に寄与しているという自負心と誇りを有しているが、しかし、昨今の経済、社会生活の変容に伴い、解体事業の維持継続が危機に直面している、その打開は容易ならざるものがある。解体事業を継続していく上でさまざまな費用がかかるという実態も述べられて、解体事業を継続していくことが困難であると判断して、廃業していくケースも散見されるようになってきている。さらに、今おっしゃったような、健全な流通体制が破壊されつつあるということと、マニフェスト導入による環境整備費の負担増と、当業界の二重苦と言うべき窮状もあるので、ぜひディーラー等に対する特段の配慮をお願いするということになっているわけですね。
 おっしゃったように、今、廃油、冷却液、バッテリー、タイヤなどの処理にかかる費用、これらは大変なわけなんですが、タイヤ、私どもが伺ったのは一本二百円、五本で千円ですね。バッテリーも逆有償、廃油もドラム缶一本四千円、不凍液はドラム缶一本五千円、もうとてもこれではやっていけないということなわけですね。
 これは神奈川県自動車処理協会の試算ですが、「使用済み自動車適正処理経費一覧表」、それも拝見しましたけれども、それによると、輸送費用、解体処理人件費、廃車がら処理費用、タイヤ処理費用からフロン破壊費用、LLC処理費用等々で二万二千円かかる、こういう数字まで出されているわけですね。基本的にこれまでは有償で出回ってきたのもこういう状況になっている。今度の制度の改善によってこういう状況が変わる保証というのが本当にあるのかと。先ほどの答弁ではちょっと心もとない感じがするわけですね。
 この要望書の中でも述べられておるわけなんですが、五百万台からの廃車、これの処理から中古車への転換とか等々、処理から解体から支えてきた全国の五千の解体業者の前途はどうなるか、多くの皆さんが強い不安を持っておられるわけですね。
 経済産業省としては、こうした五千の解体業者がどうなるのか、どういう見通しを持っておられるのか、大臣、いかがですか、この点。
平沼国務大臣 今、解体業者のみならず、この経済の状況の中で大変皆様方、企業が苦しんでおられることは事実であります。
 今具体的に神奈川の団体の皆様方のお声というのを聞かせていただきました。非常に厳しい状況にある、それは事実だと思っております。そういう中で、私どもとしては、中小企業、零細企業全般に向けていろいろな支援措置も講じておりますし、また、今回のこういう新しい自動車リサイクル法の中で、そういうまじめに取り組んでおられる業者が不当な形にならないようにいろいろな面で配慮をしていかなければならないと思っています。
大森委員 大臣も局長もEPRの立場を一応は述べられているわけなんですが、もしそうであるならば、引き取り品目を三品目に限定する必要はないんじゃないか。もっともっと生産者が引き取るべき品目を拡大するという点で、フロン類、エアバッグ、ASRの三品だけじゃなくて、廃油とかLLC、タイヤ、バッテリー、ガラス等々も引き取りを義務づける、こういうことも必要じゃないかと思いますが、現時点あるいはこれからの将来も含めて、御答弁いただけないでしょうか。
平沼国務大臣 この三品目に限らず、さらに拡大すべきとの御意見があることは承知をしているところでございます。
 しかしながら、これら三品目以外の物品につきましては、タイヤ、バッテリーについては、従来から関係業界、関連事業者における自主的な取り組みによりリサイクルというものがおおむね円滑に行われていること、現行のリサイクル回収率というのは、タイヤは約九〇%、バッテリーはほぼ全量でございます。
 リサイクルシステムの存在を前提に、主務省令で定める解体業者の再資源化基準におきまして、解体過程でこれらを確実に取り外し、リサイクルを行う者に適切に引き渡すべき旨等を規定することによりましてそのリサイクルを図る予定であること、また、廃タイヤ、廃バッテリー、廃油または冷却液は、その大部分がリサイクル過程よりもむしろ整備過程において発生していることから、本法案のスキームとは必ずしも整合的ではないこと、そういった理由から、現時点におきましては、民間の自主的取り組みによる再資源化を期待することが適切でございまして、自動車メーカーが引き取るべき特定再資源化等物品の範囲を拡大する必要はない、こういうふうに判断したところでございます。
 今後とも、三品目以外の品目のリサイクルの実態等について注視をいたしまして、また、今後に対しましては、私どもは必要に応じて適切に対応をしてまいりたい、このように思っております。
大森委員 これまで解体業者の収入の重要な部分であった例えば中古部品等についてもなかなか今厳しくなっている。特に車の使用をできるだけ長くするという傾向が強くなってきている中で、中古部品、百台つぶして一台の部品があるかどうかというような状況まであるわけですね。そういう中で、少なくとも逆有償の現状を変える、そういう機能が働くと思うわけですので、ぜひその点は今後御検討いただきたいと思います。
 これから、この法案によって、解体業者及び破砕業者が都道府県知事の許可が必要になるわけなんですが、この許可の基準はどのようなものになっているでしょうか。
岡本政府参考人 許可基準の具体的な内容につきましては今後検討することとなりますが、リサイクルの実施及び生活環境保全上の支障を防止するという観点から、廃棄物処理法の許可基準をベースとしまして、リサイクルの実施能力を担保するに足る基準を付加することを想定いたしております。
 基準の策定時期というのは、法律の公布後二年以内ということになっておりますので、関係事業者における対応がスムーズに行われるということももう一方でにらみながら、関係者の意見を十分に聞きながら準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
大森委員 先ほど言いました五千社が、この法律の施行によって、今おっしゃったような基準をクリアできる業者はどのぐらいいるのか、この点はどのように経済産業省としてはごらんになっているでしょうか。
岡本政府参考人 許可基準は、先ほども御答弁申し上げましたとおり、本法公布後二年以内に策定するということになっております。今後、解体業者の実態をも踏まえて検討するということになろうかと思いますが、現段階でどの程度の解体業者が許可基準をクリアするかについて具体的にお答えすることは難しゅうございます。
 しかしながら、私ども考えますに、本法案における許可制の導入の趣旨というのは、使用済自動車のリサイクルと適正処理を確保するために必要最小限の規律を行うということで、その観点からの基準ということがまず一つございます。
 それに加えまして、法案の施行時において廃棄物処理法上の許可を有している解体業者の方々は、届け出を行うのみで引き続き解体業の許可を取得できるということになっておりますことから、相当程度の解体業者は、新法に基づく解体業の許可を取得できるものというふうに考えているものでございます。
大森委員 私どもも業者の方にいろいろお聞きをしたわけなんですが、ほぼ共通しておっしゃっているのは、土地の広さあるいは施設の関係、今の立地条件等々で廃業を余儀なくされる業者は、一番多く見積もられた方は五割、少なくとも三分の一ぐらいは淘汰されてしまうんじゃないかと。本当に厳しい、つらい、そういうこともおっしゃっていましたけれども、相当数クリアできる、クリアという表現はされなかったんですが、そういう実態が場合によっては生じるかもしれないという認識はお持ちじゃないでしょうか。
平沼国務大臣 本法案におきましては、解体業者等に対して許可制を導入しまして、かつ、使用済自動車等の引き取りまたは引き渡し義務を課すこととしておりますけれども、これらの規制は、使用済自動車のリサイクルと適正処理を確保するために必要不可欠なものだと思っております。
 また、再資源化、適正処理に当たって解体業者に課す行為義務につきましては、解体工程の現状を踏まえまして、生活環境保全上の要請から、必要最小限の規律を法律上位置づける程度のものであります。
 一方、本法案の施行によりまして、使用済自動車はおおむね有価で流通することが想定されることから、解体業者をめぐる経済面での事業環境は相当に改善する側面もある、このように私どもは見ております。
 また、積極的な取り組みを行う解体業者及び破砕業者につきましては、その事業に要する施設についての税制措置に加えまして、各種中小企業支援施策の活用も可能であります。
 解体業者におかれましては、厳しい環境だという御指摘がございましたけれども、こうした制度の趣旨にかんがみまして、本法案のもとでその事業を積極的に進められることを期待するものでございまして、クリアできない事業者が存在するかもしれない、こういう御指摘がございましたけれども、私どもとしては、こういったことで極力そういった業者がないことを、この制度を最大限活用していただいて、そういったクリアできない事業者が出ないように努力をしていきたい、このように思っております。
大森委員 これまでの自動車産業の発展のいわば一番土台といいますか、そういう部分を支えてきた業者でありますから、今の大臣の御答弁をぜひ中身のあるものとして充実させていただきたいと思います。
 次に、市町村に対する配慮の問題でありますけれども、従来から放置自動車については自動車業界と共同して処理をしてきたわけなんですが、一定の地方自治体の負担もこれはありました。しかし一方で、路上放置車処理協会、メーカー等がかかわるそういう費用の負担もあったわけですね。この法律の施行によって市町村の負担がふえることになってはならないというわけなんです。
 先ほども横浜市の事例が出たんですが、横浜市では二〇〇〇年までの十年間で七千八百六十六台処理した。一億四千五百二十二万円かかったわけですね。そのうち七千二百五十一台分、一億一千九百四十六万円がこの協力会が負担したわけです。先ほどの局長の答弁の中では、この法案の枠外というようなお話もありましたけれども、私は、こういう点で、一つは処理協会、これは同時に生産業者でもあるわけなんですが、それの負担がこれで免罪されてはならない、ましてや地方自治体の負担がふえてはならないと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
古屋副大臣 まず、今御指摘のありました路上放置車処理協力会、路放協でございますけれども、まず、この実績は、平成三年度に設立をいたしまして、毎年度、金額ベースで一億数千万円でございまして、台数ベースでは一万数千台分の資金協力が行われております。ちなみに、平成十三年度は一億六千万円、一万三千台ということでございます。
 この協力会につきましては、この法律の施行後も引き続き協力を継続していくということで関係団体から話を聞いておるわけでございます。
 また一方、当リサイクル法におきまして剰余金を活用して不正処理対策が講じられるということでございますけれども、その対象は、まず、単に一台ずつ路上に放置をされているということではなくて、生活環境上の支障が生じるような多量に野積みをされているような状態、こう言ったら適切かもしれませんけれども、そういった問題が生じたときに、地方公共団体に対する資金協力という形で提供させていただくというふうになっております。
 したがいまして、この新しい制度上の措置と、既にございます路放協の取り組みとが相まって、使用済自動車の適正処理あるいはリサイクルの推進が達成されるということが期待をされているわけでございます。
大森委員 地方自治体の負担がふえてはならないという点での御答弁はいかがでしょうか。
古屋副大臣 自動車工業会を初めとする関係団体におきまして、今、その運用面における改善事項の有無を不断に点検いたしておりまして、いわゆる路上に放置をされた放置車の処理に当たっていただくのはやはり地方公共団体でございますので、その地方公共団体が今後とも活用しやすい制度となるように、関係者の意見を承りながら対応していくということを期待いたしております。
大森委員 やはり危惧されるのは、そういう剰余金がたくさんできたからこういうものからやっていこうという話に、これは流れとして容易に想像できるわけなんですが、現行の、先ほど言いましたように横浜市の場合、一億四千五百二十二万円のうち一億一千九百四十六万円は協力会で負担していた。こういう点で、地方自治体の負担がこの制度をやられたことによって逆にふえる、あるいは所有者の預託金だけでこれが片づけられるようなことは絶対あってはならない。大臣にこれはお答えいただきたいと思います。
平沼国務大臣 副大臣の答弁と繰り返しになると思いますけれども、やはり自動車工業会を初めとする関係団体におきまして、運用面における改善事項の有無を不断に点検しまして、路上放棄車の処理に当たっていただく地方公共団体が活用しやすい制度となるように適切に配慮されることを期待しております。
 地方公共団体からは、例えば一台当たりの協力額、交付額の見直し、現行は非常に不足ぎみである、こういう御意見があります。それからまた、手続の簡素化等を求める意見が出されておりますけれども、今御指摘の点も踏まえ、今申し上げたような趣旨でやらせていただきたいと思っています。
大森委員 自治体等の負担がこれによってふえるようなことは絶対あってはならないということを重ねて申し上げて、最後の質問に入りたいと思うんです。
 我が国のリサイクル行政、これまで、この数年間にいろいろ行われてまいりました。最近でいえば、容器包装リサイクル法あるいは家電リサイクル法、今回の自動車リサイクル法。その中でやはり一番共通して指摘されなければならないのは、拡大生産者責任、これが極めて不明確であるか、もう全く欠けているということだと思うんですね。
 その結果、今どうなったのかということでいいますと、例えば容器包装リサイクル法ですが、これは、ある人の計算によれば、一リットルのペットボトル一本当たり、自治体負担が二十六円、これに対して飲料業界は一・四円という状況とか、それから、リサイクル率は確かに、回収率は前進をしているわけなんですが、生産量そのものが激増しているわけですから、やはりごみとなるペットボトルははるかにもう、ある計算では二倍近くふえているという状況で、何のためのリサイクル法なのかということなんですね。家電リサイクル法の方も、二百七十六市町村の調査なんですが、不法投棄がふえたというのが、二百七十六市町村の中で百六十九市町村、圧倒的比率になっているわけですね。
 二つの法律の運用実態というのは、やはりEPR、そういう生産者責任、廃棄後もきちんと責任をとらせるというこの原則を具体化しなかったということからくる欠陥だと思うんですね。そういう意味では、今度の自動車リサイクル法、その将来をも私はこの二つの法律の運用実態は示唆することになるのではないかと思います。
 その意味で、再資源化に要する経費等は自動車製造業者等のコストとして内部化するというのが本道だということで、OECD、EUがやったように、あるいはドイツがやったように、そういう方向をぜひ目指すべきじゃないかということを申し上げて、最後に大臣の見解を改めて伺って終わりにしたいと思います。
平沼国務大臣 先ほども答弁の中で触れさせていただきました。今回お願いをしている法案におきましては、使用済みとなった段階で発生する三品目について引き取りとリサイクル義務を自動車メーカー等に課している点において、私どもはこれは拡大生産者責任の考え方にかなった制度だ、このように思っております。
 今御指摘の、リサイクル費用の製品価格への内部化によりすべて自動車メーカー等が負担すべきとの御指摘については、例えば製品価格に内部化した場合でも、最終的には自動車ユーザーの負担となっている、こういう面もあります。または、その負担が料金という形で表示されない場合には、ユーザーの商品選択を通じてメーカー間のリサイクルに関する競争が働くというメカニズムが機能しにくい、こういった問題点が私はあると思っています。
 このようなことから、OECD、EU、ドイツ、そういった基本的な考え方をお示しになりましたけれども、先ほど局長からも御答弁しましたけれども、例えばオランダなんかは明らかに日本と同じようなシステムをとっているということを考えまして、私どもは、これはやはり拡大生産者責任の考え方に沿った法案だ、こういうふうに思っておりまして、ぜひ御理解をいただければと思っております。
大森委員 リサイクルに対する思想、理念等が本当にメーカーの血肉になる、私のそういう立場から申し上げたわけで、改めて今後もこれは取り上げてまいりたいと思います。ありがとうございました。
谷畑委員長 原陽子さん。
原委員 社会民主党の原陽子です。
 本日最後の質疑でございまして、幾つか重なる点もあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、この法案について、全体的な評価を大臣にお聞きをしたいと思います。
 先ほどから、拡大生産者責任のことについては、大臣の方からも、この法案によって自動車メーカーが中心的な役割を果たしていくことになるという御答弁がありましたが、先ほども出ておりましたEU指令と比べましても、本当にこの法案によって拡大生産者責任というものが実現されるのかどうかというところに、私も非常に危惧を感じているというか不安を持っております。
 このEUの例というのは非常にわかりやすい、ごみを減らしていきましょうという拡大生産者責任がとてもわかりやすく書かれているものだと思います。実際、この法案の中で、拡大生産者責任というものがしっかりと実現されたとして、大臣は一体どれぐらいこの法案によってごみが減るというふうにお考えになっておられるのか、お聞かせください。
平沼国務大臣 今回の法律におきましては、御承知のように、三品目に限って、自動車メーカーに引き取り、そしてそれを処理する、こういう義務を課したわけでございます。
 現時点では、特にシュレッダーダストというものが、例えば埋立地がもう逼迫をしている、こういう形で非常に大きな問題になっている。それから、いわゆるフロンガスの問題に関しましても、地球温暖化、オゾンホール、こういうようなことで大変大きな問題に相なっております。こういうことで、インセンティブを与えることによりまして、私どもとしては、そういう処理は非常にスムーズに進んでいくと思います。
 一方、こういうことをやることによりまして、今、拡大生産者責任ということの御指摘がございましたけれども、これによりまして、この法律案でも、やはり自動車メーカーみずからがそういうコスト意識に目覚めて、設計の段階から、あるいは処理をする費用、そういったものについても非常に努力をして、そういう面でも非常に効果が出てくる、こういうことにつながってまいります。
 そういった形で、今出ているそういう廃棄物に関して、定量的にここで細かく申し上げることはできませんけれども、私どもは、これをやることによりまして、リサイクル、そしてリユース、リデュース、こういうものが円滑に進んで、非常に大幅な効果が出てくる、こういうふうに思っております。
原委員 具体的に、何%という形ですか。では、副大臣にお願いいたします。
古屋副大臣 それでは、具体的にはどの程度の数字かということでございますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。
 今大臣から答弁がございましたように、シュレッダーダストはほとんど埋立処分されているので、やはりこれが一番重要だと思っております。そのシュレッダーダストのうち、どの程度の量を義務の対象にするかということですね、そうすると、その数値がそこに、目標に近づくわけですから。
 これは、平成九年に定めた自動車リサイクル・イニシアティブというのがございまして、この中で定められておりまして、二〇一五年にリサイクル率九五%という目標を掲げております。現在の自動車のリサイクル率が八〇%ですので、残り二〇はほとんどシュレッダーダストということになりますので、そうすると、二〇一五年に九五%以上の目標ということは、二十分の十五をふやさなければいけないということでございますので、相当高い目標であるということだと思います。
 私どもは、その目標に向かって対応していくということが重要だと思いますし、またメーカーも、そういう、いわゆるリサイクルをしやすい技術、そしてまた車をつくっていく責任があるものというふうに考えております。
原委員 ありがとうございます。
 引き続いて、先ほど大臣からはインセンティブのことについてお話をいただいたので、副大臣にもお聞きをしたいのですが、果たして、生産者にごみを減らそうというインセンティブは、この法案の中のどこに見出すことができるのでしょうか。続いて、副大臣にお聞きをしたいと思います。
古屋副大臣 この法案では、自動車のメーカーに三品目のリサイクル料金を明示するということが規定をされておりまして、明示をされるということは、当然、買う側、すなわちユーザーにとっても、その金額を選択する一つの尺度にしてくることは間違いないと思います。そういったことによりまして、自動車メーカーは、販売戦略等々も踏まえて、リサイクル分野における競争というものを強く意識せざるを得ない、ある意味ではこういったプラスのメカニズムが働くというふうに考えております。
 一方、シュレッダーダストの処理費用というのは、リサイクル料金の相当部分を実は占めています。エアバッグありでは五〇%ぐらいですけれども、エアバッグのない車では八〇%前後というふうに言われておりますので、リサイクル料金全体を低減させるには、やはり自動車メーカーがシュレッダーダストをいかに発生させない自動車を設計して製造、そして販売するか、これが一つのキーポイントになるのではないかというふうに考えております。
原委員 三品目のリサイクル料金を示していくということで、一応、三品目に限定をされていますよね。ただ、買う側というのは、買うところからしか、選ぶところからしか責任を持てませんが、やはり自動車メーカーというものは、つくる方というのは、やはり設計の段階から、設計する、どんな材料を使う、すべてにおいて責任を持っていける、コントロールをしていくことができるので、設計の段階からどういう責任を製造者が持っていくかということは、私は、この法案からはなかなかはっきりと読み取ることはできないのではないかなというふうに実は思っております。
 先ほど料金のことが出たので、ちょっと、忘れないうちに確認をさせていただきたい事項があるのです。
 多分、午前中の議論だったと思います。競争原理が働いて、処理コストですか、リサイクルするコストが下がっていく。競争原理が働くということでコストが引き下がった分はどうするんですか、その差額はどうするんですかという質問に対して、政府の方と大臣とたしかお答えになったと思うのですが、インセンティブとしてメーカーに渡すという答弁、私、どちらがお答えになったか忘れちゃったんですけれども、それと、最後のユーザーに返すという二つの答弁があったと思うのですが、これ、本当のところ、どっちになるんですか。
岡本政府参考人 リサイクルの料金につきましては、メーカーがそれぞれ決める、メーカーは熾烈な販売競争の中にありますので、リサイクルの料金についても、可能な限り安くするという方向でマーケットの力は働くと思います。
 それでいて、将来のリサイクルコストをにらんでここで料金を設定するということですので、一方で、料金を実際のコストが上回るという結果に至ることも十分あろうかと思います。その場合のリスクは自動車メーカーに負担していただくということで私どもは割り切っております。
 他方で、今度は逆に、料金をここで将来をにらんで設定したけれども、実際にかかる費用がそれを下回るという場合に、そういうケースは、まずはそう起きないと思うのですけれども、その場合にどうするかという点について、私、午前中の質疑の中で、一方でリスクの方を自動車メーカーに負ってもらうという割り切りをいたしていることとのバランスで、多少のことであれば、これは資金管理法人なるものが、公益法人のようなところが、余った場合には、その分、差分を自分が収受して自分のものにするということじゃなくて、全部預託金ですから、それぞれのメーカーに払い渡すのが筋でございますので、調整をしないでそのままメーカーに払い渡すことにすべきだということでお答えを申し上げた次第でございます。
原委員 ありがとうございます。二つの答弁があったので、どっちかなと思ったのでちょっとお聞きをしたかった点です。
 もう一度、これもぜひ大臣にお答えをいただきたい点なんですが、料金を取る時期が最初になったというのは、多分きっと、家電リサイクル法で料金を徴収するのが後になったから不法投棄がふえてしまったという結果を踏まえてだというふうに私は理解していますが、ただ料金を取る時期が変わっただけであって、やはり消費者に負担をさせましょうという考え方は変わっていないと思います。
 やはりごみを減らしていくためには、お金を取る時期をいつにするかということではなくて、家電リサイクル法ではリサイクルの価格が品目ごとにメーカーで固定化されてしまっていて競争原理が起きなかった、全く今起きていない状況にあるというのが一つ問題点として今挙げられていると思うので、今回の自動車のリサイクル費用は横並びの固定価格となることはないというはっきりとした御答弁を大臣からぜひここでいただきたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 家電リサイクル法におきましては排出時徴収となっている、今回、自動車リサイクルでは新車販売時、これは、御指摘のとおり、やはり不法投棄という問題が、環境負荷が自動車の場合は非常に大きいわけでございまして、ですから、これを防止することが極めて重要であるために、このリサイクル料金については新車時にあらかじめユーザーに負担していただく仕組みにさせていただきました。
 家電につきましては、もうこれは原委員よく御承知だと思うんですけれども、小売業者が製品販売時に廃家電を引き取ることが一般的で、かつ、三億台に上る既販品への対応、それを考えますと、排出時の徴収が実効的かつ必要である、そういうことから、家電製品に対しては排出時が適当だと思っています。
 それからもう一つ、家電の場合には価格が横並びになってインセンティブが働かない、こういうことでございますけれども、自動車の場合は、この二万円という形の中でこれは仮に設定して、いろいろなタイプがございます、そういう中でやはり自動車メーカーもいろいろ努力をする、こういうことがあります。
 ですから私は、インセンティブが働かないということはない、やはり働く方向に振れると。我々もそれを期待し、やはりそういうコストの問題等もよくチェックをしながら、私どもとしては、その問題については、働くような形で、これがうまく作用するように見守っていかなければならない、こういうふうに思います。
原委員 見守っていくという御答弁だったんですが、きっと固定化されることはないというふうに大臣おっしゃったということでよろしいですよね。
平沼国務大臣 二万円というのは、一応いろいろな車種がありますから、平均であります。それは、今二万円という、大体、それぞれの車種に応じてこれからはっきり決まるわけですけれども、ですから、それは、そういう一応固定をして、それぞれ設定された価格で固定をしながら、そして、その後の推移というものを見て、メーカーも努力をする。そういう中で、議論として、コストで浮いた分はただ取りで、ただもうけみたいな、そういう発想もあるわけですけれども、先ほど来局長が答弁していますように、高くなる場合もありますね。
 ですから、そういうことのプールもありますし、仮に非常にコストダウンができてインセンティブが働いてやった場合には、自由主義経済体制の中ですから、それは当然メーカーとしては販売価格に反映する、そういうことにもつながってくると私は思います。ですから、そういうことを総合的に私どもはよく見守らなければならない、こう思います。
原委員 大臣の答弁を私は信じたいと思います、信じちゃっていいのかなと思いながら。
 次は、ちょっとここで環境省さんに御確認をさせていただきたいと思うんですが、環境基本計画の中と循環型社会形成推進基本法の中で、リサイクル対策の中の優先順序がありますよね。それをちょっと確認させていただきたいんですが、その第一番目が廃棄物の発生抑制、第二番目が再使用、第三番目が再生利用で、そして、条件つきで熱回収で、どうしようもならなかったものが最終処分に行くという優先順序は、今でも変わりはないかということを御確認させてください。
飯島政府参考人 御指摘のございました循環型社会形成推進基本法におきます基本原則でございますが、法律の第七条でこの優先順位の基本原則を定めているところでございます。
 今委員からお話がございましたように、まず発生抑制、リデュース、次にリユース、再使用、その次に再生利用、これはマテリアルリサイクルのことを言っております。四番目に熱回収、最後の五番目に適正処分、こういった順序で対策を行うこととされているところでございます。
原委員 しかし、以前にいただいた資料の循環型経済社会に関する専門調査会の中間とりまとめを見ますと、「サーマルリサイクルをマテリアルリサイクルと同等に位置付け、」という文章が一行入っているんですよね。でも、午前中の議論で大臣がはっきりと、マテリアルリサイクルはサーマルリサイクルよりも優先的な位置づけをしてあるという明確な御答弁をいただきました。
 それで、先ほどのEU指令をもう一度ここで御紹介させていただきたいんですが、EU指令の中ではその優先順序というのがしっかりと数値で明らかになっています。例えば、二〇〇六年、「リサイクル実効率」と書かれてあって、二〇〇六年のリサイクル実効率は八五%で、うち熱回収、つまりサーマルリサイクルの分は五%以内、二〇一五年になると、リサイクルの実効率は九五%で、うちエネルギー回収が一〇%以内というふうに、しっかりと数値で明らかに優先順序がつけられているんですよね。
 私は、平沼大臣から優先順序について先ほど明確な御答弁があったので、ぜひ日本においてもこうした数値、EU並みの数値づけをしていただきたいと思うのですが、そこはいかがでしょうか。
平沼国務大臣 今、環境省の方から答弁がございましたその原則というのは守っていかなければならないと思っています。
 それから、EUの数値のお話がございましたけれども、今の段階でこの数値化をするということは私どもとしてはまだ具体的に考えてはおりませんけれども、そういうことも検討に値する、このように思っております。
原委員 ぜひ、EU並みのこうした数値が出てくることを大きく期待させていただきたいと思います。
 次に、発生抑制の部分について御質問をさせてください。
 また、ちょっと先ほどのEU指令の話になるんですが、このEU指令の第四条で、「新型車の環境負荷物質に関する規制」というものが定められていて、「二〇〇三年七月以降の販売車は原則として鉛、水銀、カドミウム及び六価クロムの使用を禁止」するということがちゃんと書かれています。
 私は、このように、日本でも有害な物質というものは最初から使うべきではないというふうに思っていまして、事前に経済産業省さんにお電話をしていろいろ説明をしていただいたんですが、そのイニシアティブの中では鉛については規制をかけてきているという御説明をいただきまして、その他の物質については、水銀とカドミウムと六価クロムについてはどうですかということをお聞きしたら、この三種類というものは非常に使われている量が微量なので、全体でどれぐらい使っているかということは把握をしていないという説明を受けました。
 でも、幾ら使われている量が少ないからといっても、一応年間五百万台車が排出される中で、きっとたくさんの量になってくると思うのですね。それなので、こうした有害物質を使わないというお考えはおありかどうか、また今後、こうした有害と言われる物質についてどのような措置をとっていくかということを御説明いただきたいと思います。
岡本政府参考人 御指摘の鉛に加えまして、水銀、カドミウム、六価クロムの四物質について、自動車メーカーは、車における使用量の削減を図ってきております。
 鉛については、今先生も御指摘になりましたように、リサイクル・イニシアティブを平成九年に策定いたしましたが、これに基づきまして、メーカーの自主的取り組みによって平成十二年時点で平成八年度比二分の一に削減するということで数値目標を掲げて進めてまいりましたが、一年前倒しで目標が達成されるというようなことで順調に進捗をしております。さらにそれを三分の一まで削減するということで、取り組みを強化しているところでございます。
 それから、水銀、カドミウム、六価クロムにつきましては、イニシアティブでは位置づけられておりませんが、使用量の削減を自主的に進めているところでございます。
 例えて申しますと、トランクルーム開閉時のルーム点灯スイッチ、これも水銀を使わないというふうにいたしますとか、黄色塗料のカドミウム分を使わないようにするとか、それからリレーの接点部分の脱カドミウム化を進めるとか、あるいは防錆のためのコーティングにおける六価クロムの使用量を減らすとか、そういった取り組みが今逐次進んでいるところでございます。
 一方で、こうした有害物質の使用を一律に禁止するということにしました場合に、代替技術についての安全性なり経済性の面からの検討というものをやはり十分に行うことが不可欠かと考えます。
 EU指令において一律使用禁止ということになっているのですが、実は適用除外というものを相当数設けておりまして、その適用除外として、既に掲げられているものに加えて、今欧州の自動車メーカー、部品メーカー、あるいは日本の自工会も一緒になっていますけれども、さらにこういうものはやはり除外にすべきじゃないかというような話し合いが今も続いているという状況でございます。
 EUにおいても、やはり方向はそれを目指しつつも、代替技術についての安全性、経済性の面からの検討とあわせて合理的な使用の削減というところを進めていくという方向にあろうかと思いますので、日本においても、今まさに、先ほど御説明しましたような、業界の自主的取り組みではありますが、極力減らすという方向での取り組みが進んでいるところでございます。
原委員 自主的に一生懸命取り組んでいるということは御説明をいただけたと思います。ぜひこうした有害物質というものはなるたけ使わないという方向に、いろいろ研究を重ねながら、行く行くはしていっていただきたいと思います。
 次に、再使用、再利用のところについてお聞きをしたいんですが、これも確か午前中のお話だったと思います。エアバッグについては、今現在ほとんどリサイクルされていないというような御答弁があったかと思うんですが、このエアバッグは三品目に含まれますね。今後どういうふうなリサイクルのされ方をなさっていくのでしょうか。
岡本政府参考人 エアバッグは、自動車からまずエアバッグを解体業者の作業場において取り外していただいて、それを解体事業者の方の作業場で爆破展開をして処理するということが従来行われていたのですけれども、アジ化ナトリウムという毒性のある起爆剤を使っているという、特に初期のエアバッグについては起爆剤にアジ化ナトリウムを使っているということもありまして、それをやはり確実に処理するという必要がございます。
 それから、展開をするときに非常に大きな音がしますものですから、周りに民家が押し寄せてきているような作業場の場合には音の面でも大変近所の住民の方々に不安を与えるということで、私どもが今考えておりますのは、解体事業者の方の作業場で取り外していただいて、それをメーカーのところへ持ち込んでいただいて、メーカーのところで、いわゆる工場のようなところで展開処理する、あるいは密閉された空間においてそれを処理するという形で、まず展開処理をして、それからアルミニウムとか金属分も若干ありますので、そういった金属分を回収する、そういう方法でエアバッグのリサイクル処理というのは進めていただけるものというふうに考えているものでございます。
原委員 ありがとうございます。
 これは多分いろいろな方から御指摘があったかと思うのですが、指定回収物品が三品目しかなくてもっとふやしたらどうだということをいろいろ言われているところだと思って、私もやはり三品目だけでは不十分かなとも思っています。
 平成七年に厚生省が策定した「シュレッダー処理される自動車及び電気機械器具の事前選別ガイドラインについて(抜粋)」という資料をもらったんですが、この中で、既にガソリンなどの燃料、各種オイル、冷却液、バッテリー等を選別してシュレッダーダストにまざらないようにするというふうにされているんですね。
 やはり私、この自動車リサイクル法がこうしたガイドラインよりも後退したものにならないためにも、三品目だけではなくて、せめてこのガイドラインの中で書かれている品目については政令で定める指定回収物品に入れていただきたいなと思うのですが、どうでしょうか。
岡本政府参考人 指定三品目というのは、ユーザーの方々からリサイクル料金をいただくということを前提に自動車メーカーが責任を持ってリサイクル処理をする、そういうものとして三品目なんですが、実際に自動車の解体あるいは破砕、リサイクルの処理を行うに当たっては、イニシアティブと同時にガイドラインというのも当然にらみまして、私ども、再資源化の基準というのをこの法律に基づいて定めていくことになっておりますので、その中におきましては、廃油の扱いでありますとか、あるいはバッテリー、タイヤの扱いでありますとか、そういったことについても基準の中で的確な基準というものを定めていくという方向でこれから検討してまいる所存でございます。
原委員 今再資源化の基準というお言葉が出たので、その部分について、具体的にはどのような基準を定める予定でおられるのか、今お答えできますか。
岡本政府参考人 平成九年に通産省が策定しました自動車リサイクル・イニシアティブ、それから平成七年に厚生省が策定しました事前選別ガイドライン、この中身というものを踏まえながら解体業者、破砕業者の今の実態でありますとか、自動車関連のリサイクルの実際の作業の状況等にかんがみながら、これから検討していくということになろうかと思います。
 例えば、解体業者の再資源化基準におきましては、バッテリー、タイヤ等を回収し、そのリサイクルを行っている者に適切に引き渡すことや、そのほかに、技術的、経済的に可能な範囲での部品、原材料のリサイクルをしっかり行うべきこと等について規定することを想定いたしております。
 破砕業者、シュレッダー業者の方々の再資源化基準におきましても、有用金属等の技術的、経済的に可能な範囲内でのできる限りのリサイクルについて基準として定めていく方向で検討しているところでございます。
原委員 やはりこの基準というものはできるだけ具体的に私は定めていただきたいというお願いをしたいと思います。
 済みません、何度も引き合いに出しますが、このEU指令では、すごく細かく分かれているんですね。処理時の事前解体に関する規制というところでは、例えば、バッテリーと液化ガスタンクの取り外しについてはどうするのかとか、オイルについてはどうするのかとか、ガラスとか、触媒とか、とにかく物すごく細かく詳細に分けて、そしてそれに関するちゃんと規定をつくることというふうになっているので、ぜひこれから、これからだということをおっしゃったのでもうこれ以上お聞きはしませんが、できる限り具体的な方向で策定をしていっていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。
 こうした廃棄物の問題というのは、いわば生産者が正であるとすると、どちらかというと負の側面であって、今までなかなか表に出てくることのなかった産業だと私は思いますし、今こうしてリサイクルとか循環型社会というものが叫ばれている中でも、現在でもちょっと日の当たらない産業の部分だというふうに思います。
 今回も、この法案ができて、実際にやはり苦労していくのは、人手がかかるのは、解体業者だというふうに私は思っています。主従の関係でいうと、メーカーが主で、きっと解体業者が従の関係というふうな形にあるのかと思いますが、大臣にこれはぜひお聞きしたいんですが、その発想をがらっと転換して、解体業者が自動車メーカーに対して、こういうふうな解体しやすい設計にしてほしいというようなフィードバックができる、お願いをすることができるような仕組みになっていったらどうかなというふうに私は思うのですが、大臣は、私のこの考えについてどういうふうに思いますか。
平沼国務大臣 今、非常にそういう環境に対する意識というのが日本だけでなくて世界じゅうで高まっていまして、自動車メーカーも、解体しやすい、あるいは処理しやすい、そういうコンセプトで自動車を設計するようになってまいりました。また、恐らく解体業者も、実際その業に携わって、自分たちが解体をする場合に、ここのところは非常に解体しにくいからどうにかしてほしい、そういう意思の疎通は今までもあると思います。
 ですから、今回、こういう法律によりまして、拡大生産者責任、こういうものが明確に打ち出されますと、お互いにそういうインセンティブが働いて、私は、メーカーサイドも解体業者も恐らく意思の疎通がより緊密になって、そういう方向は非常に進捗するのではないか、このように思います。
原委員 これから二十一世紀を生きていく世代というか、担っていく世代として、これからの二十一世紀を展望していったときに、現段階で、生産者が正で解体業者というか廃棄物処理が負というこの関係というものを私はぜひ逆転していくことが必要だと思いますし、処理をしていく方向から生産を変えていくというような仕組みになってもらいたいなと思いますし、大臣からも積極的な御答弁があったので、私はこの自動車リサイクル法がそうした考え方の、仕組みのぜひ先駆けとなっていってほしいなというふうに思います。
 次の質問です。次は、お金というか、資金管理のところについて、ちょっと私の苦手な分野なんですが、幾つかお聞かせを願いたいと思います。
 今回、この法案を実行していくに当たって、資金管理法人と情報管理センターと指定再資源化法人と資金管理業務諮問委員会ですか、その四つの組織を抱えてこのリサイクルを進めていくことになるということは、しかも、それを消費者が出すお金で進めていくわけですよね。私、これは余り合理的だなというふうには思えないんですが。
 今、特殊法人改革というものが叫ばれていく中で、世の中、どんなことが起こるかわからないですよね。もしかしたら、この法人というか、こうした組織が必要なくなるようなときがあるかもしれないじゃないですか。でも、この国の仕組みというのは、私もまだ勉強したてなんですが、一回決まっちゃったことをやめるというのは結構すごく難しいですよね、この日本の制度というか政治の世界というのは。
 それなので、私は、いろいろな社会状況を考えながらもぜひ、つくることもいいと思います、必要であれば。ただ、何かあったときに、廃止をするときの最後の仕組みまでちゃんと考えておくべきだと私は思うのですが、その点、大臣、どうでしょうか。
平沼国務大臣 最初からそういう仕組みをつくるときに、万が一の場合を想定して、そうなった場合にどうするか、そういう手当てをしておくべきじゃないか、こういう御意見ですけれども、そういう基本姿勢は私は必要だと思います。この法案をお願いした段階では、効率的に自動車のリサイクルを進めていくというのは、やはり今御指摘のそういう法人のもとでスムーズにやる、こういうことが必要だという形で御提案をさせていただいています。
 したがって、どういうことが起こるかわかりません。そういう事態を想定して今からそういうことを検討することは必要だと思いますし、私どもとしては、そのような事態が来たらちゃんと対応できるようにいろいろ検討をさせていただきたいと思っております。
原委員 残ったものがごみとならないように、しっかりとその後の処理というところまで、いろいろなことを考えるときにぜひお願いをしたいと思います。
 私、この自動車リサイクル法の法案をもらったときに、非常に分厚い法案だなというふうに思って、なかなか読むのが苦だったんですが、いろいろぱあっと見ていく中で、本来これの目的というのは、使用済自動車をちゃんとリサイクルしましょうという目的だと思うんですよ。
 でも、法案のほとんどが、リサイクルのために書かれた条項よりも、この資金管理の団体の透明性の確保云々かんぬんのことで書かれた条項の方が多いじゃないですか、この法案は。お金の仕組み、資金の流れについては午前中からずっと議論がありましたよね。私は、やはりそれだけすごく複雑なんだと思うんです、外部に団体をつくってお金を集めて、運用していくということが。私もすごく一生懸命勉強しなくちゃと思って見たんですが、なかなかすっと理解できるような簡単なお金の流れの仕組みにはなっていないですよね。
 これだけ複雑なお金の流れというものを、一体果たしてだれがこの全体像を把握していくのかということをまず教えていただきたいと思います。
岡本政府参考人 この法律におけるリサイクル料金、お金の流れのうち、その大部分を占めますリサイクル料金の収受、管理・運用、あるいは自動車メーカー等への払い渡し、さらには、剰余金となった場合への対応等の部分については、資金管理法人が責任を持ってその業務に当たることとなっております。
 この資金管理法人の業務につきましては、主務大臣たる経済産業大臣と環境大臣が監督を行うことはもとより、徹底した情報公開、それから、資金管理法人の内部組織として資金管理業務諮問委員会というものを中につくっていただいて、中でチェックをしていただく、そういうことの適正な運用で担保されるものとなっております。
 それから、フロン類やエアバッグ等の回収料金の解体業者等への支払いにつきましては、資金管理法人から払い渡しを受けた自動車メーカー等が責任を持ってこれに当たるということで、大きな中核になるのは資金管理法人がその任に当たるということになろうかと思います。
原委員 そうしますと、結構大変な業務を担っていくのかなというふうに思います。
 ここでもうちょっとお金のことで教えていただきたいんですが、自動車を処理していく費用のほかに、そうした組織を運営するために費用が一体どれぐらいかかるかと御想定なさっているでしょうか。
岡本政府参考人 そこの具体的な人員の規模というもの、それから、資金管理法人、情報管理センター、再資源化の指定法人、それがそれぞれどういう形で、申請に基づいて指定をするということになっておりますので、民間の関係の事業者の方々がどういう体制を整えてこういう業務をやっていくかということによっても違ってくる部分があろうかと思います。
 人員の規模につきましては、先ほどの御討議の中で、それぞれ、最大でも数十人規模ということで、私どもは、できるだけスリムで効率的な組織で運営していただくということを考えております。
 それから、もう一つコストとしてかかりますのが、膨大な件数のお金のやりとり、それから、これだけ多額の料金をいただきますので、引き取り業者のところに入って、それがフロン回収業者に渡り、解体業者などに渡り、あるいは破砕業者の方々に渡って、間違いなくリサイクルのプロセスが進んでいるということをトレースする、追っかけるための、移動報告と申しておりますが、電子マニフェストというものを回していきますので、そのために非常に大きなコンピューターによる情報の処理システムというものを構築し、かつ、それをメンテしながら運用していくという費用がかかることになろうかと思います。
 したがって、その人件費の部分とさっき申しましたような費用、これを合わせまして幾らになるかということですが、リサイクルの費用、一万円とか二万円とか、その費用に比べますと数%という非常に小さいものにとどまることになるものと私どもは期待をしております。
原委員 年間幾らぐらいかかるかということでも今の段階ではおわかりになっていないということですか。だって、これだけ大きなお金を運用していくというのはすごい責任だと思うんですよ。ですから、やはりその辺は、管理をしていくのにどのくらいお金がかかるかということぐらいは把握をしておくべきだというふうに私は思うんですが、どうでしょう。
岡本政府参考人 民間の方々が申請をされてきて、実際の体制を整えてやっていくというところが大前提なものですから、私どもで、幾ら、何ぼかかるというのを今ここで申し上げるのは難しいのですけれども、実際にいただくリサイクルの料金が一台一万円とか、あるいは場合によっては二万円とか言われているのに比べますと、その数%のコストでこういう組織というのは回していけるものというふうに私ども考えているところでございます。
原委員 自動車リサイクル促進センターというのがありますよね。いただいた資料を見ると、そこが平成十二年度に電子マニフェスト実証研究というものをやっているんですよね。それに経済産業省が四百七十万円を出して、国土交通省が七千万円を出して研究しているんですよ。
 とりあえず、お金のことはおいておいて、この研究の結果どんな成果が上げられたのかということだけお聞きをさせてください。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 電子マニフェスト実証研究についてのお尋ねでございますが、使用済自動車の廃棄の適正化を図るために、現在、紙による管理票というのが使用されておりますけれども、保管管理とか交付後の処理状況の把握等について、事務負担が大きいといいますか、非常に使い勝手が悪いという問題点が指摘されております。
 このために、私どもは、基礎的な研究といたしまして、平成十二年度に自動車リサイクル促進センターに委託をいたしまして、関係事業者や関係の団体の参加を得まして、電子マニフェストの起票、要するに記入、発行から保存管理までを電子的に行う情報システムのソフトを開発しまして、そして、実際の廃車の手続に乗っけて実験的にいろいろな実験をやって、そのシステムの仕様、運用等の課題とか評価というものをテストしたわけでございます。
 試行したシステムは、マニフェストの事務処理や進行状況の把握が一元的に当然のことながら管理できるというようなメリットや、各事業者のそれぞれの業務内容に合わせた画面表示が可能になるとか効率的な運用ができるとかいう関係事業者等の積極的な評価も得ましたし、それから、当然のことながら保管スペースも要りませんし、送付のコスト、手間が非常に削減できるというようなプラスの面も評価されています。
 片一方で、誤入力とかそういうのが結構発生しておりまして、こういうデータの信頼性の向上、これは基本的な問題でございますけれども、あるいはほかのITツールの活用が可能になるような検討であるとか、あるいは他の、電子マニフェスト制度というのはほかにもいろいろあるわけでございますから、そういうものとの連携をどう考えるか等々の将来の課題というのが明らかになっております。
 この研究はソフトの開発というのがメーンでございますので、全体を運営していくに当たっての費用、あるいはハード面の整備とかそういったもののコストの試算というのは行っておりません。
原委員 わかりました。
 ソフトの開発がメーンだということだったんですが、結構すごいお金ですよね。四百七十万と七千万出して、委託をして一応実証研究というものをしたわけですから、その中からやはりいろいろ計算して、皆さんはきっと頭がよいだろうから、もうちょっと何か考えて、ソフトの開発だけではなくて、これからどれぐらいお金がかかっていくかということまで考えられるはずだというふうに私は思うし、大臣は、これだけたくさんのお金をかけて行った研究が、私はソフトの開発だけだったとは言いませんけれども、そこから、これからどういうふうにこの自動車リサイクル法を運用していくかというところのその効果というものがちゃんとはっきり出てこなかったということについて、どのように思われますか。
平沼国務大臣 国土交通省で七千万、それから我が経済産業省で四百万、これは、今、コンピューターの時代で、ソフト開発というのは非常に費用がかかる、これは御承知だと思います。ですから、そういう意味では、これからマニフェストという体制をつくっていくためには、ある意味では必要な経費だったと思います。
 それと一方、そういう膨大な経費をつくったので、これからの運営費等ももう少しクリアになっていていいんじゃないか、こういう御指摘なんですが、これは局長からも答弁させていただきましたように、これからどういう規模で始まるか、そういう不確定な要素があります。しかし、そういう中で、いわゆる数%、こういうことを局長から申し上げましたけれども、さらにこれからだんだん体制が進んでいきますと、そういうことでクリアになっていくと私は思います。
 ですから、御指摘の点はしっかりと踏まえまして、そういったこれからの経費の面についても、我々は問題意識を持って取り組んでいかなければならないと思っています。
原委員 では、そのようによろしくお願いします。
 最後に一つだけ大臣に質問をさせてください。
 この法案の五条に「自動車の所有者の責務」というところがあって、私、これを読んでいて実は非常におかしいなというふうに思ったんですよ。何でかというと、その責務の一つが、自動車を長く乗ることで、二つ目が、自動車の購入時に当たってリサイクルしやすい自動車を選ぶこと、第三が、自動車の修理に当たって使用済自動車の再資源化により得られた物を使うことということが、所有者の責務ということで書かれていますよね。
 でも、私、こんなのって所有者の責務というよりかは生産者の責任だというふうに思うんですが、このことが法案に書かれていることについて、大臣、どのように思われますでしょうか。
平沼国務大臣 この第五条では、御指摘されたことが条文に書かれております。
 自動車をなるべく長期間使用するということは、やはり今の二十一世紀は、環境をいかに克服して、地球に優しい環境をつくるか、大量生産、これも一つの方法でしたけれども、そこに反省が来ています。ですから、そういう観点から、自動車を所有する方自体もやはりなるべく長く使うことによって省資源をしていくべきではないか、そういうことをこの条文に盛り込んで、なるべく廃棄物が出ない、そういうことがございます。
 それから、自動車の購入に当たってはその再資源化の実施に配慮して製造された自動車を選択していただきたい、こういうことも書いてあります。これは、地球環境に優しくて、省資源の観点から、やはり消費者がそういう意識を持っていただくと製造者も一生懸命そういうことで努力をされます。そういうことになると、全体に非常にいい効果が出てきて、自動車先進国として、世界にもそういう影響が及ぶようになる、私は、そういう観点から書かれていると思います。
 また最後の、修理に当たっては再資源化により得られた物または使用した物を使用することにより、使用済自動車の再資源化等を促進するように努めていただきたいということも同じ観点でございまして、決して、強制する、こういうことよりもそういう意識を持っていただいて、そして全体として、やはり地球に優しい、そして二十一世紀も、特に原委員のような若い方々も安心して過ごせる二十一世紀ができるように、そういう思いを込めてこの五条ができている、こういうことを御理解いただきたいと思います。
原委員 済みません、もう一言だけ。
 先ほど消費者の意識から生産者が変わってくるというふうに大臣はおっしゃいましたが、私は逆だと思います。つくる方、要するに、つくる製品がそういう製品になっていけば、もちろんそれは私たちにも責任はありますよ、環境に対してちゃんと考えていかなくちゃいけないという責任はありますけれども、選ぶものが環境に優しいものになってくれば、自然とそれを選ぶようになりますね、消費者も。つくる方がちゃんと考えることが、これこそがやはり拡大生産者責任の考え方の一つにもなってくるんだと思いますので、そこはやはり大臣、そこは逆だというふうなことを私はぜひ言いたいなと思います。
 いろいろ、できるだけスリム化をしてお金を管理していくというお話がありましたが、だったら、もう一回この法案を考え直して、資金管理団体のところがもうちょっとスリム化できる内容になるような法律にもう一回考え直してもらいたいなというところが本当のところの気持ちだということを大臣にお伝えして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
谷畑委員長 次回は、来る三十一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十三分散会


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