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第20号 平成14年6月5日(水曜日)

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平成十四年六月五日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      阪上 善秀君    下地 幹郎君
      谷本 龍哉君    根本  匠君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      茂木 敏充君    保岡 興治君
      山本 明彦君    生方 幸夫君
      奥田  建君    川端 達夫君
      北橋 健治君    小林  守君
      後藤 茂之君    近藤 昭一君
      中山 義活君    松原  仁君
      松本  龍君    山田 敏雅君
      山谷えり子君    山村  健君
      漆原 良夫君    福島  豊君
      土田 龍司君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      西川太一郎君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 木村 幸俊君
   政府参考人
   (経済産業省産業技術環境
   局長)          日下 一正君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            岡本  巖君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局長)          太田信一郎君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   技術安全部長)      宮嵜 拓郎君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月四日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     吉野 正芳君
同日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     山本 明彦君
同月五日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     谷本 龍哉君
  川端 達夫君     山谷えり子君
  松原  仁君     小林  守君
  松本  龍君     近藤 昭一君
同日
 辞任         補欠選任
  谷本 龍哉君     山本 明彦君
  小林  守君     松原  仁君
  近藤 昭一君     奥田  建君
  山谷えり子君     川端 達夫君
同日
 辞任         補欠選任
  奥田  建君     松本  龍君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 使用済自動車の再資源化等に関する法律案(内閣提出第八六号)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、使用済自動車の再資源化等に関する法律案を議題といたします。
 この際、さきの理事会の協議に基づいて行われました本案に関する視察につきまして、その概要を私から御報告申し上げます。
 昨四日、神奈川県横浜市の株式会社啓愛社金沢リサイクル工場を視察いたしました。当日の参加委員は、私を含め十一名でありました。
 この工場は、使用済み自動車リサイクル・イニシアティブを受けて、平成九年十月、日産自動車の使用済み車リサイクル実証研究委託工場として設立され、中小規模の解体事業者の規範となる先進的な解体工法、設備等の研究開発や、それに基づく適正処理の実践に取り組んできた工場であります。
 私どもは、まず、会社側から、リサイクル工場の概要及び処理工程について説明を聴取いたしました。その後、屋外で使用済自動車の重機による金属材料等の取り外し工程、屋内で廃油・廃液処理ライン、中古部品取り工程、フロンの回収、エアバッグの処理等の作業状況をつぶさに視察いたしました。
 また、各委員から会社側への質疑の主な内容は、解体事業者が抱える課題と本案施行により期待される効果、解体容易な自動車の設計・製造のあり方、中古部品販売の現状等でありました。
 以上であります。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省産業技術環境局長日下一正君、経済産業省製造産業局長岡本巖君、経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君、資源エネルギー庁長官河野博文君、財務省大臣官房審議官木村幸俊君、国土交通省総合政策局長岩村敬君、国土交通省自動車交通局技術安全部長宮嵜拓郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。
中山(義)委員 おはようございます。
 私は、きのう視察に行きまして、やっぱり日本は中小企業だ、このように思いました。私は、実は中小企業の視察をつぶさにやりまして、大体二、三十名ぐらいの規模が大体最大大手だというんですから。よく聞きますと、大体二、三名でやっているというんですね。日本の国は、世界に伍して車をトップで売ってきて一番先端を走っている、私はそう思うんですが、やはりそれを支えているのは中小企業なんですよ。私は、やはりこの委員会は、ある意味では中小企業に力を入れて日本の土台をしっかり立て直さなきゃいけない、こういうふうに思うんですね。
 ですから、この産業の中でも上流の方はメーカーですよ。でかいんです。何十兆円と売り上げている。それから、ディーラーさんも、この辺も結構、数百億とか一千億円と売っている。ところが、一般的に言うと、解体屋さんの年間の商売が数千万円でしょう。これをよく考えてもらいたいんです。
 私たちは、ずっとこの委員会で申し上げてきたのは、中小企業がつぶれたら日本の国はつぶれます、間違いなく。九九・七%が中小企業、そこにほとんどの方が就職をしているわけですから、この中小企業がおかしくなったら私は日本の国はない、こう思っているんです。
 きのう、特にその関心を持ったのは、例えば、コンプレッサーを使っていろいろな廃液を抜くやつなんか、ドラム缶を使っているんですよ。普通のドラム缶ですよ。見たらわかる。それを使って、コンプレッサーで空気を抜いてそこから廃液を取っていく。約二百万円ぐらいでやっている。ドイツだと、これが二、三千万の機械だと。全部自分たちで手づくりでやっているんですよ。ね、委員長、一緒にこうやってきましたからわかりますが。ここがすばらしいと思いませんか。その辺にあるものを利用して何かをつくる。それから、エアバッグを爆発するのも、タイヤを重ねて、そのタイヤの中でバンと爆発させるわけですよ。
 だから、そういうことを考えてみますと、我々はそういう中小企業者に支えられて、今回、日本の環境を守るということなんです。ですから我々は、今までも、不当廉売か何かで中小企業がいじめられている、商店街がなくなっていく、それから、いろいろな形で大企業がとんでもないことをやって中小企業がしわ寄せを受ける、こういうことを含めますと、今回視察をしたのは、やはりこういう中小企業が日本の国を支えているという認識が我が委員会にありまして、委員長を初め、中小企業を助けようということで旗を立てて行ったわけですから。
 今回はそういう視点から、日本の中小企業が環境行政を支えている、この意味合いをよくわかっていただきたい。まずここを申し上げたいと思いますが、この、中小企業が支えているという意味合いのことを、大臣、ちょっとこれ、御発言をいただきたい。
平沼国務大臣 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、日本には約五百万社の企業がありまして、そのうちの九九・七%が中小企業です。そして、雇用も七割以上を受け持ってくださっておりまして、言ってみれば、日本の経済の基盤を支えてくれている。富士山に例えますと、幅広いすそ野の分野でしっかりと日本の経済構造を支えてくださっているのが中小企業でございます。
 おっしゃるように、中小企業の活力がなくなると日本の経済の活力がなくなる、こういうことでございまして、経済産業省といたしましても、中小企業に関しましては、もう御承知のように、中小企業庁を設けまして、そして専門のスタッフを置き、全国九カ所に経済産業局を置き、そしてまた補正予算等でも中小企業対策の予算確保、こういう形で一生懸命に、御指摘のそういう重要性、よく認識しておりますので、一生懸命にやらせていただいているところでございます。
中山(義)委員 今回、この全体の枠組みを見たときに、中小企業者がもう既に商売をやって、一生懸命仕事をやって成り立っているわけですね。私たちも一生懸命やっている姿を見ていると、これを変な許認可、変なところを厳しくしたり、三人四人の人たちが、うまく皆さんと一緒にやっていけないような環境をつくったらこれはまずいと思うんですね。
 既に三品目、いろいろ言われていますね、エアバッグや何か。それ以外にもバッテリーだとかタイヤとかありますね。こういう品目を突っ込むことによって、何か、今までのうまく商売をやってきた全体の流れを崩す可能性もなきにしもあらずなんですよ。
 私は紙ごみの話をよくするんですが、都会議員をやっている当時に、紙ごみは何万トン出ますかという試験があったとすると、紙ごみは東京では四百万トン出ますと。この答えは間違いなんです。実際は七百万トン以上出ているんです。
 ところが、なぜそういうふうに公式発表になるかというと、実はもう三百万トン以上が、古紙パルプをつくって、それがあちこちに流通しているわけですよ。これはもうこれとして中小業者がしっかりやっていたんですが、ここで問題があったわけですね。
 よし、分別して集めることはすばらしいことだ、これはみんな地域でやりましょうというので、区や東京都の方で、婦人部も青年部も、みんな紙ごみを集めましょう、新聞紙をうんと集めて一カ所に持ってきてと、こういう運動をやったら、紙の値段が崩れてきちゃったわけですね。逆有償になってくるような状況まで出てきちゃったわけです。
 ですから、行政がうっかりこういう活動に間違った手の出し方をすると全体が崩れる可能性があるんですね。この辺は業者の方も、変な手の出し方をされると、やはり本来の市場原理というものをとんでもなく崩す可能性があるということなんです。
 ですから、タイヤの問題なんかとかバッテリーなんか、結構うまくやっていますね。今回は三品目に絞りました。これもそういう仕組みの中をよく精査して間違いなきようにやってもらいませんと、本当に零細な業者がおかしくなっちゃうんですよ。その辺の配慮はありますか。
平沼国務大臣 今回、三品目に限らせていただいたということは、既にタイヤでございますとかバッテリーというのは専門の業者さんが非常に円滑に処理をしていただいている。しかし、エアバッグでございますとかあるいはシュレッダーダストでございますとかフロン、これは非常に特殊でございまして、ある意味では、そういう解体業者のサイクルの中で、例えば料金的に、あるいは技術の問題等々ありましてそういう既存のサイクルに回らない、こういう三品目に限定をさせていただきました。
 御指摘のように、本当にこのすそ野で一生懸命頑張ってくださっている解体業者の皆様方が、不必要な規制ですとか義務づけ、そんなことで不当な扱いにならないように、そういう観点からもこの三品目に限らせていただいた、こういうふうに御理解をいただきたい、このように思っております。
中山(義)委員 今回の問題は、政府が関与をするということで、心配な点は今の点なんですね。変に手を出し過ぎておかしくなりはしないか。
 それから、ちょっと一兆四千億円というお金がどうもひとり歩きしちゃっておりまして、実際、三年ぐらいたって車検の切りかえとかいろいろな時期が、節目節目があると思うのですが、このお金の集まりぐあいというのは、予想されるのは、十年後ぐらいまで考えてみると、どうなんですかね、何か、やたら七千万台掛ける二万円、一兆四千億円とか、これはもうどんどんどんどん、そのお金、どうするんだ、管理が大変だろう、また、そのお金を逆にどういうふうに活用したらいいんだとか、そういう話まで出ているわけですね。この辺ちょっと整理をして、大臣の方から、これはこういうことだよというふうにやはりそろそろ出していただかないと、メッセージがちょっと伝わってこないのですね。その辺、いかがでしょうか。
岡本政府参考人 料金の設定は、先生御案内のように、メーカー、輸入業者が行うこととなっております。現時点では、各社とも、料金の前提となる諸条件の分析を行っている段階でございます。
 車の大きさ、重量によるシュレッダーダストの発生量の違いとかエアバッグの個数なんかによって車種ごとに料金というのは異なってこようかと思います。それから、シュレッダーダストのリサイクルに関する自動車メーカー各社の取り組みの違いによって料金に差が出てくるということもあろうかと思いまして、これまで、一概にどの程度というのはなかなか言いにくい面がございます。産業構造審議会等のこれまでの議論で、二万円前後というリサイクル料金を一つの目安として議論されてきておりますが、現時点において、リサイクル料金が幾らかという点について具体的な数字をお示しできる段階にはないかと考えております。
 他方で、そういう状況なんですが、あえて申し上げますと、エアバッグが搭載されていないものが多い既販車の場合には、リサイクル料金は新車のリサイクル料金よりは相当低いものになろうかと考えられます。既販車の台数というのは、御案内のように約七千万台でございますので、一兆四千億円というのはちょっと私どもも多過ぎて、一兆円前後ということになるものと推測をいたしております。
 いずれにいたしましても、メーカー、輸入業者の競争によって、料金が可能な限り低減することを期待しているところでございます。
中山(義)委員 一兆四千億円は多過ぎるでしょうという話ですが、もうひとり歩きしちゃっていることは事実でございまして、私も、解体じゃなくて整備業者の何か総会があって行ったときに、簡単に七千万台掛ける二万円で一兆四千億円と出ましたよ。簡単にそういうふうに言うんです。だから、この点につきましてももうちょっとちゃんとした説明をしていただかないと、そういうメッセージで、政府はもう一兆四千億円、その金をどういうふうに活用していくか、どういうふうに使っていくか、そこまで考えているんじゃないかとか、そこに天下りの大きなあれができるんじゃないかとか、いろいろなことを言っているわけですね。そういう話がひとり歩きするとまずいわけですよ。
 それと、もう一つ。さっきから出ていた中小企業のトラックですね。要するに、魚を運んだり八百屋さんがいろいろなものを運んだりしているそういうのには当然エアバッグはついていないと思うのですね。いろいろ安くできるものに、特に中小企業が、ここでぽんと二万円取られたら困るというような言い方をされたものですから、いや、それはないんじゃないでしょうか、そんな金額じゃないでしょうとは話はしたんですが。
 やはりそういう配慮も、本当に中小企業が商売で使っているような車、私は、ベンツとかそういう初めからぜいたくに乗るものは、それは取得税を取られようと何やろうと、これはある程度しようがないと思うけれども、商売に使っている、本当に中小企業が使っている車には若干の配慮といいますか、税制面であるとか、控除をするとか何だとかというようなところが若干頭にないと、やはり経済産業省は、中小企業庁があって、中小企業を、保護するわけでも何でもないですよ、中小企業にしっかりとした働く場をつくるわけですから、その辺の配慮もあってしかるべきだ、このように思うわけです。
 そういう面で、今後も、この一兆四千億円がひとり歩きしておかしな疑惑を持たれたり、とんでもない大きな組織ができてそこに天下りがうんと入ってというような、国民にそんな想像をさせないように、すばらしい組織で、こういうふうにやっていくということをはっきり明示してくださいよ。
 例えば、その管理法人の中に、いや、金集めるぐらいだから二十人ぐらいでできるよ、ぱっと何かあるときに、三年後か何か、車検が切りかえになったとき、お金がわっと入ってくる、そのときだけ、では四十名ぐらいメーカーから人を借りてくるとか、そうやってむだのない組織をつくるようにひとつ頑張っていただきたいと思うのですが、大臣、どうですか、この辺。
平沼国務大臣 これまでの数次のこの法律に対する御議論の中でもそういう御指摘が出ておりました。やはり国民の皆様方の貴重な、そして自動車ユーザーの方々のそういうお金をお預かりをする、こういうことですから、透明性を重んじなければいけませんし、また、肥大化をしてはいけない。また、そういう法人には、従来では天下りをして、そして天下りの温床になるんじゃないか、こういう御懸念が随分出ました。
 私どもとしては、やはりこれに関しては簡素につくらなければいけない、そういう意味では、人数的にも数十人の規模で済むのであろう。ただ、もう一つは、膨大なそういうデータを管理しますから、そういったシステムづくり、そしてそのシステムを管理する、こういったことに、それはそれほど大きな人数じゃありませんけれども、ある程度の人数が要る。しかし、これはあくまでも民間が主体でやる法人でありますから、そういう役員等に関しましては、私どもとしては絶対的にそういう天下りというものを想定はしない、こういうことで私どももはっきりさせてきていただいております。
 現に、自動車のリサイクルセンターというのがございまして、そこの中にも役員は何人か役所出身がおりますけれども、それはすべて非常勤で、そして無報酬でやっている、こういう状況でございますので、そういう精神をしっかりと生かして、そういう御懸念がないように、そして透明性のある、そして公開性のある、そういう運営で、極力負担が少なくなるようにしていかなければいかぬと思いますし、また今御指摘の、そういう一時期に、例えば車検のときに需要がふえる、そういったところには、やはり御指摘のような適切な対処の仕方もあると思っておりますので、そういうことも私どもは考慮に入れていきたい、こういうふうに思います。
中山(義)委員 大体そういうところで、どういうことを国がやっていって、どこからどこまで国がやって、どこからどこまで民間がやるかというところが非常にやはりまだまだわからなかったというところだと思うんですね。
 それで、最終的に一、二、三で始めるときに、日本の国の中に、野積みでうんと車があったりあちこちに放置されている車がありますね。この法律が施行された、きょうから始まるというときには、これはやはり一回全部片づける、きれいにして、もうきれいなところから始めるということが必要だと思うのですね。
 これは、国の役割がどこまでで、地方自治体がどこまでで、メーカーの役割がどこまでというようなことで、はっきりしておいた方がいいと思うんですね、今から。もうとにかく、法律が施行されるときに、一回日本の国から野積みも何もなくなりますよと、全部一回きれいになって、そこから一から始めるんだというふうにすると、この法律は始める日がはっきり明確になって、全国民にアピールができると思うんですよ。この日からは一切野積みはありません、こういう形が非常に私はアピールの度合いが高くて、この法律を施行するに当たって、用意ドンで非常に勢いがつくと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。
飯島政府参考人 今委員御指摘になりました、国内での不法投棄やそれから違法な保管でございますが、環境省が昨年八月、都道府県を通じて調査しましたところ、全部で十二万六千台という数字になっておりまして、委員御指摘のとおり、これを一掃するということが望まれるわけでございます。
 自動車リサイクル法が施行されれば、実は、この不法投棄の要因になるような要素がなくなりますので、こういった不法投棄は大幅に減少するというふうに期待しているわけですが、施行までの間にこれを一掃するためにどういう努力をしていくかということでございます。
 いずれにいたしましても、廃棄物処理法の制度の中で、こういったものについては、違法行為者に対して厳格な対応を行ったり、あるいは監視パトロールの強化をするということが本筋であろうと思っています。
 具体的には、これまで都道府県や市町村におきましては、こういった違反行為に対する処分につきましては、行政処分という形ではなくて行政指導という形で行ってきたわけでございまして、そのために、野積みというか積まれる量がどんどんふえてしまったということになったわけですが、昨年、環境省では行政処分の指針を地方公共団体に通知いたしまして、廃棄物処理法に基づく厳格な処分を行うように都道府県にお願いしてきております。
 この結果、この一年間、いわゆる数字にあらわれない行政指導ではなくて行政処分、要するに、例えば廃棄物処理業の許可を持っている人がこういう違法行為を行いますと、その許可の取り消しといったようなことが非常にふえてきておりまして、こういった法の徹底というのが一番大事だと思います。
 そのほか、不法投棄の未然防止や早期発見のために都道府県や市町村が行っている監視パトロール、あるいはIT機器を活用した監視手法、こういったものについて環境省としては支援をしているところでございます。
 なお、市町村が路上に放棄された車の処理を行う場合につきましては、自動車メーカー等の自主的な取り組みで協力会制度というのがございまして、ここで費用負担協力が行われておりまして、たしか、昨年のデータでは一万六千台以上の路上放棄車を処理しておりまして、これに対して二億円強の協力金をこの自動車メーカー等の協力会から支援をしていただいているということでございます。
中山(義)委員 ちょっと確認しますけれども、では、野積みになっているのはもう強制撤去みたいな何か強力なものをかけて地方自治体にやってもらっていく、路上のものはメーカーが最終的に責任持ってやるというような、大体今のをまとめてみるとそういう考え方ですか、ちょっとそれ確認。
飯島政府参考人 先ほどお話ししましたように、不法投棄、本当の不法投棄というのと、それから違法に保管、保管基準違反で保管している、これがなかなか難しいのですね、事業場の中で保管しておりますので。ですから、これは、リサイクルされる見込みがないならば、先ほど言いました行政処分の指針、あるいはタイヤなんかは典型なんですが、そういった指針を出しておりますので、それに照らして、明らかにこれが不法投棄状態あるいは違法状態であれば都道府県が措置命令をかけていくということになると思います。
 それから路上の放棄車というのは、一般廃棄物といいますか、自家用車が多いわけでございますけれども、こういったものについては市町村責任になるわけでございます。市町村がそれを片づけた場合には、協力会制度でメーカーの方から自主的にかかった費用を支援していただく、こういう形で今仕組みができておりまして、この仕組みを活用して一掃したいと思っておりますし、実際に一掃できるかどうかは別にして、減らしたことによって、この自動車リサイクル法が施行されれば新しく出てくる不法投棄車は格段に減ってくるだろうというふうに思われます。
中山(義)委員 大体わかりました。
 要するに、車の不法投棄といっても、道路上にあるものはまだまだいろいろな部品がついていてお金になる可能性があるんですが、本当に野積みになっていて、何かタイヤもなきゃ何もないような車というのは、あれは車がらというのですか、鳥がらとかと同じような意味でそういう言い方をしていて、もう全然あとはシュレッダーかけて逆有償になっちゃうようなところですね。
 私どもこれ調べましたけれども、最近中古のカー用品の販売店アクセルというのが、年商がこの三、四年で二百五十から五百億円にふえたとか、中古品の販売というのは結構ルートが確立されてきつつある。解体でも、初めの段階のいい部品をとるところはかなりそれなりに商売になるような商品も出てくる。もちろん、一つの工場でやっているわけですから、最後は車がらになってつぶしてしまうわけですけれどもね。
 でも、往々にして野積みになっているものはもう逆有償になってお金がかえってかかってしまうというようなことがあるので、それは若干行政の方でお金がかかっても、始めるときには一回きれいにばしっとやってから始めると、日本全国の車のリサイクルというのはこの日からばっと始まったというようなことが後々歴史に残る、こう思いますので、ぜひ大臣、これは歴史に残るようなリサイクルのシステムを構築した、そういう記念日にしていただきたい、このように思うわけでございます。
 それと同時に、タイヤであるとかバッテリーであるとか、または二輪車であるとか、それから家電のごみですね、こういうものも同時期に一回きれいにするという取り組みも、いかがなんですか、その辺は。もちろん法的な網かけの組織が違うかもしれませんけれども、日本全国リサイクルが始まったので、家電の方ももうそこはどんどん役所の方で話をして、一気にその野積みのごみがなくなっていくというようなことも必要ではないかと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。簡単で結構ですから、意気込みだけ。
太田政府参考人 家電についてお尋ねがございました。
 昨年四月一日から、いわゆる家電リサイクル法を施行させていただいております。おかげさまで順調に進んでおりまして、当初不法投棄がかなりふえる可能性があるんじゃないかと心配しておりましたが、最近時点の統計によりますと、環境省さんがお調べいただいているわけですが、大体百台に一%台という、一台ちょっとということで、テレビは若干小さいものですからテレビが多いわけですが、これも私ども、環境省さん、それから地方自治体、それから警察等にもお願いして、まさに、不法投棄をなるべく少なくするような方向でいろいろ努力しているところでございます。
中山(義)委員 まあ大体質問時間が来ましたので、最後まとめに入りたいと思うのですが、要するに、中小企業者が相当底辺を担っている。今回の静脈産業と言われている解体からシュレッダーダストをつくって最後に処分をする、このときにいろいろな方法があると思うんですが、マテリアルもサーマルも含めまして、やはり効率のいいものをやらなきゃいけない。業者側からすれば、最終的に売りやすいところに売っていくということもあるでしょうし、この静脈産業をしっかり育てていくということが今回の基本だと思うんですね。単に不法投棄の車がうんとあるからという単純な問題じゃなくて、日本のリサイクルといいますか、循環型の社会をしっかりここで構築するという意味合いが一番大きいと思うんです。
 今回は特に、そういう中に上流、中流、下流という流れがあるとすると、一番下流のところが二人、三人でやっている中小企業者だ。しかし、ここが最終的にしっかりやってくれない限りは、この事業はうまくいかないわけですよ。ですから、ある意味では、本当の意味での下町の中小企業を助けていくのと同じように中小企業対策でもあるわけですね。だから、この間見たような業者が、啓愛社、これは大手だというんですから、二、三十人で大手ということは、下の方は二、三人というふうに聞いてもいます。だから、そういう面で、そういう業者がもうかって、利益が上がって仕事ができるようにしてもらいたいんです。
 いつも言っているように、商店街のお店が、どこかの不当廉売でぼんぼん安く売られて、利益を乗っけないで物を売る、これは商売じゃないんですよ。フェアトレードといって、商売をするには、ある程度利益が乗っからなければ、そこから税金も払わないし、生活費も生み出せない。
 ですから、保護するとか中小企業を援助するというんじゃなくて、やはり中小企業にちゃんとした活躍の場を与えることが必要なんですね。それが、弱小企業に厳しい許認可の条件がずらっとあって、とてもじゃないけれどもできないとか、それでは中小企業は育たないわけですね。
 今回のポイントを私はこの間視察をして最終的につかんだのは、二、三人でやっている、または十人前後でやっているこの解体業者、最終処分をするこの人たちが、利益が上がって、商売になって、そして本当に税金をしっかり払ってくれる、こういうふうに育ってくれればリサイクルの事業というのはうまくいくと思うんです。ですから、このすそ野をしっかり、今後も経済産業省がしっかり活躍の場をつくって、本当に一生懸命できるようなそういう形をつくり上げていただきたい。
 これは、単なる不法投棄がなくなればいい、そういう問題じゃなくて、本当に日本のリサイクル事業、循環型社会を経済産業省がつくった、こういう自負を持てるような事業にしていただきたいので、大臣に最後にこの抱負を述べていただいて、私の質問を終わります。
平沼国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。
 二十一世紀というのは、いかに環境保全を保ち、そして経済の活性化と両立をさせていくか、これが大きな命題であります。そういう意味で、私どもとしては、循環型社会を形成していくに当たって、今御指摘の一番のすそ野の部分で支えてくだすっているそういう中小企業の静脈産業、ここをしっかりと育成をして、そして、その中で活力を持って経済活動をしていただくように私どもは努力をしていかなければならないと思っております。
 これまでもいろいろな形の支援措置も講じてきたところでございますけれども、この静脈産業の重要性にかんがみまして、私どもは、さらにきめ細かく、そして力強く対処をしていきたい、このように思っております。
中山(義)委員 どうもありがとうございました。
 また、委員長、きのうの視察は随分ありがとうございました。きょうの質問にも十分きのうの視察が生きました。ありがとうございました。
谷畑委員長 どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。
 山田敏雅君。
山田(敏)委員 山田敏雅でございます。
 きょうは、まずフロンの問題から入っていきたいと思います。
 実は、このフロンは、私、縁が深いというか、今から二十五年前に通産省でこのフロンの担当者でございまして、フロンのことをやりました。
 今から三十年前に、ある学者が、フロンがオゾン層に行ってオゾンを破壊するという説を発表したんですね。その後、五年ぐらいでいろいろな事実がわかってきて、大体、フロンというのはオゾン層を破壊して人類の滅亡につながるということがほぼわかってきました。
 そのときに私は基礎産業局というところにおりまして、このフロンの問題を日本はどうするかという担当者になりました。どうやったかといいますと、フロンの関係の業界の方皆さんに集まっていただいて意見を聞きました。
 皆さんの意見は、その説はでたらめだ、そんなことがあるはずがない、フロンがオゾン層まで上がっていって反応を起こすなんというのは、そんな確かめようのないありそうのない話、おとぎ話みたいな話だ、そんなので規制をするとかはけしからぬ、こういうことでございましたので、私は担当者として、一生懸命、能力の限りを尽くして反対キャンペーンをやりました。たくさんの人に集まっていただいたり、シンポジウムをやったり、この学者に反対する国際派のいろいろな学者の方に集まっていただいて、いかにこの説がでたらめかということを一生懸命やりました、かなり優秀でしたので。
 その結果、国会で何回もその論陣をやりまして、確かにフロンがオゾン層を破壊するというのは余り大した説じゃないんだということに、その結果、実は、日本が世界的に見て非常にフロンの対策についておくれたという事実がございます。ひとまず私の、大臣、優秀な官僚もこういう間違いを犯すということをひとつ知っていただきたい。
 そこで、この二十五年間を見てみると、実にその後、日本は世界にかなりおくれて、このフロンは非常に重要な問題であるということに気がついたわけですけれども、国内の対策が非常に進んでおりません。私も国会議員になってもう何回も超党派の方といろいろフロンの規制について話をしましたけれども、実におくれている、なかなかいかない。
 このフロンの、二十五年前に認めたことが、フロンの代替――ちょっと長い名前ですが、フロンの破壊及び確保に関する法律、これがまだ施行されていないんですね、十三年にできたのは御存じだと思うんですけれども。二十五年たっても、このフロンの回収及びその罰則とか、そういうのがなかったということなんです。
 きのうの参考人招致でもおっしゃっていました。自動車のフロンを回収される方がこういうふうにおっしゃったんです、正直者は損をする。これはどういう意味かといいますと、ユーザーが、フロンを回収してください、その費用三千円を負担しました。そのお金を受け取って、本当にフロンを回収して届けたかどうかわからないわけですね、法律がないわけですから。罰則もない、だれも監視しない。だから、正直者が損をする。その正直者、正直に請け負った自分が経費をかけてやれば、やらないでフロンを勝手に放出すればこれは得になりますから、そういう意味なんですね。
 そこで、ちょっと今回の自動車リサイクル法について、環境省の方に来ていただいたのでお伺いしたいんですが、きのう担当の課長さんに聞いたら、これはいつ施行するのかまだわかりませんというようなことなので、ちょっと正確に、このフロンの法律、いつこれの施行をするんですか。
岡澤政府参考人 フロン回収・破壊法でございますけれども、業務用冷凍機につきましては既に四月一日から施行しておりますけれども、カーエアコンについては、法律上、十月三十一日までの政令で定める日というふうになっておりまして、まだ政令を定めておりませんので施行日が決まっていないという状況でございますが、いずれにしても、十月には施行したいというふうに考えております。
山田(敏)委員 フロンの問題、この問題にずっと取り組んでいる方は、非常に遅い、それから、日本の政府が早く行動しない。これはもう法律ができて、十月三十一日までにやるということも書いてあるんだから、今の御答弁のように、まだわかりませんということじゃなくて、至急にやっていただきたい。一週間以内にお願いします。
 それともう一つ、今回のこの自動車リサイクル法に伴って、これは、できたばかりの法律をまた改正しなきゃいけないわけですね。これによって今ある法律と今回の新しい改正、この自動車リサイクル法に伴って改正しなきゃいけないと思うんですが、どういう点がよくなったんでしょうか、お答えください。
岡澤政府参考人 フロン回収・破壊法ですと、今考えております回収・破壊のシステムというのは、ユーザーがフロン券を購入いたしまして、フロン券を添付して廃車のときに引き渡す、それによって、費用を負担した車についてフロンの回収・破壊が行われるということでございますけれども、実施の確実性という観点からすれば、今回提案されております自動車リサイクル法のように、あらかじめ、あるいは車検時に、フロンの回収・破壊に関する費用を納入しておく、あるいは、引き取り業者から破壊業者に確実に手渡されるような仕組みが構築されるということで、フロンの回収・破壊を確実に行うという意味では進歩があったというふうに考えております。
山田(敏)委員 これは、法律に罰則規定があるんですけれども、実態を見てみますと、フロンというのは無臭で無色でございますので、漏らしたのか回収したのかはっきりよくわからない。においがすれば周りの人がすぐわかるわけですけれども。
 一体だれが取り締まりをして、本当にこれが行われているかどうか、その点をちょっとお答えください。
岡澤政府参考人 監督は、都道府県知事、政令指定都市の首長が監督をすることになっております。
山田(敏)委員 都道府県の担当の方をちょっと一回訪ねられてヒアリングをされるなり、そういうことを一回やっていただきたいんですが、都道府県のこの種の法律はたくさんございます。これを取り締まるとか、ほとんど人的に不可能な状態なんです。法律には書いてあるけれども、実際にこれが本当にできるようにするには非常に困難があります、実態上。
 もう一回ここで、都道府県のこれを取り締まる人、その方法、これをヒアリングをして、本当にできるかどうか、来月までに国会で報告していただけますか。
岡澤政府参考人 実は、ことしの三月に既に、経産省と環境省と共同いたしまして、全国の約五十カ所でございますけれども、説明会を開催しております。先般も、地球環境担当の都道府県の職員等を集めまして、これは一般的な話ですけれども、講習会を行ったときにも督促いたしましたし、機会を通じて今までも、法律の制度の仕組みの説明あるいは準備態勢の構築に対する協力をお願いしているわけでございます。
 ただ、先生おっしゃったように、まだまだ対応がおくれているところがあるんじゃないかという御指摘ですので、改めて都道府県に対しても働きかけをしたいと思います。
山田(敏)委員 それでは一カ月以内に、担当者の人員、能力、その他、報告をしていただけますでしょうか。もしあれでしたら、私、文書を出しますので、よろしくお願いします。
岡澤政府参考人 ちょっと一カ月かどうかわかりませんが、直ちに調べて資料はまとめたいと思います。
山田(敏)委員 次の質問なんですが、大臣、この間私が質問に立ったときに大臣いらっしゃらなかったので、ちょっと重要な点がございますのでお伺いいたします。
 今回の自動車リサイクルの法律のもとになりました産業構造審議会の廃棄物・リサイクル小委員会、ここで議論されたわけですね、ここにこの全部の議事録がございます。どういう議論をしてこの法律あるいは制度をつくっていったかと。これを読みますと、自動車ユーザーの意見がほとんど出てこないのに気がつきました。
 そして、名簿をいただきました、ここに。十六人の委員がおられます。そのうち九名が業界の方ですね、社団法人。ユーザーの代表、これが一名。JAF、日本自動車連盟の専務理事、この方が一名入っているんですね。
 十六名のうちユーザーを代表する方が一名、あとはすべて業界の方と教授、主婦連の副会長が入っていますが、主婦連は主婦連の立場で言われるんですけれども。要するに、自動車のユーザーの方の、なるほどこれでいくと少数意見の中の少数意見で、何か重要なことをおっしゃってもほとんど無視されるという感じがいたしました。
 産業構造審議会のこの小委員会、大臣が任命されるということなんですけれども、こういうことですと、例えば五人ぐらいの人が集まって、だれがお金を負担するかという議論をしようと。自分は負担をするのが嫌だから、私は私はと議論する。いない人に、あの人に負担させようという結論にするのが、一番簡単でイージーな結論の方法だと思います。
 ここの中で一カ所、この方は、自動車関係諸税はおかしい、一時的につくっておいて、いつの間にか永遠に税金を課する、税金は取り過ぎじゃないか、これをリサイクル費用に回せばいいと。これはユーザーの意見であり、国民の意見として、七千万ユーザーの極めて素直な意見だと思えます。大臣、いかがお考えですか。
平沼国務大臣 まず、産構審の自動車リサイクルワーキンググループのメンバー、ユーザー代表としてユーザーが少ないじゃないか、こういう御指摘でございます。
 今般御審議いただいております新しい自動車リサイクル制度のもとでは、各自動車メーカー等がシュレッダーダスト等のリサイクルに要する費用に充てるための料金を設定、公表し、これを自動車ユーザーに御負担いただくことになっている、こういう制度であります。こういったリサイクル料金の徴収方法というのは、委員よく御承知のように、平成十二年の七月以来産構審において積み重ねられた議論を経てきた、こういうふうに理解しております。
 産構審には、御指摘のとおり、日本自動車連盟、JAFからも委員として御参加をいただき、また消費者の代表として、これも御指摘がありました主婦連の代表、それから生活環境評論家、それからマスコミも、これもすべて参加者はユーザーであるわけですけれども、マスコミ、それから学者、それぞれ二名御参加いただいております。
 第六回のワーキンググループにおきましては、お読みいただいたわけですけれども、出席の委員よりJAFの行ったアンケート調査の結果を紹介していただいた上で、御審議をしていただいたところでございます。
 審議会全般を通じて、自動車関係諸税をリサイクル費用に充てるべきではないかとの御指摘も含めさまざまな角度から検討が行われまして、二回のパブリックコメントを実施しながら議論を尽くしたものだ、このように承知しています。
 最終的には、産業構造審議会で平成十三年の九月に取りまとめられました第二次報告におきまして、自動車製造業者等の設定、公表する料金を自動車ユーザーに資金管理法人に預託いただくとの整理がなされたわけでございまして、本法案は、基本的に、この第二次報告で示されたリサイクル料金の領収方法に沿って決めた、こういうことでございます。
 さらに、自動車関連諸税というのはたくさんあって、そして消費税まで入れれば十種類ある、そういうことの中で、そういうところからとったらどうだ、こういうことでございます。
 これは確かに、これまでのずっとこの委員会の御審議の中でも、そのような御意見が出てきたわけであります。そういう中で、私どもとしては、自動車関係諸税というのは、それぞれ、いろいろその成り立ち、そして既にその中で国の重要な財源として組み込まれている、そういうような実態を踏まえまして、そういう御意見もよく承知しておりますけれども、自動車諸税の中でリサイクル費用も賄うべき、これは今の段階では適切ではない、こういう判断の中で、今回、それぞれの御意見を踏まえて、こういう形で提案をさせていただいた、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
山田(敏)委員 この小委員会には本当のユーザーの代表は一人しか入っていないという今の私の意見に対して、そんなことはない、まあまあ入っているということなんですけれども、この議事録を見て、結果として、ほとんど今のユーザーの本当の意見というのは反映されていないし、産業構造審議会で議論されなかったということでございます。
 次に、資金管理委員会というのをおつくりになりますね。この資金はユーザーの資金ですので、言うなれば株主でありスポンサーであるわけですから、ユーザーの代表をしっかり入れてやっていただかないと、また変な方向に、また国民が無視されたということになりますので、大臣、その点をゆっくり考えてやっていただきたいと思います。
平沼国務大臣 私どもとしては、その資金管理団体には当然ユーザーの方も入っていただかなければならない、そのつもりでおります。
山田(敏)委員 一人とか二人とか、マイノリティーにならないようにお願いしておきます。
 それで、先ほどの税制の話です。
 ハイブリッド車及び低公害車、これの税制優遇措置がございます。これは御存じのとおり、自家用車で五%から二・三%、業務用が三%が〇・八%、すなわち二百万円ぐらいの車でしたら十万円が五万円ぐらい、要するに五万円ぐらい自動車取得税を免除します、こういう制度がありますね。
 自動車取得税、地方税ですが、この税を使ってこういうことが実際行われているわけですね。これについて、どういう観点で、どういうことで自動車取得税が使われたのか、そのいきさつをちょっと御説明いただけますか。
平沼国務大臣 ハイブリッド自動車に対する自動車取得税の特例措置、その創設経緯に関するお尋ねだと思います。
 ハイブリッド自動車というのは、その排ガス性能等がすぐれておりますことから、ユーザーが新車の購入の選択をする際に、排ガス性能等にすぐれたハイブリッド自動車を選択することを政策的に誘導するために、その実用化のタイミングに合わせまして、平成四年度税制改正において、自動車の取得に対する課税である自動車取得税を、さっき委員御指摘のような税率にさせていただいて軽減する措置、これが創設されたわけであります。
 なぜ都道府県税である自動車取得税に対してだけこうした軽減措置を設けたか。これは、国税であります揮発油税はいわば自動車の燃料に課税するものであること、また、もう一つの自動車重量税は自動車の重量に応じて課税するものであること、こういった理由によりまして、環境特性をある意味では考慮に入れにくい税制である、そういう判断でございまして、自動車取得税と。そしてさらに、そういう意味では、今申し上げました国税、揮発油税と重量税にはなじまない、こういう判断でやらせていただいた、こういう経緯であります。
山田(敏)委員 先ほどの大臣の答弁で、税制というのはなかなか難しくて今回はだめだったと、こういうことなんですけれども、御存じのように、自動車ユーザーは、十種類ですか、税を実質的に取られていまして、一年間に九兆円ですね。ここで新たに一兆円ユーザーは負担しなさい、こういうことが決められるわけです。
 京都議定書という非常に難しい法律を私たちは今批准したわけですけれども、そうなると、今後さらに膨大なコストが要る。すなわち、環境税が要る。では、自動車ユーザーにとって、さらに二兆円、三兆円の負担をしないとできなくなるのではないかという前ぶれのやり方なんですね。
 それよりは、今おっしゃったように、自動車取得税を環境的な見地から使うということであれば、今のユーザーは平均すると七万円ぐらい払っているそうですけれども、たったの一万円をこの中から負担する。これは別にそんなに難しいことでもないし、本当にこの審議会で、今言った意見がマジョリティーの意見であったら、JAFの方がおっしゃった、自動車関係諸税はおかしい、一時的な制度を永遠にしている、税金を取り過ぎているということを真剣に議論されれば、今の、別にできないことはない、やっているわけですから。そうじゃないんでしょうか。大臣、いかがお考えですか。
平沼国務大臣 先ほどの御答弁で、それぞれ歴史があり、由来があり、その必要性がある、そういう中で、今自動車関係諸税、消費税を入れれば十あり、御指摘のように九兆円、膨大なことになっています。
 ですから、私は、やはり二十一世紀は環境の時代ということを踏まえれば、今後の重要な検討課題として我々はいろいろな角度で検討していかなければならない、そういうふうには思っております。
山田(敏)委員 前向きの答弁をいただいて、本当に、京都議定書を、非常に日本だけが不利な、そして非常に難しい、ほとんど私は不可能だというぐらい難しいものを批准したということでありますので、将来、取引権の支払い、国の、国民の負担がまた何兆円も京都議定書によってふえていくということであれば、今おっしゃったように、二十一世紀は環境の世紀で、エネルギー問題は環境・エネルギー問題ということでございますので、今おっしゃったことをしっかり私も受けとめますので、柔軟にやっていただきたいと思います。
 最後にお聞きしたいのは、今回、自動車取得税をあきらめてユーザーが負担する。どうしてそういうことをしたのかという前回の大臣の答弁で、メーカー間のコスト競争が図られる、それによって効率的なリサイクルが行われるということですが、そういうことでよろしいんでしょうか。
平沼国務大臣 こういうシステムの中で自動車ユーザーにもインセンティブが働いて、リサイクルしやすい設計でありますとか、あるいは使う材質についても、やはり循環型社会に非常に適応した材質を使う、そういう中で、おのずと努力が働いて、そして、それはある意味ではコストダウンにつながる、そのことを期待しているところでございます。
山田(敏)委員 家電リサイクルで全く同じことを言われたんですけれども、実際やってみると、統一的な、四千円なら四千円と、もうどこもみんな一緒、競争的なことも起こらないし、ある意味で効率よくやったところは、その四千円から利益を得るというようなことも実際に起こっておりますので、この点もしっかり今後の課題としてやっていただきたいと思います。
 きのう、参考人の弁護士の方がおっしゃっていました。スウェーデンのボルボの考え方を披露されました。
 ボルボは、スウェーデン国内の四〇%の車を生産しているわけです。国の自動車について責任があるということですね、交通及び自動車に。我が国の自動車の普及に比べて、国土面積で割って十六分の一の自動車しか走っていないスウェーデンで、ボルボは、この国の自動車は多過ぎる、このままいくと国がめちゃくちゃになってしまう、もうそろそろ自動車を生産するよりは自動車を減らす方向に行こう、そして交通体系をしっかり考えよう、それによって車を減らすことができる、これをボルボの会社の方針にしようと。どんどん生産して、どんどん売り上げを上げて、どんどんやって、どんどん道路をつくってという方向じゃなくて、もう道路をつくるのをやめようと。なぜなら、自動車、車を減らすんだ、減らす方法は、交通体系をしっかり考えてやっていこう、これがボルボの考え方だと。これは役員がおっしゃったそうですけれども。
 我が国の方向、今全国の自治体で、道路をつくれ、道路をつくれ、高速道路をもっとつくれ、非常に道路面積、僕は多いと思うんですけれども、しかし、本当に体系的に交通をどうするのかとか、自動車の数をどうするのかということは考えられたことがないということでございますので、最後に、今のボルボの考え方、これについて大臣はどう思われますか。
平沼国務大臣 私は一つの大きな見識だと思っております。交通体系のことも参考人の方は触れられた、こういうふうに今お聞きしました。
 私は、やはり自動車というのも有用な輸送手段だと思っていますけれども、それをいかに効率よく結びつけていくか。そういう意味では、自動車とか環境に優しいほかのそういう輸送機関とうまくミックスをして、そして総体的に例えばCO2の排出量を減らしていく、私は、そういう大きな構想というのは非常に必要だと思いますし、ボルボ社の二十一世紀を踏まえた、そういうメーカーとしての矜持といいますか、そういった非常に大きな姿勢、これを私は評価したいと思っています。
山田(敏)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 近藤昭一君。
近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。今回の法案につきまして質問させていただきます。
 私は、本来は環境委員会の所属でございまして、この経済産業委員会におきまして、この問題につきまして質問させていただくのは初めてでございまして、もしかしたら重複する部分があるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 今回の法案、改めて申すまでもありませんけれども、産業廃棄物の最終処分場が大変に逼迫をしてきた、また、使用済自動車の逆有償化が進展をしてきた、こういう問題が背景にあるというふうに思います。そうしますと、この問題を解決するためには、今回のリサイクル義務化三品目を対象とした対策だけではなくて、先ほども幾つか私どもの同僚議員の方からも質問がありましたけれども、使用済自動車の発生の抑制、部品の再利用の促進、また、三品目以外の、タイヤとかバッテリー、廃車がらなどの事実上逆有償化しているものへどういった対策をしていくか、こういうような総合的な対策が必要だと思っております。
 そういった意味で、今回は、先ほども中山議員の質問にもありましたが、今まで、中小の業者さんがいろいろなところでリサイクルをしてきた、リユースをしてきた、あるいは廃品を処理してきた、こういうものをより総体的に大きなシステムの中でやっていこう、こういうものが構築をされるという本当に大事な一歩になるというふうに私は思っております。ただ、そういう中で幾つかの課題もあるんだと思っているんですが。
 ところで、先ほど申し上げました背景、その背景に対する施策として、使用済自動車の発生の抑制、今山田議員の話にもありました、これから自動車メーカー自体がもう自動車を減らしていくべきではないか、こういうふうに考えている、大変に画期的な考え方。しかしながら、私は先ほど申し上げましたように環境委員会の所属でありますから、環境問題といわゆる産業振興をどうバランスをとっていくか、どう両立させていくか、こういうこと。ですから多分、自動車メーカー、ボルボとしましても、全く自動車をつくらなくてもいいとは思っていない。ところが、これ以上つくると、かえって社会がおかしくなっていく、地球がおかしくなっていく、そういう中では、自動車をつくっていくという問題が第一ではないだろう、こういう考え方だと思うんです。
 ところで、日本の方としましては、使用済自動車の発生の抑制、あるいは、自動車自体が長寿命化といいましょうか、なるべく長く乗れる、あるいは、そういう部品等々の中で省資源化に向けた取り組みが必要と思うんですが、その方面に対する政策はどのように推進されていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 大変重要な御指摘だと思っています。自動車の長寿命化、それから省資源化に向けた取り組みに関するお尋ねでありまして、非常に重要だと思っています。
 政府といたしましては、自動車を昨年四月には資源有効利用促進法の指定省資源化製品に指定をさせていただきました。そして、長期使用の促進、あるいは使用済み部品の発生防止といった循環経済社会の構築への取り組みを自動車メーカーに既に義務づけをさせていただきました。
 また、本法案におきましても、自動車メーカーが設計及び部品等の工夫により自動車の長期使用の促進等に努める責務を有する旨規定をしているところでございます。既にこれまでも耐久性の向上等によりまして、自動車の平均使用年数は、一九九一年は九・二年でございましたけれども、二〇〇一年は、一年以上延びまして、十・四年と長期化する傾向で推移をしてきております。
 政府といたしましては、自動車メーカーが、本法案の施行と相まって、自動車のリサイクル容易性の向上だけでなくて、自動車の長寿命化あるいは省資源化に向けた取り組みに一層努力することを期待して、私どもとしては、それをさらに促す政策を展開していかなければいかぬと思っております。
 もう一つは、使用済自動車の部品の問題でございますけれども、主として補修用部品として利用することが従来から取り組まれてまいりました。これは部品のリユースを図るものでありまして、資源の有効利用の観点から促進すべきもの、このように私どもは認識しております。
 このような認識のもとで、資源の有効な利用の促進に関する法律、資源有効利用促進法に基づきまして、先ほど申し上げましたように、自動車を再利用促進製品に指定いたしておりまして、自動車メーカーに対して部品リユースに配慮した製品の設計及び製造等を義務づけているところでございます。この指定は平成十三年の四月に行わせていただきました。
 また、使用済自動車に係る中古部品の一層の活用促進に向けた方策につきましては、自動車解体業者などの関係業界及び有識者から成る検討会を設けて検討をお願いしているところでございまして、中古部品の品質表示や保証内容のあり方などについて御提案をいただいております。
 当省といたしましては、これらの施策に加えまして、中古部品の利用に関する自動車ユーザーの理解促進を図るなど、使用済自動車に係る中古部品市場の発展に向けた基盤整備に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 先ほどの御質疑の中でも、こうやってうまい形で中古部品を利用している販売業者の売り上げが非常に伸びてきている、こういった御指摘、そのとおりで、そういった形で普及をしてきている、私はこういう実感を持っておりまして、さらに、二十一世紀のいわゆる環境に優しい地球をつくるという面でも、この政策というものは促進をしていかなければならない、このように思っています。
近藤(昭)委員 ありがとうございます。
 大臣から御答弁をいただきましたように、資源有効利用促進法ができて、そういったものに対する施策をやってきたということであります。
 ただ一方で、一方でというか、大変に心配をしている部分もありまして、つまり、先ほどの自動車の利用も、確かに九・二年から十・四年になってきた。それは一方で、そういった省資源化あるいは環境に対する配慮という側面とともに、なかなか景気が悪いので買いかえられない、こういう事情も背景にあるのではないか。今の中古部品の利用についてもそういう側面があるのではないかというふうに危惧をするところであります。
 そういった意味で、ただ大臣もおっしゃいましたように、消費者の方に対しても、環境に配慮をして中古部品を使って、そして中古部品も、そういった中古部品としての品質をどうやって保証していくかということを考えておられるということであります。
 ところで、自動車メーカー等々に対して、そういった省資源に努めるように義務化ということでございますが、まだ施行されて間もないんだと思いますが、その方面の自動車メーカーの対応等々はいかがでありましょうか。あるいは、それはどういった罰則規定というか、義務化に対してどういうふうに促進をしていくのか、具体的な施策等々はいかがでありましょうか。
岡本政府参考人 先ほど大臣が御答弁申し上げました資源有効利用促進法に基づく指定省資源化製品に指定されたということで、メーカーは、例えばリサイクルしやすいような、そういう部品の選択、あるいはそういうものに多数あるグレードのものを統合していくという取り組みを掲げたのは、言えばそういうことでございますが、そういう努力が今継続中でございます。
 それから、中古部品の方は、先ほど大臣から御答弁申し上げました解体事業者等から成ります検討会で今最後の詰めをしていただいておりまして、その提言を私ども受けまして、関係の方々にそれぞれの御努力を促すべく働きかけてまいりたいと考えているところでございます。
近藤(昭)委員 ありがとうございます。
 そうしますと、今専門家の方等々の検討会をつくってやられている、これは答申としてはいつ出される予定でしょうか。
岡本政府参考人 もう大詰めを迎えておりますので、近々ということで、多分、今月末なりあるいは来月中の早い時期には取りまとめるべく鋭意作業を進めてまいりたいと考えております。
近藤(昭)委員 またぜひお知らせをいただきたいんですが。
 先ほどちょっと同僚議員の質問の中にもありましたが、その検討会の中にはユーザーの代表の方も入っておられて、ユーザーとしての、例えば中古部品は心配だ、大丈夫か、そんなような意見も反映されているんでしょうか。
岡本政府参考人 検討会にはユーザーの代表の方にもお加わりいただいております。
近藤(昭)委員 先ほど申し上げたように、景気が悪い中で、そういったもののリサイクルあるいはリユースともに進んでいく、あるいは環境に配慮した気持ちが高まっていく等々あると思いますので、環境に配慮するという中で、ぜひこういったものを使っていくというところで施策を進めていただきたいと思うんです。
 ただ、一方で、今までの質問の中にもありました。私も申し上げましたように、景気が悪い、そういうようなインセンティブもまた重要だと思いますし、費用がかからないというインセンティブは非常に重要だと思うんですが、自動車保険の関係でちょっと質問させていただきたいと思います。
 自動車保険には、車両の修理等の際にいわゆる新品の部品を使うかわりに――聞くところによると、車両保険というのは高いので私どもなかなか入らないんですが、よほど高い新車を買ったときには入りますが、私なんか全然入ってない車に乗っておりますけれども。車両保険は高い。ところが、その車両保険でも、なかなか保険業界としては負担が大きくて、車両保険だけに関しますと非常に財政的には厳しいというふうに話を聞いておるんですが、そういう中で自動車保険会社も工夫をしている。これは環境面にも配慮をしながら工夫をしているということだと思うんですが。
 新品の部品のかわりにリサイクルの部品を使用して修理を行うという特約、つまり、その特約を利用すると保険料が数%、多分五%からから八%ぐらいだと思いますが、数%安い。そのかわり、保険会社の契約をしている自動車修理工場で、なおかつ中古の部品を使って修理をする、こういう特約だそうでありますけれども、私は、自動車部品の再利用を促進することができて、そして、今回の自動車リサイクル法によって、冒頭申し上げましたように、リサイクルをつくっていくシステムができるということと相まって伸びていってほしいというふうに思うんですが、今回の自動車リサイクル法ができる中で、このことに対して政府としてバックアップすることとか、この保険に対してどういうふうにお考えを持っていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 今一部の損保で、今委員から御指摘がありました、中古部品を使うことと、それから指定工場で修理をする、これが契約条件ですけれども、これで最大八%割引になる保険があるというふうに、これはまだ一社でございます。やはりこういった取り組みというものは、私は、循環型社会推進基本法の精神であるリユースの部分にも、リサイクルにも合致すると思いますので、やはりこういったものがさらに活用されていくことを望んでいるわけでございます。
 特に、部品というのは、自動車事故の修理全体の半分ぐらいになるんですね。ですから、かなりのコストを抑えるということにもつながると思いますし、結果的には、保険契約者たるユーザーの利便にも供するものだと思っております。
 ただ、そのためには、今こういった中古部品のリサイクルのためのネットがありまして、それはNGP、日本グッドパーツですか、あるいはビッグウエーブというネットがございますけれども、こういうところがさらに広範に活動していくという必要があろうかと思っております。
 また、先ほど来答弁がございましたように、検討委員会でもこの部品の再利用について、損保の関係者も入って検討させていただいておりますので、今岡本局長から答弁がございましたように、近々にその方向性をお示しいただけるんじゃないかなと思っております。また、損保業界としても、いろいろパンフレットをつくったり、あるいはビラをつくってPRをいたしておりまして、当省としてもそれに後援をさせていただいております。
 今後とも、その部品リユースというものが一層推進されるように、我々もいろいろ知恵を出して、その促進措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
近藤(昭)委員 ありがとうございます。
 今御答弁をいただきましたように、そういったリユースの部分をぜひ進めていっていただきたい。
 ただ、繰り返しになりますけれども、ユーザーの側からすると、中古部品で大丈夫かというある種の危惧みたいなのがあるんだと思うんです。そういった意味と、もう一つは、今御答弁をいただきました、中古部品のネットワーク上でどういうものが出ているか、これがないと、どこにどういうものがあるかというのが、なかなか修理をする側としても難しいんだと思うんです。
 今、検討会の中でいろいろと施策を御検討いただいているということでございますが、今の例えばNGPあるいはビッグウエーブ等々に対して、あるいは今もちょっとお答えの中にもあったとは思うんですが、保険業界、まだ一社ですから、バックアップをすると、例えばその一社を、特定の企業を応援するということになると思うんですが、聞くところによりますと、なかなか、まだまだこの普及、逆に一社でやっていることによって、そういったものの認知、私も今回、このリサイクル法の関係で質問をしようといろいろと勉強をしている中で初めてこれを知りまして、まだまだ認知をされていないと思うんですが、そういった認知についてとか、あるいは今のネット上の情報のグループといいましょうか、そういうところを例えば何か支援をしていくとか、こういうようなお考えはありますでしょうか。
古屋副大臣 今、検討委員会の方で検討をいただいておりますけれども、いずれにしても、保険として機能するには、大数の法則が働かないと保険として機能いたしません。そのためには、今答弁をさせていただきました例えばビッグウエーブとかNGPとか、こういったものの強化をしていく、これによって適宜適切に、ユーザーが事故を起こして修理事業所に入ったときに、いい中古部品がしっかりいいタイミングで手に入るという、そのシステムがやはりでき上がっていくということになろうかと思います。
 そうなりますと、当然この保険というものも活用者がふえてくる、結果的には保険料率も下がるということになりまして、私どもは、そういうサイクルというかシステムがうまく構築をされるためにいろいろな知恵を出して促進をしていきたいということでございます。
近藤(昭)委員 ありがとうございます。
 ぜひ、今回のリサイクル法ができる中で、ある種のシステムができる中で、こういった派生的といいましょうか、やはり総合的にこのリサイクル、リユースが進められるように、ぜひいろいろと推進する施策を行っていただきたいというふうに思うわけであります。
 ところで、タイヤとかバッテリー、廃車がらなどの事実上逆有償化しているものについて、将来的にリサイクルが義務化される可能性はあるんでしょうか。また、その際、預託金は引き上げるというようなことはあるんでしょうか。
岡本政府参考人 御提案申し上げております法案におきましては、シュレッダーダスト等三品目のリサイクルに要する費用をリサイクル料金として自動車ユーザーにあらかじめ預託を求めることによりまして、使用済自動車が事業者間でおおむね有価で流通する状況を実現できるようになるものというふうに私ども想定をしております。したがいまして、本法案施行後におきましては、今御指摘の廃車がらにつきましては、おおむね有価で流通するものになっていこうかと認識をしております。
 また、タイヤ及びバッテリーでございますが、それぞれの業界における自主的な回収・リサイクルシステムが今ございまして、そのことを前提にしまして、このリサイクル法に基づきます主務省令で解体業者の再資源化基準というものを定めることになっておりますが、その中において、解体の過程でこういったタイヤなりバッテリーを取り外してリサイクル等をちゃんと行う事業者の方に適切に引き渡すべきことを求めていくということに考えております。そういうことによりまして適正な処理は可能であるというふうに考えているものでございます。
 したがいまして、現時点において、御指摘の品目を追加指定することは考えておりませんが、本法案施行後、制度が円滑に行われているか否かについてフォローをさせていただこうと思っておりますが、自動車のリサイクルをめぐるその時々の環境変化も踏まえつつ、必要に応じ、その見直しを含めて検討していく必要があると考えております。
 仮に、将来、特定再資源化物品の要件を満たすものが出てきた場合には、政令で追加を行い、当該品目に係る上乗せ分のリサイクル料金は、基本的に政令指定後の新車分から預託義務をお願いするということになろうかと考えております。
近藤(昭)委員 今までにある既存のシステムも大事にしながら、しかしながらそれ相応のいろいろ費用がかかってくるものについては、応分に負担をする中でリサイクルを進めていくということだと思うんです。
 ところで、今回、自動車リサイクルをしていくに当たっての費用、それが大体幾らになるのかまだはっきりはしていないというか、車の種類によっても違うんだと思いますけれども、先ほども山田議員あるいは中山議員の質問の中にもありました。大変な金額が生じてくるわけでありますが、その資金を管理する法人についてちょっと質問をしたいと思うんですが、自動車ユーザーが負担するリサイクル料金の管理方法について、なぜ資金管理法人による公的管理になったのか、御説明をいただきたいと思います。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 資金管理法人による外部での管理を選択した次第でございますが、その理由といたしましては、一つは、自動車メーカーそれから輸入業者、この輸入業者の中には並行輸入をされているような方もいますので、約一千社ということで、零細な方々も多数いらっしゃいます。メーカーなり輸入業者が倒産あるいは解散した場合にリサイクルに必要な資金が滅失してしまうのではないかという心配がまず一つございました。
 それから二つ目に、自動車メーカー、輸入業者がユーザーからいただいたリサイクル料金をそれぞれの会社の中でキープをするとしました場合には、当年度の収益となって法人税が課されるということになります。その結果、ユーザー負担が著しく増加するおそれがある、そういう問題があるということがわかってまいりましたものですから、これらに対処するために、この法案におきましては、資金を自動車メーカーなり輸入業者から切り離して、安全かつ効率的に外積みする方法として、資金管理法人による外部管理方式を選択することといたした次第でございます。
近藤(昭)委員 今御答弁をいただいたようなさまざまなことを考えると、そういったところがいいんだろうというお話だというのはよくわかるんです。ただ、一方で大変に危惧をしている部分もあるわけでありまして、これは大変な資金がその管理法人に渡り、処理するわけでありますが、これは運用なさるんですよね。どういうふうに運用されるのか私は大変に心配をしております。
 かつて年金でも運用に失敗をして一兆円以上の赤、運用の失敗をしたと記憶しておるんですが、私は二つの部分で心配します。行政改革というかスリム化をしているときにこういう管理法人をつくることはいかがなものか、そして、それがどういうふうに、莫大な資金を持って運用などされて大丈夫か、大変失礼かもしれませんが心配しております。いかがでしょうか。
岡本政府参考人 資金管理法人が預かります資金につきましては、主務大臣が運用の方法につきまして、国債でありますとか地方債でありますとか、確実な使途に運用するようにということで基準をお示しして、それにのっとって安全な運用をしていただくということを大原則にいたしております。
 その上で、一部は、日常的な資金の請求があれば、リサイクル料金を払い渡すという業務に伴って資金の移動が必要になりますので、ごく一部は銀行に預託するということになろうかと思います。
 それから、運用のいわゆる果実につきましては、資金管理法人は、それをそのまま乗せた、もともとの預託金の額に運用果実分を乗せたものをメーカーなり輸入業者にそのままお支払いをするということにいたしておりまして、資金管理法人が運用果実をみずからのものとして使うということはございません。
 それから、年金なんかとの関係では、いわゆる予定利率というものを設定して給付を設定する。そうすると、運用の成果いかんによっては逆ざやが生ずるということなんですけれども、この場合には、運用果実の多寡によらず、運用果実として現に生じたものを預託いただいたもともとの元本に上乗せをして、リサイクルという作業をやったメーカー等にお支払いするということでございますので、その意味におけるギャップの問題が出てくることはなかろうかと思っております。
近藤(昭)委員 予定した利ざやでない中でやっていく、また、それはそのままメーカーにお支払いする、そして、確実な国債、地方債を買うんだと。国債とか地方債が確実でないというわけではありませんし、あるいは、国債ですから、我々の国のことでありますので大事にしたいと思うんですが。
 ただ、一方で、ちょっと視点が変わるのかもしれませんが、大変に心配しておりますのは、大変な財政赤字を、そういった国債等々の借金を我が国が持っておりまして、なかなか国債等々が売れにくいという状況の中で、私は、安易に国債を発行することによって、そういった国の借金あるいは地方の借金がふえていくことを大変に危惧しているわけでありまして、そういう意味では、安易と言うと失礼なのかもしれませんが、この管理法人が持っている資金が、安易に国債、地方債を買っていくことによって、また国と地方の借金がどんどんと膨らんでいってしまうのではないか。ある種の財源確保のためにこういう管理法人をつくったのではないか、そんな心配をしておるんですが、いかがでありましょうか。
岡本政府参考人 この資金管理法人に預託されます資金の規模というのは、当委員会におけるこれまでの御議論で、リサイクルの料金をまだメーカーはどこも決めておりませんので、その意味で確定的なことを今申し上げるのは難しいのですけれども、先ほどの御質問の中で一兆円前後というふうに申し上げましたが、既販車七千万台について、当初一兆円前後の資金を預託されるということになろうかと思いますが、そういった大きな額は施行後最初の既販車についてだけでございまして、年々そういった額が積み上がっていくということではございません。
 先生御案内のように、今、新車として販売されるのが六百万台弱ということでございます。他方で、毎年毎年リサイクルの作業が行われて、この法人から払い渡されていく額というのも、お預けいただく料金にほぼ近いものを毎年払い出していくということになろうかと思いますので、そういう意味において、毎年一兆円規模のものが積み上がっていくということはなかろうかと思います。
 そういうことでお考えいただきました場合に、この資金管理法人で国債に運用するということにしましても、市中で実際に国債を買って保管するという運用になっていこうかと思いますので、先生が今御懸念になられましたような、国なり地方の財政の赤字をこれが大きく促していく弾みになるようなマグニチュードのものにはならないものというふうに私どもは考えております。
近藤(昭)委員 質問時間が終了いたしましたので、私は危惧を抱いているということ、そしてもう一つ、今までの議論の中にもあったのかもしれませんが、私は保険でやっていればいいんじゃないかと。つまり、強制保険がありますから、強制保険に入られるときに、これも、ある種の保険の中で支払っていくみたいな方がいいのではないかなと思ってきたというお話だけさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
谷畑委員長 小林守君。
小林(守)委員 民主党の小林守です。
 今、近藤委員の方からも、資金管理法人の運用の問題、そしてそのリスクの問題等についてお話がございました。私も前回、二十九日のこの委員会に出席をさせていただきまして、その問題を質問させていただきました。少し詰めがまだ甘いところがあるなというような思いがありましたので、再度、確認の意味でお聞きをしたいというふうに思います。
 きのう環境委員会の方で、社会民主党の金子哲夫委員さんの質問に対して、製造産業局長さんが御出席になられ、この管理法人の預金の回収が困難になった場合、例えば銀行の倒産などで預金の回収が困難になった場合、その穴埋めはだれがするのか、確かに可能性としては少ないかとは思いますが、これは、あり得ないということについては否定できないわけでありまして、あり得るというようなことになろうかと思います。
 前回の答弁の中では、私の理解では、政府と管理法人の構成メンバーが協議をするというようなところであって、第一義的にその構成メンバーの責任ですかということについては、まあ何となくそうだというような受けとめ方をさせていただいたんですけれども、それをしっかりと確認しておきたいな、このように思います。
 そこで、第一義的にその法人の理事者が責任を持つというようなことでよろしいのかどうか、確認をしたいと思います。
岡本政府参考人 資金管理法人の資金運用につきましては、リサイクル料金の払い渡しに必要な最低限の額の銀行預金を除いては、国債、地方債等の安全な債権の保有が中心となるものと想定しておりまして、資金管理法人が運用する資金の大半はペイオフの心配はないものと考えております。
 一方、リサイクル料金の払い渡しのため銀行預金として保有する一部の資金については、御指摘のとおりペイオフの対象となるため、預金先の金融機関を慎重に選択する必要があろうかと思います。
 資金管理法人は、ユーザーからリサイクル料金を預かる者としまして重い責任を負った立場となりますが、専門知識を有する職員の配置等体制の整備に努め、預金先の金融機関の経営状況を平常時から注視するとともに、資金管理業務諮問委員会から意見聴取を行う等専門家の意見を伺って、適切に対応することが求められるものと私ども考えております。
 このように、本制度においては各種担保措置を講じており、資金管理法人の資金運用で損失が生ずるリスクは極めて低いものと考えます。
 それでもなお、万が一、御指摘のように損失が生じるような事態については、まずは、当該損失が生じた理由について十分に精査する必要があると考えます。例えば、あらかじめ定められた運用方針を逸脱する等、いずれかの者の責めに帰すべき場合には、基本的には、その責任関係を明確にした上で、私法的な求償措置を講ずることになろうかと存じます。
 また、仮に、いずれの者の責めにも帰すべからざる場合、例えば、預金していた大手都市銀行がペイオフに至った場合等のケースについては、日本経済全体にとって極めてゆゆしい事態と考えられますが、他の類似の公共的団体における対応なども参考にしながら、まずは、資金管理法人の理事などの関係者の間で十分に御検討いただき、主務大臣としても御相談にあずかりながら、資金管理法人の関係者を中心に適切に御対応いただくことになるのではないかと考えております。
小林(守)委員 今の答弁の中で、責任の所在を明らかにして、それが、私的なものというんでしょうかね、私的な責任によるものであるならば訴訟上の責任を問うということになるんでしょうが、一番問題なのは、第二番目に挙げられました、いわゆるその責任の所在が、不可抗力と言っていいか、不可抗な問題のときにどうするかということですよね。今のお話では、資金管理法人の理事が基本的にその責任を負うというお話でいいのか、そこをもう一度確認したいと思います。
 その理事というのは、資金管理法人の理事というのはどういう人たちで構成するのかということなんですね。この理事さんの出身母体と言っていいかどうか、どういう立場で選ばれることになるのか、この辺を明らかにしておきたいと思います。
 なぜこれにこだわるかというと、やはりこの法律全体の基本的な性格を決定づけるものだと。可能性としては少ないかもしれませんが、ここがはっきりしないと、この法律全体の骨組みの最後のまとめの部分なんですよね、根源的な責任のありかというもの、この法律の性格そのものが極めて決定づけられる要素なんだろうというふうに私は思います。
 ということは、要は、自動車メーカーを中心とする業界団体が第一義的にこれらの社会的インフラに対して責任を持っているんだということが明らかになるならば一貫した制度なんだろう、このように思いますが、そこが明らかにならないと、穴のあいた、極めて問題の多い制度だろう、私はこのように考えるんですが、いかがでしょうか。
岡本政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、資金管理法人の理事などの関係者の間で十分に御検討いただくということになろうかと思いますが、理事がどういう方になるかということは、まず、先生御案内のように、資金管理法人は、申請を待って主務大臣が指定する、そういう法律上の構えでございますので、今私どもが特定の法人を念頭に置いてこういうことになりますということでお答えを申し上げるのは非常に難しい、その事情は御理解を賜りたいと思います。
 いずれにしましても、資金管理法人として適格性を備えた法人というものが必ずやできていただけるものと私どもは考えております。その場合には、自動車業界、あるいは関連する新車、中古のディーラーの方々等、自動車のビジネスに関係する広範な方々の参画を得られるような、そういう団体ということで一般的には考えられるところでございますが、具体的にどういう方々になるかという点は、先ほど申しました御事情で、今の段階ではお答えしがたいというその事情は御理解賜りたいと思います。
小林(守)委員 建前の話だと思うんですよね。具体的にはもう財団法人何々というのがあって、大体その辺を想定しているのではないかというふうに言われておるんですけれども。
 建前はそういうことなんだろうと思いますが、大臣が申請を待って指定する法人、そしてその構成メンバーについては、基本的に、指定する際に、問題が生じたときには自動車メーカーを中心とする業界団体と私は言いたいと思うんですが、自動車メーカーを中心とする業界団体が第一義的に責任を持つんですよということを明らかにして指名をすべきだというふうに思うんですが、大臣、そこはいかがですか。
平沼国務大臣 局長から御答弁をさせていただきました。現段階ではまだ、申請を待ってと、こういうことでございますけれども、今御指摘のそういったことも我々は踏まえて主務大臣として判断をしていかなければならない、今の段階ではそういうふうに思っております。
小林(守)委員 これ以上聞いてもきっとなかなか話が進まないと思うんですが、いずれにしても、第一義的に自動車メーカーを中心とする業界団体が責任を持つというふうに、この資金管理法人の責任の所在のありかはそういうことだということで明確にしていただきたいんですが、そこはどうですか。これがないとこの法律全体がいいかげんなものだというふうになってしまうんですよ。
平沼国務大臣 これから申請を待って、先ほど御答弁にありましたように、当然、自動車団体関連、そういったいろいろな方々が、これはもう民間主体で入っていただくわけであります。そういう中で、第一義的な責任に関しては、今委員からの御指摘のところも十分留意をしながら私どもとしては判断をしていく、今の段階ではそういうふうにお答えをさせていただきたいと思います。
小林(守)委員 十分留意と言うんですから、どういうふうに受けとめたらいいか。第一義的にありますというふうに認識しているとお答えできますか。
平沼国務大臣 私どもは、それは、第一義的に負うべき一つは、我々の判断の中で重要な一つの選択基準だと思っておりまして、これは、私どもとしては非常に重く受けとめなければいかぬと思っています。
小林(守)委員 ちょっと、断言ができないというか、どうなんでしょう。
 自動車メーカーの自工会の皆さん方は、私どもがヒアリングした際には、そんなことはとんでもないということで強く反発しております。既に御承知だと思うんですが、どうなんですか。これについては既に前回、二十九日の私の質問の際に傍聴されていたようですから、何らかのアクションなり話というのは既にあったでしょうか。
岡本政府参考人 先ほどからの先生の御指摘について、どういう事情によってそういう事態に立ち至ったかというケースによって、責任のとり方あるいは求償の仕方というのも違ってまいると思います。
 それから今、指定法人については、これは建前論ということでございますが、法律では、やはり、申請を受けて私どもは指定をしていくということになっておりますので、今の段階でアプリオリに一定の、リーガルな意味の責任の所在を私どもがだれかれにあるということを断定的に決めて物事を考えていくというのは難しいかと思いますので、その辺の事情についてはぜひ御理解を賜りたいと存じます。
小林(守)委員 大臣が資金運用の基準を示して指定をするわけですよね。その指定の際に、少なくとも大臣が、こういうことは基本的に御理解いただけますねというようなところでないものをでは指定しちゃうんですか。それがなかったら指定しなければいいわけでしょう。
平沼国務大臣 これは、資金管理法人がその責任を負うわけですから、資金管理法人が最終的にはそういう第一義的な責任も負わなければいけません。その構成の中に当然自動車関連は入るわけです。したがいまして、私どもとしては――その構成メンバーもまだ具体化してなくこれからですから。ただ、当然、最終的には資金管理法人としてそれを負う、こういう前提の中でそこに自動車メーカー等も入る。ですから、その中で自動車メーカーが主体的に負うということは今の段階では申し上げられない。そういう意味では、私は、資金管理法人が負う、このことは明確に申し上げることはできると思っています。
小林(守)委員 資金管理法人の構成メンバーの中で、やはり最大のウエートを持つのは自工会という自動車メーカー団体だと思うんですよね。その業界団体の人たちが、そんな話は聞いてはいないし、議論していないし、とても応じられる話ではないというふうに言っているんですよ。どうなりますか。
岡本政府参考人 法的な責任のコミットメントということについては、これはどなたの場合でもそうかと思いますけれども、考えられるケースというのがどういうもので、そこに至る事情、あるいはそこに関与する人がどういう人たちだろうか、その辺を詰めた上で、それで納得のいく責任のコミットということになっていこうかと思いますので、今私ども、資金管理法人と自工会との関係というのを、実質的に言えば当然深い関与を持つということはあろうかと思いますけれども、今現在、少なくとも自工会自身が、この法律で予定しております資金管理法人の申請の主体ということにはまずはならないと思いますので、その申請してくる法人の有力な一員、参加メンバーということにはなってこようかと思いますが、その立場にとどまる自工会なら自工会に対して、いろいろな登場人物あるいはいろいろなファクターが関与してくる、先生御指摘のような万が一のケース、それについてのリーガルな意味での法的な責任のコミットを求めて今ここで返答をしてくれということで迫るにはやはり難しさがあるという点は、これも先生もつとに御承知のとおりかと思いますが、その辺の事情について御理解を賜りたいと存じます。
小林(守)委員 ちょっと不十分な答弁だと思いますが、いずれにしても、では、大臣が指定をするまでには少なくともその辺の業界団体との話はつけていなければ指定しちゃ困るわけですよね。
 大臣、その決意というか、基本的に、了解してもらって指定するということは約束できますか。
平沼国務大臣 その管理法人は自動車メーカーだけの構成メンバーじゃございません。したがって、主要なメンバーには相なると思います。ですから、想定としてあらゆる可能性は網羅していかなければいけません。想定されていることは、ほとんど可能性としては、私どもはいろいろな段階を設けてそうならないようにやっておりますけれども、論理的にはそういう場合が起こり得ます。そういうことに関しては、主要な構成メンバーである自動車メーカーも、その理事会の合議の中でやはりその問題を処理していかなければいかぬ。ただ、そのことは当然、その連帯責任の中のあなたたちは主要な部分を受け持つんだ、こういうことは既に理解をしていると思いますし、私ども主務大臣としては、そういう全体像はお示しをしなければいかぬと思っています。
小林(守)委員 それでは、もう一度最後の確認になりますが、第一義的に、メーカーを中心とする業界団体が資金管理法人を構成してそこが責任を持つということで責任の所在を明らかにしておきたい、これは認識の問題ですから。指定の際には十分それを踏まえて指定をするんだというようなことで、もう一度大臣の確認の答弁をお願いしたいと思います。
平沼国務大臣 繰り返しになりますけれども、やはり、管理法人の構成をする役員、その中で自動車メーカーは主体的な役割を果たしますから、その中で第一義的な責任というのは、それは当然持つことになる、そういう御理解でいいと思います。
小林(守)委員 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 税制のグリーン化の問題について触れます。
 私の前の方々の質問の中でも既に触れられておりました。山田さんとか近藤さんの話の中にもありましたが、自動車取得税などの特例措置などで、ハイブリッド車に対して平成十三年度の税制改正で特例措置がとられている。こういうことが行われている一方で、今回のいわゆる企業内の法人税の引き当て制度については、財務省なりがかなり強い抵抗というか難色を示して、そういう方向がとり得なかったというようなことを私は伺っております。
 環境省の中央環境審議会の最初の考え方の中では、企業に内部化してそういう制度を導入するという案があったと思います。これらが外部化されて外部預託方式に変わってきた、変わってきた法案として出されてきた。しかし、検討の段階ではそうじゃない考え方もあったわけでありますが、税制上の措置については、例えば、自動車取得税の例を挙げるならば、できないことじゃない、こういうやり方もあるし、例えば企業に対して、環境とかいろいろな技術革新の方向でも、施設設備の特例償却というんでしたか、減価償却の特例措置みたいな形で、設備の近代化とか技術革新とか、そういうことも経済的手法としては導入がされているわけですよね。
 そういうことを考えるならば、この税制のグリーン化という視点に立って、企業内の引き当て制度、準備金制度というものがきちっと位置づけられていくべきではないか。当然、自動車ばかりでなく、さまざまな耐久消費財、例えばパソコンなどについてもあるわけでありまして、それらについて、これは、税制のグリーン化という視点で環境省はどう考えているのか、今回の自動車リサイクルに絡んでそういう措置がとれなかったということも含めてどう総括しているのか、お聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 小林先生御指摘になりましたとおり、昨年の中央環境審議会の中間取りまとめの段階では、A案、B案、二つございまして、A案が、現在の法案になっております外部の資金管理法人にリサイクル料金を預託するという考え方、もう一つの案が、自動車メーカーが費用を直接管理する、こういう案でございました。
 この案につきましては、昨年パブリックコメントにもかけたわけでございますが、引き続き中環審の部会でも御議論いただいたのですけれども、問題点として一番大きいのは、やはりメーカーや輸入業者、これは中小零細の輸入業者もおりますので、これが倒産、解散した場合にリサイクル資金が滅失してしまう、これが一番大きな理由でございます。
 もう一つの理由といたしまして、委員が御指摘になりましたように、リサイクル料金がメーカーや輸入業者のその年度の収益となりますので法人税が課税される、その結果、ユーザー負担、リサイクル料金が高くなってしまう、この問題が指摘されまして、パブリックコメントの御意見、あるいは部会での御議論の結果、ほとんど大多数がA案、外部預託方式ということもございまして、この法律においても外部預託方式を採用したものでございます。
 それで、税制の話でございますが、パソコンの例も出ましたけれども、パソコンにつきましては、御承知のように、事業系パソコンについてはもう既に昨年から排出時負担ということで走っているわけでございますが、家庭用のパソコンにつきましては、販売時にあらかじめリサイクル費用を確保しようということで制度の詳細を詰めているところでございます。
 いわゆるグリーン税制につきましては、従来から、リサイクル施設の整備につきましては融資や税制上の優遇措置をとっているわけでございますけれども、今回のリサイクル費用について引当金制度が検討できないかということも大きな課題でございました。
 この引当金制度につきましては大きな問題が幾つかございまして、税制全体の見直しの中では、引当金制度自体が現在整理縮減の方向にあるということとか、あるいは、それが確実にリサイクルに用いられることを担保する仕組みをつくらなければいけないのですが、これは非常に難しいということで、今回、これはできないだろうということになったわけでございますが、他の物品のこともございますので、こういったリサイクル推進のための経済的措置のあり方については、循環基本計画策定の年でもございますので、引き続き調査研究を続けてまいりたいと思っております。
小林(守)委員 自動車リサイクルについては、登録制度が、車検制度があるものですから、全部細かく把握できるということで外部預託方式というものが可能であったというふうに思うんですよ。しかし、そのほかの耐久消費財についてはそういう制度はないですよね。
 基本的に、循環経済というんでしょうか、静脈経済というものが当たり前に経済社会の中に仕組まれているというような状態をつくっていくためには、やはり内部化しない限りそういうことはあり得ない、できてこないというように思うんですよ。たまたま自動車はそういう登録制度があったということなんですけれども、では、ほかの耐久消費財について、循環経済なり静脈経済をつくっていくためにどうするかということで、内部化すると担保できないとか、倒産の問題もあるとか、いろいろな問題がある。
 だけれども、その前提に立って考えるならば、では、すべて外部化して、すべてもうリサイクルのあれは税金みたいなものでやるというような形になってしまうわけですよね。これでは静脈経済とは言えない。前回も言ったように、官僚経済と言っていいかどうかわからぬけれども、計画経済みたいな一つの別経済、非常に非効率的な、確保はできるけれども、ある一定の責任は負うことができるけれども、しかし、極めて非経済的な、非効率的なものになってしまう、社会主義経済的なものかなというふうに思うんですが。
 これをきちっと市場経済の論理で動かせるようにするためには内部化しなきゃいけないんですよ。そのためには、破綻の問題やリスクの問題は当然あると思うんですが、これはまた別の形で、先ほど近藤さんがちょっと触れていたと思いますが、保険制度的なものを考えてはどうかというようなことも一つの考え方としてはあると思うんです。しかし、基本的に静脈経済も市場経済で回していくんだという視点に立つならば、内部化しなかったらどうにもならないんじゃないんでしょうか。
 そういう点で、今、環境省の方から、検討されているというようなお話もありますが、今後、さまざまな経済的手法を導入して、例えば温暖化対策にも取り組んでいかなきゃならないわけでありますから、基本的な内部化のことについて、やはり自動車は例外的なものだと思うんですよ、これについてこれからどう取り組んでいこうとするのか。
 循環型社会形成推進基本法の中の十一条だったと思いますが、いわゆる拡大生産者原則を、一般原則を打ち立てたわけですよ。これが具体的に導入されていくというのは内部化だと思うんですよ。この原則を打ち立てながら、みんな外部化外部化みたいな形で持っていったならば、一般原則じゃないというふうに私は思うんですよ。
 今回の法案で三品目だけ対象にして外部化したというようなことは、拡大生産者責任の一般原則ではないというふうにしか言えないと思うんですが、この辺の認識の違いはあるかもしれませんけれども、基本的に、市場経済の中に静脈経済をきちっと位置づけていくということのために内部化が必要だ、そのための一つとして法人会計の中で引当金制度が導入されるべきであるというふうに思うんですが、いかがですか。
飯島政府参考人 小林先生御指摘になりましたように、循環型社会構築のため、リサイクルを推進するために経済的措置というのは非常に重要な政策手段だと考えておりまして、先ほどもおっしゃいましたけれども、来年三月までに循環型社会形成推進基本計画を策定、作業中でございますが、その中で、中央環境審議会からも、この経済的措置について触れるようにという御指摘もいただいているところでございます。
 現在、いろいろな手法がございますので、調査研究を続けているところでございますが、例えば預託金制度というのはデポジットなわけございますが、デポジット一つとっても、先生御指摘のありましたように、寿命の長いといいますか、使用年数が長いものはやはりいろいろと問題が出てきますけれども、使用年数の短い容器であるとか電池であるとか、そういったものについては十分検討に値するのではないかと思っております。
 いずれにいたしましても、どの措置をとっても、ある程度国民に負担を求める、新しい負担を求めるということになりますので、そういった措置の効果あるいは経済に与える影響についても、きちんと調査研究した上で導入をすべきだというふうに思っております。
小林(守)委員 それでは、次に進めさせていただきます。
 一つだけ確認しておきたいなと思ったことをまず取り上げたいと思うのですが、例えば逆有償化のような状態が生じたときに、三品目以外に新たに追加するようなことがあり得るということは当然想定されざるを得ないと思うのですが、その際に、どなただったでしょうか、先ほどの質問の中で、基本的に新車から新たに負担を別枠として設けるような、リサイクル料金を別枠にしていく。例えば廃車がらとか、あるいはタイヤとかバッテリーとか、そういうものが新たに追加せざるを得ないというような経済状況になったときに、追加的な負担の上乗せというか、それについては新車からというようなお話がありました。一つの方法かなというふうに思うのですが、ということは、既販車については基本的にはやらないというふうな理解でよろしいのでしょうか。
岡本政府参考人 私ども、今ここで三品目を対象としてやっていけば、廃車がらを含めまして逆有償の状況は解消されるというふうに考えておりまして、当面、三品でやっていこうかと思いますが、先々検討の可能性はあるということは、繰り返しお答え申し上げているとおりでございます。
 仮に、御指摘のような品目を含め、将来、特定再資源化物品の要件を満たすものが出てきた場合には、政令で追加を行い、当該品目に係る上乗せ分のリサイクル料金は、基本的に政令指定後の新車分から預託金をかけるということになるかと考えております。
 いずれにしましても、本法案施行後の制度の円滑な運営について適切なフォローを行い、効率的かつ実効性ある自動車リサイクルが達成されるよう所要の見直しをやっていこうと思っております。
 既販車について一切対応しないのかという点につきましては、既販車についてどうするかにつきまして、追加の対象とする物品について、その流通の状況、あるいは環境負荷の程度、対応の緊要度等について総合的に判断した上で決定をしていくことになろうかと思います。仮に、既販車からの対応が必要となるような場合には、これは法律改正によって既販車からの費用徴収措置を講じる。今既販車について、附則で、今回の法案で御提案申し上げるのと似たような意味において、法律改正によって、既販車についてどうしてもやるという場合には、費用徴収措置を講じることに、そういうことも含めて検討することになろうかと思います。
小林(守)委員 それでは、もう一つの質問の方に移りたいと思います。
 きのうの参考人の意見の中で、日本ELV推進協議会会長の酒井清行さんの御意見の中で、現在市街化調整区域に立地している解体業者、全体の五千社の中で大体四〇%、二千社になりますかが調整区域に立地して作業しているということなんですが、作業環境が、露天で作業しているような状態なんですね。これは廃棄物処理法の許可を受けなきゃならないことになるんだろうと思いますが、実際に、市街化調整区域だからそういう建物を建てられないのですね、基本的に言うと。そのために露天で作業をするというような実態になっていて、雨ざらしの自動車が、もちろん解体作業をそこでやれば、廃油とかいろいろなごみとかというものが環境に浸透したり飛散したり、汚染が広がるというような現実があるんだろうというふうに思いますし、もちろん調整区域というのは比較的農山村地域になるんでしょうか、都市化地域の外側にあるわけですから田園風景も広がるようなところにもなるかと思うのですが、そういうところに立地している解体業者というのも事実あるわけであります。
 これらについて、何とかならないものか、きちっとやっていきたいということを、業界の人たちからすれば、何とか屋根がつけられるような都市計画法上の運用改善というのでしょうか、それができないものかというようなことをきのう強く主張されておりまして、もっともなことだなと思いますし、我々が常に自動車の野積みの問題、不法投棄まがいの状態、こういうことでしょっちゅう心を痛める風景なんですけれども、何とかこれを解決できないか。しかし、法律上の問題があるというようなお話でございますが、これは国土交通省になろうかと思います。どう対応しようとしているのか、お聞きしたいと思います。
岩村政府参考人 先生よく御存じのように、良質な町づくり、そして無秩序な市街化の防止という視点から、都市計画法等々で、建築物を建築する際に規制があるわけでございます。
 そして、今お尋ねの、解体業者がその業務のため建築物を建築しようとする際の規制でございますが、これは幾つかの面がありますが、一つは建築物の種類、それからもう一つは、建てる場所によって規制があるわけでございまして、建築物の種類としては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律のいわゆる産業廃棄物処理施設に当たる場合、この場合には、この施設が一定規模以上であれば、建築基準法の第五十一条に基づいて、知事等の、特定行政庁と呼んでおりますが、長の許可を受けることが必要となっておるわけでございます。
 それからまた、その建てる場所、今お尋ねの市街化調整区域を含めてでございますが、その建築の場所が既に宅地として利用されている場合には、その場所が都市計画法上の市街化調整区域であれば、都市計画法第四十三条に基づいて建築の許可が必要になるわけでございます。また、その当該場所が宅地として利用されていない、そして、土地の区画形質の変更が必要になる、そういった場合には、基本的には都市計画法の第二十九条に基づくいわゆる開発許可が必要になるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この許可を与えるか与えないかは、地方公共団体の判断でございますが、現行の法制度上、制度的には建築物の建築は可能になっているわけでございます。
小林(守)委員 法律的にはそのとおりなんだけれども、現実に業界団体の人たちが、何とかならないかと。都道府県あるいは政令市によって違っているんですよね。対応も違う。運用上の指導基準というのでしょうか、その違いもある。実際にこれが、この自動車リサイクルのシステムがちゃんと回れるかどうか、しかも、健全な形で静脈経済ができるかどうかのかなめを握っているところなんですよ。公共財と言っていいかどうかわかりませんが、そういうシステムの根幹にかかわるような部分だと思うんですよ、静脈経済をつくっていくための。
 そこに対して、確かに法律を無視してやってもいいですよと言うわけにはいかない。しかし、都道府県、政令市によって運用の仕方が違っているという実態もあります。なおかつ、それだけの事務をやらなければ許可も受けられないということですよね。例えば、解体業者に対して、知事は、今度は許可制度になりますよと。そうすると、少なくとも許可基準の中に、施設とか設備、それから業者に対する許可、業に対する許可と、施設や設備に対する許可の二つがあるんだと思うのですよ。
 これを、きちっと基準を決めて許可するわけですから、その際にきちっと健全なリサイクル業界が形成されるように、健全でないとは言いませんけれども、かなり零細の形で伝統的にやっていらっしゃる方もいると思うんですよ。既得権もあると思います。そういうものが、こういうリサイクルシステムの中にきちっと育成されるようなものとしてどうつくっていけるかということも、この自動車リサイクル法がうまく回るかどうかの大きなポイントにもなっていると思うのですよ。
 そこで、法律はこうなっていますからできますじゃなくて、ぜひ何らかのガイドラインなりを示して一定の、指導行政というのは決していいことじゃないのかもしれませんが、都道府県ごとに違っている実態というのはやはり困るわけですよ。
 それから、できるだけそれが速やかな形で、きちっとこういう設備をすればすぐに許可が得られますよとか、そういう誘導措置的なものが必要ではないか。例えば、リサイクル工業団地、都市化区域の中にちゃんとこういう用地を用意しましたから、ここへ皆さん移ってやってくださいということが、すべてできればいいけれども、そうはいかない実態もあるわけですよね。既存の、歴史的なものもある、それらをどう育成していくか、きちっとこのシステムの中に併設していってもらえるか、その辺が大事なところなので、もう一肌脱いでもらわなきゃ困るわけなんですよ。そこはいかがですか。
岩村政府参考人 良質な町をつくっていく、そして無秩序な市街化を防止していく、これは非常に大きな仕事でございまして、国も含め、地方公共団体、地域住民等々、さまざまな主体が緊密な連携を講じながら取り組んでいるわけでございます。
 中でも、個々のケース、それぞれ地域の実情がわかりませんと町づくりもうまくいかないわけでございまして、やはり住民に一番近い存在であります地方公共団体が中心的な主体になって進めていかなければいけないと思います。特に、現在の仕組みといいますか、地方分権一括法がございまして、こういう開発許可等の権限は知事等の自治事務になっているわけでございまして、どういうケースを許可するか、リサイクルの面も当然ございますし、また今申し上げたような良質な町づくりとか地域住民との関係等々、詳しく事情に通じております地方公共団体の長の自主的な判断というのを尊重することが大事であります。そういう意味で、一律にこういうケースというのは、なかなか、個々の事情があると思います。
小林(守)委員 国を挙げてこういうシステムをつくっていこうという段階にあって、建前の分権のお話をされても、これはちょっと筋違いの話だというふうに言わざるを得ませんね。
 では、ほかの省庁の行政の中で、都道府県知事や市町村にかかわるような問題について、ぜひこういう方向にしたいんだ、分権の一括法でも、これは自治事務だとか団体委任事務とかいろいろ分けられているけれども、こういう方向にしていきたいんだ、皆さん方の自主性や主体性の責任のもとでやってもらうんだけれども、こういうふうに国としては法律でやっていきたいんだ、ぜひこれに協力してほしいと。
 そういう形で、例えば全国の都市計画課、都道府県の課の課長さんあたりを呼んで、ぜひ、こうなので、国を挙げてこの法律でやっていきたいんだ、一番やはり根っこの部分にある大きな問題であるんだ、ぜひお願いしたいし、こういう方法があるじゃないかとか、こういう事例があるということで、ぜひ、統一とは言わなくても、やってほしいんだということを、一種の強い働きかけをやっていくのは、全くこれは分権に反しない。ここで分権を言うのは、やりたくないからそんなことを言っているだけじゃないかというふうにしか言いようがないんですよね。それをもう一回お聞かせいただいて終わりにしたいと思います。
岩村政府参考人 自治体の事務はいろいろあるわけでございまして、そういう中で、一方では良質な町をつくっていく、これも大きな仕事でございます。他方、リサイクルの面で、リサイクルがうまく進んでいく、これも大変大きな事務であります。そこをどうバランスをとるかということだろうと思うのですが、これについては、自治体が一番地域のことをよく知っています。それから住民の声もよく聞いているわけですから、当然法の趣旨の徹底等々はやるにいたしましても、最終的な判断というのはやはり自治体にお任せしなければいけないのかなというふうに思っているところでございます。法の趣旨の徹底はいたしたいと思います。
小林(守)委員 大臣の方からも、ぜひそれは強く働きかけてください。
 終わります。
谷畑委員長 奥田建君。
奥田委員 民主党の奥田でございます。
 きょうは、差しかえという形で質問の機会をいただきまして、出張してやってまいりました。
 ちょうど半年前になる古い資料を見ましたら、産業構造審議会の二次取りまとめ案というものが出た後、それについて質問をさせていただいた機会がございます。こうやって多くの審議会を経てこういった大型の法案を取りまとめていただいた、いただいたと言うのも変かもしれませんけれども、そのときも、岡澤局長には答弁に出ていただいて、また、この長い審議会を取りまとめたという御苦労には敬意を表したいと思います。
 ただ、私は、大変物わかりが悪いのか、やっぱり半年前と同じ意見でございまして、どうしてこういう先取りの大型の法案と大型の基金が必要なのか、いまだによく理解できないでおる。個人的な意見になりますけれども、そういった今のシステムをシンプルに使うということがどうして発想の中になかったのかというふうなことを思っております。
 多くの委員の方から、この審議会、委員の方も大変な御苦労をなさっておるわけでございますけれども、この成り行きと結果の中にユーザーの意見の反映がどのようにされているんだろうか。私もおつむの方が単純なつくりですから、単純に考えて、今でも車を引き取ってもらうときにはもう有償化しているわけです。そのシステムの中で、確かに今の料金では足りない、もう少し出してもらった方が再生・解体業者の方たちもあるいは自動車メーカーの方たちも、もっとスムーズにこのリサイクルの輪を回すことができるんだという、それだけで、本当は法律なんか要らないんじゃないかと。もし自主的取り組みを強く進めるということであれば、これだけ官が関与して、しかも法律という強制力を持ったものの中で進めていく必要はないんじゃないかというふうに私は思っております。
 まず最初にお伺いしたいと思います。
 今法案の制度構築に当たって、自動車ユーザーの方の意見反映、審議会の中で何人出ていたということは先ほど大臣の方から御答弁がありました。もっと多くの広い意見反映というものをする。例えばアンケートの話もさっき出ましたけれども、JAFさんが持っていらっしゃったアンケートだということです。審議会自身で、判断に迷った、意見が二つに分かれた、そういったときに、広くユーザーの意見を聞くというようなことが行われていたのか。どのようにして審議会にユーザーの意見が反映されたのか、それをお聞きしたいと思います。
下地大臣政務官 奥田委員の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
 先ほどお話がありましたように、産業構造審議会、中央環境審議会においては、自動車ユーザー、一般消費者の代表と学識経験者、多くの皆さんから御意見を聞かせていただきました。そして、それぞれの議論の区切りごとにはパブリックコメントに付して広く御意見を聞かせていただいたわけです。
 それで、リサイクル料金の徴収方法のところは一番論議がありまして、新車時の徴収だとか廃車時の徴収だとか、両方の賛成の意見があったことも事実であります。
 そのパブリックコメントでいただいた御意見は審議会の中において議論の材料として提供を重ねておりまして、数多い意見をやりながら仕組みをつくったというのがこの法律の趣旨になっていると思います。不法投棄の問題だとか料金の徴収のあり方だとか、いろいろなことを、全部いろいろな御意見の中で決めさせていただいたという意味では、広く意見を聞いたものになっていると思っております。
奥田委員 例えば、審議会の資料の中で、アンケートの結果の中でも、後取り、車を出すときに徴収してほしいという意見は、五四%の方が後取り方式を支持していた、こういった大きな数字があります。もちろん先取り方式でもいいという声もたくさんあったのです、四二%ぐらい。正直に、言わなくていいことも言いますけれども。一二%ぐらいの差があった。そういった意見反映というのはどうして審議会の中でできないのか。先ほどから多くの問題が指摘されているけれども、やはり制度が複雑になっていることに起因しているものが一番大きい。基金の責任、どうするんだと。
 私は、先ほども言いまして繰り返しになりますけれども、今だって、新しい解体業者の人は、一万円の料金を払ってもらえば私たちはできる、古い業者の人たちで、設備投資の償却が終わってきている人たちは、なくてとんとんかな、もし料金をいただけるならそれが自分たちの会社の利益になっていく、それが私は現実だと思っています。
 そして、これは自動車リサイクル法という名前ですけれども、私に言わせれば、いろいろな、今の内閣が耳ざわりのいいことで中身の違うことをやっているのと同じで、これはリサイクル不適物処理費徴収法であって、リサイクルの輪に乗らない三品目を処理する費用をユーザーに負担してくださいということであって、ここに余り立派な制度をつくっても、本当のリサイクルが推進されないで、リサイクルできないものを処理する固定費を徴収していく、そういう制度になってしまうんじゃないかということを危惧しております。
 また、いろいろな方から、私のような、後取りどころか、今の税制度の中で自動車関連諸税が九兆円を超えるということで、その中で手当てしたらどうだという意見もございました。
 そういう似たような意見が、やはりことし一月に、OECDの環境保全成果レビューといった形で、提言、勧告といった形で日本に対して行われております。
 このOECDレビューから見まして、今の自動車リサイクル制度、あるいは今提出されております法案に対する大臣のお考えといったものを聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 奥田先生にお答えさせていただきます。
 OECDの政府向けのガイドラインにおきましては、拡大生産者責任、その考え方が入っておりまして、製品に対する製造業者の責任が製品ライフサイクルの使用後の段階まで拡大される政策アプローチ、このように定義されていると認識しております。
 この考え方に立った上で、私どもとしては、具体的にどのようなリサイクル制度を構築していくかにつきまして、それぞれの製品の特性に応じてバリエーションがある、このように認識をしております。
 自動車につきましては、自動車が使用済みとなった段階で発生をいたしますシュレッダーダスト、フロン類、エアバッグの引き取り・リサイクル義務をこれまで自動車リサイクルに直接かかわっていなかった自動車メーカー等に課している点におきまして、私どもは、OECDで言う拡大生産者責任の考え方にかなった制度だ、このように思っています。
 また、自動車メーカー等は、解体業者等に設計情報等の提供を行うなどの協力を行うことによりまして、リサイクルの適正かつ円滑な実施を図るとともに、自動車自体についても、設計等の工夫によりまして長期使用の促進やリサイクルの容易化等に努める責務を有することとしておりまして、このような点におきましても、自動車メーカーが中心的な役割を果たすとの位置づけがなされております。
 いずれにいたしましても、自動車メーカー等が自動車のリサイクルシステム全体をリードする役割を果たすことを期待して構築をしておりまして、OECDの政府向けのガイドラインに沿った形に相なっている、私どもはこのように思っております。
奥田委員 今自動車リサイクルに対しての所見を述べていただきましたけれども、今のレビューの方にはこういったことも書かれておるわけでございます。「大部分の環境に関連する諸税は道路建設及び維持のための目的税となっている。いくつかの分野で」、これはちょっとカットしまして、こういった、一つの自動車関係財源についての指摘もございますし、あるいは交通対策、交通体系全体から見直して環境政策といったものに取り組んでいかなければいけないんじゃないか。
 参考人の梶山さんの話にも、何か車の台数を制限するような発想が出てきてもいいんじゃないかということがありましたけれども、確かに今はマイノリティーで先進的過ぎる考え方かもしれませんけれども、そういったことを確かに私たちも頭の片隅に、どこまで行けばこの行き着く先があるんだろうかなということを、メーカーの方たちも含めて真剣に考えなきゃいけない時期に来ているのではないかなと思っております。
 自動車税が高いという意見がたくさんありましたけれども、極端な政策措置でやっていくのであれば、御存じのように、シンガポールなんかの、一台の登録の権利を取るために、その登録の権利がマーケット化して、カローラぐらいの車に乗るのに七、八百万ぐらいのお金を用意しなきゃその権利が買えないとか、いろいろなインセンティブの働かせ方というのはあるんだと思いますけれども、幸い日本はそこまで極端な形の政策をとる必要はないかもしれませんけれども、一つ一つ効果のある施策を積み上げていく。
 極端なことを言えば、下地政務官もいらっしゃいますけれども、私は、離島だとかあるいは本島から離れたところの不法投棄対策なんかは、島のナンバーでもつくって、後で廃棄するときの船賃ぐらいは先に自治体か何かが取ってもいいんじゃないかというふうに考えておって、それまで、反対に、国や地方行政は、今の法案でも出てくる不法投棄対策に対してどういう取り組みをしていたのかなというと、難しいという話は出てくるけれども、何をしたという話は出てこないというところに大変強い不満と懸念を持っている。
 ちょっと質問の方、ずれましたけれども、戻らせていただきます。
 この法案で、わかりにくいところがたくさんございます。例えば、最初の自動車リサイクル法という法のタイトルだってちょっとまやかし臭いぞということを今言わせてもらいましたけれども、もう一つ、二万円とか一万円だとか言っているこの料金というのが一体何なのか、その性質がよくわからない。法案の資料の中には預託金といった言葉が出てきますけれども、中身を読んでいくと、とても預託金の性質ではない、これは課徴金だろうというふうに私は思います。
 預託金と言っていますけれども、この預託金の性格について、果たしてこれでいいんだろうかということを、答えにくいかもしれませんけれども、局長、お願いいたします。
岡本政府参考人 リサイクル料金の性質についてのお尋ねでございますが、リサイクル料金は、使用済自動車の排出時には必ず必要となるものである一方、不法投棄の防止のためには排出時徴収ということは適当ではないと考えます。この両面を考えました場合に、自動車ユーザーが新車を購入する際に、将来における当該自動車のリサイクルという特定の目的のため、資金管理法人に対して所定の料金を預託していただく制度、そういうものと私ども位置づけております。
 預託金につきましては、現実に預託の対象となった車がリサイクルされる際に、資金管理法人からメーカーに対して直接払い渡されることに制度上設計しているわけですが、ここで、一たん預託していただいたお金を、預託金をユーザーにお返しをして、ユーザーからメーカーに払い渡す方式ということも考えられるのですけれども、それはユーザーにとっても手続が煩雑となり、あるいは社会的なコストもかえって増大するというデメリットが出てまいろうかと思いますので、私どもは、資金管理法人から直接リサイクルの作業をしたメーカー等に払い渡すということにした次第でございます。
 このため、資金管理法人は、使用済自動車のリサイクル時に、リサイクルについての責任を有するメーカーに直接リサイクル料金を払い渡すこととし、リサイクルが行われないことが確実な中古車輸出の場合には、例外的に預託者に料金を返還するということにいたしたものでございます。
奥田委員 確かに、中古車輸出のときにお返しすると。いろいろな答弁を聞いていますと、その運用利益も含めてお返しするというふうに聞いておりますけれども、そこの部分は確かに預託金の性質を持ったものなのかなというふうに思います。
 しかし、ある意味で強制的に取られる、自分の自由意思でない、あるいは、きちんと精算や自分の頼んだ目的についてだけ使ってもらうわけではない、あいまいになった部分が剰余金とかいった形でも出てきます。
 そういったところを考えると、預託金という言葉を使うことも、受け取りやすい言葉ではあるけれども、法案の中身を読み進めていったときには、やはり一つのまやかしに聞こえてくる。もっとはっきりと、これは皆さんの義務としていただくお金であって、そんな安易にお返しするものではないということをうたった方が、まだよろしいんじゃないかと思っております。
 それと、やはり、今局長の言葉から不法投棄の懸念ということも出てまいりました。私は先ほどから言っているように、今でもお金を取っているんです。そこである不法投棄は確かに問題ですけれども、この法案をつくる理由として不法投棄がありきではないと思っています。リサイクル制度を回すことが第一の目的であって、この制度で基金とかいうものが提案されているから、その基金の付録といいますか、そういった中で不法投棄に対しても考えることができる、あるいは制度が持つ性格自身が不法投棄の抑止にもなるのではないかという程度であって、私は、不法投棄を言うのであれば、行政がしっかりとまず不法投棄対策を目に見える形でやってからこの法案を不法投棄の一つの対策として言っていただくということならわかりますけれども、私は、不法投棄対策というのはやっていないと思います。
 そういった点で、審議会でも、後取りだと不法投棄のインセンティブを誘発するというようなことが多く言われておりますけれども、それほど恐ろしいインセンティブを誘発するとは私は思っていませんし、それほど、みんな、国民やユーザーの方を信頼できないことが発想の根底にあってできてくる制度なのかと思うと、少し悲しくなる次第でございます。
 もう一つ、ここでわかりにくい言葉というのもございます。ここで自車充当方式という、新語になるんでしょうかね、新しい言葉が出てきます。しかし、これも参考人の方の意見にありましたように、そもそもが、経済や商売の世界で、十年先のわからない料金を先取りするという発想自体が、私は本当に経済人から出てくる発想なんだろうかと。まあ、お役人さんからは出てくるかもしれませんけれども、とても経済人や商売人からは出てくる発想ではないと思っております。
 しかし、この自車充当方式という言葉のために、また一つ一つ、預かったと言っている料金を一つ精算していくときに、またいろいろな差が出てくる。そして、それを正確に交渉しましょうなんて言っていることも答弁の中では出てきている。そんなことをしなくたって、預かったお金を、大体大くくりに、メーカーごとに、何台の車を預かって、どのぐらいのリサイクル料金がかかった、一台当たり幾らかは、自分で計算、電卓をはじけばわかるじゃないですか、どのくらいの費用を使っておるのかということを出すだけでいいと思います。
 この自車充当方式、非常に制度を複雑にしていく。自車充当というのは、自分のお金を自分の車に使ったんだという、そういうこだわりを言えば、一つの権利としてもいろいろな情報請求とかが生じてくるんだと思います。
 こういった、制度を複雑にしている一つの要因でもあります自車充当方式という言葉について、ちょっと御答弁といいますか、御説明をいただければと思います。
松大臣政務官 奥田先生にお答えをさせていただきます。
 本法案におけるリサイクル料金につきましては、先ほど先生がおっしゃっていられました、自分の車、自分のお金は自分で賄うということですね、つまり自車充当方式との言葉で議論をされておりますけれども、本法案では、もとより、一台ごとの状況を厳密に一円単位まで反映して実費相当額を徴収しよう、こういうことを考えているわけではございません。各メーカーが、メーカーごとあるいは車種ごとに設定するリサイクル料金をユーザーが負担するという考え方に立っているものでございます。
 リサイクル料金を自動車の購入時に購入する方が支払うことによってリサイクルに着目した自動車の選択が行われ、やはり少しでもリサイクル料金が安い車を選ぶことになると思います。同じような車種であれば、リサイクル料金がはっきり提示されるわけですから、やはり安い方がいい、そういうことを選べる、そういうプレッシャーの中で、自動車メーカー等のリサイクル分野における競争が促進をされることを期待した制度となっております。
 先生先ほどから御指摘のように、できる限り実費に近いリサイクル料金を設定しようという点に力点を置いた場合、排出時徴収としてリサイクル料金を随時改定していく、そういう方法も選択肢としてはあるわけでございますけれども、やはり不法投棄の増加ということもないわけではない、そういう懸念もあります。そして、リサイクル分野における競争を促そう、そういう考え方に立ちますと、本法案のような方法がすぐれているのではないかと考えております。
 なお、当該自動車のリサイクル特性を反映した料金設定をするという考え方を基本といたしまして、制度の簡素化を図るという視点は必要であると考えております。
奥田委員 一つ飛ばした質問の答えも言っていただいて、ありがとうございます。
 今、実費に近い形での料金の提示といったことがございましたけれども、私ども、実費に近い、こういったことも後取り制度の方が、今のマーケットあるいは業態の現状といったものを常に反映しながらできていくということで、実費を反映するということではやはり後取り、排出時、自分が出すとき――何で対価を払うかというと、サービスに対して対価を払うんです。確かに、自分たちが要らなくなって何か物をもらうわけじゃないですけれども、これからは、自分たちが物を出すときにも、一つの業界や職種からサービスを受けることだ、自分たちが処理できないものを処理してもらう、そういった思想といいますか発想が根づけば何の問題もないことであって、サービスに対する対価を払うということであれば、やはりサービスをしてもらうときに料金を出すというのは当然であると思っております。
 ですから、今、松政務官におっしゃっていただいたように、ぜひとも、こういった料金設定についても、細かいことの発表といいますよりも、ぜひ実費に近いものを、年に一度でも二年に一度でも見直して、メーカーが提示するのか知りませんけれども、リサイクル料金の提示といったものは、現実を反映するような努力というものがユーザーに対して一番誠意のある対応ではないかなというふうに思います。
 もう一つ、今の制度を見ておりますと、私ぐらいちょっと細かいことにこだわる者は、大体、車を引き取ってもらうときには、引き取り先に、ぜひ私の車を輸出車にしてください、まだ走りますから輸出車にしてください、そうすれば、二万円だか一万五千円かわかりませんけれども返ってくるんでしょうということを要求するようになるかと思います。まあ、それはディーラーさんがいますから、ディーラーさんができるできないの判断はするでしょうけれども、とりあえず要求します。
 私も日本海側が地元ですので、ロシアからの定期的な貨物船なんかが来ております。大体、船員さんが帰っていくときは、船にいっぱい車を積んで帰っていくわけでございます。それがきちんと、まあ密貿易じゃなくて、きちんと手続をしてそれがまかり通るのであれば、私はその方式を使わせていただきます。
 そういった、中古輸出車に関してだけ返還を認めるといった制度が、逆に、制度を利用する人の形から制度がゆがんでいくことがないかということについて御答弁をいただきたいと思います。
松大臣政務官 お答えをさせていただきます。
 本法案は、必要となるリサイクル料金について自動車ユーザーの方に預託を義務づけておるわけでございます。したがって、あくまでリサイクルの目的で預託をされたものである以上、中古車輸出により国内でリサイクルされないことが確実になった場合、自動車のリサイクル料金は返還すべきものとしたものでございます。
 自動車輸出全般につきましては、リサイクル料金の返還により中古車の輸出が加速化されるのではないかと先生御指摘でございますけれども、島国である我が国は、中古車輸出の場合、一台当たり五万から十万くらいの用船費用が必要となるわけでございます。ですから、たとえリサイクル料金が返還されても、そのために輸出が加速化されることはないのではないかというふうに思われるわけでございます。
 そしてまた、先ほど携行品扱いというお話が出ました。その輸出の場合であっても、リサイクル料金を返還するということに当たりましては、例えば適切な輸出許可手続あるいは抹消手続を行ったことを確認した上で返還をする方針でございます。ですから、携行品扱いでの輸出は、輸出に係る各種書類の提出を簡略化できるなどの利便性が大きいと認識しております。つまり、日本語で全部、例えばロシアの方なんかですといろいろな面倒くさい手続をしなきゃならない、そういったリサイクル料金の返還制度、手間暇かかるわけですね、これを理由に今後急増することは想定しにくいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、リサイクル料金の返還に関しましては、御指摘のような観点からも、適切な輸出手続等にのっとって輸出されたものであるという確認をした上で返還するなど、その手続の適正化を図ってまいります。
奥田委員 携行品扱いはまだ質問はしていませんでしたけれども、御答弁ありがとうございます。
 貿易局の方はいらっしゃらないですね。貿易局の方に五万から十万の用船費用というところも、自分のためにちょっと聞いてみたかったんですけれども、それは遠慮させていただきます。
 あともう一つ、この法案の特徴として、重量税還付がセットになっております。多くの方から質問があったと思いますけれども、重量税還付について、総額見込みといったものが大体どのくらいになっていると予測しているのか、簡単に御答弁をお願いいたします。
岡本政府参考人 重量税還付額の見通しと自動車ユーザーが引き取り業者に使用済自動車を引き渡すインセンティブとのお尋ねかと思いますが、重量税還付に係る年間の総額見通しについては、それの適用される台数というところが結構大きくきいてこようかと思いますが、私ども、今の試算といたしましては約六十二億円と試算をしているところでございます。
 重量税還付制度においては、登録引き取り業者に引き渡された使用済自動車が適正に解体処理された場合にのみ自動車重量税が還付される仕組みとしておりまして、自動車ユーザーに対して適正な引き取り業者に使用済自動車を引き渡す誘因を与えるものと考えております。
 還付額の具体的な計算方法は今後詳細を検討することといたしておりますが、過去における廃車時の車検残存期間の実態等を踏まえれば、大衆乗用車の場合で平均一台数千円程度還付されることになるものと想定いたしております。
奥田委員 数千円では余りコメントすることではないかなというふうに思います。
 もう一つ、審議会の中で大きな論点となりました準備金、引当金としての内部留保といいますか内部積み立てというのが可能かどうかということで、これができればもう少しすんなりと審議会の結論というのは落ちつくことができたんじゃないかなと。これは経済産業省の方でも、財務省の方にそういった相談や要請をしたというふうに聞いております。
 こういった引当金、準備金の非課税制度というものをなくしていく方向だというお話を聞いておりまして、そうなのかなと思っていたきのうのやさきに、新幹線の整備法の一部を改正、これはまさに引当金、準備金の新しい制度でございまして、こっちで多くの業界や会社を悩ませているそんな話を、片方ですっと新しい制度が通っていく、こういったことについて、ちょっと財務省の方から、引当金、準備金、あるいはこれも審議会の議論の中では、以前はリサイクル引当金というものがあったというふうな議論が一度出ていたことをちょっと見たような記憶があるんですけれども、そういったことについてもコメントいただければと思います。
木村政府参考人 お答え申し上げます。
 租税特別措置でございますが、これは委員御承知のとおり、特定の政策目的を実現するための手段でございまして、よく課税原則と言っておりますが、公平、中立、簡素、そういった原則に対する例外的な措置として設けられているものでございます。したがいまして、私どもといたしまして、その政策目的、効果等を十分吟味し、常に見直しを行う、また、真に有効な措置についてのみ存置する必要があると考えているところでございます。
 今回の積立準備金等について話が今ございましたけれども、委員のおっしゃるその具体的仕組みについては十分に承知しているわけではございません。ただ、一般的に申し上げますと、任意の内部引当金の非課税措置を認めることは、それが将来の費用、損失に充てられるものであるかどうかが不確実であります。また利益の内部留保を認めることと同様でありますので、課税の公平の観点から問題があるものと考えているところでございます。
 なお、今委員の方から新幹線の話がございました。これにつきまして、今回の平成十四年度改正におきまして、新幹線鉄道大規模改修準備金制度というものがございます。これは、新幹線によります安定的な輸送確保という極めて重要な交通政策の実現の観点から、将来必要となる大規模改修のための資金をあらかじめ引き当てさせる、そういったこと、これは、その引き当て措置がまた法律で義務づけられているわけでございますが、そういったものを内容とする法律の改正が行われた、そういったことにかんがみまして、今回、税制上の支援を行う観点から講ずることとしたところでございます。
奥田委員 もう一つ聞かせていただきたいんですけれども、今も、政策目的あるいは公共目的や大きなスパンでの一つの損金扱い、準備金としてのものという御説明がありましたけれども、今十八の準備金が私の知っている資料の中でもございます。そして新幹線が加われば十九になるかと思いますけれども、こういう中で、縮小・削減化していくものというのはどういったものが挙がっておりますでしょうか。
木村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども御答弁申し上げましたとおり、租税特別措置の性格にかんがみますと、政府の税制調査会等からも常々、この特別措置につきまして常に見直しを行う必要があるという御指摘を受けておりますので、私ども、そういった準備金等につきましても、今後とも引き続き十分見直しを行ってまいりたいと考えているところでございます。
奥田委員 私は、今のように、今走っている自動車ユーザーの方からも料金をいただくということで一兆円規模を想定される、そういった基金、これが企業の中の内部化になればまたその額は違ってきますけれども、総額としては、一つの政策目的のためにそれだけのお金をストックするということは、それは見過ごすようなことではないと思います。
 確かに、こういった内部留保をたくさん認めたくないという方針はわかりますけれども、これから財務省として、いろいろな税のグリーン化とかそういったことに税制の面での政策提案としてやっていかなきゃいけない。ぜひともこれは考えるに値することであるというふうに思いますし、規模によりましてはほかのことにも、やはりこういったリサイクル社会、一つの静脈部分の血が詰まったような社会の血栓をきちんと取るような効果として使える政策ではないかと一言言わせていただいて、この質問は終わります。
 岡本局長からは何か御意見がありますか。
岡本政府参考人 一般論として、引当金、準備金の非課税措置の制度については、先ほど財務省から御答弁がありましたように、課税の公平の観点からの問題点があり、見直しの方向であるということは私どもも承知をしております。
 平成八年十一月に出された政府税制調査会法人課税小委員会の報告等においても、そういったものについて廃止を含めた抜本的な見直しを行うことが適当という報告がなされていることも承知をしているところでございます。
 自動車のリサイクル料金に係る準備金、引当金制度についても、同様の問題点があるというところは私どもも認めざるを得ないところでございます。
 なお、以上のような論点もさることながら、最終的に引当金制度ではなく資金管理法人に管理を任せる方法を選択したゆえんは、引当金制度を導入し個々の自動車メーカーあるいは輸入業者に資金管理をお任せした場合、やはり輸入業者等が倒産、解散した場合に資金が滅失してしまうという点に対処できないという点が残りますものですから、リサイクルの費用を自動車の販売時にあらかじめ確保し、使用済自動車の確実かつ適正なリサイクルを行うという制度の趣旨が損なわれるおそれがあるというところももう一つございます。
 以上のような検討を経て、私ども、本法案においては、ユーザーからお預かりした料金を自動車メーカー、輸入業者から切り離して安全確実に外積みするということにさせていただいた次第でございまして、一般的な税制のグリーン化という点についてはちょっと私の立場で御答弁は控えさせていただこうと思いますが、自動車の本リサイクルについては両面ございまして、私ども、こういう方式で引き続きやらせていただきたいと考えているものでございます。
奥田委員 今の倒産の心配なんかも、先に取ってためるから出てくる心配なのであって、仕事をするときにもらうという商売の大原則でいけば、そんなお金をため込んで倒産するなんて心配はしなくていいんですよ。
岡本政府参考人 この点はもう一度確認的に御答弁をさせていただきたいのでございますが、産業構造審議会の中の意見も、最初は私どもも排出時徴収ということで考えていましたし、それから、自動車業界も何よりもその方式を、議論の当初の段階ではそっちをむしろ選んでおりました。ただ、議論の過程で、やはり不法投棄を心配される消費者の代表なり中立委員の方々を中心に、やはりあらかじめ販売時に費用を徴収すべきじゃないかという意見が有力になってまいりました。
 かたがた、地方公共団体から大変強い御要請として、不法投棄された場合のインパクトが非常に大きいものですから、豊島の件をしばしば例に出されながら、今度は新車販売時にあらかじめ料金を取るようにしてもらいたいという強い御要請が繰り返しございました。
 それから、もう一つ、これも私ども審議会の議論の過程で御紹介をさせていただいたのでございますが、ちょうど費用徴収の議論をやっている際に、去年の国会でフロンの回収・破壊法というのが議員立法で制定をされました。あの過程で、やはり不法投棄というものを回避する観点から、物の流れと資金の流れを分離するということで、第二種特定フロンのカーエアコンの回収について、抜き取ってそれをメーカーのところに持っていけば料金をお支払いするという物と金の分離をして、かつ、そのときに自動車のリサイクルの議論も並行して行われたものですから、フロンの議論をされていた先生方から、車で、今度は排出時徴収じゃなくてぜひ新車販売時に費用を徴収するという方向を目指してもらいたいという強い御意向がございました。
 私ども、そのことも審議会の議論の過程で御紹介を申し上げ、そういった地方公共団体なり国会におけるフロン法に関連しての御議論というようなことも参考に供しながら、最終的に、今度は排出時じゃなくて新車販売時に費用を預託していただくということにしようということで、審議会の議論の大勢がそこに落ちついたものということを御報告させていただきたいと思います。
奥田委員 今の中にも、不法投棄というのはこの法案の骨格をつくっていく一つの大きな要素になったというお話がありました。私も先ほどから言っておりますように、では、これまで、国や、まあ地方行政でもいいです、不法投棄対策としてどのようなことをやってきたのか。私は、この登録制度の変更というものは大変有効に働くと思っております。あるいは、不法投棄の対策でいっても、今は、車がナンバーをつけたり、まだ車台ナンバーのあるときならいいですけれども、シュレッダーダストみたいな、あるいはスクラップのさいころになったようなときの算定方法や、あるいは不法投棄という言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、そういったものはマニフェスト以外には追っかけようがなくなっていったりする。一つのシュレッダーダスト、これは何台分ですか、わかりますかと言ったら、多分わからないと思います、想定はできても。そういった、基金の中から精算する中でも、まだグレーのゾーンが残っている部分もあるわけです。
 それはそれでおきまして、今、不法投棄対策、経産省としてあるいは環境省としてどのような取り組みをしてきたか、あるいはもう一つおまけに、一年間発生する不法投棄の車両、これを対策としてやろうと思ったら大体どのくらいの予算が必要か、お答えいただきたいと思います。
飯島政府参考人 廃棄自動車あるいは放置自動車を含みます産業廃棄物の不法投棄対策というのは、環境省の廃棄物・リサイクル行政の中でも最重要課題の一つとして取り組んでいるところでございます。
 これまで、廃棄物処理法の改正、逐次強化をしているわけでございますが、平成三年、平成九年、平成十二年と大改正をして強化をしております。
 具体的には、今委員御指摘がありましたように、平成三年に産業廃棄物の処理の流れを管理するマニフェスト制度を創設いたしまして、平成九年にはこれをすべての産業廃棄物に拡充しました。
 また、これは平成十二年改正、直近の改正でございますが、不法投棄された産業廃棄物の原状回復のために、命令の対象者を、不法投棄の実行者だけでなく、一定の場合には排出事業者までさかのぼれるという強化をしております。
 さらに、罰則の強化、これは、平成九年、平成十二年、重ねて強化しておりますが、法人の場合、最高一億円あるいは懲役五年以下という、ほかの環境関係法律には見られない罰則になっております。
 また、都道府県が原状回復措置を行ったときに、産業界の拠出によります基金制度を創設しまして、この基金から四分の三の費用を支援する、こういう制度も設けております。
 さらに、最近特に力を入れておりますのが、平成十二年の法改正が非常に厳しいものでございますので、これの運用を図るために、昨年、行政処分の指針という通知を出しておりまして、これまで、ともすれば地方公共団体は行政指導という形で対応していたのを、行政指導を何度もしていくとだんだん野積みが高くなっていくという話でございますので、これを、行政処分をしろということで速やかに改善命令や措置命令をかけさせたわけでございます。
 そのほか、路上の放置車につきましては、平成五年、そのときの厚生省と建設省で、路上の放置車は、これがまだ使えるか使えないか、所有者がいるかいないかという問題がございますので、細かいフローチャートをつくりまして、さらにこの路上放置車を市町村が処理する場合には、自動車メーカー等が自発的に協力会をつくりまして協力金を支払うという制度をつくっております。
 もう一つお尋ねがございました何台ぐらいあるかということでございますが、現在私どもで把握しておりますのは、不法投棄車あるいは不法保管車、違法保管車を含めまして、全国で十二万六千台。実際の費用でございますが、先ほどの協力会でかかわっている費用を見ますと、一台当たり一万二千円から一万三千円程度でございますので、単純に掛け算をいたしますと、十数億円ということになると思います。
奥田委員 経済産業省の方からもお願いいたします。
岡本政府参考人 不法投棄車の取り締まりあるいは廃掃法をもとにした行政処分ということについては、今飯島部長からお答えをしたとおりでございまして、これが対策の中心ということになってまいろうかと思います。
 私ども、路上放置車につきましては、自工会が市町村による路上放置車の処理に要する費用について御協力をするということで、毎年二億前後の資金を協力するということで自工会の協力スキームが動いておりますが、そういったものを私どもも環境省とタイアップをして推奨申し上げているところでございます。
奥田委員 今の答弁の中で、ペーパーに書いてあるようなことはいいですけれども、飯島部長の方から、廃棄物処理の車両、大体一万二千円で処理できるとおっしゃいましたですか。ということは、不法投棄をした車の方がきちんと持っていく車よりも安く処理できるということですか。今、店頭へ持っていって二万円近く取ろうとしているわけでしょう。
飯島政府参考人 現在、実際に路上放置車を処理するのにかかっている費用が、一台当たり一万二千円から一万三千円と申し上げました。
 委員の御指摘は、巷間言われている二万円という料金と比べていらっしゃると思いますけれども、当然、路上放置車というのは古い車でございますので、エアバッグがついてございませんし、値段的には、実際に現在処理にかかっている費用と変わらないというふうに思っております。
奥田委員 路上放置車なら、レッカー移動も含めたら三、四万ぐらいかかってもおかしくないのかなというふうに私は思いますけれども、では既存の走っている車はそんなに高くないのかなというふうに思います。
 ちょっとしり切れトンボみたいになりましたけれども、大体時間が来ましたので、私はもうこれだけ多くの、七千万台、言いかえれば、もし七千万人に影響を与えることなら、ぜひとも、パブリックコメントという形じゃなくて、もっと大規模なアンケートを、通知も兼ねてアンケートみたいなのをとっていただく。
 私は党内でもちょっと偏屈者みたいに思われていますけれども、絶対にこれは、一般の方々に聞いたら、業界の方とかそういった方でも少しずつ考え方は違うと思いますけれども、今ある制度に料金がかかるんだ、そして、やはり自動車を出すときにはこれだけの料金を負担してもらわないと引き取れないから頼むよと、もっと強力にやるのなら次の車は買えないよというくらいのことで十分な効果を発揮するんだと思います。
 今、本当に長く審議しております。いろいろな、基金の法人だとか、あるいは基金のあり方だとか基金の安全保障みたいなことだとか、そういった議論はしなくても、今のシステムに、そして、処理するときにはお金がかかるんだという一つのしっかりとした意識というものがあれば十分に成り立つ法案であるというふうに思っております。
 ぜひとも広い意見聴取といったものを経済産業省に行っていただいて、それを法案に反映していただくことがあるようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。達増拓也君。
達増委員 冒頭、今防衛庁の情報公開請求者リスト作成事件ということが問題になっておりまして、防衛庁長官の責任問題にまで発展しているのでありますが、情報公開請求者の個人的なデータをリスト化して、またそれを庁内で回覧するなど個人情報の目的外利用という形になっておりまして、これは今議論されている個人情報保護の観点からも問題でありますが、既存の行政関係の法律に照らしても違法の疑いが非常に濃いことであります。よもや経済産業省内では同様のことは行われていないと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
平沼国務大臣 達増先生にお答えいたします。
 情報公開法を所管をいたします総務省から各省庁に対する調査依頼を受けて、省内全体について確認することにいたしております。少なくとも本省情報公開担当部局におきましては、工程管理のために、開示請求案件ごとに、請求日、それから請求内容、省内担当課などの情報とともに、開示請求者の氏名または名称の記載のある場合はその資料を作成しておりますけれども、開示請求者に着目して、その個人に関する情報を収集したそういったリストのようなものは一切作成しておりません。
達増委員 高度情報通信社会を推進していく主要な担い手の一つの経済産業省でもありますし、情報化社会というものが本当によいものになっていくためにも、行政における個人情報保護の問題は非常に重要でありますので、他山の石として、その点は、強く今回の事件のことを考えていただきたいと思います。
 さて、きのうの当委員会の視察の余韻もありまして、きょう午前中から解体業者さんの関係の質問が多くあったと思いますけれども、私もまず解体業者関係の質問からさせていただきたいと思います。
 これは、機械振興という雑誌の二〇〇〇年九月号、「自動車リサイクルの高度化に向けた取り組み」という座談会の中で紹介されていることでありますけれども、スウェーデンやオランダでは、認定された解体業者は自分の事務所のコンピューター端末から、日本でいえば車両法上の自動車の登録抹消ができるということだそうであります。クリック三回やれば、もうそれであなたの車は登録抹消済みましたよということで、これは非常にユーザーにとっても使い勝手のいいシステムだと思いますけれども、今回の自動車リサイクル法制定後は日本でもそのようになるんでしょうか。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 本法案におきましては、電子化された形で使用済自動車の情報管理制度を構築することといたしておりまして、解体業者を含む関連事業者は、使用済自動車の引き取りまたは引き渡しに係る情報を御自分の端末からネットワークを通じて情報管理センターに報告することとなります。
 このような電子マニフェスト制度は、使用済自動車の適正な引き取りまたは引き渡しを確保する等を目的とする制度でございますが、自動車登録制度の運用にもその情報を活用することが想定されております。
 なお、本法案におきましては、解体業者自身がみずからの端末から直接登録抹消できるような制度設計とはいたしておりません。
達増委員 今回の法案のシステムは、基本的には情報管理センターという指定法人のところで情報を処理し、それを必要に応じて運輸当局の方に伝えるような、そういう仕組みになっているわけでありますけれども、解体業者あるいはこの法案の中では引取業者という整理になっていますけれども、使用済自動車を最終的にユーザーから引き取るところの端末でさまざまな手続ができるようになれば、これはユーザーにとって非常に便利なことだと思いますし、またシステム全体の簡素化にもつながると思います。
 したがって、引き取り業者のところの端末でさまざまな自動車関係の登録、これはリサイクル関係以外にも、車両法上の登録などなど行えるようになれば非常にいいと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
岡本政府参考人 この法案におきます情報管理システムは、使用済自動車の引き取り、引き渡しに関する情報を管理することを目的とするものでございまして、引き取り業者の端末で道路運送車両法上の登録手続を行えるようになるというものではございませんが、双方のシステムは相互に連携して運営されることを想定いたしております。
 具体的には、解体業者は、解体終了情報を情報管理センターに報告していただきます。それから引き取り業者は、解体終了情報を確認いたします。引き取り業者は、最終所有者に当該使用済自動車が解体された旨を通知をいたします。最終所有者が陸運支局で登録抹消手続を行うこととなります。陸運支局は、情報管理センターに解体終了情報を照会、確認して登録抹消を行う、そういった手続によりまして、本法案の情報管理システムと自動車登録ファイルのシステムが相互に連携をとりながら運営されることになります。
 情報管理システムの構築に当たりましては、国土交通省と調整の上、自動車登録ファイルのシステムとの連携を図っていくということを私どもも十分に念頭に置いて臨んでまいりたいと考えております。
達増委員 二十一世紀の日本型情報化社会と言っていいと思うんですけれども、日本型情報化社会のあり方として、政府ではe―Japanという言葉を使ってもいますが、ネットワークインフラが整備されただけではだめでありまして、その使い方、ユーザーにとって使い勝手のいいような仕組みがきちんとつくられなければならないと思います。
 これは郵政事業の改革の議論についても、郵便局をワンストップサービスの場として、さまざまな手続ができる、そういう拠点にするべきではないかという提案がありますし、地方自治においても、できるだけ土日も、あるいは二十四時間いろいろな手続が各端末を通じてできるようにならないか、オンライン的にできないか。金融の世界でも、銀行の業務をコンビニで端末で手続ができるようにしたり、あるいは自宅にいながらネットバンキングができるように、そうしたことが進んでいると思いますけれども、自動車という国民にとって非常に密接で、しかも経済、社会の大きい一つのインフラでもあるそういう自動車関係の登録についても、オンラインの技術を使って簡素化していく工夫が必要だと思いますけれども、この点、今政府はどのような工夫をしているところでありましょうか。
宮嵜政府参考人 自動車登録手続につきましては、今回道路運送車両法の改正によって、リサイクル促進及び不法投棄防止の観点から、登録抹消手続などの見直しを行うこととしているところでございますが、今後これらの手続の詳細を検討するに当たっては、届け出事項などを必要最小限のものとすることなどによって、手続の煩雑化をできる限り避けるような検討が必要であると考えております。
 自動車の登録手続一般について申し上げますと、昨年の八月からは、現在使用しております光学的文字読み取り装置用のシート、いわゆるOCRシートという紙のシートがございますが、それによる申請の方式に加えまして、複数の申請を一括して電子的に記録できるフレキシブルディスク、いわゆるFDを用いた申請方式を認めることなどによって、登録手続の簡素化に取り組んでおります。
 また、御指摘ございましたが、電子政府化の一環といたしまして、自動車の保有関係手続のワンストップサービス化に取り組んでいるところでございます。これは、パソコンの画面上で自動車の登録などとこれに関係する税、車庫証明などの各種の申請を一括して行うことができるようにするものでございます。
 こういった電子申請手続の活用などによって、リサイクルのための自動車の登録の手続も含めて、一層の簡素化を図ってまいりたいと考えております。
達増委員 前回の質問のときにも申し上げましたけれども、今回、情報管理センターということで、非常に多くの自動車、その所有者、そういった対象を電子的に処理するシステムをつくり上げていくわけでありますから、それが本当にむだのないように、効率的で、またユーザーにとって使い勝手のいいように、そしてそれが政府全体の改革、行政全体の改革にも資するような形で進んでいかなければならないということを指摘させていただきたいと思います。
 さて、次に、きのうの参考人質疑で、解体業者さんの代表として、日本ELVリサイクル推進協議会会長の酒井参考人が意見を述べられたわけでありますけれども、その中で、市街化調整区域に立地する解体業者の問題、都市計画法のせいで屋根をかけることができずに困っているということが指摘されました。
 午前中にも、小林守委員から同じ問題についての質問がありましたけれども、現在、約四〇%の事業者が既にそういう市街化調整区域に立地しているということ。恐らく解体業者の立地条件として、住宅地の真ん中でありますとか商業地域の真ん中でありますとか、そういうところに立地するのはなかなか難しく、そういう事情から、郊外型といいますか、そういう市街化調整区域内の立地ということがそれだけあると思うんですけれども、やはり雨ざらしというのはまずいと思うんですね。
 午前中の答弁の中で、そもそも都市計画法の市街化調整区域という制度の趣旨は、無秩序な市街化の防止であるということでありましたから、既に市街化調整区域内に立地している解体業者の、野積みになっている車の上ですとか、あるいは作業場の上ですとか、そこに屋根をかけるということは、屋根をかけることによって無秩序な市街化が進むということには決してならないと思うんですね。
 そういう意味で、法の趣旨からいって、かつ環境の側面からいっても、やはり雨ざらしはまずいということから、この点についてはかなり前向きな行政側の対応があってしかるべきではないかと思うんですが、この点いかがでしょう。
岩村政府参考人 御質問の、解体業者が屋根をかける、建築物を建築するという場合のことでございますが、午前中にも御答弁申し上げたように、都市計画法なり建築基準法の方で、良好な町づくり、さらには無秩序な市街化を防止する、そういう視点から規制があることは先生今御指摘のとおりでございます。
 そういった視点と、一方で、今進めようとしておるリサイクル、その際の作業環境なりをよくしていくということ、これのまさに法益の調整をする必要があるわけでございまして、これについては、町づくりについて、一番地元に近く、そして住民の意向がよく伝わる地方自治体が判断をすることが適切であり、そういう制度になっているわけでございます。
 当然のことながら、個々の判断というのは、午前中申し上げたように、自治体の自治事務ということで自治体の判断にゆだねられているわけでございまして、一律に解体事業者の建物は建てていいとか、そういう法ではかえって地域の実情を無視するなり、地域の住民の意向に沿わないなり、また別の弊害も出てこようかと思います。
 そういう意味で、我々としては、この法の趣旨を伝えることは当然のことでございますが、その最終的な判断というのはやはり自治体の長が判断するのが適切であろうかというふうに思っているわけでございます。
達増委員 一見、慎重な答弁だったと思いますけれども、一方で、建設は制度上可能ではあるということがきょう午前中の答弁にありましたし、また今も、法の趣旨を伝えることについては肯定的な答弁だったと思いますので、今の法律、今の制度上からするとそこまでかなという感じはいたしますが、そういう方向での現状の運用、これは当然期待するところであります。また、この問題、内閣府の規制改革会議の方に要望書が出ているということでもありますので、内閣全体としても規制改革の一環として検討していただきたいと思います。
 さて、きのうの酒井参考人の意見の中で、解体業者こそ、使用済自動車の解体作業の中で、これは使える、またこれはこういうところに使える、そういう分別を一番きめ細かく、しかも効率よくできるのだという趣旨の意見がありました。
 リサイクルあるいはリユースについて、解体業者こそ、その経験と知識を持って大きな貢献ができるということなんでありますけれども、今度新しくできるシステムの中で、こうした解体業者の意欲と能力を活用していくということが非常に重要だと思うんですけれども、政府としては、この点どのような考えでしょうか。
岡本政府参考人 解体業者の方々が、使用済みの車から中古部品を回収し、主として補修用部品として利用するという取り組みをなさっておりますが、これは従来から行われているところでございます。このような自動車部品のリユースの取り組みを促進し、解体業者の意欲と能力を引き出すためには、中古部品市場の一層の活性化が重要だと認識をいたしております。
 こうした認識のもとに、現在、私どもといたしましては、資源の有効な利用の促進に関する法律に基づきまして、自動車を再利用促進製品に指定をし、自動車メーカーに対して部品リユースに配慮した製品の設計及び製造等を義務づけているところでございます。
 他方で、使用済自動車に係る中古部品の一層の活用促進に向けた方策を御検討いただくべく、自動車解体業者などの関係業界及び有識者から成る検討会を設けて、一連の方策について検討をお願いしているところでございます。その中で、中古部品の品質表示とか保証内容のあり方などについて、御提案を今いただいているところでございます。
 当省としましては、これらの施策に加えまして、中古部品の利用に関する自動車ユーザーの理解促進を図るなど、使用済自動車に係る中古部品市場の発展に向けた基盤整備に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
達増委員 酒井参考人によれば、今の車は廃油や冷却液の回収が難しいつくりになっていて、なかなか全部、廃油や冷却液を回収し切ることができないということでありました。
 けさ中山義活委員から指摘があったように、そういう中でも解体業者は、自分でいろいろな装置をつくって工夫しながらやっているということでありますけれども、もっと回収が簡単なつくりになればいいわけでありまして、こうしたリサイクル性の向上ということだと思うんですが、ただ、なかなか政府として、必ずこういう形にしなさいという、政府が基準を押しつけるわけにもいかない問題だとは思いますが、そこをどのように政府として、必ずこうしろと決めつけるわけにはいかないけれども、全体としてリサイクル性が向上していくように、どのように政府として対応していくのか、伺いたいと思います。
岡本政府参考人 今先生御指摘のリサイクル性の向上というのは、大変大事な課題だと思っております。その点につきまして、一義的には自動車メーカー等が主体的に行うべきものと考えておりますが、今度御提案申し上げております法律案の作成に当たりましても、そうした自動車メーカー等の取り組みの重要性にかんがみまして、責務規定を三条に設けさせていただいているところでございます。
 この責務規定のもとで、一つは、自動車の設計及びその部品または原材料の種類を工夫することによって、できるだけ長く、長期使用を促すとか、リサイクル容易性を高めるとか、リサイクル料金の低減に努める、そういった取り組みをまず自動車メーカー等に求めております。それから、関連事業者に対して、みずからが製造、輸入した自動車の構造または使用部品、原材料の情報をこれまた自動車メーカー等から適切に提供すること等によりまして、使用済自動車の再資源化の実施に必要な協力をするということも責務の一環として規定をさせていただいているところでございます。
 私どもといたしましては、御指摘をいただきました廃油とか冷却液に関する構造上の課題を含めまして、責務規定にうたわれておりますような内容について自動車メーカー等が積極的に取り組みますよう、さまざまな機会を通じて促してまいりたいと考えております。
達増委員 リサイクル性の向上に関連してもう一つ質問があるんですが、それは、乗用車の原材料構成比率の問題であります。
 自動車工業会の調べによりますと、乗用車の原材料構成比、一九七三年と二〇〇一年を比べますと、まず、銑鉄の割合が三・二%から一・五%と半減している。普通鋼鋼材の比率も六〇・四%から五四・八%と減っておりまして、鉄を使う割合が減っている。一方で、プラスチックなどの樹脂については、二・九%しかなかったものが八・二%にふえている。これは、実際、車に乗った経験からしても、バンパーが昔は金属だったのが、何かプラスチックみたいになっていますし、車の中もそういう樹脂がふえている。
 こういう樹脂は石油からできているわけでありまして、そういう意味で、車の原材料という観点からこうした構成比の推移は好ましいものなのかどうか、この辺、政府としてはどのように考えていますでしょうか。
岡本政府参考人 自動車メーカーは一方で、地球環境問題もございまして、燃費の向上を図るということに努力をしているかと思います。そのために自動車の軽量化に向けた取り組みを進めておりまして、その一環として樹脂の利用が近年増加する傾向にございます。この樹脂の材料の部分について、リサイクルの観点からも自動車メーカーは一定の取り組みを今やっているところというふうに承知をしております。
 例えて申しますと、部品の単一素材化、あるいは、いわゆるグレードと言われている、例えばバンパーに使っていますポリプロピレンなんかも昔は本当にグレードの数が多かったのですが、それを、リサイクルということも視野ににらみながら、どんどん統合して数を減らすという取り組みをいたしております。それから、リサイクルが容易な熱可塑性樹脂の採用拡大でありますとか、材料のファミリー化と申しまして、使用済み後のリサイクルをできるだけ効率的にやるために、材料系ごとにどの部品とどの部品を一緒に混合再生してどこに適用するかということを想定した開発の努力も自動車メーカーはやっておりまして、そのような技術を活用した自動車も市場に今出始めているところでございます。
 今後、自動車メーカー等によるこのような取り組みが一層進められ、樹脂材料についてもリサイクルの観点が行き届くことを、私どもはこの法律の施行を通じて期待をしているところでございます。
達増委員 次に、地球環境問題全体と自動車の関係について伺います。
 地球温暖化のもとになるCO2の排出量については、運輸部門というのは全体の約二割を占めている非常に重要な分野でありますが、この運輸部門のCO2排出量削減について、政府の取り組みを伺いたいと思います。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 運輸部門につきましては、一九九〇年レベルと比べましてCO2の排出量が一九九九年度は二三%増加をいたしております。これは、相対的には、一台一台当たりの車の技術の向上によりましてCO2の排出量は減っているんですけれども、車の大型化とか、それに伴う大排気量化で、絶対的にCO2の排出量がふえた、あるいは車の保有台数がふえた、こういうこともございます。
 したがって、地球温暖化対策推進大綱にもしっかり示されているとおり、これからも、CO2を排出しない、できるだけクリーンな車をつくっていく、これは私どもの責務でございますし、また一方では、モーダルシフトであるとか物流の合理化等々、そういった総合的な、ある意味では合わせわざを通じましてCO2の排出量を着実に削減させていく、この努力が必要だと思っております。この努力なくして、いわゆる京都議定書に規定をされております目標を達成するということは不可能である。したがって、我々としては最大限の努力をしていかなければいけないというふうに思っております。
 一方、経済産業省といたしましても、クリーンエネルギー自動車に対する開発普及というものについては積極的に支援をさせていただいております。当面は、まずハイブリッド車であるとかCNG自動車に対しての支援をいたしておりますけれども、今後は、いわばクリーン自動車の本命ともいうべき燃料電池自動車の開発が私は重要であると思っております。
 特に、この燃料電池自動車につきましては、もう本年から現実に実証実験で東京あるいは大阪で走っております。今後は、この燃料電池自動車の、早く実用化に向けて取り組んでいく対策が必要だというふうに認識しております。
 小泉総理も、この燃料電池自動車は極めて有効な手段であるということで、政府もこれの推進、そして実用化に向けて取り組むということを表明いたしておりまして、実は私ども、副大臣でプロジェクトチームをつくりまして、経済産業省あるいは国土交通省、そして環境省、連携をいたしまして、今週の月曜日にその提言書をまとめまして経済財政諮問会議にも提案をさせていただきました。
 技術革新、そして普及啓発、実証実験、ソフトインフラ、これは規制緩和が中心でございます、それと、導入のためのインセンティブ、こういう五つの柱からの具体策を提案させていただいております。こういったものに早く取り組んでいくということが、CO2の削減、そして環境に優しい社会をつくっていくことに資すると思っております。
 特に、この燃料電池自動車につきましては、実用が間近いという技術でございまして、政府としても、そういった技術については集中的に投資をして支援して、実用化を目指していくべきだという決定をいたしておりますので、私どもといたしましては、そういう視点にも立って、この燃料電池自動車を初めとするクリーンエネルギー車の普及につき全力で支援をしていきたいと思っております。
達増委員 では最後に、産業政策としての、自動車産業全体に関するいわば戦略について、政府の基本的考えを伺いたいと思います。
平沼国務大臣 自動車産業というのは、出荷額におきまして全製造業の一三%を占めるなど、我が国経済の中核的な役割を担っている基幹産業だと思っております。したがいまして、この産業の健全な発展というのは、日本経済にとって必要な、不可欠なことだと思っております。
 近年、世界の自動車産業においてグローバルな再編が進展をしておりまして、日本の自動車産業も世界規模での厳しい国際競争に直面していることも事実であります。日本の自動車メーカーは、従来より、高度の品質の車をむだなく生産するシステムにおいて世界の自動車産業をリードしておりまして、こうしたいわゆる物づくりの実力は今後とも日本自動車産業の競争力の源泉だと思っております。
 それに加えまして、環境への対応が時代の要請でございます。また、ITが経済社会全体に普及する中、燃費や排ガスといった環境対応技術やITS、電子制御技術等のIT高度利用技術を高めていくことが国際競争において大きな要因となっていく、このことは確実だと思っております。
 こうした中、当省としては、従来から、産業活力再生法等によりまして企業の構造改革を側面から支援するとともに、燃料電池自動車等の世界を先取りした次世代環境技術の開発やその普及に対する支援や、ITを初めとした企業の技術開発に対する取り組みを税制措置等により支援してきておりまして、加えて、先般私が取りまとめました競争力強化のための六つの戦略を具体化する中で、さらに付加価値の高い、また国際競争力のある自動車産業の構築に全力で努力をしていきたい、このように思っております。
達増委員 自動車産業のあり方というのは、産業構造全体のあり方につながる、直結するものですから、ぜひ戦略的に取り組んでいただきたいと申し上げて、質問を終わります。
谷畑委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 前回、二十九日の委員会に続いて、自動車リサイクル法案について質問をいたします。
 先日の質問の際、大臣もでありますが、岡本製造産業局長から、使用済自動車のリサイクル費用の負担のあり方、これについてオランダの事例が引き出されました。オランダでは費用を外部化してユーザーの負担でリサイクルを進めていることを一言付言したい、こういう旨の答弁がありました。この御答弁の趣旨をまずお聞きしたいと思います。
    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕
岡本政府参考人 自動車のリサイクルについて、先生御案内のように、EU指令というのが出されていて、そのもとでオランダが一つの典型的なケースとして取り組みを進めている。それから、ドイツは、今のところは、自動車業界の自主的取り組みと政府との間の一種の契約ということに基づいて現状は取り組みが行われ、今議会で新しい政令が審議中、そういう段階にあるわけでございます。
 私どもが今回御提案させていただいておりますリサイクル法案における仕組み、それと結果的に共通する部分の多いオランダにおける取り組みというのが、ヨーロッパの中でも一定の高い評価を得ている自動車のリサイクルの仕組みということで存在しますものですから、そういった旨の言及、御説明をさせていただいた次第でございます。
大森委員 今もお話がありましたが、そして前回も質問をいたしましたが、ではお聞きしますけれども、同じEUのELV指令を具体化したはずなのに、お話しになった、ドイツでは費用を内部化し、そしてオランダでは内部化しなかったと。それぞれの国の実態の違いについて御説明をいただけますか。
松大臣政務官 お答えさせていただきます。
 オランダにおきましては主要な自動車メーカーは一社だけでございまして、ネッド・カーでございますけれども、そのほかは輸入業者が輸入された自動車であることがオランダの現状の制度を選択することとした大きな要因の一つであると思います。
 そもそもリサイクル制度は、製品の特性や使用済みとなった場合の処理実態に応じて、各国ごとの事情に合った最適な制度というものを構築することが重要でございます。
 リサイクル料金を自動車ユーザーから事前に徴収して団体が管理するという点におきましては、本法案における制度とオランダの制度との間に一面の類似性があるのは確かでございます。岡本局長もおっしゃったと思いますけれども。我が国におきましては、国産比率が高いということから、自動車メーカー間の競争を促進する制度を構築することを目指したものでございます。国産のメーカーが多いということでございます。
 これがオランダでございます。
 また、ドイツのように、リサイクル費用の製品価格への内部化によってすべての自動車メーカーが負担すべきという、ドイツはこういうふうになっております。
 これにつきましては、製品価格に内部化した場合も最終的には自動車ユーザーの負担となっているわけなんですね、中に入っているけれども、最終的にはリサイクル料金も含まれているということでございます。また、仮にメーカーが倒産した場合など、そのリサイクルに必要な料金がなくなってしまうということも考えられるわけでございます。そしてまた、リサイクル料金という形で表示されない場合は、つまり内部化された場合は、メーカー間の競争が、つまりリサイクル料金の競争ということですね、それが働きにくいといった問題点もございます。
 このようなことから、我が国に最適な自動車リサイクルシステムとして本制度を御提案している次第でございます。
大森委員 よくわからないんですが。
 私が伺ったのは、片方、オランダはEU指令のもとで外部化し、そしてドイツは内部化している、どういう事情からそれがくるのかということを伺ったわけなんですが。それは、一方が、ドイツが国際的な自動車メーカーが多い、オランダの方はわずかそれが一社であるという大きな違いがそこにあると思うんですね。
 さっき岡本局長が、オランダは我が国と共通点があるとおっしゃいましたが、では、オランダと我が国の使用済自動車のリサイクルをめぐる実態、これについて異なる点と共通点はどういう点でしょうか。
岡本政府参考人 我が国の自動車のリサイクルということについて、今もう八〇%を超えるところまでリサイクルが進んでいるということに端的にあらわれておりますように、これまでの日本におけるリサイクルもそれなりに着実に進展していると私どもは思っております。ただ、先生御案内のように、最終処分費用の増嵩という問題と、リサイクルの過程で回収されますスクラップ価格の大幅下落ということで、有償が逆有償に転じて、このままでは不適正処理が進みかねないという懸念があって今回の御提案に至っている次第でございます。
 オランダにおいても、リサイクルという点については大変熱心な取り組みがされていて、メーカーと輸入車の割合という点では、これは日本に比べて向こうは輸入の割合というのは断然多うございますが、費用の徴収という点においては、頭で、新車販売時にユーザーの方々に料金を御負担いただいて、それを外積みするという方式で資金を管理保全しながら全体のリサイクルシステムを回していく、そういう点においては我が国と共通した部分もあろうかと思います。
大森委員 同じ外部化しているということが共通点だというお答えなんですが、そういう同じ外部化しているということに至った共通点は何かということを伺ったわけです。それは全く答えになっていませんね。
 ですから、今あえてオランダ、ドイツ、日本の三国について見たわけなんですが、自動車の製造や流通の実態からいっても、あるいは国内的にも世界的にも有名な自動車メーカーが存在するかしないかという点でも、さらには、使用済みの自動車が圧倒的に国内生産の自動車が多いという点でも、オランダとドイツとどちらが日本に共通しているかといったら、これはもうだれしもドイツが共通している、類似していると認めると思うんですね。
 オランダについては、実際に動いている車も、恐らく使用済自動車も、圧倒的に輸入車が多い。それは内部化する条件がないわけですよ。内部化する条件がないという、いわば極めて特異な国の事例を持ち出して、今回の自動車のこの費用、OECDのこういうEPRの原則から外れていることを合理化する、こういうやり方は私は絶対に許せないものだと思います。
 そういう、それぞれの国の実態にマッチした制度の構築と、これは一見もっともでありますけれども、形式的にそういうことをとらえて、このEPRの本質を理解しないか、あるいは意識的にゆがめるというやり方は、やはり何が何でも自動車産業の当面の利益しか眼中にないということを、これは大臣も含めて表明するものだと思いますが、これは大臣、いかがですか。
平沼国務大臣 大森先生の御意見というのは、ドイツと日本とは非常に自動車産業の実態、形態が似ているじゃないか、オランダは特に輸入が多くて、一社しかない、だからそのオランダに例があるからといって、例としてそれを挙げるのは非常に不当であるし、やはりドイツ方式のようにすべきではないか、こういう御意見ですけれども、私どもとしては、今回の法案の中にも拡大生産者責任というのは盛り込んでいると思っております。
 やはりそれぞれの国によって、ドイツの方式がそうだから、日本もそれに類似しているからそうだ、こういうことは必ずしも全面的に言い切れないと思いまして、我々の国としては、やはり今のいろいろな事情を考えて、そして私どもとしては、初めてでございますけれども、自動車メーカーが、そういう意味ではこの循環型社会において、三つの品目、こういう形に限定しておりますけれども、責任を持ってそれを回収して処理する、こういうシステムをつくり、さらにこの法律によって、設計上もこの循環型社会に合った、メーカーとしての責任を果たす設計をする、また使用する材料の材質についても回収しやすい、または廃棄しやすい、そういうものを使う、そういうインセンティブも働くわけでありまして、そういう意味では、日本型の拡大生産者責任にのっとった形でございまして、それがOECDの方策についても逸脱をしたものではない、私はこのように思っています。
大森委員 先般の委員会の質問でも同僚委員も指摘しましたが、EPRの原則の本質というのは費用の問題である、これはもう至るところでそのことを非常に強調しているわけですね。決してそこをあいまいにしてはならないと思うわけです。
 あわせて、費用の内部化ということは、インセンティブという点でも圧倒的に質的にこれは違ってくる。とにかく、内部化された場合、本当に極少のものにするという企業の努力が働く。もちろん、費用の内部化の場合も、これはユーザーは一切負担するなということではなくて、一定のものはそれはするわけでありますけれども、こういう内部化を通じてそれも最少のものにできるだけ切り詰められていくという決定的なインセンティブの違いがあるということをしっかりこれは見ていただきたいと思うんですね。
 観点を変えまして、こういう本法案のような使用済自動車のリサイクルシステム、これはいずれ国際的な批判も必ず受けることにさらされることにもなるのではないかということであります。大体、なぜOECDのこういう原則なのか、この根本のところをやはりしっかり見なくちゃいけないと思うんです。
 かつてPPP、生産、消費の過程での生産者責任、この原則というのが、国際競争を公平にするためには環境コストを製品価格に含めた上で競争すべきだ、こういう考え方でこれはつくられたわけですね。これは大臣も含めてもう大方の認めるところでありますけれども。この拡大生産者責任、政府向けガイダンスマニュアルの中でも、今回のEPRは、排出者の責任、費用面にも責任があるというこのPPPの重要な解釈であるということとか、あるいはEPRはPPPに従ってつくられた、こういうことが明確に書いてあるわけですね。
 我が国の自動車メーカーが欧州諸国に輸出をしております。輸出先で欧州車と競合関係に当然なるわけですが、その場合、日本車はリサイクル費用を負担していない自動車、欧州車はリサイクル費用を内部化して負担している自動車ということになるわけですね。両者が競争という場合にどちらが有利になるか、これはもうおのずから明らかだと思うんですね。
 そういう意味では、これはいずれ日欧間の経済摩擦、やや言えば、そういう種にもなりかねないと思うんですが、この点は、では大臣、いかがですか。
岡本政府参考人 OECDのEPRは、拡大生産者責任という場合に、これは排出者負担というものと両立するということが各国の共通の理解でございます。
 したがいまして、日本が今御提案申し上げておりますようなそういう費用の負担の方式、それとあわせた、メーカーにシュレッダーダストの引き取り義務を初めとする拡大生産者責任というものを日本なりに規定をして御提案申し上げているこうした制度を設けることは、OECDのEPRとの関係でも整合性を損なうところはないというふうに私どもは考えております。
 それから、先ほどの先生のドイツとの関係でございますが、一点御留意を願いたいと思いますのは、ドイツが費用の内部化をするという形でやる場合にも、結果的にユーザーに転嫁されていくというところはもちろんあるのですが、それに加えまして、あの方式でやりました場合に、ドイツの中で実際に起きておりますことは、解体事業者の方々のいわゆる系列化でありますとかあるいは数の激減というような事象が現に起きているということがございまして、関係者の間ではハードランディングという面で見られている部分もございますものですから、その点もあわせ御勘案の上、今御提案申し上げていますように、今ある静脈産業のインフラというものを私ども最大限活用する、それと並ぶ形での、メーカーなり輸入業者に拡大生産者責任でダストの引き取り義務等を法律上担っていただく、そういう御提案申し上げているものの比較を正確にしていただけたらというふうに御期待申し上げるものでございます。
大森委員 関連する周辺的ないろいろな問題は当然あると思うんです。一番事の本質であるこういう費用の負担の問題、この原則をゆがめて、あるいはそこを薄めて論議を進めてはならないと思うんですね。
 PPP、排出者負担原則というのが、これは認められる。生産から消費の過程まで責任を持つ。さらに、今度のEPRというのは、生産、消費にとどまらず、今度、廃棄後まで責任を持つという考えの大きな流れからいえば、当然費用の負担という点でそこは明確な判断をすべきことだと思うんです。そういう意味では、やはりその本質的な問題について、今度のこの法案については一切ユーザーの負担に任せるということで、EPRの具体化などという言葉は、率直に言って全くインチキであるということを改めて指摘をしなければならないと思うんです。
 加えて、先ほど言いましたように、欧州車と日本車の競合、この場合、一方は内部化している、一方はユーザー負担、これはもう競争が公平じゃないじゃないですか。この点はいかがですか、大臣。
平沼国務大臣 日本の場合には今のシステムでユーザー負担、そしてドイツ等はメーカーがそれを全部負っている、それが同じその商品市場場裏でやることに対して、公平ではない、こういうことでありますけれども、しかし、何も製品というのはそういうところだけで競争しているわけじゃございません。欧州市場で日本のメーカーが頑張っていく、そういうところは技術革新もございますわけでありますし、それからまた、そういったいろいろな合理化、こういう形でやるわけで、非常にいい商品価値を生み出せばいいわけでありまして、それは、そういう前提というものをヨーロッパの消費者も最初からあらかじめ納得をする、そういう形で当然PRもしていかなければいけませんから、私は、一概にそういう形で最初から公平性を欠いているということにはつながらない、こういうふうに思います。
大森委員 これは経済産業大臣として極めて重大な発言だと私は思いますよ。
 先ほど紹介したように、PPPの原則、これはもう大方の原則として確定しているように、国際競争を公平にするために環境コストを製品価格に含めて競争すべきだということなんです。その延長線上に今あるんじゃないかと言っているわけですね。そこをぼかして、いろいろなやり方があるんだ、そういうことを認識してもらったらいいんだと言うのは、これはやはり国際的な今の大きな流れに反する立場であり発言であると言わなくてはならないと思います。こういう点では、かつてのPL法をめぐっても何度もこれは問題になったことがありました。
 もう一つ問題を申し上げますと、日本の自動車メーカーの車を購入するということになれば、日本のユーザーは欧州のユーザーよりも相対的に高額な車を買うことになる。というのは、リサイクル費用が別建てで取られるだけじゃなくて欧州のユーザーのリサイクル費用も負担させられる、そういうことにならざるを得ないわけですね。これも我が国の消費者の厳しい批判にさらされることになるんじゃないかと思うんですが、これは当然そうなるというふうに思うんですが、いかがですか。
岡本政府参考人 今度の法案で輸入業者の輸入車についても同様に、販売の時点でリサイクルの費用というのを負担していただく……(大森委員「ヨーロッパへの輸出車」と呼ぶ)
 輸出される車について、当然にリサイクル費用を販売時に徴収するということにはこれはなりません。国内で流通される車について、そういう販売の時点でリサイクルの費用をディーラーのところでお買いになられるときに御負担していただくということであって、輸出車はこれは別のマーケットでございますので、そちらに回っていくものについて、当然にリサイクル費用を私どもあらかじめ預託していただくということは、これは考えておりません。
大森委員 では、お聞きしますが、欧州の車は内部化されておるが、日本から輸出された車が使用済みになった場合、その費用は欧州ではだれが負担するのですか。
岡本政府参考人 これは、それぞれの相手の国においてリサイクルの制度としてどういうものが用意され、実施されているかということによって決まってまいろうかと思います。そのことを私どもが、日本の側において一義的にこうすべしということで決める、そういう筋合いのものではないと考えます。
大森委員 そういう内部化されている国においての場合は、その費用は車のメーカー、関連会社ということに当然なるわけで、それは当然こういうユーザーの費用負担ということで回ってくることに必ずなっていくと思うんですね。
 次に、前回の質問で、料金の問題でありますけれども、リサイクル料金の算出根拠についてチェックできるシステムがあるかどうかという質問をしたわけなんですが、岡本局長は、我々自身も独自に勉強、調査しながらメーカー側に極力安い料金を設定していただくべく法律の運用に臨む、こういう答弁をされました。
 御答弁のように、極力安い料金にするということは当然必要でありますけれども、私が伺ったのは、問題は、料金が安いかどうかということではなくて、適切な料金が設定されているかどうか、ユーザーがそれをチェックできるかどうかということをお聞きしたわけです。料金を負担するユーザーが納得できるものになっているかどうか、それをどう検証できるかということをお聞きしたわけですが、安くなるよう努力するという御答弁ではだめなんですね。料金の計算根拠などなどを公表するというようなことも必要になってくるんじゃないかと思いますが、これはいかがですか。
岡本政府参考人 料金については、各メーカーが競争の中で決めて、これを公表するということに制度上させていただいております。まさに、前回も御答弁申し上げましたように、競争の中で適正なリサイクルをやるという前提で、なおかつリサイクル料金を可能な限り引き下げるという競争が働くことを私どもとしては期待をしているところでございます。
 あわせまして、リサイクルの関係でどういう実績だったかということについて実績報告ということもこの法律の中で規定を設けさせていただいておりまして、そういうことを通じて、メーカーあるいは輸入業者による消費者等への情報の提供というのも行われていくものと考えております。
    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕
大森委員 料金の公表は当然のことで、公表されなければ払えないわけですから。算定根拠などまで情報公開をさせるように指導されていきますか。
岡本政府参考人 私どもは、消費者の方々にいわゆるリサイクル容易性というものの指標の一つ、わかりやすい指標として料金の公表ということは法律上もメーカーに求めているわけでございますが、今先生がおっしゃいました料金の算定根拠というものを全部公表するということは、これは各社なりにそれこそ技術あるいは工夫を凝らしての低減努力というのがあって、その中身によっては、これは全部ディスクローズするということでは、それこそ一種の企業の頑張り代、あるいは企業の秘密に属するようないろいろなノウハウとか技術というようなものにわたる部分もあろうかと思いますので、それを一律に公表するということについては慎重であるべきだと考えております。
大森委員 料金が本当にユーザーが納得できるかどうかということで、できるだけ可能な限りそういう情報公開は求めていってほしいと思います。
 次に、さらに業者の問題であります。
 先日の答弁で平沼大臣は、本法案では解体業者や破砕業者などの既存のリサイクル業者を最大限活用しつつ、拡大生産者責任に基づきまして、これまで自動車リサイクルに直接かかわっていなかった自動車メーカーが中心的な役割を果たすもの、こう答弁されて、さらに、フロン、エアバッグ、ASRの限られた三品の引き取り、メーカーの指定するところへ持ってきたら引き取るということで、この大臣の中心的な役割を果たすということと実際はほど遠いものじゃないかと思いますが、加えて、三品以外の引き取りについて私も質問したわけですが、これも大臣は、廃タイヤ、廃バッテリー、廃油または冷却液は、その大部分がリサイクル過程よりはむしろ整備過程において発生している、本法案のスキームとは必ずしも整合的ではない、こういう答弁をされました。
 きのう、この委員会も視察をいたしました啓愛社、私も先行して視察をさせていただいたわけなんですが、その中でも、今申し上げたようなものについては大変な苦労をして回収をされているわけですね。人手もかける、相当の経費もかけるということになって、これは視察された方は恐らく皆さんそう感じておられるわけなんです。
 大臣がこういう形で御答弁されたということは、やはりそういう実態について御存じないんじゃないか。やはり、整合的でないということで決めつけてしまうのは、こういう業者の皆さんのこういう経費をどうするかという気持ちに対してやや冷たい御答弁じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 前回の御答弁は、実態を踏まえてこの三品目に限ったわけを申し上げて、そして、バッテリーですとかその他のものに関しては、大体、例えばタイヤにしてみると、整備段階で八割近くが外されて、そして最終段階では、十数%がたしか最終段階へ回ってくる。そして、その中で日本の場合には回っているから、既存のそういう解体業者といったところの仕事でもう既に回っていますから、むしろそういったところにやはり活力を与えつつやるということが必要だ、そういう趣旨で申し上げました。
 したがいまして、私どもとしては、現状、この三品目の中で、そして既存の頑張ってくだすっているそういった方々の仕事をしやすい環境をつくっていく、それは中小企業対策の中にも入りますし、そういう形で私どもはこの循環型社会の形成を目指していくべきだ、私どもはそういうふうに思って御提案をさせていただいています。
大森委員 ぜひ、経費がかかっているそうした品目の回収等については検討していただきたいと重ねて要望しておきたいと思います。
 解体業界のお話、先般の参考人質疑でもあり、本委員会でもそれを受けての質疑もありました。市街化調整区域内の問題とかいろいろあったわけなんですが、私も関連して二点ほどお聞きをしておきたいと思います。
 一つは、きのうの参考人の方の意見陳述の中で、ルールを守らない、そういう業者のお話がありました。同じ団体の要望書を拝見しますと、観光ビザなどで入国した外国人労働者が環境を無視した営業を行っているという事態が発生して、まじめな解体業者の営業に打撃を与えるというような要望もありました。これは、ぜひそういう実態があるかどうか調査していただき、必要な対応をしていただきたいということが一つ。
 もう一つは、これも参考人の要望といいますか、意見陳述にありましたが、フロン、エアバッグの回収費用、これは今のシステムではメーカーが決定することになっている。そこで、解体業者の意見などがこの料金決定の際に何らかの形で反映されるようにしてほしいという御意見もありました。この二点、お聞きをしておきたいと思います。
岡本政府参考人 第一の外国人労働者の件につきましては、これは関係の当局とも相談して、どういう対応が可能かということについて検討をいたしたいと思います。
 それから二番目の点につきましては、フロン、エアバッグの引き取りにつきまして、メーカーが一方的にその料金を決めるということではございませんで、フロン回収・破壊法における先例もあって、主務大臣が引き取りの基準というものを、メーカーが設定する、最終的には決めるんですが、それの基準となるべきものを法律に基づいてお示しをするということにいたしておりますので、それの的確な運用ということを通じて、解体業者の方々の御懸念ということについても、私ども、十分意を用いた制度の運用に努めてまいりたいと考えております。
大森委員 質問時間がたちましたので終わりますけれども、今の問題も含めて、前回指摘したように、多くの解体業者が、自分は生き残れるだろうかと強い不安を持っておられる。こういう不安に本当にしっかり真っ正面からこたえていただき、できる限り健全に引き続き営業ができる状況をぜひつくっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 昨日、私ども委員会で解体業者視察に行ってまいりました。ここに、大臣、副大臣、政務官もお願いしたいところでしたけれども、解体業者の会社に実際に視察に行かれた政府の閣僚、行かれた方だけで結構ですが、一言ずつ感想を聞かせていただけませんでしょうか。
古屋副大臣 私は、北九州のエコタウン事業の一環で営まれております解体事業者を視察してまいりました。
 この事業者は、鉄鋼大手の関連の企業が、そのスクラップ等々をいかに有効的に回収していくかという視点からそもそも立ち上げたわけでございますけれども、最終的には、そのシュレッダーダストの処分、あるいはフロンまたはエアバッグの回収につきまして、いわば模範的にやっている事業者でございます。現地に行って見てまいりましたけれども、率直に申し上げまして、この解体事業というのは大変なマンパワーが必要であるなと。そしてもう一つは、やはり熟練と申しますか、実際に作業に当たる作業員の資質というのも極めて大切であるということを率直に感じました。
 将来的には九五%という高い回収率を掲げておりますので、その事業者にその辺について質問させていただきましたところ、今後ともさまざまな工夫をして、そういった目標を達成するために頑張っていきたいといった趣旨のお答えがございました。私は、こういったいわば前向きに取り組んでいる解体事業者が数多く出てくることを大いに期待いたしておりますし、私どもは、またそういった方向で支援をしていきたいと思っております。
大島(令)委員 大臣が現地視察していないのは少し意外でしたけれども、かわりに古屋副大臣が視察されたわけなんですね。
平沼国務大臣 私は、地元の解体業者の方がいらっしゃいます。ですから、今回の法案をめぐって、特に時間をとって、そして目的意識を持って今回は行っておりません。ただ、地元にはそういう業者の方がおられますから、そういった方々とのいわゆる意見交換、それからまた訪問もさせていただいたことがありまして、実態については私なりに把握しているつもりであります。
大島(令)委員 ここで、廃棄物処理業について少しお尋ねしたいと思いますが、一つの例としまして、ナホトカ号の重油流出事故を思い起こしていただきたいと思います。
 ナホトカ号から流出した重油は海岸に打ち寄せられ、それをボランティアが懸命に処理している姿が美談として、バケツリレーですよね、連日報道されました。ボランティアが集めた重油を処理したり、海上の重油を処理したのは実は廃棄物処理業者です。阪神・淡路大震災の際も、廃棄物処理業者は活躍し、その後も、大震災に備えて自治体に準備体制の協力を申し出るなど、社会的な貢献を果たそうとしているのを皆様方もよく御存じだと思います。
 しかし、ナホトカ号のときにも、また阪神・淡路大震災のときにも、ボランティアのような評価は廃棄物処理業者はされませんでした。そこで、私たちの職業が報道で取り上げられるのは決まって悪い話の場合で、例えばダイオキシンですとか不法投棄、違法焼却とか、まじめに働いている廃棄物処理業者が、なぜか正当に評価されないという業者の方の話を聞いたこともあります。
 廃棄物問題では、生産が正であり、まあ光ですね、廃棄物はいわば負、影の部分であるということが長い間表に出ることはありませんでした。現在でもそうであると思っております。循環型経済社会を構築するのであれば、極端に言えば、この正と負の関係を逆転させる、すなわち、廃棄物処理から生産を考えるという発想の転換が私は必要だと思っています。これは先般も言いました。こうした考え方に対する大臣の感想をまずお聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 循環型社会を構築するに当たって、私は両方大切だと思います。ですから、生産するサイドも、やはり有限の地球ということに思いをいたして、その設計段階、そしてそれが循環していくに当たって、いわゆるリサイクルしやすい、そういう基本的な概念に基づいてやっていくことも必要です。したがいまして、今まで、光と影という、そういう例えを言われましたけれども、確かにそういう面は一面あったと思います。
 しかし、やはりこの循環型社会では、最終処分をする方々というのは非常に大切な存在でありますから、やはり報道面においても、そういう正しい、本当に汗をかいてくださっていることはちゃんと報道すべきだと思いますし、社会的にもそういう評価を下していかなければいけない。そしてまた、つくる側とそれを処理する側、そこの意思疎通というものをしっかりとしていくことが必要だと思います。
 例えば、廃棄物処理業者の方々から生産者に対して、こういう問題を、こういうことを処理するに当たっては、こういったところの改善をしたらより循環型社会に役立つぞ、そういう意見交換の場もあって当然しかるべきでございますし、最近はそういう形もとられてくるようになりました。ですから私は、感想というふうにお聞きになられましたけれども、両方大切である、これが感想であります。
大島(令)委員 今度の法案が施行されますと、処理業者は一律に許可制となり、これは新聞報道でございますけれども、公害防止施設のない業者は営業ができなくなる。メーカーが処理業者に費用を払うので適正処理が促されると見られる。しかし、全国に約五千社ある解体業者は零細業者が多く、不安を募らせている。
 昨日、私たちが視察に行った啓愛社も、非常に大きい会社だと思いましたけれども、実働は本当に十二、三人の方々がほとんど手作業でやっていらっしゃる、それでも中堅クラスだと聞きました。「メーカーの選別で零細業者がはじかれてしまわないか。許可を得るため設備投資できる業者はそう多くはない」と思うということで、解体業者が集中する京都府八幡市の自動車処理事業協同組合の理事長は言っておられるわけなんです。
 きのう視察したときにも、約五千社の解体業者があるけれども、今度の法案に沿ってきちっとできる業者は数が少ないであろうということで、結果的に、ルールを守って、基準に合わせて認可をもらえる業者というのは少なくて淘汰される、結局は今ある五千社が少なくなるという話も聞きました。
 そこで、この法案が通りまして運用の段階に入ったときに、この解体業者というのはどういう行方になるのか、大臣か局長、お答えいただきたいと思います。
岡本政府参考人 先ほど大臣からも御答弁ございましたように、解体業者の方々の実際のリサイクルを進めていく上での位置づけなり役割というのは非常に大事だと私ども思っております。
 今度の法案で、許可制を導入し、使用済自動車等の引き取りあるいは引き渡しの義務を課すことといたしておりますが、こうした規制は、適正なリサイクルを確保するという面から必要なものに限って求めることにいたしているものでございます。
 それから、再資源化あるいは適正処理に当たって解体業者の方々に課す行為義務の面につきましても、解体工程の現状を踏まえながら、生活環境保全上の要請から必要最小限の規律を法律上位置づける、そういう程度のものでございます。
 それから、これは先生もう御案内かと思いますが、私ども御提案申し上げている今度の法律によりまして、シュレッダーダストの処理の部分という、今、解体あるいはリサイクルの事業を逆有償の世界に陥れている一番大きな要素の部分というのが今度の仕組みによって大きく解消されて、解体あるいはリサイクルの事業というのがおおむね有償の世界にまた戻っていくということでございますので、解体事業者の方々をめぐる経済的な条件といいますか環境というのは相当改善されるものというふうに私ども考えております。
 そういう中で、法律に基づいて一定の基準なりあるいは対応というのをお願いするということになるわけでございますが、私どもは、解体業者の方々がそういったお取り組みをなさる、そのために一定の施設設備が必要だというような場面も出てまいろうかと思いますが、税制措置とか、あるいは一連の中小企業支援策の活用等も可能かと思っておりますので、こういったことの適用ということを十分考えてまいりたいと思っております。
 これまでるる御説明申し上げましたように、我が国で新たなリサイクルシステムを構築するに当たりまして、解体事業者の方々を中心とする静脈インフラの最大限の活用というのが今回一連の提案をさせていただいております基本にある考え方でございまして、私どもとしましては、解体業者の方々におかれましても、こうした今回御提案申し上げている制度の趣旨にかんがみまして、この法案のもとでいろいろな創意工夫を発揮されながら、積極的な事業の展開を図られることを期待申し上げているものでございます。
大島(令)委員 では、もう一度局長に伺います。
 法律の第十六条の四項に、「その他の残さを発生させないものとして主務省令で定める方法によりこれを利用する者」とは、部品をすべて取り外し、残りを破砕せずにすべて電炉に入れ熱回収するものだそうだということで聞いております。
 これに関しては、熱回収で有償化されることも将来あり得るんでしょうか。あと、フロン回収して再利用されることもある。そうすると、ユーザーが支払った処理費用のほとんどが実はメーカーの取り得で終わることになり、私は、システムとしてまずいのではないかと理解するんですが。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 第一の方は、いわゆる全部利用の事業のケースかと思いますが、これは、解体の段階で徹底的に、ワイヤーの部分でありますとかあるいは塩ビ樹脂部分でありますとか、そういったものを徹底的に分別回収をして、かつ、それをプレスして電炉に投入できるようなところに持っていく、そのことによって、手間は大変かかるんですけれども、シュレッダーダストの処理という工程がスキップできる、そういう面があって、このことはリサイクル率を高めるという観点からは一つの有効な方策だと考えております。
 したがいまして、そういう場合においては、前段階のいわゆる解体工程での作業の中身というのは非常に手間のかかる作業を伴うことになりますので、大臣による認定を前提に、そういった場合にはリサイクル料金全体をお支払いすることがあってしかるべしということで設けたものが十六条でございます。
 それから、フロンの再利用が行われました場合には、これはリサイクルの料金というものはお支払いはしませんで、資金管理法人において剰余金の源泉の一つとして位置づけられておりますので、剰余金として、法律に限定列挙されております用途に使うということになろうかと思います。
大島(令)委員 きのうも視察に行きまして、今丁寧にとっているフロン、結局、今一台一万五千円ぐらいで仕入れているんだそうです。きのうの啓愛社の場合は、ほとんど中古品、リユースですね、それがきちっとしているものですから、とにかくプラス・マイナス・ゼロぐらいで、では、今度の法案が通ったら一台二万円ぐらい入るのでもうかりますねという話をしましたところ、いや、実は、今度はフロン料金が入らなくなるので、結果的には逆有償という形になることもあるので、ちょっと見通しはわからないということだったんです。
 今、丁寧に部品を解体してリサイクルを進めている会社は、多分副大臣が視察に行った北九州市にある二社だけと聞いております。今後はふやしたいというのが経済産業省の考えだと聞いております。
 本当にそうなのか、ふえる見込みはあるのか。例えば、丸ごと溶融炉に入れる会社と丁寧に解体する企業をどのように差別化し、私は後者を育てるべきだと思うんですが、その辺のことはどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
岡本政府参考人 全部利用というケースは、先生ももう御案内かと思いますが、そんなに容易にできるケースではないかと思っております。したがって、解体業者の方々のところで、まさに御視察になられた啓愛社もそうだと思いますけれども、やはりできるだけ部品を、使えるものは取り出して、それから啓愛社の場合も、ネットワークを使って、今中古の部品市場で求められているものというのをタイムリーに押さえて、その在庫を一定の数用意しながら、タイムリーに、したがって値もそこそこの値段がつくときに出していく、そういったことでも随分と御苦労されながら今の事業を展開されているかと思いますが、解体事業者の方々が、まさに、私どもがここで期待申し上げておりますように、使えるものは可能な限り部品としてリユースをする、そういった方向とあわせて、解体の工程で適正処理をされ、どうしても最後に残るシュレッダーダストの部分は破砕業者の方々でリサイクル率をできるだけ高めていく方向で適切な処理をしていただくという大きな方向は、これからも非常に大事だと私ども思っております。
大島(令)委員 昨日の参考人質疑の中でも、日本自動車工業会の鈴木参考人は、二〇一五年までにリサイクル率を九五%にアップすると。その根拠が、私は、なかなか質疑の中では、今八〇%ですから、あと一五%どのようにするのかなという疑問を持ったわけですが、解明されないまま参考人質疑は終わりました。
 そこで、次の質問に入りますけれども、法案の附則第十三条では、「施行後五年以内に、」「検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」としておりますけれども、その「必要な措置」とは現段階でどのようなことを想定しているのか、お願いいたします。
古屋副大臣 委員御指摘の附則十三条では、五年以内に、法律の施行状況について検討を加えて、その結果について必要な措置を講じるというふうに規定がされておりまして、それは具体的にどういうことかというお尋ねだと思います。
 これにつきましては、この法案の骨格をなしておりますいわゆる使用済自動車についての物、金、情報の流れ全般にわたって、自動車リサイクル制度そのものが円滑に運営されているかどうかというこの状況を検討するということでございまして、そういった視点から幅広い観点で制度を再点検し、必要な対応を行うということになると思います。
 それで、実態に合った効率的かつ実効的な自動車のリサイクルが達成されるように十分に検討を行うということでございまして、では、今どういった具体的な内容かということは、実際にこの法が施行されて、その運用をしっかり検討した上でその内容がおのずから明らかになってくるというふうに認識をいたしております。
大島(令)委員 今御答弁いただきました物とお金と情報ということなんですが、このお金というのは、ユーザーが払うリサイクル料と考えてよろしいんでしょうか。
古屋副大臣 委員御指摘のように、預託金のことでございます。
大島(令)委員 そうであるならば、技術革新というのは絶対にこれから、あと十年たてばもっともっと進むと思うわけなんですね。そのときに、もう預託金、ユーザーが払うお金が必要にならなくなった場合、EUの自動車リサイクルに関する指令に盛り込まれた無償化というものも視野に入るんでしょうか。
古屋副大臣 これは、実際に運用をされましたときに、その内容を具体的に検討して必要な措置を講じていくということでございまして、あらゆる可能性を見ながら検討していくということになるわけでございます。
 ちなみに、必要な措置というのは、実際に法律改正が場合によって必要な場合にはそういうものも含まれるということでございます。
大島(令)委員 では、次の質問に入ります。この法律自体についてお伺いします。
 価格の設定に関して、果たして十年後の技術革新を見越した価格設定ができるのかという疑問ですね。今日の技術革新は、先ほども申し上げましたが、目を見張るものがあります。十年前の処理費用が全く不要になることもあり得るわけだと思います。拡大生産者責任が今ずっとこの委員会の中でも多くの委員から指摘されておりますけれども、消費者に責任を押しつけた法案で十年後も対応ができるのか、私は疑問に思っています。
 大臣は、五月二十九日、原議員の質問には、こうした想定について、つまり法律の廃止に向けて、基本的な姿勢は必要である、検討は必要だと答弁されていました。今申し上げましたように技術革新は目覚ましい勢いで進んでいます。今からそういう準備も私は必要ではないかと思います。
 一たん制定された法律を改正とか廃止するというのは、日本の社会、政治の中では非常に難しいようですね。ですから、どういう状況になったら法案が不要と判断されるのか、そのことも含めてお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 十年先どういう技術革新が起こるかわからない、こういう御指摘であります。
 確かに、日進月歩でございまして、これからの技術革新というのは大いに期待できるところでありますけれども、まだ、現時点で具体的な予測というのは非常に難しいわけであります。したがいまして、そういう意味でも、附則十三条の中で、見直す、こういう規定を設けて、やはり日進月歩のそういう動きに対応して、法律自体も柔軟性を持って対処していこう、こういう基本的な考え方でございまして、原委員に対する御答弁もそういう流れの中の一つの方向として申し上げたわけでございます。
 ですから、私どもとしては、この附則十三条で不断の見直しを行って、その時点でふさわしい、そういう見直しをやる、こういうことで担保をしていきたい、このように思っています。
大島(令)委員 では、その見直しというのは、附則十三条の五年をめどにという中に全部含まれているというふうに理解してよろしいんですね。
平沼国務大臣 十分検討いたしました結果、これは法律改正を含めて措置をとる、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
大島(令)委員 それでは、リサイクル料金について実は少し心配しています。メーカー側で談合があるのではないかということです。
 企業の側の論理は利潤の追求ですから、全メーカーが横並びで処理価格を決める。しかも、その価格が実際の処理価格よりも高い。でも、消費者は払わざるを得ない。消費者に選択の余地、防衛の手段はないわけです。先回、原議員のこうした質問に対し、大臣は見守ると答弁されております。
 この法案では第二十四条で、引取基準等に対する勧告の規定は、例えば談合が発覚した場合に、価格が横並びになった場合にも適用され、つまり、変更するよう勧告するということに理解してよろしいんでしょうか。
岡本政府参考人 私ども、競争を通じて各メーカーがしのぎを削る中で料金の低減化に頑張ってもらうということを期待しているわけですが、今先生御指摘のように、万一それを談合するとか、そういうことがあれば、これはもう独禁当局において厳正な調査なり処分が行われるべきものと考えております。
 それから、料金の関係につきまして、これは、法律の中に主務大臣による是正勧告、命令という措置も規定をさせていただいているところでございまして、主務大臣という立場からも、今先生おっしゃったように、今の技術の状況なり、それから実際の要しているコストの状況等をベースにしながら考えて、これはどうしてもおかしいというような場合には是正勧告、命令ということを発動していくことも十分あり得ようかと思っております。
大島(令)委員 少しわかりにくいんですが、大臣の言った見守るということは、メーカーが足並みをそろえて同一価格にならないように見守るというふうに理解してよろしいんでしょうか。
平沼国務大臣 今、岡本局長から答弁をいたしましたけれども、ユーザーに対してそういう不当な行為が起こらないように我々としてはそこはきちっと見守るということは、監視をしながらそこのところは不正が起こらないように私どもとしては責任を果たしていかなければいけない、そういう意味で申し上げました。
大島(令)委員 では、局長に伺います。
 第二十四条で引取基準等に対する勧告の規定がございますけれども、この規定があるということは、何を想定されてこの二十四条が出てきたのか、お答えください。
岡本政府参考人 二十四条の引取基準というものは、フロン回収業者あるいは解体業者の方々がフロンを抜き取ってメーカーや輸入業者のところへ持ち込むということにいたします。エアバッグについては、解体業者が車からそれを取り外してメーカーのところへ持ち込むということになっているわけですが、それでメーカーなり輸入業者から対価をいただくということにしているわけですが、それの基準ということでございまして、その引取基準がおかしい場合には、主務大臣として勧告なり命令が発動できるようにということで規定しているものが二十四条の趣旨でございます。
大島(令)委員 次回の金曜日で法案の審議が終わるということになっております。私は、この三日間と、あと一日の参考人質疑……(発言する者あり)さっき決めたじゃない。決まっていることだから言ったまでですよ。社民党は勢力が少ないわけですから、反対したって無理ですからね。
 今回の審議をずっと聞いておりまして、社民党が主張している、拡大生産者責任に対するとらえ方。この法案は、やはり循環型社会形成のための基本法のもとに、五番目にできている法律である。他の、どの法律を見ましても、例えば容器包装リサイクル法ですと、地方自治体がそのコストを負担し、住民は分別収集に、住民の責務として、国民の責務として協力をするということなんですね。そして、家電リサイクル法も、使い終わった後に三千円何がしのお金を払って、電子レンジなどを買いかえるときに引き取ってもらう、終わるときなんですね。電子レンジだって十年ぐらい使えると思うのです。
 自動車だけなぜ前払いで払わなければならないのか。やはり、メーカーが自由に値段を設定される、メーカーが非常に優位性があるわけですから、私は、先にお金をユーザーから取るのではなく、いろいろな方法で、そういうふうに後から取るとインセンティブが働かないということでございますが、どう考えてみても、ユーザーが先に金を払う、そして資金管理法人が一兆円から一兆五千億円のお金を預かる、それの法人も、答弁を聞いていまして、まだなかなかどういうものかつかめていないように、先ほど来の民主党の議員さんへの答弁を聞きますと、今の段階でお答えできないと。法案が準備されているのにこういう状況ですので、本当になかなか理解しにくいわけなんです。
 そういうことも申し上げて、時間が来ましたので、きょうの質問はこれで終わりにさせていただきます。
谷畑委員長 梶山弘志君。
梶山委員 自由民主党の梶山弘志でございます。
 この法案、昨日の連合審査会を含めて四日間の審議をしておりまして、詰めていかなければならない課題が大体明確になってきたような気がいたしております。これまでの委員各位の質問と重複する点もあろうかと思いますが、これまでの議論の確認、また、ほかの国、外国との制度の比較という点から質問をさせていただきます。
 昨年九月、当委員会に所属しております増原委員、山本委員、平井委員、谷本委員、総勢十二名でドイツ連邦共和国を訪問いたしました。脱原発政策を初めとする独自の政策で環境先進国と言われるドイツの実情を知ることが目的でございました。フォルクスワーゲン社のリサイクル研究所を初めとして、各種事業所を視察するとともに、行政の担当者、そして政府・与党の政策責任者と意見交換をしてまいりました。
 当たり前のことではありますが、ほかの国の制度、そして実情を理想の形として求めるのではなくて、他の国の制度を参考にして自分の国に合った制度をつくっていくのがやはりベストであるということを改めて感じてまいりました。
 個々の技術や設備につきましては、特に珍しいものもなく、日本にあるものと大体同じものでございました。しかしながら、国全体の取り組み、国民一人一人の意識の高さというものは、さすがに環境先進国と言われるだけのものがあるなと感心をしてきた次第でございます。
 例えば、前もこの委員会の論議の中でも松島委員が指摘しましたように、例えばこのカーテンをあけること、ドイツのいろいろな役所に行っても、国会議事堂に行っても、事業所に行っても、できるだけカーテンをあけて、自然光の中で、その採光の中で仕事をしている。条件が許せばそういう条件の中で仕事をしている。我々が行って意見交換をする際も、そういう場でございました。
 また、国民一人一人の意識という点では、町のどこを見てもアルミ缶やスチール缶の飲料の自動販売機が見当たらない。瓶が中心であり、またあるいはペットボトルも、少々傷ついてくると濁って見えるのを承知の上で、二回三回とリユースしている。
 そういったことを見てきて、経済というものは、時折、環境と相反する課題を抱えるものでありますが、経済産業省として、環境に対する意識、取り組み、そして広報、啓蒙活動の現状というものをお聞かせいただきたいと思います。
古屋副大臣 委員は、環境先進国であるドイツを視察されたということでございまして、大変そこで印象深かったという趣旨のお言葉を今いただきました。
 振り返ってみますと、日本は、高度成長期、そしてその後バブルを迎えまして、ある意味で消費は美徳であるという精神が国民ひとしくしみ込んでいたというのは事実だと思います。しかし、そういった時点でもう既にヨーロッパ諸国では環境リサイクルというものに対しての取り組みを始めていたということだと思います。
 私どもは、二十世紀の末を迎えたこの十年の間に、バブルが崩壊をして、そしてまた、今までのそういう右肩上がり、すべて生産をすることによって対応していくという考え方からやはり一歩脱却をして、環境に優しい社会をつくっていこう、これが大きな世界の流れであるし、また日本もそういう流れの中に入ってきた。私は、これは大変好ましい傾向であると思っておりまして、循環型社会形成推進基本法、これでも三Rがはっきり位置づけられました。
 私どもも、この精神をしっかり踏まえながら、ただ一つ言えることは、環境を重視する余り経済が衰退をしては意味がありません。したがって、環境と経済の両立をいかに図っていくかということが、私ども経済政策を担当する役所としての基本的な理念だというふうに考えております。
 また、国民一人一人がやはり環境ということに対して認識をしていただく、これは極めて大切でございまして、今度の地球温暖化対策推進大綱の中にも極めて高いハードルを我々は設定いたしました。そのときには、やはり事業者に対する責任、政府の責任、そして国民一人一人がそういう認識を持ってもらうということもはっきり示されておりまして、私どもそういう啓蒙というのも極めて重要だと思っております。
 そういった啓蒙活動のために、例えば、具体的には、シンポジウムを開催したりとか、パンフレット、ポスターあるいはインターネットを通じて、いろいろ啓蒙活動をいたしておりますし、また学校教育の中でも教育支援事業というものを展開させていただいております。
 それから、やはりリサイクルということで、具体的に私どもが取り組んでいる問題としては、エコプロダクツ展であるとか、それからエコタウン事業、こういったものをさらに拡大していくということを通じまして、私どもは、冒頭申し上げましたように、環境と経済が両立する社会の構築のためにあらゆる政策を提案していきたいと思っております。
梶山委員 ありがとうございました。
 経済産業省が環境への取り組みの広報そして啓蒙活動をすることは大変に意義あることだと思いますので、引き続き取り組みをよろしくお願い申し上げます。
 これまでの議論においてもたびたび話題になってまいりましたが、ドイツにおきましては、自動車のリサイクルの費用は全額メーカーが負担ということになっております。EUの指針を示したEU指令は、メーカーが全額負担ということではなくて、その大部分を負担すべしという表現になっているかと思います。そして、メーカー側もユーザーの負担を提案し続けております。
 言葉の解釈の問題はあるかと思いますが、環境のコストというものは分担をする、そして環境への意識を高めるという観点から、私個人としましては、日本式の方が大変望ましい形であると考えております。
 ユーザーが処理費用を負担するというこの是非につきましても、これまでの委員会で論じられてきましたが、今回の制度をちょっと確認させていただきたいのですが、ユーザー負担分は、フロン類、エアバッグ、シュレッダーのこの三点を対象とした料金である。そして、私の考えでは、この料金だけではなくて、数字として出てこない部分で、実際のメーカーの負担分というか分担分もある、そういった思想でよろしいんでしょうか。
 そしてもう一点。また今、ユーザーが負担する、巷間二万円と言われておりますけれども、各メーカーが独自にリサイクル料金を設定するので施行時にはこれより安くなる可能性もある、また、施行後もメーカー側の努力によってさらに安くなる可能性もあるという解釈でよろしいのかどうか、お伺いいたします。
平沼国務大臣 梶山先生にお答えをさせていただきます。
 本法案は、全体として、自動車のリサイクルをすべてメーカー任せにして自動車ユーザーの参画を求めない、こういうことではございませんで、今御指摘になられたように、むしろ自動車ユーザーを含むそれぞれの関係者が一定の役割を果たすことによりまして、循環型社会の形成が促進されるとの基本的な考え方に立ってつくられております。
 したがいまして、御指摘のように、本法案で御提案をした制度は、EU方式に比べて、国民の環境意識の向上をより期待しているものである、こういうことが言えると思っております。
 リサイクルに必要なコストの分担という視点から見て、三品目のリサイクル料金以外にメーカー負担分もあるという認識でよいかという点につきましては、例えば情報管理システム、あるいはリサイクルシステムの構築に要するイニシアルコスト、また各メーカー及び業界における組織体制整備、こういった制度の立ち上げに向けて必要となる人的、資金的負担については、自動車業界に積極的な役割を果たしてもらわなければならないと思っています。
 また、自動車メーカー等が将来の費用変動のリスクを負う、そういう制度としているわけでありますが、その結果として、将来不足する資金をみずから販売価格の中から負担するという事態も生じ得るものだと思っています。
 さらに、今二万円と言われているリサイクル料金が実際はこれより安いのではないか、こういう御指摘でございますけれども、各メーカーは販売競争の中でおのおのが独自にリサイクル料金を設定することとなっておりますので、リサイクル料金の低減に向けて可能な限りの努力が行われる。そして、俗に二万円と言われているものは、フロンを冷媒とするカーエアコン及びエアバッグが装着されているいわばフルセットの場合でございまして、多くの既販車のようにエアバッグが装着されていない、そういう場合には二万円から相当下回る、その可能性が高いと思っております。御指摘のとおり、二万円という金額より下回ることも当然期待できる、このように思っております。
梶山委員 ドイツにおきましては、メーカーに引き取り窓口の義務を負わせております。そこからの静脈部分の流れは、メーカーを頂点として系列化をしている。そしてこの系列化によって、また、解体のやりやすいように、解体の時間、コストがかからないように、設計へ反映させることができやすいシステムとなっております。
 日本の場合は少し流れが逆になると思うのですけれども、この設計、解体をすることによって得た知識、また経験によって、設計への反映というものがなされるのでしょうか。その点につきましてお伺いいたします。
岡本政府参考人 自動車メーカーがシュレッダーダストを無償で引き取る義務を負ってその費用低減に向けて頑張っていく上においては、解体工程におけるリサイクルを促すということも非常に大事になってこようかと思います。
 自動車メーカーは、エアバッグの回収及び運搬に要する費用を解体業者に対して支払うこととなっておりますが、エアバッグの回収に要する費用も自動車の設計を工夫することで低減できる、そういう位置づけにあろうかと思います。
 自動車は資源有効利用促進法による指定再利用促進製品に指定されておりますことから、メーカーは、リユースあるいはリサイクルが容易な設計・製造に取り組むことが義務づけられております。
 以上のような次第でございますので、我が国においても、自動車メーカーは、解体業者の解体実態を踏まえた自動車の設計なり製造に意を用いていくということが必要かと考えております。
梶山委員 廃車の残存液体、例えばエンジンオイルであるとか燃料、冷却液、ウインドーワイパー液、さまざまなものがありますけれども、地下水や表面水に影響を与える可能性ありということで、ドイツでは、抜き取り前の廃車の保管の仕方、そして抜き取り後の液の保管の仕方、そしてまた、作業を行う業者の設備にまでさまざまな規制が求められております。
 我が国においては、この残存液体についてはどのような取り扱い、処理を考えているのでしょうか。
岡本政府参考人 先生御指摘のとおり、ドイツにおきましては、使用済自動車の解体業者について、廃油等の液状物の適正な抜き取りに必要な能力の担保のための制度化がなされているというふうに承知をしております。
 我が国におきましても、解体業者による使用済自動車からの液状物の適正な抜き取りについて、一つは、平成九年の自動車リサイクル・イニシアティブ、それから平成七年の、当時の厚生省が策定された事前選別ガイドライン、この二つに基づいて自主的な対応がなされているところでございます。
 これらに加えまして、新たなリサイクル制度におきましては、解体業者の方々に廃掃法に基づく廃棄物処理基準が適用されることになりますので、廃油等の液状物が地中に浸透しないような処理を行うことが義務づけられることになろうかと思います。
 また、解体業者の許可基準において、廃油等の液状物が地中に浸透しないように必要な措置を講じていることを一つの要件とすること、あるいは、解体業者の再資源化基準において液状物の分別回収について規定するということも考えられようかと思います。
 今後、基準の詳細を最終的には省令ということで定めていくわけでございますが、関係者の方々の意見をよく聞きながら検討してまいりたいと考えております。
梶山委員 先ほど社民党の大島委員からも質問のあったことなんですが、ドイツは、引き取り窓口であるメーカーからの流れを系列化することによりまして、設備のできていない業者というのが淘汰される形になっております。十年前約六千社あったリサイクル関係企業が約千三百社になっていると聞いております。
 我が国では既存の業者を一〇〇%うまく活用していくというお話でありましたが、中小企業の対策という観点から、この辺どうお考えなのか。また、今までの業者、今までの設備のままで一〇〇%利用した場合に環境保護の徹底が図れるのかどうか、反対の面でございますが、その点についてお伺いいたします。
岡本政府参考人 本法案におきまして、私ども、自動車メーカーを初めとする民間の事業者の活力を最大限活用するということ、それから、今あります、今先生おっしゃいました既存の静脈産業のインフラ、解体業者の方々を中心とする静脈産業のインフラというものをできるだけ活用するということを基本にしながら、制度の設計ということで議論をしてまいったところでございます。
 したがいまして、解体業者等の静脈関連事業者の方々が、使用済自動車を引き取った自動車メーカーの傘下に入って支配されるというような事態は日本の場合には起こり得ないものと考えております。
 他方で、今先生御指摘の環境保護の観点からの御懸念という点につきましては、使用済みの車のリサイクルの確保及び生活環境保全上の支障を防止するという観点から、解体事業者の方々にも今度登録制あるいは許可制を導入するとともに、その仕事のやり方に関しまして一定の行為義務を課すということにいたしておりまして、そのことによって必要最小限の規律を法律上行っているところでございます。
 さらに、積極的な取り組みを行う解体業者あるいは破砕業者につきましては、その事業に要する施設について税制措置あるいは各種の中小企業支援施策の活用というのも可能でございますので、こういったことも御活用いただきながら、ぜひ関連の方々に積極的な事業展開を図られることを期待しているものでございます。
梶山委員 今の点は相反する課題ではありますが、実態面をよく考えて、この経済環境というものをよく考えて運用の方をよろしくお願いいたしたいと思います。
 もう一つ、土壌汚染などにつながる有害物質、これは土壌汚染ということで大変各地で問題になっております。鉛であるとか六価クロムであるとかカドミウムであるとか、さまざまな物質がございます。車をつくるときに、EU諸国並みにこの物質の使用に制限を加えていくのかどうか。
 また、制限を加えた場合に、現在別の有害物質の発生を抑えるために使用しているようなもの、例えばCO2の発生を防ぐために噴射技術の中で鉛を使用している、そういった点がありますが、そういったものはどうなるのか。
 また、そういった場合に、今度は皆さんへの周知、こういう有害物質を使っていますよという周知はどうなるのかということをお伺いしたいと思います。
岡本政府参考人 鉛、水銀、カドミウム、六価クロムといった土壌汚染につながる有害物質につきましては、従来から製品における使用量の削減を図ってまいっているところでございます。
 例えば、鉛につきましては、平成九年の自動車リサイクル・イニシアティブに基づきまして、メーカーの自主的な取り組みによりまして、平成十二年度時点で平成八年度に比べて二分の一に削減するという数値目標を掲げて努力をしてまいりましたが、一年前倒しで目標が達成されるということになっております。全体として順調に進捗しておりまして、現在さらに、鉛につきましては三分の一まで削減する取り組みを行っているところでございます。
 また、水銀、カドミウム、六価クロムといった有害物質につきましては、このイニシアティブでは位置づけられておりませんが、使用量の削減を自主的に推進してきているところでございます。
 一方で、今先生が御指摘になりましたように、有害物質の使用を一律に使用禁止するといったようなことをする場合には、代替技術についての安全性あるいは経済性の面からの検討を十分に行うことが不可欠かと考えております。EU指令におきましても、ちょっと見た目には一律使用禁止ということになっているのですけれども、実は、同時に適用除外部品を相当数設けておりまして、今なお自動車の関連でも、メーカーあるいは部品メーカーとの間で引き続きの協議が行われているという状況にございます。
 本法案におきましては、業界の自主的取り組みが着実に成果を挙げてきた点を考慮いたしまして、当面、有害物質の削減については、自動車メーカーの創意工夫を生かした自主的取り組みにより行っていくことが適当であるとの整理をいたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、業界の自主的取り組みの状況を適切にフォローアップし、メーカーによる有害物質削減の努力を促してまいりたいと考えております。
梶山委員 本法の施行当初のリサイクル率は七五から八〇%と聞いております。そして、二〇一五年の目標は、EUと同じように九五%のリサイクル率にしていこうと聞いております。
 EUは、この九五%のうち、エネルギー利用、熱利用というものは五%以内に抑えようという努力目標、努力目標かな、規則かな、を持っております。熱利用というのは非常に幅が広いものであって、回収できないものも全部熱利用して数字をかさ上げしてしまおうというおそれもあるように感じるんですけれども、日本の場合は、この熱利用というのはどの程度の割合と考えていますでしょうか。
岡本政府参考人 先生御指摘なさいましたように、現時点における自動車のリサイクル率は八〇%前後でございます。平成九年に定めたイニシアティブにおける目標としまして、二〇一五年にリサイクル率九五%を掲げました。これを達成するためには、残る二〇%の部分の大宗を占めるシュレッダーダストのリサイクル率を大幅に向上させることがポイントになってまいります。
 他方で、この法案におきましては、熱エネルギーの回収・活用によるサーマルリサイクルについてもシュレッダーダスト等の再資源化の一方法として認めているところでございます。
 今御指摘の、許容すべきサーマルリサイクルの具体的な範囲については、一つには、マテリアルリサイクルをサーマルリサイクルに優先するとの循環型社会形成推進基本法における基本原則を前提としながら、それからもう一つは、欧州における状況、EU指令において全体のリサイクル率九五%を目指していくということでございますが、うちエネルギー回収分は一〇%以内ということで、この一〇%以内というのは、シュレッダーダストに着目しますと実は比率としては相当高いものになってまいります。こういったEUの取り組みの状況も参考にしながら、関係業界におけるリサイクルの実施状況、それからリサイクル技術の動向等を踏まえながら、私ども今後鋭意検討してまいりたいと考えているところでございます。
梶山委員 これまでの議論でも再三指摘のあった点でありますけれども、資金管理法人のあり方について、きょうの最後の質問をさせていただきます。
 制度設計がある程度できてきているわけですから、その組織の人員、規模もわかるはずでございます。大体何人ぐらいを想定しているのか、もう一度お聞かせください。
岡本政府参考人 私ども、極力スリムで、コストもミニマム、そういうことを旨として必要な人員というのを考えてもらいたいと考えておりまして、人員につきましては、最大でも数十人規模というふうに想定しているところでございます。
 いずれにいたしましても、電算システムによる省力化とかアウトソーシングの積極的活用による組織のスリム化やコストのミニマム化が図られますよう、十分に監督をしてまいりたいと考えているところでございます。
梶山委員 また、この法人に関する一番の関心事でありますが、役員が関係省庁から天下りで来るようなことはないという認識で私はおります。
 再度確認をいたします。この資金管理法人の役員が役所からの天下りという形で来ることはないということを各省庁の口から明言していただきたいと思います。
大島副大臣 梶山先生にお答えを申し上げます。
 本委員会で同趣旨の御質問に対して平沼大臣みずからたびたび御答弁を申し上げておりますけれども、あくまでもこの管理法人は民間主体の法人でございますから、人的構成についても民間が主体的になるというふうに我々は判断をいたしております。
 そして、この管理法人の主たる仕事、いわゆる資金管理業務に精通した人材というのは、当然民間のビジネスを経験された方々の中に多く存在をされるわけでございますから、本法人の常勤の役員には、当然こうした民間の方々の中から適切な方が起用されるということを想定しておりますので、先生の御懸念、我々経済産業省といたしましては、そういう方向で想定をいたしております。
飯島政府参考人 ただいま大島副大臣から御答弁ございましたとおりでございまして、環境省といたしましても、本法人の常勤役員は当然民間の方々の中から適切な方が起用されると考えておりますので、天下りというような御懸念は生じないものと考えております。
梶山委員 了解いたしました。現時点での想定どおりに施行ができることを切望しております。
 これで私の質問は終わりにしようと思いますが、ドイツのフォルクスワーゲンのリサイクル工場に行ったときに、向こうの責任者の方から聞いた話があります。カナダの銅鉱石の中の含有率は〇・八%である、そして、自動車を壊したときの破砕片から出てくる銅の含有率というのは一〇%だ、大変すばらしい資源である、これを利用しない手はないという話を聞きました。
 この法案は、循環型社会を実現する上で大変重要な法案であると思っております。前の世紀、二十世紀は戦争の世紀とも言われましたが、その後半は科学技術の進歩とともに自動車産業の進歩の時代でもありました。そして、世紀が明けて二十一世紀、これから科学技術を扱う我々人間のあり方が、まだまだ生まれていない未来の、我々の将来の世代から評価されようとしております。このすばらしい地球環境という大きな遺産を引き継ぐのが、我々、この時代に生きる者の使命であると思っております。そういった観点に立って、この法律のすばらしい形での成立、そして運用を切望するものであります。
 そしてもう一つ、これは成立した後でも柔軟性を持って、価格やさまざまな件、折に触れて改正していく、そして考えていくということをあわせて切望する次第でございます。
 これにて質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 次回は、来る七日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二分散会


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