衆議院

メインへスキップ



第23号 平成14年6月26日(水曜日)

会議録本文へ
平成十四年六月二十六日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      阪上 善秀君    下地 幹郎君
      根本  匠君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    茂木 敏充君
      保岡 興治君    山本 明彦君
      生方 幸夫君    川端 達夫君
      北橋 健治君    後藤 茂之君
      中山 義活君    松原  仁君
      松本  龍君    山田 敏雅君
      山村  健君    福島  豊君
      丸谷 佳織君    土田 龍司君
      大森  猛君    塩川 鉄也君
      大島 令子君    西川太一郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   政府参考人
   (内閣官房行政改革推進事
   務局長)         西村 正紀君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 福井 良次君
   政府参考人
   (総務省行政評価局長)  塚本 壽雄君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        上杉 秋則君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           広田 博士君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十三日
 辞任         補欠選任
  小沢 和秋君     塩川 鉄也君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  漆原 良夫君     丸谷 佳織君
同日
 辞任         補欠選任
  丸谷 佳織君     漆原 良夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案(内閣提出第九九号)
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案(内閣提出第一〇〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案並びに独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官広田博士君、資源エネルギー庁長官河野博文君、公正取引委員会事務総局審査局長上杉秋則君、内閣官房行政改革推進事務局長西村正紀君、総務省大臣官房審議官福井良次君及び総務省行政評価局長塚本壽雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 おはようございます。民主党の鈴木康友でございます。
 まず、石油公団の問題に入ります前に、大臣に、先日のあのボツワナ・エイズ発言について、冒頭、御質問を申し上げたいと思います。
 平沼大臣は、去る六月十六日に行われました講演の中で、日本国債の格付がボツワナよりも下になったけれども、ボツワナの国民の半分くらいはエイズ患者であり、また、日本は多大な援助国である、そうした国よりも格付が下になるというのはムーディーズの格付の仕方がおかしいという内容の御発言をなされました。
 大臣のあの御発言の趣旨は、ムーディーズの格付がおかしいという点にあったということは十分に承知をしておるわけでありますが、この発言がいささかちょっと閣僚の発言としては不適切なものであったと言わざるを得ません。民主党としては、先週の六月二十日に、鳩山党首を含む五名の国会議員で、大臣のところに抗議と公式の謝罪をお願い申し上げたところでございます。
 既に閣議後の記者会見におきまして、この発言の撤回をされ、また、陳謝をされておりますけれども、本日この委員会におきまして、改めてこの問題につきましての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 御指摘のとおり、私は、国債の格付に関しまして、正確に日本の国力を反映していない、そういう観点から御指摘の発言をしたことは事実でございます。
 その発言の中では、私の考えでは、例示的に事実関係を申し述べた、こういうことでございまして、ボツワナ共和国、そしてボツワナ国民の皆様方を差別的に考えたり、ましてや、非常にお困りで、そして一生懸命頑張っておられるエイズ患者の皆様方を差別的に扱ったわけではございません。
 しかし、私の発言で非常に不快の念を抱かれ、また、傷つかれた方も私はいらっしゃると思います。そういう意味で、閣議後の記者会見で私は正式にその発言を撤回し、陳謝をしたところでございますけれども、この国会の場でも、私は、撤回をし、そして陳謝をさせていただきたい、このように思っております。
鈴木(康)委員 今大臣から発言の撤回と陳謝をいただきました。それは、私どもとしても大いに評価をさせていただきたいと思います。
 その六月二十日に私たちが伺いました折に、民主党の同僚の家西議員からも、大臣がボツワナのエイズ事情について逆に非常に精通をしておられるということについては驚きを持ってとらえられていたわけであります。
 今度、実は来年、第七回アジア太平洋エイズ国際会議というのが神戸で開催をされるわけでありますけれども、これに対して家西議員の方から、所轄は厚生労働省になろうかと思いますが、ぜひ経済産業省としても前向きな支援、協力をお願いしたいというような要請もそのときにお願いをしたところでございますけれども、この点について、大臣の取り組み姿勢についてお伺いをしたいと思います。
平沼国務大臣 家西議員からも、私の大臣室にお越しになられて、いろいろお話がございました。今世界では、エイズに感染され、大変呻吟をされ、苦労を強いられている方々がいらっしゃいます。そういう世界全体で見ますと、家西議員も御指摘されておりましたけれども、労働力の大変大きな減少、こういうことで、世界の経済にとっても非常にこれは大きな問題であります。
 そういう面で、やはり世界を挙げて、国を挙げてこの支援をしていかなければならないと思っておりまして、来年度は国際会議が開催されるわけでございますから、私も、厚生労働省と連携をとりながら、経済産業省としてもでき得る限りの支援をさせていただきたい、このように思っております。
鈴木(康)委員 ぜひその方向で御支援、よろしくお願いをしたいと思います。
 さて、それでは、今回の石油公団の問題に入りたいと思います。
 昨年六月に、皆さんも御記憶のとおり、石油業法が廃止になり、また、備蓄法、そして石油公団法が改正をされました。その折にも、日本のいわゆる石油の開発についていろいろな角度から議論が行われました。私個人の感覚としては、十分な議論を尽くしたという感じはまだしておりません。むしろいろいろ釈然としない部分が残ったわけでありますが、法案が通過をいたしまして、むしろ既発見油田の買収が可能になるとか、公団の機能が強化をされたわけであります。
 ところが、昨年の六月、同じ月に、実は、自民党の行革本部の方では石油公団廃止についての検討に入って、七月には平沼大臣と堀内総務会長の間で公団廃止の方向が合意されるということになったわけでありまして、このことに対しては、法律が改正をされたばかりでなぜかという憤りも感じたわけであります。
 昨年からのこの一連の公団をめぐる問題で、私が一つ釈然としないのは、一つには、二兆円を超えるお金を使いながら、ある意味で今までのずさんな取り組みによりまして自主開発というものが思うように進まなかった、しかしながら、その責任の所在がいまだどうもあいまいである、過去の清算ができていないということがまず第一点であります。
 次に、石油が我が国にとって非常に重要な戦略物資であって、不測の事態に陥ったときのために原油を確保しなければならないという、その一点のみが国が油田開発にかかわる一つの根拠となっておりまして、相変わらず、では、将来どういうビジョンのもとにやっていくんだとか、あるいはその戦略、こういったものがあいまいなままであるということ。
 そして三点目は、そうしたものの底流に天下りという、いろいろな意味で不信を抱かせるような構造がやはり一つ根強く残っている、こんなことがどうしても釈然としないことにつながっているというふうに思うわけであります。今回のこの議論の中で、できるだけこういうことに関してすっきりとさせるという取り組みが必要ではないかと私は思うわけであります。
 そこで、まず冒頭、一つの人事について、その根拠についてお伺いしたいと思います。
 昨年の石油公団の問題を議論したときにも、その中で天下りの問題というものについても取り上げられたわけであります。大臣も、今後は民間の活力を大いに利用して、天下りというようなものについては是正をしていかなきゃいけないといった趣旨の御答弁をいただいていると記憶をしているわけでありますが、その法案が可決した直後に実は天下り人事が行われたわけであります。
 それは、元通産事務次官の棚橋祐治氏が、六月二十六日に石油資源開発の社長に御就任をされております。この会社は公団の中では一番優良企業と言われておりまして、その前はいわゆる公団人脈のドンと言われた和田さんが長くその社長を務められた会社であるというふうに理解をしていますが、法案が成立した直後になぜ棚橋さんがこの社長に就任をされたのか、どういう経緯でそういう人事が行われたのかということについてまずお伺いをしたいと思います。
河野政府参考人 御指摘の棚橋氏でございますけれども、昨年の六月に石油資源開発の社長に就任をしております。
 その背景といたしましては、昨年六月の時点で、あるいはそれよりさらに前の時点かと思いますが、前任の若杉社長の就任期間が六年に及んでいたということで、会社の経営判断として社長交代が適当という判断がなされたというふうに承知をいたしております。
 後任の社長としてその棚橋氏が石油資源開発の取締役会で選任された理由といたしましては、棚橋氏個人としての経験などが評価されたのではないかというふうに承知をしております。
 いずれにいたしましても、公務員の再就職という問題、いわゆる天下り問題として国民の皆さんから強い批判があることを真摯に受けとめまして、内閣で取り組んでいる公務員制度改革におきまして、特殊法人等の公的部門を再就職の容易な受け皿とすることがないようにするなど、国民の皆さんの信頼を確保し得るルールを確立することにいたしておりまして、当省としてもこうしたルールの確立に協力し、また、その確立されたルールを遵守する立場にございます。
鈴木(康)委員 棚橋さんについては、非常に優秀なお仕事をされたということも伺っておりますが、一方で、省内のいろいろな人事の問題とか、泉井さんの事件の影響等で石油公団の総裁のいすも逃したと言われることもいろいろなメディアの報道を通じて私も記憶をしているところでありますが、なぜその棚橋さんでなければならなかったかという理由が今の説明では私はまだ納得できません。
 これから民間の活力を生かしていこう、大臣のそんなお考えも昨年聞かせていただいた直後に、なぜ、民間の中にはそういう人物がいないのか、そういう検討がなされなかったのかということについて私は非常に疑問を持ちます。そういう適当な人物が民間の世界にはいないという御判断をされたのか、その点ちょっと再度お伺いしたいと思います。
河野政府参考人 先ほど申し上げましたような事情で、石油資源開発において、棚橋氏の経験などを考慮して適任という判断をなされ、選任をされたというものだと思います。
鈴木(康)委員 全く理解できないわけであります。法律が成立した直後にこういう人事が行われるという感覚が私は信じられないわけでありまして、大臣は今回、例えば特殊会社のリーダーは民間から登用したいというような御発言もされているわけでありますが、結局、これはほとぼりが冷めたらまたもとのもくあみになるというようなことが起こらないとも限らないわけでありまして、実は、こういうことが行われること自体がいろいろな議論が前に進まない非常に大きな原因になっていると私は思うんですね。これはぜひ重大なこととして受けとめていただきたいと思います。この問題、また別の機会にもやりたいと思います。
 さて、今度は独立行政法人についてお伺いをしたいと思います。
 今度新たに独立行政法人が設立をされて、そこにリスクマネーの供給でありますとか技術でありますとかの機能が移転をされるということになっております。独立行政法人というのは、皆さんも御承知のとおり、国が、その法人が行う事業に関して、達成すべき目標を定めてその業績を事後評価をして、目的達成ができなかった場合などはその法人の長に責任をとらせるというようなことも行うということが決められているわけであります。
 とするならば、今度設立をされるかもしれない独立行政法人においては、当然、自主開発を今後支援するということであるならば、例えば期間を決めて、目標数値三割なら三割、そういうものを定めて、それが達成されるかされないか、あるいはその目標に対してどういうことが行われてきたかということを事後きちっと評価をする、そういうことになると理解をしてよろしいですね。
河野政府参考人 先生御指摘のように、独立行政法人は、国の事前関与をむしろ事後評価に変えるということでございますので、中期目標を示し、法人が策定した中期計画に沿って業務が行われているかどうか評価を行うというメカニズムでございます。今回の独立行政法人についてもこういったことを考えているわけですから、当然適切な目標を設定してまいりたいと思っております。
 ただ、今御指摘になりました三割、あるいはそういった数値目標ということになりますと、実は一九六七年の石油審議会で、それまで原油輸入量の三割を自主開発で行おうという目標を設定してきたこの審議会が、やはりどうも数量の達成を優先させ、効率性よりも量的確保に配慮する嫌いがあるのではないかというようなことなどの指摘もありまして、二〇〇〇年八月の石油審議会開発部会の中間報告では、原油の自主開発の三割という目標は廃止をするということが適当だという報告を実はいただいたのでございます。これは、数値に偏って効率性を忘れてはいかぬということでもあるし、また、石油のみならず天然ガスの自主開発なども考慮に入れていく必要があるということであったわけでございます。
 そこで、今回のこの独立行政法人の目標に、同じような、当時見直した方がいいという指摘を受けた目標をそのまままた持ち出すということはどうかと思いますが、いずれにしましても、御指摘のように、我が国の石油あるいは天然ガスの安定供給の確保をこの独立行政法人の使命とするわけでございますから、国の方針が的確に業務に反映されるような目標を提示してまいりたいと思っております。
鈴木(康)委員 私は、事業を行う限りは何らかの数値目標の設定というのはやはり必要だと思うんですね。自主開発原油の割合を三割にするかどうか、これはおいておきまして、例えば何らかの、では天然ガスはこれだけ、あるいは石油はこれだけというようなきちっとした目標数値を決めていかないと、何をもって私はその評価をするのかということがさっぱりわからないわけですけれども、当然そういう数値目標をこれから考えていくというふうに理解してよろしいでしょうか。再度確認をしたいと思います。
河野政府参考人 目標の設定の仕方にはいろいろあると思います。必ずしも数値でなくても、例えば支援するべき対象をどのように限定していくかとか、あるいはまた、ここでも議論になっております多角的なソースを確保していくというために、例えば非中東案件に注力すべしであるとか、あるいは天然ガス案件について特に取り上げるべきであるとか、あるいは埋蔵量の大きい案件を中心とするといったようなこともあろうかと思いますので、どのような目標を設定するかについては引き続き検討させていただきたいと思います。
鈴木(康)委員 これから先のことでありますのでこれ以上やりませんけれども、私は、やはりきちっとした数値目標を決めていただきたいと思います。それがなければ、どうしてもやはり、事後の評価をする場合に、これは非常に評価がしにくいわけでありまして、民間企業の場合であれば、どんな企業でも、売上目標なりなんなり、それは、いや、やってみなきゃわからないから数字は立てられませんなんということは通用しないわけでありますから、その点についてはぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、リスクマネーについてお伺いをしたいと思います。
 今度、経済産業省としては、出資に加えて、どうしても債務保証の機能が必要であるというふうな御主張をされています。一方、行革担当大臣であります石原大臣は、リスクマネーの供給というのは債務保証とは別物だというふうな発言をされていますし、総務会長である堀内氏も、債務保証は必要ないと主張されております。この点、どうなっているのか。私は、債務保証というものを安易に加えれば、減免つき融資をやめたという意味が非常になくなってくるのではないかということを危惧するわけですが、この点、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 石油開発事業には巨額の資金を要することは言うまでもございません。債務保証といいますのは、石油開発企業が当該事業資金を市中銀行等から円滑に調達するために企業の信用を補完するものであると思っております。国としては、必要な石油開発支援策、こういうふうに私どもは債務保証というものを位置づけているわけであります。
 かかる債務保証につきましては、法案作成過程におきまして、官邸でございますとか関係省庁、あるいは与党全体でいろいろ議論をさせていただきました。ですから、今御指摘のような御意見も、それは新聞紙上に出たことは事実でございますけれども、そういう議論をした過程の中で新たな独立行政法人の業務として明定された、こういう経緯はございます。
鈴木(康)委員 ちょっと別の観点からお伺いをしたいと思います。
 これは、昨年の十月の朝日新聞に載った記事でありますが、民間の石油元売の大手であります出光石油の社長が、石油開発に対する国の関与の仕方について批判をされております、この記事の中で。
 つまり、国が税金を使って石油開発に出資や融資をする制度というのは、もうこれはよくないんじゃないか、むしろ企業が開発資金を出す際に税制面なんかで優遇して、そういう民間の意欲や意思を後押しをしていただく、そういった観点での御支援の方がいいんじゃないか、開発地点、どこを開発するかとか、どういうふうな参入の仕方をするか、あるいは事業がうまくいかなかったときの撤退の仕方、時期など、そういったもろもろのことを企業がもっと主体的に判断をする、そういう仕組みが必要であるということを御主張されていますね。
 つまりこれは、もう民間に任せてくださいという意味のメッセージを送ったというふうに私は理解をしているんですが、こういうメッセージが民間の、しかも大手の出光の社長から来ているということについてどういう受けとめ方をされているのか、お伺いをしたいと思います。
河野政府参考人 当時、私どももその新聞の記事を拝見いたしました。出光さん以外の方も含め、この公団改革後の石油開発支援のあり方については、石油関係業界の方からもいろいろな幅広い御意見を伺ってきたつもりでございます。
 もちろん、石油関係企業の皆さんの中にはいろいろな御意見があろうとは思いますけれども、出資ですとか債務保証、こういった石油開発に必要となるようなリスクマネーの供給の必要性という点については、石油業界の中で非常に強い要請があるというのが実態でありますし、私どもの理解でもございます。
 今回の改正におきましては、昨年末の閣議決定を受けまして、リスクマネーの供給機能それから技術開発等、そういった今後とも石油開発のために国が行う必要な支援機能は、新しい独立行政法人を通じまして実施するというふうに考えているわけでございますけれども、その際、民間企業の活力あるいは判断、そういったものが最大限発揮されますように、その取り組みを後押ししていきたいということでございます。
 例えば、石油開発プロジェクトに対する支援についても、今先生もお述べになりましたが、減免つき融資を廃止する、あるいは、支援比率を五割を上限として、民間企業の責任をより明確化し、あるいは経営判断がより働くようにするといったような効率的な実施体制で臨みたいというふうに考えているわけでございます。
鈴木(康)委員 私も全部ヒアリングをしたわけではありませんが、民間の石油関係に携わっている方の御意見を聞きますと、今回の法案が改正をされ、まだ出ておりませんが、いずれ出てくるでしょう特殊会社、これが設立をされることに対してやはり大きな危惧を持っているところもございます。
 また、もうそろそろ、民間でも十分にできるから、国の後押しの仕方、関与の仕方というものを考え直してくれないかと。全く国が無関心である必要は私はないと思うんですね。ただし、そのやり方については、今までのやり方ではない方法にしていただきたいというような声が私は根強くあると思うんですが、そういう声があるということについては御理解をいただいているということですね。もう一回、お願いします。
河野政府参考人 個々の案件の採択とか、それから、おっしゃいましたような事業の経過を見てどういったタイミングで撤退をするかとか、そういった点について民間企業の皆さんの経営判断がより働いて、自己責任といいますか、そういったものがより通りやすい仕組みにしていくという点については、まさにそのとおり考えております。
鈴木(康)委員 今回の法案の中を見ますと、独立行政法人が行ういわゆる出資それから債務保証、この上限が五割というふうになっておりますね。何でこの五割という数字が出てきたのか、その根拠をお願いしたいと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 今回、出資と債務保証を五割以下に抑えた理由は何かということでございますけれども、まず、今回の改革で独立行政法人として国が関与をして行う事業は、リスクマネー供給、それから技術開発、あるいは国家備蓄でございますけれども、このうちの技術支援については、やはり民の責任というものをより明確化する必要があるという考えを持っております。かつては七割支援をいたしておりましたけれども、それを五割に減らす、また、先ほど委員からも御指摘がございました減免つきの融資を廃止するということでございまして、そういう形によって民間企業の責任をより明確化する、それから効率化を推進する、こういうことを目指しているわけでございます。
鈴木(康)委員 ということは、五割に決めたというその数字の根拠としては、何か理論的な裏づけがあるということではないわけですね。
古屋副大臣 今申し上げましたように、かつては七割でございまして、こうなりますと、ややもすると民間の責任というものはむしろ軽くなるということでございますので、したがって、そういう視点から、五割ということになれば、ある意味では過半でございますので、そういう考え方に基づいて五割に限定をしたということでございます。
鈴木(康)委員 なぜこういう質問をしたかということでありますが、この前、国家備蓄会社を数社訪問させていただいたんですが、ほとんどの会社、全部横並びで、国の出資が七割、これはだから上限いっぱいまで出資をしているわけですね。これが今度五割になりますと、恐らくほぼ五割の線で出資がされ、あるいはぎりぎりまで債務保証が行われていくと思うんですけれども、結局これは全部いわゆる税金を使う話でありまして、結局、債務保証で焦げつけば国が責任を負わなきゃいけないので、それは税金で補てんということになりますね。そういう国の税金を使うということにしては、余りにその数字の決め方、基準の決め方が恣意的であるというか、あいまいではないかと。
 だから、民間の力を活用するというのならば、三割でもよかったんじゃないか。二割、一割という数字だって考えられるわけですが、どうしてこの五割にしたか。堀内総務会長が五割と言ったから五割にしたのか、どうもその辺が釈然としません。
 もう一回、ちょっと、なぜ五割にしなきゃいけないのかという点についてお願いをしたいと思います。
河野政府参考人 経緯的に申し上げれば、今副大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。
 これまでのやり方で申し上げれば、民間の方の出資が三割あると、それに見合って三割の公団出資が行われ、これはもちろん案件採択がされればですが、それに加えて、不足する四割分について、成功払い融資というような方式での融資が行われてきたといたしますと、国の関与がどうしても七割、これでは民間としての経営判断、リスク評価に甘さが出るのではないかということで、少なくとも五割は民間としてリスクをとるということが適正な判断を行うための布石になるのではないかということで、五割という議論をさせていただきました。
 また、石油審議会でも、これに先立ちまして、今後の開発政策を議論する過程で、将来的にその五割の方向に持っていくというような議論も実はかつてやっていたような経緯もありますので、そういったことも当時私どもとしては頭の中にはあったのでございます。
鈴木(康)委員 私がなぜ五割にこだわったかというのは、今までの公団がやってきたやり方を考えますと、相当に税金を使って随分ずさんなことをやってきたわけであります。そのとき、今、国家備蓄会社の話をしましたけれども、七割と決めれば何か自動的に七割そこに出資してしまうような、そういう安易なところがあるのではないか。今度は、五割に決めれば五割が一つの基準になって、そこにまたそういう出資あるいは債務保証が行われるということで、私は、やはりきちっと、税金を使うからにはそこに厳しいチェックが働いて、これからはちゃんと税金を使うという姿勢を持っていかなきゃいけないと思うんですね。ですから、この五割、五割に決めたんだから五割出しますよということにならないように、これはきちっと考えていただきたいと思います。
 次に、公団から独立行政法人の方に移る、いわゆる石油の探鉱技術を含めた技術について御質問したいと思います。
 今回、公団が持っている技術を新たにできる独立行政法人の方に移転をする、移すということになっていますが、これは、具体的にどんな技術であって、どういう形で移すのか、あるいは技術者の人は何人ぐらい移動することになるのか、その点についてお伺いします。
河野政府参考人 我が国の場合、企業それぞれは規模が小さくて、石油開発に関して自前の技術を、なかなかメジャーに匹敵する技術をそれぞれが蓄積するという状況になっておりませんので、石油公団がある種共通のインフラ的な技術を蓄えていくということは重要だと思っております。
 現在、石油公団が行っております技術開発の内容を具体例で若干御紹介させていただきたいと思いますけれども、例えば、石油の回収率を上げるための増進技術、これはガスを圧入するとかそういったさまざまな方法がありますが、それから、天然ガスを液体燃料化する技術、いわゆるGTL関係、それから、ドリリングの改善技術で効率よく一定の深さの石油層に到達する技術、あるいは、非常に先のものまで含めますと、メタンハイドレードの開発に関する技術開発、こういったことをやっているわけでございまして、これらは基本的には独立行政法人に移管をしていくことを考えております。
鈴木(康)委員 その技術の中で、いわゆるこれから新しい探鉱開発をしていく、探鉱をし見つけていく、あるいはそれを掘って開発をしていく、そういう技術が含まれているわけですね。それはどのくらいの評価をされておるわけですか。今後も極めて必要だということでありますか。
河野政府参考人 探鉱技術につきましても、石油公団のいわゆるTRC、石油開発技術センターといったところで、イランですとかクウェートですとか、そういったところの研修生の方にも教えたりさせていただいているんですが、地層のいろいろなデータからどういった開発方式が適正であるかというようなことをシミュレートする、そういった技術も進歩させているわけでございます。
 そういったものも今後、産油国との間でも活用していかなければいけないと思いますし、石油公団から独立行政法人に移していく技術の中に入るというふうに思います。
鈴木(康)委員 私がかねがね疑問に思ったのは、日本の自主開発がなかなか進まない、だけれども日本の探鉱技術というのはすばらしいんだ、これはすばらしい技術があるんだ、私もそこは信じたいんですが、技術はあるんだけれども事業がうまくいかないというのは、技術に問題があるのではなくて、むしろ別のところに問題があったというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。ちょっと通告からそれますけれども、その点、お伺いしたいと思います。
河野政府参考人 石油公団が過去関与いたしました案件の失敗事例には幾つかのものが、仮にパターンを分けるといたしますと、あると思います。
 例えば、日中関係で非常にナショナルプロジェクトとして行ってきた案件がありますが、これは、探鉱いたしまして油が一部から出たわけであります。ところが、実際に商業化に移ろうかということでさらに詳細にやってまいりますと、実は輸送が非常に縦に分断されていて商業化には至らないことがわかってきたというようなことで、技術的にもそこまで解明することができなかったというものもございます。
 他方、これはアブダビのいわゆるアッパーザクムという油田でございますけれども、技術的には大変難しい油田であったけれども、非常にかたい岩盤の中にしみ込んだ油を何とか取り出す、そのこと自身には成功したわけですが、それに伴う出費は非常に大きく、また当初予定された油価とか為替レートが大きく変わってきてしまったので、事業的な収支という面では決していい結果ではなかったというようなものもございますので、一概に、技術がなかったから、あるいはそのせいだとばかりももちろん言えないと思います。
 ただ、そういったプロジェクトを選定したり進めていくに当たって、他のメジャーが持っておりますような同様の技術を日本のどこかで持っておきませんと、やはり産油国との間でのいわゆるバーゲニングポジションといいますか、そういったものでは非常におくれをとってしまうという実態にあろうかと思います。
鈴木(康)委員 先ほどちょっと議論のテーマにさせていただきました石油資源開発の棚橋社長が、五月十日の新聞に、これからの探鉱開発について、これ以上失敗したら経営に大きな影響を与えかねないから、これまでのような費用対効果の意識が薄かったことを反省しなきゃいけない、あるいは、石油公団に甘える体質があった、今後、メジャーから探鉱のプロを招いて成功率を高めなきゃいけない、こういう御発言をされているわけであります。
 これは、ずうっとこの世界におられた棚橋さんが、一方で、今、日本の探鉱技術は世界の先端を行っている、これをこれからも独立行政法人に移してさらに高めていかなきゃいけない、こういう議論の一方で、いやもう、これからはメジャーから探鉱のプロを招いてやっていかないと大変なことになると。これは石油会社の方が言っているわけでありますね。
 これは一体どういうふうに認識をしたらいいのか。つまり、結局、科学的な技術云々以外の部分、いろいろな意味の交渉の能力、あるいはそういうものも含めてノウハウが決定的に日本に欠如しているのか、そこが実は一番問題ではないのかと私は理解をしたわけでありますが、この点、どうでしょうか。
河野政府参考人 まず、例えばメジャーから人を招いてでも技術を導入したらどうか。
 それは、石油公団としてさまざまな自主開発的な技術をやることも重要だと思いますけれども、人に習うことも重要だというふうに思います。そういう意味では、メジャーから人なり技術を導入して我がものとするという会社があってももちろんいいことだと思います。
 石油公団自身も、プロジェクト案件の評価に当たって、メジャーが採用していると言われております定量分析、こういったものを導入したという経緯もありますから、そういったさまざまな先進的な企業からノウハウとか技術を導入していくということもまた考えていっていいことだと思っております。
鈴木(康)委員 私がなぜこのことを申し上げたかったかというのは、それは、出光の社長みたいにずうっと民間で生きてこられた社長さんが言う発言じゃないのですね。ずうっと旧通産省でお仕事をされて、ある意味で一番公団並びに石油に近いところにおられた棚橋さんがこんな発言をしている。ある意味で自己否定をしているような感じを私は受けたわけですね。私は、これは非常に問題だということを指摘しておきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、備蓄会社についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 今度、国家備蓄会社は全部廃止をされることになりますが、具体的に、会社がどういうふうに清算をされるのか、どういうふうに廃止になるのかについて、まずお伺いをしたいと思います。
河野政府参考人 先ほど先生がおっしゃいましたように、いわゆる国備会社は、公団が七割、民間の石油会社などが三割を出資した会社でございます。
 まず、この清算に当たりましては、国家石油備蓄会社が保有する基地施設をまずは石油公団に移管をいたします。それと同時に、債権債務関係を整理して、最終的には石油公団出資分をなくしていくというプロセスが必要だと思います。具体的には、商法の手続にのっとって次のように進めることを考えているわけでございます。
 まず第一番目に、商法上の営業譲渡の手続を使いまして、国家備蓄会社から石油公団に基地施設を譲渡してもらいます。国家石油備蓄会社については、その後石油公団から有償で資金が参りまして、その資金を持った備蓄会社の有償減資をするということでございます。
 そして、基地施設を持たなくなった国家備蓄会社の株式の公団持ち分を民間の出資者の方に売却する、あるいは消却するといったことが必要になってくると思っています。
鈴木(康)委員 要するに、会社自体は衣がえをして残るというふうに理解をしてよろしいわけですね。
河野政府参考人 現在のように、国家備蓄会社が備蓄タンクのような施設を保有して、その点についても国からずっと資金を受け取るという形ではなくなります。この施設自身は国の直轄ということになるわけでございます。そして、その管理のための人員をどの程度民間会社が、現地にできるでありましょう民間会社のようなものが引き続き雇用していただけるか、それはこれからのお話だと思っています。
 それから、国家備蓄会社が、タンクを保有している企業としてさまざまな契約管理をいたしておりますけれども、このタンクの保有自身は国のものになりますので、基本的には国が管理をしなければいけない。しかし、国としてそういった契約管理等々をすべて国家公務員でやるというわけにもまいりませんから、この部分は独立行政法人にやってもらわなければならない。今、独立行政法人が石油公団と金属鉱業事業団の業務を引き継ぐということでありますが、その部分の業務は、実は国家備蓄会社の業務から独立行政法人が引き継ぐような形の要素があります。その辺はどういうふうに整理していくかというのも、これも今後の課題でございます。
鈴木(康)委員 私、先日、国備会社を四社訪問してまいりました。
 そこでいろいろなお話をお伺いしまして、それぞれに備蓄について非常におもしろい技術を持っていらっしゃいますね。あるところは岩盤をくりぬいてそこに原油を貯蔵していたり、洋上で貯蔵していたりと、それぞれに特徴のある技術をお持ちであり、それなりの役割を果たしているということは理解をしましたけれども、行ってびっくりしたのは、全部、ほとんど、会社の形態というのは一緒なんですね。資本構成から、資本金から、大体の人員のあり方まで。
 どうも見ておりますと、実際の業務というのは、いわゆる中核企業と言われる、日石三菱さんでありますとかジャパンエナジーさんでありますとか、資本参加を大体三〇%ぐらいしている、そういう企業から派遣をされてきた方が実際の業務をされているというふうに私は理解をしました。
 とするならば、今回、国備会社が廃止をされれば、例えば日石三菱さんあるいはジャパンエナジーさん、そういう中核企業に直接管理を委託すれば何ら問題が起こらないというふうに私は思ったわけですが、その理解でよろしいのでしょうか。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 国家備蓄の事業は、やはり安全確実に行うことができるそのノウハウあるいは経験を持った民間企業にやっていただくということが適当ではないかというふうに考えております。
 そういった視点からすると、安全確実な体制を継続性を持って円滑に図るという視点からは、やはり国家備蓄基地操業の経験あるいはノウハウを有している会社に実質的に継承するということが望ましいのではないかというふうに考えております。
 したがいまして、現時点では、商法上の営業譲渡の手続によりまして、現在の石油公団出資の国家石油備蓄会社を、石油公団に基地施設をまず譲渡した上で廃止をする、そして、石油公団による出資がなくて、かつ、施設を保有しない純粋な民間会社とする必要があります、その上で基地の操業を委託する、こういうようなことを私どもとしては想定をいたしております。
鈴木(康)委員 備蓄会社の件についてはこの後同僚の議員からも質問があると思います。
 質疑時間が参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 山田敏雅君。
山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。
 民主党石油公団調査団ができました。先週の木曜日、金曜日、みんなで手分けして石油公団の子会社に調査に行ってまいりました。私は備蓄会社を訪ねました。役員の方に出ていただいて、いろいろお話をお伺いいたしました。
 いろいろな問題が明らかになってまいりましたけれども、最初に目についたのが、有価証券報告書は全部いただいたのですが、この中に、修繕費、外注作業費というのがございます。これはどういう仕事をやっているんですかとお伺いしたのですが、この金額は非常に大きい。四十億とか五十億とか、非常に大きなお金なんですが、これは何ですかと言いましたら、タンクを定期的に空にして中を掃除すると。では、この費用を別に出してくださいと。ある会社は、六十五億円ですと。タンクの石油を移して、原油を移して、中を掃除する、この費用が一回につき六十五億円。
 私は専門家ではないのですが、しかし非常に何か異様な数字だな、本当に六十五億円なんだろうかなということを聞きました。それは随意契約だということで、ほかのところも二十億、三十億。これは地上に立っている普通のタンクですから、原油を移して中の掃除をする、特に特殊な難しい作業でもないのですが、これもやはり二十億とか三十億円というすごいお金なんですけれども、これは何ですかと言ったら、指名競争入札です、こう言われました。本当に競争入札が行われていて、このタンクを掃除するのにこんな巨額なお金があるんだろうかなということで、引き続き調査をしたいなと思っておりましたら、きのうの朝日新聞、読売新聞で報道がございました。もう御存じだと思うんですが、公取が七社に排除勧告をいたしました、こういうことでございます。
 きょうは、公正取引委員会から上杉局長さんに来ていただいていますので、簡単に、その事実、それともう一つ、この発注者ですね、これにどんな指導をしなきゃいけないのか、この二点、ちょっと簡単に御説明いただけますか。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 公正取引委員会は、六月二十四日、国家石油備蓄会社が発注いたします石油貯蔵施設等の保全等工事の入札参加業者七社に対しまして、独占禁止法四十八条に基づく勧告を行いました。
 違反の対象となった物件は、国家石油備蓄会社の本社が中核エンジを含む複数の者を指名して、指名競争入札または指名見積もり合わせの方法により発注する石油貯蔵施設等の保全工事でございます。
 問題となりました行為は、入札参加をいたしました七社が、共同いたしまして、当該国家石油備蓄会社の中核エンジを受注予定者に決定いたしまして、それ以外の者は、受注予定者が受注できるように協力していたという行為でございまして、適用法条は独占禁止法第三条違反ということでございます。
 それから、もう一つお尋ねの点でございますが、私ども、今件の調査の過程におきまして、発注者側に本件違反行為をやりやすくする点が見られたということで、その点について、相手方、発注者に対しまして指摘を行いました。
山田(敏)委員 今の公取の御発言で、発注業務に関して本件違反行為を助長させるおそれのある行為を行っていたことが認められたと。これは、事実があって、そして証拠をもってこういうことをおっしゃられたと思うんですが、もうちょっと具体的にどういうことか言っていただけますか。
上杉政府参考人 最初に御説明いたしましたように、本件は、独占禁止法に基づく手続の一連の中の一部、要するに、公正取引委員会として現段階で勧告を行ったということでございます。
 その後、例えば、それに異議がございますれば審判の開始の請求ができるとかいろいろな手続がございますので、詳細はちょっと差し控えさせていただきたいのでございますけれども、今申し上げましたような要請の根拠として一つ申し上げるとすれば、指名業者が中核エンジを含む被勧告人に固定する点が固定的に行われていたということが助長させるおそれのある行為であろうということで指摘を行ったものでございます。
山田(敏)委員 大臣、要するに、この備蓄会社八社の中核会社がエンジニアリング会社をつくって、その会社が固定的に何十億円という受注を毎年やる。これは、競争入札ですから、毎年毎年同じ社だと、明らかにこんなおかしなことはないなと、発注者は当然思うわけですね。ところが、今公取がおっしゃったように、そんなことは平気だ、毎年同じところがやってもいい、こういうことが行われたわけですね。
 そうしますと、一体だれがこういうことを、今鈴木議員が言いましたように、実質的な仕事を中核会社がやっている、中核会社は自分がつくって自分の会社に発注をする。これは、幾らでも、何しても、全然、国民の税金が全くだれも監視が届かないところにある。では、だれがこれをやるのか。これは、法律上、経済産業省がこういう極めてずさんなことをやはり監督しなきゃいけないと思うんですが、その責任について大臣いかがお考えでしょうか。
平沼国務大臣 お答えいたします。
 経済産業省所管の国家石油備蓄事業に関して、公正取引委員会からエンジニアリング会社七社に対して、今お話がございました独禁法に基づく勧告がございまして、また、国家石油備蓄会社に対しては、再発を防止するため発注方法を見直すよう要請がございました。
 このように、エンジニアリング会社による談合につき公正取引委員会から勧告を受けたことは、まことに担当大臣として遺憾に思っておりまして、厳正に対処しなければならないと思っています。
 具体的には、こうした事態が再発をしないように、石油公団に対しては、措置対象会社の指名停止など、国家石油備蓄会社への適正な措置及び再発防止を図るよう私は指示をしたところであります。
 再発防止に向けた具体的な対応については、入札参加企業数をふやすこと等を含め、改善策を検討する場を設ける方向で今考えておりまして、いずれにいたしましても、適切な契約方法についてこれは早急に検討をして、そして、しっかりと監督責任を果たしていかなければいかぬと思っております。
山田(敏)委員 私たちは備蓄会社に行って、この件について非常におかしいなと感じましたので、さっき申し上げたように、これは指名競争入札ですと言われましたので、それを信じて帰ってきたわけですが、朝日新聞の記事によりますと、そのうちの日石菱油エンジニアリングという会社の方は、今回の公取の勧告に対して、それはおかしい、入札というのは形式的にやっていただけだ、実質は随意契約だ、もう最初から決まっていて、随意だから言ったとおりの金額で発注します、こうやっていたんだから、こんなの違反じゃないと、はっきりここに書いていますね。
 これじゃ、指名競争入札で法律に基づいて税金が正しく使われていると思っていたら、そんなのはインチキで、最初からそんなことはなかったんだ、だから公取の違反を問われるような覚えはない、こういうことでございますので、もう最初からその違法行為を知っていて、それはいいんだというふうな発言でございます。
 委員長、次回、理事会に諮っていただいて、この日石菱油エンジニアリングの代表者を参考人としてここに呼んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
谷畑委員長 この件については理事会でまた協議をさせていただきたい、このように思っております。
山田(敏)委員 前回の私の質問に対して、私は投書をいただきましたので、この備蓄会社等の役員の方の勤務はどうなっているのか、実際、仕事はどういうふうにされているのかということの調査をお願いいたしました。
 何か一時的な調査をいただいたんですが、それによりますと、どうも自己申告をされたそうですが、役員全員の方が九時に来て五時過ぎに帰る、業務はちゃんとやっている、こういう報告なので、私が依頼した調査の実質的な中身がまだできていないということで、この調査をどういうふうにすればいいのか、もう一回、ちょっときょうここで議論したいと思います。
 ある備蓄会社、私は朝九時過ぎにお伺いしました。役員の方、出てきてくださいと。四名の役員の方のうち二名の方が出社しておられませんでした。何時に来ますかとお伺いしましたら、十一時に参りますということでございます。朝来て、いらっしゃらなくて、十一時に来るということであれば、朝用事があってどこかに行っているか、通常十一時に来るか、どっちかでございますので、それでは、その方に連絡をとってくださいと。朝用事があってどこかに行ったのだったら、必ずどこに行っているという連絡をとれますから、その二名の役員の方にすぐに連絡をとってくださいと。すぐに返事が来まして、この二名の役員の方は連絡が全くとれません、こういうことでございましたので、それでは、出社されたときに私に電話してください、こういうふうに言いました。十二時ごろ電話がかかってきたんですが、それが、私が最初に行った会社の中身でございます。
 これは、国民の税金が使われているわけですから、調査をやはりきっちりやっていただかないと、その点を第一点に申し上げたいと思います。
 次に、業務の内容でございます。
 四社とも役員がいらっしゃるんですが、社長の方にお伺いしました、あなたの日ごろのお仕事は何をなさっているんですかと。すぐに答えていただけませんでした。ちょっと考えられて、ええとということで、石油公団に話をしますと。だけれども、この備蓄会社は、もう既に契約が十年とか二十年前にでき上がっていまして、定期的に毎年同じことが行われております。原油の放出も今まで一度もやったことがありませんから、出し入れはありません。定期的に石油公団と毎日話をする内容はないわけですけれども、まあ、そういうお答えでございました。
 隣に座っていらっしゃった専務さんに、どういう仕事をなさっているんですかと聞きました。私は社長の補佐をやっております、こういうお答えでございました。それが仕事ですと。
 そうすると、私は個人の方を攻撃する気はないんですが、どうもシステムとして、備蓄という仕事を、八つも会社をつくって、役員を十人近くも置いて、そしてそれぞれ二十人ずつ社員がいて、東京に本社を置いて、家賃を一億円ずつ払って、各社、都内の家賃を皆さん一億円払っていらっしゃる。このやり方そのものが、働いていらっしゃる方も非常にお気の毒なことじゃないかなという気がいたしました。
 最後に、常勤監査役という制度がございます。この方も全部お聞きいたしました、どういうお仕事をなさっているんですかと。常勤監査役のお仕事は、違法の経理内容があったら、監査法人から私に通知があります、それを聞くのが私の仕事です、こういうふうにお答えいただいた。今まで一度でも違法報告はあったんですかと聞きましたら、今まで一度もそれはありませんと。ということは、毎日常勤で、八つの会社、八人の常勤監査役がいて、今まで一度も仕事をしていないということなんですよね。
 こういう内容でございますので、私は質問主意書に書きましたけれども、一回、この八つの備蓄会社を、今後どういうふうにするのかということを大臣の方から御意見をお聞きしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
平沼国務大臣 山田先生がじかに行かれまして、そして御調査をされた、今それに基づいてのお話がありました。
 私も実は企業に十一年おりました。例えば、会社に寄らずにお得意先に立ち回りをするとか、あるいは私的の用であらかじめ断って出る、こういうようなことで、お行きになられたときはたまたま四名中二名の役員が不在であった、こういうことでございます。調査によると、一人は私用であり、一人は税理士の事務所に行っていたというようなことの事実は報告として返ってきています。常に緊張感を持ってやっていなければならないと私は思っていますけれども。
 しかし、石油備蓄ということを考えますと、国のエネルギー安全保障の中で、そして危険物という、そういう石油エネルギーというのを大量に貯蔵している、そういうしっかりとした管理体制の中で、やはりしかるべき必要な役員、そして従業員は必要だと思っています。
 しかし、そういう中で、御指摘のように、例えば社長に聞かれて、社長の業務が、一瞬戸惑って、石油公団との連絡だ、こういうようなこととか、あるいは専務が、自分は補佐役だ、あるいは常任監査役というものが、今までそういう案件も一件もなかった、こういうことだと思いますけれども、しかし、エネルギー安全保障の上から安定供給と、それから一たん緩急あったときの備え、こういう形で石油備蓄会社というものが存在をしています。そういう意味では、それぞれ責任感を持って毎日業務に励んでいる、私はこのように思っております。
 ただ、御指摘のように、やはりそれぞれ、大きな会社が例えば東京にそれぞれオフィスを持っている、そういうことに関しては、既に一社は現地に本社を移すというようなことになっておりまして、そのほかの会社もそういった形で、大切な国民の税金ですから、そういう合理化を図っていこう、こういうことで今検討もされております。
 私どもとしては、そういった御指摘を受けないように、みんな緊張感を持って、そして国のエネルギー安定供給、安全保障のために頑張ってもらうように監督官庁としてさらにしっかりと監督をしていかなければいけない。御指摘の点も、そういう形で実際に行っていただいてそういう御感想を持たれたということも私どもはしっかりと受けとめさせていただければと、こういうふうに思っています。
山田(敏)委員 そういうお答えになるかと思うんですけれども。
 緊張感というふうにおっしゃったんですけれども、私は、ある社長さん、専務さん、役員の方に質問してみました、この会社のことについて。例えば、土地の広さはどのくらいありますか、ちょっとわかりませんと言う。この施設は、総工費は幾らかかったんですか、いや、ちょっと今、後で調べます。それでもっとびっくりしたのは、家賃、賃貸で毎年十五億円払っていらっしゃるんですね。十五億円の家賃、大変な家賃ですけれども。これはどこを借りている家賃なんですか、ちょっとそれは詳しくわかりませんということで、今私が言った質問を後で紙に書いて届けられました。
 普通の会社の社長が、今おっしゃった、ちゃんと業務をしていますと、緊張感を持って仕事をしていますと、自分の会社の広さを知らない、一体幾らかかったのかもわからない、家賃十五億円をどこに払っているのか知らない。大体わかっていらっしゃるんだと思うんですが。一億円というものとまた別にあるわけですけれども、一般管理費の賃貸料、これは自分が今お使いになっているオフィスの家賃が一億円ということで、これも後で答えます、こういうふうなことでございます。
 普通の会社、民間の会社が、これ、二千六百万円という報酬を払って、運転手つきの車をつけて経営をしていらっしゃる。しかも、三年か四年ごとにかわって、退職金を受け取る、こういう破格の厚遇を受けた方のやることだというふうには、普通の神経で、普通の国民の、納税者の立場から見たら、これはあり得ないことなんですけれども、その点はいかがですか。
平沼国務大臣 社長が、会社の専有面積等あるいは家賃等について詳細に返答できなかった、こういうことでありますけれども、やはり山田先生がお行きになられて、正確にお答えをしなければならない、こういう背景もあったんじゃないかと思います。
 例えば、例えとしては適切じゃないかもしれませんけれども、普通の企業で、相当の規模を持っている最高経営者は、当然そういうことは全部知っておくことは必要だと私は思いますけれども、例えば具体的に、ある企業の社長に、例えば、あなたのところの支店の数は幾つあって、何々支店には何人いるんですかと聞いても、なかなか答えが出てこない。従業員はこのぐらいで、こういう営業活動をしている、そういう形で大きくとらえていることはあると思いますけれども、非常に詳細に、何ヘクタールあって、そしてという細かい、大づかみで、やはり先生がお聞きになられたから正確を期さなければいかぬと、私は、そういう形で書面で出したと思います。しかし、やはりそういう責任のある立場で、そして緊張感を持ってやるとしたら、少なくともそういうこともぴしっと答えられるようなそういう体制はとっておかなければならない、そういうふうに私は思って、そういう感想を申し上げさせていただきます。
山田(敏)委員 私の感想とちょっと違うんですが。備蓄基地というのは一カ所に一社ですから、一カ所しか、何百も支店があるわけじゃなくて、その場所のことを聞いて、その家賃のことを聞いたんですから、ちょっと私の印象とは違いましたけれども。
 それから総工費を聞いたんです。五百万キロリットルの備蓄をするのに、あるところでは八百億円かかりました、あるところでは四千三百億円かかりました、これはいろいろトラブルのあった場所なんですけれども。さっきの公取の、発注業務にいたしましても、五百万キロリットルをつくるのに八百億と四千三百億円、何か経済合理性というのを、もちろんそれは無視するんだと言えばそれで終わりなんですけれども、本当に経済産業省は監督官庁として、国民の税金が効率的に正しく使われるということを監督した跡がないんですよね。本当にこうやったのか、どこがどういうふうに合理的だったのか、これについてちょっとお答えを、長官、いかがですか。
河野政府参考人 今御指摘のあった、特に建設費が非常にかさんだという地点、恐らく白島についておっしゃっているのだろうと思います。白島は、私の記憶でも、建設途上でたしか大きな台風に遭遇いたしまして、防波堤の決壊等の事故があって、建設費が大幅に上回ったというような記憶がございます。それ以前の段階で非常に大きな格差があったということかどうか、ちょっと今記憶に定かでありませんが。
 それと、タンクの建設方法については幾つかの方式を採用したわけでございます。これは、陸上タンクの方式あるいは地下型、それから港内に船舶をそのまま移送したような格好のもの、諸外国でいろいろな形をとった備蓄方式がありましたので、それらを導入しながら多様性を持たせたという考え方を当時とったというふうに記憶しております。
山田(敏)委員 私が質問したかったのは、具体的にどんな監督指導をやったのかということなんですよね。今おっしゃった白島のケースは工期が十五年かかった。一回決壊して、四千三百億円という莫大なお金がかかり過ぎる。何年かやったときに、この洋上備蓄は難しいからやめようという監督指導もあってもよかったんじゃないかなと。そのままずるずるお金を十五年間も使い続けた。具体的にどんな監督をやったんですか。それをお聞きしているんです。
河野政府参考人 今の白島のケースでございますけれども、立地決定いたしましたのは昭和五十六年でございます。その後、昭和六十二年に防波堤の被災、先ほど申しました大型台風の襲来というのがございまして被災をいたしまして、そこで、石油公団の中に白島の国家石油備蓄基地の計画対策委員会、ここで、決壊をしたような堤防も含めてこの基地をどうするかという検討をいたしまして、これは平成元年の九月までかかったということでございますけれども、この報告書で、専門家を集めた検討でございますが、基地建設工事を再開するという意思決定をいたしまして、この委員会の御意見をいただいた上で、再度対応策を講じながら建設を再開した、そういう経緯がございます。
山田(敏)委員 今は経緯を説明されたのですが、私の質問は、経済産業省は、工事の発注をする、あるいはその保全について具体的にどんな監督指導をしたのか、本当にそういうことをやったんですか、やらなかったんですかと聞いているんです。経緯の説明はいいですから。
河野政府参考人 事実関係のお尋ねですので、再度確認をした上で、もし誤りがあれば訂正させていただきますが、これだけの大きな被災事故でもございましたし、予算的にも当初の建設予定費をかなり上回っているわけですから、当然、石油公団から通産省に相談はあったと思いますし、それに対して通産省は、このように工事は再開されておりますから、それについて認めたという経緯があろうかと思います。
山田(敏)委員 一回この監督官庁の、法律には監督官庁ということで決まっているんですけれども、実質的に機能しないということがもうこの備蓄会社一つとってもはっきり出てくるわけですね。これは大臣、根本的に、この監督官庁のやり方、今の御説明では、はっきり指導監督をしたというところは見えないわけですね。今の公取の説明にもありましたように、指名競争入札、しかし同じ会社が何年もやっている。そんなことを監督指導するのは、改めて公取に言われるまでもなく経産省がやらなきゃいけないことなんですけれども、抜本的にこの監督指導をやり直してみるというお考えはありますでしょうか。
平沼国務大臣 これまでも当省としては、国家石油備蓄会社の株主である石油公団を通じていろいろ管理監督を行ってきました。それはもう委員も御承知だと思いますけれども。
 石油公団というのは、その業務方法書のもとに規定され、経済産業大臣の承認を受けることになっている国家石油備蓄実施細則並びに石油公団と国家石油備蓄会社の間の国家石油備蓄の実施に係る基本契約に基づいて、国家石油備蓄会社の契約規程及び契約に係る重要事項について事前の審査をしています。
 契約に係る重要事項の審査では、一契約当たりの金額が一定額を超えるものについては、契約の名称でございますとか仕様、数量、予定工期、概算要求額、支払い方法、あるいは随意契約の理由に係る事前審査を行って、当該契約に係る工事が効率的かつ適正に行われるかチェックをしていることでございます。
 しかし、そういうことがちゃんとあるにもかかわらず、今のような御指摘の点が、いろいろな理由で完全に機能していなかったというような面もあると思います。ただ、一方においては、台風等のそういう予想外のことで、大変、四千数百億かかる、こういうような事態もありまして、そういうことを含めても、やはり監督官庁として、私どもとしては、この国家石油会社の管理監督に御指摘のように一層努力をしていかなければならない、こういうふうに思います。
山田(敏)委員 今後のことなんですけれども、先ほどの質問にもありましたけれども、では今度、石油備蓄会社はどうなるのかということでございます。
 今、備蓄会社というのは実質的に倉庫管理業になっているんですね。土地は石油公団のもの、原油はすべて石油公団のもの。お金を借りて施設をつくった、それは備蓄会社のものです。ただし、定期的に契約に基づいて、この白島の場合ですと、毎年三百億円以上のお金が公団から払われる、これによって賄う。
 ですから、今の所有が今後こっちへ移るとかあっちへ移るということもあるんですけれども、実質的にこの会社というのは倉庫業をやっているわけですね。今後も、公団廃止後もこの倉庫管理業をやります、こういうことなんですね。そうしますと、今やっていることと今後やることと何ら変わりがない、同じ仕事なんですね。
 ただ、私が指摘したいのは、毎年三百億円この会社に払います、管理費用です、どうぞ、ではその中で、これを四十億使ってください、五十億使う、こういうことをやっているわけですね。それは契約に基づいてやっている。その契約が妥当かどうか、高いのか安いのか、こういうことが、今の公取の話にもありましたように、ほとんどチェックされていない。このままこれを残すとまた同じことで、公団がなくなって独立行政法人になったけれども、同じ業務ですね、またその備蓄会社に対して毎年、では倉庫管理業として三百億円どうぞというふうにやっていくわけですね。
 そうすると、八つの会社がまた東京に、これはだれが考えても、大臣、ちょっとよく考えていただきたいんですけれども、二十人ぐらいの管理の社員をそれぞれ置いて、百六十人以上、百八十人近い人たちが東京で管理をしている。この社長さん、専務さんが一月に一回九州に行ったり北海道に行ったり、その人たちの旅費、交通費、三千万円、四千万円というお金が毎年それぞれの会社で使われる。それぞれの会社で一億円家賃を払っている。いかにも税金のむだ遣いだと思うんですね。
 一つの会社で十分、一つの管理機構で十分だし、まして東京で、そんな百八十人も管理をしなきゃいけない。この備蓄会社というのは倉庫管理業ですから、現場で安全に管理するというのが仕事ですね。東京で百八十人も、何をやっているのか私もいまいちよくわからなかったのですけれども、いかにもむだで、この機に、せっかく行政改革でありますので、この八つの備蓄会社を一つの機能にして効率的に、税金のむだ遣いはやめるように、こういうお考えはございませんでしょうか。
平沼国務大臣 国家備蓄事業におきましては、一つは、国家備蓄基地のために広大な土地を取得して、原油という危険物を貯蔵するタンクを建設する必要があり、建設当時、基地施設の立地の困難性が懸念をされていたため、立地地点ごとに地元との円滑な協力関係を確保する必要がありました。
 また、二つ目は、当該立地地点において事業経験を有する民間企業から、石油備蓄事業に不可欠な人材、技術のノウハウ等の提供を得つつ基地の建設、運営を進めることが適切と判断をされたわけです。このような事情から、当該立地地点ごとに、国家備蓄事業の円滑な運営に責任を有する企業を設立したところでございます。
 国家備蓄会社の運営については日ごろから効率化に努めているところでございまして、今百八十名というような御指摘がありました。人員数についても、基地の業務が建設中心から、緊急時の円滑な原油払い出しと平時における安全かつ効率的な運営に中心が移ることに伴いまして漸次削減をしてきておりまして、ピーク時に比べ、これは平成七年でございましたけれども、六・三%減、五十六人減っていることも事実です。
 また、管理部門については、事業の効率化、一体化の観点から、平成十二年に、先ほどちょっと申し上げましたけれども、現地に本社機能を移転することとし、一部について、これはむつ小川原でございますけれども、本社機能を移転すること、この実施をいたしました。今般の公団改革に伴う備蓄事業の改編にかんがみまして、他社については今ちょっとそれを凍結している、こういう経緯があります。
 今回の体制の変更によりまして、国家石油備蓄会社は廃止されまして、国家備蓄基地の操業に係る具体的な業務は、国や石油公団による出資のない純民間企業である操業サービス会社に委託することになりまして、民間の経営理念に基づいた組織構成が実現される、こういうふうに期待しております。
 独立行政法人に移っても同じことではないか、こういう御指摘もあります。しかし、こういう公団を廃止するという一つの改革に伴って、私どもとしては、効率的な運営をし、国民の皆様方に納得していただく、そういう体質改善も当然していかなければならない、こういうふうに思っています。
山田(敏)委員 大臣、私の質問は、今のお答えとちょっと違うんですけれども、民間の活力と効率性、これを追求するのはいいことなんですが、今行われている八つの備蓄会社は、そういうことで運営できるような会社じゃないんですね。営業努力して一生懸命売り上げを上げるとか、効率化して、どんどん人員をカットして利益を上げてきた、そういう会社ではなくて、最初から契約に基づいて、一年間にこの場合は三百億円ですと一遍にばっとお金をもらって、それで管理する。だから、民間に移っても、一年間に三百億円要りますと言ったら、石油公団にかわって独立行政法人が三百億円払います、これだけのことなので、民間の活力とか効率というのとはほど遠いんですね。
 この際、国が、これはこんなむだなことをやっているからやめましょうと言ってやらないと、民間に任せて、株がなくなったから、これでこの会社は効率よくなるということはありません。本質的に今おっしゃっていることと現実に起こっていることは違うんです。
 ですから、国が主導して、この八つの会社、二十何名の天下りの役員の方がいらっしゃって、今言いましたように、八つに全部常勤監査役がいて、それぞれ二千万円近い報酬が払われて、それぞれ人件費、その人に伴う経費がかかっている。もう何億円とかかっているんですよね。しかもその人たちは、今言いましたように一度も仕事をしたことがない。だから、いるのが大事だというのはいいんですけれども、やはり国が主導してこの会社を統合しないと、今の大臣の御理解と現実とは違うんですね。それをちょっと。
平沼国務大臣 当然、独立行政法人に対しては私どもはしっかりとした管理監督をして、毎年そういう業務に関しての報告を受け、そして、その中で私どもとしてはしっかり監督をする。こういうことをしていけば、例えば三百億決まったものがばっと出るということじゃなくて、それはどうして三百億円になるのだ、そういった根本も監督官庁として精査をしながら、国民の納得と理解が得られるように、私どもは当然毎年毎年そういう形でしていく、そういうことでやって独立行政法人の意味があると私は思います。そういう形でやらなければいかぬと思っています。
山田(敏)委員 大臣、今まで三十何年間、三百億は本当にいいのかどうか、毎年毎年ちゃんと精査をして、石油公団の委員会でも審議会でも部会でもちゃんとやって、やってきたんです。これから、独立法人になったから、また毎年毎年これが正しいのか、そんなことじゃないんですよ。これは国がやっている仕事なんだから。民間に行ったから民間の努力で何とかなりますというんじゃなくて、やはり国が思想を持って行政を簡素化し、そして税金のむだ遣いをやめようという思想がないと、ただ独立行政法人になったから今までと違った、そんなこと、では今まで何をやっていたんですか。三百億円ずうっと払っていたということは、正しく払われたのか。毎年毎年やって払ったんでしょう。これから、独立法人になったからやりますじゃおかしいじゃないですか。
 だから、八つの備蓄会社をそのまま、今やっている機能をそのまま残すということは、絶対やってはいけないことなんですよ。大臣、いかがお考えですか。
河野政府参考人 今、先生、本社が東京にあるとおっしゃいました。これは、大臣が御答弁申し上げましたように、十四年度中にそれぞれの地元に今や移るべきということで進めてきたわけですが、今回、こういう改革でございますので、それを今ちょっと凍結しているわけですが、いずれにせよ現地化するという考えでやってきました。
 ところで、今後、地元にあります備蓄のサービス会社がどういう組織形態になるかというのは、一つは、石油公団も株を引き上げる、先ほど有償減資と申しましたけれども。施設を国有化いたしますので、民間企業になるわけで、その民間の株主の方がどういう組織形態を考えるかという問題もあります。
 それから、地元に住んでおられる従業員の人たちを大量に、そういう過疎地にしてはかなりの量を雇用して日々の管理に当たっていただいているわけですね。この人たちをどういう組織形態で束ねていくのが適当かという問題もあります。
 ですから、東京にいっぱい人がいて、むだを省け、そこは現地化するということの流れの一環として理解できるわけですけれども、それが一つの会社がいいのか、あるいはそれぞれ地域ごとのサービス会社のような形態がいいのか、それはちょっとこれから検討させていただきたいと思います。
山田(敏)委員 今まで、石油公団の子会社ということでほとんど監督の目が届かなかった、光が届かなかったということで、今回初めてこういういろいろなことがわかったわけです。
 勤務実態についてどうかと言われても、私の意見が大臣と違うということもありますけれども、実態として、こういうものをつくると、そこに働いていらっしゃる十人近い役員の方がいらっしゃって、それぞれ八つの会社があってということになると、本当にお気の毒ですよね、やる仕事がないんですから。九時に来て五時に帰れと言われること自体が苦痛ですよね。その辺は、やはりはっきりした行政改革の姿勢を、大臣、ぜひ示していただきたいんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 私は、必ずしも今の役員の人たちが本当に九時から五時まで何もしなくて、ただのんべんだらりとやっているとは思っておりません。それはそれなりに使命感を持って、私は一生懸命やっていると思っています。
 ですから、そういう中で、私どもとしては、やはりこういう大切な国の税金を使うわけでございますから、さらに緊張感を持ってやってもらわなければならないと思っておりまして、私どもとしては監督官庁として、その辺は、御指摘もありましたから、厳しくさらに監督をしなければいかぬ、こういうふうに思っています。
山田(敏)委員 それでは、引き続き次回、今の発注業務について続けてやっていきたいと思います。
 本日の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
谷畑委員長 後藤茂之君。
後藤(茂)委員 後藤です。
 大変熱心な、鋭い議論が進んでいるわけでありますけれども、主に政策課題について少し議論をさせていただきたいと思っております。
 国内に石油資源をほとんど持っていない我が国にとっては、石油の安定供給を確保するということは非常に重要な政策課題でありまして、そのために石油公団を中心として自主開発努力がずうっと行われてきて、石油総輸入の一三%を自主開発原油が一応賄うようになってきている。そのことについては、安定供給、過去のいろいろな危機的な事例を考えてみれば、相当な成果が上がっていると言えるだろうというふうに私も思います。
 しかし、石油開発プロジェクトに二兆円という大変な資金を投入してきたわけです。そして一兆三千億円、これはどういう根拠かという議論もありますけれども、一兆三千億円とも言われる不良資産をつくりながらやってきた。そして、当初、石油公団ができて、かけ声をかけていたときには、日の丸原油は三割は確保するんだ、あるいは中東依存度を低めるんだというふうに言ってきたけれども、正直言って中東依存度は八六%に上がってしまった。しかし、国の予算をじゃぶじゃぶ使ったことについては、これはもう大変な額を使ったことだというふうに思います。
 そういう意味からいえば、自主開発のこの方式、私はこれはやはり大きな失敗だったと反省をする必要はあるだろうと思っています。そういう意味では、今後、石油の安定確保を図っていく、それから自主開発事業を論ずるに当たっては、これまでの石油公団のやってきたいろいろなこういう方式について、やっぱり失敗を総括しておくという必要が非常に重要だというふうに思います。いろいろこれまでも議論されているところでありますけれども、私自身は、三つぐらい、石油公団の自主開発プロジェクトは失敗だったなというふうに思っている点があります。
 第一は、リスクを遮断するために導入されたワンプロジェクト・ワンカンパニー方式、もちろん後続発進部隊としてはそれなりの意味があったわけでありますけれども、しかし、この方式で一たん採択されたプロジェクトというのは、例えば当初の見通しどおり計画が進まなくても、あるいは特別な事態が生じた場合でも、あるいはプロジェクトが見通しと違ってうまく進まなかった場合にでも、なかなか途中撤退をできない、むだな投資をワンプロジェクト・ワンカンパニーでずっと続けるということにつながってしまったのではないかというふうに思います。
 長い蓄積によって自己資金で運営しているメジャー、彼らにとって一番大切なことは、ポートフォリオの観点から、だめなときには、たとえ大きな金をつぎ込んでいても撤退する勇気を持つことであるし、それから、資産売却を含めてトータルなリスク管理を行うところに石油資源開発会社、石油資源開発資本としてのガバナビリティーとそれから戦略性があるんだというふうに思うわけですけれども、まさにこのシステムというのはそういうものが働かない形になってしまった。本来は石油公団がもう少しやるべきだったのかもしれませんけれども、しかしそこは、申し出があって三割の金が準備されれば、七割は、個別に一発当てればもうかりますねという話でいろいろ事態が進んでいってしまった。
 第二は、今話が出ましたが、出資、減免融資合わせて七割助成、三割自己資金という方式自身が民間による責任ある投資を阻害してしまった。いや、金を出す、出資する人がいれば、二倍半のレバレッジがきくわけですから、ではやってみるかという話にそれはなってしまうということになったのではないか。
 それからもう一つは、オイルショック後、特にヒステリー状況がありまして、ともかく何でもいいから量を確保するんだという議論になりまして、日中などでも議論になりましたけれども、大変大胆なナショナルプロジェクトがどんどんやられまして、それが結果として失敗した。
 その大胆と言った意味は、当時、原油価格の設定を四十ドルぐらいでもいいじゃないか、為替は一ドル三百円ぐらいでいいということでプロジェクトの計算をしている。しかし現実には、その後、油価はどうなったかというと、二十五ドル、一番安いときには十ドルまで下がっているわけですね。そして為替は百円程度になった。そうであれば、円で見た油価の見通しなんというのはもう六分の一以下になっているわけで、もうめちゃくちゃな状況で、はっきり言ってプロジェクトとしては成り立たないということになると思います。
 為替の変動が当時どの程度見通せたのかということはともかくとしても、例えば四十ドルでもいいとか、ともかく確保できればいいというようなそういう態度であったということが大変大きな問題だったんだと思います。量の確保を優先する余りに効率性や生産性の評価が非常に甘くなった、客観的に、定量的に判断できなかったということが大変大きな問題だったのではないかというふうに思います。
 私の方からいろいろしゃべりましたけれども、大臣に、改めまして、この石油公団の自主開発プロジェクトのやり方について、一体何が問題であったと考えておられるのか、伺いたいと思います。
平沼国務大臣 大変、後藤先生から主に三つの点の分析をしていただいて、私も結果としてその御指摘は正しいと思っております。
 我が国におきましては、石油等の安定供給の確保を図るため、昭和四十二年以降、石油公団、設立当時は石油開発公団と言っておりましたけれども、ここを通じた出融資等によりまして自主開発原油の確保に努めてきました結果、公団設立時、これは一九六七年でございますけれども、日量約二十七万バレルであった石油開発公団の出融資対象会社の自主開発原油輸入量は、日量倍以上の五十八万バレルまで増加しております。さっき御指摘のように、これは総輸入量の一三%に当たっております。このように、自主開発原油は、緊急時における安定的な供給源として一定の役割を私は果たしているものと認識をしております。
 しかし、我が国石油産業におきましては、メジャーに比べて海外における石油開発への参入時期が遅かったこと、そして産油国との歴史的なつながりが薄かったこと等の歴史的な背景がある中で、自主開発を進めるに際し、プロジェクトが失敗した場合のリスクを親会社から遮断するとともに、とりわけ石油公団からの融資の減免制度を享受できるよう、御指摘のいわゆるワンプロジェクト・ワンカンパニー方式をとってきました。また、これを産油国自体が要求した、そういう背景もあります。中小規模の石油開発企業が多数設立されることとなったことも事実で、御指摘のとおりでございまして、これがこの全体の自主開発の中で非常に大きな意味を持ったと思っています。
 また、出資及び減免つき融資を合計して、これも御指摘でございますけれども、原則七割まで財政資金による支援が可能であったことから、主体であるべき民間企業の経営責任があいまいになりまして、そこである面、ずさんさが出てきた、こういうことも御指摘のとおりだと思います。
 さらに、これも御指摘なんですけれども、石油公団の運営や財務面については、石油危機などを背景に、特に一九七三年、自主開発原油の量的確保に重点を置く余り、資金の効率的運用に関して十分でない面があったのは私どもは事実だと思っています。石油公団が支援を行ってきた会社の中には、例えばナショナルプロジェクトのように大きな損失を計上するに至ったプロジェクトもあることは御存じのとおりだと思います。
 こうした石油公団の財務、事業運営についての問題提起を受けまして、石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会におきまして、石油公団の業務運営について徹底的な見直しを行いまして、そこで指摘された事項のほとんどすべてについて改革を進めているところでございまして、今回、そういった意味でも、例えば七割を上限五割にするといったような考え方も入れまして、本当にそういうこれまでの経緯の反省の上に立って、我々としてはしっかりした自主開発プロジェクトをやっていかなければいけない、御指摘の分析のとおりだと思っております。
後藤(茂)委員 自主開発の方式については、今後自主開発を私は進めていくべきだというふうに思っていますから、反省をしながらやはりやっていくということのために丁寧な検証が要るだろうというように思いますし、それを生かさないといけないので、今後もきっちりと、新しい法人等の活動とかを考えていかなきゃいけないと思います。
 一応確認しておきたいと思いますけれども、例えば、日の丸原油三割確保だとか、あるいは中東依存脱却とかいうようなことも言われておりましたけれども、そうした目的については、これはどういう成果が上がったと評価されておられるんでしょうか。
河野政府参考人 これまでの事業の進め方について反省すべき点は反省しながら取り組んでいるという点は、今大臣から申し上げたわけでございます。
 また、いわゆる三割という石油審議会が示しました自主開発原油の目標、こういったものについては、残念ながら現在一三%程度でございます。そしてまた、目標設定を余りにストリクトな数値目標にすることがかえって効率性を軽視するのではないかという警告もありまして、今では、その三割という目標を必ずしも持たないで、極力自主開発を進めるというラインでやっております。しかし、当初二十七万バレルぐらいでありましたいわゆる自主開発原油が現在五十八万バレルまで来ているということは、それなりの成果を上げたものだというふうに思っております。
 また、おくれがありましたプロジェクトで、例えば昨年十一月に、サハリン開発については商業化宣言がようやく行われたというようなことで、一定のおくれを持ちながらも実現に向かっているプロジェクトもまたあるという実態にございます。
 それから、中東依存度の点については、石油の九割弱が中東依存でございます。これはオイルショックの直前の段階より高いわけですけれども、これに対応しては、石油そのものはなかなか中東依存度を大きく引き下げることは難しいという面がありますので、石油のみならず、天然ガスへのシフトなども含めて、化石燃料の中東依存度を押し下げるということで、むしろ石油の依存度自身は七七から五二あるいは五一に下がってきているという状況にあります。
 また、自主開発原油について申しますと、中東依存度全体が、油について八八%ぐらいという高い水準の中ですけれども、自主開発原油については七割程度の中東依存度にとどまっているということは一定の評価はできるというふうに思っています。
後藤(茂)委員 一定の評価をできるかできないかということは、我々も評価していると言いましたが、やっている側がこれで十分だと思っておられたのでは困るので、そこのところは、厳しい自己評価をしていただければいいなというふうに思います。
 ところで、私、この自主開発方式にかかわることで一つ申し上げたいんですが、歴史にやり直しはきかないわけです。だから、もしもということを言っても無意味かもしれませんけれども、しかし私は、もしも石油公団ないしは国営石油会社に二兆円の金を投入して、リスク管理を行いながら一体的な経営を進めていれば、そして、日本というこれだけの巨大なマーケットがあったわけです。それは市場におけるマニューバリングの非常に大きな手だてであったわけで、それで、スーパーメジャーとは言えないまでも、例えば後発のフランスのトタールフィナ・エルフとか、あるいはイタリアのENIぐらいの準メジャーがどうして育てられなかったんだろうかと、私は大変残念に思います。
 例えばフランスですけれども、一九二四年から、イラクにおける油田権益の維持管理を目的として設立されたトタール社、それから一九六五年には、炭化水素補助金制度で、これは五割補助の制度ですよ、五割補助の制度のもとで、全額政府出資によって設立されたERAP社、これは後に、一九七六年にエルフ社に再編されているわけです。こういう二つの中核の国策会社、国営会社ができた。
 これに対して、フランス政府は、次々と出資と補助金をずうっと入れ続けて、そして権益確保のための非常に大きな外交的な支援を行って探鉱・採掘活動を続けていった。そして、コンゴやガボンでアフリカの油田を当てて、一九七〇年からは北海油田のプロジェクトに参加をした。そのことによってメジャーに次ぐ規模にまで達したわけですね。そして、一九八六年以降、両社の株を徐々に売却をして、現在では、二〇〇〇年二月にトタールフィナ・エルフということで二社が合併して準メジャーに、これははっきり言えば、シェブロン・テキサコとそんなに変わらないほどの準メジャーになっているわけですね。
 イタリアでは、一九五三年に、自主開発体制の強化ということをめどに、全額政府出資のENI社ができた。同社は、ポー川流域のガス油田開発に成功して、その後エジプト、イラン等に進出して業務を拡大する。そして、一九九五年からは政府保有株式をちょっとずつ売却して、現在、権益埋蔵量でいっても六番目になっている。
 ちなみに、スーパーメジャーはめちゃめちゃ大きいといいますけれども、原油換算権益埋蔵量でいえば、エクソン・モービルで二百十億バレル、ロイヤル・ダッチ・シェルで百九十一、BPで百五十、シェブロン・テキサコで百十五、トタールフィナ・エルフで百四、ENIで五十九、ちなみに日本は、全日本で六十九億バレルですね。
 私は、大臣、少なくともこうしたことを見ていると、本当に悔しいと思うんです。日本も同様に、二兆円の資金をつぎ込んで、政府の強力な外交的な支援を行ってきている。そして、株式が民間売却されて準メジャー化したトタールフィナ・エルフやENIの状況と、今の日本の石油公団や石油開発会社の状況を見て、大臣はどういう感想を持っておられるでしょうか。
平沼国務大臣 今、フランス及びイタリアの具体的な、準メジャーに至った経緯を詳細にお話しをいただきました。そういう意味では、御指摘のように日本も二兆円を投じたわけですから、非常に強力な外交努力等で、死んだ子の年を数える、こういうことに相なりますけれども、私の感想としても、非常に残念なことであったなと思っています。
 ただ、我が国石油産業においては、メジャーに比べて海外における石油開発への参入時期が非常に遅かった、また、産油国との歴史的なつながりが薄かったということもあると思いますし、また、戦後日本は、経済復興をしなければならない、そういう命題の中で、やはり上流部門より下流部門というものに力点を置いて国策が展開されてきた、そういう背景があったわけで、そういう中で、非常に残念なことですけれども、メジャーのような企業が育ってこなかったと思っています。
 石油公団がこれまで行ってきた出融資等の結果、石油公団の出資対象分として保有する可採埋蔵量というのは、石油公団に限っていえば、今御指摘のように約五十五億バレルに達しておりまして、今御指摘のトタールフィナ・エルフ社の保有する可採埋蔵量が百億バレルを超えている、こういうことと比べると、ある意味ではそれほど遜色がない、そういうふうに私どもも思っておりまして、私どもとしては、石油公団資産の規模は、いわゆるメジャーに次ぐ有力石油開発企業に比肩するレベルだ、このように思っております。
 経済産業省といたしましては、平成十二年八月の石油審議会中間報告において、自律的に石油開発事業の維持拡大を行うことのできる中核的企業グループの形成の必要が示されたところでございまして、引き続き、石油の安定供給確保の観点から、私どもは、今御指摘のそういった和製メジャーを、大変大きな資金をつぎ込み、そして可採量もそこまで来ている、そういうことですから、そういったことを政策課題の中心に据えてこれから努力をしていかなければならない、こういうふうに思います。
後藤(茂)委員 自主開発の方式については、今まで申し上げたようなことを考えながら、やはり十分検討していかなければいけないと思います。しかし、自主開発方式がうまく機能しなかったからといって、自主開発そのものが間違いだったわけではないというふうに考えております。
 そこで、まず、石油という財の性格についてちょっと伺いたいと思いますけれども、これは戦略物資なのか一般のコモディティーなのかという点であります。
 一部には、石油市場が変質化しましてこれは完全なコモディティー化したんだという議論もありますけれども、本当にそうなんだろうか。平時に石油を買えるのはもちろん当然でありますけれども、いや、価格の問題であって買えないということはない、全く一般のコモディティーと一緒だというような議論が最近結構横行しておりますけれども、非常時に慌てて油ごい外交をしてもそれは手おくれではないかというふうに思ったりもいたします。
 そこで伺いますけれども、歴史を振り返ってみれば、メジャーが完全に支配していた時代、そのメジャーに完全支配されていた権益をOPECがカルテルで剥奪した時代、それからOPEC以外の産油国が出現したり、OPECの中にもいろいろな立場が出てきて、実を言うと相当に値が下がって石油市場マーケットが一般のマーケットに近くなったような時代とか、いろいろな世界市場の段階が歴史に応じてあったと思います。その辺のところの、石油市場の歴史的な変遷について伺いたいと思います。
河野政府参考人 今先生おっしゃいましたように、石油市場は、第二次大戦後だけを見ても歴史的に大きく変わってきていると思います。先ほどメジャーの埋蔵量の数字をお出しになりましたけれども、あれも産油国の国有化後の数字でございますので、恐らく、かつてメジャーが持っていた量に比べると、所有権という意味では減っていると思われます。当初、そういったメジャーが非常に強い影響力を持っていた時代から、産油国の非常に強い力を持つ時代に移った時期がございます。この間、OPECの価格支配力は非常に高いものがございました。
 その時期を経て国際石油市場が育ってまいりまして、いわゆるスポット取引がふえてまいりまして、加えて先物取引も導入されるというようなことで、価格が、いわゆるグローバルのマーケットで決まってくるという要素が強まってきたことは事実でございます。そういう過程を経て、いわゆる長期契約物といいますか、一年ぐらいの単位の取引のものについても、価格自身はそういったスポット価格を参照しながら決められていくというようなことになりましたので、価格面での市場化は、ある意味では進んでいるという面がございます。
 しかし、他方、昨今の状況をごらんいただければ、OPECが本気で協調減産をしたときの価格影響力は、わずか一年ぐらいの間に原油が三倍に高騰するというような事態を招いたということもあります。
 また、やや不透明なところがございますのは、ことしの一月に、OPECのみならず、OPEC外の産油国、ロシアですとかノルウェーですとか、こういったところが輸出を抑制するとか生産を少しスローダウンさせるというようなことでやや協調いたしまして、三月以降、マーケットにかなりの影響を与えたというようなこともございます。
 そんなことを考えてみますと、確かに石油価格が市場化してきているという面もある一方で、やはり、石油には依然として一般のコモディティーとは異なる戦略商品としての性格を持っているものだという認識を持っております。
後藤(茂)委員 石油という商品の位置づけについて、歴史の流れに応じて随分変わってきていると私も思うわけであります。
 しかし最近、産油国において若年労働力がどんどんふえてきたことから、外資導入をねらっている、鉱区を欧米、日本の企業にどんどん開放して、非常に特殊な戦略的な、そういう枠組みでない枠組みで動き始めているということを大変強調される方がおられますけれども、そうした動きについてはどう評価しておられるんでしょうか。
河野政府参考人 御指摘のように、サウジアラビアですとかクウェートですとか、こういった産油国において若年の労働力が急増しております。こういった人たちにしかるべき仕事を用意するというのは、それぞれの産油国の政府にとって大きな課題になっているというふうに思います。そういう意味で、こうした産油国から、我が国も含めて、そういった投資を求める声は強いわけでございます。
 また、加えて、それぞれの産油国が、国内の石油産業の活性化ですとか、生産量の維持、あるいは最新レベルの技術の導入促進、こういった観点からも、今まで外資に門戸を閉ざしてきた国々の中で、鉱区を開放して国際石油企業の参入を図るという動きも出ているわけでございます。こういうことであれば、我が国にとっても参入の機会というのが増大する可能性につながるわけですから、自主開発促進の観点からは望ましいというふうにも思っております。
 こうした鉱区開放とか外資導入の動きは、実は他方、国際石油企業との間での競争をなかなか激しいものにいたしておりますので、我が国の民間開発企業の脆弱性というものもございますので、激しいこの国際ビジネスの中で何とか自主開発の実を上げてもらいたいということで、関係企業の開発への支援ということが必要なのではないかなと思っているところでございます。
後藤(茂)委員 大臣、いろいろ今話をしていましたけれども、一般の単なるコモディティーとは違うというふうに考えるべきだと思いますけれども、大臣に一言、その点について御答弁をいただきたいと思います。
平沼国務大臣 石油は、重要なエネルギー源としてその価格が世界経済に大きな影響を及ぼすことに加えまして、その埋蔵量が中東地域に偏在すること、あるいはOPECの協調減産政策がその価格動向に大きな影響を及ぼすこと、また、中東情勢に関連して、一部の産油国が政治的な意図から石油輸出を停止する事例が発生するなど、石油には依然として、一般のコモディティーとは異なり、戦略的商品としての側面が存在する、このように認識しております。
 したがいまして、政府としては、石油依存度の低下に努めるとともに、石油自主開発の効率的な推進、緊急時の石油供給途絶等に備える石油備蓄の保有、産油国との関係強化、そういったための資源外交の展開等多様な石油の安定供給確保策を講じてまいりましたし、これからも講じていかなければならない、こういうふうに思っています。
 今後とも、私どもといたしましては、石油を含め我が国のエネルギーの安定供給確保に万全を期していきたい、やはり戦略的な観点からやらなければいかぬ、こういうふうに思っています。
後藤(茂)委員 次に、自主開発の意義についてちょっと考えてみますと、自主開発原油が存在することによって、これは、これまでいろいろ議論になりましたから伺ったりいろいろしませんけれども、危機のときに、それがたとえ需要の一部であっても非常に大きな効果を発するとか、産油国といろいろな交渉をしていく際にも、それが戦略的な道具となって非常にレバレッジ効果が期待できるとか、石油を掘っていること自体が産油国との間では最大の友好関係のきずなになるとか、さまざまなことが言われておりまして、私もそうだろうと思っていますから自主開発については進めていくべきでありますが、産油国との間の問題について、ちょっと方向を変えて伺いたいと思います。
 昨年、平沼大臣が中東を訪問されまして、イランとの優先交渉権を獲得したり、アラビア石油問題については、サウジアラビアに、半分残っているクウェートとの交渉が終わったら必ず再びサウジアラビアとも交渉を再開すると言明してこられたとか、さまざまな大きな成果を上げてきたというふうに言われておりますけれども、そうした中東とのいろいろな交渉の中で、中東の産油国などは日本に対して一体何を期待しているのか、その辺のところを大臣に率直に伺いたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘ございました、我が国企業グループがイランのアザデガン油田開発に関する優先交渉権を獲得して以来、イラン側との交渉が進んできております。私も、昨年夏に中東四国を訪問させていただきましたときに、実際にイランに参りまして、ザンギャネ石油相とも、またハタミ大統領とも親しく会談を持たせていただきました。
 また、アラビア石油のクウェート操業に関する交渉につきましても、本年三月、アラビア石油とクウェート石油省との間で新契約交渉が実質的に合意を得るなど、積極的な産油国との関係強化を通じて、一定の成果が上がっているものと認識しています。
 私も、サウジアラビアを訪問しましたときに、今、後藤先生から御指摘があったように、クウェートとのいわゆる交渉が済んだら、私どもはぜひサウジアラビアとも同じテーブルに着いて、そして交渉をさせてもらいたい、こういうことを言明しておりまして、これも今私どもとしては継続してやらせていただいております。
 中東産油国においては、欧米メジャーにのみ依存する構造は望ましくない、我が国を含む他国の国際石油開発企業の受け入れに対する期待があるということも事実です。
 特に、先ほどの御質問の中で、若年労働層が非常にふえてきている、それがやはり一つ大きなそれぞれの産油国の問題でございます。ですから、石油以外でも日本とのそういう面での関係の強化をしたい、こういう各国の強い要望がございまして、私どもとしても、やはり多面的なそういう関係構築の中でエネルギーの安定供給が図れたら、こういう形で、特に若年層の労働者に対するそういう問題については、人材を派遣するとか、あるいは自動車というような一つの限定の分野ですけれども、自動車に関するそういう学校のようなものを建設して非常に評価をいただいている、こういうことを通じて多面的にやらせていただいているところでございます。
 また、我が国企業の開発への参画によって石油公団に蓄積されている開発技術を活用できることなども中東産油国からの期待の一つとなっているわけでございまして、これももう後藤先生御承知だと思いますけれども、先般、イランとの間でアザデガンの油田の開発に関する優先権の獲得に際しましても、石油公団の有する三次元地震探査等の技術力がイラン側からも高く評価されていました。
 こういったことがございますので、私どもとしては、エネルギー安定供給の観点から、中東産油国との協力関係については、石油・天然ガスの開発事業がこれはもちろん第一に重要でございますけれども、それにとどまらず、より広範囲に至る活動を通じて、戦略的に強化、深化させていくことが極めて重要でございます。
 こういった認識のもとに、現在、中東産油国との間で石油開発・精製分野における技術協力、今申しましたけれども、幅広い分野における研修生の受け入れや専門家派遣等の人的交流、そして、若年層の増加している国の将来を見据えた投資ミッションも派遣をさせていただいて、事業可能性調査への支援等の投資促進策を実施しているところでございまして、こういったことを総合的に、多角的に幅広く進めていきたい、このように思っています。
後藤(茂)委員 私の方は、大変しつこいほどに自主開発を頑張れとエールを送ったつもりであります。でありますから、自主開発方式のこれまでのいろいろな反省をきちんとやはりやっていく。
 今回、例えば、減免つき融資制度が廃止されて、七割助成が五割に引き下がるとか、法案の中にさまざまな改善はありますけれども、しかし、それをどう運用するか、新しい独立行政法人が新規のプロジェクトの出資やいろいろな事業の管理に当たってどういう立場でやっていくかということによって、また同じようなことにならないように、そこは過去の失敗と反省を踏まえてきちんとやってもらうということが前提でこのエールを送っているわけでありますから、その点をぜひよく御理解をいただいて、しっかりとした独立行政法人の運営とか方式をこれから考えていかなきゃいけないというふうに思います。
 さて、今回の法案では、公団保有の開発関連資産の厳正な評価、処分を実施して、平成十七年三月をめどに石油公団を廃止することとされていまして、その後については、附則三条において、
 政府は、特殊法人等改革基本法第五条第一項に規定する特殊法人等整理合理化計画に基づき、別に法律で定めるところにより前条第一項の規定により公団からその権利及び義務を承継する株式会社として政府がその資本の全額を出資するものを設立し、並びに当該株式会社をできるだけ早期に民営化するために必要な措置を講ずるものとする。
というふうに書かれております。特殊会社がどういうふうになるのかがわからないという中で、ここが非常に手がかりとなる条文であるわけであります。
 資産の処分ということが非常に重要なわけでありますけれども、この附則三条を読む限りにおいては、少なくとも、特殊会社が権利及び義務を承継する、そしてその承継された特殊会社が早期に民営化されると書かれているわけです。ですから、資産の処分に当たっては、優良資産のみ売却して優良でない資産のみを残すということでは、附則三条のようにはならないだろうというふうに解釈できる趣旨だと思います。
 資産の処分の考え方について、大臣の見解を伺いたいと思います。
平沼国務大臣 石油公団の開発関連資産の整理処分につきましては、経済産業大臣は、その事業計画を認可するに当たりまして、総合資源エネルギー調査会の意見を聞くとともに、内閣総理大臣に協議することとしておりまして、関係者のコンセンサスを得つつ、公明正大に行われるよう努めてまいらなければならないと思っています。
 優良な資産こそ特殊会社に残すべきとの御指摘でありますけれども、特殊会社にどのような資産を承継させるかについては、石油公団資産の整理処分につきまして公明正大な検討を行いまして、最終的には別に法的措置をとるとされた特殊会社法の議論の中で具体的な姿を明らかにしていきたいと思っております。
 ちなみに、本法案作成過程におきましては、私自身、政府等関係者と累次の議論を重ねました。いわゆる和製メジャー的な会社による効率的な経営手法のもとでの強力な自主開発原油の開発については一様に重要性を認めている、こういうことでございまして、こういった会社が将来和製メジャーを目指してできるような、そういった形で、しっかりした議論を通じて私たちは具体的な姿を明らかにしていきたいと思っています。
後藤(茂)委員 資産処分の考え方は、処分後の財産を引き継ぐことになる特殊会社がいかなる性格を持つかがはっきりしなければわからない、それはそのとおりだというふうに思います。もちろん、ここは国会の場ですから、どういう特殊会社であるべきであるかということを議論する必要もありますけれども、しかし政府としては、法律がないときにそれ以上のことは言いづらいということかもしれません。しかし、政策論は前向きにやっていくべきだなというように思います。
 ところで、附則三条の規定を置きながら特殊会社法はなぜ出てこないんだろうか、これはみんな大きな疑問を持っているだろうというように思います。もちろん我々も、党内の議論とかさまざまな成果について議論の経過も漏れ伺っているところであります。しかし私は、議院内閣制において内閣が法案を提出する、その内閣の法案提出権のあり方の問題からいっても、あるいは与党の事前審査制度の問題の是非にもかかわる問題かもしれませんけれども、こういう二本の法律が出てくるとすれば、特殊会社法が同時に提出されなかったことというのは、やはり国民には非常にわかりにくいのではないかというふうに思いますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
平沼国務大臣 当初、経済産業省といたしましては、石油公団法廃止法案と独立行政法人法案とともに、石油公団の開発事業関連の権利義務を承継する特殊会社法案を今国会に一括して提出をしたい、こういうふうに考えていたのは事実でございます。
 しかしながら、石油公団の開発関連資産の整理処分に十全を期すために、まずは三年間、石油公団に資産の管理、処分を着実に実施させることが適当であると政府として最終的に判断をいたしました。
 このため、今国会には石油公団法廃止法案と独立行政法人法案の二法案のみ提出することとしまして、特殊会社につきましては、石油公団法廃止法附則において、別に法的措置で設立する、このようにしているところでございます。
後藤(茂)委員 例えば、アザデガンにしてもカシャガンにしてもサハリンにしても、いずれにしても、メジャーとも組まなきゃいかぬ、産油国とも調整をしなきゃいけない。石油公団の日の丸を相当頼ってみんな仕事をしているわけですね。石油公団の日の丸がなくなった後に日の丸の信用は一体どこから出てくるのかとか、そういう観点から見ても、石油公団の組織問題に早く決着をつけて、そして特殊会社法もあわせて、やはりきちっとどういう姿なのかというのを見せてやっていかなければ、それじゃ、資産処分がどう行われるかわからないその相手に対して、一体どういうふうに、三年間とかそういう間、国際資本や産油国は対応するつもりになれるんだろうか。
 そういうことからいっても、できるだけ早くに特殊会社法も出すべきだと考えますけれども、いつ法案を提出するおつもりなのか、お考えを伺いたいと思います。
大島副大臣 後藤先生にお答えを申し上げます。
 もう御案内のとおりかと思いますけれども、石油公団法の附則におきましては、別に法的措置で設立することを明らかにしている特殊会社につきましては、整理処分後の石油公団の開発関連資産を引き継いで設立され、将来できるだけ早期に民営化することといたしている、これは先生御案内のとおりでございます。
 そこで、今、特殊会社法案の提出時期のお尋ねでございますけれども、石油公団の開発関連資産の整理処分の状況を踏まえながら、そして、この法律の施行後三年以内に予定されている石油公団の廃止に間に合いますように提出をしたいと考えております。
後藤(茂)委員 確かに、政府の答弁はそういうことだろうと思います。今、法律がこういう形であるんだから。ただ、私が言いたいのは、ですから、立法論の問題として申し上げますけれども、どんな特殊会社のイメージにするかということであります。
 出資八千五百億円について、これは損切りしてどんどん圧縮していく。特殊会社には、アザデガンだとかカシャガンだとかサハリンだとか、非常に有望な新プロジェクトも含めて、そこそこいい資産を持っている、私はそういう会社だと思います。適切に資産を処分、管理していくと、相当ぴかぴかの会社になるのではないかというように思います。そして、リスク分散の観点からいえば、ばらばらの資産の価値を合計して比べるよりも、私は、資産を統合してトータルの価値をつくった方が価値がより大きくなるというふうに思っています。
 そして、具体的にも、この会社は一日も早く民間に株式公開をして民営化すべきだというように思っていますから、そういう意味でいえば、大きく育てて株式を公開したらいいのではないか。もし、よいものをばらばらと小さく切り売りしていってしまえば、そういう形での株式の公開というのはできない。確かに、ばらばらと小さく分けて資産を売れば、換金は即できるかもしれない、そういうふうには思いますけれども、しかし、私は、資源エネルギー政策の観点から見ても、財政政策の観点から見ても、そういう形で大きく育てていく道をとった方がいいだろうというふうに思っています。
 それで、先ほどもトタールフィナ・エルフの問題やENI社の例を長々と申し上げたのも、実を言うとそういうことがあるからでありまして、和製メジャーという言葉が本当に適切な言葉であるかどうかは別として、少なくとも、国際戦略の中で中核的な戦略的役割を担う会社を日本が持っているということは、私は、我が国にとって非常に重要なことだというふうに考えております。
 そして、今さらスーパーメジャーを目指すなんてことは、これは夢と言わざるを得ないかもしれないですよ。はかない、かなわぬ夢かもしれませんが、しかし、それでも有望な石油関係会社と開発会社とを統合して、純民間会社としていわゆる和製メジャーをつくっていく最後のチャンスが今ある、そのチャンスを資産処分いかんによっては失うことになるだろうというふうに私は思いますけれども、この辺についての、岐路に立っているということの認識について大臣に伺いたいと思います。
平沼国務大臣 経済産業省といたしましては、平成十二年八月の石油審議会の中間報告においても、自律的に石油開発事業の維持拡大を行うことのできる中核的企業グループの形成の必要性が示されました。引き続き、石油の安定供給確保の観点から、重要な政策課題と認識しております。
 石油公団廃止法附則で別に定める法律で設立することを明らかにしております特殊会社につきましては、整理処分後の石油公団の開発関連資産を引き継いで設立されまして、できるだけ早期に民営化すること、こういうふうにしております。
 いずれにいたしましても、特殊会社の目的、業務等については、別に法的措置をとることとなっていますけれども、繰り返しになりますけれども、今後の具体的な議論の中で明らかにしてまいりたいと考えております。御指摘の点は、私もそのとおりと認識を共有しておりますので、今後の具体化に大いに反映をしていきたい、こういうふうに思っています。
後藤(茂)委員 一言だけ言えば、優良資産をばらばらと切り売りすると、例えば、さっき言った三つの有望な金の卵もメジャーの草刈り場になるだろうと私は思いますので、その辺のところをぜひ、政策論としてきちっと今後の法案の問題や、そういうところに体を張ってやっていただきたいというように思います。
 最後に、民営化という観点から一つだけ補足して伺うのですが、大きなリスクを伴う資源の自主開発プロジェクトのようなものについて、もし、単に、例えば優良な資産を切り売りして民間に任せればよいというような形で議論をしていきますと、実際にはそういう自主開発プロジェクトから我が国が撤退していかざるを得ない、あるいはその事業を放棄してしまうおそれがある、ということになるということは、我々、やはり認識する必要があると思います。
 戦前、石油利権を独占して自己資金を蓄積したスーパーメジャーも、それから、例えば後発組の国営会社として国の援助を受けながら大きくなった準メジャーについても、国際マーケットの中できちっと役割を果たすように、歴史的経過なり国の政策、国家戦略があったと私は思います。
 そういう意味では、単に石油公団を廃止することが民営化なのではない。私は、こういう中核的な民間のきちんとした会社をつくって、国家の戦略として、その会社が国際マーケットの中できちんとやっていけるところまで道筋をつけることが本当の民営化だというふうに思っていますし、資源エネルギー分野での民営化というのはそういうものでなければならないというふうに私は思っております。
 そういう意味で、最後に大臣の御決意を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
平沼国務大臣 私は、今、後藤先生の言われたことは正しいことだと思っておりまして、私どもとしても、そういった形で、将来、その特殊会社が、さらに民の活力によって、そして国というものが、エネルギーの安定供給、エネルギー安全保障、その中で一体となってしっかりとした運営ができる、そういうことを目指していくべきだ、このように思っております。
後藤(茂)委員 終わります。
谷畑委員長 生方幸夫君。
生方委員 まず最初に、もう何回も出た質問かもしれませんが、そもそも、石油公団を廃止するという目的は何なのか、そこから最初にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 これは、いわゆる特殊法人の整理合理化計画、そして行政改革の一環として、小泉内閣の基本方針にございました。そういう中で、私どもは特殊法人というものをやはり見直していくべきだ、それが一つの原点にございました。
 そういう中で、私どもとしては、石油公団という特殊法人というものは、その基本的な考え方によって廃止はするけれども、しかしこれは、経済大国の日本の国のエネルギー政策、あるいはエネルギー安全保障、こういった観点から非常に重要な役割を担っておりますから、廃止はするけれども、例えば、今御議論をいただいております自主開発の面、それを行うリスクマネー、債務保証の面、あるいは、一たん緩急のときにぴちっとエネルギーの途絶を防ぐためのいわゆる備蓄の問題、それから、これまでいろいろ努力をしてきた結果、研究開発技術、そういったものも国がしっかりとしたものを持っていますから、そういうものも国が中心となって管理をして、それを国民の皆様方に役立てていく、そういうような観点で、今回、石油公団というものを廃止しますけれども、しかし、そういう形でさらに我々はこのエネルギー政策を進めていかなければいかぬ、こういうのが基本的な考え方でございます。
生方委員 石油公団を廃止する手順として、一つは今議論になっていた特殊会社にするということと、もう一つは独立行政法人にする、二つに分けてそれぞれの役割、機能を分担させるというのが基本的な考え方だと思います。
 まず最初に、特殊会社の方からお伺いをしていきたいんですが、特殊会社は、基本的には、今公団が持っている、出資をしている開発会社の持ち株分とか出資金とか融資金とか債務保証している分を整理統合して引き継ぐというのが基本的な考え方ですね。今、同僚議員の質問の趣旨は、いい部分を残して、特殊会社としていわば和製メジャー風に育てていけと。これも一つの意見だろうとは思います。
 もう一つの意見としては、多額の国税がこの石油公団に投入をされ、多額の債務も生んでいるというのも事実でございまして、黒字で売れるものはしっかりと売って国庫にしかるべき返還をするのが筋ではないか、それで、残った部分を整理縮小して、最終的にはなくしていくのが、石油公団廃止というところの趣旨からいえば一番そぐうのではないかという意見を述べる方もいるわけです。
 私も、どちらかといえば、後ほど質問をいたしますが、多額の国民の税金を使っているわけですから、多少なりとも回収できる、黒字になっているのは二百九十何社のうちの十三社しかないというような話でございますので、売れるものであればきちんと売って国庫に返すべきだという意見があることはあるんですね。
 今、大臣の答弁は、もう後藤議員の話で聞いておりますので、大臣のお考え方はわかりますが、私は、全部が全部いいところは残すというのではなくて、せっかく石油公団をこれから廃止をしようということでございますので、黒字は残して赤字は売るとかというようなことではなくて、きちんとした基準ですね、そこら辺、黒字だからいい、赤字だから悪いということじゃなくて、将来的には有望なものもあるのかもしれないし、やはりその考え方そのものを示していただきたい。
 和製メジャーの夢というのは、それは夢でいいんですけれども、夢を追い続けてもう数十年たって、その結果、今ここに至って非常に大きな累積赤字が生まれているわけですから、これと同じことを、せっかく石油公団を廃止して、また特殊会社をつくって、それを最終的に民営化するとしても、後ほど申し上げますが、そこに同じような形で国のお金が入っていくということであれば、また同じような損失を生んでしまう危険性があるんじゃないかというふうに私は思うので、重ねて、後藤議員の答えと重ならないような形でお答えをいただけたらと思います。
平沼国務大臣 開発関連資産の整理売却につきましては、先ほど後藤先生にもお答えをしましたけれども、経済産業大臣が事業計画を認可するに当たりまして、総合資源エネルギー調査会の意見をまず聞いて、そして、昨年末に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画の着実な実施を担保する観点から、特殊法人等改革推進本部長たる内閣総理大臣に協議することにしております。したがいまして、かかる業務に当たりましては、関係者のコンセンサスを得つつ、今御指摘の点も考え方の一つだと私は思いますので、公明正大に行っていかなければならないと思っています。
 石油公団の保有する開発関連資産の取り扱いについて、整理売却するもの、あるいは特殊会社に承継されるもの、この選別の基準については検討委員会における議論にゆだねることになりますけれども、基準の策定に当たって留意されるべき視点としては、例えば、私どもは以下のようなことを想定しております。
 一つは、事業内容の悪いものは原則早期に整理売却する、これが適当ではないかと思っています。
 それから、事業内容の悪くないものであっても、将来民営化をし、国際的な石油・天然ガスビジネスを自律的に展開することを予定する特殊会社にとって中核的な事業とならないものは売却する方向で検討することが適当ではないか、こういう視点も持っております。
 また、探鉱中あるいは開発移行中の仕掛かり案件を有するものを含めて、将来性があって産油国との間でも国の関与を引き続き示す必要のあるものは特殊会社へ承継することが適当だと思っております。
 また、現在事業内容の悪いものでございましても、他のプロジェクトあるいは他の事業との連携によりまして将来資産価値の増大が見込まれるものは特殊会社へ承継することが適当ではないか。
 こういった四つの考え方を総合的に検討しながら、イタリアがそうであるように、フランスもそうであるように、エネルギーの安定供給という面から見て、私どもとしては、そういう四つの点をよく公明正大にやりながら、将来的には、活力のあるメジャー的な民間会社の設立、そういうものを視野に入れてやっていかなければならない、こういうふうに思っています。
生方委員 そのメジャー的なというのは、基本的には、開発会社に出資をしますね、それの持ち株会社的な役割というのをその特殊会社がするというふうに理解をしてよろしいんですか。それで、その特殊会社には国は出資をするのかどうかということもあわせてお伺いしたいんですが。
平沼国務大臣 これは、そういった和製メジャー的なことはありますけれども、いわゆるリスクマネーだとか債務保証は独立行政法人が負うという形で、こことの連携の中でやる、こういうことでございます。
生方委員 いや、その特殊会社がやること、どういうことをやるのか。持ち株会社的なことをやるのか。だから、独立行政法人の方でリスクマネーの管理とか備蓄をやるのは、これは後ほど質問をいたしますが、特殊会社の方が何をやるのかということと、あと、あわせて政府がどういう出資の形をとるのかということ。
平沼国務大臣 これは、両方そういう機能を持ってやる、こういうことに相なると思います。
 ですから、一つは、独立行政法人がリスクマネーですとかあるいは債務保証、そういったものをやる。それから、会社の方でも、将来、探鉱だとかに関してはそういう機能を持ってやる。ですから、両方そういう機能を持つ、こういうことになると思います。
生方委員 重ねての質問で申しわけないんですけれども、独立行政法人がリスクマネーの管理や備蓄をやるので、特殊会社も同じことをやるというのであればこれは二つに分ける必要がないわけで、ちょっとここら辺、詳しくお伺いしたいんですが。
河野政府参考人 独立行政法人が行いますのは、リスクマネーの供給について国として必要な機能を承継して行うわけでございますから、この独立行政法人には今後も国として、追加出資の規定もございますので、国が資金を提供し、この独立行政法人が判断をしながら個別のプロジェクトについてリスクマネーを供給していく国としての役割を果たすわけであります。
 他方、特殊会社は、石油公団の適正な処分を終えた後の資産を承継いたします。したがって、その持ち株自身は今は石油公団のものでございますから、それが設立されたときは一〇〇%国の出資の会社として出発せざるを得ません。しかし、これは民営化していくということでございますので、この経営自身は、民間経営的な経営判断をしていくということでございます。
 その中で、その傘下にあります会社をどういうふうに管理していくのか、あるいはそれに対して必要なときに資金提供をするのかどうか、そういったことは、これから特殊会社に関する立法作業を行っていく過程でより具体的に明らかにさせていただきたいと思っております。
生方委員 もう一度質問をいたします。
 特殊会社は、今現在もう既に開発会社に出資している分は石油公団からそのまま引き継ぎますね。これが、新たにどこかで探鉱して会社をやりたいという開発会社が出てきた場合、特殊会社からもそこへ出資をしたり融資をしたり債務保証をしたりする機能も持たせるということなんですか。
河野政府参考人 具体的な特殊会社の機能というのを今すべて決めているわけではないわけでございますけれども、民間企業的な経営をするということになった場合に、その傘下にあります会社は株式の形で株を持っておりますけれども、その株式が具体的な資産として意味をなすものは、石油の権益といいますかそういったものでございます。
 その権益を民間企業として維持をしていく、あるいはトータルとしての資産価値を維持したり増大していく、それは民間企業としての経営だと思うのですけれども、そのために必要なことは、いわば民間企業として恐らくいろいろなことができることにしておかなければならないだろうというふうに思います。
 ただ、そのことと、その特殊会社は、出発をいたします時点で国が一〇〇%現に持っておりますから、そういう形で発足をいたしますけれども、そこに国のお金を入れていくということではないということでございます。
生方委員 いや、だから、私が聞いているのは、今まで持っている、現に持っている開発会社の株はわかりますよ。だから、新たに探鉱したりする際に、その特殊会社が出資をしたり何かする、そういう機能も持たせるのか持たせないのか、その一点だけお伺いします。
河野政府参考人 それは、まさに今後の法案立案過程で検討していくべき課題でございますけれども、石油開発会社の株式を持っているこの特殊会社が、自分の資産価値を増大したり維持したりしようと思えば、利権を新たに取得する場合に、その子会社に対して何をするべきかということを民間企業的なセンスで考えていかなければならないと思います。あるいは、今持っている利権を維持管理していくのに何が必要かということも考えていかなければいけない。そういったことができるようでなければ、民間企業として十分民営化していくという素地を備えないのではないかと私は思っております。
生方委員 公団を廃止するわけですよね。民間会社は民間会社で今既にもうやっているわけですよ。ほかの普通の石油会社は同じようなことをやっているわけで、そこへ新たにまた同じような会社をつくるのでは、これは石油公団を廃止した意味がないわけで、だから私は何回も聞いているわけです。
 石油公団が持っている機能と全く同じような機能をまた持たせて、民間会社として仮に出発をしたとしても、では、その次の段階で、ここでもリスクマネーの供給ということをするのか。独立行政法人の方でもするし、ここでもする気なのか。だから、二重にやることになっちゃうんじゃないんですかという意味で重ねて聞いているんですけれども、こっちでリスクマネーの供給もやるということで、そういうふうに理解していいんですか。
河野政府参考人 まさにそれは今後の課題ということでございますけれども、この特殊会社が子会社のためにどのような支援活動をする必要があるかというのは、あくまで民間企業としての経営判断としてやっていくことでございます。
 それから、独立行政法人がリスクマネーを供給するというのは、民間企業、さまざまあろうかと思いますけれども、それらの企業が自力だけではできないものについて、国の機能として、それをリスクマネーの供給という形で支援をしていくということでございますから、そこは、仮に特殊会社が何らかの資金供給をするということがあったとしても、性格はおのずと違うというふうに思います。
生方委員 一番最初にわざわざ私は石油公団を何で廃止するのかということを聞いたことで、民間にやれることは民間にやらせればいいというのがこの特殊法人改革の主たる目的ですよね。
 そうすると、今お話を聞いていると、せっかく石油公団を廃止しても、特殊会社をつくって、そこは民間会社なんだから自由にやらせなさいというふうに言ったって、同じ機能を持たせることになっちゃうわけでしょう。新たな民間企業をつくるということと一緒になるじゃないですか。そうしたら、もともと石油公団を廃止しようという意図と違っちゃうんじゃないんですか。
 私は、もともと最初の理解、それこそ堀内さんが言っていたような理解では、石油公団を廃止するということは整理統合しましょうということで、全部持っている出資会社をきちんと整理しましょうということがもともと目的だったはずなのに、また特殊会社ができてしまえば、新たに大きな会社ができるのと、もう一個独立行政法人ができるので、石油公団を廃止したけれども、結局二つの大きな天下り先ができちゃうんじゃないかという懸念があるわけで重ねて聞いているわけです。
 まさにその特殊会社の法律が一緒に出てこなかったというのは、そこの部分をあいまいにして、まず公団は廃止しましたという実績をつくるということにあるので、本来だったら、この特殊会社をどういうふうにするのかという法律が一緒に出てこなければ、この石油公団の廃止法案、本当は車の両輪であるわけですからね、意味がないわけですよ。だから、あいまいなその特殊会社が何をやるのか、何ができるのかもわからないままで、本当は論議をすることはできないと思うんですね。
 それはしようがないから置くとして、その特殊会社が仮にリスクマネーを供給するとした場合、国の関与ですね、石油公団から出資したみたいな形の国の関与というのはあるんですか。
河野政府参考人 この特殊会社は、発足時点において、経緯的に国が一〇〇%株式を保有しているという状態の特殊会社として発足することは、そういうことになるわけでございますけれども、この会社が仮に子会社群に対して何か資金的な手当てをするということになったとしても、それは民間企業としての経営判断ということでやっていただくわけでありますから、国がこの特殊会社に追加的な資金提供をするということはございません。
 ただ、この特殊会社の子会社群がいろいろなプロジェクトをやる場合があります。そのプロジェクトについて独立行政法人が国のリスクマネーの供給という観点からまた出資をしたりして、民間経営体であるこの特殊会社の子会社群との間である種のジョイントベンチャーみたいなものができる、そういう可能性は将来あると思います。
生方委員 それでは新しい石油会社、民間会社を一つつくるだけの話であって、独立行政法人という本来もともと一つのところが分割しただけで、またリスクマネーを供給するというのでは、これはまことにわかりづらい話ですわね。
 せっかく石油公団を廃止して特殊会社と独立行政法人に分ける。特殊会社はもともと政府が一〇〇%の持ち株会社でやって、上場する。そこはもう民間会社になったんだから、こっちの独立行政法人からリスクマネーの供給を受けるというのでは、これは全く同じじゃないですか、今までやっていたことと。何も変わらないじゃないですか。石油公団という一つの中でやっていたのを、ただ二つに分けて、ただ筋を変えただけで、全く国から同じようにお金は出てくるという格好になっちゃうんじゃないですか。
河野政府参考人 特殊会社は民営化していくわけでございますから、今後国からの追加的な出資はなしに、その株式を市場において売却するなりして一〇〇%民間企業になっていくわけです。民間企業になっていくこの会社が、その傘下にある会社のためにどのような、ヘッドクオーターといいますか、そういったものとしてやれるということについては、自由度が必要だというふうに思っております。
 他方、独立行政法人は、今石油公団が果たしております機能のうちの国として必要なリスクマネーの供給機能を引き受けるわけでございますから、それは国として必要な、厳選された案件についてリスクマネーを供給していく、そういう石油公団が今持っております国の役割を引き受けるものでございます。
生方委員 どうもよくわかりませんね。
 公団を廃止するということのもともとの大もとは、民間にできることは民間にやらせましょうということが行政改革の一番の根本ですわね。それを、これで見ると、新たに石油公団を分割して新たな民間会社をつくるということじゃないですか。ということになると、ほかの民間会社にとっては、新たな競争相手があらわれてくるということにすぎないわけで、民間にできることは民間にということであれば、きちんと整理をして、最初の時点で、特殊会社なんて持たないで、全部もう売っちゃって、そのお金は、もともと国がいっぱいお金を出して損失しているわけですから、国庫に返すという、そちらの方が筋だと思いますよ、私は。
 これは、やはり通産省が権益をどこかで守らないかぬということで、こっち方へもう一個特殊会社をつくると。特殊会社をつくれば、もともと国が一〇〇%を持っているわけですから、当然そこには通産からもだれか人が行きますわね、後、民間会社になったとしても。そういう権益の確保のためにこういうことをやるということになるんじゃないですか。
 ただ単に整理をするだけであれば、今持っている会社をきちんと売って、黒字の会社を売って、きちんとそれだけ売れればお金が入ってくるわけですから、それを返済に回すという方が筋だと私は思いますけれども、大臣、いかがですか。
平沼国務大臣 これは、石油という国家にとって必要なエネルギーを安定供給し、そして量的な確保をする、それからまた、将来的にエネルギーの安全保障のために自主開発をしなければならない、こういう観点の中で、リスクマネー、債務保証というものは、今までの石油の世界の実態として、何らかの形で国がそういうものを担保しないと、例えばイランのアザデガン油田の開発についても、やはり日本の政府というものが後ろ盾にあるということが、それが非常に大きな意味があって、そして、その優先開発権も得ることができました。
 今後も、石油開発、自主開発については、そういったことがついて回ることでありますので、私どもは、これを最終的に決めるときに、リスクマネーの供給というものはやはりそれは必要だ、そういう形で、私どもはここは大切なことだとして残したわけであります。
 しかし、独立行政法人、そして純民間会社になった、しかし、そういう中でも、自主開発の部分については、民のことは民に任せるということはそれはおっしゃるとおりですけれども、そういった側面があるということに私どもは非常に大きな意味がある、そういう機能も必要だ、こういうことで私どもはお願いをしている、こういうことであります。
生方委員 これ以上あれしませんけれども、それならば、特殊会社は一〇〇%国が持ったままで、別に上場なんかしないで、国策として重要であるならば、私は、一〇〇%持ったままでやった方がよっぽど筋が通ると思いますね。それを民間会社にしちゃう必要はまるでないわけですから、国策としてやるのであれば、一〇〇%持ったままで、公団という形じゃなくて違う形で国がやる、それは一つの考え方だと思います。
 そうじゃなくて、民間会社にしておいて、その会社にまたもう一方の独立行政法人の方からリスクマネーを供給するというのは、私は、意図としては何かねじれていると思いますね。半分半分でやって、何か最終的な目的がよくわからなくなる。目的が、本当に国としてきちんとそれを、エネルギーの安定供給の確保という点からそういう会社を持たなきゃいけないというのであれば、何も特殊会社は、民間会社に、上場して売る必要はないわけで、国がずうっと保有していればいいという考え方もあると思うんですよ。
 それは両方あってしかるべきだと思うんですけれども、国策でやるんだということであれば国が持っていた方が、国が直接責任を持てるわけですからね。その方が私はすっきりすると思うんですけれどもね。
平沼国務大臣 私どもは、特殊法人を廃止をし、そして、内閣の方針に従って石油公団を廃止する。しかし、繰り返しになりますけれども、国が負うべきそういう機能というものは石油開発につきものですから、私どもとしては、それは必要最小限担保しなければいけない。ですから、七割というものも上限五割にする。そういったいろいろな形で、私どもは、でき得る限り国の将来のエネルギーの安全を見据えてこういう案をつくらせていただいた、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
生方委員 特殊法人をなくしていこうという政府の大きな方針があるのはもちろんわかりますけれども、石油公団の場合、国のお金が大量に出ていってそれが損失になってしまったというのでどうしようかという問題がもう一つ絡むわけですよね。
 それで伺いたいんですが、石油公団の廃止に伴って、これまで国が負担をした額、損失をしてしまった額、これから損失が見込まれる額というのは一体幾らあるのでございましょうか。
河野政府参考人 この廃止法案によりますと、石油公団を解散するまでの間に開発関連資産の整理売却を進めていくということになっておりまして、その過程の中で、処分損が出るケースもありますし、売却益ということが出る場合も両方あるというふうに思います。それは相互に相殺し合うわけでございますので、現在、それが最終的にどのような金額になるかというのは、今後の精査、それから処分の方針等に依存いたしますので、明確に申し上げることはできないわけでございます。
 ただ、石油公団では、御承知のように、毎年、長期損益分析というのを行っております。平成十二年度末の時点で、過去の損失確定分も含めて、それも計算に入れた上で、将来の油価と為替がどのように推移するか、これは、過去十年間をとってみましても、為替レートでも九十円から百数十円ありますし、油価に見ましても十一ドルぐらいから三十ドル近いところまであるわけでございますので、正直言って非常に幅があるわけでございますけれども、それぞれの油価、為替の水準に応じて、最終的に四千六百十億円の損失の可能性から六千二百六十億円の利益の可能性があるという評価になっております。
 いずれにいたしましても、今後の改革を通じて、効率的、効果的な整理処分を進めることによって損失を最小限にしていきたいというふうに考えております。
生方委員 これまでに確定した損失は幾らあるんですか。
河野政府参考人 これまでの損失確定の累積額は八千七百四十五億円でございます。
生方委員 八千七百四十五億分がもう既に損失が確定した分だというふうに理解していいんですね。いや、いいならいいんです。いいんですね。
 この八千七百四十五億というのは大変な額ですよね。これは半端な額ではないんですが、これは国民の負担になるわけで、だれが一体これだけ損をさせてしまった責任というのをとるんですか。
平沼国務大臣 石油の開発というのは、ある意味では、確率的に言いましても非常にリスキーなものであることは事実です。したがいまして、それぞれが大変みんな努力をしてきて、しかしその結果、結果的には八千億を超える国民の大変大きな負担、こういう形に相なったわけであります。
 私どもとしてはこの責任というものは痛感をしておりますけれども、しかし、こういった自主開発の部分には、確率の問題からいっても本当に厳しい面があります。したがいまして、私どもとしてはこれは重く受けとめなければならないと思いますけれども、しかし、みんながそれぞれ努力をし、その結果でありますので、私どもとしては、国民にさらなる負担がかからないようにこれから努力をし、そして石油公団を廃止しながら、新しい一つの視点でこの自主開発を進め、我が国のエネルギー安定供給を確保していく、そのことが最終的に責任を全うすることだ、こういうふうに思っております。
生方委員 人間にも能力があって、できることとできないこととがあるわけですよね。これをやりたいんだけれども、やれることとやれないこともあるわけでね。ほかのメジャーはきちんと採算とってやっているわけですよ。もちろん、普通の民間企業ですから、利益が出ているわけですよね。
 国としてこれだけやっても、八千七百億も既に損失を出してしまって、会社を整理する過程で、債務保証している部分や何かいっぱいありますから、一千億とか二千億の損が恐らくこれから出るであろうというふうに言われていますよ。一兆円ぐらい出るというふうに考えますと、基本的に私は、和製メジャーを持ちたいという気持ちはもちろん共有はいたしますけれども、ただ、持てるものと持てないものがあるというものの見きわめはどっかの時点でしなければいけないと思うんですよ。
 だから、油を掘って、それこそ千に一つしか出ないというような油であっても、メジャーの場合は、やはりそれは、経験に裏打ちされた技術力もあって、それとか産油国との関係で、より出そうなところを、鉱区をとれるというようなこともやはりありますのでね。
 私も開発会社何社かに行ってまいりましたけれども、人数も少ないですし、現実にはもう整理途中みたいなところもございましたから、そこが活発に何かこれから利益になるようなことができるのかというと、なかなかできそうもないようなことも考えますと、私は、どこかの時点で、探鉱については、例えば今の規模の、これは後ほど、後ほどというか、もう余り時間がないのであれなんですけれども、独立行政法人がリスクマネーを提供する場合も、これまでのように有望だと言えばすぐやるというんじゃなくて、例えば、今まで十やっていたらそのうちの一、百やっていたら一ぐらいで私はいいと思いますけれども。
 百やっていたのを一に減らすぐらいのことをして、あとは、実際に石油も今出ている鉱区があるわけで、石油の安定供給ということが一番の目的であるというふうにするならば、何も探鉱をして、そこから石油が出てくるまでには大分時間と大分のお金がかかって、それが累積の損になることもこれは経験上今明らかになっているわけですから、既に出ている鉱区を買うというような方法も、それをメーンにするとか、安定供給ということが主たる目的であるとするならば、そういうことに少し方向を転換しないと……。
 独立行政法人の部分で、これまで七割は国が面倒を見て三割だけが民間だったのを、今度五割は民間がやりなさいということになったとしても、やはり半分ですよ。普通の投資で半分国が面倒を見てくれる投資なんというのはないわけで、やはり半分見るというのも異常ですよ。やはり最低、自己負担が、自分のリスクを負う部分が七割とか八割あって、二割は国だというのが、それだって多いぐらいですけれどもね。
 それは、石油という性格上それはまだしも、さっき質問の中でも何で五割なのかという質問が出ていましたけれども、少なくとも民間企業がやるのであれば二割か三割が、私は国が、それはもう全部チャラにしていいというお金ですから、それはその辺ぐらいが限度だというふうに思うし、やはり私は、最初の質問に戻っちゃいますけれども、今まで百やっていた部分は今度は一ぐらいに減らす。あとは、もう既に出ている鉱区を、それも今現在もやっておられますけれども、そちらの部分の比率をもっとふやしていく。
 せっかく石油公団の廃止ということを決断なさっておやりになるわけですから、そのリスクマネーの提供や探鉱についての考え方も変えるべきじゃないかというふうに私は思うんですが、いかがでございますか。
平沼国務大臣 前の質問に関してもちょっと私触れさせていただきますけれども、確かに八千億を超える膨大な赤字が出ておりますけれども、実際は自主開発の部分が二十六万バレルから五十八万バレルという形で、今、日本のいわゆる輸入石油量の一三%を占めている、こういう実績も私はあることは事実だと思っています。したがいまして、確かに膨大な赤字というものは、先ほども答弁で申し上げたように、責任を痛感しながら、さらに前向きにしていかなければならないと思っています。
 それから、今の御質問に関しましては、これから探鉱をするにしても、自主開発をするにしても、私どもは、かつてのように一つのプロジェクトに一つのカンパニー、こういうようなことはもうとてもできないわけでありますから、当然精査をしなければいけませんし、それから、現にメジャーがやっているようなそういう基準というものを、私どももその基準というものをきちっと設定して、そして、なるべく失敗がないように私は努力をしていかなければいけません。
 そういう意味では、メジャーの採用している基準等も当然我々は採用して、そういうことをやっていかなければならないと思っておりますし、五割ということについて、もっと低くてもいいんじゃないか、こういう御指摘がございましたけれども、今委員も御指摘のように、やはりエネルギー、石油という、そういう一つの特殊性もございまして、私どもは、上限五割、あくまでも上限五割、こういう形に設定をさせていただいたところでございます。
生方委員 これは、新エネルギー法ができたり、石油依存度をできるだけ低くしていこう、そうはいっても現実には石油に依存している度合いが高いわけですけれどもね。私は、将来的には、やはり石油の依存度を、石油を使えば使うほど地球の温暖化をしてしまうわけですし、これは限られた資源ですから、将来の子供たちのためにある程度残していくということも考えないかぬでしょうから、やはり石油依存度をもっと革命的に低くするような方法、だから新エネルギーにこそ、やはり政府の出資というのですか、政府がリスクマネーを提供するのはそちらの方に比重を移して、既存のこの石油の方はもうこれだけ市場が開放されているわけで、もちろん戦争とかという突発の事態が起こればそれなりに逼迫することもあるでしょうけれども、それは片っ方で備蓄という形で備えることももちろんしているわけですから、主眼を石油中心からやはり新エネルギー中心に移していくということがこれを機に非常に大事で、それを国民の皆さん方にも理解してもらうためにも、五割出しちゃっちゃ、私は、やはりここが一番重点なのかと。
 では、新エネルギーの方は、何か新たな開発をするとき五割政府が保証してくれるんですかと。同じような形で新技術を開発するときには多額のお金がかかるわけですよね。だけれども、五割は支出しませんわね。何で石油だけに支出して、新エネルギーの方は支出しないのですかということになってしまうと思うので、そこら辺の観点からいっても、私はもっと、せっかく新エネルギーの方へシフトしていこうというのであれば、石油の方はもう既に確立をしたものであるし、限られたものであるし、使えば使うほど地球温暖化には悪いんだから、我が国としては、これはできるだけ少なくしていく方向に向かうんだという決意を示す意味でも、五割というのは幾ら何でも私は多いんじゃないかなというふうに思うのですが、いかがでございますか。
平沼国務大臣 石油依存度というのは、今委員がおっしゃったように、やはり石油に対する過度の依存というのは国としても政策上望ましくないという形で、今、全エネルギーの中で五割をちょっと超える、こういうところまでは下げてきたことは事実です。
 そして、新エネルギーの必要性というのは、この前エネルギー新法もお願いをし、そういう必要性を我々は痛感しております。ですから、これからクリーンエネルギーというものを我々は積極的に開発していかなければいけない。しかし、現時点で、やはり新しいエネルギーというのは、今、全体でもまだ一%、それを、非常にインセンティブを与えても、これが三%ぐらいが今の段階では見込めるところでございます。私は、エネルギー担当大臣として、三%と言わないで、もっと高く目標を設定してクリーンなエネルギーの導入を図らなければいけない、こういう形で今督励をしているところでございます。
 ですから、そういった新エネルギーに対しましても、私どもとしてはやはりインセンティブを与えることは必要だ、こういうふうに思っておりますので、新エネルギーに対しても私どもは積極的に取り組んでいかなければならない、こう思っています。
生方委員 それを、だから具体的にということで、五割というのをやはりもうちょっと引き下げる。五割というのはお金が国庫から出るわけですから、その分をほかに回せば、今、一だったのが三にという目標を、三を一〇にできるかもしれないし、一〇を三〇にできるかもしれぬということで、そういう政府の決意というものを示す意味でも、七割を五割では、とにかく五割は損してもいいよというようなことをやれば、これはやっぱりモラルハザードを起こしちゃいますよ。やはりそれは、最低でも自分の負担の方が多いというのが民間会社であれば当たり前の話で、半分政府が持ってくれるからいいやということになってしまわないためにも、やはり私は、この五〇%というのは見直すべきじゃないかなというふうに思います。まあ、これは私の考え方でございますので。
 時間がないのでもう一点だけ聞きたいのですが、独立行政法人が備蓄をもう一個やるわけですね、リスクマネーの提供と同時に。この備蓄を今度は国営化してやるということですから、現在第三セクターの民間会社で持っている備蓄基地を一たんこの独立行政法人が買い取って、その後民間に委託をするという形をとるのですか。具体的な方法としてはどういう方法をとるのですか。
河野政府参考人 現在の体制は、石油公団が備蓄をされております油、それから土地を保有しております。そして、具体的なタンクは国家備蓄会社が保有しております。この国家備蓄会社の七割は石油公団の出資でございますけれども、残りの三割は、中核的な関係会社あるいは地元の皆さんのような、石油公団以外の方からの出資によって成っているわけでございます。今回の改革ではこの国家備蓄会社を廃止いたしますので、この国家備蓄会社が保有しておりますタンク、施設は国のものとする必要がございます。これは何らかの格好で国家備蓄会社にお金を払うなりして国有のものにいたします。
 他方、営業権とタンクがなくなった国家備蓄会社は、石油公団の株も含めて有償減資なりをして純粋な民間会社、資産を保有せずサービスを提供する会社という形になっていくだろうと思います。この辺は、民間株主の方の御意向もありますから今後の調整でございまして、その業務の範囲も今後ということになりますが、業務の仕分けとしては、まず、基地も油も国が保有をする、そして、その管理について、中核的な部分は、例えば基地が十カ所あります。その間でどういう油のやりとりをするかとか、いざというときにどこが油を放出するとか、毎年の訓練はどういうふうにやっていくとか、そういったような統合管理の機能は独立行政法人が持ちます。しかし、日々のメンテナンスといいますか、そういったサービス関係については、基本的には民間の会社などに委託をしていくという形態になると思います。
生方委員 先ほども、備蓄会社の問題については、東京に会社があって、ほかに同じような形態の会社がいろいろあるということなんですけれども、それを国有化する意図というのが私にはよくわからないのですね。むしろ民間に全部任せちゃう方が、独立行政法人が一たん間に入るよりもいいと思うのです。全部国有化に何でしなければいけないのかという理由をちょっとお伺いしたいんですが。
河野政府参考人 この国家備蓄を管理している、いわば国家備蓄ですから、当然その管理費用というのは国が持つことになるわけですね。その主体を、当初、設立した当時は、石油公団の出資を七割ぐらいにして民間の関係の方からも出資を仰ぐことによって、トータルコストを少し、政府としてのあるいは公団の出資分を減らすという意図が多分あったんだろうと思いますけれども、国の備蓄管理会社としてはやや性格があいまいなのではないかというお話もありました。
 それから、今回、このタンクも油も含めて国の直轄ということにいたしますと、実はこの国家備蓄というのは、油代あるいはタンクの建設費などなど借金を背負ってこれまでやってきております。それを、国の直轄ですから、資産も引き継ぐと同時に借金も引き継ぐわけでございまして、国の名において行う借金と石油公団あるいは他の、国以外の主体の借金ではやはり資金調達コストも異なるわけでございまして、今回、国が直轄するということに伴いまして、そういう意味では資金コストは節約することは可能だというふうに考えております。
生方委員 今の理由では余り納得がいかないんですけれども、石油公団の仕事をできるだけ分割するときに、減らさないために一つ何か仕事を余計にくっつけたというような感じでしか私は思えませんが、これはまた後ほど議論をしていきたいと思います。
 質問時間が終わりましたので、どうもありがとうございました。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。達増拓也君。
達増委員 去年十二月十九日閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画、「石油公団は廃止する。」とここで定められまして、また、金属鉱業事業団は「石油公団と統合し、独立行政法人を設置する。」というふうに定められました。
 それで、石原大臣のもとでこれを決めた、小泉総理の特殊法人改革というのは、いわゆる小泉改革の目玉の一つでもありますから、そういう小泉・石原ラインで決めたこの特殊法人等整理合理化計画でありますけれども、それに基づいて今回提案されている法案、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案、これを見ますと、石油公団も金属鉱業事業団も、同じ解散ということになると定められております。
 石油公団も解散、金属鉱業事業団も解散、その上で独立行政法人、機構ができるわけでありますが、同じ解散になるのに、石油公団は廃止と言って、金属鉱業事業団については廃止と言わないこの特殊法人等整理合理化計画は、普通の国語の感覚、声に出して読む日本語の感覚からいってもおかしいと思うんですが、いかがでしょうか。
西村政府参考人 お答えいたします。
 今回の特殊法人等の整理合理化計画では、まず、それぞれの法人につきまして事務事業の徹底的な見直しを行いまして、そして見直した結果、そういう残った事業についてはどういう事業の実施主体がふさわしいかということを検討して組織形態を決めたところでございまして、石油公団につきましては、一部は金属鉱業事業団に統合する部分もございますし、国の直轄事業とするものもございます。
 それから、資産の処分等については、これは適正に処理をして、その処理の後は特殊会社を設立して民営化を行う、こういう整理をしたわけでございまして、考え方といたしましては、事業が民間その他の運営主体に移管されるというようなものを整理合理化計画では廃止ということで整理をしたわけでございます。
 また、金属鉱業事業団につきましては、事業の見直しをやっていただきまして、不要な業務の廃止縮減を行ったわけでございますけれども、その主なものは引き続き国の関与が必要であるということから、特殊法人を解散いたしまして独立行政法人で行うということで、独立行政法人化というぐあいに整理をしたところでございます。
達増委員 やはり普通の日本語の感覚からいいますと、石油公団は廃止されるわけではないというふうに言いたいと思うわけであります。
 そこで、経済産業省、大臣に伺いますけれども、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案の方の第三条に「機構の目的」が掲げられておりますけれども、この「機構の目的」は、ほとんど石油公団法の第一条「目的」と金属鉱業事業団法の第一条の「目的」を合わせたものでありまして、やはり法案の中身の実態としても二つの特殊法人を統合して新しい機構となるわけでありまして、二法人は統合されて存続する、廃止されるわけではないと認識するのが当然と考えますけれども、この点はいかがでしょう。
平沼国務大臣 達増先生にお答えをさせていただきます。
 今回の特殊法人等改革では、特殊法人等の事業見直しの結果、その主たる事業が廃止され、または民間その他の運営主体に移管される法人については、原則廃止といたしております。
 石油公団について申し上げますと、石油開発のためのリスクマネー供給機能に関しましては、徹底した事業の見直しを行い、探鉱投融資業務を廃止することでリスクマネーは出資に限定をし、出資の割合は五割以下とした上で、金属鉱業事業団に統合し、独立行政法人を設置することとしているわけであります。
 もう一つ、備蓄については国の直轄事業として行いまして、備蓄基地の操業に係る具体的業務は純粋民間企業に委託することとした上で、国家備蓄の統合管理等の機能を金属鉱業事業団に統合し、独立行政法人を設置することにいたしております。
 このように、石油公団の主たる業務は廃止または他の運営主体に移管されることとなるため、石油公団は廃止される、こういうふうに考えるのが適切だと思っております。
 なお、石油公団と金属鉱業事業団から業務を引き継ぐ独立行政法人は資源機構法案で新たに設立されることとなるため、石油公団等廃止法では、同法第一条で、石油公団法及び金属鉱業事業団法を廃止し、石油公団は三年以内の政令で定める日に、金属鉱業事業団は一年九カ月以内の政令で定める日にそれぞれ解散することとなります。私どもはそういう見解を持っております。
達増委員 石油公団が廃止されるという主要な論拠は、その主たる事業がなくなる、主たる事業が廃止されるからということなんですが、実は主たる事業、そのほとんどの事業が残っているではないかということをまた後で質問させていただきますが、その前に非常に基本的な質問をさせていただきますけれども、それは、独立行政法人というあり方、新しい組織を導入することについてであります。
 独立行政法人は、今まで政府の機関が独立行政法人になるケース、幾つかあったわけですが、特殊法人が独立行政法人になるのはこの法案が初めてのケース。果たしてこの石油公団というものが独立行政法人という形になじむものかどうかというのを改めて考えてみなければならないと思うんですけれども、そもそも、独立行政法人というのは、政府が直接行っていたサービスを民間企業の経営感覚、サービス感覚を取り入れることでよりよく、より効果的に行おうというものだと思うんですね。もともと独立行政法人、英語でエージェンシーというのはイギリスで大成功をおさめ、サッチャーさんの改革からまたブレア首相の改革にも引き継がれ、イギリスで非常に成功しているのを参考にしたものなんだと思います。
 実は、そのイギリスにおけるエージェンシー制度、ブレア首相にかわったばかりのころなんですが、一九九七年の七月に、当時新進党、新進党青年局訪英団というのがイギリスに行きまして、イギリスのエージェンシー制について調べてきております。
 この新進党青年局の訪英団というのは、そのとき、ブレア首相と保守党ヘイグ党首の党首討論をきちんと視察しまして、この訪英団のメンバーが、後に我が国で党首討論制度を導入する際、その法案の起草にかかわったといった非常に歴史的な訪英団でありまして、新進党の仏壇は今自由党の方にございますのでこういう報告書も我が党の方で保存しているのでありますが、改革を目指すそういう若手の動き、新進党の中でもあったわけです。
 エージェンシー化担当官というのが内閣府にいまして、テリー・バードという人でありましたが、その人が言っていたんですが、エージェンシー化というものは大企業の分社化のようなものだ。行政の現場に権限を大幅に委譲して、本省とは指揮命令の関係ではなく契約の関係で結ばれる、各省庁とエージェンシーが契約の関係で結ばれる。それで、そのエージェンシーの長は公募で募集して、三割の人が非公務員になっている。会社の社長のようにそのエージェンシーの顔となって、マスコミ等に取り上げられることも多い。そういう民間の経営感覚を利用してやっていく。九七年当時、百三十八のエージェンシーが既にできていて、公務員の七六%がエージェンシーに属するというような、そういう抜本的な改革をやっていたわけです。
 さらにつけ加えますと、九九年付のこの独立行政法人白書、エージェンシーリポート99というものをイギリス政府が出しておりますが、そこで、エージェンシー化、独立行政法人化の目的というものは、政府のサービスの質を向上させることだと一言で言われています。それを敷衍しますと、資源の有効活用、コスト削減ということですね。あと、むだな人も使わないということです。そして二つ目に、よりよいサービスの質。やはりサービスの質ということがあります。そして三番目に、消費者の要求により的確に合わせていく。つまり、サービスを受ける消費者、あるいはカスタマーと言っていますけれども、そういう国民に向けてのサービスということなんですね。
 そうしますと、石油公団というのは、一般国民に何かサービスを提供するようなものではないんですね。もっと戦略的な、国家としてどこを開発する、石油の自主開発にどの程度のお金を使うかという、イギリスのエージェンシー制度と趣旨が非常に異なるようなところにこのエージェンシー化が使われているのではないかと疑問に思うわけであります。
 イギリスで百三十幾つかできているエージェンシー。どういうエージェンシーがあるかといいますと、社会保険、日本でも社会保険は庁と言って、英語にするとエージェンシーですが、エージェンシーといっても、もう独立行政法人化しているわけです。公的扶助もそうであります。あと、イギリスで有名なのは刑務所ですね。まさにそういう国民向けのサービス、受刑者向けのサービスですが、そういうのが、コストも削減できるし、サービスの質も向上するということで、刑務所をエージェンシー化している。あとは、日本で言うハローワークのような雇用部門。税関、裁判所もエージェンシー化されております。土地登記、日本で言う地方の法務局、登録の登記です、その土地登記もエージェンシーになっている。自動車免許登録、この間自動車リサイクル法で話題になりましたが、陸運局がやっているような仕事も既にエージェンシーとなっている。道路管理、高速道路関係業務、それも既にイギリスではもうエージェンシーになっているわけです。それから旅券の発行、パスポートですね。外務省が国の仕事として日本ではやっていますが、これもエージェンシーがやっている。客商売だからです。造幣局もエージェンシーになって、特許庁もエージェンシーになっているんですけれども。
 要は、客商売という発想で、よりよいサービスをより低いコストでやっていくというところにそのエージェンシー化の趣旨があるはずなんですが、そういう意味で、石油公団という、一般国民向けのサービスとはちょっと質の違う、もっと国家戦略的な業務を担うものをエージェンシー化するというのはいかがなものかと思うんですが、長くなりましたが、大臣、いかがでしょうか。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 委員みずからイギリスに足を運ばれて、イギリスのエージェンシー、ある意味でサッチャリズムの一環としてイギリス改革で成功した事例でございますので、それをしっかり見聞をされてこられた、またそのレポートというものを出されたということは、私どもも承知をいたしております。
 確かに、エージェンシーというのは民間の経営感覚を入れるということでございます。私どもがこの独法をつくる際にも、そういった視点を入れながら、やはり我が国としての独立行政法人のあり方につきましても工夫をさせていただいておりまして、例えば業務運営に当たりましては、あらかじめ中期目標を定めるということであります。また、中期目標の達成度につきましては、別途評価委員会をつくりまして、そこで厳しい評価を受けるというふうになっております。
 したがいまして、独法が行います例えば石油開発に関する支援事業につきましても、エネルギーの安全保障の確保あるいは危機管理という観点から、非中東地域案件であるとか、あるいは天然ガス案件、あるいは埋蔵量の大きい案件を中心にするといった、これは一つの例でございますけれども、例えばこういった戦略的な目標を定めて、その達成度合いについて業績評価を行うということは、当然この独立行政法人の業務の中にも含まれているわけでありまして、そういった視点からすると、石油開発についても独立行政法人の事業に十分になじむものというふうに考えております。
達増委員 同じ趣旨の質問を今度は内閣の方に伺いますけれども、イギリスの場合でありますと、要は役所、各省庁が直接国民と接する業務について余りにお役所仕事であった。そこではサービスも悪ければ効率も悪い、それではいけないということで、役所が直接国民に接する部分のサービスについては、いい意味での客商売という発想、そういう民間経営感覚を生かしたものにしていくということで、省庁の中にあった仕事をエージェンシー、イギリスのエージェンシーについては外庁という訳し方をすることが多いと思うんですけれども、そういう外庁としてのエージェンシーをイギリスではたくさんつくって、かなりうまくいっている。
 ですから、日本の場合に、例えば文部省が直接やっていた国立博物館が独立行政法人になるというのは、まさに客商売だからいいと思うんですが、こういう石油公団には本当になじまないんじゃないかと思うわけですし、そもそも特殊法人のエージェンシー化というのは基本からおかしいんじゃないかと思うんです。イギリスでは、もともと役所が直接やっていたことを外に出していく。特殊法人というのは、既に半分官、半分民、半官半民、もう半分民間、一応政府と別に法人としての独立した法人格を持っているわけでありますから、そういう特殊法人をエージェンシー化する、独立行政法人にするというのは、少なくともイギリスで育ってきたエージェンシー化の趣旨に反するのではないか。
 もし、イギリスのやり方と日本のやり方は違うんだ、日本独自の独立行政法人というものがあるんだというのであれば、そこにはかなり明確な改革の理念というものときちんとした方針がなければ、ただいたずらに特殊法人をさらにわけのわからない組織にしていく、看板だけかけかえて実は改革は後退していく、そういう危険性があると思うんですが、いかがでしょうか。
西村政府参考人 お答えいたします。
 中央省庁改革で新しく独立行政法人というのができましたが、これは、基本的には、行政の政策立案機能と政策の実施機能を分ける、それから行政をスリム化していこう、かつ、効率的、透明な事業をやっていこうというようなことから、例えば、完全に民間の主体にゆだねられないようなもの、あるいは国みずからが直接やらなくてもいいのではないか、そういうようなものを独立行政法人として新しく制度をつくって、かなりの業務が独立行政法人に移ったわけでございます。
 特殊法人というものも、基本的には、国が行う事業あるいは国が関与すべきような業務につきまして、特別の法律をつくって設立して行わせているものでございます。今度の改革では、この特殊法人のすべてについて見直しまして、廃止民営化するものは民営化し、そしてどうしても国が関与をする必要がある、国として行う必要があるというようなものについては独立行政法人にした。
 そして、独立行政法人は、特殊法人と同じように国とは別の法人格でございますけれども、特殊法人はこれまでいろいろな批判がございました。経営の責任が不明確であるとか、事業運営が非効率であるとか、経営の自主性が欠如しているではないか、こういうような弊害について独立行政法人はこれを改めて、例えば目標管理をするとか、第三者による業績評価とか、業績を反映した役員の報酬にする、そういうような新しい制度にしたわけでございますので、決して特殊法人を独立法人化するということで実質がないということではなくて、事業を効率的に行うということでは非常に有効な仕組みだと考えております。
達増委員 答弁を聞いていますと、民と官の中途半端な役割分担といいますか、そこが石油公団の本質的な問題で、そういう民と官との中途半端な役割分担、あるいはこれは民と官のもたれ合いということでもあるんですけれども、それで石油公団、いろいろ問題が生じた、そこをこそ変えなければならないわけで、そこには官から民へという、そういうすぱんとしたわかりやすい流れ、イギリスのエージェンシー制度というのはまさに官から民へという明確な流れのもとでの改革ですし、あるいは国としてきちっとやるべきところについては国が確保するといったような、そういうけじめをつけることが、実は今、石油開発事業、国家としての石油戦略に一番必要じゃないかと思うんですが、どうもこの独立行政法人、この新しくできる、法案が通ればの話ですが、その機構については、石油公団が持っていた本質的な問題は解決されていないのではないかという疑問がわくわけであります。
 幾つかまた、法案が提案している新しい機構、石油天然ガス・金属鉱物資源機構について伺いますが、一つ目を引くものとして、第四条で、機構の事務所を神奈川県に置くというふうに書いてあります。これはなぜ神奈川県なのか。小泉総理が神奈川だから神奈川県なのか。この辺はどういう経緯で神奈川に置くんでしょうか。
広田政府参考人 金属鉱業事業団を含む特殊法人等の事務所の移転につきましては、昭和六十三年の多極分散型国土形成促進法に基づく閣議決定によりその方針が打ち出されたものでございます。
 その後、今回の特殊法人改革の結果を踏まえて、ことしの一月に、国の機関等移転推進連絡会議、この申し合わせがございまして、この中で、金属鉱業事業団と石油公団とが統合され設置される独立行政法人は、法人設置後速やかに移転することとなり、その移転先として川崎市ということが決まったわけでございまして、これを受けてこの機構法第四条に、その主たる事務所を移転先とされた川崎市の所在する神奈川県に置くこととしたものでございます。
達増委員 我が国会、衆議院においては、国会等移転をめぐり特別委員会で最近、二年前に、二年後までに場所を決めるといったことを、もうちょい、ちょっと決め直そうというような結論が出たばかりでありまして、六十三年の閣議決定、六十三年に決まった多極分散型という方針に基づいて、一種、首都については、首都移転、遷都のほかに展都とか、いろいろな理論があるわけでありますが、その中の一つを採用した多極分散型の、国の関係の機関を東京以外の首都圏に置こうという発想なんでしょうが、そういう発想自体ちょっと実は見直しが迫られているんじゃないかということを指摘するとともに、いずれ、かえって高くつかないようにということですね。そういう多極分散という論理にとらわれてかえって高いオフィスビルをつかまされたりとか、いろいろ不都合が起きてこないようにそこはしなければならないと思うわけであります。
 さて、法案の第五条二項でありますけれども、機構の資本金について、政府が追加出資、これはいつでも追加出資ができるように認められております。こういう政府による追加出資というのを安易に認めますと、放漫経営に歯どめがきかなくなるおそれがあると思うんですね。石油公団もまさにそういう問題があったんですが、この点いかがでしょうか。
平沼国務大臣 御指摘のように、機構法第五条第二項の追加出資の規定は、機構が機構法に基づき石油等の探鉱プロジェクトへの出資や債務保証等を行う場合には、そのために必要な資金を国の予算に定める範囲内で国から機構に対する出資金という形で交付することを予定したものでございます。
 したがって、追加出資を行う場合には、まずもって、政府予算の編成過程において必要な資金額やその対象となるプロジェクトの選定がなされまして、また、機構が実際に追加出資を受けてプロジェクトへの出資等を行うに当たりましては、独立行政法人通則法にのっとりまして、国が定める中期目標及びこれを受けて機構が定め経済産業大臣が認可する中期計画に従って実施することと相なります。また、こうした個別の出資等は、毎年度評価委員会の業績評価の対象となるものでございます。
 このように、追加出資により実施することを予定している業務といいますのは、事前の予算査定や計画の認可、事後的な業績評価を通じましてその妥当性が多段階にチェックされるものでございまして、かかる制度を適切に運用して放漫経営を惹起することがないように努めてまいらなければならない、このように思います。
達増委員 次に「第二章 役員及び職員」となるんですが、ここについての質問は、これはまた後で、次の機会にいたしましょう。
 次の「第三章 業務等」であります。
 これが、先ほど、冒頭、石油公団廃止というのはおかしいんじゃないかという話に関連しまして、石油公団の業務は、融資業務以外、貸し付け、非常に有利な条件での融資という、余りにずさんだったそういう融資業務以外はほとんど全部残っているのではないかということについて質問したいと思います。
 特にこの「第三章 業務等」の中で、国家備蓄ですね、備蓄は国の直轄になるということなんですが、実は機構の業務の中にかなり事細かく、国家備蓄石油の管理でありますとかそのための資金の貸し付けなどが含まれておりまして、石油公団の、今までの特殊法人がやっていた備蓄業務と余り変わらない内容なんだと思うんですけれども、どこが変わるのでありましょうか。
河野政府参考人 国家備蓄のやり方そのものについては先ほど来の御説明でございますけれども、現在のやり方は、国の監督のもとで石油公団が石油を保有いたしております。そして、国家石油備蓄会社に基地建設あるいは操業をゆだねておるわけでございまして、各基地の一元的な管理を石油公団が行いながらやってきたという状況にあるわけでございますけれども、今回の改革では、国家備蓄事業を国の直轄といたします。したがって、備蓄石油と基地施設は今後国みずからが所有することになるわけでございます。そして、これは借金を負っておりますので、この事業に係ります資金調達も国みずからが行うということになります。
 他方、今回の独立行政法人は、御指摘のように、備蓄に関する機能を幾つか担っておりまして、一つは、国が所有いたします備蓄石油それから備蓄基地の統合的な管理、これは例えば、緊急時にどこの基地からどれぐらいの油を放出するか、Aという基地にするか、B、あるいはAとBとC、そういったことを統合的にやっていく機能でございます。国の委託を受けて、専門的な能力を生かしつつこういったことを行っていくということでございますけれども、具体的ないわば日々の基地操業は純民間企業に委託をするという仕組みを考えているわけでございます。
 したがって、この資源機構、独立行政法人は、従来石油公団が国家石油備蓄会社に対して行ってまいりましたような資金の貸し付け、これは行いません。
 ただ、資源機構法の第十一条の第十二号の規定で、資金の貸し付けの規定がございます。これは、他方で我が国の備蓄は、民間企業に七十日分の備蓄義務を課しておりまして、国家備蓄とは別の民間備蓄と合わせて国全体の備蓄を構成しているわけでございますけれども、その民間備蓄の義務を履行するために、民間が行います備蓄に対しまして資金支援を行っております。それは引き続き継続されるという意味でこの規定がございます。
達増委員 所有権は変わるのかもしれませんけれども、中身についてはやはりほとんど変わっていないんじゃないかなと思うわけであります。
 また、今の答弁の中にもありましたけれども、実際の日々の業務、仕事は、民間操業サービス会社がやるということですけれども、今までも、国家備蓄会社というものが、一種、法人、そういう会社としてその操業部門の仕事をしていたと思うわけでありますけれども、ここはどう変わるのでありましょうか。
河野政府参考人 国家備蓄会社は、現在では、タンクをみずから建設し、保有をして、国からの委託を、石油公団からの委託を受けまして、石油公団が保有する油の管理をやっております。その構成は、七割が石油公団の出資でございまして、残りの三割は、中核となるような民間企業を中心として三割の出資を仰いで資本形成をしてきたわけでございます。
 今回はこの国家石油備蓄会社を廃止いたしますので、そのプロセスにおきまして、タンクを国の所有に移します。原油も石油公団の所有から国の所有に移します。したがって、この国家備蓄会社という、そこにありました組織はそもそも廃止されることになるわけでございますが、そこのサービス会社も、タンクも保有しない、純粋の日々の運営を、国の委託、国といいますか、独立行政法人の委託を受けて行うサービス会社になるということでございます。
 ただ、その過程におきまして、実は、この国家備蓄会社がタンクを保有することに伴って負っておりました保安責任とか、それから、タンクの補修関係でみずから行っておりました補修等の契約事務その他は、所有をいたします国ないしは国の代行機関が行っていく必要がございますので、そういった機能は一部この独立行政法人に移る部分があろうかと思います。
達増委員 備蓄業務も含めて、法案の第三章にある業務等でざっと見ていきますと、石油公団法と金属鉱業事業団法のそれぞれの業務を合わせたような中身でありまして、本当に、二つの特殊法人を統合して一つの独立行政法人にする、そこで、業務というものがほとんど変わっていない印象しか持てないのでありますけれども、一体何が新しくなるのか、何が変わるのかということを改めて説明していただきたいと思います。
河野政府参考人 この二つの特殊法人の廃止及び統合というプロセスにおきまして、それぞれの現在の特殊法人が担っております仕事について精査をいたしまして、不要な業務の廃止をしております。その内容をこの法律に織り込ませていただいているわけでございますけれども、石油公団につきましては、民間出資の三割と石油公団の出資の三割、残りの四割部分を埋めてまいりましたいわゆる減免つき融資、これを廃止いたします。また、探鉱用の機械の貸し付けのような業務もこれまで規定されておりましたが、これも廃止いたしました。
 一方、金属鉱業事業団につきましては、物により段階的に廃止をしていくわけでありますけれども、まず、国内の地質構造を広域にわたり調査いたします広域地質構造調査、これを十五年度限りで廃止いたします。それから、広域地質構造調査の結果に基づいて調査地域を絞りまして精密地質構造調査を行ってまいりましたけれども、これを十八年度で終了する。また、銅などのベースメタルの備蓄資金を民間企業に融資してまいりました融資制度、さらに、経営が悪化いたしました国内鉱山に緊急融資を行う融資制度、そして、海外探鉱資金を民間企業に融資いたしまして成功時のみ返済を求める減免つき融資、この五つの業務を廃止するということにしているわけでございます。
達増委員 今の答弁にあったのは、石油公団の方が二つで、金属鉱業事業団の方は五つかと思いますが、融資という枠でくくればもっと少なくも整理できるような気もいたしまして、この法案の第三章第十一条の業務、二十項並んでいるところから見ると、さほど業務はやはり減っていないんじゃないかなというふうに思うわけであります。
 さて、この業務に関係して経理について伺いますけれども、第十二条で区分経理という仕組みにされております。結局、石油天然ガスは石油天然ガス、金属鉱業は金属鉱業、そういったふうに分けて経理をやっていくわけでありまして、二つの法人を統合して一つにするというメリットがないのではないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょう。
河野政府参考人 先生御指摘のとおり、資源機構法案の第十二条におきましては、機構の各業務に対します財源に応じまして経理を五つに区分して、それぞれ勘定を定めて、その勘定間に資金の流用はできないという区分経理の方式をとっております。
 これは、それぞれの勘定の財源となります特別会計あるいは民間の拠出金、こういったものを他の用途に用いることはできませんので、こういった区分経理は使途限定のために必要だというふうに考えられます。
 他方、二法人統合のメリットとして考えられますことは、幾つか具体的に御紹介をさせていただければ、資源開発に関します情報収集あるいはプロジェクト支援、こういった機能を強化することにつながる。そして、地質調査などに係りますノウハウですとか、もちろん専門分野が一部重複、一部重複しない分野もありますが、技術者のシナジー効果のようなものも期待できます。また、民間の石油備蓄支援とレアメタル備蓄の支援、そうした資金調達の業務の効率化、もちろん当然ですけれども、総務あるいは経理部門のような全く共通的な部分の整理合理化、こういった実際の業務遂行面で効率化のメリットが発揮されることを期待するわけでございます。
 こういった統合メリットの発揮を、具体的に、資源機構に対します中期目標の設定ですとか、あるいは中期計画の認可ですとか、また事後的な評価制度が整っておりますので、こういったことを通じて実現をしていきたいというふうに考えております。
達増委員 統合のメリットに関して伺いたいのは、やはり人件費であります。
 これは、ジェトロとアジア経済研究所の統合のときにも、それで結局どのぐらい人数が減るのかとか、どれぐらいコストが下がるのかという議論があったということを思い出しますけれども、今回のこの二法人の統合によって人件費がどのぐらい節約できるというふうに見ているでしょうか。
河野政府参考人 今回のこの石油公団と金属鉱業事業団の統合、独法化に際しましては、石油公団の業務のうち国の果たすべき機能、三つ主なるものがございますが、それと、金属鉱業事業団の
機能とを効果的に果たす、これが一つの課題でございます。同時に、整理合理化計画におきまして雇用確保への配慮もございます。それらと行政改革の趣旨を踏まえて、今後必要な職員数を確定させていただきたいというふうに考えております。
 したがって、機構の人件費につきましては、まずは、平成十五年度中の法人の立ち上げに向けまして、関係各省庁とも協議しながら検討させていただきたいと思っております。
達増委員 そろそろ時間になってまいりました。
 まず、そもそも、石油公団廃止という看板を掲げつつ実態として廃止になっていないおかしさ、また、独立行政法人という仕組みが、果たして石油開発、石油自主開発、そういう業務に合うのか。また、特殊法人の統合ということはあるわけでありますが、その場合であれば、統合のメリットというものがかなり明確にならなければ意味がない。そうしたところから見ますと、どうも、今回のこの法案、疑問を多々感じざるを得ないということを述べまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 石油公団は多額の損失を出した、だからこそ廃止をするんだというのが多くの国民の皆さんが受けとめている印象だと思うんです。そこで、この石油公団の石油開発事業での損失額について、重立ったものについて確認をしたいと思います。
 まず、石油公団の出資の損失額は幾らでしょうか。
河野政府参考人 平成十二年度決算におきます石油公団によります石油開発事業に対する出資に係ります損失額は四千五百十一億円となっております。
塩川(鉄)委員 石油公団の行いました融資の損失額は幾らでしょうか。
河野政府参考人 同じく平成十二年度の決算におきます石油公団によります石油開発事業に対する融資に係る損失額は三千八百七億円となっております。
塩川(鉄)委員 次に、事実上返ってこないお金と言える簿外棚上げ利息、これの残高は幾らでしょうか。
河野政府参考人 石油公団の棚上げ利息は、実際上返ってきていないという意味におきまして、長期未収金、それから円建てあるいはドル建ての簿外棚上げ利息、これから成っております。
 平成十二年度決算におきますそれぞれの内訳は、長期未収金が七百五十五億円、円建ての簿外棚上げ利息が千七百八十九億円、ドル建ての簿外棚上げ利息が五千九百万ドル、これは米ドルでございます。これを十二年度末の為替レートで円に換算いたしますと、七十三億円に相当いたします。したがって、これらの合計は二千六百十七億円でございます。
塩川(鉄)委員 再建検討委員会の報告書の中でも、将来的に回収の見込みが高いと判断されるものは簿内に長期未収金として計上すると。これ自身も今現在怪しいわけですけれども。これとは分けて、回収の見込みが低いと判断される棚上げ利息は簿外処理するという形で、これも簿外棚上げ利息、事実上返ってこないというお金、これは、今の答弁では千八百六十二億円であります。合計すればこの三つだけでも一兆百八十億円、一兆円を超える損失が生まれているわけです。
 なぜこういった損失が生まれたのか、どのような反省を行ったのか、大臣に伺います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 我が国におきましては、石油等の安定供給の確保を図るため、昭和四十二年以降、石油公団を通じた出融資等によりまして自主開発原油の確保に努めてきました結果、公団設立時に日量約二十七万バレルであった石油公団の出融資対象会社の自主開発原油輸入量は日量五十八万バレル、これは原油総輸入量の一三%に当たるわけですけれども、増加をしてきておりまして、一定の成果が上がっていると思っております。このような自主開発原油は、緊急時における安定的な供給源として役割を果たしてきているもの、私どもはこのように認識しております。
 また、石油公団では毎年長期損益分析を行っておりまして、平成十二年度末時点での過去の損失確定分を含めた見通しは、将来の油価、為替の水準に応じまして、四千六百十億円の損失可能性から六千二百六十億円の利益可能性と見込まれております。
 ただし、これは、これまでの石油公団の運営や財務面については、石油危機などを背景に自主開発原油の量的確保に重点を置く余り、資金の効率的運用に関し十分でない面があった、このように認識をしております。
 また、石油公団による探鉱投融資制度は、巨額の財政資金をリスクマネーとして供給する制度であるにもかかわらず、その事業運営について国民に対する情報公開が必ずしも十分でなかった、そういった点も私どもは認識しております。
 さらに、出資及び減免つき融資を合計して原則として七割まで財政資金による支援が可能であったことから、主体であるべき民間事業者の経営責任の所在があいまいになるという面があったことも事実であります。
 こうした石油公団の財務、事業運営についての問題提起を受けまして、石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会において石油公団の業務運営について徹底的な見直しを行い、そこで指摘された事項のほとんどすべてについて着実に改革を進めているところであります。
 今般の特殊法人等改革におきましても、開発関連資産の整理売却を実施するとともに、石油の開発のためのリスクマネー供給機能、研究開発機能等については独立行政法人に行わせ、これにより、業務運営の効率化、対象プロジェクトの厳選を図っていくほか、支援の内容につきましても、減免つき融資を廃止するとともに、その支援比率を五割までに限定するなどの措置を講じることにいたしております。
 いずれにいたしましても、国民の貴重な税金を使い、そして、国家のエネルギーの安定供給、自主開発、こういった大きな目的がありましたけれども、結果的に御指摘のような損失が出た、こういうことは甚だ我々としては遺憾に思い、今後さらに我々は、体制を立て直して国民の皆さん方の御理解を得るように努力をしてまいりたい、このように思います。
塩川(鉄)委員 この損失の原因及びその反省を踏まえた今後の方策というのは本当に妥当なものなのかということを、私、率直に疑わざるを得ません。
 この損失というのは、今述べた一兆円にとどまるものじゃない。例えば、新日本海石油開発に対する長期未収金の償却が四十億円ですとか、また日中石油開発に対する求償権の償却に三百八十七億円もかかっているだとか、その他の債権放棄額も合わせれば一兆二千億円を超える損失が生まれているわけです。そういう点でも、こういった大きな損失を生んだ具体的な要因に踏み込んで考えていかなければいけない。
 その一つが、ナショナルプロジェクトの問題があります。石油公団は多額の損失を出しており、経営に問題があると言われてきた。その大きな要因がナショナルプロジェクトで、およそ六割の損失を生んでいるわけです。
 このナショナルプロジェクトがなぜこういった損失を生んだのか、また、そこにどういう反省を行ったのかということを率直にお聞きしたいと思います。
河野政府参考人 先ほど御紹介させていただきました損失累計の八千七百四十五億円の中で、いわゆる日中のようなナショナルプロジェクト関係のものが三千二百四十四億円あったと記憶しております。
 このナショナルプロジェクトと申しますのは、非常に多くの企業に、ほとんどその関連する非常に広範な方々に出資を募って、いわば国を挙げてというような形で、産業界といいますか、国を挙げてというような形でプロジェクト会社を組織いたしまして、それに石油公団も支援するという形でやってまいりました。それがうまくいかなかったケースというのは、原因を探れば必ずしも一様ではないというふうに思いますけれども、少なくとも、非常に多くの関係者に少しのシェアというものを持っていただいて企業をつくってきたということが、やはり責任の所在の明確化といった点で反省するべき点があったのではないかなというふうに考えます。
 そういう意味で、現在、例えば非常に大きな案件になり得るプロジェクトとして、先ほど午前中の審議でも大臣から御紹介申し上げましたイランのアザデガンのようなケースがございますけれども、これは非常に大きなプロジェクトになる可能性があると思っておりますけれども、国を挙げてといいますか、非常に広範な企業に出資をしていただいてプロジェクトを組むというよりは、むしろ少数の日本企業、場合によっては外国企業との連携を図りながらというようなプロジェクトの組成が今行われている、そういった実態にございます。
塩川(鉄)委員 ナショナルプロジェクトは多数の民間株主、そういう中で責任の所在が不明確だった、幹事会社が不在だった、こういうことが言われているわけですけれども、そうであればこそ、石油公団の役割が非常に重大だった。
 これは検討委員会の報告書でも、ナショナルプロジェクトというのは、石油公団が内外の調整役、官民の連絡役として役割を果たすんだということをうたっているわけですから、まさにそこでの、ナショナルプロジェクトにおける石油公団の責任が問われている、こういった過去の問題の総括がどれだけ深められているのかということが今問われている、このことを改めて指摘したいと思うんです。
 ジャパン石油開発以外のナショナルプロジェクト四社の確定した損失は四千五十九億円、ジャパン石油開発についても二千六十四億円とあるわけですから、こういった重大な損失を生み出した総括を掘り下げてやるということが問われている、このことを改めて指摘したいと思うんです。
 同じような無責任さ、あいまいさというのが特別対策の問題でも行われた、このことを指摘しておきたいと思います。
 利息の棚上げですとか、また貸付金元本の返済猶予が行われたわけですが、長期的に見て、生かしておいた方が損をしないということで特別措置をとったはずなのに、十三社のうち五社が現につぶれているわけですから、全くの見通しのなさということをここにも示しているわけです。損失が確定した三社だけでも二千六百二十六億円で、結局は、当時の特別対策という判断が問題の先送りでしかなかった。先送り先送りでずうっとやってきた、これが石油公団の歴史であり、それを指導してきた通産省の責任だったんじゃないか、このことが問われると思うんです。私は、こういった問題が生まれる背景をきちんと明らかにする必要がある。そういう点でも、一方の当事者である民間企業、石油開発企業の経営姿勢も問われるわけです。
 そこで、大臣にお伺いしますが、この減免つきの融資、こういったものがまさに甘えの構造だったわけです。探鉱段階で融資をするようなところがどこに今まであったのか。世界じゅう見渡してみてもそういうところは存在をしない。こういう姿勢が、安易なプロジェクト設定でむだ遣いを助長することになったんじゃありませんか。いかがでしょうか。
平沼国務大臣 確かに日本の場合には資源小国でございまして、そういう意味で、これだけの経済大国、その血液にも等しいエネルギーを確保する、このことは、国の政策としてのプライオリティーがある非常に大きな政策だったと思っています。
 そういう中で、七三年のオイルショック等がありまして、何とか量的の拡大を図らなければいかぬ、そういうことで、その時点では本当にみんな一生懸命頑張ったわけでございますけれども、そういう意味で今振り返ってみますと、そういう背景の中でとにかく確保しなければいけない、そういう前提の中で、本当に、ある意味では御指摘のようなずさんな面があった、こういうことも否めないことだと私も率直に思います。
塩川(鉄)委員 この減免つき融資というのは、結局のところ、石油開発会社が、金はとにかくたくさん出してもらいたい、しかし経営権にかかわる出資の割合について言えば、自分よりも石油公団の割合が高くならないようにしたい、こういった二つの思惑で設定をされたもので、石油開発会社出資三割、石油公団出資三割、残りの四割は融資という形で請け負うという形というのが問題があったわけですよね。だからこそ今回の取り組みにもつながってくるわけですけれども、しかし、こういった甘えの構造を生み出してきたところに本当にメスが入っているのかということが問われてくるんだと思うんです。
 私は、こういったもたれ合いが生まれた背景の一つに、天下りの問題があると思います。
 資料を配付していただきたいと思うんです。
 石油開発会社が加盟をする石油鉱業連盟というのがあります。これは資料の右側に現在の役員の一覧を、石油鉱業連盟のパンフレットから引用しましたけれども、会長、副会長企業を見ても、公団の出資の石油開発会社がずらりと名前を並べている、よくおわかりいただけると思います。
 石油開発会社が加盟をする石油鉱業連盟の会長はだれが務めてきたのか。これは左上ですけれども、「石油鉱業連盟歴代会長と通産省天下り」という表です。ごらんいただきましたように、日高氏、高見沢氏、和田氏、勝谷氏、小長氏、若杉氏と、歴代通産省OBがその会長職にあるわけですね。
 民間の石油開発業界の業界団体のトップが歴代通産OB、天下りの人物というのは、大臣、率直におかしいと思いませんか。
平沼国務大臣 この一覧表を拝見させていただき、それぞれ、石油鉱業連盟の会長になられたのは、やはりそれだけの経験ですとか知見、識見、そういったことの総合判断で、そして、その鉱業界の中で皆さん方が互選をされてそういう形に相なったと思っています。
 結果的に当省関係の出身者が占めている、こういうことに相なったと思っておりますけれども、今やはり国民が、そういう意味でいろいろ改革を望んでおられますので、こういったところも我々はよくチェックをしながら、これからそういうことに留意しながらやっていくべきことではないか、このように思います。
塩川(鉄)委員 結果として通産OBとなった、それは世間の人はそうは率直に見ない、これが実態だと思うんですね。
 例えば、石油公団の歴代役員、合計すると八十一人の方がいらっしゃるそうですけれども、この歴代役員八十一人のうち、官僚OBが何人いるかといいますと、四十六人を占めます。通産OBが二十一人、大蔵OB十人を含めた官僚OBが全体の六割を占める。また、石油開発会社、今生きている八十一社の現在の役員の方、その中に、天下り、官僚OBが八十四人、通産OBが七十一人、大蔵OBが十三人、また公団のOBが六十五人もいる。私はそこに、世間の人はなれ合い、もたれ合いを見るんじゃないか、こんなことで、なれ合い、もたれ合いの構造を断ち切ることができるのか、改めて大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、やはりいろいろ経験を積まれて、そしてその道に関しては非常に識見、知見も持っている、こういったことも大きな判断材料だと私は思っております。
 しかし御指摘のように、ある意味では、その役員の数の中で非常に多くを占めている、そういうことは、今改革が叫ばれているこの時代の要請、そういうものから考えますと、私どもとしては、やはりそこのところはしっかりとチェックしていかなければならないのではないか、このように思います。
塩川(鉄)委員 今生きている石油開発会社八十一社のうちに、官僚OBが役員に入っている会社が幾つあるかといいますと、四十一社に上るわけです。過半数が天下りが入っている会社になっている、こういう実態を過去にさかのぼって明らかにしようとしても、なかなか資料も出てこないわけです。
 こういうことではかえって疑念が深まるばかりであるわけで、石油開発会社への通産OBなどの天下りの実態、もう全面的に明らかにする、こういった資料をきちんと出すように大臣としても改めて指示を出していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 これは必ず出させていただきます。ちょっと膨大でございますので、時間がちょっとかかると思いますけれども、早急に出すようにさせていただきます。
塩川(鉄)委員 この石油公団問題、問題提起をした堀内元通産大臣が、通産官僚OBが石油公団や石油開発会社に天下っていれば、通産省、石油公団、開発会社の三者のなれ合いによって、厳しい監査も業務のチェックもできないのは当然だと。これはやはり多くの皆さんが見ている問題だ。ここをさらに明らかにしてもらうということが、改めて当委員会の仕事でもあり、資料の提出についてぜひともお願いしたいと思います。
 私、こういった、天下りにかかわるようななれ合いを容認する、この政治の問題も問われていると思うんです。
 私は、この資料に紹介したわけですが、自民党に石油関連企業から多額の企業献金が贈られている、この資料を出したわけです。開発会社でつくる石油鉱業連盟から、九〇年以降合計すると一億四百五十万円の献金、開発会社の親会社の多くが加盟をする石油連盟から、やはり九〇年以降で七億九千八百万円です。
 私、これは、やはり多くの方が見るのは、このようにむだな税金の使い方がされている、なれ合いの、もたれ合いの構図の中にある、そういったときに、国民の税金が石油公団を通じて石油開発会社へ行き、この石油開発会社から自民党に政治献金が行く、こういうのを、税金の還流だ、こういう形で多くの方が問題にした。今国会の政治と金の焦点というのは、まさにここにもあったわけです。
 その点でも、逮捕されました鈴木宗男代議士と、中川一郎元農水大臣の秘書としてともに活動をした、そういう経験をお持ちの平沼大臣として、こういった献金の問題、どういうふうに受けとめていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 私は、今は亡き中川一郎農水大臣の秘書という、そういう肩書をいただいて選挙運動をいたしました。私は、そういう形で選挙運動をいたしましたけれども、鈴木議員とともに事務所で政治家の日常業務をやった、こういうわけではございませんので、そういう意味では、同じ一つの、中川さんのもとでやりましたけれども、私はほとんど岡山にいまして、そして政治活動を、選挙活動をしていた、こういうことでございます。
 しかし、企業・団体献金については、既に一昨年から政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されたところでありまして、もう一方、政党に対する企業・団体献金については、最高裁判例でも、企業が憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことは認められておりまして、これをおよそすべて悪と決めつけるのは、私は論拠に乏しいと考えております。
 いずれにいたしましても、企業から政治家への献金のあり方については、透明性を高めつつ、そして民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点から、各党各会派において御議論をいただくべきものと考えております。
 もとより、政治家やその秘書が、国からの支援を受けている企業か否かにかかわらず、特定企業からの献金を受けることによりまして、当該企業に有利な取り計らいをするなど、いわゆる口ききによる報酬を得ていると受けとめられるようなことがあってはならない、このことは当然のことだと思っておりまして、こうしたことを未然に防止するために、さらに一歩踏み込んだ仕組みとして、今国会におきまして政治倫理関連法が成立することを私は期待しております。
塩川(鉄)委員 数年前に泉井石油商事件というのがありました。ここでは、多くの政治家だけではなく通産官僚も多数名前が出てくるような事件であったわけですが、国民から疑念を持たれるようなことのないように事の次第を明らかにしていく、そういう意味でも、当時のこの委員会でもこの議論がなされたわけです。私は、そこをきっぱりと断ち切る上でも、企業献金の禁止というのは一番の近道だというふうに思います。
 その点で具体的にお聞きしたいと思うんですが、石油公団出資の開発会社が石油鉱業連盟の中にも入っているのはごらんいただいたとおりです。政治資金規正法では、国から出資を受けている会社は政治活動に関する寄附が禁じられております。石油公団が株式の過半数を持っているような会社、例えば石油資源開発は公団の出資六五・七%、国際石油開発、インペックスは五〇%、こういう会社ですけれども、こういった株式の過半数を公団が所有するような企業が加盟する業界団体が特定政党に献金するというのは、私、脱法行為とも言えるような問題のある行為で、そういう点でも政治的、道義的な責任が問われるんじゃありませんか。この点、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 出資比率が石油公団から多い、そういったことはある意味では公的性格が強い、こういった御指摘はそのとおりだと思っています。
 今の中で、政党に対する企業・団体献金というのは、やはり一つの政党に対する政治活動として認められている、こういう観点もございます。しかし今、こういう厳しい一つの改革、そして国民が厳しい目で見ている、そういう状況の中では、そこのところはやはり慎重に、そして厳密に私はやっていかなければならない、こう思います。
塩川(鉄)委員 例えば、今の石油鉱業連盟の会長というのは石油資源開発の若杉会長です。国が六五%出資する石油資源開発の会長は通産OBであり、この石油鉱業連盟が自民党に献金をするという、この三者の癒着、もたれ合いというのはだれもが疑問に思う、おかしいと思うのは当たり前のことで、こういうところをはっきりさせるということが必要だ。
 もう一つお聞きしますが、実質債務超過に陥っているジャパン石油開発も加盟企業の一つであります。政治資金規正法では、いわゆる赤字会社は政治活動に関する寄附をすることも禁じられております。こういった実質債務超過に陥っているジャパン石油開発も入っているような業界団体から献金を受け取るということも容認するんでしょうか。
河野政府参考人 石油鉱業連盟の政治献金の原資がどのようになっているか、今、私自身つまびらかではございませんけれども、恐らく、想像いたしますに、石油鉱業連盟として会費なりを徴収いたし、そして組織としてその運営費をどのように割り振るかを決定した上で行っているのだと思うのです。したがいまして、そのジャパン石油開発自身もこの石油鉱業連盟の会員でございますから、会員としてそれなりの会費を負担しているということはあろうかと思います。
塩川(鉄)委員 そこが問題なわけで、債務超過に陥って、それこそ石油公団が丸抱えで何とかしようとするジャパン石油開発から自民党に献金が行っているわけですよ。おかしいじゃないですか。
 私、そういう点でも、改めて、こういった問題についてきちっと正す上でも、天下りをやめるということと、こういった政治献金、少なくともこの石油鉱業連盟からの献金を返上する、こういうことをきっぱりとやるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 これは、献金の部分は、今資源エネルギー庁長官がお答えをしたようなそういう背景の中で、ある意味ではそういう連盟の判断に基づいて出している、そういうことだと思っております。
 また、天下りという問題についてのお尋ねでございますけれども、石油公団の投融資先開発会社の一部に国家公務員出身者が就職しているのは、今ずっと御指摘のように事実であります。これは、行政の中立性等を損なうことのないように、国家公務員法上の厳格な定めの中に行われていると思っております。
 公務員の再就職については、いわゆる天下り問題として国民に強い批判がある、このことは真摯に受けとめて、内閣で取り組んでいる公務員制度改革において、特殊法人等の公的部門を再就職の安易な受け皿とすることがないようにする等、国民の信頼を確保し得るルールを確立することとしており、当省といたしましても、こうしたルールの確立に従って、そのルールを厳守していかなければならない、また、国民の中にそういう疑惑を招くようなことがあってはならない、このように思います。
塩川(鉄)委員 国民にとって大きな損失を生み出した、巨額な損失を生んだ石油公団の廃止というのであれば、私は、それと一体に天下りの廃止、関連企業からの献金の廃止、これをきちっとやるべき、このことこそ国民の声にこたえることだ、このことを指摘しておきたいと思います。
 その上で、石油公団の今後の問題、廃止と言われていますけれども、今後のあり方の問題についてお聞きします。
 特殊会社のことがありますけれども、石油開発事業の将来のイメージ像がよくわからない、この審議を通じてもなかなか見えてこないというのを率直に思います。これでは議論の前提がない、このことを言わざるを得ません。
 そこで、何点か大臣にお聞きしますが、大臣がこの間おっしゃっておられる和製メジャーというのは、石油審議会開発部会で議論されてきているようないわゆる中核的企業グループと同義のものなのか、その点を確認したいと思います。
河野政府参考人 石油審議会のたしか平成十二年の八月の中間報告で、中核的企業グループの形成の必要性というものが述べられております。今回、この廃止法の附則第三条によりまして、特殊会社が将来設立されるということが提案されております。これも、ある意味では、その中核的企業になることがある種期待されているということを否定するものではございませんけれども、まだ、この特殊会社が具体的にどういう性格を持つものであるかという点については……(塩川(鉄)委員「和製メジャーと中核的企業グループはイコールですかということを」と呼ぶ)二つの報告がございますので。
 まず一つ、十二年八月の石油審議会中間報告で中核的企業グループという言葉を使わせていただいております。これは、必ずしも和製メジャーということに該当するかどうか明確ではございませんけれども、国際場裏で自律的に開発事業を営めるような企業グループの必要性を訴えたものでございます。
 今回の附則三条の特殊会社、これは、先ほど来申し上げておりますように、今後立法過程においてその性格をより一層具体化していくということになるわけでございますけれども、石油審議会の報告と何から何まで同じということではありませんけれども、一つの中核的な企業の必要性というものを意識しているという点ではある種の共通性があるのではないかと思います。
塩川(鉄)委員 私、大臣がこの委員会で答弁をされている中に和製メジャーという言葉があったものですから、その意味を確認したいということで、この和製メジャーというのは中核的企業グループのことなのかということと、あわせて、今回の法案で言う特殊会社はこの和製メジャーあるいは中核的企業グループと同じ意味なのかどうか。
平沼国務大臣 私は、たしか六月十二日に中山議員の質問に対しての答弁で、そういう表現を使わせていただきました。
 日本経済にとって後顧の憂いのないよう、国際競争力を持って自主的に開発を行う中核的企業グループの存在がエネルギー政策上重要な課題であると認識をしておりまして、将来設立される特殊会社については、その目的、業務等は当然今後の議論にゆだねられることになると思っておりますけれども、民営化が進む中で、こうした政策課題に対応する担い手となることを私は期待をしている、こういう意味で申し上げまして、そういう私の期待を申し述べたわけであります。
塩川(鉄)委員 確認ですけれども、和製メジャーと中核的企業グループはイコールということでよろしいですね。
平沼国務大臣 審議会の中核的企業グループというのは、やはりその和製メジャー、まだ定義ははっきりしておりませんけれども、和製メジャーの一形態ではないかな、私はそのような認識をしております。
塩川(鉄)委員 重なるところがあるという意味では和製メジャーと中核的企業グループはイコールであり、今回の法案で言う特殊会社がそういう方向に行けばいいなということが大臣のお答えだというふうに思います。
 その上で、今国会において、当初は石油公団廃止関連法案の一つとして特殊会社法案が出されるということが言われておりましたけれども、この法案が出されなかったのはなぜなのか、この点をお聞きします。
河野政府参考人 当初、経済産業省といたしましては、石油公団・金属鉱業事業団の廃止法、それから独立行政法人の設置法、そしてこの特殊会社の設立のための法律を提案するという考えもあったのは事実でございます。
 しかし、当面の三年間、この石油公団の資産の適正処理をさらに進める、その状況を見て特殊会社を設立する、別途法律で定めるという形に最終的に決着をしたわけでございます。これを体しまして、今回の廃止法の附則三条ではその旨が記されているものでございます。
塩川(鉄)委員 そこで、きょうの委員会の答弁でも大臣がお話しになられておりました石油公団の保有する開発関連資産の取り扱いについて、選別の基準の策定に当たっての留意点を四点にわたって述べておられます。その点を確認したいと思います。
古屋副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 きょうの午前中の答弁でもございましたけれども、石油公団の保有する開発関連資産の取り扱いにつきまして、どういった基準で行われるべきなのかというような趣旨の御質問だと思いますけれども、基準の策定に当たって次の点を留意するべきだろうというふうに考えております。
 その四つでございますが、まず一点は、事業内容の悪いものは、原則早期に整理あるいは売却する、これが適当ではないか。
 二番目は、事業内容が悪くないものでありましても、将来民営化したり、あるいは国際的な石油・天然ガスビジネスを自律的に展開することを予定しておるのがこの特殊会社でございますので、そういった趣旨からして、中核的な事業にならないというふうに予測されるものは売却する方向で検討するのがいいのではないか。
 三番目は、探鉱中、開発移行中のいわゆる仕掛かりの案件でございますけれども、これについては、まず将来性があること、それから、産油国との間でもやはり国の関与というものを引き続き示す必要のあるものがあることが予測されますので、そういうものについては特殊会社へ承継することが適当ではないかというふうに考えております。
 四番目が、現在事業内容が悪いものであっても、ほかのプロジェクトであるとかほかの事業と連携をすることによって将来の資産価値が増大することが見込まれるというものは特殊会社に承継するのが適切ではないか。こんな四つの基準というものを考えておるわけでございます。
塩川(鉄)委員 開発資産の取り扱いについて、かなり具体的な選別の基準が示されているというふうに思うんですね。
 では、お聞きしますけれども、事業内容の悪いもの、これは例えば具体的に言うとどうなのか。ジャパン石油開発は事業内容の悪いものというのに当たるのかどうか。この点、いかがでしょうか。
河野政府参考人 今副大臣から御答弁させていただきましたこと、これは、基本的には、今後、石油公団の保有資産を整理売却するものですとか、あるいは特殊会社に承継されるものですとか、そういった基準は、総合資源エネルギー調査会に設置されます検討委員会において議論される、そこにゆだねられるべきことだろうというふうに思っておりますけれども、お尋ねでございましたので、基準の策定に当たりまして留意されるべき視点を例えばということで御紹介したわけでございます。
 こういった留意点そのものを今後総合資源エネルギー調査会の検討委員会にまずお諮りをする必要があるわけでございまして、仮に、このような基準について同様の結論を得られるかどうかわからないわけですけれども、そういった場合に、どこの企業がこれに当てはまるかというのは、またさらにその先の判断であろうかと思います。
塩川(鉄)委員 最後にお聞きしますけれども、私、先ほどの大臣のお話で、特殊会社が将来和製メジャーになればいいという話というのは、この間の堀内元通産大臣の発言との大きな食い違いがあると思うんです。
 堀内元通産大臣は、特殊会社は資産管理や処分業務に専念すべきだ、役所の指示による和製メジャーや持ち株会社にはならないというふうに述べていますけれども、これは大臣の答弁と百八十度違うんじゃないか、そういうことなのか。そうするとその先の議論も大きく違ってきますので、この点、ぜひ伺っておきたいと思います。
平沼国務大臣 自由民主党の堀内総務会長は、いろいろな機会にいろいろな媒体で御自身の所見を述べられております。そういう中にありまして、私どもとしては何回もかんかんがくがくの議論をさせていただきました。
 そういう中で、やはり堀内総務会長御自身も、今御紹介した意見、それとは違って、やはり、最終的にまとめたときには、民間会社というものをつくって、審議会の答申にもあるようなそういう中核的な企業グループ、こういうものも必要である、こういう形で関係者が合意をして、そして最終的にまとめたものでございまして、私の申し上げているところとは矛盾はしておりません、最終的には。
塩川(鉄)委員 堀内元通産大臣のその辺の持論は変わったという話はほかのところで聞いたことがありません。ぜひとも当委員会で堀内元通産大臣の発言の趣旨などをお聞きしたいと思う。委員長に、ぜひとも堀内元通産大臣の参考人としての出席を求めたい、よろしくお願いします。
谷畑委員長 理事会で協議することにします。
塩川(鉄)委員 終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 まず大臣に、石油公団の資産整理についてお伺いします。
 石油公団の廃止につきましては、政治課題として行革断行評議会等で論議され、廃止されるべき特殊法人として指摘され、最終的に特殊会社に移行するまでの絵が描かれておりました。昨年十一月二十一日に行われました四者会談、平沼大臣、堀内光雄自民党総務会長、麻生太郎自民党政調会長、石原行革担当大臣、この四者会談ではどのような合意であったのか、柱ごとに教えていただきたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 今般の特殊法人等改革におきましては、すべての特殊法人等について事業、組織形態の抜本的な見直しを行うことが求められ、石油公団の改革については、その組織自体は廃止するものの、国として果たすべき機能は国において責任を持って担保するとの立場から、関係当局間で議論を重ね、最終的には昨年十一月二十二日に石原行革担当大臣、そして麻生政調会長、堀内総務会長及び私の四者で合意をし、総理にも了承をいただいたところであります。
 具体的に申し上げますと、例えば、石油開発のためのリスクマネー供給機能につきましては、出資に限定するとともに、国の支援割合は五割以下とする。また、備蓄については、国家石油備蓄会社八社を廃止いたしまして、基地操業に係る具体的業務は民間に委託を行うとともに、国家備蓄の統合管理等の機能は、石油公団の機能が統合される類似法人で行うこととしたわけであります。
 さらに、現在石油公団が保有する開発関連資産は、厳正に資産評価を行いまして、整理すべきものは整理をし、売却すべきものは売却するなど、適正な処理を行うことといたしました。
 昨年末に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画でも同じ内容で方針が示されたところでございまして、今回の法案は、その計画の内容に従いまして、石油公団及び金属鉱業事業団の機能のうち必要なものを独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に承継させるとともに、同時に石油公団を開発関連資産の管理、処分業務を主たる業務として行う法人に改組をする。また、石油公団の保有する開発関連資産については、厳正に資産評価を行って、整理すべきものは整理して、売却すべきものは売却するなどの処理を行った上で、これを承継する特殊会社を設立してできるだけ早期に民営化する、こういったことでございまして、昨年十一月二十二日の四者合意というのはそういったことでございます。
大島(令)委員 その四者合意で話し合った中身というのは、今回の法案の中に全部網羅されているんでしょうか。
平沼国務大臣 今御説明いたしましたように、その四者の合意というのは網羅をされております。
大島(令)委員 しかし今回、公団の資産整理機構の設立法案が私は見当たらないように思っておりますけれども、今の答弁と矛盾していないでしょうか。
河野政府参考人 おっしゃっている趣旨が、石油公団が保有いたします開発関連資産の処分の主体をどうするか、あるいはそのプロセスをどうするかということでございますならば、処分の主体は石油公団が直接行うわけでございまして、そのことはこの法案において石油公団の業務として当初から、資産の整理処分業務を追加するという形で法文化をいたしております。
 そして、その適正な処分を行った後の承継する特殊会社につきましては、その法案自身は先ほど申し上げたようなことで今回提案をいたしておりませんけれども、承継すべき会社として設立されるということは、この廃止法の附則三条に明記をされているということでございます。
大島(令)委員 小泉さんの構造改革、これをやって経済の活性化ということで、初めての特殊法人の廃止という法案でございますけれども、私どもには、昨年からずっといろいろな報道とか資料を通じまして、廃止に至る経緯がここにございますけれども、経済産業省の案ですとか堀内私案とか通称呼ばれまして、いろいろ各カテゴリーごとに相違点を書いたものがあるわけなんです。
 堀内私案で一番目を引くのは、資産なんですけれども、優良な会社の株や資産は売却して、一兆円もの赤字を出している石油公団としては国庫に返納する、どうしても残る会社のみ特殊会社が引き継いでいく、開発に関しては民間の努力で行う、こういうふうに堀内総務会長は述べられております。しかし、これに関しまして経済産業省は、今長官が御答弁くださいましたように、確かに、法律の第二条二項に、公団は資産処分等業務を行うと法律の条文に書かれております。
 この審議というのは、法律の条文がどうであるかということではなく、この法案が通った後に、私たちに、この行政改革が、目に映った形でどういうふうになっていくかというのを審議の過程で浮き彫りにすべきことだと私は思っているわけです。先般から政府の方々は、法律にこうなっています、法律にこうなっていますということで、なぜ法律に結果としてこうなったかという政策的な過程をなかなかお示ししていただけない。
 そこで私どもは、こういういろいろな政治家の方々が、それぞれの経験に基づいて御自分の政策を私案として出し、与党の重職である堀内私案という形で名前も出てきているわけなんですね。そうしますと、経産省は、公団資産を受け継ぐ特殊会社は、優良会社を傘下におさめつつ将来的に民営化して和製メジャーを目指す、こういうふうに大別して表にはっきりと出てくるわけなんです。
 これに対して、大臣にお伺いしますけれども、平沼大臣は、少なくとも小泉内閣の一閣僚として政府を代表してこの場にいらっしゃると思うんですね。ここには、省を代表したエネルギー庁長官初め皆さんがいらっしゃる。そういう中でこういう法案が出てきているわけでございますので、十一月二十一日の四者合意、そして閣議決定を経て、五月にまた最終的にこの法案が閣議了承を経て出される経緯の中で、いろいろと形が変わっているわけなんです。
 それに関して、では、平沼大臣御自身はどういうお立場でこの法案にかかわってきたのか、聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 主に堀内総務会長の私見、そこに力点を置いて言われていると思いますが、堀内総務会長は、文芸春秋等それぞれの媒体を通じて何回か御意見を発表されておられます。私もそれはすべて読ませていただいているわけですけれども。
 繰り返しになりますけれども、昨年の十一月の二十一日に、四者会談におきまして、いろいろ御意見は出されましたけれども、やはりこの石油公団、特殊法人改革の中で廃止するに当たっては、先ほど御答弁させていただいたその点でまとめよう、こういう形で合意ができました。
 したがいまして、その過程においてはいろいろな御意見が出ましたけれども、そういった流れの中で最終的にまとまったわけでありまして、私は、経済産業省の大臣として、やはり石油という貴重なエネルギー資源の自主開発、そういったことに力点を置きながら、その四者会談の中でも主張をさせていただき、いろいろ議論の中で、私どもとしては、最終的には、この石油公団の廃止についてという四者合意をまとめたわけでございまして、これを総理大臣にも報告をし了承をしていただいた、こういうことでございます。
 私は一貫して、国の大切なエネルギー、その自主開発に当たって、やはり三つの点だけはどうしても国が担保をしなければならない、そういったことを私は大臣として力説をさせていただき、そういう合意を得たところでございまして、私は一貫してそういう立場でやらせていただきました。
大島(令)委員 大臣にお伺いします。
 では、経済産業省が資産整理機構設立を見送った背景をどのように考えておられるのか、お聞かせください。
河野政府参考人 御質問の趣旨が、資産整理機構とおっしゃいましたのは、特殊会社の設置法という御趣旨でございましょうか。それであれば、先ほど申しましたように、当面の約三年間、石油公団を主体といたしまして、その業務に資産の整理処分を加え、また、ある一定時点以降は主たる業務をその資産整理処分にするというようなプロセスを通じて、この資産の適正処分に努める。その経過を見ながら、特殊会社の設置法については、別途定める法律により設立するということでございますので、別途提案させていただく、そういう整理をしたわけでございます。
大島(令)委員 では、長官に伺いますけれども、優良資産を特殊会社に移すことは譲れないとして抵抗があったようでございますけれども、結局、妥協案として、第三者の有識者による委員会で審議することになったとあります。第三者の委員会というのは総合資源エネルギー調査会ということでございますけれども、ここにはどのような権限があるんでしょうか。
河野政府参考人 そもそも、どのような適正処分をするかということは、いずれにせよ今後の課題でございます。そのプロセスを今回の法案で定めているわけでございますが、その要素のうち、一つに、今先生がおっしゃいましたいわゆる第三者の有識者委員会というのがございます。
 これは、総合資源エネルギー調査会のもとに置かれる委員会を想定しているわけでございまして、このことは今回の法律でも、経済産業大臣は、その処分計画を認可するに当たり、「総合資源エネルギー調査会の意見を聴かなければならない。」というふうに定めておりますし、また、附則によりまして、総合資源エネルギー調査会の任務にもその旨を明記したということでございます。加えまして、最終的認可に当たりまして、経済産業大臣は、内閣総理大臣に協議をするという規定もあるわけでございます。
 ところで、この委員会の組成といいますか人選でございますけれども、これは今後の検討課題でございまして、現在、特定の腹案があるわけではございません。
大島(令)委員 大臣は、この第三者の有識者委員会は、だれを将来指名するのが適当と思われていらっしゃるんでしょうか。
平沼国務大臣 これは、現時点でだれという具体的なことは申し上げられません。ただ、私どもとしては、それにふさわしい識見と経験を持った方が大所高所でぴしっと判断していただける、そういった方が就任してくださることを望んでいるところでございます。
大島(令)委員 では、長官に伺います。
 石油公団は、どのくらいの資産を今お持ちなんでしょうか。
河野政府参考人 石油公団の開発関連の出融資残高について申し上げますと、七千六百六十四億円というのが十二年度末現在の残高でございます。
大島(令)委員 私が考えている資産というのは、財産目録、ここにありますけれども、差し引き三兆五千六百億円の、流動資産、固定資産、あと繰延資産、もちろんこの中には貸倒引当金、これはマイナスとしてなり、差し引きそれくらいのものが今、会社で言えばあるわけですよね。
 一般的に企業会計を、例えば国の会計とか地方自治体は、プラスとマイナスだけで単年度会計でやっていきますけれども、資産というのは、現金、預金から含めていろいろな有形無形の資産があるわけで、私は、なぜ優良資産を特殊会社に移すことに関していろいろ動きがあったかということを考えると、経産省の方は、優良会社だけを特殊会社に引き継いで、あとはというふうなこともいろいろな報道を通して聞いておりますので、では、一体この三兆五千六百億円の財産目録をどのようにこの法案によって引き継いでいくのか、私たちは想像できないわけなんですね。説得力がないわけなんです。
 ここに、法律の第二条に、確かに長官がおっしゃったように、公団は資産処分業務を行う、法律にこう書いてあるだけで、その先が見えない中で、私は、これにいいとも悪いとも、何も見えない中でできないわけなんです。だからきょう、こうしてお尋ねしているわけです。
 では、改めて、資産、特に優良資産に対しての処分の考え方を聞かせてください。
河野政府参考人 先生が今おっしゃいました数字の資産の中には恐らく石油公団の備蓄関係の資産なども含まれていると思いますので、今先生がおっしゃいました、優良資産を特殊会社に引き継いでいくなりということになりますと、そのうちの開発関係の資産ということになろうかと思います。
 開発関係の資産は、先ほど申し上げましたように、出資と融資、両方足した残高を御紹介させていただきましたけれども、八千億円弱の残高がございます。これは、収支についていえば株式という形態をとっているわけでございまして、それぞれの会社を将来、附則三条で規定されております特殊会社が承継するのか、あるいは事前に整理処分の対象とするのか、それは今後の検討課題でございます。
 そのプロセスを定めているのが今回の法案でございまして、経済産業大臣がその処分計画を認可するに当たって、先ほど先生がおっしゃった第三者委員会の、総合資源エネルギー調査会の意見を聞く、そしてまた、経済産業省だけの判断ではなくて内閣総理大臣に協議をさせていただく、こういうプロセスを通じて、資産といいますか、承継に至る選別を行っていくということでございます。したがいまして、今具体的にどの資産はこうこうという、その開発関連資産について申し上げると、具体的には申し上げられない状況にございます。
大島(令)委員 しかし、すごく期待していた石油公団の廃止なんですけれども、平成十六年三月までは実線でいろいろなことがプロセス表に書いてありますけれども、あと点線で書いてあることもやはりこの一つの枠の中身でございます。そういうことがすべて、何々によって定めるとか、特殊会社のことに関しましてもわからないとか、資産を特殊会社に移す第三者の有識者による委員会も、人選の方針もまだ検討していないとか、そういう答弁ではなかなか安心して託せないわけですね。
 先回のとき、私は、独立行政法人の職員はみなし公務員であるということで、こういうことをしたならば刑法のこういうところに抵触するとか、人の面に関しては一応ある程度の答弁をいただきましたけれども、一番大切な資産処分計画が、このプロセス表、経産省からいただいたものは点線になっている、特殊会社の設立も点線になっていて、将来閣議決定を経て民営化していく、これも点線、すべて点線の中で囲ってあるものに関しては、何も検討中、検討中で、イメージするものができなかったら法案の審議が前に進まないわけなんです。
 ですから、今度は大臣に、政治家として、長官はやはり省の方ですので、では、大臣は個人的に、政治家ですから、この点線に対する、プロセスが点線でなく実線になるような、どのような石油公団の資産処分がいいと思っていらっしゃるのか、個人的な見解で結構ですからお聞かせください。
平沼国務大臣 これは、委員御承知のように、やはり三年という時間を区切りまして、その中でできるだけの努力をして、石油公団を廃止し、さらに、独立行政法人、特殊会社、民営化、こういうプロセスです。
 その過程の中で、点線と、こういう御指摘でございますけれども、これは、今お願いしている法律に基づいて、ターム、時間を区切って、そしてやるべきことをしっかりやる、そのためには附則三条もついているわけでありまして、そういう中で、点線だから不安だ、こういうふうにお思いにならないでいただきたい。やはりこの一定の年限の中でしっかりとやるべきことはちゃんとやっていく、こういうことで御提案を申し上げているところでございます。
 それからもう一つ、優良資産だけを残す、こういうことをおっしゃられますけれども、これは、何も優良資産だけを残して特殊会社にそれだけを持たせてやるということじゃなくて、午前中以来の答弁の中で繰り返し御答弁させていただいていますけれども、やはり四つの観点の中でどういった処分の仕方が適切か。
 だから、あの中には、たとえ今は悪いものであっても、将来よくなる、そういう可能性のあるものだってあるんだし、また、仕掛かり中のものだってあるわけですし、それから、いいものであってもいわゆる自主開発になじまないようなものであれば、これは率先して売却する、こういう形で色分けをしているわけでございまして、何も、優良なものだけを全部取り込んで悪いものは全部捨てる、そういう考え方でやっておりません。
 そして、資源エネルギー庁長官からも御答弁しておりますけれども、これからその判断というものは、やはり有識者のそういう判断に任せ、そして私がそれを大臣として監督をし、さらには、行革の本部長である内閣総理大臣の承認も得る、こういう形でそこのところは明確化を担保しておりますから、私は、点線だからそこのところが不安であり、だからいけないんだということにはならない、こういうふうに思っておりまして、そこのところはひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。
大島(令)委員 特殊会社設立は何年か先のことですから、多少幅を持って考えることができますけれども、やはり公団の資産整理はすぐに始めなければいけないわけですから、きちんと機構を立ち上げ、その基準を明確にしておくべきで、資産のことですから、この資産というのは何も石油公団総裁の所有権、総裁のものではなく、やはり国民全体の税金という形で出資してきたわけですから、国民全体の資産という考えに立つべきであるならば、特に透明性に敏感であるべきである、そういう観点から私は先ほど来お尋ねしているわけでございます。
 そういう意味で、堀内私案という中で出てきております、資産に関しては国庫に返すことがまず必要であり、そのことが石油公団の廃止そのものの意義だというふうに書かれておりますけれども、では、これに対する大臣の御見解はどのようになっておりますか。
平沼国務大臣 私どもは、堀内総務会長からは、石油公団問題に関しては、経済産業省の前身の通産大臣をお務めのときから非常に問題意識を持っていただいて、そして非常にいい御提言もいただいたと思います。そういう御提言をもとに第一次の石油公団改革を実施いたしまして、これは委員も御承知のとおり非常に成果が上がったところでございまして、そういう意味では、堀内総務会長の御提言というのは、経済産業省、当時通産省も真摯に受けとめて、そして具体的な作業を進めたところでございます。
 そして、堀内私案というものを大変な問題意識を持って出されたわけでありまして、私先ほど申しましたように、この堀内私案という一つのお考えの提示がありました。石油公団を具体的に廃止をし、そして、新たなそういう行革の流れの中でいいものを生み出していくという過程の中で、堀内総務会長の御意見もいろいろな面でありましたけれども、我々、四者会談をさせていただいて、そして堀内私案もその中に一部入れさせていただいて、建設的な御提言として入れさせていただいて、そしてまとめさせていただいたわけでございます。
 私どもとしては、今お願いをしているこの法案に関しては、あくまでも昨年十一月に合意をしたそのことがすべて基本になっている、このことは再度御理解をいただければと思っております。
大島(令)委員 これは、国会図書館で拾っていただいたんですけれども、やはり二〇〇二年四月十五日に堀内総務会長が小泉総理に直談判をし、経済産業省の案は昨年の閣議決定を骨抜きにするものだと訴えた。そして、四月二十六日、経済産業省と堀内総務会長との対立点がやはり明らかに三つのカテゴリーであるわけなんですね。そして最終的に、本年五月十七日に法案が国会に提出される。
 こういう経緯を見ていますと、私は、経済産業省と政府との間に何か……(平沼国務大臣「経済産業省じゃなくて」と呼ぶ)ああ、済みません、経済産業省と内閣の間に何かやはりあるのではないか、そういうふうに思うわけなんです。やはりそういうところをきちっと……(発言する者あり)ああ、官邸ですね、済みません。(平沼国務大臣「党ですよね」と呼ぶ)党ですね、自民党です、済みません。自民党との間の経緯。だから、これは――だって、もともとこの法案は、小泉さんが総理になったときからのやはり公約ですし、政治主導でこういうことになったわけですよね。そして、昨年の四月には石油公団は必要だ、総理がかわったら、今度は石油公団は廃止していこうということで、内閣がかわることによって法律の審議の方向も変わってきているわけですから、やはり政治とこの法律というのは非常に一体感があるわけなんです。
 私は、大臣にお伺いしたいんですが、行革を一つの使命とした小泉内閣の一員の平沼大臣として、官主導で、官僚がリードする行政改革には限界があるということをやはり小泉さんは、一年間ずっと総理を続けてきまして、身内に抵抗勢力がいるとか、いろいろ国会の中でも御答弁されてきました、そういう小泉内閣の一員として、では、この法案に対して、もう本当に経済産業省と全く同じ考えでこの審議に臨んでいらっしゃるんですか。
 具体的にお伺いしますが、この法案に基づく公団廃止に対して、大臣は本当にこれでいいと思っていらっしゃるんですか。
平沼国務大臣 お答えする前に、堀内さんが総理官邸に行かれて、自分の十一月に合意したのとは違う、こういうことを言われた、今そういう記事の御紹介がありましたけれども、その後、さらに我々としては四者の中で詰めまして、そして最終的に私が、ちょうどアメリカ出張でございましたけれども、ワシントンにいるときに、堀内さんも御了解をされて、最終的にまとめさせていただきました。
 私も経済産業省の大臣として、やはり小泉行政改革の趣旨に沿いまして、昨年の国会の中では石油公団法を改正して存続をする、そういう立場ではなかったかと、それが今回は廃止。しかし私は、やはり時代の要請というものもありますし、また、小泉総理大臣の基本方針が行政改革の断行、そして特殊法人の改革、こういうことが内閣の第一のスローガン、第一の政策目的、こういうことに相なったわけですから、やはりそれは閣僚として当然協力をして実現することは、これは当たり前のことでございます。
 そういう意味で、今回、特殊法人が七十七たしかあると思いますけれども、その第一号として石油公団廃止、こういうものを打ち出して今御審議をお願いしているわけでありまして、私は、いささかもこの法案提出に関しましては、何も官主導ではなくて、大臣として、党とも相談し、官邸とも十分相談をし、当然行革本部ともいろいろ議論をしながら決めた、このことを御理解いただきたいと思います。
大島(令)委員 ここに資料がありますけれども、大臣は、公団の資産を清算する際に総理と協議するよう義務づけることとして、身内で資産の清算を決めるのは不適切とする堀内総務会長の批判をかわしている、こういう報道があるわけで、そしてまた、特殊会社の設立法案は見送られるが、法案の附則に特殊会社設立のために必要な措置を講じると明記、こういうことで決着をしている、そういうことの理解でよろしいわけなんですね。
平沼国務大臣 これは先ほどの御答弁で申し上げましたけれども、やはり、行政改革の推進本部の本部長である内閣総理大臣、この内閣総理大臣に最終的には相談をする、その決裁を仰ぐ、こういうことになっておりますから、これはお手盛りで、身内でやる、こういうことではない、そのことでしっかりとそのことは担保されている、私はこういうふうに思っています。
大島(令)委員 やはり私は、三兆円を超す財産を持っている石油公団、この資産をどのようにして清算していくか、ここがどうしてもわからない、どのような道筋が描かれようとしているのかわからない。大臣に今、短い時間でしたけれども聞きましたけれども、検討するですとかわからないとか、どうもなかなか私は理解できないわけなんですね。
 大臣は、去年の八月からこの石油公団廃止の議論が始まったわけなんですが、法案の提出者ですから、本当にこれでよしとしているということで間違いないわけなんですね。
平沼国務大臣 昨年の八月以来、私どもは各般の議論をさせていただき、関係者の御意見もしっかりと聞き、そのもとで今こういう法案として出させていただいております。ですからこれは、私どもとしては、行政改革の一環として必要な法律であると思っておりますし、これをやることによって特殊法人改革第一段、そういう形で、間違いがないように期して、頑張っていかなければならない、自信を持ってやらせていただきたいと思っております。
大島(令)委員 堀内自民党総務会長がいろいろな雑誌で御自分の意見を述べているものですから、自民党も一枚岩ではないなということはわかっておりますけれども。
 きょうの質問の最後に当たり、堀内さんはこうおっしゃっているんです。特殊法人改革の第一段として石油公団改革をやる。石油公団を取り上げた理由については、かつて御自分が徹底的に調べた経緯から表も裏も全部わかっているからである。私の方が経産省の官僚より知っている。だれから何と言われてもびくともしないだけの調査もあるし、考え方も持っているからこそ問題にしているんだと。
 自分の考えを政治家が文書に残る形で多方面にわたり発言をし、それが、石油公団といえば堀内私案というようなスローガンになるようなものを立ち上げるというのは、政治家としてはよほどの自信がない限り言えない。
 私は、まだ国会に来て二年目でございますけれども、政治家の言葉の一つ一つの重み、きょうも最初に、大臣のエイズに対する差別的な発言のことが取り上げられましたけれども、私たちは、そういうところから含めて、なぜこの堀内私案にこだわるのか。堀内私案と経産省の案が、いろいろな部分で今日に至るまで対立点がある、そして今日、こういう法案が出てきた、そういう背景の中から私はこだわっているわけです。
 きょうの質問の中では、なかなか、大臣一人ですから、やはり本当のところ、はっきりした形のものをお聞きすることができません。野党としましては、行革大臣とか総理とか堀内総務会長さん、そういう方々に、やはりこの場に出てきていただいて本当のところをお聞きしたいなというのが私の意見でございます。
平沼国務大臣 私は、一言、大島先生の御発言の中で訂正をさせていただきたいと思うのですが、私は差別的な形で発言をしたわけではありません。これは、この委員会の冒頭で申し上げましたように、私は例示的に申し述べたわけで、その中に、私がそれをさげすんだり、差別する、そういう意識は毛頭なかった。今、差別的な発言と、こういうふうにおっしゃいましたけれども、そこはひとつ御了解をいただきたいと思います。
 また、私どもとしては、繰り返しになりますけれども、これは最終的にすべて党とも合意をして決定をしたことでございまして、私どもとしては、いろいろなすべての議論というのは、その議論の過程でいろいろな意見が出る。甲論乙駁があって、それが最終的にまとまっていくわけですから、そういう過程があったということで御理解をいただきたいと思います。
大島(令)委員 やはりそれを差別と感じる人がいたから、私はその立場に立って差別という言葉を使わせていただきました。
 それと、もう一つ言わせていただけるならば、自民党が今政権与党でございますけれども、自民党が決めたことがそのまま今の日本では政策になっている。しかし、私たち野党でも、ここの国会に来る、国民の半分は、やはり野党の政策を支持している人たちもいるわけです。そういうことがあってこの委員会が構成されているということで、ここで私も発言をさせていただける機会があるというふうに思っておりますので、その辺のところは御理解いただきたいと思います。
 きょうはこれで終わらせていただきます。
谷畑委員長 阪上善秀君。
阪上委員 今回、行政改革の一環といたしまして、石油公団と金属鉱業事業団が廃止されることに相なりました。
 しかしながら、我が国のエネルギー情勢を見てまいりますと、石油危機以降、エネルギー供給の多様化が進んできたとはいいましても、いまだに五割以上を石油、天然ガスに依存しておるということは事実であります。特に石油については、約九割を中東地域に依存しているというのがまさに現実であります。
 今後、中国を初めアジア地域のエネルギー需要の増大に伴い、アジア地域全体としても中東石油に対する依存度がますます高まっていくことが懸念されております。あの中国で、中国北東部の大慶油田が枯渇する一方、中国は、今後ますます経済力を上げ、自動車にみんなが乗るようになった場合を想像すると、ぞっとするのは私だけではないと思っております。
 これは、アジア地域の安全保障に直結する問題であり、エネルギーの問題は安全保障上の問題として真摯にとらえていかなければならぬと思っております。このような現実と予想される将来に手を打たなければ、政治の責任とは言えません。これに手を打たずにいることは、まさしく「油断」ではないかと思っております。
 石油公団の改革に当たりましては、まずは、エネルギー安全保障の観点からの大所高所の政策議論があってしかるべきではないかと思っております。ソビエト連邦が崩壊し、また湾岸戦争以降、石油危機以降一気に高まった産油国の国際的な政治上の地位が相対的に低下してきたと言われておる中で、世界の市場経済化、いわゆるグローバル化が進んできておるのも事実であります。こうした世界的な環境変化によって、石油は、戦略物資から、お金さえ払えばいつでも市場から必要な量を必要なだけ調達できる単なる商品に成り下がったとの見解もあるようでありますが、私自身は、先ほど述べましたように、エネルギー情勢を考えれば、石油は依然として国が何らかの関与を行って確保していかなければならないものであり、単に市場から買えばよいというものではないと考えております。
 大臣は、我が国エネルギーにおける石油、天然ガスの意義、重要性をどのように考えておられますか、まずお伺いをいたします。
平沼国務大臣 石油というのは、我が国の一次エネルギー供給の過半を占めております。御指摘のように、その多くを中東地域に依存しております。したがいまして、その構造は脆弱だ、こういうことも言えると思っております。一次エネルギー供給に占める石油の割合というのは、今後とも高いレベルで推移すると見込まれておりまして、したがいまして、石油の安定的な供給を確保していくことが我々にとっては非常に重要な政策課題だと思っています。
 今御指摘のように、よく、石油は世界に大量にあるからお金を出せば好きなときに買える、そういう時期もあるかもしれませんけれども、二度経験したオイルショックのときを考えますと、やはり石油というのは戦略物資であって、一般の商品のように、お金さえ出せば買える、そういう考えを抱くのは危険だと私は思っております。
 天然ガスにつきましては、インドネシア、オーストラリア、サハリンなどアジア太平洋地域にも相当の埋蔵量が期待されておりまして、特にサハリンでは、これはもう現実のものになりつつあるわけでありまして、その導入というものは、石油依存度を変えるということだけではなくて、中東への依存度を低減する、こういう意味でもエネルギー安全保障上極めて重要である、私はこう思っています。また、天然ガスは、他の化石燃料に比べましてCO2の排出割合が低く、そういう意味では地球環境問題への対応の面でも優位性があると思っております。したがって、この導入も私は進めていかなければならないと思っています。
 このため、政府といたしましては、石油については、自主開発の効率的な推進、緊急時の石油供給途絶等に備える石油備蓄の保有、さらには、産油国との関係強化のための資源外交の展開等の施策を引き続き講じていくとともに、天然ガスにつきましては、探鉱開発の促進や、さらにメタンハイドレート、これもカナダの沖で、実際に、固形で取り出してきてガス化するということではなくて、海底の中からガスで取り出せる、こういう技術も成功しておりますので、こういった天然ガスの導入というものは力を入れていかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、御指摘のように、我が国のエネルギーの安定供給というのは非常に大切でございますから、石油、天然ガスについても万全を期してまいりたい、このように思っています。
阪上委員 次に、石油公団は、日本の自主開発原油の確保というエネルギー政策上重要な政策実施の役割を担ってきたと思っております。また、産油国との関係でも、石油公団が我が国の石油開発会社の後ろ盾になっておるということで緊密な関係が保ってこれたのではないかと私も認識をいたしております。
 大臣は、石油公団を廃止するといたしましても、国の果たすべき機能として、まず第一に、石油開発におけるリスクマネーの供給、第二に技術蓄積、さらには、備蓄は引き続き実施していかなければならないと主張しておられます。私も全くそのとおりだと考えております。
 石油、天然ガスは依然として戦略物資であり、日々刻々と事態が変化する中で、諸外国は自国のエネルギー安全保障を確保すべく日夜しのぎを削っている状況でありますが、こうした中で、たとえ短期間であっても、我が国の国家エネルギー戦略に空白が生じるようなことはあってはならないと思っております。
 そこで、お聞きをいたしますが、石油公団を廃止いたしましても、我が国エネルギー政策に空白が生じるようなことはあってはならないと思いますが、明確にお答え願いたいと思います。
平沼国務大臣 大変重要な点の御指摘だと思います。
 石油開発に対する出資、債務保証につきましては、平成十五年度のできる限り早期に、石油公団の主たる業務がその資産の管理それから処分に限定された後には、独立行政法人の業務として実施されることになりまして、また、それ以前に石油公団が締結をしていた出資契約等に基づき、資産価値の保全等のための出資、債務保証につきましては引き続き業務限定後の石油公団で行われる、こういうことになっております。また、技術の蓄積そして備蓄につきましては、石油公団の業務が限定された以降には、新たに設立される独立行政法人の業務として実施されることに相なります。
 このように、石油公団の業務が限定され、また、廃止された後におきましても、石油開発に対する政策支援、国家備蓄は途切れなく行われることになっておりまして、エネルギー安定供給確保に空白を生じることはない、このように考えております。
阪上委員 また、今回、行政改革の観点から石油公団を廃止し、国が果たすべき役割は新たに設立される独立行政法人が行うということになっております。国の機能は変わらないといたしましても、実施する組織が変わるわけでありますから、そのやり方も変わってしかるべきだと思っております。
 国民との関係でも、石油公団の廃止によってこれまでの石油開発政策がどのように変わるのか、あるいは変わらないのか、方向性をわかりやすく明らかにする責任を政府は負っておると思うのであります。
 そこで、お聞きをいたしますが、石油公団廃止後の石油開発政策はどのようになるのか、石油公団廃止後の石油開発政策の将来展望というものを明らかにしていただきたいと思います。
大島副大臣 阪上先生にお答えを申し上げます。
 先ほど先生も御指摘をされましたように、我が国は、一次エネルギーの供給の過半を石油が占めている、これは事実でございます。そしてまた、その多くを中東地域に依存している極めて脆弱な供給構造を有しておることは、先生御案内のとおりでございます。そして、石油につきましては、過去に一年間で原油価格が実に三倍に急騰する等、依然として他の商品とは相当異なる性質を有していることなどから、引き続き自主開発を進め、エネルギーの安定供給確保を図っていくことが重要であると考えております。
 こういった認識のもとに、今般の特殊法人改革におきましても、エネルギーの安定供給の確保上、引き続き国の責任において果たすべき重要な機能といたしまして、石油の開発のためのリスクマネー供給また研究開発機能等については、新設される独立行政法人に行わせることといたしております。
 他方、各方面からの問題提起を受けまして、石油開発関連資産の整理あるいは売却を実施するとともに、支援の内容につきましては、減免つき融資を廃止するとともに、支援の比率を五割までに限定するなどの措置を講じてまいっているところでございまして、対象プロジェクトを厳選することによりまして業務運営の効率化を図っていくことといたしております。
阪上委員 石油公団のこれまでの三十五年間の成果と失敗の議論を聞いておりまして、自主開発原油の持ち込み数量が三〇%に達していないということが議論の焦点になっておったように思います。しかし、その議論には石油権益の資産、ストックとしての役割が無視されてきたように思っております。
 世界の国際石油資本、いわゆるメジャーと呼ばれる企業は、自国にどれだけの原油を輸入しているかということよりも、中東、アフリカ、南米、アジアなど世界各地に分散して優良な石油権益を保有しておるかどうか、その規模がどれぐらいあるかによって企業の力が評価されてきておったと思っております。
 大臣が重要な機能であるとおっしゃいました技術蓄積も、結局は、世界各地でどれほどみずからの石油開発を行ってきたかということで決まってくるのではないかと思っております。私は、油田権益の規模が、結局、安全保障上重要な意義を有することになるのではないかと思います。
 そこで、お伺いをいたします。
 獲得埋蔵量ベースで見た場合の石油公団資産の規模は、国際石油資本と比べてどれぐらいの規模になるのでしょうか、お伺いをいたします。
河野政府参考人 いわゆる国際石油資本というものには、例えば最近、合従連衡で規模拡大をしておりますが、エクソン・モービルでございますとかあるいはロイヤル・ダッチ・シェル、それからアモコと合併いたしましたBP、シェブロンと合併いたしましたテキサコ、こういったものがございます。これらの企業の可採埋蔵量の保有規模は、石油に換算いたしまして、おおむね百億ないし二百億バレルという規模でございます。
 このいわばスーパーメジャー級の会社にやや次ぐ、これほどではありませんが、それぞれ独自の地域あるいは事業戦略、さらには専門性の高い技術力を持って高い収益を上げている有力な石油開発企業がまたさらに幾つかございます。例えば、イタリアのENI、それからアメリカのコノコなどでございますけれども、これらの保有いたします可採埋蔵量は、おおむね三十ないし七十億バレルでございます。
 そこで、公団がこれまで出資してまいりました開発企業の可採埋蔵量でございますけれども、これは全体として約五十五億バレルでございますから、スーパーメジャーには及びませんが、その次ぐらいにランクする企業とトータルの規模としては比肩し得るぐらいのものでございます。このうち、石油公団の出資見合い分は約三十億バレルでございます。単純比較は難しいわけでございますけれども、繰り返しになりますが、埋蔵量から見ました石油公団資産の規模は、メジャーに次ぐ有力石油開発企業に比肩するぐらいのレベルかと申し上げられるかと思います。
阪上委員 また、聞くところによりますと、石油公団は世界各地に優良な資産を有しておられ、それらの優良資産は、資金力の乏しい日本の開発企業にとってはなかなか手が出にくいものでございますが、史上最高益を更新し、膨大な資金を有しておるメジャーにとってはまさしく垂涎の的であると言っても過言ではないと思っております。せっかく多額の税金を投入して獲得した石油・天然ガス権益は、まさに我が国のエネルギー安全保障上の貴重な財産であるのでありますから、外国企業にすべてを売り払ってしまうというのは論外であるにいたしましても、少なくとも慎重に、それぞれの資産が売るべきものか残すべきものかということをしっかりと議論していく必要があると思っております。
 閣議決定には、「現在、石油公団が保有する開発関連資産は、厳正に資産評価を行い、整理すべきものは整理し、売却すべきものは売却するなど、適正な処理を行う。」とありますが、そこにはどのような基準で行うかは明らかにされておりません。私は、国として引き続き責任を持ってやっていかなければならないプロジェクトは、将来設立される特殊会社に受け継いでいくべきではないかと思います。
 そこで、お伺いをいたします。
 具体的な選別の基準はどうなっておるのか、行革の観点に加えて、エネルギー安全保障といった国家百年の計からのアプローチも重要ではないかと思いますが、お伺いをいたします。
大島副大臣 お答えをいたします。
 先生御指摘のとおり、石油公団の開発関連の資産は、我が国のエネルギー安全保障の観点から、自主開発原油を確保すべく、実に過去三十年にわたりまして石油開発プロジェクトに資金を提供し、その結果として得られたものでございまして、我が国の国民経済上極めて重要な財産であることは間違いございません。
 このような開発関連資産の整理売却につきましては、経済産業大臣は、その事業計画を認可するに当たりまして、総合資源エネルギー調査会の意見をお聞きするとともに、昨年末に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画の着実な実施を担保する観点から、特殊法人等改革推進本部の長でございます内閣総理大臣に協議をすることといたしております。かかる業務に当たりましては、先生も今御心配いただきましたような、関係者の十分なコンセンサスを得つつ、公明正大に行ってまいりたいと存じております。
阪上委員 近年、欧米の国際石油資本は、巨大合併によりますます企業の力を強めてまいっております。アメリカでは、どちらもメジャーの一角を占めておりましたエクソンとモービルが大合併をいたしまして、世界最大のスーパーメジャー、エクソン・モービルが誕生いたしましたが、これはまさに典型的な事例ではないかと思います。
 こうした背景には、一九九〇年代初めに起こったソビエト連邦、東欧社会主義国家の崩壊やアメリカの湾岸戦争での勝利により世界の地政学的な状況が一変し、中東、旧ソ連等産油国も巻き込んで世界が急激に市場経済化したことにあるのではないかと言われてきております。
 それが正しいかどうかはともかくといたしまして、確実に言えることは、世界のエネルギー情勢、とりわけ石油開発ビジネスでは、日々に状況が変化し、変化についていけない企業は淘汰されていく、まさにドッグイヤーになっておることも事実であります。
 そこで、お伺いをいたしますが、合従連衡を繰り広げております世界の石油開発ビジネスの趨勢にとって、今回の改革はどういう意味があるのか、お伺いをいたしたいと思います。
大島副大臣 お答えをいたします。
 石油開発ビジネスにおきましては、先生御指摘のとおり、近年、産油国の鉱区の開放の動きの中で、優良な石油開発案件につきましては、欧州メジャーを初めといたします国際開発企業との間で実に競争が激しくなっている、こういう実態がございます。
 こうした中で、我が国民間開発企業の脆弱な経営基盤の実情にかんがみますと、ますます激化する国際ビジネスの中で自主開発の実を上げていくためには、引き続き国の責任において関係企業の開発努力を支援していくことが大切なことだと考えております。
 こういった認識のもとに、今般の特殊法人改革におきましては、エネルギーの安定供給の確保上、引き続き国の責任において果たす重要な機能といたしまして、石油の開発のためのリスクマネー供給あるいは研究開発機能等を新設される独立行政法人に行わせることといたしております。
 その際でございますけれども、石油開発プロジェクトに対する支援について、減免つき融資は廃止をいたし、そして支援比率は五割を上限とすることなどを通じまして民間企業の責任をより明確化してまいりたい、そして激化する石油開発ビジネスの中で、より一層効率的また効果的な自主開発の実施に努めてまいりたいと存じております。
阪上委員 また、石油公団が担ってまいりました石油備蓄も、国の役割として引き続き重要であると思っております。
 我が国は、五千万キロリットルの国家備蓄を、北は北海道、南は鹿児島といったように日本各地に持っておるわけでございますが、これは日本が巨大な油田を持っているのと同じでありまして、いざというときに日本国民の生活、財産を守ることになっております。人里離れた国家備蓄基地で国家の有事のために日夜働いておられる人は、まさに平成の防人と言っても過言ではないと思います。石油ショックの苦い経験、石油を求めて油ごい外交の屈辱を踏まえて進めてきた国家備蓄でございますが、これは、まさに国家百年の計に基づく政策であったはずだと思っております。
 閣議決定によりますと、「国家備蓄は国の直轄事業として行う。」とされております。国家備蓄の国直轄化により、国家備蓄の実施主体が石油公団から国に変更されることとなるわけでございますが、昭和五十三年度から石油公団のもとで営々と進められてきた国家備蓄事業を国に移管いたしますと、石油公団から積み上げてきた国家備蓄のノウハウが失われることになるのではないかと心配いたしますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 国家備蓄に関しましては、石油の安定供給の確保を図る上で、石油の供給不足等の危急の際に国家の責任を全うする観点からこれを実施するものでございます。
 我が国では、第一次石油危機の教訓を踏まえまして、一九七八年以来、国の監督のもとに、石油公団が石油を保有し、また、石油公団出資の国家石油備蓄会社に基地建設や操業を行わせるとともに、各基地を一元的に管理しながら着実にその運営を図ってきたところでございます。
 今回の改革では、国家石油備蓄事業の一層の効率化を図るために、国家備蓄石油・施設を国直轄化いたしまして、独立行政法人に総合管理機能を担わせます。基地操業に係る具体的業務は、国家石油備蓄会社を廃止いたしまして、完全民間資本による操業サービス会社に委託をすることにいたしております。
 御指摘のとおり、体制変更後においても、緊急事態への迅速な対応や平時における安全を確保するため、その蓄積されましたノウハウが引き継がれることは極めて重要であると思っております。今般の改革は、単に効率化を図るのではなくて、かかる観点も踏まえて検討をしたところでございます。
 具体的には、従来、石油公団が担ってきた石油調達を含めた管理や迅速な緊急時対応、平時の安全確保を可能ならしめるための各基地を一元的に管理するといった専門性、ノウハウを要する機能は、独立行政法人に承継をいたすことにいたしております。また、基地操業に係る具体的業務につきましては、危険物である原油を貯蔵する基地施設の特殊性にかんがみまして、これらを確実に行うことができる人的、技術的能力を有する操業サービス会社に委託することとしております。
 したがいまして、国家石油備蓄を着実に実施していくノウハウが失われるようなことはないものと思っているところでございます。
阪上委員 また、動きの激しい国際エネルギー情勢に対応して、的確に国民の生活、財産を確保するためには、国家備蓄は、持っているだけではなく、いざというときに日本国内の必要な場所に必要な量だけ、まさに適切に行き渡らせることが重要であると思っております。現在の石油公団においては、そのような緊急時に機動的に国家備蓄を日本国内に供給する体制が万全であるとは思いますが、今回のような国家備蓄の体制改革が行われたとしましても、その体制に揺るぎはないということでなければ意味をなさないと言わざるを得ません。
 そこで、お伺いをいたしますが、国家備蓄体制の改革後におきましても、緊急時に機動的に放出できる体制に問題がないかどうか、お伺いをいたします。
大島副大臣 お答えをいたします。
 国家備蓄の国の直轄化に伴いまして、国家備蓄石油及び国家備蓄基地につきましては、今後は国の所有になるわけでございます。
 しかし、従来、石油公団が担ってまいりました国内需要に対応した多種・大量の原油の調達あるいは品質維持を含めた管理、全国十カ所に点在いたします備蓄基地施設の操業を一元的に管理をいたしまして、平時の安全操業と緊急時における迅速な対応を行うといういわゆる国家備蓄の統合管理機能につきましては、石油市場や石油施設等について幅の広い知識と各分野における専門的能力を必要とするため、これを独立行政法人に承継して行わせることといたしております。
 これによりまして、今後とも、緊急時には国の決定に基づきまして機動的に備蓄の放出が行えるものと考えておりますが、先生が御指摘のとおり、そういう不安がありませんように、しっかりと努めてまいりたいと思っております。
阪上委員 最後に私から申し上げたいことは、我が国の国家財政事情が非常に厳しい折、行政改革、特殊法人改革を進めていくことが大切であることはそのとおりであると思いますが、その具体的な成果を急ぐ余り、国家の存立基盤の維持にとって最も重要な課題であるエネルギーの安定確保という問題が忘れられてはならないということであります。エネルギー安全保障の問題は、まさに国家百年の計と申しても過言ではございません。その点、大臣が、石油公団を廃止するといたしましても、国の果たすべき機能は実施していくとおっしゃったことには万感の思いが込められておったと思っております。
 そこで、最後に、大臣に明言をしていただきたいのですが、今回の改革が日本の資源エネルギー安全保障にいささかも支障を来すことがないことを国民に対して大臣から明言をしていただきたいと思います。
平沼国務大臣 資源エネルギー安全保障の確保は、今後とも国を挙げて取り組むべき重要課題であり、委員の御指摘のとおりだと私は思っております。
 今般、昨年末に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画に基づきまして石油公団の廃止等の改革を行うこととしておりますけれども、資源エネルギー安全保障の確保は引き続き国が果たすべき重要な役割であり、新設する独立行政法人にリスクマネー供給機能を担わせる等の措置を講じているところでございます。
 いずれにいたしましても、担当大臣として、今後とも、資源エネルギー安全保障の確保のため、万全の努力をしてまいりたい、このように思っております。
阪上委員 以上で終わります。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 大臣、副大臣、政府参考人の皆さんというより、議員の皆さん、お疲れさまでございます。いよいよ最後でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 私は、この問題につきまして八問ほど質問を用意いたしましたので、できるだけ急ぎ足で質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず第一問目は、平沼大臣にお尋ねをさせていただくわけでございますけれども、極めて概括的なお尋ねでございますが、大臣も大変幅広く御出張を重ねられたり、いろいろと日本のエネルギー確保のために御尽力をされているわけでございますが、そういう中で、このたびのこの石油公団を廃止するに当たって、これまでの我が国の石油開発政策というものを総括する中で、この法案の位置づけということをお考えになって御提出になったのであろうと想像させていただくわけでございますが、どのように我が国の石油開発政策というものを総括しておられるのか、まず大きくそこからお尋ねをしたいと存じます。
平沼国務大臣 西川先生にお答えをさせていただきます。
 我が国におきましては、石油等の安定供給の確保を図るため、昭和四十二年以降、石油公団を通じた出融資等によりまして自主開発原油の確保に努めてまいりました。その結果、公団設立時には日量約二十七万バレルであった石油公団の出融資対象会社の自主開発原油輸入量は、倍増以上の日量五十八万バレルにまで増加をしております。このような自主開発原油というのは、緊急時における安定的な供給源として一定の役割を果たしてきているものと認識しております。しかし、当初三〇%と想定しておりました割合が、いろいろな事情で一三%、こういうことはある意味では残念だと思っております。
 ただし、これまでの石油公団の運営や財務面については、石油危機などを背景に、自主開発原油の量的確保に重点を置く余りに、資金の効率的運用に関して十分でない面があった、このことも私どもは認識をしております。
 また、石油公団による探鉱投融資制度は、巨額の財政資金をリスクマネーとして供給する制度であるにもかかわらず、その事業運営については国民に対する情報公開が必ずしも十分でなかった、こういった反省もあるわけであります。
 さらに、出資及び減免つき融資を合計して原則として七〇%まで財政資金による支援が可能であった、こういったことから、主体であるべき民間事業者の経営責任の所在があいまいになる、こういうことがある意味では多額の損失を生んだ、こういう背景があるということも我々認識しております。
 こうした石油公団の財務、事業運営についての問題提起を受けて、石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会において、石油公団の業務運営について徹底的な見直しを行い、そこで指摘された事項のほとんどすべてについて着実に改革は進めてきたところであります。
 今般の特殊法人等改革においても、開発関連資産の整理売却を実施するとともに、石油の開発のためのリスクマネー供給機能、研究開発機能等については独立行政法人に行わせまして、これにより、業務運営の効率化、対象プロジェクトの厳選を図っていくほか、支援の内容につきましても、減免つき融資を廃止をし、そして支援比率も五割までを上限とする、こういうことなどの措置を講じておりまして、本当に国民の皆様方のそういう御期待の中で精いっぱいの努力をしてまいりましたけれども、成果が上がった反面、そういう意味で、今るる申し上げたそういう反省材料もあるわけでございます。
西川(太)委員 大変俗な例えで恐縮でありますが、私は家を建てた経験、古い家を壊して、新しい家を同じ敷地の中に建てた経験からいって、古い家を壊すときに、ああ、ここでおやじが私をしかったことがあったなとか、この部屋で子供たちが受験勉強をしていたなとか、私はここで本を読んでいろいろな思いがあるなとか、いろいろそういう思いがありますよね。
 やはり物事というのは、壊していく過程の中で、意外に、要らないとかむだだとか知らない人は言うけれども、しかし、そこにかかわってきた方々の思いというものは、情緒的な面を除いて、機能的に取り出してみても、私は随分役に立ったなというものがあったと思うんです。
 今回のこの石油公団廃止に至る十七年までにどんなことをしなきゃならないのかというのを勉強してみますと、随分大事な機能が残されたり、移管されたり、見直されたりしていくわけですよね。
 だから、私は、石油公団というものを、単に特殊法人改革という括弧の中で、天下りの問題、確かにこれは、私も後ほど触れたいと思いますけれども、ゆゆしい問題でもあるし、これから日本のシステムとして、政官財癒着の問題とか天下りの問題というのは反省をし、メスを入れていかなければいけないと思います。しかし、単にそういうフェーズだけでこの石油公団というものを廃止するというのではいけないと私は思うんですね。
 限られた時間でありますけれども、私は、そういう中で見てまいりますと、まず第一に、この法案が提出された後に、備蓄体制というものを改革していかなければいけない。これは、国家備蓄原油の国への移管ということもしなければならない。それから、そのためには国家備蓄会社も廃止しなければいけない。民間操業サービス会社の設立も一方で行わなければいけない。そして、それは公団保有の開発関連資産の厳正な評価と処分を実施しなければいけない。しかもそれは、第三者の有識者の委員による意見を聴取して、いわゆる総合エネ庁のようなものでやり、これは大臣の御努力で、内閣総理大臣と協議をしてこれの決着をつける、こういうことにもなっていく。
 こういうこと一つをとっても、大変重要な機能が石油公団の歴史の中ではぐくまれてきたなということを率直に私は評価をしなければいかぬと思うんです。
 また、いわゆる業務限定後の石油公団としてもやることはいろいろあって、そして最後に、十七年三月目途に石油公団は消えていくわけであります。
 そこで、大臣に御認識を伺うわけでございますけれども、いろいろな御意見あると思いますけれども、行革一辺倒の流れの中で公団廃止を決めるというような、そういう情緒的なものであってはならぬと私は思うのでありますけれども、大臣の御認識を伺いたいと思います。(発言する者あり)
平沼国務大臣 もうこれは言うまでもないことでございますけれども、我が国は、一次エネルギー供給の過半を石油が占めておりまして、その多くを中東地域に依存するなど脆弱な供給構造を有しております。また、石油については、かつて過去一年間で原油価格が三倍に急騰するなど、依然として他の商品とは相当異なる性質を有しているわけであります。そういう観点からも、引き続き自主開発を進めてエネルギーの安定供給確保を図っていくことが重要だ、このように思っております。
 一方、産油国の鉱区開放の動きの中で、優良な石油開発案件については、欧米メジャーを初めとする国際開発企業との間で競争が激化しておりまして、我が国民間開発企業の脆弱な経営基盤の実情にかんがみますと、ますます激化する国際ビジネスの中で自主開発の実を上げていくためには、引き続き国の責任において関係企業の開発努力を支援していくことが適当である、このような認識を持っております。
 今般の特殊法人改革におきましても、エネルギー安定供給の確保上、引き続き国の責任において果たすべき重要な機能として、石油の開発のためのリスクマネー供給、それから研究開発機能等については新設される独立行政法人に行わせることとし、国として支援すべき重要プロジェクトの推進に寄与していくものであります。また、備蓄というものも大変大切でございますので、このことも担保をさせていただきました。
 ただ、今、行革一辺倒と、こういう表現を用いられましたけれども、私どもとしては、小泉内閣の中で、やはり国民の強い御要請におこたえをして、そして、特殊法人改革を初めとして行政改革を断行することも必要だ。しかし、その中で、今申し上げた、そういった国際場裏の中で、国としてやはり担保すべきものはしっかりと担保しながら我が国のエネルギー安定供給の確保を図っていかなければならない、こういう考え方で私どもは御提案をさせていただいております。
西川(太)委員 もちろん、後段の大臣の御説には私も全く同感であります。
 こちらの方から、先輩でありますから、私、後輩ならどなっちゃうんですが、先輩ですから、石油公団を残すのかと、こういう、私の気持ちを知りながら、せつない不規則発言があるわけでありますけれども、私はそんなことを申し上げているんじゃなくて、機能というものを、やはり残すべきものというか、評価、再評価するべきものは評価しろ、こういうふうに思っているわけであります。
 実は私、後輩に大変な勉強家がいて、我が母校の学部、大学院を一番で卒業した青年がフランスのある開発会社に、シ社に就職をしようとしてインドの青年と最後まで競い合って、結局ちょっとの差でインドに、サッカーみたいな話ですけれども、負けちゃったんですけれども、それほど開発会社というのは人材を世界に求めて、物すごい過酷な条件の中で、人材発掘して、やる。
 それはなぜかというと、事前の調査をして、鉱区を確定して、試し掘りをして、試し掘りといったって、陸の場合、井戸一本掘るのに二十億かかるんですよね。海の中で掘れば五十億かかるんですよ。これは三年から五年、そういう前段階があって、よし、これはいけそうだ、ここに大体百億から二百億かかるんですね。それでいよいよやろうということが決まって、それから大体六年から十年かかると言われています。だから、都合、長いもので十五年かかる。その後段階では千億から二千億の金がかかる。こういうリスクマネーをかけて油田を発見していくわけですよね。
 人間生きていくためにエネルギーというものは大変重要でありますから、そういうまさに命がけで、北の海から、炎暑の中からみんな努力をしてやっているわけですね。そういうリスクマネーの供給というものを今まで石油公団はやってきたわけでありますけれども、今後、今のようなプロセスを経て生産開始に至るそういうエネルギーを、天然ガスも含めて、石油もそうです、先ほどメタンハイドレートのお話もお触れになりましたけれども、これはもし開発できれば日本の百年分のエネルギーが日本の近海だけでも、海南のあたりから四国にかけてとれる、こういうこともあるわけでありますが、こういう資金を開発企業が現状で調達できるとは、私は、失礼ながら、その能力において到底思えない。
 となると、やはり新たな独立行政法人がこのリスクマネーの供給機能というのを引き継いでいくことは大事だ。これは先ほど同僚議員からも、与党の自民党の阪上さんからも同趣旨のお尋ねがありまして、ダブっちゃいけないと思いますが、大事な問題でありますから私からも伺うのでありますが、開発段階に移行した後に必要となるいわゆる資金の調達を支援する債務保証も、これは見逃しちゃいけない大事な問題だと思うんですね。
 そこで、今回の法律では、債務保証の供与というのには、資源エネルギー庁長官、限定する規定が入っていますね、今度の法律には。これは、私は制約的な機能に傾いちゃいかぬと思うんですよ。今私が前段申したようなことを。ただいけないよと私は言っているんじゃないんですよ。今までの経験で、井戸一本二十億、海の中で掘れば五十億、そして、もう繰り返しになるから言いませんけれども、長い十数年の時間をかけて、最大二千億にも届くというようなお金をかけて、そして我々のエネルギーを、それはビジネスとはいえやってくれる。こういうものに対してこの法律がいろいろな規制をしていますけれども、何というか、後ろへ引っ張るような、後ずさりさせるような、ブレーキ役になるようなことになっちゃいかぬと私は思うんですが、いかがでございますか。
河野政府参考人 先生御指摘のように、石油開発事業はそもそも巨額の資金を要しますけれども、特に探鉱段階から開発段階に移行して、開発段階にはより一層巨額の資金を必要とするものでございます。石油開発企業がそういった事業資金を市中銀行などから円滑に調達をしていくというために、企業の信用を補完するという意味で、この債務保証、国として不可欠の石油開発支援策と認識をいたしております。
 今回の機構の業務として、債務保証につきましては、債務の履行が確実であると認められる場合に限り行うよう努めるという努力義務規定を設け、あるいは、こういうことを通じてプロジェクトについての採算性の評価を厳格に行うということでございます。また、保証基金を法律上明記しております。そして、保証総額についても、この基金との関係で政令において限度を定める旨の規定があるわけでございます。
 そしてさらに、機構においては、国の支援割合は五割以下とするという整理合理化計画の趣旨を踏まえまして、保証比率についても五〇%に引き下げるということにいたしております。
 プロジェクトの選定に際しましては、従来公団が推進してまいりました採択案件の評価システムを徹底する、そして、エネルギー政策上重要な案件か否か、そういった点について、独立行政法人の中期目標、中期計画にこういった視点を明記いたしまして、最終的には事後評価を行うことによって厳しくその正当性をチェックするという仕組みになっております。
 こういう制度の整備、運用の改善を行いますけれども、冒頭申し上げましたように、この債務保証という機能、石油開発支援策として不可欠な国の機能というふうに考えておりますので、重要なプロジェクトについて必要な資金調達が円滑に行われるように措置してまいりたいと考えております。
西川(太)委員 石油を開発して、そして輸入をしたり、買ってきたりするという川上、それから最後のユーザーに届ける川下、いろいろな努力を今石油業界はやっている。しかし、やはり何といったって、先ほど日の丸原油というお話があったけれども、そういう、日本がどれぐらいの割り当てを確保できるかということのために大臣も御苦労されて、御努力をいただいているわけでありまして、このことは非常に私は大事だと思う。
 実は、いろいろな情報に接すると、中東産油国が各国とも、石油や天然ガスの生産余力の増大をさせるために、最近、新たな外資にいわゆる鉱区を開放していく、こういうような動きがありますよ。私のつたない経験で、この前もちょっとお話ししましたけれども、ブルネイというところに行ったら、ブルネイはもう日本様々だったわけですね。ところが、ブルネイの王族が今度初めて中国に行くというんですよ。これはもう中国というものを、日本がどうも景気がちょっとよくない、中国は十三億もいるというようなことで、そんなことを私は、ちょっと邪推かどうか、想像したんですが。
 そんなことで、ちょっと話が横にそれて恐縮でありますが、こうした、外資に鉱区を開放するなんという動きに対して、日本も十分に対応していかなきゃいけない。そういうことをやっていく際には、自主開発だといったって、これは日本独自の力では限界がありますから、いわゆる国際メジャーとコンソーシアムを組んでいくということも大変大事だろう、こう思うんですが、この点について大臣に伺って、私、あと四問あるんですが、時間は五分、できるわけないので、また伊藤筆頭理事や皆さんにお願いして、次の機会をもし賜れればそこで質問をして、これできょうは終わりたいと思いますので、どうぞ、お願いしたいと思います。
平沼国務大臣 近年、産油国においては、国内石油開発産業の活性化、生産量の維持拡大、そして最新技術の導入促進、それから政府収入の増加等、あるいは若年労働者層が非常にふえている、こういった背景から、これまで外資に門戸を閉ざしてきた諸国を中心に、鉱区開放をし、国際石油企業等の参入を図る動きが顕著になっております。
 このような産油国における鉱区開放や外資導入の動きは、我が国企業にとっても優良な石油開発案件に参入する機会が増加することから、我が国の石油自主開発の促進の観点からも好ましいものだと考えているところであります。
 他方、かかる鉱区開放や外資導入の動きは、国際石油企業との間での競争を激化させる結果ともなっており、我が国民間開発企業の脆弱な経営基盤の実情にかんがみると、このような激しい国際ビジネスの中で自主開発の実を上げていくためには、引き続き国の責任において関係企業の開発努力を支援していくことが適当だと思っています。
 また、今御指摘のように、その際、状況によりましては国際メジャーとコンソーシアムを組む、そういったことにより協調をしつつ、リスク分散を図りながらプロジェクトを進めていくことが適当である場合も私は当然あるものと思っております。
 具体的には、昨年夏、私はイランを訪問しましたけれども、あの非常に、日量六十万バレルなんて言われておりますアザデガン油田開発のプロジェクトにおいても、日本側事業主体が国際メジャー企業であるロイヤル・ダッチ・シェルと協力をしつつ開発に向けた作業を進めるなど、適宜国際メジャーとの協調が進められている、こういうことでございますので、私は、今御指摘の観点は非常に大切なことだ、このように思っております。
西川(太)委員 まだあと三分ありますので、質問ではなくて大臣に、私の友人の経済の評論家、名前を出してもいいんですが、遠慮しておきたいと思いますけれども、彼と話して、いただいた資料によると、今、二〇〇〇年央から二〇〇一年末にかけて戦後最悪の景気の悪化と。これは評論家の意見を聞くまでもない、そうなんです。底入れはしたけれども、生産水準は過去十四年間で最低の水準であるということ。そして、再浮上、景気を浮上させるためには、言うまでもなく推進力が必要だと。どの程度かというと、供給力一〇〇に対して需要水準は九〇だと。それから、国債依存度は三六・九%、政府の債務のGDP比は一三〇%は知っているところでありますが、問題の債権、不良債権は八十三兆円もある、彼の計算によると。そして、預金取扱金融機関の総資産は六百七十一兆円しかない。つまり、これは一二%も不良債権があると。そして、最後に彼が言うのは、日本経済の諸制度を改革しなきゃいけない、それは天下りをやめさせることだ、規制を緩和することだ、政官業の癒着を廃止することだと。決してこの人はレフティストではないんです。ニュートラルというか、むしろ我々に非常に理解のある有名な経済評論家も、小泉内閣にそれができるか、こういうことであります。
 主要閣僚である大臣に、私、大臣と精神的距離は近いと私は思っておりますが、なかなか、このごろ物理的距離が遠くて、こういう機会でないとお伝えできないので、質問の貴重な時間でありましたが、そのことをお伝えして、こういう状況でありまして、国民は大変でありますから、どうぞひとつ大臣、頑張ってください。
 残りの四問は、もしチャンスがあれば続きをまたお尋ねさせていただきます。
 終わります。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.