衆議院

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第27号 平成14年7月5日(金曜日)

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平成十四年七月五日(金曜日)
    午前九時十五分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      阪上 善秀君    下地 幹郎君
      竹下  亘君    根本  匠君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      茂木 敏充君    保岡 興治君
      山本 明彦君    生方 幸夫君
      北橋 健治君    小泉 俊明君
      後藤 茂之君    中山 義活君
      松原  仁君    松本  龍君
      山田 敏雅君    山谷えり子君
      山村  健君    漆原 良夫君
      福島  豊君    土田 龍司君
      大森  猛君    塩川 鉄也君
      大島 令子君    小池百合子君
      西川太一郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国務大臣         石原 伸晃君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  熊谷  敏君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   参考人
   (石油公団総裁)     鎌田 吉郎君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月五日
 辞任         補欠選任
  茂木 敏充君     竹下  亘君
  川端 達夫君     山谷えり子君
  後藤 茂之君     小泉 俊明君
  西川太一郎君     小池百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  竹下  亘君     茂木 敏充君
  小泉 俊明君     後藤 茂之君
  山谷えり子君     川端 達夫君
  小池百合子君     西川太一郎君
    ―――――――――――――
七月四日
 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案(山中貞則君外八名提出、衆法第三〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案(内閣提出第九九号)
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案(内閣提出第一〇〇号)


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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案並びに独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として石油公団総裁鎌田吉郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官河野博文君及び内閣官房内閣審議官熊谷敏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。
大村委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。
 本日は、この石油公団廃止関連の法律として、また独立行政法人の関係する二法案につきまして、きょうが多分、締めくくりの機会ということになると思いますが、短い時間でありますけれども、明快な御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 もう先輩議員の皆さんがたくさん質問されましたのでほとんどダブると思いますけれども、締めくくりという意味でやらせていただきたいというふうに思っております。
 日本の戦後の石油開発は、当然御案内のように、昭和三十三年、アラビア石油のカフジ油田の開発ということでスタートをしたわけであります。昨年だと思いますが、NHKの「プロジェクトX」でもやっておりました。たまたま私は、夜中にそれを見て、感動を覚えた記憶がございます。ある意味ではあれは一発勝負に、何かたった一本しか掘る予算がなかった、それで当たったということだったというふうに聞いておりますけれども、その後、そんなことは世の中の常識にないわけでありますので、やはり資金力、技術力、そういうようなものをバックアップするという意味で石油開発公団が創設され、そして今日まで至ってきたということだと思います。
 ただ、そういう中で、もう三十数年たって、一方で国、特殊法人を通じた効率性、合理性を追求するという意味での行政改革の一環の中で、今回こういう形で組織の全面的な見直しを行い、そしてやり方も見直していくということになったのだと思います。そういう意味で、リスクマネーの供給、研究開発、備蓄機能、この三機能を平沼大臣は前からおっしゃっておられますように、これはこの新たな独立行政法人を中心に引き継いでいって、そして石油公団自身は廃止をする、そして、残った資産も特殊会社をつくって民営化をしていく、こういう結論に今回法律はできているというふうに思うわけでございます。
 まず石原大臣にお聞きしたいと思いますけれども、今回、行政改革の一環として、私が今申し上げたそういう結論になったわけでありますけれども、昨年十一月、昨年十二月と、この石油公団を初め、あと道路関係の四公団とか住宅金融公庫とか都市基盤整備公団、先行七法人という形で先にまず方向が示され、その中でも特に法律上の措置がなされたのは、これがトップバッターということだと思います。
 そういう意味で、これがこういう形でこの委員会で結論が出されようとされておること、私は大変評価をするわけでありますけれども、まず、今回の特殊法人全体の行革、ある意味では石原行革と言ってもいいと思いますけれども、その石原行革のトップバッターとしての今回の石油公団の改革、大臣御自身の評価をまずお聞きしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま大村委員が意見の開陳の中で示された部分と私の評価というものは非常に一致してしまうと思うのですけれども、委員も御指摘されましたように、昨年の十二月に整理合理化計画をまとめまして、その中で、道路四公団の民営化、委員も触れられました住宅金融公庫あるいは石油公団の廃止、従来では考えられなかった特殊法人改革で、これまでなかったような踏み込んだ内容の案を示すことができたと思っております。
 その中で、この委員会の審議に先駆けまして、内閣委員会で道路四公団の民営化推進委員会設置法が成立いたしまして、もう既に活発な議論が四回行われております。
 今委員がトップバッターと言われましたように、この整理合理化計画を本格的に実施に移す法案としては、現在御審議いただいておりますこの二法案が最初でございまして、その内容というものは、整理合理化計画の内容に沿ったものだと認識をしております。
 きょうが締めくくり総括になりまして、一日も早くこの法案を成立させていただきまして、具体的改革の第一歩をぜひ踏み出していただきたい、こんなふうに所見を持っております。
大村委員 それで、今回の内容は、各先生方が御質問されたのでそれ以上申し上げませんが、今回の内容の中で、独立行政法人への三機能の移管といいますか、主要機能の移管、これは、独法自身はいろいろな例がありますので、淡々と進めていっていただきたいと私は思うわけであります。
 これとあわせて、備蓄会社の廃止でありますとか、民間操業サービス会社を新たにつくるとか、また公団保有の資産を整理しながら売却をし、そして最後は、最終的には特殊会社をつくって引き継ぐ、こういう、独法以外のやるべきこと、まだまだ詰めていかなきゃいけないこと、たくさんあると思うんです。これをどういうふうに進めていかれるか、これは平沼大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 大村先生にお答えをいたします。
 国家備蓄につきましては、御指摘がありましたとおり、今回の改革によりまして国家備蓄会社を廃止いたしまして、純民間企業である操業サービス会社が操業に係る具体的な事業を行うこととなります。当省としては、かかる操業サービス会社の設立形態、組織構成につきましては、国家備蓄制度の円滑かつ安全な運用を確保しまして、また、主体である民間の判断を尊重しつつ改革を進めてまいりたい、このように考えております。
 石油公団の開発関連資産というのは、我が国のエネルギー安全保障の観点から、自主開発原油を確保すべく、先ほど御指摘がございましたけれども、過去三十年余にわたって石油開発プロジェクトに資金供給をしてきた結果得られたものでございまして、我が国の国民経済上重要な財産だ、このように思っております。
 このような開発関連資産の整理売却につきましては、経済産業大臣としてその事業計画を認可するに当たりましては、総合資源エネルギー調査会の意見を聞くとともに、昨年末に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画の着実な実施を確保する観点から、特殊法人等改革推進本部長たる内閣総理大臣に協議をしまして、関係者のコンセンサスを得つつ公明正大にやっていかなければならない、このように思っています。
大村委員 この点につきまして、今回、特殊法人改革の第一歩ということもありますので、行革の趣旨に添った改革ということを進めていっていただきたいと思うわけでありますけれども、これをフォローアップしていく、当然行革という観点からフォローアップされていかれるということになると思いますが、その点について、行革担当大臣石原大臣のお考えをお聞きできればと思います。
石原国務大臣 ただいま大村委員が御指摘されましたフォローアップ、法案が通りまして、そして、その法案に基づいてどういうふうに石油公団の話も推移していくのか、こういうものを監視あるいはしっかりと見ていくということは重要だと思っております。その重要であることにかんがみまして、二つの方法を考えております。
 一つは、総理大臣が本部長を務めます特殊法人等改革推進本部において適宜会を開催させていただきまして進捗状況をチェックいたします。さらに、この本部のもとに、まだ立ち上げてはおらないのでございますけれども、評価・監視を行うための新たな組織を設置することとしております。この委員会等は、民間の方を中心に特殊法人改革に御見識のある方々に大所高所から特殊法人改革についての御意見というものを発していただこう、そんなふうに考えております。
 そしてまた、ただいま経産大臣の方から御答弁がございましたように、特殊法人等改革推進本部長たる内閣総理大臣と協議して関連資産の売却というものがなされていくわけでございますけれども、実務上は行革担当大臣が経産大臣と十分協議をさせていただきまして、行革の観点から、その場でも必要な意見があれば申し述べてまいりたい、こんなふうに考えております。
大村委員 ぜひ、行革の趣旨を踏まえて、また、国民の期待にこたえられる改革が進んでいかれるようにお願いをしたいと思いますし、我々もそれは十分フォローしていきたいというふうに思います。
 さて、次は中身の方に少しお話を移させていただきたいと思いますけれども、今日までの公団の収支決算についての評価をお伺いしたいと思います。
 この公団の果たした役割、安定供給には大変な大きな役割を果たしたと思いますし、また、二度にわたる石油危機も、もちろん民間を中心とした御努力によって乗り切ることができた、ただ、そのバック、裏打ちとしてこの公団の役割があったというのは私は否定できないと思うんです。
 ただ、これまで出融資した会社の累計が三百社、現在残っているのが八十二社ということでありますけれども、このトータルの収支決算を見ますと、これはなかなか高い授業料だったんじゃないかという御意見もあることは事実だと思うわけでございます。
 原油価格が不安定であり、また乱高下したり、低迷をしてきた時期も長かった。また、円高という日本特有の話もあった。また、石油産業国有化を進めるような産油国の政策の変更、そういう予見しがたいいろいろな状況はあったにしても、今回のこの三十数年間のトータルの収支決算というのは、やはりいろいろな御指摘を受けてもやむを得ないという面はあるんじゃないかと思いますし、また、そういった結果に対しては、やはりこれは厳粛に受けとめて、責任を持って受けとめていかなきゃいけないと思うのであります。
 そういう意味で、これまでの石油公団の事業に対する評価、それと、ちょっと時間がありませんのであわせてお伺いしたいのは、一方で海外のいわゆる石油大手資本のメジャーは、こういう状況というのは為替レートを除けばメジャーにとっても一緒だと思うんですね。では、彼らは石油公団のようなこれだけの損失とか赤字を抱えたのかどうか。そうではないんじゃないかと思うわけでありまして、その点もあわせてお答えをいただけたらと思うんですが。
河野政府参考人 まず、石油公団のこれまでの決算等でございますが、御指摘のとおり、約三百社に出融資を行いまして、そのうち二百十八社につきましては所期の成果を上げることなく事業終結に至っておりまして、平成十二年度末の決算におきまして、四千二百十五億円の欠損金を計上しております。
 他方、石油公団では毎年長期損益分析を行っておりまして、平成十二年度末時点での過去の損失確定分を含めた見通しは、将来の油価あるいは為替の状況によって相当な幅がございますけれども、四千六百十億円の損失可能性から六千二百六十億円の利益可能性という見通しを持っているのでございます。
 石油公団の出融資によりまして確保されたいわゆる自主開発原油は、緊急時におきます安定供給確保の上で一定の役割を果たしてきたと考えておりますが、他方で、これまでの石油公団の運営あるいは財務面につきましては、石油危機などを背景に自主開発原油の量的確保に重点を置く余り、資金の効率的運用に関しては十分でない面があったとの認識を持っております。
 また、石油公団によります探鉱投融資制度は、巨額の財政資金をリスクマネーとして供給する制度でございますけれども、事業運営について国民の皆様に対する情報公開が必ずしも十分ではないという御指摘も受けたところでございます。
 さらに、出資及びいわゆる減免つき融資を合計して原則七割まで財政資金による支援が可能であったということで、主体であるべき民間事業者の経営責任の所在があいまいになるという面があったことに加えまして、石油公団支援対象企業の中には、原油価格の下落あるいは急激な円高といったいかんともしがたい要因もありまして、当初見込まれた収入が減少したという企業もございまして不良債権が増大しました。
 こうした状況下に、石油公団の財務、事業運営について問題提起がなされ、これを受けまして、石油公団再建検討委員会あるいは石油公団開発事業委員会におきまして石油公団の業務運営について徹底的な見直しを行い、そこで指摘された事項のほとんどすべてについて着実に改革を進めているところでございます。
 メジャーとの比較についての御質問がございました。
 国際石油情勢については、七〇年代におきます石油産業の国有化、そして八〇年代半ば以降の油価の下落、そして九〇年代以降、いわゆるメジャー同士の合従連衡、スーパーメジャーの誕生等いろいろ情勢の変化がございますが、この間、いわゆるメジャーの事業成績は、影響がないとは申しませんが、総じて安定的な推移をたどっているのが実情でございます。
 七〇年代に、資源ナショナリズムを背景に、産油国によります石油産業の国有化が進んだわけでありまして、我が国の一部企業もこの影響を受けましたけれども、メジャーは、それまでの主要な収入源でありました中東から引き揚げつつも、原油価格の上昇に伴い、北海あるいはメキシコ湾、こういった地域における石油開発の経済性が高まったということもありまして、拠点を移動しつつ、収入の落ち込みを避けることができたというふうに見ております。
 また、こうした北海、メキシコ湾は、石油の生産コスト自体としては中東地域よりも高いわけですけれども、また油田当たりの生産量も比較的小規模なものが多かったわけですが、税金、ロイヤルティーといったような財務面の条件はメジャーにとって好ましいものでございまして、バレル当たりの収益は中東に比べて比較的大きい、現在でもメジャーにとってこういった地域は収益センターになっているというふうに認識をしております。
 油価の変動につきましては、メジャーの事業もやはり影響を受けないわけではございませんで、例えばエクソン・モービルの粗利益を御紹介しますと、油価が比較的高目でありました九七年には百十七億ドルでございましたが、油価が大幅に下落した九八年には八十一億ドルと落ち込んだ、そういったことはございます。
大村委員 わかりました。メジャーは一方で安定的な経営だったというのがわかりました。
 それで、御質問するわけでありますけれども、今後、公団資産の売却処分を行った後、残った資産を引き継ぐ形で特殊会社をつくって民営化をするということでありますけれども、これを石油開発推進のための和製メジャーとして中核的なものに育てたらどうかという御意見があるわけであります。私は、いわゆる国、公共がやるような官製の非効率といったものは排除する、当然これはしなければいけないわけでありますけれども、そういう中で優良な企業グループを形成していくということは、資産の切り売りをしてばらけてしまうというよりも、対メジャー、対産油国といったものに対する交渉プレゼンスといった意味から、日本としては望ましいんじゃないか、こういうふうに思います。
 ただ、それは、私は、総論というか、考え方としては正しいと思うんですけれども、今言われました石油公団のこれまでの、三十数年間の収支だとか、それに対するメジャーのパフォーマンス、そういったものをあわせ比較すると、本当に大丈夫かねという感じを持つのは私だけじゃないんじゃないかと思うんですね。
 考えとか構想がよくても、どうも実態がうまく合わないということがあるわけでありますので、公団廃止後の石油開発・生産の中核としてこの特殊会社をどういうふうに位置づけていくのか、その点はまだまだ明らかにしていただいていないと思うんですが、これはぜひ早目に明らかにしていただきたいと思います。むしろ特殊法人じゃなくなって経営の自由度は増すのですから、もっと国際的な連携とか、むしろメジャーと手を組むとかいうようなことぐらいを、思い切ってダイナミックにやっていくということもあっていいんじゃないかと思います。その点についてのお考えをぜひお伺いしたいと思います。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 石油公団が三十年にわたって自主開発を支援してきた結果、今、可採埋蔵量で約五十億バレル、そのうち石油公団の見合い分が三十億バレルということでございますので、埋蔵量からするとこれは相当な、メジャーに匹敵するぐらいの量でございまして、これは、まさしく長年にわたって積み上げてきたいわば我が国国民の共有の財産であるということが言えると思います。
 今後は、いわゆるエネルギー安全保障という視点からも、いかに公明正大にこの資産の売却をしていくかということだと思います。実際の資産の売却については、もう委員御承知のように、別途法律をつくりまして特殊会社に移行しますので、その目的とか業務についてはその時点でいろいろ検討することになります。
 しかし、今委員御指摘のように、実際、この特殊会社のあり方というのはどうなのか、こういうことにつきましては、私どもといたしましては、一つのイメージとして、自主開発の推進というのが政策目的でございますので、そういった観点から、石油・天然ガス開発の維持拡大をみずから行うことができ、かつ世界の石油ビジネスにおいて、メジャー等に伍して一定のプレゼンスを示せるような日本の企業、こういう企業になっていただくことを私どもは期待しております。これは、平沼大臣の言葉で申し上げると和製メジャーということでございましょうし、あるいは石油審議会の中間報告で位置づけられている中核的企業グループということになると思います。
 したがいまして、そういった一定のプレゼンスを示していくには、今委員御指摘のように、メジャーなどとも積極的に共同事業を展開するとか、あるいはメジャーのある意味でのしたたかな経営手法というものも積極的に取り入れて対応していく、こういうことを私どもも期待をしておるわけでございまして、いずれにしても、民間の知恵と活力にのっとった、効率的かつ戦略的な運営をしていってもらうということを大いに期待をいたしております。
大村委員 もう質問時間が終わりましたので終わらせていただきたいと思いますけれども、最後に、本当は大臣に聞きたかったんですが、日本にとって石油の安定供給は大変大事だと思いますので、イランのアザデガン油田の開発とか、またカスピ海とか、またサハリンとか、また中国がどんどん海外に今石油開発で出ていっている、そういう状況をにらみながら、産油国との関係強化も含めて、石油の安定確保に向けた取り組み、日本の国益として、平沼大臣を先頭に引き続き強力に取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
谷畑委員長 河上覃雄君。
河上委員 石油公団廃止法につきまして、三十時間近く議論をいたしてまいりました。主に行革の観点、そしてまた石油の持つ国際性、戦略性、両方非常に重要な問題であると思っておりますが、きょうは最後でございますので、二十分間、確認的な意味を含めまして質問をさせていただきたいと思っております。
 きょうは石原行政改革担当大臣にお越しをいただいておりますので、行革担当大臣に幾つか質問をさせていただきたいと思っておりますが、まず、この石油公団廃止関連二法案の評価について、行革大臣の御見解を伺いたいと思っております。
 この法案は、小泉内閣の柱であります一連の特殊法人改革のいわば先陣を切りますものでございました。行革担当大臣から見て、この法案の意義や位置づけについてどのような感想をお持ちか、まずお伺いをいたしたいと思います。
石原国務大臣 河上委員の御質問にお答えしたいと思いますが、重複する部分は若干御勘弁を願いたいと思うのですけれども。
 昨年十二月に整理合理化計画を策定いたしまして、その中で石油公団の廃止法あるいは道路四公団の民営化法等々が、行革、特殊法人改革の、ある意味での非常に国民の皆様方の注目を集める内容になったと思っております。
 それは、先ほど古屋副大臣も御答弁されましたように、エネルギーのナショナルセキュリティーというような観点から、これまで石油公団という経営主体が担ってきた日本の石油の開発から備蓄といったようなものまで、大きく時代に合ったものに変えていこうと。道路公団にいたしましても、言ってみるならば、パブリックカンパニーが国の施行命令で、何の判断もなく施行命令が出たものを、フル規格でつくっていくものを時代に合ったものに変えていこう、そういうようなこれまでにない踏み込んだ内容になっているものだと私は思っております。
 この法案は、やはりその先陣を切る意味で、言葉をかえますと本格的に実施に移す法案として、実は昨年議論した特殊法人改革の中で第一号でございますので、石油公団の解散あるいは融資事業の廃止など、思い切った内容を整理合理化計画に沿ってお取りまとめいただいたものだと位置づけております。これを一日も早く御成立させていただきまして、具体的な改革というものを踏み出していかなければならない、こんなことを今強く感じているところでございます。
河上委員 そこで、今回の石油公団廃止関連法案の立案過程で、特に石油公団保有資産の処理方針や最終的にこれを承継することになります特殊会社の位置づけに関しまして、政府内部でもかなり議論があったと仄聞をいたしております。
 調整の結果、公団が保有する資産の整理処分に関しましては、総合資源エネルギー調査会の意見を聞くということと、加えて、内閣総理大臣協議を行うこととされました。この場合、実際には、総理みずからではなくて行革担当大臣がその任に当たると理解をいたしておりますが。
 そこで、この処理に当たりましてややわからない点も私にはあるので、確認の意味でお尋ねをいたすわけでございますが、協議を受ける行革担当大臣は、行政改革の視点から整理処分業務の妥当性をチェックするというお立場になると思いますが、この場合、そのよしあしを決める判断基準、行革の視点というのはどういうものになるのか、この点について大臣に御見解を伺いたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました資産整理処分の妥当性というものを、行革の観点、またエネルギー政策の観点から、どう調整、政府として協議して、国民の利益の最大化を図る形に持っていくかというところは非常に重要な御指摘だと思っております。
 委員がもう御開陳されましたように、また先ほど平沼大臣から御答弁がありましたように、総合資源エネルギー調査会の意見を事業計画を認可するに当たって経産大臣は聞かれまして、さらに特殊法人等改革推進本部の長たる内閣総理大臣と協議して、平沼大臣のお言葉をかりますと、公明正大にやっていくということでございます。また、委員がこれも御指摘されておりますように、実質上は行革担当相が、経産大臣との協議を受けて、行政改革の観点から意見を述べていくことになると思います。
 そのとき、どういうことが重要になってくるのかということでございますが、私はやはり、すごく単純に申しますと、オールトータルで国民の負担をできるだけ軽減するという観点から意見を述べたい。
 すなわち、石油公団の三十有余年の歴史の中で、成果を上げてきた部分もありますけれども、マイナスの資産というものもかなりあるわけでございます。それを整理していったときに、このマイナスの資産は必ず整理をしていかなければならないわけでございますので、それが、ネットとして国民の皆さん方の負担、すなわち税金の負担というものを少なくしていくという観点。
 そしてまた、特殊会社成立後の話でございますけれども、特殊会社の形というものが今回は法案の中ではまだ整理ができていないということで示されておりませんけれども、株式を売却する際に国庫に入ってくる売却益を、JRも十五年たって完全民営化を東日本がしたわけですけれども、三千億円国庫に収入として入ってきたそうであります。これを最大化するということを目指すということが一つ行革の観点からも重要なのではないかと考えております。
河上委員 ただいまの大臣の御答弁で、オールトータルとして国民負担を軽減する視点である、こういう御答弁をいただきました。
 確かにそういう視点であろうかとは思いますが、実は、石油公団の廃止に至る段階での整理売却処分、あるいはもう一つ、特殊会社を設立して民営化に踏み切る段階での国の持つ株の放出、今回JR東が完全民営化の中で、つい六月、先日、一社、株の売却をしたわけでございますが、法案が通って約一年数カ月の段階でタイミングを選んでやっているわけでございます。
 特殊会社をよいものにして、そして株の放出段階、きちっとした形で高く売れるようにすることもある意味では大事な要素、要因であろうと私は思っておりますが、それらを意識した処分という問題がとても大事じゃないかと思っております。大臣、その点についてはどういう御見解をお持ちでしょう。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました、すなわち目的、業務を限定とした石油公団資産の処分、整理というもので残っていくわけですけれども、それが平成十七年に、早い時期に特殊会社化する。その特殊会社が、委員御指摘のとおり、できるだけ早い期間に民営化するということが非常に重要なポイントだと思います。
 石油公団として資産を整理売却する段階では、整理に伴う損失を売却による利益でできるだけプラスにオフセットしていくということを考えていかなければならないということは言うまでもございませんし、それをさっき平たい言葉で、オールトータルとして国民負担をできるだけ軽減すべきという観点から、その整理に当たりまして経産大臣と協議をさせていただきたい、こんなふうに考えております。
河上委員 平沼大臣も参議院の方へ行かなくてはならないので話を先に進めてまいりたいと思いますが、公団保有資産の整理処分に当たりましては、今御答弁にもありましたように、売却収入による国庫、国民への還元という視点が重要な要素だと思います。
 これまで当委員会でもたびたび論議がございました石油の戦略商品性や産油国との良好な信頼関係維持の必要性、さらに、かかる資産が、単なる株券ではなくて、これまで国民の税金を使い、外交努力も含めて築き上げてこられました自主開発原油であることを踏まえれば、すぐれてエネルギー政策的な配慮が大きいと考えますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 石油公団の開発関連資産は、我が国のエネルギー安全保障の観点から、自主開発原油を確保すべく、御承知のように、過去三十年余にわたって国として資源外交や産油国協力を続けながら石油開発プロジェクトに資金供給をしてきた結果得られたものでございまして、これは国民の経済上大変大切な財産だ、このように認識しております。
 このような開発関連資産の整理売却につきましては、再三御答弁申し上げておりますとおり、経済産業大臣としては、事業計画を認可するに当たりましては、総合資源エネルギー調査会の意見を聞くとともに、昨年末に閣議決定をされました特殊法人等整理合理化計画の着実な実施を図る観点から、特殊法人等改革推進本部長たる内閣総理大臣に協議をすることになっています。
 こうした検討に当たりましては、エネルギー資源に乏しい我が国にとって今後どのような形でこの資産を活用していくことがふさわしいかという観点から、これら資産の評価、処分をすることがエネルギー政策の衝に当たる者として当然の責務だと思っています。
 そういう意味で、御指摘の、これまでの何日間かにわたる答弁の中でもお答えをさせていただきましたけれども、当然そういった外交的な観点の努力、単なるエネルギー資源、それだけではなくて、多角的な外交的なアプローチ、そういったことを構築していくことも大切でございますし、また国としては、いろいろなエネルギー政策を戦略的に展開していくことが肝要だ、このように思っています。
河上委員 大臣にもう一点お伺いしたいと思いますが、今回の改革はそれ自体非常に重要だと思っております。しかし、エネルギー資源の国際性、戦略性を考えますと、一連の議論は、常に動いている世界情勢の配慮が十分になされていただろうかという感も持ちます。
 私は、少なくともエネルギー政策についての戦略的な議論を冷静にすることは極めて大切なことだ。いわば、エネルギー政策の目標と進めるべき行政改革の調和ということは非常に重要な視点ではないのかと考えております。
 そこで、イランのアザデガン、サハリンあるいはカシャガンなど、将来の日本の石油・ガス需給を大きく左右しかねない事案がメジロ押しの中で、足元の、足下のプロジェクトの推進に支障のないように配慮をする必要性もあると考えますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
平沼国務大臣 我が国は、一次エネルギーの総供給の過半を石油が占めるといった供給構造になっております。こうした中で、長期安定的に一定量の石油を確保するとともに、将来供給の増加が期待される天然ガスについても自主開発を推進することは、エネルギーの安定供給上私は極めて重要だと思っております。
 今回の措置では、昨年末の閣議決定を受けまして、石油公団を廃止するとともに、リスクマネー供給機能や技術開発等、今後とも、石油・天然ガス開発のために国が行うことが必要な支援機能につきましては、金属鉱業事業団に統合し、独立行政法人を通じて実施することとしております。
 その際、石油・天然ガス開発プロジェクトに対する支援について、減免つき融資を廃止いたします。支援比率は五割を上限とするなど、民間企業の責任をより明確化し、より一層効率的な、そして効果的な自主開発の実施に努めてまいりたいと思っています。
 今御指摘がございましたイランのアザデガン、サハリン、カシャガンなどといった足下のプロジェクトにつきましては、エネルギー安定供給上、政策的支援に空白が生じないことが重要だ、このように認識しておりまして、私どもは、今後の開発事業の成功に期待をしておりまして、でき得る限り支援をしていかなければいけない、このように思っております。
河上委員 もう時間が迫ってまいりましたので、あと一問だけで終わりたいと思います。
 将来別法によりまして設立が予定されております特殊会社は、今回の法律でも早期に民営化を図ることが前提とされております。これは、とりもなおさず、単に政府出資一〇〇%の特殊会社をつくることが最終目的なのではなくて、完全民営化を念頭に置いているわけでございます。行革的に見ても、こうした国や特殊法人が行ってきた事業で採算性のあるものを完全民営化することは、一つの成果として数えるものと考えます。
 そうであれば、この特殊会社については、民間の投資家がその将来性について魅力を感じ、本当に民営化できるだけの基盤と実力を持った会社としてスタートさせるべきであると私は考えますが、これは行革大臣並びに経産、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
河野政府参考人 先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、石油公団の開発関連資産は、自主開発原油の確保ということで、過去三十年余りにわたって石油開発について資金供給の支援をしてきた結果得られたものでございます。先ほども御答弁がありましたような手続等を経まして、この整理処分あるいは特殊会社への承継を行っていくわけでございます。
 また、適切な処分後の資産を承継した廃止法附則の第三条に定めます特殊会社は速やかに民営化するということになっておりまして、御指摘のように、経済産業省といたしましては、この特殊会社が民営化にふさわしい十分魅力的なものとなるよう検討してまいりたいと考えております。
石原国務大臣 特殊会社については、資産処分の終結を待って設立するということで、その業務については、資産処分の状況を踏まえて検討することとなっております。
 したがって、今度の法律案の中では、性格については言及されていませんけれども、行革大臣の観点からいうと、委員も御指摘されておりますように、株式の売却によって国民の負担を軽減するということは言うまでもございませんが、もう一点つけ加えさせていただくならば、事務内容や体制というものを十分見て、必要最小限の形としてスタートして、民営化できるだけの基盤と実力を持ったという委員の御指摘に沿ったような形にしていきたいと考えております。
河上委員 石原行革大臣、きょうは大変ありがとうございました。
 終わります。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 前回少し申し上げましたけれども、まず一問目は、古屋副大臣に金属鉱業事業団について一問だけお尋ねをいたします。そして、エネルギー政策と行革の両立問題、石油公団の資産の取り扱いの問題、また、技術開発の重要性、新たなエネルギー資源に対する取り組み、こういうふうに質問をさせていただきたいと思います。
 まず、我が国経済を少なくとも今牽引をし、これからも牽引をするであろうと期待をする重要な産業にIT産業と環境産業があるわけでありますが、例えばITなどは、コネクターというコンピューターの重要なパーツ、それから磁性を持っている、磁石ですね、磁場の関係の材料、こういうものにはクロムがなければ製造ができません。
 また、環境関連では、例えばこの間うちから、今度はトヨタ自動車がとりあえず限定二十台政府系にまず納入しよう、我々も欲しいなと思いますけれども、燃料電池自動車、これなどはニッケルがなければニッケル水素電池はできないわけでありますね。こういうものはいわゆるレアメタルであります。
 これを地球上眺めますと、特定の国に偏在しているんですね、こういうものは。我が国は、残念ながら、石灰石の上に成り立っているからセメントをつくることはもう幾らでもできるけれども、こういうものがない。
 そこで、今まで金属鉱業事業団はレアメタル確保のために努力をしてこられた、こう思うのでありますが、まず、それがどんな実態なのか。そして、さらに、独法に移行しても、レアメタルの確保のために引き続いてこの独法が役割を果たすべきだと当然だれしもが願うわけでありますが、このことの確保、このことについて古屋副大臣の御見解を伺いたいと思います。
古屋副大臣 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、レアメタルは我が国はとれません。そして、成長産業と言われているITとかあるいは環境関連産業では不可欠なものでございまして、そういった意味から、レアメタルをしっかり安定供給、確保することは重要でございます。その視点から、今委員御指摘の金探、金属鉱業事業団が、資源の開発、レアメタルの備蓄、そして鉱害防止、この三つの視点から事業をしておるわけでございます。
 まず最初の備蓄でありますけれども、やはりレアメタルというのは一部の地域に偏っているということがありまして、昭和五十八年以来、七種類のレアメタルを備蓄しまして、今では年間消費量の四十二日分を備蓄として確保しております。
 まだ記憶に新しいところですけれども、平成十年にはバナジウムが、ロシアの減産がございまして高騰いたしました。これはIT関連産業に大変な打撃を受けるということで、実はこのときも備蓄を放出いたしまして、これで価格の高騰を抑制したということがございます。
 また、開発という視点からしますと、インドネシアとかフィリピン、トルコ、ブラジルで鉱山の自主開発を行いまして、一定の成果が上がっているところでございます。
 いずれにいたしましても、やはりレアメタルの備蓄あるいは海外の開発支援事業というのは極めて重要でございますので、石油公団と金探が合体をして新たな独法になりましても、今後とも引き続きこういった事業は着実に実施してまいりたいというふうに考えております。
西川(太)委員 ありがとうございました。
 ぜひひとつ、それはしっかりとよろしくお願いしたいと思います。
 石原行革大臣、きょうはありがとうございます。大変重要な法案でございますので、無理に御出席を願ったような理事会の経緯もございますが、出席をしていただいてありがたいと思っております。
 実は、五月二日の新聞は、訪米中の平沼大臣が、石原伸晃行革担当大臣と当公団廃止問題で合意をした、これについて、エネルギー政策の着実な実行と小泉内閣の行革断行とを両立できる内容になった、こういうふうにコメントをしていることがある種の内政懇のような形で打って返しでこっちへ来て、結構いろいろな話題になったわけであります。
 そこで、今回の法案、今のような評価を平沼さんがしたということは、この議論は私は悪いと言っているんじゃないんですけれども、行革論に偏って、早く廃止しろとか、それから天下りは全廃しろ、これは私もそう思います。しかし、その議論とやはり分けなければいけないのは、エネルギーセキュリティーの問題だと思うんですね。無尽蔵にコストをかけていいなんて私は思っておりません。しかし、石原大臣もかつて通商産業政務次官をお務めになって、この問題には非常に明るい大臣でありますから、エネルギーセキュリティーについてどうでもいいなどという無責任なことはお考えになっていないのは当然だと私は思います。
 二〇〇〇年の夏から二〇〇一年の年初にかけて、カリフォルニアの電力危機がありました。これは、いわゆる卸売市場の電力価格が高騰したことが引き金になったわけですけれども、その裏にはいわゆるエネルギー源の供給不足、もちろんインフラの不足もありました。しかし、ガス価格も同じような理由で高騰した。
 こんなものがあったために、ブッシュ大統領は二〇〇一年の五月に、無尽蔵にまだまだ国内に石油もあり、カナダとの国境にはオイルシェールなんかがある、そういうあのアメリカが国家エネルギー政策を発表して、日本で言うところの石油ショック、四半世紀前のことでありますが、そのとき以来の、いわゆる第四次中東戦争以来のエネルギー危機であるというふうに位置づけて、原子力発電を推進しようと、例のスリーマイル島の事件があったアメリカが、原子力発電を推進しよう、それからエネルギー源を多様化しよう、そしてインフラ、例えば送電線やガスパイプを近代化しよう、こういうようなことを提案して、いわゆる一次エネルギー及び電力供給の安定的な確保というものをエネルギー政策上の重要なポイントとして位置づける、こういうことを発表しているわけであります。
 そして、追っかけて、九月十一日のテロがあった。さらに、二〇〇一年の十二月には、日本で言うところの会社更生法に当たる連邦破産法十一条をエンロンが適用を受けた。
 こういうことの中で、アメリカは、エネルギー確保については、特に中国との関係や世界の、アジアにおけるエネルギーのこれからの圧力、こういうことを考えたときに、国の果たすべき役割というのは極めて重大である、こういう位置づけをしている。前回の私の質疑に対して、古屋副大臣からの御答弁で、いわゆるエネルギー基本法も、国がそうした責任を持つ、こういうことを御答弁をいただいておりますし、私どももそのことを当然と考えているわけであります。
 そこで、石原大臣と古屋副大臣にお尋ねをするわけでありますけれども、まず石原大臣には、行政改革担当大臣としてのエネルギーセキュリティー、もっと大きく言えばエネルギー政策、そして、和製メジャーをつくって、来るべきエネルギーの世界的な需要の圧力に日本が耐えられるような政策を、行革とは別にというか、行革と両立するという平沼さんの見解というものに今どんなお気持ちでいらっしゃるかを石原大臣にお尋ねをし、そして古屋副大臣には、そのことを私はしっかりやっていただきたいということをお願いする意味で、改めて覚悟を、この問題、きょうが最後の質疑でありますので、お尋ねをしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま西川委員が、冒頭はレアメタルのセキュリティーから入られて、エネルギー政策全般、日本の経済に非常に密接なこういうものに対して御持論を御開陳され、またアメリカの近々の例も出されておりましたことを大変興味深く拝聴させていただきました。
 十年ぐらい前に、安保特が安全保障委員会に格上げしたときに、白金とパラジウムの話、価格がちょうど高騰しまして、やはりこういう部分に対して、当時は商工委員会じゃなくて、安全保障委員会で私も同じような質問を実はさせていただいたということを今思い出しておりました。
 そしてまた、レアメタルについては金属鉱業事業団が、古屋副大臣の答弁ですと、四割近くの、四十二日分ですか、産業界に対する供給を確保している。これがなくなりますと、日本の今基幹産業になっておりますIC、自動車あるいは環境といったような分野の産業が機能しない。
 こういうことを考えましても、やはり国がある程度さまざまな分野で関与をしていかなければならないというようなところが私はこのほかにもたくさんあるんだと思うんです。それがあったからこそ、特殊法人という形態の公共事業体が、パブリックカンパニーと言ったらいいんでしょうか、そういうものができ上がってきたんだと思うんです。
 しかし、この石油公団の例をまたとるまでもなく、あるいは旧国鉄の例を見るまでもなく、やはり親方日の丸ということにおいて、責任をだれも、事業を失敗してもとらなかった。その累積赤字がどんどんどんどんたまってきた。これからこの石油公団の累積赤字というものは負の遺産として処理をしていかなければならないわけですけれども、やはりこの特殊法人という形態に問題が出てきた。できたときはそれなりに機能をしていましたけれども、長い年月の間でやはり大きな制度疲労を持ってきた。ですから、小泉総理が民間に任せられるものは民間に、地方にゆだねられるものは地方にと、この特殊法人改革で大なたを振るっていかなければならないということを御決意されたものだと私は理解しております。
 そんな中で、国家備蓄、石油の国家備蓄ですけれども、これはまず備蓄石油を国有財産化して、次は備蓄施設の国有財産化をする。ですから、これは国が直接やっていこう、それ以外のものは外に出そう、そういう整理をしていったわけでございます。
 いずれにいたしましても、政府全体としてさまざまな観点から、行政改革と、そして産業政策上、特に経済産業委員会ですから産業政策という言葉を使わせていただきますが、産業政策上必要なものを総合的に勘案して意思決定をしていかなければならない。国がやらなければいけないものは国がしっかりやる、しかし、その間のぬえ的存在である特殊法人という形態は是正をしていこうというのが今回の特殊法人改革のポイントである、こんなふうに私は考えております。
古屋副大臣 委員御指摘のように、日本のエネルギー安全保障、極めて重要です。しかし、一方では、今石原大臣が答弁をされましたように、行革の視点というのも非常に重要でして、ですから、その両者のバランスをとっていくということが大切だと私は思うんですね。
 ちょっと話は変わりますが、例えば地球温暖化問題でも、環境と経済の両立というものが大前提になっております。そういった視点に立って我々は対応していくべきだと思っておりますし、安定確保をしなくてはいけないという大命題がありますので、では安定確保をするためには幾らでもコストをかけてもいいのか、必ずしもそれは違うということでございまして、ややもすると、量的確保に重点を置く余り、今までは資金の効率的運用に関して必ずしも十分でないところがあった、こういった反省を込めて、まず、行革の視点からは、関連資産を処分していくということでございます。
 しかし、一方では、エネルギー安全保障という観点から、引き続き国が関与しなくてはいけないところがある。それは、リスクマネーの供給であり、あるいは国家備蓄であり、あるいは今までのノウハウの蓄積をしっかり確保していく、こういうことでございます。
 そしてまた、これからは、独法化しましたら、やはり実際のプロジェクトも厳選をしていく。それから、新たに引き継ぎます特殊会社には、民の論理というものを徹底させるために、減免つき融資を廃止するとか、支援比率を五割以下にする、こういうようなことを通じまして、行革とそしてこのエネルギー安全保障、エネルギー政策というものをいかにバランスをとっていくか、これは私は非常に重要ではないかというふうに考えております。
西川(太)委員 今の古屋さんの御答弁は、私は大変よかったと思いますよ。石原大臣のおっしゃる精神が経産省にはしっかり受け継がれているというか、理解されているということを、ぜひ大臣も御理解いただきたい。
 私は、独法になっても、今、ぬえ的存在、こういうふうに御表現されましたけれども、源三位頼政に退治されるような、ぬえのようなものじゃないものを、健全なものを、機能はしっかり維持するけれども、そのガイストは正しいものを確立する、これはぜひやってほしいと思います。
 時間がもうありません、最後に私は一問だけ古屋副大臣にお尋ねをして終わりたいと思いますけれども、いわゆる石油・天然ガス開発、新たなエネルギー資源の開発ということが、これからセキュリティーの観点からも非常に重要であります。
 例えば、DME、ジメチルエーテルとか、それからGTL、ガス・ツー・リキッド、またはメタンハイドレート、こういうものにどう取り組むのか、このことをお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
古屋副大臣 お答えさせていただきます。
 委員御指摘のDME、GTL、これは硫黄分を含みませんので、燃焼の際にすす等の排出が少ないということでクリーンエネルギーとして大いに注目をされております。また、既存のインフラを使えるということも利点でございまして、利用拡大が見込まれております。
 一方、こういった新燃料は、コストの問題とか安全基準の問題がまだ未整備でございまして、経産省としても、こういったものを実用化させるために、その技術の開発あるいは安全基準の見直しなどの環境整備に鋭意取り組んでいるところでございます。
 ちなみに、DMEは十億、GTLは十三億の予算を本年度計上し、その開発、技術開発あるいは支援に充てさせていただいております。
 また、メタンハイドレートにつきましても、最近は、日本近海に相当量あるということが期待されておりまして、二十一世紀の新たな国産エネルギー資源とでも言うべきもので、期待をされております。
 ただ、実際にはまだまだ調査をする必要がございますし、また採取技術の開発をしていかなければいけないということで、これはある意味で中長期的な視点から取り組んでいくべきものだと思っておりまして、実は昨年の七月に、メタンハイドレート開発検討委員会ができまして、我が国におけるメタンハイドレート開発計画が取りまとめられまして、そのいわゆる探査方法であるとか生産方法あるいは評価方法の確立について議論がなされているところでございます。
 本年度の予算も、昨年度の十七億から五十五億ということで、ほぼ三倍に予算を増額させまして、こういった支援に充てさせていただいているところでございます。
西川(太)委員 GTLは大ガス田だけじゃなくて、アジアの中小ガス田も大いに活用できる技術でございますので、ぜひこれは進めた方がいいと私は思います。
 平沼大臣お帰りでございますが、私は、エネルギーセキュリティーと行革の両立という、五月二日にアメリカで大臣が発言されたことが大変当を得ている、こういう観点から質問をさせていただきました。どうぞひとつ、バランスのよいエネルギーセキュリティーと行革、これをきちっとやっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 北橋健治君。
北橋委員 おはようございます。
 石油公団法の質疑に入ります前に、昨日、福島県の議会におきまして、核燃税を大幅に引き上げる条例が全会一致で可決されまして、本日の本会議に上程される運びと報道されております。この問題につきましては、既に私も当委員会で指摘をさせていただきましたが、原子力立地の円滑な推進にとりまして、特に福島との間ではプルサーマルの問題もありますだけに、非常に重要なゆゆしき事態であるというふうにお訴え申し上げまして、大臣として積極的な対応を要請したところでございますが、昨日までの動きを見ておられまして、大臣としてこの問題に対してどのような所見をお持ちか、まずお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 今回の福島県における核燃料税の条例案は、他の自治体では見られない突出した大幅な増税であるとともに、条例制定に当たって納税者の理解が得られていないなど手続上にも問題があったのではないか、このように私は考えております。また、このことを看過いたしますと、全国の立地地域における課税競争を誘発するおそれもあります。こうしたことから、今回の条例案は、エネルギーの長期安定供給と地球温暖化への対応のための国の重要なエネルギー政策である原子力政策を阻害するのではないかと懸念をしております。
 なお、御指摘のございました、本日の県議会において条例案が可決された場合には、今後、地方税法に基づき、総務省の同意を得るための協議が行われる、このようなことに相なりますけれども、経済産業省といたしましては、引き続き総務省に対して、今申し上げたような当省の懸念を十分に説明してまいりたいと思っています。
 原子力発電施設等立地地域における公共施設の整備につきましては、従来から電源三法に基づく交付金によりまして支援がなされているところでございますけれども、さらに、これに加えて、平成十二年十二月に議員立法として成立いたしました原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法に基づきまして、国の負担割合の特例などの措置が定められ、国の財源を活用した措置が講じられていることになっております。
 政府といたしましては、原子力立地地域がこうした施策を十分活用できるように各関係省庁一丸となって取り組んでいかなければならない、このような認識を持っております。
北橋委員 平成十二年の議員立法提出のときには、私ども、これは非常に大事な問題だということで鋭意議論させていただいたことを承知しておりますが、今回も、福島県におきましては、原子力立地市町村の住民の方々のニーズにこたえて、避難道をつくるとかいろいろな関係の、原子力を立地しているがゆえにいろいろと公共的な投資もかさんできている、そういったものに対応が必要だというように言われている、このように聞いております。
 だとするならば、それはまさに平成十二年に、私ども平成十二年のときには、補助率をかさ上げするなんてけちなことではなくて、一〇〇%国費でやってもいい、いわゆる電源三法で、よくばらまきではないかという批判もある中でございますから、大切なものについては一〇〇%国費でやってもいいということを申し上げた上であの法案には反対をしております。
 しかし、この法案は既にもう成立をしているわけでございますから、その趣旨からして、やはり大臣に積極的に動いていただきたいんですね。一度、原子力問題で住民投票になったときに、パンフレットが出たり、あるいは関係大臣がコメントを発したりしましたけれども、私は、こういった本当に重要な問題につきましては、総理を初め首脳陣が積極的にやはり地元の方々と胸襟を開いて話し合うという姿勢が大事ではないかと思うんです。
 そういった意味で、総務省との協議においては経産省の立場を主張されるということでございますが、本当にそれで事態の解決が図られるんだろうか。本当にこれがゆゆしき事態だとお考えになっているのであれば、私は、総理とも、県知事や県議会のトップともよく相談をされて、ここはやはり本腰を入れた対応が必要ではないかと思うのでありますが、何か御所見がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のとおり非常に重要な問題でございますので、御指摘の点も踏まえて、私、エネルギー担当大臣として今後努力をしてまいりたい、このように思っています。
北橋委員 この点については、重要な問題でございますから、私どもも真剣に見守りたいと思っております。
 さて、石油公団関連法の審議でございますが、きょうは小泉内閣の行革の責任者でございます石原先生にもお越しいただきまして、ありがとうございました。
 まず最初に、国民が非常に注目をしている特殊法人改革の第一弾でございます。特に、第一弾であることに加えまして、二兆円の公的資金を投入いたしまして一兆四千億円近い不良資産化が、堀内総務会長からも指摘をされまして明るみに出まして、法案の成案を得るまでも政府・与党内でいろいろな意見が出まして非常に注目をされている案件でございますが、基本的には、新たな第一歩を踏み出す以上は、これまでの旧通産省そして石油公団を中心にする石油行政についての総括的なけじめ、反省というものが国民の前にしっかり明らかにならないといけないと思うんですね。
 そういった意味で、まず経済産業省にお伺いしておきますが、二兆円投資をして一兆四千億円もの不良資産をつくった。金目の問題だけでいきましょう、所期の目的が十分達せられなかったことに対して、どういうけじめを今度の法律のスキームでつくられているんでしょうか。
河野政府参考人 今回御提案申し上げておりますこの制度におきましては、まず、石油公団は当初から資産の管理、処分業務を業務追加してこれに真摯に取り組むこととしております。そして、次の段階といたしまして、石油公団の本来業務として資産整理処分業務を位置づけまして、附則において、関連する既存の案件についての支援業務を行うという体制に移行するのでございます。
 それと並行いたしまして、独立行政法人に新たな案件に関します支援、あるいは技術関係あるいは備蓄関係の業務を移管する。そして最終的に、約三年を経まして適正な処分が行われました資産を承継する特殊会社を設立し、これを早期に民営化するということでございまして、これは、この委員会において御議論いただきまして、また私どもからも御答弁申し上げましたような、石油公団のこれまでの反省点に立った対応策でございます。
北橋委員 私の質問の趣旨が通じていなかったようでございます。今長官がおっしゃったことは、公団をなくすけれども、二つのルートで存続をするということをおっしゃっているんです。それでは、公団を廃止するという本来の論旨ではない。
 例えば、減免つき融資というリスク管理の非常に甘い融資を許してきた。しかもこれは、国会の中で十分議論されてそれをやったというよりは、むしろ石油公団中心でそういう措置をつくられていて、堀内さんたちの指摘によって大きな社会問題化した。今回それをやめるということになった、これが一つのけじめなんですよ。二つのルートに分けて残すことではない。それは、衣がえであったり、焼け太りという批判もあるんです。
 そういった意味でもう一遍確認しますが、減免つき融資はけじめだと考えているのか、それ以外にけじめがあるか、お答えいただきたいと思います。
河野政府参考人 これまで石油公団に関します再建検討委員会あるいは開発事業委員会の御提言を受けたことをすべて着実に実行していくことはもとよりでございますが、今回、つい今先生が御指摘になりましたような減免つき融資は廃止をいたします。また、支援の比率も五割を上限とするという見直しをしたところでございます。
北橋委員 減免つき融資は間違っていたということを認めるんですか。
河野政府参考人 減免つき融資自身は石油公団設立当初からの機能でございまして、そういう意味で一定の役割を果たしたというふうに思っておりますけれども、これとあわせまして、民間が三割を出資する、これに対応して石油公団が三割を出資するとともに、さらに足りない分の四割につきまして減免融資で、トータル七割の財政支援をするということが、やはり、民間の経営の自主的な判断によりますリスク判断を甘いものにしたのではないかという反省に立って、この減免つき融資を廃止することにさせていただいたわけでございます。
北橋委員 よくわからないんですけれども、大臣にお伺いします。
 長官はそういうふうにお答えになっているんですが、二兆円つぎ込んで一兆四千億円の不良資産をつくってしまった。そこには資金の供給のあり方が、石油を掘ってやってみても、千三つの世界と言われております、失敗したら金は払わなくてもいいという、これはリスク意識といいましょうか、それぞれの関連会社の社長さんたちも天下りの方が多いということも問題ですけれども、これがやはりここまで大きな不良資産をつくった最大の原因ではないでしょうか。私は、その意味で、このことが間違っていたということをはっきり認めていただくことが今度公団を廃止することのけじめの一つだと。
 そして、そうするならば、その責任の所在はどうするんだ。私も政務次官を一回大蔵でやらせていただいたことがありますから、いろいろな問題で稟議制で判を押したことがあります。これは当時の旧通産大臣も知っていたんでしょうか。石油公団だけでやっていたんでしょうか。その責任の所在をはっきりしていただきたいと思います。
平沼国務大臣 確かに減免つき融資というのは、今資源エネルギー庁長官からも答弁をさせていただきましたけれども、やはり民間の方々が、そういう意味では安易に、そして判断も甘く、そういう中で、本当にそれぞれ一生懸命やったと思いますけれども、結果的には、ある意味ではずさんな管理になり、御指摘のような膨大な赤字を生む結果に相なったと思います。
 そういう中で、私どもは、ここを反省してけじめをつけなければならないということで、今回減免つき融資はやめさせていただき、さらにその保証の範囲も五割以内、こういう形にさせていただいたところでございます。
 それから、今お尋ねの、そのときの担当のことについては、資源エネルギー庁長官からちょっと答弁をしてもらいたいと思います。
河野政府参考人 この減免つき融資制度は、昭和四十二年の石油公団の設立当初から存在する制度でございます。当時の国会でのやりとりなどもちょっと調べてみましたところ、こういったことが想定されて議論されておりますので、当然のことながら、当時の通産大臣、そして担当局長、そしてまた石油公団の総裁の了承のもとで発足した制度だと思います。
北橋委員 大臣からも御答弁がございましたが、これまでの石油行政の総括に当たりまして、減免つき融資制度というのはやはりやめるべきものであったというお答えがありました。ただ、長官からは事実の指摘があったのみでございまして、昔の人のことだということで、責任を明確化しようにもないということだと思います。二兆円つぎ込んで一兆四千億円の不良資産という問題ですから、その意味で、過去の総括、反省、けじめが国民には釈然としないのではないかと私は指摘をしておきたいと思います。
 もう一つは、やはり今日までいろいろな失敗を積み重ねている面もございますので、石油公団総裁としてどのようなけじめをつけられるか。
 あるいは、各方面、マスコミからも、また当委員会からも本当に党派を超えて指摘されたように、高級官僚の天下りの受け皿、これが新聞によれば、官庁の権益、このように書かれておりまして、そのことが官民のもたれ合い、あるいは民間では考えられないような非効率的ないろいろな経営というものを許してしまった。そういった意味では、この天下りを厳禁する。
 そして、私は、石油公団総裁は本当にすばらしい、見識豊かな方だと思いますけれども、ここでやはり国民が納得するような形で過去の反省、けじめを明確にすることが大事だと思っております。この点については、再三田中筆頭理事が指摘をされておられることでもございますのでそちらに譲らせていただきますけれども、そういったことについてきちんとした総括、反省がなければ、本当に新しい第一歩を踏み出すということに国民の賛意は得がたいのではないかと指摘しておきたいと私は思っております。
 そこでもう一点、過去の反省の上で、そもそも二兆円のお金の出どころでございますけれども、石油税を特定財源として石特会計というものがあります。ここから支出をされてきたわけでありますけれども、これについては、それぞれの立場でいろいろな議論があります。率直に言って、民主党の中にも、自動車の道路財源の問題とも相まって、果たしてどうするのかについては今まだ真剣に議論を模索している段階ではございます。
 ただ一点、堀内総務会長はこの点については非常に明快なことをおっしゃっておられるんですね。民間の感覚からしたときに、行政の効率性を確保するときに、この特定財源のあり方、特別会計から、一つの官庁が一つの財布を持っている、こういうルートでお金を供与してきたことにやはり一つの問題点があるのではないかと指摘されているところは、幾つかの報道で承知をしているんですけれども、この点については経済産業省の立場はよく存じ上げております。国土交通大臣からも、また違った分野ですけれどもお話をいただいておりますが。
 石原大臣として、今回は石油税、石特会計という問題は公団改革には入っていないわけでございますが、いみじくも総務会長の御指摘されたこともございますし、行革当局としても、もし御認識や何かがございましたら言っていただきたいと思います。
石原国務大臣 これは、総理も御答弁されていることなんですけれども、また民主党でも御議論をされていることと同じように、経済財政諮問会議や税制調査会の中で、どうあるべきか、財政の硬直化というような問題、そしてまた、一方では負担と効果の関係がより明確であるといったような問題、さまざまな点から議論をされており、行革相としてもこの検討の推移というものを見守って、機会があれば意見を申し述べたいと考えているところでございます。
北橋委員 小泉総理は、自民党総裁選のときから、国民に対して自動車の道路の特定財源という問題については言及されてきたわけです。これは、予算委員会等におきましても民主党首脳から何度も見解をただしたことがありまして、自動車重量税については新たな第一歩を踏み出されましたが、揮発油税についてどうするのかという議論はこれからも続くと思います。
 今後、環境税の議論というのは間違いなくやってくるだろうと思うんですね、議論すること自体は。そして、政府税調あるいは経済財政諮問会議でも環境税の問題は始まっております。
 この問題は、ヨーロッパの例を見てもわかりますように、エネルギーに対してかけている税金とどう調整をするかということが大変大きなハードルになります。そういった意味では、石油に対して膨大な税金をかけているわけです。したがって、私は、総理自身が道路財源の問題に言及された、その発想、問題意識からすれば、当然石特会計についても議論は及ぶと思うんですけれども、行革担当大臣としては近々これに踏み込むお考えはあるんでしょうか。
石原国務大臣 特定財源の話は非常に大きな話でございます。この石特会計もかなりのボリュームを持っているということを承知しております。
 今、経済財政諮問会議、政府税調あるいは党の税調等でも御議論が始まったばかりでございます。私、個人的な見解というものは持っておりますが、機会があればその見解をそのような場で、今政府の一員でございますので、述べさせていただきたいと考えております。
北橋委員 それでは、特別会計の問題は今後政府・与党内部の議論も見守りたいと思っておりますが、総務会長がこの点についても触れられたということは注目すべきことであると私も思っております。
 さて、今回、出資比率を五割に下げる、そして債務保証というものを独法に残すということになっているんですけれども、こういった、石油公団を廃止すると言いながら、最も重要な核心部分については新たな独立行政法人でそれを続けることになっているわけです。政府からのかかわり方は弱くはなっております。でも続けることには変わりはないわけでありますが、これに対して、石油業界の大手の社長からも、今までのように税金を投入してきた石油開発よりも、民業を例えば税制で優遇することによって民間の意思を後押しした方がいいのではないかという指摘が実際に出てきております。それは、堀内総務会長もそういった考え方に傾いておられるような発言もされております。
 そのなぜかということなんですけれども、民間の立場から見ると、どこの石油を開発するかという地点の選定だとか、参入、撤退の時期、それを民間企業が主体的に判断する仕組みがやはり大事ではないのか、公団なり独立行政法人という形よりもそういう形の方がいいのではないかということを言われているんだろうと思います。
 そういった意味で、私は、これも一つの非常に重要な見識であると思いますけれども、行革担当大臣としては、今回この法案を国会に提出されるに当たりまして、公団廃止に当たって、石油開発に国がお金をつぎ込む、今度は出資五割と債務保証の形でかかわるわけであります。続いていくわけです。これに対して、そういうやり方ではない方法というのを実際民間の方が主張され始めているわけです。すべての石油会社の社長とは言いません。しかし、民間の方にはそういう声がある。
 先ほど石原大臣は、行革の本旨というのは、小泉総理も内閣も、民間でできるものは民間でというふうにおっしゃっている。私は、石油公団あるいは旧通産省が、役所がどこの地点を選定してどのようにして進めていくか等を決めていた、そこに一兆四千億円の不良資産が積み上がった一つの背景があるとすれば、この民間の意見というのは非常に重要な意見だと思いますけれども、どうしてこういう考え方が入ってこなかったんでしょうか。行革担当大臣としてもし御意見がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
石原国務大臣 ただいま北橋委員が御言及されましたような話があるという話は、私、報道等で承知しております。
 そして、私どもの一般的常識から考えれば、民間会社であるならば民間が自分で調査をして、もうかると思うところ、うまくいくところに事業を展開していくというような声がなぜこれまで出てこなかったのか。それはやはり、石油公団という巨大な石油特会からお金が無尽蔵、無尽蔵と言っても有限ですけれども、入ってきて事業を繰り広げ、しかも先ほどの、できたときの減免つき融資の話でもわかりますように、民間をある意味では甘やかしてしまうような制度があったからこそ、そういう意見もこれまで出てこなかったと思っております。
 ただ、先ほど金属鉱業事業団のときに議論を若干させていただきましたように、政府がある程度関与をしていかなければならないエネルギーセキュリティー上必要な仕事というものはあると思います。債務保証についても、今北橋委員御言及されましたけれども、これも無尽蔵に債務保証をするというのではなくて、基金を設けて基金の一定倍数を債務保証の限度とするように、これまでにない歯どめをかける形でこういうものはやはり関与していった方がいいのではないかという議論の結論に達したと御理解をいただきたいと思います。
北橋委員 民主党も、この大手の石油会社の社長さんがおっしゃっているように、本当に優遇税制だけで民間ですべて切りかえてやれと党議決定しているわけではないんです。私どもは、エネルギーのセキュリティーという観点から、ここはきっちり総括、反省した上でしっかりと出直して頑張ってほしいという気持ちはございますので、ただ、こういう民間の議論というのは非常に大事だということを指摘しておきたいと思っております。
 そこで、今度の石油公団の法改正によりまして、ちょっと一点気になる点がございます。それは、備蓄会社については固定資産税が自治体に入っているわけなんですけれども、今度国の直轄ということになりますと、これは大変影響が出てまいります。
 本来、行政改革というのは、国が地方に押しつけたり国が民間に押しつけるということではないわけで、国自体がスリムになって、それによって地方が生き生きとし、民間も活力が出るというのが行革の本旨だろうと思います。そういった意味では、備蓄会社の今度の組織形態の変更によりまして、固定資産税、地域におきましてはそれ以外にもいろいろな問題が出てきているんですけれども、そういった自治体に対する対応についてはやはりきっちりとした方がいいと思いますけれども、これに対する御所見を聞かせていただきたいと思います。
古屋副大臣 今委員御指摘のように、備蓄基地が国有化をされますと国有財産になりますので、そうなりますと地方に固定資産税が入ってこないということになりまして、財政上大きな影響を受けるという御指摘でございます。
 しかし、実際の備蓄事業の円滑な遂行に当たっては、やはり地方公共団体の協力というものが不可欠でありますし、また、その固定資産税の収入というものが地方公共団体の貴重な財源になっているということは十分に認識をいたしております。全体で約九十三億円の固定資産税、特にそのうち、委員の御地元の白島の方は新しくできた基地ということもあって、三十九億円という大変大きな固定資産税がございます。
 したがいまして、私どもは、そういった地方公共団体に対する影響の大きさというのがございますので、固定資産税にかわる適切な財政上の措置を講じるべく財政当局と精力的な調整を行ってまいりたい、今こんなふうに思っております。
北橋委員 ぜひその点は、十分善処していただきたいと思います。
 きょうは時間が三十分ということなので、あと最後の論点でございますが、今回の石油公団の組織変更によりまして、将来の、近い未来の姿がよく見えません。これは、法案提出に当たりまして、経済産業省あるいは総理官邸、各方面との間にぎりぎりの法案の詰めの折衝があった。
 五月一日に、訪米中の平沼大臣との間に合意が成立したということでございますが、その結果何が起こったかというと、特殊会社設置法案の具体的な中身を今回国会に示すことを断念されたということであります。これには、いろいろな報道がございます。要するに、公団の持っている関連子会社の資産、そういったものをどのように処分をしていくかということについて、政府・与党に決定的な対立があったからではないか、このように多くの報道がされておりますし、私もそのように察しております。
 つまり、例えば自民党の総務会長の意見を聞いておりますと、とにかく石油公団は即廃止するんだ、そして、資産を処分して国に返すんだ、こういうことをいろいろなインタビューで述べておられるんです。ところが平沼大臣は、和製メジャーをつくり上げるラストチャンスにかけるということをおっしゃっている。これは総務会長の個人的なお考えでしょうけれども、ここに、行革を目指す立場とエネルギー政策を貫く大臣との間に対立があって、結局その対立は先送りという形にされている。
 この点が私は、鳴り物入りで出てきた第一弾の行革の方針としては、先ほどエネルギー政策と行革の調和だという御指摘があったけれども、それは民主党もそのとおりだと思いますし、その点で頑張っていただきたいと思いますが、残念ながら、今回の法案を見る限り、その対立点は解けずに先送りされたということなんですね。
 そこで、行革担当大臣に聞きます。
 経済産業省の立場は明快になってきました。つまり、金目の話を切り売りして国に返す発想はないわけです。これは和製メジャーをつくる最後のチャンスなんですから、大事に大事にして戦略を立てて、そのようにしてこの資産を処分しながら、和製メジャーにかけるということをおっしゃっておられるんですね。行革担当大臣は、これを承認されますか。
石原国務大臣 まず、御理解いただきたいのは、なぜ特殊会社の設置法が見送られているかということでございます。
 すなわち、石油公団が所有しております資産売却というものを十分にしていくために、三年の期限を区切って、資産の管理、処分を着実にやっていくことが適当であると政府として最終的に決定いたしましたので、当初この特殊会社の設置法案もついておりましたけれども、どのような資産をどういう形で売るのか。総務会長の御持論は、売れるものは全部売ろう、平沼大臣の御見識は、これからもうかっているものを売って、国民的に損が出るようなものは売ってはいけない、そういう意見があるわけでございます。
 そして、私の立場から言わせていただきますと、資産の整理売却については、もちろん経済産業大臣が事業計画を認可いたします。これは当たり前であります。そして、先ほど平沼大臣が御答弁されておりますように、総合資源エネルギー調査会の意見を聞きますとともに、特殊法人等改革推進本部の本部長たる内閣総理大臣と協議する。
 そして、これも私、御答弁させていただきましたように、実際は行政改革担当大臣が、先ほど、トータルで国民負担の軽減、そして行政のスリム化、効率化の観点から、そのときが来たらその内容について協議をさせていただくということで、今委員が御指摘されたような懸念というものを払拭していくように仕組ませていただいていると御理解いただきたいと思います。
北橋委員 つまり、昨年の特殊法人整理合理化計画でも、資産評価、整理処分、売却の方針は書かれているんですけれども、基準は何も明らかになっていないんですね。ですから今後、エネ庁の審議会と総理官邸もかかわって議論するということなんですが、私は、今の説明でよくわからないんですね。結局、堀内総務会長が指摘されているような形で、とにかく国庫に納付をするという方針をとらないということですね。つまり、経済産業省の立場をよく理解されているというふうに私には聞こえたんですけれども。
 新聞によると、総務会長と石原さんは同じような立場だと報道している新聞が結構あったものですから、その特殊会社にどういうふうに資産を移していくかということについて、これは最も重要なポイントなんですよ。これが煮詰まらなかったんですよね。だから私は、石原さんにもう一度、もう時間が来ましたが、お答えいただきたいんです。
 平沼大臣は、はっきりとイメージを描いていらっしゃるんです、戦略を描いていらっしゃるんです。それをここで、いいよと言ってくださいよ、そうしたら、内閣は一致している。
石原国務大臣 内閣も党も一致しているということをまず言わせていただきたいと思います。
 どの資産を、いつ、どういうふうに売ればいいかというものには時間がかかるわけです。今すべて資産を売ってしまえ、今持っている資産をもうかっているから抱えてしまえ、この両方は私は間違いだと思います。その内容を精査して、内閣総理大臣が行革推進本部の本部長でありますし、行革相と協議するとき、委員が御懸念されるようなことのないように対処をさせていただきます。
北橋委員 時間が参りましたので、終わります。
谷畑委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 民主党の田中でございます。
 まず、行革大臣にお伺いしますけれども、あなたは、行革の理念をどうお持ちなのか。基本的に行革というのは、身近で、わかりやすく、簡素で、安価、これが私は原則であろうと思っております。これに基づいて今回の石油公団廃止の問題が出ているわけでありますけれども、特殊法人、基本的に廃止民営化、これがかねてから私の持論でもあるし、またそうなければいけないと思っております。ところが、どうしてもできなければ独立行政法人ということになるだろうと思っております。
 ところが今、どちらかというと、独立行政法人ありきが横行しているわけであります。特殊法人の第一弾でありますこの石油公団の問題で、そのことを前提とするならば、私は、これからの独立行政法人そのものが、あるいはまた行政改革というものが、今後ある面では少なくともトーンダウンするのではないかという心配すら持っているわけでありますけれども、これについて石原大臣の考え方をお伺いします。
石原国務大臣 田中委員の御質問は二点だったと思います。行革の意味をどう考えるか。今委員は、わかりやすくて、簡素で、安価であるというような御指摘をされましたけれども、私も大体同じような感覚なんですが、一は、機動的、スピードが大切である。二が、効率的である。三が、その内容が国民に広く知らしめられる、透明性がなければいけない。そして、その結果として、国民本位の改革でなければならない、以上四点が、行革の目指す方向性であると考えさせていただいております。
 総理は、民間にできることは民間に、地方にゆだねることは地方にとの基本原則のもと、この抜本改革に現在取り組んでいると御理解をいただきたいと思います。
 そして、二番目の質問は、独立行政法人ありきではないか、そして、そのような改革であってはならない、そしてまた委員は、御言及されましたように、独立行政法人は、やはり必要なところもあるというような御指摘でございました。
 それは、きょうの御議論の中でも、レアメタルの話あるいは石油の備蓄の話、どれを見ましても、エネルギーセキュリティーあるいは産業上のセキュリティーの観点から、国が関与をしていかなければならないものがあります。また、それがあったからこそ、特殊法人という形態でこれまでさまざまな事業がなされてきたんだと思います。
 しかし、これは答弁が重複するのでお許しいただきたいんですが、やはり時代の変遷とともに、この親方日の丸、つぶれない特殊法人という組織形態が時代にマッチしてこなくなった。石油公団も、同僚の北橋委員が御指摘されましたように、二兆円の投資で一兆四千億円すってしまった。油田は千三つだ、そう言われてしまったら元も子もないわけですけれども、それは、一般の国民常識からいってかなり疎外感、距離がある。
 ですから、今回の改革では、民間に任せられることは民間に、地方にゆだねられることは地方に、そして原則廃止か民営化であるということのもとに、そして、どうしても仕事が残って国が関与していかなければならないものを独立行政法人で、しかも事務事業は見直していただいて、たくさん法人があるわけですけれども、業務が重なっている部分は整理する、そういう形で今回の整理合理化計画を取りまとめさせていただきました。
田中(慶)委員 私は若干大臣とは違うわけであります。
 すなわち、この独立行政法人の参考としたものは、イギリスのサッチャー元総理のエージェンシー方式が基本にはあると私は思っているわけであります。そのときに、エージェンシーは、基本的に役員その他については公募である、こういうことであります。そして、任期を三年に定め、その結果がすべて評価委員会で判断基準になって、そして結果がまずければそこで終わりなんです。
 ですから、私は、今回のこのことを考えてみますと、日本の、当時のイギリスと同じように、海外資産はたくさんありますけれども、赤字債権国であって、現実にはODAのばらまきをしているような状態も含めて、やはり全体的な見直しをしていかなければいけない。そういうときに、この石油公団の問題が今回第一号になっているわけでありますから。
 そして、石油公団総裁は大変すばらしい人柄でありますけれども、しかし、それはそれとして、組織、仕事、責務、このことは明確にしておかなければいけないんだろうと思う。要するに、三年の任期を一区切りとして、そして今お話にも出たように、二兆円投資をして一兆三千数百億の負債を抱え、そして総裁になられてからもなおかつ負債がふえているんですよ。やはりそのことはしっかりとした責任をとってもらわなければいけないわけであります。
 民間企業のどの社長も、赤字になって、今まで負債があったからそれを引き継いで、そして赤字をますますふやしたら、のほほんと社長に就任している人はだれもいないと思います。そのことは、民間は株主が許さない。
 ですから、石油公団の株主は日本の経産大臣、すなわち経済産業省そのものが少なくとも責任があると思いますが、まずそのことについて、大臣、お考えを示してください。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 大変な赤字が出て、これは国民の皆様方の税金ですから、そういう御批判があるということは私もよく承知しておりますし、このことは重く受けとめなければならないと思っています。
 今総裁をやっていただいている鎌田総裁は、今委員御自身も、大変いい人柄で一生懸命頑張っていられる、こういう御評価をいただきました。平成十年に就任をされまして、そして石油公団のあり方というのは本当に厳しい状況であるという形で、その中で、再建検討委員会をみずから主宰し、そしてその提言に基づいて、内外の御意見を聞きながら、一生懸命対策を講じてきました。そういう意味では、指摘をされた問題点については、これは田中委員も御承知のように、ほぼクリアをする、そういったところであります。
 もう一つ御指摘の、就任の平成十年からの期間、公団の赤字がさらにふえているじゃないか、これは事実そのとおりであります。しかし、これは、再建合理化計画にのっとって、やはりそういううみは出そう、こういう形でディスクローズをして、そしてオープン化をした、こういう結果もそこに含まれているわけであります。
 しかし、政治もそうでありますけれども、非常に結果というものを重視しなければいけません。しかし、そういう中で、真摯にその合理化計画に邁進をし、そして、確かに赤字はふえたけれども、一定の成果が上がってきています。それから、さらにこれから公団廃止に向かっての本当に胸突き八丁の仕事もあるわけでありまして、そういう意味で、これをしっかりとやっていただくことが本当に責任をとっていただくことにもつながる、こういうことも私は考えておりまして、私は、本当に鎌田総裁は一生懸命やっておられると思いますし、そういう中でさらなる努力をしていただきたいと思っております。
 しかし、国としてこれだけの大きなエネルギーの自主開発を、二度のオイルショックを経験して、何とかこの大切な石油を獲得しなければいけない、そういう命題の中でそれぞれ頑張ってきた結果、こういう赤字が出たということは本当に申しわけないことでございまして、私どもとしては、今回お願いをしているこの法律によっていろいろな対策を講じて、そして国民の皆様方の御理解がいただけるようなそういう体制をとっていかなければならない、このように思っております。
田中(慶)委員 私は、すべて結果責任ということを明確にしなきゃいけないと思っております。今一番悪いのは、政治も官僚も責任をとらないというところです。このことが国民から指摘をされております。一兆四千億近い負債、そして就任されてからもなお約四千億ふえているわけであります。こういうことは、優秀な人であり努力したにもかかわらず、結果がそうなっている以上は、私は、責任を明確にするべきであろう。それが国民から信頼をされる、そして、これからのエネルギー政策に大きく影響することであり、なおかつ、郵政事業を初めとするあらゆるものが今回のこの去就にかかっているんです。今まで、日本の八十以上あった特殊法人、そして改廃をされ、改めてこれから、少なくともスクラップ・アンド・ビルドの原則に立ってやっていくときに、このことを明確にしておかないと、またうやむやになって石油公団と全く同じ結果になる、だから私はこのことをあえてしつこく申し上げているわけでありまして、結果責任というものを明確にしないとだめだと思います。
 石原大臣、どう思いますか。
石原国務大臣 ただいま平沼大臣が御答弁されましたように、実は、この法律案を成立させていただきまして、石油公団が廃止され、融資業務が廃止され、開発関連資産の処理、整理というものが行われた後ですけれども、その過程の中で、主務省である経産省、そして経産大臣が、石油公団のこれまでの運営や財務について一体どうであったのか、評価、総括というものを必ずしていただけるものだと考えております。
 そして、先ほど委員が御指摘されましたように、独法化することによりまして、引き継がなければいけない、国が関与していかなければいけない業務は残るわけですけれども、この独法は、委員が御指摘されましたように、中期目標の達成や、もし業績が悪化したら、今委員は、現総裁が就任されて四千億の累積債務がふえたという御指摘でございますけれども、そのようなことがあれば、しかるべきときに首になるわけであります。今のシステムは、そういう責任をとらないでもいいようなパブリックカンパニーであるこの特殊法人が存在しているところに起因をした大きな問題であると私は認識しております。
田中(慶)委員 基本的にこの問題は、総裁そのものが、あるいはエネ庁長官を含めてかつて仕事をしてきたんです。ですから、何も知らないわけじゃない、はっきり言うと。ですから、開発会社だって三百あったんですよ、石原大臣、そして、少なくとも二百二十はつぶしちゃったんですよ。八十、そのうち稼働しているのは約六十、もうかっているのは、黒字なのは十三ですよ。
 そればかりじゃないんですよ。みんな天下りじゃないですか。兼務しているのは十二も兼務しているんですよ。そして、つぶしておいて何の責任もとっていないんですよ。そんなことが許されますか。
 民間企業はどうなんですか。借金をして会社が倒産したら、自分の家までなくなっているんですよ、現実に。自殺までしているんでしょう。一方において、役所だからといって、既存の今の公団がこういうことだからといって、許されるべき問題じゃない。私は、そのことにしっかりと……。
 今回、石油公団が廃止になるんですから、同時に私は、そのことを明確にして、廃止をした後の残務整理は、改めて、JRと同じように清算事業団か何かをつくって明確にそこで整理をすればいい。同じ人がやっていたってこのことは明確にならぬですよ。どう思いますか、大臣。
平沼国務大臣 天下りに関しましては、国民の皆様方の大変な御批判もあります。そういう中で、既にこの新しい体制のもとで、こういったことはちゃんと、厳に慎んで、きちっと国民の皆さん方の納得がいかれるような体制をとられることになりました。
 独立行政法人が今回できるわけですけれども、私どもは、そういったところの長の選び方についても、国民の皆様方に本当に疑念を抱かせるようなそういう天下り的なことはやはり厳に慎んでいきたいと思います。例えば、英国で行われております公募、こういった採用の方式もあります。そういったことも含めて、この独立行政法人の長は、国民の皆様方の理解を得られるような方法で選んでいかなければならない、私はこういうふうに思っております。
 また、皆様方のお話の中に、引き続き鎌田総裁が新しい独立行政法人の長になるのではないか、こういうようなこともございますけれども、私どもはそういうことは今想定をしていない、こういうことを申し上げたいと思っております。
田中(慶)委員 今まで日本の公団をこのようにしてきたというのは、三十年間に八百人もの天下りがあったんです。そして、なおかつ、わたりと言われるように、大体三年間でそれぞれみんな役職者は次の会社へと渡っていったんです。そして、退職金を三年間で約三千万円ですよ。こんなことをして、責任が持てるわけないでしょう。大体それが平均して三カ所、一億円ですよ。こういうことを現に認めてきた責任というのはあるわけですから。
 そればかりじゃない、こういう一連のことを含めて、やはりこの際明確にさせるべきだと私は思う。私は、人柄から見れば、そんなことを目の前で言うのは本当につらいんですけれども、やはりそのぐらい仕事というのは責任持ってやってもらわなければいけない。国の税金なんですからね。
 大変恐縮ですけれども、独立行政法人、エージェンシー、そして今までのこういう流れを含めて、あなた自身にそんなことを聞くことは大変酷でありますが、先般あなたは大臣に、私の去就は大臣に任せるみたいなことを言っておりましたけれども、大臣は、あなたの人柄を買って、なかなかそういうことの決断は出しにくいんだろうと思いますが、私は、人間というのは、あらゆることの責任というのはみずから選ぶものだと思っているんです、はっきり申し上げて。政治家もそうであります。
 ですから、鎌田さん、大変恐縮ですが、あなたはみずから選んでほしい。結果的にそのことは、やがて歴史の中で鎌田さんのすばらしい人柄とそういうことが語り継がれると思いますけれども、現実にそうでない結果を出すならば、やっぱり、石油公団、天下り、そしていろいろなことを含めた、その負債の多くの責任というものがあなたに残っていくだろう、こんなふうに思いますが、大変恐縮ですけれども、あなたの心境を聞かせてください。
鎌田参考人 お答え申し上げます。
 私、平成十年の六月に石油公団の総裁に就任したわけでございますが、以来これまで、石油公団再建検討委員会や石油公団開発事業委員会の報告書で受けました指摘を真摯に受けとめまして、効果的・効率的な事業運営、情報公開の徹底、会計処理、会計基準の改善等々、業務改善措置を陣頭に立って講じてまいった次第でございます。その結果、指摘されました問題点はすべて実施済みということでございます。
 また、私の在任中に石油公団の欠損金の額が平成十年度決算以降毎年増加いたしております。平成十二年度決算では四千二百十五億円ということになっておるわけでございます。これは、ただいま申し上げました両報告書の指摘を踏まえまして、整理すべきとされた出融資先につきまして着実に整理を進めたということもございますし、また、その他の会社につきましても、キャッシュフロー分析等の結果に基づきまして、将来、事業採算が見込めないというものについては速やかに整理する、あるいは引当金を引き当て、損失処理を行うということにしたということでございます。
 今後でございますけれども、こういった業務改善措置は引き続き継続して努力をしていく必要があると思いますし、サハリン、イラン等における石油開発プロジェクトの推進、それからLPガス国家備蓄の推進等々、石油公団として果たすべき役割はいろいろございます。これを着実に実行していくということが重要であると考えております。
 私といたしましては、当面、こういったことに加えまして、特に石油公団廃止、それから新しい法人の設立に向けまして膨大な準備作業が待ち受けているわけでございます。これをあらかじめ決められた期限内に的確に実施していく必要があるということでございます。これについて、私自身、陣頭に立って進めていくということが自分に課せられた職務を全うするゆえんじゃないかというふうに思っておる次第でございます。また、そういったことを通じまして自分の責任を果たしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
田中(慶)委員 まあ、私は人事権があるわけじゃありませんから。
 ただ、これは、やはりこれからのことを含めてしっかりと責任というものを明確にしていかないと、私は、これからの日本のエネルギー全体に悪影響を与えると思うし、もう一つは、これから始まる独立行政法人のあり方についても大きな影響を与える、こういうことでありますから、このことは、やはりみずからの決断をみずから選んでほしい、私はそう思っております。
 特に、今度の独立行政法人を見てください。石油公団という真っ赤っかな赤字会社、そうでしょう。それから金属鉱業事業団、やはり同じなんですよ、十億円の赤字を出しているんですから、欠損金を。赤字を出したものをそれぞれくっつけて、水と油が一緒になっていいものができるわけない。にもかかわらず、こういう形で新しくまたスタートをする。こういうことを、先行き、この受け皿がないから今のような独立行政法人としての一つのとり方をするんだろう、私はこんなふうに思っているわけであります。
 ですから、このことを含めて、基本的にこの内容を含めてしっかりと対応していかなければいけないと私は思う。ここも責任を全部とっていないんですから、事業団だって責任をとっていないんですからね、はっきり申し上げて。こんなことが許されるわけない、こういうことを私はあえて申し上げておきたいと思っております。
 特に、例えば備蓄会社を一つとっても、みんな高コストになっているわけであります。なぜかというと、はっきりと仕事はみんな、どちらかというと、競争入札その他の仕事はしていないわけでありますから、随契でやってきている、こういうことで高コスト体質がある。にもかかわらず、天下りがたくさんいて、余剰人員をたくさん抱えている、こういうことであります。関係のない、例えば人事院や警察から、それぞれの出身者がたくさん、あまたいるわけでありますから、こういう点で食い物にしているのです。
 だから、こういうことをしっかりと身ぎれいにしないで新たなものをつくろうとしても、私は今後、大変まだ不安材料が残ると思います。そういうことを含めて、これは今のような問題が、少なくとも石油公団だけではなく、特殊法人にはついて回ることだと思いますので、石原さん、そのことを含めて、あなたの考え方を聞かせてください。
石原国務大臣 ただいまの御議論を聞かせていただきましたが、最後に田中委員が御指摘されたように、これは石油公団だけじゃありません。古くは国鉄、分割・民営化されて、この十五年後、東日本は上場して利益を出しましたけれども、それと、清算事業団に引き継がれた忘れられてしまっている債務というもの、では、この債務を歴代の総裁が責任とって退職金を返納したか、あるいはやめたか、一人もいません。あるいは今議論が始まりました道路四公団の民営化、一番大きな債務は本四架橋でございますけれども、三兆八千億の債務がある。これを返還していかなければいけないけれども、料金収入では利息分も出ない。では、今の総裁が責任をとっているのか、あるいはそれをつくったときの総裁が責任をとっているのか、認可した建設大臣が責任をとっているのか、責任とっていません。そういう仕組みで、システムでやってきた。
 ただ、それではもうだめだ、そういうことを許しちゃいけないと田中委員は今御指摘されているんだと思いますが、私も同感であります。ですから、独立行政法人という新しい組織をつくりました。この組織をつくることによって、責任が明確化します。業績が上がらなかったら首です。今度は大手を振って首です。しかし、それができないシステム。
 しかし、委員が御指摘されましたように、私も人事権はございません。所管大臣が人事権がございますし、各公団等々の理事長あるいは総裁という方は、かなり御見識もあり、御経験も豊かで、社会的な常識を備えた方々でありますから、みずからの御判断で、しかるべきときにしかる判断をされる。また、されなければ国民の皆さん方が納得しないんじゃないかと私は考えております。
田中(慶)委員 いずれにしても、この石油公団というのは、少なくとも、日本の特殊法人の問題に絡んで今後の多くの問題を抱えているわけですから、そのことを明確にちゃんとして、きれいな形でつくっていかなきゃいけないんだろうと思います。
 特に、独立行政法人と特殊会社、この特殊会社というものについて中身が明確じゃないのです。はっきり申し上げて、民間企業が分社化をしたり、いろいろなことをするときに、受け皿をつくるときに、こういう会社でこの会社は何をしますということを明確にしてやらなければいけないわけですけれども、この特殊会社、もう少し透明にしながら、そして、その役割等々も十分しないと、独立行政法人があって、そして特殊会社、下手すると要らないかもわからない。だから、ここが本当に必要であるならば、やはりこのことを明確にしないと、私はその意味がないんだろうと思います。
 平沼大臣、どう思いますか。
平沼国務大臣 私どもは、特殊会社は、答申にもございましたように、日本のエネルギーの自主的な確保、そういうものを確保するためには中核的な企業グループを形成することが望ましい、そういう考え方に基づいて、自主開発に必要なリスクマネーの供給でございますとか、あるいはこれまで蓄積をいたしました研究開発のそういう大きな種、そういったものを担保しながら、やはりこの特殊会社というのは、法律にも書いてございますけれども、でき得る限り早く民営化をする。
 そして、先ほど来御議論が出ていたように、私としては、その中核的な企業グループというのは、やはり大変な努力が要ると思います。国民の皆さん方にも納得していただかなければならないと思いますけれども、和製メジャー的なそういったものに脱皮させていかなければいけない。そのために、今一生懸命精査をして、そして御指摘のそういう部分も確かにあると思いますから、はっきりとした形を示して納得をしていただくように最大限努力をしてまいりたい、このように思っています。
田中(慶)委員 和製メジャーの話が出ました。約二兆円つぎ込んで和製メジャーはできなかったのですよ、はっきり申し上げて。同じ金額で、例えばフランス、ヨーロッパのところは準メジャーは育ってきたんですから、日本はできなかったその体質、私は、石油公団に重い責任がある。ですから、このことを含めて、しっかりと和製メジャーをつくるならつくるらしくしない限り、今のような体質で、責任も明確ではない、そして仕事の役割も明確ではない、こんなことをしていたのでは、私は和製メジャーは育たないと思うし、できないと思いますから、日本のエネルギーセキュリティーのためにもしっかりとしてほしい。そのことを申し上げて、終わります。
谷畑委員長 達増拓也君。
達増委員 きょうは、お待ちかねの石原行革担当大臣の御出席ということで、主として石原大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 さて、いわゆるこの石油公団廃止関連二法案でありますけれども、これは平沼経済産業大臣の提案理由説明の中でも語られましたように、昨年十二月十九日閣議決定の特殊法人等整理合理化計画の着実な実施を図るための法案なわけでありまして、そういう意味で、この特殊法人等整理合理化計画の中身についてもきちんと質問をして答弁をいただかないとだめだなと思っておりまして、今まで石原大臣の部下の政府参考人の皆さんに質問をさせていただいていたところでありますが、きょうは小泉内閣の行革担当大臣である石原大臣に伺います。
 特殊法人等整理合理化計画で、石油公団のところを見ますと、「石油公団は廃止する。」と書いてあるわけです。おお、これはすごいと思うわけでありますが、金属鉱業事業団のところを読みますと、「石油公団と統合し、独立行政法人を設置する。」と書いてあるわけであります。えっ、石油公団は廃止されるはずじゃなかったのかと思って、もう一度石油公団のところを読み直しますと、「石油公団は廃止する。」と書いた後に、「以下の機能については、金属鉱業事業団に統合する。」と書いておりまして、ほとんどの機能が残るわけであります。「融資業務は既存の政策金融機関へ移管する。」とあります。また、「国家備蓄は国の直轄事業として行う。」とありますが、リスクマネー供給機能の出資はきちっと残るわけでありますし、国家備蓄については、その国家備蓄統合管理等の機能というものは、機能として、事業として残ります。
 実際、法案を読んでみましても、石油公団法と金属鉱業事業団法が廃止されるわけでありますが、新しくできる独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の中身といいますのは、旧二つの特殊法人の法律をあわせたような内容になっておりまして、どう見ても石油公団は廃止するというふうにはなっていないと思うのですね。これは、本当に日本語の言葉の使い方としても違和感を禁じ得ないのですけれども、この点いかがでしょうか。
石原国務大臣 委員の御疑問を解消するには、実は石油公団、廃止されるのですけれども、資産処理、管理という業務を行いますので、石油公団清算事業団に衣がえすると言えば、石油公団は廃止するんだなと多くの方がきっと理解をしてくれるのではないかなと思っております。
 しかし、今委員が整理合理化計画を引用されて御説明いただきましたように、主たる事業がなくなって、しかし残さなければいけないものを民間やその他の運営主体に移行する。これは、やはり国の関与がある程度必要なものとして残すわけでございますので、その機能が他のものに行って、石油公団は自分の持っている資産処分と管理が本則業務になるわけでございますから、やはりこれは廃止と言ってよろしいんじゃないかと思います。
達増委員 今回の法案で、実態としては石油公団と金属鉱業事業団が統合されて独立行政法人になるということでありまして、法案の中では、石油公団についても金属鉱業事業団についてもどちらも解散する、そういう解散という言葉でどちらも同じように表現されております。ですから、石油公団を廃止するというのであれば、なぜ金属鉱業事業団の方は廃止すると言わないのかという疑問が生じるわけであります。「石油公団は廃止する。」と特殊法人等整理合理化計画の石油公団のトップに掲げられてあるんですが、金属鉱業事業団の方では、なぜ金属鉱業事業団を廃止するというふうに書かなかったんでしょうか。
石原国務大臣 これももう達増委員が今説明していただいたんですけれども、金属鉱業事業団というのはやはり同じ特殊法人であります。しかし、ここが行っている業務で国がある程度関与していかなければならないものがあります。簡単な整理をすれば、国がすべて行うか、国の関与があって外に、外局として行う新しい形態が独立行政法人だとするならば、この二つにきれいにデマケされるわけであります。
 金属鉱業事業団は、このデマケをされた、国が関与をしていかなければならない特殊法人のこれまで行ってきた業務を新しい独立行政法人という形で残す。すなわち、御同僚の田中委員が再三再四先ほど御議論をされましたように、責任の明確化、あるいは硬直性の打破、あるいは公開性の問題、あるいは長の解任の問題、業績評価の問題、こういうものを合わせた形に、金属鉱業事業団が独立行政法人という新しい組織になるということでございます。ですから、廃止ではなくて解散して独立行政法人化するというような整理をさせていただいたわけでございます。
 さらに、石油公団の方から、先ほど委員がもう既に御指摘いただきましたように、新規案件への出資とか債務保証、研究開発といったような、どうしても必要最小限国がある程度関与していかなければならない業務が石油公団が廃止されることによって移ってくる。ですから、金属鉱業事業団は、廃止ではなくて解散して独法化するというふうに整理をさせていただいたわけです。
達増委員 しかし、石油公団も独立行政法人になるということなんじゃないかと思います。法案の中身を見ても、石油公団法にある石油公団の事業のほとんどが新しい独立行政法人の事業にも引き継がれておりますし、また、今までの質問に対する答弁の中でも、石油公団が廃止ということで、主たる事業がなくなるということで、例えばコストがどのくらい削減される、人件費がどれくらい削減されるという答弁はありませんでした。恐らく、石油公団の方がはるかに予算規模も大きく、また関係する人員も多く、金属鉱業事業団こそが石油公団に吸収合併されるようになるのが実態ではないかと推測します。現に、石油公団総裁が新しい独立行政法人の長になるのではないかということも取りざたされているわけであります。
 さて、その独立行政法人化ということですけれども、先ほど田中慶秋理事が質問の中で言及していたように、もともとイギリスで成功した仕組みであります。イギリスで、省庁が国民に直接行っているサービスを外部化する。典型的な例は、刑務所の運営でありますとかあるいは旅券の発給、パスポートの発給ですね。お役所仕事で、公務員がやっているとどうもサービスが悪かったり、あるいはむだが多かったり、そういうものを外部化して、政府、省庁との契約でやっていく。
 つまり、民間にアウトソーシングするのと同じようなやり方をすることで、節約もできるし、国民に対するサービスも向上する、その辺に独立行政法人というものがイギリスで成功したところがあるわけですけれども、この石油公団あるいは金属鉱業事業団というのは、国益という観点も視野に入れつつ、資源戦略を遂行するものであります。そうした高度に戦略的な経営が求められるようなものを独立行政法人にするというのはなじまないのではないでしょうか。
石原国務大臣 今委員が御指摘されましたように、独法は、国民にとって必要な公共的な事務や事業について、委員はパスポートの発給を例に出されましたように、国がやるよりも民間に近い感覚を持った方がより効率的で弾力的になる、そういう考えを取り入れた法人だと私も思います。
 今回、この独法化によって、法人の自主的裁量が高まるということはもう言うまでもございませんが、さらには、法人としての中期目標、先ほど、二兆円投資して一兆四千億円負債ができてしまったと。これは、中期目標があって三年ぐらいごとに考えていけば、こんなような大きな、千三つという言葉だけで失敗してくるようなことはなかったと私は思いますし、評価委員会による厳しい業績評価というものがあれば、総裁あるいは理事の方々も、しようがないんだと、これは千に一つでエネルギーセキュリティーを考える上ではしようがないんだといったようなことはなくなりますし、経営陣の方も解任等のペナルティーを受けるようになる、そういう組織の方がやはり特殊法人よりいいんじゃないかと私は思います。ですから、この独法という考え方が、廃止される石油公団の中で引き継がれる業務の一部を担う。
 あるいは、何といいましても、石油公団というのは、その下にぶら下がっております、田中委員が御指摘されたように、三百あったのが、二百二十ぽいして八十残っていて、生きているのが六十で、もうかっているのが十幾つだみたいな、このぶら下がっている会社の整理、処分、どれを売れば一番いいのか、あるいはしばらく持っていて育てて大きくして売って、株式を上場してその収入を国庫に入れてもらって国民負担を減らすのがいいのか、そういうことが主たる業務に、これから清算するところで出てくるわけでございます。
 そういうことをもろもろ組み合わせると、こういう新しいデマケの方が、石油公団というこれまで失敗してきたことに全然責任をとらない特殊法人よりはいいのではないかという観点から実はこのような整理をさせていただいたわけでございます。
達増委員 政府が独立行政法人のメリットとして指摘する、中期目標をきちっと設けて評価委員会などがチェックをして、だめなら責任をとらせるといったようなことについては、特殊法人でも当然やっていてしかるべき、また、特殊法人のままでも簡単にやれることなんだと思うんですね。
 独立行政法人というのは、今イギリスは国家公務員の八割くらいがもう独立行政法人で働いている。そういう、国の行政というものを抜本的に改革して省庁のあり方を改めていく、政府の、省庁の本丸を改革するところで独立行政法人というものが活用されているわけでありますが、特殊法人を独立行政法人にするということはまさに看板のかけかえ程度のことにすぎなくて、どちらも法律に基づいて設立される政策的な法人であります。特殊法人を独立行政法人にするという、それで、大仰な法案を出す、法律を制定するよりは、特殊法人としてのやるべきことをきちっとやればいいわけでありまして、そこを今回独立法人にすることをもって改革と言うのはやはり看板のかけかえにすぎないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
石原国務大臣 達増委員の今の御質問というのは、非常に根元的だと思うのですね。特殊法人だって、野方図に、石油公団に例をとると、一兆四千億円損しようと思ってやってきたということは絶対ないと思います。国のエネルギーセキュリティーを考えて、そしてまた一カ所に、特に中東ですけれども、中東依存度が高いことを是正していかなければ何かあったとき困るということで仕事をしてきたけれども、結果としてはこういう結果になっている。そのほかにも、特殊法人でもいろいろあると思います。先ほど本四架橋の例も出しましたけれども、だれも使わないだろうという橋をつくろうと思ってかけたわけじゃないと思うのですね。
 やはり、この特殊法人という制度自体が、越えることのできない、改革することのできない大きな存在になってしまった。ですから、特殊法人の抱える問題の弊害を克服するための制度として、独法という形で新しく切り込む、そういうのが今回の独法化の意味だと私は思っております。
 委員のおっしゃるとおりに、できるんだったらきっとやっていたし、できないから現在になっている、できないから現在になっていて、現在のままじゃよくないから独法化する。哲学というか、当たり前といえば当たり前なんですけれども、そういうことではないかというような気が、今の委員の御質問を聞いていて感じました。
達増委員 私は、やはりやるべきことをやっていなかったところに問題があって、また、やってはいけないことをやってしまったところに問題があるんだと思います。
 特殊法人たる石油公団の本質的な問題というのは、あくまで民主導と言いつつ、国がリスクマネー供給をバックアップする、そういう官民の役割分担を言いながら、結局、民間の方も官に甘えて経営責任が甘くなり、官は官で天下りをたくさん民間会社に送り込み、国としての、官としての責任を全うできなかった、そういう官民のもたれ合いができてしまうような中途半端な役割分担というのが特殊法人石油公団の本質的な問題だったと思うのですけれども、そのことは、今回の法案による独立行政法人化によっては全然変わってないんでしょうか、変わってないのではないでしょうか。
 やはり、民間主導と言いつつ、国がリスクマネーをバックアップしていく、また天下りが起きるかもしれないし、また民間の経営責任が甘くなるかもしれないし、またもたれ合いが起きるかもしれない、そういうところをなくす抜本的な改革には全然なっていないのではないでしょうか。
石原国務大臣 委員が御指摘のとおり、やはりもたれ合いというのが非常にこの石油の世界ではあったと思うのです。減免つき融資にしたって、これは貸す方が損する仕組みですね、簡単に言えば。その一方で、普通の運用をしているときの損益みたいに、マネジメントによって改良される部分と、これが一つに混在されていた。
 民間の石油会社に、日本の石油会社にしても、損をしたら国が面倒見てくれて、そこそこもうけさせてくれて、メーンの株主は国であるみたいな、石油公団にぶら下がっている会社にはお金を出しても、それはリスクがほとんどない。その経営者がだれかといえば、そういうことに事たけた人がすべて会社の社長であるならば、田中委員の御指摘のとおり、三百あったものが二百二十つぶれて、八十で、生きているのが六十で、十二しかもうかっていないなんてことはない。すなわち、能力のない人が社長をやっていた。責任を持っている人が社長をやっているのであるならば、自分の会社がつぶれそうになったら、それは必死のことをやると思います。そういうことが相対的には、全員がとは申しませんけれども、相対的に少なかったからこそこんな事態になってしまったんだと私は思っております。
 ですから、組織を改めて、そしてそこにぶら下がっている会社を整理する。今まで整理してきたのは、だめなものを、負のものを整理してきたのですけれども、今度はプラスのもの、あるいはこれからプラスになるであろうものも整理して新しい出直しをするということだと思います。
達増委員 減免つき融資という制度がだめだった、そういう過去を反省する認識が一歩進んだことはいいと思いますけれども、まだまだほかにも石油公団の失敗の本質ということはあるわけでありまして、その点が解決されなければだめだと申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 けさ方、先般の委員会で要求いたしました備蓄会社の談合にかかわる資料が提出をされましたので、予定を変えて、緊急に、これに関連して三点お聞きをしたいと思いますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
 第一は、私が要求したのは、先般の公取の調査に関連して、かねてから談合があると指摘しながら論証をし得なかった平成九年以前の落札状況についてであります。これについて要求したわけでありますけれども、けさ方提出されたのは公取の調査対象期間になった平成十年以降のものであります。したがって、これは焦点をそらした資料の提出ということで、重ねてこれは、公取が論証し得なかった期間である平成九年以前について、きちんと提出をしていただきたいということが第一点であります。
 それから第二点目に、提出されたこの落札状況を見てみましても本当に驚くべき状況ですね。もう第一ページ目から、落札率が九九・九、九九・八、中には一〇〇%というものもあります。今見たばかりでありますから詳細に検討できておりませんけれども、とりわけ十億を超える事業については、大体ほとんどすべてが九九・九%になっている。これはもう大変な談合状況。これは、中核エンジの談合だけじゃなくて、当然、備蓄会社も加わって、場合によっては資源エネルギー庁も一体となった談合状況であるということから、公取の勧告について、中核エンジが直ちに勧告に応ずるということを経済産業省としてもきっちりと指導することが必要じゃないか。それが第二点目。
 それから第三点目は、いずれの事業についても、これは外部も入って詳細に検討して、不当につり上げられていること、そのために談合があるわけでありますから、私は当然あり得ると思いますけれども、詳細にこれらの事業について洗い直しをして、そして価格の不当なつり上げがあればきちんと返還を求めるということをすべきだと思いますが、三点について、長官ですか、大臣にお聞きしたいと思います。
河野政府参考人 まず、資料の御要請でございますけれども、けさ方まで作業した結果をお送りしたわけですが、先生御指摘のように、さらに御要望があるというふうに承っておりますので、作業ができ次第御報告申し上げたいというふうに思います。
 第二番目に、公正取引委員会の勧告を受けた企業はどうかということでございますけれども、これに対します私どもの厳正な対応の仕方というものは既に御報告申し上げたとおりでございます。ただ、この勧告に対しましてどう対応するかというのはやはり個々の企業の対応でございまして、法的手続上も審判等々の手続がありますので、これについては民間企業の動向を見守らせていただきたいというふうに思います。
 そして、損害が生じているのであればどう対応するかということでございますが、これも、恐らく、審決に至る過程で損失額など明らかになるのであれば適正な対応をさせていただきたいというふうに思っております。
大森委員 当委員会での五日間にわたるこの問題での審議、そういうのを踏まえて、本当に厳正な対応をしていただきたいと思うのです。
 先般、三井物産の北方四島における発電所のあの落札率は神わざと言われておりますけれども、これはもう神わざをはるかに越える状況になっておりますから、ぜひきちんと対応していただきたい。重ねて大臣にその旨の決意をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 今、資源エネルギー庁長官からもお答えをいたしました。今公取に一生懸命やっていただいています。私どもとしても、そういう成り行きを見守りながら、必要があれば厳正に対処をしていきたい、このように思っています。
大森委員 次に、石原行革担当大臣にお聞きをしたいと思います。
 石原大臣は、記者会見のいろいろな記録等も読ませていただきましたが、つい二、三カ月前は、経済産業省の案については合理化計画の閣議決定に沿ったものとは言いがたいとか、あるいは経済産業省の法案は、公団を廃止するのではなく、民営化する法案だと猛反発している、これは四月三十日ですけれども、こういう報道もされております。現在は、当方の主張をほぼ満たしているというぐあいに述べておられますけれども、これは、経済産業省の案がどう変わって石原行革担当大臣の評価がこのように大きく変わったのか、簡潔にどの点がこう変わったという点をお示しいただけたらと思います。
石原国務大臣 四月の段階で整理合理化計画とかけ離れていると一番思いましたことは、これも議論が出ている話でございますが、石油公団が廃止されますけれども、その業務がすぐに特殊会社と独立行政法人に分割されて残存する、そういうふうに読まれても不思議ではないような内容だったような気がいたしました。ここは大きく、石油公団を廃止するという整理合理化計画とは一致していないんじゃないか。あと、るる細かいことがございますけれども、いずれの問題も、法案の読み方あるいは認識の相違、そういうものを調整をしていった結果、五月一日、平沼大臣、海外御出張中でございましたけれども、電話でお話をさせていただきまして、整理合理化計画にのっとった、そしてまたこれからの、先ほど来議論が出ておりますエネルギーセキュリティーの問題でも十分対応し、これまでよりもよくなると思われる案になりましたので、私もこの案を評価させていただいているように変わったわけでございます。
大森委員 すぐになるか三年後になるかは別として、やはりこれは内容の問題であると思うんですね。この点に関して、当委員会でも議論の中心になり、また、出されている法案、あるいは合理化計画、これの核心でもある特殊会社の問題、この合理化計画の中で特殊会社というのはどのようにイメージをしているのか、石原担当大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
石原国務大臣 今冒頭お話をさせていただきましたように、当初は特殊会社の設立法というものもございました。しかし今回は、整理合理化計画にのっとって、資産処分の終結を待ってその特殊会社は設立する。すなわち、先ほどもお話ししましたように、持っている資産の精査にかなりの時間がかかります。そして、どの資産をどのタイミングで、どういう形で売却していけばトータルとして国民の負担を軽減することができるのか、その業務は、その時点において、資産処分の状態を踏まえて実は検討することに特殊会社はなるんだと思います。
 しかし、行革の観点から言わせていただきますと、例えば事務内容や体制を精査して、必要最小限なものになっているかどうかというような観点からこの特殊会社の性格というものを議論することになるのではないかと今のところ考えております。
大森委員 先ほども議論がありましたが、よい悪いは別として、平沼大臣の方は、この特殊会社は和製メジャーというイメージを描いておられるわけですが、そうしますと、今の御答弁では、合理化計画の段階では、特殊会社については政策的な位置づけというのは、過程についてはお話がありました、どういう過程を経て特殊会社に至るかと。しかし、政策的に特殊会社が何をやるのかという点については、この合理化計画の中では明確にしていないわけですか。それとも、明確に何かあるのでありましたら、それはお示しいただきたいと思います。
石原国務大臣 先ほども申しましたように、今石油公団にぶら下がっています子会社等々が、生きているものが六十ぐらい、そのうち、収益が上がっているものが十数あります。そして、そこが抱えている油田がございます。そして、これからの計画として、どれだけ責任を持ってやらなければいけないというものがございます。それを、売れるのか、売れないのか、また、どれを売ればいいのかということがはっきりしないと、特殊会社が一体どれだけの資産を引き継ぐのかということが決定しません。
 平沼大臣の申されているのは、エネルギーセキュリティーの問題からして和製メジャーと言われるようなものがなければならないという、エネルギー政策の長としての立場からの御発言でございまして、もちろん和製メジャーというぐらいでございますから、これは民間会社でなければだめなわけで、これまでのように、官僚の方々が社長を務めるといったような特殊法人の形態でこれは和製メジャーなんだといって、そんなようなメジャーあるいは準メジャーと言われる会社があるのかなというふうに思います。
大森委員 私は、石原大臣が閣議決定の意に沿うものではないとおっしゃっているころと基本的には今回の法案は変わらないという立場なわけですね。
 そこで、抽象的に議論していてもあれですから、具体的に合理化計画についてお聞きをしたいと思うんですが、この合理化計画の中で、公団は廃止する、リスクマネーは出資に限定する、こうなっておりますね。これは探鉱であれ、開発、生産であれ、もう融資は行わないという理解をこの合理化計画で私はしましたが、これはそのとおりでよろしいでしょうか。
石原国務大臣 そのとおりでございます。
大森委員 では、その同じ並びのところで、米印で、原油等生産会社への融資は既存の政策金融機関に移管すると、特にあえてこの原油等生産会社が特記してあるわけですね。これは探鉱会社への融資は移管しないということを政策的に表現したものと理解してよろしいでしょうか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたのは、石油公団の機能のうち、「原油等生産会社への融資業務は既存の政策金融機関へ移管する。」というような文言を指されて言われたものだと思います。
 新規案件の出資、債務保証、研究開発等々は独立行政法人の方に移管されます。そして、石油公団のこれからの本則業務というものは、この法案が通りますと、資産処分、管理ということになるわけでございます。しかし附則業務として、既存案件の資産価値保全等のための出資、債務保証というものは行われていくということになるわけでございます。
 これは、今回の改革によりまして、あわせて実は政策金融の議論も今並行して行われておりますが、政策金融については機能を重点化するための統廃合を行っていかなければならない。その一環として、石油公団が行ってきた減免つき融資業務は廃止して、原油等生産会社への融資は既存の政策金融機関において一元的に対応することになるであろうということを記述した文言と御理解をいただきたいと思います。
大森委員 なかなかわかりにくいところでありますけれども、あえて米印でこういう原油等生産会社への融資、つまり開発、生産段階の融資は移管すると書いてあるのは、探鉱会社への融資は移管しないということを当然これは政策的に表現したものだと思うわけなんですが、では、今回提出された法案でこの政策的な表現はどのように反映されているかといえば、これは全くないわけですね。
 これは、これまでの審議の中でも指摘をしましたけれども、結局、債務保証という形で、探鉱段階でも債務保証を、五割という制限はありますけれども行っていく。これは結局、回り回って国の税金で保証された借金ということで、比率において確かに七割から五割にということはありますけれども、もう形を変えたこれは減免つき融資、それがさらに延命されている、私はそう考えますけれども、石原担当大臣はこれは違うとおっしゃるのか、どうでしょうか。
石原国務大臣 この部分は経産大臣の方からお答えいただくのが結構だと思うんですが、減免つき融資というものは廃止するというふうに理解をしております。
 と申しますのも、先ほど言いましたように、最初から損するのがわかっているような融資、ちょっとこれは言い過ぎかもしれませんけれども、デフォルメした言い方で言いますと、そういうものに官民ともあぐらをかいてきたということは私は否定できないのではないかと考えております。
大森委員 平沼大臣やエネ庁長官にはこれまでの審議の中で何回も伺ったわけなんですが、確かに減免つき融資は廃止になったわけでありますけれども、今指摘したように、形を変えて存続をしているわけです。
 この閣議決定である合理化計画、この中でも前文で厳しく戒めております。つまり、器の見直しにとどまらないという点からいっても、これはやはり器の見直し、看板のつけかえ、これにすぎない。今回のこの法案において、この公団について一体どこが整理合理化になっているのかと強い疑問を感じざるを得ないわけであります。
 加えて、当委員会で最大のテーマの一つになったのが、天下り、そして企業献金の問題でありました。
 石原大臣は、昨年の九月十四日付朝日新聞で、「天下り先を守るため、官僚が廃止・民営化に抵抗するなら、天下りを禁止してもいい。」と述べておられます。整理合理化計画の先陣を切るこの石油公団廃止法案では、天下り、これが先ほど指摘した談合などの本当に大きな要因の一つになっていると思うんですね。これは、率先してこういうものを立法化させるべきだと思いますが、この点。
 加えて、これも私ども指摘をしました。石油連盟から国民政治協会を通じて十年間で七億円を超える政治献金、あるいは石油鉱業連盟から同じく十年間で一億円もの政治献金が行われている。とりわけ国と受注関係が非常に強いこういう企業からの献金については、何らかの形で規制すべきじゃないか。二点お聞きをしたいと思います。
石原国務大臣 まず天下りの問題なんでございますが、国家公務員の定年は六十歳でございます。そしてまた、年金支給年齢が徐々に引き上げられて六十五歳になる。ですから、公務員の方々の定年が六十五歳まで延長される、あるいは、かつてありましたような恩給というものが復活するのであるならば、すぐにでも天下りというものは廃止した方が私もいいと思っております。
 天下りという言葉は大変広うございます。民間企業への再就職も含まれておりますが、その中では、押しつけ型の天下りは厳禁させていただきましたし、各府省におかれましても、運用の総合調整を図る、承認基準をはっきりとするということでございますし、問題になっております特殊法人への再就職についても、内閣が客観的なルールをつくって公表し、各府省に対して監督体制を強化する。再就職全般についての情報公開を徹底する。あるいはもう既に、この四月一日からですけれども、特殊法人へ天下った方々が過分な退職金を取っているという批判にこたえまして、三割削減、給与も一割カットということをやりました。十分だとは思っておりませんが、着実に結果を出しております。
 ちょっと余談でございますが、先般、さわやか福祉財団の堀田力先生、法務省の官房長をされた方でございますが、そのお話を聞かせていただきまして、九〇年代、自分が官房長であったときは、やはり先輩たちの、法務省といえども天下りの世話をするというのが大変だ大変だと官房長が集まると話をしていた、そんな話を聞きました。
 やはりこれは、将来的な問題ではあるかもしれませんが、六十五歳までの就職の場が確保されない以上は、内閣が責任を持って、国民の皆様方の疑惑を招くことのないような再就職を一元的に管理していくという方向が望ましいと考えております。
 また、公共事業等受注業者からの政治献金の話でございますが、これはもう総理が既に御答弁されておりますけれども、法整備を含めてもう一段踏み込んだことが必要であるというような発言がなされ、与党三党でも議論がなされております。
 いずれにいたしましても、この問題は、民主主義のコストをどういうふうに分担するかということでございますので、幅広い合意が得られるように期待をしているものでございます。
大森委員 時間がなくなりましたけれども、平沼大臣に最後、二点質問をしたいと思うんです。
 一つは、特殊会社のあり方の問題。そして、この間の国民の、それこそ税金、国民の財産とも言える三兆円を超える資産、それの評価あるいは処分等々については、石油開発政策はいかにあるべきか、そして、国のむだはいかになくすべきかという立場からの国民的な議論と国会の関与、こういうものを当然の前提として論議を大いに進めていかなくてはいけない。初めに和製メジャーありきということで議論を進めては決してならないということが一つですね。
 それからもう一つは、両特殊法人における従業員の問題であります。
 これは、それぞれの石油公団そして金属鉱業事業団の役員の方は、天下りとか渡り鳥で将来の心配はないでしょうけれども、ここで働く労働者、今、我々はどうなるかと本当に強い不安、深刻な思いでこの審議を見守っておられると思うんですね。とりわけ今、戦後最悪の大失業時代ということで、もう三十代、四十代、五十代の方は再就職の道などほとんど絶望的な状況の中で、そういうことを考えながらこれは対応しなくてはいけないと思うんです。
 この点で、特殊法人等改革基本法案、この法案の審議の際に附帯決議が採択されました。その最後の項で、「特殊法人等の改革の推進に当たっては、これまで維持されてきた当該特殊法人等の職員との良好な労働関係に配慮するとともに、関係職員団体の理解を求めつつ、その雇用の安定に配慮すること。」ということが盛り込まれ、同時にこれは、閣議決定の合理化計画の中でも、この附帯決議を改めて喚起して、そういう立場で述べているわけですね。
 こういう立場を本当に厳守する、万全の努力をするということの御決意を大臣からいただきたい。二点お聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
平沼国務大臣 天然エネルギー資源のほとんど乏しい我が国にとって、やはり自主的にエネルギーを確保するということは非常に大切なことです。
 そういう意味で、私どもとしては、中核的企業グループ、こういったものを皆様方の合意をいただきながら検討して和製メジャーに育てていきたい。そのときには、最初からありきということではなくて、やはり慎重に私どもは検討していきたいと思っております。
 それから、もう御承知だと思いますけれども、石油公団には現在、定員ベースで三百五十六名、金属鉱業事業団には百八十九名、総数五百四十五人の職員がおります。
 職員の雇用の問題については、御指摘の、昨年十二月に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画においても、現在働いている職員の雇用の安定にも配慮する旨述べられております。石油公団及び金属鉱業事業団の職員の雇用については、独立行政法人や改組後の石油公団の業務内容等も見きわめつつ、この合理化計画の趣旨を踏まえまして万全を期していかなければならない、このように思っています。
大森委員 ありがとうございました。
 終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 きょうは、石原行革大臣におかれましては、直接のこの法案の担当大臣ではございませんが、あえて私たち野党四党が与党の筆頭理事と協議をした結果、行革と関連があるということで、最後の最後、この委員会に出てきていただきましたことをまずはお礼を申し上げ、質問に入らせていただきます。
 石原行革担当大臣にお伺いします。
 昨年十一月に、特殊法人等改革全体を牽引することを目的に、国からの財政支出も大きく、国民の関心も高い七法人が先行して決められました。そのトップバッターとしまして石油公団が挙げられた意義は何と考えておられるのか、お伺いいたします。
石原国務大臣 二つぐらいのことがあるのではないかと思っております。
 それは、投資した額に見合った成果が出ているのか。すなわち、行政の代行機関として特殊法人がさまざまな事業をさまざまな分野で行ってきましたけれども、そこの分野については財政投融資から資金が流れる、あるいは特別会計からお金が流れる、あるいは毎年毎年補助金の形で一般会計からお金がなされる。それに対しまして、過去数十年間にわたってこの特殊法人改革、テーマが上がるわけですけれども、統廃合だけしか行ってこなかった。数を減らすことだけに主眼が置かれていた。
 しかし、実際は、国民の皆さん方に、この投資に見合ってどれだけの成果というものが得られているのかということを検討する上で、この石油公団という、また、エネルギーセキュリティー上大変重要で、先ほど来御議論がございますけれども、政策論と行革論がまさに対峙あるいは協調し合うこの法人の問題というものをクローズアップし、そして、それを国民の皆様方に先駆けとしてお示しするのがこの法律案ではないかと私は考えております。
 その内容は、もう既に申し述べさせていただいておりますけれども、石油公団の解散あるいは融資事務の廃止など、整理合理化計画に沿った内容だと考えております。
大島(令)委員 今エネルギーセキュリティー、そして行革論、二つの論点を御答弁されましたけれども、私は、非常に難しい廃止の過程であると思っております。
 石原大臣は、平成十四年四月二十三日の定例記者会見におきまして、まず石油公団の廃止と強く述べられました。そして、廃止した上で資産の清算をということにこだわっておられたと聞いております。結局、今回上程された法案ではこれらが逆になっていると私は思っております。最初に、まず公団の廃止にこだわったわけは何なのか御説明ください。
石原国務大臣 私がこだわったというよりも、平沼大臣が明確に石油公団を廃止すると十一月の段階で御決意をお示しになったわけでございます。と申しますのは、エネルギー政策をつかさどる最高責任者である……(平沼国務大臣「七月」と呼ぶ)七月におっしゃられたわけでございます。これは非常に意味のあることだと思います。
 すなわち、私は、石油公団がやってきた事業がすべて悪かったとは思いませんが、これから資産処分、整理をしていく段階で、もう既に出ている数字からしても、何でこんなに大きな累積欠損が出ているのかといったような問題がやはり出てくると思います。そういうものに対して、先ほど同僚の達増議員との議論の中で出てきました、既存の組織で直すことができるなら既存の組織で直せばいいんですけれども、既存の組織ではもう越えられないところまで来ているという現状認識の中で平沼大臣が御決断をされたものと認識しておりまして、それは私たち、行政改革の観点から、効率性、そして硬直性を打破する、特殊法人の抱える問題を打破していく上で、まさに時宜を得たものだと考えたからでございます。
大島(令)委員 それでは、平沼大臣にお伺いします。
 内閣として、大臣は昨年、整理合理化計画を取りまとめている。本来ならば、行政改革の観点からではなく、政策論として石油公団を廃止民営化するということであるならば経済産業省が決めるわけだが、行革という、内閣を挙げて今回この問題に取り組んでいるわけなので、内閣が何らかの形で責任を持てる枠組みというものが私は必要であると考えていると、この五回にわたる審議の私の質問の中で答弁しているわけです。
 大臣、行政改革の観点とエネルギー政策論とは違うということなんですか。
平沼国務大臣 今回の石油公団の廃止は、昨年末に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画において、石油公団は廃止する、こういうことを受けまして、同計画を着実に実施するために行うものであります。
 また同時に、同計画の内容に沿って、エネルギーの安定供給の確保上、引き続き国の責任において果たすべき重要な機能でございます石油の開発のためのリスクマネーの供給、研究開発機能、あるいは国家備蓄の統合管理等の機能につきましては、るる御説明させていただいたところでございますけれども、金属鉱業事業団に統合し、新たに設置する独立行政法人に行わせることといたしております。
 また、石油公団廃止法附則で別に法律で設立することを明らかにしている特殊会社につきましては、整理処分後の石油公団の開発関連資産を引き継いで設立され、将来できるだけ早期に民営化することにしております。
 これらの実施を通じて……(大島(令)委員「委員長」と呼ぶ)ここからです。エネルギー政策を確実に遂行しつつ、事業実施体制の効率化を図るなど行政改革の実もあわせて行っていかなければならない、こういう前段の中で両方やっていく、こういうことであります。
大島(令)委員 では、石原行革担当大臣に伺います。
 石油公団の資産の清算についてでございますが、石原大臣は当初、石油公団の廃止は行革の一環なのであるから、内閣が責任を持てる枠組みというのが必要だと考えておられたようです。それは、例えば国鉄清算事業団のようなものを想定していたようでございますけれども、結局は石油公団のもとで清算が行われることになったということで、大臣のお考えとは少し違ってきていると私は理解しております。
 大臣は、やはりエネルギー小国である日本がこれからエネルギーの面でやっていくにはある程度の国産カンパニーにならないといけないと発言しておりますけれども、優良資産を国庫に返さずに特殊会社に引き継がせるという今法案に当たって、どのような考えを持っているのか。そしてもう一点、石油公団の資産の評価、処分に当たって、どうしてもこの点だけは留意してもらいたいということがあればお答えいただきたいと思っております。
 その理由は、大臣は、行革の一環として特殊法人改革に対して意気込みが当初はあったと思うのです。ですから、この法案は第一号目ですから、最後まで目を向けていたいのではないかという、私の温かい観点からの質問でございます。
石原国務大臣 大島委員から大変温かい観点から御質問をいただきまして、本当に力の強い限りでございます。
 冒頭の質問からお答えさせていただきますと、十五年度中に石油公団を清算等のための組織に実はもう改組いたします。ただ、ネーミングは石油公団清算事業団という名前ではなくて、残存する石油公団という名称ではございますけれども、行政改革の観点からも、資産の整理売却をチェックすることは従来の私からの主張と何ら相違はございませんし、石油公団が廃止されて、資産処理と管理というものが主な業務になるということは、私は画期的なことであると考えております。
 そしてまた、言っておきたいことがあれば言っていいということでございますので、ぜひ言わせていただきたいと思いますのは、資産の整理売却、ただいま委員は、優良資産は売らないで特殊会社が引き継ぐということをおっしゃられましたが、それは決まっておりません。優良資産のうち、売ったら一番もうかるものは売ったらいいと思います。しかし、優良資産にこれからなるであろうというようなものをたたき売るということはナンセンスだと思います。
 すなわち、資産の処理、管理というものには、その内容を十分に分析するために、これからかなりの時間を要するわけであります。その要した時間の後、事業計画の認可に当たっては、所管大臣であります経産大臣が、総合資源エネルギー調査会の意見を聞きますとともに、特殊法人等改革推進本部の長たる内閣総理大臣と協議することになっております。
 私は、そのとき、これも先ほど申しましたけれども、ざっくりした言葉なんですが、トータルとして国民の皆さん方の負担をできるだけ軽減するという観点から意見を述べさせていただきたい。もう少し簡単に言いますと、整理に伴う損失を売却による利益で、できるだけオフセット、プラスの利益を上げることができないかという観点が私は重要なのではないかと考えております。
大島(令)委員 結局、この石油公団の資産の評価、処分は、最終的には平沼大臣が行うことになっておりますけれども、その前に総理大臣に協議するということで、特殊法人改革の本部長である総理大臣の指示を受けて、石原担当大臣はそこのところで自分の御意見、最後にかかわれるというふうに私は聞いております。
 ですから、そこの段階になったらもうおしまいなので、意気込みをお聞きしたいなと。きょう、この法案の審議は最後でございますので、そういう趣旨で質問をさせていただいたわけですが、もう一度、何かお考えはないでしょうか。
石原国務大臣 エネルギー政策の立場からいうと、やはり優良なものも抱えたいと思うんですね、これは必然的に。いいものはできるだけ抱えよう。しかし、その一方で一兆四千億円という巨額な債務があるわけであります。この債務は結局国民の負担で返済していかざるを得ません。ですから、国民の皆さん方の負担をできる限り少なくするという観点、これはエネルギー政策と若干相入れない部分があるかもしれませんけれども、そこの部分ははっきりと申し述べさせていただきたいと考えております。
大島(令)委員 では、行革担当大臣に伺います。
 独立行政法人は、日本の特殊法人制度を、これは達増議員がよく言われましたけれども、イギリスのサッチャー首相がエージェンシーとして導入し、それが日本に逆輸入されて独立行政法人となった経緯がございます。
 この独立行政法人の予算は、国会が関与せず主務大臣が認可するということで聞いております。赤字が生じた場合は一般会計から補てんされる可能性も生じるわけでございます。国会が承認していない予算に欠陥が生じた場合に、その穴埋めとして国民の税金が支出されるような事態も起こりかねない。私は、制度に矛盾があると考えておりますけれども、このことに対して、石原大臣の所見を聞かせていただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいまの委員の御指摘は、独立行政法人でございますので、独立して自分の考えを経営に反映させるという観点からいいますと、一般の株式会社に準ずるように、経営者が責任を持つという形でございます。よって、委員の御指摘のような結果になるわけでございますが、その分、今度は責任が経営者にかかってくるわけでございます。これまでのようにずるずると赤字を累積するようなことは、経営者として、会社がつぶれてしまいますのであり得ない。そういう部分で、委員が御懸念されるような点をクリアしていくように仕組まれたのが独立行政法人であると理解をしております。
大島(令)委員 行革大臣に伺います。
 ですから、経営者責任ということで、経営者が責任をとるとしましても、私は、赤字が万が一生じた場合に、例えば本四架橋などの事例から見ても十分にわかり得ることで、そういう意味で、一般会計から補てんする可能性もあるのではないかと危惧をしているわけです。やはりこういう観点も無視してはいけないということで、この制度に多少の矛盾、疑義を私は持っている。このことに関して大臣の考えをお聞かせくださいと質問しております。
石原国務大臣 委員の御指摘は、可能性としては私は排除しません。すなわち、三年ぐらいでこの事業計画の見直しや外部評価というものをやりますけれども、この三年の間に、とんでもない理事長がいて、もう赤字は覚悟だけれどもどんどん事業をやってしまおうと。そうして、それが情報公開で表に出るようになっていますけれども、その情報公開も伏せて、それこそ粉飾決算と同じように事を行えば、これは一般の株式会社でも、エンロンの問題やワールドコムの問題でも明らかになっているように、悪いことをやって隠せば、発覚するまで時間がかかるわけであります。そういうことを考えると、どんな制度でも、独法でも特殊法人でも株式会社でも、懸念されるような事態が発生し得ないとはだれも言い切れないのだと思います。
 しかし、今回の独法は、定期的な見直し、あるいは法人運営に関する事項の積極的な公表、中期的な目標管理と事後評価、企業会計原則の導入と弾力的な財務運用、こういうようないろいろな多重な縛りをかけることによって、委員が御懸念されるような事態が発生しないように十分配慮をしていく必要があると考えております。
大島(令)委員 では、今御答弁されたことをしっかりやっていただきたいと思います。
 次に、また石原行革担当大臣でございますけれども、特殊会社が巨大化するというのは天下りの問題も当然含んでいるわけでございます。官僚の天下りに関しまして、大臣はどのように考えていらっしゃるのか。もし官僚の天下りがよくないとお考えならば、特殊会社にその可能性を指摘されているわけですから、今回の議論で多くの委員が指摘されてきました。ですから、天下りを防ぐ手だて、あるいは法的な申し合わせ等、そういう禁止する事項を何か加えるというようなお考えは、この法案に対してのアドバイスとしてございませんでしょうか。
石原国務大臣 天下りの問題は、先ほど同僚の大森委員の議論の中にも出てまいりました。すっきりしているのは、天下りは廃止だというのが一番すっきりしていると私も思います。しかし、公務員の定年が六十歳で、年金の支給が六十五歳に段階的に引き上げられている現状の中で、再就職を一切認めないということは、私は、現実問題としてはできない、しかしながら、国民の皆様方の大きな批判があるということには厳正に対処をしていかなければならないと思っております。
 その方策として、現在、公務員制度改革の中で議論しておりますのは、いわゆる勧奨退職、肩たたきでございます。平均をとりますと五十二、三歳で早期に退職される。早期に退職されますので天下りというものが発生しております。これも、あしたからもう勧奨退職はやめだということはまたすぐにできないことは、当然の理でございます。
 すなわち、在職期間を長くするわけでございますから、一つのポストにとどまる期間が長くなるわけであります。例えば、仮に今四十二、三歳で課長さんになっているといたしますと、在職期間が一年でございますので、これを倍の二年にする。そして、勧奨退職が仮に五十三歳だとして、これを五年間延長して五十八歳までは必ずどんな人でも役所にいられるようにするとなりますと、二掛ける五で、十年かかるわけであります。必然的に今度、課長さんに昇進する時期というものは遅くなる。そこで、今度は抜てきして、能力があれば若い年齢でも、年功序列ではなくて、主たる役職に配置できるようにする。
 あるいは、今1種、2種と採用試験が分かれておりますけれども、これも将来的には一つの試験に統合していくということも一つのアイデアでございますし、さらに、現行の1種で通った方々も、課長さんぐらいまで、十年間ぐらいはとことことこと、ファーストストリーマーという制度がイギリスにございますけれども、昇給していくけれども、そこから先は、どんな採用区分で入ってきた人とも同等に競争するというようなことを仕組む、それによって公務員の世界が活性化していく。
 そういうこととあわせまして、この天下りの問題を十分に、国民の皆様方からの批判にこたえられるように、そして、毎回毎回出てくるこの問題に対してのある程度の回答を公務員制度改革の中で出させていただきたい。
 そのもう一つの方法としては、天下りのどこに配属されるのかというような問題で官房長さんが頭を痛めるという話を先ほど御披露いたしましたけれども、これは内閣が一元的に将来的には調整をしていって、批判されないものにしていくということも、重要な一つの考え方だと私は思っております。
 特殊会社の役員につきましても、もう既に内部で働いている方がいらっしゃるわけですから、優秀な方もたくさんいらっしゃると私も思いますので、そういう方々が役員になれるような、あるいは民間人で、よし、この業務に大変興味があると言っている方は積極的に起用をしていくということがよろしいのではないかと考えておりますし、平沼大臣も、この石油公団をめぐってはトップは民間人を持ってくると、力強い意見の御開陳をされているところと聞いております。
大島(令)委員 時間が参りました。
 では、石原大臣、最後に一つ、この法案、一生懸命、エネルギー政策なのか行革なのかということでいろいろ議論をしてまいりましたけれども、この法案に対する石原大臣の仕上げとして、自己採点は何点ぐらいであると思っていらっしゃいますか。
石原国務大臣 温かい御支援をちょうだいしましたので、百点満点と言いたいところではございますが、石油公団の解散や融資事務の廃止など整理合理化計画にのっとったものを出していただいたと思っております。先ほど来申しておりますように、一日も早く法案を成立させていただいて具体的な一歩を示さないことには、国民の皆様方の点数に対する評価というものは零点のままだと思っておりますので、一日も早く法案を成立させていただいて、世の中がよくなったと、この改革法案によってよくなったと思われるような姿をつくっていきたいと考えております。
大島(令)委員 そのような謙虚なお気持ちで私たち政治家はやっていきたいと思います。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。達増拓也君。
達増委員 私は、自由党を代表して、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案及び独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案に反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、いわゆる石油公団廃止がまやかしであり、小泉内閣の改革パフォーマンスにすぎないことであります。
 本法案は、「石油公団は廃止する。」と定めた特殊法人等整理合理化計画の着実な実施を図るため提出されました。しかし、そもそも特殊法人等整理合理化計画において、石油公団の事業は、融資事業のほかはほとんどが温存されており、組織についても、金属鉱業事業団と統合されて独立行政法人になって残ることになっています。看板に偽りありと言わざるを得ません。また、独立行政法人という、そもそも国民に対して直接行われる行政サービスの質の向上と効率化に適した組織形態が、資源エネルギー開発の支援という業務にふさわしいかどうか疑問が残ります。
 反対の第二の理由は、本法案が、石油公団の本質的問題である民と官との中途半端な役割分担、それによる官民相互のもたれ合いを解決するような抜本的改革になっていないことであります。
 民間開発会社の主体性を生かしつつ、エネルギーの安定供給確保のために国がリスクをバックアップするというのが石油公団の基本理念でありました。しかし、結果は、弱小開発会社が乱立し、民の側の経営責任が甘くなる一方で、通産省からの天下り役員を迎え、石油公団は巨額の損失を生みました。本法案では、こうした問題点を解決する抜本的改革はなされていません。
 石油公団の改革は、我が国の一次エネルギー政策全体の改革の中に位置づけられる必要があります。民間会社が自力でリスクマネーを調達できるようにするための制度改革や、エネルギーに関する非常事態に的確に対応できる内閣の体制整備など、民と官がそれぞれにより強い責任を持つための改革が求められます。かかる、まさに骨太の改革なしに、石油公団改革が機構いじりとしての特殊法人改革に矮小化されてしまっては、かえって事態を悪化させるおそれなしと言えません。
 以上申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 私は、日本共産党を代表して、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案並びに独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案に対する反対討論を行います。
 反対理由の第一は、本法案が、数合わせの組織再編にすぎず、海外石油探鉱開発支援事業で膨大な不良債権を生んだ土壌、石油開発会社への高級官僚の天下りと業界から与党への多額の政治献金による政官業癒着の問題に何ら改革のメスを入れるものではないからです。
 石油税という国民の税金を原資にした海外石油探鉱開発で一兆円を超える損失を生んだ石油公団が存続を許されないことは当然ですが、石油大企業のリスクを肩がわりし、ずさんな事業運営で巨額の損失をつくってきた政官業もたれ合いの無責任構造を放置したままでは、何も解決されません。
 第二に、石油公団が保有する石油探鉱開発資産の処分方針、あるいは開発資産を承継する特殊会社の性格が全く明らかにされないままであり、国民の財産である公団保有資産の処分が事実上行政府への白紙委任となっているからであります。
 石油探鉱開発資産をどう処分するのか、特殊会社は何を承継しどんな役割を担うのか、これは、石油開発、石油産業をどうするのかというすぐれて政策的な問題です。
 ところが、本法案では、特殊法人改革の先陣を切るために、政策的な検討を抜きにして政府・与党内の調整が行われた結果、特殊会社の設立が先送りされ、特殊会社の性格を国会で議論することなく、資産処分方針を行政府に一任する仕組みになっているのです。このような国会軽視は断じて認めるわけにはいきません。
 以上、本法案の主要な問題点を指摘し、反対討論とします。(拍手)
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案及び独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案に対し、反対の立場で意見を申し上げます。
 私たち社会民主党は、これまで一貫して石油公団は廃止すべきであると主張してまいりました。反対に政府は、一貫してこの特殊法人を擁護してきました。特に昨年には、石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案を、石油公団を継続発展させるものとして提案し、成立させたにもかかわらず、それから一年を経て、政府は、特殊法人改革の一環として、石油公団を真っ先に廃止の対象として差し出してきました。
 国がこれまで石油公団に対し無尽蔵に国税をつぎ込み、それが、泉井事件に象徴されるように、利権をめぐる金権腐敗の構造をつくり上げたこと、そして、そうした構造を国が看過してきたことを考えれば、石油公団廃止後に残された業務をいかに公明正大な仕組みのもとで引き継ぐべきかが重要なのです。
 しかし、今回示されたのは独立行政法人の設立と特殊会社の設立で、特に特殊会社の設立に関しては法案は用意されず、どのような規模になるのかさえ明確にはされていません。
 さらに、最も不可解なのは、石油公団が所有する資産の評価、処分に関してです。
 この資産は、国民の税金によって蓄積されたものであり、処分して国庫に返す、すなわち、国民に返すことを基本に進めるということが唯一国民の理解を得られる方法と思います。しかし、実際には、資産の評価、処分の実施が石油公団のもとで行われ、資産処分計画にかかわる第三者の有識者委員会に権限があるのかないのかも明確にされない以上、自後への含みが感じられ、納得できる内容ではありません。
 石油公団は廃止すべきと考えますが、今回の法案で示された石油公団の廃止後の仕組みに、石油確保を大義名分として膨大な税金を注ぎ込んできたこと、むだ遣いを許してきたことに対する反省が全く感じられず、これから設立される独立行政法人や特殊会社が石油公団の体質をも引き継がないという保証が確認できない以上、この法案に賛成するわけにはいきません。
 再三指摘されてきた天下りへの毅然とした対応も明確にはされませんでした。
 さらに、エネルギー政策との整合性や展望も、新たな組織図からは読み取ることができませんでした。
 堀内私案という画期的な案で本来の特殊法人改革が実現するかに見えましたが、経済産業省の官主導によって骨抜きにされた感は否めません。これまで石油公団の廃止を主張してきた者として、せっかくここまでたどり着きながら、非常に残念です。
 石油公団廃止後にどうするかが重要であることを申し述べ、私の反対討論といたします。(拍手)
谷畑委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
谷畑委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
谷畑委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十九分散会


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