衆議院

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第3号 平成15年2月26日(水曜日)

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平成十五年二月二十六日(水曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君
   理事 井上 義久君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    梶山 弘志君
      小池百合子君    河野 太郎君
      佐藤 剛男君    桜田 義孝君
      中山 成彬君    西川 公也君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      山本 明彦君    渡辺 博道君
      小沢 鋭仁君    奥田  建君
      金田 誠一君    川端 達夫君
      後藤  斎君    鈴木 康友君
      中津川博郷君    松野 頼久君
      山田 敏雅君    河上 覃雄君
      福島  豊君    工藤堅太郎君
      大幡 基夫君    塩川 鉄也君
      原  陽子君    金子善次郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国務大臣
   (産業再生機構(仮称)担
   当大臣)         谷垣 禎一君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   総務副大臣        若松 謙維君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君
   会計検査院事務総局第四局
   長            重松 博之君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 永松 荘一君
   政府参考人
   (内閣府産業再生機構(仮
   称)設立準備室次長)   小手川大助君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 石井 道遠君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長
   )            白川 哲久君
   政府参考人
   (厚生労働省職業能力開発
   局長)          坂本由紀子君
   政府参考人
   (経済産業省産業技術環境
   局長)          中村  薫君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院長)     佐々木宜彦君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   政府参考人
   (国民生活金融公庫総裁) 薄井 信明君
   政府参考人
   (中小企業金融公庫副総裁
   )            横田 捷宏君
   参考人
   (商工組合中央金庫理事長
   )            江崎  格君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十六日
 辞任         補欠選任
  大島 令子君     原  陽子君
同日
 辞任         補欠選任
  原  陽子君     大島 令子君
    ―――――――――――――
二月二十六日
 株式会社産業再生機構法案(内閣提出第三号)
 株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四号)
 産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
同月二十一日
 中小企業の経営振興に関する請願(楢崎欣弥君紹介)(第三四四号)
 同(北橋健治君紹介)(第三七八号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三七九号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三八〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第三八一号)
 同(春名直章君紹介)(第三八二号)
 同(不破哲三君紹介)(第三八三号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三八四号)
 同(松本善明君紹介)(第三八五号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三八六号)
 同(山口富男君紹介)(第三八七号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三八八号)
 同(今川正美君紹介)(第四三六号)
 同(大森猛君紹介)(第四八八号)
 脱原発に向けての政策転換に関する請願(北川れん子君紹介)(第三四五号)
 同(原陽子君紹介)(第三四六号)
 同(中西績介君紹介)(第三七七号)
 同(大島令子君紹介)(第四一〇号)
 同(金田誠一君紹介)(第四一一号)
 同(小林守君紹介)(第四一二号)
 同(今野東君紹介)(第四一三号)
 同(重野安正君紹介)(第四一四号)
 同(東門美津子君紹介)(第四三四号)
 同(山口わか子君紹介)(第四三五号)
 同(植田至紀君紹介)(第四六二号)
 同(日森文尋君紹介)(第四六三号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第四八七号)
 中小企業・中小業者の経営振興に関する請願(松本龍君紹介)(第四〇九号)
 同(木島日出夫君紹介)(第四三七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 株式会社産業再生機構法案(内閣提出第三号)
 株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四号)
 産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
 経済産業の基本施策に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、参考人として商工組合中央金庫理事長江崎格君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として経済産業省産業技術環境局長中村薫君、資源エネルギー庁長官岡本巖君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、中小企業庁長官杉山秀二君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長樽崎憲安君、内閣府大臣官房審議官永松荘一君、金融庁監督局長五味廣文君、内閣府産業再生機構(仮称)設立準備室次長小手川大助君、財務省大臣官房審議官石井道遠君、文部科学省研究開発局長白川哲久君、厚生労働省職業能力開発局長坂本由紀子君、国民生活金融公庫総裁薄井信明君及び中小企業金融公庫副総裁横田捷宏君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長重松博之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷畑孝君。
谷畑委員 おはようございます。自由民主党の谷畑孝でございます。
 きょうは十分の時間をいただきましたので、質問をしたいと思います。
 まず、平沼大臣におかれましては、バブルがはじけて、失われた十年と言われた中で、しかも未曾有のデフレという状況の中で、日本経済のかじ取りというのか、特に、その中における中小企業を含めて、産業の再生という課題の中でしっかりと取り組み、頑張っておられる大臣含めて、副大臣、政務官含めて、非常に心より敬意を表して、また、しっかりと力強くひとつ前へ向かって頑張っていただけることを心より期待をしたい、このように実は思っているところでございます。
 さて、過日の、経済企画庁、いわゆる内閣府の月例経済報告によりますと、景気は引き続き一部に持ち直しの動きがあるという、この言葉に対して、非常に私どもも、リストラも消えたりして、それなりに底を打って力強くなってくる前兆なのかな、こういう期待もあるわけであります。
 同時にまた、弱含みで含んでおる、こういう表現もあるわけでありますから、そういいながらでも、やはり職種によっては、あるいは零細企業等を含めて、まだまだ倒産の件数も戦後二番目の一万九千件ということにもなっておりますし、そのような状況で、今後の景気を含めてどうなっていくのか、こういうことが一つ心配でありますので、大臣の方から、今日の経済の状況ということをぜひ述べていただきたいと思います。認識をお願いしたいと思います。
 もう一つは、やはりアメリカのイラクに対する爆撃ということについて、もうだんだんタイムリミットが近づいておるということがよく言われるわけですけれども、そのときにおけるアメリカの経済の状況、それから同時に日本の経済への影響含めて、どう進んでいくのか、そのあたりも、できましたらひとつ教えていただきたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 景気の現状につきましては、今谷畑先生御指摘のとおり、なかなか厳しいものがあると思っております。十月―十二月期の実質GDPの成長率というのは、プラス〇・五という形で若干プラスになったとはいえ、御指摘の厳しい雇用情勢がございまして、完全失業率もマイナス五・五、またGDPの六割以上を占めている消費もなかなか伸び悩んでいる、こういったことがございます。また、鉱工業の生産も四カ月連続でマイナス、こういうことで、私どもは、相変わらず厳しい、このように認識しております。
 そしてまた、イラクに対するそういう緊迫した情勢の中で、例えば原油の価格がじりじり高騰してきております。私どもとしては、やはり石油というのはこの経済大国日本にとっての血液にも等しい大切なものでございますから、この安定供給ということをしっかりと踏まえて私どもはこれから対策をとらなければならないわけでございまして、今も、そういうふうな意味では、備蓄も含めて、またIEAとの協力の中においてもいろいろシミュレーションをして、万全を期していかなければならないと思っています。
 いずれにしましても、イラクで戦争が起こった場合には、世界の経済に与える影響というのは非常に大きいものがあると思っておりまして、私どもとしては、そういう中で、特に石油の安定供給を含めて万全を期していかなければならない、このように思っております。
谷畑委員 そのとおりだと思うわけであります。
 それと、私自身が参議院議員に当選させてもらって四十二歳で国会に来たわけですけれども、ちょうどそのころはバブルがまだ続いておりまして、それから二年後にバブルがはじけまして、そして、私ども国会に参加をしておりましたときでも、補正予算、補正予算ということで、もう財政出動をどんどんやって、やってきました。私どもも、いやこれで、従来の循環型というのか、不況があれば必ず景気もよくなる、こういうような状況であったわけですけれども、しかしなかなか回復しない。
 そういうことの中で、宮崎先生の本がベストセラーになるというぐあいになって、それは、循環型じゃなくて構造的不況なんだ、こういうことがありまして、そういう中で、今日、日本の経済の中で、いわゆる構造改革というのが非常に大きなテーマに実はなったわけであります。
 その経過の中で、また橋本大臣のころには、やはり一定程度財政を縮小して財政の構造改革もしなければならぬ、こういうことであったわけですけれども、再度また銀行がつぶれたりして、そういう中で、もう一度また財政出動をスタートするという、小渕政権でそういうことになるわけです。
 そのように、この失われた十年の中で、片方ではやはり財政出動が大事だという発言があったり、いや、そうじゃなくて、やはり構造改革と、そしてやはりきちっとした財政の改革を含めてそういうことが非常に大事なんだ、こういう議論が行ったり来たりというような感じであると思うんですけれども、一番大事なのは、やはり余りにもぶれる、ぶれまくるんじゃなくて、一定程度の時期においては、やはりどういう形であっても一つの方向で粘り強く信じていくということが非常に大事な局面であろう、私自身そう思っているわけであります。
 そういう中で、今回、デフレという状況の中で、なかなか財政出動してみたって効果がそんなに大きく上がるものではない、こういうことがよく言われているわけでありまして、その中で何とかデフレを退治するのには、政府と日銀がやはり一体になって金融政策をやらなきゃならない。こういうことで、今回の日銀総裁というのは非常に大きな、みんなが関心を持つことになったのではないか、調整インフレ含めて、そういう話があったと思うんです。
 まだ内定の段階であって今後わからないけれども、いずれにしましても、大臣としましては、難しい質問ですけれども、デフレ等含めて、どういう状況の中で克服できるのか、またどういう決意があるのか、ありましたらひとつ教えていただきたいと思います。
平沼国務大臣 確かに、今、日本の経済というのは非常に厳しい状況になっておりまして、やはりデフレが加速をしているということが一番、御指摘のように大きな問題だと思っています。
 これは、今、日本の経済の中で、過剰供給構造とそしてまた過剰債務の問題というものが非常に大きな手かせ足かせになっているわけでありまして、これをやはり解消して、そして健全な姿に戻さなければいかぬということで、小泉内閣が、構造改革なくして景気回復なし、こういうキャッチフレーズで、今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 そういう意味で、今御指摘がございましたけれども、もちろん、そういう不良債権の処理あるいは過剰供給構造、こういうものをなくしていくことも必要でございますけれども、やはり一方においては、今回の補正予算に見られますように、あるいはまた三十兆の枠にこだわらなかったということ、小泉総理も大胆かつ柔軟に、こういう形で三兆円の補正予算も組む、そしてその中で、やはり政策減税も二兆円、増税分を入れますと一・八兆の減税をする、こういう形で、両方あわせて私はやっていると。
 そういう中で、繰り返しになりますけれども、過剰供給構造そして過剰な債務の問題、これを、痛みが伴うと思いますけれども、やはり徹底してやる、このことが今必要なことではないか、私はこのように思っているところでございます。
谷畑委員 もう時間がなくなってしまいましたので、最後の質問に入りたいと思うんですけれども、私ども、事務所で今一番相談が多いのは、中小零細企業の、政府系金融機関からお金を借りているわけですけれども思った以上に取引が発展しないというのか売り上げが伸びないということで、条件変更というのも物すごい多いんです。私も、仕事、ほとんど個別で相談を受けて、こういう、一生懸命にお支払いもしているし、残念ながら、計算どおり、月金利、元利を含めて二百万円であったら、何とかこれを半分にしてくれとかいうような、そういう話で個別でやるわけですけれども、今回、ようやく借りかえ制度というのが政府系金融機関でできました。
 私は、これをファクス通信ニュースということで、皆、会員のところにこれを全部、この中身について送りました。そうしたら、すごい反響で、もういつもこのことについて問い合わせがあるわけです。これは非常に喜ばれていますし、助かります。御存じのように、やはりデフレということで売り上げが伸びないということがあって、その中で、やはり条件を変更して、そして二百万円のものを今回百万円でできる、あるいは期間も長くなる、こういうことで非常に喜ばれております。
 つきましては、もう時間がないということですので、このことについてどうしても、窓口は銀行なんですね。そして、後ろを保証しているのは政府系金融機関ということでありますので、まだまだ銀行等を含めて周知徹底されていないということがあろうかと思いますので、そのあたりちょっと、金融含めて。
桜田大臣政務官 中小企業が行っております貸し渋り実態調査によると、本年二月でも、企業への貸し出しが厳しくなったということは二六・九%で、大変厳しくなっておるところでありますが、この制度、非常に好評でありまして、借り入れ、保証借入金について、中小企業の返済を軽減する意味でも、非常に業者から喜ばれているところであります。
 簡単に、時間がないので言いますけれども、本制度が二月十日から取り扱ったところ、たった二週間の間で四千五百四十七件、六百六十三億円となっておりますので、これが非常に普及すると思います。
 以上であります。
谷畑委員 もう時間がありません。どうもありがとうございました。お呼びして申しわけなかったと思っています。済みません。
村田委員長 福島豊君。
福島委員 大臣、副大臣、政務官の皆様、大変御苦労さまでございます。
 日本経済の現在の長期にわたる停滞の原因は、幾つも指摘されているわけでございます。先ほども大臣、御指摘ありましたように、不良債権の問題、そしてまた過剰な生産設備の問題、デフレも大変大きな問題だと思います。その中で、私は、本日は日本企業の競争力ということについて申し上げたいと思います。
 日本企業の競争力は、実際のところ、八〇年代から徐々に低下をしてきたんだ、こんな指摘があるわけでございます。経済の環境が悪いということも大変大きな経済の停滞の原因でございますけれども、その中で、企業の競争力というものも同時に一つの原因として働いてきたんではないか。
 数年前に、マイケル・E・ポーターさんという方がキャン・ジャパン・コンピート、こういう本を出しました。邦訳もございます。その中で、私、びっくりしましたのは、日本が輸出している千六百十八の産業の中で、九〇年より前と、そしてまた九六年と比較をすると、輸出シェアが増大しているのはわずか百六十六で、減少しているのが千二百五十である。ですから、ほとんどの産業分野において輸出のシェアというものが減少している。そして、増大をした産業、その中身を見てみると、例えばスクラップ用、リサイクル関連用素材産業といったような、ある意味で、新しく産業を引っ張っている、そういうリーディング産業とは余り言えないようなものが増大をしているという指摘があるわけでございます。
 通産省、そしてまた現在の経済産業省は、日本企業の競争力をどうやって高めるのかということについてこの数年間取り組んできたと私は思いますし、今国会で提出されます産業再生機構法、この産業再生の問題も、単に不良債権の処理ということだけではなくて、どうやって産業構造そのものをリストラして競争力のある企業というものをつくっていくのか、そういう視点が一方では大変大切だと思うわけでございます。
 そこで、まず初めにお聞きをしたいのは、日本企業の競争力というものは現状として一体どうなっているんだろうか。九〇年代、そして二〇〇〇年代に入りましてさまざまな取り組みがなされてきたけれども、果たしてそのことは日本企業の競争力というものを変えてきたんだろうか。この点についての現状認識をお聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 我が国の産業というのは、個々の産業ではまだまだ高い競争力、技術力を持っている、こういうことは言えると私は思っております。総体としてみますと、やはり失われた十年というようなことがございまして、欧米に対しておくれが出ていることも事実でございまして、私は必ずしもそれは正確な順位じゃないと思っておりますけれども、例えば、IMDなんという一つのデータでは、かつて日本の企業の国際競争力というのは一位、二位というのをずっと、それが当たり前だったんですけれども、三十位というようなところに如実にこれは象徴されているんじゃないか、私はこういうふうに思っております。
 やはり、これは失われた十年の中で、一つはバブルに酔ってしまって、本来、例えば日本は物づくりですけれども、そこのところを怠ってしまって、大分そこに油断があったということも背景として言えると思っております。
 ですから、そういう中で、私どもは、やはり潜在力がありますから、これをやはり取り戻すということが非常に必要なことだ、こういうふうに思っておりまして、実は、一昨年の十一月から省内に、経済界の方々、学識経験者、集まっていただきまして、産業競争力戦略会議、こういうのを立ち上げまして、約半年間、かんかんがくがく皆さんから建設的な意見を出していただいて、そして今後市場の拡大が見込まれる、そして日本もここで大いに力を発揮できる重点四分野というものに絞らせていただきました。
 一つは、今ちょっとお触れになりましたけれども、これから二十一世紀は環境の時代と言われておりますけれども、環境・エネルギー、それに、今一段落していますけれども、これから成長が見込まれるIT、さらには非常に大きな市場性があるバイオ、それから日本の得意なナノテクノロジー・材料、こういったところを集中的にやはりやっていかなければいけない、こういう形で、これも経済財政諮問会議の中で、日本の重点項目として、これからいろいろ税制の問題ですとか、いろいろなことで集中的にやっていこう、こういうことです。
 それからもう一つは、産業再生法のことについてお触れになられました。
 確かに、産業再生法というのは、企業の再編ですとかそういうことだけじゃなくて、やはり、我々としては、有用な技術だとか人材、こういうものがある分野に集中をして、そこで競争力ができるように促すことがこの改正でも必要だ、こういうふうに思っております。私どもとして、我が国の世界最先端の製造開発拠点化をするために、例えばその中で、実証の第一号機に対する設備投資減税、こういったものも盛り込まさせていただいて、こういった今御指摘の日本にとっての大きな問題点、ここを克服して、さらに競争力を高めるために全力を挙げていかなければならない、こんなふうに思っているところでございます。
福島委員 ただいま大臣から、現在の取り組みについて御説明がございました。全力で取り組んでいただいていることに対して敬意を表したいと思いますし、そしてまた、今国会で提出をされております税制改正、研究開発税制について大胆な見直しをしていただいた、このことも大変喜ばしいことであるというふうに思っております。
 そこで、四分野というものを定めていろいろと検討してきたということでございます。私の地元は松下そしてまた三洋の本社がございますけれども、中小企業の悩みというのは、一つは資金繰りの問題、当然ございます。と同時に、大企業がグローバルな経済の中で競争力を高めようと思えば、製造拠点の最適立地というものを図らなければいけない。どんどん空洞化が進んでいる。このことは、当該企業にとっては競争力を高めるためにはこれは不可避である。しかしながら、一方で、残された中小企業、一緒に出ていく場合もありますけれども、そうでない場合も多々あるわけでございまして、どうやってこの中小企業をこれから支えていくのか。単に保護的な施策だけでは、これは十分ではない。むしろ、そうした中小企業が十分にその能力を発揮できるように、国内における新しいリーディング産業というものをどう育てていくのかということではないかと思います。
 重点四分野に注力してきたというお話でございますけれども、この数年間、この四分野の市場というものはどの程度拡大をし、そしてまた、そのことが日本の国内の製造業にとってどの程度のプラスの影響を与えてきたのか、この点についての御認識。そしてまた、大学発ベンチャー一千社、これは十四年度の予算の中で大臣が大きな目玉として盛り込まれたものでございますけれども、こうしたものが実を結んでいくと、国内のさまざまな形での中小企業がまた生きていく道ができると私は思いますけれども、この進捗状況について御説明いただきたいと思います。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 ライフサイエンスの関連産業の成長の動向につきましては、関連産業の市場規模は、二〇〇一年で推定一・三兆円でございます。そして二〇一〇年には、これが二十五兆円程度に成長することが展望されております。また、雇用結果として、二〇〇一年で関連産業は七万人が従事しておりますが、二〇一〇年には百万人を超えるということが推定されております。
 また、IT分野の産業の成長の動向につきましては、IT産業の市場規模は、二〇〇〇年で約六十四兆円でありますが、一九九五年から年平均五・九%で成長しているところであり、二〇〇一年のIT不況でそのペースは一時低下をしましたが、今後、我が国の経済成長を上回るペースで成長することと想定されております。また、雇用につきましては、二〇〇〇年で二百二十四万でありますが、一九九五年から年平均一・〇%で成長しているところでございます。
 また、ナノテクノロジー分野の産業の成長につきましては、市場規模で、二〇〇〇年には四・八兆円程度が二〇一〇年には二十兆円に達すると予測されております。雇用規模につきましては、二〇〇〇年においては十三万人程度でありますが、二〇一〇年には五十二万人程度に達すると予想されております。
 また、環境分野の産業の成長の動向につきましては、平成十四年の六月に産業構造審議会の報告書において取りまとめられたとおり、我が国の環境産業は、一九九八年時点の市場規模が四十八兆円でありますが、そして雇用規模が百三十六万人であります。それが二〇一〇年には、それぞれ六十七兆円、百七十万になると予想されているところであります。
 以上であります。
中村政府参考人 委員の御指摘がありました大学発ベンチャーにつきましては、大学の研究成果を活用して新規産業創造を図るという観点から、平成十三年に、平沼プランにおいて、十六年までに一千社つくるというベンチャー一千社計画が提唱されたわけでございますが、現時点において見るところ、十三年には二百六十三社であったものが昨年八月の時点では四百二十四社ということで、大幅に増加してきております。この傾向が定着すれば、十六年までの一千社ということは十分視野に入っているというふうに考えます。
 引き続き、関係省庁と連絡しつつ、産学官連携を強力に推進して、大学発ベンチャーの創出を支援してまいりたいというふうに考えております。
福島委員 もう時間が終わってしまいましたので意を尽くせませんが、ポーターは、日本は競争できるとその著書の中で述べております。私もそう思います。そして、未来に向かって競争しようというふうに自信を持って取り組んでいくことこそが、この十年の停滞を打ち破る最大のかぎだと思いますので、ぜひ、大臣を初め経済産業省の皆様には頑張っていただきたい、そのようにお願い申し上げまして、終わります。
 ありがとうございました。
村田委員長 金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。
 今、大変厳しい経済情勢の中でございまして、中小企業の方々は大変頑張っているというのが実際のところだと思います。そうした中で、大臣も、副大臣、政務官の方々も御案内だと思いますけれども、日本の中小企業の方々の声で今一番大きいのは、なぜ大企業だけが救われる、これは、大型の債権放棄とかいろいろな形で大企業が救済される、そこに公的資金が銀行を通じて入っていくというようなことで、中小企業には何をやってくれるんだという声が大変大きい声になっていることは、これは事実でございます。
 そうした中で、今般、先ほども質疑の中で取り上げられておりましたが、経済産業省の方におきましても中小企業対策として力を入れるというようなことで、補正予算あるいは本年度の予算におきましても、金融セーフネット、再生支援というようなこと、先ほど話がございました。私も、これは大変いい制度であるというふうに思っているわけでございますけれども、もう一度だけちょっとお聞きしたいと思いますけれども、今月の十日から取り扱いが開始されているわけでございますけれども、現在までの要望状況の数字だけを教えていただきたいと思います。
西川副大臣 数字は、まず二月十日からの最初の一週間で八百六十四件、百十九億円という好調なスタートでございましたが、さらに一週間重ねまして、累計いたしますと、先ほど桜田政務官からも御答弁を申し上げましたとおり、既に四千五百四十七件、金額で六百六十三億円という急な伸びを示しております。
金子(善)委員 ありがとうございました。それだけ中小企業の金融、逼迫しているということを反映しているんだろうと思います。
 そこで、特に民間金融あるいは公的金融、両方あるわけでございますから、本来であれば金融全般にわたってそうあってほしいと思うわけでございますけれども、特に制度金融、例えで申し上げますと、中小企業金融公庫の一般貸し付けでございますと、その貸付期間でございますけれども、十年ないし七年というようなことが実際の形になっております。
 民間金融機関の場合でございますと、これももっと短くなるというようなケースもかなりあると聞いているところでございますけれども、私は、今の商売と申しますか経済状況の中で、なかなか返済を、キャッシュフローベースで見た場合にきついというのが現実のようでございまして、言ってみれば、返済のためにまた借り入れしなきゃどうしようもない、税金を払うためにも借り入れしたいんだというような声も非常に多いわけでございまして、デフレの時代と成長がある程度ある時代とは、やはり返済期間というものは変えていかなきゃならないんではないか。そういうことで、これは、制度金融あるいは民間金融含めて、特にそういう形でお願いしたいと思うんです。
 特にそこでお聞きしたいと思いますけれども、副大臣、保守新党の先輩でございますけれども、第一点は、返済期間の長期化、これにつきまして、どのような方針で今後臨むお考えでいらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
西川副大臣 この制度は、御案内のとおり、セーフティーネット融資に切りかえることによって、十年間ということが原則になっているわけでございますが、先般、年度末を控えて金融繁忙期でございますから、中小企業の倒産や資金繰りの苦しい現状にかんがみて、全銀協初め地域金融機関の代表者等々に金融庁にお集まりをいただいて、政府側から竹中大臣、当省平沼大臣のかわりに不肖が出席をさせていただきましたが、要望をさせていただきました。そういう中で、また金融機関側からも、ただいま金子議員からの御質疑に沿ったような御要望も寄せられました。したがいまして、本制度は原則として十年でありますけれども、柔軟に取り組むという姿勢を堅持してまいりたいと思います。
 それから、ついでに申し上げますと、金利の点につきましても、この問題は政府系金融機関も含めて協力をしてもらうわけでありますが、保証がきちっとできる貸し倒れリスクの極めて低いものでございますので、金利はもう相対で決めてもらうのが本来のものでございますが、そういう性質にかんがみて、金利も、中小企業側の要望というものをよく理解して、柔軟に対応できるように、金融庁を通じて金融機関に私ども要求をしてまいりたい、このように考えております。
金子(善)委員 まさに私がお願いしたいというような線で今後進められるということで、大変力強く思う次第でございますけれども、確かにこの金利の問題についても、今のいろいろな状態を聞いてみますと、条件変更の中で金利を上げられているとか、そういう話も非常にございますし、借りかえ制度のこの場合でも、多少、民間金融機関との取引の中で金利が上がるというようなケースもかなりあるというふうなことも聞いておりますので、適切な措置をぜひともお願いしていきたいと思います。
 そこで、もう一点でございますけれども、税制との関係ということも少し考えていかなきゃならないのではないかと思いますのは、例えば税法上の耐用年数、減価償却との関係で、必ずしも実体経済と合わない税制。先ほども申し上げましたように、経済成長が順調なときとデフレの状況の中では、例えば一例で申し上げますと金型。金型なんかは、税法上は二、三年の減価償却でいくわけでございますけれども、実際に使うのは、物によっては五年ぐらい使うのもあると。経済が成長しているうちは償却期間が短い方がいいというようなケースも当然考えられるわけでございますが、こういう今みたいな経済状態の場合ですと、企業経営上、必ずしもそれがプラスにならない。
 そういうようなこともございますので、税法上、その辺を弾力的に取り扱っていくべきではないかというふうに思うわけでございますけれども、その点、いかがでございましょうか。
石井政府参考人 今先生から御指摘がございましたとおり、例えば金型については、現在、税法で耐用年数が二、三年というような規定がございます。
 これは、改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、税制上の減価償却制度、これはいわば期間損益を適正に計算するという観点で、使用期間にわたって費用配分を平準化していただくという観点から決めているわけでございます。減価償却がどのような方法によって実施されるかによりまして所得が大きく違ってまいりますので、税法ではきちんと耐用年数なり償却の方法を決めているというのが実態でございます。
 その前提で、個々に決まっております耐用年数につきまして、これは今先生も御指摘がございましたとおり、必要に応じて見直しを行うということは、経済社会の状況の変化に応じてやっていくべき事柄であるということはそのとおりであろうとは思います。
 したがいまして、その期間配分が適正に行われるという観点から、税法の観点から、使用実態とかあるいは同一資産内の耐用年数のバランスですとか、そういうものを勘案しながら適正化を図っていくということは必要なことであろうと思っております。
金子(善)委員 今、いわゆる企業経営上の期間損益というような表現で使われたわけでございますけれども、これはやはり経済の情勢によってかなり違ってくる側面がある、これはあることは間違いないと思うんです。そういう点につきまして御要望を申し上げておきたいと思います。
 最後になりますが、時間も参りましたので、大臣の中小企業金融という観点からの決意のほどを表明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
平沼国務大臣 日本には今五百万ぐらい企業の数があると言われておりまして、そのうちの九九・七が中小零細企業、こう言われています。言ってみれば、この国の経済の基盤を支えていただいているのが中小企業でございますから、こういう厳しい中で私ども中小企業対策というのをしっかりやっていかなければいかぬと思っております。
 今、民間金融機関がなかなか厳しい状況なわけでございますので、私どもは、政府系金融機関を動員してきめ細かな対応をして、この国の経済の活性化のためにさらなる努力をしていかなければならない、このように思っております。
金子(善)委員 ありがとうございました。
村田委員長 小沢鋭仁君。
小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。大臣所信について質疑をさせていただきます。
 私は、きょうは大変元気がなくて、実は、声も出ないんじゃないかというくらい元気がないのであります。理由は、いわゆる日銀人事がああいう形に決まったということで、もう心底がっくりしておりまして、本当にもう、道を歩いていてもよろよろしているわけでありますが。
 そうした冗談はさておき、大臣所信の一番最初の、冒頭にもデフレの話が書かれておりました。先般の、私が最初に臨時国会でも所信に対しての質疑でそれをさせていただきましたので、もうよそうかなとも思ったんですが、そしてまた、小沢がマイクの前に立つとデフレの話しかしない、こういう話も最近あるので、と思ったんですが、大臣の所信の冒頭にもあることですし、仲間の議員からも、それは得意わざだからぜひやれ、こういう勧めもあって、デフレの話を最初、マクロ政策としてお尋ねします。
 質問通告で大臣にもお願いをしておきました、この間本会議でも申し上げました、私が申し上げていたような話を、ある意味で体系的に、あるいは歴史的に非常にうまくまとめられた名著で、竹森俊平さんの「経済論戦は甦る」という本が、昨年十一月ですか、出版をされました。
 その論旨を、そんなに細かく申し上げるわけにはいきませんが、一言で言うと、構造改革とデフレの問題と二つ問題があって、そして構造改革の問題が我が国において必要ないという話ではないけれども、今はデフレの状態が極めて深刻で、経済に大きな影響を与えているので、ここは分離してデフレ対策をきちっとやるべきだ、それが大恐慌あるいはまた我が国の昭和恐慌からの教訓であって、そしてまた経済学のいわゆる主流であって、デフレ対策に関しては、強力な金融政策、金融緩和あるいはデフレ論をしっかりとやることが必要だ、大きく言えばこういう論旨であります。
 先ほどの他の委員の話にもありましたように、デフレの問題に関しては、かなり議員の仲間の中にも共通認識が出てきているようであります。本会議場で、私、デットデフレーション理論という話を申し上げましたが、一言で言うと、物価が下がっていく中で企業が過剰債務を抱えている、それはどこかの時点でぱんと破裂して、そして倒産あるいはそれに伴う失業が起こっていく、その繰り返しが今の日本企業の最大の問題なのだということの認識はかなり共通なものとして出てきていると思います。
 しかし、では、その認識はあるにもかかわらず、それへの対応はどうするかといった話は、さっき申し上げましたように、経済学が現在考えているところは、金融政策が主役でなければならないということでありまして、そしてその主役は、日本の公的セクターでどこが負っているかというと、日銀になるわけであります。そして、政府の方から日銀に対して過去何度も、例えば金融緩和論の具体的施策として国債の買い上げ額の増額等を申し入れているにもかかわらず、日銀はそれを拒否し続けているわけです。
 もっと言うと、今回の決まりました福井さんは公の席で、金融政策でデフレはとまらないという発言をしている方であります。そういう方が何でまさにその役割の最高責任者になるのか。小泉さんが、一言で言うと全く経済がわかっていないからだとしか言いようがないと私は思います。
 そして、もっと言いますと、この暗い速水さんの時代、速水さんは、小泉さんが総理になったときに辞表を提出したのかしないのかわかりませんが、そういう辞意を漏らしました。小泉さんは速水さんを慰留して、そして総裁を続けてもらいました。それが今の結果です。さらにこれから五年間、いわゆる金融政策でデフレはとまらないと言っている日銀総裁が生まれるわけでありまして、私ががっくりきているのはその点であります。海外の報道を見ても、昨日付でイギリスのフィナンシャル・タイムズが小泉の憶病と題した社説を発表しています。全く強い失望を示す社説であります。
 今申し上げたような、大臣、このデフレ対策という話で、構造改革は必要だけれども、しかし今当面はまずデフレなんだと。申し上げたような話をしっかりやるということに関しての共通認識が政府にあるのかないのか。私流に言わせていただければ、構造改革という手術をするためには血圧をまずもとに戻して、金融政策で血圧を戻して、そして構造改革、手術をやらなければ、血圧が下がっている患者にぐさっとメスを刺したらだめだというのがやはり大方の意見だろうと思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 小沢先生の本会議での代表質問のとき、竹森俊平先生の著書をひもといてのお話も私承らせていただきましたし、シュンペーターとフィッシャーとの二つの理論、それについても興味深く私聞かせていただきました。
 デフレ克服には金融政策というものが非常に大きな意味を持つ、こういう認識は私も持っております。しかし、金融政策だけでも、これは今おっしゃったように、それだけがすべてを解決するとは私は思っておりませんで、あらゆる政策を動員してこのデフレという、ある意味じゃ悪魔を退治していかなければならないと思っています。
 そういう中で、日銀の人事について、非常に元気が今ない、こういう御指摘がございましたけれども、今度総裁に予定されておられる方もそういう評価は一面あるかもしれませんが、テレビなんかの一つのインタビューなんかを見ておりますと、例えば、私がテレビで見ていたら、インフレターゲティングなんかも一つの選択肢であるというようなコメントも言っておられますし、また、副総裁人事も同時に行われておりますけれども、そういう布陣を考えますと、私は、やはりしっかりした金融政策はやってくれるのではないかなという期待を持っています。
 そういう意味で、これから政府の中で金融政策は非常に大きな柱になると思いますけれども、私は、小泉さんは柔軟かつ大胆に対処すると言う中で、昨年の秋を考えても、例えば三十兆円の枠と、それから補正予算は絶対やらない、こう言っていた中で、やはり血圧が下がったときにはそういう一つの上げる方向もやらなければいかぬ、こういう形で三兆円の補正予算、それから政策減税も盛り込んで、どちらかというと血圧を上げる、そういう政策もとったわけでございまして、私も、そういう意味では、記者会見等でも補正予算はやる必要があるんじゃないかというようなことも言わせていただきました。
 そういう中で、私どもとしては、今こういう厳しいデフレの状況の中で、これを政府一体となって解決していく、そういう意味では、金融政策というものがメーンであり、そして、あらゆる政策を動員してやっていく、こういうことで閣内は一致しておると思いますので、そういう形で私も、微力でございますけれども、全力で頑張っていかなければならないと思っています。
小沢(鋭)委員 閣内が一致しているという大変心強い言葉をいただきました。ぜひそれをまたイニシアチブをとっていただきたいし、ただ問題は、日銀というのはいわゆる中央銀行の独立性というものがあって、政府からの申し出に対してすべて突っぱねていても、いわゆる政策過程の公開をきちんとしていれば責任は問われないというのが現行であります。でありますので、そこをどうやってやっていくかというのは物すごく重要だと思いますので、どうぞ頑張っていただきたいということ。
 それから、ついでに一言申し上げますと、私は、今の不況のもとではデフレと債務が問題だと言いましたが、もう一つあるとすれば、前回も申し上げましたように、国民マインド、あのときはエクスペクテーション、期待と言いましたが、国民マインドでありますから、そのシンボルが日銀総裁だったんですね。国民マインドを変えていくということの、それができなかったということ。
 それから、インフレターゲティングの話に触れられましたので、これも同僚の先生方ももう御理解だと思いますが、テレビ等を見ていますと、金を垂れ流してインフレにしていく、こういうことをコメンテーターなんかが言うんですね。そうではない。ここに表がありますが、世界のフロート制をとっている国のほとんどが、いわゆるインフレターゲティングを採用しているんです。いいですか。
 ですから、これは一定の物価のゾーンの中におさめていくという話で言っているわけで、調整インフレとインフレターゲティングというのは全く異なっている政策でありまして、もう世界じゅうのフロート制をとっている国はほとんど採用しているその話が、余りにも、金を垂れ流してインフレにしていく、そして富の配分を変えていく、いわゆる調整インフレと言われているものの話と混在していることをちょっと御指摘しておきたいと思います。
 済みません、余計なことを申し上げました。質問に戻ります。
 産業再生関連で大臣にお尋ねを申し上げます。
 あの本会議でも申し上げましたが、かつてはその産業再生のときに、旧通産省はビジョンを持っていました。いわゆる特振法のときなんか、自動車、鉄鋼、石油化学、そういったところはとにかく変えていくんだ、こういうふうに変えていくんだというビジョンを示しました。今回はそういった話が余り感じられません。いわゆる市場原理、民主導、こういう話なのかもしれませんが、しかし、いずれにしても、やはり私は、そういった産業構造の目指すべきビジョンというのは必要だと思いますが、大臣にその点をお尋ねしたいと思います。
平沼国務大臣 今、かつての特定産業振興臨時措置法案、このことについてお触れになられました。確かに、重化学工業化の流れの中で、規模の利益の追求を目指して産業の競争力を向上させなければならない、そして、その規模の利益の追求を目指して、そしてさらに、合併の課税の特例とか、あるいは合理化のための共同行為等の支援措置を講じよう、そういう形でこの措置法ができました。
 今般の産業再生法改正案におきましても、過剰供給構造の解消を課税の特例や商法の特例等によって支援するという点では共通点がございます。
 その一方で、ビジョンというようなことを言われましたけれども、大きな違いというのは、かつての特振法が共同行為という形で業種をぴしっと指定しまして政策の展開を図っている点。かつて発展途上にこの国がありまして、その開発経済に当たった我が国におきましては、成長産業と衰退産業というものが非常に明確だったわけであります。業種単位で特定の成長産業というものを振興して、そして衰退産業を円滑に縮小していかせる産業構造調整を行うことは、そういう意味では、政策的に意義があって、また非常に目に見えやすい、そういう形であった、こういうふうに思っております。
 しかしながら、現時点を考えますと、産業が非常に高度に発展を遂げておりまして、そして、市場もあのころに比べると大変成熟度を増しております。現状においては、自動車あるいは家電に代表される既存産業が衰退をしているというわけではございませんで、例えば低公害車ですとかIT家電などの主力となる市場と業態を多様に変化させながら、この多様化の時代に企業自身も合わせて変化を遂げていく、こういう努力をしているわけであります。
 問題は、産業単位で成長産業と衰退産業があるということよりは、むしろ、それぞれの産業の中で企業間の優劣が明確になっておりまして、劣位にある企業においては、不採算部門からの撤退と、得意分野がありますからその得意分野への経営資源の集中が必要となる、こういうニーズができております。
 ですから、そういう観点の中で、一部の事業の中に供給過剰構造が生じているため、そのために全体の経営資源が有効に活用できていない、こういう問題点があるわけでございますので、今回の産業再生法の抜本改正に当たりましては、個々の企業における経営資源の構造調整に一番着目をいたしまして、これを円滑化するための措置を講じて、個々の企業の中に選択と集中を促すとともに、新たに共同事業再編計画といういわゆる支援類型を設けまして、企業間の壁を超えた事業再編を促すこと、これが産業再生として望ましい、こういうコンセプトに基づいて図ることにいたしております。
 確かに、御指摘のように、かつてのようなどんどん伸びていくときとは違って鮮明ではございませんけれども、今るる申し上げたようなコンセプトの中で、この多様化の中でやはり活力を持たせていかなければいかぬ、こういうコンセプトでやっていく、こういうことでございます。
小沢(鋭)委員 いや、今の話はすごく説得力があって、よくわかりました。ただ単にビジョンというような話ではない、新しいコンセプトが確かにあるんだな、こういうことは確かでありまして、ぜひまた法案審議の中で深めさせていただきたい、こういうふうに思います。
 話題をかえさせていただいて、「もんじゅ」判決に伴う原子力政策の話をさせていただきます。
 まず、今回の「もんじゅ」判決、私どもも、どうとらえるのかということで、いろいろな議論を党内でもしてまいりました。きょう、実は午後に結論を出しますけれども、その過程で私が強く感じましたのは、一言で言うと、やはり原子力行政、あるいはまた原子力事業と言ってもいいんでしょうか、今は違うと言うかもしれませんが少なくとも「もんじゅ」のあのころの話、今は違うでもないんですね、前回はまさに東電のデータのいわゆる改造問題が起こりましたから。
 要するに、一言で言うと隠ぺい体質なんですね。まずいことをできるだけ隠す、とにかく推進するという、推進のための話はいっぱい出すけれども、まずいことはとにかく隠すという話がいろいろありました。細かい話はまた別の機会にしますが、高温ラプチャーの実験データの報告などというのが途中からされなくなっているとか、そういう話にも私どもも接して、強くそれを認識したところであります。
 こういった話がやはり信頼感を一番失っているということでありますが、大臣の指導、そこの御意見を承りたいと思います。
平沼国務大臣 原子力行政を行うに当たっては、私は、もう安全性というものが本当に第一義だと思っています。この安全性をいかに担保するか、このことが政策の柱になっていなければならないと思っています。
 同時に、安全性を担保する、そしてもう一つは、国民の信頼をいかに得るか、こういうことに尽きるわけでございまして、そのためには、行政の透明性をいかに確保して、そして説明責任をしっかりと果たす、このことが重要だと思っています。今回の東京電力の一連の不正の問題に関しても、こういったところが非常に欠けていた、そのことが国民の不信を大変高めてしまった、こういうふうに思っています。
 ですから、そういう意味では、私どもというのは、確かに御指摘のように隠ぺい的な体質があったということは事実だったと思っておりますので、反省の上に立って、やはり説明責任を果たすことと、それから透明性をいかに向上させるか、こういう形で、例えば、いろいろ御提案をいただく、そういった形に対しても、その提案に対していわゆる申告をちゃんと受ける制度をつくりまして、そしてオープンにするという体制もとらせていただきましたし、またさらに、そういったことが起こらないように、国と事業者とのそういう関係も強化をしながら、ある意味では罰則規定も設けて、そこのところをしっかりしながら安全性と信頼性を担保する、このことを我々としては全力を尽くしてやっていこう、こういう形で、電気事業法も、それからいわゆる関連の法律も改正をさせていただいたところでございます。
小沢(鋭)委員 今の御答弁で結構でございますが、ぜひ本当にそこを深刻に受けとめてもらって、本当にやっていただかないと、私ども民主党も決して原子力発電反対という話ではないのであります。しかし、そういったことが積み重なると、結局国民はそれを不安に感じ、そしていわゆる世論は変わっていきます。そうした話になったらもう本当に取り返しがつかなくなりますので、そこのことのいわゆる対応をしっかりやっていただきたいとお願いするわけであります。
 それと同時に、原子力発電というのはやはりあくまでも過渡的なエネルギーの一つだ、こういう認識も大変強いわけであります。そういった意味では、新エネルギーという話を頑張っていかなきゃいけない。ドイツなどは、それを盛んに提唱しているわけですね。私も、新エネルギー、いいじゃないかと思って数字を見てみたら、まだ日本のエネルギー全体の一%ぐらいですね。二〇一〇年の目標を見ても、たかだか本当に三%ぐらいだったですかね、という話で、これで新エネルギー、頑張っているという話にならないんだろうと思うんですね。そこはいかがでしょうか。
西川大臣政務官 今新エネルギーの話がありましたが、確かに、一%、こういう状況で進んでいるわけですね。それで、太陽光にしましても風力発電にしても、自然条件が克服できなければなかなかだめだ、こういう話もありますし、発電単価も、調べさせましたら、非常にまた高い。こういう状況もありまして、二〇一〇年に三%にするように最大限の努力をしていく、こういう目標を持っています。
 ただ、地熱とか水力発電とか、もう一度見直して再生可能な部分を取り出せば七%も実現できる、こういう目標も持ってしっかり今やっておりますので、確かに、位置づけが、まだ基幹エネルギー、こういうふうにはなっておりませんけれども、しっかりその辺を対応していきたい、こう思っております。
 また、昨年の通常国会でありましたけれども、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の中で、新エネルギーをぜひ取り入れてくれ、こういうこともお願いしておりますので、それらをあわせてやっていきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いします。
小沢(鋭)委員 できれば、二〇一〇年の目標をもう少し大きなものに切りかえていくとか、そういった話にして、ぜひこの新エネルギーにも精力的にやってもらいたい。
 確かにコストは高いのかもしれませんが、逆にそれが、一つの新産業としてとらえれば、また、地球のこれからの持続可能な成長ということに関してはもう不可避な話でありますから、それはコストをかけていくだけの価値は逆にあるのではないかな、こういうふうにも思うわけでありまして、そこはそうした要望を申し上げておきたいと思います。
 さらに、これはまた繰り返しになりますが、先般の臨時国会でも、我が党は、不正問題等に関連して、原子力安全規制委員会の設置法案をこの国会に出させていただきました。これは、推進とそれからチェック、規制、この話が一元化、混在しているのはおかしいということで、それを分離してきちっとやっていくべきだ、こういう基本的な考え方に立つ法案でありますが、残念ながら、さきの国会では、議論をしていただくことなく廃案になりました。
 やはりここまで来ると、大臣、ぜひ私どもは成立をさせたいと思いますが、成立までいかなくても、一回まず議論だけはしてみようというくらいの決断をしていただけないものでしょうか。もう一回、今国会、私どもは出す方針でいます。どうですか。
平沼国務大臣 御提案の原子力安全委員会を三条委員会にする、このことは私どももよく承知をしております。
 これもさきの臨時国会で御答弁をさせていただきましたけれども、私どもの基本的な考え方というのは、中央省庁再編に伴いまして原子力安全・保安院、これをつくる、そして安全性をチェックする、そのときにいろいろ議論をさせていただきました。
 これも小沢先生もよく御承知のことでございますけれども、やはり一方においては原子力の発電を推進していかなければならない。そうすると、その推進していくサイドが安全については全く蚊帳の外ということでは、本当に、ぜひこれを推進してくださいということで立地県のところにお願いに行くに当たって、そこのところが全く責任持てない体制ですと、これはやはり、ある意味では責任をとらないことにつながるのではないか。そういう意味で、ダブルチェック体制という形で、まず原子力安全・保安院でやり、そしてさらにダブルチェックで原子力安全委員会を内閣府の中に置いて、そこでやる。
 しかし、御指摘のように、いろいろそういう不祥事ができました。そこで、この前の臨時国会の中で法改正もさせていただいて、そこを強化する、こういう形にさせていただいたところでございまして、国の基本的な考え方はそれにのっとっておりますけれども、民主党さんからの御提案、これもあるようでございますので、私どもも、再度しっかりとそこは検討をさせていただきたい、このように思っております。
小沢(鋭)委員 半歩前進したかなという程度かな、こう思いますが、いずれにしても、ただ、大臣のおっしゃった話は、基本的なコンセプトという意味では違うんですね、基本的なコンセプトというのは違うわけですね。ですから、そういう意味でも、そこを本当に一回法案を前にして議論をさせていただきたい、改めて御要望を申し上げておきます。
 そうしませんと、前回も申し上げましたが、安全性に対する最高責任者というのは一体だれですかと言ったときに、大臣は、私だ、こうおっしゃったわけだけれども、やはりそれは、事業をされている方からしてみたら、あっち向いたりこっち向いたりとか、要は、そこがやはりはっきりしていないんだと思いますよ。ですから、今回の、特に「もんじゅ」の場合には研究炉ですから、今度文部科学も出てくる、こういう話もあって、そういった意味で、やはりその安全性に関しては、少なくとも一元化するという話は大事だという点を申し上げておきたいと思います。
 それから、また話題をかえさせていただいて、中小企業の話を一言お尋ねしたいと思います。
 今回の再生法関連の中で、中小企業対策ということで、再生協議会を設けるという話が出ております。これも、本会議でも申し上げましたが、現場にいる方たちは、これはどこまで本当に役に立つのかということを言っております。いわゆる倒産防止対策費を積み増ししてもらった方が具体的でありがたいんだよ、こういう話なんかもあります。
 最大の問題は、ここの組織は強制力がないですね。ですから、例えば、金融全体としてつくった計画があって、そこでやはり新しい資金が必要だという話になっても、金融機関がしり込みしちゃったらおしまいなんですね。そこをぐっと引きつける担保が本当にあるんだろうかということでありまして、それがないと、いわゆる絵にかいたもち。
 私は、大人と子供の一番大きな違いは、子供というのは、あれもやりたい、これもやりたい、大人というのは、だけれども、今の財布の中身を考えてみると、ここまではできるけれどもこれはできないねとか、これが大人と子供の基本的な一番大きな違いかなと日ごろ思っているんですが、政策も同じですよね。あれもやる、これもやると言っていても、本当にやれるかやれないかという話のときに、そこの場合にファイナンスがつくかつかないかというのはすごく大きい。現実的かどうか。ここの担保はどうでしょうか。
杉山政府参考人 ただいま先生御指摘ございましたように、地域の中小企業の再生ということに当たりまして、地域の金融機関の支援を得るというのは大変重要なことだというのはそのとおりだと思います。
 他方、私ども、実態調査をいたしますと、地域の金融機関にとりましても、融資先の中小企業が再生を図るということは重要な課題でございまして、いろいろ私どもの調査でも、こういった取り組みを各金融機関が強めているという動きもございます。
 こういった観点から、再生支援協議会におきまして、各地域の金融機関に重要なメンバーとして参画をいただいておりますし、また、それにあわせまして、各地域にあります政府系金融機関の支店の代表者もこれに加わっていただく、そして地域の民間の金融機関とタイアップをしていくというふうな格好をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
 先生、今、義務的といいますか、法律的なような枠組みで金融機関の協力という御言及がございました。私ども、地域の中小企業、いろいろな格好の、さまざまな、多様なニーズがあると思っております。したがいまして、法律等により一律にがちっとした格好で枠組みをつくるよりも、むしろ、ソフトといいますか、金融機関のいろいろな自主的な協力ができるだけ得られるような、そういった格好で進めるというふうなことがともかく効果的ではないかしらというふうに思っているわけでございます。
 ただ、いずれにしましても、私ども、金融庁等の関係機関ともよく連携をとりながら、地域の金融機関の適切な支援が得られるという格好での取り進め方というものに努めていきたいと考えております。
小沢(鋭)委員 もう元気がないので、これできょうは終わります。ありがとうございました。
村田委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 私は、不景気だから、元気を出すように頑張っていきたいと思います。
 まず、大臣の所信表明の中で、経済財政の問題や、あるいは景気の問題も触れております。その中で、やはり今、政府の経済運営そのものがある面では間違っているんじゃないか、そのように思うのです。なぜならば、やはり全体景気の中の消費というものが、景気対策には六割、こういうことでありますけれども、消費マインドが現実には起きるようなことに何もなっていない、こういうことだと思うんですよ。
 例えば、これは一つの試算ということで、健康保険料の引き上げの問題、あるいは医療費負担増の問題、さらには介護保険料の問題、雇用保険給付の問題、配偶者特別控除の問題、酒やたばこの問題を含めて、現実問題として消費拡大をできるような環境にない。こういうことを一方にやっておきながら、一方においては景気対策をやる。こういうことを現実に頭の中で計算していても何もできないと思います。まして、今度の経済再生の問題や再生機構の問題を含めて、なぜやるかということは、不況だからこそいろいろなことを含めてこの対策をやろうとしておりますけれども、一方ではそうしようと思いながら一方では不景気を拡大するようなことを、相矛盾したことを現実にはやっているわけであります。
 経済産業大臣が全部の責任とは言いませんけれども、あなたも経済戦略会議のメンバーですから、やはりそのことを発信していかなければいけないんではないかな、このように思いますけれども、まず最初にその考え方をお伺いします。
平沼国務大臣 私は、今先生御指摘のように、GDPの六割以上を占めているのが個人の消費、ここに火がついていないというのが最大の問題だということは田中先生と認識はともにしております。
 そして、では、なぜここに火がつかないか。一方においては個人の金融資産が一千四百兆もある、こう言われていながら火がつかないかというと、これは御指摘のように、先行きが非常に不透明だ。それからまた、これはある意味では経済産業省にも責任があるかもしれませんが、消費者にとって魅力のある製品、買いたい意欲を持つそういうものが余りない。家の中を見回してみれば、ほぼテレビ等すべて充足されている。ですから、そういう一つの中で、金は天下の回りものと言いますけれどもお金が回っていない、こういうことであります。
 私は、やはり中長期的にこの国の経済をどうやっていくかという視点は、この政治を預かっている立場としては必要なことだと思います。そういうことを考えますと、膨張し続ける例えば医療費あるいは年金、そういった問題でやはり将来のビジョンを示して、年をとっても、こういう備えをしておけば、今一部負担はしていただくけれども、こういうビジョンでちゃんと給付が受けられますよ、医療が受けられますよ、そういう多少痛みを伴うビジョンも示しておかなければならない。そういう観点で、御指摘の例えば医療費の問題、年金の問題、介護の問題、そういった一つの背景があるということはひとつ御認識いただきたいと思います。
 その中で、私も先ほど来の御答弁で申し上げたのですけれども、やはりマイナスだけではだめだから、元気が出る、血圧が上がるようなこともしなければいかぬという形で、補正予算も三兆円組ませていただいたし、政策減税もやらせていただいたし、また、今実際に中小企業の方々が困っておられますから、そういう中で借りかえ制度をつくる、そして皆様方に御協力をいただいて、そしてその補正予算の中で十兆円のセーフティーネット保証、貸し付けの枠をつくる、こういう形で精いっぱい努力をさせていただいているわけでございます。
 御指摘のとおり、やはり小泉内閣としては、将来の明確なビジョンと、国民の皆様方に納得していただく、こういうことを出すことは絶対に必要なことだ、私はこのように思っています。
田中(慶)委員 まず、経済に対しても国家戦略がない、はっきり申し上げて。それから、今のような、医療についても国家戦略がないんです、はっきり申し上げて。あなたが言われるように、将来の医療はこうなりますよ、このことを明確にした中で、そして安心をさせながら現実問題としての負担を求めるのであればいいけれども、負担が先なんですよ、やり方が。
 ですから、今度のデフレの対策もそうですよ。経済再生だと言ってあらゆる手段を総動員しながら、日銀と一体となってデフレを克服するというようなことを言っておきながら、一方には、はっきり申し上げて、貸し渋り、貸しはがし、助長されているじゃないですか。そうでしょう。
 あなたが言っているような、今までも予算委員会でもいろいろなことを述べられておりました。私もこの中小企業の問題を含めてさんざんやってきました。でも現実に、中小企業庁が一生懸命いろいろなことを次々と政策を打ち出す、いいことだと思うのですけれども、ところが、現場の、例えば国金も、きょうは財務省も国金も来ていますね、国金であろうが商工中金であろうが中小企業金融公庫、皆さんが考えていることと現場の動きは全然違う、スピードもなければ、はっきり申し上げて。貸し渋り、現実にやっているんですから。
 第三者保証の問題が今一番指摘をされている。なぜこれだけ自殺者が出るか、なぜ倒産が多いか。これは最終的に、中小企業が日本の経済を支えている、九〇%以上、ある意味で九九%と言っていいかもわからない。しかし、そこに対して具体的な政策の欠落がこうなってきていると私は思います。怒るかもわかりませんけれども、一生懸命やっている反面、しかし現場に届かないということは、そういうことだと思うんですよ。
 あなたが今言っているように、はっきり申し上げて、先ほど来、借りかえ制度の問題も、一方においては一生懸命やっているわけですけれども、一方においては民間金融機関はみんな金利を上げているじゃないですか。ちぐはぐのことを今現実に行われているんですよ。
 こういうことを含めて、本気で総動員をしていると言っていながら、総動員していたならば、現場はそういう動きじゃない。これをどう思いますか。
平沼国務大臣 確かに、きめの細かい対応というようなことが御指摘のように欠落していた面は、それは全国を調査するとあったと思います。私どもとしては、やはりそういったことが対応としてはまずいという形で、二月二十一日には、年度末対策としまして、各政府系金融機関に対して、窓口における親身な対応あるいは貸し出し手続の迅速化等適時適切な貸し出しの徹底はしっかりと要請をさせていただきました。
 そして、ちょっとお言葉に反論をさせていただくような形になりますが、例えば、特別保証制度で、あるいは一般のセーフティーネット保証、これを受けていただいた方、やはり非常に厳しい状況の中で、データといたしましては、第一次の条件変更で十九万件も応じさせていただいて、相当きめ細かくやらせていただいていますし、今回の新たな借りかえ制度も、先ほど来データをお示ししておりますけれども、二月十日から始まって、皆様方の利用件数も非常に多い、こういうことでございます。
 したがいまして、私どもとしては、御指摘のような点は、実際に田中先生がお調べになってそういう事例があるということ、そのとおりだと思いますので、さらに、特に政府系金融機関においては、親身に、そして適時適切に、迅速に対応するようにさらに督励をさせていただきたい、このように思っております。
田中(慶)委員 例えば、きょうも財務省も、これは経済産業省はできないと思いますけれども、例えばデフレというものを一つとっても、デフレは物が最終的に売れなきゃしようがないわけですよ、わかりやすく言って。そうでしょう。そのデフレ対策についても、現実問題としては、ある面では、私は、この貸し渋り、貸しはがし金融機関の問題、影響していると思いますよ。
 一方においては、一番問題なのは、中小企業の皆さん方が、一生懸命設備投資をしよう、機械も、ばかにしながら、がたがたになっている機械を使っている。ところが、そこには、減価償却もできなければ設備投資に対する期間も短縮されていない。減価償却、そうでしょう。それから、残存期間の価額の問題等についてもされていない。一方においては、中国へみんな行くものは、それこそ、新しい設備投資をして、向こうと、人件費も安いわ、地価も安いわ、また新しい設備でぼんぼんやられて、こんな形で競争は勝てますか。そうでしょう。
 経済産業省と財務省が、その辺を真剣になって、新たな産業政策として検討すべきじゃないの。大臣、短く、そしてなおかつ、きょうは向こうからも来ていますから、はっきりと決着させようじゃないですか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 平成十五年度の税制改正試案では、私が経済財政諮問会議で繰り返し主張させていただきました研究開発投資減税の拡充でございますとかIT投資減税の創設等を盛り込んでおりまして、これらの政策減税によりまして、研究開発用資産あるいは情報関連機器については、ほぼ即時に償却を行うことが可能になります。
 また、中小企業が投資年度に全額損金算入できる少額減価償却資産の取得価額要件を十万円未満から三十万円未満に引き上げることにいたしております。ですから、こういったことが成立をしますと、非常にここはよくなってくると私は思います。
 なお、減価償却期間でございますとか残存価値の抜本的見直しについては、一般の機械設備に関しては全体として過剰感があることでございますとか、産業界全体が大きな影響を受けることもありまして、これは産業界の意見も十分踏まえなければならないと思っておりますけれども、いずれにしましても、やはり中小企業がそういう競争力を持ち、そして意欲を持つような、そういった税制、これは今申し上げたことも含めて、今後も考えていかなければならない、このように思っております。
田中大臣政務官 財務省といたしましても、税制等を含めて、今日の厳しい経済情勢、ましてや中小企業の皆様方が活力ある時代にさらに貢献ができるような税制を求めて努力をしてまいったところでございます。当然のことながら、我が国はあるべき税制の姿というものを描いておりまして、速やかなるそういう措置を講じて努力をしてまいりますし、また、今後とも御指導をお願いしたいと思っております。
田中(慶)委員 あなたの言っていることは非常にきれいでいいですよ。しかし、現場は違うでしょう。あなたも川崎で、川崎の現場がどうなっているかぐらいわかっているんでしょう。中小企業はそんなものじゃないんですよ。今、本当に悲鳴を上げているんです。がたがたの設備、本当ですよ、現場へ行って、もう二十年もたっている機械をまだだましながら使っている。
 この実態をちゃんとすれば、減価償却の問題も投資の問題も、もっと短縮したり競争に勝てるようなことをしなきゃいけない。そして、最終的には産業の再編とか経済の再編成、これも一つの方法でしょうけれども、一方において、財務省はわかっていないですよ、はっきり申し上げて。金を取ることしか考えていないじゃないですか、あなたのところは。いや、本当ですよ。いま少し、そういう問題も含めて、大臣が言っているように長期的なビジョンに立って、そのことが、はっきり申し上げて、種を植えて育ててお金を取るようなことを考えないで、格好いいことばかり言ったってだめですよ。答弁してください。
田中大臣政務官 私も、田中委員の御指摘のとおり、川崎という町で政治を行っております。ましてや中小企業の町でありますから、今日の中小企業者の皆さんがどれほど厳しい、苦しい立場の中でお仕事をしておられるかということは百も承知をしております。そのことを受けて、今財務省のお役をいただいておりますので、真剣に頑張らせていただきたいと思います。
田中(慶)委員 政務官というのは名誉職じゃないんですから、少なくても議会から行っている政府の一員なんですから、あなたは少なくてもそういうことを含めて、しっかりとした、こういう現場に対応できるようにしておいてください。
 そこで、あなたに聞きますけれども、いいですか、これはあなたじゃない、無理かな。貸し渋り、貸しはがしの問題を含めて、この前も議論しましたでしょう。大手七行の金融機関だけでも九兆円、トータルすると、データを全部集計していきますと約二十兆円の貸し渋りなんですよ。そこには政府系金融機関も入っているんですよ。
 きょうは三つのところから来ていますけれども、それぞれ答弁してください、この貸し渋り、貸しはがし。今大臣が言っているような制度を幾らつくっても、その制度は受け入れられない。例えば、この前杉山長官がつくった契約担保の問題もそうでありますけれども、その前にいろいろな制度をつくっていくわけですよ。ところが、現場に行くと、保証協会あるいはまた政府系金融機関も、そういうところに、全然実行段階に移されていない、こういうことですよ。せっかくそういうものをつくっても現場はだめなんですから、もう少し、先ほどの総動員というのは、やはり政府系金融機関も一体となってやるべきじゃないの。
 一つ一つが、あなたたちは本当に借りる人の立場じゃないんですよ。役人の昔の発想で、おれの金を貸してやるみたいな感じでやっているんですよ。このことは是正してもらいたいし、そのことをしっかりと、本当ですよ、現場。私は毎日二軒も三軒もそれぞれ電話しているんですから、みんな。いや、本当ですよ、その都度。
 そして必ず、土地そのものの下がった原因は中小企業が原因ですか。その辺からまず答えてください。担保が少なくなるのは当たり前でしょう。これは政治の責任ですよ。無担保無保証を一生懸命やろうとしても、次から保証人、そして第三者保証までとって、その第三者保証が、現実には、関連倒産を含めて、夜逃げや自殺する原因になっているんですよ。そういうことをあなたたち、わかっているのか。そのことを含めて答弁ください、それぞれ。
薄井政府参考人 御答弁申し上げます。
 私も昨日……(田中(慶)委員「格好いいことじゃなくて、本当のことを言ってください」と呼ぶ)はい。先生おっしゃるような状況がたとえ一件でもあるようであれば、これは、公庫として十分対応していなかったということになります。そういうことのないよう、温かい対応を心がけていきたいと思っております。
田中(慶)委員 あなたに申し上げますけれども、はっきり申し上げて、大体、国金に申し込んで、そのままこの借り入れが実行に移される、何%あると思いますか。
薄井政府参考人 私ども、小口の、またたくさん、多くのお客さんにお金をお貸ししているわけでございまして、現在、お客さんが百五十二万人ほどいらっしゃいます。したがいまして、毎年何十万件という貸し出しをさせていただいておりますので、その中にはそこに至らなかった部分も含まれると思います。正確な数字は持ってはおりませんけれども、例えば八割とか九割はお貸しできていると思っております。
田中(慶)委員 もう少し、認識が不足していると思いますので実態を調べてください。私が大体聞き取り調査をやっているのでスムーズにいっているのはせいぜい六割ですよ、はっきり申し上げて。そして、そこでノーと言われるのが三割。実態ですから。
 総裁、現場をあなたはちゃんと把握してくださいよ。あなたのお給料はたくさんもらっているかもわからないけれども、現場はその百万、二百万、五百万で命を交換するんですから。
薄井政府参考人 先生の御指摘の点については、さらに勉強はさせていただきます。何が申し込みであるかというところが、確かにとらえにくいところがありまして、お電話がかかってくる、どこまで対応できるかという、いろいろな段階があるものですから、数字にずれがあるかとは思います。その辺を十分勉強させていただきます。
横田政府参考人 中小企業金融公庫の副総裁でございます。
 私どもの公庫では、国の指導を受けまして、昨年十一月、非常に直接的な名称でございますけれども、全営業店に、貸し渋り・貸し剥がし特別相談窓口を設定いたしております。大変繁忙をきわめております。
 今回の補正予算で、制度の拡充、担保面を含めて、いろいろな措置をさらに実現させていただきましたので、実は先週金曜日も、全国の監事・部店長会議を開催いたしまして、直近の状況報告を受けますとともに、年度末を乗り切れますように万全の対応を指示いたしたところでございます。
 今後とも努力してまいります。
田中(慶)委員 本当に懸命な努力をされておることと思いますけれども、はっきり申し上げて、時間がかかり過ぎるのよ。倒産してから金を貸すといったってしようがないんですよ。だから役所仕事と言われるんですよ、はっきり申し上げて。もう少し、せっかく制度をつくったものを迅速に、かつわかりやすく、PRも必要だと思うし、そしてそれを短縮する努力を。一生懸命努力していることは認めるけれども、あなたのところでお願いして、平均、再度どのぐらいだと思いますか。
横田政府参考人 正式に受け付けをいたしましてから決定するまでは平均九日程度でございますけれども、その前の段階で、いろいろな事業計画あるいは収支計画等の相談の期間が相当あるということで、さらに短縮の努力はしてまいります。
田中(慶)委員 あなたのところは、平均して大体五十日以上あるんですよ、相談を受けてから。実行するというのは、もう最後の、全部そろってあとはもうどうぞという、それはあなた、九日か十日かもわからないけれども、相談、あれを持ってきてごらん、いろいろなことをして、だからやはり今の実態の、この不況とか厳しさには合っていないんですよ。
 ですから、もう少し、こういう制度がある、行くと必ず、いや、これはうちのものではありません、うちはこれ以上のものです、こういうところがある。だから、そうじゃなく、いま少しきめの細かい、まして政府系金融機関なんですから、でないと、独法としてはっきり、今回もあなたのところ、全部上がっているわけですから。そうじゃなく、みんな今は政府系金融機関として必要だということで残したんだから、残した以上はそれにこたえてくださいよ。
横田政府参考人 その趣旨を肝に銘じまして、公庫全部挙げて一層の努力をしてまいります。
江崎参考人 商工組合中央金庫でございます。
 現場に意思がよく届いていないという御指摘でございますが、私どもも、中小企業の置かれている経営環境、大変厳しく認識をしております。
 それで、中小企業の方が借りやすい環境をつくるということがまず大事だと思いまして、貸し渋り・貸し剥がし相談窓口というのを今回新たに、昨年の秋から設けておりますが、実は既に、そういうことが問題になりました平成九年からこういう制度は設けております。新たに昨年の十一月からこういう相談窓口を設けると。
 それから、具体的な制度融資の種類でございますが、無担保融資制度などを初めとしまして、幾つかのセーフティーネットのための融資というものも相当充実をしてきております。
 それから、今、年度末の金融の大変な繁忙期ということでございまして、これに対応しまして、窓口での親身な対応ですとか、あるいは今御指摘の貸し出し手続の迅速化、あるいは既往の貸し出しについての弾力的な対応、こういったことを改めて、せんだって指示をいたしました。
 それから、お話の中にもございました第三者の保証の問題でございますが、私どもは、これはかねてから問題だと認識をしておりまして、事業運営に直接関係ないような第三者保証は原則としてとらないという方針でやっております。ただ、全くゼロではなくて、現在でも少し残っておりまして、全体の貸し出しの中でそういう関係のない方の第三者保証をとっているものは〇・三五%残っておりますが、これを極力減らすように今後努力をしたいというふうに思います。
 それから、申し込んでからどのぐらい期間がかかるのかという議論がございましたが、私ども、既往の貸出先では、正確なデータといいますか統計をとっているわけではないんですけれども、大体二、三週間で結論が出せるという状況です。ただ、新規のお客さんにつきましては、財務状況の資料ですとか、あるいは実際にそこへ出向いての調査もございますので、これは案件によりまして千差万別でございます。
 以上でございます。
田中(慶)委員 商工中金さんは、ある面では比較的自由にそういう点、民間と同じような形を含めておやりになって、非常に好評だと思っております。しかし、まだ、今のような実態を含めて、ぜひ頑張っていただけるように。
 私は、はっきり申し上げて、もう全部行っていますからわかるんですけれども、商工中金が一番懸命に、親身になって努力をされていると思いますよ。夜の遅くまで一緒に出向いていって、先方の事情によって相談に乗ってくれている。三つのうち商工中金だけですよ、はっきり申し上げて。
 ですから、そのぐらい民間の気持ちになってやらないと、国金なんてまるで官僚と同じですよ。第三者保証一番とっているの、あなたのところですよ。それに自殺者まで出ているんですから。私の知っている人間が自殺しているから、頭に来ているからこのことを強く言っているわけですよ、本気で。先月死んだばかりですから。そういうことですよ。第三者保証をなくすぐらいしたらどうなんですか。
田中大臣政務官 今の田中委員のお話、私も承っておりまして、本当に私どもさらに心して努力をしなきゃいけないと思っております。
 今御指摘のあった第三者保証人を徴求しなくても貸し付けが行える制度を私たちも検討してまいりましたが、一月二十七日より、第三者保証人不要の特例措置の制度を創設いたしました。御利用をいただいている状況でございますが、まだ十八日間の数字しか出ておりませんけれども、二月二十日までの数字でございますが、百七十三件、七億八千五百万円の利用実績をいただいておりまして、まだその数字は上がりつつあるようでございますので、ぜひ今後とも御利用いただけるように努力をしてまいりたいと思います。
田中(慶)委員 借りかえ制度も第三者保証の問題も、せっかくやっているんだから、マスコミを通じて、広報を通じてPRして、そのぐらいしないといけないですよ。それはあなた、政府がやるのに百件ぐらいから百三十件ぐらいで、こんなばかなことを言っていたってしようがない。
 先ほど大臣が言っている百九十万といったって、百三十万ですかね、いろいろな制度を利用されている方がおられる。このことだって、今、日本の中小企業というのは大体五百万以上あるわけですから、そういう点で、そういう問題を含めてしっかりと対応していかないといけないと思いますので、ぜひ心して、今本当に大切な時期なんですから、この時期、だから、有事と平時を分けて、そのぐらいやらないと日本の経済再生はできないと思いますので、その辺を心してやってください。お願いしておきます。
 それで、大臣、原子力の関係の問題も、あなたも総責任者でしょうから、核燃料廃棄物処理の問題、六ケ所村の問題とか、あるいはまた新しくこういう議論が今あるわけでありますけれども、そういう中で、かねて、この処理問題の中で、水熱固化方式というものとガラスの固化方式、二つあるんですね。今、いろいろな形でやっているのがガラスの固化方式をやっているわけですけれども、水熱固化方式というのは、日本でやっているのは高知大学だけで、十分検討されてきたんですけれども、かつて、これは一九八三年、予算委員会でも議論してきたわけですけれども、その後中断をされてきている、こういうことなんですね。
 ですから、やはり一つだけじゃないですけれども、いいものは、そして片方は問題になっているわけですから、片方でそういう検討も十分やっておかなきゃいけないだろう。ところが今ばらばら行政ですから、その辺も含めてちゃんとして、せっかく日本でこのことが十分必要段階にいけるというデータもあるわけですから、そのことをしっかりと対応してもらえるように、この正常管理の問題やら、あるいは全体的な問題を含めて、その辺について考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 時間が来ましたので、考え方だけ聞いて終わります。
平沼国務大臣 今御指摘の、高知大学で開発され、それで四国電力で検討が行われております高レベル放射性廃棄物に関する研究開発につきまして、いろいろな形で検討をしていくことが必要だ、そういう御指摘がございましたので、私どもも、十分調査をし検討させていただきたい、このように思います。
田中(慶)委員 時間が来ましたので終わります。
村田委員長 中山義活君。
中山(義)委員 ただいままで、どうも経済の血圧が上がらないのは、金融、財政、そしてまた減税等も甘いんじゃないか、こういう御指摘がありまして、どんどん血圧が上がっているのはもう田中慶秋先生だけでございまして、皆さんもそれにこたえて的確な答弁をしていただきたい、このように思うわけでございます。
 一つに、大臣、選挙のお地元で、大臣、あなたは銀行と中小企業とどっちの味方ですか、こう端的に聞かれたときに、どのようにお答えになりますか。
平沼国務大臣 私は、それはちゅうちょなく、中小企業の皆様方の味方、こういう形でお答えをさせていただいております。
中山(義)委員 まさに大臣は、中小企業を守っていただく守護神として、やはりここは本当に力を発揮していただいて、中小企業を守っていただきたい、このように思うわけでございます。
 よくこういう話があるわけですね。昔銀行さんが、そう、十年ぐらい前ですかね、社長、おたくの土地は高いから、これは相続になると大変ですよ、うちが十億出すからビルを建てなさい、いや、それも五階、六階じゃだめですね、十五階ぐらい建てなさいよ、テナントは全部うちで紹介しましょう、そしてまた何かあったらいろいろ言ってください、融資の方も、つなぎも頑張ってやりますからと。
 これが実際行われて、今、現実、どういう問題になっているんでしょうか、大臣。
西川副大臣 今、現実には、テナントが閉鎖をしたり、それから返済にお困りになっている方が出たり、私どもも、東京の下町で、先生と同じような相談事に、日々そういう方々が見えるという実情だと承知をいたしております。
中山(義)委員 実にこれが一番大きな問題でございまして、中小企業と銀行の関係からいきますと、非常に今銀行が強くて中小企業が弱い、そういうものを感じるんですね。
 例えば今銀行さん、なりふり構わず増資なんかやっているでしょう。これなんかでも、要管理先で、こういうところに増資なんかやっちゃいけないはずですよ。それを、増資をさせなかったら金貸さぬぞというような、どうも銀行が優越的な立場を乱用して中小企業をいじめている、こういうふうにとれるんです。これは、公正取引委員会から考えて、例えば下請代金遅延防止法なんかもそうですね、優越的な地位にある者が自分より弱い立場の者をいじめていくというような、これはまさに公正な取引じゃないと思うんです。
 私は、今銀行のやっていること、これは公正取引委員会もどういうふうに指導しているのか、関与しているのか。これは不公正な取引だと思いますよ、どう思いますか。
竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、銀行が、特に借り入れに依存せざるを得ない中小企業に対して、貸し付けておりますという影響力を行使して、直接関係のない増資を引き受けなければこれからの貸し付けについて支障が来ますよというような言い方で話を持ちかけているとすれば、おっしゃるとおり、独占禁止法上の問題、違反の問題が出てくるというふうに思っております。
中山(義)委員 これは、もしそういうことがあればと言うんですが、ほとんどそうじゃないですか、ほとんどが。やはり金を借りる方というのは、もうとめられたら、手形はこのままどうなるんだろうとか、いつも不安におののいているわけですよ。だから、銀行にしてみれば、中小企業をおどかすのはわけないわけですね。
 例えば、私ども今度、新しい法律を出しまして、中小企業者に対する銀行等の貸し付けの適正の確保に関する法律、これを考えたわけですが、これは銀行を規制するという意味で、例えば法的な根拠もないのにぽっと勝手に金利を上げたり、そこに何か約定書だとかちゃんとしたものがあればいいんですが、どうも優越的な地位を利用してそのまま横暴なことをやっているのが現在の銀行だと思うんですが、そういう事例は公取に来ていませんか。
楢崎政府参考人 実は私ども、平成十三年七月に、金融機関と融資先企業との取引についての調査結果を公表いたしたところでございます。
 この調査は、主として、融資を受けている企業の方から不公正な取引方法があるかどうかという観点からまとめたものでございまして、銀行等から具体的な事例についてヒアリングをしているわけじゃございませんけれども、私どもの調査によりますと、先生御指摘のように、金融機関からの借り入れの依存率というものが中小企業は非常に高い。そしてまた、金融機関は融資等を通じて企業に対して影響力を及ぼす立場にあるというケースが多いのではないか。
 そしてまた、各種の要請について調べましたけれども、特に融資に関する取引条件の設定とか変更、例えば契約に定めた変動幅を超えて金利の引き上げを受け入れさせたり、あるいは債権保全に必要な限度を超えて過剰な担保を受け入れさせる、追加させる、差し入れさせる、こういった事例は他に比べて相対的に多うございました。
 また、融資の取引条件そのものではございませんけれども、融資に関連をして、自己の提供するサービス、例えば定期預金を創設したり増額したり、あるいは預金以外の金融商品、例えばファームバンキングとかデリバティブ商品等の要請等を行っている事例も多く報告されたところでございます。
 これを受けまして、独占禁止法上の考え方というものをまとめまして、銀行協会等について今周知徹底あるいは説明会等行っているところでございます。
中山(義)委員 我々は、これは取り締まってもらわなきゃ困るわけですよね、取り締まってもらわなければ。
 先ほど来、いろいろ金融緩和の話もありました。日銀で幾らお札を刷っても、または国債買いオペをやっても何をしても、最後のところが詰まっているわけですよ。この詰まっている原因というのは、中小企業者と銀行との関係がやはり正常にいっていないということですね。
 私たちは一般的に思えば、最後のところでお金をちゃんと出せば、日銀でお金が緩和されたものはそのまま生きるわけですよ。ところが、どこかで詰まっている。総理は、信用金庫にはお金がだぶついているという発言を経団連の会長なんかにしているんですよ。まさに現場を全くわからない発言ですよ。
 要するに、銀行からしてみると、不良債権の状況というのを検査マニュアルではっきりマニュアル化されていて、貸せないわけですね。また、この検査マニュアルを盾にとって、実はこういうふうなお達しが来ているから貸せませんとか、それから、返してもらいますとか、こういうことをやるわけですよ。検査マニュアルがまさに不公正な取引に使われているというふうに思うんですけれども、こんな事例はないですか。
竹島政府特別補佐人 そういうことも間々あるんだろうと理解しております。
 いずれにしましても、大変厳しい経済状況、また金利をめぐって、貸している方も借りている方も大変厳しい状況にあるわけでございまして、私ども公正取引委員会の立場からは、その際に不当性があるかどうかと。要するに、金融情勢が変わった、借り手の債務者としてのランクづけが変わった、そういう合理的な事由によって金利が変動したりいろいろな条件が変わるというのは、これはやむを得ないことでございまして、そのときに、今おっしゃったように、十分な説明もなしに、ただ金融検査マニュアルがこうなったからこうですよというようなことでは、やはり問題があろうと。やはりそこは丁寧に説明していただいて、大事なことは、借り手の方、特に中小企業の借り手の方が自由な意思決定ができないということのないようにしていかなきゃいかぬ。
 したがって、これはなかなか、個別の問題を見なきゃわからぬわけですが、具体的な事例をもって私どもの方にお話が来るんであれば、先ほど取引部長が申し上げましたように、私どもとしては、考え方はきちんと整理してございますので、それに照らして独占禁止法上の問題があるかないか、借り手の方の話も聞いた上で、具体的に処理させていただく、そういう心づもりでおります。
中山(義)委員 これは、一つは、取り締まりをやることはもちろんですが、これは完全に公正な取引じゃない、独禁法違反だということをもっと公にやってくれませんかね。実に、銀行と中小企業の関係というのは、これは銀行が優越的な地位ですよ。これはまさに乱用しているんですよ。これは本当に、いつまでたっても日本の国がよくならないのは、ここにあるんじゃないですか。お金が最後のところで流れないシステムをつくっちゃったのも、そういうところなんですね。
 そういう面では、これは何とかもっとはっきりアピールをしてもらわないと、いつまでも、銀行さんというところはそういうところで、公共的な施設で、我々がお金を借りるときに、やはりこのくらいのことを言われるのはしようがないなんて国民が思っちゃったら大変ですよ。不公正な取引をしていることは間違いないんですから。
 それは、もう一回、公取の方でちょっと決意を述べてもらいたいですね。
竹島政府特別補佐人 全般的な状況と個別の話というのはきちんと分けませんと、十三年にやった調査でも、これは大企業も中堅企業も入っています。中小企業は五千社のアンケート調査の四割ぐらいなんでございますが、不承不承、そういう、言ってみると、フェアじゃないなということを思いつつも、力関係でやむを得ず条件をのまされたというのが五%ぐらいなんでございますね。ということは、残りの九五%は、それなりに自由な意思決定を阻害されていないということでございまして、世の中全部が逆であればとんでもないことでございますけれども、そういった比率であるということなんで、やはり具体的な事例が大事である。
 貸し手の方は必ず独禁法違反をやっているというふうに決めつけるわけにもいかない。借り手の方が十分に知識がなくて、プライムにプラス何%の金利で借りるよということになって、プライムレートが変動すれば当然変わるにもかかわらず、何か自分の方は固定金利で借りたつもりでいるというような、そういういわば初歩的な、何といいますか、意思疎通のなさみたいなこともあるので、その辺はやはり当事者でもってきちんと話し合いをしていただく。そのときに、借り手の方は基本的に弱いわけなんで、そのときに別に弱さにおびえて遠慮することはないので、きちんと合理的な説明がなければ、言ってきていただければ、きちんと我々として、公正取引委員会は金融庁の立場じゃありませんが、不当性がないかどうかという観点からチェックすることについては、十分に準備をしておるところでございます。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
中山(義)委員 さっき言った融資の仕方というのは、おたくは土地が高いから相続が大変だ、これは提案型融資とよく言われているんですが、この責任というのはやはり銀行にもあると思うんですね、本来は。
 私は、やはり考えてみて、その提案型融資をやったときも、ここで借りないと後々この銀行と取引ができないとかなんとかと、いろいろなこともあったり、または、銀行がゼネコンから何から全部連れてくるわけですよ。それで、本当にテナントの世話まで全部する。二十年たったらこれはあんたのものですよ、最終的に土地も建物も結局みんなあんたのものなんだからと言って、うまいことを言って提案型融資に乗ったわけです。
 ところが、今、この間テレビでやっていましたけれども、しにせで、伊場仙さんとか鮒佐さんとか、テレビに出ていました。言っていたのは、あのころの提案型融資に乗せられてしまったと。しかし、土地が下がったら急に冷たくなって、その分返済しろ。これは、提案をした人に責任がないのかどうか。
 今、製造物の責任法だとか、ほかにも、契約の中にいろいろな提案をしたり、売った方の責任というのは随分あるわけですね。これだけが、銀行が強くなって、もう銀行は取り上げるのは当たり前だみたいに世の中はなっていますけれども、これはちょっとおかしいと思いますが、委員長、もう一度、それ。
竹島政府特別補佐人 バブルのときにいろいろそういうお話があって、サラリーマンであっても、中堅クラスは、そういうことをやって個人破産した人もたくさんおられるようですが、少なくとも、いやしくも事業をやっている方々が、そういう話について、自己責任で判断されるべきものを、うまい話に乗って、それでこうなった、契約にはこう書いてあるという話は、それはやはり借り手にも十分に責任があるのであって、そこはやはり自分たちで解決していただかなければしようがないんじゃないかと思います。
中山(義)委員 もっとも、日本の国が今のこの惨状を直して景気回復できないんだから、ある意味じゃ国もだまされたわけですよ。そういう面では、今言ったように、だまされた方が悪いというのであれば、それはそれなりの理屈かもしれませんけれども、現実、現在そういうときに、銀行が全然自分たちの責任を感じないで貸しはがしをがんがんやっているわけですよ。
 ところが、では、大企業はどうですか。大企業も同じことをやられたと思うんですよ。バブルのときにどんどん貸し込んだ。しかし、大企業は大き過ぎてつぶせない、中小企業はつぶすのにちょうどいい、これが現実じゃないですか。ここにやはり不公平がありませんか。
 今度新しい法律ができて、いよいよ来月のずっと後から審議されるんでしょうけれども、そのときにも、四月ぎりぎりにそれができるかできないかは別にして、基本的には、この差別をなくさない限り我々は納得できませんよ。
 大企業は大きくてつぶせない、中小企業は適当にやっちゃえ、こういうことがあったんじゃ私は許せない、こう思うんですが、大臣、ちょっとこの辺、答弁を。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
平沼国務大臣 私は、地元が岡山なんですけれども、バブルのときに御指摘と同じようなケースがありまして、某大銀行の支店長が非常にやり手でして、一つの事例としては、大変順調にいっているそば屋の大将に目をつけて、マンションを建てなさいといってゼネコンから何から全部世話して、テナントも全部面倒を見ました。バブルがはじけた。そして彼は、それをさんざん岡山という地方都市でやって大変実績を上げましたから、結果的には神戸の支店長に栄転をして、彼の跡はペンペン草が生えた。私は、これは非常に大きな問題である、そういう認識をしております。それは中山先生と同じ認識だと思っています。
 そういう中で、やはり中小企業の皆さん方が非常に苦労されていることは事実でございますし、また、先ほど田中先生から数字が出ておりましたが、例えば、政府の資金が入っているメガバンクが、中小企業に対してちゃんと融資をしろ、こういうことを言っているにもかかわらず、例えば大きなところでは中小企業に対しては五兆円貸しはがしをした、そして全体でも九兆円、これはやはり非常に大きな問題で、金融庁も業務改善命令を出したというのは、私は当然のことだと思っています。
 ですから、今、中山先生がるる御指摘になられたような、中小企業がそういった不当に厳しい目に遭わないように、我々としては、今でき得る限り、借りかえの特例でございますとか、あるいはセーフティーネット保証ですとか貸し付けですとか、そういう形できめ細かく対応させていただいています。
 そういう意味では、やはりいわゆる民間の金融機関も反省をしていただかなければならないと思っておりますし、また、中小のいわゆる金融をやっている信用金庫ですとか信用組合というのがメガバンクと同じようなマニュアルで中小企業にやってもらっては大変でございますので、昨年の六月にも、我々は、金融庁にお願いをして、別マニュアルをつくっていただく、こういうことにさせていただきました。
 それがまたさらに発展をして、金融庁の方でも、リレーションバンクという、横文字でございますけれども、そういった形で、特に中小企業に対してはきめ細かくやろう、それに対しては中小企業団体も我々経済産業省も協力をしてやっております。
 そういうことで、私は、先生のおっしゃっていることはよくわかりますので、これからそういう面でも中小企業に配慮して、頑張らせていただきたいと思っております。
中山(義)委員 私は、この委員会でも、または、大臣も金融庁とけんかしてもらいたいんですね。何か、金融庁ができてから景気が悪くなったような気もするんですね。
 それで、検査マニュアルにしても、これはおかしなことが随分あります、私らも読ませてもらって。これは、むしろ、政府系金融機関を使っていろいろ融資をするのも一つでございますが、もう一つ大事なのは、やはり検査マニュアルが本当に中小企業のために役立っているかどうかということをもう一度少し精査してもらいたいわけですよ。二年赤字あったら金貸しちゃいけないとか、十年で返済できない負債があったらだめだとか、こういうことがある以上は絶対お金借りられないんです。
 中小企業は、相当な企業が赤字でございますし、または、さっき言った提案型融資のところも、もう寝ているんですけれどもね、その資産が。だけれども、金利だけ払っていれば、ある意味では優良だと思うんですね。考えてみれば、提案型をした方は、資本をそこへ投下したわけですから、その配当だけもらっていれば文句言えないはずなんですが、それでも返せ、返せと粘る。
 そういう面では、まずやはり金融庁に対して経済産業省の考え方をしっかりぶつけなきゃいけないと私は思うんです。よく閣議なんかでちょっとお会いしていることもありますね、見ていると。竹中さんも、何かよく現場がわかっていないようなんですが、私は、やはり現場の意見というのは経済産業省の意見だ、特に中小企業庁の意見だ。こういう面では、金融庁を少しばかんとやっつけるぐらいの気持ちを持っていただかないと、先ほど言った、銀行と中小企業、どっちの味方ですかということは、金融庁の立場に立つか経済産業省の中小企業庁の立場に立つか、ここが問題なんです。大臣、もう一度その辺、答弁していただいて、金融庁なんかばかんとやっつけてくださいよ、少し。
平沼国務大臣 これまでも、先ほどちょっと事例を申し上げましたけれども、そういう問題が起きて、我々は昨年の六月に正式に申し入れをしましたし、また、私どもの所管の者たちがやはり金融庁と相当激しい議論もさせていただいて、それがやはりリレーションバンクにもつながってきております。ですから、私どもは、さらにそういった問題は努力をさせていただきたい、このように思っております。
中山(義)委員 本当に、中小企業が何とかこの厳しい時期を生き長らえていくということが、日本の景気を支えたり日本の国を支えていくんだと思うんですね。
 私は、銀行と中小企業との関係の法律を出してありますので、またぜひ一度参考に見ていただいて、単純に言えば、説明責任というのが銀行にもっとあるんだ、それから書類をやはりちゃんとしっかり交換しなければいけないとか、それから、法律で決まったことはやってもいいけれども、法律で決まらない、いわゆる優越的な地位を利用して、金利を上げたり、保証人をさらによこせとか、担保をさらに追加しろと、ざらにやっているんです、本当に。もうこれは当たり前の行為としてやられているんです。ですから、私たちは、そういうことがないように、銀行にも規制をする法律があってしかるべきなんですね。
 私は、これは銀行を規制する法律じゃなくて、本当は銀行と中小企業者と信頼関係があってやるべきだと思うんですよ。私らは、昔、運転資金なんか、信用金庫、十五年ぐらいで貸してくれた覚えがありますよ、十五年ぐらい。運転資金ですよ。そのくらい信頼関係を持って、あとは中山さん、金利だけ払ってくれればいいですよと。おかげでうちはビルも建ちましたし、それはもうバブルのずっと前です。たった十六坪ぐらいの、しがない四階ビルでございましたが、自分の力に応じて、あのころは信頼関係でやりましたよ。
 ところが、バブルになったときには、おたくは土地が高いからとみんなやられちゃったんだ。うちの大通り、みんなそれ建っているんですよ。これがどうなるかと思って、不安なんですね。それを、銀行が変なことをやれば、その地域は全部おかしくなっちゃう。そういう面で、この法律案の内容というのは、本来は、信頼関係を持って、お互いにもうけましょう、銀行ももうけてあなたももうける、これが信用金庫や信用組合、この末端の銀行の仕事なんですね。
 ですから、やはり検査マニュアルの中には、中小企業者と信用金庫、信用組合の人間関係である、また第二地銀も入ると思うんですが、お互いに、中小企業がつぶれれば銀行つぶれていいんですよ、別に。同じ地域でやっているんですから。だから、信用金庫の優秀さとか、そこが評価されるのは、自己資本率じゃないんです。どれだけ地域の経済を育てたか、ここがポイントなんでしょう。だから、地域の中小企業がつぶれたら信用金庫もつぶれるべきなんです。運命共同体のはずなんです。特に信用組合はそうですよ、信用組合なんですから。地域の運命共同体でなければおかしいわけですね。
 だから、信用金庫というのはそういうふうに指導してもらわなきゃいけないんですよ。それが、金融庁が、信用金庫を銀行と同じような徹底的な検査マニュアルでやったらおかしくなっちゃう。信用金庫は、地域がつぶれたらつぶれていいの。そのくらいの気持ちで指導してもらいたいです。私は、そういうことで、やはり金融のあり方というのを、中小企業者から考えてこうあるべきだということを言っているわけですね。
 そういう面でも、ひとつ金融庁なんかは、本当に経済産業大臣が時々とっちめて、本当に中小企業の立場はこうなんだということをしっかりやっていただきたい。竹中さん、ちょっと一回呼びつけて、こういう論議を聞かせて、本当に中小企業がどれだけ苦労しているか、また、総理大臣も現場のことがわからないんですよ、末端の。百円のものを売ったって三十円しかもうからないんですから。そのうち、純利益というのは一円か二円ですよ。そういう中で中小企業がやっているんですから、それの実態を知ってもらって、中小企業を生かすための銀行とは何かということをもう一度考えていただきたい、このように思います。
 もう一つ、ちょっと石油関係で一つだけ質問したいんですが、何か、聞きますと、ジャパン石油ですか、これは大分、三千億ぐらいの赤字をしょっていて、これが、前のインドネシア石油ですか、ああいうところと合併するのに、うまく合併させて何とかこういう借金を隠ぺいしちゃおうというような意図にも見れるし、または、本当に我々が公団のことについていろいろやってきて、かなりいろいろなことを表に出してやったんだけれども、まだまだ後から後から出てきて、これも何か雑誌に、石油公団の最後っぺなんて書いてありましたけれども、こういうようなことを書かれているということ自身に、やはり内部に問題があると思うんですね。
 やはり、もうちょっとこれは公明正大に、日本のもしそういうジャパン・メジャーをつくるのでありましたら、公明正大に表へ出してやってもらいたい。後からまた借金が出てくる、最終的には国民がその借金をあがなわなきゃならないというようなことのないように、ひとつ新しい日本のエネルギーのあり方について、特に石油については、やはりいつも我々は心配しているし、イラク戦争も起こりそうだ、中国が純粋な輸入国になってきた、または、アジア諸国の備蓄は、日本は百七十日あるけれども、ほかは本当一週間、二週間のところもうんとあるわけですよ。これで果たしてアジアのエネルギーが守れるかどうか。
 こういう観点からも、ジャパン石油がおかしなことをやって、また国民から不信を買うようなことがないようにお願いしたいと思うんですが、その辺、ちょっと決意だけ述べてください。
平沼国務大臣 石油公団改革についてのお話だと思っております。
 現在、石油公団の資産評価・整理検討小委員会で検討をしていただいている最中でございまして、あるべき石油公団資産処理の一環として、我が国のエネルギーの安定供給を確保するという観点から、ナショナル・フラッグ・カンパニーとしての役割を担った自立的な企業としての中核的企業を形成する、このことが議論されております。
 そういう意味で、今議論の過程でございますから、やはりこういったことも国民の皆様方にわかりやすい形で、私どもは今後、説明責任を果たさせていただきたいと思っておりますし、また備蓄の問題に関しましては、確かに御指摘のように、日本は百七十一日分ございます。この前、ちょうど昨年でございますけれども、大阪でIEAの会議を開きましたときに、特にアジア地域の方々に、備蓄のいわゆる重要性ということで、私からAPECを中心の方々に集まっていただいて、皆様方もその趣旨には賛同していただいて、お互いにこれからエネルギー危機に対するそういう共同歩調をとっていこう、こういうベースができましたので、ここもさらにしっかりとやらせていただきたいと思っております。
中山(義)委員 どうもありがとうございました。次の鈴木君にかわります。
村田委員長 鈴木康友君。
鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。どうぞよろしくお願いします。
 私は、まず初めに、ちょっと電力の問題から御質問したいと思いますが、昨年、東京電力にさまざまなトラブルが発生をいたしました。その結果、今、原子力発電所十七基中十三基がストップをしております。さらに、自主点検あるいは定期検査のために、四月の十五日までに残りの四基もストップをするために、これで結局、東京電力の持っている原子力発電所は全基がストップをするということになるわけですね。
 これから暖かくなって、夏に向けて電力需要というのはふえていく。昨年、一昨年の実績を見ると、昨年が六千三百万キロワット、一昨年が六千四百万キロワット、これは東京電力管轄ですけれども、需要があった。これらの夏のピーク時の実績を考えると、今のままでいくと一千万キロワットぐらい供給が足りなくなるということが懸念されているわけであります。
 これは、今の原発が大体半分ぐらい再稼働をしないと賄えない量でありまして、節電でありますとか、あるいはほかの電力会社から融通をしてもらうといったことではとても対応できない量でありますが、この点について経済産業省としてどういう対策を検討されているのか、まずその点からお伺いしたいと思います。
高市副大臣 東京電力の原子力発電所の今停止している数、それから今後停止する予定の数、鈴木先生御指摘のとおりでございます。もしも、原子力がこのまま一基も運転を再開せずにすべての原子力が停止し続けた場合、やはり夏の方が電力需要が大きゅうございますから、大体鈴木先生が計算なさったような形で、安定供給は非常に厳しいものになります。
 今後とも安定供給は絶対確保しなければいけないということで、今もう既にとまっている、今までは停止していた火力発電所の運転の再開、それから節電の呼びかけなど、可能な限りの措置を講じておりますけれども、しかし、やはり今停止している原子力発電について運転を再開していくということが重要であると認識しております。
 しかし、やはり一度ああいうことがあって大変な信頼を失ってしまったわけでございますので、原子炉のシュラウド、それから再循環系の配管のひび割れにつきまして、まずは健全性評価を行い、それから信頼回復を行っていくということが先決でございますので、今は、総合資源エネルギー調査会の原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会におきまして、これらの機器の健全性評価について検討が行われているところでございます。この評価結果について、原子力立地市町村に対して内容を十分に説明して御理解をいただくこと、それによらないと再開というものは実現いたしませんので、今はその努力を最大限続けるということでございます。
鈴木(康)委員 いや、今のお答えですと、これは維持基準はことしの十月ですか、大体めどとして。たしか、私の記憶によると十月ぐらいだと思うんですが、それを待たないと検討できないということであれば、これは夏場をどうやって乗り切るのか。
 実は先日、あるコンピューター会社の社長さんのお話でありますけれども、電気がとまると大変に困るということで、東京電力に伺って社長さんとお話をしたそうなんですね。そうしたら、社長さんが非常に苦悩されていたと。このままでいくと大変だ、ある意味で停電についての責任も持てないというような御発言もあったようでありまして、これはもし停電というようなことになりますと、首都圏で非常に大きな影響が出ると私は思うんですね。
 ですから、今あいまいな御回答でありましたけれども、再開についてのめどが立っているのかどうか、その点についてもう一度御確認をしたいと思います。
高市副大臣 新しい基準の導入までの間は、現在の基準でどんどん評価を続けております。一基でも早く運転を再開するように努力を続けているということでございます。
鈴木(康)委員 その安全性評価は、これは委員会の方でやられて、それでパスをすれば何とかクリアをするということだと思うんです。その維持基準ができるまで待たなくていいというのは、それはそのとおりだと思うんですが、もう一方で、地元の理解も得ないとこれは再開をできないわけですね。
 私が認識をしているところですと、かなりやはり地元の風というものは厳しい。東京電力さんも非常に今いろいろ地元対策で努力をされているようであります。おわび行脚を一生懸命やったりとか、いろいろな意味で努力をされているということでありますが、地元がきちっと理解をしてもらわないと再開についてのめどが立たないわけでありますから、この地元対策という点について、経済産業省としてどのように取り組んでいらっしゃるのか、あるいはどう取り組まれるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
高市副大臣 現在、健全性の評価でございますけれども、国として純粋に中立的な立場から、科学的に合理的な手法を用いて設備の評価を行いまして、安全確保に関する信頼回復をしようということで、まず中立的な立場であること、そして合理的で科学的な手法を用いていること、これも十分に御説明を申し上げるつもりでございます。
 それから、この小委員会で評価作業がどんどん行われておりますけれども、これにつきましても、地元の皆様にわかりやすい言葉で、そして評価の作業の経緯につきましても十分に説明をする、それ以外にないかと思います。
 夏の電力需要ということでさっき御指摘ございましたけれども、御地元の御理解をきちっと得ることができれば非常に早い時期に動かせる炉も幾つかございますので、そのために精いっぱい努力をしてまいるということでございます。
鈴木(康)委員 まだ、私は余り納得をできないわけであります。これは、夏のピーク時は一千万キロワットでありますけれども、需要と供給の関係で見ていきますと、やはり四月ぐらいから供給が足りなくなるということが予測をされるわけですね。もう既に一カ月先には電力の供給が足りなくなるかもしれないという、私は極めて深刻な事態だと思うんですけれども、もしこれが、仮にこれから夏場に向けて停電等々のそういう最悪の状況が起こってくる、これも現実の危機として私は十分に予測をできると思うんですけれども、そういうことに対してどのように認識をされているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 大変そういう意味では電力の需給、非常に厳しい局面があることは事実です。しかし、一番電力の需要が多いのは、夏場の六月、七月、そして八月にかけて、こういう時期です。それは、先ほど御指摘の数字の六千三百万キロワットとか六千四百万キロワット、こういうことが想定されています。
 したがいまして、三月、四月、例えば十七基全部とまる、こういうような状況の中で、ぎりぎりでございますけれども、例えば他の電力会社から融通をしていただく、それから休止中の火力発電所を今どんどん立ち上げておりまして、そしてそこで手当てをする。こういうことでありますと、もちろん非常に厳しいことでございますけれども、私どもとしては、そういう中で最大限融通をして、ぎりぎりの線で、もちろん国民の皆様方にも節電をしていただかなければならないし、私ども役所も省エネキャンペーン、節電キャンペーンをやっておりますけれども、そういう形で三月、四月というのは今の段階では何とか乗り切れると。
 しかし、問題は、やはり最需要期の六千万キロワットを超える、そのときには、やはり我々としては、一日も早く地元の皆様方の御納得をいただいて立ち上げていかなければいけない、こういう状況だと思っております。
鈴木(康)委員 今大臣から御答弁をいただきましたが、確かに、他の電力会社から電気を融通してもらうとか、今停止中の火力発電所などもフル稼働させて賄っていくということでも、私の認識ですと、東京電力の原子力発電で今供給している電気が千七百万キロワット程度ある。そのうち、電力を仮に融通してもらうとしても、他の電力会社から来るのはせいぜい九十万、百万キロワットを切るぐらいの数字でありますし、火力をフル稼働しても五百万キロまではいかないわけですね。そうすると、どう考えても、やはり一千万キロワットぐらいピーク時に足りなくなるわけでありまして、これはどうしても、原子力発電所の再稼働というものが、これは必須のことになってくると思うんですね。その割にはどうも、事業者の努力というものは見えてきても、役所として、例えば地元対策にどれだけ汗をかいているのかとかいうことが見えてこない。この点、私は非常に危惧をしております。
 また、新潟県知事も福島県知事も、どうもまだ態度がかたくなであるようでありますので、これはもう大臣の役割だと私は思いますので、首長さん含めて、ぜひ、地元の御理解をいただきながら、一日も早くこの原子力発電所の再稼働に向けて最大限の御努力をいただきますことをお願い申し上げておきたいというふうに思います。
 それでは次に、「もんじゅ」のことについて御質問をさせていただきたいと思います。
 先日、「もんじゅ」の名古屋高裁における判決が出た。非常に衝撃的な判決であったことは、もう皆様も御承知のとおりであります。これを受けまして、一月二十八日に平沼大臣が御会見の中で、核燃料サイクルへの影響を問われた新聞記者の質問だと思いますが、それに対しまして、「もんじゅ」は実験的な炉であるので、一般の原子力発電あるいはプルサーマルとは直接関係はないのではないかという御発言がございましたけれども、この御発言の真意というか、どういう認識をされているのかという点をまずお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、一月二十八日の会見で、私、御指摘のような趣旨の発言はいたしました。
 それは、高速増殖炉の研究開発につきましては、原子力委員会の策定した原子力長期計画によりますと、原型炉である「もんじゅ」で相当期間の研究開発を経た後に、その成果をもとにして実証炉という商用炉の一歩手前の炉をつくりまして、さらなる研究開発を経て最終的には商用炉として実用化すること、こういうふうにされているわけでございます。したがって、実際に高速増殖炉が活用されるのはかなり将来のことでございまして、既存の原子力発電所とは当然のことながら仕組みも異なるものでございます。
 他方、御指摘のプルサーマルを中心としました核燃料サイクルと申しますのは、我が国にとっては、当然、目の前の重要な課題でございまして、また、その中心は一般の商業炉である既存の原子力発電所において実施するものでございます。既に海外において、我が国の電気事業者が英国やフランスに委託して抽出したプルトニウムを相当量保有していること等を考えても、プルサーマルは着実に進めなければならない課題、このように私は考えております。
 こういった観点から、「もんじゅ」判決の核燃料サイクルへの影響について一月二十八日に質問を受けた際に、私としては、今、目の前の重要課題であるプルサーマルについては、やはり判決にかかわることなく進めていかなければならない、こういう認識で申し上げたところでございます。
鈴木(康)委員 今大臣が御答弁をいただきました点については、私も一定の理解をするものだと思います。「もんじゅ」という施設そのものの問題と、核燃料サイクル政策とかあるいは原子力政策もまた別の大きな次元の話であるということの理解はあるつもりでありますが、ただ、私は、実は今回の裁判というのがかなり、そう生易しいものじゃないな、原子力政策全般にこれは大きな影響を与える可能性があるんではないかという一つの危惧を持っているんですね。
 それは、一つは、今回の判決が、設置許可処分の無効を訴えたものであるわけでありますが、この違法性の判断において、今まで最高裁は、重大かつ明白であるという基準で、判例によりますと、この二つの要素を必要としていたわけでありますが、今回の名古屋高裁の判決でいきますと、いわゆる放射性物質が周辺環境に飛散するというか、重大な影響を与える可能性を否定できない場合には、これは重大性のみの要件で、明白性は必要ないんだということを実は判決の中で結論づけているわけであります。つまり、これは今までの最高裁の判例とは異なった結果となっているわけですね。
 そうしますと、今いろいろなところで原子力発電についての裁判が行われているわけでありまして、この安全性についての問題において、重大かつ明白であるということの明白性が欠落をしてもいいんだということになりますと、私は、これは他の裁判に与える影響もかなり大きいんではないかというふうな危惧をするんですね。ですから、その点についての御認識はどうかという点について、まずお伺いをしたいと思うんです。
西川副大臣 私からお答えをさせていただきます。
 名古屋高等裁判所金沢支部から一月二十七日に出されました、「もんじゅ」の設置許可処分無効確認等の控訴事件判決につきましては、ただいま先生から御指摘のありました重大な問題を含んでおります。そこで、当省といたしましては、関係政府機関、特に法務省とよく相談をいたしまして、内容を精査させていただきました結果、国としてはこれを受け入れることはできない、こういう判断に立ちまして、一月三十一日、最高裁判所に上訴いたしたことでございます。
 今回の判決は、例えば、配管の破損によりましてナトリウムが水と接触した場合でも炉心崩壊事故は防止できる対策が幾重にも講じられているにもかかわりませず、これらの対策がすべて機能しなかった場合というレアケースを想定いたしまして、仮定に仮定を重ねるような、そういう立論でございまして、安全審査に看過しがたい過誤や欠落があるとするなど、私どもとしては受け入れられない問題があるというふうに考えております。
 そこで、国といたしましては、安全審査を慎重かつ適切に行っておる現状にかんがみまして、こうした判決を受け入れることはできないというふうに、何度も申し上げておりますが、こういうふうに理解をいたしておりまして、御指摘のような過去の最高裁判例との関係も含めまして、最高裁における判断を待ちたい、こういうふうに思いまして上訴をさせていただきました。
 なお、原子力政策を進めるに当たりましては、何よりも、先生御指摘のとおり、安全確保が最優先されるわけでございまして、原子力施設の安全審査などにつきましては国民の理解を得ることが必要であることは言うまでもございません。今後も国として適切な対処をしてまいりたいと思っております。
鈴木(康)委員 これから上告をして、最高裁の審判を仰ぐということになるわけでありますが、私たちも、今回、この判決を受けて、何度か関係者の皆様にお越しをいただきまして、ヒアリングをしてまいりました。今御指摘をいただきました幾つかの技術的なポイントがございました。床ライナーの問題でありますとか、高温ラプチャーの発生の可否の問題でありますとか、炉心崩壊に至るかどうかという点でありますとか、こういう技術的な点については、正直、いろいろ専門家の皆様のお話を伺って、さらに突っ込んだ議論をする必要があるなということを自分なりには思ったわけでありますが、私は、そのヒアリングの過程の中で一つ感じたことは、今回、行政側の皆さんにかなりちぐはぐな感じを受けたんですね。
 それは、例えば、設置をした文部科学省の方の話を伺うと、どうも、「もんじゅ」が大変に重要なものでこれを何としても推進をしたいという熱意が余り感じられなかった。八千億を投じてやっている事業の割には、何としてもこれをまた継続をしていかなきゃいけないんだという熱意を余り感じられませんでしたし、先ほど判決理由のお話もありましたが、安全審査に看過しがたい過誤や欠落があったというふうに言われた原子力安全委員会さんに来ていただいたときにも、ある意味で判決がちょっと青天のへきれきだったというような感じを受けたわけですね。
 今度、裁判の現場で当たっているのは保安院の皆様と法務省の方でありますし、その方たちが矢面に立つというのもどうも何かおかしな気もしますし、いわゆる縦割り行政の弊害が極めて表面化した今回は一つの事例だった。原告団の方は、十七年も一貫して弁護士さんが、ある意味で熱意を持ってやられているんですね。そういう両方を対比しますと、何かやはり姿勢の点で負けているんじゃないかな、それが裁判に少なからず影響を与えた可能性もあるというふうに私は思うんですね。
 先ほど小沢議員の方から御指摘がありましたけれども、やはり、原子力行政というのは整理をする必要がある。推進側もある程度一元化をしていかなきゃいけないし、安全をつかさどる側も、先ほど大臣がダブルチェック体制が必要だということを御指摘されましたけれども、仮に今それが必要だとするのであれば、保安院は現場の安全性を確保する組織としてそのまま残すとしても、原子力行政全体の安全性を監督する組織として、やはり原子力安全規制委員会のような独立した権限を持たせて、そのかわり責任も持ったそういう組織がどうしても必要だろうというふうに私は思うんですけれども、もう一回大臣の見解をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 先ほどの答弁でも私申し上げさせていただきましたけれども、今の御指摘の中で、それぞれの役所で温度差がある、実はヒアリングもされてそういう感想を持たれた、そういうことは私はあってはならないと思っておりまして、やはり国は全力を挙げて、基幹的な、将来の重要なエネルギーでございますから、私どもは責任を持って全力でやっていかなければいかぬと思っております。
 その安全のチェックに関しましては、繰り返しで恐縮でございますけれども、やはり一方においては、この国のエネルギーの安定供給、そして安全性推進、そういった形で国が推進をしていく責任を持っております。ですから、推進をする側に、やはり安全性に対する責任の所在がなければいけない。そういう意味では、原子力安全・保安院が第一次的には一枚かむ。そして同時に、内閣府にある独立した原子力安全委員会がさらにそれをしっかり担保する。このダブルチェック体制というものは、今、この原子力の推進に当たっては、安全性の点を考えたときには必要なシステムだろう、こういうふうに私どもは基本的に考えております。
 それから、国のいろいろ、文部科学省でやり、経済産業省でやり、あるいは科学技術担当大臣がいる。こういったことは、確かに御指摘のようなことが起こってはいけませんので、我々はさらに一体となってやる。こういう一体化の体制ということをきめ細かく構築をしていかなければいけない、こういうふうに思っております。
鈴木(康)委員 私どもの党としては、再度、原子力安全規制委員会設置法という法律を議員立法として提出をさせていただきたいと思いますが、私は、どうしてもやはり、もう少しきちっと独立をして原子力安全行政に責任を持つ機関が必要だと思いますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
 時間がなくなってまいりましたので、ちょっと、先ほど中山議員の方からお話がございました石油公団関連に関して、一、二御質問させていただきたいと思います。
 先日、資産処分に関する中間取りまとめというものが出されました。この中に、「中核的企業のコアとなりうる会社の中に債務超過など財務状況が芳しくない会社が含まれる場合には、民事再生手続きなどの法的手続きにより債務を速やかに整理した後に、株式交換又は株式移転の手続きを行うことが適切である。」という御指摘がございました。これは、恐らくジャパン石油開発を想定してのものだろうと思います。
 今、このジャパン石油開発を含め三社を統合して中核企業をつくるという構想があるというふうに伺っていますが、この点はどうなんでしょうか。
高市副大臣 中間取りまとめにつきましては、今委員がおっしゃったとおりでございます。
 我が国向けのエネルギーの安定供給の効率的実現、それから売却資産価値すなわち企業価値の最大化という課題を同時に実現するために中核的企業の形成を促すべきと提言されているんですが、この中核的企業の構成となる具体的な企業名というものは、今特定はされておりません。
 先日、この中間取りまとめがパブリックコメントに付されているところでございますので、今は特定企業名がここに出てきているという状態ではございません。
鈴木(康)委員 まだ特定の企業名が公表されていないということでありますが、大体予測をしていけば想像にかたくないわけであります。
 もう一つ、実は、これはある新聞社だと思いますが、国際石油開発の松尾社長のインタビューの記事が出ておりまして、ちょっとそこを引用させていただきたいんですが、いわゆるジャパン石油開発、「JODCOには民事再生法を適用し、債務を整理する方向で検討されています。」という質問に対して、「債務を整理すれば済む、という話ではない。JODCOに限らず、統合となれば会社の実態や産油国との関係など、多角的な検討が必要。私たちなりに精査する」ということ。それから、「統合に参加しないこともあるのですか。」という質問に対して、「企業価値が高まる確証が得られない限り、できないことだ。どこかの企業と統合することで企業価値を向上させるという方策を全面否定はしないが、国際的には中堅企業なので今のままでも生きてゆける」という発言がございます。
 この松尾社長というのは、元中小企業庁長官、経済産業省の御出身であられるわけでありますが、どうも、今の中核企業形成に向けての動きが私はちぐはぐな気がして仕方がないんですね。これから恐らくきちっとされていくということであると思いますが、やはり石油というものは、本当に我が国にとって大変重要な戦略物資でありますし、また石油公団の改革というのは、大臣も御承知のとおり、特殊法人改革の第一弾として国民が注視をしている問題でもありますので、私どもも引き続きこの問題に注目をしていきたいと思いますので、ぜひまたよろしくお願いしたいと思います。
 そのことをお伝え申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
村田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中津川博郷君。
中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。古巣の経済産業委員会に戻ってまいりまして、大変中小企業に熱心で理解のある平沼大臣、こういうふうに私思っておりまして、また、副大臣も、西川さん、高市さん、もう大変見識のある方なので、実のあるひとつ質疑をさせていただきたい、こんなふうに思っております。
 午前中の株価、八千四百三円ですね、為替が百十七円ということで、大変心配しております。きのう財務金融委員会で塩川大臣と竹中大臣に一時間にわたってやったんですが、私の経済の認識と、私のというか国民の思っている経済の認識、全く違いますし、そしてまた、先ほど同僚議員からありましたが、現場のそういう中小企業の姿というものをわかっていない、そんな思いで大変暗い質疑をさせていただいたんです。
 塩川さんも去年までは、円安・ドル高、百四十円、五十円、もう経済は大変だと言ったんですけれども、ことしになってぴたっと、額賀さんもいろいろ言っていましたよね、政府高官。だけれども、ぴたっととまって、せっかくアメリカに行ってスノー新財務長官とお話ししてきたんですから、日米合意だって、それはできると思うので。結局、でも、戻ってきたら下がっているという、もう何をやってきたのかなという、そんな思いがするわけであります。
 そこで、きょう一般質疑でありますので、平沼大臣、今の危機的経済状況、これをひとつ、認識をお聞きしたいと思っておるんですが、特にデフレ、不良債権についてであります。
 今、デフレというのは、物価の下落によって経済の悪循環、こういうふうに定義されておりますが、実は今我が国で一番問題になっているのは資産デフレですよね。つまり、土地、地価ですね、この下落の問題。当然株価の下落も含まれるわけであります。平成二年には二千五百兆円あった地価総額、これが平成十二年には一千五百兆円ですよ。十年間で一千兆円下落している。これは暴落ですよね。これは僕は国の責任、地価対策について全く手を打ってこなかった、この責任は物すごく大きいと思っております。
 それと、小泉政権になってからこの地価が約百五十兆円下落しておりますよ、日本全国。非常にこの下落率は高い。ちなみに、株価、百四十兆円から百七十兆円下落している。猛烈な勢いでこの資産デフレが進行しているけれども、本人は至ってのんきである、竹中さんもそんな印象を受けました。構造改革が進んでいけば景気がよくなる、これについては後でちょっと議論したいんですが、相変わらずそんなことを言っておられます。
 ですから、こういう状況ですから、不良債権処理というのを銀行があの手この手、強引にやっても、新しい不良債権は次から次へともうてんこ盛りに出てくる、もうこの繰り返しですよね。ですから、資産価値が下落をする限り、もう毎年毎年、不良債権、三月になると、今銀行も必死ですけれども、同じことが繰り返されるわけです。ことしその場をしのいでも、また来年山のように出てくる。
 今申し上げましたが、小泉内閣は構造改革なくして成長なしと。一見、何か耳ざわりのいい、正しい感じがするんですよね。構造改革は必要なんです。これは行政改革、あるいは天下り禁止、この辺のところはもう民主党が当初主張してきたことでもありますし、構造改革はしなければならない。
 だけれども、私は、これは違うんじゃないかなと、小泉さんの言っていることは。成長なくして構造改革なしなのではないだろうか、そんなことを二年前思っていたんですが、もう今はそういう確信をしているんです。ですから、いろいろな場所で、その立場で私も話をさせていただいているところでありますが、不良債権処理には経済の下支えというのが絶対必要で、景気が回復していくというその前提条件というのは必要なんですよ。
 見てください。緊縮財政やっていますから、ことし四十一兆円ですよね。去年五十二兆円ありました。十年前は六十兆円あったんですよ。財政再建をするということで、小泉総理、目標としてやっているんですが、財政再建どころじゃないじゃないですか。結果として財政出動をしなければならない。財政赤字が膨らんでいく。竹中さんも塩川さんも、きのう同じ質問をしたんですが、危機感が全くなかったところであります。
 結局、では、現場ではどうなるかといいますと、小泉・竹中政策、この緊縮財政政策で不良債権処理を加速すると、それは中小企業の経営者、同僚議員も午前中やっておりました、それから、ローンで家を買って、一生一代の家を買って、そのサラリーマンの人たち、それから、先ほどもありました、バブルどきに銀行の強引な提案融資で、相続に必要なんだと、それでマンションを建てさせられた人たちが、今つぶされていっているんですよね。被害者なんです。
 先ほど、銀行の話もありましたが、支店長が毎日来る。入院すると、手土産を持って優しい言葉で来る。それをつくった方が問題があるんじゃないかという、さっき公取の人の話もありましたけれども、これは銀行の方だって私は半分以上、半分ぐらいは責任があるんじゃないか、こんなふうに思っているところです。
 そこで、この不良債権なんですが、これは経済が悪化した結果であって原因じゃないということ。景気がよくなれば地価も株価も上がって、コストがかからなくてリスクもとらず、不良債権処理がこれは自然になされていくんじゃないかということですよね。今何でアメリカファンドが、竹中さんとゴールドマン・サックスが親しいとかなんとかいううわさも聞こえてきますよ。みんな、リップルウッドのような、新生銀行をたくさんつくって、ハゲタカファンドがこの底値をねらって買い取って、後で高くなったら売るという、国民もそうじゃないかなというふうに今思ってきていますよ。
 私は、不良債権処理を何で今こんなに加速するのかと思っているんです。そのためには緊縮財政政策から景気回復優先策へ、小泉さんに政策転換をしてもらいたいというふうに思っているんですが、平沼大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 今、小泉内閣では、不良債権の処理の加速化、こういうことをやっております。これはやはり、金融機関の機能として仲介機能がございますけれども、今、こういう不良債権をたくさん抱えていて円滑な仲介機能ができない、そのために経済の有効な資源が活用できていない、こういう状況になっております。したがいまして、私どもとしては、やはり手かせ足かせになっている不良債権の処理をやらなければならない、これはやはり避けて通れない、こういうことで今取り組んでいるところでございます。
 しかし、中津川先生御指摘のように、景気というのは、やはり成長を遂げていかないと本当の回復にならないわけであります。ですから、一方においては不良債権の処理を進める。その中で、小泉さんも、当初は、御承知のように、三十兆の枠は絶対に守る、さらには補正予算も組まない、こういうふうに言っておりましたけれども、やはりプラスの、いわゆる血圧に例えれば血圧が上がるような、そういう政策をしなきゃいかぬという形で、補正予算も、この通常国会の冒頭に三兆円の規模で処理をさせていただき、また、これから決定をしていただくわけですけれども、政策減税二兆円をやる、こういう形で取り組んでいるわけでございます。
 決して、全部痛みを伴うという形じゃなくて、こういう厳しい中で、必要最小限のそういう積極策は打っていく。さらに、これからの事態も見ながら、さらに手を打つ必要があれば、小泉総理自身も、柔軟かつ大胆に対応する、こういうふうに言っているわけであります。
 私どもは、経済産業省としては、特に中小企業、これをお預かりしておりますので、こういう厳しい中で不良債権の加速が進みますと、もろに中小企業に影響が出ますので、そういう中では、セーフティーネットの保証、そして貸し付け、そういった枠を設けさせていただき、また新たな借りかえ制度というものをつくらせていただいて、そのダメージが少しでも少なくなるように努力をさせていただいているところでございます。
 私は、おっしゃるとおり、やはり経済を成長軌道に乗せて、そして不良債権も同時にやる、こういったことを両々相まってやることが必要なことだ、このように思います。
中津川委員 景気回復を目標にやらなきゃならないという考え、それは私と同じでありますが、なぜ不良債権処理を今こんなに急いでいるか。それについては言いにくいかと思いますが、今、大臣、これは緊縮財政でしょう。違いますか。緊縮財政でしょう。まずそれが一点。それで、もう金融庁も何も余り頼りにならない。やはり、景気をよくすると今大臣がおっしゃいました。これは、経済産業省、ここしかないんですよ。いかがですか。
平沼国務大臣 確かに、厳しい経済状況の中で、非常に歳出面等でも切り詰めるということをやっておりますが、小泉総理がよくおっしゃるように、やはり今こういう不景気の中で、税収自体が上がっていない中で、今回新たに五兆円ものいわゆる特例公債、赤字国債を発行する、こういうことを考えますと、あながち私は緊縮とは言えない。そういう厳しい税収減の中でも、やはりある一定の規模の予算を編成するという形で一生懸命やっておりますし、その中で、繰り返しになりますけれども、政策減税も相当思い切った形でやらせていただいている。全体の基調は厳しいわけですけれども、しかし、本当に苛斂誅求のきわみというような、そういう緊縮財政ではない、やはり必要な手当ては、やるべきことはやっている、私はこういうふうに思っております。
中津川委員 緊縮財政であると言ったら、今の小泉政治そのものを否定することになりますから、大臣もその一員でありますから、言えないという立場はわかりますが、しかし、国民の多くは、緊縮財政だ、景気を悪くする政策をやっているんだ、だからこれだけ今現場の国民が苦しんでいるんだ、こういう認識であるというふうに、私は毎日多くの人たちと会って、感じております。
 そこで、私は一貫して中小企業政策をやってきたんですが、かねがね日本の融資制度はおかしいと思ってきました。日本の企業は、銀行から融資を受ける場合、アメリカのように、経営者の能力、やる気、人物、あるいはその事業計画を精査して貸し出すんじゃなくて、日本は、担保があるかないか、つまり土地を持っているかどうか、これで貸し出しが行われている。土地担保至上主義ですよね。この件も随分大臣とも議論をしてきました。そこで、企業で融資を受けても、社長個人の個人保証はとられる、奥さんの保証人もとられる、場合によっては、親戚、知人の保証、あるいは担保を要求することもある。
 我が国では、株式会社や有限会社という株主の有限責任の企業体の制度、これがあっても、その実態は、経営者やその関係者に実質的な無限責任を課している、こう言っても過言じゃないと思うんです。これはもう先進諸国の中で非常に特異な慣習だと思うんですが。その結果、資金繰りに困った中小企業者は、自分の資産のほとんどを取られて、身ぐるみはがれて無一文になって夜逃げしたり、ホームレスになったり、自殺に追い込まれているというのが今、後を絶たないわけですよね。これはもう本当に痛ましい惨状です。
 小泉総理が所信表明の中で、交通事故死が一万人、減ったと自慢していましたよ。これは、刑法を厳しくしたとかいうこともあるわけでありますし、また、民間の安全協会とか防犯協会の協力もあったんでしょう。しかし、自殺者が四年連続三万人、この中で経済死と言われる人が一万人弱いるんです。自己破産者が二十万人。異常です。
 私は、日本という国は、やはりやり直しのきく社会、小泉さんは口では言いますよ、再チャレンジと。余りよくわかっていない。やり直しのできない社会じゃないか。一回失敗したり挫折したり倒産しても、やる気と志と夢があれば立ち直れる社会をつくらなきゃいけないと思っているんです。今の日本はそうじゃないんですね。
 そこで、今、私は党内で個人保証を廃止するワーキングチームの座長という立場でおるんですが、厚生労働省も、調べたら、自殺予防というものをつくっているわけなんですが、私は、これは厚生労働省の仕事じゃないと思うんですよ。また、ここでも私も何回も議論させてもらいました、法務省、これも破産法を十五年で改正すると。今のようなひどい、そういう事態はなくなるということで、この中身はこれからでしょうけれども、考えてみますと、経済産業省とここでやったことが一歩、二歩、三歩、前進しているんですよ。
 そこで、私は、平沼大臣が公的な場でいつ発言するのかなと思っていたら、新聞記事を見せてもらったら、十二月十五日のタウンミーティングで、日本の金融機関は、土地担保主義で、事業の将来性を見込んで金を貸さない、個人保証は日本は高過ぎるというようなことをおっしゃいまして、経済産業大臣が公式の場で言って、これは経済産業省も動き出したんだなと私は大変うれしく思ったわけであります。
 これは経済死ですから、ローンで苦しんでいる人です。そういう人たち、これはやはりこの委員会でしっかり議論をして、経済産業省としてやはり対応していく責任があると思うんですが、きょうはこの委員会でありますから、この発言にさらに突っ込んで、また、具体的な方針、アイデアでもいいですけれども、ありましたら、ぜひ御披露してもらいたい、こんなふうに思います。
平沼国務大臣 日本の場合は、間接金融というものがずっと主流を占めておりまして、その中で、やはり間接金融では一番、土地担保というものがその大宗だったわけであります。日本の場合には、それが非常に大きな重荷になりまして、そして、今自殺者の数を挙げられましたけれども、三万人を超えるような自殺者の中で、法務省の統計でも、その中で、明らかに中小企業の経営者と言われる方が四千百人も含まれている。私は、御指摘のとおり、異常な数字だと思っています。
 それは、やはり大変な、個人的な保証というのは、日本の場合には非常に厳しいものがございまして、そして例えば、極端に言うと二十一万円と仏壇しか残らない、こういうような感じであります。
 そこで、今法制審議会の中で御検討いただいておりまして、自由財産の範囲をやはり拡大しようという形で、再チャレンジができるような、そういう状況をつくらなければいけないという形で、今これは審議会の方で結論を得るために作業を急いでいただいております。
 私は、そういう自由財産の範囲を拡大するということも非常に大切なことだと思っておりますし、また、そういう個人保証も土地担保も要らないような融資制度をつくらなければいけない。これは中津川先生からも再三そういう御審議をいただいたところでございまして、これは、さきのさきの臨時国会の中で御賛同いただいて、新規に創業する場合には、国民生活金融公庫の融資の一つの新しいタイプとして、事業計画に着目をして一切保証は要らないという形も創設をさせていただきました。
 それから、再チャレンジができる、統計で調べてみますと、これは、多少表現が悪いかもしれませんけれども、失敗は成功の母という言葉がありますが、やはり一度企業を立ち上げて失敗をした方が再チャレンジをした場合に、その企業の成功率が高い、そういう事例があります。ですから、やはり今までの日本の場合には、一度倒産をした人はレッテルを張られて二度と再びチャレンジができないというような、そういう制度、そういう状況だったわけですけれども、再チャレンジができるような、そういう枠組みをつくっていこう、こういうことも今考えさせていただいております。
 また、やはり雇用の問題等も深刻でございますので、新しくどんどん企業が創業できるようにしていかなければいけないということで、これも御賛同いただいて、最低資本金も株式会社の場合には今までは一千万円、有限会社の場合は三百万円が最低でございましたけれども、極端に言えば一円からそれができる、こういうことにいたしました。
 そういう意味で、私どもとしては、やはり日本の活力の中小企業の皆様方がチャレンジ精神でチャレンジできるような、そういう一つの仕組みをつくっていかなければいかぬ、こう思っておりまして、今申し上げたようなことも含めて今一生懸命検討させていただき、その実現を目指していきたい、このように思っているところです。
中津川委員 アメリカなんかは、倒産を経験した人というのはキャリアで評価されるんですね。だから、初めてやる人より、ビギナーよりも、一回倒産した人より二回倒産した人、そっちの方に資本を投下するという、一回経験しているからそれが生きるだろう、こういう判断で。日本というのは、一回挫折したり失敗すると何かもう暗くなって先が見えないというような社会の風潮がありますが、やはりこういう法的なものから整備していく、これはもうやはり変えていくということが必要だと思っております。ぜひそんな方向でやってもらいたいと思います。
 先ほども同僚議員から話がありましたが、今、党内で、金融アセスメント法案、これを提出しております。それから、私たち四人で中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案要綱というのを、これは一昨日、衆議院に提案いたしました。これは、要するに、貸し手の責任、日本の場合は借り手だけの責任ですがね、貸し手の責任だってあるんじゃないか。私は、フィフティー・フィフティーまでいずれは持っていかなければいけない、そういう一歩前進だというふうに思っておりますので、民主党が出したからということではなくて、これはもう与野党一緒になって、与党、もちろん真剣にひとつ議論して、ぜひこれを通してもらいたい、こんなふうに思っております。
 それで、中小企業政策、交際費について少しお伺いしたいのであります。
 交際費なんですが、今、もうかっている会社はほとんどないわけです。ですから、交際費が使えるところはどんどん使ってもらおうと。見てください、今、町の中を。タクシーがもう人の数より多く駅にとまっていますよね。それから、飲み屋は人がいないし、繁華街は真っ暗だし、第一、酔っぱらいがいない。これはもう非常に寂しいことで、こういう状況を見ただけで、やはり景気が悪いんだなということがわかると思うんですがね。交際費というのは、これは日本の文化でもあり、コミュニケーション、飲みニケーションということで、大変いいものだと思うんです。
 これなんかも、バブルのときに、かつては、私なんか事業でばんばんやっていたころ、これはもう全額落ちたんですけれども、五十七年から平成五年ぐらいまでですかね。平成六年から、何か一〇%削って九〇%だけ落ちる。それから、平成十年、景気が悪いときに、財務省というのは本当に取れるところから取るんだなというような、センスのなさというのがわかると思うんですが、ここで二割にしまして、八割落ちるということですけれども。
 今度、それをまた一割に戻すということですが、こんなのはせこいので、もう交際費は全部使え、枠を広げるぐらいの、もうかっているところには大いに使ってもらおうというのが私は一番いいんじゃないかと思うんですが、大臣はどんなふうに思っていらっしゃいますか。
    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕
西川副大臣 申しわけありません、私から。
 ただいま中津川先生から御指摘がございましたこと、私も同じように感じている部分がかなりあります。
 そこで、平成十五年度の税制改正におきまして、原則損金不算入とされていた交際費につきまして、御案内のとおり、今まで資本金を五千万円以下の中小企業、こうしていたはずでありますが、これを資本金一億円以下というふうに広げましたし、それから、損金算入できる範囲を、いわゆる四百万というラインがあって、これに対する八掛け、こうしていたわけですけれども、これを九掛けにするという、まあ、それで十分かという御意見が次に出そうでございますけれども、まずはそこまで広げた、こういうことであります。
中津川委員 西川副大臣も、多分お立場を離れて私と同じ気持ちだと思います。
 そこで、今、町を歩いて中小企業のおやじさんたちのところに行くと、どういう声が聞こえてくるかというと、先生、税金で大きいところばかり救わないで、おれたちのところも救ってよ、徳政令を出してよという声が大変大きいんですね。これはもう率直な声ですよ。中小零細、個人経営者の人たちは、何百万の世界なんですよ。何百万の世界で、生きるか死ぬか、頑張れるか。もう徳政令ですよ、徳政令。
 そういう声がたくさんあるのでありますが、四年前に、金融安定化資金、私はこれは大変評価しているんです。日本人というのはまじめですから、あれはたしか半年先に返済を始めるということだったんですけれども、八割の人がもう翌月から払う。それから、事故率、リスクを大体一割見ていましたけれども、これはきのうの時点で五・四六%。よく返しているじゃないですか。もう本当に、この数字を見ても、これは僕は大変すばらしいと。
 大臣、あれが三十兆円ですか、もうストップしましたけれども、一年延期して。これを復活するぐらいぱんとやったら、自民党の支持率も上がると思うね。利率を上げたり査定を厳しくしたり、今までやってきたものを少し反省して直すのはいいと思うんですけれども、もうこのくらいやらないと、中小企業、国に対して、政治に対して、もう完全に信頼をなくしちゃう。
 最後にこのことを、大臣、いい答弁をお願いします。
平沼国務大臣 特別保証制度のことを大変評価していただいて、私どもも、あの制度は非常に中小企業にとって効果があった、このように自負させていただいております。
 御指摘のように、当初は二年、二十兆の枠でやりましたけれども、やはりもう一年、さらに十兆上乗せをしよう、こういう形で、実績としては、中小企業者の三分の一強の百七十二万社の方々が御利用いただいて、保証も十兆上乗せをしてよかったな、二十八兆九千億やらせていただきました。そして、おっしゃるように、日本人の経営者というのは、こういう厳しい中でも非常にまじめに返済をしてくだすっております。したがって、私どもとしては、これは相当大きな雇用と、失業という問題から考えると倒産、そういったものを防げたと思っています。
 これを再度、こういうことでございますけれども、これはある意味では異例特例の措置としてやらせていただきまして、そのかわりといっては恐縮でございますけれども、今度の補正予算の中でも、やはりセーフティーネット保証、貸し付けというのを十兆の枠で用意させていただき、さらに我々としては、この補正予算の中で新たな借りかえ制度というのをつくらせていただいて、例えば、あと一年で六百万返さなければならない方は月五十万の返済ですけれども、それを五年延長するということになれば月十万の返済でいいわけでございまして、これも二月十日からスタートさせていただいて、今、五千件になんなんとする利用をわずか二週間でいただくようになっています。
 そういったことを含めて、御指摘の、今中小企業は非常に大変ですから、我々としては、この問題、さらによく検討して、中小企業対策に万全を期していかなければいかぬ、このように思っています。
中津川委員 質問時間が終わったんですが、実は、民主党の方で中小企業アンケート、これは国会議員が地元を回ってアンケートをとって中間報告、私も張り切って五十社ほどやってまいりました。ここにサンプルが載っかっておりますので、本当に中小企業の現場の、これは竹中さんと塩川さんにまず読んでもらおうと思っているんですが、本当に切実なことが書いてありますので、これを大臣と副大臣にお渡ししたいと思いますので……(発言する者あり)では、皆さんたちにもお分けしたいと思いますので、ぜひ、もう党派を超えて中小企業、もう経済産業委員会は中小企業だと、これを一緒に、民主党の意見もどんどん聞いてもらってやってもらいたい。こんなことを申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
竹本委員長代理 松野頼久君。
松野(頼)委員 民主党の松野でございます。
 きょうは、総務副大臣においでをいただきまして、先ほどからるるお話があっていますが、中小企業者の立場から見た税制、ちょっとお伺いしたいなと思っています。
 ずっと、中小、特に零細の企業の方に聞きますと、今もお話が出ていましたけれども、金融機関に行って必ず担保に出すのが土地なんですね。この土地の資産のデフレがとまらないと担保価値が減って、劣化をして、運転資金もなかなか貸してくれない。本業は何とかやりくりはしているけれども、どんどん毎年、地価公示で土地の値段が安くなっていくわけですから、お金を借りられないというのが今一番大きな声なのではないかなというふうに私は思っております。
 それで、土地の税制を見てみますと、全体の土地の税収が約十二兆六千億、土地関連税収があるんですね。その中で、十兆八千億が固定資産税や保有税なんですよ。今回、十五年度の税制改正要綱の中で登録免許税が二千百億減税をされて、もうこれで土地流動化は大丈夫だと言われていますけれども、この登録免許税はしょせん一兆三千億程度なんですね。一番大きい、十兆以上ある土地建物の固定資産税を軽減するべきではないかなというふうに私は思っておりまして、きょう、総務副大臣にわざわざおいでいただいて、固定資産税についてちょっと議論をしたいと思います。
 それで、中小企業の団体とか当の経済産業省さんも、税制改正要求の中で固定資産税の引き下げというのを要望していらっしゃるんですが、大臣、この要望はいかが、どれぐらいやられたでしょうか、そこをまずお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、固定資産税というのは、高コスト構造と言われております我が国の経営環境におきましては、当然のことながら大きな固定的な負担になっていることは事実で、私もそのように認識しております。私どももそういういろいろ御意見、御陳情をいただきました。
 そこで、私は、経済活性化の観点から、平成十五年度税制改正においてその軽減を要望させていただきましたし、経済財政諮問会議の場でも、固定資産税の軽減を含めた土地取引のいわゆる活性化のための税制改正、これを強く主張させていただいたところでございまして、私どももそういう問題意識を持って今までも努力はさせていただいたところでございます。
    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕
松野(頼)委員 ぜひ引き続き強く要望をしていただきたいと思います。
 それで、ちょっとたくさん資料を配らせていただいたんですが、所轄の副大臣にお伺いをしたいと思います。
 これは、大体平成三年ぐらいから土地の値段というのは下がってきていますね。にもかかわらず、資料の3というのを見ていただきたいと思うんですが、この税収をずっと見ていくと、もう天才的に、だれが考えたのかわからないぐらいの計算式を用いて税収が下がらないようにしているんですよ。
 資料の4を見ていただくと、商業地、宅地ともに平成四年からこれだけ毎年毎年落ちているわけです。にもかかわらず、固定資産、保有税、財産税の価格が、財産の価格が下がっても税収が下がらない。これは増税ですね。伺いたいと思います。
若松副大臣 固定資産税の総額の金額でございますが、結論から申しますと、平成十一年の固定資産税総額九兆二千四百三十七億をピークに減少しておりまして、十四年度が九兆九百二億、さらに十五年度は八兆七千二十億ということで、十四年度に比べて十五年度は約四千億弱の額が減少されるということで、決してふえているわけではございません。
 なぜ、そうなるかということでございますが、宅地に係る固定資産税の仕組みそのものですが、これは、平成九年度以降、課税の公平の観点から、負担水準、いわゆる評価額に対する課税標準額の割合の均衡化を図っておりまして、このような調整措置をそれ以来ずっと行っているところでございます。そういうことで、平成十五年度以降もこの措置を講ずるべく、今国会に地方税の一部改正案を提出させていただいております。
 そして、今回の、現行措置におきましても、負担水準の高い土地の税額は引き下げまたは据え置きになっておりまして、それが全国の約八割近くになっております。したがいまして、税額が緩やかに引き上げられているのは、いわゆる全国的にも二割程度でありまして、特に大都市圏ですと五%ということでかなり一部的になっておりまして、私どもとしては、税負担のばらつきを均衡化させる過程におきましては、課税の公平の観点からやむを得ないものと理解しておりまして、ぜひとも御理解のほどをよろしくお願いしたいと思います。
松野(頼)委員 これだけ土地の値段が下がっていながら税収が上がっているという。ことしは少し下がるのかもしれませんけれども、実際に下落に比べて上がっている。
 なぜ上がっているかと調べていきますと、平成六年度に、要は、平成四年に自治事務次官が通達を全国の市町村に出しまして、評価額の評価の仕方を、今まで二、三割程度の評価だったものが、七割にしなさいということをやっているんですね。ですから、お配りをしました3と書いてある資料を見ていただきますと、平成六年から固定資産税の評価額がもう四倍に上がっているんですよ。資産課税ですから、資産の評価の値段を上げれば当然税収は上がってくるわけで、納税者の税額は上がってくるんです。
 この税額が上がることを、国会を通らない通達でやるということは、これは憲法八十四条の課税法律主義に僕は反しているんじゃないかと思うんですけれども、これは、副大臣、政府の所轄の副大臣としてどのようにお答えになるのか、お伺いしたいと思います。
若松副大臣 この七割評価方法につきまして、国会で議論していない、租税法律主義に反するか、そういう御質問でありますが、この租税法律主義といいますのは、課税要件につきまして法律において定められなければならない、当然ではございますが、しかし、租税法におきましては、多分に専門的、技術的な事項が存在することになっておりまして、このような事情から、下位の法形式に委託することは許容される、このように私どもは法解釈をしているところでございます。
 よって、地方税法は、固定資産税の課税標準を適正な時価と想定して、これが第三百四十一条第五号に記載しているわけでありますが、これを具体的に求めるための固定資産の評価の基準及び実施の方法さらには手続、いわゆる固定資産の評価基準、この制定を総務大臣にゆだねて、これを告示している。これが第三百八十八条第一項という形で、私どもは、法律に基づいてしっかり今やらせていただいているということでございます。
 いずれにいたしましても、固定資産評価基準の内容につきましては、これは大変高度でかつ専門的な、技術的な性格を有していることと、その作成につきまして総務大臣に委任しているものでありまして、私どもといたしましては、租税法律主義に反するものではない、そのように理解しておりまして、かつ、平成十三年二月二日の大阪高裁判決におきましても認められているところでございます。
松野(頼)委員 私も、大体裁判の判例から、過去の大臣の答弁を聞いています。
 これは、政治家として若松副大臣に僕は聞きたいんですよ。選挙で選ばれた政治家が、行政に入って監督なり行政の運営をするというその政治家が、その評価額、要は税額を決める金額が国会を通らなくてもいい、通達で税額を上げてもいいといってお答えになっている姿というのは、私は不思議でならないんですね。
 どうか政治家として、今副大臣がここで、僕もずっと調べてまいりました、この七割評価は、今まで法的には問題ないというふうに裁判所も後押しをしているんですけれども、ここは立法府ですから、副大臣が今、これはちょっとおかしい、課税の金額が上がることは国会の議会に戻すべきだということをここでおっしゃれば、流れが変わるんです。どうか政治家として、政治家としてですよ、税額の金額が上がることを役所から議会に戻すんだという立場で、もう一回答弁してください。
若松副大臣 政治家としてお答えいたします。
 私個人としては、やはり固定資産税というのは、いわゆる市町村、住民に身近な、いわゆる行政の大変基幹的な税制だと思っております。
 そういう意味で、従来、御存じのように、かなり評価のばらつきがございました。それを、いわゆる七割ということで全国的に普遍化していこう、これは適切な改正ではないかと私は思いまして、そういった改正は、その都度その都度国会を通じて法律改正をして、かつ、先ほどの制度自体も、こうやって三百何十何条とか、いわゆる固定資産税法に基づいて手続を進めさせていただいておりまして、私は、それ自体がしっかりと、国会を無視しているわけでもございませんし、しっかり租税民主主義にのっとったやり方であると確信しております。
松野(頼)委員 今回の地方税法の改正もここにありますけれども、固定資産税については、宅地に係る負担調整措置は、負担水準の均衡を図るために現行措置を引き続き講じること、これ一行なんですよ、一行。
 ことしは平成十五年の評価がえの年なんですね。この一行で、例えば国民が、自分の税額が平成六年の評価がえによってがくっと上がっているけれども、何ら訴える手だてがないんです、議会を通っていないですから。紙一枚の通達で、あなたの土地は幾らですよ、賦課課税ですからね、あなたの土地は幾らです、だからこれだけの税金を払いなさいといって、それに対して国民が対抗できるのは、固定資産評価委員会への不服審査請求だけなんですよ。それか、裁判に訴えるしかないんです。
 この民主主義のもとで課税法律主義というのは、勝手に国が自分の税額を上げないために、全部税金に関しては国会を通過させなさいという、民主主義のもとでの一番の取り決めであります。
 これは、学者の中でもそれぞれ議論があって、課税法律主義という議論をする方もたくさんいらっしゃるんですよ。税額が上がることが、僕ら国民の代表者である国会を通らずに、勝手に通達一枚で、今まで二百万だったものが三百万になってしまう。賦課課税ですから、申告納税ならまだいいですよ、賦課課税ですから、全くその説明を聞いても、後でこれはやりますけれども、固定資産の評価額の割り出し方だって、先ほど大臣がおっしゃったように、非常にテクニカルで複雑なやり方でやっているんです。これも課税要件明確主義違反だというふうに言う学者もいるんですよ。私もそう思います。
 一言で簡単にあなたの土地幾らですと言えないし、説明を聞いてもわからない。こういう複雑な税でありながら、国会を通らずにそのまま通達一枚で税額が変わるという、これをやはり、政治家が議会の課税権を役所に渡していいという話をされているようなもので、こんなばかげたことは民主主義のもとで私はないと思うんですが、それはいかがでしょうか。もう一回聞きます。
若松副大臣 まず、御存じのように、地価とかいわゆる固定資産税の評価というのは、特に不動産鑑定士等もございますが、やはりかなり複雑な要素が絡んでの一つの価格形成になっているわけですね。それを、まず、いわゆる地価公示の観点からすれば、全国都市計画内で三万一千五百二十地点で評価している、さらに、自治体関係ですと、いわゆる実勢価格としての四十万地点、それを評価がえを定期的にしておりまして、それを私どもは、先ほど申し上げましたような法律に基づいた手続でやらせていただいている。
 かつ、今回の七割評価という制度でございますが、これにつきましても、平成五年度、平成七年度から九年度、さらに十二年度という形で、地方税法の一部を改正する法律案を国会に提出して、その上で手続としてやらせておりまして、私は、そういった実務から、かつ法的な手続から考えて、何ら問題はないと考えております。
松野(頼)委員 これは本当に何ら問題ないと政治家の立場で、議会の課税権を役所にゆだねちゃっていいということをおっしゃっているようなものなんですよ。
 やはり、税額に関しては、今は税率は議会を通るけれども税額はいいんだという考え方で、資産課税で評価の方法を勝手に役所が変え始めたら、これは税額がどんどん変わるんですよ。固定資産税一・四と都市計画税〇・三というのは、この税率は変わっていません。ただ、税率は変わらなくても、価格の評価の仕方が変われば、それは税額が変わるんですよ。
 先ほどおっしゃいましたけれども、東京都の千代田区の物件で、三年間で三割以上、三二%下落したときの裁判の判例がありまして、それを飛び出した二%分は裁判所も違法だと言っているんです。これだけ地価下落時の中で、先ほどおっしゃった地方税法三四一の五号、適正な時価、固定資産税の評価は適正な時価を用いるというこの文言なんですけれども、これが本当に地価下落時、これだけおっこちている中で、三年に一度の評価をかえることで適正化と言えるか。どこが一体適正な時価なのかという議論に今度入らざるを得ないと思うんですね。
 ちょっと飛びますけれども、資料の五番、不動産鑑定士さんから僕がもらいました鑑定の表を見ていただきたいと思うんですけれども、これは決して、ランダムに、落ちたところだけ二枚拾ったわけじゃなくて、こういう例は市場の不動産屋さんに行けばたくさんあると思うんですが、路線価、この左側を見ていただきますと、百二十四万九千六百二十五円、左のカード、港区の土地ですけれども、これは、不動産鑑定士が百二十四万と査定をしているんですが、平成十二年度の路線価は百九十五万なんですね。路線価と実勢、要は公示価格の八割が路線価ですから、固定資産評価額は大体七掛けですからね。こうやって実際に路線価よりも低い値段で土地が売買されている例がたくさんあります。この間、僕も不動産屋へ行きましたけれども、土地は固定資産評価額で取引どうですか。もう公示価格の七掛け、固定資産評価額が実勢価格に今は東京じゃなっているんですよ。
 大体、どこの県も大都市の中心部は同じだと思いますけれども、それが、公示価格の七掛けの七掛け、約四九%が大体固定資産税の評価額、それに負担調整を加えているわけですが、この七掛けの七掛け、二回目の七掛けというのは三年間の下落分を大体見ているというふうに裁判所も言っているんですね。この三年間の下落分が二%飛び出した、三二%下落したものに関しての二%は、これは違法ですよという判決を出しているんです。
 ですから、こういう現状の中で、土地の適正な時価という、地方、三四一の五が、果たして今この状況の中で妥当なのかという問題もあるんです。その辺、この例を見ていかが思われますか、副大臣。
若松副大臣 まず、この取引事例カード、これはどなたがおつくりになったか、ちょっと私も、きょう初めて見たので何とも言いかねるんですが、いずれにしても、委員の御質問は、いわゆる固定資産税の評価額が、七割評価、高いんじゃないか、こういった御質問に集約されると思うんです。
 それにつきましては、当然、私どもは地価公示価格の七割をめどということでやらせていただいておりますが、この地価公示価格は、御存じの専門家であります不動産鑑定士が、いわゆる現実の市場における取引事例、まさにこういうものですね、こういうものを参考にして、かつ、その中で、例えば売り急ぎとか買い急ぎという特殊な要素を含まない標準的な事例を適切に選択して行った鑑定評価に基づいているということで、なるべく特殊事例はしっかり省いて、標準的なものでやはり適正な価格を表示していこう、こういう努力をさせていただいているところであります。
 しかし、御存じのように、先ほど言いましたように全国四十四万カ所の評価地点、または個々の取引等ありますとかなりの量になりまして、私どもは、とにかく適正な評価額ということに全省を挙げて取り組んでいるところでございますが、さらにその場合に、いわゆる三年に一回ではなくて、地価が著しく下落したとかそういった場合には、それを、毎年地価下落に評価額を反映させる、そういった措置も講じているところでございます。
 したがいまして、この取引、ちょうどこの事例でございますが、先ほど申し上げましたような売り急ぎとかそういった特殊な要因があっての結果になるんではないかと思いますが、私どもは、大方、一般的には評価額が通常の取引価格は上回ることはない、このように考えておりまして、この七割評価自体というものをぜひとも今後とも維持させていただきたいと考えております。
松野(頼)委員 いや、大臣、なかなか政治家として答えていただけないんですけれども、平成六年に七割評価を導入した年は、全国で二万二千件の不服審査請求が出ています。平成九年度、これも評価がえの年ですけれども、一万三千二百五十五の審査申し出が出ています。また十二年度、少し落ちついてきたんでしょう、五千六百。これは三年間で三回の評価がえで約四万件以上の全国で不服審査請求が出ているんですよ。
 まだまだ、お年寄りが一人で持っている土地とか、それだけの手続をとれない人たち、西川副大臣、うなずいていらっしゃって、前に固定資産税が同じように高いと言って質問されている議事録、私も読みましたけれども、毎年今度の評価がえは行くだろう行くだろうと思って私も見ているんですけれども、今回、十五年度がまた評価がえの年。本当は去年この質問をやりたかったんですが、今度も下がるだろうと思っていて、地方税法の改正の文言、今委員会に付託されていますけれども、これを見たら、これは一行で終わりなんですよ。
 平成六年の評価がえは、副大臣、増税なのか増税じゃないのか、イエスかノーかでちょっとこれ、答えてください。後でこれはずっと議事録で響いてきますから。
若松副大臣 金額でいうと減です。先ほど申し上げましたように、十四年と十五年を比べて固定資産税は三千八百八十二億、予測ですけれども、減額になります。(松野(頼)委員「平成六年の評価がえのとき」と呼ぶ)平成六年ですか。平成六年とどちらを比較しますか。
松野(頼)委員 平成四年に通達を出して、平成六年に評価がえをした、このことは、平成六年度の評価がえの持つ目的は増税ですか、違いますかということです。
若松副大臣 まず、データ的なところを言いますと、平成五年度と比べまして平成六年度の固定資産税総額が七兆九千百七十八億ということで、前年に比べて三千九百六十一億増額になっております。これは、先ほど言いましたように、いわゆる七掛けという定着、さらには評価の見直しということが相まっての結果として、このときの増税になったということであります。
 それと、先ほど委員が申されました審査の申し出件数、これにつきましてですが、いわゆるこれをやり始めた、ちょうど、やる前の平成三年度、これは審査申し出件数が全国で六千六百三件あったんですが、確かに平成六年度は二万二千二百二十九件に増加しております。しかし、それ以降、平成九年度が一万三千二百五十五件、さらには平成十二年度五千六百十九件ということで、平成三年度よりも今は減っている状況でございまして、私どもは、従来の姿に、かなり定着してきたのかな、そのように考えておる次第でございます。
松野(頼)委員 もう一回聞きます。平成六年の評価がえは、目的は増税だったんですか、増税じゃないんですかということを残したいんですよ。今までの答弁では負担の均衡化と言っているんですけれども、税収の計、税収を見ていると本当にもう天才的な数字で、地方税が、固定資産税の税収がきれいに上がっていくようになっているんですよ、数字を追っかけると。だから、この六年度の評価がえは、増税が目的だったのか、違うのかということをお答えください。
若松副大臣 この七掛け評価の計算方法は、あくまでも私どもは、いわゆる固定資産税評価に際しての適正化という観点から行いまして、特に増税を具体的に目的としたものではございません。しかし、結果として増額したことは、もう事実として認めます。
松野(頼)委員 そろそろ時間となってきたので、またあした、予算委員会の分科会でこの問題はずっとやりたいと思うんですけれども、では、最後に、副大臣、もう一回、課税権。課税権ですよ、は議会に戻すべきだと僕は思うんです。税額が上がるときには、必ず国会の決議を経てから上げるべきだと私は思うんですよ。勝手に通達一枚で税額が上がるということは、これは議会の課税権を役所に渡しちゃっているんですよ。それは、僕ら政治家がそれを擁護するというのはおかしな話ですよ、副大臣。
 これは、政治家の立場でそれは、とりあえず、少なくとも本会議場で採決をしないと税額の変更はできないと。これは、やはり憲法八十四条、これは国民の立場として絶対に守らないと、税金が上がることに対して国民は何にも口が出せなくなっちゃうんですよ。
 副大臣、この固定資産税だけの問題じゃないんですよ。通達で税額を上げるということを絶対にやめさせないと、これは大変なことになりますから、国会が、私たち国会議員が課税権を議会から役所に移すような話ですから、どうかもう一回、国会議員、政治家として答えてください。
若松副大臣 そうおっしゃいますが、今増加のときを言っておりますが、実際に十四年から十五年のときに四千億弱減っているんですよ、固定資産税が。ですから、当然、先ほどの計算方式は、これは法律で固めていますから、ですから、法律に基づいて、実際に評価は実務でやっているわけですね、先ほどの法律に基づいて。結果として、それは増加するときもありましょうが、現実に最近は減っているんですね。
 その事実もぜひ見ていただいた上で、私は、現在の固定資産税のやり方というのは、いわゆる七割評価という定着、さらに全国的なばらつきのいわゆる是正、そういった観点から非常にいい形で進んでいるのではないかと思っておりまして、何ら問題点は私自身は感じておりませんし、それ以前に、総務省の立場からすれば、いかに地方の、いわゆる自治体の財源をどう確保していくか、これについて今、大変頭を悩ませているところでありまして、ぜひ経産省の大臣初め関係委員の皆さんの御理解もいただきたいと心から願う次第でございます。
松野(頼)委員 どうもありがとうございました。また分科会でやります。
 ぜひ、最後に一言、大臣、こういう現状でありますから、やはり議会としての、課税権は絶対に議会に戻すんだということで、強い意思でぜひ、通達一枚で税額が上がるようなことはしないように、内閣の中で総理にもまた担当大臣にもぜひ強く申し入れていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 自由党の土田龍司でございます。ことし初めての一般質疑でございますので、話が重複する部分が随分あるような気がしますが、基本的なことだと私は思いますので、幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、今、国民が最も切望しているのは景気対策であるということは当然でございますし、非常な苦しみを味わっているんじゃないかというふうに思います。小泉内閣が発足して四月で丸二年がたつわけでございますけれども、我が国の景気が一向によくなる気配もない状態が続いていると私は思うんですね。
 そこで、経済産業大臣としまして、我が国の経済を今どういうふうに認識しておられるのか、あるいはまた、これまで小泉内閣がとってこられた政策がどういった効果があったのか、これについて見解を聞きたいと思います。
平沼国務大臣 日本の景気というのは、バブルが崩壊した後、大変低迷をしておりまして、最近はデフレも加速をしている、こういう厳しい状況にある、こういうふうに認識しております。
 鉱工業生産を見ましても四カ月連続で低下をするとか、あるいは設備投資意欲も減殺されているとか、あるいは完全失業率が戦後最悪のマイナス五・五を記録するとか、あるいは倒産件数も大体二万件の近くをずっとこの三年推移しているとか、本当に厳しい状況だと認識しております。引き続きこの十五年度も、さらには不安定要因の、例えばイラクの問題がありますし、また今は、アメリカ、東南アジアへの輸出という形で、例えば昨年度は実質のGDPがプラス〇・九、こういう数字は出ておりますけれども、しかし名目ではこれがマイナスになる。こういう形で、先行きも非常に厳しい状況があると思っています。
 小泉内閣で、一年十カ月ぐらい小泉政権は続いてきておりますけれども、そういう中で、経済財政諮問会議等を通じて骨太方針とかいろいろ対策を講じさせていただいて、私は、これがだんだんに効果をこれから生んでいくのではないかと思っております。
 また、経済産業省といたしましても、やはり重点的に中小企業に焦点を絞ってきめ細かな対応をさせていただき、また今度の補正予算でも、我々としては、例えばセーフティーネットをしっかり構築する、こういう措置もとらせていただきましたし、あるいは中小企業に力点を置いた減税等も加えさせていただきました。
 今まさに非常に厳しい時期でございますけれども、小泉内閣として累次にわたっていろいろ対策を講じたことが、やはりこれからしっかりと実のあるものに結びつけていかなければいけない。今、胸突き八丁で一番苦しい時期だと思っておりますけれども、決してこれまで放てきをして何もやってこなかったということじゃなくて、やはり一定の成果が上がるまでには一定の時間も必要だ、私はこう思っておりまして、さらに景気の対策プログラムというものを私どもはしっかりと進めていかなければいかぬ、こういうふうに思っています。
土田委員 今の大臣の答弁は、すべてはこれからだというふうに聞こえるのですけれども、丸二年たとうとしている現在、いまだに明るい兆しが見えてこない。国民もいつまで我慢すればいいのかというのが見えてこない。本来、政治の目的は、国民に痛みを押しつけるのではなくて、痛みを和らげる、取り除くということが目的ですね。だから、いつになったらそうなるのかということについて、やはりもう少し明るい見通しを立てていただきたいなという感じがしてならないと私は思っているのです。
 昨年十一月一日にこの経済産業委員会で私は質問をさせていただいたわけでございますが、需要創出の重要性についてそのとき申し上げました。最近の我が国の経済政策に関するさまざまな議論を見ておりますと、構造改革の名のもとで供給面をスリム化するだけではデフレからの脱出はできないのじゃないかという議論が非常に多いように私は感じているのです。
 今月の月例経済報告、個人消費に関する基調判断が出ておりますけれども、「横ばいで推移している。」というのが先月、今月は「おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。」というふうに後退しているわけです。特に個人消費の低迷が目立っていると。
 平成九年度に消費税が値上げされ、あるいは特別所得税が廃止された、あるいは医療費が上げられて一遍に消費マインドが冷え込んでしまったということがございました。ことしになってまた、四月からは医療費を値上げされる、あるいはまた五月から発泡酒とかワインなどの税率の引き上げがあるということになりますと、需要面で産業技術力の向上に向けた予算措置や税制面の措置は行っているということは知っていますけれども、これでは当面の足元の景気回復にはならないのじゃないかというふうに感じるわけです。
 そこで、例えばマーケットの創造、拡大などの個人消費を喚起するような、あるいはまた、かつて経済産業省が規制緩和について大胆な措置を提案されたように、経済産業省として何か即効性のあるようなことを考えておられませんか。
平沼国務大臣 現下の厳しい経済金融情勢を考慮いたしますと、デフレ克服に向けまして、需要創出等に直結する思い切った経済活性化、そして需要創出策に取り組むことは、御指摘のとおり重要な問題である、私はこのように認識しております。
 このような観点から、具体的に申し上げますと、一つは、企業の前向きの動きを引き出すことが重要だと思っています。経済活性化に寄与するような税制措置の実現に私どもは取り組んでまいります。そういう意味では、平成十五年度税制改正におきましては、研究開発投資減税、あるいはIT投資減税、それから中小企業活性化減税、それから創業支援税制などの措置をこれに盛り込んだところでございまして、例えば、研究開発と投資、それぞれ六千億、合わせて一兆二千億の減税に相なる、こういう形で、これは、ある意味では非常に即効性があって、効果が出てくるものじゃないかと思っています。
 それから、そのほかの政策減税として、やはり資産デフレが起こっていて、土地あるいは株、ここに活力を与えなければいかぬという形で、いわゆる土地の譲渡益課税に関しても、相続を含めれば、家屋を含めれば、従来は百十万だったものを三千五百万、こういう形で大幅にこういう譲渡益課税も強化をさせていただきましたし、また証券取引におきましても、その譲渡益に対する課税も一〇%、こういう形で軽減をする、こういうような形で、こういったことも盛り込んできたところでございます。
 さらには、我々としては、今御審議いただいているこの十五年度の予算においては、企業が一生懸命努力する研究開発がすぐ事業化に結びついて、市場に直結する、そういう研究開発プロジェクト、これはフォーカス21と言って、絞り込んで、我々そこに特化しておりますけれども、ほかにも大幅に予算をつける、こういうことをさせていただいております。
 さらには、今まではなかなか、企業を立ち上げようという意欲のある方、たくさんいらっしゃったわけでありまして、例えば、毎年平均百二十万人ぐらいの方々が新たに業を起こそうと思っていても、実際に十八万社しか誕生していない。こういう中で、事業計画に着目をして、本人保証も、土地担保も、第三者保証も要らないという制度、これは従来の十倍のスピードで企業が立ち上がってくるようになりました。
 それから、資本金も、株式会社の場合は一千万、有限会社の場合は三百万、そういう枠がございましたけれども、やはり、だれでもが業を立ち上げることができるように、極端な場合には資本金一円からでも業を立ち上げるというようなこともさせていただいて、私どもとしては、今こういう厳しい状況の中で、実効性のあるものを積極的に展開しているところでございます。
土田委員 小泉総理は改革なくして成長なしということばかりおっしゃっているんですけれども、閣僚の中でも中小企業を担当されている所管大臣として、一番中小企業者の苦しみを理解していらっしゃるというふうに、大臣、私は思っております。ぜひそういった面から御活躍をお願いしたいと思うんですが、中小企業支援策について幾つかお尋ねをしたいと思います。
 まず最初は、金融機関と中小企業の需給ギャップについてでございます。
 中小企業向け融資が激減をしているわけですね。その中から、金融庁から融資の増加を求められた金融機関がどうしているかというと、経営が安定している優良企業にばかり頭を下げて回っている、借りてくださいと。本当に資金が必要な中小企業に対しては、金利の引き上げを要求したり、あるいは貸し渋り、貸しはがし、そういったことばかりやっているわけでございますけれども、実際、こうした中小企業の資金をめぐる金融機関と中小企業の需給のギャップについて、どういうふうに考えておられますか。
平沼国務大臣 御指摘の点はある、私はこういうふうに認識しております。現に、中小企業金融をめぐる指標を見てみますと、例えば資金繰りDI、あるいは長期借入難易度DI、これはずっと低水準に推移しておりまして、特に短期借り入れの難易度はさらに悪化をしましてマイナス一三・九、こういうことになるなど、中小企業を取り巻く金融情勢というのは非常に厳しいものがあると思っております。
 今御指摘のように、例えば、政府の公的資金を注入しているメガバンクと言われるところが、中小企業に積極的に融資をしろと言っているにもかかわらず、あるメガバンクでは、約束を履行しないどころじゃなくて、実は五兆円も貸しはがしをしているというような実態もあります。そういう意味で、この需給ギャップというのは非常にあると私は思っております。
 今ちょっとお話しになられましたけれども、私も地元に帰りますと、中小企業でもいいところにはうるさいほど金融機関が来て、金を借りてくれ、借りてくれと言っている。そして、ちゃんと正規に利息を返済していても、ちょっと先行きが危ないようなところに対しては元本の引き揚げまで要求するというような、そういう状況があるということは、私の地元でも中小企業の経営者の方から聞いております。
 そういう意味で、私どもとしては、金融庁にもお願いをいたしまして、そして金融検査一つとっても、信用金庫だとか信用組合、地方、そういったことを考えて、やはり別マニュアルできめ細かい、中小企業というのは多様であり、地域性があるのですから、そういったところに合うようなマニュアルで検査をしてほしいということで、六月に申し入れて、そういう形になりつつありますけれども、まだこれは完全に徹底されていません。ですから、そこはさらに私どもはお願いをしているところでございます。
 また、その延長線上として、午前中の質疑の中でも御答弁申し上げましたけれども、リレーションバンキングシステムというような形で、金融庁も地域に配慮した銀行のあり方、こういうものも今推進をしているわけでございまして、これには中小企業団体ですとか我々も参画をして、よりよい形を構築すべく努力をしているところでございまして、御指摘のとおり、そういう需給ギャップというのは存在する、このように思っております。
土田委員 次に、セーフティーネット保証についてなんですが、特別保証制度にかわるものとして整備拡充されてきたわけでございますけれども、このセーフティーネット保証の実施状況についてお答えください。
杉山政府参考人 セーフティーネット保証の実績についてのお尋ねでございます。
 この制度は平成十二年末に発足をいたしておりますが、本年一月末までの実績で申し上げますと、件数で六万四千件、金額で一兆一千億円という状況にございます。
土田委員 不況業種を中心としたセーフティーネット保証の利用実績が上がっているわけですが、これは言いかえれば、中小企業の景気の悪化、資金繰りの悪化であるというふうなことをあらわしていると思うんですね。
 そこで、中小企業の実情に応じて、担保、保証要件を大幅に緩和するとか、そういった手厚い施策が必要ではないかと思うんですが、これについてどう考えられますか。
西川副大臣 今土田先生から御指摘のことは大変大事だと思っておりまして、長引く地価の低迷でございますとか景気の状況の中で、借り入れを行うに当たりまして中小企業が担保や保証人を付することが非常に難しくなっている、それは先生御指摘のとおりであります。そこで、政府系金融機関でございますとか保証協会におきましても、担保や保証人の徴求につきましてはさまざまな特例を設けております。
 具体的に簡単に申しますと、まず、政府系金融機関におきましては、セーフティーネット貸し付けにつきまして担保徴求を半分まで免除する制度、また商工中金の貸し渋り対応無担保対応貸し付け、これは限度額五千万円でございますが、これでございますとか、起業挑戦支援無担保貸出制度、これは限度額が三千万円でございますが、これを実施しております。
 また、国民公庫でも、担保や保証人を準備しにくい創業者に対しまして、ビジネスプランを審査いたしまして、個人保証や担保を求めることなく融資を行います新創業融資制度、これは先ほど大臣がお答えをしたところでございますが、これは限度額五百五十万円を実施しております。また中小公庫では、担保徴求を四分の三まで免除する貸付制度を今月から実施いたしております。
 また、国民公庫におきましては、金利を上乗せすることによりまして、第三者保証人を一千万円までは求めない、こういう特例制度を一月末から開始しております。無担保貸し付けでございますとか保証人の不要な貸付制度の拡充を順次図っているところでございます。
 なお、保証協会におきましても、八千万円を限度とする無担保保証の融資を行っておりまして、このうち、五千万円までは第三者保証人も要らない、こういう運用をしております。また、担保も、第三者保証人も、経営者本人の保証も必要としない特別小口保証制度、これは限度額を年次引き上げておりまして、現在では千二百五十万円まででございますが、これを行っております。
 さらに、土地や保証人も要らず、売掛金債権を担保にした融資も、既に三度にわたって使いやすいように制度を変えておりまして、今約五千件、金額にいたしまして二千四百億円の実績を上げているところでございます。
 今後とも、政府系金融機関、保証協会、こういう既存の制度でございますとか、また中小企業金融の実態を踏まえて、融資先企業のリスクに見合った保全策をとりながら、どういった拡充を行うことが可能かということを私どもも真剣に追求をし、早急に立ち上げていきたいと思っております。
土田委員 次に、借りかえ制度の件です。
 資金繰り円滑化借りかえ保証制度の運用については、これはやはり、金融機関の積極的な、あるいは柔軟な借りかえに対する姿勢が不可欠だと思っていますが、これの運用については政府はどう考えていますか。
西川副大臣 全く御指摘のとおりでありまして、私ども、現在、百万部のリーフレットを用意しまして、それぞれの金融機関に大いにこの制度を活用するように、それから、事あるごとに職員をいろいろなところに差し向けましてこの制度の宣伝を行っておりまして、先ほど来、午前中の御答弁でも大臣初め私ども御説明を申し上げましたとおり、わずか二週間の、休みを入れての二週間でございますから、ネットで九日分ぐらいでございますが、その営業日で、五千件に迫る大変多くの方に利用していただいている、こういうことでございますが、問題点がこれから出てまいりましたら、もう即対応していきたいと思っております。
土田委員 いや、そういう質問じゃないんです。借りる方の側を言っているんじゃなくて、貸す方の側が問題じゃないかと言っているんですが。
西川副大臣 失礼いたしました。
 したがいまして、そういう実情でございますから、私ども、先般、金融庁を中心に、ちょうど企業の年度末の資金繁忙期に備えて円滑な資金供給ができるように、あわせてこの制度を活用するように、全銀協、それから信用組合中央協会、また全国信用金庫の連合体、また政府系金融機関、保証協会、ありとあらゆるところに、先生今御指摘の、貸す側が誠意を持って対応するように大臣のお名前で強く要請をしたところであります。
土田委員 次に、信用保証協会に払う保証料率の件です。
 四月一日から保証料率を引き上げるということになっているようでございますが、財政基盤の強化は信用補完制度のためには非常に重要であると思うんですが、現下の経済状況を考えますと、さらなる負担増になるわけでございまして、これについてはどういうふうに考えていますか。
西川副大臣 ただいまるる申し上げましたような制度を使っていただくためには、保証渋りというものを避けなければなりません。そういう意味で、私どもとしては、代位弁済を行った信用保証協会に対しまして保険金を支払います中小企業総合事業団の信用保険部門の収支というものが大変重要であるというふうに思っておりますが、現下は大変大きな赤字を計上しておりまして、具体的に申し上げますと、今年度は昨年度に続きまして六千億円程度の赤字がこの代位弁済の発生で見られるわけでございます。今後三年間、すなわち平成十五年度から十七年度までを見通しますと、約九千億円ほどの大幅な資金不足が見込まれます。
 今後とも信用補完制度を持続的に運営していくためには、御負担を少し借り手の側にもしていただかなければならない、こういう考えに至りまして、私どもとしては、国の方の負担も十分追加をしていくべく、例えば、平成十四年の補正予算においては約二千億円の財政措置を行ったわけでありますけれども、しかし、このまま現在の一%でこの保証料率を維持していくということは非常に難しいということで、まことに恐縮でございますが、〇・三%上乗せをさせていただく、こういうことになったわけでありますが、これにつきまして、この厳しい状況の中で、中小企業の方々の負担がふえるんじゃないか、こういう御指摘も私どもはいただいております。
 しかし、何度も申し上げますが、セーフティーネット保証でございますとか小規模零細企業向けの特別小口保証でございますとか、そういう有利なものをぜひ使っていただく、こういう方々に対しましても、現行の一%から〇・八五%に引き下げるなどという特例も設けておりまして、緩和措置も図っているところでございます。しかし、現実は、一・三%にしていただくということでございまして、これについてはいろいろな御意見がございます。よく承知をしておりますが、現下の厳しい財政状況を御理解いただきたい、こういうふうにお願いを申し上げているところでございます。
土田委員 あと四分でございますので、自由貿易協定について、FTAでございますが、非常に重要だというふうに私は思いまして、前回の臨時国会でも同じような質問をさせていただいたんですが、今月の十六日に平沼大臣はマレーシアのラフィダ大臣と会談されました。今後、マレーシアと日本との協定に向けて協議を開始するということで合意されたというふうに報道がございましたけれども、その会談の具体的な内容、あるいは今後の見通しについて、どうなっているんでしょうか。
平沼国務大臣 御指摘のように、この十六日にちょうど東京でWTOのミニ閣僚会合がございましたときに、私のマレーシア側のカウンターパートであるラフィダ大臣と会談をさせていただきました。そして、意見交換を行いまして、今後、両国政府間でまず事務レベルの作業部会を設置して協議をしよう、こういうことで一致をいたしました。当省といたしましては、日本・マレーシア経済連携を実りあるものとするために、外務省、財務省、そして当然農林水産省等と連携しつつ、積極的に取り組んでいきたいと思います。
 今回は、そういうアウトラインでやろうという形で、事務方のそういう体制をスタートさせる、こういうことでございまして、これから具体的なことを検討する、こういう段階に入っていくと思っております。
土田委員 相手があることですから、簡単にいかないことはよく承知しておりますけれども、それにしても、やはり遅過ぎるという感じがするんです。今、これの交渉につきまして、シンガポールが終わりまして、メキシコ、韓国とずっと続いていると思うんですけれども、十年先を目途にするような状態では遅いと思うんです。特に、中国がASEAN諸国に対して非常に積極的に協定を結ぼうとしているわけでございますので、いずれにしてももっと急ぐべきであると思うんですが、大臣、この点はどうですか。
平沼国務大臣 御指摘のとおりでございまして、例えば、具体化が進んでおるメキシコとの間では今どんどん進んでおりまして、そして、早ければ年内にもメキシコとの間では締結ができる見込みになっております。韓国とも、それぞれ、経済界、我々入ったそういう段階が済みまして、これから具体的な作業になってくると思います。
 御指摘のように、中国は、対ASEANに向かって、十年以内に経済連携、そしてFTAも視野に入れたそういうものをつくる、こういうふうに打ち出しました。小泉総理もASEAN訪問時に、中国とは若干タイミングが遅くなりましたけれども、日本も十年以内にASEANの国々とやりたい、こういう形で、そのリアクションの一つは今回のマレーシアだと思いますし、あるいはタイでございますとかフィリピンですとか、具体的にそうやって日本との経済連携をやりたい、こういう国が出てきておりますので、これはやはり、早ければ早いということが非常に大切なことでございますので、私どもとしても積極的に取り組んでいきたい、このように思っております。
土田委員 窓口の問題もあると思うんですね。経済産業省と農林水産省と、やはり異なった方向をやっているという部分があると思うんですが、窓口を一本化すべきだという議論は経済界からも出ておりますね。これについてはどう考えますか。
平沼国務大臣 今はそれぞれ、財務省それから経済産業省、外務省、それからセンシティブな農林問題がございますから農林水産省、そういった形で、それぞれ意思を統一しながらやっているわけでございます。そういう意味では、連携を図るということは一番大切なことでございますけれども、諸外国等は、例えばアメリカなんかは、USTRというようなものが専門の窓口になっている、こういうこともございまして、私どもは、そういう中で今、この問題に関しては、官房長官のもとでやはり意思の疎通を密にして効率的な運営をするように、これから我々はさらに検討を進めなければいけない、このように思います。
土田委員 時間が来ましたけれども、検討を進めなきゃならないという段階でなくて、早目に一元化するような具体的な検討に入った方がいいと思うんですけれども、ぜひその件をお願いいたして、質問を終わります。ありがとうございました。
西川副大臣 土田委員におわびを申し上げます。
 私、先ほど答弁で数字をちょっと間違えましたので、訂正させていただきたいと思います。
 セーフティーネット保証と小規模零細企業向け特別小口保証は現行の一%に据え置く、それから、さっき一から〇・八五に下げると申しましたのは、申しわけありません、これは売掛金債権担保の貸付制度についてでございますので、大事な数字を取り違えましたことをおわび申し上げて、訂正させていただきます。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。最初に、借りかえ保証制度について大臣にお聞きします。
 二月の十日から借りかえ保証制度がスタートしました。年度末の資金繰りが大変なときですから、こういうときに本当に有効な制度としてぜひとも生かしていただきたいと思います。この借りかえ保証制度については、中小業者の方から、利用できてよかったという声もこの間お聞きしているところであります。
 例えば、私どものしんぶん赤旗でも紹介しています、新潟市での建設材の卸売業者の方のお話がありますけれども、この方が今、約三分の一の返済が済んで、残り期間が三年数カ月、残高が百六十万円になりました。これに新規融資百万円をつけて、返済期限五年、前回と同じ二・〇五%の金利で借りかえをすることができた。月々の返済も四万円台から三万円台に減少して、この方は、木材を使った特殊な建材を工場に発注しつくってもらっていますけれども、この新規融資によって工場への早期現金支払いをして、仕事がスムーズに流れるようになるんじゃないかと期待をしているということです。借りかえが大変簡単だった、八日間でできたということで、大変喜んでいらっしゃるという声でありました。
 私は、この借りかえ制度について、昨年の十一月の一日のこの委員会でも取り上げさせていただきました。現場の中小企業の皆さんの要望というのは、既往債務の負担をなるべく軽減してもらいたい、そういう点で、埼玉では借りかえ融資制度に取り組んでいるということで、自治体の制度融資の一本化に加えて、国の特別保証などについても一本化できるような対応ができないか、こういうことを求めましたし、十二月二日の予算委員会でも、今ある債務の返済負担を軽減する借りかえ融資制度の創設ということを要望したところであります。
 今回、こういう形で実現したことに大変注目をしております。大臣の所信表明演説でもこういった信用保証制度の充実のことをうたわれておりますこのときに、この借りかえ保証制度を中小零細企業にとってより使いやすいものにする上で、ぜひとも知恵と工夫を発揮していただきたいと思うんですけれども、大臣としての御見解をお願いいたします。
平沼国務大臣 大変塩川先生からも御評価をいただいて、私どもとしても、十一月にそういう御審議をいただいたこともよく承知をしております。
 そういう中で、年度末を控えまして、早急にやらなければいかぬという形でやらせていただきましたら、わずか二週間の間で五千件近いそういうお申し込みをいただいて、非常によかったなと思っております。
 したがいまして、せっかくつくった制度ですから、皆さん方が利用しやすいようにいろいろ工夫を凝らしていかなければならない、このように思っております。
塩川(鉄)委員 始まったばかりの制度ですけれども、より実効性を高める上で何点かお聞きしたいと思います。
 その一つが、保証協会について、一つの県に複数の保証協会があるという府県があります。大阪ですとか愛知や岐阜や神奈川とか、こういったところでこの借りかえ保証をどういうふうに扱っていくかということなんです。一つの都道府県内に複数の保証協会があって、当然、業者の方は、例えば愛知でいえば愛知の、県の保証協会の保証の方もお願いするし、市の方の保証協会にもお願いをする。それぞれ別な保証協会が扱っているような案件についても、これを保証協会の枠を超えて一本化できるような対応というのも可能なのかどうか、その点を確認したいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど、大臣、副大臣から御答弁がありましたように、私ども、この制度を運用するに当たってできるだけ使い勝手のいい、柔軟な運用を心がけろという指示をいただいております。今委員から御質問のございました、県の協会あるいは市の協会にそれぞれあるのを一本化できるかというような御質問でございますが、そういった観点から、原則可能であるというふうに考えております。
 ただ、地方公共団体の制度の中には、用途が極めて限定されているものがございます。そういった場合には、一本化するのが可能かどうかという御議論もあるかと思いますので、そういった点については、具体的に県の保証協会等に御相談をしていただくということではないかと存じております。
塩川(鉄)委員 原則一本化を行うことが可能ということで、具体的な対応についてはよく相談に乗っていただけるということだと思います。
 次に、第三者保証人の件についてですけれども、例えば、一つの金融機関から複数の保証つき融資を借りている場合がありますけれども、その場合に、第三者保証人をつけている場合が当然あるわけです。借りかえでこれをまとめて一本にする際に、第三者保証人の扱いはどうなってくるかという問題です。
 無担保保証の場合に、上限が八千万円の際、五千万円までは第三者保証人の徴求免除ということがあるわけですけれども、借りかえ保証の場合でも、五千万円以下になるというような場合であれば、当然のことながら、第三者保証人をとらなくてもいい、こういった対応が可能だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
杉山政府参考人 今委員御指摘がありましたように、五千万円以下というような場合には第三者保証人を徴求しないということでございますので、借りかえ保証につきましても、それ以下の数字であれば第三者保証人は求めないということで運用しております。
塩川(鉄)委員 実際に、銀行の窓口に行っても五年期限の借りかえしか受けられないんですとか、いろいろ個々の相談はあるようなんですけれども、要するに、実際、こういう場合はどうなるんだろうかということが現場の業者の皆さんによく見えてこない。スタートしたばかりですから当然のことですけれども、そういった点で、業者の皆さんの立場に立ったQアンドAですとか事例集のようなものをぜひともつくっていただいて、さらに大いに普及を図っていただく。事例集のようなものをぜひつくっていただきたいと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
杉山政府参考人 これを中小企業の方に御利用を進めていただくというようなためには、今委員から御指摘がありましたような、QアンドAといいますか、具体的な事例に即した手引書といいますか、そういうものが必要と存じております。
 今、窓口等でどういった御質問があるのかというようなことを調べておりまして、早急に、御利用になる中小企業者のための便利になる、そういったQアンドAのようなパンフレットは作成をしたいというふうに考えております。
塩川(鉄)委員 ぜひお願いしたいと思うんです。
 いろいろな保証の仕組みについて、なかなか業者の皆さんの現場まで届いていないという話をいろいろ伺います。
 例えば、セーフティーネット保証につきましても、これは群馬県の沼田市の事例として、私も現場に行ってお聞きしたわけですけれども、マイカルが店舗の閉鎖をして、セーフティーネット保証の二号が適用になったわけですけれども、その適用になった時点から、金融機関に足を運んだら、そういうことは難しいというふうに言われたと。それからいろいろやりとりがあって、二カ月ぐらいしますとこれが受けられるようになってくると。ですから、趣旨が徹底をされたところでは、いろいろ現場としては進むわけですけれども、実際にその二カ月、セーフティーネット保証そのものを進める際に、現場の金融機関がそういう認識に達するのに時間がかかったということもあるわけです。
 ですから、そういう点でも、改めて大臣にお聞きしたいと思いますけれども、この借りかえ保証制度についても、この制度の趣旨の徹底に努力を図っていただきたいと思いますし、同時に、ふぐあいが明らかになった時点については、直ちに改善のための対策をとっていただきたい。この点をぜひともお約束していただきたいと思います。
平沼国務大臣 もともと、今厳しい状況の中で、本当に頑張ってくださっている中小企業の皆様方のためにこういう借りかえ制度というのをつくらせていただきましたから、やはりそこはきめ細かく、利用される方がよく理解できて、そしてそういうためのPRももちろんしなければいけませんし、利用しやすい、そういう制度に充実をしていかなければならない、このように思っております。
塩川(鉄)委員 中小業者の皆さんの現場ですと、銀行からの貸し渋り、貸しはがしと並んで、もう一つ、保証協会の対応が、親身なものになってくれない、いわゆる保証渋りと言われている状況について、多くの方からお話をいただきます。銀行の対応のひどさとともに、保証協会についても、ぜひとも前向きな対応をお願いしたいという声であるわけです。
 この間、これは都道府県の保証協会の対応のことが中心になっていたものですから、全国の我が党の地方議員の皆さんが九九年の末ぐらいからこういった問題を取り上げ始めまして、特に昨年、ずっとこの保証渋りの話が聞こえてくるようになって、いろいろ問題としてその是正を求めてきた時期ですけれども、昨年の末の地方議会の意見書を見ましても、今国会になってから当委員会に寄せられている意見書の中にでも、中小企業の貸し渋り、貸しはがし、保証渋りなどの問題により深刻さをきわめており、中小企業にとって、もはや待ったなしの状況でありますと。こういった、わざわざ保証渋りとうたった意見書というのが、数えてみましても百二十三件も寄せられているということなんです。
 この保証渋りという現状について、大臣はどのように御認識でしょうか。
平沼国務大臣 私なんかの地元の岡山の方でも、やはり保証協会がなかなか厳しいというような声も聞いたことがございまして、そういう実態は一部私はあるとは思っております。
 そういう意味で、私どもは、こういう年度末を控えて、やはり柔軟に、迅速に、そして前向きに対応をすべきだという形で、保証協会あるいは政府系金融機関にはそういう形での対応を、こちらから通達をして、しっかりするようにと、こういう形で体制をとらせていただいているところでございまして、そういう実態は確かに御指摘のとおり私はあるとは思っておりますので、改善をしていかなければならないと思っております。
塩川(鉄)委員 この保証協会が本当に中小企業の立場での業務を行っていく上で、やはり改善方をしなければいけない問題というのが出てくると思うんです。この間、自治体の制度融資など大きく前進をさせようということで、全国で取り組みが進んでいますけれども、そういった中で、保証協会がしっかりとそういう点でも支えていくということが大事になってきているわけですね。
 この自治体の制度融資を考えた際に、これは私、埼玉県に行ってお話を聞いて、なるほどなと思ったんですが、入り口として使いやすい制度融資にしていくというのは当然なんですけれども、それをいわば、今の経済の困難さの状況を踏まえて、中小企業にとって使いやすいものにする上では、条件変更に応じられるようなこういう対応についても、信用保証制度できちっと受け皿というのは対応が求められている。ですから、借りかえ保証なんかもそういった形で必要になってきます。
 同時に、制度としての締めくくりといいますか、もし焦げついた場合の代位弁済についても、きちっとした支えというのが本来とられていかないと回っていかないというのが現状としてあるわけですね。そういった際に、野球に例えて言うと、先発、中継ぎ、抑えという形での取り組みで、今回、中継ぎという点では借りかえ保証制度の取り組みとしての、一歩前に出る取り組みがあったわけですけれども、抑えの対応として問題が見えてきているんじゃないかというふうに思うわけです。
 つまり、焦げついた場合の代位弁済について、中小企業総合事業団が七割、八割と見ているわけですけれども、その残りを保証協会が見ている。その際に、それぞれの自治体の取り組みとして、保証協会の負担を軽減するために県などが負担を肩がわりするということが、この間、ほとんどのところで行われてきていると思うんです。そういう際に、そこで今いろいろな問題が出てきている。
 一つ例示をしますと、千葉県の事例なんですけれども、千葉県はこれまで、県の制度融資と同時に、市町村の制度融資についても、代位弁済のうち保証協会の負担分の一部を県として損失補てん、損失補償をしていたわけですけれども、今期、来年度からこれを廃止するという話が出てきているわけです。ですから、驚いた千葉県の中の市長会が、市町村制度融資に係る県の損失補てんの廃止を撤回することという要望を県にも上げているそうです。
 桜田大臣政務官がいらっしゃらないのですが、ちょうど桜田政務官が千葉県で、この問題でも大変関心をお持ちじゃないかなと思いまして、せっかくですからと思ってはいるんですけれども、戻ったところでお聞きしようと思います。
 今お話ししましたように、千葉県の市長会として、市町村制度融資に対しての県の損失補てんが削られるのは困る、市町村の制度融資がこれでは回っていかなくなる、こういう声になってきているわけですね。千葉県の財政難を理由として、市町村の制度融資の存続が問われるような事態になってきているわけです。これらは、保証協会だけの対応で解消し切れない問題というのは当然あるわけで、この間、全国の五十二の保証協会のうち十協会が赤字となっていまして、桜田政務官の地元の千葉県の保証協会も赤字になっているわけですね。
 そこで、桜田政務官に一問お聞きしようと思うのですが、今言いましたように、千葉県が市町村制度融資に対しての保証協会の損失補てんを削るという話が出ていまして、ちょうど昨年の十月に、柏市の本多市長さんが緊急要望書を出されているんですね。そこでは、この八月、昨年八月ですけれども、「八月、千葉県より県内市町村が実施する中小企業向け制度融資に関し、千葉県信用保証協会が代位弁済を行った場合の損失補てんを平成十五年度以降廃止する旨の説明が県内各市にございました。」これは、「国をあげて経済回復に努めている中、千葉県は中小企業者への金融支援が最重要課題であるとの現状認識に欠けているといわざるを得ない」という形で訴えている中身です。
 市町村制度融資が後退しかねないという声になっているわけですけれども、地元の柏市のことでもありますし、こういう現状について、どのように受けとめていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
桜田大臣政務官 県が市町村の融資制度に補助を行うという手厚い対応につきましては、北海道、東京、静岡、千葉県の四県だけでございますので、こうしたことにつきまして継続するということが非常に難しくなっているということを伺っております。
 それで、中小企業金融対策を推進する中小企業庁の立場としては、地方自治体が中小企業支援を積極的に行っていただくことは望ましいと考えておりますが、千葉県がどの程度まで中小企業金融対策を行うかどうかは、最終的には千葉県の御判断であると考えております。
塩川(鉄)委員 経済産業省の大臣政務官の答弁とは思えない。もう少し中小企業の声をしっかり受けとめて、国としてこういった借りかえ保証制度を大いに進めるわけですから、そういう際に、県なりがこういう施策を後退させることについては、きちっと一言物を言うということが大事だと思うんですけれども、その点、改めていかがでしょうか。
桜田大臣政務官 御意見を十分尊重するような形で善処したいと思っています。
塩川(鉄)委員 ぜひともこの点で、国の制度もそうですけれども、県や市町村、地方自治体の取り組み、一体となって中小企業支援ということで取り組みが進んでいるわけですから、それを後退させるような状況についてきちっと物を言うというのが、中小企業を所管する経済産業省として求められていることだと思います。
 そういう点で、保証協会がこうなるというのも、やはりこういう経済的な局面の中で代位弁済などもふえて負担も大きくなってという、財政的な困難さというのは大変大きいわけです。そういうのが結果として保証にも消極的になるということの背景にあるわけですから、そういう点でも、財政基盤をしっかりさせる取り組みは本来大事であるわけです。
 補正で対応されたというお話もあると思うんですけれども、やはり本予算で、当初の予算できちんと対応していくことが必要だと思うんです。過去何年間振り返っても、二〇〇〇年度の手だてというのが四十億円、〇一年度が四十億円、〇二年度が四十二億円、来年度が四十二億円ですから、そんな大きな金額じゃないわけで、これだけ経済が傾いている中では、きちんとしたこういった増額などの手だてをとるべきだ。
 その際に、それを中小企業に押しつけるような、保証料率を引き上げるということはやはりおかしい。保証料率の引き上げというのはやめて、売り掛けのように下げるところはきちっと下げるという方向でこそ対応すべきだ。国として、保証協会が健全な機能を発揮できるような財政措置をきちっととるべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
平沼国務大臣 千葉県の例を引いて委員が御指摘になられました。
 我々としては、厳しいそういう財政事情の中で信用保証制度というもののために予算措置も講じてきて、全体的な底上げをやっているところでございまして、やはり地方もそういう形で積極的に取り組んでいただくように、我々も、全体の底上げの中で割を食う、そういう中小企業者が出ないように努力をしていかなければならないと思っています。
 また、今厳しい経済情勢の中でいわゆる料率をちょっと上げる、こういうことに対していかがか、こういう御意見でございます。
 これは、確かに、こういう厳しい中で利率を上げるということは中小企業者に大変負担を強いることにつながるということは御指摘のとおりでありますが、ただ、今、先ほども西川副大臣から答弁させていただきましたように、これまでも中小企業の皆様方は一生懸命にこの厳しい中で払っていただいているわけですけれども、代位弁済率も五・四%を超えるような状況になってきました。
 そういう中で、我々は、さらにこれからどうしても九千億足りなくなるというような状況の中で、先ほどの細かい答弁の中では、一部、本当の中小のところは留保するというような、そういうこともしておりますけれども、〇・三%を上げさせていただくということは、まあそれでも大変じゃないか、こういうことですけれども、例えば、千四百万ぐらいの保証に対して〇・三%上げるということは、年に直しますと二万三千円ぐらいになると見られまして、それが月二千円ぐらいのアップ、こういうことでございます。たとえ月二千円でも厳しいアップでございますけれども、一方においては、全体のそういう状況の厳しい中で、やはりこの〇・三%のアップというものは何とかのんでいただきたい、やらせていただこう、こういうふうに思っているところでございます。
塩川(鉄)委員 借りかえ制度で負担を軽減する一方で保証料率の引き上げというのは、これほどちぐはぐな話はないわけですから、やはり中小企業を支援する立場で、国としてのきちんとした財政的な支援という方向を大いに取り組むべきだ。千葉県に対してもきちっと物を言うと同時に、千葉県のそういう困難さというのも広範な今の経済状況の反映でもありますから、そういう点でも、国としての手だてをぜひとも求めていきたいと思います。
 最後に、銀行の問題を一つお聞きしたいと思います。
 この間、大銀行による中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしとともに、金利の引き上げということが大きな問題になってきました。先日、NHKの「クローズアップ現代」で「金利引き上げ・悩む中小企業」という番組をやっておりました。ここでは、保証つきの貸し出しにまで金利引き上げを図るという大銀行のやり方を告発していたわけですね。
 この番組では、信用保証協会の保証がついている融資について、ある中小企業の方が、二%だった金利を三・九%に引き上げられたというわけです。番組の中では、ナレーションで、政府が貸し渋り対策として始めたもので、万が一この会社が破綻しても保証協会が債務を肩がわりします、銀行側には損失が出るリスクはなく、金利を引き上げられる理由が思い当たらなかった、こういうふうな紹介をしていました。
 よくリスクに見合ったリターンと言いますけれども、リスクはないのにリターンだけをたくさんとるという、こんなおかしな話はないわけです。金融検査マニュアルの別冊の中小企業融資編でも、「信用保証協会付貸出金については、信用保証協会が公的信用保証機関であることから、通常、回収に懸念はなく信用リスクは極めて低い」とあると思いますけれども、その点、確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
五味政府参考人 中小企業融資編と申しますか、金融検査マニュアルの別冊にその記述がございます。
塩川(鉄)委員 事例の十六というところでその中身を紹介しているわけですけれども、本来、リスクをとらなくていいわけですから、金利を引き上げるというのは道理がない。でも、それがどの銀行でも行われるように、今大問題になってきている。
 特に一つ例示しますと、三井住友銀行で、そういう内部の文書でこの徹底を図っているということがありました。この三井住友がつくっている業務改革についての、標準金利の導入と貸出金利・採算運営についてという文書がありますけれども、いわば標準金利の設定ということを言いながら、リスクに見合ったリターンという名目で金利の引き上げを図るということをそれぞれの部署に徹底するという中身になっているわけです。
 この文書の中では、保証つきというのはマル保というふうにつけているわけですけれども、「一般のマル保貸金については、マル保専用の標準金利を適用」すると、わざわざそういうふうにうたって、金利の引き上げというのも組織的に行うということが図られているわけです。
 これはやはり、金融庁がマニュアルでも述べているような趣旨とは全く逆さまのようなことが現場で行われているわけですから、こういった事態について、きちっと是正の指導を行うべきだ。既に行ったかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
五味政府参考人 今おっしゃいましたような記述が金融検査マニュアルにございますけれども、一般論で申し上げますが、金融機関がどういう金利を顧客に対して融資に当たって提示をするかということは、保証の有無だけで決まるわけではございませんで、資金の調達コストですとか、あるいは信用リスク。優良保証がついている場合には信用リスクのウエートというのは下がると思いますけれども、信用リスク。あるいは、保証がどういうカバレッジで、どういう内容の保証になっているか。それから、適正なスプレッドは当然取りませんと商売になりませんので。そういったようなことを勘案いたしまして、金融機関としての提示の水準が決まってくる。そういうことでございまして、これが債務者側との交渉の結果、最終的な適用金利として落ちついてくる、こういうものでございますので、私どもは、行政の側からその契約の内容の適否ということを一つ一つ指導するということは適切でないというふうに思います。
 ただ、こうした金利の決定というのは、金融の持つ役割というのが中小企業を含みます健全な取引先に対して金融の円滑を図るということにございますから、あくまで十分な納得のいく説明、そして双方納得の上での決着ということが求められるということは、私どもよく理解をしておりまして、そうした意味で、無理な、例えば法令違反になるような、そうした引き上げの交渉手法を使っていないか、こういったような点については十分監視、監督をしてまいりたいと思っております。
塩川(鉄)委員 中小企業は弱い立場だということはもうはっきりしているわけですから、そういう点でも、厳しくこういう点での是正の取り組みをお願いしたいというふうに思っています。
 そもそも、こういった中小企業の一方での貸しはがし、他方での金利引き上げというのは、今政府が全体として銀行の自己資本比率、これを引き下げるような施策の中でそういった事態が生まれているわけですから、私、今の政府が進めている不良債権処理の加速策そのものをやめることが一番の景気対策になる、今の中小企業を支えるそういう取り組みになる、こういうことを求めて、質問を終わります。
村田委員長 原陽子さん。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 本日は、国が敗訴した「もんじゅ」の判決について、平沼大臣に大臣の見解等々、お聞きをしたいと思います。
 まず初めに、一月二十七日に出た「もんじゅ」判決で、高速増殖炉「もんじゅ」の設置許可の際に政府が行った安全審査が無効である、許可処分を取り消すとした裁判所の英断及び関係者の努力を私は非常にすばらしいものだと評価をしております。
 住民による行政訴訟の勝訴率が非常に低いと言われている日本で、住民が勝訴をし、しかも安全審査が無効であるという司法判断が出たことに対して、高速増殖炉を含む核燃料サイクル政策を進めてきた国は、今上告をしているものの、どのような見解をお持ちになったのか、エネルギー政策をつかさどる大臣として、その見解をまずお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 名古屋高等裁判所の金沢支部から、御指摘のように、一月二十七日に出された高速増殖原型炉「もんじゅ」の設置許可処分無効確認等控訴事件判決につきましては、私どもは、法務省などと内容を精査させていただきました結果、一月三十一日に、国として、最高裁判所に上訴をさせていただきました。
 その背景としまして、今回の判決では、例えば、配管の破損によりナトリウムが水と接触した場合でも、炉心崩壊事故を防止できる対策が幾重にも講じられているにもかかわりませず、これらの対策がすべて機能しなかった場合を想定するなど、ある意味では仮定に仮定を重ねる立論をいたしまして、安全審査に看過しがたい過誤、欠落があるとされております。
 また、無効と判断するためには国の行為に重大かつ明白な違法性が必要との過去の最高裁判所判例にも異なる考えが前提となっておりまして、国といたしましては、安全審査を慎重かつ適切に行っておりまして、こうした判決を受け入れることはできないと考えたところでございます。
 なお、当然のことでございますけれども、原子力政策を進めるに当たりましては、何よりも安全確保を図ることが第一だと思っておりまして、また、原子力施設の安全審査などについて、国民の皆様方の理解を得ることが必要であるということは言うまでもないことでございまして、今後とも、国としてこういった方向で努力はしていく、このように思っております。
原委員 今、安全審査を的確に国としては行っているという見解だったんですが、判決文を読ませていただいて、国が敗訴した理由が、やはり安全審査が無効であるということだったと思うんです。
 それで、安全性にかかわる重要な資料を設置者の動燃が、今は核燃ですよね、許可申請のときに国に提出しなかった、そこで、国はそれらを検討していないのだから安全審査は無効だという内容だったと認識しています、この判決文が。つまり、動燃の情報隠しがもとで国は敗訴したというふうに言えると思います。
 そういう状況なのに国が上告をするということは、つまり、国は動燃の情報隠しをかばっているということにつながると私は思います。そうなると、次の安全審査のときにも隠してよいということを意味することになると思うのですが、この点、大臣、いかがお考えになられるでしょうか。
佐々木政府参考人 現在、上告の申し立ての理由書を私ども、法務省ともよく協議をさせていただいて作成中でございます。
 ただいまの御指摘について申し上げますれば、国の立場からも、今御指摘の動燃のいろいろな資料について、必ずしもこれは隠ぺいなり隠したという判断はいたしておりませんで、安全審査上、必ずしもその時点で必要なかったものという理解はいたしておりますが、今後、申し立ての理由書の中で私どもの立場を明確にきちんと整理をしていきたいと考えております。
原委員 これは今上告しているところなので、お聞きをしてもはっきりとしたお答えは返ってこないとは思うのですが、やはり私、この判決文は非常に裁判所の英断だというふうに思っておりますので、上告は取り消すべきだということを大臣にももう一度考えていただきたいと思っております。
 例えば、今上告をしていて、その上告が却下というんですか、された場合、国がこれからどのように責任をとっていくのかということについて、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 事前にレクを受けたときの調査によると、「もんじゅ」は運転停止中もナトリウムを温めなければならなくて、事前にいただいた資料を見ていくと、事故があった平成八年以来、年間維持費、管理費として八十三億円から百七十三億円かかっています。ナトリウム漏えい改造工事費が百七十九億円。上告が棄却されれば、建設費なども入れると、総額で七千億円近いお金がむだになってしまうということになります。
 この支出のむだの責任というものをだれがとるのかということをまず一点、お聞きをします。
白川政府参考人 お答え申し上げます。
 「もんじゅ」につきましては、文部科学省の方で予算を計上しておりますので、私の方からお答えをしたいというふうに思います。
 「もんじゅ」につきましては、原子力委員会が策定をいたしました原子力の長期計画、その方針に従いまして、今申し上げましたように、私どもの方でそれに必要な経費を核燃料サイクル機構に対する研究費補助金等として予算措置をしておるところでございます。
 「もんじゅ」の重要性については、もう繰り返すまでもございませんけれども、私どもといたしましては、やはり安全確保、これは大前提でございますけれども、地元を初めとした国民の方々の理解を得つつ、この計画を着実に進めていきたいというふうに考えております。
 今先生の方から、仮に最高裁の方で棄却等の判断があった場合はどうかという御質問がございましたけれども、先ほど平沼大臣の方からも冒頭、御答弁がございましたように、国といたしましては、今回の判決は受け入れるべきでないというふうに考えておりまして、現在、上訴をして最高裁の判断を仰ぐこととしておるところでございますので、国の敗訴を前提とするような仮定の御質問にお答えをすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
原委員 負けることを前提に裁判は起こさないのかもしれませんが、ただ、やはり七千億円というと物すごく大きなお金だと思いますので、そうしたところの、何が起こるかわからないと思いますので、しっかりとした責任、どこに、だれに、どういうふうな責任がかかってくるのかということは、しっかりと、仮定であっても検討を考えておいていただきたいことだと思っております。
 では、例えば、今上訴していて、勝ったとしても、一度は司法判断によって安全審査が取り消された原発のそばに住んでいて、原告適格とされた住民の方々の感情はどのようなものになるのか。私は、原告の方々はもちろん、そうでない方からも激しい反発が起こるはずだと思っています。そして、一度裁判所が安全審査を取り消した原発を動かすことというのは、もちろん住民の方の感情というのもありますけれども、国際社会からも笑い物になってしまうと思います。やはりここで、再度大臣にお聞きをしたいんですが、私は、国はこの判決をしっかりと受け入れて、今なさっている上訴を取り下げるべきだというふうに本当に強く思うのですが、ここで大臣の見解を再度お伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 恐縮ですけれども、答弁は繰り返しになると思いますが、冒頭の御質問で答弁させていただいたように、国といたしましては、今度の高等裁判所の金沢支部の判決というのは、やはり私どもとしては上訴するに足る十分な理由がある、こういう形で上訴をさせていただいたところでございまして、そういう意味では、私どもは最高裁判所の判断にゆだねる、こういう基本姿勢でございます。
原委員 それで、例えば国際社会の例というものを見てみますと、高速増殖炉を含む核燃料サイクル技術を税金で推進するというやり方は、国際社会では、過去十年の間にほぼ中止をされています。
 幾つかの例を挙げさせていただくと、ドイツでは、一九九一年の三月に、試験運転過程の延滞により財務負担が悪化するとして断念をしています。イギリスは、一九八八年から予算を削減して、一九九二年に民間でやることを決定、一九九三年の三月以降は政府からの出資を停止しています。アメリカは、一九八三年に議会が原型炉建設予算を経済性の観点から否決し、九三年には核燃料サイクルの研究開発も中止をしています。そして、世界のトップを走っていたフランスでさえ、スーパーフェニックスの事故を契機に撤退しています。フランスでは、会計監査院が、少なくとも財政面から総括すると良好とは言えないという理由も述べております。スーパーフェニックスは、十年間に十数兆円を使って、稼働率はたった六・三%でした。「もんじゅ」は、一九九五年以来、稼働率は実はゼロ%となっていて、スーパーフェニックスよりも本当にひどい状態にあると思います。
 現在、財政難にあえいでいるにもかかわらず、日本だけがなぜこの研究開発を続けていくのか説明をいただきたいのですが、本当に合理的な説明を、しっかりとした説明をいただきたいと思います。
白川政府参考人 お答え申し上げます。
 世界各国が高速増殖炉の開発にどういうふうに取り組んでいるかということでございますけれども、これはやはり、それぞれの国の経済社会情勢や地理的な要因、エネルギーを取り巻く状況等、そういうものを反映して決められていくものであるというふうに考えております。
 したがいまして、各国の高速増殖炉の開発の状況は、先生御指摘ございましたように、国によって当然違いがあるわけでございますけれども、海外の諸国が高速増殖炉の開発からすべて撤退をしたというのは、これは正確ではございませんで、現にロシアでは、実験炉、原型炉が運転されておりますし、お隣の中国でも実験炉が建設中でございます。現在でも、これらの国では高速増殖炉の研究開発が着実に進められておるわけでございます。
 また、フランスの例をお引きになりましたが、確かに、実証炉スーパーフェニックスにつきましては主として経済性の理由から中止をされたわけでございますが、「もんじゅ」と同じレベルの原型炉フェニックスでございますが、これは非常に長い運転の実績を持っておりますけれども、フランスはこれを活用した研究開発を現在も継続しておるわけでございます。
 そこで、我が国でございますけれども、我が国は、やはり国内にエネルギー資源が乏しく、島国でございまして、隣国との間で資源や電力の輸出入等を行おうと思っても、これは容易ではないわけでございますから、我が国においてエネルギーの長期安定供給の確保、これは国の存立の基盤をなす重要な国家的な課題であるというふうに認識をしております。
 したがいまして、この高速増殖炉の開発のように、将来における有力なエネルギーの選択肢として、原子力の潜在的な可能性を模索しながら実用化を目指す、こういう非常に長期的な取り組みの必要な研究開発につきましては、もちろん民間との適切な役割分担が必要でございますけれども、やはり国が主体的に進めるべきであるというふうに考えております。
原委員 各国々、いろいろな状況があると思いますが、やはりどの国も、どちらかというと費用対効果が悪いというか、財政面のことを理由に研究開発を中止していると思います。日本も今財政難ですよね。
 そこで、では、会計検査院の方に来ていただいていると思いますので、ここで一つお聞きをしたいんですが、日本の会計検査院は、この「もんじゅ」に関して検査を行っておりますでしょうか。
重松会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 「もんじゅ」の事業を行っております核燃料サイクル機構は、その資本金の二分の一以上が政府出資金となっておりまして、会計検査院法上、必要的検査対象ということで、毎年、本社あるいは各事業所等について検査を実施しております。
 検査に当たっては、事業に係る予算の執行の合規性あるいは正確性のみならず、経済性、効率性、有効性といったような幅広い観点から検査を実施しておりまして、その結果、これまでも、問題があれば検査報告に掲記しているところでございます。例えば「もんじゅ」に関しましても、平成七年度決算検査報告におきまして、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故につきまして、特定検査状況に関する検査状況ということで掲記したところでございます。
 核燃料サイクル開発機構の執行しております事業には、「もんじゅ」を含め多額の予算が執行されておりますので、本院といたしましては、今後とも、経済性、有効性の観点を含めまして、厳正に検査をしてまいりたいと考えております。
原委員 きのうレクのときに聞いた答弁と違うんですけれども、きのうレクのときに聞いた答弁だと、正確性ですか、これを買いますという予算がついていたら、ちゃんとそれを買っていたという、それだけの検査しかやっていませんというふうにやりとりの中であって、それできょうは、では、例えばの話、フランスのように費用対効果の観点からも政策的な検査をすべきではないかということを御質問させていただきたかったんです。
 今、有効性、経済性とおっしゃいましたよね。これについても検査をやってきているということなんですが、そうした観点から見て、今の日本の原子力の政策面、それをどのように御判断なさっていますでしょうか。
重松会計検査院当局者 私ども会計検査院は、検査の結果を集約いたしまして、必要があれば検査報告において意見を表明するということになっておりますが、現段階では、御質問の点については直接お答えするような段階にはないというふうに思っておりますので、その点、御理解いただきたいと思います。
原委員 とおっしゃっても、原子力政策というのは長い間やってきているわけでして、本当に経済性とか有効性についてもちゃんと検査をやっているというのであれば、やはり一定の見解を持つべきだと思いますので、今きっと御答弁はいただけないと思うので、今後、政策的な検査というものも取り入れていっていただきたいということをぜひここでお約束いただきたいんですが、いかがでしょうか。
重松会計検査院当局者 先ほど申し上げたとおりなんでございますが、今後とも、当局の事業の実施の推移を見ながら、事業の経済性あるいは有効性等の観点も含めまして、厳正に検査をしてまいりたいというふうなことでございます。
原委員 これ以上はお聞きをしませんが、それであるならば、事前のレクのときにもしっかりと御説明をいただきたいというふうに私は思います。
 次の質問なんですが、また「もんじゅ」のことについてお聞きをさせていただきます。
 例えば、「もんじゅ」は原型炉で、高速増殖炉開発を続けるなら次は実証炉をつくっていくことになります。原子炉にはループ型とかタンク型とかいろいろ形があるそうで、「もんじゅ」はループ型という形だそうです。今後もしこの研究開発を続けていくのであれば、実証炉というものは、どういう形で、だれがどういう責任を持ってつくっていくのかということを御説明いただきたいと思います。これは文部科学省、お願いします。
白川政府参考人 お答え申し上げます。
 高速増殖炉の実証炉についてお尋ねがございました。
 御指摘のように、「もんじゅ」は現在原型炉というふうに位置づけられておりますので、「もんじゅ」の計画が順調に進みますと、その後、実証炉をどうするかということが出てまいるわけでございますけれども、この実証炉につきましては、原子力委員会がお決めになりました原子力長期計画、この中で次のように規定をされております。高速増殖炉の実証炉の具体的計画については、実用化に向けた研究開発の過程で得られる種々の成果等を十分に評価した上で、その決定が行われることが適切である、こういうふうになっておるわけでございます。
 したがいまして、私どもは、現在まで進めております原型炉「もんじゅ」の成果、それから、別途、核燃料サイクル機構の方では、実用化戦略調査研究と申しまして、先ほど申し上げましたような実用化に向けた研究開発の戦略を練るような調査研究をやっておるわけでございますが、こういった結果を見まして、その上で、評価をした上で決めるということになっておりますので、現時点では、先生今御質問ございました実証炉の建設主体、そういうものについては未定でございます。
原委員 そういうことも決まっていなくて「もんじゅ」を動かしていくことは、私は意味がないと思っていまして、これは、事前にどこの方がお答えになるかということでも大分やりとりがあったそうで、やはりどういう責任かというところが明確になっていないことが非常に多過ぎると思います。こうしたことで「もんじゅ」を動かすことは本当に意味がありませんので、その辺もしっかりと文部科学省として考えておいていただきたいところです。
 最後に大臣にお伺いをしたいのですが、先ほど諸外国の例を簡単に紹介させていただいたんですが、諸外国は、安全性の観点からだけではなくて、経済性の観点からもこれ以上の高速増殖炉開発はやめるべきだという考えに基づいています。
 先ほど会計検査院の方からよくわからない答弁をいただいたんですが、私は、まずは、本当にこの研究開発をやっていって費用対効果というものがあるのかという検証をぜひ政府としてやっていただきたいと思います。例えば、今までどれぐらいお金を使って、今後続けるとしたらどれぐらいお金がかかって、それに対してどのような効果が社会的にあるのかということをクリアに検証していただきたいと私は思っています。そして、それが本当に税金でやる意味があるのかということも検証していただきたいと思っていますので、最後、この点に関して大臣のお考えをお伺いして、質問を終わらせていただきます。
平沼国務大臣 エネルギー資源というのは石油を初めとして有限でございますし、また、二十一世紀は環境の時代、こういうふうに言われておりまして、非常に環境的な制約もエネルギー上大きく出てまいります。また、例えばウラン資源というのも、これも有限資源で六十年ぐらいだ、こんなふうに言われています。そういう観点から考えますと、高速増殖炉というのは、成功した場合には果てしない利便性それから効率性というのをもたらすわけでございまして、そういう意味でも今まで世界はチャレンジをしてきましたし、日本を含めて、ロシア、中国、そういった形で意欲的に取り組んでいる国もあるわけであります。
 もちろん、こういうものを開発していくに当たっては、費用と効果、こういうことを検証するという姿勢は基本的に私は大切なことだと思っておりまして、科学技術というものがやはり人類の未来を切り開くということであれば、原子力関連に関しては、繰り返しになりますけれども、安全性をしっかりと担保しながら、私どもとしては、将来のために、この技術というものを確立すれば果てしない効果が生まれてくると思っておりまして、そういったことも含めて、我々は今御指摘の点もこれからしっかりと検証していきたい、こう思っています。
原委員 政府として、ぜひ検証をお願いさせていただきたいというのと、最後に、今なさっている上告をぜひ取り下げていただきたいということを強く要望させていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。
村田委員長 宇田川芳雄君。
宇田川委員 きょうは、早朝から長時間にわたりまして、委員長、大臣初め、大変御苦労さまでございました。私が最後の質問者でございますので、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 貴重な質疑時間をちょうだいいたしましたので、今回も有効に質問を展開させていただきますので、平沼経済産業大臣にはどうぞひとつまとめての御答弁をまたお願いしたいと思いますから、よろしくお願いをいたします。
 このたび提案されました産業再生機構の政策につきましては、これからこの委員会で詳細な審議に入るわけでございますけれども、一点だけ、ぜひ申し上げておきたいことがございます。それは、この産業再生機構の対象になる企業の下請、孫請に当たる、いわゆる零細に近い中小企業対策についてでありますが、きょうはいろいろ御意見が出ましたけれども、今回の産業機構の対象になる中小零細企業の助成策について、今お考えがあれば明確にお答えをいただきたい、これが第一点であります。
 また、下請中小企業振興対策というものが打ち出されておりますが、これが実効を上げるためには強力な政策指導が必要でありますが、具体的な方策についてお答えをいただきたいと思います。
 次に、やる気と能力のある中小企業を育成する、よくこれは御答弁の中で言われている言葉でありますけれども、なかなか市中の金融界などでは中小企業のやる気と能力というものを理解しようとしてくれない。きょういろいろ議論がありましたとおりでありまして、むしろ無視されているような感がいたします。このやる気と能力の判定基準をどこに置くのか、そしてこれを一般の金融界等にどうやって徹底させるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
 続きまして第三点ですが、イラク情勢によりまして、これもお話がありましたが、石油の供給が危機的な状況を迎えることになると思います。石油の安定供給につきましては、これはもう当然のことでありますが、我が日本の産業経済にとって最大の要件でございます。原油の高騰あるいは備蓄の状況等を踏まえまして、安定供給対策、それとその見通しについて御説明をいただきたいと思っております。
 次に、これも今いろいろ議論がなされましたし、午前中にも大変御質問が出たわけでありますが、昨年の不正事案を受けまして、原子力発電の供給が大変制約されております。電力消費の節約も叫ばれているところでございます。この発電のために、原子力がだめだというので、今火力発電で石油の消費量もふえているそうでありまして、こういう石油需要の重大なときにこういうことが増加いたしますと、石油危機を増幅するおそれがある、そんな心配もしているわけであります。原子力発電をいっときも早く安全に運転させる、活動させる方策を講じなければいけないと思いますが、現在どういう対応をしておられるのか、今後の見通しについて、できるだけわかりやすくお聞かせをいただきたいと思います。
 あわせて、重要な案件でございますプルサーマルの現状、どういう対応をしておられるか、その点もお聞かせいただければありがたいと思います。
 一応、以上の御質問をさせていただきます。
平沼国務大臣 今、宇田川先生から六つの点についての御質問がございました。
 まず、産業再生機構、これから法案を御審議いただくわけでございますけれども、確かに、これを進めてまいりますと影響を受ける下請企業あるいは関連企業等が出ることは事実だと思います。そういう意味で、私どもは、これまでやってまいりました中小企業の金融セーフティーネット、この対応の充実でございますとか、あるいは取引先の経営状況によって影響を受けやすい下請、零細企業の支援等に努めてきているところでございますけれども、さらに金融面におきましては、中小企業保険法に基づくセーフティーネットの保証制度を累次にわたって拡充してきました。
 こういったことによって、いわゆる企業再生に入った場合に影響が出る、そういったところには別枠を設けて、きめ細かく私どもは対応していかなければならないと思いますし、またさらに、中小企業というのは地域性、特殊性がありますから、地域にも窓口を設けて、そして目きき、腕ききの方にそこに常時いていただいて、そしてきめ細かく相談に応じて、そして適切なメニューでもって対応させていただく、こういうことをとらせていただければ、こういうふうに思っております。
 それから、下請の中小企業振興対策が実効を上げるためには強力な政策指導が必要だ、こういうことで、私どもは種々支援策を講じているところでございます。そのうちの幾つかを申し上げますと、今ちょっと申し上げましたけれども、各都道府県の中小企業支援センターにおける下請取引あっせん事業を推進するとともに、リストラ等の影響を受ける地域における緊急広域な商談会、こういったことを開催する、そういう取り組みもしておりますし、また、下請中小企業が販路開拓のために行う新たな製品の試作経費の補助でございますとか、親事業者の事業活動の変更により影響を受けている下請中小企業への低利融資、こういったものも実施をしていきたいと思っております。
 さらに、経済のサービス化に伴い、サービス業等の役務取引分野におきまして下請分業関係の発達が見られているところでございまして、振興の対象を、従来は製造が中心でございましたけれども、こういったサービス業にも拡大をして、私どもは努力をしていかなければならないと思っております。
 それから、やる気と能力がある、これをどこで区別をするのか、こういうことでございますけれども、例えば、セーフティーネット対策の柱であるセーフティーネット保証及び貸付制度について、経済環境の悪化や取引先企業の倒産等により一時的に売り上げの減少等業況が悪化をして、資金繰りに困難を来している中小企業であっても、中長期的にはその業況が回復し発展することが期待できる、そういうことが見込めるような中小企業、こういったことが一つの目安になっていると思います。それからまた、地場のそういう中小企業の方々と接触をしている場、金融機関の方々とか、あるいは経営者のそういう力量、事業計画、そういったことを総合的に判断させていただいて、私どもは、やはりやる気と能力のあるそういう中小企業というものを私どもが積極的にそれを把握して、そしてそれを支援していく、こういうことをやることが肝要だ、こういうふうに思っているところでございます。
 それから、イラク情勢によりまして石油が今一部高騰をしておりまして、大変大きく世界経済にも影響を与えております。その安定供給と見通しについてでございますけれども、原油の世界的な需給見通しにつきましては、サウジアラビアというのが最大の産油国でございますけれども、日量で九十八万バレルのまだ余力を持っております。それから、イラクとベネズエラを除くOPEC九カ国だけでも、依然として二百二十八万バレル一日当たりの供給余力がございます。そういったことでございまして、私どもとしては、当面大きな能力不足に陥るということはないと思っておりますし、ちなみに、イラクから我が国に対する原油の供給量というのは全体の〇・三%程度でございまして、日量五千バレル程度でございます。
 それから、宇田川先生も御承知のように、我が国は備蓄体制をしっかりとっておりまして、百七十一日分の備蓄がございます。それからまた、石油消費国でIEAというのをつくっておりますが、ここも全体合わせて百十五日分の備蓄があります。そういう意味で、お互いに協調し合って、エネルギー、石油の安定供給というのは非常に大切なことでございますから、よく連絡をとり合い、そして幸い産油国の方々も、そういう意味では日本に対しては最優先に供給しよう、こういうふうに言ってくだすっておりますので、私どもは、さらに外交ルートもしっかりときずなを保ちながら頑張っていきたいと思っております。
 それから、最後の御質問でございますけれども、原子力発電、これが一連の不正事で、今東京電力管内で十七基ある原子力発電所のうち十三基が停止しております。そして、六月、七月、八月にかけて需要のピーク時を迎える、そういうことになりますと、非常にかつかつの状況に相なることが想定をされております。
 今、これは午前中来の答弁でも申し上げましたように、休止中のいわゆる火力発電所を立ち上げる、そして他の電力会社からの供給を受ける、こういうことで当面は確保されておりますけれども、やはり一番大切なのは、休止中の原子力発電所を地元の御理解を得て、そして、しっかりとした体制の中で一日も早く立ち上げることが非常に大切なことだと思っておりまして、これは拙速は許されませんけれども、私どもは、ここを慎重に、そして地域の皆様方の御理解を得るような最大限の努力をしながら、電力の安定供給、これに万全を期して臨んでいきたい、このように思っているところでございます。
 以上でございます。
宇田川委員 我が国にとって内外ともに最大の危機を迎えておるときだけに、どうぞ全力を尽くして対応していただくように御期待を申し上げまして、質問を終わります。
     ――――◇―――――
村田委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、株式会社産業再生機構法案、株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。谷垣国務大臣。
    ―――――――――――――
 株式会社産業再生機構法案
 株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
谷垣国務大臣 株式会社産業再生機構法案及び株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 初めに、株式会社産業再生機構法案について申し上げます。
 我が国経済は、現在、金融面において、金融システムに対する信頼を回復するため不良債権問題の解決を図ることが課題となる一方、産業面において、過剰債務企業が抱える優良な経営資源を再生するとともに、過剰供給構造を解消するための産業再編を促進することが課題となっており、産業と金融の一体となった対応が必要な状況にあります。
 こうした状況を踏まえ、我が国の産業の再生と信用秩序の維持を図るため、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者に対し、金融機関等からの債権の買い取り等を通じてその事業の再生を支援する株式会社産業再生機構を設立することを目的として、本法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、株式会社産業再生機構の設立等の基本的な事項を定めております。産業再生機構は、主務大臣の認可により、一を限って設立される株式会社とし、預金保険機構は、産業再生機構の発起人となり、常時、機構の発行済み株式の二分の一以上を保有しなければならないものとします。産業再生機構の主務大臣は、内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とし、役員の選任、予算、資金の借り入れ等の認可など、必要な監督事務を行います。
 第二に、産業再生機構の組織について定めております。産業再生機構には、産業再生委員会を置き、機構の取締役の中から、三人以上七人以内の委員を選定して組織するものとします。産業再生委員会は、事業者の再生支援の決定、債権の買い取り等の決定、債権または持ち分の処分の決定など、機構の業務運営に関する重要事項の決定を行います。
 第三に、産業再生機構の業務について定めております。産業再生機構は、過大な債務を負っている事業者とその債権者である金融機関等の連名による申し込みを受け、支援基準に従って再生支援をするかどうかを決定し、支援決定を行ったときは、関係金融機関等に対し、機構に対する債権買い取り等の申し込みまたは事業再生計画への同意の回答をするよう求めます。回答に係る債権額が対象事業者の再生支援に必要な額に達したときは、対象事業者に対して金融機関等が有する債権の買い取り等を行うものとします。
 産業再生機構の債権の買い取り等は、平成十六年度末まで行うこととし、当該買い取り等をした対象事業者の事業の再生を図りつつ、買い取り決定から三年以内に、買い取った債権等の譲渡その他の処分を行うよう努めるものとします。
 あわせて、これらの業務を行うために必要な支援基準の主務大臣による策定、関係金融機関等に対する債権回収の一時停止の要請、買い取り価格、決定の公表、倒産法制の特例、関係金融機関等の資料提出などについての規定を整備します。
 第四に、産業再生機構の円滑な運営を図るため、その他所要の規定を整備しております。政府が産業再生機構の資金調達に関する債務保証や、解散時の債務超過に対する補助等を行うことができる旨の規定、預金保険機構の業務の特例の規定を設けるほか、産業再生機構は、産業活力再生特別措置法による支援施策との連携をとること、債権の買い取り価格の算定のために金融庁または日本銀行に技術的助言等の協力を求めることができること、預金保険機構及び整理回収機構との協力体制の充実を図ること等を規定するとともに、政府関係金融機関等について、対象事業者に対する債務の免除等に協力するよう努めることを規定しております。
 続いて、株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について申し上げます。
 この法律案は、株式会社産業再生機構法の施行に伴い、預金保険機構が整理回収機構に委託して行っている健全金融機関からの資産の買い取りにつき、その申し込みの期間を一年間延長するとともに、中小企業信用保険法その他の関係法律について、規定の整備を行うものであります。
 以上が、これら法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
村田委員長 次に、平沼経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
平沼国務大臣 産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 平成十一年八月に成立しました産業活力再生特別措置法は、経営資源の効率的活用を通じて我が国経済の生産性の向上を実現するため、事業者が実施する事業再構築の円滑化、創業や中小企業者による新事業開拓の支援、経営資源の増大に資する研究活動の活性化等の措置を講じることによって、我が国産業の活力の再生を速やかに実現することを目的としており、同年十月の施行以来、積極的な活用がなされております。
 同法の施行後、我が国経済につきましては、一たんは生産性の回復が見られたものの、近年、我が国産業における過剰供給構造や過剰債務の問題が深刻化し、またこれらを背景として設備投資も低迷が続いており、生産性は再び低下に転じております。
 こうした状況を克服するためには、過剰供給構造の解消及び過剰債務問題の解決に資する事業者の取り組みを支援、促進することが極めて重要であり、本法律案は、このための施策を講ずるものであります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、本法律案は、これまで講じられてきた事業者単位での事業再構築を円滑化する措置に加え、過剰供給構造の解消を目指して同一の事業分野に属する二以上の事業者が共同で実施する事業再編の取り組み、過剰債務等により経営資源を有効に活用できていない他の事業者から事業を承継して当該事業に係る経営資源をより有効に活用しながら当該事業の生産性の向上を図る取り組み及び事業者が事業革新設備を導入する取り組みを支援するため、事業者が実施するこれらの取り組みに対して以下のような措置を講ずるものであります。
 まず、ダイナミックな企業組織の再編成により経営資源の最適配分を迅速かつ円滑に実現できるよう、株主総会決議にかえて取締役会決議でできる簡易組織再編成の範囲の拡大、増資を同時に行う減資等の手続の緩和、金銭や親会社株式等を交付して行う合併等の可能化、現物出資等の際の裁判所が選任する検査役による財産価格調査の適用除外、子会社株式の中間配当としての交付の可能化による子会社の分離の容易化、会社分割時の社債権者に対する催告手続の緩和を内容とする商法上の特例措置を講ずることとしております。
 さらに、これらの事業活動に必要な資金の確保を円滑化するため、課税の特例、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の特例、中小企業信用保険法の特例及び産業基盤整備基金の業務の特例を講ずることとしております。
 第二に、中小企業の再生については、多種多様で地域性も強いといった特性を踏まえつつ、種々の問題を抱える中小企業に対して再生の支援を図るため、中小企業の再生支援に関する基本的な指針を定め公表します。当該指針に基づき、各地域の認定を受けた商工会議所等に地域の関係者から成る中小企業再生支援協議会を設置し、中小企業の再生への取り組みに対する指導及び助言等の業務を行う体制を整えます。また、中小企業の再生に関して中小企業総合事業団の業務の特例を講じることとしております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。
村田委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十一分散会


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