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第7号 平成15年3月18日(火曜日)

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平成十五年三月十八日(火曜日)
    午前八時五十二分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君
   理事 井上 義久君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    梶山 弘志君
      北村 誠吾君    河野 太郎君
      佐藤 剛男君    坂本 剛二君
      桜田 義孝君    西川 公也君
      林  義郎君    増原 義剛君
      松島みどり君    山本 明彦君
      渡辺 博道君    小沢 鋭仁君
      奥田  建君    川端 達夫君
      後藤  斎君    鈴木 康友君
      中津川博郷君    松野 頼久君
      松原  仁君    山田 敏雅君
      河上 覃雄君    福島  豊君
      工藤堅太郎君    大幡 基夫君
      塩川 鉄也君    植田 至紀君
      大島 令子君    金子善次郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   参考人
   (弁護士)
   (法学博士)       高木新二郎君
   参考人
   (三菱樹脂株式会社相談役
   )
   (社団法人日本経済団体連
   合会経済法規委員会消費者
   法部会長)        宮部 義一君
   参考人
   (日本商工会議所常議員)
   (福井商工会議所会頭)  江守 幹男君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十八日
 辞任         補欠選任
  小池百合子君     坂本 剛二君
  平井 卓也君     北村 誠吾君
  後藤  斎君     松原  仁君
  大島 令子君     植田 至紀君
同日
 辞任         補欠選任
  北村 誠吾君     平井 卓也君
  坂本 剛二君     小池百合子君
  松原  仁君     後藤  斎君
  植田 至紀君     大島 令子君
    ―――――――――――――
三月十八日
 公正取引委員会を内閣府の外局に移行させるための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七号)
 エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)
同日
 中小企業・中小業者の経営振興に関する請願(矢島恒夫君紹介)(第八八四号)
 同(石井一君紹介)(第九四五号)
 同(植田至紀君紹介)(第九四六号)
 同(小沢和秋君紹介)(第九四七号)
 同(木島日出夫君紹介)(第九四八号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇〇三号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第一〇〇四号)
 同(中林よし子君紹介)(第一〇〇五号)
 同(春名直章君紹介)(第一〇〇六号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一〇〇七号)
 同(松本善明君紹介)(第一〇〇八号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一〇〇九号)
 同(山口富男君紹介)(第一〇一〇号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一〇一一号)
 中小企業の経営振興に関する請願(不破哲三君紹介)(第一〇〇二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 株式会社産業再生機構法案(内閣提出第三号)
 株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四号)
 産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま本委員会において審査中の内閣提出、株式会社産業再生機構法案、株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案の各案に対し、財務金融委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、本連合審査会は、本日午前九時から本委員室において開会いたしますので、御了承願います。
 この際、暫時休憩いたします。
    午前八時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午前十時四分開議
村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、株式会社産業再生機構法案、株式会社産業再生機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 本日は、参考人として、弁護士・法学博士高木新二郎君、三菱樹脂株式会社相談役・社団法人日本経済団体連合会経済法規委員会消費者法部会長宮部義一君、日本商工会議所常議員・福井商工会議所会頭江守幹男君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず高木参考人にお願いいたします。
高木参考人 高木でございます。
 過剰債務を負担する窮境企業の有利子負債を削減するために、メーンバンクが再建計画をつくりまして金融機関を対象とした私的整理が行われますが、私的整理の成立には全員の同意が必要でございまして、それをちょうだいするのは大変至難のわざでございます。
 メーンバンクと債務者企業が再建計画に基づき同意をとって回りますが、中下位行に対しては、債権放棄などは求めないで与信残高維持だけを求めるのでございますが、それでもなかなか同意をしてもらえない。再建計画を提案してから対象金融機関全部の同意がとれるまでに一年もかかりまして、その間に、強引な金融機関からは同意の見返りとして追加担保預金などを求められて、これに応じてへんぱな行為をすることが余儀なくされるということもございまして、結果的に正直者が損をするということもございます。しかも、再建計画の準備の段階から数えますと一年半もかかって、極めて非効率でございます。
 そこで、一昨年の九月にできましたのが私的整理のガイドラインでございます。公正な私的整理を円滑、迅速に成立させるためでございまして、機構法案をつくるに当たっては、その業務に関する部分についてかなりこのガイドラインを参考にしていただいたように思われます。
 ガイドラインによる私的整理を始めますと、一時停止によりまして金融機関の個別的権利行使は全部禁止されますから、先ほど申し上げましたへんぱ行為はなくなりまして、また、一時停止通知から二カ月、長くても三カ月以内に成立させなければいけないとしてデッドラインを決めておりますので、だらだらすることもない。準備期間を入れて半年で完結するわけでございます。ところが、このガイドラインを利用したのは八件だけでございまして、利用件数が少なかった理由はいろいろ考えられますが、一番大きな理由は、やはりメーン寄せではないかと考えております。
 ガイドラインは、平等を旨とすべきである、こうしております。再建計画をつくるに当たりましては、まず、過剰債務をなくすにはどれだけ金融支援をしなければならないかというその総額を出しまして、それを金融機関の裸与信額、つまり担保でカバーされない部分に応じて均等に割りつける、プロラタで割りつけて、それぞれ各行について債権放棄などの負担をお願いするのが本筋でございます。
 ところが、去年、ガイドラインによる私的整理でつくられた再建計画は、全部一たんは均等に割りつけますが、与信残高が多くない中下位行の分は全部メーンが負担することにして、中下位行には与信残高維持だけをお願いするという従前の私的整理のスキームでございまして、一、二行のメーン行は中下位行の分も含めて債権放棄などをして、準メーン四、五行もプロラタ分の債権放棄はするけれども、中下位行は与信を引き揚げないことと金利の統一を約束するだけでございます。そうするとどういうことが起きるかといいますと、中下位行は既に引き当てを積んでいるのが普通でございますが、引き当て戻しが可能となりまして、結果的に漁夫の利を得るということになるわけでございます。
 ところが、こんな再建計画ですら難航するのが常でございました。準メーンも損失分担、ロスシェアリングに同意してくださらないケースが多くなってきたからでございます。メーンは長年、社長、副社長を送って債務者会社をコントロールしてきたのだから、メーンが全部負担すべきだというわけでございます。
 例えば、メーン派遣の副社長がデリバティブ取引をして多額の損害を会社に与えた。それが窮境原因の一つだなんという場合には、メーン寄せもある程度やむを得ないところがあるわけでございますが、社長、副社長を派遣していたからといってメーンが全部負担しなきゃならないとすると、メーンには私的整理をやるメリットがなくなってしまいますし、もはやメーンにはそれだけの負担をする体力がなくなっておりますので、私的整理をやりたくともできないということになってまいります。実際にも、昨年最後に行った製造業のケースでございますが、特別の理由もないのに猛烈なメーン寄せを求められて、とにかく、ようやく成立はしたものの、これが私的整理ガイドラインの最後かなというふうに思ったくらいでございました。
 何十年も日本はメーンバンクシステムでございましたが、メーンが傘下企業に経営者を送り込むのは当たり前でございまして、メーンだというだけで単独の負担を求められたのでは私的整理はできないし、そのためもあって不良債権の処理が難しいということになっております。
 日本じゅうが資金不足のころには、資金を安定的に供給するメーンというのは大切な役割を負ってきたわけでございますが、御案内のとおり、現在では、優良企業は銀行に頼らずに直接金融で市場から資金調達できる、かえって優良企業が銀行を助けるという時代になりました。傘下企業にしましても、社長まで派遣しているのに、まさかつぶさないだろうという安心感から、独立心を失って活力を失ってきたのではないか。こういう弊害は是正しなきゃならぬわけでございますが、メーン行だけで負担する体力は既になくなっているというのが実際でございます。
 不良債権の追加発生を恐れる非メーンが、弁済期が到来すると返済を求めて更新しない、ロールオーバーをしなくなってまいりました。その分をメーンが埋めなきゃいけないわけですけれども、メーン自身が体力がなくなってきたので、追い貸しをして不良債権の追加生産をすることができなくなったわけでございます。こうして現在、メーンバンクシステムというのは音を立てて崩れつつあるというのが私の考えでございます。ガイドラインをつくったにもかかわらず、民間の自主的な私的整理による解決は一層困難になりました。
 私的整理のこうした難しさを実感している私にとりましては、この産業再生機構の構想というのは救いの神に見えたわけでございます。中下位行だけでなくて準メーンの債権も買い取ってくださる、それによって再建を可能にするというアイデアは、私どもの悩みを真っ正面から解決するものだったからでございます。昨年は六件と少なかったせいもありまして、私的整理は辛うじて全件成立いたしました。危惧していましたが、幸い、本年に入ってからも二件の大型案件が成立しました。件数はわずかでございますが、再建計画を自主的につくって再建しようという民間の努力がまだ残っております。残っている間にこれを強力に後押しをしていただいて、多くの活力ある企業を再生させたいものでございます。
 さて、産業再生機構が取り扱う案件は大企業だけでなく中小企業も含むと言われておりますが、実際にもそのとおりだと私は思っております。大企業か中小企業かで分けるのじゃなくて、機構で扱うのが適当な案件かどうかで判断すべきだと思います。
 例えば、大企業でも金融機関の数が少なければ機構で扱うまでもない。中小企業でも、中下位行の債権を買うことによって再建が達成しやすいのであれば、これはこれで結構なことである。また、機構は三年以内に買い取った債権やDESで取得した株を売らなければならないとされております。それを考えますと、できるだけ追加損失なしにイグジットできるかということを考えなければならない。そうすると、市場性ということも考えなければいけない。中小企業でもファンドの投資対象とされているのだから、中小企業だからといって市場性がないわけではないわけでございます。
 さて、機構が支援決定した案件でも、全件が成功するとは限らないわけでございます。債権買い取りの申し出もしないし、再建計画にも同意しないという金融機関があり得る、支援決定した後に民事再生や会社更生に移行するものもあり得るわけでございます。
 しかし、機構が調査した上で再建可能性が高いと判断して支援決定をした事実は重いわけでございます。そのことも助けになって、移行後の法的再建手続が迅速、円滑に進むことになると思われます。機構が活動し始めることの波及効果はこうしてかなり大きくなるのではないか、日本の事業再生は促進されると期待しておりますし、そうならなければいけないと思います。
 これまでの私的整理の案件では、銀行の体力の範囲内でしか金融支援をしていないのじゃないか、こういう批判がなされたこともございます。機構は、厳格な資産査定を行いまして、将来の事業計画についても現実を見て、右肩上がりでなくかたく見積もりまして、より深掘りをした再建計画を立てる、これが必要だろうかと思います。再度の金融支援を要するような事態に陥らせてはいけませんし、最終的にも二次ロスが発生しないように努めなければならないと思います。
 取り急ぎ意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、宮部参考人にお願いいたします。
宮部参考人 三菱樹脂相談役の宮部でございます。
 半世紀にわたり、化学工業界に身を置き、この間さまざまな栄枯盛衰を眺め、みずからも大規模な企業再編なども経験してまいりました。また、経団連では、税制委員会の共同委員長や経済法規委員会の部会長として、経済、産業のインフラとなる制度の提案に携わってまいりました。また今は、債権回収機構いわゆるRCCの再生委員会の顧問を務めております。
 これらの経験を通じて、本委員会において御審議いただいております産業活力再生特別措置法改正案並びに株式会社産業再生機構法案の早期成立を求める立場から、意見を申し述べたいと存じます。
 日本経済は、バブル崩壊以降の長い低迷の末に、戦後どの先進国も経験したことのないデフレスパイラルに陥っております。この原因は、地価、株価の値下がりが経済全体のデフレに広がり、生産、消費さらには設備投資の低迷が悪循環を繰り返していること、デフレによる資産価値の劣化が不良債権、過剰債務問題をもたらし、経済に血液を送り込むべき銀行の機能が低下したこと、あるいは、国内での産業構造の転換がおくれていたところに、中国等のアジア諸国の急速な追い上げを受け、過剰供給構造が常態化し、一方で製造業の海外移転、すなわち国内産業の空洞化に歯どめがかからなくなったことなど、さまざまな要素が絡み合って、日本経済はもう後がないというところまで来てしまいました。
 しかし、個々に見れば、活況を呈している産業もございますし、過去最高の収益を更新している企業もございます。まさに二極化の様相を呈しております。これはまた、条件さえ整えば、日本経済、日本産業はまだまだ十分な底力を発揮できるということであり、決して衰退への道をひた走っているものだとは思えません。
 それでは、その条件とは何なのか。個々の企業については、まさに経営者の手腕、能力に非常に大きく負うところがあります。しかし、個々の企業を超えて、経済全体の視点から考えるならば、まず急がれるのは、金融機関が不良債権処理をなし遂げ、経済産業に血液を送る役割を取り戻すことでございます。また、金融機関の不良債権処理の加速は、債務者企業の側からすれば、過剰債務問題に決着を迫られることでもあります。
 一方、産業構造転換のおくれや海外からの追い上げによって過剰設備を抱えてしまった業界では、複数の企業が協力して設備廃棄や集約化を行いつつ、研究開発や生産性の高い最新鋭の設備への更新など前向きの投資を行っていくことが必要でございます。そのためにも、まず企業や業界がみずから事業の早期再生、産業の再編を果たす意思を示し、政府はそれに対して必要な支援を行う装置づくりが極めて重要であります。
 現行の産業活力再生特別措置法は、それぞれの企業が選択と集中による事業再構築を進めることを、会社法制、税制の特例措置によって支援するものでございますが、今日に至るまで百八十件を超える活用実績を上げてまいりました。
 しかし、一たん過剰供給構造に陥った業種、業態については、個別企業の努力には限界があり、複数の企業が共同して設備集約や再編を進めるなどの取り組みが必要となります。また、過剰債務問題に陥った企業の再生には、金融機関、債権者の協力を仰ぎ、債権放棄や債務の株式化等を行うとともに、企業丸ごとは救えないとしても、事業ごとに健全な部門と破綻部門を切り分けていく、いわゆるグッドカンパニーとバッドカンパニーの分離を行うなど、大胆な事業再編を進めることも必要になってまいります。
 提案されております産業活力再生特別措置法の改正案は、従来の個別企業の事業再構築への支援に加えて、新たに共同事業再編計画、経営資源再活用計画を柱として、過剰債務問題、過剰供給構造の解消のために取り組んでおり、税制、法制、金融の各分野からの支援策を網羅するものでございます。また、同じく新設される事業革新設備導入計画は、研究開発と一体となった企業の新規設備投資を支援するものであり、創造的科学技術立国を目指すさまざまな政策措置と相まって、日本企業の競争力強化、ひいては国内産業の空洞化対策に資するものになると期待しております。
 もとより、政府の役割は、あくまでも企業の自助努力を支援するために環境を整備することであります。本来なら、改正法案に盛り込まれている数々の支援措置は、主務大臣の認定をもとに適用できる特例としてではなく、税制や法制における一般的な制度として実現することが望ましいものであります。しかしながら、一般的制度改正にはなお時間がかかることからも、今回の改正法案に盛り込まれました制度を活用し、迅速な対応を図ることが必要であると存じます。
 一部には、改正法によって、官庁が産業や企業の再編を主導していくのではないかとの見方もあるようでございますが、これはあくまでも企業みずからが意思決定をして取り組む問題であり、かつてのような政府主導の産業再生につながるとの懸念は杞憂であると存じます。今さら自分の会社や業界のあり方を行政に決めてもらおうとするような経営者であるならば、もう即刻退場していただかざるを得ないということでございます。
 また、計画の認可要件が極めて厳しいものであり、使いにくいとの見方もございます。もとより、定められた数値基準を硬直的に適用するのではなく、業種、業態の実態に合った適切な運用が望まれることは当然でございますが、この数値というのはあくまでも計画をなし遂げた段階でのいわば出口の基準でございまして、このぐらいのことができなければ企業や事業の再生にはならないと存じます。
 加えて、産業活力再生特別措置法の効力を十分に引き出すためには、特に、共同事業再編計画や経営資源再活用計画の実施に際して、独占禁止法を弾力的に運用することが不可欠であると存じます。公正取引委員会も「企業・産業再生に係る事案に関する企業結合審査について」を公表し、産業活力再生案件については迅速な審査を行うことを表明しておられますが、単なる手続の迅速化のみならず、実際の運用に当たって、まさに産業、事業の再生可能性を摘むことのないように御配慮していただきたいと存じます。
 なお、改正法案では、特に厳しい状況にある中小企業の再生支援に関しまして、官民一体となった再生支援の枠組みを設けております。また、政策金融機関において中小企業に対するさまざまな金融措置の強化を図っております。これは、雇用に対するセーフティーネット対策とも相まって、金融機関の不良債権処理や企業の事業再構築あるいは産業再編による雇用、地域経済への影響を最小限に緩和するための政府の包括的な取り組みを示す内容となっているものと評価いたします。
 続いて、株式会社産業再生機構法案について一言申し上げます。
 金融機関の債権査定の厳格化によって、従来の正常先、要注意先から要管理先等に債権区分が劣化する企業があらわれておりますが、例えば、企業全体としては債務超過状態に陥っているとしても、それぞれの事業分野ごとに見て、健全な部門あるいは再建可能な部門があるならば、健全部門を切り離して早期再生を果たすことによって、雇用や地域経済への影響を最小限にとどめることができると思っております。
 そのためには、民事再生法や会社更生法等の法的手法や私的整理ガイドラインが既にツールとしてございますが、法的再生手続イコール破綻とのマイナスの印象が払拭できず、また、私的整理ガイドラインはあくまでも債権者と債務者企業の間の紳士協定でしかなく、債権者の中でメーンバンクとそれ以外の銀行等の合意が難しい状況の中で、残念ながら活用実績は限られております。そこで、機構がメーンバンク以外の債権者から債権を買い取って、メーンと協調して再生に当たることができれば、従来困難であった事案についても再生の可能性が広がるものと期待いたします。
 しかしながら、機構を通じた支援が単なる債権の塩漬けや債権者、債務者双方の責任回避につながってしまうのでは、日本経済にかえって禍根を残すことにもなりかねません。その意味で、機構による債権買い取りの対象は、真に迅速な再生が可能であるものとする必要があり、そこにさまざまな支援を集中することで、たとえ企業としては消滅しても、将来の成長の種となるべき事業を絶やさぬようにすることができれば、日本経済の再生に大いに寄与するものと期待いたします。
 経済対策として、過去、膨大な予算がつぎ込まれ、金融もこれ以上ないところまで緩和されてまいりました。それでもなお、はかばかしい成果が上がらない原因は、日本経済、産業の病巣ともいうべき不良債権、過剰債務、過剰供給構造の問題が先送りされてきたことにほかなりません。
 これらの問題をこれ以上先送りすることなく解決するとの姿勢を、政府も民間産業も重大な決意を持って内外に示すことが、今一番必要な経済対策であると信じております。このためにも、産業活力再生特別措置法改正案と株式会社産業再生機構法案について、円滑な御審議の上、早期の成立をお願い申し上げる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、江守参考人にお願いいたします。
江守参考人 日本商工会議所常議員、福井商工会議所会頭の江守でございます。
 私からは、今、地方の中小企業がどのような状態に置かれているのか、その実情と、地方経済の再生に向けた取り組み、中小企業再生支援協議会などについて、お話をさせていただきたいと思っております。
 御案内のとおり、景気は本年に入りましても、まだ底をはっているような状況であります。中小企業が大半を占める地方経済は、輸出停滞、個人消費の落ち込み、デフレスパイラルともいうべき経済環境のもとで、懸命な努力を続けているものの、極めて深刻な事態に置かれております。
 中小企業は、全国で四百八十四万社あると言われております。全企業の九九・七%を占めており、業種、業態は多岐にわたり、まさに日本経済を支えているわけでございます。とりわけ地方におきましては、地域経済の根幹ともいうべき地位を占めているわけでありますが、さまざまな経営課題を有していることも事実でございます。各地域、各企業の実態に即した経営支援・指導が強く求められているわけでございます。
 福井におきましては、繊維、眼鏡など伝統のある地場産業が中国製品との競合で苦しい状況に置かれるなど、これまで地域経済を担った産業が空洞化にさらされ、さらに建設業における公共事業の減少など、さまざまな課題を抱えております。ちなみに、昨年の福井県内中小企業の倒産は、件数で百五十九件、負債総額は四百二十二億で、統計史上最悪の件数、負債額となっております。地域中小企業の再生にいかに取り組むかが直面する課題となっているわけでございます。
 このため、福井商工会議所では、昨年、独自に中小企業再生本部を設置し、あらゆる相談にワンストップで応じられるように、指導・支援体制を強化、整備したところであります。しかしながら、商工会議所という一経済団体の限られた要員と予算で、複雑な問題を抱えた中小企業の経営改革や再建計画を独自で立案し、かつ実効あるものにするには限界があることも事実であり、強力な支援施策が期待されているところであります。
 そのような折に、経済産業省で地方中小企業の再生に向けて新たな施策、地域中小企業再生支援協議会設置構想が昨年の末から浮上いたしてまいりました。これを受けまして、私ども商工会議所内部で検討を加え、さらに、我々の待望していた施策そのものであるとの結論に達し、中小企業再生本部を一層充実したものにするためにも、この施策の積極的な活用を決定した次第であります。
 この施策の要綱では、事務局の業務責任者には銀行の金融業務や企業再建に精通した人材を新たに設置することになっておりますが、まさにこのような人材こそ私どもが待望していたものであり、幸い、福井商工会議所では、日ごろ銀行協会とも業務を通じた関係があり、適した人材の推薦を依頼したところ、地元銀行の支店長経験者で、温泉地の旅館とか地場産業である繊維企業の再建に従事したことのある人材の推薦をいただき、その方を決定させていただいたところであります。
 これらを踏まえ、福井県中小企業再生支援協議会は、全国に先駆けまして、去る二月七日に設立をされました。今後とも、地域性に配慮しながら、県内中小企業に対し、きめ細やかに経営改善や再生に向けた取り組み等、積極的に展開してまいる所存でございます。
 相談は、まず第一段階として、経営上の問題点を抱えている中小企業に対して、具体的な課題を抽出し、最も適した施策等のアドバイスを行い、これを踏まえ、さらなる支援が必要と判断した企業には、第二段階といたしまして、専門家による案件ごとの個別支援チームを立ち上げ、経営改善計画作成の支援を行います。これら専門家のメンバーには、弁護士、公認会計士、中小企業診断士など総勢十六名の方々に委嘱しており、各スペシャリストの支援体制を整えております。
 また、中小企業支援機関や金融機関との連携をさらに深めながら、実効性のある支援事業を展開してまいりたく思っております。特に、金融機関につきましては、一つの事業所が一つの金融機関とのみ取引をしているなどということはあり得ません。中小企業といえども常に複数の取引金融機関があるわけでございまして、そうなりますと、再建計画と申しましても、金融機関相互の利害が絡む点もあり、常に連絡、連携を図りながら実施する必要があります。この点で、第三者の公平な観点から再建計画に立案や調整ができる本協議会への期待は高いものがございます。
 二月十八日より実際の窓口相談業務を開始いたしたわけでございますが、業務開始当日から相談が持ち込まれてまいりまして、既に二十二件十五社の相談がございます。しかも、製造業、建設業、小売業、サービス業と多岐にわたり、地域の中小企業がいかに望んでいたかが御理解いただけると思います。
 今後も、中小企業の再生支援を強力にサポートしてまいる所存でございますが、国会議員の先生方を初め、政府、省庁の御理解、御支援をよろしくお願い申し上げます。
 あわせまして、この協議会を運営するに当たりまして、二つ要望をさせていただきたいと思います。
 一つは、相談案件が持ち込まれてから再生計画を策定するまでの事前調査、経営実態調査に予想以上の時間と人員を要する点であります。窓口相談と調査のため、要員の強化がこれから必要になっていくものと思われます。
 もう一つは、中小企業再生支援協議会は、地域中小企業の再生支援のために、個別企業の経営改善計画づくりとあわせて、その実行をも支援することになっておりますが、中小企業の再生支援は、経営計画づくりだけではなく、金融面での支援があって初めて実効性が高まるものであります。残念ながら、当協議会で支援対象となります中小企業におきましては、もう既にぎりぎりの状況下の中で経営を余儀なくされておりまして、追加の資金調達が難しい場合が想定されます。
 そこで、この協議会の経営改善計画に基づく資金調達につきましては、特別な制度融資面での御支援や、信用保証協会が行う信用保証に対しまして、これまでもいろいろ御支援をちょうだいいたしておりますけれども、万が一の損失補てんを強化するなど、一層の御支援強化を要望するものであります。
 中小企業が活力を取り戻すことなくして、地域経済の発展はございません。このために、中小企業が自信を持って企業経営に当たられ、明るい展望が見出せる思い切ったデフレ対策、景気対策の実現に向けて、あらゆる政策手段を総動員し、全力を挙げて取り組みをいただきますように重ねてお願いを申し上げる次第であります。
 最後になりますが、この難局を乗り切るには、中小企業みずからが経済の自律回復に立ち向かう気概が必要であります。新製品の開発並びに競争力、販売力の強化を図るなどぜひとも必要でございまして、また、将来の地域経済の礎となります新産業の創出や誘致、新規創業の支援も、産官学を挙げまして取り組むべき課題でございます。
 商工会議所といたしましても、再生支援協議会だけでなく、引き続きこれらの問題に対し積極的に取り組みたいと考えておりますので、一層の御支援をお願いいたしまして、私の意見陳述にかえさせていただきます。
 大変ありがとうございました。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本明彦君。
山本(明)委員 自由民主党の山本明彦です。きょうは、高木参考人、宮部参考人、江守参考人、お忙しい中我々の委員会のためにお越しいただきまして、本当にありがとうございます。
 今、三人の参考人の皆さん方のお話をお伺いしておりまして、まさにこの再生機構が大変皆様方から期待をされておる、そういった実感を強く受けたわけであります。今、まだまだ景気が底を打っておるという状況、皆さん方からもお話がございました。その原因はこの不良債権にある、この不良債権を早く解除していけば、銀行も体質が強くなってそれぞれの企業に融資することも可能になるから、ぜひ早くこの不良債権を処理してほしい、こういうふうなイメージかな、そんな感じがしておるところであります。
 ただ、いろいろな議論の中で、この不良債権と景気対策、どちらが先かという議論がよくあるわけであります。この十年ほどを見てみますと、不良債権の処理が、大体八十兆円ぐらい処理をしておるわけですけれども、新たに発生したのが百兆円強あるということであります。したがって、処理しても処理しても、どんどん新しく出る方が多いものですから、処理し切れないということだというふうに思います。処理することは大変大切ではありますけれども、それよりも先に、やはり不良債権が新たに出ないようにすることの方が緊急ではないか、そういった意見があると思います。私もそういう意見を持つ一人であります。
 今、日本銀行が買いオペ等をやりまして国債等を買いまして、どんどんどんどんお金を放出はしておるんですけれども、日銀の当座預金の方へたまってしまって、それがなかなか市場へ出てこない。マネタリーベースはふえても、マネーサプライはちっともふえてこないというのが今の現状であります。どうしてかというと、民間の皆様方がどうしても資金を使ってくれない。貸してくれないこともありますけれども、民間の皆さん方がどうしてもまだ前向きにやる気が起こらないというのが今の流れではないかというふうに思います。
 この景気の悪いときには、民間がお金を使わないならだれかが使わにゃいかぬ。だれかが使うのはだれが使うかということでありますけれども、私は、こういったときにはやはり国が使うべきだと。景気の悪いときには国が使い、景気のいいときには民間が黙っておっても使ってくれる、それで初めてうまく景気が循環が流れていくのではないか、私はこんなふうに考えるところでありますけれども、この点、企業人でございます宮部参考人と江守参考人に、御意見がありましたらお伺いをしたい、企業人としてお伺いをしたいというふうに思います。
宮部参考人 今議員からいただきました質問というのは、非常に日本経済の一番核心をつく御疑問だと思います。やはり我々企業の側も、中国その他の国へどんどん設備投資が流れております。本来ならば、あれが日本の中で行われていれば、そのようなことも一部、日本の中で設備投資が行われて金融機関へのお願いというものも出てくるかと思うんですが、これはなぜかというと、やはりいろいろなことを考えると、需要が中国には大きい、それから日本にはもうある程度飽和している、それから製造コストが違うという問題だと思います。
 やはり日本は、新しい産業で何か特別なものをつけ加えたもの、例えば最近の冷蔵庫にしても洗濯機にしても掃除機にしても、日本のもので非常にいいものが出てきて、これがまた飛ぶように売れている。やはりこれから日本がなすべき事業というのは、そういう細かい、日本人の凝り性が固まって、いい生活に結びつくような製品をつくる設備投資だと思うんですね。それで、大量生産型のものはやはり海外へ出ていく可能性がある。日本でお金を使うのなら、それではどうしたらいいかといったら、やはり新規の事業、新しい、ほかの東南アジアの国々ではまねのできない、先鞭をつける仕事をどんどん中心にやっていき、かつ中核に今あるものは、先ほどの法案でお願いしたように、集約してもっと力をつけていく、この二つしかございません。
 議員のおっしゃるように、その間国で金を使うということも、それは一つの方法だと思います。ただし、今までのように何でもつくればいいというのではなしに、国民として、効果があって効率的なもの。我々がつくっている製品としては、今までと同じ冷蔵庫じゃなしに、もっと機能がついていて、使いやすくて便利になるもの、そういうものに中心を置くべきではないかなと個人的に考えます。
 よろしゅうございますでしょうか。
江守参考人 今御質問をいただきましたけれども、私も、まさに議員の言われましたその点が今一番重要だと思うんです。
 これほどデフレスパイラルで、一般の企業では、特に中小企業では手の打てない、そういう事態のときには、やはり国が援助すべきだ。また、それが立ち直った場合に、これは民間が大いにその力を発揮すべきだ。それは、過去の日本の産業史を見ればおわかりになると思う。あれほど荒廃した日本経済が世界ナンバーツーになったわけでありますから。このときには、何も、政府の資金というのはそう必要としなかったんですね、それぞれの力でできたわけでありますから。ですから、そういうような事態を一日も早く取り戻していきたい。今は全く、デフレスパイラルという極めて特殊な状況であります。特に中小企業はそういうものに、何といいましょうか、対応性が弱いと申しましょうか、このときは、やはり助けるべきものは助けなきゃいけない。
 中小企業でも、健全で、この時期においても大いにやれる企業もあるのでありますよ。もちろん、それはございます。そういうものは、例えば、今、前の参考人が言われましたように、中国と競争しても中国にできないものを持っている、世界の中で技術力、販売力、製品力においてナンバーワンの力を持っている。こんな企業は福井県でもたくさんあるんです。福井県にも、実は三十社ほどの小さな世界企業というのがあるんです。これは健闘していますよ。これは支援する必要は全然ありません、どんどん独力でやっていきますから。
 こういうのが片一方ありながら、やはり相当厳しい。例えば繊維関係なんかは、中国のあの安値攻勢に完全に追い込まれてしまった。これはやはりセーフティーネットを設けてあげないと、生き返れない。このときこそ、私は、再生機構、その協議会が救ってあげるべきだ。また立ち直りますから、そのときには、十分なる世界の中における競争力を持った企業に中小企業でも当然なり得ますので、そういう意味において、こういうときこそやはり政府の方が金を出すべきだということに対して、私も同感であります。
 以上であります。
山本(明)委員 江守参考人に続けてお伺いしたいと思います。
 御同調いただきまして、ありがとうございます。私も、国会議員になる前は中小企業を経営しておった一人でありますから、気持ちは大変よくわかります。ただ、江守参考人は、ちょっとお聞きしますと、福井では五本の指に入るような大企業だそうでありますから、中小企業のお気持ちというのは余りよくおわかりにならないかもわかりませんけれども。
 今中小企業というのはどういうふうかといいますと、しにせが倒産をする時代なんですよね。新しい企業というのはフットワークがいいものですから、何とでも、かじを右にとろうが左にとろうが、自由にできるんですけれども、古くなってきまして、しかも小さい企業ですと、頭脳も余りない。そうしますと、急に方向性をこちらに変えろと言っても、なかなか変えられない。仕方ないから、昔のまま同じような形で、地道にまじめにやっていく方がいいということできました。それが、今までは右肩上がりでしたから、何とか普通に企業業績が伸びてきた。
 ところが、同じようにまじめにやっておるんだけれども、特別、バブルだからといって、土地を買ったり何かに投資をしたりしなくても、ほかっておいても今右肩下がりということは、だんだん売り上げが下がってきた、どうしたらいいんだろうというのが、大変多くの中小企業だと思います。特別経営者がいいわけでも、特別経営者が悪いわけでもない、ごく普通という方が大半なんですよね。どこでも、もうかっている人もありますし無理して損している人もありますけれども、それは一部でありまして、やはり多くはそういう企業が多いというふうに思います。
 今回、新しく再生機構ができまして、先ほど、中小企業も再生機構で利用できるという話がありましたが、現実問題として、百人そこそこだそうでありますから、中小企業のごく普通の、特別なものでない普通のものをとてもやってはおれないと現実的には思います。
 したがって、江守参考人、先ほど、福井の方で少し産業再生の組織をつくって会議所で始めたというお話がありましたけれども、今のような感覚で見て、果たして産業再生機構にどうやって中小企業が取り入れてもらうかということを、御意見といいますか要望がありましたら、ちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。
江守参考人 実は、福井の商工会議所というのは八千二百の会員がいるんです。これは日本海側随一であります。繊維が中心でございまして、かつて繊維は、殊に合成繊維は日本でナンバーワンでしたね。眼鏡は今でも日本でナンバーワン、日本でのシェアが九四%ですかね。そういう、中小企業でも非常に物づくりの産地なんですよ。それから、建設業が多いんですね。公共事業がなくなってまいりましたから、この建設業はちょっと厳しいですね。だから、そういう中小企業を相手に、あなたはどうしてやるのかということでございます。
 先ほどお話ししましたように、まさに今そういうような、危殆に瀕している企業があえいでいたときに、経産省の方から試案が出てきたわけでありますね。すぐ我々の方は、その前にそういう下準備の協議会をこしらえておりましたから、すぐそれに乗りかえまして、発表いたしました。非常に地元から賛同の意見がございまして、たちどころに、まだ開店してから一カ月しかたっていないんですよ。でも、二十二件十五社ですよ。だから、いかに厳しいときにそういう再生協議会のこれが、干天の慈雨と申しますかな。
 ところが、それは全部救えません。二十二件十五社ございますけれども、今それをやっている最中であります。できるだけそれは全部を救いたいと思いますけれども、残念ながら、それは救えないものももちろんあるわけであります。やはりそこが一番難しいところでございまして、あらゆる努力をしながら、今までだったら倒産してしまうであろう企業をどう我々が再生していくかということをやろうとしております。これはまだアイ・エヌ・ジーでありますけれども、今月末ぐらいには、一社再生できそうな、発表ができる企業がありそうだということを、今その事務局から聞いております。
 だから、そういう意味で、私は大変いいタイミングでこれができたというふうに思っております。
 以上であります。
山本(明)委員 時間がないそうでありますから、あと一つだけちょっと。
 せっかく高木参考人がお見えでございますので、一つお聞きをしたいというふうに思います。
 この前、田作朋雄さんという方だと思いましたけれども、参考人でお越しいただいて、やはり同じお話があったんですけれども、私的整理にしても法的整理にしても、やることは全く一緒と。しかし、先ほどからお話がありましたように、私的整理の場合は一人反対してもだめだ、法的整理の場合は風評被害に遭って大変困るという話がありました。やることは一緒なんだと。
 今回、機構ができまして、恐らくやはりやることは一緒だというふうに思いますけれども、今の私的整理、法的整理でのマイナス部分を排除して、いわゆるスーパーマン的に、今回の新しい再生機構というのは、もうどちらも要らないんだ、おれたちだけでやっていけるんだというぐらいのものが、つくっていってもらいたいと思うんですけれども、できるものなのかどうか。
 もう一つ、債権放棄なんですけれども、これはやはり、中小企業の立場でみんな見ますと、債権放棄だけは絶対に許せないという気持ちが大変強いんです、中小企業に債権放棄をだれがやってくれるんだという気持ちが強いものですから。そこら辺も踏まえて、簡単にちょっとお考えを。
高木参考人 まず、法的整理との関係でございますが、私的整理と法的整理の一番大きな違いは、私的整理でやりますと事業価値の毀損が少ない。それは、金融機関の債権だけで解決してくれる、一般商取引債権は毀損しないということからでございます。
 ただ、今度、産業再生機構がもしできたといたしますと、先ほど申し上げたように、たくさんの企業が対象になりますので、その中には、すべて成立するとは限らない案件も出てくるかなと思います。ただ、今までと違うところは、産業再生機構、その中に再生委員会ができるわけでございますが、これが経済も含めたプロでございます。これが、再建計画案を精査いたしまして、再生可能性が高いと判断したときに支援決定をするわけでございます。これは大変な価値がある。法律が得意な裁判所が、再生可能性がないわけじゃないという二重否定の判断をしたわけじゃなくて、積極的に高いという判断をした、こうなりますと、仮に法的整理に移行しましても、私は短期間で早く解決がつくだろうと。
 それで、今度の会社更生法改正によりまして、一般債権者のうち少額債権者保護の規定も設けられました。かなりの商取引債権が少額債権として扱うことができる、うんと上の額まで少額債権として扱うことができる。そうなりますと、金融機関債権だけで解決できるということも会社更生や民事再生で可能となりますので、仮に法的整理に移行したとしても再建は早いだろう。
 産業再生機構ができることによって、機構がレバレッジ、てこになりまして、そういうことによる事業再生も促進できるであろう、そういった波及効果も期待できる、こういうことでございます。
 もう一点、債権放棄の点は、質問の御趣旨がちょっと理解できなかったのですが、もう一度お願いいたします。
山本(明)委員 債権放棄については、中小企業というのはその点に対して非常に怒りを持ってみんな見ておるということでありますので、そうしたことを踏まえながらこれからやっていっていただきたいということを注文させていただいて、終わります。
村田委員長 簡単にお願いいたします。
高木参考人 ただ、これは、助けないともっと少なくなってしまうんだ、もっととれなくなってしまうんだ、それを再生することによって放棄後の残額がとれるようになるんだ、こういうことでございますので、その点は経済合理性で御理解いただきたいと思います。
村田委員長 鈴木康友君。
鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。三人の参考人の皆様にはどうぞよろしくお願いを申し上げます。
 さて、まず第一問目として、私は、産業再生機構、この名称についてちょっと御質問したいと思うんです。
 今回のこの産業再生機構の一番のポイントは、先ほどいろいろ御議論が出ておるわけでありますが、非メーンの持っている債権を集約して、それを引き受けて企業の再生を非常にしやすくしようというところがみそだと思うんですね。
 どうも、こういう点を考えていきますと、これは、産業再生というよりも、金融機関再生法、あるいは、百歩譲っても企業再生機構と言った方が的確ではないか。どうも、産業再生、産業全体を再生するというイメージがわいてこないんですが、この点について、まずぜひ三人の皆さんの感想をお伺いしたいというふうに思います。
高木参考人 申し上げるまでもなく、産業再生機構法案を拝見いたしますと、機構は個別企業の再生を支援するわけでございます。ですから、おっしゃるとおり、産業全体ということでなく、個別企業の再建を通じて、そのことによってできるだけ多くの企業の活力を回復させて、それをビビッドにすることによって日本の産業あるいは経済の回復に資するということになるのかなと思っております。
宮部参考人 再生法の方で、幾つかの分野というかカテゴリーで再生を図ろう、企業は、そのどれかのカテゴリーを使って、それから法制、税制、金融の支援を受けて立ち直ろうということでございますので、やはり産業再生、産業・企業再生でいいんじゃないかなと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
江守参考人 我々の場合には、福井県中小企業再生支援協議会という名、もちろんそれは産業は入っておりませんけれども、これは、中小企業が今危殆に瀕して、これを助ける、これは尋常の手段では助けられませんよ。だからこういう機構をもって助けていく。これは、ひいては中小企業という産業界をやはりカバーしていくことだ、助けることであるということでございますから、私は産業再生でいいんではないかというふうに思いますね。
鈴木(康)委員 今回のこの法案を見ますと、政府保証枠十兆円というのがあるわけですね。言うなれば、これは、十兆円全部使うわけではないんですけれども、いざというときにはこれだけ政府が用意していますよということであります。ということは、いざというときには、国民一人当たり八万円くらいになりますかね、それだけの負担を背負うということがあるわけでありまして、やはりこれだけの額を国民の皆さんに、政府が用意しているんですよということになりますと、やはりきちっとした説明責任というのが必要だと思うんですね。私たちも、地元へ帰りますと、今度こういう産業再生機構というのができますよ、これは国民の皆さんのこういう生活に資するためにつくるんですよというような説明をしなきゃいけないんですが、なかなかこれは難しいわけですね。
 ですから、特にこういう国民の皆さん全体にこの法律が必要なんだということをどういうふうに説明をしたらいいのか、何かいいお知恵があったら、これは高木参考人と宮部参考人、ちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、よろしくお願いします。
高木参考人 なぜ必要なのかという御質問かと思いますが、これは、先ほど御説明申し上げましたように、今、民間で必死の努力をしております。私も、昨年六件、ことしに入ってまた一件、大企業の再建をいたしました。大変な労力、休日返上、何十人かのチームを投入してやっております。それが大変難航しておりますことは先ほど申し上げたとおりでございます。
 ぜひこれを後押ししていただきたい。それは、お金を使っても、決してそれはそのまま使っちゃうわけじゃございません、後でお返しできるような方法で、回収できる方法でやらせていただく、こういうことでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
宮部参考人 議員のお尋ねは非常に難しい問題なんですが、例えば今RCCで再生委員会をやっておりますけれども、先ほどの法案の中にありましたように、バッドカンパニーとグッドカンパニーを分けるというようなことがないと、全部死んでしまうわけです。現にそういう案件がございまして、私ども、それを、バッドカンパニーの方だけをきっちり整理して、この部分だけ、いわば本業ですよね、それだけは何とか守ろうよということで、現在も無事に収益を上げている会社がございます。そのように、デフレスパイラルというのは切り崩しでどんどん下へ下がっていってしまうわけですから、どこかで歯どめをかける。それは、きっちりこれ一発でもって歯どめがかかるというようなものは私はないと思うんですが、いろいろな政策を駆使してこれにどうしても歯どめをかけたい、私は今回の再生法の改定案もその大きな柱ではないかと。やはり、総崩れになるのをどこか部分でも、それから、一社が名前がなくなっても二つ合わせて残るじゃないか、そこが大切なところだし、それから、新しい設備を、今のままではとてもお金を使えない、ここにもお金を使わせて新しい設備で競争力をつけるんだ、こんなところで産業、企業が踏みとどまる大きな政策であると私は考えております。
鈴木(康)委員 今お二方からお話しいただきましたが、例えば、本当に田舎で普通に生活をしている一般の方々に企業の再生の意義というものを、皆さんの生活抜きにして語るというのは非常に難しいと思うんですね。私は、一つあるとすれば雇用だと思うんですよ。今そういう企業をいたずらにつぶしてしまって失業者をふやさない、やはり、雇用の安定を図るためにこういうことをやっていくんだということが、国民の皆さんに広く御理解をいただくためには一つの大きな意義としてあるのではないかと私は思うんですが、その点はどうか、今の両参考人に御意見をいただきたいと思います。
高木参考人 おっしゃるとおりだと思います。ですから、生かすべき企業を生かすことによってその雇用を維持する、雇用の機会を維持する、これは大変大切なことだ、おっしゃるとおりだと思います。
宮部参考人 私も議員の御意見には賛成いたします。ただ、必ず全部を確保せいというところは、企業が全体としてどうなるかということでございますので、極力そういうふうにするということではないかと思います。
鈴木(康)委員 当然、これから企業の再生を図っていかなきゃいけないという中で、いろいろリストラということなどもあるかもしれませんけれども、やはり企業を助けることによって全体としての雇用は守っていくんだということが私は大きな意義としてあると思うんですね。
 ということを考慮しますと、今回の法案に、目的の中に雇用の安定というものが記載されていないんですね。私はこれはぜひ明記をすべきだと思うんですが、高木参考人と宮部参考人、いかがでしょうか。
高木参考人 個別企業の支援を通じて、再生を通じて産業再生をするということは日本全体として雇用をできるだけ維持するという趣旨であることは、これは変わりないことだと思います。私自身としては、産業再生という言葉の中に雇用の維持も含まっているんだ、こういうふうに解釈しておりました。
宮部参考人 私も、再生という言葉は非常に我々にとって重みのある言葉だと思います。
 実は私も社長をやっておりましたけれども、企業の再生というのは、どんな会社でも毎日毎日の仕事が企業再生でございます。なぜかというと、ソニーさんでもトヨタさんでも毎日が再生なんです。いつの間にかうまく会社の中身が変わって、雇用が維持されて、利益率が維持されて、株主さんもみんな満足している、これが立派な会社です。ただし、その会社も、今申し上げたように、毎日が再生の連続なんです。私はたまたまある部分でうまくいかなくて、それをまた軌道に乗せるために一五%ぐらい希望退職をそのほかで募りました。今また回り出しました。
 やはり、経営者にとって雇用の確保というのは物すごく頭の痛い問題でありまして、常に念頭にございます。ですから、再生という言葉の中に私は雇用の問題は含まれていると解釈しておりますが、わざわざ雇用を何とかというんじゃなしに、企業の再生の中にはそういったものがすべて含まれるというふうに解釈したいと思っております。
鈴木(康)委員 私は、個人的な意見としては、それだけ企業の再生と雇用の安定というのは微妙な位置関係があるということは私自身も理解しているつもりでありますので、逆に、だからこそ、やはり雇用の安定というものをきちっと法案に明記をしておく、このことは必要だろうと思うんです。
 ちょっと関連した質問でありますが、雇用を守るという一つの重要な要素ということであるならば、今度高木参考人が候補になっておられるということでありますが、産業再生委員会の構成委員の中にやはり勤労者、労働者を代表する方を入れていくということが必要だし、そのことも法案に明記をすべきだと私は思いますが、高木参考人に御意見をちょうだいしたいと思います。
高木参考人 先ほどの雇用の問題にちょっとつけ加えさせていただきますが、私は既に三十年以上、四十年近くにわたって会社再建をやっております。常に思いますことは、一つの会社をつぶす、例えば三千人の従業員がいる、これがつぶれてしまうということはどういうことかといいますと、その三千人の従業員だけでなくて、その家族が三人いたといたします、一万人近い人の生活に影響を及ぼす。さらに、それに下請、取引先の連鎖倒産も考えますと、一つの企業を助けるということは何万人もの生活を維持する、人を助けるのが企業の再建、事業の再建であると私は理解しております。先ほどのことにつけ加えさせていただきました。
 ただ、産業再生委員会は、会社の事業計画、再生計画が実行可能であるかどうか、それによって再建可能であるかどうか、これを判断するのが役目でございます。これはかなり専門的な知識が必要でございます。会計上、経営上、法律上、それから市場との関係、そういったプロフェッショナルな知識が必要でございます。もちろん労働問題に関する知識も必要でございますが、そういった意味での再建のための専門知識を持った方々が必要だなとは思いますが、それが直ちに先生のおっしゃるところに結びつくのかということにつきましては、まだ考えておりません。
鈴木(康)委員 ちょっと時間も少なくなってまいりましたが、別の観点からまた御質問をしたいと思います。
 具体的な例を挙げさせていただきたいと思いますが、私の知っている繊維の会社なんですけれども、この会社は、いわゆる産元さんという布をつくっている会社なんですね。今まではアパレルメーカーさんなんかの下請として活動をしてこられまして、自社で工場も持っておりました。ところが、御承知のように、やはり繊維というのは非常に構造不況業種でありまして、自社で工場を抱えて会社をやっていくというのは大変だということで、非常に苦労されて、工場を閉鎖されて、織機なんかの設備も東南アジアに売却をしたりして、過剰設備を独自で整理をされたわけですね。今は、そういう工場を持たずに、商品開発力はあるものですからいろいろ商品開発をして、製造をほかでしてもらって、非常に高利益を上げているんです。繊維が非常に構造不況だ、あるいは景気が非常に悪いという中においても億単位の利益を出している、こういう会社があるんですね。
 例えば、今度、こういう企業の再生をお手伝いしようというようなことが出てきまして、同じように工場を持った繊維の会社さんがある、メーンさん以外にもいろいろなところに過剰設備の件で債務をお持ちである、こういうことを整理して、うまく過剰設備も整理をして、ところが、その会社さんも同様に、商品企画力やそういう能力があるということで、身軽になって例えば競争をする。
 そのときに、片や今まで苦労して独自で過剰設備を整理してきて今非常にうまくいっている、片やお手伝いをいただきながら同じようなスタートラインに立つ、ここに私は一つ不公平な感じがしてならないんですが、こういう矛盾というのは、もし産業再生機構がうまくいけばいくほど、これからこういう矛盾点というのは幾つかの例で出てくるような気がしてならないんですが、この点、いかがでしょうか。
高木参考人 まさに、日本の多くの企業が先生が御指摘になったような努力をしなきゃいかぬ。ただ、既に相当程度財務内容が悪化して、それがなかなか難しいというところを支援してそういうことをさせるということでございますが、既に自分でそれができたところと不公平ではないかと。
 あるいはそういう御見解もあり得るかもしれませんが、世の中の事情というのはどんどん変化していくわけでございます。既にやったところもどんどん変えていかなきゃいけない。そういった、日本全体がやはりそれをやっていかなきゃいけないんだなというふうに思っております。それをできるだけ多くの会社がやれるように、一部の会社だけでなく、できるだけ多くの会社がやれるように後を押すんだ、こういうことだと理解しております。
鈴木(康)委員 時間が参りましたので、今のに関連して、最後に一点だけ。
 私は、今のようなケースというものを実は非常に懸念をするものですから、やはりそういうことが起こらないように、支援基準の策定とか支援決定に際して、その検討に際しては、やはり事業者が属するその業界の意見を聞くということを前提とするべきではないか、また、そのことも法案に明記をしておくべきではないかと思うんですが、その点、高木参考人、いかがでしょうか。
村田委員長 時間が来ておりますので、一言でお答え願います。
 高木参考人。
高木参考人 要するに、事業を助けるということが必要で、特定の企業ではない、事業なんだ、こういうふうに理解しております。
鈴木(康)委員 どうもありがとうございました。
村田委員長 河上覃雄君。
河上委員 公明党の河上でございます。
 持ち時間二十分ですが、実は調整しなくちゃなりませんので、手短に、私の方は、高木参考人から、まとめて三点お話をさせていただいて終わりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 一つは、金融機関などの出身者を産業再生機構の職員といたしますと、機構の業務との間で利益相反が発生する、機構は一切採用すべきでないという意見もあるわけでございます。特に、金融機関などの出身者の採用を禁止した場合、機構の業務が円滑に運営できるのか、逆に、金融機関などの職員を採用した場合に利益相反を防止することが不可能なのかにつきまして、民間ファンドなどの例を踏まえて参考人の御意見をお伺いしたい、これが一点です。
 それから二つ目は、産業再生機構について、いわゆる塩漬け機関化するのではないかという批判があります。この点についてどういう御見解をお持ちか。そして、これを回避するためには債権の買い取り価格などの情報を公開すべきである、こういう御意見もございます。この点について、二点目、お伺いします。
 それからもう一点は、先ほども出ておりましたが、事業再生にはリストラが不可避的な場合も多くあると思います。労使間の調整というのは相当難しい問題であろうと私も考えます。そこで、企業再生の第一人者として今までたくさんお取り組みになってきました参考人に、この産業再生機構が関与する再生計画について組合の合意を義務づけるべきだという御意見もありますが、この点どのようにお考えか。
 この三点について、簡単でも結構でございます。
高木参考人 まず第一点の、銀行から人が来た場合に利益相反の問題が起きるのではないかという御意見でございますが、銀行の審査部等には、再建計画をつくりなれた、そういうノウハウを持った方がおられます。そういったノウハウ、これは銀行だけじゃございません、投資銀行それから証券会社にもおられますが、そういった人たちを活用すること、これは大変有益であるということがまず一つ。
 それから、逆にそれがマイナスの面に働かないか。そういう点もあり得ると思います。ですから、その点は適正に配置いたしまして、いろいろな案件ごとに、それぞれの出身母体の利害関係がないかどうかということ、そういう点を検討いたしまして、運用によって、実際の活用の場面でただいまの御意見は参考にしなければいけないというふうに理解しております。
 それから、ちょっと真ん中飛ばしまして、リストラあるいは労働問題のところでございまして、おっしゃるとおりで、債務のリストラクチャリング、債務の有利子負債を減らすところだけじゃなくて、事業をいかに再構築して利益を出せる会社にするか、これが再建計画の柱でございまして、その中には、人員の問題、労働の問題が入るわけでございます。大変重要な問題。これは、労働者の代表あるいは労働組合の協力を受けることが不可欠でございます。
 ただ、問題は、それはどの段階で御相談申し上げるのか、どういう方法で御相談申し上げるのか、御協力をお願いするのか、これは極めて微妙な問題がたくさんございます。労働組合側にとっても、いつこれを相談されたらいいのか、やりやすいのかという問題もございます。これは、そういうタイミング、時期、それからやり方、そういうことについては、お互いに非常に効果的でやりやすい時期にやる必要があるだろうということでございまして、協力が必要である、これが不可欠である、これはおっしゃるとおりでございます。
 二番目の問題は、もう一度、済みません。(河上委員「塩漬け機関化、情報公開」と呼ぶ)はい。
 これは、絶えずイグジットのところを意識して、それで市場の意見も聞きながら、イグジットできるのかどうかという観点から再建計画も見なきゃいけない。つまり、再建計画は、これは決められております三年以内にイグジットしなきゃいけない、こういうことでございますから、三年以内にイグジットできるだけの深掘りをした再建計画であるかどうか、三年後には収益の明るい見通しが出てきて、明るい見通しが出てこなければこれは売れませんから、三年以内にそこまで回復できる再建計画であるかどうか、そういう点をチェックする、あわせて市場関係者の意見も聞いていく、こういうことが必要かと思います。
河上委員 済みません、簡潔にお答えいただきましたので、持ち時間、あと二分程度ございますので、江守参考人に一点だけ。
 全国で一番早く地域の再生支援機関を、協議機関をおつくりになって、立ち上げられたことに敬意を表したいと思いますが、中小企業が再生機構を活用しやすくするために、機構に対してどのようなことを、どのような対応を期待されるか、率直に、御意見があればこの場でお述べいただきたいと思います。
江守参考人 今御質問でございますが、何せ開業をいたしましたのが一カ月前でございまして、この一カ月の間にいろいろな問題点がございました。先ほど言ったように、既にもう二十二件来ております。
 そういう一カ月の短い間の中から、私どもが今やっております福井県中小企業再生支援協議会というあれでございますが、これで期待いたしますのは、やはり今危殆に瀕している企業がこれにすがりついてくるわけですね。できれば全員これはいたしたいですよ。ところが、それはそういうわけにいきませんですね、なかなか厳しいですから。ですから、できるだけ再生させるということに今全力を傾けたいと思っております。
 そうなってまいりますと、いろいろ、これのバックグラウンドにあるのは金融機関ですから、私どもの方は、そういう計画を立てたり、御指導したり、道しるべを立ててあげるわけでありますから、あと具体的な、お金をどう出していくか、これに政府系の企業または地元の金融機関、そういう金融機関がどういう応援体制をとってくれるか、これをひとつ我々はお願いいたしたいと思っています。恐らく、中小企業庁としても大変これに対してはお力を入れてくれておりますから、私はうまくいくというぐあいに思っております。
 以上であります。
河上委員 終わります。ありがとうございました。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 自由党の土田龍司でございます。
 三人の参考人の方には御苦労さまでございます。
 まず初めに、いよいよこの再生機構法案も審議が大詰めを迎えておりまして、さんざんこれまで議論がなされてまいりましたが、こういった会社の再生については、あるいは生き死にについては、社会主義の国じゃないんだから、あくまで市場原理に任せるべきだという意見というのは、一番基本的な考え方としてはあると思うんです。いわゆる、政府は介入すべきじゃないんだということがあると思うんですが、これにつきましては、高木参考人を最後にして、江守参考人、宮部参考人の順でお答えを願えませんでしょうか。
江守参考人 自助努力をするのが本当ではないかということで、それはそうですね。ところが今、デフレスパイラルの中で激変していますよ、経済が。その中で、中小企業が自力で、もちろんやっている企業はたくさんいるわけではございますけれども、どうしてもやれないという企業がいるわけですね。これは私は支援を出すべきだと。
 そういう支援を出すことによって再生するわけでありますから、そこに我々は非常に大きな期待をかけながら、もちろん自助努力を最大のポイントといたしますけれども、この再生機構で、底辺におられるどうしようもない企業はやめといたしましても、できるだけ引き上げていくということに力をかしたいと思っております。たった一カ月でありますけれども、そういう効果がそろそろあらわれてきている。それに私は期待をかけております。
 以上です。
宮部参考人 先ほども申し上げたように、企業というのは生々流転、毎日再生しているわけです。これは先ほども申し上げたとおりでございます。
 それで、うまくいっている会社が日本のいい会社と言われている会社でございますが、このようにデフレスパイラルで、普通のときだったら別にそんなこともない企業もおありになると思うんです、それが今呻吟している。なぜかというと、過剰債務であり、過剰設備であり、いろいろなことに逢着してどうにもならないというのが現状ではないかな、こう思っております。
 デフレスパイラルの中で、企業を何とかしなきゃいけない、黙っていると全部死んでしまうというときに、今回の法案であると、過剰債務の部分は別会社にして、グッドカンパニーとグッドカンパニーを何とかしようかとか、それから、一緒になって設備を半分つぶそう、これを支援するというようなことができるということで、政府の介入は我々としては最小限度にとどめていただきたいわけでございますけれども、そういう、できるよというツールを今度は与えていただくということで、やはりこのツールを利用するのは自主的に企業それ自体でなければいけない、そういうふうに考えております。
 いろいろな面で、例えば産構審のように、一つだけ言うのは申しわけないんですが、こうしろああしろという、そこまでは今回はしてはいけない。それから、需要の想定、業界の見込みというものも、やはり官が出さずに、民が自分で、こう思うからこれとこれを一緒にして、ここの部分を切って過剰設備の一部を減らそう、こう思いますよという計画を出されるのだろうと思っております。
 ですから、やはり官は出ないでツールをつくってくれて、環境を整備して使いやすいようにして、民は一生懸命やれ、これが本来の動きではないか。私どもはそれを期待いたしております。
高木参考人 民間の自立をまず第一にすべきだ、御指摘のとおりでございます。
 私、今、ある企業のアドバイザーをやっております。数行の大銀行が主要債権者でございます。それと相談しながら再建のアドバイスをしておるのでございますが、数行の利害がそれぞれ違います。必ずしもお考えが一緒ではございません。いろいろ、こういうことを早めなきゃいけないじゃないかということをアドバイスしながらも、なかなか銀行さんの合意にまっていますと、いつまでたっても話がつかない。最後は私がこうしてくださいよとある程度強引にお願いしないと先へ進まないということは、何回も経験しております。それが一つ。
 それから、御案内のように、一昨年の改革先行プログラムで一千億という枠を補正予算で決めまして、政策投資銀行に事業再生ファンドとDIPファイナンスをやらせる、これをいたしました。それによって、事業再生ファンドが続々と立ち上がりました。政策投資銀行が呼び水を出すことによって、民間も引き連れて、民間の金融機関も一緒になって、幾つか民間の資本も一緒になって、ジョイントで事業再生ファンドが次々と今たくさん立ち上がっております。
 それから、DIPファイナンス、つまり再建途上にある中小企業にお金を出してあげよう、これもその一千億の枠で政策投資銀行が始めました。政策投資銀行だけじゃなしに、みずほ、三井その他と一緒になって手をつなぎながらやっております。これも大分普及してきました。
 それから、デット・エクイティー・スワップ、これも活用しようじゃないか、それも同じスキームでやっております。
 そういったことが去年の初めからかなり進むようになってまいりました。やはり政府の改革先行プログラムによって一千億の補正予算の枠をつくって、それで強力に背中を押したということが大いに貢献しております。残念ながら、日本の場合には、やはり国が背中を押さないといろいろなものが進まない、この体質が残っております。これを早く変えたいなと。この産業再生機構は、背中を押すどころか、け飛ばすものだと思っております。
土田委員 次に、高木参考人と宮部参考人のお二人に伺いたいと思うのですが、メーンバンクと企業が再建計画を持ってきて、それを認めるか認めないかというときに、いわゆる政治家の介入があるのじゃないか。所管大臣は意見を言うことができると書いてあります。大臣も政治家でございますし、あるいは、いろいろな方からそういった圧力がかかって、中立公平を阻害することが想定されないか。これについてはどうでしょうか。
宮部参考人 私は、実際にはどういうことが起こるか今から予見はできませんが、政治家の皆さんも、いろいろなことを考えて、押さないということを信じております。
 それから、そういう、委員長のところへいろいろな圧力がかかるということがあるかもしれませんが、私は今RCCの方でやっておりまして、そういう話は聞いておりません。
 それから、RCC自身が少しずつ力をつけてまいりまして、今高木先生が言われた、こうしてほしいよというようなことを逆に銀行から言われております。銀行がA、B、Cあって、RCCは物すごくマイナーなんですが、どの言うことも全然通らない、RCCさんつくってよというようなことで、案をつくってみずから後押しというか、あれは官といえば官ですが、株式会社ではあるのですが、そういうリーダーの役割もしておりまして、内容が非常に厳しいものであればあるほど官とか政からくちばしが入る余地のないような議論を今しているというのが実態だということだけお伝えしておきたいと思います。
高木参考人 私が委員長の候補というふうに言われておりますが、私自身がどうするか。まだ候補ですからそんなことを言う必要はないのかもしれませんけれども、私は、二十五年半弁護士をやりまして、十一年半裁判官をやりまして、大学の教員三年目、こういうことでございます。残念ながらそんなに若くありません。もしお引き受けさせていただくとすれば、これが最後の仕事になります。申しわけございませんが、私は、政治家の先生方に一切借りはございません。ほかの委員の方々はともかく、私自身はそういったものに少しも圧力は感じておりません。
 選挙演説みたいになって恐縮でございます。
土田委員 高木先生のその御決意は非常にありがたく、評価したいと思いますが、この委員会の中でもそういった議論がたびたび出ていたということだけ御認識をいただければというふうに思っております。
 先ほど高木先生の冒頭の話の中で、もうメーンバンクシステムは崩壊している、もう難しいんだ、いわゆる銀行主導による再建は限界だというようなお話をされておりましたけれども、この状態で、この機構ができて、本当に再生支援ができるのかどうかということについて、先生、もう一回お話しいただけませんでしょうか。
高木参考人 私は、先ほど申し上げたように、昨年、製造業で最後の案件をやりました。そのときには、もうガイドラインによる私的整理はできないかなというふうに感じた次第、それだけ難しい。ただ、その後、ことしに入ってから二件できました。その中では、産業再生機構ができて、非メーンの債権を買ってくださるのであれば、メーン寄せというのはかなり避けられるのではないか。そうすると、かなりワーカブルになるのではないかというふうに実感しております。
 あと、やる方法は、私的整理を成立させる方法はこの方法しかないな、非メーンの債権を寄せていただく、これが一番いい方法だなと私は思っております。
土田委員 江守参考人にお尋ねしたいと思うのですが、支援協議会を立ち上げられて既に二十二件とおっしゃいましたか、もう相談が来ているということでございますけれども、相談に来られた内容が外に漏れてしまうことによって、風評被害が一番懸念されるわけですね。再生機構のところには守秘義務は当然ありますし、罰則規定も設けられているのですが、支援協議会の方には罰則規定はついておりません。そこで、この風評被害を防ぐための守秘義務について、これは守られるんだろうか、あるいは担保できるんだろうかという感じを持つのですが、この点については、まだ期間が短うございますけれども、どんな考えを持っておられますか。
江守参考人 今御質問があったことを私は一番重視しておるのであります。どの企業も経営内容、特に中小企業の場合、これは優秀な成績を上げているときには少々そういうふうになったとしましてもあれでございますけれども、まさに今、つぶれるか生かすか、生かしたらどういうふうに生かしていくかということの瀬戸際でございますので、その情報がよそに漏れたら大変なことでございます。
 そこで我々の方は、商工会議所の中に、皆さんのところに恐らく資料が全部行っていると思うのですけれども、別の会議、そのことだけの事務所をこしらえたのであります。そこへ入ります、今四人でございますけれども、四人の方々にはもちろん厳重にそれを言っておりますけれども、その資料の保管、情報の秘密性、これに対してはもう徹底した管理を今行っております。
 もちろん、今議員が御質問になったように、これから長丁場でございますから大変だと思いますが、一応万全のそういう構えは、商工会議所というのはたくさんの方が入ってきますから、あえて別のところに事務所を設けて、皆さんのところに写真が行っていると思います、ごらんいただいたらおわかりになりますが、しかも個室までこしらえまして、御相談は秘密を厳守するということを今行っております。
 御指示のとおり、これからもそういう点に対しては最大の注意を払うように進めていきたいというぐあいに思っております。
 以上であります。
土田委員 今回のこの機構が、いわゆる大企業や中堅企業を対象にしたものであって、小企業、零細企業は対象にしていないという議論がたくさんありました。これについても、きょうも議論がございましたけれども、確かに、このシステムを、このスキームを利用するのは大きい会社の方がやりやすいかなと。日本経済を支えるいわゆる零細企業あるいは小規模企業、この方々たちをやはり早急に救う必要があるのじゃないか、手を差し伸べる必要があるのじゃないかと思うのですが、こういった目的のためにはどういった政策が必要だなというふうに考えておられますか。
 これはどなたに質問したらいいかわかりませんけれども、では、高木先生、お願いします。
高木参考人 確かに産業再生機構というのは、これはたくさんの、かなりの数の金融機関の存在が前提となっております。中小企業の場合に、余りたくさんの数の金融機関をお持ちでないという場合には、確かに機構を持ち出すまでもないということもあろうかと思います。
 ただ、私が申し上げたいのは、機構は、過剰債務に悩んでいる企業を再生させる。これは、手形不渡りを出すとかそういった最後の最後まで頑張らないで、早い段階で有利子負債を削減しようじゃないか。つまり、早期治療をやるわけでございます。機構がこういうことをやることによって、企業を再生させるためには早い段階で早期に着手するという文化が日本全体に広がるきっかけになればいいなと。機構ができることによってそういった考え方が、つまり、手形不渡りのぎりぎりになってから手当てをするという今までのような慣行が変わって、日本全体が早く立ち直りましょうよ、こういう文化に変わっていくということを期待しておりますし、またそうなるだろうというふうに私は思っております。
土田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、三人の参考人の方からそれぞれの立場での貴重な御意見、本当にありがとうございます。
 私は、最初に江守参考人に、地域経済の現状ということで何点かお聞かせいただきたいと思っております。
 財務省の北陸財務局福井財務事務所の景気予測調査、これを拝見していますと、全国的にどこでも同じような状況ではありますけれども、企業の金融をめぐってということで、資金繰りは「悪化」が大変上回っている、金融機関の融資態度は大変厳しいという声がやはり大きく上回っている、こういう状況が中身として出されております。
 私もこの間、現場でいろいろお話をお聞きしますと、金融機関から金利の引き上げを迫られる、それに応じなければ貸しはがしだみたいな、そんな話というのがかなりあちこちで出ているということをお聞きしているわけですね。そういった利上げあるいは貸しはがしを迫られているような中小企業の苦境といいますか現状について、参考人が把握なさっていらっしゃることでお聞かせいただければと思っております。
江守参考人 今議員が御質問されたことは、まさに地方の中小企業が今受けとめております最大の問題点であります。
 デフレスパイラルというのは、売り上げが下がる、利益が下がる、賃金はそんなに下がらない、ということは残るお金がなくなる、こういうことであります。これが続くわけでありますから、もうこれで五、六年デフレスパイラルが続いておりますね。そうなりますと、中小企業の中の体力のないのは、どうしても借入金に対しての返済ができなくなってくるんですね。それで、今議員が言われたようなそういう問題点が起きてくるわけですよ。これは福井だけではございません。日本全体の中小企業が今陥っている問題であります。
 そういう意味で、もちろん中小企業の中で非常に健闘している中小企業はたくさんございます。これはこれで商工会議所等でもちろん大いにやっております。しかし、我々の方は、そういうぐあいにセーフティーネットにかけなきゃいけないような企業をどう救っていくかというのが商工会議所の使命でございますので、いろいろやっておりますが、やはり商工会議所だけでは限度があるんですね。
 そういう意味で、今度の中小企業支援の再生機構、協議会、これがいいタイミングにできたと私は思うんです。これは、そういう中小企業に対してお手伝いするわけですよ。しかも、中小企業というのはそんな経営的な問題点はわかりませんから、そういうものに対して深く経営指導し、進路を決め、さらに金融機関に対して御要請を申し上げるところまでこの中小企業の支援機構はお手伝いをしていくわけであります。
 そういう意味におきまして、大変にこれからもこの機構が地方の中小企業に対して有利に展開していくと私は思っております。
 以上であります。
塩川(鉄)委員 この協議会の中で金融機関の方などにもきちんと物も言うし、そういう意味では、きちんと中小企業支援ということでの努力をお互いにしていこうじゃないかという場にもなっていくことが望ましいんだろうなと思っておるわけですね。
 同時に、今の国の施策の中で、大きな枠としては不良債権処理の加速策があるものですから、どうしても銀行、金融機関が体力の関係で最終処理、直接償却という形になってくる。それがなかなか地元地域においては大変な状況にもつながっているのかなと、そういう不安というのは私、大変危惧するものであるわけです。
 例えば政府の審議会の中におきましても、地域金融機関の方からは、最終処理をするよりも時間をかけて再生をさせてもらいたい、そういうのが今の地域の中小企業の実態だという訴えもあるというふうに聞いているんですけれども、そういう点でも、直接償却的なやり方じゃなくて、やはりきちんと時間をかけての再生というのを一緒に図っていく、そういう支援策というのが協議会の中でも望ましいのかなと思っているんですが、その点での率直な御意見をお聞かせいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
江守参考人 まさにそのとおりでございまして、特に、これからこういう我々の支援機構に対しての銀行団の応援体制というのは、もちろん地元の銀行等も当然やってくれておりますけれども、やはり政府系の金融機関ですね。中小企業金融公庫、または商工中金、または国民生活金融公庫、この三行。それからまた信用保証協会というのがございますね。そういうような機関を地元の金融機関とあわせながら、再生させていく場合に活用していこう、もちろん銀行の方々もその計画の中に入ってもらいまして、それで再生させていこうというぐあいに思っております。
塩川(鉄)委員 ありがとうございます。
 そういう点でも、信用保証協会などは本当に力も発揮していただかなくちゃいけませんし、この間、借りかえ保証制度の実施の問題もありますから、こういった形での政府としての施策も大いに取り組みを強めなくてはいけないところだなと思っております。
 次に、宮部参考人にお伺いいたします。
 宮部参考人がRCCの企業再生検討委員会の顧問をされておられるというお立場で何点かお聞きしたいんですけれども、RCCといいますと、回収ということが当然これまでの主の業務だったわけですが、同時にこの間、企業再生の役割を果たすようになってきた。例えば信託ですとかファンドという形でそういう話を耳にするわけです。
 私も報道の範囲で見ている限りですから、その中身をよく承知はしておらないんですが、例えば、RCCとして、今までは破綻懸念先、どちらかというと実質破綻先が対象だったものを、要管理先なども対象にするような話を、ファンドの話でしたでしょうか、新聞などでちょっと見た覚えがあります。あるいはメーンと一緒に話し合いをまとめていく調整機能を発揮して、そういう点では、権利関係を調整する、そういう役割もRCCが果たし得るんだということをお聞きしているんです。
 そういう話ですと、機構との違いというのがそこでよくわからない。もともとの債権回収という性格の違いというのは、もちろん機構との違いとして承知しているんですが、企業再生という面で、その辺で重なるように思えるところの実際の違いというんですか、お感じになっているところでお聞かせいただけないでしょうか。
宮部参考人 RCCにつきましては、私も去年の半ばぐらいから、再生を扱おうという今の鬼追社長のところから呼ばれて入っているわけですが、中坊さんのおやりになっていたころを第一期とすれば、今は二期か三期目ぐらいになってきている。というか、譲り受けた建物から出ていかないやくざさんを追い出すというのが第一期だとしますと、割方そういうことを抜きにこれを買うとか買わないとかという事態が続きまして、今は、先ほどの再生法じゃないんですが、その中でこの部分だけは切り離して何とか助けたいねというようなことを一生懸命やる。時間のずれとともにRCC自身が変わってきているのではないかな、そう感じております。
 それから、議員お尋ねの、今度の再生機構とどこがどう線引きするのというようなお話がございますが、もともとのRCCは、破綻先、破綻懸念先ぐらいのところが中心でございます。今回の再生機構の方は、やはり上の方というか、まだしっかりしていると思ったのが急に格付が悪くなってきている、こういうようなところをおやりになるのではないかと思っておりますが、要警戒先とか破綻懸念、その辺になりますと、恐らく、バッティングというとおかしいんですが、どちらも扱うことになるんじゃないか、こんなふうに感じております。
 再生機構さんの方もそれほど今のところ人数がたくさんおいでにならないというようなことも聞いておりますが、RCCの方も今、割方充実してきているんじゃないかと思います。それから、中坊さん以来やってきたことで経験が随分積み込まれておりまして、デューデリジェンスのマニュアルその他は、たしか今度の機構の方へもう十数人出向されて、それを持っていっているというふうに聞いておりますので、けんかなんてすることじゃなしに、日本経済をどうやって早くよくするかということで、お互いの分の中で最善を尽くすというふうに私は承っておりますので、御懸念はないんじゃないか。
 ただ、問題は、これから再生機構の方でどこまで踏み込まれるかによって、人が非常に問題でございます。この辺、高木先生がおなりになったら、弁護士さんと金融関係の方と公認会計士さんだけでなしに、ぜひ企業からの目で見られる人を少しそういう中に入れていただいたらいいのではないかな、こんなふうに、こちらの話で申しわけございませんが、考えております。
 以上でございます。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
塩川(鉄)委員 それでは、高木参考人にお伺いいたします。
 高木参考人が中心になってまとめられた私的整理に関するガイドライン。これは、きっかけは、二〇〇一年の緊急経済対策に一項目を起こされておりまして、そこに「企業再建の円滑化」という、項の一つに出ているわけですけれども、企業再建という言葉が政府の文書に上ったのもそのぐらいの時期が初めてなのかなと思いながら、そういう点では、私的整理ガイドラインの持つ意味合いというのも大変重いのではないかと思っておるわけです。
 そういう点で、もともと、それなりの大きな規模の案件を扱うような、つまり複数の債権者がいるような、そういった案件を対象にした私的整理ガイドラインが、どういうような社会的な要請を背景として求められたのか。私的整理ガイドラインに関して、その辺の時代的な背景といいますか要請の内容についてお聞かせいただけないでしょうか。
高木参考人 先ほどもちょっと触れましたが、一九九九年に、かなりの大きな企業に対して、かなりの金額の債権放棄が相次ぎました。ただし、これをやるために、先ほど申し上げましたように、再建計画をつくるのに十何人投入して半年かかる。さらに、それを各行に、金融機関に提示して、その同意をとって回るのに一年かかる、一年半かかる。しかも、ルールがないために、その間預金を積めとか担保をふやせとか、さまざまなへんぱ行為を同意の見返りとして要求されるというようなことがあったわけでございます。
 これでは公正でかつ効率的な私的整理は望めないというところから、公正なルールをつくろう、しかも中立の第三者のチェックを経たという形での公明正大なルールをつくろうということでつくったわけでございます。
塩川(鉄)委員 そういう点で、このガイドラインというのが、いわば公的な性格を持つものとして期待もされ、中身としても準備もし、実際に対応されておられるんだなということを思うわけです。
 そこで、私的整理ガイドラインと産業再生機構との関連についてということなんですが、いつかの新聞記事で、最近高木参考人をたびたび新聞の紙面でも拝見するわけですけれども、そういう記事の中に、機構はこのガイドラインを実行する機関を目指しているというような表現があったんですね。ですから、機構の業務に関する部分についてはこのガイドラインを参考にしていただいたというお話も耳にしているんですけれども、この意味合いというのはどういうものなんでしょうか。
高木参考人 やはり、自主的に民間がつくった再建計画を機構が検証して、それによって再建可能であれば関係金融機関に対して賛同を求めて、場合によってはその債権を買いましょうということで、合意の成立をしやすくした、再建計画をつくりやすくした、こういう意味での意義が大きい、こういう意味で申し上げさせていただいたわけでございます。
塩川(鉄)委員 ほかの、これは日本経済新聞のインタビュー記事などでも、産業再生機構ができることで、早い話、ガイドラインが要らなくなったのと同じですとおっしゃっておられたわけですが、これは要するに、私的整理ガイドラインを制度化したものは機構という形で、機構の中にそれが生かされてきているというふうなお話、御説明ということで受けとめてよろしいんでしょうか。
高木参考人 ちょっとあれは言い過ぎだったかなと反省しておるのでございますが、機構ができて、非メーンの債権を買ってくれるということであれば、多数の金融機関ということじゃなくて、機構とメーンとが相談すればいい、それと債務者企業が相談すればいいということで、ガイドラインの手続は踏む必要はなくなるのかなと。だから、機構が取り上げてくださる案件についてはガイドラインは必要なくなるのかなというふうに思って、そういう発言をしたわけでございます。
 それにもかかわらず、もう既に、私の耳に入っているところでは、まだ水面下でございますが、何件かがやはりガイドラインを使った私的整理をこれからやろうということの準備に入っております。やはり、これは機構を利用しないでガイドラインを使っていくというスキームも残っていくのかな、いろいろなものがあっていいかなというふうに思っております。
塩川(鉄)委員 機構が非メーンのを買い取って、メーンと二者で再建に当たれるという点での大きな前進ということのお話だと思うんです。
 前回の参考人質疑の際に、田作参考人の方から、機構というのはメーン寄せ防止機能があり、権利関係調整機能があるんだというお話をされて、なるほどなと思ったわけですが、要するに、メーンの負担やリスクを緩和する機能を、機構があることによってなかなかまとまらない話もまとめやすくする、そういう役割を機構が持つというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。
高木参考人 私は、銀行の内部の経営状態というのは必ずしも詳しくないんでございますが、それだけではなしに、先ほどもちょっと申し上げましたが、メーン自身が、メーン寄せさせられるほどの、それに耐えられる体力がなくなってきたということでございます。ですから、もうここで考えなくちゃいかぬなという時期に来ているというふうに思います。
塩川(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長代理 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。よろしくお願いします。
 まず、高木参考人にお伺いしたいと思います。
 私的整理ガイドラインの精神は、簡単に解釈しますと、整理淘汰する企業と再建できる企業をきっちり分けて対処するというふうに解釈したわけなんですが、高木参考人が産業再生委員会の委員長にもし就任された場合には、この精神がどういうふうに生かされて、また、高木参考人の采配というようなものが実際可能なのかどうか、その辺に関してお聞かせいただきたいと思います。
高木参考人 このガイドラインが言っておりますのは、再建可能な企業は助けようじゃないか、こういうことでございます。
 実際にこれを適用してくれというふうに申し出があるのは、ある程度の再建可能性があるとメーンバンクの方でも考えて、それなりの再建計画案をつくって持ってくるわけでございます。そのために、ある程度の基準というのを設けているわけです。三年以内に実質的債務超過を解消しなきゃいかぬとか、経常利益の黒字化をしなきゃいかぬ、そういう要件を設けているわけでございます。それは、今回の産業再生機構の方でも基本指針に決められた、あるいは改正産活法で決められた基準に合致するものでなければならないということで決められているわけでございますが、そういった再建計画が出てきます。
 それに対して、果たしてそれがそういった基準に符合するものであるかどうかということを検討、判断させていただくわけでございますが、今までのガイドラインの私的整理の経験からいたしますと、全然だめだということにはならないので、ただ、こういう点を修正してくださいよ、こういう点を直してもっと深掘りしてくださいよ、こういう点を見直してくださいよということで、かなり修正を加えていただくということはございます。そういうことによって再建計画がシェープアップされて、実行可能性のあるものになっていく。
 実際の経験からすればそういうことでございまして、私が、アドバイザーとして、おたくは助けられないからどうぞ沈んでください、こういうふうに申し上げたケースはありませんでした。
大島(令)委員 高木参考人にお伺いします。
 経産省がまとめた早期事業再生ガイドラインと、参考人がまとめた私的整理ガイドライン、これはどのように受けとめて今後の中に生かしていかれるお考えなのか。
高木参考人 早期事業再生ガイドラインの方は、日本の経済が活力を失ったいろいろな原因、それから、日本の企業あるいは事業の再生がおくれたいろいろな原因を分析いたしまして、例えばメーンバンクシステムもその一つでございますし、銀行が不動産担保に依存し過ぎて、収益性をよく見ないでお金を貸していた、そういうことも改めなきゃいけない。そんないろいろな、今まで日本経済、日本の企業の活力を失わせてきた、あるいは衰えさせてきた原因をみんなで調べまして、日本全体の企業文化、金融文化というのをこういうふうに変えていこうじゃないか、こういう提案をさせていただいているわけで、これはかなり幅広い考えあるいは施策を提案するものでございます。
 私的整理のガイドライン、これは、基本的な精神は私は正しいと思っておりますし、それは産業再生機構の設立された後の業務の中でも生かされていくべきものである、こういうふうに理解しております。
大島(令)委員 高木参考人に伺います。
 委員会の審議を通しまして、谷垣大臣は機構の責任についてこういうふうに述べているんですね。行政上の責任は内閣、財金、経産の主務大臣に責任がある、しかし、運営的には再生委員会の委員長、機構全体は社長にある、業務的にはあるというふうに答弁されております。
 そういう意味におきまして、再生委員会の委員長に内定というお立場で、五年間でこの機構の目的を達成するための責任というようなものを、就任前でございますけれども、どのようにお考えなのか、聞かせていただきたいなと思います。
高木参考人 大変なことでございまして、私の背中に象が百頭乗っかっているような気持ちでございます。まだわかりませんが、先ほども申し上げましたが、これは私の最後の御奉仕である。もしそのまま選任されればでございますが、最後の御奉仕である、全力を尽くしてこれに当たりたい。責任の重さは痛感しております。
大島(令)委員 高木参考人にお伺いします。
 人材の確保というところでお考えを聞かせていただきたいと思います。
 高木参考人はかねがね、アメリカにおけるターン・アラウンド・スペシャリスト、こういうような方たちが日本にも必要だ、そういう人たちが確保されないとなかなか産業再生機構自身も機能しないのではないかというような御発言をしていると思っておりますけれども、こういう人材をどのように、もし御自分がここで働くようになったときに、人材の確保ですとか人材の育成、育成といいましても、五年間というタイムリミットがあるわけですので、考えていらっしゃるのか。やはり市場に結びついた専門家なしではできないと思いますので、お考えを聞かせていただきたいと思います。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
高木参考人 昨年十月の末にこの産業再生機構の創設というお話が出る前から、私は、日本の事業再生のためには大量の人材が必要であるということを申し上げております。新聞にも、メガバンクが合計で四千何百の会社を再建しなきゃいけない、こういうことを言っておるわけでございますから、そのためには大変な人数の専門家が必要であるということで、事業再生人材の育成、これが大変必要である。事業の再生というのは人を助けるものであるが、これまた人が行うものである、人がやるものである、人が担うものであるという考え方、これを強くしております。
 そのために、そういった人材のプール、事業再生実務家協会、こういったものをつくって人材のプールをしよう、それから事業再生人材育成センターというものをつくってその養成を始めようということで、来月からそれが二つともスタートするところでございます。
 ただ、今までにもかなりのそういったスペシャリストが日本におります。銀行、証券会社、投資銀行、いろいろなところにあります。そういった人たち、これはどんどんどんどんまたそういうアドバイザリー会社というのが立ち上がりつつあります。一件再建するのに二十人ぐらいのチームをつくって再建計画の検証、あるいは作成、検証に当たらなきゃいけない。二カ月ぐらいを要して、休日返上、徹夜でそれを続けなきゃいけない、こういう作業をしなきゃいけないわけでございますが、そのためには機構内部の人材だけでは不足。今、かなりの数が立ち上がりつつありますが、そういったアドバイザリーの皆さん、専門家に、アウトソーシング、つまり外注をしていく必要があるだろう。
 ただ、機構の内部にも、外注の作業が的を突いた作業をしているかどうか、その判断が正しいかどうか、その調査が正しいかどうか、それをチェックできる、そういった人材も必要であるし、産業再生委員会そのものも、やはりそういったものをチェックできる有能な方々が集まる必要があるというふうに理解しております。
大島(令)委員 宮部参考人にお伺いしたいと思います。
 政府主導でこのような機構をつくるということに関しまして、御意見がおありかどうか。やはり、市場に対して国がかかわるということに対してどのようなスタンスであるべきかということを、民間の企業の経営者をされたというお立場でお話しいただきたいと思います。
宮部参考人 非常に難しい問題でございますけれども、この数年で日本経済が受けているダメージというのはだんだん大きくなってきております。ですから、金融会社のトップともいろいろ話しておりますが、最初言っていたことと今言っていることは大分変わってきて、本気で、これはもう何とかしないとおれのところがつぶれちゃう、こういう感じになってきております。
 それから、我々がいろいろお世話になりました産構審その他、無理なお願いも随分しましたけれども、やはり市場の論理に反したところは大体だめになっていっている。例えば石炭にしても肥料産業にしてもアルミ精錬にしても、私も随分いろいろお願い事をしましたけれども、市場原理でだめなものを幾らいろいろ当座のことをやっていただいてもだめだなと。
 最近、企業の方も、それぞれ相当に追い詰められているところは追い詰められております。過剰能力というのは日に日に過大になっている、というのは、需要が少なくなってきておりますから。いいところは何とか残したい。先ほどからこの法案をお通し願いたいということを申し上げておりますけれども、やはりグッドの部分を残しながらバッドの部分が少しずつ大きくなっているんじゃないかというくらい、日に日に変わってきております。
 そういう意味で、市場原理だけで、市場だけでこういう問題を片づけるにはもう時間的に余裕がなく、相当せっぱ詰まったところへ来ているということで、私は今回の再生法というのは意味が非常にあるというふうにお願いしているわけでございます。
大島(令)委員 江守参考人にお伺いします。
 江守参考人は、新幹線誘致ですとか、新幹線が誘致されれば福井駅前の再開発が実現するとか、非常に地元でいろいろな構想をお持ちのようでございます。元気な会社がそうなるとますます元気になる、そういうお考えと、今度の法案と比べますと、今度の法案は事業再生と田作さんは言いながらも、その中で、産業の中の一つのいいところの事業を残すという考えでございまして、法案と御自分の地元のそういうお考え、これをどういうふうに整理して考えていらっしゃるのか、参考までに話を聞かせていただきたいと思います。
江守参考人 いろいろな事業を商工会議所でございますからやっております。私は今、福井県経済団体連合会という福井県全体の経済の会長もしておりますので、いろいろと案件が多うございます。例えば、新幹線を福井に通すとか、それから原子力発電所をさらに安全なすばらしいそういう施設にしていくとか、これはまた、全部マターが違うんですね。
 これはこれ、あれはあれということでやっておりますけれども、商工会議所として今一番大きな問題点は何かというと、やはり八千二百人おります福井商工会議所の会員の中を見ますと、これは全部中小企業でございますから、その中小企業の中で大変厳しい思いをしている中小企業があるわけなんです。その企業を、何とか救えるものは救っていきたい。これは、このまま手をこまねいていたならば倒産してしまうわけですね。ですから、これを、どういうぐあいに経営計画をつくる、または事業計画の援助をしていくというようなことを進めていく、これは商工会議所の仕事ですからやっていっていますけれども、限界があるんですね。
 それで、今度つくりましたような中小企業再生支援協議会、これは第三者の機関にしたわけでございます。しかも、これは経産省の応援のもとに進めてきているわけでございまして、非常にタイミングのいいときにこの事業が出てきたもので、我々はそれにすぐ取りかかったわけであります。
 ですから、これはやはり地方の経済団体、特に商工会議所ですね、一番大きな使命の中の一つだと思いますね。中小企業の、零細な中小企業の、今まさに倒産しかかるかどうか、そういうところにいる方々に我々の方が支援体制を持っていって、これはどうしてもだめなものはだめでございますから。できるだけそういう方に支援をしながら生かしていく、それで、それを再生させていくということが私は非常に大きな責務であるというぐあいに思っておりまして、今やっております。
 以上であります。
大島(令)委員 では、最後にお三方の参考人に一言ずつ、経営者責任について伺いたいと思います。
 この法案は経営者責任については触れておりません。高木参考人も御存じのように、支援決定に関しましてはある程度の基準が私たちにも示されました。そこで、経営者の責任のとり方についての指針なるものが私は必要だと考えておりますけれども、お三方の参考人の皆様、一言ずつ御意見をお願いしたいと思います。
村田委員長 終了時間が迫っておりますものですから、簡単にお答え願います。
 高木参考人。
高木参考人 再建計画の中に経営者をどうするか、これは再建計画の一つのかなめでございます。これを再建計画の中に盛り込むということは不可欠でございますが、それ以外にさらに必要かどうか、これはまだ私は考えておりませんでした。申しわけございません。
宮部参考人 経営者というのは本当に大切な人だと思います。私もかつてやりましたが、その五年間というのは、本当に、私(し)はほとんどなしの生活でございました。そして私は、一五%の希望退職を募って、そのあげくに、自分の首を切りました。
江守参考人 私たちの場合には、中小企業でございますので、中小企業というのはほとんど、おやじが社長なんですね。だめだったら、路頭に迷うわけです。もちろん従業員も路頭に迷うわけでございまして、ここが一番難しいところであります。企業が悪くなるというのは、やはり最大の責任は社長でございますから、社長をどういうぐあいに再生させていくか、これは大変難しい問題であります。場合によっては、より適切な人にすげかえるということもその中にあるかもしれません。しかし、中小企業でございますから、そういうことはなかなか難しい。そういうことでございます。
大島(令)委員 どうもありがとうございました。
村田委員長 金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。参考人の皆様には、本当に御苦労さまでございます。
 まず最初に、高木参考人にお伺いしたいと思います。
 産業再生機構の存在については、自由主義経済、自由競争の中で、基本的な問題として、政府が、なかなかうまくいかない個別の企業を結果としては手助けして再生していくということになっていくわけでございますが、一方におきましては、いわゆる過剰供給体制を是正していくんだというようなことが建前としてはうたわれているわけでございます。一たん再生され、それはそれで法の目的に沿って大変結構なことであるわけでございますが、それがまた競争相手になってしまうというようなことで、本当の、いわゆる個別の企業を助けていくのか、あるいはそうではなくて日本経済そのものというような、どこに焦点を当ててこの再生機構というものが運営されていくのか。その辺が、きょうの質疑におきましてもいろいろ問題提起がなされてきたところだというふうに承知をいたしております。
 そこで、基本的な考え方をお聞きいたしたいと思います。
高木参考人 産業再生機構が行うのは個別企業の再生支援でございますが、それなりの規模の企業になりますと、その再建計画中において、将来の事業計画を立案する段階におきまして、将来の業績の見通しはどうなるのか、受注はどうなるのか、売り上げがどうなるのか、これを予測しなければなりません。そのためには、その産業分野の再編成がどういうふうに進んでいくのか、これも視野に入れなければいけません。
 そういった観点から、幅広い御意見をお聞きしながら、それから全体の産業の編成を視野に入れつつ再建計画を立ててもらわなきゃいけないし、また、再建計画が、そういったことも考慮に入れて、つまり過剰供給問題解消ということも視野に入れてつくられているかどうかということを見きわめていかなければいけないなと思っております。
金子(善)委員 そこで、きょうは、アメリカのブッシュ大統領がイラクに対して最後通告を出した、特記すべき日だというふうに思います。日本経済にもいろいろな形で大きな影響が出てくるのではないかということも懸念をされているわけでございます。
 また、一方におきましては、このイラク問題がなくとも、デフレが余りにも進行しているというようなことで、いろいろな産業界の場面で、何とか早くこのデフレというものをとめて日本経済の再生を図っていかなきゃならないのではないか。そういう意味では、日銀のこれまでの政策についても、伝統的手法とかあるいは非伝統的手法とかいろいろなことを言っておりますが、要は、実効性ある、効果のある政策を日銀としてもとるべきではないかというようなことが今言われてきている最中だと思います。
 そこで、産業再生機構の存在につきましても、今私ども保守新党としては賛成の立場でいるわけでございますけれども、この国会で通りましても、会社の設立の手続等に約一カ月程度かかるのではないか、それから金融機関と対象企業の方から申し込みが来まして、三カ月程度かかるのではないかというようなことが言われているわけであります。そうなりますと、それぞれの企業が実際に救済と申しますか助けられるのが、夏以降になってくるのではないだろうかというようなことが言われているわけであります。これが第一点。
 それから、もう一つでございますが、産業再生機構のいわゆる人材面の問題、これが問題はないのかどうか、非常にこれも心配されているところであります。再生計画は、公正、妥当性、あるいは経済合理性、あるいは執行可能性というようなことで、高木参考人もよくいろいろな場でおっしゃられている一つの大きな基準というものだと思います。こうしたものを調査、検証していかなきゃならないというわけであります。
 仄聞するところによりますと、日本では、事業再生の専門家、いわゆる法律、あるいは会計と申しますか、企業会計の全体的な知識を持った企業再生のプロ集団と申しますか、こういう方々が数百人程度ではないだろうかと言われている。一方、アメリカの方に目を転じますと、これが一万人以上いるのではないかというようなことまで言われている。
 こうした中で、例えば中堅クラスの企業の再建でも、見方によりましては、再建計画をつくるだけでも最低でも五人から十人、あるいは多い場合には三十人から四十人ぐらいの人が必要なのではないかというようなことが言われています。しかも、その方々が真剣に取り組んで、三カ月間ぐらい張りついて専門にその問題に対応していかなきゃならない。
 こういうようなことを考えていきますと、産業再生機構がどの程度の会社を対象としてこれから対応されるか、それにもよるかもしれませんけれども、果たして、人的な面でスムーズな、産業再生機構本来の法律上期待されている仕事というものができるんであろうかというようなことも心配されているわけでございますが、その点、高木参考人の御意見を拝聴したいと思います。
高木参考人 日本にいる、日本の事業再生専門家、これは五百人程度かというお話でございましたが、私は、もう少し多いだろう。万単位までいかないまでも、やはり千人単位ではいるだろう。正確には申し上げられませんが、何千人かはいるだろう。寄せ集めれば、あるいは掘り起こせばということでございます。
 そういった人材を集められるのかというお話でございますが、私も大変気になっておるところでございます。
 先ほど申し上げましたように、次々にいろいろなアドバイザリー会社が立ち上がっております。そこには、会計士やら経済の専門家、経営の専門家が集まってというような会社が次々と立ち上がっております。
 例えば、四大監査法人が、そういうアドバイザリー会社を次々と立ち上げました、そのうちの一つにお聞きしました。おっしゃるように、一つの会社の再建可能性、再生計画を調査、検証するためには、十五人から二十人ぐらいのチームが必要である。四大監査法人の一つでつくったアドバイザリー会社に聞きましたところ、あなた方、幾つのチームをつくれるかと聞いたら、四つつくれるというふうに言っておりました。
 四大監査法人がそれをつくれるとしますと、四大監査法人のアドバイザリー会社とは言いませんけれども、仮にそれだとすると、四、四、十六ということになるわけでございますが、それ以外にもたくさんのアドバイザリー会社が今日本にできつつありますし、既にできております。そういった人たちを総動員して、おっしゃるとおり数にもよりますけれども、総動員してと。
 また、五月から始めると夏になってしまって、仮に二カ月かかるとするとそのぐらいかかるじゃないか、おっしゃるとおりなんでございますが、早くやはり準備を始めるべきだろうなと思っております。最初は、やはり二カ月かかるなんて言っていられない、倍の人数を投入してでも一月ぐらいで終わらせなきゃいかぬかな、そんなことも考えておるところでございます。
金子(善)委員 高木参考人におかれましては、委員長に御就任の予定だというふうに承知をしておりますが、何としてでも、せっかくつくる再生機構であれば、実効性を上げる機関として運用をぜひともお願いしたい、このように思っているところでございます。
 そこで、もう一つ懸念されておりますのは、今政府の方では、できるだけ二次損失というものを出さないでいくんだということでの、きょうあたりの午前中の質疑を聞いておりますとそういうことを政府は言っております。ただ、一般論としまして、二次損失と申しますか、ロスが数兆円に及ぶこともあり得るんではないだろうかというようなことも一方では言われているような状況も、見方があるということでございますけれども、法案では、最後に政府保証の十兆円、当面十兆円ということだろうと思いますが、政府保証だと。
 いわゆる最終的な負担の責任がだれにあるのかということ。十兆円については政府が保証するわけですから、政府があるといえばそれまででございますけれども、銀行の方も、最終的な責任関係というようなことが法案上ははっきりしていない、再生機構というものをなかなか利用しにくいんではないだろうか。
 その点については、高木参考人の方から、御懸念がないかどうかをお聞きしたいと思います。
高木参考人 九九年に行われました金融支援、これは、既に多くのところが見直しが必要になっておる。つまり、再度の金融支援というようなことが行われつつあるわけでございます。そういうことがあると、大変な二次損失ということになるわけでございます。そうならないためには、これは、資産査定にしましても、甘いものでなくてかたい資産査定、それから事業収益計画につきましても、右肩上がりじゃなくて、現実を見据えた、現実的な案でなければいけない。加えて、最終的には市場に出せるというものでなければいけない。
 そういったものでなければいけないと思っておりますが、それにあわせて、再建計画でかたい事業計画を立てましても、さらに日本経済がマクロで悪化する、こういうことになりますと、それは外的な要因で再建計画の見直しが迫られる、つまり、二次ロスの可能性が大になるという可能性があります。
 そこで、機構の方は個別企業の再建である、個別事業の再生支援である。あわせてそういったマクロの方の政策も必要なんだろうなと思いますが、残念ながら、私の方はそういったマクロの方の経済についてはプロではございませんので、そこはぜひそれなりにしっかりやっていただかないといけないかなと思っておるところでございます。
金子(善)委員 そこで、これまでも質疑の中で再三出てきたと承知しておりますが、最後に江守参考人さんと宮部参考人さんにお伺いしたいと思います。
 恐らくこの産業再生機構は、政府の方では中小企業の方も対応していきたいというような趣旨のことを言っているわけでございますが、大企業中心になるんではないかというようなことが非常に懸念をされているわけでございます。
 そこで、今中小企業が置かれている供給過剰体質というのは、単に国内だけの問題ではなくて、海外との関係、いろいろあるわけでございますが、私は、中小企業にウエートを置くということが大変大切なことではないかと思います。この点につきまして、お二人の御意見を拝聴したいと思います。
江守参考人 お説のとおり、日本の全企業の九九・七が中小企業でございます。四百八十四万社ございます。ですから、今日の日本経済を支えてきたものの中に、この中小企業の力というのは非常に大きな力があったと私は思います。
 この中小企業が、順風満帆、右肩上がりのときには、これは問題ございません。今、右肩下がりでございますからね。しかもなお、そこへもってきて、デフレスパイラルでございます。ですから、こういうときにこの中小企業をこのままほっておいたら私は大変なことになると思います、日本経済自身が。大企業を救っただけでは、日本経済自身は立ち直らないと思います。
 ですから、全国に関して、中小企業向けに、今私どもが進めておりますような中小企業再生支援機構というのを経産省の方で今度つくられて、全国の商工会議所にこれを発信されたわけですね。これは私、非常に時宜を得たいい事業だと思います。ぜひこれを日本の隅々までめぐらせまして、中小企業の救済に当たっていただいて、また元気のある中小企業をどんどんつくっていくというのがやはり日本経済が強くなる源じゃないかというふうに思いますね。
 以上であります。
宮部参考人 今回の法律で当面の過剰債務とか過剰設備についてはある程度進むと思います。だが、それで終わりだったら、日本経済、またしばらくすると産業界はおかしくなるだろうと思います。
 やはりこれからは、自分の研究、世界にないものをという、あの会社がやるからおれもやるというかつてのことは絶対しないで特色のある技術それから製品というものをつくるようにしていかないと、大企業も中小企業も全部、また同じようなことが起きないとは言えないと思います。その点で、私は、企業の努力というのは、単純な努力でなしにアイデンティティーを含めた努力が必要だ、こう思っております。
金子(善)委員 ありがとうございました。これで終わります。
村田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十分散会


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