衆議院

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第12号 平成15年4月23日(水曜日)

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平成十五年四月二十三日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君
   理事 井上 義久君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    大島 理森君
      梶山 弘志君    小池百合子君
      佐藤 剛男君    坂本 剛二君
      桜田 義孝君    西川 公也君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      三ッ林隆志君    森田  一君
      山本 明彦君    渡辺 博道君
      小沢 鋭仁君    大出  彰君
      奥田  建君    川端 達夫君
      後藤  斎君    鈴木 康友君
      中津川博郷君    松野 頼久君
      山田 敏雅君    河上 覃雄君
      福島  豊君    工藤堅太郎君
      大幡 基夫君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      金子善次郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  瀬川 勝久君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 河村  博君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制
   部長)          寺田 逸郎君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            遠藤純一郎君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           桑田  始君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (特許庁長官)      太田信一郎君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
 辞任         補欠選任
  小池百合子君     坂本 剛二君
  松島みどり君     三ッ林隆志君
  金田 誠一君     大出  彰君
  大幡 基夫君     大森  猛君
同日
 辞任         補欠選任
  坂本 剛二君     小池百合子君
  三ッ林隆志君     松島みどり君
  大出  彰君     金田 誠一君
  大森  猛君     大幡 基夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)
 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)
 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特許法等の一部を改正する法律案、不正競争防止法の一部を改正する法律案及び不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官桑田始君、資源エネルギー庁長官岡本巖君、特許庁長官太田信一郎君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君、警察庁生活安全局長瀬川勝久君、法務省大臣官房審議官河村博君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局長房村精一君及び文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。
中山(義)委員 おはようございます。
 選挙も中盤に入りまして、ちょっと声が荒れていますので、申しわけないと思います。
 実は、二、三日前の新聞、これは日刊ゲンダイなんですが、サラリーマンの方がみんな帰りがけに読む新聞でございます。これによりますと、東京電力の今の供給量を、目いっぱいのところでやっている、今のところがゼロなんだ、これからもっともっと供給をふやしていくと、さらに厳しい状況になると書いてあるんですね。
 それで、電力会社のタービンがフル活動して、それを、いわゆる供給量を上回ってやると、タービンが故障してとんでもないことになる。しかも、これによりますと、タービンが故障してはいけないので、自動的にとまるんだそうですね。とまると、今度、次の発電所が、また同じように供給力がいっぱいになってくる、またそのタービンがとまる。ドミノ式にとまっていって、とんでもない停電が起こる、こういう説が書いてあるんです。
 これは、中央研究所というところで、谷口さんという方が書いていますから、恐らく、電力会社がそういう研究所をつくってやっているので、あながち全然間違っているとは思えないんですね。
 今、こういう状況で、岡本長官がいつも答弁をするとき、自信にあふれて、大丈夫ですと言うんですが、余りの自信にあふれた顔は、何かちゃんとした裏づけがあって大丈夫ですと言っているのか、または、こういうようないろいろな話が出て、もう供給、いわゆる安定供給に問題がある、早く原発を稼働しろという声をわあっと広めようとしているのか、そういうような感じもするので、その辺、長官から、まず技術的に、本当にドミノ式にどんどんいろいろなところがすべてだめになって、とんでもない停電が起こる、こういうことがあり得るのかどうか、御答弁願います。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 報道の記事は私も拝見をいたしました。
 それで、まず技術的な面から申し上げますと、供給力が需要を下回りますと、電力系統の周波数が低下をすることになります。一定の範囲を超えて周波数が低下いたしますと、発電設備を保護するために、発電所の運転が停止することになります。そのために、何らの対応も行わないということになりますと、次々と発電所が停止していくことになります。
 しかしながら、実際には、周波数が低下する程度に応じて需要の方を自動的に遮断することによって、周波数を維持し、東電管内全体が停電するような事態に至らないように制御システムが設計されております。
 したがいまして、仮に、一たん供給力が不足することになったといたしましても、不足分に見合った一部分の停電にとめられることから、予測しがたい事故なんかが起こるということがあれば別ですけれども、そうでない限りは、数秒から数分ですべての発電所が停止するというようなことはないというふうに見ております。
 私ども、このような事態、いわゆる需要に対して供給力が不足するという事態を回避して安定供給を確保していくためには、一方で、引き続き節電に取り組んでいただきますとともに、他方で、安全の確保を大前提に、地元の御理解を得ながら、停止している原子力発電所の円滑な運転再開を図るということが必要不可欠と考えております。
 これとあわせまして、火力あるいは水力、他社融通、そういった面での供給力の確保に万全を期すように、東京電力に指導をし、日々、相談をいたしているところでございます。
中山(義)委員 ただいま、万全を期すと言いましたけれども、先ほど言ったような自動停止というような事故は絶対起こらないという答弁としていいんですか。絶対起こらない、停電はあり得ないというふうにとっていいんですか。
岡本政府参考人 東京電力の冬場の需要というのは五千万キロワット前後でございますが、夏のピーク需要というのは、一昨年、六千四百三十万キロワットという最大電力需要を記録しております。今、いろいろな、火力、水力あるいは他社からの融通を含めて、原子力以外の供給力をかき集めるという努力をいたしておりますけれども、私ども、これまで東京電力から聞いているところでは、とても六千四百三十あるいは六千を超えるような供給力を確保するというのは難しいというふうに判断せざるを得ませんので、今のまま夏のピークの需要を迎えるということになりますと、かなりの供給力の不足という事態は避けられません。
 その意味において、今、私ども行政を含めまして関係者、懸命に、それぞれの立場で、運転再開に向けての地元の御理解をいただくべく努力をしているところでございますが、その結果で、原子力発電所が全く運転が再開できないというような場合には、これは、残念ながら、かなりの供給不足、すなわち停電という事態も回避し得ない、そういう厳しい状況にございます。そういう認識に立って、何とかそういった事態を回避すべく、あらゆる方面に向けての努力を今傾けているところでございます。
中山(義)委員 では、今のは、停電は絶対回避するという、前よりはちょっと後退した答弁だというふうに思うんですが、やはり原発を早く稼働するということが一つは大切だと思うんですね。安全宣言をこの間しましたので、一つ一つ、したところから、できる限り、やはりこれは政治の不作為で、安全宣言はしたけれども、ここからは政治レベルだと思うんですよ。本当に自治体に行って、頭を下げてお願いすることが必要なんですね。
 今まで、電力の問題だと、コストの問題とかCO2の問題が先行していましたけれども、ここへ来て、やはり安定供給というのは大切だということがわかってきたと思うんですね。もし原発がとまったらどんなふうなことが起こるか。電気だって、つくのが当たり前。実際、東京の人なんかというのは真っ暗というのを経験していませんよ。今イラクで非常に、住民がエレクトリックと書いた紙を上げているのが出ていますね。電気というものがやはりライフラインにとって一番大きなものだ。現実には、電気がなきゃ何もできないわけですよ。そういう安定供給ということについて重大な問題をこれは掲げているんだと思うんですね。やはり電力にしてもエネルギーにしても、基本にあるのは安定供給ですね。
 この点について、今回は、これはもっとみんなが考える問題としてやはり論議しなきゃいけない。エネルギーが切れたら大変ですよ。だから、これから、次にまた法案が出てきますが、そのときも、今回のこれは大変大きく取り扱っていただきたいし、この問題について、エネルギー庁長官が前すごく自信のあふれる答弁をしていたので、私たちは大丈夫だと思ったんですが、それはあくまでも原発を稼働できる自信があってそういう状況だったと思うんです。
 これは大臣、どうしても、地方自治体に頭を下げて、今までの、理解をちゃんとしたものにするという、そこをちょっとぜひ決意を持って、我々の委員会で、全員がここに、見ているところで言っているわけですから、もし停電が起きたら、政治の不作為というふうにとられても仕方ないと思うんですよ。
 二〇〇〇年問題というのがありましたけれども、やはり電気が切れるということは二〇〇〇年問題よりもっと大きな問題になるかもしれませんよ。東京にすべての会社の本社が集まっていますね。東京で十六兆円ぐらいの国税が上がっているというのは、間違いなく東京に会社の本社があるということなんですね。すべて、ここで停電を起こしてバックアップ体制があればいいですよ、なかった場合にはえらいことになると思うんですよ。
 そういう面では、本当は総理が行って、原発を稼働させるぐらいの努力をしたって当たり前の話なんですよ。大臣、この決意をしっかり述べていただいて、総理には任せられない、行ってくれない、どうせ。おれがやると言ってくださいよ。総理なんかに任せられないから平沼がやると、ここではっきり言ってください。
平沼国務大臣 御指摘のように、安定供給というのは非常に大切なことだと思っております。
 今、東京電力の十七基の原子力発電所が全部停止している、こういう異常状況であります。今事業者も国も、地元の方々の御理解を得るべく努力をさせていただいているところであります。私もエネルギー担当の責任者でございますから、やはり大停電等が起こっては、この国の経済、そして首都圏の、本当に生活、安全、そういったものに非常に大きな問題がございますから、私も現地にお伺いさせていただいてお願いをし、説明をするということにはいささかのちゅうちょもございませんので、私も全力を尽くして、立地地域の皆様方と話し合いをし、御理解をいただくように努力をしていきたい、このように思っています。
中山(義)委員 これは全部、委員会にいる人が聞いているわけなんで、私自身はお願いしますとお願いしているわけですから、選挙中でもございますからお願いします専門でございますが、ぜひ行っていただいて、必ずこの約束は守っていただきたいと思うんです。そうじゃないと、政治が不作為だったと言われかねないんですね。
 我々、やはりここにいる委員の人みんな、停電にされたらどんなことが起こるか、今なかなかぱっと想像し得ないんですよ。特に、若い人たちは停電を知りませんからね。我々ちょうど戦中派は停電を知っているんですね、二十年生まれでございまして。まあひとつよろしくお願いします。
 次の問題に入りますが、前回特許の基本法をやったときに、トータルとして、権利をとろうとする人に負担をかけないように、特に、特許をとろうというその時点に、すぐに参加して権利がとれるような状況をつくることが国際競争の中で一番大事だ、こういうふうに基本法の通るときにやったんですが、その二、三日後に、産業構造審議会の特許制度小委員会で、もうすぐ審査請求手数料か何かが上がるというようなあれが出てきたんですね。我々が委員会でそういうものを上げるなと言っているのに、小委員会の方ですぐ上げると言っているわけですね。これも甚だ国会の委員会を無視した、議会軽視といいますか、やはり審議会で何でも決めちゃうんじゃ、委員会開いて、この委員会、ばかにされたような気がしたんですね。
 ですから、料金の問題について、我々はトータルでもとりやすいように、しかも一番初めの参加するところ、審査請求手数料、これを上げるのはけしからぬと、たしかあのときに言ったわけなんです。附帯決議でもそれを書いているんですが、諮問機関である産業構造審議会特許制度小委員会、こっちで何でも決めるんじゃ、委員会で審議したって向こうで決めちゃうんじゃ困りますよ、これ。どっちを重要視しているのか、ちょっともう一回答弁してください。
太田政府参考人 お答えいたします。
 審査を迅速的確に行うことが、まさに日本の産業、企業の競争力の源になるという、私ども考え方を持っております。
 昨年七月三日にまとめられた知財戦略大綱でも、そのためにありとあらゆる手段を講じろということで宿題をいただいておりまして、昨年九月から、委員御指摘の産業構造審議会の特許制度小委員会を開催いたしました。かんかんがくがく議論をさせていただきまして、最終的にはパブリックコメントもいただきまして、ことしの二月に報告書をいただいたところでございます。
 いろいろなことをやらなくちゃいかぬ、審査官の増員、アウトソーシング等々ございますが、一つ私ども、特許法の改正をしなければできないこととして、料金体系の変更ということがございます。今の審査請求行動というのが、やはり安易に流れているところがあるということで、特許料については引き下げをいたしますが、審査請求料についてはやはりきちんと、特許性の高いもの、事業性の高いものを選んで出していただくということで、請求料を上げるということの料金体系の変更ということで結論をいただきまして、そういう線に沿いまして今回法案の改正をお願いしているところでございます。
 いずれにしても、今回の改正によって、一特許当たりのライフタイムコスト、全体の維持料金は安くなりますので、その結果として、よりきちんと審査請求をされる方が有利になるという体系になると私どもは考えているところでございます。
中山(義)委員 大臣、ちょっと今聞いてもらいたいんですが、要するに、産業構造審議会の特許制度小委員会で決めちゃって、決めたものを持ってきてここで審査するんならいいですよ。ここで先に、基本法のときにもう言っているんですよ。審査請求手数料は上げたらば、我々の、知的戦略本部の方針と違うんじゃないですかと、もっともっとみんなが特許に参加をして、早くとれる、権利を取得できる、そういう窓口が開かれた方がいいんじゃないかと、そこを言っているわけでございまして、我々だってかんかんがくがく意見をやりましたよ。
 この我が委員会とその小委員会とはかりにかけたら、大臣はどっちが重要だと考えているんですか。我々は選挙で選ばれてきて、特許というもの、知的立国を目指してやっているわけですが、その辺、ちょっと答弁してください。
平沼国務大臣 今、特許庁長官からも御答弁させていただきましたけれども、やはり今の特許の中で、内容はともかくとして、とにかく出しておけばいいといってわあっと出すわけですね。そうしますと、それが非常にたまって、停滞して、そしていろいろな問題が起こっている。ですから、やはりそこのところは、何が何でも出せばいいということじゃなくて、出す段階から、ある意味では精査をして、抑制をして、本当に特許性のあるものを出していただいて、そしてそれが本当の特許に結びついていくと。
 ですから、今御答弁したように、トータルでたしか十万円ぐらいは安くなる、こういう制度の方が合理的であるという判断を私どもはこの国会でお願いをしているわけでございますけれども、決して、今御指摘のように、御検討いただいて、そして国会議員の立場として御検討いただいたことを軽視しているということではなくて、そういった問題点も踏まえながら産構審の中でいろいろ御議論をいただいて、パブリックコメントにも付させていただいて、その上で、トータルで見ていただいて、そして、それがより合理性がある、そういう判断の中でお願いをしている、こういうことも御理解をいただければ、こういうふうに思っております。
中山(義)委員 国会のこの委員会で審議するのは、我々は、多くの皆さんの意見を聞いて、大企業も中小企業もいろいろな方から意見を聞いているわけなんで、この委員会の意見というのを最重要として考えてもらうのが当たり前だ、私はそのように思っていますし、それだけ勉強もさせてもらいたい。しっかり参考人や何か招致して、いろいろ聞いて、この委員会を主に考えてもらわないと、こっちで附帯決議や何かで、審査請求手数料を上げるということはプロパテント政策に対する逆噴射だ、このくらいまで言ったんですから、それがぱっと小委員会で急に上がっちゃったんじゃ、我々の立場はどうなるんですか。
 これはちゃんと、はっきりこの委員会が大切だと、さっきから言っているように、はかりにかけてどっちが重いんだということを、もう一回ちょっと答弁してください。
平沼国務大臣 それは、この国会の場で真剣に御議論いただいたということも非常に重要でございまして、そういったことも我々十分勘案をさせていただきながらトータルで私どもは判断をさせていただいて、そしてこの場でお願いをしている、こういうことでございまして、私どもとしては、決して軽視をしているということじゃなくて、そういった御意見も踏まえながらやらせていただいているということを御理解いただきたい。そして、私どもは、軽視をするというようなことは考えていない、こういうことも御理解をいただきたい、こういうふうに思っております。
中山(義)委員 僕らが言ってきたことで、出願をして、それから審査請求をして権利を取得する、この権利を取得する方、この方が安くなったわけですね。その安くなったというのは、要するに大企業がほとんど特許を持っているわけですよ。大企業さんはこれでどのくらい救われるか。ところが、中小企業はパテントをとることが自分たちのベンチャーとして一番重要なことですよね。中小企業がベンチャーしてとろうとするときに、一番初めのところで審査手数料を上げられちゃうわけですから、もう中小企業にとっては大変不利な料金体系になっているわけですね。
 さっきちょっと大臣もちらっと本音を言っちゃったんですけれども、要するに、値上げで審査請求する人を減らしたい。値上げで審査請求する人を減らしたい、窓口をちっちゃくしたい、余り来るな、こういうことですか。
太田政府参考人 私ども、特許性の高いもの、事業価値のあるものがどんどん特許になるというのは、日本の産業、企業の競争力のために欠かすことのできないものだという基本的認識を持っていることは、ぜひとも御理解いただきたいと思います。
 ただ、現在、私どもの特許庁の審査官が約二十万件強の審査をいたします。その中で約二割、最近は二五%近くの案件が、私どもの言葉で申しますと戻し拒絶と申しますが、同じ手間暇がかかるわけですけれども、審査官が審査をいたしますと、先行事例があるとか、あるいは先行事例がなくてもやはり進歩性がないということで、拒絶の通知を打たせていただきます。そうすると、拒絶の通知を受け取った者はそれからいろいろと補正等の修正等をする権利があるわけですが、一切応答のないものを、先ほど申しましたように戻し拒絶と申します。それが約四万件から五万件あるということは、やはり、審査のある意味ではむだ遣いになっているというところがございます。
 繰り返して申しますけれども、いい特許、価値のある特許をどんどん出していただきたい、これは私ども願ってやまないところでございますが、同時に、そういう安易に出される特許については、やはり審査請求制度という目的に沿って、その機能が発揮されるべきだというふうに考えているところでございます。
中山(義)委員 ちょっと視点を変えて、大企業と中小企業を考えてみると、今言った、大企業は随分やっているんですよ。防衛特許といいますか、中小企業やほかのライバルのところにとらせないようにばんばん出願する。出願するのは結局大企業ですよ。
 私が言っているのは、ベンチャー企業みたく、これから特許を取得して日本から世界に伍してやっていこうというこのベンチャー企業を育てるためには、もっと中小企業に対して手厚くやらなきゃいけない。例えば、今中小企業に対して出願料を半額にするという制度があるわけですよ。出願料を半額にしたけれども、審査請求手数料が倍になったら、計算はどうですか。だって、メリットは中小企業にないじゃないですか、半分にしたけれども審査手数料が倍になっているんですから。これは簡単な数学でございまして、これはわかりますよね。
 大臣に答弁してもらいたいんですけれども、こんなことで中小企業の特許をとることが助けられますかね。補助を、半分にして手数料が倍になるんですよ。単純な計算ですよね。ちょっとこれ、答えてもらいたいんです。
平沼国務大臣 それは、御指摘のそういう点はあると思いますけれども、中小企業に関しましては、この特許に関しましては、いろいろ中小企業に対する配慮というものを別途させていただいているわけでございまして、そういったことで、私どもとしては、中小企業に対して決して過酷なそういう制度というふうには考えておりませんで、御指摘のように、審査請求料を二倍にして特許料を減少させる、これでは中小企業にとっては不利じゃないか、こういう御指摘でございますけれども、私どもとしては、中小企業に対してはいろいろな形でこの軽減措置をとっているところでございます。
 したがいまして、そういうことで、トータルで見ていただいて、中小企業に対して私どもはインセンティブを与えてしっかりとやっていただく、こういうことも御理解をいただければと思います。
中山(義)委員 中小企業に手厚くやっていただきたい。諸外国の、やはり中国であるとかアメリカであるとかヨーロッパであるとか、まずこういうところと比較して、日本が伍して勝てるか勝てないかという視点を絶対忘れないでもらいたい。
 つまりスピード。それから、特許に参加する中小企業が自分の資金の中でできるような状況をつくるということが大事なんです。ですから、まずこの問題は、スピードとして本当に今の体制でできるのかできないのかということをまずちょっと答弁していただいて、もしできなければ、行革のということで言っているんですが、大事なところには人を置かなきゃおかしいでしょう。
西川副大臣 御指摘のことは、与野党を問わず大変重要だというふうにまず押さえておきたい、こう思うわけでありますが……(発言する者あり)いやいや、だから、その中身に対して、それは非常に重要だ、与野党を問わず大変重要だ、そういう意味で申し上げているんで、誤解のないように申し上げておきたいと思います。
 その上で、実は、これは先生今御指摘のとおり、十年間で公務員を二五%減らす、そういう枠が課せられているわけでございまして、その中で、先生御指摘のとおり、アメリカとかヨーロッパ全体に比べますと特許審査官が大変少ないのは事実でございます。アウトソーシングを活用したり事前の調査を活用したりする方式を取り入れて、できるだけこの期間を短縮したり、そういう知的立国の努力をしていかなきゃいけない、こういうことをやっていきたいと思っております。
中山(義)委員 じゃ、幾つかそのスピードアップに向かって、まず先行技術を調査する、これについても、そういう制度をやはり設けた方がいいんじゃないかと思うんですね。先行技術調査、これをやっていなくて審査請求をすると大変むだな時間がかかるということが言われておりますね、まず一つ。
 それからもう一つは、審査請求してから二十二カ月もかかっている、これは日本の現状です。これは審査官が少ないということもあると思うんですね。ですから、審査官を、町にいる、仕事をされる弁理士さんを雇って、それでやったらどうかという意見も出ました。しかし、十人弁理士さんを募集したけれども弁理士さんはほとんど、二、三人しか来なかった、こんなようなことも聞いているんですね。つまり、給料の条件とかそういうものが余りにも悪くて、ただ募集すれば、これは募集しましたよというんじゃおかしいと思う。それなりの条件をそろえて募集しない限り、人は来ないと思うんですよ。
 そういう面で、アウトソーシングやいろいろな外部の機関を利用するにしても、知的財産立国とか知的財産戦略本部とかと大見えを切っているんだったら、やはりちゃんとそこには手当てをしないとまずいと思うんですね。どこかむだなところがあるんですから、むだなところを切ってきてこっちに予算をつける、これが大事なところだと思いますよ。
 そういう面で、どうも、スピードアップをされるような状況に本当にこれがなっているのかどうか、今までより短縮されるのかどうか、この辺、はっきりしてもらいたいと思います。
平沼国務大臣 随分努力をしてまいりまして、今中山先生御指摘のように、二年ちょっと、こういうところまで来ました。これはアメリカに比べれば大変まだ乖離があるわけですけれども、ヨーロッパとはほぼ同水準に来たところであります。
 そして、これからの努力として、今西川副大臣からも御答弁しましたように、こういう厳しい定員削減の中で増員をする、こういうこともさせていただきました。審査官の数というのも、アメリカは三千人を超えている。日本が千百人ちょっと。そうすると、アメリカの場合は人口が日本の倍でございますから、それでもちょっと足らない。それからEUも日本よりは倍ぐらいある。こういう形で、随分努力目標を高く設定してやらなければいかぬと思っています。
 そういう厳しい中で増員をさせていただき、あとはやはりアウトソーシング、こういう形で我々努力をしながら、今の二年ちょっとのものを、やはり知的財産というものがこれから日本にとっては非常に重要なことでございますし、戦略本部もつくったところでございますから、我々としては、増員を含め、アウトソーシングのあり方、それから今御指摘のいわゆる民間のそういう活力を生かす弁理士さんの採用条件、こういうのがありますけれども、そういったところで最大限の努力をして、少しでも短縮するように私どもは努力していかなければいかぬ、このように思っているところであります。
中山(義)委員 ちょっとこの質問については最後に申し上げますが、とにかくアメリカ、ヨーロッパ、中国、これはやはり国際競争力をつけるためにこういう知的財産立国ということを宣言しているんだと思うし、戦略本部をつくったのもそれだと思うんですね。やはり本当の意味で、職員や、ちゃんと審査官やいろいろな人をそろえて、この体制なら負けませんというその根拠を本当に示していただかないと我々は困るわけですね。料金体系でも、アメリカと比べたら日本の方が絶対参加しやすい、有利だ、こう言えるのかどうか。よその国でしっかり調べて、ちゃんとした根拠のある答えを出してもらいたいんです。
西川副大臣 数字だけを簡単に御説明させていただきます。
 まず、先ほどもございましたけれども、アメリカは、これは二〇〇一年でございますが三千百六十五人審査官がいます。ヨーロッパ特許オフィスは二千九百十七人、これも二〇〇一年の数字でございます。それに比べて、我が国は、二〇〇一年、千九十六人であります。二〇〇二年に二十二人増員をいたしまして、さらに二〇〇三年に三十四人。実はこの中には、五年の任期つきの弁理士さん等に審査官になっていただく、こういう数字も若干、先生さっき御指摘のように含まれております。したがいまして、トータルで千百五十二人、こういうことになります。
 さらに、前調査をさせていただきますIPCC、財団法人工業所有権協力センターは、先行技術を専門に調査業務に当たる人間が千二百人ほどおります。さらに、非常勤の審査補助職員というのを五十五人ほど用意してございまして、この体制でアメリカ、ヨーロッパに伍していこうというんですが、率直に申しましてまだ手薄であります。
 したがいまして、これからぜひひとつ御支援をいただいて、こういう人員も、総務省に、知的財産立国を標榜してやっていく以上、こういう専門家をふやしてほしい――済みません、日本は千百二十六、こういうことで、そこのところだけちょっと訂正しますが、考え方、そういうふうに努力を前向きにしていきたい、こういうことでございます。
中山(義)委員 今の決意を聞きましたけれども、もうこれは本当にだらだら審査をやっていたんじゃ負けちゃうわけですよ。今これだけ日本が不景気で、みんなが意欲的に取り組む、それからベンチャーもしっかりやはりやってもらいたい。そのためにはやはり、先行技術調査をしっかりやってもらって、そして審査に入ったら迅速にいく。ここが今回の法律の目的だと思いますから、とにかく世界に伍して絶対負けないような制度だと、自信を持ってここでイエスかノーか言ってください。
 イエスと言ってください。それで、イエスと言ってもらって、我々もそれはバックアップしますよ、大変これは大事なことですから。ここで負けたんじゃ、日本は労働賃金や何かで絶対かなわないんですから、ここでやる、すごい心意気を見せてください。ガッツポーズなんかで、やるぞという感じでね。
平沼国務大臣 現実、いろいろ厳しいところがございますけれども、その中で私どもは最大限の努力をして、そして、知的財産立国という一つの国是もできておりますから、私どもとしては、そういう体制もしっかりととって、そして万全を期していきたい、このように思っております。
中山(義)委員 最後に最近の、この質問で終わりますから。
 最後に、テレビでテレビショッピングというのがありますね。テレビを見ていますと、この器具をつけると急にネズミがいなくなるとか、それから、これをつけると油虫が全部いなくなっちゃう、そういうのをやりますと、テレビで後ろから女性の声が、わあすてきとか、わあ大変だ、こうやるんですね。つい買いたくなっちゃう。例えば、三百ヤード飛ぶドライバーを売っているわけですよ。こっちも三百ヤード飛ばそうと思って買いましたけれども、そんな飛ばない。
 だから、そういうことを考えてみると、最近のテレビの番組で通販をやっていますが、非常にひっかかりやすい。ひっかかった方が悪いといえばそれは悪いんですよ。だけれども、そういう事態がすごくある。これは現実でございますので、これからこの辺についてもしっかり縛った法律を考えていかなきゃならないと思うんですね。やはりテレビの表現力、しかも俳優だとか非常に演技力のある人がやるわけですから、我々素人はひっかかっちゃいますよね。そういうことを少し考えた上で、この新しい法律の趣旨を公取さんの方からぜひ聞きたい。
 それからもう一つ、最近よくポイントカードというのがありますね、電気屋さんで。このポイントカードというのは景品なのか、それとも値引きなのかよくわからないんですが、この辺についてもちょっと明らかにしていただきたい。
 この二つを一緒にお願いします。時間がないので。
竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。
 今回の景表法の改正につきましては、今先生の御指摘もございましたが、特に昨年、食品をめぐる不当表示の問題が続発をいたしまして、やはり景品表示法をもうちょっとしっかり抑止力を持った形に改正できないのか。それから、今先生のお話の中にもありました、根拠がないのに、これを食べればやせますとか、これでネズミがいなくなりますとかいうような商品なりの広告宣伝が行われている。
 こういったものについて、今までは、公正取引委員会がそういう苦情なり問題点の指摘を受けて、立証責任は公正取引委員会が負っていたものですから、四カ月も五カ月も早くてもかかっちゃう。専門家にそれが本当かどうかというのをチェックしていただく。それはやはりおかしいので、やはり事業者たるもの、社会的責任に基づいて、そういう商品なりサービスを提供するのであれば自分で根拠を持っているべきであるということで、立証責任の転嫁もしたい、そういったもろもろのことがございまして、今回の法律改正をお願いしているわけです。
 あわせまして、都道府県知事さんに、やはりこれはある意味じゃローカルな問題もございますので、今まで以上にお仕事をしていただきたいということで、都道府県知事の権限を膨らませるということもさせていただきたいというのが改正の内容でございまして、背景でもございます。
 それから、具体的に今お話があったテレビコマーシャルにつきましては、これは民放連の方でも広告についての自主基準というのを持っているわけでございまして、私どもも昨年、害虫駆除器のいわば誇大宣伝について、これはおかしいということで、業者に対して排除命令を出しておりますが、これからも公取としてできる限り目を光らせてまいりますけれども、場合によっては民放連さんの自主的な努力というものも促してまいりたいというふうに思います。
 それから、二つ目のポイントのことでございますが、公取として、これは値引きである、景品ではない、値引きであるという扱いをさせていただいております。また、その旨も世の中に明らかにさせていただいているところでございます。
中山(義)委員 最後にちょっと申し上げますが、不当廉売というのがありまして、ポイントカードが景品じゃなくて値引きとなると、計算上完全な不当廉売になる、こういうケースが多いんですね。そういう面では、この辺もしっかり監視をしていただきたい。
 先ほどの特許の方の審査官と同じように、やはり公取さんも、いつも人数が少なくてという、そういう泣き言は言わないで、一生懸命審査をしっかりやって、ちゃんとした公取としての職分を果たしていただきたい。
 人のいい人間がだまされたり、私のような正直な人間がテレビでだまされる、これはやはり国民にとって大変大きな問題でございますので、今後ともその辺を御注意申し上げて、私からの質問を終わります。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 まず、知的財産の一般的なことでお尋ねするんですが、知的財産戦略本部が三月一日に設置されまして、十九日に一回目の会合が行われたということでございますが、七月を目途に策定をすることになっておりますが、今後この知的財産戦略本部及び関係各省庁において効果的な推進が求められるわけでございますけれども、我が国の知的財産戦略における今回の改正の位置づけと今後の推進の取り組みについてお尋ねしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 我が国は、知財立国に向けまして着々とその歩みを進めているところでございまして、昨年七月に知的財産戦略大綱をつくりまして、そこでは、知的財産の創造の推進、さらには知的財産の保護の強化、さらには知的財産の活用の促進、いわゆる知的創造サイクルの確立とこれを支える人的基盤の充実について、行政そして司法、企業、大学などが一体となって戦略的に取り組みを進めるべきことが要請をされたところでございました。
 そして、これを受けまして昨年十一月に、御指摘のとおり、知的財産基本法が成立をいたしまして、そしてこれをさらに受けまして、この三月には内閣に知的財産戦略本部が設置をされ、この統括のもとで関係省庁が連携をいたしまして、そして相協力してこの大綱を具体的に推進する、そのために体制が整備をされているところでございます。
 それに関連しまして、今回の特許法の改正というのは、知的財産の保護の基礎たる特許制度につきまして、大綱の指摘に沿って大胆な改革を行うものだ、このように思っております。
 まず第一に、迅速かつ的確な特許審査というのは、我が国の産業競争力を支える根幹だと思っておりまして、特許関係料金体系の見直しでございますとか、出願取り下げの際の審査請求料の返還制度の導入などを柱とする特許審査関連制度の改革によりまして、この課題に重点的に取り組んでいるところでございます。
 二つ目といたしましては、知的財産が積極的に活用されるためには、特許権等に関して紛争が生じた場合には、これが迅速かつ的確に処理されることが必要不可欠でございまして、このため、特許の有効性を争う制度が二つ重複をしている現状を改めることなどによりまして、審判制度を改革してまいりたいと思っております。
 第三番目に、世界市場における特許取得の円滑化の観点から、国際的な制度調和を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。
 今回の改正特許法が無事成立をしたその暁には、着実なその運用を図ってまいりまして、不正競争防止法の改正でございますとか模倣品、海賊版対策の強化と相まちまして、知財立国が一日も早く現実のものとなるよう積極的に各省庁連携をしてやってまいりたい、このように思っております。
土田委員 特許審査の迅速化の件ですが、今も話が出ておりましたけれども、審査官の数が少ないということでございますけれども、どうしてもやはり公務員定数の縛りがあるわけでございますので、これを弾力的に運用するということも考えられるわけですが、この件についてはどう考えますか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 知的財産基本法の第十四条におきましては、「所要の手続の迅速かつ的確な実施を可能とする審査体制の整備その他必要な施策を講ずるもの」こういうふうに規定しておりまして、こうした審査体制の整備に向けまして、個々の出願の特許性を最終的に判断する特許審査官の十分な確保が必要不可欠だ、こういうふうに認識しております。
 一方、先ほども御答弁にありましたけれども、十年間で国家公務員の数を二五%削減する、こういう政府方針がある中で、特許審査官の増員のみによって要審査件数の増大への対応を図ることは、私どもは一定の限界があると思っております。
 こういう厳しい状況にもかかわりませず、特許審査体制の整備の重要性ということ、これを私どもも主張させていただきまして、平成十五年度は、特許審査官について、日米合意に基づく増員時と並ぶ三十四人、この増員を行うことにいたしました。
 経済産業省といたしましては、国際的に遜色のない迅速かつ的確な審査の実現に向けて、今後とも制度の中核を担う特許審査官につきましては、政府部内で重点的な配分が図れるよう最大限努力をしてまいりたいと思っておりますし、先行技術文献調査等のアウトソーシングでございますとか、審査補助職員の活用による審査体制の整備に向けた総合的な取り組みに努めていかなければならない、このように思っております。
土田委員 特許出願の際の審査請求手数料、これが十万円から二十万円に引き上げられるわけでございますが、これによって企業が特許取得をためらうことが出てこないか、あるいはそれをねらっておられるのかわかりませんけれども、これはどう考えますか。
太田政府参考人 お答えいたします。
 今回の改定は、出願から権利維持までに要するトータルの費用を、平均的な出願一件当たりで現在約四十八万円かかっておりますが、それを約三十八万円まで、およそ十万円程度引き下げるものであり、むしろ、事業性がありかつ特許性の高い発明の出願についての審査請求を奨励するものでございます。
 ただ、改定後、短期的には、やはり審査請求料の引き上げによる中小企業への影響があると考えられます。そういうことで、現在も軽減措置を中小企業に対しては講じておりますが、それを拡充していきたいと思っております。
 いずれにしても、私、先ほど御答弁申しましたように、戻し拒絶的な特許性のないもの、あるいは事業価値の本当にないものまで審査請求されるということにおいては一定の抑制効果はあるかと思いますが、全体として、トータルの料金が下がるわけでございますから、それぞれの企業は、まさに特許性の高いもの、自分の事業に役に立つものを出していくことになるというふうに考えているところでございます。
土田委員 不正競争防止法についてなんですが、営業秘密を保護する、これを強化するということと、いわゆる人材の流動化ですね、転職をしやすくするとか、そういったこともあるわけですが、これについてのバランスはどう考えておられますか。
桑田政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のありました転職の自由への配慮につきましては、本法案の骨格を御議論いただきました産業構造審議会におきましても、労働界の方の御参画も得つつ、十分検討がされております。今回の策定に当たりまして、この点に大変細心の注意を払ったところでございます。
 具体的に申し上げますと、従業員がいわゆる正当に取得しました営業秘密につきましては、その使用または開示が刑事罰の対象とされますのは、原則として従業員である期間に限定をされております。したがいまして、従業員の方が在職中に身につけたり知識となりましたノウハウにつきましては、転職先において活用することは処罰の対象とされてはおりません。
 ただ、例外として、従業員のときに営業秘密が記録された媒体を横領するなどした後に退職をして、それを不正に使用または開示するような特に悪質な行為に限りましては処罰の対象としております。
 したがいまして、本法案におきましては、営業秘密の保護を図りながら、他方で転職の自由にも配慮をするというバランスを図ったところでございます。
 以上です。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 私は、民主党の立場で、今回提案になっております特許法の一部改正、あるいはまた不正競争防止法について質問をしたいと思います。
 まず、大臣、今回の特許法の一部改正も、あるいは不正競争防止法の問題等についても、少なくともこれは国際競争や、あるいはまたその一つであります知的財産立国という新たな表現を使っておりますし、また国家戦略として私は大切なことであろうと思います。
 しかし、反面、今質疑の中でも答弁もありましたけれども、一つには、中小企業を初めとする個人のベンチャーや、あるいはまた大企業と個人、中小企業との差があり過ぎる等の問題等についてどのように考えているのか。
 そして、スピードの問題。スピードが全然ない、はっきり申し上げて。例えばIT産業のようなものは、少なくとも三年、五年たったら、ある面ではもう既に古いんです。しかし、長期的に、十年も二十年も特許として実用する、こういう二つの分類に分けながらやる必要があるにもかかわらず、全部トータルとしてやっているものですから、そういう矛盾、料金の体系においても矛盾が生じる。
 だから、料金も、確かに十年前は、ある面では減免措置を初めとして安くなっておりますけれども、十年以降になってくると、国際的に比較しても高くなってくる、こういうことでありますから、やはりこういう問題を含めてしっかりと対応していかないと、あなたが言っているこの知的財産立国という言葉とマッチングしてこない。その辺をどう思いますか。
平沼国務大臣 これから二十一世紀というのは、いかに知的財産というものを創造して、そしてそれを保護して、それを実用化、そういうものに結びつけていく、このことが非常に大切なわけでございまして、政府といたしましても、非常に異例のスピードで大綱を取りまとめ、そして議員の協力をいただいて、そして基本法をつくらせていただいて、そしてことしの三月には知的財産戦略本部というのを立ち上げました。そういう趣旨からいいますと、今田中先生のおっしゃった問題点というものをしっかりと踏まえて私どもはやっていかなければならないと思っています。
 そういう中で、例えば特許にかかわる経費に関しましては、確かにトータルで見ればこれは約十万円程度安くなるわけですけれども、入り口の段階で、中小企業にとってはそれは厳しい、こういうことも言えると思っております。しかし、その中小企業に対しては、これまでもこの特許に関してはいろいろ配慮をしてまいりました。先ほど特許庁長官も、さらにこれからそういった中小企業に対してはしっかりとした配慮をしていく、こういうことも申しておりましたけれども、私も大臣として、そういう配慮は私どもは必要だと思っております。
 それから、期間の問題ですけれども、御指摘のように、やはりかつての十年というのは今の一年である、こういう形で、ドッグイヤーというような言葉がありますけれども、非常に速い時間の流れなわけであります。そういう中で、私どもとしましても、ヨーロッパ並みぐらいのところまでには努力をしてまいりました。
 ですから、この審査をする人たちの人数でありますとか、あるいはいろいろな工夫でアウトソーシングをしてそれを短縮化するということは、本当に御指摘のとおり、私は大きな命題だと思っています。ですから、さらにその短縮化の問題についても、こういうITあるいは先端技術、そういったことが非常にこれからの国の経済の活性化の基になるわけですから、その短縮化についても私どもはこれから最大限の努力をしていかなければならない。そのために各関係省庁連携をとって、そして人員の増員等も含めて努力をしていかなきゃいかぬ、このように思っています。
田中(慶)委員 言っていることはよくわかりますけれども、実態が伴っていない、はっきり申し上げて。
 国家戦略ということ、知的財産立国ということ、そして今審議をしていること、矛盾しているんですよ。それにみんなしっかりと、個人のベンチャーであろうが中小、日本はそうでしょう、日本の九十数%、一〇〇%のうちのもう九五%は中小零細企業なんですよ。ですから、ここに主眼を当てるならば、料金体系も、では大企業と中小企業を分けてやったっていいじゃないですか。こういうことを含めながら、現実にはそのアイデアがなさ過ぎる、時間がかかり過ぎる。けさも私は私の友人と話しておりました。約四十万円払って、一年半たっていますけれども、特許おりていません。具体的に言うとこういうことです。
 こんなことを含めながら考えていくと、それでは、その時間を短縮する、人をふやすことも大切だろう。しかし、今行革でふやせないのであれば、IPCCとか、あるいは今弁理士の皆さん方に協力いただいてその拡大をしていけば、ヨーロッパ並みだと言っているけれども、知的財産立国とするならば、アメリカを超えることを考えないとだめじゃないですか。
 大臣、今日本の借金はどれだけになっているんですか。けさニュースでわかったと思いますけれども、特殊法人が四百七十五兆円隠されていたんですよ。トータル一千二百兆の借金が出てきたんですよ、これは、国として。地方自治体じゃないですよ。
 こういうことが今現実にあるわけですから、やはりそれを一つ一つ、これからの日本のこの国の将来に向けてしっかりするためには、知的財産というものが本当に大切であるならば、そういう工夫をしながら、中小企業がこの国を支えているんですから、そこにもっと視点を当てて、料金体系ももっと安くできるようなことを考えてしなければ、これからの日本の将来というのは、借金はあるわ、片方ではこんな形で今までと一向に変わっていないわ、こんなことをしていたならばこの国の将来は真っ暗になってしまう。
 だからこそ、私たちは経済産業、西川さんが言っているように、与党、野党じゃないんですよ、これは。政府が与党、野党なんて感覚でいるからおかしいんですよ。今日本の国をどうするか、政府はそのぐらい、政府の立場で、与野党じゃない、野党が言っていてもいいものはもっと取り入れて、ぼんぼんやっていく、私はそのことが政府としての考え方だろう、こんなふうに思いますけれども、大臣、どうですか。
平沼国務大臣 その田中先生おっしゃる意味は大変そのとおりだと思っておりまして、私どもは、こういう知的財産立国、これは、与野党なくて、そして与野党が協力をして取り組んでいく問題だと思っています。
 中小企業に対してもっと具体的に配慮をしろ、こういうことでございまして、私もそのとおりだと思っておりますけれども、今、減免措置に関しましても、例えば、資本金三億円以下、設立五年以内、こういう、法人に対しては非課税、こういう形になっておりますし、審査請求料も半額、しかも一年から三年猶予をする、こういうことになっています。それをさらに、五年というものを我々は十年に拡充していく、こういうこともやっているわけでございますし、これは田中先生よく御承知で繰り返したくはないと思っておりますけれども、研究開発費の比率が三%以上のそういう中小企業に関しましては、これも半額にさせていただいておりますし、またさらにそういったところも拡充をしていく、こういうことをやっております。
 ですから、そういったことも我々としてはさらに、御指摘のとおりそこは大切ですから、なるべくきめ細かく、そして、知財立国であれば、そういったところに配慮していかなければならないと思っております。
 それから、中小企業に関しては、これはもう議員の皆様方のお力をいただいて、特許だけではなくて、九九・七%を占めるいわゆる中小企業に対しては、いろいろな面でのセーフティーネット保証、貸し付け、あるいは例えば新規立ち上げのための新しい制度、そういうものもつくらせていただいておりまして、私どもは総合的に、大切ですから、しっかりとやっていかなければいけない、このように思っているところであります。
田中(慶)委員 大臣、そのとおり世の中回っていけばいいんですよ。だけれども、あなたが言っているように回っていない。先ほどエネルギー問題でも指摘をしました。あなたが今言っているように、セーフティーネットの金融の問題、金融庁長官きょう来ていないけれども、具体的にきのうレポートで指摘をしておきました。
 貸し渋り、貸しはがし、やっているんですから、こういうときに、なおかつ料金体系がこのような形で、審査料、いろいろな思惑はあるかもわからないけれども、私はこれは排除の論理だと思っていますから、はっきり申し上げて。審査料を高くすれば少なくなるだろう、それも一つの方法かもわかりません。ですけれども、今、日本はそうじゃない。いろいろな人の知恵を絞って、この知的財産をもっともっと、国民の創意をここに全部集中して、いろいろな特許をとらせるような方向を出していく必要があるだろう。
 こんな考え方でなければ、私は、今まで余り、長官の説明を聞いていたんですけれども、そういう点では納得していた部分もありましたが、現実に一千二百兆の借金、隠れ財産が、役人の皆さん方、天下り先の、我々がさんざん指摘していたところが、四百七十五兆円の借金が明らかになった。こういうことを考えていくと、私は、今までの皆さん方の説明とは逆に、中小企業の創意をここに持ってこなければいかぬ。
 人が足りない。民間企業はどうしているんですか。配置転換、全部やっているでしょう。経済産業省、配置転換やっていませんよ。私は、政務官という通告をして質問取りしているのに、十人も十五人も来る。余剰人員じゃないですか、それだったら。そうですよ。私は一人でいいと言っているんですよ。我々は、民主党は少なくとも、自民党と違うかもわからないけれども、質問取りは政務官一人でいいと言っているんですよ。そのために副大臣制度をつくったんだから。原点に返ってやれば、そんな十人も十五人も来なくても、その人たちは、おれから言えば余剰人員ですよ。それこそ、この審査員、優秀な人間、回してやればいいじゃないですか。そのぐらいの配置転換を含めた発想はどうですか、大臣。
平沼国務大臣 十四人、十五人お伺いをしたということは、必ずしも経済産業省にとってそれが余剰の人員じゃないと私は思っておりまして、やはり田中先生の重要度が反映しているんじゃないか、そういうふうに思っております。
 したがいまして、私どもとしては、やはりそういう政務官制度ができた以上は、やはりそれを利用するということは非常に大切ですし、また、役所の中でやはり人的な配置に対する合理性を追求していくということは、御指摘のとおり非常に大切なことだと思いますから、私どもとしては、そういう形で不断の見直しを行って、やはり国民に奉仕する行政でございますから、私どもはその観点でやっていかなければならない。
 ですから、おっしゃる点は、私どもとしてはそのとおりだと思わせていただいておりまして、これからもそれで励行させていただきたい、こういうふうに思います。
田中(慶)委員 時間の配分もありますけれども、大臣、行革というのはどういうことですか。わかりやすく、スピードを持って、簡素にすることですよ。今の役所の仕事はそういう方向になっておりません。地方分権と言っていろいろなことが進んでいるんですから、少なくとも、そういうことを含めて、必要なところ、今回のように知的立国とするならば、そこにはもっと人を集めたっていい、私はそう思っているのですよ。別に特許庁にお世辞を使っているわけでは何でもないのですけれども、そのぐらいやはりちゃんとしてこの国の将来というものを位置づけないと、何かわからない、ぼやっとしていたのでは何もできない。だから私は申し上げているのですから、ぜひ、そのことも含めて……。
 それから、大臣、あなた、けさもニュース見たと思いますけれども、この千二百兆という借金、どう思いますか。答えてください。
平沼国務大臣 我が国が、膨大な特例公債そして建設国債、これを発行して、そしてそれが非常に大きく国家の財政の負担になっているということは事実であります。そういう意味では、いわゆる小泉改革の中で、そういった不良債権を含めた国の借金をいかに減らすかということが構造改革の第一歩である、こういう形で今努力をしているところであります。
 国の膨大な借金というものは、御指摘のような大変むだがあったということも私は事実だと思っています。ですから、そういったことは私どもとしてはよく精査をしながら、そして、この国の財政の足を引っ張っているこの赤字というものを、その体質、これを改めていくということが急務なわけでありまして、また、これからそういうものが発生をしないようにさらに努力をしていかなければならない、そういうふうに思っているわけであります。
 膨大な借金ができたその背景というのは、一つは、バブルというものがあって、そして、そのバブルから立ち直るために、やはり相当大きな公共投資もしてきたし、財政出動もしてきた、それが、景気が回復をしないために、今デフレ状況でありますから、その解消がずっとできてこなかった、それがだんだん積もってきた、こういうこともあったと思います。
 それからさらには、特殊法人の中では、ある意味では親方日の丸的な発想の中で相当ずさんな面もあり、それがやはり赤字の中に計上されている、こういうことも私は一部言えると思っております。
 いずれにいたしましても、こういう膨大な国の大きな赤字というものは、本当に時間がかかることだと思いますけれども、これを解消していく、そのことにプライオリティーを置いてやっていかなければならない、こういうふうに思っております。
田中(慶)委員 この一つ一つの法案もそういうところと連動しながら、ぜひそういうことに政府はしっかりと対応していかないと、あなたたちは会社の経営者と同じなんですから、この国の経営を任されているんですから、ですからその責任があるわけですから、ぜひそういうことを含めて対応してください。
 次に、不正競争防止の問題について移らせていただきますが、今回の営業秘密の保護の対応等についてでありますけれども、これは企業の国際的な競争強化のためにもこの保護というのは私はぜひ必要だと思うのです。技術のデータ、あるいは製造のノウハウ、あるいは販売のマニュアル等々を含めて、これが今までなかったこと自体が私はおかしなことだと思っているぐらいなんですけれども、やはりこの国が戦略的にこういうことをもう少し掲げていかないと、空洞化という名目の中で、中国に全部持っていって、すべてやってしまう。
 向こうは、日本の十倍の人口、十倍の頭のいい人も単純計算するといるわけです。土地は安い。そこで全部いろいろなことをやって、丸投げして全部やって、最終的には、日本の技術やすべてを向こうが習得したらば、日本の工場は要らなくなるんですよ。ですから、やはりそのことを含めて、もう少しきつい取り組みも必要、戦略的に私はやっていかなければいけないんじゃないかな、こんなふうに思っているんです。
 そういう中で、やはり企業の秘密等々を検討することも必要ですけれども、国内だけではなく海外の競争企業に流出される、今もうしていると私は思って見ているんですから、そういう点で、これらについてしっかりと、この今回の不正競争防止法の中ではこういう問題が対応できるのかどうかということが一つ。
 もう一つは、今のようにインターネット化されております。そうすると、このネットの不正利用というものを今よく聞くわけですし、増加しております。しかし、これにどう対応できるのか。こういう形で、ネットワーク化への対応、あるいは民事的な問題も出てまいります、あるいは刑事的な保護等の問題も出てまいります。裏腹な部分も出てまいりますけれども、それらについてお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 御指摘のように、ネットワーク化の急速な進展、そして人口が十倍、こう言われましたけれども、例えば中国は十三億の人口がございます。そこを中心としたアジア諸国などの急速な追い上げ、これがあることは事実でございまして、今後我が国が進むべき道としましては、やはりすぐれた発明などの知的財産を戦略的に創造して、そしてそれを活用して、そして、経済構造改革の取り組みと相まって我が国の産業の国際競争力を強化する、このことが我が国の生命線ではないか、こういうふうに思っております。
 こういう認識のもとで、知的財産戦略大綱、これもつくられたわけでございまして、その大綱の中でも、そこを踏まえまして、今回の不正競争防止法の改正法案というものは、御指摘の営業秘密の刑事的な保護でございますとか、あるいは民事的保護の強化、それから今御指摘のネットワーク化、これへの対応という三つの柱から成っている形であります。
 まず第一の柱は営業秘密の刑事的な保護でございまして、多くの諸外国で近年営業秘密の不正取得、使用、開示に対して刑事罰を導入していることなども踏まえまして、現在民事的に保護されている営業秘密を刑事的にも保護するため、他人の営業秘密を不正に取得、使用、そして開示をした、そういう者に対する刑事規定というものを設けたところでございます。
 第二の柱といたしましては、不正競争行為によりまして、営業上の利益の侵害行為や、それによって生じた損害額、これを原告が立証することを容易化するために、特許法などと同様に、文書提出命令の拡充でございますとか、失われた利益、逸失利益の立証容易化制度の導入を図ることにしております。
 そして、三番目でございますけれども、特許法などと同様に、商品等表示を使用した商品を電気通信回線を通じて提供する行為等が、これも不正競争行為に該当することなどを明確化したところでございました。
 こういう三つの柱の取り組みによりまして、近年、御指摘のネットワーク経済社会に対応して、民事と刑事両面にわたる保護を強化して、そして我が国の産業の競争力の強化を図りたい、こういうことでございまして、特に私どもとしては、人口十倍の国に関しましても、こういう問題がございますから、調査団も派遣をさせていただき、我が省からも参画をし、そして中国の側とそういう個々の問題についても折衝させていただき、そして中国にも理解をしていただく、こういうことも取り組んでいることもあわせてお答えをさせていただきたい、このように思っています。
田中(慶)委員 いずれにしても、これは大変な深刻な企業環境になってきていると思いますから、経済産業省を中心としてこの不正競争防止の問題にもう少し力を入れていかないと、結果的にこの国の将来というものが心配されるわけでありますので、しっかりと対応していかなければいけないんだろうと思っております。
 その中で、例えば営業秘密の保護のための刑罰を適用することについて、国際的に、フランスとかイタリアとかアメリカとかの、刑法によって処罰すべきであると考える、不正競争防止法の罰則の規定という、罰則をある面では強化していかなければいけないわけですけれども、きょうは警視庁が来ていますかね、その辺をどのように検討されているのか、お伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 議員御指摘のイタリアあるいは中国のように営業秘密を刑法によって保護している国、あるいは米国のように特別法によって保護している国もあればドイツとかお隣の韓国のように、私どもの本法案と同じように、不正競争防止法によって保護している国もあるわけでございます。フランスは、これは刑法ではなくて労働法によって保護されている、このように理解しております。
 昨年七月の知的財産戦略大綱においては、不正競争防止法改正による民事、刑事両面にわたる営業秘密の保護強化につきまして、人材流動化に対する抑止効果など、それらに伴って生じ得る問題点に配慮しながら、二〇〇三年の通常国会に改正法案を提出する、このように決定されたわけでございます。
 それを受けて、当省として、今般、我が国産業の競争力強化の観点から特に緊急性の高い営業秘密の保護強化を目的といたしまして、不正競争防止法の一部改正によりその刑事的保護の導入を個別に行うように、こういうふうにいたしたわけでございます。
 したがって、私どもとしてはそういう対処をした、こういうことを御理解いただきたい、こういうふうに思っているところでございます。
田中(慶)委員 いずれにしても、この一つのルールとして、知的財産なり、あるいはまた不正競争の問題も国際化していくわけですから、ある国では民事であるとか、ある国では刑事である、あるいは特別法であるとか、そういうことではなくして、非常にその辺を執行しやすいような体系をつくっていくことが望ましいんだろう、このように思っております。申し上げておきたいと思います。
 そこで、実はこれは文科省と、きょうは法務省も来ていただいておりますけれども、ロースクールの問題が検討されているわけでありまして、二〇〇四年というから来年、一応このロースクールがスタートするわけでありますけれども、この中で、今問題になっておりますような知的財産の問題、調べていっても、カリキュラムの中にはほんの少ししか入っていない。
 こういうことなので、まず、ロースクール問題等、法科大学院問題等について、これは文科省、法務省、経済産業省、協力をしながら、しっかりと、今問題になっているようなこともカリキュラムの中に導入しながら専門家の育成というものをしていかなければ、先ほどの時間短縮の問題、例えば、警察についても、こんなことを言っては大変失礼ですけれども、専門家というのは日本には少ない。だから、結果として、それが裁判であろうと何であろうと長くなってくる。
 こういうことを含めて、ロースクールをつくる段階でそういう専門家養成をもう少しカリキュラムを見直しをしながらやっていくとか、あるいはその中に入れられないのであれば別建てで専門家育成をするようなことを考えていかないと、日本が今知的財産立国なり一つの戦略を立てていく上で、私は、せっかくつくるロースクールというものが意味をなさないのじゃないかな、こんなふうに思いますけれども、それぞれ、文科省も法務省、そして今警察庁がお見えいただいておりますけれども、これも含めて正直に、現状はこうだからこうして、これからできる学校ですからこうした方がいいとか、いろいろなことを聞かせていただきたいと思います。
遠藤政府参考人 法科大学院のカリキュラムでございますが、設置基準で、科目群といたしまして、法律基本科目、法律実務基礎科目、基礎法学・隣接科目、展開・先端科目、この四つの授業科目を開設する、こうなっておりまして、知的財産に関する授業科目はこれらの科目群のうち主に展開・先端科目ということで開設される、こういうふうに理解をしてございます。
 平成十三年の十二月に、司法制度改革推進本部事務局が法科大学院を開設しようとしている大学に、どういう科目を開設するんですかということで調査をしてございますが、その中で知的財産に関する科目の開設を予定していると回答した大学が九十一大学中七十八大学と、大半の大学が開設したい、こう言っております。
 ただ、それがどの程度の広がりを持って開設されるかという点につきましては、今大学の方で設置認可申請に向けてカリキュラムの検討中でございまして、はっきりしたところはまだ見えてきていないという現状でございます。
 ただ、知的財産の実務に携わる人材養成に関しまして、そういった大学関係者その他のそういう関係者の間で、「知的財産専門職大学院の教育課程について」、こういうことで、知的財産を専門に扱う専門職大学院、これをつくる際にはこういうカリキュラムでやってはどうかというのをこの三月にまとめてございます。これは関係各大学に、私どもは協力して送付しておりますけれども、法科大学院におきましてもこのカリキュラムを参考にしてぜひ広がりを持った教育をしていただきたい、こう考えておる次第でございます。
寺田政府参考人 私どもも知的財産を戦略としてとらえた場合に、やはり質の高い専門家を養成するということが喫緊の課題だという同じ認識でございます。
 それで、今度できます、開校が来年四月に予定されております法科大学院でございますが、この法科大学院をつくりますのも、こういう現実のニーズに、社会のニーズに対応した新しい法律専門家をつくるという意味がありますので、この法科大学院をつくる上においては、やはり知的財産のような科目が重視されるということは基本的には望ましいことだと考えております。
 法科大学院は、これまでの法律専門家をつくるプロセスから比べますと、三つの点で特色があるわけでございますが、一つは、入学する者が、これまでは法律の専門をすることだけを考えてやってきたわけでございますけれども、これからは理科系のバックグラウンドを持つ方々というのも入ってこられるわけであります。
 それからまた、教える側でございますが、これは今、国会でも御審議いただいておりますけれども、いろいろな実務家をできる限り幅広く派遣できるような体制を整えていく、これが現実に法科大学院を生かしていく道であろう、こう考えております。
 三つ目が、今委員が御指摘になったカリキュラムの問題でございまして、ただいま文部科学省の方からも御説明がありましたように、展開・先端科目ということで、できるだけそれぞれの創意工夫を生かしてロースクールの関係者が御努力いただくというのが一番の筋であろうかと思っておりますが、私どももできるだけそれに協力できるような体制を整えてまいりたい、このように考えております。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 知的財産権侵害事案に対してでありますが、近年大変増加をしておりまして、平成十四年中、私どもは二百四十六事件四百三十五人を検挙しているところでございます。
 ただいま議題となっております不正競争防止法違反事件につきましても、この知的財産権侵害事案の捜査を専ら担当いたします必要な知識あるいは経験を持っております生活経済部門の捜査員においてこれを担当するということでございます。
 例えば、営業秘密に関する事案につきましても、昨年度も不正アクセス禁止法違反事件でありますとかあるいは恐喝未遂というような形で事件検挙がございますし、また、不正競争防止法違反事件につきましても、昨年は二十四件三十人の検挙ということでございます。
 近年、この種生活経済事案が大変悪質化し、かつ多発をして、年々増加をしておりまして、体制の拡充強化に努めているところであります。
 また、十分な知識等を得るように、しっかり部内教養にも努めてまいりたい、こう考えております。
平沼国務大臣 御指摘の法科大学院それから専門職大学、これは非常に大切だと思っておりまして、私どもとしては、将来的には、御指摘のような知的財産、そういったことに着目をして重点化した、そういうものも必要だと思っております。
 当面は、審査官でございますとか審判員ですとか、そういった専門家をやはり派遣をして、そしてその法科大学院等の強化に尽力をしていかなければいけない、こんなふうに思っております。
田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、どうか、本当に知的財産立国としてふさわしいような体系を、それぞれ組織上もあるいは実態上も、また特許庁を含めて、長官を含めて、全部が一体となって一つの方向に向けて努力をしていただくように要望して終わります。
村田委員長 奥田建君。
奥田委員 民主党の奥田でございます。ただいまの三法につきまして継続して質疑をさせていただきたいと思います。
 確かに、慶秋先生のときから比べると、経済産業省の方がえらい減ったような気がします。委員の格によって人数が変わるんだと言っていましたけれども、大分格が下がったようでございます。
 冗談はさておきまして、まず、不当表示防止法の方から入らせていただきたいと思います。
 竹島委員長にお尋ねします。
 余談ですけれども、私も、来週こんな質問をするんだよということで、雑誌をつくっております方に、あなたのところの広告でもひどいのないですかと、先ほど中山議員からお話の出ました、いろいろなゴキブリ退治の器械だとか、そういうのが出ているし、どこの雑誌を見ても、大体、ダイエットや健康関係、あるいは頭髪関係のものなんかは非常に誇大広告じゃないかというようなものが満ちあふれているというようなお話をしましたけれども、それはみんな私たちにとっては大切なお客さんであって、私たちが問題にしたいのは、政治家の公約の方が大変な不当表示ですよというような、厳しいおしかりを受けました。
 これが、全然こういった不当表示とは関係ないですけれども、公正取引委員会の方の見解としたら、こういった政治家の公約にしても、チラシあるいはリーフレットという形で、何万枚という形にして出される。私も、政治家になってからでも、大体みんな閣僚の方はいろいろな政策を、この政策効果は二年先に出ます、二年先に出ますということをいろいろな方から聞いています。経済関係は特に、あるいは金融関係、二年と。何で二年なのかな、根拠がよくわからない。よく、大体眠る前に何でかななんて考えていると、二年たったら自分がいないから、二年先だ、二年先だというようなことを言っているんじゃないか。これは一般の方も、多くの方がそういうふうに直観として、あるいは嗅覚として感じていることだと思います。
 そういう、一つの談話にしかならないかもしれませんけれども、竹島委員長の方から、こういった政治公約について、公正取引委員会委員長としてはどういった見方をしていらっしゃるか、ちょっと御見解をいただきます。気になる方もいらっしゃるかもしれませんから、お願いいたします。
竹島政府特別補佐人 大変ユニークな御質問をいただきましたんですが、釈迦に説法ですが、公正取引委員会というのは、独禁法と、今お願いしております景品表示法と、あと下請法という三つの法律を執行するというのが主な役目でございますけれども、政治の世界というのは、残念ながら私どもの及ばざるところでございまして、あくまでも、商品、サービスの提供が公正かつ自由な競争環境のもとで行われているかどうかということをチェックするのが私どもの仕事でございまして、政治公約云々の話は別世界の話であるというふうに考えております。
奥田委員 大臣の方からも何かコメントありましたらお願いしたいですが、別によろしいですか。
平沼国務大臣 政治家の公約というのは、よく節目節目で問題になることがございます。そういう意味では、やはり政治家というのは国民の皆様方の信頼を得るということが第一義でございますから、そういったことに関しても常に意識をしながら、しっかりとしたことをやっていかなければ本当の政治の信頼につながらない。そういう意味では非常に重要な御指摘だ、こういうふうに思わせていただいています。
奥田委員 私の経験では、まだ平沼大臣は二年たったらというような発言はなされていないと思いますけれども、やはり裏づけとプロセスがわかるような説明の仕方を、やはり閣僚の方も意識していただければというふうに思います。
 ちなみに、ひどいことを言ったのは私のかみさんですけれども、政治の方でも、夢や希望を与えるということで、ある意味、大言壮語がかった部分もある世界ですから、そちらの方は確かに商品ではありませんから公正取引委員会の範疇ではないかもしれませんけれども、しかし、そういった言葉で世の中に実害を与えるということだけは私たちも避けて、やはり真剣な取り組みをしたいと思います。ちょっと話が長くそれてしまいました。
 まず、公正取引委員会の方でこういった不当表示、都道府県にも都道府県の権限、自治事務としてこういった指摘の権限があるということですけれども、昨年は牛肉、牛肉と言ってはだめかな、食肉関係なんかの社会問題が起きて、幾つか指摘件数は多くなっておると聞いていますが、その前はほとんどゼロみたいな推移をしている。それはもちろん、都道府県での事務ではありますけれども、そういった権限と体制がありながら実態が上がっていない、こういった点につきまして、委員長の見解、どういった原因があるんだろうかということを教えていただければと思います。
竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。
 確かに、従来から都道府県知事におきましても景表法の執行の一部を担っていただいていたということなんですが、従来は、現に不当表示が行われているというものについて、やめなさいということであって、もう済んでしまった話については知事は指示ができなかったというような制約がございましたけれども、やはり今御指摘もありましたように、特に十四年度、食品をめぐるいろいろな偽装表示、不当表示の問題が発生しまして、やはり従来に比べて、それぞれの県においても消費者の問題意識が高まったということが背景としてあったと思います。
 そこで、確かにそれまでの間は表示についても、排除の指示というのは二つとか三つとかしかありませんでしたけれども、十四年度は十数件にふえているということでございまして、やはり今の消費者の認識の高まり、特に表示問題に対する不信感というものが地方自治体においても議論されるようになってきた、大変結構なことだなと私は思います。
 そこで、今までは公取に比べて制約された権限しかお持ちでなかった知事におかれましても、公取と同じような指示ができるように、すなわち、終わったものについてもきちんと非を指摘し、再発を防止することを指示できるようにするというような権限の拡大をこの法律でお願い申し上げているところでございます。
 聞きますところ、大体、県民生活課でありますとか消費生活課というような名前のついた課がこの景品表示法も担当しておられて、その職員は数名ぐらいのところが多いわけでございまして、景品表示法だけにかかわっている職員というのは一名ないし二名ぐらいの、そういう意味では大変貧弱な体制であるという現状。それも厳しい行財政の中で、地方自治体もいろいろなところを切っておりまして、そういうときに、消費行政の方がそのあおりを食らうというようなことも見られているということについては、大変懸念をしております。
 今申し上げたように、消費者の関心も高まっている。かつ、それぞれの県にとって、大変大事な商品が間違った受けとめ方をされて、その県の経済にも影響を与えるというようなこともあるわけでございますから、ぜひこの法律改正も使っていただいて、各県において、自治事務でございますから私どもが口出す限度はございますけれども、やはり県民なり住民の要望、期待にこたえられるように頑張っていただくように、私どももいろいろな面でお手伝いをさせていただきたい、こういうふうに思っております。
奥田委員 こういった摘発件数が少ないという中で、職員体制が貧弱だというお話もありました。
 確かにそういった、経験豊富でない県の職員の方なんかが担当になる、それも多分片手で余る人数で、また兼務といった体制なんだろうというふうに思います。しかしながら、各公正取引委員会にも支局といいますか地方部局がありますし、また国民生活センターというものもある。あるいは各都道府県には消費者センターですか、そういった団体もあります。そして公正取引委員会の方でも、電子申告という形で、個人からも受けられるし、あるいは都道府県の方が判断に困るようなときには、そういったルートを通じて、日常業務の中で、机の上からだって相談ができるはずです。そういったところの連携が本当にできているのかなというふうに思います。気軽にこうやって相談ができるというような体制づくりに対して、あるいは広報、周知徹底をさせるということに力を入れていただければというふうに思います。
 あと一つ、罰則の件で、これはいろいろな審議会の中でも指摘はあったかもしれませんけれども、昨年のJAS法の改正で、食品関係の不当表示といいますか虚偽表示に対しては、法人に関しては、最高一億円の罰金ということに大きく引き上げられました。今、私の知識が間違いじゃなければ、こちらの方の、公正取引委員会での処罰というのは、三百万円がたしか限度だったと思います。
 こういった、同じことをしても、こっちの法律で扱うのとこっちの法律で扱うのが違う。強いて言えば、大きな全体のカテゴリーの中では、公正取引委員会の方での三百万円というものがあるけれども、食品に関してだけ一億円という罰則になっている。そういった大きなギャップといいますか、そういったものを直していかなきゃいけない。食品以外にだって、悪質なものが全国各地にあれば、それはもっと厳しい罰則をかけるべきではないかという考えに対して、お答えをいただきたいと思います。
竹島政府特別補佐人 先生おっしゃるとおりでございまして、JAS法は、改正によりまして法人が一億円、それまでは五十万円以下だったわけですが、一億円以下ということで、法人重課というものが実現をされているわけでございます。私どもも、景品表示法、不当表示についての罰則、御指摘のとおり法人の場合三百万円以下ということに現行なっておりまして、これはやはり低過ぎる、軽過ぎるというふうに思っております。
 ただ、景品表示法の場合は、この三百万円を引き上げるためには独占禁止法の改正をしなければなりません。独占禁止法の改正ということになりますと、実はほかの問題がいろいろ独禁法についてはございまして、今、専門家に集まっていただいて、昨年の十月からでございますが、いわゆる措置体系の見直しというのをやっております。
 これは、課徴金が今の水準なり範囲でいいのかとか、それからいわゆる制裁減免制度というものを、欧米ではあるんですけれども、日本にも導入してはどうかとか、それから、公取の持っている権限が今は間接的な任意調査ということになっておりますが、犯則調査権限というものを持った方がいいかどうかというようなことも含めて、今全般的な見直しをやっているわけですが、その一環に、不当表示、景品表示法の違反についての法人重課の問題も、その一つとして一緒に解決をさせていただきたいというふうに思っております。
奥田委員 独占禁止法に絡んできて、その改正も一緒だというのであれば、やはりその改正も含めて真剣に取り組んで、早急に取り組んでいただきたいと思います。
 それ以外にも、損害賠償請求自体が、日本の場合は、民事の中でも、その被害額の中でしか請求できない。一つ海外へ行けば三倍返しの、三倍返しという言い方は変ですかね、三倍請求という損害賠償ができたり、あるいは公正取引委員会の中でも、警告そして排除命令といったものはありますけれども、悪質なものに対して直接刑罰を下せないといった問題点がまだほかに並列してあるわけですから、そういった問題も重ねて検討して、やはり社会悪に対しては厳しい制裁があるといった体制を組んでいただければというふうにお願いいたします。
 また、委員長に、最後に一つだけ。公取の方からも、最近の処理物件について大変詳しい資料をいただきました。ぱらぱらと見ておりましたら、私も買ったことのある缶詰が出ていまして、業者の方からは何とか牛という、コンビーフかステーキか知りませんけれども、そういった缶詰ですけれども、排除勧告はいいんですけれども、こういったものを買っちゃった、あるいは食べちゃったという人は、どこにどういう怒りをぶつけていけばいいのか。缶詰一個で民事訴訟まで起こすつもりはないですけれども、普通のリコールみたいなこととか車でいうようなことが、業者としてやらなくても請求ができるのか、ちょっとその辺教えていただければと思います。
竹島政府特別補佐人 そういうコンビーフ、牛肉等のものについて、その中身が違う、国産と書いてあるけれども輸入牛肉を使っているとか別なものを使っているとか、そういうふうなことで私ども排除命令を出しますけれども、残念ながら、もう買ってしまった方々に対して、どういう損害賠償なりのことをするかということにつきましては、それはおっしゃるとおり、被害を受けた方が損害賠償を起こすことは日本の法律制度でできるわけでございますけれども、さてそれほどのコストをかけてやることかというようなことで、結局は、そういうことをやめなさいというところまでは公正取引委員会はできますし、こういうことでありましたということをきちんと世間に対して、新聞広告を通じて姿勢を正してわびなさいということもいたしておりますが、終わってしまった話について、原状回復を公取としてそこまで指示できるということには、今なっておりません。
 その辺は、被害を受けた消費者に対する救済のあり方として、これからの問題としていろいろ議論されなければならぬ。団体訴権をどうするかというような問題も議論されておりますけれども、そういった将来の問題になっているというのが実情でございます。
奥田委員 確かに、流通ルートの中で最後の一個というところになったものをどうするかということは大変難しいことでしょうけれども、公正取引委員会直接の仕事ではないとしても、消費者センターのここに行って御相談してくださいとか、あるいは集団訴訟でも十人集まればこういうこともできますよという、そういったせめてもの知恵をいただけるような、アドバイスをいただけるような、そういった部門がちゃんと消費者センタークラスのところには、市民と直接窓口を設けて接することができるようなところにはあってもいいのかなというふうに思います。こうやって、不当表示関係は終わります。
 次に、特許法の関係に移ります。
 ちょっと最近の話題として、きのうも新聞には無資格特許仲介、あるいはテレビの報道では、ゲーム機器での独禁法、違反まで言わないんですか、警告といったものがニュースで流れております。
 弁理士資格がないのに、無資格で特許申請をして報酬を得ていた。ちょっと私も法を詳しくは知りませんけれども、業といいますか、なりわいとしてそういうことをするには確かに資格が要るんだろうというふうに思います。ちょっとこの報道について、太田長官の方から、どういう法に接していて、どのくらいの罰則がこの違反者にはかけられるのかということを教えていただければと思います。
太田政府参考人 お答えいたします。
 弁理士の資格を有していない者が報酬を得て特許出願書類、いわゆる明細書等を作成する場合は、要すれば弁理士法第七十五条に規定された業務、今申しましたような代理人としての行為でございますが、そういうものを資格のない者が行った場合には、弁理士法の第七十九条に基づき、一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられるというふうになっております。
奥田委員 確認だけしておきたいのですが、これは業としてやらなければ、自分のものは当然できるとして、個人的に頼まれたものをやって、あるいはそこで手数料として数人からもらうということは違反になるかならないか、そういうことだけもう一回お願いします。
太田政府参考人 詳細は私どもまだ全部把握しておりませんが、奥田委員御指摘の件でございますが、新聞報道で、三名の方が一般の方のかわりに明細書を書いて、その明細書を持って本人が特許庁に出願をしたということでございます。
 この三名の方は、弁理士の登録事務を行っております日本弁理士会に弁理士登録の申請をしておりません。したがって、先ほど申しました条文の適用があるかというふうに、事実関係はもちろんまだしっかり調べなくちゃいかぬと思いますが、そういうことではないかと思っております。
奥田委員 いろいろな広告を打ったりしてまでお客さんを集めていたということなどから、それは、今回摘発された方々にそんな弁明する部分は多分少ないんだ、ほとんどないんだというふうには思いますけれども。
 私もちょっと特許のホームページを開いておりまして見てみると、本当に専門家の、難しくて全然理解できない部分と、あれは実用新案というんですか、簡単な発明とかアイデア的な、これは私でも何かこの書類は埋められそうだなというようなものとが非常に混在しております。
 こういった中で、被害額を聞きますと、単純に割り算しますと、大体一人頭平均して、摘発された方々が十九万円ぐらいの報酬をいただいていたということで、多分その中には今の登録手数料の二万一千円というものも含んで登録をしていたんだと思います。十九万円弱の手数料でこういった実用新案ぐらいのものを出すというのは、大体世間の相場からいって高いのか普通なのか、そういったことを教えていただければと思います。
太田政府参考人 特許か実用新案かというのは今のところ確認しておりませんが、特許の場合ですと、今委員言われましたように、出願登録をするときに二万一千円を私ども現在いただいております。恐らく、御本人が出頭されたわけですから、二万一千円はお支払いになられていると思います。
 ただ、問題になった件で、詐取された金額については、恐らく明細書をつくるということで、代理人業務として行ったものについて、いわゆる代理人費用として詐取されたというふうに考えております。
奥田委員 時間が知らない間にたっていまして、大事な質問の方に行きそうにないので、ちょっと早足で行かせていただきます。
 大臣に来ていただいておりますので、ちょっと質問通告がおくれましたけれども、今、WTOの新ラウンドの事務交渉といいますか枠組み合意交渉というのがあります。三月末に一つの目標としていた期限、これが合意できないということで、次は五月末かなというところで進んでおります。農業交渉が大変難しいということは報道などでもみんな周知していることだと思いますけれども、こういった産業分野での交渉といったもの、あるいは知的所有権での交渉といったものも並行して大切な交渉であると思っております。
 今、経済産業部門からのWTO交渉についての現状報告といったものをいただければと思います。
平沼国務大臣 一昨年の十一月にドーハで立ち上がりましたドーハ・ラウンドというのが、今奥田先生御指摘のように、特に農業問題では東京で非公式のミニ閣僚会合をやりましたけれども、ここは合意に至らなかった、こういうような経緯があります。
 経済産業省といたしましては、このドーハ・ラウンドというのは、交渉アジェンダを広範かつバランスのとれたものにしていこうじゃないか、さらには、特定の国だけではなくてすべての加盟国が利益を享受できる、そういうものにしていこう、こういう理念のもとにスタートをしているわけであります。
 今回の交渉におきまして、我が国としましては、また経済産業省といたしましては、経済界等の要望もあるわけでございまして、市場アクセスの改善に加えまして、貿易投資ルールの強化に重点を置いているわけでございます。具体的に、では、貿易投資ルールでどこに重点を置いているかといいますと、アンチダンピングに係る規律の強化でございますとか、それから投資ルールの新たな策定を我が国の国益にかなうもの、こういう形で、私どもは重点視して今取り組んでいるところでございます。
 以上のような認識の中で、我が国としては、主張すべきことはちゃんと主張する、そして主要国と共通認識の形成に努めてきたところでございまして、一つの節目は、本年の九月にメキシコのカンクンで開かれる会議に向けて努力をしていこうと思っておりますし、また、この四月から連休にかけましてパリでOECDが行われる、そのときにWTOのメンバーの方々も集まってまいりますので、そこでも、今言った問題についても、非公式ではありますけれども、詰めていきたいなと思っております。
 農業交渉というのは、これは、農林水産省と我が省、外務省と連携していかなきゃいけませんが、共通認識としては、非貿易的関心事項、これを適切に反映することが大事だと思っております。そして、品目ごとの柔軟性でございますとか改革の継続性、あるいは輸出入国間の権利義務のバランス、これをやはりしっかり確保した形で、現実的に包括的なモダリティー、この早期確立に向けて私どもは努力をしていかなきゃいけない、そういうふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今百四十六カ国が加盟をしているわけでございまして、なかなか難しい交渉になると思いますが、私どもとしては、そういった点を踏まえてやっていかなければならない、このように思っております。
奥田委員 自分でやったことですけれども、ちょっと時間の関係で、経済産業省にお願いしたいんですけれども、こういった中で、サービス分野に関して、リクエスト・アンド・オファー、要求と回答といった形で、二国間交渉というものがたくさん積み上げられていると思います。そこの資料をいただいて、そしてまた、その中で今までに結果あるいは結果に近いものとして積み上がったものの説明を後でいただきたいと思います。
 そのほか、WTOとはまた直接は関係ありませんけれども、ことしの一月末の、今国会最初の総理の所信表明にも、こういった交易に関して、ASEAN、韓国、その前にメキシコという固有名詞、国名が出てきています。そのときは、何でかなと。何でこんな一番最初にメキシコが出てくるのかなというふうに思ったのは私だけではないと思います。
 今、十月に大統領が、十月もっと以降かな、ぐらいには大統領が見えるんじゃないかという話も聞いております。また、そのときに、自由貿易の中で大きく飛躍してきたメキシコとして、日本とも大きな貿易拡大の交渉をするのではないか。そしてまた、条約か協定か知りませんけれども、そういった調印を含めたところまでの合意を水面下で進めているという話を聞いております。
 その点について、そこの進捗状況、あるいは、経済産業省としてはどういったことを求め、そしてまたこたえていくのかということを、御報告のできる範囲で聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 メキシコとの間では現在FTAがない、そういう理由で、我が国企業というのは、平均一六%の関税負担など、欧米企業に比べて競争上極めて不利になっている事実がございます。例えば、北米にはNAFTAという協定がありますし、メキシコはEUともやりました。
 そういう中で、近年見ておりますと、例えばメキシコの輸入に占める日本のシェアというものが、一九九四年は六・一%であったものが二〇〇〇年には三・七%に減る、こういうことになりまして、メキシコに進出している企業から、ぜひそういう意味では日本もいわゆるFTA、そういうものをやってほしいという強い希望もあります。
 また、メキシコも、今奥田先生が御指摘のように、そういう自由貿易によって非常に恩恵を得ている国でございますから、やはり経済大国の日本ともやりたい、こういうことでございまして、昨年十一月からFTAも含む経済連携協定の締結に向けて政府間の交渉を開始しておりまして、ちょうど節目でこの秋にあちらから大臣が来られる、こういうこともございまして、本年秋ごろまでに実質的な合意に至るべく精力的に交渉を進めている、こういうことでございます。
 我々としましては、今、例えば日本から進出している企業というのも大変多いわけでございまして、繰り返しになりますが、メキシコがNAFTAやEUとのFTAを締結したことによりまして、同国の輸入というのが北米やヨーロッパに大幅にシフトしてしまって、日本のウエートというのは著しく低下をしまして、多額の利益というものを失っているということが言えると思います。
 NAFTA締結直前の対日輸入シェアが今までずっと維持されているということを仮定しますと、例えば一九九四年から比べますと、一九九九年では、逸失利益というのは、単純計算ですけれども、三千九百五十一億円失われる、こういうことも想定されますので、私どもとしても、お互い詰めなきゃいけないことがいろいろありますけれども、お互いそういう目的を持っておりますから、この辺はしっかりと秋に向けてやっていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。
奥田委員 大統領も来ていただけるという日程がとれるのであれば、ぜひそのときに向けてしっかりとした調印ができるような姿を望みたいというふうに思います。
 最後の質問に行きたいと思います。
 特許庁長官または大臣で結構ですけれども、今、TLO、技術移転の団体設立というものが大変盛んに行われております。当委員会でも、三年前か四年前に、そのときは産学官の協調ということで、東北大学を中心にした方面に視察に行ったこともございました。今、そういったところは花盛りみたいな形になっております。
 その中で、それは文部科学省との共管の部分になってくるとは思いますけれども、特許の出願件数がたくさんあるという話がずっと続いていますけれども、本当に物になる特許、あるいは世界に通用する、あるいは全国で本当に一般の方に使われる特許というのは、ほんのわずかであると私は思っています。そういう実際に本当に役に立つ特許というのはしっかりとした基礎研究のある部分から生まれてくる、基礎研究がしっかりしているからこそいろいろな応用がきいて、本当の根っこのある技術として広げることができるというふうに思っております。
 こちらのTLO、今は大学単位あるいは政府系の研究機関といったところが中心ですけれども、今弁理士さんに頼っているような一般の中小企業の方たちも、そういったところでお互いの情報交換をしたり、あるいは申請に関してのいろいろな手間といったものが短縮されるような組織ができればいいのになというふうに漠然と思っております。
 このTLOに関して、特許庁の方から、これからの役割、そしてまたTLOに対する展望といったものを聞かせていただきたいと思います。
太田政府参考人 お答えいたします。
 知的財産立国を実現するためには、知財の創造、保護、活用、このサイクルを何よりも早く確立することが大事だと思っております。中でも、創造がない限りは保護も活用もないわけでございまして、やはり創造は、企業もさることながら、大学からどんどん生まれてこなくちゃいかぬ。ただ、今までのところ、大学でいろいろな研究開発活動は行われていると思いますが、それが本当に知的財産としてトランスファーされてきているかということにおいては、やはりまだまだ不十分だと思います。
 文部科学省さんも、今度、本年度から各大学に知財本部をいろいろと設けるための予算措置を講じておられます。それから、おっしゃるとおり、従来からTLOが活躍を始めていますが、アメリカなんかのTLOに比べれば、数の上でも実績の上でもまだまだ不十分。私ども、従来から文科省さんと一緒になってそれを支援しておりますが、今後、さらにいろいろな形でサポートをしていきたいというふうに考えているところでございます。
奥田委員 このほか、特許審査のアウトソーシングの話であるとか、あるいは、先ほどからありました特許審査の減免措置、これが、実際の数字を挙げてみればいかに審査件数に比して少ないものかというようなことも聞きたかったのですけれども、それはこれから先の同志の方に託しまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
村田委員長 鈴木康友君。
鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。
 私のところには役所の方が二人で質問取りに来ていただきまして、大臣の先ほどの話でいきますと、田中先生の五分の一ぐらいの重みかなと思っておりますが、質問の方は重みを持たせていきたいと思います。
 さて、最初に、一昨日でありますが、日本と中国の間で第一回の日中通商定期協議が行われたという報道がございました。第一回のテーマがまさにこの知的財産についてということで、これから知財立国を目指す日本にとっても中国にとっても、まさに将来を占うようなテーマだったんではないかと思います。
 この中で、日本の方からは、いわゆる中国における権利の取得の迅速化でありますとか、模倣品の増大に対する対策等々の指摘をし、中国側からは、日本企業からの中国企業に対する技術移転のおくれ等々の指摘があったというふうにありましたが、この一回目の会議の状況、あるいは双方のやりとりについて、まずお伺いをしたいと思います。
太田政府参考人 鈴木委員御指摘のように、おととい、二十一日でございますが、中国の商務部と経済産業省との次官級の定期協議が東京で開催されました。
 知財問題につきましては、四つの点について要請をいたしました。一つは、DVDやデジタルカメラ等の先端技術分野での具体的な審査遅延案件の改善、二つ目が、出願人が早期の審査を要請できるような運用の明確化、三つ目が、模倣品、海賊版対策の一層の強化、四つ目が、ライセンス規制の緩和を要請したところでございます。
 これに対して、中国側からは、権利付与の迅速化については最大限努めるとともに、日本側の要請内容については、関係部局に伝えた上で真剣に対応する旨の発言がございました。加えて、模倣品、海賊版対策につきましては、商務部に専門の機構を創設し、より積極的に対処するとの表明があったところでございます。
 また、中国側からは、経済産業省が三月に技術流出防止指針というものを公表いたしました、これが日本企業の中国への先端技術移転を制約するのではないかという懸念が表明されました。
 これに対し、日本側からは、この指針は、知的財産権保護が弱い地域に海外展開する際に、意図せざる技術流出防止のための対策を講ずることを日本企業に推奨しているものであり、このような知的財産保護に関する取り組みの強化は、むしろ先端技術の移転促進にも資するということで説明をしたところでございます。
 以上でございます。
鈴木(康)委員 ありがとうございました。
 さて、私は、今回は特に特許の問題について中心に御質問したいと思うんですが、まず初めに、今回の改正のポイントとして、特許料と審査請求料のいわゆる特許手数料におけるコスト負担の不均衡の是正ということが一つのポイントとなっているというふうに理解をしておりますが、このコスト負担の不均衡というのはどういうことなのかということを含めて、まず真意についてお伺いをしたいと思います。
太田政府参考人 お答えいたします。
 昨年の九月から、産業構造審議会で特許制度小委員会を設けて検討してまいりました。その際、委員の方に御議論いただくために、一体どの程度特許庁の中でそれぞれの段階でコストがかかっているかということを、第三者の監査法人に試算をしていただきました。その結果、審査にかかる実費コストは約二十五万円から三十万円と算出されております。
 この審査の実費に対して、現行の審査請求料金は、平均的な出願で約十万円でございます。実費をかなり下回る額となっております。結果的に、実費に足りない部分は、特許を取得した出願人が支払う特許料で補う構造となっております。
 このため、特許率の高い出願人と低い出願人との間で費用負担の不均衡が拡大しつつあると考えておりまして、出願人において十分な先行技術調査あるいは知的財産管理を行うインセンティブが働きにくい状況になっているというふうに認識しておるところでございます。
鈴木(康)委員 今御指摘がございましたが、特許制度のこれまでの流れを追ってみますと、特許制度というのは、本来は、特許をとった、権利を取得した人たちがそれに見合う特許料を払ってこの制度自体を支えていく、必ずしも、審査人はこれだけコストがかかっているからこれだけ払わなきゃいけない、特許をとった人はこれだけ維持にコストがかかっているからこれだけ払わなきゃいけない、そういうものではなくて、いわゆる特許権者がこの制度を支えていく、そして新たに参入してくる人たちに対してそのハードルを下げてあげるというのが今までの、これは諸外国を見ても特許制度の一つの考え方であったと思うんですが、この考え方から、今の長官のお話ですと、逸脱をしているというか、それに反すると思うんですけれども、いかがでしょうか。
太田政府参考人 お答えいたします。
 私ども、特許は特別会計になっております。出願人等の方からいただいている料金は、出願の登録というときの出願料、それからその中から審査請求をされるときの審査請求料、それから特許がとれた場合、査定された場合の、私ども年金と言っておりますが、維持経費、これをいただいているわけでございます。出願料と審査請求料は手数料的な性格を持っておりまして、実費を勘案して、政策的にその本来の目的に合うように決められるべきものであるというふうに考えております。
 特許料は、今鈴木先生御発言ありましたように、独占的な排他権ということで、出願料と審査請求料、特許料を合わせて全体として特許行政が円滑に運営されるような形で、最後、特許料が決められるべきものというふうに我々は考えているところでございます。
 その結果、私ども、出願料については今回、これまで二万一千円のところを、出願奨励の観点から一万六千円に下げさせていただきます。審査請求料は、たびたび御答弁申し上げておりますが、昭和四十六年から導入されました審査請求制度、事業価値のあるもの、特許性の高いものを選んで請求していただくという機能が必ずしも発揮されていないということで、今回値上げをさせていただきまして、特許料は、特許特会は赤字ではございませんので、下げさせていただきます。その結果として、一件当たりのライフタイムコスト、生涯にかかるコストが約四十八万円から三十八万円ぐらいに、十万円ぐらい下がります。
 ということで、しっかり事業価値のあるもの、特許性のあるものを見きわめながら、請求される方にインセンティブが働くような形で料金体系を変更させていただきたいと思っています。
 ただ、中小企業につきましては、審査請求料の値上げが最初に来ます。特許料は後から戻ってくるということで、従来から軽減措置を講じているところでございますが、今回、各方面のいろいろな声も聞きまして、さらなる拡充措置を講ずることとしているところでございます。
鈴木(康)委員 先ほど同僚の中山議員が、前回の知的財産基本法のときの附帯決議についての話をいたしました。いわゆる権利化手続において、出願人のトータルの経済的負担が権利化の障害にならないように配慮をすることということになっていたわけでありますが、今回この審査請求料が値上げをされるということになりますと、このわざわざ附帯決議で私たちが配慮した点が踏みにじられるということにならないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
太田政府参考人 繰り返しの御答弁になり恐縮ですけれども、今回の料金改定を実現させていただいた場合には、一件当たりの特許料、これは中小企業で減免措置を受けていない方は四十八万円ぐらいから三十八万円、それから軽減措置を受けられる中小企業については三十九万円から二十八万円まで下がることになります。トータルとしての費用が現在より下がるわけでございますから、それぞれの出願人は、審査請求されるときに、ここでどういうものを審査請求するか、特許率を少しでも高めていけば、それだけ負担が減っていくことになるわけでございますので、決してそれを障害となるような形で料金体系が働くものとは思っておりませんし、そういう意味で、附帯決議に沿うものというふうに考えているところでございます。
鈴木(康)委員 それは、出願人がいわゆる特許権者になってその独占的権利を得られた場合、これを一貫してトータルで判断をすればもちろんそういうお話になるかと思いますが、これは出願人が必ずしも特許権者になるわけではないんですね。わざわざ出願人の権利を、いわゆる参入障壁を上げないためにそこは配慮するといったわけであって、今のだと、出願人はイコール特許権者であるということを前提としてのお話だと思いますが、私は、やはり出願人と特許権者は分けるべきである、まず参入の部分で配慮をするべきではないかと思うんです。特許権者の部分まで経済的負担の考慮をするということは、私はさっきの議論から反するんではないかと思うんですが、再度御答弁をいただきたいと思います。
太田政府参考人 私ども、毎年数万社の出願の方に登録をしていただいておりまして、押しなべて五割から六割ぐらいの方が特許をとっておられます。もちろん、中には出願されただけで特許を持たない方もございますが、ほとんどの方は出願されて過去から特許を持っておるということでございます。
 先ほど申しましたように、繰り返しになりますが、中小企業については確かに最初のところで値上げが来ますので、資金繰り等が苦しい中小企業については、従来から講じている軽減措置を拡充したいと思っております。
 それから、今回のこういう結論を得るに当たっては、もちろん審議会でかんかんがくがく議論をいたし、かつ出願人の方のパブリックコメント、これは商工会議所等も含めて十二分に踏まえて実施させていただきたいと思っているところでございます。(発言する者あり)
鈴木(康)委員 今、川端先生からお話がありましたが、必ずしも私の質問に対して的確にお答えをいただいているとは思えません。
 この前つけました附帯決議においてわざわざ権利化手続においてという一文も入れながら、いわゆる参入の部分において特に配慮したのが、今言われたような中小企業の方とか個人の方とか、特許に関してのいわゆる弱者に配慮して、これから知財立国を目指すということであれば、なるべく広く門戸を広げて、参入の障壁を、ハードルを下げるということでわざわざこういう附帯決議をつけたわけでありまして、全くもってその意図がしっかりと今回取り入れられていないというふうに思う次第であります。
 ちょっと観点を変えますが、日本の場合は、これで出願人と特許権者のコスト負担の割合というのがかなり変わってしまいます。今までは大体三対一ぐらいの比率だったと思うんですが、諸外国は一体どんな比率になっているのか、お答えをいただきたいと思います。
太田政府参考人 御質問の趣旨は、権利付与前と付与後のバランスだと思いますが、今委員御指摘のように、これまでは付与前が一に対して三ぐらいになっていたところが、付与前が一、付与後は恐らく一を割る水準になるかと思います。
 アメリカは現在一対三ぐらいになっているかと思いますが、実はアメリカも、一九八二年までは特許の発行料というものは取っていましたが、年金は取っておりませんでした。毎年のお金は払っていなかったということで、八二年に発行料、維持費を入れることになりました。ですから、八二年以前は、発行料が特許付与後だとすると、特許付与前とはほぼ一対一だということで、申し上げたいのは、一対三とか一対一が最初にありきではなくて、先ほど申しましたように、出願料、審査請求料、特許料、それぞれがどういう機能を発揮すべきか、総体として知財行政、産業財産権行政がしっかり進むことが大事である、そのためにどういう料金体系にすべきかということで考えるべきではないかというふうに思っているところでございます。
鈴木(康)委員 実は、今回こういう料金の改正に至った一つの理由として、毎年、審査請求の全体の二割ぐらい、大体四万件ぐらいですか、先行技術調査をきちっとしないで出願をして、拒絶理由の通知をしても全く応答がない、こういうのが大体審査請求の二割ぐらいあって、こういうものが審査の効率化を阻んでいると。だから、そういう審査を減らすために、まず入り口で審査請求料を上げて、そしてハードルを高くして、そういう審査をまず事前にふるいにかけさせるということを私は意図しているというふうに思うんです。
 でも、実際それをやりますと、きちっと先行技術調査をして健全な形で審査請求をしている残りの八割の請求に対しても悪影響が及ぶわけでありまして、私は必ずしもこれはうまいやり方ではないと思うんですが、いかがでしょうか。
太田政府参考人 最初の御質問でお答えいたしましたように、審査請求人間でやはり不均衡、不公平が生じている。要すれば、数を撃てば当たるという、あえてそういう言い方をさせていただければ、そういう方の特許率は当然のことながら低いわけです。ただ、当然そこでコストがかかっているわけです。そのコストについては、特許を多く取られた成績のいい方の特許料で負担しております。
 ですから、むしろ、しっかり先行技術調査もした、足をとめて考えたという方に今回の料金体系はメリットがあるというふうに考えているところでございます。
鈴木(康)委員 それでは、この先行技術調査というのは、これは法律上の義務になっているのでしょうか、そうではないんでしょうか。
太田政府参考人 平成十四年の特許法改正で、先行技術が記載された特許公報、学術論文等の刊行物の名称等を出願書類に記載する制度を導入いたしましたが、いわゆる先行技術調査をしなさいということで義務づけている条文ではございません。
鈴木(康)委員 出願人の方が義務的に先行技術調査をしなければならないということであれば、これはやはり審査行政の一環として考えなきゃいけない。これは特許庁の仕事であるわけですよね。
 私が多少調べたことからいえば、諸外国でも、先行技術調査と審査というのは二段構えになっていると思うんですけれども、諸外国は一体どうなっているか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
太田政府参考人 出願の全件について、先行技術調査報告書が提示されてから出願人が審査を請求するか否かを判断する制度、これは、例えばヨーロッパ特許庁及びイギリス特許庁において採用されております。またドイツ特許庁におきましては、出願人の選択により先行技術調査を求めることが可能な制度になっている、オプションになっております。
 これに対しまして、アメリカの特許商標庁、オーストラリア特許庁、カナダ特許庁、韓国特許庁、中国特許庁等におきましては、我が国と同様に、あらかじめ先行技術調査結果の提示を行うことなく、先行技術調査結果を一次審査の結果とともに提示する制度を採用しております。
 このように、先行技術調査報告書が提示されてから出願人が審査を請求するか否かを判断する制度につきましては、各国の事情により採否が分かれているところでございます。
鈴木(康)委員 私は、どう考えても、合理的に考えれば、料金を上げて、あえてハードルを高くして事前にふるいにかけさせるというよりも、きちっと先行技術調査をやればいいわけですから、調査報告書を出して、それによって判断をしてもらえばいいと思うんです。そっちの方が私は合理的だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
太田政府参考人 審査請求に先立って必ず調査請求を行う、いわゆる調査請求前置制度を創設することにつきましては、出願人に新たな義務を課すことの是非、それから出願人が研究開発段階から先行技術調査を行うことに対するインセンティブの低下、あるいは特許庁の中の効率化、人員のまさに活用等々の影響、いろいろなことを考えなければいかぬと思います。
 この点につきましては、出願人、事業者等の意見も十分に聞きながら、私としては、慎重に検討すべき問題であるというふうに考えているところでございます。
鈴木(康)委員 ただ、先行技術調査というのはいずれにしろやるわけですから、二度手間というのはやはりおかしいと思うんですね。だから、私は、きちっと前置制度を設けて、審査請求の手前で出願人の方がちゃんと判断できるような制度の方がやはり合理的だと思うんですね。
 今ちょっとお話が出ました、今IPCCに先行技術調査を委託しているわけですけれども、では、例えばIPCCに調査報告書を出してもらって、それをもとに事前の判断の材料にしてもらうということもできると思うんですけれども、それはどうですか。
太田政府参考人 IPCCを活用することも一つのアイデアとして考えられないことはないかと思いますが、現在、IPCCについては、それこそ、審査請求をされたものについて、御案内のように、特許庁と一緒になってそれをこなすことに懸命の努力をしているわけでございます。
 仮に調査前置主義ということになれば、その分、恐らく出願のかなりの数が調査前置という形でIPCCに調査を求めることになるとすれば、かえって全体の審査という意味での効率の妨げになるのではないかというふうに考えているところでございます。
鈴木(康)委員 だとすれば、今はIPCCだけですけれども、その調査機関を複数にふやせばいいと思うんですね。そういうふうにしていけば、民間のそういう調査機関もこれからふえるでしょうし、今だってあるわけですから、それを複数にすれば、そこで当然競争も行われるようになるし、まさに審査の効率化ということに対して寄与すると私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
太田政府参考人 御案内のように、IPCCは特例法により指定調査機関として指定されております。今、IPCC以外に指定されているところはございません。
 調査前置主義にするかどうかは別にして、やはり先行技術調査を、かなりの品質というか、量も含めて、できるところを今後育てていかなくちゃいかぬということは私どもも全く同じ問題意識を持っておりまして、そのための努力もしたいと思っておりますし、現在、先ほど申しました特許制度小委員会でもそういう議論を始めているところでございます。
鈴木(康)委員 その点に関しては、今長官から御答弁があったわけですから、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思うんです。
 先ほど、これは奥田委員のときにも話がありましたが、いわゆる審査制度が今大変に物理的に手いっぱいであるということも前々から指摘をされているところでありますが、これは、ある新聞記事によりますと、ある弁理士さんからの提案で、例えば弁理士さんとか専門技術者の方を契約審査官として業務に当たれるような制度を創設して、もっとどんどんアウトソーシングしていくということをなぜやらないのかという指摘もありましたけれども、そういう、多少アウトソーシングということも御検討されているようでありますが、もっと大胆にそういう制度をつくるというお考えはないのでしょうか。(発言する者あり)
桜田大臣政務官 はい。ちゃんとお答えさせていただきます。
 審査請求期間の短縮に伴う審査請求件数の増大に対応すべく、審査体制の整備に向けた総合的な取り組みが喫緊の課題となっているところでございます。
 そこで、審査体制整備の取り組みの一環といたしまして、専門的な知識経験やすぐれた見識を有する者について任期を定めて採用する任期つき職員の制度を活用し、特許に関する法令知識や専門的な技術知識、特許出願に関する豊富な経験を有する弁理士を本年度より採用し、審査を行わせることといたしました。
 以上です。
鈴木(康)委員 やはり数が少ないんですね。だから、ちょろちょろ二十人ふやしたとか三十人ふやしたというんじゃなくて、もっと制度として大々的にやるべきだと私は思うんですね。そうしないと、やった意味がないと私は思うんですけれども、いかがですか。
西川副大臣 先ほども私、中山先生の御質問にお答えをいたしまして、また大臣からも御答弁を申し上げましたが、公務員の定数削減の十年間で二五%、これで総務省が特許審査官の枠をはめておるということが現実としてあるわけでございます。
 ただいま先生のお話のとおり、私も率直に申し上げますが、任期つきの審査官の採用、まだ極めて少ないんですね。やはりそこらは誤解のないように、さっき私は田中先生におしかりを受けましたけれども、不用意な言葉を使いまして、与党、野党と、そういうことじゃなくて、やはり国を挙げてという意味で申し上げたので、言葉が足りませんでしたが、今、知財立国をやらなければいけない、こういうときでございますから、これにつきまして、私は、一生懸命ふやすように努力をしなければいけない、本気で取り組んでいかなきゃいけない、こう思っております。
鈴木(康)委員 西川副大臣は、恐らく私と同じような思いや意見を持っている方だと思いますので、ぜひ政府の中でそういう方向で頑張っていただきたいなというふうに思います。
 先ほど奥田委員が最後に御指摘をしました、中小企業や個人の方への減免制度についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 今でも減免制度があるわけですけれども、大体、これが中小企業の出願の今どのくらいの割合になっているのか、まずそこから御質問したいと思います。
太田政府参考人 中小企業の減免につきましては、平成十一年から特許法に基づきまして、資力に乏しい中小企業について軽減措置を講じております。それから、平成十二年から産業競争力強化法におきまして軽減措置を講じております。両方合計した数として八百十一件で、昨年の実績でございますが、全体の審査請求件数の二・五%でございます。
鈴木(康)委員 審査請求の二・五%ですけれども、出願でいったら大体一・二%ぐらいになるんじゃないですか。ちょっと数字を高く見せるのはやめていただきたいと思います。私は、出願の何%かという御質問をしたつもりなんですが。
 さて、今回多少、適用率を上げるためにいろいろな施策がされると思うんですが、どういうふうに今後適用率を上げていこうとされているのか、ちょっとその点お伺いしたいと思います。
太田政府参考人 二つございます。
 資力に乏しい法人につきましては、これまでのところ、現在の制度では設立五年以内のベンチャー企業ということにしておりますが、五年以内だと、研究開発して出願しているうちに五年たってしまうことも多いのではないか、そういうこともあって利用率は高くないということで、私ども、これを設立十年以内にさせていただきたいと思います。
 それから、産業競争力強化法に基づいては、研究開発型の中小企業について軽減措置を講じております。これは、研究開発費が売上高の三%以上ということを要件としておりますが、これに加えて、中小企業の創造法あるいはSBIR法等々、中小企業関係の法律で認定を受けた企業につきましては対象とするという方向で拡充をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
鈴木(康)委員 今私が聞いていても、よくわからないですね。その条件が、いろいろこれがあり、あれがありで、私はもっとシンプルにすべきだと思うんですね。
 アメリカにはスモールエンティティー制度という極めてシンプルですばらしい制度があるというふうに聞いているんですが、これは一体どういう制度なのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
太田政府参考人 お答えいたします。
 スモールエンティティー制度は一九八二年から導入された制度でございます。
 この制度におきましては、料金減額を受けることのできる出願人は、従業員五百人以下の企業、個人、及び大学等の非営利団体でございます。スモールエンティティーの適用外の他者に譲渡等やその同意をしていないことが条件となります。また、外国の出願人にも適用となります。
 減額の対象となる料金は、出願料、請求項ごとの料金、応答延長手数料、特許発行料、権利維持料等であり、いずれも半額軽減となります。
鈴木(康)委員 極めてシンプルなんですね。五百人未満の企業、個人、それから非営利団体、これは全部適用される。しかも、宣誓をするだけでいいわけですね。極めて簡単にこれの適用を受けられるということであって、したがって非常にこれが活用されているわけでありますが、日本でもこういうことを、これから知財立国を目指すというんですから、これぐらいのことを私はやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
西川副大臣 先ほどからいろいろ申し上げているように、例えばヨーロッパには全くそういう減免措置はないとか、アメリカは一律半減とか、それに対して日本がわかりにくいという御指摘もありましたけれども、いろいろきめ細かくやっているつもりであります。
 いずれにしましても、こうした、状況に応じて減免の対象、こういうものをふやしたり変更するといいますか、そういうことは十分に認識をいたしているところでございます。こういう観点から、中小企業に対しましてもできるだけの配慮をしていくように努力をしていきたい、こんなふうに思っております。
鈴木(康)委員 アメリカはこう、ヨーロッパはこう、それは各国いろいろ制度の違いはありますよね。しかし、日本はこれからまさに知財立国を目指そうということで基本法もつくったわけでありますから、アメリカというすばらしいお手本がある、だったらまずそれを日本でも導入してみよう、これぐらいやはり大胆にやっていただかないと、それは赤字企業でなきゃだめ、五年を十年にしたとか細かな条件をつけられて、ほとんどの企業さんはわかりませんよ。そういう制度では、私はとてもこれから知財先進国に日本がなっていくとは思えません。
 ですから、ぜひそうしたいい制度はどんどん取り入れて、大胆な戦略を持って運用していただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
村田委員長 山田敏雅君。
山田(敏)委員 山田敏雅でございます。
 法案の審議の前に、緊急の課題がございますので、ちょっと大臣のお時間を一、二分いただきたいと思います。
 三月の二十六日にも質問いたしましたけれども、中小企業の経営者の個人保証の問題。これは御存じのとおり、たくさんのみずから命を絶たれる方が後を絶ちません。緊急にこれは政府として救済をする、そういう姿勢が必要だということで、大臣も非常に前向きに答弁していただいております。
 しかし、肝心な法務省倒産法部会、ここでどんな議論をされているのか。議事録をいただきまして、私、全部読みました。これは、法務省の方は、はっきり言って、今の法の枠組みを変えるつもりはない。現在では、倒産される、あるいは個人保証された場合は、二十一万円だけ残しましょうと。ということは、もう実質的に身ぐるみはがれるということですから、これはあしたから家族は生きていけない、こういうことで今悲劇が起こっているわけですね。これを五十万円にしようということですので、実質的に何の意味もない、変えても変えなくてもどっちでも同じ、こういう議論をされているわけでございます。
 そこで、中小企業庁の課長も出て、たびたび意見を述べられております。それも全部読みました。それから、中小企業の代表の方も言われました。ここで、もう一年以上これは議論しているんですが、いまだにまだ結論が出ない。夏ごろということで、自由財産の考えについては夏ごろ出そう、こういうことなんですけれども、そんなにのんびりやっている場合じゃないと私は思います。
 きょうお聞きしたいのは、この議論の中で、最後にこれは部会長か何かが言ったと思うんですが、大臣もたびたびおっしゃっているように、再チャレンジをする。中小企業の個人保証の場合は連帯保証的な色彩が非常に強いわけですね、法人に対して個人が保証する、あるいは連帯保証をする。それで、なくなるともう二度とチャレンジできないという性格ですから、これはもう一回、再チャレンジをできる配慮というのは非常に重要なことになるわけですね。
 大臣、その中で、今後は法令またはガイドラインで裁判所が自由財産枠を広げてもいいですよということをやっていく、これはもう最後の方法だと思うんですが、その点について、法令及びガイドラインをもってこの点を、これは経済産業省でできるわけですけれども、やる意思はあるのかないのか、これをお答えいただきたいと思います。
平沼国務大臣 山田委員御指摘のように、昨年十月に法制審議会倒産法部会において取りまとめられました破産法等改正に係る中間試案というのは、自由財産の範囲については、金銭、これは二十一万円、金額を引き上げる、こういうことが決まっています。それから、破産者の生活の状況その他の事情を考慮して、裁判所の決定によりまして範囲の拡張を可能とすることができる、こういうふうになされているところでございます。
 御指摘のとおり、三月二十六日の当委員会での答弁でも申し上げましたとおり、当省といたしましては、裁判所の決定による自由財産の拡張については、法令またはガイドラインにより拡張の基準を明確にすることが必要、このように考えておりまして、同部会においても、これは読んでいただいたと思いますけれども、再三にわたり主張をしているところでございまして、今後、本年夏をめどに同部会において結論が取りまとめられると承知しておりますけれども、このガイドラインの明確化については、当省としては、同部会での審議だけではなくて、私は、法務省に対しても直接的に働きかけていきたい。
 この前の質疑の中でも、法務省にしっかりと言え、こういうことで、私どもとしては、法務省には経済産業省としてしっかりこのことは言わせていただいている、こういうことで、さらに引き続きしっかりとやっていきたい、このように思っております。
山田(敏)委員 法務省に従来ずっと言ってこられて一年半たったわけなんですけれども、これからも努力して法務省に言っていただくという答弁をいただいて本当に心強いんですが、法務省は法務省の考えで、法律の専門家が動いているわけですね。経済産業省は、今の中小企業の人たち、特にこれから日本の産業を考えるときに、中小企業の人たちが再チャレンジをしてやっていく力がないとどんどん国際競争力がなくなっていく、こういう重要な局面に立っているわけですね。
 ですから、今大臣にお聞きしたのは、経済産業省として、今の法令及びガイドライン、これをやる気があるのかないのか。もちろん法務省に働きかけるのも結構ですけれども、これをお聞きしたいんですけれども、いかがですか。
平沼国務大臣 これは御承知だと思いますけれども、破産法としてのガイドラインということでございますので、私どもとしては、そこに盛り込むことがまず必要だ、そういうことで働きかけているわけでありまして、私どもとしては、そこに盛り込まれるように努力をする、こういうことでさらに努力をしていかなきゃいけない、こう思っております。
山田(敏)委員 ありがとうございました。
 不正競争防止法についてお伺いいたします。
 今回、我が国で初めて刑事罰を導入するということでございます。我が国には、各国の情報機関、これはCIAだとかいろいろな機関が存在しているやに聞きます。これは主に任務は、私の聞いたところでは、日本の産業スパイですね。日本の最先端の技術開発、これの情報をとるというのが今、日本における情報機関の主な任務だというふうに聞いております。
 この産業スパイを取り締まる法律が日本にはありません。外国にはそれに似たようなものがたくさんございます。特に今回出された、いろいろなノウハウを盗むとか技術の成果を外に持ち出すとか、そういうことについて刑事罰ができたということはいいんですが、これが余りにも軽過ぎる。
 この質問の通告をするときにお伺いしたんですが、これはほかの法律の関係があってということなんですが、ほかの国は、こういう重要な最先端の技術の情報が全部外国に漏れる、あるいは他社に漏れるということについては大変厳しい見方をして、産業スパイ専門の取り締まる法律をつくっているぐらいですから、我が国がほかの刑法事件と同じように扱って、同じようなことをやって、そのバランスをとってやりましょう、こういうのんきなことはやっていないんですよね。これについて、大臣、どう思われますか。
桑田政府参考人 お答えいたします。
 今、山田委員から御質問がございました、今回の不正競争防止法におきまして産業スパイが防げるのかというのがまず第一点でございますけれども、いわゆる産業スパイにつきましては、本法案で処罰することは可能というふうに考えてございます。
 例えば、外部の者が不正の競争の目的を持ちまして競業他社の営業秘密を盗んだ場合は、これを処罰することが可能でありますし、また、自分自身はスパイ行為を直接的には行わないけれども、間接的に、競業他社の社員に金銭を与えて当該競業他社の営業秘密を漏えいさせた場合なども、その社員が処罰されると同時に、金銭を与えた者も共犯として処罰されることとなります。
 それから第二点目は、山田委員からの御質問は、多分米国の経済スパイ法を念頭に置かれて、我が国の刑罰規定が余りにも軽いのではないかという御指摘だと思います。
 確かに、御指摘のとおり、アメリカの経済スパイ法の懲役刑は一般では十年でありまして、本法案の三年よりも重いものとなっております。さらにアメリカの場合には、この経済スパイ法が、実は外国の政府を利する場合には十五年という形になっております。どちらかといいますと、この経済スパイ法は、外国の政府を利する場合を規制していこうというところに大きな目的の一つがあったように見ております。
 他方で、他国の営業秘密の保護法制を見てみますと、ドイツの不正競争防止法に定める懲役刑は本法案と同じ三年以下、ただ、海外を特に利するという場合に五年という規定がございますが。そのほか、フランスの労働法典に定める懲役刑では二年以下ということでございまして、本法案の量刑よりも軽いというケースも出ております。
 したがいまして、三年以下の懲役または三百万円以下の罰金という本法案の量刑が国際的な水準に照らして、アメリカ等々から比べますと確かに軽いという点はございましょうけれども、ヨーロッパの国等と比較しますと、必ずしも日本だけが低いということではなかろうというふうに思っています。
 特に、委員からの御指摘にもございましたけれども、この量刑につきましては、不正競争防止法によって守られる営業秘密がいわゆる非登録型の知的財産でございます。同じく非登録型の知的財産であります著作権の侵害に関する刑罰が同じく三年の懲役または三百万円以下の罰金となっておりまして、これとの整合性といいますか、同じ水準にさせていただいたというところでございます。
 以上でございます。
山田(敏)委員 我が国は今まで非常におくれていたわけで、初めて第一歩を踏み出したわけですけれども、技術立国というか、技術開発が我が国の安全保障上非常に重要な問題だという認識に立てば、私は、今桑田さんがおっしゃったように、アメリカの経済スパイ法並みのものをやっていかないと、ちょっと聞くところによると、日本の企業の研究開発、そういう企業の体制、非常に甘い、もう幾らでも情報は盗める、最先端のやっていることは全部わかるというようなこともございます。
 これは、三年以下ということになりますと、じゃ、判決があったとして一、二年の量刑で出ればもうそれで何もないということで、アメリカの場合の十五年の判決ということになると全く状況が変わってきますので、今後、やはりそういう方向で日本の安全保障をしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思いますが、大臣、ちょっと最後に。
平沼国務大臣 ある意味では、知的財産を保護し、そしてそれを活用して日本の経済力を高めていくということに関して非常に重要な御指摘だと思います。
 今、前の答弁にもありましたように、いろいろ国内的な法の整合性、そういうものもあります。そういう意味では、私どもとしては、この知的財産というものをいかに守るか、こういう観点で今後いろいろな角度から検討して、その強化を含めて、やはり法務当局ともよく相談をしながら整合性を求めていきたいというふうに思います。
山田(敏)委員 公正取引委員長にちょっとお伺いします。
 先ほど中山議員からもございましたけれども、誇大広告、これは国の文化をあらわすものだなというふうに思います。
 実は私、三百ヤード飛ぶクラブを買いまして、いまだに一度も三百ヤード飛んだことがないのですが、まあ民主党の知的レベルをあらわすのですが、チタンの二十倍かたいとかいって、何か書いてあるんですね。私、ちょっとひどいなと思うのは、顔写真がついていまして、この人は東京都の佐藤さんと書いてあるんですね。この方が、私、買ってこうやったら三百ヤード飛んだとかと、その人がしゃべったように書いてあるのですけれども、僕は電話してみたいんですね、この住所と名前と電話を教えてくれたら、どうやってあなたは飛んだのか。これは、恐らく問い合わせしたら、プライバシーだとかいってやるんだと思いますね。
 一時、なくなりましたけれども、霊感商法に似たようなもので、この財布を買うと宝くじが当たったとかいって書いてあって、ありますよね、週刊誌とか新聞に。これも、神奈川県の何とかさんという人が、実は私は宝くじ五千万当たったとか。これは確かめようがないですね。
 こういうのがすごく横行していること、やはりこれは、ヨーロッパ、アメリカでこういう誇大広告は余り僕は見たことがないんですけれども、日本の文化程度を、私どもは知的レベルもちょっと今あらわしたんですけれども、根本的に公正取引委員会としてちょっと考え直さなきゃいけないときに来ていると思うのですが、いかがお考えですか。
竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、商品、サービスでいわゆる強調表示とか誇大広告とかいうものが大変多くなっているということは、我々もそれを感じております。
 これに対しましては、まず、今回の改正のために非常に大事だと思っているのですが、効能、効果をうたうという場合には、その事業者がしかるべき根拠を持っていなきゃいけません。ドライバーの場合だったら、ちゃんとその計算ができるわけですから、そういった、どういう状態だったらどこまで行ったという科学的なデータがあるはずなので、そういうものをきちんと持っていなさい、さもなくば、これからは不当表示とみなしますよと。今までは、それは公正取引委員会が一々苦情に応じて調べて、専門家に頼んでというので手間暇、お金がかかったわけですが、これからは事業者にその挙証責任を持たせるというための改正を今お願いしている。これは大変重要なといいますか、有効な手段になると思っております。
 それからもう一つ、今委員のお話の中にもありました、いわゆる体験談とか、だれそれさん、その世界の権威者らしき人にお勧めの言葉をもらって載せる、こういったものにつきましては、これが虚偽であるという場合には我々は個別具体的に排除命令を出しております。既に今までもそういうことをやっておりますので、これからもそういうことで対応していきたい。特に、美容の関係のものなんというのはよくあるのですけれども、だれそれさんは、使用前、使用後みたいなことで出ていますが、これが虚偽の場合がありましたので、そういうものについては排除命令を出しておるということでございます。
 それから、霊感といいますか、何か御利益があるというようなものも、これは体験談がある場合には同様でございまして、虚偽であればそれは是正命令を出す、こういうことにしていくことになると思います。
山田(敏)委員 ぜひ、そういうことを厳しくやっていただきたいと思います。
 最後に、今回の特許の問題でございます。
 私も前から申し上げているのですが、日本の特許の問題、根本的な問題は何かというと、中小企業がほとんど、この数字をもらっているのですけれども、大体一割ぐらいですね。大企業が九割の特許を出願する。その構造的な問題があるんですね。
 その中で、今回、審査料ですか、これを二倍にする。審査請求料を二倍にするということになると、ますます、今我が国が抱えている根本的な問題、これを、さっきのアメリカのスモールエンティティー制度を見習ってやるのかと思ったら、それに逆行するようなことを今やろうとなさっている。
 これは、私のデータがあるんですが、中小企業がこの優遇措置を受けた例が物すごく少ないんですね。ここにデータがあるんですけれども、特許料ベースでいくと、平成十二年には六件、平成十三年には九十五件、平成十四年は百十三件。何でこんなに減免措置を受ける人が少ないのかというと、さっき長官がおっしゃったように、ベンチャー企業ですよ、研究開発型の企業に限定しますよ、そんなことをやったら、もうほとんどの中小企業は入らないんですね、枠をつけちゃったら。アメリカみたいに、五百人以下の会社だったらどうぞやってくださいというんであればまだ制度として有効なんですけれども、今のこのやり方ではとても制度として有効であるということはないと思いますが、ちょっと長官。
太田政府参考人 利用件数が少ないというのは、山田委員御指摘のとおりです。それで、私ども拡充措置を、先ほど御説明、御答弁申し上げましたように、資力に乏しいもの、それから研究開発型のものを大幅に我々としてはやりたいと思っております。
 ただ、もう一つ我々がやらなくちゃいかぬことは、そういう制度があることを本当にすべての中小企業、出願者が知っておられるかどうかということは、私、疑問なしとしないと思っております。過去の出願者の総数は、恐らく十万人を超えると思います。そのうち中小企業も恐らく三、四割を占めるかと思います。私、内部で指示しておるんですけれども、別に軽減措置だけじゃなくて、例えば早期審査の道も開かれています。今、平均二十二カ月から二十四カ月ぐらい待っていただいていますが、中小企業の場合は、早期審査で手を挙げていただければ三、四カ月で審査が終わる道もある。
 いずれにしても、そういう制度をきちんとすべての出願人に、中小企業に限らず、やはり周知徹底をしていただく、せっかくつくった制度がむだになってはいかぬということで、これは今回、法案をお通しいただければ、軽減措置も含めたすべての制度について周知徹底を図り、かつ、あと手続をできる限り簡素化するということも心がけなくちゃいかぬというふうに思っているところです。
山田(敏)委員 大臣、私は実用新案を出願したことが個人でございます。ダイニングテーブルなんですけれども、それをとるとピンポンができる、ひっくり返すとビリヤードができる、それで折り畳んで収納できる、こういうのを出願いたしました。大ヒットしまして、二万台ぐらい売れまして、それをやって一カ月もしないうちに、台湾の会社が全く同じものをつくってヨーロッパの市場に出しました。そうすると、ドイツでそれが爆発的に売れまして、私には一円も入ってこない、こういうことになったんです。
 そこで、ではそれはどうしたらいいのかなとその失敗の経験を踏まえて聞いたら、外国で、例えばアメリカでもし私が出願したら三百万円かかりますと。まず、英語に翻訳するのに百万ぐらいかかると。弁護士がやるからその手数料に百万かかる。また、新たに出願料がかかると。これはたった一件の実用新案ですから、もし中小企業、この間、岡山大学の先生が糖尿病の治療法の出願をされようとなさったんですね、これは細胞を埋め込むやり方なんですけれども。これもアメリカに出そうと思うと一件につき三百万ですから、その周辺のものを取っておかないと全部特許を侵害されますから、では、十件ぐらい出さないとだめだと。そうすると三千万円というんです。その人は研修医ですから、三千万円なんてお金はありませんと。ということで、やむなくカナダの大学と共同でやろうとか、そういういろいろなことをやったんです。
 私の個人的な体験で失礼なんですけれども、今の中小企業が特許の出願が非常に少ないということもあるんですが、これは今、日本だけで通用するような特許とか実用新案というのはほとんどないんですよね。今言いましたように、すぐ中国がつくるとか、マーケットも世界的ですね。そうすると、ほとんど意味のないものにお金と時間をかけてやること、そのこと自体がもうディスカレッジされて、もうやる気がなくなって出願されない。国際的にやろうと思うと、一件につき三百万円かかる。これは一件じゃだめ、では十件三千万用意しなさい、それでもう自分の知的財産を守るということはできなくなってしまう。
 こういうことをたびたび審議会でも指摘されていると思うんですが、まず大臣、これを日本の中小企業のために何とかできる方法はないかということをお考えになる予定はございますでしょうか。
平沼国務大臣 相手が例えば米国というようなことになりますと、米国に対してもいろいろ働きかけも必要だと思いますし、また国内的にそういう有用な実用新案なり特許というものが国際的に活用できる、そういうシステムは考えていく一つの課題だと思っております。
 山田先生も、本当にそういう意味では国際的におやりになっておけば巨万の富を得られた、こういうことで今お聞きをしていたわけですけれども、そういうチャンスというものを生かせるように、なかなか難しい問題ですけれども、そういうことを容易にできるような、そういったことは検討課題として我々ちょっと考えていかなければならないかな、そんなふうに思わせていただいているところでございます。
山田(敏)委員 最後に、長官、今のポイント、これから先どうするのか、ちょっと言ってみてください。
太田政府参考人 ますます国際化していく中で、中小企業がやはり自分の権利を活用するためには国際的な出願もしていかなくちゃいかぬ、そのときにハードルが高いというのはおっしゃるとおりでございます。
 私どもも、相談事業とか、あるいは海外のいろいろな事務所等でアドバイス等をさせていただいておりますが、別途、自動翻訳というような形でいろいろな工夫が今されつつあります。まだまだ精度は十分じゃございませんが、これが、例えば文献も出さなくちゃいけないですね、アメリカに。そういうときに、自動翻訳みたいなものが精度が高まればかなりお役に立てるんじゃないか。そういう努力もしていきたいと思っております。
山田(敏)委員 ちょっと今の答弁では全然前に進んでいないみたいなんですが、自動翻訳を待っていたら何とかなる、そういう話じゃなくて、やはり中小企業の助成制度とか補助金とか、あるいは、なぜそんなアメリカの弁護士に頼まなきゃいけないのか、百万円もかけて。あるいは、翻訳をどうして一件百万円やらなきゃいけないのか。まとめてやったらやれるとか、ジェトロという制度があるわけですから、ジェトロの中に翻訳センターをつくれば、中小企業の人はそこでまとめてやれば何十万円で済むかもしれないし、あるいはそこの中で弁護士にかわる制度の、ジェトロもアメリカにあるわけですからね、ヨーロッパも。そういうことをやれば、だんと値段が下がるわけですね。そういうことを聞いたんですよ。自動翻訳なんか待っていられないんです。
太田政府参考人 御指摘の点も踏まえて、しっかり知恵は出していきたいと思います。
山田(敏)委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。
村田委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三十二分開議
村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松野頼久君。
松野(頼)委員 どうも皆さんこんにちは、民主党の松野でございます。
 きょうは、ちょっと法案に入る前に一つ平沼大臣に伺いたいことがありまして、四月三日の朝日新聞なんですけれども、随分あちこちでも報道されましたが、塩川大臣と竹中大臣がやり合ったという記事が出ておりました。これは四月の一日の経済財政諮問会議の中での話だと思うんですけれども、大臣、この経済財政諮問会議に出席をされていたようでありますけれども、このときの話は何だったんでしょうか。ざくっと答えてください、ざくっとでいいから。
平沼国務大臣 これはいろいろやりとりがありまして、そのときに、竹中経済・金融担当大臣が議事録に出ていることが真相だ、こういうふうに言われました。ですから、議事録どおりだと私は聞いておりまして、総理の指示に基づいて、意見が分かれたということでございました。それは議事録どおりでございまして、竹中大臣が言われたことが私は議事録どおり正しい、こういうふうに認識をしておりました。
松野(頼)委員 ちょっと質問の聞き方が悪かったですね。内容なんですが、国税と地方税の、要は移譲の部分の話だと思うんですが、その話にはいらっしゃいましたか。三位一体というものです。
平沼国務大臣 これは、小泉総理がかねがね、いわゆる国でできることをなるべく少なくして、地方にできることは地方、その中で、いわゆる三位一体という形で、税源の移譲ですとか交付税の問題ですとか、そういった議論の中で税源移譲に関してのくだりだったと思います。
 そこに関して、議事録に出ているとおり、三位一体の中で、竹中大臣が総括をして報告したとおりの推移だ、こういうふうに私は理解しております。
松野(頼)委員 大臣、ここですよ、これで僕のライフワークが出てくるんですけれども、要は、予算委員会の分科会の中で、実は僕は片山総務大臣に申し上げましたのは固定資産税の話ですよ。五二%、地方税は固定資産税に頼っているというのは重過ぎるから、国税から少し税源を移譲してでもその比率を下げるべきじゃないですかという話を片山総務大臣に申し上げましたらば、非常に前向きな答弁をいただきまして、それは一考に値するなということだと思うんですね。
 この経済財政諮問会議の議論は、まさに、固定資産税とは限定していませんけれども、地方税と国税のその配分の割合をどうするかという議論なんです。ですから、大臣、本当は、そこでぱっと手を挙げて、私は中小企業の立場から、ぜひ国税から一本持ってきてでも固定資産税を下げたらいかがかと割って入っていただきたかったんですよね、本当は。これは、だからしつこく、ぜひ閣内でそういう議論をしていただきたいというふうにお願いしていた、これはもう千載一遇のチャンスなんです。
 やはりこのときに伏線として、五二%を地方税、固定に頼っている。そこは、資産課税に頼っているのは重いというのは、これはもう皆さん、片山大臣もそうおっしゃるわけですから、このときにやはりぜひ大臣が手を挙げて、私は中小企業を守る立場から固定資産税を下げるんだといって、全国の中小企業の皆さんと言っていただければ、今総理に一番近い男と言われているわけですから、平沼赳夫ここにありで、非常に僕は存在感が出たのではないかと思いますが、その辺は感想はいかがでしょうか。
平沼国務大臣 そういう御意見は私も謙虚に受けとめさせていただきたいと思いますけれども、あの中では、主に総務大臣と財務大臣、この方々が一つの考え方を述べられた、その中のやりとりでございまして、そこまで詳しくは出なかった、税源移譲という大くくりの中で出ましたので、私はあえて発言をしなかった、こういうことでございまして、そういう御指摘の点というのは私もしっかりと受けとめさせていただきたいと思っております。
松野(頼)委員 ぜひ大臣、こういうチャンスを見逃さないでいただいて、事あるごとに、頭の隅に残しておいていただきたいと思います。
 それでは法案に入らせていただきますが、まず特許法の改正について伺いたいと思います。
 今回の改正、基本的なベースとしては、日本は審査の期間が長過ぎて、いろいろなむだな、むだなと言っちゃいけないんでしょうね、差し戻し審査請求が約四万件ぐらいあるから、審査に本当に入る部分の金額を上げて入り口で少し絞りましょうという話がこの料金体系の見直しだと思うんですけれども、アメリカ、日米を比べまして日本の審査期間が長いという御理解で先ほどからも審議が行われているわけですけれども、大体日本は二十二カ月から二十四カ月と言われていますが、アメリカは大体期間としてどれぐらいなんでしょうか。
太田政府参考人 アメリカの審査待ち期間は昨年で十四カ月というふうに聞いております。ちなみに、ヨーロッパ特許庁は日本と同じぐらいのファーストアクションで二十二、三カ月、四カ月ぐらいというふうに承知しております。
松野(頼)委員 その原因は何だと思われますか。
太田政府参考人 日本の場合、アメリカに比べて長いことの原因は、審査請求数が審査処理能力を上回っておる。特に、一昨年から審査請求期間を、それまで七年であった、出願してから七年間のうちに審査請求できる制度を、第三者負担、監視負担を軽減する意味から七年を三年に縮めました。ということで、短縮化の影響というのが、私ども、こぶという言葉を使っておりますが、それもあって審査請求件数が最近かなりふえておりまして、それに審査の処理件数が追いつかないという状況でございます。
 ちなみに、アメリカとヨーロッパ特許庁も、同じようにワークロードがふえておって、審査待ち期間が長期化する傾向にある。これは、三極同じ悩みを今持っているところでございます。
松野(頼)委員 審査官の人員ではどうでしょうか。
太田政府参考人 二〇〇一年の数字でございますが、私ども、特許実用新案の関係の審査官は千九十六名おります。アメリカのUSPTOが三千百六十五名、ヨーロッパ特許庁が二千九百十七名でございます。
松野(頼)委員 ただ、先ほどの議論でいいますと、人数が少ないからという、一人当たりの審査の件数が日米比べて日本の方が多いから遅いんだという議論があったと思うんですけれども、これは、ずっと見てみますと、この特許特別会計からまたアウトソーシングに相当出しているんですよ。十二の社団、財団法人と一つの独立行政法人に三百八億円のお金が出ているんですね。
 このアウトソーシングの部分で、実際に審査にかかわる部分の外郭は何でしょうか。
太田政府参考人 審査に直接かかわるところは、財団法人の工業所有権協力センター、いわゆるIPCCと呼びます、そこにサーチャーが千名以上おりまして、そこで先行事例調査をやっていただきまして、その結果に基づいて審査官が最終的な判断をするという仕組みをとっておるところでございます。
松野(頼)委員 そういたしますと、本省の審査官が約千百人、このアウトソーシングで、IPCCに千二百人プラス五十五名の専門官と午前中答えられていましたけれども、そんなに人数の差はないんですよね。先行技術の調査というのをIPCCはやっているようで、ある程度調査をしてから実際に特許庁に持ち込むというような手続がとられていると思うんです。
 ちなみに、このほかのアウトソーシングの財団、社団、独立行政法人、全部の人員の数は何名いらっしゃるんですか。
太田政府参考人 全員で、正確なところはあれですが、千八百名ぐらいになるかと思います。
松野(頼)委員 これは全部でですか。このNCIPI、工業所有権総合情報館とかそのほかの、日本特許情報機構、JAPIO、こういうのを合わせてそんなものですか、IPCCも含めて。
太田政府参考人 順番に申し上げさせていただきますが、発明協会が三百九十名おります。デザイン保護協会が、役員を含めてでございます、常勤役員を含めて二十名でございます。それから日本食品特許センターが三名でございます。それから日本特許情報機構が百十一名。工業所有権協力センター、先ほど申しましたIPCCですが、千三百二名おります。それから工業所有権電子情報化センターが二百十二名。知的財産研究所が二十九名。日本国際知的財産保護協会が四十九名ということで、先ほどちょっと千八百名というのは恐らく足し算が違っていたかと思いますが、それを足していただいた数字が全部合わせた数字でございます。
松野(頼)委員 今の、ちょっと抜けがあったように思うんですけれども、七十億円毎年支出している日本特許情報機構を今おっしゃいましたか。あと、工業所有権総合情報館、NCIPI、これは毎年五十四億出ていますね。日本情報処理開発協会、ソフトウェア情報センターとか、この辺合わせて、全部合わせてです、十一件。
太田政府参考人 日本特許情報機構は百十一名というのは先ほども申したかと思いますが、先ほど申しましたJIPDEC、情報処理開発協会とSOFTICというところは私どもの局の所管ではないもので省きましたが、訂正させていただきますが、直接所管のところが二千百七十一名おります。
松野(頼)委員 ですから、二千百七十名に本省の千百名の審査官を合わせると約三千人と、アメリカと同じぐらいの数字がいるわけですよ。その中で審査に当たっているのは、実際の先行技術の審査や調査に当たっているIPCCの人が千二百人いるわけですから、そんなに、日米の人員を比較してもこれだけの、期間の速度が差が出るぐらいのことはないと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
太田政府参考人 サーチャーの、能力の高い人に来ていただいておりますが、サーチャーの仕事ぶりというのは、一つは、今までは報告書をレポートしていただく、要するにサーチをして同じ事例がないかどうかを何十件、何百件と報告していただく、それを審査官が見て判断するというやり方をしておりました。最近は、対話型といって、サーチャー自身が調査したものを審査官と一緒に顔を突き合わせて、これは特許性があるかどうかという判断をすることになります。両方合わせて平均して、サーチャー一人が〇・五人分ぐらいの働きをしていると我々考えております。
 ということになりますと、今松野先生言われたように、千二百名のサーチャーがおります、その半分ぐらいが割合として貢献しているかと思いますので、仮にそういう計算をしますと、特許庁の審査官が千百名ですから、プラス六百名、千七百名ぐらいの要するに能力はあるというふうに私どもは考えているところでございます。
松野(頼)委員 ですから三千人、全部で合わせて、特会から金が出ているそこの外郭まで含めると三千人の人間が何らかの形で特許というものにかかわっているんですよ。本省の事務処理をしている人まで含めると、本省が二千五百人いるわけでしょう、アウトソーシングに千八百名いるわけでしょう、ですから約四千名近い人間が審査、特許にかかわっている。にもかかわらず、アメリカはアウトソーシングしているんですか。
太田政府参考人 アメリカの場合は基本的にしていないというふうに承知しております。
松野(頼)委員 ですから、アメリカでは三千人の人間が審査にかかわって、日本は四千人のうちの千六百人しか審査にかかわっていないという現状の中で、審査期間の長さがアメリカよりも劣っている、随分遅いということが一つ現実なんですよね。
 この特許特別会計というのは、要は特許の出願人が特許の審査のために払っているお金ですよ。一番やってもらいたいのは、審査を早くやってもらいたいことだと思うんですけれども、そのお金を、アメリカでは、人数比較して、アメリカの事務官が何人いるのかわかりませんけれども、アメリカでは三千人であり、日本では約四千名以上の人間が特許に携わっていながらそれでも特許がおりるまでの期間が長いという、これは非常に不利益だし非効率だと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
太田政府参考人 日本の場合は、特許庁と約千百名の審査官と主としてIPCCと協力しながら審査を進めております。一人当たりの年間の処理量が大体百八十件を超えておりまして、アメリカの二倍、ヨーロッパの三倍の件数をこなしているということでございますので、決して不効率になっているというふうには私ども考えていないところでございます。
松野(頼)委員 この特許特会から出ている三百八億円のアウトソーシングの中で、IPCCに行っている金は百二十七億円なんですね。その他の百八十億円は、特許関連かもしれないけれども、審査以外の部分にお金が出ているわけですよ。ですから、なるべく効率的に、予算を重点的に、なるべく特許の審査を早めるような方向に使うのが私は筋だと思うんですが、その辺はやはり改善の余地があるし、日本はまだ特許の審査人数が少ないからアメリカに比べて特許までの時間がかかるんだということの理論には私はならないと思うんですよね。
 一つ、もう一点ここで伺いたいんですが、IPCCで先行技術の調査をするのに当たりまして、特許庁は一件幾ら払っているんでしょうか。
太田政府参考人 平成十四年度の先行技術調査一件当たりの単価は七万四千円でございます。
松野(頼)委員 今回、法改正で審査請求料を九万九千五百円から十九万九千円に値上げをしますよね。これは審査の部分のお金を値上げするわけですから、IPCCにまさに委託する分野だと思うんですね。七万円IPCCに払って十九万もらうという、この差額十二万があるわけですよ。この辺、いかがですか。
太田政府参考人 今回の料金改定に当たりまして、特許庁の業務にどのくらい実費がかかっているかということを、監査法人によってコスト試算をしていただきました。それによりますと、特許審査にかかる実費コスト、これはIPCCのを入れてでございますが、平成十四年度実費で約二十五万円、今後十年間の実費平均で、恐らく審査の内容が、出願の内容が非常に高度になるということで、三十万円と算出されております。
 そういうことで、今回、実費を勘案しながら政策的にということで、審査請求料金を、今現在約十万円のものを二十万円にさせていただいたわけですが、当然二十万円では実費は賄えないわけでございまして、二十万円以外の部分については特許料の方から補てんすることになると思います。
 御質問の、IPCCに一件当たり七万四千円、プラス特許庁の審査官の給与、そのほか情報システム関係の費用等々を含めて、先ほど申しました二十五万円から三十万円というものを賄っていかなくちゃいかぬということでございます。
松野(頼)委員 やはりここの部分は、多分、今回の料金体系の変更を見ると、アウトソーシングをなるべくふやしていこうじゃないかというのが底流にあると思うんですね。一説によると、IPCCをブロックごとにこれから展開していこうとかいう形で行われるんじゃないか。特許の審査を早くするために、要はアウトソーシングをふやしていこうじゃないかというのが底流に見えるわけですが、余り、これ、アウトソーシングをふやして、審査料を十九万に上げたから、どんどんIPCCに投げればいいじゃないかというような発想になるんじゃないのかなという思いがするわけですよ。
 実際に特許庁の審査官がやりますのは、先行技術の調査をIPCCが七万円で請け負ってやった後に、実体審査として、新規性の審査、進歩性の審査というのを、これを審査官がやるわけですよね。すると、IPCCの審査官の職域と特許庁本体の審査官の職域というのが非常に不明快なんです。やはりここはきちっと線を引いて、審査料を値上げしたからどんどん安易に外に振ればいいやというような話では私は困ると思うんですが、その辺は歯どめをしっかり今答えておいてください。
太田政府参考人 特許庁の審査官の仕事でございますが、今松野委員おっしゃられたように、IPCCのサーチャーがサーチした結果を踏まえて新規性、進歩性を判断するということになります。
 私ども、やはりサーチャーがどんどんふえた場合に、今度は審査官がそれに伴わないと、せっかくサーチャーが判断したことを踏まえて審査ができないことになりますから、ぜひともそこの歯どめというかバランスはきちんととっていかなくちゃいかぬというふうに考えているところでございます。
松野(頼)委員 ぜひ、大臣、この行革の流れの中で、午前中に西川副大臣が公務員二五%削減とおっしゃいましたけれども、公務員数の総枠を気にされるよりも、やはりこうやってアウトソーシングをたくさんつくって、もう細かいことは申し上げませんけれども、IPCCにしても、理事長がいる、副理事長がいる、専務理事がいる、常務理事がいる、理事が二人いる、また、それぞれ高い年俸を取って、退職金も四年ぐらいで年俸分ぐらいを取るという、これが今言った十幾つの財団で、全部細かく見ていませんけれども、やはりあるわけですよ、大なり小なり。
 ですから、なるべく、やはり知的所有権というのは非常に日本にとりまして、特にこれからの世代、日本の外貨獲得の手段でもあり、日本の経済復興の大きな手段でもあり、戦略としては非常に大事な部分でありますので、なるべくその特会自体のむだを省いていただいて、そして、なるべく特許が早くおりるような審査のスピードアップというものをどうか考えていただきたいと思います。
 今申し上げただけでも非常に資金的に、まだまだ頑張れば、アメリカと比較してもそんなに、携わっている人員の数はそう変わらないわけですよ。本省の審査官の人数だけを比較しますと、これは千百人と三千人だから、これはしようがないなと思われるかもしれませんが、全体の特許という特会全体にかかわっている人員を調べますと、アメリカより下手したら多いんじゃないかと思われるぐらいの人員がこの関連で作業をしたり働いたりしているわけですから、まだまだ今の状況でも十分速度アップはできると思うんです。どうかその辺、一言お願い申し上げます。
平沼国務大臣 重要な御指摘だと思っておりますし、これまでも厳しい中で随分努力をして、そして、アメリカに比べればまだ速度というのは遅いわけですけれども、ヨーロッパぐらいの水準にはようやくなってまいりました。ですから、むだを省いて効率性を高めて、知的財産立国の日本にとってふさわしいそういう制度にしていかなきゃいかぬと思っておりますので、そういう面で一生懸命努力はしていきたい、こういうふうに思っております。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
松野(頼)委員 あともう一つ、一点、国際特許出願についてちょっと伺いたいと思いますが、先ほど午前中に山田議員からも指摘がありましたが、要は日本の知的財産、要は日本の特許をいかに世界でとって、それによって世界のマーケットの中から日本が利益を得るかという、これは非常に大きな世界戦略だと思います。このフォロー体制につきまして、午前中も、翻訳に幾らかかって、特許に幾らかかって、こんなんじゃとても外国に中小企業や発明家、非営利の研究室が、とてもこれじゃ海外の特許まで出せないよという話なんですよ。
 どうかこのフォローアップ体制について、今後どういうふうにしていくべきなのかというのを伺いたいと思います。
高市副大臣 この国際特許協力条約、PCTに基づく出願ですけれども、これは世界的にも急増しておりますし、日本でもふえていくだろうと予想しております。
 海外での円滑な特許取得を進めるためには、やはり特許庁における体制整備ということが重要であると思います。
 現在、このPCT出願に関する国際調査報告、それから国際予備審査報告につきましては、特許協力条約におきましてその作成期限が定められておりますことから、審査官は通常の国内特許出願の審査等の業務に優先してこのPCT出願に着手をしているところでございます。しかしながら、今後、こういった優先的な取り組みに加えて、必要な審査体制の整備には努めてまいるつもりでございます。
松野(頼)委員 先ほど山田議員も指摘しましたけれども、翻訳センターをつくるとか、向こうの弁理士さんなりなんなりにつなぐときのコストダウンを図るために、やはりそういう部分は僕はセンターをつくってもいいと思うんですよ。これは本当に、日本の大事な知的財産が外で外貨を稼いでくれる大きなポイントだと思うんですよ。
 変なところにお金を使わずに、こういうところにはある程度、僕は、センターをつくっても構わないから、きちっとしたフォローアップのシステムをつくって、いきなりインド語で翻訳して出せとかそういうことを言われても、特許の発明者としては非常に現実的には難しい話だし、それだけお金がかかるし、費用もむだだから、無理だからこれはもうあきらめておこうという話が、さっき実体験として山田議員が言っていましたけれども、多分それはたくさんあると思うんですね。
 ですから、きちっと補助金を出してでも国がフォローをつくって、センターをつくっても構いませんから、こういうことには。しっかりとしたフォローアップと、これはいけるぞ、世界でもいけるかもしれないぞという発明に関しては、特許庁が、出た発明に関しては、では、これはぜひ海外でもいきましょう、この国とこの国とこの国でいきましょうやということをどんどんフォローアップしていただいて、日本の知的財産が外貨をしっかりと稼げるような、そういう体制を国がつくっていただきたいと思います。
 それと、さっきのIPCC及び特許特別会計に関して、ぜひ天下りもしっかりやめる。こういう不況の御時世ですから、やはりどうしても国民の目につくのは、一々重箱の隅をつつくようなことは言いませんけれども、こういう御時世ですから、なるべく事業全体を見直して、これは役割が終わったのではないかと。
 それと同時に、何人も天下りを抱えて、多額の年俸を払ったり退職金を払ったりという部分は、これはやはり出願人としては、何とか自分の発明したものが早く審査をしてもらって、それによって、その零細企業から見れば、自分がこれで業を成り立たせたい、切実な思いで出している出願料だと思うんですよ。
 ですから、どうかそこはしっかりとメスを入れていただいて、そしてなるべく早い時期に日本の知的財産が海外で外貨を稼げるような、そしてある意味では知的財産立国ぐらいの勢いでこれをやっていただくことが日本経済の繁栄の一つではないかと思うんですが、最後に、大臣、その決意のほどと、きちっとメスを入れる部分の決意も含めて、御答弁をいただきたいと思います。
平沼国務大臣 財団でございますとかいろいろな法人、これが決して全部むだであるということでは私はないと思います。それぞれ存在理由があって、必要な機能は果たしていると思うわけですけれども、御指摘のように、やはり国民の批判が出るような、そういうことは厳に慎んで、そしてしっかりと精査をして、そして国民の皆さん方が納得いく、そういう機能としての役割、これを担っていくことが必要だと思っておりますので、不断の見直しを含めて、私どもはしっかりと検討していかなければならない、こう思っております。
松野(頼)委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
谷畑委員長代理 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、景品表示法の改正案について一問お伺いいたします。
 現行法の第六条第二項で、排除命令をしたときには告示をすることになっておりますけれども、今回の改正案ではその部分が削除されています。その条文の規定ぶりから見ますと、排除命令が出されても告示をされない、言いかえれば、一般消費者に公表もして社会的制裁を受ける手続がなくなっているように見えるんですけれども、この点はどのように担保されるのか、お聞きしたいと思います。
竹島政府特別補佐人 御指摘のとおりの改正をお願いしていますが、これは次のとおりでございます。
 現在は、排除命令を出しますと、それを官報に掲載させていただきます。それまでに十日ないし二週間かかります。官報に掲載してから三十日たちましてから、その排除命令が法的に確定をするということにされているわけでございます。こういうスピードの速い時代でございますし、なるべく消費者に迷惑のかからないように、誤認はなるべく早く解くということが大事でございますので、今回はこの規定を削除しまして、私どもはこういうふうにさせていただきたいと思います。
 排除命令を出したら、すぐオープンにします。公取として新聞発表いたします。それは当然、報道機関を通じて、マスメディアを通じて、消費者の知れるところになる。それから相手企業も、公取の指示を受けて、みずから新聞等を通じまして不当表示の事実を消費者に周知するということも同じでございます。こういうことでございますので、消費者に知れる時間がむしろ早くなるということでございまして、改善であるというふうに思っております。
塩川(鉄)委員 わかりました。
 続いて、不正競争防止法について何点かお聞きします。
 改正案の第五条の二に定める「具体的態様の明示義務」という部分がありますけれども、その内容についてなんですが、侵害の有無について、要するに挙証責任の転換を求めたものではない、その点を確認したいと思っているんですけれども、私の方が営業秘密をある人に侵された場合を想定したときに、私がその相手に対して、これこれこういう理由で相手方が私の営業秘密を侵害していると主張したことに対して、相手がそれを否定するのであれば、私が主張した理由と同程度の理由を明らかにしなければならないということではないのか。つまり、この規定は、私が相手に対して、あなたは私の営業秘密を侵害している、侵害していないならきちっと理由なり証拠なりを示せということを要求することができると定めたものではないということだと思うんですけれども、その点を確認したいと思います。
桑田政府参考人 今御質問のございました不正競争防止法改正案の五条の二でございますけれども、不正競争防止法におきまして、訴訟を提起する場合には、当然のことでございますけれども、原告がまず相手方の不正競争行為を特定して、侵害のあった旨を主張しなければなりません。ただ、先生から御指摘ございましたように、例えばある商品を生産するためのノウハウが相手方の工場内で実施されているといったケースの場合には、原告は相手方の工場の中のノウハウを入っていって特定するということは困難でございますので、結果的に原告が敗訴といったようなケースが多々ございます。
 このため、私どもは、平成十一年の特許法の改正と同様に、不正競争防止法におきましても、原告のみならず相手方にも侵害行為の特定に積極的に関与させるため、今回、本規定を設けることにしました。これによりまして、争点がより明確になる、それから訴訟審理の充実、促進が図られるというふうに期待をしておるわけでございます。
 それからもう一点、先生からの御指摘の中で、被告に対して主張とか立証責任を転換するのではないかという御指摘がございました。
 これは、民事訴訟法におきましては、まず原告が主張及び立証を行った上で、それに対して被告が反証するということでございます。被告に自己の具体的態様の明示を求められる程度も原告の主張とか立証の程度に応じて決まるというものでございまして、実際に裁判の実務におきましても、お聞きしましても、原告に相当程度の努力をさせて、被告製品の内容や方法について十分に主張、立証させた上で被告に反証させているということでございました。したがいまして、本規定は、お尋ねのように、被告に対して主張の責任でございますとか立証責任を転換するというものではございません。
 なお、規定の上でも、被告は、自己の行為の具体的態様を明らかにすることができないという相当な理由があればこれは拒むことができますし、また、同規定におきましては、法的拘束力を生じさせるものではございません。
 以上でございます。
塩川(鉄)委員 今回の改正の際に、いろいろ懸念の声が出ておりました内部告発の問題や、あるいは報道の自由、職業選択の自由を阻害するものではないという点について、ぜひ具体的に御説明いただきたいと思っております。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 内部告発、それから取材、報道の自由、職業選択の自由を阻害するのではないか、これについて答弁をしろ、こういうことでございます。
 本法案の骨格を議論した産業構造審議会におきましても慎重な審議が行われまして、これが今回の法改正によって阻害されることのないように手当てがなされているところでございます。
 まず、内部告発や報道活動の自由についてでございますけれども、これらの対象となる有害物質の垂れ流しや脱税の事実等の反社会的な情報は、そもそも公序良俗に反するものであるため、本法の保護の対象となる営業秘密から除かれることが判例上明確となっているところでございます。
 これに加えまして、本法案におきましては、不正の競争の目的、すなわち、自己を含む特定の競業者を競争上優位に立たせるような目的を有することに処罰の要件を限定しておりますので、内部告発や報道活動はこの目的に該当をしません。したがいまして、処罰の対象からは除外される、こういうことに相なります。
 なお、刑法第三十五条は、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」こう規定しておりまして、憲法上保障される報道の自由に基づく正当な業務行為でございましたら、違法性がこれは阻却され、処罰対象とはなりません。
 次に、職業選択の自由についてでございますけれども、具体的には、従業員が業務上知り得た営業秘密について、不正な使用または開示が刑事罰の対象とされるのは、原則として従業員である期間に限定をされているところでございます。このため、従業員が在職中に身につけあるいは知識となったノウハウ等を転職先において活用することは、処罰の対象とされておりません。
 他方、退職前に営業秘密が記録された媒体を横領し、退職後、これを不正に使用または開示する悪質な行為については、これは例外的に処罰の対象としておるところでございます。
 したがいまして、本法案によりまして転職の自由、内部告発の自由及び取材、報道の自由が阻害されるようなことはないものだ、このように思っているところでございます。
塩川(鉄)委員 次に、金型の問題というのがこの間の議論となって、不正競争防止法の議論の際にもこの点が一つの論点だったわけですけれども、この金型技術の海外流出が問題になっているときに、金型技術の秘密の保持についてこの法律でどのように防止ができるのか、その点について、ぜひこの機会にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 我が国製造業の競争力の源泉ともいえる金型技術の流出問題につきましても、その技術が金型メーカーの営業秘密として管理されていれば、本改正法案において保護されることに相なると思っております。
 まず、金型のユーザー企業の担当者が、当初から海外で二番型を発注するつもりでいながら、一番型のメンテナンスのために必要である、こういうことを言って偽って、金型メーカーが秘密として管理している設計図面やあるいはCADデータを取得するような詐欺行為などは処罰対象となるわけでございます。
 また、ユーザー企業が金型メーカーとの間で秘密保持契約を締結し、設計図面等を秘密として管理しているときに、その従業員が、設計図面等を不正の競争の目的で横領または複製するなどして不正に使用または開示した場合には、ユーザー企業の告訴によりましてその従業員を処罰対象とすることができるわけであります。
 こうした刑事上の措置に加えまして、本改正法案におきましては、他人からの侵害行為やそれから生じた損害額の立証を容易化するために、民事的保護の強化もあわせて講じているところでございます。
 このような民事、刑事両面からの手当てにより、日本にとって非常に重要な技術であります金型の問題については、金型メーカーの保護、強化が図られる、こういうふうに考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 それでは、次に特許法についてお聞きします。
 私は、特許法について質問する機会というのがたまたま今回が初めてでありまして、基本的なことはどういうことなのかというので紹介をされましたのが、特許庁がつくっております中学生以上向けの副読本というのがありまして、こちらの方をずっと拝見していましたら、なるほどそうかと思いながら、特に「明治の頃の発明アラカルト」ということで豊田佐吉さんなども紹介をしながら、日本での最初の特許権、特許一号、特許二号といましたが、この特許二号の埼玉県の高林謙三さんというのは私と同郷の方で、埼玉県の日高市というところなんですけれども、私も懐かしく思い起こしました。
 せっかくですから、特許庁の方からいただきまして、こういう生茶葉、お茶の葉っぱを練ったり乾燥させたりしますよね、この生茶葉蒸し機械というのの特許が第二号ということで紹介をされているわけですね。これは、埼玉県でも埼玉の偉人としてこの高林謙三のことを紹介しておりまして、ちょうどホームページで拝見しましたら、特許の二号もそうですけれども、三号、四号ととっているんですね。
 ちなみに、特許の一号というのは宮内省の技師の発明した軍艦に塗る塗料なものですから、いわゆる民間発明家の第一号というのがこの高林謙三なんだということでは、民間の方の発意、創意を本当に尊重する、そういう特許制度のスタートというのが私と同郷の方ということに改めて大変誇りに思いましたし、こういう特許制度の充実という点についても大いに私自身も今後勉強もしていきたいというふうに思ったところであります。
 これを前提にしまして、実際の今度の特許法の改正というのはどういうふうになるのか、その点、特に料金制度のあり方の問題を中心にお伺いしたいと思っています。
 今回、料金制度のあり方の見直しの議論の中で、戻し拒絶の問題がありました。一次審査における拒絶の理由に対して出願人から何の応答もない、そうやって拒絶査定となる戻し拒絶が二割ぐらい、〇二年ですと二四・二%もあるということなんですけれども、この理由というのは何なんでしょうか。
太田政府参考人 お答えいたします。
 審査官からの拒絶理由通知に対して出願者が何らの応答もしないまま出願の拒絶がされるいわゆる戻し拒絶査定が、おととしですと二〇%、去年ですと二四%ぐらいに上ります。
 そういう要因、かつ、最近は増加しているわけですから、その増因について、私ども、企業に対してヒアリング調査もしました。それから、産業構造審議会知的財産政策部会の特許制度小委員会でもいろいろな指摘がされました。そのヒアリングあるいは指摘によりますと、次のような三点ぐらいの要因があるかと思います。
 第一に、審査請求に対して先行技術調査が不十分であったため、審査官が拒絶理由通知において提示した、こういう文献がありますよという引用文献との対比から特許性を主張することが困難である、これ以上やってもだめだというふうに出願人が判断する場合。
 それから二つ目が、事業計画の変更等により、会社の方針をある程度こちらの分野に決めるというようなことで事業価値が少なくなる、権利取得の必要性そのものを失うような場合もあると聞いております。
 それから第三に、これは大企業の場合が多いわけですが、分社化が急速に進展しまして、グループ全体としての知的財産管理が必ずしも十分に行われていない。同じようなグループの子会社同士で、同じような発明を出願される場合もあると考えております。
 こういう傾向が、最近、全体、選択と集中、あるいはリストラ等も含めて、増加の傾向に拍車をかけているんじゃないかというふうに考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 先行技術調査が不十分というのは、それは一定割合であって、もらって、ああそうかなというので返事もしないというのは、当然、一定の割合であると思うんですよ。
 そうしますと、この間、増加傾向にあるという点で御説明になったということでいえば、事業計画の変更ということで、企業の選択と集中ですよ。大手企業が経営資源をどこかに集中していくという中で、切り捨てたという点について回答がなかったということが戻し拒絶になっているんだろうということと、あわせて、分社化で、これも変な話ですけれども、分社化したそれぞれがそれぞれ開発していて、それが結果的にダブっていたと。そういうのだって、企業の組織再編の中で生まれたものですよね。
 それが、結果として戻し拒絶が多いという理由で、今回、それも一つの理由として、それを減らすということを理由に料金体系の変更を図るというのはちょっと不思議でならないといいますか、直接的な原因にメスを入れていないんじゃないかなと思うんですけれども、その点、どうですか。
太田政府参考人 先ほど申しましたように、ヒアリング、あるいは産業構造審議会の中での議論で、先ほど私が申しましたように、第一番目に挙げた、先行技術調査を十分にしていないと。これは、経団連の知的財産小委員会の意見でも、そういうことをみずから言われております。中小企業の場合も同じような傾向があるかと思います。
 それに加えて、先ほど申しましたような選択と集中で、事業分野を変更して、もう出さなくてもよくなるとか、そういうことはあるかと思いますが、基本的には、第一番目に申し上げた理由が一番私としては大きいと思っております。
塩川(鉄)委員 いや、経団連がそういうふうに言うのはわかりますよ。自分のところでやってみて、いいかげんなものを出しちゃっているなという話でしょう。でも、中小企業がいいかげんなものをたくさん出し続けている、この間それがふえているということは、どうやって実証しているんですか。
太田政府参考人 正確な数値は持ち合わせておりませんが、中小企業と大企業とを比べて、戻し拒絶の率はほぼ同じでございます。大きな差異がございません。
塩川(鉄)委員 私は、きのう、戻し拒絶について資料請求したんですよ。大企業とそれから中小企業の戻し拒絶がどれだけあるのかと言ったら、データがありませんでしたと言っていましたよ。何で私のところに出さなかったんですか。
太田政府参考人 お求めいただいたということで私も承知しておりますので、そこはおわびいたします。
 ただ、結果として、数字自身はほぼ同じような傾向を示しているということが言えると思っております。
塩川(鉄)委員 納得いかないですね。私は、この点が大事だからと確認しようと思ったんですよ。要求したにもかかわらず、わざわざ、データがありませんでしたと書いているんですよ。一番肝心な問題について説明を求めたのに、何で答えないんですか。そうすると、本当に、あなたが言っている大企業と中小企業の戻し拒絶が同程度だという根拠だってないということを私には報告しているんですよ。これは納得いかないんですけれども。
太田政府参考人 私どもの、上位三百社をずっと調べてまいりまして、その間は全く、ほとんど差がないということで、中小企業についても同じような傾向にあるというふうに私は思っております。
塩川(鉄)委員 上位三百社には中小企業はあるんですか。それでどうして類推できるんですか。
太田政府参考人 恐らく、上位三百社にはもちろん中小企業はないと思います。ただ、累計で、ほとんどこの上位一から五十社、上位一から百社、上位一から二百社、上位一位から三百社、これについて全く、〇・数%の差はありますけれども、ほとんどないということは、同じような戻し拒絶の形態を、態様をしているんだと私は思っております。
塩川(鉄)委員 上位三百社まで調べて、それぞれの五十位ぐらいずつの区切りで同程度だというのは、そこまではわかりますけれども、その下というのは調べてもいないんでしょう。それで中小企業も同じだという根拠というのは出てこないと思うんですよ。私は、その点では、中小企業に対する配慮というのがどうかというのが、この特許法の問題で一番問われていると思うんです。
 その前に、そもそも、産構審の小委員会の中間取りまとめを見ますと、審査請求料の値上げによって、査定件数の二割を占める戻し拒絶を半分ぐらいに減らして、査定件数の一割の低減を目指す程度が妥当だというふうに述べているわけです。
 そういう点では、先行技術調査の不十分なまま出願して、特許庁の通知にも応答しないような出願の審査請求を削減するために、きちんと調べないで出しているようなところを抑え込むために、まじめに出している人に対して、八割以上がまじめに出しているわけですから、そういった方に大きな負担を強いるというのは、やはりどう考えても筋が通らないんじゃないですか。その点をお聞きします。
太田政府参考人 今回の料金体系の変更は、出願料を引き下げ、審査請求料を上げ、特許料を下げる。平均的な出願人の場合、今までライフタイムコストが四十八万円程度のものが、約十万円下がって三十八万円ぐらいになります。それから、軽減措置を受けている中小企業の方は、三十九万円が二十八万円ぐらいになります。
 ということは、審査請求の段階で先行技術調査をされて、ちゃんと特許性のあるもの、事業価値のあるものを出される方の負担が特許率が高まれば減っていくということを意味するわけでございまして、八割の方、従来、そういうような安易に出されている方の審査請求のコストを特許料で負担している方のコストを、特許料の引き下げということで補てんするというか手当てするということになって、むしろ八割の方にプラスになるというふうに考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 特許率の高い低いの話がありました。それがばらつきが広がっているという説明も受けましたけれども、今は特許率の平均が何%で、私、上位十社の合計の特許率が低いというふうに聞いているんですけれども、それがどのくらいで、あと、この機会ですから、中小企業の特許率というのは何%かというのを教えてもらえますか。私が聞いてもきのうは返事がなかったのが、きょうは準備されているかもしれませんから、お願いします。
太田政府参考人 お答えいたします。
 二〇〇一年で、全体、五五・四%でございます。上位十社で五三・九%、それ以外で五七・四ということでございます。
 中小企業のデータは持ち合わせておりません。
塩川(鉄)委員 中小企業に関心がないんだなということがこれでもよくわかるわけですけれども。
 大企業の上位十社、もうとにかくたくさん出しているところですよ。たくさん出しているところの特許率が低いというのが、今説明があったように、事業計画の変更だとか分社化だとか、こういった形で出しているのがふえているんじゃないですか、戻し拒絶とか。それは、そういった企業に対して個別にでも対応すればいい話なんですよ。選択と集中、みずから図って、分社化して、逆にむだをふやしているというのであれば、そこにメスを入れればいいわけで、そういう戻し拒絶が増加している肝心のところに手を入れずに、とにかく一般的に、審査請求料を高くして、経済的な圧力をかけて抑え込むというのでは、まじめな八割の人が浮かばれないというふうに思うんですけれども、改めて、いかがですか。
太田政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申しましたように、むしろ八割の方がプラスになる、審査請求段階で、事業性のあるもの、特許性の高いものを出される方ほど、全体の費用は下がるわけでございますのでメリットを受けるというふうに考えております。
 あわせて、今、塩川先生御質問のあった企業の方に対する啓発というか、そういうものについては、私ども、従来から、機会をとらえてやっております。これからも、まさに知財管理ということで、啓発に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 私は、出願から維持までの総コストが安くなるというふうに言いますけれども、やはり大事なのは入り口だと思うんですよ。やはりスタートのときに、権利を付与するまでに多くの方はエネルギーを注ぐわけで、そこの負担を軽くする、ハードルを低くするということが改めて問われていると思うんです。
 この点で、きのうの日刊工業新聞に、日本弁理士会の知的財産支援センターの小林さんという方がコメントを寄せておられました。なるほどなと思って拝見したわけですけれども、「知財の支援は着想段階から研究開発、結果の創出、権利化、権利活用までトータルで行うべきだ。知財は“できあがったもの”の活用なら成果を出しやすいが、権利取得までが困難で、本来そこを支援するのが肝心。役所的感覚で各段階を分断しては、うまく機能するはずがない」と。
 私、そういう点でも、権利付与前の段階の支援に尽くすべきときなのに、ここを倍に引き上げるというのは逆方向じゃないか、知財戦略の上でも全く反対方向を向いているんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
平沼国務大臣 先ほど来特許庁長官から答弁をさせていただいていますけれども、選択と集中とか分社化というのは副次的な要因でありまして、やはり先行技術調査、これがうまくいっていないということが主たる原因でございます。
 したがいまして、入り口のところで八割の人たちが不当な、こういうことですけれども、これは繰り返しの御答弁になりますけれども、トータルで、やはりそこの関門をくぐったら特許になる可能性が非常に高いわけですから、そういう中で全体がコストダウンになるということは、インセンティブを与えることにつながる、私どもはそう思っておりまして、私どもは決して、入り口ですべてをシャットアウトしている、こういうことではないと思っております。
 それから、先ほどの御質疑の中で、中小企業に対してデータがそろってないではないか、こういうような御指摘がございました。これに関しては、私どもは中小企業に対して、そういういろいろな動向というものは、これは調べれば私はわかることだと思っておりまして、今までも、それは中小企業を差別した、こういうことではないと思っておりまして、そういうデータ的なものは私どももちゃんと検討はしていかなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。
塩川(鉄)委員 もともと、やはり高い特許率とか質の高い特許というのは、先行技術調査などをきちっと行う、こういうところを本当に丁寧に、親身の支援ということがあってこそ、審査請求の部分でプラスに反映をするというところにこそ力を注ぐべきだ、そのことが前提にあってこそ成り立つものだということを踏まえた上で、中小企業の問題ですけれども、大臣、今、中小企業の動向についても無関心ではないんだということをおっしゃっておられましたが、現場は、聞いても出てこないんですよ。中小企業というくくりで、では、例えば特許率は幾つですかという話になっても、わからないという状況なんですよ。それは、やはり中小企業の負担軽減というふうに言っているけれども、そういう状況じゃないというふうに思うわけですね。
 その上で、今回の料金体系の改定というのが中小企業にどういうふうな影響を与えていくのかということをお聞きしようと思うんです。ちょっと数字の確認ですけれども、審査請求の件数に占める中小企業の割合は何%で、それから特許査定に占める中小企業の割合は何%かというのを、二〇〇一年のデータで、前、私も数字でいただいたんですけれども、その数字の確認をしたいと思います。
太田政府参考人 審査請求件数に占める二〇〇一年の数字でございますが、一三%でございます。特許査定に占める比率が九%でございます。
塩川(鉄)委員 つまり、審査請求で中小企業が全体の中で負担する審査請求料は負荷がふえるわけですけれども、その審査請求に関して、全体の企業数のうち、中小企業は一三%だ。特許料が安くなるわけですけれども、そこにかかる、特許料を払うに足る、実際の特許権にかかわる特許査定を得たのは全体のうちで九%。減っているんですよね。これは、ひっくり返しますと、大企業はどういう数字になるんですか。
太田政府参考人 大企業自身の数字は、今、パーセントで出すことはちょっと間に合いませんのであれでございますが、当然、審査請求件数より特許査定件数に占める比率の方が大きいかと思います。
塩川(鉄)委員 これは、特許庁の方で線引きしてもらった基準で大企業と中小企業を区分してもらっていますから、裏返しの関係ですから、中小企業でないのはみんな大企業なんですよ、合計して一〇〇%ですので。となると、中小企業は、審査請求が多くて特許が少ないんですよ。その分、大企業は、審査請求が八七%に対して特許査定が九一%ですから、つまり、特許料を下げて審査請求料を上げるということは、中小企業に対して大企業の方がメリットがあるということなんです、わかると思うんですけれども。
 逆に言うと、中小企業の方が、特許査定を受ける数が、全体の比重が少なくなりますから、特許料の下がるメリットが少なくなって、逆に、それ以上に、審査請求料の負担が二倍になるというのをより多くかぶる。私は、これは、結果として、中小企業から大企業に所得移転が起こっているようなものじゃないか、中小企業軽減支援なんといっても、逆に中小企業から大企業に負担を転嫁するような、そういう結果になっているんじゃないですか。この点、いかがですか。
太田政府参考人 お答えいたします。
 先ほどお答え申し上げましたように、今回の料金改定が実現すれば、平均的な出願人でいえば一件当たり四十八万円から三十八万円程度に下がり、また、軽減措置を受ける中小企業については、三十九万円が二十八万円ぐらいになります。ただし、審査請求料の値上げが先に来ます。特許料の引き下げというのは後から戻ってまいりますので、どうしても資金繰りに相対的に苦しい中小企業について、今までも軽減措置を講じておりますが、今回、それを拡充することとしたいと思います。
 あわせて、私ども、中小企業、先ほども申しましたように、審査請求件数の割合が一三%で、特許の件数で九%、いろいろな要因はあるかと思いますが、やはり先行事例調査が十分できてないところというのもあるかと思います。その辺については、現在、実用新案について同じ制度をやっておるんですけれども、全国の発明協会の支部に頼んでいただければ、無料で先行事例調査をやるという仕組みを現在動かしております。これを、特許についても、中小企業が行う場合、要請する場合は、支援体制を整えたいというふうに考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 答えをいただいてないんですけれども、要するに、審査請求の部分と特許の部分と、四ポイントの差があるわけですよ。それは、結果として、特許料を引き下げて審査請求料を引き上げるという料金体系の中では、中小企業の負担がふえ、相対的に大企業の負担が軽くなるという結果になっているんじゃないですかということを聞いているんですけれども、その点はどうですか。
太田政府参考人 そういうふうな面もあるかと思いますが、要は、やはり先行事例調査についてきちんとできる体制を整えていくということが第一点かと思っておりますので、その点については、私、先ほど申しましたような支援体制を整えたい。あと、中小企業大企業にかかわらず、特許率を上げていけば全体としてメリットが出ていく仕組みにするということは、これは中小企業の代表の方からも、ぜひともそういう方向で考えてほしいというパブリックコメントもいただいているところでございます。
塩川(鉄)委員 今の長官のお話にありましたように、中小企業から大企業に所得の移転、要するに負担が相対的に移行するという点については、そういう面もあるというわけですから、私、この点は極めて重大だと思うんです。だけれども、長官の方は、いろいろ支援策をとります、拡充策だとかいろいろなアドバイスもふやしますと言うんだけれども、その支援策の程度がふさわしいものなのかどうかということがまた問われてくるわけですね。
 そこで、二〇〇一年の減免制度の適用を受けた件数をお聞きしたいんです。出願審査請求料の減免制度の適用を受けた件数が二〇〇一年について幾つか、数字の確認をお願いします。
太田政府参考人 中小企業に対する軽減措置につきましては特許法における措置と産業技術力強化法における措置があり、審査請求料の半額、それから特許料の第一年―第三年分を対象、これを半減しております。
 まず、特許法における資力に乏しい法人に関する軽減措置の利用実績でございますが、平成十四年の審査請求料の軽減実績は十件となっております。一方、特許料につきましては一件の利用にとどまっております。
 次に、産業技術力強化法における研究開発型企業に関する軽減措置の利用実績ですが、平成十四年の審査請求料の軽減実績は六百八十件となっております。また、特許料に関しては百十三件の利用があったところであります。
塩川(鉄)委員 先ほど同僚議員の質問の答弁にもありましたけれども、中小企業全体の審査請求件数に占める軽減の件数というのは二%のところなんですね。本当にごくごく一部の実績しか上げていないわけで、私、減免措置の適用基準が適切でないんじゃないかなと率直に思うんです。
 そもそも「資力に乏しい者」という場合に、まあ赤字の企業は対象にするんですけれども、私は、中小企業支援というのであれば、研究開発もやろう、特許もとろうという企業というのは、やはりそれなりに頑張っている企業だと思うんですよ。そうすると、一定の黒字を出している企業だって当然あるわけですね。そういった黒字の中小企業を何で減免の対象から外すのかなという点では、私、率直に言って、黒字の企業も含めて軽減策の対象にすべきじゃないか、それでこそ研究開発支援の大きな力を発揮するんじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
太田政府参考人 特許特会は、すべての出願人の方の出願料、審査請求料、特許料から構成されているわけです。そういうものについてどこまで軽減措置を講ずるかということで、個人と中小企業については、やはり資力のある方はみずから出していただこうということで考えているところでございます。
 ただ、研究開発型の中小企業につきましては、御説明しておりますように、産業技術力強化法に基づきまして、平成十二年から軽減措置の対象としているところでございます。
塩川(鉄)委員 産業技術力強化法の対象というのはごく限られているわけで、私は、思い切ってやるべきだ、目指そうというところはみんな対象にするぐらいが本来必要だと思うんですよ。
 今、今回の見直しで拡充するとおっしゃられておりますけれども、この研究開発型と言われているもので、今回の拡充策ではどれだけ対象がふえるものなんでしょうかね。数字の確認だけお願いします。
太田政府参考人 創造法それから活性化法、SBIR法等で、毎年約二千五百ぐらいの新たな企業が認定をされると承知しております。
 ただ、これは一方で資力に乏しい中小企業の方とダブる可能性もありますので、これが三年―五年の期間で見ますと一万数千社の新たな認定が出てくるかと思いますが、そのうちの何割かは、確実に今回の新しい拡充措置の対象の研究開発型の中小企業になるというふうに考えております。
塩川(鉄)委員 そういった新たに拡充の対象になるところで、実際特許出願した件数がどのくらいかというのは過去の実績とかでわかるものなんですか。
太田政府参考人 これは、新たにこの三法の認定企業について何らかの調査をしないとはっきりしないと思います。今のところ、実績については持ち合わせておりません。
塩川(鉄)委員 総枠そのものが小さいですから、実際、さらに特許となると、ごくごく一握りになってくるわけです。
 あと、特許法に基づく軽減の措置においては大企業の子会社は対象にならないというふうに聞いていますけれども、今回の拡充では、中小企業というくくりであっても、大企業の子会社は含まないと考えていいわけですね。
太田政府参考人 特許法における資力に乏しい法人に対する減免措置に関しては、資本、出資の二分の一以上を単独で所有する関係など、実質的に当該法人を支配することが可能と考えられる関係にある法人がないことを軽減措置の要件としておりますが、一方、産業技術力強化法では、施行令第六条に定められた、売上高に対する試験研究費等の比率が三%以上などの要件を満たす研究開発型の中小企業であれば、株式または出資額の五〇%以上を大企業が有していても特許料等の軽減の対象となり得ます。
塩川(鉄)委員 以前、特殊法人改革の際に平沼大臣にSBIRのことについてお伺いしまして、中小企業支援の補助金の制度、これを一定割合研究開発費、中小企業に振り向けるんだという理屈でつくられたものが、一件一件調べていきますと、中小企業というのは名ばかりで、一〇〇%大企業の子会社とか大企業のグループ企業というのが多数を占めていた。
 例えば平成十二年度でも、六件、SBIRの対象があったにもかかわらず、そのうちの四件というのはNKKのグループ企業や新日鉄の一〇〇%子会社だったわけですね。また十三年度においても、六件のうち三件というのは新日鉄や九州電力やNKKのグループ企業だった。私、そういう点では、目のつけどころがこれでいいのかということを率直に思うわけです。
 現状でさえわずかばかりの軽減措置の上に、対象となるものを見ても中小企業の顔をした大企業の子会社がその中身を占めるというのでは、本気になって中小企業を支援するというような特許の体制、料金体系、知財戦略とは思えないんですけれども、大臣、率直にいかがでしょうか。
平沼国務大臣 大企業にくっついている中小企業、私は、これもやはり中小企業というその形態をとっていると思っております。したがいまして、中小企業を活性化する、そういう観点から立てば、日本の経済産業構造というのは言ってみれば九九・七%が中小企業で構成されておりまして、日本の場合には、富士山に例えればすそ野の部分というものがこの日本の経済自体の基盤を非常に支えている。
 ですから、その中で、大企業のもとの中小企業、こういうものを除外するということは、私はする必要はない。中小企業としてそこの活力が伸びていけばやはり経済全体も伸びていく、私はそういうふうに思っておりますので、私どもも、今回のこの措置の中で対象とするということに関しては、全体を見て、そのことは特に排除すべき問題ではない、こういうふうに基本的に認識しております。
塩川(鉄)委員 私は、大企業の子会社は、当然大きな資本力の中にある子会社ですから、そういったところはグループの中で大いに賄ってもらって、本当に支援が必要なところに大いに充てていくということこそやるべきです。
 私が懸念をするのは、大企業に連なる子会社がそれなりに大きな力を発揮するのはわかりますよ、大事なのは、小さくてもきらりと光るような、こういった中小企業支援という観点が、こういった大企業の子会社というのを念頭に置いたやり方では視野の外になっちゃうんじゃないか。特許庁の全体の枠でも、中小企業というくくりでの資料などとっていないということですから、そういう点が懸念される。
 そういう点でも、スモールエンティティーみたいなこともアメリカに学んでやっていただきたいと思うんですが。
平沼国務大臣 私どもは、そうやって意欲があって、そして特許出願に対しても大変意欲的な、きらりと光る、そういったところはしっかり対応すべきだと思っておりますし、私どもとしては、決してそういうことを差別するとかそういうことではなくて、そして、特許庁長官からも御答弁させていただきましたけれども、やはりそういう中小企業に対しては、減免措置というものも、今回の措置に応じて軽減をして、その枠を拡大していく、こういうこともさらに今後進めていかなければならない、こういうふうに思います。
塩川(鉄)委員 ありがとうございました。終わります。
谷畑委員長代理 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 特許審査体制について、まず長官に質問します。前国会の委員会でも質問をいたしました。今回は、その後どう改善されたのかを含めて質問をいたします。
 審査体制につきまして、アウトソーシングを拡充するということですが、それは委託先を単にふやすということなのでしょうか。
太田政府参考人 お答えいたします。
 先行技術文献調査のアウトソーシングは、国が行う特許権の付与に極めて密接に関連する業務であるため、これを実施する機関においては、秘密保持の確保、公平性、中立性の担保に万全を期すことが必要でございます。また、先行技術文献調査は極めて高度な専門性が要求される業務であるため、優秀な技術者を有する機関が実施することも必要であります。
 このような厳格な秘密保持、公平中立性の確保あるいは高度な専門性が要求される業務の外注を行うに際し、実施機関に対して特許庁が適切な指導監督を行うことができるよう、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律に基づき、特許庁長官の指定した指定調査機関のみに先行技術文献調査を行わせることとしております。
 この特例法上、指定基準を満たす者からの申請があれば、指定調査機関に指定することは可能であり、複数の機関が指定されることは排除するものではありませんが、現在のところ、工業所有権協力センター、IPCC以外からの指定の申請はありません。したがって、当面は工業所有権協力センターに対する先行技術文献調査の外注を拡充しつつ、指定基準の見直し等により、新規参入を促進するための環境整備を検討していきたいというふうに考えているところでございます。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
大島(令)委員 今の答弁ですと、相変わらずIPCC一つのみというふうに理解できます。他から申請がないというのは、どういう理由で申請がないというふうに特許庁は判断されているんでしょうか。
太田政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申しましたように、公平性、中立性それから高度な専門性、特に三十名以上の専門家を集めるということはかなり大変なことだと思います。そういうことも含めて、IPCC以外から手を挙げようという声は現在私ども耳にしておりませんが、IPCCも含めて民間調査機関が充実することは大変重要なことだと思っております。
 先ほど御答弁申し上げましたように、指定調査機関の指定基準の見直し等についても積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
大島(令)委員 特許庁の特許審査官をふやすという選択肢は考えられないのでしょうか。
平沼国務大臣 知的財産基本法の中でも、審査を迅速かつ適切に行う、こういうことがうたわれておりまして、審査官の数というものをふやすということは、私どもはやはり必要なことだと思っております。
 今、国としては、行政改革の中で十年間で人員を二五%削減する、こういう大変厳しい枠がはめられているわけであります。しかし、その中でも、基本法にうたわれている、そういう人員の確保、そして迅速に審査を行う、こういうことがございますから、三十四名の増員というものも、ぎりぎりの中でやらせていただいたわけでございますけれども、午前中来からの御審議にもありますとおり、例えばアメリカに比べてはまだ審査の日数が長い、そういうようなことがありますので、さらに私どもは増員のことも含めて努力をしていきたい、していかなければならない、こういうふうに思っております。
大島(令)委員 さきの国会の大臣の答弁の後、IPCCの役員体制はどういうふうに変わったのでしょうか。
 大臣の答弁は、「今非常に国民の皆様方の批判も強い、こういうような背景があるわけでございまして、今、行政改革そして特殊法人改革等でいろいろ検討が進んでおります。そういう中で、こういったあり方についても、広く国民の皆様方の御意見を承りながら、正すべきものは正していく、そういう時代の流れになってきている、このように思っております。」と平沼大臣は答弁されております。
 そこで、「国民の皆様方の御意見を承りながら、」とおっしゃっていますから、国民の意を酌んで天下りの実態は変わったのでしょうか、また変わっていなければそれはなぜなのか、御答弁願います。
平沼国務大臣 昨年の十一月以降、IPCCの常勤役員体制については変わってはおりません。
 いずれにいたしましても、政府統一的な基準である公益法人の設立許可及び指導監督基準にのっとって私どもとしてはIPCCの指導監督を行っているところでありまして、同財団は適切に運営されているものと私どもは承知しています。
 しかし、次の総会、この六月を予定しておりますけれども、役員改選に伴いまして、私どもとしては、やはり民間のそういう常勤役員を入れる、こういうことで話は進んでいる。こういう形で、やはり国民の皆様方のそういう御意見も踏まえ、私どもとしては今後しっかりやっていかなければならない、こう思っております。
大島(令)委員 それでは、政府参考人で結構ですが、聞かせてください。
 特殊法人改革といいながら、相変わらず年俸が一千五百万、二千万と、民間の人からすれば非常に高額な年俸であると思います。役職者としまして、今大臣からは、六月の役員改選に伴いまして民間企業から常勤役員を迎えるべく調整中という御答弁でございましたけれども、現理事長、副理事長、専務、常務など、これらの役員の人たちは一体どういう具体的な仕事をしているのか、聞かせてください。
太田政府参考人 常勤役員、IPCCに七名おります。理事長、副理事長はもちろんトップでございますが。
 一番大事な仕事は、現在約千二百名おるサーチャーを集めることでございます。これは、言うはやすく、大変難しい仕事でございまして、先ほど申しましたように、一定の能力を持った人を、かつ先端分野、特に今審査のサーチが必要な分野はバイオとかITとかそういう分野でございますから、特にそういう分野についてサーチャーを集めるという仕事でございます。
 それから、千二百名おれば、そのための管理も当然必要になります。それから、全体として百数十億の予算の経理、財務もきちんと見ていかなくちゃいかぬ。あわせて、サーチのための方法の開発、これは一つの研究開発等になるわけでございますが、そういうこともしっかりやっているところでございます。
 いずれにしても、七名の役員は、本当に懸命に働いておるところだと承知しております。
大島(令)委員 私自身は、例えばこういう職員に絶対なれないわけですね、天下りというところに。ということを考えれば、官僚の天下りというのは、ある意味では特権ではないんでしょうか。こういう特権が温存されてきたというところに、やはりいろいろな意味で問題はあると私は思います。
 大臣、民間企業からの常勤役員を迎えるべく調整中ということでございますけれども、もう六月、日にちが迫っております。どの程度具体的に調整中なのか、ここで明らかにしていただきたいと思います。
平沼国務大臣 天下りということが言われておりますけれども、今特許庁長官から答弁をさせていただきましたように、やはりIPCCというようなところは非常に専門性が要求されますし、あるいは経験、知識というものもなければならない、そういう形でございまして、特権的に行っているということは一概には言えない、私はこういうふうに思っております。
 そして、民間からの登用という今調整中でございまして、そういう方向でいっているというわけでございまして、役員の中に民間から起用して、そして、この人も、ただ単に何の知識だとか経験もない人ではならないわけでありまして、そういう知見ですとかあるいは経験ですとか能力を持っている、こういった方を今人選中というふうに私どもも聞いておりますので、そこはしっかりやっていくことだ、このように思っております。
大島(令)委員 それでは、結果を期待して、次の質問に移ります。
 IPCCは、言ってみれば、独占企業の状態であります。市場の原理にのっとれば、競合があってもいいはずです。特許庁自身で調査がこなせないというのであれば、アウトソーシング先をふやすということが必要ではないかと私は思っております。また、専門的な業務であるということから、先ほどの長官の答弁で、そういう企業がなかなか難しいということであれば、そういう企業を育てることも必要だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 厳格な秘密保持でございますとか、公平性、中立性の確保や、それから先ほども御答弁で申し上げましたように高度な専門性、そういうことが要求される業務の外注を行うに際しましては、実施機関に対して特許庁長官が適切な指導監督を行うことができるよう、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律に基づきまして、特許庁長官の指定した指定調査機関のみにサーチレポートの作成を行わせている、今こういう現状でございます。
 この特例法上、指定基準を満たす者からの申請があれば、指定調査機関に指定することは十分可能でございまして、複数の機関が指定されることを私どもは排除しているものではございません。しかし、先ほどの答弁にもありましたように、現在のところ、工業所有権協力センター以外からの指定の申請はないところでございます。
 したがって、当面はIPCCに対するサーチレポート作成の外注を拡充しつつ、指定基準の見直し等により、御指摘のように、すぐれた能力を有する民間調査機関の新規参入を促進するため、環境整備を検討してまいりたいと思っておりまして、そういう厳格な秘密保持、あるいは公平性、中立性、さらには高度な専門性、こういったところの要件を満たす新規参入者があれば、そこにまた競争原理も働いてまいりまして、いい結果が生み出せると思っておりますから、私どもとしては、そういう環境整備はしていかなければならない、このように思っております。
大島(令)委員 内規等で委託先は公益法人と決められているんでしょうか。
太田政府参考人 法律上で公益法人と決められております。
大島(令)委員 そうしますと、指定基準の見直しという中で、例えば複数の機関と企業とは違うわけでございますので、内規を変えないと見直しができないわけですね、大臣。
太田政府参考人 現在の法律では、民間企業を指定法人とすることはできません。
 ただ、全体として、そういう指定機関がやはりもっと数多く出て、お互いに競争する必要性というのも我々は強く感じております。そういう場合に、公益法人以外の民間企業についてどういうふうに考えるかというのは、今後検討していきたいというふうに考えております。
大島(令)委員 公益法人とか特殊法人、そういうものはなかなかつくれないんじゃないですか。ですから、政府の方で何かを変えないと参入できないと私は考えるわけなんですが、長官の答弁がいま一つわかりづらいです。
平沼国務大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、やはり、秘密を保持する、あるいは公平性ですとか、さらにはしっかりとした知識、知見を有する、そういった一つの能力、そういうことで、今の法律上は公益法人、こういうことに相なっております。
 私は、先ほどの答弁の中で、そういう環境整備にも努めていかなければならない、ですから、そういったことが担保できるような状況になってくれば、その環境というものを整備しながら幅広く検討していく、そういうことで私どもは答弁をさせていただいたところでございます。
大島(令)委員 例えば、防衛庁が自衛官募集の件で、四つの項目、あといろいろ家族構成、世帯主とか、今衆議院の個人情報保護特別委員会で問題になっておりますけれども、官がやることに対しまして、やはり批判がありますね。信頼が損なわれることが続々と出ている中で、先ほど来の答弁を聞きますと、特許庁長官の指定する公益法人とか、官が認めればいいということですが、他の省庁でも官に対する信頼というものがなくなっている中で、今の答弁は私どもとしてはなかなか納得しがたいというふうに思っているわけなんです。
 公益法人といえども、独占というのは問題であると私は思っております。この公益法人の独占ということに関して、長官は今後どういうふうに解決していくのか、考えを聞かせてください。
太田政府参考人 私どもも、今のままの、IPCCが一法人だけですべてをやっているという状況が決して望ましい状況とは思っておりません。できれば、ほかの公益法人も手を挙げていただいて、指定法人になるということが望ましい形だと思います。
 そのためには、指定基準等について、先ほど来申し上げているように、秘密の保持、あるいは高度の専門性等を確保する、これはもう大前提でございますが、その上で、指定基準をどういうふうに見直していけばほかの公益法人も入ってこれるか、そういうところはしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
大島(令)委員 では、次の質問に移ります。
 我が国では、治療方法について特許の対象とされていません。ですから、日本の医療、とりわけゲノム研究に関しては、スタートは遅くなかったにもかかわらずアメリカに水をあけられたという状況のようでございます。これはひとえに、アメリカに遺伝子に関する基盤特許を八割方押さえられたということだけではなく、日本の省庁間の連携のまずさが高じた結果とする向きもあると思います。
 例えば、皮膚等の培養方法につきまして、産業上利用可能として特許権を認めた場合、培養された皮膚等を利用して医師が移植した際、その医療行為に培養された皮膚等の使用料が転嫁され、医療費が高くなるといったことが予測されます。あるいは、特許権を得た培養方法で他の企業が参入した場合、市場はどうなるのか。これが一点、質問です。
 もう一つ、二点目の質問は、医療を受ける側にはどのような影響が出てくるのか、長官にお伺いします。
太田政府参考人 お答えいたします。
 昨年の七月に取りまとめられました知的財産戦略大綱におきまして、再生医療関連技術などのさらなる技術開発促進のため、これらの技術の特許法における取り扱いを明確化するよう、私ども宿題を出されております。
 これを受けまして、経済産業省では、昨年十月から産業構造審議会のもとに医療行為ワーキンググループを開催し、総合科学技術会議、厚生労働省とも連携して検討を重ねてまいりました。
 その結果、四月二日に開催された同ワーキンググループにおきまして、同一人に戻すことを前提に、人間に由来する皮膚や細胞を原材料として培養皮膚シートあるいは人工の骨などを製造する方法を特許付与の対象とすることにつき、基本的に合意が得られました。
 お尋ねの、医療を施す側あるいは医療を受ける側への影響といたしましては、こうした技術に特許付与が認められ権利として保護されれば、資金の調達や回収が容易になるため、新たな再生医療関連技術の研究開発が促進され、その成果が速やかに事業化されて広く患者に提供されることが期待されます。また、特許権の存在により事業者の間でライセンス契約の締結が容易になり、新しい技術が複数の事業者により提供されることも期待されます。
 他方、医療に関連するもののうち、現在でも医薬品や医療機器に関する発明は物の特許の対象となっております。また、皮膚の培養方法等であっても、他の患者に移植することを想定した方法については既に特許の対象となっております。これらの発明に対する特許の存在によって、我が国の医療現場において何らかの問題が生じているという指摘はございません。
 それで、私どもとしては、今回の合意を踏まえて早急に準備を進め、早ければことしの夏にも特許審査基準を改定し、これに基づいた審査を実施する予定でございます。これによって、先端医療技術の開発がさらに促進され、その成果が広く国民の健康増進のために利用されることを期待しておるところでございます。
大島(令)委員 同一人に戻す場合、特許付与がされるということでございますが、そのことによって先端医療技術の開発がさらに促進されるということで、開発側にとってはメリットがあるように思われますが、では、医療を受ける側の、例えば医療費というのはどういう傾向になるのか。例えば保険が適用されるですとか、いろいろな意味で受ける側のメリットはどうなるのか、御答弁ください。
太田政府参考人 お答えいたします。
 同一人に戻すということで培養された皮膚あるいは人工皮膚シート、人工の骨等が研究開発が進んで開発されれば、それは広く患者にとって大きなメリットがあるかと思います。
 あわせて、特許でライセンスを受ければ当然それが価格にはね返ってくる部分はあるかと思いますが、かなりの企業等が関心を持っております。そういう中で、切磋琢磨の中で競争が行われれば、そんなに大きく価格が上がるというふうには私ども考えておりません。
 また、保険の対象ではなく、原則自由診療というふうになると承知しております。
大島(令)委員 では、職務発明について伺います。
 発明協会が一九九七年に行った調査では、百七十三社のうち百七十一社の企業が職務発明規定を持っているという結果が出ております。六年前のこの調査では、一律定額の場合、最も高額でも実績補償時の三十万円、評価に基づいて決定の場合では、最も高い上限額は最大五百万円、平均すると百二十万円程度となっています。一方、日経エレクトロニクス誌が二〇〇一年に行った大手各社の調査によりますと、実績補償に関してソニーのように上限なしというところもあります。こうした実態をどのように分析し、見直そうとしているのか。
 また、職務発明については明確な基準が定められておらず、特許法は、従業者が職務発明についての特許を受ける権利を使用者に承継等した場合には、従業者は相当な対価の支払いを受ける権利があるとされているだけです。
 今回、職務発明制度の見直しは、以上のようなあいまいさを解消するものとなるのか、ならないのか、御答弁いただきたいと思います。
太田政府参考人 お答えいたします。
 大島先生お尋ねのとおり、企業における発明の実績報償額につきましては、新聞報道等によれば、それから、私どもいろいろな企業から聞くところによれば、近年、上限の引き上げや撤廃を決めるところが増加しております。
 これは、国際競争力の強化の観点から、企業が研究者等の研究開発へのインセンティブを高めようとしていることや、二〇〇一年五月に出された光ピックアップ装置事件の高裁判決において、使用者が支払った対価が相当額に満たない場合には、従業者は事後的に相当の対価を請求し得ると判示されたこと等が影響しているものと考えております。
 特許法三十五条の職務発明規定でございますが、当該高裁判決を契機に、産業界からは、一度定めた対価の額の安定性が損なわれるとして、当該規定の見直しの議論が提起され、昨年七月に策定された知的財産戦略大綱におきまして、発明者の研究開発へのインセンティブの確保、企業の特許管理コストやリスクの軽減、及び我が国の産業競争力の強化等の観点から、社会環境の変化を踏まえつつ、改正の是非及び改正する場合にはその方向性について検討を行い、二〇〇三年度中に結論を得ることとされました。
 これを受けまして、私どもとしては、産業構造審議会の下に特許制度小委員会を設置して、昨年度は、企業における実態、従業者の意識、各国の制度、実態等の調査結果を公表しております。
 また、先ほど触れました光ピックアップ装置事件につきましては、きのう二十二日に最高裁において判決が出されました。高裁判決で示された事後的な対価請求は可能との判断が支持されたものと私ども理解しております。
 今後、私どもが行っている調査結果それから最高裁の判決等を踏まえて、引き続き特許制度小委員会において、現行特許法三十五条の改正の是非及び改正する場合にはその方向性について集中的に検討を行い、その後、パブリックコメントをいただいて、二〇〇三年度中に取りまとめを行いたいというふうに考えております。
大島(令)委員 検討する論点としましては、従業者へのインセンティブ付与の観点ですとか、企業の研究開発投資の促進の観点とかが検討の中身になっているようでございますが、ここでやはり問題になるのは、科学が日々目覚ましく発展している中、特許制度小委員会が二〇〇二年九月から検討を始め、今年度中に最終の取りまとめが出るということは、余りにも悠長ではないかということを私は考えるわけです。行政として、時代のニーズに対して敏捷性を持って対応していただきたい、こういう意見を申し上げて、次に、不当表示についての質問に入ります。
 商品の不当表示については、行政側の発想が消費者の立場に立ってこなかったことをまず指摘したいと思います。消費者の自己責任も行政として期待しているようですが、そのためには、事業者が消費者の聞きたいこと、知りたいことに的確に答えるという責務を果たすことが大前提となると思っております。
 今改正案では、第四条二項で、「公正取引委員会は、前項第一号に該当する表示か否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。」となっています。しかし、消費者を守るためには、商品が市場に出てからでは遅いわけです。市場に出すものは、まず、危険性はないということではなく、大前提は、安全なもの、適正なものであるべきと私は思うわけです。
 そこで、表示基準について質問いたします。商品について正しく表示されていればいいという発想なのか、また表示基準自体に問題があるとは考えていないのか、政府参考人に答弁を求めます。
楢崎政府参考人 お答え申し上げます。
 景品表示法は、消費者の誤認を招くような不当な表示を規制するものでございます。一方、JAS法とか各業法によりまして、その目的を達成するために、業界の実態を踏まえつつ、各法律の目的に照らして所要の内容が策定されているものと承知しておりますけれども、景品表示法の観点から見て、その基準自体の妥当性につきましては、消費者政策を遂行する観点から、公正取引委員会としても、それが妥当かどうか、消費者の誤認を招くようなものではないかどうかといった観点から調整をしていくことが必要だというふうに思っているところでございます。
 それからまた、景品表示法は、消費者に適切な情報を与えるために、事業者が自主的に表示すべき事項を定めて、公正取引委員会の認可を得て、公正競争規約という自主基準を設けることになっておりますので、そういった、業界自身の判断で適切な情報を消費者に与えていこうという、公正競争規約というものを的確に運用していくことが大切なことだというふうに思っております。
大島(令)委員 では、例えば遺伝子組み換え食品が使用されている場合、五%未満の混入であれば不使用という表示ができます。このこと自体、含まれているのに、五%未満であれば不使用と表示されるわけなんですね。私は、問題であると思います。その危険性は立証されていないかわりに、また安全性についても立証されていないわけです。行政は、認可の基準を、危険性がないというところに置いているわけなんです。本来は、安全性が確認されていることを基準にして表示すべきだと私は考えておりますが、このことに関して、大臣、どう思いますか。
平沼国務大臣 そういう表示に関しては、国民の皆様方がその表示によって不利益を免れない、そういう観点が私は必要だと思っております。五%未満は含まれないということは、いろいろ検討をし、そしていろいろ知見を集めた結果そういうふうに相なっていると思っておりまして、これが直ちにいろいろな悪影響が出ると私は考えておりませんので、五%ということで決めたということは、その中で十分検討をしてそういう基準を設けた、こういうことだと私は理解をしております。
大島(令)委員 例えば、食品の原産国の表示については、実質的変更を加えた国を原産国と定義されているわけです。消費者にとっては、どこで生産されたのか、どうして食品が加工されたのかわからないわけですね。最終的に変更を加えた国が原産国。ですから、例えばスーパーマーケットに行きまして、チーズでも、原産国スイスとなっていましても、その牛乳がほかの国で生産されて加工が最終的にスイスだったら、スイスのチーズになるわけなんですね。消費者にとってはすべて開示されていない状態。
 例えば、加工といいましても、ゆでるとか煮るとか発酵とか、缶詰に加工するとか、いろいろな工程があるわけなんです。そういう中で、私は今遺伝子組み換え食品のことを例に出しましたけれども、五%未満の混入であれば不使用、やはりこういうことが問題であって、私は、例えばラベル、たくさんのいろいろなものを書きますと、ラベルの表示の面積が広くなるわけなんですが、やはりすべて表示すべきだ、そういうふうに思っているわけなんです。このことに関して、どのように考えていらっしゃるんでしょうか。
平沼国務大臣 それに関しては、やはり国民の皆様方が理解できるような表示にすることが私どもは必要だと思っております。ですから、特にBSEの問題が起こってから、その辺に関しては、その安全性を担保するために基本法もつくる、こういう動きの中で、そういった問題もしっかりと私どもは検討を加えていくべき、そういう問題だと思っております。
大島(令)委員 では次の質問ですが、公正取引委員会の不当表示に対する排除命令、警告、注意のうち、公表されるのは排除命令と警告だけですね。どうして注意の場合は公表されないのか、お答えください。
楢崎政府参考人 排除命令は、景品表示法に違反するという認定をして行うものでございます。法律に違反する行為を排除命令として行うわけですので、これは公表しているところでございます。
 警告につきましては、排除命令を行うに足りる十分な証拠が得られないけれども不当表示の疑いが残るということで、警告をするものでございます。そして、影響の軽微なものは公表しておりませんけれども、影響の大きいような案件については公表している。
 それから、注意でございますけれども、それ自体としては景品表示法違反ではない、しかし、そういった行為を繰り返せば違反につながるおそれがあるといった観点から、適正表示の観点から、こういった表示は注意した方がよろしいですよという注意喚起でございますので、違反かどうかという観点で行うものではございませんので、公表していないところでございます。
大島(令)委員 違反かどうかという法律の番人をするのではなく、不当であったらやはり公表すべきだと思います。
 不当表示に関し、消費者にはどのような方法でお知らせしていらっしゃるんですか。
楢崎政府参考人 不当表示があって排除命令等を行う場合には、その排除命令の内容をホームページに掲載いたします。と同時に、新聞発表という形でマスメディアを通じて報道され、一般消費者に周知されるということをしているところでございます。
 さらに、排除命令を行う場合には、一般消費者が誤認する表示が問題なわけですので、一般消費者の誤認を排除するために、排除命令におきまして、違反事業者に対して、新聞等で報道する、みずから不当な表示を行ったという事実を公示するように、新聞等で広告するように命じているところでございます。
 こういったことを通じまして、一般消費者に周知されていくものというふうに考えております。
大島(令)委員 では、平沼大臣に質問します。
 周知方法がホームページですとかマスコミを通してでございますが、こういうものは一過性にすぎませんね。私も、よくおわびの全面広告などを見たりします。こういう一過性の不当表示に対する指導、公表に対して、私は、もっとほかの方法を政策的に示すべきだと思います。例えば、食品に関して言えば、食の安全、これは命にかかわる問題もあるわけなんです。
 そういう意味も含めまして、いろいろな商品が市場に出回っておりますけれども、例えば電化製品とか自動車とかいろいろなものは、リコールですとかいろいろな形で示されて、車が売れないとかいうことで社会的制裁を企業が受けますけれども、食べるものに関しては、命にかかわるものですから、やはりもっと他の方法を考えてもいいのではないかと思いますが、私のこの主張に対して、大臣はどういうふうに考えられますか。
平沼国務大臣 やはり食の安全というのは、BSEの問題もしかりでございましたし、大変生命に関係する、そして人間の健康に関係する重要なことでございます。したがいまして、その表示に関しては、やはり消費者、国民の納得が得られる、そういうものを確立していくべきだと思っております。
 そういう意味では、特に食の安全に関しましては、新たなそういう体制ができたわけでございまして、その新たな体制の中で、そしてその基本法に基づいて、私どもは、しっかりとしたそういう体制をつくっていかなければならない。ですから、大島先生のそういうお考えというものに関しては、私は、そういう方向で同じ認識を持っている、こういうふうに申し上げさせていただけると思っております。
大島(令)委員 同じ認識を持っているということであれば、法改正などによりましてそれが実行できるような形でよろしくお願いしたいと思います。
 事業者のモラルについて、最後の質問になりますけれども、公正取引委員会が行う排除命令は、商品の回収や返金まで求めておりません。いわゆるやり得というふうになっているのが現状であると思っております。
 そこで、泣き寝入りしない方法として、不当表示、不当景品類に対しまして消費者が訴訟を起こしても、手間や費用を考えると泣き寝入りをするしかない、そういう意味で、団体訴権を提案する人もいるようです。そういった手法を私は考えてもいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
竹島政府特別補佐人 現在でも、公正取引委員会が排除命令を出しますと、それを根拠にして、被害を受けた消費者は無過失損害賠償請求ができるということになっております。ただ、実際問題、その手間や費用ということを考えて、そういうことをなさるケースが余りないということだと思います。
 そこで、今御指摘の団体訴権、消費者団体等一定の資格を認定された団体が消費者にかわって訴えを起こすという団体訴権の問題、これは、実は大変影響が広うございますので、現在、政府としては、司法制度改革推進計画の中で、この団体訴権のあり方について検討する、平成十六年の十一月三十日までに結論を得るということをうたっておりますので、公正取引委員会も、景品表示法という意味でかかわりがございますので、他の省庁と連携をとりつつ、大変広範な影響があり得る話なので、今申し上げたようなタイムスケジュールによって検討してまいりたいというふうに思っております。
大島(令)委員 損害回復手段としまして、消費者に損害賠償制度がありますけれども、ほとんどの裁判は、訴える側が立証説明、立証をする側にあるわけです。ですから、被害者が訴訟を起こした場合、そういう対象商品に対しまして公正取引委員会が排除命令を出していれば、立証が容易になります。ぜひ、この排除命令、今持っている排除命令と警告、いろいろございますけれども、そういうものをきっちり生かした中で、私は、消費者を守るという視点に立って、この法律の運用をしていただきたいと思います。
 質問時間が参りましたので、先般の天下りの問題に関しましても、大臣、六月までにきちっとしたいい結果が出ることを私は期待しますし、天下りは私は官僚の特権であるということを強く主張して、この質問を終わりにいたします。
村田委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより各案に対する討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、特許法等の一部改正案に対する反対討論を行います。
 反対する理由は、特許審査請求料の大幅引き上げが、中小企業やベンチャー企業、個人の発明家の出願、審査請求を抑制することになるからです。
 審査請求期限の短縮などの制度改定を背景として、審査請求が増加し、審査対象の滞貨の増大、処理期間の長期化が見込まれています。これに対して、この法案は、出願料や特許料の引き下げと同時に審査請求料を二倍に引き上げることで審査請求を減らすとともに、請求取り下げに対して請求料を一部返還することで処理件数の削減をねらったものです。
 しかし、審査請求料の大幅な引き上げは、大企業に比べて資金力の脆弱な中小企業やベンチャー企業、個人などの出願と審査請求を抑制することにつながります。これでは、未曾有の不況のもとで、特許権に基づくオリジナリティーで生き残りを図る中小・ベンチャー企業に大打撃を与えることになりかねません。
 政府は、中小企業に対する負担軽減措置を拡充するとしていますが、その実態は、法人税を納税し、あるいは設立後一定期間を過ぎた中小企業には適用されないという大変狭いものになっています。アメリカの小規模団体優遇制度のような抜本的な制度の導入を真剣に検討するべきです。
 また、この法案に対して、昨年の知的財産基本法の国会審議の中で与党が再三強調してきた、出願人の負担を考慮し、プロパテント政策を強化し、国際競争力を確保するという言明にも反するものであり、アンチプロパテント政策だという批判まで出ていることも指摘しておきます。
 最後に、迅速な審査を実現するためには、何よりも審査官など審査体制を抜本的に拡充することが不可欠であることを改めて強調し、討論を終わります。(拍手)
村田委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、特許法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、下地幹郎君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守新党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、知的財産創造の一層の推進とその適切な保護・活用を図ることにより、我が国の国際競争力を高めることが喫緊の課題であることにかんがみ、本法施行に当たり、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。
 一 特許権等の的確かつ迅速な権利付与を実現するため、特許審査官の大幅な増員、外部人材の活用や先行技術調査におけるアウトソーシング機関の一層の活用など、更なる審査体制の整備強化に努めること。
 二 我が国産業の基盤である中小企業者の特許出願を支援する観点から、海外の減免措置制度の状況なども勘案し、減免措置の抜本的見直し等を含めた中小企業者に対する支援体制の強化及び支援措置の周知徹底に努めること。
 三 特許審査請求料を含めた特許関係料金体系は、我が国産業の国際競争力にかかわる問題であるので、附則の見直し期間にかかわらず、施行状況を見つつ、適宜見直し、検討を行うこと。
 四 特許権者の実質的な経済的負担を軽減するとの観点から、特許料については、今後の特許権の保有の実態、欧米における料金の動向等を踏まえて、引き続き検討を行い、必要があれば柔軟に見直すこと。
 五 出願人による先行技術調査の充実を図るため、例えば、出願人が審査請求前に調査報告書を入手できる制度や、十分な先行技術調査を伴っている場合には審査請求料を減額する制度等も含めた所要の対策について、産業競争力の強化への効果、出願人の意見等を十分に勘案しつつ、検討すること。
 六 審査請求期間の三年への短縮による審査請求件数の一時的急増に対処するため、審査待ち期間の長期化を防止するための対応を十分に検討すること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 次に、内閣提出、不正競争防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、下地幹郎君外八名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、保守新党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。奥田建君。
奥田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    不正競争防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、知的財産創造の一層の推進とその適切な保護・活用を図ることにより、我が国の国際競争力を高めることが喫緊の課題であることにかんがみ、本法施行に当たり、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。
 一 知的財産関係訴訟の手続における営業秘密の取扱いについて、早急に、その実効的な保護を図るための方策を検討し、結論を得ること。
 二 営業秘密に係る不正競争行為に対して罰則が設けられることに伴い、営業秘密の開示を懸念して被害者が救済を求めないということがないよう、捜査当局においては、適確かつ迅速な取締りに努めるとともに、政府において取締体制の拡充及び強化に努めること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、両附帯決議について平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。
平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これらの法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
村田委員長 次に、内閣提出、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
村田委員長 次回は、来る五月七日水曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十五分散会


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