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第14号 平成15年5月9日(金曜日)

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平成十五年五月九日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君
   理事 井上 義久君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    大島 理森君
      梶山 弘志君    小池百合子君
      佐藤 剛男君    桜田 義孝君
      西川 公也君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    森田  一君
      山本 明彦君    渡辺 博道君
      小沢 鋭仁君    大出  彰君
      奥田  建君    金田 誠一君
      川端 達夫君    後藤  斎君
      鈴木 康友君    中津川博郷君
      松野 頼久君    山田 敏雅君
      河上 覃雄君    大幡 基夫君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      金子善次郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・
   ガス事業部長)      迎  陽一君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月九日
 辞任         補欠選任
  山田 敏雅君     大出  彰君
同日
 辞任         補欠選任
  大出  彰君     山田 敏雅君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七九号)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官岡本巖君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。
中山(義)委員 おはようございます。
 毎回のように新聞記事を見せては大臣に苦言を呈しているわけでございますが、大変厳しい状況でございまして、ますます、この新聞記事によると「七月に停電も」、これは読売新聞ですが、「原発再開一基なら」こういうふうに書いてありますね。こういう状況の中で、大変、安定供給という部分についていろいろ問題点が出てきた。
 私たちはやはり、自由化の論議をするときには、安定供給というのがまず前提なんですね。一番大事なのは何かといったら、電気がついているのが皆さん当たり前と思っているけれども、この電気はどこから来ているか、こういう論議をちゃんとしておきませんと、ある人はこう言っていますよ、一回停電でも起きれば本当に電気の重要さがわかる、こういうふうに言っている方がいますが、停電が起きたことが社会にどんな影響を与えるか、経済に影響を与えるか、これははかり知れないものがあるわけですね。
 私は、実はずっと子供の体操教室を三十年ばかりやっていまして、子供を合宿へ連れていくんです。戦場ケ原というところがありまして、全く電気のないところに連れていきますと、真っ暗です。何にも見えない。この辺で自分の家の電気が切れても、隣の家が電気がついていれば、本当の真っ暗というのはほとんどの人が知らないんですね。だから、現代人、我々も本当の真っ暗というのは知らないと思うんです。
 そういう面では、停電がどんなものであるかということを本当は子供たちにわからせて、電気がライフライン中のライフラインである、こういうことをわからせる必要もあると思うんですね。それでないと、これから、供給面だけじゃなくて、需要者側にもひょっとすると協力をしてもらわなきゃならないかもしれないんです。
 夏場は全部議員さんは冷房をとめて、汗をだらだらかきながら質問をしたり答弁をするというような場面も出てくるかもしれません。まず国会議員が模範を示すということもありますし、背広のそでは全部切ってもらって羽田先生みたいな背広を着てもらうとか、我々もいろいろなことを考えないと、本当に、国会がみずから電力というものとかエネルギーというものに、我々がそういう態度で臨んでいるのを示すことができない、こういう大変緊迫した事態に来ていると思うんです。
 私は前回の質問のときにも、東京電力というのは企業ですね、でも、そのエネルギーの責任はだれにあるんだと言ったら、大臣が、私です、こういうお話をされました。僕は、もっと突き詰めていけば、エネルギーの責任者はやはり総理大臣だと思うんです。そういう面では、やはり総理大臣が、または平沼大臣と一緒に行って、それで本当に地元にこのデリケートな問題をしっかり頭を下げて整えてくるということが大事だと思うんですが、総理大臣は当てにならないというのであれば平沼大臣がまず行って、本当に誠心誠意を尽くしてこの問題はどうしても解決してもらいたい、こう思うんですが、その決意のほどを。
 私は二回聞いていますから、大臣が行くと言ったことを。三度目というと、三度目を確約すると絶対行かなきゃならないということでございますので、ここでもう一度確約をしていただいて、仏の顔もということもありますので、ひとつよろしくお願いします。
平沼国務大臣 御指摘のように、大変深刻な状況になっていることは事実でございます。
 本日の閣議におきましても、閣僚の皆様方、総理大臣を含めて、このことは私から報告をさせていただき、また昨日、経済産業省に関東圏の電力の需給に関する対策本部というものを立てまして、私が本部長になりまして、そして、原子力発電所の安全点検を徹底しながら一日も早い起動に向かって努力をしていくということと、それから今先生の御指摘のように、節電対策、こういうことも国民の皆様方に御理解をいただくためにキャンペーンをやらせていただく、こういうことに私はさせていただいているところでございまして、総理も、きょうは閣議後の懇談会の中でも、特にこのことは重要なので、経済産業大臣を中心として電力の断絶が起こらないように最大限の努力をしてほしい、こういうことでございました。
 私は折に触れて、当然エネルギー政策の責任者ですから、その時期が来ましたら必ず、立地の本当に御協力をいただいている福島、新潟県、そういったところに出向かせていただきまして、そして安全性の点検の充実とともに私も十分説明をさせていただき、御理解をいただくように努力をしていく、このつもりでおります。
中山(義)委員 これは地元の、要するに原発をやっている地域の皆さん、大変いろいろな複雑な思いがあると思います。
 技術的に見ますとこのくらいは恐らく稼働できる、そういうことは既に岡本長官はお考えなんだと思うんですが、大変微妙な問題でございますので、このくらいはできるとかできないとかと言いにくいところがあると思うんですね。しかしながら、やはり当然、省内では相当、対策本部をつくっていろいろ失敗のないように考えられているんでしょうけれども、今までの岡本長官の答弁では非常に自信があるように私どもは見えたんですが、今の大臣の答弁ですと非常にこれは国家的な大変な問題だ、そういうような話もあるわけですね。
 私は、あえてここで岡本長官に質問をして、このくらい復帰ができるとか、七基は大丈夫だとか十基は大丈夫だと、そういう答弁をさせると、逆に、地元の今デリケートな問題を抱えているところで若干ちょっとまずいのかなとも思うんですが、長官、その辺を差しさわりのない程度にちょっと答えていただきたいと思います。
岡本政府参考人 きのう、大臣を本部長とします関東圏の電力需給対策本部の初回の会合を持ちまして、そこで、夏に向けての東京電力管内の電力の需給についての今私どもが把握し得る限りの数字というものを取りまとめ、その結果を公表させていただいたところでございます。
 その数字によりますと、夏に向けて、ピークの最大電力の需要としては六千四百五十万キロワットが想定されるということで、需要の方はそういうふうにまず押さえ、他方、供給力の方につきまして、私どもも、原子力以外についての供給力を可能な限り総動員するということで東京電力にかねてより検討していただいておりまして、その結果、火力あるいは水力、それから他社からの受電ということで五千五百万キロワットというのは何とかいけそうだと。それに加えて、柏崎の刈羽六号が稼働するということで、百三十五万六千というのが追加するということですが、さらにそれでも足りないということで追加供給対策の検討を東京電力にお願いしておりまして、それがうまくいけば四百万キロワットというものが火力を中心にさらに積み上がるということで、合わせればピークに六千万キロワットぐらいの供給のめどが立つ可能性はある。
 しかし、これは、相当ぎりぎりの努力をして、つま先立った数字とも言うべきものでございます。夏場の需要というのは、温度が一度変更しますと百七十万キロワットもピーク需要が伸びる、そういう要素もありますし、それから、相当古い火力を含めて立ち上げをしていますので、トラブル等がありますと、大きい発電所は一基で百万キロワットの出力を持っておりますので、そういったリスクも勘案した場合に、六千四百五十と約六千とのギャップに加えて、ある程度の予備力を持たなきゃいけないということで、その予備力を考えました場合には、相当大きな数字をやはりこれから供給力サイドあるいは需要の両面で対応していかなきゃいけないということで、夏に向けての状況は、私どもは引き続き非常に厳しいものがあるというふうに認識をいたしております。
 原子力発電所の方は、まさに今先生御指摘のように、私ども、この場で何基ということを申し上げるのは控えさせていただきたいと思いますけれども、数百万キロワットの上の方の需給ギャップというのがピーク時に予想されますので、それに向けて、需給両面からのあらゆる関係者の御努力をお願いしたいと考えているところでございます。
中山(義)委員 もともと電力というのは、需要をまず想定して、それで供給をつくるということですよね。だから、今、需要が大体想定できているわけですから、供給はこのくらいというのは計算上は出ているわけですね。だったら、何基稼働しなければいけないという答えは、もう恐らくあるんですね。あるんです。ここで、だから何基とかを言うとまたいろいろ問題があると思いますから、我々は、計算すれば、今言ったように、需給ギャップを埋めるための原発は幾つかというのは大体今わかりました。計算上ですよ、計算上。
 ですから、あとは本当に真剣に取り組んでいただかないと、この問題は解決できないし、経済にも相当大きな影響があると思います。東京だけで十六兆円以上の国税が上がっているんですから、東京の周辺で停電が起きるとはどういうことなのか、本当にそれを考えて真剣に取り組んでいただきたい、こう思うんですね。
 それでもう一つ、ちょっとこういう仮想の質問なんですが、仮に、電源をつくる、電発のプレーヤーがあったとしますね。そうすると、こういうふうに需給が逼迫している、要するに、需給関係が崩れている、供給が弱くなってきた、こういうときに、民間で、ある電力会社ができて、そうしたらこれはもうけどきになりますね、それが参加してきたら。もうけどきですよね。これは、物で判断するというのはおかしいけれども、十個の物を売っている、しかし買い手が十五だったら、これは物が上がりますわね。私は、ちょっとカリフォルニアのことを想定しているんですが、こういうときに、値段を上げたり下げたりする作用というのは起こり得ることなんですね。もし、規制緩和が全部されて、だれでもプレーヤーが参加できる、いわゆる発電のプレーヤーが参加できるようになったとすると、いろいろなことが起こりますよね。
 大臣、今ここで私が言っているのは、要するに、自由化という問題の中で、自由化の恐ろしさというのは、今これだけ電力が供給側が弱くなってきた、では電気を引き上げよう、値段を引き上げようというときに、あるプレーヤーが参加してきて値段を操作する、投機的に何かやる、これは非常に大きな問題があると思いませんかね。だから、私たちは電気というものを考えるときに、ちゃんとした哲学がなくてこれから自由化に踏み切るということは非常に大きな問題があるわけですね。
 ですから、今のこの逼迫した状況の中で、ちょっと自由化に対する問題点を考えてみたいと思うわけですよ。私は、今回の電気がこれだけ逼迫したということは、自由化に対する一つの何か物を投げかけられた、このように思うのですけれども、大臣、その辺はいかがですか。
平沼国務大臣 中山先生御指摘のことは、私どもも部分的には理解ができます。
 ただ、今の全国的に、日本の電力の需給ギャップというのを見てみますと、供給力というのはなお余力があることは事実なんですね。今回の電気事業法の改正というのは、電力供給システムの改革によって安定供給の確保等を目的としているものでございまして、これによって全国の規模で電力流通を活発化するための環境整備が実現されれば、他の地域の余剰電力、供給力の有効活用が可能となるわけでございまして、今般のような電力の需要逼迫の懸念にも一応程度の対応ができるものだと私は思っています。
 そして、カリフォルニアの例を出されましたけれども、カリフォルニアの場合は、非常に自由化を進めて、発電部分と送電部分を分離してそれぞれ競わせるというようなことをして、そのために非常に営利目的になって、そして非常にIT産業が電力を使うようなことになって、ピークになって、そして破綻をしてしまった。これは、我々としては十分検証させていただいて、これを他山の石として、そのようなことがあってはならない。
 ですから、今回も発電と送電部分の分離というものは考えないで、やはり安定供給というところに主眼を置いて、しかし、その中で自由化を進めて、今までいわゆる自由化をしたために、これは一三%の価格が下がって、これがやはり需要家には非常に恩典を与えたという面もあります。
 ですから、そういう行き過ぎた形じゃなくて、やはり需要家にとってもメリットがあり、全国レベルで見ても、電力を融通し合ってそういう非常時に対応できる、そういった体制をとっていこう、こういうことでございまして、御指摘のそういったことはあってはならない、そういうことは十分考慮しながらやっていかなければならない、私はこう思っています。
中山(義)委員 部分自由化ということで、平成七年度に自由化の論議をずっとしてきて、今至っているわけですが、日本の場合、正常にいっていると私は思うんですが、これから自由化、自由化といって、何か世の中が電気というものを商品を扱うような方向に向かっていく危険性というのを今指摘したので、本当にこの電気というものが、電気と通信が同じように考えられていて、通信はどんどん規制緩和して自由になっていく、だけれども、電気と通信というのはもともと全然種類の違うものだと思うんですね。電気というのはエネルギーですから。このエネルギーというのが、交流で、しかも、周波数であるとか電圧であるとかいろいろなことが、質まで問われているわけですね。
 そうすると、電気というのは貯蔵するわけにいかないわけですね。同時同量で、需要と供給がぴったり合ってなきゃいかぬということで、本来は自由化という論議になかなかなじみにくい、ライフ中のライフラインなわけですよ。だから、そういう面でももうちょっと哲学というものがやはりないと、今後、何らかの自由化または規制緩和の波に押されておかしな方向へ行ってしまう。
 過去にもあるやに私は聞いているんですね。いわゆるアメリカの外圧で、エンロンが日本の電力事業、自分たちも少し中にプレーヤーとして入ってこよう、こう思った。つまり、送電といわゆる発電とは別個にして、そこに我々がプレーヤーとして。だから、これは、送電と関係なく、発電に外国のプレーヤーが入ってきて、これを投機の対象にでもされたら、日本のライフラインはぶっ壊されちゃうわけですよ。
 そういう面も含めて、ちゃんとした哲学を持ってこの自由化に取り組んでもらわないと非常に怖いという面で、先ほどから大臣の哲学をお聞きしているのでありまして、大臣からもう一度その哲学を聞かせていただいて、それから岡本長官にも、一言言ってください。
平沼国務大臣 私どもとしては、今回の制度改革におきましても、安定供給の確保でございますとか、それからもう一つ大きな柱で、環境への適合、これが図られるような電力供給システムの強化を行って、そこで許容される範囲で自由化範囲を拡大すること、これが基本だと思っております。そして、そのことによって、より多くの需要家の方々に、供給者の選択の可能性と事業者の一層の効率化努力による料金低減、このメリットを享受していただく、このことがやはり考え方の一つの柱でございます。
 具体的には、哲学ということでございますけれども、引き続き、原子力発電所等の大規模発電設備と送電線の一体的な整備、運用を確保し得るように、発電、送電、販売を一貫して行う一般電気事業者制度を維持する、これが基本であります。そして、全国に存在する発電施設を有効に活用できるように、広域的な電力流通の活性化を図る等の措置を講ずる、このことも一つの哲学に盛り込んでいるわけでございます。
 それから、長期固定電源の投資環境の整備等を図ること、これも大切なことでございまして、また新規の事業者についても、みずからの発電を顧客の需要動向に合わせていくことを系統利用に当たっての条件として、そして電気の品質を害さないための制度上の措置、こういったことを講じて、やはり言ってみれば、長期の安定供給、そして環境問題、さらには需要家にとってその自由化のメリットを享受していただく、こういったことを哲学として万全を期していかなければいかぬ、こう思っています。
岡本政府参考人 私も、ただいまの大臣の御答弁のとおりだと考えております。
中山(義)委員 今、いわゆる需要家、使っている側がメリットと言いましたけれども、この自由化というのは本来だれのために自由化するのかという理念がちょっとまだわからないんですね。だれのためにやるのか。プレーヤーが商売するために、自由に参加できるように、そういう面で規制緩和というか、または自由化を進めているのか。我々一般の国民が家で電気を使う、そういう人たちに本当にメリットがあるのかどうか、その辺がちょっと私はまだわからないんですけれども、その辺ちょっと御説明いただけますか。
平沼国務大臣 我が国の電気事業というのは、もう先生もよく御承知のとおり、これまでの制度改正によって、小売の部分自由化、これを通じまして、一定の効率化の効果が見られているところでございます。
 例えば、電灯、そして電力を合わせた電気料金の単価というのは、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、制度改革前の平成三年度と直近の平成十四年度上期とで単純に比較をいたしますと、約一三%低下をしており、これは我が国の電力の需要家に広く還元をされている、こういうものと私どもは理解しています。
 しかし、もとより今回の制度改革というのは、単純な自由化による電力供給コストの引き下げを目的とするものではございません。折しも昨年制定をされました、大変御協力をいただいたエネルギー政策基本法において、エネルギー政策遂行上の基本方針が定められているところでございまして、今回の電気事業法の改正に当たりましては、この基本方針に基づきまして、さらに過去の制度改革の成果も踏まえつつ、供給システムのさらなる改革による安定供給の確保、それから環境への適合を図って、これらのもとで電力供給に関する需要家の選択肢の枠を、幅を広げていく、これを理念としているところでございまして、こういったことでお願いをしているということを御理解いただければと思っております。
中山(義)委員 自由化というと、やはりコストの部分が一番重要な部分になってくると考えているんですが、やはり安い電力を、または電力の質を落とさないようにというと、火力発電、石化エネルギーを使ったものが一番、ある程度、今のところは安定して安い。さらに、石炭を使えば、それに集中して使えばもっと安いということになるわけですね。そうしますと、国と国とのいろいろ約束である、地球全体のCO2をなくすとか、こういうものも本当は国民の利害にある意味ではすごく関係しているわけでございまして、一つの哲学を持ってやはりやっていかなければいけない、こう思うんですね。
 それで、自由化に関しては、恐らく省の方で、あのカリフォルニアの問題点についてちゃんと検証していると思うんですが、その検証したデータとか、なぜ失敗したのか、なぜまたああいうことになったのか、発電所がどんどん切り売りして、プレーヤーがうんと存在している。だから、今現在考えた場合に、日本の現状でも、今一番売りのときなわけですよね。電力が、供給が少なくて需要が多いわけですから。だから、もし日本が自由化されていて、今カリフォルニアみたいな現状であれば、どんどん電力を売りに来て、また投機的に電力を使うというようなことが起こり得るわけですね。
 そういう面で、カリフォルニアの問題というのは一回検証すべきだと思うんですが、それの検証は相当細かく、または日本に今後こういうことがないようにということで分析したんでしょうけれども、その辺の答弁をしていただきたいと思います。
高市副大臣 カリフォルニアの混乱でございますけれども、これにつきましては、経済産業省におきまして、平成十三年に現地に調査団を派遣いたしまして検討を行い、これは複合的な要因が絡み合って生じたものと評価をしたところです。
 具体的には、先ほど大臣から答弁申し上げました、まずはIT経済化の進展、シリコンバレーを抱える地域でございますので、それを背景としまして電力需要の増大が見られているにもかかわらず、電力制度改革の先行きが必ずしも当時明確でなかったということ、それから、非常に環境規制の厳しいところでございますので、結局、発電所建設のための投資が十分に進んでいなかったということで、まずは構造的に需給が逼迫状況にあったということです。
 それから、特には、半ば強制的に電力会社の発電資産を売却させてしまいましたので、すべての電力取引をスポット市場を通じて行わせておりまして、ほかに電力の調達手段を持たない事業者というのは、市場価格の変動に対しましてリスクマネジメントができなくなってしまったということ、それから、小売料金を凍結したことから、自由化された卸電力取引所での価格高騰というものが電力会社の経営を圧迫したということが大きな要因であるという分析でございます。
 ですから、それを生かしまして、今回の改革に当たりましては、電力会社の発電資産を部分的にしても売却することは求めない、それからまた、電力会社の発送電一貫体制というものをきちっと維持していこうというところで生かされております。それから、市場につきましても、いわゆる強制プール制ではなくて、任意市場といたしまして、事業者が相対取引を主体としながら、必要に応じて市場取引を活用するということを可能にしました。
 こういうことで、自由化の中でのリスクマネジメント機能というのを強化する仕組みを考えているところでございます。
中山(義)委員 これはもう一度よく調べて、本当にカリフォルニアの問題は絶対日本では起きないというようにしていただきたいと思うんです。
 ただ、電力が安ければ安いほどいいことも事実なんです。しかしながら、どうしてもやはり、CO2を出しちゃいけないとか、いろいろな問題がありますね。それともう一つ、やはり安定供給の中でも、今回原子力がだめだったらば大変な問題になっちゃった。やはりこれも、原子力それから石化エネルギー、それから風力であるとか自然エネルギーとか水力とか、こうやってベストミックスが大事なわけですね。
 その中で、やはり自然エネルギーと原子力というのはお金がかかりますね、ある意味で。お金がかかることを、企業という電力会社にすべて任せて、さあコストを安くしろと。これは、国民に対してこれだけコストを安くした、これが大変なメリットだった、こうおっしゃいましたけれども、同時に、風力であるとかまた自然エネルギー、地熱だとかいろいろ使っていく、一方は、原子力発電、非常に設備にお金のかかる、つくるときは。こういうものを企業に全面的に負わせていくと、この自由化という話と電力を安くしていく話と全然矛盾しちゃって、初めから話にならないわけですよ。
 どうしても国家としてCO2はふやさない、だったら、原発はここまで国が面倒を見る、ここまで国がやる、または自然エネルギーについてもここまで国がやる、こういうものがないと、何でもかんでも、自然エネルギーは何%企業に買えとか、買い取り義務とか、こうやっていくと、自由化論議なんだか、何か矛盾しちゃっていると思うんですが、そんな自由化論議というのはあるんですかね。その辺、ちょっと御答弁いただけるでしょうか。
平沼国務大臣 エネルギーのベストミックスというのは、御指摘のとおり非常に大切だと思っております。そして、エネルギー資源というのは大変有限でございまして、特に日本は、エネルギーの天然資源に恵まれていない国でございます。そういう意味で、やはりいかにそれをうまくミックスして安定供給を図ることが大切か、こういうことでございます。
 今、一次エネルギーのようやく五〇%を切ったわけですけれども、四九・一%が石油になっております。石油も、これは日本ではほとんどとれませんから、御承知のように備蓄体制を整えて、これは百七十一日間の備蓄を持っている。それから、原子力発電というのは、その発電過程において二酸化炭素を一切排出しない、そういう利点もございます。したがって、安全性を担保するというその前提の中で、ここもやはりふやしていかなければいけない。そういう意味で、国としてはこれから十基ないし十三基をふやして、そして長期の安定電力供給源を確保しよう。そのためには、随分国も、これもよく御承知のように、エネルギー特別会計等々で大変大きなそういう支出をしながらインセンティブを与え、そして、事業者とも連携をとってやらせていただいている。それはそれで、国としてやらなければならないことはやっていかなければいかぬと思っています。
 それから、自然エネルギーの方も、これももう中山先生御承知だと思うんですが、風力でございますとか太陽光発電、あるいはバイオマス、さらにはメタンハイドレートとかいろいろあるわけです。これに関しても、民間だけのことに任せていくとやはり採算という一つの大きな壁があるわけでありまして、国としましても、新エネルギーの部分は、今全体で一%でございますけれども、これを何とか二〇一〇年にまでは三%に高めよう、こういうことで努力をしているわけで、私は三%じゃ少ない、もっと国がこれに関与して五%ぐらいの目標を掲げてやるべきだ、こういう形で今私も率先をしてここにとにかく力点を置く、こういうことをやっております。
 ですから、おっしゃるように、やはり民間の採算ベースではなかなか乗らない部分がありますから、そういう意味でも、太陽光発電に関しては、今世界で日本が一番その利用率が高いわけですけれども、太陽光発電の設置に関しては国は国会の御同意も得て大幅な補助もしてきた、そういうことが結びついているわけですから、そういったインセンティブを与えることは国がやはり責任を持ってやっていく、このことは私どもも必要だ、こういうふうに思っているところでございます。
中山(義)委員 それで、最後に、特殊法人の今度特に電発会社が民営化されてきた。ここが一生懸命やってもらわなきゃならない理由というのは、やはり常に供給というものは今の日本の国の中でずっとふやしていかなきゃいけない。さっき原発の例がありましたけれども、それと同時に、CO2が出ない電源開発が必要だということで今いろいろやっているんでしょうけれども、この会社が民営化されてきた。これはやはり一つは、先ほど言いましたように、国がやっているんだ、国がやはりこれは関与しなきゃいけないと言いましたので、じゃ、国が関与するからどんどん天下りが行くというのでは困るわけですね。
 ここは、民営化をするに当たって、その一つの理念というものを聞かせていただきたいんです。今まで、どうかすると結局は、そういう会社が民営化されても天下りが多いというのでは、民営化された意味がないわけですね。民営化の理念というのは、基本的には天下りが一人もいない、これがやはり民営化の基本だと私は思うんですが、その辺の理念を聞かせてください。
平沼国務大臣 電源開発株式会社の民営化に当たりましては、電源開発促進法の廃止によりまして、同社に対する特殊法人としての規制というのはすべて廃止することに相なります。
 同社の役員の選任等につきましても、従来は経済産業大臣の認可を受けなければ効力を生じないこととされておりましたが、今後は、こうした政府の関与を行うこともなく、会社独自の判断で、個人の経験、そして能力等に基づいて選任、配置が行われる、こういうことに相なると思っております。
 天下りはやめるべきではないか、こういうことでございますけれども、民営化後の電源開発株式会社では、会社独自の判断で適材適所の選任、配置が行われるものであります。
 仮に、公務員出身者が同社の役員等に就任するような状況が生ずる場合には、いわゆる今御指摘の天下りについての国民の御批判があることを真摯に受けとめまして、国民の信頼と行政の中立性等を損なうことのないように、国家公務員法上の厳格な定めのもとに対処をしていく、このことに私どもは尽きる、このように思っております。
中山(義)委員 民営化しても、天下りの対象になっているのでは何の意味もないということを指摘させていただきます。
 それと、先ほどの答弁も、大臣は、意欲的になるべく民間という意味をしっかりとらえている、私はそう思いますので、ぜひその辺はよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。
 それと、この会社が、例えば財政的に弱い、弱いのでつくった後少しでも高いところに売りたいということが、例えば今の日本の、経済産業省の指導からいってそういうことが行われる可能性というのは、これは制度上はどうなんでしょうか。高く買ってくれるところに売っちゃうとか、プレーヤーがうんと、いろいろなプレーヤーが存在するということがあり得るのかどうか。
岡本政府参考人 電発、今はいわゆる卸電気事業ということと、それから全国的な電力の流通、連系線なんかを用意して流通の事業をやるということをやっておりまして、多分先生の今の御指摘は小売ということかと思いますけれども、小売ということについては、今度任意の卸取引市場というようなことができてくれば、電発もそういうところを通じて出していくという機会も出てまいろうかと思いますが、一方で、安定的な電力の販売ということで、卸電力事業というのも、電発としてこれから大事な事業のコアとして続けていくということでございますでしょうから、そういうことになってくれば、電気事業者との関係で一定の中長期的な信頼関係のもとに事業をやっていく、そういう配慮も当然に働いてこようかと思っております。
中山(義)委員 ちょっともう一回。
 私が言っているのは、切り売りしちゃって。
高市副大臣 申しわけありません。電力を売る話じゃなくて、会社の財務体質の御懸念だと思います。
 確かに、非常に悪うございまして、短期的な収益性は単年度では改善しているんですけれども、長期のバランスシートを見ますと、増資をせずに財投借り入れで運営しておりましたので、自己資本比率が非常に弱いという問題点がございます。
 そこで今回、民営化に当たって抜本的な自己資本の増強策を講じることによって、この会社が民営化後も引き続き円滑に会社として事業を行っていく条件を整備しなければいけないということで、増資の上での株式公開ということを考えております。
 つまり、日本政策投資銀行とそれから政府を出資者とします株式会社、ここが電源開発の増資を引き受ける。具体的には千百六十億円程度、約一千億円程度ということで、その指定会社は、これによって取得した電発株式を早期に売却いたしまして、ここでもしキャピタルゲインが発生いたしますと、一回に限って再度出資することが可能というような、こういう仕組みをもって体質を強化しまして、運営していけるようにということを考えております。
中山(義)委員 時間が参りましたので、いわゆるカリフォルニアの轍を踏まないようにということで、今も脆弱な体質で、少しでも高いところに売ろうといういわゆる一般的な企業の考え方でやられては、この電気というのはライフ中のライフライン、それから、交流でやっている以上はいつも貯蔵ができないという電気の特殊事情からいって、いつも供給側と需要側がうまくいっていると。これでバランスが崩れてくると、今言ったようにちょっともうけようかなんというのも出てきたり、いろいろなことがあり得ますので、その辺をしっかり、民間企業でやっているのでありますけれどもライフ中のライフラインであるということを御認識いただいて、先ほどから哲学をお聞きしたわけでございます。
 以上で質問を終わります。
村田委員長 川端達夫君。
川端委員 大臣、よろしくお願いいたします。
 初めに、電力の安定供給について少しお尋ねをしたいんですが、一昨日来の報道でも、刈羽の六号機が再スタートをした、そして需給に対する本部もつくられたということでありますが、先ほど来の御議論を含めて、やはり夏、特に七、八月のピーク時には相当このままでは深刻な事態になるのではないかということで、事業者も本当に必死の努力をしておられるというふうに思っておりますし、政府においても対応しておられるということであります。
 そういう状況で、今起こっている事態というのを、いわゆる緊急事態だとある種の部分については思うんです。例えば、昨年や一昨年の今ごろ、あるいは夏という部分がいわゆる平時であったと思うんですけれども、そこと比べてどういうことが起こっているのかなということを見ますと、例えば、本来、わかりやすい言葉で言えば、一定の役割を終えてお休みしていた火力発電所、横須賀なんかに大分あったんですが、これを再点検して動かし出したというふうな部分を含めて、いわゆる火力のフル稼働。それから、この夏、本来それで動かしていくと六月とか七月、八月に定期検査に入る、いわゆるとめるという予定の火力も、今の技術レベルといわゆる安全の基準からいうと少し延ばしてもいいというものは延ばして、要するに九月以降にそういうことでとめることにする。今までとまっていたもの、お役目御苦労さんというのもまた頑張れ、そして今頑張っているのはもうちょっと頑張れということをやって、今をしのいでいるという状況だと思うんですよね。
 それはどういうことかというと、原子力が東電の場合約三〇%弱が基本的にはゼロなわけですから、比率的にいえば、ほとんどを火力で賄っているという現状なんですね。
 それは、例えばイラクの戦争は一定の終結を見たわけですけれども、その途中までの経過でいえば、オイルの値段がとんでもないことになるのではないかという懸念も非常にありました。今、小康状態ということですが、いつオイルの値段というのはどうなるかわからないということであっても、そんなことは言っていられない。そして、原子力に比べてという部分でいうと、当然オイルをたくわけですからCO2はいっぱい出るという状況であるけれども、採算性、コストあるいはセキュリティー、環境、そういうことは言っていられないという状況で今があるし、これからも、先ほどの不足分、六千万にするのに、まだ、融通と同時に火力ももう少し何とかならないのかというふうな御答弁もございました。
 そういう状況にあるというふうに私は認識しているんですが、そういう認識でいいのかどうか、お尋ねしたい。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 今の川端先生の御認識はそのとおりでございまして、大変厳しい状況に相なっております。
 そういう面で、昨日、私が本部長になりまして、経済産業省の中に関東圏の需給の原子力に対する緊急の対策本部を立ち上げて、そして、原子力発電所の安全点検をさらに実施しながら、一基でも多く起動させること、それからさらに、今御指摘をいただいた既存の火力発電所、そういったものをフル稼働しながら私どもは今大車輪でやらせていただいておりますし、一方においては、これも国民の皆様方の御協力をいただきながら、この非常時に備えるために、節電ということも視野に入れて今努力をさせていただいています。
 私どもとしては、さらに努力をして、電気が途絶することのないように最大限万全の努力を傾けなければならない、このように思っているところでございます。
川端委員 ちょっと聞いた意味が違いまして、そういう事態なんですけれども、そういう事態になるときに、今も大臣いみじくもおっしゃいましたように、電力の途絶が起きないようにあらゆる手段を講じるということなんですよね。それは結果として、採算性、経済性というものや、あるいは炭酸ガスの排出というものは無視するとは言わない、そういうことを、例えばどうしても炭酸ガスやオイルをたくさん使うのはよくないということが優先するのであれば、電力を途絶するのはやむを得ないということになるということなんですよね。
 ですから、事態としては、今起こっていることは、昨年、いわゆるエネルギー政策基本法というのがこの委員会を含めて国会で通りました。かねてから、電力も含めた議論をするときに、この法案の中にも、まさにエネルギーの需給に関する政策の基本方針として、安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用というものを見ながらやらなければいけない。そして、この前の法案では、「エネルギー市場の自由化等のエネルギーの需給に関する経済構造改革については、」安定供給の確保及び環境への適合という「政策目的を十分考慮しつつ、」云々という、ここはいつも議論になるんですよね。
 そうすると、経済市場原理を優先するのかというと、いやいや、安定供給だ、いや、環境だという部分で、どこにウエートがあるのか、三者対等なのかという部分で、前回の法案では、安定供給と環境に配慮しつつやりなさいという、かなり苦労の中でこういう決着をしたんですが、現実に今起こっていることは、本当に安定供給の危機にさらされたときにはそれを確保することがすべてに優先するということが、いみじくも今起こっている事態として出てきたのではないでしょうか。
 ですから、私は、この三つの部分を、それぞれに非常に大事な問題であるけれども、やはり安定供給というものは一番大事なものであるということを今の事態が示しているのではないかと思うんですが、大臣の御所見を伺いたい。
平沼国務大臣 二十一世紀というのは、いかに地球環境を守っていくかということが人類に課せられた命題でございまして、環境を守るということも私は非常に大切なことだ、こういうふうに思っています。
 しかし、現状の異常事態の中で、これだけの高度工業化社会で、そして国民経済というものがこれだけの規模になっておりますと、やはりこういう異常事態に対しては、本当にある意味では残念でございますけれども、その安定供給という形で私どもは今の段階ではやらざるを得ない、こういう認識でございまして、私どもとしては、一日も早くこの異常事態を抜け出して、そしてエネルギー基本法の精神に立ち戻ってしっかりとやっていかなければいけない、しかし、今はこれはやむを得ない状況である、こういうふうに思っております。
川端委員 おっしゃるとおり、いいことであるわけではなくて、環境も市場原理の部分も大事だけれども、やはりぎりぎりのところで、その三つの部分のどれかを一番優先しろと言われたら、安定供給を最優先せざるを得ないという事態が起こっているということであり、その部分が一番最優先される、最後には最優先される、ふだんは適正なバランスというものを考えながらということだと思うんですが、そういう御認識だというふうに私も理解をしています。
 それで、ただこれは、今の状況でうまくいって六千万確保できるかなということであって、六千四百万ですか六千五百万という部分では足りない。そして、ひょっとしたら、六月にもう暑くなるかもしれないですね。梅雨どきでは非常に暑いときもあるし、蒸してくるとエアコンをつけたりもするということもあって、やはり非常にぎりぎりのところで今やっているというときに、後で需給対策に関しては別途お伺いしますが、一つ、停電せざるを得ないということも、全く考えなくていいということではないと思うんですね。
 それで、備えあれば憂いなしという言葉がよく使われますけれども、私は、憂いなければ備えなしだと思うんですね。まさに今、憂いがあるんですね。そのときに、停電ということに関する、要するに電力途絶というんですか断絶ということに対して、起こさないことに万全を期すというのは当然ですが、起こったらどうなるんだ。そして、例えば一割カットをする、総量として、グロスとして一割カットせざるを得ないと、多分十一時から三時まではということを技術的にどうしてやるんだと、私はちょっといろいろ聞いたんですけれども、物すごいというか、現実的には簡単な話じゃないんですね。どこをどうとめるかというと、病院だけとめないという話ではないというふうな部分の対応、検討をどのように、余りこれをやって不安をあおることはいけないということは重々承知の上ですが、そういうことを検討しておられるのかどうか。
 杞憂に終わったんですが、二〇〇〇年のコンピューター問題というのがありました。あのときは、二〇〇〇年一月一日零時零分を期してとんでもないことが起こるかもしれない、政府も一応のいろいろな対応を検討され、国民への周知もされました。そして、あれはあの瞬間ということですから、病院においても、例えば人工呼吸器をその瞬間には手動で、そういうずっと続けている人には手動に切りかえて動かし続けるにはどうしたらいいのかとかいうのも、病院でも必死にやられました。それから、電気もとまる、ガスもとまる、水道とかということで市町村もいろいろな対応をされました。幸いにして、ほとんど何も起こらなかった。
 今回は、ああいう、ひょっとしたらということよりはもっと現実を帯びた問題なんですね。停電ということをせざるを得ないときに、どうしてやるのかということと、起こったときにどういうことを対応しなければいけないのかということを、しかるべく政府で検討しておられるかどうかだけお伺いしたいと思います。
岡本政府参考人 お答えさせていただきます。
 私ども、昨日、本部で確認をして発表させていただきました需給両方の状況をにらみ、かたがた連日のように、東京電力との間で供給力確保についての打ち合わせ、これからの進め方について相談をし、片や需要面についても、無理のない、実体経済に大きな影響を及ぼさない範囲内で可能な限りの節電をということで、まずは需要面の対策もやらせていただいているところでございます。
 今先生御指摘の、考えられる最悪のケースというようなことについて正式な検討をするということではございませんで、むしろ今の供給力確保、それから東京電力による需給調整計画の活用による需要削減あるいは一般的な節電、そういうことでの需要対策をやることによって、何とかこの夏場の危機を乗り切るべく、関係者、力を振り絞ってやっているところでございますので、今先生がおっしゃった想定のもとについての検討というのは、ただいま現在やっていないところでございます。
川端委員 ピーク時が問題ですから、例えばそのときに総電力として一割不足する、そうしたらその一割をどこでカットするんだと。節電とかいうのもありますよ。しかし、それで賄い切れないということがもし起こったら、それは、どういうやり方で、どういうことをやらなければいけないのか。
 そうすると、それが例えばとんでもないことになる、そうなったとき、例えばどうしても一割どこかでカットしなければいけないということが起こったら、どういうやり方があって、どういう事態が起こるのかということぐらいは検証しておかなければ、これは大変なことが起こるんですよ、実は。だからこそ、死に物狂いで停電を起こしてはいけないということなんですよ。
 絶対起こさないために万全の努力をするというのは当たり前なんですけれども、その事実として、事態はどういうことになるか、やり方としてはどういうやり方が可能なのかということを検討された、あるいは認識されたことはあるんですか。
岡本政府参考人 昭和六十二年にかなり規模の大きい停電が生じたということで、そういったケースについての勉強は私どもも既にやらせていただいております。
 他方で、需要の面で、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、あらかじめ東京電力と大口の需要家との間で、料金を少し安くするということを前提に、二、三時間前に……(川端委員「需要家の話はいいんです。そんなことは聞いていませんから」と呼ぶ)はい。
 そういう準備も事業者に今求めているところでございまして、そういうことと供給力の対策を今は柱にして、この夏場を乗り切るべく、万全の取り組みをしていきたいと考えているところでございます。
川端委員 もうこれ以上言いませんけれども、要するに危機意識の問題なんですね。本当にやらざるを得なかったら、どうしてやるのかといったら、さあという話ではないんですよ。やるということになったら、大変なことになるという部分の、それをどうクリアするかというので需給の云々というのは、それは当然なんですけれども、もしものときにはこんなことになってしまうということぐらいは御認識をしておいていただきたいと御注文を申し上げておきます。
平沼国務大臣 当然、御指摘のとおり、万が一にも起こってはならないわけですけれども、そういうことを私どもは想定して、そして国民の皆様方に御迷惑をかけない、このことを、やはりあらゆる手だてを考えておかなければならないと思っています。
 一九八七年にも異常に暑い日が続きまして、非常に厳しい局面がございました。そういったときの体験というものも私どもはしっかりと踏まえて、そして御指摘の点も含めて、我々としてはきちっと今後対応を検討していく、こういうことをさせていただきたい。
 しかし、前提としては、あらゆる手段を講じながら絶対に断絶を起こさない、そのためには国民の皆様方にも御理解いただいて節電をしていただく、こういったことも重要な要素だと思っておりまして、きょうの閣議でもそのことは総理にも申し上げ、総理からも、関係省庁、協力をしてやっていこうと。そして環境大臣も、これに対しては環境省としても、やはり省エネルギーというのが一つの大きな政策の柱である、ですから省エネルギーというものも、自分たちもいろいろ考えを持っておるし、経済産業省、他省庁とも協力をして、ここは万全を期していこう、こういうことでございますので、川端先生の御指摘は、私はよくわかっておりますので、そこはしっかりやらせていただきたいと思っています。
川端委員 それでは、まさに停電が起こったら大変なことになる。それで、いわゆるカットするというのは、人為的に切るという部分なんですけれども、一割減らすとかいえば。そこの部分で起こることでいうたら、場合によっては病人が亡くなるとかいうことにもかかわってくる部分が、ここの地域とか言えばそこで出ちゃうという、人的な配慮でどこにするかという部分が起こすわけですから、大変なことになることが想定されるので、どうしても避けなければいけない。
 それで、先ほどからいろいろ御答弁の中にも触れていましたが、供給面と需要面で最大の努力をされつつあるんだと思うんですが、今、刈羽の六号機が再稼働した。そして、あと二基ないし三基いわゆる検査に入っているけれども、特にシュラウドにひびも見つかっていないし、あるいは循環系ももう全部直したからという部分で、ほとんど問題なく、検査の手順を経れば、チェックの手順を経ればスタートできるのではないか、六号機と同じようにという部分がごく一部あって、あとは、シュラウドにはひびがある、しかし安全上は大丈夫だ、こういう需給の部分でいえば少しでも動かせたらいいなという段階のが幾つかあるわけですよね。実は、これが全部ネックになっているわけですね、再稼働できるかどうかが。前も申し上げましたけれども、もう少し検査とかの結果を、手順を踏んでいけば安全は一応確保できる、しかし、地域を含めて安心は全くないというところにもう迫りつつある状態だと思うんです。
 それで、きのう、関東圏電力需給対策本部ということでスタートをされた。それで、大臣はそのごあいさつの中で、「昨日柏崎刈羽原子力発電所六号機が地元の御理解を得て起動したところですが、依然として残る十六基は停止していることから、私自身としても、諸般の情勢や地元関係者の御意見等も踏まえながら、時期を見計らった上で、地元にも伺い、御理解を得る努力をする所存です。」という決意を述べている。
 これは、私、前も、そういうふうに大臣は先頭に立たれるべきだということでは評価をさせていただきたいというふうに思うんですが、先ほど、停電を起こしてはいけない、そして、安全は確保できるけれども、やはり地元の御理解、御協力が難しいというところをどうクリアするのかというときに、やはりそれは、地元の皆さんも、信用していたのに何なんだという裏切られた感もあるし、そしてやはり心配もいっぱいあるし、しかし、我々が電力のそういう部分の大事な使命を地元で背負っているんだというある種の責任感もお持ちだしという中で、非常に悩んでおられるわけですね。そこで、首長さんよ、あなたがうんと言いなさい、議会よ、うんと言いなさいといっても、言えないと思うんですよね、正直申し上げて。
 そこで、私は、大臣が行かれてということを言われたのは非常にいいことなんですが、まさに電力断絶を起こしてはいけないという、大変なことを避けるためには、あらゆる努力をして、そういうことは責任ある大臣として起こさせない、そして地元の御理解と説得は私がやる、責任は私がとる、そこまで言うてほしいんですよ。大臣の責任において、責任を持って、御理解を得るように最大頑張って、そして電力途絶を起こさせないようにするという、この政治家としての責任と決断と行動でしかこの局面を私は打開できないというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 私は、御指摘の点は当然のことだと思っております。
 せんだってのいわゆる安全宣言、これがございまして、柏崎刈羽の六号機の起動に結びついた。それも、やはり私がエネルギーの責任者としてその安全宣言、こういう形でございますので、私は、やはり安全をチェックして、そして本当に地域の皆さん方の御理解をいただく、それが大前提ですけれども、そういう形で、私は電力の途絶が起きないようにあらゆる形で努力をさせていただきながら、責任というものはやはりエネルギーの政策では私にありますから、その責任者として責任ある行動をとらせていただかなきゃいかぬ、こう思っています。
川端委員 夏をみんなが快適に過ごせるか悲惨な目に遭うかは大臣の双肩にかかっておりますので、ひとつ政治家として、こういう場面に遭遇するのは政治家冥利に尽きるんだと思います。頑張っていただきたいと思います。
 それでもう一つの、需要面ですね。要するに、使用側の部分で、先ほどから、節電を一般の人、大口需要者、それから契約の部分で多少割引するぞという人たちを含めて、いろいろな対策をとろうとしておられるというのは理解をしているんですが、きのう、ある新聞にこういう記事が載っておりました。「東電は節電で需要を抑えようともしているが、家庭や大口需要家の企業の反応は今一つだ。 「自社の不祥事で招いたのに、協力せよとは虫が良すぎる」。東電幹部が四月、ある大企業に夏の節電要請をしたところ、言い返された。」という記事が載っておりました。
 言われる企業の気持ちはわかるんですよね。何でわしら迷惑受けないかぬねんという気持ちはよくわかる。しかし、それはいわゆる私企業あるいは個人という、私の立場なんですよね。そして、いわゆる公の部分で、公の立場でいえば、みんなが多少の不便や不利益があっても、大変なことにならないためにみんなで協力しようということがないと乗り切れないというときに、こんな人いるのか。まあ気持ちはわかるけれども、何じゃいなというふうに思いました。
 同じ新聞に、いわゆる電気事業法の二十七条に基づいて強制的にカットする云々ということに触れた記事の中に、それは余り経済産業省としてもやるつもりはないというふうな記事があって、これもかぎ括弧で、「「この問題はそもそも人災。『供給不足だからカット』では国民の理解は得られない」(同省幹部)。」同省というのは経済産業省。
 私、これは物すごく軽率な発言だと思いますね。だれがおっしゃったのか知りませんが、だれかが言うたから書いたんでしょう。これはもともと、二十七条を適用しますかと言ったら、それはちょっと無理じゃないのと言ったときの説明に、そもそも人災だから、足りないからカットするでは理解は得られませんよと。これも正直な気持ちをおっしゃったのかもしれませんが、エネルギーの安定供給、電力の安定供給に責任を持ち、そして、もしも電力断絶が起これば大変な事態を招くということに責めを持っている役所の、幹部というのはだれか知りませんが、対策本部ができたその日にこんなコメントを出しているというのは、何だい、何を考えているんだと言わざるを得ない。
 私は、やはり根底はまさに企業のある種の不始末から発しているということはそうなんだけれども、今起こっている事態の部分でいうときに、これをどう乗り切れるかというときに、まさに政治の指導力というかが一番問われているんだと思うんですね。
 きのう、その部分にも触れて、大臣の対策本部のごあいさつで、「国民各層及び産業界に対して、節電への御協力をお願いする必要があります。本部員各位においては、是非関係業界等への要請を着実に行っていただきたい。」その本部員というのはどういう人か、よくわかりません。「本部員各位において」の中の「各位」にかかわる人が、供給不足なら、そもそも人災だから、それはしゃあないで、こんなものでカットできるかよというふうなことが、新聞でそんなことを言われるのは極めて遺憾である。
 そして、この部分に関して、やはり個々人でいえば、そんなもの、どうして協力せないかぬのという気持ちはあっても、これは大変なことだから、みんなそれは協力しようという状況をきちっとつくらなければいけない。そして、そのメッセージを出していただかなければいけない。
 どうもそれが、もう停電避けられないとかなんとかという報道はあるけれども、先ほども一番初めに言ったように、停電が起こったらこんなことになるということをどう検証されたかということはよくわからなかったんですけれども、八六年にあったことを踏まえてとか言われるけれども、みんな何も認識していない。だから、そんなものはおれは嫌だよ、おれは快適に、さっき中山先生が、国会では汗をかきながらやろうやないかと、だけれども、おれはエアコンの中にいたい、そんなもの、東電の不始末をおれがどうしてかぶらないかぬのやという話ばかりになっている部分をクリアするのには、この「本部員各位においては、是非関係業界等への要請を着実に行っていただきたい。」では、ちょっと弱いんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
平沼国務大臣 御指摘の記事に関しては、私もその詳細がよくわかりません。ですから、本部員である我が省の幹部がそういう発言をしたとは思いたくありません。しかし、もしそれがその発言であれば、これは私は非常に遺憾に思う次第であります。
 だから、そういう中で、やはり今御指摘のように、これは民間企業の不始末で我々はそんなことは関係ない、そういう風潮がはびこりますと、これは本当に全体に大きな影響が出ることでございますから、私どもといたしましては、きのう本部を立ち上げました。そして、私も率先をして、そういう業界の皆様方やそういった国民各層にしっかりとその現実を訴えて、そしてその意識を共有していただく、こういうことに努力をしていかなければならないと思っておりまして、テレビを通じたり新聞等も通じたり、あるいは、私もいろいろな場で、場合によっては出向いてそういうことをお願いする、こういうことは率先やらせていただかなければならない、こういうふうに思っています。
西川副大臣 貴重なお時間をカットしては失礼だと思いますが、あらかじめ、その発言をしたのは私ではないということを申し上げた上で、大臣の訓示を受けた側の代表の一人として、副本部長として、省としての姿勢を申し上げたいと思いまして、あえて発言を許していただきたいと思います。
 このたびのことは、かつてのオイルショックのような外部的要因ではなくて、はしなくもこの事件によって、先ほど先生が御指摘なさいました、大変重要な正三角形であるべきエネルギー基本法のうちの一辺が非常に大きくなったということ、私どもとしては、安定供給の脆弱さということを強く認識いたしております。
 したがいまして、これを単に一私企業の一課長の不祥事から起こった事件などという軽々しい問題としては考えておりません。国としてどういうふうに安定供給のシステムに責任を持っていくかということを根底に据えて、大臣の訓示を謹んで受けたつもりでおりまして、例えば、私どもが関与しております、中山先生も関与しておられます東京都においては、下水道のモーターの時間を深夜にずらしていただいたり、いろいろな形で徹底して節電をしていただいている、こういうこともございますので、私どもはみんなでこの危機を乗り切る姿勢でおりますことを、新聞の記事で省全体がそういう姿勢であるというふうにおとりいただきませんように、お願いを込めて申し上げたいと思って、あえて発言をさせていただきました。
川端委員 よくわかるんですけれども、「対策本部きょう設置」という、その中にそういう、まさに水を差すようなのは軽率であるということを申し上げたかったんです。
 それで、時間がどんどん、本題の部分があれになってしまったんですが、発送一貫体制のいわゆるアンバンドリングの部分についてのお尋ねなんですけれども、完全自由化それから全面自由化という部分で、それぞれいろいろな議論がされてきました。この電力をめぐるいろいろな議論を見てきたときに、自由化というのは、いわゆる、先ほど言った正三角形であるべき部分の市場原理の導入という部分、経済性や競争原理を導入して、より消費者に対してメリットがあるようにという市場原理の導入という部分と環境と安定供給という部分の、市場原理の部分に着目したときの手段として自由化という問題が位置づけられているはずなんです。しかし、私の感じでは、いつの間にか自由化が目的になっている。自由化をすることがいいことであって、自由化をするということは手段であるはずなのに、目的化しているというふうな議論がやや多いように私は個人的に感じておりました。
 そういう中で、今回、これもいろいろな議論があったんですが、発送一貫体制の堅持ということが出ました。この部分は提案理由の趣旨の中にもいろいろ書いていますけれども、先ほど来ずっと申し上げてきました安定供給というもの、西川副大臣もおっしゃいました安定供給の脆弱性も含め、それから、分離した部分で想定されるいろいろな事態からいうと、やはり安定供給に非常に不安をもたらす要因になりかねないという観点で、この発送一貫体制を堅持するということに今回集約をされたんだというふうに私は認識しているんですけれども、それでよろしいんでしょうか。
高市副大臣 エネルギー政策基本法の基本方針というものがございますが、これをもとに今回の方策が決まったわけでございますが、瞬時瞬時に需給の均衡を図る必要があるという一つは電気の特性というものを踏まえまして、短期、長期の電気の安定供給を図るために発送電一体整備、運用が求められている、これは先生御指摘のとおりでございます。
 それから一つは、原子力発電とか水力発電というのは、エネルギーセキュリティーの確保だけじゃなくて、一つは環境負荷の軽減の観点からもすぐれておりますので、これらの発電というのは初期投資が大きくて投資回収期間が非常に長うございますから、やはり、この長期固定電源というものを引き続き推進するために、これらの電源開発、それから送電する大容量の送電設備の形成、これを一体的に進めていくということで、安定供給と環境問題、両方とも入っているということでございます。
川端委員 そういういろいろな背景の中で、透明化と第三者機関の関与という工夫は凝らされたりしても一貫体制を維持するという方針を出されました。これは、我が国の電力供給体制としては、こういう原則でこれからずっとやるという認識を持ってよろしいんでしょうか。郵政公社化の議論のときに、通った瞬間に、民営化の一里塚と大声で叫んだリーダーがいました。その是非は別にして、要するに、こういうものをいろいろな議論で決めたときに、それがワンステップなのか、一応今考え得るベストであって、ゴールなのか途中なのかというのは大変重要な問題でありますから、我々は、よほどの環境変化とかいうことでない限り、ゴールだと思っているんですが、いかがですか。
高市副大臣 それは、永久にどうかと聞かれると、責任を持てません。今考えられる限りでベストであると申し上げざるを得ないんですけれども、ただ、発送電の一体的な整備と運用というのは重要である、それが確保されつつ行為規制というのが有効に機能するということが前提であれば、今回の方針というのは私は維持されると思います。
川端委員 実際、今回こういう部分でやっていくと、送電のいわゆる公共性、これは道路に似ているんですよね。そして、諸外国のアンバンドリングのいろいろな失敗例みたいな部分でいいましても、やはりここには、要するに、透明性と公共性の部分でいうと、採算ももうぎりぎりのところで使うということになりますから、投資したときの効果がほとんどない。だから、諸外国の例でもどんどん投資がなくなっていって、もうからないところはもういいわという話になっていくというふうな、いろいろな心配はたくさんあります。そういう部分は、私は、やはり発送一貫体制という部分で、いわゆる安定供給と環境、長期固定電源の部分も含めて堅持する中で、また、そういういろいろな課題に関しては御検討を引き続きいただきたいと御要請申し上げておきたいと思います。
 それで、時間が来てしまいまして、最後に一点だけ。
 このバックエンドは、今後の取り組みということで、ある種の先送りになっているんですけれども、前回申し上げたんですが、いわゆる原子力発電を、政府として、国として、日本のエネルギーの中でどう位置づけるかというのがはっきりしないわけですね。
 昨年のエネルギー政策基本法が議員立法で出たのも、結局、国、地方公共団体がエネルギーの基本政策を持つということにおいて、結果として、そこの部分で原子力エネルギーというものが位置づけられるということが、間接的であるけれども大事なエネルギーとして位置づけられるということだけれども、国としてそういう部分がいまだに、基本計画もまだ出てきませんけれども、はっきりしない中で、そして、そのバックエンドの話とか、こういういろいろなことになってくるから、なかなかしんがない議論が多過ぎるのではないかという感想を持っています。
 それで、全然別の話なんですが、スペースシャトルがドカンといってみんな亡くなった。そのときに、即座にブッシュ大統領は国民に対しての会見を開いたんですね。大変悲しい出来事だと哀悼の意を表するとともに、しかし宇宙開発はどうしても必要だ、だから、その原因究明と対策、それから悲しみを乗り越えて引き続きやっていくんだということをおっしゃった、そういう趣旨のことをおっしゃったように覚えております。
 原発の周辺でいうと、いろいろなことが今起こっていますよね。そういうときに、例えば、テレビでコメンテーターの何かワイドショーを見ていますと、今、原発、一個も動いていないんだよね、それでみんな暮らしているよね、要らないんじゃないのと言っている人がいっぱいいるんですよね。そういうものなんだろうか。
 そうすると、政府は、本当に原子力というものを未来永劫という、高市先生の未来永劫の話ではなくても、今考えられる部分で言えばこれはどうしても要る、エネルギーの安定供給に責任を持つ大臣として、どうしてもこのエネルギーは必要であって、その部分できちっと対策をとっていくという仕組みになっていない。ここが私は、このバックエンドの議論も含めて、いろいろなことになかなかすっきりとした話にならない、何かまるで事業者が好きで原発をつくっているような印象さえ受けかねないというところにこの根幹があると思うんです。
 この部分に関しての御見解を伺って、本当は、だから、いろいろな原発事故があったときに、こういう事故は極めて遺憾であるし、許されない、二度と起こしてはいけないし、対処もきちっとする、しかし、原子力発電は現時点における国の、国民のエネルギーを支えるのに、根幹を支えるものであるから、安全性とかいうことを確保しながら、対処しながら、引き続きちゃんとやっていくから協力してくれということをだれも言っていないじゃないですか。私はそこに問題があるんだと思いますが、そのことをも含めて、原子力に関する、原発に関する大臣の基本的な御認識をお伺いして、終わりにしたいと思います。
平沼国務大臣 天然エネルギー資源の乏しい我が国にとって、原子力は大変重要なエネルギー源だ、これは政府の基本認識でございます。
 したがいまして、今後も、国のエネルギー政策の中で原子力というものは非常に大きな位置づけで、私どもはこれを推進していかなければいけない。しかし、その前提としては、やはり安全性を担保する、これが非常に重要なことだと思っております。
 そういう意味で、私どもは、原子力発電の今回の不祥事についても、記者会見を開きながら、私はその都度、非常にこれは遺憾であるけれども、やはり原子力発電は必要だということは、記者会見等々でそれは言い続けてきたことでございまして、この基本姿勢というのは、私は一貫して変わりません。そういう意味で、環境にもやはりCO2を排出しない、そういう原子力のいい面もございますから、そういったことも含めて国の基本的なエネルギー政策の中で原子力をぴしっと位置づけている、これは不変でございますから、今後ともしっかりとそこはやらせていただきたい、このように思っております。
川端委員 終わります。ありがとうございました。
村田委員長 後藤斎君。
後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。
 質問通告を幾つかしてある前に、きょう、新聞報道で大きく取り扱われております、今回の問題にも直接関係しますが、核兵器に使われるウランの濃縮装置に転用可能な直流安定化電源装置を無許可で北朝鮮に輸出しようとしたということで、関係者が昨日家宅捜索を受けたという記事が各紙に載っております。
 いろいろな新聞を見ると、内容がそれぞれちょっとずつ違っておるんですが、今回の電力の問題、原子力などとあわせて大変重要な問題だと思いますので、現状どのようになっておるのか、そして、今後、経済産業省としては本案件についてどのように対応するのか、冒頭お尋ねをしたいと思います。
平沼国務大臣 まず、事実関係から申し上げさせていただきたいと思います。
 四月の二十四日に、経済産業省は、外国為替及び外国貿易法違反の疑いで、警視庁に対して株式会社明伸を告発しておりました。
 同社は、四月四日に、外為法上、経済産業大臣の許可の申請が必要となる今御指摘の直流安定化電源につきまして、許可の申請及び許可の取得をせずにタイの通信関連企業向けに輸出を行って、タイより北朝鮮の懸念調査活動を行っている企業向けに再輸出するとの疑いがあったわけであります。
 今回のケースというのは、対象物が懸念国に行く前に押さえることができた、それからタイ、米国等国際協力のもとで実施した、これが特徴だと思っております。御指摘のとおり、五月八日に警視庁が株式会社明伸に対する強制捜査を行ったわけでございまして、今捜査中でございますので、その内容については当然コメントはできないわけでございます。
 告発対象としたものは、今申し上げたように四月四日に輸出をされました直流安定電源、これは三台でございます。輸出申告価格は総額で百九十五万でございまして、そして輸入者は、申し上げましたとおりタイの通信関連企業でございます。
 これはなぜ無許可輸出になったのかということでございますけれども、株式会社明伸が今回直流安定化電源をタイに輸出しまして、タイから北朝鮮に再輸出する疑いがある輸出案件というのは、当省が昨年十一月、外為法に基づきまして経済産業大臣の輸出許可申請をすべき旨の通知をしました。これは輸出貿易管理令第四条第一項第三号のロ、いわゆるインフォームを行った輸出案件と同一である、こういうふうに考えたからであります。だから、今回の輸出案件というのは外為法の無許可輸出になる、このように考え、そして告発をさせていただいた、こういうことで、今後とも我々は、国際的な協力のもとに、こういったことが起きないように万全を期していかなければならない、このように思っています。
後藤(斎)委員 エネルギー関係に入らせていただきます。
 先ほど、中山、川端両先輩議員からもいろいろなお話がございました。若干切り口を変えながら内容を詰めてまいりたいと思っております。
 冒頭お尋ねをしたいのは、昨年制定されましたエネルギー基本法、並びにきょうの本題であります電気事業法、いずれを見ても、この法体系というのは、ある意味では、量的、電力総量としては十分にあるという前提で組み立てられているのかなという感じが、特に電気事業法の方はしております。
 先ほどもお尋ねがありましたが、例えば電気事業者の供給責任というのは、供給義務規定ということで、電気事業法の第十八条という中でその責任が明確化をされております。エネルギー基本法においても、事業者の責務ということで、第七条でその事業の対応のあり方が記されております。
 同基本法の国の責務においても、基本方針の策定と総合施策の策定、実施という責務は第五条にあるものの、だれが国民に対する最終的な供給主体なのかというものが私は明示されていないと思っております。
 先ほど大臣は、私がその最終責任を持つというお話をされましたが、経済産業大臣としての責務なのか、それとも政府全体の責務なのかという点も含めて、御答弁をお願いしたいと思います。
平沼国務大臣 今、東京電力の全十七基のうち十六基の原子炉が停止しまして、大変な異常事態になっております。これはエネルギー担当大臣として、私は極めて遺憾だと思っております。
 国は、電気事業法等など電力の安定供給が図られる仕組みを整備、運用するとともに、電力会社を指導監督する役割を担っております。一方、電力会社は需要家への直接の供給責任を負っている。電力の安定供給を確保していくためには、国と電力会社がそれぞれの責任を果たしていくことが必要である、こういうふうに認識をしております。
 かかる観点から、エネルギー政策に責任を持つ私自身としても、こうした国の責任を果たして、電力の安定供給を確保するためには、最大限の努力は行っていかなければならないと思っております。
 今、大臣にあるのか国にあるのか、そういうお問い合わせでございましたけれども、私は、やはりエネルギーのいわゆる政策に責任を持つ私が、こういう電力の供給不足、そして、あってはなりませんけれども電力の断絶、こういったことには、やはり一番責任を持っている者として対処をしていかなきゃいけない。ですから、私はエネルギー政策担当大臣として一義的に責任がある、こういうふうに思っております。
後藤(斎)委員 通常の財、商品であれば、物が不足すれば価格が上がって、市場において価格が決定されるということになっています。電気は、言うまでもなく、いわゆる公共料金ということで、その需要の価格弾性値というのはほとんどゼロに近いというふうに以前経済学で習ったような感じがします。
 先ほど停電の話もございましたが、日本では大停電というものはほとんどない。逆に言えば、先進国でも停電率は最低の部類にあるというふうに言われておりますし、実際数字を見れば、年間大体一世帯当たり四分間。アメリカでも七十分を超す停電が毎年起きている。これは、何度もこの委員会でも御指摘がありましたように、まさにその安定供給を担っていた電力事業者の職員の皆さんを初め、たくさんの関係者の皆さんの御努力でここまで来たというふうに私は思っております。
 一方で、先ほど価格弾性値が非常に低いということがございましたが、電気事業法の十九条の中で「一般電気事業者の供給約款等」という規定がございます。その中で、十九条の二の一に「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものである」ということで、基本的には電気料金が、それぞれの電気事業者の体力に応じたというか、経営内容に応じて現在決められておる。それが公共料金として、家庭、産業用を分けながら適用されているというふうに承知をしております。
 例えば、きのう東京電力が公表して、今頑張っても、供給量が七、八月には六千十万キロワット、需要に不足する数量が最大四百四十万であると。これは要するに、ある意味では、先ほども御指摘があったように、なりふり構わない形で量の確保ということを優先的にやっている数字だと思いますが、例えば、先ほど条文を引かせていただいた「能率的な経営の下における」という部分に、このなりふり構わぬ対応の仕方が合致をしているんでしょうか。
 東電の問題が起こったときに、今原発を停止し、一基当たり一億円の、ガス、原油を含めてコスト増になっているというふうなことも、寒い時期には指摘をされたと思います。
 その観点も含めて、十九条の二の一というものをどう読み込んで、仮に今適正な経営の中でやっているということで、このまま電力料金というのは据え置いていくのか、最大限努力をさすようにさせるのか、それとも、いずれ電気を上げて、上げれば、基本的には、一般財であれば価格を控える、先ほど省エネとかいう話も出ましたが、実際、価格が一定であれば同じように使うというのは、ある意味では消費者側から見れば当たり前のことだと思うんですね。その点、大臣、いかがでしょうか。
岡本政府参考人 先生が引用されました規定は総括原価についての規定かと思いますが、東京電力が事業者として、今の事態を踏まえて、供給力を原子力以外で最大限かき集めるための努力をするということは、一つは、供給義務というのも根っこにありますし、自由化部門を持っているということもあわせました場合にも、当然な責務としてそれをおやりになるべきものだと考え、私どももそのことを促してまいっているところでございます。
 他方で、そのことと総括原価、ひいては料金の方がどうなるかという点は、今回の事態への対応による、それ自体はコストアップを伴うものもありますけれども、他方で、他の費用項目についてのこれからの変動というのもございますので、一義的に今私どもがどうこう申し上げるのは、これは時期尚早かと思います。これからのコスト構造全体の推移というのを見ながら、まずは東京電力において判断さるべき問題ではないかというふうに考えているところでございます。
後藤(斎)委員 確かに、おっしゃっている意味は、私自身よくわかった上で質問をさせていただいております。
 ただ、先ほどもお話をしましたように、価格が一定であれば、通常の消費者の方、ユーザーの方にとってみれば、同じように使うのは、ある意味では当たり前であって、幾ら、例えば政府とか東電が反省キャンペーンや節電キャンペーン等をしたにしても、そこの変動がなければ、きちっとした、本当に理解をしている方というのは、まだまだ正直言って少ないのが現状だと思います。
 きょう大臣は、きのうの経済産業省の対策本部を踏まえて、閣議でもその旨の御指摘をされたというお話がございました。まさに地元合意というのは、いろいろな法律を見ても、法律に別に、地元の合意をとって原発を再開しろという規定は全くないわけですね。ただ、昨年からの一連の情報開示、また虚偽の報告等々を含めて、地元の方は、いや、だめだという、まさに安全性を前提とした中でのやりとりだというふうに思います。
 大臣、そういう場合、本当に不足して困るのは要するにだれなのかということを考えると、これは、ある意味では現在の原発立地地域の新潟県の皆さんでもないし、福島県の皆さんでもない。これはよく原発を立地するときに言われることですけれども、逆に言えば、電力を今使っている消費地はそういう痛みを、自治体の長の方も住民の方も十分知っていない。ですから、痛みというものが何であるかというのはいろいろな考え方があると思いますが、そこを私は、総務大臣も含めてもっと、今消費をなさっておられる県の首長さんも含めてきちっと、本当に困るんだという認識をではどれだけ持っているのかという段階に入っているのではないかなと私は思うんです。
 確かに、経済産業大臣もみずからお出かけになって、新潟や福島に事情を説明して理解を求める、これは、先ほど大臣が冒頭にお答えをいただいたように、エネルギー政策の第一義的な最終的責任者だということはもちろんわかっております。ただ、需要者側から見て、その認識が本当にどこまであるのかというのが私はクエスチョンマークなんですね。
 確かに、前回の委員会でも、会館や国会の中も省エネに努めて、衆議院で年間百五十万くらいの節電ができるといっても、実際暗くなっているからそうであって、では実際テレビを見る時間が一般の御家庭で少なくなったかといえば、多分そんな数字はとっていないかもしれませんが、そうではないと思うんです、まだまだ。
 ですから、私は、仮に一般の国民の方にそこまでの無理を強制的にできないということであれば、やはり自治体の、消費地と言われている関東圏のそれぞれの知事にもいろいろな働きかけを逆にしてもらう時期に来ておる、それは総務大臣からもその旨をきちっと理解し要請していただくというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
平沼国務大臣 それは重要な御指摘だと私は思っておりまして、けさの閣議でも全大臣に、私から、きのう本部を立ち上げて、そして節電というものを幅広く国民各層にお願いをする、こういうことでございますから、総務大臣もそのことは重く受けとめていただいたと思っております。
 それから、今御指摘のように、東京の場合には、やはり電力の四割がいわゆる原子力で賄われています。また大阪は、これはもっと比重が多くて、原子力は五〇%を超えているわけであります。
 そういう観点から、いわゆる立地の方々とそして電力を消費する地域の方々、これの交流をしなければならないという形で、既に東京都知事にも出ていただき、また原子力発電所の立地の、例えば新潟県の平山知事も出ていただく、こういう形でエネルギーフォーラムをさせていただいて、そして意思の疎通を図るということもさせていただきましたし、せんだっても、大阪で太田知事にも出ていただき、福井県の知事にも出ていただく、こういった形で進めさせていただいております。
 私どもとしては、やはり立地をしてくだすっている地域の方々の御協力の中でこれだけの工業化社会が円滑に動いている、ですから、その立地の方々に対してやはり安全性というものをしっかりと御理解していただくように努めるとともに、やはり消費地の方々からもそういう今の厳しい状況のメッセージ、これを送っていただくということは非常に大切なことだと思っておりまして、大変いい御指摘だと受けとめさせていただいております。
後藤(斎)委員 ぜひそんな形で、できるだけ需要、供給それぞれの中でやっていただきたいと思うんですが、そうでない場合もやはり想定をしなければいけないんですね。ちょっと法律に基づきながらお話をしたいと思います。
 電気事業法の二十七条には、電気の使用制限ということで、まさに要請ベースでなくて強制的に、「需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められる」という部分で、使用制限を規定しております。あわせて、この条項が当たるかどうかは別としても、監督条項の第三十条には、業務方法の改善命令ということで、「その供給の業務の方法を改善すべきことを命ずることができる。」という規定、あわせて三十一条には供給命令の規定がございまして、ある意味では、強制力を持ちながらその需給の調整、公益性を担保するという規定がございます。
 ここまでいくと大変深刻な事態になりますし、電気事業法が制定された以降、この発動は基本的にはされていないという認識を持っておりますが、この権限の行使を最悪の場合するという御覚悟がありますでしょうか。
迎政府参考人 お答えを申し上げます。
 まず、電気事業法二十七条の電気の使用制限でございますけれども、これにつきましては、第一次石油危機の燃料不足の際に、昭和四十九年の一月から五月までの間、使用制限を発動した実績がございます。このケースでは、五百キロワット以上の需要家に対して原則一五%の使用電力量の制限、それからネオンなどの用途に限りまして、その用途には使用してはならないというふうな制限を行った例がございます。
 ただし、私どもとしては、先ほど来お答え申し上げておりますように、こうした使用制限などの措置を発動することが必要な事態に至らないように、供給面あるいは節電等々の面で対応していきたいということでございます。
 ちなみに、御指摘ございました三十条の業務改善命令で原子炉を強制的に運開させるというふうなこと、これもこういうことではなくて、運転に支障がないこと、安全性を国がきちっと検査などで確認をしていく、それから、その地元に御理解をいただくということで運転の再開を進めていくべきであるというふうに考えております。
 それから、三十一条の供給命令ということでございますけれども、これは、電気事業者間で広域的に協調して融通をするというものにつきまして、国がその命令ができるという規定でございますけれども、現在、東京電力の電力需給の状況にかんがみまして、既に他の電力会社から可能な限りの追加的な供給を受けるということで、そういった準備が行われているというふうなことでございますので、これを発動する必要というのはないというふうに考えております。
後藤(斎)委員 大臣、もうすぐお出になられるということで、一点だけ、ちょっと違う話を。
 先ほど中山議員からも御指摘がありましたが、電源開発株式会社、後でちょっと深くやりたいと思うんですが、このいわゆる基金を、持ち株会社というか、上場するに当たって対応が進められるこのファンドが余り規制的であって、長続きというか長期間にわたると、逆に言えば、法目的であります完全民営化というものに支障を来すのではないかなという感じがします。
 その点につきまして、大臣のお立場からいえば、基金の位置づけというものをある意味では限定的にし、その上場円滑化という法目的に従った役割に徹するべきだというふうに考えておりますが、その点、大臣いかがでしょうか。
平沼国務大臣 ちょっと参議院の本会議がございますので、中座をさせていただく御無礼をお許しいただきたいと思います。
 電源開発株式会社の民営化に当たって設立される会社は、電源開発株式会社の株式の上場や民営化後の資金調達の円滑化のための財務体質強化策の実施主体として設立されるものでございまして、でき得る限り早期に事業を完了した後解散する、こういうことになっております。
 したがいまして、実効性のある財務体質強化策が確実に実行されるために不可欠でございます事項、例えば、民間金融機関等からの融資の金利支払いに必要な電源開発株式会社からの配当の確保等については指定会社としても関心を持って見守る必要があると考えますが、電源開発株式会社の経営全般にわたり逐一私どもが関与する、こういったことは私どもとしては適当ではないと思っております。
 そして、電源開発株式会社の民営化に当たって設立される会社というのは、資金調達の円滑化のための財務体質強化策の実施主体として設立されるものでありまして、でき得る限り早期に事業を完了した後に解散するものでございます。
 ですから、実効性ある財務体質強化策が確実に実行されるためには、私どもとしては、融資の金利支払いに必要な電源開発株式会社からの配当については指定会社としても関心を持って見守る必要がある、こういうことでございまして、私どもとしてはそういった形でそういったことを考えている、こういうことでございます。
後藤(斎)委員 先ほど迎部長から、三十一条の供給命令の部分は既に電気事業者がいろいろな形で対応しているので発動する予定はないというお話でしたが、これはきょうの自由化の方の問題にも関係をしますが、基本的に会社間の連系というのは、特に今回、東京での、関東地域が大停電を起こすかもしれないという電力不足の中での議論と、周波数の東西での違いということで、基本的には天竜川の部分で六十ヘルツと五十ヘルツで全く周波数が分断をされているわけですよね。この連系をするべく周波数の変換装置は、現在では九十万キロワットのパイプしかない、昔の関所の非常に厳重な形だというふうに多分言わざるを得ないと思うんです。
 多分、自由化が進んでいっても、基本的には東西のグループ分けというのは、この関所を少し緩やかに、窓口を広く、ですから九十万を百二十万にするという計画の中で対応しているというお話は聞いておりますが、やはりこれから設備投資も自由化が進めばなかなかできにくくなる。そして、今回のような供給不足ということを仮に政府としても責任持って想定するとしたら、ここの関所の周波数の変換をする部分をやはり国がある意味では責任持ってコスト的にも対応していくことが、エネルギーの安定供給、セキュリティーという部分にもつながっていくし、なおかつ、東西が仮にそれぞれ自由化が適切、適度に進みながらコストが下がっていって、それが需要者、消費者の方に還元をされるということであれば、ここの関所をどうするかということも私は一つ大きな問題だというふうに思いますが、その点、経済産業省としてどのようにこれから対応なさっていくんでしょうか。
岡本政府参考人 今先生御指摘の、周波数変換施設の容量に一定の限界があるということは全国的な電力の流通の制約要因になっているというところの認識は、私どももそのとおりだというふうに認識を持っております。
 今度の改革の一連の設計の中におきまして、広域的な電気の供給が円滑化されるような仕組みということでそういうものを導入しようとしているわけですが、具体的には、御提案申し上げております法案の中にあります中立機関で、連系線強化に関する判断基準の中で、だれがどういうふうにしてどういう状況のときに連系線の容量を拡大していくか、その費用負担をどうするかというようなことを決めていくということになっているわけでございますが、そういったことを通じて周波数変換設備なりあるいは連系線の整備ということが進むことを期待いたしておりますが、政府としてどういう支援が可能かということもあわせまして、今後検討をしてまいりたいと考えております。
後藤(斎)委員 もう一つ、先ほどもちょっと指摘をしようとしておったんですが、今回の自由化が進むとある意味ではコスト的に安い電力を供給せざるを得ないということで、大規模な火力発電所や水力発電所、原子力発電所を設立するのではなく、エネルギーやガス等々の小規模の電力会社がいろいろな形で参入をしてくるということが多分想定をされると思います。
 そのとき、火力電源というものがメーンになるといういろいろな指摘もありますが、これは、昨年のエネルギー基本法の中の「環境への適合」という三条と冒頭お尋ねをしたようないわゆる地球温暖化の部分に逆行するという指摘に対しては、経済産業省はどのようにこれから対応しようとしているんでしょうか。
岡本政府参考人 これまでのところ、自由化された市場への新規参入者は、確かに先生御指摘のように、化石燃料系の発電施設を使用した市場参入が一般的でございます。ただ、そういう方々の今のところ市場での販売電力量のシェアで見ますと、〇・八五%程度にとどまっているところでございます。
 他方、今回の制度改正の中では、原子力あるいは水力といった環境適合型の大規模電源の投資がこれからも進むようにということで、優先給電指令制度でありますとか、送電容量の優先的な割り当てとか、そういった工夫をするということにいたしております。それから、広域的な電力流通を活性化させ、全国規模の取引所を整備するということにいたしておりまして、こうした電源というものが新規参入者を含めて取引所なんかを通じてアベーラブルになってくるということでございますので、そういう方向からの環境適合型電源というものの拡大というものを私どもは期待しているところでございます。
 ちなみに、先般、関連するエネルギーの関連税制の見直しの中で石炭についての課税というのが新たに導入されたということもございまして、そういう意味では、化石燃料の一部について一種のディスインセンティブが働くというようなこともあろうかと思っております。
 私ども、いずれにしましても、自由化を進める中にあっても、安定供給と並んで環境適合というのは非常に大事な視点だというふうに考えておりますので、そういう方向での電源の構成が進みますように期待をしているところでございます。
後藤(斎)委員 基本的に、昨年のエネルギー基本法のエネルギー基本計画というのが、いろいろなお話を聞いていると、ようやくこの基本計画、総合資源エネルギー調査会の意見を聞き始めたというお話をお伺いしています。
 その中に、先ほども御指摘した、原子力発電、水力、火力、その中でのまた既存のいわゆる九電力会社と言われている部分が対応するのか、いろいろな施策を策定することになっていますが、これが、環境の問題、市場原理の活用の問題、そして安定供給の確保の問題、今回の自由化の問題も含めて、いろいろな視点からこの計画がまとめられると思うんですが、これはいつをめどにするかということで、今回の供給不足も含めて全体像がようやく見えてくるんだと思うんです。
 このまま、あっぷあっぷで、なりふりも構わず東電さんが、今は体力があってできるかもしれないし、先ほど長官は、いや、東電のある意味では責任もあるからやってもらうんだというふうな御発言もありましたけれども、それもいずれ限界が来るはずでございますよね。それを、ですから、この基本計画というのはいつまでにおまとめになるんでしょうか。
岡本政府参考人 先日、総合資源エネルギー調査会の第一回の基本計画部会を開催して、審議をキックオフしていただいたところでございます。
 エネルギー政策基本法制定時に、提案者である先生方の方から、成立後、おおむね一年後を目途にということでございますので、私どももその審議の経緯というものを重く受けとめさせていただいておりまして、この夏までには基本計画を策定すべく、今鋭意、事務局としての作業と同時に、審議会の先生方にも夏に向けて精力的な御審議をお願い申し上げたいということで、準備をしているところでございます。
後藤(斎)委員 時間がもうなくなってきましたので、先ほどの電源開発株式会社の幾つかの点について御質問をしたいと思います。
 先ほどもお話がございましたが、現在、完全民営化ではないということで、経済産業省のOBの方が三人、財務省のOBの方が一人、株主ということだろうと思いますけれども東京電力のOBの方が一人、いわゆる天下りということで対応していますが、完全民営化ということになりますと、電発の経営自主性ということで、先ほど大臣は国家公務員規則に基づいてというお話をされましたが、経済産業省は経営自主性という後押しをどのように考えているのか、簡潔にお答えを願いたいと思います。
迎政府参考人 電源開発の役員でございますけれども、これは、会社の事業内容に照らして、個人としての経験、能力等に基づいて選任、配置をされるというふうなものでございまして、民営化後においては、政府も認可を行わない、何ら関与をしないという中で、会社の事業に最もふさわしい人を会社独自の判断で選任をしていってもらうというふうなことであろうと思っております。
 政府として、その役員選任の方針等について述べる性格のものではございませんけれども、先ほども大臣が御答弁申し上げましたように、いわゆる天下りについて国民の批判というのがあることを真摯に受けとめまして、仮に公務員出身者が役員に就任をするというような状況が生じる場合には、国家公務員法上の厳格な定めのもとに対処をしていくということが必要であろうというふうに考えております。
後藤(斎)委員 電力会社も現在では電源開発株式会社の株主になっております。完全株式の上場まで株三割を持っているということで、ある意味では、株主と同じように、電力会社が既存の電力会社と競争していくということで、電源開発株式会社が完全民営化をするに当たって、自主的経営基盤というものを確立する上で、ある意味では、同業者に何かチェックをされながら、中身を見られながらやるというのもよろしくないのかなというふうに思いますけれども、その辺、経済産業省として、電源開発株式会社の自主的経営基盤の確立という上で、持ち株ではありませんが、既存の三割の九電力会社の株保有、それを上場するという、移行期間を含めて、どのようにお考えになって、どのように対応するのか、お伺いしたいと思います。
迎政府参考人 九電力による電源開発株式会社の保有株式につきましては、特殊法人整理合理化の中で、電源開発株式会社を民営化するという方向を最初に決めました平成九年六月六日の閣議決定の際にも、売却等の措置を講ずるという方針がはっきり決まっておるところでございます。したがいまして、完全民営化する同社の経営の自主性、独立性を確保する観点から、九電力の持ち株についても売却をしていただくという方向で考えております。
 ただ、具体的な売却の時期等につきましては、今後、これらの会社と協議をしていきたいというふうに考えております。
後藤(斎)委員 時間が終わっているんですが、あと一点だけ、恐縮ですが、関連で。
 先ほどもちょっと大臣にお答え願ったんですが、財務基盤の安定化のための基金ということでありますから、基金は余り長続きはしてはいけないという指摘をさせていただきました。一定のめどをできるだけ早期にという話を大臣はなさいましたが、基金の解消、基金が終わるにはどのくらいのめどというのを今お考えになっているのか、最後にお尋ねをしたいと思います。
迎政府参考人 増資引き受けを行う指定会社でございますけれども、これについては、今年度下期にも設立をして増資の引き受けを行う、それで、できる限り早い時期にということで、できれば十六年度に株の売却をしたい。その結果、売却益が生じた場合には一回に限って再投資ができるわけでございますけれども、そうした再投資を行ったものも早急に売却ということでございます。
 ただ、これは、株式市場の動向ですとか、こういうのを踏まえて、確定的な期限というのを申し上げるのはここでは大変難しいわけですけれども、できるだけ早期にこうした事業をすべて終えて、指定会社は解散をするということでいきたいというふうに考えております。
後藤(斎)委員 どうもありがとうございました。
村田委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時二分開議
村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。金田誠一君。
金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。
 まず一点目は、電力自由化と再生可能エネルギーの両立についてという観点で質問させていただきます。
 我が国における再生可能エネルギー、例えば風力、太陽光、バイオマス等でございますが、この導入は諸外国に比較して著しく立ちおくれている、こう思います。
 ところが、本年度からスタートしたいわゆるRPS方式、これでは、再生可能エネルギーの導入を結果として抑制してしまうということになっているわけでございます。例えば、私は北海道でございますけれども、北電の場合は、八万キロワットの一般向け公募をいたしました。しかし、これに応募をした方々は六十五万キロワットもあったわけでございます。ほとんどが枠に入れないという状況でございました。
 そうした中で、今回の法改正によって事業者間の競争がさらに促進されることになれば、より一層再生可能エネルギーに対する抑制効果、これが働くのではないかということが懸念されるわけでございます。
 にもかかわらず、今回、法案を見ても、あるいは説明資料を見ても、再生可能エネルギーについては何も触れられておりません。わずかに環境への適合という項目だけ起こされておりますけれども、再生可能エネルギーについては全く触れられておらないという状況でございます。
 本来、電力自由化の中にあって、再生可能エネルギーの普及を促進するには、私は、四月からスタートしましたRPS方式の手直し、これが急務であるというふうに思います。そういう立場から、具体的に四項目提案をさせていただきたいと思います。
 まず第一は、参入を希望する事業者には、原則として参入を認めるということでございます。政府が定めた利用義務量、これはしり上がりに二〇一〇年に向かって義務量がふえていくことになっているわけですが、これはもう最低基準、ここまでは最低義務量ですから達成しますよということであって、これ以上どんどんふえてもいいわけですよね。それを可能にする仕組みをつくらなきゃだめだと思うわけであります。これが一点目。
 二つ目として、そのためには、送電線の増強など系統の整備、これがどうしても必要になるわけでございます。とりわけ北電などは、風力の参入希望など非常に大きいわけでございます。しかし、北電だけがその負担をするというのはこれまた不公平な話でございますから、国が系統の整備について積極的な役割を果たす、これが二点目に必要だと思います。
 第三として、購入価格が電力会社ごとに異なるようでございます。例えば、北電では、キロワットアワー三円三十銭というのが今回の値段でございます。電力によっては四円とかいろいろあるようでございますが、この異なる現状に対して、その根拠をきちんと情報開示させるとともに、政府としても、一定のガイドライン、きちんとした考え方、これを示す必要があると思います。これが第三。
 次に、第四点でございますが、証書の買い取り価格、これについても、長期にわたって安定した価格になるように、どうなるかわからないということであれば、そういう中でも今参入意欲は非常に強いわけでございますけれども、より促進するとなれば、証書を長期にわたり安定した価格にするような措置を講ずる。
 最低でも、当面、今申し上げた程度の手直しが早急に必要だと思うわけでございます。この提案は、基本的には固定価格買い取り制度、これを念頭に置いて、RPS方式の中であってもこれに近づけるんだという考え方を今私は申し上げたわけでございますが、これをやれば、二〇一〇年度の義務量百二十二億キロワットアワー、これはかなり前倒しで達成できることになる。
 これは景気対策としても、これだけ仕事があるわけですから、公費によらずに民間の借り入れによってこれだけ仕事をやれるわけですから、建設業から電気関係から非常にプラスになるという観点からも、ぜひこの今申し上げた提案を早急に実施に移していただきたい、こう思うわけでございまして、ぜひひとつ前向きな御答弁を賜りたいと思います。
高市副大臣 先生からの四つの御提案、まことにありがとうございます。
 RPS制度でございますけれども、これは電気事業者に一定量以上の新エネルギー等の利用を義務づけるものでございますので、先生がおっしゃったように新エネ発電事業への参入を阻害する要因になっているというよりは、むしろ制度としては参入を促進する効果を有するものと考えております。
 一つ目の御指摘でございますけれども、確かに、参入を希望する事業者には参入を認める、なおかつ、利用義務量、これはあくまでも最低基準である、この点は賛同いたします。
 ただ、北海道の件で風力発電の御指摘がございましたけれども、新エネルギーのうちでも風力発電につきましては、送電線容量が小さい遠隔地に適地が多いということ、それからその出力が風況によって不規則に推移いたしますので、系統全体の周波数が瞬時に変動してしまうという点がございますので、その導入量にどうしても一定の技術的な制約があるということは事実でございます。
 それで、送電線等の増強という御提案をいただいたわけでございますけれども、新エネルギー事業者支援の補助金、これを交付する際に、風力発電事業者につきましては、風力発電機のみならず、系統へ接続するための送電線、それから系統接続に伴う電力会社への負担金も補助対象としていることでございますので、送電線の増強についても措置を講じているところです。
 それから、加えまして、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会におきまして、風力発電の大規模な導入に伴って必要となります系統連系対策、この内容、それから費用の規模、それからその実施や負担のあり方につきまして、今後三年間を目標にしまして検討を行うという報告がなされておりますので、政府の対応策も含めて今後進めてまいります。
 それから、新エネルギーによって発電された電気の購入でございますけれども、これは、一般電気事業者が創意工夫を凝らして、自主的に経営判断として購入条件をあらかじめ設定し、公表して行われているものですので、国としてこれに関与するべきではないと考えております。
 最後の点、いわゆる証書価格なんでございますけれども、これも基本的には市場原理によって決定されるべきものと考えておりますけれども、ただ、御指摘のようなこともございますので、政府として、この制度の円滑な運用と安定的な取引というものを確保するという観点から、この取引価格を調査いたしております。価格の推移を今後注視してまいるつもりでございます。
金田(誠)委員 そういう御答弁ですと進まないわけですよ。
 北電ですと、ことしは八万キロの枠しかなかった、六十五万キロ応募があった、次にいつ募集になるかさえわからないという状態です。この枠さえ広げて、受け入れる体制さえつくれば、六十五万がさらにふえるというのはもう明らかですね。今この不景気の中で、不況の中で、公費によらずに仕事ができるわけですよ、そういう枠さえつくっていけば。
 そういう観点も含めて、CO2対策も含めて、あるいは、これはもう準国産エネルギーですから、エネルギーセキュリティーという観点も含めて、どういう観点から考えても、そういう一般論で済ませるべきものではないと私は思います。やはりもっと政府がリーダーシップをとって、RPSはRPSでスタートしましたからいいですけれども、しかし、その枠の中でも、やろうと思えば申し上げたようなことをもっとできる。系統の補強についても、一般的に補助制度がありますよじゃなくて、具体的にもっと突っ込んで、八万の枠なんということではなくて六十五万を受け入れて、さらに来年以降も募集できるような仕組みをどうやってつくるか、これが問題じゃないですか。いま一歩踏み込んだ御答弁をいただけませんでしょうか。
平沼国務大臣 高市副大臣から御答弁をしたことが基本になると思いますけれども、私は、新エネルギーの導入というのは非常に大切なことだと思っております。
 今、現状では、新エネルギーというのはエネルギー全体の一%でございまして、これを国としても高めていこうという形で、二〇一〇年までには三%、こういうような目標があります。私は、それではまだまだハードルが低い、もっと高くすべきだ、こういうことで今、省内を督励しております。
 ですから、今、金田先生からそういう具体例をお示しいただいた、そういうことも我々としてはやはりしっかりと受けとめて、総合のエネルギー安全保障、安全対策ということを考えたときに、新エネルギーの導入というものについて私どもは積極的に対処をすべきだ、こういうふうに思っておりますので、御提案はしっかりと受けとめさせていただければ、こういうふうに思っております。
金田(誠)委員 ぜひ、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、質問の二点目でございますが、電源開発株式会社の民営化の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 このことについては、電発の財務基盤強化のためのファンドを組成するということになっておるわけでございますが、それほど財務基盤は脆弱であるということだと思います。加えて、所有する発電設備についても、総出力千六百万キロワットのうち、揚水発電、これは極めて非効率な発電方式だと私は思いますが、これを四百九十八万キロワットも所有している。全体の三分の一を揚水が占めておるわけでございます。にもかかわらず電発がこれまで存続できたのは、東電を初めとする電気事業者が同社を特別に優遇したことによるというふうに言われていると思います。
 しかし、特別な優遇によって非効率を温存することは、本来あってはならないことでございます。自由化の目的は、まさにこうした消費者の不利益となる構造を排除するということにあると思うわけでございます。
 そういう立場で質問をさせていただきますが、まず揚水発電の原価について、電発の場合はキロワットアワー当たり幾らになっておりますでしょうか。
迎政府参考人 まず、キロワットアワー当たり幾らかというお尋ねでございました。
 揚水発電によって発電された電力の供給についての契約というのは、通常の電気の取引と異なっておりまして、通常、揚水発電の場合は、電気を受ける側が揚水発電を委託するというふうな契約形態をとっておるわけです。ですから、ある一定の時間に揚水による発電を受け取りたいという場合には、そのための水を揚げるための電気を供給して、その委託契約にのっとって、必要な時間にもらうというふうな形になっております。
 したがいまして、料金につきましても、これはキロワットアワーにかかわりなく、資本費それから維持運転費といった固定費を、キロワットアワー当たり幾らということではなくて支払うというふうな契約形態になっております。したがって、そういうキロワットアワー当たり幾らというふうな数字はないわけでございます。
 それから、内訳といたしましては、資本費が約七割、それから修繕費ですとか人件費等が三割というふうな原価の構成になっておるというふうに承知しております。
金田(誠)委員 それでも、実際、委託契約によって発電した電力に対して幾ら払っているかということになれば、割り返せば原価が幾らか出るわけで、それはわかるはずですね。それとあわせて、それでは、揚水発電の委託契約書というのもあると思いますので、それを御提出いただけますでしょうか。
 割り返してキロワット幾らになるか、その金額だけ答えてください。
岡本政府参考人 今、迎部長からお答えしましたように、電気事業者から委託して、ベース電源を夜間に揚水で上げて、それで昼間のピークに出すということでやっていますので、先ほどの原価構成の中で資本費の割合が非常に高くて、変動費は三割、そういうコスト内訳なんですが、当然のことながら、稼働率が揚水発電というのは非常に低くなってきます。
 委託をした電気事業者の側で、この時間帯にピークだから揚水を動かして、ピークを少しでも賄うために揚水による供給をしてくれという、その指示に基づいて出すわけでございますので、当然に稼働率は低くなってきますので、そういう意味におきまして、アワーで直した場合のコストが割高になるというのは、計算上そうなってまいりますけれども、これは揚水というものの性格上、当然にそうなるものかという点を御理解いただけたらと思います。
金田(誠)委員 そういうものだから指摘しているわけなんですが、揚水発電の委託契約書と発電実績、それと幾ら支払ったか、これを出してもらえますか。
岡本政府参考人 これは企業の間の契約の話でございますので、ちょっと私、この場で契約書をそのままお出しすることができるかどうかという点は判断しかねますので、追って検討させていただけたらと思います。
金田(誠)委員 企業といっても、今は特殊法人ですから政府の一部みたいなものなんですけれども、そうおっしゃるなら、ぜひ検討して御提出いただきたいと、要請をしておきたいと思います。
 次に、電発の場合に、揚水発電のために使用する夜間の余剰電力、これは売価平均十八円程度だと伺っていますが、こういう電気であるにもかかわらず、全くただで、一銭も払わずにこれを受け取っているということのようでございますが、これは事実でしょうか。
迎政府参考人 先ほど委託契約というふうなことを申し上げましたけれども、一銭も払わずに、ただで提供しているというものではなくて、むしろ、いわゆる揚水のための電力を提供して、それを揚水して、必要な時間に一種の委託を受けたものを受け取るというふうな考え方をしておるわけでございますので……(金田(誠)委員「要するに、ただで」と呼ぶ)要するに、その対価は支払っていないというのが実態でございます。
金田(誠)委員 揚水発電というのは非常に特殊な形式になっているなと思います。そういう情報開示も、先ほど資料を要求しましたけれども、御検討いただいて、全貌がきちっとわかるようにぜひ提供していただきたい。さらに重ねて要望しておきたいと思います。
 次に、これは揚水発電の販売単価が幾らかということですが、これも委託契約の中に入ってくるわけで、この質問はそれではカットいたしますね。
 これはちなみに、東京電力などは、昼間のピーク時の電力の購入価格、最高三十円程度で東電などは買っている、ピーク電力ですね。そういうことも言われておりますが、手元にあるこういう本によると、電源開発の場合、割り返せばキロワット六十円だという記載もあるんですけれども、さっきは委託契約であってという話ですが、どうですか、ざっくばらんに言って、委託料と受け取る電力の量を割り返せば単価幾らというのは出るわけですから、いい悪いは抜きにして、三十円とか六十円とか、ずばっと答えてもらえませんかね。
岡本政府参考人 普通の電源と違いまして、先生ももう御理解いただいていると思うんですけれども、夜間のベース電源の余裕部分を位置エネルギーに変換して、昼間に揚水という形で供給してもらうためにやっている、そういう電源でございますので、稼働率が当然のことながら非常に低くなってくる。他方で、初期投資の額というのは揚水発電は非常に大きゅうございますから、したがって、稼働率が低くなってくれば、固定費の部分が非常にきいてくるというところはございます。
 したがって、通常の発電原価の、原子力であれば六円前後とか、石油であれば十円前後とか、そういうものと比較をするというのは、これは必ずしも適当でないと思われますので、その点をぜひ御理解いただけたらと思います。
金田(誠)委員 比較するのが適当かどうかという話はまた別にさせていただきたいと思うんですが、現状どうかとさっきから聞いているわけですよね。
 それでは、これも含めて検討していただいて、要は、揚水発電というのがどういう仕組みになって、幾ら払って、どれだけの電力を受け取っているのかというものがきちんとわかるようなこと、再々度重ねて要請をしておきたいと思います。
 次に、それでは、揚水発電のエネルギー効率というものについて質問をいたします。
 一般に、純揚水式発電においては、投入する電力に対して発電される電力は、一〇〇の電力で七〇の発電をするとか、そんなことのようですが、一般に何%になるんでしょうか。
迎政府参考人 揚水式発電につきましては、投入する電力に対して発電される電力というのは、今お話がありましたとおり、おおむね七割程度というふうに承知しております。
金田(誠)委員 それでは、まあ電発もその程度だな、こういう推測をしまして、次の質問に移ります。
 揚水発電は、電発の所有する施設の三分の一近くを占めているわけでございます。それで、投入する電力量に対して発電される量は約七割。これは、入力より出力の方が少ない、マイナスの出力になるわけでございます。設備の稼働率も、何%という数字はなかったですけれども、極めて低い、ほとんど動いていない、ごく短時間しか動かないということだと思います。それで、使用する電力はただで受け取っている。これは、常識では考えにくい状態にある。したがって、発電する電力の原価は幾らかと聞いても、答えられないぐらい高いということだと思いますね。
 その全貌はこれから明らかにしていただくにしても、電源開発株式会社は設備の三分の一こういうものを所有している。これからは、一民間会社となれば、どうなんでしょうか、ほかの卸事業者と対等の立場で、安い電力をいかに提供するか、こういう競争社会に電発も入っていく、こうなると思うんですね。そうすると、使用する電力がただでみたいな特殊な委託契約みたいなものを、特別な会社ならいざ知らず、一般の、一民間会社とするなんというのも、これもまた全くおかしな話だと思います。こんなことは、恐らくあり得なくなるのではないか。そうすると、また電力の料金自体、原価ももっと上がっていく。言うならば、今でも、三十円か六十円かわかりませんが、ばか高い電力になっているわけで、こういうものが市場から相手にされるのかというのが電発ですよね。
 どうでしょうか、大臣。一民間会社となって、こういう状態、施設の三分の一が商売にならない、こういう施設を抱えている、民間会社として成り立つのか、そもそも。これは、昔の総合原価主義の中で、特殊なそんな契約なんというものが、外部に出せないような契約の中で成り立ったものであって、自由化の中ではそもそも存立不可能だ。そういうことを御存じで、今、電発の民営化と、多少の資本の増強ぐらいで何とかなるというふうなことをおっしゃっているんでしょうか。そもそも、これは話が無理なんでないですか。
西川副大臣 金田先生、よく御承知の上でのお尋ねなので、率直に言って、なかなかお答えにくいんですが、しかし、これは先ほど後藤先生からもお話がありましたけれども、電力の自由化前の価格の弾性値ということ、下方修正、下がりにくい、こういうようなこともあって、これは本当に特殊な形態なんです。それで、夏のピーク時の能力を確保しておかなければならない。そういう限定された条件のもとでだれかがやらなきゃいけない仕事でありまして、そういう意味では、まことにおっしゃるとおり、投入に対する産出は非効率であることは私も先生の御指摘のとおりだと思います、これは物理的に。だけれども、社会的機能としてこういうものを持っておかなければ、ピーク時に対して備えができないということも御理解いただいて、それをこの電発がやらざるを得ないという事情もぜひ御理解いただきたい。
金田(誠)委員 そこで、自由化というものとの関係をどう考えるかという問題が出ると思うんですよ。
 夏のピーク時、例えば三十円とか六十円で電力を買ってくれる、こうなれば参入しませんか、一般のほかの企業が。三十円、六十円で夏のピーク時に買ってくれると、ほかのときに多少売れなくたって、自分のところの自家発とめてでも、それは売りますよ。うちは半額でいいとなるかもしれません。それが自由化でないですか。そういう競争にさらされる状況をつくるのが電発の民営化でないですか。
 しかし、こういう特殊な発電方式をやっていて、競争になりますか。そもそも、こんな株式が公開できますか。こんな株を買う奇特な人がどこにいますか。そういう民営化という、一般の発電卸事業者と競争関係になるんですよ。それが可能な構造なのかどうかということを聞いているわけです。
岡本政府参考人 先生も御案内のように、揚水発電というのは、電発だけがやっているわけではございませんで、一般電気事業者みずからも、それこそ夏のピークを初めとするピーク対応として、夜間の余剰電力を揚水で上げて、それでピーク時に出していく、そのための揚水の施設というのは持っていて、その場合でも、同じように、稼働率の問題というのは普通の電源に比べればうんと低くなってまいりますから、同様の性格のものとして、電気事業をやるという場合に当然必要になってくるわけでございます。
 電発が民営化された後におきましても、先ほど、今委託契約でやっているということでございますが、委託契約という形のものであれば、これは、電気事業者の側において引き続き必要性を評価するということであれば、それは事業として十分成り立っていくという可能性はあろうかと思いますので、私どもは、自由化との関係で、電発の揚水の部分の機能なり必要性というものについて、にわかに評価が変わるものではないというふうに考えているところでございます。
金田(誠)委員 一般の卸事業者と競争できない状態のものをこれから先も存続させるという前提で自由化を考えているのであれば、それは全くの欺瞞です、大臣。そういうことをきちんと解明するためにも、再三要求している、電発あるいは揚水発電、これらの全貌がきちんとクリアになるような資料の提出を、大臣にも重ねてお願い申し上げたいと思います。
 加えて質問をさせていただきますと、電発は、下北半島の大間町に今原発計画を持っております。私、その向かい側の函館に住んでいるものですから、戦々恐々で皆さん心配しているわけなんですが、こういう計画を推進するということは、首つりの足を引っ張るようなものだというふうに私は思いますが、速やかに見直して方向転換を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
西川副大臣 ただいま御指摘の、電発株式会社が建設を進めております大間原子力発電所につきましては、受電電力会社との間で発生電力全量を投資額を踏まえた料金で引き取る、こういうことが合意されておりまして、運転開始後、安全確保に万全を期しつつ安定運転を行うことによりまして、電発は安定的な収入をもたらされるものでございます。
 したがいまして、民営化を機にこの電発の発電所の設計計画というものを見直すということにはならないのでございます。
金田(誠)委員 かなり高いコストになりますよ。幾らかという話をすればまたあれですから、これはまた別の機会にやらせていただきますが、そういう高いコストのものをもう買い取り契約をしているとすれば、これは消費者に対する背信でないですか。自由化というものに対する全くの理解違いになるんではないか。いかに低コストで、いかに競争をさせながら安い電源を調達するか、こういうことでなければ私は話にならないと思います。改めてこの点は質問させていただきますが、ぜひ抜本的にお考えをいただきたいと申し上げておきたいと思います。(西川副大臣「一点だけだめですか」と呼ぶ)もう時間がなくて。(西川副大臣「いや、大事なこと、大事なこと」と呼ぶ)あと二分しかない。まあ、じゃ、どうぞ。
西川副大臣 これは普通の原発と違って、使用する燃料がフルMOXなんです。このことに意味があるということをぜひ御理解いただきたい。
金田(誠)委員 だから問題だと言っているわけです。こういうハイリスクのものが市場原理の中で成り立つわけがないということをきちんと踏まえていただいて、全面見直しをしなきゃならぬわけですよ。こういうことをやっているから、揚水発電なんというのも必然的に組み込まざるを得ない体質になっているわけです。それが今問われているわけですよ。自由化の中で、そういうむだな体質をそぎ落としていかなきゃだめでしょう。
 言うことありますか。
西川副大臣 申し上げたいことあります。それは、市場原理だけで議論をすれば安定供給の問題は成り立たなくなるんです。
 先ほど風力のことをおっしゃいましたけれども、風力の枠を広げるということは、乱暴な言い方でございますけれども、いつ風が吹くかわからない、これに対して備えるということは、安定供給を非常にリスクにさらすということになるんです。これは、エネルギーに責任を持つ役所としては、そこのところは私どもとしては、簡単にそうですというふうに申し上げるわけにいかないので、私はしつこく御答弁を申し上げているわけであります。
金田(誠)委員 大変誤解をされていると思います。私は、安定供給をやめろなんということは一言も言っておりませんし、今まで展開してきた論旨の中でも、安定供給が損なわれるようなことは全く申し上げていない。そのことは、ぜひ、もう少し掘り下げて認識をしていただきたいな、こう思います。
 風力のことでおっしゃいましたので、さらに申し上げますと、世の中に風がとまってゼロになるということはありません。その瞬時瞬時では、A地点ではゼロになるかもしれない、しかし、日本じゅうの風が一気に全部とまって、日本じゅうが無風力の状態になるなんということはありません。全体的に、風というのはもう無限に、永遠に吹いています。これからも吹くでしょう。そのくらい安定したものはないわけです。
 しかし、小さい範囲で見ますと出力の上限もある、その上限に対してどう対応するか。それは、系統の問題もあるでしょう、さまざまな技術の問題もある、バックアップの問題もある。そういうものを組み合わせて、どうやって自然エネルギーというものを取り入れていくかが皆さんの仕事でないですか。頭からそれを否定するような言い方というのは、そういう認識だとすると非常に残念ですが。
西川副大臣 私は、安定供給ということについて先生が軽視をしておるなんという発言はした覚えはないんです。
 市場価格について、どうしてもそれを重点に考慮するということで、MOX燃料をフルに使う新しい原発をつくるということは、科学的知見に基づいてこれから研究をしていく中で、きちっとやっていかなければいけない、日本のエネルギーの脆弱性ということを考えると、命題であるということが一つです。
 それから、風力についても、ドイツやオランダのような地形とは日本が違う、そういう知見もあって、私どもとしては、今それを、たかだか二%であるという御指摘を受けながら、もっとそれを、自然エネルギー、バイオも含めて、ふやしていかなければいけないということは十分承知をしているつもりでありますので、決して、認識が不足しているとか、理解が浅いという御指摘は、私は当たらないと思っております。
金田(誠)委員 私も副大臣の挑発に乗って、三点目の質問に移らずに終わりそうな感じでございますけれども、改めてまたゆっくりやらせていただきますが、副大臣、そういうふうにおっしゃるのならば、大間原発のこれからできるであろう電力の積算原価、このぐらいはきちっと出してもらえるでしょうね。
西川副大臣 これは検討させていただきたいと思います。
金田(誠)委員 そういうものを出してからおっしゃっていただきたい。
 終わります。
村田委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十九分開議
村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中津川博郷君。
中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。
 平沼大臣、新聞報道によりますと、大臣は六日の記者会見で、株価対策に郵貯、簡保資金を活用することに、選択肢として十分考えられると述べたと聞いておりますが、これは事実ですか。
平沼国務大臣 確かに、記者会見で株価対策の質問が出て、それは前段がございまして、実は、WTOそれからOECDさらにはIEAの会議でパリに行っておりました。そのときの記者会見で、ちょうど株が大変下がったときでございまして、そのときに質問が出たときに、私は、今与党でも、それから財界でもいろいろ株価対策を総合的に考えているようだ、その中に例えば郵貯や簡保の資金を活用する、そういう案もあるようであって、やはりそれは選択肢の一つではないか、こういうことを発言し、それが新聞の記事になり、また帰国後の記者会見でもそういう形に相なったわけであります。
 ですから、私は、幅広く検討する選択肢の一つだ、こういう意味で申し上げまして、ただ、いわゆるPKO的なものに関しては、中長期的には、いろいろ考慮をしてその制度設計、そういうものをいろいろしていくことは必要だと私は思っておりますけれども、短期的に考えると、いわゆるPKO的なものは、どちらかというと市場というものに対しての信用を失うというようなことにもつながる可能性があります。
 ですから、そこのところは、私は一般論として、選択肢の一つで、そして与党やあるいは財界で検討している、そのことは大いに検討すべきではないか、こういう趣旨で申し上げたのが記事になった、これが真相でございます。
中津川委員 今株価対策ということでお聞きしているわけですが、そういう御発言をなさったということですが、大臣、株価対策というのは一体何なんだろう、そんなものはあるのかな。いかがですか。
平沼国務大臣 これは、最終的には株価というのは市場が決めていくものだと思いますが、そういう中では、いろいろないわゆる選択肢として挙げられるものは、それはあると思います。例えば、今言った郵貯ですとか簡保のそういうPKO的な、そういう資金を活用するということもありますし、あるいはまた、例えば一部税制改正でもやりましたけれども、譲渡益課税を提言するとかそういったことはいろいろ考えられると思うんです。
 実は、きのうの経済財政諮問会議でも私は意見として申し上げたのは、やはり究極的な株価対策というのは経済活性化をすることが第一義的ではないか、経済活性化をすることによって、やはり企業の収益性も上がってくるし、雇用も創出されるし、そうなればそれが本当の本道ではないか、こういうことをきのう経済財政諮問会議でも申し上げましたけれども、幾つかそれは対策としては列挙できると思いますが、やはり大筋はそういうことではないか、こういうふうに私は思っております。
中津川委員 全くそのとおりと私は思うんですよね。毎年三月になりますと、金融危機が起こるかどうか、さあ銀行を救うために公的資金を投入するかどうか、いやことしは金融恐慌を起こさない、小泉内閣になって、そんなことの繰り返しですよね。
 今、大臣、いみじくもおっしゃられましたけれども、やはり株価というのは実体経済をあらわす通信簿だと私は思っています。あしたの経済、よく株式では半年先を読むと言いますけれども、これを予想する貴重な経済指標ですよね。
 今、実は、財務金融委員会でも証券取引法の一部を改正する法律案というのが審議中で、私も一昨日、そこで議論をしたのでありますが、株取引の小手先の技術論あるいは机上の空論ばかりを議論して、実体経済について深刻な議論が足らない。竹中大臣、うちの方の田中議員はペーパードライバー大臣と言いましたけれども、まさにペーパードライバー大臣に対してがんがん指摘してきたんですね。
 私も、今の基本的な認識、平沼さんと同じで、この世に究極の株価対策なんてありっこない、どこを探してもありっこないと思いますよ。とにかく、実体経済をよくしない限り、株価は上がりっこありません。大臣もそうおっしゃいました。
 では、そこで大臣、どうしたら実体経済がよくなるのか。経済産業の担当大臣として、責任者として、国民に向かって、どうぞ言ってください。
平沼国務大臣 小泉内閣が今行っている構造改革というのは避けて通れない道だ、これをまず前提として申し上げておきます。しかし、構造改革だけでは、やはり車の両輪、これがバランスよく回ることが私は必要だと思っています。
 そういう意味で、日本というものは物づくり、これがやはり本当にポテンシャリティーのある部門だと。ですから、そういう意味では、産業の競争力をいかにつけて、そして日本の経済を活性化していくこと、そのことで実は一昨年、ちょうど十一月でございましたけれども、学識経験者に集まってもらいまして、産業競争力戦略会議というのを立ち上げて、約半年間、かんかんがくがく議論をいたしまして、そしてその中で、やはり本当に実体経済がよくなるような産業の活力をつくろう、こういう形で、経済財政諮問会議の中でも私どもはそのことを述べさせていただいて、今、小泉内閣の中のいわゆる経済の活性化の柱の一つになっています。
 そういったことで、経済活性化というのは一つだけではだめです。ですから、いかに雇用を創出するかとか、新規産業を興すとか、総体的にやはりきめ細かく対策を講じていく、それは若干時間がかかるかもしれませんけれども、そういったことが結果的には私は経済の活性化につながる。
 ですから、例えば、少し長くなって恐縮でございますけれども、中小企業に対しても、今厳しい中で一生懸命頑張っていただいておられる中小企業に対して、その返済に対しては、借りかえ制度というものも、この議院の御賛同を得て、そしてこれを成立させていただくということで、中小企業に対しても活力を持っていただく、こういうこともやらせていただきましたし、また、これも院の御同意をいただいて、新しい企業を立ち上げるためのそういう法制度も整備をさせていただきました。これは、土地担保ですとか個人保証ですとか第三者保証じゃなくて、事業計画を主体で、そういった形で融資をして新規事業を立ち上げる、こういった制度もつくらせていただいて、そういったことをやはり効果的にやることが大切だと私は思っております。
 また、これは覚えていただいていると思いますが、当初は小泉内閣も、昨年は三十兆の枠というものは絶対に墨守するし、また補正予算も組まないという前提でしたけれども、私は、やはりこういう状況で、車の両輪だから補正予算は必要ではないか、こういうことで進言をさせていただいて、結果的に、三兆円の補正予算が組まれる。それから減税も行う。さらには三十兆の枠にこだわらない。こういう形でございますので、私は、構造改革は避けて通れない道だと思いますが、しかし、要は、実体経済を高めることが国の借金も減らすことにつながっていきますから、車の両輪、両々相まってやるような政策、これが必要だ、こういうふうに思っています。
中津川委員 確かに、この委員会でいろいろセーフティーネット、これは中小企業に対するセーフティーネットですね、これは成果を上げたことは認めます。しかし大臣、まだ弱いですよ。構造改革が必要だというのは我々民主党が一番最初に申し上げたことで、構造改革が必要じゃないなんというのは、どの人もいないと思うんですね。
 ただ、大臣が説得力がいま一つないのは、やはり今の経済の状況というものの危機感。だって、小泉内閣、いつも申し上げますけれども、株価が、発足したときが一万四千五百二十九円、そして四月二十八日のバブル崩壊後の最安値が七千六百七円八十八銭。これは、百七十兆円の時価総額が泡と消えたんですよ。二年分の国家予算、これが、さよならとなくなってしまった。大臣、大臣が幾らそうおっしゃるけれども、これは小泉経済政策が大失敗であったと言わざるを得ないと思うんですね。政治家は深刻にとらえるべきだと思うし、特に今、イラク戦争と北朝鮮の陰に経済有事というものが隠れている。僕は、大臣から感じるものというのが、経済有事であるという危機感が足らないと思う。いかがですか。
平沼国務大臣 私は、今の経済というのは大変深刻だと思っております。例えば失業率一つとっても、戦後最悪のマイナス五・四。そして、この国に失業している方々が、完全失業者が三百八十万というオーダーでいる。しかも、さらに深刻なのは、若年の失業者が非常に比率が高い。そして、フリーターと称される方々が百九十万以上もいる。さらには、自殺者の数も非常に、戦後最悪を記録しておりますし、また中小企業を含めての企業倒産という数も非常に大きい。
 したがいまして、私は、この経済産業委員会でもあらゆる場でも、今の経済というのは非常に厳しい、こういう認識で答弁もしてまいりましたし、また経済産業省の中でも、このデフレ状況の景気を克服するためには経済産業省としてやり得ることはすべてやろうじゃないか、こういうことで先頭に立ってやらせていただいているわけでありまして、今、中津川先生から、少しまだ認識が甘い、こういう御指摘がありましたけれども、私は危機感を持って、そしてこれは今非常事態だ、こういう認識は私は持っているということを御理解をいただきたい、こう思っています。
中津川委員 小泉さん、ほとんど経済のことを今までほったらかしにしていた。だけれども、ここのところ、国内の経済に何か真剣に取り組むべく、何か二、三日前から経済の専門家をいろいろ呼んで個別にヒアリングをしているというのを報道で知りました。とにかく、外国ばかり行って目立つんですよ。外国ばかりいろいろなところに行って、パフォーマンスは確かに、テレビを見ている人、新聞を読んでいる人、そういうものは、アピール度というのは、あの人はうまいですからね。だけれども、その間にもう実体経済がぼろぼろになってしまった。最近になってようやく勉強し出したということでしょう。
 そして、この点では、僕は、大臣と私たちとは考えが違うと思うんだ。今、緊縮財政ですよ、緊縮財政。緊縮財政を二年間続けているわけですから、税収が上がらない。税収が上がらないから、やむを得ず国債発行する。当初は、三十兆円の枠を守ると、さっきもおっしゃっていましたが、小泉さんそう言っていたんだけれども、これは、税収が上がらないから国債をふやして、そうしてまた後、大衆増税ですよ。お酒、たばこ、あるいはいわゆる社会的に弱者と言われる人たちから、税金を取れるところから取っていくという財務省的な発想は小泉さんですよね。私は、基本的には、緊縮財政というもの、この政策を続けている限り景気は回復するわけがないと思っておるんです。
 今は、日銀に丸投げですよね。日銀総裁、福井さん、もうとにかく任せて、金融政策をやれと。あの人も、何かやらなきゃしようがないから一応スピーディーなところを見せて、ちょこちょこやっていますけれども。財政出動も視野に入れて、景気回復策を出して、景気回復優先策、これを、やはりもう政策転換をしなければ。この間亀井さんのことを親分と言って後でしかられましたけれども、兄弟分だと訂正されましたけれども、自民党の中でも、いわゆる守旧派とかなんとかと言われる人だけじゃなくて、ほとんどの人たち、あるいは多くの国民の声だと思うんですよ。
 税収、自然税収が上がらなきゃしようがない。景気が回復していく路線をつくらなきゃいけない。そのためには、今のように景気が回復しないような、経済がよくならないような政策を出すんじゃなくて、景気をよくする、そういう政策をどんどん出していく。
 もう小泉さんに言っても耳をかさない、あるいは竹中さんに言っても耳をかさない、塩川さんも全く耳をかさない。残るは平沼さんだけなんですよ。平沼さんだけだ。私は、財務金融委員会でびっくりしたんですけれどもね、もうやっても、亀井さんも、小泉さんを何回呼んでももう変わらないし、竹中さんもあれはだめだ、へらへらしているだけで言っても変わらないと、そういうことを対談したんです。それでは平沼さんはどうなんだと、ちょっとその場では聞かなかったんですけれども。
 政策転換ということには、多分、今の小泉内閣の一員でありますから、なかなかそれは、お立場としてはわかりますけれども、しかし、今もう党派を超えて、経済有事ですから、今までの政策が間違っていたと。政策転換、これも含めて、財政出動も含めて景気をよくすると。自然に税が上がってくる、みんなが夢が持てる、そういう社会をつくっていく、経済体制をつくると言うべきだと思うんですが、いかがですか。
平沼国務大臣 小泉総理は、一貫して言っていることは、柔軟かつ大胆に自分は対処すると。こういうことで、その線の中で補正予算も、そして三十兆の枠もある意味では乗り越えてきた。そして、緊縮財政ではないかという御指摘も、それは確かにあります。しかし、実態的に、国債は三十兆を大幅に超えて三十六兆も発行する、こういうことは決して総体的に見たら緊縮ではない、そういうふうに私は思っているところです。
 ですから、私は、小泉内閣の一員として、構造改革は、民主党の皆様方もこれはもう我が党よりも先に提唱されたことでありまして、これはやらなければいけない。しかし、今そういう厳しい中で、最大限やることは私どもは手を尽くしてやっていかなければいけない。ですから、そういう中で、私は、小泉さんは今の現状の中で、恐らく今の経済の深刻さの中で柔軟かつ大胆に対処をしている、それを私は閣僚の一人としてサポートしていく、こういうことで私は頑張っていきたいと思っています。
中津川委員 三十六兆円やったから緊縮財政じゃないと言いますけれども、これは大臣、結果として六兆円ふやさざるを得なくなったんですよ。だから、原因と結果を少し分けて考えなきゃいけない。緊縮財政をやっているから、だから結果として税収が上がらなくなっちゃった。去年は五十二兆円あったけれども、ことしは四十一兆円、十年前は六十兆円あった。だから、不本意ながら六兆円やらざるを得なくなったということですよね。これはやはりミス、失敗だということだと僕は言えると思いますよ。それから、構造改革、これは必要なんですが、構造改革も進まない、景気も悪い。戦後の総理大臣で、こんな人はいませんよ。両方できないんだから、見事なものです。
 ですから、政策転換ということは究極の言葉だと思うので、結局、いいじゃないですか、多少お金を使っても、財政出動しても、景気がよくなれば入ってくるわけですから、孫子の代でゆっくり返していけばいい。私はそう思うわけでありまして、大臣の経済危機の認識は、きょうは、大変厳しいということはお聞きしました。だけれども、ではどうするかということに関していうと、やはり小泉内閣、小泉さんのことを気を使って、大臣に固執しているね、まだ。それを超えたら、大臣、もう総理大臣ですよ。平沼派ができて、平沼総理大臣。ぜひ、それくらいの勇気を持ってひとつお願いしたいと思います。
 では、法案審議に入りたいと思うんですが、まず冒頭に確認しておきたいんですが、我が国はエネルギー政策基本法というのがありますが、その中に、我が国エネルギー政策の基本は、安定供給の確保、環境との適合といった要求に十分考慮した市場原理の活用云々と確かに書いてありますが、なぜ今ここでエネルギー市場の自由化というのをしようとしているのか、明快にひとつたっぷりとお話をしてください。
平沼国務大臣 エネルギー市場の自由化と申しますのは、エネルギー政策の基本法、これは御指摘がございました。これにありますとおり、まず安定供給の確保、それから二十一世紀はいかに人類が環境を守っていくか。ですから、環境問題への適合、そうした政策目的を十分に考慮しながら、一つは、事業者の十分な自主性と創造性を発揮させること、これが一つだと思っています。もう一つは、エネルギーの場合には、それを利用するいわゆるエネルギーの需要者、この利益というものをやはり確保していかないといけない。この二つが私は重要な柱だ、こう思っております。
 したがいまして、今回の制度改革というのは、当然、安定供給の確保と環境への適合のため、もう法文にも書いてございますとおり、電力供給システムの所要の強化を行った上で、そして自由化によって、既存の事業者でございますとか、あるいは新規参入事業者の自主性及び創造性が十分発揮できるように、競争環境の整備を行うとともに、今申し上げたとおり、需要家の選択肢の拡大や効率化によって、今日本の大きな問題というのは、ある意味では高コスト、こういう構造がございます。ですから、この高コスト構造の是正によってエネルギー需要者のいわゆる利益の十分な確保を旨として行う。
 こういう形で、今回のお願いをしています法案というのは、三つの柱、これをバランスよくやって、そして、今申し上げた自由化、これも一つ重要な柱として位置づけて、そしてここを推進していこう、こういうことでございます。
中津川委員 理念は今お話をされて、わかるような気もするんですが、私は、何でも自由化というものが果たして本当に国民全体のメリットになるのかというのに疑問を抱いております。
 諸外国の事例を見ても、自由化したとして、一般家庭レベルまで恩恵が十分に行き渡っていないというような事例も多く見られますし、思い出すのは、あの有名なカリフォルニア電力危機でありますが、自由化しても料金が下がらないばかりか、あれは最終的には大手電力会社が破綻しましたね。そして電気料金は大幅に上昇した。結局、州政府が事業者にかわって電力を調達した、こう聞いております。だから、失敗の最後のツケが国民、アメリカですから州民というんですか、負担になってしまった。その後、アメリカは自由化を断念したんですよね。それで結局、規制緩和したのが新たな規制緩和を生んだというへんてこなことが起きてしまったわけであります。
 今の風潮で、何でもグローバル化、インターナショナル化、自由化というのが、欧米の例えば金融システムのまねをして今日本経済は大不況に陥っているわけで、本当にこれはよくないと思う、私は。日本のよき伝統、文化、商慣習、これを大切にしないで欧米のまねばかりしているから、竹中さんみたいなのがやっていますから、このツケが、経済だけじゃなくて、今日本の至るところに見られていると思うんですね。今回のケースでは、アメリカで失敗しているのに何でまねをして自由化を急ぐ必要があるのか、今の制度でも十分じゃないか、こんなふうに思っております。
 そこで、質問したいのでありますが、今回の制度改正によって、家庭用などの、これは規制部門と呼ばれておりますが、これを含めた消費者利益の増進、プラスということが本当にあらわれるのかというものに対して懸念をしておりますが、結局、自由化の恩恵にあずかるのは自由化される企業部門だけじゃないかというような心配をしているわけでありますが、いかがでしょう。
高市副大臣 私も、日本の伝統、文化、商慣習、大切に考えておりますが、今回の自由化につきましては、アメリカの失敗例のこともおっしゃいましたが、それを参考にしながら、同じ羽目に陥らないようにということで工夫をいたしております。
 今回、例えば一般の御家庭などにメリットがあるかどうかということでまずお答えいたしますけれども、料金の設定なんですけれども、まず、トータルでかかるコスト、いわゆる原価というものを出しますね。発電にかかる費用とか送電にかかる費用ですとか、人件費ですとか修繕費とか、そういうものをトータルに出して、それを規制部門と自由化部門と、両方のそれぞれの発電量ですとかそういった、最大電力量とか使用量ですね、こういうものによって配分をする。だから、トータルのコストをその二つに配分をするんですね。そうしますと、自由化をすることで、そのトータルのコスト、企業努力がありますから下がってきます。そうしますと、今はまだ規制されている部門でも、当然、料金的にメリットが出てくる、そのコストに応じて料金を設定していきますので。
 現実に、まだ家庭など自由化されていない領域においても料金の引き下げというものが実現されております。電力料金につきまして、規制部門におきまして二度料金改定が行われておりますけれども、十社平均で、一回目で五・四二%、それから二回目で六・一九%引き下げできておりますし、ガス料金も、御家庭を含めた規制部門におきまして、大手ガス事業者を中心に五%から九%程度の値下げが実現いたしております。
中津川委員 日本の国をだれよりも愛している高市副大臣でありますので、ぜひ、高市さんが今言ったことをちゃんと行政やるかどうか、チェックしてもらいたいと思います。
 それで、今ガスの話が出ましたが、米国のジョージア州のアンバンドリングというんですか、これは日本語に訳すと規制緩和とか自由化というんですか。これも失敗例で有名なんですね、ちょっと資料をもらいましたが。AGL社、アトランタ・ガス・ライト社のアンバンドリングの結果、結局、五万件の供給停止が発生した。供給者の寡占が進んで、ガスの卸価格が下がっても家庭向けの価格はどんどん高くなってしまったということを資料で知りました。
 結局、アメリカはもう電気でもガスでも自由化で失敗しているんだ。とにかく、一般家庭にとっては、電気でもガスでも、どんなに自由化してもメリットがないということはアメリカは経験しているわけでありますね。
 我が国の、今、現況、ちょっと調べてみましたが、ガスなんかはガス栓にまで保安責任がある。欧米ではガスメーターのところまでということですが。だから、現状のシステムでは、ガスの事故は欧米に比べて日本は五分の一と大変低い、停電時間も世界一短いということで、今の日本のシステムでもう十分じゃないか、もう世界一なんだ、完備しているんだというふうに理解をしているわけでありまして、こんな中で急いで自由化に持っていくというこの真意がよくわかりません。
 この状況はやはりしっかりと考慮をして、政府も慎重な対応をしていかなければいけないと思うのでありますが、今回、部分自由化を、電力で二六%から六〇%ですか、それからガスの方で三七%から四四%へ進めていこうとしているわけでありますが、今私がお話しした内容を踏まえて、電力、ガスの全面自由化、今どの程度検討しているのか、その必要性というものを大臣からひとつお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 生活の必要財としての電気、ガスの重要性にかんがみまして、家庭用需要の自由化については、それまでの規模の大きい需要までの段階的な自由化への状況などの制度改革の成果を十分検証して、慎重な検討を行うことが重要だと思っています。
 その際、考えなければならないことは、一つは、おっしゃったように、供給の信頼性をいかに高めるか、それから、エネルギーセキュリティーや環境保全等の課題といかにして両立させるか、三つ目は、最終保障やユニバーサルサービスをどのようにして確保するか、四つ目は、需要家の保安意識を踏まえた保安責任のあり方はどうあるべきか、こういった具体的なことをやはり十分に検証しなければ、私は軽々に進めるべきではないと思っています。
 そして、今回の法案でも、私どもとしては、例えば発電部門と送電部門というのは絶対切り離さないで一体化してやる。そして、これはやはりアメリカ等のそういう失敗例等を学びながら、御指摘のように、日本は日本の培ったそういうものがありますから、安定供給のためにはそこを一体でやる、こういうことを担保していかなければいけない、そういうような考え方が基本にあるわけでございまして、私どもとしては、やはり自由化というものは、先ほどの御答弁で申し上げたように、需要家にもメリットをもたらす、そういうことを念頭に置きつつ、安定供給をそれが損なったり、それからまた安全面でのそういう不都合が生じない、そういうことを前提にして私どもはしっかりと構築していかなければならない、このように思っております。
中津川委員 質問を終わります。
村田委員長 奥田建君。
奥田委員 今、中津川議員とのお話を聞いておりました。最初に、今回の法案を外れて景気のお話となっていきましたけれども、私もお答えの方はいいですけれども、非常に意地悪な見方ですけれども、これまで小泉政権のやっていたことで少しの方向性が打ち出されたようなことというのは、単なる、小泉総理の経歴の中で大蔵族としての経歴あるいは厚生族としての経歴、そんな中で、銀行、金融に対するある意味では甘い支援、あるいは健康保険のそういった財源に対しての厚生労働省に対する大盤振る舞い、そんなところが出ているだけなんじゃないかというふうにちょっと意地悪な見方ですけれども、しております。
 大きな声を上げて言っている郵政の問題や道路公団、これにしたって、郵政は、一つは大蔵族としての見方とすれば銀行のシェアをふやすという目的がありますし、あるいは橋本派の牙城である郵政と道路公団に火をつけて回っている、道路公団なんかは後始末は知らぬよ、そんな姿にも見えるということを、二人のお話を聞いていて、これはもしかしたら言っちゃいけないことなのかもしれないけれども、言わせていただきたいと思います。
 平成七年と十二年に続く改正ということで、私の場合、総論的にお話しさせてもらいますけれども、大体、どっちの話かなとわからないものは電気事業の改正の方だというふうに考えていただければと思います。でも、考え方としてはガス事業の方にもつながるものがあるというふうに思っております。
 先ほど、自由化推進という目的を中津川議員もお伺いしておりました。その中で、だれもが日本の場合言うのは、国際競争力を堅持するためのエネルギー価格を確保する、もうちょっと安くしようということがみんなが認める目的かと思います。
 大臣の方で、安定供給の確保と自主性、創造性の確保ということもおっしゃいました。これは、今、反対に、安定供給というのは日本はできていないということなんでしょうか、あるいは、並行して推し進める目的の中でこういうことは忘れていないということで言ったんでしょうか。
平沼国務大臣 あのエネルギー基本法の精神の中にも、まず第一に安定供給というのがあります。ですから、エネルギーというのは国民経済にとっては血液に等しいものでございますから、これを安定的に供給するということは第一義的で、今の日本の場合には、安定供給というのは国民各界各層の御協力とまたそれぞれの努力によって確保はされておりますけれども、たまたま今東京電力のこういった問題があってその部分に関しては安定性を欠いていますけれども、私どもはやはり、安定供給というのは今の段階では確保されて、それをさらに、今回の東京電力のような事例があるわけですから、そういったことが起きないようなそういう体制をつくっていく。
 その一つに、今回の中でも、いわゆる地域によって電力が自由に、例えばヨーロッパのように、フランスが一つ大きな供給源で、電力が足らないところはフランスから供給を受けている。日本の場合にもやはりそこのところをもう少し整備して、今回の東京電力の場合でも、例えば具体的に言えば、中部電力には電力の余剰があるわけです。しかし、この狭い日本で六十ヘルツと五十ヘルツという形で、その変換の能力というものが九十万キロワットしかない、そういった問題がある。ですから、そういったことも将来互いに融通でき合うような、そういうことも視野に入れてやはり考えていかなければいけない。
 そういう意味では、私どもというのは、安定供給というものはやはりしっかりと踏まえ、それに環境への適合と、そしてさらには今御指摘になられた、やはり高コスト構造是正で国際競争力をつけて、そして日本に向かってやはりもっと諸外国から投資が来るようなそういった環境をつくるためには、やはり自由化というインセンティブも与える必要がある、こういう形で今回進めさせていただいている、こういうことでございます。
奥田委員 今の系統だとかいろいろな電力会社が電力を融通し合ったりということは、私は、別に制度上の問題というか、自由化とはまたちょっと違うんじゃないかと思います。安定供給は、私は自由化によってある意味失っていく部分だと思っております。そのかわり、コストというものは競争が働いて確かに安くなるのでありましょう。しかし、その見返りとして安定供給という部分を失っていくのが一つの方程式でないかなというふうに思います。そういうこともこの後の話で出てくることになるかと思いますけれども。
 私は、資料の方でも、いろいろな海外の、アメリカであれ、ヨーロッパであれ、あるいはニュージーランドといったものも資料としていただいておりますけれども、大臣の方が、これまでの経験の中で、諸外国のエネルギー政策あるいはエネルギー制度といったものを見たときの御感想というもの、あるいは参考になる制度というものがあったら聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 欧米の諸国の中には、我が国よりも先に電力やガスなどのエネルギーに関する制度改革を実施している国はたくさんございます。
 電気事業で例を挙げますと、これはもう奥田先生もよく御承知だと思いますが、イギリスが一九九〇年代に電力の制度改革を最初に開始しました。国営企業であった電力会社の民営化を進める中で、発送電分離を行いつつ小売自由化、これを実施しましたけれども、その後これは、卸電力取引での取引を強制する方式、これに非常に問題がありまして、制度の見直しをせざるを得なくなった、こういう事例があります。
 フランスは、これは原子力大国でございまして、EDFという一つの国営企業が電気事業を担ってきたわけであります。それで、引き続きこの企業が電力供給の大宗を担って、大口需要家へのいわゆる電力小売を開放している、こういうことでフランスは行っております。
 アメリカは、随分、州によっていろいろございますけれども、カリフォルニアの電力クライシスなんというような問題があって、州によっては改革に着手してない州もありますけれども、改革を進める州では、今言ったカリフォルニアの例にもあるとおり、いろいろな問題が惹起され、それをさらに工夫しながら行っている。
 こういうことで、それぞれの国にはそれぞれの歴史的な経緯や国情を踏まえての制度改革を進めていることは事実だと思っております。その内容というのは非常に多様でございまして、私どもとしては、そういった国々の成功例、失敗例、そういったものを学びつつ、やはり我々が培ってきた日本型のそういうエネルギーに関する制度、これをよりよいものにしていくことが大切ではないか、こんなふうに思っているところでございます。
奥田委員 その後には、やはり各国の背景といったものが、自由化や制度改革といったものにあると思います。
 日本の場合、当然、島国と、そしてエネルギーはほとんど輸入に頼っているという特性がありますけれども、今回の法制度改正に当たって、日本の特性といいますか特殊事情、そういったものを大臣の方はどういうふうに把握していらっしゃいますでしょうか。
平沼国務大臣 今、これは奥田先生が御指摘のように、日本というのはほとんどエネルギー資源というのを外国に頼っております。原子力というものを準国産エネルギーとして数えますと、二割を切るぐらいの充足率である。これはやはり日本の特殊事情だと思っておりまして、そういう意味で私どもは、エネルギー政策というのは、日本は天然エネルギー資源に恵まれていない、これを前提に構築をしていくことが大切であると思っています。
 そういう中で、私どもとしては、やはりいかにこのエネルギーというものを、選択肢をふやしながら、そして将来に向かって安定的な供給を図る、そういう供給源の多様化というものもやっていかなければいけない。そういう中で、私どもは、原子力を含めて、あるいは新しい新エネルギー、こういったものにも果敢に挑戦をしていく。そういう意味でも、今回の法律というものはそこのところも盛り込まさせていただいた、こういうふうに私どもお願いをしている、こういうことでございます。
奥田委員 今、原子力のお話、あるいはこれから供給の多様化を目指すというお話もありました。
 私は、日本の一つの特性の中で、まだつけ加えたいとすれば、何人かの委員からも御指摘ありましたけれども、今のエネルギー供給においては、安定性と安全性といったものが非常に高い供給がなされている、大臣のおっしゃった保守といったところも含めて、安全な供給がなされているということ。
 それと、今の東京電力の問題なんかもありますけれども、ピーク時の電力と一番少ないときとのその格差というのは、やはり諸外国に比べても大変大きいものがある。これは日本の四季とも関係しているのかもしれませんけれども、そういった需要変動というものが大変ある。
 さらには、電源を考えるときには、諸外国と比べれば大変困難な条件の上で電源立地というものを進めていかなければならない。きょう足りなくなって二年先に発電所が欲しいといっても、それはなかなか、火力発電所であってもできにくい、そういった特性を持っているかと思います。
 私が大臣の方にエネルギーの諸外国の例なんかを聞きましたのは、ちょっと機会がありまして、昨年臨時国会が終わってからアメリカの方に視察に行く機会がありまして、そしてこういった電力危機のこと、あるいは自由化の進捗状況のことも見聞してくることができました。そういったことを少し、当然そういうことはお調べになっていることですけれども、少しでもお伝えできればなということで行ってきたわけでございます。
 当然、電力自由化がアメリカの中では順調に進んでいると言われているテキサス、ブッシュ大統領のふるさとであり、エネルギー王国アメリカの中でも一番のエネルギー産業の盛んなところでありますけれども、そちらを見てまいりました。
 エンロンの事件、エンロンスキャンダルと向こうでは言っていましたけれども、そういったことも、テキサスだけではそんなに影響はないんだよというお話でした。ただ、電気市場といいますか、そういったところの信頼は全く失っている。これはもうアメリカだけじゃなくて、世界的なものかもしれません。そういった資本投入というのが全く減ってしまった、それが一番大きい。そういった自由化になってきた電気市場の信頼を失ったということは、すべての会社に対して影響のあることであるということでもありました。
 また、アメリカの方では、今大臣がおっしゃっていたように、あるいは私たちが考えるように、やはり価格を下げたい、競争によって価格を下げたい。そして、一つの新しい事業、新しい産業といいますか新しい事業者が参入できる、そういった市場を設けたい、そういう二つの大きな目的があるというふうに聞いておりましたけれども、果たして本当に価格が安くなったのかというと、こういった電気事業を管理している方と消費者団体の方とでは、百八十度違う話が出てきました。
 確かに、大口電力、個々が契約条件を、相対で、マンツーマンで契約できるような、そういったところに関しては価格の低下というものの享受を受けている。しかし、小口になればなるほど、自分で電気の値段を決められない取引契約になっていけば、そういったものは享受できていない、反対に高くなっているという話がありました。
 それは先ほど高市議員の方から、一つの価格を制限したり、そして行ってきたところでも、六%、強制的にというか義務的に引き下げて、家庭の料金も下がりましたよということを、向こうですと電気信頼度協議会という、系統管理をするところや、あるいは広域事業委員会という名前で、こういった公益事業を少しずつ民営化、自由化していくという仕事を持ったところがありますけれども、そういったところでは、自分たちは六%料金切り下げを三年間の義務として業者に課したから、安くなっている。
 ところが、消費者団体へ行くと、そういうのは一件当たりの請求書やそういうものですぐにわかる、家が大きくなったわけでもない、領収書を見ているとすごい変動が起きているだけで、最終的には高くなっているんだと。安くなっているというのは、義務づけされる前に価格を一回つり上げてそこから落としているので、その前のことと変わらない、あるいは、燃料である天然ガスの価格変動に振り回されているだけになっているんだと。
 さらにひどいことには、こういった競争が始まりますときに、原子力発電所を持っている電気会社は競争にとって不利になるということで、何とかしろということで償却を早める。その償却を早めるための利益分というのが消費者の方に課せられてしまっている。ですから、事業者のための自由化であっても、消費者のための自由化にはなっていないという話を聞いてきたわけでございます。
 そしてもう一つ、競争があれば当然よくなるはずのサービス、こういった部分も、これはもうすべてのところが言っています、競争が始まってからサービスは悪くなったと。
 例えば、電気料金を払わなければ電気は切られる。それは確かに当たり前なんでしょうけれども、自由化になってからは、電気料金を未納した瞬間すぐに切られる。ライフラインとしてのそういった配慮というのは薄くなってしまった。もっとひどい話は、料金未納じゃなくても電力会社の方がお客さんを選別して、低所得の方だとか、あるいは電気料金は払っているけれども多重債務を背負っているというような情報が入ると契約してくれない、そういった話も聞いてきました。
 これは、自由化を進めていく中で、金融の部分でも、低所得の方が銀行口座を開設するときに開設しにくい方向に行くというようなことが一つの社会問題になったと思いますけれども、そういった方向と同じようなものじゃないかと思います。
 ですから、今言ったような規制緩和、自由化、あるいは競争原理の導入と言ってもいいかもしれません。こういったものも、物によっては慎重に進めていかなければ、確かにメリットもある、しかし、こういう自由化の中でリスクという部分も発生してきて、これは同じ人がメリットもリスクも受けるというのならいいんですけれども、どうもメリットを受ける方とデメリットを受ける方というのが別の分野で受けるような形になるんじゃないかというふうなことを思います。
 日本の場合はまだ一般家庭というところまでは行きませんけれども、段階的な、事業者契約ぐらいのところまで自由化を進めていくという中で、こういったメリットとリスクというものについて、どんな認識そして配慮というものを持っているかということ。あるいは、間違いなくこれは公益のある大きな部分であると思います。公益と競争原理といったものについての御意見を伺いたいと思います。
西川副大臣 今、アメリカを御視察になった御体験、貴重なお話を興味深く伺いまして、大変勉強をさせていただきました。まずお礼を申し上げたいと思います。
 その上で、ただいま御指摘いただきました競争の促進と公益のバランスということを我が国でどういうふうに、重要な問題でございますから、これを認識して確保していくか。
 このためには、私どもといたしましては、エネルギー政策基本法の基本方針に基づきまして、安定供給の確保と環境への適合を図りつつ、そのもとで需要家が供給者を選択できる、こういう枠の拡大というものを図りながら、電気事業の効率化というものを図っていかなければいけないと考えております。
 時間の関係がありますから、できるだけ簡単に具体的なことを申し上げますと、まず第一に、責任ある供給主体としての一般電気事業者、ガスも同じくでございますが、この制度を、いわゆる川上から川下まで一貫体制による供給ができるように、先ほどの中山先生の御議論でいえば垂直的事業者といいますか、そういうものを確保していきたいということであります。
 それから、既存事業者、新規参入者のいずれにとっても不可欠なインフラであります送電線やガス導管、こういうものの確保また使用というものを公平で透明性のあるものにしていく。それによって競争環境というものをきちっと整備して、供給の安定と両立を図っていく。
 そしてもう一つ、これは大変重要なことでありますが、長期の固定電源として、安定電源としての原子力というものの初期投資が非常に大きいわけで、これは長期的に回収をしなければならないわけでありますが、これにつきましても、これの安定的な回収ができるという環境をつくっていくことによって、先生御指摘の競争原理と公益のバランスというものが何とか確保できるんじゃないかというふうに考えている、こういうことでございます。
奥田委員 もう一つ、これは私の言葉ではありませんけれども、そういったアメリカの方で聞いてきた、私が印象に残った幾つかの相手方の発言というものを御紹介したいと思います。
 これは消費者団体なんですけれども、規制緩和イコール競争という中での発想になってもらっては困ると。規制緩和というアメリカで言う自由化というものは、消費者を守るためのルールまでも奪い去ってしまったという御意見がありました。そして、規制緩和を進める理由というのは何なのかをしっかりと問い直してほしいと。
 同じ目的を達成するために、よりリスクの少ない手段が何なのかということを突き詰めないと、今カリフォルニアの話がありましたけれども、制度設計や、あるいは一つのマーケットとしてのマネーゲームの対象、投機の対象といったものになったときに、そのツケが多くの社会的な問題となってはね返ってきてしまう、別の道がないのかということをしっかりと検討していただきたいということが、自由化の進んでいる、完全自由化が始まったところでの意見でもありました。
 そして、これまた別の意見ですけれども、公益事業が本当に市場原理に適するものなのだろうかということ。規制緩和が進むにつれて会社自身が利益追求といった方にシフトしていって、本来あるべき保守というものやあるいはサービスといった観点がだんだんと失われていってしまうというようなことがあります。私自身も、当然のことですけれども、水道あるいは電気、そしてガスもそうでしょう、今の時代は通信というものも入るのかもしれません。そういったものはライフラインというべきものであって、文化的で、そして健康的な生活を営むための大切な基本であるというふうに思っております。
 郵便局なんかは、口座をライフラインの一つだというふうに民営化の反対論の中では言っていたと思いますけれども、こういった、家庭を守り、そしてまたユニバーサルサービスの観点が望まれるサービスというのはどういう提供の仕方なんだろうか、単純な競争原理あるいは過度な競争というものが、本当にそのサービスの中で生活を営んでいる人たちにとってのためなのかと。そこの視点と結果というものが失われた改革であってはいけないというふうに思っております。
 あと、この制度改革の中でもう一つ、発電部門と発送部門といいますか配電部門、送電部門の方が、完全分離ではないですけれども、自由化を進められる部分と自由化を進められない部分という形で残っていくかと思います。
 こういった中で、もちろん発電部門もそうですけれども、送電部門について、新しい設備投資というのがどんなシステムの中で生まれていくのだろうか、あるいは送配電の料金体系といったものも絡んでくるかもしれませんけれども、こういったときの新たな設備投資に対するインセンティブというのがどのように与えられるかということをお答えいただきたいと思います。
岡本政府参考人 今回の制度改革に当たりまして、発送電一貫体制を維持するということで、発電から送配電に向けて、長期的な視点に立った設備形成をよりしやすいような事業体制を維持しているというところがまず大きな前提かと思います。
 それに加えまして、送配電のネットワークというものが一種の公共的なインフラだ、そういう側面を持っておりますので、あるいは言葉をかえれば自然独占という色彩を持っている、そういう位置づけのものでございますので、一定の規律を導入するということにいたして、そのために中立機関というものを御提案申し上げているところでございます。
 その中立機関のルールあるいはその機能といたしまして、接続線あるいは区域間をまたぐ連系線、両方の送電線のこれからの先々の形成というのをどういう基準に従ってやっていくか。その場合の事業の主体をどうするか。それから、投資負担、費用回収の負担をどうするかということについて、関係の電気事業者はもとよりでございますが、新規参入者の方々あるいはユーザーの代表の方々、そういった方々に入っていただいて、合理的なルールの形成あるいはその運用の監視というものが行われることを通じて、引き続き私どもとしては必要な送電網の整備に向けての投資というものが行われることを期待しているところでございます。
奥田委員 もう一つ、アメリカの話ばかりで悪いんですけれども、こういった制度といろいろなルールというものをしっかりと決めてから動かさないと、こういった人の生活にかかわる部分を動き出しながら考えようということでは絶対にいけないというのも、やはりこういった制度をつくった方たちの意見でもあります。
 例えば、成功しているテキサスの、先ほど言った電気信頼度協議会という中でも何でやっているか、電気系統を管理しているところですけれども、大体一千ページからのマニュアルをつくって、その中でお互いの仕事を確認し合って、そしてどういう場合にはどういう対応をするんだ、こういうときにはだれの責任になって、ここまでの責任は私たちは負えるけれどもそれ以上の責任は負えないというようなことが全部書かれて、そして動き出している。
 今言ったように、系統はつなげてやっていくけれども、何かあと全部考えながらやっていきましょう、あなた方は困らせないくらいの送電料は払いますよ、そんなことでは絶対にうまくいかないと思いますよ。
 しっかりとそういうところで、今、しっかりとした統計データもあるんでしょうから、今の規則の中での二、三%というのがいいのか、アメリカの場合でいけば、送電料、販売量のキロワットアワーに対して何セントというものを掛け合わせたものが配電部門の料金だということは、もうしっかりと決まっていることです。そんなことをあいまいにしたまま自由化を進めましょうというのは、私はいかがなものかな、そういったいろいろな方々の知識を集めてと言うのであれば、そういうところまで、その知識の結果まで出してから進めていただきたいというふうに思います。
 それと、先ほど安定化との話が大臣の中で最初にありましたけれども、私も、一定、やはり電力の場合、一番自由化の中で心配なのは予備率というものになるかと思う。成功したところは、予備率、これが大体テキサスの場合だと二〇%以上あった。そして州内で全部供給できる、そういった体制があったから、エンロン事件があったけれども、自由化の方に踏み切ったんだ。
 もう一つ、電力事情の悪いネバダの方にも行ってきた。そこは自分の州内での供給量というのは五〇%ぐらい、そこはカリフォルニアの隣ですから大変影響を受けやすいんですけれども、カリフォルニアは自由化の方に突き進んだけれども、ほかの政策ではいつも一緒にやっていくんだけれども、電気の自由化政策だけはついていけなかった。怖くてそんなことはできない。そういった供給量が足りないようなところでは何を目標にしているかというと、とりあえず自州、自分の州の中の供給力を少しでもふやすことを目標としているのであって、自由化を目標となんか全然していない。少なくとも自分たちの身近なところの電力会社を育てることが自分たちの仕事なんだというふうに言っております。
 日本の場合、今どういった状況なんだろうか。一つのエネルギー産業としての成熟した状態のときでの自由化を目指しているのか、あるいはまだ発展途上のところでの自由化という形なのか、そういったところもしっかりと見きわめていただきたいというふうに思います。
 時間が来ましたので、あとは自分の方の意見だけ言わせていただきますけれども、一つ、アメリカの核燃料廃棄物処理場の予定地の方も見させていただきました。なかなか入れないところを入れさせていただいたんですけれども、昔のネバダの核爆弾の実験場の近く、あるいは空軍の演習場のところ、演習場の敷地の隅っこぐらいになりますかね、そういったところで、大体半径百六十キロぐらいのところに、町らしい町がない、余りにも漠然と、バスで三時間ぐらい走ったと思いますけれども、地図で広げると北海道の大雪山を中心にして、北海道の札幌から函館の方を取ったダイヤモンドみたいなところ、それが大体日本の感覚で言う半径百六十キロの地域、北海道丸ごと町がないようなところの真ん中に処分場の建設を予定しているというようなことでした。
 日本にそんな場所があるかなというと、ないような場所なんですけれども、私は、原発問題に関しては、やはり入り口から出口まで、そして原子力発電所の任務が終わったとき、あるいはそこで出てくる核燃料廃棄物、これがどうなるのかという道筋をしっかりとつけないと、原子力を推進したいという人も、最後までほかの方々に自信を持って訴えることができない。そういったことを、日本だけじゃありませんけれども、世界がやっているというふうに思います。
 いろいろな制度が、推進の制度を国もやっておりますけれども、反対に言えば、中間処理をするというのであればプルトニウムの発生というものもあります。そして、最終、終末管理というものは世紀を超えて管理し続けなければいけない。これは国家が管理するということを言い切ってもいい部分だというふうに私は思います。こういった最後の処理というものがあいまいなままで事業を進めようとしても、これは大変困難なことがあると思います。ぜひとも、そちらの終末処理というもの、もう現在あるんですから、そこの道筋というものをしっかりと切り開いていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 電源開発促進法が廃止されるわけですが、この点について、電源開発株式会社の問題について幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。
 今回、完全民営化されるわけでございますけれども、これまでのNTTやあるいはJRやJT、そういった市場において圧倒的な力を持っていた会社と違って、今回のこの電発については、九つの電力会社がある、そのはざまで卸売をやっている、これに対して民営化をしていくわけでございますが、そもそも、電源開発株式会社を民営化する目的は何なのか、あるいは、政府はこれによって何を期待されているのか、これをお尋ねしたいと思います。
高市副大臣 電源開発株式会社の民営化でございますが、これは行政改革の一環ということで、特殊法人整理合理化計画によって完全民営化することにしたものでございます。
 何を政府が期待するかということでございますが、この会社が民間企業としてさらに経営効率化を図りながら創意工夫を発揮して事業を展開してくださることによって、我が国における電力の安定供給ですとか、それから電気事業やら電力市場の一層の効率化に寄与していくことだ、これを期待いたしております。
土田委員 今回のこの法改正の目的の一つとして、電力市場における需要家選択肢の拡大が挙げられているわけでございますけれども、そのためには、電発の電力も市場において取引できるようにすべきであると考えております。そのためにも、完全民営化後の電発が、これまでの顧客である大手電力会社に臆することなく、自主的に市場参加をできるようにすることが必要であると思うんですけれども、これを可能ならしめるような仕組みの整備といいますか、これについては、政府はどう考えておられますか。
迎政府参考人 電源開発におきましては、一般電気事業者への卸電力供給を主たる事業として行ってきたところでありまして、我が国電力の安定供給に寄与している。それから、その卸供給というのが一つの重要な収益源となってきておるわけでございます。
 したがいまして、一般電気事業者に対する卸電力供給というのは引き続き重要な部分を占めていくというふうに考えておりますけれども、これに加えまして、今回の制度改革の中で卸電力市場の整備等を考えておるわけでございますけれども、同社の発電設備の最大限の活用と、あるいは同社が今後電源開発をする場合のリスクの軽減といったものに、こういったものが資するというふうなことではないかと思っております。
 また、同社を民営化していくに当たりましては、現在、他の電力会社に比べまして大変劣後をしております自己資本について増強策を講じるというふうなことを措置しておりまして、これによりまして、民営化後の資金調達について円滑にいくようにということで配慮をしているというところでございます。
土田委員 今部長から話がありました電発の財務体質について、これは極めて重要なことであるというふうに考えております。電気事業全体を活性化しようということでございますから、何としても、電発が民営化された後、財務体質が十分なものでなければならない。それについては、また政府が責任を持ってやらなければならないということも考えるわけでございます。
 今回の改正案で、実際に増資が確実にできていくのかどうか。六百三十億円を政府が出資をして、残りを民間から調達をして、合わせて一千億のファンドをつくると。これは、民間からの調達には非常に不確定な要素があるんじゃないかと考えるんですが、これについてどう考えられるのか、あるいは政府として、これについて責任を持ってくれるのかどうか、この点についても御答弁願いたいと思います。
迎政府参考人 ただいまも申し上げましたように、財務体質の強化というのは民営化を円滑に進めていくために不可欠なことであるということで、政府として積極的に支援を行うということにしておるわけでございます。
 それで、増資の引き受けの主体となる会社に対して、政府及び政策投資銀行が出資をするということで、それから残りを民間から借り入れるわけでございます。借り入れをして、増資を引き受けたものを市場で販売するわけでございますけれども、その販売に、例えば非常に株が安くしか売れなかったような場合にはロスというのが生じてくるわけでございますけれども、これをきちっと、出資金があるということによって借入金についてはきちっと返済ができるという形で、出資によるリスクの補完というのをやっていくということでございます。それから、民間金融機関からの借り入れのみならず、民間金融機関からの借り入れと同額程度の融資というのを日本政策投資銀行から行うというふうなこととしております。
 こういうことによりまして、資金の調達の確保というのをきちっと行えるようにいたしまして、実効性のある財務体質の強化策を講じたいということでございます。
土田委員 そういったことをやりながら財務体質をきちっとしていく、これについては政府が責任を持ってやりたいというふうに考えてよろしいんですか。
 次に、天下りのことについてお尋ねをしたいと思うんですが、一般的な天下り論については平沼大臣にもこれまで一度か二度かお尋ねをしたことがございましたけれども、今回、電源開発株式会社が完全民営化される、これまで五十年にわたってずっと通産省、経済産業省からの天下りが続いてきたわけですね。この機会に天下りをなくしたらどうかというふうに私は思うんですけれども、電発の役員が現在何人いて、今、外部からの役員の方がどういった人数になっているか、お答えください。
平沼国務大臣 現在の役員の総数は、十八名でございます。それで、経済産業省関係が三名でございまして、役員として代表取締役副社長と、それから常務取締役と、取締役です。それから、財務省関係に二名ありまして、取締役と非常勤の監査役。こういう内訳に相なっております。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
土田委員 この会社の独自性を発揮するためにも、これを機会に天下りをやめたらどうか。たまたま電源開発の社員の方とお会いする機会があってこの話が出たんですが、民営化に関して天下りをやめてほしいというのは、会社を挙げての悲願みたいなんですね。
 会社が求める役所のOB、専門的な知識を持って、非常に経験豊かで、そういった方々を会社として招きたい、いわゆる招聘をしたいということならまだしも、これまでのように、ただただ経済産業省からの押しつけで、顔も見たことがない、名前も知らない人が役員として乗り込んでくる。しかも、社長、副社長、あるいは専務、常務といった重要ポストにつかれて、それなのに、具体的に仕事は余りされない。社員のことをよく知っているわけでもない。しかも、天下り官僚たちは、いわゆる渡り鳥と呼ばれて、何年か、二年か三年たったらまた別なポストに移っていかれて、高給を取って、高い退職金を持って移っていかれる。その人たちに対するアレルギーといいますか反発といいましょうか、物すごいものがあるんですね。
 ですから、完全民営化を今回目指すわけでございますが、この機会にこういった外部からの招かれざる天下りについて、大臣、どうでしょうか。やめる気持ちはございませんか。
平沼国務大臣 民営化後においての役員の選任等は、これまでと違って、政府として認可を行う等の関与もなく会社独自の判断で行われるべきもの、そういうことに相なると思います。
 したがって、政府として当然のことですけれども、あらかじめ役員選任の方針等について述べる性格のものではないと私は考えておりますが、例えば、今ちょっとおっしゃったように、そういう知見とか経験を持って、この人は来てほしいなという人が仮に公務員であったとしても、そういう人が就任する場合にも、いわゆるおっしゃったような天下り、そういった国民の批判があるような、そういった批判を受けるようなことはゆめゆめあってはならない、私はそう思っておりまして、要は、国民の皆様方の信頼を損なわない、そういう人事をしていくべきだ、こういうふうに思っております。
土田委員 ゆめゆめあってはならないことがずっと行われてきたんです。別に国民の批判を浴びるからだけではなくて、電源開発の社員、何人いるか知りませんけれども、四千人ぐらいでしたか、この方々が希望されないような人事が行われているんです。
 今回、完全民営化されるので、政府としてそういうことに発言すべきじゃないと言うんですが、そうじゃないでしょう。大臣が、もう電発に対しては天下りをしませんと一言言えばこれで済む話でございまして、別にそれは政府が介入するという問題じゃないんです。そのことによって非常に多くの、一般国民だけでなくて電源開発の、さっき言いましたような会社の悲願として、彼らはそれを期待しているわけですね。
 もしもここで大臣が、そうしましょう、電源開発には今後経済産業省からは天下りさせませんということをおっしゃれば、多分彼らは今夜祝杯を上げるんじゃないかと私は思っているんですが、この決意について、大臣どうですか、もうちょっと本当に政治家として答えてみませんか。
平沼国務大臣 私は、国民の皆様方のゆめゆめ批判を招くような人事であってはならないと思っています。
 ただ、先生もちょっとおっしゃいましたけれども、本当に経験があって有用な人材で、皆さん方が、社員の方々が納得するような、そういう人が例えば公務員であった、こういうことでありますと、またそれは大きな目で見て、やはり大きな損失にもつながりかねない。
 ですから、私は、一般論として、天下りというような、今まで押しつけてきたような、そういうことは厳にあってはならない、こういうふうに思っています。
土田委員 いやいや、天下りの弊害というのはそこにあるんです。会社の方が求める人ならいい、例えば、きょうはガス電気部長が見えていますけれども、この部長が退職をされた後、この人は非常に詳しい、エネルギーに対して大事だから電発として招きたいということになれば、それでいいんです。ところが、今までの天下りの弊害というのは、そうじゃないんです。勝手に経済産業省が押しつけてくるんですよ。この人を使え、三年使えと言ってくるんですね。そういったことをやめてほしいと言っているんです。その点はどうですか。
平沼国務大臣 そういうことは、今度は完全民営化ですから、私どもとしてはそういう押しつけるようなことはやはり厳に慎むべきだ、こういうふうに思います。
土田委員 その答弁を聞きたかったんです。今後はそういったことを慎むということでございますから、多分役員構成の中にもそういうことはあり得ないというふうに思って、安心いたしました。
 次に、もう一点は、電源開発促進法の廃止が法の公布から六カ月後になっているということですね。今回、完全民営化の準備状況を見きわめるためにそうしたのかもしれませんけれども、もう既に電発の方は準備体制ができているんです。これからまた何カ月も置かなくたって準備ができておりまして、法の公布後直ちに撤廃してもいいんじゃないかという気がするんですけれども、この点はどうでしょうか。
迎政府参考人 電源開発促進法の廃止につきましては、公布後六カ月以内に政令で定める日と法律には規定されております。これは、財務体質強化に関連する事項を初めとして、政省令の整備に若干時間を必要とするということでこういうふうに規定させていただいたわけでございますけれども、法案をお認めいただきましたなら、政省令の整備作業というのを鋭意できるだけ早く進めまして、早期に施行できるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
土田委員 ということは、では、六カ月にこだわらないで、できるだけ早目にやりたいということですね。
 次に、電源開発がこれまで国策会社として担ってきた、国のエネルギー政策の実施機関としての役割を、政府はどのようにそれを認識されているのか。その上で、今後、完全民営化になった後、これまで電発が担ってきた役割について、全国的な電力の安定供給体制、あるいは広域的な連系送電線の維持等について、引き続きこういった役割を担わせるべきであると私は思っているんですが、これらについては政府はどう考えておられますか。
西川副大臣 電発は大体九電力の半ばぐらいの力を持っておりまして、水力が五十八カ所、火力が八カ所、卸売電力の発電機能としては持っているわけですね。それから、送電線なんかは二千四百キロ以上持っていまして、周波数変換の佐久間のあそこも持っているわけです。それから、本州と四国とか、北海道と本州とか、関門海峡とか、そういうところのあたりも全部この電発が持っているわけであります。
 昭和二十七年設立以来、先生御指摘のように、国策会社と言っていいかどうかあれでございますけれども、そういう大変重要な機能を担ってまいりまして、困難な電源の開発でございますとか大規模な電源の開発、こういうものや、広域連系線の整備、ただいま申し上げましたようなことで安定供給に大きな役割を果たしてまいりました。
 今後、これらの保有する能力を活用いたしまして、引き続き、我が国における電力の安定的、効率的な供給に寄与するとともに、卸電力取引市場等の今回の制度改革による新たな仕組みの中でも重要な役割を果たしていくというふうに私どもは期待をいたしているところであります。
土田委員 次に、電力の自由化のことについてお尋ねしたいと思いますが、今回の改革で一般に電力の自由化と言われているように、公正であり透明な競争条件を確保して電気料金を下げることが一つの目的であるというふうに私は認識しております。しかし、電気は国民生活や国民経済に不可欠なエネルギーであるということを考えますと、非常に慎重に検討しなきゃならないということも考えるわけです。
 そこで、今般の電気事業分科会の報告で、全面自由化を実施することが適当であるとして、そういった表現を使ったわけでございますが、そもそも政府は、家庭用まで含めた全面自由化を実施する予定なのかどうか、あるいはまた、家庭用まで含めた場合にどういった弊害が予想されるのか、この点について詳しく御説明願いたいと思います。
西川副大臣 結論的に言うと、直ちに全面自由化を行うのが適当であるという内容ではないわけであります。
 その理由を申し上げますが、詳しくということでございますが、まず、電気事業分科会の答申におきましては、小売の完全自由化を最終目標には置いております。しかし、スケジュールをきちっと立てまして、それに基づいて段階的に範囲を拡大するというステップを踏むことが適当である。そこで、まず、全面自由化につきましてはいろいろな課題が発生してまいります、これは後ほど申し上げますが、これにつきまして必要な措置を講じた上で実施をする。そして、平成十九年四月ごろを目途として具体的な検討を開始するということが適当ではないかと。
 したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、全面自由化について直ちに実施をするというのではなく、十分に検討を行うという意味で、先生の思いのとおりであるというふうに私は申し上げたいと思っております。
 そこで、家庭用を含めた小口需要家につきましては、需要規模が小さく、市場でのバーゲニングパワーが十分に発揮されないという懸念があります。そこで、この自由化の検討に当たりましては、ただいま御審議をいただいておりますこの法律等によって今般措置をいたします五十キロワット以上の高圧の自由化、これの実質的な選択肢の確保状況をよく踏まえる必要があるというふうに考えております。
 需要家の方々、自由化の範囲が五十キロワット以上ということでありますので、それ以下の一般家庭の小口ということにつきましては幾つかの課題があるとさっき申し上げましたが、一つは供給信頼度の確保、二つ目はエネルギーセキュリティーや環境保全等の課題との両立、そして最終保障、ユニバーサルサービスの確保、そして四つ目としてはメーターの計量等の実務的な課題が十分に検討される、これらの条件を満たすことが不可欠でございまして、おのおのについて十分に検討する必要がある、しかる後に先ほど申しました時期に自由化についての検討を開始する、こういう手順でまいりますので、直ちにということではございません。
土田委員 次に、電気料金のことなんですが、電力の自由化によって内外価格差は是正されるんでしょうか。あるいは、具体的にどのくらい料金が引き下がると想定しておりますか。
岡本政府参考人 これまでの制度改正、小売の部分自由化を通じまして電気事業者の効率化がその限りで促されてきまして、これまでのところ、約一三%の料金の値下げというのが行われてまいっております。
 今回の制度改正で、安定供給、環境への適合とあわせましてさらなる効率化というのを期待しておりますので、私どもも、電気料金のさらなる低減というものを期待しているところでございます。
 国際的な比較という場合に、二つ留意する必要があろうかと思っております。それは、諸外国も自由化が進むというようなこと、いろいろな事情を背景に、先方の価格も動いているというのが一つでございます。
 それからもう一つ、日本の場合に、国際価格に近づけていくという場合に、ここにありますような制度改正とはまた別の要素ですけれども、負荷率が非常に低いという、ロードカーブの改善ということなくして国際的な価格に近づけていくというのは難しいかと考えておりますので、従前から進めてまいっております蓄熱を初めとする負荷率改善についての取り組みの進展ということももう一つ大事な要素として、私どもとしては、それを積極的に進めてまいる。そのことを通じてできるだけ料金の引き下げというのを期待しているところでございますが、定量的に幾らになるかという点を今申し上げるのは難しい事情を御理解いただきたいと思います。
土田委員 幾ら下がるかというのは言いにくいということなんですが、ある程度想定はしているわけでしょう。幾らぐらいは下がるんじゃないか、そのことを聞いているんですが、それすらやはり言えませんか。
岡本政府参考人 先生御指摘の点はまさにこれからの努力にかかっているという部分でございますので、さらなる効率化に向けてドライビングフォースになるという点は間違いないんですけれども、そのことによって、数字で幾ら幾らまで下がるということを今申し上げるのは難しい事情を御理解いただきたいと存じます。
土田委員 次に、原子力についてなんですが、原子力発電は、計画や建設に非常に長期間を要する、リスクが大きくて、将来における事業者の経営環境に不確実性をもたらしているというように考えております。特に核燃料廃棄物処理のバックエンド事業、これについては、事業者にとって将来の大きなというか最大の不確定要素だというふうに思われるわけです。
 今回の電気事業分科会の報告では「平成十六年末を目途に、経済的措置等具体的な制度・措置の在り方について必要性を含め検討するべきである。」というふうにしているんですが、提案理由説明では「平成十六年末までに、経済的措置等具体的な制度、措置のあり方について検討を行い、必要な措置を講ずる」ということで、一歩踏み込んだ表現をしております。
 この踏み込んだ理由と、あるいはこの政府のバックエンド事業に対する今後の取り組みについて御答弁をお願いしたいと思うんです。
西川副大臣 バックエンド対策につきましては、これまで、低レベルの放射性廃棄物の処分につきましては青森県において着実に事業を実施しております。高レベル放射性廃棄物の処分につきましては、制度や実施体制を整備いたしまして、必要な資金がどれぐらいかかるのか、こういうことも計算をした上で、資金の積み立てや適切な処分のための研究開発を実施しております。原子力発電施設の解体や廃棄に必要な費用の引当金制度を整備する、こういうような努力を今までしてまいったわけであります。
 今般の制度改革に当たりまして、原子力発電の投資環境を整備する観点も踏まえつつ、さらなるバックエンド対策の検討を行っていくことになりました。いかなる措置をとるかにつきましては、バックエンド事業全般にわたるコスト構造、原子力発電全体の収益等を分析、評価するとともに、官民の役割分担のあり方、既存の制度との整合性等を整理しながら、予断を持たず公開の場で十分に議論を尽くしてよい結論を得たいというふうに考えているわけであります。
 踏み込んだ、こういう御指摘でございますけれども、先ほど先生もおっしゃいましたとおり、回収に非常に長い時間を要する。しかしながら、安定的な長期固定電源である原子力を維持していくという意味では、やはりこのバックエンド対策ということをしっかり打ち立てなければ事業者の参入は自由化の中で難しかろう。こういう問題も踏まえながら、私どもとしては、官民の役割を公開の場できちっと議論していく、こういうことを担保しつつ前向きに進んでいこう、こういう姿勢をあらわしたというふうに御理解いただきたいと思います。
土田委員 次に、発電と送電のアンバンドリングの件でございます。
 今回はこれはやらないということを政府はおっしゃっているようでございますけれども、先ほども質問が出ておりましたけれども、なぜここに立ち入っていかないのか、これについてなぜもっと議論を深めていかないのか、これについてお尋ねしたいのが一点。それから、世界の先進国の中でこのアンバンドリングについてはどういうような状況になっているのか。これは調べればわかるかもしれませんけれども、わかる範囲でひとつ御説明願いたいと思うんです。
岡本政府参考人 電気は、先生御案内のとおり、瞬時瞬時に需給の均衡を図る必要がある、そういう特性を持っておりまして、その点を踏まえますと、短期、長期を問わず、電気の安定供給を図るためには発電設備と送電設備の一体的な整備及び運用が求められるものだというふうに私ども考えております。
 特に、エネルギーセキュリティーそれから環境負荷の軽減の観点からすぐれた特性を有しております原子力発電や水力発電等は、先生御存じのように、初期投資が大変大きくて、かつ投資回収に長期を要する、そういう特徴を持っております。こうした電源を引き続き開発していくためには、やはり発電とそこで起きた電気を送る送電部分、大容量の送電設備の形成等を有機的な一体性を持って進めていくということが必要であるというふうに考えまして、そういう観点から、今、発送電の一貫体制というものを維持することが肝要であるという審議会の取りまとめもいただいて、私どももそういうふうに認識をいたしているところでございます。
 外国について、一部実例を迎部長の方から今御答弁いたさせます。
迎政府参考人 発送電の分離の関係について、外国でどうなっているかということでございますけれども、イギリスでありますとか北欧の諸国におきましては、電力会社から完全に送電部門を独立させているというのが実態でございます。それからアメリカは、これは州によって違うわけでございますけれども、ISOという独立の、実際送電部門は電力会社が保有するけれども、その運用は独立の機関にやらしめるというふうな形式がございます。
 それから、ドイツですとかフランスは、発電部門と送電部門との組織の分離というのはいたしておりませんで、ただし、それらの部門の会計上の区分ですとか、あるいはその経営上、情報の遮断ですとか、こういった行為規制を行っておる、組織分離はやっていない、そういうのが現状でございます。
土田委員 いずれにしましても、電力会社は発電と送電を分離しないでくれというような主張をされると思いますけれども、諸外国の例を今おっしゃいましたけれども、そんなに心配される出来事じゃないのかなという感じはしておりますので、さらに検討されるということを期待したいと思います。
 次に、電力不足の件。東京電力がこういったことで、原発がとまったわけですけれども、先ほども質問が出ておりましたが、政府は、企業や家庭に対して節電要請あるいはPR以外にどんなことを対応を考えておられますか。
西川副大臣 もとより、PRのみで、節電のみでよろしいということではございませんで、昨日も、関東圏における電力の需給対策本部というものを当省の中に平沼大臣を本部長といたしましてスタートさせたことは、午前中からの大臣の御答弁でその決意のほどが御理解いただけるというふうに思うのでございますが、私どもとしましては、一昨日起動をいたしました柏崎刈羽原発の六号機、こういう安全を確保できてなおかつ地元に安心を御理解いただける、そういうものをできるだけ早く確実に再開ができるように努力を懸命にいたしているところでございまして、この努力をしっかりやっていくということが基本でございます。
 加えて節電の方も、発電地の御努力に感謝をしながら、消費地としてもむだな電力を使わずに、そして関係企業や地方自治体、こういうところにもしっかりとお願いを申し上げまして、しっかり努力をしていくということが総合的に実るならば、夏場の電力需要に十分こたえられるということでありますが、さっき、くどくど申し上げて恐縮ですが、前段申し上げました、一日も早い安全なこの原子力の運転再開ということをしっかりと目指していきたい、こういうことでございます。
土田委員 次に、今度はガスの問題に入りたいと思います。
 全国の世帯数の約半分が都市ガスで、半分がLPガスというようなことらしいんでございますけれども、今回の制度改革の対象が都市ガスだけに限定されているわけです。LPガスを含むガス体エネルギーといいますか、これの全体の視点から制度改革をやるべきではないかと考えるんですが、この点は政府はどう考えておられますか。
桜田大臣政務官 議員御指摘のとおり、都市ガスとLPガスは、我が国の全世帯の半分に当たる約二千六百万世帯にガスを供給する重要なエネルギー源であります。また、LPガスは、天然ガスと同様にクリーンエネルギーの一つとして重要な役割を担っているところでございます。
 今回の制度改革では、主として天然ガス市場の形成を展望した都市ガス事業規制を中心に検討を重ねてまいりましたが、こうしたLPガスの重要性にかんがみ、今後、LPガスを含むガス体エネルギーのあり方について、燃料電池等のガスを原料とする新エネルギー利用技術の動向も踏まえながら、エネルギー政策全体を展望する中で検討を進めていきたいと考えております。
土田委員 これはちょっと余り答弁にならないですよ。なぜやらなかったかという話なんですよ。なぜ全体的に、都市ガスだけじゃなくてLPガスも含めた改革をやらなかったかという質問だったのですが、まあいいでしょう。
 それでは次に、電気とガスの自由化範囲のスピードについてなんですが、電気については平成十七年度に全体の六割を自由化する、ガスについては平成十九年度に全体需要の約五割が自由化するとしているわけですね。政府はどういった観点から、こういった電力の自由化とガスの自由化の範囲と時期について格差を設けたんでしょうか。
岡本政府参考人 電力、ガスの小売自由化の範囲につきましては、それぞれの事業における、一つは、需要家による供給者の実質的な選択の可能性、二つ目として、自由化に伴う安定供給やユニバーサルサービスの影響等を勘案して判断しているところでございます。
 特に我が国のガス市場は、既に送電網が全国くまなく整備されております電力市場とは異なりまして、いまだ基幹パイプライン網が構築途上にあるという状況にございます。それから、需要家による供給者の実質的な選択の可能性が必ずしも十分ではありません。このため、託送制度の低圧導管までの拡充、これは平成十九年ごろを目指しておりますが低圧導管までの託送制度の拡充や、パイプラインの整備をまず進めて、需要家が実質的に供給者の選択を行うことが可能となる、そういう環境の整備を図るほか、適切なガス保安体制の整備を進めることがまずもって必要と考えているところでございます。
 こういう状況を勘案いたしまして、ガス事業の制度改革におきましては、まず供給基盤の整備を図り、その進捗を見つつ、平成十六年を目途に五十万立米まで、それから、平成十九年を目途に十万立米まで段階的に自由化範囲を拡大することが適当という、これは審議会でお取りまとめいただいた報告でございまして、私どももその線に沿って取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
土田委員 次に、ガス料金の問題です。
 料金水準が欧米と比べておおむね二倍ぐらい日本は高いということを言われているわけでございますが、今回の制度改革によって、いわゆる内外価格差はどの程度是正できるのか。同じようにまた、この内内価格差ですね、関東地域における一般ガス事業者の平均が百二十五円、九州、沖縄においては百九十五円となっている。これが内内価格差と言われているわけでございますが、内外と内内と、どのように考えておられますか。
岡本政府参考人 内外の価格差の方でございますが、背景としまして、セントラルヒーティングの普及状況などの生活様式、それから住居の相違、こういったことに伴います需要家一件当たりの使用量の相違というのが非常に大きな要素としてコストに響いてまいっております。
 日本は一件当たり三十立米ですが、韓国で七十八立米、アメリカで百八十四立米ということで、大きな差がございます。
 こういった消費形態の違いのほかに、二つ目の要素としまして、保安体制の違いというところがございます。それから三つ目に、天然ガスパイプライン整備の状況の違いということで、日本は今三千キロですけれども、米国は四十万九千キロメートルのパイプライン網が既にでき上がっている、そういう違いがございます。
 こうした中にあって、我が国では、これまでの二度の制度改革の結果、事業者の経営効率化が進み、近年の原料価格の上昇にもかかわりませず、平成十一年以降、大手ガス事業者を中心に約五%ないし九%程度の値下げが行われ、全需要家の約八割がそのメリットを享受するなど、一定の成果があらわれているところでございます。
 今回の制度改革においても、パイプラインの整備とその有効利用を図ることでガスの流通を活性化しますとともに、さらなる自由化範囲の拡大によって競争を活発化させ、事業者の経営効率化努力とサービスの多様化を促すことによりまして、引き続きガス価格の低減が図られるものと期待いたしております。定量的に幾らということは、これまた先生御賢察のような事情で、難しい事情を御理解いただけたらと思います。
 それから、内々価格差という点でございますが、これは、国内の都市部と地方では人口の密度が異なって、需要の密度が大きく違いますものですから、効率よく低廉にガスを供給できるところとそうでないところの違い、それからもう一つは、供給するガスの原料の種類やそれに対応する製造方法に違いがあることなどを背景にしまして、ガスの製造、供給に係るコストにかなりの差が出ているというのは御指摘のとおりでございます。
 今回の制度改革によりまして、より効率的なガスの供給基盤の整備が促進をされ、ガスの広域的な流通が活性化するとともに、それぞれの事業者が一層の経営効率化に努めるということを私ども期待をしておりまして、こういったことを通じて地域間の料金格差が縮小されていくものと期待をいたしているところでございます。
土田委員 もう一問行けると思いますが、ロシアのサハリンから天然ガスを持ってこようという計画があります。もちろん民間でやっているわけでございますけれども、パイプラインでやるのか船で運ぶのか、これについて政府はどういうふうに関与をするのか、あるいはすべきなのか、これについて御答弁願いたいと思います。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 サハリン・プロジェクトは、我が国の近隣地域に位置して、石油に加えまして大規模な天然ガスの埋蔵量が確認され、我が国産業の参画を得て事業が進められているところであります。
 経済性のある形で同プロジェクトによる我が国への資源供給が実現すれば、石油依存度や中東依存度の低減等を通じた我が国のエネルギーセキュリティーの向上、CO2の排出割合が低い、石炭と比較しましたら約六割ということで、天然ガスの導入を通じた地球環境問題への対応等の観点から、非常に重要な意義を有するものと考えているところであります。
 したがって、サハリン・プロジェクトは、我が国のエネルギー安定供給上も環境対策上も意義の大きいプロジェクトと考えておりまして、政府としても、必要な環境整備に積極的に取り組んでいくところでございます。
土田委員 以上で終わります。
谷畑委員長代理 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 電気事業法の改正案で、最初に質問したいと思います。今回の法改正では、電気における小売参入の促進というのが大きな目的の一つだと思いますけれども、その結果、特に一般家庭にとってどういう影響が及んでいくのかということを中心にきょうは御質問したいと思っています。
 最初に、料金にかかわって、振りかえ供給料金の廃止の問題があります。
 振りかえ供給料金の廃止によって一般的な送電コストに繰り込むことになり、これが需要家の負担増になっていくわけですけれども、新規参入者が負担していた送電コストの一部を一般家庭など全需要家に転嫁をすることになるわけですが、この振りかえ供給料金の廃止で需要家への転嫁がされる場合に、一般家庭での負担増というのはどのぐらいになるものなんでしょうか。
岡本政府参考人 振りかえ料金の廃止を一方でやりますと同時に、送電コストの回収を確保する必要がございますものですから、振りかえ料金を通じて回収しておりましたコスト相当分を、送り先の需要家が存在する地域の電力会社の系統利用コストに加算して、一括して徴収するということにいたしたいと考えております。
 その場合の負担増というのは、これは正確な数字を申し上げるのは精査が必要だと思いますが、非常に薄いものだというふうに私ども考えておりまして、一方で、その薄い負担増をはるかに上回るであろう、全国的な電力流通の活性化が進むあるいは競争が進むということを通じたコストの低減というものが、ひいては料金の低減というものが見込まれますので、私ども、需要家の方々の御理解はいただけるものというふうに考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 負担は薄いということですけれども、新規参入自身がシェアではごくごく小さいですから、その新規参入者のシェアがどんどん大きくなってくれば広域流通も含めて広がりますので、そうしますと振りかえ料金そのものも総額としてふえていくんじゃないかと思うんですけれども、将来、この振りかえ供給料金の廃止が需要家へのコスト転嫁になる、頭で取るのを後で取るという話ですけれども、その後で取る分の割合というのが新規参入の増加に伴って大きくふえていくということは言えるわけですよね。
岡本政府参考人 新規参入者それから供給区域を超えた既存電気事業者による供給、両方が考えられるかと思いますけれども、そこの程度をあらかじめ見込むというのは難しい点は御理解をいただけたらと思います。
 他方で、振りかえ料金の廃止に伴う送り先の需要家が存在します地域の需要家の方々の負担という点は、これは既存の送電線の投資費用の回収というものを何らかの形で図るということでそういう整備をさせていただいているわけでございますが、既存送電線の容量の範囲内であればさらなる追加の負担というのは出てまいりません。
 それから、遠隔地の電源などにつきましては、これから中立機関で送電線の建設なりあるいはそれへのアクセスをするについてのルールをおつくりいただくということになろうかと思いますが、審議会の提言にありますように、そういったものはある種ディスインセンティブが働くようにという方向性もいただいておりますので、そういうことをにらみながら、適切なルールの設定が中立機関を中心に行われるということを私どもは期待しているところでございます。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
塩川(鉄)委員 新規参入者の皆さん、電気事業者の方が負担をしていた分を需要家につけかえるという点は、そのとおりですよね。
岡本政府参考人 送電線の費用回収を、投資回収ということで、これを確実にやるという点は先生も御理解いただけると思います。
 その点を、振りかえ料金という形でやるんではなくて、A地点からB地点に送られるという場合に、B地点の供給区域内の需要家全体の方々の送配電コストに薄く広く上乗せをして費用の回収をするという方式に切りかえるということでございまして、その部分はその連系、基幹送電線の投資を行った経過地点の電力会社等に精算という形で戻される、そういう仕組みを私ども考えているところでございます。
塩川(鉄)委員 負担を薄く広くという話がありましたけれども、負担が生じるということははっきりしているわけで、今まで料金設定のなかったものが今度盛り込まれて、その分需要家の負担として上乗せされるということははっきりしているわけです。
 そういう点でも、新規参入者にとってみればメリットのある振りかえ料金の廃止ですけれども、今回、規制対象の需要家が当然残るわけです。
 新規参入によってのメリットを受けない規制対象需要家の方、一般家庭の方に負担を転嫁するというのは、これはちょっと理屈として筋が通らないんじゃないかなと思うんですけれども、その点はいかがでしょう。
岡本政府参考人 新規参入自体は確かに自由化された需要家向けでございますけれども、これまでの部分自由化の実績を見ましても、自由化を通じて、単に自由化部門だけではありませんで、電気事業全般の効率化が行われて、その効率、コストが下がった効果というのは、家庭を中心とする規制部分の需要家の方々にも同様に均てんをしていただいているところでございます。
 これからも、自由化部門と規制部門については収支を区分してその状況を公表していただくということを引き続き今度の新しい制度のもとでも堅持をすることにいたしておりますので、私ども、新規参入なりあるいは競争のさらなる活発化を通じて効率化が促され、その効果は、ひとり自由化部門のみならず、規制部門の需要家、御家庭の需要家の方々にもひとしくメリットは及んでいくものというふうに考えているところでございます。
迎政府参考人 若干補足させていただきます。
 料金体系が変わるわけでございまして、基本的に規制需要家が常に負担が増加するということではないわけです。
 ただ、ある地域に関して言えば、規制需要家が負担する送電費用というのが増加する可能性があるということは、先生御指摘のとおりでございます。
 この点につきましては、長官がるる申し上げておりますように、広域流通のメリットの方が規制需要家にとっても大きいだろうというふうな判断が、私どもの検討過程でそういう判断をしたものであります。これは審議会の場でも、消費者の代表の方からこの点について多くの議論がありまして、最終的にはこういうことでよろしいのではないかと。
 ただ、今考える段階では、広域流通の方のメリットの方が大きい、こういうふうに考えておるわけですけれども、仮に、そういうことはないと思っておりますけれども、仮にそうした期待が実現しないような場合については、規制需要家への影響の排除のための所要の再調整というのを図っていくという所存でございます。
塩川(鉄)委員 今の迎部長ので二つちょっとお聞きしたいんですが、地域でアンバランスが出るんですか。例えば、東京電力管内の需要家の負担がふえて、ほかはふえないということも起こるということなんですか。その点をひとつ。
迎政府参考人 ですから、競争の状況、広域流通の状況等でどういう形になるかというのは予測がしがたいわけですけれども、費用負担の体系を変えることによって増加する地域もあり得るということでございます。
塩川(鉄)委員 それは、電力会社ごとで差が出るということですか。私は、何か一律に、広く、全国同じように負担をかぶるというふうなイメージなんですが、そうじゃないわけですね。
迎政府参考人 ですから、連系線ですとか振りかえの現在の収入が、振りかえ料金の収入の大きい電力会社、小さい電力会社、あるわけでございますので、それを一般、全体にならした場合に、ふえる会社、減る会社、あるわけでございます。
塩川(鉄)委員 それは、どこが多くてどこが少ないものなんですかね。
迎政府参考人 流入、流出量によりますので、どの電力会社の管内が上がる下がるというのは、ちょっと今よく、資料を持ち合わせません。
塩川(鉄)委員 きのうその点を聞きましたら、流入、流出両方はちゃんと出ないというふうに言われたものですから、それでどうして差が出るのかなというのがよくわからなかったんですけれども、では、それは改めて資料をいただけるということでよろしいですね。(迎政府参考人「はい」と呼ぶ)
村田委員長 ちゃんと言ってもらえますか。
迎政府参考人 整理をいたしまして、お出しするようにしたいと思います。
塩川(鉄)委員 よろしくお願いします。
 その上で、先ほど、審議会の中の議論におきましても、こういうことはあり得ないだろうけれども、もし規制対象需要家にメリットが及ばないようであれば再検討するというようにお話として整理されているということはお聞きしたわけですけれども、そういうことであれば、今の時点からでも規制対象需要家の方自身は区分して、そこには負担が生じないようなやり方というところからもともとスタートする方が筋が通っているんじゃないかなというふうに率直に思うわけです。この点はまた少し、資料をいただいてから議論したいと思います。
 その上で、電気料金の話で、需要種別での料金を考えた場合に、高圧ですとか低圧とか電灯がありますけれども、そこで電気料金が違うわけですよね、需要種ごとによって。この料金の違いというのはなぜ生まれるのか、その積算根拠といいますか、基準というのは教えていただけますか。
岡本政府参考人 料金全体のコストを各需要家群ごとに配付していって設定されるわけでございますが、ピーク電力に対する各需要家群ごとの寄与でありますとかそれから使用電力量の要素でありますとか、そういったことを勘案しながら、適正な原価に適正な利益、そういう考え方のもとに設定されているものと理解しております。
塩川(鉄)委員 私がいろいろお聞きした中では、需要家の数に応じた管理コストという部分での負担が料金に反映する点と、それからあと変電、配電の費用がありますね、当然、電灯の場合でしたらどんどん電圧を下げますから、そういった変電の費用なども算定の基礎に入ってくる。あわせて、今長官がお答えになったように、ピーク電力に占める割合といいますかそれを加味する、そういった点が出てくると思うんです。
 それを考えたときに、電灯について考えますと、電力使用の総量に占める電灯の割合よりも、最大電力時に占める割合の方が高いわけですよね。つまり、ピーク時におけるシェアが電灯の方が大きいということを数字としては見ているわけですけれども、最大電力に当たっての構成比を加味した料金体系である以上は、需要変動がどうなっているのかということを、高圧や低圧とか電灯などについてそれぞれきちっと見なくちゃいけないというふうに思うんですけれども、こういった特別高圧や高圧や低圧や電灯といった、あるいは電灯の中でも一般家庭というのを取り出した、そういったそれぞれの区分ごとでのいわゆる需要曲線、ロードカーブというものはお出しいただけるものなんでしょうか。
岡本政府参考人 先ほど申しましたピークへの各需要家群ごとの寄与それから使用電力量、そういったものを勘案しながら、その中には当然ロードカーブというものも、ピークへの寄与ということに大きく響いてまいるファクターでございますので、勘案されているところでございます。
塩川(鉄)委員 その需要曲線について、それぞれの需要種ごと、それから電灯の場合ではやはり一般家庭ということが特に関心が高いことですので、一般家庭についての需要曲線というものが出ているんじゃないかなという思いでいたんですけれども、そういうものは出していただけるんでしょうか。
迎政府参考人 一般家庭の需要曲線というようなものは、私どもでは把握は、持ち合わせておりません。
塩川(鉄)委員 電力会社に聞けばあるものなんでしょうかね。その点は確認されたことがありますか。
迎政府参考人 私ども、固定費を配分する際の最大電力の比率ですとかピーク時の電力の比率といったものは聴取、把握しておりますけれども、需要曲線というふうなものは報告を求めておりませんので、ちょっとそこについては私ども承知いたしません。
塩川(鉄)委員 私、電気料金の積算に当たって、ピーク時の電力に占める割合というのが加味されているということを聞くわけですね。だから、よく言われるように、八月の暑い中、クーラーかけながら高校野球を見ている、それがピークだと一般的に言われていますけれども、特に一般家庭が何かそういうときに負担をかけているかのような印象というのを多くの方が受けておられるんじゃないかなと思うんです。
 その点については、先日新聞でも紹介されていました生協連の調査で、一般家庭の需要曲線についてデータがありまして、拝見しましたら、これはそのパンフレットですけれども、こういった形で、夜が低いのは当たり前ですけれども、一般家庭ですから、朝の七時が一つの山が来るんですね。それが、昼間はずっと下がって、午後一時、二時というのは低い方なわけです。そこから夕方にかけて、夜の六時から十時ぐらいがぐっと上がるわけです。そうしますと、我々が普通イメージしている、朝から立ち上がった需要曲線、お昼でちょっと落ち込んで、午後の二時、三時がピークになって下がっていくという、それとちょうど逆の方向での需要曲線になっているわけですよ。
 そうしますと、ピーク時に一般家庭が貢献しているんじゃなくて、逆に負担を軽減をしているという形の需要曲線になっているんじゃないかなと思うんです。ですから、今の料金体系では、その辺が、一般家庭のこういった需要曲線を踏まえた、ピーク時での負担というのが実際には小さい、そういったことを加味した料金体系になっていないんじゃないかなと率直に思うわけです。
 ですから、こういった一般家庭の実態というのが料金体系にどういうふうに反映されるものなのか、その点、ぜひお聞きしたいんですけれども。
岡本政府参考人 一般家庭のピークが夜間に発生している、そういう実態は今の料金の設定の中に織り込まれておりまして、電力会社は、一般家庭における電気の使用形態の多様化というのが見られておりますことから、あわせまして、家庭用需要家向けの選択メニューというのも複数用意して、需要家のニーズに対応いたしているところでございます。
塩川(鉄)委員 ベースになる配分があるわけですよね。原価があって、先ほど高市副大臣が説明されたように、それぞれ高圧なり、自由化と規制対象を分けた上でしょうけれども、それぞれ需要種ごとに分けて、それはでもベースとして当然あるわけですよね。そこには、今言ったように、ピーク時についての負担が大きいところへはより負担が大きいような仕組みにはなっているわけです。それは、でも、電灯に入る一般家庭に当てはまらないんじゃないですか。そこのところは、ふさわしく、一般家庭の需要に見合った形で見直す必要があるんじゃないですかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
迎政府参考人 これは会社等によっても違うんだと思いますけれども、大まかなイメージ的に申し上げれば、例えば電灯というのは電力の使用量の割合でいうと二割ぐらいを占めている。しかしながら、ピーク時間帯における部門別の電力の、どの部門がピーク時間帯に多く使っているかというので計算いたしますと、一五%ぐらいになる、こういうことを要素として固定費を配分をするということによって、先生おっしゃったような、ピーク時間帯に使用量が少ない家庭については、料金計算上、その要素を加味して、ほかの配電とかいう要素はありますけれども、このピーク対応のための設備の費用の負担という点では電灯が軽減をされているということでございます。
塩川(鉄)委員 それは、そうすると、個々の家庭ごとにそれぞれ違いが出るようになっているものなんですか。そういうことじゃないですよね。
迎政府参考人 それは違いまして、要すれば、特別高圧、高圧とか、そういう需要家群をグループ分けして、それで電灯というのは一律、こういうことでございます。
 ただ、それが、規制料金の世界ではそうなんですけれども、ただ、先生おっしゃるように、個別の家庭によって、特に夜多く使う御家庭とか、そういうのはあり得るわけですね。そういう方たちに対するものとしては、規制料金と異なる選択約款というのを電力会社が用意をしていて、需要家の方で自分の使用パターンを見ながら、こちらの方が有利というものが選べるような選択約款というのも最近いろいろ拡充されてきておるということでございます。
塩川(鉄)委員 もともと需要家群という大くくりの中で、電灯の中にさらに一般家庭もあるということですから、多くの消費者の家庭の皆さんというのは、そういう全体の体系が、そういう意味では、率直に言って、見えていない中で受けとめていらっしゃる方が多いと思うんです。私、そういう点でも、全体そのものをもう一度見直す、一般家庭のこういった需要曲線に見合ったような形というのは何か知恵を出す必要があるんじゃないかな、こういう機会にやはりそういうふうに率直に思うわけです。
 それから、自由化がスタートしましたけれども、スタートしてからの電気料金の比較をしますと、それぞれ、電灯も下がっているわけですよね、この間。それから、同時に特別高圧、自由化のところで、産業用、業務用も下がっていると思うんですけれども、特別高圧での産業用と特高の業務用と、あと電灯と、それぞれの自由化後の下がり幅なんというのは、ちょっと直接、事前にお聞きしていないんですが、もしぱっとわかるようであれば教えてほしいんですけれども。
岡本政府参考人 自由化部門の価格動向ということで、平成十二年の十月を起点にしまして、産業用を平均いたしまして、十五・七一円から、十四年九月までの間の約二年でございますが、十四・三六円まで下がっております。
 失礼しました。業務用で十五・七一から十四・三六への低下でございます。
 それから、産業用で同じ期間、十一円五十銭弱から十一円近辺まで下がっております。
 それから、家庭につきまして、下げ率で申しまして、この間あわせまして約一〇%の値下げが行われております。
塩川(鉄)委員 電灯の一〇%というのは、全体では一三%ぐらいと先ほど答弁でお聞きしたんですけれども、それは違うんですか。その下げ幅で、もし率がわかれば。
岡本政府参考人 先ほど申しましたのは、平成十二年との対比でいいましたものですから、電灯について、東京電力の場合でいいますと、家庭用電灯料金は十二年十月に四・四三%、それから十四年四月に五・三七%の値下げが行われまして、先ほど来申しましたのは、一九九五年以降の累計が平均して一三%弱というのが、これまでの制度改革による料金値下げでございます。
塩川(鉄)委員 私が承知している数字の中で、自由化の部門においては、実際には相対ですから、どれだけかというのは全体としてはよくわかりませんけれども、標準メニュー、出しているものでいきますと、この二年間で特高の業務用で、東電と関電と中電と、平均すると大体一九%前後下がっているんですね、標準メニューで。
 それはやはり、産業用に比べても下がり幅は大きいですし、電灯に比べても大きいわけですよ。標準メニューですから、実際に需要家の方に提示をしてやる数字ですから、それなりに合理性があって、競争の中での数字として出してきているものでしょうけれども、特高の業務用の下げ幅が一番大きくなっているというのはなぜなんでしょうかね。
岡本政府参考人 事業者において、経営の効率化を進めながら、それのコスト低減というのを、各需要家に料金の値下げという形で還元しているということだと思います。
 自由化部門につきましても同様に料金の低減というのが図られているわけですけれども、先ほど申しましたピークへの寄与ということに加えまして、ロードカーブというのも、大口の場合には、料金を設定するという場合の大変大きな要素になってこようかと思いますが、特に、大口の業務用についてロードカーブの改善という点で相当著しい進展があったというようなことも、先生御指摘のような業務用について、各社がかなり大幅な料金値下げを行われた背景の一つをなしているものと理解をいたしております。
塩川(鉄)委員 もともと、規制の中で、それぞれの原価というのは適正な形で算定されていたということになるわけですね。それが、自由化の中で、見てみますと、大きく下がっているところと、そこそこに下がっているところと、差が出てきているというのが今の質問なわけですけれども、その説明として、全体としての経営の効率化はわかります、これはもう全体として当然下がると、理屈としてはわかるんですけれども。
 業務用が下がるというのは、ロードカーブの改善があるということですね。そうすると、特高の業務用についての需要曲線というのは出るものなんですか。そういう形で、要するに、何か裏づけのものがあって標準メニューで下げるという何かその根拠というのが示されないと、そこがよく理解できないんですけれども、いかがでしょうか。
岡本政府参考人 自由化部門の料金でございますので、役所がその積算をチェックするということはいたしておりませんが、これは先生も御賢察いただけると思うんですけれども、IT化がどんどん進んできて、オフィス等における二十四時間の電源というものがふえているという要素でありますとか、それからスーパー、そういったところの営業時間が、コンビニもそうでございますが、非常に伸びてきている、そういう要素も、近年、大変著しいものがあろうかと思います。
 そういった要素によって、業務用というものの需要家群全体として見た場合に、ロードカーブが従来に比べて大きく変化してきているという点は、御理解いただけるものと思います。
塩川(鉄)委員 自由化の成果という意味合いでロードカーブの改善があるということは、当然ながら、ピークをカットする取り組みとして、全体として貢献するものになると思うんですけれども、せめて何か、そういうのが目に見える形で議論されるような基礎資料が必要だと思うんですよ。
 ですから、先ほども求めたような需要種別の需要曲線、特高の業務用などについても、これを電力会社にきちっと出してもらうような形で、そういう意味じゃ、政府としても、国会に出してもらうという立場からそういうことを要求していただきたいと私は思うんですけれども、それがあってこそ初めてロードカーブが改善しているんだなと。
 個々の企業について求めるものじゃないわけですから、束として需要曲線というのを出してもらうように、自由化の議論の中で、料金算定の基礎として、そういったデータを出してもらうということが国民的に納得を得る上でも大事なんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
迎政府参考人 大口の自由化を実施した際には、まさに参入を自由化すると同時に料金規制も自由化したわけで、それから大口の価格を調査するに当たって産業用、業務用というような区分をしましたけれども、実際に供給の契約を結ぶ際は、何も業務用を一律の値段で供給する必要はないわけでございまして、個々の需要家ごとに、ここのロードカーブはいいから安く売るとか、この人は悪いから高く売る、こういうふうな世界が今でき上がっておるわけでございます。
 そういう世界になってまいりますと、例えば特高業務用の個々の需要家のロードカーブというのは一種の営業のノウハウなり秘密の世界になってまいりますので、そういうところを国が把握をする、あるいは聴取をするというのではない世界に行くのが、まさに自由化であるというふうに理解をしております。
塩川(鉄)委員 原子力の方もそうですけれども、電力、エネルギー全体の話で、規制から自由化の流れというのは、情報公開だとはっきり後退しているんですね。今まで出ていたような資料が出てこなくなる。
 そういう点では、国民的に本当に納得を得るような自由化をするのであれば、ふさわしい情報公開というのがされてこそ国民的な合意を形成する基礎ですから、そういう立場でも、やはりふさわしく、一件一件の需要家の情報を出せと言っているわけじゃないわけですから、傾向として、大くくりとして、そういった需要曲線が出てしかるべきじゃないかなと思うんですね。
 であってこそ、一般家庭の皆さんにとっても、ロードカーブの改善に当たって自分がどういう努力をすべきなのかということが納得できるでしょうし、私は、本来そういうのが、電気料金の改定に当たっても、前提として考慮をされなければいけないんじゃないかなということを率直に思うわけです。
 その上で、次に、新規参入者がふえることで、当然のことですが、今までの電力会社はお客さんをとられるわけですから、設備が余剰になってくる部分が当然生まれます。発電などがそういう形で余剰や遊休資産という形をとるわけですけれども、同時に電力会社は最終供給義務を負っていますから、何かあったときの備えとして、簡単にそれを捨てるという状況には当然ならないわけですね。
 そういう点では、最終供給義務を果たすために必要な過剰発電設備を保有するコストが、結果として需要家の方に転嫁をされるという形に見てとれるんですけれども、その点はいかがでしょうか。
平沼国務大臣 塩川先生にお答えさせていただきます。
 自由化が進展する中、現状では自前の電源を整備する新規参入者も見られますけれども、新規参入者の参入状況がまだ全体の一%に満たないことを踏まえますと、当面その影響は限られた限定的なものになる、このように認識しております。
 さらに、今後卸電力取引所が整備されますと、電力会社は余剰設備からの電力を市場に投入することが可能であり、また新規参入者も自前の電源を新規に設置するより、これらの既存電源を活用するもの、こういうふうに考えられます。
 したがって、競争の結果、電力会社が直ちに遊休設備を抱えることは今の段階考えがたく、また仮に遊休化した過剰設備が生じたとしても、それを保持し続けるということは必ずしも合理的な企業行動とは言えない、こういうふうに私どもは見ております。
 しかしながら、仮に御懸念にあるような過剰設備が電力会社に発生したとしても、現行の料金算定ルールを踏まえますと、当該過剰設備のコストについては料金転嫁すべきものでないものと私どもは認識しております。もし当該コスト回収を考慮して料金値上げ申請がなされた場合には、厳格な審査を実施することによりまして過剰設備コストの料金転嫁は防止し得る、このように思っております。
塩川(鉄)委員 あわせて、送電網の問題についても同じようなことが言えると思うんですけれども、新規参入者が今のところは一%ですからそんな大きな影響がないんでしょうけれども、それがどんどんふえていくと、送電網全体に対しての負荷が大きくなってくるんじゃないか。運用を不安定にする側面も出てくるでしょうし、送電網の強化というのが結果として必要になってくるんじゃないか。そういうコストというのは生まれ得るのではないかなと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
岡本政府参考人 今、法案の中で提案をさせていただいております中立機関の業務の大事な一つとしまして、送電線の設備形成をどうするか、それについての費用負担をどうするか、アクセスと並んで、そういったことについてもルールというものを、しっかりとしたものを関係者の間で、公正な形でかつ透明な形で立ち上げ後速やかにお決めいただくことを私どもは期待しているところでございます。
塩川(鉄)委員 あわせて、広域流通が拡大すれば、ボトルネックになっているような周波数変換所ですとか、直流、交流の変換の部分、ここについての強化の負担というのは当然今後生じてくるものと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
岡本政府参考人 送電線のこれからの設備形成をどうするかということとあわせまして、流通設備の一つの大きな要素としまして、御指摘の周波数変換設備ということについても、これまた私どもとしては中立機関において適正なルールというものが速やかに策定されることを期待しているところでございます。
塩川(鉄)委員 新規参入者の中で、例えば新日鉄などは当然何か自前の発電所を持っているわけですね。自前の発電設備の余剰分を売るわけですから、ある意味では当然料金設定も安くなるのかなと思うわけです。つまり、基本的に設備コストはもう既に持っているわけですから、燃料コストの部分だけで売電するという形になりますので、そうすると、それと電力会社が競争しようとなれば、やはり電力会社としての設備投資や修繕費の削減、抑制という方向につながっていくんじゃないのか。現にこの間、電力会社それぞれ、合理化計画の中で、設備投資の抑制ですとかあるいは修繕費の削減を進めてきておるわけです。
 やはり競争の中では、当面の短期的な利益の追求という方向というものが、当然やはりその場その場で大きな動機の一つになるということであるわけですから、長期的な電力需要を見通したような設備投資が困難になる側面というのが生まれてきはしないか、また相対的に小さな利潤しか生まないような送電部門に対する積極的な設備投資が抑制もされて、送電網の整備強化というのが低迷、後退をさせられるような、将来の安定供給にそごを来すような事態が生まれやしないか、このことを強く懸念するんですけれども、その点はいかがでしょうか。
迎政府参考人 今御指摘のように、修繕費の削減というふうなものは進んでおるわけでございますけれども、これにつきましては、経営全体の合理化の中で、設備の健全度の診断等に基づいた実態の評価をしながら見直しを行って、効率化を図っているというふうなことだと承知をしております。
 それから、今自由化が進むと送電網への投資インセンティブというのがなくなるのではないかという、これは、私どもはないと思っております。要するに、連系線みたいな部分は、それは全国流通を進めるために、ある程度中立的な機関で考えていかなければいけないわけですけれども、そもそも、発電部分というのは競争にさらされていくわけですけれども、送電部門というのは独占であるわけで、それで、一種、コストに基づく料金の回収という世界に引き続きあるわけでございまして、したがって、そこについてのインセンティブが大きくそがれることはないというふうに考えております。
塩川(鉄)委員 修繕費の削減については、配電部門などがやはり心配されるわけですよね。そういったところで経営の全体的な合理化も当然あるでしょうけれども、設備の診断の話がありましたね、今。設備の診断を適切にするというのは、どういうことなんですか。
岡本政府参考人 電力会社の修繕費用というのは年間約一兆八千億ぐらい十社計でなっておりますが、経営効率化の努力の一環として各社数%ずつ、そういった修繕費の節減というものを図っているところでございます。そういうことの一環としまして、設備の健全評価ということについても各社それぞれに工夫をいたしていると承知をいたしております。
塩川(鉄)委員 現場の方のお話を聞いた際に、一つの場所で故障が出る、部品やら部分が。その場合には、従来であれば同じようなところも故障が起こり得るかもしれないという形で事前にチェックして回る、そういう水平展開をするわけです。よく原発なんかでやりますね、同じような部位の点検というのを。それを行わなくする、とにかく事故が起こったら手をつけるんだという形に現場も変わってきているんだというんです。
 私は、やはり修繕費の削減というのは、現場ではこんなふうになっているんじゃないかなと。事前の手をきちっと押さえるところから、事後の何か事が起こったときにという形でのしわ寄せにもなるでしょうし、実際の現場の熟練労働者の方がリストラでどんどん職場を離れてきている、技術の伝承などが問題になってきている、こういうことを率直に不安に思う声があります。そういう点でも、例えば早期退職でノウハウを持った人材が相当数現場を去っていくのは残念だ、しかし、残ったメンバーで頑張れというのが職場の上司の訓示になっているというところを見ても、そういう点を大きく懸念するものです。そういう点でも、今のコスト削減というのが、そういう形で安全、安定供給のしわ寄せになるのかということを強く懸念をするものです。
 その上で、最後に一点大臣に、ガスの問題で、LPGの問題、次回につながる質問ということで、このガス体エネルギーについて、需要家の半分を占めるLPGの問題について、エネルギー政策上の位置づけがどのようなものなのになっているのか、ぜひ御答弁いただきたいと思います。
平沼国務大臣 LPガスというのは、全国約半数の世帯、二千六百万世帯において使用されているほか、工業用あるいは自動車用等、広範な分野で使用されておりまして、国民生活に文字どおり密着した重要なエネルギー、このように位置づけております。また、窒素酸化物の排出がほとんどございませんで、石炭や石油に比してCO2の排出量も少ないなど環境負荷が相対的に小さく、これは天然ガスとともにクリーンなエネルギー、このように思っております。
 他方で、輸入の約八割を中東に依存しておりまして、これは石油と同じぐらい、石油がこれより、八六%ですけれども、中東に依存しておりまして、LPガスの安定供給を確保することがエネルギーセキュリティー対策として重要な課題だと思っております。さらに、LPガス産業は、御承知のように中小零細事業者が非常に多いわけでございまして、安定的な経営基盤を構築することが必要だと思っております。
 こうした点を踏まえまして、経済産業省といたしましては、LPガスの安定供給の確保を図るため、民間備蓄の着実な実施に加えまして、二〇一〇年度に百五十万トンを目標とする国家備蓄の整備を推進するとともに、流通の効率化、あるいはLPガスの効率的利用を促進するため、LPガスの充てん所の統廃合支援、それから、LPガスコージェネレーションの導入支援などの措置を講じているわけでございまして、非常に大切なエネルギー源でございますので、今申し上げたようなことをしっかりとやっていこう、このように思っております。
塩川(鉄)委員 終わります。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 委員長、その前に、この委員会って、成立しているんでしょうか。
 これは発言時間から削除してください。
村田委員長 はい。――いや、とめてくれということですか。
 では、ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
村田委員長 速記を起こしてください。よろしゅうございますか。
 大島令子さん。
大島(令)委員 成立しているということは、委員長が今宣言したんですか。
村田委員長 はい。どうぞ、今努力をさせておりますから。
大島(令)委員 努力を。ということは……。
村田委員長 引き続き、もう少したって様子を見てみますので。
大島(令)委員 いや、いつも採決のときは最後で皆さんあれですけれども、連休明けの初めての委員会質疑で、非常に緊張感のない委員会の中で、緊張感を持っているのは私と、質問者と、まあ大臣くらいなものでしょうかね、副大臣とか。
 ちょっと、やはり政治不信という言葉を、私たちがやはり襟を正さないといけないと思います。
村田委員長 同じことを私も先ほど理事会で申し上げたとおりでございますので、緊張を持ってやりましょうということは私からも指摘をしたところでございます。よろしくお願いいたします。
大島(令)委員 では、質問します。
 まず、大臣に伺いますけれども、生活者にとって一番深刻な問題、この法律改正によりまして、雇用の問題について大臣がどのような考えを持っているか、伺いたいと思います。
 今回の自由化が、電気事業界、ガス事業界で従業員の雇用継続にどう影響を与えると見ているのか。行政として、この自由化が雇用拡大につながると見ているのか、逆にリストラにつながると見ているのか。双方であれば、短期的、長期的にそれはどのような状況になっていくのか、大臣の考えを聞かせてください。
平沼国務大臣 大島先生に緊張を持ってお答えさせていただきます。
 前回の電力及びガス事業の制度改革によりまして、電力会社やガス会社は各種の経営効率化努力に積極的に取り組まれているものと考えています。
 他方で、我が国の電力及びガス需要というのは今後とも着実に増加するものと想定をされております。例えば、電力の需要については、平成十三年度の八千二百四十一億キロワットアワーに比べて、二十四年度はこれが九千四百六十三億キロワットアワーと予想されており、年率でいうと一・三%伸びると想定されています。ガスの需要につきましても、平成十三年度の二百五十億立方メートルに比べまして、十八年度はこれが三百十億立方メートルと予想されておりまして、これは電力よりも伸びが大きく想定されておりまして、平均四・八%伸びると想定されています。
 事業者においては、こうした需要の全般的な増加傾向も踏まえた上で、雇用面にも当然配慮しつつ、新たな事業環境のもとでの経営効率化に取り組むものと私どもは考えております。また、制度改革は、言うまでもなく新規参入者の増大や新たなビジネスチャンス、この拡大を通じた雇用創出の効果を有するものと私どもは期待しております。
 このため、この制度改革に伴う短期的、中長期的な雇用状況を今の段階で細かく具体的に予測するということは困難だと思っておりますけれども、今申し上げたような全体の流れの中で、私どもとしては、適切な規模の雇用が維持されつつ効率的なエネルギー供給が実現をされる、このように見ているところでございます。
大島(令)委員 しかし、今回の電力の自由化、ガス自由化によりまして、関係企業が早くも反応して、競争に勝つために、例えば東京ガスでは、値下げ原資確保に向けて、二〇〇三年度から五カ年で従業員の一六%に当たる千七百人を削減するという方針が報道で出されております。こうした動きは、東京ガスに限らず、他社も同じような手法に出ると思われます。
 そういう中で、大臣は、適切な規模の雇用が維持されるというふうに答弁されましたけれども、これはリストラもしてのそういう御発言でしょうか。
平沼国務大臣 これは今、現下の厳しい経済状況の中で、企業はそれぞれ合理化、効率化努力をしております。ですから、今の東京ガスの数字というのはそういう観点に立った上での数字だと思いますが、一方、私が今申し上げたように、やはり全体としては需要が高まりますし、また、この自由化によりまして新規参入者あるいは新たなビジネスチャンスが生まれる、こういったことによって、既存の事業者においてもやはり増員というものも当然見込めることでございまして、トータルで見れば雇用は拡大をしていく、私はこのように見ているところでございます。
大島(令)委員 トータルとしてと言われますけれども、例えば東京ガスが五カ年で千七百人を削減するといったときに、その削減された人は、お一人お一人が、自分がではほかの新規参入業者に確実に再雇用されるとか、そういうことではないわけなんですよね。ですから、新しい雇用、全体、トータルとしてであっても、お一人お一人は、やはりリストラされることへの不安というのはなくならない。ですから、大臣は全体がというふうに言われますけれども、私としては、やはり雇用に与える影響についても、制度として行政は考えておく必要があると思うわけなんです。
 この間、公益法人改革ですとかいろいろな法改正の中で、組織の形が変わるたびに、中立的機関ですとか協議会とか、制度がスムーズに移行されるたびに経営者側の新しい機関はできて、そこには天下りの方とかだれかが行きましたけれども、労働者にとってはそういう中間的な機関がないわけですよね。だから、私は、そういう事案別の、労働者の側に立ったそういう機関の設置もこの際考えるべきではないかという提案なんですが、どうでしょうか。
平沼国務大臣 例えば、ガス事業者あるいは電力事業者がそういう一つの計画にのっとって効率化を目指す、そのときに、何もむやみやたらに、そして情け容赦なくするということじゃなくて、やはりいろいろな制度のもとで十分その退職者に配慮をして、例えば支給面においても、退職者に対しては十分考慮した、そういう形の中での、リストラとおっしゃいましたけれども、そういうことが行われていると私は思っております。
 また、国におきましても、そういったことは奨励すべきことではございませんので、やはりそれぞれが再就職先をしっかりと探すということも、当然その企業には組合もあることでございますし、また企業としてもそういったことにも十分配慮をする、こういう指導も私どもはしているところでございます。また、失業保険の問題でございますとか、あるいは、厚生労働省が主な管轄ですけれども、そういう中で、再就職先のあっせんですとか、そういうことも国としてはやらせていただいているわけであります。
 中立的な機関をそういうことで設けろ、こういうことですけれども、既に国としては、再就職を促進する、そういう制度をつくっておりますし、保険制度もつくっている、こういうことでございまして、私どもは、そういうリストラになる方々に対してはやはりきめ細かく目を配ってしっかりとケアをしていく、このことが必要だ、こういうふうに思っております。
大島(令)委員 大手の東京ガス、それ以外でも、ガス業界は中小事業者が私たちの地域を見回しても多いわけで、中小事業者数は二百三十三にも上るというふうに報道されております。それらの事業者がそういった対抗策をとるために、やはりリストラの方向に向かうのではないかと私は危惧しておりますので、こういう制度を大きく変えるときには、きめ細やかな対策も政府全体としてやはり総合的に考えていただきたいということを申し上げたいと思います。
 次の質問でございますが、中立的機関について質問をいたします。
 新しい制度になるたびに、新しい器がつくられます。果たしてこうした機関が必要なのかという疑問がわきますけれども、中立性を確保するためにつくられるという趣旨について、以下質問いたします。
 この資料の、大臣、質問をするのは、ここの中立的機関のことについて質問をいたします。この中立的機関はどこが所管するのか、経産省の所管となるのか、御説明ください。
西川副大臣 御指摘の中立機関すなわち送配電等業務支援機構は、広く市場参加者及び学識経験者が参加をいたしまして、公正で透明性の高い意思決定手続を有することが重要であると考えております。
 そのため、設立形態といたしましては、出資額にかかわらず社員の議決権を定めることができる法人、すなわち中間法人法に基づく中間法人の形態で設立されるのが適当だと考えておりまして、この旨、本年二月の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会からいただいた答申にもそのように提言されております。
 したがいまして、当省が認可を行う公益法人の形態をとることにはならないと考えており、当省といたしましては、申し上げました形で設立された法人を、全国で一つに限り、公表された指定基準に基づき指定を行うことといたしております。
大島(令)委員 権限は具体的にどのようなものになるのか、またそれは法的に保障されたものになるのか、御説明してください。
迎政府参考人 この送配電等業務支援機関の業務でございますけれども、送配電分野についての系統へのアクセスですとか、あるいは送配電の設備形成、あるいは系統の運用、それに関する情報の開示等につきましては、従来、電力会社が自主的にルールを策定して運用、公表をしてまいったわけでございます。しかしながら、今後、自由化の範囲等の拡大をいたしまして多くの事業者が市場に参入してまいるようになりますと、送配電分野の公平性、透明性を確保する必要性が高まるということで、今般この機関を設立するわけでございます。
 ここの機関では、設備の形成や系統アクセス、系統運用、情報開示等に関するルールを定める、それから、このルールに基づいて、実際に、系統利用者と電力会社の送配電部門との間で紛争といいますか、が起きた場合に、そのあっせんですとか調停を行う、それから、送電線の空き容量についての情報を公開する、こういった業務を運営していくということとなります。
大島(令)委員 先ほど副大臣の答弁の中で、中間法人法に基づく中立的機関と言われましたけれども、これは、中間法人法とはことしの四月一日から新しい法律によって施行されたものと思いますけれども、二種類の法人がありますけれども、無限責任中間法人になるのか、有限責任によってなるのか、それによっても違いますし、この法人は課税の対象にもなるわけですから、どういうものになるのか、ちょっとイメージがわかないわけですね。ちょっと、政府参考人の方で結構ですから、御説明してください。
岡本政府参考人 少しお時間をいただいて、御指摘の点について至急勉強させていただきたいと思います。
大島(令)委員 答弁できないということですか。
西川副大臣 ただいま調べてすぐ御返事をいたしますので、先に質問がもし可能でありましたらお進めいただきたいと思います。
大島(令)委員 では、中立的機関が監視する中、中立を欠く事態が起こった場合、その事態を改善するために具体的にどのような手段を講じることになるんでしょうか。
岡本政府参考人 送配電等業務支援機関につきましては、何よりもその意思決定の公平性、透明性の確保が重要と考えております。当省が当該機関を指定する段階におきましても、役職員構成が業務の公平な遂行に支障を及ぼすおそれがないものであること等を判断することといたしております。
 万一、機関の業務が中立的に実施されない事態が生じました場合には、経済産業大臣が当該機関に対して業務改善命令を発出する等の監督を行い、さらに、機関の指定要件を逸脱する場合には、当該機関の指定を取り消す等の措置を行うことといたしております。
大島(令)委員 しかし、先ほど長官の答弁では、紛争のあっせんですとか調停とかいうことが、ルールを策定しまして紛争のあっせん、調停をするというふうなことも答弁されましたけれども、業務改善命令を経産大臣がするということは、結局は中立的機関自身には改善命令などの権限がないということで、最後には大臣に権限が集中することになる、そういうふうに解釈してもよろしいでしょうか。
平沼国務大臣 この中立機関が非常に恣意的になって、そして間違った方向に進むようなときには、やはりその所管をしております経済産業大臣がそれを是正する、こういうことで、何も中立機関がそういう権限を持ってやるわけじゃなくて、それが大きく逸脱するようなことに対して、私どもはその中立性というものを見ながら、そこを監督指導する立場である。しかし、私どもとしては、あくまでもそういう事態に出動するわけであって、常に私どもがこれを監視して、そして恣意的にこの機関を動かす、こういうことではない、こういうことは御理解をいただきたいと思います。
大島(令)委員 この間、いろいろな法律の中で新しい組織が出てきたのでよくわからないものですから。
 では、この中立的機関の構成員をだれにするのかとか具体的なこと、例えば運転資金はどうするのか。先ほど中間法人法に基づく中間法人ということもおっしゃいました。これは、課税対象にもなるという法人でございますので、今質問したことに対して、どういうふうになっているのか、御答弁ください。
岡本政府参考人 送配電等業務支援機関の公平性、中立性を確保するために、役員につきましては、一つは電力会社、それから二つ目に新規参入者、三つ目に自家発設置者、卸電気事業者等、それから四番目に学識経験者、こういったジャンルの方々から成る中立者の各グループから選出される必要があると考えております。
 この点につきましては、法案上も機関を指定するための要件として、役員構成が支援業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであることを規定いたしているところでございます。
 具体的には、電力会社、新規参入者、自家発設置者、卸電気事業者及び学識経験者から成る中立者の各グループから選出すること。二つ目に、全役員に均等な議決権を配分すること。三つ目に、利害関係を有するどのグループも他より突出した議決権を保有しないようにすること。四番目に、各役員は各グループを代表するものではなく、あくまで中立的に判断する旨の行動規範を設けることが必要と私ども考えておりまして、その旨を機関の指定基準等の形で具体的に定めていく予定でございます。
 なお、だれが役員に就任するかについては、政府が指定基準等で特定して指名等を行うことはありませんで、送配電等業務支援機関において決定されることになると考えております。
大島(令)委員 だれが委員を、どのようにしてこの法人をつくっていくのか、国はどう関与していくんでしょうか。
岡本政府参考人 民間の発意でやっていただくということを基本に考えております。
 それから、先生御指摘の中間法人の二つのタイプのいずれを選ぶかということについて、先ほどお時間をいただいて調べましたが、これも電気事業者を初めとする、先ほど申しました各関係者の方々の発意で、こういう形でその指定機関というものをつくっていくということで、関係者が相談をし、その結果に基づいて私どもに申請が上がってくるということでございますので、この段階で、私どもとしてこうでなければならないということを今申し上げるのは差し控えたいと思います。
大島(令)委員 やはり中立的機関というところが、中間法人法といっても二種類ありまして、公益法人には税務上の優遇措置がありますけれども、公益法人じゃないというふうにおっしゃっていますので、そうなると、結局は法人ですから、何かの収益とか、事業をやることによって利益も出てくるわけですよね、事業を進める中で。ですから、そこが非常にあいまいでわからないわけなんです。
 わからないまま次の質問に入りますけれども、答弁がわからないので質問できないわけで、ここは新たな天下り先にならないのか、大臣、どうなんでしょうか。
平沼国務大臣 これは、送配電業務支援機関の組織と役員及び職員の具体的な構成につきましては、現時点では一切まだ未定でございます。しかしながら、本機関は中間法人を想定しておりまして、人的構成についても本機関が主体的に判断を行うものである、こういうふうに私どもは考えております。そして、本機関が行うこととなる業務の性格に照らしまして、当然のことでございますけれども、個人としての経験、能力等に基づき適材適所で人材が配置されるもの、このように認識しております。
 したがいまして、いわゆる天下りといった御懸念のような事態は生じない、このように考えております。
大島(令)委員 では次に、発送電分離にしなかった最大の理由について、政府の説明ですと、電気について言えば、貯蔵ができず瞬時瞬時で需給バランスを確保する必要がある電気という財の特性に加え、発電する発電所、送配電部門との有機的な連携により長期のリードタイムを要する発電所、送電線等の設備形成を計画的に行うことが可能になると考えるからと説明しておりますが、発送電分離でもこれは可能と考えられますが、どうでしょうか。
岡本政府参考人 私ども、瞬時瞬時の需給均衡という点と、それから、中長期をにらみました電源及びそれに関連する送配電の設備形成の一体的かつ計画的な整備ということを担保するために、発送電一貫体制を維持した方が適当ということで考えたものでございます。
 今先生の御指摘の、その方法によらない場合というその点でございますけれども、この送配電部門と他の部門間の連携というような点について、一体のもとでやるという場合に比しまして、それを外に出して仮にやるというような場合に、コストの面あるいは時間の面、そういった面でのやはり難点というのは覚悟せざるを得ないかと思います。私どもは、やはり日本でまだ電源等それから送配電、それぞれについての設備形成というものをこれからもやっていく必要があると考えておりますし、それから、瞬時瞬時の需給均衡を図るという観点からも、一つの一貫体制の中で連携をしてもらう。
 他方で送配電部門は、これはもう先生もお気づきのように、公共的なネットワークとしてのインフラとしての性格を持っておりますので、そこに対する新規参入者を含めて、公平かつトランスペアレントなアクセスを確保する、そのことに行為規制という形の一定の規律を導入するということは私どもぜひともやるべしということで、今回御提案申し上げている法案の中にもその関係の規定を入れさせていただいているわけですが、そのことをやるということを前提に考えました場合には、事業体としての送配電一貫という体制を維持することが望ましいというふうに考えたところでございます。
西川副大臣 大島先生、済みません、短く。
 先ほど答弁がわからないとおっしゃいましたけれども、実は、中間法人のあの法律で、無限か有限かということなんですが、今度つくるこの中立の組織というのは法人も加わるわけですね。そうすると、法人が加われば無限ということはあり得ないんですね。しかし、今の段階で、これはあくまで民間にイニシアチブを持っていただいて決定をする組織でございますので、この場で、公の、重い国会の審議の中で、当省がどちらということは言えないというこの苦衷をお察しいただいて、答弁としては明確であるというふうに御理解いただきたいと思います。
大島(令)委員 承りました。
 では、発電部門と送電部門を分離しなかったことで、情報遮断ですとか内部相互補助などが禁止されるということでございますけれども、このことが会社全体の透明性を後退させることにならないのか、公平性ですとか透明性はどのように担保されていくのか、長官に伺いたいと思います。
迎政府参考人 電力会社の送電部門における透明性、公平性を確保するためには、送電部門が託送業務の関係で知り得た情報を本来の目的外に利用し、提供することを禁止すること。それから、託送業務によって得た利益をほかの発電部門とかで使うことを禁止する。それから、託送業務において、特定の者に対して不当に差別的な取り扱いをすることを禁止する、この三点が確実に担保されることが必要であると考えております。
 それで、これらにつきましては、今まで各電力会社の自主的な取り組みにゆだねられてきたわけでございますけれども、これらの行為規制を法律で規制いたしまして、行政としてもチェックをしていくというふうなことにしたわけでございます。これによって、送配電部門の公平性、透明性というのが担保されて、市場の参加者からの信頼も得られるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
 したがいまして、従来から行われております電力会社全体としての情報の開示に、これをさらに一層確実にしていくということでございますので、透明性は従来よりも大きく高まるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
大島(令)委員 では、大臣に伺いたいと思います。
 電力の自由化は、日本企業の国際競争力を向上させるための重要なテーマであったと思っています。日本は世界一電気料金が高いということで、生産の拠点も海外に移っていっています。そういう意味で、発送電部門を分離させ、すっきりした体制で自由化することが必要と経産省も当初は考えていたといろいろな本に書いてあります。会計を別にするというだけで、結局は体制的には変わらないのでは、経産省が求める、日本企業の国際競争力の向上がたとえ果たせたとしても、国内の電力界ですとかガス界の市場の健全性は果たせないのでは、これはやはり、電力、ガスというのは自然独占事業ということで、ある意味では本当に独占されて、大企業がこの間ずっと担ってきたわけですね。この点に関してどうでしょうか。
平沼国務大臣 今回、発電部門とそれからいわゆる送電部門というものを一体化するということは、例えば、アメリカのカリフォルニア州の電力クライシス、こういったことを考えますと、やはり一体化してこそ、そこで安定供給が確保される。これを、カリフォルニアの例を他山の石としたことが一つあるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、今回のエネルギー基本法の中でもやはり三つの柱がございまして、一つは、一番重要ですけれども、電力、エネルギーの安定供給、これが非常に大切な部門。それから、やはり二つ目の柱としては、環境への適合。そして、今御論議もいただいたところでございますけれども、自由化、この三つの柱があるわけです。
 そういう中で、やはり午前中来のいろいろな御質疑の中でも出ましたけれども、安定供給ということを考えたときには、やはり日本の場合には、いわゆる発電部門と、そして送電部門が一体化をして、そしてしっかりと担保をしながら運営していくことがより有利ではないか、こういう考え方でございまして、世界の潮流の中で逆行するんじゃないか、こういう御指摘でしたけれども、むしろ世界の自由化の例を見ますと、そこのところに支障が出ていた、こういうこともございまして、そういうところも踏まえて、今回は一体化、こういう選択をさせていただいた、こういうふうに御理解をいただきたいと思っております。
大島(令)委員 少し申し上げにくいことなんですが、大臣に質問します。
 ここに至るまで、経産省の相談相手に東電の社長が見えて、東電は発送電分離に前向きだったと聞いております。それが昨年の原発の不祥事で、社長が交代し、電事連会長も交代されました。それで関電の社長になりました。関電社長は、自分の会社も持つ送電部門の収益が大きく、東電は送電部門じゃなく発電部門の収益が大きいわけなんですが、発送電分離に反対していた。こうした事情によって発送電分離は実現しなかったという一部見方もありますが、こういう報道に対して、何か、それは違うとか、発言したいことがあったら、これは大臣に私は質問しておりますのでお願いします。
平沼国務大臣 初めて承る話でございまして、私どもは一企業の経営者あるいは一企業のそういう利害によって判断をするものじゃございませんので、それは一つの、だれかの見方だったと思っておりまして、私どもは、決してそういうような観点で今回のこの法律をお願いしている、こういうわけではないということはひとつぜひ御理解をいただきたい、こう思います。
大島(令)委員 送電線をつくる際、国はどの程度貢献してきたか。例えば、電線類の地中化に対し、かなりな部分、国は支援をしてきております。こうした経過があるにもかかわらず、送電部門を分離しないというのはやはり、推測ですが、企業側の主張が何らかの形で今回の法律の改正に入っているのではないかというふうにもとられるんですが、どうでしょうか。
岡本政府参考人 電線の地中化というのは、通常の架空電線に比べまして、コストが数倍から二十倍かかるということで、その点に着目して、共同溝その他でやる場合に、公共事業官庁から一定の補助が出るという形の助成が行われておりますが、これは全体としてはごく限られた部分でございます。
 それから発送電分離について、先ほど来の先生の御指摘という、一部の報道にも関係されたものかとは思いますが、私どもはやはり、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、安定供給、それから環境への対応、それから三つ目の効率化という、基本法の三つの視点で、特に第一の視点というものを考えました際に、一貫体制のもとで、瞬時瞬時の需給バランスをとるということと、中長期の設備形成というものを計画的に行っていくという観点からは一貫体制が望ましい、その上で、一方でネットワークの部門をみんなが利用しやすくなるというところは、御提案申し上げているような行為規制をやることによって担保できるということで、セットでこういう方法が望ましいということを審議会での御提言でもいただきましたので、その線に沿って、ここで一連の制度改革を御提案させていただいているところでございます。
大島(令)委員 私がここで申し上げたいのは、各電力会社が持っている送電部門、何も電気料金の収入からだけでつくったわけではないということなんですね。いろいろな自治体の電線地中化にかかわる支援措置がありまして、私たちの税金が投入されているわけなんです。エネ革税制といいまして、例えば電線類等の地中化による配電多重化設備の取得について法人税の特例措置、三〇%の特別償却ですとか、あと、他省庁の予算にしましても、電線の共同溝整備事業についての予算措置、これは国土交通省なんですが、平成十四年度では二千二百十一億円、補助率及び国庫負担金は、区域によって違いますけれども、二分の一ですとか、北海道は三分の二、沖縄は十分の九・五ですとか、国税におきましても法人税の特例措置、地方税の部分でも特例の措置がありまして、別に電力会社が自前でつくったわけではない。ですから、私はこういうことを申し上げているわけなんです。
 例えば、電力会社が、民間ですけれども、自分たちで本当に鉄塔を立て、送電線をつくった、自前ということではないんですね、送電の部分においては。ですから、今回振りかえ料金を廃止することと発送電分離をしないことは、政策的にも方向が違うのではないかというふうな疑問をやはり持っていますし、大企業である電力会社の主張が通ってしまったのではないか。
 というのは、北海道電力から九州電力まで事情が違うわけなんです。東京電力は発電してから消費者のところに行くまで短いわけなんです。ところが、関西電力の場合は、今、関西経済は不況ですから産業部門での需要が少ないですし、送電線での利益が非常に大きいわけなんです。電力会社によって発電の部門と送電の部門ではもうかる、もうからないというところが違ってくるわけなんです。しかし、法律は一律にこういうふうになるわけです。
 ですから、私が先ほど来大臣にいろいろ質問しているのは、そういう電力会社の意図がこの法律に何らか、入っているのではないか、そういう疑問に対して答えてくださいという趣旨で質問をさせていただいたわけなんです。
平沼国務大臣 ちょっと整理をさせていただきたいと思うんです。
 電線の地中化というのは、これは各地方自治体、国民の要望、それからやはり公共事業、従来型の公共事業じゃなくて、これをやることによって地域経済を活性化しよう、それから都市を美しくしよう、こういうような形で今先生が一連言われたいろいろな特典措置があったわけであります。一方、送電事業に関しては、これはほとんど電気事業者が独自でやってきた、こういうことでございます。
 ですから、今、東京電力は確かに送電線が短い、こういう御指摘でしたけれども、品川の火力発電所から都心に持ってくるのは、それは短くて済むんですけれども、例えば原子力発電所は、東電管内に十七基ございまして、それは日本海側の例えば新潟県にあるし、また福島県にもある、こういうことを考えてみると、関西と福井県の関係から考えても、それほど距離的な差異は私はないと思っています。
 ですから、そういう中でこのいわゆる発電と送電の一体化というのは、繰り返しの御答弁になりますけれども、あくまでもエネルギーの安定供給上、今資源エネルギー庁長官も御答弁いたしましたけれども、そういった観点で安定供給上やはりこれは必要だ、こういうことで私どもは選択をさせていただいた。このことをひとつぜひ御理解をいただければ、このように思っております。
大島(令)委員 法律改正のときにいつもどういう視点に立って質問するかというときに、私は社会民主党ですから、常々国民のための政治をというふうに心がけていますので、企業の側に立った発想は余り考えていないわけなんです。
 このたびの法改正によりまして、本当に電力の自由化によりまして私たちがどういう形で直接、間接的な、今回は一般家庭が対象になっておりませんけれども、どういう形で直接、間接的に恩恵を受けるのか。その恩恵は、値段もそうですし、安定したエネルギーの供給を受けることも恩恵でありますし、視点というのはいろいろな視点があると思うわけなんです。
 しかし、何といっても国が考えていることは、日本企業の国際競争力を向上させるという広い意味での経済産業省としての考えに立った場合に、今回、発電と送配電を分離しなかったということが、いろいろな観点から本当にいいのかどうなのかということなんですね。そこを少し大臣と議論したかったわけなんです。
 きょうは時間が参りましたので、以上のことを申し上げまして質問を終わりたいと思います。
村田委員長 次回は、来る十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時六分散会


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