衆議院

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第15号 平成15年5月13日(火曜日)

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平成十五年五月十三日(火曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 谷畑  孝君 理事 田中 慶秋君
   理事 中山 義活君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    大島 理森君
      梶山 弘志君    小池百合子君
      佐藤 剛男君    桜田 義孝君
      西川 公也君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    山本 明彦君
      渡辺 博道君    小沢 鋭仁君
      奥田  建君    金田 誠一君
      川端 達夫君    後藤  斎君
      鈴木 康友君    中津川博郷君
      松野 頼久君    山田 敏雅君
      河上 覃雄君    工藤堅太郎君
      大幡 基夫君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      金子善次郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   参考人
   (専修大学経済学部教授) 鶴田 俊正君
   参考人
   (電気事業連合会会長)  藤  洋作君
   参考人
   (株式会社エネット代表取
   締役社長)        森   勇君
   参考人
   (社団法人日本ガス協会副
   会長・専務理事)     合田宏四郎君
   参考人
   (日本LPガス団体協議会
   会長)
   (日本LPガス協会会長) 中原 晟介君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十三日
 辞任         補欠選任
  大幡 基夫君     大森  猛君
同日
 辞任         補欠選任
  大森  猛君     大幡 基夫君
    ―――――――――――――
五月十三日
 中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案(中山義活君外三名提出、衆法第三号)
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八二号)(参議院送付)
 揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八三号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七九号)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本日は、参考人として、専修大学経済学部教授鶴田俊正君、電気事業連合会会長藤洋作君、株式会社エネット代表取締役社長森勇君、社団法人日本ガス協会副会長・専務理事合田宏四郎君、日本LPガス団体協議会会長・日本LPガス協会会長中原晟介君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず鶴田参考人にお願いいたします。
鶴田参考人 専修大学の鶴田でございます。
 今般の法改正の審議会に参加させていただきました。しかし、審議会の意見ということじゃなくて、私の考え方を述べさせていただきます。
 今度の制度改革につきまして、電気、都市ガスともエネルギー政策基本法の二つの視点を前提としております。一つはエネルギーの安定供給の確保、それから環境への適合ということであります。その二つを前提として制度改革に取り組んでいるわけでありますが、その場合に私個人が一番大事に思いましたのは、内外価格差の存在と内々価格差の存在であります。
 この価格差につきましては、いろいろなはかり方があると思いますけれども、厳密にどの統計を使ったからというのではなくて、ちょうど私たちがぐあいが悪いときに医者に行って、体温計ではかります。体温計ではかって熱があったとき、そこから問診が始まり、検診が始まるわけですが、この内外価格差があるということは、ちょうど患者が熱があるなということと同じことでございます。したがいまして、その熱のある状態ですと、やはり制度に何か不都合があるだろうということでございます。
 したがいまして、内外価格差が存在しているということは、やはり制度のどこかに問題があるから、それを見直さなきゃいけないというふうになります。
 また、内々価格差が存在しているということは、全体としての効率性の向上と国内における非効率企業の存在を示しているわけでありますから、それもやはり制度を変えなきゃならないというふうになると思うのであります。
 その場合に、三つの視点を私は大事にしております。一つは、需要家利益の確保であります。二つ目が、供給側事業者の活性化、効率化の達成であります。そして三番目が、事業者間の公正な競争を確保して、現在二つの産業とも地域独占でございますから、地域独占から有効競争への転換を実現するということ。つまり、地域独占から有効競争への転換があって初めて産業組織の活性化、効率化が達成されるというふうに私は思います。
 さて、電気につきましては、制度改革に当たりましてやはり産業としての特性を考えておく必要があります。四つのことを申し上げたいと思うのであります。
 電気は、産業と家計にとりましての必需財であります。競合財なり代替財が存在しておりません。こういう性質を持っておりますために、自由化を段階的かつ漸進的に行わなければならないというふうに思います。カリフォルニアのような失敗は許されないわけでございます。したがいまして、電気につきましては、平成十六年度から五百キロワットの高圧需要家、平成十七年度から五十キロワットの高圧需要家の自由化をする。これは、ある意味では電気の特性から考えて妥当な措置であると思います。絶対失敗は許されないということであります。
 二番目は、送配電部門に関してでございますけれども、送電線に関しては独占財であります。専門用語で恐縮ですけれども、エッセンシャルファシリティーというふうに言えると思います。送電線それ自身は電力会社の私的財産でございます。したがいまして、自由化するにつきましてはその開放が大前提となります。前回の自由化論議の際に、東京電力の当時の荒木社長の開放宣言から自由化が進展したわけでございまして、その結果、今日では社会的インフラとしての性格づけが行われています。
 ただ、いわゆる私的財でございまして、東京電力を初め関西電力さん等々の電力会社が一貫垂直体制を維持いたしますから、その送電線に対するアクセスをすべての企業が公平に利用できるようにしなければいけません。つまり、ネットワークをできる仕組み、条件設定に工夫が必要だというふうになります。
 第三番目の特徴は、競争と規制分野が共存しているということでございます。
 二つの点でございますけれども、今回でも、家庭等々の低圧の部門についてはまだ自由化しておりません。したがいまして、自由化部門と規制部門が共存しているということでございます。ということは、自由化部門の赤字を規制部門で補うなどの内部補助は絶対禁止しなければならないし、また、その措置がとられております。
 二番目に、規制財でございます送電線と自由部門である発電・営業が共存しているわけであります。したがいまして、こういう二つの規制財と自由部門とが共存している状態では、ネットワークに対する公正な競争を確保するために、系統管理と営業部門との情報遮断が徹底されなければなりません。あるいは、ネットワークへの公正なアクセスを保証するために、差別的取引を禁止しなければならないというふうになります。今回の法改正でもこの三つが盛り込まれております。
 四番目は、生産と消費に関することでございますが、電力は同時同量の原則できっちり系統管理を行わなければいけません。したがって、同時同量の原則をきっちり確保すること、それは、電力の安定供給上、極めて重要だというふうになります。ただ、全国的に安定供給を実現するためには、連系線の空き情報とかあるいは電流が混雑する場合もございますから、そういう情報公開が必要不可欠だというふうになります。
 さて、改革の要点でございますが、段階的自由化をすること、先ほど申しましたように、十六年度から五百キロワット、十七年度から五十キロワットまで自由化し、家計部門につきましては十九年度から検証開始というふうになっております。
 それから二番目に、いわゆるパンケーキと言っておりますけれども、振替料金制度を廃止して全国市場をつくるということが今回の大きな特徴であります。
 それから三番目に、余剰電力の取引を可能とする私設機関としての卸電力取引所を創設するということが盛り込まれております。
 それからまた四番目に、中立機関を設立して、全体としての公正な競争を確保するということが大きな法律改正であります。
 さて、この法改正と最近の原子力問題との関係について考えておく必要があると思います。
 私ども、カリフォルニアは他山の石というふうに理解しておりますけれども、東京電力さんの今回の需給問題は、足元からの教訓、つまり他山の石じゃなくて自山の石と言ってもいいのかもしれません。学ぶべき点は、特定の私企業に安定供給を丸投げしていると一見便利のようでございますけれども、今のような形での供給不安のリスクも潜在的に抱えているということであります。
 したがいまして、電力は、発電、送配電、小売と一貫したシステムでございますから、システムとしての安定供給を考えることが緊急に必要だというふうに思います。その意味で、連系線設備の強化を広域的な観点から推進する今回の改革はその第一歩であると思います。それから、中立機関、取引所などの整備を通じたシステム強化は安定供給に不可欠だというふうに言って差し支えないと思います。
 原子力を進めていく際にも、特定の事業者を支援するという発想ではなくて、全国的な市場整備、送電網管理の中で吸収余地を高めるなど、システム全体としての検討が不可欠だというふうになります。
 今後の課題でございますけれども、中立機関の公平性、透明性、中立性をどのように確保していくか、また二番目に、卸電力取引市場で公正な価格形成を促すための監視機能をどう導入するか、この二つが入ることによって、仏をつくって初めて魂が入るんだということが言えると思います。
 それから三番目に、これは一貫垂直体制を今回維持いたしますけれども、そのことによって、やはり送電線への公正なアクセスがきっちり確保できるようにならなきゃいけません。先ほど三つのポイントを申し上げましたけれども、こういう三つの、情報遮断なり会計分離なり等々でございますけれども、これは、一貫体制を維持するための社会的コストとしてむしろ規制が強化されてきたということも申し上げておきたいと思います。
 最後に、都市ガスについてでございますが、都市ガスは、電力と違いまして、同じ公益事業でございますけれども代替財が非常にございます。電力、石油、LPガス、非常に豊富でございます。
 そういう意味では電力以上に競争が働いている産業でございますけれども、ただ電力と違って、供給体制を見ますと、大規模企業なり中規模企業、小規模企業が混在しております。また、民間企業と公営企業も混在しております。また、一般ガス事業者と簡易ガス事業者とも併存しております。さらに、導管の未普及地域が存在しております。LPGが二千六百万世帯に供給する、そういう意味で、同じ公益事業といっても電力とかなり違った点があります。
 また、ネットワークにつきましては、電力産業の場合ですと全国的に送電網が形成されておりますけれども、導管の場合ですと、全国が寸断されているわけであります。そういう意味では、全国市場が形成されておりません。
 したがって、制度改革のポイントは、導管網の整備をいかに促進していくか、そして、全国市場の形成をいち早く達成しなければならないというところが第一点であります。
 第二点目は、中小企業が存在をしておりますけれども、いかにして効率的な供給体制をつくっていくかというところに二番目の大きなポイントがあります。
 それから三番目、競争財があるといっても、やはり自由化は段階的に進めなければなりません。特に、ガスの場合ですと保安の問題がございますから、したがいまして、電気同様、平成十六年度から五十万立米、平成十九年度から十万立米の自由化をいたします。自由化率は五〇%となります。電力の場合には六七%でございますけれども、ガスの場合には中圧までの自由化をするというふうになっております。
 以上のように、ガスにつきましても段階的自由化という考え方に立って、そして需要家にとって利益になるような形での自由化を推進していくというのが今度の改正案の骨子であります。
 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、藤参考人にお願いいたします。
藤参考人 皆様、おはようございます。電気事業連合会の藤でございます。
 平素、私ども電気事業に対しまして格別の御理解と御指導を賜りまして、厚く御礼申し上げます。また、本日は、このようなチャンスをいただきましてまことにありがとうございます。一般電気事業者の立場から、電気事業法改正案に関する意見を述べさせていただきます。
 最初に私どもの電気事業制度改革に対します基本的な考え方につきまして説明させていただき、次に電気事業法改正案について、そして最後に制度移行に当たってのお願い事項を申し上げさせていただきたい、かように存じます。
 まず、私どもの電気事業制度改革に当たっての基本的な考え方につきまして、二点申し上げます。
 改めて申し上げるまでもございませんけれども、電気という財は経済社会活動に不可欠でございまして、また、他の財への代替性が極めて低い必需品でございます。また、貯蔵が困難なため、消費に合わせて同時に生産される必要がございます。
 こうした電気の財としての特性に加えまして、島国でございます。国土が狭く人口が密集しているといった地理的な条件、少資源国であるがためにエネルギーの輸入依存度が極めて高い、言いかえますとエネルギー自給率が四%と極めて低いという事情、また、需要変動が急峻である、需要が非常に急に変動するという特徴など、自由化を進めている諸外国とは異なった我が国特有の事情がございます。
 電気事業制度の改革に当たっては、これら電気の特性や我が国固有の事情を十分に踏まえ、安定供給の確保を図る仕組みとしていただくことが何よりも肝要というふうに存じます。
 そして、必需品である電気の安定供給を確保しつつ、いかにしてお客様の利益を図るかということが重要であります。
 私どもは、競争原理の導入による電気料金の低下やサービス水準の向上を通じて、お客様の利益、ひいては我が国全体の利益の増進を図ることが自由化の目的であると理解しております。
 我が国の電力自由化は、平成七年の卸発電分野の自由化、平成十一年の小売分野の部分自由化と、過去二回にわたる電気事業法改正によりまして着実に進展してまいりました。例えば、現行制度により自由化されました特別高圧需要のうち、業務用分野の新規参入者のシェアは、これは平成十四年の十二月現在でございますが既に六%強に達し、今後新規参入者の大規模な新規発電所も続々と運転開始の見込みでございますことから、新規参入は着実に進んでいるということができます。
 私ども一般電気事業者も、こうした新規参入者の方々との競争を念頭に、さらなる経営の効率化を進め、電気料金の引き下げを行ってまいりました。平成十年には平均で四・七%、十二年にも五・四%、そして昨年にも五から七%程度の引き下げを行ってまいりましたことに御理解を賜りたい、かように存じます。
 以上、私どもの電気事業制度改革に当たっての基本的な考え方について述べさせていただきましたが、次に、電気事業法の改正案について申し上げたい、かように存じます。
 一昨年から、電気事業分科会におきまして、私ども一般電気事業者も参画して電気事業制度改革について審議され、それを受ける形で、このたび政府から電気事業法の改正案が本国会に上程されたところでございます。
 本改正案は、安定供給の確保と需要家選択肢の拡大により、お客様利益の増進を図るということを目的とするものでございまして、今回の制度設計につきましては、一般電気事業者の発送一貫体制を堅持しつつ、公平、透明な競争を確保するという我が国の実情を踏まえた日本型自由化モデルの方向性を打ち出していただいたものとして高く評価いたしますとともに、先行きの不透明感を払拭するためにも、今回の制度設計についての考え方が長期にわたって持続されるということが望ましいと考えております。
 次に、具体的な制度設計に関しまして、少し意見を申し上げさせていただきます。
 発電並びに送電設備の建設には長期間を必要といたします。電力不足の状況に陥っても、すぐには供給力をふやすことができません。また、周囲を海に囲まれ、海外との送電連系がない我が国におきましては、長期的な需要見通しに基づいて計画的に設備形成を行っていくことが極めて重要でございます。
 諸外国で発電、送電、小売というように機能別に事業を分割した事例を見ますと、各事業者が自己の利益を最大化する行動に出る結果、設備の計画的な整備が進みにくくなるとともに、責任の所在があいまいになって供給信頼度が低下したり、あるいは電力価格の乱高下を招いたりといった問題が見受けられるケースがございます。
 このために、だれが責任を持ってお客様に安定して電気をお届けするか、いわゆる供給責任の所在を明確にすることが極めて重要でございますことから、我が国においては、発電から小売まで一貫した体制で確実に電力の供給を行う責任ある供給主体として、一般電気事業者制度を存続することが適切となったものと理解しております。この考え方は、将来にわたって維持されるべきものであると考えます。
 続きまして、送配電部門の公平性や透明性についてでございます。
 送配電部門を管理運営する立場から、新規参入者との公平な競争環境を確保するために、公平性、透明性確保が重要であることは十分認識しており、会計分離や託送業務の際に知り得た情報の目的外利用の禁止、さらに差別的な取り扱いの禁止につきましては、これまでも自主的に対応してきたところではございます。これらが今回法制化されるに伴い、今後とも、より一層厳格、的確に対応してまいる所存でございます。
 また、あわせて、今回の法改正により、送配電部門に係るルール策定や運用状況の監視等を行う送配電等業務支援機関の設置が予定されておりますが、こうした仕組みを通じて、公平性、透明性がより一層確実に担保されることになると考えております。
 このほかに、今回の制度改革では、電源開発投資環境を整備する観点から、電力取引市場を創設し、さらには需要家選択肢の拡大という観点から段階的に自由化範囲を拡大することが予定されておりますが、これらにつきましても、一般電気事業者として必要な仕組みの構築に全力を挙げて対応してまいる所存でございます。
 しかしながら、消費者の皆様にとって生活必需財であり、代替性が乏しい電気につきましては、自由競争下において、ユニバーサルサービスや最終保障をどう考えるかが重要でございます。
 電気事業分科会答申では、段階的に自由化を拡大し、平成十九年四月を目途に全面自由化の是非について検討を開始することとなっておりますが、その際には、需要家選択肢の拡大と自己責任の関係について、また、ユニバーサルサービスや最終保障のあり方についてきちんと議論し、皆さんの合意が得られることが前提になる、このように考えております。
 以上、今回の電気事業法改正案に関する意見を述べさせていただきましたが、最後に、制度移行に当たって御留意いただきたい事項について、二点お願い申し上げたいと思います。
 まず第一点目は、振りかえ供給料金の廃止についてであります。
 供給区域をまたいで電力を送る際の設備使用料であります振りかえ供給料金は、広域流通の円滑化という政策的要請により解消されることになりますが、料金廃止に際しては、設備コストの公平な負担、設備コストの確実な回収、そして遠隔地域に電源が集中立地することの抑制、この三点に十分配慮した制度設計が肝要であると考えます。
 振りかえ供給料金の廃止は、電源とネットワークの効率的な形成を阻害する懸念があります。今後、もしこのような事態が生じた場合には、柔軟に制度を見直していただくようお願いしたいと存じます。
 二点目は、自由化と原子力の整合についてであります。
 昨年六月に制定されましたエネルギー政策基本法の趣旨は、エネルギーの安定供給の確保、環境への適合及びこれら二つの政策目的を十分考慮しつつ市場原理の活用を図るというものであると理解しております。二十一世紀におきまして、ますます資源制約、環境制約が強まることを考えますと、原子力政策の基本方針を定めた原子力長期計画にございますとおり、我が国におきます原子力発電及び原子燃料サイクルの推進の必要性は不変であり、今後とも、エネルギー政策の基軸であると認識しております。
 また、原子力発電により年間八千二百万キロリットルの原油消費が節約されており、これは我が国の原油輸入量の約三割に相当いたしますが、原子力というオプションがあればこそ、国際的な化石燃料の取引において、我が国はバーゲニングパワーを持つことができるのではないかというふうに思います。
 しかしながら、今後自由化が進展いたしますと、長期にわたって確実にコスト回収を図る必要がある原子力は、特にバックエンド事業につきましては事業期間が超長期にわたり将来の政策面等に不確定な面が残ること、廃棄物処分等に対する制度のうち未整備のものがあることなどにより、長期的な事業推進に対するリスクが増大します。
 私どもは、引き続き、民間として、エネルギー政策の大きな柱でございますバックエンド事業も含めた原子力発電を推進していく所存でございますが、そのためには、民間の事業リスクを勘案しながら、官民の役割分担を見直し、広く薄く、適切なコスト回収を図るような仕組みが必要であると考えております。
 こうした具体的な方策については、早急に検討の場を立ち上げ、できるだけ早く必要な措置を講じていただきますようお願い申し上げます。
 私どもといたしましては、四年ぶりの電気事業法改正という状況を迎え、公益的課題と効率化との両立という自由化の基本理念を踏まえながら、新たな電力供給システムの構築に対応してまいるべく、改めてみずからの社会的役割の重要性を認識しているところでございます。今後とも、御指導、御鞭撻をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、このたびの電気事業法改正案が、今国会での審議を経て、成立、施行されることを希望する旨申し添えまして、私の意見陳述を終わらせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、森参考人にお願いいたします。
森参考人 本日は、このような場で発言をする機会を与えていただき、ありがとうございます。
 エネットは、二〇〇〇年三月の電力小売自由化に伴い電力小売事業に新規参入した、特定規模電気事業者でございます。NTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスの三社の出資により、二〇〇〇年七月に会社を設立いたしまして、二〇〇一年四月より関東地区及び関西地区において営業を開始させていただきました。
 これまで約二年の間、非常に厳しい事業環境の中で事業を行ってまいりましたが、本日は、これまでの実業の経験に基づきまして、新規参入者の立場から、電気事業分科会で主張してきた内容のうち、特に重要と思われる点について意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず初めに、本国会に提出されました電気事業法改正案につきましては、これまで一年以上議論して取りまとめを行った電気事業分科会の答申内容を反映したものでありまして、全体として賛同いたします。
 しかし、今回の制度改正の趣旨を踏まえ、制度を実効性あるものとするために、詳細設計や運用面において、今後確実に実施していただきたいポイントがございます。それらのポイントも織り込みながら、託送制度の見直し、電力の広域流通の活性化、市場監視・紛争処理機能の整備、小売自由化範囲の拡大のそれぞれの項目ごとに御説明させていただきます。
 資料をお配りしておりますので、御参照いただければありがたいと思います。
 二ページでございますが、まず、託送制度の見直しの中でも極めて重要度の高い託送料金の透明化、低廉化について申し上げさせていただきます。
 現行の託送料金は、届け出制という緩やかな規制がとられておりますが、算定根拠として公開されている情報だけでは料金設定の妥当性が検証できないため、私どもからいたしますと、本当に料金が公正に設定されているのかという大きな懸念がございます。
 また、電力会社各社さんは、昨年の四月から十月にかけて料金改定を実施されましたが、その際の値下げ率を見てみますと、例えば、競争領域となっている特別高圧業務用の小売料金については一四、五%の値下げが行われているにもかかわらず、託送料金は七%程度しか値下げされておらず、託送コストの効率化はまだまだ不十分であると考えます。
 この点につきまして、送配電ネットワークは独占でありますことから、託送料金の規制方式を届け出制から認可制に改めること、そして託送料金の計画的、政策的な低減を図る仕組みとして、プライスキャップ規制を導入することを私は主張してきました。今回の制度改革案では現行の届け出制を維持することになりましたが、透明性向上を図るために、行政による変更命令発動基準を明確化し、さらに会計分離を実施し、その結果の公表を義務づけることとなりました。
 今後、実効性を上げる上では、電力会社さんによる情報開示や説明責任の徹底と、実質的に計画的かつ十分な水準での託送料金の低廉化を期待いたします。
 三ページでございますが、同時同量ルールの見直しについてでございます。
 現行の同時同量ルールは、需要量と発電量とを三十分単位でプラマイ三%以内に合わせなければならないという非常に厳しいルールになっています。この同時同量ルールを遵守するために、PPSは、需要家一件一件にリアルタイムの需要量を監視する端末を設置しておりますが、この端末を設置するために、一件当たり約百万円もの費用を要しております。今後、小売自由化範囲の拡大に伴って規模の小さな需要家がふえることを考えますと、これらの需要監視コストは社会的に無視できないものとなります。
 私は、これを改善する方法として、実需要量ではなく、事前に提出する計画値どおりに発電量を合わせるという計画値同量の採用や、三十分ごとの実計量は行わずに、サンプルデータや統計データから時間単位ごとの需要量を類推するプロファイリングの導入を提案してきました。
 制度改革案では、三十分同時同量変動範囲の弾力化、事故時バックアップ料金の廃止、プロファイリングの適用検討を行うこととなりましたが、さらには、需要量と発電量との差分に適用される料金であるインバランス料金が適切な水準に設定されることが極めて肝要でありますので、この点は確実に実行されることをお願いしたいと思います。
 四ページでございますが、送配電部門の中立性、公平性、透明性の確保についてでございます。
 送配電ネットワークは、現在電力会社さんが所有されていますが、競争の基盤となる公共インフラと位置づけられますことから、私は、送配電部門の構造分離もしくは分離相当の厳格な規制を要望してきました。この点、制度改革案では、構造規制は行わずに、情報遮断、内部相互補助の禁止、差別的取り扱いの禁止を行為規制により担保すること、及び中立機関を設立し、送配電に係る公平なルールの策定、監視を実施することと整理されました。
 ここで実効性を上げるためには、行為規制の厳格な運用、確実に公平性を担保し得る中立機関のガバナンス、そして系統利用に係る紛争処理に関して、中立機関が迅速かつ適切に対応していただくことが重要であると考えます。
 以上が、託送制度の見直しに関する意見でございます。
 続きまして五ページでございますが、電力の広域流通の活性化についてでございます。
 まず振替料金についてですが、供給区域外からの電力調達の容易化、全国規模での電力取引の活性化という観点から、これを廃止することに賛成いたします。
 続きまして、全国規模の卸電力取引市場の整備についてでございます。
 現在の相対取引のみのスキームでは余剰電力の調達が困難であり、今回制度改革案に織り込まれた全国規模の卸電力取引市場の整備は、電源調達手法の多様化という観点から、PPSとしても大変大きな期待を寄せております。
 取引市場を有効に機能させる上では、流動性の確保や需給バランスを適切に反映した価格形成が非常に重要であり、これらの要件を満たすためには、電力会社さんに対して一定割合の電源の市場への投入を義務づけることや、市場支配力行使を防止する仕組みの構築が必要であるとこれまで主張してまいりました。しかし、制度改革案では、電源投入の義務は課さずに、電源投入の考え方を電力会社さんが自主的に表明し、それを事後検証することとなりました。
 今後は、この自主表明と事後検証の仕組みをいかに有効に機能させるか、あるいは価格操作等の不正な取引行為防止のチェックをいかに行うかといった点を具体的に詰めていく必要があると考えます。
 六ページでございますが、市場監視・紛争処理機能の整備についてでございます。
 現行体制において紛争処理に約一年もの期間を要することがあるわけですが、事業者の立場からすれば当然、もっと早期の解決を望んでいます。
 そこで、私は、紛争を未然に防ぐために競争環境を整備し、また紛争が起きた際には迅速かつ適切に処理する役割を担う、政策立案機関とは独立した専門性を有する規制機関の設置を要望してまいりました。制度改革案では、外部有識者の積極活用等による専門性の強化等、行政の市場監視・紛争処理体制の整備充実を図ることとなりましたが、独立規制機関を設立した場合と同等に機能する市場監視・紛争処理体制を構築していただくことを強く要望いたします。
 引き続きまして、小売自由化範囲の拡大についてでございますが、全面自由化を最終目標に置きつつ、需要家選択肢の確保状況を検証しながら、段階的に自由化範囲を拡大していくという制度改革案に賛成でございます。
 最後でございますが、今後、詳細設計を行うに当たりまして御留意願いたい点について述べさせていただきます。
 まず一点目は、託送制度の見直しや中立機関の設立、卸電力取引市場の整備といった各制度が有効に機能することによって、実質的に需要家の利益増進につながるかどうかが重要であり、そのような観点からの詳細制度設計をお願いしたいと思います。
 二点目は、PPSや発電事業者、需要家なども含めて、オープンかつ透明なプロセスでの詳細設計をお願いしたいということでございます。
 そして三点目は、新制度の運用開始後も制度が有効に機能しているかどうか継続的にチェック・アンド・レビューを行い、時間の経過や環境の変化などによってうまく機能しなくなった場合には、迅速かつ柔軟にルールの見直しを行う仕組みの構築をお願いしたいということでございます。
 以上で、私からの電気事業法改正案に関する意見についての説明を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、合田参考人にお願いいたします。
合田参考人 日本ガス協会の合田でございます。
 本日は、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案に関しまして、ガス事業者としての考え方を述べさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。
 最初に、これまでのガス事業に関する規制緩和に対するガス事業者としての取り組みについて御説明をさせていただきます。
 まず第一弾の規制緩和でございますが、平成六年六月にガス事業法が改正されまして、年間契約数量二百万立米以上の大口供給が自由化をされ、小売の自由化がスタートいたしたわけでございます。
 その後、第二弾の規制緩和といたしまして、平成十一年五月に再びガス事業法が改正をされまして、自由化の範囲が年間契約数量百万立米以上にまで引き下げられました。あわせて、ガス事業者の導管を第三者が利用する際の条件の明示、すなわち託送約款の作成、公表が、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスの大手四社に義務づけられました。また、百万立米未満の小口の規制分野でございますが、それまでは認可制でありましたガス料金の改定手続につきまして、値下げの場合には届け出で可能であるという改正が行われたところでございます。
 このような規制緩和の結果、平成十三年度末時点で、全国の都市ガス供給量の三九%が自由化領域となっており、従来からの、電気、石油、LPG等の他のエネルギーとの競争に加えて新規参入が実現をし、競争が大変活発化いたしております。
 具体的に申し上げますと、平成十五年四月三日現在の時点でございますが、十一社三十八件の新規参入が実現いたしておりまして、このうち、一般ガス事業者の供給区域の中への参入は十一社三十一件に上っております。新規参入者は、東京電力、関西電力、中部電力、帝国石油、石油資源開発、岩谷産業等々でございまして、電力会社を初めといたしまして、石油会社、国産天然ガス会社、LPガス会社など、顔ぶれは極めて多彩になっております。
 こうした新規参入による大口供給量でございますが、全国の大口ガス供給量に占めるそれの割合は、平成十三年度の実績で約二%でございます。平成十四年度実績はまだ確定いたしておりませんが五%程度にまで達する見込みでありまして、自由化された大口分野では大変厳しい競争が展開されているところでございます。
 また、このような大口供給の規制緩和とともに、規制分野の家庭用などの小口料金の分野につきましても、大口ガス事業者を中心に約五%から九%程度まで料金引き下げが実施されております。
 これらの事業者を含めまして、平成十一年の値下げ届け出制の創設から本年四月一日までに四十九件の料金引き下げの届け出がなされまして、全国の需要家件数の約八〇%が料金値下げのメリットを享受されているところでございます。
 しかしながら、私どもガス事業者といたしましては、これで十分であるとは決して考えておりません。今後の規制改革に対応しつつ、今回の法改正の基本的な視点であります効率的なガス供給基盤の整備とその有効利用、消費者すなわちガス利用者の選択肢の一層の拡大に向けてたゆまぬ努力を続けてまいる所存でございます。
 次に、今回のガス事業法の改正に先立って行われました都市熱エネルギー部会におきまして私どもが検討を行う際の留意点として申し上げてまいりました項目の中で、特に重要と考えております三つの項目について御説明をさせていただきます。
 第一は、エネルギーセキュリティーの確保でございます。
 我が国は天然ガスの九七%を海外からのLNGに依存いたしております。また、天然ガスは中東依存度が二〇%と低く、供給安定の面からもすぐれたエネルギーでございますが、海外からのLNGを将来にわたって安定的に調達していくためには、長期的な需要見通しに基づいてLNGプロジェクトが海外でタイムリーに立ち上がっていくということが不可欠でございます。
 この海外のLNGプロジェクトの立ち上げには、最低五年程度の期間と四千億円ないし一兆円の大規模な初期投資が必要になります。そして、こうした大規模な初期投資を確実に回収していくためには、国際的な金融機関がLNGの売り主に対して十五ないし二十年の長期契約を要求する構造になっておりまして、この関係は今後も変わらないというのが専門家の見方でございます。
 このような状況の中で、自由化の急激な進展によって我が国の将来のガス需要見通しが不確実になりますと、我が国が長期契約で引き取る保証が困難となり、産ガス国の新規のLNGプロジェクトを立ち上げることも困難になるわけでございます。
 また、エネルギー構造がこのように脆弱な我が国におきましては、この長期契約によりましてLNGを長期間にわたり安定的な価格で調達ができるというメリットは極めて重要だと考えております。
 と申しますのは、カリフォルニア州の電力危機はまだ記憶に新しいところでございますが、当時のカリフォルニア州の天然ガスの価格に注目をいたしますと、火力発電用の燃料でございます天然ガスに対する需要が急増したこともございまして、その結果、カリフォルニア州の州境での天然ガスのスポット価格が、電力危機以前の二〇〇〇年六月、百万BTU当たり、一つの単位でございますが、四・七ドルでございましたのが、年末の十二月には五十九・四ドルと実に十三倍にまで上昇いたしたわけでございます。
 カリフォルニア州では天然ガスの自給率は一五%でございまして、我が国の三%と比べてかなり高いのでございますが、そのカリフォルニア州ですら天然ガスが今申し上げた十三倍に高騰したという結果を見ますと、天然ガスの自給率がわずか三%しかない我が国では、脆弱なエネルギー構造を認識した上で自由化を段階的に進めていくことが必要と考えております。
 第二点目は、環境への適合でございます。
 一昨年の七月に長期エネルギー需給見通しの中で、天然ガスにつきましては、環境負荷が小さく供給安定の面からもすぐれたエネルギーとして、一層利用拡大していくべきであるという政策的位置づけが行われたところでございます。私どもガス事業者といたしましても、天然ガスコージェネレーションや天然ガス自動車の普及拡大、燃料電池の技術開発が必要であると考えております。
 特に天然ガスコージェネレーションにつきましては、我が国におきましては全発電設備容量に占める割合がわずか〇・九三%、一%にも達しない水準でございまして、オランダはこの割合が三三%、デンマークが一八%と比べまして極めて低く、アメリカ、イギリス、イタリアにおきましても大体三ないし五%の水準でございまして、これと比較をしても、我が国の普及状況は非常におくれている状況でございます。環境対策の面から、天然ガスコージェネレーションの普及拡大に向けた政府の支援策の拡充がぜひとも必要と考えております。
 第三点目は、保安水準の維持向上でございます。
 欧米では、ガス事業者の保安責任は需要家のガスメーターまでと限定されておりまして、仮に屋内でガス漏れが発生をいたしました場合に、ガス事業者は需要家のメーターコックを閉めるだけで帰ってしまいまして、壊れた内管の修理あるいはメンテナンスというのは需要家の責任において行うことになっております。
 一方、我が国では欧米と異なりまして、ガス事業者の保安責任はガスメーターよりさらに下流の需要家の皆さんの屋内のガス栓までとなっておりまして、日本のガス事業者は、需要家の資産である内管、敷地の中のガス管につきましても保安責任を背負っておるところでございます。これに加えて、同じく需要家の資産でありますガスコンロあるいはガス湯沸かし器等のいわゆるガス器具につきましても、その調査あるいは安全周知を定期的に行うことがガス事業法で義務づけられているところでございます。
 このように、ガス事業者に重い保安責任を負わせることによって、我が国の保安水準は、需要家百万件当たりのガス事故による死亡者数、これを一年間で比較しますと、我が国は〇・四人と極めて少ない水準でございますのに対しまして、アメリカの場合は六・四人で日本の十六倍、フランスは五・六人で日本の十四倍、イギリスは一・九人で日本の五倍となっております。この我が国の高い保安水準につきましては、今後規制改革が進みましても、お客様が安心してガスをお使いいただけるよう、これまでどおり維持向上させていかなくてはならないと考えております。
 以上、御説明を申し上げましたが、この都市熱エネルギー部会では、都市ガス業界だけでなく、電力業界、国産天然ガス業界、石油業界、LPG業界、消費者、さらには学識経験者の方々から多様な御意見をいただいたところでございます。そうしたさまざまな御意見のある中で、部会長である植草東洋大学教授、ガス政策小委員長できょう御出席の鶴田専修大学教授、ガス安全小委員会委員長の秋田東京大学名誉教授の御尽力によりまして報告書として取りまとめられたものでございまして、今回のガス事業法の改正案は、この報告書の中から速やかに実施すべき項目を取り上げて法案として策定されたものでございます。
 私どもガス事業者といたしましては、今回の法改正の趣旨にのっとり、これまで以上に営業努力や技術開発による需要拡大、コストダウンや要員効率化等の経営効率化に努めまして、これからも需要家の皆様方から選択していただけるようなエネルギーとしてさらに業界を挙げて努力してまいる所存でございます。
 本日はまことにありがとうございました。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、中原参考人にお願いいたします。
中原参考人 御紹介いただきました中原でございます。本日は、審議の場に私どももお呼びいただきまして、大変ありがとうございます。
 本日、私は、日本LPガス団体協議会、それと日本LPガス協会の二つの団体の立場からこの場にお招きをいただいております。
 日本LPガス団体協議会は、LPガスの流通にかかわる四団体のほかに、LPガスの機器設備に携わります団体とともに七つの団体で構成されておりまして、業界全般にわたります諸問題について活動している団体でございます。今申し上げました団体の一構成員となります私ども日本LPガス協会は、LPガスの生産と輸入をしております元売事業者二十社で構成している団体でございます。
 本日は、両方合わせましてLPガス代表として意見を申し述べ、また御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、本題に入ります前に、後ほど申し上げます私どもの意見に関連いたしますLPGの実態について、少しお話をさせていただきたいと思います。
 まず、LPガス業界でございますが、私ども元売業者のほかに、主として容器に充てん等を行います卸売業者さんが約千四百社、そして家庭へのLPガスを販売いたします小売事業者さんが約二万七千社ございます。都市ガスさん、電力さんの事業者数に比べまして圧倒的に数が多く、規模が小さいというのが特徴でございます。業界全体での雇用は約二十五万人というふうに言われておりますが、今申し上げました一小売事業者当たりの平均従業員数というのは七名でございまして、中でも三名以下のところが六割を占めるという、大変中小零細事業者で構成されているのがLPガス業界でございます。
 需要について申し上げますが、国内の需要は約千九百万トンでございまして、我が国最終エネルギー消費の約五%を占めているというのが実情でございます。また、都市ガスの中の天然ガスの分を抜き出して比較いたしますと、熱量換算で申し上げますと、二〇〇一年度ベースではLPガスと天然ガス、都市ガスはほぼ同じくらいの熱量を供給しているというのが実態でございます。さらに、全国の家庭用の需要家件数の半分以上に当たります二千六百万件に御利用いただいているというのがLPGでございます。
 供給面について申し上げますと、輸入量の五十日分の民間備蓄を常時保有いたしております。さらに、現在、百五十万トン、約四十日分の国家備蓄基地の建設も進められているところでございます。また、非常時の供給確保という観点からは、御存じのとおり、阪神・淡路大震災のときに極めて早期に復旧したことや仮設住宅等での活躍で、分散供給型の利点は既に御存じのことかと思います。
 次に、LPガスの品質と環境特性でございますが、LPガスは低い圧力で液体になるわけでございまして、液体の体積は気体の二百五十分の一と大変小さくなるという特性を持っておりますので、必然的に移動性にすぐれておりまして、全国津々浦々の需要家にお届けできるという分散供給型のエネルギーでございます。
 環境面におきましても、二酸化炭素排出原単位は、採掘から燃焼までというライフサイクルの観点で比較いたしますと、LNGあるいは都市ガスさんと同じように、ガス体エネルギーとしてほぼ同等であるという公的研究機関の調査結果も出ております。LPガスは、地球環境面からも天然ガスと同等のクリーン性を有するガス体エネルギーでございまして、昨年批准されました京都議定書の二酸化炭素削減目標達成に大きく寄与できるのではないかというふうに考えております。
 以上、LPガスについて、簡単に御説明いたしました。
 次に、今般のガス制度改革に関連して御意見を申し上げます。
 昨年議員立法として成立いたしましたエネルギー政策基本法において、第四条でございますが、エネルギー需要者の利益が十分確保されることを旨といたしまして今回の規制緩和等の施策が推進されているところでございます。今般のガス事業法の改正におきましても、需要家利益の増大につながる制度改革がその目的であるというふうに認識しておりまして、本日は、この観点から四つの点の御意見を申し上げます。
 まず、自由化範囲の拡大でございますが、都市ガスの自由化が段階的に行われようとしておるわけでございまして、需要家利益の増大の観点から必要なことということで私どもも理解はしておるわけでございますが、都市ガスさんは、導管で、かつ総括原価方式で、末端までの価格変更も大変合理的にできる公益企業でございます。一方、私どもは、労働集約型で、配送に大変コストがかかるわけでございまして、また、価格を変更する際にも、自由マーケットということで、需要家に対して個別に交渉を行っていかなければいけないという条件がございます。そういったことを考えますと、この自由化は、私どもにとりましては、特段の効率化を進めないと大変厳しいものになるかなというふうに受けとめております。
 このため、自由化分野と規制分野が同時に存在する形となります企業の内部補助の排除、LPガスと都市ガスとの公正な競争条件、平等な競争ができる状態の環境をぜひ整備していただきたいというふうに考えております。さらに、影響が出ました場合の中小零細事業者に対する構造改善の支援についても御配慮をいただけると大変ありがたいというふうに考えております。また、次の自由化のステップにつきましては、政策効果、影響など十分な評価を行った後に行っていただきたいというふうに存じます。
 次に、二つ目のポイントでございます。これはエネルギーのベストミックス、すなわち、それぞれの得意な分野を生かし、さまざまなエネルギーのバランスよい組み合わせ、これこそが広い意味での需要家利益の増大につながるものではないか、この法律の目指すところだろうというふうに考えております。
 このたびの改正におきましてガス導管事業制度が創設され、天然ガス導管網の推進がなされようとしております。しかし、その推進に当たりましては、我が国のような地震国における危機管理という観点からも、それから社会資本投資の適正化という観点からも、都市ガスのようなネットワーク型のエネルギーとLPガスのような分散供給型のエネルギーの組み合わせをうまくやっていく、ベストミックスを図ることが重要ではないかと考えます。
 例えば、LPガスにつきましては災害時の避難所においても供給が可能であるということから、都市部においてもLPガス供給の果たす役割を考える視点も必要ではないかというふうに思われます。
 三つ目のポイントは託送供給制度でございますが、この制度につきましては、先ほど申し上げました内部情報の遮断、ファイアウオールの徹底を図るとともに、託送に関する料金等の情報公開の徹底を強くお願いしたいと思います。競争促進のために、公平に第三者が参入できるような、厳格な区分経理など公平公正な競争環境の整備がその前提になければならないというふうに考えております。
 四点目の、最後の点でございますが、需要家利益増大の観点から申しますと、エネルギー選択肢の幅を広げることも大変重要なことではないかというふうに考えております。
 先般開催されました都市熱エネルギー部会のガス政策小委員会におきましても、競争を促進するという観点からは、原料として、天然ガスだけでなく、ナフサとかLPガスとかいろいろな原料を使用するという方向も一つの道としてあるのではないかという学識者委員の方の発言もございましたように、これは、エネルギー事業者の原料選択肢の拡大が需要家利益の増大ということと裏腹になっている、表裏一体になっているということのあらわれではないかというふうに理解しております。
 以上、私どもの考えを述べさせていただきましたが、将来の我が国の社会像を見据えたエネルギーのあり方につきまして、また、その中で、都市熱エネルギー部会の報告書にも触れられておりますように、都市ガスのみならずLPガスも含むガス体エネルギーのあり方について、当委員会におきまして御検討いただければ大変ありがたいというふうに思います。
 以上で私どもの意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
 ちょっと速記とめていただけますか。
    〔速記中止〕
村田委員長 速記を起こしてください。
 松島みどりさん。
松島委員 自由民主党の松島みどりでございます。
 きょうは、五人の参考人の方から、それぞれの立場からの貴重な御意見を伺いまして、本当にありがとうございました。
 私は、まず質問、これは鶴田参考人と、それから森参考人、さらに藤参考人にお伺いしたいと思っております。まず、電力のことでございます。
 これまで、例えば鉄道や郵便や電気通信、いろいろな分野におきまして、民営化とか規制緩和とか競争促進ということが、それぞれ、もともとの形態は違うわけですけれども、進められてまいりました。その中で、安定供給ということと、全国どこでも国民がひとしくサービスを受けられるということ、その問題と競争促進ということとの兼ね合いということが、随分いろいろな場面で議論になってきたと思っております。
 私は、今申しました鉄道、郵便、電気通信といった分野以上に、電力におきましては安定供給というものが基本でなければいけない、非常に大切なことだと私自身は思っております。
 今、東京電力が原発の運転を一基再開いたしましたが、それでも夏には停電のおそれがある、そういって、経済産業省の中に対策本部が設けられた、そんな事態でございます。にもかかわらず、私自身、東京から出ておりますので、東京電力の供給を受けている人間ですけれども、周りで全然パニックにもなっていない。これは、電力業界に対する漠たる安心感。ですから、東京電力がそれを裏切っているとしたら大変な問題ではございますけれども、これまでの電力各社に対する供給体制について非常に国民が安心感を持っていたためだと思っております。
 私自身、四十六歳でございますけれども、自分の人生、物心ついて以来、台風のときを除きますと、停電というのを経験したことがございません。恐らく、一分停電しましたら、相当な方たちが被害を受けて、大変な状況に、パニックに陥るだろう、そう思っております。
 そうした中で、質問させていただきます。
 鶴田参考人、現在以上に規制緩和を進めるべきだというお考えをお持ちのようなんですが、その中でも、例えば送電線は独占財であり、これに対しては開放を大前提とすべきであるとか、そういうようなお考えも述べておられるんですけれども、私、申し上げました、鶴田参考人自身が途中までおっしゃいました、電気は必需財で代替財がないということとの兼ね合い、かなりな勢いで進めていっていいんだろうかと私はちょっと疑問を感じたんですけれども、その辺について御意見を伺いたい。
 そしてまた、森参考人は、全面自由化を最終目標に置きつつということをおっしゃいました。これについては、私は非常に、私自身は反対で、懸念しているんですけれども、最終保障とか安定供給という立場から、だれが責任を持って担っていくのか、全面自由化というのを最終的に求めた場合には、最後の保障はだれがするのかということについてお考えを伺いたい。
 そしてまた、同じテーマについて、現在の事業者である電事連を代表する形で、藤会長からも伺いたいと思っております。
 お願いいたします。
鶴田参考人 先生御指摘のように、電気は非常に私たちの家庭にとりましても大事なものでございますし、電気がなかったらば、いわゆる家庭生活が成り立たないと思っております。また、産業にとりましても、電気がなければ産業活動が行えないわけですから、したがいまして、安定供給というのは非常に大事だと私も思っておりますし、そのことを絶えず念頭に置きながら制度も考えるべきだというふうに思っております。
 したがいまして、自由化につきましても、先ほど申し上げましたように、段階的自由化ということはもう絶対やるべきであって、一挙に全面自由化をいたしますと、カリフォルニアのようなケースが起こらないとも限りませんから、あくまでも、発想はラジカルであっても、改革はグラデュアルに進めるべきだというのが私の基本的な立場であります。
 したがいまして、今般、高圧まで自由化した後、低圧の自由化につきましては平成十九年の四月を目途にして検証を始めようということも、以上のような考え方に即しているんだと思っておりますから、私は審議会の考え方に賛成でございました。
 特に、電気の場合ですと、ユニバーサルサービスをいかに確保するかということが大事でございまして、したがいまして、先般の制度改革からも、最終保障の仕組みが埋め込まれました。家庭用に関しましても、やはり最終保障の仕組みをきっちりと埋め込んで、各家庭が困らないような制度にすべきだというふうに思っております。
 ただ、私、先生おっしゃいました、送電線に関しましては、私の考え方というのは、やはり構造的対処をきっちりやるべきであって、今回の措置は中途半端だなという印象を私は持っております。というのは、やはり、送電線に公正にアクセスすることが非常に重要でございますから、例えばアメリカでケースがございますような、ISOを設立して、いわゆる中立的な機関が系統運用等々に当たるのが私は望ましいと思っておりますが、今回、一貫体制でございます。したがって、情報遮断とか会計分離とか差別取引の禁止とか、それを担保するために法律の中で規制権限を経済産業省に与えているというふうになっております。
 こういう、自由化の中で規制を強化するというよりは、むしろ、ISOを立ち上げて、もう少し自由な中で事業者が活動できる方が私は望ましいなというふうに思っております。
森参考人 お答えをさせていただきます。
 安定供給がベースであるということは、私ども新規参入者も全く同じでございます。電力会社さんが実態として圧倒的なシェアを保有しているという現実を踏まえますと、全面自由化になった場合でも、最終保障義務を負うというのは一つの考え方としてあると思います。電力会社さんが圧倒的なシェアを持ち得なくなったというような時点がもし生じたならば、例えばイギリスのように、全小売事業者に対して需要応諾義務を課すといった考え方や、規制機関が供給事業者を指名するといった考え方も選択肢としてあるのではないかというように考えております。
 以上でございます。
藤参考人 第一番目の、規制緩和と必需財だということの関係でございますけれども、私、最初のところでも申し上げましたように、いわゆる公益的な課題、それは電力の安定供給であり、環境への適合であり、そして必需財ということであることの安定供給でございますが、それと、それから規制緩和というのは、これはバランスをとって進めることが大事だというふうに考えております。その中で、今ほどお話がございました、段階的に進めるというのは一つの考えであろうと考えております。
 一方、全面自由化を目標にということに関することでございますけれども、本件に関しましては、私、今回の法律の整理によりまして、全面自由化をするためには、平成十九年になって、そのときの状況をよく考えながら、ひとつ検討を開始しようというふうに整理されたものと考えております。
 その場合、私、これも冒頭に申し上げたかと思いますけれども、個別のお客様、家庭用のお客様が、結局、需要家としての選択肢がふえるということ、それと、逆に自己責任が生ずるということのバランスをよく御認識していただくということ、それから、だれでも、どこでも、いつでもというユニバーサルサービスということをどのように考えるかということ、今ほど森さんから話がございました最終保障というのをだれが担っていくかということ、そういう点を十分それまでに検討された上で、そして次の段階に進める必要があるだろうというふうに、私はそのように存じております。
 ありがとうございました。
松島委員 森参考人と藤参考人に再度伺いたいと思っております。
 今の最終保障ということを考えた場合には、現在、これまでの制度におきましては、既存の電力会社が十年ごとに供給の見通しを立てて、供給の見通しを立てる際には、恐らく、人口の移動ですとか景気の予測とか、いろいろな要因を考えてそれを立てて、それに対して設備投資を行っている。発電所をつくられた場合には、短くても二十年ぐらい計画から最終までかかると私は思うんですが、そういう責任というものをいつまでも今までの電力会社に負わせるのか。そうすると、新規参入業者というのは、いわば、ちょっと言葉は悪いですけれども、いいとこ取りをしていくことになるのか、私はそういう疑問を感じております。
 それともう一つは、例えば、森参考人も会社の母体の方でよく御存じだと思いますけれども、通信で今激しい競争がなされて、利益なき繁忙というか、どんどんみんな切りかえていく。特に、通信の中で携帯電話などは、激しい競争の中で、持っている人が携帯電話をどんどん取りかえていくんですけれども、携帯電話を取りかえて、通じない期間が半日あっても生きていられます。でも、電力は一分途絶えるとやっていられません。そのあたりのところを一般の小口、つまり国民一人一人というのは、安定と、それから一割安い、一割高いということとてんびんにかけて、どちらが社会的に落ちついた状況でいられるのか。私は小口までの自由化というのには非常に疑義を感じるんですが、申しわけございませんが、お二人、いかがでございましょうか。
森参考人 先ほどお話に出ておりますように、全面自由化をやるかどうかということにつきましては、数年後に競争の状況を見きわめながら検討を開始するということになってございます。全面自由化を行うに当たりましては、ユニバーサルサービスにつきまして十分議論をすべき必要があると認識しております。現状におきましては、基本的には、現行のユニバーサルサービスは維持されるべきだというふうに私は考えております。
 通信の例がございましたけれども、自由化をどんどん進めていくことによりまして安定が損なわれるという前提に立つということではなくて、それを維持していくためにはどういうような議論をしていけばいいのかということを、今後、状況を見きわめながら進めていくべきだというふうに私は考えておるわけでございます。
 以上でございます。
藤参考人 申し上げます。
 ただいまの、発電所をつくるときに大変長期間かかる、そういう中で安定供給できるのかということでございますが、今回の法改正案のもとで、私どもは責任ある供給主体として、発送一貫体制としての一般電気事業者として認識されることになりました。私どもは、これから自由化の中で投資に対しては非常に慎重にならざるを得ない環境にはございますが、精いっぱい安定供給に尽くしていきたいというふうに思っております。
 第二点目の、安いことによってどのような社会的に落ちついた関係になるのかという問題でございます。
 本件につきましては、電力会社といたしまして、効率化とそれから安定供給、このバランスをうまくとってやっていきたいと思います。すなわち、今後の競争関係のもとで、私どもは、電力経営の効率化を一層図りまして、料金の低下に努めますとともに、安定供給と両立を図っていく、こういう考えで今後やらせていただきたい、かように存じております。
 以上でございます。
松島委員 藤参考人にお伺いしたいと思います。
 これから、つまり既存の皆様方の電力各社が、自由化によってどれぐらい仕事がというか、売り上げが量として減っていくかわからない、予測が立たない、十年後、二十年後、どれだけシェアが食われるかわからないというもとで、今までのような設備投資計画というのは立てられるのか、私は非常に不思議になるんです。別に立てろという意味じゃなくて、どこまでも自由化が進んでいくとしたら、その責任を負わせるのは無理じゃないかという気がするんですけれども、いかがでございましょうか。
藤参考人 先生がおっしゃいますように、いわば厳しい競争下において、非常に長期の需要予測を立てるのはこれから大変難しくなってくるということは、お説のとおりでございます。その場合、どれだけの需要が私どもの供給から供給できない格好になるか、つまり新規参入者が供給されることになるのかということは想定できるのかということでございますけれども、それにつきましては、想定は大変難しいことではございますが、私ども自身の競争力を高めて、できるだけ先行きの需要予測ができるように頑張っていきたいと考える次第でございます。
 もちろん、お説のとおり、大変長期にわたる確実な需要をそのまま予測することはできませんけれども、今回の法律のもとでは、私どもは特別高圧のお客様について最終保障という格好で、いわゆる低圧のお客様の供給責任、必ず供給するという、それとは若干違ったシステムでの最終保障に責任を持つという仕組みになっております。
 そのようなことで申し上げますことは、効率化を十分図った上で十分安定供給を図っていくように、そのための設備投資を健全に進めるように頑張っていきたいというふうに思います。
 以上であります。
松島委員 都市ガスのことについて、合田参考人に伺いたいと思っております。二点ございます。
 一つは、先ほど電力でも出ましたが、設備投資の問題であります。設備投資というか、都市ガスの場合は設備投資以上に、例えば長期でのLNGの契約、外国におけるLNGをつくるところの土台の投資に対してどういうふうに契約にかかわるかということが、これからの自由化の中で難しくなってくるのではないかという問題が一つ。
 もう一つは、保安という言い方をされましたけれども、私自身、安全という言葉に置きかえまして、今、例えば小口までもし進んでしまったら、各家庭が、例えば賃貸マンションで、自分のところは東京ガスかなと勝手に思い込んで入居していたら、別の何とかガスだったりして、そうしたら、事故が起こりそうになったときに一体どこへ連絡したらいいかわからない。個々の家庭までもし自由化が進んだ場合はそんなことまで起こるのかどうか、ちょっと教えていただきたいんですが。
合田参考人 お答え申し上げます。
 自由化との関係で先生が御質問になりましたように、長期の設備投資並びに原料の安定供給という点では二つございます。
 海外で原料調達に不可欠なLNGプロジェクトを立ち上げていくためには、やはり長期に、日本のガス会社も電力会社も含めて、十五年ないし二十年の引き取り保証をする。そうしないと、国際的なファイナンサーからの融資が受けられないという状況でございます。それから、国内の問題でいえば、自由化が急激に進展をいたしまして、将来の需要見通し、先ほども御議論がありましたように、大幅に進んでしまいますと、どうしてもやはり長期に対するリスクが経営者は増大してまいりますから、そうすると、そこはやはり今よりは控え目な感じになっていかざるを得ない。そういう国内、海外、両面の問題がございます。
 それから、保安の問題については、まさに先生が御指摘になったようなことでございまして、いざガス漏れ事故が起こったときに、もしも新規参入者が入ってきて、保安体制のつくり方の問題ですが、保安体制が、ガスを売るだけで帰ってしまうというようなことになりますと、やはりお使いになっているお客様は自分にガスを売った人にまず電話をする、電話をしたら、私はそういう責任はないよというふうに言われてきて、これは外国においてもそういう混乱が起きておるところでございまして、イギリス、アメリカ、特に極度の全面自由化をやったところでは、保安水準の低下という点が非常に問題になっております。
 したがいまして、私どもは、理想的な制度としては、十万立米以上のところまでは、ある程度需要家さんが保安のプロフェッショナルを持っておられるし、それから保安のための社内組織が整備されておりますけれども、十万未満になってまいりますと、いわゆる小規模なラーメン屋さんみたいなところとか理容院、美容院、そういうところでございますし、まして家庭になりますと、夫が保安の専門家なのか奥様が保安の専門家なのか、非常に難しいわけでございまして、そういうことを余り御心配なさらないような形で我々はガスを供給してまいりたいというふうに考えております。
松島委員 どうもありがとうございました。
村田委員長 小沢鋭仁君。
小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。
 まず、本日は、参考人の皆様方、本当に御苦労さまでございます。限られた時間でありますので、私は、ある意味ではきょうはそうそうたる、それぞれの専門家の、また事業家の皆さんがいらっしゃっていただいておりますから、将来のエネルギー分野の姿というのはどうなるのか、こういう視点で質問をさせていただきたいと思います。
 委員長からお話がありました、質問先はすべての参考人の方に、せっかくお越しいただきましたので御発言を賜りたいな、こういうふうに思っております。ただ、法案審議のように、政府、これがけしからぬじゃないか、こういう話ではございませんので、どうぞそれは、皆さん方の貴重な御意見を、私の考えとは違ってもどうぞ御開陳をいただきますように、改めてでありますがお願い申し上げておきたいと思います。
 まず、ウエッジという雑誌があるんですが、それの五月号ですか、「電力業界よ 全面自由化でNTTと同じ轍を踏むな!」こういうタイトルの記事がございました。「電力が第二のNTTに」こういう見出しも載っておるわけでありますが、森参考人におかれては、何か立場が、先ほども出ておりましたが、攻守所を一転してということであります。
 私も実は、この委員会の前は、かつての逓信委員会、今の総務委員会ですが、が長くて、電気通信分野の自由化論はかなりその中でやってきておるものですから、割とそういった意味ではその比較というような意識もございます。
 ただ、電力は、電気通信と違って周波数も東西で異なりますし、全くそれが同一だとは当然これまた思っておりません。しかし、割と、この記事にもあるように、そういった比較ができるようなことなのかな、そういう部分もあるな、こういうふうに思いますし、特に、電気通信をやっていたころから、いわゆる通信の次は電力だ、こういう話を盛んに聞いておりました。
 これは特に、アメリカのある意味では経済目標という話がその背後にある、こういう話の中で、ただ、カリフォルニアの問題が起きましたから、ここのところ、ちょっとそういった意味では、米国からの産業的なそういった自由化論というのはおさまっているのかなというふうに思っておりますが、そんなことも背景にはあるような気がしております。
 さて、そこで、もう一つ新聞でありますが、これは五月十日付の新聞でありますが、「震災でも消えぬ電気」ということで、今話題の六本木ヒルズの記事が出ております。これは御承知のとおり、いわゆる燃料電池の問題であります。
 この燃料電池は、例えば電気通信分野における携帯電話のような話になり得ないか、こういうふうに私は感じるところがあります。いわゆる送電のネットワークを持つ、ある意味では、これはかつての電話線ですね、それに対応するもの。だけれども、それを全く関係なくした燃料電池がある。
 そしてこの燃料電池は、私もちょっと調べましたらば、かなり現実的な話でありまして、価格が一台五十万円を目指して二〇〇五年に発売する、要するに家庭の光熱費を二割削減する、光熱費ですね。もちろん、先ほどの環境適合という点ではこれは十分だ、こういう話でありまして、何やら政府の方も燃料電池プロジェクトチームというのをつくってやっていて、二〇二〇年の導入目標は、定置用の燃料電池は一千万キロワットでありますが、それを前倒ししてやっていく。携帯電話も目標をかなり前倒しになって行われたわけでありまして、そういった意味では、まさに携帯電話に匹敵するような話に燃料電池が興らないか、ある意味では全くその供給ネットワークを変えていくような力にならないか、こういう話でありますが、ここは鶴田先生にそのお考えをお聞きできればと思います。
鶴田参考人 大変難しい御質問で、頭を抱えているんですけれども。
 燃料電池というのは、やはり将来のエネルギーとして非常に重要な位置づけになるだろうと思います。それは、実用化されればエネルギー市場のあり方が随分変わってくると思いますから、私も、企業の方の努力によって一刻も早くこの燃料電池を私たちが生活の中で使えるようになれば望ましいなと思っております。
 ただ、先生おっしゃるように、それが携帯電話と同じような位置づけになるのかということについては、私は何とも申し上げられないところでございます。したがって、出現したときの競争状態がどうなるかということも、私の頭の中でシミュレーションできておりませんから、申しわけございませんけれども、この程度にさせていただきます。
小沢(鋭)委員 確かに、今の時点ではなかなか正確な推測はできないのかもしれませんが、私は、何やらそういう予感がしてならないわけでございます。また後ほど、それぞれの参考人の方も、また別途の質問をさせていただきますが、この点でお触れいただいても結構でございます。
 先ほど、ユニバーサルサービスの問題をさきの委員の方が御質問をされました。私も一点だけここにも触れておきたいというふうに思います。
 このユニバーサルサービスは、先ほどの議論の中にも出ておりましたが、いわゆる将来のまさに小口の自由化をどこまでどう考えるのか、こういう話につながることであると思います。ここは藤参考人と森参考人にそれぞれ御意見を賜りたいと思いますが、一言だけ私が感想を申し上げると、これは電気事業法で、十八条ですか、いわゆる規制分野に関しては供給義務を負っているわけですね、電気事業会関係の皆さん方は。森さんのところはそれはない。こういうふうに承知をしておるわけでありまして、例えば、そうした中でいうと、電力業界にしたら、やってられないという思いが率直に言ってあるのではないか。
 逆に、森さんにお尋ねをしたいのは、そういうユニバーサルサービスをかけられてでも、それでも電力供給に邁進していくというような思いがあるのか。そんな本音の部分を、この場で言えるかどうかわかりませんが、そんなお気持ちを改めて御両者からお聞かせいただきたいと思います。
藤参考人 ちょっと委員長、最初にお断りいたします。
 先ほど松島先生の御質問のときに、私、今回の特別高圧への自由化と申しましたが、これは、今回は高圧までの自由化でございます。ちょっと特別高圧と高圧と言葉を間違えましたので、済みません、訂正いたします。
 済みません、小沢先生、失礼しました。それで、今のユニバーサルサービスの問題でございます。
 これは先ほども私ちょっと申し上げましたのですけれども、お説のように、最終的に小口まで自由化を進めるというときに、このユニバーサルサービスというのは非常に大きな検討課題になってくるというふうに思われます。特に離島といった問題になりますと、これは現時点でも、やはり離島と申しますと、どうしても価格は、ある程度コストはかかるわけで、それに対して、そうでない部分との全体のバランスの上で一つのユニバーサルな価格で電力を供給しているわけでございますけれども、やはり小口、つまり一般家庭までの自由化ということを考えるためには、特に家庭の皆様方というのは、自分が供給者を選べるという自由があるということと、それと、それなら自分としてやはり責任を持たねばならないということ、それの御認識を十分されませんと難しいのではないか。
 そのために、今回、十九年の四月から開始されるとされております低圧、小口、一般家庭に至るまでの自由化の検討の際には、このユニバーサルサービスという問題、そしてお触れになりました最終保障という問題、この問題について十分検討をしていただいて、その上で全面自由化をするのかどうかということを諮っていただきたい、かように存じている次第でございます。
 その間におきましては、私ども、低圧に対する供給責任、ユニバーサルサービス、そして小口以上に対する最終保障というもの、そういう責任を持った上で電力供給に邁進させていただきたい、かように存じます。
 ありがとうございました。
森参考人 お答えさせていただきます。
 送配電ネットワークにつながっておりますお客様の場合を考えてみますと、各電力会社の供給エリア内については、電源からの距離にかかわらず、託送料金は一律の料金設定となっていますので、ユニバーサルサービスに関する問題は特にないと考えております。
 今、藤さんの方からお話がございましたように、具体的に問題となるのは、系統につながっていないお客様、例えば離島などのお客様であるというように思います。まずは、系統につながっていない離島などのお客様の規模がどの程度あるのか、明らかにしていく必要があるというように考えます。また、北海道電力さんが実際に奥尻島、礼文島で行われておりましたけれども、離島における卸電力入札など、離島における電力供給の効率化を図る余地というのはまだあるのではないかというように考えられます。電力会社さんがユニバーサルサービスを維持することが事実上困難になるというようなことになったとしたならば、例えば、そのときにはユニバーサルサービス基金を創設するとかいったような対応策を検討していく必要があるのではないかというように思います。
 いずれにいたしましても、定量的なデータに基づきまして検討を進めていくべきであるというように考えております。
 以上でございます。
小沢(鋭)委員 御両者も、いわゆるユニバーサルサービスの必要性というものはお認めになったというか必要だ、こういう御意見だったと思います。
 森参考人のいわゆるユニバーサルサービス基金、こういう話は、電気通信分野でも実はずっと話があって、なかなか電気通信分野では新電電の皆さん方がそれを認めていただけない難しさがありました。森さんにおかれては、もともとのNTTというお立場もきっとこれあり、そういう意味では大変幅広くお考えをいただいているんだな、こう改めて感じさせていただきました。
 時間も迫ってきておりますので、まだまだ実は議論もさせていただきたい点はあるんですが、次に移らせていただきたいというふうに思います。
 次に、ガス供給、これは天然ガスとプロパンと両方でございますが、この分野に関しましてお尋ねをさせていただきたい、こういうふうに思います。
 このガス事業法というのを見ますと、やはり二十五条の四というところに、いわゆる供給区域の調整の勧告ということを政府はできることになっているわけですね。これはまだ今までも使われたことはない、こういうふうには聞いておるわけでありますが、一言で言うと、いわゆる効率化、あるいはまた需要者の必要性に応じて合併等の勧告をすることができる、こういうふうに、大ざっぱにそういう理解をさせていただくわけでありますが、ガス事業者の皆さん方の数は、先ほど来のそれぞれの御陳述の中にもありましたが、天然ガスの方で約三百弱、それからプロパンの方で言いますと卸と小売入れて三万弱、こういう先ほどお話がありました。
 内外価格差が極めて大きい、こういう話の中で、先ほど合田参考人の方からは、やはり長期的な契約という話が安定供給をし価格も下げていくもとになるのだ、こういう御意見がございましたが、一方で、やはり会社の効率化という話も重要になるのではないかな、こう一般的に思います。
 そういった意味において、まず第一点は、今後、いわゆる企業の合併だとか、あるいはまたいわゆる集約だとか、そういったことが必要だというふうにお考えになるかどうか。もし必要だということであれば、どういった施策を政府にお望みになるか、その二点をそれぞれお聞かせいただければと思います。
合田参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘になりましたように、今回の法改正によってエネルギーの垣根はますます低くなるわけでございまして、私ども、大手も中小も含めて、先生がおっしゃいましたように、経営の効率化を図るという必要性については痛感をいたしておるところでございます。
 ただ、ガス事業の特性は、また一方で長大な導管網を形成しながらガスを供給していくわけでございますから、人口密度が高いといいますか、導管効率がいいといいますか、そういう地域に限定をされるという面もあるわけでございます。また、日本では、全国の状況を見ていただきますと、市街化された地域というのは決して連続いたしておりません。点々と不連続でございます。したがいまして、全国土面積の中で二百二十九のガス事業者がありますけれども、ちょうど江戸幕府の時代の藩の数が二百二十近くあったわけでございますが、あれと同じように不連続でございますので、仮に政策的な手段で強制的に集約化、合併を図ろうとしても、なかなか集約化のメリット、合併のメリットというのは発生しにくいような構造もございます。
 それから、海外と比較をいたしますと、これまたいろいろな状況がございますが、例えば、米国では三千のガス事業者がございますし、日本より国土が狭いと思いますが、ドイツでは七百ぐらいガス事業者がございます。イタリアはもっと狭いと思いますが、八百ぐらいございます。それからイギリスの場合は、一九四八年にアトリー内閣のときに千幾つあったガス事業者を合併してブリティッシュ・ガス一社にして、結局は余り効率がよくなくて、サッチャー首相になってから一九八〇年代にこれを民営化すると同時に分散化をいたしまして、今六十幾つの供給者が出ておるというような状況でございます。フランスの場合は、現在、ガス・ド・フランス一社プラス、ニューカマーが出ておりますけれども、ガス・ド・フランスに再編成をする以前はやはり百五十近くのガス事業者があったと承知をいたしております。
 ガス事業のそれぞれの国の状況というのは、その国の都市化の状況でございますとか、それから幹線パイプラインがあるのかないのかとか、独占禁止政策の状況とか、そういうことによって規定をされてくるんではないかと思っております。
 したがいまして、私はガス協会の専務理事兼副会長でございますので、合併について旗を振るとかどうかという立場にはございませんけれども、今みたいなような状況を考えながら、ガス事業者の経営者の方々の経営判断で決まってくる問題ではないか。ただ、そのときには、ことし改正が行われましたような産業活力再生特別措置法なんかもその政策手段として、ほかにもあるかと思いますが、活用することも可能ではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
中原参考人 お答えいたします。
 先生のおっしゃいましたような集約は、LPガス業者にとっては特に私ども必要と思っております。先ほども申し上げましたように、小売で三万近い数がございます。
 先ほども陳述の中で申し上げましたように、導管というのは本来合理的な導管を設計図に基づいてやるわけでございますが、御承知のとおり、LPガスの販売というのは、自然発生的といいますか、自由マーケットの中で発生しておりますので、何かの御縁があると、二軒飛ばした先の販売店さんがお届けするというようなことも現実にはあるわけでございまして、これが合理的に、充てん所から一番短い配送になれば大変な、七百億節減されるとか、いろいろな説がございます。
 そういう意味では、業界全体でまさしくおっしゃられましたような特に流通の、配送の合理化という意味で集約をせないかぬという機運は十分ございまして、今皆さん真剣に考えておられると思います。
 具体的には、今申し上げましたように、充てん所を大型にして、例えば販売店さんが五カ所で使っていたのを二十カ所の方が使うというような形にして、実を申しますと業界の中でも大変危機意識がございまして、少し古いデータかと思いますが、日本の充てん所一カ所当たりがたしか三千トン、これは比較になりますが、フランスが九千トン、イタリーがたしか一万二千トンというような数字がございまして、要は非常に一充てん所当たりの充てん数、配送が少ないというデータでございます。
 そういうことも踏まえまして、まさしく、こういうところがきちっと集約化できないと自由化の波に洗われて大変なことになるという危機意識は持って、今やっておるところでございます。また、既に行政の方からも、こういった中小零細の方々の流通構造改善ということで御支援もいただきまして、十五年度から予算もつけていただいたというのが実情でございます。
 以上でございます。
小沢(鋭)委員 お聞きしたいことはいっぱいあるんですが、時間でございますので終わります。どうもありがとうございました。
村田委員長 河上覃雄君。
河上委員 公明党の河上でございます。きょうは、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 早速、藤参考人にお尋ねを何点かいたしたいと思いますが、海外でアンバンドルしたところでは送電設備の建設が進んでいない、このように聞いております。特に、長期的な需要の増加が見込める我が国におきまして、アンバンドルは安定供給の上からどのような問題がおありとお考えになられるか、この点からまずお伺いをいたしたいと思います。
藤参考人 お答え申し上げます。
 海外でアンバンドル、いわゆる送電と発電との分離をされたようなケースにおきまして、送電線の建設がうまくいっていないというケースもございます。一般的に、アンバンドルをいたしますと、例えばカリフォルニアの例は皆様方よく御承知だと思いますけれども、これはアンバンドルといいましても、系統運用を独立の系統運用者という、いわゆるISOというものに移しまして、そして、大手の私営の電力会社は公益事業委員会の要請を受けまして火力発電所のほとんどを売却いたしたわけでございます。
 この結果、大規模停電、需給逼迫といった、そういうことから電力価格は高騰するというふうなことになったのは皆様方御承知のとおりだと思うのでございますけれども、このようにアンバンドルされたようなところでなかなか設備、特に送電設備の建設がうまくいっていないというのが一つの現象としてあらわれているかというふうに思います。
 今回、私ども、電気事業法の改正におきましては、このようなアンバンドルすることによる供給責任のあいまいさというのが結局安定供給につながらないといった面から、一貫体制を維持するということを決めていただいたというふうに考えておりまして、送電と発電というのを分離することによります安定供給に対する阻害要因というのは非常に大きいのではないかというふうに思います。
 以上でございます。
河上委員 次の問題ですが、自由化と原子力の整合につきまして、平成十六年度末をめどにこれから具体的な経済措置などのあり方について検討をすることになっております。その際、事業者の立場からどのような制度、措置が必要とお考えになられているのか、これが一つです。
 また、アメリカでは連邦機関が使用済み燃料の最終処分の実施主体となっていると聞いております。自由化の進んでいる欧米では、バックエンドも含めた原子力についてどのような措置が講じられているのか。
 さらにもう一点ですが、自由化の進展に伴って原子力にどのような影響があると考えるか。加えて、バックエンド事業に係る官民の役割分担のあり方につきまして、御所見をいただきたいと思います。
藤参考人 三つの御質問についてお答え申し上げます。
 最初は、自由化と原子力の問題につきまして、平成十六年末までに検討し必要な措置をするということについてでございます。
 この具体的な内容につきましては、私どもといたしましては、先ほど意見陳述のときに申し上げましたように、広く薄く負担するような仕組みを考えていただけたらというふうに、それはバックエンドに対してでございますが、そのように考えておりますけれども、これはそのような仕組み、委員会でございましょうか、そういう場を立ち上げて、そちらの方で具体的に検討していただけるものと考えております。
 二番目でございます。諸外国におきます原子力に関する政府のかかわりといいますか、それに関する御質問でございます。
 本件につきましては、諸外国におきまして幾つかの政府の関与が検討されております。あるいは実際に行われているわけでございますが、例えば、英国の例を申し上げますと、現在英国におきましては、再処理事業者でございますBNFLというのが、これが国営で再処理事業をやっているわけでございます。しかしながら、現在英国政府は、このBNFLを民営化しようというふうに考えておりまして、その中で、NDAという、原子力施設廃止公社というものをつくりまして、そちらでこのBNFLが持っております廃棄物の管理あるいは施設の廃止措置、そういう原子力に関する債務でございますね、そういうものを移管して国の責任下に置いて、そしてこのBNFLを民営化させるということを表明しております。
 これは、まさにバックエンド事業に関します超長期性とか不確定性に起因いたします事業リスクを国が担保いたしまして、そして再処理事業自身は民間の活力を生かして効率的に進めようとするものであるというふうに理解をしている次第でございます。
 こういった例は、これは英国の例でございますけれども、一方、ヨーロッパにおきましては、御承知のようにドイツやベルギーのように脱原子力のところ、一方、フランスやフィンランドは原子力を推進する政策をやる。一方、国の方もそれに対して関与するという政策をとっていると理解をしております。
 次に、自由化が行われました段階で、政府と民間との役割分担ということに関して我々がもし考えていることがあれば述べよという御意見でございました。
 本件につきましては、最初に私、意見陳述のときに申しましたけれども、バックエンド事業というのは本当に超長期の問題でございまして、そして、そうなりますと政策上の不確定性がどうしても生じてまいります。さらには、現在再処理に付随しまして生じます廃棄物の処分に関しまして十分制度が整備されていないものがございます。そういうものに関しまして、政府と民間の役割分担をぜひ明確にしてほしいという希望を持っておりますが、本件につきましても、この十六年末までに検討されます審議会といいますか、こういう検討の場で十分御審議をいただいて適切な措置をしていただきたいというふうに考える次第でございます。
 以上でございます。
河上委員 ありがとうございました。
 合田参考人に、二点お尋ねをいたしたいと思います。
 一点は、自由化の範囲の拡大に伴いまして、需要家の価格交渉力や保安管理能力につきまして不安を感ずるところがございます。また、ガス事業者と需要家の保安の責任区分のあり方というものについてどのようにお考えか、これが一点です。
 それからもう一点は、ガス業界は電力業界に比べまして、一般ガス事業者のうち九三%が中小企業で構成されていらっしゃる。しかし、ガス事業はこれまで電気事業と同様、公益事業規制がかけられてまいりました。そこで、自由化を進めるに当たりまして、圧倒的に中小企業が多いガス業界に対しまして、中小企業対策の視点も重要と考えますが、その点につきましての御所見、この二点をお願いいたします。
合田参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の、自由化の範囲の拡大に伴って価格交渉力なり保安管理能力が非常に重要であるという点、私どもも全く同感でございます。
 具体的な例を申し上げますと、価格交渉力の点に関しましては、一般的な約款のほかに、ガス事業者がガスの利用条件に応じて用意をしております選択約款というのがございます。どちらかといえば大口の需要家さんに対して適用できるわけでございますが、これができるかどうかというのが一つの大きな判断基準になると思っております。
 と申しますのは、選択約款を利用できる需要家というのは、みずからエネルギーを利用、管理できる能力あるいは他のエネルギーと代替できる能力を持っておるという需要家でございますから、そういう意味において、選択約款を御利用なさる需要家さんというのは、そういうエネルギー選択力がある需要家とみなしていいと思うんです。今回、平成十六年度から自由化予定になっております年間五十万立米以上の需要家は、この選択約款の利用率が九九・七%、ほぼ一〇〇%に近いわけでございますから、そういう点では心配はないかなと思っております。
 対照的に、十万立米未満のいわゆる小規模な需要家は、この選択約款の利用率がわずか七・八%でございますから、この差は歴然といたしております。
 それから、二番目にお尋ねの保安管理能力でございますが、これは、五十万立米以上の需要家というのは大規模な工場が大半でございますので、消防法による防火管理者であるとか、労働安全法上の安全管理者あるいはボイラー取扱作業主任者とか、いわゆる保安のプロフェッショナルがいたり、あるいは保安のための専門組織があるというところが大半でございます。
 しかるに、十万立米未満のところでは、そういう専門家もおられないし、組織もまだまだ未熟であるというところでございます。
 それから、保安責任区分につきましては、これはやはりポイントは、需要家保安の水準を高める、あるいは維持をしていく点で、どういう体制が必要であるかということでございます。
 我が国の場合には、できるだけガス事故を少なくするために、上流の導管ネットワークから下流の需要家資産であります敷地内のガス導管、我々は内管と言っておりますが、内管までいわゆるガス工作物として法律上定義をいたしまして、ガス事業者がその責任を負うという形になっておりますし、かつ、需要家資産でありますところのガスの消費機器に関しても、ガス事業者が資産区分を超えて調査をしなくてはいけないという義務が課せられておりますので、先ほど欧米と日本の比較の数字を示させていただきましたが、日本の制度がこのまま堅持されることが望ましいと思っております。
 それから、二番目の大きな問題でございます中小企業につきましては、確かに物すごいといいますか、九三%ないし四%の中小企業のウエートはあるわけでございまして、それに対しましては、今回、大口供給の許可制が廃止をされたり、あるいは、卸託送制度の創設に伴いまして卸規制の廃止が行われております。大口供給制度につきましては、中小及び、中小といいますか、中小ガス事業のお客様である小口需要家に悪影響が及ぶような場合には変更命令が出せるような制度になっておりますし、卸の問題につきましては、原料の調達先が多様化するまでの間の経過措置として、現在の契約を、卸契約については三年間有効といたしますといういわゆる経過措置が用意をされておりますので、その面での手当てが行われておると考えております。
 それから、中小企業全般の経営力の強化につきましては、これは、ガス協会の方で今いろいろな対策を用意して、今年度から実施をさせていただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
河上委員 ありがとうございました。
 鶴田参考人に一点だけ、お尋ねをいたしたいと思います。
 自由化範囲の拡大による価格などの競争拡大に伴いまして、発電単価の高い自然エネルギー、これを利用しました発電所や長期の建設期間を要します発電所、費用のかかる発電所が敬遠されまして、発電コストや建設期間の面で有利な化石燃料による発電所建設にシフトするおそれはないだろうかという危惧を持っております。
 十万キロワット以下の発電建設には環境アセスは不要と聞いておりますが、環境対策とのかかわりの中で電源構成というものはどのようにあるべきとお考えになられるか、この一点、お願いいたします。
鶴田参考人 風力発電等々自然エネルギーに関しましては、今般、RPS制度が発足いたしました。その中で自然エネルギーの発電を促進していこうという考え方になったと思うんですが、その場合に、RPS制度というのは、事業者にある一定の購入枠を与えて、そしてこの普及を促進しようというふうになっていると思います。
 ただ、自然エネルギーにつきましては、ヨーロッパではかなり大きな比重を占めつつありますけれども、日本の場合にどの程度のウエートを持つかということは未知数でございますが、やはりなかなか大きなシェアを占めにくいだろうというふうに私は思います。したがいまして、当面、環境対策という点から見て、私は原子力というものを軽視できないだろうと思っております。
 と申しますのは、化石燃料は、御存じのように、CO2の排気量が多うございますから、環境対策という面から見たら、原子力を正確に我が国の中に位置づけなきゃいかぬなというふうに思っています。
 原子力の問題というのは、短期、短中期あるいは長期、超長期の問題がございますけれども、私が日ごろ思っておりますのは、原子力は安全だということがよく言われますけれども、鉱業生産物でございますから、やはり何がしかの確率でリスクがあるだろうと私は思います。したがいまして、これから原子力が正常化するためには、そのことを前提として幾つかの点を考えなければいけないなというふうに思っています。
 一つは、政府のガバナンスです。
 原子力が何%かのリスクを負うとするならば、やはり安全基準なり検査基準等をきっちりつくって、それで絶えずモニターしていくという仕事が重要であろうと思います。
 それから二番目は、電力会社さん内部におけるコーポレートガバナンスでございます。
 今回の東電さんを見ましても、原子力発電は聖域化していたと思うんですね。やはり社内の中におきましても、安全管理というものに社全体で取り組めるような、そういうガバナンスをきっちりしなければいけないなということだと思います。
 三番目は、一番大事ですけれども、情報公開をしなければいけないと思っています。
 特に地域住民も含めまして、私たちが十分な情報を持っているかというと、必ずしもそうじゃございませんし、政府がきっちりしたガバナンスを遂行する過程で正確な情報を提供していくことが大事だろうと思います。
 特にバックエンドの問題を考えますと、どのくらいのコストがかかるのかということがよくわかりません。したがって、最終的に負担するのは消費者でございますから、きっちりとした情報を公開して、その情報を共有しながら、環境対策も踏まえて原子力を正当に位置づけていくことが、日本にとって必要じゃないかなというふうに思っております。
河上委員 もう時間がございませんで、全部の方に御意見を聞けないのが残念でございますが、最後に一点だけ、森参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
 今般の改正に伴いまして、新規参入が促進されるとお考えになるか。また、将来、燃料電池の技術開発が進みまして家庭用燃料電池が手ごろな価格で普及するようになった場合、新規参入者としてはどのように電力構造が変化するとお考えか、この点についてお尋ねをいたします。
森参考人 お答えさせていただきます。
 今回の法改正によりまして、事業の領域が広がりますことによりまして新規参入はふえていくというように考えます。ただ、そのときの条件というのが、競争環境が適正に整備されていくということが必要であるというように思っております。
 それから、燃料電池の御質問がございましたが、燃料電池等いわゆる分散型電源がふえていくということにつきましては、燃料電池そのものの価格の問題がございますが、今のネットワークにどういう形で適合していくかというようなことを踏まえながら考えていかなければいけない課題だというように思いますので、燃料電池が入るからすぐにふえていくというのかどうかということは、なかなか難しい問題だというように思います。
 以上でございます。
河上委員 終わります。ありがとうございました。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 自由党の土田でございます。
 参考人の皆さんには、大変お忙しい中をお時間をいただきまして、ありがとうございました。
 まず最初に、鶴田教授にお伺いしたいんですが、アンバンドルの問題なんです、アンバンドリング。先ほど藤参考人からの御答弁で、安定供給上問題があるのではないかというような御答弁だったと思うんですが、専門家のお立場としまして、今回政府は分離をやらないんだという方針を立てているんですけれども、総合的にひとつ御意見をお尋ねしたいと思います。
鶴田参考人 アンバンドルというのはいろいろなレベルがあると思うんです。
 例えば、一つは、電力会社さんが持ち株会社をつくって、その下に例えば発電部門とか送電部門とかと別会社化をしていく、これも一つのアンバンドルだと思います。二番目は、アメリカでよくありますように、送電線は、所有は、財産としては電力会社のものだけれども、機能だけを分離してしまう、いわゆるISOであります。そういう機能を持たせるやり方があります。三番目は、完全に所有も分離してしまう、イギリスがやったようなタイプがあると思うんですね。
 そのいずれかでございますけれども、私は、今度の電気事業改革におきまして、最低限持ち株会社ができて、その中でいろいろな部門がぶら下がるという形をとれば将来に向かって一つの大きな前進かなと思っておりましたが、一貫体制でございますものですから、いろいろな問題が発生するんだということであります。
 したがって、少なくとも我が国で採用したら望ましいと思うのはISOでございまして、いわゆる機能だけを分離して、そこで系統管理なりあるいは系統へのアクセスをきっちりと保証していくというやり方が適切だろうと思います。
 ただ、ISOにとどまらず、最近のアメリカでは、RTO、つまり送電設備計画の義務を負う、リージョナル・トランスミッション・オーガナイゼーションと言っておりますけれども、そういうものを広域的な電力管理の仕組みとして導入するというやり方も十分あり得るだろうと思います。
 したがいまして、垂直一貫体制が一番望ましいんだということをよく言われますけれども、先ほど申しましたけれども、それを維持するためには、会計分離とかあるいは情報遮断だとかあるいは差別取引の禁止だとか、そういう実効を担保するためには法律の中に規制権限を役所に与えなきゃいけないわけですね。したがって、やや無理がある仕組みじゃないか。
 自由化の中で、やはり送電線というのは社会的インフラでございますから、だれでもが公正にアクセスできるような、それから託送料金なんかでも公正なものが形成されるような、そういう仕組みを導入しておくことが必要だろうと思うんですね。
 設備投資に関しましては、RTOのようなものをきっちりと位置づけて、その中で設備投資計画をそこで作成していく、それに従って各電力会社が投資をするというようなことは考えられると思います。
 お尋ねの件は電力に集中したと思いますけれども、ガスでも同じようにアンバンドルの発想はあると思います。それは、今般、強制的なアンバンドルは入っておりませんけれども、東京ガスさんと大阪ガスさんがみずからの意思によって経営の内部において事実上のアンバンドルをされたんですね。そういう意味では、自発的なアンバンドルが既にガス産業では起こっておりますから、将来の形で、電力産業さんでもそういうことを御検討いただいたら望ましいのではないかなというふうに私は思っております。
土田委員 次に、藤参考人にお尋ねしたいと思いますが、今回の電気事業制度の改革については、電力の自由化と並行して、エネルギーセキュリティーの確保や環境問題への対応といった公益的な課題を達成することが重要である、あるいは必要であると私は考えているんですけれども、そこで、こういった公益的な課題に対する電気事業者としての取り組み方、これについてはどういうふうになされておりますか。
藤参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、公益的課題、私どもは、エネルギーセキュリティーの確保、それから環境保全、ユニバーサルサービスの確保、さらに供給信頼度の確保が公益的課題だと認識しておりますが、この両立が基本であるということを強く認識しております。この理念は今回の制度改革においても同じでございますけれども、今後とも大変大事にしなくてはならない考えではないかというふうに思います。
 具体的に申しますと、私ども一般電気事業者といたしましては、まずエネルギーの安定供給の確保、それから環境への適合というその観点から、原子力発電及び原子燃料サイクルの推進に積極的に取り組んでまいりまして今日に至っておりますけれども、今後とも原子力発電及び原子燃料サイクルの推進の必要性は不変であると考えます。エネルギー政策の基軸でございます。
 電気事業者といたしましても、安全確保、これが大前提でございますが、これを大前提にして、引き続き原子力推進に最大限の努力を行っていく所存でございます。そのためには、申し上げましたように、民間の事業リスクを勘案しながら、官民の役割分担を見直して、広く薄く、適切なコスト回収を図るような仕組みが必要であるというふうに考えておる次第でございます。
 このほか、環境対策の面で申しますと、今原子力に関する環境という意味ではCO2の問題に限って申しましたが、そのほか、発電に伴いますNOxそれからSOx、硫化物あるいは窒素酸化物などの大気汚染物質の排出を抑制するために、発電効率の向上とか、それからLNG火力を導入するといったさまざまな施策に取り組んでまいりました。また、CO2の排出規制につきましても、原子力以外に自然エネルギー発電の促進、そちらからの電気の買い取り、それから、自然エネルギーを促進するためにグリーン電力基金というようなものがあるんですが、これで一般からの寄附あるいは電力からの寄附をそういう自然エネルギーの開発に振り向ける、こういうこともやってまいったような次第でございます。
 なお、ユニバーサルサービスにつきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、例えば、離島におきます供給コストの割高な地域にも今はそういう制度をやっているわけでございますが、今後自由化が拡大してまいりまして、そして離島等におきまして、当面はこれまでどおりやってまいりますけれども、将来は今後の検討が必要だろう。当面、今回の法律の改正のもとでは離島に対してもユニバーサルサービスを提供してまいる、こういう所存でございます。
 以上で回答を終わらせていただきます。
土田委員 次に、藤参考人と合田参考人のお二方にそれぞれお尋ねをしたいと思うんですが、今回の電気・ガス事業制度の改革によって、電気事業とガス事業の垣根がより低くなってくるんじゃないかと思うわけですね。現在でも、大阪戦争ですとか、そういった報道のされ方をしているわけでございますけれども、今後、業界の枠組みを超えた新たな競争関係、あるいは新たな提携関係が生まれるのではないかという感じもするんです。
 そこで、本音はなかなか言いにくいかもしれませんが、今後の展望について、藤参考人と合田参考人に、それぞれどのようにお考えになっているか、その点をお尋ねしたいと思います。
合田参考人 本音は非常に難しいだろうという先生の御指摘でございまして、前段おっしゃいましたように、今回の垣根が低くなることによって、確かに業界の垣根は低くなっております。
 それで、私どもは、どこまで提携なり競争、競争はもう明らかに激しくなっております。我々は電力さんと比べますと、事業規模で横綱と前頭か十両ぐらいの開きがあると思っております。と申しますのは、電力さんの場合は、御案内のとおり、天然ガスという玉を持っておられるし、LNG基地という基地も持っておられるし、導管も持っておられるという関係から、競争という面からいえば非常に強大な競争相手であるなというふうに思っております。
 したがいまして、競争はますます厳しくなりますし、現に自由化された分野への新規参入の割合も、私どものところは平成十四年度末で四・六%ですか、五%近くなりますけれども、電力さんの新しい数字はたしか〇・七、八%だと思っております。垣根の高いか低いかというのは、ちょっと言い方は難しいと思いますけれども、そういう点で、競争はよりガス市場において厳しく行われておるだろうというのが現状だろうと思っております。
 その中で提携がどう進むかというのは、ちょっと私に聞かれても非常に困ってしまいまして、多分、それは隠密裏に、いろいろなストラテジーを頭に置きながら、利害得失を考えながら進めていかれるだろうと思っております。
 なかなか難しい御質問で、これ以上ちょっとお答えはできないということでございます。
藤参考人 お答えいたします。
 私どもは、安定供給確保を前提といたしました競争原理、これの導入によります電気・ガス料金の低下、それからサービス水準の向上、これを通じまして、お客様の利益、ひいては我が国全体の利益の増進を図ることが今回の制度改革の目的だ、このように考えておる次第でございます。
 この制度改革に伴いまして、電気とガス事業というだけの垣根ではなくて、他産業との垣根も本当に低くなってくるわけでございますので、各事業者が持っている経営資源を最大限活用いたしまして、そして競争が行われるということになりますので、ますますこれは活発化するであろうというふうに考える次第でございます。
 さて、御質問の、今後の競争関係とかそれから提携関係といった展望という問題につきましては、各事業者が御判断になるということにならざるを得ないわけで、私ちょっと、直接申し上げる立場にないわけでございますけれども、全市場参加者にとりまして公平な競争環境のもとでお互いに切磋琢磨してお客様利益の増進を図る、この制度改革の基本理念を実現化するというために、私どもとしては最大限取り組む所存でございます。
 なお、ちょっとお言葉に大阪戦争とございましたのでございますけれども、私ちょっと、きょうは電気事業連合会の会長として参っておりますが、私は関西電力の社長もしておりますので、関西電力として申し上げますと、従来から大阪ガスさんとは、私ども、競争すべき分野では正々堂々と競争しようと。一方、やはり協調する部分では可能な分野で協調していって、もしそれがお客様利益の増進につながるなら、これは協調していこうと。競争と協調ということで、今後も切磋琢磨していくということにしておることでございまして、そのようなことでやっていきたいと思っておりますので、御理解を賜りたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
土田委員 次に、森参考人にお尋ねをしたいと思います。
 今回の電気事業制度の改革で、送配電部門の公平性及び透明性を確保するために、電力会社の送配電部門について会計分離などを義務づけるということになっているわけですが、送配電部門の制度改革について、今後の課題などがあれば御意見を承りたいと思うんですが。
森参考人 冒頭の意見を申し上げさせていただきましたときに、送配電部門は独占でありますので、できますれば構造分離あるいは分離相当の規制をかけていただきたいということを分科会で申し上げてきましたが、今回の制度改革案では、今御案内の行為規制を担保してやっていこうという形になったわけでございます。
 私どもは、この行為規制をきちんと担保していただくということを今後の詳細設計に織り込んでいただいて、適正な競争環境を整備していただくということをお願いしたいということでございます。
 以上でございます。
土田委員 では、次に、合田参考人にお尋ねしたいと思います。
 現在、我が国が海外からLNGを輸入する事業主体は、ほとんど電力会社とガス会社である。電力会社が七割で、ガス会社が大体三割を占めているわけでございます。今回、この自由化範囲が拡大されるわけですが、エネルギーセキュリティー上、何か懸念される問題が生じないかどうか、これについてはどう考えておられますか。
合田参考人 まさに先生が御指摘のとおりでございまして、急激に自由化が進んでまいりますと、ガス会社としては大口の範囲が広がるわけでございますから、その分、他の競争相手にお客様をとられてしまうという可能性があるわけでございまして、そういう意味では、将来の需要見通しを見据えるときの困難性、不確実性というのは非常に増大をいたします。
 したがいまして、私どもは、段階的自由化ということをかねてから主張いたしておりまして、そういう点で、特に我が国は三%しか国産の天然ガスがございません、九七%を海外から輸入しなくてはならないわけでございますから、そういうエネルギー供給構造の脆弱性を考えますと、自由化のテンポに関しましては、非常に慎重な御検討の上で進めていくことが必要であるというふうに認識をいたしております。
 以上でございます。
土田委員 最後に、中原参考人にお尋ねをしたいと思います。
 今話が何回も出ておりましたけれども、燃料電池の開発でございますが、最近非常に注目をされているわけですけれども、液化石油ガスの利用を促進するためのLPガス業界としての取り組み、これについてはどういうふうに考えておられますか。
中原参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来出ていますように、燃料電池そのものが、計画はございますが、どのぐらいの時期に、どのぐらいの価格でいわゆる普及レベルになるかというのは、私にもなかなかわからないわけでございます。
 いずれにしても、分散型というのが一つのキーワードになってございます。特に、先ほどからるる申し上げていますように、LPガスというのは、もとより分散性にすぐれているといいますか、そういう性格を持っておりますので、逆に先ほどから導管網あるいはネットワークシステムの構築ということが言われていますが、私どもは、燃料電池あるいはガスタービンという新しいシステムをとらえて、全国に供給できるという利点を生かしてやっていきたいというのが業界全体の悲願でございます。
 具体的には、今、燐酸型ではLPガスを使った燃料電池が既に国内の病院で使用されているという実績もございます。私どものエルピーガス振興センターで研究もしていただいておりまして、今言った大型に加えまして、小型の一キロワット級のものの改質装置については、LPガスから水素を取り出す改質について今研究を進めているところでございます。
 私どもとしては、分散型のエネルギーという特性にマッチする新しい機器の開発を願っているところでございます。よろしくお願いします。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、お忙しい中お時間をお割きいただき、貴重な御意見、本当にありがとうございます。
 私は、最初に、ガスの問題から質問させていただきます。
 合田参考人にお聞きいたしますが、ガス市場整備基本問題研究会の第三回の会合の際に、合田参考人の方からお出しになられた「制度設計に当たっての基本的考え方について」、これを拝見しておりました際に、トータルとしての消費者利益の増大と消費者保護の問題についてここでコメントされておられます。
 この内容についてお聞きしたいと思うんですが、ここでは、産業用等の需要家と異なり、家庭用需要家等はガス供給者に対する価格交渉力が弱い、そのために法的配慮が必要だと。これはどのようなことをお考えでおられるのか、これが一点。
 二点目に、その後に続いて、アメリカのジョージア州アトランタ・ガス・ライト社管内で発生した、マーケッター参入による誤検針、料金誤計算、誤請求等という需要家との間に発生したトラブル、これがどんな問題だったのか、日本にとってどのような懸念につながるのか、その点をぜひお聞かせください。
合田参考人 お答え申し上げます。
 一番目の、価格交渉力が小口の需要家にとってないだろうというのは、エネルギーに対する設備なりあるいは専門的知識というのは、工場などのエネルギーのプロのいるところと比べますと、これはやはり相対的に劣るであろうということが一つでございます。
 したがいまして、そのための体制整備というのは、そこのところは今、規制ということで、供給区域を設定して料金を規制して、供給義務を課しながら需要家の利益を実現しているというのが伝統的なスキームでございますので、そこは維持すべきではないか。つまり、家庭用及び小規模な業務用の需要家については、自由化というのは外国の例を申し上げてもかなり失敗をしておりますから、その点の配慮が必要であるということを申し上げたわけでございます。
 今御指摘になりましたアトランタ・ガスの自由化に伴う混乱でございますが、たしか、第三回のプロポーザルを行いましたのは一昨年の三月だと思っておりますけれども、あれ以降いろいろな情報も入ってまいりまして、例えばそのほかにも、非常に簡単にニューカマーが、アトランタ・ガス・ライトの供給区域に入ってきた新規参入者が、供給停止をかなり行っております。あれ以来、自由化をされて以来三回冬を迎えているわけですけれども、二〇〇〇年から二〇〇一年、二〇〇一年から二年、二〇〇二年からことしと、その三回の冬の間に、私の記憶ですが、大体五万件から三万五千件ぐらいの供給停止が行われておりまして、先ほど来御議論いただいておりますところのいわゆる最終供給保障というのが制度として機能していないんではないかというような問題が指摘をされております。
 それから、その後またわかった事例でございますけれども、調査をやりまして、アトランタ市には百四十万の需要家がおるわけでございますけれども、その六五%が今回の自由化というのは失敗であったというようなアンケート調査も出されております。
 当時はそういうことは知りませんでしたけれども、先ほど先生が引用されました誤検針であるとか供給停止。供給停止はあのとき申し上げたかどうか。それからもう一つは、需要家が知らない間にガス会社が、供給者がかわってしまっておるというような、英語ではスラミングという言葉があるんだそうでございますけれども、そういうような現象もありまして、アトランタ地区における苦情の件数も、自由化以前と比べますと、年間四百件ぐらいであったものがたしか四十倍ぐらいに激増しているというような事実も、その後わかってきた事実でございます。
 以上でございます。
塩川(鉄)委員 ありがとうございます。
 続いて、中原参考人にお伺いいたします。
 先ほどの意見陳述の中で、エネルギーのベストミックスが需要家利益の増大につながるというお話をいただきました。その際に、危機管理型ということで、阪神大震災の際のLPGの役割の話をされましたけれども、あわせて、社会資本整備の観点から、ネットワーク型と分散供給型のベストミックスを図ることが重要だということを述べられたというふうにお聞きしています。
 その点では、私のイメージとすると、例えば下水処理などに当たって、公共下水道がある、同時に地方におきましては合併浄化槽などでやるような、何かそういった形で、社会資本整備としての効率化を図るという角度からの御説明なのかな。そういう点で少しお話しいただきたいと思うことと、こういう観点での議論というのはこれまでどのようになされてきたのか、されてこなかったのか、その点をぜひお伺いしたいと思います。
中原参考人 お答えいたします。
 今先生がおっしゃるように下水道に例えますと、全国津々浦々、社会資本が整備されるという意味では当然あるべき考えの一つだと思いますし、私は、先ほども申し上げましたように、ネットワーク型、導管とか送電網によるいわゆるネットワークを形成するというものは、ユニバーサルサービスということを考えたときには当然起こると思います。
 ただ、例えがよろしいかどうかわかりませんが、これから我が国の将来を考えたときに、例えれば高速道路ではないかと私は思いますが、この高速道路も、十年、二十年前とは社会の情勢の変化によって、最近は大変この見方が変わってきているわけでございます。そういう意味で、私は、日本の人口が二〇〇六年から減るというようなことも踏まえて、社会情勢が変化したときに、まさしく高速道路のように巨大な投資というのが残る可能性がなきにしもあらず、片一方で、もちろんユニバーサルサービスは必要だと私は思っておりますが、そういった意味でのベストミックスという視点も将来的には必要ではないかという意味で申し上げたわけでございます。
塩川(鉄)委員 続けて、森参考人にお聞きいたします。
 雑誌のインタビューなどでも森参考人の御意見を拝見した際に、新規参入者が勝負できるのは業務用電力のみだというお話がありまして、電力会社の産業用電力は、業務用に比べても料金設定がそもそも低い。この間、大きく引き下げられてもいるわけです。
 そういう中で、高い託送料が大きな障害となっているという話をきょうの意見陳述でもお伺いしたわけですが、その高い託送料の問題とあわせてそれ以外にも、こういった産業用電力での勝負がなかなか難しいと言われるような障害、障壁というのはあるものなのかどうなのか、御参考までにぜひお聞かせください。
森参考人 お答えさせていただきます。
 今、自由化領域は特別高圧の領域、全体でいきますと約三割弱の領域が自由化になってございます。当然、その領域の中で業務用と産業用があるわけですけれども、どちらにも参入できればそれにこしたことはないのでございますが、いろいろな事情、実態がございまして、なかなか産業用には参入しにくいという実態がございます。
 それを簡単にちょっと御説明させていただきたいと思いますけれども、安いベース電源を調達できなければ、産業用への参入というのは難しい状況でございます。現状はそのような安いベース電源を確保するということがなかなか困難でございまして、この点、今後卸電力取引市場ができるということでありますので、できればそういったところから調達できることを期待しているわけでございます。
 小売料金を見てみますと、業務用より産業用の方が安く設定されておりまして、一方、託送料金を見てみますと、業務用、産業用とも同じ料金体系でございます。販売価格に占める託送料金の割合というのは、業務用の方が相対的に小さくなるわけでございます。よって、産業用に比べて業務用の方が参入しやすい環境にあるということが言えるわけです。
 PPS、私どもが業務用にしか参入しないというよりは、産業用に参入したくても実質的には参入できない状況であるということを御理解いただきたいというように思います。
 以上でございます。
塩川(鉄)委員 ありがとうございます。
 鶴田参考人にお伺いいたします。
 いわゆるパンケーキと言われます振りかえ供給料金の廃止のことですけれども、この振りかえ供給料金の廃止が全国市場の形成を促すものにつながる、これは新規の参入も促進することにはなるわけですが、鶴田参考人のいろいろな雑誌や新聞でのインタビューなどを拝見して読みました際に、新規参入も促進するけれども、特に電力会社間の競争を活発化させる効果が期待できるのではないかと。
 そういう点について、少し御説明をいただければと思っております。
鶴田参考人 前回の自由化から三年近くたちましたけれども、大口をめぐって、特高、特別高圧ですけれども、地域間の電力会社間競争は全く起こっていなかったわけであります。一つ、東京電力さんが東北電力管内で応札したというケースがございますけれども、落札はできなかった。事実上の電力会社間の競争は起こっていなかったわけです。いろいろな要素がございますけれども、そのうちの一つが、私は、いわゆるパンケーキと言われる振りかえ料金制度だろうと思っています。
 このパンケーキというのは、電力会社の供給地域がございますけれども、それを一つ経過するごとに約三十銭ずつ託送料金に上積みされてくるわけですね。極端な話、九州の九州電力さんが例えば東京に、ある需要家に電力を送ろうとした場合に、必ずしも全部宅配便みたいに九州から送られるわけじゃございませんけれども、順送り、こま送りになっていくんだと思いますが、そうしますと、四つか五つぐらいの供給地域を通りますと、それだけで一円幾ら託送料が上がってしまう。
 したがいまして、電力産業における競争を活発化する意味では、私は、振りかえ供給料金制度をやめてしまって、そして全国画一の託送料金で競争できるようにした方がいいのではないかなというふうに思っているわけであります。
 ただ、その場合に、供給地域ごとによって、あるところの託送料金が下がってあるところの託送料金が上がるということも考えられます。したがって、それを全国的に平準化するような仕組みを考えなければいけないと思いますけれども、いずれにしても、パンケーキを解消することによって電力企業さん同士の競争が活発化することは間違いないわけであって、それがある意味で需要家にとって非常に大きな利益になるだろうというふうに思います。
 したがいまして、電力の自由化というのは、新規参入業者によって競争が活発化するだけではなくて、やはり電力企業さん同士で競争を行って、それがいい成果を需要家さんに与えるんじゃないかというふうに私は思っております。
塩川(鉄)委員 ありがとうございます。
 藤参考人にお伺いいたします。
 今、東電の一連の不祥事を機に、停電の問題というのが社会的にもいろいろと話題になっているところです。そこで、家庭などの電気の使用の実態などについても関心が寄せられているところですけれども、先日、生協の総合研究所の調査報告というのが新聞でも紹介されましたし、私も取り寄せて勉強させていただきましたら、一日の電力の需要曲線が、一般的にというか、電力全体でいえば午後の二時、三時ぐらいがピークと言われているのが、実際には、家庭では朝七時ぐらいに少し小さなピークがあって、昼はずうっと下がって、家庭のピークそのものが夜の六時から十時ぐらいになっている。
 ですから、よく言われている夏の電力ピークというのが、一般家庭のせいではないんだということが生協の総合研究所の報告などでも出ているんですが、それはやはり実態としてそういうふうに考えてよろしいものなんでしょうか。
藤参考人 お答え申し上げます。
 今お話のございました、家庭用のピークは全体のピークである午後三時ごろにあるわけでないので、そしてその時点では、一般家庭は午後三時のピークに寄与する率が低いということはそのとおりでございます。
 今のお話、全くしていないというお話じゃございませんで、昼間もお使いになっている部分はございますけれども、御家庭のピークが夜の時間帯、夕方の時間帯にあって、昼の三時には一般的にない、これは事実でございますので、最後におっしゃいました、夏の電力ピークに寄与する割合は御家庭が使われる一番高い電力に比べると低い、そういう意味ではそのとおりでございます。
塩川(鉄)委員 よく夏の最大ピーク電力について、今まで、全国の家庭でエアコンをつけて高校野球を見ている、そのときが電力のピークだと言われていたんですが、それがそもそもどういうところから話があったのかもちょっと今にしてみるとよくわからないんですけれども。
 要するに、夏の電力ピークのときが一般家庭が御家庭でエアコンをかけながら高校野球を見ている、そういうことは事実と違うということでよろしいわけですね。
藤参考人 お答えいたします。
 申し上げましたように、午後三時ごろには一般産業用、事務所含めまして一番ピークが出ているということでございますよね。それで、高校野球があるときとないときでこの上に乗ってくる家庭用の量が違ってくるということですよね。高校野球がございませんときには、今言われましたように、クーラーをつけてテレビをごらんになる御家庭というのは極めて少ない。高校野球がございまして名勝負がございますと、どうしてもそういう御家庭が多くなって、もともとあるピークに乗ってくる割合が大きくて合計はふえる、そういう意味でございます。
塩川(鉄)委員 家でテレビを見ているときには会社は休みなものですから、電力のピークというのが、昼間の午後三時がピークになるのは、やはり産業用、業務用が中心だということはそういうことでよろしいわけですよね。
藤参考人 お答えいたします。
 おっしゃいますのが、合計のピークの中で割合を占めているのが、それがいわゆる産業用だとか事務所だとかいうのが全体に占める割合の中で高いか低いかという問題は、ちょっと申し上げますと、それは社会全体で考えますとおっしゃるとおりだと思うんですね。
 それはあくまで、家庭用全体の量、業務用全体の量、それから産業用全体の量、それはそれぞれピークは出る時点が違いますから、そのピークにそれぞれ対応する量としては、家庭用もそれなりのピークに対する寄与はあるということでございますので。
 しかし、この合計のピークの中で、家庭用の部分、業務用の部分、あるいは産業用の部分というふうにとってまいりましたら、一般的に、全体ではこの後者の二つの方が多いということは事実でございます。
塩川(鉄)委員 そのことは、改めてよくわかりました。
 ですから、やはり、節電の努力の問題について、一般家庭はもちろん当然努力をするわけですけれども、やはり、ピーク時の貢献度という点では産業用、業務用が大変大きいという点は、これはしっかり持って取り組みが大事だなと思っております。
 最後に一点、藤参考人にお伺いしたいのが、電力会社が競争の中での経営効率化を進めていく中で、率直に、現場で関連会社も含めた人員削減が大きく進んでいる、このことへの懸念の声というのをお聞きするわけです。職場の中でも、早期退職制度でノウハウを持った人材が職場を去っていくのは残念で、影響を心配している、こういう声をいただいておりまして、そういう点でも、阪神大震災のような大規模災害時の、いざというときの復旧活動に支障を来さないか、その辺は大変懸念するんですけれども、その辺をぜひお話しいただきたいと思っております。
藤参考人 お答えいたします。
 私どもは、競争を導入、競争激化に伴い、経営効率化を一生懸命進めてまいります。その中で、人員の配置につきましては、適材適所に人員を配置いたしまして、合計としての効率化を進めていきたい、このように考えております。
 その中で、大規模災害が生じたような場合の復旧、事故の復旧の際に必要なマンパワーにつきましては極力確保して、できるだけそういうことが生じにくいように努力していく所存でございます。
 以上で終わります。
塩川(鉄)委員 どうもありがとうございました。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 まず、藤参考人にお伺いいたします。
 自由化と原子力ということでございますけれども、今改正案につきましては、バックエンド事業については平成十六年度末までに経済的措置等具体的な制度、措置のあり方につきまして検討を行い、必要な措置を講ずるとしております。
 しかしながら、青森の六ケ所村の再処理工場におきましても貯蔵プールの水漏れ、漏水事故ですとか、関西電力におきましては使用済み核燃料をMOX燃料にするときのデータ不正事件とかありまして、「もんじゅ」の事件もありまして、MOX燃料になかなか移行できないということで、私どもとしては、原子力というものに対して、推進してほしくないという政党としての考え方を持っているわけでございます。
 そういう中で、国の総合資源エネルギー調査会では、発電単価が原子力というエネルギー源が五・九円と一番安いというふうに発表しているわけなんです。今後、その原子力発電も、稼働して三十年ぐらいたちまして、耐用年数ですとか、いろいろな問題があります。廃炉にしたときにも何百億、そして廃炉にしていく、放射能をなくすまでに何十年とかかるわけでございまして、そういう原子力を基軸にしたエネルギー政策も、バックエンドということも含めますと非常にコストの高いものになってくると思っております。
 そういう中で、完全自由化が近い将来行われるときに、国の原子力長期計画では、新たに原発も増設するとか、これは地球温暖化対策ということで、クリーンなエネルギーということでそういう方向を出しているわけでございますが、実際、本当のところ、事業者として、この原子力が本当に自由化の波の中で安い発電単価ということでやっていけるのかどうか、率直なお考えを、感想でも結構ですので聞かせていただきたいと思っております。
藤参考人 お答え申し上げます。
 冒頭、私、意見の陳述のところで申し上げましたように、我が国におきまして、我が国のエネルギーの自給率はわずかに四%であります。そのような我が国の実情に照らしまして、現在の国の基本方針でございます、原子力政策の基本方針を定めました原子力の長期計画、これにございますとおり、我が国におきます原子力発電及び原子燃料サイクル推進の必要性は不変であるというふうに考えており、今後ともエネルギーの供給の基軸になるだろうというふうに考えております。
 その中で、ただいま御質問にございました、原子力が自由化の中で安い電源としてやっていけるのかということでございますが、原子力は初期投資が大きく、バックエンドにもコストはかかります。しかし、非常に長期で安定運転をいたしまして、長期に運転ができましたら、これは経済的に十分やっていける電源であります。
 その中で、何度も申し上げますが、バックエンドにつきましては、これは極めて長期にわたるものでございますので、こちらのところにつきましては、将来の政策面に関する不確定な面が残ること、それから廃棄物の処分等に関します制度のうちで未整備なものがあるということから、長期的な事業推進に対するリスクは増大する。これに対しまして、民間の事業リスクを勘案しながら、官民の役割分担を見直して、広く薄く適切なコスト回収を図るような仕組みが必要であると考えておりまして、この件について、お言葉にございました、平成十六年末までにしかるべき場で本件についての検討が行われるものと理解をしております。
 以上でございます。
大島(令)委員 長期にわたるものであるから余り影響がないというようなことでございますけれども、そうしますと、今、民間でやっておりますが、官民の役割の官というものに対してどういうものを電気事業連合会としては求める方向になるんでしょうか。
藤参考人 お答え申し上げます。
 その官と民の役割分担につきましては、先ほども申し上げましたが、これから設置されます十六年の末までに検討されますその場で慎重に審議し、決定されるものと考えております。
大島(令)委員 では、森参考人にお尋ねいたします。
 今回の改正で、送配電部門の分離が実現しなかったわけでございます。新規参入事業者にとって、このことによって懸念される事態はどういうことがあるか、まず一点目、教えていただきたい。二点目に、その懸念されることがあれば、払拭するために政府や行政がやるべきことと既存の事業者がしてはいけないこと、どのようなことがあるのか、教えていただきたいと思います。
森参考人 御説明させていただきます。
 たびたび申し上げさせていただいていますが、送配電ネットワークは独占でありますということですので、その独占を維持するということになりましたので、今後はそのことを、行為規制を担保して、適正な競争環境を整備していくんだということになったわけでございます。そういうことで、私どもといたしましては、きちんとした行為規制を担保していただくということが基本的な条件であるということでございます。
 もう少し端的に申し上げますと、電力会社さんも私ども新規参入者も、同じネットワークをイコールフッティングの形で利用させていただくという形をつくり上げていただくことなんですね、原則として、考え方として。そういうことをしていただくための適正な競争環境条件を整備していただくということをぜひお願いしたいというように思っております。
 以上でございます。
大島(令)委員 もう一つ、森参考人にお伺いします。
 先週からこの審議が始まりましたけれども、カリフォルニアの電力危機の例が引き合いに出されております。森参考人は、この例をどのようにとらえているのか。政府としてはこの例を教訓に発送電分離を行わなかったことに対して、何か御意見とかがありましたら、教えていただきたいと思います。
森参考人 カリフォルニアの事故の件につきましては、制度設計上の問題があったというように私どもは理解しております。これを参考にいたしまして、今回の制度改正に盛り込んでいただくということをお願いしたいというように思っております。
 以上でございます。
大島(令)委員 では、藤参考人と森参考人、合田参考人、中原参考人に、同じ質問をさせていただきたいと思います。
 自由化によって、電気料金、ガス料金が安くなるという期待感があります。安くするためには、それぞれ努力が事業者によってなされると思いますが、例えば、その努力の中で、先ほども質問がありましたけれども、人員削減ということが出てきます。東京ガスは、原資確保に向けて、五カ年で従業員の一六%に当たる千七百人を削減する方針だと新聞でも報道されております。こういうことになりますと、会社自身の士気に影響するですとか、もちろん雇用問題は現下の経済状況から考えまして非常に大変な問題だと思うわけです。
 供給者と受給者のはざまに立って、働く人という視点がこの法律では担保されておりません。これらの問題を、例えばガス事業者などは中小のガス会社が多いわけですからいろいろな打撃を私は受けると思うんですが、そういう雇用面に対して、事業者側から今度の法改正に対して何か対策を講じるということがあれば、聞かせていただきたいと思います。
藤参考人 お答え申し上げます。
 今回の自由化でございますけれども、私ども電気事業者は、先ほども申しましたが、設備面とか業務運用面、経営全般におきます効率化努力、十分やっていくということで加速をしておりますけれども、一方、自由化は私どもにとっても新たなビジネスチャンスを切り開くものでございます。私どもも、ガス事業だとか電気通信事業だとか、あるいは海外でのエネルギー事業だとか、そういうものに積極的に取り組んでいるところでございます。
 今回の自由化が電気事業者の従業員数の増減にどんな影響を与えるかということを現時点で明確に申し上げることは大変難しゅうございますけれども、私どもは、地域社会に根づきました電力会社として、地域経済の発展に貢献し得るように、雇用面にも十分配慮しながら事業を運営してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 以上でございます。
森参考人 私どもは、新規参入者として、チャレンジャーという立場でございます。小よりスタートいたしまして、事業を拡大していく中で効率的な事業運営に努めていきたいというように考えております。
 以上でございます。
合田参考人 お答え申し上げます。
 ガス事業者は、先生おっしゃいましたように、ほかのエネルギーとの競争が大変厳しいものでございまして、従来から経営効率化に向けたさまざまな取り組みを継続的に行っておりまして、特に厳しいエネルギー間競合の中で、お客様から選択していただけるエネルギーであり続けるように努力を重ねてまいったところでございます。
 今後のガス事業の、ガスの需要動向でございますが、一昨年七月の長期エネルギー需給見通しに示されておりますように、一次エネルギーに占める割合は天然ガスの場合は高まる、一四%まで拡大するというふうに想定されておりますので、私どもガス事業者といたしましては、そういう天然ガスシフトの加速化に伴って増加する需要動向、これを一種のビジネスチャンスという表現になると思いますけれども、それを実現し、かつ雇用面にも配慮しながら、さらなる経営の効率化を図ってまいりたいと思っております。
 それからもう一つは、今回の制度改革によりまして新規参入がさらにガス業界に増加するという点もございまして、そういう面では雇用の受け皿になるというふうに考えております。
 特にガス業界の場合は、新エネルギー法で、天然ガスコージェネレーションと燃料電池と天然ガス自動車、これも需要サイドの新エネルギーとして法律で指定をされ、いろいろな助成対策も講ぜられておりますので、こういう新しいビジネスチャンスをできるだけ生かしてまいりたい。
 特に、先生が御質問になりました中小の場合にも、これからの新しいフロンティアでございますので、そういうチャンスを十分に生かせるように、ガス協会におきましてもいろいろな面で、二百二十九の会員事業者のうちの二百近く、二百以上が中小ガス事業でございますので、情報提供なり支援対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
中原参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、全体の雇用の中で、私どもの業界、小売に携わっておられる方が二万七千軒ということでございます。ただ、大変規模が小さいものでございますから、先ほども申し上げましたが、先生の御質問のように、自由化によって競争が激しくなるのは当然考えられることでございますが、先ほども回答いたしましたように、LPガス業界については、非常に物流の合理化というのがまだ手つかずといいますか、おくれている面がございます。ここを、基地の集約化と物流距離の短縮ということで、要は、雇用を維持しながらこれを乗り切っていくという前提で皆さん考えておられるわけでございます。
 ただ、先ほどもお話しましたように、ちょっと違う意味で、三人以下の小売業さんが全体の六割あるということで、世代交代がうまくいかない、平たく言うと後継者の方がおられないという形での廃業というのは出てくるんではないかと私は予想しております。
 ただ、全体の雇用については、あくまで合理化によって、雇用を減らさないように維持していこうという考えで皆さん動いておられるところでございます。
 以上でございます。
大島(令)委員 では、藤参考人にお伺いします。
 いろいろ新規参入ができるということになる、ですから、雇用面では大丈夫だというような感じで受け取りましたけれども、例えば、新規参入のところに今までと全く違った職種の人が対応できるのか。それとも、その人はその人の専門性がある人だから一たんやめてもらって、新規参入にたけている人をほかのところから採用するのか。そういう、一人の人にとって仕事が、業界全体としての移動は例えば少ないにしても、その人にとって、そこで一たん仕事が中断する、そしてまた違うところを探すということは大きな問題だと思いますので、考え方として、新規参入ということで雇用の場も拡大されるので、そういうことは大丈夫ではないかということですが、私は、一人の人の、労働者のリストラという面で、業界としてはどういうふうになっていくのか、ちょっと教えていただきたいなと思っております。
藤参考人 お答えいたします。
 全体の件につきましては、先ほど申し上げましたように、新しい部門において新しい雇用のチャンスもつくっていく、そういう受け皿をつくっていくということでございますが、一人一人の面につきましては、そのような一人一人の事情に十分配慮しながら、今後それぞれの対応をしていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
大島(令)委員 終わります。ありがとうございました。
村田委員長 金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。
 本日は、参考人の皆様、大変御苦労さまでございます。
 それでは、早速、鶴田参考人の方に御質問をさせていただきたいと思います。
 電力でございますが、基本的には、安定供給という点が最も基本的な、大切なことではないかというふうに思われるわけであります。そこででございますけれども、自由化の範囲というものは、これから範囲が拡大してくるということになってまいりますと、初期投資に非常にお金がかかる、あるいは、かかるだけに投資の回収期間も長くなるというような原子力あるいは水力の電源開発というようなものについて、電気事業者の方々は慎重にならざるを得ない。これは実際そうなっていく可能性は十分あるというふうに思われるわけでございますけれども、この長期的に安定した電源確保ということと自由化の促進、そのあたりを、基本的なところでどのような認識をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。
鶴田参考人 私は、自由化して設備投資が不十分にしかできないだろうという考え方に全く納得できないんです。
 というのは、私たちの日本経済を見ますと、自由な経済でございまして、すべての産業、公益事業を除きまして、自由な市場で競争している企業は、やはり将来は不確実でございますけれども、それぞれの立場で将来の需要を予測しながら、そしてみずからのリスクで投資を行っているわけです。したがいまして、私たちが製造業、物に関しまして過不足なく消費できる状態が起こっております。
 電力についてそれができない理由がどこにあるのだろうか。おっしゃるように、巨額の初期投資が要る原子力の部分というのはそれに該当するかもしれません。したがいまして、今回でも、原子力に関しましては、設備の稼働率をある一定に保つような制度も導入して、安定的に操業していただく。中長期的に考えますと、先ほども申し上げましたけれども、やはり原子力というのが我が国にとって非常に重要でございます。好き嫌いは別にして、やはり私たちの生活を維持していく上で、原子力を抜きにしては今の高い生活レベルは維持できないと思っておりますから、そのために適切な対応をしなければいけないと思っております。
 先ほど申し上げましたけれども、不幸にして、今まで原子力というのが国民の中にきっちり位置づいていなかったように思いますから、先ほど申しましたような、政府のガバナンスを強化するとか、あるいは民間企業の中のコーポレートガバナンスを強化するとか、さらに情報公開をするとかいうことを通して、原子力を日本社会の中にきっちりと埋め込む、そういう努力をしていけば、私は投資の不足という状態は起こらないだろうという気がいたします。
 ただ、設備投資に長期の時間を要するというのであるならば、それこそ官と民との役割分担がございますけれども、官の中で可能な限りローリングしていく必要がございますけれども、今予想される電力の需要はこうなりますよというような長期予測をきっちり立てて、それを情報公開しながら、電力会社のリスクで投資をしていただくという形をとるのが望ましいかなというふうに思っております。
金子(善)委員 ありがとうございました。
 それでは、藤参考人にお伺いしたいと思います。
 原子力発電でございますけれども、地球温暖化に伴います環境問題への対応、先ほども申し上げました安定したエネルギーの確保ということで、ますますその存在意義は高まってくるものだ、そうならざるを得ないというふうに私は認識をしているものでございますけれども、不幸にして、昨年来の原子力発電所の点検記録に関する不正事件等もございまして、国民の原子力発電に対する信頼というのは大きく失墜している状況にあると言わざるを得ないと思います。一方、京都議定書の目標値、これを達成するためにも、原子力発電所を計画的に整備していかなきゃならないという状況にあるわけでございます。
 そこで、先ほど鶴田先生にもお伺いしたわけでございますけれども、自由化と原子力発電の整合性、これは先ほど来から質問等も出ておりましたが、平成十六年末をめどに経済的措置等具体的な制度、措置のあり方を検討することとなっているようでございますけれども、現段階と申しますか、電力業界として、自由化と原子力発電との整合性について、どのような制度あるいは措置というものが必要であるとお考えになられているか、その辺についてお伺いしたいと思います。
藤参考人 お答え申し上げます。
 私ども、先生のお話にございましたように、原子力につきましては、環境問題、安定供給問題、こういうことから考えまして、当初私が申し上げましたように、我が国にとって、原子燃料サイクルを含めた原子力発電の推進、これが大変大事なことだというふうに考えております。
 その中で、昨年来の不正の問題に先生が触れられましたが、この問題については私ども業界としましても大変反省しておりまして、何とか国民の皆様方の信頼を回復できないかということで、電気事業連合会の中にも信頼回復委員会というものもつくりまして、その活動を通じまして、国民の皆様方の信頼を一日も早く回復したいという活動をしておるところでございます。
 その中で、京都議定書の目標を達成するためには、今後も原子力開発が必要となってくるわけでございまして、その中で、今回行われます自由化に関しまして、原子力との整合性につきまして、特にバックエンドにつきまして、このバックエンドというのが非常に長期間にわたるわけでございます。したがいまして、その長期間の中での政策面での問題。それからもう一つは、再処理をいたしますときに生じます廃棄物がございます。いわゆる高レベルの廃棄物でない廃棄物がございますが、その廃棄物のコスト回収という面につきまして、まだ制度が十分整備されておらないわけでございます。
 そういう面を含めまして、ぜひ十六年末までに、立ち上げていただく会議体、どんな委員会体、どんな会議体になるのか、ちょっと私どもまだ存じ上げておりませんけれども、その場で十分審議、十分熟慮されまして、うまく自由化と原子力が整合するような仕組みをぜひ皆さん方で考えていただきたいというふうに思う次第でございます。
 以上でございます。
金子(善)委員 ありがとうございました。
 それでは、続きまして森参考人にお伺いしたいと思います。
 今回の法改正は、基本的には電力、ガス供給に関しまして、需要家の選択肢を拡大するという側面がうたわれているわけでございますけれども、基本的に、新規事業の参入者の立場におかれまして、今回の法改正による悪影響と言うとちょっと言葉はあれでございますが、いわゆる自由化というような視点、あるいは需要家の選択肢を拡大するんだという観点から、何らか、もう少し、本来だったらこうあってよかったんではないかというような点がありましたらお伺いしたいと思います。
森参考人 お答えさせていただきます。
 くどいようですが、送配電部門が独占でありますということですので、電力会社さんも新規参入者も同じ条件で、イコールアクセスできるような、そういう形をつくり上げていただきたいというのが強い願望でございました。
 大きな理由といたしましては、やはり事業を進めていく上で、託送料金の透明化、低廉化につながっていくためには、そういうことがきちんとした形で競争環境整備をされていかないといけないというような考え方のもとに主張させていただいたんですが、そういうことでございます。
 それからもう一つは、もう一つ申し上げさせていただきたいと思うんですが、振りかえ料金が廃止されるということになりました。これは非常にありがたいことでございますが、そのことの方に頭がいきまして、域内の託送料金について、きちんとした取り組みをしていただくということをぜひお願いしておきたいというように思います。
 以上でございます。
金子(善)委員 ありがとうございました。
 そこで、藤参考人に改めてお伺いしたいと思いますが、ただいま森参考人の方からもお話ございましたこの送配電部門の分離論に関しまして、改めて御見解をお伺いしたいと思いますが、それと同時に、この送配電部門の公平性、透明性を確保するんだということが言われているわけでございますが、この点につきまして、どのような取り組みをなさるのか、基本的な考え方というところでお話を賜りたいと思います。
藤参考人 お答え申し上げます。
 発送電の分離をした場合には、発電、送電、小売の各部門が利益最大化を追求する結果、責任の所在があいまいになる、こういうことがあるわけでございまして、特に欧米に比べまして、日本におきましては非常に需要変動が大きいということで、今回、発送一貫体制というのが継続するということになったわけでございます。
 私どもは、まずは新規参入者さんとの公平な競争環境を確保するために、当然その公平性、透明性の確保が必要だということは十分認識しておりまして、これは平成十二年の三月に特別高圧が自由化されまして以来、私どもも、情報公開といった面につきましても、あるいは逆に情報遮断、つまり送電部門とそれから営業部門とのいわゆる情報の遮断、そういった面についても十分注意をして、自主的に対応をしてまいりました。今後とも、これにつきましては十分、一層厳格、的確に対応してまいりたいと考えます。
 あわせまして、今回の法改正によりまして、送配電等業務支援機関というものが設置されることになりました。この機関によります公平、透明な手続のもとでの送配電部門に係る基本ルールがこの機関で策定される、あるいは運用状況の監視がこの送配電等業務支援機関で行われるということになっておりまして、こうした中立的な組織によりますチェックを通じまして、さらに公平性、透明性が担保されていくことになると考えております。
 なお、会計的な分離につきましても、従来から私どもはそのようにやってまいりました経緯もございまして、しばしば託送部門、送電部門のコストのこと、コストが不明確というお言葉がございますけれども、この点につきましても、公明正大に従来からもやってまいりましたし、今後もそのようにやっていく所存でございます。
 以上でございます。
金子(善)委員 ありがとうございました。
 次に、合田参考人にお伺いさせていただきたいと思います。二点お伺いさせていただきたいと思います。
 ガス市場でございますが、いろいろな他のエネルギー源との競争が激しくなる、業界として、ガス需要の拡大につながるいろいろな対応というものが必要になってくるというようなことが言われているわけでございますが、行政に対しまして、どのような具体的な支援というものを期待されているかということが一点。
 もう一つでございますが、今回のガスの自由化につきまして、大口許可制が届け出制に緩和されるというようなことが盛り込まれているわけでございますけれども、この影響と申しますか、どのように考えられるか、その点につきまして御見解を賜りたいと思います。
合田参考人 お答え申し上げます。
 一点目の、競争の激化に伴いまして行政に対して何を期待するかということでございます。
 現在、行政当局からは、ガスの供給基盤の整備、それから新しい技術につきましては財政投融資による低利融資制度、それから租税特別措置でございますがエネルギー需給構造改革投資促進税制、いわゆるエネ革税制の対象になっております。それから、今後の新しい技術の開発、例えば小型で高効率の天然ガスコージェネレーションでございますとか、あるいはこれも高効率で超低公害の、公害の少ない天然ガス自動車の開発、あるいは燃料電池の技術開発につきましては、これは国の補助事業というのがございます。
 それからさらに、新しい技術を市場に普及させるための導入促進のためにも、一部のコージェネレーションとかあるいは天然ガスへの転換、天然ガス自動車の普及等々についての補助事業がございますので、今後、行政当局にお願いをしたいことは、天然ガスシフトというふうにエネルギー需給見通しでうたわれておりますけれども、これをさらに進めるための、今申し上げた支援措置の継続及び拡充強化をお願いいたしたいというのが第一点目のお答えでございます。
 それから第二点目の、先生が御指摘になりました、大口許可制が届け出制に変更になるという点で大変競争が激化するのではないか、こういう御指摘でございます。
 確かに競争も激しくなるわけでございます。ただ、今回、制度改正の中身で変更命令というのが届け出にくっついておりまして、急激に需要が奪われることによって小口の需要家に迷惑がかかるような場合には変更命令が適用されるというふうな措置が講じられておりますので、その点、非常に重要だと考えております。
 それから、ただ、ほかのエネルギーとの競争も激しくなりますので、中小ガス事業全般の経営力を強化する観点から、ガス協会といたしましては、一つは、これも国の補助事業の対象になっておりますが、天然ガスへの転換を促進するための天然ガス導入促進センターの事業がございますが、これをできるだけ活用していく。それから、新しい利用技術、先ほど申し上げたコージェネレーション等の普及をさらに中小ガス事業も図っていく。さらに、一番重要なのは中小ガス事業の経営革新でございます、強化でございますので、それに貢献するようなISO事業でありますとか、その他いろいろな事業がございますので、それに対する協会としての支援を図ってまいりたい。
 そういうことで、中小ガス事業が今後の競争環境の変化に対応でき、強靱で柔軟な経営体質が構築できますように、協会としても努力をしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
金子(善)委員 ありがとうございました。
 時間がちょっと少なくなってしまいましたが、中原参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
 全国エルピーガス卸売協会の松村会長さんも、ある雑誌では、徹底的な業界再編と申しますか、こういうことが必要だというようなことも言っておられます。また、それから、米田全国エルピーガススタンド協会長さんも同じような趣旨で雑誌で述べられているのを拝見いたしました。ただ、現実問題として、LPガスは総世帯の五四%もまだ利用されているというような現実の姿がございます。
 こうした中で、業界の再編問題、そして何よりもこの自由化問題に対しましてどう対応されていくお考えなのか、それにつきましての御見解を賜りたいと思います。
中原参考人 お答えいたします。
 先生の御指摘がありましたように、自由化になりまして、先ほどから何度もお話ししておりますが、大変、配送あるいは基地の建設が合理的に最初から行われておらない業界でございまして、あくまで自由営業の中で、自由マーケットの中で発展してきております。そのために、まだまだ、業界全体としては、今御紹介いただきましたように、各界のトップの方々が、このままの状態では大変コストがかかり過ぎる、これはある意味、歴史的にやむを得なかったことではございますが、そういう大変危機感を思っておられまして、特にこの三年来、基地のスクラップ・アンド・ビルドといいますか大型化、あるいは配送の協業化ということも進んできております。
 これが進んでいる途中で、今回のように順次自由化が進んでくるということは、どちらかというとスピード比べということになりまして大変厳しいのでございますけれども、先生がおっしゃるように、各界の方々それぞれがそういう危機意識を持っておりますので、先ほども申し上げましたように、私どもとしては、この自由化を逆に一つの機会ととらえてさらに効率化を進めるということと、それから、大変大勢の方々あるいは大勢の販売店があるということはユーザーに直接近い立場にいるとも言えるわけでございまして、この立場を生かして、この自由化に生き残っていきたいというふうに考えております。御指摘のとおりだと思います。ありがとうございます。
金子(善)委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
村田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様方には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。
 次回は、明十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十四分散会


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