衆議院

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第16号 平成15年5月14日(水曜日)

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平成十五年五月十四日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 谷畑  孝君 理事 田中 慶秋君
   理事 中山 義活君 理事 井上 義久君
   理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    大島 理森君
      梶山 弘志君    小池百合子君
      佐藤 剛男君    桜田 義孝君
      西川 公也君    浜田 靖一君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      森田  一君    山本 明彦君
      渡辺 博道君    小沢 鋭仁君
      奥田  建君    金田 誠一君
      川端 達夫君    後藤  斎君
      鈴木 康友君    樽床 伸二君
      中津川博郷君    松野 頼久君
      松本 剛明君    三井 辨雄君
      山田 敏雅君    河上 覃雄君
      福島  豊君    工藤堅太郎君
      大幡 基夫君    佐々木憲昭君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      金子善次郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   議員           鈴木 康友君
   議員           中津川博郷君
   議員           中山 義活君
   議員           山田 敏雅君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        鈴木 孝之君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    奥村萬壽雄君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・
   ガス事業部長)      迎  陽一君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院長)     佐々木宜彦君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十四日
 辞任         補欠選任
  小此木八郎君     浜田 靖一君
  小沢 鋭仁君     三井 辨雄君
  川端 達夫君     樽床 伸二君
  松野 頼久君     松本 剛明君
  大幡 基夫君     佐々木憲昭君
同日
 辞任         補欠選任
  浜田 靖一君     小此木八郎君
  樽床 伸二君     川端 達夫君
  松本 剛明君     松野 頼久君
  三井 辨雄君     小沢 鋭仁君
  佐々木憲昭君     大幡 基夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七九号)
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八二号)(参議院送付)
 揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八三号)(参議院送付)
 中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案(中山義活君外三名提出、衆法第三号)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官岡本巖君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、公正取引委員会事務総局審査局長鈴木孝之君及び警察庁警備局長奥村萬壽雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平井卓也君。
平井委員 おはようございます。時間が限られておりますので、効率よく質問をさせていただきたいと思います。
 まず、大臣に対してですが、電力市場の自由化拡大のポイントは公正な競争の確保であると私は認識しています。比較するわけではありませんが、既に全面的な自由化が進んでいる電気通信市場においては、公正競争上の課題に取り組むべく、電気通信事業法の法目的に「公正な競争を促進する」という言葉が掲げられており、公正競争促進に取り組む姿勢が明確化されております。今回の電気事業法改正案の法目的には公正競争の促進という文言が入っておりませんが、私自身は、段階的に自由化を進める上では公正な競争を確保する仕組みは重要だと思っておりますが、電力市場の公正競争促進についての大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のとおり、公正競争の促進というのは大変重要なことだと思っております。
 この電気事業分野につきましては、引き続き規制の需要家が残ります部分自由化の枠組みであることも踏まえ、文言としては入っていないわけでございますけれども、これは御指摘のとおり、非常に大切なことでございまして、このため、小売自由化範囲の拡大にあわせまして、ネットワーク部門の公平性、透明性を確保するための措置や広域的な電気の取引を活性化させるための措置などを講ずることとしております。また、引き続き適正な電力取引が行われるように、公正取引委員会との共同ガイドライン、これを策定しております。
 こうして、現行法の法目的のもとにおきましても、公正な競争の促進の要請を踏まえた各種の措置を講ずることとしておりまして、御指摘のとおり、私どもとしては公正競争の促進に努めてまいりたい、このように思っております。
平井委員 今、大臣からもガイドラインのお話がありましたけれども、電力市場の公正競争に関しては、公正取引委員会の果たす役割は非常に大きいと考えています。
 昨日の参考人の意見陳述の中でも指摘されておりましたけれども、これまでの電力分野においては、競争阻害行為にかかわる紛争について、公正取引委員会は、市場の確定、競争阻害行為の立証に時間がかかり過ぎていたのではないかというような指摘もありました。
 経済産業省と公正取引委員会の連名の紛争の処理ガイドラインは先ほど御答弁にありましたけれども、具体的にその実績について資源エネルギー庁長官にお聞きしたいし、また、現状をどのようにお感じになっているかについてもお聞かせ願えればと思います。
岡本政府参考人 紛争処理ガイドラインにつきましては、平成十一年の電力の部分自由化に伴う制度改革にあわせまして、十一年十二月に、公正取引委員会との間で、共同で「適正な電力取引についての指針」ということで作成し、公表いたしております。
 これまで私どもも伺っておりますところでは、紛争事案あるいは相談事例等で五十六件というのが寄せられておりまして、そういった事例への対応の蓄積を踏まえまして、先ほど申しました十一年十二月に作成をしましたガイドラインを昨年七月に、さらにより公正な市場環境の整備という観点から、広く各方面に意見をお聞きした上で改定を行いまして、さらなる今の実態に合ったガイドラインの運用ということで、公正取引委員会ともども、私どもも対応しているところでございます。
平井委員 それで、これからどのようにされるかということもちょっとお聞きしたかったのですが、同じことを公正取引委員会にお聞きしたいと思います。
 連名ガイドラインの実績、調査開始から調査終了まで時間がかかることを多くの方々が指摘されておりますが、実際に案件が持ち込まれてからどのぐらいの時間で処理されているのか、また、現状のままで十分と考えておられるかどうかについてお聞かせ願えればと思います。
鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のガイドライン、平成十一年十二月に公表されておりますが、それ以降、公正取引委員会が電気事業者に対しまして独占禁止法上の違反という被疑事件で調査を行ったものは三件ございまして、そのうち一件について警告を行い、他の二件については審査の途中において独占禁止法上の問題が解消したもので、独占禁止法違反がその後起こらないように指導を行った上で審査を終了してございます。
 これらの事件の処理に要した期間でございますが、五カ月をかからなかったものもございますが、公正取引委員会の事件審査着手後においても、既存の電力会社と新規参入業者との間で部分供給や常時バックアップに係る取引条件をめぐる交渉が継続されていたなどの事情がございまして、それを見守る必要もあるなどの理由から、事件審査の着手から審査終了までに六カ月、半年を超えたものもございます。
 しかしながら、迅速化ということは大事なことでございますので、公正取引委員会では、IT・公益事業分野における新規参入阻害行為等の独占禁止法違反行為に対して迅速に対処できるよう、平成十三年四月以降、IT・公益事業タスクフォースを設置しているところでございまして、本年三月二十八日の閣議決定におきます規制改革推進三カ年計画においてもこうした事業分野に対する迅速な対応が求められていることもあり、今後、タスクフォースの体制、機能の強化を通じて、より一層迅速に対処してまいりたいと考えております。
平井委員 スピーディーな紛争処理というのは非常に重要なことだと思うのですが、大臣にお伺いしたいのですが、電気通信分野では、一昨年総務省が紛争処理委員会を設置して、スピーディーな紛争処理で実績を上げています。私もホームページでチェックさせていただいていますが、それなりの効果があるように思います。電力の紛争処理のスピードアップも当然しなきゃいけないのですが、どのような実効性のある政策をお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、紛争処理に関しては総務省が非常にスピードアップをやっている、そういう事例も私どもも承知をしております。
 具体的な体制整備につきましては、私どもとしては、今後鋭意検討をしていかなければならないと思っております。外部有識者の積極活用等による専門性の強化を初めとした所要の組織整備等を行うことによりまして、御指摘の迅速性の確保も含めまして、行政に対する要請にやはり積極的にこたえていかなければならない、こう思っておりますので、御指摘のとおり非常に重要でございますから、これは大車輪でやらせていただきたい、このように思っています。
平井委員 今大臣がお話しになりました、中立機関をつくって紛争処理に当たるということですが、そのメンバーとかどういう構成にするかというのは非常に重要なことだと思います。私、本来、紛争処理というものはやはり公的機関がやるべき問題だと思っておりまして、例えば総務省の場合は、八条委員会ということであります。
 今度どのような形をおつくりになるかということを私も今十分には存じ上げませんが、最終的にはやはり国がある程度責任を持つという形じゃないと、その最低の権限というようなものについて、問題もあろうかと思います。その点について、大臣、何か御意見がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
平沼国務大臣 送配電等業務支援機関及び電力取引所については、具体的には今後検討を深めていくことになりますが、情報システムの設計を含めまして、その具体的な業務の実施に当たっては、広く関係者の要望をよく聴取しまして、これらが、公平かつ透明で、かつ安定供給を阻害しないものとなることが重要であると認識しております。
 特に、電気事業法上の位置づけを与える送配電等業務支援機関は、送配電システムの公平性を担保する重要なメカニズムでもあります。このため、そのシステム設計においても、公正かつ的確な支援事業の遂行に支障を及ぼすことがないように、適切に監督をしていかなければならない、このように考えております。
 電力取引所につきましても、その運営主体については、透明公正な手続、公正なルール等に基づき中立性が担保されていることが重要でありまして、このため、経済産業省といたしましても、システム設計を含めた設立準備に向けた動きを十分注視してまいりたい、このように思っているところでございます。
平井委員 システム設計についてはこれからお聞きしようと思っていたところでありますが、私もこの法案には賛成の立場で、システム構築に関して留意しなければならない幾つかの点というのをこれから指摘させていただいて、また、お願いもさせていただきたいんです。
 それでは、まず資源エネルギー庁長官に、現在の十電力会社、すなわち電気事業法上の一般事業者が構築している送電系統運用システム及び供給運用システム、また中央広域連系のための給電運用システム、すなわち中央給電連絡指令所のシステムの実態がどのようになっているか。差し支えがなければ、システムの契約者、契約形態、そして保守、運営のコスト等をお聞かせ願えればと思います。
岡本政府参考人 一般電気事業者は、各供給区域のネットワーク内の電力需給を管理する中央給電指令所を各社ごとに一カ所設けておりまして、そのもとに階層化されました地域給電制御所や支店給電制御所等を設けております。各社のシステムは、需要の規模、それからその分布状況、電源構成、系統の状況等に応じた独自のシステムとなっていると承知しております。
 それから、電力会社から構成されます中央電力協議会の中央給電連絡指令所につきましては、一般電気事業者の間で日常的に行われております電力融通や緊急時の電力融通を含む、いわゆる広域運営に関しまして、各電力会社間の電気のやりとりを連絡調整する、そういうことで給電連絡指令システムが構築されておりまして、各社の中央給電指令所のシステムと連携をしまして、広域連系線の電力潮流の監視等を含めた各社間の電力融通の監視等を行っているところでございます。
 各社の系統運用システムにつきましては、大手の重電メーカー等からシステムを購入しておりまして、その保守等のコストは各社によって異なっておりますけれども、それぞれ年間六億ないし多いところだと八億ぐらい、小さいところだと六億を少し下回るぐらいの、そういった数億円オーダーの経費がかかっておると聞いております。
 それから、中央電力協議会の中央給電連絡指令システムにつきましては、これはリースでありますので、そのシステムの保守等を含めた中央給電連絡指令所の年間の運営費としまして、これまた数億円、同程度の費用がかかっているというふうに承知をしております。
平井委員 このシステムの問題というのは、今まで余り具体的な中身がチェックされていなかったんですが、私も、e―Japan重点特命委員会で、今、中央省庁の四十一のレガシーシステム、古いシステムの中身について精査をさせていただいて、いろいろな問題が出てきたわけであります。
 先ほど長官の方から話がありましたが、具体的な中身はまだお聞きしておりませんが、大手ITベンダーとの随意契約を繰り返しているようなケースは中央省庁の場合にも大変多くて、それが高コストにつながるというふうな指摘もあるわけであります。業務の継続性を余りにも重視するが余りに、巨大なシステムが長年にわたり非競争環境に置かれてきたこと、その支出の大半がシステムの維持運営に費やされ、効率性に関する十分な検証がないまま拡充されてきたことというのは、日本のシステムの中では非常に多いことであります。
 そういうことで、今回新たに創設される予定の送配電業務支援機関、電力取引所に関しても、新たな情報システムが調達されるというふうに私も聞いておりますが、その情報システム調達に関しては、セキュリティーの問題は十分に考えなきゃいけませんが、公正性と透明性を確保することが、そういう大きいシステムの調達のリスクを低減することになると思います。
 今まで、いろいろな中央省庁のシステムでレガシーになってしまったものというのがたくさんあるわけですが、そういうことにならないように、これから、電力市場の公正競争の確保により活性化を図るためにも、その情報システム設計に関しては、当然、既存の電力会社、新規参入者の要望を十分に反映させなければならないと思います。これで、この調達の問題とか、最終的には公正な市場形成と、これも公共料金にかかわる問題でありますから、このシステム設計についての基本的な考え方も、今中央省庁でやっているレガシーシステムの改革と同様に、やはりある程度指示をしていかなければならないと考えておりますが、大臣の御意見はいかがでしょうか。
平沼国務大臣 御指摘のように、レガシーシステムというのは、過去に構築された古くて大きくなった情報システムのことでありまして、保守、管理、運用等に関し競争入札を行うことなく、大手ITベンダーと随意契約を繰り返している例が多い、それは御指摘のとおりだと思っております。
 送配電業務の支援機関及び電力取引所については、先ほど来御答弁申し上げておりますが、具体的には今後検討を深めていくことになりますが、公正な競争を確保して、安定供給を引き続き確保する観点から、情報システムの設計に関してのみならず、その制度整備に当たりましては、関係者の要望をよく聴取することが重要だと思っております。また、特定の者のみを有利に扱う等により公正かつ的確な業務の遂行に支障を及ぼすことがないように、これは注視をしていかなければならない、このようにも考えております。
 さらに、当該支援機関や電力取引所のシステム調達については、電力市場関係者が集まって、民間主体で設立されるものであるために、効率的運営に努められることは当然である、このように認識しておりますが、可能な限り競争入札等を活用しつつ、適切なシステム構築がなされることを私どもとしては期待している、このようなことでございます。
平井委員 競争入札を導入するというのは、私も大賛成であります。
 それでは、資源エネルギー庁長官に対してもお聞きしたいんですが、送配電等業務支援機関、電力取引所で用いられる情報システムについては、電力資源の公正競争を確保する観点、先ほど指摘させていただいたレガシーシステム化を防ぐ観点から、特殊な仕様による特別な契約もしくは随意契約はできるだけ排除すべきではないか、そのように考えておりまして、原則として競争入札による調達という方が私はいいと思いますが、エネ庁長官はいかがお考えでしょうか。
岡本政府参考人 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、送配電等業務支援機関、それから電力の取引所、いずれも民間の主導でこれから立ち上げ、一連のルールあるいはそれを支えるシステム、そういったものの整備が行われていくということになってまいろうかと思います。
 その際に、先ほどまさに大臣御答弁申し上げましたとおり、私どもも、効率的な運営ということと、それから、調達に当たって可能な限り競争入札等を活用しながら、いいシステムが構築されていく。先生おっしゃいますように、公正競争というものと、それから、ちょっと事柄の性格上セキュリティーというところも一方で、先生からも御指摘のありましたとおり、考慮する必要がありますでしょうから、そういったことを踏まえた適切な調達がなされるように私どもも期待しておりまして、そういう目でこれから相談にも乗ってまいりたいと考えております。
平井委員 時間が来ました。
 原則競争入札とすべきであるということが確認できただけでも、私は非常によかったと思います。ありがとうございました。
村田委員長 増原義剛君。
増原委員 自民党の増原でございます。
 きょうは二十分時間をいただきましたので、できますれば時間の範囲内で四点お聞きしたいと思います。
 まず第一点でありますけれども、大きな自由化に向けての流れ、それに沿ったこのたびの電気事業法やガス事業法の改正といったことは、私は非常に時宜を得ているんだろうと思っております。そしてまた、急激な自由化ではなくて、とりわけこれはライフラインでありますので、慎重の上にも慎重に、よく議論を尽くしてやっていく、これも私はいいと思います。ただ、そうした中で幾つかの疑問とかあるいは問題点があるんじゃないかなというところがあるものですから、質問をさせていただきたいと思います。
 第一点は、先般、昨年ですか、エネルギー政策基本法、議員立法で通しました。三本の柱、安定供給と環境配慮、そして市場競争、こういったところでございますけれども、そこにはエネルギー基本計画をつくるというふうになっておりますね。この基本計画はまだ実はできていないわけでありますが、そうした中にあって、このたび自由化に向けた業法の改正ということがありますね。これはどういうふうな関係になるんだろうか。
 やはり私としては、基本計画をしっかりつくって、その中で全体像を示して、そのワンステップとしてこのたびの業法の改正というふうに来るのが順序じゃないかというふうに思いますが、その点、いかがでございましょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 昨年の六月に、御指摘のようにエネルギー政策基本法の制定がございました。我が国のエネルギー政策をめぐりましては、原子力発電をめぐる東電の事件がございましたし、それから米国等によるイラクの戦争、こういったものがございまして、重大な出来事が続いたわけであります。こうした事態を踏まえまして、早急に必要な対応に全力を尽くすとともに、エネルギー政策のうち緊急な対応を要する主要な事項については、他に先駆けてエネルギー政策の見直しという形で今回対応させていただいた、こういう背景がございます。
 エネルギー基本計画については、これらの出来事の持つ政策上の意味を十分に踏まえるとともに、現在、総合資源エネルギー調査会の意見をいただいている、このような段階でございまして、今後、関係行政機関からの意見聴取や地方公聴会、こういったことを開催しまして、この夏をめどに策定するように今努めているところでございます。
 これに対して、今般の電力、ガスの制度改革は、現行法の中に、御承知のように、法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとの規定に基づきまして、平成十三年十一月から関係審議会で検討を開始するなど、現行法に基づき従来から対応してきたものでありました。
 また、今般の電力、ガスの関連法案は、いずれも、エネルギー基本法の御指摘の三つの柱、この三つの柱の基本方針を具体化したものでございまして、エネルギー政策基本法を十分踏まえた、そういうものだと私ども思っておりまして、鋭意急いでまいりたい、このように思っております。
増原委員 今の御答弁の中で、提案理由の方にもありましたけれども、基本法の中の三つの柱、安定供給、環境配慮、そして市場原理。そのうち、このたびはかなり市場原理の方から来て、それに安定供給の配慮も入れてとなっておるんですが、三点目の環境配慮は、条文のどこを見ても書いていないわけでありますね。
 基本的には、それが自由化が進むことによって、よりシステム全体としての効率が上がってきて、そしてエネルギーの消費量というんでしょうか、これが適正になっていく、むだを省いていく、そういうことでもって全体の、例えばCO2の排出量が減っていくとか、そういう意味での環境配慮ということなんだろうなというふうに思っております。
 それはそれとしまして、いわゆるエネルギーの長期の需給見通しも、十年ぐらいを見てつくられておりますね。それと、今これから策定されようとされている基本計画、この関係はどういうふうになるんでしょうか。一部には、基本計画は施策の定性的なものを並べ、そして需給見通しは定量的なものだから、それは別に矛盾するとかしないとかと、こういったような議論もあるんですが、その点につきまして何かございましたら、長官でも結構ですが。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 エネルギー基本法が議員立法で制定されたわけですけれども、その際の国会における御審議の場での法案の提案者の方々からの御説明によりますと、エネルギー基本計画は、法律にあります三つの基本方針にのっとって、十年程度を見通して施策の基本的な方向性を定性的に示すものということで御答弁があったというふうに私ども理解をさせていただいております。
 一方で、総合資源エネルギー調査会が策定しております長期のエネルギー需給見通し、こちらはまさに将来のエネルギーの需給の見通しについての、これは定量的なものになっていくということになろうかと思いますので、今私ども基本計画の策定に向けて作業を進めているところでございますが、その基本計画を踏まえながら、需給見通しというものについても見直しの作業においおい着手してまいりたいと考えているところでございます。
増原委員 それでは、第二点目に移りますが、特定規模需要の自由化ですね。これがこれから徐々に小規模なものに移っていく、ある意味では自由化が進んでいく、こういうことなんだろうと思うんですが、これにつきましては、法律のどこにも出てこないんですね。
 これは二条のところの定義規定ですかね、あそこに、経産省令で定めるとなっているわけですね。これは、徐々に自由化をしていくのはいいんですけれども、これは明らかに、電力事業者なり国民にとっても、権利義務といいましょうか、利害に関係することなんですね。そういうものをすとんと経産省令で定めるという形の、しかも定義規定ですよ、そういうところでやっているというのは、法体系としておかしいんじゃないですか。本来、権利義務にかかわることは法律で定めるべきじゃないんですか。
 今後の自由化の見通しと、省令改正になるんでしょうけれども、それと、この法体系についてどう思っていらっしゃるか、長官お願いします。
岡本政府参考人 部分自由化ということで、二〇〇〇年、前回、電気事業法改正を国会で御了承いただいてスタートしたわけでございますが、その際において、小売自由化の範囲、すなわち特定規模需要の範囲というものを省令にゆだねることになっているわけでございますが、この自由化の範囲を定めるに当たりまして、使用の規模に応じます需要家の需給の実態、それから、特に価格交渉力というものが需要家の選択肢をふやす、拡大していくという方向を私ども目指しておりますが、それとの関係で需要家の価格交渉力というものがどういうふうに変化していくだろうか。
 それから、需要家サイドで、例えば新規参入者の方々は同時同量のサービスというのがあるものですから、メーター設置というのが一つのポイントになってくるんですが、そういったところが需要家の区分ごとにどういうふうに進んでいるだろうかとか、そういったところを見きわめながら対応していくという事情もありますものですから、引き続き省令でやらせていただくという方向で対応させていただきたいと思っておりますが、それをするに当たりまして、今先生御指摘のように、大変大事な点でございますので、総合資源エネルギー調査会の御議論とか、あるいは広くパブリックコメントとかいろいろな方面の御意見を丁寧に伺いながら、私どもは、その点の作業というのは進めてまいりたいと考えているところでございます。
増原委員 今長官が言われたのは、行政内部の中における公平性の確保なんですよね。これは、国民の権利義務にかかわることは、私が申し上げているのは、法律で定めるべきじゃないか、それがいわゆる法律事項というものでしょう。ところが、これは裸で投げてあるんですね、すとんと、省令に。そういう意味で、ほかにも幾つもあるんですよ。この業法は私に言わせると古色蒼然たる業法ですよ、電気事業法にしてもガス事業法にしましても。
 さっき同僚議員が、第一条の「目的」に自由化の推進というものが入っていないじゃないか、そういう議論もありましたけれども、やはり古いところに新しいものを入れようというところにかなり無理があるんじゃないかなという感じがいたしますね。もちろん、運用はしっかりやっていただきたいと思いますよ。
 同じようなことなんですが、三点目です。
 電気事業者が電気工作物の変更をしようとするときの条件を、第九条ですか、随分厳しくされていますね。これはどういうことなんですか。
岡本政府参考人 現行法におきましては、電気工作物の変更内容が電気事業の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがありましても、経済産業大臣がその変更について変更または中止を命ずることができないということになっているわけですが、他方では、私ども、小売自由化が進展する中で、事業者が、例えて申しますと、安易な設備廃棄等によって必要な供給力の確保が困難になる、そういったような場合に一定の仕組みを設ける必要があるというふうに考えまして、今回の電気事業法改正におきまして、大規模な発電設備の廃止等の電気工作物についての重要な変更については、電気事業の適確な遂行に支障を及ぼすかどうかを経済産業大臣が判断をして、問題がある場合には変更命令を発動することが可能ということにさせていただくべく関係の規定を今御提案申し上げているところでございます。
増原委員 長官の今の答弁ですけれども、ちょっと私は不満なんですよ。
 この九条の一項を見ましたら、こう書いてあるんですね、省令で定める重要な変更をしようとする場合にはと。ちょっと待ってください。その「重要な変更」と言うんだけれども、何で省令で定めるんですか。重要な変更であればなぜ法律で定めないのか、そこらあたりがおかしいんじゃないかと思うんですよ。いわゆる裁量行政の最たるものではないか。私は、そこらあたりはもっときちっとしておかないとおかしいと思うんです。そこらあたりはやはり少し考えてもらわないと、大臣、何のための法律審議をしているんだということになりかねないんですよ、これは。極めて野党的な発言をしていますが、法律論としまして、ちょっとおかしいなと思うんですよ。
 そういう意味で、九条それ自体は確かに重要な変更、それは電気事業者が勝手に重要な設備を廃棄して足りなくなってというようなこともお考えなのかもしれませんけれども、しかし供給義務は負っているわけで、ダウンをさせてはいけないわけですからね。それにもかかわらず、こういったような、これは大変がちがちになっているんですね。自由化を進めると言いながら、一方で大変な規制強化なんですよ。アクセルとブレーキを同時に踏んでいる、冷暖房同時にかけている、こういうようなところがこの法律は随所に見えるんですね。電気事業者の人を信用していないのか、原発事件があったからというわけじゃありませんけれども、やはり少し、これは法体系としてはいかがなものかなという点が間々見受けられるなというふうに思います。
 与党ですからこのくらいにしまして、第四点目ですけれども、いわゆる業務支援機関ですね。新たに設ける送配電等業務支援機関、第六章九十三条にありますね。これを見ますと、何かすごくどこかで見たパターンだな、何かといったら、これはこれまでの分の、よくやってきました認可法人です。特殊法人じゃないですよ、特殊法人は別の法律が要る。そうでなくて、業法などで書いて法人をつくる場合、認可法人でしょう。これは認可法人とどこがどう違うか。これ、全国一なんでしょう。これは認可法人じゃないですか、長官。
岡本政府参考人 この支援機関は、業務の性格上、これは全国一つということになってこざるを得ないと思うんです。これは送配電にアクセスするについてのルールでありますとか、あるいは送電網、連系線なんかの能力増強についての費用負担をどうするかとか、そういったことを定めていくということですので、どうしてもこの支援機関の業務としましては一つに限ってということですけれども、一方で、非常に大事な業務でございますので、その公平性なり中立性というのをしっかり担保する必要があるというふうには私どもも考えておりまして、その観点から、指定に当たって基準をあらかじめ定めて、大臣が全国一に限って指定する。それから、一定の公的関与のもとで、業務の公平性、中立性というものが担保されるような、そういう仕組みとして今御提案申し上げているところでございます。
 これは、もう先生よく御存じのとおり、今私ども支援機関として考えておりますのは、民間が中心になって、電気事業者、新規参入者あるいはユーザーの方々、学識経験者、そういう方々から構成される法人として、かつ中間法人という、そういうものを念頭に置きながら今準備を関係者の間で進めていただいているところでございまして、いわゆるよくある特殊法人なりそれから認可法人に比べますと、民間の主体性というものがやはり相当強い、そういう機関になっていくものというふうに私ども考えているところでございます。
増原委員 できれば民間主体のそういう法人になっていただきたいと思いますけれども、これは中間法人と言われましたね。いわゆる共益法人なんですよね。ちょうど私、今党の方で行革本部で公益法人関係の主査をやっておりますから言うわけじゃないですけれども、基本的には特殊法人なり認可法人、その中で公的に絡まなくちゃいけないものは独立行政法人にして、ほかはどんどんと民営化していく、自由化していく、これが今の小泉改革の流れなんですね。我々党の方でもそれでやっているんですよ。
 これは確かに中間法人ですということですけれども、これまでの公益法人などに検査、検定、試験業務などにつきまして渡していて、これは指定機関なんですよね。これについては全部それをやめて、全部登録制にしよう、ですから、株式会社であっても何でも全部入ってこられる、そこで競争を促していこう、こういうふうな方向なんですよ。これは全国一なんですね。競争でも何もないわけですよ。
 公平性はわかるんですね。民間の主体性もやりたい。民間の主体性にしては、予算にしても収支報告書、決算書にしても事業計画書にしても、みんなかつての認可法人と全く同じパターンです、これは。認可法人じゃありません、指定するんです、あなたはそうおっしゃるけれども、形も中身も全く同じじゃないか、こういうふうに言われたときにどうするか。
 しかも、当該法人は収入は何なんですか、法人である以上は。中間法人であれば、会費になるんですか。会費でそれを賄うんですか。では、収支は一体どうなるんだ、その会費はどういうふうにして決めるんだ、そこらあたりがわかりませんね。その点につきまして。
岡本政府参考人 支援機関は、基本的に民間の方々からの会費の収入で賄われていく、そういう性格になろうかと思います。
 それから、全国一つという点は、送配電網にいろいろな人たちがアクセスをする、その際に公平に扱われる。それから、いろいろな情報の開示もトランスペアレンシーを極力高めるためにやっていただくとか、紛争処理が起きた場合に、どういうルールに従って紛争の処理についてのあっせんなりそういうことをやるか、そういう機関でございますので、特に送配電アクセスのルールとかルールの運用状況の監視というのは民間の発意でやっていただく団体なんですけれども、全国ばらばらにそういうルールができたというのではまずいと思いますので、そういう意味では、私ども、全国一本ということはやはり押さえておく必要があるのではないかと思います。
 その上で、行政がいきなりそういったものを定めるということじゃなくて、民間の関係する方々が集まって、それで各関係者の協議に基づいてそういうルールをつくり、それからそのルールのエンフォースメントもこういうところで一義的には民間主導でやっていただく、そういう性格で考えておりますので、その辺の位置づけあるいは性格というものについて御理解をいただけたらと存ずる次第でございます。
増原委員 時間が参りましたので、最後に、この支援機関、本来であれば期限なりそういうものを設けるべきだと私は思いますね。市場原理でいくのであれば、これは、やるのは公正取引委員会がやるべきだろう。では、主務大臣としては何をするのかというときに、基本は、やはり大きな原則を法律に示しておいて、あとはそれぞれ民間で、自主規制機関なりそういうところでやってもらう。自主規制機関にしては、これは余りにも法律でがちがちになり過ぎていまして、ちょっと民間の自主性を生かすというにはほど遠くなりかねない、そういう懸念もありますので、その点、十分に御留意いただきまして運用に当たっていただきたいと思います。
 以上を申し上げまして、質問を終わります。
村田委員長 松島みどりさん。
松島委員 この法案審議に入ります前に、平沼大臣にちょっとお伺いしたいことがございます。
 東京電力が、原発の一基を復旧することを決めました。しかしながら、まだ夏には停電の危機があるということで、経済産業省にも対策本部が設けられました。特に今、東京電力管内、首都圏でございます、一分、二分でも停電ということになると大変なことになるかと思っております。
 私、去年の四月にこの委員会で、省エネ法の改正のときに質問させていただきまして、そのとき、どうも大臣から納得のいく答弁を得られなかったので、ちょっとぶり返させていただきます。冷房の問題でございます。
 国会の冷房、非常にきつうございます。経済産業省は夏場でも暑いようでございますけれども、例えば、六月十八日に会期、これは延長せずに切れた場合、そこまでぐらいでしたら国会も冷房しない、最高気温が例えば二十七度を超さないと世の中冷房しちゃいけないぐらいのことをやっていけないだろうか。
 そのために、大臣ぜひ、大臣は非常にファッショナブルな方でいらっしゃるのですけれども、どうか平沼大臣が上着をとって、ネクタイしないでもしゃれたシャツを着ていらっしゃいますし、そういうことで、テレビへの露出度も高い方でございますので、大臣みずから、考えたら、町の酒屋さんとかお米屋さんとか工事現場の方、だれも上着、ネクタイ、そんなのしていないんですね、かみしもを脱ぐ。
 国会は、何か変な慣習があって、上着を着なきゃいけないらしいんですけれども、これを逆張りに、私も国会の中でも変えていきたいなと思っているんですけれども、大臣、国民向けのアピールとして、まずそれをやっていただけないだろうか。お願い事でございます。
平沼国務大臣 今、東京電力の原子力発電所は、十七基のうち十六基が停止をしております。そして、今地元の皆様方の御理解をいただくべく努力をしておりまして、絶対に電力の断絶があってはならない、こういう努力をしておりますけれども、しかし、夏場のピーク時には、今の需給バランスでいくと厳しい事態が想定される可能性も十分あるわけであります。
 そういう意味で、五月八日の日に、今御指摘のように、私が本部長になりまして関東圏の電力の需給の対策本部というのを立ち上げさせていただいて、そして今、中央省庁だけではなくて、きょうは西川政務官にも栃木県庁にまで行っていただいて、しっかりと節電のPRをさせていただく、こういう運動を始めております。そして、九日、閣議でもそのことを申し上げさせていただいて、関係大臣、全大臣がこれに協力する、こういう形で進んでおります。
 御指摘の、いわゆる冷房、そういうものに関しては、私どもとしては、やはり全国的にテレビ等の広告をしながら呼びかけて節電をしていかなければいけない。それから、もちろん中央官庁にも、御指摘のように六月中ぐらいはみんながそういう形で節電に向かう、こういうことは非常にいいことだと思っています。
 それから、昨年の四月の御質問がございました。
 確かに、夏場背広を着る、ネクタイを締めるというのは大変暑いわけでありますけれども、一面において、やはり背広をつくっておられる業者もおられるし、それからネクタイ業者も生活がかかっておられるわけですね。ですから、かつてある内閣のときに、ネクタイ廃止ということを言われた総理大臣があったときに、ネクタイの売り上げが激減をして大変な陳情があったということもあります。
 ですから、ネクタイも涼しげなネクタイにするとか、あるいはかつて総理大臣の方が、背広は着ていても半そでだ、そういうスタイルもあるわけでありまして、いろいろ工夫をしてやっていかなければいけない。本当におっしゃられることは重要なことでございますので、しっかりと検討していきたい、こう思っています。
松島委員 その部分は確かにいろいろな業界にも影響が大きい、非常によくわかりました。
 そうしたらば、ぜひ男性の皆様方、それに耐える、別に冷房をしなければいいんです。背広を着てもネクタイを着ても結構でございますから、国会も含めて冷房は二十八度以上にするということだけ守っていただければいいなと思っております。私、長年冷房と闘って、被害者として何十年過ごしてきた身として、今回これを奇貨といたしまして、皆様方にぜひ、何か太っていると暑いんだとおっしゃる方がいらっしゃるのですけれども、やせていただきまして、健康に気をつけていただいて、冷房を余りしないように、そういうふうに各現場でお願いさせていただきたいと思っております。(発言する者あり)どうも失礼いたしました。関係なく、冷房を弱目にしていただければと思っております。
 なお、これから、自民党の議員三人目で質問させていただきます。それぞれ多様な考え方を持っております。実は私は、特に電力とガスについては、過度な自由化というのは進展はいかがだろうか、ちょっと待ったと思わなきゃいけない、そう思っている人間でございます。
 と申しますのは、これまで国のいろいろな分野で、鉄道ですとか高速道路とか郵便、電気通信、航空、こういったところで民営化とか、スタイルはいろいろございますから民営化と限りませんが、もちろん電力はもともと民間会社がやっているわけですけれども、規制緩和とか競争促進ということが言われてまいりました。
 そのときに出てきたのは、競争を促進するということと、そして一方、安定供給なり、私は片仮名を使うのは嫌なので、ユニバーサルサービスという言い方をしないで、全国どこでも、だれでも同じ利便を受けることができる、そういうふうに言いかえたいと思うんですけれども、それで、よく両てんびんとか出ました。郵便についても随分議論されました。
 私は、鉄道よりも航空よりも郵便よりも電気通信よりも、この電力というものの方が公共性、社会性が、ある意味では、どっちが高いと言えませんけれども、まさるとも劣らぬと思っております。と申しますのは、ほかは何十分かとまっても、それだけでどうこうなりません。
 電気は、私は四十六歳ですけれども、私、生まれてこの方、停電というのは台風以外で経験したことがない。みんな何となくぼんやり、電力は絶対大丈夫だと思っているから、さっきの東電管内が危ないという、残念ながら、SARSについてはみんな危機感を持っているんですけれども、電気がとまるかもしれないと東京の人も思っていない、焦っていないんですよね。これを考えますと、需要家にとっていいというけれども、どんどん進めることは一体だれにとっていいんだろうか、そういう観点で質問させていただきます。
 安定供給ということを考えましたときに、最終的な供給の保障というものをこれからどういうふうに担保されるのか。今回はある程度のレベルまでの自由化ですけれども、それを一層進めるということになるとどうなるのか。さらに、原子力発電はもちろんでございますけれども、発電所というのは、計画から完成まで、スタートまで二十年以上かかります。それを考えたときに、今は十年ごとに電力各社が予測を立てて、これだって需要の予測というのは非常に難しいと思いますけれども、それに予備率を加えて設備投資しています。自分のところのパイがどれぐらいになるかわからない、競争に負けるかもしれない、売り上げが減るかもしれないというときに、一体どうやって予測を立てて設備投資するのか。
 ほかの業界もみんな一緒だというだれか意見がございますけれども、ほかの製造業、申しわけないですけれども、ほかの産業というのは、うちは売り切れですとか出荷が追いつかないと言っても、何とかなるんですよね。夏、暑くなると、ビールの出荷が追いつかないというようなこともあります。そういうことがいろいろ起こりますけれども、人気があるといったら車も追いつかないということはありますけれども、電力は、人気があるから、あるいは暑いから出荷が追いつかないと言えないんですよね。それも何年かのタームで考えなきゃいけないというときに、基本のところをどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
岡本政府参考人 電力の安定供給というのは、私どもも非常に大事だと思っております。それを将来にわたって確保するために、制度の面と、それから実際にそれをちゃんとやるための設備の面と、両方必要かと思っております。
 設備の点については、今先生おっしゃったように、自分の需要を先々読むというのが従前に比べて少し難しくなるというところはあるんですけれども、今提案申し上げている制度の中で、いわゆる中立機関の中で先々の長期的な需要の見通しというのを、電気事業者の方々それから新規参入者も入ってそういうものをつくって、それを関係者が共有していただくということも考えておりますし、それから私ども、供給計画というものを毎年各一般電気事業者からは出していただいて、それのヒアリングということを通じて、将来にわたって設備形成は大丈夫かというところをチェックするということを引き続きやらせていただこうと思っております。
 加えまして、先生の御指摘にもありました、規制部門については供給義務ですが、それ以外についても、最終供給保障というものを供給能力の範囲内で一般電気事業者の方々には負担していただく、そういう制度の枠組みというのをこれから自由化を進める中にあっても維持することによって、電気の安定供給について、設備の面それから制度の面、両面から、私どもも必要な担保というのは極力講じてまいりたいと考えているところでございます。
松島委員 今、いろいろな分野で参入規制を取っ払って、事後の調和、事後の規制ということが言われるわけですが、先ほど増原議員からも質問ございましたように、事後規制ということによって、かえって役所の延命策のような、役所の意義があるみたいな、そういうような頑張り方はしないでいただきたいなと思っております。
 電力というのは、電力各社、東京、大阪、名古屋はさほどでございませんが、地域に、より地方に、九州、北海道、東北、中国、四国もそうだと思います。今まで、この電力各社の地域における比重、例えば雇用の面におきましても、さらに、そこを頂点として関連のところまで含めて設備投資なりそういった分野で、かつては、これはいいやり方だったかどうかわかりませんけれども、公共事業を国が出せないときにかわりに電力会社に頑張ってもらって、電柱の地中化とか、経済ベースに合わないかもしれないけれども、それをやってもらうみたいなことも進めてまいりました。
 そういった公的な役割というものをある意味では任せてきたというか押しつけてきたというか、そういうことがあるんですけれども、この辺全部なくしちゃって、当然なくなりますね、こうやって競争するということになりましたら。さらに、それだけでなく、電力市場は、今は、例えば経済産業省が旧通産省の時代に、あそこのビルの中の電力どこが売りますかということで、入札して安いところを入れる、そういういい部分、光の部分ばかり、新しく参入というところばかり新聞ネタにもなってきたんですけれども、例えばエンロンも、日本へ来て中国地区と青森で何かつくろうと思っていたのをやめる、結局やめざるを得なくなった。
 そういうような、計画を立てたけれどもやめるとか、実際に始めた会社がやはりおかしくなって倒産したり合併したり、そういうことがどんどん起こるようになる状況というのはどういうふうにお考えになるか、この分野についてどういうふうにお考えになるか、大臣に伺いたいと思います。
高市副大臣 特に地域における雇用ですとか投資、経済への影響を御心配なんだろうと思いますけれども、我が国の電力需要というのは今後とも着実に増加するものと想定されておりますので、これまでどおり、設備投資の効率化というものが今改革によってなされてはおりますけれども、しかし、電源開発に必要な投資というのは引き続き確保されると考えております。
 それから、電力会社の経営効率化に伴いまして電力料金が安くなっていく、これは、電力供給というのが経済活動の中で基盤でありますことを踏まえますと、それ自体が日本経済の活性化につながっていくものだと考えております。
 ですから、制度改正で競争を進展することが特に地方の経済にすぐさま著しく悪い影響を与えるということは考えにくくて、電力会社におきましても、電力需要が全般に増加することを踏まえて、新たな事業環境のもとで必要な投資、そして雇用を維持していかれることだと考えております。
松島委員 そうあってほしいなと期待はしております。
 ガスのこともちょっと伺いたいと思います。
 ガスの場合、これは安全、保安、そういったことが、都市ガスについて伺いたいんですけれども、それで、今、例えば家の中で何かあったら、それぞれのエリア、私は東京ガスですけれども、東京ガスのどこに電話をかけるかと家に張っております。これがどのガス会社とでも契約するということに、だんだんと競争を小口化された場合に、一般の家庭まではすぐに行かないかもしれない、そのちょっと手前、例えばビルの中に賃貸店舗としてラーメン屋さんが入っていたり美容院が入っていたりして、そういったところまで今後小口化が進んでいったときに、自分は東京ガスかなと思っていて何か調子が悪いから夜中に電話したら、大家さんは何かもっと安い会社と契約していて違うところだったとか、そういうときにどうするんだろうと、そういう安全その他で非常に気にかかる部分があるんです。
 特に安全面を考えて、ガスの小口化というのは、この法律ではまだ一定限度ですけれども、将来、見直しのときにどういうふうに考えていくのか、質問させていただきたいと思います。
西川大臣政務官 確かに、自分がどこと契約しているかわからなければ困りますよね。東京ガスかと思って東京ガスに連絡しても、東京ガスと契約していなかった、こういうこともあるかもしれません。そういうときには、私どもは、ガス事業法で、需要家に対しガス漏れ等のトラブル発生時の連絡に関する事項等の周知する義務、及び需要家からトラブル発生の連絡を受けた場合には速やかに対応する義務、こういうこともありますので、十分周知徹底を図っていかなければならない、こう思っています。
 そこで、これから小口の問題がどこまでいくのかわかりませんけれども、当面、年間の使用量百万立米というのを今回、十六年度五十万立米、そして十九年には十万立米、こういうことを考えて法律改正を望んでいるわけですけれども、そこから先どうするか、こういう話は今後よく議論をして決めていかなければならない、こう考えています。
 それからもし、保守点検という問題とか緊急の対応という場合どうするかというと、やはりある程度の、連絡すればそのガス会社がすぐ保守点検に向かえる、アウトソーシングでもいいんですけれども、そういう会社が必要だろう、こう思って、これから周知徹底をして間違いのないようにしていきたいと思います。
 ただ、ガスの事故というのは、調べてみますと、年間十万立米以下、大体ここで起きているんですね。ですから、小口需要は非常に慎重にやらなきゃならない、こう受けとめています。
 以上です。
松島委員 ぜひ、注意深くそれを進めていただければなと思っております。
 今申し上げましたように、電力、ガスというのは非常に社会性、公共性が高いものでございますので、この法律の施行に当たっても、そしてまた次なる小口化というときにも、十分な御配慮をいただきたい。単に競争を激化して、いろいろな会社がいろいろなことをできるのが日本の社会全体にとって幸せなことかどうかというのは、十分御留意いただきたいと思います。
 ありがとうございました。
村田委員長 井上義久君。
井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
 初めに、東京電力の原子炉が十七基中十六基が停止しているという状況の中で、夏の需要ピーク時に関東大停電の可能性が指摘をされております。この委員会でも、この問題、何回も取り上げられていますけれども、経済産業省でも、五月八日に関東圏電力需給対策本部を設置して本格的な対策を始動されましたけれども、早ければ六月三十日の週にも、電力の需給ギャップ、すなわち停電ということだと思いますけれども、生じる可能性があると。この問題、危機はいろいろ指摘されているんですけれども、どうも余り切迫感がないんじゃないかということで、改めてこの問題、取り上げたい、こう思います。
 初めに、電力需給の現状、特にこの関東圏の。特に本年夏の電力需給の見通しについて、確認をしておきたいと思います。
西川大臣政務官 今、六月三十日の週にも需給ギャップが生じる可能性がある、こういうお話をされましたけれども、私どもも厳しく受けとめています。
 そこで、今までの状況を少し申し上げますけれども、この冬場におきましても、想定した以上に厳しい気象条件、こういうことが余り起きませんでしたので、うまくいってきました。四月、五月は電力需要が落ち込んでおります端境期でありますので、供給予備率、おおむね一〇%以上で推移をしてきております。
 それから、夏場でありますけれども、この問題につきましては、経済産業省としましては、五月八日に、大臣を本部長としまして、経済産業省関東圏の電力需給対策本部を設置しまして、夏場の電力需給の状況をお互いに確認をした、こういう状況にあります。
 具体的にはどうかといいますと、酷暑などの条件では六千四百五十万キロワット、よく言われておりますけれども、この辺の需要が想定をされておる、こういうことでございまして、現状でいきますと、東京電力の供給力は、柏崎刈羽の六号機以外の原子炉が稼働しない場合は、おおむね六千万キロワットしか見込めない、こういう状況にありますので、この需給ギャップが発生する可能性がある、こう見ております。
 今後はどうするかといいますと、停止しております原子炉の円滑な運転再開、これを図ることが必要不可欠であろうと思いまして、当省としましては、これからも、原子力安全・保安院におきまして、安全確保への取り組み、検査結果等の地元への説明等を、これまでも行ってきましたけれども、今後とも、地元の理解を得られるように最善の努力を図ってまいります。
 以上です。
井上(義)委員 それで、四百五十万近い需給ギャップが可能性としては予想されるという現状の中で、具体的な対応策としては、今も答弁ありましたけれども、一つは休止している原子炉の運転再開への努力ということと、もう一つは節電の取り組み、この二つあると思います。
 原子炉の運転再開ということなんですけれども、やはり原子力発電というのは、安全の確保というのは大前提で、立地地域の納得と理解が最優先でございます。特に、立地地域の納得と理解ということについては、これまでいろいろな形で積み重ねをやってきたんですけれども、先般のいわゆる自主点検における不正記録、これによって信頼がもう大幅に失墜をしている。我々も立地地域を地域としていますけれども、地元の首長さん初め、大変な努力をしてこれまで信頼を積み重ねてきた、それが崩壊をしてしまった。そう簡単には再開できないなというのがやはり実感じゃないか、こう思います。
 ともかく、運転再開に対しては、国としても、安全性の十分な確認を行うことは当然でありますけれども、やはりそういうこれまでの経緯を踏まえて、立地地域の理解を得るためには、やはり大臣みずから現地に赴いて、地域の皆さんとひざ詰めでお話し合いをする等、そういう努力が必要なんじゃないか、こういうふうに思いますけれども、大臣の所見を承りたいと思います。
平沼国務大臣 井上先生御指摘のように、原子力発電というのは安全性が第一でございますから、一つ一つの原子炉について十分な検証を行って、そして丁寧な説明を地元の方々にさせていただく、こういう努力を積み重ねていかなければならないと思っています。
 これまでも、昨年の八月に公表をして以来、私も十回、地元のいろいろな方々とじかにお目にかかって、そして御要望等も聞かせていただき、そして、私どもも安全性に万全を尽くす、こういうことは申し上げてきましたし、また、折に触れて、地域の首長さんでございますとか議会の皆様方に、原子力安全・保安委員長がじかに出向いて御説明をさせていただく、こういうことで今まで来ております。
 私もこの委員会でも何回も御答弁させていただいておりますけれども、そういう時期が来ましたら必ず、エネルギーの政策の責任者として地元に出向かせていただいて、そしてじかに私はそれぞれにお願いをしていきたい、このように思っているわけでございまして、私は、そのことに関しましては全力を尽くしてやらせていただきたい、このように思っております。
井上(義)委員 早ければ六月三十日にも需給ギャップが生じる可能性があるということでございますから、あと一カ月余しかないという極めて切迫した状況なんだと思うんですね。国会日程、いろいろあると思いますけれども、ぜひそういう方向で御努力賜れば、こう思います。
 それからもう一点、節電ということなんですけれども、節電の取り組みについてはこの委員会でもいろいろな形で出ていますし、先ほど与党の皆さんの質問の中でもございました。私は、この節電ということについて、ただ漠然と、できるだけ節電しましょうというような呼びかけではやはりこの問題は解決しないと。要するにピーク時の電力をどう下げるか、ここが一番のポイントなわけでございます。
 これまで日本の電力会社は、いわゆるピーク時というものを指標にして設備投資をしてきた。したがって、オフピーク時にはある意味で過剰設備ということになるんですけれども、地域独占でございましたから、いわゆる電力料金に上乗せするという形でそれをペイさせてきた。ただ、今後自由化ということになりますと、必ずしもそういうピーク時を指標にした設備投資ということができなくなる可能性が非常に高いわけでございまして、要するに、どう限られた供給設備で効率、効果的に稼働させていくか、これが今後大きな課題になるんじゃないか、こう思うんですね。
 したがって、ただことしの夏の対応にとどまらないで、この自由化という流れの中で、いわゆる電力供給設備の効率化という観点からこの問題にはしっかり取り組んでいかなければいけないんじゃないかということで、例えば今は計画調整契約とかあるいは随時調整契約ということで、ピーク時をずらすという契約が大口の場合はあるんですけれども、もう少し全体的に長期的な観点を考えますと、いわゆるピーク時電力を減らせばそれだけ設備投資が少なくて済むわけですから、コストダウンにもつながって、一般需要家にもこれはある意味でプラスになるわけでございますから、そういうピーク時をどう下げるかということについて需要家と供給側が情報を共有して、このときのこの時間にはピークになりそうだから、多少冷房は、暑いけれどもこのときは下げましょうとか、もう少しシステム的にといいますか、そういうピーク時電力を下げるような節電の全体的な仕組みというものを、この際私は構築する必要があるんじゃないかと。
 それがやはり省エネ対策とかこういう停電対策にも大きくつながるわけで、私はカリフォルニア州の事例なんかをいろいろ調べますと、あれだけ一回危機を経験しますと、かなりリアルタイムで電力会社がいわゆる電力需要の見通しなんかを常にインターネットで公開をして、それを需要家が見ながら自分たちの設備を稼働させるというような、そういう意味でかなり進んだ節電対策というのができ上がっている。
 私は、今回の自由化論議の中でこの節電対策というのは、言い方は悪いかもしれませんけれども、ただ単に温度を下げましょうとか、できるだけ省エネルックにしましょうとかという一般論じゃなくて、そういうシステムとしての節電、ピーク時電力を下げる、そして効率的な設備の稼働をするという、社会システム全体をそういうふうに転換する絶好の契機じゃないかな、こう思いますけれども、この点についてお考えを。
西川大臣政務官 節電の全体的な仕組みをつくる絶好の機会だ、こういうことでありますが、現在当省でやっているお話を申し上げますと、ピーク需要を引き下げるために何をやっているかといいますと、負荷平準化対策ということで今まで積極的に取り組んできた、こういうことであります。
 具体的には、例を挙げますと、氷蓄熱式の空調システムの普及とか、電力料金に係る選択的約款の拡充とか、こういうことを行ってきました。事業としては、たくさんのことをやってきました。エコアイス設置補助金制度とか、それからエネルギー需給構造改革投資促進税制も改正をしてもらいましたし、低利融資制度を日本政策投資銀行の方でも持っておりまして、こんなことをやってきました。
 しかし、全体のシステムをつくるためには、やはり料金体系に係るインセンティブの付与、ここをやらなければだめだと思います。今は、時間帯別電灯料金で夜間の電灯料金を割り引いて、これを大いに利用してもらう、あるいは深夜電力料金の問題、蓄熱調整契約料金をどうするかとか、こういうたくさんの問題がありますけれども、これらを利用しながら全体的な仕組みが取り組めるように努力をしていきたい、こう思っています。
井上(義)委員 何か新聞報道によりますと、東電が六月末から、その日の需給見通しを示す「電気予報」をテレビなどを通じて流すというふうに聞いているんですけれども、そのことについて確認しておきたいんです。
 それともう一つは、例えば今、カリフォルニア州なんかそうなんだそうですけれども、いわゆるリアルタイムで需給カーブをインターネットなんかを通じて出しているんですよね。そうすると、一般家庭で極めて節電に関心のある人は、ああこの辺にピークが来るな、じゃ、うちの冷房をとめようかとかいうような、非常に協力しやすくなる。要するに、日ごろはいいわけですよ、ある意味で使ってもらった方が、せっかくの設備なんですから。やはりピーク時にどうやってみんなが協力するかということが一番大事な話なんで、そういうことも含めて、確かに料金のインセンティブ等もありますけれども、やはり、節電意識というものをどうやって喚起するかということを考えると、そこまで踏み込んでやることは非常にいいんじゃないか、こう思うんですが。
平沼国務大臣 それは重要な御指摘だと思っておりまして、例えば、最大ピーク時が六千四百五十万キロワット、こういうふうに言われています。しかし、これを需要家がそういう一つの指標に基づいて少し倹約する、例えば、五%節約することによって三百万キロワット、原子力発電所で二基以上の分が節約できるわけでございます。ですから、天気情報じゃありませんけれども、この六月から東京電力もそういう形でしっかりとやらせていただく、こういうことで今対策が進んでいるようでございます。
 また、国によっては、テレビの画面の横にピークのグラフがあって、今現在どこまでそれが上ってきて、超えそうか超えそうじゃないか、これはもう非常に目で見てすぐわかるわけでございますので、そういった形でやはり国民の皆様方に意識を持っていただければ、おっしゃるように相当大きな効果が期待できる、そういうことを含めて今鋭意検討させていただいているところでございます。
井上(義)委員 そういう対策をいろいろやり尽くした上で、ことしの夏ですからかなり切迫しているわけですけれども、カリフォルニア州のように、いわゆる輪番停電というのは起こる可能性があるのかどうか、これをちょっと確認しておきます。
岡本政府参考人 現在、東京電力に対しましては、供給面で、まず供給力の確保に最大限努力すること、それから需要面でも、今先生の御指摘の中にもありましたけれども、大口の需要家に個別に節電要請をお願いし、そのかわり料金を少し安くしますという需給調整契約の活用を含めた節電要請というようなこともやってもらっておりまして、そういった両面の努力を今事業者には求めているところでございます。
 それから、政府といたしましても、安全確保を大前提として、原子炉の運転再開に向けて地元の理解を得るべく最大限努力をいたしますとともに、国民各層及び産業界に対して節電を呼びかけているところでございまして、こうした需給両面にわたる努力によって、供給力が不足するといったような事態には至らないように、国、事業者ともども引き続き最大限の取り組みを行ってまいりたいというふうに、私どもは、大臣以下かたい決意で今取り組んでいるところでございますので、その努力を見守っていただけたらと念ずる次第でございます。
井上(義)委員 輪番停電の可能性はゼロである、こういうふうに理解していいということですか。
岡本政府参考人 先日、八日の需給対策本部で、夏に向けての需給の見通しというのを確認し、その結果を発表させていただきました。供給力それから需要が過去の実績に照らしてどうかという各週ごとの需給の状況というのをグラフにしてお示しを申し上げました。その際にも、プレス発表等でも御説明申し上げたわけですが、原子力発電所が今、柏崎刈羽の六号は動くに至りましたけれども、これ以上一基も追加がないというような状態が仮に続きますとすれば、六月末ぐらいの週から需給ギャップが生ずるということでございますので、さらなる取り組み、需給両面にわたる取り組みの進展ということがなければ非常に厳しい需給ギャップを迎えるということは、これは今の見通しとしては避けられないという、それほど厳しい状況にあるというふうに私どもも認識はいたしております。
井上(義)委員 輪番停電の可能性はあるということをおっしゃっているんだと思いますけれども、であるならば、その輪番停電になったときのいわゆる危機管理ですね。停電になったときにどう対応するかということを今のうちからきちっとしておかないと、ほとんどの人が停電はないという前提で今、少なくとももう一カ月半ぐらいしかないわけですから。もしそういう輪番停電の可能性があると、じゃ、どの地域から停電するんだ、その場合の危機管理はどうするんだというシミュレーションはきちっとしているんでしょうか。
岡本政府参考人 私ども、需給ギャップを回避するということに向けての取り組みを最大限やるということで引き続き対応してまいりたいと考えておりますが、過去の経験等も踏まえまして、先生御指摘のようなケースに対応する内々の勉強というのは、これは私ども行政としてやらせていただいておりますけれども、そのことを今、表に出して御説明申し上げるということは、これは控えさせていただきたいと思います。
 他方で、需給両面にわたる取り組みというのを今は精いっぱいやっていくというのが一番大事なことかと思いますので、その方向に向けて、先生方を初め、それから広く立地地域を含む国民の各層の方々の御理解をいただいて、取り組みを進めてまいりたいというふうにかたく念じているところでございます。
井上(義)委員 需要家の方の対応、危機管理ということもございますので、その辺については厳しい認識を持ってぜひ取り組んでいただきたい、これ以上申し上げませんけれども、ぜひよろしくお願いしたい、こう思います。
 次に、今回の法改正の目的ですけれども、自由化ということで、いわゆる需要家サイドに立って、需要家の利益というものを最大化するというところに主眼があるんじゃないか、こう思います。その前提に立って、いわゆる供給サイドをどう活性化するか、あるいは公正な競争秩序をどう確保するかという観点で今回の法律改正がなされていると思いますけれども、一方、エネルギー基本法、議員立法で成立をいたしました。このエネルギー基本法では、エネルギーの需給に関する施策の基本方針として、安定供給の確保、それから環境への適合、市場原理の活用、これをうたっているわけですね。特に、安定供給の確保、環境への適合との関係性について何点か確認をしておきたい、こう思います。
 まず、安定供給の確保ということでございますけれども、電力の自由化が進展をいたしますと、市場における売電価格によっては発電施設等への設備投資が大きな影響を受けることになるわけです。先ほどから議論していますけれども、安定供給のためにはやはりピーク時設備、この存在が不可欠なんですけれども、このピーク時設備というのはオフピーク時には遊休施設になるわけで、やはり自由化をしますと長期的には電源設備の供給力というのはどうしてもピーク時に対応できないような、長期的に見るとやはりそういう方向に進まざるを得ないんじゃないかというふうに考えるわけです。
 そういう場合に、今回のように何か問題があってかなりの部分で停止せざるを得ないという状況になりますと、一遍に対応できないということになるわけでございまして、自由化範囲を段階的に拡大していく中で、じゃ、安定供給を見据えた予備電力の確保をどうするかという、いわゆるエネルギー基本法で言う安定供給の確保という観点との整合性をどう考えるかということについて確認をしておきたいと思います。
岡本政府参考人 今現在、設備容量を最大電力で割りました設備率というものの値は一・三六ということで、相当の設備についての余裕を持っております。そのことを出発点にしまして、先生の御指摘の、自由化が進む中において将来に向けての設備形成というものがどうなるかという御心配かと思いますけれども、一つは、今提案申し上げております送配電等業務支援機関、いわゆる中立機関の仕事の一つとしまして、将来に向けての電力需要というものがどういうふうに伸びていくだろうかということについての推計作業をやって、これを各電気事業者が共有をして、それをにらみながら設備形成というものを計画的にやっていただくということを期待をいたしております。
 加えまして、今、電気事業法のもとで、毎年、各一般電気事業者は私どもに供給計画というのを出していただいておりまして、その中で、発電から送電、両面にわたる設備の長期的な整備の計画というのをお出しいただいておりますので、その供給計画のヒアリングというプロセスを通じまして、引き続き、将来をにらんだ、安定供給に支障のない設備の形成ということについて、私どもも十分目を配ってまいりたいと考えております。
井上(義)委員 そうすると、第一義的には一般電気事業者にその責任は負わせるというふうに聞こえたのですけれども、自由化の範囲が拡大していくと新規参入者が相当出てくるということになりますと、一般電気事業者だけに供給責任を負わせるというのは、それも一つ問題になってくるのではないか。そうしますと、例えば発電設備をつくる場合に一定の予備率なんかをきっと課すというようなことも必要になってくるんじゃないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
岡本政府参考人 現状で一般電気事業者のいわゆる自由化分野における供給の実績というのも非常に大きゅうございますし、それから、段階的に自由化を進めていくということで、しばらく規制分野というのは残ってまいりますので、今、自由化された分野につきましても、一般電気事業者には供給設備能力の範囲内で供給責任を担っていただく、そういう意味における最終供給保障の責任というのを担っていただいておりますので、もちろん、その場合の実際の供給というのは、通常の電気料金が多少割高になるということを甘受しながらということでございますけれども、そういう形で一般電気事業者は、責任ある供給主体として引き続き大きな役割を担っていただくということになっておりますので、私どもは、供給計画のヒアリングのプロセスを通じまして、今申しました将来に向けての設備形成というものが適切に行われる計画にあるかどうかという点についても、目配りを引き続きやらせていただきたいと考えているところでございます。
井上(義)委員 それから、送配電設備についても同じことが言えるのではないかと思います。
 一般電気事業者の発送電一貫体制、今回は維持され、この問題については後ほど触れたいと思いますけれども、いわゆる行為規制ということで、会計分離をするということになって、中立性が送配電については求められるということになりますと、そうすると、この送配電設備、これはいわゆるユニバーサルサービスとも非常に関連をしてくるのですけれども、非常にコストがかかるものなわけでございまして、そういう送配電設備に対する、あるいはその設備の更新に対するインセンティブが働かなくなる可能性があるのではないか。この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
岡本政府参考人 送電設備についても供給計画の中で私ども見させていただきますが、送電設備につきましては、今御提案申し上げております制度改革の中でも発電設備とは一点違ったところがございまして、系統利用料金というものは引き続き行政がチェックするという一方で、送配電ネットワークは公共インフラ的な側面を持っておりますものですから、系統利用料金ということについては行政がこれをチェックさせていただくということにしておりますので、そのプロセスを通じて、送配電投資というものの確実な回収というものが図られるような、そういう料金というもののあり方ということで私どもも見てまいりますので、事業者の方々において、送配電設備に対する投資というのは、発電設備以上に確実な投資回収が見込めるという期待のもとに、私どもは、必要な設備投資というのは今後も行われるものというふうに期待をいたしております。
井上(義)委員 それから、エネルギー基本法との関係でもう一点。いわゆる環境への適合という点でございますけれども、最近の新規参入者、どうしてもやはり発電コストとか建設期間の関係で、いわゆる石油等の化石エネルギーを燃料とする発電所に偏重しているわけです。それがほとんどです。一方、京都議定書によるCO2排出の大幅な削減を国を挙げて遂行しなければならないというときに、この電力制度改革が環境政策の足を引っ張ることにもなりかねないわけで、原子力発電の位置づけの明確化とか、あるいは新エネルギーの普及推進、これについてしっかり取り組む必要がある、こう思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
平沼国務大臣 我が国の温室効果ガスの排出量というのは、その約九割がエネルギー起源の二酸化炭素、こういうふうに言われております。したがいまして、エネルギー問題というのは地球温暖化問題と一体不可分でございまして、これは国を挙げて取り組むべき問題だ、このように認識しております。
 エネルギー起源二酸化炭素の排出抑制対策については、昨年の三月に決定されました地球温暖化対策推進大綱において明らかにしたように、需要面については、産業、民生及び運輸の各部門における省エネルギー対策の推進によりましてエネルギーの需要の伸びを抑制する、このようにいたしております。
 供給面について申し上げますと、安全の確保を大前提として、原子力を推進することとしています。これは国の基本的な方針でございます。
 言うまでもなく、原子力というのは、我が国の発電の電力量の三四%を占めておりまして、また、エネルギー資源の乏しい我が国におきましては、エネルギー自給率二〇%、そのうちの約八割、一六%を占める貴重な準国産エネルギー、こういうふうに言えると思います。さらに重要なことは、燃焼過程で二酸化炭素を全く排出しない。こういったことから、最新型の原子力発電所を、約百三十万キロワットでございますけれども、一基増設をいたしますと、同じベースロード電源である石炭火力を代替する場合には、二酸化炭素排出量を年間約〇・七ポイント削減する効果を有しているわけでございまして、原子力については、安定供給、環境保全の観点から、繰り返しになりますが、引き続き国の基本的なエネルギー源としての導入促進に努めなければならないと思っております。
 新エネルギーについて申し上げさせていただきますと、太陽光発電など、一般的にはコストが高いわけでございます。また、太陽や風力といった自然条件に左右される面があるものの、これはやはり国産エネルギーであるとともに、基本的には二酸化炭素を発生させないというすぐれた環境特性も有しています。このため、一次エネルギー供給に占める新エネルギーの割合というのは、一九九九年度では一・一%でございますけれども、国もここに力を入れておりまして、二〇一〇年度には三・〇%程度へと三倍増加させる、これを実現するために最大限の努力を傾注していく、このことが重要だと思っております。
 具体的には、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法、これはRPS法、こういうふうに言っておりますけれども、これを施行するとともに、平成十五年度の予算におきましても、前年度に比べて百十九億円増の千五百六十八億円を計上するなど、施策の強化拡充を図ることにしておりまして、今後とも新エネルギーに関しては一生懸命に努力をしていかなければならない、このように思っています。
井上(義)委員 それで、構造分離問題について若干質問したいと思います。
 いわゆる送配電をどうするか。いわゆる自由化の議論の中で、送配電線設備の中立性、公平性、透明性というものをどう確保するかということが一番の議論になって、構造規制か行為規制かということで、最終的には行為規制ということで今回の法案が出てきているわけですけれども、内閣府の物価安定政策会議特別部会報告、十四年の五月に出されていますけれども、公共料金分野の制度改革として、ボトルネック施設のあり方に見直しの必要があるとして、OECDの構造分離勧告に基づいて、電気、都市ガス、鉄道、電気通信分野の構造分離の必要性が提言をされているわけで、この部会報告と今回のこの制度改革の整合性はどうなのか。
 具体的には、分社化とか、あるいはカリフォルニアのISO方式とか、いわゆる独立系統運用者方式ということがいろいろ議論されて、結果として今回行為規制ということで発送電分離はしないという結論になったんですけれども、この経過について、なぜそうなったのかということについてまずお伺いしたい、こう思います。
迎政府参考人 御指摘のとおり、内閣府の物価安定政策会議特別部会の報告におきましては、各種電気、ガス等のボトルネック施設へのアクセスの改善という方法につきまして、OECDが提示した所有権の分離ですとか会計分離など幾つかの手法を引用しておりまして、ただ、これらの手法の各事業への適用に当たっては、事業の特質等を踏まえて、個別に望ましい方針を決定することが重要だというふうにされておるわけでございます。ここの、今申し上げました所有の分離とともに、会計の分離なんか、こういう構造規制にわたらない行為規制のようなものも手法として引用されておるところでございます。
 今般の電力、ガス事業制度の検討におきましては、電気については、発電それから送電の一体的な設備の形成あるいは運用といったもの、それからガスについては、導管による配給、販売を一貫して行う事業者というのを責任ある供給主体として引き続き置くことが安定供給上好ましいというふうな判断をしたわけでございます。
 そういった構造分離をしないメリットというのはあるわけですけれども、一方で、多数の事業者が利用するネットワーク、送配電のネットワーク、導管のネットワークを公平、透明に利用するという点におきましては、一体であるということがデメリットがあるわけでございますけれども、その点につきましては、情報遮断、内部相互補助の禁止、差別的な取り扱いの禁止といったような行為を法律によって担保することによって公平性の担保ができるであろう、こういうふうな判断をした次第でございます。
 したがいまして、こういった構造分離によらず行為規制によるという考え方につきましても、御指摘のOECD勧告ですとかあるいは内閣府の報告とも矛盾するものではない、整合的なものであるというふうに理解をしております。
井上(義)委員 今後自由化は状況を見ながらさらに範囲を拡大していく、こういうことなんですけれども、この構造分離問題については決着がついたというふうに理解していいんですか、そうすると。
岡本政府参考人 先ほど迎部長から御答弁申し上げましたように、私ども、行為規制ということで、情報遮断でありますとか会計分離でありますとか、そういったところを前提に一貫体制維持というのが適当ということで整理をさせていただいた次第でございまして、行為規制のところがちゃんとこれからの運用の中で所期のねらいどおりに守られるな、実効が上がるんだというところの見きわめはさせていただこうと思いますが、それを前提に構造規制というものはとらないという考え方で臨もう、こう思っております。
井上(義)委員 最後に一点だけ、ガスの自由化の問題につきまして、都市ガス供給においては、大手三社を除きますと、一般ガス事業者の大半は経営力が非常に弱い中小事業者でございまして、そのガス料金も高目の設定になっているわけでございます。こうした産業環境の中での自由化の範囲の拡大は、大手三事業者や大資本を背景とした新規参入者に圧倒的に有利に働いて、中小事業者がはじき出されるんじゃないか、こういう懸念があるわけでございます。
 これまでの地域の公益を担ってきたのが中小事業者でございまして、その存立をどう考えるか、今後の自由化を進めるに当たっての中小事業者対策をどう立てていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。
高市副大臣 井上先生の御指摘のとおり、都市ガス事業は、ほとんど地域に密着して事業を展開する中小ガス事業者が多くて、電気事業とはこの点で異なった産業構造でございます。
 この中小ガス事業者の特性を勘案しまして、経済産業省として従来から行っておりますのが、高カロリーガスへの転換を促進するために補助金や関連の税制措置を整備するということ、それから、地方の中小事業者が天然ガスを製造したり、あと天然ガス原料を調達するために敷設するパイプライン投資に対する低利融資、それから税制上の優遇措置を設けるといったようなことでございますけれども、今般の制度改革におきましても、中小ガス事業者が今後の競争環境の変化に的確に対応できるような環境整備というのは、あわせて講ずることにしております。
 大口供給を許可制から届け出制に緩和するんですけれども、新規参入によって急激な需要脱落などがあって規制需要家に悪影響があるような場合には、これは変更命令とか中止命令が発動できるように措置しております。
 とにかく、こうした改革に加えまして、今講じられております家庭用を含む天然ガスコージェネレーションの導入支援ですとか、それから燃料電池技術の開発推進とか、ガス需要拡大のための支援措置というものを通じまして、中小ガス事業者の強い経営体質、こういったものを実現していきたい、このように考えております。
井上(義)委員 では、以上で終わります。どうもありがとうございました。
村田委員長 金子善次郎君。
金子(善)委員 電力の自由化の問題につきまして、電源立地推進との関係で質問をさせていただきたいと思います。
 自由化の範囲がこれからどんどん拡大されてくるという状況に当然なってくるわけでございますけれども、初期投資に多額の費用がかかる。それだけに、投資の回収期間が長くなるわけでございますが、原子力、水力等の電源開発についてでございますけれども、電気事業者の方も慎重になってこざるを得ないのは当然のことではないかと考えられるわけでございます。
 そういう観点からいいますと、本来の、最も大切な、長期的な安定した電源確保ということについて支障を来すようなことはないんだろうかということが一つの心配ということになるわけでございますけれども、その辺につきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 金子先生にお答えさせていただきます。
 今回の制度改革におきましては、中長期的に安定して供給力を確保していくために、一つは、原子力や水力といった長期固定電源を含む電源開発のための投資環境の整備をしていこう、二つ目は、供給力の広域的な活用の促進をしていこう、こういう措置を講じていくことにいたしております。
 具体的には、優先給電指令制度などの措置によりまして、原子力や水力等の大規模電源が長期安定的に稼働できる環境を整えていくことと同時に、全国規模の電力取引所を創設いたしまして、こうした大規模電源を含め、電源開発投資のための環境整備もあわせて行っていく。
 また、全国の供給力を有効に活用できますように、広域的な流通を活性化するために、中立機関による送電設備形成のルールづくり等を通じまして、その投資環境の整備を行って、周波数変換装置を含めた送電設備の整備促進を図っていくことにいたしております。
 以上のような措置を通じまして、新たな電気事業制度のもとにおいても安定した供給力の確保を図ってまいりたい、このように考えております。
金子(善)委員 そうした中ででございますが、大臣のお話ございましたけれども、いろいろな手だてで安定供給を確保していくんだというお話でございますけれども、そうした中でも、あえて申し上げれば、例えば一定の予備率と申しますか、多少の余裕ということになろうかと思いますが、実際には各電力会社も、一定の、最大電力を使うときでもある程度の余裕というものが現在あるわけでございますけれども、そうしたことを法的な義務づけと申しますか、そうしたことを法整備というような形でやる、責任を明確にすることも必要なんではないかなということも考えられるわけでございますけれども、こうした点についてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
迎政府参考人 諸外国等で、電力の自由化を進める場合に、市場参加者というか、供給者に対して一定の予備率を保有するということを義務づけておるような国があるということは事実でございます。
 しかしながら、現在の我が国の電力需給の状況というのを見ますと、最大電力に対してどれぐらいの設備容量を持っているかということでございますけれども、一・三六倍、約三六%最大電力を上回る設備を持っているというふうな状況でございますので、マクロでの供給力を確保するための規制的な措置を設けるということは今回は必要ないというふうな判断をしたわけでございます。
 ただ、規制的な措置ではなくて、投資の環境の整備というふうなことは行う、こういう中で、今後、段階的に自由化の範囲を拡大する中での設備の形成状況ですとか、電力需要の動向といったものは注視をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
金子(善)委員 これも、あくまでも安定供給と申しますか、そうした観点から万全を期していただきたいという趣旨で御質問をしているわけでございますが、そうした中で、先ほど、冒頭の大臣の御答弁の中でも、いろいろな手だてでやっていくんだというようなお話でございました。そうした中で、やはり、大臣も御発言ありましたが、他の地域からのバックアップ体制と申しますか、地域間の連系線、こういうものを整備していくことが非常に重要ではないかというふうに考えるわけでございます。
 そこでお伺いしたいと思いますのは、そういう場合に、言葉としては、いろいろやっていきますよということは、それはそれとして結構なんですが、では具体的に、だれが最終的な責任を持ってこうしたことをやるように、そうした電力供給のシステムの中で位置づけていくのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
迎政府参考人 まず、全国大での電力流通を容易にし電源を広域で活用できるような、連系線を中心としたネットワークの形成をしていくというのが大変重要であるわけでございます。
 それで、現在でも、各電力会社のネットワークを結ぶ連系線というのが幾つかあるわけでございますけれども、これにつきましては、連系される両電力会社でありますとか、あるいは電源開発株式会社においてその建設が行われ、それから運用は、連系された両電力会社によって運用がされているというふうな状況でございます。
 新たな電気事業制度の中では、周波数の変換装置ですとか、あるいは連系線の整備ですとか、あるいは実際にできたものの、その管理、運用については、送配電等業務支援機構が送電設備形成、運用に関する基本的なルールというのをつくりまして、そのルールのもとに連系線の整備、運用をしていくということを考えております。
 国といたしましては、こうした仕組みが適切に運用されてまいりますよう、支援機関でございますとかあるいは事業者を適切に指導監督してまいりたいというふうに思っております。
金子(善)委員 今の御説明の中で、いまいちはっきりしないなというふうな印象を持ったわけでございますけれども、要は、最後は、最終的な責任ということでは、大臣が言われましたように、国としてもいろいろ手を使ってやっていくんだというお話でございますけれども、いわゆる地域間のバックアップ体制ということの、それだけに限定して考えた場合ですけれども、これはだれが地域間の、お互いの協力関係というものについて、今のお話ですと、何となく漠然と、いろいろなところで話し合っていろいろやるんですよというような感じを受けたんですが、その辺は、最終的な責任というものは、だれが、どういうふうな形で、あくまでも電力というものの供給の問題でございますから、責任はだれが持つのか、その辺について明快に答えていただきたいと思うんです。
迎政府参考人 各電力会社間の、要するに、特定の電力会社の中で供給力が不足した場合に他の電力で余っている電気を供給するという、そういったバックアップ体制というのは、これは現行法でも、私ども、経済産業大臣が最終的には電気の供給を指示することができるということで、そこについては、バックアップ体制については経済産業省で責任を持って行うということでございます。
 ただし、今回の東京電力の事例にもありますように、電気が余っていても、送る容量、周波数変換装置、こういったものについては限りがありまして、必ずしも無限大にそういった融通といったものが実現できないという実態があるわけです。そこのところについて、一定のルールをつくり、建設を進めていくという仕組みを新たな電気事業の制度の中では入れていきたい、こういうことでございます。
金子(善)委員 この点について、これからもまた、今回の流れの中で御質問したいと思います。
 そこで、今度の法改正で、電源開発促進法というものが廃止されることになりました。したがって、電源開発株式会社は完全民営化される。そうしますと、これまで電源開発株式会社というのは、北海道、四国、九州、それと本州を結ぶ電力会社間の主要な送電線の設置、管理等について法的な責任を負わされていた特殊法人でございました。これが完全民営化されるということになりますと、今後、電源開発株式会社、その役割というものに対して、これまでのような、北海道、四国、九州と本州を結ぶなどでございますけれども、電力会社間のいわゆる送電線の設置でございますとか管理ですね、そういうものについての責任はどういうことになっていくのか、その辺について御説明いただきたいと思います。
西川副大臣 電発は千六百万キロワットぐらいの発電能力がありまして、これは九電力のちょうど中間ぐらい、東北電力ぐらいの能力があります。水力が五十八カ所、火力が八カ所、六十六カ所あった。それで、今先生御指摘のように、九州と本州、本州と四国、こういう地域間の連系線を二千四百四キロ持っております。これを維持していくということは大変大事でありますから、これは民間になっても、きちっとこのことはやっていくということが一点。
 ただし、財務体質に問題があります。特にバランスシート上、自己資本比率が非常に低いんです。十三年度末で六・二%で、これは九電力の平均が一七・八でありますから、それに比べてもう非常に低いということで、投資対象として魅力的な体質に改善をさせるために、日本政策投資銀行でありますとか政府が指定する株式会社がこの株を買って、そして努力をした結果、これを売却して、仮にいわゆる売却益が出れば、一回は再投資できるというような形にしながら、体質強化をしていく。
 いずれにしても、そういう競争裏にさらされるわけでありますから、今まで昭和四十四年以降、追加投資ができずに、安定供給にだけ国策会社としての役割を担わされてきましたけれども、これからはそんなこと言っていられないということで、だれが責任を持つのか。これは最終的には、民間でありますから、電発自体が責任を持つんですが、私どもとしても今までの経緯から見て、このことは国会の御審議の場でも、先日来、電発については大変厳しい御意見がございますので、私どもとしてはしっかり監督をしていきたい、監督と言うと語弊がありますが、自立するためのテークオフについて協力をしていきたい、こう思っております。
金子(善)委員 ありがとうございました。しっかり監督をしていただきたいと僕は思います。
 時間も大分過ぎてまいりましたので、ちょっと説明が長くなるかもしれませんが、ちょっと聞いていただきたいと思うんです。
 周波数の問題なんですが、糸魚川線を境にして、五十ヘルツと六十ヘルツに分かれているわけでありますが、そういう流れの中で、いわゆる周波数が違う場合につきましては、周波数の変換設備というようなものを設置しなきゃならないという問題がございます。
 現在の周波数変換装置の送電容量というのは、意外とばらつきがありまして、東京電力が六十万キロワット、電源開発が三十万キロワット、現在中部電力が三十万キロワットの変換設備を整備している中で、十六年の九月に完成されるというふうに聞いておりますけれども、この周波数変換容量の観点から見ますと、中部電力から東京電力に送電できる容量というのは、完成しても百二十万キロワットということになってくるわけなんです。
 この数字は、ほかの電力会社間のいわゆる融通容量と申しますか、そうしたものと比較しますと極めて小さい数字だというふうに見られるんですが、この辺の問題、いわゆる危機管理という、安定供給という観点から、仮に整備をしたとしても不十分じゃないのか。その辺につきまして、副大臣から御所見をお伺いしたいと思います。
西川副大臣 御指摘のように、この問題につきましては、周波数の変換装置そして連系線等の送電設備につきましては、一般電気事業者のみならず、将来的に多数の新規参入者も利用するわけでございます。公共性が非常に高いということでございますので、電力の安定供給の確保の観点からも、全国大での電力流通を容易にするために、電源を広域で利用できるようネットワークを形成していくということが大変必要であるということは、先生と共通の認識を持っているものでございます。
 そこで、この設備を、基本的には、中立機関でございます送配電等事業支援機関、こういうものによってきちっと監督をしていくわけでありますが、これはただいま、おっしゃるとおり、信濃、佐久間、今度できる東清水、これを合わせても百二十万キロワット。
 これはそもそも、私も調べてみたら、最初に日本の発電所をつくるときのウェスチングハウスとかそれからGEとかの、アメリカから導入した機械の能力による差がそのままずっと尾を引いてきているというわけで、今回のような安定供給の危機に際して、こういうものが見直されてしかるべきだという御意見は、この間来たくさん出ているわけでありまして、これも私どもとしては、大変一般的な答弁で恐縮でございますが、しっかりと努力をしていくということでございます。
金子(善)委員 わかりました。
 時間が参りましたので、実は危機管理との関連で送電の安全管理についてもお伺いしたいと思いまして、原子力安全・保安院の佐々木院長さん、それから警察庁の警備局長さんにお願いしたんですが、時間が参りましたので、改めて質問させていただければと思います。
 これで終わります。ありがとうございました。
村田委員長 鈴木康友君。
鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。まず最初に、ちょっと電気についてお伺いをしたいなと思うんです。
 電力の問題というものを考えるときに、商品としての電気、非常に悩ましいものだというふうに私はいつも思っているんですけれども、御承知のとおり、電気というのはためておくことができませんので、製造してすぐに消費をしなければならないというまず特性がございます。
 それから、簡単にこれを供給できませんものですから、需要が急にふえたからといって、すぐにその供給体制をしくということができないんですね。原子力発電施設で今二十年以上と言われていますし、送電線なんかでも十年以上と言われている。しかも、その設備にかかる年限というのが、どんどん今長くなっているわけですね。ですから、供給の弾力性というものは極めて低いわけであります。
 あるいはまた、需要の弾力性というのも低いわけでありまして、価格が変わったからといって需要の量が乱高下するということがとりにくい。高くなったからといって電気を使うのを、節電はできるでしょうけれども、やめることはできませんし、あるいは電気にかわるものに頼るということもしにくいわけで、非常に代替性というものにも乏しいわけですね。
 しかも、日本固有の問題を考えれば、島国でありますので、電力が不足をしたときに、ほかからこれを持ってくるということもできにくい。自己完結型でいかなきゃいけないわけですね。
 こうしたさまざまなこの商品の特性を考えていきますと、非常に市場原理になじみにくい商品であって、厄介な商品だという認識を私は持っていますけれども、その辺の御見解からまずお伺いをしたいと思います。
岡本政府参考人 まさに今先生御指摘のとおり、ためることができない、それから代替がきかない、それから、それを供給するに当たって、大変長いリードタイムを要して初めて発電から送配電に至る一連の設備形成ができるということで、今先生がおっしゃったような特性を持っている財だと私どもも認識をいたしております。
鈴木(康)委員 ですから、これから電力に関するさまざまな政策を考えていくときには、この商品特性、この財の持っている特性というものをまずベースに置かなければいけないんだろうと思います。
 そんなことを踏まえながらちょっと御質問をしたいと思いますが、まず、今回の法改正のタイミングと、なぜやったかということについてお伺いしたいと思いますが、昨年、御承知のとおり、エネルギー基本法というものが成立をしました。その中でエネルギー基本計画というものを作成するということが決まったわけでありますが、今、総合資源エネルギー調査会の中に基本計画部会というものがありまして、これが四月の二十五日に初会合を開いたというふうに聞いております。八月までに国会に基本計画というものを作成して報告をするという予定が組まれているということでございます。
 今回のこの法改正というのは、いわゆる昨年のエネルギー基本法を踏まえたものというふうにされているわけでありますが、だとしたら、なぜこの基本計画が提出をされる前に今回のこの法改正に至ったか。基本計画が作成をされる前に自由化の議論が先行するということになった、ちょっとこれは順番が逆ではないかなというふうに思うんですが、まずその点から御質問をしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 現行法におきまして、「法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」この規定がございまして、それに基づきまして、実は平成十三年十一月から関係審議会で検討を開始することを始めまして、現行法に基づき従来から対応してきた、こういう事情がございます。そして、御指摘でございますけれども、昨年六月、これは御指摘のようにエネルギー政策基本法の制定がございました。
 我が国のエネルギーの政策をめぐっては、原子力発電をめぐる、非常に残念でございましたけれども、東京電力の問題、それから米国等によるイラクへの武力行使等、非常に重大な出来事がありました。こうした事態を踏まえまして、早急に必要な対応に全力を尽くすとともに、エネルギー政策のうち緊急な対応を要する主要な事項については、他に先駆けてエネルギー政策の見直しという形で今回対応させていただいたところでございます。
 エネルギー基本計画につきましては、これらの出来事の持つ政策上の意味を十分踏まえるとともに、現在、総合資源エネルギー調査会の意見をいただいている段階でありまして、今後、関係行政機関からの意見聴取でございますとか地方公聴会の開催を経て、御指摘のように、ことしの夏をめどに策定するように努めているところでございます。
 こういったような一つの背景の中で、今般の電力、ガス関連法案は、いずれもエネルギー政策基本法の三つの柱、三つの基本方針を具体化したものでございまして、私どもとしては、今言った背景のような中から、エネルギー政策の基本法を十分踏まえたもの、こういうことでお願いをしているところでございます。
鈴木(康)委員 反論があればまたお伺いをしたいと思いますが、私は、必ずしも、今回のこの法改正、緊急性を、早急にやらなきゃいけないという部分がそんなに多いんだろうかということを疑問に思っています。
 現行法に基づいてというお答えもございましたが、昨年の、エネルギー基本法をここで議論しているときの議論の過程を考えてみても、今まで、日本のエネルギー政策がかなり場当たり的であった。やはり、きちっとした基本法をつくって、基本計画をつくって、長期的視点に立って日本のエネルギーを考えていかなきゃいけないんじゃないかというのがまず根本的なベースとしてあったと思うんですね。そうした経緯を踏まえれば、私は、理由としてちょっと弱いんではないかなというふうに思うわけであります。
 先へ進みますけれども、さて、そのエネルギー基本法でございますけれども、今大臣からもお話がございました三つの柱がございます。安定供給、環境への適合、市場原理の活用という三つの柱を定めたわけでありますが、政策でございますので、私は当然、優先順位があってしかるべきだと思います。
 昨年もこの点についての議論があったわけでありますが、当然、日本のエネルギーの状況を考えていけば、私も質問を何度かさせていただきましたが、東電の問題を考えてみても、やはり安定供給というものが一番の価値でなければならないと思うんですね。それをベースに、当然、環境へできるだけ配慮をしたものであって、さらに、効率化の観点から市場原理というものが導入をされていく、考えられていくべきだと思うんですけれども、まず、その政策の優先順位、この柱の優先順位という点について、再度確認をしておきたいというふうに思います。
平沼国務大臣 今、鈴木先生からも御指摘がありました、このエネルギー政策基本法の御審議の中で、二等辺三角形、こういう例えを用いて法案提案者が説明されたように、安定供給の確保と環境への適合という政策目的を十分に考慮しつつ、市場原理の活用がなされるべきだ、これが明確に述べられております。
 政府といたしましても、今後のエネルギー政策を総合的に推進していく際にも、以上のようなエネルギー政策基本法の基本方針に沿って、国民生活に不可欠なエネルギーのまず安定供給を確保すること、二十一世紀はいかに地球環境を守るかというのが我々人類の課題でございますので、地球温暖化問題など、環境保全をめぐる問題に真剣に取り組むことの重要性、こういったことを十分に考慮しつつ、市場原理の活用に係る施策を講じていく、こういうことであると思っております。
鈴木(康)委員 安定供給と環境というものは二つの土台となる柱だと、甘利先生の二等辺三角形のお話もございました。私も記憶をしておりますが、私もその御意見に異存はございません。
 そうしたことを踏まえて、少し各論に入っていきたいと思います。
 今、環境への配慮、環境への対応というものがございました。そうした中で、平成十一年の電気事業法改正後に、特定規模電気事業者と言われる人たちがこの業界に参入をされてきたわけであります。この点については私も了とするものでありますが、その内容を見ていきますと、一部水力で電源を調達している以外は、ほとんど火力でございますね。これから新規に参入をされる方のことを考えてみても、その設備効率等々を考えていけば、当然、火力に偏重してくるんではないかということが容易に想定できるわけであります。
 となると、これは当然、二酸化炭素がどんどこどんどこ出てくるわけであります。そういう一方で、日本は大変に厳しい京都議定書の目標を達成しなきゃいけない。当然、そういうことがあって、エネルギー基本法の中に環境という大きな柱が出たわけでありますが、環境への適合というものを考えていったときに、この新規参入の状況が少しミスマッチではないかと思うんですけれども、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
西川副大臣 先生の御指摘のように、化石燃料を発電設備としている人が一般的であることはそのとおりであります。ただ、小売の自由化の販売電力量の中でのシェアは、現状は〇・八五%なんですね。ただし、現状であります。将来的にはこの問題は大事だというふうに思いますが、現状は〇・八五%。
 そこで、今回の制度改正の中で、いわゆる優先給電指令制度というものをお認めいただくならば、環境調和型の原子力や水力のような大型の長期電源設備を持ったものを育てていくことができる、これによって、結論的に言えば、環境に対する負荷は小さくて済む、こういうふうに、私どもはこの法案を提出する過程で御説明を申し上げているところであります。
鈴木(康)委員 通告はしていないんですが、その優先給電の問題ですけれども、もともとこれは、例えば原子力なんかの場合ですと、柔軟性がないものですから、優先給電、設備がでかいという問題もありますし、ということが前提としてあったわけであります。そうすると、理屈がすりかわっているような気がするんですけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。
西川副大臣 具体的にこの仕組みを適用するのは、この間のゴールデンウイークのようなものが明けた後とか正月休みが明けた後とか、ピークを急激に落とす、そのときの余剰を新規参入者に肩がわりされないように、大型で長期的に、要するに、回収を早くできない、しかし回収はしなきゃならないという大型の発電を維持していこう、投資を減退させないようにしよう、こういう仕組みでありますから、先生おっしゃる矛盾はないと私は思っております。
鈴木(康)委員 それでは、次に、構造の問題について御質問をしたいと思います。
 他の委員からの御質問の中にもありましたが、今回の改正の中では、発送配電の一貫体制を分けるという、いわゆるアンバンドリングと言われるものが行われなかったわけであります。これまでの改正の過程を見ていきますと、第一次改正で卸部門というものが自由化をされ、第二次改正で小売部門が自由化をされ、今回は、どうも当初はアンバンドリングを実施するということが想定をされていたんではないか。それが、急遽それを断念したというか、それをやらなくなったというふうに考えられるわけでありますが、もし、そういう方針転換があったとするならば、その理由は何なのかという点について、まず御質問したいと思います。
岡本政府参考人 冒頭、先生、財の特性でお話ございましたように、瞬時瞬時に需給の均衡を図る必要があるという側面、それから、中長期的にも、発電それから送配電両面にわたる設備形成というのを、需給両面の連携を見ながら一体的に進めていく必要がある、そういう電気事業の特性にかんがみて、その安定供給を確保するためには、発送電一貫の体制というのが望ましいんではないだろうか。
 一方で、新規参入者を含めて、電力会社が持っております送配電というネットワークの部分、この部分については公共的なインフラとしての側面を持っておりまして、そこに向けて新規参入者あるいはほかの電気事業者の方々が公平でかつ透明な形でアクセスするということをどうやって確保できるだろうかと、アンバンドリングの議論なんというのは、結構そういう面から提起されている面があるわけですけれども、そこの点については、今御提案申し上げているような、いわゆる行為規制、情報遮断でありますとか会計分離でありますとか差別的な取り扱い禁止という、そういう行為規制によって十分担保可能であるというふうに、審議会での議論を通じて多くの方々の認識の共有が得られました次第でございますので、そういう背景のもとに、私どもは、構造規制というのはとらないで一貫体制を維持し、しかし一方で行為規制は導入する、そういう整理のもとに今回の改正案を御提案させていただいているところでございます。
鈴木(康)委員 ということであるならば、これは構造規制をとらないで行為規制で送配電の設備の公共性というものをチェックしていくということであるとするならば、この構造規制というものを今回見送っただけなのか、今後もこれは行わないということなのか、その点の方針について再度質問したいと思います。
岡本政府参考人 行為規制を今回の改正案の中に提案させていただいておりますので、それの実際の運用あるいは遵守の状況というのを見きわめるというところは必要かと思っておりますが、それはちゃんと行われるということを前提に、私どもは、引き続き一貫体制を維持していくという方向は大事にしたいというふうに考えております。
鈴木(康)委員 行為規制でその状況を見ていくということでございますが、これは逆に、厳しくすればするほど、今度はその設備を持っているメリットというのがなくなると思うんですね。あるいは、こういう設備に新たに投資していくというメリットが出てこなくなると思うんですが、そのいわばバランスですけれども、そこの部分はどのように考えているんでしょうか。
岡本政府参考人 やはり、発電それから送配電、連係プレーでございまして、将来の需要をにらみながら、一方で電源の設備形成をどう計画的に進めていくか、それとリンクした形で、基幹送電線から変配電網に至るまでどういうふうに形成していくか、それを両方相まって電気の供給信頼度の高い供給というのができるということで、今一貫体制のもとで、電気事業者は、各部門の方々がお互いに連携をとりながら事業を展開されているところでございまして、私ども、そういった体制のもとで、必要な設備の形成というのは引き続き十分やっていただけるものというふうに期待をいたしております。
鈴木(康)委員 この構造規制の問題については、冒頭申しました電気というものの、その財の特性とも絡んで非常に難しいわけでありまして、海外でも、カリフォルニアの電力危機を含めていろいろな失敗例というものがあるんですが、こうしたケースというものが今回の意思決定に影響を与えているのかどうか、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。
迎政府参考人 カリフォルニアの例につきましては、当省におきましても、平成十三年に調査団を派遣いたしまして検討を行いました。この場合、複合的な要因が絡み合ってああした事態が生じたものというふうに評価しております。
 具体的には、電力需要の増大がIT経済化等を背景として見られる中で、厳しい環境規制ですとか、あるいは制度改革についての先行きが明確でなかったというふうなことで、投資が十分に進まない中で、市場全体が需給逼迫傾向にあった中で、制度改革の中で、半ば強制的な形で発電資産を売却させる、そしてすべての電力取引をスポット市場を通じて行うように強制的なプールというふうな形をとった。その結果、電力の需要家への販売をする業者にとりましては、ほかに調達手段がないというふうなことで、市場価格の変動に対するリスクマネジメントができなかった。その上、小売料金については凍結をしたということで、卸取引所での価格高騰が経営を圧迫するというふうなことになったことがその大きな要因となったわけでございます。
 私どもとしては、こういった例というのを他山の石といたしまして、安定供給が害されることのないよう慎重に制度設計を行っていくということで今回考えたわけでございまして、具体的に申しますれば、そのカリフォルニアで行ったような、発電資産を部分的にせよ売却するようなことを求めるというふうなことはいたさず、発送一貫体制を維持するというふうなことにしたわけでございます。
 それから、取引市場につきましても、カリフォルニアのような強制的なプール型ではなくて、事業者がプール外の相対の取引というのも行い得る、必要に応じて任意に利用をするということで、リスクマネジメントをいろいろな形でできるような形にしておるというふうなことで、こうした諸外国の事例というのを十分、細心の注意を払って設計を行ってきておるというふうに考えております。
鈴木(康)委員 今ちょっとお話の中でも出ました、今度、電力市場の問題ですけれども、市場原理の導入というのは、何か、市場原理を導入するとコストダウンにつながって、当然小売価格も下がって、何かいいことずくめのバラ色のように思いますが、必ずしもそうとも限らないんですね。そのやり方が悪ければ、むしろ価格が高騰したり、価格が乱高下をして消費者がその被害をこうむるということが数々の諸外国の例でもあったわけであります。
 例えば、今お話しになったカリフォルニアの電力市場の例なんか見ても、エンロンの価格操作等々によって価格が非常に乱高下をするというようなこともあったわけでありますが、こうしたことが日本では起こらないということなのか。当然そういうことも踏まえて、きちっとこれからはそういう電力市場をつくっていくんだろうと思うんですが、その点についてお答えをちょっといただきたいと思います。
迎政府参考人 カリフォルニアの事例におきましては、米国の連邦エネルギー規制委員会が電力価格高騰の原因の究明を行いました。その中で、エンロン社を初めとする発電事業者あるいは電力取引事業者が市場操作を行っていたというふうな報告が公表をされているという事実がございます。
 ただ、こういった市場操作が可能になったというのは、先ほども申し上げましたように、市場設計の中で、電力会社というのが、自分の発電資産を半ば強制的な形で売却をさせられた、それから一方で、取引市場で全量の調達をしなければならない、そういう意味で、ほかに調達手段がないというふうなことですので、大変、取引所で調達する方の需要というのは硬直的であるわけです。そういう中で、供給者の方が価格の操作というのを非常にやりやすいような形になっていたということがその背景にあると思っております。
 その点で、今回の任意の取引所というのでは、ほかでの調達、相対で調達をする手段ですとか、あるいは市場外で取引をするという方法が認められておりますので、言うならば、取引市場での操作みたいなことを行ってもほかの市場で調達ができるということでありますので、それがセーブとなりますので、そことの裁定等を通じて不当な市場操作というふうな懸念には対応できるというふうに考えておるところでございます。
鈴木(康)委員 続いて、ちょっとパンケーキの問題についてお伺いをしたいと思います。
 いわゆる電力の供給区域をまたぐごとに課金をされるという、パンケーキと言われる仕組みが今度廃止をされました。電力の広域流通化を図るんだということ、そういう目的でありますとか、あるいは、これによって既存電力間の競争が促進をされるというようなことが期待をされるということでありますが、果たしてそのようにうまく競争が促進をされていくのかということ、あるいは、これは新規に入ってくる人たちがいわゆるいいとこ取りをするのではないかということも言われていますが、そういうことにならないのか。その点についてまず御質問をしたいと思います。
岡本政府参考人 今回のいわゆる振りかえ料金、パンケーキの廃止によりまして、自由化対象の需要家に対する電力の小売を行う上で、新規参入者と電力会社はそれぞれ託送コストを同一の条件で負担するということになりますので、これは先生今お話しの、新規参入者だけがいいとこ取りということにはならない。一般電気事業者、新規参入者それぞれが同じような託送料金のもとで競争していくという状況が現出することになろうかと思っております。
 私どもは、この振りかえ料金の廃止を通じまして、供給区域をまたぐ電力の全国大での流通の活性化、そのことを通じたさらなる電気事業者の効率化というものを期待申し上げているところでございます。
鈴木(康)委員 流通が拡大をして活性化するということはいいことでありますが、一方で、先ほど来お話を申し上げているこの電気という財の特性からいきますと、製造したものをすぐに消費をしなければいけないわけですね。当然長い送電をしますとそのロスというものも考慮していかなければならないわけでありまして、できれば発電と消費というものが接近していればいるほど、私は効率的であるというふうに思うんです。
 そうなると、今度、どこでも均一料金だということになると、それは発電の立地しやすいところに立地が、当然それはそういうインセンティブが働くでしょうし、そこからうんと遠隔地に電気を送っても、近くで頑張っている人と同一料金であると、どうも何かちょっと解せないような気がするんですね。むしろ、遠隔地であるということに対しては逆のディスインセンティブが働いてもしかるべきだと思うんです。
 この同一料金にしたということによって、そういう地域間のバランスが崩れたり、あるいは長距離送電によるロスがふえないかという懸念もするわけですけれども、その点についての御見解はいかがでしょうか。
岡本政府参考人 供給区域をまたぐごとに課金されます振りかえ料金を廃止するに当たりまして、送電線建設等に要するコストの公平かつ確実な回収を確保するだけではありませんで、電力供給システム全体としての効率性を害するような遠隔地への電源立地の抑制を図ることが必要だというふうに私どもも認識をいたしております。
 そのために、具体的な方策としまして、一つは、需要地近接地に電源立地を行う場合のインセンティブ、これは現行の近接性評価制度というのがございますが、これを継続するというのが一つでございます。二つ目に、遠隔地の電源立地によりまして、連系線等の送電設備の増強が必要となりますような場合に、電源の遠隔地立地のディスインセンティブ付与の観点から、当該設備の増強コストの相当部分を原因者に求めるという方向で、この辺の費用負担のルールというのをこれから詳細固めていくということにいたしております。
鈴木(康)委員 ぜひ、バランスが崩れないように制度設計していただきたいと思います。
 さて、ちょっと時間がなくなってきましたので、天然ガスについてお伺いしたいと思います。
 天然ガスというのは、今非常に注目をされている、環境の問題あるいはこれから普及をされるであろうと言われる燃料電池の原料としてとか、非常に期待をされるエネルギーでありまして、特に日本の場合には、石油依存あるいは中東依存というものから脱却をするためには、天然ガスに力を入れていく必要があるだろうということも言われています。
 近くのサハリンに、約三兆立方と言われる日本の需要の約五十年分の膨大な天然ガスが眠っている、これを何とかしようじゃないかということで、今サハリン1とサハリン2という二つのプロジェクトがありますね。特に、パイプラインを引いて日本に持ってこようというこのサハリン1については、石油公団等々が出資をしてこれに関与しているわけでありますが、そうしますと、今までの経緯からしますと、当然、経済産業省としては、パイプラインを引いてきて天然ガスを直接日本に持ってくるということに力を入れていく、その可能性を追求していくという意向があるのではないかと推察をするわけですが、その点いかがでしょうか。
西川副大臣 恐縮ですが、私から。
 サハリンのコルサコフから太平洋ルートで千葉までは千六百キロメートル、新潟、日本海ルートは千三百キロメートル、大体千五百キロメートル前後から三千キロメートルぐらいまではパイプラインの方が有利である、こういう判断からこれをやっておりまして、これがうまくいった暁には年間八十億立方メーターを送ることができる。
 御案内のとおり、世界全体で一億トンのLNG需要があるんですが、我が国はその中で五千四百万トン、約半分日本が使っているわけでありますが、そういう意味で、このサハリン1、そして先生のお考えの中にはサハリン2も当然含まれていらっしゃると思いますが、サハリン2、それぞれ日本の需要量の約一ないし二割でございます。
 したがって、先ほど御指摘のように、中東依存度とか石油依存度を下げるという意味でも、CO2の排出量の少ないこれを私どもとしては力を入れていきたい、そのためにできるいろいろなことをやりたいと思っています。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
鈴木(康)委員 今のお話の中で出ましたサハリン2、昨日の日経新聞によりますと、いよいよロイヤル・ダッチ・シェルと三井物産、三菱商事、三社が資金分担も含めた具体的な投資計画に入ったという記事が出ておりました。約一兆二千億の投資を、日本側がたしか三井物産が三千億、三菱商事が二千五百億負担をするということでありますが、かなり具体的なところに差しかかっているわけですね。
 ちょうどその横に、東京ガスさんが二〇〇七年の四月からこのサハリン2のプロジェクトから最大年間百十万トンのLNGの購入をするということも発表されている。あるいは、電力さんも、東京電力さん、中部電力さんあるいは東北電力さんなどもこのLNGの調達の意向を示しているということでありますが、かなりサハリン2が先行をしているわけですね。
 それに先立つこと二月七日にエクソン・モービルが会見をしまして、年間六百万トンの需要がないとパイプラインが採算に乗らないんだということも会見で発言をされたということでありますが、いわゆるこの1と2の兼ね合い、2が先行している、果たしてこの1が採算に乗るだけの需要創造ができるのかということと、これを今後どういうふうに経済産業省としてこのプロジェクトに関与をしていくのかということを、ちょっと最後に御質問をしたいと思います。
岡本政府参考人 私ども、1、2それぞれ大事だと思っているんですが、サハリン1は、輸送形態がLNGとパイプラインの違いということがあることに加えまして、やはりユーザーの方々を、いずれの場合も長期引き取りをコミットしてくれるユーザーの方々のめどをある程度、大体半分以上は押さえるというところが大前提になってこようかと思います。
 そういう意味において、これは商売の話になるんですけれども、各需要家のプラン、FSは1も一応終わって、その上で、ユーザーに対する供給条件の提示、それから、さらにそこからスタートした踏み込んだネゴというものが、これまで私どもから拝見していて少し足りないところがありまして、そういったことでありますとか、デリバリーの時期についてのある種の保証というものをユーザーは求めますので、そういったことを含めた話し合いが、今の1の関係者と日本のいわゆるポテンシャルな大口引き取り者との間で、これから精力的に深められることを私ども期待を申し上げているところでして、機会あるごとに、御相談があれば、私どもはそういう方向でアドバイスを申し上げているところでございます。
鈴木(康)委員 ガスの場合、今のところ大口需要者というのがかなり限られてくるというのもあります。そういう事情もございますし、ただ、この天然ガスに関しては、非常にこれから日本にとって重要な戦略的なエネルギーだと思いますので、クリアをしなきゃいけない国内のインフラの整備の問題とかいろいろあると思いますが、ぜひ精力的に進めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
谷畑委員長代理 松野頼久君。
松野(頼)委員 民主党の松野でございます。きょうは三十五分ということなので、電気事業法の改正に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 きょう、午前中の質疑の中で、随分自民党の若手の先生からも非常にいい質問、僕らも勉強になる質問が出ていましたが、政治の側の認識というのは非常に近いものがあるんじゃないかなというふうに私は思います。
 大づかみの、自由化をするという基本的な理念についてちょっと伺いたいなと思うんですけれども、まず、小売電力の販売の自由化、そして今回のこの法案の中に盛り込まれております、卸売市場をつくってみたり送電の中間法人をつくるという、この一番の目的というのは何なんでしょうか。
西川副大臣 私からお答えをさせていただきます。
 この一番の目的は、結論的に言えば安定供給でございます。
 その理由を、時間の都合もございましょうから簡単に申し上げますが、一つ言えば、制度改革前の平成三年度と直近の平成十四年度の上期を比較しても約一三%電力料金が下がっている、こういう事実がございまして、これらを国民の皆様に還元できるということはやはり大変重要なことだと思っております。
 したがいまして、私どもは、今度の自由化の中で、先ほど申しました、いわゆる優先給電指令制度の導入でありますとか、また電発の民営化でありますとか、そういうようなことを駆使しながら、安定供給というものをしっかり確保して、かつ料金を低減させていきたい、こういうことを自由化の目標にしております。
松野(頼)委員 その安定供給の部分はまた後でお伺いいたしますが、価格の問題なんですけれども、低価格で供給をするというふうに今おっしゃいましたが、今回の、三〇%の自由化から六七%まで二〇〇五年に拡大をするという、それでは、この拡大をした場合に、一体何%の引き下げを今目標にされてこの拡大をされているんでしょうか。
岡本政府参考人 定量的に幾らということを、自由化範囲の拡大に伴ってそれで幾ら下がるというところを申し上げるのは、これは難しゅうございます。
 他方で、これまで部分自由化ということで、部分自由化なり、さらにその前の卸売市場のIPPという形での自由化でありますとか、そういう形で電気事業者におけるコスト低減に向けての努力が間違いなく促されて、累計で一三%強の料金の値下げが行われたというのも事実でございますので、私ども、さらなる自由化の拡大へのプロセスの中で、ほかのファクターももちろんございますけれども、電気事業者あるいは新規参入者含めて、さらなる効率化のための努力は大きく進展するものと期待しているところでございます。
松野(頼)委員 長官、今副大臣がおっしゃいましたように、安定供給と価格を下げること、この二つが目的なわけですよね。その目的の目標値というのが本来あってしかるべきなんですよ、目的なわけですから。
 私は、この自由化の政策を見ていまして、どうも自由化ということが目的になっているんじゃないかということを感じるわけです。ですから、あえてこういう質問をさせていただいたわけですが、その目的である価格の目標値が今言えないというのは、これは目的が違うんじゃないですか。そう言われても仕方がないんじゃないかと思うんです。
 もう一回伺いますけれども、大体何年までに、六七%まで引き上げればどれぐらいの価格が下がることが想定されるという議論があってしかるべきなんですよ、これが目的であれば。もう一回答えてください。
岡本政府参考人 これは、先生もつとに御案内のように、電気料金のコストを形成するファクターというのは固定費、変動費それぞれにあり、それぞれのファクターというのがこれからの経済事情によって大きく影響されるというところがありますので、そういうもとで、定量的に幾ら下がるというのを私どもの立場で申し上げるのは、これは責任を持って数字を申し上げるということは難しゅうございますので、その辺の事情はぜひ御理解を賜りたいと思います。
松野(頼)委員 これを申し上げています理由は、外国の、例えばヨーロッパでの自由化の価格の問題、各州によって違いますけれども、アメリカでの自由化をした場合の電気料金のデータを見ると、そんなに下がってないんですよ。これは大臣、後でぜひ資料で見てください、資源エネルギー庁は持っていますから。最初は若干下がるんですよ、自由化をした後は。ただ、五年、十年のスパンで見ると、価格も自由化前に比べて、自由化をするとバラ色のように価格が下がるというのが一つの常識になっているようですが、数字で追っかけていただくと、安定供給も悪くなったという声があります。
 ちょうど私、三年前にヨーロッパに行って、NETAという、イギリスでプール市場をつくってしたシステムをずっと見てまいりました。イギリスの方に聞きましたらば、停電も多くなったし料金も上がったんだという声が随分言われているんですよ。アメリカでも、各州によって、全部の州が自由化されているわけじゃありませんから、自由化されている州の数字をいただきましたらば、本当に、自由化をしたからといって価格が下がるという、まずこの大前提をもう一回考え直す必要が私はあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
西川副大臣 私が最初に御答弁を申し上げた責任がありますので、申し上げたいと思います。
 平成七年に入札制度を導入し、平成十二年に部分的な小売の自由化をさせていただきましたが、それぞれ、五%台、六%台の価格が下がったという事実は我が国にあるわけでございまして、したがいまして私はそのように先ほど申し上げたわけでありますが、それと目標値を幾つにするかということとは直接関連はないというふうに御理解をいただきたいと思っております。
 実際に下がっているということは、事実であります。
松野(頼)委員 それは三割の自由化の話だと私は思うんですね。この三割までを決して悪かったと言っているわけじゃないんです。ここから六七%まで引き上げて、最終的には完全自由化まで持っていくというこの政策、今回の事業法の改正に関して、それを申し上げているのです。
 ここにデータがありますけれども、家庭用の電気料金が、逆に、商業用の電気料金が少し安くなったために上がっているという国もあるんですね。ですから、本当に注意をしないと、一つの目的である電力自由化をすると電気料金が安くなってバラ色みたいな話がよくあるのですが、この大前提からもう一度考えていかなければいけないと私は思いますよ。それで、これを伺っているのです。
 今、三〇%で十何%電気料が下がりましたね。じゃ、ここから、三〇から六七まで持っていったときに、今からどれぐらいの目標値を、例えば全体的な物価上昇率とか人件費だとか経済指数を兼ね合わせて、もし今と同じだった場合、横ばいだった場合にはこのぐらいのコスト削減ができるという、本来であれば目標値があってしかるべきだと、長官、思うのですが、もう一回、長官、これが目的の部分ですからね、ちょっともう一回答えてください。
岡本政府参考人 自由化の範囲をどうするかということについて、先生の今の御指摘は、いわゆる家庭まで含めた全面自由化を前提にしてのお話のようにも受けとめられたんですけれども、私ども、全面自由化については、審議会の取りまとめにもありますように、それまでの自由化の進捗の結果というものを十分評価をし、それから、この委員会での御審議の中でも指摘のございました、最終保障責任をどうするか、離島を初めとするユニバーサルサービスをどうするか、そういったことについての議論を十分尽くした上で慎重に考えるべきものというふうに家庭のところは考えておりまして、海外の例を見ましても、家庭部門については、自由化に踏み切った後に逆に上がったというようなケースもあるということは、私どもも承知をいたしております。
 それで、平成十七年に五十キロワットまでということで、六七までは多分行かなくて、六〇%強ぐらいかと思いますけれども、そこまで行った場合にどこまで下がるかという重ねてのお尋ねなのでございますが、これはまさにその辺までは、私どもの評価で、いわゆる需要家の側が供給者を選ぶという、ある種の交渉力を持っている需要家の範囲でございますので、供給者の方の選択肢がふえるという、需要家にとっての選択肢がふえるということと、需要家の側の交渉力がそこそこある、ビジネスをやっている方々がほとんどでございますので。したがって、そういう中でのやりとりを通じて値段というものもおのずと決まっていくというところがありますので、行政の立場でここまで下がるということを申し上げるのは、重ねてのお尋ねなんですけれども、お答え申し上げるのは大変難しいという事情を御理解賜りたいと思います。
松野(頼)委員 価格は言えないということですが、じゃ、安定供給の部分で、例えばカリフォルニア州ではああいう電力危機が起こっているわけですよ。イギリスでもBE、ブリティッシュ・エナジーが企業として非常に倒産状態に追い込まれて、政府が一千億の金を援助して何とか助かったという例もあるんですね。
 そうすると、この安定供給の部分の、カリフォルニアの例とそしてBEの例、これは今回の自由化のこの制度設計の中にどのように生かされているか、それをちょっと伺わせてください。
岡本政府参考人 先ほどの御議論の中でもお答え申し上げたのですが、やはり私ども、カリフォルニアあるいはブリティッシュ・エナジー、それぞれ外国における自由化の実績、あるいはうまくいってないところを含めまして、特に、いってないところも十分に我々の制度設計に当たっては参考にさせていただきました。
 カリフォルニアで、いわゆる発電設備の半ば強制的な売却でありますとか、送電線の運用をISOという外のところに任せる、そういう構造規制に踏み込んだようなことをやったり、それから取引市場というのも、向こうの場合にはすべての電源をそこを通してということですので、電気を売る人たちにとって電力を調達する手段はそれしかないという状況に置かれたわけですけれども、そういったものの反省というものを踏まえながら、私どもは一貫体制というのは維持した方がいいというふうに考えましたし、それから、取引所はつくりますけれども、相対取引というのがむしろ基本で、それを補完するものとして、強制ではなく任意の取引所ということで全国大の電気の取引の取引所というのをつくってもらおうと思いますが、そこの位置づけも、まさにカリフォルニアなんかの教訓に学んで、日本にふさわしい制度というものを、英知を集めながらこれまでのところ積み上げてきたということで、今御提案を申し上げておるところでございます。
松野(頼)委員 じゃ、一つ確認しておきますけれども、この発送電一体体制というのは堅持されますね。
岡本政府参考人 送電部門に対する公平、透明なアクセスを確保するというために、私ども、アンバンドリングという構造規制はやりませんが行為規制はやらせていただくということで、今、法案の中にも提案させていただいておりまして、そういうものがちゃんと遵守されるということを前提に、私どもは、発送電一貫体制というのはこれからも日本として大事にしていくべきだというふうに考えております。
松野(頼)委員 ぜひ、それはそうしていただきたいと思います。
 それともう一つ、やはり自由化の流れの中で非常にコストの意識が高くなると思うのですよ。今回の法案では、バックエンドの問題等原子力発電に関する問題が、平成十六年度を目途に経済的措置等具体的な制度、措置のあり方について必要性を含め検討するべきであるといって、要は、ここの部分はちょっと先に送っているわけですよ。にもかかわらず、今回、六七まで自由化をするという状況で、もう少し電力供給体制の全体的な政策があってしかるべきじゃないかというふうに私は思うのですが、この原子力発電の問題とバックエンドの問題、それと相対する自由化のコスト意識の問題、ここについてちょっと答弁していただけますか。
西川副大臣 バックエンドの問題につきまして、まず私から申し上げたいと思いますが、先生御案内のとおり、青森県におきまして、低レベル放射性廃棄物の処分につきましては着実に事業を実施しております。また、高レベル放射性廃棄物の処分につきましては、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づきまして制度や実施体制を整備し、必要な資金の積み立てや適切な処分のための研究開発を実施しております。
 また、原子力発電施設の解体や廃棄や使用済み燃料の再処理に必要な費用の引当金制度を整備するということが議論をされて、これらの措置を講じてまいりました。
 一方、御指摘のバックエンド事業につきましては、これらの対策を講じてきたもの以外の課題の中に事業の見通しや科学的知見の蓄積等に不十分であるものがございますので、その措置を具体化できないものも含めて、ただいま御指摘のように、十六年の時期にこれをしっかりと検討を行って対策を講じていく、こういうことに基本的にはなっているわけであります。
 それで、本当に申しわけないのでありますが、私、冒頭のお尋ねに対して、私の説明と申しますか答弁が先生に誤解をお与えしたために、その後の議論が大変深刻な議論になって、私、責任を感じておりますので、もう一度その部分について釈明的に、御理解をいただくために申し上げさせていただきます。
 一つはやはり安定供給ということ、それからもう一つは環境に優しい電気事業ということ、そしてもう一つは国民全体が理解をしていただける自由化という問題についても、何と言うんでしょうか、さっき長官が申しましたとおり、需要家側が供給の幾つかの選択肢を選べる、それによって実際に、数次にわたる改正の中で、先生もお認めいただいたように、五%台、六%台ではございます、それから、平成三年から十三年にかけての十年間で一〇%前半の引き下げがあったことも事実でございます。そういうことを国民が享受するということが今回の制度改革なんだという意味で、この自由化の目的は、安定供給と、国民の皆さんに、電気を安全に使い、かつ効率的にメリットを享受していただくという意味で価格の低減も含まれるというふうに申し上げたわけでありまして、目標をいつまでに何%ということを申し上げたつもりはないのでありますが、そこのところをぜひ御理解をいただきたいと思っております。
平沼国務大臣 御質問の中に、自由化が進んで、コスト競争が激しくなって、そして原子力が抱えるそういうリスクはどういうふうに考えるかというような趣旨の御質問があったと思います。
 原子力発電等に関する投資というのは、これは言うまでもなく、回収に長期間を要するものでございまして、小売自由化等の進展に伴いまして事業者が慎重になるということは懸念されるわけであります。
 そうした中においても、引き続き原子力発電の推進が図られますように、一つは、原子力等の大規模発電事業と送電事業の一体的な実施を確保するために、そういう意味でも発送電一貫体制を維持する、二つ目は、全国的な電力流通の円滑化や卸電力取引市場の整備を通じまして、原子力発電による発電電力量の吸収余地を拡大をする、そしてさらに、原子力発電等に固有の対策として、その強みを発揮し得る長期安定運転確保のための環境整備を行う、こういう措置を講じることにいたしております。
 具体的には、長期安定運転確保のための環境整備のため、需要が落ち込んでいるときには優先的に原子力発電から給電を認める優先給電指令制度等のルールの整備をいたしますし、電源立地対策のさらなる重点化を行う、バックエンド事業につきましては、今いろいろ答弁がございましたけれども、そういった対策を講じていかなければいけないと思っております。
松野(頼)委員 私は、正直言って、電力という商品に関して、自由化という自由競争の市場原理の中にゆだねるのは似合わない業界ではないかなというふうに思っているんです。といいますのは、今お話がありましたように、バックエンドの問題、高レベル廃棄物の処理の問題、こういう問題がやはりあるわけですし、そのために特別会計までつくって、電源開発促進税という特別税まで取って、やはり一番安く発電できる原子力というものに対して、国がある程度一体となってやっていかなければいけない分野をどうしても抱えているわけですね。
 そこで、発電源にそこが一番、環境を考えましてもコストを考えましても、今の時点ではこの原子力というものはどうしても必要な発電源だと私は思うんです。その部分を抱えながら、片やこっちで自由化だ、自由化だといってコスト競争、市場原理を導入していくという部分があるから、私は、この分野に関しては余り競争原理を入れるべきではない。確かに、電力料金の価格を下げて安い電力を供給するという、これは当然のことでありますけれども、それと同時に、やはり発電の部分、原子力の部分を抱えていますので、もう一度僕は考え直すべき分野ではないかなというふうに思うんです。
 先ほどから質問をさせていただいていますように、諸外国の例を見ましても、決していい結果が出ているわけではないんですね。こういう発電を抱えながら、どうも自由化ということが目的になっていまして、これは世界の流れだから自由化はしなきゃいけないということが第一目的となって制度設計をされているような気がしてならないんです。
 新規参入事業者の発電源を見ましても、原子力なんか当然一つもありませんよ。火力がほとんどです。すると、京都議定書の環境に対しての配慮の部分でも、決してそれはいい方向に行っているわけではないんです。CO2の削減がふえるような新規事業者がどんどん今発電を始めようとしています。ですから、何も世界の流れだからとかいうことで無理して自由化を進める必要は私はないと思うんですが、その辺、大臣、所見はいかがでしょうか。
平沼国務大臣 松野先生のおっしゃることも私どもは理解できます。これはエネルギー政策の基本法を御議論いただいたときも、やはり一番は安定供給が大切だろう、その次には、当然のことですけれども、二十一世紀というのはいかに環境を守っていくか、だから環境に対する配慮というものもしっかりしていかなきゃいけない、そういう意味では、原子力なんというのは非常に有用なわけですね。そして、やはりそれを使う需要者の方々がおられますから、その方々に対しても、二等辺三角形という表現でございましたけれども、いわゆる自由化によって価格、そういうものもやはり盛り込んでいくべきだ、こういう基本精神であります。
 したがいまして、今数々、特に原子力のバックエンドの問題でございますとかいろいろなことがございましたし、それから諸外国の実際に具体的な例もお示しをいただきました。我々もそういうことは十分承知をしながら、先ほど資源エネルギー庁長官も御答弁させていただきましたけれども、そういった英国やアメリカの例もこれは他山の石としまして、そういったことが起きないように盛り込んだところでございまして、私どもとしては、御指摘の点は十分踏まえて、そしてやはりエネルギーの安定供給、環境保全、そしてもう一つはやはり需要家のための配慮、こういうものをバランスよくやっていく、このことが必要だと思っております。
松野(頼)委員 あと、長官、そろそろ時間がなくなってまいりましたが、最終保障約款の問題ですね。既存電力会社の最終保障義務について伺いますが、これは大体何%ぐらいまで自由化の範囲、発電量がふえた場合に、どの辺で最終保障の義務を解除するんですか。
岡本政府参考人 今般の電力の制度改革におきまして、五十キロワット以上の需要家まで段階的に小売自由化を拡大していくということで考えておりますが、家庭を含めた小口需要家につきましては、その上で改めての検討ということでございます。
 それで、私ども、これまでの審議会での議論の中で、一般電気事業者の方々も、十七年に予定しております五十キロワットまでの高圧の需要家の範囲拡大、そこまでは少なくとも最終保障の責任を一般電気事業者の方々が負担する用意ありということを審議会の議論の過程でも表明いただいているところでございまして、一方で、規制分野というのがかなり残っている、それから一貫事業体制を維持して責任のある供給主体ということで、電気事業者はこれからも供給責任を果たしていくということについてそれぞれ強い覚悟をお持ちでございますので、先ほどの先生お尋ねの、具体的にどこまでなったというところについて今数字をもってお答えするというのは、そこまでの用意はできておりませんが、今十七年に予定している五十キロワットまでについては、最終保障責任を従来と同様に負担していただくということは十分やっていただけるものというふうに私どもは考えております。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
松野(頼)委員 この最終供給義務ですけれども、例えば、では、今これから東京電力管内で電力不足というのが起こりますね、それは、僕らのところにもエネ庁の皆さんが説明に来て、六月の終わりから七月ぐらいはちょっと危ないかもしれないということをおっしゃっているんですが、こういう状況になった場合に、例えば東京電力と、ではうちはもう、安いから、ほかの既存の新規の電力会社さんと契約をしましたといって、もしそこが、会社が倒産をしたり、何らかの事情で供給をできなくなる場合があるわけですよ。やはり東電さんに戻りますよといった場合に、これだけ電力不足ですから、申しわけありませんが、おたくにはちょっと供給するのは後回しになりますということが起こるわけですよね、今の状況でありますと。
 その場合に、今は新規参入業者の皆さんの発電量というのが全体の発電量に比べてまだ低いですから、しょせん三割の中の〇・八%ですから、全発電量の中の本当に〇・二%ぐらいなんですよ。ですから、そのぐらいの量であれば、余剰電力を既存の電力会社が抱えていても十分だということなんですが、この発電量が、例えば二〇%、三〇%を新規参入事業者が発電するようになったというときに、最終保障義務を既存の電力会社に課して、その分のコストを与えて、それで自由競争ですよという話は、これは僕はおかしいと思うんですよ。
 その辺で、何パーぐらいまで新規参入の発電会社が発電をした場合にはこの最終保障約款は外すんだという、その大体の目安はないんですか。
岡本政府参考人 先生御存じのように、最終保障責任というのは供給能力の範囲内でということで、いわゆる供給義務とはちょっと区別されたものとして責任を負担していただき、かつ、供給責任を果たすに当たっては通常の電気料金よりは割り増しした条件のもとで供給することは差し支えず、そういうことでやらせていただいているところです。
 先生の御指摘の、いわゆる新規参入者の方々がどの程度のシェアになってくるかというところについて、これは私どもも今その数字を持っているわけではございませんけれども、一方で、一般電気事業者の方々がいわゆる最終供給責任というのを果たしていくに当たって、自分のいわゆる供給力、自社の電源というものに加えまして、一つは取引所、それから一つは全国的な供給区域をまたいだ流通の拡大、そういうことが期待される中で、各電気事業者の方々の供給能力というものがどういうふうにこれから推移していくことになるだろうかという要素も見きわめる必要があろうかと思います。
 いずれにしましても、先生の御指摘のいわゆるニューカマーという部分が十分ひとり立ちしたコンペティターとして隆々に育っていった後において、最終供給責任というのをだれが負担すべきかというところは、これは真剣に検討すべきテーマだと思いますので、今の時点で、具体的にどういうマーケットのシェアの状況になったらということで数字をもってお答えするのは、そこまでの用意はございませんが、先生の御指摘というのは大事な問題提起と受けとめさせていただいて、私ども、これから真剣に勉強させていただきたいと思います。
松野(頼)委員 私は、今のこの近代社会において、ITがこれだけ進んでいる中で、電力の供給というのは、一産業として位置づけるのではなくて、本当に大事な分野なんですよ。今、東京で、目の前で起ころうとしている、起こるか起こらないかわかりませんけれども、現在の社会の中で電力が停電をするということ、一体どういう状況が起こるか、はかり知れないものがあると思うんですね。ですから、そういう中でもうちょっと、エネルギー基本法も法律としてできているわけですから、全体的な、グローバルな電力の供給体制の目標というのをつくるべきだと私は思いますよ。
 例えば発電分野に関しては、大体ベストミックスで、三割、三割、三割ぐらいでやっていますけれども、自由化の供給体制についても、どれぐらいまでは大体新規事業者が入っても大丈夫だ、どれぐらいまでは既存の電力会社がやるべきだ、このぐらいは新エネでやろうという全体的な、場当たり的な電力の供給体制ではなくて、グローバルな形の体制のある程度のめどをつけていただくべきだというふうに私は最後に指摘をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
村田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山田敏雅君。
山田(敏)委員 山田敏雅でございます。
 きょうは、中小企業の個人保証の問題、ちょっとおいておきまして、午前中から自由化の問題、いろいろ聞いておりましたけれども、皆さんお聞きになったことは、自由化の最終的な目的というのは何なのかというところをやはりお聞きになったと思うんですが、ちょっとここで改めまして、自由化をするその最終的な本当の目的というのは何なんでしょうか。
平沼国務大臣 山田先生にお答えさせていただきます。
 我が国の電気事業といいますのは、これまでの制度改正による小売の部分自由化を通じまして、一定の効率化の成果が見られているところでございます。
 他方、国際的に比較をいたしますと、電力部門における高コスト構造の是正、これはまだ道半ばだと思っておりまして、今国としても、いろいろ日本に対する直接投資、これに力点を置く政策を展開しなければならない、こういうことがございますけれども、やはり高コスト構造というのが一つ大きな障害になっていることは事実です。
 今般の電力制度改革というのは、こうした過去の改革の成果を踏まえながら、さきの制度改正時の三年後の見直し条項等、昨年の六月に制定されましたエネルギー政策基本法を踏まえた改革であると私どもは位置づけております。
 具体的には、エネルギー政策基本法で、エネルギー政策遂行上の基本方針が定められているところでございますけれども、今回の制度改革においてもこの基本方針に基づきまして、供給システムの改革による電力の安定供給、それから環境への適合を図って、これらのもとで電力の供給に関する需要家の選択肢の拡大を図りまして、電気事業のさらなる効率化を促すための措置。
 そういう意味では、このエネルギー政策基本法を御議論いただいたときも、結局、電力というのは安定供給というのが一つ大きな柱でなくてはだめだ。
 もう一つは、二十一世紀というのは環境をいかに守るかというやはり人類にとっての大きな命題がある。それをこの柱としつつ、ちょうど御質疑の中で二等辺三角形という表現を使ったわけでございますが、その中でやはり需要家に対して、この高コスト構造を是正しながら、自由化によって安価なそういうエネルギーを提供しよう、そういうことで今回、自由化、こういうものが盛り込まれている、こういうことでございます。
山田(敏)委員 では、自由化の最終的な目的は高コスト構造の是正をするんだというふうに今私は受け取りました。いろいろな政策もあるけれども、では、自由化を進める目的は高コストの構造を是正する、こういうことだと思います。
 ただ、自由化の本当の目的は、そういうことではなくて、やはり今のセキュリティーとか環境とか国民の利益を向上する目的でないとちょっとおかしくなってくるんですね。
 そこで、自由化をすれば確かにコストは下がるという、多少成果は上がったと今おっしゃったんですが、自由化をするということはいいことだ、なぜなら競争が高まってコストが下がる、こういう理屈なんですね。それを皆さん一生懸命議論されて、今何となくそういう雰囲気になっているんですが、事業者の方に、現場の方に、本当に自由化でいいんですかと聞くと、本心は、いや、自由化、こういうふうにいくと大変な問題がいろいろ起きてきて、余りいい結果にはならないかもしれないけれども、例えば審議会の議論の中で自由化自由化と言われると、いや自由化には反対ですと言うと、何か時代に逆行しているような、何か悪いことをするような、こういう心理が働いて、皆さん、何となく自由化に行こう、自由化に行こう、こういう議論を見ていると出てきているように僕も思います。
 今、多少成果が上がったとおっしゃるんですが、これから先は自由化を進めていくとむしろ弊害の方がたくさん出てくるという議論、いろいろ指摘があったと思うんですけれども、そこで、大臣が言われた、自由化の目的は高コスト構造の是正だということであれば、今までの電力のコストの分析は行われているんでしょうか、行われたんでしょうか、こういうことをお聞きしたいんですが。
岡本政府参考人 自由化という意味では、平成十二年から大口のところの部分自由化がスタートしたわけですが、それに先立ちまして、国際的に遜色のないコスト水準を目指し、我が国の電力のコストを中長期的に低減する基盤の確立を図るため、今後の電気事業はいかにあるべきかということで、平成九年から当時の電気事業審議会で審議が始まりました。さらに申し上げれば、その前に卸電力市場というのを自由化するということで、IPP、独立電気供給事業者という制度が入りました。
 その前にも、コストの構造の分析というのは私どもやっております。その中で、全般的に、海外に比べて二割前後高いということ、それから、その背景として何があるだろうかということで、例えて申しますと、日本の電力の負荷率というものが大変悪くなってきている。負荷率一%が電力料金のコストに換算しますとおおむね一%ぐらいそれを押し上げるという要因があるわけですけれども、負荷率が何でこんなに悪くなってきたんだろうか。負荷率改善のために、蓄熱その他、それから選択約款の方でも負荷率改善に資するような、需要家の選択を後押しするような制度を入れるということでやったりもいたしました。
 そういうコストの分析というのは私どもする中で、例えばIPPを新たに導入したというときに、私は当時担当の公益事業部長だったわけですが、電力会社の経営者の方々が、はしなくも聞いたんですけれども、IPPという、鉄鋼会社であるとか精製会社であるとか、そういう人たちが卸電力ということで入札してきた、その結果を見ると、自社の火力部隊よりも相当安い。何で安いか。それはスペックを、タービンとかそういうものについてメーカーからとっている。そのスペックが自社のいわゆる調達部隊が購入しているのに比べて二割、三割安い。何でこういったことが起きるのかというところで、電力会社の方自身もコスト構造の分析というのを懸命にやるようになられました。
 それから、負荷率に加えまして、もう一つは、やはり日本の流通設備という送配電のところが非常にコストが高いということで、これは当時、電気事業審議会の保安小委員会を設けて、流通設備というものについての内外のコスト構造がどうなっているか、そういった分析もやりながら、さらなる効率化の余地ありということで、十二年に向けての部分自由化に至った次第でございます。私どもも、こういった方向を目指すに当たっては、今申しましたようなコストの分析、それから効率化の余地というものが那辺にありやということの検討はかなりやらせていただいたところでございます。
山田(敏)委員 ちょっと今、非常に定性的な話をされたんですけれども、今の流通設備ですか、それを一つ具体的に申し上げます。
 例えば送電というもののコスト、これはちょっと比較しただけでも、日本の送電コストというのは外国と比べてちょっと高いなということは大体わかるんですが、そういうことを定量的に分析したことはありますかというのが僕の質問なんですけれども。
岡本政府参考人 送電線につきましては、例えて言いますと、送電鉄塔の高さの問題でありますとか、それから、土地を占有いたしますので、地価の違いでありますとか、それから、送電線のいわゆる被覆についての安全基準というのが外国に比べて違いますとか、そういうものがコストにどういうふうにきいてくるかというのを、当時、保安小委員会の議論の過程で、もちろん数字を含めて、海外との比較分析をした経緯がございます。
山田(敏)委員 今まで多少うまくいったということがちょっとありましたけれども、これから先は、後で述べますが、自由化を進めていくといろいろ難しいことが起こってくる、特に小売部門にいきますと。
 ということは、やはり今コスト分析をしっかりやって、今おっしゃったように、外国に比べて必要以上に規制があるとか、あるいは土地を占用しなきゃいけない、では借りてもいいんじゃないかとか、いろいろなコストの分析があると思うんですね。これをやはりしっかりやって、高コスト構造の是正というのをまず最初にやらないと、いきなり、どんどん自由化に行くと、僕は大きな問題が起こると思いますので、今お伺いしたところによりますと、定量的な分析はしていないということだと思いますので、もう一回、電力のコスト分析をしっかりやっていただきたいと思います。
 それから、ここに、一応主な電力会社の有価証券報告書をいただきました。ちょっとざっと申し上げると、例えば、東京電力が売り上げが五兆円ですね。それで経常利益が三千億円ですね。それから中部電力、これは二兆円で約一千六百億。中国電力も、一兆円で六百億。大体、経常利益が五%のちょっと上、六%、七%ぐらいで財務諸表が出てきているんですが、この数字は適正だと思われますか。
岡本政府参考人 経常利益の絶対水準、あるいはそれの売上高に対する比率の適否ということについて、行政の立場から軽々に評価をするというのは慎重であるべきだと思いますが、一方で、今御指摘のような、経常利益を達成するあるいは維持するということを通じまして、電力会社のいわゆる格付というものが相当いい格付が得られるに至っていて、電力事業というのは、先生御案内のとおり大変資本収益的な事業でございます。膨大な借入金、それから設備投資を行うに当たっても、社債、それから一部は借り入れという形で資金を賄っておりますので、その資金コストを低減化するという点においては、いい格付というのは大変大きな意味を持っておりまして、そのことは、回り回って需要家の方々にも還元をするというところがありますので、そういう構造の中で、今の経常利益率というものもしかるべく評価をされていいんではないだろうかというふうに考えております。
山田(敏)委員 今の数字は、電力会社としての、会社としての健全性、これは今の比率で非常に適正だと私も思います。おっしゃったとおりだと思います。
 ただ、今の自由化の議論の中で、どういう発想なのかというと、電力会社はもうけ過ぎているんじゃないか、では競争してぎりぎり締めたらコストが下がるんじゃないか。コストが下がるということは、当然今の電力会社の経常利益率というのは下がるわけですよね、これから先。それについてどう思われますか。
岡本政府参考人 コストを下げるということを通じて、もちろん売り上げがどうなるかということにもよりますけれども、経常利益そのものを大きく損なうことなくコストを低減するという、そういう方途もあろうかと思いますので、電力会社の経営者の方々も、引き続き、資本収益的な事業であるというところの御認識は変わらないかと思いますので、そこに向けて、市場でのレーティングというものを、いいレーティングがとれるようにということで当然考えられると思いますので、そのことを前提にした上で、なおコストを低減して、その一部を需要家の方々に還元していただくというところに向けて、さらなる御努力というものは私ども十分に期待できると考えております。
山田(敏)委員 かつて資源エネルギー庁が電力会社を指導したと言うとオーバーですけれども、こういうことが望ましいとか、行政上のいろいろな指摘をするとか、そういうことをして電力会社を育ててきたと言うとオーバーですけれども、そういうことをやってきたわけですね。
 今までは非常に高コスト構造だ、これからは自由競争によってコストを下げる、電力料金を下げるということですね。そうすると、当然電力会社は、今おっしゃったように、コストを下げなきゃいけないということですね。では一体、今までコストを下げる努力はしたのかしなかったのかということになって、今から一生懸命やりましょう、では、今まで資源エネルギー庁はどういうふうにこの会社を見て、やってきたのかということになるんですよね。ということは、今までちょっと甘かった、コストの見直しもちゃんと見ていなかった、しかし今後は自由競争によってどんどんコストを下げていく、経費を切り詰めていくんだ、こういうことですね。それでよろしいんでしょうか。
岡本政府参考人 コスト低減の努力はなお引き続き、私ども、継続中だというふうに考えております。一連の卸市場の自由化、それに続く小売の部分自由化、そういう形で競争が入ってくる中で、電気事業の方々が、その都度その都度、やはり可能な限りの経営効率化というのは努められてきているかと思いますけれども、なおその余地というのは残されているというふうに考えております。
 最近で申しますと、例えての一例でございますけれども、火力の中で、LNGの火力の比率というのは結構高うございますけれども、LNGの供給条件というものが、従前、売り手市場だったものが、最近、買い手市場に変わってきているということを背景に、電力もガスも今懸命に、供給条件を変えて有利にということで、大変なハードネゴをやっているわけですけれども、例えばそういうことを通じた、さらなるコストの低減の余地というものはあろうかと思いますので、そういうものを大きく促すものが、今ここで一連のスケジュールというものをお示しして進めようとしている自由化というのが一つのドライビングフォースになって、そうした効率化努力というものを背中を押していくことになろうかと考えております。
山田(敏)委員 責任ある供給主体ということで午前中からいろいろ議論がございました。今、会社が健全に経営されること、これも一つだと思うんですけれども、ちょっともう一回、責任ある供給主体というのはどういうことなんでしょうか。
岡本政府参考人 今回の電気事業法改正というのは、安定供給の確保と環境への適合を図りつつ、そのもとで市場原理の活用を図るということを基本的な考え方にいたしているわけでございますが、供給区域内の需要に対する供給責任を負って、発電から送電までを一貫した体制で確実に行う、そういう一般電気事業制度を引き続き維持する、このことをもって、私どもは責任ある供給主体ということで申し上げているところでございます。
山田(敏)委員 エネルギー政策というのを私は環境エネルギー政策と、二十一世紀はそういうふうに呼ばなきゃいけないというふうに常々申し上げているんですね。エネルギーというのは、二十一世紀は環境エネルギー政策である。そこで、環境税の問題が出てきます。それから新エネルギーですね、風力とか太陽光ですね。何回もこの場で議論してまいりましたけれども、例えば風力の推進についても、ヨーロッパに比べて非常におくれている。あるいは環境税的な考え方、まだ具体化しておりませんけれども、日本はおくれている。
 こういう中で、今回の自由化、経営の健全化、今長官が申されたように、責任ある供給主体、言いかえると、やはり電力会社が健全な経営をやっていかなきゃいけないということと、今の新しい環境エネルギー政策との整合性についてはどうお考えになりますか。
平沼国務大臣 今度の、昨年の六月に制定されましたエネルギー政策基本法の中でも、やはり、先ほど御答弁の中で二等辺三角形と申し上げましたけれども、環境への適合、こういうことが主要な柱の一つでございます。
 したがって、山田先生がおっしゃるように、これからのエネルギー政策というのはやはり環境が主題的になっていかなければならない、おっしゃるとおりだと私は思っております。
山田(敏)委員 今、例えば風力にしても太陽発電にしましても、コストで電力会社が買っているんじゃなくて、売った値段で買っているわけですね。それで北海道なんかは、供給の体制もあると思うんですけれども、一応四十五万キロワット以上は買いません、風力はもうこれで終わりですというようなことになっていますね。それから太陽光も、一応目標としては四百八十二万キロワットとありますが、やはりこれ以上やろうと思うと、今、大体二十円か二十一円で電力会社が買う。火力のコストは、あとは今、原子力の五円とか言っていますけれども、全然違うことをやっている。
 これを環境エネルギー政策の目標としてもっと大胆にやろうということになりますと、今の高コスト構造をさらに押し上げていくということが考えられると思うんですが、この辺をどういうふうにお考えになるでしょうか。
平沼国務大臣 新エネルギーというのは非常に、環境ということを考えたときに、太陽光発電にいたしましてもあるいは風力にいたしましても、その発電過程で一切二酸化炭素を出さない、地球環境にやさしいエネルギー、そのとおりだと思っています。
 そういう意味で、私どもとしても、太陽光発電にしても風力発電にしても、今まで国としては相当後押しをしてきたところでございます。現時点ではまだエネルギーに占める割合が一%でございまして、これを二〇一〇年までに何とか三%以上にしよう、こういうことで努力をしておりまして、ここの新エネルギーに国がいろいろな形で後押しをしている、そういう予算上の措置も非常に大きなものになってきています。
 そういう意味で、私どもとしては、確かに、今北海道の風力の例等も出されましたけれども、そういう中で、今、我々としては三%以上にしようということで取り組んでいるところでございまして、現時点では、風力においては発電効率、コストの問題、太陽光発電も、例えば真上に太陽が上がるときは非常に発電効率はいいですけれどもそうじゃないときがある。ですから、ここはもう一度技術革新が必要ですし、そういった中での後押しは我々当然やっていかなければならないと思っておりますし、国としての三%以上の目標の達成に向けても我々は努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
山田(敏)委員 今の新エネルギーのこともそうですが、最近の新しい燃料電池ですね。燃料電池の導入による分散型の電源、各家庭、各工場にそれぞれ電源をつくる、それで送電のコストが要らなくなるという試みがいろいろやられておりますけれども、今の段階ではまだもう少しコストが高い。あと二年後ぐらいに実用化するということですが。
 一気にこれを、政府の政策としてこういう分散型の電源を導入することは、国のエネルギー政策として非常に効率のいい、今問題になっております高コスト構造を是正するのに非常にいいということであれば、これはある程度政府の政策として強制的にやっていかないといけない、こういう面があると思うんですね。これはもちろん、最初、電力会社のコストを大きく痛めつけるということもあると思うんですけれども、分散型の電源について、将来の見通しなり政策なり、何かお考えがありましたら、どうぞ。
平沼国務大臣 燃料電池というのは、やはりそのエネルギー源は水素でございまして、地球上には無限にある、しかも非常に環境にやさしい、こういう側面を持っておりますので、これは我々は伸ばしていかなければならないことだと思っています。
 そういう意味では、まず、燃料電池を使っている自動車なんかも、これは小泉総理のいわゆる強力なリーダーシップの中で、特に市販をされている燃料電池車というものを優先的に、今非常にコストが高いけれども、国が採用しようということで、経済産業省もその一台を使用して、今政府全体では五台使用している、こういうことになっています。
 それから、据え置き型の燃料電池に関しましても、私もこの前お台場のある電機会社のモデルハウスに行かせていただきました。そこに参りますと、いわゆる定置型の燃料電池というものが自己完結型のエネルギー源としてそのモデルハウスに設置をされておりまして、もう一歩のところまで来ているわけです。
 ですから、こういったものは、私は、国として明確な目標を掲げて、そしてもう一歩のところですから、技術革新を起こすためには集中的にやっていかなければいかぬと思っています。
 そういう意味では、私は、これから経済産業省としてもひとつ提言をしようと思っておりますけれども、やはり具体的に数字を持って、そして予算措置とタイムを区切ってどういうふうにやっていくか、こういうことを国民の皆様方にもよくわかっていただくような、そういう目に見えるストラテジーといいますかプランというものを打ち出していくべきだと思います。
 そういう中で、燃料電池も、例えば自動車の場合では、二〇一〇年までには燃料電池の自動車は五万台走らせるようにはしようとか、例えばですよ、それから定置型の燃料電池というものも、具体的に全国で何十万台やろう、そういうことに向かって政策を集中していくということは非常に大切なことでございまして、私どもとしては、そういう観点で取り組んでいかなければならない重要なテーマだ、こういうふうに思っています。
山田(敏)委員 例えばそういう話、それからさっき言いました環境エネルギー政策、これは、環境税にしても風力の推進にしても、非常に強制的な力が働かないとこの環境エネルギー政策というのは実行していかれないわけですね。今やろうとしていることは、自由化するということは、それに非常に反することなんですね。
 私はちょっとここで長々と申し上げましたけれども、この自由化の、これからどんどん進んでいくわけですが、見直しの時期ですね。このままでいいのだろうか、これではやはり国家の、国民の利益にならないのじゃないか、ただ単にコストを下げるために自由化を突き進んでいくと、やはり環境の問題それからセキュリティーの問題、これは出てくる。
 ですから、ある程度、今こういうプランでやっていますけれども見直しの時期、決定的に見直す時期ということがぜひこの自由化のプロセスの中で、今言いましたように相反することを同時にやらなきゃいけない。しかも、技術革新が急速に起こってくると、例えば分散型の電源が全国に一斉に、何百万世帯という時代にもしなるという予想が来たら、今考えている電力を安定的に供給するシステムそのものが根本から全く変わる世の中になってしまうわけですね。
 そのときには、やはり自由化をもう一回ちょっと見直そう、根本的な見直しの時期を何カ所か入れていくことが非常に重要だと思うんですけれども、今の議論の中で、大臣、いかがお考えですか。
平沼国務大臣 当然、国のエネルギー政策というのは、状況の変化に応じて、そしてそれは柔軟かつ大胆に、小泉総理の言葉を使えば柔軟かつ大胆にやっていかなければならない、こういうふうに思っているところでございます。
 ただ、現在はまだこれがブレークしているわけじゃございませんで、これからの問題でございます。ですから、そういう現時点の中で、一番今の段階で整合性がとれる、こういう視点でいえば、やはり今のこういう延長線上の中で私どもは考えていくことは当然だと思っております。
 そして、先ほど自由化というものに対して、私はいわゆる高コスト構造の是正、こういうことも申し上げましたけれども、同時に、やはり選択肢を広げて効率化をする、そういう側面もあるわけであります。ですから、そういう中で、選択肢を広げ効率化をする、そういう範疇の中にも今御指摘のことも入ってくるわけでありまして、私どもは、そういうときにはちゃんと対応をしていく、そのための、やはり役所としてはいろいろなことを想定しながら、表に出さないまでも、いろいろな形でシミュレーションはしておかなければならない、こういうふうに思います。
山田(敏)委員 長官、今の自由化の見直し及び時期、それについて何かお考えがあったら言ってください。
岡本政府参考人 まさに今の大臣の御答弁に尽きるわけでございますが、私ども、審議会の整理といたしましても、ステップ・バイ・ステップで、自由化というのは、各ステップをやったときに、その結果を検証しながら次の段階へ進んでいく、そういうステップ・バイ・ステップのアプローチをしていくべしというふうに考えています。
 特に、家庭を含む自由化ということになれば、本当に需要家が複数の供給者の中で選択をし交渉する能力があるかどうかということを初めとして、それから、ユニバーサルサービスとか最終供給責任というものをどうするかという非常に難しい論点も大きく残されておりますので、そういうものについてしっかりとした議論の整理ができてからやっていくということで、あくまでも、まず先にそこまでの自由化ありきということで決めてかかるというようなアプローチはとるべきではないと私どもも考えております。
山田(敏)委員 現場の声も、やはり自由化というのは非常に危ない、突き進んでいくと非常に大きな問題が起こってくるという危惧を、現実にはこういう制度で、こういう法律でいくんですけれども、現場ではそういう危惧を持っていらっしゃるということをよく考えていただきたいと思います。
 最後に、原子力発電についてちょっとお伺いしたいんです。
 今まで、原子力発電というのはコストが安いんだという政府の発表だったんですね、ずっと。原子力発電というのはコストが安い、だからどんどんやりましょうということなんですね。ところが、原子力のコストというのは本当はどうなんだろうかなということを、ちょっともう一回ゼロから考えてみますと、実は、原子力の発電にはいろいろなコストが入っている。
 有価証券報告書の中に公表している中で、約款料金算定規則というのがございます、これに基づいてやること。それから、もちろん使用済み核燃料の再処理の費用、廃棄物の処理費用、原子炉の解体費というものを入れて、あと電源三法交付金、これを入れる。最後に、原子力発電所というのは必ず揚水発電というのを伴いますね。原子力をつくると、二十四時間発電しますから、その隣に揚水発電をつくって、夜中に水を山の上に揚げて昼間やる、こういう揚水発電をセットでやっていらっしゃると思うんです。これのコストも考えてみると、これはちょっと後でお渡ししてもいいんですけれども、立命館大学の大島先生という人が、もう一回原子力のコストを見直してみて、これからの自由化の議論の中で考え直したらどうかという御意見なんです。
 これでやりますと、実は原子力が一番コストが高い、キロワット当たり十・三六から十・六五、こういうコストになります、今申し上げたいろいろなコストを入れて。こういう結果になると、今までは、政府が公表された数字はたしか五円少しでしたね、やはり原子力発電というのは日本の根幹をなす事業でございますので、その中でもう一回本当のコストというのはどうなんだろうかということを見直すべきだと思うんですが、長官いかがですか。
岡本政府参考人 平成十一年の十二月に総合エネルギー調査会原子力部会で、各電源別の発電コストの試算をしておりまして、設備利用率八〇%、運転年数四十年、それから出力百三十万キロワット、そういう諸元を前提にしました場合に、五・九円・パー・キロワットアワーということで、これにはバックエンドの費用も含まれております。ほかの、石炭で六・五円、LNG火力六・四円、石油火力十・二円ということでございまして、原子力の経済性というのは引き続きあるというふうに私ども考えております。
 バックエンドについてはこの試算では〇・九二円・パー・キロワットアワーという、その部分を含んでいるところでございますが、バックエンドについては、今回の議論の中で、先々にわたるバックエンドについての費用がどうなるかということについて、電気事業者の方々を初めとしていろいろな御心配、御懸念もありますので、その辺はこれからさらに精査をする必要はあろうかと思っております。
 それから、先ほどの揚水の点でございますが、揚水発電というものが、従前は大変大きな初期投資を要して、それこそキロワット当たり五十万円前後というような大変大きな建設費用が要る、そういう揚水に頼る部分が多かったんですが、最近、例えばNAS電池というような、需要地に電池を置くことによって夜間の電力を効率的に貯蔵するという技術が実用化され、それが大分コストが下がってくるというようなことが出てまいっておりますので、そういった部分の、間接的な、反映コストのようなものかと思いますけれども、そういうものを考えるに当たりましても、今言ったような技術の進歩ということも視野に入れて考える必要があろうかと思います。
山田(敏)委員 五・九円という試算コストを出されて、そして一方で、この今の私の前提の中でこれは十・三円、これはもう大変なコストの違いなんですね。さっきのバックエンドの考え方、使用済み核燃料の再処理とか、それから財政資金、こういうものの考え方もちょっと入れて、またもう一回よく見直していただいて、原子力の位置づけ、これを相当しっかりとやらないと、今までの五・九円という話と十円という話だと、全然エネルギー政策のストーリーが変わってしまいますので、これはぜひ見直していただきたいと思います。
 時間が参りましたので、以上でございます。ありがとうございました。
村田委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 民主党の田中でございます。
 今回の電気事業法及びガス事業法の改正についての基本的な考え方を大臣にお伺いしたいと思います。
 特に、今でもお話がありましたように、自由化とエネルギー基本政策との整合性の問題が先ほどから議論になったと思いますし、エネルギー政策基本法ではエネルギー戦略と市場原理の活用の問題、エネルギーの安定供給の確保と環境への適合の基本的な問題等が、これも議論になってきたところでありますが、今回の改正では、この基本方針とその適合性について、私は適合性を欠いているのではないか、このように思っておるんですけれども、まず大臣の答弁をお願いいたします。
平沼国務大臣 これは、昨年の六月のエネルギー政策基本法、御審議をいただきました。
 そのときに、やはり一つは、もうこれは電力にとっては安定供給というのが絶対に必要である、これはもう外してはならない大きな柱だ、今回の東京電力の一連のそういう不祥事を見ても本当に安定供給というのが大切だ、こういうことで、もう国民の皆様方も心配をなさっていただいています。
 それから、もう先ほど来御議論が出ておりますとおり、やはり環境をいかに守るかということ。特に我が国の場合というのは、エネルギー起源の二酸化炭素の排出量というのが圧倒的な比率で多いわけでありますから、そういう意味では、エネルギーというものの中でいかに地球環境を守っていく、そういう政策をつくっていくか。
 それと同時に、これが主目的である、そういうことを言われる方もあると思いますけれども、やはり市場原理を応用して、そして高コスト構造を是正するということ。これがあのときの御議論の中でも、二等辺三角形で、あくまでもその安定供給とそして環境への適合、そしてそれに付随して、やはり需要家にとってもコストメリットが出る、そういうことをやっていこう、こういうことでございます。
 この三つの基本的なものに関して、いわゆる自由化による安定という、その価格の低減ということ、これを突出するということじゃなくて、あくまでも目的は安定供給、環境への適合、それに付随してと、こういう形で、私どもとしてはそこは整合性がある、このように思っているところでございます。
田中(慶)委員 大臣はそういうふうに言われますけれども、大体、この自由化という感覚を考えただけでも、低コストということがよく誤解をされがちだと思います。そういう点では、今回の自由化という問題が低コストという形で置きかえられていってしまうと、いろいろなところに私は支障が来るんではないかと。
 先般来のこのエネルギー基本法のときも、今大臣の答弁のように、この議論はさんざんされたわけでありますから、私はこの辺をもう少し――当時、あのとき明確に指摘をされたと思うんです。このエネルギー基本計画を明確に、あのときは三年だか二年以内につくるという形になっていたわけでありますけれども、それすら今できていない中で自由化政策、この事業法の改正の中で自由化を打ち出してくるということは、ある面では国の責任ということを明確にしていないんじゃないか、こう思うんですよ。
 エネルギー基本政策の基本というこの基本計画をしっかりと作成をして、その中でこの自由化の、その基本の政策の中の一こまとして、自由化の問題が出てくるでしょうし、環境問題も出てくるでしょうし。そういうことが議論をされないで、計画もこれから何かやるということでありますけれども、やはりそのこと、物事が順番を間違えればおかしくなる、そうでしょう。アクセルとブレーキを逆にやってごらんなさいよ、事故を起こすんですから。それと同じように、私は、今回のこの自由化という問題は、ある面では整合性が欠けている、今のように順番が間違っている、こう思いますけれども、大臣、どうですか。
平沼国務大臣 その基本計画というのは、これはもう田中先生も御承知のように、基本法が制定されたときに、これを制定しなきゃいかぬ、こういう形で、既に四月からこの検討が始まっておりまして、この夏にはそれがまとまる、そういう今段取りになっています。
 一方今回は、やはり現行法の中で三年以内にいろいろなことを見直す、そういうような形で、平成十一年から作業を始めてきた延長線上でやらせていただきました。その際、今御指摘の三つの大きな柱、これは今回のこの法律の中にも矛盾しない形で十分盛り込ませていただいた。
 確かに、おっしゃるように、先に計画をつくってそれからと、それはおっしゃることもよくわかりますが、同時に、やはり現行法の見直しの規定、それからやはり、今のこういう中でやるべきことは、その中からできる限りやるべきことはやっていこう、こういうことでお願いをしているところでございまして、その辺はぜひ御理解をいただければ、こういうふうに思っています。
田中(慶)委員 大臣、例えば今、国会で議論されている有事法制の問題がありますね。有事法制も、基本法を議論して、今与野党の合意をなさって具体的な取り組みが始まる。
 有事というものは、何もあれだけが有事じゃないんだ。私は今、もう一つの有事というのは、経済が有事だと思っているのです。その中のいろいろな仕組みの中で、エネルギーというものが大変重要な役割を示す、こういうことでありますから、私は自由化というものについて反対ではないんですけれども、しかし順番を間違えなさんなということを私は主張したいわけです。
 例えば環境面で、皆さんどうでしょう、京都議定書の問題が、私ども日本も含めていろいろな議論をされてまいりましたし、そして調印もされる、こういう形で、二〇一二年の平均値で六%削減。しかし、この目的を本当に達成できるんだろうか。極端なことを言えば、周りの環境を見てくださいよ。今の原子力の状態を見たり、いろいろなことを含めて、こういう問題も含めながら、やはり私は、基本というものをしっかりしていかなければいけないと。
 原子力にかわって、一時的にでも火力発電というものが代替として、今もうフル稼働。今まで休眠状態だったものを、今フル稼働させている、こういうことでしょう。そういうことを考えたときに、私は、この環境問題を、ある面での、京都議定書という問題が先延ばしせざるを得なくなるんじゃないかと。ところが環境省は、いや、もう間違いなくこれはやるんだ、やるんだ、こういうことでしょう。ある面での、今申し上げたような、ばらばら。
 行政として、自由化の問題も結構なんです、反対しているわけじゃない。しかし、いろいろなことを整合した中でこれを進めていかないとおかしくなってしまうんじゃないか、そんな心配をしているんですよ。特に、今度の東電の原発の問題に絡んで、単なる、今の京都議定書の環境問題でCO2の削減だけをしていくと、えらいことになると思いますよ。これはエネルギーだけじゃなく、ほかの問題も全部出てきているわけでありますけれども。
 しかし一方においては、この自由化によってエネルギーの低コスト主義を採用していく。しかし一方においては、その負担が今度は逆に環境税という形の中でかかっていく。この一般の事業者の皆さん方あるいは消費者の皆さんは、大変なことになっていく。まして今、ばらばら行政ですよ。国でこの問題をまだ決めていないときに、地方では財源確保のために環境税ということをぼんぼん打ち出してくる。環境というと、みんなある面では反対しない、だからこれをやってしまうみたいな、何というか、いろいろな社会的な風評というものがそうなっているものですから、それを選択する。
 しかし、そういう中で、今度のような形の問題を、自由化という形の中で、ある面では低コスト主義を、しかしその反面、反動は必ずCO2。そうでしょう、火力発電に転化をしたならばCO2が余計に出ることは間違いないわけでありますから。
 そんなことを考えていくと、今、料金だけのメリットというものは、ある面では、全体的に見たときに帳消しになってしまう。しかし、それをちゃんとするのが環境あるいは経済産業、あるいは全体的なものを見てやるのが大臣の仕事じゃないかと思うんですが、どうですか。
平沼国務大臣 自由化を進めると、先ほど来の御議論も出ていましたけれども、新規参入というものが火力が主体になる、そうなるとCO2の排出量が多くなる、今の京都議定書、そういうものに対して矛盾するんじゃないか、それは御指摘の一つだと私は思います。
 しかし、今回の法律の中では、御承知のように、例えば、長期安定電源たる原子力だとか水力というものに対しては、私どもとしてはそれに対してある意味ではインセンティブを与える、こういうこともしております。したがって、全体的に見ますと、今そういう新規参入の比率が〇・八五%というようなことも考えますと、今の段階ではそれほど大きくは私はきいてこない。そして、長期安定電源の原子力、水力、そういうものに配慮をしていく。
 したがいまして、将来、そういうことは当然考えられるわけであります。ただ、私が申し上げたいのは、決してこの自由化というのに特化をして今回のこの法律をお願いしていることじゃなくて、あくまでも安定供給とそして地球環境への配慮、これが主眼であります。
 そしてもう一つ、そこに対していわゆる選択肢を広げて効率化をする、このことによって電力を使っていただく皆様方にもそのメリットを享受していただく、こういうことからいって、私どもとしては、このエネルギー政策基本法のことには矛盾をしていない。
 ただ、御指摘の点は我々留意していかなければならないと思っておりますし、御指摘のように、京都議定書の中で、二〇一〇年を大体めどに一九九〇年から考えて六%削減しなきゃいけない。そして、しかも一九九〇年から二〇〇〇年までの間に特に輸送用の部門とそれからあと民生で八%もふえている、こういうことを考えれば、本当にこれは厳しい状況です。そういう中で、今環境税ということもお話になられました。ですから、そういう議論が出ていることは承知をしております。ただ、私どもは、エネルギー特会の中でも御議論をいただいた中で、やはりこのエネルギーの中の環境というものを大切にしていこうということで、第一段階、環境省と共管で、そういうエネルギーの対策もさせていただいています。
 ですから、私どもは、直ちに環境税、こういうことになるとは思っておりませんけれども、御指摘の点はしっかり踏まえてやっていかなければならない、このように思います。
田中(慶)委員 そこで、私は、当然公益的な課題として、今回の自由化の整合性についての役割の分担というのがあると思うんです。政府の役割あるいは事業者の役割、その責任分担をある面では明確にすることが今回の法律の一番重要なところじゃないかな、このように思いますけれども、どうですか。
平沼国務大臣 国は、おおむね五年ごとに策定をされます原子力長期計画に沿って、その役割を果たしてきているところでございます。例えば、高レベル放射性廃棄物の最終処分、こういった問題については、法制度でございますとか実施主体の整備を行うあるいは最終処分のための研究開発を行うなど、広範に政策の実現に国としても努力をしてきました。
 こうしたこれまでの国の取り組みに加えまして、新しい市場制度のもとで、いわゆる小売の自由化範囲が広がることによって、特にこれからのバックエンド事業などについては今後いかなる措置が必要か、こういうことに関して、私は、やはり御指摘の官民の役割分担のあり方でございますとか既存の制度との整合性等をきちんと整理をして検討していかなければならない、そして、その検討をした上で、官民の役割分担をきちっとしたそういう措置をとっていかなければいけない、こういうふうに思っておりまして、私どもは、御指摘のとおりだというふうに思っております。
田中(慶)委員 この役割の問題等についても、今どちらかというと、ある面では、行政や政府の責任というものがうやむやになってしまう。民間なり事業者の方、あるいはある面では消費者といいますか、そちらの役割は非常に厳しいところがあるわけですけれども、政府の役割というものが必ずうやむやになってしまう。
 ですから、今回の責任分担についても明確にしておかないと、少なくとも、この公益的な課題というものをお互いにちゃんとその役割分担を明確にさせる必要があるだろう、このように思いますから、ぜひそのことについては徹底的に、この大臣が今言われたような形の中でやっていただかないと、ややもすると、行政すべてが、責任という形になると、非常に責任を回避する例があらゆるところで多いわけであります。
 例えば、今回の事業法の九条、先ほどのお話にもあるように、この九条のところの見直しでも、私は、従来よりも改悪だと思っているんですよ、はっきり申し上げて。
 なぜかというと、今までは、ここには軽微なものについてはその限りでないという形になっておりますけれども、今回については、重要な変更をしようとするときは大臣に届ける、こういう形であります。その判断基準なりいろいろなところがちゃんと明らかにならないと、このことははっきり申し上げて、従来から見ると改悪じゃないかな、私はこんな感じがするんですよ。
 ですから、これも一つの責任の問題で、私は、エネルギー問題でこんな形になってはいけないと思っております。今回の法律の問題については、今までの、現行法の方が、この部分についてはむしろ評価をされてもいいんじゃないか、こんな気がしてならないわけですけれども、大臣、どう思いますか。大臣に聞いているんだ、おれは。
平沼国務大臣 九条の件に関して、現行法では、電気工作物の変更内容というのが電気事業者の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがあっても、経済産業大臣は、その件の変更内容について変更または中止を命ずることができません。しかし、小売自由化が進展する中、事業者が安易な設備廃棄等によりまして必要な供給力の確保が困難となることのないように、やはり一定の仕組みを設ける必要が生じてきたわけであります。
 今回の電気事業法の改正において、大規模な発電設備の廃止等の電気工作物の重要な変更については、電気事業の適確な遂行に支障を及ぼすかどうか、これは経済産業大臣が判断をしまして、問題がある場合には変更命令を発動することが可能となる、こういうふうに規定をしているところでございます。
 今回の改正は、例えば、一般電気事業者が電気工作物を大量に廃棄するなどして規制需要家への供給義務を果たせなくなる場合等に、電気工作物の変更の届け出に対して変更中止命令を行い得ることとすることによりまして電気の安定供給を図る、こういうことでございますので、こういう一つの状況の変化によって、ここのところはやはり需要家に対して非常に大きな影響が出る、そこのところはやはり我々としては、経済産業大臣としてはしっかり監督しなければならない、こういう形で条文に盛り込ませていただいた、こういうことで御理解をいただきたい。
 そういう意味では、我々としては、おそれのあるところに対してそういう手当てをした、こういうことでございまして、ぜひ御理解をいただければと思います。
田中(慶)委員 いずれにしても、エネルギー庁長官に聞きますけれども、今回のこの九条に限って見れば、ほかのことは別にして、私はむしろ改悪だと思っていますよ。今の現行法の方がある面では非常に対応しやすい、こう見ておりますけれども、あなた、どう思いますか。
岡本政府参考人 先ほど大臣がお答え申し上げたとおりでございまして、自由化の範囲が拡大していくという中で、電気事業者の人たちが、電気事業に限らず産業界が、資産をできるだけ減らすなんということを最近よく考えがちなんですけれども、この発電設備について、一方で、まだ家庭を中心とした規制需要家というのは厳として残って、そこに向けては、一般電気事業者の方々に引き続き間違いなく供給義務というのを担ってそれを果たしていただくという必要があるわけですけれども、設備を思い切って減らすという方向で、仮に、そういうことは軽々にないとは思いますけれども、そういう形で、供給義務を果たしていく上で必要と思われるような設備についてまで身軽になろうということでそれを廃棄する、あるいは譲渡するというような安易な計画が仮に出てきた場合に、私どもとして、そこを考え直してください、供給義務をちゃんと果たせるように設備は持っておいてくださいということが申し上げられるように手当てをさせていただく。
 自由化範囲が広がるということが想定される中で、安定供給を一般電気事業者の方々がしかと果たしていくための私どもが注意喚起をし、それを確実にお願いするための手段としてこういう規定を用意させていただきたいというふうに、私ども、実際に実務を担当する立場からも切にそのことを期待申し上げているところでございます。
田中(慶)委員 省令で定めるというのは一番あやふやなんですね、はっきり申し上げて。省令というのは、極端なことを言えば、大臣も知らないところで、むしろエネ庁長官が勝手に発動できるようなこともあるんですから、やはりそういう問題は、省令というものが一番あやふやになってくる。本当ですよ。本来ならば、法律で明確にしなきゃいけない。それぞれの範囲というものを明確にして、そして、その中の区分の中で今のような答弁があっていいと思うんですけれども、私はこの省令というのは非常にごまかしだと思っていますから。いや、本当ですよ。これは、注意しておかないと勝手に拡大する可能性が出てくるわけですから、一番危険なことですよ。
 まして、今回の自由化の問題等々を含めて、その重要な問題等について省令で、それをどちらかというと、極端なことを言えば法律にない部分ですから、大臣も知らない部分でそういうことが行われる可能性は十分ありますから、そのことをしっかりとしておかないと、私は非常に、現行法の方がまだ範囲が狭いですから、むしろその方がいいんじゃないか。これだけは明確に指摘をしておきますから、ちゃんとしておかないと、変な拡大をしていったら困ると私は思います。
 そこで、再度、エネルギーの全般的な問題、先ほど安定供給とセキュリティーや環境問題がありましたけれども、私は、どうしても納得いかないのは、公益よりも自由化というものが優先されるような気がしてならないわけですよ、はっきり申し上げて。そうすると、この自由化という問題について特に競争の原理というものが前に来て、ある面では、今回のような自由化という問題は、国民にとってあるいは国益にとっても損ねる可能性があるんではないかな。間違った言い方ではないと私は思っています。このことをしっかりとただしておかないと大変なことになってしまう。このことについてどう思いますか。
平沼国務大臣 エネルギーセキュリティーの確保、それから地球温暖化防止といった公益的課題があるわけです。それと今回の自由化の整合性についてどういうふうに考えるか、こういう御質問ではなかったか。そして、その際、政府、事業者のいわゆる役割だとか責任分担はどうか、こういうお尋ねだったと私は思います。
 政府といたしましては、エネルギー基本法にもあるとおり、電力やガス事業制度改革について、まず安定供給の確保、これはさんざん出ておりますけれども、それから環境への適合、こういった公益的な課題の実現を図ること、そのもとで、繰り返しになりますけれども自由化により需要家選択肢の拡大を図って、そして電力・ガスのさらなる効率化を図っていく、私どもはこのことが重要だというふうに思っております。
 したがいまして、今回の制度改革におきましても、エネルギーセキュリティーの確保でございますとか地球温暖化防止等の公益的課題に対応するために、原子力発電ですとか水力発電の長期固定電源に関しては投資環境の整備を行ってしっかり担保しよう、こういう措置をとらせていただいております。
 政府と事業者の役割分担については、これはエネルギー政策基本法にもございますとおり、事業者の自主性そして創造性が十分に発揮されるように配慮することがやはり必要だ、こういうふうに思っておりまして、私どもは、そういった視点を踏まえながら、公益的な課題と効率化の調和を図れるように政府と事業者が最適な役割分担を行う必要がある、そういう自主性を最大尊重するために、中立機関のような制度を置いて国の関与というものを小さくする、こういうことも考えさせていただいている、こういうことでございます。
田中(慶)委員 そこで、大臣にお伺いしたいのは、例えば、今回の電気事業法の改正について、我が国のエネルギーの中核として、やはり原子力の扱いというものは無視できないわけであります。ところが、原子力については、ある面では、私、今回先送りされているような気がしてならないんです、はっきり申し上げて。そういう意味では、自由化というこの事業法の改正そのものは、この法案の内容は、ある面では中途半端、こういう形で指摘をせざるを得ない。
 電力の自由化を進めていく上において原子力というものが必須の条件であるならば、これらについての結論もやはりこの辺で明確にしなければいけない、こういうふうに思いますよ。大臣、どう思いますか。
平沼国務大臣 原子力発電というのは、言うまでもなく、国の基幹的なエネルギー源だと思っております。そして、電力の三五%を占める。そして日本の場合にはエネルギーの自給率というのは非常に低いわけでございまして、準国産エネルギーという形で原子力を位置づけますと、そのほかの水力ですとか風力、そういうものを合わせてようやく二〇%、その中の一六%以上を占めている大切なエネルギー源です。
 しかも、二十一世紀は環境の時代ということを再三再四申し上げておりますけれども、この原子力発電というのは安全性をしっかりと担保すれば地球環境に優しいエネルギーだ、こういうことでございますから、私どもは、このエネルギーというものは、基幹エネルギーとしてしっかりと位置づけて、これはもう従来の国の基本方針として変わらないわけでございまして、これはしっかりと据えてやっていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
 今回の中でも、エネルギー源としての原子力発電というのは長期固定的な電源として非常に大切だ、こういうことでそこにインセンティブを与える、こういうことも盛り込ませていただいている、このように御理解をいただきたいと思います。
田中(慶)委員 そこで、先ほどもお話がありましたけれども、やはり原子力というものについてのとらえ方と政府の責任、あるいはまたエネルギーに対する国家責任としての取り組み方が、私はもう少し徹底していいんじゃないかと思うんです。一連の原子力の問題等について、国民の信頼が失墜しているわけでありますから、幾らこれが総点検が終わり技術的にも大丈夫だと言っていても、その地元の人たちはなかなか信頼の回復というのはできないことだと思います。
 大臣の責任ということで、みずからがそこに行って説明をする、こういう話でありました。ですけれども、私は、大臣もさることながら、かねてから、このエネルギー政策について小泉総理みずからがもう少ししっかりした政策と信念を持って現地に赴きながら、何も外交で、海外にばかり行ってパフォーマンスしているんじゃなくして、本当にエネルギーが大切だということならば、足元からしっかりと、行って皆さん方に理解とまた信頼をいただけるように努力する必要があるだろう。別に平沼大臣で不足だというわけじゃありませんよ。今までもあなた行く行くと言って全然行っていないんだから、極端なこと言えば。(発言する者あり)忙しいふりしているだけでしょう。いや、本当に。
 外国へ行って、それは国際的なことも必要でしょう。しかし、何も、日帰りできるんだから、新潟であろうと福島であろうと、そのぐらいエネルギーを重要政策としてやっていかないと、幾ら立派なことを言ったところで、信頼というものがなかなか、一度失墜したものは本当に回復できないと私は思いますから、この辺は十分、先ほど現地へ行くということですけれども、いつ行かれるのか、明確にしておいてください。
平沼国務大臣 小泉総理も決して原子力のことを軽々に考えているわけではありません。五月九日の閣議のときに、私どもはその前日の八日に関東圏の電力の需給の対策本部というのをつくって、それの報告とともに全大臣に私は御協力をお願いしたときに、総理が、特に原子力というのは非常に大切であり、関東圏の停電というのはあってはならないことだから、全閣僚一丸となってこれに取り組んでほしい、こういうことで非常に熱意を持っておられるということは、御理解をいただきたいと思います。
 それから、外国に行くという御指摘がありましたけれども、これもやはり必要に応じて私はそれぞれ重要な国際間の中で外遊をしているというふうに思っておりますので、ここも田中先生には御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
 私は決してないがしろにしていたわけじゃございませんで、昨年の八月に、この東京電力の一連の不祥事、これが公表された段階から、私は現地の方々とも十回以上、首長さんを初め議会の皆様方、住民の代表の皆様方、本当に時間をとって真剣に話し合いをさせていただき、御意見を伺わせていただきました。
 そして、私はやはり今回の問題は、現地とのいろいろな連絡をさせていただいておりまして、必ず、いつということのお話ですけれども、まだ日にちは決められません。おっしゃるように、新幹線に乗っていけばすぐ行けるわけであります。ですから、必ず近いうちにその時期が来て、そして地元からもそういう、おい、来いというような明確な意思表示もいただき、そういうことになれば私は必ず伺わせていただきます。これは、必ず近い将来になる、こういうふうに思っております。
田中(慶)委員 ぜひそうしてほしいと思います。だんだん時間がなくなってまいりますけれども、電源開発の民営化の問題についてでありますが、せっかくこれは民営化するんですから、その対応を十分していただきたい。
 まず、財務体質の強化という形の中で、その確立に国は責任を持ってやっていただく、こういうことにしてほしいと思います。
 特に、今までの、ある面では特殊法人が完全民営化になるわけでありますから、財務体質の中でも、きょうは財務省の方から田中政務官、来ておりますけれども、せっかくこのファンドの問題もちゃんと、政府の責任、そういうことも含めてやってほしいし、時間の関係で続いて言いますけれども、はっきり申し上げて、民営化するときにいろいろな注文をつけないでやらないとだめだと思うんです。
 今回、電源開発の新しく生まれる、何という会社かわかりませんけれども、新しく変わる事業体が経営のしやすいようにしなければいけない。特に今までの特殊法人の感覚で来られると、完全なる独立した民営化になってこない、こういう心配があるわけであります。
 例えば、平成九年の民営化決定後今日まで体質改善を行って、あそこでは今まで八千人いた人たちが現在六千人になっているんですね。大変な努力だと思っております。しかし、一方においては、役員も二十四人いた人が十八人という形で減っておりますが、減っていないのは、天下っていった人たちがだれ一人と減っていないんです。はっきり申し上げて、天下っている人たちは経済産業省から三人行っています。財務省から一人行っている。財務省、関係ないですよね、特殊法人。
 それから、完全に民営化になったときに、私は、少なくてもこの天下りの受け皿になっていたわけですから、これから、より体質改善をしたりいろいろなことをするときに、こういう人たちはやはりしっかりときれいになって、本当の民営化の形になってほしい。まして経済産業省から行っていた歴代の社長さんなんというのは、いまだに顧問さんになっているわけですから、顧問なんというのはもう役割終わったんですから、今度新しく生まれ変わる会社ですから、やはりこの際そういうことも含めて、この天下りという問題についての見直しもちゃんとする必要があるだろう、このように思っております。
 ですから、一つには、財務という問題について、これから発行される株の問題もファンドの問題も、いろいろな形で、財務体質がちゃんとしないと民営化できませんから、そのことも含めて、財務省それから経産省にお願いしたいと思います。
田中大臣政務官 お尋ねについて答弁をさせていただきます。
 政府の重要な施策でありますし、財務省といたしましても真剣な取り組みをいたしまして、財務体質についても積極的な対応をしてまいりたいと思います。
 特に、電源開発の株式の価格下落リスクを考慮に入れても、指定会社が所要の資金調達規模を確保できるよう、政府及び日本政策投資銀行からの出資によるリスク補完を行いたいと思います。また、民間金融機関からの融資と同額程度を日本政策投資銀行からも融資を行い、万全を期すことになっております。
 民間金融機関からの資金調達の確保も含め、実効性のある財務体質の強化策に万全を期してまいりたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
 もう一点の、役員等についてのOBの職員の問題でありますけれども、完全民営化ということになれば、当然、その企業が役員を決めるわけでございまして、政府がそこに何らかの関与をするということはないと思いますし、また、当然あってはならないと思います。私の方も、国民の信頼を得ることができるように、また公正な行政が推進できるように、その点についても仰せのとおり努力をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
平沼国務大臣 天下りにつきまして御指摘がございました。
 田中先生御指摘のように、相当努力をしておりまして、子会社を含めて八千人いたものが六千人になる。それから、子会社の数も、十五社を九社にし、さらにまた、その九社を六社にする、こういう形で進めているところであります。
 この天下りについては、御指摘のとおり、現存していることは事実です。しかし、今田中先生が御指摘になられましたように、これからは民営化、こういう形に相なります。したがいまして、これは、その民営化後の株主総会において自主的に決まるものだと思っております。当省といたしましては、そういう意味では、そういう管轄権もございません。ですから、そういう中で、国民の批判が出ないように、私どもはちゃんと、このことに関してはしっかりとやらなければならない、このように思っております。
田中(慶)委員 せっかく、今回の事業法の改正とあわせて、特殊法人から完全民営化になるという、これも非常に画期的なことだと思うんですよ。ですから、それをやはりある面で推進する意味で、協力はするけれども弊害にならないように、まして、財務省の方は、今言われたような形で完全にサポートしてほしいし、もう一つは、痛みというものは、やはり、そこの働いている人たち、従業員を含めて、協力会社を含めて大変な努力をされているんですけれども、現実に天下っていっている人たちは全然減っていないという、これが実態でありますから、やはり、そういうことが不公平感のないように監督官庁としてぜひしてほしいと要望を申し上げながら、時間が参りましたので、終わります。
 ありがとうございました。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 まず、ガスの方から入りたいと思います。
 今回のガス事業法の改正において、ガス導管事業を新たに定義づけた理由は何ですか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 我が国では、天然ガス資源のほとんどを海外からの輸入LNGで賄ってきたために、国内の需要密度の高い地域ごとにLNG基地が建設をされておりまして、その周辺に分散して導管網が整備されてまいりました。このため、関東などの一部の地域を除きますと、需要地間を結ぶ幹線導管や需要密度が低い地域の導管網は、まだ十分に整備されていないのが現状でございます。
 こうした中、安定供給を確保しつつ、ガスの需要家が実質的に選択肢を拡大することができるようなガス市場を形成していくためには、広域的なガスの取引の活性化を図ることが不可欠であると思います。具体的には、一般ガス事業者が整備する導管に限らず、原則として、ガスの供給用に用いられるすべての導管について、その整備を円滑に行わせる環境整備を行うとともに、その利用に関する共通ルールを整備することが重要であると思います。
 こうした点を踏まえまして、今回の改正案では、まず、これまでの都市ガス大手四事業者のみに課せられていた託送供給義務をすべての一般ガス事業者に拡大をするほか、さらに、これに加えまして、ガス供給用の一定の要件に該当する導管を有する者をガス導管事業者と位置づけることにいたしました。ガス導管事業者については、一般ガス事業者と同様の託送供給義務を課す一方で、導管の設置を円滑にするための公益特権、この整備を行うこととしております。
 このように、ガス導管事業を創設することによりまして、効率的なガス供給基盤の整備を図ってまいりたい、このように思っております。
土田委員 ガス導管事業が法的に位置づけられたということで、電気の場合はだめなんですが、ガス事業のアンバンドリングが可能になったんじゃないかというふうに考えられるんですが、この点についてはどう考えておられますか。
迎政府参考人 一般ガス事業の事業者のアンバンドリングにつながる、あるいは関門になるというふうなことは毛頭考えてもおりませんし、考えられないと思っております。
 改正案におきまして、ガス導管事業は、一般ガス事業以外の方が一定の要件を満たす導管を通じてガスを供給する事業、こういうふうに定義をしておるわけでございまして、逆に言えば、現行の一般ガス事業の定義に何ら変更を加えるものでもございません。
 したがいまして、一般ガス事業者は、引き続き、ガスの発生から販売まで一貫した供給体制のもとで、供給区域内の一般の需要に応じた供給義務を全うしていただくということが重要であるというふうに考えておる次第でございます。
土田委員 今回の改正において、一般のガス事業者が、供給区域外にガス導管を設置することができますね。それでガスを供給する、この場合なんですが、いわゆる企業としては一つなんですが、一般ガス事業とガス導管事業と二つの顔を持つわけです。ということになるならば、今部長から答弁がありましたように、アンバンドリングはやらない、できないんだと言うけれども、その下地ができたように感じるんですが、この法的な位置づけはどうなりますか。
迎政府参考人 確かに、おっしゃるとおり、みずからの供給区域を超えて、それ以外の地域で一定の要件に該当をいたします導管で供給を行う場合は、一般ガス事業者がその区域外でガス導管事業を行うということになるわけでございますけれども、まさに、一般ガス事業という概念自体が、自分の供給区域内での活動を指して言っている概念でございますので、これは、先ほども申し上げましたように、一般ガス事業を何か法律概念的にも解体するとか、そういうふうなものではございません。
土田委員 法的な位置づけがなくても、既に長距離のガス導管を持っている国産天然ガス開発会社が、新たにガス導管事業者として位置づけられることになるわけですが、どんなメリットがございますか。
迎政府参考人 ガス導管事業を位置づけました趣旨は、これによりましてガス導管事業者となる者は、導管の設置において、土地の利用等における公益特権等が付与をされるということでございまして、こうしたことによって円滑な導管の敷設というのを進めていきたいということでございます。
 一方、逆に義務も負うわけでございまして、でき上がった導管につきましては、第三者からの受託によるガスの輸送というのをやるわけで、託送供給義務が課されるということに相なるわけでございます。
土田委員 いろいろ尋ねますけれども。
 石油公団が廃止されますけれども、資産の処分でございますが、現在どういう状況になっておりますか。
岡本政府参考人 石油公団の資産処分につきましては、総合資源エネルギー調査会の中に担当の小委員会を設けていただいて、東大名誉教授の塩野先生に座長をお願いし、会計事務所の方々、それから法曹の方々、それから石油開発の技術に造詣の深い方々、あるいは、IPOを目指すところもありますので証券会社等のそういう方々から成る委員会を設けて、先般お取りまとめをいただいたところでございます。
 大きな方向としましては、日本のこれからの石油開発を担っていく中核的な企業、それは、資金調達力の面あるいは操業技術なり操業経験の面、さらには一定程度の海外における油田という資産を持っていくということが必要かと思いますけれども、そういう中核的企業の形成というものを資産処分プロセスを通じて目指すということが一つと、それからもう一つは、当然ながら、資産の売却価値最大化を目指すというその大きな方向から委員会としてのお取りまとめの方向が出されたところでございます。
 中核的企業ということで、国際石油開発等を当面のコアとします中核的企業を目指しますと同時に、その他については、上場を目指す企業、あるいは入札という形での資産処分をやっていくことが適当。ただし、いずれの場合にも、最低価格については、第三者による評価というものをしっかりといただいた上で進めていくべしと。
 大要、以上のような方向が小委員会から出されまして、それを受けまして、今一部の会社はその方向に向けての、例えば株式上場の準備でありますとか、あるいは会社によりましては、ジャパン石油開発でございますが、民事再生の手続を申請するということで、過去の負の遺産をきれいにするというような取り組みを一部やっているところも現にあるところでございます。
 そういう形で今、着実に資産処分というのが緒について、走り始めようとしているところでございます。
土田委員 石油公団が過半数を出資している石油資源開発のことでございますけれども、今回の改正によって公益事業者であるガス導管事業者として法的な位置づけを得るわけでございますけれども、今後、我が国の中核的なエネルギー企業となっていくべきであるというふうに政府は考えておられるのかどうか。これについてはどうでしょうか。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 石油資源開発株式会社は、昭和三十年に設立されて以来、国内を中心に、勇払油ガス田、一九八九年の発見で、北海道でございますが、それとか岩船油田、ガス田、これも一九八三年で、新潟県などで発見しておるところでございますが、開発、生産を行っております。加えて、同社は、新潟―仙台間ガスパイプライン、二百五十一キロありますが、それらの長距離ガス輸送パイプラインを完成し、沿線におけるガスの拡販にも取り組むなど、我が国エネルギー安定供給の実現に重要な役割を果たしているところでございます。
 今後は、三月に総合資源エネルギー調査会により取りまとめられた石油公団が保有する開発関連資産の処理に関する方針に従いまして、石油公団において具体的な石油公団開発関連資産の処理が進められていくことになります。同方針におきまして石油資源開発株式会社にかかわる石油公団資産はいわゆる中核的企業を構成するものとは位置づけられていないものの、同方針に従いしかるべき処理がなされた後も、同社が、中核的企業とともに、引き続き我が国エネルギー安定供給の効率的な実現に貢献していくことを期待しているところであります。
土田委員 桜田政務官が答弁されましたので、引き続き御答弁をお願いしたいと思うんですが、今御説明があったこの石油資源開発の天下りの実態はどうなっておりますか。
岡本政府参考人 石油資源開発株式会社には役員が全体で二十三名おりますが、そのうち、経済産業省から三名、財務省から一名役員で行って、在籍している者がおります。
土田委員 大体同じような配分比率で来ているわけですけれども、おとといもこの電源開発の件で申し上げましたし、先ほども田中委員から天下りの実態がございました。
 今後、民間になっていくわけですから、先ほどの大臣の答弁を聞いておりましたけれども、あってはいけない、やらないとおっしゃるんですが、いつも体裁をつくるんですね。会社の方から要請があったようにさせる。政府から、あるいは経済産業省から押しつけたような形でなくて、あくまで民間会社であるその会社から頼まれて役所のOBを行かせるようにするということが行われるわけです。後ろに座っている方々も大体みんなうなづいていらっしゃいますけれども、同じようなパターンなんです。
 この実態があるわけですが、この件について大臣はどう考えられますか。
平沼国務大臣 公務員の再就職につきましては、いわゆる天下り問題として国民の皆様方から大変強い御批判があります。このことは私どもは真摯に受けとめなければならない、このように考えておりまして、押しつけ型の天下りは厳に慎まなければならない、こういうふうに思っているところでございます。したがいまして、今おっしゃったように、要求されたからというようなことも、私は、客観情勢を見ればそれはよくわかることでございますから、やはり国民の批判を招くようなことは慎むべきだと思っております。
 ただ、知見を有して、能力があって、そしてどうしても必要な人材というのもそれは否定できないわけですから、客観的な事実に照らして、そういう能力のある人がいればそれは特段に排除する理由はないと思っておりますけれども、一般的には、私どもは、国民の批判に十分たえ得るように厳に戒めて、厳正にやらなければならない、こう思っております。
土田委員 大臣がそういう答弁をされるようでは、天下り問題というのはなくならないし、これは委員会のたびに言わなければならない。委員会のたびに言いますから、またよろしくお願いしたいと思います。
 次に、電力の自由化の範囲が、対象需要家の数が九千であったのが、平成十六年には四万口になる、平成十七年には七十万口になるだろう、非常に急激に増大することが予想されるわけですね。
 そこで、自由化によって値段が下がることを期待されるんですが、下がることばかりとは言えない。上がる可能性だってある、自由化ですから。大規模需要家を相手にした契約の場合は競争力が働いて下がる可能性があるわけですが、逆に、小規模需要家、五十キロワット程度のこれらの小規模についてはなかなか相手にされない可能性があると思うんです。そもそも、この電気事業法自体が、電力会社と値段交渉をできない需要家に対して政府が保護してきた一面があると思うんです。
 今回、段階的に自由化されていくわけですけれども、電気料金が上がること、こういったことを懸念されませんか。
西川副大臣 今回の制度改革におきましては、平成十七年四月を目途に、すべての高圧需要家、すなわち五十キロワット以上の需要家でありますが、この方々までに電力小売自由化の範囲を拡大することといたしておることは、土田先生御案内のとおりであります。これによりまして、我が国の電力市場における使用電力量の約六三%、契約口数では、七十万口とおっしゃいましたが、約七十五万口の開放が進むことになっております。
 一方、我が国の電気料金の動向を見ますと、現行制度の運用を開始しました平成十二年三月以降、自由化部門、規制部門ともに料金の引き下げが実現されております。今後も、自由化範囲の拡大に伴いまして、さまざまな事業者の創意工夫に基づき経営効率化が促され、その成果がすべての需要家に均てんされていくものと期待をいたしております。
 なお、現在でも、自由化部門におきまして、電力会社が標準的な小売料金を公表いたしまして、料金設定の透明性が確保されているところであります。こうした措置が引き続き維持され、かつ今回の制度改革を通じて電力市場における適切な競争環境が確保されれば、それぞれの需要家への供給に要するコストに見合った料金設定が市場交渉の中でなされ、不透明な形で特定需要家に対する値上げが行われるということは避けられるものと考えております。
土田委員 次に、新エネルギーの普及拡大にブレーキがかかるおそれはないかということなんですね。地球温暖化問題あるいはエネルギーのベストミックスという観点から、新エネルギーの普及拡大というのは非常に重要であるし、必要であるということを思うわけですけれども、自由化の進展によってこれにブレーキがかかるおそれはないか。これについてはどうでしょう。
高市副大臣 風力発電ですとか、あと太陽光発電なんかの新エネルギーでございますけれども、これはもうエネルギー安定供給の確保ということ、それから地球環境問題への対応ということで大変重要だと認識いたしております。
 この新エネルギーの導入量につきましては、総合資源エネルギー調査会において策定いたしました長期エネルギー需給見通しの実現、これに向けまして、現在、研究開発の支援から導入促進まで、各種の新エネルギー政策、これを展開してきているところでございます。それから、ことし四月に施行されましたRPS法もこの一環でございまして、この着実な運用を図っていきたいと考えております。
 それから、今回の電力制度改革におきましても、新エネルギーを含めました分散型電源による電力供給、これを現行以上に容易化するために、自前の電源を活用した電力供給の原則自由化などの措置を行っていくこととしておりますので、電力の自由化とそれから新エネルギーの導入、これを着実に両立を図ってまいりたいと考えております。
土田委員 今回の電気の改革では、小売自由化の範囲を段階的に拡大するとしているわけでございますが、自由化された場合の市場において、送電設備への投資がなかなか出てこないんじゃないかということが想定されるわけです。そこで、送電の設備投資への具体的なインセンティブ、このあり方についてどう考えられますか。
岡本政府参考人 送電設備の先々をにらんだ設備形成というのは非常に大事でございます。
 その関係で、今御提案申し上げております制度の中で、支援機関、いわゆる中立機関で、将来に向けての需要の想定作業というのを各省の協力を得てやっていくということで、先々、需要がそれぞれの地域ごとにどの程度まで伸びるだろうかという一つの見通しとなるようなものを用意するということが一つでございますが、もう一つ、送電投資プロパーということで考えました場合には、いわゆる系統利用料金というものについては、これは行政がチェックするということになっておりますので、その系統利用料金の水準というものを私どもが適切に確認をするというその作業を通じまして、送電投資というものがちゃんと回収されるような、そういう料金設定というのを私どもも心がけてまいりたいと思っております。
 そういったことを通じて、私ども、送電線についての投資は今度の制度改革の後においても適切に行われるものというふうに強く期待をしているところでございます。
土田委員 今回の電気事業制度の改革に当たって、エネルギーセキュリティーの確保や環境への適合という観点から原子力発電を明確に位置づける必要があると考えます。この話は何回か出ておりますけれども、自由化された市場において、将来における経営環境の不確実性が多くて、経済的なリスクの大きな原子力発電がなかなか困難になっていくんじゃないかと思われるわけです。特に最大の不確定要素というのは、経済的なリスクの大きいバックエンド、これに対しては明確な位置づけをする必要があるんじゃないか。
 政府は平成十六年の末にそのあり方について必要な措置を講じるとしているわけでございますけれども、本来なら、この原子力問題と電力自由化というのは同時に議論されなきゃならないというふうに思うわけですが、原子力問題を平成十六年末までに先送りした理由は何なんでしょうか。
西川副大臣 原子力発電を初めとする長期固定電源につきましては、今回の制度改革においてもその推進方策について検討を行い、その方策といたしまして、まず第一に、原子力等の大規模発電事業と送電事業の一体的な実施を確保するため、発送電一貫体制を維持し、第二に、全国的な電力流通の円滑化や卸電力取引市場の整備を通じ、原子力発電による発電電力量の吸収余地を拡大するとともに、第三として、特に原子力発電等に固有の対策として、その強みを発揮し得る長期安定運転確保のための環境整備を図るなど、特段の措置を講ずることといたしております。
 このうち、長期安定運転のための環境整備のための措置といたしまして、具体的には、需要が落ち込んでいるときに優先的に原子力発電から給電を認める優先給電指令制度等のルールの整備、電源立地対策の重点化を行うというような対策を行う所存であります。
 また、御指摘のバックエンド事業につきましては、これまで対策を講じてきたもの以外の課題の中、すなわち低レベル廃棄物、高レベル廃棄物以外の中に、事業の見通しや科学的知見の集積がまだ不十分でございますため措置が具体化できないものも含まれております。
 そこで、ただいま先生も御指摘がございましたように、十六年末から、新しい市場制度のもとで、いわゆる小売自由化範囲の中での原子力のあり方、こういうものにつきまして、投資環境をどう整備するか、そしてバックエンド事業に関してさらなる措置がどのようなものがどのように必要になってくるか、こういうことについて議論をしていくということが自由化と密接不可分の問題として重要でございまして、どちらが先、どちらが後ということではない、先生の御指摘も大変重要だというふうに思っております。
 すなわち、自由化によって、こういう長期固定電源の対策、これがちゅうちょされることのないようなことを私どもとしてはきちっととっていかなければいけない。しかし、これには、何度も申しますが、まだ知見の不十分なものもある、十分な議論を重ねなければいけない、こういうことで自由化を先にさせていただく、こういうことであります。
土田委員 現在心配されております電気の供給力不足、これが、自由化された後も供給力不足というのは当然想定されるわけでございますけれども、そういったときに、電気の供給を維持する方策として、どんなことを考えておられますか。
西川副大臣 現在、日本の電力供給力というのは、一・三六という数字を確保しております。これは設備率という数字でありますが、設備容量を最大電力で割って出す数字でございますけれども、これが一・三六、こういう余剰電力供給力があるわけでございまして、今、東電問題等がございますけれども、私どもは、日本の電力供給は需要を下回ることはない、したがって、新規参入、自由化の中でも特別な規制を設けるというようなことをしない、こういうことでおりまして、これからも私どもといたしましては、まず第一に、全国の供給力を有効に活用するため、広域的な電力流通を活発化させる。それから、卸売電力の、卸市場の整備を行いまして、事業者が電源開発投資に伴うリスク管理を容易にできる等の措置を講ずる。これらの対策を行うことによって、需給のバランスをきちっと、供給が需要を上回る体制を維持していきたい、こう思っております。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今、停電の問題が大きな社会的な関心事になっています。テレビや新聞や雑誌などを見ましても、首都圏大停電などと大きな見出しで出るような、こういう状況の中にあるわけです。これは、東電の一連の不祥事と、それに対して適切な対応をしてこなかった政府の責任が問われる問題だというふうに思います。
 それなのに、何となく政府の姿勢というのが、それをしっかり受けとめているのかどうか。四月でしたか、テレビでしたか、平沼大臣が出て、その際に、このままでは停電になりそうだと、何となく、はたから聞いていますと人ごとのような、そのようにとれるようなコメントとして紹介をされていたような状況も耳にしたものであります。
 本来、電気などエネルギーの安定供給の確保、これ自体が経済産業省のそもそもの責務ではないかと思うのですが、その点、まず確認したいと思います。
平沼国務大臣 東京電力の十七基の原子力発電所のうち十六基が今停止をしているということは大変な事態だ、このように認識をしておりまして、エネルギー担当大臣としては極めて遺憾なことだ、こういうふうに思っております。
 電力の安定供給の確保については、一つは、国は電気事業法等など電力の安定供給が図られる仕組みを整備運用するとともに、電力会社を指導監督する役割を担っておりまして、また一方においては、電力会社というのは需要家への直接の供給責任を負っているわけであります。電力の安定供給を確保していくためには国と電力会社がそれぞれの責任を果たしていくことが必要である、このように認識をいたしております。
 エネルギー政策に責任を持つ担当大臣の私自身として、こうした国の責任を果たして電力の安定供給を確保するため、引き続き最大限の努力を行っていかなければならない、こういうふうに思っておりまして、テレビで私は決して人ごとのようなことで申し上げたつもりはございませんで、この問題を深刻に受けとめているからこそ、テレビの中で、電力の断絶はおそれがある、こういう趣旨で申し上げたわけでございまして、もしそういうふうにテレビの画面に映ったとしたら、それは私は反省しなければならない、こういうふうに思っております。
塩川(鉄)委員 しかしながら、実際に経済産業省として需給問題での対策本部を立ち上げたのは五月の八日であったわけです。私は、その日程そのものが非常に悠長な構えではないかなということを思うわけですね。
 例えば、去年の八月以降、一連の東電の不祥事の問題、そういう中で、政府としての対応としては、昨年の臨時国会で維持基準の導入の問題などの方向が出されたわけです。しかし、その後、年が明けてから、例えば再循環系配管の問題につきましても、想定外の、新しいSUS316Lにおけるひび割れの発生、維持基準の想定外のところで出た。結果的にはこれを取りかえるという方向になってくるわけです。それはもう二月、三月の時点で出ていたわけで、当然のことながら、今のような状況というのは想定し得るような事態にあったわけですね。そういう点でも私は、五月に対策本部を立ち上げるというのは本当に悠長な構えだなと率直に思うのですけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 決してその間、私どもはなおざりにしていたわけじゃございませんで、例えば、昨年の暮れからの電力需要危機に関しては、これはテレビ等あるいはマスメディアの媒体を使って電力の需給に関しては国民の皆様方にお知らせをする努力をさせていただきましたし、機会をとらえてこの一連の不祥事による電力の需給バランスについては申し上げてきたところであります。
 幸い、冬の最需要期に関しては、これを乗り切ることができたわけでありまして、私どもとしてはこれから夏場、それを迎えるに当たって、今までずっといろいろやってきましたけれども、その中で五月八日というタイミングをとって、そして今までの延長線の中で、夏場を控えて、こういう形でいわゆる対策本部も立ち上げさせていただき、それから、これからまたテレビあるいはマスメディアを使い、さらには私どもとしては、関係大臣にお願いをして、そして関係各省もそれに取り組む、また地方自治体にもお願いをする、また産業界にもお願いをする、こういう形で、しっかりと国民の皆様方に御理解いただけるように努力をさせていただいています。
 そういう意味で、私どもは決してこれを軽々しく受け取っていたわけじゃなくて、真剣に今まで努力をしてきた、このことは御理解をいただきたい、このように思っています。
塩川(鉄)委員 夏場の電力ピークが一番問題だというのは、だれが考えても一番真っ先に思うことで、であれば、そのピークに備えた準備というのを早くから始めるというのは当然のことじゃないでしょうか。そういう点でも、何で五月なのか、もっと早い時期にそういう会議をやるべきだったんじゃないか。その点での姿勢が問われるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 公式に立ち上げたのは五月八日ですけれども、それまで省内でありとあらゆる角度で、当然、責任を持つ役所ですから、あらゆることで検討をしていたわけでございまして、私どもとしては決してそれをなおざりにして、そしてどうでもいい、そんなことでやっていたのではない、このことはぜひ御理解をいただきたい、こういうふうに思っています。
塩川(鉄)委員 しかし、表に出して大きくアピールもして、取り組んでいる、必死なんだということが外に見えてこそ、多くの国民にとっても実感ができる話だと思うのですね。そういう点でも、対策本部という形でオープンな形で行った時期が五月だったというのが本当に適切だったのか、そのことが私は問われると思うのです。
 逆に、勘ぐりたくなるのは、余りにも悠長な構えのように見えて、需給の問題、供給不足の問題について別なそろばん勘定が腹にあるんじゃないか、こんな思いさえ思わざるを得ないような、そういうことを感じざるを得ません。
 この点では、原発立地自治体の住民の皆さんでも同じような声がある。東電が電力の不足幅を過大に見積もっているんじゃないか、こういうような不信感が根強いわけです。原子力以外での供給確保策、ここにやはりまともに取り組むことなしに、安易に原子力を動かせばよいというのでは、地元の理解が得られないのは当然のことであります。
 そういう点で、大臣も、この対策本部の会議で原子力以外の供給力の確保に万全を期すと述べておられますけれども、こういう緊急時ですから、原子力以外の供給確保策についてどのような努力を尽くしているのか、その点、ぜひお答えいただきたいと思います。
平沼国務大臣 電力需要が増大する夏におきまして引き続き安定供給を確保していくためには、休止中の原子力の運転再開以外の対応といたしましては、火力発電所等原子力以外の電源の最大限の活用を図ることと節電対策が必要だと思っています。
 このため、御指摘をいただきましたけれども、五月八日、私を本部長とする経済産業省関東圏電力需給対策本部、これを設置いたしまして、東京電力に対する需給両面にわたる対策に係る指導、関係業界や他省庁、関東圏の都県に対する節電要請、節電広報の強化等を決定したところでございまして、現在、これらの対策を順次実施しているところでございます。
 また、東京電力に対しましては、この本部決定に基づきまして、供給力の確保に向けた最大限の努力とともに、需要面においては、需要家に対する節電要請でありますとかピークカットに対応した供給契約の拡大等を求めたところでございまして、今後、東京電力においてはこうした求めに沿って対応がなされるもの、このように思っております。
 しかしながら、こうした対応に取り組むにしても、休止中の原子力の運転再開なくしては夏場の電力のピーク需要を賄うことはできない、このように思っています。引き続き、停止中の原子炉について一つ一つの安全確認を行うとともに、原子炉の再開運転に向けて地元の皆様方の御理解を得るために最大限の努力を行っていきたい、こういうふうに思っておりますし、また、立地の地域で大変御協力をいただいている皆様方にも、私どもの方から、あるいは事業者の方から再三再四出向かせていただいていろいろ話し合いをさせていただいている、こういうことも、御承知だと思いますけれども申し添えさせていただきたいと思います。
塩川(鉄)委員 原子力以外での追加の供給力対策にどれだけ必死に取り組んでいるのか、こういうのがやはり目に見えていかなければ、これは原発立地自治体の住民の皆さんにとっても納得のいくものにならないというのは、当然のことだと思うんです。この点での追加の供給力対策、具体的に必死にやっているという事例としては、どういうものがあるんでしょうか。
岡本政府参考人 東京電力が夏に向けて今現在確実にめどを立てておる原子力以外の供給力としては合計約五千五百万キロワットでございますが、そこは自社の水力、火力のほかに、他社受電ということで千二百万からピークには千四百万ぐらいを見ているわけですが、自社火力につきまして、もう四十年近くたったそういう火力を、一たん中止しておりましたけれども、これをもう一度点検、補修し、それで要員の人たちも、OBになられた方を含めて呼び戻して、そういった火力を安全確認した上で立ち上げるというようなこともやって、今五千五百万までめどが立っているわけでございますが、さらに加えまして、自家発の余剰電力というのを目いっぱい買い集めるとか、自社及び他社の試運転段階にある火力発電所からできるだけこの夏に向けてたくさんの電気を調達するということで、約二百万の試運転中火力からの供給というのを見込むというようなこともやっておりますし、それから、自社の火力発電所について、安全上支障のない範囲内での増出力運転というものをやるというようなことも計画をしているところでございます。
 それから、一部、他社受電につきましても、今現在六十万ということで計画をいたしておりましたが、さらにそれに加えまして、西それから北両方から九十万キロワットの追加受電というものを見込む。さらには、一部、同じ周波数のところから水力による他社受電も、少しふやせるものがあればそれもふやそうということで、そういった努力をいたしておりまして、先般の八日の需給対策本部で、私ども、需要の数字とあわせまして、東京電力から報告のありました、今申しましたような追加の供給力確保の状況についても、可能な限り国民の皆さんに御説明すべく、情報提供に努めているところでございます。
塩川(鉄)委員 今長官のお話の中で、自家発についても目いっぱい買い上げる、JR東日本の話などをお聞きしましたけれども、目いっぱい買い上げるということであれば、それこそ自家発を持っているような方に本当に頭を下げて回るということも必要なんじゃないでしょうかね。つまり、今の自家発というのが、設備容量でも全体の一割強あるという話を聞きますけれども、そういうところまで念頭に置いて、徹底的に東電が頭を下げて回るぐらいの必死さがないと、そういった自家発を持っているような需要家の方も、需要対策でも真剣に受けとめてもらえないような状況が生まれるんじゃないでしょうか。
 こういった自家発の一覧表みたいなものを当然経済産業省としてお持ちして、東電とここは当たったかとチェックをするような、こういう取り組みなんかはされているんですか。
岡本政府参考人 自家発について、その設置者なりその能力というのは、もちろん情報は私どもも持っていますし、東京電力も持っていますので、可能性のあるところについては全部足を運んでおります。
 それから、同時に、需要面におきましても、東京電力は、特に大口の需要家の方々を一件一件回って、夏に向けて、いわゆる無理のない範囲内でシフトを少しずらすというような形での需要面での協力もお願いできませんか、それをおやりいただいた場合にはいわゆる需給調整契約ということで契約料金を少し割り引きますという、そのことの御提案もしながら、需要面での大口を一件一件回りながら、協力取りつけ作業というのもあわせてやっているところでございます。
塩川(鉄)委員 自家発のところで可能性のあるところを全部足を運ぶという話でしたけれども、例えば、すぐできることだと思うんですが、この間、IPPやPPSで入札に参加をしたような業者がありますよね。こういったところというのは、当然のことながら、ぜひ売りたいと言っていた業者であるわけですけれども、そういったところも全部もう当たって対応しているということですね。
岡本政府参考人 IPPの方々、それからPPSが、自分でそんなに余力を持っている方が今現在余りいないんですけれども、IPPの方々はもちろんでございまして、IPPのみならず、それから自家発、自家消費をやっている方々についても、少しでも余裕ありませんかということで、東京電力は、比較的近いところのそういう自家発余剰というのを可能な限りかき集めるということで、もう数カ月前からそういった取り組みをしてまいっているところでございます。
塩川(鉄)委員 私、自家発を持っているような方っていらっしゃると思うんですよね。例えば経済産業省ビルもありますよ。経済産業省の契約の相手は東電ではありませんけれども、しかし電力ピーク時に、では経済産業省ビルの自家発を動かして、その半分ぐらいはダイヤモンドパワーさんから東電に回すとか、そういうことだってできるんじゃないですか。そういうのは行われているんですか。
岡本政府参考人 今先生のお話しになられたのは、いわゆる自家発と俗に言われているものじゃなくて、非常用電源とか予備電源、そういうものかと思うんですけれども、これはいわゆる供給できる時間の幅というのが余り長いものではございませんので、これをかき集めるというのは、東電の場合に、夏の比較的需要の高い時間帯というのが午前十時から夕方の五時ぐらいまでの間という、かなり高原状態でのピークというのは夏、結構出現しておりますので。
 そういう状況を考えますと、いわゆる非常用電源をこの際かき集めるというのは、余り供給力としてはカウントできませんものですから、したがって、今やっていますのは、いわゆる自家発ということである程度長時間運転が可能な、そういう発電設備で少しでも余裕のあるところから供給力をかき集めるということで今東京電力は努力をしているというふうに聞いているところでございます。
塩川(鉄)委員 いや、私は、そういうところにも姿勢があらわれるんじゃないかと思うんですけれども。例えば国会にもありますよ、そういう意味での非常用電源というのは。そういうところだってピークカットには対応できるわけでしょう、幾つだってあるわけですから。もちろん病院なんかは、当然そういうのは対象外にしますけれども、私、そういうところに必死さというのがあらわれるんじゃないかなんて率直に思うんですよね。
 災害時に、電源車みたいなものも当然持ち出してやるわけですけれども、そういうことを含めて、ああ、ここまでの努力をしているのかというところが見てとれてこそ、本当の意味での、供給力確保策で努力を尽くしているということが見てとれると思いますし、そういう点でも、ふさわしい努力が十分行われないままにおいて原発の立地自治体の方にお願いをするということであれば、不信感というのも除去できないでしょうし、需要家の節電への協力も得られない、このように率直に思うわけです。
 その上で、需要対策の面でも、私、この前の質疑でも行ったわけですが、一般家庭ですとかそれぞれ需要家群ごとの需要カーブ、実際どれだけ使っているのかといった点での情報公開というのをもう一歩進める必要があるんじゃないか。「電気予報」の話は先ほどもお聞きしましたけれども、それはそれで大いにやってもらうとして、それぞれの需要家の方が、自分たちがどのような電気の消費状況にあるのかということを、私は、それは出すのは難しいとかできないとかという話じゃなくて、これを機会に、それぞれの需要家群ごとの需要曲線、ロードカーブを出すということを、こういう機会ですから、ぜひ改めてお約束いただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。
迎政府参考人 需要カーブについては、これは私どもも今、計測したものを、この前お答えしたように持っておりませんし、電力会社の方からもとっておりません。
 ただ、夏のピークのパターンというのはあるわけでございまして、先ほど長官も申し上げましたように、大体十時から五時ぐらいまでがその高原状態になる、非常に暑い日は。そういうことでございますので、夏のピーク対策としては、節電を呼びかけるに当たりましても、この時間帯の電気の使用、家庭のカーブあるいは事務所ビルのカーブ、それぞれ違うわけですけれども、それぞれのところでその時間帯の負荷というのを別の時間帯に移していただく、あるいは、その時間帯は我慢をして節電をやっていただく、こういったことをお願いしてまいりたい、こういうふうに思っております。
塩川(鉄)委員 きのう参考人質疑で電事連の藤会長がいらっしゃいまして、私、このことを聞きました。一般家庭の電力の需要曲線というのが昼間落ち込む、それはそのとおりです、夏場の電力ピークに占める比重が一般家庭は小さい、業務用、産業用が中心だということは電事連会長としても認めていただきましたけれども、こういう立場で、私はやはり、業務用や産業用について電力ピークのカットに当たるような積極的な姿勢というのを大いに訴えていく、そういうのが求められている。
 一般的に、昔、高校野球を自宅でクーラーをかけながら聞いているときが電力のピークだなんというのはまやかしだということは、きのう藤会長も認めておりましたから、私、そういう点でも、大いに、実態に即した情報公開のもとで需給対策について全力を尽くすべきだということを、ぜひとも改めて要望しておきたいと思います。
 法案にかかわる質問で、制度設計上、IPPの業者、卸供給事業者の電源について、化石燃料中心になるだろうということが予測されるわけですけれども、実際に、設備出力ベースでの燃料種ごとの割合というのはどのような状況になっているか、教えてください。
岡本政府参考人 平成八年から平成十四までの間に実施されました卸電力の入札で落札をしたIPPの方々の電源の燃料種別に見ますと、出力ベースで見まして、石炭が約五四%、天然ガスが一一%、石油等が三四%という内訳になっております。
塩川(鉄)委員 化石燃料の中でも相対的にCO2排出の少ない天然ガスの割合が少なくて、半分以上が石炭、続いて石油等になっているわけですけれども、石油等、石油の内訳というのはどんなものがあるのかということを簡単に御紹介いただけますか。
岡本政府参考人 石油の中で、いわゆるC重油を使うものと、それから残渣油という、そういったものを燃料にするものと両方ありまして、たしかそういうことで石油等という、そういうくくりをさせていただいているところでございます。
塩川(鉄)委員 原油があって、そこからそれぞれの成分を取り除いていきますね、だんだん最後の方に残っているC重油になる、さらにまたとると残渣油、廃棄物と言われているようなものですけれども、もちろん化石燃料ですから燃える。火力の熱源には、燃料には当然なるわけですけれども、そういうものの割合が、石油等の中での残渣油の占める比重といいますか、全体の中ですかね、おおよそどのくらいのものでしょうかね。
岡本政府参考人 今正確な数字は持ち合わせておりませんが、IPPの方々が当初、八年から始まって、九年、十年と、そういうころ、相当、各電力会社が募集に当たって示しますいわゆる回避可能原価を相当下回るというところで入札をして、確実に落札すべくやったものですから、石油等の中で、いわゆる残渣油と総称されるものを熱源、燃料にしているものが比率としては相当高いという実態にあろうかというふうに推察いたしております。
塩川(鉄)委員 私もいただいたリストで足し算してみましたら、全体でも二割を占めるような割合で、残渣油の比重が大変高いわけですね。それは燃料コストの面で大変安いものですから、当然そうなるんだと思うんですけれども。やはりこういった形での新規参入者というのは、コストで入ってくるとなると、当然環境負荷の大きいようなものがふえざるを得なくなる、そのことを率直に指摘せざるを得ません。
 例えば一方で、いろいろな環境規制の問題で、環境アセスなども当然行います。SOxやNOxの規制なども行われますけれども、十一・二五万キロワットでしたか、それより出力の小さい発電については、これは環境アセスの対象外だと思いますけれども、どのくらいあるものなんでしょうかね。
岡本政府参考人 環境アセスの対象は、IPPの募集が始まりましたころは十五万キロワットで、その後、下がって、今先生がおっしゃった十一万五千ぐらいに下がっているかと思います。
 アセスをやる、特に電力のアセスというのは相当徹底したアセスを義務づけるということになっているものですから、コストもかかるということがあって、結果として見ました場合に、そのラインというのを下回るところで計画を立てるという方が多いというのが従来の実態であったかと思います。
塩川(鉄)委員 私、足し算しましたら、以前は十五万で、下がってきたということですけれども、一応十一・二五万キロワット以下で数えますと、このIPP、四十二件中十九件はそれ以下ですよね。もちろんボリュームの問題、あるかもしれませんけれども、しかし、新規参入者の中において、環境アセスもくぐらないような事業者が多いというのも実態であるわけです。
 その点でも、NOxやSOxやばいじんなどについて懸念されるわけですけれども、このいただいたリストで、欄外のところに米印がありまして、平成八年度に実施された卸電力入札で、ゼネラル石油ですね、落札したのが。結果として需給契約を解約したということが紹介されています。このゼネラル石油が撤退した理由というのは何だか、当時のことでわかりますか。
岡本政府参考人 ちょっと、二、三年前だったと思いますので、私も正確なところは記憶していないんですが、当時、新聞等で拝見した記憶ですと、相当安い値段で入札をして、その結果、一たんは落札したんですけれども、そのコストでやったんではIPPといえども事業を採算ベースでやっていくのが難しい、そういう情勢判断に至って、途中で違約金を払って撤回をしたというふうに承知をいたしております。
塩川(鉄)委員 私、そこに新規参入者の姿勢があらわれていると思うんですね。当時の新聞などをちょっと見ますと、ゼネラル石油が撤退するそのきっかけとなったのは、発電方式そのものが日本では見られないような新しいものだった。何を燃やすかというと、先ほどの残渣油なんですよ。その残渣油を燃やす新しい発電方式であるがために、川崎市などが行っている環境規制をクリアできずに、当然、大気汚染の公害の大変ひどかった川崎でもありますから、住民の方からも大きな反対の声も上がって、そういった環境規制もクリアできなくて、結果的にやめると。
 私、そういう点で、今の新規参入者というのがやはり利潤追求の方向で大きく来るとなると環境負荷が大きくなる、逆行するような面に当然つながってくるんじゃないか、そのことを率直に指摘せざるを得ません。
 そういう点でも、私、同じ自由化というのであっても、アメリカにおけるPURPAと言われるような、組織で行ってきたような、コジェネですとか、コジェネのような分散電源を優先的に進めるですとか、風力発電などの小規模発電を促進すること、こういうところの自由化というのもきちっと枠を定めていく、ここにこそ力を入れるべきじゃないか、そのことをぜひお聞きしたいと思います。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 御指摘にありましたエネルギー効率の向上に資するコジェネや風力発電、太陽光発電などの環境調和型の新エネルギーについては、エネルギーの安定供給の確保、地球環境問題への対応を図る観点から、その積極的な導入が必要と考えているところでございます。
 このため、総合資源エネルギー調査会において策定いたしました長期エネルギー需給見通しの実現に向け、研究開発支援から導入促進まで各種新エネルギー政策を展開してきているところでございます。
 具体的に申しますと、本年四月にはすべての電力小売事業者に風力発電や太陽光発電、バイオマス発電等の新エネルギーで発電された電気相当分を購入することを義務づけするRPS法が施行されたところであります。これもこの一環であり、政府としても、着実な運用を図っていくこととしており、また、天然ガスコジェネの導入に対しても、これまで助成措置を講じてきているところであり、今後も必要な措置を講じてまいる所存でございます。
 また、今般の電力制度改革におきましても、新エネルギーを含めた分散型電源による電力供給を現行以上に容易化するため、自前の電源を活用した電力供給の原則自由化等の措置をとっていくこととしているところであります。
 政府としては、引き続き電力自由化と新エネルギー導入の両立を図り、安定供給と環境保全の確保の下で効率的な電力供給の実現を目指してまいる所存でございます。
塩川(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 まず、電力の供給量について伺います。
 電力の部分自由化に伴いまして十電力会社及び電源開発会社、日本原子力発電以外の設備から電力供給は昨年一年間でどのくらいあったのか、そしてそれは供給電力量全体の何%か、お答えください。
岡本政府参考人 ただいまの先生のお尋ねは、いわゆるPPSと言われる新規参入者による電力供給というのがどれくらいかというお尋ねかと思いますが、平成十四年一月から十二月の間でとりまして、合計で十四億キロワットアワーであります。全体が八千五百十六億キロワットアワーでございます。自由化された市場というのが、その中で二千百五十億キロワットアワーの部分というのが今現在自由化されている市場でございますので、この全体需要の中の約二五%部分が自由化されているわけですが、その自由化された市場における新規参入者の供給電力量の割合は〇・六五%でございます。なお、直近、二月でそれを見ますと、この比率というのは〇・八五%となっているところでございます。
大島(令)委員 それでは、もう一度長官に質問します。
 平成十七年度の自由化によりまして、供給される電力の何%が自由に売買されるようになると見込んでいるのか、お答えください。
岡本政府参考人 今審議会の答申を得まして、十七年四月を目途に、すべての高圧需要家ということで、五十キロワット以上の需要家のところまで自由化範囲を拡大していくということで予定をされておりますが、それによりますと、我が国の電力市場全体の約六三%が自由化されるということになろうかというふうに予想しております。
大島(令)委員 現在のコジェネ等の自家発電施設の規模は日本全国で何万キロワットか、それは電気事業者の電力供給の何%か。昨年一年の実績で構いませんので、お願いします。
岡本政府参考人 自家用の発電設備につきましては、統計のございます一千キロワット以上の設備について御報告させていただきたいと存じますが、設備容量としましては、平成十四年九月末現在というのが持ち合わせている一番新しい数字でございますが、そこで三千三百五十四万キロワットでございます。件数としましては、二千七百七十一件、それから電気事業用の発電設備容量に対しまして約一五%相当ということになっております。
 それから、自家用の発電設備による電力供給という、キロワットアワーの方でございますが、そちらを平成十三年度の実績で見ますと、千二百九十四億キロワットアワーとなっております。これは、一般電気事業者による電力供給というのが八千四百三十三億キロワットアワーでございますので、その約一五%に相当するものでございます。
大島(令)委員 次に、法案の十三条の設備の売り渡し等について伺います。
 第十三条にあります設備の売り渡し等というのは具体的にどのようなことを想定しているのか、売り渡しに原発施設は含まれるのか含まれないのか、お示しください。
岡本政府参考人 電気事業法十三条におきまして届け出の対象となります設備としましては、一般電気事業者及び卸電気事業者がその電気事業の用に供する設備のうち、発電所、変電所、送電線路、配電線路及び給電設備などの、電気の供給に直接必要な一定の設備であります。このような設備を譲り渡す場合や所有権以外の権利の目的とする場合には、経済産業大臣に届け出をしていただく必要がございます。
 なお、現行法においても規定しているところでありますが、当該設備の譲り渡しにより電気事業の適確な遂行を継続できなくなるような場合には、その譲り渡しに対して大臣が変更あるいは中止命令をし得ることができることになっているものでございます。
大島(令)委員 原発施設は含まれるのかどうか、お答えください。
岡本政府参考人 発電設備一般が対象になっておりますので、ここで言う発電設備の中に原子力発電所も含まれます。
大島(令)委員 例えば、民営化後の電源開発株式会社に原発施設を売り渡す、譲り渡すことがあるのかどうか、これはどうでしょうか。
迎政府参考人 この条文の関係とは別に、今、原子力発電所を設置、運営している九電力会社、ないしは日本原子力発電、こういったところが、民営化後の電源開発に、みずからの原子力発電所を譲り渡すような計画があるとか、意向があるとか、そういったことは全く聞いておりませんので、そういうことは想定しておりません。
大島(令)委員 譲り渡そうとすればできるというふうに解釈してもいいんでしょうか。
迎政府参考人 電気事業法上の問題といたしましては、当該設備を譲り渡すことによって、譲り渡す者の方の電気事業の遂行が継続できるや否やということを審査して、支障を生じる場合は、その変更、中止命令を発する、こういうことでございます。
大島(令)委員 できるかできないかですので、そういう形で答えていただけないでしょうか。
平沼国務大臣 それは、概念上は、当然できると思います。しかし、事が原子力発電所ですから、前の御質疑の中の答弁にもありましたけれども、それは、所管大臣たる私が、その適確性、そういうものをやはり総合的に判断してそれの許諾をする、こういうことに相なると思っております。
大島(令)委員 自由化論議はエネルギー消費の増加を前提としていると考えられますけれども、先ほど来、同じ質問が幾たびか出ておりますけれども、競争に勝つためにコストの低い燃料に走れば、環境悪化にもつながります。この問題はどのように解決していくのか、お答えください。
岡本政府参考人 電力の需要は、昨年で約二%強伸びているというのが、直近の状況でございます。そういう中で、これから自由化範囲を拡大するに当たって、特に新規参入者の方々がどういう電源を選択されるか、そのことに関連をして環境負荷がむしろ高まるのではないかという先ほど来の御心配かと思います。
 今回提案申し上げております一連の制度改革の中で、例えて申しますと、全国的な卸電力の取引所というものを予定しております。こういうものができますと、自分で火力中心のそういった電源を用意するということじゃなくて、例えば原子力の余剰電力があれば、あるいは水力の余剰電力があれば、これは一般電気事業者が卸電力取引所の方に投入をしますでしょうから、そういうところを通じて必要な電気を調達して、それで、自分が捕まえたお客さんに対して電気の供給をやっていくというような道が開けてくるという可能性もございますので、私ども、一概に、ここで進めようとしております自由化が、環境負荷をさらに強めるという方向に必ずしも働くものではない。むしろ、そういった逆の方向、環境に優しい方向での電源選択をお手伝いするような部分も、実は工夫をして用意させていただいているところでございます。
大島(令)委員 しかし、今の長官の答弁ですと、新たに新規参入者が化石燃料系の発電施設の建設よりはということでございますが、東京ガスと新日本石油は最大九十万キロワット、大阪ガスは百六十万キロワットの発電所新設などを打ち出しているとの報道もあるわけです。ですから、行政として、今の答弁は楽観的過ぎないかと思いますが、どうでしょうか。
岡本政府参考人 今言ったような顔ぶれの方々が計画されるという場合には、天然ガスのコンバインドサイクル発電ということになってこようかと思います。
 これは天然ガスということで、化石燃料の中では一番CO2の排出原単位が低いものでございますが、加えまして、コンバインドサイクルということで発電効率というものが非常に高うございまして、従来の火力発電設備というのは大体四〇%近辺の発電効率かと思いますが、コンバインドサイクルであればそれが五〇%を超える、五一なり五二%という非常に高い発電効率を実現するということです。
 投入される燃料が、天然ガスということで原単位が低いのに加えまして、同じ出力の電気を得るにつきましても、投入する天然ガスの量が少なくて済むということですので、環境負荷を、特にCO2排出量をできるだけ減らす、そういう考え方のもとにおける電源の選択というものがこれから広がっていくことを我々期待しているところでございます。
大島(令)委員 そうであるならば、再生可能エネルギーを、自由化の中で、もう少し踏み込んで明確に法的に位置づけるべきではないかと私は思いますが、どうでしょうか。
岡本政府参考人 再生可能エネルギー、新エネルギーにつきましては、先般、国会で成立をさせていただきましたいわゆるRPS法に基づきまして、一般電気事業者、それから新規参入事業者ともどもに、販売電力量に応じて、一定のそういった新エネ電気というものの利用目標量を設定して、それを義務づけるという形でやらせていただいているところでして、これをことしの四月から実際に始めたところでございます。
 将来に向けて、相当この利用目標量というのを、十年後に向けて大きく伸ばしていくということで考えておりまして、そういったRPSの的確な運用というものが、いわゆる再生可能な電源というものをこれから系統に投入していくに当たって非常に大きな推進力になるものと私どもは位置づけ、そのように期待しているところでございます。
大島(令)委員 先ほど、環境悪化につながらないという方向の答弁でしたが、その答弁に対して、本当に長官は責任が持てるんですか。
岡本政府参考人 いわゆる分散型電源というような中で、コジェネに加えまして、モノジェネというのが、かなりの勢いで一時普及するということがございました。ただ、直近に至りまして、こういったものが少し頭打ちの傾向を示しつつある。他方でコジェネの方は、これは先生も御存じのように、熱と電気と両方なものですから、熱の需要が結構多い需要家に向けてやる場合には、これは総合熱効率というのも非常に高くなってきますし、電気のコストの方もかなり下がってくるということで、コジェネタイプのもの、これがかなり普及するという傾向に今あろうかと思っております。
 今御提案申し上げております制度改正の中では、自営線を引いて、そういった分散型電源から自由化された需要家に向けて供給するというのを解禁する、自由にするということにいたしておりますが、こういったものを通じて、私ども、極力、環境にも十分配慮した、そういった分散型電源というものが普及していくということを期待しているところでございます。
大島(令)委員 この法案ですとか、あとエネルギーの問題で、大臣は、先ほど来、安定供給ですとか環境、そして、市場原理を利用して高コスト構造をなくすというふうに答弁していらっしゃいました。
 一つ心配なのは、風力発電や太陽光発電など、電力の自由化によって研究開発ですとか普及に影響を受けないか、このことが心配ですので、今後、どのような手だてを講じることを考えているのか、大臣にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 いわゆる再生可能エネルギー、新エネルギーというのは非常に重要なエネルギー源だと思っています。そういう意味で、現時点では全体の中で一%ぐらいの比率ですけれども、今、ここに対しては国も大変支援をしておりまして、これを二〇一〇年までには三%までに拡大しよう、こういう形で予算も増額をさせていただいているところであります。
 したがいまして、風力にいたしましてもあるいは燃料電池にいたしましてもバイオマスにいたしましても、そういう環境に優しいエネルギーに関しては、我々としては全力を挙げてその拡大に努力をしていかなければならない、そういう方向で努力をしているところでございます。
大島(令)委員 その努力というのは、研究開発への助成ですとか普及という分野でどのように国として努力されるのか、具体的にちょっと方向を聞かせてください。
平沼国務大臣 これは、新エネ予算というのを計上しておりまして、今年度も昨年度に比べて、正確に申し上げますと、例えば新エネルギー関係予算では、技術開発、これは太陽光発電、風力、燃料、バイオマス、これで十五年度は四百三十四億円を計上しております。ちなみに、昨年度は三百八十八億でございますから、今、大変厳しい予算の中でも増額をしているところでございます。
 また実証試験、こういうものもございまして、これは、太陽光発電ですとか集中連系型太陽光、バイオマス、固体分子型燃料電池、これに百八十八億計上しておりまして、昨年度は百億でございますから、約倍増近い、こういう形でございます。
 それから導入促進。この導入促進は三つの分野に分かれておりまして、市場の自立化、先進的事業、あるいは草の根レベルで一生懸命取り組んで、NPO等がやってくだすっておりますので、草の根、こういう形で、この三つのジャンルに関して総額九百四十六億円を計上いたしておりまして、これを合算いたしますと、全体でも千五百六十八億円でございまして、昨年度に比べて、今、予算の制約が非常に厳しい中ですけれども、八・二%の伸び率、こういう形で計上させていただいております。
大島(令)委員 今は二〇〇三年度ですから、二〇一〇年ということで、あと二%ですから、大変頑張らないとできないのではないかと思っております。
 現在、全国の自治体で、それぞれが知恵を出しまして、太陽光発電や風力発電を行っている例がたくさんあります。代表的な町は山形県の立川町で、ここはほとんどの方がもう知っていると思いますが、一九八〇年から風力発電エネルギー実用化実験事業に取り組みまして、町長さんが一生懸命取り組んだんですね、一九九三年に風力発電機三基を建設、現在では、十基の発電機で九百三十七万キロワットを発電しております。これは、町全体の消費電力の四二・六%に当たります。このほかにも、新エネルギー、とりわけ自然エネルギーを取り入れようと頑張っている自治体があります。
 この際、国は補助金という形で、NEDOなどを通しまして、風力発電の促進にいろいろ力を入れておりますが、地域がみずからの力でやっていますので、こういう自然エネルギー政策に関しましては、私は、補助制度だけではなく、この立川町は人口七千人ですが、国が財源を保障して地域に任せるといった手法も大事だと思いますが、こういう手法に関しては大臣はどのように考えておりますか。
平沼国務大臣 大島先生御指摘のとおり、地域における新エネルギー導入促進対策については、地域の特色や実態を踏まえまして、地域の方々のイニシアチブで導入促進を図っていただくことが非常に重要だと思っております。
 こうした観点から、当省の支援の施策におきましても、新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOを通じて、地方公共団体の方々にみずから新エネルギー導入ビジョンをつくっていただく制度として、地域新エネルギービジョン策定等事業を用意しているほか、導入促進補助金についても、地方公共団体の幅広い御要望にこたえられるように十分な予算の確保に努めているところでございます。
 今後とも、御指摘がございましたこういう地方公共団体の方々の御要望も踏まえまして、そして、地域の方々がそうやって独自に、意欲を持ってやろう、こういう地方公共団体の方々に使いやすい支援制度というものを構築していくことが重要だ、このように思っております。
大島(令)委員 では大臣、今後も、こういう施策に取り組もうとしている自治体の取り組みを今回の法律は阻害することにならないわけですね。
高市副大臣 自由化によってそれが阻害されるということにはならないと思います。
 先ほど来大臣から話のありましたような、地域における、特に自治体における取り組みにおいてもさまざまな支援策を用意いたしておりますし、先ほど先生から御紹介のあった事例につきましても、あれからさらに進展が見られまして、今ではもう町の五六%に匹敵する発電量となっているようでございますし、全国各地の自治体にも広がりが出てきておりますので、私ども、精いっぱい応援させていただきたいと思っております。
大島(令)委員 今東電の原発が停止している関係で、この夏の電力需要のピーク時に電力不足になるというふうに言われていまして、この質問は、この法案の中でも多くの議員がもう指摘しました。
 私はきのう、ドイツ社民党の国会議員のヘルマン・シェアさんとお話しする機会がありまして、この人は、ドイツで再生可能エネルギー法というものをつくった方なんです。その人とのやりとりの中で、この問題は解決できると。夏の冷房をするため、なぜ冷房をしなきゃならないかというと、太陽が降り注ぐわけだから、逆に太陽光で発電して冷房すればいいと。しかし、国はダブルスタンダードの考えがあるわけなんですね。
 要は、時間がかかるわけなんです。一年、二年では、こういうことはできないわけなんです。やはり三十年、四十年という取り組みの中でできると言っているわけなんです。ドイツも原発が三十基ありますが、一気になくすということではなく、長期計画の中でこういうものをあわせてやっているわけなんですね。
 ですから、例えば電卓でも、昔は電池を入れていましたけれども、今ほとんどの電卓は太陽光パネルのついたもので、電池を交換しないでも使えますから外国にも持っていけますね。そういう形で、いろいろなところで省エネとか再生可能エネルギーに、国が、原発に頼らなくても、やろうと思えばできるということをドイツではやっているわけなんです。
 そういうふうな意味で、私は、こういうソーラーエネルギーというのは非常にポテンシャルの高い、可能性があると思っているわけなんです。
 太陽光は、原則的に、まず太陽光がある限り無尽蔵にあるわけで、エネルギー源が危機にさらされるということはありません。どこでも入手できます。太陽光発電の場合は、発電装置をつくればすぐに配給できますけれども、原子力エネルギーの場合は、まずウランの採掘から始まり、ウランの輸送、ウラン鉱石の変換、輸送、ウランの濃縮、そしてまた輸送、そして原子力発電所、ここでは中間貯蔵、最終埋立処分、再処理、こういうものが出てきます。そして電気エネルギーにするときに、高圧レベルの送電、中圧レベルでの送電、そして低圧レベルでの配給ということで、非常に供給が、エネルギー源から電気になるまでの時間が長いわけなんです。ですから、太陽光発電を、時間はかかりますけれどもやっていけば、無尽蔵にあるこのエネルギーを私はもっともっと使うべきだと思うわけなんですね。
 もう時間がございませんけれども、今回の法案も、送配電完全分離というふうに期待しておりましたが、そうではありませんでしたし、大臣の答弁も、昨年と同じように、自然エネルギー、再生可能エネルギーは二〇一〇年までに三%という答弁がずっと続いていますし、私たち社民党は脱原発を掲げてエネルギー政策をずっと言い続けておりますけれども、なかなか意見が合わないということで、まとまらない最後の質問になりましたが、ぜひ、太陽という無尽蔵に降り注ぐものに対して、もう少し国としても、原発原発と言わずに考えていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
村田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案に対する反対討論を行います。
 反対理由の第一は、本法案が、一部企業の利潤追求の利便を図るために一般国民に負担をさせるものだからです。
 本法案は、電力、ガスの小売事業への新規参入を促すために、電気の振りかえ料金廃止など、新規参入者、電力会社、大手ガス会社など自由化部門の供給事業者にとっての送電網、導管網の利便を図るものです。振りかえ料金の廃止に伴い、振りかえ料金相当分が送電線利用料金としてすべての需要家の電気料金に上乗せされ、一般家庭などもその負担をかぶることになります。新規参入の増加に対応して必要となる送電網、導管網の強化あるいは結果として過剰となる電力会社の発電設備の維持、これらの費用は電力会社の電気供給原価に含まれることになり、総括原価方式のもとにある規制部門の電力料金を押し上げ、一般家庭など小零細需要家にも負担させられることになります。
 第二に、これらの新規参入促進策により、大口需要家をめぐる新規参入者と電力会社、ガス会社あるいは電力会社同士やガス会社同士の競争が激しくなれば、発電所や送電網、導管網など長期的見通しに立った設備投資が抑制され、将来的な安定供給基盤が確保されないおそれがあるからです。既に、自由化が始まって以来、電力会社、ガス会社は、人員削減、投資抑制、さらには修繕費まで抑制しています。この現状に危惧を持たざるを得ません。
 第三に、一般ガス事業者すべてに託送供給義務を課すことは、公営を含む中小ガス会社までが大手ガス会社や大口供給に参入している電力会社などとの競争にさらされることになり、結果としてその経営基盤が不安定になり、一般家庭を含む需要家に影響が及ぶおそれがあるからです。
 第四に、国家資金による発電所建設などを行ってきた電源開発株式会社を民営化し、自由化されている発電市場に投入することは、国民の財産を民間大企業の営利事業とする、電力版官業払い下げともいうべきものだからであります。
 以上、反対理由を述べて、討論を終わります。(拍手)
村田委員長 次に、大島令子さん。
大島(令)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表しまして、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案に対し、反対の立場で意見を申し上げます。
 電力やガスが自由化になることについては反対するものではありませんが、問題は、自由化するに当たり講じられた施策が非常に不透明であることで、せっかくの自由化が一体だれのための自由化なのか、その目的が不明朗になっているからです。
 発送電分離にしなかったかわりに中立的機関がつくられますが、中間法人法に基づく中間法人の形態になるというだけで、どのようなものになるのか具体的なものは示されませんでした。
 原子力発電についても問題は先送りされました。特にバックエンド事業については、バックエンド事業全般にわたるコスト構造、原子力発電全体の収益性等を分析、評価する場を立ち上げ、平成十六年末までに経済的措置等具体的な制度、措置のあり方について検討を行う、必要な措置を講ずるとしているのみです。これは問題の先送りと思っております。
 もう時代は市場に対して行政の関与を求めていません。必要な規制はもちろんありますが、それ以外は市場を信じるべきです。この間の経産省の法案を見るにつけ、それが中途半端に見えてなりません。
 繰り返しますが、電力やガスの自由化は反対するものではありませんが、この法案はそれを担保するものとはなっていないというのが社民党の結論です。
 以上、本法案に反対の意見を申し上げ、討論といたします。
村田委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、下地幹郎君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守新党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)
  国民生活と経済活動の基盤となる電気事業及びガス事業の制度改革については、エネルギーの安定供給の確保や環境への適合を図りつつ、エネルギー需要者の利益を十分確保するため、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 我が国のエネルギーセキュリティと環境保全等の両立の観点から、原子力発電を中核的な電源と位置付け、原子力発電の開発・利用を推進するため、優先給電指令制度の整備など電力供給システムの一層の整備を図ること。
   特に、原子力発電のバックエンド事業については、国の責任を明確化した上で、徹底した情報開示と透明性の高い国民的議論の下で、官民の役割分担の在り方、既存制度との整合性等を整理し、経済的措置等具体的な制度・措置の在り方について早急に検討を行い、平成十六年末までに必要な措置を講ずること。
 二 電力・ガス事業の将来の小売自由化範囲の拡大については、ユニバーサル・サービスや最終保障の在り方等の観点を踏まえ、今後、十分慎重に検討すること。
 三 電力・ガスの安定的かつ効率的供給を確保するため、川上から川下まで一貫した体制で確実に電力・ガスの供給を行う「責任ある供給主体」が必要であることにかんがみ、一般電気事業者制度及び一般ガス事業者制度を存続させるとともに、本法施行後三年経過時に予定される本改正の検証の際も、当該制度を存続した趣旨を十分尊重すること。
 四 卸電力取引所の整備、託送制度の見直しなど本制度改正の具体的制度設計に当たっては、安定供給と環境適合を大前提に、公正かつ公平なルールに基づく市場環境の整備を行うこと。
   また、振替供給料金の廃止に当たっては、送電線建設等に要するコストの公平・確実な回収、送電費用の負担に関する適切な精算、遠隔地電源立地の抑制の確保に留意して制度設計を行うとともに、消費者の理解が得られるような仕組みとすること。
   なお、振替供給料金の廃止後の状況の推移を見て、これらについて不具合が生じるような場合には、直ちに振替供給料金の廃止の見直しを含めた振替供給制度の見直しを図ること。
 五 送配電等業務支援機関については、いわゆる中立機関として送配電部門の公平性・透明性を確保するための機関であることにかんがみ、基本的な指針の策定等の支援業務の実施に当たっては、公平・透明な運用と安定供給の確保の観点に留意すること。
 六 地球環境問題への対応等の観点から、分散型電源の導入が、地球環境負荷を高める電源に偏ることのないように配慮するとともに、燃料電池や太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギーの開発・利用を推進すること。
 七 エネルギーセキュリティの確保や地球環境保全等に配慮したベストミックスの観点から、天然ガス利用の拡大を図るとともに、ガス体エネルギー確保のための積極的な資源外交に努めること。
 八 電源開発基本計画の廃止に当たっては、電源立地の停滞や困難化を招来することのないよう、電源開発の円滑化のため引き続き必要となる地元合意形成の促進や関係省庁における許認可の円滑化など、これまで電源開発基本計画が有してきた意義や機能を承継する代替措置を講ずること。
 九 電源開発株式会社については、民間会社としての経営基盤を早期に確立して同社を効果的かつ積極的に活用するため、指定会社による財務基盤の強化のための措置を確実に達成するとともに、完全民営化の趣旨にかんがみ、資本、人事の面において一層自主的かつ責任ある経営体制の確立が図られるように努めること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。
平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
村田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
村田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案
 揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
平沼国務大臣 まず、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 化学物質は、現代の国民生活に欠かせない基礎的資材でありますが、その中には固有の性状として有害性を示すものもあるため、化学物質の適正な管理には万全を期する必要があります。
 このため、我が国においては、人の健康を損なうおそれがある化学物質による環境の汚染を未然に防止するため、本法律に基づき審査、規制を行ってまいりました。
 一方、化学物質の管理に係る政策に関してさまざまな取り組みが進捗する中で、我が国における化学物質の審査規制制度に関し、人の健康への影響に加えて動植物への影響の観点も含めるとともに、化学物質の環境中への放出可能性に応じた対応を行うことが国内外から求められております。
 このような状況を踏まえ、本法律に基づく審査規制制度において、動植物への影響に着目した制度を導入するとともに、より効果的かつ効率的な審査、規制を行い、化学物質による環境汚染をより確実に防止するため、本法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、新規化学物質の事前審査において、動植物の生息または生育に支障を及ぼすおそれがあるかどうかについても新たに審査を行うこととしております。また、審査の結果、これに該当し、環境中で分解しにくいものとされた化学物質について製造・輸入数量の届け出の義務づけ等の措置を講ずるほか、その有する性状等に応じて所要の規制を行うこととしております。
 第二に、環境中で分解しにくく、生物の体内に蓄積しやすい既存化学物質について、製造・輸入数量の届け出の義務づけ等の措置を講ずることとしております。
 第三に、新規化学物質のうち、環境の汚染を生ずるおそれがないこと等につき主務大臣の確認を受けたものについては、これを製造し、または輸入することができるよう所要の規定の整備を行うこととしております。
 第四に、化学物質の製造・輸入事業者が化学物質に関する有害性情報を取得した場合には、その内容を国に報告することを義務づけることとしております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
 引き続きまして、揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 揮発油、軽油、灯油といった消費者との関連が深い燃料については、消費者保護等の観点から、揮発油等品質確保法に基づき、適正な品質規格を定め、それに適合しないものについては販売を禁止することによって安全の確保を図ってきたところであります。
 しかしながら、近年、揮発油にアルコールを大量に混合させた高濃度アルコール含有燃料が自動車用燃料として販売され、この燃料を使用することに伴う車両火災等の事故が発生しております。そのため、今般、消費者保護のため、このような混合燃料についても揮発油等品質確保法による安全規制の対象とするための措置を講じることとしております。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 揮発油等とその他の物との混合物であって揮発油等と同じ性状を有するものを同法による品質確保措置の対象とするため、揮発油等の定義改正を行うこととしております。なお、これを踏まえて、揮発油の品質規格を改正し、既販の自動車の安全を前提に、アルコールの混入許容値を規格化することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。
 以上であります。
村田委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
村田委員長 次に、中山義活君外三名提出、中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案を議題といたします。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中津川博郷君。
    ―――――――――――――
 中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
中津川議員 ただいま議題となりました民主党提案の中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 銀行の中小企業者に対する融資の現状については、かねてからさまざまな問題点が指摘されてまいりました。
 まず、銀行から中小企業者及び保証人に対する事前説明が十分なされないまま、返済能力を超えた過剰融資及びこれに伴う過剰な担保の要求が行われてきたという事実がございます。その結果、多くの中小企業者や保証人は、債務の履行や担保権の実行の名のもとに、応分の負担を超えた、生存権を脅かしかねない過重なリスクを負わされている現状がございます。
 また、中小企業者が一度でも返済を滞らせるや、担保至上主義に陥っている銀行は、当該中小企業者の事業の将来性や再建の可能性を度外視して、担保不足を理由に一転して貸しはがしを行い、これにより中小企業者の倒産が増加しているという事態も多々見られます。このような事態は、銀行の業務の公共性、倫理道徳性にかんがみて望ましい事態とは言えず、早急な是正が望まれます。
 しかしながら、銀行貸し付けをめぐるルールは、主に当事者同士の契約条項、すなわち約款に基づいて行われてきたわけで、貸金業に見られるような法律の形をとった規制は、これまで一切されてきませんでした。この当事者同士の約款も必ずしもフェアなものとは言えずに、実際には銀行側の権利のみを定めていて、消費者・顧客である借り手側の権利を定めない、ないしは民法上当然認められてしかるべき従前の権利を制限する内容の条項が多かったというのが実情であります。したがって、本法案は、もしこれが成立すれば、銀行業の貸し付け方法を規制すると同時に借り手の保護の観点から条項を定める初めての法律ということになります。
 以上が、銀行と中小企業者及び保証人の間の契約締結過程及び契約内容の適正化を図るために、本法律案を議員立法としてまとめ、提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を申し上げます。
 第一に、対象となる金融機関は、銀行及び長期信用銀行であります。
 第二に、対象となる貸付契約及び保証契約は、中小企業者に対する銀行等の資金の貸し付け及び保証契約を指します。
 第三に、銀行等が中小企業者に対し貸付契約及び貸付契約に係る保証契約を締結しようとするときは、貸し付け条件及び保証条件について資金の借り手及びその保証人に対し説明をしなければならないとするものであります。特に保証人に対しては、その保証責任の範囲、期間等を明確にする義務があるといたします。
 第四に、銀行等が中小企業者に対し貸付契約及び貸付契約に係る保証契約を締結したときは、遅滞なくその契約内容を明らかにする書面を交付しなければならないとするものであります。
 第五に、銀行等は、貸付契約等の締結に関する方針を定め、公表しなければならないこととしております。その方針においては、貸し付け条件を定めるに当たり、中小企業者の経営状況並びにその事業の性質及び成長発展の可能性に照らし配慮すべき事項、また財産を担保として提供させるに当たっては、その使用形態に照らし配慮すべき事項、さらには保証期間、保証金額及び保証の範囲を定めるに当たっては、保証人となろうとする者の経済状況その他の事情に照らし配慮すべき事項、及びその他貸付契約等の締結に際し配慮すべき事項について定めることとしております。
 以上が、本法律案の提案の理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようにお願い申し上げます。
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十三分散会


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