衆議院

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第18号 平成15年5月21日(水曜日)

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平成十五年五月二十一日(水曜日)
    午前九時四分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君
   理事 井上 義久君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    梶山 弘志君
      小池百合子君    佐藤 剛男君
      桜田 義孝君    七条  明君
      西川 公也君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      宮澤 洋一君    森田  一君
      山本 明彦君    渡辺 博道君
      小沢 鋭仁君    大谷 信盛君
      奥田  建君    金田 誠一君
      川端 達夫君    後藤  斎君
      鈴木 康友君    中津川博郷君
      松野 頼久君    山田 敏雅君
      河上 覃雄君    福島  豊君
      工藤堅太郎君    大幡 基夫君
      吉井 英勝君    大島 令子君
      金子善次郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   議員           鈴木 康友君
   議員           中津川博郷君
   議員           中山 義活君
   議員           山田 敏雅君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君
   政府参考人
   (水産庁増殖推進部長)  弓削 志郎君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            今井 康夫君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局次
   長)           仁坂 吉伸君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局長)          林  洋和君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁資源・
   燃料部長)        細野 哲弘君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  大島 理森君     七条  明君
  林  義郎君     宮澤 洋一君
  小沢 鋭仁君     大谷 信盛君
  塩川 鉄也君     吉井 英勝君
同日
 辞任         補欠選任
  七条  明君     大島 理森君
  宮澤 洋一君     林  義郎君
  大谷 信盛君     小沢 鋭仁君
  吉井 英勝君     塩川 鉄也君
    ―――――――――――――
五月二十日
 公益法人に係る改革を推進するための経済産業省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一一二号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八二号)(参議院送付)
 揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八三号)(参議院送付)
 中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案(中山義活君外三名提出、衆法第三号)
 公益法人に係る改革を推進するための経済産業省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一一二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省製造産業局長今井康夫君、経済産業省製造産業局次長仁坂吉伸君、資源エネルギー庁長官岡本巖君、資源エネルギー庁資源・燃料部長細野哲弘君及び水産庁増殖推進部長弓削志郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田建君。
奥田委員 おはようございます。民主党の奥田建でございます。
 きょうは、両案、化審法そして揮発油の品確法についての審議が最終日になるということですけれども、短い時間ですので、私の方は化審法に限って質問させていただきたいと思います。
 その前に、水産庁の方にもおいでいただいておりますので、そちらの方、先に質問したいと思います。
 突然ですけれども、大臣は、食べるフグとか、フグ料理とか、そういうのはお好きでしょうか。
平沼国務大臣 大変好きでございます。
奥田委員 私も大変大好物ございます。
 ただ、いろいろな話を聞いて、伝聞ですけれども、ことしの冬といいますか去年の冬は、ちょっとフグから遠慮していたようなことがございます。一生懸命フグをお料理なさっている方や、あるいは育てたりとったりといった方には大変申しわけないのですけれども、長年の懸案の話をちょっと耳にしまして、こんなことでいいのかなということがございます。
 養殖漁業におけるホルマリン使用ということでございます。フグだけに限りませんけれども、病害虫、えらに、えら虫というんですか、そういった寄生虫、病害を排除するために、養殖の海、あるいは生けすの中で、ホルマリンが使われるといったことでございます。
 これは、古くは、水産庁の方でも、一九八一年から使用禁止の通達というものが出されておりますし、各地からも、一九九六年が私の知っているところで最初でございますけれども、全国かん水養魚協会といったところでの使用禁止、あるいは代替薬の開発の要請といったものが出されております。先日も、一月ほど前に、新聞報道でこういった使用の発覚が認められまして、出荷禁止の命令が都道府県の権限の中で出されている、そういったこともございます。
 この中で、ずっと問題視されているのは、法的にしっかりと規制できないのか、そして、あるいは罰則というものがない、通達だけであるので効力がないといったことが言われておりまして、きょうは、水産庁の方に来ていただいておりますので、養殖漁業とホルマリンについての取り組み、そして、今の、一番最近での社会問題といったものを踏まえての対応等教えていただきたいと思います。
弓削政府参考人 フグ養殖のホルマリンの使用についてのお尋ねでございますけれども、今次国会で御審議をいただいております薬事法改正案が成立いたしますと、これらホルマリンを含め、未承認の水産用医薬品の使用が禁止されます。また、違反者に対しては、罰則として三年以下の懲役または二百万円以下の罰金が科されることになります。あわせて、今回、薬事法改正を契機に省令を改正し、この規制の対象を、現行のブリ、マダイなど十一魚種から、フグを含め食用に供されるすべての水産動物に拡大することとしております。
 以上のような薬事法改正を受けまして、そういった未承認の医薬品の使用を禁止するということの内容を盛り込んでおりますので、この改正案が成立した場合には、この法律に基づき、使用実態の把握、生産現場での指導、監視強化、そういったものを的確に実施してまいりたいと考えておるところでございます。
奥田委員 私どもも、党としましても、佐藤謙一郎先生を中心にしまして、昨年の秋には、水産庁の方にも、持続的養殖生産確保法といった法律での、毒劇物の使用の禁止、あるいはそこに罰則規定を書き込むという法の改正について相談をいたしました。そのときは、薬事法の改正、今国会で提出予定だということで、その中に盛り込めないだろうかということは確かにお返事としていただきました。
 ちょっと不勉強で申しわけないですけれども、最初のとき、今国会始まるときは薬事法改正、提示されていなかったと思いますけれども、今、現在、今国会で提出だということをおっしゃっておりましたけれども、ちょっと今の薬事法改正の進行状況、正確に伝えていただけませんでしょうか。
弓削政府参考人 従来、ホルマリンを含む未承認医薬品については、それが使用された魚介類の食品になった場合の残留性が解明されていないことから、食品や環境への影響が明確でない場合に法的に規制することが困難であるという状況のもとで、通達による指導を行ってきたところでございます。
 しかしながら、そういったことでは不十分であるということで、今国会、食の安全、安心を確保するための関連の法案を、農水省を初め関係省庁から提出しているところでございますけれども、農林水産省関係で、食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案というのを提出させていただいております。その中で、薬事法を初め肥料取締法、農薬取締法、家畜伝染病予防法等の改正によりまして、食の安全、安心を確保していく、こういったことで臨んでいるところでございます。
奥田委員 今の食品安全の法律の中で出ているということで少し安心いたしましたけれども、こういったことが二十年間の間、毎年とは言いませんけれども数年置きに出ている。
 ある部分では、地方自治体、県単位での条例の方が罰則を先に設けて、禁止の規定なんかをしていた。いろいろな化学物質の関係の法律が細かく言えば十以上並んでいて、そういった中で、養殖に関しては水産庁の漁業法やあるいは持続的養殖生産確保法といったものがその指導の中心になるということであったのに、そこの法律では書けない、そういったことがある。また、薬事法で押さえれば大丈夫だ。今は措置が行われるということですから、ようやく二十年来みんなが心配していた、あるいは問題視していたことが一つ解決されるのかもしれませんけれども、そういった状況にある。
 もう一つ水産庁に聞きたいんですけれども、では、先ほど科学的な解明ができないと言っておりましたけれども、科学的ないろいろな、ホルマリン、要はホルムアルデヒド、シックハウスなどで問題視されている物質ですけれども、その水溶液、これについて科学的な知見がないから法的な規制ができなかったということですけれども、通達は何を根拠に出されておったのでしょうか。
弓削政府参考人 先ほどもお答えいたしましたとおり、法律的に規制する場合にはその科学的根拠が十分明確であることが必要であるという中で、ホルムアルデヒドについてはいろいろな、そういう劇物、毒物に規定されている薬でもありますので、通達による指導を行ってきたというところでございます。
奥田委員 ホルマリンやホルムアルデヒドの性質が、あるいは科学的知見が変わったわけではないと思うんですよね、今の状況で。もちろん、その先には毒劇物としての指定がある。それは、毒劇物をそんなものに使ってもらっては困るというだけで十分な法規制はできるんだと思います。
 実際に、今、では薬事法の方ではできる。自分たちの法律ではできない。それはやはり政府全体、国全体としたらおかしな矛盾を生じているんじゃないですか。私は、今は法規制ができるということですからこれ以上は言いませんけれども、水産庁の範疇のところでも、幾らも法規制はできたんだというふうに思います。これからまたいろいろな監視といった仕事が出ますけれども、そういったところで十分にまた活躍していただきたいと思います。
 あと、最後に水産庁に一つだけ聞きたいんですけれども、こういった毒劇物指定というのは以前からあった、こういったものが一つの通達を無視して使用されていた、そして事実も発覚している、こういったものの、食品の方もトレーサビリティーというのが今回大きくクローズアップされましたけれども、使われていたホルマリンの化学物質としてのトレーサビリティーというものは追跡可能な状況なんでしょうか。
弓削政府参考人 ホルムアルデヒドが使われた場合、食品にどういったメカニズムで残留していくかについては、実は必ずしも明らかではありません。それと、実は天然の貝にもホルムアルデヒドというのが存在しておりまして、一部の魚種で天然物としてのホルムアルデヒドが検出される場合がございますので、その辺のところ、今後さらに解明をしていかなければならないと考えておるところでございます。
奥田委員 あっという間に時間がたちますけれども。
 本来の質問に入らせていただきたいと思います。
 今のように、言うまでもなく、いろいろな化学物質関係の法律が、目的や担当といった所管の中で細分化されているということは事実であると思います。こういった中で、化審法一つとりましても、三省庁共管ということがやはりメリットとデメリットがあって、届け出やそういうところでは大変な弊害があるんだというようなことも耳にしております。
 こういった、化審法一つとっても、あるいはもっと広い法律全体の体系をとっても、一つの整理といったものがもう行われてもいい時期ではないかと思いますけれども、その辺の見解を大臣にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 今、奥田先生の質疑の過程の中において、そういう、大変複雑多岐にわたって、一元化というような、そういう方向を目指すべきじゃないかというのがクローズアップされてきたんじゃないかと思っております。
 化学物質には、一般の化学品のほかに、御承知のように、農薬、医薬品、食品添加物等々さまざまなものがございまして、それらによる人や動植物への影響についても、環境経由の間接的な影響ですとか、取り扱いの際の直接的な影響など、極めて多様なものになっております。このため、さまざまな化学物質の特性でございますとか、人や動植物への影響を生ずる経路に応じて、きめ細かな専門的対応を行う必要がございまして、各種関係法令に基づきまして、それぞれ必要な措置を講ずることにより、最も効果的な対応が今とられていると思っております。
 一方、政府といたしましては、縦割り行政といった批判を受けることのないように、関係省庁が緊密に連絡を図りながら、こうした関連法令に基づく制度をそれぞれの目的に応じて整合的に運用して、一体的な対応をしていくことが重要だ、こういうふうに思っておりまして、今般の改正法案におきましても、環境中の生物への影響の観点を含めるに当たりましても、水質環境の基準でございますとか農薬取締法など同様の観点を持つ制度と整合的なものとなるように、関係省庁と連絡をしつつ、制度の具体化を図ってきたものであります。
 運用に当たりましても、当省、厚生労働省、環境省の三省が緊密に連絡をとりながら、一体的な対応を図っていくことが重要と認識しておりまして、このような認識のもとで、新規化学物質の事前審査における事業者との事前の相談から判定の通知に至るまでの一連の手続についても、三省が一体的に対応するように見直しを進めてきております。
 今後とも、関係省庁で密接に連絡をして、例えば届け出窓口についても可能な限り早期に一元化をする、こういう方向で努力をしていきたい、このように思っております。
奥田委員 残念ながら、もう質問時間が来たということで、用意した質問がほとんどできないままで、水産庁の方、どうぞお帰りになってください、意見にして言わせていただきますけれども、前の審議を聞いておりましても、今の、生態系への影響の配慮、あるいは予防的措置という考え方をとるということを盛り込んでいるということは評価できることであると思いますし、いろいろな化学物質に関する審議の中で指摘されていた長年の懸案であったことが一つ成果を見るといったことは評価できることだと思います。
 しかし、審議を聞いている中で、いろいろと指摘といいますか、今後の課題といったものも出されているのも確かだと思います。
 例えば第一種特定化学物質の存在といったものについて、その処理というのはすべてについて確立されているわけではない、こういった処理の問題もあります。事前審査について、適用除外、こういったもののあり方というのがどういうあり方がいいのか、あるいは農薬なんかでも企業秘密というものがどこまで許されるのかということも、今回の審議の中で討論されておったわけです。
 さらには、MSDS、PRTRという新しいデータベース関係との連携あるいはその一元化、より使いやすい、検索しやすい、そういったシステムも必要だと思っております。
 大きな長い課題になりますけれども、複合汚染あるいは環境ホルモンといったところの取り組みもないがしろにはできない、一生懸命取り組まなければいけない問題だろう。さらには、既存物質の未検査物質に対する対策、こういった問題もございます。
 私自身が言いたかったのは、今の省庁での統合整理の問題、そしてもう一つは、国際化の中で、化学物質が国境を越えて物質が変わるわけではないですから、国際的知見といったものの標準化、平準化といったものが大きな取り組みであろうし、また、こういった取り組みは、先進国、OECD関係のそういった国々だけのものではなくて、これから伸びてくる開発途上国のそういった国々の産業にとっても寄与することになると思っております。
 ぜひとも、こういった課題はまだまだたくさんあるわけでございますから、そういった課題の解決に向けて取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 おはようございます。化審法について幾つか質問させていただきたいと思います。
 前回の質疑で、我が国の経済の活性化及び雇用の確保という観点から、大臣には大変前向きな答弁をいただきまして、非常に安心をしているところでございます。
 続きまして、同じような観点から幾つか確認の意味でお尋ねをさせていただくんですが、中小企業、ベンチャー企業が研究開発するときの配慮といいますか、この点についてお尋ねするんですが、企業が新たに化学物質を研究開発して、これを利用した新たな素材を製品化しようとする場合に、あらかじめ化学物質について毒性試験など試験結果を添付して製造する、そういった必要があるということでございますけれども、これによって、中小企業やベンチャー企業のように余り資金力が豊かでない、そうした場合に、能力は持っているんだけれどもなかなか人材や資金的に少ないという場合に、研究開発に制約が出てくるんじゃないかというふうに想定されるわけですね。なるべくそういった会社は開発の的を絞ってくるということになると、化学産業全体の競争力という点から見ると、非常に残念なことになるんじゃないか。
 そういうことで、経済産業省として、こういったことが生じないように、なるべく研究開発を進めていけるような環境をつくる必要があるかと思うんですが、この点についてはどう考えておられますか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 化学産業というのは、さまざまな化学品を素材として自動車産業、IT産業など我が国の製造業に供給をしておりまして、その競争力は、我が国製造業全体の国際競争力、ひいては我が国の経済に非常に大きな影響を持っているものだと思っております。
 欧米先進国との競争が激化をいたしまして、アジア諸国からの追い上げを受けている中で、新規材料の開発というのは我が国の化学産業にとっては大変大きな課題となっております。今御指摘のベンチャー企業を含む中小企業による新規材料の開発について、経済産業省としては、問題意識を持って積極的に支援をしているところでございます。
 まず予算面について申し上げますと、中小企業の新製品の開発に直結をいたします創造的な技術開発を支援する創造技術研究開発事業といたしまして三十・二億円を初めとして、中小企業関連技術開発予算としては平成十五年度には百五十三億円を計上するなど、中小企業の技術開発、これを支援しているところでございます。
 平成十四年度の創造技術研究開発事業を見ますと、新規表示記録材料、環境問題を考慮した機能樹脂など新規材料の開発案件が多く含まれるように相なってまいりました。
 また、当省におきましては、地域において、世界に通用するベンチャー企業や新事業を生み出すため、先生御承知の産業クラスター計画に取り組んでおりまして、地域の特性を生かした実用化技術開発のために、平成十五年度においては二百七十四億円を計上しております。この平成十四年度の地域関連の技術開発を見ますと、例えば、環境浄化用光触媒透明コートでありますとか、電池用複合ポリマー系電解質などの新規材料、これら化学の新規材料の開発案件が多く含まれているところでございます。
 また、税制面について若干申し上げますと、中小企業の試験研究費の一五%相当額を税額控除する中小企業技術基盤強化税制などの措置も講じているところでございます。
 御指摘のように、経済産業省といたしましては、こういう研究開発、化学物質に対しては、日本の産業競争力に非常に大きな影響を持つものでございますので、このような措置を講じて、化学産業のベンチャー企業の研究開発、これを支援していきたい、このように思っております。
土田委員 同じような観点からですが、新しい化学製品をつくる場合、あらかじめ毒性試験などをやって、その試験結果に基づいて事前審査が行われるということが義務づけられているわけですね。事前にやらなきゃならない。この判定がなされる場合には、重複を避けるということから、その化学物質の名称や情報が公開されるということですね。
 そうした場合に、まず、先発でこの研究開発を進めていた中小企業やあるいはベンチャー企業が損をすることにならないかということですね。費用を回収しないうちに、あるいは営業的な利益を得ないうちに、大企業だったりあるいは外国の企業が参入してきて大量生産を行ってということになると、せっかくの中小、ベンチャー企業が営業的な損害をこうむるんじゃないか、あるいは利益がなくなってしまうということになると、非常にやはり我が国の経済にとっても大きな問題であるんではないかと思うんですが、この先発と後発の組、これについてはどう考えますか。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 化審法におきましては、新規化学物質を最初に製造、輸入しようとする者、先生おっしゃる先発者でございますが、これが届け出を行いまして、そして先発者が提出したデータに基づいて審査が行われ、それが審査が行われた後、新規化学物質の名称が公示され、その後、先発者以外の者、後発者でございますけれども、後発者が試験データの提出とか届け出を行うことなくて製造、輸入を行うということになっております。
 その意味で、先発者が国に提出した情報につきましては、現在の運用では、直ちにそれをすべて公表するわけではありませんけれども、化学物質の性状に関する正確な情報の開示という観点から、先発者の試験データに関する財産権の保護との適切なバランスをとりながら、今後、具体的な制度の運用のあり方を検討する必要があると考えております。
 具体的に申し上げますと、先発者が届け出に際して国に提出した試験データは一定の財産価値を有するものでございまして、その試験データを事前審査終了後に直ちに公表するということになりますと、先生おっしゃいました、試験費用を負担した先発者とその後の後発者との競争条件をゆがめる可能性がございますので、検討を進めるに当たりましては、これらを配慮していきたいというふうに考えております。
 欧米の審査制度におきましても、これらの情報につきましての一定の保護が図られておりまして、OECDにおきましても同様の配慮をすべしということになっております。
 その意味で、先発者の利益、それから情報公開ということ、この二つのバランスをとりながら制度運用を行ってまいりたいというふうに考えます。
土田委員 次に、安全性点検の加速化についてお尋ねしたいと思います。
 現在ある化学物質のほとんどが、まだ安全性点検が実施されていないというわけでございますが、化学物質の管理の一層の充実を図るためには、この安全性点検を加速的に進めていく必要があるというふうに思います。
 前回の委員会で、政府参考人の方から、スクリーニング毒性試験については一件当たり二千万円ぐらいのお金がかかる、あるいは、人の健康への長期毒性の疑いがある場合、そういった本格的な試験については一件当たり数億円の費用がかかるんだという答弁がございました。
 こういった深刻なデフレ不況が続いているわけでございますけれども、そういった中で、化学製品にかかわる市場開拓をするという見地から考えますと、今後五年間の、五年でも十年でもいいんですが、長期的な計画をつくる必要があるんじゃないか、あるいは、あわせて抜本的な予算措置を講じる必要があるんじゃないか、そうすることによって安全性点検の加速化を図っていかなきゃならないというふうに思うわけでございますが、政府は、そういった思い切った措置をとるような準備があるのかどうか。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のように、現在、二万種の既存化学物質があるわけでございますが、私ども、四十八年の国会附帯決議を踏まえて、現在までのところ、千四百物質について分解性、蓄積性の検討を終わり、それから、人の毒性については二百五十物質の点検を終わったところでございます。
 私どもとしては、影響の大きいもの、すなわち製造量が多いものとか、第一種特定化学物質、非常に危険なものに似た化学構造を持っているもの、こういうものを優先的に進めてきているわけでございます。
 一方、OECDにおきましても、国際的な協力のもとでこういう問題に対応していこうということで、生産量が大きい、千トン以上の生産量のあるものについて、国際的に官民の協力を得ながら点検をするプログラムを進めているところでございます。
 その意味で、外国からの実施の結果も入手して、私どもの安全性の点検を進めてまいりたいと思っておりますが、なお種々の化学物質を検討しなければならないことも事実でございまして、政府といたしましては、平成十二年度に補正予算をちょうだいして、新たに高生産量の、生産量の大きい化学物質につきまして、有害データの整備、評価等の予算措置を講じたところでございます。
 それで、今後とも、このようなOECDにおきます安全性データの点検を一緒に進めていくということ、それから、今般の改正案で法律に盛り込ませていただきましたけれども、事業者が自主的に取得した有害性情報を報告制度で報告していただきまして、それを計画的にその評価に組み込んでいくということにしたいと思います。
 また、簡易な有害性評価の手法、例えて言いますと、化学構造式から分解性、蓄積性、有毒性というものを予測するような手法を進めまして、先生御指摘の化学物質の安全性の検討を一層促進してまいりたいというふうに考えております。
土田委員 次に、世界的に環境保全の意識が高まっているわけですね。環境に優しいとか環境の重要性を言っているわけでございます。また企業においても、環境保全の取り組みをしているんだというアピールをする企業が非常にふえている。あるいは、そういった企業が評価をされているというふうに私は感じます。ですから、今後の企業活動におきましても、環境保全の社会的責任を果たしながら経済活動を行っていくということが極めて重要であると思うわけでございます。
 そういった環境保全をやっている企業に対しての政府の後押しといいますか、これについてやはり積極的に進めていかないと、さらにそういったイメージづくりが必要になってくると思うんですが、これについてはどう考えますか。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 化審法などの法的な規制によりまして、国が事業者に対して個別具体的な措置を求めるということだけではありませんで、やはり化学物質の実態を熟知した事業者がみずから創意工夫で、より効率的、効果的な化学物質の管理を進めるということが必要であるというふうに考えております。
 また、御指摘のように、化学産業におきましても、既に化学物質の自主管理の重要性を十分に認識されておられまして、これまで開発から廃棄に至る全ライフサイクルにわたって環境、安全面において自主管理を行います、いわゆるレスポンシブルケア活動ということを進めているところでございます。
 国におきましては、こうした事業者の取り組みを促す環境整備を進めていきたいというふうに考えておりまして、化学物質の自主管理の改善を一層促進してまいりたいというふうに考えております。
 例えば、化学物質の管理を行うための基礎的な情報となります化学物質の安全性データを関係事業者が共有できるように、化学物質排出把握管理法に基づきまして、四百三十五物質について、化学物質などの安全性データシートにより有害性情報等の提供を義務づけるということをしております。独立行政法人製品評価技術基盤機構が整備しておりますデータベースを通じて、化学物質の有害性の情報を提供するという取り組みを私どもも行っているところでございます。
 また、御指摘のように、総合的なリスク評価の開発、それから有害化学物質の使用削減につながるプロセス技術の開発などにつきましても、私ども予算的にもいろいろ応援をしているところでございます。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 きょうは、揮発油等の品質確保法案について、最初に政府各参考人の方に伺いたいと思います。
 今回の改正でアルコールが含まれる燃料を規制の対象にしたことから、消費者の中には、政府は、新エネルギーとしてアルコール燃料の研究開発を進めておきながら、アルコール燃料の使用を禁止するのかというふうな受けとめ方もあります。
 私は、改正案の趣旨というのは、最近、ガソリンにアルコールを五〇%以上混合させた、高濃度アルコール含有燃料の使用によって車両火災などの事故が発生しているので、アルコールの混合の許容値を定めて安全を確保するためのものだ、こういうふうに認識をしております。
 そこで、一つは、参考人に伺っておきたいのは、そういう認識で私はいるんですが、まずそのことを確認しておきたいというのが一つです。あわせて、この新エネルギーとしてのアルコールの研究開発及びその利用に伴う環境負荷をどのように評価しているのか、この点を伺っておきたいと思います。
岡本政府参考人 私ども、今回の法改正は、あくまでも高濃度アルコール含有燃料のガソリン自動車への使用に関する安全上の問題に対応するためのものでございまして、今後のバイオマス燃料の利用の芽を摘むというようなことを意図したものではございません。
 それから、バイオマスエタノール等のバイオマス燃料につきましては、石油代替燃料あるいは再生可能資源としての一定の意義を有していると考えておりますが、一方で、排ガスの性状の面で、大気への影響という面、そういったところは慎重に見きわめる必要もあろうかと思っておりますし、それから腐食等の安全にかかわる問題というのもございます。それから、あわせまして、今後、供給の安定性でありますとか経済性でありますとか、そういったところも検証しながら、必要な環境整備に努めてまいりたいと考えております。
吉井委員 昨日は大臣と別な委員会でエネルギー問題を議論しまして、私も新エネルギーという表現よりも、むしろ、さっきおっしゃったようなバイオマスも含めた、微生物菌を使ったメタノール等アルコール燃料をつくっていくということであれば、再生可能エネルギーという考え方でのとらまえ方で、うんとこの面は研究開発を進めるべき課題だというふうに考えております。
 次に、もともと品質確保法は揮発油販売業法から発展してきているわけですから、この点に関係して、ガソリンスタンドの経営問題についても伺っておきたいというふうに思うんです。
 いわゆるサービスステーションの数というのは、一九九四年当時の六万四百二十一カ所から、二〇〇一年度末には五万二千五百九十二カ所と大幅に減少しているわけです。
 そこで、政府参考人に少し伺っておきますが、このサービスステーション減少の原因はどこにあるというふうに考えておられるのか、伺います。
細野政府参考人 お答えを申し上げます。
 ガソリンスタンドの大半は中小企業者でございますし、御指摘にもございましたように、所有スタンドが一つから二つ、三つぐらいの中小事業者というものが全体の九割を占めるというような状況でございます。
 そういうようなガソリンスタンド業界を取り巻く状況でございますけれども、近年、ガソリン等の需要が頭打ちになるという一方で、いわゆるセルフスタンドというものが大きく増加をする、あるいはスタンド間の競争が激しくなりまして、したがって、そういうこともございまして、ガソリンの販売価格につきましても、年によって上がり下がりがございますけれども、大きな傾向といたしましては低下してきているということが言えるかと思います。
 そういうことをもろもろ背景にいたしまして、今御指摘がございましたように、ガソリンスタンドの数は、平成六年度末の約六万軒強というところをピークにいたしまして、その後、新設を閉鎖が上回るというような形で、ネットで減少をたどるということになっておりまして、御指摘のように、平成十三年度末には約五万三千軒という数値でございまして、これに代表されますように、私どもといたしましても、ガソリンスタンド業界をめぐる経営環境というのは非常に厳しい状況にあると認識をしています。
吉井委員 一時期、このガソリンスタンドの異常出店にびっくりしたことがあります。その後、引き続いてこの異常撤退ですね。あれ、ここにあったはずなのにというのが、もう草が生えておったりとか鎖だけ張られている。そこが非常に町の中でも異常な空間になってくるということが今ありますが、この減少の背景には、やはり長期にわたる不況の影響もあると思いますが、元売によるガソリンのシェア争いとか合理化による集約化、あるいは元売直営のセルフサービスステーションの大量出店やその販売価格の影響などで転廃業を余儀なくされている反映がここにあらわれているというふうに思うわけです。
 そこで大臣に伺っておきたいんですが、こうした事態に対応するには、不当廉売や差別対価など不公正取引の防止、こういう側面とともに、ガソリンスタンド、サービスステーション業界は中小零細な業者が多数を占めているという今の御答弁にありました現状を踏まえて、個々の業者の営業や経営の改善に役立つ対策といいますか、中小企業対策というものを考えていくということが大事じゃないかと思うんですが、この点は大臣に少し伺っておきたいと思います。
平沼国務大臣 吉井先生にお答えさせていただきます。
 今の答弁にもありましたように、中小企業が大部分を占めておりまして、しかも厳しい経営環境に置かれているガソリンスタンド業界につきましては、政府といたしましてもその支援策の必要性を強く認識しているところでございまして、一つは資金調達の円滑化、二つ目は経営合理化、構造改革、それから三つ目は環境対策、それぞれに対応策を講じております。
 簡単に申し上げますと、資金調達の円滑化では、石油販売業信用保証基金の積み増しを五十億円させていただきました。また、経営合理化、構造改革で、事業者が共同で新たな経営、販売手法に試験的に取り組む際の経費の補助として二十五億円を計上しているところであります。また、環境対策といたしましては、土地汚染の問題でございますとか、あるいは老朽化したガソリンスタンドの地下に埋設されたタンク等の撤去や、あるいは入れかえ事業に対する補助として百二億円、これを合わせますと、支援総額約百七十七億でございますけれども、こういった措置をとらせていただいております。
 吉井先生御指摘のとおり、ガソリンスタンド業界の持つ中小企業性、さらには消費者への石油製品の安定供給に果たす役割を踏まえまして、今後とも以上のような取り組みを着実に実施することによりまして、政府としても厳しい状況下にある石油販売業界の支援に努めていかなければいけない、このように思っております。
吉井委員 やはり貧すれば鈍するといいますか、競争が激しくなってつぶれるかどうかとか経営危機になってきますと、アルコール含有率、濃度を高めるとか、いろいろなことによって、一面では独自努力ということが出てきますと、まさに今回の法律との関係でも、非常に我々は神経を使って見ていかなきゃいけないところだと思うんです。
 そこで、このSSの経営をめぐってもう一つ聞いておきたいんですが、元売が信販会社と提携して、系列店で安い価格でガソリンを販売する法人カードの広がりというのがSSの経営を圧迫しているということも聞いております。
 そこで、最初に、この法人カードがなぜ問題になっているのか、簡潔で結構ですから、政府参考人からポイントを聞かせていただきたいと思います。
細野政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘の法人カードでございますけれども、このカードを使いますると、全国どこへ行っても、同系列のガソリンスタンドであれば当該スタンドの店頭価格にかかわらず一定の価格でガソリン等を買える、そういうサービスを提供するものでございまして、広域に活動をする法人などの便宜性とかあるいはニーズを踏まえて、元売や特約店等が発券をし提供している商品でございます。
 それで、経緯的には、全国ネットで活動をして、したがって、運送の機会なんかに遠隔地で給油を必要とする例えばトラック業者のような方々が、必ずしも現金を必要とせず、また一定の価格で、かつ行った先々で、自分が買いたいと思うような値段の適当なスタンドを探し回るといったようなこともなく給油したい、そういうニーズに対応するために、異なった地域の特約店同士が給油代行をするというところから発生したものでございます。
 その後、こうした動きがより広域化をいたしまして、また、それによってより複雑になってきます特約店同士の精算手続の軽減なんかの便宜を考慮いたしまして、元売の会社が法人向けにカードを開発するに至った、こういうことでございます。
 基本的な仕組みといたしましては、加盟店、特約店が元売とカード加盟店契約というものを締結いたしまして需要家に発券し、需要家に対する販売価格、値づけと言いますけれども、こういったものにつきましては、カードを発券する特約店が決めるケースが多うございます。現在、このような形でのカードシステムについては、多くの特約店、販売店が加盟をしているということでございます。そういうふうに承知をしております。
 さらに、御指摘のように、近年になりまして、自動車のリースを活用する法人需要家を念頭に置きまして、リースをする自動車、トラックなどでございますが、そのリースの料金と当該車両が消費するガソリンの代金支払いというものをあわせて行う場合のメリットに着目をしまして、信販会社が値づけをする信販会社を通じた法人カードというものが普及してきている、こういうことでございます。
吉井委員 カードの便利さというのは現金を持たなくてもいいという点では、私もVISAカードなんかも使っているわけですけれども、この法人カードの問題をSSの側から見ると、同じ元売からガソリンは出ているのに、大幅な安い価格で売らなければならないという問題があるんですね。顧客の側から見ると今までの価格は何だったのかと責められたり、信頼を損なっていくという問題があります。
 販売に伴う手数料は元売から支払われるわけですが、自社販売によるマージンは少なくなってきているのが実態です。したがって、同じ量を売っても収入は減ってくる、ただでも苦しい経営がさらに圧迫されているのが中小業者の実態です。
 もちろん、法人カードの固定客があれば一定数量が販売できるというメリットがあることも私は否定するわけじゃありませんが、この流通形態は、元売からSSに流れるガソリンの流通経路に、石油業とは全く関係のない信販会社とかあるいはリース会社が入ってきてマージンをとるということになり、マージンをだれが負担するのかという問題も出てまいります。
 また、信販会社の方はガソリンを比較的大量に消費する複数の法人と契約するんですね。数量をまとめて元売と価格交渉するので、業転並みの安い価格で契約することができる。その価格を武器に会員をふやし、ガソリン販売の現場で今さまざまな矛盾を起こしているんです。そちらで値決めをやると、言ってみれば実質的な再販価格の押しつけのような感じにもなってくるという問題もあります。
 そこで大臣に伺っておきたいのですが、系列店の契約を結んでいるSSは、実態としてこうした取引を拒否することは今できない。元売の販売数量拡大のために末端のサービスステーション、SSが犠牲になっているという構図になるわけで、石油製品の流通市場の矛盾を解決するということと市場の安定を図るという立場から、やはり大臣として積極的な対応というものを考えていかれることが必要なんじゃないかと思うんですが、そのことについて伺っておきたい。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 法人カードについては、ただいま説明がありましたように、需要家にとって利便性があり、また元売、販売店にとっても新たな顧客の開拓につながる可能性がある一方で、当該法人に対する給油価格が著しく低い場合は、消費者の価格不信や市況の混乱を招くのみならず、販売店等の経営を圧迫して、ひいては元売の収益にも影響を与え、望ましいものではない、こういう指摘がございます。
 この法人カードに基づく価格やカード自体の取り扱いは、元売と信販会社と販売店等の企業間の個別契約によるものでございまして、独禁法上の問題でもない限り、行政としては介入すべき問題ではないと考えておりますが、こうした法人カード制度に、市場価格に比べて極端に低い値づけ価格等、商慣行上仮に不合理な点がある場合には、元売と販売店等で現状と問題点についてまず十分話し合うことが私は望ましいと考えております。
 いずれにいたしましても、先ほどの吉井先生の御指摘もございましたように、中小企業者の多いガソリンスタンド業界の経営環境は大変厳しい状況にある、こういう状況になっておりますので、当省といたしましても認識はまさに同じでございますので、この法人カードの問題の動向についても今後注視をして、そしてフォローしていかなきゃいかぬと思っておりまして、中小ガソリンスタンド事業者に対するさらに支援の方法、こういったものも必要だと思っておりますので、引き続きしっかりやっていきたい、このように思っております。
吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 まず、平沼大臣にお伺いします。
 ガソリン用自動車に高濃度アルコール含有燃料を使用した場合、事故が起こるなどふぐあいが生じたことを受けて、消費者保護、安全規制の観点から今改正になったということでございます。
 しかし一方で、アルコール燃料をアルコール専用車に使用した場合、NOx発生量が少ないとか大気中におけるオゾン生成が低減されるとか、低公害燃料としての特性が発揮されるというメリットもあります。車の事故やふぐあいを未然に防ぐことはもちろん大切ですけれども、そのことによって、低廉で環境負荷の少ない燃料がただ市場から排除され、環境改善に向けたインセンティブが企業の側も消費者の側も働かなくなるのではないかということも一方で心配されます。
 今回、アルコール燃料が低廉であることのメリットを考えれば、そのことを生かしてアルコール専用車の普及に努めるとか、そうした施策も打ち出してもいいと思っております。
 これまで、環境に優しい車は高価で高いイメージがあります。環境問題に意識はあっても、車の価格が高いということでなかなか普及しないという実態があるわけですが、大臣は、低公害車の普及と廉価で環境負荷のより少ない燃料を同時に開発するということについてどのように考えているか、お聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 大島先生にお答えさせていただきます。
 環境に優しい自動車の普及を進めていく上で、自動車サイドの開発対応と燃料側の開発対応が同時に進められるべきだ、私はそういうふうに思っております。環境性能のよい燃料であっても、その特性を最大限に生かせる自動車が開発されなければ意味がないわけですし、逆に、自動車側で車両技術があっても、それに対応した燃料が低廉かつ安定的に供給されなければ国民に受け入れられません。
 経済産業省としましては、エネルギー政策、自動車政策を担当する部局の連携を一層密にするとともに、エネルギー業界と自動車業界の一層の連携協力を促すことを通じて、クリーンエネルギーとそれを利用した自動車の普及に努めていかなければならない、こういうふうに基本的に思っているところであります。
 ただ、御指摘のように、アルコール燃料を含めて、ガソリンや軽油以外の新たな燃料やそれを用いた自動車を普及させていく、そして低廉な、環境に優しいそういった燃料を開発していくということは非常に重要なことだと私は思っております。繰り返しになりますけれども、そういった場合には、車両技術の開発はもとより、新燃料の環境性能、あるいは安全性に加えて供給の安定性、それを供給するスタンド、そういうインフラもなければならないわけでございまして、車両そして燃料コスト、それがしっかりとしていけば必然的に自動車ユーザーに受け入れられる、こういうふうに思ってございます。
 アルコール専用車で申し上げますと、これまでメタノール自動車について私どもは取り組んできたところでございますが、残念ながらまだ、燃料のスタンド面での制約や経済性、それから今回この法律をお願いしましたのは、大変火災等あるいは燃料部分の腐食等、そういった問題が起こる、こういうことでその普及がはかばかしく進んでいなかったわけでございます。
 しかし一方において、バイオマスエネルギーというのは、新エネルギーとして環境に優しいですし、また、混合率等によっては今申し上げたような問題点もクリアできるわけでございますから、私どもとしては、そういった新エネルギーとしてのバイオマス燃料、こういったものは積極的にこれからも開発に取り組んでいく、こういう基本方針でおります。
大島(令)委員 先ほども申し上げましたが、アルコール燃料の環境改善ということに関しては、非常に一酸化炭素が少ないとか窒素酸化物が少ない、また、オゾン生成が低減されるですとか、ディーゼル車に、ディーゼルエンジンの車に比べてすすが発生しにくいとか、いろいろメリットもあるわけなんですね。
 先般、産業再生機構法の審議のときに私が読んだ本に、ある自動車メーカーの会長が、自動車はここ百年間ずっとガソリンエンジンで四つの車輪を回して走るというコンセプトで変わっていない、そして、今の過剰供給構造の中で、アルコール燃料ですとか燃料電池車とか新たなものを生み出すということで、すべての構造が変わるわけですから、政策誘導すれば、いろいろな意味で、時間はかかりますけれども、経済を変える好環境のきっかけになるということを言っていた人もみえますので、ぜひ、経済産業省としては、そういうトータルな経済政策の中でもこういった新たな分野のものを政策誘導していただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
 では、化審法について、まず大臣に伺います。
 製造とか生産から消費、廃棄まで、規制する法律がたくさんあり、それぞれ所管する省庁が違っています。環境に関する問題については一括して環境省で所管して、規制をわかりやすくする必要があると考えますが、大臣の見解を聞きたいと思っております。
平沼国務大臣 お答えいたします。
 化学物質には、一般の化学品のほかに農薬でございますとか医薬品、さらには食品添加物等々さまざまなものがあるわけであります。それらによる人や動植物への影響についても、環境経由の間接的な影響、例えばこれは農薬取締法の範疇ですけれども、環境中に散布された農薬を摂取する人や動物への被害、こういったものがありますし、また、取り扱いの際、直接的な影響、これは労働安全衛生法でカバーするなり、食品衛生法もそうですけれども、働いている現場において化学物質に直接さらされる労働者ですとか、あるいは食品や医薬物の摂取によって直接に化学物質にさらされる消費者、こういったいろいろな態様があるわけでございます。
 したがいまして、さまざまな化学物質の特性や人や動植物への影響を生ずる経路に応じて、きめ細かな専門的対応を行う必要があるわけであります。したがいまして、各種関係法令に基づきましてそれぞれ必要な措置を講ずることにより、最も効果的な対応が今はとられていると思っています。
 また、諸外国の例も見ますと、同様な考え方に基づいて、個別の事情に応じまして、化学物質の管理に関する政府の組織が整備されておりまして、政府部内での役割分担が決められているわけであります。
 例えば、我が国の化学物質審査規制法に相当する法律についても、環境保全を担当する省庁のみが所管しているケースもありますけれども、労働者安全あるいは健康の保護を担当する省庁が所管しているケースもあるわけであります。産業担当省庁が一定の関与をしているケースもございまして、各国によりましてさまざまな状況になっていると承知しています。
 我が国におきましては、公衆衛生の向上あるいは増進、経済産業の発展、環境保全というそれぞれの省の任務に基づきまして、本法を、厚生労働省、経済産業省及び環境省の三省で共管しているところでございます。
 また、実際の法施行に当たりましては、適切な役割分担のもとに、それぞれの省の専門的知見を生かして、相互に補完しながら密接に連携協力して審査を行っているところでございまして、現状におきましては、法目的を達成する上で、今るる御説明申し上げたような背景からいって最も適切な方法である、このように考えております。
 受け付けるところとか、そういうところも一元化をする、さらには、こういったいろいろな問題に対しては、この三省が合わさって、そしてある意味では一元化に等しい連係プレーをやっていく、こういうことで私どもはこの法のいわゆる執行を万全ならしめる、そういうことを担保していかなければならない、このように思っています。
大島(令)委員 今、大臣の答弁の中で一元化という言葉が出ましたけれども、今回は、事業者が新規化学物質の製造等の届け出をしようとした場合に、今まで、経産、厚労、環境の三大臣に出さなければならなかったわけなんですが、それが、今度、窓口が一元化するというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
今井政府参考人 お答え申します。
 化審法の運用につきましては、現在、厚生労働省、環境省、当省が密接に連携をとりながら対応しているということは、大臣からお話し申し上げたとおりでございます。
 届け出につきましては、従来より、事前の相談というのは三省で一緒にお話を聞いてまいりました。それから、審議会の運営につきましても一体となって、三省の審議会を一緒に開催させていただいております。
 また、届け出につきましては、窓口について、可能な限り早期にこれを一元化するべく、三省庁で相談しているところでございます。
大島(令)委員 では、三大臣に用紙を出さなくても済むように、ぜひ結論を早く出していただくようにお願いしたいと思います。
 次に、参考人にお伺いしますけれども、今改正案では、化学物質の製造、輸入事業者が化学物質に関する有害性情報を得た場合に、その内容を国に報告することが義務づけられ、これを受けて、厚生労働、経済産業、環境省のそれぞれの大臣は必要な措置を講じることとなっております。必要な措置を講ずるのは事業者の報告に限るのか、また、今回義務づけの対象となっていない市民団体やその他個人による報告の場合はどのように対応するのか、説明をしていただきたいと思います。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の有害性情報の報告義務づけというものは、事業者が入手した情報を国に報告することが、その規制が行われるなど、一見その事業者にとって不利益になる、そういう場合でもきちっと報告をしてもらいたいということで、こういう報告制度を入れたものでございます。
 そして、御指摘の、もしこうした法的義務が課されていない人から有害性の情報が寄せられた場合でございますけれども、これにつきましても、有害性情報を提供いただきますと、国が化学物質管理政策を推進する上で非常に有意義でございますので、これを活用させていただきたいというふうに思っております。
 その意味で、化学物質の有害性に関する情報につきましては、情報を報告していただいた方が法的に義務を負っておられる方であるか法的な義務を負っていないかにかかわらず、私どもとしては、その根拠となります試験データの信頼性などを確認した上で、国における化学物質の点検などの化審法の適切な運用に活用していきたいというふうに思っております。
 細かくなりますけれども、法律の三十一条の二の第二項という規定がございまして、ここでは、「前項の報告その他によつて得られた知見」によって国は必要な措置を講じなさいという規定になっております。「前項の報告」というのは、義務者からの報告でございます。「その他によつて得られた知見」というのは、先生御指摘のさまざまな方から寄せられた有害情報でございますので、そういう情報につきましても、私どもはきちっと把握いたしまして、対応するということでございます。
大島(令)委員 終わります。
村田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、内閣提出、参議院送付、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大幡基夫君。
大幡委員 私は、日本共産党を代表して、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部改正案に対して反対の討論を行います。
 そもそも化審法は、産業用に製造された新しい化学物質について、製造前に事業者の責任でその物質の性状を明らかにし、難分解性、高蓄積性、長期毒性のものは製造禁止とするなど、毒性に応じた規制を行うというものであります。
 ところが、本改正案は、新規化学物質であっても、その使用、管理方法等によって環境を汚染するおそれがないと判断される場合には、毒性審査を免除し、毒性が不明なままで産業用に大量の製造、使用ができるようにしています。しかも、その場合には、事業者の事後的な毒性情報提供義務も外されています。これでは、すべての新規化学物質についてその毒性審査を経なければ製造等を行うことができないという化審法の基本的な枠組みに、大きな穴があくことになります。
 毒性審査の免除は日本経団連の要望であり、産業界のコスト負担の軽減から出ていることは、審議の中でも指摘しました。産業界の要求を優先し、規制を緩和することは、PCBに代表される化学物質による被害、汚染を後追いしてきたこれまでの教訓をむだにしかねないものです。
 以上が、本改正案に反対する理由です。
 最後に、本改正案のうち、環境中の動植物に及ぼす影響を審査対象にすること、事業者が製造開始後に入手した有害情報の提供義務を定めることなどは、積極的な改正として評価できるものであることを表明して、討論を終わります。
村田委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、下地幹郎君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守新党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、我が国化学産業の国際競争力の強化の必要性に留意しつつ、化学物質のリスク評価・管理の適切な実施によって環境の汚染を未然に防止するため、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 人の健康への影響の観点から既に審査済みとなっている化学物質についても、動植物への影響に関する評価を促進するため必要な対策を講ずること。
 二 第二種監視化学物質等の監視化学物質について、環境モニタリング、リスク評価等を進め、事業者による有害性調査の結果と併せて、必要に応じ、第二種特定化学物質等への指定を進めること。
 三 化学物質による環境の汚染、人の健康及び野生生物への影響といった実態の把握を進めるとともに、影響メカニズムに関する調査研究を行い、人の健康及び動植物への被害の未然防止に努めること。
 四 水生生物の保護のための環境基準の設定、化学物質の排出段階での対応等を含め、生態系保全を視野に入れた化学物質対策の強化を図ること。
 五 事業者によるより安全な化学物質の開発の奨励及び促進を図ること。
 六 政府部内の連携及び制度間の連携により、より効果的かつ効率的な化学物質対策の実施に努めること。また、国際的な化学物質対策の強化に積極的に貢献すること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略をさせていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、下地幹郎君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、保守新党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、国民生活に深い関わりを持つ自動車燃料等の品質確保等を通じた消費者利益の保護や適切な環境対策を図るとともに、現下の厳しい経済情勢を勘案し、本法施行に当たり、次の諸点について必要な措置を講ずべきである。
 一 高濃度アルコール燃料の使用が自動車火災事故等の発生原因となる重大な問題であることから、不正な揮発油や軽油の販売を行う業者等を排除し、法の実効性を確保するために政府と地方自治体が一体となった監視及び取締まり体制の整備に努めること。
   また、今回の法改正の内容及び技術的な問題については、十分に国民の理解を得られるように積極的な広報活動等に努めること。
 二 我が国石油小売事業者間の価格競争の激化等厳しい経営環境が高濃度アルコール含有燃料販売の背景の一つとなっていることに鑑み、石油小売事業者の経営基盤強化や経営革新支援のための支援施策を引き続き推進すること。
 三 地球温暖化防止及び循環型社会形成の観点から、バイオマス由来の燃料の利用促進について諸外国の動向も踏まえつつ、社会的コスト、環境問題への効果等にも配慮して、我が国の実情に則した利用環境の整備を図るべく必要な検討を進めること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、両附帯決議について、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。
平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これらの法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
村田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
村田委員長 中山義活君外三名提出、中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省商務情報政策局長林洋和君及び中小企業庁長官杉山秀二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本明彦君。
山本(明)委員 おはようございます。自由民主党の山本明彦です。
 きょうは、金融担当大臣の伊藤副大臣がお見えになっておりますので、まず最初に、去る十七日の預金保険法百二条の第一項第一号に定めた措置、りそな銀行の措置についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 今回の経過を見ておりますと、金曜日に発表されたわけですけれども、その後、比較的静かというんですか、余り騒がしくないというとおかしいんですけれども、窓口を見てみましても比較的冷静な感じがいたします。これは恐らく政府の対応がよかったということだというふうに思いますけれども、国民が金融危機になれてしまったのかな、そんな心配もあります。今回、正しい、国民に理解のある措置をぜひしていただきたい、そんなふうに思います。
 今回、見ておりまして、一番国民の皆さん方、共通に不思議だなと思いますのは、銀行の発表で、いわゆる自己資本比率が最初は六%ちょっとあるという話だったのが、監査法人の監査の結果、二・三%ですから二%少しというふうになってしまったわけでありまして、繰り延べ資産の解釈の違いが一番大きな違いだというふうにはお伺いしておるわけでありますけれども、監査の見方の違いでこれだけ大きな違いが出るというのはおかしいんじゃないかと思います。一体どういったルールで見ておるのか、そんな感じがするわけであります。監査法人は結果を見るわけでありますけれども、監査法人が五年先の利益まで果たして把握できるのか、そんな気もするわけであります。それだけの責任を監査法人にまた求めてもいいのか。
 この事件とは関係ないとは思いますけれども、せんだって、ちょっと週刊誌を見ておりましたら、銀行関係の、銀行を担当しておる、銀行のプロフェッショナルの監査法人のメンバーが自殺をしたというような話も載っておりました。それだけ監査法人の責任も大きくなったわけでありますけれども、ちょっとこれだけの違いは余りにも激し過ぎるのでおかしいんじゃないかと思いますけれども、副大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 前段お話がございましたように、今回、りそなの問題につきましては、十五年三月期の決算につきまして、健全性の基準であります四%を割り込むということが明らかになりました。りそなにつきましては、その預金が流出するあるいは流動性に問題があるという事態が生じているわけではございませんが、この状況を放置いたしますと信用秩序につきまして重大な支障が生じるおそれがあるということで、今回のような対応をさせていただいたところでございます。
 先生御指摘のように、このりそな銀行に対する対応について、私どもとしても引き続きしっかりと考えて対応していきたいというふうに思っているところでございます。
 今お尋ねがございました税効果資本につきましてでございますが、これは、平成十一年に策定をされた日本公認会計士協会の実務指針において、企業の業況等に応じて繰り延べ税金資産の回収可能性を判断することとされており、監査法人は、この実務指針にのっとって、個々の企業が見積もった繰り延べ税金資産の妥当性を判断することとされております。
 一般論として申し上げれば、個々の企業において計上された繰り延べ税金資産の金額は、各企業の業況やあるいは将来の収益見通しにより異なるものでありまして、監査法人によって実務指針の解釈が変わるものではないというふうに理解をいたしております。
山本(明)委員 ちょっと、余り納得できる答弁ではありませんけれども、やはり五年先の会社の業績というのはなかなかわからないわけでありますので、ここら辺をどのように見ていくかというのは、今回も続いて、しっかりとしたものに金融庁として指導していかなきゃいかぬ、こんなふうに思いますので、ぜひ御検討のほどをお願いしたいというふうに思います。
 会社からいうと、突然といった言葉がたしか社長の話からあったんですけれども、自分たちはいいと思ったというのが突然こうなったということでありましたけれども、その途中に、監査法人か企業の方から金融庁の方に事前の相談はあったのか。
 ちょっと新聞に書いてあったんですけれども、幻の自己資本比率四・〇五から四・一%なんという数字が載っておりました。ここら辺でおさめたいと思いますけれどもどうですか、例えばそんなような相談があったのか。金融庁がまた指示をしたのかどうか。お聞かせをいただきたいと思います。
伊藤副大臣 これは、各銀行が決算期において、その決算の手続の中で銀行と監査法人が議論を進めて、これを受けて監査法人が適正に判断をしていくものだというふうに考えています。したがって、監査はあくまで独立性を持って厳格に判断されるものでございまして、今いろいろなうわさを引用されてお話しになられましたけれども、金融庁としては、監査法人に対して、個別の監査について関与する立場にはないというふうに考えております。
山本(明)委員 信頼性を保つために、ぜひそんな形でお願いをしたいと思います。
 最初に言いましたように、この解釈によって数字が変わってきたことは事実であるわけでありますけれども、そうしますと、りそなだけではないというのはだれでも思うわけでありまして、ほかの銀行について一体どうなのかという疑問がわいてくるわけであります。特にメガバンクにおきましてBIS規制をちょっと上回っておるだけの八%台、九%台ということですと、もう二、三%下がれば簡単にBIS基準を割ってしまうわけでありますから、そういった点、ほかの銀行については金融庁としてはしっかりとこれから検査をするのか、今のまま、先ほど話がありましたように任せるということで任せておくのか、信頼をしておるのか。どんなふうでしょうか。
伊藤副大臣 これは重ねてお話をさせていただきたいと思うんですが、今回、繰り延べ税金資産の取り扱いについてルールが変わったわけではございません。これは先ほどからもお話をさせていただいているように、銀行と監査法人が議論をして、そして、繰り延べ税金資産というものは、簡単に言ってしまいますと、将来返ってくる税金というものを、監査法人がプロの目で見て資産性があるかどうかを判断するわけでございます。そうした監査法人が、その真実性、そして誠実性に基づいて判断した中で今回の決算というものができてきたというふうに承知をいたしております。
 したがって、ほかの銀行についても同じように厳正に監査が行われているわけでありまして、その厳正な監査のもとで、現時点で、十五年三月期において健全性の基準について問題がある銀行はほかにないと認識をいたしております。
山本(明)委員 ぜひそうなるように信頼をしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 自己資本比率が、いろいろと新聞にも載っておりますけれども、五月十七日付の答申の中で、一〇%を上回る自己資本比率の確保が必要という答申があるわけであります。たまたま、きょう新聞を見ましたら、一四%、二兆三千億なんということも載っておったわけでありますけれども、この一〇%、二兆円という根拠はどこに、どの辺にあるのかということと、国有化という言葉も時々新聞で見るわけでありますけれども、今回、今までの注入は一兆一千八十億、これは優先株と劣後ローンだと思いますけれども、それだけりそな銀行に入っておるわけでありますけれども、今までは普通株は入っておりませんでした。今回、普通株を購入するつもりかどうか、もし普通株を購入するとしたら過半数を持つつもりかどうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
 過半数を持てばこれは国有化と私は言えるというふうに思うんですけれども、三兆円以上のお金を投入して、お金は出すけれども口は出さないというのはおかしいと思いますから、普通株を過半数持って口を出すべきだ、私はそんなふうに思いますけれども、いかがお考えでしょうか、お伺いをしたいというふうに思います。
伊藤副大臣 内閣総理大臣の談話におきましても、今回の資本増強において一〇%を十分上回る自己資本比率を確保したいと考えている旨を明らかにさせていただいているところでございますが、これは、りそな銀行が多くの預金者、そして中小企業を含めた取引先を抱えております。特に、大阪を中心とした関西圏、あるいは埼玉県に大変厚い顧客層を抱えておりまして、そういう方々の不安というものを払拭していくためにも、健全性を十分クリアするだけのやはり資本増強が必要だ、そういう視点から、一〇%を十分超える資本増強をしていくという考え方を明らかにさせていただいたところでございます。
 また、今回のりそな銀行についての資本増強の必要性の認定でございますけれども、これは、預金保険法の一〇二条の第一項の第三号措置、すなわち特別危機管理のように破綻金融機関に対する措置とはこれはもう全く異なりまして、破綻状態にない金融機関に資本増強を行い健全性の回復を図るものであります。したがって、長銀や日債銀のように債務超過の破綻金融機関の株式を預金保険機構が強制的に取得するいわゆる国有化とは全く異なるものでございます。
 預金保険法の百二条に基づく資本増強として引き受ける株式の商品性等については、りそな銀行からこれから申し込みを受けて、それを精査した上で後日決定することになります。
 いずれにいたしましても、十分な額の資本増強を可能としつつ、そして、例えば役員の選解任権を有する議決権を制限する株式の活用を含めて、ガバナンスの強化を図ることが可能となるような商品性というものを検討していきたいというふうに考えております。
山本(明)委員 果たして三兆円ものお金が返ってくるのかどうかと大変心配でありますけれども、もし自己資本比率が一四%にもなれば日本でも有数の優良銀行になるわけでありますから、そういった点は安心はさせていただきたいというふうに思っております。
 先ほど、副大臣からもお話がございましたこのりそな銀行というのは、いわゆるスーパーリージョナルバンクというんですか、いわゆる地域の中小企業のためのというほかの銀行と違う大きな目的があった、こんなふうに思っておりますので、そういった意味で、一刻も早く正常化していただき、きょう本題にあります中小企業の金融のために尽くせるような、そんないい銀行に復活をしていただきたいとお願いをさせていただきたいというふうに思います。
 続きまして、きょうの本題でございますが、民主党提案の中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 今私が申し上げるまでもなく、中小企業への貸し出しというのは大変厳しい状況でありまして、資本注入行の実際の中小企業の貸し出しを見ましても、みずほが、これは九月の実績ですけれども、対前年度で五兆円ほど減っていますし、三井住友も一兆九千億減っています、りそなも今言った中小企業のためとはいっても五千三百億も減っていますので、しっかり頑張ってもらわないといかぬわけでありますけれども、大変厳しい状況であることは言うまでもありません。
 そうした中で、民主党さんが中小企業金融のために何とかしてやろうということで法案を提案されたということは大変すばらしいことだ、そういった意味では敬意を表したいというふうに思います。(発言する者あり)できるだけ賛成したいというふうには思います。
 銀行を見ていますと、今、この表にありますように、中小企業への融資が大変減ってきておる。しかし、十五年三月期の増加計画を見ますと、UFJなんか四千億ふやすとか、りそなは千九百億ふやす、こういう目標設定がされておるわけでありますけれども、果たして本当にこんなことができるかなというのが実感であります。
 銀行は、こういったこともあって一生懸命努力はしています。努力はしていますけれども、借り手側には三グループありまして、貸してほしくても貸してくれないグループ、貸したくても借りてくれないグループ、それと新たに今から始めたい、こんなグループがあるんじゃないかなというふうに思います。
 私も中小企業をちょっと経営させていただいておりますけれども、何とか中間辺で、借りに行けば貸してくれますから中間辺かなと思っていますけれども、この貸したくても借りてくれないグループに金融機関は一生懸命接触をしておりまして、何とか数字をふやそうと思っていますけれども、結局らちが明かない。これが今の現況だろうというふうに思います。したがって、問題は、残りの二つの借りたくても貸してくれないグループと新たにこれから借りたい、こういうグループをどうするかというのが中小企業金融の一番の問題点だ、そんなふうに思います。
 そうしたことを踏まえながら、お尋ねをしたいというふうに思います。
 まず最初に、この法案を出されて最初でありますけれども、どういう趣旨で出されたか、なぜ今こういったこの時期に出されたのか、中小企業融資について、実態をどのように把握されているのか、そこら辺からお尋ねをしたいというふうに思います。
中山(義)議員 ただいまの先生の御質問の中で、私たちと同じような気持ちで大変切実にこの中小企業の問題を考えられているということにまず敬意を表しまして、この法案についても、重大な法案だ、このように認識していただければ、ぜひ採決をしてそのときには賛成に回っていただきたい、このように思うわけでございます。
 一つは、今までの慣行というのは、大体が担保であるとかまた保証人、これによってお金を貸し出すということでありましたが、我々の新しい考え方は、やはり人物評価であるとか会社の将来性であるとか、または会社の意欲でありますとか、または特許を持っているとか特殊な状況も含めまして、前向きに貸し出しをやっていただきたい、こういうことが一つであります。
 それと同時に、過去にさかのぼりますと提案型融資というのがありまして、これは、おたくの土地は大変高い土地でございまして、おじいちゃんのもので、これを相続するときにえらいお金がかかりますから、どうですか、十階建てのビルを建てて、テナントは全部うちで御紹介します、そして返済は慌てる必要はありません。そんなことを言っていて、一たん返済が渋りますと、今度は急に徹底的にいじめられて貸しはがしをされる。こういうことがありましたので、やはり今回は事前に説明をよくして、うちの銀行はこういう形で金を貸していくんだ、しかし無理な貸し出しはできませんので、お互いによく話し合って、書面を交付しながらしっかりした契約をしていきましょう、こういうことが一番大きなねらいなんです。
 もう一つは、今先生の御指摘のように、貸したい人にはなかなか貸せない、貸したくない人は貸してくれと言ってくる、こういうことでございますが、我々も今までの慣行と違った基準をつくりながら、できる限り貸したい、借りたい方にお貸しするということだと思うんです。絶対借りたい人がいることは、プロミスだとかレイクだとか武富士だとか、ああいうところが大変業績を上げているわけですから、借りたい人がたくさんいる、これは間違いない事実でございまして、そういう面では、さらに保証協会のあり方とか、政府が支援しながらも中小企業に対する貸し出しは全力を尽くしたい、そういう思いがこの法律にあるということをひとつ御理解いただきたいと思います。
山本(明)委員 大変思いはよくわかりました。できたら最後に賛成をしたいと思いますけれども、あと、お答えをお待ちしております。
 ちょっと中身についてお伺いしたいと思いますけれども、「目的」の中にあるんですが、「中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営を確保し、」とありますけれども、適正な運営というのは、だれにとって適正なのか、何が適正なのか、だれが判断するのか、この適正ということについて、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
中津川議員 お答えいたします。
 今も中山さんの方から答弁がありましたけれども、とにかく貸し手がどうしても借り手よりも優位な立場に立ってしまうというのが現状ですね。そして、事業をしたくても、土地がなければ、担保がなければ貸してくれない。本来なら、ビジネスプランとか、あるいは人物、やる気とかいう総合的な評価でやらなければいけないわけでありますが、どうしても日本の場合は、担保至上主義という今までの歴史がありました、間接金融ですから。その辺の弊害が今出ているということであります。
 そこで、今回こういう法案を私ども提案させていただいて、今この経済産業委員会で議論しているというのは大変画期的で、意味があることかなと、また私もずっとこの中小企業の問題三年間やってきましたから、思っているところであります。
 そして、今先生の適正という言葉でありますが、この法律は、そういう弱い立場にある中小企業者に対する資金の貸し付けに関する銀行、強い立場にあるという銀行のまず説明義務、これが第一点であります。それから書面の交付義務、これが第二点であります。それから貸付方針の策定義務、三点であります。
 これを定めることによって、中小企業の経営者に対する銀行の資金の貸し付けのいわゆる適正な運営というものを確保していく、それによって、中小企業の経営者も夢と希望を持って、経営の安定、そして、何とか頑張ってひとつ発展していこう、そういう意欲が持てるということを目的にしているわけであります。
 その適正ということでありますが、銀行というのは、業務の公共性、大変公共性のあるものでありまして、その点をかんがみて、借り手である弱い立場の中小企業者に対する資金の貸し付け義務をまさに適正に運営するという意味であるわけであります。そして、この講じた措置によって、この法律の目的である「適正な運営」が確保されているかどうかということは、本法律案の六条にあります貸付方針の内容を顧客が確認する、そして、中小企業者を初め、また関係者、ひいてはこれは国民全体と言っていいと思うんですが、こういう制度というものを広く評価していくと言っていいものだと思っております。
山本(明)委員 今お話をお伺いしておりまして、相手、借り手側の経営方針だとか、本人の姿勢だとか本人の性格だとか事業性だとか、いろいろなものを見て適正に判断する、こんなような感じであるというふうに理解をしたわけでありますけれども、今の三条、四条、五条、六条にいろいろ書いてあります。貸付方針等も書いてあります。
 そこまで全部縛ってしまうと、文書も出せ、こういう条件でなければ貸さないといって全部縛ってしまうと、かえって融通性のきかない融資になるのではないか。銀行も、大体今までのものは、ここに書いてあることは、やるべきことは大体やっていますよということなんですけれども、これ以上のものを、書面を要求したり、いろいろな貸し付け条件を決めたりすると、これは逆に自分で自分の足を縛ってしまう。貸したいけれども、決めたからには、この条件に合っていないからもう貸せないというような形。簡単な手形割引なんかだと、手形を持ってきて申込書を書けばすぐ貸してくれるわけですけれども、これも全部契約だとかいろいろやっておったら、これはとても間に合わぬ、間尺に合わぬ、面倒くさいというようなことで、かえって貸しにくくなってしまうし、借りにくくなってしまうんではないか、こんな心配があると思いますけれども、いかがでしょうか。
中津川議員 今の先生の御指摘でありますけれども、貸し付けには証書貸し付けと手形貸し付けがありますが、もう既に証書貸し付けはこういう形で行われておるわけでありまして、特に手形貸し付け、これは現状であるとすぐ融資してもらうということでありますが、確かにこの事務が煩雑になるということは私も認識をしております。
 そこで、証書貸し付けについて、この書面交付義務を法律で規定する実益には乏しいんじゃないかということを考えたんですが、これは、第四条で書面交付義務を定めておりますので、契約内容を明確にする、それから、契約締結後に中小企業者が不利益をこうむることがないように、その防止をするという意味があると思います。
 ですから、証書貸し付けについて法律で書面交付義務を課すということは、これは私はこれからの時代の要請ではないかなというふうに考えております。
 それで、手形貸し付けの場合、かえって貸し渋りになって融資を受けづらくなるのではないかという点でありますが、確かに事務は煩雑になるかと思います。それは理解できますけれども、じゃ、それだからといって、融資を受けづらくなるまでに煩雑になるかというと、そうではないんではないだろうか。プラス発想で、銀行と借り手のトラブルを未然に防ぐとか大きなメリットもあると思いますので、今までの銀行優位の慣行から、こういう書面というものでお互いに確認し合うという、日本もそういう新しい融資制度に入っていくということで、やはり私は必要ではないかなというふうに考えております。
山本(明)委員 姿勢としては大変よくわかりました。しかし、今言いましたように、借り手から見るとちょっと心配だなというのも実感でありますので、何とかこの法律を通してくださいというところまでは、まだ少し行かない。もう少しまた検討していただいて、本当に中小零細の皆さん方が安心のできる、そんな融資制度を考えていただきたいことをお願いさせていただきます。
 今、民主党さんがこうやって真剣に考えてこられましたので、政府の方がどう考えておるかということでありますけれども、政府の方で、三月二十七日に金融審議会の「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」、この提言を受けまして金融庁がアクションプログラムを策定いたしました。
 今、各銀行で策定中でありますけれども、このアクションプログラムについて、時間がなくなってきましたから副大臣の方から、この趣旨と、こんなことをやっておる、こんな形でやっていけば、今の民主党さんの法案をわざわざつくらなくてもやっていけるんだということをぜひお示しいただければと思います。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 私も当委員会に長く所属をさせていただき、多くの先生方と、今の中小企業をめぐる厳しい環境についてさまざまな議論をさせていただきました。したがって、中小企業に対する資金の円滑化を確保していく、そのことを何としても実現していきたい、そういう思いで今の仕事をさせていただいているわけでございます。先ほど来の議論の中で、かなり本質的な議論がなされていたというふうに私自身も考えております。
 本来、金融機関、特に中小あるいは地域の金融機関というのは、リレーションシップバンキングの機能というものをやはりしっかり持っていく必要があるだろう。これは、やはり取引先との長い継続的な関係というものを大切にして、その中から得られる経営者のさまざまな情報、事業としての将来性、そうした情報というものを活用して融資をしていく、そういう機能というものが極めて重要であります。
 また、金融審議会においても、この機能を強化していくためにはどうしたらいいんだということで、中小企業関係団体の代表者の方々あるいは地域金融機関の関係者の方々も、専門家の方々の議論の中に入っていただいて、さまざまな議論を集中的にやってまいりました。
 そして、こうした機能を大変高く期待されているわけでありますけれども、実態を見てみると、やはりなかなかそういっていない。その乖離をどう埋めていくのかということが大変重要なことだというふうに思っております。
 この乖離を埋めるためのアクションプログラムというものを先月末、私どもとして発表させていただいたところでございます。これから二年間、集中改善期間というものを設けまして、その中で、中小企業の再生の取り組みというもの、そして、やはり健全性というものを確保し、収益を向上していくというものも大変重要でございますから、この二つの柱というものを立てて、その中でリレーションバンキングの機能というものを強化していきたいというふうに思っております。
 特に中小地域金融機関においては、借り手企業に対しての問題解決型のサービスの提供でありますとか、あるいは中小企業に対する金融の円滑に資する業務の改善、中小企業の再生についての取り組みを推進してリレーションバンキングの機能を強化していく、これを確実にしていくというものが大変重要であるというふうに考えているところでございます。
 しかし、現状では、やはり企業再生に関するノウハウというものが金融機関の中でまだ十分できていない、また体制も未整備である、こういう指摘もあります。
 今後、中小地域金融機関が、人材の育成やあるいはノウハウというものを蓄積し、そしてリレーションバンキングの担い手として十分機能が発揮できるように、集中改善期間の中にアクションプログラムというものを、各金融機関の中でそれぞれの取り組みというものを明らかにしていただいて、それを着実に実行していただく。私どもとしても、それをしっかりフォローアップをしていきたいというふうに考えております。
山本(明)委員 フォローアップをしっかりしていただきたいと思います。
 中小企業庁にもお越しいただいておりましたけれども、時間が参りましたので、最後に一言だけ申し上げておきたいというふうに思います。
 中小企業庁の方で、クレジット・リスク・データ、CRDというものをおつくりになっておりまして、いわゆるデフォルトの確率等を出して、百数十万社出しておられるわけでありますけれども、これから、ミドルリスク・ミドルリターンということで、このデフォルトの確率等をしっかり使われて、これは信用保証協会だけでなくて、各銀行においてもこういったものを使って、ローリスクもあるし、ハイリスクもありますし、ミドルリスクといういろいろな層の企業に対して貸しやすい、そんな幅広い融資制度というものをこれからぜひ考えていっていただきたい。民主党さんも、またそんな形で法案を考えていただければありがたいというふうに思います。
 終わります。
村田委員長 小沢鋭仁君。
小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。
 一点、金融庁の伊藤副大臣に、先ほどのりそなの話の山本委員の質問で、ちょっとお聞きをしておいた方がいいかなと思う点がありますので、通告していないんですが、お聞かせいただければと思います。
 それは、先ほど山本委員の方も、いわゆる解釈の違いがあり得るような話というのは、おかしいのではないかとまでは言わなかったけれども、解釈の違いがあり得ることですね、こういう質問だったと思うんですね。
 それに対して、伊藤副大臣は、厳正な監査をやっております、こういう御答弁だったんですが、ここは、厳正な監査をやったというのはそのとおりだと思います。しかし、いわゆる将来収益の見通しに関しては、これはいわゆる解釈の違いというのがあり得て、そして、必ずしも、だれがやっても同じという基準ではないという点は、それはそういうことですよね。そこだけ一点、ちょっとはっきりと副大臣に御答弁をお願いしたい。
伊藤副大臣 ここは、先ほどもお話をさせていただいたように、繰り延べ税金資産というのは、将来の返ってくる税金というものを資産として認めていく、その前提になるのは、収益力、収益性があるかということでございます。
 この問題については、やはり個々の企業においてその状況は違っていくわけでありますから、そこに対して、専門家である公認会計士、監査法人が、その資産性がどういうものなのかということを、真実性、誠実性の原則の中でしっかり判定をして、それで、会計実務指針は極めてしっかりしたものになっておりますから、その会計実務指針にのっとって、そして監査をしていくということであります。
 したがって、先ほどから繰り返しお話をさせていただいているように、会計のルールが変わったということではないということでございます。
小沢(鋭)委員 そこはよくわかっているんです。
 もう一回、ちょっとしつこくて恐縮ですが、では、だれがやっても同じなんですか、いわゆる将来収益の見通しに関して言えば、これは違うこともあり得るんでしょう。ここだけもう一点、ちゃんと聞かせてください。
伊藤副大臣 重ねての答弁で恐縮でございますけれども、これは個々の企業において業績や将来の収益見通しというのは異なっていくわけでありますから、個々のそうした状況というものを見て、監査法人が繰り延べ税金資産の資産性というものを厳格に監査をしていくというふうに私どもは理解をいたしております。
小沢(鋭)委員 副大臣のお立場だとそういう御答弁なのかもしれません。そのお立場は理解したいと思います。
 しかし、一点だけ申し上げておくと、いわゆる時価会計の話も含めて、私は、最近の不況は一方ではデフレの問題、こう言っているんですが、もう一つはバランスシート不況、こう言っていて、特に株価等のいわゆる変動するもの、こういう変動するものに関して言えば、私は、これは企業が公開をして十分オープンになっていれば、それが下がっているときがあっても、それは一般の投資家もあるいはまた国民も十分理解できるではないかと。その変動するものをベースにして、いわゆる破綻であるとか、あるいはまた今回のような再生適用だとか、そういう話というのは、余りにも会計に振り回され過ぎているんではないですか。特に、ある意味では、今の金融庁の対応というのは、そうした嫌いが強過ぎるんではないですか。生きた経済というのはもうちょっと変動があっても当たり前だというところから始まって、それを含めた考え方をしないとだめなんじゃないですか。こういう点を申し上げておきたいというふうに思います。
 それから、今回のこの法案でありますが、先ほど来エールの交換がありましたけれども、私としても、民主党のこの議員立法がこうやって議論をされることそのものが、いわゆる建設的、創造的な国会ということを考えたときに、これは小さな一歩かもしれませんが、大きな国会改革の端緒になるのではないか、こういうふうに思っています。
 いわゆる立場の違いで賛成、反対が決まるんじゃなくて、本当に中身の議論をして、そして、お互い国のために、あるいは国民のために議論をしていく国会だというのが私自身の理想でもありますものですから、そういった意味では、小さな一歩かもしれませんが、大きな国会改革の大きな端緒だ、こういうふうに評価をさせていただき、また関係者の皆さんにも感謝を申し上げておきたいというふうに思います。
 さて、中身の話ですが、中小企業者の今の苦しみというのは、皆さん共通であります。私は、さきに本会議で質問する機会に、今、日本の中で命をかけて仕事をしているのは中小企業者だ、こういう言い方をいたしました。現実に、債務に追われ命を失っている自殺者が、これはすべてがその理由ではありませんが、年間三万人を超えている、こういう現状で、まさに命がけで仕事をしているのは中小企業者だ、こういうことでありまして、その気持ちをしっかりと我々政治家は体して、また国会も対応しなければいけない、こういうふうに思っておるわけであります。
 その最大の問題は、まさに債務の問題であります。現在のデフレも、これまた既に申し上げてありますが、デットデフレーション、債務デフレーションの問題が一番大きくて、事業家は倒産しただけではだれも自殺はしません。いわゆる債務があって、返済ができなくなって、また再び立ち上がることができないといったときに自殺を選択していくわけでありまして、現在の日本というのは、まさにそのデットデフレーションの真っただ中にあると私は申し上げております。
 その場合に、大事な話というのは、今回の法案にもあります、銀行と債務者、それから銀行と連帯保証人、ここの関係であります。
 日本は、いわゆる債務者とか連帯保証人の立場が非常に弱い。これは制度的に、日本の場合には、リコースローン、いわゆる担保を全部処分して払っても、それでもなおかつ銀行が依然として債務の求償権を持ち続ける。アメリカなんかは、ノンリコースローンが主流でありますから、こういった話は起きない。ここを本当は変えないとだめだ、私はこういうふうに思っているわけでありますし、民主党も、きょうの提案者の中山さん、中津川さんを初め、そこの問題をずっとやってきた。
 ただ、現状の段階で一気にノンリコースローンの方に移行する、あるいはまた連帯保証人をなくすというような話になると、今度は銀行側がもう金を貸さなくなってしまう。そういうやりとりの中で、せめて対応の面のところだけはちゃんとやりましょうよ、こういう話の中での第一歩の私どもの対策だ、こういうことだというふうに思っております。
 提案者からも、ぜひその辺のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
中山(義)議員 まさに私が申し上げようということを全部言っていただきましたが、昭和二十四年に、登録制である貸金業については規制があるんですね。現実に、過剰な融資であるとか書面の交付であるとか、決まっているわけです。しかも、月賦屋さんにしても保険屋さんにしても証券会社にしても、みんな規制はかかっているわけです。銀行だけが規制がなかったわけですね。そういう面では、銀行というのはやはり強い立場で、貸している相手にプレッシャーをかけていくということで、勝手に金利を上げたり、担保をさらによこせとか、または保証人をふやせとか、こういうことをやってきたわけですね。しかも、我々有限会社というのがありますが、有限ならそれは当たり前の話でありますが、その最後の最後まで無限に借りた者が保証しなきゃならない、この制度そのものにも問題があるわけでございまして、当然、保証人になった者はその期間が限定されるべきだというふうに私は思うわけです。
 一方、破産法という法律がありまして、その法律でも、会社をつぶしたときに身ぐるみはがれたのでは、絶対に再生はできません。日本の社会の一番いけないところは、一回会社をつぶしたら二度と立ち上がれない。こういうことも変えていきませんと、やたらそこで失望して自殺者がふえていくとか、本当はすばらしい能力を持ちながら、そこで人生が終わってしまう。
 こういうことではいけないということで、今回銀行にも、借りた側の人たちに対する適正な対応の仕方をしてほしいという願いがこもっているわけでございまして、罰則はありませんが、我が民主党の思いがここに全部集中している、このように思っているいわゆる自信作でございまして、そういう面では、どうぞ皆さんにも御理解をいただいて、ぜひ採決の際には御賛成をいただきたい、このように思います。
小沢(鋭)委員 思わず質問席で拍手をしそうになって、質問者が拍手をしてもおかしいな、こういうことで今控えましたが、まさに今提案者から説明をいただいたような気持ちで、今民主党一丸となってやらせていただいているところであります。
 伊藤副大臣にも聞いていただいたと思いますが、ですから、そういった意味では、まさに金融庁にやっていただきたい話はこういうところであって、いわゆる会計基準で云々というような話ではなくて、まさに日本の銀行と債務者、あるいはまた連帯保証人との権利関係をどうするのか。日本だけがいい思いをするということではなくて、私の知り得る限りでは日本だけがある意味では厳しいわけでありますので、逆に言えば、そこは大いに改善をしていく理由がある、こういうふうに思うものですから、ぜひ金融庁もそういった観点でお考えをいただきたいなと御要望申し上げておきたいと思います。
 一方、私は実は金融機関の出身でありますから、金融機関の側の言い分もよくわかるわけであります。ですから、そういった意味では、この法案は、お互いがとにかく同じ立場に立って、そしてはっきりと物事をさせて、誤解がないようにやっていかなければいけない、こういう話がメーンであります。逆に大きな規制をかけるとか、またプレッシャーをかけるとか、そういう話ではありません。
 そこで、本法律の中身の話でありますが、特に銀行は、中小企業者に対する貸付契約及び当該貸付契約に係る保証契約の内容についての適正確保のためのいわゆる配慮義務だとか、あるいは貸付方針の策定だとか所要の措置をとるべき責務を有することだとか、この辺を決めているわけでありますが、この点に関して、提案者にぜひ、具体的なイメージがわくような御説明をいただければありがたいと思います。
中津川議員 今、小沢先生の方から、まさに私が常日ごろ考えていること、言ってきたことを御指摘されまして、うなずいておりました。
 借り手と貸し手が少なくとも責任、リスクも五分五分に持っていく、そういう金融行政をつくらなければいけないと思っているんですね。
 今、日本の金融制度、日本だけが少しおかしいというお話がありましたが、日本の場合は、とにかく土地担保をとられる、それから社長個人の保証人もとられる、それから奥さんの保証人もとられる、場合によったら親戚、知人からも保証人をとられるということで、一回会社が倒産しますと、これはもう身ぐるみはがされて、まさにホームレス、あるいは夜逃げということしかないわけでありますね。これが現状なんです。
 私は、政治家になった一つのモチベーションとして、やり直しのきく社会をつくらなければいけない、一回や二回や三回の失敗だっていいじゃないかと。私も大学のとき浪人しましたし、失恋もしましたし、いろいろな失敗経験をして、そして成功に持っていくということが、これは人生にしてもしかり、あるいは金融行政にしてもしかりだと思うんです。ところが、日本は、一回失敗すると、総理はよく、やり直しのきく、再チャレンジがきく社会と言っているんですけれども、そうじゃない。今、日本のこの金融行政、融資というものがまさにその弊害があるということで、我々は今回の法案を提出したわけであります。
 本委員会でも、個人保証あるいは担保なしで五百五十万円まで国金で融資するという、本当に与野党一致になって決めたものがありまして、これが有効に今活用されているわけであります。お金を借りて生存権まで脅かすような過剰なリスクを負わされている制度をとにかく直していかなきゃいけないという思いでの今回の法案提出でありますので、与党の先生方にも、今ここにいらっしゃる先生は熱心な先生だと思いますので、ぜひ御理解をしていただきたいなというふうに思います。
小沢(鋭)委員 まさに、今お互いで言っているような社会をつくることが本当に大事な話だ、こう思っていて、そういった意味では、やり直しのきく社会というのは、この分野でいえばリコースローンからノンリコースローンに移行する、そのくらいの金融庁もリーダーシップを発揮して、そしてそれがまさに、銀行だって担保をとっているのですから、担保が来たらばそれでいい、もうこういう話がすっきりするじゃないですか。ですから、そこはやはりそういう議論をぜひしっかりと踏まえていただきたいなと思います。
 最後に、金融庁の伊藤副大臣に、我々のこうした提案をさせてもらっているんだけれども、今まではそれはどうだったのか、こういう話をお尋ねするように通告しております。御答弁をいただきたいと思いますが、それに加えて、今お話があったような、まさにノンリコース化というような話もどうなんだろうかということも含めて、お答えをいただければありがたいと思います。
伊藤副大臣 今御議論を聞いておりまして、私どもがリレーションシップバンキングの機能強化のアクションプログラムをなぜつくらせていただいたのか、その思いと、今の御議論の基本的な背景や理念というものは全く一致をしているというふうに思っております。
 私自身も、やはり今の中小企業経営者が置かれている立場というものは、政治家でありますからよくわかっておりますし、特に今、中小企業経営者というのは生計と経営というものがもう一体化しているわけでありますから、そういう意味で、資金繰りが大変厳しくなれば、これは生活そのものに直結する問題である。
 したがって、こうした状況を何としても解決していくためには、先ほどからお話が出ておりますように、過剰に担保やあるいは保証に依存をしている、そういう今のあり方というものを変えていかなければいけない。その前提として、今の議論の中にもあるように、銀行と借り手である企業の信頼関係が壊れてしまっているところにやはり大きな問題があるんだと思います。
 リスクについてのお話もございました。リスクについても、本来であれば、お互いに何がリスクなのかということを認識して、その情報を共有して、そして、そのリスクを乗り越えていくためにはどうしたらいいかということについてともに行動していく、やはりそういう環境をしっかりつくっていかなければいけないというふうに思っております。
 お尋ねの点につきましては、今までも銀行法においてしっかり、中小企業に対する資金を円滑にしていくために対応していかなければいけないということは銀行法の中にも書かれてきたわけでありますし、私どもとしては、そうしたものをさらに強く担保していくために、今回のアクションプランにおいても、債務者に対する、先ほどから出ている重要な事項、契約の内容でありますとか貸し付けの内容でありますとか、そうしたものに対する説明の態勢についての監督のあり方というものを明確にしていく、この方針を来月までに事務ガイドラインの中で明確にしていく、このことをお話しさせていただきたいというふうに思います。
小沢(鋭)委員 時間でありますので終わらせていただきますが、一点だけ申し上げておくと、今の副大臣の御答弁は、いわゆるリレーショナルバンキングだけではなくて、我々が言っているのは、銀行と債務者、銀行と連帯保証人との関係でいうとメガバンクももちろん含まれていて、まさに、その根底のコンセプトを変えようじゃないか、こう言っているわけなので、地域金融の話だけではない。まさに、日本のその関係の根底を変えたいということをぜひ御理解いただきたいということを申し上げて、終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
村田委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 民主党の立場で、この中小企業に対する銀行の資金の貸し付け等の問題の議員立法でありますけれども、やはり今一番問題になっているのは、少なくとも、これだけ日本の経済が小泉政権の失政によっておかしくなってきているわけであります。一方、銀行はいまだに貸し渋り、貸しはがしというものが現実に続いているわけであります。
 今回のりそな銀行は、中小企業向け銀行だということで、比較的中小企業に理解がある。理解があるけれども、しかし、中小企業に一生懸命お金を貸せば、少なくとも不良債権がふえてくる。一方は株価の下落で、結果的に公的資金を導入せざるを得なくなってきた。ところが、他方の都市銀行を見てください。国債や外債や、あるいはまたそれこそ金利のいい、いろいろな町金に融資をするような状態が続いている。これが、ある面では、銀行の中でも正直者がばかを見たのがりそなじゃないかな、こんなふうに私は考えているわけであります。
 しかし、そういうことも含めながら、中小企業というものが現実に置かれている立場というのは、大変な状態になっている。その一つには、一生懸命働いて、そして少しでも利益を上げると、今度その利益が逆に、最初に約束した利子が、企業としてもうかればその利子がまた金利として持っていかれてしまう。あるいは、金利その他のことを含めて、事業がおかしくなれば、少しでも滞ればすぐに、ある面での、競売とかそこまでされてしまう。いつもいつも弱い立場におる中小企業に対して、今度の法律というものが、具体的な貸し付け条件の締結やあるいはまた書面での交付、こういうことは非常に評価できるものである、こんなふうに私は考えているわけであります。
 そこで、伊藤副大臣、あなたも、少なくともこの委員会に属して理事までやっていたわけでありますから、中小企業の実態というのはよくわかっていると思います。今回の法案についてあなたはどう評価をされているのか、まず冒頭に聞きたいと思います。
伊藤副大臣 今お話がございましたように、私も、田中先生と一緒に当委員会の運営にも携わらせていただきましたし、また、その当時からも中小企業の資金の円滑化について、当委員会でもさまざまな活動をさせていただいたわけであります。
 そうした意味からも、また先ほどからの議論からも、民主党の皆様方がこの法案をなぜ提出されてこられたのか、その背景やあるいは基本的な理念については私も共有できるものがあるというふうに思います。
 しかし、私は、先ほどから議論が出ておりますように、やはりいろいろなものを義務化してしまうと、先生方のその思いと違って、現場では逆に資金の円滑化というものが確保できない、そういう可能性があるのではないか、この問題を解決していくためには、やはり総合的な施策というものをしっかりやって、そして金融機関の融資をしていく機能というものを回復していくことが非常に重要だというふうに思っております。
 だからこそ私どもとしましては、先生方から御提案の背景にあるものを踏まえて、先月末にアクションプランというものを提示させていただき、それを確実に実行していくことによって地域金融機関の機能というものを強化し、中小企業の再生が実現をし、地域経済が回復していく中で日本全体の再生というものが実現できるように、しっかりやっていきたいというふうに思っております。
田中(慶)委員 あなたの言うとおりやられていたら、何もこういう法案を出さなくて済むんですよ、はっきり申し上げて。
 なぜ、こういうことまでせざるを得なかったか。要するに貸し手と借り手という、この関係ですよ。いつも、貸し手は借り手に対して非常に強硬な姿勢でやってくる。銀行を見てください。特に都市銀行はそういう姿勢というものが非常に大きい。
 信金、信組はそうじゃない。一生懸命中小企業の立場で貸したくても、企業の技術や能力や長いつき合いで貸したくても、それを融資すると、貸倒準備金ですか引当金ですか、そんな形で貸した分の金額をまた上積みしなければいけない。それは、あなたのところの検査が厳しく、そういうことを含めてやられているからじゃないんですか。少なくとも、地銀なり信金なり都銀というものの検査マニュアルだって、本当は違っていいわけですよ。それが現実には分けていない。みんな一律でやっているから、片方にはこういう問題が出てくる。
 私は、今回の問題は、ですから条件についても明確に、そのことを具体的に表示をしておく必要がある。担保をこれだけなくしたのは政府の責任ですよ。土地がこんなに下落をしたのは、一生懸命働いて、自分の土地、財産が下がる、これだけ地価が下がる、だれもそんなことはしていませんよ、土地政策が悪いからこれは下がったんですから。
 そんなことを含めて考えたときに、中小企業の皆さん方が少しでも借りやすい、これだけの条件が明確に明示されて、条件変更がなければ、安心して一生懸命働けるんですよ。こういうことを含めてしなければいけない。ところが、おれから言わせれば、今の金融庁はまさしく無策ですよ。本当ですよ。現場にかなった形の金融政策をやっていない。そういうことをあなたはどう思いますか。
伊藤副大臣 私も今の立場になる前は、党において中小企業政策を担当させていただいておりましたので、同じ問題意識を持って今の立場に立たせていただいたわけであります。
 そして、今、検査マニュアルのお話もございましたが、私は今の立場に立つ前からも、やはり中小企業の実態に即した検査マニュアルが必要であるということもお話をさせていただきましたし、また、それに基づいて、検査マニュアルについては中小企業についての別冊というものを設けさせていただいて、その中にも明確に、「中小・零細企業等については、当該企業の財務状況のみならず、当該企業の技術力、販売力や成長性、代表者等の役員に対する報酬の支払状況、代表者等の収入状況や資産内容、保証状況と保証能力等を総合的に勘案し、当該企業の経営実態を踏まえて判断するもの」というふうに、これは明確に明記をされているわけであります。つまり、中小企業の実態に即してやっていきなさい、ただ、リスク管理については、やはり預金者からお金を預かってそれを融資しているわけでありますから、これはしっかりとしたリスク管理はしていかなければいけないんだというふうに思っております。
 問題なのはやはり融資のところでございまして、今までは、今御指摘がございましたように、やはり担保に過剰に依存をする、保証に過剰に依存をする、そういう形の融資をしてきたわけであります。その中小企業の営業力、どういうような形でキャッシュフローが出るのか、そのことをしっかり見て融資をしていくという能力がやはり弱かったのではないかという指摘がされているわけでありますから、やはりこの部分についての機能を強化していくということが大変重要でありまして、そうしたことも盛り込んで、先ほどから御説明をさせていただいているアクションプランというものを提示させていただいているところでございます。
 また、民主党の皆様方から御提案をいただいているように、貸し手と借り手の力関係が違うんだ、貸し手の方がやはり力関係が強いんだ、そういう実態も私もよくわかっております、私自身も中小企業経営をしてきておりますので。やはり、そうした背景には、先ほどからお話をさせていただいているように、貸し手と借り手の信頼関係が崩れてしまっているんですね。ちゃんと説明しなければいけないところを説明していない。また、借り手の方の苦情に対して、しっかりそれに対応していくということがやはり十分できていない点があるんだろうというふうに思っております。
 したがって、アクションプランの中でも、顧客に対する説明態勢というものをちゃんと整備して、そして、相談や苦情処理機能というものをやはり強化していくということも明確にうたっておりますので、そうしたことも踏まえて、各金融機関はリレーションバンキングの機能強化に向けての計画を出していただくことになっておりますので、私どもとしては、その自主的につくられた計画というものがしっかり実現していくことをフォローアップしていきたいというふうに思っております。
田中(慶)委員 いずれにしても、現在あなたたちがおやりになっていることは、現場の求めていることと違うんですよ、はっきり申し上げて。
 そういうことを含めて、副大臣、ちゃんと聞きなさいよ。いいですか。例えば、中小企業庁が今度の借りかえの問題をちゃんと明確にしていますよ。ところが、都市銀行は借りかえを求めたって貸してくれないですよ。変更に応じないですよ。政府の方針を出しているにもかかわらず、都市銀行はそのことに応じない。だから、ここで文書の問題を含めて、明確に条件問題を含めてしなさいということを言っているんですよ。あなたが幾ら立派なことを言ったって、現場は違うんですよ。そのことを明確にしなさいよ。
 中小企業庁もきょうは来ておりますから、あえてまたお聞きしますけれども、例えばこういう形で、借りかえの問題、一生懸命あなたは努力して、本当にすばらしく成果を上げておりますよ。政府系金融機関は、比較的それでもまだ一生懸命やっている。しかし、政府系金融機関でも、借りかえについてもまだ完全に実行されていない。これが実態なんです。ですから、まして都市銀行なんというのは、そういうところは、現実に笛吹けども踊らぬ、これが実態なんです。
 ですから、そのことも含めて、副大臣と長官、今の実態をどう把握しているのか、短くでいいですから、一生懸命やっていることはわかっておりますから、そのことを含めて、中小企業、政府系金融機関と都市銀行との違いというのを明確にしてください。そのぐらい違っているんですから。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 借りかえ保証制度につきましては、私ども、大臣の指示もあって、相当な努力をして浸透に努めております。非常に短期間ですけれども、既に十一万件の件数を超えておりまして、そういった意味で、浸透といいますか、実際にお役に立つようにさらに努力をしなければいけないというふうに思っております。
 その際に、これは金融機関とかそういうところの御協力がなければ中小企業の方々の実際の役に立たないわけでありますから、いろいろ私どもも金融庁にお願いをしたり、あるいは、いろいろな機会に金融機関に対しても直接、そういったものに対して協力をしていただくということを強く要請するというようなこともお願いをいたしておりますし、また実際に、そういった機会には副大臣から民間金融機関の代表の方にも直接お願いをいたしております。
 ですから、制度をつくっても、これが実際に運用されなきゃ意味がないわけでありますから、そういった意味で、各方面にありとあらゆる機会をつかまえて協力を強く要請していきたいというふうに思っております。
西川副大臣 お時間の都合で簡単にお答えを申し上げます。
 二月の二十一日から二十八日にかけて三回ほど、ただいま長官が申し上げましたような具体的な動きをいたしました。あえて私が今手を挙げさせていただきましたのは、そういう中で伊藤金融副大臣は、さすがに我が省の政務次官をお務めになったり、先ほど田中先生御指摘のこの委員会の理事をなさっただけあって、今度の借りかえ保証の中から、当初、特別保証の借りかえを金融庁はというか、財務当局は率直に言っていろいろ難色を示されたのでありますが、しかし、それに対して伊藤副大臣は積極果敢にこれを認めてくださる努力をされまして、そのおかげでこの分野が金額的にも大変大きく伸びております。
 したがって、先ほど来、田中先生、庶民を思う気持ちから、いつもいつも温かくも厳しい御指摘をいただいておりまして、私は、おっしゃること、よく理解できまして、私は伊藤副大臣の弁護士ではありませんけれども、伊藤さんも非常によくやっていただいているということをこの機会に申し上げておきたいと思って、あえて申しました。
田中(慶)委員 それは、あなたたちは同じ副大臣で傷をなめ合っているかもわからないけれども、そうじゃない。伊藤さん、いいですか、よく聞いてくださいよ。
 借りかえをやると、次に必要な融資申し込んでも貸してくれないんですよ。これはもう実際聞いてきた話ですから、これが実態なんですよ。ですから、そういうことを含めて、借りかえの場合は、自分ができるだけ条件変更して身軽になって、次にまたいろいろなことをやりたい、そこにちゃんと資金注入ができるように、こういうことだと思うんですよ。それが、現実にそういうことでリスクがあってできないんですから、あなたが幾ら立派なことをそこで言ったところで、立場は変わって、今まではここにいたからいろいろな形で中小企業を一生懸命やってきたと思いますが、金融庁というのは中小企業をどちらかというと余り相手にしない、こんなことを明確に指摘をしておきますから、よく肝に銘じて頑張ってください。
 そこで、きょうはせっかく公取の委員長に来ていただいておりますから、公取委員長、銀行が、貸し手と借り手、特に、いろいろな形で中小企業に対する、勝手に条件変更してみたり、いろいろなことをあなたのところは調査されていると思いますよ。そういうことを含めて、その調査について、今の貸し渋り、貸しはがしの問題をどのように把握されているのか、答弁してください。
竹島政府特別補佐人 御答弁申し上げます。
 公正取引委員会では、平成十三年でございますけれども、約五千社の企業を対象にいたしまして、金融機関と借り手との関係がどうなっておるのか、どういう取引慣行があるのかということをアンケート調査、それに加えましてヒアリングもいたしました。その結果を平成十三年の七月に公表しておりまして、あわせて、独禁法上の考え方、こういうことをすると独禁法上問題になりますよということを具体的に指摘し、それら調査結果とあわせまして、全国銀行協会それから全国信用金庫協会といったような業界団体並びに各ブロックにおいて説明をしてきている、こういうことでございます。
 個別の具体的な事例で、中小企業者の方々を含めて、公取に、こういうことで大変な目に遭っておる、何とかしてくれというようなお話は、実際問題はありません。しかしながら、それは、おっしゃるように融資に依存する度合いが高いので、やはり将来のことも考えられてそういう行動を、要するに公取には具体的には物を言ってこないというようなこともあろうかと思いますので、私どもとしては、世の中に、こういう実態にありますよ、それで考え方はこうですよということをよくお話しして周知させるということが問題の解決の一助になるんだろう、こういうふうに思っております。
 それで、具体的には、要するに、約束と違って金利を一方的に変えるとか、それから繰り上げ償還をさせるとかいうふうな場合には、これは独禁法上の問題をはらんでおるということを具体的に言ってございます。ただ、こういう厳しい金融情勢でございますから、借り手側のいわゆる債務者区分の変更ということも当然起こるような世の中でございますので、そういった場合に金利が変わるというようなことは、それはあり得ることだろう。
 ただ、大事なことは、そういう場合でもきちんと貸し手側も借り手側に説明をして、借り手側の自主的な判断ができる、そういうことでなければいけないと思っておりまして、一般論で一くくりに申し上げられませんけれども、個別具体的なケースについて、公取が既に発表してある考え方にもとるようなケースがあれば、公取としては個別に対応する構えでおります。
田中(慶)委員 いずれにしても、文書で明確にしていないために、金利を勝手に上げたり、現実にそういう事例がいっぱいあるわけですから、それは公取がちゃんと調べないと、それがあなたのところの責任ですよ。現実にそんなこといっぱいあるんですから、繰り上げ償還のことも求められたり、来ているんですから。それは一般論じゃない、現実論としてそのことがあるんですから、ちゃんと調査してください。そして報告してください、そのことを明確に。
 それから、西川さん、せっかくお見えいただいているんですから。あなた、例えば、経済産業省でいろいろな制度をつくりますよね、はっきり申し上げて。そして、いろいろなことを対応して努力しております。しかし、仏つくって魂入っていない。
 例えば、制度をつくって九〇%あるいは九五%が制度融資できる、ところがあと五%が制度融資できない、今度一般の銀行なりそういうところから融資を。ところが、その制度に対して、あとの残りの五%、一〇%の融資がしてくれない。結果的に、例えばベンチャーであろうと新しい一つの政策であろうと、実行に移されない。これが実態なんです。
 そればかりじゃありません。例えば、特殊法人とかいろいろな形で皆さんのところは全部アウトソーシングで外に出したり、いろいろなことをしております。ところが、それをいろいろな形でやろうとすると、既に、例えば十五年の事業なのに平成十五年三月末でもう締めました、十五年度政策が平成十五年三月末で締める、こんなばかなことはないわけですよ。現実にそういうことがあるんですから。それだったら、そんな外郭団体、特殊法人なんて要らないですよ。そういうことが具体的にある。これが実態なんです。そのことをあなたはどう思いますか。
西川副大臣 このたびの法案の質疑に際して先生からただいまの御趣旨の御質問をいただけるということで、中小企業庁長官と二人でこれにつきまして十分相談を申し上げましたが、御指摘の事実はございます。
 そこで、私どもとしては、ただいま先生がおっしゃいましたように、仏様はつくったけれども魂が入っていないじゃないか、その一つには広報活動の不徹底もあるんだろう、こういうことも反省をいたしまして、百万部のリーフレットはつくった、しかしこれは字は小さくて読みにくいとか、また新聞広告をしたといっても予算の関係で一部であったとか、反省しなきゃいけない点はあると思います。ましてや、年度が切れたからこれは終わりだよなどという不親切な対応はないように、関係機関に厳重に指導をしていきたいと思っております。
田中(慶)委員 時間がありませんので、個別なことは申し上げません。現実にたくさんあるということを認識して、これから徹底してください。あなたたちが、あなたたちの特殊法人を含めてそういうところが現実にあるわけですから、そのことを含めてやってください。
 最後に、提案者に質問いたします。
 今回の法案は、少なくとも中小企業を初めとする金融の円滑化のために議員立法として出された法案であろうと思っております。
 私は、このようにして今一番、今のお話でもおわかりのように、いろいろな制度をつくってもわかりにくいし、いろいろなこと。だからこそ、ここで書面で交付したり、あるいはそういうことを明確にお互いに確認し合ってやることが、それはリスクもあるかもわかりませんけれども、現実問題としてそのことは実行段階で大きく貢献できるわけでありますから、このことを自信を持って提案されておると思いますけれども、最後にその抱負を聞かせてください。
中山(義)議員 今まで本当に銀行に規制がなかったということに私どもも驚きを持っているんですが、銀行と要するに消費者または中小企業者と二人で契約をする、ここにはアンフェアな部分が随分今まであったと思うんですね。先ほど義務化をする必要がないというお話がありましたが、義務化がされていないものですから、例えば契約書を相手に渡していなかったり、基本の約定書みたいなものがありまして、この中には、法律の手続によらずに金利を上げることができるようなことまで書いてあるやに聞いております。
 そういう面でも、この約定書というのははっきり、貸し付け方針ですから、こういうものは明確に銀行がすべての方にお見せをする。こういう約定書で銀行はやっております、貸し付け方針はこうです。そういう面では、我々がむしろ銀行を選ぶ側として考えなきゃいけないと思うんです。
 もう一つありますのは、金融庁がやっている、自己資本率を高めるということがいい銀行であるという間違いを単純に犯してはならないと思うんです。地域をどれだけ育てたか、地域の経済をどれだけつくってきたかが銀行のやるべき仕事だ、こう思いますので、今回は規制をかける法律を提出させていただきました。賛成をよろしくお願いしまして、答弁を終わります。
田中(慶)委員 終わります。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 大変いい法案を提出していただきまして、私からも感謝申し上げたいと思いますし、与野党問わず、非常に賛成をしていただけるものだと私も思っております。
 いい法案ですけれども、ただ、念のために幾つか確認をさせていただきたいと思うのですが、まず政府に対して質問をいたします。
 不良債権の比率の問題でございますが、平成十四年度の中小企業白書の資料からですけれども、各銀行の不良債権の比率の平均が、平成十一年度が三・一%、平成十二年度が三・九%でありましたが、平成十三年度は四・五%と、さらに上昇しているわけですね。こうした状況で、銀行の貸し付け態度は改善されない。不良債権比率が高くなればなるほど中小企業への貸付残高の伸び率が低くなるという相関関係が指摘されているわけです。
 こういった状況について、どのように考えておられますか。
杉山政府参考人 お答えを申し上げます。
 ただいま先生御指摘ございましたように、平成十四年の中小企業白書、それから十三年の中小企業白書でもそうでございますが、不良債権というものが中小企業金融にどういった影響を与えるのかという点について分析を試みております。
 これによりますと、それぞれ、そのいろいろなデータに基づきますと、不良債権比率の高い金融機関、これは相対的に中小企業向けの貸し出しの伸び率が低いという傾向が見てとれるわけでございます。
 こうした分析から、白書におきましては、中小企業向け貸し出しの低迷の背景には、いろいろな要因があると存じますが、一つに、この金融機関の不良債権比率の上昇というものが中小企業向け貸出残高の伸びに負の、マイナスの影響を与えているというような分析をしているところでございます。
土田委員 次に、今、田中先生からも御質問がありましたけれども、貸し渋り、貸しはがしの実態について政府がどういうふうに分析しているのかということでございますが、十四年の十一月に金融庁や地域の財務局に貸し渋り・貸し剥がしホットラインというのをつくりました。また、政府系金融機関には貸し渋り・貸し剥がし特別相談窓口を開設したわけですね。
 これによって、いろいろな情報をたくさん収集されたというふうに思いますけれども、政府としては、これについての公表がされておりません。実態はどうであったかということが公表されていないわけでございますけれども、開設されてから半年たった今、どういうふうな実態であったか、正式に御答弁をお願いしたいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、いろいろな調査によりまして、いわゆる貸し渋り、貸しはがしの実態というものを調べておるわけでございます。
 例えば、定期的に私どもの中小企業景況調査というものも実施いたしておりますし、あるいは適時アンケート調査というものを、一万数千件に及ぶ調査をするというようなこともいたしております。それから、政府系金融機関におけるいろいろな調査のデータというものも私ども活用させていただいているという状況にございます。先生今御指摘ございました政府系金融機関の窓口の状況ということについても、私ども、適宜報告を受けながら、その活用を図っているところでございます。
 オープンになっているかどうかということでございますが、今私が申し上げました調査、あるいは政府系金融機関の調査、あるいはアンケート調査といったものにつきましては、それぞれ公表がされております。それから、政府系金融機関の窓口での調査、これにつきましては、そのものの生のデータは公表していないと思いますけれども、その概要については公表がされているものと思っております。
 金融庁のデータにつきまして、私、お答えする立場にございませんけれども、こういったオープンにするということは非常に重要だと思いますので、政府系金融機関の窓口の状況も含めてオープンにするように努めていきたいと思っています。
 実態をどうおまえたち把握しているのかということでございますが、一例、中小企業景況調査の中の資金繰りDIあるいは長期の借入DIというものを見てみますと、これはやはり大変低い水準で推移をいたしておりまして、例えば、この一―三月期で見てみますと、資金繰りDIはマイナスの三三%を超えております。また、長期資金借入難易度DIというものもマイナスの一八%を超えているということで、前期に比べましてもそれぞれ悪化をいたしております。
 これは一つの数値の例でございますが、そういった意味で、中小企業を取り巻きます金融環境というのは、依然として大変厳しいものがあるというふうに存じておるところでございます。
土田委員 次に、提出者と経済産業省と、それから銀行を監督する立場にある金融庁と、それぞれお尋ねをしたいと思うんです。
 まず、提出者にお尋ねしますが、今回、銀行業の貸し付けを規制するわけですね。それとともに、借り手を保護するという立場でこの法案が出されたわけでございますが、法律で明確化しなきゃならない理由は何なのかということでございます。
 それから、経済産業省と金融庁には、むしろ私たちは賛成の立場ですからこういった質問をするのでございますが、法律で明確化する方が中小企業者にも安心感を与えるわけですし、あるいは銀行側にとっても、襟を正すという意味から非常に効果があるというふうに私たちは判断しております。これについて、両省の答弁を願いたいと思います。
中山(義)議員 今回規制をかけた理由というのは、今までは当事者同士の話し合いであるとか約款に基づいていろいろ話をしてきたわけですね。しかし、今までの状態を見ていますと、先ほど申し上げましたように、約定書みたいなものがありまして、いざとなると、勝手に銀行側が金利を上げたり、担保をさらによこせとか、または保証人の数をふやせと言ってくる。こういう問題がありましたので、そういうことができないように、初めから契約という形でやっていこう、つまり保証契約または貸付契約ですね。それから、手形貸し付けについてもちゃんとした書面を取り交わす、こういうことをやっていかなければいけないと思います。
 従来の約款によりますと、銀行と消費者、または銀行と中小企業は大変アンフェアで、中小企業者の権利は余り書かれていなくて、むしろ約款においては銀行の権利ばかり書いてあった。このように私どもは資料を見てわかったわけでございまして、そういう面で、やはり規制というものをかけ、法律化するということを今回行ったわけでございます。
 以上です。
伊藤副大臣 ちょっと、質問通告を受けていなかったものですから、質問を正確に把握していないところがありましたらお許しをいただきたいと思うんですが……(土田委員「質問通告していましたよ」と呼ぶ)申しわけございませんです。
 私どもとしましては、民間金融機関と取引先との間における契約の内容というのはいろいろな形がありますので、その中で、契約内容の確認、説明は、私契約、民法のもとにおいても、当事者間においてやはり適切に行わるべき、これは非常に重要だというふうに考えております。
 ただ、今の民主党の皆様方の、思いはわかるんですけれども、この法案では、先ほども少し出ておりましたように、手形などの簡便な融資形態、これが、やはり書面交付義務を課してしまいますと非常に利用しづらいものになってしまって、契約コストの上昇により小口の零細な中小企業融資が行われない、そういう可能性、弊害というものが生じてしまう。私は、その可能性というのは否定できないというふうに思います。
 また、貸付方針の策定、公表を義務づけると、経済情勢や個別の中小企業の実態に応じた対応ができず、画一された対応というものを助長したり、方針に該当しない中小企業については貸し渋り、貸しはがしというものが生じてしまう、こういう可能性というものがやはり心配されるところでございます。
 また、中小企業の経営の安定等に関する配慮規定が法律上明記されることになりますと、経営が不安定になる可能性がある中小企業との取引を避けるというような事態がやはり生じてしまうのではないか。
 こうしたことを回避していくために、私どもとしては、先ほど御説明をさせていただいたように、今回のアクションプログラムにおいてもこの説明をしっかりやっていく態勢をとるということが極めて重要でございますので、事務ガイドラインを改定して、これも六月に明らかにすることによって、銀行と取引先たる企業がしっかりと確認をした中で融資が行われる体制というものを、監督上も体制整備をして対応していきたいというふうに考えております。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御審議をされておられます法律案の目的の中で、中小企業者に対する銀行等の資金の貸し付けの適正化、あるいは中小企業者の経営の安定とかその事業の成長発展を促進する、こういったことは、私どもも重要な政策課題だというふうに考えております。
 また、金融機関が貸し付け条件の内容とかあるいは判断根拠といったものを中小企業に対してきちんと説明するということも、当然そういうことが行われるべきだというように私どもも考えております。
 ただ、こうしたことを今直ちに法律によって金融機関に義務づけることが適当かどうかということにつきましては、金融機関の貸し出しを行う際の実務の状況でありますとか、あるいは金融監督御当局において今どういう監督なりをしているか、あるいは今後どうされようとしているのか、あるいは法律によって実際に中小企業金融にどういった効果とかあるいは影響が出てくるのかというふうな点につきまして、主として金融監督当局だと思いますけれども、そういったところを中心にして十分に検討がなされるということが必要ではないかというふうに考えております。
土田委員 金融庁にも質問通告していましたよ。
 金融庁も中小企業庁も、この法律の趣旨は非常にいい、ただ実態としてはなかなかどうかというような答弁だったと思うんですけれども、趣旨がいいということならば、ぜひこういった方向で進めてほしいというふうに思います。
 ちょっと時間がありませんので、提出者にもう一問だけお尋ねしたいと思いますけれども、銀行に対する説明責任や文書交付の義務について、これが履行されない場合、ペナルティーがないと思うんですけれども、これについてはどうやって担保したらいいと思いますか。
中津川議員 今までは約款というものがあったわけでありますが、実は、約款というのが必ずしも借り手の方にフェアではなかったというような、ところが実態、約款というのを中小企業者も見たことがないというようなこともあって、これが十分に機能していなかったわけでありますが、今、土田先生の質問でありますけれども、確かにこの法案というのは罰則はないのでありますが、しかし、具体的には銀行法二十五条の立入検査、それから銀行法二十六条の第一項の業務改善計画の提出というようなことを行うことが可能でありまして、行政による監督ということで、実効性の担保はかなりされているというふうに認識しております。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 きょうは、最初に、政府参考人にまず伺っておきたいんですが、二〇〇二年の一月から十二月で見ますと、倒産件数が一万九千四百五十八件、これは帝国データバンクの方の調査データですが、戦後二番目の高水準だったわけですね。それで、上場企業の倒産も二十九件、不況型倒産が全体の四分の三を占めるという状況ですが、これが中小企業の資金繰りに悪影響を与えております。
 中小企業の連鎖倒産を防止する対策の一つに、御承知のようにセーフティーネット保証一号があるということですが、これは、民事再生手続開始の申し立て等を行った大型倒産事業者に対して、売り掛け債権を有していることなどにより資金繰りに支障が生じる中小業者を支援する措置であります。
 そこで、中小企業庁に聞いておきますが、二〇〇二年のセーフティーネット保証一号の指定された倒産事業者の件数と同時期の保証実績、これを最初に伺っておきたいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 セーフティーネット保証一号のお尋ねでございますが、平成十四年におきまして、セーフティーネット保証一号で指定をされております件数は二百四十二件ということでございます。
 それから、一号の保証実績でございますが、平成十四年の手持ちの数字はちょっと持ち合わせておらないのでございますが、平成十三年の一月から十五年の四月までの間に、件数で三千九百七十五件、金額で六百七十一億円という数字になっております。
吉井委員 それで、あらかじめいただいた数字も見ておりまして、戦後二番目の高水準の倒産でありながら、利用が割と少ないんですね。それはなぜかということで、やはり見ておりますと、指定までに時間がかかる、困ったときにすぐ使えないという問題をやはり持っているというのが実情だと思います。
 例えば、今の二百四十二件の中で、半月未満というのが一四・四六%なんですね、構成比でいうと。半月から一カ月未満が三八・八四%、一カ月以上が四六・六九%というので、指定まで最も長くかかったのは、昨年二月一日に自己破産の申し出をした、株式会社諸橋という福島県いわき市の創業三百年を誇る建設資材卸業の例ですが、この指定が昨年の十一月二十七日ですから、約十カ月かかっている。そうすると、十二カ月のうち十カ月かかってしまうと、有効な期間というのは非常に短くなってしまう。せっかくの制度をつくりながら、実質利用できる期間が短くなればなるほど、これは中小業者の方にしても、倒産関連防止ということで大変になります。
 そこで西川副大臣に伺っておきたいと思うんですが、西川さんと私も、かつては、お隣にいらっしゃる伊藤さんも御一緒に、東京中小企業家同友会のシンポジウムに行って、中小企業問題で大いに論じたことを覚えておりますが、その同友会の方から、セーフティーネット保証制度における連鎖倒産防止の一号認定は官報告示日から実施されるが、取引先倒産後、官報掲載まで日数がかかり、融資実行まで対応し切れないこともある、倒産等の事実が明確な場合、官報告示前に前倒ししての実施ができる措置をぜひ検討してほしい。これは、多分副大臣のもとにもそういう要請も行っているのではないかと思いますが、国会議員のもとにそういうのが寄せられておりまして、私、これはなるほどもっともだな、それは、さっきの構成比を見てももっともだなというふうに思うんです。
 そこで、西川副大臣、やはり迅速な対応が求められるわけですから、官報告示を待たなくても指定できるように、前倒しして実施できるように、こういうもっともな御要望については、ぜひ、経済産業省の方で積極的な取り組みというものをやはり考えていただく必要があるんじゃないかと思うんですが、ここは副大臣に伺っておきたいと思います。
西川副大臣 吉井先生の御指摘で、先ほど中小企業庁長官がお答えをしたわけでありますが、今までは率直に言って五十日ほどかかっていました。しかし今は、四十日ぐらいに、十日ほど縮まったということはまず事実としてございます。
 これは、一つは、大型倒産のように新聞なんかに載ったり、情報がすぐもたらされるようなものは官報にすぐ掲載できるのでございますが、中小企業の場合、地域的な倒産の情報が当省にもたらされるのは、破産管財人などの情報の申請によってこれが承知をするというケースが間々あるわけでございまして、その場合に、官報に掲載をしてやるわけでありますが、実際には倒産をしたその日にさかのぼって保証ができるわけでございますので、この場合には一号の保証で、先生御案内のとおり、取り過ぎた利息であるとか過払い分は返せるわけでございますけれども、しかし、ただいまの御指摘のような事実は大切なことだと思いますので、月並みな表現で恐縮でありますが、真剣に受けとめて鋭意検討をさせていただきたいと思っております。
吉井委員 要するに、現場に通産局、今経済産業局ですか、出先の機関もありますから、そこが迅速に対応するということで、官報告示の期間をもっと短くするとか、同時にさっと対応できるように、その取り組みはやはり非常に大事なことですから、これはぜひやっていただきたいというふうに思います。
 それから次に、りそなにかかわって両副大臣に伺っておきたいと思いますが、これはきょうの日経金融にも、「関西の中堅・中小に動揺」ということで紹介されております。京都信用保証協会やら大阪市信用保証協会が特別窓口をつくったりいろいろな対応をしているということも紹介されております。
 まず伊藤副大臣に伺っておきますが、実際にりそなに公的資金二兆円投入、事実上の国有化と言われていることになっても、大阪とか埼玉というのは本当に中小企業の町で、中小企業に支えられて金融機関も発展したし、この金融機関がまた非常に大事な役割を果たしているというところなんですね。ですから、この二兆円の資金投入によってこれで、実質的に今一〇%ということで、中小企業貸し付けに対応できるという先ほどのお話もありましたけれども、しかし、実は中小企業が立ち直る経済対策、景気対策をとらないことには、不良債権が引き続き生まれて、結局りそなの立ち直りにとってもマイナスになってくるし、そして、デフレのスパイラルとか悪循環を断ち切る対策をとらない限り、一時的に投入しただけでは結局問題は解決しません。
 ですから、この点でやはり、伊藤副大臣の方に、個人消費を温めて中小企業が物が売れる、物が生産できるというふうにする、そういう経済対策、これは金融の面からも必要だということでの考えというものを伺っておきたいと思うんです。
伊藤副大臣 今お話がございましたように、今回のりそなの問題については、りそな銀行というのが、大阪を中心に関西そして埼玉、顧客層が大変広くて、その多くが中小企業者、個人者でございます。そうした方々がやはり今回の問題で大変不安に思われないように、またしっかりとした銀行業務ができるように、早期に改善できるように、そうした視点も踏まえて、十分な資本増強をしていくということでございます。
 ただ、これは国有化ではございませんで、破綻した金融機関ではございませんので、資本を増強してできるだけ早く健全な銀行に生まれ変わっていくということでございます。そうした中で、自主的な取り組みの中で徹底した経営改革をしていただき、資本増強によって財務基盤というものは強化をされるわけでありますから、地域のさまざまな資金ニーズにこたえられるような、そういう金融機関としての機能をこれからぜひ発揮していただきたいというふうに思っております。
 また、お尋ねの、他の政策との連携というのは、私も極めて重要だというふうに思っております。特に金融庁につきましては、今お話がございましたように、中小企業者の今置かれている現状というのは大変厳しいものだというふうに十分認識をしておりますので、経済産業省が打ち出されているさまざまな施策と連携をしていく、これを今まで以上に強化してやっていくための試みをさせていただいているところでございます。
 そうしたことによって、中小企業に対する金融の円滑化というものを確保し、そして、さまざまな施策というものを実行することによって中小企業の現在の状況を大きく改善できるように、私どもとしても精いっぱい対応していきたいというふうに思っております。
吉井委員 金の方の供給面だけじゃなしに、やはり実体経済をどう立て直していくか、そのことに政府として取り組まないことには根本的な解決につながらないということは、大事な点ですから申し上げておきたいと思います。
 西川副大臣に伺っておきたいんですが、りそな問題が中小企業に波及しないように、中小企業の金融を含めた支援というのが非常に大事なことであって、この点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
西川副大臣 私どもは、五月十九日に中小企業再生支援協議会の連絡会議というのを、たまたま、りそなに関係なく、前から予定しておりまして開きました。その機会に、平沼大臣から、りそなにつきましては、ただいま吉井先生御指摘のように、中小企業金融に滞りが出ないように、悪影響が出ないように、このことについて十全の対策をとると。すなわち、政府系金融機関、各地域の信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、それからさらに私どもの各地方にございます経済産業局、こういうところに相談窓口を設けて、徹底して中小企業の方々に対する融資の面倒を、このりそなの悪影響が出ないようにしてほしいと、こういう要請も大臣からしたところでございます。
吉井委員 次に、提案者の方に伺っておきたいと思います。
 金融機関の貸し渋り、貸しはがしなどによる中小企業の資金繰りが非常に厳しいというのはもうずっと続いているわけですが、資金調達のほとんどを金融機関からの借り入れに頼っている中小企業にとって、資金供給の円滑化、これは経営基盤を確立することにとっても欠かせないし、地域経済の再生、活性化にとっても大事だ、そういう点では提案者と私は思いを同じゅうしているものであります。
 我が党は、参議院の方に地域金融活性化法案というのを提出しておりますが、その柱は、一つは、貸し渋り禁止はもとより、必要な資金やサービスの要求に安定的にこたえる責務が金融機関にあることをまず明確にする、それから中小企業への貸出比率などの目標を定めてこれを達成することを求める。それから二つ目には、国が地域金融機関を育成する責任を持つということと、都道府県も同様にそのことに努める。そして、信金、信組の監督権限などはやはり現場に近い都道府県へと金融庁から移すこと、金融検査とマニュアルを地域金融、中小企業融資の実態に合うものに抜本的に改めるということを大体柱としたものです。
 民主党提案者の先ほどの提案と地域金融活性化法で私たちが考えている考え方と、中小企業金融に対する考え方は、基本的に同じ方向に向かっているものだというふうに私は理解をしているんですが、そういうことでよろしいかといいますか、一致しているか、その辺を伺っておきます。
中山(義)議員 中小企業に対する思いは全く同じでございますので、ぜひ、採決があれば賛成をいただきたい、このように思います。
吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 まず、伊藤副大臣にお伺いします。
 現在、土地がなければ資金が借りられないということに対しまして、経済産業省の審議会、産業構造審議会の産業金融部会でも、不動産担保への依存による弊害の解消に向けて検討をしていると聞いております。不動産にかわるものとして事業者の営業能力や将来性などが対象となれば、資金融資ももっと幅が広がるのではないかと思っております。しかし、この事業者の営業能力とか将来性などといった、目に見えにくいものをどう評価するのかがまた難しいと思ってもおります。しかし、金融機関ごとにその評価基準がまちまちだと、利用する側にはかえってまた利用しにくい面もあるわけです。長期の融資と短期の融資でもやり方が変わってきます。
 質問でございますけれども、資金融資をする際、日本の場合、不動産担保をかえるとしたらどのような審査体制に変えるのが望ましいと考えておられるのか、聞かせていただきたいと思います。
伊藤副大臣 先ほどからも議論になっておりますように、担保に過剰に依存をしないで、そしてその中小企業の本業をしっかり把握して融資ができるような、そういう機能を向上していくということがやはり大変重要でございます。
 金融庁としても、村田委員長が副大臣をされておられますときに、早急に取り組むべきデフレ対策というものを平成十四年二月に取りまとめをさせていただきまして、その中で、無担保無保証、迅速審査による事業者向けの融資の創設等、これまでの金融機関にはない融資ノウハウを活用した新たな取り組みの推進を盛り込むなど、金融機関に対してこれまでも繰り返し要請をいたしたところでございます。
 これを踏まえて、金融機関においては、例えば、一定の融資金額、融資期間について迅速に審査を行い、担保や第三者保証を不要とする事業向け融資、音楽やアニメの著作権などを担保とした融資、企業の技術力等を積極的に評価し、融資に結びつけることをねらった融資の創設など、新たな取り組みが行われているところでございます。
 そして、三月末に公表させていただきましたアクションプログラムにおきましては、金融庁に、専門家から成る新しい中小企業金融の法務に関する研究会、こういうものを設置いたしまして、法制上、会計上の視点から具体的な検討を始めております。
 先ほどノンリコースの問題も出ておりましたが、そうした問題も含めて、この中で新しい中小企業の金融のあり方というものを検討しておりまして、八月にはこの考え方を取りまとめていきたいというふうに考えております。
 さらには、審査体制の具体的なあり方といたしましては、業種別担当者の配置等の体制強化、そして企業の将来性や技術力を的確に評価できる人材の育成、産学官のネットワークの活用等を求めていきたいというふうに考えております。
大島(令)委員 次は提案者に質問したいと思いますけれども、これまでの中小企業支援策は、特に制度融資の面におきまして、金融機関を経過しなければなりません。例えば、特別信用保証制度などは、政府が保証することによって、金融機関の不良債権の回収に利用されるといったことが起きておりまして、制度自体が十分な効果を発揮するまでに至っていなかったという現状もあるわけです。言うならば、金融機関の側に制度の趣旨を実効的に実現させるという仕組みになっていなかったことが原因であると考えております。
 そこで、まず中山提案者に質問しますが、地域経済の安定、発展に、貸し手である銀行側の意識が私は足かせになっていると考えておりますが、そのようにお考えならば、改善策はずばり何なのか、御答弁いただきたいと思います。
中山(義)議員 今までの金融庁の考え方では、銀行が自己資本率を高めていくことがいい銀行であるということでありますが、我々の判断は、やはり先ほどから申し上げているように、地域経済をいかに育てていくかということでございます。
 そういう面では、この間も、信用金庫さんや銀行さんの参考人のときに言っていましたが、本当に地元に、かばんを持って実際の店にお邪魔をして、店の内容であるとか、または店主の人格であるとかまたは人間性であるとか、そういうコミュニケーションが当事者同士でないのが一番問題である。昨今の銀行は、どうも銀行の中にとどまっていて、ちっともモニタリングをしない。そういう面では、地域社会をモニタリングしていくことが銀行の第一歩で、そして地域を育てるためにはどうしたらいいか、大きな視点からお金を貸し出すべきではないか。
 そのために、我々は、説明責任や書面を交付していくとか、または貸した相手を保護していくとか、それから貸し付けのやり方として、急に金利を上げたり、保証人をふやしたり、担保をうんととるとかというようなことはやめさせるということが規定されているわけでございまして、これからも同じような思いで、中小企業に対する融資には、本当に銀行さんもその意識が変わって、とにかく担保至上主義じゃない、ここを前提に考えていただければまだまだ融資は可能だ、このように考えております。
大島(令)委員 では、中津川提案者に質問します。
 銀行などは借り手側に十分な説明責任を果たしていると考えていらっしゃいますか。また、銀行は、借り手側に対する説明責任や契約文書の交付などを義務づけるだけではなく、その説明が正確であるか、また契約文書が一方的ではないのかのチェックは、この法案ではどのようになるのか、説明をお願いしたいと思います。
中津川議員 銀行が借り手に十分な説明責任を果たしていれば、こういうような法案を提出する必要もなかったわけであります。
 きょうは経済産業委員会で、中小企業経営者の貸し渋り、貸しはがし、そこに視点を置いてやっているわけでありますが、実はこの問題というのは大変根深いものがありまして、冒頭、中山提出者からも話がありました提案融資、バブルのときですね。相続税大変だから、これだけお金を借りてマンションを建てて、後は家賃収入が入ってくる、もう土地は下がらないという前提で、銀行が、支店長が毎日来て、つけ届けして、強引に貸したと。それで、今この被害者が物すごい量なんです。競売が今、私の地元でもそうですが、皆さんのところでもそうだと思うんですが、加速しているんですね。
 ある例は、年収二百万円の年配の方が五億円融資、銀行に、借りろ借りろということで。それで、五億円何したかというと、そのおじいちゃん、盆栽が好きだったものですから、盆栽の博物館をつくれとかいって、銀行が青写真かいてできて、それで、今もう全部身ぐるみはがされそうになっている段階だ。こういうような話は枚挙にあれがないわけでありまして、もう貸し手最優先、借り手のそういう被害というものがたくさんあるということであります。
 特に、事業を営んでいる中小企業者にとっては、これは、日本は九九・七%が中小企業者でありますし、そこで八割が雇用されているわけでありますから、日本の国を支えている中小企業者にとって、これはもう大変深刻な問題であります。
 ですから、今回は、そのリスクを少なくとも半分ずつ、それから、しっかりと借り手に十分な説明責任をしなければいけないということで、その説明義務を第三条です。それから、書面を交付するということが四条です。書面交付してそこまでやるのかというような、先ほどいろいろお話がありましたけれども、やはり書面交付義務ということが、私はこれは大きなポイントだと思っております。
 それから、正確かどうかということでありますが、第一義的には顧客である借り手がチェックするという、それを想定しているわけであります。先ほども申し上げましたように、また銀行法に基づく行政の監督権限によるチェックというのも、銀行法二十五条の立入検査等もありますので十分にチェックが可能だ、こういうふうに認識しております。
大島(令)委員 今は中小企業者の側からの御答弁でしたけれども、私の地元でも、一般のサラリーマンが、区画整理によってただの農地が宅地になりまして、非常にバブルのときに資産価値が高くなったわけですね。銀行と不動産業者が行きまして、マンションとか、すかいらーくのようなお店を建てる、そして年収、不動産収入だけで八百万とか一千万とかいうことで建てるわけなんです。そうしますと、サラリーマンからしますと、こつこつ若い人が働いて年収五百万だ、働かずに不動産所得が一千万も入りますと、今度はその人は、サラリーマンであっても仕事をする意欲がなくなって会社をやめてしまう。しかし、バブルがはじけて、そこはもう契約期限が満たないまま、そういうファミリーレストランが撤退するという現状が起きているわけなんです。
 ですから、先ほど来、中小企業者の側から言われておりますけれども、私の地元の都市近郊のところでは、そういうサラリーマンの方も被害に遭っているということを一つ申し添えておきたいと思います。
 次に、副大臣に質問いたしますけれども、銀行等が融資の担保の提供を受ける際にそんたくするべき事項はどのようなものになっているのか。また、融資を受ける側の生活を考えれば、やみくもに銀行等の損害を取り戻すようなやり方に歯どめをかける指導が必要と考えております。また、そのための法的な措置というのは、具体的にどのようなものを考えているのか。先ほど来の答弁ですと、法的な措置に関しては非常に消極的でありましたけれども、私、最後の質問者ですので、いろいろな皆さんが意見を言われましたから、また新たな観点から御答弁をお願いしたいと思います。
伊藤副大臣 先ほど来御議論になっているように、私どもも、金融機関が債務者に対して、取引先に対して重要な情報をしっかり説明していく、このことは大変大切だというふうに認識をいたしているところでございます。
 ただ、その内容を、先ほどから議論になっているように、法律で義務づける、そうしたことで今の問題が解決できるのかというと、そうではなくて、そこから出てくる弊害というものもあるのではないか。したがって、やはり総合的な施策の中でこうした問題を解決していかなければいけないというふうに思っております。
 特に、私は中山先生も大変尊敬をしているんですが、金融庁が、何か自己資本比率が高い銀行がいい銀行だ、そういう認識は私どもは全く持っておりません。この自己資本比率というものは、私どもの使命としてやはり預金者を守るということが大変重要でありまして、その預金者を守るために自己資本比率の規制というものがあるわけであります。銀行が破綻したときにやはり預金者のお金がちゃんと払い戻せるような、それだけの基準を満たしていくということでこの規制というものが設けられたのが本来の趣旨でありまして、そういう意味でいうと、健全性を確保するということだけではなくて、やはり銀行というのは、本来さまざまな資金ニーズにこたえて、そして融資をしっかりやっていくということでありますので、そうした機能を強化していく、そのことに向けて各金融機関が、十分ではないという批判があるわけでありますから、それにこたえられるように各金融機関の努力を促しているというところでございます。
 また、今の問いでございますけれども、一般論として申し上げれば、これは当事者の中でやはり解決が図られていくものだというふうに思っておりますけれども、取引先が最悪の事態にならないようにしていくためには、アクションプログラムの中でも、具体的に「中小企業金融の再生に向けた取組み」の中で明確にさせていただいておりますけれども、早目早目の再生の取り組みをしていくということが極めて重要だというふうに考えております。そのための具体的な取り組みとして、そうしたことを支援していけるようなやはり人材というものを育成していく、また、その人材育成のための研修プログラムというものを集中的に実施していくということも重要でありますし、また、地域の中小企業を対象とした企業再生ファンドというものを組成していくことも大変重要ではないかというふうに思っております。
 これから、中小企業の再生の支援協議会等々、さまざまな機関というものが設立もしてまいりますし、そうしたものとも連携をとりながら、早目早目に事業者の再生が実現できるように、私どもとしても積極的な取り組みを金融機関に促し、それが具体的な形として実現できるように、しっかりフォローしていきたいというふうに考えております。
大島(令)委員 質問時間が参りましたけれども、銀行は預金者を守るという視点ばかりが強調されますが、本来、もう一つの側面、銀行は企業にお金を、まあ個人でもいいですけれども融資をして、そして企業を育てる社会的使命も片方であるということ。そして、企業者は株主に配当を利益を上げて配るという、やはりそういう構図の中で私はこういう経済というものが回っていると思っていますので、そういう視点もぜひお忘れのないような形でやっていただきたいと思います。
 以上で終わります。
     ――――◇―――――
村田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、公益法人に係る改革を推進するための経済産業省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 公益法人に係る改革を推進するための経済産業省関係法律の整備に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
平沼国務大臣 公益法人に係る改革を推進するための経済産業省関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 政府におきましては、国から公益法人等が指定、認定等を受けて行っている検査、検定等の事務及び事業について、官民の役割分担及び規制改革の観点からの見直しを行うため、平成十四年三月に公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画を閣議決定したところであります。
 今般、この計画の実施の一環として、経済産業省関係の九法律において、経済産業大臣がこれらの事務及び事業を行わせる者を指定し、または認定する制度から、法律で定める一定の要件に適合し、かつ、行政の裁量の余地のない形で登録を受けた者がこれを行う制度へと改める等の措置を講じることを目的として、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、消費生活用製品安全法等の八法律に基づく十の事務事業について、当該事務を行わせる者を国が指定し、または認定する等の現行制度から、法律で定める一定の要件に適合するものとして、行政の裁量の余地のない形で登録を受けた者がこれを実施する制度に改めることとしております。
 第二に、火薬類取締法における火薬類製造保安責任者等の免状交付事務について、事務の委託先に係る規定を明確化することとしております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十六分散会


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