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第21号 平成15年6月6日(金曜日)

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平成十五年六月六日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君
   理事 井上 義久君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    小池百合子君
      小西  理君    佐藤 剛男君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      森田  一君    山本 明彦君
      渡辺 博道君    小沢 鋭仁君
      奥田  建君    川端 達夫君
      後藤  斎君    鈴木 康友君
      中津川博郷君    松野 頼久君
      河上 覃雄君    工藤堅太郎君
      赤嶺 政賢君    大幡 基夫君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      金子善次郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   参考人
   (社団法人全日本トラック
   協会理事長)       野間 耕二君
   参考人
   (全国ソフトウェア協同組
   合連合会会長)
   (コムチュア株式会社代表
   取締役社長)       向  浩一君
   参考人
   (社団法人神奈川県工業協
   会会長)
   (下請取引改善協力委員)
   (京浜発條株式会社相談役
   )            片平 總太君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月六日
 辞任         補欠選任
  梶山 弘志君     小西  理君
  大幡 基夫君     赤嶺 政賢君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     梶山 弘志君
  赤嶺 政賢君     大幡 基夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第九〇号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、参考人として、社団法人全日本トラック協会理事長野間耕二君、全国ソフトウェア協同組合連合会会長・コムチュア株式会社代表取締役社長向浩一君、社団法人神奈川県工業協会会長・下請取引改善協力委員・京浜発條株式会社相談役片平總太君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず野間参考人にお願いいたします。
野間参考人 全日本トラック協会理事長の野間でございます。
 本日は、下請代金支払遅延等防止法の一部改正法案の審査のための参考意見を述べさせていただきます。
 トラック輸送は、我が国物流の基幹的輸送機関といたしまして、国内貨物輸送の九割を担っておりまして、高度化、多様化する利用者ニーズに的確に対応しながら、産業の発展と国民生活の向上に大きく貢献しております。
 営業用トラック車両数は百三十五万両でございます。トラックにはこのほか、自家用のものが八百四十万両ございます。従業員数は百二十万人、年間売上高は十一兆円から十二兆円という巨大産業でありますが、平成二年の貨物自動車運送事業法の施行によります大幅な規制の見直しを機に、毎年約二千者程度の参入、同じく約五百者程度の撤退があり、平成二年には約四万者であったものが十三年度末には五万七千者に達するなど、非常に厳しい競争下にございます。そのうち九九・九%が中小企業でございまして、資本金三億円以上、従業員三百人以上のいわゆる大企業は六十一者にすぎません。
 近年の営業用トラックに係る輸送トン数を見ますと、平成九年度、十年度と、二年連続して前年度を下回りましたが、平成十一年度から十二年度は前年度を微増いたしまして、平成十三年度は再び前年度を下回っております。
 運賃の水準は平成四、五年をピークに長期低下傾向にあり、収益の面でも厳しい状況が続いております。私どもの調査では、平成五年の運賃水準と比較して、平成十三年度では二割から四割低下したとする者が三四%、四割から六割低下した者も六%に及んでおります。
 ここで、トラック事業者の立場から、収入の柱である運賃の設定に関し、どのような問題があると考えているかについて一言御説明いたします。
 トラック運賃は、貨物自動車運送事業法によりますれば、トラック事業者が定めてこれを届け出し、その運賃を適用するということになっておりますが、実際の取引に当たっては、運賃を決定するのは荷主側であることが圧倒的に多くなっております。また、トラック事業においては、荷主、元請事業者、下請事業者という一連の流れの中で運送委託が行われますので、荷主と元請との取引で定まった運賃額に下請が得られる運賃額が大きく左右されるということになります。
 私ども全日本トラック協会の調査によれば、元請事業者と荷主との取引において、荷主側の都合で運賃が不当に安く設定されている、あるいは形を変えて協力金を強要されていると答えている者が五〇%を超えております。そのような運賃でものまなければならない理由としては、のまなければ仕事を外される、過当競争により断れる状況にない、他の仕事をとるのは非常に難しい等で、不当に安いと考えながらも引き受けざるを得ないとしております。そしてそのような背景には、トラック事業者、台数が供給過剰の状況にあり、運賃ダンピングを行う者の存在、あるいは法規制を無視して公正競争を逸脱する者の存在等があると考えている事業者が六〇%を超えております。
 すなわち、運賃設定においては荷主側が圧倒的に強い立場にあり、そのような状況下での大幅運賃値下げは不当で優越的地位の乱用であると考えるが、異議は唱えられないというのが多くのトラック事業者の考えであります。せめて、荷主と対等の立場で交渉ができるような状況を認めていただきたいと存じます。
 例えば、トラック事業者が協調して運賃交渉をしようとすると、独禁法上の問題になってしまいます。市場が成熟化していないというか、当事者間の力関係に大きな格差がある状況下で、公正取引委員会のガイドラインにあるように、委託者が要請する対価が受託者の見積りにおける対価に比べて著しく低く、受託者から見ると委託者による代金の買いたたき行為であると認識されるとしても、委託者から要請のあった対価で受託しようとする同業者が他に存在する場合など、それが対価に係る交渉の一環として行われるものであって、その額が需要関係を反映したものである場合には、優越的地位の乱用の問題とはならないとあっさり切り捨てられることには、トラック事業者の間に大きな不満があり、トラック事業者の間では、独禁法は弱者を守る法律でなく強い者の味方であるという声が大きいことにぜひ耳を傾けていただきたいと存じます。
 そうした状況でのトラック運送事業に対する下請法の適用については、先ほど述べましたように、もともと元請にとっても買いたたかれた運賃が前提となることに本質的な問題があることを御理解いただきたいと存じます。すなわち、買いたたきや運賃減額などは、元下関係もさることながら、真荷主と元請事業者との間で問題となっており、真荷主と元請事業者との間で適正な契約がなされないままに、そのしわ寄せを受けている元下取引のみを規制することとしても、問題の根本的な解決にはつながりません。このため、元下取引のみならず、真荷主と元請の取引関係についても是正措置を講じていただく必要があると考えております。
 このような実態を御理解いただいた上で、下請法は企業が資本力を背景に行う元請、下請関係の中での優越的地位の乱用を禁止するものであり、それにより下請事業者の保護が図られるのであれば、望ましいことと考えられます。
 例えば、私どもの調査によると、元請事業者から下請事業者に対し一方的な運賃料金の減額があったとした者は回答事業者の約三〇%、協力金の要求があったとした者は同じく約一〇%であり、さらに、それらのうち四〇%以上が下請法の対象となると考えられます。これらが救済されれば下請業者にとっては大きな意味を持つと存じます。
 また、トラック事業における契約書面等の交付状況は、契約に当たって全く交付されていないとした者が約三〇%となっておりまして、交付している者の中でも、契約期間や運賃料金等契約締結に際し、通常必要な事項を明確に記載していない者も多く見られます。発注書面の交付が義務づけられることにより、取引内容の明確化が図られることも期待されます。
 ただ、その場合、トラック運送事業については運送依頼は多種多様であり、即時の対応を求められることも多く、これに迅速に対応する必要があります。そうした実態を踏まえると、発注者がおのおのの運送行為に関する書類を発行、保存することは非常に煩雑な作業となり、コスト増につながるものとなります。したがって、書類はできるだけ簡素なものとし、電話注文の場合の書類の事後作成やインターネット等による発注についての電子媒体での作成、保存等についても配慮していただきたいと存じます。
 また、トラック事業者が運賃設定について荷主の優越的地位の乱用による不当に安い運賃であると考えながらも、それが表面化しないのは、報復措置として仕事から外されることが予想されるからであります。下請法では報復措置を禁止していますが、報復と言わずに契約を解除されることを防ぐ有効な手段があり得るのかということにこの法律が機能するか否かがかかっていると存じます。
 以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、向参考人にお願いいたします。
向参考人 ただいま御紹介にあずかりました向でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、きょうのこの機会を与えていただきました関係各位には、厚くお礼を申し上げます。
 私どもの全国ソフトウェア協同組合連合会は、全国のソフトウエア系の協同組合、十八団体約千二百社の中堅、中小を中心に構成をされております。現在はあらゆる分野でソフトウエアというものが不可欠になっておりますけれども、民間企業あるいは官公庁を含め、広くIT化を国としても推進していく、こういうような状況になっているわけでございます。その中で、我々の業界がその一翼を担うということで、大変重要な立場を担っているというふうに自負をしているわけでございます。
 さて、ソフトウエアの産業の領域ということを少し申し上げたいと思うんですが、経済産業省の定義によりますと、四つのカテゴリーということになっております。
 一つはソフトウエア業。プログラムの制作に伴う調査、分析等のサービス、こういうものを中心にした分野が全体の七〇%を占める、圧倒的なシェアを占めるということになっております。二つ目が情報処理サービス業ですが、ここはデータ入力あるいはアウトソーシングと言われるような運用に関するお仕事になります。あるいは、最近ではASP、アプリケーション・サービス・プロバイダーと言われるようなサービスが新たに登場してきております。ここの分野が約二〇%、今後成長が見込める分野でございます。三つ目が情報提供サービス業、それから四つ目がその他ということで、一部シンクタンクですとか労働派遣の業務、ここを合わせて一〇%ということでございます。
 しかし、この四つのカテゴリーの枠を超えるサービスというものがここ十年ほど前から登場してきているわけです。いわゆるシステムインテグレーションサービスと言われている分野でございますが、コンサルティングの企画から設計、構築、運用というシステムを一貫して請け負う、こういういわゆるゼネコン型の企業が登場してきている。その背景には、ソフトウエアをめぐる環境の変化ですとか技術の急速な進展、ユーザー企業からのいろいろなニーズ、あるいはユーザー企業そのものが競争が激化したことによるコストダウンを図るといったようなところから、そういうニーズが出てきているわけでございます。
 従来ですと、ユーザー企業の中に情報システム部門というものを持っておりまして、ハードウエア本体はこちらの企業に発注する、ソフトウエア開発はこちらに発注する、周辺機器はこちらに発注する、こういうことで、企業側の中でそれぞれそういったことを選択し管理していたわけですが、先ほど申しました元請のSIベンダー、システムインテグレーター企業が登場してまいったことによって、すべてそちらに委託をするというような形態が一つ生まれてきたということを申し上げておきたいと思います。
 それから、ソフトウエアの企業数でございますが、経済産業省等のデータによりますと全国七千五百社程度と言われておりますけれども、実際には中小零細といったものがかなりございます。優に一万社を超えるというふうにも言われております。この業界は、初期投資が非常に少なくて、参入が比較的容易なところから中小零細が乱立しているということが言えるかと思います。従業員数が十人から二十九人以下という零細企業がその中で二千八百社、五百人以上という大企業は大体百社、多く見ても百三十社という程度でございます。この業界は、典型的なピラミッド構造というようなことで、一握りの大手企業を頂点に、中小企業がそのすそ野を広げている、こういうような状態でございます。
 売上高で見ますと、従業員数五百人以上の大手百社が業界全体の売り上げの七割を占める、こういう寡占状態でございます。小規模零細になればなるほど、派遣業務ですとかプログラム作成といった部分的な仕事を下請せざるを得ない、そういう傾向にございます。しかし、中には、大手企業に比べ規模は小さいのですが、技術の特徴を持っているとか、あるいは高いノウハウを生かして高収益を上げている中堅、中小企業もあるということを申し添えておきたいと思います。
 今までの御説明でわかりますように、大変二極化が進んでいるということが言えるかと思います。大手ほどもうけが多く、中小ほど利益が小さいということでございます。大手になればなるほど、もうける利幅は大きい、仕事が集中するということですね。
 これはなぜかといいますと、ユーザー企業みずからも、大手と自認するようなところは大手のソフトウエア企業に頼りたがる、それからみずからの系列会社に依頼をする、得意不得意にかかわらず、大手と言われるソフトウエア企業に仕事を依頼し、そして安心感を得たがる、こういう傾向にあるかと思います。仕事が大手に集中する傾向はここ三十年間一貫して続いているわけで、これらがピラミッド構造というものを余計に助長しているということが言えるかと思います。
 それから、従来は、役割の固定化といいますか、いわゆるソフトウエア開発の工程ですとか手がける仕事の範囲ですとか、あるいは協力関係の度合いみたいなものが、ある程度すみ分けが行われていたわけでございますけれども、昨今のこの不況によりまして、価格優先というようなことで、いい協力関係にひびが入ってきている。あるいは、海外調達というような問題もございます。この辺についてはまた後ほど触れたいと思います。
 それから、二極化という問題、あるいはゼネコン化というようなことが進んでおりますけれども、それらの関係の中での下請との問題ということで一つ二つ挙げてみたいと思いますが、親事業者、大手企業が下請に任せっ放し、いわゆる丸投げと言われるようなケースが多々見られる。
 これは、大手ベンダーも仕事を受注することに一生懸命になっておりまして、実作業は下請に任せてしまう、こういう傾向。それから、見積もり、発注、納品、検収、請求、支払いといった、この辺の仕組みがまだまだ不十分、これは今後の取り組みに期待をしていきたい、こう思っております。それから、納品後の検収をおくらせるというようなことも間々あるというふうに聞いております。
 それから、最後になりますが、外国調達の問題でございます。
 これは、中国、インド等の国がソフトウエア開発に参入してきております。そういうことによって、中小企業のデフレ圧力というものが大変高まってきております。経営を圧迫する、こういう問題に発展をしてきております。上海ですとか北京あたりのプログラマー、SEの人件費というのは、日本に比べますと、もう既に五分の一ぐらいになってきております。大連ですとかあるいは西安あたりにいきますと、十分の一というふうに言われております。
 しかし、トータルのコストを見てみますと、その中にはブリッジSEというような人材も必要ですし、場合によっては、現地法人を設立するというのはコストもかかります。そういうことを考えますと、実質的なコストダウン効果というのが三〇%から二〇%、実際には二〇%ぐらいの効果になる。ですが、表向きは三〇だの四〇だのというコストダウンを我々が要求されるというようなことになってきている。
 それから、将来はパッケージソフトというようなものもますます力をつけていくということになりますと、相当脅威である。この場の話題ではないのかもしれませんですが、やはり、そういう国への人材のバックアップというような、こういうこともひとつ見直していかなきゃいけない問題ではないかというふうに考えております。
 以上でございます。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、片平参考人にお願いいたします。
片平参考人 ただいま御紹介にあずかりました片平でございます。
 きょうの問題に関しましては、私、下請取引改善協力委員というのをもう十年以上務めさせていただいておりまして、公取でいろいろと協議をさせていただき、また、いろいろな問題には関与をさせていただいているという次第でございます。
 さて、私どもの会社でございますが、これはばね会社でございまして、ばねの会社というのは全国にたくさんございますけれども、実際に、ほとんどが三百人以下の中小企業ということになっておりまして、それもまた、関連する企業というのが大企業が非常に多い。つまり、自動車関連が地域によっては七五%に達する。特に中部が一番高いんですが、関東地方の方もその近いところに来ておりまして、ただ、関西の方がやや自動車関連が少ないというふうにはなっております。
 しかし、この自動車関連は、皆様よく御存じのとおり、非常に苦しいときが続きました。皆さんからもうお話が、もう十分通じていると思いますけれども、価格の低下ということが非常に大きな問題になっております。ですから、ばねの生産の一部を計算いたしますと、ここ約九年間で、重量では二五%しか減っておりませんのに、価格では五二%減少、こういうような実情が出ております。
 そしてまた、御存じのとおり、短納期問題、それから高度な品質要求、こういう点で一番苦しんでいる業界であるとも思いますけれども、しかしまた、一面、それだけまた花形産業であるということも言えるのではないかというふうに思っております。
 さて、私の今属しております神奈川県工業協会、社団法人でございますけれども、これは、主に中小製造業、主にと申しますと、ほとんどが中小製造業の団体でございます。それも横断的な団体で、全国でも珍しい組織になっております。いろいろの業種の方が全部、製造業が集まっている会でございますけれども、御存じのとおり、最近の状況というのは会員の減少に悩まされているということが言えると思います。
 昨年十二月の統計的な結果を見ますと、やはり売り上げの減少というのが一番大きな問題になっておりまして、これが四五%、百三社の調査の中で占めております。そのほか、やはり価格の低下ということが非常に大きな問題になっておりまして、皆さん、これについては非常に苦しんでおられる。その間で、廃業した企業も大分出てきておるというのが実情でございます。
 そのほか、規模別では、御存じのとおり、こういうところは非常に小さなところが多うございまして、三十人から四十九人が約三七%、五十人から九十九人が同じく三七%、百人以上が三二%で、いわゆる売り上げが下回っている企業の四九・五%が一人から九人あるいは二十人から二十九人というようなところでございまして、小規模企業が特に低調だったということが示されております。
 売上高の減少理由は、先ほども申し上げましたように、発注単価の切り下げがあるという企業が八八%を占めておりまして、これによって、特に輸送機関連の九六・二%というのが最も単価切り下げ率の高い得意先ということになっております。単価切り下げ率の分布状況は、一〇%から一五%未満が三一・二%、五から一〇%未満が二八・六%、二〇%以上が二二・一%、一五から二〇%未満が九・一%、五%未満九・一%でございまして、平均の引き下げ率は一二・四%、こういうふうになっております。
 業種別の平均の引き下げ率でいきますと、機械関係が一四・三%、電機が一三・一%、金属関係が一二・四%、輸送機が一一・九%、精密機械関係が七・七%でございます。
 規模別では、やはり小さなところ、十人から十九人が一六・四%、二十人から二十九人が一四・四%というようなことで、百人以上は一〇・九%でございました。
 売上高が前年を上回っているのは一一・七%で、下回っているのが一四・七%でございます。これは神奈川県の一つの特殊事情かと思いますが、やはり、輸送機関係が昨年は非常に好調になっておりますので、神奈川県全体の中小企業が潤ったということは言えると思います。
 ただ、問題なのは、輸送機関係以外のところで海外進出ということが非常に進んでおりまして、そのために、ちょうど子鳥が母鳥を失ってしまったような状況というのが非常に大きくなっておりまして、このためによるいわゆる廃業も、あるいはまた規模を縮小せざるを得ないというところが非常に大きくなっております。特に、これには電機関係がやはり五九%と非常に大きな要素を占めているわけでございます。大体今のような状況で、海外への進出による影響というのは、特に電機関係の下請産業に多く出ているということになると思います。
 さて、こういう中で、割合に皆さん健闘をしておられまして、利益関係では黒字が六四・九%という非常に高い数字を示しておりますが、この黒字が出た理由というのは、ほとんどやはり、リストラその他、あるいは社長が給料をもう供出したというような形での黒字ということは言えると思います。順調な意味での黒字というのは非常に少ないというふうに今判断しております。
 皆さん、経営改善策に現在必死になって取り組んでおりまして、これには、何とか売り上げを伸ばしていきたいということで皆さん頑張っておられますけれども、現状のようにだんだんと親企業の海外進出が進むと、なかなか難しい問題になっているというふうに思います。
 時間がちょっとありますので、もとへ戻りますけれども、ばねの業界に関しては、親企業というのは確かにあるわけなんですが、いわゆる間接的に下請、下請という、いわゆる業者間の協業、協力というのが非常に進んでおるということは言えると思います。例えば、一つの例を挙げますと、私どもの会社でも、月に出荷する種類が五千種類ございます。たった二億ちょっとの売り上げで五千種類のばねを出しているわけで、当然ながら自分のところだけではできるわけがございません。協力機構というものを、協力会社というものをつくりまして、お互いに生産分担をするということが通常の形になっておりまして、この場合に、いわゆる大企業から中小企業への下請というような感じとはちょっと話が違ってまいります。
 今度の法律改正で金型を入れていただいたことは、我々としては非常に感謝するところでございまして、我々ばね業界においても金型というものは非常に大きなウエートを占めております。また、これから以後もいろいろと、私も協力委員としても協力させていただいて、また公取の方にも中小企業庁にもお考えいただきまして、さらにいいものをつくっていただければというふうに考えております。
 簡単でございますが、私のお話にさせていただきます。(拍手)
村田委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどりさん。
松島委員 自由民主党の松島みどりでございます。
 きょうはお三方から、この三人という人選も非常によかったと思いますし、それぞれの業界の切実な状況をお伺いすることができて、ありがとうございました。
 私は、東京の墨田区と荒川区という、中小企業というよりは小規模零細、よく三百人以下が中小企業と言われますが、私の町では従業員が三十人もいたら超大企業でございます。大体は十人以下、五人以下、そういったところの町から出ている者でございます。
 お三方にまず質問なんですが、直接お触れにならなかったこと、余りなかったことで質問なんですが、この法律、もともと改正する前もそうですし、今度改正した後もそうなんですけれども、果たしてこれで、つまり下請という弱い立場にある人たちが、現実を、親会社に対してこんなことをされたということを、例えば公取に言っていって改善を図ることができるのか。公取や中小企業庁などが書面調査を年間十万以上に対してやっているということなんですけれども、これで、書面調査に対して真実を皆さん語ることができるんだろうか。一人の方がおっしゃった、報復がやはり怖いから云々ということがあったんですけれども、実際にそのあたりのことは、取り締まる立場の方に対して現状が伝えられているのかどうか、三人の方から伺いたいと思います。
野間参考人 先ほど私、申し上げましたけれども、荷主と運送事業者の間に明らかに力関係に格差があるということでございまして、その差というのは、やはり小さい事業者が多く、荷主から不満があればすぐに仕事を切られてしまうというところが基本でございます。それで、先ほど申しましたけれども、優越的地位の乱用を受けて不当な運賃を設定されていると考えている者も非常に多いわけですけれども、それでも、そういうことを恐れながらと訴えて出るわけにはいかないという状況にございます。
 今度の下請法の関係でも、報復措置の禁止というのはございますけれども、あれはなかなか自分の方から、運送事業者の方から訴え出ることは恐らくできないと思います。ですから、荷主企業の方に逆に調査に入っていただいて、荷主企業の方が持っている書類をチェックして事実を引き出していただくという形でいかないと機能しないと思います。
向参考人 今、トラック業界の実情ということで野間さんからお話がありましたが、私は、ほかの業界のことはよくわかりませんが、比較しづらいわけでございますけれども、それでも、見ておりますと、我々のソフトウエア業界というのはまだ多少いいのかなという感じを受けます。
 それは、新しい業界であるということも一つ言えるかと思うんですが、我々は余り今下請という言い方をしておりません。パートナー会社、積極的にパートナー会社というような言い方をしておりまして、しかし、根は深いものはあるかと思いますけれども、他業界に比べますと比較的いい方かな、こんなふうに思っております。
片平参考人 先ほどもちょっと申し上げましたように、我々ばね業界では、非常に多くの種類をほとんどがオーダーメードで、九九%オーダーメードでつくっておりますので、みんなが協力し合って生産分担をしているというのが実情でございます。そういう意味では、下請という言葉は非常に適切ではなく、むしろ協力会社というのがほとんど使われている言葉でございます。
 その点からいいまして、いろいろと審査その他はございましても、なかなか問題点というのは発見できないんじゃないかということは考えております。特に、皆さんがお買い物をされるときでも、これはまけろと値切って相手が受ければそれで合意の上の成立でございまして、これはいわゆる買いたたきにはならないということだろうと思いますので、この辺のところあたりは非常に難しいところじゃないかなというふうに考えております。
 ちょっと私、いろいろ発言が乱暴なところがございまして、お許しいただきたいと思いますが、今のようなところでございます。
松島委員 おっしゃるとおりに、それぞれの事情、各業界ごとの事情というのは非常に違っていて、この法律のもともとの、資本金の規模で分けるとか、そしてまたもともとの趣旨は製造業同士の場合、それから少し変わってきてデパート、スーパーなどがプライベートブランドを製造業に発注した場合に広がり、さらに今度は、金型のように自分の会社ではやっていないものをと、そしてサービス産業、いろいろ広がってきたわけですが、もともとの製造業を基本にして、日本の何十年間、それを基本にした一つの法律を、単にサービス業、役務のサービス業に広げて、それがうまくいくのだろうかという疑問を私も感じています。
 野間さんがおっしゃったように、トラックの場合は、大手と中小の資本金による、トラック業界同士というよりは、まさに発注先の、別業界の方であるのに、それは下請法では取り締まる対象にならないということ、これは別建てで例えばどういう法律を必要とすると考えられるか。
 また、向さんのところでも、おっしゃったように新しい業界なので、それぞれの下請というよりはパートナーである。しかし、もともとの大手の方が、大企業はとにかく技術力なんということを考えないで、当然そうなんでしょうけれども、大きな会社にまず発注してそれがゼネコンの役割をしてしまうという、一番の大もとと、つまり元請、下請というか、そういう関係じゃなくて、発注荷主とか発注先の官公庁や民間企業と皆さん方の業界という関係に、ほかに法律はあるわけですけれども、独禁法の優越的地位の乱用はなかなか使われないので、また別建ての法律を考えるべきなのか、今度の改正法だけでやっていけるのか、ちょっとお考え方を野間参考人と向参考人に伺いたいと思っています。
野間参考人 今先生おっしゃられたとおり、元下の関係の前に荷主企業があるわけでございまして、そこでの運賃設定が非常に買いたたきに遭うということがございまして、私ども、この下請法の改正に当たりましても、元下だけではなくて、荷主から元請に行くその過程も何か押さえていただかないと余り効果がございませんという話は申し上げました。それに当たりましては、それは下請法という法体系では対処できない、独禁法に戻って、そちらで何らかの手を打たなくてはいけないんじゃなかろうかということでございました。
 ただ、その場合にも、もともとこの下請法は、元請と下請の間の運賃設定等を直ちに押さえるということではなくて、そこで設定された運賃をどういう形で回収するかというところに優越的地位の乱用があっちゃいかぬということでございますので、そもそも運賃の設定に当たってこういうものは優越的地位の乱用に当たるんだということで当たっていただかないと、なかなか私どもの期待しております効果は出ないのではなかろうかというふうに考えます。
向参考人 今の御質問で、今回の法案で十分かと言われますと、多分十分ではないということになるかと思います。
 一つは、やはり私どもから見ますと、見積もりですとか発注ですとか、あるいは納品、検収、請求、支払いといったようなところがまだまだ整備が不十分。検収におきましても、納品をいつをもって検収をするのかとか、そういったところの定義がまだ不十分ではないかなというふうに考えております。幾つかございますけれども、代表的な例として申し上げておきます。
松島委員 今のことにちょっとまだ追加してなんですけれども、野間参考人が先ほどおっしゃいました、一番最初の意見開陳の中でおっしゃったんですが、強力な荷主に対して、仕事を受けるトラックの会社の方がグループをつくってというか、共同して運賃交渉に当たろうとすると、これはまたかえって、弱い立場の者が談合というかグループで交渉すると、これが違反、法的には触れるということを言われました。
 私は、この経済産業委員会以外に厚生労働委員会に入っております。労働基準法の改正という大きな問題を抱えていたのですが、例えば企業と労働組合ということを考えますと、一人一人の従業員では弱い立場にある、だからそれの従業員が、束になってという言い方はおかしいかもしれませんけれども、まとまって交渉の力を持とう、そういうのが一つの企業の中にあると思います。
 そういう意味でいいますと、ちまたにたくさんある中小零細企業、小規模事業というのは、一つ一つ事業主とはいえ、そんな、経営者だから強いという立場でなくて、仕事の発注先に対してはやはり共同して交渉に当たらないとどうしようもない部分がある、そして初めて対等な交渉権を得られるんじゃないか、力があるんじゃないかと私は思っております。
 そういう観点に立ちまして、野間参考人、先ほど言われたことに何か追加して御意見がございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
野間参考人 確かに、一社単位では非常に弱い立場でございますので、何らかの形で結束して当たるということが一つのやり方だと思いますが、それは直ちに独禁法のカルテル行為ということにつながるようでございまして、なかなか団結して運賃交渉するということはできない状況にございます。
松島委員 この経済法制というのが特に公正取引委員会が絡んでいるところで、独禁法があり、そしてまた下請の支払いの法律があり、いろいろあるんですけれども、競争を守るということになっているんですが、強いところも守る、弱いところは守ってくれない場合もある、時々非常に不思議になる。これから法整備を私ども心がけていかなきゃいけないなと思っております。
 向参考人と片平参考人にお聞きしたいことがございます。
 先ほど向参考人が、ちょっと脱線するけれどもということでぎりぎりでにおわされました。例えば中国やインドということを言われて、片平参考人の分野に、ばねなんかにおきましても、大企業が、輸送機器が外国へ行って、そしてついていけない中小企業の問題、残される問題がございます。
 そして、その中で、私はこれは持論なんですが、もう経済成長の、つまり日本の経済の、個々の企業のライバルたり得る中国に対する援助をやめろというのが私は持論なんですけれども、環境問題に限って援助するのはともかく、それ以外ではやめなきゃいけないという持論を持っております。
 インドも、ある分野においては、自分の国の中に貧富の差を残しながら、優秀な人材、そして伸びる会社というのは幾らでも伸びているわけですから、それぞれの国で、貧しい人はそれぞれの国のお金のある人が救うべきだ、日本が、皆さん方が、企業が苦労していらっしゃるのに、敵に塩を送るようなことはもうすべきではないと考えるんですけれども、先ほど向参考人がちょっと言いかけられたのはそういった、つまり中国やインドへの技術の移転とかバックアップ体制についてちょっとそろそろ見直さなきゃいけない、そう言われる意味だったかどうかということを伺いたいのと、片平参考人からも海外からの圧力についてのお考えを聞きたいと思っています。
向参考人 私は、十五年前に中国にソフトウエアの合弁会社を設立いたしまして、当時は、民間の私どもが中国という国に対して、ある意味のボランティア精神といいますか、そういうものでお手伝いができればと、またさらには我々日本あるいは我々の企業がそういうことによって発展することになるだろう、こんなふうに思って十五年前に合弁会社を設立したわけでございますが、その十五年過ぎた今、大変立派な会社に育っております。日本がいろいろ手を差し伸べたことがもう今や必要なくなってきている、彼らは自分たちで十分やっていける実力をつけてきた、こういうことを十五年間の中に私は実感しております。
 もちろん、諸外国の中には手を差し伸べなければいけないというようなところはあるかと思いますけれども、今おっしゃいました中国ですとかインドですとかというようなところは、民間にお任せいただければよろしいんじゃないか、このように思っております。
片平参考人 私が申し上げた海外への進出には、二つ問題がございます。
 一つは、いわゆる親会社の海外進出ということでございまして、この辺に関しては、現在のところ何とも対抗策がないというのが現状ではないかというふうに考えております。
 アメリカではローカルコンテンツ法案という法案がございまして、ある程度アメリカの部品を使わないとアメリカの製品とは言わせないというようなあれがございますけれども、日本には現在そういうものはございませんので、海外へ出て、海外でつくって日本製、日本品という形でどんどん入ってくるというのが一つの大きな問題だというふうに考えております。
 しかし同時に、現在、やはり中小企業にもついてこい、出てこいという話は再三ございます。ただ、非常に問題があるのは、現在のところ、中国への例えば機械の売り上げというのは非常に大きなものになっている。ドイツもそうですし、あるいは日本もそうなんですね。特に、日本は昨年度国内の設備投資が非常に弱かったものですから、機械メーカーさんも盛んに中国へお売りになっているというようなことで、我々のような機械産業については、中国との競争については非常に難しい問題がございます。手作業は中国でみんな成功されておりますけれども、機械産業については中国の競争で非常に苦しい状態に陥っておられるところがたくさんあるというふうに聞いております。それだけに、なかなか、海外進出というものがプラスかマイナスかということは、我々中小企業にとっては非常に現在クエスチョンマークということになっております。
 以上です。
松島委員 私は、失業のない社会、つまり、失業とか仕事がなくなるということが社会の不安を増大させて、これに対しては断固闘わなければいけないと思っております。
 そうした中で、今の日本の失業率、五%台で大変だと言われているんですが、現実に、中小、小規模事業を見ますと、倒産していない、廃業していない、だから社長さんもまだハローワークには通っていない、しかし現実には二カ月間仕事がないとか、親会社が、発注先が外国へ行ってしまって二、三カ月仕事がないとか、恐らくトラックとか、きょうはいらっしゃいませんけれども、建設分野におきましても月に四、五日しか仕事がないとか、そういったところが多々あります。現実の失業率はもっと高いものだと考えております。
 皆さん方の業界の中で、特にトラックなどというのは中高年者の雇用が非常に多い分野でございまして、ここがばたばたと、今も事業者減っておりますけれども、今後ともばたばたいってしまうと、ますます失業者増の圧力になってくると思います。
 そしてまた、向さんのところのプログラムという分野、これは非常に伸びている。つまり、日本の経済の中でもこの分野を伸ばしていかないと、こういうことを伸ばしていった上で初めて雇用が吸収されていく、そう言われている分野におきましてみんなで共倒れするような状況になりますと、そこに人材が入っていかない、大変なことになると思います。
 片平さんのところは、私の地元にもばねを初め製造業たくさんございますが、日本の経済を支えてきた、そして、そこからまた日本の強さが生まれるところにおきまして、たたき合い、どの業界においてもこのデフレというのが、皆さん方のデフレが世の中の全体的デフレよりもっと幅が大きくて大きなスピードで進んでいる。これは大変なことだと思いまして、今後、この下請法の改正、まだまだ不備な点があります。また新たな次の改正を目指して、私ども頑張ってまいりたいと思います。
 きょうは、お三方、ありがとうございました。
村田委員長 中山義活君。
中山(義)委員 参考人の皆さん、きょうはお忙しいところありがとうございます。先ほど来、話を聞いていまして、大変本当に参考になっております。
 私たちは、小泉さんの政策を見ていますと、支持率は高いんですが、内政の、特に経済においては、むしろこっちの有事をしっかりやってもらいたい、私はそう思っているわけですが、現在の皆様方のこの苦境は、ある意味ではデフレ経済がさらにそれを追い打ちをかけている、こういうことだというふうに思うんですね。
 私自身は、景気が回復すれば皆さんのお仕事が回復するのか、またはもう構造的に今の不況というもの、その中に、皆さんがまさに自分たちの構造に原因がある、このように考えておられるのか、お一人お一人、お三方それぞれお述べいただきたいというふうに思います。
野間参考人 トラック事業におきましては、先ほどもちょっと申しましたが、輸送トン数そのものはそんなに大きく減っているということはございません。横ばいないし微増ということで、長期的に見るとそういう形で伸びてきております。ただ、運賃単価は非常に安くなっておりますが、そういう状況でございます。
 それで、輸送業というのは、自分で景気回復するとかあるいは経済を引っ張っていくという立場ではなくて、ほかの産業が活発化すればそれに伴って出てくるということでございますので、景気の波に引っ張られていくという面が強いと思います。
向参考人 私の方は、景気と構造改革とどちらか、こう言われますと、私は両面あるというふうに思っております。やはり経済全体をよくしていただくということが一つと、しかし今や、やはり構造改革をしなければ日本は生き残れないというようなことも我々認識をしております。特に、ITを活用して経営を刷新するというような面が非常に大事かと思っております。
 コストダウンあるいは業務の流れの見直し、こういったものをひとつ我々としては推進をしていかなきゃいけない、このように考えております。
片平参考人 私どもの、特にばねの業界に関しては、やはり景気回復ということが非常に大きな問題だというふうに考えております。ただ、これは、ただ景気が回復すればよくなるという問題ではないということは、先ほど申し上げた海外の移転の問題というのが大きく来ております。それはなぜかというと、やはり日本のコストが高いからだということが言えると思います。
 この辺で、どうやったら日本のコストを下げることができるかというのが、我々としては大きな問題というふうに考えております。
 以上です。
中山(義)委員 よく、デフレ経済の中で大変経済が厳しいから、こういうときこそ工夫をして新しい商品を生み出すとか、いろいろ考えろというんですが、私はやはり、デフレというのは根本的に企業を参らせてしまうと思うんですね。そういう面では、私どもは常に、小泉さんのやっている経済は、デフレ経済で、不況下の中で緊縮財政をやっているんですから、こんなばかな経済はあり得ない、このように民主党は思っております。そういう面でも、景気回復がまず第一だ、このように考えるんです。
 もう一つ、先ほどの構造の中で、企業そのものではなくていわゆる業態全体の中に、一つは不当な取引制限というのがありますね。これは、お互いに談合してはいけないとか、カルテルを結んではいけないとか、いろいろあるわけですね。一方で、もう一つは不公正な取引、いわゆる優越的な地位の者が下請にいろいろなことを言うわけですね。この両方のものが非常に難しい関係にあると思うんですね。ですから、ある業界では知恵で、ある意味では、談合なんかをやることが、ある団体ではそれは知恵として昔からいろいろな形で行われていたかもしれないんですね。
 というのは、やはり、デフレ経済の中でどんどん受注を受けるときに、安くなきゃ受けられない、お互いに競争してしまう、結局は利益を失ってしまう。この二つの問題を、これはどのように考えて皆さんがやっていかれるのか。つまり、どのような取り組みを同じ業種間でやっているのか、この辺、私たち、本音の答えとして聞きたいんですね。
 私たちはいつも思うのは、談合はいけないんですよ、絶対談合はしちゃいけないと思うんです。しかしながら、余りにも過当競争で、自分たちで自分たちの首を絞めている、こういうところがあるわけですね。私はそういう面では、今回の問題は、中小企業の問題と公取の問題なんです。私たちは公取にも何回もすぐ、これはおかしいじゃないかと言っても、公取さんはすぐ、特に不当廉売とか不公正な取引の方ではなかなか答えを出してくれないんですよ。公取の立場からいうと、公取の方も実は人数が少ないんです。そんなに人がいるわけじゃなくて、大変だと思うんです。だから我々は、公取はもっと人数をふやせということでいろいろお願いをしているわけですが、今のこの二つの要素、つまり、談合はしちゃいかぬ、しかしそうは言っても上からどんどん買いたたかれて安くなる、この両方ので矛盾したところを、皆さん、どういうふうに考えていますか。一人一人お答え願いたいと思います。
向参考人 もうまさに私もそういうことに悩んでおります。やはり安くなることがいいという風潮がございます。しかし、我々の適正価格というものがございます。特にIT、ソフトウエア業界は、非常に人件費の占める割合が高いわけですね。そうしますと、これは我々の生活に密接につながってくる、どこまで安くすればいいのかというようなことでございますね。しかも、先ほども私が申し上げた中に、やはり、今先生おっしゃるように、ある意味の、いい意味の関係というのがございました。そういうものがこの価格破壊によってやや崩れる兆候がございますね。この答えは、私まだ見つかっておりませんけれども、この辺は非常に大きな問題だというふうに考えております。
片平参考人 現在、ばね工業会の全国組織、社団法人ですが、これに加盟しているばね屋は二百五十一社でございますが、実際には、よくわかりませんけれども、統計的には千以上、小さなばね屋さんがあるというふうに考えております。
 それだけに、今のお話で、非常にお話としてはよくわかるんですが、現実問題としては、特にだんだんと需要先が海外へ出ていってしまった現状では、どうしても買い手が全く優先してしまうということは避けられない状態ではないかというふうに考えておりますので、ですから、何とかして大手の方は自分たちの売り上げが減らないように海外進出を考えておりますけれども、それも結局なかなかうまくいっていないというのが現状でございまして、どうしても国内での仕事が欲しいという考え方が非常に強くございますので、なかなかお話のようなぐあいにはいきにくいというふうに考えております。
野間参考人 確かに運賃、立場が非常に弱いものですから、何らかの形で、事業者同士で話し合いをして持っていくという形がとれれば大変有力だと思います。しかし、それは、事業者団体が少しでもそういうことをやると独禁法のガイドライン違反ということで、運賃の話は事業者団体では全然することができないというのが現状でございます。
 それからまた、仮にまとまったとしても、ちょっとやそっとのまとまりでは荷主企業と対等になるということは非常に難しい話だと思います。かつて、認可運賃の時代でも認可運賃をもらうということができなかった状況にございますので、運賃はもう非常に買いたたきがあるのに対して、それに対して有効な対抗策がないというのが私どもの悩み多い実態でございます。
中山(義)委員 普通は弱い方が団結して強い方に立ち向かうという、普通の論理でいえば、そういうことをしないとやっていけないわけですね。
 私たちは、中小企業という立場から見ますと、大企業はいつも優越的な地位を利用して、我々は随分痛めつけられているわけですね。銀行でもそうですね。銀行は優越的な地位を利用して、中小企業者にお金を貸すときには、約款の中とか、または約定書みたいなもので宣誓させて、宣誓書にサインをさせる。そこには何が書いてあるか。金利は勝手に上げていいとか、要するに、法律によらず金利を上げますよ、それから保証人はさらにふやしますよ、担保はさらにふやしますよ、こう書いてあるんですよ。銀行なんかとんでもないことをやっている。
 だから、本当は、ああいうものに対しては中小企業がしっかり団結してぶつかれるわけですが、ただ、野間参考人、ちょっとお話をさせていただくと、その業界の中では買いたたかれていますね。買いたたかれているから、何とか生きていくためには、スピードオーバーをしたり過積載をしたり、いろいろしないともうからない、食っていけない、やっていけない、こういう特殊な状況も出てくると思うんですね。よく建築業者でも、余り買いたたかれるので手抜きをする、そういうことがあり得るんですね。その手抜きが大変な事故に結びつく、こういうこともあるわけです。
 ですから、私は、談合がいいというのではなくて、組合がよく話し合いをしながら、弱い者はやはり公取に向けて、自分たちで談合をするのではなくて、公取という機関があるわけですから、もっと公取に皆さんの気持ちをしっかり伝えてもらいたいし、我々議会でもそういう話をこれから公取に持っていきたい。
 つまり、例えば電気屋なんかでも、とんでもない不当廉売をして、地域の本当に中小の電気屋さんがどんどんつぶれていっちゃうんです。弱いところがつぶれていくような経済の状況というのは、やはりおかしいと思うんです、構造上。ただ、そうはいっても、値段をお互いに相談するというのは、これはやみカルテルになったりなんかする。しかし立場が弱い。すごくこれは、中小企業からしていくと矛盾をしていることなんですね。
 その面で、野間参考人、今回のNOxやまたはPM法なんかでもさらに苦しまれていると思うんですが、トラック業界のそういう面での自分たちで考えている方法論、私たちはこうしたいんだというところがありますか。
野間参考人 事業者の間では、やはり、例えばトラック協会が中心になって何らかの形で標準運賃みたいなものをつくって、それをやったらどうかというような意見がございますけれども、恐らく、今そういうことを公取に申し上げれば独禁法違反であるということになると思います。ですから、余りいい手が思いつかない状況でございます。
 ぜひ、競争力の劣ったトラック事業者の立場を御理解願って、何らかの形で、運賃の設定に当たってこれは優越的地位の乱用に当たるんだということを見つけ出していただいて、いい姿に持っていっていただきたいというふうに考えます。
中山(義)委員 今ちょっと、さっきから適正価格というお話もちょっと出ましたが、要するに、トラック業界の場合は、過積載とか、またはスピードアップしてやっていかなきゃいけないとかということで、事故が起こり得るわけですね、余りにも値段を過当競争しますと。そうすると、結果的に事故が起きる、または手抜きがあるとかという問題について、私は、どのように思うかということを聞いているんです。
 結果として、とんでもない状況に追い込まれて、どうしても百五十キロぐらい出さないと荷主の要望にこたえられないとか、いろいろなことが出てくる、こういうようなことに対してどういうふうにお考えですか。
野間参考人 確かに、安全面とかそういった方に影響が出てくる可能性はございます。
 ただ、私どもは、運賃が安いから安全面がなおざりにされて事故を起こすということは私どもの方からはとても言えないことでございます。ただ、そういう傾向にあるということは否定できないと思います。
 それからもう一つ、コストを切り下げるために、現在非常に問題になっておりますのは、保険に加入しない、あるいは加入していても保険料を払わないというようなのが傾向として非常に顕著になってきておりまして、それでコストを削減して競争力をつけるというようなことも行われておりますので、ここら辺も非常に問題であろうというふうに思っております。
中山(義)委員 私は、ちょっと申し上げたいのは、要するに、下請の方にやらせる側が事故を起こさせる原因をつくったり、または過当な競争を無理やりさせるようなことをしたり、これはやはり今回の法律では取り締まることはできると思うんですが、いろいろな意味で、やはり業界の中でもそのような対抗策と申しますか、すべての業界の中でやはりしっかり話し合うということが大事だと思うんですね。
 なかなか知恵がその業界の方から出てこないということであったり、我々もそれにこたえて、もう絶対、その業界がなくなってしまっては困るわけで、または事故が起こったりすることも困るわけで、またはとんでもない事件が私は起こり得ると思うんですね、車が大変速い速度で走っているわけですから。余りにも過当競争を強要するようなことがあれば、これは公取がしっかりやらなきゃいけない、こう思うわけでございます。
 野間参考人だけじゃなくて、同じようなことがあれば、それぞれの方にお話を伺いたいんですが、過当競争によって自分の業界が疲弊することが日本の経済にとって大変なことだ、このように皆さんも思っておられると思うんですが、その辺を一人ずつお話しを願いたいと思います。野間さんからちょっと先に聞きたいんですが。
片平参考人 私どもの業界では、やはり値段が下がっても品質だけはますます強い要望が出ておりまして、これが万一間違えれば、先ほどのトラック業界と同じように、車などが事故を起こす、そういうことになると大変なPL法のまた追及を受けますので、こういう意味では、それによって品物がどうこう、手抜きということはまず絶対にあり得ないということになるだろうと思いますが、確かに、業界がそれによって疲弊していくことは日本の将来にとって非常に大きな問題だということは考えております。
 やはり、中小製造業が疲弊してしまったら、日本のピラミッド構造は崩れてしまうわけですから、非常に問題としては大きいというふうには考えております。
野間参考人 確かに、過当競争状況にある中で、立場の弱い者がどうやっていくかということでありまして、ただ、我々としては、今公取の定めているガイドラインに従った動きしかできないわけでございまして、そちらの方を何とかしてもらいたいということは、今度は独禁法の根幹に当たってくるのではなかろうかということでございまして、なかなか根本的な解決策というのは思いつけない状況でございます。
向参考人 どのあたりが適正な価格かということが非常に大事だと思います。
 我々の業界では、やはり値段だけで、安いからいいということではなくて、どういう開発工程でどの程度工夫をしているか、あるいは仕事の進みぐあい、進み方が適切かどうかというような、そういうもろもろの基準を一つベースにして、そしてこの価格が適当なのかどうか、こういうことをできる限り軸にして工夫をしているというところでございます。
中山(義)委員 きょうは、本当にお忙しいところありがとうございました。
 私たち、先ほど言いましたように、不当な取引制限、いわゆる談合やカルテル、こういう問題と、不公正な取引、つまり優越的な地位を乱用された場合、この二つを本当に皆さんの立場に立って、全力を尽くしてやっていきたいというふうに思っております。
 やはり皆さんの業界が悪くなったり疲弊していくことは日本の経済にとって大変大きなマイナスだというふうに思っておりますので、これからも公取さんには特に頑張っていただいて、奮起してもらって、皆さんへ優越的な地位を利用した乱用を絶対にさせないようにこれからも頑張っていきたい。
 以上で、私の質問を終わります。
村田委員長 井上義久君。
井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
 きょうは、参考人の皆様には、御多忙の中当委員会にお出ましをいただきまして、貴重な御意見を賜りまして、心から御礼申し上げる次第でございます。
 初めに、片平参考人にお伺いしたいわけですけれども、日本の製造業、戦後の日本の高度経済成長を支えてきたわけでございますけれども、この製造業の分野では、下請中小企業の方々がその発展に大きく寄与されてこられた、これはもう間違いのない事実でございます。
 そういう中で、下請法が、いわゆる大企業を中心とした下請分業構造の中で、取引の適正化とか、あるいは下請事業者の利益を図るという目的で昭和三十一年に制定されて今日に至っているわけでございますけれども、これまで下請取引改善協力委員として、先ほどお話がございましたけれども、十年以上にわたってこの仕事を引き受けていただいているわけでございますけれども、そういう下請取引の事情に大変お詳しいというふうに思うわけでございまして、これまでの経験の中で、この下請法の果たしてきた役割というものをどのように評価されているかということが一つ。
 それから、今回改正をして、いわゆる役務とか情報成果物を新たに対象に加えるということで、片平参考人の直接関係がある分野では金型というものが新たに対象に加えられたわけでございますけれども、これについての評価。それから、これに関連して、金型を加えるんだったら特殊工具なんかも加えるべきじゃないか、こういう議論もあるわけでございますけれども、この二点につきまして最初にお伺いしたいと思います。
片平参考人 今まで下請の取引改善委員を務めておりまして、やはりこの法律が非常に役に立ったなというケースは何遍かございます。
 その多くは、やはり不当な値引きというものに対しての改善を命令していただいて、事実、金銭が戻ってきたケースというのが既に何回かございました。それによって我々も大いに助かるわけでございますけれども、しかし、実際問題として、値決めというものがどういう形で行われるかという現実は、なかなか立ち入ることができませんので、本当の意味で買いたたきがあったのかなかったのかは、下請の委員としても十分には理解はしておりません。これが一つの問題でございます。
 それから、今度の法改正で金型が入ったということは我々としても非常にありがたいんですが、今ちょっとお話がございましたように、金型に匹敵する、いわゆる金型は何をするのか、金型というものの定義というのはどこにあるのか、これは非常に難しい問題だと思いますけれども、いわゆるプレス用とあるいはインジェクションのモールド用の金型というような分野だけにとどめるのか、あるいは手作業分野での金型というものも、今言ったように治具、治工具に類するようなものも考えられるわけですけれども、しかし、一番ソフト的なものを含んでおります。となると、やはりプレスでいえば順送型あるいはモールドの型というようなものは含んでいるわけでございまして、そういう意味で、ソフトも重視して考えるということになりますと、やはり金型に限定するのはやむを得ないかなというふうに考えております。
 それともう一つ、今度の法改正で、やはり期末の協賛金問題というのが出ておりまして、これがその後どういうふうに考えられるのか、非常に我々としても微妙な問題でございます。確かに、値引きをされるということは我々にとっても非常につらいんですけれども、ただし、期末である程度協賛金で解決した場合には、翌年度からまたもとの価格で販売できるわけですけれども、コンピューターを操作して、非常に大変な手間をかけて値段を下げてしまうと、今度は、その次にまた下げた値段で取引をするということになって、非常に苦しい面もございます。
 特に最近は、コンピューターのインプットというのは非常に手間が大変でございます。ということは、お客様が全部いろいろなコードを御自分でおつくりになって我々の部品につけてまいりますので、そのコードを全部打ち込まなければならないということで、コンピューター価格を訂正するということは相当の手間がかかるわけでございまして、またさらにそれが翌年度にもわたってしまうということになるよりは、期末である程度解決して翌年度はもとの価格でいけるという方が、結果的には中小企業にはプラスになるという現状が多いというふうに判断しております。
井上(義)委員 大変貴重な、実態に即したお話をしていただきまして、大変ありがとうございます。
 その次に、トラック協会の野間理事長にお伺いしたいと思います。
 今回、役務が下請法の対象になったということで、象徴的にはトラック協会ということできょうお越しをいただいたと思います。
 先ほどの御発言にもありましたけれども、実はトラック協会のいわゆる下請の関係というのは、いわゆる真荷主との関係が一番根っこにあって、そこが解決されなければ、下請法の適用対象になってもこれが適正化されるということはなかなか難しいんじゃないか、結論的に言うとそういうようなお話だったと思いますし、確かに私もそのとおりだなというふうに思うわけですけれども、では実際、この業界の中で、先ほどいわゆる大手というのが六十一者しかなくて、あとはみんなほとんど中小零細である、こういうお話をされておりましたけれども、真荷主の問題は別にして、いわゆる下請関係、下請の取引というのは、実際に全体の中でどのぐらいあるものなんでしょうか。
野間参考人 輸送の中で下請がどのくらいあるかというのは、実は非常に難しい話でございまして、統計的に数字は出ておりません。
 ただ、受注形態でどうだろうかということを調べた結果では、やはり自社で受注して自社で輸送するというのが一番多い比率になっております。ただ、そういう中でも、もちろん全部が全部自社でやるというのはもうほとんどありませんで、すべて一定の、下請に出す割合は異なりますけれども、全部下請を使っているということは事実でございます。
 それから、その下請になる、下請をする方が非常に大手、三億円以上の資本金とかいうのが非常にまた比率として多くなっておりまして、小さなところから大きなところへ下請するというのも出てきております。
井上(義)委員 そうすると、今回、役務ということで、いわゆるトラック業界がこの下請法の対象になった。
 私は、下請法というのは、ある意味で抑制効果といいますか、そういうことも効果としてあるんだろう、こう思うんですけれども、トラック業界の取引形態でいうと、余りこの法律は、役務という形で今回対象になったんだけれども、実際に対象になる取引はそう多くないのかな、そういう認識でよろしいんでしょうか。
野間参考人 いいえ、そういうことではございません。
 実数としては把握しておりませんけれども、下請に流すというやり方も相当の数でございます。それから、そういった委託契約を結んで、その後、優越的な地位にある者がその契約の中身をどんどん変えてしまうというようなことも多少は行われております。その数はそれほど多くございません、トラック業界は。大体、契約を結びましたら、その契約はそのとおり履行されている例が多いようでございます。
井上(義)委員 そういたしますと、確かに真荷主との関係、ここはいわゆる独禁法の世界で、ここはここできちっとやってもらいたいけれども、下請法の適用対象になったということは業界としては評価をされているというふうに認識していいんだろう、こういうふうに思います。その確認と、あと、具体的に契約書面等で実態に即した適用をしてもらいたいというようなお話が当初あったかと思いますけれども、この法の適用に当たって、再度、業界としての、ぜひこういう点に留意してもらいたいということがあれば、お伺いしたいと思います。
野間参考人 下請法で対象になるのが元請から下請に流れた部分でありまして、そのもとの、真荷主から元請へのところは全然対象にならないものですから、その点非常に、もともと元請が受けたものを下請に流すわけですから、その真荷主から元請に受けるところが問題ですよということがございます。そこで一番問題になるのは、その契約受注条件をそのまま履行しているか、あるいは変更するかというようなことが下請法の体系では問題になるんですけれども、その前に、運賃設定そのものに優越的地位の乱用があるんじゃないかというのが我々の問題意識でございます。
井上(義)委員 もう一点、契約書面等、業界のいろいろな商慣行があって、法適用についてはそういう点を十分考慮してもらいたい、そういうお話があったと思うんですけれども、そこをもう一回ちょっと確認させてもらいたいと思います。
野間参考人 そういうことでございます。ぜひ、この優越的地位の乱用のうちの非常に小さな部分だというふうに考えざるを得ないかもわかりませんけれども、その部分についてはこの法律で的確にやっていただければ大変ありがたいと思います。
井上(義)委員 次に、向参考人にお伺いいたしますけれども、この業界、もちろんこれからの日本の成長分野の一つで、雇用の吸収ということについては非常に大きな役割を果たすと同時に、私自身は、いわゆる日本の製造業、日本の産業の構造改革のために、そのインフラになる極めて重要な業種だというふうに認識しているわけでございます。ここにやはり日本の今後のあらゆる力が結集されて、日本の産業構造そのものが大きく転換していく、こういうことが私は一番大事だというふうに思っておりまして、大変期待をしているわけでございます。
 こういう業界に携わっている私の友人なんかもいますし、また若い人たちもいますけれども、極めて過酷な労働といいますか、もうほとんど昼夜ない、土日もないというような中で、ある程度好きだから一生懸命やっているという、極めて職人的な実態を見ているわけですが、ただこれは長くは続きません。
 そういう意味で、こういうジャンルの取引の正常化といいますか、適正化ということを図らなければいけない、こう思っているわけでございますけれども、今回そういう中でこの下請法の対象に情報成果物がなったということは、私は評価していいんじゃないか、こんなふうに思っているわけでございますが、その点についてまずお伺いしたいと思います。
向参考人 私もそのように思っておりまして、やはりこの法案というのは我々もあるいは同業大手中心にしっかり守っていかなければいけない、このように思っております。また、そういう風潮はかなりできているのではないかというふうに思っております。
井上(義)委員 それでは、先ほどちょっと最初の御発言の中でも触れられておりましたけれども、いわゆる初期投資が少ない、ほとんど要らないというか少なくて済むということで、必ずしも業態が資本金の多寡によっていわゆる仕事の大きさがはかれない業界という、全くそのとおりだと思うんですね。ところが、この下請法というのは、これは中小企業法との関係があって、資本金というものを基準にせざるを得ない、こういう状況があるんですけれども、この辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
向参考人 確かに、資本金で企業の実力というものをはかるわけにいかないという、これはもちろんございますね。しかし、そうはいいましても、ある規模の仕事をやっていこうということになりますと資本金等で見ていかざるを得ない、この辺の矛盾はあるかと思いますが。
井上(義)委員 それから、今回の法律と直接関係ないかもしれませんが、先ほどちょっとお話しになった、システムインテグレーションサービスというのが、いわゆるゼネコン型のこの業界の再編成が進んでいるというお話があったと思うんですけれども、これは、向参考人は、日本のソフトウエア産業のあり方としてはいい方向に進んでいるというふうにお考えなのか、それともちょっと違うなというふうにお考えなのか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
向参考人 いい方向かどうかというのも、これは大変難しい問題だと思います。一つのあり方だというふうには思っております。ユーザー側から見ますと、やはり一括して受けていただける、こういうことになるわけですから、しかも企業が優位に立つということの一つの方法論であろうというふうには思っております。
 しかし、そこで、やはり中小零細、中にはこれからベンチャーとして育っていく、こういう企業がたくさんあるわけですから、そのあたりのところをどううまく踏まえて、そういった企業ともども大手ゼネコンが成長していくのか、この辺のバランスが大変難しいところだろうと思います。
井上(義)委員 それでは最後に、片平参考人にお伺いいたしますけれども、神奈川県の工業協会の会長もされているということで、日本の製造業、特に中小の製造業というものが今後ともやはり日本の産業の下支えとして極めて重要であるという、私自身もそのように認識をしているわけでございます。
 そういう観点から、今回は下請法についてお伺いしているわけでございますけれども、この委員会では今、下請中小企業振興法もあわせて審議をしているわけでございまして、これまでずっとやってこられた立場から、下請中小企業振興について、ぜひこれとこれはやってもらいたいという御要望がございましたらお伺いしておきたい、こう思います。
片平参考人 ある意味では非常に難しい御質問だと思うんですけれども、私は、先ほど申し上げたように、やはり日本の産業構造というものがピラミッド型の構造を持って、それが非常に日本の経済の発展に寄与したというふうに考えておりますので、そのピラミッドの底辺というものはやはりしっかりしていないと困るなというふうには考えております。
 それで、いろいろな意味で皆さん方が中小企業について御心配をいただいていることは、我々としても非常に感謝しておるわけでございますけれども、御心配いただいているわけですけれども、実際問題としては、先ほどもちょっとお話がございましたように、金融業においても、すべてにおいて中小企業というのが非常に圧力を受けているということは事実でございまして、ですから、だんだんとやめていくところがあるわけでございます。
 しかし、日本の今の産業構造は、各種の業種がある地域に集まって、そして、いわゆるフレキシブルな産業構造、製造工程を形づくって非常に合理的な生産を今まで続けてきているわけでございまして、これはぜひ続けていきたいものだなというふうに思います。
 ただ、やはり中小企業の場合は、先ほどのお話にもございましたように、いわゆる金融に対しての保証問題等が非常に大きな問題になっております。大企業の場合は社長さんが全部を保証するということはあり得ないですけれども、中小企業は社長が全部銀行の借金は保証するというのが通常の形になっておって、それは逆に言えば、亡くなった後の相続人にまで及ぶというのが現在の銀行の行き方でございまして、この辺がやはり非常に中小企業の今後の育成といいますか、伸びていく上においての一つの大きな障害になっているかなというふうに考えております。
 以上です。
井上(義)委員 ただいまのお話、私どもも全く同様の問題意識を持っておりまして、この問題については何とか解決の方向でしっかり取り組んでいきたい、こう思っております。
 きょうは本当に貴重な意見を賜りまして、ありがとうございました。
 以上でございます。
村田委員長 工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございます。野間参考人、向参考人、片平参考人には、お忙しい中をわざわざ御出席をいただきまして、ありがとうございました。私からもお礼を申し上げたいと存じます。
 若干の質問をさせていただくんですが、先ほど来の質疑で同様の質問があったかと存じますけれども、御理解を賜りたいと存じます。
 まず初めに、野間参考人に幾つかお尋ねをいたしますけれども、これまで、参考人の御関係であります貨物自動車運輸業は、本法案には対象外ということでありまして、まさに公正取引委員会による独占禁止法の運用にゆだねられておったわけであります。今回の法改正案で、役務の提供に係る下請取引として貨物運輸業が対象に加えられたということを、どのように評価をされておられるんでしょうか。また、現在の厳しい経済環境のもとで、貨物自動車運輸業を取り巻く下請取引状況にどのような問題が生じているとお考えになっておられるのか、その点をまずお伺いをいたします。
野間参考人 私、最初に申し上げましたけれども、真荷主と元請事業者の間の契約そのものも問題になりますけれども、その後の元下取引について、優越的な地位の乱用を防ぐということで下請法の対象になるということは、その意味はあると思います。
 それから、下請法の対象になりますと、契約書を一件ごとに作成して保存することでチェックをするということでありますが、先ほど申しましたように、三〇%ぐらいが現在のところ契約書を交付しないでやられているというようなこともございますけれども、それがきちんとした形になって取引内容が明確化されるということは望ましいことだというふうに考えております。
 それから、確かに下請状況ということだけではございませんけれども、認可運賃制が届け出運賃制になったというのを機会に非常に運賃の低下傾向が大きいわけでございまして、それに従って、先ほども御質問ございましたけれども、過積載ですとかスピード違反という方に逃げるのがあるんじゃないかということもございます。
 それから、法定で加入が義務づけられているにもかかわらず、各種保険に加入しないという事業者も随分ふえてきております。数字で申しますと、例えば労災保険、雇用保険などについては、入っていないという事業者は平成八年度では四・四%ぐらいだったんですが、平成十四年度ではそれが七%にふえています。また、健康保険ですとか厚生年金保険などにつきましては、同じく平成八年度では七%ぐらいが加入していなかったんですが、平成十四年度では一五%までふえているというようなことで、そういった方面にも影響があらわれているのではなかろうかというふうに思います。
工藤委員 今の御答弁にもございましたけれども、今回の改正案では、書面の交付とか作成、保存についての罰則規定が強化をされているわけですけれども、トラック運送事業等の物流産業、実態面からするとなかなかこのような規定にそぐわない面もあるんではないかな、そういう感を持っているわけであります。
 昨年十一月ですか、報告書の取りまとめに際しましても、全ト協さんとして意見書を提出されておられます。その中で、書面の義務づけを前提とした下請法の諸規制はトラック運送業には基本的にはなじまない、作成のためのコスト増や大手事業者が下請法の適用を逃れるために中小零細事業者との契約を回避する方向にシフトをするのではと、このように疑義を呈しておられるわけでありますが、これらの点について、今回の改正案ではどのように措置をされておられるというようにお考えなのか、お伺いをいたします。
野間参考人 確かに、運送業の場合、トラックの場合、委託、中身も非常にさまざまでございますし、それから電話一本で迅速に対応しなくちゃいけないというようなこともございますので、常に契約内容を書類にしてそれを持っているということについては、なかなか厳しいところがございます。
 しかし、何事も、契約を結ぶのは商取引である限り本来必要なものであろうと思いますし、ただ、そういった迅速にやる、直ちにやれというようなことでは例外的な取り扱いもしていただきたいし、あるいは、電話でやった場合には事後でもいいじゃないかというようなことで対応していただければ、その書類の作成、交付ということについては対応できるのではなかろうかというふうに考えております。
工藤委員 物流業に携わる問題として、特に貨物運送業では、荷主が運送事業者に対して優越的地位にあるケースが多いと。単に元請の運送事業者と下請事業者との関係を規定するだけではなくて、先ほど来の質疑にもあったのでありますけれども、真荷主と元請との関係も規定すべきだ、このように主張されているようでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
野間参考人 輸送契約において、真荷主と元請の関係が下の方の、下請事業者の方にも当然影響してくるわけでございますので、一番問題のところは真荷主と元請事業者の間のことではなかろうかと思います。そこの間で優越的地位の乱用というようなことが、輸送事業者側から見てこれは優越的な地位の乱用であると考えている者が非常に多いということでございます。
工藤委員 委託取引における親事業者と下請事業者を画する資本基準というものは、中小企業基本法の規定に準じて第二条に規定をされているわけでありますが、貨物運送委託の形態にはさまざまな委託形式があるわけで、資本基準によって元請、下請と簡単に認定できないということであります。
 このような問題について、今回の改正案では解消されているとお考えになっておられるのか、その点お尋ねをいたします。
野間参考人 確かに、トラック運送事業においては、元下というのを、元請の方が資本金でいけば小さいことは幾らでもございますし、我々の調査でも、一番下請をする数が多いのは、三億円以上の大企業でございます。
 大きいから当然数も多くなるんですけれども、三億円以上の事業者が下請になってやるという例は一番多いわけでございまして、そういう意味から、元下全部を見るということをしようとすれば資本金ではとてもいかないと思いますが、これは感覚的な話でございますけれども、やはり大企業が下請になる場合には、買いたたかれるというようなことは余りないんじゃなかろうか、やはり、大企業から小さいところに行くときに買いたたかれるということになるんではなかろうかと思いますので、そういう意味では、資本金で見るというのも一つの考え方であろうというふうに考えます。
工藤委員 次に、向参考人にお尋ねをいたします。
 今回、情報サービス取引、これが情報成果物作成委託として新たに改正案に追加をされたわけでありますが、これら情報サービス取引については、先ほど質問をいたしました運輸業以上と言ってもいいほど、複雑かつ多様な形態があるというように言われているわけであります。下請代金法は、もとより下請事業者を保護するためのものでありますけれども、現在の経済環境の変化、また多様な取引形態を十分把握した上で適切に対応しなければならない問題だ、このように思っているわけであります。
 そこで、下請代金法の対象範囲の問題についてお尋ねをいたしますけれども、情報サービス取引は、ユーザー、コンピューターメーカーとか情報サービス事業者などのさまざまな形態の中で行われておりまして、その中の一部の取引のみを取り出して下請代金法を適用すれば、保護されるケースとそうでないケースが出てくるというようにも考えられるわけであります。この辺の整合性について、向参考人、どのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
向参考人 やはり我々の業界も、ピラミッド構造ということは変わりございません。したがいまして、元請の、先ほども御報告をいたしましたように、業界上位百社が取引の大体七割を占めるということでございますので、ここのところはしっかりやらなきゃいけない、こう思いますが、それ以下につきましては、細かいところはあるかと思いますけれども、大筋の中では、かなり解決できる問題が多いんじゃないかというふうに思っております。
工藤委員 もう一点、向参考人にお尋ねをいたします。
 情報サービス取引事業に際して、親事業者かまた下請事業者かの区分というものは資本金額によって決まるわけでありますけれども、これもまた、先ほどの運送業と同様に、取引形態によって簡単に規定するものではない、このように思うんですが、この点についての御見解をお願いいたします。
向参考人 確かに、おっしゃるとおりでございます。そのあたりのところは、これから大いに検討していかなきゃいけないことだろうというふうに思っております。
工藤委員 それでは、お三方にお尋ねをいたします。
 近年の著しい国際化の進展、我が国の企業活動や経営環境に大きな変化をもたらしておりまして、これまでのように、資本金額によって画一的に事業規模とか企業活動をとらえるだけでは不十分で、今回の下請代金法の改正をもってしても、相変わらず、従来のような手法で中小企業を保護するだけで、実際、実態にそぐわないというような指摘もあるわけであります。また、このような形式的とか画一的規制では、現下の厳しい経済環境のもとで、事業形態によっては、下請代金法の非適用事業者、そういう非適用事業者への発注が増大するのではと危惧する声もまたあるわけであります。
 そこで、資本金額や同業者間での取引を規定している現在の下請代金法では時代の要請に十分こたえることができない、こういうことであるのであれば、この際、下請代金法を廃止して、独占禁止法上の優越的地位の乱用規制によって弾力的に運用した方が、対応した方がいいのではないか、こういう御意見もあるわけでありますけれども、これらの意見に対して、お三方はどのようにお考えになっておられますのか、お一人ずつ御答弁をお願いいたします。
片平参考人 今の問題はなかなか難しい問題でございまして、では、どういう形で、優越的な企業とそうじゃない下請とを考えるかということになりますと、なかなか基準が難しいということで、やはり今のところは、一応、ちょっと今の時期には合わないとは思いますけれども、資本金でやらざるを得ないのかなというふうに考えております。
向参考人 大変難しい問題で、いろいろ考え方があろうかと思いますし、これは私の私見ということでお話をいたしますと、業界ではまとまっておりません、が、今先生おっしゃいますように、資本金だけでもいいのかというようなことは確かにございますね。勉強していきたいと思っております。
野間参考人 確かに、書類を作成、交付するというようなこと、それから下請法の適用になるということで、そういうところを下請にしないで、下請法の対象にならない事業者に逃げようという事業者が出てくる可能性は否定できないと思います。ただ、それをどこまで嫌がるかということはあると思いますけれども、そういう可能性はあると思います。
 それで、優越的地位の乱用ということでいけばいいんじゃなかろうかということでございますけれども、これはずっと、過去何十年も、優越的地位の乱用ということで、我々、救ってもらったことがございませんので、それをどこまで広げて解釈していただけるのかということと絡むと思います。優越的地位の乱用ということを認めていただくのが非常に難しいというのが、これまでの感じでございます。
工藤委員 質問を終わります。ありがとうございました。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。きょうは、貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。
 私、まず最初に、片平参考人に御質問させていただきます。
 片平参考人は、下請取引改善協力委員のお仕事を十年なさっておられるという、最初の自己紹介でお聞きいたしました。この下請取引改善協力委員というのは、日ごろどんなお仕事をされておられるのか、そもそもどのような役割を期待され、日常的にはどんな活動をされておられるのか、まず最初にお聞かせください。
片平参考人 下請取引の支払い遅延防止法という法律がございまして、その防止法に対して問題があるかどうかということを協力するという委員の役目と信じております。
 ですから、私どもが関係している業界、例えば今の工業協会とか、そういうような業界において、それに対して、我々は遅防法と言っていますが、今、こちらでは下請法という法律になっていますが、私どもは遅延防止の方に重点を置いた考え方を持ってやっておりますけれども、それによって、支払いの遅延が起こったとか、あるいはまた買いたたき現象が起こったとか、そういうようなことに対して情報を集めて、あるいはまた関係の皆さんからお話をいただきまして、それを公正取引委員会の方にまたお話をして、また、この委員会の会合が年二回ございますから、そういうところでいろいろと皆さんとお話しして、御参考に供していただくということ、それからまた、違反事実があれば、はっきりとそれに対して対処していただく、こういうような仕事をさせていただいております。
塩川(鉄)委員 今、中小業者の皆さんの現場に行きますと、大手企業からコストダウン要請が大変強く寄せられている、そういう中で、今、片平参考人のお話にもありましたような、買いたたきと見られるような実態などもかなりあるわけです。業者の方からお話を聞きますと、労働者に最低賃金があるように、最低工賃みたいなものが欲しい、今のコストダウンの中では、自分の経営そのものがやっていけない、そういう状況がある、そういう声が出されています。
 そこで、重ねて片平参考人にお聞きしますが、下請振興法に振興基準がございます。その中に、単価の決定方法の改善という項目がありまして、そこでは、取引単価は、下請中小企業の適正な利益の確保及び労働条件の改善が可能となるよう決定するとあります。ですから、労賃ですとか業者の適正な利潤を見込んだような単価設定というのがそもそも求められているんじゃないか、その点率直に思うんですが、片平参考人の御意見をお聞かせください。
片平参考人 非常に難しい御質問をいただいてあれですが、どうやったら利益が出るかという問題は、やはり個々の企業のやり方というのも一つ大きく問題としてございます。ですから単純に、これが、この価格なら利益が出るとか出ないということはなかなか我々としても非常に判断しにくい場面がございまして、製造方法いかんによっては工程を大幅に省略して結果的にはいい原価でできるという場合もございまして、そういう意味では非常に難しい問題というふうに解釈しております。
 その企業その企業によって、どこが適正利潤の場所なのかというのが出てくる、こういうふうに現状では考えております。まだまだ技術革新が進んでおりますので、そういう要素は十分にあるかと思いますので、非常に不完全な答えで申しわけございませんけれども、そういうふうに考えております。
塩川(鉄)委員 下請法の具体的な執行、運用などにかかわるお仕事をされているお立場から、もう一点お聞きしますが、今回、役務などに大きく拡大をして対象が倍にふえる、そういう中で、公正取引委員会としても執行体制の整備拡充を図るということを検討しているわけです。そういう意味でも、実質的に、本当に下請業者の皆さんにとってよかったと言えるような今度の改正であるためにも、この執行体制の整備、拡充、強化というのはどのようにあるべきなのか、人員の問題もあるでしょうし、それぞれの検査官の能力の問題などもあると思うんですけれども、現場で携わっている実感として、片平参考人にその点をお聞きしたいと思います。
片平参考人 非常にまた難しい問題がいろいろあると思いますけれども、やはり現在の公正取引委員会の皆様、非常にお忙しい状況だと思いますので、さらにこれで枠が広がった場合に、なかなか全体的に見ることは難しくなるのかなという懸念をしております。
 そういう意味では、我々協力委員というのがもうちょっと本当の意味で積極的な協力を必要とするのかなというようなことも考えておりまして、そういう意味で、ある意味ではこちらの方のまた、法律ではありませんけれども、いろいろ変えていただく必要も出てくるかなということは考えております。ぜひ協力させていただいて、いい結果を生みたいなというふうに考えております。
塩川(鉄)委員 ありがとうございました。
 次に、向参考人に御質問させていただきます。
 公正取引委員会が、ソフトウエア産業につきましての実態調査を二年ほど前に実施を行いましたけれども、そこにおきまして、ソフトウエア開発業においては、口頭で契約した業務について支払いを受けられなかった事例や、単価の設定に改善の余地があると認められるような事例や、受託者に責任がないにもかかわらず何度も無料でやり直しをさせられた事例が認められたと指摘をしています。私もなかなか、実態についてお聞きする機会が余りないものですから、具体的な事例でこんなふうなことが起こっているんだということでお聞かせいただければと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
向参考人 私自身はそういった違法なやり直しという場面には出会っておりませんが、しかし、非常に微妙なところのやり直しといいますか、そういう問題は現実に起こっているだろうと思いますね、それは長い間の本当に数少ない例でございますけれども。そういうためにも、今回は、どういう場合がやり直しに当たるのか、どういう場合が不当なのかというようなことを、ある程度ガイドラインとしてやはり示していくということが必要だろうと思いますね。
 特に我々の場合は、仕様書というのがございまして、この仕様が決まる決まらない、これは非常に大事なことなんですね。しかし、仕様書が必ずしも一〇〇%十分かといいますと、不十分な状態、あるいは、ある程度、次の工程で上流の工程を想像しながらつくっていくというような部分が発生いたしますので、その辺の理解不足、食い違いというようなことでやり直しが起こるケースがあるかと思います。
塩川(鉄)委員 今回の下請法改正に当たりまして、いろいろな団体から意見書が出されておりまして、向参考人の経営されている会社も加入されておられる情報サービス産業協会、ここからも意見書が出されておりまして拝見いたしました。そこには、特に最終顧客であるユーザーの問題を指摘されておられまして、「情報サービス産業における取引問題のひとつは、最終顧客たるユーザの立場が強く、かつ発注条件が厳しいという点にある」と指摘をされておられます。
 民間企業もあるでしょうけれども、官公庁のシェアが特に大きいということもお聞きするのですが、こういったユーザー、エンドユーザーである民間企業ですとか官公庁の立場が強く発注条件が厳しいという、具体的な現状といいますか、お聞きしているお話を含めて、具体例でお話しいただければと思っております。
向参考人 ユーザー企業が強い、これはいつの時代もそういう傾向にございますし、また、この不況によって、やはり特にコストダウンといった側面が非常に強いと思いますね。これは実感としてやや強くなってきている。俗に言います売り手市場、買い手市場という、この辺の関係によるものだろうと思いますね。それから、もっと大きな経済の問題というものは当然バックボーンとしてあるかと思います。
 それから、行政側の発注についてどうかということなんですが、これは一般的にやはり厳しいんですね。私どもも時々入札に参加させていただきますけれども、ほとんど最後のところでなかなか思うようにいかないという経験は何度もさせていただいております。
塩川(鉄)委員 その行政側のところで、最後のところで思うようにいかないというのは、やはりコストダウンの点でなかなか入札の際に入れない、そういう現状というふうに受けとめてよろしいんでしょうか。
向参考人 技術的には同じであっても、あるいは製品の内容が同じであっても、やはり高いか安いか、そういう問題に最後はなりますので、そこのところで、安い方が入札をするということになります。
塩川(鉄)委員 そういう点でも、行政側の目ききみたいなものが本来求められていることであるのかなということを感じております。ありがとうございました。
 野間参考人に質問させていただきます。
 NHKの「クローズアップ現代」という番組で、「高速を走る“過労トラック”」という番組の放映がありました。かなり視聴率も高かったというふうにお聞きしております。私も拝見しましたけれども、なかなか現場の事業者の方、労働者の方の御苦労というのが見てとれたわけですが、やはりこういう過労運転による事故が生まれるような背景をトラック協会としてどのように受けとめていらっしゃるのか、この点を最初にお聞かせください。
野間参考人 確かに、貨物の運送については、その発時間それから着時間とが指定されてやられる例が多うございます。その場合に、高速を法定速度を守って走るとどうしても着けないはずのような契約もございます。それから、荷主から過積載を前提にした契約を結ばされることもございます。
 そういった面で、そういった法律を守りながらやろうとすると、逆に労働時間が長くなるということもございますし、過労運転につながるということもあると思いまして、私どもも、そういった契約については厳しく対応しているという状況でございます。
塩川(鉄)委員 荷主の無理と思えるような要求があるというお話をお聞きしましたけれども、今回の下請法の改正に対する全日本トラック協会の意見書でも「買いたたきや運賃減額等は」「真荷主と元請事業者との間で大きな問題である」「トラック運送業の運送契約における優越的地位の濫用の問題は、業の特性として、貨物を保有する荷主が運送事業者に対して強い発言力を有することに起因するものである」と指摘をされておられます。
 私も、先日の委員会でこの問題で質問させていただきましたけれども、例えば、北海道や福岡のトラック協会から石油連盟あてに要望書が出されて、そういう意味では、荷主からのタンクローリーへの不公正ともいえるような取引などをどうにかしてもらいたいと率直な要望があったわけです。
 そういう点でも、荷主の優越的地位の乱用とも思えるような、そういった実態の問題について、現状をどのように受けとめておられるのか、お聞きしたいと思います。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
野間参考人 先ほども申し上げましたけれども、私どもが調査した事業者からの意見でございますが、優越的な地位の乱用によって運賃が設定されていると言う事業者が五〇%を超えているような状況にございます。それで、私どもも、荷主企業に対しては何度も適正な運賃ということを要望いたしておりますけれども、要望だけではなかなか通らないという状況にございます。
塩川(鉄)委員 タンクローリーの問題なんかどうでしょうか。かなり具体的に現場では意見なども出されていますが、その実態ということで、一言お聞かせください。
    〔谷畑委員長代理退席、竹本委員長代理着席〕
野間参考人 タンクローリーだけではないと思います。いろいろな貨物を運んでおりますけれども、そのそれぞれについてそういった問題が出てきております。
 それについて問題がございますのは、どういう運送事業者でも、荷主の優越的地位の乱用で不公正な運賃が設定されているという申し立てをすれば、直ちにそれは仕事を失うことにつながっているものですから、そういうことを申し立てることはできないということと、もう一つは、公正取引委員会の方でのガイドラインによりましても、そういった運賃の値下げ、受託者の方から見て不当に安いと判断するとしても、その価格でほかの事業者が私がやりますよというようなことになれば、それはもう公正な競争下にあるんだということで、それは不公正、優越的な地位の乱用ではないというふうに言われておるものですから、今の競争状況で、確かに、この人がやらなければ次の人が、同じ安い価格でやるという人だって出てくるものですから、なかなか公取の方にも異議を申し立てることができないという状況にございます。
塩川(鉄)委員 荷主など発注元に対しても、下請法の中へ取り込んだような、そういった改正をすべきではないかというのが我々の要望ですけれども、公正取引委員会の方は、それは下請法の外の独禁法で対応する問題なんだということで対応していきたいという答弁であったわけです。その点で、同時に、問題になるような事業分野、取引の類型であればそれを是正するというので、特殊指定を行うという話がありまして、今回、公正取引委員会で、荷主と運送業者の関係について特殊指定を行うという話が出されているわけです。これについては、トラック協会としてはどのように評価をされておられるんでしょうか。
野間参考人 下請法の対象にならない真荷主と元請事業者の間について、そういった優越的な地位の乱用を防ぐような手だてが講ぜられるということは、大変ありがたいことだと存じます。
 ただ、先ほども申しましたが、優越的地位の乱用だと認めていただけるのかどうか、そこのところがスタートの点だと思います。
塩川(鉄)委員 今、やはりコストダウンが求められる、人件費も出ないような、過労運転を強いられるような運賃そのものに私は問題があると思っています。
 そういう点で、協会として、この間、適正運賃収受運動というのに取り組んでおられるというふうに聞いております。私はやはり、過労運転防止の観点からも、社会的なこういった問題を解決する上でも、この適正運賃の設定というのが求められていると思うんですが、この適正運賃収受運動の取り組みまた課題というものがありましたら、ぜひお聞かせください。
野間参考人 確かに、私ども、運動のスローガンにいつも適正運賃の収受ということを掲げております。
 ただ、非常に難しいんでございまして、まず事実関係といたしましても、私、もう三十年以上前に、大阪府のトラック協会の大会に出席したときに、そこで認可運賃収受という言葉で運動しておりました。道路運送法によります運輸大臣の認可を受けて設定した運賃ですら収受できないという状況、五年前、六年前の認可運賃しか収受できないという状況にあったわけです。
 それが、平成二年に認可運賃の制度がなくなって届け出運賃ということで、裸でほうり出されたというような状況になりまして、荷主企業側から見ますと、物流コストの削減というのは残された企業コストの削減の宝の山であるというようなことまで言われまして、そういった認可運賃制度がなくなったのを機会に大幅に運賃が安くなっているという状況にございます。
 そういう中で、認可運賃収受ということはもう言えないわけでございますので、適正な運賃をいただきたいということで運動をいたしておりますけれども、そういう状況下ではなかなかそういった運動は実を結ばないという状況にございます。
    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕
塩川(鉄)委員 ありがとうございました。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 こんにちは。社会民主党・市民連合の大島令子でございます。きょうはありがとうございます。
 まず、野間参考人と向参考人にお伺いします。
 今回の改正では、情報成果物、役務の提供に係る下請取引ということで対象業者が拡大されました。それで、もともと製造業における委託取引を対象にしていたわけですので、現行の規制内容をそのまま新しい業界に適用した場合、実際、業界の実態に合った規制となるのかどうか。何か問題点等がありましたら、こういうところを解決しないと実際に運用の面でこの法律のありがたみがわからないとか、そういうことがございましたら、教えていただきたいと思います。
野間参考人 新しい規制が行われて業界の実態と異なるかということは、それほど大きいことはないと思います。先ほど来出ております、資本金で元下の区別をするというところが、トラック運送事業においては全く資本金が逆転して元下関係に立つということが間々あるということはございますが、その対象になるものが下請法で保護されるということについては非常に意味があることだと思います。
向参考人 役務ということでございますけれども、特に当業界だけが特別ということではございませんで、この法案の中で十分それは含まれるというふうに考えております。
大島(令)委員 野間参考人、先ほど冒頭のお話で、協力金、五〇%を超えている事業者が払われているということでございますが、今回の改正で、親事業者の禁止行為としまして、協力金を要請したらいけないということでございます。
 この協力金が、長年、慣行となってきていると思うんですが、業界の皆さんに対して、例えば持ち込み運転手さんですとかあるかと思いますけれども、そういう方々にまで浸透させるためにはどのような工夫とか形でされる御予定なのか、お聞かせいただけないでしょうか。
野間参考人 ちょっと御質問の趣旨から外れてしまうかもわかりませんけれども、私どもの調査によりますと、実勢から見て不当に安い運賃・料金を設定されたとか、あるいは協力金等を強要されたと答える者はたくさんございます。さらに、そのうちの四〇%に当たるものが下請法の対象となるというふうに考えられますので、もしそこが下請法の効果ということになれば、その部分は非常に解決されるのではなかろうかと思います。
大島(令)委員 質問の仕方が悪かったかもしれないんですが、今改正で、親事業者の禁止行為として、決算対策の協賛金、そういうものを要請したらいけないということになるわけなんですが、実際、野間参考人の業界ではそういうことを要請される事業者が大勢いらっしゃるというふうに聞いております。こういう法改正をどのように皆様方に周知していけるのか、実際、慣行としてあるものをどういうふうにして切りかえていくのか、そういうことに関して何かお考えがあったら教えていただきたい。法律に則してということではなくて結構でございますので、お願いします。
野間参考人 私どもとしては、この下請法が改正されるということになりますれば、私どもの機関紙もございますし、関係のある業界の新聞なんかもございます。そういったところを通じて、下請法の中身とかあるいは規制その他について、周知は図っていきたいと考えております。
 ただ、この場合も、元請の方はもともと相当の大企業でございますから、こういった法律の動きというのはもう把握していると思います。
村田委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
村田委員長 速記を起こしてください。
 大島令子さん。
大島(令)委員 向参考人に伺います。
 代金が遅延するということは、下請いじめということもあると思うんですが、やはり親会社の景気の悪化とか倒産によっても代金がいただけないという場合も想定できるわけなんですが、向参考人の業界では、そういう形での代金がいただけないようなケースは今どうなんでしょうか。
向参考人 その点につきましては、比較的ない業界というふうに思っております。
 ただし、微妙なところで、納品をした後、検収期間が若干長引くというようなケースがございますね。いただけないということではなくて、おくれるというような問題はございます。
大島(令)委員 向参考人に伺います。
 今まで向参考人の業界は余り経済産業省の中小企業政策となじみのない業界であるというふうに私は思っているんですが、こういう法律を皆様方にどのようにして周知していきたいなと思っているか、お考えがあれば聞かせてください。
向参考人 大変我々興味を持っておりまして、もちろん下請側の立場が圧倒的に多いわけでございますから関心を持っておりますし、また我々の日々の活動の中でもPRをさせていただいております。
大島(令)委員 下請取引改善協力委員という制度がございまして、親事業者に違反があった場合に、最初こういう方々に第一報の相談が行くと思います。公正取引委員会が民間有識者から全国で約百一名をこういう方に委嘱しているわけなんですが、お三方に伺いたいと思います。
 実際に、この法律が通りまして運用される段階に、どのくらいの人数のそういう取引改善委員の人がいらっしゃるのがいいなとか、そういうところまでお考えでしょうか。
片平参考人 現在の百一名という数は全国で散らばっているわけでございますけれども、一応それぞれの委員は何らかの会のいわゆる仕事をしている人間が多うございまして、その会の会員からの情報収集ということが非常にできますので、これは、ただ数がふえてもいいというわけではないと思います。
 ただ現状では、はっきり申し上げて、協力委員が完全に職務を満足に遂行しているかというと非常に問題が、私自身にも問題があると思いますので、今後は十分に注意していきたいというふうに思っております。
 以上です。
野間参考人 まだ私どもの業界では、法運用に係る体制というものの整備には着手しておりません。
向参考人 私どもの具体的なやり方というのはまだ決めておりませんが、ただ、当連合会、あるいは情報サービス産業協会というのがございます。そういったところが啓蒙活動を図るというようなことで周知徹底していきたいと思っておりますし、また先日も大手ベンダーさんといろいろお話をしている中で、やはり相当この法案については注目をしているというふうに感じております。
大島(令)委員 では、片平参考人にお伺いします。片平参考人には、下請取引改善協力委員というお立場から質問をさせていただきます。
 書面調査を公正取引委員会が実施しておりますけれども、回答率が親事業者が八〇%であるのに比べまして、約十万社の下請事業者の回答率は二〇%しかないわけなんですね。実際、法律で保護される立場の下請事業者の回答率が二〇%というのは意外と、法律の実効性から見て、もっとふやさないといけないのではないかというふうに私は思うんです。
 実際に、公正取引委員会からこういう書面調査、これは製造業なんですが、いただいて、見てみましたところ、非常に書きづらい。質問が、親事業者は五十六項目、それに対応して下請事業者は四十九項目から成っております。
 先般も質問したんですが、今度の改正に当たり、書面も書きやすく、なるべく、親事業者はいろいろな部門、従業員がたくさんいらっしゃるので、専門にこれを回答する人がいるから高いというふうな答弁だったんですが、下請事業者は従業員が少ないので、なかなかこういう回答、書面、時間がないからということで、そういう政府の答弁だったんです。
 実際、現場でこういう書面の書き方の相談を受けたりとか、そういったことはございますか。また、この書面をどういうふうに改善したら、皆さんが下請として困っている、そういうふうな立場から回答しやすくなるのか、御意見があれば聞かせていただきたいと思います。
片平参考人 非常に申しわけないんですけれども、きょうはその質問書を持ってまいりませんでしたが、私どもの会社も下請としてその文書を書いて差し出すようにはなっております。また、私どもの会社から協力会社に出している品物に対しては、逆に協力会社の方で出すような形になっておりまして、ですから両面を持っているわけでございます。
 確かに、例えば我々のところはまだちゃんと事務もしっかりしておりますし、十分それを返答、返事をするだけの力を持っておりますけれども、我々の協力会社になりますと、三人、五人というような小規模企業では、そういうのが来ても、ほとんど実際には書けない状態にあるだろうということで、この辺はどういうふうに今後やっていけばいいか、これはまた自分のところに戻ってくるんじゃないかと思いますけれども、下請取引の改善協力委員というのがもうちょっとそれに対して関与すべきなのかなということは感じております。
 ただ、正直なところを申し上げて、非常に下請関係としては書きにくい問題が随分そこに入っておりまして、これはやはり親会社との関係もございまして、書きにくい問題が多分に入っているということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
大島(令)委員 では、片平参考人に質問をさせていただきます。
 公正取引委員会の作成した資料によりますと、平成十四年度で、申告を受けて違法と認識されたもののうち、警告を受ける事業者は千三百六十二件、勧告はわずか四件でした。
 この数は、実際にやはり問題があったと思われる件数と比べると妥当なものなのかどうか。実際の相談件数はどれくらいあるものなのか。さっき申し上げた数字は、警告を受けた事業者は全国で千三百六十二件、勧告が全国で四件。実際、水面下でどれくらいの相談件数があると推測されますか。教えていただけませんか。
片平参考人 それについては、残念ながら私は資料を持ち合わせておりませんので、どの程度のものがあるかということはよくわかっておりません。
 しかし、水面下で解決されている問題も結構あるだろうということは推測されるところでございまして、やはり地方では協力委員の皆さんも随分それに関与されているようでございますし、そのほか、誤りによって、いわゆる錯誤とかそういうものによって問題が起こっている場合もございますので、それはすぐ訂正されるケースが多いというふうに判断しておりますので、水面下で相当のことが行われているだろうということは推測されるところでございますが、残念ながら資料を持ち合わせておりませんので、数字で申し上げられないのは申しわけございません。
大島(令)委員 片平参考人御自身のところに、実際、年間どのくらいの相談件数がありまして、そして相談を受けた中で、上にまで上げずに済んだ件数というのはどの程度のものなんでしょうか。
片平参考人 ちょっと申しわけないんですが、実際問題、私はこの委員を十年以上やっておりますけれども、申し込まれた問題というのはほとんどございません。
 これはどういう理由かといいますと、やはり皆さんが非常に言いにくい問題が多いということも一つだと思います。ですから、実際に公取の皆様方が書面調査その他で発見されていく問題が非常に多くて、なかなか我々のところに具体的に上がってくる問題というのは少ないというふうに私は考えております。
 書面調査でも、結構、悪いというのを、違っているとわかっていても、そのままお書きになる会社もあるようでございまして、そういうのはやはり錯誤で行われておりますので、そういうものはすぐに訂正されるというふうに私どもは考えております。
 私どもの親会社に対してもそういう問題がございまして、それはすぐに公正取引委員会の勧告によって訂正を、勧告じゃないですね、これはいろいろ御意見がございまして、訂正をされたケースというのは何遍もございました。ですから、我々のところには来ておりませんけれども、直接も非常に少ないんじゃないかなというふうに私は思っておりまして、やはり書面審査、あるいは現実に向こうへ行かれて、書類等を審査された結果で出てくるケースというのがやはり多いんじゃないかなというふうに考えております。
 以上です。
大島(令)委員 では、最後にお三方に質問させていただきます。
 この改正案が通りますと、現状のビジネスのやり方と比べましてどのような点がメリットとして挙げられるのか、またデメリットとしてはどういうものが想定されるのか。今何かお考えがありましたら、聞かせていただきたいと思います。
野間参考人 一番デメリットというのか、契約書類を一件ごとにつくってそれを保存するというところに相当なコストがかかることになるのではなかろうかと思っております。
 それから、ビジネスのやり方にどういうメリットがあるかというのは、やはりその逆の面で、一つ一つの契約が書類で明確化されて、それが法律によって保護されるということでありますから、そういった下請に立つ人たちにとっては大きなメリットになるのではなかろうかと思います。
向参考人 メリットという点で言いますと、まず発注という行為が非常に明確になったり、あるいは納品、検収、請求、支払いといったこの辺の一連の考え方が、まだ若干不十分ではございますけれどもそういった認識が相当強くなる、これは大変なメリットだというふうに考えております。
 特に我々は、仕様が明確であるとかないとか、この辺のところが非常に大事なところでございまして、特に目に見えないものを扱っているということでございますから、この辺は大変メリットのあることだろうと思っております。
 デメリットでございますけれども、これは特にございませんね。手間暇かかってもきちんとやるべきだ、私はこのように思っております。
片平参考人 今までの法律でも、我々の方は非常に多くのメリットを受けております。先ほども申し上げたように、いろいろ修正されたりなんかした問題もございますし、実際に金の返ってきた問題もございます。これがさらに枠が広がったということは、私どもにとっても非常にいいことだろうというふうに考えております。
 なぜならば、だんだんとこれから、ハードだけじゃなくて、製造業でもやはりソフトの注文というのがふえてくるというふうに考えておりますので、そういう面でも、この法律ができることは非常にメリットが大きいというふうに考えております。
大島(令)委員 どうも貴重な御意見、大変ありがとうございました。終わらせていただきます。
村田委員長 金子善次郎君。
金子(善)委員 参考人の皆様には御苦労さまでございます。保守新党の金子善次郎でございます。
 最初に、野間参考人に御質問させていただきたいと思います。
 トラック運輸業界でございますけれども、規制緩和、これによりまして運賃の事後届け出、あるいは営業区域の廃止、さらには台数規制が二十台から五台になったというようなことで、参入が非常に自由になったと言われているわけでございます。そうした中で、会社の数と申しますか、四万社だったものが五万五千社にふえて、いわゆる過当競争の状態にあるというふうに今言われている状態になっておるわけでございます。
 そうした中で、いろいろ巷間言われておりますことは、そこで働く人たちの、いわゆる社会保障、特に社会保険等がつかなかったり、あるいは低賃金になっているんではないかというようなこともよく言われる。
 この運輸業界でございますけれども、労働集約的な業種とも基本的には言えるわけでございまして、下請の単価決定におきましては人件費関係の影響が一番大きく、そうあるべきだろうとも思われるわけでございますが、下請契約における代金の決定をする場合でございますけれども、下請企業の従業員の人件費等が適正に反映されるシステムというようなものを共通的なものとして考える必要があるんではないかと思われるわけでございますが、その点についてお答えいただきたいと思います。
野間参考人 確かに、コストにおける人件費の比率というのは非常に大きくなっております。ただ、昔は、認可運賃のときには、コスト構成をいろいろ全部、洗いざらい出して、それで適正な運賃というものの認可をいただいておったわけでございますけれども、現在は届け出制運賃ということで、一定のものについてはそういったコストの内訳を細かく分類してございません。そういう意味では、運賃が幾ら、それに対して幾らに買いたたかれるかということでありまして、人件費をコストに反映するシステムというものはございません。
金子(善)委員 そういうことも必要なのではないだろうかという観点から御質問させていただいて、参考になるようなお話をいただければというふうに思ったわけでございます。
 そうした中で、親企業あるいは下請企業という、基本的には適正な取引というものを確保していくということが大きな目的でございます。そうした中で、必ずしも親、下請ということではなくて、大口の荷主という関係もあるのではないかと思われるわけでございますけれども、これは法律の、防止法の対象にはならない。この辺の問題がないのかどうか、これにどう対応していくべきかというようなお考えがあれば、お聞かせ願いたいと思います。野間参考人にお願いいたします。
野間参考人 確かに、私どももトラック事業のコスト構成というような調査はしておりまして、先ほどちょっと申しましたが、例えば人件費なんかは平均でいたしますと四〇%前後を占めております。それから一方、人件費そのものを調査いたしますと、一カ月平均賃金ということでいきますと、それほど大きな低下というものは実は見られないんであります。個々の会社では賃金を大幅に引き下げたというような話は随分入ってまいりますけれども、統計上は余りそういった話が出てこないわけでございます。
 そのほかのコスト、いろいろございますが、そのコスト計算に基づいて運賃をいただくというのは認可時代にはあったんでございますけれども、今はそういうのが適正にあらわれるというシステムにはなっておらないです。
金子(善)委員 トラック業界全般について、せっかくの機会でございますので、御意見を御披露いただければと思うわけでございますけれども、環境対策等の社会的な要請もいろいろ強くなってきているという中で、親企業、下請企業、全体として業界もいろいろ大変だというような話も出るわけでございますが、この辺の状況あるいは今後の問題等につきまして、御意見を承れればありがたいと思います。
野間参考人 現在のトラック運送事業者の状況からいきますと、先ほども申しましたけれども、中小企業者というのがもう九九・九%である。従業員が三百人を超える、かつ資本金が三億円以上といういわゆる大企業は、路線、地場トラック含めても六十一社しかない。全体で五万七千社のうち、大企業は六十一社しかないというような状況にございます。
 そうした中で、今言われましたような環境対策ですとか安全対策も非常に強化されつつありまして、大手でも、もちろん中小も、もう大変な苦境下にある状況でございます。それぞれに対しては、その対策の実施に当たって国からのいろいろな助成をお願いして対応していくということでありますけれども、まだまだそれでは十分ではなく、もうこれを機会に成り立ち行かぬという事業者もふえてきている状況にございます。
金子(善)委員 この問題は、政治の場でもいろいろ考えていかなきゃならない課題であろうかと思います。
 ありがとうございました。
 それでは次に、向参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
 ITを活用しました製造販売というようなことの一貫体制を構築しなきゃならない、あるいはインターネットを使った受発注のシステムを開発する、あるいは企業の情報化というのがこれからの中小企業の生き残りの生命線であろうというようなことが一般的によく言われるわけでございます。この点に関しまして、いろいろな政策も打たれているわけでございますが、国の支援もいろいろな意味で必要になってきているんではないかというふうにも思われるわけでございますが、現時点においてと申しますか、業界としてどういうような支援策を特に期待されているかというような観点でお話しいただければと思います。
向参考人 業界としては、やはりITを活用して日本の企業がどうよみがえるか、こういうことを大きなテーマにして取り組んでいるわけであります。
 そのためには、私どもの業界が頑張ってもこれはだめなわけでございまして、やはりユーザーがIT投資をするんだ、こういう環境になりませんと、どうも我々の出番がいま一つ来ないという感じがございます。ただ安いだけの仕事が海外へ流れていくということだけでは、我々の業界も、これは発展いたしません。
 私は両面必要だろうと思っておりまして、大手企業はかなりこのIT化投資というのはやっております、中小、中堅企業のIT化投資というものをもう少し促進できるような、そういう政策はないだろうか。今回IT投資減税という法案が通りまして実施に移っておりますけれども、ぜひ、これはやはり、こういったものも大いにやっていただくべきだろうと思っております。
 それから、ITコーディネータ協会というのがNPOで立ち上がっておりますけれども、こういったものも、いわゆる中堅、中小企業の方がIT化をしていくための相談役といいますか、どうIT化をしていったらいいのか、どのように業務改善をしていったらいいのか、こういう御相談に乗れるわけでございます。こういったものの活用をもっと促進できるような、そういうことをもう少し私どもとしてもアイデアを出していきたい、このように思っております。そういう中で日本の経済の活性化ということをやっていきたい、このように考えております。
金子(善)委員 向参考人におかれましては、全国ソフトウェア協同組合連合会会長のお立場でもいらっしゃるわけでございますので、政治の場にもどんどんいろいろな形で御発言されまして、いろいろな要望をしていただければというふうに思います。やはり、現場でいろいろ御苦労なさって、いろいろなことを考えておられる、そこから、そういうところから本来の政策というものが生まれてくると思いますので、ぜひともいろいろな形で御提言賜れればと思います。
 次に、片平参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 これは平成十三年の十月二十日付の日経の記事で拝見しているわけでございますけれども、大企業の海外進出が余りにも進んでいるというような中で、下請の仕事がなくなったというふうに片平参考人は述べていらっしゃるわけでございます。下請企業、中小企業が一番いろいろな意味での影響を受けているということだと思いますが、バブル崩壊以降の不況が長いこと、あるいはグローバル化、特に中国への進出等々、こういう中で、親企業が海外に進出をしてしまう。不況のために厳しいコストダウンが迫られている。要は大変厳しい経営環境にあるというのが実際のところであろうというふうに思います。
 そうした中で、これはしようがないと言ってしまえばそれまでのことですが、何らかのやはり、小泉総理がサミットからお帰りになりまして、昨日報告がございまして、それに対しまして、私は与党三党を代表して質問をさせていただく機会がありました。本会議の席上で、中国の為替、これはサミットで話が出ましたか、また今後、中国との為替の問題について政府としてどう考えるのかというような質問もきのうさせていただいたというような次第でございますけれども、今、片平参考人とされまして、現状においてこういうことをしてもらいたいというような提案があればお伺いしたい、このように思います。
片平参考人 私は前々からいろいろな方にお願いをしているんですけれども、やはり、ある程度、企業の海外転出をとめる方法を考えていただきたい。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、アメリカがローカルコンテンツ法案というのをつくりまして、資本主義国家としては非常に珍しい法律だと私は思いますが、七五%以上のアメリカの部品を使わなければアメリカ製の自動車とは言わせない、こういう法律でございます。それに基づきまして、日本から自動車部品業界もアメリカへ非常に進出いたしました。アメリカの自動車部品業界がこれで非常に活性化したという実情がございます。
 同じようなことが日本の場合、できるかできないかというのは非常に問題かと思いますけれども、やはり日本製品というからには日本の部品を使うんだということをぜひ考えていただければ、我々部品業界としては非常に助かるんじゃないかなというふうに思っております。現状では、日本のマークをつけておりましても、中身は全然違うというのが非常に多いわけでございまして、この辺が資本主義とあるいはちょっと相反する法律だとは思うんですけれども、アメリカがそこまで踏み切ったということも我々としては参考にしたいな、こういうふうに思っております。
金子(善)委員 向参考人にお伺いしたいと思います。
 同じような観点でございますけれども、先ほどもちょっとそういう御発言もございましたけれども、単純なソフト開発の面等におきましては、今回の法改正がされまして、また対象になってくるということになりますと、海外と申しますか、要は安いところへ、こういうような動きを加速させるようなことになりはしないかという点も心配はしておかなきゃならないと思うわけでございます。その点について御意見等ございましたらお伺いしたいと思います。
向参考人 大変心配しております。多分、海外へどんどん仕事が流れていくんではないか、こう思いますね。それはやはり海外へ発注した方が安いということでございますから。しかも、同じような品質が保てれば、当然そういう流れになっていく。それを食いとめる方策として何かというようなことになります。
 私も中国に合弁会社を持っておりますのでよくわかりますけれども、為替の問題というのが非常に大きいんですね。これは何とかできないものか、こんなふうには思っております。
金子(善)委員 どうもありがとうございました。
 これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
村田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、参考人各位に一言御礼申し上げます。
 参考人の皆さんには、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。
 次回は、来る十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時四十七分散会


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