衆議院

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第22号 平成15年6月11日(水曜日)

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平成十五年六月十一日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君
   理事 井上 義久君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    梶山 弘志君
      小池百合子君    佐藤 剛男君
      桜田 義孝君    砂田 圭佑君
      西川 公也君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    森田  一君
      山本 明彦君    渡辺 博道君
      小沢 鋭仁君    奥田  建君
      金田 誠一君    川端 達夫君
      後藤  斎君    今野  東君
      鈴木 康友君    中津川博郷君
      松野 頼久君    河上 覃雄君
      福島  豊君    工藤堅太郎君
      塩川 鉄也君    矢島 恒夫君
      大島 令子君    金子善次郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   官房審議官)       伊東 章二君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   清水 英雄君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  高原 亮治君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院長)     佐々木宜彦君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局次
   長)           藤井 章治君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十一日
 辞任         補欠選任
  大島 理森君     砂田 圭佑君
  山田 敏雅君     今野  東君
  大幡 基夫君     矢島 恒夫君
同日
 辞任         補欠選任
  砂田 圭佑君     大島 理森君
  今野  東君     山田 敏雅君
  矢島 恒夫君     大幡 基夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第九〇号)(参議院送付)
 下請中小企業振興法の一部を改正する法律案(内閣提出第九一号)(参議院送付)
 小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内閣提出第九二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、下請中小企業振興法の一部を改正する法律案及び小規模企業共済法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官岡本巖君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、中小企業庁長官杉山秀二君、公正取引委員会事務総局官房審議官伊東章二君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君、総務省政策統括官清水英雄君、法務省民事局長房村精一君、厚生労働省健康局長高原亮治君及び国土交通省総合政策局次長藤井章治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野頼久君。
松野(頼)委員 どうもおはようございます。民主党の松野でございます。
 きょうは、三十分という時間ですから、小規模企業共済の予定利率の引き下げ、この辺に絞って質問をさせていただこうかなというふうに思っているわけであります。
 その前に、よく大臣がおっしゃいますが、今、日本の企業の九九・七%が中小企業だということでありますが、今、一番日本の経済で苦しんでおられるのは中小企業の皆さんだと思います。
 先日、中山議員が個人保証をやめろという法案を一つ出されていますし、また、私も地元に戻りまして地元を回りますと、とにかく商店街はどんどん歯抜けの状態になる。また、中小零細企業は、今まで一生懸命歯を食いしばって営業されていた方がもう廃業されて、都合により廃業いたしましたという張り紙が張ってあるぐらい、こういう状況が最近とみに半端じゃなくふえてきているわけです。
 ですから、やはり中小企業をつかさどる経済産業省として最大の支援をしていただきたい、このように思うわけであります。
 まず、経済産業省が支援をする、何が一番必要かと申しますと、やはり金融の部分じゃないかと思うんですね。政府系の金融機関、中小公庫を初めとしてお持ちですから、少し貸し出しをふやすという方向にでき得れば行ってもらいたいというふうに思うわけです。
 それで、ちょっと資料を出していただきましたら、今、政府系金融機関の貸し出しというのが、この何年間かの間に非常に下がっています。平成十四年度の実績ですと、中小公庫の貸し出しが一兆六千五百五十五億円、平成十年は一兆八千億あったんですね。商工中金にしても、二兆三千億あったのが一兆八千億なんです。やはりこれはなるべく貸し出しをふやしていただいて、そして、なぜこうやって貸し出しが減ってきているのか、これをちょっと最初にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 確かに御指摘のとおり、政府系金融機関の中小企業向け貸し出しというのは、民間の金融機関というのは話にならないぐらい減少しているわけですけれども、それでも前年に比して、これは十四年末に比しまして二・六%下がっているわけでございます。これは、やはり総体的には、不安定な今の日本の経済状況の中で、設備投資等の低迷等によりまして全般的な資金需要が弱い、こういうふうに考えられております。
 私どもとしては、そういう厳しい中でも、民間の減少幅は非常に大きなものがありますけれども、中小企業に対する政府系の金融機関というのは、その穴を埋める補完の役割は果たしてきていると思っています。
 ですから、そういう意味では、セーフティーネットの貸し付け・保証、これは逆にふえる、そういう傾向になっておりまして、私たちは、今こそこういう厳しいときですから、やはり政府系金融機関が本当にきめ細かく中小企業の皆様方に対応させていただいて、そしてこういう今の厳しいときに少しでもお手助けをさせていただく、このことが必要だと思っております。
 そういう意味では、両院の御賛同を得まして、例えば借りかえ制度、こういうのも創設をさせていただきましたら、こういう厳しい中で本当に御利用がどんどん伸びております。そんなことも含めまして、私どもは、しっかりと対応をさせていかなければならない、このように思っています。
松野(頼)委員 最初、小泉内閣の発足のときに、公的な金融はもう廃止をするんだということをいっとき言われたことがあるんですけれども、それは、私は思いますのは、あくまでも民間の金融機関が正常な状態の前提が必要だと思うんですね。
 今、公的な金融機関がどれだけ中小企業の皆さんの助けになっているか、これはつけ加えて申し上げておきたいと思いますし、これは個人的なことでありますけれども、私も昔、零細企業を経営していたことがありまして、そのときに中小公庫に助けてもらいました。当然返済をできるだけの収入があるにもかかわらず、民間の金融機関は当時貸し渋りで、なかなかお金を貸してくれなかったんです。
 それで公庫さんに頼みましたら、二つ返事で速攻に出してくれて、その上、私は非常に感動したのは、それが実際売り上げにつながったかどうかは別としまして、公庫さんがお客さんを紹介してくれるんですよ。一応こういうお客さんがあるから、融資と一緒にどうですかといって紹介をしてくれる。ある意味では昔の大手の銀行がやっていたようなサービスを、聞きましたらこれは今でも続けているようでありますから、どうか公的な金融機関をでき得れば一生懸命応援をしていただいて、そして中小企業の皆さんを助けていただきたいというふうに思っているところでありますので、お願いいたします。
平沼国務大臣 経済財政諮問会議の場でも、実は委員の相当程度の人数の方々から、やはりあくまでも官は民の補完に徹して、民でできることは極力民に任せるべきだから、政府系金融機関というのは廃止すべきだ、こういう声が出たことは事実です。
 その中で、やはり今の経済状況からいって、これをやってしまったら大変なことになるということは、私は力説をさせていただきました。そして、今松野先生がおっしゃったように、やはりあくまでも民間が正常の状況になって、そしてさらに日本の経済が安定をした、そのときは俎上にのせて考えることはいいけれども、今の段階ではこれはもう絶対無理だ、こういうことを申し上げました。
 そうしたら、民間の委員の中にも、ちょうど松野先生と同じように、「私の履歴書」にもその人は書かれておりましたけれども、かつて事業を起こして、ずっとやっているときに商工中金に大変世話になったということも「私の履歴書」に書かれている民間人は、それはそうだ、こういうふうなことで、私は、今御指摘の点はそのとおりのことだと思いますし、中小企業を預かる立場としてその線でさらに一生懸命頑張らせていただきたい、こう思っています。
松野(頼)委員 ぜひよろしくお願いします。でき得れば、一つつけ加えたいのは、民業圧迫じゃないかということを非常に公庫も気にして、今民間の金融機関から借りているお金を返済するという借りかえにはまだ応じてくれないようなんですよ。ただ、正常な状態ならそれも通用するんでしょうけれども、今本当に地元なんかを回りますと、五十万、百万の手形でつぶれていく会社が多いので、そこのところをもう一歩考えていただいて、民業圧迫をそんなに気にせずに今どうか頑張るような政策をとっていただきたいと思います。
 続きまして、小規模企業共済でありますが、今回の予定利率引き下げに関しては、私は正直言って一物ございます。今、横の財務金融委員会で生保の予定利率の引き下げの問題が議論をされていまして、国民世論は非常に怒っていると思うんですね。この小規模共済もある意味では同じであるんですが、法律に書かれているから、また説明書に一言書かれているから、この予定利率引き下げは問題がないんだということを役所のレクチャーで伺いました。
 ただ、契約者から見ますと、同じ利率が引き下げられるわけです。ですから、私は、これはやはりもう一回きちっと考え直して、重く受けとめていただきたい。中小企業の皆さんが本当に二万円、三万円と積み立てている姿、私も知っております。この利率が引き下げられているということが今余り知られていないのですけれども、これは非常に大きな問題だと私は思います。
 ちょっと今配らせていただいた資料を見ていただきたいと思いますが、わかりづらいので役所につくっていただいたんですね。例えば、加入年数が三十年で一万円ずっと掛け続けた場合の予定利率の引き下げの金額なんですけれども、当初、A共済であれば千二百万もらえる予定だったんですよ。平成八年、平成十二年、今度の平成十六年の改正を踏まえますと、これが五百万近く減るわけですね、七百九十万の手取りになるということなんです。
 確かに、まだ七百九十万あるじゃないかというふうにごらんになられるかと思いますが、以前の経済状況であれば、ある程度物価が安定して上がっていく中では、きっとこれは昔の状態であればそんなに手取りは大きく感じなかったと思うんですね。実際にこれだけ五百万の金額が下がるわけですから、これはやはりきちっと説明責任を果たすということ、そして経営陣の責任というものもきっちりととっていただきたいというふうに思うわけであります。
 ちょっと細かい話になるので長官でも結構なんですがお伺いいたしますが、平成十二年の四月に二・五%に引き下げられたわけですね。この二・五%から、今回までのこの二年間に経済状況が激変したから今回一%に下げるということを言っているわけですが、一番激変した経済状況、具体的に何の利回りがどれだけしかとれなかったから今回引き下げなければいけないという数字をちょっと出してください。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十年の法改正時におきます際に前提を置いておりましたものとその後の実際の利回りの差でございますが、まず金融債で見ますと、想定金利は一・六%ということにしておりました。実際に平成十二年度、十三年度の利率は一・二六あるいは一・〇九というような数字になっております。
 それから、国債とか政府保証債といった金融債以外の債券ですが、これは大体一・五から一・六というのを想定しておりました。十二年度はそれを上回りまして一・六六から二%ぐらいの金利があったのですが、十三年度は一・三三から一・六二ぐらいということで下回っています。
 それから金銭信託、これは想定利回り三%以上を想定しておったわけでありますが、実際は、十二年度が二・六三程度、それから平成十三年度が二・三五から二・五五ぐらいに下がっております。
 それから生命保険は、二・五%という想定をしておりましたが、実際の運用は一・四五、一・三六というような状況になっておりまして、その結果、フローで見ますと、十二年度に百二十八億円の損が出た、それから十三年度には三百億円の損失金が出たというような状況になっているわけでございます。
松野(頼)委員 ただ、当時、記憶によると、銀行の利子が大体二・三%ぐらいだったのじゃないかと思うんですね。ですから、このときの改正で、二・五ではやっていけないのじゃないかということはある程度予測できたのじゃないかと思うんですね。なぜこのときに予測できなかったのかということをちょっと教えてください。
杉山政府参考人 平成十年度にどうしてこういう前提を置いたかということでございますが、審議会でいろいろ御議論いただいたわけですが、そのときには、そういった金利が下がっている状況にかんがみて、一番直前で一定のタームの中で一番悪いといいますか、低い利率というものが今後ともずっと続くということを前提にして想定をしたわけです。ところが、実際はそれよりもがんがん下がってしまったということで今申し上げたようなことになっているわけですが、当時としては、一定のタームの中で一番低い水準を前提として計算をしたということになっているわけでございます。
松野(頼)委員 ただ、きのうも議論されていました生保の予定利率は今でも三%と言っているんですよ。今回、七兆六千億で百三十五万人の人が加入している共済が、今、一%でここの部屋で議論をされているという。確かに生保と商品が違うとおっしゃるかもしれませんけれども、この三%と一%の差というのは随分あるんですね。
 これは本当に、二・五%で当初議論をして、今回一%に引き下げる、たった二年間なんですよ。この二年間でこれだけ金利を変動させなければいけない、また今回こうやって議論をして一%に下げなければいけないという、この運用のやり方、ポートフォリオのつくり方、この辺はもう一度考えるべきだと僕は思うのですけれども、その辺いかがですか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 この小規模共済は、小規模中小企業等の方々から大変重要な大切なお金をお預かりしているわけですから、それを安全で確実、かつまた効率的に運用するということは、事業団に課された大きな課題だと思います。そういった意味で、今申し上げました安全確実、効率と両面にわたって最大限の努力をして、お預かりした大事なお金をきっちり運用していくということは本当に大事だと思います。
 その意味で、数度にわたって引き下げるというのはある意味でざんきにたえないのでございますが、今後やはり専門家の意見をより聞くということで、今でも専門家の意見を聞きながら基本ポートフォリオを作成してもらっておりますけれども、それについてよく見直すこと、あるいはその評価をきっちりするとか、あるいは外部運用をしている部分については各機関の評価を丁寧にして、場合によったらきっちりと運用主体を入れかえるというような評価の徹底というようなことも十分して、大事なお金をお預かりしているわけですから、できるだけそういった方の御期待に沿うような運用をしなければいかぬ。あるいは、これから独立行政法人になりますと、経済産業省の中に置きます評価委員会がそのパフォーマンスを評価することになります。そういった評価もきっちりするというようなことで、先生御指摘の点はしっかりやっていかなければいけないと思っております。
松野(頼)委員 長官、ちょっと厳しい話になるかもしれませんが、今回の法案の中に、今後の引き下げ、利率の変動は政令で定めると書いてあるんですね。今、専門家の人とか審議会の人とかいうことで意見を承るとおっしゃっていますけれども、これは大臣、大きな問題だと思いますよ。今後、利率の変動は、もう面倒くさいから国会審議は省くんだと言っているわけですから、これはやはり大臣、政治家として、それはないだろうと。
 今回だって、一%に引き下げる審議に別に六十時間とっているわけでもありませんし、三法案一括審議で、本当にこの部分で議論をされているのは何十分、一、二時間のものですよ。それを次からは省くんだ、もう政治家には関与させないんだ、国会には関与させないんだと言っているわけですから、それはちょっとおかしいと思うのですが、ちょっと大臣、それを答弁してください。
平沼国務大臣 ちょっと前の御質問について、大変厳しい経済状況の中で、生命保険が三%でこちらが一%、確かに御指摘の点はあると思うのですが、これはもう松野先生よく御承知のように、生命保険の場合には死亡という形で、この長寿社会の中で、死亡に対するそこのところに余裕が、死亡で余裕が出ると言うとおかしいのですけれども、そういうような中で、ちょっと制度の設計が違うというような形の中で非常に厳しい、したがって一%、こういうことです。
 今のお話の中では、やはりこういう政令で定めて、そして、これから予定利率を変えるようなときに国会の議を経ないでやるのはおかしいじゃないか、こういうことだと思います。
 私どもは、決して国会軽視をするという形じゃなくて、一応政令事項にさせていただきながら、その時々では国会の皆様方の御意見も反映をしながら、それからあと透明性と中立性、そういうものをやはり重んじながら、本当に零細な方々が一生懸命掛けられている大切なものですから、その辺はしっかりやらせていただかなければならない、こう思っています。
松野(頼)委員 ぜひ、大臣、政治家でありますから、政治家の中を通らなくても予定利率の引き下げができる、これは、与野党問わず、内閣に入っている先生方もやはり怒らなきゃいけない案件だと思うんですね。どうか、そこのところはもう一度指導していただきたいと思います。
 長官、もう一点、私は、きのうの生保の予定利率の引き下げの議論を聞いていまして、あれだけ国民が怒っている案件ですけれども、今回のこの共済の利率の引き下げに比べますと、何とフェアなんだというふうに思いました。
 それは、まず手続論ですよ。加入者がきちっと異議申し立てをできる制度があって、加入者が一割以上反対をした場合には予定利率の変更は無効になるわけです。その前段も、株主総会なり社員総代なりできちっとして、そして基本計画を役所に提出して、役所がきちっとチェックをした基本計画をまた戻して、加入者に郵便で通達をして、一カ月以上の期間を置いて、それで一割以上の反対が、九割の人の賛同が得られた場合には予定利率の引き下げをするという、これだけ多くの手続をとっているんですね。
 今回のこの共済、この二日間の三法案一括審議の中で、わずか何時間の審議を経れば、もう二・五%の掛け率が一%になるわけですよ。さっきの示した数字で言いますと、三十年間で一万円掛けていた人が五百万円損をする、これが百三十五万人いるわけですね。これだけの内容をこれだけの国会審議だけで通してしまう。あれだけ国民の皆さんが怒っている生保の予定利率の引き下げの議論が何とフェアなんだという思いで、きのう、私は見ていました。その辺、いかがですか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の引き下げにつきましても、やはり加入者あるいは小規模企業者の方々の御理解を十分いただくということは、当然のことながら、大事なことだと思います。私ども、こういった議論をするに当たりまして、一つは審議会で、そういった小規模企業者の方々の代表に出ていただきまして、いろいろ議論させていただきました。それから、中小企業総合事業団が全国に出かけまして、加入をしていただいている方々に丁寧な、御理解を求めるためのいろいろなアクションもとりました。それから、パブリックコメントという形で広く御意見も賜りました。
 確かに、大変申しわけないことではあるんですけれども、私ども、そういった活動を通じて、小規模企業の方々あるいは加入者の方々の一定の御理解をいただいた、そういうことで今回お願いをするということだと思っております。
 もちろん、こういったことについては、引き続きちゃんと広報といいますか、こういった状況にあるんだということはいろいろなオケージョンを通じて御説明をし、御理解をさらに深めていただくというようなことはやっていかなければいけないというふうには思っております。
松野(頼)委員 これは、加入者が異議申し立てをする仕組みというのはあるんですか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 この小規模企業共済制度は、働いておられる方の中小企業退職金共済などと同様に、異議申し立てというような特定のフレームワークは用意されておりません。したがいまして、そういった異議のある方は、基本的には訴訟になるということだと思っております。
松野(頼)委員 加入者に対しての運用利回りがとれなかったという情報公開は、どこまでされているんですか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 どのような事業団の情報公開かということでございますが、現在、共済の契約者の方々、あるいはインターネットを通じて、全般に資産の構成の詳細、それから実現利回り、これはトータルでございますが、これらについては公開をいたしております。当然のことながら、決算の財務諸表も公開いたしております。その中で、保有しております主要な債券銘柄というものも公開しております。
 ただ、こういった公開というのはより一層深めていくということが重要だと思っておりますので、各資産ごとの実現利回りというものもこれからは公開をするというようなことはしていきたいと思っております。
松野(頼)委員 要は運用の、生保でいいますと経営陣ですね、事業団の皆さんの責任問題というのはいかが考えていますか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、先ほど来申し上げておりますように、こういった予定利率の変更というのは、非常に金融情勢をめぐる環境の変化によって、利回りが想定していたよりも下がってしまうというような状況の中で、こういうお願いをせざるを得ないということになっているわけでございます。そういった意味で、事業団の役職員に責任が全くないということを言うつもりはございませんが、今言ったような経済環境の変化というものがやはりこういうふうな状況をもたらしたということではないかと思っております。
 したがって、これから運用するについて、外部の専門家の意見をよりたくさん聞くとか、あるいは評価をきっちりするとか、そういったような形でもって運用をさらに上手にやっていくことが大事ではないかと思っております。
松野(頼)委員 あと五分になりましたので、ちょっと幾つか飛ばして伺いたいんですけれども、この予定利率の変更で、今加入者がどんどん減っているわけですよ。脱会者が今どんどんふえているんですね。
 平成四年に比べますと、平成四年は十八万件加入者が入っていたのが、今、平成十三年度で七万五千件しかもう入らないんですね。この引き下げのときに送った八ページぐらいのパンフレットを見させていただきましたらば、自己都合の解約の期間が、これはちょっと通告していませんけれども、利率を引き下げるたびに自己都合の解約期間の長さがどんどん長くなっているんです。
 例えば、平成八年前は、百二十カ月から二百四十カ月未満の方は掛けたお金の一〇〇%が戻るようになっていたんですね。平成八年が、利率を四・〇に下げたときですが、百八十カ月から百八十六カ月未満しか一〇〇%返さないんですよ、掛けたお金の。その前の平成十二年度では、二百四十カ月から二百四十六カ月未満の方しか一〇〇%払い戻さないんですね。
 ですから、百二十カ月、百八十カ月、二百四十カ月と、解約しづらくしているわけです。自分が掛けたお金が満額、一〇〇%戻ってくる、その掛ける期間を簡単に延ばしてしまっているんですよ。今回の改正でまた延ばすのじゃないかと思うんですが、要は、解約のときに掛金を一〇〇%戻す期間を延ばすことによって解約の歯どめをかけようとしているんじゃないかと思うんですが、その辺、いかがでしょうか。
杉山政府参考人 自己都合で解約をされる方の掛金が一〇〇%戻る期間、これは先生のおっしゃるようにだんだん延びています。今回は二十年で、二百四十カ月ということで延ばしておりませんが。
 もちろん、これは解約しにくくするという趣旨ではございませんで、一定の収益を、廃業する方あるいは退職される方、それからけが等でやめる方、それから今おっしゃったような自己都合でやめる方、そういった方々にどういうふうに分配をするかということだと思うんであります。
 その際に、おっしゃるように、自己都合の方が不利になるというのはそのとおりなんでございますが、やはり私どもとしては、この共済の趣旨にかんがみて、廃業するとか病気で仕事をおやめになるとかあるいは退職されるというような方にできるだけ、厚くと言うと言葉が適切かどうかわかりませんが、重点的にお支払いをするというのがこの共済制度の趣旨に合うだろうということで、できるだけそういった方々に御迷惑をかけない格好でもって変更していく。その結果、おっしゃったように、自己都合の方にしわが寄っているという面はございますが、ウエートをどこに置いて配分するかという考え方の中で今言ったようなことになっているということで御理解をいただきたいと思います。
松野(頼)委員 いや、長官、これは公取にも本当は聞いてみたいぐらいなんですけれども、自分のところの都合で、運用の失敗によってある程度利率を下げましたと、利率を下げるときにも、異議申し立てする機関もなく、解約で一〇〇%返る期間を勝手に延ばしていくというのは、これは優越的地位を利用した、それに対しての契約者の歯どめなり意見を言う場が余りにもなさ過ぎるんじゃないかと思うんですね。
 ですから、これはちょっともう一回考え直していただきたいと思いますし、もうちょっと、運用する側の理論じゃなく、中小零細企業、本当に二十人以下の企業が掛ける共済ですから、零細企業の立場に立って、掛ける立場からもう一度このシステムというのをどうか考え直していただきたいということをお願い申し上げまして、ちょうど時間になりましたので質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
村田委員長 川端達夫君。
川端委員 大臣、副大臣、御苦労さまでございます。
 今も中小企業総合事業団の運用利率の引き下げのことが議論になっておりましたけれども、金利水準が大変下がってきたとか株式市況が大変悪いとか、運用の環境が非常に悪いことはよく理解するんですけれども、今も御指摘ありましたように、いろいろな部分で、今も専門家の意見をよく聞いてというのがありましたけれども、本当にこういうものの運用自体を、専門家の意見を聞くよりは専門家にやらせた方がいいんじゃないか、わざわざだれかがやるということで専門家の意見を聞くよりはというふうな感想もあるんですけれども。
 そういう中で、資産運用のより適正化、効率化というものが求められることは当然だと思うんですけれども、それと同時に、この事業団自体の経営努力、こんなに利率を下げますというわけですから、その本体としては、まして、皆さんの大事なお金を預かり、そして公的な部分でこの事業団の運営をバックアップしているわけですから、まさに皆さんの貴重なお金と税金でこの事業が成り立っているという前提であれば、しかも、こういう契約者に対しても大変な、ある種の損害、得べかりし利益を損失させるという事態を招くという部分では、事業団自体の経営、運営の努力が当然ながら非常に求められているというふうに思うんです。
 予定利率を引き下げるというのは、その分、経営を合理化した、運営を合理化したから物すごく利率に効くというものではないかもしれないけれども、気持ちとして、責任としては大変重いものがあると思うんですが、そういう観点でどういう努力をされてきているのかということをまずお尋ねをしたい。
平沼国務大臣 それぞれ事業団の役職員は、今御指摘のように、本当に零細な企業の方々の掛金で、そして共済制度ができておりますし、また、国としても税金の面でいろいろカバーをしている、そういう中で一生懸命努力をしていることは間違いない、こういうふうに私は思っています。
 しかし、先ほど来の答弁にもございましたように、やはり余りにも大きな経済の激変、経済の停滞、こういうようなことで金利が劇的に下がってくる、そうなりますと、運用という面で非常に支障が出てくる、こういうことでございまして、私は、役職員もそれは決してなおざりにしてはいなかったと思いますけれども、こういう大きな流れの中で本当に厳しい状況になった、しかし、そういう状況の中でも本当に一生懸命やらなければならないわけでありまして、私は何も、責任はない、こういうことは言っていないと思います。さらにいろいろ工夫をしたり、やるべきことはしっかりやっていくということも必要だと思います。
 また、七兆円の資金をお預かりしている中で、小規模の企業の皆様方に非常に必要な、そういう資金も提供させていただくような制度の中で御利用いただいている、こういうことも努力をさせていただいているところでありまして、川端先生御指摘のように、本当に厳しい状況の中で精いっぱい頑張ってはいますけれども、私どもとしては本当に申しわけない状況になっている。このことについては、やはり、さらに責任を感じて、そして一生懸命に努力をしていく、こういうことではないか、こういうふうに思います。
川端委員 中小企業庁に、これまでのいわゆる経費節減、合理化の努力として何をしてきたかというのを事前にお問い合わせをしました。わざわざお答えいただくと時間がかかりますので。そうすると、役職員の給与の抑制、人件費削減、業務の効率的遂行と不断の努力を重ねていると。確かに、調べますと、役員の給料がどんどん下がっているんですね。背景を調べてみますと、人事院勧告であり、閣議申し合わせであり、別に皆さんの努力じゃなくて、我々も含めてみんな一律の、公務員の人勧の削減も含めた部分で自動的に下がっているのであって、この事業団の努力ではない。
 そして、外目からでありますけれども例えば民間企業は、一定の業績を上げている企業であっても、私にも仲間が、民間人、たくさんいますけれども、このごろ大変だなと。結構偉くなっていますから、ボーナス大分カットされておるんかと聞いたら、四割やと。四割もカットされるのと言ったら、いや、四割になっているんだと。この前の、金融破綻ではないんですか、再生ですか、いろいろなったところでいえばボーナスはゼロだというふうな、やはり厳しい状況。
 利率を下げるなんというのは大変な事態ですから、これが事業団の全部の事業とは申しませんけれども、そういう中で、本当に経費の節減やいろいろな部分の努力が必死にやられているというふうには私は感じられない。大臣、必死の努力をしているとおっしゃるけれども、そういう部分には、本当にイージーな運営ではないのかなという思いが非常に強いんです。
 それで、この事業団は、そうするとどういう形なんだろうということでいろいろ調べてみました。現在の役員の構成は、理事長一名、副理事長一名、理事九名の十一名。もともとは十名なんですけれども、員外的に一名ふえているようです。それで、十一名の役員の中で、通産省からのOBが六名、大蔵省が一名、警察庁OBが一名。要するに、十一名中八名が中央官庁の天下り、いわゆる天下りの方が占めておられる。前任、その前の人を調べてみましたら、前任の場合は、定数が十名で、七名。十一名になって、八名。要するに、七名ないし八名の人が、十一名中ですよ、天下っておられるわけです、理事長、副理事長以下。
 そして、理事の所掌する業務というのがあるんですね。事業団のずっといろいろな業務がある。その業務の部分で、ある理事が退任をすると、同じ役所から必ず来るんですよね。例えば、通産省五名、大蔵省一名、警察庁一名という、一名、一名ということで、大蔵省と警察庁が一名ずつですから、そうすると、所掌しておられたそのポストに同じ大蔵省から来る、通産省から来る、そして交代をされていく。
 これは、要するに、この事業団の役職者のポストというのはまさに役所の持ち物という実態になっているんですね。まさに天下りの指定席という運営をされている事業団の役員構成であるということに対して、どう思われますか。
平沼国務大臣 確かに、御指摘のように、役職員十一名のうち八名が官庁出身でございまして、そして、御指摘のような、例えば理事長の後に副理事長が滑り込んで、同じ役所でやる、こういうことが続いていることは事実です。
 ですから、それぞれの人の経歴を見ますと、例えば当省の場合には、中小企業庁で大変実績を積み、経験を積んで知見、能力を有している、やはりそういう人材が、その仕事の効率的な運用上、適材適所でそのポストについた、こういうふうに私は思っております。しかし、今こういう厳しい世の中の中で、そういう天下りというものに対して大変大きな批判があるわけですから、そういう批判に耐え得るような人事システムというものをやはりこれからは構築をしていかなきゃいけない。
 私は、職業選択の自由というのもあるわけですから、適材適所で、それがしかるべき、本当に適切な人であれば、その任につくことに関しては、それはそれでいいことだと思っていますが、やはり余りそういうものが露骨に出たり、そして、そういう御指摘を受けるようなことがない、そういう人事に将来はしていかなきゃいかぬと思っております。私は、適材適所、こういう形で今まで選ばれてきた、しかし、今の状況の中で、やはりそういう御批判にはこれからは耐え得るような人事システムをつくっていく、こういうことが必要だと思っております。
川端委員 まあ適材適所というお答えになると思ったんですけれども、例えば、今問題になっている共済部門というのは職掌に当然あるわけですよね。理事の処理する業務という部分で、総務、人事、秘書室とかずっとあった中に、共済推進部、小規模企業共済部、倒産防止共済部、共済資金及び共済普及室に関する業務というのがあります。これを調べましたら、理事長と副理事長と担当理事がこの運用の責任の役員である。何代前からかわかりませんが、現及び前理事は、警察庁からの出身者であります。適材適所かどうか知りませんが、本当にそうなんだろうかと私は個人的に思います。
 それで、またこれをずっと調べてみましたら、それぞれ理事長、副理事長が任期が四年、そして理事が二年ということなんですが、例えば平沼大臣は、現在でいえば、小泉内閣総理大臣のもとに経済産業大臣という部分で、いわゆる内閣というものを小泉さんのもとに構成をされている。責任は小泉さんにあるわけです。自由民主党あるいは民主党という党は、代表あるいは総裁選挙を行い、その役員体制を決め、任期は二年。内閣であれば、総辞職するときには全部でやめる。要するにそれは責任体制、執行体制と同時に責任体制なんですよね。
 この事業団は、総会とかいう一区切りあるんですかと聞いたら、ないと言うんですね。もちろん、決算というかは、一年の予算がありますから、あるけれども、総会ということがない。そして、ずっと見ると、それぞれの役職者がばらばらに、来てはやめ来てはやめしているんですね。これは何なんだと。
 こういう組織は、少なくとも皆さんの大事なお金を預かり、いろいろなほかの事業もありますけれども、というときに、ことし一年こういう目標を立て、こういう行動をし、こういう結果が出た、これは理事長のもとの体制である。だれかいろいろな事情で、例えば御病気とかで欠員が生じたら、残任期間を任期として、一区切りついたら、次の年またこういう二年間終わったらという、民間の株式会社はみんなそうじゃないですか。それが、来た人が、理事長も含めて、理事長も副理事長も役員も出先から来て、やめたら次の人がといって、いつでも、いつでもというのは極端かもしれない、いろいろな人がいろいろやっていて、極端に言えば、それぞれにその仕事はその人だけ、所掌は変わらない。
 内閣で、今内閣改造がいろいろ議論されていますが、改造をしようということがあれば、新たに、そうするとこの大臣が非常に有能であり優秀であるし、適材として次はこのポストでやってもらおうということもあるでしょうというのは、全くないんですよね。この部分を見ても、ここの事業団はおかしいんじゃないか、この運営は。これはここだけじゃないと思うんですけれども、たまたまこれを調べた、恐らく全部そうだと。
 こういう体制で、少なくとも普通、これは理事長とかで、大体、七月一日から今度独立行政法人になりますよね、七月一日からなんですね。七月一日から二年間なら二年間、そして退任者が何かの事情で出ればその残任期間で、ことしから二年間はこの体制でやりますというのが正しい姿であると思うんですが、その部分は、御感想と、これからはそうすべきだと思われるかどうか。
平沼国務大臣 最初の部分で、警察庁からも入ってきて、主に管理、そういう部分をやっている、こういう御指摘がありました。これは、やはり多額の金銭を預かる、それから管理を非常に厳正にしなきゃいけない、そういうような観点で、そういう出身者を、能力を買って私は雇っていると思っております。
 それからもう一つ、ばらばらというのは、確かに御指摘でございまして、そのような任用には結果的に相なっておりますけれども、それは、この業務の継続性というものに関して、それを損なうことのないように、ある意味では適材適所でやった、こういうことを私は思っております。しかし、御指摘のように、そういう面も、いやしくも外から疑われてはならない、そういう体制をつくっていかなければならない、こういうふうに思っております。
 そして、平成十六年の七月一日に独立行政法人中小企業基盤整備機構となるわけであります。この独立行政法人におきましては、行政庁の事前の関与を減らしまして、事後のチェックの仕組みを取り入れることを基本方針にするわけであります。そのため、理事につきましても、法人の自立性を確保する観点から、法人の運営責任を負う法人の長が、独立行政法人通則法第二十条第三項に基づきまして理事を任命することになっておりまして、主務大臣の認可は特に必要とされていない、こういう仕組みになります。また、担当業務に関しましては、これまでも特殊法人の長に決定権があるわけでありますけれども、独立行政法人となることにより、法人の長みずからが、みずからの責任において決定することがより明確になる、このように認識をしております。
 このように、独立行政法人の理事につきましては、法人の長が適材適所の観点から、みずからの判断により、公務員だけではなくて、民間を含めいろいろな分野から幅広く人選を行う、こういうことになっております。
 さらに、毎事業年度終了後及び中期目標期間終了後には、外部有識者から成る独立行政法人評価委員会が、いわゆる法人の業績を厳正に評価をしまして、その評価結果をよく見まして、解任も含めて役員人事に的確に反映する、こういうことに相なってまいります。
 そういうことに相なりますので、今御指摘のような、やはり、本当に役職員がその任期の中で責任を持って明確に職務を遂行できる、そういう体制をとっていくべきだと思っておりまして、独立行政法人になりますと、今申し上げたような形で運営をされる、そういう面では、そういうことが担保されていく、こういうふうに思います。
川端委員 担保されないと思うんですよ。
 何がおかしいかといいますと、例えば、あした内閣改造があって、平沼経済産業大臣が財務大臣に就任をした、任期は二年だと。それで、三カ月後に小泉総理はかわったけれども、おれは任期が二年あるから残っているという話なんですよ、この今の仕組みは。これが事業の継続性から必要だからというのは、それは役人が書いた答弁でしょうけれども、間違っていますよ、これは。
 要するに、責任体制じゃないんですよ。ということは、自分の部下が、任期が残っていたらずっとおるということなんですよ、できが悪かろうがよかろうが。しかもその仕事を変えることもしていないんですよ、一回も。そういう人が理事長のままで、今よりも監督権限をなくして好きにしなさいということは、どんな危険になるかということを私は懸念しているんです。ですから、その部分でほかにも、ちょっと時間がありますから、そういう問題をまず指摘をしておきたい。
 そして、調べさせていただいて恐縮なんですが、大臣の月額報酬は百六十四万六千円なんですよ。私の月額報酬は百二十三万七千五百円なんですよ。理事長の月額報酬、幾らぐらいだか御存じですか。後ろを見ずに、大体どれぐらいだと思われますか。感覚的で結構です。
平沼国務大臣 詳細にはわかりませんけれども、百三十万から百四十万ぐらいの感じじゃないかと思います。
川端委員 国会議員が今、まだもらっていませんが、六月の歳費とか十二月の歳費、計算上でいってみますと、百二十三万七千五百円が我々の歳費、ここの理事長の歳費が百二十四万一千円、プラス特別調整手当十四万八千九百二十円。一時金が、国会議員は六百七十一万八千九百二円に対して六百九十二万。少し上ぐらいの処遇なんですね。これは、高いか安いかは別にしまして、という数字です。そして、理事長を四年、これでやられたら退職金は幾らぐらいもらわれているのですか。
平沼国務大臣 これも詳細は承知しておりませんが、大体三千万以上ぐらいではないかなというような感じがいたします。
川端委員 そんなにはもらっていませんで、今の計算でいいますと、千六百六十七万九千円。計算式が、本俸掛ける在職月数掛ける〇・二八なんです、前は〇・三六だったんですが。一般職員は月額掛ける在職年数掛けるある係数なんですよ。これでいいますと、伺いましたら、大体平均二千三百万ぐらい、何十年か勤めていて定年でおやめになったらもらわれている平均額が、もう少し高い人もおられますけれども、というときに、四年で千六百万円じゃちょっと高いんじゃないのという議論がずっとあることは御承知だというふうに思います。
 そういう中で、今回、要するに中小企業の経営者の退職金共済の話をしているんですよね。毎月一万円積み立てていて、先ほどの部分では、このつけられている資料でも、毎月一万円二十年積み立ててもしも会社がつぶれたりしたら二百三十三万もらうというけれども、自分のお金ですよ。ほとんどこれ、利回りはないという話なんですよね、二百四十万積み立てて。という世界のときに、それを運営している事業団のトップは四年勤めて千六百万退職金もらうというのは許されるんだろうか。
 いや、公務員に準じた制度がこうこうというのはいいですよ、別に。しかし、これから独立行政法人になるときも含めて、こんな実態で、皆さん入ってくださいと言って、入る人がいると思われますか。私は、ふざけるなと言われると思うんですよ。ここの役員はみんなこの退職者共済に入ったらいいんですよ、自分で。わざわざ国が税金で面倒を見て、四年で一千六百万も退職金を払って、そして中小企業のおやじさんからは月一万円、二万円、税金控除しますよと言って集めて、ちょっとだけの期間だったら八割しか返しません、利息はまだ下げますわと。こんなことをやっているというのが実態なんですよ。どう思われますか。
平沼国務大臣 これは確かに、今御指摘のように、給与体系なんというのは非常に高い、そういう世間の常識から見ると高い、こういうことになっている、それは事実だと私は思います。
 しかし、やはり今の公務員のいわゆる就業体系というものも見ますと、やはり高齢化社会になってきて、五十歳前後で肩たたきが始まる、そういうようなシステムも一つ大きな問題があります。ですから、そういう雇用システム全体をやはり変えていくということも大前提として、天下りを考えたときには、やはり必要な議論、必要なとるべき措置ではないかと思っています。
 ですから、そういうことも含めて、やはりこの高齢化社会で、給料のピークというものを五十歳中半ぐらいに持っていって、後は知識と経験を生かしてさらにこの高齢化社会の中で働いていく、しかし給与はだんだん下がっていく、そういうようなことをしてやはりこの根っこを絶っていかないと、今の状況の中でこの天下り、そして御指摘のそういうことはなかなか改まらない、私はそんなことを基本的に思っております。
 しかし、今の御指摘で、本当に短期間で千五百万を超えるような退職金、あるいはまた大変な高い給与、そういうことを考えたときに、やはり大きな中でそういうものを改めて、そして国民の皆様方が納得するそういう形をつくっていくことは私は当然必要なことだ、こういうふうに思います。
川端委員 天下りの部分で、五十歳ぐらいから肩たたきが始まるというのも一つの問題としてあることは御指摘のとおりです。現理事長は六十五歳から就任しているんですよ。副理事長は六十歳からです。前理事長は六十二歳から六十八歳までですよ。副理事長は六十三歳から六十五歳までですよ。関係ないじゃないですか、この問題に関して。確かに五十一歳、五十二歳という方も何人かおられる。しかし、その問題を含めて、必ずしも今言われただけではない。そして、実際こういう事業団が、こういう事業が果たしてやるべきなのかということにもかかわってくる。
 私は、言われましたけれども、確かに今の制度というのは公務員全体の制度であり、そして、それぞれの給料体系や退職金の仕組みも、役所の論理でいえばみんな正当性があるんですよ。しかし、ここにおられる大臣も副大臣も政治家です。政治家としてじかに有権者、中小企業の人だけではなくて、世の中に接しておられる。ポピュリズムで言えという話じゃなくて、その実態と感情から見て、おかしいと思われませんか。私は……(発言する者あり)そうなんです。これから言おうとしたことなんです。おかしいんですよ、これは、どう考えても。おかしかったら、これをきっかけに経済産業省は、大臣のもと、多分、西川副大臣でも高市副大臣でも特命を命じて、あらゆる関係する事業団の実態を調査して、そして直すべきだと。そして独立行政法人に移行をする部分があってもこの悪いところは温存させてはいけない、必ずこう変えるということでやるというのが政治家としてやっている人の責任じゃないですか。
 私は、このやっている部分の方を見れば、みんな元中小企業庁長官ですよ。次長ですよ。そして、現に人事、総務を取り仕切っている人がまた中小企業庁出身者ですよ。ここにおられる人のOBですよ。そして来るのは後輩が来る。そして、今所掌していられる人は先輩の話ですよ。だれが手をつけられるんですか、そんなこと。それは役所の自浄能力ではできないから、皆さんがやらねばだれがやるんですかと。世の中と乖離していますよ、この議論は。それは政治家としてどうですか。
平沼国務大臣 その御指摘の点は重く受けとめさせていただいて、やはり国民の皆様方が納得するそういう体制をつくることは私は必要だ、こういうふうに思います。
川端委員 時間が来てしまいましたので終わりますが、国民が、小泉内閣が改革だと叫ばれた、それはこういうところに大なたを振るってもらえるという期待だったんです。しかし、現実に今どんどん動いていっている部分は逆じゃないか。この部分は、政治家としての閣僚が手をつけずにだれがやるのか。だれもできないんです。その部分を改めて指摘して、次期総理とも言われる大臣でありますので、しっかりとその部分を行動していただきたいと要請をして、終わりたいと思います。
 以上です。
村田委員長 鈴木康友君。
鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。
 今回の法案に入る前に、電力の問題につきまして幾つか御質問させていただきたいと思います。
 六月に入りまして、いよいよ電力危機というものが大変に緊張の度を増してまいりました。最近、私の周りでもよくこの話題が出ます。先日も、あるコンピューター会社の社長さんが、もし大停電なんということになったらうちの会社は大変だというふうに非常に頭を抱えておられましたけれども、先日も急に暑くなった日に、かなり電力需給が逼迫をして緊張の度を増したということも聞いております。
 そんな中で、六日に大臣が新潟を訪問されました。我々も以前から、とにかく大臣が現場へ行って、首長さん初め関係者の皆さんに、エネルギーの最高責任者としてこの原発の安全性についてきちっと責任を持ちますよということをお話しされて御理解を得てほしいということを申し上げてきたことからいえば、このことについては大変に評価をさせていただきたいと思いますが、今回のこの訪問の目的からまずお伺いをしたいと思います。
平沼国務大臣 この経済産業委員会でも、何人もの委員の先生方から、責任者たる私が現地に行ってよく話し合いをすべきである、こういう御指摘をいただいておりました。もとより私も、当初からそういう気持ちを持っておりました。今回は、地元の皆様方のそういう御理解と御要望を踏まえて訪問をさせていただきました。
 まず、私は、柏崎市の市長さんと、それから議会の議長さん、副議長さんに、立地で大変御協力をしていただいているのに大幅に信頼を損なったということに関しては、率直におわびをさせていただきました。そしてさらに、やはり電力の断絶があってはならない、そういう意味では、安全性というものは、拙速は許されないけれども、一つ一つその安全性を確認してしっかりと確立をさせていただきたいという決意表明をさせていただきました。その足で、これはなかなか今までなかったことのようでございますけれども、市議会に行かせていただきまして、市議会の議政壇上から市議会の皆様方に同様のことをさせていただいて、御理解を求めました。
 それからさらに、刈羽村で、村長さん、そして村議会の皆様方にも同様のことをさせていただき、そして今度は、県知事、そして県会議長にも同様のことをさせていただき、また、夜は、住民集会に出させていただいて同様のことをさせていただきました。
 したがいまして、私は、電力の断絶は絶対起こさないという決意の中で、立地に協力してくださる地元の皆様方に、率直なおわびと、そして安全はこれからしっかりと担保していく、その決意を表明させていただいた、そのことで行かせていただいたところでございます。
鈴木(康)委員 大臣が大変に精力的に現地で活動していただいたということであります。その誠意や思いというものが現地の方に伝わったことを私も大変に期待するわけでありますが、大臣がそういう形で現場へ入られた、そのときの空気と申しますか、皆さんの手ごたえというものはどんな感じだったのか、その点について率直な感想をお願いしたいと思います。
平沼国務大臣 私は、当初お伺いするときは、そういう意味では大変な御迷惑と心配をおかけしていましたから、実は相当強いそういう御批判の声ですとかいろいろな御意見が出るんじゃないか、こう思っておりましたけれども、皆様方は大変冷静に私の話を聞きとめてくださいました。しかし、安全と安心というものが一番大切なんだから、そのことをひとつしっかりと確立してほしい、こういう共通したお声があったことも事実でありまして、私は、立地の皆様方が本当に冷静に受けとめていただいて、そして私どもの話もしっかりと聞いていただいた、こういうことが率直な感想でございます。
鈴木(康)委員 新潟とともに東電の原発施設が集中をしております一方に福島がございます。この福島の方は、九日の日に県議会が、国が安全宣言を出しました第一原発の六号機の再稼働の容認をいたしました。知事も、この再稼働の是非を、これから県民の皆さんの意見なんかも聞いて今月末までには判断したいということの報道がございました。
 新潟は今の御説明で理解をしましたけれども、この福島の方は今後新潟同様訪問の御予定があるのか、新潟とまた異なった地域であるだけに、この福島に対する対応はどうされていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 東京電力は、十七基の原子力発電所を有しています。そのうち七基が新潟でございまして、十基は福島県が受け持っていただいています。ですから、福島も同様大変御協力をいただいているところでございますから、私も従来から、地元の方々が、平沼出てこい、こういうことであれば、いついかなるときでもお伺いすることはやぶさかではない、こういうふうに申し上げています。ですから、そういう意味では、いつでもお伺いする態勢はできております。そして、今御指摘のように、例えば原発の立地の双葉郡の町村会でも県議会でも、そういう前向きなお話になりつつあります。
 ですから、必ず近い将来、そう遠くない将来に私はお伺いすることになる、こういうふうに思っておりまして、よく地元の皆様方と連携をとりながら、そして現地に行かせていただいて、そしてエネルギーの責任者として私も一端の責任を果たさなければいかぬ、こういうふうに思っています。
鈴木(康)委員 六月も既に三分の一を過ぎまして、電力のピークと言われる七月まで一カ月を切っているわけでございまして、やはり急ピッチで、一年、二年のタームがあれば別ですけれども、そういう状況ではございませんので、ぜひそこはお願いをしたいと思います。
 少し具体的に御質問したいと思います。
 これは私の勝手な皮算用もあるんですが、先ほどの福島第一・六号機に加えて、福島第一の三号機と柏崎刈羽の七号機、この三つが何とかめどがつくんではないかというふうに思うわけであります。これらの出力を足すと、三百二十四万キロワットであります。そうしますと、このほかに近々めどがつきそうな福島第一の四、五号機、それから福島第二の一号機、柏崎刈羽の四号機の、この四つのうちの二基程度が再開できれば、今の東電の供給能力からすれば何とかこの電力危機というものを乗り切れそうな感じがするので、まあ予断は許されませんけれども、少し先が見えてきたというか、目標が見えてきたんではないかというふうに私自身は考えておるわけです。
 その点のことを踏まえまして、今後の施設再開に向けての見通し、あるいはこの七月の電力ピークに向けての対応というものについてお伺いしたいと思います。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 この夏の東電管内のピーク電力の見通しというものは、去る五月八日に需給対策本部で発表しましたとおり、過去の実績を見ますと、六千四百五十万キロワットぐらいのものが想定をされております。一方で、東京電力の供給力は、柏崎六号を加えまして、今現在、おおむね六千百万キロワットという状況にとどまります。したがいまして、このままの状態で推移しました場合には、かなり大きな需給ギャップが避けられないという状況にございます。
 先生今御指摘の、原子力発電所のさらなるこれからの運転再開ということにつきましては、先ほど大臣からもお話ございましたように、一基一基それぞれ安全を確認し、かつ、その結果を地元の皆さんに丁寧に御説明申し上げて御理解をいただくという、その段取りを一つ一つ着実に踏んでいくということが不可欠かと考えております。
 先般、大臣が柏崎刈羽に行かれ、保安院長も福島の県議会全員協議会に行って御説明申し上げるということを今現在やっているところでございまして、何基がいつまでにということを今申し上げるのは、これは差し控えさせていただきたいと思います。
 他方で、私ども、東京電力に対しましては、今もって大変厳しい状況にございますので、追加供給対策、それから大口の需要家を初めとする需要家の方々に、夏場に向けて節電、あるいはピークの時間帯における需要を減らすような工夫というものを最大限協力取りつけをできるように、東京電力に日ごと相談をし、督励をしているところでございます。
 加えて、国民の皆さんに、いろいろな方法での節電というものをPR、あるいは節電の協力お願いのキャラバンとか、そういったこと、あらゆる手だてを講じて、夏場を何とか、供給途絶というようなことは断じてこれは避けなければいかぬと思っておりますので、その方向に向けて関係者の皆さんに一様に御努力をお願い申し上げ、そのことに向けて、私ども行政としても、誠心誠意今お願いをし、それから推進をさせていただいているところでございます。
鈴木(康)委員 拙速にやって安全性を欠いてはいけませんけれども、とにかく厳しい状況にございますので、ぜひ今後も鋭意御努力をいただきたいと思います。
 さて、原子力安全・保安院の分離の問題について、一点御質問したいと思います。
 この点につきましては、後ほどまた質問があるかと思いますが、六月の二日に、事務次官の定例記者会見でこの問題が質問に出ました。御承知のとおり、福島の佐藤知事が、保安院の分離というものを、安全と規制の分離というものを原発再稼働の条件に出したということもありますけれども、その中で、記者の質問に答えまして、次官が、前半は省略しますけれども、安全性の確保ということが非常に重要だということを受けて、
 今回の東京電力の案件につきましても、品質保証、品質確保という話が出てまいりました。これは、とりもなおさず、事業者のサイドの事業者自身による安全への努力というものをきちっとした企業ガバナンスのもとで実効性を上げていくということを意味しているわけでございますが、果たして、この実効性を上げ、かつ監視していくシステムというのが、行政と事業者だけでいいのかどうかとか、いろいろな仕組み、システム自体の問題にかかわってくる問題があろうかと思います。
  ここにつきましては、今この場で私個人の考えを申し上げる場ではないと思いますので、これ以上申し上げませんが、いろいろな意味で、従来にない発想でシステム全体というものをもう一回考え直していくというようなことは、片方で必要だと思っております。
こういう御発言がございました。
 この保安院分離の問題を受けて、こういう次官のお話があったわけでありますが、この真意というものについて、いかようなものであるのか、そこをまずお伺いしたいと思います。
佐々木政府参考人 村田次官の記者会見では、経済産業省に置かれた原子力安全・保安院が安全規制を行い、それを原子力安全委員会がチェックする、ダブルチェックシステムが現実的で意味のある仕組みであることを申し上げたと考えております。
 原子力安全・保安院が経済産業省に置かれました背景としては、中央省庁再編を決めた当時の行政改革会議における議論におきまして、資源の乏しい我が国において原子力は非常に重要なエネルギー源であることから、これを責任を持って推進していくことが必要であり、そのためには、安全規制の側面についても十分理解した担当大臣が推進も担当することが重要であるといった趣旨の議論が行われ、経済産業大臣が安全規制を担当することになったものと承知しております。
 一方、安全規制の中立公正さを担保するため、内閣府に置かれました原子力安全委員会が、原子力安全・保安院による安全規制の実施についてダブルチェックを行う体制がとられてきましたが、昨年の電気事業法などの改正により、原子力安全委員会の機能強化が図られ、ダブルチェックが強化されたところでございます。
 なお、ダブルチェック体制につきましては、かつての原子力船「むつ」のトラブルなどを教訓として、安全規制を一つの規制当局だけで実施するのではなく、原子力安全委員会という別の組織が監査することが適当であるとの考えのもとで導入されたものであると承知しておりますけれども、規制当局といたしましては、このような別の監査する組織の存在を常に意識しながら、高い緊張感を持って規制の実施に当たっております。
 村田事務次官が先般の記者会見で申し上げました信頼度の向上については、今回の問題を踏まえまして、国として、安全確保には万全を期すとともに、失われた国民の信頼を回復することが最も重要な課題であり、そのためには、品質保証など安全確保についての事業者の取り組みを強く促していく仕組みなど、幅広い観点から必要な対策を講じていくことが必要であることを申し上げたと考えております。
 そのような観点から、現在、昨年の法改正などを踏まえた各種基準の整備など、規制の制度面での見直しや検査の手法の見直しなど規制の実効性の強化、地元への説明努力などさまざまな取り組みを行っておりますけれども、今後とも、規制当局として最大限の工夫と努力をしてまいりたいと考えております。
鈴木(康)委員 いや、そんな、今までの公式見解みたいな答えを聞きたいわけではなかったわけでありますが、ちょっと大臣にお伺いします。
 私たちは、既に何度もこの場でも御質問申し上げているので御理解いただいていると思いますが、とにかく推進と規制というものをきちっと分けて、責任体制を明確にするということを申し上げてまいりました。私たちは、原子力安全規制委員会設置法という議員立法も何度か出させていただいていますし、また今、再度提出をする予定もしておりますが、大臣、これまで、今のダブルチェックの仕組みでいいということを何度か御回答いただいているわけですが、今の段階で、今までとその考えは変わっていないのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 何度か答弁で申させていただきましたけれども、やはり、一方においては国の基幹的なエネルギーとして推進をしていく、その際には、やはり推進する側が責任を持たせていただかなければいけない、そういう意味では、原子力安全・保安院、ここもしっかりと携わる。しかし同時に、やはりこれは、原子力というのは安全性をいかに担保するか、こういうことですから、内閣府の中の原子力安全委員会がしっかりとチェックをする。
 そういうダブルチェックシステム、これは前回の法改正でもさらに強化をさせていただいたところでございますから、そういう日本の今の状況の観点から、本当に民主党の皆様方の御提言もよく踏まえながら、しっかりとダブルチェック体制を強化してこの安全性を確保していきたい、こういうふうに思っているところでございます。
鈴木(康)委員 もう一点だけ、ちょっと簡単に。今の、済みません、これで最後にします。
 今、東電の問題を受けて、与党三党の中で保安院分離の問題を検討するという情報も実は来ているわけですが、大臣は、あくまで今の仕組みのままでいいとお考えなわけですね。その点だけ確認したいと思います。
平沼国務大臣 やはりいろいろ御議論していただくことは大事だと思います。しかし、法改正もそういう形で強化させていただきましたし、やはり推進をしながら安全を保っていく、こういうことでありますと、私どもとしては、今のシステムでしっかりとやらせていただく、こういうことでございます。
鈴木(康)委員 ありがとうございました。
 それでは次に、今回の下請法につきまして御質問をしたいと思います。
 今回の下請法の改正の議論の中で、資本金の額によって事業者が規制対象になるかどうか決めているという部分、ここが一つのポイントとなりました。今は基準が資本金三億円超と資本金一千万超三億円以下という二区分でありますが、これでは規制の対象から外れてしまう取引が非常に多いという議論があったと思います。そして、我が党も今回、もう少しきめ細かな対応をするために、一億円という基準、一つのバーをそこに追加するということも主張してまいりました。当然、私もこうしたきめ細かな対応というものには賛成でございますが、それ以上に、私は、資本金の大小だけで決めるということがいかがかなという気がしてなりません。
 私の知っている会社にも、たしか資本金が四千五百万で売り上げが七百億を超える会社がございます。当然いろいろな下請さんとの取引もあるわけですが、ここが下請法の違反をしているということはありませんが、仮にこの会社、この法律で対象としますと、資本金一千万を超える下請さんは対象外になってしまうわけですね。これはもう、私は、そういう枠外に飛び出てしまう会社がいっぱいあると思いますし、逆に言えば、資本金というものが本当にその会社の規模あるいは実力というものを日本の場合正しくあらわしているのかどうかということについても疑問だと思うんですね。今の私の知っている会社でも、資本金は四千五百万ですけれども非常に優良企業でありますし、七百億という売り上げも達成をしているわけであります。
 日本の株式会社の場合、どうも平均的には過少資本というふうになっているケースが多いというふうに言われているわけでありますが、そういうことも含めますと、資本金ということにこだわらず、取引の実態に合わせて法を適用していくべきだと私は思うのですが、その点について、御見解をお伺いしたいと思います。
竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。
 資本金基準だけでというのは荒っぽ過ぎるのではないかという御趣旨だと思いますが、下請法というのはそもそも独占禁止法の補完法でございまして、すべては独占禁止法の中に盛り込まれているわけですが、独占禁止法を直接適用したのでは、非常に日常的に多数行われている取引の、特に中小企業の方々が多い下請事業者の保護に、間尺に合わないというか、すぐはなかなか迅速に適用しがたいというところから、一定の簡明性を持って、迅速に下請事業者の保護に資するような仕組みとして設けられているというのがそもそもの法律の存在理由だと私ども思っております。
 まあ、そのとおりだと思うのですが、そこからいたしますと、いろいろ取引の実態にきめ細かく応ずれば応ずるほど、それは個別の事業者の観点からはプラスかもしれませんけれども、一方で、この法律は、親事業者に対してかくかくしかじかのことをしなさい、例えば書面を交付しなさい、次に掲げることをやってはいけませんよ、そういうことに違反すると罰則ですよというところまでかかっているものでございますから、きめ細かさのメリットと、法的安定性といいますか簡明性がなくなりますと、さて、では具体的な取引で、例えば取引依存度がどうだとか従業員数がどうだとか売上高がどうだというようなことまで一々見て、自分が下請者と取引しているのかどうかという、親と下請の関係の判明が非常に混乱すると思うのです。
 そうしますと、もともと法律をつくった一番のメリットが失われてしまうということがございますので、やはり世の中を見回してみると、資本金基準というのが、それだけで一〇〇%ニーズに適応できるかというとそうでない面もあることは確かでございますが、やはり大数観測でいきますと、これが一番安定性があるということでございまして、そういうことで、下請法につきましては資本金基準で精査していただいている。
 先ほどお話の中で、一億円基準のお話、確かにありました、参議院でも大変な御議論をいただきました。私どもは、中小企業基本法に基づく分類に沿ってやるのが、それでお願いをしたいということで、その点は修正にはならずになっているわけだと思っておりますけれども、仮に一億円にしたらどの程度の下請の取引が対象になっているかというと、そんなたくさんじゃございませんで、五・九%ということでございますので、そういうことからいいましても、やはり中小企業基本法で言っている、製造業の場合は三億円超、あとは一千万、その資本金基準というものを引き続き堅持させていただきたいと思います。
鈴木(康)委員 私は、今お答えいただいたわけでありますが、要は、この法律で目的とすべきは、商取引の中で発注する側というのはやはり優越的地位があるわけですから、そういう立場を利用してはならない行為類型、九類型つくっていますね、受領拒否でありますとか支払い遅延でありますとか、こういう行為をしないように、それを阻止するというのがこの法律の目的であるわけですから、この点、私は、やはり資本金で分けるというのはおかしいのじゃないかと。
 資本金が小さくても非常に優良で、先ほどの例にもある例えば売り上げ規模の大きな会社が、ではそういう違反してはならないような行為類型で発注される側に不当な行為をしている、こういうことを取り締まるということが、そういう実態を取り締まるということがこの法律の目的ではないかと私は思うのですが、いかがですか。
竹島政府特別補佐人 資本金基準に外れてというケースはあり得るわけで、もしもそういう企業が、中小企業の定義から言えば中小企業かもしれない、しかし、大変な特許か何かをお持ちで優越的地位を働かす可能性があるというところは、現に、取引先との間で優越的地位の乱用をした場合には、それは個別事件としまして、独禁法に基づいて、具体的にその法律に照らして措置をする、こういうことになります。
鈴木(康)委員 では、独禁法に照らして、優越的地位を利用して不当な取引をしたということで取り締まられた件数は何件ですか。ほとんどないでしょう。
竹島政府特別補佐人 件数は今手元にありませんけれども、あることはあります。よくあるのは、大規模な小売業者が納入業者に対して優越的地位の乱用行為を働かすというようなことが私の記憶にございますが、先ほどおっしゃった、先生の地元で、製造業で、中小企業に属するところが下請的なところに対して優越的地位というのは、一般的には発生しないものだと思っております。
鈴木(康)委員 私は全く逆だと思うんですね。独禁法で取り締まることが先ほど言ったようにきめ細かくできないから、この下請法でそれをフォローするという形でできたというふうに私は理解をしている。だから、下請法が独禁法の穴を埋めるということでありますから、その穴を埋めるべき下請法がまた穴だらけであったら問題なわけですね。
 時間がありませんから、ちょっとその実態についてお伺いしたいと思うのです。
 違反行為の摘発ですけれども、昨年の実績で、千二百六十二件が書面交付を怠ったなどの手続規定違反だということであります。そして実際に、先ほどのような、してはならない行為をしたというような実体規定違反が八百七十四件ですね。これは八百七十四件ですよ。中小企業は日本で今五百万社とも言われていますけれども、たった八百七十四件で網羅されているのでしょうか。
 特に、私が非常に気にするのは、先ほどの資本金区分できちっと把握できるような会社じゃないんですね。二次、三次、四次という下請さんで、例えば、一人、二人、御夫婦だけでやっているプレス加工の会社でありますとか、あるいは二、三人の主婦が集まって内職をしているような、配線加工なんかをしているような会社でありますとか、そういうところがいっぱいあるんですね。こういうところが、例えば不当な取り扱いを受けた、これはちゃんと今フォローできているんですか。
竹島政府特別補佐人 そういう零細な方々だけじゃなくて、一般に、下請事業者の方々は親に対して物が言えないという実態があるものですから、私どもは、ただ待っているだけじゃなくて、毎年、親にはほぼ全数調査、それで親を調べますと下請企業がわかりますので、それらは二年に一回、公取でやっている分で十万社ぐらいの下請事業者に対してわざわざ書面を交付いたしまして、問題がないかという発掘をしている。それに基づいて、法に照らしてだめなものはだめだということで警告なり勧告なり注意なりしているわけでございまして、そういう意味で、我々の調査なり取り組みは、全部をカバーする、零細なものも全部カバーするということになっております。
鈴木(康)委員 私は、書面を何十万通出したか知りませんが、それでカバーできるなんてとても思えないですね。私は、やはりちゃんと現実に基づいて、むしろそういう困っている人たちがきちっと言ってこられるような仕組みづくりをするべきだと思うんですね。申告が余りにも少な過ぎるんですよ。たった七十件しかない、去年の実績を見ても。つまり、物が言えないような状態なんですね。
 ですから、ちゃんと、いや、こういう実態がありますよということを堂々と言える、そういう人たちをちゃんと保護してやるような仕組みづくり、紙を受け付けて、それの回答が出てくればそれで済みなんという状態では私はだめだと思うんですね。
 ちょうど時間が参りましたので、その点だけ申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
村田委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 私は、今議題となっております下請代金支払遅延防止法を初めとする法案について質問をさせていただきたいと思います。
 今、同僚議員からのお話にもありましたように、下請の実態というのは大変厳しい環境にあるわけであります。特に、今の日本の構造そのものは、約六百万とか七百万とか言われている産業構造の中でピラミッド型でありますから、そういう点では、末端の下請というのは大変御苦労いただいている。しかし、その下請がないと日本の経済は成り立たない。
 にもかかわらず、例えば公取、委員長いいですか、公取あるいは独禁法という法律は、あなたはどう解釈しておるかわかりませんけれども、一般的には大企業の優位性の保護である。先般、ここで参考人質疑をされました。あのときも、トラック業界の人たちは明確にこのことを主張されている。ということは、独禁法は弱者を守る法律ではなく強い者の味方である、こういうことを明確にここで主張されました。
 なぜそういうことが出てくるかというと、まさしく今の二次請、三次下請はそのような状態に悩まされている、そして、それを取り上げていくと、次は報復措置で仕事ができなくなってくる、泣き寝入り、これが実態なんです。公取はそのことをどういうふうに把握されているのか、まずそのことが一つ。それから、今回の法案、法律でそれをどのように解決されていくのか。この二点について答弁願いたいと思います。
竹島政府特別補佐人 下請事業者の方々がなかなか親事業者のことを、親事業者にはもちろん公取にも言いにくい、それで、やむを得ず、非常に不当な不利益をこうむっているにもかかわらず、実際の商売の関係でそれを受けざるを得ないといって、泣き寝入りという言葉を使われましたけれども、そういう状態になっているということは、我々は承知しています。
 したがって、私どもは、限られたマンパワーではありますけれども、この下請法というものがありまして、親にはこういうことを義務を課し、こういうことをやっちゃいかぬということになっていますよと。それで、親にわからないように下請事業者にアンケートを回し、それで問題が出た場合は、先ほど、紙だけ渡してそれだけかというお話がありましたが、そんなことはないので、問題があるものはちゃんと立入調査もやって、フォローアップもやって、それで勧告、指導をやってきているという形で、下請事業者が親にもわからずに問題を解消するということについては、私は、この下請法の施行というのは十分に機能を果たしているというふうに思っています。
 これからは、ますますそういう意味で、この改正でサービス業の方も対象にさせていただいて、対象の業者数も倍になるというようなことでございますけれども、要するに、優越的地位の乱用とか不公正な取引、ルールなき取引というものではないんだと。さりとて、競争なくして世の中の成長はございませんので、カルテル行為を認めるというわけにはまいりませんけれども、ルールある競争をきちんとやる、そのときに優越的地位の乱用を親なり大企業がやってはいかぬということについては、これからもきちっと見ていきたいと思います。
田中(慶)委員 恐らくそのような答弁があると思ったけれども、あなたは公取の考え方だけを述べているのであって、実態を把握していない。ということは、確かに、公平、公正、こういうことを言われますけれども、現実にやっている今の流れはアンフェアですよね。
 例えば、建設業を見てください。物が建っていくんです。そのときに契約したもの、しかし、次に出てくることは、現場で指図をされて、そして、仕事を次、次、次と、ペーパーにないものがされていくわけです。そして、それで最後完成したときに、では代金の支払いを請求すると、そのことは契約にありません。現実、そうですよ。それが中小企業、零細の人たちが逆に負債となって、経営不振になっていくんです。そして、それが今度、政府系金融機関に資金繰りのために申請すると、逆に、ここでこれだけの赤字を出している、前年黒字じゃないから今回の申し入れについてはできない、こういうことがイタチごっこの中で日常茶飯事行われているのです。
 今、建設業のことを申し上げましたが、ほかでも同じであります。しかし、公取というものは、あるいは独禁法というものは、経済産業省だけじゃなく、建設業も含めてすべてに、そういうところにあなたのところは業務として行うわけでありますから、今回の法律でそんなことは本当に改善されるのかどうか。あなたは今、恐らくできると思うということですけれども、毎日毎日がそういう形で苦しんでいる中小零細企業、先ほど、業界がここで、参考人質疑の中ではっきりと、独禁法なり公取は弱者の味方ではない、こういうことを述べられているんです。どう思いますか。
竹島政府特別補佐人 それは、たまたまその参考人の方は運輸業界の方だったと思いますが、そういうトラック輸送業は従来下請法の対象じゃない。今度、サービス業並びに役務ということで、情報成果物と並んで役務も新たに対象になるわけでございますので、トラック業界の下請関係は、改正法がお認めいただければ対象になります。
 したがって、運送業者間の下請関係は下請法によってチェックできますし、前にも御議論があった、それだけじゃない、荷主が問題だという点については、特殊指定で、独禁法で適用いたしますから、川上にさかのぼって、トラック業界の優越的地位の乱用ないしは不当な買いたたき等については、製造業と同じように、我々が処分なり措置なりすることができるようになる、法律改正がなされた場合にはきちんと対応していきたいと思っております。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
田中(慶)委員 私は、一つの例としてトラックのことを申し上げただけであって、建設業だってそうでしょう、先ほど言っているように。そのことを請求すると、報復で、次、仕事をもらえないんです。これが毎日行われているんです。どの現場だって一〇〇%、そのことが今繰り返されていますよ。私は全部調べていったんですから。ですから、あなたが言っていることと現場は違う、こういうことです。
 先般もここでプロパンのことも申し上げました。プロパンの大手がぼんぼん零細をいじめている、公取はどうしているんだと、公取にもはっきりと申し上げたと思います。差別対価の問題を含めて、あるいは酒屋さんのこともここの席上で申し上げました。現実に解決されていないじゃないですか。
 ですから、公取は、今回の法律を機会として、下請代金の問題に関連して、今申し上げたようなところを含めて、総合的に、一連の問題、しっかりとした取り組む姿勢を述べてほしい。現実に、本当なんですよ。どうですか。
竹島政府特別補佐人 厳しい経済状況の中でもやはり公正な競争というのがなければ前進はしないわけでございますので、公正な競争という意味で、これをきちっと守っていただくというか、ルールある競争という社会を築くために、公正取引委員会としても分相応の貢献をしなきゃいかぬ、こう思っております。
 したがって、中小企業の方々、それから下請企業の方々、これらがまさに不当に不利益を受けているという場合には、その事態、具体的な事例に即して、不当廉売の場合もありますでしょうし、差別対価の場合もありますでしょう、そういうことについては、これからきちんと引き続き対応していきたい、めり張りのある対応をさせていただきたいと思っております。
田中(慶)委員 委員長、あなたの前任者にも申し上げてきたんです。これはやはり公取の姿勢としてちゃんとしていかないと、日本は、はっきりとして、公平な取引とかそういうこと、それは常識ですけれども、常識じゃないことが毎日行われているんです、それぞれの業界。先ほどトラックのことを申し上げましたけれども、一例なんですよ。建設業界だってそうです。製造業だってそうです。こういうことが現実なんですよ。だから、そのことを含めて、今度のこの法律を一つの機会として、しっかりとやってほしいと要望しておきます。
 そこで、中小企業庁長官にお伺いしますけれども、先ほど申し上げたように、不利益をこうむって、結果的に今のような、元請から下請、孫請に行ったときに、現実には契約にない仕事をさせられて、そして現実にそれが負債となり、そして赤字になっていく。これが、ある面では、次の融資の問題として、政府系金融機関等に融資の申し込みをする、ところが、前年度赤字であるとか、これだけのこういう負債が出ているからとか、こういうことで融資の対象から除外をされる。こういうことについて、やはり今の日本の下請や、構造的に来るひずみというものが現実にあるわけですから、そういう問題についてやはり配慮する必要があると思うんです。
 ですから、そういう指導というものを、長官としていろいろなことを体験していると思いますけれども、これらについてどう思いますか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘ございましたように、厳しい経済あるいは金融状況の中で、下請といいますか、中小企業の方々が、特に資金面でのいろいろな厳しい状況に直面しているということは、御指摘のとおりだと思います。
 私ども、そういった意味で、政府系の金融機関の果たす役割というのは特に現在大変大きなものがあると思っていまして、中小企業の方々の身になった、立場に立った、きめ細かな対応をするということが大変重要だと思っております。
 平沼大臣からも直接、政府系金融機関のトップの方に役所に来ていただきまして、今申し上げましたような趣旨のことを強く要請いたしておりますし、いろいろな機会を通じて、さまざまなレベルでそういったことを強く要請しているところでございます。
 今、先生お話がございましたように、きめ細かに、相手の身になって対応するということの一環として、ただ単に負債があるとか、あるいは前の年度について赤字経営であったというようなことだけの理由をもって政府系金融機関が融資をしないというのは、そういった意味では、相手の立場に立った、あるいはきめ細やかな対応ではないと思います。したがって、そういう面も含めて、本当に実のある対応をするようなこと、これは今まで伝えておりましたけれども、引き続き私ども、強く政府系金融機関に要請をするということをやっていきたいと思っております。
 また、具体的に個別の案件があれば、私ども、実際の問題として、一つ一つの問題にきめ細かに対応していくというのは重要でございますので、個別の問題もあれば、そういう点も含めてきっちりとした対応を求めていきたいというふうに思っております。
田中(慶)委員 中小企業の人たちは大変御苦労いただいているわけでありまして、今長官が言われたようなことを本当に現場で実行できるように、次から次といろいろなことをやっていただいておりますけれども、実のあるような形で、ぜひともこれからも努力していただきたい、このように思います。
 さて、大臣がまだ来ないですね。副大臣がおりますから、副大臣の二人に質問をさせていただきたい。――それでは、大臣、お帰りなさい。来て早々で申しわけないけれども、今副大臣に聞こうと思ったんですが。
 あなたも経済閣僚でありますけれども、今、日本の現在が、これだけ厳しい日本の経済、デフレの問題、あるいは中小企業、貸し渋り、貸しはがし、こんな下請代金の問題、あるいは年金の問題、先ほど共済法の問題等についても引き下げの問題が出てきますでしょう。その原因はというと、やはり経済が悪いからなんです。その柱は、やはり日本の経済がしっかりとして対応していれば、そんなところに全部影響しないんだと思うんですよ。
 ところが、政府がやっていること、いいですか、小泉改革の、小泉さんのやっていることと逆のことをやればいいと言われるようなことが現実に言われていること自体、問題じゃないんでしょうか。政府の方針と逆のことをやっていけば何とか企業は生き延びられる、政府の方針そのまま参考にしていくと会社はめためたになって倒産せざるを得ない、こんなことを言われているんですよ。あなたはどう思いますか。
平沼国務大臣 小泉総理が、やはり構造改革なくして景気は回復はしない、これは私は真理だと思っています。日本のいわゆる、ある意味では制度疲労が起こって、いろいろな意味で構造上の問題が起こっております。その一番顕著な例は不良債権の問題があります。ですから、これはこれでしっかりと処理をしていくということが、やはり景気の回復にもつながる道だ、これは方向としては間違いないと私は思っています。
 しかし、同時に、やはり経済というのは生き物でありますし、車の両輪という形で、限られた一つの財政の中で効率的な財政運営、経済政策はやっていかなきゃいけない、こういうふうに思っておりまして、小泉総理も、事実、柔軟かつ大胆に対応する、こういうことで、補正予算等、例えば昨年は三兆円の規模の補正予算をやる、そして税制改革もやる、こういうことでありまして、私どもは、厳しい中でやはりその構造改革をやりつつ、限られた中でもでき得る限りのそういう積極的な、前向きな経済政策をとっていくと。
 経済産業省といたしましても、具体的に、これから予算を編成するに当たっても、例えば十六年度は創造型の、未来に結びつく、投資に結びつく予算を編成すべきだ、こんなことも主張させていただいておりまして、私どもも本当に今の景気の厳しさの現状は認識しておりますので、一生懸命やっていかなきゃいけない、こう思っています。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
田中(慶)委員 はっきり申し上げて、私は、小泉さんもあなたも、経済の実態が、いま少し真剣に取り組んでいかないとおかしくなってしまう。例えば、やはり経済産業という一つの大きな日本の経済というもの、経済有事なんですよ、このことについて認識が薄いと思っている。
 国が総力を結集してそのことに取り組んでいく経済政策というのが今見られてないんですよね。みんなセクショナリズムでばらばらですよ。お隣の韓国を見てくださいよ。一つのものについて、液晶テレビ、今夢中になって、ドル箱だ、こんな形で国を挙げて取り組んでいる。日本は民間企業に、はいどうぞとお任せをしながらやっているんですよね。
 あらゆることが、まさしく、これだけ厳しい日本の経済の中で、どうぞ民間は民間でおやりになってください、こんな状態でありますから、景気が決してよくならない。そうでしょう。ITを中心として、これからのIT革命を行うと口では言っておりますけれども、結果的にそれは全部丸投げで、民間企業を含めてそういうところに任せっ放しでしょう。これが今の実態なんですよ。だから、小泉改革ということを打ち出していても、現実に民間企業は、そのことを一緒についていったならば自殺行為になるからという、こんな話が週刊誌に出るようじゃしようがないですよね。
 まして、同じ党の中で、自分たちのこの経済閣僚がやはり地についた政策を行っていないから、更迭しろの大合唱をされているんじゃないですか。そうでしょう。私は、やはりこのことも大変厳しく受けとめなきゃいかぬと思う。我々民主党が、極端なことを言って、あなたの経済閣僚のもう一人のパートナーの人を、名前まで言っていいかどうかわからぬけれども、その人の不信任案を出したら、自民党の中でも恐らく同調するんじゃないんですか。こんな状態に今なっていること自体が私はおかしいと思うんです。だから本気で日本の経済政策が実行されていない。
 不良債権をぼんぼん急いで、そして売りにかかっているんじゃないか、こんなことまで――何でそれだったら、経済再生という一つのあの大きな柱なり法律をつくったんですか。そうでしょう。そのことを含めて、あなた、どう思いますか。
平沼国務大臣 田中先生が韓国の例で一点集中、こういう例示をお出しになられました。確かにサムスンを初めとして、液晶あるいは半導体、こういったところで実績を上げていることは事実です。私どももITに関しては、もうこれはまさに釈迦に説法で恐縮でございますけれども、IT戦略会議の中で、集中してやろう、こういうことで、一つの例示を申し上げますと、例えばADSL、ブロードバンドなんかに関しても、一昨年の一月には加入者がわずか一万八千であったわけですけれども、これを国を挙げて取り組むことによって、今世界が非常に評価しておりますけれども、五百万を超えるそういう大きな数になってきました。
 それから、料金一つとっても、常時接続という形で、世界一高い料金体系だったんですが、これは今二千五百円を切る、こういうような形で、そういう実績も出てきております。
 それから、他山の石としてはならないという、そういう教訓がありますけれども、逆に韓国のそういう成功例を見て、やはりちょっとおくれた半導体の分野も国が率先をして、これもよく御承知だと思いますけれども、ばらばらで各メーカーがやっていたものを、次世代の半導体なんかは一極集中で、国からも研究費の補助、税制でも面倒を見る、こういう形でさらにその上を行くものをつくろう、こういうことで今頑張っているところです。
 したがいまして、本当に経済は今非常に厳しいんですけれども、しかし、その中でも、例えば若干の、設備投資も相対的にはまだ対前年度はマイナスですけれども、少しずつよくなってきている、それから企業の収益性も改善されてきている、そういったことも、徐々に努力は実ってきているところもあります。
 また我々としても、やはりこの国の経済のポテンシャリティーというのはあるわけです。技術もあるわけですから、そういう意味で、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、例えば、具体的なそういうポテンシャリティーある分野にスポットを当てて、そして期限を切って、これだけ研究費を投入すればどれだけの市場が成って、すそ野産業がどれだけ広がる、十六年度の予算なんかはそういったわかりやすい政策をやはり経済政策として出していこう、こういうことで取り組んでいるわけでありまして、本当に御指摘の面も私はそのとおりだと思いますけれども、しかし、その中で、日本はまだまだ潜在力があるわけですから、そういう意味では、経済産業省も、中小企業対策も含めて全力で頑張っていかなければならない、こういうふうに思います。
田中(慶)委員 経済産業という形でポテンシャリティーもあるいは能力も技術もある、しかし、それをしっかりと引き出してやるのがやはり経済産業の役割だと思うんです。それがいま少し、あなた、バブルが崩壊してもう十二年たっているんですよ。同じことを繰り返し言っているんですよ。でも、まだまだこの厳しいときに、ちゃんとやっていかないとだめだと思うんですよ。
 そこで、最後になりますけれども、柏崎、大変御苦労さまでした。そして、なおかつ、これから福島の問題があるようでありますけれども、やはりあのとき、エネルギー基本法の審議の中で、私たちは、少なくとも原子力委員会と保安委員会別建てで、特に三条委員会を含めてちゃんと分けるべきだ、こんな主張をさせていただきました。
 現場でいろいろな話を漏れ承ったり、事務次官の発言等を総合すると、我々が主張していたことがまた今繰り返して言われているわけです。大臣は、いや、現行のままいきたいということでありますけれども、例えば福島の知事、福島の議会、そういうところが今のような分離を求められた場合においては、あなたはどうしますか。
平沼国務大臣 いろいろな御意見があり、福島県の知事もいわゆる分離案を打ち出されているということも私よく承知しています。
 先ほど鈴木先生のときの御答弁で答弁させていただきましたけれども、繰り返しになって恐縮ですけれども、やはり我々としては、この原子力というのは基幹エネルギーとして、二十一世紀をずっと考えたときに、まだまだこれを利用していかなきゃいかぬ。もちろん、安全性を担保するということは大前提です。そういったときに、安全は知らないという形で推進をしていくということは、ある意味では無責任だと思っています。
 ですから、民主党さんを初めとしていろいろな御指摘がありました。そういう中で、いわゆる内閣府の中の原子力安全委員会を法改正で強化して、ダブルチェック体制というかシステム、これをしっかりやっていけば担保できるし、また推進の方もスムーズにいくんではないか、そういうことでございます。
 しかし、日進月歩の世の中でございますから、いろいろ御提言もいただいていることを私どもはよく承りながら、そして、その時代、時々に応じて大きく変えるということに関しては、やはり検討することはやぶさかじゃありません。そういう中で、せっかく改正をいただいて強化していただいたところでございますから、私どもは、今の体制をしっかりやらせていただいて安全の確保をしていきたい、このように思っています。
田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、私どもは、再度、今のような関係を求めて、議員立法として、改めて、この三条委員会を中心として分離案を提出させていただく予定でおりますので、十分御検討いただきたいと思います。
 終わります。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 振興法について幾つかお尋ねをいたします。
 今回の改正で、振興事業計画の作成主体を拡大するわけです。そこで、下請業者は、事業協同組合だけでなくて、任意のグループでも親事業者と計画を作成することができるということになるんですが、この任意グループとは、具体的にどのような範囲まで認められるんでしょうか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘ございましたように、今回の法律改正によりまして、振興事業計画の作成主体につきまして、従来、事業協同組合だけでございましたが、これを任意グループまで拡大するということにいたしたいと考えております。
 具体的な例を幾つか申し上げますと、例えば、下請事業者が親事業者と技術開発についていろいろ協力をするとかあるいは生産上の情報を共有するということのために結成をいたしておりますいわゆる協力会といったようなもの、あるいは、下請事業者が技術開発をするに当たりまして、大学とか試験所とかそういったところの研究者を交えて結成をいたしますいわゆる産学連携のグループ、あるいは、下請事業者同士がそれぞれの強みを発揮して共同して事に当たる例えば共同受注のためのグループ、こういったようなものが今おっしゃった任意のグループというようなものの具体的な例と考えております。
土田委員 振興事業計画作成において、業種指定の撤廃や、今説明があった下請業者の任意グループの容認という規制緩和が行われても、問題はやはりその運用でございまして、これまでと同じように政令とか規則とかそういったことで細かく規定されていけば、結果的にこの法の恩恵が受けにくくなるということが想定されるわけです。
 そこで、親事業者と下請業者の連携を幅広くかつ柔軟にする必要があるのは当然であると思うんですが、この法の運用を行っていくことについて見解を聞きたいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘ございましたように、この振興事業計画を作成する、あるいはそれを具体的にうまく運営していくということのためには、柔軟にあるいは機動的にこういったことが行われやすくなるような基盤をつくるというのは、非常に重要なことだと考えております。
 したがいまして、事業計画を締結できます業種を限定するというようなことはやめる、政令はやめるということにいたしておりますし、また、従来、こういった事業計画を結ぶに当たりまして、下請事業者が親事業者に一定の取引依存度がなければいけないというような制約もつけておりましたが、そういうものも撤廃するということにいたしたいと思っております。それからまた、こういった申請をする際に、いろいろな書類あるいは添付書類をつけていただくことになっておりますけれども、これも必要最小限のものに簡潔にするというようなことにいたしまして、この事業計画を出しやすくする、作成しやすくするといったようなことは、柔軟に、機動的にやっていきたいというふうに考えております。
土田委員 建設業や運輸業を含めたサービス業まで今度追加対象にするわけでございますが、振興基準が新たに改定されるというふうに聞いております。
 そこで、新たな振興基準においては、親事業者が海外進出をするなど、非常に経済的に厳しい状況があるわけでございますけれども、そういったときに、新たな振興基準についてはどういった改定を検討しておられるのか、具体的な例を挙げて御説明願いたいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法律改正をお認めいただきますれば、私ども、それを踏まえまして、振興基準の改定というような作業に着手をいたしたいと考えております。
 こういった振興基準をつくるに際しましては、実態を十分に把握するということがまず大前提でございます。したがいまして、私ども、サービス業も含めました実態調査を十分に行いまして、その結果を踏まえまして、審議会、中小企業政策審議会でございますが、ここでも十分御審議をいただいて新しい振興基準というものをつくっていきたいというふうに考えております。
 そういった意味で、現時点ではまだ今後の検討課題でございますが、例えば、今回振興事業計画を承認した場合に、売掛債権の特約を認めるということにいたしておりますので、こういった債権譲渡禁止特約の解除に関する事項とか、あるいは著作権等の知的財産権、こういったものの取り扱いというふうなものについて新たに追加をいたしたいと思っています。
 それから、先生がお触れになりました、親事業者の海外事業展開に関すること、これは現在振興基準に書いてございますが、これも実態を踏まえて、必要があればその部分の改定をするというようなことも視野に置きながら検討していきたいと思っております。
土田委員 次に、振興基準の実効性確保についてお尋ねしたいと思うんです。
 この振興基準は、親事業者がそれを守らないといっても、直ちに民事上の損害賠償や罰則を与えることができないわけですね。下請中小企業者は、経営基盤が弱い上に、親事業者からの影響を非常に受けやすいという面を考慮しなきゃならないと思うんです。親事業者が遵守しているかどうかといった監視を行う必要がやはりあるかと思うんですね。
 この振興基準の実効性確保のために、広報は当然でございますが、親事業者への指導監督の仕方についてさらに工夫する必要があるんじゃないかなと思うんですが、この点はどうでしょうか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、振興基準というのは、親事業者の方々におきまして、その趣旨をよく理解していただいてそれに十分な協力をしていただく、あるいは、下請企業との関係でそれが実効あるものにしていただくということは、大変重要なことだと思っております。
 その意味で、親事業者に対しまして、この振興基準をよくわかっていただく、御理解をいただくということが重要でございます。私ども、下請取引講習会におきまして、親事業者を対象にいたしましていろいろな研修をいたしております。例えば十四年度は百五回この講習会をやりまして、一万人以上の方が御参加をいただいておりますが、こういったことはさらに引き続き強化をしていきたいと思っております。
 また、昨年の十一月でございますが、大臣から、親事業者八千九百、それから親の団体百七十に対しまして通達を、文書を発出いたしまして、こういった基準の内容を守っていただくように要請をいたしました。こういったことも、当然のことながら、引き続きやっていきたいと思っております。
 また、下請代金法の関係で、問題のある親事業者に立入検査をすることがございます。その際には、代金法の問題だけではなくて、下請振興基準につきましても、これを十分理解をし実行していただきたいというようなことをあわせてお願い、要請をしておりますが、こういったことにつきましても、引き続きやっていきたいというふうに考えているところでございます。
土田委員 次に、例えば金型産業で、親企業が海外進出をするわけですね。そのときに、金型図面などが金型メーカーに無断で中国などの企業に提供される、そして類似の金型が製造されるという不当の事態が起こっているようでございます。
 そこで、下請中小企業においては、特許などの知的財産の保護が十分にされていないんじゃないかというふうに感じるんですが、その理由は何だというふうに思っておられますか。
高市副大臣 御指摘のとおり、知的財産の保護や管理に関して、特に下請中小企業についておくれが見られる、その理由は何かということなんですが、一つは、従来の下請中小企業というのは、生産ですとか、あと技術開発に関する部分について経営資源を投入してしまっていて、販路開拓を初めとする営業部門ですとか、それから、御指摘いただきました知的財産管理を初めとする管理部門に比較的力を割けない状況にあったということだと思います。
 それから、今の金型の話も、事例としてありますのは、やはり親事業者と下請の関係があってなかなか強いことが言えないものですから、例えば図面を出せと言われたときに出しちゃった、それが外に流出してしまったというような事例もあるようでございます。
土田委員 知的財産について、やはり意識を高めることがまず必要でありますし、その保護、管理を積極的に進めていかなきゃならないと思います。具体的な取り組みについて何か考えておられますか。
高市副大臣 昨年の七月に知的財産戦略会議で取りまとめられました知的財産戦略大綱におきまして、第一に、知的財産の戦略的な取得と管理、第二に、営業秘密の管理強化、第三に、海外への技術流出の防止、この三点につきまして、企業がみずから戦略的なプログラムを策定できるように、その参考となるべき指針を経済産業省が策定することとされました。
 これを踏まえまして、経済産業省では、この三つの指針をことし三月までに取りまとめたところでございますので、今後、企業がこの指針を参考にしていただきまして、知的財産の戦略的な取得、管理、活用に取り組まれることを期待いたしております。現在、中小企業も含めて、一般企業に対しまして、これら三指針の普及に努めているところでございます。
土田委員 製造業のことについて大臣にお尋ねしたいと思いますが、我が国では、第二次産業から第三次産業へシフトが続いているわけでございます。サービス産業が、製造業から主役の座を取ってかわるというような勢いであるかと思います。
 一方で、実質GDPに占める製造業の比率は、平成十年の二二・四から平成十二年は二三・四と、二年連続してシェアを回復させているわけでございますけれども、今後の我が国の製造業の成長見通しについて、大臣はどういうふうに見ておられますか。
平沼国務大臣 先生御指摘のとおり、最近は非常にサービス部門が大きくなってまいりまして、GDPに占める割合、あるいは消費に占める割合も七割ぐらいに相なってきております。
 しかし、製造業というのは、やはり輸出立国の日本の非常に大きな原動力になっているところでございまして、大きな付加価値を生むわけでございますし、また研究開発という部門でこれまた大きなインセンティブを持っている、そういう製造業でございます。
 確かにサービス部門は大きくなってまいりましたけれども、私どもというのは、やはりこの日本は物づくりというものが原点にあるはずであるし、また、そうなければならないということで、一昨年の十一月に、やはり物づくりの産業競争力、これを強化しようという形で、省内に、私が責任者になって、学識経験者、専門家に集まっていただいて議論をしていただきました。
 そして、物づくりの部門を伸ばすという形で、四つの部門というものにとにかく集中的にやっていこう、この四つをやることによってすべてのすそ野につながる、こういうことで、一つは情報、ITを含む情報。それからさらに、二十一世紀は環境、こういうことですから、環境とエネルギー、こういう分野でのポテンシャリティーを伸ばしていこう。さらには、バイオというものが非常に大きくこれから期待できます。ですから、そこも日本のポテンシャリティーを伸ばしていこう。さらには、材料ですとかナノテクノロジー。こういったことを集中的にやっていけば、私は、日本の製造業というのは、世界の中で非常に大きなシェアを占めますし、今ちょっと数字もお示しいただきましたけれども、今後とも、やはり日本の持ち味として伸ばしていくべき分野だし、また伸ばさなければならない、こういうふうに思っております。
土田委員 今、そういった中で、日本の企業が中国や東南アジアに進出をしているわけです。現地企業の技術水準が非常に高くなって、今後さらに向上するというふうに予測されているわけですね。
 今大臣がおっしゃったように、海外で技術水準がどんどん上がっていくわけでございますので、日本の国内企業も、製造業も、やはり手をこまねいていたのでは、さらに空洞化が進んでいくんじゃないかというふうに懸念されるわけです。国内製造基盤が空洞化しないように、この点についてはどういったふうに考えておられますか。
平沼国務大臣 確かに、近年、生産の拠点の海外移転というのが数字的には非常に大きくなってきておりまして、一九九〇年はわずか六・四%だったんですが、十年後、それが一六%台になった。これはやはり深刻な数字だと思っています。
 そういう意味で、一つは、やはり海外移転という、特に中国への移転が大きいわけですけれども、私どもとしては、これはお互いの経済の補完関係で、これはもうある意味では必然的なものだ。ですから、中国というものを脅威と思って見るのではなくて、逆に中国と共存共栄でやるという、中国のポテンシャリティーをもって日本の製造を高めていく。そのためには、やはり日本は潜在力がございますから、一歩二歩進んだ、そういうイノベーションによる努力、それをやはり怠ってはならない。
 それから、ある意味では、中国というのは、十三億の人口を擁している、そういう巨大市場でございますから、そういう意味でも、日本の潜在力を生かしながら、中国の市場というものに着目をして、そして新しいものをどんどん生み出して、そして日本としての市場を拡大していく。そのためには、やはり日本が今持っている高コスト構造というものを是正していかなければいけない。
 そういう中で、今、特区という構想が出てきておりますけれども、そういうことも第一段階としては非常に重要な意味を持っていると思っておりますし、エネルギーコスト、流通コスト、そういったものをやはり削減しながら、日本の技術力をさらにイノベーションによって高めて、そして共存共栄で日本の製造業というものを伸ばす、その可能性というのは非常にあると私は思いますし、また、その方向に日本は持っていかなければならない。ですから、そういう基本的な考え方で私どもは産業政策をやっていきたい、こういうふうに思っています。
土田委員 今大臣がおっしゃった高コスト構造、海外進出はそれが原因なんだ、前回の参考人質疑でもそういった答弁がありましたけれども、そのために今何をしてこられたのか、どういった成果を上げておられるのか、これについてお尋ねしたいと思います。
西川副大臣 我が国の高コスト構造の例として、電力料金でありますとか通信料金、物流コスト、こういうものが指摘をされるわけであります。そのために、どういう取り組みをしてきて、どういう成果が上がったのか、こういうお尋ねでございます。
 エネルギー分野におきましては、一九九九年にガスの小売自由化、これと料金の値下げの届け出制、それから二〇〇〇年に電気を同じような措置をとりました。
 これによってどういう成果が上がったかということにつきまして申し上げますと、十社平均で五・四%から六・一九%の電力料金の引き下げがございました。ガスにつきましては、大手の都市ガス、東邦ガス、大阪ガス、東京ガス、これが需要家の七五%をカバーするのですが、ここで五%から九%程度の値下げがございました。そういう例があります。
 それから通信分野につきましては、二〇〇〇年以降、NTTそれから電力・鉄道事業者、国や地方自治体の所有する光ファイバーをさまざまな事業者に開放するようにいたしました。これにつきまして、ブロードバンドの通信料金が、二〇〇〇年には一万八千四百五十円という光ファイバーの料金でありましたけれども、これが二〇〇三年には六千五百円に引き下げることができました。
 最後に物流の分野でございますが、航空機に関して航空需給調整制度というのがあったのですけれども、それを廃止いたしまして航空運賃の値下げを行い、これによって物流コストを下げた、こういう実績がございます。
土田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 まず最初に、中小企業経営にかかわって、借りかえ保証制度とセーフティーネット保証制度の運用改善についてお聞きします。
 埼玉で中小業者の方からお話を伺っていて、借りかえ保証制度で助かったという話も当然お聞きするわけですけれども、同時に、例えばある都市銀行では、「東京と埼玉と保証協会が違うから無理ですね」こんなふうに言われた例ですとか、ほかの金融機関の話として、「やってもいいけれども、返済中は新たな融資は一切できないからやめた方がいいのでは」こんなことを言われたという例もあるそうです。
 実際、金融機関などが借りかえではなくて条件変更を勧めてくる、そういう例が少なくないという話を聞いています。そういう点でも、借りかえ制度の趣旨が徹底されていない現状にある。ぜひとも、改めてこの借りかえ制度の周知徹底を図っていただきたい。この点をまずお聞きします。
平沼国務大臣 この借りかえ制度、二月十日からスタートいたしておりまして、既に十三万二千件で、実績も二兆円を超える、こういうところまで参りました。今お話にもありましたように、大変喜んでいただいている、そういったところは私どもとしても非常によかったと思っているのですが、一方、今御指摘のようなそういう点もある。
 こういうことは、私どもとしても、この制度発足以来、金融庁とも連絡をとり、また全国の信用保証協会の代表者の皆さん方に集まっていただいて、私や西川副大臣からじかに、そういうことがないようにという形で御依頼をし、さらには地域の、いわゆる我が省の経済産業局からもそういったPRも徹底させていただいています。
 ただ、そういう事例があるということも承知しておりますので、そういうことがないように私どもはさらに徹底していきたいと思っておりますし、また今、埼玉のそういう具体例がありましたが、それはぜひ教えていただければ、私どもは一つ一つ丁寧に対応していきたい、このように思っています。
塩川(鉄)委員 次に、セーフティーネット保証ですけれども、このセーフティーネット保証の五号は、不況業種については、業種のリストをつくって、期限を決めて、それを更新していくという形をとるわけですね。そういう中で、お話をお聞きした中に、切りかわりの時期が近くなると、審査中に変更があるのじゃないかということで、少し待ってくれという話を保証協会などから言われるということをお聞きしました。滞りなく受け付けて対応してほしいという要望があります。
 これは七号も同様で、これは金融機関のリストラの影響でのセーフティーネット保証ですけれども、同様に指定金融機関のリストをつくる関係で、今回の場合で言えば六月三十日が期限とかということになる。同じようなことが起こるかもしれないという点でも、五号、七号、期限になるようなセーフティーネット保証についての、ふさわしく、滞りなく対応してもらうような是正措置をとっていただきたい。この点をお伺いします。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的に御指摘がございました五号で言いますと、三カ月の指定期間というものを設定いたしまして、その期間内にセーフティーネット保証を適用するということになっているわけでございます。このセーフティーネット保証制度というのは信用保険法で設定をされているわけでございますが、その指定期間内にセーフティーネット保証が実行されるということを基本的な前提としているわけでございます。したがって、指定期間が終わりますと保証が適用になりませんし、また、今御指摘がございましたように、その直前になりますとこの指定が続くかどうかというような問題があるものですから、現実問題として、今御指摘のあったような問題が起こることも私ども承知をいたしております。
 ただ、こういったことはやはり中小企業の方々に御不便をおかけするわけでありますから、保証協会として、できるだけ早目に申請をしていただきたいとか、あるいは終了日の最低二週間前には申し込んでいただきたいというような広報やお願いをしておりますし、私どもも、私どものホームページ上に指定期間だとかそういったものをきっちり情報提供する、あるいは、できるだけ早く申し込んでいただきたいというようなことはお願いを引き続きやっていきたいと思っております。
 ただ、今御指摘がございましたように、中小企業の方々のお立場に立てば、できるだけセーフティーネット保証を御利用しやすくする、あるいは予見可能性というものを高めていくということは重要なことだと思います。先ほど申しましたとおり、ある意味で法律の基本前提にかかわる問題でございますから、どういう仕組みでこれをより改善できるかということはなかなか難しいことがございますけれども、できるだけ御利用者の立場に立って、あるいは予見可能性を高めるというような観点に立って、どういった仕組みの変更ができるかということをまじめに検討したいと思っております。
塩川(鉄)委員 ぜひ現場の実態に即して、制度の趣旨に沿って、前向きの取り組みをお願いしたいと思います。
 それでは、下請法についてですけれども、新たに役務に拡大する中で、そういう中で、大きな業界の一つにビルメンテナンスの業界があります。私、関係者の方からお話をお聞きした中で、元下関係についてもいろいろな是正についての要望も出されましたけれども、特に、発注元に対しての強い要望というのが多く寄せられました。発注元の単価の引き下げというのが大変深刻な状況にあるというお話だったわけです。特に官公庁がひどいという話を聞きました。
 これは、ビルメンテナンス協会が毎年実施しております実態調査報告書に基づくグラフですけれども、ビルメンの業務契約の改定率、つまり、継続の物件について、前年度に比べてどれだけ契約金額が増減しているかという率です。
 これを見ますと、近年はずっと下がりっ放しで、過去五年間というのは、それこそとにかく大きく下がる。民間の下がり方に比べて、色のついている方が官公庁ですけれども、官公庁、公団の方が大きく引き下がっている。ですから、ビルメンの業界の皆さんにとってみれば、官公庁が価格引き下げの先導役を果たしているような実態というのを強く懸念をしておられるわけです。
 そういった中で、このアンケートの中でも、調査の中でも、官公庁・公団、民間とも過去最低の水準まで契約改定率が低下をしたと指摘もしています。実際、東京都などがその先頭に立っているという話を聞くわけですが、過去三年間で二〇%のコストダウンで、今年度についてもさらに七%ダウンということですから、なかなか受け手の業者の皆さんにとっては大変な状況だということになっています。
 近年、ビルメンでは、ビル丸ごと受注するというのがふえてきておりまして、そうしますと、より一層発注者の要望がストレートに出てくる、発注者の声が一層強くなっている実態にあります。本来、ビルメンの業務というのは、清掃ですとか、あるいはボイラーなどの管理ですとか、あるいは警備などの保安ですとか、それぞれ分野分野があって、それぞれの業務に専属しているような事業が多かったわけですけれども、だんだんそれがトータルになってきている中で、本来、業務が多岐にわたるわけですから、平均的なビルでも、そのビルの業務を習熟するには三年ですとか、病院のような特殊な建物でしたらやはり五年ですとか、一定の年数がかかるわけですよね。それが、近年の契約というのは、ほとんどが単年度契約になってきているわけです。
 そうしますと、業者の方にしてみると、今受けているビルの仕事を続けて翌年度も受けるためには、業者間の競争がありますから、今のさらに下で入れざるを得ない。そういった状況というのがあって、そういうのが安値競争と言われるような実態にもなってきています。ですから、毎年のように価格が下がって、ダンピングまがいのような状況というのが言われているわけです。
 こういった現状について、私はやはり、官公庁を含めた発注元の単価の引き下げに対しても、実態に即した対応をすべきじゃないか。そういった発注元の責任という点では、下請法の範囲でないということであれば、例えば特殊指定をするなど、具体的にこういった現状を正すような取り組みに踏み出すべきじゃないか。ぜひ公正取引委員会にお聞きしたいと思います。
竹島政府特別補佐人 この改正法で、新たに役務の委託取引も下請法の対象になりますので、ビルメンテナンス業界も対象になってくる。今、官公庁の方が何か安値というふうなことをおっしゃいましたけれども、私どもが接している案件はむしろ逆で、業者の方々が談合しているという事件は取り扱っておりますけれども、これから、いずれにしても初めて公正取引委員会としては扱う分野でございますので、実態をよく調査させていただいて対応していきたい。
 特殊指定というお話がございましたけれども、これは、どんどん特殊指定すればいいというものでもないので、トラック業界のように、問題意識を我々が持っている荷主との関係という意味では特殊指定を考えておりますが、ビルメンテナンス業界については、やはり実態をよく調査した上でというふうに思っています。
 一つ付言をさせていただきますと、今オーナーというよりは、オーナー会社はむしろ、ビル管理子会社をつくりまして、それで下請に出すというのがどうも多くなってきているということでございます。そうなってまいりますと、特殊指定するまでもなく、それはもうずばり下請法の対象になる、こういうことになろうかと思っております。
塩川(鉄)委員 ビルオーナーの会社がファシリティーマネジメント会社みたいなものをつくって、そこが仕事に出す、そういった業種としての実態が大きく変わりつつあるときだと思うんです。そういうのに即した、実態をよく調べていただいての対応をぜひお願いしたいと思います。
 現実には、専門的な仕事をやっている方について、業界の方は六十万ぐらいの委託の費用を考えているのに、実際には三十万ぐらいで仕事が来る。そうすると、実際に働いている方に行くのはその半分ですから、十五、六万になるような実態という点では、人件費まで切り込むような形での受注というのはどうなのか、官公庁としてそういう発注をするのがいいのかということが問われてくると思うんです。
 これは、ビルメン業界だけではなくて、ソフトウエア業界ですとか印刷関係の業界からも、官公庁の発注の問題について、そのあり方を問題にしておられます。先日の参考人質疑でも、ソフトウエアの業界を代表された向参考人の方からも、シェアが大きい官公庁、行政側の発注が厳しいという意見なども出されておりました。
 そういう中で、おととし、政府の予決令が改正されて、昨年、総務省の方で地方自治法の施行令が改正をされて、工事、製造の請負契約に限られていた低入札価格調査制度とか最低制限価格制度の対象を請負契約一般に広げたわけですね。そういう意味では、今回のような清掃業務なども入ってくるわけですけれども、総務省が改正をした理由として、清掃業務など労働集約的な業務に関する請負契約については、人件費の占める割合が高く、ダンピングのおそれも高いと総務省も指摘をしています。官公庁が発注するのに、人件費も出ないような価格の設定の仕方でいいのか、このあり方が問われてくる。
 私、そういう現状について、ふさわしく是正のための措置をとるべきじゃないか、こういう点について、ぜひ大臣にも率直にお伺いしたいと思いますし、続けて竹島委員長にもその点をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 一般論として申し上げますと、今、非常に経済状況が悪いというようなことがそういう厳しい価格に反映されているという面があると思っております。しかし、官公需法によって、特に中小企業に対しては、価格設定等やはり配慮をすべきだ、こういうことに相なっているわけですから、私どもとしては、やはり、中小企業のそういう零細の皆様方がしっかりとして、そして仕事が継続できる、こういうことは必要だと思っておりまして、私どもとしては、そういう官公需の問題に関して、実態をよく調査しながら、是正すべき点は是正していかなければいけない、こう思っています。
竹島政府特別補佐人 人件費も賄えないような価格で下請にしわが寄るという実態の御指摘ございましたけれども、公正取引委員会といたしましても、不当廉売という問題はあるんでございます。あるんですが、一方で、そういう条件でフェアな競争のもとに受注する業者がいるということもやはり見過ごすわけにいかないわけなんで、そういう取引の実態を見て、不当な価格であるかどうかというのは個別に判断せざるを得ない、そういうふうに思っております。
塩川(鉄)委員 アメリカにリビングウェイジという運動があるそうで、生活保障賃金を確立する運動とでもいうんでしょうかね。そういった運動の中では、地方自治体が発注するような仕事については、少なくとも最低賃金を保障するような、そういったやり方であるべきだと。ボルチモアあたりで運動が広がって、大きな州などでも進んでいるそうですけれども、そういった運動などもぜひとも学んで、研究もしていただきたいと思っています。
 それからあと、下請法執行のための体制整備について伺います。
 政府の規制改革推進三カ年計画でも、「下請法の対象を一定の役務の委託取引に拡大するとともに、同法の執行体制の整備・拡充について、関係府省の協力体制の整備を含め検討する。」とあります。
 この点について、竹島委員長が答弁の中で、下請法は業所管の主務大臣が協力できるとあるので、総務省、国土交通省の協力も得て具体的な連携体制を築きたいと述べておられましたけれども、実際、総務省と国土交通省、及び今回役務を拡大して業を所管することにもなる厚生労働省、それぞれ、どのような体制の整備拡充を行うことになるのか。続けてで結構ですから、一言ずつお願いします。
清水政府参考人 今回の下請代金法の改正で、放送分野ですと、例えば放送番組の関係が対象に入ってまいります。私どもも、放送番組がこの後にデジタル化だとかブロードバンド時代、こういうときを迎えますと、コンテンツの制作能力を向上させていくことが求められるわけですので、当然、番組制作の取引市場、そういうところで、公正、透明性の確保、これが大変重要になってくると思っております。
 このため、私どもも、放送事業者あるいは番組制作事業者等の参加を得まして、ブロードバンド時代における放送番組制作に関する検討会というものを昨年開催いたしまして、そういうものの中での実際の合意に基づきまして、放送事業者が取引に関する自主基準を策定、そしてそれを、ことしの三月ですけれども、公表いたしまして、業界を挙げて積極的に取り組みを進めてきたところでございます。
 今回の下請代金法の改正は、当然、放送番組の制作委託関係の適正化に資するものだと思っておりますので、この法の執行に当たっては、業界を所管する立場から、関係事業者に対しての周知だとか、あるいは公正取引委員会及び中小企業庁との連絡体制を密にするという形での適切な対応を心がけたいと思っております。
高原政府参考人 本法の改正によりまして、役務の提供に係ります下請取引もこの法律の適用となることから、新たにビルメンテナンス業についても対象となるものと認識しておりまして、厚生労働省といたしましては、関係団体からヒアリングを実施するなどいたしまして実態を的確に把握いたしまして、その結果、問題があるようであれば、必要に応じ、中小企業庁長官等と協力いたしまして、事業者に対し報告を求めるなど所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
藤井政府参考人 国土交通省でございますが、下請法に関連いたします元請下請関係の適正化につきましては、当省としても関心を抱いているところでございまして、関係法律の所管官庁でございます公正取引委員会及び中小企業庁がまずは適切に対応されるものと考えておりますが、業界を所管している当省といたしましても、各業界の実態等をこれを機に十分把握しながら、必要に応じ、公正取引委員会等と十分な連携をとりまして適切に対応してまいりたい、このように考えております。
塩川(鉄)委員 業所管の省でしっかりやっていただくと同時に、やはり公正取引委員会の体制強化が求められますし、中小企業庁の体制も求められているところです。
 そのことを求めまして、時間が参りましたので、終わります。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 下請法は、元請である親事業者から下請事業者の利益を保護し、健全な経営を可能にするための法律であると思いますが、下請いじめは企業間だけの問題ではありません。この法律に網羅されていない従業者についてはどのような認識を持たれているのか、以下、法務省の担当者にお伺いいたします。
 雇用関係の先取特権について、民法第三百八条の「雇人給料ノ先取特権」という文言が、担保物件及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案では、「雇用関係ノ先取特権」という表現に改められます。これは、従来の保護の対象が正社員だけだったところから、いわゆる非正規労働者の債権までを保護することが可能になったということですので、大変な前進であると評価できます。
 そこで、次の点についてお伺いいたします。これは、先取特権の対象と範囲の両方を拡大したと解釈してよろしいでしょうか。対象と範囲がどこまでなのか、具体的に答弁をお願いしたいと思います。
房村政府参考人 御指摘のように、現在改正をお願いしております法案におきましては、従来、「雇人給料ノ先取特権」となっておりましたものを「雇用関係ノ先取特権」ということで、その範囲を広げております。
 これは、従来の民法の解釈といたしまして、これは雇用契約に基づく者、その者の持っている給料債権、しかもその最後の六カ月分、こういう理解でございました。ところが、一方、株式会社の使用人に適用されます商法におきましては、広く雇用関係に基づき生じたる債権を先取特権の対象としておりました。同じ雇用関係にある者について、民法と商法とで保護の範囲が違うということは合理的でないということから、今回、民法を商法に合わせて広げるとしたものでございます。
 今回の改正によりまして、雇用契約というような契約関係を問わず、実態として雇用関係にある者、これは、請負契約であれ委任契約であれ、法形式はともあれ、実質が雇用関係にあると認められる者については保護の対象となる。また、その者の持っております債権につきましても、給料に限らず、退職金あるいは身元保証金というような雇用関係に基づく債権であれば、広く保護の範囲に含まれる。期間も、六カ月という限定がなく、その全額が保護の対象となる。こういう形で保護の範囲を広げたものでございます。
大島(令)委員 次に、「雇用関係ニ基キ生ジタル債権」というのは、例えば賃金、給料、報酬、委託料、外注費などの名称にかかわらず、労働や労務を提供した対価として生じた債権全般が対象になるということで理解してよろしいでしょうか。
房村政府参考人 御指摘のとおり、名称のいかんを問わず、労務提供の対価として取得したものであれば、すべてこの先取特権の保護の範囲に入ります。
大島(令)委員 では次に、請負的就労者は、これまで労災や賃金の不払いが生じるたびに、破産管財人ですとか労働基準監督署などに労働者性を認めてもらわなければなりませんでした。この決定が出るまでには十年以上かかる場合もあり、当事者は大変な思いをしてきました。しかし、たとえ十年待ったとしても、生活を支えるために働いた人に対する報酬の支払いが認められるとは限りません。
 そこで、具体的にお伺いいたしますが、今まで労働者性を当然には認められなかった方々、例えば大工さんなどの請負契約関係である手間請従業者や一人親方、ダンプカー、生コン、トラック等自前の車を持ち込んで仕事をする持ち込み運転手、または在宅勤務を含めた小規模なオフィスでの勤務形態のSOHOビジネスなどの方々は、雇用関係に含まれると考えてよろしいでしょうか。
房村政府参考人 従来の民法でございますと、雇用契約に限られておりましたので、今御指摘のような場合はおよそ保護の対象となり得なかったわけでございますが、今回の改正によりまして、法形式によらずに、実態に着目して保護の対象とするということといたしましたので、ただいまお尋ねのような諸形態につきましても、その実質が雇用関係と評価できるものであれば、今回の法改正によりまして先取特権の保護を受けられるということにはなります。
大島(令)委員 次に、労働債権の不払いが生じ、労働債権を先取特権として裁判所に労働者の財産として申し出る際に最低限必要な書類を、例を示してお答えください。
房村政府参考人 この先取特権を裁判所に認めてもらうというためには、労働債権を持っているということを立証しなければなりません。これは、例えば判決によって権利を認めてもらう権利とは違いますので、判決のような確定的な書面というものはそもそもないわけでございます。そういうことから、法律では、担保権の存在を証する文書ということで、特にどのような文書でなければならないということは決めておりません。
 したがいまして、例えば賃金台帳であるとか所得税源泉徴収票あるいは給料明細書、あるいは、例えば銀行への振り込みであればその振り込みの書類、こういう関係する文書を総合して、そういう労働債権を持っているかどうかということを裁判所が認定するということになります。
 法律である文書を法定いたしますと、それがない場合に、結局救済が得られないということになりますので、法律では特に文書の種類を特定することなく、それを総合して裁判所が判断する、こういう仕組みにしております。
大島(令)委員 そうしますと、企業の代表者が夜逃げなどをした場合に企業側から書類をいただけない場合があるわけですが、要するに、企業側からの何らかの新たな事案が発生した後の証明書というのはなくてもいいと今の例では解釈してよろしいでしょうか。
房村政府参考人 もちろん、支払いをしております企業の証明書等があればベストだろうとは思いますが、御指摘のように、そういうものが得られない場合もございますので、そういう場合には関連する文書を総合して判断をしていただく、こういうことになろうかと思います。
大島(令)委員 次に、下請法の質問に入ります。
 先週、参考人の方々に現場の御意見を伺いました。特に下請取引改善協力委員の片平参考人が、こういう協力委員の人がただ数がふえてもいいというわけではない、協力委員が完全に職務を満足に遂行しているかというと非常に問題があるとおっしゃっていた点が私はとても気になりました。
 現在、百一人全国に下請取引改善協力委員の方がいるわけなんですが、次に、この点に関して、公正取引委員会の委員長にお伺いします。
 今後の影響を考えると、地域に密着した民間の方が下請取引改善協力委員になるということは、実際相談しづらいのではないでしょうか。この片平参考人は十年間協力委員をされていたそうなんですが、一度も相談がなかったと参考人質疑のときの私の質問で答弁されているんです。この相談がないという事実を委員長はどのように受けとめておられますか。また、何を期待して民間の下請取引改善協力委員を委嘱するのか、この二点について御答弁をお願いいたします。
竹島政府特別補佐人 まず、後段の方から御答弁を申し上げます。
 昭和四十年からこういうことをお願いしているんですが、その趣旨は、下請法の執行に当たりまして公正取引委員会と一般の下請事業者の間のパイプ役になっていただきたいというのが簡単に言うと趣旨でございますが、具体的には、公正取引委員会の依頼に応じて下請事業者の方々からヒアリングなどをしていただいて、公取にその結果を報告していただくということ。それから、下請法に違反する行為がありますよという申し出を受けた場合には、その申し出を公正取引委員会に取り次ぐこと。それから、下請法の今回の改正のような場合には、その啓蒙、普及に協力していただくことといった目的のために下請取引改善協力委員をお願いしているわけでございます。
 それで、たまたま片平参考人が、十年間お願いして相談が一回もなかった、こういうことだったということを私も承知しておりますが、これはやはり下請の方々、親にも言いたくない、それで周りの方にもなかなか言いたくない、何となれば、それが回り回って自分の取引に影響があるから、こういう御懸念で慎重な行動をとられるというのは我々わかっておるわけで、これは、そういうルートもありますよということを言っておるわけでございまして、協力委員で十年間たまたまなかったから協力委員は余り役に立っていないというふうなことでは毛頭ございません。
 我々、いろいろその運用の実態、それから現場の情報をお聞きしていますし、年に二回ちゃんと会議をやって御意見もいただいています。それから、ガイドラインとか運用基準を変えるときにはきちんとその協力委員の方々の意見も聞いてやっているということでございまして、私どもにとっては大変貴重な民間のパイプ役を果たしてくださっているものと思っております。
 人選の中身につきましては、これからも、サービス業もこれから対象になりますから、いろいろ幅広く考えさせていただきたいと思います。
大島(令)委員 委員長、この方たちの謝金が年間一万二千円ですね。どういう根拠でこの数字が出てくるんでしょうか。それと、委員長は、相談がないという事実を片平参考人から聞いて、御自身でどう思ったのか、感想をおっしゃってください。
竹島政府特別補佐人 謝金は予算の執行のルール等々に基づいてそういう単価で、本当に少なくて恐縮なんですが、御協力をいただいているという実情にございます。
 それから、十年間そういう話は私のところに来なかったという参考人のお話でございますけれども、十年間といえば大変長いわけですが、やはりそうかという、下請の方々は相談を持ち込みにくいんだなということを改めて感じさせていただいた次第です。
大島(令)委員 この法律の運用体制は、公取の下請検査官と、あと書面調査、あとこういう協力委員の方たちの、大枠に三つぐらいの体制でこの法律の運用をしていますね。ですから、この方たちの存在というのは私は無視してはならないと思うんです。ですから、十年間相談がなかったということであれば、これは何か原因があるわけなんですね。片平参考人は、やはり皆さんが非常に下請ということで言いにくいのではないかと。
 私は、例えば一つの例なんですけれども、公務員は絶対秘密を漏らさないという信頼があるから私たちのいろいろなデータが役所にありますけれども、この方たちは残念ながら民間の方ですね。そういうところで、やはりビジネスをしている、生きていく、食べていく、そういう中で、こういう民間の方たちに対して非常に言いにくい部分があるのではないかと私は思うんです。
 新たに対象がサービス業の分野までふえ、今後そういう方たちの中からもこういう協力委員を選出するということでございますので、この制度を、運用体制の中で重要だと思いますので、一回点検してみる必要があると思います。このことに関して、委員長、どういうお考えでしょうか。
竹島政府特別補佐人 年二回、それぞれお集まりいただいて、協力委員の方々から御意見を伺っておりますので、せっかくの御指摘ごもっともだと思いますので、それぞれの協力委員の方々は経験に照らしてどういうふうに思っておられるのか、どう改善すべきなのか、そういうことをよく相談をさせていただきたいと思います。
大島(令)委員 今の答弁ですと、余り私の指摘に対して真剣味が感じられないような内容でしたけれども、時間がないので、次に、小規模企業共済制度について、この法案に賛成する立場から少しお伺いしたいと思います。
 平成十三年度末で三千六百億円を上回る欠損金を抱えている中、予定利率の変更を行い資産運用の環境の変化に即応するということでございますが、本法の成立後、将来的な展望として、客観的にどう安全性があるのか確認しておきたいと思うわけなんです。本当に立ち行かなくなる可能性はないのですね。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 共済制度の収支の御質問でございますが、御指摘ございましたように、現在約三千六百億円の繰越欠損金がございます。今お願いをしていますように、この予定利率を一%まで引き下げさせていただいたというような場合におきましては、平成二十三年度にはその繰越欠損金が二千二百億円に減少するということになっております。目に見えた改善が得られるというふうに考えておるわけでございまして、審議会でもそういったシミュレーションをしていただきました。
 こういった引き下げを行いますと、フローで申し上げますと、平成十六年度以降、毎年度、大体五百億から七百億ぐらいと試算をいたしておりますが、いずれにしろ、数百億円の当期の利益が生ずるというふうに考えておりまして、こういったことから考えますと、この二千二百億円に減少した繰越欠損金というものも数年のうちに解消できるというふうに考えております。
 そういった意味で、今回、この予定利率の引き下げをお認めいただければ、本共済制度の存続というものは可能であるというふうに考えておるところでございます。
大島(令)委員 予定利率の引き下げに関して一番重要なのは、この共済に加入している人たちの理解を求めることであると思います。加入者からのパブリックコメントはどのような内容で意見の聴取を行ったのか、また、どのくらいのパブリックコメントが寄せられたのかお聞かせいただきたいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 本制度の改正につきまして、中小企業政策審議会でいろいろ御審議を賜ったわけでございますが、その過程で、昨年の十一月から十二月にかけましてパブリックコメントを募集いたしました。実は、パブリックコメントの数はそう多くございませんでした。数件でございます。
 具体的な意見は、例えば、予定利率の引き下げはやむを得ないんだけれども、今後の資金の運用についてきちんと改善あるいは評価をしてもらいたいとか、あるいは加入促進策につきまして、制度のメリットをきちんと伝えるなどして加入促進を加速すべきだとか、あるいは契約者の貸し付けにつきまして利息の面で改善をしてもらいたいとか、こういったパブリックコメントが寄せられているということでございます。
大島(令)委員 数件ということは、この法律が施行されてからいろいろな反応が加入者からあると思うわけなんです。
 私は、最後に、やはり加入者が納得すること、きのう衆議院の財金の委員会で、生保の予定利率引き下げの法案が野党反対の中で採決されましたけれども、やはりこれも財産権の侵害にもなるわけで、予定利率の引き下げも政令事項化していくということで、きょう、多くの民主党の議員の方からもこれらの指摘がありました。ぜひ、加入者が納得できるような形でこの事業を進めていっていただきたいことを申し上げて、質問を終わります。
村田委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議題となっております各案中、まず、内閣提出、参議院送付、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、下地幹郎君外八名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、保守新党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 親事業者と下請事業者を画する資本金基準等の在り方については、事業者間の委託取引の実態把握を踏まえ、受託者に対する優越的地位の濫用行為について迅速に対処できるよう、検討すること。
   また、本法の対象とならない取引における優越的地位の濫用行為に対しては、独占禁止法に基づき厳正に対処すること。
 二 貨物運送事業分野については、真荷主と元請事業者との間の取引においても荷主が優越的地位に立つ傾向が高いことを踏まえ、荷主の優越的地位の濫用行為の防止を図る観点から、独占禁止法に基づく特定の不公正な取引方法の指定など所要の措置を講ずること。
 三 物品の製造のために使用される治具等の特殊工具等については、製造する物品との密接不可分な関連性、転用可能性の有無及びその製造委託の実態把握に努め、金型の製造委託と同様の状況があると認められる場合には本法の対象とすることについて検討すること。
 四 下請取引の公正及び下請事業者の利益の保護を一層促進する観点から、附則に定める五年後の見直し規定にかかわらず、情報成果物作成委託及び役務提供委託に係る本法の施行状況を踏まえ、検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。
 五 本法の円滑かつ実効性のある運用を図るため、下請取引検査官の増員及び資質の向上を含め、執行体制を早急に強化するよう努めるとともに、関係省庁・機関との緊密な連携体制を整備すること。
 六 本法の周知徹底を図るため、親事業者及び下請事業者に対する一層の広報の充実に努めること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、福田内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。福田内閣官房長官。
福田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
村田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、下請中小企業振興法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、下請中小企業振興法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、小規模企業共済法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、小規模企業共済法一部改正案に対する反対討論を行います。
 反対理由の第一は、予定利率を引き下げ、共済給付金額を削減することが、超低金利政策を進めてきた政府の責任を棚上げし、そのツケを小規模事業者である加入者に押しつけるものだからです。
 小規模企業共済制度は、運用利回りが予定利率を下回る状況が長く続き、繰越欠損金が拡大しています。その原因は、超低金利政策と不況、近年の株価低迷です。これまでも、運用利回りが低下したことを理由に二度にわたり予定利率を引き下げてきましたが、超低金利政策と不況のもとで、運用利回りの低下はとまらず、さらなる収支悪化という結果を招きました。政府は、予定利率を二・五%から一%に引き下げるとしていますが、審議会の試算によれば、十年間で共済金等が約八千億円も抑制されることになります。予定利率のこのような引き下げは、未曾有の不況で苦しむ加入者にさらなる苦難を与えることにほかなりません。
 第二に、共済金額と解約手当金額を法律事項から政令事項にすることは、加入者の利益をさらに損ねることにつながるからです。
 政令事項化は、資産運用の迅速対応が理由とされていますが、共済金制度の根幹にかかわる国会審議を排除することで、共済金額の削減を迅速化することがそのねらいであり、認めることはできません。
 最後に、共済制度を、不況であえぐ中小零細業者を下支えするものとして維持するためには、共済金支給に必要な財源の手当てを、政府出資金と国庫補助金など政策的な検討も含めて対応すべきであることを強調して、討論を終わります。(拍手)
村田委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、小規模企業共済法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
村田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十一分散会


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