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第2号 平成16年2月27日(金曜日)

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平成十六年二月二十七日(金曜日)

    正午開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今井  宏君 理事 江渡 聡徳君

   理事 櫻田 義孝君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君

   理事 吉田  治君 理事 井上 義久君

      今村 雅弘君    遠藤 利明君

      小野 晋也君    川崎 二郎君

      小島 敏男君    小杉  隆君

      小西  理君    河野 太郎君

      佐藤 信二君    菅  義偉君

      平井 卓也君    藤井 孝男君

      増原 義剛君    松島みどり君

      宮路 和明君    梶原 康弘君

      菊田まきこ君    近藤 洋介君

      高山 智司君    樽井 良和君

      辻   惠君    中津川博郷君

      中山 義活君    計屋 圭宏君

      村井 宗明君    村越 祐民君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      河上 覃雄君    塩川 鉄也君

      坂本 哲志君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   財務副大臣        石井 啓一君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   経済産業副大臣      泉  信也君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府特別補佐人     

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      伊東 章二君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   松山 隆英君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        楢崎 憲安君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 石井 道遠君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    西江  章君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 森口 泰孝君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下 一正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      寺坂 信昭君

   政府参考人       

   (特許庁長官)      今井 康夫君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    迎  陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            松本 省藏君

   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長松山隆英君、公正取引委員会事務総局審査局長楢崎憲安君、財務省大臣官房審議官石井道遠君、国税庁課税部長西江章君、文化庁長官官房審議官森口泰孝君、資源エネルギー庁長官日下一正君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長寺坂信昭君、特許庁長官今井康夫君、特許庁総務部長迎陽一君、中小企業庁長官望月晴文君、環境省総合環境政策局長松本省藏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷立君。

塩谷委員 自由民主党の塩谷立でございます。中川大臣の所信に対して質問をさせていただきます。

 久しぶりの質問なものですから多少緊張しておりますが、三年数カ月浪人生活があって、私にとっては大変厳しい毎日でございましたが、それよりも、今国民が、本当に厳しい経済、低迷する長期不況の中で大変あえいでいるということ、そういうことを見るにつけ、私も政治の責任の重大さを感じているとともに、また、そういう中で、やはり政治が今の現状をしっかり把握して受けとめて、それに伴って何をすべきかということを考えなければならないという気持ちで地元で頑張ってきたわけでございます。そういう意味では、特に、中小企業の皆さん方の声をしっかり聞いて、それに対して我々がどうするべきかということをじっくり考えてきたつもりでございます。

 特に、私の地元は、スズキ、ヤマハ、ホンダ、自動車関連の世界的な企業もありますし、また、光技術の先端企業である浜松ホトニクス等、新しい会社も元気に頑張っているところでございまして、ほかの都市に比べれば経済活動はかなり活発にしているところであります。しかしながら、それだけ大きい企業があるということは、中小企業もたくさん存在しまして、まさに我が国の縮図というようなところだと思っておりまして、やはり、何といっても、中小企業の皆さん方が本当にこの長引く不況の中で大変苦しい状態にあるということを肌で感じてまいったわけでございます。

 我が選挙区はそういう選挙区でございまして、私の相手である鈴木先生もこの委員会にちゃんと存在しているということは、やはりいかに我が選挙区は経済産業が大事かということでございまして、中川大臣に応援に来ていただいて、私にとっては大変、どの大臣にもありがたい限りでございまして、おかげさまでこうやって質問に立たせていただいております。感謝をしているところでございます。

 そういう中で、これから我が国が本格的に経済の再生そして発展をしていくためには、やはり私は、大きな目標を持って我が国が進んでいく必要がある、これは経済だけではなくて教育もそうでしょう、あるいはさまざまな分野において、国際的な役割を持ってしっかりと国が歩んでいかなければならないと思っておりますが、そういう中でも、我が国が今日まで発展してきた原動力は何といっても経済産業分野でございまして、この分野がまさに再生していかなければ日本の再生、中小企業の発展はないと思っておりますので、その点で、ぜひこれからも、大臣初め、御活躍いただきたいと思っております。

 そういう中でも、今現在、例えば科学技術創造立国というような施策の中で具体的な成果が上がっておりますが、やはりかつてのような、かつては物もなく大変貧しい中で、国民がこぞって、とにかく欧米に追いつけ追い越せという大きな目標で頑張ってきたわけですが、そういった活力というか、国民が一体になるものの目標を持ってこれから進んでいかなければならないと思っております。

 例えば自動車産業、この基幹産業に追随する産業を創設するとか、そういったところをぜひこれから考えていかなければならないわけでございますが、そういう中で、さきの大臣の所信の一つに、ことし五月を目途に新産業創造戦略という包括的な戦略を打ち出すということがありましたので、このことについて、まずもって、具体的な内容等あればぜひお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

中川国務大臣 改めて、根本委員長初め委員の皆様、よろしくお願いいたします。

 今、塩谷委員から御指摘のありました新産業創造戦略でございますが、日本は貿易立国であり技術立国、そして最終的には人の質、人間力ということが一番大事であろうと思っております。そういう中で、各地でいろいろと頑張っておられまして、今御指摘のありました塩谷委員の御地元、あるいは、きのうは私、千葉県の柏市の東葛テクノプラザ、これは櫻田委員の御地元でございますけれども、大変すばらしい施設を拝見いたしまして、全国で頑張っているなという感じがいたしました。

 日本は、経済的には輸出、そしてまた輸出関連を中心とした設備企業が今の経済を引っ張っているわけでございますけれども、これから中長期的に、そういう日本の長所であり、またそこを、何とかクリアしていかなければいけない部門を伸ばしていかなければいけないということで、新産業創造戦略というものを策定するように、昨年の十一月に指示をしたところでございます。

 ポイントは三つございまして、今後のグローバルな競争に打ちかつ先進産業の創出、それから雇用を支えるサービス産業の創出、それから地域再生に貢献する新産業の創出、こういう三つをキーにいたしまして、全国のいろいろな方々の御意見を、経産省の職員が全国に散っていろいろと御意見を賜って、そして策定をしていきたい。それに当たっては、それぞれの地域産業、御地元の皆さん方の御意見を十分反映して、そしてこういう目標、三つの柱に基づいて、五月をめどにこういう戦略プランをまとめていきたいというふうに考えているところでございます。

塩谷委員 ぜひその総合戦略には期待をしてまいりたいと思っております。

 先般、二〇〇三年十月から十二月のGDPの速報値が出ました。実質前期比一・七%増、年率換算しますと七%という大変な高い数値が発表されたわけでございます。これは、主に大企業の経営改善等があって、もちろん努力があってこの数値が出てきたと思うわけでございますが、中小企業についてはなかなか明るい兆しが見えない、あるいはそういった一つの数字を感じさせるような状況がまだまだ見えないところでありまして、特に地方、中小企業にとっては大変厳しい状況がまだ続いているのが現状でございます。

 かつては、ある程度景気回復の基調が見えたところで、そういうものが少しずつ感じられるような状況があったと思いますが、これは今の経済構造、あるいはいろいろな要因があると思いますが、なかなか中小あるいは地方にとってそういう状況が感じられない。これは何らかの原因があると思うんですね。そして、それに伴って、中小企業に対してどう対応していくかということでございますので、やはり、最近の経済の実態というものをどう受けとめて、そしてそれに対してどう対応するかということになりますので、今までと違った大きな変化が中小企業を取り巻く環境にはあると思っております。

 そこら辺を、これだけの七%の、いわゆるかなりの高い数値が出ているにもかかわらず、まだまだそういうものが感じられない今の現状の把握とそれに対する対策ということで、どう考えているのか、ぜひお伺いしたいと思います。

坂本副大臣 塩谷先生おっしゃるとおり、本当に中小企業が大変なわけでございますが、今現在の我が国の経済は、全体としては、製造業、輸出等々によって回復しつつあるわけでございます。しかし、一方では、中小企業において持ち直している動きも若干見られるんですが、しかし、民間消費に大きな影響を受けるために、設備投資や輸出に大きな影響を受ける大企業に比べましては回復がおくれがちだ、いまだ厳しい経済状況にあると言えると思います。

 こうした中で、やる気と能力のある中小企業までもが破綻することがないように、まずもって、中小企業金融セーフティーネット対策に質、量ともに万全を期してまいります。また、厳しい経済金融環境の中で痛んだ中小企業の再生を図るために、中小企業再生支援協議会を軸とした中小企業の再生支援を加速してまいりたいと考えております。さらに、新事業展開などに活路を見出そうとする中小企業を支援するために、資金、人材、技術など、各方面から強力に支援してまいりたいと考えております。

塩谷委員 ぜひ、中小企業の実態をしっかり受けとめて、多分、やはり、我々の地元で言うと、かなり製造業のいわゆる空洞化ということで、今大企業が非常にいい状況にあるにしても、それが全部海外へシフトしているということが非常に大きな原因かなと思っておりますし、そういうところをとらえて、中小企業に対する支援策を充実していただきたいと思っております。

 そして、何といっても、これから発展する上で重要な点はやはり若手の人材の育成ということで、これも所信の中にあったと思いますが、現在、若者を取り巻く雇用状況というのは極めて厳しいわけでして、実は私の息子もちょうど就職の時期ということで、本人も大変苦労しているようでございます。

 平成十五年の二十四歳以下の失業率は、過去最悪で一〇・一%という記録が出ております。これに対して、やはり若者の就業の拡大はかなり緊急課題であると思っておりますし、そういう点で、これから若い人たちが新たな事業へ挑戦するそういった支援も含めて、雇用対策というもの、特に若手に対してどう考えていらっしゃるか、ぜひお伺いしたいと思います。

泉副大臣 委員御指摘のように、過去最悪の一〇・一%というような若者の失業率が出ておりまして、このことについて我々も大変憂慮しておるところでございます。

 何はさておき、人材が日本の資源であるという観点に立って、経済産業省といたしましても、若い人たちにチャンスを与える、能力を引き出していく、そういう取り組みをいたしております。若者自立・挑戦プランというものを中心に据えまして努力をいたしておるところでございます。

 具体的には、職を求める若い人たちみずからの適性に合った職につくことができる支援をする、いわゆる職業相談、カウンセリング、研修などを行い得るように、ワンストップサービスセンターというのを全国十カ所程度来年度は設けて、推進をしていくことにいたしておりますし、また、やる気のある若い人たちに、ITあるいは技術経営、事業再生などの専門分野においてしっかり能力を身につけていただくことができますように、教材の開発などを行っておるところでございます。

 このようなことを実施していきますために、来年度予算では百十三億円、十五年度予算に比べますと百億円の増額ということでございますが、積極的に取り組んでまいる所存でございます。

塩谷委員 ぜひ、ハローワークだけではなかなか対応していないと思っておりますので、新しく十カ所、そういったワンストップサービスを始めるということで、それももっとまた数多くやっていただきたいなと思っております。

 最後に、FTAの問題でございますが、この問題は、我が国が貿易立国としてどうしても進めていかなければならない重要課題であると受けとめております。しかしながら、なかなか今交渉も思うように進展していない、むしろ後塵を拝しているような状況があると思っておりますので、ここは、中川大臣、一番得意な分野ではないかなと思いますので、つい先日もメキシコとの交渉は来月締結かというような新聞報道もありました。そういう点で、このFTAに対しての大臣としての意気込みと、決意というか、それをお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 日本は貿易をしなければ生きていけない国でございまして、そういう中で、WTOと並んでFTAというものが今世界で非常に数多く締結されておる、百八十を超えるFTAが世界にあるというふうに聞いておりますけれども、それにおくれをとるということになりますと、貿易面それから投資面その他、FTAというよりも包括経済連携という観点から、後塵を拝するということは日本の国益にとって非常にマイナスだということを痛感しております。

 メキシコについて、現在、今の時点でも東京で協議をやっておるわけでございますけれども、大分大詰めには来ておりますが、やはりお互い守るべきものは守り、攻めるところは攻めるということで交渉が続いているわけでございます。

 それからまた、大事な東アジア、お隣の韓国、あるいはタイ、メキシコ、フィリピンといった国々、そしてまたASEAN全体といったものも既にスケジュールの中にあるわけでございますけれども、日本としては、こういうFTAというものによって全体の国益としてプラスになっていく、そしてまた、それによって影響を受けるところには十分配慮をしながら、このFTAというものをぜひ進めていかなければならないというふうに考えております。

塩谷委員 質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 井上義久君。

井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。

 本日は、中小企業政策に絞って何点か質問をさせていただきたいと思います。

 今も御指摘ありましたけれども、景気は回復への着実な軌道を歩み始めている、そのとおりだと思いますけれども、中小企業とか地域経済にとっては、まだその影響というのは十分に波及していないわけでございまして、これからの内需主導の本格的な景気の回復軌道を目指すためには、我が国経済の中核を占める中小企業の活性化がやはり経済再生のかぎだ、また地域経済にとりましても全くそのとおりだ、こう思うわけでございます。

 中小企業対策として、私は、一つは、中小企業セーフティーネットの構築、発動、それから二つ目は、やはり挑戦意欲をかき立てる創業支援体制の充実、それともう一つは、やはり第二の創業とも言うべき事業承継、これの抜本的な対策、この三点だろう、こう思っておるわけでございます。

 この三点について改めてまた質問をさせていただきますけれども、それに先立って、まず中川大臣に、我が国の中小企業を取り巻く現状、それから中小企業対策に取り組む御決意についてお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今御指摘のとおり、日本の産業というのは、事業数でいっても、雇用数でいっても、中小企業が圧倒的に多いわけでございます。一部経済に回復の兆しが見られますけれども、一部が全体を引っ張っているわけで、残りの多くの業種、あるいはまた、特に事業者でいいますと中小企業は、依然として今一生懸命頑張っているけれどもいま一つという状況が多いんだろうとは思います。

 そこで、どうやって中小企業政策としてそういう人たちに対して、あと少し資金を、あと少し技術を、あるいは、あと少しネットワークを、人脈をというところをお手伝いするということが、我々は非常に大事なことだろうというふうに思っております。

 金融面、あるいはまた技術面、あるいは人材面等々でいろいろな対策をとっておりますし、特に金融面においては、有担保あるいはまた有保証人に依存しない融資を拡大するとか、あるいはまた、中小企業再生支援協議会、全国にありますけれども、こういうところで再生のための支援をさせていただくとか、それから、今御指摘のように、事業を起こすということに関しても、御承知のとおり、一千万、三百万という最低資本金を、とりあえず最低一円からでもスタートをすることができるとか、そういった観点から、本当にあと少し何かがあればというところを後押ししていくと同時に、今、事業承継のお話もございましたけれども、私としては、真の意味の日本の経済が本当に回復したというのは個人消費と中小企業の全体としての実感だろうと思っておりますので、それに向けて全力を挙げて努力をしていきたいと思っております。

 小泉総理も予算に関しては、今御審議いただいておりますけれども、緊縮予算の中で中小企業予算については前年度に比べてふやしているということ、これは内閣としての強い決意のあらわれの一つだと思っておりますので、また先生にも御指導いただきながら頑張っていきたいと思っております。

井上(義)委員 今の大臣の御答弁を踏まえて、まず第一点目の、中小企業のセーフティーネットの拡充ということについてであります。

 これまで我が党も中小企業対策に全力で取り組んできましたし、いろいろな提案も申し上げて、そういう中で、セーフティーネット貸し付けとか、あるいはセーフティーネット保証、あるいは売り掛け債権担保融資保証制度、それから先般は資金繰り円滑化借りかえ保証制度、こういう形で保証制度が拡充されてきました。その結果、倒産件数も、従来千八百件台でずっと推移をしてきたんですけれども、このところ大体千三百ぐらいに落ちついてはいるもののまだ高い水準ということで、ヒアリングでも、やはり中小企業の資金繰りは引き続き厳しい、こういう現状があるんだろう、こう思います。

 そういう中で、特に不動産担保主義からの脱却ということで、この売り掛け債権担保融資保証制度、これがスタートしたわけですけれども、これがどの程度使われているのかということ。それからもう一つは、今大臣からもお話がありましたように、不動産担保、個人保証からできるだけ脱却しなきゃいけないということで、証券化支援業務、これを導入しようとか、あるいは政府系金融機関でも新たな融資制度を導入しているわけでございまして、これらの状況についてお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 最初の御質問の売り掛け債権担保保証制度でございますけれども、これまで約一万一千件、四千五百億円の利用実績となっております。本制度について申し上げれば、まだまだ大変な利用の余地があると思っておりますので、この利用拡大を図るために、つい先日の二月二十三日から、保証協会が売り掛け債権を担保として評価する際の掛け目を引き上げて担保評価額をふやしたところでございまして、今後、PRとともに、さらなる利用拡大につながるように、私どもとしても努力をしていきたいと思っているところでございます。

 それからもう一つ、先生の御質問にあった証券化支援業務でございますけれども、本件につきましては、民間金融機関などによります無担保融資を支援するために、中小公庫に証券化支援業務を追加するというようなことを目的といたしまして中小公庫法の改正案を閣議決定いたしまして、今国会に提出いたしております。これを成立させていただきますれば、民間金融機関が無担保融資をし、そのリスクを投資家とシェアできるためのお手伝いをするという意味で、中小公庫の新しい役割も活用しながら民間金融機関の無担保融資を広げていきたいというふうに考えております。

 それから、第三点目の新しい制度でございますけれども、いわゆる第三者保証人や経営者本人の個人保証を免除するような融資制度の拡充なども積極的に行っております。

 第三者保証については、ことしの四月より、国民公庫において、無担保で第三者保証も本人保証も要らない新創業融資制度を拡充し、貸付限度額を五百五十万から七百五十万に引き上げる、あるいは、第三者保証人を不要とする融資の限度額を一千万円から一千五百万円に引き上げるなどということもやっておりますし、また、経営者の本人保証につきましては、本年四月より、中小公庫及び商工中金の創業・新事業向け融資におきまして、財務制限条項などの締結とか、あるいは若干の金利の上乗せによりまして、経営者本人の個人保証を免除する制度などを創設するなどなど、いろいろと新しい制度で努力しているところでございます。

井上(義)委員 中小企業の倒産、これは大体、経営主は個人保証とかあるいは親族、知人から借り入れ、保証などをしておりまして、企業の倒産がそのまま人生の破綻につながるというようなケースがほとんどなんですね。そういう意味からいいますと、やはり、相当早い段階で再生支援を発動する、あるいは、コストを最小限に抑える退出システムをしっかりつくる、そして再チャレンジが可能なそういうシステムを構築するということが非常に大事だと思うわけです。

 中小企業再生協議会、これがスタートして、大分実績も上げている、こういうふうに聞いているんですけれども、その現状、特に小規模企業、二十人以下という小さな企業でなかなか立派な企業があるんですけれども、そういうところまで含めて、中小企業の再生ということについて、今どういうふうに取り組んでいるかということをお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 中小企業の再生支援に当たりましては、中小企業というものは多種多様でございますので、その事業内容や課題にもさまざまな地域性が反映されているという観点から、各都道府県に先生御指摘の中小企業再生支援協議会を設置して、約この一年間活動をしてまいりました。

 おかげさまで、協議会では、これまでに三千二十四の企業から相談を受けまして、相談だけで済んでいるものも随分ございますけれども、二百五十三件につきましては、手づくりの再生計画の策定を支援しているところでございます。なかなか時間がかかっておりますけれども、そのうち四十五件の再生計画が完了いたしまして、その結果、その四十五件だけでも三千五百四十六名の雇用が失われないで済んだという意味で、着実に成果が上がっております。私どもとしては、残りの案件についても精力的に進めていただくように各協議会においてお願いをしているところでございます。

 なお、御指摘の小規模な事業者につきましては、これも再生支援協議会の一つの大きな対象でございます。先ほど申し上げた、再生計画の策定が完了した四十五件のうち、従業員二十名以下の小規模な企業が十件含まれてございます。大体、全体としてはそんな割合ではないかと思いますけれども、これらの小規模事業者についても今後とも積極的に対応していただくように、全国に督励をしてまいりたいと思っております。

井上(義)委員 中小企業の数からいうと、まだまだこれからということだと思いますけれども、しっかり取り組んでいただきたい、こう思います。

 それから、その次に、中小企業の創業・新事業支援ということで、我が国には常に百万人を超える創業希望者がいる。百万人を超える創業希望者がいるんですけれども、なかなか創業できないということで、そういうマーケティングとか技術専門知識の不足とか、人材確保とか、いろいろありますけれども、やはり一番大きな問題は資金調達ということで、先ほど長官からも、新創業融資制度、国民生活金融公庫に創設をして、今回、五百五十万から七百五十万に引き上げるんですけれども、これでどのくらい効果があるのか。それから、実際にいわゆる開業のこれからの目標とか、そういうことについてちょっとお伺いしたいと思います。

坂本副大臣 確かに、我が国経済は、特に地方の経済と雇用を支える中小企業が非常に困っております。

 こうした中で、先生おっしゃいますように、創業の支援あるいは新事業の創造、これは非常に大事なことでございまして、このため、おっしゃるように創業希望者が非常に数多くいるということもまた事実でございまして、また、そういう人がどんどんふえることも必要なわけでございます。

 国民意識を啓発するとともに、無担保無保証で融資を行うための新創業融資による資金調達支援、それから創業に必要な能力を習得するための創業塾による人材育成支援、必要な人材をマッチングさせる人材確保支援、それから資本金一円、御承知だと思うんですが、から創業できる特例制度による環境整備等々を講じているところでございます。

 経済産業省といたしましては、今後とも、これら施策を強力に推進をしまして、創業の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

井上(義)委員 メニューはいっぱい出そろってきているというふうには思いますけれども、やはりそのメニューが具体的にどう組み合わされて創業につながるか、そこをしっかりフォローして具体的な成果が出るように、百万人の創業希望者がいる、我が党としては百万人の創業を目指そう、こういうことで取り組んでいるわけでございまして、政府にあっても、目標をきちっと決めて、それをきちっとフォローアップしていくというようなことをぜひお願いしたい、こう思います。

 それから、最後に、いわゆる事業承継について、経済成長期に開業した中小企業、ちょうど世代交代期を迎えておるわけでございまして、事業承継税制の拡充とか相続税の抜本改革の要望が非常に強いわけです。

 十六年度税制でも、自社株に対する相続税の軽減措置の拡充が図られていますけれども、大きな前進だと思いますけれども、これでもまだまだ不十分ということで、新しい創業も必要なんですけれども、いわゆる第二の創業と言える事業承継、これが円滑に行われるということが非常に私は大事だと思うわけで、ここがきちっとしていませんと、中小企業は立ち枯れてしまう可能性があるわけでございます。この中小企業税制、承継税制の抜本的な見直しということについて、経済産業省としてどのようにお考えか、最後にお伺いしたいと思います。

坂本副大臣 中小企業の事業承継の円滑化というのは極めて重要でございます。今日までもたびたび、幾多の政策を出してきましたが、相続税の軽減措置として、事業用小規模宅地特例を累次拡充してまいりました。それから、平成十四年度税制改正におきましては、自社株に対する相続税課税価格の一〇%を軽減する措置を創造しました。それから、平成十五年度には、この自社株に対する軽減措置について、要件緩和による拡充を行ってきております。

 これらを受けて、さらに、今国会に御審議いただきます平成十六年度税制改正におきましては、軽減対象となる自社株の上限を従来の三億円から十億円にしました。それによって、いわゆる相続課税価格の軽減額が三千万から最大約一億にまで拡大された、こういうような措置をとってきておるところでございます。

井上(義)委員 以上で終わります。

根本委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十五分開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。

 このたび、民主党の経済産業部門を担当せよということで、本日は、中川大臣並びに関係する皆様方に、先般の大臣の所信の演説に対して、表明に対しまして、これから一時間質問をさせていただきます。

 まず、先ほど午前中の委員からの質問にもございましたけれども、大臣、現状の経済を、あるいは景気をどのように見ていらっしゃるかという点でございます。

 先ほど来もお話ありましたけれども、先般、昨年の十月から十二月の年換算で実質成長率が七%というような発表がされました。

 景気回復感が非常にあらわれているということが報道されているわけでございますけれども、現状として、言われているように、例えば対中国の輸出が大変な伸びを見せている。十二月、対中国の輸出が三三・二%増、貿易黒字が昨年だけで、昨年一年で十兆二千三百九十億円、十二月だけで一兆一千二百十六億円というような輸出回復に支えられている。

 また、設備投資も回復の兆しを見せておりまして、これはやはりこれまでの企業努力、とりわけ、海外の生産拠点を閉鎖したりあるいは国内でも大規模な配置転換をし、時にはリストラと称する従業員の解雇やかなりの犠牲を伴ってここまで来た、まさに企業努力によるものだろうなというふうに思うわけでございます。

 ただしかし、大臣もそうだと思います、きょう御列席の皆様方もそうかとは思いますが、地元で我々も地元の中小企業の方々等とお話をしております。そうしますと、景気が回復した、そうしますと皆さん方が言うのは、本当に実態はそうなんだろうかと。新聞報道等ではそのように言われているし、また新聞社系の例えば予測機関なんかも新年度からも景気の回復が、GDPが二%を超えるんではないだろうかというような、もう既に気の早い観測が出ているわけですが、どうも実態としてはまだ景気回復感がない。

 にもかかわらず、景気の回復というものが何かしら確実な手ごたえを持って、今本当に回復しているのだろうかというようなことは、例えば、地方経済の特に主力であります中小企業の経営者あるいは商店街の小売店の店主の方々とお話をすると、まだまだ実態としては実感がなかなか景気回復感はないわけでありますけれども、その点の実態につきまして、現状をどのように御認識していらっしゃるのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

中川国務大臣 今委員御指摘のとおり、十―十二が、実質で二・六ですか、名目で〇・七ですか、したがって、年率で七、あるいはまた年率で名目で二・六という数字は、確かに専門家にお聞きしても予想を上回る数字だったということでございます。ただ、これが、委員と私は同じ考えだと思いますけれども、いわゆる景気という、ちょっと気の部分からいうと、とてもこれによって景気が力強く回復しているというふうには私自身も言えないというふうに思っております。

 数字的に見ても、名目よりも実質の方がはるかに上にいっている数字、これはまさに、デフレ状況ということから脱却をしていないということの一番明確なシグナルだろうというふうに思っております。

 それから、引っ張っているのが、今委員も御指摘になりましたように、一部の業種、例えば自動車であり、デジタル家電であり、それから携帯、デジカメといったようなメーカー、そして周辺の産業であり、それによって海運とか鉄鋼とか、そういうところも引っ張られているということでございますから、一部上場の二割ぐらいの企業が全体の六割の収益を上げている、こういうことを見ると、マクロとしては確かにそういう数字は出てきて回復基調ということになるのかもしれませんけれども、我々経済産業のミクロをより細かく見る立場からは、極端に言えば二極化になっているんだろうというふうに思っております。

 例えば大手であっても、流通等の、あるいはまた小売業等は依然として厳しいというふうに聞いておりますし、それから年末の総賃金も、いわゆるパートあるいはまた派遣の皆さん方の比率もだんだん高まっているということで、決して給与の状況もボーナスを含めてよくないというふうに私は思っておりますので、本当の意味の内需あるいはまた個人消費というものは依然として厳しいんだろうと思っております。

 また、本日発表されました失業率についても、四・九から五・〇ということで、これを、新規に仕事をしたいという意欲を持っている人がふえてきたからという解説もあるようでありますけれども、しかし、失業率が依然としてやはり五%ということは、日本の過去の経済状況から見たら非常に高いというふうに言わざるを得ません。

 それから、やはり地域的な状況。あえて言いますと、比較的いいと言われているのが東海あるいは関東といった地域が中心でありますけれども、私の北海道とか沖縄とかいったところは、雇用情勢も経済情勢も依然として厳しいということでございます。

 したがって、午前中も申し上げたように、全国の大宗を占めます中小企業、地場産業の多くは依然として厳しいという認識を持っておりますから、私は決して、この短期的な数字を四倍して七%になったからすごいねといって、前が明るいというふうに簡単には言えないのではないかという認識を持っております。

渡辺(周)委員 確かに一部の消費が、お話ありました例えば高級車も含めた乗用車でありますとか、あるいはDVDであるとかデジタルカメラであるとか、そうしたデジタル製品は非常に好況である。しかし反面で、例えば外食産業のような部分においては、客単価も安くなったこともあり、デフレの影響もございますけれども、そういう中で、非常にまだまだ個人消費という点については本格的な回復の兆しはない。

 チェーンストア協会が発表した例えば一月のスーパーの売上高なんかを見ましても、前年同月比でマイナス一・八%、まだいわゆる本格的な個人消費が回復するというところまではなっていない。

 先ほど、午前中の答弁の中でもございましたけれども、本当に一部のところがよくなっている。これはやはり例えば中国の好景気によるものでございまして、例えば中国向けの組み立て部品の輸出なんかがふえていて、中国に対する輸出の増大、恐らく北京オリンピックの二〇〇八年までは、例えば建設ラッシュも含めて恐らく中国経済は拡大をしていくんだろうと思いますし、また米国も堅調である。恐らくアメリカの大統領選挙、現職ブッシュ大統領は再選に向けて、例えば今、個人消費を底上げしていると言われる所得税の減税政策、例えばこうしたものの効果が薄れてきたときには、多分次の何らかの景気回復策の手を打ってくるだろう。アメリカも恐らくあと一年ほどは、先、景気が拡大していく。

 つまり、そういう意味では、本当に中国であったりアメリカであったり、一時期縮小されていた世界経済の中で、ここに来て回復の基調が大分見えているということにつられて日本の今の景気回復感があるわけでございますけれども、本来、GDPの六割強を占める個人消費が回復しないことには、やはり私は本格的な景気の回復はないんだろうというふうに思います。

 そうしますと、個人消費、これから特に新年度からは年金の問題あるいは税金の問題、これから個人の負担感というものが出てくる。その中で、またここに来て、いわゆる個人消費に冷水をかけるようなことになるのではないだろうか。その点につきまして、個人消費の回復という点について、例えばこれから経済産業省としてどういう手だてを考えていったらいいのか。また個人消費の今後のためには、これは私の持論でございますけれども、やはりいかにして個人の生活コストを下げるか。

 例えば教育費。これは、いろいろな支出項目を見ますと大体が微減、もしくは横ばいです。その中で、支出の分野で上がっているのが子供に関する分野、特に教育費。学校が五日制になって、例えば習い事に行ったり、進学塾へ行ったり、あるいは子供のそういう身の回りの図書でありますとか文房具だとかいろいろなものを含めて、子供に関する部分については非常に支出がふえているんですね。

 この分野をどうするかということを考えると、例えば教育費のコストを下げるとかいろいろな手だてが考えられるわけでありますけれども、大臣は、例えば個人消費を今後本格的に拡大させるという点についてはどうお考えか、その点について御所見をいただきたいと思います。

泉副大臣 委員御指摘のように、GDPの六割を占めると言われます消費部門が本格的な回復をしない限り、日本の景気が本当の力強さを取り戻せない、こういうことはおっしゃるとおりでございますし、GDPの実質はプラスになっておりますが、名目ではマイナス〇・三%というようなことでございますから、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、地域的にも業種的にもまだまだ大きな課題を抱えておるということは、我々も同じ認識でございます。

 そういう中で、世界の経済の動向、そしてまたごく近くの、委員御指摘の中国の活発な経済活動等を考えましたときに、これからも日本の経済がそうした流れの中に乗って、雇用や所得環境も徐々にではありましょうが持ち直していく、これがまた家計部門にも好影響を与えるものと期待しておるところでございます。

 委員御指摘の、年金負担増や年金課税の見直し等により消費にブレーキがかかるのではないか、こういう御指摘もございますが、企業収益の改善によって所得が持ち直していけば、全体として見れば、景気に対して大きなマイナスのインパクトにはならないのではないか。

 過去にも、我が国経済の中でこうした幾つかの経験を踏まえておりますので慎重な経済運営をしていく、そうした中で、個人消費を含めました経済動向を注意深く見守っていくことが、経済産業省としては現在の考え方でございます。

渡辺(周)委員 限られた時間でございます。どうぞ、スピードアップして御答弁いただいて結構でございます。

 今、見守っていくというような御答弁がございましたけれども、見守っていくのではなくて、これはやはりつくり上げていかなきゃいけない。

 そんな中で我々も、これは先ほど来お話がありました、今のは、例えば失業率がなかなか一向に飛躍的に改善されない中で、見られるように、多大な犠牲を払って大手の企業はかなり身軽になった、あるいは諸外国の輸出が非常に増大をしたという、ある意味では大変救われた部分があったと思います。これから我が国が何をしなければいけないかということをやはり長期的に考えていかなきゃならない。

 それはつまり、二十一世紀型の産業、我が国はこれからどうするのか。これから、もうここで重ねて言うまでもないことでありますけれども、重厚長大な産業がかつて我が国を支えてきた、そして、エレクトロニクスなどメード・イン・ジャパンが非常に世界を席巻した中で、今度はキャッチアップされてきた、アジア諸国からキャッチアップをされたわけであります。

 では、その後、我が国はどうしたらいいのか、あるいはどういう分野にこれから投資をしたら、あるいはこれからどういう分野に力を注いでいったら産業のパイなりあるいはすそ野が広がるのかということを、これは指し示していかなければならないわけです。

 これは私どもの党でも、まさに我が国はこれから十年、二十年という単位で未来の産業を、日本という国家として何を一つの国策としてやはりやっていくんだということを示さなきゃいけないという点では認識をしておるわけでありますけれども、まさにそういうものが先が見えてこない。

 今はいいんだけれども、将来、先々、一体我が国というのはどうなっていくんだろうかという漠然とした不安が、それは少子高齢社会なり産業の空洞化なりそうしたいろいろな問題があって、やはり個人消費というのはこれから、ある意味では、自己投資、自分に投資するんであれば将来の自分の生活の防衛のためにこれは切り詰めておいた方がいいんではないだろうかというような、今さまざまな消費の選択肢があるわけですから、そのように今やなってきている。ですから、我々としては、未来に対して明るいビジョンを見せなきゃいけないわけでございます。

 今回の所信表明の中にもございましたけれども、大臣がおっしゃられましたいわゆる新産業創造戦略というもので、これは、これからの我が国のいわゆる飛躍的に発展をしそうな分野に対して、肉づけをして具体化させていくというようなことでございます。経済財政諮問会議に、二〇〇五年度の基本指針、いわゆる骨太の方針に盛り込んでいくんだというようなことが言われているわけでありますけれども、具体的にどうしたことをお考えになっているのか。我が国が直面している課題に対して、どのような形で我が国の産業を含めた国家戦略を指し示していくのか、その点について、大臣のお考えを聞かせていただけますでしょうか。

中川国務大臣 基本的な考え方は、今御指摘の新産業創造戦略ということでございますけれども、日本はとにかく資源がない。資源といえば人材だ。その人材をフルに活用して、物づくりといいましょうかビジネスを成功させていくということでございまして、午前中もちょっと申し上げましたが、グローバルな競争に勝ち抜く産業、あるいは地域、雇用といったものに十分こたえられるような産業ということでございます。

 例えば、先ほども申し上げましたが、きのうの東葛テクノプラザは、非常に大学が幾つもあって、そして自治体がそこに隣接して、いわゆる大学発ベンチャーを、一つの大きな新しい施設の中で、大学の先生と民間の企業とが本当に情報交換をしながら物づくりをして、何年後には世界一の制度を目指します、世界一のシェアを目指しますといって大変張り切っておられる。多分、この地域だけではないと思います。そういう地域は幾つもあるんだろうと思います。

 したがって、自分がこういうことをやりたい、こういうことをつくりたいとか、こういうものを売りたいという、まずそのつくること、それから売るところまで含めて、いわゆる川上から川下まで総合的に支援をしていくということによって、いいものが日本の中から生まれていけば、絶対これは先ほどの個人消費にも、日本人はいいものは買いますから、そして利用していただけますから、そういう意味で、ただその技術をきちっとつくるだけではなくて、その技術だとかそういう難しい分野をどうやって実用化し販売していくかということも含めまして、総合的に支援をしていくということがこの戦略であるわけであります。

 他方、雇用ということに関して申し上げますと、私は、海外への投資というものは中国も含めて大体ほぼ一巡をして、新たな産業展開、企業展開をしてきている兆候が少し見られるのかなと。例えば、どんどん海外に進出していった優良な家電メーカーが逆に日本に戻ってきて、新たな工場をつくり、そこで新たな経営方針に基づいて、例えば第六世代のディスプレーをつくり始めたとか、そういうことを見ますと、これはまさに、日本の中にまた戻ってきて、雇用とかそういうものも含めて日本の中で頑張っていこうという企業が出始めてきているということも私は数例承知をしております。

 そういう意味で、最終的には人の意欲と、それによって生ずる技術が製品化されて、そして世界じゅう、国内はもとよりでありますけれども世界じゅうの皆さんに使っていただく、売れるというような体制を全国、地方も含めて、中小企業も含めて、ベンチャーも含めて、そういう体制をつくっていくために何ができるかということを、五月に向けて今省内で鋭意検討しているところでございます。

渡辺(周)委員 それは、いわゆる製造という分野なのか、それとも製造以外の分野で、例えば日本というのは世界に冠たる長寿の国であります。その長寿ということで考えた場合、いかにして健康で元気でいられるか、例えばそういう分野について、健康、福祉などという部分について、日本の国内政策はもちろんでありますけれども例えば外国に対して、ほかの国に対しても、一つのこれはまた大変な日本の売り物だというふうに私どもは思っている。世界に類を見ない長寿の国家である、それはなぜだということ、また、長寿社会の中でどういう環境をつくってきたかということも、ある意味では大きな日本の産業戦略の一つにしていいんではないかなと私は思います。

 今、ちょっとお話がわかりにくかったんですけれども、例えば、それは物づくりという観点なんでしょうか。いわゆる製造業という点。それ以外に、もっとそれを幅広くやっていこうとされているのか。

 もう一つは、五月までということでございますけれども、その進捗状況というのはどうなんですか。かなり他省庁等も含めてそのすり合わせ、あるいは産業界でありますとか学術界とももうすり合わせはされているんでしょうか。その点は進捗状況いかがでございますか。

中川国務大臣 十一月に、私から、役所の中でこういう戦略をつくっていこうということで、五月を一つのめどにしておりますが、省内で今鋭意検討をしております。

 そして、いろいろな関係者の御意見、さっき申し上げたように、全国に行っていろいろな方々の御意見を聞きながら基本的な戦略を練っていこうということでございまして、進捗状況として現時点で御報告するような状況には残念ながらまだなっておりませんけれども、外部の方、いろいろな専門家あるいはまた消費者等々の御意見も聞きながら、そういう、あくまでも戦略ですから、こうしなさい、ああしなさいということじゃなくて、基本的な認識と将来に向かっての一つの提言みたいな形になるんだろうと思います。

 それから、製造業に限るかというと、入り口は多分物づくりというところから入っていくんだろうと思いますけれども、例えばICタグなんというものを利用していけば、もっとソフトの部門で、いろいろなところで産業が起こりビジネスが起こりそして雇用が起こっていくのではないかということも考えますと、入り口は物づくりでありますけれども出口は、サービスも含めていろいろな分野で活用できるような、そんなようなことを今私は考えております。

渡辺(周)委員 ぜひこれは物づくり、特に有名なのは、例えば大田区の南蒲田なんというところには、実は世界の注目を集めるような技術が大変ある。日本の中では評価されていないんだけれども、例えばNASAのような航空宇宙局のようなところから大変高く評価されている技術もあり、あるいは、かつて東南アジアの首脳がやってきて、この工場を丸ごと国へ持って帰りたいんだといったような企業もあるわけです。そうした企業が、実は日本の中では余り評価をされていないといいましょうか、実態をちゃんと評価されていなかったりします。

 ところが、そうしたところが、日本というのは、製造業の一つの特化された、専門的な分野について特化されている、その幾つもの分業的な中で一つの製品をつくり上げていくわけでありますから、ぜひ、そうしたところが今大変な疲弊をしている。まさに、おっしゃっているこの戦略は間違いないとは思います。しかし、では現状、今ここにある、塗炭の苦しみを味わっている、特に中小零細、製造業のような分野が今非常に厳しいところにいるわけでありますから、現実的にはそういう人たちのまさに灯が絶えないように、これもあわせてお願いをしなければ、絵にかいたもちになってしまうんだろうというふうに思っております。

 そんな中で、もう一つだけ申し上げると、地球環境という問題も大きな問題だろうと思います。

 これは私の持論なんですが、例えば、中国がこれから大変な建設ラッシュあるいは設備投資がどんどん進む。どんどん中国という国が活況を呈してくる中で、ことしから、いわゆる重油の輸入量が中国が世界第二位になった。日本を抜いた。そうした中で、これから私は、中国というこの広大な、一つの産業基地でもあり、世界の工場でもあり、世界の台所とか食卓と言う人もいますけれども、時には、やはり世界に環境問題についても大変大きな懸念をもたらす。これは、国際社会がどうにかしなきゃいけないということも当然出てくるだろうと思うんですね。

 今まで中国といえば自転車で、例えばよく言われる天安門の広場の前をもう大変な大量の中国人民が自転車に乗って例えば仕事場に行った。ところが、これから個人の所得もふえてくるにつれてモータライゼーション化してくる。そうすると、自転車から今度はオートバイ、オートバイが今度は四輪の自動車にというふうになって、今、日本のトヨタを初めとする自動車メーカーも、対中国の販売店の数をこれからどんどんふやそうという戦略を進めているわけでありますけれども、そうしたときに、あの広大な国で、あれだけの人口がいる国で急速にモータライゼーション化が進んだときには、どうなるだろうか。

 そのときに、やはり日本という国が、いかに脱CO2社会の中で世界環境を考えてこうした分野について貢献できるか。あるいは、そういう技術を発揮できるか。これは、これから中国の加速的な発展とともに地球環境問題を考えていくときには、私は、日本というのが果たせる大きな一つの分野であろうなというふうに思うわけであります。そうしたこともぜひ考えていただいて、当然、環境問題というのは産業戦略の中で欠かせない分野でありますから、例えばこういう点も含めて、ぜひとも進めていただきたいなと思います。

 この問題だけでもう三十分近くしゃべってしまいました。この後、ちょっと別の観点から御質問したいんですけれども、そうは言いながら、国内のさまざまな現状は、経済の厳しい中にある。きょうは内閣府の方、来ていらっしゃるんでしょうか。という中で、先般、ちょっとこれは質問が変わりますけれども、あそこは栃木県ですか、鬼怒川温泉の再生に対して再生機構が乗り出すのではないかというような一部報道がございましたけれども、この点は事実なんでしょうか。どなたかお答えできる方はいらっしゃいますか。ではその話はちょっとまた改めて。――では、どなたかお答えできる方、いますか。

 例えば、これはいわゆる、ちょっと意外だったのは、個別の企業を助けるのではなくて、一つの地域を救済するんだというようなことが一部報道でありました。この疲弊した地域、あるいは鬼怒川の場合は足利銀行という一時国有化された金融機関に非常に負うところが多かった。そういう意味では、これからどのようになるかという中で、非常に厳しい環境になっていくだろうという中で、実は産業再生機構が乗り出すのではないかというような報道があったわけです。

 本来なら――私はちょっと異質に感じたのは、個別の企業ではなくて、そうした疲弊した地方のあるエリア、あるいは都市を再生させようと。

 ちょっととっぴな気もいたしましたけれども、現実問題として、地方の都市というのはまだまだ、個々の企業のみならず、例えば私は選挙区は伊豆半島というところでございますけれども、伊豆半島というところの温泉場というのはどこも大変ですね。いいところもあれば悪いところもある。もともとのしにせ旅館なんかが集まったところは大分借り入れをして、随分バブルの前にリニューアルをしてしまった。ところが、そのときの巨額な借り入れが大変な重荷になって、しかも観光客の多様化によって非常に激減してしまった。さあどうするかという話になったときに、これは日本全国どこでもあり得ることだと思うんですけれども、例えば、こういう地域の問題に対して経済産業省として何ができるか、個々の企業だけじゃなくて。

 個々の企業を救うというのは、いろいろな形での支援協議会等ございますけれども、例えばこういう地方のエリアに対して、何らかの形で、大臣の所信の中にもありますように、例えば地域の活性化、そうした点においては何ができるのかという点についてお尋ねをしたい。

中川国務大臣 たしか昔、円高不況とかああいうときに、地域全体が極めて大きいダメージを受けるときに、地域を指定して何らかの支援策をとるという制度が何かあったと、事務方でわかれば後でフォローしていただきたいんですが。

 ただ、今委員御指摘の産業再生機構とか、これは私も金子大臣と一緒にやっている立場でありますけれども、あるいはまた我が省の産業活力再生法というのは、基本的には一企業単位で頑張ってもらおうということでやっているわけでございまして、再生計画に基づいて我々も活力法の適用というものをやっていくわけであります。

 したがって、地域として、この場合には多分足利銀行絡みであの温泉街全体が非常に影響を受けているということは事実だろうと思いますけれども、だからそこにある旅館街あるいはまた出入りのクリーニング屋さんとかそういうところをまとめてそれでもって救うということは、多分私は、報道しか私も知りませんけれども、なかなか難しいのではないか。個々に一企業ずつ認定をしていくということになるのではないかというふうに思っております。

渡辺(周)委員 所管大臣でない大臣にお答えをいただいたわけでありますけれども、というのは、もしこういうことが可能であれば、これは、例えばこの所管が内閣府であるとか、ここは経済産業省だとか、ここは財務省であるとかというのではなくて、やはりもう地域の中において、この後ちょっとお話ししたいと思っているんですが、例えば今、温泉場を例に挙げました。たまたま新聞報道でちょっと意外な報道があったものですからお尋ねしたわけですが、例えば地方の商店街、こういうところはもう大変、これはどこの町もそうですが、駅前の商店街がキーテナント、当初の中核的な商業施設がなくなってしまって、郊外にどんどんどんどん大型店のショッピングモールができるということになるわけでございます。

 これは私どもの町なんかもそうなんですけれども、例えば、商店街の疲弊という中で、もしこれは、産業再生機構であるとかあるいは地方における再生支援協議会、個々の企業を救うのではなくて、一つのゾーンとしてこれからこういうことに直面してくるのではないのかなというふうに思います。ぜひそういうものが支援策として、例えば中小企業再生支援協議会、こちらは経済産業省の管轄でございますけれども、例えば、商店街全体を支援することができないのかという点を一つ。

 それからもう一つは、経済産業省がやっておりますいわゆる空き店舗事業の中で、コミュニティーの場を提供する場合にはそこに助成するということをやっておりまして、たしか、長崎県の大村市の商店街か何かが成功例を、私もちょっと見ましたけれども、コミュニティー施設活用事業。例えば、大変こうしたものの利用もふえているようでございますけれども、従来の商店街、商業施設の集積から今度は、例えば子育て支援でありますとか、あるいは託児所であるとか、あるいはお年寄りを預かるデイサービスのような形の付加価値をつけるという形で今進んでいるようでございますけれども。

 例えば、そうした点について私ども民主党はマニフェストの中で、かつて、昨年の選挙で、中小企業対策と商店街対策の予算を七倍にする、まさにこういう形で、空き店舗対策なんかの多様性、付加価値をつけるためにやるべきだと我々も言ってきたわけでありますけれども、その点の現状と、また、これからの見通しについてお答えをいただきたいと思います。

坂本副大臣 先生おっしゃいますように、中小企業再生支援協議会は、まさに個々の企業を面倒見るものなんですね。したがって、相談から再生計画策定支援まで、きめ細かく中小企業の再生への取り組みはやるんですけれども、その地域全体、商店街全体ということについてはなかなかできませんが、商店街全体の支援策としては、商店街振興組合等が行うアーケード等のハード整備、あるいは空き店舗対策等、専門人材の派遣等ソフト事業について、地域のニーズに応じた幅広い支援策をやっておるところでございます。

 また、商店街の空き店舗を活用したコミュニティー施設等々につきましては、これは平成十四年度から補助制度を創設いたしました。これまで、全国で五十九件の事業について補助を実施いたしております。このうち託児関連の事業は十六件となっています。十六件の事業については、いずれも大変な成果を上げていると聞いております。

 その中で、報道等でよく取り上げられる事例としては、高知市のおびさんロード商店街があります。商店街に来られたお客様に対するサービスの充実や利便性の向上、あるいは商店街のイメージアップ、ああ、こんなことまでしているのかということで、大変その商店街が県内県民から評価されている。そういったようなことが成功要因としては挙げられているわけであります。

 なお、予算措置の拡大についての話でございますが、コミュニティー施設事業については、一事業当たりの必要経費が本当に小さいんです。一件当たりの平均補助額が約三百万円ということになっておりまして、このため、現状においては十分な予算が確保されていると考えております。

 経済産業省といたしましては、商店街の活性化を図るために、それぞれの地域における創意工夫の取り組みに対して、引き続き支援を行ってまいる考えであります。

渡辺(周)委員 これは本当に、ちょっと身近な商店街を皆さん方もイメージされたのではないかと思いますけれども、もうどこもそうでありますけれども大型店が、最近では地方都市でも二十四時間営業するスーパーが出てきてしまう。そうすると、お年を召した経営者、老夫婦の方々が、例えば電気屋さんをやったり雑貨屋さんをやったりしたって、もうとても歯が立たないわけでございます。当然、時代の中で廃業していく方々も出てくる。

 そうした中で、どうやって空き店舗を活用してマイナスのイメージをプラスに変えるか。これは私ども、マニフェストの中で、とにかく商店街の振興、中小企業の振興という中で、中小小売商店の支援という形ではずっと訴えてまいりました。ぜひとも、この点につきましても今後また議論をして、地方のあり方について、また事例等を挙げながらいろいろ議論を深めていきたいなというふうに思います。

 時間がちょっと押してまいりましたので、次に、FTAの点について御質問をいたします。

 先般の報道の中で、メキシコとの合意は間近ではないか、何か山に例えれば、かなり頂上に近いところまでもうアタックしているんだというようなことでございますが、オレンジ果実、果汁、あるいは豚肉、鳥肉、牛肉といった五品目、この点についてはなかなか交渉が難航しているというふうにも聞いておりますけれども、昨年来からのこの交渉、一たんは決裂した、しかし、ここへ来てまた合意が間近である。

 このメキシコとのFTAは成功させたいというような国の意気込みが聞こえてくるわけでありますけれども、実際どのような進捗状況なのか、実際その手ごたえはどのように感じていらっしゃるのか、そしてまた、他省庁とのそうした、特に今現在のメキシコからの強い要望に対して国内調整はされているのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。大臣ですか。

中川国務大臣 FTAの重要性については午前中申し上げましたので避けますが、メキシコというのは人口が約一億、そしてGDPがたしか六千ドルぐらいで、これを掛け合わせるとASEAN十カ国と同じぐらいの経済規模のある、しかも、アメリカそして南米のちょうど中心地にいる、OECDにも加盟している、ある意味では世界でもベストテンに入る大国であるわけでありまして、そことFTAをやるということは、非常に日本にとっては経済的、また国益としても大きいと思います。

 今委員御指摘のように、去年の十月に我々、外務大臣、農水大臣と三人で向こうとやりまして、ぎりぎりのところまでいったんでありますけれども、そして、フォックス大統領と小泉総理との間で正式合意ということにしたいところでありましたが最後のところで、決裂とおっしゃいましたけれどもまとまらずに、今後の継続にしようということにしたわけでございます。

 その後、いろいろなレベルでやっておりまして、現時点においても実務者で全体の点検をしております。点検といってもゼロからの点検ではなくて、八合目、九合目ぐらいの感じだと思います。あと一歩といえばあと一歩でありますけれども、外交交渉でございますから、百里の道も九十九里の道をもって半歩とするということわざもありまして、私は、まさにその心境でいるところでございます。

 農産品等、それから私の所管する品目が主な交渉項目でございまして、それぞれやっておりますけれども、現時点でもやっておりますので、細かい内容については私も、直接の交渉は農水大臣でございますので申し上げることはできませんけれども、全体として、文字どおり、合意に向けて今鋭意努力中であるということでございます。

渡辺(周)委員 二〇〇二年の十一月からですか、政府間交渉が開始をされて、その間、いろいろな協議がありながらにして、残念ながらまだ合意に至っていない。

 私ども、FTAは推進すべきだという立場に立っております。ただ、国内のいろいろな、例えば直接影響を受ける農林水産の関係者あるいは養豚業など、例えばメキシコの場合ならばやっていらっしゃる方々、いろいろな利害を考えなければいけないということはもちろんあるんですが、やはり我が国が貿易国家として、例えばメキシコに鉄鋼や鉱工業製品、自動車をたくさんもう出している、それで、関税を撤廃してほしい、関税を下げてほしい。

 ところが、向こうにしてみますと、これだけのものを何とかしてほしい。メキシコという国も、アメリカから大変な輸入の圧力を受けて、とにかく日本に何とか輸出をしない限りは、メキシコという国も政治情勢、少数与党、中は大変なんだというような政治的背景もよくよくわかっておりますけれども、メキシコに限らず、FTAの交渉の中で、相手国の希望するという分野をどう我が国が受け入れられるか。

 我が党の中でもFTAのプロジェクトチームをつくって、農林水産や外務の方々とも一緒になって当然協議をしているわけでございますけれども、その中で、やはり日本の、我が国の非常に大きな問題点は、先ほど、直接交渉されているのは農林水産大臣だと。そうしますと、これは日本の中の、経済産業、そしてまた外務、農林水産、そして時には公正取引委員会ですとか、例えば国土交通省ですとかあるいは財務省ですとか、もういろいろな役所にまたがるわけでございます。

 その点について、これまでも言われてきたことなんですけれども、やはりそれぞれの利害関係者の意見を調整した上で交渉もする、いわば日本版のUSTRのような一つの対外経済交渉に特化した組織を、もうそろそろやはりこれは考えなきゃいかぬのじゃないか。もちろんそれは、横の連絡を密にとられて、当然同席もされてやってきてはいるでしょうけれども、残念ながら今の日本の縦割り行政の中でいえば、これはどこどこ省これはどこどこ省ということで、なかなか一体化してできないんですよ、国内の利害調整。

 その点については、大臣はどうお考えですか。FTA交渉を今後進めるに当たって、この問題に取り組んできた上で、日本版のUSTRのような形で、一つの特化された組織をつくるべきだと私は思いますけれども、大臣、いかがですか。

中川国務大臣 そういう御議論はよく私も聞いております。

 一つは、代表的なのはUSTRであり、お隣の韓国なんかも通商交渉本部長のもとでやっておりますが、ただ、その人がスーパーマンのように全権を持ってやっているかというと、必ずしもそうではないということも事実でありまして、USTRがやる場合でも、農業関係あるいはまた鉄鋼関係、自動車関係、いろいろな団体の皆さんの利害を調整するわけでございます。

 他方我々は、議院内閣制のもとでは特に与党の皆さん、国会の皆さんとよく議論を深めながらということでありますが、今も御指摘ありましたようにメキシコの場合には外務省、それから経済産業省、農水省、それから、途中までの品目としては財務省が入っておりましたけれども、四省庁でやってまいりましたが、非常にシステムとしても、また、お互いのカウンターパートの信頼関係というのは非常に私は深いものがあり、また緊密だと思っております。

 他方、私のところに農業団体の方が来て直接お話しすることはなかなかできませんし、また、自動車関係の皆さんが農林大臣のところに行って話をするということもなかなかできないので、そこは、関係のところは全部それぞれがまとめて、そして政府として、内閣総理大臣のもとで我々担当大臣がしっかりと緊密に連絡をとりながらやるということで、今までのところメキシコとの交渉においては、特に農林省と経済産業省との間で交渉に乱れとかそういうことはございません。

 私も、多少、農林水産行政わかっておりますし、亀井農林大臣も、こういう経済産業のことを大変お詳しい大臣でございますから、よく相談をしながら、我々がリーダーシップを持ち、最終的には総理大臣のもとでこの交渉に臨んでいるということでございます。

渡辺(周)委員 与党席が空席がということで、与党側が空席ばかりになってきて、本当にこの質疑を続けていいのかというのは、もうこれは筆頭理事もあれだと思います。とにかく、第一回目の、大臣の所信に対する質問をするのになぜ与党がこれだけ空席なんだという点については、この後はまた民主党の持ち時間はまだまだございますので、与党の出席者が余りにもいない場合には、当然、質疑をどうするかということは理事さんにまた判断を任せるとして、私はもうここまで来ましたので続けさせていただきますが、その間にどうぞ何とか与党席が埋まるように御努力お願いしたいと思います。

 今、そういうお話があります。これは大臣も農水大臣を経験されていらっしゃいますからよくわかりますけれども、いずれにしても、非対称な形で、例えば、相手国の担当大臣と、こちらになると複数の責任者が出てくる、時にはこちらの要求と向こう側の要求とでは非対称になることがある、そうするとこの調整に手間取らなきゃいけないということが、やはり日本のFTAがおくれてきた大きな理由だったんだろうというふうに私は思います。

 ちょっと時間がありませんので続けますけれども、もう一つだけちょっとお尋ねしますが、今後の見通しについて、次は韓国ではないのかなというふうに私どもは思いますが、例えば、これから戦略的な優先順位をどうしていくのかという点。それは、例えば経済的基準、政治的外交的基準、現実的可能性による基準、外務省はそのようにFTAについて戦略的優先基準を言っているわけでありますけれども、例えば、一つ例にとりますと、フィリピンというところがございます。

 フィリピンは、我が国に対して高い関税、二五・六%というのを課している。このフィリピンはどうしてほしいかといいますと、日本の労働市場を開放してほしいというわけですね。例えば介護だとか看護だとかという分野にどんどん人を出したい。

 私もちょっといろいろ調べてみましたら、欧米では既に多数のフィリピン人の看護師という方々が就業している。二〇〇〇年末の統計ですけれども、七百三十四万人のフィリピン人の方が、これは人口の一割弱だ、この方々が海外で就労しておりまして、本国へ送金する金額は、わかっているだけで六十億ドル、名目GDPの八・四%。もちろん、統計にあらわれていない数字もあろうかと思います、個人が送金したような。つまり、名目ですがGDPの約一割は海外の働いている方々によってできているのでございます。

 この労働市場というところに、例えば介護とか看護とかいう分野にその国の方々が来たときには、当然、日本の国家資格を持っていなきゃいけない。しかし、言葉の問題もあります。ただでさえ、日本の中でも今いろいろな医療事故ですとかあるいはさまざまなミスが起きている中で、では果たして海外の方が、決して差別をするわけじゃありませんけれども、言葉もパーフェクトにできなければいけない、しかも知識もある意味では遜色なく持っていなきゃいけない、この人たちが果たして日本の市場を開放せよと言われたところでできるのかどうか。あるいは、非常に簡単な分野で、例えば何らかの形で家事の手伝いのような形、例えばベビーシッターでありますとか何らかのメードさんのような形ででは入るようなことが、果たして現実的にあり得るのだろうか。

 しかし、この間の新聞では、フィリピンのプリシマ貿易産業大臣という方が、とにかく日本の市場というのは大変魅力的なんだ、だからここにとにかく人的なある意味で輸出をしたい、輸出と言ったらいけませんけれども労働市場を開放してほしい、これがもう何より優先するんだというように言っていましたけれども、例えばこういう分野においてこれから交渉をしていく中で、どのように国内的にはこれを判断するのか。

 日本としては、優先順位としては、当然フィリピン向けの関税率の高いところをできるだけ下げてほしい、撤廃してほしい、これから我が国の貿易産業という、輸出という点については非常に期待をするところですけれども、では、向こうの期待する部分がこれはちょっと日本の中ではとてもじゃないけれどもかなり難しいぞという問題のこの交渉をどうやってめどをつけるのか。その点について、今の現状をどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。

江田大臣政務官 今委員御指摘のように、例えば現在、フィリピンからは看護師、介護士、またホームヘルパー等の受け入れ等の強い要請がまた出されております。また、タイからはタイ式マッサージまた調理師という、さまざまな人の受け入れというのが言われているわけでございます。

 我が国の発展ということを考えました上におきましても、少子高齢化というのが今我が国では影響を受けてくるわけですが、中長期的に労働力が減少すると見込まれる中で、我が国の持続的な経済発展をどう維持していくかという観点から、教育、医療、そういう問題も含めて、外国人労働者の受け入れの問題も真剣に検討していくべき、そういう段階にあるということであろうかと思っております。

 フィリピンを初め東アジアと意義のある効果の大きい経済連携を実現していくためには、FTA交渉におきましても、物の移動に加えまして人の移動という問題もこれは避けて通ることのできない大きな問題でございます。先ほども申し上げたような問題にもきちんと対応した上で、アジアから高度に専門性を持った人材の受け入れを進めていくことは重要であると考えております。これは、我が国が真に開かれた国家としても発展し続けていくためにも、またアジアの中で我が国が期待された役割を果たしていくためにも、非常に重要なことと考えております。

 この点につきまして、慎重に各部門で検討をしつつ、その共通のスタンダードというようなものもつくりながら考えていく必要があると思っております。

渡辺(周)委員 FTAについてはまだまだ議論を深めたいところがございますけれども、また次回のときに、各国のさまざまな、大臣政務官が対応されているというようなお話も伺っております。この後まだタイでありますとかマレーシアでありますとか、さまざまな国との状況についてもいろいろお伺いをしたいわけでありますけれども、ちょっとあと二つ用意しておりますので、急ぎ足で進めたいと思います。FTAにつきましては、これで、また改めての機会にさせていただきます。

 一つは、先ほど来、我が国がどのように未来産業をやっていくかという上で欠かせない問題がございます。それは知的財産の問題でございます。

 今、職務発明の対価をめぐって巨額の司法判断というのが相次いでいますけれども、まず、これについて大臣の御感想をひとつ伺いたいと思います。

 それからまた、今回の改正案が、これまた法案の審議の中でも出てきますけれども、また質疑をしたいと思いますけれども、この中でさまざま指摘されているのは、相当の対価というのをどういうふうに考えたらいいのだろうか、あるいは、三十五条の改正の中でルールの合理性というものが出てくる、この点についてどのようにこの言葉を理解したらいいのかという点につきましてお尋ねをしたいと思いますし、また、日本の雇用関係の中ではなかなか労使対等で協議、契約をするというのは難しいのではないかという指摘もございます。また、中小零細企業にいきますと、こうした職務発明の規程などというものを全く整備していない、ましてや従業員の代表も労組もなければ何もないというところもございます。

 そうしたところで、今後この法改正、これはまた改めて議論を深めますけれども、これをどうお考えか、この点について大臣の御感想と、またどなたか御答弁いただければと思います。

中川国務大臣 このところ、職務発明に関する裁判、判決が続いております。

 先ほど、新産業創造戦略の中でも大いに関係してきますけれども、今も委員ちょっと御指摘になりましたが、知的財産権をどうやって守っていくかということは、対外的にも、また発明した方あるいは企業にとっても非常に大事な、ルールを確立しておかないと今後いろいろな面でマイナスが生じてくるということでございます。

 そういう中で、個別それぞれ裁判が行われているものは違うんだろうと思いますから個別のことは差し控えますけれども、とにかく、企業とそれから従業員、社員の皆さんが職務発明を一生懸命やっていく。その結果、とんでもないすばらしいものができてしまったという場合にどうなるかということでありますけれども、とんでもないものでなくても、やはり会社と社員との間にきちっとしたまず事前の、そしてオープンな形の約束というものをつくっておくのが必要なのではないか。

 これが、今御指摘のように組合がない場合とかいろいろな状況があるから、個別的にはなかなかそうはいっても難しいのかもしれませんけれども、とにかくオープンな形で、できれば対等にルールを事前に決めておく。そして、それが万が一うまくいかないときには公の司法判断に仰ぐということで、今国会に特許法の改正のお願いをしていただくことになっておるわけであります。

 いずれにいたしましても、企業ですから、ビジネスとしてこういうものをつくって売ろうということ、それから発明者の方は、その目的と同時に、発明者としての喜びと、そしてまたそれに対する何らかの見返りといったらちょっと言葉が乱暴過ぎるかもしれませんけれども、対価というものが相応な形で得られることによって双方がハッピーになるということ、これの第一歩。多分日本では、今までこういうことが余り経験としてなかったものですから手探りのことになるかもしれませんけれども、その第一歩として特許法の改正の御審議をいずれお願いいたしたいと思っておるところでございます。

江田大臣政務官 先生、幾つも御質問の中に入っているかとは思うんですが、基本的な方針は今大臣がおっしゃられたとおりでございます。

 職務発明の対価をめぐりましては、一方、企業側としましては、この訴訟リスクを減らしたいという御意見がございます。また、他方、一部の研究者の方には、裁判でやはり対価を決めるべきだという御意見がございます。この双方の意見がある中において、今回の改正案というのは、企業と研究者のバランスに配慮して作成されているというところが今回の特徴でございますが、今回のような改正案をもってしていけば、企業と研究者が十分に協議しながら規程を作成するということになりますので、研究者の意見も今まで以上に反映されるということになると思います。(渡辺(周)委員「はい、もう結構です」と呼ぶ)ええ。

 もう一つ……(発言する者あり)では。

渡辺(周)委員 時間がありませんから、最後に公取の委員長、お見えでございます。

 今回の独禁法の問題で、かなり大きな独禁法改正案が出るのではないかと注目されていますが、最後にお尋ねをしますけれども、昨年の報告書が出てから今日に至るまで、かなり拙速に法案提出の準備をされておるということでございますので、この改正案を提出する予定があるのかどうか。

 そして、先般アメリカの判例で、インフラ施設の第三者利用が事業法により担保されていれば、いわゆる不可欠施設の原則による独禁法違反を問う必要はない、このような裁判の結果が出て、また、そのような意見書も送付されてきているというふうに聞きますが、いわゆるEF、不可欠施設の概念についてどうお考えか。そしてまた、この法を今国会に提出される予定か。その点についてお尋ねを最後にしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 二つ御質問いただきましたが、まず法改正について申し上げます。

 これは、もう二年前から、学識経験者、経済界、消費者団体の方も入っていただいた研究会を開いていまして、一年かけて研究をいたしまして、その結果を昨年の十月に公表させていただいている。それから、一方、本委員会においても、昨年、内閣府移行法案をお願いいたしましたけれども、そのときの附帯決議でも、措置体系の見直しについてやるべきである、こういう附帯決議もいただいている。政府の中におきましても、規制改革三カ年計画というようなものを閣議決定しておりますが、そういう中においても、課徴金の引き上げ、犯則調査権限の導入等々について具体的に実現を図るべきであるという趣旨の閣議決定がなされている。

 こういうことを踏まえまして、私どもは、時間、そう余裕があるわけではないのはもちろん自覚しておりますが、内閣法制局と政府部内の調整も済ませて、今国会には改正法案を出させていただきたいということで、引き続き努力をさせていただいております。

 それからもう一点、アメリカの最高裁の判決で、いわゆるエッセンシャルファシリティー理論というのが否定されたのではないのかと。

 これも、どうしてそんな外国の最高裁の判決が問題になっているかというと、私、今度の独禁法の改正の中でもう一つの柱として申し上げている独占、寡占規制の見直し、その中で、電力とか電気通信のような広域事業分野で自由化がなされているところについて新規参入を一部させましょうということで、段階的、部分的自由化が進んでいるわけですが、そういうことで、せっかく自由化された分野におきまして新規参入が入ってこなければ自由化の実が上がらない。

 ところが、今まで、公正取引委員会が何回か警告または法的措置を講じてきておるわけですが、どうも、非対称規制を、日本の法律によって義務がされているにもかかわらず新規参入に対する妨害行為があるという現状を見ますと、特に電気通信とか電力等々、これはまさに、これからそういう自由化された分野を活性化して日本の産業経済の活性化に結びつけようということでございますから、私は、迅速、効果的にそういう新規参入に対する妨害行為が排除できるようにしなきゃならぬ、こういう問題意識で今議論をさせていただいているわけです。

 それに関係して、それはエッセンシャルファシリティーと関係がありますね、エッセンシャルファシリティーの理論はアメリカの最高裁で否定されましたねというような解釈が、どうもいろいろ見聞するんですが、私どもが調べたところ、これは、アメリカにおいてベライゾンという地域電話会社が、新規参入者に対してアクセスにおいて差別的な取り扱いをした、これがアメリカの電気通信法に違反する、したがって、そちらの方でそれを治癒されているわけでございまして、それも奇貨にいたしましてニューヨークの弁護士事務所が、民事裁判として三倍額賠償というのがアメリカにあるわけですが、これで、シャーマン法、要するに日本でいう独禁法違反でもあるということで議論になった話でございます。

 結論から申し上げますと、これは、アメリカの最高裁においてエッセンシャルファシリティー理論が否定されたわけではない。これは、関係はしておりますけれども、それについていいとか悪いとかいう判断が下されたものではない。それから、私どもが今考えておりますのも、エッセンシャルファシリティー理論を入れようとしているわけではないということを、長くなりましたけれども申し上げます。

渡辺(周)委員 では、終わります。

根本委員長 田中慶秋君。

田中(慶)委員 民主党の田中でございます。

 私は、大臣に、まず一つは日本のエネルギー政策の問題等について質問をさせていただきたいと思います。

 大臣も御存じのように、エネルギー基本法を初めとするエネルギー問題というのは、さきの、前々回の国会で大変議論になり、二〇〇一年でこのエネルギー問題に、長期に対する考え方が述べられてきたわけであります。

 そういう中で、現実に十年なり二十年なり、そして化石燃料というものが、どちらかというとこれから地球温暖化の問題等々含めながら減少の方向にということでありますけれども、しかし昨今では、化石燃料もさらに増加をするばかりじゃなく、一方においては新エネルギーという問題でありますけれども、地球に優しい、環境に優しいということを含めながら、このエネルギー問題が避けて通れない。

 しかし現実には、この新聞報道やその他のことをも含めながら、昨今の原子力の問題等についても、政府の見解なりあるいは大臣の見解を含めて、例えば原子力発電十基なければその地球温暖化、京都議定書の目標は達し得ない、こういうことがこの席でも述べられる。しかし現実には、今この原子力の見直し等々含めて、五基ないし、あるいは六基、従来から言ってきたことはまだ三年もたたないうちに半減をされているということについて、大臣はどのように認識をされ、これをどう対処しようとしているのか、まず冒頭にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 日本はエネルギーが非常に少ない。そして今、田中委員御指摘のように、石油を中心とした化石エネルギーの依存度が非常に高いという、他方、京都議定書等で、安全を前提ではありますけれども、原子力エネルギーとか天然ガスエネルギーといったものも非常に大きなウエートを占めているわけでございます。とにかく、エネルギーの二〇三〇年に向かっての長期的計画を今策定しているわけでありますけれども、分散、いろいろな形の多様なエネルギーを確保していく、新エネもそうだと思いますけれども、長期的な視野に立ってやっていくということでございます。

 そこで、十基を五、六基でいいじゃないかというふうに一部で報道されたようでありますけれども、我々としては、個別にいろいろな状況で、電力会社が一つの原発を前へ進めるとか場合によっては中止するとかいうことはございますけれども、我々として計画の中で五、六基でいいというふうに決めているわけではございませんで、必要なエネルギーの中の原子力という基幹エネルギーの重要性というものは変わらないわけでございますし、数字について十が五、六でいいということを決定したことでもございません。

田中(慶)委員 しかし、先般来、巻原発が中止になった、中止をするという報道もされ、そしてなおかつ、政府がそのことを容認したということは、この原発が、地方自治体でノーと言えばそのエネルギーの所管である、経済産業省でありますけれども、ここがそれを容認する等々含めて、言っていること自体が、大臣が今言われていることの変更がないということと、現実に原発が中止をするということと矛盾していませんか。

中川国務大臣 東北電力が巻町の計画を撤回したということは、経緯はもうあえて申し上げませんけれどもこれは、この巻町原発については、東北電力がいろいろな状況の判断の中、また判決に基づいてやった、中止ということに決定したわけでございますけれども、全体としてのこのエネルギー、特に原子力発電の位置づけというものについて、これによって大きく変更するということはないということでございます。

田中(慶)委員 巻町の問題はそうかもわかりませんけれども、現実問題として今原発問題が、見直し等々が盛んに議論をされ、報道され、そのことについて政府の考え方は従前と変わらない、そういうことを明記していいんですか。

中川国務大臣 先ほど申し上げましたように、自主資源といいましょうか、資源の自給率の大変少ない日本において、原子力エネルギーというものが安全であり、そしてまたいろいろなメリットが、安全ということを前提にしていろいろなメリットのあるエネルギーでございますから、設置地区の自治体、住民の皆さんの御理解を前提として、極めて重要な位置づけを今後も果たしていくというふうに考えております。

田中(慶)委員 それぞれ設置を予想されている自治体、地方自治体は、この今の新聞報道を初めとするこれら等について大変戸惑いを生じているわけであります。

 なぜかというと、従来までこの原子力発電所設置についての、例えば先ほどの巻町についても、協力金、地元対策費という形の中で相当な資金の導入をされてきました。これからもこの原子力発電の協力金なり地元対策費という形の中で予算計上をされていくわけでありますから、しかし、現実にこういうものが報道されてまいりますと、地元とすれば、それぞれの地方自治体は、やはり今後の、それぞれ財政問題を含めて戸惑うのは当たり前だと思います。

 しかし、そのことを含めて大臣は、マスコミを含めて、あるいは地元に対して、大丈夫ですよ、政府の考え方は変わっていませんよ、エネルギーはこうしてこれからもずっとやっていきますよとメッセージを発信していますか。

中川国務大臣 まず、関係自治体、知事さんその他地元選出の国会議員の皆さんには、折に触れて私の大臣室にわざわざ来ていただいてお話をしております。多分田中委員は、現地に出向いて誠心誠意説明をしておるかということについては、就任して五カ月でございますが、まだ一度もやっておりません。

 私としては、就任以来一刻も早くその地域の皆さん、非常に関心の高い地域の皆さん方のところに行って、じかに我々の要望といいましょうか必要性を御説明申し上げ、御理解をいただきたいと思っております。

 ちなみに、今週の月曜、火曜は坂本副大臣に、新潟県に行って地元の皆さんと大変有意義な懇談をさせていただいたところでございますけれども、私自身もできるだけ早く折を見て行かなければならないというふうに思っております。

田中(慶)委員 今後もこのエネルギー政策に変わることない、こういう前提であろうと思いますが、さらに、それじゃ、巻町で今まで巨額な地元対策費というものを投入してまいりました。約三百億近いお金であります。しかし、それがどのように、例えば料金に恐らく加算をされているでしょうし、一方においては、地元対策費ですから料金とは関係なくある面ではそれぞれの地方自治体あるいはその町に対しての財源を提供してきていました。

 中止ということになると、それが返却をしなきゃいかぬだろうと思いますけれども、それらについて大臣はどう考えておりますか。――大臣に聞いているんだ、おれは。

坂本副大臣 いや、私からちょっと答弁させてください。(田中(慶)委員「あなたに聞いているんじゃないよ。大臣の所信についてきょうはやっているのですから」と呼ぶ)

中川国務大臣 済みません、それじゃ私から。

 電源三法の交付金というのは、発電所立地の可能性がある地域について、その立地実現を円滑化するために国から地方公共団体に交付されるものでございます。

 計画段階において残念ながら断念をしなければならなかった地域については、これまで交付された交付金は、その趣旨、目的に沿って発電所立地の理解促進活動などに活用されたということで、特に回収する必要はないというふうに考えております。

田中(慶)委員 そのことについて地方自治体では若干の誤解があるようですから、そのことをしっかりと、今の大臣の考え方を徹底されるように要求しておきます。

 さて、もう一つのエネルギー問題で、原発問題とあわせてクリーンエネルギーという形で、風力発電を初めとする太陽光やバイオの問題があるわけでありますけれども、この位置づけというものはやはりこの原発とあわせて、今後まだまだ、製造単価におけるキロワットアワーの採算性がまだ合わないわけでありますけれども、トータルエネルギーとしてそれをどのような位置づけをされようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

中川国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、安定的に長期的にエネルギーを確保するためには、エネルギーのポートフォリオという言葉が使われていいのかどうかわかりませんが、石油あるいは原子力、そして天然ガス、そして新エネその他ということになるんだろうと思いまして、それぞれ一長一短といいましょうか、特徴があるわけでございます。

 先ほど、これからも原子力発電については基幹電源として重要な位置づけがありますということは申し上げましたが、もう少し具体的なことにつきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、二〇三〇年の状況を見据えて、今、長期的な、長期エネルギー見通しというものを策定しているところでございます。

田中(慶)委員 地球温暖化のことを考えてまいりますと、もう一つの、例えば自動車排気ガス等の問題があるわけであります。今は、自動車燃料はどちらかというと化石燃料に頼っているわけでありますけれども、一方においては、水素ガスを初めとする燃料電池の問題が大いに研究、実用化に向けて努力をされています。

 そして、私は、かねてから、日本の産業政策として、これからの技術革新を含めて、世界に優位たる地位を確保するためには、もう少しこの辺に力を入れて、一方においては地球温暖化という問題、一方においては技術革新という問題等について、しっかりとして政府はこれに取り組んでほしい。

 今、大臣は、いみじくもエネルギーの二〇三〇年までの話を述べられました。あわせて、これらについて、今どのような過程と、どのような取り組みを行われているのか、お聞きしたいと思います。

中川国務大臣 これは新エネということですね。(田中(慶)委員「そうですね」と呼ぶ)

 新エネといっても、非常に幅が広いんだろうと思います。昔からの風力とか太陽光とか波の力とか、いろいろあるんだろうと思いますけれども、我々が、主に新しい技術としてのエネルギーということになりますと、例えばバイオマス、バイオエネルギーでありますとか、あるいはまた廃棄物を利用したエネルギーでありますとか、また、中長期的には日本近海にありますメタンハイドレートのエネルギーでありますとか、そして、究極のと言っていいのかどうかわかりませんが、直接水素から酸素と結合させてクリーンなエネルギーをつくっていくということ、これはまさに、世界競争という中で、日本としても、何としてもその技術を世界に先駆けて実用化していきたいというふうに考えております。

田中(慶)委員 ことしの予算書を見る中で、やはり一つの国家政策としての、産業政策としてのあり方として考えるならば、私は、もう少しこの辺に重点な配分をして、そして、むしろ一日も早い実用化、そしてそのことが世界に先んじた産業政策としてなっていくんだろうと思います。

 日本は、残念ながら今の厳しい経済状態でありますけれども、しかし、産業政策として考えるならば、むしろ後進国の方は、そのことに重点的にやられた場合においては、むしろ日本を追い越す可能性が十分ある。国家政策として例えば中国がそのことに力を入れていくならば、日本は燃料電池や水素ガス等の問題についてむしろ逆な立場になってしまう可能性があるわけですから、あの予算配分等々を見ても、やはりもう少し重点的な政策としてやられた方がよろしいんではないかと思いますけれども、エネルギー関連、トータルとしたエネルギー問題でありますから、これについて大臣の考え方を聞かせていただきたいと思います。

中川国務大臣 エネルギーというのは、ある意味では文字どおり、例えとしてのガソリン、燃料であると同時に、今田中委員も御指摘のように新しい技術、最先端の技術の競争の分野でもあるんだろうと思います。

 ですから、私の地元は今バイオエネルギーというものを一生懸命研究しておりますし、水素エネルギーなんというのは大変重要な可能性を持っているわけでございますから、そういう意味で、先ほど、中小企業で予算が少しふえた数少ない分野だと申し上げましたけれども、十六年度、御審議いただいている予算の中でも、やはり科学技術予算というのはその中ではふえているわけでありますが、委員御指摘のように、この分野、エネルギー分野の研究開発について、より一層予算面でも充実した形でこの問題に取り組んでいけるように我々も頑張っていきますので、田中委員のお力添えもお願いいたします。

田中(慶)委員 そこで、予算配分の問題で若干また詰めていきたいと思いますが、今大臣が言われているように、ある面での目玉というのがことしの予算を見てもない、むしろ従来型、こんな感じを受けるわけであります。

 ただ、そればかりじゃなく、これだけ厳しい日本の経済の中で、あらゆるものが緊縮をしようとしているところで、従来の特殊法人を初めとする、あるいはまた独立法人等について、補助金はふえているんですよ。去年よりも約一兆五千億ぐらいふえている。こういう形で、この官僚主導の中での財源の使い方、一方においては節約をするけれども、特殊法人初め天下り先になっているようなところについては予算がふえている。これが実態ですよ。

 ですから、そういうところを見ながら、やはり経済産業としての重点配分を、総花的じゃなくしてしっかりとした、こっちはちょっと少し待ってほしいよ、そのかわりここで十分な成果を得るためにこんな予算の配分をしたらどうかな、こんなふうに思いますけれども、大臣、どうですか。

中川国務大臣 限られた予算ではありますけれども、経済産業省は、委員御承知のとおり、大変幅広い仕事を持っております。しかし、そういう中で、短期、中期、長期に分けて、何が一番重要なのかと、いわゆるめり張りをきちっとつけて重点的にやっていくという御指摘は、極めて私も同感でございます。

田中(慶)委員 きょうは大臣に対する所信を初めとする政策の問題でありますから、細かい問題は別にしても、基本的な考え方をまず詰めていきたいと思っているわけでありますが、今、景気の下支えになっているのは、大臣、いいですか、いろいろな規制とか許可のないところが、ある面では右上がりというか景気が上向いているんです。すべて規制なり基準、許可対象になっているところが非常に景気が回復できていない。ということは、すなわちある面での行政がむだになっている、行政がネックになっているためにそういう景気回復に足を引っ張っている。

 政府は、かねてから規制改革推進三カ年計画、フォローアップ計画ともいうべきものが打ち出されているわけであります。小泉政権になってから打ち出されたわけでありますが、しかし、これをずっと見れば見るほど、すばらしいものがここには掲上をされておりますけれども、しかし中身は全然進んでいない、これが実態です。

 こういうように、景気をよくしようとする足を引っ張っているのが規制である、このように考えて、その分析の結果そうなんですが、大臣はそれをどう認識されていますか。

中川国務大臣 そのとおりだろうと思います。つまり、規制があることによって活力を損なうという部分が大きいんだろうと思います。

 他方、こういう御時世ですから、さっき田中委員もちょっとおっしゃっておりましたけれども、環境とか騒音とか食品の安全性みたいなものは逆にきちっとしていかなければいけない部分もあります。それをやればまた経済的な意味も反射的に出てくるんだろうと思いますけれども、そういう部分と、大半の部分は、やはり規制がない、頑張れば、思い切ってやれればというところに後押しをしてあげるということが、まさに活力回復の一番大きなポイントだろうと思っております。

田中(慶)委員 わかりやすい一つの例ですけれども、そのことがよしあしじゃなくして。大臣、豆腐を食べますでしょう。豆腐をつくるとき、おからが出ますでしょう。豆腐に対する製造許可、普通はおからというと専門ですよね。ところが、これを副食といいますか、おかずとして売ると、これはまた許可が要るんです、総菜許可というものが要るんです。豆乳があるでしょう。豆腐屋さんが豆乳をつくるのが一番新鮮でおいしいわけですよ。しかし、これを売れないんですよ、乳製品の許可が要るから。これが、こういうものが今の実態なんですよ。

 そして、それが財団法人とかいろいろな形で全部、許可、基準の中でいろいろな、はっきり申し上げていろいろな仕組みで中央段階につながっている。そして、そこには事務局長なり専務というものが必ず天下っていっているんですよ。ですから、規制緩和と幾ら言ったって、見直しと言ったってできっこない、これが実態なんですよ。

 例えば、建設業においても同じであります。いろいろなシステム、いろいろなことがたくさんあります。しかし、そこで必要もないのにいろいろな講習を受けさせて、その講習がある面では何万という対象の人たちをつくって、そしてそれが財源として、それは国にお金が入ってくるならともかくも、そうじゃないんです。みんなそこがOBの人たちの生活の財源になっているんですよ。これが実態なんですよ。

 例えば、平成十五年度の経済産業省関係の、再就職といいますか、これは全部で九十二人おりますね。大臣、存じ上げていますか、これは。こういうことを含めて、この内容、おもしろいね、全部分析すればするほど。大体みんな、許認可に関係するところにも相当数行っています。こういうことをやめたらどうなんだろうか。そのことが、先ほど言ったように日本の経済をスピード化し景気の回復につながる、ある意味では厳しい今の経済を再生させる大きな要素をつくると思うんですが、大臣、どうでしょう。

中川国務大臣 今の豆腐とおからの話は初めて聞いて、大変勉強になりました。私は豆腐もおからも大好きですから、これは人ごとではないなと思っております。

 昔、JAS法という、日本農林規格、数年前に読んでいて、これはおかしいと。あの法律は昭和二十六年にできた法律ですけれども、時間をちょっといただきまして、マカロニとは直径何ミリ以下の穴のあいたものをいう、スパゲッティとは直径何ミリ以下の穴のあいていないものをいう、こう法律に書いてあるんですね。それで、それをまた検査する法人があって、そこでまた検査手数料を、委託したりなんかして手数料を取る。こんなばかな話がありますかということで改正をさせたことがありますけれども、多分それと同じような次元のお話かなと思っております。

 いずれにいたしましても、公がやるべきことは公がやる、民ができることは民がやる、これは小泉総理の一つの大原則でありまして、そういう意味で、いろいろな機関で、公がやれる部分とそれからどんどん民間も一緒に競争してやりましょうという部分と、民間に移管する部分と、今どんどん整理をしてやっているところでございますが、まだ不十分だという御指摘に対しては重く受けとめさせていただきたいと思います。

 九十二人、十五年に退職された企画官以上の経済産業省の職員のうち、自営業とか、選挙に出られた方も何か一人、二人いらっしゃるようでありますけれども、いわゆる財団、営利法人、社団法人に多くの方が再就職をされておるわけでございます。それぞれ事情はあると思いますし、天下りという定義もなかなか突き詰めると難しい言葉でありますが、一般的には天下りというのはいいイメージの言葉ではないわけでありますから、そういう指摘を受けないように、適材適所の人間が配置されることによってその法人が使命なり成績を上げていくというために、最大限の努力をしていきたいと思っております。

田中(慶)委員 いずれにしても、このような天下りという表現がいいかどうかは別にしても、これとは別にまた、わたりというのがあるんですね。一カ所ほかへ行って、必ず。ということはここにあらわれてこないんです。

 これが実態なんですから、やはりこういう一連のことを含めて、それぞれの、今、日本の経済が、小泉さんがよく言ったでしょう、民にできること、それからもう一つは、廃止すること。どうしてもできないものは独法にしながら、身軽でわかりやすく、スピードのある、これが今求められているわけでありますから、こういうことを含めて、やはり一般の人たちが想像しているものというのは、非常に優遇されている、こんなふうに解釈されますよ。

 特に問題は、大臣、これはこれから、あなたも自民党の閣僚ですから申し上げるわけですけれども、今まで国家公務員として、ここでお役目を終わったらばここで退職金も出るわけですから、次の再就職をされたところで、財団法人であるとかいろいろなところの外郭団体のところで、私は退職金なんというのはもうやめさせる必要があると思うんです。

 なぜかというと、今言われていることは、次の再就職をされて特殊法人なり独法に行き、あるいはそれぞれの財団やいろいろなところへ行きますと、大体三年から四年、それで二千五百万、三千万という退職金なんですよ。民間企業で一生懸命働いて、四十余年勤めてせいぜい一千五百万ですよ。最近いろいろなところで出ていますでしょう、社会法人の関係でも、公務員住宅の問題、年金がおかしいと言っていながらその住宅建設にそこから出ている問題、いろいろなところで出ておるわけでありますから。

 しかし、私はこの辺で、スクラップ・アンド・ビルドじゃないですけれども、徹底的な見直しを図る必要があるんじゃないか。でなければ、今、日本の再生なんというのはあり得ない、このように思っておりますけれども、大臣、どうですか。

中川国務大臣 所属している法人の仕事、そしてまたその中で仕事をされている方の仕事にふさわしい給料なり退職金が支払われる、受け取られるということが一番合理的なことだろうと思っておりまして、それに対して、今、田中委員からも御指摘がありましたように、小泉総理が先頭になってそういうむだや、あるいはまた時間がかかること等を徹底的に見直しをしていこうということで、我々も頑張っているところでございます。

田中(慶)委員 そこで、大臣、我々は、これからのこの委員会の持ち方も、少なくても政治主導でやってもらいたいんですよ、はっきりと。ですから、私たちは、この役所側の人たちの質問取りというものははっきりとお断りします。そして、政治主導でこれからいろいろなことを含めて取り組んでいきたい、この考え方を持たせていただいておりますので、ぜひそうしてほしいと思います。

 そこで、大臣、今製造業、非製造業の問題で、先ほど来経済の問題が問われているわけでありますが、例えば、今回また消費税の総額表示というものが出されております、総額表示。このことによって、それぞれの中小企業の皆さん方が新たな負担とされるんです。

 ということは、現実問題として、これはたった、わずか三店舗持っている人の例であります。総額表示をされることによって、コンピューターソフトから何から全部変えなければいけない。そして、その商店がといいますか、スーパーが八百万の設備投資をするんですよ。

 今、政府は、取れるところから取ろうという発想でこういうことが始まってきておりますけれども、こういう新たな負担増になっている。これが実態でありますから、これだけ厳しいときにこのような制度を導入することによって、やっと少しよくなりつつあるなというときに、またこういうことをやることによって、逆に景気は逆戻りするんじゃないか、こんな心配をしておりますけれども、大臣、どうですか。

中川国務大臣 四月一日から、事業者の場合でありますけれども、消費税の総額表示方式ということでございますが、まず、消費者の皆さんが戸惑わないようにしなければいけないということが一つ。それから、事業者の皆さんが、今田中委員おっしゃられたように、手間、コストがかからないようにできるだけ努力をしなければいけない。これは、全くかからないということは多分ないんだろうと思いますから、できるだけかからないようにしなければいけないということで、税制面での特例措置あるいはまた混乱のないようにPR等々を今鋭意全力を挙げて努力をしているところでございます。

田中(慶)委員 副大臣にも聞かないと、退屈そうですから。

 そこで、今スーパーを初めとするいろいろなところが倒産が非常に大きい、こういうことであります。そういうことを含めながら、今のような総額表示をすることによって、はっきり申し上げて新たな倒産が心配されます、中小のときに。

 そのことについて、何か経済産業省あるいは政府としてバックアップするような方針や、あるいは補助、例えば排ガス規制のときにはバイオ装置について補助金を出しました。しかし、今度の総額表示についてはこれらの問題についてどう取り組んでいるのか、坂本副大臣に救済措置について質問いたします。

坂本副大臣 中小業者のために、IT投資減税とか、あるいは小規模資産償却制度とかといって、これは平成十五年度にこの税制をつくりました。これは、普通のレジスターなら三十万、今まで十万円が無税だったんですが、三十万までは無税にしますよということで、これで大体クリアできる。ちょっと大きい、コンピューターなんか入っている計算機に切りかえるという場合は、これは、一〇%IT投資減税、あるいは五〇%償却、こういう制度を導入して、もう既に十五年から実施して、早く体制をとってくださいよ、こう実は申し上げてきたんですね。

 そのほか、あといろいろな業界単位で講習会を開くとか、消費者のためのパンフレットをつくるとか、さまざまな事業をやって今日まで対応策はとってきているわけです。

田中(慶)委員 しかし、改めて、ことしの四月一日から総額表示が始まる、新たな設備投資をやろうとしている、それについてどう対応していますかと聞いているんですよ。今までのことを聞いているんじゃない、今までは今までの制度で間に合うんですから。わからないんなら、わからなくてもいいですから。

坂本副大臣 今おっしゃっている設備投資というのはまさにそれ、この制度が適用されるわけですから、今申し上げたことが。ですから、これで、総額表示、消費税のあれが変わるというので大きく損なうというようなことがないような対策を、もう十五年からとったということです。

田中(慶)委員 そうすると、この総額表示というものを、一年も前からそういうことを想定して、そういう設備投資に対する減税をやってきたんですか。そうじゃないでしょう。新しく四月一日からスタートする、法律の根拠というのはそういうことですよ。

坂本副大臣 平成十五年度の税制改正で、平成十六年度の四月一日から総額表示が入るということを決めたんです。それと同じ時期のこの新しい減税政策の実施ですから、それは、そういう対応を、一年前から対策をとったということです。

田中(慶)委員 それじゃ、そういうことであるならば、なぜ、去年の自己破産率が二十四万三千件、六年連続自殺者が三万人を超えている。そうですよ。大臣のところ、北海道、全国で四位ですよ、本当に。このようにして、それはやはり、厳しい財政であり、いろいろな中小企業の多いところが非常に多いわけであります。

 ですから、あなたが言っていることと実態とは合っていないんですよ。福島もそうでありますし、これは全部出ていますよ、今調べておいたんですから。大臣初め、副大臣、政務官のところの実数字が全部出てきている。たまたま菅さんのところだけが、横浜だけがいいわけですけれども、ほかは軒並み全部だめですよ、経済もはっきりと。

 大臣のところの経済なんというのはどんびりじゃないですか、北海道は。本当ですよ。やはり経済産業大臣として、あなたは地元のことも、現場を歩きながら、永田町にばかりいて、現場のことをしっかりと見て、本当に実体経済がそうするとわかると思いますよ。北海道が確かに厳しい環境にあるかもわからないけれども、去年の数字ですけれども、都道府県で一番、最下位ですから、こういうことを含めて、実体経済というものが、言っていることとやっていること、副大臣が今立派なことを言いましたけれども、現実にそういう数字であらわれているんですよ。

 これはどうすることもできませんでしょう。統計の数字ですから、経済指数もそうでありますし、あるいは自己破産率も、あるいは自殺者、こういうことも全部出ているわけでありますから、やはりそういうことを加味しながら政策というものは立てていかないといけないんじゃないかな。

 ですから私は、政策というのは、経済政策は特に現場からという考え方を持っておりますので、中小企業の問題を若干まだ時間の配分の中でやらせてもらいますけれども、いいですか、今中小企業が一番問題になっているのは、金融の問題もあります。

 せっかく売掛金担保制度を導入して、債権制度を導入して、証券化の問題があるんです。しかし、これがまだ世の中に認知されていない。特に大企業の人たちが、下請さん、孫請さんがこれをやろうとすると、その会社が危ないんじゃないか、こんなことが先立っているんです。制度をもう少し理解や、せっかく中小企業に対する支援政策として出しているんですから、経済産業省としてもう少し発信をされる必要があるんだろう、こう思いますけれども、どうですか。

中川国務大臣 今の経済の厳しい状況、特に中小企業について、何としても頑張っていただきたいということで、いろいろなメニューをやっておるわけでありますし、また、これから当委員会でも御審議をいただく新たなものもございますが、確かに、田中委員御指摘のように、それぞれの、例えば政府系金融機関、あるいはまたそれぞれの地域、そしてまた、経済産業省がまとめていろいろ御説明は一生懸命やっているつもりではありますけれども、借り手の側というか、利用される立場の側から見ると、何か細かいパンフレットで、山ほどあって、この前も予算委員会で御指摘いただきましたけれども、とにかく、使っていただけるように、懇切丁寧に、御理解をいただくということが非常に大事なので、宝の持ちぐされというと何か自慢みたいな話になりますけれども、せっかくいい制度があるのに、ぜひ御利用していただきたいという、きめ細かい、どうせ経済産業省絡みの仕事でありますから、関係あるものは全部一たん集めて、そしてわかりやすく、商工会議所や商工会単位まで、末端までその情報が行って、そして地方の中小企業の皆さん方にもわかりやすく、そしてまた利用しやすいような体制をつくっていくということは極めて大事なことだろうと思っております。

田中(慶)委員 例えば、この証券化の問題を一つとっても、あるいはまた売掛金債権の問題についても、極端なことを言えば、元請の承諾の判こをもらわなきゃいけない。そうすると、元請が判こを押したがらないんです。結果として、制度をつくっていても、それがなかなか実行に移しがたい。

 ですから、私が申し上げたのは、借りる側もそうでありますけれども、実行する側として、今のような制度の中で、この元請業者がはっきりとこれらに対する認知をしていかないと、制度を国がつくってもその制度が生かされていない。むしろ、その制度を使うことによって、この売掛金担保の問題が、土地以外にもほかの担保が、現実問題として今担保価値がなくなってきているわけですから、そういう中で、その売り掛けというものが実体経済に合った担保なんですから、そのことが現実に生かされていない。ですから、もう少し、政府を初め、経済産業省として、この制度を理解できるように、しっかりと元請業者にもそのことを発信してほしい。

 そこで、次は、まず中小企業が一番問題になっているのは、何回も言われておりますけれどもこれは政府系金融機関として第三者保証の問題、無担保無保証の問題、今やろうと、また、それを徹底しようとしておりますけれども、やはり貸付限度額が、五百万円から七百五十万円に上げても、設備投資を一つしようとしても現実にははっきり申し上げて七百五十万じゃ合わない、これが実態だと思います。そして、足りない部分また追加融資を申し込みしなきゃいけない。こういう状態が続いておりますので、バランスとして、全体的に見て、この限度額等についても見直しをする必要があるだろう、このように思っておりますので、これは担当はだれか、副大臣どうぞ。

坂本副大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、五百万から七百五十万に上げたところで、それはどうにもならないものはあります。したがって、第三者保証を不要とする融資の限度額を一千万から今度は一千五百万にしようということで、今国会にお願いもしているところでございますし、同時に、本年四月より、中小公庫及び商工中金の創業・新事業向け融資制度は、これは、財務制限条項の締結及び若干の金利の上乗せによって経営者本人の個人保証を免除する制度、これも創設をして、一生懸命やろうとしているところでございます。

 また、政府系金融機関では、無担保融資の拡大にも努めておりまして、これまで商工中金においては、貸し渋り対応の無担保融資をやっておりました。それから、中小公庫においては、最大七五%の担保徴求免除特例を設けるといった対応も図ってきております。

 加えて、民間金融機関等による無担保貸し付けを支援するため、中小公庫に証券化支援業務、先ほど先生おっしゃった、それも新しい制度として今国会にお願いをしているところでございます。

 以上でございます。

田中(慶)委員 いずれにしても、こういう一連のことを含めながら、政府としての取り組みをしっかりしてほしい。

 例えば、中小企業、零細企業の抱える問題に、大企業優位性という形の中で中小企業が非常に倒産あるいは廃業に追い込まれている、こういう実態も明らかになっているわけであります。例えば、今、手形の問題一つとっても、この手形が、最近は手形を振り出さないで、そのサイトで支払いをする。今までの手形ですと、納品してから三カ月、半年。ですから、現実には、今までは手形を割ることができたわけですけれども、支払いが、手形を割るどころか支払いが先になってまいりますから、そういう点では、その三カ月なり半年、こういう形で、大変厳しい環境にある、こんなことも言われております。

 もう一つは、今一番問題になっているのは、例えばコンピューター、ITの問題でありますけれども、こういう一連のものが、新たに、いろいろな形で制度が変わってくるものですから、矢継ぎ早にいろいろなことをやらなきゃいかぬ。そして、それをやらなければ受注に結びつかない。その設備投資の方がむしろ大変だ、こういうことであります。

 その仕事をちょうだいするためには、親会社の言ったその制度に、そして、そのソフトをつくっていかなければいけない。それが矢継ぎ早に次々と行われるものですから、大変な状態になっている。それなら、そんなことをするのであればという形で、まあ、はっきり申し上げて、廃業する人たちも昨今ふえてきている、こういうことでありますので、例えば融資の問題等について、こういうコンピューターソフトが次々と新しく要求されている、こういうところにも無担保無保証でやはり融資のできるようなことを取り組んでいかないと、今の中小企業というものが生き残れない、こういう環境にありますので、その辺についてもぜひ御検討をいただきたいと思いますが、これは、大臣、その辺についての考え方をお伺いいたします。

中川国務大臣 下請とその親との関係というのは、私の地元、地方でもよく議論になるところでございまして、そういう中で、いわゆる六十日を超えるような手形を発行してはならないという法律もあるわけでございますし、また、田中委員御指摘のように、親がコンピューターシステムを導入したんだから、だから、その取引会社といいましょうか下請もシステムを同じようにしなきゃと。

 それは、トータル同じだったらプラスになるんでしょうけれども、そのためにコストがかかるということがあって、これがこういう時代の地方の中小企業は非常に大きな影響を受けるわけでございますので、その辺は、下請を守る。例えば、下請代金支払い遅延防止法とかそういうものを柔軟に活用して、そういうことが余計なプレッシャー、重みにならないようにきちっと監視をしていきたいと思っております。

田中(慶)委員 時間の関係でまた次の機会に質問させてもらいますが、公取委員長、せっかく来ていただいておりますから、公取に対する質問をしたいと思います。

 今、改めて酒屋さんの倒産を見て、ああ、やっぱりな、こんな感じを受けるわけでありますけれども、現実に、ディスカウントストアの方が優位性を持って、そして、市販の小売の人たちは大変な厳しい環境にある。この数値によりますと、二〇〇三年、ずっと軒並みでありますけれども、大体百五、六十から二百件ぐらいの倒産がずっと続いている、そういう形で廃業も続いている。

 こういう点で、公取は、少なくともこのディスカウントストアを初めとする、あるいはまたLPガスも同じでありますけれども、こういうところを含めて、末端の中小のところをいじめるんではなくして、やはり大手企業と言われるようなところにメスを入れて、だれが考えても末端の企業の仕入れ価格、それよりもディスカウントストアやら大手企業の販売価格の方が下回っている。まさしく、価格破壊どころか、ある面では公取の対象であります差別対価といいますか、こういうことも含めて現実に横行しているわけでありますけれども、一向にこれらの成果が上がっていない。これが公取の今の状態でありますけれども、公取委員長、その辺についての取り組み方と対応について、お聞かせをいただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 公正取引委員会におきましては、中小企業に対しまして不当な不利益を与えるような取引につきましては、当然きちんと是正を図っていかなきゃいかぬ。その一つとして、いわゆる今おっしゃった不当廉売、差別対価というような問題がございます。

 それで、具体的には、そういう事案の多いお酒、それからガソリンスタンド、こういったものにつきましては、もう既にガイドラインをきちんと示しまして、関係の業者に、こういうケースは独禁法違反になりますよということをあらかじめお示ししております。具体的にそれに触れるようなケースについては積極的に取り上げているつもりでございまして、注意でもって済ませているものも多いですが、これはもう千件を超えるようなことを一年間にやっております。

 それから、実態調査につきましても、差別対価の原因としてリベートの問題もございますので、こういったことも中心に、ビールなんかについてはきちんとしておりまして、それに基づいて是正指導もさせていただいています。ビールの方のリベートは、大分きれいになってきたというふうに言われているところでございます。

 それから、個別の、プロパンガスも含めまして不当廉売、これはまさに実証が難しいわけですが、大手の場合にコストが安くて、安いというのはこれはいかんともしがたいわけでありますが、そうではなくて、自分のコストも割って長いこと安い値段で提供して周りの業者に対して大変悪い影響を与える、こういったものがまさに不当廉売でございますので、具体的なケースに当たった場合には、きちんとこれからも措置をしてまいりたいと思っております。

田中(慶)委員 現実問題として、大手企業が弱小企業をいじめていると言っても過言ではないわけでありますから、率直に公取はそのことを認めてこれからの業務の中に生かしてほしい、はっきり申し上げて。

 あなたはそれぞれ報告を聞いているかもわからないけれども、先ほど言っているように、実体経済と皆さんが考えている経済の違いと同じように、みんな苦しんでいるんですから。そうじゃない、そうじゃないと言ったところで、やはり不当廉売というものはそういうことを含めてしっかり対応していかなければ、それは、人が少ないというから人をふやしなさい、こういう形でことしの予算もふえているでしょうよ。

 そればかりじゃありませんよ。例えば、今度、改めて今皆さんが行おうとしております入札制度の問題とかいろいろなことを含めて、今やっとこの厳しい経済から一歩抜けようとしているときに、次々といろいろなことを打ち出してくる。今公取が考えているようなことがこれから実行されてくると、恐らく中小零細企業は三分の一倒産するだろうと言われているのが実態であります。

 そんなことを含めながら、公取は日本の経済や産業をつぶすためにあるのか。そうじゃないと思います。やはり健全な競争というものも大切でありますし、健全な形で育成することも必要だろうと思います。しかし、その公取が、自分たちの権力を生かしながら次々といろいろな難題、課題を出しながら、経済が少しでもよくなって、右肩上がりで、六%、七%、これがずっと続いているときであるならばともかくも、今やっと何とかしようというときに次々と出されていったら、また日本の経済はおかしくなってしまうんじゃないか、こんな心配も現実問題としてあります。

 こういう一連のことを含めながら、ただ自分たちの職責を全うすればいい、こういうことだけじゃない、トータル的に見て行政なんですから。行政は時代とともに変化をしなければいけないし、それがあなたが考えている、いろいろなことに対することしの考え方だと思いますけれども、しかし、企業が倒産して、民が今困って、官だけが潤うということはないと思いますけれども、そういう構造をつくっていったんでは絶対だめだと思いますよ。そのことを含めて、最後に、公取委員長の決意を述べてください。

竹島政府特別補佐人 公取というのは、まさに公正で自由な競争を、そういう社会をつくるために法律がつくられていて、それをきちんと守れと言われて存在する役所でございますので、大企業にも中小企業にも公平公正だということが一番大事でございまして、中小企業を救うために公取があるわけではないわけでございます。

 それで、私どもも、何も倒産とかそういうことを期待してやっているわけでは毛頭ございません。むしろ逆でございまして、一部の談合をやっておられる方々、そういう中で、まさにフェアじゃない取引によって、高いコストでもって税金を結果的に使っているようなこと、または、正当な機会が与えられずに、創意工夫しても自分が仕事にありつけない、こういったことをきちんと取り締まるためにやっているわけでございまして、私はそういう意味で、まさに独禁法の目的のとおりの仕事をこれからもしなけりゃいかぬと思っております。

田中(慶)委員 時間が参りますから終わりますけれども、例えば、一般入札と競争入札という二つの制度が仕分けするとあると思います。昨今では、予定価格を表示し、最低価格を表示する。そうすると、その資格も技術もなくても、オープンになっておりますから、大体最低価格のところで、結果的にそこに皆さんが入札をされてくる。そうすると、極端なことを言えば、厳しい環境ですから、途中で手抜き工事があってみたり、あるいはまた途中で倒産をしてみたり、こういうことが実態として起きていると思います。

 ですから、制度そのもの、公平公正、結構ですし、それは当然やらなければいけないことであろうと思いますが、制度上の問題として、どちらかというと、それが体制としておかしくなっていった場合においては、皆さん全部最低価格に集中される、こういう実態が現実にあらわれておることも聞いております

 ですから、こういうことも参考にしながら、あなたが言う公正公平ということであるならば、そういうことも参考に入れてしっかりと対応する必要があるだろう、これは意見として申し上げておきます。

 以上で終わります。

根本委員長 鈴木康友君。

鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、本日は、まず北朝鮮に関することから大臣に御質問を申し上げたいと思います。

 二十五日から、御存じのとおり六カ国協議がスタートしまして、同時に日朝二国間協議も行われて、平行線をたどって大した進展がなかったということでございました。

 もちろん私たちは、拉致の解決なくして日朝の国交回復なし、あるいは、拉致事件の進展なくしていかなる経済支援も行わないという基本原則を堅持していかなければならないと思うんですが、どうも北朝鮮は、周辺諸国を使って核問題で日本に揺さぶりをかけてくる、こんな気がしてならないわけでありますが、大臣、六カ国協議に先立つ先日の日朝協議の後の定例記者会見でも、五人の御家族の早期帰国、それから拉致に認定された方あるいはさらに可能性のある方々を含めて、完全解決をしなければならないということをきちっとコメントされているわけでありますけれども、前拉致議連会長として、この六カ国協議に対する見通し、あるいは期待も含めてで結構でございますけれども、まず御意見をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今現在、北京で行われております六カ国協議には、日本の信頼すべき交渉団が行っているわけであります。いつこれは終わるのかというのがちょっとよくわからない今回の協議でございますけれども、六カ国協議の場で、日本としては、今御指摘のように核の問題、拉致の問題、一体としてこれは解決をしなければ、我々としては北朝鮮という国との国交正常化、さらにはあの国で困っておられる多くの人々に対して、私自身もいろいろな支援を隣人として差し上げたいわけでありますけれども、それができないという状況に現時点であるというのはまことに残念であります。

 早くこの五人の御家族八人、そして認定されている十人、そのほか何十人、何百人いらっしゃるかわかりませんけれども、少なくともその安否、お元気であればさっさと帰してもらう。そして、拉致がなければないで、きちっとそれがわかればいいことでありますから、そういうことをやれば、日本としては、向こうが困っていることに対して、お金が欲しければお金を、食べ物が欲しければ食べ物を、エネルギーが欲しければエネルギーをという用意が、少なくとも私自身にはあるわけでありますから、さっさと帰しなさい、こんなことは向こうにとって簡単なことでしょうというふうに思っているわけでございます。

 そのことを日本政府はきちっと、特に拉致問題は、日本以外の国の関心度は残念ながら低いということはある意味では事実でございます。しかし、幸い、アメリカがこの問題にも大変共同歩調をとっていただいておりますので、日米そして韓を中心にして、この拉致問題も含めた、核の問題も含めて、北朝鮮が普通のまともな国になって、東アジアが安定をしていくというために、今北京で鋭意交渉がされているというふうに認識をしているところでございます。

鈴木(康)委員 拉致問題の解決については私も同じような見解を持っております。

 さてそこで、これまで日本は対話と圧力ということでこの問題に対処しようということで、どうも私としては、対話はいいけれども問題の、きちっとした強い姿勢で圧力も含めてあの国に臨んでいくという、私は、北朝鮮に対しては、対話はもちろん粘り強くやる必要がありますが、当然この圧力というものが非常に重要なかぎになってくるだろう。

 そういう中で、先日、外為法が改正をされました。送金の停止とかあるいは輸出入の承認等々が可能になって、日本単独で経済制裁も可能になってきたわけであります。これは、御承知のとおり、拉致議連のメンバーを初め、議員の心ある人たちがこの成立に向けて頑張ったわけであります。ところが、成立をしても、どうも発動に非常に慎重な空気があります。私は、そういう中で、できたものはやはりうまく活用するということが必要だと思うんですね。

 先日、読売新聞の世論調査の結果が出ておりました。これまでの北朝鮮に対する日本の対応についての世論の結果でありますけれども、さっきの外為の改正、あるいは今度出てくるでありましょう特定船舶の入港を規制するという法律でありますけれども、この法整備に対して八〇%が賛成をしている。北朝鮮への圧力を強めるべきではないかという意見が多数を占めたということであります。その一方で、これまでの拉致問題に対する日本政府の対応に不満だという人たちが七五%。その理由が、北朝鮮に対する姿勢が非常に弱腰だったということが最も多かった。こういう結果が出ているわけであります。

 こうした世論のことも踏まえて、私は、やはりできたものをきちっと有効に使っていく。大臣は、この伝家の宝刀、当然抜く決意と覚悟があると思うんですが、その辺の御決意をぜひお聞かせください。

中川国務大臣 昨日でございますか、施行をされました改正外為法。日本の法律には、使っていい法律と使っちゃいけない法律という区別はないと私は思っておりまして、伝家の宝刀という言葉も、何か、抜くぞ抜くぞ抜くぞといって、それだけに意味があるみたいなイメージがあるわけでありますが、きちっと国会の手続を経て成立し施行されている法律は、必要があるときは厳正に適用されるべきだと思っておりまして、それ以上のものでもそれ以下のものでもないと思っております。

鈴木(康)委員 さて、そうした北朝鮮に対しての日本の姿勢が明確になってくる中で、先日、ちょっと私にとってはゆゆしき問題が起こったと思います。それは、リサイクル家電の横流しというものでありました。言葉ではそんなに大したことではないと言うかもしれませんけれども、私は、結構これは大事な問題だと思うんですね。

 これは、御承知のとおり量販店が出したリサイクル家電が、またある運送会社から輸出会社に渡って、それが海外へ流出をした。しかも、それが、多くが北朝鮮へ流れたという指摘がされているわけであります。

 今、国挙げて北朝鮮との問題に取り組んでいるときに、小さいとはいえこういうことが起こる。氷山の一角であるという指摘もある中、この問題、一体どういう経緯であったのかということ、あるいは、関係者に対する処分がどうなっているのかということについてお伺いしたいと思います。

泉副大臣 今委員御指摘のように、この制度の根幹にかかわるような実態であると大変に遺憾に思っておるところでございます。

 二月の十三日に立入検査をいたしておりまして、現在、そのほかの情報等を集めて、事実関係の確認に努めておるところでございまして、今後、環境省とも相談をし、連携をし、厳正に対処したい。なお、こういう事例が今後また起きないように、関係者への注意喚起を行っておるところでございます。

鈴木(康)委員 厳正な対処というところをもう少し具体的にお話ししていただきたいと思います。

泉副大臣 まさに法律に反しておるかどうかということがまず肝心なところでございまして、先ほど委員は、北朝鮮へ渡ったというようなことも含めまして、この事実関係を今把握しておる。違反しておれば、法律に基づいて対処するということでございます。

鈴木(康)委員 事実関係がはっきりしましたら、ぜひ御報告をいただきたいと思います。

 さて、先日、私、北朝鮮の工作船の見学に行ってまいりました。船の科学館から移動するということで、慌てて見に行ってきたわけでありますが、改めて大変に大きな衝撃を受けたわけであります。非常に型は古いんですけれども、十四・二ミリの対空機関砲が備えてあったり、ロケットランチャーを含めてかなりの重装備であったということであります。

 ああいう船が日本近海をうろついていたということ、これも大変なショックであったわけでありますが、一方で、遺留品の中にかなり日本製のものが含まれていたわけであります。レーダーやGPSといった兵器に転用可能なこういうハイテク機器から、携帯電話も実はございました。多分大臣もごらんになっていらっしゃると思いますが、あるいはいろいろな民生品まで含めますと、相当の数の日本製品をそこに見ることができたわけであります。言ってみれば、かなり日本製が北朝鮮にだだ漏れになっているんじゃないかな、さっきのリサイクル家電の流出の件もそうでありますが。

 そうした中で、一月二十日に、いわゆる大量破壊兵器の拡散を防ぐために、兵器転用可能ないろいろな部品や機器の輸出を規制する、いわゆるキャッチオール規制の強化というものを経産省として打ち出されたということでありますが、具体的にその中身についてお伺いしたいと思います。

泉副大臣 御指摘の、一昨年につくりましたキャッチオール規制を導入いたしまして、厳格な輸出管理を行っておるところでございますが、より効果的に、一層実効率を高めますために現在やっておりますのは、百二十九社のユーザーリスト、それから三十品目にわたる懸念貨物リスト、こういうものをさらに見直し、必要な手直しをしていくということに取り組んでおるのが第一でございます。

 そのほかに、関係各社に対しまして、社内の輸出管理手続を厳密にとるようにというような指導をいたしますと同時に、相手国だけではなく、迂回輸出等が考えられますので、昨年よりアジア輸出管理政策対話というものを開催いたしまして、関係国との協力を一層進めております。

 また、もう一つは、我が国の担当者、我が省の担当者が関係国を訪問して打ち合わせをし、指導をしておるところでございます。

鈴木(康)委員 このキャッチオール規制の場合に、輸出する企業、関連する企業が、みずからがそれに抵触するかどうかということを判断するということになっていると思うんですね。これは、私はちょっと甘いのではないかと思うんですけれども、相手企業にゆだねるというこのルール、仕組みについてどうお考えでしょうか。

泉副大臣 それぞれの企業、善意の企業であるという前提ばかりでは、管理が行き届いてこないことは私どもも承知をいたしておりますので、関係国の体制強化を図ることによって迂回輸出を阻止するというようなことに取り組んで成果を上げる以外に、自発的に悪意を持って輸出をしようとした企業を摘発することはできない。総力を挙げるという意味では、我が国だけではなくて関係国との協力をする以外に手はないというふうに考えております。

鈴木(康)委員 この場合、善意の企業は私は余り問題ないと思うんですね。問題なのは、やはり意図的に悪意でこういうことをしようとする企業であるわけでありまして、先ほどの家電の流出についてもそうですけれども、やはり私は水際できちっとこれを制御するような何らかの仕組みというものが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

泉副大臣 いわゆる輸出者から経済産業省への申請が行われましたときに、審査をもちろんいたします。そして、大臣が通知に基づいて輸出の許可を与えるわけでありますが、キャッチオール規制そのものは経済産業省の許可の申請が必要でありますので、そこで経済産業省としてはもちろん対応をして、まず、基本的には我が省で委員御心配のようなことを排除するという努力をやっておるところでございます。

鈴木(康)委員 この問題は、またちょっと、実態も含めて、再度機会があれば御質問したいと思います。

 さて、次に、油田の問題について少しお伺いをしたいと思います。

 先日、難航していたアザデガン油田の基本合意が成立をしました。これは、相当期限が切れて、交渉も難航していた問題であります。四年前にアラ石のカフジ油田の権益を失って以来久々の大型油田の権益獲得ということで、これ自体は単純に考えれば朗報のように聞こえますけれども、少し、いろいろ考えていくと問題も多いんですね。

 まずは、大臣にお伺いしたいと思います。

 前大臣の平沼大臣も、この問題については相当力が入っておりまして、ぜひ、この権益を獲得して、新たな日の丸油田をつくりたいという悲願であったわけでありますが、大臣がおかわりになりまして、この問題についてまず基本的な御所見をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 日本は、エネルギー資源、特に石油はもうほとんどないわけでございまして、しかも、中東に九割を依存しているという体制の中で、長期的に、先ほども御質問がありましたように、基幹的なエネルギーの一つとして石油というものは今後も大事であるという中で、イランのアザデガン油田については、今委員御指摘のように、いろいろ紆余曲折が数年間にわたってあったわけでございますけれども、十八日ですか、民間レベルとイランの政府当局との間で合意されたということでございます。大変結構なことだろうというふうに思っております。これは日本のエネルギーの、ある意味では自主開発ということでございますし、それから日本とイランというのは、いろいろありますけれども、友好関係という意味でもこれが一つ大きな発展になると思います。

 ただ、もう一つ考えなければいけないのは、イランというのは、今、IAEA、NPT等で核の問題が日本のみならず大変関心を持たれている国でございまして、追加議定書等で誠意を持って対応をしていただくと思いますし、しなければならないと思っているわけであります。

 もとより日本は、核に関しては、我々の先人たちが大変つらい思いをした国、国民でございますから、そういう観点も含めて、このアザデガン油田が一つのいろいろな意味での象徴として合意がなされたわけでございますけれども、三点セットとしてではございますけれども、油田開発の合意がなされたということについては、とりあえずは非常にいいことだというふうに思っております。

鈴木(康)委員 核の問題を含めて、イランあるいはこの油田を取り巻く状況につきましては、また後ほどちょっと御質問をしたいと思います。

 次に、基本合意に達した具体的な契約の中身、特に、予想される投資額、あるいは契約期間、あるいは権利関係について御説明をいただきたいと思います。

日下政府参考人 お答えを申し上げます。

 契約の具体的内容につきましては、イラン政府との守秘義務上、基本的に開示できないことになっているものと承知しておりますが、イラン政府との関係で、現時点で開示が合意されている範囲で御説明させていただきたいと思います。

 本油田開発契約は、国際石油開発、インペックスと言っておりますが、イラン国営石油会社及びナフトイラン・インタートレード会社によって、三社で締結されたものでございます。本契約のもとで、国際石油開発及びナフトイラン・インタートレード会社は、それぞれ七五%、二五%、つまり、日本側七五%、イラン側の会社二五%の参加比率を有しまして、イラン国営石油会社に対する石油開発の契約者となったわけでございます。

 本契約では、約二十億米ドルの投資支出をいたしまして、二段階で油田開発を行う予定でございます。第一のステージでは五十二カ月以内に日量十五万バレル、第二ステージでは八年以内に二十六万バレルの原油生産レベルに到達することが計画されております。また、最初の石油生産は四十カ月以内に日量五万バレルの水準で行われることも計画されております。ちなみに、この二十六万バレルまで達しますと、日本への今の輸入との関係でいいますと、日本の輸入の六%ぐらいに相当するところでございます。

 大体そういうことが契約の概要でございます。

鈴木(康)委員 今回の契約は、採掘権あるいは原油についての権利を得るということではなくて、現物をもらうという、バイバック方式というものであるというふうに伺っていますけれども、その点はどうでしょうか。

日下政府参考人 御指摘のように、イランはバイバックという形でしか油田の開発を認めておりません。これは、開発に当たりまして一定の投資、出資をすることを約束しまして、それに対する対価を、金額で大体対価の考え方は決まるわけですが、それを、最終的には現物、出てきた油でもってもとの投資の回収またそれに対する報酬を含めた、元本プラス報酬を油でもって取り返していくという形でバイバックと呼ばれておるところでございます。

鈴木(康)委員 となりますと、採掘期間は第一次ステージ、第二次ステージを合わせて十二年半というものが決められているんですけれども、その採掘期間に今計画どおり開発が至らなかった、例えば大幅に開発がおくれたとか進行がおくれた、当然こういうことは往々にしてこういう計画にはあり得ることなんですが、その場合はどうなるんでしょうか。

日下政府参考人 御指摘のとおり、六年半とか六年とか、ステージによって開発期間が想定されております。これは、地下のものでありますし、長期にわたる開発の中でのいろいろな事態も予想されるところでございますので、この基本計画どおりにいかなくても、少しの余裕は契約上想定されているところでございます。

 基本の想定から、どういう原因でどのような狂いが生じたかによって、どこまで柔軟度があるかというのは変わってこようかと思います。

鈴木(康)委員 細かな契約条件までは公開はできないということでありますけれども、長官が見て、そうしたリスクをかんがみても、これはかなりリスク回避できているというふうに承知されていますか。

日下政府参考人 御承知のように、本交渉は、シェルと共同いたしまして評価をし、交渉方針を立て、日本側として交渉に当たってきたところでございます。シェルは、既にイランの中で同様な開発を契約を結んで実行しているところでございます。そのような過去の契約、既にある契約を十二分に参照して、それに条件面で比肩し得るようなものを目指して交渉してきたところでございまして、石油開発ということにつきもののリスクはございますが、業界としては受け入れられるリスクの範囲内におさまっていると考えております。

鈴木(康)委員 ちょっとおかしいと思いますよ。今シェルの話が出ましたけれども、そのシェル自体が、後でこれは質問しようと思ったんですけれども、ロイヤル・ダッチ・シェルは、二十四日に参加を見合わせると、しかもその理由が、現在の契約内容では十分な利益を得られないということで不参加を表明していますけれども、今のお話とちょっと食い違ってきますけれども、その点どうでしょうか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 前段で申し上げたのは、イランのバイバックの、イランとしての開発についての法制、仕掛けの中で今までのメジャーがやってきているプロジェクトと比べて見劣りがするかどうか、そういうところでいえば、従来の契約の中でよく頑張ってとった契約を参照しながら交渉したという交渉の経緯について御説明したところでございます。

 シェルの不参加については、私どもも報道は承知しているところでございます。国際石油開発の方にシェルの最終的な意向というのは連絡があろうかと思いますが、現時点では正式な連絡を受けていないところでございます。

 いずれにしましても、最終的に交渉が終わった段階でシェルとしても判断をするということで、国際石油開発としては独自に決定に至ったわけでございますが、最終的にそれぞれの会社がどのような判断をするかは、事業戦略でございましたり、イランでほかのプロジェクト、大型のプロジェクトを幾つか並行してやっている場合、さらにイランにもう一つ抱えるかとか、オペレーターを持っているかどうかとか、いろいろな要因があろうかと思いますので、判断に差異が出てきたとしても不思議ではないと考えております。

鈴木(康)委員 いや、シェルは不参加をもう表明したから、ですから、これはきょう二十七日の日経ですけれども、フランスのトタールという企業にアプローチをかけているという記事が出ていますけれども、では、この日経の記事が間違っているんですか。

日下政府参考人 私もけさ新聞を拝見したところでございます。

 会社としてシェルから方針の連絡を受けていないというのは一つの事実でございます。また、トタールは、かねてから日本と競合する形でアザデガンのプロジェクトに関心を示し、交渉を申し入れ、あるいは並行して一部交渉があった時期もあるのではないかと推測しております。その中で、トタールから本プロジェクト、日本がとった場合の本プロジェクトについて関心が示された経緯もあるかのように聞いております。

鈴木(康)委員 シェルは今回の契約交渉にどこまで関与しているんですか。日本の企業と一緒に今回契約に深く関与をしているんですかどうなんですか、そこをお伺いしたいと思います。

日下政府参考人 民間の契約の現場でございますから、余り立ち入って御説明するのも不適切かもしれませんが、お尋ねでございますので。

 先ほど申し上げましたように、シェルは、いろいろな現場、イランも含めて、場数を踏んでいるわけでございます。したがいまして、地質構造でございましたり技術的な面、アザデガンについて基本的なデータをイラン側から開示されたものを共同して分析し、あるいは、その中でどういう形であれば十分開発サイドとして採算が合うか、こういうことについても対処方針、交渉方針について相談をしてきたところでございます。その中で、日本側が交渉者でございますが、シェル側も、現場に参加をして交渉したりしてきているところでございます。

鈴木(康)委員 今長官の御説明のように、シェルはかなりイランでこれまで実績があるわけですね。そのシェルにいろいろ相談をしながら、今のお話でいきますと、相当その交渉の中にも深くコミットをしていただいていたというふうに判断をしてよかろうと思います。そのシェルが今回、この油田は非常に、契約内容からすると採算がとれないということで撤退を表明したというのは、これは大変に大きな問題だと思うんですけれども、大臣、どうですか。

中川国務大臣 このアザデガン油田の優先交渉権は、去年の六月で日本が切れたわけですね。その後、フランスのトタールというところがイランと交渉をしたとかしないとかいう情報もございました。

 最終的には、今、先ほど申し上げたように、十八日、国際石油開発とイラン政府との間、イランの石油公団との間で合意になったわけでありますが、その過程において、今、日下エネルギー庁長官からもお話がありましたように、あくまでも国際石油開発とイランの石油公団との交渉でありますけれども、世界的ないわゆる超メジャーでございますから経験もいろいろあるでしょうし、そういう意味でアドバイザー的な形でやっていたわけでございまして、日本の国際石油とシェルとが共同で交渉に当たっていたわけではないわけでございます。これはあくまでも、そしてそれは民間ベース、日本の立場としては、民間ベースであって日本政府の交渉ではなかったということでございます。

 では、シェルは何で抜けたんだという新聞報道、これは、正式には多分、何らかの抜けたとか抜けないとかいう連絡が国際石油にあると思いますし、あったら我々のところにも来るのだろうと思いますけれども、現時点では新聞報道でございますが、シェルにはシェルの事情がある。これは、イランでの開発、世界じゅうでの開発、あるいはひょっとしたらシェルの社内の、内部の事情なんかも含めて、いずれにしてもシェルの事情でそういう報道になっているわけでございますから、仮にそうだとしても、この国際石油開発の交渉の成果に大きな変更なり影響があったということではないということでございます。

鈴木(康)委員 今回のアザデガン油田開発にメジャーの力というのは非常に大きな要素になっていたわけですね。

 これは、日本の企業だけでは掘削技術がイランのアザデガンの掘削に対応できない。だから、当然、メジャーの技術を導入して、あるいはアドバイスや、事によったら参加もしてもらってこれをやるんだということで、メジャーの参加が一つの条件に私はなっていたような気がするんですけれども、もしシェルが抜けるとなったら、そこはどうなんですか、日本だけでできるんですか。

日下政府参考人 石油開発、大きなプロジェクトは、まさに先生御指摘のように総合的な力が試されるところでございます。それは、評価でございましたり契約条件、それのまたファイナンスをどうしていくかというようなことでございます。

 ただ、現実の掘削そのもののところにつきましては、いろいろなメジャーがやる場合にも、シュルンベルジュでございましたりハリバートンでございましたり、それぞれの専門のところを雇って、指示をしてやるというのが業界の慣行でございます。もちろん、そういうところをちゃんと使いこなせる、正しい指示を出せるということは大切でございますから、日本のコンソーシアムでできないことではないと思いますが、よりよい、より強い体制をつくっていくことも大切だと考えております。

鈴木(康)委員 何かよくわからない回答だったんですが、新しいどこかメジャーなりなんなりの参加要請をするということですか。それがトタールになるということですか。

日下政府参考人 インペックスも今まで多くの油田開発にかかわってきておりますが、まさに御指摘になられたように、オペレーターで、元請で全部やってきたわけではございません。そういう面では、元請でだれかがとってきた、メジャーがとってきたものに参加を呼びかけられて、あるいは参加を働きかけて入っていっているわけでございます。やはりいろいろな形の、カントリーリスクを含めましていろいろなリスクがあるわけですから、この業界のプラクティスとしては、最終的には開発は何社かの連合した形になる、ファームアウトと言っておりますが、連合した形になるのが通例であろうかと思います。

 そういう面では、一般論でございますが、インペックスも七五%すべて自分でやるということではなく、内外の関心のある、またプロジェクトに貢献できる企業の参加を求めていくことになるのではないかというのが常識的な見方ではないかと思います。

鈴木(康)委員 この開発に今参加を予定している日本企業は、どんなところがあるんでしょうか。

日下政府参考人 日本の中では、石油資源開発、これはある意味でインペックスよりも歴史があり、数多くのプロジェクトに参加をしているということでございますが、石油資源開発が参加を検討しているところでございます。

鈴木(康)委員 新聞記事で申しわけないんですが、同じきょうの日経の記事に、参加予定をしていた石油資源開発あるいはトーメンがこの参加を見合わせる可能性があるということが出ていますけれども、この点はいかがでしょうか。

日下政府参考人 私も新聞記事を拝見いたしましたが、私どもが承知をしているところでは、石油資源開発につきましては、本プロジェクトに参加をするという方向で社内で検討中だと承知をしております。

 また、トーメンにつきましては、再建途上にあるという社の事情もあろうかと思いますが、個別の会社の動向について余り立ち入ってコメントするのも不適切でございますが、参加を見送る方向になるのではないかと承知をしております。

鈴木(康)委員 先ほどのシェルのお話でもそうですけれども、今、長官も新聞で知ったというようなことでございました。

 長官、今回のこの基本合意の契約にも行かれているわけでありまして、これはもう現場の最高司令官だというふうに私は思っていますけれども、その長官のところに情報が入るよりも日経新聞に情報が入る方が早いんですか、これは。

日下政府参考人 御指摘のように、私は調印式に、これは政府を代表する、政府の立場として立ち会い、来賓として行ったわけでございます。ただ、エネルギー政策の現場を預かる形で、交渉の進展について逐次報告を受けてきたであろうというのは、御指摘のとおりでございます。

 私どもも、報道につきましてはなかなかコメントをしづらいわけでございますが、私から申し上げましたように、石油資源開発については、昨日の段階でも、まさに参加をするということで検討が進んでいると責任ある立場の方から聞いているところでございます。

鈴木(康)委員 石油公団の議論をしたときにも、それまでのずさんな公団の開発についていろいろ明らかになったわけであります。今回、独法で新しい石油天然ガス・金属鉱物資源機構というものができるわけですけれども、ここも少なからず今回この開発に当然絡むわけですね。リスクマネーの供給あるいは債務保証という形で絡んでいくだろうと思うんですね。

 あのときさんざんやって、これからきちっとフィージビリティースタディーもし、リスクもきちっと考えて慎重にやっていくというようなことになったと思うんですが、どうも今回の件を見ていると、私は相変わらず同じようなことではないかと思うんですが、どうですか、大臣。

中川国務大臣 あくまでも民間ベースの段階に今あるわけでございまして、マスコミがいろいろと報道するのは、否定しようにも肯定しようにも、こちらにまだきちっとした報告なりがないわけでございます。

 十八日に日下長官がイランに行く直前から、盛んに情報が報道に載っておりまして、どういうことなんだろうと思ったら、イランに何人かのマスコミがいて、向こうで直接取材をして報道するということで、こういうことはこれに限らずよくあることでございます。ですから、マスコミ報道をすべて前提にしてという御議論は、少なくともこの日本の一番権威ある国会の場では、一つの可能性としての御議論ということになるんだろうと思います。

 いずれにいたしましても、これが何とか順調にスタートしてもらいたい。これだけの、二百六十億バレルの埋蔵量があって、そして、できるだけいい石油が安定的にとれるということは、我が国にとって非常に長期的にすばらしいエネルギー供給になるわけでありますし、先ほど申し上げたように、イランとの関係、いろいろな意味での関係がうまくいってもらいたいという前提で、このプロジェクトを何とか成功したいということで、そうなってくると、我々としても、単に民間の話ですねといっていつまでも静観をしているというわけにもいかないだろうというふうに考えております。

鈴木(康)委員 これは決して、私は民間のベースの話だと思いませんよ。石油資源開発の役員の方を見ても、会長、社長、常務、全部これは役所出身の方ですよね。棚橋さんという大物も行っていらっしゃいますよ。あるいは国際石油開発も、社長、専務、監査役も役所の方が行っていますね。私は、これはもう当然、この新しい独法がリスクマネーの供給もするわけですし、これは総力を挙げた国のプロジェクトだと思いますよ。

 イランでは、IJPCの過去のつらい思い出があるわけですよ。これを繰り返しちゃいけないわけですよね。ですから私は、今回、本当にこれは大丈夫なんだろうか、また同じ轍を踏むことになるんではないかという非常に危惧をしているので、決して否定をするつもりで言っているんではないんですが、その辺のリスクについてはきちっと、役所としてもあるいは大臣も、しっかりとこれは把握をしていただきたいと思うんですね。

 もう一点、私が気になるのは米国との関係であります。

 この基本合意が成り立ったときに、成立したときに、アメリカのバウチャー報道官が、極めて憂慮をしていると。深く懸念している、こうした開発が進展することに失望しているという報道がございました。御承知のように、アメリカにはイラン・リビア制裁法というものがありまして、これが現にまだ生きているわけですね。こうした中で、これからアメリカとの関係がどうであるのか、きちっとこの辺の、アメリカとの根回しをしながら進んでいるのかどうか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。

日下政府参考人 先生御指摘のように、米国との関係、日米関係、大変重要だと考えております。このイランの問題につきましても、いろいろなレベルで緊密に連絡、連携を図ってきているところでございます。

 個々の具体的なやりとりに関しては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

鈴木(康)委員 先ほど大臣から、核のことが懸念材料だということが御指摘の中でありました。

 先日、二十四日にIAEAのエルバラダイ事務局長が、その報告書の中で、イランに高性能の遠心分離機が多数あった、あるいは核爆弾に用いる放射性物質のポロニウムというものの生産をしていたということを明らかにしたんですね。これは、これから恐らく相当大きな問題になってくると私は思うんですけれども、こうした核開発のリスクについてどのようにお考えなのか、大臣、よろしくお願いします。

中川国務大臣 イランが今まで未報告の遠心分離機について、あったということ等をIAEAに報告をしたということでございます。

 我々といたしましては、先ほど申し上げたように、このプロジェクトとイランとの二国間関係、さらには、これは我が国にとって決して除外することのできない核の問題について、ある意味では、日本から見れば、追加議定書にサインをして協力をしていくということが、日本側から見ればこの実現のために大きな一つの障害がとれたということがあるわけでございますけれども、他方、こういうことについて、これが一体どういうことなのかというのは、IAEAの理事会等できちっと解明されるべき問題だろうというふうに思っております。

鈴木(康)委員 大臣が御就任のときに、このアザデガンの問題について質問されたときに、国益という観点からこういう日の丸油田をきちっと開発していくということが大事だ、エネルギー政策の観点からも非常に大事だ、一方で、核もこれも国益である、この油田の開発と核はセットであるということを大臣がおっしゃられたわけですね。私もこれはきちっとした御見識だろうと思っています。

 そういう中で、イランが大分この核開発で非常に疑惑が生じてきたわけですけれども、もしこの核開発が明らかになって、アメリカが非常に強い態度で出るということになった場合に、日本はこのプロジェクトから手を引かれるのかどうか、その点お答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 仮定の話に今から、私も情報がないんでお答えできませんけれども、IAEAで、日本だけではなくアメリカ、ヨーロッパその他多くの加盟国との議論の結果によっては、これは日本の問題として、先ほど申し上げたように日本の問題としてやはりこの問題に影響をしてくるであろうと、あくまでも前提でございますけれども、一つの前提に基づいた御質問に対してのお答えでございます。

鈴木(康)委員 今までいろいろな油田の開発というのは、やはり引くことも私は大事だと思うんですね。大きな傷を負わないうちに撤退をする。メジャーの成功の要因は、油田開発というのは千三つと言われるように、やはりどれもこれも成功するわけじゃない。やはりその事業判断をきちっとして、今回シェルがどうなるかはまだ、これは近日中に結論が出ると思いますが、やはりその見きわめの早さだと思うんですね。

 日本がやはり失敗をして石油公団が大きな負債を抱えたのは、もうどんどこどんどこ突き進んでいってそのまま奈落の底に落ちていくような、そういうことが、実はこれまでの失敗の中でそれが繰り返されてきた。それを我々は反省をしたわけですから、私はどうもまだこのアザデガンの問題というのはいろいろリスキーな要素を含んでいると思いますので、改めてこれは、少し状況を注視しながらまた御質問もさせていただきたいと思います。

 残り時間少なくなってまいりましたので、ちょっとエネルギーについて二点お伺いをしたいと思います。

 実は、昨年十月にエネルギーの基本計画が出されました。ここで、安定供給あるいは環境への配慮、そしてそれを踏まえた上で市場原理の活用ということが明確にされています。

 これは、さかのぼること、議員立法でエネルギー基本法というものがつくられまして、日本で初めてエネルギーの基本的な理念というものが確立をされたと私は思うんですね。

 この中で、釈迦に説法ですけれども、日本は島国であって緊急時になかなかほかからエネルギーを得るということが難しい、特に電気の場合は生産したらすぐに消費をするという電気の特有の特徴があるわけですから、やはり安定供給というものをエネルギー安全保障の面からいけば一番考えなきゃいけないと思うんですね。

 この安定供給というものに最大の価値を置きながら、あるいは、これから京都議定書のこともありますし環境への配慮というもの、この二本柱の上、市場原理を活用していく、このエネルギー基本法の理念について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

坂本副大臣 先生御指摘のように、平成十四年六月にエネルギー基本法が定められました。

 これは、安定供給の確保、環境への適合及びこれらを十分に考慮した上での市場原理の活用という基本方針が定められたわけであります。

 政府は、この基本方針に沿って、国民生活や経済活動に必要不可欠なエネルギーの安定供給確保、地球温暖化問題等の環境問題への対応、さらにはこれらを十分考慮した上での石油、ガス市場の制度設計のあり方等を内容とするエネルギー基本計画を昨年十月に閣議決定したところでございます。

 政府としては、このエネルギー基本計画に沿ってエネルギー政策を今後実施してまいりたい、このように考えております。

鈴木(康)委員 このエネルギー基本法を踏まえて、昨年の六月に電気事業法が改正をされました。

 その中で、安定供給というものをやはり大きな、そこに価値を置いて、発送一貫体制というものを維持したわけであります。

 その上で、やはり健全な競争というものも確保していかなきゃいけないということで、情報遮断、いわゆる目的外利用の禁止でありますとか、あるいは会計を送配電部門できっちり分けるとか、差別的取り扱いの禁止とか、いろいろな行為規制を設けたわけであります。

 こういうものによって、独占、寡占をこの事業法によってきちっと私は阻止をしているというふうに思いますので、これによって私はきちっとした運用がされているというふうに思うんですけれども、これはちょっと中川大臣に聞きたいんですけれども、この事業法によって、安定供給とそれからきちっとした健全な競争というものが維持をされているという認識に対して、どういうふうに思われますか。

中川国務大臣 エネルギーは本当に一瞬たりとも利用者に不便を与えてはいけないものですから、安定供給と、それからまた、ある意味では競争原理といいましょうか市場原理というものと、両方が目的達成できるようにしていかなければいけないですし、改正によってその目的に向かって進んでいるというふうに理解しております。

鈴木(康)委員 坂本副大臣にもお伺いしたいと思いますが、この改正電気事業法についてどのような御見識をお持ちでしょうか。

坂本副大臣 改正電気事業法において、健全な競争の確保のための措置、あるいは独寡占問題への対応は十分かというお話だと思うんですが、ただいま大臣もお話し申し上げましたように、エネルギー基本法に基づいて、安定供給の確保と環境への適合を図り、これらのもとで電力供給に関する需要家選択肢の拡大を図ることを基本方針といたしております。

 この基本方針のもとで、昨年の改正電気事業法においては、発送電一貫体制を維持しつつ、配送電部門の公平性、透明性を確保すべく、送配電部門が一部の事業者を差別的に取り扱うことや、送配電部門が他の事業者から得た情報を目的外で利用することの禁止などの措置を盛り込んだところであります。

 当省としては、電気事業法に基づき、送配電施設について公平な利用ルールを定めて、健全な競争が促されるよう対処しており、これにより、不可欠施設の利用を認めないなどの新規事業者に対する参入妨害行為といった問題への対処は十分だと考えております。

鈴木(康)委員 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

根本委員長 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 民主党の吉田治です。

 質問の事前の要旨には入れていないんですけれども、まず最初に、きょうの朝刊等に出ておりましたように、カネボウが産業再生機構のもとで企業再生を図っていくというニュースが飛び込んでまいりました。この産業再生機構は、昨年のこの委員会で法案審議がなされ、法案が成立をし、また修正案、とりわけ修正案の中には、労働組合であるとかまたそこで働く方々の雇用の問題であるとかということを入れた修正案が自民、民主を初めとする政党によって成案が成立をしたというふうに聞いております。

 その中で、大臣もしくは副大臣、今後のこの産業再生機構のあり方、またこのカネボウというふうなものの中において、働く雇用というふうなものを大事にした中での再生というものをどういうふうにお考えになられているのか、御所見を賜りたいと思います。

泉副大臣 委員今お話にございましたように、産業再生機構というのは、カネボウの化粧品事業の再生についてできる限り迅速にかつ前向きに検討を行っていく方針であるというふうに承知をいたしておるところでございます。具体的には、今後カネボウ自身が主要銀行などの関係者と協議を行った上で、化粧品事業の資産価値等をきちんと精査をして、厳格に査定がなされた上でのことになると思っております。

 産業再生委員会が支援の可否を判断するということになるわけですが、当省といたしましては、機構の公的な枠組みを活用する以上、事業者あるいは金融機関の努力によりまして再生計画が策定されることを期待する。したがって、今、従業員等への影響等も御心配をいただきましたけれども、そうしたことができるだけ影響が少ないように努力をしていただくことを期待しておるところでございます。

吉田(治)委員 本当に働く職場というものが今どんどん失われている中で、大事なことだと思います。

 それでは、大臣、エネルギーの問題、今ずっと質問がなされてまいりました。まず最初に、この十年近く、電力、ガスを含めて、規制緩和、自由化という、毎年のように法案も変わってきております、ガス事業法、電気事業法と。そういうふうな中で、今までの規制緩和、また自由化といったものの進捗状況というんですか、それは期待したものなのか、それとも、いやいや、やはり至らない部分がいろいろあって、自分のところの所轄のものだけでは足らないというお考えを持たれているのか、その辺はいかがなんでしょう。

中川国務大臣 エネルギーというのは、何回も申し上げますが、人間生活において欠くことのできないものでありますし、また、日本においては、石油、天然ガス、原子力、その他多様なエネルギーを、主に海外からのエネルギー資源が主力になっておるわけでありますけれども、それを安定的にやっていかなければならないわけであります。

 他方、そのためには、できるだけ経済性、それからその前に安全性とかいうものもございますけれども、それから環境に向けた配慮ということ、そしてまた、昔でいえば公益事業、独占事業ということでありますけれども、こういう時代ですから、競争のメリットというものが必要になってきているので、今委員の御指摘のようなことも重要なポイントだろうと思っております。

 ですから、これでおしまい、目標達成ということではなくて、これからまた新しい新エネというものもいろいろと研究開発、実用化されてまいりますので、たゆまぬエネルギー政策に対しての緊張感というものを持ち続けながら我々努力をしていかなければならないというふうに思っております。

吉田(治)委員 一点だけ、そういう中で、今将来の話をされましたが、今までの過去を振り返った場合に、大体、規制緩和、自由化というのは大過なく行われてきた、そう判断してよろしいでしょうか。

中川国務大臣 具体的に小売の自由化とか、いろいろと電気、ガスについてやってまいりましたけれども、この自由化の範囲の拡大等に対応していろいろな制度設計に取り組んできておりますけれども、予定というかスケジュール的には、計画どおりにおおむねいっているというふうに理解しております。

吉田(治)委員 問題がないというふうに理解をさせていただいて、大臣はずっと農業関係ということもお強いと聞いております。私が言うまでもなく、食料におきましては、カロリーベースでいうと四割しかない、そういうふうな中で、食料の安全保障とよく言われて、大臣も今の答弁の中で、エネルギーの安全保障というんですか、九五%を輸入に頼っているという中で、この重要性というのはもう私が言うまでもないと思います。

 そして、先ほどから同僚議員が質問をしておりますように、昨年のエネルギー基本計画、ここにおきましても、原子力発電というもの、これは基幹発電、基幹電源としております。将来の需給見通し、今、改定もなされているということでありますけれども、私は、この中で一つ、昨年の東京電力の原子力発電所の問題。国の安全宣言を受けても今なお運転再開ができない状況になってきているという中、これは、電源計画の役割といったもの、電力というものの役割の中において、最終的に運転再開に当たっての判断は、現在、福島県知事の判断待ちであると私は聞いておるんですけれども、それで間違いないんでしょうか。

中川国務大臣 去年は原発についていろいろな事故その他があって、前任の平沼大臣は、本当にこの夏をどういうふうに乗り切っていけるかということで相当危機感をお持ちになっておられたようですけれども、幸いにしてと言っては怒られますね、あの冷夏だとか不況だとかいうことで何とか乗り切ることができましたけれども、やはり正常な形で、やはり原子力発電所の存在というのは大きいわけですから、早くその正常な稼働が再開できるようにしなければならないわけでありますけれども、福島あるいはまた新潟といったような原発の地元の皆さんの御理解をいただくということが再開への大前提でございますので、そのためにも、技術的な問題をクリアした上で、その御理解をいただくために、我々、最善の努力をしなければならないというふうに考えております。

吉田(治)委員 そこで、国と地方と民間の役割という中で、では、今大臣、地元に対して理解してもらうように最善の努力をする、国の方ではもう安全の宣言をしているけれどもと。具体的な、国が行っている、地方に対する説明というんですか、説得というんですか、納得してもらうというようなものは何かあるんでしょうか。大臣自身、例えばその地域の、福島県の知事に会って、この問題についてお話をなさったということがあるんでしょうか。

中川国務大臣 私は、就任して以来、特に福島、新潟、それから福井の知事さんを初め、立地の知事さんあるいは自治体の皆様方がよくお見えになります。できるだけお会いをさせていただいております。また、私自身、去年柏崎に行きまして、柏崎あるいは刈羽の市長さん、それから村長さんにもお会いをいたしました。

 ただ、依然として、再開に向けて地元の御努力を得るために、先ほど田中慶秋委員にも申し上げましたけれども、できるだけ最高責任者であります私が行って、地元の生の声、首長さんあるいはまた議会の皆さん方、あるいは近隣住民の皆さん方を初めできるだけのことをしなければいけない。向こうもそういう御要望があるようでございますし、私も、責務として当然しなければいけないと思っております。

 今回、柏崎の方で来てくれということで、ぜひ行きたかったのでありますけれども、国会の都合で、坂本副大臣が二日間行って、大変有意義な会談を持つことができたというふうに報告を受けております。

吉田(治)委員 その場合に、知事の許可か何か要るわけですか、法的に、この場合に。

 知事さんの判断というのは、私は地元の理解だとかそれから納得というのは非常に大事だと思うんですけれども、法的な部分でいうと、基本的にいったら、国と地方の役割分担といった中で、その辺を、僕はごね得だとかそういう発想はないです。ただ、地方の権限だとか国の権限とかしっかり分かれているのであるならば、理解、納得してもらう必要はあるんですけれども、そこにおいて、国と地方の役割分担というんですか、今申し上げましたように、法的に何か知事さんが許認可を出さなければいけないとか、納得をしなければいけないとか、そういうふうな条文か何かあるんですか。

中川国務大臣 既に立地されていて、事故等で一たんストップしたものをもとに戻すための技術的なきちっとしたものができればもうそれでいいんだろうと思いますけれども、それではこのエネルギー行政、特に原子力発電行政は、地元の意向を無視したり、反対したりしたままということでは我々は前に進んでいかないというふうに思っておりますので、技術的な問題をクリアした上で、地元の皆さんの御理解を何とかいただいて、そして再稼働に向けていきたいということでございます。

吉田(治)委員 大臣おっしゃるところ、大事なことだと思うんです。こんな大切な問題ですから無理やり押しつけるわけにはいきませんけれども、その部分もっと、一生懸命頑張られているというふうなお話ですけれども、国も頑張る、電力会社も一生懸命頑張っていると思いますけれども、やはりその辺の役割分担と、国としてもうちょっとその辺の再開に向けての努力というふうなものを、特別に配慮をしてもらいたいなという感じはしますし、また、今から申し上げます高速増殖炉開発、固有名詞で申し上げましたら原型炉の「もんじゅ」のナトリウム漏れ以降の停止状況、これが今、再開というふうなことで、最終的にこれも福井県の知事さんの判断待ちである。これも同じように、権限的にいったらどうなんですか、知事に許認可権があったり、それから知事がうんと言わないとこれはできない、何か法的にそういうふうになっているんでしょうか。

中川国務大臣 「もんじゅ」も途中でちょっといろいろあって、この技術的な問題をクリアいたしましたので再開をしたいということでございますけれども、やはりさっきの原発もそうでありますけれども、非常に大きな組織であり、そして非常に大きなエネルギーを生む。そしてまた日本という国は、先ほどのイランじゃございませんけれども原子力の平和利用に関しても特別の思いがあるという、国民的な、そういう国、国民でございますから、そういうものを十分御理解いただくように、最大限の御理解をいただいて、「もんじゅ」もみんなの御理解のもとで再スタートをしたいということでございます。

吉田(治)委員 「もんじゅ」に関しては、電源開発促進税から毎年百億円。動きもしない、進みもしない、お金だけがどんどんつぎ込まれている。それで、最終的には知事さんの判断待ちだ、すべてのものは条件が整っている。普通聞けば、もうちょっと頑張れよ、頑張ってちょうだいなということになると思います。

 私はそのことだけ強くこのことについては申し添えさせていただくと同時に、やはり大臣の答弁にもございましたように、環境問題が大変大きい。

 きょうは環境省の方が来られていますけれども、この十年間の規制緩和の中で、電力、独立の電力系という形で発電所をつくって、そして電気を売る。大体この新しい独立系の発電所は、もう私が言うまでもなく、石炭、石油、化石燃料が中心の発電所になっております。この辺の環境対策といったもの、環境の基準というんですか、これは環境省、きょうおいでいただいていますけれども、普通の電力会社の発電所と同じですか。

砂田大臣政務官 普通の電力発電と同じ状況かどうかというお話でございますけれども、特定の規模における電気事業者というものをそれなりに規定して、その中で発電所についても、一般電気事業者の設置をする発電所と同様に、大気汚染とかそういうことについて、大気汚染防止法等の環境関係法規によりまして排ガス規制等を行っているところでございます。

 さらに、一定規模以上の発電所の設置に当たっては、環境影響評価法に基づく環境アセスメントを実施することが義務づけられておりますし、大気環境あるいは水環境、そういうものについて、この際、環境省は、事業者が作成した環境影響のもとに基づきまして、環境保全上の観点からの意見をしっかり述べているところであります。

吉田(治)委員 聞いていることと答えが全然ちゃうんやわ。

 だから、一緒なのかどうかというのが一点と、化石燃料を使うような発電所をつくらすことについて、環境省としてはどう思うのかと。電力会社の化石燃料を使う発電所についてはやめていこう、やめていこうという中で、今議論をしているように原子力発電所というふうなもののあり方ということについて質問しています。

 政務官の方におかれては、環境省として、それは一緒なのかどうなのか、そして、化石燃料を使う発電所が自由化の中でぼこぼこできていっている、そのことについてどう所見を持っているのか、この二点。

砂田大臣政務官 全体的に、同じ規制をもってこれを規制しているというふうにお考えいただきたいと思います。

 以上です。

吉田(治)委員 今質問をさせていただいて、二点目の答えがないんですよ。全然答えになっていないじゃないですか。

 環境省というものは、では、こういうふうな経済産業委員会だとか経済産業にかかわる問題については不誠実にしか対応しない、そういうふうにとらえられても仕方ないでしょう、この委員会の場でこうしてやっているのに。質問時間もどんどん消えていっているじゃないか、私の。

砂田大臣政務官 全般に、いろいろな発電の基本になるものについては、当然、できるだけ汚染が少ないものから順番に、そういうものをきちっと精査をしていくという考え方であります。

吉田(治)委員 申しわけないけれども、委員長、このことについては別途させてもらわないと質問時間がもったいないから今度やらせてもらいますから、そのときはしっかり勉強してきてください。

 続きまして、同じ環境という部分でいいますと、今回パブリックコメントというものが出された、温暖化対策税制について。この中で反対の方が六割以上になったというふうな資料をもらっているんですけれども、いかがなんですか、経産省としてこの温暖化対策税制というふうなものについて何か御所見をお持ちなんでしょうか。

坂本副大臣 お答えします。

 ただいま、地球温暖化対策は非常に政府の重要な課題の一つでございまして、いわば温暖化対策税については、その導入ありきで議論を進めるということは適切ではないと考えております。

 現在政府として、地球温暖化対策推進大綱に基づきまして、省エネルギー、新エネルギー対策の推進や革新的技術開発など、二百を超える温室効果ガスの排出抑制策を積極的に推進しておるところでございます。また、昨年十月からは、石油特別会計を活用しつつ、経済産業省と環境省で共同して、地球温暖化対策の一層の強化に取り組んでもおります。

 したがって、まずは、これらの対策を徹底して実施することにより、京都議定書の削減目標の達成を確実なものとすべく最大限努力することが必要だ、こう思っているところでございます。

吉田(治)委員 読まれるんでしたら、一度事前に読まれてから委員会に来ていただくように、答弁については。その場で読まれてされるのは、大変私としては、副大臣に御心労がふえるのではないかなと思っております。

 環境の問題、エネルギーの問題はこれぐらいにさせていただきまして、政務官どうぞ、環境省、結構でございます。

 続きまして、資源インフレというんですか、大臣が言うまでもなく、日本というのは加工貿易の国で、諸外国から鉄鉱石それから原料炭、非鉄地金等を輸入して、それを加工して売っていく。

 しかし、このごろ、中国の需要急拡大というものがございまして、これらの資源の価格が急騰している。それが結果として、鉄鋼、非鉄産業等に大変大きな影響を及ぼしていると同時に、それらを使う造船業界また自動車業界においても、円高の不況に加えて鋼材価格の値上がりというものが非常に収益を大きく圧迫している要因となっております。例えば、鉄鋼業だけ見ましても、業界全体で五千億から六千億円のコストアップ要因となると見込まれております。

 基本的に、価格は需給に応じて市場で決定されるものである、私はその立場は崩すものではありませんけれども、しかしながら、我が国の物づくりというふうなもの、産業全体の発展を考えた場合には、物をつくる原料、川上のものの安定供給を前提とした適正な価格設定が不可欠であると思います。

 そうした認識をそれぞれが相互に理解した上で、素材供給者、そしてユーザー、最終製品の消費者が良好な産業循環をつくり出していく必要があると思う。そのことが、我が国の物づくり産業、よく物づくり産業、物づくり産業と言われていますが、その発展と再生につながっているというふうに考えております。

 こうした中国という一国の急成長を背景とした資源インフレというのは、多分、記憶にある限り、過去に経験がなかったと思います。これほどの、いわゆる英語で言うブームというんですか、大変大きなものは。一産業だけの対応というふうなもので私はこれは対応し切れないものであり、我が国製造業全体の課題として取り組んでいく必要があると思います。特に、こういう基幹産業の素材安定供給は最も重要な課題であり、また、資源のいわゆるインフレというものをどう克服していくか、そういうようなものが必要なことだと思います。

 そういう中において、政府の果たすべき役割は私はあるんだと思います。これが安定供給であり、また資源の確保というもの、これは、単にエネルギーの問題でいうと電力、ガスばかりではなく、やはり現場の物づくりのこういう資源の確保というもの、そのことについて、確保というもの、それから認識というもの、そして今後の対応について、大臣の方の御所見を賜ればと思います。

中川国務大臣 今御指摘のように、いわゆる原材料というんでしょうか、これが非常に値上がりをしているということは、私にとりましても非常に気にかかるところでございます。

 いろいろな経済の議論をきょうさせていただきましたけれども、いろいろないびつな今の日本経済の中で、この問題、私は、川上インフレ川下デフレという言葉を使っておりますけれども、これがどういう要因にあるのかなというと、さっきも御議論がありましたけれども、アメリカがいい、それから東南アジア、中国がいい、そしてヨーロッパも経済がいいですね、それに引っ張られて日本もよくなっていますね、大まかに言えばそういうことです。

 その中でも、委員御指摘の中国という存在が急速に買っているということでございまして、地球上の人口の五分の一以上を占める国が、こういう工業化といいましょうか、原材料を世界じゅうから買いまくっているということ、これは、鉄鋼、それから半導体の主要な部品であります銅等の非鉄金属、それから食料品とか食料品になるえさとかいうものも含めて、シカゴの相場、石油なんかもちろんそうですけれども、これはやはり日本の産業にとって非常に大きな影響を与えるわけでございます。

 これは、為替と相まってという委員の御指摘のとおりでございますけれども、今すぐどうしたらいいんだろうという感じがいたしますけれども、私の考えとしては、中国も、余りマーケットを混乱させるような形で輸入に没頭するというよりも、もっと国際的な貿易マーケットを余り乱さないように、少しずつ、悪影響を与えないような形で輸入をしてもらいたいなという感じすら思うわけであります。

 いずれにしても、急速に成長している中国の実需でございますから、それに対して有効な手だてを今すぐということは私の頭の中にはございませんけれども、いずれにしても、注意深く見守っていかなければいけない、これは日本だけではない、世界的な経済、貿易に与える大問題だろうと思っております。

吉田(治)委員 市場の話なので、マーケットメカニズムの部分なので、国は関与しづらいと思いますし、石油のように、あんな鉄鋼石や石炭を備蓄しろという方もまた無理です。

 ただ、言えることは、例えば国内炭、どんどん炭鉱も、大臣の地元の北海道もたしか今もうなくなったんですよね。というふうな中で、石油の部分に関しては、海外へ行ってみずからの力で、また関係会社という形で発掘していくということ、日本自身も、資源外交とよく言われますけれども、原材料の部分について政府がもっと力を入れて、民間企業に任せるだけじゃなくて、やはり横に中国というああいう国がこういう形で、今大臣も認識されているように出てきているんですから、もう一歩踏み込んで政府としてもやる必要があると思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。

中川国務大臣 長期的には、例えば鉱山の開発とかそういうことが必要なのかなと。

 ただ、これも、どこまでこういう状況が続くのかもまことに不透明ですから、なかなか難しいことだとは思いますけれども、こういうときには、やはり情報収集ということが、今委員御指摘でサジェスチョンとしていただきましたけれども、世界にいる在外公館あるいはジェトロのいろいろな知恵を生かして情報収集をして、あるいはまた日本の世界じゅうで活躍している商社等のビジネスマンの皆様とも連携をとって、世界じゅう、アフリカから南米に至るまでいろいろな情報収集をして、その上で何らかの対策がとれるのかな、第一歩はそういう情報収集かなと、今委員の御質問を聞いていて思いました。

吉田(治)委員 省内的にそういう部分から始めていただく、それで御理解させていただいたらいいんでしょうか。

中川国務大臣 はい。

吉田(治)委員 わかりました。

 そういう中で、加工貿易の国で、さまざまなものがつくられているんですけれども、二月二十日の予算委員会、ここで私どもの同僚議員から大臣に対して質問がございまして、日本には武器輸出三原則という原則があるんですけれども、私はそういう中で、防衛産業というもの、同僚議員の質問を聞きながら、日本には防衛産業はどこにあるのかなと調べましたら、これは防衛産業の担当課というのはこの経済産業省の中にある。

 たまたま知っている、大阪というのはもともと、砲兵工廠というのが私の生まれ育った町の近くにございまして、私の父もそこへいっとき勤めていたというので、大阪の産業的に見ていくと結構防衛産業というのにつながりがあって、また、現在いろいろな方にお話を聞きますと、防衛産業自身が世の中的に言うと何か大もうけができるすばらしい産業のように見えるんだけれども、いや、実はそうじゃないんだと。品質管理が厳しいし、コストを安くしようと思ってもなかなか認められないし、そして、お国のために、例えば製造ライン、もう世の中的な景気の動向からすると、いつ使うかわからない、何年に一度かしか使わないようなラインをそのまま置いておくのもどうかと思うんだけれども、やっぱりこれはお国のためだから残しておかなければいけないという現場の声というんですか、効率化だとかそういうふうなものがなかなかなし得ないんだと。

 しかし一方では、私たちが利用する、GPSというんですか、カーナビゲーションシステム、これはもうまさに防衛産業から生まれた大きな民間事業になってきている。

 その辺の兼ね合いというのもあると思うんですけれども、大臣として、この所轄をされる防衛産業の現状というもの、そして認識というものを、そして、今後これを、私もどうしたらいいのかというのは、私がどうこう言うものじゃないと思うんです、どういうふうにお考えになられて、今後どういうふうなものになるのか。これはまた国の安全保障という問題にも大変かかわってまいりますし、今申し上げましたように、武器輸出三原則というふうなものもございます。これは法律に基づいていないということですけれども、その辺を含めて、大臣の方の御所見、いかがでしょうか。

坂本副大臣 確かに、日本の防衛産業が非常に優秀な技術を持って今日までいたんですが、BMDであるとかいろいろな防衛政策の変更によりまして、このごろ大変厳しくなってきておるのも事実でございます。

 それから、武器輸出につきましては、これは、昭和四十二年の佐藤内閣のときに武器輸出三原則を、禁止を承認いたしました。そして、三木内閣のときに、今度は政府統一見解が出て、その後米国向け輸出、技術提供に限ってはいいが、そのほかの全地域に対してはだめだよ、こういう取り決めを国会批准いたしました。

 その結果、弾道ミサイル防衛システムに関する日米共同研究がこれから進んでいく中、これとの関係を踏まえながら、国際紛争の助長を回避するという平和国家としての基本理念に立って検討していくことが必要である、こう考えております。

 防衛産業、非常に大事な産業でありますので、防衛庁とも相談しながらこれから検討していきたいと思っています。

吉田(治)委員 副大臣の答弁を聞いておりますと政府公式見解だけで、では具体的に育てるんですか、それを育成するんですか、それとも現状のまま何とか温存しようという、その辺はどうなんですか。

坂本副大臣 よくこれは、戦車は千社というぐらい、戦車一台だめになると千社会社が倒産するというぐらい非常に影響力があるわけですから、だから、この防衛産業は、いろいろ注意を払いながら、予算が年々落ち込んでいるんですよ、御指摘のとおり、それをどうカバーしていくかということも踏まえながら、防衛産業を支えるために、防衛庁ともよく相談しながら今後対応していきたい、こう思っています。

吉田(治)委員 わかりました。

 また、政府見解というのが、初めの佐藤内閣のときと後ので大分違うみたいですので、その辺がこのことについては大変大きな問題点だと理解しておりますので、この議論はまたこれからにさせていただければと思います。

 そういう中で、きょうは公正取引委員長においでいただいて、大変世の中の景気状況が厳しい中で、先ほどの同僚議員の質問にもありましたように、大変強いところと弱いところ、強いものによるわがまま、横暴。先ほどから公取委員長が何度も、公正な、自由な取引をということをこの委員会で強調されております。

 たしか、流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針というものが作成をされた。小売業者による優越的地位の乱用行為の撲滅に向けた指導強化を徹底していくというふうなことを言われておるんですけれども、では、具体的に、こういう事案、徹底運用というふうなものの事案件数というものは、大体年間何件ぐらい情報提供があって、それに対して何件ぐらい対応し、そしてどういう問題があったのかという部分、公取委員長、いかがなんでしょうか。

竹島政府特別補佐人 優越的地位の乱用関係の事務処理件数でございますけれども、実態は、まず情報提供が少ないということが、入札談合その他に比べるとそういうふうな現実でございます。

 ただ、そういう中で、公取として、優越的地位の乱用の事件の処理状況を申し上げますと、平成十三年度、これは着手したのは、七件着手しております。それで、処理は、注意、打ち切りというのがありますが、いずれにしても二件。十四年度は四件着手いたしまして、警告を三件いたしております。

 それから、着手件数を先に申し上げた方がいいと思いますが、いずれにしても、十三年度は七件でございまして、十四年度は四件、十五年度はまだ終わっていませんが、一月までの段階でこれは二十五件、ふえております。

 それで、着手をしてそれぞれの年に処理をしたものは、十三年度が二件、十四年度は九件、十五年度は一月までで七件、こういうことになっております。

吉田(治)委員 現場サイドではこういうふうに言われているんですよ。公取さんに持っていっても、情報提供が少ないと今委員長言われましたけれども、持っていくんだけれども、あなたのところ一件じゃだめなんだと。要件が厳し過ぎるんじゃないんですか、受け付けるときの。

 受け付けるときの体制であるとか、これは、原子炉等規制法の法案改正のときにやった内部告発制度の中で、その後原子力・保安院の議論の中に出てくるんですけれども、受け付ける体制というのはどうなっているんですか。どこが受け付けて、どう対応するのか。今言われたように、着手の件数は七件だと。では、情報提供は何件あって七件であって、何件以上だと多いと判断できるのか。いかがなんですか。

竹島政府特別補佐人 情報提供の数は、今手元に統計がございませんのでちょっと申し上げられませんが、先ほど申し上げましたように、ほかのケースに比べると、入札談合等々と比べますと、優越的地位の乱用についての情報提供は少ないという印象を持っております。

 それから、体制は、これは、最近は二十五件ということでふやしておりますが、限られた陣容の中で、我々としては、確かにこの厳しい経済情勢で優越的地位の乱用ということが起こりやすくなっておりますから、それに十分こたえられるようにしていきたいというふうに思っております。

 具体的な問題として、今問題になっている、消費税の総額表示化に伴って納入業者と小売業者の間で、小売業者の優越的地位の乱用によって納入業者が消費税分をのんでくれとかいうようなことを一方的に言われるというようなことが指摘されておりますので、これらについてはアンケートを今やっておりまして、その中から、具体的な違反のおそれのある事実の場合には小売業者に対してきちんと指導していきたい、こういうふうに思っております。

吉田(治)委員 委員長、職員たしか七百ぐらいでしたよね。その中で、だれが何人やっているかぐらいわからないの。このことについて今聞いていたら、私は、はっきり言って、談合のことについては異常な執着と熱心さを持たれる。それは大事なことかもしれないけれども、一番身近で接していられる、こういう小売販売をされている、そしてそこへ納入されている業者との関係、一番苦労しているんじゃないですか。押しつけ販売をさせられる。押しつけ販売って簡単ですよね。買いに行ったら、おまえのところの商品入れてやるからこれを買えと。労務提供。夜中の十二時集合だ、朝八時まで商品の棚卸しの手伝いをしろと、至極当たり前のごとくされていて、一番苦労しているそういうところには、件数が少ないんです、情報が少ないんですと。情報はいっぱい出ていますよ。私の手元ですら何百件数というのがこうして計算すると出てきている。しかし取り上げないとみんなは言っているんですよ、公取が。

 談合ばっかりやるのも大事ですよ。でも、もっと身近なことをしてもらわないと、現場で働いている人間はどれだけ涙しているんですか。委員長、どうなんですか、その辺は。

竹島政府特別補佐人 それは、私ども、何も入札談合とか価格カルテルばっかりやっているわけじゃなくて、優越的地位の乱用もきちんと扱っていく姿勢には何の変わりもありません。

 ただ、現実問題、この厳しい中で、下請の立場にあられたり納入業者の立場にあられる方々は、なかなか、その後のことも心配されるようでございまして、我々はその報復的な措置があった場合、またこれは下請の場合には、きちんとその親に対して注意をするということ、報復的措置はだめですよと言うことはできるようになっておりますが、そうはいっても実際問題は、多くの零細の方々というのは公取に言ってこないという傾向があるわけでございます。ですから、具体的な事例があれば、我々はきちんと対応します。

吉田(治)委員 委員長はそう言うけれども、物すごく認識のギャップがあるね、現場サイドと。現場なんか行ったら、何にも聞いてくれないのが公取だと。周知徹底をして、さまざまなところがこうしてビラをつくって配っても、言ってもだめなんだと。

 私はその中で、今委員長言われた、この情報提供者の保護というもの、どうなっているんですか。今言われたように、報復されたら私たちが助けてやるよというふうに言っているけれども、では、どういうふうな具体的な処分をするのか。企業にとって、今法律遵守、コンプライアンスということが大変大きな問題になってきていますけれども、この違反事例に対する企業、個人からの情報提供、申告、告発等に対して報復措置が行われないようにするのが一番大事なことじゃないですか。そのことについて、具体的にどうするんですか。

竹島政府特別補佐人 それは、申告人がどなたであるかということをわからないようにするということは非常に大事なことでございまして、これはきちんとやっているつもりでございます。

 それで、具体的にどうするかというと、数が多い場合はいろいろ立入調査をします。その中に申告人がおられるというわけですが、申告人のところに行かないなんということになりますと、周りが見ていて、あの人が申告したんではないかというようなことになりますから、そういうことはしないとか、それから、数が非常に絞られている場合には、あえて範囲を広げて、どなたかということはその業界の中で特定されないような工夫をするというようなことでございまして、要するに、申告人の立場の保護ということについては十分に気をつけております。

吉田(治)委員 何かぴんとこないですな、委員長。ここの部分というのは、もうちょっと胸を張ってここで答弁できるようなふうにしてもらわないと、何か答弁を聞いていると、右へ行ったり左へ行ったり、委員長はそうじゃないと言いたいでしょうけれども、私はそういう感じを受け取らせていただきます。

 今、委員長の方が先に答えてしまって困っているんですけれども、消費税の総額表示方式について。これは私は、もうちょっとほかの議論を聞いてから、委員長どうですかとお聞きしようと思ったんですけれども、きょうは財務省からおいでいただいておりますが、これは何度読んでも、何で今このときこういうことをせないかぬのやと。

 同僚議員の質問にもありましたように、会社にとったらコストがふえるばかり、お客さんにとったらこんなものあるのと六割の人が知らない。そして、結果としたら、マスコミ報道もされているように、谷垣大臣の予算委員会の答弁か何かの中には、いや、こういうことをすることによって消費税の意識が高まるんだと。どう高まるんですか、消費税が何ぼ入っているかわからぬようにしておいて。どう考えてもこの必要性というものが理解できない。石井先生、いかがなんですか。

石井副大臣 総額表示方式でございますけれども、今主流になっています税抜きの価格表示方式では、消費者の立場に立って見ますと、最終的にレジに持っていくまで幾ら支払えばいいのかわからないということがございますし、また、同じ商品、サービスでございましても、税抜き表示をする場合と税込み表示する場合がございますので比較がしづらい、こういう状況が生じております。

 したがいまして、この総額表示の義務づけをすることによりまして、消費者が購入の判断をする前に消費税額を含む価格を一目でわかるようにするということで、わかりやすい価格表示によりまして消費者の便宜を図る、こういった観点から今回総額表示を義務づけたものでございます。

 また、このことによりまして、国民の消費税に対する理解が深まるもの、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

吉田(治)委員 副大臣、笑いながら言ったらだめじゃない。自分、そう思っていないからそういうのでしょう、どう考えても。

 それなら、物を買うときに、ここから五%の分は消費税だと自分で計算せないかぬということじゃないですか。今、消費者は賢いでしょう。みんな、物を買いに行ったら、これプラス五%だ、五%と書いて、ああこれだけかかるんだと。例えば、秋葉原、大阪の日本橋、家電量販に行って価格交渉するときに、何とか消費税分だけ安くしてくれよと、そういうことじゃないですか。それだけみんな認識しているものを、消費者のためだ、おためごかしというんですね、こういうことを。そういうふうなことでこのことを取り入れるというのはいかがなんですか。

 私は、どう考えても景表法というようなもの、そして、では、今言われたようにわかりやすくするんだったら、価格表示の仕方は一本で決まっているんですか。総額が出たら、括弧して価格と消費税は幾ら、すべてそれで統一して表示をすると決まっているんですか。どういう表示の仕方が決められているんですか。

石井副大臣 この総額表示の仕方につきましては、幾つかケースがございます。一本ということではなくて、例えば、税込みで総額を表示する場合、あるいは総額表示して括弧してその税抜き価格を表示する場合、あるいは総額表示して内書きで税の価格を表示する場合等、幾つかこれはケースがあるかと存じます。

吉田(治)委員 景表法という法律があって罰則規定も入っているんですけれども、どういうふうな場合にそれは罰則になるんですか、書き方によったら。答えてください。

竹島政府特別補佐人 景表法の罰則というのは直罰はございません。法的措置を講じて、こういうことをやめなさいというような排除命令を出して、それが確定しましたらこれは審決の確定と同じ効力を持ちまして、それを守らないという場合には罰則の対象になる、こういうことになっております。

吉田(治)委員 今、財務副大臣がいろいろな書き方があると言いました。具体的に、どういう書き方になったらその法律に触れるとお考えなんですか。

竹島政府特別補佐人 景表法の方から申し上げますと、景表法が不当表示だと言っていますものの一つとして、消費者に著しく、これは優良であるとか有利であるとか、要するに値段が安いとかこれは非常にいいものだということを誤認させるような表示は不当表示になる。したがって、消費税が今度は総額表示になりまして、世の中が、これは消費税込みの値段であるというふうに消費者が思っているときに本体価格だけ書いておいて、百円のものを百五円にしなきゃいかぬわけですが、百円というのがいかにも税込みの価格であるがごとく表示をした場合は、これは不当表示になるということだと思います。

吉田(治)委員 では、総額表示というふうなものは罰則がついて行われる、結果的には。

 不当な書き方、いろいろな書き方があるけれども、字が大きいとか小さいとか、これはどうなんですか。

竹島政府特別補佐人 先ほど申し上げましたように、景品表示法に直罰はございませんから、総額表示につきましても、今申し上げたようなケースであればこれは是正しなさいと。よほど何かのことでなければ、法的措置というところまで行くケースというのは私は余り想像しにくい。何かで非常にもつれたときはこれは法的措置になって、さっき言ったように、確定審決に対して守らないということになりますと罰則になる。でも、事総額表示についてそういうトラブルになるということは私は予想しておりません。

吉田(治)委員 そういう中で、後ほどの質問にしようかと思ったんですけれども、スーパーとコンビニと百貨店で、五%の消費税分の端数の切り方が違うと出ているんですよね。スーパーは切り下げ、コンビニは四捨五入、百貨店は切り上げ。

 そうしますと、百五十円の商品を買いに行ったときに、消費税を含んだ一・〇五を掛けたときに百五十七・五という端数が出てくるんですね。今までだったら、百五十円で消費税だった。そうしますと、例えば今回それを入れていった場合には、スーパーは百五十七円、コンビニは百五十八円、百貨店は百五十八円。だから、もしもそれを十個買った場合に、今までだったら一千五百七十五円が、スーパーになったら千五百七十円、コンビニは千五百八十円、百貨店は千五百七十五円になる、こういうふうになっていくわけですね。これはまだ百五十円なんかいいですけれども、百四十五円なんという数字になったら端数が〇・二五になってくる。

 一物三価を国はつくったと言われても仕方ないと思うんですけれども、これについては副大臣どうお考えになりますか、そういうふうに変わるということを。やった結果は、消費者にとって利益、不利益、もっと考えなくちゃならなくなったということじゃないですか。(発言する者あり)委員長、やじをやめさせてください。

根本委員長 いずれにしても、静粛にお願いします。(発言する者あり)

石井副大臣 一円未満の端数……(吉田(治)委員「ちょっと委員長、とめてください。そんな暴言を吐くような委員会で質問できない」と呼ぶ)

根本委員長 ちょっと答弁聞いてください。(吉田(治)委員「とめて。速記とめてよ、そんなの」と呼ぶ)

 やじは、やめてください。

石井副大臣 では、答弁させていただきます。

 一円未満の端数処理の方法について、統一した見解がないではないかということでございますけれども、端数処理の問題を含む税込み価格をどう設定するかということにつきましては、これは商品やサービスの値づけの問題でございますので、それをどう値づけするかということを行政が統一的に指導するということは、いわばその事業者の価格戦略に行政が介入するということになりますので、適切ではないというふうに考えております。

吉田(治)委員 でも副大臣、現実、そうなるんでしょう。今言ったように、コンビニとスーパーと百貨店が違うんだから。その辺はどういうふうに指導していくのですか。

石井副大臣 これは事業者によって、それぞれの価格をどうつけるかというのは、それは事業者の御商売の上での考え方でございますので、行政がそれを統一的に指導するという考え方はございません。

吉田(治)委員 やはり最初の議論じゃないですか。消費者にとってわかりやすいというふうに言いながら、結果としては、消費者にとってはとんでもないものを押しつけているのと一緒だと私は結論しなければならないと思います。その辺、これは時間がありませんので、あと二点ほど。

 では、先ほどの同僚議員の質問にもありましたけれども、企業側は、それでやはりコストをかぶらなければいけない。三年間は今までのシステムでとかいうことも出ているそうですけれども、それについて、先ほど大臣の方は、税制の問題、さまざまな支援策をするということですが、具体的にこの支援並びに指導については、今検討に入って、具体的な成案というものが時期を区切っていつか出てくるというふうなものなんでしょうか。

坂本副大臣 具体的には、全国の商工会議所や商工会において、中小企業者が総額表示の義務づけ等の取り扱い制度の内容を理解するために、しかもこれが円滑に対応できるようにするために、講演会の開催とか税務相談の実施、パンフレット、ポスター等の作成、配布を行っております。さらに、先ほど田中慶秋先生にお答えしたのでございますが、いわゆるレジスターの交換とかいろいろな問題に対して、IT投資促進減税や、あるいは少額資産償却税制、こういうもので対応できるように既に対応しておるところでございます。

 さらには、やはり、商工会議所や商工会、あるいは各地の商店街に対して、消費者に対する理解を深めていただくためのポスターやパンフレット等の配布、PR活動を実施しておる、こういうことでございます。

吉田(治)委員 最後に行く前に、ちょっと一つ、公取委員長、先ほどの答弁と同じことになるかもしれませんけれども、やはり、どう考えても、それは最後、値段を総額表示にしたら、泣かされるのは納入業者だと思うんですよ。だから、優越的地位の乱用の規制徹底というのを委員長としてしっかりとするということをもう一度この委員会で、とりわけこの消費税の総額表示方式においてはということを強く御決意をいただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 大変関心の持たれている、また具体的な苦情等も来ている話でございますので、私ども、二月の初めからアンケートをかけております。納入業者については三千社を上回るたしか三千七百社、それから小売業者、これは大手でございますが三百五十社、これに対しましてアンケートをかけておりまして、それで今、回収中でございます。したがって、それで出てきたものについては、結構出てきそうな感じもありますので、個別具体的に小売業者をきちんと指導したいと思っております。

 また、その結果につきましても、三月半ばを目途に、四月一日からでございますから三月中にその結果を公表したいというふうに思っております。

吉田(治)委員 最後に大臣、消費者経済というのは大臣の所轄になってきますので、先ほど同僚議員の質問で答弁をしているかもしれませんけれども、大臣のこのことに対する取り組みの決意のほどを一言お願いしたいと思います。

中川国務大臣 たしか、消費税導入のときに、外税方式にするか内税方式にするか随分議論をした記憶がありますけれども、いずれにいたしましても、四月一日から円滑にこの制度を導入するためには、消費者の皆さんの混乱あるいはまた先ほどの下請、納入関係における混乱や経済的なデメリットといいましょうか、そういうものがないように、今副大臣からも御答弁いたしましたが、商工会、商工会議所等、あるいはまた消費者団体の皆様も含めて徹底的に御理解をいただいて、円滑に、スムーズに、この大事な時期に個人消費に影響を与えるようなことのないように、最善を尽くしていかなければならないと思っております。

吉田(治)委員 終了します。ありがとうございます。

根本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、きょうは、中小業者と消費税問題について質問させていただきます。

 今、GDP年率七%などと言われておりますけれども、中小企業、中小業者の実態は極めて厳しいものがあると私は思っております。大臣の中小企業、中小業者の現状についての認識を最初にお伺いさせていただきます。

中川国務大臣 日本は、十―十二月のGDPが大変、実質が高くて名目も少し高くて、ただ、そこの名目と実質の間にギャップがあるというデフレ認識を持っております。

 そしてまた、いい状況、いい業況というところは、業種それから地域、限られているわけで、二極化がはっきりしているなということでございます。

 そしてまた、特に地方、地方といってもいいところもあるようでございますけれども、多くの地方は、少しずつよくなってはいるけれども、しかし、発射台としてはまだまだ低い状況の中での少しずつよくなっているという認識でございます。

 そして、地方を支える、また日本経済全体を支える中小企業は、一部の製造業を中心としたすばらしいところに比べて、中小企業は総じて非常に厳しい。ただ、非常に厳しいのですけれども、あと一歩、資金面とか技術面とかネットワークだとか人材面とか、そういうものがあれば頑張っていけるんだというところもあることも事実でございます。だから、その辺を、我々としては注意深く支援をしていかなければならないと思っております。

塩川委員 二極化というように、いいところはある、新しい芽も出ている部分もあるのかもしれないけれども、中小企業については総じて厳しいというお話がございました。

 そこで、昨年度の税制改正で、改正消費税法によりまして、免税点の引き下げや、また、総額表示方式の実施、簡易課税の上限の引き下げなどが行われるようになります。この免税点の引き下げというのが、小規模事業者、中小業者の皆さんにとって大変な負担だということを現場の方からお聞きをしております。

 この中小企業、中小業者の景況が厳しいときに、なぜ消費税の免税点引き下げなのか。率直に大臣にお伺いしたいと思っています。

坂本副大臣 御承知のように、この免税点制度が、益税だ、国庫に入っていないんじゃないかという疑念を呼んでおりますね。一方では、三千万円という免税点が高過ぎるという御指摘もあります、これは外国と比べてですが。例えば、英国は一千万、フランスは三百万というふうに現在なっております。このような状況を踏まえまして、消費税に対する国民の信頼あるいは制度の透明性を向上させるために、国会での御審議を経て見直しが行われたわけであります。

 十六年四月からでありますけれども、課税期間の関係で、個人事業者は平成十七年の一月から、こうなっております。新たに課税事業者となる事業者が円滑にこの施行に向けて移行できますように、万全の転嫁対策等を講じることとしておるわけであります。

塩川委員 消費税についての疑念というところを私は納得するものではないわけです。

 その上で、実際の消費税について、率直に坂本副大臣にお聞きしますけれども、消費税法に基づいて、消費税を納税するというのはどなたなのか、当たり前のような質問で恐縮なんですけれども、お願いいたします。

坂本副大臣 消費者であります。

塩川委員 消費税を納税するのは消費者でしょうか。――坂本副大臣にお答えいただいた方が。

坂本副大臣 私よりも詳しい人がおりますので、ちょっと答弁させます。

望月政府参考人 実態的に負担をいたすのは消費者でございますけれども、具体的に納税いたしますのは課税事業者でございます。

塩川委員 坂本副大臣、そういうことなんですよね。最終的に負担をするのは消費者の皆さんということですけれども、実際に納税するのは事業者の方、ここに今の消費税の問題点が私はあると思っているんです。商工会、商工会議所の方がつくられた「これでスッキリ 改正消費税」、大変きれいなパンフレットを拝見いたしました。ここの中にも、最終的には消費者が負担をするんだけれども納税するのは課税事業者なんだとはっきりと書かれて、そこをぜひ御理解いただきたいと、新たな課税事業者の方へのパンフということで書かれているわけですね。

 そうしますと、確かに、消費者に負担してもらうということになっていますけれども、実際には、事業者は、消費税分を価格に転嫁していようと転嫁していまいと納税義務を負うというのが現状の実態であります。ですから、そもそも消費税を転嫁すればいいという話を聞くわけですけれども、転嫁しようにも転嫁できないという業者の経営実態にこそ今目を向けるべきだと率直に思うわけです。

 そこで、おととし、二〇〇二年の八月に実施をしました経済産業省の中小企業における消費税実態調査で、免税業者が課税業者となる場合の消費税の転嫁について、三つの選択肢を設けて聞いているんですが、それぞれの数字を教えていただけますか。

望月政府参考人 御指摘の、平成十四年八月に実施した調査によりますと、免税事業者が仮に課税事業者になった場合に転嫁できると考えるかどうかについて、売り上げ三千万以下の事業者全体では、ほぼすべて転嫁できると回答した事業者が四七・七%、一部しか転嫁できないと回答した事業者が二二・六%、ほとんど転嫁できないと回答した事業者が二九・七%というのが当時の調査結果でございます。

塩川委員 これは、経済産業省が中小企業四団体の方にお願いをして御協力いただいた調査であるわけですけれども、ここの数字にありますように、ほとんど転嫁できない、あるいは一部しか転嫁できないという方が過半数の五二%を占めています。

 そこで、大臣にお尋ねいたしますが、このように、なぜ消費税を転嫁できないという声がこんなに多いんでしょうか。お尋ねします。

中川国務大臣 中小企業あるいは零細個人商店で転嫁ができないということは、一つには、事務管理といいましょうか、帳票をきちっと保管することがなかなか物理的に難しいということもあるのではないかと思いますし、また、多分委員がお考えになっているでありましょう、その先との商取引においての結果として、そういうことにならざるを得ないということなのではないかというふうに想像いたします。

塩川委員 取引の結果としてならざるを得ないというのを、もう少し具体的にお尋ねします。

中川国務大臣 仮に、転嫁をしたいといっても、話し合いの結果、転嫁ができなくなるということではないかと思います。

塩川委員 大臣もお話しになりましたように、こういう、消費税は転嫁できないという事業者の声にやはり率直に耳を傾けていただきたい、このように思うわけです。

 例えば、小売業の実態などでも、デフレ下の売り上げの減のもとですから、同時に、一方での規制緩和や安売りスーパーの出店などが影響して、消費者の方に消費税はもらえずに、自分の利益を減らすか、赤字にならざるを得ないような実態があります。製造業の業者の方でも、これは私もお話をお聞きした、群馬の桐生の自動車エアコンの電子部品の製造業者の方ですけれども、現在の年間売り上げが約二千万で、これは、しばらく前までは三千万を超えていたから課税業者だったわけですね。それが、今回引き下げで、また新たに課税業者になるわけです。そういう意味では、以前課税業者だったということで、消費税のつらさをよく知っている。業界では、大手による単価の引き下げだけではなくて、消費税分の負担も要求をされる。

 消費税の導入以降で、一個当たり数円の製品について、毎年一割ずつの値引きが五年間続いたということですから、つまり半値に落とされたわけで、そういう点でも大変不公正な取引と言わざるを得ないような事態が常態化をしています。消費税を負担する余裕もないし、それでなくても仕事が減っている、こういう中での免税点の引き下げのおもしというのを今しっかり見る必要があると思うんです。

 そこで、中小業者が、大手からは消費税の値引き要請を受けて、またデフレ下の売り上げ減の中で消費者にも転嫁をできない。これでどうやって消費税を転嫁するというのか。具体的に、では、業者の方にどうすればいいのか、率直なアドバイスをいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

望月政府参考人 なかなか先生、これが決定的ということはないと思いますけれども、私どもといたしましては、消費税の適正転嫁が行われるような環境をいかにしてつくるかということが非常に大事であると思っております。

 したがいまして、先ほど坂本副大臣も繰り返し御答弁されましたように、消費税のPR等々、今後どうなるというPR等々は繰り返し、随分、我々としてもPRをしなきゃいけないと思っております。

 一つだけ、先ほどの四十数%等々の統計結果も、十四年八月の時点で課税業者でなかった方に対してアンケートをとったわけでございますので、これは、その中にはかなりの程度、やはり、課税業者になったときに本当にできるかどうかという予測の部分の不安というのがあったんじゃないかと思っております。

 したがって、私どもとしては、そういう不安が顕在化しないように転嫁の環境をつくっていくということが大事ではないかということで、商工会議所、商工会等々とPRに努めているところでございます。

中川国務大臣 今の経済状況を見てみますと、例えば、物、新聞広告なんかで電気製品とか本とかを見ますと、オープン価格とかメーカー希望価格とかあって、実際それが一体小売で幾らになっているのかというのが、全くメーカーのところと違う次元で最終価格が決まっているということがあるわけでございます。

 それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、素材産業から始まってずっと最後の個人消費までいく今の経済というのは、いい悪いは別にして、川上インフレ川下デフレということで、川下に行けば行くほど、価格の上方硬直性というんですか、下に向かう力が強いということもあるわけでございます。

 そういう事実もありますし、また、委員御指摘のようなことも私は全くないということで言っているわけではないわけでありまして、ですから、とにかくそういうことのないように、我々としてもできるだけきちっとしたルールにのっとって納税というものをしていかなければならない。これは、何も三千万が一千万になったからということではなくて、三千万のときにも同じような議論が多分あったんだろうと思いますから、きちっと、納税する人がきちっと負担をするというふうなルールというものを改めて我々としても努力をしていきたいと思います。

塩川委員 現在の課税業者の方二百六万事業者のうち、消費税滞納者というのが三五%。これはですから、分納などの形できちっと納めている方も当然いらっしゃるわけですけれども、延滞料などもつく。ですから、そういう意味では、今の課税業者の方にとっても大変負担が大きいというのが今の消費税だと思うんです。

 新しく百三十六万事業者が課税業者となってくるわけですから、税理士の方の中では、七、八割が滞納になるんじゃないかなんという、そういう不安の声というのも大変大きいわけですね。ですから、転嫁できなかったらどうするんだというときに、では廃業しかしようがないですね、こんなアドバイスしかできないことでは困るわけですから、そういう点でも、もう一歩踏み込んだこの問題についての取り組みを求められていると思うわけです。

 財務省の資料を見ますと、百三十六万事業者からの増収見込みというのが四千億円だ、免税点引き下げで。ですから、単純計算しても一事業者当たり三十万円の負担ということに当然なってくるわけです。ですから、そういう意味でも、今の経済状況のもとで消費税の免税点引き下げが本当にいいのか、消費税の免税点引き下げそのものが私、率直に言って大増税とならざるを得ない、このことを思うわけです。

 ですから、改めて、改正消費税法の実施そのものを先延ばしするような、凍結するということも今判断として必要なんじゃないか。中小企業を所管する中川大臣として、いかがでしょうか。

中川国務大臣 免税点を引き下げることによってそういう問題が起こるというよりも、免税点と関係なく、三千万円であってもそういう議論があって、多分それがますます厳しいということが委員の御指摘だろうと思います。

 しかし、先ほどから申し上げておりますように、政府としてはできるだけ、特に私のところは、できるだけ全国の会議所、商工会を通じてこの制度を御理解いただいて、そして、それによって早くなれていただいて、スムーズな商取引ができるように最大限の努力をしたいと思います。

塩川委員 このパンフレットを理解すれば消費税がもらえるという話じゃないわけですよ、現実には。そこのところが問題であるわけで、経済の実態、営業の実態から出発をして、今必要な判断をしなくちゃいけない。私は、今言った、改正消費税法については凍結をするということが今本当に求められているんじゃないかなと思うんです。

 それで、これは、東京税理士会が出されている機関紙に東京税理士会の会長さんがちょうど望月中小企業庁長官との対談という形でお話をされていたときのコメントを拝見したんですが、東京税理士会長さんも、百四十万の免税業者が課税業者になるという事態は大きな問題だ、五二%が転嫁は難しいと経済産業省の統計でもなっている、これはやはりある程度の手だてをしないといけないと、現場の実感からこのようにおっしゃっておられます。

 私、そこで、改正消費税法の実施が中小業者にどういう影響を与えるのか、倒産や廃業を加速させることにならないか、このことが心配をされているわけです。

 そこでお聞きしたいんですが、実際にどれだけの業者の方が地域なり業態で新たに課税業者になるのか、このことを把握されているかどうかというのをぜひお聞きしたいわけですけれども、例えば、全国商工会連合会では、これはお聞きした話ですけれども、会員の方の四割が新たに課税業者になるというふうにもお聞きしました。特に商店街の小売の事業者の皆さん、商振連に入っていらっしゃるような、そういった皆さんはもうかなり対象がふえるんじゃないかなと率直に思うわけですね。ですから、そういった商店街の小売の業者さんが今回の免税点引き下げで新たにどれだけ課税業者になるのか把握されているかどうか、お聞きします。

望月政府参考人 なかなか、商店街の小売事業者の中で課税事業者に新たになるという方の割合というのは、正確なデータは残念ながら私どもも手元に持っておりませんけれども、商業統計表のデータに基づいて、年間商品販売額をベースに推計をいたしますと、小売事業者のうち、これまでの課税事業者は四割強でございまして、今後新たに課税事業者となられる方は三割弱ぐらいではないかというふうな推計をいたしましたけれども。

塩川委員 商店街の中でも三割ぐらいが新たに課税業者になるんじゃないか、こういうイメージですから、商店街においてかなり、そういう意味じゃ六割、七割のお店というのが課税業者になってくる。そう考えると、今の商店街の疲弊を考えても、この先を大変心配するわけです。

 あわせて、この間、商店街の空き店舗率、過去十年を見るとどういうふうに推移をしているのかお聞きします。

望月政府参考人 商店街の空き店舗比率につきましては、平成七年度の商店街実態調査から調査をいたしております。

 平成七年度に六・九%でございました空き店舗比率は、平成十二年度は八・五%、直近の平成十五年度では七・三%となっておりまして、停滞ぎみに推移しています。ただこれは、実態は、調査の性格上、空き店舗であったものがもう店をつぶして駐車場になったりいたしますと分母が減りますものですから、したがいましてなかなか難しい統計ではございますが、私どもの手元に持っておりますのは以上でございます。

塩川委員 今お話がありましたように、平成十二年で八・五%、その後減っているかのように見えるけれども、実際には、店舗そのものがなくなって駐車場や更地になっている。ですから、これはもう皆さんの実感としても、商店街、中心市街地の空洞化というのが現に進行しているわけです。その背景には郊外の大型店の出店の問題なども当然あるわけで、我々は、そういう立場からのふさわしいルールづくりが必要だと考えます。

 しかし、現状がこういった疲弊している中に、さらに免税点の引き下げによって、中心市街地の商店街が苦境に追い込まれるような事態になっていく。今、経済産業省を挙げて中心市街地の活性化ということでいろいろメニューもつくって取り組みをしているわけですから、そういう応援をする一方で足を引っ張るようなことをやれば、逆にこれは今の商店街を一層冷え込ませることになる。この点でも、今、免税点の引き下げへの問題というのが悪影響を与えざるを得ないというのが率直に言えると思うんです。

 私、改めて、現段階で、この免税点の引き下げを初めとした改正消費税法の実施が事業者の方にどういう影響を与えるのかという実態調査、影響調査というのを今こそきちっとやって、悪影響であればそれをきちんと把握するということが必要なんじゃないか、率直に思いますけれども、いかがでしょうか。

望月政府参考人 先生先ほどお話しになりました平成十四年のときの調査につきましても、実はその調査の中で、適正転嫁ができているかどうかというだけではなくて、その当時課税事業者でなかった方に対する調査でございますけれども、その中でかなり、五割とか四割とか三割とかいう方が、納税負担部分のすべて、本来納税しなくてもいい部分、課税事業者でなかった時代でございますから、そういったものも含めてすべてを転嫁しているという方がかなりおられたんです。つまり、その当時はやはりこれは益税の可能性があった部分でございまして、そういう意味で、消費税そのものについて益税問題というのがかなり重要な問題であったわけでございますので、その点についての一つの解決方法がこの免税点の引き下げであったというふうに理解をいたしております。

 したがいまして、今回私どもは、昨年の通常国会で決められたこの方向に従いまして免税点の引き下げが行われるわけでございますけれども、そういった意味で、この免税点の引き下げを粛々と実施すること、そのプロセスで、転嫁の状況等々適正に行われるというようなことをきちっと私どもとしてサポートしていくというその中で、加えまして、きめ細かな説明の中で実態を把握していくということが必要ではないかと思っております。

 先ほどの、十四年の調査、いろいろな新しい施策の実施に向けての調査でございましたけれども、現時点で同じ調査をやる予定はございませんが、実態把握は引き続きしていきたいというふうに思っております。

塩川委員 全国商工団体連合会が行った一年半前の中小業者の実態調査というのがあります。これは、先ほどの免税点引き下げを初めとした経済産業省の調査のサンプルは九千人ですけれども、ここの調査はサンプルが八万七千人ですから、大変大きな規模の全国調査です。そこで、消費税の転嫁の状況について問うたところ、転嫁できないという方が六一・四%に上っています。ですから、経済産業省の調査にも加えて大きな数字になっています。より零細な業者の方の調査ですから、やはりこれが大きく実態を反映しているんじゃないかということを率直に思います。

 その調査を踏まえて、やはり小規模な業者や売り上げが落ちている業者ほど消費税を売り上げに転嫁できていない、弱い立場の人により一層負担がかかるという消費税の姿というのが改めて浮かび上がっているわけです。ですから、現段階でやはりそういった小規模零細の業者の人の経営状況をきちっと把握をした実態調査、影響調査というのはきちんとする必要があるんじゃないか。大臣、ぜひ実施をしていただきたいと思うんですけれども、改めていかがでしょうか。

中川国務大臣 きょうは、消費税絡みで、総額表示の問題、免税点の問題、それから転嫁できるかできないかという問題と、三つ議論になったわけでありますが、それは税金を払わないにこしたことはないというか、払わない方がいいんだろう、私も払わなくて済むんであれば払わない方がいいわけですが、しかし、ルールとしてきちっとやる、そのルールをどうやって担保をしていくかということが先ほどの問題だったんだろうと思います。

 本来、これは払わなければいけないというのが大原則であって、それを前提にして、しかし中小零細の人は払えないんだというのが委員の御指摘なんだろうというふうに思います。ひょっとしたら違うのか、そもそも消費税は凍結してしまえ、こういうことの御意見かもしれませんけれども、いずれにしても、我々の日本を支える大事な中小企業の実態については、四月一日に向けて、必要な調査はやり、また必要な広報といいましょうか、御理解をいただくための努力はしていかなければならないと思っております。

塩川委員 転嫁しようにも転嫁できないというところにそもそも消費税の欠陥というのが率直にあらわれていると私は思っております。

 あわせて、総額表示方式の実施についても、これが義務づけられることに伴い、小売業者による納入業者に対する不当な値引きや従業員の派遣要請などの優越的地位の乱用が懸念をされております。

 そこで、公正取引委員長にお尋ねしますけれども、例えば、日本アパレル産業協会は、アパレル関係八団体と連名で、日本チェーンストア協会に対して、値引き負担を強制しないように求めるという申し入れまでわざわざ行っております。実際に、不当な値引き要請というのももう既に現場では行われている。公正取引委員会としてこの問題にどう取り組むのか、その決意も伺いたいと思います。

竹島政府特別補佐人 四月一日からの消費税の総額表示を頭に置いて、消費税分をどうするかという話が確かに業者の間で行われているというのは承知しておりまして、一方的に優越的地位の乱用を受けておるという苦情もございます。

 そこで、先ほども御答弁申し上げましたけれども、我々としては、まず、総額表示に伴う独禁法上の問題については、十二月にきちんと物の考え方を世の中に示してありまして、それは各業界団体にも、売り手、買い手両方に御説明をしてございます。

 その上で、やはり個別具体的なことが大事だろうということで、先ほど申し上げましたように、納入業者については三千七百社、それから大規模な小売業者については三百五十社、これに対しましてアンケートを出しておりまして、今その回収の最中でございますけれども、この中で、個別具体的な違法のおそれ、または違法行為というものが発見されるであろうと思っております。

 その場合には、公正取引委員会は、事情をちゃんと聴取いたしまして、大規模小売業者に対して、行き過ぎがあった場合にはきちんと是正させるという措置をとりたいと思っておりますし、納入業者の方でお困りの場合には、ぜひ公正取引委員会の方に情報を持ってきていただきたい。このアンケートだけでなくても、ほかの形でもそれはお受けいたしますと。それから、これらのことにつきまして三月中に、できれば三月の半ばを目途にして世の中に公表させていただきたい。

 こういうことをすれば、やはり業界の秩序といいますか、総額表示をめぐっての混乱についてはそれなりの影響力はあるだろうと思っておりますし、勝手な、力に任せた取引が横行するということはなくなるだろうということを思っておりますし、そうなるようにウオッチをしていきたいと思っております。

塩川委員 ぜひ断固として取り組んでいただきたいと思っています。

 あわせて、消費税免税点引き下げの問題は、事務が大変過大になっているという点でも大きな問題だということを、ぜひとも指摘をしておきたいと思うんです。

 今、中小企業が大変な中で、大手製造業、輸出大企業は大いに利益を上げ、過去最高とも言われています。こういった輸出大企業にはゼロ税率が課税されるということで、輸出については輸出戻し税制度が適用されます。例えば、トヨタの二〇〇一年度のベースでいえば、一千五百億円ぐらいの還付が受けられるわけですね。

 私、率直に問題だと思うのは、この大企業が受け取る還付金というのが、みずから税務署に納付をした税ではなくて、下請先とか仕入れ先が納付してきた税を、親会社である最終の輸出業者が一手に還付を受け取るという形になっているということなんです。単価の切り下げですとか消費税分の押しつけの下請いじめで大もうけを上げているような、そういった大企業が、下請先とか仕入れ先の納付した消費税分も受け取るというのでは、どう考えても道理が合わない。こういう点についても改めて問題点を指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時七分散会


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