衆議院

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第6号 平成16年3月31日(水曜日)

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平成十六年三月三十一日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長代理理事 塩谷  立君

   理事 今井  宏君 理事 江渡 聡徳君

   理事 櫻田 義孝君 理事 鈴木 康友君

   理事 田中 慶秋君 理事 吉田  治君

   理事 井上 義久君

      今村 雅弘君    遠藤 利明君

      小野 晋也君    川崎 二郎君

      小島 敏男君    小杉  隆君

      小西  理君    河野 太郎君

      佐藤 信二君    菅  義偉君

      高木  毅君    平井 卓也君

      藤井 孝男君    増原 義剛君

      松島みどり君    宮路 和明君

      内山  晃君    梶原 康弘君

      菊田まきこ君    近藤 洋介君

      高山 智司君    樽井 良和君

      辻   惠君    中津川博郷君

      中山 義活君    計屋 圭宏君

      馬淵 澄夫君    村井 宗明君

      村越 祐民君    渡辺  周君

      江田 康幸君    河上 覃雄君

      赤嶺 政賢君    塩川 鉄也君

      坂本 哲志君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   内閣府副大臣       佐藤 剛男君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   経済産業副大臣      泉  信也君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   松山 隆英君

   政府参考人       

   (金融庁総務企画局参事官)            西原 政雄君

   政府参考人

   (国税庁調査査察部長)  鳥羽  衞君

   政府参考人       

   (経済産業省大臣官房審議官)           齋藤  浩君

   政府参考人       

   (経済産業省大臣官房審議官)           桑田  始君

   政府参考人       

   (経済産業省経済産業政策局長)          杉山 秀二君

   政府参考人       

   (経済産業省製造産業局長)            北村 俊昭君

   政府参考人       

   (経済産業省製造産業局次長)           福水 健文君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十一日

 辞任         補欠選任

  小野 晋也君     高木  毅君

  辻   惠君     馬淵 澄夫君

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     小野 晋也君

  馬淵 澄夫君     内山  晃君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  内山  晃君     辻   惠君

    ―――――――――――――

三月三十一日

 商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一六号)

 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一七号)

 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一八号)

同月二十四日

 業者青年の経営基盤の安定等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一二〇九号)

 同(山口富男君紹介)(第一二八五号)

 容器包装リサイクル法の改正に関する請願(伴野豊君紹介)(第一二八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

塩谷委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案及び商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長松山隆英君、金融庁総務企画局参事官西原政雄君、国税庁調査査察部長鳥羽衞君、経済産業省大臣官房審議官齋藤浩君、経済産業省大臣官房審議官桑田始君、経済産業省経済産業政策局長杉山秀二君、経済産業省製造産業局長北村俊昭君、経済産業省製造産業局次長福水健文君及び中小企業庁長官望月晴文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。

中山(義)委員 おはようございます。

 法律の審議に入る前に、前回、我が鈴木康友理事がアザデガンのことを質問したんですが、どうもその答弁が、あるときは、これは民間企業だから、秘密事項があってまだまだそちらでやっていますとか、イランの方と日本の国の信義があるのでこれは言えませんとか、非常にはっきりとした答弁がもらえなかった。私ども、大変不満に思っています。日本の今の実情を考えてもらって、この答弁はしっかりやってもらわなきゃならない。

 今、イラクで戦争をしておりますね。これによって石油の状況がどうなるか。しかも、東アジアの方は景気がいいんですね。景気がよくて、しかも年率一〇%近くにも及ぶという中国の経済発展がある。石油がいつ枯渇するかわからないような状況だと思うんですね。しかも、アジアの諸国はほとんどが備蓄をしていないんですね。本当に備蓄しているのは日本ぐらいですよ。そういうような状況でどうなるかということを考えたときに、もうちょっと国会というところにはっきり今のエネルギーの状況を説明すべきだと思うんですよ。

 私はどうしてこんなことを質問するかというと、あのカフジのアラ石の失効のことを思い出すんですよ。あれはちょうど、前々々ですか、通産大臣だった深谷さんと私はずっと論議したんです。二千億円を、サウジアラビアに鉄道建設をしてくれと言われた、それが出せないから失効したんだという結果ですよ。今回のアザデガンも二千億円出すというんです。よく似ているんですね。しかも、カフジはずっと実績があるんですよ。それで、何であの二千億円を出せなくて失効したのか、もう一度考えてくださいよ。

 あるときは、これは、いやいや、民間企業だから、そんな二千億出せない、こう言った。あるときは、国家プロジェクトでこの石油はやっているんだ。質問、質問によって使い分けている。この間の鈴木さんの質問に対してもそうですよ、使い分けている。もっとはっきり国の考え方を石油に対しては示してもらいたい。

 アメリカなんかはすごいでしょう。メキシコ湾からカナダ、もうずっと南米の方まで、それから最近はカスピ海まで手を出していますよ。全世界の石油は全部やろう。イラクの戦争だってそういう可能性があるんじゃないですか。これは、OPECに自由にさせないというためにメジャーがどんどん力をつけて、OPECと対抗して、OPECに勝手なことをさせない、減産をさせない、こんなことを考えているんじゃないですか。アメリカの場合は、特にガソリンの値段が上がるということは増税と同じなんですよ。そういう面では、世界は大分緊張しているんです。

 この間、中国からの要人が来ましたが、その方にも聞いてみましたら、アジアで石油はなるべく日本とは争いたくない、こういう話をしていましたが、現実問題として、備蓄も何もしておりませんので、何が起こるかわかりません。このときに、アザデガンの問題についてもっとわかりやすく説明してくださいよ。なぜ説明ができないんでしょうか。答弁してください。

中川国務大臣 おはようございます。

 今の御質問は非常に大事な御質問だと私も考えております。

 アザデガンに関しましては、イランが非常に石油の供給能力があるということと、それから核問題ということと、これは日本にとっての被爆国としての経験があるという固有の問題と、それから核開発についての現時点での問題と、大きく分ければ三つあるんだろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、日本にとってのエネルギー政策は、アザデガンにかかわらず、イラクにかかわらず、ロシアにかかわらず、もっと言えばナイジェリアとかいろいろなところにかかわらず、非常に大事な問題であることは、もう委員の御指摘のとおりでございます。

 そういう中で、日本がどういう石油の供給のための体制をつくっていくかということについては、これは非常に国益上大事なことでございますから、これは国会での御議論、あるいはまた我々エネルギー政策を担当している役所としても真剣に考え、これは行政だけではできない問題だろうというふうに思っておりますので、ぜひ委員初め国会での御議論も踏まえまして、日本のエネルギー政策をこれから大いに議論していかなければいけないというふうに思っております。

 サウジの問題については、これははっきり言えば欲しかったんですけれども、例の鉄道敷設の問題が、結局は経済合理性あるいは安定供給性といった幾つかのまた大事なポイントがございますので、その中で残念ながらああいう結果にならざるを得なかったということも事実でございますけれども、今後、アザデガンあるいはまたイラクその他世界じゅうから、おっしゃるとおり、私も、世界じゅうから必要な石油エネルギーの供給を受けるべく、最大限の努力をしたいというふうに思っております。

中山(義)委員 大変積極的なお気持ちはよくわかりましたが、私自身は、カフジの問題を本当に総括しているのかどうかということなんですね。あの当時、二千億円の鉄道を敷いてくれといったって、二千億円この机の上にぼこんと乗っけて出せというわけじゃないわけですよ。十数年間かけて建設をしてくれというんだから、百億ずつとかそのくらいだって、知恵を絞ってお金を出していって、分割して出していくことだったんですね。何でそういういろいろな知恵が生まれてこないんでしょうね。

 カフジに例えば二百人か三百人のアラ石の人間がいるとすれば、それは地域とのつき合いがあって、外交官と同じようなことができるんじゃないですか。サウジアラビアと日本の関係だって、外交官がそっちに行っていればやはりいろいろな活躍ができるわけだし、いろいろな交流ができるわけでしょう。それと同じようなこともできるわけですよ、社員がいれば。サウジアラビアと日本の関係を考えたら、そんな簡単に失効できるものじゃないんですよね。だから、今度のイランの問題でも、あるときはこれは民間だから、あるときは国家プロジェクトだからと使い分けないで、これは国会のみんなの気持ちで、何とか中東の石油をしっかり安定供給を日本にしてもらう、こういう希望があったら、もうちょっとしっかりした答弁をしてくれなきゃ、我々は納得できないですよ。

 この間のカフジのように、後で、終わって、ああ、あれは失効して残念だったと。残念だったで済む問題ですか、これは。済む問題じゃないですよ。アザデガンのことでも、ではカフジと比べた場合どうなんだろう。果たして石油の質はどうなんだろう。原油の質は重質油というじゃありませんか。これが果たしてガソリンになるのかどうか、そういう問題についても、実はこれこれこういうふうにやればガソリンになりますよとか、こういういろいろな週刊誌だとか新聞だとか見て、不安がある要素は、やはり国会でそれは違いますよと。みんなが自信を持って予算をつけられるような、そういうものじゃなきゃ困るじゃありませんか。

 エネルギーで世界が動いている可能性だってあるんですから、イラクの戦争だってそういう嫌いがあるんですよ。非常に石油という問題がこの戦争にも大きく絡んでいる、当たり前の話でしょう。何でもっとはっきり答弁ができないんですか。アザデガンの問題は、この油の質はガソリンにできる、それから二千億出すのはこうして、こうやって出すんだけれども必ずこうやって回収ができる、イランとの交渉はここまで進んでいる、絶対うまくいく、そういう事細かに説明が全然ないじゃないですか。質問した方がかえって気の毒だったですよ、あれ。

 大事な問題なんですから、もうちょっと、日本の戦略としてしっかりこのアザデガンの問題は答えてもらいたいんですね。なぜ、まず、十二年半ぐらいの契約なのか、これで果たして利益が出るんですか。それから、バイバック方式で利益が出るんですか。それから、重質油のこの油で果たしてガソリンがどんどんできるんですか。この辺について、まずしっかり答えてくださいよ。全然答弁がなってないんですよ。

泉副大臣 サウジの油田の権益については、政府としても、二〇〇〇年の一月には当時の通産大臣が直接交渉されるなど、この油田の重要性を十二分に認識して交渉をしてまいりましたことは、御承知のとおりでございます。

 ただし、サウジの要望が、鉄道を無償供与ということを強く要請されましたために、このことについて我が政府としては対応できなかった。むしろ、鉱物鉄道事業に対しましては国際協力銀行が融資等を通じた協力をさせてほしいということは交渉の過程でも申し入れたわけですが、うまく成立をしなかったということでございます。

 そして、アザデガン油田につきましては、先日も御答弁申し上げましたように、基本的には民間の交渉であるという枠組みの中で我々は答弁をさせていただきましたけれども、この調印に対してエネルギー庁長官が、過去の当局との関係もございまして、調印に立ち会ったということからも、私どものこの油田に対する思いを受けとめていただきたいと思います。

 油質の問題につきましては、大変技術的なところでございまして、なかなかこの段階で公にできないところがございますが、そういうことも踏まえて、また、バイバックという方式を考えた上で、三年間にわたる協議の末に契約を結んだということでございますので、私どもとしては、この油田が我が国のエネルギー需要に大きな役割を果たすものと信じております。

中山(義)委員 本当に答えていないんだよね。

 だから、重質油だということなんですね、これがガソリンになるのかどうかとか、そういう細かい問題についても答えてもらいたいんですよ。この油田が本当に日本の、中東からの油田の六%ぐらいと言われているんでしょう。やはりちゃんとした答えを出してもらわないと困りますよ、そういう答弁では。それで、いつも、あるときは民間企業、これは民間でやっているんだ、あるときになると国家プロジェクトだ、変なふうに使い分けている。やはり日本のエネルギー政策としてはっきり示してくださいよ。

 大体、そういうエネルギー政策についての国家的なプロジェクト、国家的な戦略とか国家的な考えが見えない。例えば電気の問題なんてそうですよ。電気をどんどん自由化させる、最近は中小企業でも勝手にいろいろ電気をとれるようになってくると、大きなところはもう原発なんかやれないでしょう、値段で競争しなきゃならないんだから。原発を開発しなかったり、今までとまっているものでも運転しなかったらどうなりますか。CO2はどんどんふえていっちゃうんです。そういうエネルギーに対する国家の考え方が全然見えない。えらいことですよ、これは。えらいことですよ。国家戦略ですよ、石油で戦争までしているんだから、ある意味では。

 そのくらい国家がエネルギーについてもっとしっかりした方針を出さなきゃ、電気だってこのまま行ったら、原発なんかみんなやめちゃう。しかし、皆さん、プルトニウムはどんどんたまっていくんですよ。これはプルサーマル計画で使っていくとか、最終的には「もんじゅ」や何かでこのプルトニウムを最終廃棄する前に少しでも減らしていこう、こういうことを考えなきゃえらいことでしょう。何で国家がそういうことをやらないんですか。もっと大きな問題としてとらえてくださいよ、私はちっちゃなことで質問しているんじゃないんですから。

 それから、さっきの二千億円の鉄道の問題ですけれども、あの当時、長銀、日債銀に六兆円も出したんですよ。長銀、日債銀と日本のエネルギー、どっちが大事なんですか。そのくらい大きな問題だということを認識してもらって、この今までの質問について決意を述べてもらいたいんですね。それから、今言ったエネルギー全体の省の考え方を出してもらいたい、このように思うんです。よろしくお願いします。

中川国務大臣 長銀、日債銀の話は、日本の経済のある意味では血液として、きれいな、スピードある血液の循環が必要だろうと思っておりますけれども、それとは、どっちがよりハイレベル、低レベルということは私は申し上げません、どっちも大事だと思いますけれども、エネルギー、日本の場合にはエネルギーがほとんどありません。自給率が約四%というふうに言われている中で、日本がこれだけの経済を維持していくためには、今後ますますエネルギーが大事でございますから、原発も、あるいはまた石油、石炭も、新エネも水力も含めて大事でございますから、ぜひ委員には、御理解いただけるかどうかはわかりませんけれども、二〇三〇年に向かいまして、日本のエネルギー戦略の基本というものを、方向性を出したい。

 これは単なる役所の方向性というだけではなくて、むしろ国会、あるいは総理大臣の一つの方向性として出したいと思っておりますので、まさに石油を含めたエネルギー戦略というものが極めて大事であるということは、私も民間の企業にいた人間の一人といたしまして、当たり前だというふうに思っている状況は、もうそうではないんだと。特に、御指摘のように、中国とか、アメリカも今必死になってやっておりますし、EUも必死になってやっておりますし、また、途上国も必死になってやっておりますから、日本としても緊張感を持ったエネルギー戦略を出したい。きょうは強い御指摘をいただきましたので、それにこたえられるような基本的なエネルギー戦略をお示ししたいというふうに思っております。

中山(義)委員 本来これは法律案の審議なので、この辺にしておきますけれども、ただ、アジアの地域の石油備蓄状況というのは、中国も準備中だし、タイも検討中、シンガポールはありません、マレーシアも国家備蓄はありません、インドネシアもない、フィリピンもない、インドもない、台湾も準備中。日本だけですよ、あるのは。どういう状況が起きるかよく考えていただかないと、えらいことになると思うんですね。

 それから、やはり中東依存というのも怖い。だったら、なぜロシアというところから、今持ってくるパイプラインや何かについても、中国と話し合ったり、そういう外交活動もしっかりやってもらいたい、このように思うわけですね。

 日本のエネルギーについては統一的に考えてくださいよ、本当に。つまり、安定供給、それと自由化、さらにCO2をなくそうという、この三つの難しい問題があるんですね。だから、はっきりした方針を出さないと、何だか知らないけれども、ぐちゃぐちゃになっちゃいますよ。

 今、電気がどんどん自由化されている。自由化されているのはいいけれども、値段を安く下げていけば、やはり原子力発電みたいに発電所をつくるときの元手がかかるものはやめてしまう、そうすればCO2はふえてくる、こういう結論になるわけですよ。しっかりした方針をぜひ出していただきたいと要望をいたします。

 それでは、中小企業関連の質問にちょっと移らせていただきますが、先ほど私どもの部会で、先物取引で、そういう取引をするときに、裁判になるとよく自己責任という問題が出てくるわけですよ。自由主義経済ではすべて自己責任でやる。ところが、あのバブルのころの銀行はどういうことをしたか。提案型融資というのをやったんですね。おたくのところは相続税がかかりますよ、このままお亡くなりになるとえらいこと息子さんに借金をしょわせるような結果になるから、ビルを建てなさいと。二十階建てのビルを建てますと、テナントは全部うちの銀行で世話しましょう、マンションは全部うちでお世話しましょう、だからこの三十億を使ってやってください、こういう話はよくあった話ですよ。だれでも知っている話ですよ。

 これは果たして銀行の責任なのか。貸した方の責任なのか、借りた方が全部悪いのか、こういうような話を、私ども先ほども、自己責任原則なのか貸し手責任があるのか、こういう話をしてきたんですが、実は、私たちも法律を出しました。それは、適正に銀行がどうやって貸すことが一番いいのかという法律案を出したわけですね。これは、事前説明をするとか、それから書面を交付するとか、保証人になったらば保証の範囲はどこからどこまで、包括根保証はやめた方がいいとか、または、担保というものは、会社のものと個人のもの、しっかり分けて考えてくれとか、いろいろな案を出しました。

 その中で、私は、金融庁の副大臣がお見えなので、貸し手の責任というものは一切ないのかどうか。私は、貸し手の責任があるということであれば、これからやはり、産業再生機構やまたは中小企業再生支援協議会、こういうものにも、銀行の非があるのであれば、もっといろいろなやり方があると思うんですね。そういう面で、銀行に全然今までやってきたことに非がないのか、金融庁としては、あのバブルをつくった原因も含めて、やはりこの辺の説明をしていただきたいと思うんです。

伊藤副大臣 今、中山委員の方からは、自己責任原則というものは大切だけれども、しかし、バブル期に見られる提案型融資の中で、必ずしも自己責任原則だけではなくて、貸し手側の銀行にもやはり何らかの責任があるのではないか、こういう御指摘があったわけであります。

 融資については、それぞれ個々具体的にいろいろな契約の内容がありますので、それを一般論として論じることはなかなか難しい点があるわけでありますし、私どもとしては、一番大切なことは、リスク管理体制というものがどういう形で行われているのか、そこをしっかり見ていかなければいけない。特に、私どもが非常に大きな問題意識として持っているのは、やはり銀行が、金融機関が顧客に対してしっかりとした契約の内容というものを説明していく、そうしたことが十分できているのかどうか、こうしたことが非常に重要ではないかというふうに思っております。

 こうした観点から、私どもといたしましては、昨年の七月に事務ガイドラインというものを改定いたしました。その中で、私どもとしての内部管理態勢の検証を行う際の着眼点、これはどうしたものがあるのか類型化をして公表させていただきましたし、また、今年度の検査のあり方について、その重点項目として債務者に対する説明責任というものを掲げて、そして重点的に検証していく、こういう方針で臨んでいるところでございます。

 いずれにいたしましても、銀行の説明責任体制というものは極めて重要でありますから、検査監督を通じてそうした体制がしっかり整備されるように、私どもとしては促していきたいというふうに思っております。

中山(義)委員 今御説明がありまして、提案型融資もあったし、それからフリーローンみたいに、変額保険だとか、いろいろなものがありましたね。最近また金融庁が規制緩和をして、生命保険も何も銀行の窓口で売っていいなんという話が出ていますが、銀行というものの怖さというのは、中小企業なんかには優位な位置にあるわけですよ。この優位性を利用して、例えば保険を売るとか、それから今までの投資信託みたいなものも、どうも買わないと次は金を貸してくれないんじゃないかなと思うから、銀行はそうやって強圧的にそういうものを売ってきたわけですよ。ある意味では、商売の方式としても非常にずるいやり方だし、公平性がないと思うんですね。対等にできない。だから、銀行は常に強い、中小企業は常に弱い、この立場で動いてきたことは事実なんですね。

 中小企業の問題だけに限定して考えますと、さきの提案型融資や何かで随分結果的には困っているわけですね。例えば、さっき言った提案型融資で大きなビルが建った、自分の事業は何とかうまくやっているんだ、しかし、前の有利子負債でどうも商売がうまくいかない、こういうときどうするか。

 私たちは、産業再生機構を認めるときに、あれは大企業を助けるだけのものだ、だから中小企業を助けるものもつくれということで、商工会議所に中小企業再生支援協議会というものをつくってもらった。ここは、本当に機能させるためには、絶対門前払いをしちゃいけないと思うんです。相談だけはまず必ず乗る。

 みんな、悩んでいる方は、相談するということが一番大事なんですね。多くの方が亡くなる原因を見てみますと、だれにも相談する人がいない。自分なりに何か考えて、では何とかといって金利の高いところからお金を借りてきて返してしまう、そのうちにだんだんおかしくなってくるわけですよね。つまり、高い金利のところで借りかえてしまう、これがおかしくなってくる原因なんですね。

 だから、そういう面では、多重債務になる原因というのは、やはり相談しないからそういうことが起こる。だから、まず私は、中小企業再生支援協議会、必ず受けてやることは大事なんですが、相談だけでもまず受けるというところが大事だと思うんですよ。絶対これは門前払いしちゃいけないと思うんですが、自信を持ってちょっと答弁してもらいたいんです、もっとちゃんと中小企業関係の相談業務としても受けると。

坂本副大臣 中小企業の再生支援に当たりましては、中小企業は多種多様、しかも地域の特性もこれありまして、個々の企業に十分きめ細かな対策を講じていかなきゃならぬ、非常に重要だと思っております。

 そのため、四十七都道府県に中小企業再生支援協議会を設置いたしまして、相談から再生計画策定支援まで、きめ細かに中小企業再生の取り組みをしているところでございます。

 これまでに、三千三百七十企業からの相談に応じております。二百九十六件の再生計画の策定支援を行いました。そして、六十九件の再生計画が今完了しております。その結果、五千二百四十二名の雇用が確保され、着実に成果が上がっていると思います。

 今後とも、協議会を軸として、地域の中小企業の再生に万全を期していきたいと思います。

中山(義)委員 だから、三千三百来たけれども、二百九十はやったということでしょう。だけれども、やはり相談に乗ってあげることが大事なんですね。だから、絶対これは門前払いはまずいし、まずこういうふうに考えたらいかがですかというような方針だけでもいろいろ教えてあげることが大事だと思うんですね。まずは、多重債務にならないこと、銀行としっかり向き合うことなんですね。銀行さんと向き合わせることなんですよ。

 私たちが一般的に考えるのは、返済スケジュールを大幅に延ばしてあげるとか、そのくらいのことまではできるわけですね。それから、債権放棄についても、銀行が無理に貸し付けた、こういうものについては、何か考える方法があると思うんですね。

 例えば、銀行が貸し付けて、そのところで建物やマンションを持っているけれども、一億のものが時価が二千万になっちゃっている。だけれども、一億で買ったものだから一億の借金を払っている、実際は二千万だ。これは、完全な不良債権として考えたら、どういうふうに償却していくか。これは、あとの八千万ぐらいは何らかの形で債権放棄的なものができないかどうか。または、資本として考えて、いわゆる金融検査マニュアルで、これは負債じゃなくて資本として考えられるというような方式を検査マニュアルの方がしっかりやってくれるかどうかなんですよ。我々が考えたって、検査マニュアルががんがんやると、後で銀行の方がそれでいじめられちゃうので、だから、その辺の金融庁とのしっかりとした連携を中小企業庁はとらないとうまくいかないと思うんですね。

 それから、今までやってきたのは、どちらかといえば、金融庁は中小企業をいじめてきた。しかし、中小企業庁はそれを助けてきた。中小企業庁が正義の味方で金融庁は悪者だ、我々はそう思っていた。やっと金融検査マニュアルが、中小企業の今までたまってきたお金、これについて資本として考えてあげようという、やっと金融庁が少し善人になった、こう思っているわけでございますが、本当にこの辺は大事なところなんですね。私は、やはりどうしてもそういう面で金融庁と中小企業庁とよく話をしてもらいたい。

 それから、大臣、ぜひ金融庁に言ってくださいよ。今までみたいなことをやらせちゃだめですよ。大体、あのバブルをつくったのだって、あの当時の大蔵省、銀行がやったことは間違いないんですから。彼らはやはり貸し手責任がある、責任があるんですよ。

 ここで痛い目に遭ってきたのは中小企業なんです。裁判をやってもいつも、自己責任原則というので、結局中小企業がやられちゃうんですよ。おかしいというのです。さっき先物でやったときもそうなんですが、提案型融資とか変額保険を買わせたり投資信託を買わせたというのは、あれはやはり詐欺に近い部分があったんですよ、本当に。それから、優越的な地位で中小企業をいじめたという前例があるんです、幾つも。裁判での実例なんかも、挙げれば幾らでもある。だから、金融庁はいじめてきたんだから、これからは、金融検査マニュアルは中小企業のためにいかにお金を出すか考えるべきだと思うんです。

 伊藤さん、帰る前にその答弁と、大臣もこれについて、今後金融庁は絶対許さない、変なことをやったら許さない、経済産業省が中小企業の味方だ、こういう発言をしっかりしていただいて、閣内不一致にならないようにひとつお願いしたいんです。

 今までもそうなんですよ。金融庁が出してきたいろいろな問題で、中小企業が困っているんです。それを安定化資金とかなんとかで経済産業省が出しているんですよ。だから、私は、経済産業省は正義の味方で金融庁はバイキンマンだ、こういうふうに断言したんです。ひとつその辺を、お一人ずつちょっと答弁をしていただきたいと思います。

伊藤副大臣 金融庁はバイキンマンとまで言われて、大変厳しい御指摘だなと。

 ただ、私も当委員会に長く所属をさせていただきましたし、当委員会でのさまざまな議論も含めて、先ほど御指摘ありましたように、経済産業省、中小企業庁と連携をして、中小企業の今の実態、中小企業金融をめぐる今の実態を十分踏まえて、しっかりとした金融行政というものをやっていきたいというふうに思っております。

中川国務大臣 中小企業庁が正義の味方かどうか、これは御評価の問題でございますが、とりあえず大変ありがたいお話でございます。

 日本の経済の本当に九九・七%ですか、それを支えている日本の中小企業が元気になることが、日本経済、これは単に循環型で元気になるだけではなくて、日本のある意味では新しい形の経済の進展だろうと思っております。

 そういう意味で、御審議いただいておりますように、いろいろな形の資金需要、いろいろな形の再生あるいはまた支援をやっておりますので、今までの有担保主義とか保証主義とか、そういうものを乗り越えたベンチャー支援を大いにやっていきたいということは、我々の今課せられた大きな仕事だと思っておりますので、御支援をお願いいたします。

中山(義)委員 質問を終わります。

塩谷委員長代理 次に、計屋圭宏君。

計屋委員 それでは、民主党の計屋圭宏でございますけれども、質問をさせていただきます。

 この日本の社会が、バブルがはじけてもう十五年もたつというのに、きちっとした経済の再生というものが行われていない。昨年の末から好転している、底を打った、こう言われているわけでございますけれども、まだまだ日本の国は、中小企業、特に非製鉄業等々においては、一部の業種、業態の景気の回復ということが見られるにおいても苦しい状況が続いている、こういうことが言えるわけでございます。

 そこで、私は、マクロ的に日本の経済というものをとらえて、今後日本の国家戦略をどうしていくんだということをきちっと目標を持ってやっていかない限り、右往左往して日本の国の再生というものが図れない、こういうふうに思っているわけでございます。

 そこでまず、日本経済再生のための国家戦略をどう考えているのか、中川大臣にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 御指摘のとおりだろうと思います。

 循環型で中小企業は厳しい、あるいは、一部製造業以外は厳しい、サービス業は厳しいということだけではなくて、本当は今この状況を奇貨として、日本の経済の新しい構造をつくっていかなければいけないのかなというふうに思っているわけでございまして、この前も、政府の経済財政諮問会議で、新たな産業戦略をつくっていきましょうということを申し上げました。物づくりあるいはまたソフトの世界、そして伝統的ないろいろな分野、それぞれ頑張っていきましょう。日本は世界一なんだという自信を持ってやっていくためにどうしていったらいいかということが、ある意味では今一番問われているのかなというふうに考えております。

 そういう中で、今、日本の経済は、もう一つの分野としては、短期的におかしいじゃないかと。失業率も高いし、あるいはまた有効求人倍率も多少上がったけれども、でも若者の失業率が高いじゃないかとか、この問題というのは私は極めて大きいんだろうと思うんですね。本当は若い人材が企業は欲しいに決まっているのに、若い人たちが行きたくない。でも、聞くところによると、二十七、八歳、三十歳近くなると、今から働きたいんですけれどもみたいな状況があって、そこがミスマッチになっている、こういう状況をどうやって解決したらいいのか。

 私は最後は人づくりだと思っておりますけれども、まさに御指摘のとおりだと私も考えておりますので、単なる不景気とか単なるデフレじゃなくて、もう少し新しい分野に向かって日本の経済の産業構造をつくり上げていくために、もっと根っこに即した議論をこの場でも、先生からも御指摘ありましたように、やっていく必要があるんだろうというふうに思っております。

    〔塩谷委員長代理退席、今井委員長代理着席〕

計屋委員 どうもぴんとこないという回答だと思うんですよね。それは漠然とし過ぎていると思うんですよ。

 十五年、日本の国が、バブルがはじけてから経過した、それで景気を回復させられないというのは、これはほかの国にありますか。これは、やはり日本の国家戦略というものが間違っている。

 自然業界で、例えばお百姓さんを例にとれば、つまり、収穫する、そうすると次はもう何をやるかということを決めているわけですよ。そして、次は耕して肥料をやって種をまいて、そして次の収穫に向かって準備をしていく。ところが、日本の産業、経済は、そういう点で見てみますと、そういったような戦略がないわけですよ。

 私は、大きく分けて二つあると思うんですよ。一つは、やはり既存の中小企業対策ということで対策をとっていかなきゃいけないということ。それからもう一点は、日本の国というものを考えてまいりますと、加工国として日本の国が繁栄した、そしてそれが、外国に生産の拠点が移っていって日本の国が空洞化になったわけです。ですから、その空洞化になった後、日本の国がどう国家戦略として手を打っていくのか、そこが不足してきた、あるいはそこが手を打てなかったというところに今日の不況というのが続いていると思うんです。

 ですから私は、そういう点で、その二点というもの、きっちりと国として手を打っていかなきゃいけないと思うんですね。――質問しているんですけれども、まだ。それで、私に与えられた時間は三十分しかないものですから、済みません、手短に答弁もお願いしたいと思うんですけれども。

 中小企業の問題、今ずっと言われているように、担保とか保証人という問題、それから今、自己破産が二十四万二千人、それから失業者が五%で約三百万人。そして、バブルがはじけてから今日に至るまで自殺者というものをトータルしますと、何と三十六万人の方が亡くなっているわけですよ。これはもちろん、例えば健康不安が三八%、中小企業の関係者が三四%というわけでございますけれども、ただしかし、中小企業の皆さんが資金繰りに苦しみ、仕事に苦しんで、そしてほとんど病気の状態になって自殺するというのがこの自殺のパターンなんですよね。ですから、そういうことを考えてまいりますと、三十六万人の方を国が殺した、こういうことも言えるわけですよ。これは、トータル的に見てまいりますとショッキングなデータなんですよ。

 ですから、そういうことで、私は、中小企業対策というものにしっかりと手を打ってもらいたいということにおいて、まず第一点として、担保提供それから保証人、これをなくしてもらいたい。これはもう先般からずっと話があるわけでございまして、ここが大変大切なところでございます。

 例えば、私の知った経営者でございますけれども、自分がオーナーの経営者である、そして担保、保証人になっている、そして高齢になって後継にもう譲りたい、しかし後継者がそれを金融機関から引き継いでいくことはできない、そして、自分が死ぬまで担保をとられ、そして保証人になっている、そういう状況が続いているわけです。

 こういったような問題をどういったふうにして考えますか。お聞きしたいと思います。

中川国務大臣 済みません。具体的な話は坂本副大臣からお答えいただきますが、さっき申し上げたのは、先生が御指摘のように、バブル崩壊とか中小企業の空洞化、産業の空洞化ということを前提にして、今後どういうふうにしていったらいいかというときに、単に単純な景気の回復のためだけではなくて、もっともっと新しい、ニュー・ジャパンのエコノミーパワーを発揮しましょうというところまでいかないと、単に対症療法的に、何か、けがしたからそこを治すだけじゃだめですねということで私は申し上げたので、先生の御指摘は十分わかった上でお話をしたということをぜひ御理解をいただきたいと思います。

 よろしければ、坂本副大臣から具体的な今の中小企業対策をお願いします。

菅大臣政務官 私の方からお答えをさせていただきます。

 委員は実際、中小企業を経営されて、実態をよくわかっておられる中の御質問であるというふうに思っています。

 今年の四月一日から、中小公庫や商工中金で、創業、新事業者に向けて、まさに財務制限条項の締結あるいは若干金利が高いものはありますけれども、経営者本人の個人保証なしで三千万。あるいは、国民金融公庫、今日までは五百五十万でありましたけれども、これを七百五十万まで上乗せする。あるいは、第三者保証なし、これについては、一千万でありましたけれども、これを一千五百万まで拡大する。さらに、今度の国会で今お願いをします証券化支援、この法律によって、中小企業に対して無担保、無保証で行うことができるよう、さまざまなことを考えておるところであります。

 そしてまた、法制面におきましては、個人保証を行っている経営者が過大責任を負うことがないように、期間や金額に制限のないいわゆる包括根保証制度、これの見直しを法務省、金融庁等で今協議をしておるところでありますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

計屋委員 今度の中小企業公庫法の改正だとか中小企業ベンチャーファンド法の改正なんというのは、これは一歩前進だと思うんですよね。それは大変評価するところでございますけれども、やはりまだまだこの対策費というのが足りない。金額にしては四十兆円ですか、ということで、全体的に、中小企業をどれだけ救えるかといったら、ほんの数%ということになろうかと思いますので、これからそういったようなことに積極的に取り組んでいくことを要望いたします。

 それから、今度は、やはり今まで、金融機関が、中小企業の担保が足りないということになれば、金利を高く、五%とか七%にして、そしてこれを貸し付ける、そういったような悪質な方法、手段をとっていたということもありますので、こういったことがないようにひとつ指導してもらいたい、こういうふうに思います。

 それから、今までですと、担保・保証人主義ということで保守的な制度をとっていた。そういう中で、やはり私は、前向きの、会社の将来性だとか会社の内容というもの、それから経営者の姿勢、こういうものを積極的に判断する制度、あるいはそういったような人材の育成、こういうものを考えたらどうかと思うんですけれども、そうすれば、過去主義、担保主義、保証人主義というものは、これは解消できると思います。

 ですから、こういうことについてどう考えているか、お聞かせいただきたいと思います。

菅大臣政務官 委員のおっしゃるとおりであるというふうに思っています。そういう考え方から、先ほど御説明を申し上げましたような制度を何としてもつくっていきたい、そういうふうに思っています。

計屋委員 そういう制度をつくっていくことに期待をしているわけでございますけれども、そういう一歩を踏み出していくということが言えるのかもわかりません。積極的に対策をとっていただきたい、こういうふうに要望しておきます。

 それから、中小企業問題というと、先ほど中川大臣もお話があったように、例えば中小企業がどういう前向きな戦略、戦術をとっていくかということが大切であって、私は、中小企業対策として、今度MアンドAという、あるいは研究機関との連携というか、こういったような手法を中小企業が、日本の国が――これから話をしますけれども、やはり日本の国には資源が少ない。そうしますと、知的財産だとかあるいは先端的技術を開発して振興していくという問題、こういったような問題とどうつながっていくかということが大切であって、中小企業問題は中小企業で考えていくというんじゃなくて、やはり、そういったふうな日本の国家戦略としてそういうところに力を注いでいかなきゃいけない。

 ですから、そういう点で、やはり中小企業としては相談窓口というものが必要になってくるだろう。つまり、MアンドAの場合ですと、提携あるいは買収ということですから、提携するにしても、中小企業では組織もない、人材もない、あるいはお金もないということで、これを廃業に追い込んでいく、あるいは倒産する、こういう状況になっていくわけですから、それを未然に防いで、つまり、もっと戦略的に、提携できるところがあれば、そこで一緒にやった方がいいわけです。ですから、そういったような窓口をしっかりととってもらいたいと思うんですが、そういう点はどうでしょうか。

 それともう一点、もう時間がないですから、企業の差別化、物づくり、これが大切だと思うんですが、そういったような対策をどうとっているのか、これも、御答弁、あわせてお願いしたいと思います。

菅大臣政務官 商工会や商工会議所、そういう中で、経営相談だとかあるいは創業者の支援だとか、さまざまな人材、制度を活用して、そうしたことを私も積極的に取り組んでいきたいというふうに思っています。

計屋委員 これはもう十数年前にこういったような戦略をとっておかなきゃいけなかった。ところが、もう日本が最悪の状況になって初めてそれをわかって、手を打っていかなきゃいけないというところが非常に残念なことであるわけでございますけれども、ただしかし、こういうことに気づいた以上は、やはり積極的に手を打っていっていただきたい、こう強く要望します。

 それから、第二点目でございますけれども、国家戦略として、先ほどちょっとお話をさせていただきましたけれども、研究開発費ということから、先端的技術だとかあるいは知的財産というものをいかに日本がふやしていくかということが大切であるわけです。

 ですから、一九八五年に、アメリカの場合ですと、以前に双子の赤字で大変混迷していた。そういう中で、ヤング・レポートというものを出して、そして国家戦略をとっていった。そういうことにおいてアメリカの景気が回復していった。あるいはまた、イギリス病ということで、サッチャーさんが出てきて、減税したり、あるいはまたいろいろな改革を行って景気を回復させた、こういう例もございます。

 ですから、そういったことから考えてまいりますと、日本の研究費というもの、つまり、やはり国家戦略としてきちっと日本の将来というもの、国と国とが役割分担をして、これからボーダーレスあるいはグローバル化にこたえていかなきゃいけないわけです。

 ですから、そこで、こういったふうな、日本の国家戦略として、そういう知的財産とかあるいはまた科学技術の振興ということ、あるいは付加価値の高い先端技術、こういうものをふやしていくということについて、国家の比較をしてみると、日本の場合ですと、アメリカの半分以下の研究費だということが出ているわけです。

 ですから、そういう点で、国家戦略としてどういうふうに対策をとっていくのか、やはりこの辺はきちっと整理してとらえていかないと、景気が悪い、悪いということではなくて、政府として、日本再生のための政府の役割というものはどういうことをするのか、その点についてお聞きしたいと思います。

坂本副大臣 この国の将来の競争力を支える戦略産業は何なのか、それをどう育成して、どう維持強化をしていくかということが今後の経済産業政策の大きな基本の柱ではないか、こう思います。

 その場合、情報家電あるいは先端産業も当然その中核に位置するわけでありますが、そうしたものだけじゃなくて、金型に代表されるような基盤産業、材料・部品産業など、中堅、中小企業を含めた膨大なすそ野産業や、国民のニーズから見て不可欠な新しいサービス産業、健康とか福祉、医療、そういったことも考えるべきだ、こう思っております。

 こうした考え方で、我が国の強みを生かす産業群を抽出してその維持強化を図るために、新しく、経済産業省は、新産業創造戦略というものの策定に着手したところであります。この新産業創造戦略は、五月ごろをめどに取りまとめるとともに、産業育成にかかわる予算等の政策資源の重点的な投入等によって、戦略産業の育成に全力を挙げてまいりたい、こう考えております。

計屋委員 いろいろなことは対策として検討はされているんですけれども、やはり、日本の産業あるいは日本の景気をリードしていく、そういう政府の役割としての対策の研究費というものが余りにも少ないわけです。

 今年度の予算に対する研究費というものが出ているわけですけれども、こういったふうなことで、日本が二十一世紀の日本の再生というもの、国家戦略として日本の国を再生させていくというには余りにも数字が小さい。私は、そこで、国の場合ですと、独立行政法人という研究機関があるわけですけれども、こういったふうなところの役割はどういうふうに考えているのか、お聞きしたいと思います。

中川国務大臣 さっき、委員からヤング・レポートのお話がありました。今、坂本副大臣からも、産業の戦略を、見直しを二カ月ぐらいかけて早急にやりたいというふうに申し上げました。

 私も、ヤング・レポートを何回も今読み直しておりまして、二十年前のアメリカのヤングさんのチームのレポートは非常に参考になると思っております。人、資金、技術、そして国際的な貿易ルール、こういうものが非常にアメリカを再生するために大事なんだと。

 ただ、日本がそんなに科学技術に対しての資金の投入量が少ないかといえば、私はそうは思っていないんです、もちろん多い方がいいんですから、もっと多くしたいと思っておりますけれども。

 それから、やはり日本でも頑張っている分野、これは国と関係ないんですけれども、民間、特に中小企業で頑張っているところがいっぱいあるわけですから、そういうところ、あるいはその予備軍に対して、何とか応援したいなというところは私自身も思っているところでございます。

 いずれにしても、国として、中小企業予算が非常に少ないという御指摘をよく受けておりますけれども、予算の中では福祉とIT、そして中小企業予算が縮小の中でふえているんだよということは、我々、ある意味では誇りに思っておりますけれども、まだまだ不十分な部分があるとすれば、一生懸命、必要な国の資金をそれに投入するべく努力をしていきたいというふうに思っております。

計屋委員 大臣、それだけの研究費を投下して景気がこれだけ回復させられないというのは、やはりどこかに原因があるわけでしょう。これはやはり税収不足、税収にしても、国家予算の約半分の税収しかないわけですよ。ですから、それはやはり産業の振興というものが、的を射た投資ができていないというところに原因があるんじゃないんですか。ですから、私は、それは謙虚に反省して、日本の国家戦略としての対応というものをしていかなきゃいけないと思いますよ。

 それを話していると時間がなくなりますので、次に進みます。

 国の研究費に対する予算というか、日本は今、大きく戦略、戦術を変えて日本の国を再生しようとしているときでありますけれども、やはり日本のこの景気を引っ張ってきたというのは、神奈川県の臨海工業地帯が、つまり重厚長大、あるいはそういったような加工国としてどんどん日本の経済をリードしてきたという実績があるわけです、歴史があるわけです。

 ですから、そういう中で今度、日本の国家戦略としてやはり大きく変えていくには、今話題になっております羽田空港の再拡張ということで、神奈川口というものを設けようとしているわけです。この神奈川口は大変広大な土地でございまして、この一端を使って流通の部分、商業の部分、それから、そういったような科学技術の分野ということでこれを大きく分けて、そこに日本の手本となるような、そういう先端技術の研究所を持ってきて、そして既存の研究所というものをつなぎながら、川崎の臨海部の再生というものはこの日本の国をリードしていく、そういうモデルとなっていくと私は思っております。

 ですから、そういうことから考えてまいりますと、川崎の場合ですと、市の方でも対策はとっているわけでございますけれども、やはり説得力に欠けるということで、先端技術あるいは研究開発型の企業を誘致するといっても、なかなかそう簡単にはいかない。そして、今、川崎の場合ですと、国際環境特区あるいは国際臨空産業・物流特区ということを設けて、そして積極的に研究開発型の企業を誘致しようとしているわけです。そういう中で、アジア起業家村構想というものも打ち出して、アジアの国々と連携を図って一緒に事業をやっていこう、あるいは、そしてまたアジアの国からどんどん日本の国に来ていただいて、観光にしても、あるいはそういったような技術にしても一緒に手を結んでいこう、そういう構想を持っているわけです。ですから、それを……

今井委員長代理 委員に申し上げます。時間が過ぎました。簡便にお願いします。

計屋委員 はい。

 そうしますと、やはりそこで国の産総研なり理化学研究所なりを持ってきて、研究開発型の企業を持ってきてもらいたい、こういうふうに思っているわけですけれども、その辺について、ちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。

菅大臣政務官 委員御承知のとおり、産総研はつくばを中心に全国に研究拠点を置いて、開発、研究のためにさまざまな成果を普及しているところでありますけれども、現時点においては移転をする意思は全くないということであります。

 ちなみに、委員の御質問でありますので、どういう条件であったら研究拠点に選ぶんだ、こういうことを実は聞いてみました。周辺の研究施設の集積状況や地元の受け入れ状態、そういうものを勘案して決める、そういうことでありました。

 ちなみに、私も神奈川県出身の議員でありますから、川崎はそれが満たされているところだなというふうに思ってはおりますけれども、今のところは全く、移転とか新しい拠点というものは考えていないということであります。

計屋委員 時間が来ましたから終わりますけれども、まだまだこの問題については深く論議をしていかなきゃいけない、要望していかなきゃいけないと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

今井委員長代理 辻惠君。

辻委員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。

 日本の経済の再生ということを考えたときに、やはり、大部分を占める中小企業をどう振興させていくのか、これが極めて重要であると思います。私も選挙区が大阪でありますので、大阪の再生ということを考えたときに、中小企業の振興をどう図っていくのか、極めて強い、深い問題意識を持っております。

 三月二日の予算委員会の分科会で、この点について中川経済産業大臣に御質問もさせていただきました。今後、もっと全般的な問題についていろいろ質問等をさせていただきたい、このように考えております。

 本日は、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案ということに絞りまして、この法律案の立法目的、実現しようとする政策は何なのか、そのために経済産業省としてどのような手段を講じようとしているのか、この法案の射程範囲というものについてしっかりと確定させる、そのような観点で質問をさせていただきたい、このように思います。

 まず、この法律案の要綱を見ましたときに、題名を投資事業有限責任組合契約に関する法律に改める、目的の見直しということについて、中小企業等の自己資本の充実を促進するということから、事業者への円滑な資金供給を促進することに変更する、投資対象についても、資金供給の対象を中小企業等から事業者に拡充する、このようにうたわれております。

 これを見ますと、中小企業を主な射程距離とした従来の法案を改正して、もっと広く、産業全般の振興に役立てようという観点で改正案を提出されているように思いますが、この改正案の主たる目的、趣旨ということについて、まず最初に伺わせていただきたいと思います。

中川国務大臣 非常にこういう御質問をいただいてありがたいと思っておりますが、やはり日本は製造立国、資源がなくて、ノウハウを生かして、そして世界の中で伍していかなきゃいけない。そのためには、率直に申し上げて、日本の法整備というのは何となく後ろ向きといいましょうか、厳しい状況にあったわけでありますが、そういう中で、例えば間接金融と直接金融の関係とか、あるいはまた、平成十年に民間ベンチャーの法律改正を若干いたしましたけれども、やはり、無限責任という観点、あるいは出資に限るという観点、多少の成果を得たと思いますけれども、そういう中で非常にスピード感を持って、そしてまた、もちろんこれは、原則はハイリスク・ハイリターンということになりますから、いいものばかりではないと思います。リスクも負わなければいけない。

 しかし、それが単に、がちがちの今までの間接金融のように、土地だとか工場財団だとか、引っ越ししないもの、あるいは五年、十年で毀損しないものだけを担保にしてその範囲内でお金を貸すということでは、今の産業金融、しかも、御承知のように、一円から起業ができますねとか、あるいは、世界一のコンピューター会社は大学生がベンチャーから始めましたねというような時代、日本にもそれがあるわけでございますけれども、そういうのをどんどんつくっていかなきゃいけないわけですけれども、それに対して、今度のこのベンチャー支援法案につきましては、とにかく限られた有限責任の範囲内で出資はできますし、それから融資もその範囲内でできますね。それから、それは何も中小企業だけではなくて、さらに飛躍するであろう中堅企業や大企業も含めて、より柔軟に資金調達。

 これは私は、いいことだけを言うつもりはありません、リスクも伴うと思います。しかし、ハイリスク・ハイリターンで、挑戦をみんなでしようじゃないかというための促進法案だというふうに考えております。

辻委員 立法目的というか、さらに申し上げれば政策目的として、この法案及び改正する問題点等の資料等を拝見しますと、一つは、中小企業の金融、とりわけベンチャー企業に対する、今までは投資だけであったけれども、資金繰りとかつなぎ融資を便宜を図るという意味において、融資や債権取得等々についても目的を広げたということがあると思うんですね。それから、未公開企業に限らず公開企業にまで投資先の対象を広げているということからすると、ある意味では、大企業にとっても資金調達の道を開くという効果があるのかなということ。それから、政策目的として、一方で事業再生とか地域再生ということがうたわれておりますよね。その辺の関連について具体的に伺っていきたいというふうに、そういう問題意識を持っています。

 まず、この法案を見たときに、登場するのは三当事者いる。まず、形成されるファンドで、これは従来、資料によりますと三百四十九組合、二千億から三千億円ぐらいの投資額だと言われていた。そのファンドがどのようにこの法案の後に推移していくのか、この問題について、まず事実関係を伺わせていただきたい。

 先に全般的に問題意識を申し上げますと、投資先について、今申し上げたような事業再生や地域再生にどのようにつながっていくのか、その点についても伺っていきたい。同時に、投資対象として、機関投資家や一般投資家、さらにもっと言えば千四百兆円のたんす預金とかいろいろな企業年金とか、そういうベンチャーに吸引されていない資金がいっぱいあるわけなんですね。そういうところにどういうふうに切り込んでいこうとしているのか、そういう効果を持った法案なのかということについて伺っていきたい。その三つの側面から伺っていきたいというふうに考えております。

 まず、このファンドについて、現状はどのような状態にあり、これがどのようにこの法案によって推移していく、増大していくというふうに期待されているのか、その点について御回答をお願いします。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問でございますが、今までは、やはり未公開のベンチャー企業への出資を支援するというようなベンチャーファンドというものが、さっき先生は千とおっしゃいましたけれども、大体九割ぐらいだと思います。

 現下のいろいろな経済あるいは金融情勢を見てみますと、企業の再生でありますとか、あるいは先生御指摘になった地域の中小企業の再生を行う、そういった意味でのファンクションを持つファンドといったようなものを私ども支援をしたい、そういう問題意識を持っております。

 したがいまして、今回の法改正におきまして、ただ単に中小、ベンチャーの、いわば未公開ベンチャーに対する出資だけでなくて、ベンチャーの融資でありますとか、あるいは中小未公開企業だけでない地域の中堅企業のための再生のファンド、こういったものにもこの有限責任組合制度というものを活用してもらいたいというような趣旨でやったわけでございます。ただ単に未公開ベンチャーのみならず、もちろんそれも重要でございますが、あわせて、企業再生あるいは地域再生、そういったものに出資制度というものをうまく活用したいというような趣旨で、今度御提案をさせていただいているということでございます。

    〔今井委員長代理退席、塩谷委員長代理着席〕

辻委員 ちょっと質問の趣旨と御回答が違うように思います。

 二〇〇三年十月時点では、中小ベンチャーファンド法に基づいて設立されたファンドは三百四十九組合、投資額は二千から三千億円程度というふうに報告されていますが、民法上の組合や匿名組合や海外で設立された組合等々を含めて調べたところ、合計で一千ぐらいあるということなわけであります。

 この法案の改正によって、この法案に基づいて設立されるファンドというのがどれだけふえていくのか、投資額についてはどれだけ増大が期待できるのか、その点について質問しているので、その点について御回答いただきたいと思います。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問ございましたように、現在、有限責任組合が大体三百六十程度ございます。そのほかに、おっしゃいましたように、匿名組合だとか民法組合だとかあるいは海外の法律に基づくもの、合わせて大体千ぐらいございます。

 こういった状況の中で、恐らく、この中小ベンチャーファンド法の改正によりまして、匿名組合とか民法組合といったもの以外の、有限責任組合の方に組合の組成というものはだんだんシフトしていくというふうに思っておりますし、期待をいたしております。

 これで具体的にどのくらいの額、その投資額がふえるのかという御質問でございました。具体的あるいは確定的に申し上げるのはなかなか難しい面がございますが、現在の日本のリスクマネーというものがほとんどこういった格好で投資されていないという現状にかんがみますと、逆の意味でふえる余地があると思っております。海外の状況等から見て、私ども、中長期的には、現在の数倍から十倍程度、こういった格好で投資がふえていくということを期待しているということでございます。

辻委員 現在設立されているファンドというのは大体どれぐらいの規模で、組合員はどれぐらいがいるというのが標準なんですか。

杉山政府参考人 ファンドの規模あるいは一口当たりの投資金額等でございますが、これは、企業再生ファンドの場合といわゆるベンチャーファンドの場合と、若干実態が異なっております。

 まず、ベンチャーファンドで申し上げますと、大体一ファンド当たりの規模は平均で十五億円程度だと思っております。数億円から数十億円になりますが、平均すると十五億円ぐらいでございまして、一口当たりの投資金額も大体数千万円というのが状況でございます。

 これに対しまして、いわゆる企業再生ファンドでございますが、これは、規模がこれに比べますと相当大きゅうございまして、平均で百億円ぐらいだと承知をいたしております。数十億円から二、三百億円というような規模でございまして、一口当たりの投資金額というのは、大体少なくとも一億円以上というような大ぶりの格好になっているという状況だと承知をいたしております。

辻委員 そうすると、この法案の改正によって、従来はベンチャーファンド法ということで十五億円規模のファンドしか設立されていなかったのが、企業再生を目的とした百億円平均のファンドが設立可能である。企業再生のために、投資だけではなくて融資等を行うことができるということによって、そういう企業再生ファンド、百億円規模の企業再生ファンドが数多く設立されることが期待される、こういうことでよろしいんでしょうか。

杉山政府参考人 御指摘のとおりでございます。

辻委員 では、そういう設立されたファンドがどこに投資するのか。先ほど中川大臣のお答えにもありましたけれども、ハイリスク・ハイリターンを覚悟してそれで経済を活性化させていく、そういう機能を持たせるということも重要なんだ、この法案はそういう関連で改正が必要なんだというお話になっていたと思いますけれども、そうしますと、投資先について、事業再生や経済再生、地域再生にどのようにつながっていくんですか。

 つまり、ハイリスク・ハイリターンということで、ファンドが、経済原理のベースで物事を考えれば、それは地域再生とかいう政策目的とは必ずしも一致しないというふうに思うんですけれども、どういう仕組みでそれが一致するというふうにお考えなのか。その点についてお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 先ほどあえて申し上げましたけれども、我々が、企業を立ち上げるのを支援する、あるいは中小企業が頑張っている、あるいは大企業が頑張っていることに対して御支援をするということとハイリスク・ハイリターンとは、もちろん一緒ではないとは思いますけれども、必ずしも相対的というか、反発する関係でもないんだろうと思うんですね。企業に対する融資にしても投資にしても、あるいはベンチャーで企業を起こすにしても、やはりこれは経済界の行動ですから、リスクもあるかもしれません。

 ハイリスク・ハイリターンというのはちょっと言い過ぎだったかもしれませんが、リスクも伴うし、もちろんリターンも目的にしてやっていくということでございますから、そういう意味でリスクをできるだけ最小限にするためのいろいろな制度を、我々としても、いわゆるセーフティーネット的なものをやっていきたいと思っております。あとは、極端に言えばばくちのように、さあさあ、ハイリスクで一獲千金を目指せ、それのための支援ですということでもないんだということでございまして、ちょっと先ほどの話は若干訂正させていただいた方がいいかもしれませんけれども、リスクもあるかもしれませんけれども、リスクに対しても支援もしますし、それから、そのために、それを前提にして、どうぞハイリターンのために皆さん参加してくださいと。

 さっき委員御指摘のように、一千四百兆円の民間の個人資産がありますけれども、その中の何%かのポートフォリオの部分は、どうぞそちらにも参加をしてください、決してこれはばくちではありませんよ、あるいはまたとんでもないことにはなりませんよということで、ぜひそういう意味で広く資金を集めてやっていきたいということが趣旨で、これが日本がこれから生き残っていく、世界のトップランナーの一人になっていくための大事な戦略ではないかというふうに我々は考えておりますので、そういう方向でやっていきたいということでございます。

辻委員 どうも政策目的が混在してある、併存してあるというふうに言ってもいいと思うんですけれども、中小企業について、従来、ファンドから投資を受けた、しかし業務を展開していくに当たって資金繰りに困る、そのときにほかの金融機関から資金調達をしなければいけなかった。それがなかなか資金調達が出てこない。このファンドが融資よりもできるということになれば、そういう中小企業の総合的な支援が可能であるというつながりが生じてくるということで、一つ意味があるのかなというふうに思うんです。

 先ほどからの御回答からすると、より大きな政策目的としては、企業再生について百億円規模の、つまり中小企業ファンド、ベンチャーファンドとは別に、企業再生を目的としたファンドを形成する。例えば、そういう意味では、産業再生機構とかそういうことの活用との絡みで、そこに参加するようなファンドを生み出したいということが主要な政策目的の一つとしてあるのではないかなというふうに思うんですが、この点はいかがですか。

中川国務大臣 我々の行政的な仕分けとしては、より頑張ってください、今頑張っているところはもっと頑張ってくださいというところに対しての支援と、それから、我々がよく使っている再生というのは、ちょっと苦しいけれどもあと一押し、あと一味つけたら頑張れますよというところが再生なので、今の委員の御指摘でいうと、再生というのは、ちょっと苦しいけれども後押しをするための再生ファンド、中小企業再生支援協議会の中の例えば再生ファンドでありますとか、そういうところに対しての再生のファンド、これはこれでもちろん大事なんです。

 多分私の理解では、今御質問の最初は、有限責任法の中で、もっと魅力のあるところに対して民間がばっと入っていく。それは、ひょっとしたらアメリカの何とかという有名なファンドかもしれませんし、日本の何とかというファンドかもしれません。わかりませんけれども、それに対して支援をしましょうということに対して、要するに日本の再生ファンドがより入りやすいということですから、そういう意味では、再生ファンドについて、僕らが使っている再生ファンド、厳しいところに対して何か後押しをしましょうということと、そうじゃないんだというところのこだわりというのは、実は余り私自身は意識をしていないわけであります。

 それから、銀行がだめだから再生ファンドが出ていくという御趣旨の御発言がございましたけれども、確かにそうだろうと思います。しかし、私がさっきから言っているように、これはリスクが伴う話でありますから、では銀行が金を出さないから再生ファンドの方がよっぽどエンジェル的に、もう天使様のように何でもかんでもはぐくんでくれるのかというと、それは向こうだってビジネスですから、ある意味ではもっと激しいビジネスかもしれませんから、そこはやはり借り手の方も目ききをする必要はあります。

 そこら辺を、経済産業省としても、何でもかんでも、こういうメニューができましたからどうぞお使いください、これは金融機関よりもいいんですよ、あるいは外資系の何とかファンドよりもいいんですよじゃなくて、そこら辺の相談は、いろいろな相談窓口あるいは経済産業省含めてきちっとやっていかないと、ある意味では、リスクに対して、何か話が違うじゃないかみたいな話になったら我々の本意ではございませんので、そこもきちっとやっていきたいというふうに思っております。

辻委員 時間の制約がありますもので、本当はもっとじっくり一つ一つの問題について詰めて質疑をさせていただきたいというふうに思いますが、ほかにもちょっと質問事項が残っておりますので、今の点について関連して、地域再生ということも政策目的で掲げられている。しかし、ファンドの側からいうと、やはり利回りでどれだけの利益が上がるのかが投資家に対する責任でありますから、地域再生という政策目的とファンドの投資家に対する責任ということとは、やはり食い違いがあるというふうに思うんですね。

 そうすると、どのようにリンクをさせて地域再生にこのファンドがつながっていくのか、その点についてどのような道筋をお考えなのか、その点はいかがですか。

中川国務大臣 細かいことはまたお答えしますけれども、すべてうまくいけばみんなハッピーだと思うんですよね。

 だから、私がさっきからあえて、これは実は答弁の予定にはなかったんですけれども、私自身、銀行の端くれにいた人間として、厳しいときにどういうふうにしたらいいのか。相手は、おっしゃるとおり地域企業であったり、あるいはまた中小企業かもしれませんから、何か経産省が一生懸命やれやれと言った後、やってみたら、お金は集まったけれども、うまくいかなかったら、何かもうそれこそひどい目に遭ったじゃないかみたいなことを後で批判を受けないためにも、説明責任なりシステムとしてしっかりしなければいけないというふうにするところが、我々が気をつけなければいけないものなのかなというふうには思っておりますが。

菅大臣政務官 委員御承知のとおり、地域再生だとか企業再生というのは極めて大事なことでありますけれども、ただ、現実問題としては、民間の金融機関からの融資というのは行われていません。そういう中で、やはり呼び水にするために、私どもは今度、中小企業総合事業団や政策投資銀行に出資制度も創設をして、こうしたものを具体化できるような、そんな仕組みを考えておるところであります。

辻委員 いろいろ調べましたところ、例えば、大分中小企業再生ファンドという地域のファンドが形成されている。それで、大分ベンチャーキャピタルがファンドマネジャーとなり、大分銀行そして中小企業総合事業団も資本参加をして、これは大分の中小企業再生支援協議会の場で策定するという形で機能し始めているというふうに一応聞いております。

 だから、これは本来、中小企業、ベンチャー企業に対する総合的な支援とか、また、大企業に対する投資、融資によってハイリスク・ハイリターンを可能とするという目的と少し位相の違ったところで地域の活性化を図るという、やはり、政策目的が一方で併存的に打ち出されているのかなという理解をするわけであります。

 この点についての質問のまとめとして、そうすると、それぞれの政策目的を実現するために、どう政策的に誘導するように経済産業省としては手だてを講ずることを考えておられるのか、その点はいかがですか。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど菅政務官からお答えがありましたように、地域という観点からいいますと、やはりそこになかなか流れにくいリスクマネーというものを、国としての呼び水的な役割を果たしながらそこに流し込んでいくような、そういった支援をするというのが一つあると思います。

 それからまた、一般的にこういったリスクマネーに投資家ができるだけ投資しやすいように、一般投資家の保護といいますか、そういった投資家のリスクを事前に判断できるような、そういう制度を整えまして、事前にリスク判断をし、投資判断がきっちりできるといった格好で、投資がしやすくするようにする、それが事業再生等にも流れ込むようにするといったような、投資家が、なるべくリスクを判断して、そこに投資をしやすいような環境をつくるといったような政策面での対応も図るというようなことをしていきたいと思っております。

辻委員 今おっしゃったのは、投資家がファンドに対して投資をするに当たってその動機づけをどうするのかという話であって、私が今伺ったのは、その投資を受けたファンドが投資先に対してどのような投資をしていくのかというときに、地域の再生とかいう、そういう政策目的との絡みで、どのように経済産業省としてはそれぞれ誘導する手だてを考えようとしているのか、この点について伺っているのであって、少し質問と回答がずれているように思いますが、いかがですか。

中川国務大臣 そもそも、冒頭のこの法律の趣旨は何かという御質問に対して私はお話ししなかったかもしれませんけれども、資金調達の多様化ということが一つございまして、その中に、地域ということでありますから、地方の中小企業を中心にしたところに対してどうやって資金を調達していくかということが重要なポイントになっていくんだろうと思っております。

 そのときに、ただ、こんないい話がありまっせといって、いい話だけでは、これは僕らの説明責任としては不十分だと思いますから、いや、だけれども、そのリスクマネーについてもいろいろ、万が一のときにはこういうことがありますよということはきちっと説明をしなければいけないと思います。

 ファンドを集めることと、それからそのファンドをどういうふうに活用するか。このファンドを活用するかは、多分プロの世界の話だろうと思います。具体的にもう既に幾つかの名門企業もファンドの世界に入っておるようでございますし、問題は、ファンドに提供した人あるいはまたファンドを活用して再生なり頑張っていこうという企業に対しての問題の方が、私はより大きいんじゃないかと思っております。ファンドを集めて頑張っていく人は正直言ってプロですから、それはもう、アメリカの世界に冠たるいろいろなファンドもあれば、日本の中でも、一応日本としてもプロの人たちもいますから、いずれにしても、それぞれの役割というものをきちっと果たしていただくべく、やはり必要なのは情報公開ということになるんだろうと思っております。

辻委員 質問時間が参りましたので、最後に一点だけ伺わせていただきたいと思います。

 投資家について、どのような投資家層を対象としてこの法案は主要に考えているのかというふうに考えたときに、機関投資家であろうというふうに思います。先ほど一般投資家にもというようなお話がありましたが、ベンチャーファンドは、今平均で十五億円、そして投資が大体一口数千万円である。企業再生ファンドは、規模が百億円で、一口は一億円以上である。そうすると、小口の一般投資家がこのファンドに投資をしようということは、とりあえずは想定しにくいんじゃないかなというふうに思うんですよね。

 だとすると、冒頭でも申し上げましたように、一千四百兆円とか、そういう寝ているたんす預金みたいなものをどれだけ引き出して活用させていくのかということについて、この法案は先々どのように考えようとしているのかというのが一点。

 それから、例えば年金資金運用基金ということで三十五兆円あるというふうに言われておりますけれども、この年金の投資先として、受け皿としてファンドが機能していくためには何が必要なのか、その点についてどのようにお考えなのか。

 この二点について最後に御回答をお願いいたします。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、個人の投資家についての位置づけでございます。

 現在のところは、確かに、ベンチャーファンドにおきまして、生命保険会社とか信託銀行などと並んで、富裕な個人というものが投資をしているというケースがございます。企業再生ファンドの方は、大口ということで余りそういう例は見当たらないというのが現状だと思います。

 私どもは、なるべく投資を、融資も含めて非常に上手にやって収益を上げるというような仕組みを今回整備したいと思っていまして、そういったリスクが少なくなるといいますか、収益が上がりやすくなるということで、ただ単にベンチャーファンドのみならず、ほかのファンドにつきましても、富裕なといいますか、お金を持っておられる個人の方が投資をしていくというふうなことを期待したいと思っております。

 それからもう一つは、年金の御質問がございました。

 確かに、今現在のところ、日本の年金のファンドへの投資というのは、ファンド全体の一%未満だと思います。私どもは、この年金のお金につきましても、こういった出資に投入をなるだけしたいというふうに思っております。そのためには、年金の方でやはり投資の事前リスク判断あるいは投資判断というふうなものがはっきりできるようにするということが重要ではないかと思っています。

 その意味で、ファンドについての、ファンドの投資に関します事前の情報開示といったようなものを、例えば証券取引法の改正によって義務づけるというような格好で、年金がやはりリスクをなるべく事前にきちっと判断できる、あるいはリスクを少なくするというような制度を整備して、今の年金のお金が一%未満というものを少しでもふやしたいというふうに考えているところでございます。

辻委員 ありがとうございました。これで終わります。

塩谷委員長代理 次に、梶原康弘君。

梶原委員 民主党の梶原康弘です。

 商工会議所・商工会法の問題について質問させていただきたいと思います。

 先日、公示地価が発表になりました。都心部では下げどまりで、一部では上昇の兆しもあると。ところが、地方都市はまだまだ下落傾向であって、秋田、甲府、姫路の中心部でさえ二〇%地価が下がっているという記事でありました。有力な地方都市でさえ、中心部でさえそんな状況だと。

 人口動向なんですけれども、二〇〇〇年と二〇三〇年と対比して推計されているわけですけれども、年少人口が一〇%未満の自治体が十倍になる、反対に、老齢人口が四〇%を上回る自治体が十三倍になる、さらに、人口が二〇%以上減少する自治体というのは半数を超える、これはもちろん合併前の自治体を基準にしているわけですけれども、そんな状況になる。

 私は兵庫県の篠山市という四万七千の町に、中心部に住んでいるわけですけれども、この前調べてみると、昭和三十二年の新入生が一番多かったんですが、百六十四人なんですよね。ところが、ことしは二十七名。今度のこの四月一日の新入生が三十二名ということなんですが、現在の二十七名というのは一六%なんですよ。これが十数年して十八歳あるいは二十を超えていくと、今、都会の人口の吸収力を考えると、地方に残るなんというのはもう本当に数名じゃないかな、こういう危機感を持っているわけです。

 不思議に思うのは、今一生懸命、地方分権、分権と言っている割には、もう物すごい勢いで一極集中がまた進んでいるわけですよね。将来、十年、二十年、三十年後の地方都市というのがどういう状況になるのか、地方経済というのがどうなるのか、これは本当にもう大変な問題であるんですが、大臣、どのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

坂本副大臣 地方経済は本当に、先生おっしゃるとおりに、少子化あるいは人口流出、そういう大変厳しい環境に直面しておりますから、今後ともますます先生の御心配のような状況が顕著になろうかと思いますが、これを克服するためには、各地域が持つその特性を生かした、潜在能力を最大限発揮するということであります。

 このために、構造改革特区、地域再生構想などによって地域の取り組みを支援し、あるいは地域からの要望をどうすれば実現できるかという観点から、経済産業省としては前向きに今取り組んでいるところでございます。

 そのために、地域の経済と雇用を担う存在である中小企業の活性化のため、金融支援策、それから再生支援、創業支援等々の中小企業対策を推進しているところであります。また、産学共同研究に対する支援、あるいは大学発ベンチャー支援、そういったようなことも積極的に進めてまいっております。地域活性化を図る一つの政策として、この産学官の広域的な人的ネットワークの形成を支援すること、あるいは産業クラスターを形成するということを促進しておるわけでございます。

 地域経済活性化対策なども視野におさめた新産業創造戦略の策定を行うことによって、こうしたさまざまな問題の解決をし、各地域の潜在力が最大限に発揮され、地方の将来が明るいものになるよう、引き続き全力で経済産業省、頑張ってまいります。

中川国務大臣 私、率直に思うんですけれども、外国、特に欧米の先進国へ行くと、結構、人口十万とか二十万のちっちゃな町ですけれども、非常に豊かで、きれいで、そして市民がはつらつとしている町がいっぱいあるような気がするんですね、ワシントンなんかも六十万ですけれども。

 どうして日本はこういうことになっちゃうのかなと。これは、経済産業大臣としてこういう発言をしていいのかどうかわかりませんけれども、結局何なのかなというと、単なる物あるいは物理的な、お金も含めて、そうじゃなくて、やはり、その町に対する生きがいとか誇りとかというものをどうやってはぐくんでいったらいいのかなということも、我々が幾ら産業再生とか地方再生とか言ってもどうも限界があるのじゃないかなというふうに思っております。

梶原委員 今のお話は本当によくわかります、もうちょっと深めていきたいと思いますけれども。

 いろんな御努力をされてきて、いろんな施策もあって、にもかかわらず商店街はもう壊滅しつつあるわけです。かつては地域の地場産業と言われた建設業も、半分でも多いと言われている。これから多分数が少なくなってくるんだろうと思いますし、製造業は中国へ行くか廃業するか、もうどっちかの選択しか残されていない、そんな状況になっている。

 私も商工会の役員はしている者なんですけれども、そういう中で大変残念なのは、今の会議所なり商工会に将来のビジョンとかどうしていくんだというその手段、手だてさえ――先ほどいろんな施策はあったけれども、現実に今、商店街がもうどんどんシャッターをおろして、つぶれているわけです。地元の商工会にさえ、会議所にさえ、それだけのビジョンとか手だてというのがないんではないかなというふうに思っています。

 そういう商工会議所なり商工会に対してこれからどういう役割を期待されていこうとしているのか、その辺のところについてもお話をお聞かせいただきたいと思います。

菅大臣政務官 委員は現場で商工会活動をやっていて、熟知した上の御質問であろうと思いますけれども、商工会議所とか商工会というのは、地方においては、ただ一つと言ってもいいと思いますね、総合的な経済団体の支援機関だろうというふうに思っていますし、今日までも、小規模事業者に対しての経営相談だとか、あるいはさまざまな支援を行ってきました。あるいは創業塾、あるいはTMO活動を行ってきましたけれども、なかなかそういう状況の中から脱し切れない。

 そこで、本年は、地域の中の潜在的な力をもって、製造業だとかそうしたものを全国的にあるいは海外に製品として認知されるように、ジャパン・ブランド育成支援事業などさまざまなことをやろうとしている、このことはぜひ御理解をいただきたいなというふうに思います。

梶原委員 そういった一つ一つの施策というのは重要かと思いますけれども、また、国土経営上、やはり地方都市、拠点都市というのを、しっかりとその経済基盤というのを支えていかないと、ある地域がもう全く人口が流出してしまって、それこそおじいちゃん、おばあちゃんしかいないというような状況になってしまうのではないか。拠点都市というのを、いかにその経済基盤を充実させるかということがこれから大きな政策課題だと思っています。

 また、従来の金太郎あめみたいなことじゃなくて、本当に、地域の独自の産業であるとか文化であるとか、そういったものをしっかりと支えていく、そういった地域づくりをするということが必要であって、私は、会議所なり商工会というのが、その中核部隊というか作戦本部というか、そういう役割を担っていかなくちゃいけないんだろうというふうに思っております。

 ただ、現実に、実際に地方の中小企業というのは、もちろん貸し渋り、貸しはがしというのもあるんですけれども、金融機関からは借り手がいないという話も同時にあって、何に投資したらいいのかわからない、何をやってもだめだというような現状もあるわけですし、また、中小企業の経営者というのは、私もそうでしたが、自分で先頭になって働かないと食っていけないわけですよね。ですから、新しい事業に挑戦をするとか、そのノウハウとか情報を得るといったってなかなかできない、そういった状況にあるんじゃないか。

 ただ、見方を変えれば、少子高齢化の進展であるとか地方の実情とか、いろいろな厳しい、苦しい環境の中でこそまた新しい商売も生まれてくる可能性がある、そういうふうに思っておりまして、ぜひそういうものを支援していくということになるんだろうと思うんですが、今、新しい業種、業態であるとかサービスであるとか、あるいは新しい価値をいかに創造していくかというところなんだろうというふうに思います。

 先ほどの大臣の話にもあったかもしれませんが、地方の場合、巨額の資金を投じて大きな施設をつくるなんということは多分期待していないというか、そうでなくて、僕はやはり知恵と心だと思うんですよね。いかに知恵を出して、また心で、例えばお客さんをもてなすとか、そういう気持ちというのがすごく大切であろうと思うんですが、今、経済性ばかり、経済合理性ばかり追求する社会で、地方なんというのは当然東京に負けてしまうわけですよね。その今の社会というのが経済的な合理性、生産性ばかり追求していくというところに僕は大きな問題があるんじゃないかな。もっと知恵とか、特に心というところですよね、それをどうやって形にしていくか。ここはやはり人材だと思うんですよ。そのところが僕は今の行政の中で欠けているんじゃないかなというふうに思っています。

 それから、もう一つ。商工会の方でちょっと言えば、今、商工会のいろいろな事業内容の中に海外の話がないんですよね。商工会議所には海外との何だという交流を促進してというのがあるけれども、商工会はそういうものがないんですよ。これから、FTA、当然、東南アジア中心に注目されていくというか締結されていくと、僕は、東南アジアというのは、もう西日本の特に地方というのが出番だなと思っているんですよね。東京中心というんじゃなくて、そういった地方の出番をもっとつくっていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っております。

 そういう意味では、さっきの、新しい価値を創造するとかなんとかというのは、今まで経済合理性ばかり追求してきた日本の社会の中にあっては、むしろ地方が日本を変えるんじゃないか、変えていかなきゃいけないと僕は思っているんですよ。もう何でもかんでも大きければいい、安ければいい、こういうことでは絶対ないんだろうと私は思っているので、そういう意味で、僕は少し考え方をやはり変えていかなくちゃいけないんじゃないかなと思っています。そういうときに、先ほど申し上げたみたいに、会議所とか商工会がもっと中核的な役割を果たしていかなきゃいけない、現場を一番よく知っている人たちなんだから。

 ただ、今の性格を自分なりに言えば、会社に例えれば、今の会議所とか商工会というのは総務部門になっちゃっているんですよ。それぞれの会社の企画開発とか営業という部分がないんだよね。本当に総務の仕事だけやっているだけ。私ども、地域の商工会の副会長というのを長くさせてもらっているんですが、もう全くお役所的、事務的。そういうことであって、ただ、いろいろな面で手足縛っちゃっているところがあるわけで、自分らの仲間のことを悪く言うわけじゃないけれども、ただ、余りにも会社の総務になっちゃって、新しい商売をつくり上げていく、そういった発想が全くないわけです。

 そういう意味で、もっと専門家、エキスパートを育てていくとか、あるいは、そういった目的を明確にするとか、組織の体制を変えていくとか、そういったことが必要ではないかなというふうに思っておりますが、いかがお考えでしょうか。

菅大臣政務官 委員の御指摘のとおりであるというふうに思っております。

 特に、私ども今力を入れていますのは経営指導員、この経営指導員の資質の向上を何としても図っていきたい。先ほど来、商工会とか商工会議所というのは人であるということを言われていますので、私ども、全く同じというふうに考えておりまして、例えば、経営指導員の資質の向上を図るために、中小企業大学校における経営支援能力の養成研修だとか、あるいは、それぞれの都道府県の商工会連合会における金融、税務等の基本能力研修、マネジメント、マーケティングなど、さまざまな研修を経営指導員の資質向上のために行っておるところであります。

 さらに、本年は、全国統一のカリキュラムによるコンピューターを活用した経営指導員の自主的な能力開発システムを構築するなど、まさに人でありますので、できる限り、経営指導員がそうした新しい事業をサポートできる、そうした資質を擁するように支援をしていきたいというふうに思っていますし、また、海外の話も全くそのとおりであると思っています。

梶原委員 もちろん、内部の人材の育成というのも必要だと思いますけれども、お金、今、地方分権と、こうよく言われるわけですけれども、人材をぜひ地方に張りつける。本当に専門的な優秀な人材をどんどん地方に振り向けていかないと、なかなかそうはいっても、経営といったって、事務方の人が、会社経営したことない人が、いきなりそんなこと言ったって、多分、本当の経営者、中小企業の経営者は納得しないと思うんですよ。やはり、そういう実体験があるということが必要なんじゃないけれども、もっと優秀なというか、人材を地方に張りつけていくということが必要ではないかなというふうに思います。

 今回の法案で、合併の問題がなっているわけですが、まず、合併についてやはり懸念されることとして、補助金の削減というのがあると思うんですよね。今、三位一体の中で地方財政はますます厳しくなっているわけですが、そうなると、絶対そういったところにしわ寄せがいくのが明らかなので、当然、大変心配するわけですけれども、今の会議所なり商工会に対する補助金の目的なり中身を確認するとともに、削減の心配があるのかないのか、その辺をお答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 商工会、商工会議所に行っております補助金の中心は、小規模事業者の支援事業を円滑に行うというための必要な資金を、主に都道府県から補助金として助成をしているということでございます。

 このため、国としては、都道府県の商工会等に対する助成に対して、必要な地方交付税措置などを講じておりますと同時に、都道府県に対して、商工会等が商工業者のニーズに即してきめ細かな質の高い事業を実施できるような十分な配慮を行うよう要請をしているところでございます。

 特に、今回の合併の促進によりまして、逆に、経営指導員の数が減少するとか、そういう御懸念をおっしゃる方がおられますけれども、そういった商工会等の事業活動の弱体化を招くというような、ある意味では本末転倒のようなことが起こらないように、都道府県に対して強く適切な措置をとるように要請をしているところでございます。

 ただ、現に、平成十三年の商工会法改正で合併が一部進んだわけでございますけれども、その結果を見てみますと、これは各商工会当たりの経営指導員が増加をした。各商工会当たりでは増加するわけですけれども、それに伴いまして、個別の企業に対する巡回指導の回数が増加したとか、あるいは、合併によって財源的な余裕ができたことから、弁護士さんなどによる専門相談事業を新たに実施したとか、そういう多様なニーズに対応した前向きの動きも起こっておりますので、こういったことを私どもとしても積極的にお伝えいたしまして、この合併が小規模事業の前向きな展開に役立つようにしたいというふうに考えているところでございます。

梶原委員 ぜひ、そうあっていただきたいと思います。

 もう一つ、合併の問題について、飛び地の問題、商工会の飛び地というのがありまして、初め、私は何のことかよくわからなかったんですよね。何で商工会に飛び地ができるのかなというふうに思いましたら、もう改めて言うまでもないんですが、もうサンドイッチみたいなもので、中のカツの部分の大きな市があって、両サイドのパンのところに商工会があって、それが合併する、こういうことなんですけれども、町村合併によって、一つの自治体の中に商工会議所と商工会というのが併存するという形になります。

 そうなると、今、商工会の会員の中にも、二千人、三千人を抱える大企業と言っていいんでしょうか、例えば地域の大きな企業が商工会の会員であって、一方で、支部に一人の、もちろんこれは人数ではありませんけれども、本当に、例えばクリーニング屋さんとか、そういった小さな事業者が商工会議所の会員になっているわけでありまして、それが一つの市の中で今までどおり商工会議所と商工会。

 それでまた、同一地域の中であっても、旧商工会のエリアの方は商工会議所に入れない、支部の商工会議所の会員は商工会には入れない。経済活動をしていく中で、今、そんな地域の行政区画なんというのは全く意味がないわけで、何でこんなナンセンスなことになっているのかなということを思うわけですが、それについてはいかがでしょうか。

望月政府参考人 先生よく御存じの、商工会議所、商工会、それぞれ地区内における商工業の総合的な改善発達を図るということで発足いたしておりますし、これまで、基本的には、市町村の行政区域とそれぞれの組織が一致するようなことを原則としておりました。

 ただ、問題は、今回の大規模な市町村合併は、地方自治体の行財政基盤の強化とか、あるいは高齢者問題などの社会的問題への広域的な対応等々の観点から進められている部分があるわけでございまして、このため、市町村の区域と経済圏が一致しないということが起こってきているわけでございます。

 したがって、例えば同一市町村内に都市部の性格を持つような部分と町村部の性格を持つような部分があって、それぞれの商工業の実態が違うところが同一市町村内に併存するというような形のものも出てきているわけでございます。

 したがって、そういうような場合には、地区の特例を認めて、その商工会議所、商工会が飛び地であったとしても合併するというようなことがあってもよろしいのではないかということで、今回、むしろその自由度を増す、商工会議所、商工会の組織結成においてその自由度を増すというような一種の規制緩和の観点から、そういう飛び地のものも認めていきたいということでございますので、官の側から、これとこれは合併しなきゃいけないとか、そういうある種の思想を出したわけではないということだけは御理解いただきたいと思います。

梶原委員 確かに、今の御説明で、そういう地域もあるかもしれない、行政区画と経済圏が違うというのがあるかもしれないんで、僕は常識的に考えたらほとんどないんだろうと思うんです。そうじゃないんだろうと思うんです、今の説明では。

 特に、商工会なんというのは、商業的な部分がウエートが大きくて、商店街の延長みたいな部分というのが多分にあるわけですよね。ですから、より地域性、真ん中に大きな市があって、東西に分かれて、極端な話、三十キロも四十キロも離れた地域が商工会として合併するわけですよ。そうですよね。ですから、どうも今の御説明ではよくわからない。

 僕は、もちろん、嫌がっているところを無理やり合併するとかなんとか言っているわけじゃないんですよ。そうじゃなくて、ただ、方向性とすれば、やはり基盤を強化していかなくちゃいけないということであれば、そんなおかしなことじゃなくて、商工会議所とも商工会とも合併できると、そんな何で飛び地みたいなナンセンスな形になってくるんだというところが僕は疑問なんですよね。

 もう一度、ちょっとお聞かせ願えますか。

中川国務大臣 私も、一つの行政の中に一つの経済団体と言っていいんでしょうか、そういう商工会議所、商工会が一つになった方がいいんだろうと思います。

 ただ、私は北海道ですから、百年かそこらの歴史しかない歴史の浅い地域でございますけれども、全国を回ってみますと、本当に長い歴史のいろいろな、いい意味でも悪い意味でもそういうしがらみみたいなものがございますから、そこを乗り越えるのに、上からこうしなさいということはなかなか難しいんだろうと思います。

 そこで、日本商工会議所それから全国商工会連合会とが話し合いをして、ごく自然な形で、我々が経済合理性だけでやった方がいいんじゃないですかと言うにはなかなか難しい、先祖伝来のと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、いろいろなことがあるんだろうと思いますから、そこを一つ一つクリアすることをやっていけば、そのしがらみが取れれば、私は、きっとハッピーなことになるのではないかというふうに考えております。

梶原委員 私も、強引に合併するということを言っているわけじゃないんです。その目的は、強い商工会、商工会議所、闘う商工会議所をつくるということではないかなというふうに思うんですよね。

 今、地域の中で、特に地方においては、企業間、あるいは金融機関とか行政とか研究機関とか、いろいろなところが連携を保つということが必要であるし、その中で適正な競争がある、そういう状況をつくっていかなくちゃいけないんだと思っています。そういう意味で、僕は、何か会議所とか商工会という形にとらわれ過ぎてはいないかなというところがあります。

 むしろ、これから地方は農協と一緒にならなきゃいけないと僕は思っているんですよ。農協とかもっといろいろな団体とも一緒になって、本当に地域の特性をいかに生かすか、強みを生かすかということにもっとコミットしなくちゃいけないと思っているんです。そういう道をどんどん探っていかなきゃいけないんじゃないかなと僕は思っています。

 最後に申し上げたいんですけれども、強い商工会をつくるための人材の充実、もちろん補助金の問題もあります、強い商工会をつくらなくちゃいけないということでありますし、それから、先ほどの合併のことでいえば、もう将来的に、商工会議所と商工会の合併の道筋というのもつけていかなくちゃいけないのではないか。

 そのときに、よく想像されるのが、それはもう地方の個々でやってくださいというような話がよくあるのではないかと思うんですが、先ほど大臣がおっしゃられたように、個々の地域ということが入っていくと、もう人間関係とか人事とか縄張り争いとか、そんなことでいつも四苦八苦するわけです。

 実は、私どもも今ちょうど合併の話がありまして、四商工会の合併を十一月にすることにようやくなりました。四つの商工会が一つになるだけでも四苦八苦。町村合併から五年たって、やっとできます。

 そういうことなんで、僕は、合併するとすれば、やはり中央団体において時間をかけて協議していく、そういう形で進めていかないと、もちろん地方ではできますよみたいなことを幾ら言っていても、僕はできないのではないかなというふうに思っておりますので、そのことを申し上げて、質問を終わります。

塩谷委員長代理 次に、樽井良和君。

樽井委員 民主党の樽井良和です。

 春の陽気、桜も満開、そしてまた景気もだんだんと明るい兆しが見えてきたという、本当にちょっと明るい兆しが見えてきた中ですが、やはり中小企業、殊に小企業、零細企業、先ほども委員が言っていましたが、商店街あるいは地方の景気のことになりますと、まだまだ、何となく雰囲気はするんですけれども、それを実感できるところにはいっていない。ちょうど、ウナギでいいますと、ずっと何となくにおいはするんだけれどもまだかば焼きを食わせてもらっていないというのが現状のところだと思います。早く地方そして細部にまでちゃんとウナギを食わせて活力をつけていく、こういったことが大事だと思います。

 この日本の経済を語ります場合に、ちょっとみのもんたさんみたいな話をしますと、やはり体の活力をごんと上げるには、血がどんどんと体を回っていかないといけないわけです、どくどくと。それと同じように、お金が日本をどくどくと回っていないと、暗くなってきて景気が悪くなってくる。それとともに、もう一つ大事なのが新陳代謝なんですよね。なかなか今の日本は、新しい子供、いわゆる赤ちゃんが生まれてこない。そして、廃業率の方が起業率より多かったりして、新しい会社というものが次から次へ生まれてこない。だからなかなか活力というものがどんと前に打ち出してこないんだ、そういうふうに実感しております。

 そんな中で、大臣に質問なんですが、今回の中小ベンチャーファンド法の改正で、投資対象を緩和して、中堅企業、大企業への融資に資金供給というものもできるようになります。こういったところにもし重点を移して、起業やベンチャーキャピタルへの資金流用というものをちょっと減らすということになるんでしょうか、その辺、ぜひお聞かせください。

中川国務大臣 基本的には、とにかく前向きな企業を支援しようということでございまして、もちろん、その象徴がいわゆるベンチャーであることは言うまでもありませんけれども、例えば、企業に対しての融資という、はっきり言うと、今までの産業金融のやり方を変えちゃおうというのが私自身の根っこにあるわけで、間接金融から直接金融へとか、あるいは企業に対しての貸し付けからプロジェクトファイナンスに特化するとか、そういう中でよりきめ細かい資金調達手段としてやっているわけでございます。

 もちろん、今度の有限責任組合法の出資、出資に基づく融資というのは、主に中小企業、ベンチャーではありますけれども、御指摘のとおり、中堅あるいは大企業にも考えておりますが、だれでも彼でも、何か日本のトップランナーに対して融資ができるかというと、そうじゃないことはもう委員御承知のとおりで、法律上の要件というものがあるわけでございますから、そういう意味で、とにかくオール・ジャパンで元気になるところをみんなで応援しようという趣旨でございます。

樽井委員 ありがとうございます。

 私がちょっと強調したかったのは、いわゆる中堅企業、大企業をまた救ってやろう、今ちょっと業績が落ちているところを救ってやろうというのも大事なんですけれども、起業あるいはベンチャーというものは、言葉は物すごく問題がありますが、最高に平等で、しかも効果的なばらまきだと思っているんです。

 新しい会社を立ち上げるということは、最初に印鑑を買います、はい印鑑屋、そして不動産で事務所を借りる、不動産屋、そして名刺をつくろう、宣伝しようとしたら印刷会社、電話も引くから例えばNTTやKDDI、またOA機器から文具を買ったりして、さらには自社の車を用意したり看板をつけたりして、いろいろなところに満遍なくお金を落としていくという、それが起業することによっての一つの経済効果だと思うんです。一カ所にどんとお金を落とすんじゃなくて、いろいろなところに落としていく。

 さらには、そういった新しい会社というのは何か斬新なものを持っておりますから、当然、例えば看板を注文するときでも、何か今までとは一風変わったデザインのものを注文したりして、またさらに文化レベル、あるいは一つの会社のいろいろな新しいチャレンジに対して日本を挙げてぐっと前へ前へ押し上げていこうという、そういったエネルギーがあるわけです。

 しかも、起業して経営していくという中で責任あるリーダーを教育するという、そういった教育効果においてもかなり力を発揮する。そして、雇用効果においても、当然若者をたくさん雇用してチャレンジするわけですから、そういった部分においてはすばらしくあり、そして、ベンチャーで全く今までになかった業種が生まれることによってさらに日本もまた新陳代謝して次の世代へ一歩踏み出そうという、そういった積極的な部分があるものですから、何としてもそういった部分には資金をさらにさらに投入して日本を活性化していただきたい、そういうふうな意見を持っておりますので、ぜひよろしくお願いします。

 それと、今回のでベンチャー企業へ出資じゃなしに融資もできるようになるんだということなんですが、大概、自分で経験しましても、いろいろな試算表をつくって最初に会社を立ち上げても、それこそ予期しない費用がかかったりして、結局は、もうちょっと足らないから貸してくださいということが出てくる。

 そういった中で、これは大事なことだと思うんですが、ベンチャーというのはやはり、例えば百社ありますともう九割方つぶれちゃうようなぐらいの、そんなものがベンチャーでありまして、融資と違う部分でいえば、百社に例えばずっと一億円ずつ貸し付けていけば、金利の差額で三%ぐらい利益があるとすれば、三社か四社つぶれてしまったら融資の場合は成り立たないわけです。ベンチャーの場合は、一社に例えば一億円ずつ預けていって、もう九割方だめでも、例えばその中の一社が、その株が例えば千億円ぐらいになったら全部をカバーしてもうかる、そういったのがベンチャーの流れでありますので、何かそういう部分において、ベンチャーに融資をするというのは余り投資としてはおもしろくないといいますか、もうからない話でありまして、ベンチャーの場合では、要するに出資しないと余り利益が得られないわけであります。

 そんな中で、三つまとめてお伺いしようと思うんですが、むしろベンチャーに対しては、融資ではなく増資するということにおいてちょっとお金を投入していったらいいんじゃないか。

 それとともに、ベンチャーへ融資するとしたら、初期の段階で試算はしていたけれどもちょっと足らなかったという段階がありますから、例えば日数、創立してから何日以内だったら融資を可能にしますという、そういった期限を設けるべきじゃないかと思うんです。

 それとともに、さらには、先ほどからも言っておりますが、国を挙げてベンチャーファンドにおいては投入していかなければならないと思うんですね。ここから先の国の資金とかを見ますと、本当に資金不足が心配されます。そんな中で、国を挙げてもっともうけをする、国の収入をふやすことによって財政を立て直していこうという姿勢もなければ、増税しなければ賄えないので、国を挙げてどんとベンチャーに対して出資していく、そういった方向性もぜひ考えていただきたいんですが、その辺の見解はいかがでしょうか。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃいますように、ベンチャーへの資金供給というのは、いろいろな意味でリスクの高い企業への資金供給でございますから、やはり出資というのがベースだと思っております。

 ただ、あわせて同時に、いろいろな資金ニーズが発生をするわけでございますので、多様な資金の供給のやり方も確保するということもあわせて大事ではないかと思います。こういった観点から、今回、ベンチャー企業への融資につきましても有限組合の対象にするというような法改正を御提案させていただいたわけでございます。したがいまして、むしろ、出資というものをベースにしながら、融資というものをうまく組み合わせて、ベンチャー企業の成長を促していくというような効果を私どもは期待をしているというところでございます。

 それから次に、ベンチャー企業への融資について、例えば期限の制限を設けるなどを考えたらどうかというようなお話でございました。

 私ども、ベンチャー企業への資金の供給というのは、なるべくそのベンチャーの実態あるいはニーズに応じてフレキシブルに、あるいは機動的に対応するということが大事ではないかと思っています。そういう意味では、ある場合には短期のつなぎ融資が欲しいという場合もあるでしょうし、ある場合にはもう一歩発展するための設備資金というものが必要な場合もあるでしょうし、あるいは大きな経営革新に踏み込みたいというような場合もあるでしょうし、さまざまな段階あるいはニーズがあると思いますので、その点はむしろいろいろフレキシブルに対応できるというようにすることが大事ではないかというふうに思っております。

 それから、国が積極的に関与すべきではないかという御指摘でございました。

 もちろん、ベンチャーへの投資というのは、釈迦に説法になりますけれども、民間の活力あるいは知恵あるいは工夫ということがベースで行われるべき事業活動であると思いますので、民間主体が基本だとは思いますけれども、やはりその呼び水といったようなことで、民間の投資資金をファンドに呼び込むというようなことも大事だと思っております。そういった意味で、例えば中小企業事業団によりますベンチャーファンドに対する出資制度というようなものをつくっているわけでございますが、そういったものも積極的に活用していくということも大事なことではないかというふうに思っております。

樽井委員 ベンチャーというのは、融資をするにおいては、個々に融資をしたら本当に怖いんですが、先ほどからも私、言っておりますように、投資として考えた場合、ポートフォリオ的に、例えば百社ぐらいにまとめて一億円ずつ投資する場合に、みんなから集めて、百億円を投資して、全体量でもうかったお金に関して、投資効果でいえば、物すごく高い効果が得られる、そういうふうに考えておりますので、そういったことにおいては国も全力で投入して、そういったことから上げた収益も財源にし、そしてさらには、そこで興った事業をさらに広げることによってもう一回日本の再生を図っていくということ、これは非常に大事な意味を持っていると私は思っております。

 そして、総和において、ベンチャーや企業の方が、普通の例えば企業とかあるいは会社よりも大きな効果があるんだというのは、やってみればわかるんですけれども、エネルギーの総和が違うんですね。例えば、普通にある組織に所属しておりますと、自分が意見を言う、言い出しっぺだからそれをやらされる、やらされて失敗したら怒られるだけであって、全くそれをやらなかった方がよかったとか、そんなこともあるわけです。

 こういった自分においての起業であるとか、ベンチャーというのは夢がありますから、そして、もうかれば自分のもの、損すれば当然自分が痛い目に遭うんだ、こういった中において、人間や組織体というのは物すごくエネルギーを発揮するんです。実際に、例えば議員の皆さんはわかると思いますけれども、自分の選挙だったら足を棒にしてでも歩くんですよ。

 そういう中において、人の動くエネルギーの総量、そういったものがどんと変わってくるから、こういったことにどんどん力を入れて、ポートフォリオ的にお金をちゃんと投資してあげていくやり方をさらに広げていって、数々のそういった起業あるいは起業家、こういったものが生まれてくる世の中、こういったものを国を挙げてこうやっていきたい、そういうことを意見として申し上げておきます。

 そして、例えばベンチャーでいうと、何回も言いますけれども、半歩進めば意外と、会社とか事業というのは割ともうかるんです、一人で半歩ぐらいだと。それが、斬新過ぎてどんと一歩行っちゃうと、なかなかきつくてもうからないということが、斬新であり過ぎるがゆえになかなか利益が上がらないということが実際にありまして、そんな中でどんどんと資金的に苦しくなって倒産してしまったとか、そういったことがたくさんあるわけですけれども、そういったときに、だめだったら、つぶれるのは当然なんですが、そういった倒産した会社であるとか、あるいはチャレンジした個人に対して、再度挑戦できるような、あるいは、倒産した事業者に対してどのような救済措置をとっているのか、お教えください。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃられますように、我が国経済の活性化のためには、事業に失敗した中小企業経営者が再チャレンジできるというような環境を整備するということが非常に重要な課題であるということを認識いたしております。

 したがいまして、政府としては、今通常国会に破産法改正法案を提出して、中小企業が倒産した場合などにおきまして破産者の手元に残る自由財産の金銭の額を、現行の二十一万円から九十九万円に引き上げるということといたすとともに、裁判所の決定によりまして自由財産の範囲の拡張を可能とするというようなことをすることといたしております。

 なお、経済産業省といたしましては、御指摘のような破産した経営者の再起についても、例えば政府系金融機関において、無担保無保証、本人保証もなしに、ビジネスプランの審査のみで融資する新創業融資制度などの対象とするなど、創業対策の一環として各種の支援を行っているところでございまして、来年度も引き続きこれらの支援制度の拡充に努めてまいりたいと思っているところでございます。

樽井委員 ありがとうございます。ぜひそういった対策も一つずつ打っていっていただきたいと思います。まず、失敗を恐れないこと、これが一つ前に進む一歩であるので、そういったことにも対処をぜひお願いしたいと思います。

 そういった中で、結局、今の補足になりますけれども、なかなか、今までチャレンジしていない人あるいは失敗もしていない人が、何もしていない人がばっと緊張感を持って、突然、さあやるぞというパターンというのは意外と少なくて、何度かチャレンジした人がまたやろうというパターンの方が多いわけですから、そういったことにおいてまた十分配慮していただけるように申し上げます。

 そして、さらにちょっと聞きたいんですが、例えば、こうやって、小さい会社がつぶれるというときは、言葉は悪いですが、見殺しにするときというのが結構多いんですけれども、例えば、ダイエーだと救おうとか、雪印だと救ってやろうという、そういうのがあると思うんです。そういった中で、例えばサティならつぶすんだけれども、ダイエーなら、じゃ、つぶさないんだという、そういった判断基準。つぶすときに、例えば、国がそういったつぶれかかった会社に対して救済措置を施す場合に、一体、どの企業を支援して、どの企業は救済して、どの企業はつぶすのかという、この判断基準にあるもの、あるいは、これは一体、国はどういった裁量でそういったことを実行しているのか、ぜひお教え願いたいんです。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問は、産業再生あるいは企業再生といったような施策の中で、どういった企業を支援するか、あるいはその対象にするかという基準といいますか、そういった御質問でございます。

 産業再生機構で申し上げますと、平成十五年の五月に支援基準というものが定められておりまして、そこには具体的に、企業が再生計画を終了するまでの三年間におきまして生産性がどれだけ向上するか、具体的に言いますと、自己資本利益率が二%ポイント向上するかどうかというような基準でございますが、あるいは財務内容がどれだけ健全化するかといったような数値基準に照らしまして、その基準に適合するかどうかということで支援の可否を判断するというふうになるものと承知をいたしております。

 それから、中小企業再生支援協議会の場合には、これは、中小企業、さまざまな形態がございます。したがいまして、むしろ地域の方々の総意で判断をするということが大事だと思っておりまして、経営者の方の再生の意欲でありますとか、あるいは事業の将来性でありますとか、あるいは関係者の調整の可能性でありますとか、そういったさまざまな要素を地域の方々が総合的に判断をして、みずからの地域の総意として判断をするというようなことが大事だと思っておりまして、現に、中小企業再生協議会の場合には、そういった格好での運用がなされているというふうに承知をいたしております。

樽井委員 ただ、経営者の立場からいたしますと、例えば、小さな企業を経営している会社の社長なんかにいたしますと、銀行なんかも含めて、そこが破綻しかかったら国が助けてやるんだ、自分たちのときはほったらかしだ、こういったところにちょっと不平等みたいなものを、規模的な問題もありますけれども、やはり感じずにはおれないという実情があるわけです。

 それとともに、経営者の立場からしても、もっと、採用だとかあるいはこういった地域の判断であるとか、漠然としたことよりも、例えば法律で、破綻しかかっている、借金がある場合、今まで国に納めた税金の何%を返却して会社を立て直すかわりに、例えば役員は解任になるとか、きちんとした法律がなければ、実際に倒れるときにおいても、倒れ方というものまである程度計算できる、そういった中に置かないと、ちょっと経営者もやりづらいところがあります。

 そのときの雰囲気であるとか、そういったことよりも、税金をもっと国に納めることによって必ずそういったメリットが生じるという部分も設けないと、法人税の増加にもつながらないし、ぜひもっとわかりやすい、救済措置においても、例えば何人以上の企業でこういう規模ならば、こういう場合はこれだけの救済金額がおりてくるんだというふうに、きちんとした何か法律なりそういったものがあれば、経営者としては本当に信頼できる、そういった中で全面に闘っていけるということになるんだと思います。

 そういったこともぜひ検討していただきたいんですけれども、ちょっとその辺についての見解はいかがですか。

望月政府参考人 先生のお話が、多分中小企業の話が中心になってきたと思いますので、再生支援協議会のことについてもうちょっと申し上げます。

 これは、むしろ再生支援協議会自身は、地域の有力者の皆様、あるいは専門家の皆様が、その経営者に対していろいろなアドバイスをしたり、あるいは銀行間の、メーンバンクとか関係金融機関の調整をしたりする、お世話をするということが中心でございまして、国自身が、常駐専門家の人について若干の人件費を出しているというのはもちろんございますけれども、何か直接お金を投資するとか、そういう話ではないものでございますので、基本的には地域の皆様方の総意ということでやっていくこと。

 それからもう一つは、その対応について区々と申し上げましたけれども、例えば、現に再生計画をつくりました企業の中でも、破綻懸念先と言われた人たちが三割ぐらい、あるいは要管理と言われた人たちが三割ぐらい、あるいはその他の方々が残り、こういうように状況が物すごく違うわけでございまして、それに対しての処方せんもそれぞれ違う。同じ破綻懸念先でも、事業が非常に回転しているからこれは再生させたいというようなことが起こるわけでございまして、これを何か一律の定量的な基準で、これは再生させるんだ、させないんだということを仕分けること自身は、大変難しい問題があると思います。

 したがいまして、むしろ、先ほど杉山局長の方からもお答えいたしましたように、経営者の意欲であるとか、関係者から見た再生可能性だとか、そういうことを地域の総意で判断するというのが一つの知恵というふうになっているわけでございます。

樽井委員 再生、そして新しい企業の誕生、こういったものにも強くこれからいろいろな政策を打ち出して、さらには日本の復活に向けて頑張っていっていただきたい、そう思います。

 それで、こういった例えば今回のファンド法の改正等もそうなんですが、経済は生き物でありますし、最近は特に情報化時代なので、物すごく流れが速いんです。それに対して、なかなか対処が後手後手に回っているような気がしてしようがないんですね。

 こういった中で、例えば、今回の中小ベンチャーファンド法の改正におきますと、このシステム自体の改革というのはどういった構図でつくっていくのか。特定の利害者とかあるいは業界団体だけではなくて、画期的なファンドをつくるために幅広い、十分な意見を酌み取って、迅速に対応しているのかどうか。

 例えば、行革を推進していく中で、一つのビジョンは国が出すとしても、斬新なファンドをつくるために、要するに、いろいろな民間の会社にそのファンドのアイデアを提案させて競わせるとか、そういったことも方向性としてやっていくべきじゃないかと思うんですが、そういった部分においても、今後のそういった政策運営に関して、大臣にちょっと所信を伺いたいんです。

坂本副大臣 ベンチャーファンド、企業再生ファンド、地域中小企業再生ファンドなどファンドを運用する方々、それから中小企業のユーザー、さらには専門弁護士など、幅広い関係者の意見を十分踏まえて改正案を取りまとめてまいりました。

 また、我が国において、ファンドの活動について脚光を浴びたのは、ここ数年のことなんですね。したがって、今回の改正は、時宜にかなった改正案であると考えております。

 また、先生御指摘のように、経済制度につきまして、後手後手に回ることなく機動的に改正していくためには、特定の利害関係者のみならず、幅広い関係者の英知を結集して改正案を練り、速やかに実行する、こうした姿勢や取り組み体制が重要であります。

 したがって、経済産業省としては、生きた経済の実態やニーズについて幅広い関係者の方々から意見を十分に聞いた上で、制度改革に取り組んでまいります。その際、私としては、経済環境が激しく変化する中、ニーズの先取り、スピード感ある対応といった基本姿勢を特に重視して取り組んでまいりたいと考えております。

樽井委員 こういった取り組み、特に対応に対するスピード、これは、いろいろな面でこれから先命にかかわる、あるいは、そういう経済の復興においても、ここ一番でばっとこれができるということが実は大事だ。ちょっとおくれたことによってとんでもないことになってしまったということは、ここから先どんどんと起こり得ることですので、こういったスピードであるとかあるいは的確さにおいて、迅速な判断そして的確な行政ができるように、ぜひ皆さん全力で、力を合わせて日本を立て直していきたい、そういうふうに思っております。

 それで、ちょっとだけ時間があるので言うと、実際に日本というのは、焼け野原の跡からぐっと復活してきた、強い、そういった力のある民族の国であると私は思っております。最近、そういった面がなかなか見られないなと思っていたんですが、例えば、阪神大震災でばっと災害に遭っても、その復興のスピードというのは本当にすばらしいものを持っているわけであります。

 ですから、目標さえちゃんとあれば、それを達成するエネルギーというものは物すごいものを持っているわけですから、例えば国が、こういった世の中をつくるんだ、こういった世の中にしていくんだというきちんとしたビジョンを出してやれば、それに向かって、いろいろな起業家であるとかあるいは会社も突き進んでいく、そういった中で大きな日本ができるわけです。

 現在というのをちょうど考えた場合に、いろいろ不景気だ何だと言っておりましたが、昔から見たら本当に夢のような時代なんです。ずっとのろしを上げていた人が例えば携帯電話を見たら、びっくりするでしょう。そういった昔から見れば夢のような時代であるんですから、ちょうど先は今から見たらとんでもない夢のような時代になるんだという、このきちんとした未来へ、そこへ上っていくだけのビジョンを国を挙げてつくって、そしてそういったものを目指す新しい起業家や若者がいれば国を挙げて応援しようじゃないか、そして何度でもチャレンジできる世の中をつくっていこう。そういった面で、ぜひ今後とも、皆さん一丸となって、日本の再生に向けて全力で力を尽くしていただきたい、そういうことを訴えまして、この質問にかえさせていただきます。

 大臣、そうしたらちょっと最後に一言だけお願いします。

中川国務大臣 いろいろなベンチャー支援というのは、さっきから申し上げているように、やはりリスクが伴うということも同じように認識をしながらやっていかないと、何かとてもハッピーな、いいことばかりということではないんだろうと思います。

 そういう中で、日本は何といっても技術立国、知恵で生きていかなければいけない国ですから、人づくりということになると思いますけれども、そういう中で、今委員御指摘のように、一生懸命、やりたい、やる気がある、もうだれでもかれでも、何でもいいから無担保無保証でお金を貸しましょうというのは、ちょっとこれは、出どころのお金が公的なお金である以上はなかなか難しいと思いますけれども、しかし、よりインセンティブを与えるという意味で、国としても最大限の努力をする必要はあるというふうに思っております。

樽井委員 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

塩谷委員長代理 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。

 私は、前回の質問に引き続きまして、中小企業金融公庫法改正案に関連しました中小企業金融、さらには産業金融を取り巻く環境整備について、経済産業省の見解を質していきたいと思っております。

 金融の目詰まり感が指摘されているわけですが、これはまさに人間の体でいえば血管障害であるということだと思っております。今回の中小企業金融公庫法改正により、無担保融資を証券化の形にすることで融資の道を広げるということは、一つの治療手段であると考えております。ただ、政府の出されているこの説明資料には、「無担保・第三者保証人なし等の貸出等を促進するため、」と書いているわけですが、この「等」の字には気をつけろと前から思っておるわけでありますけれども、これはそのまま素直に読みますと、無担保、第三者保証人なしの融資という形に受けとめてしまうわけであります。

 そこで、最初に確認したいわけでありますけれども、保証人を求める、本人保証を求めるというのは、ある意味で、事業に対して責任を負うということでは確かに一定の意味はあるとは思うわけですけれども、しかし、本来の道筋からいけば、やはり事業の危険度合いをきっちり判断して、そして今回はどうなるかあれですが、それに見合った金利を取るというのが本来の融資のあるべき姿であって、本人保証というのはあくまで補完的な手段だと思うわけですね。

 とりわけ政府系金融機関というのは、民間金融ができないことを一歩、二歩先を進んで、ある意味では新しい形態を提案する役割があるわけでありますから、このたびの新しい制度において第三者保証人なしというのは、本人保証を排除するものなのかどうなのか。さらには、さきの審議にもありましたけれども、ほかの融資制度において本人保証制度というのをできるだけ外して、さらにはその上で金利の部分で検討するということが本来の金融のあるべき姿だと私は思うわけですが、まず、中小企業庁長官、いかがでしょうか。

望月政府参考人 今回の中小公庫の証券化支援業務では、先生おっしゃいましたように、無担保、第三者保証人なしの貸付債権を対象とすることをまず基本として想定しております。また、これに加えまして、本人保証もない貸付債権というものも制度上の対象というふうには考えてございます。

 私どもといたしましては、投資家が経営者本人の保証がない貸付債権をどのように評価するかなどの点も踏まえまして、無担保、第三者保証なしに加えまして、本人保証なしの貸付債権の証券化について、十分に検討をして評価をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、おっしゃいましたように、お尋ねの経営者などの本人保証についての政府系金融機関の融資制度でございますけれども、本年の四月から、明日からですか、中小公庫及び商工中金の創業・新事業向け融資制度におきまして、財務制限条項の締結あるいは若干の金利の上乗せなどによりまして、経営者本人の個人保証を免除する制度というものを創設することといたしております。

 私どもといたしましては、今後とも、政府系金融機関を活用して、担保や保証人に依存しない融資を促すということによって、引き続き中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 そこで、保証人制度、保証制度について突っ込んで話を伺っていきたいと思っておるわけであります。

 同僚の計屋議員も聞いた点でありますが、さらに踏み込んで伺っていきたいと思っておるわけでありますが、民間銀行の融資の場合、御存じのとおり、まさに、資料によっても、百人以下の企業は八割を超える人的保証を提供している、これが実態であります。幾ら政府系金融機関が道を広げても、民間の世界ではやはり人的保証が中核を占めているというわけでありますが、これは米国も同じように人的保証はとっているという指摘もあるわけですけれども、しかし、この中身が日本とアメリカでは随分違うのではないか。すなわち、包括根保証に代表されるように、無期限、無制限の保証を求められている、これは世界に類を見ないあしき商慣行だと私は思っております。

 御存じのとおり、現在の制度がそのまま続くと、気がつかないときに、本人も認識していないのにある日突然巨額の債務を、百万円保証したつもりだったのが五千万円になった、一億円になったということで、悲劇が全国各地で繰り返されていく。ここにメスを入れなければいけないというわけであります。

 そういう観点から、我が民主党は、既に前回の国会において、この経済産業委員会においても同僚の中津川議員が中心となって、中小企業に対する銀行等の資金貸し付けの適正な運営を確保する法律案というのを出させていただいている。この法律案の中で既に、包括根保証に制限を設けるべきではないかということをこの委員会でも提案させていただいているわけであります。

 ようやく政府の方も、二十九日ですか、法制審の作業部会でよろしいんでしょうか、保証部会を開かれてこの問題に踏み出したということでありますが、このレジュメを見ると、保証限度額を定めるべきではないか、期間を制限すべきではないか、各種の論点を、中津川議員の、我々民主党が出した法案に沿った形で政府もようやく踏み出していただいた。

 これは多とするわけでありますが、これから審議が始まる、審議会の議論が始まるということでありますけれども、これは法務省が所管というものの、産業金融に与える影響が極めて大きいわけでありますから、ぜひ大臣に、経済産業省として産業金融さらには個人金融を再構築する立場から、この審議会に臨む考え方を、恐らく秋の臨時国会には法案が提出されるのではないかと期待をしておりますが、その考え方を伺いたいと思っております。

中川国務大臣 今、近藤委員がおっしゃるとおり、日本は会社をつぶしたら何となく社会的に物すごく肩身の狭い思いをするという社会でございますが、それではだめだ。あの欧米でも、何度も頑張って復活して、そしてまただめになり、また復活する。そういう、たった一回だけの勝負じゃないと思うんですね、別に命をかけてやっているわけじゃないですから、有限責任の中で株式会社をつくって企業を起こそうという話ですから。そういう意味で、御承知のとおり、今自由財産の二十一万ですか、それから九十九万にするとか、よりスピードを持って復活できるような体制にしていきたい。

 あるいは、包括根保証制度という、多分日本だけでしょう、こういう包括根保証、わけのわからないうちに何千万も、ひょっとしたら何億も保証をしてしまうような制度。これは、世界的な基準からいってもという以前に、近藤委員がおっしゃったように、商慣習としても世界に伍していく上でやはりおかしいと思いますので、秋の臨時国会になるかもしれませんけれども、できるだけ早く、スピード感を持って、極端に言えば、だめなものはさっさとだめにしてまた復活できる、身ぎれいにして復活できるというような体制にしていくことが今求められている法制度だろうというふうに思っております。

近藤(洋)委員 破産法の改正についても大臣御言及されましたので、あえてその点について申し上げたいと思います。

 大臣、「マネーの虎」という番組は御存じないかもしれませんが、民放番組なんですけれども、最近なかなか、どれだけ視聴率あるかわかりません、ゴールデンタイムにやる番組なんですが、あの番組に、破産をした方とかが新しい事業を求めて投資家に説明をするというテレビ番組があります。あれを見ますと、大体再チャレンジするお金というのは五百万円とか、場合によっては一千万円とかの出資を仰ぐんですね。

 破産法の今回改正は、政令で決めるんでしょうか、九十九万円、最低の自由財産。これ、二十一万円というのは全くお話にならないわけでありますが、さりとて九十九万円というのも、これは、再チャレンジにしてはややというか、かなり心もとないのではないか。

 アメリカの、すべていいとは言いませんけれども、アメリカは、州法によってはかなりの部分を再チャレンジする財産として確保するというケースもたくさんあるわけでありまして、九十九万円で再チャレンジというのは、世の中の常識からはちょっと低い水準ではないかと考えております。それはそれぞれの事案によるわけでありますが、無論裁判所が判断するということもあるのでしょうけれども、しかしながら、最低でも数百万円規模のものがなければとても事業を再チャレンジすることはできないということ、この点は指摘をさせていただきたいと思っております。

 これから法案が改正され、政令等になるんでしょうか、それにおいて政府部内でぜひこの部分を直さないと、せっかく法改正をしても実効性がないということを指摘だけさせていただきたいと思います。

 続きまして、まさに目詰まり感をなくす、血管障害をなくすという今回の一連の法改正なわけでありますけれども、一方で、実は金融に大変影響を与える国際交渉が進んでおります。御存じのとおりの、国際決済銀行のバーゼル委員会で行われているBIS規制、自己資本比率規制であります。

 八八年の七月にBIS規制が導入されて、国際業務を行う銀行に対して自己資本の比率を一定水準確保せよという、これは一種の紳士協定でありますが、これが二〇〇六年から新たに導入されるということであります。

 BIS規制をあえてこの委員会で伺うというのは、まさにバブル崩壊から金融破綻を過ぎて今に至るまで金融機関の行動を規定してきた、融資活動も規定してきた最も大事なルールであるからあえて聞くわけです。現段階でも既に一定の方向感は固まりつつあるというふうに伺っておりますけれども、この新しいBIS規制が導入された場合、金融機関に、とりわけ国内の金融機関に現行と同じような仕組みで適用された場合、仕組みというのは、八%に対して国内基準行という一定の四%という意味でありますが、適用された場合どのような影響を与えるのか、まず当局の金融庁にお伺いしたいと思います。

西原政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、現在、新BIS規制ということで、その基準の見直しが行われております。

 それで、現在のところまだ作業中で、ことしの半ばくらいに最終案が公表されるというような運びになろうかと思いますが、そういった中で、自己資本比率規制が現在と同じような形で行われた場合どうなのかという御指摘でございます。

 先生御指摘のとおり、この規制があると融資においても制限的に働くではないかというような御指摘もあるわけですが、一方で、この自己資本比率規制と申しますのは、やはり金融機関の健全性の維持、これは非常に欠かせないことであるというふうに思っております。すなわち、信用秩序の維持、それから預金者保護、これを図るためには、やはり金融機関の経営の健全性、これをしっかり見ていかなければいけないという点がございます。

 ただ一方で、もう一つ、先ほど御指摘のとおり、融資活動を行う、その場合にはリスクをとって資金供給を行う、こういうことでございますが、そのリスクをとる際に、もし何かのことで本当のリスクが顕在化してしまった、すなわち倒れてしまったというときには、それを負担する能力というのが必要です。それがまさに自己資本の役割でございます。したがいまして、そのリスクバッファーとしての自己資本というのは非常に大事なもの、そういう面でも、融資活動を本当に円滑に行っていくためにも、実はこの自己資本というのは非常に大事なものであるというふうに認識をしております。

 それで、現在BIS基準でいろいろ議論されておりますのは国際基準行でございますけれども、ただ、国内基準行におきましても、いわゆるリスクバッファーとしてリスクテークができる体力を持つということは、同じように金融機関として必要でございます。それと同時に、やはり預金を預かる、広く預金を預かっている、預金者保護という観点でも、同様に国内基準行においてもやはり重要なルールでございます。

 そういった観点では、この自己資本の重要性という面では、やはり何らかの形での、どういうふうな基準にするかというのは、今の検討を踏まえた形で今後検討していくという必要があろうかと思います。

 そこで、仮にそのまま四%だった場合にどういう影響が出るのか、こういう御指摘でございましたが、現在BIS規制で見直しが行われておりますのは、分子、分母の中で分母の方でございます、リスクアセット。そのアセット、それはどういうふうに評価するかという点につきまして、計測方法を実は精緻化するという作業を今やっております。

 そういった中で、このリスクアセットを精緻化する作業の中で、一つは、不良債権のようなものについてはリスクウエートを高める、すなわちリスクとして高く認識する、一方で、不良債権でないものについては、いいものについては今度は逆に優良な企業についてはリスクアセットを低く評価する、そういうような作業が行われておりますし、もう一つは、小口分散化する、リスクを分散するという意味で、中小企業ですとかあるいは個人、これの貸し出しについてはリスク分散が図れるだろうということで、実はリスクウエートを下げようというようなことも現在行っております。

 したがって、そういうようなことで精緻化が行われるわけですが、実際のところ、それぞれ現在の銀行の状況に応じて影響度合いが変わってまいります。そういうことで、なかなかどこの銀行がどうなるかということまでは言えないわけですが、平均的な自己資本の負担水準については重くも軽くもしない、こういうようなことがバーゼル委員会でもうたわれておりますので、基本的にはそういうことなのかな、影響度はそういうことかなというふうに思っております。

近藤(洋)委員 プラスでもマイナスでもないということであるわけですね。しかし、だから放置していいという問題ではないと思っているんですね。

 そもそも自己資本比率規制、金融機関の自己資本を定めたこのBIS規制というのは何なのか、産業金融をもう一回再生させるために今まさに新しい基準が策定されている今だからこそ、もう一回問いただす必要があると思っております。

 そもそも、このBISというのは、アメリカの銀行が中南米に焦げつきをつくったということが成り立ちだった、きっかけになったと聞いているわけでありますが、まさにこの事件が示すように、国際取引を行う銀行に対して、一定の基準がなければ国際取引の不安を招きますよということを防止するための紳士協定なわけです。

 したがって、国際取引を行う銀行に対してはこういった規制をつくることは私は必要だろうと思っておるわけでありますけれども、しかし、国内の銀行に果たしてどういう規制が必要なのか。これは、信用秩序や預金を保護するという観点から、一定の基準は確かに必要でしょう。これは否定しません。しかしながら、BIS規制で八%なのが、なぜ国内だったら四%でなければならないのか、なぜ三%でいけないのか、なぜもっと、場合によっては五%に引き上げなきゃいけないのか、この辺の議論は非常に粗いと思うんですね。ぜひ、そこについて大臣の御意見、お考えを、適当かどうか、この妥当性について見解をお伺いしたいと思うんですが、よろしくお願いします。

中川国務大臣 これは近藤委員の方が多分お詳しいんだろうと思うんですけれども、私も銀行にいましたので、国際決済銀行の一つの海外取引をする上での信用の目安として八%、国内として四%ということですけれども、八があっても、じゃ安心かというと、そうでもなかったんですね、日本の金融機関の場合。今から何年前でしょうか、この季節になると、ジャパン・プレミアムとかいって、ドルを調達するのに高い金利で必死になってライバルからお金を引っ張ってくるなんていうのはつい数年前まであったわけで、ことしはそういうことがないまま終わったようですけれども。

 ですから、そういう意味で、今、近藤委員おっしゃったように、きちっと国際基準、一つのこれはデファクトの世界ですから、みんなが守ろうよと言ったら、それできちっとやらなきゃいけないとは思いますけれども、国内についての、外国決済と関係のない、つまり、為替の世界と関係のない、あるいは外国の通貨と関係のない世界との間での国内取引においては、単に四とか五とか三とか二とか六とかということを、一度考えてみる必要があるのかもしれません。

 私は、近藤委員の御指摘は、ある意味では一つの問題提起として評価したいと思っております。

近藤(洋)委員 まさにこの基準の問題、これは、実は、条約でもなければ法律でもなければ、何と、政令でもなければ、金融庁の告示で決まるというんですね。これだけ非常に大きな問題が、何と政令以下の告示で決められてしまう。四%とどんと切っている。まさにこれから議論される話ですから、ここは大臣、ぜひ政府内で議論するべき問題だと思うんですね。

 金融庁悪玉論というのは、私もある意味では賛成しますが、しかし、ある意味で間違っているとも思うんですね。金融庁というのは、しょせんは会社にたとえれば経理部門ですよ。経済産業省は営業部門であり、製造部門なんですね。経理部門が大きな顔をしていたら、それはどう見ても会社はだめなんです。

 今の日本の状態は、まさに経理部門が大きな顔をしているからおかしくなるのであって、ここは、経済産業省は経済の現場に強い部隊ですから、頑張ってというか、きっちり意見を言うべきだと思うんですね。逆に、金融庁に責任を負わせるということは、不作為の罪、なさざる罪をここは問われると思うんです。

 七月あたり、この年央にBIS基準が新しく決まる。国際ルールは、私はいいです。ただ、国内基準について、これから一年間ぐらいかけて議論がされるわけでありますから、ここは経済産業省としてかなえの軽重を問われると思っておりますし、もしここをきっちり出さなければ、我々民主党は、おかしいのではないかと徹底的に追及していきたいと思っておるわけであります。

 時間があれですので最後の質問ですが、かつて経済産業省の幹部の方が、十年ほど前でありますけれども、ちょうど日米構造協議をやっている最中でありました。その大幹部の方が、今、日米構造協議で半導体とか自動車とかがちゃがちゃやっているけれども、アメリカのねらいは金融なんだ、間違いなく金融なんだ、ここを注意しなければいけないんだということを非常に危惧していた大幹部の方がおりました。

 まさに経済産業省はそういう分野に対してもきっちり目くばせをして、そして国際競争に臨む。経理部門の金融庁は金融庁でいいんですけれども、そこは、営業部門、製造部門はきっちり戦略を立てなければいけないと思いますので、最後にもう一回、大臣、この交渉に臨む思いといいますか、考えなければならないという、ちょっと先ほどおっしゃいましたけれども、もう一度、何とかここの部分の新しいBIS規制に対する国内基準の考え方、もし何か、今の時点で見直さなければいけないんじゃないのかなと、せっかく問題提起を受けとめていただいたので、大臣なりにお考えがもし今の時点であればお教えしていただきたいんですが、御表明いただきたいと思います。

中川国務大臣 ですから、国際決済銀行のBIS基準、海外取引、海外決済の中での例の八%、それから、自己資本比率、あのティア1とかティア2とかも、正直言って私もよくわからない部分がいっぱいあるんですけれども、それはそれといたしまして、国内でなぜBIS基準の四%をそのままアプリオリに引っ張ってくるのかということについては、私は経済産業大臣として、産業金融、産業育成という立場から、もちろん、外資が入ってくるとか、先ほどの民間ファンド、特に外資のファンドみたいな話になってくるとまた話がややこしくなるのかもしれませんけれども、産業金融という観点から、ひとつ、我々も、経済産業研究所みたいなシンクタンクもございますので、ちょっと研究してみる必要があるというふうに思いますので、ひとつ御指導をお願いします。

近藤(洋)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

塩谷委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

今井委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司です。

 きょうは、ちょっと法案審査に入る前に、先日起こりました六本木ヒルズでの幼児が挟まれて亡くなったという痛ましい事件につきまして、これはドアをつくったり、あるいはそういう設備に関しまして経済産業省でいかなる基準があるのかということをまず伺いたいと思います。

 ですから、まず、きょうは、六本木ヒルズで問題になりました回転式の自動ドア、ああいうものに関しまして、経済産業省の方で何か基準を今までつくられていたのか、これを伺います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、六本木ヒルズでの事故に係るような大型の自動回転ドアにつきましては、建築基準法によります安全基準、あるいは製品の安全性に係る基準は定められておりません。これは、今回事故が起こりました大型の自動回転ドアが我が国に導入されましたのが比較的最近のことでありまして、普及数も限られていたというふうな理由によります。

 現在、事故が起こりまして重大に我々受けとめまして、国土交通省と共同いたしまして、必要な自動回転ドアの事故防止策等につきまして検討を行うということで、学識経験者、関係実務者を集めました検討会を四月初めにも立ち上げるべく、準備を行っているところでございます。本検討会での検討を踏まえまして、自動回転ドアの安全性確保のために必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

高山委員 今伺いますと、ああいう回転扉のようなものは経済産業省の方ではとりたてて基準がなかった、今まではなかったんだというようなお話でしたけれども、実際、例えばスポーツジムにあるようなトレッドミルというんですか、走るような機械ですとか、あるいはエスカレーターだとか、今どんどん新しい機械が出てきているんですけれども、そういったようなものは、本当に子供とかお年寄りだけではなくて、我々なんかでもちょっと足を滑らせたらがくっとけがをしちゃうんじゃないかというような、危ないなというように思うものがあるんです。

 そういったものの基準、安全基準ですね、最低限の基準というのは今までもつくっておくべきだったと思いますし、これからも新機能あるいは新製品がどんどん出てきますし、また将来的には、今ロボットとか問題になっていますけれども、介護ロボットですとか人の生活の中に入り込んで一緒に作業をしていくロボットとか、そういうのがふえてくると思いますので、そういったものの基準も含めて、経済産業省は安全性ということに対して今後どういう考えを持ってこういう新製品、例えばボールペンとかこういう小さいものであればいいんですけれども、大型のロボット、大型の機械に関しまして何か新しく、今回の事件を踏まえて基準をつくるというようなおつもりはありますでしょうか。

福水政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生御指摘ありましたルームランナーとかあるいはエレベーターにつきましては、既にそれぞれの法律に基づきまして基準が定められております。私ども、御指摘のとおり、適切な製品安全の確保というためには、事故情報の入手というのは不可欠だというふうに考えております。

 今回の事故に係ります大型の自動回転ドアにつきましては、事故が六本木ヒルズ等において発生していたというふうな報道も多くあるところでございますし、私どもといたしましては、過去の事故事例の把握に努めているところでございます。

 今後は、迅速な事故情報の収集のために、国土交通省を初め関係省庁との連携を一層強めますとともに、自動回転ドアの製造事業者、そういうところからも事故情報の収集に努めてまいりたいというふうに考えております。

高山委員 またちょっとこの回転扉の件ですけれども、今回の六本木ヒルズのこの事件が起きてから、経済産業省としましては、メーカー、こういうつくっているシャッターのメーカーですとか、そういったところから話を伺いましたか。

福水政府参考人 先週末に事故が起こりまして、今週初めに関係事業者を呼びまして、月曜日に私ども、遺憾の意と、今後事故防止策について、あるいは現状どうなっているか、そういうふうな点を指導いたしまして、現在精力的にヒアリングをやっている最中でございます。

高山委員 この六本木ヒルズの事件は非常に大きい事件でしたから、実際、皆さん新聞報道やテレビの報道などで気づいて、ああ、ではこれは自分のところにも関係あるかもしれないということで、いろいろと関係のところを呼んだりとかということはあったとは思います。

 ですけれども、新聞報道なんかによりますと、今まで、例えば六本木ヒルズだけとってみても三十三件ぐらい事件が起きて、同じように足を挟まれたりだとか骨折事故が起きている。あるいは、この事件が起きてから、丸ビルも何かこういうのがあっただとか、横浜の方でもあったとか、どんどん同じような事例が今出てきているわけです。これは、このたびごとに救急車で運ばれたりですとか警察に届け出があったと思うんですけれども、こういった場合、警察あるいは消防なりからこういう極めて危険な扉なりエスカレーターなりというものが今設置されていますよというような、省庁間での横の連携というのは今までなされていたのでしょうか。

福水政府参考人 今まで事故情報、消防庁、警察庁と十分であったかと言われますと、少し弱かった点があろうかと思いますが、今回の事故、非常に重大に受けとめておりまして、先生の御指摘のとおり、先ほど申し上げましたとおり、検討を開始するに当たりまして、国土交通省のみならず関係省庁とも一層の連携をとって、こういう事故情報を早く正確に関係するところが得られますようなことを検討していきたいというふうに考えております。

高山委員 そうしますと、今まではそういう警察やら消防から、国土交通省なりあるいは経済産業省なりに連絡が行っていなかったんだ、そういう理解でいいと思うんですけれども、ちょっと大臣にも伺いたいんですけれども、先日、三菱のトラックのリコール問題で社長が遺族の方に謝罪されたり、そういうのがありましたけれども、基本的に、企業というのは、やはりちょっとミスが起こったときに、何か隠してやり過ごせるものならやり過ごしたいなというふうに思うものだと思うんですよね。だから、例えば三菱なんかの場合も、何か交通事故が起きても、もしやり過ごせるならこのまま黙って回収してかえちゃえばよかったんじゃないか、そういうような気持ちが働いて、二次災害といいますか、ああいう三菱トラックの、あの父母が死ぬような事故になってしまった。

 それと同じように、今回のこの回転扉に関しましても、今これはすごく六本木ヒルズの件で大きい事件になったから、我も我もとこういうふうに出てきましたけれども、やはりこれは事前に随分、ここ一年ぐらいでああいうインテリジェンスビルが建って、何か新しいエスカレーターだとか回転扉が入って、こういう事故は随分起きていたんだと思います。

 そういうことから考えると、大臣、今後だんだん新製品だとか、それこそ先ほど言いました介護ロボットだとか、どんどんこれは市場に出てくると思うんですけれども、こういったものというのは、やはり便利なものの陰には必ず危険もあるといいますか、人間が楽をする分どこかけがをしたりなんなりという大きい力が働いてしまうので、何か特別に安全対策をする必要があるか。また、あと、警察やら消防やらと横の連携をとって、業者がもみ消せないように監督官庁の方で監督していく、そういう仕組みをつくる必要があると思いますが、ちょっと大臣の所見を伺います。

中川国務大臣 今の六本木ヒルズのエレベーター、それから自動車、三菱のトラックの話、危機管理とそれに対する説明責任というのは、やはり非常に重要だろうというふうに思っております。

 何となく、わからなければ過ごしてしまおうという例ばかりではなくて、実は未然にといいましょうか、必要以上に、万が一の、事故につながるような、企業にとっては決してプラスにならないようなことでも、きちっとトップみずから迅速に社会に対して情報を公開し、おわびをしているという例も、私は正直言って知っております。

 個人的な話で恐縮ですが、私、自民党の広報本部長をやったときに、随分、危機管理の広報というのをちょっと勉強したことがございまして、ただ、今回のものについては、どう見ても、危機管理に対する、あるいは社会的な責任に対する対応が遅過ぎた、悪過ぎた、この二件についてはそういうふうに思います。一義的には会社の責任であり、日本のようなこういう社会においては彼らは相当のダメージをこうむると思いますし、また、こうむらなければいけないというふうに思ってもおります。

 ただ、行政としてどういうふうにしていったらいいのか。今の説明で、何かここ二、三十年の間に急速に広がってきたから行政として対応ができなかったというのは、余り説明になっていないような気も、私、正直言って思いますけれども、きちっと行政としても、最後のやはり品質基準なり責任は行政が最後の最後のところでは負わなければいけないと思っておりますので、そういうことも含めて、我々として何ができるか。今は、残念ながら、原因調査の段階だろうと思っております。

 エレベーターの件にしましても、あるいはまたトラックの件にしても、本当にトラックの場合には、大きなタイヤが子供に飛んできて子供が亡くなってしまったという大変悲惨な、これは事故というよりも事件なのかもしれませんけれども、そういうことがあってはならないと思いますので、原因を調査して、行政として何をすべきなのか、何でもかんでも行政がやれということでいいのかどうかも含めて、検討していく必要があるんだろうと思っています。

高山委員 今の大臣の話にありましたように、何でもかんでもやはり行政でやってしまうというのは、自由主義経済の中にもそぐわないだろうし、経済産業省の仕事のスタイルとしても違うのかなとは思います。

 ですけれども、例えば今回の回転扉だったり、あるいは新製品が出てきたときというのは、例えば自分なんかでも、ちょっと使い方を戸惑うようなときがあるわけです。スポーツジムへ行って、この機械は何に使うのかなといったら、山登りの機械ですよとか、使い方がわからないものとかがあるわけです。それを今までは、今回の例えば六本木ヒルズの事件が起きるまでは、回転扉で何かもたつく自分が悪いんじゃないかなんというふうに思っていたんですけれども、実際この事件が起きてみたら、実はこれは使い方が、不親切だったり、あるいは極めて危険なものだったということが後からわかってきて、おれもおれもという感じで今被害の声が上がっているわけなんです。

 自分としては、例えばもう工業製品として確立されていて大量生産に入っているようなものであれば、ある意味、PL法がもうできていますから、そんな事前の規制をかける必要はないと思いますけれども、こういう新しいものですよね、これからそれこそ産業ロボットだとか介護用ロボット、こういうのが出てきたときに、これはやはり経済産業省が率先して事前の規制をかけていくべきなんだ、特に安全に関してはかけていくべきなんだというふうに考えますが、もう一度大臣の所見を伺います。

中川国務大臣 新製品ですから、多分つくる方も売る方も買う方も、なかなか戸惑う部分があるんだろうと思いますから、そこはきちっと説明をするということが一般製品以上に重要だろうというふうに思いますので、そこをメーカーとして、より細心の注意を持ってやっていく必要があるんだろうと思いますが、そこを行政としてどこまで、新製品なんだからきちっと説明する責任を行政が負うのか負わないのかについては、ちょっと私自身、今即答ができない。もちろん、やった方がいいということなんでしょうけれども、さっき申し上げたように、何でもかんでも行政におんぶにだっこで、果たして日本の経済の中でいいのかなという気も若干しますので、その辺はちょっと勉強させていただかなければいけないのかなと思います。

 それから、先ほど、私、何かエレベーターのドアというふうに言ったらしいですけれども、回転ドアの間違いでございました。訂正します。

高山委員 とにかく、こういう大きい事件になって、今回のような被害が出てきてしまってからでは取り返しがつかないということで、今指摘させていただきました。

 それでは、ちょっと次の、本来のこの三法案の方の質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、公庫法及び中小企業基盤整備機構法の改正の中で、繊維関係基金を統廃合するんだというような部分がありますけれども、そもそもこの繊維関係の基金、これはどういう経緯でつくられたのか、その経緯だけお願いいたします。

北村政府参考人 今御質問ございました繊維関係基金の経緯でございます。

 繊維関係基金は三つの基金がございまして、繊維信用基金、繊維振興基金、それと繊維人材育成基金でございます。

 繊維信用基金につきましては、昭和四十二年度に創設をされまして、その後、三回にわたって追加の出資が行われております。また、繊維振興基金につきましては、昭和四十七年度に創設をされましたけれども、その後、四回にわたって出資をされております。また、繊維人材育成基金につきましては、昭和五十四年度に創設をされております。

 これらの出資につきましては、その時々の繊維産業が置かれましたさまざまな厳しい状況にかんがみまして、繊維産業の振興あるいは構造改革、こういったものを推進するために設置されたものでございます。

 なお、当時の背景といたしまして、繊維信用基金への昭和四十六年度の出資、また繊維振興基金への昭和四十七年度の出資につきましては、対アメリカの繊維自主輸出規制が背景にございました。また、繊維振興基金への昭和六十三年度の出資につきましては、消費税の創設が背景にありました。

 以上でございます。

高山委員 それでは、今回の改正でその関係基金がどのような形で、残るのかあるいは吸収されるのかあるいは廃止するのか、この辺ももう一度御説明をお願いします。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の法改正によりまして、今申し上げました繊維関係基金の廃止あるいは一部の縮小等を行います。それと同時に、これらに相当する金額につきましては、繊維関係の積立金として計上いたしまして、これを繊維産業の支援に集中的に投入するということにしております。

高山委員 ちょっといただいた資料なんかを見ますと、産業構造審議会の繊維産業分科会の何か繊維ビジョンというのがある。その中で、今後五年間が繊維産業にとって何か最後の改革期間であって、この間にしっかり根本的な改革を行っていきたいというような答申みたいなのがあった、それを受けてこの繊維関係基金の廃止が行われるというような話なんですけれども、これでよろしいのか、ちょっと事実の確認だけお願いします。

北村政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

 多少補足をさせていただきますと、現在、繊維産業は、雇用者で約六十八万人、製造業の中でも大きな分野でございます。また、地域産業としても、全国で約百六十の産地を抱える大変重要な地域産業でございます。現在、繊維産業が、国内の需要の低迷、あるいは中国からの比較的安価な輸入品のシェアが伸びているといったことで、大変苦しい状況にあるということも、先生御案内のとおりでございます。

 こういったことを踏まえまして、今お話がありましたように、昨年のいわゆる新繊維ビジョンでは、我が国の繊維産業は本来世界有数の技術力を持っております、そういった技術力をもって構造改革を思い切って推進すれば、改めて国の内外で国際競争力を持った産業に再度飛躍する可能性が高いという認識のもとで、さまざまな支援措置を講ずるべきであるという御指摘をいただいたところでございます。

高山委員 印象としてなんですけれども、今まで、繊維産業というのは随分いろいろな意味でかなり保護されてきた部分があると思うんです。それで、特定の産業をいつまでも補助金などで保護していてはということもあって、自立支援のところにお金をどんどん入れていって、特色ある、強いような産業はどんどん伸ばしていこうじゃないかというような御趣旨かなというふうに私の方で思いました。

 そこで、ちょっとこれは大臣に伺いたいんですけれども、実際、大臣、FTA交渉で非常に今熱心に、経済産業省としても取り組まれていると思いますし、また、農水にも造詣の深い中川先生ですから、今、例えばFTAですとかあとはEPAですか、こういうのをやった場合に、日本の場合、一番反対というか抵抗があるのはやはり農業の分野だと思うんです。今回の繊維の補助金といいますか、繊維の保護策に関しましても、先ほどの局長の答弁の中にもありましたように、日米繊維協定ですとか、そういう貿易との絡みで、損して得をとるというわけではないですけれども、ある一部の日本の国内の産業には手厚い保護をすることで我慢してもらって、そのかわり、日本が貿易立国としてどんどん伸ばしていくためには、補助をしても貿易がどんどん自由化されて対米輸出が伸びる方がいいじゃないかというようなことで、いろいろな繊維の基金がつくられた。例えば昭和四十二年ですとか四十七年というのは、ちょうど日米繊維交渉をやっていたり、その結果が出てくるころだと思うんです。

 そういった観点からすると、いろいろな試算を見ると、例えばFTAの方ですけれども、タイ国とFTAを結べば何か一兆円ぐらいの経済規模になるじゃないかとか、あるいはASEAN全体とだったらもっとじゃないかとか、いろいろな試算が出ていると思います。

 その中で、今の農業をやられている方で実際、世界にも輸出して通用するのをやられている方はいらっしゃると思いますけれども、実際問題、そういう無農薬だとか低農薬野菜だとかそういうマーケットというのは非常に小さくて、それほど、全体のボリュームほどにはならないという印象を私は受けています。そうしますと、ある程度、国内の農業の人にとって、生活保障といいますか、所得の補償をしますから、FTA、どんどん推進させてください、こういうような持っていき方といいますか、国策として、単なる一つの省庁ではなくて、やっていくという必要があると思うんです。

 そうしますと、今ちょうどFTA交渉をして、これから国内で困る人が出てくる、反対する人が出てくる、そして、その人たちを説得しなければいけないという時期に、昔同じような貿易問題で苦労をかけた繊維関係の人のところを今縮小傾向にしてしまうというのは、大臣、非常に時期としてはまずいんじゃないのかな。

 要するに、農家をやられている方あるいは農業関係の方が、ああ、おれたちも三十年たったらああやって切り捨てられちゃうんだなというような印象を持ちやしないかという心配があるんですけれども、大臣は、それに関しまして、まあ、FTAをどんどん推進されるということ、今新聞にも意見広告を出されたりとか熱心にやられていますけれども、国内産業を保護するという意味で、この繊維基金を今つぶしてしまうことに関してはどのような御見解をお持ちでしょうか。

中川国務大臣 まず、繊維というのは川上から川下まで非常に幅が広くて、今製造産業局長からも御答弁いたしましたように、すそ野の広い産業ですから、日本にとっても非常にウエートの高い産業です。

 繊維というのは、実は、何も日本だけが大事な産業じゃなくて、アメリカでもヨーロッパでもあるいは発展途上国でも、みんな大事な産業なんですね。だから、そういう意味で言えば、私は余りほかの例示を出したくはないんですけれども、例えば食糧だとか人の移動だとかそういう問題と同じように、多分、これからEPAの交渉を各国とやっていくときに、非常に大きな、センシティブな分野になっていくんだろうと思います。

 他方、そういう中で、今御審議をいただいております例の川中の産業について、ひとつ頑張ってもらいたいという意味のことをやっているということは、日本にとって大事な産業です、これは単に物づくりあるいはまた雇用、経済というだけではなくて、伝統に基づく貴重な産業、だから世界じゅうで大事な産業なんだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、経済連携交渉をやるときに私はよく、譲るところは譲る、譲れないところは譲れないと言いますけれども、やはり繊維産業という一つの分野についても、日本にとって非常に大事な、極端に言えば文化であり、産業であり、また雇用、経済面でも非常に大きなものでございますから、まあ交渉自体はまだ始まったばかりでございますから、どこをどの程度攻めたり攻められたりというところまではいっておりませんけれども、繊維産業も我が国にとって非常に大事な産業であり、だからこそ今この法案を御審議いただいているということでございます。

高山委員 いや、大臣、ちょっと今、自分の趣旨としましては、繊維産業は、ある意味日本はそれほど競争力がもうないかもしれない、そういうことであれば、補助金を出すなりなんなりをずっと続けて、ある意味日本はすごい自分の得意な産業分野にどんどん特化していくべきじゃないか。あるいは、EPAだとかFTAだとか結んだときに、日本は得意な分野でばあっといけばいいだけであって、むしろ不得意な分野は、切り捨てると言いますと語弊がありますけれども、国家で、ある意味、所得補償をするなりなんなりをして見ていけばいいのではないですか。

 そういった意味で言いますと、今回の繊維の基金を統廃合して自立支援というのは、ちょっと方向としては違うのではないかな。むしろ、この産業を手厚く保護することで、そうじゃない、自動車だとか日本のハイテク産業だとか、こっちをどんどん後押ししてやった方がいいのではないですかという趣旨だったんで、その辺、大臣のちょっと見解を聞きたいんですけれども。

中川国務大臣 済みません。私は、繊維産業は決して日本の経済における衰退産業だと思っておりません。

 具体的な企業名を余り挙げちゃいけないんでしょうけれども、昔から我々がなじんでいる靴下会社、今民間ファンドが入っている会社がございますけれども、ここの靴下はやはり世界一だと言うんですね、いろいろな業界の人に聞くと。あるいは、アパレル産業なんかでも、やはり、全体としていいかというと、それはなかなか厳しいと思います。中国でつくったとかインドでつくったとかいうのに比べれば、全体としては厳しいところもあると思いますけれども、しかし、やはり、人間の衣食住のうちの衣の部分で、繊維というものあるいはアパレルというものを考えたときには、日本の繊維産業というものは伝統文化であると同時に、世界一の文化であると私は誇っていいんだろうと思っております。だから、単純に、この分野は負け組だからもう要らないよと言うには、私は、海外は日本の繊維の技術、ノウハウ、ブランド、これは思ったよりも高く評価していると思いますし、むしろ我々は、繰り返しますけれども、全部とはいいませんけれども、勝ち組の産業の一部であろうというふうに思っておりますから、大いに攻めの材料として日本の繊維産業を守り育てていきたいというふうに思っております。

高山委員 自分も、繊維産業の中にも強いものがあり、弱いものがあり、今の靴下のメーカーなんかも、きのうテレビでやっていましたから、非常にいいメーカーだということはわかっていますけれども、やはり、全体のボリュームを見ますと、あるいは、ちょっと他省のことですけれども、例えば農業なんかも、本当に日本は国際競争力がつくのかつかないのかでいえば、どちらかというとつかないんじゃないのかなというふうに私はちょっと思いがありまして、であれば、もっと経済産業省としても、FTAをやるときに、もう特化しちゃって、シンガポールみたいな行き方も一つは、日本としてはあるのではないかというような観点から質問をさせていただきました。

 あと、ほかにも質問を用意していたんですけれども、とりあえず終わります。ありがとうございます。

    〔今井委員長代理退席、塩谷委員長代理着席〕

塩谷委員長代理 次に、菊田まきこ君。

菊田委員 民主党の菊田まきこです。どうぞよろしくお願いいたします。

 今ほど、同僚議員の高山議員の方から繊維産業対策についての御質問がありましたが、私も引き続き、私の選挙区でありますが、新潟県の見附市というのは、これはもう昔から繊維の町、ニットの見附ということで栄えてまいりましたので、ぜひ引き続き御質問させていただきたいと思っております。

 先ほどからお話がありましたけれども、まさに繊維産業というのは、川上から川下までという言葉どおり、多くの市民が何らかの形で繊維産業にかかわっております。染色や織物、あるいは編み立て、縫製などの職場で大勢の方が働いているわけです。

 先ほどもお話がありましたが、顧みるに日本の繊維産業の歴史というのは、まさに日本の政治の歴史と一体であったというふうに思います。繊維産業の隆盛も、あるいはまた繊維産業の衰退というのも、時に政治の恩恵を受け、時に政治の犠牲となり、国策によって多大な影響を受けてきた、そしてまた、そのたびに翻弄されてきた産業ではなかったかなというふうに思っております。

 昭和四十年代後半に日米貿易摩擦が問題となりました。その摩擦の矢面に立たされ、そして国内の繊維業界は大変な打撃を受けたわけでございます。当時、政府は業界再編成の名のもとに構造改善事業を進めていく、そして業界の合併、あるいは企業の協業化を推し進めて、体質の改善を図っていくということを行ってまいりました。その一方で、織り機の買い上げを行い、結果として繊維業界は合理化が進み、多くの企業がこのときに廃業をされたり、あるいは整理されたりということになったのでございますが、今度はまさにその逆の立場で、日本が今、中国を初めとする東南アジアの各国からの安価な輸入攻勢に苦しんでいるわけでございます。言うならば、繊維産業は、繰り返しになりますが、いつの時代も外国との競争、そしてまた政治の犠牲になってきた産業ではないかというふうに思えるわけでございます。

 そしてまた、繊維産業は、私の地元の新潟でいえば、大変雪深いところでございますので、一年の半分は農業に従事する、そしてまた農業のできない冬の間には繊維に携わって生計を立てていくという、そんな形で、多くの人が収入のよりどころとして繊維産業に携わってきたわけです。そういう意味において、今まだ雪国の人々の大事な雇用の場として繊維産業があるわけでございますが、そういう立場から御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 大臣の先ほど御答弁の中で、繊維産業というのは決して衰退している産業ではないというふうなお言葉をいただきましたので、私は大変にうれしく、またありがたく思いました。しかし、実際そこで働いている方々は、本当に先が見えない、我々は斜陽産業なんだ、国の政策に見捨てられて、そしてやがては消えてなくなるのではないかという大変大きな不安を抱えながらこの産業についております。

 過去十年間で、繊維産業の事業者数が四割、そしてまた、そこに働いている人は五割減少いたしました。そして、経営者の七割が六十歳以上という、なかなか後継者にも恵まれないという現実がございます。

 そんな中で、いま一度、大臣の繊維産業に向けた、皆が元気が出るような、そんな力強いお言葉、決意をいただきたいということと、そしてまた、大事な雇用の場を守るという意味においても、あるいはまた、いろいろな政治の流れの中で大変な影響を受けてきた産業ということからも、私はやはり重要な保護政策を与えていただきたいというふうに思うんですが、その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 繊維業についての思いについては私から申し上げて、あと、政策については坂本副大臣からお答えいたします。

 衣食住という人間の生活する上での基本的な観点で、私はさっき申し上げたと思うんですけれども、だから、繊維産業全体が非常にいいと言っていることじゃなくて、どんどんパイが小さくなってきて、大変厳しい状況にあるということは重々承知しているわけであります。ただ、その中で頑張っているところがありますね、ブランド化、世界的なブランドイメージが強いところがありますねという意味で、さっきの靴下にしても、あるいは日本を代表するアパレルメーカーが実は海外、アメリカやヨーロッパのデパートにどんどん進出しているとか、あるいはフランスの有名ブランドが実は日本の縫製でもってつくっているものがありますねとか、そういうところがありますねという、ある意味では特別な例を私はさっき言ったのです。だから元気なところもありますよというふうに言ったので、もちろん繊維が、鉄や自動車のように業として、全体としていいというふうな認識は私は持っておりませんけれども、これはもう伝統であり、人間生活に欠くことのできないものであるからこそ、まさに日本人の得意なといいましょうか、大事なたくみのわざが脈々として生きていますから、それを守っていかなければいけませんねと。

 さっき政治に対する御批判がありましたけれども、そのために我々は全力を挙げてやっていく、そのためのこの法案の審議だということでございます。

 あとは坂本副大臣の方から。

坂本副大臣 補足させていただきます。

 先ほど大臣からも、繊維製品はどんどん諸外国ではいっぱい輸出しているんだから、日本だけがなぜ輸出が少ないんだという話がありました。

 これは、御承知のように、我が国における繊維産業の生産と流通、これは非常に不効率なんですね、非効率というのかな。例えばデパートとか、繊維製品はいわゆるしゅんな時期が一カ月ぐらいしかないらしいんですね。それこそバーゲンに行っても、売れ残りが随分出るんだと。なぜなんだというと、これはやはりデザインが悪いということなんですね。

 それから、中間で卸業のプレーヤーがいっぱいいて、もちろん単価も高い。こういったことを改善すれば国際競争力がつくし、また、消費者のニーズもほとんど取り入れられてはいないという話もあるようでございます。

 そこで、自立支援という面で、先ほど製造産業局長の方から話があったような形で、これから年三十億ぐらいずつ支援を行うようになるには、優秀なデザイナーを派遣するとか、そういったいろいろな消費者のニーズを酌み取れるような人材を組合がそういう産地に派遣するなどして国際競争力をつければ、幾らでも売れる。そういう意味で大臣は明るい産業と言ったんだろう、こう思っております。

菊田委員 ぜひ明るい産業として、若い人からもどんどん、やはりこれから繊維産業にかかわっていきたい、そんな意欲を持てるような産業にこれからみんなで力を合わせて取り組んでいきたいというふうに願っているところでございます。

 先ほどもお話がありましたけれども、例えばイタリアのミラノというのは、これはもう長い間、いろいろな危機があってもそれを乗り越えて、そしてブランドとしての名前を不動のものにいたしました。世界じゅうからデザイナーが集まっております。やはり私は、日本もこういう戦略を持って取り組んでいく、中国や東南アジアがまねのできないブランド性を持っていくということがとても大事だと思います。

 中国ではもう人口の一割の人が私たち日本人以上の、あるいは大変豊かな生活をしているというお話があります。そういった方々が、では、日本の車に乗ってみたい、あるいはまた日本の高級ニットを着てみたいという、そんな時代がやがてやってくるかもしれません。そういう意味において、長期的な戦略を立てて、ぜひこの繊維産業を見捨てないでいただきたいというふうに願うのでございます。

 政府は、今後五年間で、最後の集中投入として構造改革を行うということでございますけれども、その後の繊維産業への支援というものは、これは一般中小企業対策として行っていくことになるのでしょうか。もう一度確認させていただきたいと思います。

北村政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、この法律改正におきましては、新しい機構が行います繊維産業に特化した業務につきましては、基本的にこの法律の施行から六年以内の終期を定めて終了することになりますけれども、その後につきましては、この機構の一般的な業務の一環として繊維産業への支援を行うことが可能だと考えております。

 また、繊維産業に対する支援につきましては、この機構を通じた支援のほかにも、国があるいは地方公共団体が直接行う支援といったことも十分可能でありますので、いずれにしろ、五年、六年先の話でありますけれども、今後、繊維産業の状況を見ながら必要な支援策を検討してまいりたいと考えております。

菊田委員 私も、今回のこの問題でいろいろ地元の声も聞いてみました。その中で非常に気になる問題が聞こえてまいりましたので、せっかくの機会ですからお聞かせをいただきたいと思います。

 実は、整理回収機構のことでございますけれども、見附市の、私の地元の話で恐縮でございますけれども、平成十一年に新潟県の中央銀行が破綻をいたしました。この銀行というのは新潟県の大変多くの繊維関係の企業の取引先だったわけでございます。ですから、この影響は大変に大きかったのでございますが、その破綻により、業績の悪い企業、余り業績がよろしくない企業というのは、有無を言わせず整理回収機構、RCCに回されてしまいました。というよりは、ほかに引き取ってくれる銀行がなかったんですね。だから、本当にこれは残念ですけれども、RCC、整理回収機構の方に回されてしまったということでございます。大変多くの企業が今なおそういう形であります。

 そして、RCCに回されると、新しい事業をやりたくとも、あるいはまた新たな融資を受けたくとも、ほかの銀行が相手をしてくれないわけですね。だから、すべて自力で踏ん張るしかないということで、本当に苦しい思いをしながら、それでもまじめに商売をして、そして借金を返していかなければならないということで頑張っているわけでございます。

 しかし、最近の整理回収機構というのはどうもおかしいということでございまして、とにかく担当職員が早く金を返せと迫ってまいるそうです。そしてまた、返せないならば早く事業を畳んで、倒産をして、そして担保物件を差し出せというような話まであるとお聞きをいたしました。これはもう、本当に借金の強制取り立てをする高利貸しのような態度で、中小企業をいじめていると言わざるを得ません。

 私は、幾ら政府が繊維産業を大事な産業として守っていくと、そしていろいろな施策を講じていても、現実にきょう、あすの商売を必死でやっている企業がこういう問題で苦しんでいるときに、まずここから助けてあげなければならないというふうに私は思うわけでございますが、こういう実態を金融庁はしっかり実態調査をやっていただきたいと思いますし、そしてまた経済産業省も、中小企業いじめを絶対に許さないという態度で厳しく監視をしていただく、あるいは対応を考えていただきたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。

西原政府参考人 お答えさせていただきます。

 今、RCCの回収の問題が取り上げられました。RCCの仕事といいますのは、沿革からいいますと住管機構、これは旧住専の債権回収を図る機構でございますが、それと整理回収銀行というもの、これは先ほど先生がおっしゃいましたように、破綻金融機関の引き受け手のない債権をどう処理しようかということで整理回収銀行というものに引き継いでいった、そこで債権の回収を図るということでできたものですが、これが一緒になりまして、合併してできたのがRCC、整理回収機構でございます。平成十一年の四月に合併したわけですけれども、そういった経緯もございまして、専ら債権回収というのが非常にノウハウのあることとして存続していたわけです。

 しかしながら、そういった中で、一番の基本理念といいますか債権回収の基本理念というのは、確かに、国民負担の最小化をする。なぜかといいますと、買い取るお金というのは公的資金でもって買い取っているものですから、したがってきちっと回収しなければいけないということにありまして、そこで国民負担の最小化、いわゆる破綻処理コストの最小化につなげていく、これが基本理念としてはございます。

 しかしながら、一方で、債権回収をするときに、やはり契約というものがございます。貸しはがしというような形で、契約を無視したような形で回収するということはできません。やってはいけないことですし、彼らも、回収指針の第一としては、基本的に契約にのっとって行うということでございます。それともう一つは、やはり個々の債権者ごとに実態がそれぞれ違いますので、そういった実態をよく踏まえた上で、きめ細やかにそれに対応していく、これが指針としてうたわれております。

 そういった中で、確かに今先生御指摘のあったように、いろいろな債権回収の中で問題が起きているということは我々も聞き及んだりいたしております。RCCの鬼追社長自身が申し述べておりますが、「特に、債権回収業務は、その業務の性格上、それ自体、債務者や関係者の方々の不満や苦情を招きやすいものであります。RCCとしては、これらの不満や苦情などに真摯に耳を傾け、改めるべきは改め、より適正・妥当な債権回収に努めて」いきたい、そういうようなことも述べておられまして、現在社長直轄の相談室というのも設けてございます。そういった中で、いろいろ問題が起きた場合にはその相談室にぜひ相談していただきたいというようなことも申しております。

 それと同時に、平成十三年以降につきましては、新たに企業再生本部というのを設けまして、再生を図ることによって回収の極大化を図っていくということで、再生の方にも今どんどん取り組んでおりまして、二月末までの現在において二百十七件再生を図った案件が出てきております。現在、なお継続中のものは百九十六件あるということで、今後ともそういったところには積極的に取り組んでいくというふうに承知しております。

望月政府参考人 中小行政府の立場から若干RCCの案件についてコメントさせていただきますと、今、金融庁の御答弁にありましたように、RCCの中で企業再建に取り組むということが行われ始めましたものですから、実は信用保証制度の中で、八号保証というのが創設されております。RCCに貸付債権が譲渡された中小企業についても、事業の再生が可能なものに対しては信用保証協会の保証をつけるという八号保証というものを発足させております。

 それからまた、先ほど来、午前以来議論になっております中小企業の再生支援協議会の案件におきましても、これは数は少のうございますけれども、RCCに譲渡された債権の企業が再生のためにRCCから民間金融機関に債権をもう一回譲り渡されて、それで再生の道に乗ったというケースも具体的にはございますので、そういった面でRCC案件についての再生努力というのも続けていきたいというふうに思っております。

菊田委員 私がきょうここで事例を出させていただいたのは、繊維産業でこうした問題を今受けている皆さんは、何も自分が悪いことをしたわけじゃないんですね。たまたま取引をしていた銀行が破綻をしてしまった、むしろ被害者なわけですね。そして何年間も、一度も返済を怠ることなく、滞ることなくずっとまじめに返してきたそうです。

 しかも、それは契約にのっとってやってきたということでございますが、さっき言ったようなことは、現実違いますよ。契約をしていても、もう職員の方は全然そういう対応じゃないんです。もう先行きが暗いから、繊維業界というのはもう先行きが見えないから、もう整理、倒産して片づけたらどうですかとか、あるいは返済額をもう少しアップして短期に返してもらえないか、もう早くそれの返事をくれ、何カ月以内に返事をくれと言って迫ってくるという実態があるわけですね。ぜひその辺を調査していただきたい、現実を見ていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それから、大変こだわって恐縮なんですけれども、消費税の内税化の問題で、これも大変な問題になっておりますよ。

 例えば、中国との価格競争の中で、今まで日本人というのは、今売れているお店というのは、大体値ごろ感、価格が消費者に与えるインパクトによって物が売れたり売れなかったりするわけですけれども、例えば、ワイシャツなんかの値段を見て、千九百八十円で売るのと二千円で売るのは、わずか二十円しか違わないけれども、例えば主婦の方が買うというと、やはり千円台の方に飛びつくわけですね。

 今度これが、消費税が内税化になることによって、千九百八十円のワイシャツが二千七十九円という値札に変わるわけですね。あるいはまた、三千九百円のセーターが内税化によって四千九十五円という値札に変わるわけですが、これは四月一日以降、やってみないとわからないとは思いますけれども、大変な影響が出るというふうに私は思っております。

 こんなことで、私はむしろデフレ不況に拍車がかかることになってくると思うんですが、単純な質問で恐縮ですが、今まで千九百八十円で売っていたものが二千七十九円の表示になって、もっと売れるようになるとお考えでしょうか。

中川国務大臣 内税方式になってデフレになるかあるいはそうでないかは、それこそやってみなければわからないと思いますけれども、売れるか売れないかというと、冷静に考えていただければ、外税で千九百八十円のものに消費税五%を払うということは、もう国民みんな御理解をいただいているわけでございますから、別に損した、得したの話ではないんだろうと思いますけれども、今菊田議員がおっしゃるように、心理的にどうなるかということ。これはやはり、激しい競争をやっている小売メーカーから見ると、心理的な面の要素というのは大きいんだろうと思います。でも、どっちに転ぶかは、やってみなきゃわからないんじゃないのかなと思っております。

菊田委員 どっちに転ぶかはやってみなきゃわからないと思いますが、私は悪影響の方が絶対に出ると思って、引き続き調査をしていきたいと思っていますので、どうか皆さんもぜひ回って見ていただきたいというふうに思います。

 それから、この内税化の関連で、不当に値引き要請をされているという業者が私はあると思うんですが、公正取引委員会と中小企業庁が今月十九日に調査結果を公表されておりますが、この調査結果を見まして、どのような御感想をお持ちでしたでしょうか。

望月政府参考人 御感想というのはちょっと私どもあれでございますけれども、私どもの場合は下請事業者の関係を調査いたしましたけれども、下請事業者の二百七十二社から回答がございましたけれども、一方的に下請代金の引き下げ要請があったとする下請事業者というのは十七社、六・三%になってございます。

 この数字が大きいか少ないかというのはなかなか評価は難しいところではございますけれども、私どもとしては、この消費税の内税化という単なる行為が、こういう事業における不当な行為がもし行われているとすれば、大変問題があるというふうに思っているところでございまして、立入検査を直ちに行いまして、それで現状の確認とこういったものについてのあるべき姿についての趣旨の徹底というものを指導したところでございまして、この点につきましては、引き続き、四月以降も私ども関心を持って注意していきたい、指導をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

菊田委員 これは経済産業省と中小企業庁が千社に対してアンケート調査を行ったわけですけれども、回答してくれた企業が二百七十二社しかない、回収率が二七・二%という、もうまず大体この回収率の低さというか回答率の低さに私は驚きました。ですから、これだけで判断はできないな、私も独自の調査をしていきたいなと思うんですけれども、でも、こういう調査を例えば公正取引委員会がされても、立ち入りで事情聴取をされたとしても、やはりその地域の中でいろいろな取引、つながりがあって、そしてこれからも商売を続けていきたいという例えば弱い納入業者の立場からすれば、小売店やあるいは自分が納めている大きなスーパーに対して物を申せるような、そういう立場にないと私は思うんですね。

 だから、本当に、声なき声をどうやって吸い上げていくのかということは、やはり真剣に考えていかなければならないというふうに思っています。ただ単純に、アンケート調査をやりますといって、送って、それが回答されてきたほんの数社のデータだけで何も判断はできないなというふうに思いました。引き続き監視をしていただきたいと思います。

 それでは、時間がございませんので、商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案の中でちょっと質問させていただきたいと思います。

 私もこれ、いろいろ、地元の方にアンケートを送ったり、商工会議所に電話をしたり、いろいろ事業所の方に御意見を伺いましたけれども、まだ合併に対する機運やニーズが非常に低い、高まっていないなという実感を得ました。あるいはまた、商工会議所側の本音とそれから商工会側の意識というのにもかなり隔たりがあるなというふうに思いました。

 その中でちょっと、先ほどお話がありましたが、これから商工会議所、商工会というのが本当に地域の中で重要な働きを担っていくという点においては、私は、商工会議所も商工会もいずれ将来は一緒になって、そして大きな柱となって地域の商工政策を担っていくべきではないかなと思っておりますが、今回の法改正の中では、商工会議所と商工会が合併するというところには余り踏み込まれていないわけでございます。

 私は、なぜ商工会議所と商工会が一緒になることを今回の法改正の中でも踏み込んでやらなかったのか不思議なんですけれども、実際、経済産業省の中でも、商工会議所を所管しているのが経済産業政策課、商工会の方の所管が中小企業庁経営支援課ということで、ここがまず第一に分かれているわけですよね。私、やはりこういうところを、商工会議所と商工会が一緒になることをこれから検討したり協議をしていくというのであれば、まず、それを所管している役所の中でもその検討を行っていくべきではないかというふうに率直に思いました。

 そのことに対してお考えをお聞きしたいということと、それから、商工会への補助金というのを平成十三年から平成十四年、平成十五年と調べてみました。そうしたら、平成十三年は商工会に対して六百七十五億円の補助金が出ています。平成十四年は六百七十二億、平成十五年が六百四十五億となっておりまして、だんだん補助金が減っているわけですね。私は、この前も言いましたけれども、補助金が減らされていく中で経営指導の充実が図れるのかという心配があるわけでございますけれども、平成十六年度のこの補助金はどれくらいと予定しているのか。

 そして、この調査をするときに、商工会の数字は出てくるんですけれども、商工会議所の方は平成十三年までしか集計していない、集計できていないという回答でございましたので、何かおかしいなというふうに思いました。

 それから、補助金を見ますと、商工会議所に対する助成よりも商工会への助成の方が圧倒的に手厚いですね。商工会議所には一会員当たり二万四千三百五十六円、商工会には六万二千九百九十三円の助成金が出ているということになります。やはり、これだけ差があれば、商工会は商工会として、合併したくないという本音が隠されているのではないかなと思いますが、答弁をお願いしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 商工会と商工会議所の合併問題についてはるる御議論がございますが、私どもも、商工会議所の中あるいは商工会の中でもいろいろな議論があるところでございます。

 ただ、それぞれの沿革の違いあるいはやっているお仕事が、商工会は専ら小規模事業者の支援というのを中心としてほとんどの事業をやっておりますが、商工会議所自身は、その沿革から、国際的な原産地証明等々の業務なども含めまして、むしろ小規模政策については何分の一かの部分でございますので、そういった沿革の違い等々があって、合併についてはまださまざまな御議論が残っているということでございます。

 いずれにいたしましても、これらの団体については、民間の自主的な団体でございますので、お互いの機運が盛り上がるということがまず第一だろうというふうに思っていて、現在、両団体の全国団体同士で意見交換が開始されたというふうに理解をしているところでございます。

 それから、ちょっと順番があれでございますけれども、先ほどの補助金の問題でございますけれども、先生御指摘になった補助金は、国と都道府県が両方出している補助金の総額ではないかというふうに推察いたします。商工会の方は、団体の方から先生に資料というか数字をお答えになったんじゃないかと思っておりまして、私どもも団体の方から再度逆に聞いたところでございますけれども、もちろん、ここ数年で、少しずつ補助金額が全体、地方財政、国の財政双方の要因から減少しているというのが事実でございます。

 したがいまして、十六年度につきましては、団体自身というよりは、むしろ十六年度の地方の補助金の金額自身が確定しておりませんので、まだその集計の金額はないと思っているところでございます。

 私どもの国の方の予算はその部分でございますけれども、百六十三億円ということになっておりますが、これは十五年度百八十億円に比べまして、国の部分についても減少していることは事実でございます。自治体についても若干の減少になっているんじゃないかと推測はいたしますけれども、数字はまだ把握いたしておりません。

菊田委員 終わります。

塩谷委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、ファンド法案について質問させていただきます。

 今回の法改正で、いわゆる中小ベンチャーファンド法がファンド法に衣がえをするわけであります。

 そこで、中小ベンチャーファンド法の目的には「円滑な資金供給を通じた中小企業等の自己資本の充実等を促進」とありますが、制度の実施後、中小ベンチャーの自己資本充実に役立ったと言えるのかどうかの検証がそもそも法改正に当たって必要だと考えます。

 そこで、お手元に配付をいたしました資料、二枚紙の一枚目の方に、「ベンチャーキャピタルの投資額、投資先の推移」を日本経済新聞社のベンチャーキャピタル調査によって作図をいたしました。ここには、棒グラフで、高い方の棒グラフが投資残高、それから、低い方の棒グラフが年間の投資額、フロー、それからあと、投資先の社数、投資の対象となった、投資を受けたベンチャー企業数の推移が折れ線グラフで記されております。

 九六年度以降のこういうベンチャーキャピタルの投資額、投資先の推移はおよそこういう傾向ではないかなと思っておるんですけれども、この点、経済産業省に確認をしたいと思います。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が御配付なされましたこの数字は、ベンチャーキャピタル全体としての投資額あるいは投資先の推移でございます。私どもの方は、それとあわせて、いわゆるベンチャーファンドがどのような投資をしているか、あるいは投資先の数がどうかというようなことで把握をしておりますけれども、ベンチャーキャピタルのベンチャーファンド以外、経由以外のものを含めると、大体このような数字になるんじゃないかというふうに思っております。

塩川委員 それぞれベンチャー企業に向かう投資です。それぞれ数字を見ていただいてもわかるように、中小ベンチャーファンド法ができたのが九八年ですから、それの前の九六年度以降を見てもほぼ横ばい、二〇〇〇年ぐらいがITバブルがありますからちょっと出ているかもしれませんが、それはバブルですから、はじけてもとに戻るということでは、推移としても、ベンチャーキャピタルの投資額もふえておりませんし、投資先のベンチャー企業数もふえていない。これで中小ベンチャー企業のために役立ったと言えるのか、この点はいかがでしょうか。

菅大臣政務官 委員御承知のとおり、平成十年にこの法律が民法の特例として制定をされた。そして、今日まで、三百六十程度の中小ベンチャーファンドが設立をされ、一万社のベンチャー企業に約一千五百億円が出資をされてきている、事実としてこのことはあるわけであります。

 今、委員が示された数字、非常に厳しい経済情勢の中でも、私どもは、この一千五百億円、これが中小のベンチャーファンドの中で役に立ってきた、こういうふうに思っています。

塩川委員 三百六十幾つという数字がありましたけれども、これは有限責任組合で、これは確かにふえているかもしれないですよ。では、ベンチャーキャピタルそのものがふえているのかという数字もあるんでしょうかね。私は、率直に言って、民法上の任意組合がくらがえをして有限責任組合になったというのが実態じゃないかと。現に、ここの資料に示したように、中小ベンチャーファンド法ができた九八年の前でも後でも、横ばいなんですよ。これこそ見なくちゃいけないんじゃないですか。

 ですから、中小ベンチャーファンド法ができる前とできてからの後を比較しても、投資先のベンチャー企業数というのがふえていない。これで現行法がベンチャー企業のために役立ったと言えるのか。大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 長引く不況、それから、起業、業を起こす数と廃業とのアンバランスの中で、やはり企業を起こしてもらうインセンティブとしてこのファンドを、平成十年に法改正しておりますけれども、その後もいろいろな対策をとる中で、例えば一円ベンチャーとか大学発ベンチャーとかいう中で、いろいろなメニューをやっていくことによって、意欲のある人にはいろいろな形で会社を起こしていただいてビジネスとして成功してもらいたいということですから、一部分だけを見てどうだこうだということではなくて、私は、トータルとしては着実に成果が上がっているというふうに思っております。

塩川委員 いや、今回の法改正を言っているわけですから、この中小ベンチャーファンド法がどう役に立ったのかという検証が必要だ、その立場で言っているわけです。

 要は、メニューをたくさんやる。これはこれで大いにやっていただいて結構ですよ。中小企業やベンチャー企業の支援になるように努力するというのは当然のことなんですけれども、今回は法改正するんですから、その中小ベンチャーファンド法が役に立ったのかどうかという検証はなさっているのですかということに対して、具体的なお話がないということが私は問題だと思っているわけです。

 ですから、先ほどもあったように、有責組合の方は確かにふえているかもしれないけれども、ほかの民法上の任意組合からのくらがえというのが実態ですから、私は、そういう意味でも、投資ファンドにとってみればメリットがあったのかもしれないんだけれども、数のふえていないベンチャー企業にとってこの中小ベンチャーファンド法が役立ったということは、現時点で示すことができないというのが今の答弁の中でも明らかになったと思います。

 こういった検証や総括抜きに本法案の是非は問えないわけで、十分な説明もなしに、題名、目的から「中小企業等」が落ちてしまうわけですから、私、こういうのはいかがなものかなと率直に思うわけです。

 その上で、この法案で想定をしている新たなファンド、今度広げるわけですから、それはどういうものなのかということをお聞きしようと思うんですが、説明でもお聞きしていたわけですが、要するに、事業再生ファンドですとかバイアウトファンド、買収ファンド、こういったものだということでよろしいでしょうか。

菅大臣政務官 委員とは先ほど来の議論の中で、私ども見解の相違というんですかね、私、先ほど申し上げましたけれども、一千五百億円が出資され、少なくとも中小、ベンチャーの自己資本の充実にはこれは役に立っていると思っていますので、これはぜひ御理解をいただきたいなというふうに思っています。

 そして、今御質問のございました、今度新たな法改正の中で、投資対象を幅広く中堅企業や公開大企業にも出資が、これは正直言って、可能になるわけであります。これによって企業再生ファンドや地域中小企業再生ファンドが新たに創設をされる、このことによって地域の中小企業の活性化、これに役立つ、こういうふうに私は思っています。

塩川委員 千五百億の話がありましたけれども、いや、私は、法律ができる前と比べても、できてからも同じじゃないですか、それでどうしてこのベンチャーファンド法が役に立っていると言えるんですかということを言っているわけですから、その点についてのお答えはなかったわけであります。

 そこで、今の質問を踏まえた上で、例えば事業再生ファンドとかバイアウトファンド、これは銀行系とか証券系とか国内でもあるわけですけれども、例えば証券系でいって主要な事業再生ファンド、現行のもので考えますと、例えば野村プリンシパル・ファイナンスですとか、あるいは大和証券のSMBCプリンシパル・インベストメンツ、あるいは日興プリンシパル・インベストメンツ、こういうところがいわゆる国内の重立った事業再生ファンドに当たるのかなと思うんですが、その点、確認だけお願いします。

杉山政府参考人 どういうファンドがあるかということでございます。いろいろとその発生といいますか、そういうことによっていろいろなあれがありますが、例えば金融機関系あるいは証券会社系あるいは独立系と、いろいろなものがございます。先生がおっしゃったようなことが主な項目ではないかというふうに思っております。

塩川委員 昨年十月の読売新聞にも、「企業再生ビジネス 市場拡大」ということで、証券系のこういう事業再生ファンドが紹介をされていましたが、その見出しに「外資先行 追う証券大手」という形で出ておりました。

 外資系ファンドで主要な事業再生ファンドといえば、この間有名になったリップルウッドですとか、あるいはカーライルですとか、ローンスターとか、またサーベラスとか、こういうところが重立ったものだと思うんですが、その点、確認させていただきます。

杉山政府参考人 いろいろなファンド運営会社がございますが、その中でいわゆる外資系ということで申し上げれば、例えばおっしゃいましたようなリップルウッドでありますとか、あるいはサーベラスといったようなものが挙げられると存じます。

塩川委員 ですから、今まで中小ベンチャーファンド法で規模など限りもあったわけですから、今回の法改正でベンチャーファンドだけからこういう企業再生ファンド、事業再生ファンド、買収ファンドに拡大をする、いわゆるハゲタカファンドと言われるようなものも含めて、実際には対象になっていくというのが実態であります。

 そこで、今、名前も挙がりましたリップルウッドの問題について、この間、旧長銀買収にかかわっての再上場について、いろいろ予算委員会でも議論が行われました。私もそれにかかわった者として、このリップルウッドが旧長銀買収のために組成をしたニュー・LTCB・パートナーズに対して日本側に課税権がないということが国会でも大きな議論になりましたし、社会的にも大きな批判の声が上がったわけであります。

 配付資料の二枚目の方に、リップルウッド投資ファンドのイメージ図というのをつくっておきました。

 幾つかの国にまたがって設置をされているものですけれども、リップルウッド・ホールディングスLLCというのがアメリカ籍であります。そこから、オランダ、左下に太い矢印が出ていますけれども、ニュー・LTCB・パートナーズというのが本籍オランダで設置をされ、そこが新生銀行に出資をするという形で、再上場が二〇〇四年の二月十九日に行われました。

 この際に、旧長銀に対しては八兆円に上る公的資金が投入をされ、四兆円を超える国民のお金が実際返ってこないわけですから、国民の血税で再上場して、それに対しての株式の譲渡益を多額に受け取ったのがリップルウッドなど、このニュー・LTCB・パートナーズに出資をしてきた投資家であるわけです。その際に、現行においてはこの株式譲渡益に対して課税ができないということが大変大きな議論になった。国民の税金で再上場した、そのもうけに対して日本で課税ができない、どういうことなんだと、厳しい批判の声が上がったわけであります。

 このリップルウッドグループというのは、ほかにもファンドをつくっていまして、右の方に太い矢印で出ているのがそれですけれども、インダストリアル・パートナーズという、これは日本でいえば、シーガイアなどに出資をしているファンドですね。これは籍がケイマンと言われております。株式会社リップルウッド・ジャパンというのがそれに対する投資のアドバイザー的な存在であるわけで、このようにリップルウッドグループというのが、オランダですとかあるいはケイマンの籍を利用して、多国間にまたがって活動している実態というのを見ていただけるというふうに思います。

 そこで、私はお聞きしたいんですが、リップルウッド社というのはアメリカ籍ですけれども、そのリップルウッドがマネージをしたニュー・LTCB・パートナーズが、日本籍でもないしアメリカ籍でもない、なぜオランダ籍なのかということをぜひ率直にお聞きしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

杉山政府参考人 ニュー・LTCB・パートナーズ匿名組合、これがどういった理由でオランダの国籍の匿名組合にしたかと。これは、企業のいろいろ、戦略的といいますか、経営上の判断でやったんじゃないかというふうに思います。

塩川委員 まあ経営上の判断だと思うんですね。このパートナーズというのが、これは一連、この旧長銀の買収をめぐってはいろいろな本なども出されていますし、そういう中には、例えばの話ですけれども、このパートナーズというのが当初、拠点をタックスヘーブンのバミューダ諸島に置こうと思った、そうしたら、外資批判とハゲタカファンド批判が高まったものだから、それはやめて、オランダに拠点を移したんだというふうにも言われているわけです。要するに、オランダの国内法では、オランダの法人が外国から得た投資収益については非課税となっている、ここに大変メリットがあるというのが実態であるわけですね。

 そこで、お聞きするわけですが、図でも示したニュー・LTCB・パートナーズという投資組合について、末尾に、英語で言えば、C.Vとあるわけですね。これは、旧長銀売買をめぐっての契約書にもはっきり書かれていることですから、このいわゆるアルファベット、英語読みですと、C.V、これは何を意味しているのかということを、ぜひ一言、お聞きします。

杉山政府参考人 オランダの匿名組合ということの略称だと理解をしております。

塩川委員 合資会社と言う場合もあるそうですけれども、合資会社そのものが歴史的に匿名組合、要するに顔は出さずにお金は出してもうけたい、口は出さないけれども金は出すという場合に匿名組合を利用するというのがヨーロッパ、オランダなどでも始まりましたし、それが日本に、商法上の組織としてもつくられてきているわけです。こういう匿名組合については、今、日米新租税条約でもわざわざアルファベットでトクメイクミアイと書かれるぐらい、アメリカでもその筋には有名な組合になっているそうですけれども、国税庁にお聞きします。国税庁では、国際的な租税回避への取り組みとして匿名組合契約を用いたケースを紹介していると思います。その具体的な中身について簡単にお示しください。

鳥羽政府参考人 ただいま委員御指摘のございました匿名組合を用いた租税回避スキームといった点については、何例かございますけれども、委員が御指摘になりましたように、この匿名組合契約というのは我が国の商法五百三十五条に基づく我が国特有の契約でございまして、我が国の商法に基づくそういう契約に基づいて外国法人が受け取る匿名組合分配金につきましては、これは法人税法あるいは所得税法で基本的には課税になるわけでございますけれども、租税条約の規定によって、その他の所得として、いわば居住地国の方の課税に移るという例が多うございます。

 今御指摘ございましたように、当該国が国外所得免除方式をとっている場合には、我が国でも課税できず、また当該国においても課税されないという、いわば条約と当該国の税制の組み合わせによってそういうことが可能になるわけでございますけれども、そういうスキームを利用して、当該国ではない国に所在する事業体が当該国の設立した事業体を介して取引を行ったような形式をとって我が国から所得を移転する、そういうようなケースが幾つかございまして、一つの考え方といたしましては、そういう事業体が、実体がないということで、いわば実質的な所得者は別の国に所在する事業体であるということで、当該他の国との租税条約に基づいてその課税関係を律するというやり方で課税している例がございます。

塩川委員 日本でも課税されない、オランダでも課税されない、どこで課税されるのかという議論が起こるということで、とにかく追いかけて課税できるところは課税しようじゃないか。つまり、匿名組合というのはそういった形の税逃れの組織形態として利用されてきているというところに大きな問題もあったわけですね。

 よく条約あさりということも聞くわけですけれども、この条約あさりというものはどういうものなのかというのを少し簡単に説明していただけますか。

鳥羽政府参考人 条約あさりという用語、英語ではトリーティーショッピングと言いますけれども、先ほど申しましたような、いわば条約における課税権の分配と当該国による税制の組み合わせによっては、両国において課税されない例があり得る。

 例えば、オランダにおきましては、先ほど御指摘ございましたように、国外免税方式をとっておりますので、我が国で課税権のない匿名組合分配金についてオランダにおいても課税されない、これは配当についても同様でございます。

 一方、アメリカにおきましては、日米租税条約で匿名組合分配金につきましては我が国に課税権がございますので、アメリカについてはそういうことはできないということで、例えば、アメリカに所在する会社がオランダとの条約を利用してオランダに事業体を設立してそういう租税回避のスキームを組むという例を、租税条約あさりと言っております。

塩川委員 条約あさりとか租税逃れだとかいろいろな手法を駆使して、今頭いいことをいろいろやっているわけですね。

 その点、国税当局も努力をされておられて、例えば最近の報道を見ても、ローンスターという先ほども紹介したような投資ファンドが不良債権ビジネスに参入するというときに、四百億円の申告漏れを国税当局が指摘するということですとか、あるいは、名古屋の社長さんの件が最近紹介されておりましたが、アメリカのLPSという組織を利用した形の商売について、この社長さんに対して申告漏れを指摘する。つまり、リミテッドパートナーシップですとかリミテッド・ライアビリティー・カンパニー、これはリップルウッドの組織形態ですけれども、新しい形態の投資ファンドがどんどんできてくるわけですね。そういうのが二重課税の回避という形でいろいろな形で税逃れをすることに対して、いろいろな努力をされてこられた。

 その点で、こういったLPSとかLLCに対して、法人税の課税対象になるかどうか、国税庁としてこの間どういう対応をしてきているのか、お答えいただきます。

鳥羽政府参考人 LPSあるいはLLCといった海外における事業体、我が国には存在しない法形式をとった事業体がございますけれども、これらに対してどのように課税するかという点につきましては、その事業体が我が国の私法上、外国法人に該当するか否かによって判断しております。

 LLCの場合、特に米国の場合でございますけれども、これにつきましては各州法に基づいて設立されておりまして、外国の商事会社と認められております。また、設立に当たりましては、商号等の登記がされている、それから訴訟の当事者になれるという法的主体性があるといった点、それから、統一LLC法というのがございますけれども、この統一LLC法におきまして、法的主体であり権利能力を有すると明記されているといった点を見まして、国税庁といたしましては、LLCにつきましては原則として外国法人に該当するということで、通常の外国法人と同様の課税をすることとしております。この取り扱いにつきましては、ホームページにおいて明らかにしております。

 ただ、LPSにつきましては、これはこのようなLLCとは若干対応が異なっております。したがいまして、LPSに関する外国法人に該当するか否かという判断に当たりましては、ただいま申し上げましたような四つの判断基準に加えまして、個々の実態を踏まえて、我が国の私法上、我が国の外国法人に該当するか否かを個々に判定して判断して、課税の可否を決めていくことになっております。

 結果として、外国法人に該当すると認められたケースにおきましては、これは外国法人と同様の形で課税するわけでございますけれども、そうでない、いわば組合に近いものと判断されたものにつきましては、これは個々の構成員について課税を行っていくということになっております。

塩川委員 投資組合などについては個々の構成員に向かう。これは、追っかけるのは大変なわけですね、実際には。

 そういう点でも、いろいろな意味で税逃れを駆使するようなのがいろいろなファンドにおいて行われているわけで、例えば、日銀の金融研究所のリポートに大杉謙一都立大助教授が書かれていましたが、先ほど言ったリップルウッドなどのLLC、リミテッド・ライアビリティー・カンパニーができるきっかけというのは、アメリカにおいては税制だった、課税されないということがこのLLCがふえるきっかけだったということも言っています。そういう点でも、匿名組合とかLPSとかLLCなど、税逃れの組織としてよく知られている。この点が問われていると私は思うんです。

 私、先ほども言ったようなリップルウッドのような税逃れについても許さない、国税当局として断固として課税すべきだと率直に思うわけですが、これは残念ながら新しくできた新日米租税条約の十三条でリップルウッドの免税条項があるものですからそこは及ばないという点で、そういう意味でも、こういうやり方がいいのかなと率直に思っているわけです。

 そこで、今回の法案ですけれども、今回何のための法改正なのかと聞きますと、経済産業省の説明ペーパーでは、我が国のファンドの多くは、わざわざ手間暇をかけてケイマン諸島などの海外の法律に基づきファンドを設立することを余儀なくされていると言っております。

 ケイマンの法律に基づきとありますけれども、これはどんな法律でしょうか、余儀なくされているというのはどういうことなんでしょうか、御説明をお願いします。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 ケイマン諸島で設立をされておりますファンドは、ケイマン諸島のリミテッドパートナーシップ法というものに基づいて設立をされております。

 ケイマン諸島のこの法律に基づくファンドというのは、出資だけでなく融資や債権の取得というのも可能でございます。また、投資対象につきましても、中小、ベンチャーというような制限はございませんで、中堅企業とか大企業に対する出資もできるということになっておるわけでございます。

 他方、我が国の場合は、いわゆる中小ベンチャーファンド法というのは、融資とか債権の取得ということが認められておりません。また、投資できる企業の範囲も原則未公開の中小企業などに限定をされているということでございまして、そういった幾つかの限定というものがケイマン諸島においてファンドを設立するというような流れをつくっている、こういう理解をしております。

塩川委員 杉山局長の説明はちょっと足りなかったんじゃないかなと思うんですけれども、ケイマンの法律でリミテッドパートナーシップ法についておっしゃいましたけれども、その前に少し言葉がつくんじゃないですか。お答えください。

杉山政府参考人 その前にエグゼンプトという言葉がついているということでございます。

塩川委員 ちょっと英語は苦手なんですが、日本語に訳していただくとどういうことでしょうか。

杉山政府参考人 税金が課されないという趣旨だと理解しております。

塩川委員 免税法なんですよ。免税法があるからこそ行っているわけなんでしょう。手間暇かけて行くんじゃなくて、メリットがあるから出かけていくというのが実態なんじゃないですか。そこに、やはり税逃れと言われていることが今改めて問われているんだと、私、率直に思うわけです。

 ケイマンに行くというのは、今言ったような免税リミテッドパートナーシップ法があるからで、極めて簡単な設立登録で二十年間とか五十年間とか一切の税金が免除される、特典がある。週刊ダイヤモンドなどでも昨年十二月六日付で紹介されていましたが、ケイマンとかイギリス領バージン諸島に籍のある投資ファンドが、マザーズですとかジャスダック上場企業に多額の投資を行っております。それらの多くが名義隠しや税金逃れのためと指摘をしています。こういう実態をどれだけ把握した上で今回提案をされておられるのかなと率直に思うわけです。

 私、余儀なくされているんじゃなくて、そこにメリットがあるからこそ、ファンドの多くは手間暇かけて出かけているわけですから、こういった怪しげな実態の把握を棚上げにしたままでこういった法改正を進めるということは拙速と言わざるを得ない、率直に思うんですが、その点、大臣にお聞きして、質問を終わります。

中川国務大臣 ケイマンにしてもオランダにしても、そういう優遇税制があるから、これは悪いことと言ってはいけないんでしょう、きっとそういうビジネスをそういうところでやるということにメリットがあるから多分そっちに行くので、それはそれで善悪の判断を超えた問題だろうと思います。

 他方、今やりとりをお聞きしていて、やはり知恵のある人が大もうけをするというのは、何となく、私も、これは何と言いましょうか、いかがなものかという感じがします。これは公式発言としてはちょっといろいろ不適当かもしれませんけれども、何か知恵のある人というか、知恵の上に何かがついた何とか知恵みたいな人が得をするのは。

 ただ、この法律自体は、何といいましょうか、お金を投資したい、出資したい、融資したい、それによってハッピーになる、それを利用してベンチャーを起こして、企業として立ち上がっていきたいというための、日本としては新しい一つの資金供給調達手段でございますから、そういう意味でいえば、こういうことは言っちゃいけないのかもしれませんけれども、スタートとしてこういうものが立ち上がっていく、その中でまたいろいろと問題が起きてくれば修正するなり改善するなりということで、これはこれで私は十分意味のあることだろうというふうに思っております。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

塩谷委員長代理 次に、鈴木康友君。

鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。

 それでは、これから質問させていただきたいと思いますが、まず始めに、今回の法案の審議ですけれども、中小企業金融公庫法の改正、それから中小ベンチャーファンド法の改正、そして、商工会議所そして商工会法の改正と三つの法案を一括審議する。関連性がどこにあるのかな、こう思いたくもなるわけでありますが、私の認識としては、これはそれぞれ中小企業に深くかかわる法案であって、そこに関連性があるんだ、現下の厳しい経済情勢の中で中小企業を支援するという意味で、こうした法案をぜひ一括で議論していただきたい、こういうことでくくりになったというふうに認識をしているんですが、まずこの点について御確認をしたいと思います。

坂本副大臣 先生おっしゃったとおり、デフレ傾向が継続する中で、銀行等のリスク負担能力が低下しております。こうした中で、中小・中堅企業の活性化を支援するためには、資金供給能力の強化策を早急にしなければならないということでございます。

 三法案は、中小・中堅企業等に対する資金供給の円滑化や支援組織の強化という観点から、一体として中小・中堅企業対策に資する法案であり、中小企業等を取り巻く厳しい情勢にかんがみ、委員会の理解を得て、三法案を一括して審議いただいていくことになったと理解いたしております。

鈴木(康)委員 私もそういう理解をしていたわけでありますが、今度のこのいわゆる中小ベンチャーファンド法、正式名称は中小企業等投資事業有限責任組合法、この法律の名前から「中小企業等」という文言を削除するというのが今度の改正の中身に入っていますね。

 私は、もちろん、ベンチャー、これからの日本の経済を考えれば、有望なベンチャー企業を育てていかなきゃいけない、これはもう論をまたないところだと思いますし、そのために、ベンチャーというのはなかなか間接金融でお金が集まらない、ですから、投資家からお金を集めて、そういう有望なベンチャーを育てていこう、こういう趣旨にも賛同しているわけでありますが、残念ながら、今回、この法律の名称から「中小企業等」というのが外れるということは、今回の法案の審議の趣旨から外れるんじゃないかな、こう思うわけですが、いかがでしょうか。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回改正をお願いしておりますいわゆる中小ベンチャーファンド法というのは、平成十年に、中小・ベンチャー企業への投資を促進する、出資を促進するという観点から、中小ベンチャーファンドに出資した投資家につきましては出資額までしか責任を負わないという民法の特例、有限責任制というものを設けるために制定をされたものでございます。

 その後、いろいろ諸般のニーズを私どもも調査してまいりました。今回、二つの観点からこの法改正を考えております。

 一つは、中小企業のいわゆるベンチャーにつきまして、ただ出資だけではなくて、その資金繰りを楽にするような、いわばつなぎ融資を含めた多様な資金の供給というものをこのファンドが行うことによって、中小、ベンチャーの資金需要に機動的にこたえられるような、そういったニーズにこたえようというのが第一点でございます。

 第二点は、今までのファンドの投資対象を、いわゆる中小・ベンチャー企業だけに限定しないで、中堅企業、あるいは場合によったら大企業の再生でありますとか、あるいは地域再生といったようなものに貢献をするファンド、これにも投資対象を広げたい。この二つの趣旨でお願いをいたしているわけであります。

 法律の名称につきまして、これをどうするかということにつきましては、私ども、内閣法制局ともいろいろな議論をいたしました。その結果、さっき申し上げました二つ目の議論の観点から、今回、「中小企業等」という文言を削除する方が法制的にはいいだろうというようなことで、法制局とも議論いたしました結果として、こういった対応をしたということでございます。

 したがいまして、もちろん、その中小・ベンチャー対策というものを決して外れるとか、その趣旨が薄くなるといったものではなくて、そういったものに加えまして、さっき申し上げましたような再生支援というものにもそのファンドの機能を広げていこうという趣旨でお願いをしているということでございます。

鈴木(康)委員 私は、「中小企業等」という文言が残っていてもこれは一向に構わないのではないか。中小企業、ベンチャーを育成するということがこの法律の基本的に存立基盤でありますから、しかも、「等」という言葉がついているからには、これを何も取らなくても、私は法律の名称というのは非常に大事だと思うんですね。もし、これを取ってしまえば、やっぱりもうこのファンドは中小企業を見捨てたんだなと思わざるを得ないと思うんです。率直にそういう感想を持つんですが、いかがでしょうか。

杉山政府参考人 確かに、法律の名称というのは大事なものだと思っております。その意味で、今回、中小企業投資ベンチャーだけでなくて、いわゆる企業再生ファンドまで拡大するということに当たりまして、この法律の名称をどうするかというのは大きな問題と私ども理解をいたしました。

 したがって、この点について様々な角度から内閣法制局等と議論いたしました。その際に、中堅企業あるいはいわゆる大企業といったような再建を目的とするファンドについてまでこの機能を拡大するということでありますので、この文言を削除するのが適当であるというような結論に最後達したわけでございます。

鈴木(康)委員 杉山さんにお話をお伺いすると法制局の話しか出ませんので、大臣、どうですか。率直に感想をお聞かせください。

中川国務大臣 日本の九九・七%ですか、事業数で占める中小企業、まさに日本は中小企業で成り立っているわけですから、中小企業のためにより手間のかからないファンドがリスクをマーケット等々に分散しながらやっていくという趣旨でやることは、もう委員も御指摘のとおりだと思います。

 もっと、我々は、中小企業の中にも、ごく一部かもしれませんけれども、元気のいいところもありますし、また中堅、大企業の中にも、あと一押しすればまた、規模は別にして元気になれるところもあるという意味で、一つは、お金の出し手側としてより出しやすい直接金融、マーケットの世界にお金が出しやすいようにするということがメリットの一つだと思います。また、借り手の方は、中小企業はもちろんメーンではありますけれども、中小企業にかかわらずその他の企業もよりお金が調達しやすいようにするという意味で、何も中小企業を見捨てたとかそういうことじゃなくて、企業として業を起こすときに、あるいはビジネスをするときに、より調達しやすい制度をつくっていきましょうという意味で、こういうことになったんだろう。法制局と役所の細かい議論は私はよくわかりませんけれども、多分そうじゃないかと思っております。

鈴木(康)委員 ちょっと先へ進みますが、今回、未公開の中小企業、一定の要件を満たす事業再生を行う企業という今までこの投資対象として限定をされていたものから、中堅企業、今の御説明のように、あるいは大企業にも対象を拡大するぞということでありますから、これはもうぶっちゃけて言えば、いわゆるすべての企業が投資対象となるというふうに理解してよろしいでしょうか。

杉山政府参考人 さようでございます。

鈴木(康)委員 そうしますと、これは中小、ベンチャーを育てるというところに本当にこれからその投資対象が拡大していくんだろうかということを私は大変に心配をしています。やはり名前が外れるのもそうですが、その原点が失われることになってはいけないと思うのですね。やはり運用段階で何らかの指導を行うということも私は必要だと思います。

 例えば、先ほど大臣もほかの委員の御質問のときにおっしゃっていましたが、ファンドというのはボランティアじゃありませんから、当然厳しい目でビジネスチャンスを見ていくわけですね。とすれば、一か八かの中小、ベンチャーに投資をするよりも、例えばつぶれた会社の不動産を二束三文で取得すると、大変な高利回りで回るわけですね。今こういうファンドがいっぱいあるわけですけれども、そういうところに、当然それは投資する側とすれば、リスクは少なくてリターンが多いという商品を探すわけですから、一か八かのベンチャーから中小企業を育てようなんという、そういうところへ矛先が移る、これは自然な成り行きだと思うんですが、そういうものを何らかの形でやはり本来の趣旨に沿ってこのファンドを運用していくためには、その運用の段階で指導というものも必要だと思うんですが、そういうことはお考えになっているんでしょうか。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、この法律改正をするに当たって、いわばゼロサムゲームというふうなことを前提にしておりません。むしろ、こういった法改正によってファンドに対する投資家のマインドが高まりまして、その投資のための資金がよりたくさん集まるということを期待いたしております。

 したがって、ゼロサムゲームで中小の方がへこんじゃうというようなことを前提として考えておりません。むしろ、さまざまなこういった制約などを取り払うことによって、あるいは投資家保護ルールというものをきちんとすることによって、投資家のお金ができるだけこういう格好でファンドに集まって、それが中小、ベンチャーあるいは再生企業といったようなものに流れていくというような、全体としてのパイが広がるということを考えておるわけでございます。

 ただ、先生おっしゃいますように、中小企業、ベンチャーの方になるべくそういったお金が向くようにという面での配慮も一定必要かと思います。そういった意味で、中小ベンチャーファンドへの投資を促すという観点から、中小企業事業団による民間のベンチャーファンド投資に対する支援を行うというような施策がございますけれども、こういったものは積極的に活用して、中小・ベンチャー企業への資金供給というものがさらに一層ふえていくというふうなことについては、一生懸命努力をしていきたいというふうに考えております。

鈴木(康)委員 私は、例えば、このファンドの趣旨に基づいて、ファンドの一定割合はベンチャー企業に投資をしなさいというような、そういった規定、規定までいかなくても指導というのはやはりあってもいいんじゃないかな、そんなこともまた御検討いただきたいと思います。先ほど塩川委員も、ベンチャー企業への投資がふえていないんじゃないかという御指摘もありましたが、今回こういう対象を広げることはやむを得ないとしても、ベンチャー育成投資というものが先細っていくことがあってはならないと思うんですね。

 では、ベンチャーに投資をするためには何が必要なんだろうかということなんですが、平成十四年の二月の中小企業総合事業団が発表をした「ビジネスエンジェルの実態調査報告書」というのがあるんですが、これによると、エンゼル投資の最大の阻害要因として、税制面での優遇策が乏しいというのが挙げられているんですね。要は、エンゼル税制をもっと強化してほしいというのが物すごいニーズなわけですよ。その中でも特に、損した場合のキャピタルロスをその他の所得と損益通算してくれというのが、ぶっちゃけて、これが最大のニーズなんですね。これはアメリカではもう既に実施をされているんですが、こうした損益通算を可能にするようなエンゼル税制の強化ということに対して御所見をお伺いしたいと思います。

坂本副大臣 平成九年にこの制度が発足しましてから、累次の改革を行ってきております。平成十五年度には、ベンチャー企業へ投資した分を他の株式譲渡益に対しては課税しないという制度をつくりました。

 今回、十六年度において、研究開発型企業等に加え、一定のベンチャーファンド等を通じた投資を受けたベンチャー企業についても、制度の対象として加える、手続の簡素化を図るということになっております。

 先生御指摘のとおり、十分なベンチャー向け投資の確保は重要な課題と認識しております。今後とも、引き続き税制の充実も含めて、全力で取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(康)委員 これは財務省に任せていたら進まないと思うんですね。損して得とれじゃないですけれども、結局、ベンチャー企業を育成すれば、将来、税収というのは見込めるわけですから、そういう観点に立って、やはりこれは、実体経済を把握し、日本経済を支えている経済産業省が、びしっとリードしないといけないと思うんですね。大臣、どうですか、これ。

中川国務大臣 ベンチャー育成というのは本当に大事なことだと思っております。したがって、この法案の御審議もしていただいておりますし、先ほど申し上げたように、大学発ベンチャーでありますとか一円起業でありますとか、いろいろやっておりますけれども、やはり税のインセンティブというのは非常に大きいと思います。御趣旨はよくわかっております。

鈴木(康)委員 それでは、少し、証券市場について一問御質問したいと思いますが、証券市場を育成していかなきゃいけないというのは、これは我が国の課題でもあるわけであります。

 昨年の十二月に証券市場活性化策をまとめた金融審議会の第一部会長の神田さんという東大の先生が、金融分野全体を網羅した投資家保護のルールを整備する、投資サービス法というふうに呼んでいらっしゃるわけですが、こうしたことの必要性を訴えているわけであります。

 私も、こういうものがやはり必要だと思うんですね。必要なそうした投資家保護のルールをきちっと定めた上で、いろいろな規制緩和を実施して、商品をふやしたり市場を拡大させていくというのは、これは僕はあり得べき姿だと思うんです。イギリスなんかでも、イギリスはたしか金融サービス法というようなことで、そうした投資家保護の共通ルールをつくっているわけであります。

 もし今統一した開示規制や行為規制というのが作成するのが難しければ、基本的な部分だけでも、基本法のような形でこういうものを私はつくっておく必要があると思うんですが、この点、御所見をお伺いしたいと思います。

菅大臣政務官 ファンドを活性化するためには、やはり投資家のすそ野を広げていく、これは極めて大事なことであると思いますし、そのためには、投資家の保護やリスクの分散、こういうことも必要ですね。

 そういう中で、我が省としても、このことは極めて大事なことであるという認識を持っています。私ども、金融庁と連携を深めておりますけれども、今度の国会に提出されている証券取引法、ここの中におきましても、ファンドへの投資につきましても証券取引法の対象になるようにお願いをいたしておりますし、今委員の言われました投資サービス法、これについて金融庁で検討している、こういうふうに実は伺っておりますし、私どもも、必要なことである、こういうふうに考えております。

鈴木(康)委員 ぜひ積極的に、これは経済産業省がリードしていただきたいなというふうに僕は思うんです。

 それから次に、もう少し金融全体のことをお伺いしたいと思うんですが、今回のこの中小公庫法の改正で貸付債権の証券化というものが可能になった。あるいは、少し前には売り掛け債権担保融資制度というものができた。いろいろな形で、金融制度、さまざまなものが今準備をされている、こういう努力には私は大変敬意を表するわけでありますが、しかし、残念ながら、こういうものでカバーできるというのは非常にまだわずかであるわけですね。全体として見ると、まだ大変に金融状況というのは厳しい状況にあります。

 マクロの状況を見ていきますと、日銀は量的緩和を繰り返しているわけですよね。当座預金残高は三十三兆円ぐらいで推移していますし、毎月一兆二千億ぐらいの国債の買い入れもやっている。十分な量的緩和をやっているんですけれども、残念ながら、金融機関から先に貸し出しが伸びていかないわけですね。これは、昨年から比べても貸し出しはやはり減っている、前年割れしているわけですね。一方で、銀行がどんどこ国債を買っているんです、リスクがゼロという国債を。今九十三兆円ぐらいあると言われている、これは過去最高であります。

 だから、結局、幾ら量的緩和をやっても、資金が市中に回らないで国債に化けているというのが今の現状ではないかと思うんですけれども、こうしたマクロの金融状況についてどういう感想を持っているか、率直な意見を、できれば大臣からお伺いしたいと思います。

坂本副大臣 平成十三年三月に、当座預金高を操作目標とする量的緩和政策を導入しました。当初は五兆円でしたが、現在は三十兆円から三十五兆円の規模になってきております。

 日銀の量的緩和策は、金融機関による資金繰りの懸念の払拭、金融システムの安定、金融環境の緩和に寄与している面があると思いますが、銀行の資産を見ますと、企業向け貸し出しのシェアが減少する一方、国債のシェアが高まっております。金融機関が不良債権を抱えて、新たなリスクをとることに慎重になっていることがあると考えられ、不良債権処理を着実に進めることがまず重要であると考えます。

 これに加え、経済の隅々まで効果的に資金が供給されることが必要なわけでありまして、そのため、関係閣僚会合で取りまとめた経済活性化のための産業金融機能強化策を着実に推進し、産業金融の担い手、手法、リスク対応の多様化を進めて、企業向け貸し出しの環境が好転するよう、鋭意努力をしてまいります。

鈴木(康)委員 そういう問題じゃなくて、金融全体の体質改善をどうするかということが私は問題だと思うんですね。ですから、いろいろな産業金融の手法を開発する、これも大事なことでありますが、では、今の金融の状況を取り巻く、それは病気でいえば、ある種の、症状の緩和、対症療法であって、本来は病気を治すためには体質改善しなきゃいけないという中で、実は、我が党が二つの金融に関する法案を、一つは提出をしていますし、一つはこれから提出を予定しています。

 皆さんのお手元に資料をお配りしてありますが、一つは金融アセスメント法というものであります。これは、簡単に言いますと、金融機関が地域の経済にどれだけ貢献をしているか、その融資の状況を含めて情報公開をするわけですね。そういうものによって、銀行もそういう地域経済に貢献しなきゃいけないというような経営を行うでしょうし、利用者がそれを見て金融機関を評価できる、そういう地域全体の貸し出しについて健全化を目指したものがこの金融アセスメント法というものであります。

 もう一つは、これは今国会で提出をしました銀行貸し出しの適正化法というものでありますけれども、これは、いわゆる現場において今いろいろなひずみがある、特に、情報の非対称性なんかで借り手というのは常に弱い立場に置かれるわけですから、そういうものを改善してひずみを取り除いていこうということで、詳しくはここに書いてありますけれども、契約条件の事前説明とか、契約書面の交付とか、包括根保証契約の制限とか、そういったもろもろのことがあります。

 一つは貸し出しの全体の健全化と、それから個々の貸し出しの現場のひずみの是正というもの、この二つによって金融システムの体質改善を図り、中小企業の金融を円滑化しようというのがねらいであります。これは大変にいい法律でありますから、ぜひこれは御検討いただきたいと思いますが、ぜひこの両法案についての御感想をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今初めて拝見をしましたが、地域金融の円滑化に関する法律案、中小企業者に対する銀行等の資金の貸付の適正な運営の確保に関する法律案、少なくとも、タイトルを見る限りはとてもいい法案だろうというふうに思っております。

 先ほどの御質問でありますけれども、要は、いわゆる日銀から出るベースマネーがいかに今マーケットに回っていかないか。これは、後ろ向きになって、資産デフレあるいはフローのデフレになってしまって、経済の血液と言われているお金が梗塞状態を起こしてしまっている、どこかで詰まっているということをどういうふうにしていったらいいのかということについて――ああ、そうですか、本当にそういう御趣旨であれば、よく役所とも相談をしたいと思います。

 そういうことで、それから、やはりマインドの問題、特に個人消費、民間経済の問題、これをどういうふうにしていったらいいのかということを各省やっております。小泉総理を先頭にしてやっておりますけれども、その一環がこのファンド法であるということで御理解をいただきたいと思います。

鈴木(康)委員 きょうは各党の皆さんも御出席でありますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 ちょっともう時間がございませんので、最後に商工会と商工会議所の合併について御質問をしたいと思います。

 先ほど来、菊田委員からもこの問題についての御質問がありました。私は、平成十三年の商工会法の改正のときにもこの問題を取り上げて質問したときには、当時の古屋副大臣から、今はそのニーズがないけれども、今後ニーズがあれば、それを踏まえて商工会議所と商工会の合併のことも検討したいという答弁をいただいたわけであります。

 実は、千葉県の茂原市というところが、既に商工会議所と商工会の合併について随分と話を進めているんですね。ここは茂原市と本納町というところが昭和四十七年に合併をしていまして、それ以来、商工会議所と商工会が併存しているんですね。以前から合併の話が会頭と会長との間で進められてきた。ここへ来てそれが急速に進展をしてまいりまして、実は、全体としての空気も合併の方向に向かっているということで、三月二十九日に、これはまだ確認をしておりませんが、茂原市の商工会議所の総会が開催されて、ここで合併の話を詰める。今度五月に、商工会の方で合併の話を議題として取り上げるというんですね。この両総会でオーケーとなれば、その後研究会を発足させて、来年三月末までに合併を行いたいという意向なんですね。

 ところが、今は商工会議所と商工会の合併の規定がないものですから、今回の商工会議所と同じように、どちらかを、まあ商工会が解散することになると思いますが、それを吸収するということになりますと、例えば、財産は贈与になりまして、贈与税を払わなきゃいけないとか、もろもろのややこしい問題があるわけです。

 実際、現場レベルでは既にこういうことが起こっているんですね。これについて、茂原だけじゃなくて、全国に私はこういう事例があるのではないかと思うんですが、その状況についてまずお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 茂原の件は、私どもの理解は、市が今リーダーシップをとって、四十七年以来併存している商工会議所と商工会でございますので、その合併の可能性について話をしたいということで、今のところ、そのメリット、デメリットを含めて、会長さんの間で非公式に話し合いを持ったということだというふうに伺っております。

 他方、商工会の県連の方の御意見を承りますと、まあこれは全国団体と同一の考え方でございますけれども、まだ法整備をして合併を推進するというような状況にはないということでございまして、先日来御答弁申し上げているように、さまざまな考え方がある中で、中小企業支援団体としてのあり方について、やはりその基本的な考え方を全体として合意を得ていくということが、今後のスムーズな支援団体のあり方論の進展に資するだろうということで、全体の今の会議を進めていくのが妥当だろうというような状態にあると承っております。

鈴木(康)委員 上部団体と現場の意識の違いというのも、私は恐らくあると思うんですね。もちろん、合併というのは当然、現場レベル、そこの商工会議所なり商工会の意向に沿ってやるべきものであって、強制的にそれはやってはならないと私は思いますけれども、実際にこういうものが実は出てきているということであれば、例えば手続規定とか、財産保全規定とか、税制上の優遇措置とか、そういったものを準備しておくことは、僕は必要なことだと思うんですね。ですから、ぜひそういうことを御検討いただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

塩谷委員長代理 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 これより各案に対する討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案が、中小公庫がこれまで担ってきた中小企業向けの長期、固定、低利の融資支援という役割を縮小、後退させるものだからです。

 政府は、政策金融改革の中で、政策金融の貸出残高を将来的に半減するとしています。中小公庫の融資についてもその例外ではありません。民間金融機関の中小企業向け貸し出しが激減し、改善の見通しは立っていません。中小企業の資金調達に中小公庫が役割を発揮することが求められているときに、その役割を縮小、後退させることは、中小企業の願いに逆行するものです。

 第二は、今回、中小公庫に追加される証券化支援業務が、民間金融機関に一方的に有利な制度となっているからです。

 我が党は、証券化支援そのものを否定するものではありません。しかし、本法案が想定しているスキームは、本来民間金融機関がみずから負うべきリスクを中小公庫に負わせるものとなっています。これでは、中小公庫の中小企業向け貸付事業を圧迫し、一般貸し付けの金利上昇など、中小業者に不利益を与えるおそれがあります。

 第三は、旧繊維法から引き継いだ繊維振興基金等の廃止により、繊維産地に対する国の支援を放棄するものだからです。これでは、地域経済をますます疲弊させるものと言わざるを得ません。

 次に、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部改正案についてです。

 我が党は、青年業者の創業、ベンチャー企業や新規事業の振興を極めて重視しております。しかし、現行の中小ベンチャーファンド法は、ベンチャーキャピタルにとって役立っただけで、中小業者にとって役立ったとは言えません。その十分な検証がないまま、今回、中小企業支援の目的を法律から削除したことは重大です。

 本法案は、リップルウッドなどの外資系のハゲタカファンドや我が国の大銀行、大手証券会社、独立系の投資会社などの買収ファンド、事業再生ファンドがハイリスク・ハイリターンを追求し、二重課税を回避するための法整備であります。これら内外のファンドの実態は、無限定に容認するわけにはいきません。

 また、こうしたリスクの大きな投資ファンドを年金基金の受け皿法案とすることも、そのまま容認するわけにはいきません。

 投資ファンドの普及のためには、公正な証券ルールと公平な税制の整備が少なくとも並行して行われるべきであります。本法案はこれらの条件を満たしておらず、とにかく、先に投資ありきの法案であり、賛成できません。

 以上申し述べて、反対の討論を終わります。

塩谷委員長代理 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 ただいま議決いたしました法律案に対し、櫻田義孝君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びグループ改革の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、現下の中小企業を取り巻く厳しい環境にかんがみ、本法施行に当たり、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 中小企業者に対する無担保・無第三者保証融資の機会が拡大されるよう、証券化支援制度の具体的な運用に当たっては、支援対象とする債権等について適切な支援基準を定めるとともに、貸出債権の証券化市場の円滑な拡大に資するため、中小企業者に関する適確な情報提供体制の確立等、市場の環境整備に努めるものとすること。

 二 中小企業金融公庫の業務について、現在の職員の雇用の確保に配慮しつつ、組織及び事務・事業の一層の効率化を進め、経営合理化のための適切な対応に努めるものとすること。

   また、証券化支援業務の実施に当たっては、適切なリスク評価体制の整備等により、財務の健全性確保に努めるものとすること。

   さらに、中小企業信用保険の深刻な財政悪化の現状にかんがみ、制度の円滑かつ持続的発展を図るため、財政基盤の抜本的強化のための対策を早急に講じること。

 三 中小企業の資金調達手法については、今後もその多様化の促進に関する検討を進めるとともに、売掛債権を活用した融資の拡大のほか担保及び保証に過度に依存しない方法により中小企業金融の円滑化が図られるよう環境の整備に努めるものとすること。

 四 繊維産業対策については、今後五年間が繊維関係基金を活用した最後の改革期間であることに十分留意の上、産業構造の抜本的かつ集中的改革の積極的推進に努めるものとすること。

以上であります。

 附帯決議の内容等につきましては、審査の経過並びに案文によって御理解いただけるものと存じますので、説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

塩谷委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長代理 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 次に、内閣提出、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 ただいま議決いたしました法律案に対し、櫻田義孝君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びグループ改革の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、現在、経済活性化の観点から産業金融機能の強化が極めて重要であることにかんがみ、本法施行に当たって、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 有限責任組合制度の運用に当たっては、一般投資家の保護の観点から誤信をまねくような勧誘に対する適切な措置を講ずるなど万全を期すとともに、適切なリスク判断に基づく投資家の出資が行われるよう、制度内容の周知を図るなど市場環境の整備に努めること。また、今後、投資家向けの情報開示については、組合の投資実態を踏まえた適切な開示基準の策定に努めること。

 二 中小ベンチャー企業の育成、地域経済の活性化、事業再生の推進といった喫緊の課題を達成するため、有限責任組合を活用して積極的な対策を講ずること。

 三 有限責任組合を通じた投資の拡大を図るため、年金基金等の機関投資家からの出資を容易とする環境整備を行うこと。

以上であります。

 附帯決議の内容につきましては、審査の経過並びに案文によって御理解いただけるものと思いますので、説明は省かせていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

塩谷委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長代理 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 次に、内閣提出、商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 ただいま議決いたしました法律案に対し、櫻田義孝君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及びグループ改革の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、地域の総合的な経済団体として商工会議所及び商工会が重要な役割を果たしていること及び小規模事業者対策の充実が必要とされていることにかんがみ、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 商工団体(商工会議所・商工会)が地域の実状に応じて合併を行った結果、行政の区域と商工団体の地区が異なることとなる場合には、行政と商工団体との一体的な活動に支障が生ずることのないよう、法の運用に当たって配慮するとともに、行政側・商工団体側に一層の連携に向けての努力を求めること。

 二 市町村合併の進展に伴い、同一市町村内に商工会議所と商工会が併存する事例の増加が予想されることから、商工会議所と商工会の組織の今後のあり方について、合併のメリット・デメリットを含め当事者の自主的な議論が積み重ねられるべきであるが、政府としてもこうした当事者間の議論や地域の商工業者のニーズを踏まえつつ、所要の検討を行うこと。

 三 商工団体の合併の円滑化を促進するため、合併に係る認可規定の趣旨をはじめ本改正の内容の周知に努めること。

 四 多様化・複雑化した中小企業対策の内容を零細企業者まで浸透させるとともに、中小企業者に最適な政策メニューを示す総合アドバイザーとしての役割を商工会議所・商工会が果たすよう努めること。また、多様化する施策ニーズへ対応するために、経営指導員等の資質向上に向けた人材育成のための施策を充実させること。

 五 商工会議所法及び商工会法に基づく公益性、中立性の原則から逸脱することのないよう適切に指導すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解をいただけると思いますので、説明は省略させていただきます。

 何とぞ御賛同をよろしくお願いします。

塩谷委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長代理 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、各附帯決議について、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これらの法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

塩谷委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十六分散会


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