衆議院

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第17号 平成16年5月28日(金曜日)

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平成十六年五月二十八日(金曜日)

    午前九時三十八分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今井  宏君 理事 江渡 聡徳君

   理事 櫻田 義孝君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君

   理事 吉田  治君 理事 井上 義久君

      今村 雅弘君    遠藤 利明君

      川崎 二郎君    小島 敏男君

      小杉  隆君    河野 太郎君

      佐藤  勉君    菅  義偉君

      谷  公一君    西銘恒三郎君

      蓮実  進君    原田 義昭君

      平井 卓也君    藤井 孝男君

      松島みどり君    宮路 和明君

      梶原 康弘君    菊田まきこ君

      近藤 洋介君    高山 智司君

      樽井 良和君    辻   惠君

      中津川博郷君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      村越 祐民君    渡辺  周君

      江田 康幸君    河上 覃雄君

      塩川 鉄也君    坂本 哲志君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   経済産業副大臣      泉  信也君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 北畑 隆生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           齋藤  浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           桑田  始君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           塚本  修君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           岩田 悟志君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          小川  洋君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下 一正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     佐々木宜彦君

   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  佐藤 信二君     佐藤  勉君

  宮路 和明君     蓮実  進君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     佐藤 信二君

  蓮実  進君     宮路 和明君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 容器包装リサイクル法の改正に関する請願(佐々木秀典君紹介)(第二六四九号)

 同(島田久君紹介)(第二六五〇号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第二六五一号)

 同(小沢鋭仁君紹介)(第二七三三号)

 同(岡島一正君紹介)(第二七三四号)

 同(松野信夫君紹介)(第二七三五号)

 同(松原仁君紹介)(第二七三六号)

 同(横光克彦君紹介)(第二七三七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 工業標準化法の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)(参議院送付)

 独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)(参議院送付)

 鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、工業標準化法の一部を改正する法律案、独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案並びに鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長高部正男君、経済産業省大臣官房長北畑隆生君、経済産業省大臣官房審議官齋藤浩君、経済産業省大臣官房審議官桑田始君、経済産業省大臣官房審議官塚本修君、経済産業省大臣官房審議官岩田悟志君、経済産業省産業技術環境局長小川洋君、資源エネルギー庁長官日下一正君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。計屋圭宏君。

計屋委員 民主党の計屋圭宏でございます。

 それでは、経産省における第三セクターとしてどのような種類があるのか、大臣にまず聞かせていただきたいと思います。

北畑政府参考人 第三セクターという意味はちょっとよくわかりませんけれども、私ども行政の実施業務について行政にかわって代行しているものとしては、いわゆる特殊法人、それから独立行政法人、この二種類があろうかと思います。

計屋委員 今、第三セクターとしては特殊法人、独立行政法人ということでございましたけれども、特別認可法人というのもあるんじゃないですか。

北畑政府参考人 広い意味での特殊法人ということで、特別認可法人という形態の法人がございます。

計屋委員 それでは、この特殊法人、独立行政法人、あるいは認可法人、これの特徴、目的ということを、ちょっと違いを説明いただきたいと思うんです。

北畑政府参考人 御質問いただきました特別認可法人も含めた特殊法人についてまず御説明をいたします。

 特殊法人につきましては、一般的な定義として、個別の設置法に基づいて設立される、それから特別の設立行為、これは設立委員を任命して設立される、こういった意味で、民法、商法に基づく法人とは違う種類の法人ということでございます。

 それから、独立行政法人は、平成十三年度からできました新しい制度でございます。従来の特殊法人に伴う批判を踏まえまして、従来の特殊法人は国が非常に関与を強くしておりまして、いわゆるはしの上げおろしまで関与するということが、特殊法人の非効率あるいは責任の所在の不明確、こういった部分を問題点として指摘されておったんですが、これを克服するものとして、独立行政法人通則法で公共性、透明性、自主性という基準を設けまして、ルールとして、例えば中期目標、中期で考える。それから、自主性の観点から、例えば任期四年の理事長に経営を中期でお任せする、国が監督をするのではなくて、行政が監督をするのではなくて、独立行政法人評価委員会という第三者が業績の評価をする。それから、企業経営のいいところを取り入れまして、企業会計原則で運営をする。こういった特色を持った新しい仕組みが独立行政法人でございます。

計屋委員 今説明があったわけでございますけれども、つまり、認可法人というのはどういうときに認可法人というもので行っていくのか、その点を説明いただきたいと思います。

北畑政府参考人 狭い意味での特殊法人と認可法人の違いということで御説明を申し上げたいと思いますが、認可法人の場合には、設立が国からの任命された設立委員ではなくて、民間の方が設立行為をして国が認可をするという形で設立されるのが認可法人というふうに理解をいたしております。

計屋委員 それでは、例えば国からの運営交付金だとか補助金だとか、そういったようなそれぞれに対する交付というか基準というのはあるんですか、運営するための交付金。

北畑政府参考人 従来の特殊法人の部分につきましては、補助金、委託費といった形態で国から資金が出る形態が多かったと思います。

 独立行政法人は、自主的な運営で効率的に運営していただくという観点から、基本的には交付金という形で資金を出す。もちろん、委託費、補助金も別途出ることはありますけれども、交付金という形で、理事長の裁量の余地を広げる形で資金の交付をするというのが特色でございます。

計屋委員 その交付金ですけれども、これは基準があるんですか。例えば、お手盛りでやるのか、さじかげんでやるのか、そういったような部分があるんですけれども、その辺の基準を示していただきたいと思うんです。

北畑政府参考人 交付金の金額につきましては、年々財務省の予算査定を受けて金額を決めてまいります。

 基本的には効率的な運営ということでございますので、財務省が厳しく査定をいたしますが、私が申し上げましたのは、決まった金額の中で、従来であれば非常に細かく個別に国の指導監督が入っている部分がなくなりまして、交付をした交付金の中で合理化、効率化をすればそれだけ余裕が出てくる、こういう仕組みにしておるところが特色でございます。

計屋委員 いま一つ基準がわからないわけですけれども、これは厳しい審査と今おっしゃいましたけれども、この基準を後ほどでいいですから示していただきたいというふうに思います。

 それでは、次に進みますけれども、この特殊法人、独立行政法人について、役員の方がいるわけですけれども、この役員あるいは職員の採用方法というのはどうなっているのか、お聞きします。

北畑政府参考人 独立行政法人の役員のうち、理事長及び監事につきましては主務大臣が選任をする。その他の役員につきましては、理事長が基本的に人事権を持っておりまして、選任するという仕組みになっております。

 選任の基準でございますが、一般的な基準としまして、それぞれの独立行政法人の業務の性格に照らしまして、それぞれ高度な知識、経験を有する方、業務を適正かつ効率的に運営する能力のある方という中から、適材適所で選任をするという形になっております。

計屋委員 任命ということで役員は決めるということでございますけれども、そうすると、やはり縁故とかそういうことになっていくんだろうと思うんです。ですから、そういう点で透明性がないということが言えるわけですね。

 そこで、私は昨日資料をいただいたんですけれども、地域振興整備公団というので、この総裁が、スウェーデンの特命全権大使ということで藤井さんという方が総裁になっているんですけれども、これは、どういうことで全然関係のないスウェーデンの特命全権大使が地域振興整備公団の総裁になったのか、その辺を教えていただきたいと思います。

北畑政府参考人 地域振興整備公団につきましては、国土交通省との共管の特殊法人でございます。

 それで、今先生御指摘の御経歴は、多分最終の御経歴ということだと思います。この方の大使以前のいろいろな御経歴それから経営能力を見て、当時の任命権者が選任をしたものだと考えております。

計屋委員 例えばこういったふうな、目的に全然違うような形で人事がなされている、そういうことが言えるんじゃないかと思うんです。先ほどの任命という形から考えていくと、透明性がないという形で、基準もない、そういうことが言えるわけでございます。

 例えば、中小企業総合事業団役員名簿というのがございますけれども、この理事の方に遠藤豊孝さんという方がいらっしゃるんですけれども、警察庁長官官房審議官で、しかも交通局担当ということで、これはどういう関係があるのか。何か前歴がそういったような専門的な立場だったとか、そういったようなことじゃない。

 あるいはまたさらに、日本自転車振興会役員名簿というのを見てみますと、これは自転車の振興にどういったふうに関係があるのかわかりませんけれども、小川邦夫さんという特許庁長官だった人がなっている。あるいはまた、その特許庁から二人、深澤さんという方も来られている。それから、成宮さんという方も大臣官房審議官だった。それからあと、経歴が出ていない人も三人いるということで、あるいはまた、猪野さんという人も消防庁の審議官だった。梶さんという方も千葉県都市部の理事だった。こういったふうに、理解に苦しむような役員人事をやっているなということが、この一覧表を見てわかるわけです。

 またさらに、日本小型自動車振興会役員名簿を見ても、上野裕さん、国土庁長官官房審議官。それから、萩原さんについては経歴が出ていない。瀧澤さんという方は四国管区警察局長だった。そしてまた、経歴が出ていない方も二人もいる。

 ずっとこう見てまいりますと、事業の目的、これにほとんど関係がない人が抜てきされているというところに、これは大きな疑問を感じるわけです。こういったようなことをひとつ説明いただきたいと思います。

北畑政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたけれども、適材適所で当時選任をしたということだろうと思います。

 それから、ルールがないという御指摘でございましたけれども、特殊法人、独立行政法人のトップの人事につきましては、内閣に設置をされました人事検討会議、ここにお諮りをして、閣議了解という形をとって任命をするということでございまして、そういったルールに従って、その中で、それぞれの役員あるいは理事長の方の能力と過去の実績を見て判断をいたしております。

 個別にいろいろ御指摘をいただきました理事につきまして、当時の経緯、今資料を持っておりませんけれども、一つは、中小企業事業団とそれから公営競技の団体につきまして、自治省あるいは警察庁にお勤めになった経歴のある方を選任しております。先生は最終の経歴を御説明されましたけれども、そういった経歴を持たれた方だと思います。

 中小企業事業団は、かつて、共済事業の関係でいろいろトラブルがございました。そういった関係で、警察庁におられた方を選任したのではないかと私は思います。それから、公営ギャンブルにつきましては、これは、そういうトラブルもございますし、実施主体が自治体ということで、そういう関係の経験の方を選任したのではないかとこれも思います。詳しい経緯は当時の資料を見ないとわかりません。

 それから、前歴が書いていないということは、これは恐らく、それぞれの法人のプロパー職員の方が昇格をされたんだと思います。

 以上でございます。

計屋委員 審査はしっかりとしている、こうおっしゃっているんですけれども、基準がなくなおかつ官僚の天下り先ということで、たらい回し的な、そういったような人事じゃないか、こういうふうにこの名簿から推測できるわけです。

 ですから、やはり、しっかりとした基準を設けて、それにだれもが納得する、そういったような人事をしてもらいたい。それにはやはり透明性ということが必要なんですよね。やぶの中でのあるいは水面下でそういったふうにして官僚の天下り先というものを決めていく、そういったふうなやり方というものはもうこの辺で直していかないと、国民の税金を使って、そして二年か三年いて退職金もらって、また次に天下っていく、こういったふうなシステムというものをやはりきちっと見直す必要がある、こういうふうに思いますけれども、大臣、どうですか。

中川国務大臣 おはようございます。

 今の計屋委員の御指摘でございますけれども、人事というのはなかなか難しいものではないかと私自身思うわけでありますけれども、そういう中で、公益性の高い法人、特殊法人、独立行政法人というのは、委員御指摘のように、公益性が高い以上、きちっとした形でやっていかなければいけないということは、当然のことだろうと思います。

 したがいまして、特に今、小泉内閣のもとでは、いわゆる天下りについての一定の基準、今までよりもずっと厳しい基準を設けたり、それから、きちっとした透明性というものが確保されることが大事だという強い指示をかねがね我々受けているわけでございますので、適材適所という形で、とにかく、いわゆる腰かけ的な形ではなく、職務に専念をし、きちっとした業績を上げて、そしてまたその法人としての活動がきちっと国民や国会にわかるような形にするように、今、私自身も含めて、内閣を挙げて努力しておるところでございまして、以前よりはよくなった、だからいいということでは決してございませんので、引き続き努力していく必要があるというふうに考えております。

計屋委員 大変公益性の高い、国民の生活あるいは経済生活というものを支えていこう、それに貢献する、そういったような人事でございますから、天下り先ということで、どこでもあいているところに抜てきしていく、そういったふうなことはもうやめていただいて、きちっとした、国民にわかりやすい基準を設けてやっていただく、こういうことでお願いをしたいと思います。

 次は、基盤技術研究促進センターについてお聞きしたいんですが、大臣はこの経緯というのは御承知かどうか。基盤技術研究促進センターということをお聞きしたことございますか。

中川国務大臣 もちろんございます。今はないわけでございますけれども、聞いたこと、もちろんございます。

計屋委員 昨年、十五年の四月一日にこれは解散になったわけでございますけれども、これは、昭和六十年に設立されまして、通産省と郵政省の共管する認可法人ということでスタートしたわけです。

 まず最初に、この目的はどういうことで設立されたかということについてお聞きしておきたいと思います。

小川政府参考人 基盤技術研究促進センターは、研究開発プロジェクトに対します出資あるいは融資を通じまして民間における基盤技術研究を促進する、これが目的でございます。

計屋委員 それで、昭和六十年から平成十二年度までの毎年、八十から二百五十億円の出資金が出た。出資金は産業投資特別会計産業投資勘定から行われた。財源はNTT株保有による配当金を充てていた。出資の残高が平成十二年度末で三千五十五億九千五十九万円に達したわけでございますけれども、この数字は間違いないですね。

小川政府参考人 政府が出資しました金額は、先生御指摘の、末尾の数字がちょっと違うかもしれませんが、私の持っておる数字では三千五十五億九千百万円でございます。

計屋委員 それで、基盤技術研究促進センターから技術開発系の企業百九社に対して、政府出資のほとんどが出資金あるいは貸し付け金として支出されている。さらに、特許出願件数が五千二百件、これは間違いないですか。

小川政府参考人 私どもが承知しております数字を申し上げたいと思います。

 設立以来、平成十三年までの間でございますけれども、センターが出資をいたしました研究開発会社におきましては、特許を六千四百七十一件出願いたしまして、そのうち二千六百六十四件というものが特許権として成立いたしております。二千六百六十四件でございます。そういう数字でございます。

計屋委員 それで、平成十三年六月に同センターは解散する法律が成立しているわけですね。平成十五年四月一日で解散。この解散によって、産業投資特別会計の産業投資勘定は、十五年度に二千八百六十一億円の出資金償却損を計上した。したがって、三千五十六億円の出資金のうち、回収できたのは百九十五億円にすぎなかった。回収率が六・四%ということでございますけれども、この数字で間違いないですね。

小川政府参考人 そうでございます。

計屋委員 それでは、このセンターが出資した各会社の特許出願数が六千四百七十一件ということでございますけれども、特許を取得できたのは何件なのか。さっきの二千六百六十四件が特許を取得していたのかどうかというのを、もう一回確認したいと思います。

小川政府参考人 出願件数は御指摘の六千四百七十一件で、そのうち、特許権として成立いたしましたのが二千六百六十四件でございます。

計屋委員 そのロイヤルティーフィーは幾らになっておるんですか。

小川政府参考人 特許権等成立いたしまして、二千六百六十四件ございますが、この特許をうまく使うということで、特許許諾収入というのがあるわけでございます。ロイヤルティー収入と言っておりますが、これは累計三十二億円ということになってございます。

計屋委員 各会社の特許出願件数と特許取得件数はそれぞれ何件になりますか。百九社を設立したわけでございますから、その中の出願件数あるいは特許を取得した件数、それは何件になりますか。

小川政府参考人 まず、御報告しなければなりません。昭和六十一年から平成十三年までの間センターが出資をいたしました会社は、百十二社でございます。その会社が累計六千四百七十一件の特許出願をし、二千六百六十四件が特許権として成立をした。そのロイヤルティー収入が三十二億円ということでございます。

 今、私、手元にそれぞれ百十二社の特許出願件数と取得した特許の件数というような数字をちょっと持っておりませんので、後刻調べまして、御報告申し上げたいと思います。

計屋委員 では、それぞれの会社の出願件数とロイヤルティーフィーという、それも合わせて、ひとつ一覧表にして提出していただきたい。資料の請求ですね。

小川政府参考人 資料を整えまして、報告をさせていただきます。

計屋委員 そして、例えば取得特許の現在の所有権者がだれになっているのか。これは、もう会社を解散して、特許を二千六百六十四件取得しているわけですね。その所有権というのはどこにあるのかということですね。

小川政府参考人 まず、基盤センターでございますけれども、先生御指摘のとおり、十三年に法律改正が行われまして、清算手続に入って、十五年の四月一日に解散ということになってございます。

 したがいまして、十三年以降出資を受けました研究開発会社は、その持っております特許権を処分していく、それでもってできるだけ上がりをふやしていくという形の努力をしたわけでございます。その結果、具体的には、特許権というのは、会社が持っておりましたものにつきまして、公募等をやりまして、場合によっては競売というのもございますけれども、そういう形をとりまして売却がなされております。

 したがいまして、十三年から十五年のセンター解散までの間、法律が通って解散までの間、各社の研究開発会社の清算手続中に特許権は売却をされまして、現在は、その特許の所有者は、売却されたものを購入した人たちが持っているということでございます。

計屋委員 各取得特許の現在の利用状況といっても、もう売却したんだから、これは現在ないわけですね。それらの特許を使って現在収益を上げているということは、もうないわけですね。

小川政府参考人 御指摘のとおり、その意味では、センターも解散されておりますし、出資を受けました研究開発会社も清算され、解散されておりますので、ないということでございます。

計屋委員 それで、解散前の当時の役員は再就職されているのかどうか、その辺もお聞かせいただきたいと思うんです。

小川政府参考人 センターの出資の先となりました研究開発会社各社につきましては、民間企業からの出向者の方々がそれを担っておられることが多うございまして、解散のときに、それぞれの会社の人事の中で新しい職を得ておられるというふうに理解をしております。

計屋委員 これは、それぞれ民間の企業から出向ということじゃなくて、役員の中にはそれぞれ官僚から天下りで行った人がいるんじゃないですか。これは民間でみんなやったはずじゃないと思いますよ。公益法人である以上は、そういったようなことはないはずだと思います。

小川政府参考人 私どもの持っております資料によりますと、センターが出資をいたしました研究開発会社の役員につきましては、公務員のOB等は勤めていなかったというふうに承知しております。

計屋委員 では、兼務でやったのかね。

 それで、そのとき、民間の役員の皆さんについては退職金は払っているのか、あるいは、兼務で役員をやっておられても、退職金そのものを払っているのかどうかということですね。

小川政府参考人 それぞれの研究開発会社の解散手続の中で、それぞれの会社が決めております退職金のルールに従って民間の方に支払われたというふうに理解をしております。

計屋委員 それで、退職金を払っているということでございますけれども、まあ、それは払っているということで理解します。

 この三千五十六億円の政府の出資金に対して、政府が回収したのはたった百九十五億円、回収率が六・四%にすぎない。さらに、結果的にはこれは、約三千億のNTT配当株はもうどぶに捨てられると同じである、こういうふうに理解するわけです。

 そこで、平成十二年の四月三日、私どもの民主党の生方議員が当時の深谷国務大臣に質問をしまして、例えば、ここに議事録があるわけでございますけれども、その当時、

 七十三社中、既にもう十五社が解散をして、欠損金というのが百九十六億円確定をしているわけですね。さっき申し上げましたように、今もう既に成果管理会社が七十三社中五十社あるわけですね。そうすると、これは五十社も順次解散をしていくということなんですか、それとも成果管理会社というのはそのままずっとこの後も存続をさせていくということなんですか。

こういったふうにして平成十二年の四月三日にお聞きしているわけです。その質問に答えて深谷国務大臣は、

 管理会社は、基盤技術研究促進センターからの出資で研究を行った会社が、その研究開発活動の終了後に、特許とかノウハウとかの研究開発の成果を管理していくという性格のものでございます。そして、この研究開発の成果の実用化を促進して、ロイヤルティーを収入として確保していくということのための管理会社であります。

こういったふうに言っているわけです。それから、さらに話を続けまして、

  繰り返し申し上げますけれども、これらのいわゆる知的財産というんでしょうか、有形無形で国家国民に将来ともにプラスになるわけでありまして、私はこういうところに、もちろん一定の経済性を考えなければなりませんが、積極的な支援をしていくという国の姿勢というのは、私は間違っていないと考えております。

こういったふうに答弁しているわけです。そして、そういったふうにして、この特許権というものの収入において、未来永劫に収入を得て、それで運営していくということを、その解散の前のときに言っているわけです。

 こういったような発言をしているにもかかわらず、もうその直後からこの解散の手続に入っている、こういったような矛盾していることになっているわけですけれども、これについてどうお考えですか。

小川政府参考人 委員御指摘のとおり、基盤技術研究開発促進センター事業にかかわります資金回収につきまして、今御指摘のありました平成十二年四月の決算行政監視委員会におきまして、御指摘のような政府からの答弁をさせていただいたことは事実でございます。

 もともとこのセンターは、研究開発会社が研究開発の成果、実効を挙げ、それが特許に結びついて、それがロイヤルティー収入を得る、それで会社が配当をする、それでもって資金回収を全体として回していく、そういう考え方で立っておって、それで努力をしてきたわけでございます。

 答弁をした後でございますが、平成十二年八月からでございますけれども、産業技術審議会と電気通信技術審議会の合同専門委員会を置きまして、現状をもう一度再整理し直したわけでございます。その結果、その年末でございますけれども、当初考えておりましたような、得られた特許等の収入によって配当を受けまして、それによってセンターが資金回収をしていくという仕組みにはやはり限界がある、そういう見きわめに至りました。その結果、事業を抜本的に見直すべきであるという報告がこの合同専門委員会から出されたわけでございます。

 これを踏まえまして、当時、私どもは、平成十三年に基盤技術研究円滑化法を改正させていただきまして、昨年の四月でございますが、解散をしたということでございます。

計屋委員 結局、所期の目的が達成できずに、この多額の、約三千億という国民のお金を使って、そしてなおかつ、将来に向かって知財をふやしていこう、こういったふうなことであった、それが、この質問に対して、なおかつロイヤルティーフィーを財源としてさらに広げていくんだ、こういうことを言ったにもかかわらず、即それを解散するということになった。それにはどのような総括があったのか。反省もなくそういったようなことをやっていくということは、これは本当に私ども理解できない。あるいは、私どもというよりは、国民がこれは理解できない問題だと思うんです。その辺について説明いただきたいと思います。

坂本副大臣 IT、バイオその他各広い分野にわたって、民間企業の取り組んでおります基盤技術研究を強化するために当初の政策目的を果たした、まずこう考えております。

 それは、御承知のように、国際電気通信基礎技術研究所あるいは生物分子工学研究所、これらは世界的に評価の高い研究所になったんですね。それから、二万件を超える論文、お話のあった二千六百六十四件の特許等々が成果としてでき上がったわけでありますが、これで一応の一定の成果を上げた、こう思っております。

 ただ、得られた特許の収入によって配当をし、それによって資金の回収をするという仕組み、これは、時を経るに従って、だんだんそういう仕組みが限界であるということがわかってまいりました。そのために平成十三年に法律を改正して、同センターを解散したというわけでございます。

 他方、国際競争が激化していく中にありまして、民間研究開発の支援は引き続き重要な課題であると考えております。このため、基盤技術研究促進センターの経験を教訓といたしまして、事業の性格に応じて補助金による助成や委託研究などの適切な制度設計を行いつつ、経済活性化に直結する研究開発プログラムの実施、あるいは研究開発型ベンチャーの支援、それから産学官連携の強化等々、政策を着実に推進し、産業競争力の強化に努めていくために経済産業省の責任を引き続き果たしていきたい、こう考えております。

計屋委員 責任を果たしたといっても、所期の目的というのはこれだけの、約三千億の金を使って回収率が六・四%という、百九十五億にすぎないということであれば、出資による民間研究の呼び水になったということも言っておりますけれども、ただ、そういったふうなことでこれだけの、三千億というと、これは一万円札を、百万で一センチです。ですから十センチで一千万。これをずっと積み上げていくと、富士山が三千三百三十メートルというと、富士山に匹敵するほどのお金をずっと積み上げていくぐらいの、それだけの重い金でございます。

 この金をこういったふうにして、特許件数も二千六百六十四件ということでございますけれども、それが実用化成って、特許フィー、ロイヤルティーフィーが上がってこないという形、そして、これはもうどっちにしても行き詰まってきたと思うんです。それに総括もなし、なおかつ責任をとる人がいない、そういったようなことは、今の副大臣の説明で国民は納得することできるんですか。これは私は大きな問題だと思うんですね。

 ですから、そういう点で、そういう反省がない、あるいはまたそういう総括もしていない、そういったようなことで、これは大変な国のむだ遣いをしているという実態というのが出てきているわけです。ですから、私は、こういったことに対してやはりしっかりと総括して責任をとってもらいたい。

 昨年の、平成十五年の四月一日に解散したわけですから、解散しても、この退職金の問題にしてもそうですけれども、民間の企業ですと、収益性が上がらなくて会社倒産です。解散ということは、会社としては、民間の会社では倒産になります。この倒産した会社が役員の皆さんに退職金を払いますか、あるいは従業員に払いますか。こういったようなことをやっているということは、これは国民の不信というものにつながっていくわけです。

 ですから、この件について、ひとつもう一回、大臣、答弁してもらいたいと思います。

中川国務大臣 このセンターが昭和六十年に設立した当時といいますのは、NTTの民営化とかJTの民営化とか、いろいろな議論というか、いろいろなことをやっていった一方、ITとかそれからバイオとか、そういうものについて非常に国家的な、また世界的な競争が始まってきた時期でございますから、それに対しての先進的な研究開発に対して国が協力をしていこうという、ある意味では国民的なコンセンサスがあった時期だろうと思います。

 私も、随分昔の話でありますけれども、政府からこのセンターについて説明を受けた記憶がかすかにあるわけでございますけれども、そういう中で、確かに、今から考えれば総括して反省すべき点もあることは、率直に私自身そう思います。

 大体、リスキーなものに対して、百のうち一つか二つかはわかりませんけれども、現に、今御指摘のように相当なハイリスクの研究であったわけでありますし、しかも、その投入した資金に対しての収入を特許料で賄うということは、これは特許料、特許使用料ですから、実際にその特許によって何か製品化されて売り上げがあって、それに対しての売り上げの何%ということじゃなくて、あくまでも特許料の一部が戻ってくるということですから、これはどう見ても採算に合う可能性が非常に少ないということは、当時だってそういう議論はあったんだろうと思うわけであります。

 しかし、他方、これは単なる経済収益性の問題だけではなくて、先ほど申し上げたように、バイオとかITとかいう世界競争が始まっている中で、純粋な民間ではなかなか手が出せないようなものについても積極的にやることを政府がひとつ後押しをするという意味は、私はあったんだろうと思います。

 現に、先進的な研究が行われ、そしてまた特許が認められ、そして特許使用料収入も上がってきているという、微々たるものかもしれませんけれどもあるわけでありますから、したがいまして、そういう意味も全くなかったわけではない、私は意味があったというふうに思っております。

 ですから、委員御指摘のように、三千億投資をして二千八百億近い欠損金を出して清算をしたということだけでこの問題を議論すると、ちょっと、本来のこのセンターの目的の外の議論も入ってまいりますので、総合的に私は判断すべきだと思いますが、一〇〇%委員の御指摘を否定しているわけではございません。委員の御趣旨は私自身理解できる部分もあるということも申し上げておきたいと思います。

計屋委員 事事業の収支ということから考えてまいりまして、これは回収率が六・四%ということで、これが半分だとかあるいは六〇%とかということであれば、それはそれなりの評価はしなきゃいけないと思うんです。ところが、六・四%、そういったような状況の中で、なぜ創意工夫をもっとしなかったのか。

 あるいは、やり方はいろいろとあったはずだと思うんです。体制の問題、あるいはまた、設立する法人に出資する場合も、単なるそういったふうな出資をどんどんしていけばいいということじゃなくて、そういったような、研究者をもっと選択していくとか、組織構造上またいろいろと見直すとか、そういうことをしていかない限り、やはりこれは世界の国におくれをとっていくし、なおかつ国民に、今これだけの不況にあえいできて、国民の皆さんが、年金の問題にしてもそうでございますし、経済生活が大変な、めちゃめちゃになっている。失業者も依然として多い、あるいは自殺する人も三万人を超えている、自己破産する人が二十四万人もいる、こういったような状況の中で、今大臣、副大臣がおっしゃったような感覚でいけば、これは日本の国は破綻してしまう、そういうところにもう近づいてきているということが言えるわけです。そういったふうなやり方をやった結果、そうなっている。

 ですから、このNTTの政府保有株の産業投資特別会計でございますけれども、これは歴史的にもう使命は終わっていると私は思うんです。前年度の剰余金も四百二十三億円あるわけです。ですから、特別会計を廃止すべきだと考えております。

 それから、保有しているNTT株も、一般会計が保有している一般財源として使うか、あるいは国債整理基金特別会計に移して、売却することができない株として、配当金を得て国債償還に充当する方がいいんじゃないか、こういうふうに考えているわけですけれども、この件についても、ひとつ大臣、どう考えますか。

中川国務大臣 産投という特別会計は、私は今でも十分その目的を果たしていると思います。ただ、これは全体としての話でございまして、常にチェックをしていかなければならない、柔軟な対応をしていくことが必要だという前提で申し上げます。

 そういう中で、それを全額売却するとか国債整理基金に移すとかいう委員の御指摘でございますけれども、今、国の会計制度全体を政府としてチェックをして、見直しをしている作業の最中でございますので、委員の御指摘は御指摘として承らせていただきたいと思います。

計屋委員 それで、今、現状の形で産業投資特別会計というのがいいというようなニュアンスのことを大臣はおっしゃっているわけでございますけれども、ただ、これは、前年度の剰余金も四百二十三億円も余っているわけです。これをほかに使えないという形で残しているわけですから、やはりもうこの役割は私は終わっていると思いますので、さらにこれは検討する余地があると思いますので、今後はこの問題について私も取り組んでまいりたい、こういうふうに考えます。

 いずれにしましても、解散したこの基盤技術研究促進センターの問題については、やはり総括をちゃんとして、責任は責任としてこれはきっちりとしていく必要がある、こういうことを申し述べまして、時間が参りましたので、これにて私の質問は終わりますけれども、よろしくお願いします。

根本委員長 次に、梶原康弘君。

梶原委員 民主党の梶原康弘です。

 きょうは、工業標準化法と国際規格の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、この法改正でありますけれども、公益法人改革の一環として提出をされた。国の関与を最小限にする目的で、今回の場合は、国あるいは公益法人がやっていた検査あるいは認証の業務を民間に委託していくというものであろうかと思います。

 従来、JIS認証については、指定認証機関六団体と全国の六つの経産省の地方局で行ってきたわけでありまして、その認証件数はほぼ五〇%ずつぐらい、六団体と国の地方局でほぼ半分やってきたということを聞いております。

 それが今度新たに登録認証機関に移行されるということでありますけれども、ここでお尋ねしたいのは、本来の公益法人改革、行革の趣旨にのっとっているかということでありまして、業務が民間に移行されていくわけでありますから、当然のことながら、人員であるとか予算が削減されていくであろう。あるいは、登録認証機関というのは民間が多く参入するわけでありますから、検査費用も安くなっていくのではないか。あるいは、公益法人と民間が両方やるということでありますから、果たして同一条件で競争されるのかな、民業圧迫のようなことにならないのかなというようなことも想像するわけでありまして、この改正が公益法人改革の趣旨にのっとっているのかどうか、その検証が必要ではないかというふうに思っております。

 民間に委託されても、国の手間というのは一切変わらない、人も減らない、あるいは利便性もよくならない、金もかかる、こんなことにならないだろうとは思いますけれども、そのところについての見解をお尋ねしたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正によりまして、現在国が行っておりますJISマークを付すことができますJIS工場と製造事業者の認定に関する業務は、御指摘のとおり廃止されるわけでございまして、民間で登録された第三者機関がすべての製品認証をやるということになります。したがいまして、従来やっておりました工場認定に係ります国の業務というものは、この法律で規定されております経過措置期間、三年でございますが、この終了後はなくなっていくわけでございます。

 他方、新しい制度のもとでも御提案させていただいてございますが、JISマーク制度や試験所登録制度の信頼性というものを確保しなければなりません。そのために、国は登録を受けました認証機関や試験事業者あるいは製造事業者に対しまして報告徴収、立入検査、そういったものを行いまして、必要なときには命令を出す、そういった形で厳格な監督もあわせて行っていこうというふうに考えてございます。そのために、登録にかかわる業務に加えまして、これら、事後的な措置と呼んでおりますけれども、業務が引き続き必要になるわけでございます。

 そういう意味で、今回の改正によりまして、減少する業務と、それから国民の信頼を確保するために引き続き必要となります業務の差というのが行政改革の効果になるわけでございますが、可能な限り、我々は新しい制度のもとで業務を効率的に実施いたしまして、行政改革の効果ができるだけ大きくなるように努めたいと思っております。

 それから、利便性の向上があるかないかということでございますが、参入する民間企業からいいますと、ビジネスチャンスが広がっていくわけでございます。それから、市場を通じましてサービスの競争が行われることになりますので、サービスの受け手であります製造事業者等につきましても、いろいろなサービスの選択の幅が広がるといったメリットが期待されておるところでございます。

梶原委員 こうした公益法人改革とか、どうも名ばかりで実が伴わないのではないかというようなことを多くの国民が思っているわけでありますので、ぜひ、そういったところにきちっと視点を当てて、厳しくやっていただきたいというふうに思っております。

 それについて、もちろんJISというのは、これまで品質の向上であるとか信頼性あるいは安全性について国民の大きな信頼を得てきたということで、今の信頼を堅持していかなくちゃいけないわけであります。基本的に民間にそういったことを任せていくということは賛同するわけでありますけれども、私も実は製造業を営んでおりまして、これまでもISOであるとか、自分は自動車関係でありますので、QS9000というのがありまして、さらにISO14001、それからISO/TSかな、そういったものを取得してきた経験があります。

 その経験から申し上げると、そういった規格を取るときには、私のような小さな会社でも二百万から三百万、受審料だけでかかるわけですね。その後、半年に一回あるいは一年に一回検査が行われているわけで、一回の検査料が五十万から百万近くかかっている。一回契約するとずっとそれが続いていくわけですね。民間の事業者でありますけれども、その業者にとっては、一回契約をすると、毎年というか年に二回ぐらい、五十万、百万というのが入ってくる。これはJISの認証とは違いますけれども、私の場合はISOの認証機関ということ、そこがすべてそうだと言っているわけじゃないんです。

 そうしますと、認証機関も当然民間でありますから、営業成績を上げていかなきゃいけないということになると、費用を安くするか基準を少し甘くするということもあるのではないかな、そんなことも懸念されるのではないか。これまで国民の信頼をかち得てきたJISの信頼を損なってはいけないというふうに思いますので、民間に委託していく登録認証機関に対して、きちっとしたチェック体制をとっていただかなくちゃいけないのではないか。

 先ほども、チェック体制の業務、それが従来と同じ人員がかかるということはちょっと解せないようにも思いますけれども、一方では、そういったチェック体制をきちっととっていかないと、せっかくのJISの精神というか、これまで積み上げてきたものが崩れていく危険があるのではないか。その辺のチェック体制をどうされるのか、具体的に教えていただきたいと思います。

小川政府参考人 先ほどお答えしました点で一点追加をさせていただきたいと思いますが、先ほどお答えしましたのは、新しい制度によって行政改革の実効が上がる部分と、それから信頼性を確保するための事後的な措置のための所要の業務、その関係、その差分が行政改革の効果になるということでお答えしましたわけです。その差をできるだけ大きくするように今後努力をしたいということでございます。

 さはさりながら、御指摘のとおり、信頼性がまず第一でございます。こういったマーク制度というのは、信頼があって初めて世の中で通用していくわけでございます。

 したがいまして、今回の改正におきまして、まず、登録認証機関、参入が広がっていくわけでございますけれども、登録要件は国際的な基準に則したものを法律上明確に規定しております。それから、登録制につきましては、更新制、ある一定の期間ごとにきちっともう一遍登録要件に合致しているかどうかを厳密にチェックさせていただきたいと思っております。そういう意味での登録要件適合の判断を厳密にやりたいということでございます。

 それから、いろいろなマーケットでそういったサービスが提供されていくわけでございますから、いろいろな形で情報が我々に寄せられる可能性があります。消費者からの場合もありましょうし、メーカーさんの場合もあろうと思いますが、そういった通報等に応じまして、我々、機動的に報告徴収とか立入検査というものを登録認証機関に対して行いまして、必要な措置をとらせていきたいというふうに考えてございます。

 それから、今度表示を認められた製造業者、メーカーの方につきましても、報告徴収、立入検査等、これもやっていきたいと思ってございますし、問題があればマークをつけた表示の除去、そういった措置もとらせていただきたいというふうに考えてございます。

 それから、いろいろ市場で流通しております、取引されておりますJISマーク製品につきましては、我々、試買検査の予算を持ってございまして、そういった試買検査の予算も活用して、製品に問題があるかないか、あった場合には、先ほど申し上げましたような適切な対応措置をとっていきたいというふうに考えています。

 そういったもろもろをあわせまして、表示制度の信頼性確保に努めたいと考えてございます。

梶原委員 ぜひお願いしたいと思います。

 続いて、国際標準化、国際規格の主導性の必要性についてお伺いをしたいと思います。

 先日、これは五月二十五日の日刊工業新聞ですけれども、電気・電子機器の環境配慮設計において国際標準化で主導的な役割を担う可能性が出てきたという記事が載っておりました。

 今、国際規格の争いというのが大変熾烈になっているということを聞くわけでありますけれども、もし、この記事のとおり国際規格を日本主導で成立するというか、日本の規格が採用されるということになると、まずは環境の分野で世界的に大きな貢献ができる。環境配慮設計については日本は相当進んでいるわけでありまして、これを国際規格にするということで大きな貢献が生まれる。さらにまた、新たな市場を開拓するということになる。そこへ得意な日本企業が参入をしていく。大きなビジネススタンスが広がるということになるんだろうと思います。特に、電気とか電子機器の場合は、すそ野が広いだけに相当な経済効果があるのではないかということを思うわけであります。

 日本は、グローバル化の中で、技術とか知財を生かしていかないといけないということでありますし、高付加価値のものをつくっていかないと日本の製造業はもう成り立たない。こういう中で、国際規格を獲得するということが大きな戦略になっていくのではないかなというふうに思っているわけですが、この記事では、これはいい記事を見たなというふうに思ったわけであります。国際規格の競争が大変熾烈である、厳しいということを聞いておりますけれども、そういった状況について、具体的にその辺のところ、競争の実情というか、お聞かせをいただければありがたいと思います。

小川政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、貿易や投資が自由化が進んでいく中で、国際競争というのは非常に熾烈になってございます。そういう意味で、世界市場で競争上優位な立場を確保していくために、国際標準化というのは極めて重要な手段になってきております。これは諸外国も同じでございます。

 成功事例ということで我々考えておりますのは、デジタルカメラというのがございますが、我が国を初めとして、デジタルカメラというのは、今、アメリカから韓国、台湾、そういったところでつくられておりますけれども、世界の約九割のシェアを日本のメーカーが押さえているわけでございます。

 これは、デジタルカメラが必要といたしております静止画像を圧縮する技術というものがございますが、この主要特許を我が国企業がたくさん持っているということが一つと、それからもう一つは、我が国のそういった有力企業が協調して、日本初の国際規格案をつくりまして、それを提案して国際規格にしていったということが挙げられるわけでございます。

 それから、二点目でございますが、例として委員が挙げられました日刊工業の記事でございますが、これは電子、電気の環境配慮設計でございまして、二〇〇六年に、EUが、特定の有害物質を家電製品に含むことを規制するための指令というのを検討中でございます。その関係で、どうやってその化学物質をはかるのかということについて、国際規格の検討が国際電気標準会議、IECと呼んでございますが、そこで始まっております。その結果の帰趨いかんによっては、その内容いかんによっては、我が国の企業は多大のコストを払う必要が出てきたり、貿易上のいろいろな制約になってくるおそれがあります。そういう意味では、我々は、御指摘にありました環境について強い技術ポテンシャルがあります。そういったすぐれた技術を生かしまして、これをベースに国際規格の制定というものをいろいろな形で働きかけをやっております。

 そういう形を引き続き頑張り続けまして、国際規格を何とか確保する。それで、その結果、産業競争、ビジネスチャンス、市場の確保、そういったものにつなぎたいというふうに考えてございます。

梶原委員 ぜひ頑張っていかなくてはいけないと思うんですが、ここで、日本の研究費、各国の研究費、これは大学とか政府の研究機関であるとか企業も含めてなんですけれども、研究費の比較があって、それを今、数字で申しわけないんですけれども申し上げると、二〇〇二年の数字なんですけれども、GDP対比で、日本は研究費三・三五%、アメリカが二・七九、ドイツが二・四五、フランスが二・二、イギリスが一・九。日本が一番高いわけですね。金額ベースで言うと、日本が十六兆七千億、アメリカが三十六兆五千億、ドイツ、フランス、イギリス合わせて十二兆しかない。こういう中で、国際規格の幹事引受数というのは、日本が五十五に対して、アメリカが百六十四、欧州三カ国で三百七十六と、圧倒的に多いんですね。研究費は日本が一番使っている、欧州三カ国と比較しても、日本よりも少ない研究費で五倍ぐらいの規格をとっているという事実があります。幹事引き受けということについて言えば、日本は六%にすぎない。こういう厳しい現実があるわけです。

 日本の経済も、改めて言うまでもなく、東西冷戦構造の中ですごく伸びてきた。しかし、その中で、オイルショックとかプラザ合意とかを経て、また、今の長期デフレを克服しようとしているのも、製造業を中心に技術力を高めて優位性を保ってきたことは、もう間違いないと思うんですね。そういう中で、国として、国際標準化の取得に向けての努力がどれくらい本当になされているのかなと。

 先ほどおっしゃったように、日本の規格が採用されないことによって日本企業というのは大きなマイナスが生じるわけでありますし、これに向けて全力で、もう国益をかけて官民一体となってやらなきゃいけない、こういうふうに思うわけですけれども、こうしたことは、どうも日本の国というのはいつも後塵を拝する、経済戦略がないなと。日本の場合は小泉総理を筆頭に外交戦略がないと、私は最近明らかになったというふうに思いますけれども、中川大臣もそう思っておられるんじゃないかというふうに思いますけれども、経済戦略をもっと明確に打ち立てて、国際規格の取得に向けて努力をしていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思います。

 そうした取り組みについて、具体的に今どういったことをされているのか、お伺いしたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、現在我が国が優位に立っております技術、これをもとにできるだけ多くの国際標準を獲得したいということで、先ほどGDPに対します研究開発投資額というのが御指摘がありましたけれども、研究開発と標準化というのは、早い段階から一体となって、標準化、規格というものを念頭に置きながら研究開発を進めていく、両々相まってやっていくということをまずやり始めてございます。それが一点でございます。

 それからもう一つは、その成果を早い段階から国際提案していくという段取りのところも工夫したいということで、研究開発と標準化の一体的な推進ということで、今関係者の間でコンセンサスづくりに努めているところでございます。

 それから、具体的に、国際的な機関、議論の場で日本発の規格をとっていくということでございます。ある種、御指摘のありました、幹事国が招集をしまして会議をやっていて、いろいろな形で運営をしていくわけでございますので、幹事国引受数をふやしたいと、御指摘のとおり、今ああいうレベルでございますので、それをふやしていこうということで、それを考えているわけですが、それに先立って、まずそれを担う人材が必要なわけでございます。その関係で、国際標準化活動に従事ができて活躍できる人材を官民の中から育て上げる、育成する、活躍してもらうということで、産業界と今連携を図って体制整備を図りつつあります。

 それから、ある国際機関で、そういった会議で、ある種、日本の提案が通るためには、言葉は悪いですけれども、多数派工作をやらないかぬということで、我々の周りのアジア各国に対して、こういった標準化の重要性というのを理解していただき、我々と一緒になって行動をともにしていただくという意味での、それぞれの地域のキャパシティービルディングといいますか、人材育成でありますとか、いろいろなシステムについての情報提供といったものに努めているわけでございます。

 以上でございます。

梶原委員 これはもうぜひ官民挙げて取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 続いて、特許侵害のことについてちょっと触れたいと思うんですけれども、けさの日経でもトップで、韓国の「サムスン七兆円投資」という、これを読んでみると、三年間で七兆円の投資をする、半導体メモリー、液晶パネル、携帯電話、それで数年内にシェア世界一を目指す、こういう内容の記事であります。

 それに先立って、四月七日の新聞ですが、富士通がやはりプラズマディスプレーの特許侵害でサムスンを提訴したと。ところが、二十二日に、その提訴は当たらないということで逆提訴されたという報道もなされておりました。

 特に、サムスンというと、急成長している会社なんですが、サムスンの日本人社員とか顧問が百五十人いると言われていて、技術流出がずっとしているということが言われている。そういった会社が、投資額でいえば日本の大手五社よりも超える投資をしているわけですよね。こういった現状にある。

 今、国際的な特許侵害というのが随分出てきているわけでありまして、技術を誇る日本にとっては本当に生命線というか、本当に厳しい状況に立たされている。日本の企業も国も、そういったところを本当にこれまでおっとり構えていたんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そういった今の状況に対して、この特許侵害、サムスンの問題も含めて、どういうふうに見ておられるのか、見解を伺いたいと思います。

桑田政府参考人 今、特許侵害の問題を含めまして、知的財産の保護、特に我が国の持っております技術力をいかにして守りながらそれを国力としていくかという点でございますけれども、まず知的財産の保護につきましては、私どもといたしましては、権利の取得とか権利の行使をいかに円滑化し、迅速化していくかということが重要であるという認識のもとでございます。昨年の通常国会におきましては、特許法の改正をしていただきまして、特許審査の料金体系の見直し、さらに審判制度の改革ということもしていただきました。また、今次通常国会におきましては、特許の審査をさらに迅速化を図っていこう、さらに、知的財産の高等裁判所の設立に向けました法改正を御審議いただいているわけでございます。

 それからもう一点、海外に日本企業が展開をしていく、それから海外の企業と提携をするといったことが現在ふえておりますけれども、海外への展開に際しまして、当初から意図をして、また想定したというふうなことを超えまして技術が流出をするといったようなことがございます。これを私ども、意図せざる技術流出と呼んでおりますけれども、こういった意図せざる技術流出によって我が国のせっかくの競争力が失われることのないように、昨年三月、企業の参考となるべき技術流出防止指針を公表いたしまして、現在、各業界、さらにはインターネットを通じまして周知を図るとともに、昨年の通常国会におきましては、いわゆる技術、ノウハウ等であります営業秘密の侵害に対します刑事罰の導入を行い、本年一月から施行されたところでございます。

 さらに、我が国の産業競争力の強化のためには知的財産戦略の推進が不可欠ということで、先日取りまとめられました新産業創造戦略におきましても、技術流出の防止を初めといたしまして、知的財産政策を重要な政策課題として位置づけておるところでございます。

 また、昨日、知的財産戦略本部が開催されましたけれども、ここにおきまして知的財産推進計画の改定がなされました。そこにおきましても、特許審査の待ち時間ゼロ、それからノウハウの海外への流出防止に積極的に取り組めということが対策として盛り込まれております。

 当省といたしまして、今後、引き続き、新産業創造戦略、知的財産推進計画に基づきまして、積極的に知的財産戦略を行ってまいりたいと思っております。

梶原委員 特許という形をとれば提訴もできるということなんですが、さっき言われた知的財産流出でしたか、その部分については、一生懸命取り組め、こういうふうにおっしゃったけれども、その部分というのは大変難しい部分じゃないかと思うんですよね。

 例えば、日本企業で勤めていた技術者が、定年を迎える、あるいは条件的に満足できない、そこへそういった韓国とか中国とか東南アジアからヘッドハンティングに来るわけですよ。それこそ町工場の金型の技術者とかね。金型なんというのは日本がもう断トツだったんだけれども、それがどんどん今流出している。特許という形をとるのであれば、それも提訴してということがあるかもしれないけれども、例えば技術者がヘッドハンティングに遭って韓国で仕事をする、それを規制することはなかなかできないんだと思うんですよね。それをいとも簡単にそうやって、強化せい、こう言っても、やはりなかなか難しいというのは私自身もよくわかるけれども、果たして、その入り口というのかな、そこだけでそういうことを言っていてもなかなか難しいんじゃないかな。

 もっと、例えば技術者の待遇であるとか、あるいは中小企業の問題まで至ると思いますけれども、そういった総合的なことを考えていかないと、行くな、行くなと言ったところで、個人であれば、実際、サムスンは百五十人行っているわけですよ。サムスンの会社だけで、日本人の技術者が社員とか顧問という形で行っているわけです。ほかにもどんどん技術者が流出しているんですよね。

 私も製造業を営んでいる、こう申し上げましたけれども、私のような小さな、電気部品の組み立ての会社なんです。通常は、今どきこんなの日本でやっているのかと言われるような電気部品の組み立て、普通であれば海外へ行っているかもしれません。しかし、そこにはノウハウがあるんですよね。例えば、製造設備を自分の会社で設計をして、もちろん、組み立ては外でやるけれども、機械の調整まで全部やっていく。うちのような小さなところでも、四人の製造技術の人を抱えて、その調整なり製造設備を扱っているわけです。そこのところのノウハウ。

 機械なんというのは、機械だけで一〇〇%稼動できるのだからなんてとんでもない話で、技術がないところへ持っていったら五〇%も稼動しないんですよね。稼動させるそのところがノウハウなんですよ。その部分がどんどん流出をしている。しかも、その技術というのは、研究室とか会議室では絶対生まれないんですよね。現場でないと、技術者が、もう日夜、機械と葛藤しながらやっていかないと、そのノウハウ、技術というのはつかない。その本当に貴重なノウハウが今どんどん流出しているんですよね。そういったことにきちっと視点を当てていただきたいというふうに思います。

 どうすればそういった知的財産というのが守っていけるのか。ただ特許だとか、あるいはそういう建前を言ってみたところで、企業に締めつけたところで、そこの社員が退職してしまったら何の制約もないわけだから、そういう部分というのは、もう少し国としても方向を示してもらいたいな、考えてもらいたいというふうに思っておりますが、その辺についていかがですか。

桑田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘がありましたけれども、まさに、本当に、技術のノウハウでございますとか現場が持っているノウハウ、これが我が国の製造業の力であり、源泉であると思っております。

 私ども、先生が先ほど申されましたけれども、一昨年から昨年にかけましてアンケート調査をしまして、海外と提携をしたり、海外にノウハウが流れたことについて調査をしたこともございます。その中で、海外に進出されたときにこういう失敗がありましたというふうな事例を七つぐらいのパターンで、先生がおっしゃいましたように、人を通じた流出でございますとか、製造に必要な図面やノウハウが取引先を通じて流れた事例とかという失敗事例を集めながら、それに向けて、事前にどう企業の方が準備をしたらいいかということで、指針の方でつくらせていただきました。

 さらに、先般、不正競争防止法におきまして、いわゆる技術ノウハウとか製造現場のノウハウというものを守るための営業秘密につきまして刑事罰を導入していただきましたけれども、今後とも、広く、実態をしっかり調べながら、どういった形でこれを守っていけるかということにつきまして、引き続き、私どもとしてもよく考えていきたいと思っております。

梶原委員 その技術というのが、本当に日本にとっては生命線というか、本当に大切なものであるだけに、安易に流出していくことのないように、総合的な対策というのをとっていただきたいというふうに思っております。

 今、サムスンの話とか流出の話、中国とか東南アジアへ流出しているという話をしたんですが、その一方では、先ほどもちょっと触れられたように思うんですが、国際標準化については、ヨーロッパが何で強いかというと、ヨーロッパの域内で、自分たちの規格をできるだけ統合して、域内の規格を国際化、標準化していこうという明確な戦略を持って取り組んでいるわけですよね。

 日本の場合も、そういった戦略、先ほどちょっと触れられたけれども、そこのところを申し上げたかったのであえて申し上げたいと思うんですが、日本にとっては、東アジア、文化とか風俗、習慣とか、あるいは、近い、中国であったり韓国、そういったところと強力な連携を保つことが国際標準化につながる。三カ国に限らないわけですけれども、そこがしっかりとした、そういった戦略を持って国際標準を獲得していくことが、この地域の経済的な繁栄につながる。

 特に、中国のような大きな市場がある。今言われていますけれども、携帯電話でも何でも、日本の商品は中国でシェアを伸ばしていないんですよね。みんなよそから入ってきたのが伸ばしている。そういう意味では、もっと日本企業も中国と連携を保って、国際標準、これは一つの例かもしれませんけれども、獲得していく。そういう戦略がなければ、これまで優位に立っていた日本経済あるいは製造業も衰退をしていくのではないか。かつてよかった条件というのが、もう次々と崩れていっているように思います。それを、今もっと明確な戦略を持ってやっていかなくてはいけないんじゃないかなというふうに思っております。

 そういう中で、もちろん、その域内においては、中国というのは安い労働力をもって大量生産という役割を果たしていくんであろうし、日本は、もっと技術的に高めていって、東アジアの発展にも貢献をしていくという決意が必要なのではないかというふうに思っております。

 その辺のところについて、大臣は余りお答えいただいていないので、大臣、お答えください。

中川国務大臣 梶原委員御指摘のように、日本は、いわゆる天然資源に恵まれていない、狭くて、国土に多くの国民がいて、平和で繁栄した生活を送っていくためには、御指摘のような、知的財産といいましょうか、技術というものを駆使して、そして、国民的な経済の向上をしていかなければならない。それが、ひいては世界に対する貢献にもつながっていくということでありますから、新産業創造あるいはまた知的財産の一層の開発と活用ということが重要であると思います。

 そのためには、新技術を開発し、また、新技術や伝統的な技術も含めまして、安易に海外に流れて、それが盗まれるのか、あるいは、今御指摘のように、人が行ってしまうかは別にしまして、結果的にそういうふうになるということは日本の国益にとっては非常にダメージになるという御指摘は、私も同感であります。

 アメリカのように、厳しい法律をつくって、ちょっと何かやったら罰則を加えるとか、あるいは、国が企業の合併等をストップさせるとか、そういうような法律ができれば、ある意味で、かなりそういう問題はクリアされるんでしょうけれども、日本の場合にはまだそこまで具体的にはなっていないわけでございますから、そういう中で、いわゆる企業と個人との関係とか、あるいはまた、もっと広い意味での、優秀な技術者が安易にあるいは不正に海外に技術ともども流出しないようにするという認識を持ちながら、さて、どうしていったらそういうことができるのかなと。アメリカのようなエクソン・フロリオ条項みたいな法律をつくったりするという考えもありますけれども、今、私自身も、また経済産業省としても、また政府としても、知財の重要性というものがますます高まっているだけに、その開発と利用と保護というものについて、また委員にもいろいろ御指導いただきながら、考えていきたいというふうに思っているところであります。

梶原委員 以上で質問を終わります。

根本委員長 次に、西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 まず、私は、二十世紀の後半の十年、そして、二十一世紀の前半の十年といいますか、この時期が世界の歴史の中でも非常に大きな転換期ではないかなと見ております。そういう中で、我が国の産業社会あるいは企業社会をどういう方向に持っていくのか、そういう視点から質疑を始めてみたいと思います。

 まず初めに、ヨーロッパの方で、EUの方で二十五カ国が統合していく。私の感覚からしますと、経済が国境を越えていくことはいいんですけれども、今やEU二十五カ国で、国境を越えるといいますか、基本法の議論まで出てきている、こういう大きな経済圏が一つのヨーロッパの地域の中にできている。

 こういう中で、我が国とEU二十五カ国、EU二十五カ国の中でも、先進国もあれば、これから国づくりといいますか、これから先進国に近づいていくというような国々もありますし、そういう中で、我が国とEU二十五カ国の統合あるいは基本法制定という動きの中で、どういう形でまず見ていけばいいのか。副大臣、非常に雑駁な質問でありますけれども、大きな視点で副大臣のお考えを聞かせてください。

泉副大臣 委員御指摘のように、非常に大きな勢力を持ったグループが誕生するということは我が国にとっても少なからざる影響があるという御指摘と受けとめさせていただきたいと思います。

 二十五カ国が一緒になったことによりまして、人口は我が国の四倍、そしてまたGDPは約二倍、九兆ドルというような大きなグループができたわけであります。これによりまして、拡大したEUに対しまして新たなビジネスチャンスが生まれてくるということが期待されるところであります。

 今日までのEU二十五カ国との経済関係は、貿易の面から見ましても、日本からEUへは八兆七千億、EUから日本へは約五兆八千億、投資の分野、直接投資につきましては、日本からEUへ一兆八千億、EUから日本へは六千四百億、双方ともかなり緊密な連携をとってきたというふうに考えております。これからのEUは、まさに世界の主要なプレーヤーとして良好な関係を維持していかなきゃならないということが極めて重要である。

 したがって、先日、中川大臣がヨーロッパにおいでになりましたときも、EUのラミー委員、これは貿易担当大臣でございますが、お会いをする、その他の要人ともお会いをされまして、意見交換をなさったわけでございまして、これからも政策当局とも緊密な連携をとってEUとの関係は重視していく、今まで以上に重視していかなければならないと思っておるところでございます。

西銘委員 EUに非常に大きな経済圏域ができる。そして、我が国もこの大きな経済圏域と緊密な関係をとっていくというお話でございました。

 一方、近くでは、中国の台頭、現実にいろいろな勉強会等々で出ておりましても、いろいろな市場で中国の影響が出ていることを実感いたします。中国を含めたASEAN諸国、アジア地域とのかかわりというのも、また我が国の産業、企業社会にとって、これから二十一世紀、どういうかかわりを持って我が国の進むべき道を目指せばいいのかという視点があると思います。

 この地域は、日米関係、決して軍事同盟のみならず、日米の関係、あるいは、ヨーロッパは、日英、イギリスとの歴史的な関係からすると、イギリスとの関係を連携しながらEUのかかわり、あるいは、アジアは、日米との関係を重視しながら、アジアとのかかわりになっていくのかなと私は勝手にイメージをしたりしているんですが、アジアとの関係という意味では、大臣、どういうお考えでしょうか、お聞かせください。

泉副大臣 日本の外交そのものは、日米を基軸にしてこれからも行っていくべきだと思っております。

 そういう中で、隣国中国が大変大きな経済成長を遂げてきておる。既にGDPでは世界の六位までに成長いたしておりますし、貿易総額は、日本と金額的にはほぼ同じ。日本が三位で中国が四位ということですが、金額的にはほぼ同じというところまで来ておりまして、我が国との関係は大変深く強くつながってきておると思っておるところでございます。

 したがって、この中国との関係を例にとりますならば、こことの相互補完関係というのは一層強めていく、ある部分では競争する、ある部分では協調していくという関係でやっていかなければならないと思っております。

 そうした中国に対しましては、これはもう再三言われておりますが、知的財産権の保護というような問題につきまして、WTO加盟時の約束事をきちんと中国に守ってもらいたい。あるいはまた、突然制度を変える、予告もなしに変えるというようなことではなくて、例えば税制の変更などにおきましても透明性を高めていただく、こういうことが、お互いの国がこれから手をつないで発展していく上に大変重要なことだと思っております。

 さらに、ASEANにつきましては、一九九七年の金融危機を乗り切って、その後、順調に回復をしておるわけでありまして、これからも我が国との関係は一層深まっていく、当然つながりが強くなっていくものだと思っております。こうしたASEANは、私ども、引き続き重要な海外生産拠点としての役割を果たしていく立場にある国々だと思っておりまして、貿易量もお互いに米国に次ぐ規模に発展をしてきておるわけであります。

 今後、日本とASEANの包括経済連携の推進、こういうことを通じて、ともに歩み、ともに進む、こういうテーマを掲げて連携を強化していくことになる、このように思っております。

西銘委員 それでは、独立行政法人産業技術総合研究所の質疑に入っていきますけれども、我が国は、こういう国際情勢、国際経済環境の中で、二十一世紀、どうしても、科学技術創造立国、あるいは知的財産立国、あるいは環境立国といいますか、こういう方向性を目指していかざるを得ないと思っております。

 その基本的な部分で、天然資源がない我が国ですから、どうしても貿易立国というのが基礎の部分にあろうかと思いますけれども、産総研、産業技術総合研究所には、まさに我が国の頭脳ともいうべき二千五百名余の研究スタッフがいると聞いております。我が国の産業、企業社会をつくっていく上で頭脳ともいうべきこの産総研の果たす役割は、これからも極めて大きなものがあろうかと思いますが、この産総研、予算はどのくらい、過去三年間ぐらいで結構でございますけれども、二千五百名の研究スタッフ、事務方もいると思いますけれども、予算の推移を少し具体的な数字で説明していただきたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 過去三年間でございますけれども、産総研の事業規模は、平成十三年度八百九十三億円、平成十四年度九百三十三億円、平成十五年度九百七十億円となってございます。

 それから、二千五百名という数が出ておりますが、研究者の数でございまして、職員を入れますと三千二百名の規模でございます。

西銘委員 職員三千二百名、そして研究職、本当に我が国のこれからの方向性を示す上では、非常に重要な役割を果たしていかなければならないと思っております。

 特に、六つの研究分野があると聞いておりますけれども、この六つの研究分野を、概略、簡単に御説明していただきたいと思います。

小川政府参考人 お答え申します。

 今、産総研の研究対象分野でございますが、御指摘のとおり、六分野ございます。まずライフサイエンス、それから情報通信、三番目はナノテク・材料・製造、四番目は環境・エネルギー、五番目が計量標準、それから六番目が地質・海洋、こういった六つの分野でございます。

 それぞれについて概略を御説明いたしますと、ライフサイエンスにつきましては、高齢化社会におけます安心、安全という観点から、生体機能の代替技術、そういったものをやっております。

 それから、情報通信分野でございますと、高度で安全な情報通信社会をつくっていこうということで、大型コンピューターではなくて、小さなコンピューターをつなぎ合わせて性能を上げていくというグリッドコンピューティング、そういった研究開発をやってございます。

 ナノテク・材料・製造分野では、よく議論されておりますが、我が国の物づくりの技術を支えているということで、それを支えます革新的な共通基盤技術といったものを研究開発していこう。

 それから、環境・エネルギーでございますが、持続可能な循環型社会の構築という観点から重要でございまして、温暖化物質の低減策、あるいは新エネルギー・省エネルギー技術といった分野の研究開発をやらせていただいております。

 計量標準分野でございますが、円滑な経済活動のいわばベース、基盤を提供します、そのための計量標準の整備あるいは供給といったことに力を入れているわけでございます。

 最後になりましたが、地質・海洋分野におきますと、これは、国土の安全という観点で、地震、火山活動に関する調査研究をやってございます。

西銘委員 つい先日、農産物の何かチップをつけるという会合に出る機会がございましたけれども、この第一人者の先生のお話によりますと、アメリカ合衆国の方はチップが十五センチ、一センチ幅ぐらいの大きなもので、この先生が持ってきたチップは一ミリ四方ぐらいの、本当にこんなものに情報があるのかなとびっくりするぐらいの、これが我が国とアメリカの差だという説明をしておりました。トロンというのですか、私は詳しくないのですけれども、とにかく、我が国は物事を小さくしていく技術に関しては、これが今、先生が中国に行ったら、中国の方ではもう早速関心を示して、建物を一つ建てて、将来この分野の後継者が育つような教育の施設までつくってきたと。アメリカの方でも、別に敵対しているわけじゃなくて、こういう小さなチップで会合、講習会を開いたら、大勢のアメリカの関心のある方たちもいたというようにお話がありました。

 非常に大きなシステムをつくる意味で、我が国の特性といいますか、物を小さくして、パソコンの機能を持っているような、現実に、農産物についたものに何か当てると、この農産物はだれだれがつくって、どういう肥料を使ってというように音声で出てきておりましたし、現実、自分は文科系なものですから、本当にどぎもを抜かれたような場面でありましたけれども、ナノテクとかそういう分野にもこの産総研が先端的に果たしていくという意味では、ひとつぜひとも頑張って、我が国の将来の方向性を誤らないような方向で、力を持っていく分野をつくっていただきたいと思います。

 私は、ここでは特にエネルギーの分野が非常に大事だと思っております。我が国は、例えば石油、二十万トンのタンカーが毎日どこかの港に三つ入らないとエネルギーがとまってしまうというような状況もありますので、特に、私、南の方の尖閣諸島を選挙区に抱えるものですから、東シナ海の尖閣諸島の周辺での将来のエネルギーの可能性、当然ですけれども、石油資源も含めて、中国の側は割と中間線の近くでもう既に物理的なものをつくっているというお話もありますが、我が国の二百海里の経済専管水域を含めて、尖閣諸島周辺でのエネルギーの可能性はどうなっているのか。

 あるいは、東シナ海の大陸棚の調査を含めて、石油に限らず、いろいろな将来のエネルギーの可能性を含めた地下資源、海洋資源があるというお話も聞いております。その辺のところが、産総研の中で先端、これがどういうふうに将来の企業社会に結びついていくのか、考えられているのか、あるいは今研究者の間で、このエネルギーの分野で東シナ海と太平洋側での状況を少し説明していただきたいと思います。

小川政府参考人 まず、私の方から研究開発の分野に限ってお答えを申し上げたいと思います。

 御指摘の分野は、地質・海洋分野ということで、先ほど挙げました六分野の一つとして取り上げているわけでございますけれども、海洋中の天然資源の探査方法、これをいかに有効、効果的にやるか、そういった技術を研ぎ澄ますということで今努力をしているところでございます。そういった技術をうまく使いながら、探査の精度を上げていく、それから、日本の周りのいろいろなところでの資源の賦存状況を確保しながら実際に資源を確保していく、そういった活動につないでいきたいと考えてございます。

塚本政府参考人 先生、尖閣諸島周辺でのエネルギー、それから石油以外の資源の可能性というようなお尋ねでございます。

 我々は、石油とか天然ガス等につきましては、もう十分なポテンシャルはあるということで、必要に応じて石油公団等を通じて調査をやったりしているわけですけれども、石油以外につきましては、一般的には、御案内のように、金属系の鉱物資源につきましては、火山性の基盤岩が露出している海域でその存在が確認される。そういう意味では、堆積層に覆われているようなところには、逆に金属鉱物資源はなかなか、そういう賦存というのは可能性は低いのかなというふうに考えております。

 具体的には、尖閣諸島につきましては、実は、北側の海域は堆積層に覆われておりますので、逆にそちらの方は石油とか天然ガスの方が可能性はあるのかなということでございまして、金属系の資源につきましては可能性は低いのかな。南側におきましては、先ほど申し上げました基盤岩が露出をしている海域もあるということで、そういうところにつきましては、コバルトとかマンガンとか、そういうふうな金属系の資源の存在の可能性はあるのではないかというふうに考えております。

西銘委員 私自身は現実にまだ尖閣諸島の周辺の現場を見ていないのですが、見てきた方のお話によりますと、何かとにかく足場は終わって、もう火が出ているという中国側の施設があったというお話も聞いているんですが、我が国は、我が国の国益の範囲で、そういう施設があって目に見えて何か火が出ているというような、こういうところまで現実にありますか。

塚本政府参考人 お尋ねの件、きょうの東京新聞ですか、報道されておりましたけれども、具体的に申し上げますと、日中間の中間線の我が国サイドにおきましては、具体的なそういう鉱業活動ということはまだやっておりません。ただし、必要な、先ほど申し上げましたような、石油公団等を通じた所要の地質調査等はやっているところでございまして、こういうところは必要に応じてやっていくということであろうかと思っております。

西銘委員 もう少し突っ込みますよ。こういう足場を組んで施設をつくってやるということは、我が国の法律の範囲内でできることはできますか。

塚本政府参考人 我が国の排他的経済水域、そういうところにおいてそういうふうなことはできるわけでございますけれども、この尖閣諸島周辺での具体的な活動につきましては、現在、日中間の中間線の画定の協議をやっておりますので、国際法といいますか、そういう協議中においては具体的な鉱業活動を慎むということで、そういう意味での我が国としての具体的な鉱業活動につきましては、例えば具体的には鉱業権の付与、そういうことについては、一応、今留保しているというような状況でございます。

西銘委員 そうしますと、中国側の、私の友人が見たという施設があって、何か火が出ているというのは、我が国との話し合いがつかないうちにもう既にできているということでしょうか。

塚本政府参考人 中国側の、特に春暁のガス田を含め、これまで東シナ海における中国サイドの活動といいますか、これにつきましては、基本的には日中中間線の中国サイドということでございまして、そういうことの一部活動をやっていることについては認識をしております。ただ、我が国としましては、国連海洋法条約に基づく日本の権利が侵害されないよう、必要に応じて調査を行う等、今後とも万全を期していきたいというふうに考えております。

西銘委員 決して、中国とこれから仲よくつき合っていく上でも、我が国でできることはしっかりとやって構わないと思います。中間線の内側で我が国も、我が国の国益にかなった試削は自信を持って進めていただきたいと思います。要望して終わりたいと思います。

 さて、今般の法律改正は、特に、公務員型を非公務員型にするというのがポイントだと聞いておりますけれども、例えば公務員型の研究職員のときと、非公務員型の研究職員になったときに、特許法の三十五条で問題になった職務発明との関係、この辺はどうなるんでしょうか。御説明をいただきたいと思います。

江田大臣政務官 産総研の方では、この職務発明規定に基づきまして、研究者が生み出した特許権等の知的財産権は、すべて産総研に帰属することになっております。

 また、知的財産権の実施料収入が得られた場合でございますが、知的財産権を生み出した研究者個人に対しましては、その実施料収入が百万円以下におきましてはその五〇%、百万円以上におきましてはその二五%の実施補償金を支払うという規定になっております。金額には上限はつけてはおりません。

 なお、こうした取り扱いに関しましては、今後非公務員型に移行してまいりますけれども、現時点におきましてはこれを踏襲していくということでございます。

西銘委員 そうしますと、非公務員型になった研究職員と産総研で何らかの私的契約が結ばれるというふうに考えていいんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 当該研究員は、産総研の職員たる研究員として活動してその成果が上がっておりますので、その個人の研究者の貢献と機関との関係で、先ほど政務官の方からお答え申し上げましたように、産総研のものとする、機関帰属にしております。ただし、その個々人の一生懸命開発した努力とその成果というのを評価した部分が約四分の一といいますか、二五%だということでございます。

西銘委員 公務員型の場合は、恐らく公務員ですから守秘義務規定があると思うんですけれども、非公務員型になったときの、守秘義務規定がなくなって、そういう情報が国外とか外部に漏れていくというような危険性は、大丈夫でしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 産総研は、活動分野としては、一つは、国策上重要な研究開発をみずからやるわけでございます。それからまた一方で、多くの企業や大学、それから他の研究機関と共同研究あるいは受託研究というのをやってございます。そういうことからいいますと、産総研が非公務員型の独立行政法人に移行した場合に、先生御指摘のとおり、国家公務員としての守秘義務が外れることになるわけでございます。そうした場合には、御指摘のとおり、技術情報の漏えいといった問題が起こりますので、これを厳格に防ぎたい。それから、いろいろな機関と共同研究あるいは委託を受けて受託研究なんかをやっています、相手方の信頼というのも大事でございます。そういった、相手方の信頼を大切にする公的研究機関としての信頼性、そういったことから、今回制度改正をさせていただく中では、法律の中で守秘義務規定を、非公務員型になりましても置かせていただいているということでございます。

西銘委員 それからもう一点、非公務員型になることによって、民間の企業の役員を例えば兼ねて、産総研での研究開発の成果がより現実にと申しますか、企業の中で生かされていくというようなことも出てくるんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、産総研は公務員型でございますので、国家公務員法の適用を受けます。したがいまして、職員が民間企業の役員を兼職できる場合が限定的でございます。

 具体的に申しますと、みずからの研究成果を企業で事業化する場合に、その企業の役員に兼職できるということがあるわけでございます。その場合にその研究者が特許権を持っていないといかぬということで、限定されているわけです。

 産総研の中でいろいろな研究開発プロジェクトを回していく場合には、研究の特許を取得した人と、それをサポートしたエンジニアリング的な意味で専門的知識を持った人とチームでやっているケースがございます。それを、研究開発の成果を事業化する場合に、そういったチーム一体となって取り組んだ方がより早く研究成果が事業化、商品化がなされる場合があり得るわけです。そういった場合にも、特許権がなくても場合によっては民間企業の役員に、自分たちの研究成果ということで、その普及ということで兼職が認められるケースが出てくるということでございます。

西銘委員 今回、非公務員型にすることによって、国立大学法人あるいは民間企業との交流がしやすくなる、あるいは民間の研究開発投資が年間で十二兆円ぐらいあるというふうにも聞いております。産総研の予算総額はまだ一兆円に満たないんですけれども、民間の十二兆円の研究投資。

 いずれにしましても、産総研が二十一世紀の我が国の産業、企業社会の方向性を示す上で極めて重要な役割を果たすと思っております。

 最後に、今回の非公務員型になることによっての我が国の二十一世紀のビジョンとでも申しましょうか、特に大臣、副大臣にお伺いをして、質疑を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

泉副大臣 今回の産総研の改正をお願いしましたその目的は、るる説明をいたしておりますとおりに、産業界との連携、それから大学との連携、そうした連携を緊密にすることによって、私どもの持っておりますノウハウを生かす、さらに相手のノウハウを取り入れる、そしてこれからの産業競争力を高めていく、あるいは国民生活に有益な技術開発を行っていく、そういうことで一層の成果を上げていきたいと考えているところでございます。

西銘委員 どうもありがとうございました。

根本委員長 井上義久君。

井上(義)委員 初めに、JIS法についてお伺いしたいと思います。

 我が国のJISマーク表示制度、これまでは政府により指定された機関によって認証され、また試験事業についても、認定事業者によって行われてきたわけです。今回の改正で、標準化事業は、認証機関、試験事業者とも登録を受けた民間の第三者機関に開放されるということになります。

 JISマーク制度は、これまで政府が強く関与することで我が国の工業製品の質を向上、維持してきたということは間違いのない事実だ、こう思います。今回の規制緩和、民間開放、これはこれで結構なことなんですけれども、それによって、我が国のJISマーク制度そのものの信頼性が損なわれるおそれはないのかどうか。

 例えば、民間の認証ビジネスが発展をするということにつながる、これは結構なことですけれども、一方で、収益性を求める余り、例えば形式的な審査とかあるいは審査内容が低下をするようなことになってしまったのでは、信頼性が損なわれることになってしまうわけでございまして、この信頼性確保ということについてどのようにお考えか、まずお伺いしたいと思います。

小川政府参考人 今回改正をさせていただいておりますけれども、信頼性の確保がJISマーク表示制度の根幹であるという認識は共有するものでございます。

 このために、登録認証機関の登録要件を、先ほども申し上げましたように国際的な基準に則したものにするということと、登録の段階と、それから更新制を導入しまして、その都度厳密に登録要件に該当しているかどうかをチェック、確認をさせていただこうと思ってございます。

 さらに、消費者の通報等、マーケットでいろいろな出来事が起こりますので、そういった情報に基づきまして、報告徴収や立入検査というものを適宜やりまして、必要な措置もとっていく。それから、製造事業者、メーカーの方でございますけれども、報告徴収、立入検査というものもやりまして、問題があれば表示の除去、そういった措置もとらせていただこうと思っております。

 それから、市場で流通しておりますマークがついた製品でございますが、予算を講じておりまして、試買検査というものを引き続き実施をし、必要に応じて、問題がある場合には是正措置をとりたいと思ってございます。

 こういった措置を適切、機動的に講じますことによりまして、表示制度の信頼性確保に万全を期したいと思ってございます。

 それから、登録認証ビジネスが広がっていくので参入者が広がりますけれども、ある意味では、彼らはサービスの質的な競争が始まるわけでございます。そういう意味では、マーケットテストを事業者として受けることになりますので、マーケットを通じた信頼性確保というのも期待したいと考えてございます。

井上(義)委員 そういうマーケットのシステムが信頼性の向上につながる、確保につながるという方向に働けば、それが一番大事なことだと私は思いますけれども、やはり収益事業ですから、逆のベクトルに働くということも経過の中では十分考えられるわけで、JISマーク制度というのは一たん信頼を失うとなかなか取り返しがつかないということがありますから、慎重の上にも慎重に、信頼性確保ということについて、改めて経済産業省当局の運用面での適正な運用を要望しておきたい、こう思います。

 それから、次に、行政改革、公益法人改革、これは国民に利益を供与しなければ意味がないわけでございまして、今回の改正、特に規制緩和ということで登録制に移行するわけですけれども、一般の事業者あるいは消費者にどういうメリットがあるのか、これはやはりわかりやすく説明する必要があるんじゃないかと思いますので、この点についてお伺いします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度改正におきまして、JISマーク表示制度と試験事業者認定制度につきまして、認証機関、試験事業者の登録要件をまず法律で明記をいたしまして、登録を申請した機関等がその要件に合致しておれば行政の裁量余地がなく国に登録をされる、それで認証試験が行えるようになる、そういう制度になりますので、こういった民間の機関に対します国の関与というものについて一層の透明性の向上と合理化が図られる、まずそれが挙げられると思います。

 それから、先ほど来議論になっておりますが、この制度改正によって、新たなビジネスチャンスというふうにとらえる方がふえていくだろうと思ってございます。これまで、JIS制度と余りかかわりがないと思っておられた民間企業におきましても、認証、試験業務への参入というものをお考えいただける機会がふえていくのではないかと思っております。また、そういう参入の結果、マーケットの競争が起こりまして、ユーザー、こういうマーク制度をどう使うか、試験制度をどう使うかという事業者の方々にとっても選択肢が広がるという意味で、利便性が高くなると思ってございます。

 それから、消費者でございますけれども、今回、商品指定制の廃止をJISマークではやってございますので、今までJISマークをつけることができなかった商品につきましても、JISマークがつけられるようになるという制度改正でございますので、消費者から見ますと、商品選択におきましていろいろな情報が厚くなるということが期待できると思います。

井上(義)委員 特に、指定商品制がなくなって幅広くJISマークがつけられるようになる、消費者にとって選択しやすい仕組みになるという、この辺のことはぜひよくPRをしていただきたい、こう思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、先ほどから、我が国の産業競争力強化のためには、やはり我が国が国際標準化へのイニシアチブをとることが大事だ、こういう議論がずっと出ておりまして、私も全くそのとおりだと思います。

 それに関連して、我が国社会でもやはり、例えば環境への配慮とかあるいはユニバーサルデザインというニーズが非常に高まってきているわけで、工業製品においてもこうした社会ニーズに適応した標準化を今後さらに進めていくということが大事じゃないか、こう思うわけです。

 今回のJIS法改正によって、そういう分野において、特に先ほど挙げたような環境とかあるいはユニバーサルデザインという社会的なニーズ、これがインセンティブとして進むということが非常に大事だと思うんですけれども、そのことについてはどう考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

菅大臣政務官 今日までも、委員御承知のとおり、環境意識の高まりや高齢化の進展、これにこたえるためにJISの策定に取り組んできているところでありますけれども、今度、この法律の改正によって、例えば今までエコセメントがありました、そうしたものに「リサイクル」とJISの隣につけることが可能になる。あるいはさらに、今言われました高齢者に対応するために、大きい文字や聞き取りやすい家電製品、こういうものにもJISを策定してきたんですけれども、これにも「高齢者対応」とつけることができる。こういうことになりますので、消費者の皆さんのニーズにこたえることができる、こう思っています。

井上(義)委員 次に、産総研についてお伺いしたいと思います。

 産総研は、先ほどからも出ておりますけれども、研究職員二千五百名を擁する我が国の最大の公的研究機関であり、研究の産業化を担う中核で、極めて重要な機関でございます。今回の法改正で非公務員型に移行するということで、柔軟な人事制度が導入され、適切な競争あるいは協力による優秀な研究人材の育成、輩出が期待されるということで、私も異論のないところでございます。

 ただ、産総研は、平成十三年に、旧工業技術院の十六研究所等を統合して、公務員型で独立行政法人になったばかりなんですね。三年しかたっていないわけですよ。今回、大学が非公務員型になったということが一つの契機だったと思いますけれども、いかにも朝令暮改という感じがするわけで、この辺についてまずちょっとお伺いしたい。どういう過程でこうなったのか。

小川政府参考人 平成十三年に産総研は独立行政法人になりました。その際、委員御指摘のとおり、公務員型ということでスタートしたわけでございます。その背景といたしましては、十六もの研究所が一つになるという大きな事業であったということ、それから、国民生活に関係の深い計量の業務といったものもやっていたということで、まずは統合の実をきちっと上げる、それで国民生活、あるいは国民の期待される産総研の役割を果たしていくという観点から、公務員型でスタートさせていただいたわけでございますが、その後状況が変わってきたというふうに我々考えてございまして、一つは、国際競争力等も含めまして、科学技術の役割、技術開発の重要性がどんどん高くなってきている、産官学連携の必要性も高くなってきているということで、研究開発能力を上げなきゃいけないということ。それから、産官学連携をする場合の相手方となります国立大学が独立行政法人化をこの四月からすることになったということで、ある意味で適切な競争と協調、共同研究、そういった相手方であります大学がその性格が大きく変わったということで、そういう環境変化の中で、産総研に与えられた、また期待される役割を果たしていく上で、公務員型の独立行政法人から非公務員型の独立行政法人というふうにさせていただいたわけでございます。

井上(義)委員 科学技術をめぐる状況というのは平成十三年当時も今もほとんど変わっていないというふうに思うんですけれども、それはともかくとして、公務員型でスタートした。そのときに、非公務員型というのは議論が随分あった上で公務員型になって、皆さん一番心配しているのは、今回非公務員型になった、だけれども、研究者、職員含めて、やはりこれは社会的部分にかかわる非常に重要な問題なものですから、職員の雇用が本当に維持されるのかどうかということが心配なんだと思うんですね。その辺についてはどうですか。

小川政府参考人 非公務員型の移行に際しまして、産総研は職員の雇用は維持するという方針を打ち立てておりまして、その旨、職員に対して説明もしてきております。今回の改正法案におきましても、非公務員型への移行の際、現に独立行政法人産業技術総合研究所、産総研の職員である者につきましては、移行後においても産総研の職員となる旨の職員引き継ぎに関する規定を置かせていただいておるわけでございます。

 そういうことから、産総研の職員が今回の非公務員型の移行に伴い職員としての身分を失うということはないと考えてございます。

井上(義)委員 雇用が確保されるということは結構なことだし、ぜひそういうふうにしてもらいたいと私も要望しておきます。

 一方で、非公務員型に移行するメリットというのは、やはり人事、処遇ということについて産総研の裁量範囲が広がるということが私は大事だと思うんですね。今回の改正の目的が、先ほど局長が指摘されたように、その一つが人材の育成、輩出ということを考えますと、それを可能にする研究所内の機構とか体制とか、それから人事評価システム、この構築が非常に課題だ。雇用は確保されたけれども、優秀な人材、競争原理を働かせなければいけないということになりますと、やはり人事評価システムの構築というのは非常に大事だというふうに思うわけでございます。

 雇用の確保ということと、一方で、やはりそれだけ裁量権が拡大するわけですから、優秀な人材を集める、優秀な人材が伸びるようにする、そのためにはやはり信頼性のある客観的な評価システムというのが非常に大事だと思うわけでございまして、そこについてはどう考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

小川政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、非公務員型に移行した後は、現在適用されております国家公務員法の体系にとらわれることなく、産総研の目的を達成するために必要な人材を戦略的に採用できる、従来よりも弾力的に優秀な研究者というのが、言葉は悪いですが、獲得が可能になろうというふうに考えてございます。

 そうやって獲得した研究者の中から優秀な研究者が一人でも多く出てくるということが大事でございます。そのためには、研究者の業績を適正に評価する、それも、評価される側にも信頼されるような客観的なものでないといけないと思いますが、そういった人事評価制度、それからその適切な評価に基づいた処遇を適切にやっていく、こういうことが大事だと考えてございまして、今回公務員型から非公務員型に移行に当たりまして、それがスタートするときに、詳細いろいろなルールとか制度を今中で詰めておりますので、そういった観点からきちっと整備をしたいと考えてございます。

井上(義)委員 それと、産総研の役割ということで先ほどからもずっと議論がありますけれども、一般的に、我が国の研究開発投資の増大の割に経済成長における技術進歩の伸びが弱い、こういうふうに指摘されているわけです。分析書についてもいろいろな異論があるところですけれども、いずれにしても、我が国の課題は、やはり研究開発の成果をどうやって産業に移転するかということが課題であることはもう間違いないと思うんですね。

 私も大学の技術移転の問題にずっと取り組んできて、母校の東北大学の未来科学技術共同研究センターの協議委員とか評価委員なんかもさせていただいたり、TLOの立ち上げにお手伝いさせていただいたりして、成果は上げつつありますけれども、やはりまだ一歩という感じがするわけです。

 大学は一方では研究教育、特に教育という側面がありますから、そういう意味では、産総研の役割というのは、技術移転ということについては極めて役割が大きいのだろう。やはり産総研がいろいろな意味でイニシアチブをとっていろいろなプロジェクトをつくったり、それから技術移転についても積極的にイニシアチブをとっていくということが私はかなり重要だと思っているんですけれども、こういう技術移転ということについて、今後、産総研はどういうふうに取り組んでいくのか、確認をしておきたいと思います。

江田大臣政務官 先生御指摘のとおり、研究開発の成果を産業化するということが日本の経済産業界の発展には非常に重要でございます。

 産総研の位置づけでございますけれども、製品開発の中では、まずは創造的な技術によって、創造的な技術やシーズが生まれる、そういう基礎研究と、これを実用化に持っていくという開発研究がございますけれども、基礎研究と開発研究の間を埋める、すなわちトランスレーショナルリサーチとか橋渡し研究とかいうのを産総研のポリシーとしているわけでございます。

 非公務員型に移行しても、もちろん、これらの開発研究を担う企業との連携、共同研究、さらには基礎的研究を担う大学との共同研究、これがさらに進んでいくと思われますので、効率的なそういう開発が進むものと考えます。常にこのように出口を見据えたそういう研究までを連続的に行うのを基本方針として取り組んでおります。

 先生の御質問に直接のお答えではないかもしれませんけれども、その結果は、民間企業との共同研究というのは、独立行政法人化の直前の平成十二年比で二・八倍の千百七件に至っておりますし、また民間からの受託件数は、四十八倍の百四十五件に増加しております。

 これからも、研究交流、人事交流、この非公務員型になることを機にさらに発展させて、一層効率的な研究成果の産業界への移転を進めていくということを考えております。

井上(義)委員 これは質問通告していないんですけれども、大学とか企業とか、特に研究開発、かなり大きなプロジェクトになってきているわけですよ。やはり研究開発プロジェクトのいわゆるプロジェクトマネジャーというのが極めて少ない、少ないというか、できる人が少ないし、またそれで食べていける状態じゃないわけですよ。いつも大きなプロジェクトをつくるときに、いわゆるプロジェクトマネジャーをだれにするかとかということが一番課題になるんですね。

 そういう意味で、今の話を伺ってもそうなんだけれども、やはり産総研というのはそういう人を出せるし、人を育てられるところじゃないかと思うんですけれども、その辺についてはどうですか。

小川政府参考人 技術が高度化、複雑化しまして、それから異分野の融合というのがますます求められている中で、数多い研究者の方を束ねて一つの目的に向かって動かすというプロジェクトマネジャーとかオフィサーとかいうのは、非常に重要になります。そういう意味では、産総研もそういった人材の供給ソースの重要な一つだというふうに認識しております。みずから研究開発をやっている中でいろいろないわゆるマネジメントなんかも身につけていただいて、一人でも多く産総研の中からそういう人材が育つということを期待し、また努力をしたいというふうに考えてございます。

井上(義)委員 研究開発だけじゃなくて、そのプロジェクトマネジャーというのが極めて重要であるという、それがまた職業として確立するようなことを、これだけの大きな規模の研究機関ですから、ぜひそういう仕組みを研究所の中につくっていただきたいことを要望しておきます。

 次に、鉱山保安法関係ですけれども、今回一律規制の整理合理化が行われるわけですけれども、その反面、すべての鉱山で現況調査の義務づけあるいは調査結果に基づく保安規程の策定という、いわゆるリスクマネジメントが義務化されるわけです。

 このリスクマネジメントの義務づけ、これは私は重要なことだと思うんですけれども、ただ、中小鉱山が非常に多い。本当に中小鉱山でも対応が可能なのかどうか。今回の法改正は適切な安全管理が目的であって、やはり各鉱山の現況を十分酌み取った上での運用が必要だ、こう思うわけですけれども、これについてちょっとお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 最近の災害の傾向を見ますと、鉱山の労働者数が五十人以上の大規模鉱山におきましても、あるいは五十人未満の中小鉱山でも、ほぼ同じ割合で災害が発生しております。その原因も、作業者の不注意から生じたものが大半を占めるなど、同様の傾向になってございます。このため、中小鉱山におきましても、これは保安をおろそかにすることなく、みずからの鉱山における保安上の危険を把握し、これに基づいて対策を講じさせることが重要であると考えております。

 今回の改正案では、中小を含めすべての鉱業権者に対し、鉱山の現況を調査して鉱山における保安上の危険を把握させ、これに基づく対策の実施とその見直しを義務づけております。これは、鉱業権者がその鉱山における保安上の危険を最も熟知していることによるものでございます。

 特に、中小鉱山につきましては、こうしたリスクマネジメントを実施する上での負担が大きいなどの事情を考慮いたしまして、当省といたしまして、現在業界団体にも働きかけ、保安規程の作成のためのガイドラインを作成させているところでございます。また、保安規程の作成の時期につきましては、経済産業大臣の承認を受けた場合には、半年間その義務を猶予する措置を講じておるところでございます。

 こうした措置によりまして、中小鉱山の場合であっても、それぞれの鉱山に見合ったリスクマネジメントが行われることを期待しているわけでございます。

井上(義)委員 それで、休廃止鉱山、これが急激に増加をしているわけです。それに伴って、休廃止鉱山の鉱害防止対策、これが大きな行政課題となっています。

 大体、鉱山が休廃止するというのは採算がとれないということで廃止するわけで、経済的に非常に非力だからこそ閉山するわけです。そういう意味からいいますと、やはり鉱害防止対策に対する国の関与、これは不可避だというふうに思うわけで、この休廃止鉱山の鉱害防止対策、これについて現況どうなっているのか、まずお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 まず、休止鉱山及び廃止鉱山の数でございますけれども、鉱害防止の見地から、私ども、当省が特に定期的に監督する必要があるものとしては、全国で六百二十二の鉱山をリストアップしております。

 鉱害防止の対策についてでございますが、まず、休止鉱山につきましては、鉱山保安法に基づきまして、坑廃水の処理やあるいは堆積場における鉱害防止のための措置を義務づけているところでございます。また、将来におけます鉱害防止措置を万全に備えるための所要の資金の積み立てをさせているところでございます。

 また、廃止鉱山でありましても、必要に応じまして、鉱業権者であった者に対して鉱害防止のための設備をすることを命じ、実施させているところでございます。

 さらに、義務者のいない廃止鉱山でございますけれども、休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金という形で地方公共団体にこれを交付いたしまして、鉱害防止措置を講じさせているところでございます。

井上(義)委員 せっかく大臣にお戻りいただいたので、最後に大臣にお伺いしますけれども、この休廃止鉱山の鉱害防止対策について、私も一昨年、岩手県の旧松尾鉱山の中和処理施設というのを視察してきたんですね。これは環境対策に非常に大きな役割を果たしているんですけれども、やはり施設の老朽化の問題とか、それから財政を含めた安定的な防止制度、これが重要だなということを非常に痛感をしました。

 特に、地方自治体の財政が極めて厳しくなってきているということもあって、この休廃止鉱山の鉱害防止対策、このことについて今後さらにしっかり取り組んでいかなければいけないと思うわけでございまして、そのことについての大臣の御決意、御見解をお伺いして、終わりにしたいと思います。

中川国務大臣 今、井上委員御指摘のとおり、休廃止鉱山というのはもうそれでおしまいということではなくて、いわゆるメンテナンスといいましょうか、環境面あるいは災害防止面からいっても、極めてきちっとメンテナンスをしていかなければならないということが重要だと思っております。

 委員も松尾鉱山を御視察になったという貴重なお話を我が省としても伺っておりますけれども、今保安院長から答弁ありましたように、義務者の資金の積み立て、あるいはまた、義務者がいない場合には地方自治体、これは補助金を交付して防止対策をきちっとやるということを含めまして、休廃止鉱山のさまざまな環境面、災害面での防止対策というものは極めて大事なポイントだと思っておりますので、きちっと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

井上(義)委員 どうも、終わります。

根本委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、鉱山保安法の改正に関連しまして、我が国の石炭政策、さらには資源エネルギー政策全般について質問したいと思っております。

 今回の鉱山保安法の改正でございますが、昭和三十九年以来の抜本改正ということと伺っております。昭和三十九年といいますと私の生まれる前の話でございますけれども、この間、鉱山を取り巻く環境、さらには石炭をめぐる環境というのは大変大きく変わってきたと思っております。

 過去、とりわけ鉱山の中核であった石炭でありますけれども、戦後日本の復興を支える基幹エネルギーとしての光の部分と、同時に、多くの悲惨な事故、さらには三井三池に代表されるような労使紛争、日本の労働運動、労使紛争の舞台にも石炭はなってきたと思っておるわけでありますけれども、その間、昭和三十九年以降も、石炭鉱山はこの四十年間で二十分の一と伺っております。鉱山全体の数が減少し、大規模鉱山が減少する中で、さらには平成十三年のいわゆる石炭政策の一つの大きな節目も経て、今回鉱山保安法が改正された。

 事前チェック型から事後チェック型へ、さらには、先ほど井上議員の方からもお話ございましたが、リスクマネジメント型を導入したということでございますけれども、この四十年ぶりの抜本改正の基本的な趣旨、ねらいについて、大臣の御見解をまず伺いたいと思っております。

泉副大臣 今委員御指摘のように、鉱山をめぐります環境が、二十四年の鉱山保安法制定、そして三十九年の改正以来、全く変わってきたということが一つの大きなきっかけでございます。

 数字を申し上げるまでもございませんけれども、当時から、委員御指摘のように、鉱山の状況はもう二十分の一というような状況に変わってきておる。中身も、石灰石を掘るというような当時想定されなかった部分が主力になってくるという状況でございます。

 したがって、こうしたことから、国の関与をできるだけ減らしていく、そして現場に合った安全策を事業者自身にしっかりと考えていただく、そのリスクマネジメントを国の立場でフォローしていく、こうしたことが一番合理的な安全対策ではないか。

 申し上げますと、具体的には、一律、事前の規制を大幅に簡素合理化して、必要最小限度の規制とするということでございまして、鉱業権者に保安上の危険を把握させ、それに基づいた対策の実施、見直しを義務づける、こうした現場に即応した体制を今回とる方向で提案をさせていただいているところでございます。

近藤(洋)委員 中小鉱山も多くなり、さらにはまさに石炭から石灰石へと変わってきた状況の中では、こういった、一種、事業者に一定の現場に即した対応、副大臣おっしゃったとおりの、この改正自体は大変私も賛同するところでございます。

 ただ同時に、先ほど申し上げたとおり、石炭の鉱山が二十分の一になったということは、二十分の十九で生産を終了した山があり、さらには、すべての鉱山でも、経産省の資料によりますと、千八百の山が閉じているということでございますから、閉山をどうするのかというのはやはりこれから大きなテーマになってくるのかな、引き続き大きな国の関与がやはり一定必要だろうと思っているわけでございます。

 跡地利用でございますけれども、私の地元の山形県内でも、スポーツ施設に変えたりとか、ペンションやテニスコートに変えたりとか、それぞれ工夫をしている。さらには、あるいは岐阜県でございますか、大変、ノーベル賞の受賞の土台にもなったような研究施設にも変わってみたりとか、砂川は、あれは無重力実験は今どうなっているのかちょっと定かではございませんが、いずれにしても、そういった科学技術の開発の舞台にもなっているということで、こういった跡地をきちんと有効利用するということが重要かと。

 同時に、先ほど井上委員の方からも御質問があったので私の方は省きますが、やはり環境保全対策というのは大変大事だと思っているところでございます。

 大体、鉱山の跡地は、私の地元を見ても、温泉場なり観光地として、現在温泉場として使われているわけでございまして、その廃水なり水をどうするとか、環境保全対策というのは、自治体にとっては非常に頭の悩ましいところであり、こういった地方自治体の財政難の状況の中で、きちんとした環境保全対策がなかなかできなくなってきている。

 そういう意味では、これは指摘だけ申し上げたいと思いますが、やはり国の支援というのは一定必要ではないか。と同時に、前向きに鉱山を利用することを後押しする必要があるのではないかと思っているわけですが、国の考え方をお伺いしたいと思っております。

中川国務大臣 もう御指摘のとおりでございまして、石炭から石灰石へということになりましたけれども、石炭もなくなったから閉じたんじゃなくて、あるけれども、種々の事情によって閉じた、いわゆる休鉱山になったということでございますが、いずれにしても、稼働していないからほったらかしにしていいということでは決してない。

 近藤委員御指摘のように、ほっておくと、例えば、人体や自然に有害な物質が流れ出したり、水にまじって大変な影響を及ぼすということもございますし、災害防止という観点もございますので、そういう意味で、義務者の資金をきちっと積み立てるとか、あるいはそういう義務者がはっきりしない場合には自治体に、財政状況が御指摘のように厳しいわけでございますから、国の補助も含めて、自治体にきちっとした防災対策をやっていただくということが今後も極めて重要だというふうに認識をしております。

近藤(洋)委員 同時に、石炭という資源、大臣御指摘のとおり、日本はまだ石炭がなくなったわけではないわけで、採算が合わなくなったというだけでございますが、資源として考えますと、埋蔵量から見ても、さらには埋蔵量から見た供給安定性から見ても、経済性から見ても、世界的に見ると、石炭というものはやはりエネルギーのベストミックスの中でもまだまだ十分大事な資源であるということだと思っているわけであります。

 となると、我が国は、一次エネルギーの中ではまだいまだに一八%、これは輸入でございますけれども、石炭に頼っているわけでありまして、同時に、その供給の確保とあわせて、日本の石炭技術なり、それぞれの掘削技術なり、石炭の有効活用技術というものは、これは先進国日本として十分大切にすべきであろうと思いますし、海外に対してそうした技術を供与するなり、そういった活用がこれからまだまだ重要になってくるかと思うわけであります。

 自分みずから掘ることはなくなりましたけれども、この石炭政策、産業政策ではないのかもしれませんが、しかし、エネルギー政策としての石炭政策を、これから日本の技術の活用も含めてどのようにお考えか。大臣は北海道でございますから、石炭への思い入れというのも多分お持ちの方だと思っているわけでございますが、どのように新しい石炭政策をお考えか、当局のお考えを伺いたいと思っております。

泉副大臣 委員御指摘のように、日本では、エネルギー源の二〇%弱を石炭に頼るということでございますが、お隣の中国では、現在約五六%程度を石炭に頼っておる。しかも、これが今後まだ伸びるという状況でございますので、石炭に対する日本の立場は、いろいろな分野でこれまでの技術を支援していくということが大切なことだと思っております。

 具体的に、一つは効率性を高める、あるいは環境適合型のものにしていくということで、CCTと言われるクリーン・コール・テクノロジーの普及をやっていく。それから、我々の先人が蓄積しました石炭に対する掘削の技術等を含めましたことをアジアの諸国に移していくということが大変重要だと思っておりまして、具体的には、中国、タイ、インドネシアにこのCCTの普及を促進しておりますし、また、諸国の研修生あるいは我が国の技術者を派遣するという炭鉱技術移転五カ年計画というのを平成十四年度から実施しておりまして、こうしたことを続けていくことによって、我が国の蓄積された技術を石炭の採掘あるいは保安技術の海外産炭国、海外で石炭を掘っていただく国に移転していくということが我が国にとって大切なことだと思っておるところでございます。

近藤(洋)委員 ぜひこの点、今後も強力に進めていただきたいと思うわけであります。

 同時に、資源全般について、どうしても触れておかなければいけない話がやはり原油なわけで、石炭以上に大きな資源である原油でございますけれども、最近、大変原油価格が高騰をしておるわけであります。きょうの時点のマーケットを見ますと、WTIで四十ドル割れをしたということでございますけれども、さはさりながら、湾岸戦争以来の高水準を記録してしまったということでございます。

 二十四日のG7といいますか、蔵相会合でも、この共同声明、この問題がリスクがあると、原油高のリスクについて共同声明に盛り込まれたわけでありますが、この原油価格の高騰、さらには高騰の要因、さらには影響等につきまして、まず大臣の御見解をお伺いしたいと思っております。

中川国務大臣 近藤委員おっしゃるとおり、WTI、これは直接余り日本に関係ないわけでありますけれども、代表的な指標ですが、にかかわらず、主な指標、ドバイとかブレントとかも含めてみんな上がっているわけでございます。

 その要因につきましては、私も先週、アムステルダムの、いわゆる先進石油購買国と主にOPEC、その他三十数カ国との国際エネルギー対話というところに行ってまいりまして、OPECあるいはアメリカ等々、EUと話し合いをやってまいりましたけれども、なぜ上がったかということについては、OPECであろうが、我々日米欧であろうが、大体認識は一致をしたところでございます。

 一つは、これはいい面の裏返しということだと思いますけれども、中国、アジア経済が非常に今順調であることによる実需、それから、アメリカの景気が依然として好調だということ、それから、日本も十年ぶりでいよいよ設備投資その他が上昇してきているという景気の回復等々も含めた実需面。

 それから、それ以外では、やはり世界の石油生産の約三割を占めているOPECの、大半がいわゆる中東にあるわけでございますが、その中東が、イラクの昨年の戦争、あるいはそれ以降の状態、さらにはその他の中東地域における政治的な不安定要因。それから、ナイジェリア、ベネズエラ等の、これもOPECでありますけれども、政治的な不安定要因というものがいわゆる心理的な要因になって、投機筋の投機もこれに拍車をかけているという状況でございます。

 三月にじりじり石油が上がり始めたときに、OPECが逆に百五十万バレル、一日、減産をするという発表をいたしまして、これもマーケットに急騰の要因を与える大きなきっかけといいましょうか、それからじりじりじりじり上がって、御指摘のような四十ドル超えという状況になったということでございまして、実需あるいは政情不安、そしてまたそれを前提とした心理的、投機的動きというものが重なってこういう状況にあるというふうに認識をしております。

 そのほか、OPECなんかは、アメリカの精製能力が低いとか、備蓄水準が低いとか、ガソリンの需要が高いとか、いろいろ言っておりますけれども、基本的にはそういう認識で一致したところでございます。

近藤(洋)委員 この原油高、やはり長いトレンドで見なければ、中期的に見なければいかぬので、余りそう騒いでも仕方がないとは思うわけです。ただ、全体の素材の材料高、これもまたやや最近は一服しつつあるようでありますが、しかし、トレンドとして、素材高と原油高のこの日本経済に与える影響ですね、現在、私自身はこの水準はやはり高過ぎる、決してよい水準じゃないと思うわけですが、その影響について簡単に、どのようにお考えか。

齋藤政府参考人 先生御指摘のとおり、原油価格の上昇は我が国の経済に影響を与えるわけでございます。ただ、マクロの総体として見ますと、いわゆる日本経済に占めます原油の代金の比率というのは大変低下をしてきております。したがいまして、そういう全体として見ますと、過去に比べれば大きくなくなってきているということが第一点として言えようかと思います。

 しかしながら、直接的には、御指摘のとおり、原油価格が上がりますと、最終消費財でいえばガソリン、それから中間財でいえばナフサ等の価格の上昇につながりますので、国民生活にも、また産業活動にも広く影響が及ぶと思われます。また、間接的には、世界各国の経済に当然マイナスの影響が及ぶということがあり得ます。そうなりますと、例えば、その結果、我が国からの輸出が減るとか、そういう間接的な影響が生じてくるという可能性もあるということでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、原油価格の動向、その影響につきましては、十分注意していかなくてはならない、かように考えております。

近藤(洋)委員 いわゆる国際エネルギー機関、IEAの試算では、原油価格が一バレル十ドル上がると世界経済を成長率〇・五ポイント下げるとかと、これはいろいろな試算があるんでしょうけれども、少なくともやはり高騰はよくないということだと思うわけであります。

 そこで、財務大臣会合でこの話が議題になった。やはり谷垣大臣は財務大臣ですから、エネルギーに対してそんなに認識が、どこまであるのか疑問なわけですが、報道されているところによると、それほど日本として、どこまでイニシアチブをとってこの財務大臣会合のコミュニケに日本の思いを入れたのか、やや不明ではございますけれども、中川大臣は、先ほどお話ございましたとおり、アムステルダムですか、国際エネルギーフォーラムに御参加をされて、フォーラムでの会合、さらにはバイ、二国間での協議もされてきたという話でございます。

 サウジから引き上げするという言質もとられてきたという話でございますが、大臣としては、この原油高騰の状況の中で今後どのようにさらに活動されていくお考えなのか、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今経産省から答弁いたしましたけれども、石油の高騰だけではないということをまず認識しておかなければいけないんだろうと思うんですね。鉄鉱石、あるいはその他原材料、あるいはまた、いわゆる大豆とかトウモロコシとか、そういうものも含めて、国際的な商品が非常にじりじりじりじり上がってきているという状況は、これは日本にとっても非常に大きな影響を及ぼしますので、経済産業省の中に原材料の価格上昇をウオッチする委員会をずっとつくって、対策をとっているところでございます。

 アムステルダムにおきましては、OPECと私、実際には議長国のインドネシア、サウジ、イラン、イラクの大臣と話し合いをしたわけでありますけれども、今の高騰は、我々輸入国だけではなくて、中長期的に見れば輸出国にとっても決してプラスではないという認識で一致したわけであります。OPECの方は、標準的な価格帯は二十二ドルから二十八ドルが適正であるという認識をいまだに持っておりますので、それに比べると、四十ドル前後というのはやはり高過ぎる。これは産油国側にとっても決してプラスではないということは共通いたしました。

 特にダメージを受けるのは、もちろん我々輸入国の中でも、とりわけ発展途上の石油を海外から輸入しなければいけない国々に対する影響が一段と大きいという意味で、OPECのお会いした皆様方も、それに対する影響については十分認識を持っておられるというふうな心証を得ました。

 そういう意味で、このOPECの議長国が今インドネシアのエネルギー大臣でありますけれども、あるいは御承知のように、今おっしゃったように、サウジアラビアが増産余力があるというか、ほとんどサウジアラビアしかないという状況の中で、サウジの石油大臣も増産に対する前向きな考えを表明されたわけでございまして、早くきちっと増産をしていただきたいという要望を、私だけではなくて、アメリカ、EUの大臣からも要請をしたところであります。

 実質的には、来月二日、三日ですか、OPEC総会で、きちっとした決定機関の会合が行われるわけでございますので、その場でアムステルダムでの会合を踏まえた対応が出てくるものと、私としては期待をしているところでございます。

近藤(洋)委員 インドネシアが議長国ということでございましたが、インドネシアも、恐らくあと間もなくして原油輸入国に転じる可能性があると思うわけでございます。そうなると、消費国はほとんど、中国も完全に輸入国、インドネシアも輸入国、日本は当然輸入国となりますと、やはり日本の態度というのは非常に、要するに、原油に関してはアジアは全部押しなべて輸入国になっていくということになりますと、消費国のアジアの盟主としてといいますか、最大輸入国としての日本の立ち居振る舞いといいますか、戦略というのは極めて大きくなると思うわけでございます。OPEC総会を控えているわけでございますけれども、ぜひ、経済産業省としても、エネ庁としても、増産、大変市場によい影響をといいますか、与えるような形の生産体制が組まれるような努力を今後ももっと真剣にやっていただきたい、やるべきだということを御指摘したいと思います。

 石油ショックからちょうど三十年でございますし、そういうことを考えましても、三十年たつと大体、人間、物事を忘れてくるのかなという気もしておりますし、やはり原油資源に対する戦略は総合的にすべきであろうということを指摘したいと思っております。

 なお、今、長期エネルギーの見通しを政府部内で、総合エネ調の中で策定中ということでございますが、六月中旬ですか、間もなく中間報告という話を伺っております。中間段階でも結構でございますが、全体の我が国エネルギーの需要がどのようになるのか。まさに三十年、二十年ぐらいでどうなるか。まず現時点での試算をお知らせください。

日下政府参考人 今先生御指摘あられましたように、需要面でも、中国を初めとするアジアの需要が急増している、あるいは供給面では、中東リスクの顕在化、ロシアの役割など、国際的な環境変化、それから国内では、人口の減少でございましたり、社会構造の変化、環境問題、新技術など、いろいろな構造的変化が出てきていることを踏まえて、この影響あるいはそれを踏まえた上での政策の方向性を検討する形で、昨年十二月から、総合資源エネルギー調査会の需給部会において、二〇三〇年、石油危機から三十年というお話がございましたが、まさに少し先の長い、三十年近い先に向けた需給見通しの策定作業を行ってきているところでございます。

 五月の十七日の需給部会で、これまでの議論を踏まえまして、第一に、人口、経済、社会構造の変化を受けて、エネルギー需要は、自然体で見ても、二〇二〇年ごろまでの増加の後、頭打ちから減少に転ずる傾向である。第二に、省エネルギー技術や燃料電池などの新技術の導入、普及が円滑に進展すれば、経済成長が維持される一方で、エネルギー需要はさらに減少して、原子力の推進による効果と相まって、原子力を国産エネルギーと考えますと、エネルギー自給率が向上するとともに、二酸化炭素排出量も減少していく。こういう可能性があるとの二〇三〇年の需給見通しが、暫定的な試算結果として出されたところでございます。

 このような安定供給の確保と環境への適合の両面から望ましい姿を実現するためには、省エネの技術の開発、普及のための努力、あるいは原子力の推進、新エネの導入、さらに努力することが必要と考えられます。具体的な政策展開につきましては、引き続きこの調査会において議論がされていくこととされております。

近藤(洋)委員 はっきりしているのは、やはり二〇二〇年までふえ続けるということなんでございますね。

 その中で、最後に伺いたいんですが、原子力でございます。石炭から原子力の話を最後に伺いますが、原子力というのは、やはり引き続き日本の根幹、エネルギーの柱であることは間違いないところだと思うわけであります。そこでお伺いしたいんですが、資源確保という意味で、ウランの確保でございますね。中国では大変、同僚議員も中国に何度か行って、報道でも一部、三十基の原発を今度つくるということであり、また、そうなると、ウランはまだまだ世界的にあるとはいうものの、果たしてその資源確保というのはきっちりできているんだろうかと不安になるわけですが、まず最初に、簡単に現状だけ伺いたいんです。

日下政府参考人 御指摘のように、ウラン資源を将来にわたって安定的に確保することが、原子力発電を安定的に運転する、あるいは電力の安定供給の上で大変重要でございます。

 ウラン資源は、政情の安定した国々に分布しております。国際情勢の影響を受けにくいという面はございます。我が国の電気事業者は、主にカナダ、豪州から輸入しているところでございますし、我が国の電気事業者が出資する形で資源開発会社を設けまして、カナダや豪州の鉱山などで経営に参加してその開発、輸入を行いましたり、あるいは長期購入契約などを結んでおりまして、我が国の年間需要量と比較しますと、おおむね七年分のウラン資源がこれらの契約等によりまして確保されていると承知をしております。

近藤(洋)委員 七年分となると、石油の備蓄と比べると大変かたいということだと思うわけです。ただ、同時に、世界競争の中で、フランスもしっかり確保しているとか、中国もこれから出てくると思うわけであります。そこはやはりきちっと今後も進めるべきだろうという御指摘をさせていただくと同時に、最後に、中国でそれだけ原子力発電が出ると、やはりその安全確保という観点からも、果たして大丈夫なのかと。私は日本海側ですから、山形県ですが、最近、黄色い砂が降ってまいりました。こういう事例は多々起きているわけです。

 済みません、これはちょっと通告してないので、長官でも大臣でもどちらでも結構なんですが、やはり日本の原子力技術である程度中国の原子力発電もオペレートできれば安心だろうとか、GEなり世界の一流メーカーが中国に出るならいいんですが、もし、変な話ですけれども、やや不安定な原発をつくられると、これは大変なことになるわけでございまして、その辺も含めて、エネルギーの安全保障上重要ではないか。増設される中国の原子力発電の運転、さらにはその品質等については、やはり日本としてもきちっとかかわるべきではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。最後にこの点だけお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 中国が急速な発展をしていくことによって、エネルギーについても、石油、石炭、そして原子力というふうに、急速なエネルギー需要に間に合わせるような対応をとっているわけであります。

 そういう中で、近藤委員御心配のような状況、北海道の札幌なんかもいわゆる黄砂が降ってまいりますけれども、黄砂と原子力がどういう関係かは別にして、とにかく中国においてきちっとしたエネルギー政策、特にこの原発なんというのは、風が吹けば自然に日本まで頼みもしないのに飛んできちゃうわけですから、こういうことのないようにしてもらわないと困るわけであります。

 そのためには、日中の間で言うべきこと、やるべきことはやってまいりますけれども、これはアメリカ、あるいはアジア全体で、きちっとした対話というものを前提にして、安全できちっとした、原子力を含めたエネルギー政策、環境政策、安全対策を中国においてやっていただきたい。我々としても努力をしなければいけないというふうに思っております。

近藤(洋)委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 きょうは、独立行政法人などの三法ということで、とかく最近、独立行政法人ですとか有限責任中間法人とか、何か名前がばたばたばたばた、どんどん変わって、看板のかけかえといいましょうか、そして、その論点のときにいつも問題になるのが、名前がどうだったとかあるいは天下りがどうだとか、こういうことが非常に問題になっているわけですけれども、それよりも、実質的にその法人から出ている補助金が適正に使われているか、あるいはむだ遣いがないかというようなことが最も重要だと思います。

 この点に関しまして、とかく今、研究ですとかエコロジー、また環境とか、こういうことでは、そういう美名のもとにどんどんどんどん補助金が使われていくおそれがあるのではないでしょうかということで、その象徴的な例といたしまして、週刊誌にも報道されております、小泉総理大臣の秘書官が口ききをしたのではないか、こういう問題がありますので、この問題について中心的に伺いたいと思います。

 この問題は、週刊誌報道によれば、首相官邸に業者の方が来ていろいろ陳情して、それで口ききをしてしまった、こういうような話なんですけれども、まず初めに中川大臣に伺いたいんですけれども、大臣になられてから、衆議院としての今まで陳情を受けたりとか、こういう活動はもちろんあると思うんですけれども、そういった活動の御自身の中で線引きというのはどこでやっていらっしゃるかということを伺いたいんです。

 例えば、大臣室では陳情は受けないようにしているだとか、そういうような、御自身で大臣としての、要するに行政庁の執行官の長としての立場と、民意を代表する衆議院としての立場と、多少分けてかからなければいけない部分があると思うんですけれども、その点に関してまず大臣の御見解を伺いたいと思います。

中川国務大臣 反論するわけじゃございませんが、まず陳情の定義というものをきちっとしていただかないと適切なお答えができないのではないかと思いますが、いろいろな方が私のところに来られます。もちろん地元の方、あるいは日本じゅう、海外の方が毎日毎日来られるわけでございまして、陳情ということは何かのお願いという意味でお話をされているという前提でお答えをさせていただきますが、何かをしてくれと、とにかく要望があったということに対して、一般論として、政治家は、そういう要望を適正なものであればこたえていく、適正なものでなければそれはお断りをするということが原則だろうと思います。

 こういう今大役を拝命しておりますので、議員会館の私の事務所に私自身がいるということは、大臣になってからほとんどございません。したがいまして、専ら陳情は大臣室が中心になっているわけでございまして、そういう意味で、場所的に区別しているかと言われれば、場所的には区別することができないというのが実情でございます。

 特に配慮をしているかと言われれば、特に、いわゆる公務かどうか、陳情も、先生もそうだと思うんですけれども、どういう陳情が来るのか事前にわからない場合もあるわけでございますから、突然、ちょっとごあいさつとか言いながら実はということもあることは、私だけではないのではないかと思います。

 強いて気をつけていることといえば、例えば事務の秘書官と政務の秘書官との区別をするでありますとか、あるいは、例えば経済産業省に関係のあることであっても担当を同席はできるだけさせないとかいうところから、初めて、話の内容によって陳情をお受けする、そしてまた、努力してもだめな場合も多々あるわけでございますけれども、いずれにしても、心構えとしては、大臣である現在とそうでない、議員というか、大臣でないときとは区別をしなければならないという気持ちは持っております。

高山委員 ただいまも大臣に伺いましたところ、例えば自分に来た陳情を政務の者と事務方の秘書官とを分けて考えられる、これは、非常に必要といいますか、李下に冠を正さずというか、分けて考えられるということは非常にいいことだと思います。

 この点なんですけれども、この記事によりますと、とある産廃業者の方、この方が首相官邸の小泉総理大臣の飯島秘書官を訪ねていった。そして、経済産業省所轄の、結果的にはNEDOになるんですけれども、そこの補助金をつけてもらうために、岡田秘書官という経済産業省から出向している秘書官を紹介してもらったんだ、このようなことが出ておりました。

 そこで、この官邸の方に陳情に行ったという業者の方、群馬の方なんですけれども、私、群馬県のその会社まで伺いまして確認してまいりました。そうしたら、官邸に行きましたよ、紹介されたというようなお話でした。

 そこで、これは一応確認した方がいいと思いましたので、本日は飯島秘書官と岡田秘書官を参考人として呼んでいただきたいということをきのうの時点で申し上げましたところ、前例がないとかそういうようなことで呼んでいただけなかったんですけれども、このことに関しましては、責任を持って答弁をしていただけるほかの方でも構わない、こういうことを私は内閣総務官室の方に伝えてありますので、それできょうお越しいただいていないということは非常に問題だと思いますので、改めましてこの飯島秘書官と岡田秘書官を参考人を要求したいと思いますが、委員長はいかがでしょうか。

根本委員長 ただいまの件については、理事会で協議いたします。

高山委員 それで、これも大臣にまた伺いたいんですけれども、今回、この記事によれば、岡田秘書官、経済産業省から出向している秘書官を紹介された、そして、その秘書官から経済産業省の方にまた話が来たということでございますけれども、これは先ほどの大臣に伺いました、政務と事務のきちんと秘書官を分ける、あるいは案件によっては誤解のないようにするということからすると全く逆で、経済産業省のことに関係あるから官邸に出向している経済産業省の秘書官にお願いしたというようなことにはなりはしないかと思いますが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 まず、私、先ほど申し上げたのは、そういうふうに心構えを持って臨みたい、臨むべきだというふうに申し上げているので、実際そう一〇〇%やっているかと言われると、後でおしかりを受けるといけませんので、必ずしも事実としてそうでない場合もあると思います。

 それから、週刊誌は読んでおりませんので、週刊誌の記事について事務当局の方で何かあれば答えさせたいと思います。

高山委員 それでは、あと、官邸が舞台に口ききが行われたということがもし本当であれば、これは、数年前、ちょうど平成十四年ぐらいですか、鈴木宗男さんの騒動がありましたけれども、あのときも、官房副長官室にお祝いを持ってこられた、就任祝いだといって持ってこられた方がいる、それで、そこから林野庁の方に電話をして、よろしく頼むというふうな話をしているということであれば、これは鈴木宗男さんの、あの問題になった、官邸を舞台とした口きき事件と全く同種のものと私は受け取りましたし、これが事実だとすれば非常な問題だと思いますので、今後ともこの問題は調べてまいりたいとは思います。

 今回、官邸の方がお越しいただけないということですので、経済産業省の方に移ってからの話をまず伺いたいと思います。

 この問題となっています件は、NEDOから明輪という会社が補助金を受けている件なんですけれども、まずこの件で、経済産業省の方に、この会社の関係者、特に明輪の社長の方等が相談に来たのはいつごろのことでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありました明輪という会社でございますけれども、その社長が日本資源再生事業振興協同組合という組合の理事長を務められております。当時、平成十三年の秋だと思いますが、廃タイヤの問題が非常に社会問題化しておりまして、経済産業省の化学課という課がございますが、そこにいろいろ、関係の事業者の方々が来ていただいたり意見交換をしていたというのが頻繁に行われていたわけでございます。その一環で、この明輪の社長さんあるいは協同組合の理事長、組合の方という方が来訪されたわけです。

 そこで、いろいろ、やっておられる廃タイヤのエネルギー利用とかそういった話がありましたので、新エネルギーの導入促進をやっておりますNEDO、この担当課長も化学課でそのとき同席をさせてもらって、いろいろなNEDOがやっております制度の説明を御説明した。その場合は、導入の促進のためのいろいろな制度、そういう担当課長だったものですから、その説明に行ったということでございます。それが、経済産業省としては最初だと思っております。

高山委員 私、一応、この関係者の方に、自分で行ってインタビューいたしました。そうしたら、これは、二〇〇一年の十月に飯島秘書官から岡田秘書官を紹介されて、十月二十四日に、今おっしゃいました日本資源再生事業協同組合の渋谷さん、理事長と、あと、ここでちょっと問題になるのは飯島秘書官の御長男の方が、私、今ここに持っていますけれども、日本資源再生事業振興組合の事務局長代理という名刺を持たれて御同行されているということでございます。

 そして、その後の、同じ二〇〇一年の十二月に、小泉総理大臣の資金管理団体であります東泉会という政治団体があるんですけれども、ここに、今お話しになりました渋谷さんという会長の方が個人名で献金をしていると思うんですけれども、これは総務省に確認したいと思いますが、二〇〇一年にこの渋谷さん、きのうちょっとお名前を出してありますけれども、その献金があるかどうか、まず事実確認だけお願いします、総務省の方。

高部政府参考人 東泉会の、二〇〇一年ですから平成十三年の収支報告書を確認いたしましたところ、渋谷吉久さんから、平成十三年十二月二十一日付で百万円の寄附を受けた旨の記載があるところでございます。

高山委員 これは、普通の人の感覚ですと、その前の秋に、小泉総理大臣の秘書官である飯島さんの紹介で岡田秘書官を紹介してもらって、最終的にはこの補助金をもらうことになるNEDOを紹介してもらって、そのお礼の意味で十二月に献金したというふうにとることができると思うんですけれども、これがたまたまなのか、その後もまたあるのかということは、これからまた伺っていきたいと思います。

 それで、今のが二〇〇一年でございます。その後、では、NEDOを紹介されてから明輪さんがNEDOの方に初めて伺ったのはいつでしょうか。これも、ちょっと事務方の方に事実確認を伺います。

小川政府参考人 先ほどお答えしましたあの経緯での流れの中では、総理官邸の岡田秘書官の方から働きかけというのはなかったというふうに我々は承知しております。それだけ申し上げておきます。

 それで、その後の経過でございますけれども、化学課でもって知り合うことになりました資源再生事業振興協同組合の方と、それからNEDOの新エネルギーの導入促進の方の関係の課長であったわけですが、そこで知り合って、今度は……(発言する者あり)化学課で会ったわけでございます。

 その担当課長に対しまして、明輪側から、NEDOについて、今度は技術開発の助成について、どういう制度があるか、そういったものについて相談に乗ってくれるようにということで連絡がありましたのが十三年の十二月ごろだというふうにNEDOから聞いております。

高山委員 今、事務方の方から、岡田秘書官からの紹介はなかったということですが、それは、それを確認するために私の方で秘書官のことを参考人招致しているわけですので、ぜひそれは御本人から確認したいと思います。

 それと、経済産業省に、組合の方ということで相談に行ったんだと。なぜそのときにNEDOの方が同席していたんでしょうか。それは、これは私が推測するにですけれども、そういう特別なお声がかりがなければ、NEDOはある場所が池袋ですからね。それで、これは経済産業省にわざわざだれかが呼んでいた、呼んでおいた方が、陳情といいましょうか、もともとのこの業者の方のお願いに資するということで、そういう特別な配慮が働いたのではないかというふうに思います。

 それで、なぜこれ、NEDOの担当の方がそこに呼ばれていたか、その経緯に関しては、御存じでしたらお答えください。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁いたしましたように、当時、廃タイヤをどうやって処分するか、処理するか、再利用するかというのが大きな問題、課題になっておりまして、関係者の方が化学課にいろいろ、来ていただいたり意見交換をしていた、そういう状況がございました。

 そのときに、我々、いろいろな制度、NEDOも含めて持っておるわけでございます。来られる方々のいろいろな御要望あるいはお悩み、そういうのを意見交換する中でお話を、来訪されるときにどういうことがテーマになりそうかということでもって、エネルギーの導入、利用、新エネルギーの導入を促進するところの担当課長にも制度概要を説明してもらって関連事業者の方にいろいろ使ってもらうというのは、廃タイヤの処理処分という意味ではプラスになる面もあろうかということで声をかけたというふうに聞いております。

高山委員 私が資料を集めるときでも、例えば経済産業省にお願いして何か出してもらったり、あるいはNEDOのときはNEDOに電話したり、自分がそういうコーディネーションを普通しなきゃいけないんですよ、頼む方が。ところが、この業者さんが行ったら、そこにみんなずらっとそろっていたんだと。これは、何かそういう特別な配慮が加えられたのではないかと思いますけれども、ちょっと、あと時間がありませんので、先の話をさせていただきたいと思います。

 その後、結果的にNEDOの方に御紹介が行って、この明輪さんという企業に、結果としてこれは助成金なりなんなりはおりたのでしょうか。お願いします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 化学課で知り合ったのはNEDOの新エネ導入部の課長さんでございまして、今回先生が御提起されております技術開発については、別の部が担当してございます。

 それで、最初申し上げましたように、明輪の方から相談に乗ってくれといって、先ほど知り合った……(高山委員「委員長、補助金が出ているかどうかということなんですが」と呼ぶ)わかりました。

 それは、補助金は出ております。十四年度の開発助成事業の対象ということで出ております。(発言する者あり)一億円出ております。

高山委員 これは、いつ、幾ら出たかということを再度お願いします。

小川政府参考人 申請が平成十四年の五月二十七日に出されまして、七月四日に交付決定をいたしまして、その発表を七月九日にやってございます。

高山委員 これは、私、業者の方にも行きまして、いろいろ、いつ着工したんですか、どうなんですかと聞いてまいりました。そうしたら、補助金が平成十四年の七月に出ていると。

 それで、またここの業者さんの社長さんの個人名で、同じ年の平成十四年の十二月にも、また東泉会という小泉総理大臣の団体に献金しているんですけれども、これはまた総務省の方に確認いたしますが、この十四年度の中に渋谷さんのお名前はありますでしょうか。

高部政府参考人 平成十四年度の収支報告書の記載を確認いたしましたところ、平成十四年十二月十八日付で渋谷吉久さんから百万円の寄附を受けた旨の記載があるところでございます。

高山委員 そうしますと、一番初め、十三年の時点で官邸に行って、こういう補助金なりなんなりをもらいたいからだれか紹介してもらえないかといって紹介してもらった、そして、その年にも百万円献金しています。それで、その後、今度はこの助成金が出た、その後また百万円献金しています。これはまさに、あっせん利得というか、あっせん収賄というような行為じゃないんでしょうか。それが官邸を舞台にまた行われている。そして、今、本庁からの補助金だとかなんとかより、もうちょっとガードの甘くなっている、周りの独立行政法人だとか特殊法人から出ている補助金、こういうのが利用されているということは、これは、今ちょうど審議している法案にもかかわることですし、重大な問題だと思います。

 ただ、ここでさらに、もしこの企業がきちんとした廃タイヤのリサイクル、こういったことを取り組んでいてということであれば、補助金そのものが妥当かもしれないということもありますので、その点について伺いたいと思いますけれども、私が調べました明輪さん、これは行ってきたんですけれども、資源再利用組合とあるように、廃タイヤのリサイクルということで、廃タイヤを回収している業者さんでございました。

 それで、NEDOの補助金ですけれども、これはやはり、研究ですとかあるいは廃タイヤのリサイクルの新技術だとか、そういうことに対して出されるものというふうに聞いておりますので、そうすると、きちんとした研究施設が必要じゃないだろうかと思いますけれども、その点、まずこの補助金はどういった対象に出されるものなのか、これをお願いいたします。これは事務方の方で結構です。

小川政府参考人 この開発助成事業につきましては、民間で提案をしてこられました技術開発のプロジェクト、テーマにつきまして、その新規性あるいは有用性、実用化を展望できるかどうかとか、そういったことを踏まえて助成をするものでございまして、その交付を決めるに当たりましては、外部の専門家から成ります委員会で厳正な審査を行っておりまして、その技術の中身、要するに、研究開発及び技術の中身とそれから事業化、両面の観点からの専門家に入っていただいております第三者委員会がございまして、その委員会の結論でもって交付をするしないというのを決めるわけでございます。

高山委員 これは、審査の際には、人にばんと一億円ですからね、お金を出すわけですから、現場の方を、どういうところに設置するのか、これは見に行かれるんですか。

小川政府参考人 この助成制度の全体の仕組みでございますけれども、現場に行くというより、書面とヒアリングで審査を……(高山委員「いや、本件が現場に行かれたかどうかだけお願いします」と呼ぶ)それは、行っておりません。書面で審査をしております。

高山委員 これは、私が国会の合間にちょっとぱっと高速乗って行ってきてもすぐ行けるような距離なんですよ。それで、現場に行ってくると、わっとタイヤが積まれている産廃施設というんでしょうか、そういうところで、実際、私はちゃんとごあいさつもして、そこの研究施設といいましょうかプラントといいましょうか、そういうものを全部見せてもらっているんですけれども、これは何で、現場に行かれないでこんな一億円ものお金を出しちゃっているんですか。

 これは、そういう仕組みでいいのかどうか、これは大臣にちょっと伺いたいんですけれども、人にお金を貸すとき、それこそ中小企業で今担保をなくしてなんというような話がありますけれども、かなりこれは慎重に、貸すだけでもかなり慎重にしていますよね。これは、一億円ものお金を補助金で出すときに、全く現場も見られないで書類上の審査でやられている、これでいいのかどうか、まず大臣に伺います。

小川政府参考人 この件だけではありませんで、この事業そのものの制度としまして、提出されました紙とそれからヒアリングでもって中身の精査をしているということでございます。

高山委員 この件だけじゃないということは、これは私の調べが足りなかっただけで、まだまだひょっとするとむだ遣いがあるんじゃないかというような気がいたします。

 これは大臣に伺いたいんですけれども、総額が幾らか私もちょっと見ていませんけれども、これだけのことをこんなペーパーだけの審査で通しちゃっていいんですか。そもそもの考え方をちょっと伺いたいんですけれども、大臣に伺います。

中川国務大臣 細かいことはよくわかりませんけれども、一億円というか、このNEDOのお金というのは大事な公的なお金であるわけでございますけれども、そういうルールにのっとって、つまり、委員の御質問というのは、先ほどから伺っておりますと、私は週刊誌を読んでおりません、委員は現場というか関係の方にインタビューにわざわざ行かれたそうでありますけれども、私は事情をよく承知しておりませんが、とにかく、そういうルールでNEDOの補助金をきちっとしたルールにのっとって交付をした、そして、御質問に対しては、担当局長の方から事実関係をきちっとお答えしているということを御理解いただきたいと思います。

高山委員 いや、まず、補助金を出すときに、きちんとしたルールといいますか、だからそのルールがそもそも問題じゃないんですか、全然現場にも行かないで出してしまうというルールが問題じゃありませんか、そういう趣旨で今聞きました。

 さらに、ちょっと時間の関係がありますので聞きたいんですけれども、私が実際に現場に行きましたのがことしの二月です。そのときは、がたがたがたがたプラントそのものが動いているという印象ではなかったですけれども、そこの社長さんにも会ってその話をしたら、これはそう毎日動かすような性質のものでもないしというような話はされてはおりました。ですけれども、いろいろ週刊誌に書かれたり、実際、私なんかはNEDOにこのことで質問をしたりしているわけですよね。それを踏まえて、NEDOの方では、ちょっとこの補助金は適正だったかどうかということで、その後のフォローといいますか、この件を再調査というか、そういうのはされたんでしょうか。

菅大臣政務官 NEDOからは、この明輪は、補助事業が終了した平成十五年の四月以降も、補助事業により設置したプラントを用いて引き続き自社研究を行っており、現在も事業化に向けた研究が行われている。さらに、今後につきましても、NEDOにおいては、助成期間終了後五年間、これは毎年度末に企業化状況報告書の提出を受ける仕組みになっておりますので、これからも適切にフォローしていく、こういうふうに思っています。

高山委員 今の政務官のお答えは、適切にフォローしていくということでしたけれども、これは、実際どなたか担当の方、NEDOの方あるいは経済産業省の方、群馬県のこちらの会社はごらんになりましたか。どなたか行ったかどうかだけお願いいたします。

小川政府参考人 助成を始めて、研究開発をやっているときに、間で二回行ってございます。その後報告書の提出をしていただいております。

高山委員 研究開発されているという間にもいろいろ問題が実はあるんですけれども、週刊誌に出たりなんかして問題になって、それで、初め私が明輪さんの社長さんに行ったら、ことしの三月ぐらいには何とか実用化したいんですよね、今試行錯誤でやっています、こんなようなお話でした。それで、二月に私はNEDOにも行っているんですよ。それで、こういう問題があるからきちんと調べてほしいということで言いましたけれども、その後、二月以降は現地調査は行かれているんでしょうか。

小川政府参考人 二月以降は行ってございません。三月に報告書の提出をしていただいているという、先ほど御答弁したとおりでございます。

高山委員 これは問題じゃないですか。かなりいいかげんじゃないですか。しかも、国会議員がNEDOまで行って指摘しているんですよ、これはちょっと問題があるんじゃないんですかと。確かに、私が若いからいいだろうということでいいかげんになっているのかもしれませんけれども、これは随分問題だと思います。

 それは、私にどうこうというのよりも、ちゃんと事実を指摘しているのに、報告書が上がってきたからそれでいいんですと。だから、要するに、形式的なペーパーの審査じゃ問題だから見に行ったらいかがですか、こういうお話をしているにもかかわらず、その後行かないというのは、これはどういうことか。

 ちょっと大臣にも伺いたいんですけれども、こんなことでは国民の皆さんから信頼を得られないと思いますよ。そこのペーパー審査で問題があったんじゃありませんか、だから見に行ったらいかがですかと言っていて、それからまた三カ月もたっているのに、だれも見に行っていなくて、三月に報告書が上がりましたと。これは納得がいかないと思いますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

中川国務大臣 委員は、ルールそのものがおかしいじゃないかという御指摘でありますが、ルールに基づいて、そのルールのよしあしは別にして、ルールに基づいて交付をして、そして今政務官から答弁申し上げたように、五年間その後ウオッチをするというシステムの中でやっている。それについて、いつ行ったのか行かないのかという御質問でありますが、この補助金自体が問題であったという今御質問がありましたけれども、私自身、何が問題なのかよくわからないので、必要があれば教えていただければありがたいなと思います。

高山委員 まず、あっせんしたということも非常に問題ですけれども、では、そもそも、この明輪という会社ですけれども、きちんとこの補助金を受けられるような高い水準のものだったのか、そういうことについてなんですけれども、これは、とある特許に対して、あるからまあいいだろうということで出ているんでしょうけれども、この件に関しまして、特許そのものはだれの名前で申請しているか、これを教えてください。

小川政府参考人 手元にちょっと資料がございませんが、正英という会社だったような気がします。ちょっと確認いたします。

高山委員 今のは本当は間違いですね。明輪という会社で申請しているはずです。

 それで、今図らずも局長が、正英という名前が出ましたけれども、明輪という会社そのものは廃タイヤの産廃処理業者で、タイヤをわあっと積んでいる、それで、そういうリサイクル、エコロジーということには関心はあったでしょうけれども、実際そういう業務は全然していないんです、今まで。それで、この正英という会社がリサイクルのプラントをつくっている、いろいろ技術を持っているということなんです。

 ちょっと事実確認ですけれども、これは明輪さんと正英さんの共同申請じゃなくて、明輪という名前だけで申請されていると思いますけれども、そこはいかがですか。

小川政府参考人 明輪という会社の単独申請になってございます。

高山委員 これは本当に現場に行かれればすぐわかりますけれども、明輪さんというのは、ほとんど、ほとんどというか全く研究施設ないんですよ。しかも研究員の方もいない。私が行って、では、ちょっとここのプラントわかる方と言ったら、ここに正英なんて書いてあるジャンパーを着た人がわあっと出てきて説明してくれるということなんですよね。

 確かに中小企業なんかでは、自分のところで技術を持っていない場合で、技術を持っている会社からしばらく出向の形でずうっと来てプラントをなんということはあることですから、それはいいんですけれども、本来であれば、これはまず正英に出すべきだったんじゃないですか。わざわざ明輪という、小泉さんが献金をいっぱい受けている、あるいは飯島秘書官の御子息がかかわりのある団体の関係の企業に出すというよりは、これはむしろ正英に出すべきだったんじゃないですか。

小川政府参考人 これは申請される事業者の御判断であろうかと思いますが、廃タイヤから有用な物質を取り出すマテリアルリサイクルとそれからサーマルリサイクルと、両方やるわけでございます。そういった利用のところまで考えた場合に、明輪という会社がその技術開発成果を使うということであったと思います。

 それから、中小企業なんかの例に、先ほど委員も御指摘がありましたけれども、みずから研究所を持っていないような中小企業というのはございます。そういうときには、外部のそういったノウハウないしは能力のある方々と一緒になって、組織をつくって研究を実施する、そういう形というのがよく行われることもあるわけでございます。そういう形の申請で、研究開発の実施体制というものを申請されたわけでございます。

高山委員 本当にこういう複雑な問題になってきていますので、これは飯島さんを呼んでいただかないとわからない部分があるんですけれども、この特許に関して、これはちょっと特許の中の話になりますけれども、要するに、タイヤを溶かして活性炭と油をつくる技術があるんだ、これについて特許をとりたいといったときに、ちょっと話は前後しますけれども、この補助金の話になる前にまず特許をとっているんですけれども、特許をとる際に、報道によれば、飯島秘書官の御子息が、自分の知っているところの特許会社を使ったら早くとれるからみたいなアドバイスをしている、そんな話があったんですけれども、へえ、そんなものかなと思っていたんです。ところが、私、また小泉総理大臣の資金管理団体のこれを見てみたら、その志賀さんのお名前があるんですよね。

 ですから、また総務省に確認したいんですけれども、この志賀富士弥という方、この特許事務所の所長さんですけれども、この方が東泉会に、小泉総理大臣の後援会に献金しているという事実はありますか。

高部政府参考人 これも東泉会の平成十二年から十四年の収支報告書の記載について確認いたしましたところ、志賀富士弥さんから、平成十二年につきましては毎月六万円ずつ計七十二万円、平成十三年についても同様、毎月六万円ずつ計七十二万円、平成十四年について毎月六万円ずつ計七十二万円と、寄附を受けた旨の記載があったところでございます。

高山委員 これは、そんなにこの案件そのものが問題なかったと言い切れるんでしょうか。これは特許をとるときから結構丸抱えなんですよ。小泉さんの秘書官の飯島さんがどういうシナリオを書いたかわかりませんけれども、結構そのとおりにうまく運んでいっているわけですよね。それで、そのお目付役でしょうか、わかりませんが、御長男の方がそこの資源組合で働かれている。

 しかも、このことに関して、平成十四年に同僚議員が、これは全然関係ない委員会でですけれども、当時、道路公団のファミリー企業に飯島秘書官の御子息が勤めていらっしゃいませんか、こういう質問をしましたら、そのとき安倍官房副長官は、今ちょっとリハビリ中のこともあってサラリーマン経験はございません、このような答弁をされているんですね。私も今議事録を持ってきていますけれども。それが、ちょうどその時期に、官邸にこの業者の人を連れていったり、あるいはNEDOに連れていったりということを、この御長男、されているんですけれども、これは、サラリーマン経験ございませんどころか、きっちり仕事をしていると思うんですけれども、これは安倍副長官が、何というんでしょうか、虚偽答弁をしたのか。これも確認したかったので、私は、飯島秘書官と岡田秘書官を要求しておりますので、そこは重く考えていただいて、理事の方で協議していただきたいと思います。

 それと、実はまだこの特許に関して結構問題があるのは、正英の方が技術があったということでしたけれども、明輪さんと正英さんで組んでこの仕事をやられる前の年の夏に、二〇〇一年の夏に、滋賀県の方で全く同じような、廃タイヤを処理して活性炭と油をつくるんだということで事業が行われようとしていた。それに対してはまだ補助金の申請云々ではないんですけれども、プラントがうまくいかなくて、周りのところに非常にタイヤの悪臭が出ちゃったりですとか、煙が出た、水が出てしまったりだとか、プラントそのものが全然うまくいかなくて、苦情が出てきて、滋賀県から行政指導をこの会社は受けているんですけれども、その事実は、まずNEDOの方は御存じでしたでしょうか。

小川政府参考人 私ども、今御指摘の具体的な案件が特定できませず、その事実関係がどうだったかということについては、今ここで答弁できない状態でございます。

高山委員 これはもう裁判になっていまして、滋賀県の会社の人と正英の方とかでいろいろないざこざがあって、裁判になっている。それで、そういう問題があって、これも知らなかったんですかということを私は二月にNEDOに行ったときに聞いているんですよ。それを踏まえて、三月以降の報告書がちゃんとしたものだったのかということは、これは当然調査していただけると思っていたんですけれども、今聞いたら、そういう事実は知りませんということです。では、そのときに、やり過ごせばいいやということで、私が聞いたことは全然反映されていないということなんでしょうか。

 これは非常に問題だと思うんですけれども、大臣、何でこれは調べてもらえなかったんでしょうか。NEDOのことですけれども、大臣にちょっと伺いたいと思うんです。私、そのとき、訴状とかも持っていっているんですよ。

小川政府参考人 NEDOの補助事業について、そこから申請があったかどうか、それが不採択であったかどうか、そういう報道でございます。そういう案件が特定できなかったものですから、先ほどコメントできないと申し上げたわけです。

高山委員 とにかく、その特許といいますか技術そのものにも、かなりこれは疑いのあるものだったというふうに思います。思いますというか、訴訟にまでなっていますから、それがうまくいかなかったということで。なのにもかかわらず、同じスキームの事業が今度は群馬に舞台を移して、その一年後には、特別な関係があったのか、要するに、飯島秘書官からの紹介だったのかという推測で、おりている。これは非常に問題だ。前は全然、訴訟になるぐらい問題になっちゃっていただけですから。ということです。

 それと、先ほど伺いましたが、この補助事業、タイヤのリサイクルですとか環境のごみゼロ作戦とか、そういうことでやっていたということですけれども、これもまたびっくりした、これは明輪さんがまじめに、補助金を受けて、その補助事業でつくったプラントでタイヤを分解して活性炭をつくっているというふうに私も思っていました。そうしたら、これもまた週刊誌記事ですけれども、これは確認しましたから事実ですけれども、去年の十二月十二日に、この明輪さん、タイヤの不法投棄で、県から六十日の業務停止という行政処分を受けているんですよ。

 これはタイヤのリサイクルに全然なっていないじゃないですか。何でそれなのに、これは三月の報告書でオーケーということになっちゃっているんですか。これはまた、なぜそういうことでそのままになっているのかというのを伺いたいと思います。

小川政府参考人 研究開発それ自身の評価をさせていただいて、報告書を受け取ったということでございます。

高山委員 これは大臣にちょっと伺いますけれども、一方は、研究して、何かタイヤを砕いてリサイクルになる、そういう施設だからその施設に一億円出しているんだと、それでその研究、補助金を出す価値があったからやっているということでしたけれども、これはこんな不法投棄しているんですよ。この研究がうまくいっていたら、不法投棄なんかしないで、どんどんどんどんそのプラントでリサイクルしていけばいいじゃないですか。

 これは極めて重大な問題だと思いますけれども、こういうのは見直す必要があるかどうか、大臣に伺います。

小川政府参考人 研究開発のためにプラントを動かしておりまして、そこで具体的に処理がどこまでできるかというのは、研究開発途上のことでございますので、それはやられていないということも、研究開発の途上であればあり得ると思っております。

高山委員 いや、これは、例えばほかの研究機関でも、原材料になるタイヤ、不法投棄はしませんよ、幾ら何でも。これはひどくないですか、これだけいろいろ補助事業を受けていて、一億円ももらって。私、行ってきましたけれども、これは群馬県の山ですよね。きちんとした処分場を最低限つくったっていいじゃないですか。何でこれは、こんなにお金をいろいろもらっていて不法投棄までしなきゃならないんですか。これは極めて重大な問題だと思います。

 これに関連ということでもないんでしょうか、ちょっとわかりませんが、これはちょっと昔の記事ですけれども、中川大臣、関心が高いと思いますが、二〇〇二年ですけれども、北朝鮮籍の船が茨城沖で座礁した。その船には廃タイヤのチップがいっぱい積まれていたんだと。これは北朝鮮では、タイヤというのは燃やしたときに燃料のかわりになるので、それをNGOが無償提供していた。この無償提供したNGOはレインボーブリッヂという、話題になったところなんです。

 この廃タイヤなんですけれども、私も明輪さんにもこのことも聞きました。そうしましたら、うちでは北朝鮮に出すということはやっていないよ、だけれども、そういうやからもいるらしいね、ふふふ、そういうようなことをおっしゃられておりました。それで、そこで聞いたことでは、この廃タイヤ、これを置いておいたりするとお金がかかる、しかも、引き取ってもらいたいぐらいなんだと。だから、要するに、北朝鮮に、これは燃料として売っているというよりは、引き取り料をつけてでも持っていってもらいたいんだ。前、家電の問題でも、ビックカメラなんかの問題でもありましたけれども、こういった問題も起きているわけですよね。

 そうしますと、飯島秘書官、この間北朝鮮に行かれましたけれども、どんな約束をしたのかわかりませんけれども、人道支援の名のもとに、こういうまた廃タイヤなんかが送られることがあってはいけないと思うんです。まず大臣に、また人道支援の名のもとにこういう廃タイヤが、向こうでは燃料になりますからと、名目上は燃料ということで、実質的には廃棄物処理のお金を上乗せして持っていってもらうというようなことになってはいけないと思うんですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

中川国務大臣 先ほどから高山委員の御質問をいろいろ聞かせていただいておりますが、随分情報を収集されて御質問されていますが、私は週刊誌を基本的に読んでおりませんし、週刊誌には正しい記事もあればそうでない場合も、これは週刊誌に限らずですけれども、権威ある国会で、前途ある高山議員を決して経産省や何かが軽い扱いをしているわけではないというふうにぜひ御理解をいただきたいと思いますが、少なくとも、先ほどからお名前が出ている内閣総理大臣秘書官について、点と点とを結びつけて、あるいはまた一つの前提に立って御質問をされるということに対して、我々も答弁はきちっと責任を持って慎重にしなければいけないというふうな責任を感じながら、先ほどから局長あるいは政務官、私が答弁をしているところでございます。

 したがいまして、最近の状況あるいは二年前の今の週刊誌の状況を結びつけて、いやしくも一つの国家に対しての人道支援の問題と、何かの、今御質問になったこととを結びつけるような前提で私に対して、古タイヤ支援についておまえはどう思うのかというような質問に対しては、私はお答えをすることはできないというふうに申し上げさせていただきます。

高山委員 いや、今大臣、週刊誌報道というふうに言われましたけれども、私も週刊誌を丸のみにしているわけでも何でもないんですよ。その後に、関係のところに、自分で衆議院であることを名乗って一応聞いてきている、これはどうなんですか、どうなんですかと。その話をしているんですよね、まず。それで、しかも、行政処分を受けた、これも確認しましたよ。受けているんですよ、ちゃんと。

 私は、北朝鮮云々のその密約みたいなのは、これは自分の推測です。ですけれども、これはタイヤのリサイクルをするんだ、資源リサイクルなんだということで国から補助金が出ていて、実際やっているのかと思ったら全然やっていない。やっているんだったら、こんな不法投棄をしたりする必要全然ないじゃないですか。そういうところに補助金を出しちゃっていて、そのままでも構わないのかどうか、これは大臣に伺いたいと思います、本当に。

中川国務大臣 その不法投棄が事実だとすれば、それは法律違反ですから、当然いけないことだと思います。

 しかし、先ほどから御質問になっていることは、NEDOの研究開発のためのお金について、どういう経緯でどのようにしてお金が出されたかということとは直接は結びつかない問題。もちろん、いけないことだと思いますよ、不法投棄が事実だとすれば。しかし、NEDOのお金を出している目的とは直接関係ないと私は思います。

高山委員 いえ、この不法投棄のことに関しては、六十日間の業務停止を受けていますから、不法投棄そのものでは確かに処分されているんですよ。だから、それはそれでいいんだ、分けて考えるんだということは法的にはそうかもしれませんよ。

 だけれども、これはタイヤのリサイクルの施設なんだということで、新技術なんだということで補助金が出ているわけですよね。その出た経緯が、小泉さんが絡んだ、飯島さんが絡んだということは、きょう飯島秘書官が来ていないのでわかりません。ですけれども、実態として、タイヤのリサイクルだ、環境だということで補助金は出ているわけですよね。出ている会社がきちんとこれは処理していないじゃないですか、全然。それが一番問題だということを言っているんですよ。

 だから、それは確かに、二重処罰というか、六十日間の業務停止を受けているから、これで大臣はいいんだということなんでしょうか。それとも、この補助金が適正に使われているかどうか、やはりこれはちゃんと調査するべきだったんじゃないんですか。私が指摘したのは二月です。

根本委員長 中川大臣。

 高山委員、申し合わせの時間を経過しておりますので、御協力お願いします。

中川国務大臣 NEDOの補助金の支出については、手続にのっとって行われていると報告を受けております。

 一方、タイヤの不法投棄はいけないことだと思います。

高山委員 これは、ひょっとすると、私が言ったから、担当官からどんどん上に上がっていなくて、大臣まで当然こういう話は行っていないかもしれませんけれども、とにかく、週刊誌に出て、ちょっと怪しいと思って、それで軽挙妄動しているだけではなくて、私、ちゃんと調べているわけですよ。調べた上で、NEDOに行って、ちゃんと調査してくださいね、その後フォローしてください、これは問題のあった補助金の案件じゃないんですか、こういうふうに指摘しているにもかかわらず、三月にペーパーがまた出ているので、それで構いませんと。これでは、この補助金のスキームといいますかルールというか、それそのものが問題なんじゃないんですか。ちゃんとチェックできないじゃないですか。

 こういうのがほかにもいっぱいあると思いますよ、NEDOだけじゃなくて。だから、そこが問題なんだということを私は言っているわけですけれども、時間が来ましたので、またほかの委員会かどこかでやれることがあればやりたいと思います。

 質問を終わります。

根本委員長 次に、樽井良和君。

樽井委員 民主党の樽井良和です。

 同僚の高山議員によって今質問なされましたけれども、普通の会社でいいますと、例えば一億円ぐらいの補助金をペーパーだけで出してしまうというようなことは常識はずれであります。そういったことをやるということ、こういったことは改善していただきたいと私からも強く願います。

 そして、今回の行政改革関連三法案ということですが、時間がちょっと十五分ぐらいになりましたので、通告している質問を半分ぐらいに削らせていただいたり簡素化させていただきますが、民間委託そして公務員型から非公務員型へ改革することによって、行政の効率あるいは安全性そして職員の処遇、こういったことに今後どういった変化が起こっていくのか。これは、今後他省庁が行う行政改革の方針であるとかそういった部分においては、非常に参考あるいは影響を与える部分でありますので、十分な審議が必要で、その後、行方については十分注意を払っていかなければならないと考えておるところであります。

 まず、鉱山保安法の関係についてお尋ねいたします。

 この法律で、例えば民間の方に監督責任が行ってしまう。そして、四月二十七日には例えば筑豊じん肺訴訟で国が敗訴をいたしましたが、こういった訴訟も国に対してはだんだんとなくなってくる。こういった中で、安全性に関して、国の関与というものがだんだん薄くなっていくんじゃないかということが懸念されるわけですけれども、国あるいは関係当局の今後の関与の仕方をまずお伺いいたします。

佐々木政府参考人 近年、坑内掘りの石炭鉱山の大幅な減少、保安水準の向上によりまして、鉱山におけます災害の発生件数や災害の原因に大きな変化が見られております。今回の改正は、こうした変化を踏まえまして、国の関与のあり方を見直しまして、民間の自主性を生かした保安の確保を可能とするような規制の合理化をするものでございます。

 鉱山におけます災害については、これがなくなることを目指しているわけでございますが、不幸にも発生してしまった場合の法律上の責任については、その災害の内容にもよりますが、まずは、第一義的には、鉱業権者及び行為者が責任を負うことになります。

 行政上の責任につきましては、国家賠償法により規定されているところでございまして、今回の法改正において、かかる点については何ら変更もあるわけではございません。私ども、引き続き、しっかりと必要な規制、監督をやってまいる方針でございます。

樽井委員 必要な規制あるいは監督ということになるんですが、今までのように、九百ページぐらいある鉱山保安法、これを、例えば、民間の方がきょうから監督するかといって、じっくり読んで、それでこういったことをきちんと管理していく、そういったことができるのかどうか。

 例えば、普通に考えますと、もっとネットワーク化して、こういったときにはこういうふうに対処するものですよというようなものを、例えばブックパソコンなりなんなりでネットワークして、ここをクリックしたら最近の事故の状況が出てくるとか対処の仕方がわかる、こういったものをちゃんと皆さんの方でつくって、まずそういったものを与えて、そういった管理の仕方をしなければならないんじゃないかというふうに考えるんですが、その辺のことについて御所見を伺いたいんですが。

佐々木政府参考人 ただいまの御指摘につきましては、我々もでき得ることをやるべきであると思っております。

 今回の改正で、鉱業権者に対しまして、類似の鉱山における災害が発生した場合には、その災害がみずからの鉱山において発生する可能性があるかどうかなどの点について、調査を行うことを命ずることができる旨の規定も設けております。鉱業権者が鉱山における保安上の危険を把握して、これに基づいた対策を講じることを促すこととしているところでございます。

 私どもも、既に鉱山に対する検査結果をホームページで公表しているほか、鉱山で発生した災害情報につきまして、鉱山保安監督部及び業界団体を通じまして各鉱山にもそうした情報提供をしているところでございます。各鉱山におきまして、かかる情報を参考として、みずからの鉱山の保安確保に役立てていただきたいと期待しているところでございまして、情報の共有を図っていくという基本的な考え方については、私どもも必要であると考えております。

樽井委員 今後も実質的な管理運営の方法というもの、こういうものをきちんと指導していただいて、事故がないようにしていただきたいと思います。

 時間がありませんので、今度は産総研の方の質問にさせていただきます。

 これはやはり、先ほども言いましたけれども、非公務員型になるということによって、雇われている形態というものが急激に変わってくる、そこについてどんな問題があるのかをきちんと対処していかなければならないと考えております。

 まず、一つ質問なんですが、いろいろなところから、民間とあるいは産官学の連携によって採用したりあるいは研究したりする場合、この中で、ちゃんと人の間でのセキュリティー、秘密保持が守れるのかどうか、こういったことを十分考えておられるのかどうか、お伺いいたします。

江田大臣政務官 まず、先生御指摘の産学官の連携というのは、産総研の技術能力を高める上でも、また、その成果を広く普及する上でも非常に重要なことだと認識しております。そのためにも、大学との共同研究、企業との共同研究、受託研究、そういうものに積極的に取り組んでいるところでございますが、さらに、非公務員化によって、一層この産学官の連携が進む、そのように思っております。

 その研究過程で得たデータまたは研究試料、そういうものにつきましては、これは産総研が守るべき財産でございまして、この管理等につきましては成果物等取扱規程を産総研の内規としてつくっているところでございます。

 この規程におきましては、産総研で生み出された研究成果物はすべて産総研に帰属するとともに、この研究成果物の公表それから資料等の提供につきましても職員が守るべき一定の基準を設けているところでございます。

 なお、スパイ事件等もございましたが、外部からの産総研への受け入れ研究者等に対しましても、必要な手続を経ないそういう研究成果物の持ち出し並びに持ち込みを行わない旨の誓約書の提出を求めるようにして、管理の万全を期しているところでございます。

樽井委員 きちんと管理してほしいと思います。

 例えば、採用で兼業が許される、あるいは、こうやって連携しているのはいいことなんですが、そういった採用の仕方をしておりますと、若かりしころの小泉総理のように、勤務実態がないのにそこに所属して給料をもらうというような、そういったこともないように、ぜひ人的管理の方も力を入れていただきたいと思います。

 そして、採用に関してなんですが、採用に関して、能力のある研究者、これをどういったことで審査していくのか。例えば、IT分野などでは学歴とはまた比例しない部分での能力とかそういったものがありますが、一体、だれがどういうふうなことで審査して、その能力をはかって採用するのか。

 それとともに、二つ一緒に質問させていただきますが、産総研というのは、基礎的研究、あと基盤的研究でありますとか、また標準の供給や地質調査など、こういったことをやっておりますが、そういった中で、研究員の成果、実績、能力、こういったものをどういった観点で評価して、その評価を一体だれがどうやって個々の処遇に反映させていくのか。

 そして、また見させていただきますが、さらに、実際に給料が反映されるとしたら、一体どれぐらいの割合で業績比率になるのか。言ってみれば、今、例えば五百万なり一千万なりもらっていた人、これが、どれぐらいの成果を上げればどれぐらいになる、また、どれぐらい下がるという、今の公務員的な安定していたところからプラスマイナスどれぐらいになるというのが具体的に予想されるんでしょうか。

 その辺をお答えください。

小川政府参考人 現在、産総研の研究員は国家公務員法の適用を受けておりますが、そのために、採用は原則として試験採用ということになっています。ただ、研究者につきましては、例外として選考採用というのが認められておりまして、その場合でも、対象は、博士号を持っている方あるいは修士号を持っていて特に優秀な研究成果を上げられた方ということに限られております。

 したがいまして、先生御指摘のIT分野みたいな、柔軟な発想、年、学位と関係ない分野におきまして、博士号、修士号を持たない優秀な研究者も非常に多いわけでございますが、こういった候補者は、試験を受けないと採用できないというのが今の状況でございます。

 今回、非公務員型に移行いたしますと、学位や試験合格の有無と関係なくて、産総研の目的を達成するために必要な研究能力があるかないかというのを関係者が見まして、採用ができるようになります。

 それから、これからの全体の研究能力を産総研自身として高めるためには、それぞれの研究者の意欲を高める、上司、部下との意思の疎通、あるいはそれぞれの職員、研究者が果たすべき課題といったものを明確にしていくことが必要なわけですが、そのための個人評価というものを始めてございます。

 その結果は処遇に反映するということでございますが、非常に多岐にわたったいろいろな分野の業務を産総研はやってございますので、それぞれの分野に応じた評価の手法といいますか、その研究テーマの達成度でありますとか産総研内部あるいは外部への貢献といった形で、業務に合わせたいろいろな手法をつくってございます。論文、学会の発表だけではございませんで、地質図幅や、あるいは計量標準を何個つくったかとか、そういったものについて、分野ごとに同等に扱っていくということでございます。

 それで、その適正な評価の結果は、ボーナスの一部であります業績手当に反映をさせることにしてございます。

 どの程度かという御指摘でございましたが、現在、ボーナスのうち、この業績手当のベースにするものとして一・四カ月分相当の金額というものを置きまして、個々の評価に応じまして、それを五〇%に圧縮する、あるいは二〇〇%までアップするという形で増減ができるようにしてあります。

 その結果、五〇%の査定を受けた方と二〇〇%の査定を受けた方というのは、ボーナスでいくと約九十万円ほど差が出るのではないかというふうに思ってございます。

樽井委員 時間がありませんので、その採用あるいはこういった皆さんとの良好な労使関係、そういったものにつきましては、我が方の民主党の藤原議員の方が参議院の方で附帯しております、非公務員型の独立行政法人への移行に当たっては、これまで維持されてきた雇用の安定を含む良好な労使関係及び労働条件などに十分配慮し、人事制度面などにおいて職員の士気を維持、向上させるような制度、組織の構築に努めさせていただきたい、まさにそのとおりでありますので、それを実行していただきたいと強く願います。

 時間がありませんので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。

 他省庁も含めて、研究機関が重複しているという、こういった指摘が数多くなされています。日本の今後のビジョンでありますとか産業競争力、これを考えたときに、国全体としての研究機関のグランドデザインというものをそろそろ考えていかなければならない、ちょうどいい機会だと思うんです。そういった時期に来ておりますので、こういったことをどういうふうなことで取り組んでいけばいいとお考えでしょうか。その所見をお伺いいたします。

中川国務大臣 日本は、午前中申し上げましたが、とにかく、技術立国あるいはまた知的財産立国で生きていかなければならないということで、今の樽井委員の御指摘はもうそのとおりだと思います。

 例えば、政府で今、IT戦略会議とか、あるいはまたe―Japanのための会議とか、いろいろありますけれども、有機的に関係を持って、そしてまた、重複は避けていかなければなりませんし、むだも避けていかなければなりませんが、国を挙げてということは、産学官が連携をしてやっていくということ、スピードも大事だろうと思います。

 そういう意味で、今後ますます国際的な技術的優位を確保するために、むだなく効率的に国を挙げてやっていく。例えば、アメリカでは、生物科学系でNIHという、国立衛生研究所みたいなものもありますし、ドイツでいうとマックスプランクみたいなものもございますけれども、日本でも、一つの大きなナショナルセンター、産総研みたいなものがネットワークの一つのキーのポジションにいて、そして、産学官が連携して有機的に総合的な研究を進めていくということが大事でございますから、むだとか二重とか、そういうことは避けながらやっていくことは大事だと思っております。

樽井委員 ありがとうございます。

 技術的な優位というのは、今後、この国家の命運にもかかわるようなことだと思いますので、ぜひ力いっぱいそういった部分を改革して、検討していただけることを強く願います。

 時間が来ましたので、質問を終わります。

根本委員長 田中慶秋君。

田中(慶)委員 民主党の田中でございます。

 このたびの鉱山法の一部を改正する法案という形で鉱山法が見直しをされるわけでありますけれども、約四十年ぶりですね。この四十年の関係で、安全というものについて、なぜ四十年間、安全だったから見直ししなかったのか。この辺が、鉱山そのものが幾つか爆発事故を起こしたりいろいろなことをしていたと思いますけれども、この安全法そのものが全然見直しされていなかったということが一つ。

 そして、このたび、逆に、民間にゆだねるという今度の法律であります。今、石油その他のことも含めて、石油タンクの爆発その他がございました。民間にゆだねることも大切でありますけれども、民でできることは民で、結構だと思うんですが、逆に、そのことによって危険性はないのかどうか。採算性を重要視しながら、そういうところに私は若干の、政府がどのように関与していくのかという、この辺がまず一つありますので、大臣、その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今、田中委員の、四十年ぶりの改正ということでありますが、まず、鉱山というものは、資源の少ない日本にとって、極めて大事な、貴重な資源でありますから、午前中も申し上げたように、石炭鉱をなくして、もう二度と石炭は関係ないんだということじゃなくて、万が一のときにはということで休山という扱いにしているわけでありますし、また、廃鉱であろうが休鉱であろうが、安全管理、防災面、環境面含めてきちっとやっていくということの重要性はいささかも変わらないというふうに思います。

 確かに、時代とともに、あるいは安全性の精度のアップとともにこういう形にしたわけでございますけれども、ほっておいていいとか、国が関与しなくていいとか、安全性に対してのレベルを下げるとかいうことでは決してないということは御理解いただきたいと思います。

田中(慶)委員 確かに、大体、現在、休鉱といいますか、あるいはそれに近いものを含めて、多くあるわけでありますけれども、しかし、それを絶えずメンテナンスしておかなければいけない、こういうことだと思うんです。

 ところが、現実に、この鉱山法に基づいて国なり行政がその責任を負うということであるならばいいんですけれども、今回はある面では民間に委託、ゆだねるわけでありますから、そういうことになりますと、採算性を重要視している余り、この鉱山法の本旨、その趣旨が十分生かされるかどうか、こういうところをまず心配しております。

 もう一方においては、逆に、今度の法律の特徴は、おもしろいんですが、運用の細部にわたっては政省令に委任する部分が非常に多いということ。一方においては民間にゆだねると言い、一方においては政省令でしっかりと逆に担保している。何か矛盾を生じるような感じがあるわけですけれども、その辺が、ある面では自分たちの、一方においては責任の部分が、逆にお互いに責任のなすり合いということが生じ得ないかどうか、この辺を危惧しておりますけれども、大臣はどう思いますか。

泉副大臣 今委員御発言の、経済性を重視する余りに安全性の確保がおろそかになるのではないかという御心配は、これは当然我々もしなきゃならぬことでありますが、鉱山における事故の内容が、現在の一般産業の事故というようなものに類似性が高まってきておる。そういう中で、同じ姿勢で産業の安全性を確保していくという横並びの問題を導入した方が、より現実的な鉱山の実態に合うんではないかという考え方で、一つ、御指摘の経済性の問題が特に緩やかになるという認識は私どもは持ち合わせておりません。

 それから、もう一つ御指摘のありました、政省令にゆだね過ぎるところがあるんではないかということでございますが、基本的には事業者に全部の責任を持ってもらう、そしてリスクマネジメントを我々が政府の立場としてきちんとやっていただくという観点からの政省令を定めていきたい、このように考えておるところでございます。

田中(慶)委員 一方において民間に鉱山法の問題等についてゆだねると言っておきながら政省令で、こういうことであります。そして、政省令についても、まだ細部にわたって明確にしておりませんけれども、現実問題として、政府なり行政による裁量の余地というのは非常に大きいんじゃないかな、こんなふうに思っているわけです。ですから、民間だと言っておきながら政省令で抑える、こういうことでありますので、非常にある面ではやりにくい部分が出てくる。そうすると、結果的に安全というものに対する責任問題というものがうやむやになってくる可能性が出てくるわけでありますから、私は、一番心配しているのは、その辺をもっと明確にちゃんとさせていかないと安全というものは担保できなくなってくる、こういうことだと思います。

 車の例で今いろんなことを言われておりますけれども、幾ら決めておいても、それを守らなければいけないわけでありますし、一方においては政省令でと言っておきながら、一方においてはこれが民間でという形に形を変えてやるわけですから、大変その辺に対する、今度の独法の問題も含めながら、若干、責任問題というものをちゃんと明確に、政省令でやるという、そして、その余地が十分残っているということであるならば、その辺をはっきりしておかないと私はまずいと思いますが、どうですか。

泉副大臣 御指摘の点は、これからの政省令の策定に当たって十分反映をしなけりゃならないと思います。

 ただ、政省令で決めたいというふうに私どもが思っておりますのは、性能規定、こういう規定にしてくださいというような事柄でございまして、あくまで鉱山事業者が事故に対する責任を持つということは何ら変わりがない、こういうことでございます。

田中(慶)委員 責任というものはわかりやすく明確にしなければいけないわけですから、政省令で一方で縛っておいて、あと一方に責任は事業者が持つということだけになってしまうと、やはりこの辺はしっかり対応しておかないと大変な危険、安全というものはそのぐらい大切なことなんですから、しっかり対応しておかないと中途半端になってしまうおそれがあるわけでありますので、特に、一方においては、事業者といいますか、そういうところをちゃんと奨励するような形をとっておかないといけないんだろうと思いますので、そのことは、今後政省令を明確にする意味でしっかりとしていただくよう要望しておきます。

 特に、私がよくわからないのは、今回の、保安確保について鉱山労働者の参画ということを明確にあえてうたっている。安全というものは、政労使が一体となって安全というものをやっていかなきゃいけないことは事実なんです。どの企業であっても、事故を起こしたらどれだけリスクをしょうか。お客様にも迷惑をかける、社内においてもそれだけのものが新たな負担増になる。こんなことから、安全ということは労使が一体となってやるだけではなくして、まして鉱山のようなことになってくると政労使が一体となってやっていかなければいけないものが、今回、あえて労働者の参画をここに求めているという、そのことについて、あえて求めたという意味はどういうことなんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 従来から、鉱山保安法におきまして、その安全の確保、保安の確保において、労働者の御意見をよく聞き、保安協議会の場でも経営者としてそれを尊重しなければならないという規定はございました。

 今回、特に労働者の参画をよりやりやすくするためということで、特に中小規模の鉱山等におきましては、何人かの保安の関係委員を選定するということがなくても鉱山労働者の代表者が経営者に直接物を言えるような仕組みをきちんと整備する、こういうような点で一層の労働者の参画を促す仕組みをつくらせていただいたところでございます。

田中(慶)委員 まず、そのことが今の官僚の発想であって、本来、安全というものは労使が一体となって、企業が大きいとか小さいとかは別なんですよ。本気で安全のリスクというものは、ある面では会社の存続にもつながることなんですから、そういうことを本気でやっていくわけですけれども、今あえてこういうことを、ここに参画を強調するようなことは、やはりそれだけ安全に対する啓蒙なり、あるいは行政というものがある面では取り組んでいなかったというあかしではないかと思いますんで、これは総点検をして、これからの安全というものについて、この鉱山保安法だけではなくして、すべてに通用することでありますから、そのことをちゃんと明確にしておきたいし、そういう思想を持っていかないと、企業が一つ大きな事故を起こしたら、その企業の存続はあり得ないことになる。お客様に迷惑をかけるだけじゃなく、全体に大変なリスクをしょうことになるんですから。そのぐらい安全というものは気を使わなければいけない。

 どの企業であっても、物づくりであるならば、まずそのことに最重点を、例えば労使の協議会の場においてだってそのことを最重点の課題にしておりますし、あるいは厚労省の監督署等についてもそのことを明確にしているわけでありますから、私は、ここにあえてこんなことを今やること自体が時代おくれじゃないかと思うぐらいでありますんで、そのことを指摘しておきたいと思います。

 それから、大臣にお伺いしますけれども、石炭の関係を含めて、国産がだんだん少なくなってきております。先ほど大臣の答弁にもありましたけれども、今エネルギーそのものが、ある面では大変な危機になっていると思います。そういう点で、今、休鉱にして廃鉱にしない、いつでも万が一というお話もありましたけれども、全体的な石炭を含めたエネルギー政策というのはどうなっているんでしょう。ということは、例えば、今、一バレル当たり、もう本来ならば二十二、三ドルが四十四、五ドル、下手すると五十ドルになるんじゃないか。第三次オイル危機、こういうことが想定されるわけであります。

 こんなことを含めながら、私は、今回のこの鉱山法もさることながら、経済産業省として、石炭エネルギーの位置づけと、さらに、全体的な化石燃料等々含めたエネルギー政策というものを我が国としてしっかり持つべきじゃないか、このように思っております。だんだん国内産が少なくなって、ほとんどゼロに近いわけです。中国やいろいろなところに、そして、向こうの経済成長によってそのことがストップされる。鉄もそうであります、鉱石もおかしくなってきている。こんなことから、今、日本の経済は、ある面で大変な状態になってきている。それは、最終的に、このエネルギー問題も鉱山の問題も大変関連があるわけでありますので、大臣、その辺についてお考えを聞かせていただきたい。

中川国務大臣 おっしゃるとおり、日本は、エネルギー資源をほとんど海外に頼り、現状は五割が大体石油ということでございますが、石炭の需要も依然として高いし、何よりも、先ほど田中委員もおっしゃいましたけれども、世界的にも、また日本でも資源としてまだあるわけで、大切な資源であるわけであります。

 ただ、石炭から石油に十九世紀の前半に急速に移っていった、これは一つのメリットがあるからそういうふうになっていったわけでありますけれども、今後、日本としてのエネルギー政策の基本としては、海外に頼らざるを得ない大前提が一つあって、しかも、安定的に確保するためにどうしたらいいかというのが、午前中も御質問ありました、まさに二〇三〇年を目指した、今エネルギーの長期需給見通しの検討をやっているわけでありますが、やはり、化石燃料、炭化水素エネルギー、それから原子力、そして水力等、それから、いわゆる新エネ、再生可能エネルギー、風力とかバイオとか、その他いろいろあります。日本は資源がないといいながら、そういう新エネとか再生可能エネルギーの比率が、依然として、資源大国のカナダやブラジルあるいはオーストラリアに比べてそんなに高いという現状にないということも、一つ、我々としては考えていかなければいけないことだと思います。

 そういう意味で、二〇三〇年を目指して今鋭意検討しておりますが、現状の石油等の高騰、石油だけではなく鉄鉱石等々の高騰については、やはり、午前中も申し上げましたが、実需が急速に高まっていると同時に、一つは、政治的要因、中東の問題等々、それから、やはりテロの問題というのが日本とか東南アジアの場合には非常に大きいわけでありまして、例えば、マラッカ海峡をどういうふうに安全に航行して日本までたどり着くか、あるいは東アジアまでたどり着くかという海賊対策というものも非常に大きな問題で、大事な問題だろうというふうに思っております。

 そういうことを羅列すると、日本はエネルギー安定確保の脆弱な部分が挙げていけば多い国でございますだけに、きちっとした安定対策、確保がきちっとできるようにしていくことが大事であり、中長期的にも極めて大事だというふうに思っております。

田中(慶)委員 いずれにしても、このエネルギー政策は、これから、資源のない日本、そして、物づくりを初めとして、技術を中心とした日本が大変重要な課題でありますから、ぜひ国策としてしっかりと対応していただきたい、このことを要望しておきます。

 次に、工業標準化の、すなわちJIS問題でありますけれども、このJISの問題で、やはり、もう少し、今、世界の工業標準化の中で、アメリカ型とヨーロッパ型と、こういう大きくは二つになっておりまして、日本のJISそのものが国際的にしっかりと対応していかないと、何か、日本のビジネスが、これだけ日本は技術立国でありながら、これが評価をされていない部分がある、これが実態だと思います。

 ですから、例えばアメリカですと、アメリカの輸出品に対しては、アメリカのスペックが要求されてまいります。そういう点で、日本がJISを要求するようなことをしていかないと、日本のこれからの貿易戦略として、将来大変な不安な状態になってくるんじゃないかな、このように思っているわけであります。例えば、IT技術なんて日本の先端技術なんですから、そのことを含めて、そこの中にJISをしっかりと担保していくとかいうことをしていかないといけないだろう。

 さっきもお話ありました、ISOの問題一つとっても、日本で生まれたわけじゃありません。しかし、ISOは、日本の国内の中に、品質管理を初めとして、それぞれの企業や、今、行政の中にも取り込もうとしているわけです。そして、このISOをしっかりと担保していないと、それぞれの国が、公共事業としての発注もだんだんされなくなってくる。そのぐらい、一方においては進んでいるわけでありますから、日本のJISというものも、そのぐらい、国際的に認められるような努力が必要じゃないかな、このように思っておりますけれども、その辺についての取り組みと、それから大臣の意欲を聞かせていただきたいと思います。

中川国務大臣 もう全く田中委員と私も同じ考えでありまして、技術立国ということは、単に日本だけが得をすればいいということではなくて、いいものをつくれば、これは世界じゅうにプラスになるというところまで含めて、日本として、技術立国、知財立国としての責任を負っていかなければならないという意気込みを持っているわけであります。

 ということは、いいもの、いい技術、いい商品をつくっていったときに、知的財産権がきちっと守られなければいけないという問題と、それから、つくる過程で、午前中も議論が出てきましたが、もう研究開発と同時に、そういう標準化の作業をしていかなければいけない。ともすれば、今までは日本はそれについてはおおようであったというか、余り関心がなかったというか、火がついたら何かデファクトで負けていたというようなことが過去にも何回かあったわけでありまして、もうそういうことではだめだということで、ある意味では、攻めの標準化ということが必要になってくると思います。

 そういう意味で、国内の標準化、JISの基準というものが、大体、TBT協定に九割ぐらい合致をしているということでございますから、国際的なルールにもほとんど合致をしているという前提で、新しい技術なり商品をいち早く、いわゆるデファクトスタンダードといいましょうか、国際標準規格、国際標準化の中に日本のスタンダードを取り入れるというために積極的な働きを、文字どおり、官民挙げて取り組んでいく、オール・ジャパンで取り組んでいくことがこれからますます重要になっていくんだろうというふうに思っております。

田中(慶)委員 日本の過去の歴史なり文化の中で、どうしても、日本は輸入を中心としてやってきたことで、今は、どちらかというと、もう輸出をしていかなければいけないわけでありますから、そういう点で、日本の技術なり立場なり知財なりというものがやはり先行的にしっかりと対応して、それはやはり経済産業省の大きな仕事だと私は思っておりますので、ぜひそのことをお願いしておきたいと思います。

 時間の関係で最後になりますが、実は、経済産業大臣はかつては拉致問題の会長でもありましたね。それで北朝鮮の、先般来、外為法の問題もありましたし、今国会で船舶の接岸禁止の問題等々も検討されているわけであります。

 私は、はっきり申し上げて、今回の拉致家族の皆さん方が五人帰ってこられましたけれども、しかし、曽我さんの御主人や奥さんのこと、それから、将来の、十人初め、百人、百五十人、こういう人たちのことを考えてまいりますと、今回の総理の訪朝、そして、それにかかわる人道的な援助というものが、お米の二十五万トンなり医薬品の一千億ドルですか、こういう問題等々を含めて、果たしてそれがよかったのかなと若干疑問を持っているわけであります。

 ということは、私は、極端なことを言って、拉致は誘拐だと思っているぐらいでありますし、その誘拐犯になぜ、私は、少なくとも身代金みたいな形で、ぼんぼんそういう形で、人道的という立場でやっていいのかどうか。すべてが解決するんだったらそれはいいんですけれども、小刻みに次々とやられていったならば、日本のしっかりとした対応をしないと、あらゆることを含めて、やはり日本の姿勢というものはちゃんと明確にしておかなきゃいけないんじゃないかな、このように思っているわけです。

 特に、対話も必要でありますが、もう一つにおいては、強硬な姿勢というものも、圧力というものも必要であろう、このことを感じておりますけれども、今回の感想を含めながら、責任者であった大臣が、今はそこから離れて顧問でありますから、そのことも含めて、ちょっと感想をお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 私は、以前、拉致問題解決の超党派議連、田中慶秋副会長ともども取り組んでまいってきたわけでございます。

 拉致問題は、私は、誘拐というよりも、国民を盗んでいったと実は思っているわけでございまして、あってはならないことが起こって、しかも二十五年以上たっている。これを解決したいということで、田中副会長を初め、超党派の大勢の皆さんと活動をしておりましたし、拉致問題の解決に対する熱意は今もいささかも変わっていないというふうに思っております。

 つまり、今回、二組の夫婦の五人のお子さん方が戻ってきたことは大変喜ばしいことであり、これはやはり小泉総理の決断の結果、訪朝された成果であることは間違いがないと思います。

 そして、拉致問題の解決というのは、曽我さんの御家族、それから残り十人、そして、いわゆる特定失踪者と言われている拉致の可能性の高い方々が大勢いらっしゃるわけでありますから、人間を盗んだという言い方は人々には大変失礼な言い方かもしれませんけれども、とにかく国内から国家の意思によって日本国民を盗んだ、これを解決しない限りは拉致問題の解決はないというふうに私は思っております。

 それは、おととしの九月十七日以降、外務省が言っておりますように、拉致問題を解決して、日朝正常化をやって初めて経済的な関係に行くんだということを当時から政府、外務省は言っているわけでありますから、そういう意味で、我々としては拉致問題を解決していかなければなりませんし、また、今ある法律に基づいて我々は行動をしていくのが、法治国家の閣僚たる私であり、また国会議員たる田中副会長であろうというふうに思っております。

 人道支援については、北朝鮮の国民は大変悲惨な状況に置かれているというふうに承知をしておりますので、食糧であろうが医薬品等であろうが、本当に困っている子供たち、病人、お年寄りにきちっと行くのであれば、これは我々としても協力をすることはやぶさかではございませんが、過去においては必ずしもそうでなかったということも事実ではないかと思っておりますので、真の人道支援、緊急一時的な人道支援であれば、我々としても、ぜひ、困っている子供たち、お年寄り、病人等に対して支援を差し上げたいというのは、同じ人間として私もそういう気持ちは持っております。

 いずれにしても、拉致問題を解決するために、政府と、そして党派を超えて、国権の最高機関たる、ここには田中副会長初め、同志の皆様方、同志だったと言った方がいいのか同志と言うのか、気持ちとしては同志でございますけれども、大勢の同志の議員の皆様方がおりますので、目的は一つでございますから、それに向かって進んでいきたいと思いますので、副会長、どうぞよろしくお願いいたします。

田中(慶)委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 鉱山保安法の審議にかかわって、最初に、じん肺問題について質問させていただきます。

 四月の二十七日に九州の筑豊のじん肺訴訟の最高裁判決がございました。国の敗訴が確定をしたわけであります。国策として石炭業界を保護する一方で、炭鉱労働者の健康をないがしろにし続けてきた国の怠慢を厳しく指弾する中身だったわけであります。

 金属鉱山の場合には一九五二年の規則改正で粉じん対策を強化したのに、炭鉱においては一九八六年まで古い規則のままだった。このことが、当時の通産省の鉱山保安法に基づく石炭鉱山保安規則を久しく変えなかったその責任が厳しく問われたわけであります。この鉱山保安法に基づく石炭鉱山保安規則などの改正が適切に行使をされていれば、じん肺の被害拡大を相当程度防ぐことができたと判決でも指摘をしております。

 そういう点で、この訴訟に加わった患者の方々、百七十人いらっしゃるうち、既に八割を超える百四十四人の方が亡くなられておられます。

 私も、紹介をしていただいた本を国会図書館から借りてまいりましたが、「黒い肺」という、これは筑豊を含む北九州の産炭地における裁判闘争について毎日新聞の記者の方がまとめた本でありますけれども、この中にも、本の題名にもなりました、じん肺によって肺が、ピンク色のものが真っ黒になる。これを裁判の場に、原告の患者の方が、自分の遺言として、もし自分が亡くなったら、この自分の肺を取り出して、証言席で取り上げてほしい、こういう訴えをされた、そのことについてもこの本でも紹介をしておりますが、真っ黒な炭じんを含む肺というのは、普通の健全な人の肺の二倍から三倍も重い。ですから、幾ら息を吸い込んでも、かたく固まった肺ですからその息を受けとめることもできない。

 こういう苦しい中での生活を強いられたこういう炭鉱労働者、患者の方に対して、最高裁の判決を踏まえて、大臣としてこの判決をどう受けとめ、今後どう取り組んでいかれるのか、御答弁をお願いします。

中川国務大臣 筑豊じん肺訴訟では、今おっしゃられたように、最高裁の判決で確定したわけであります。これは、それまで政府としてもいろいろ、当然言い分があって最高裁まで行ったわけでありますけれども、私は、「黒い肺」という本を読んだことはありませんけれども、そのタイトルだけは前からなぜか聞いたことがあるわけで、今その一端の御紹介をお聞きして、本当に苦しかっただろうなというふうに、しかも長い間ですから。とにかく、裁判が最高裁まで行くととても長くなるということ、これはもう、原告の方々あるいは国、双方にとって決していいことじゃありませんし、特に被害者、原告の皆様のお苦しみというものは本当に大変だっただろうというふうに思います。

 裁判が確定した以上は、きちっと国としても迅速に、その収拾策といいましょうか、判決に従うと同時に、私としては、北海道でも同じ訴訟が進行形でございましたけれども、もうこれが、私の勝手な判断でありますけれども、大体状況も似ておりますから、裁判で争っても勝ち目がないという以前に、この判決は長かった、日本の裁判の問題点の一つは時間がかかるということ、これが特に被害者の皆様にとっては、仮に裁判に勝とうが負けようが、とにかく苦痛の時間が長いということが一つ別の次元で大きな問題があると思いましたので、北海道の同様の訴訟については、おわびをしながら和解の方に転換をして、今からできるだけ原告、被害者の皆様方の苦痛を国として少しでも挽回できるように努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。

塩川委員 大臣の、北海道のじん肺訴訟につきまして、記者会見の席で和解という方向での取り組みをされるというお話がありました。その際にも、大臣のかつて選挙区にも産炭地があったということを紹介しておられましたけれども、この北海道石炭じん肺訴訟について署名を呼びかけるリーフレットがございまして、その後ろに、亡くなった方の遺族の方の言葉が紹介されています。

 夫が、十五歳になった一九四五年から六四年までの十九年間、炭坑で働き続けた。六四年ころから、寝汗をかくとか、呼吸が苦しいと訴えるようになった。六六年から七四年まで、労災病院に入院をし、その期間、月に一、二回帰宅ができるだけで、旅行にも一度も行けなかった。帰宅をしても、歩くと息切れがするので家でじっとしているだけだった。子供の運動会や学芸会にも行けず、父親らしいことは何一つできなかった。三十四歳から五十二歳で死ぬまで、働き盛りの間の大半をベッドの上で送らざるを得なかった夫の人生は何だったのか。こういう妻の言葉として紹介もされております。

 この解決に当たって本当に真摯な努力を政府に強く求めると同時に、こういう被害を再び繰り返させない、これこそ政府が行うべき仕事だ、このことを改めて指摘するものであります。

 その点で、じん肺の問題にかかわりましては、ふさわしい手だてをとる一環として私一つお聞きしたいのが、粉じん被害を防ぐ上では、当然のことながら、その第一歩として粉じん測定が必要であります。どのくらいの粉じんが浮遊しているとか、こういうことについてきちんと把握をする必要が当然それぞれの職場、現場で求められるわけですね。

 そこで、この最高裁の判決でも厳しく指摘をされた鉱山保安法の鉱山保安規則において、粉じん測定にかかわってですが、坑内において、じん肺の測定義務はありますが、これを評価する基準がないわけです。基準がないのに義務があっても、実際には有効性がないわけですね。一方で、屋内、建屋の中においては評価基準が定められてきているわけですから、屋内と同様に、坑内においても評価基準をきちんと規則に盛り込む必要があるんじゃないか、こういう判決も踏まえてこのことが強く求められると思うんですが、その点、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 ただいまの御指摘のとおりでございますが、坑内における粉じん作業につきましては、鉱山保安規則に基づきまして、粉じん濃度の測定の義務づけ、飛散防止対策の義務づけ及び吸引防止のためのマスクの着用等の義務づけを課しておるところでございます。

 御指摘の今後の問題でございますけれども、坑内においては、鉱物の採掘が、日々場所が変化し、作業環境が変化することなどの理由によりまして、屋内作業場と同じような管理区分を設けて改善措置を講じさせることは今義務づけておらないわけです。しかしながら、今後、じん肺の対策に万全を期すという観点からも、最新の技術的知見も十分にいろいろ勘案いたしまして、測定結果を踏まえた評価をもとに対応を判断するといった屋内の作業場と同様の手法が坑内でもとり得るかも含めまして、専門家の御意見も伺いながら、できるだけ早くこれも必要な改正も行って対応をしていくことを今検討しておるところでございます。

塩川委員 もともと、金属鉱山では早目に対応していた。大体、粉じんですから、水をまけばかなり抑えられるわけですよ。なぜ炭鉱でそれをやらなかったか、石炭が水を嫌うからだ。要するに、生産強化が最優先で、労働者の健康管理が後回しになっていたというのがこの背景にある。そういう点でも、このじん肺というのは人災なんだということを改めて指摘しておくところであります。国の責任が厳しく問われているわけで、炭鉱にとどまらず、トンネルのじん肺の問題というのにもかかわってきますから、そういう点でも解決が求められている課題だ、このことを述べておきます。

 鉱山保安において、国の責任による保安体制の充実が改めてこういう判決を踏まえて求められているときに、保安規制の緩和、事業者の自主保安にゆだねるという今回の鉱山保安法の改正であります。そこで、鉱山保安法の改正にかかわって、特に中小鉱山問題について何点かお伺いをいたします。

 今、日本の鉱山というのは、十人未満の労働者の鉱山が過半数を占める、五十人未満が九割ということですから、圧倒的多数は中小鉱山で、中小対策こそ鉱山保安行政のかなめでもあるわけです。

 そこで、参議院の我が党の緒方議員の質問で、検査機器も持たない中小鉱山では、堆積場、機関車軌道、機関車のレールですね、人を運搬する巻き上げ機、エレベーターですね、などの検査はどうやって行うのか、委託しろと言われても委託先もない、どうするのかという質問に、佐々木院長は、業界におけるいろいろな協力を促すなど、中小鉱山において過度な負担にならないような対応を考えていくと答弁をされておられます。

 そこでお聞きしますが、機関車を運転する軌道、これを持っている鉱山というのは幾つぐらいあるもので、概数で結構ですが、そういう鉱山では皆、機関車の軌道に対する必要な検査機器というのを持っているものなんでしょうか。

佐々木政府参考人 幾つの鉱山かは今直ちに数字が出ませんので、御報告させていただきたいと思いますが、ちょっと一般論で申し上げますと、鉱山におけるいわゆる竣工の使用前検査でありますとかあるいは定期検査、いわば実際に点検をする者は納入したメーカーであったり、実態はそうなっているわけです。あるいは、鉱山で使ういろいろな機器について検定が必要なものは、まず原則的には、それをおさめた納入者がこれをお預かりして、そして国の検定を受けている、これが実態でございます。

 今回、中小の鉱山においてその実態を十分に把握しながら、できることをいろいろやっていこうという気持ちは我々も持っておるところでございまして、参議院の審議でもそのようにお答えしたところでございます。

 改正案の方では、鉱業権者に対しまして、施設が技術基準に適合するように設置し、維持すること、さらに、保安上重要な施設については、使用前検査や定期検査を義務づけております。このような義務を適切に履行する上で、自社内に十分な能力がないという場合に、こうした検査業務を外注すること自身は妨げられているものではございません。

 しかし、現実、今御指摘のように、外注先が見つからないといったような事情があるような場合、それはあるかもしれません。業界団体を通じて外注先を紹介するとか、いろいろな面で、我々の方も、情報収集、いろいろな体制で業界とも連携しながらこれまでもやってまいりましたけれども、今後とも、中小鉱山におきまして、そうしたいろいろな実態に応じての御相談には、どういうふうに、我々ができる範囲で何ができるのか、また、業界としてこういうことをやってほしいというような声かけの努力をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

塩川委員 機関車の軌道、レールを含めて、その性能検査、定期検査、これをやるに必要な検査機器がそういう中小鉱山は持っているかどうかというのをお聞きしたいんですが、大手の方は自前で持っているという話も聞くんですけれども、中小はどうなんでしょうかね。

佐々木政府参考人 どうも、中小鉱山の場合にそういう大きな軌道レールを持って機関車を動かして搬出するというような設備を有しているところは極めて少ないと聞いております。

 実際に、そういうレールがきちんと敷設された状態で今維持されているかどうかについていえば、通常で申し上げれば、いわゆる高価な検査機器を必要とするものでなく、実際に目できちんと見、あるいはたたいてみて異音がないかとかそういうことで、あるいはきちんとゲージをはかったり、間隔が十分敷設した状態で維持されているかどうかといったようなことが、実際にはその維持上の点検のポイントになるものと承知しております。

塩川委員 私がお聞きしたところでは、検査のための冊子もありますから、あそこの中に、それぞれ施設どれだけあるかというのが出てきますよね。あれで調べてみますと、実際に機関車の軌道があるというのは、金属、非金属の鉱山では十六で、石灰石は十七ですから、三十三あるわけですよ。そういう意味では、大手だけじゃなくて、中小も実際には持っているんですよね、機関車軌道については。では、そういうところが検査機器をどれだけ持っているかというのが今問われているんです。

 従来は、鉱山保安監督部の方でそういう検査機器などもフォローして対応していたんですけれども、今度そういうところから手を引くという話ですから、中小鉱山でどうやるのか、それが問われているわけでしょう。大手さんは自前でやりますと、では中小はどうなるのか。委託先などについてこれからという話がありますけれども、委託先というのは今のところ出てこないわけですよね。検査機器について自前でそろえれば、そんなに高いものでもないんじゃないかという話がありましたけれども、でも、聞く話では、電気関係のいろいろな検査をするテスターというのは、やはりそれなりの値段がするのがあるんだというわけですよね。

 例えば、検査機器の中で、漏電などをチェックするような、そういう検査機器などというのが大体百万から二百万ぐらいするんだということも言いますから、十人ぐらいの規模の事業者にとってみて、二年に一回の検査のためのそういう検査機器を購入するというのがどれだけの負担になるかというのも推して知るべしだと思いますから、こういう実態についてどの程度把握しているのかというのを、今率直に思うわけですよ。

 例えば、ほかにも、架空索道と言われるロープウエー、ロープでつって運ぶ、そういうものなんかも全国で見ると十近くあるそうですから、そういうところも中小があるわけで、そこの性能検査、定期検査を行うような検査機器についても、中小は自前で持っていない。今まで鉱山保安監督部がフォローしていたのが手を引くということで、どうやっていくのか、そういうことについて十分な検討が行われていないんじゃないか、この点、改めてお聞きします。

佐々木政府参考人 中小鉱山におきましても、従来から、基本的には、国の検査を受ける前に自主、自前で当然ながら検査をいたしまして、自分みずからきちんと基準を満たしていることを確認してまいったものでございます。もちろん、国の検査官が入りまして、今おっしゃいましたようなテスターを使って判定をするというようなこともあるわけでございますけれども、現実には、今の中小鉱山におきましてもみずから検査は実施しておるということが現実でございます。

 ただ、今先生からいろいろ御指摘の点について申し上げますれば、我々も、まずは鉱山保安監督部、実際の鉱山を回っておりますところ、今後の運用の作業をしていく中でも、実態をいろいろお聞きしていくという努力はしてまいります。その上で、いろいろまた検討をさせていただければと思います。

塩川委員 中小事業者への過度な負担の転嫁というのが、逆にこういう保安体制を後退させることにもなりかねないですし、鉱山労働者の安全にも大変かかわる問題ですから、この点やはり厳しく問われる問題だ、このことを指摘しておきたいと思います。

 次に、休廃止鉱山の鉱害防止問題について何点かお伺いします。

 鉱業権者がいる休止鉱山や、二十六条に基づく鉱山廃止後五年間、いわば国が今まで監督をしてきた休廃止鉱山の鉱害防止、これについては今後も国が監督する、こういうことで変わりがないか、この点をお聞きします。

佐々木政府参考人 今のお話の中の、まず休止鉱山でございますが、これに係る鉱害の防止のための義務につきましては、今回の改正により何ら変わるところはなく、引き続き鉱業権者に義務がございます。

 また、鉱業権が消滅した後でありましても、五年間は、国は、鉱害防止等の観点から、保安上必要な設備をすることを命ずることができる制度に今なっております。その結果、鉱業権者としてみなされた者については、この命令に基づいて必要な措置を講ずべき義務があることについても、今回の法改正で何ら変わるところではございません。

 したがいまして、国として、今後とも、鉱業権者に対しては、鉱害の防止のための措置を適切に講ずるよう、従来と同様に指導等を行ってまいる考え方でございます。

塩川委員 あわせて、附属製錬所の鉱害防止についてですが、鉱業権者が鉱業権を放棄しない限り、休止鉱山であっても従来どおり国が指導監督する、この点も変わりがないかどうか、お聞きします。

佐々木政府参考人 附属製錬所の取り扱いにつきましては、今回の改正により法律上の位置づけは変わるものではございません。このため、鉱害の防止の義務についても、引き続き鉱業権者に義務がございます。

 国といたしましては、必要に応じまして立入検査等を行いまして、鉱業権者が鉱害の防止のための措置を適切に講ずるよう指導等を行ってまいりたいと考えているところでございます。

塩川委員 やはり地方自治体、地元の自治体に負担を転嫁するようなことがあってはならない、その点についても、きちんと配慮した取り組みというのをぜひとも改めて強く求めていきたいと思います。

 次に、産総研の非公務員化について何点かお尋ねいたします。

 産総研の職員の方からも多くの不安の声をお聞きしております。私がお聞きした中でも、産総研というのは、よく御承知のとおり、基礎的、基盤的技術と同時に産業化につながるような研究開発に取り組む、そういう大きな業務があると同時に、地質調査ですとかあるいは計量の標準のような、本当に社会のベーシックな業務というのが求められているところです。

 そのうちの地質調査について考えてみますと、いわば本当に国土の基本情報を整備していくという業務ですから、現実には、非公務員型のメリットの一つとされている民間との兼業、こういう場面がほとんど実際には関係がない。公的な性格が強いということで、職場の方でも、常勤職員の八割の方が従来の公務員型が望ましい、非公務員型には反対だ、こういう声を寄せているのが実態であります。八割の方がそういうふうに願っている。

 実際、地質の調査に行きますと、産総研という看板とかというのもないわけですから、公的な仕事だということがよくわからない。そうしますと、何をやっているのかというふうに畑仕事をしている人から言われるというんですよね。それこそ山師じゃないかなんて思われるような、勘違いされるような場面もあって、説明に苦労するというわけです。

 昔は、国立の研究所ですと言えば、ああ国の方ですかとなったのが、独法になったと。独法ですと言ってもわからないというわけですよ。そのうちに、非公務員なんて言われるとなおさら何をやっているのかわからないと。結構警察官の方に職務質問を受けるような、そういう意味では後ろ盾になるようなものが何もない中で公的な仕事をしている。そういうときに、この非公務員化というのが本当にどれだけのメリットがあるのか、こういう声なんかも出されているわけです。

 そういう点でも、本当にどんな不安の声があるのかというのをリアルにつかんでいるのか。メリットは随分この委員会でもお話しになりますけれども、デメリットについて、職場からこんな声がある、どういうふうに把握をしているのか、この点をお聞きします。

小川政府参考人 産総研におきましては、これまで地方を含めまして二十九回、職員の方々に説明会をやってございます。合計二千六百名の方が御参加されております。また、二回にわたりまして研究組織の長による会議も開催してまいりました。また、メールで職員から寄せられます質問や意見というものを受け付けまして、その回答をすべてホームページを通じてまた全職員に周知徹底を図る。そういったことを通じまして、非公務員型への移行についての職員の理解を得る努力を最大限行ってきているというふうに思っております。

 産総研の組合に対しましても、産総研は情報提供を行うとともに、継続的に交渉、懇談を実施してきておりますし、こうした産総研の取り組みは、我々、随時産総研を通じまして聴取をしてきているところでございます。

 また、経済産業省の独立行政法人評価委員会、ここで経済産業大臣からの諮問を受けて本件を検討してきていただいたわけでございますけれども、産総研の労働組合から提出されました「非公務員型への移行の拙速な決定に反対」というタイトルの意見書も踏まえた上で検討を行っていただきまして、今回の結論取りまとめをいただいたわけでございます。

 こうしたことを受けまして、私ども経済産業省といたしましては、産総研の検討状況、それから評価委員会での議論というものを踏まえまして、非公務員型への移行という結論に至ったものでございます。

塩川委員 具体的に不安の声というのも紹介されないというのは事情があるのかなと思うような、私の率直な思いですけれども、要するに、職場の人の中で理解が進められているという話ですけれども、本当にそうなのかということなんですよ。

 例えば、今の話でも、研究所の長による二回の説明会の話がありましたが、その後に労働組合の行ったアンケートを見ましても、九割の方が拙速に決定すべきじゃないと答えているんですよね。それから、労働組合の取り組みの中でも、署名活動をやっていた。現行の公務員制を維持すべきだ、こういう署名に対して常勤職員の方の過半数が応じているわけですから、私、率直に、理解が進んでいるとは言えないというのが現状だと思いますよ。

 その点、本当にそうだ、理解が進んでいる、大半の人が了解したというふうに言えるんですか。

小川政府参考人 これまでの取り組みにおきまして理解の増進に努めてきたわけでございますが、またこれからも、具体的な制度設計等で理解を求めていくという作業を続けていくわけでございます。

 それから、一つだけ、先ほどの答弁、私いたしませんでしたけれども、産総研の、独立行政法人ではございますが、非公務員型に移行いたしましても、公的な性格、国民から期待される役割、それは変わらないというふうに考えてございます。

塩川委員 その点について不安の声があるわけですから、そこにやはり今多くの方が、基礎的、基盤的な、そういう意味では公的な機関だからこそ担ってきた研究活動というのはあるわけで、それに直結する身分の問題について、解消できないような不安というのに対して、十分にこたえ切れていない中での今回の対応というのが、やはり今大いに問われているところだと思うんです。

 最後に、今後については、職員団体ともきちんと協議を行っていく、職員の方の不安を解消する努力、これは真摯に取り組む、この点、はっきり答えていただいて、質問を終わります。

小川政府参考人 先ほど御答弁いたしましたように、これから具体的な詳細設計、ルールといったものをつくり上げていくわけですが、その過程で、それぞれの職員が働きやすい、やる気を持って働けるような職場になるよう、そういった制度設計に努めていきたいと考えてございます。

塩川委員 終わります。

根本委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより各案に対する討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案及び鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案に反対する理由は、研究所職員の公務員としての身分保障が、その研究、業務の遂行と一体の関係にあるにもかかわらず、非公務員型の独立行政法人に移行させることにより、我が国産業技術の向上を図るという公的研究機関の目的、役割を果たすことがますます困難になるからです。

 同研究所の公務員身分保障は、全体の奉仕者として職務に専念し、利潤追求を優先する民間企業では担えないような基礎的、基盤的研究を初め、中長期的研究の促進、公害、環境研究や地質調査など、公的研究を行う上で必要不可欠のものであります。

 同研究所の非公務員化は、任期つき雇用などによる雇用の不安定化を招き、産業化に向けたプロジェクトなど短期的研究を優先する傾向を強めるものであります。また、採用や兼業、共同研究に関して経営者や民間企業との癒着が生まれかねないなど、公的機関としての中立性や公平性が担保されないようになることが懸念されます。

 次に、鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案に反対する理由は、本改正案が、規制緩和のもと、安全対策における企業の責任と負担の軽減を図り、公的監視を弱めるなど、国民の生命と安全を守るという国の責任をも放棄するものだからです。

 本改正による国の公的検査から事業者の自主検査への移行、事前規制型行政から事後チェック型行政への転換、保安管理機構の簡素化、国家資格制度の廃止などは、大企業のリストラ、合理化とも相まって、鉱山保安体制が一層弱まることは明らかです。同時に、検査機器など自前の検査体制が持てない中小鉱山では、経済的負担が生ずることからも、容認できません。

 国の鉱山への立入検査についても、条件緩和やインセンティブ制度の導入で従来の保安管理体制から大きく後退するおそれがあります。

 最後に、利益優先、人命、安全軽視の企業責任と国の加害責任を厳しく断罪した筑豊じん肺訴訟最高裁判決から真に教訓を学ぶべきであります。昨今多発している産業事故にかんがみ、産業保安における国の責任と保安、監督体制の充実こそが求められていることを強調して、討論を終わります。

根本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、参議院送付、工業標準化法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、櫻田義孝君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及びグループ改革の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    工業標準化法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、信頼性が高く効率的な認証制度の確立及び公益法人改革の推進の必要性にかんがみ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 登録認証機関が行う認証の信頼性を確保するため、登録認証機関に対する報告徴収及び立入検査等の事後措置を適時適切に発動するよう努めること。

 二 登録認証機関が行う審査の方法等を定めるに当たっては、多様な製品の特性を踏まえた基準の策定に努めること。

 三 新制度への円滑な移行を確保する観点から、企業や消費者など本制度の利用者等に対し、新制度を十分に周知徹底するよう努めるとともに、中小事業者の負担の軽減に十分配慮すること。

 四 社会のニーズへの速やかな対応や国際標準化の推進という観点から、民間規格のJIS化が求められる場合には適切にJIS化するよう関係者との十分な連携に努めること。

 五 強制法規の技術基準や公共調達の調達基準に活用できるようJISの一層の整備を図るとともに、重複検査の排除の観点から、効率的な認証制度の構築に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

根本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 次に、内閣提出、参議院送付、独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、櫻田義孝君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びグループ改革の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、基礎的な研究を我が国の産業競争力向上に結びつけることが喫緊の課題となっていることにかんがみ、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 産業技術総合研究所が非公務員型独立行政法人となることのメリットを産業界に周知し、産業界による同研究所の一層の活用を図るよう努めること。

 二 非公務員型独立行政法人となっても、産業技術総合研究所の業務の公的な性格に変わりがないことにかんがみ、独立行政法人評価委員会においては厳正な事後評価に努めること。

   また、評価に当たっては研究能力を十分に発揮させることを重視し、効率性を過度に求めるあまり、研究能力を削ぐことにならないよう留意すること。

 三 人事・処遇面での産業技術総合研究所の裁量が広がることを活かし、優秀な人材の確保に努めるとともに、研究所内部において研究者同士の競争、協力を通じ優秀な人材を育成するよう努めること。

   また、優秀な人材の確保、育成のために公正・公平な人事評価システムの確立及び運用に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

根本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 次に、内閣提出、参議院送付、鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、櫻田義孝君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びグループ改革の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、民間の自主性を活かした新たな鉱山保安への取組みによって更なる保安水準の向上を図るとともに、より効率的な産業保安行政を推進するため、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 新たな鉱山保安制度の導入に際し、制度の内容や法の運用方針を鉱業権者等に明確に示し、鉱山の現場において適正な安全管理が実施されるよう万全を期すとともに、中小零細規模の鉱山の事情等に配慮した運用に努めること。

 二 鉱山において鉱業権者と鉱山労働者が一体となった安全確保のための取組みが継続的に行われ、これらの活動を通じて蓄積された技術や知見の活用によって、より高い次元での鉱山保安体制が確保されるよう、海外の先進的な事例も参考にしつつ、必要な監督・指導及び啓発に努めること。

 三 本改正により地域における産業保安行政全般が産業保安監督部において行われることとなるのを契機として、地方自治体と更に連携して産業保安行政の実効性を高めるよう努めること。また、産業保安監督部については効率的な組織となるよう努めること。

 四 鉱害防止対策について、地方公共団体と十分連携を図るとともに、鉱害防止義務者に対して適切な指導監督を行うこと。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略をさせていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

根本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、各附帯決議について、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これらの法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

根本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

根本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十九分散会


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