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第1号 平成16年8月4日(水曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成十六年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 根本  匠君

   理事 今井  宏君 理事 江渡 聡徳君

   理事 櫻田 義孝君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君

   理事 吉田  治君 理事 井上 義久君

      今村 雅弘君    遠藤 利明君

      川崎 二郎君    小島 敏男君

      小杉  隆君    河野 太郎君

      佐藤 信二君    坂本 哲志君

      菅  義偉君    谷  公一君

      西銘恒三郎君    原田 義昭君

      平井 卓也君    藤井 孝男君

      松島みどり君    宮路 和明君

      梶原 康弘君    菊田まきこ君

      近藤 洋介君    高山 智司君

      樽井 良和君    辻   惠君

      中津川博郷君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      村越 祐民君    渡辺  周君

      江田 康幸君    河上 覃雄君

      塩川 鉄也君

平成十六年八月四日(水曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今井  宏君 理事 江渡 聡徳君

   理事 櫻田 義孝君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君

   理事 吉田  治君 理事 井上 義久君

      今村 雅弘君    遠藤 利明君

      小島 敏男君    小杉  隆君

      河野 太郎君    佐藤 信二君

      坂本 哲志君    菅  義偉君

      谷  公一君    西銘恒三郎君

      原田 義昭君    平井 卓也君

      松島みどり君    御法川信英君

      宮路 和明君    梶原 康弘君

      近藤 洋介君    田中眞紀子君

      高山 智司君    樽井 良和君

      辻   惠君    中津川博郷君

      中山 義活君    長安  豊君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      村越 祐民君    渡辺  周君

      江田 康幸君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   経済産業副大臣      泉  信也君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)  石毛 博行君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     御法川信英君

  菊田まきこ君     田中眞紀子君

  辻   惠君     長安  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  御法川信英君     坂本 哲志君

  田中眞紀子君     菊田まきこ君

  長安  豊君     辻   惠君

    ―――――――――――――

八月四日

 容器包装リサイクル法の改正に関する請願(江崎鐵磨君紹介)(第二五号)

 使用済自動車の再資源化等に関する法律の施行に伴う運用等に関する請願(小此木八郎君紹介)(第五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する事項

 資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する事項

 特許に関する事項

 中小企業に関する事項

 私的独占の禁止及び公正取引に関する事項

 鉱業と一般公益との調整等に関する事項

以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

根本委員長 経済産業の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、WTOドーハ開発アジェンダ枠組み合意について政府から報告を聴取いたします。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 おはようございます。

 まず冒頭、七月の集中豪雨で新潟、福島、福井、また、その後の台風で四国等で亡くなられた皆様方、そして被災された皆様方に、心からお見舞いを申し上げます。

 それでは、今委員長御指名のWTOにつきまして御報告を申し上げます。

 スイス・ジュネーブにおきまして七月二十七日から八月一日未明まで開催されましたWTO一般理事会で、ドーハ開発アジェンダにつきましての今後の枠組み合意に達しました。

 同理事会には、我が国、アメリカ、EU、ブラジル、インドを初め、二十カ国余りの閣僚を含む百四十七のWTO加盟国の代表が参集いたしました。

 昨年九月にメキシコのカンクンで行われたWTO第五回閣僚会合の決裂により、新ラウンド交渉は、いわばレールから脱線した状態にあったと言えます。今回の会合で大まかな交渉の枠組みに合意できなければ、再び交渉を軌道に乗せることが極めて困難になる状況でありました。

 今回の合意により、農業及び非農産品の市場アクセス、貿易円滑化、サービス、ルールなどの諸項目につきまして、今後の包括的ラウンド交渉の土台ができました。レールから脱線した状態にあったラウンド交渉を再び軌道に乗せることができたという意味において、今次合意は大変意義深いものでございました。

 具体的な合意の概要を申し上げます。

 まず、世界貿易の約九割を占める鉱工業品など非農産品の市場アクセスにつきましては、関税削減方式など細部につきさらなる交渉を行う前提を置いた上で、昨年九月のカンクン閣僚会合の際の議長案を採択いたしました。我が国としては、各国間の関税格差の是正を図る一方で、十分な配慮を必要とする品目があるとの事情も踏まえて、今後の交渉に取り組んでまいります。

 農業につきましては、重要品目が一般の関税削減方式とは異なる扱いとされたこと、その品目の選択が各国の裁量にゆだねられたこと、上限関税の設定につきましてはさらに今後の検証にゆだねられたこと等の点で、我が国の主張が相当に反映されたものと考えております。

 貿易円滑化につきましては、途上国への配慮を盛り込んだ上で交渉を開始することとなりました。また、政府調達、投資、競争の三つの分野につきましては、今次ラウンドでは交渉は行わないものの、WTOの中における作業項目としては残ることとなりました。

 その他、サービス分野につきましては、改訂オファーの期限として新たに来年の五月が設定されました。また、日本が重視しておりますアンチダンピングなどのルール交渉につきましても、交渉促進が再確認されました。

 合意では、二〇〇五年十二月に香港で閣僚会議を開催することが決定され、同閣僚会合に向けて今後交渉を継続することとされました。

 WTOは、加盟国百四十七カ国の各国それぞれが、農産品、鉱工業品など各分野で異なった事情を抱えております。カンクン閣僚会合が途上国と先進国の対立で決裂した形となってしまったように、参加国間の利害調整はますます難しくなっております。

 このような認識のもと、私は、いかに参加国間の対立をなくすかという点に心を砕きつつ、我が国の国益を確保するよう、亀井農林水産大臣と協力して現地での交渉の陣頭指揮をとりました。

 途上国との対話が重要との観点から、私は、主要国のみならず、途上国の閣僚とも精力的に会談を行いました。

 具体的には、G90と呼ばれるアフリカ諸国のリーダー的存在でありますモーリシャス、エジプトの大臣と会談し、非農産品市場アクセスや貿易円滑化などの新分野の進め方等について基本的方向で一致をいたしました。

 また、ベニン、ブルキナファソなど綿花に依存する国々の閣僚、大使や、アフリカ連合の議長国でありますルワンダの大臣とは、途上国の置かれた状況や今後の先進国と途上国の連携のあり方につきまして先方の要望を聞くとともに、率直に意見交換いたしました。

 非農産品の市場アクセスや貿易円滑化などの新たな交渉分野につきましては、これらの国と意見の違いもあったものの、事前の会談による調整や、そこで構築された信頼関係に助けられ、円滑に合意できたものと考えております。

 今回の交渉の再活性化の推進力となったアメリカ・ゼーリック代表とEU・ラミー委員とは、就任以来、累次の会談を通じて信頼関係を培っており、今次会合の間も連絡をとり合いました。また、スイスのダイス大統領等とも会談を行いました。

 さらに、交渉のかぎを握る非農産品の市場アクセスや貿易円滑化の調整役を務めております各議長等とも会談し、取りまとめに向けた努力を激励するとともに、日本の立場への理解を求めました。

 他方、農業分野で、アメリカ、EU、豪州、ブラジル、インドのいわゆるNG5と言われる五カ国を中心として調整が進められていることにつき、加盟国の間には意思決定の透明性に疑問を呈する声もありました。私は、スパチャイWTO事務局長と会談し、この点につきましても率直に申し入れ、話し合いを行いました。

 今後、本合意に基づき、ドーハ開発アジェンダの最終合意に向けて交渉を行っていくこととなります。日本といたしましては、最終的な合意が、我が国の国益にかなうとともに、途上国の世界経済への統合に貢献し、世界経済の発展につながるものとなるよう、包括的かつバランスのとれた合意を目指してまいります。

 貿易立国たる我が国といたしましては、主要国としての役割をきちんと果たしながら、ドーハ開発アジェンダを成功させ、多角的貿易体制の維持発展に向けて貢献してまいる所存でございます。

 以上でございます。

根本委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官柴田高博君、総務省自治税務局長板倉敏和君、経済産業省製造産業局長石毛博行君及び中小企業庁長官望月晴文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。

松島委員 おはようございます。自民党の松島みどりでございます。

 質問に先立ちまして、さきの七月の新潟、福島、さらに福井の豪雨で被害に遭われた皆様方の一刻も早い御復活、そして、その後の中国・四国地方の長雨によりまして今苦しい生活をされている方々が、通常の生活に早く戻れますようにお祈り申し上げます。

 さて、今大臣からWTO交渉の結果の御報告がございました。このWTOの枠組み合意というのは、非常に喜ばしいことでございます。

 しかしながら、非農産品の中にも、この経済産業省が所管いたします工業製品の中にも、歴史的事情、地域事情など複雑な事情を抱えた皮革産業、革関連の産業がございます。既にメキシコとのFTA、自由貿易協定、これが合意されて、来年発効される。このことで、さらにまた、タイや韓国とFTAの交渉が進んでいる。そういったことによりまして、この皮革産業の産地はかなり大きな動揺をしているところでございます。どのように対策をとろうかということを非常に彼らは悩んでいるところでございます。

 今後、WTO交渉がまとまりますと、これは全世界が対象でございますから、イタリアやスペインといったような革製品の、ファッションの先進国、靴だとか、それからバッグ、ベルト、そういったようなものが、かなりたくさんの皮革製品が入ってくるということが、輸入が急増するということが考えられます。国内の零細な、地域的に固まっている皮革産業の地域は、大変な打撃、深刻な打撃を受けることだと予想されているところでございます。

 今後、貿易の自由化交渉におきまして、我が国にとりましては、農産品においてお米という非常に重要な特別の配慮を要するものがあるわけですけれども、工業製品におきましても、皮革産業につきまして、我が国、日本の独自の事情を踏まえました相当な配慮が必要だろうと私は考えております。この皮革産業を所管する、そして一方で貿易自由化を進めるためにこの交渉に当たられている大臣は、地域そして産業というものへの配慮を含めて今後どのようにこの問題に取り組んでいかれるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 今松島委員御指摘のように、非農産品交渉でございますが、いわゆるアクセス三分野と言われております農業、サービスそして農業以外の物品ということで、この中には林産物、水産物のような生物といいましょうか生き物から先端の工業製品まで、あらゆる分野が実はこの中に入っているわけでございまして、そして、日本としては、全体として、より貿易を進めていこうという方向と同時に、国益上守るべきものは守っていかなければならない。これは何も日本だけの問題ではございませんで、各国にいわゆるセンシティブ品目というものがあるわけでございます。まず、日本だけではないという認識を各国とも持つ必要があると思っております。

 そういう中で、我が国におきましてセンシティブ品目と言われるものの中には、林産物、水産物といったものと、松島委員御指摘そして御地元の重要産業であります皮革、履物といったものが我が国としての極めてセンシティブな品目だというふうに従来から認識をし、また交渉においてもそのことを念頭に置きながら、先週一週間、ジュネーブで交渉をしてきたところであります。

 皮革につきましては、日本の伝統的な大事な産業であり、また地域にとっての極めて重要な産業でもございますから、我々としては、こういうものに対して、守るべきものとしてきちっと守っていかなければならないというのが、私のみならず政府としての共通認識でございます。

 したがいまして、非農産品交渉におきましては、全体としてはみんなで貿易をより多角化、前進させようよ、ただし、それぞれの国々にはセンシティブ品目がありますから、柔軟性というものもまたセットにしなければなりませんねということで、その柔軟性の分野、つまり皮革製品等を視野に入れて、何でもかんでもすべてを極端に言えばゼロにするみたいな議論ではなくて、そういうセンシティブ品目に対する柔軟性、つまり、これはちょっと別ですよというようなものを今後の交渉の中で、あくまでもこれは枠組み合意でございますから、これから具体的なルールづくりに入ってまいりますので、今委員御指摘のようなところを十分念頭に入れて、これからの交渉に臨んでいきたいというふうに考えております。

松島委員 非常に力強い方針を打ち出していただきまして安心するところでございますが、念のためにちょっとお伺いしたいんですが、センシティブ品目というのは、日本語で言いますとどういうような意味になりますでしょうか。

中川国務大臣 要するに、センシティブというのは、松島委員の方が英語はできますけれども、いわゆるそれぞれの国にとって非常に大事な品目といいましょうか、例えば国内の今申し上げたような重要な産業、その重要というのは地域にとって重要であるとか国にとって歴史的な意味で非常に意味があるとか、守らなければいけない、単に貿易のアクセス改善の議論だけで関税を引き下げて、自由に、安ければいいだろう、世界じゅうから入ってくればいいだろうということに対しての一つのアンチテーゼと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、ちょっと待てよ、日本についてはこういうものがあるじゃないかと。

 あるいは、これはウルグアイ・ラウンドのときに議論になりましたけれども、フランスでは映画という分野が、これは単にアメリカの映画がどっと入ってくるんじゃなくて、フランスの映画というのは文化そのものなんだから、これはWTOの外だといって、最後までAV、オーディオビジュアルの世界はウルグアイ・ラウンド交渉の外でフランスはアメリカと闘って頑張りました。

 あるいは、各国あると思います。そういうものの一つとして、守るべきもの、国内において守るべき産業、製品というものは、各国それぞれごく少数ありますね。そういう特別のものをお互い認識しながら全体としては進めていきましょうと。その守るべきものの中に皮革というものが入っているということでございます。

松島委員 非常にわかりやすい説明、ありがとうございました。特別な配慮を必要として、経済合理性による交渉の中でちょっと待ったをかける、外枠に置かなきゃいけないテーマという意味だと解釈いたしました。

 この皮革産業というのは、もちろん日本の中小零細企業、どの産業もどの業種も大変厳しい状況には置かれておりますが、この皮革産業の地域というのは、なかなかほかの産業に転換しにくい、そしてまた、その跡の土地を売却したり再利用というのが結構難しいところを含んでおりますので、そのような御配慮、まことにありがたいと思う次第でございます。

 次、二番目に、今回の豪雨におきまして被災したそういった企業に対する支援策について伺いたいと思います。

 まず第一義的には、家を流された、床上浸水した、寝るところも大変だ、そういったことから始まるわけですけれども、同時に、サラリーマンならそれが復旧すればそれで終わりですが、事業を営んでおられる方々、特に、例えば新潟ですと見附のニット製品だとか三条の刃物、そして福井県は眼鏡とか、それぞれ特徴のある工業製品を抱えているところでございます。それ以外にも、例えば中小の商店街も水浸しになって商品が流れちゃったり使えなくなったり、そういったところがかなりあると思うんですが、そういった中小企業、製造業及び商業でございますが、そしてまた機械が土砂に埋まって使用できなくなったりしているケースもあります。そういったものに対する支援策を経済産業省、中小企業庁としてどういうようにとっていくのかということをお伺いしたいと思っております。

 そしてまた、融資の制度があるとしたら、その融資の制度は、金利や例えば据置期間その他について、どのように優遇された、配慮のされている制度であるかということも一緒に教えていただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 このたびの新潟県及び福井県での豪雨災害における被災中小企業者に対する復旧支援策といたしましては、新潟県及び福井県での災害救助法の適用を受けまして、次の三点の措置を中心に講ずることといたしたところでございます。

 まず、新潟県及び福井県における政府系中小企業金融機関の各支店、両県の信用保証協会、主要商工会議所、商工会連合会等に特別相談窓口を設置いたしまして、関連中小企業者の相談に応ずる体制を整えております。また、政府系中小企業金融機関におきましては、一般貸し付けとは別枠で貸し付ける災害復旧貸付制度を適用いたしております。お尋ねの金利については、現時点では基準金利一・八%の金利でございます。それから、政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に対して、返済猶予などの既往債務の条件変更などにつきまして、被災中小企業者の実情に応じた対応を行うよう指示をしているところでございます。

 それからまた、先生お尋ねございました工場等の復旧に必要な代替工作機械などの優先的な融通につきまして、最大限の便宜を図るよう、関係の工作機械、産業機械などの五十団体に協力依頼を行いました。

 さらに、被災下請企業対策といたしまして、納期おくれなど親事業者との取引に関する問題につきまして、下請企業からの相談に適切に応ずることなどを新潟県及び福井県の下請企業振興協会に要請をいたしました。また、特に繊維関連では、日本繊維産業連盟に対し、被災下請企業などから相談、協力要請等があった場合には積極的に対応されるよう要請をしているところでございます。

 今後とも、地元自治体と密接に連絡をとりながら、被災中小企業の復旧支援に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

松島委員 これは今、何件ぐらいが対象になるというふうに考えられているかということと、もう一つは、今回の四国と中国地方の水害に対しては同じような対策をとるのかどうか、もう決めているかどうかということを教えてください。

望月政府参考人 相談窓口には、既に新潟と福井にそれぞれ、ちょっと今あれでございますけれども、三百数十件とか、あるいは福井の方で百数十件の相談が参っております。具体的には、融資案件、融資のあっせんなどの相談が多いわけでございますけれども、これにつきましても、現実に、ちょっと今件数はあれですけれども、数十件だと思いましたが、融資の実行が行われているところでございます。

 それから、四国と中国の件でございますけれども、今回の四国と中国の水害につきましては、現時点で、今、防災の中心の担当でございます内閣府と情報交換を行いながら被害状況の把握をしているところでございまして、その状況に応じまして適切な対応をとっていきたいという状況にございます。

松島委員 今かなり多くの問い合わせ、相談が来ているということですけれども、こういったことは特にスピーディーに対応してあげるということが一番安心材料になると思いますので。

 念のため申し上げますけれども、例えばどれぐらいの被害をこうむったかとかいろいろ書類をたくさん出させる、これは、てんやわんやで大変なときに書類をいっぱい書くというのは物すごく負担になりますので、できるだけ簡便に、迅速に対応していただきたい、かように思います。

 今、こういった場合の被災企業にも起こり得ることで、別のことで、中小企業の問題でお伺いしたいと思っております。

 今、大企業は随分景気はよくなっておりますけれども、中小零細企業で破綻するところは相変わらずふえております。この破綻するときに、小さな会社の場合は一々、例えば裁判所に破産の申告なんかしない、自分たちでもう勝手に仕事をやめちゃう、廃業したりあるいは夜逃げ、夜逃げというのは俗な言い方でございますけれども、どこかへ行ってしまう、そういうケースが多々ございます。不幸な話でございますが、ひょっとしたら、例えば豪雨に遭われたところでも、お金を借りて復旧するぐらいだったらもうこのまま仕事をやめちゃおうというところも出てくるかもしれません。そういったことに関連しての質問でございます。

 今回、独立行政法人になりました中小企業基盤整備機構というところがございまして、ここが中小企業倒産防止共済制度というのを持っております。この制度は、中小企業の連鎖倒産を防ぐために、取引先が倒産したら積み立てた掛金総額の十倍の範囲内で被害額相当の共済金を貸してもらえる、そういう制度でございます。しかしながら、この倒産の定義が問題だと私は感じております。

 倒産というのを二種類定義しておりまして、一つが、破産、再生手続開始、更生手続開始、整理開始または特別清算開始の申し立てなどがなされた場合。二つ目として、金融機関から取引停止処分を受けた場合。これはいわゆる二回不渡りを出した場合でございます。こういうふうに定義をしております。実際には、先ほど私申し上げましたように、債務超過で廃業したり夜逃げをしたりといったことで実質的に倒産状態になって、取引先が代金を回収できないという場合がしばしばございます。

 私の知り合いでも、商品を納めた取引先が行き詰まって仕事をやめてしまって代金を払ってくれない、一千万円ひっかかっちゃった。それで中小企業基盤整備機構の方に相談に行ったら、相手企業が法的手続か銀行の取引停止処分を受けることが前提で、そうでない場合は基本的にだめだと。何とかしようと思ったら、裁判所にこの相手の企業の破産の申し立てをしなさい、それで裁判所が受理したらお金を出しますと言われました。

 破産について、債権者申し立ての制度はありますけれども、その会社が支払い不能になっている、破産しているということを証明しなきゃいけないので結構大変なものでございます。弁護士費用もかかります。これは何とかならないでしょうかということが一つ質問です。

 もう一つ、どうしてもそういうような、何ともしようがないんだったら、せめてこういうパンフレットに、これは総合事業団のときのパンフレットなんですけれども、ほとんどそのことはちっちゃなちっちゃな字でしか破産とはこうこうだと書いてありません。私たち個人が損害保険とか生命保険に入るときでも、何かちっちゃい字で重要事項が書いてあったりしたら非常に問題なんですけれども、このあたりのことをきちっとしていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

望月政府参考人 お答えいたします。

 中小企業の倒産防止共済制度については、松島先生今御説明になったとおりでございますが、中小企業倒産防止共済法に基づいて現時点で共済金の貸し付けを行う事由といたしましては、破産等の法的整理の申し立てと手形の不渡りによる銀行取引停止処分の二つということが法定されてございます。したがいまして、夜逃げとか今先生おっしゃいました、我々、内整理とか言っておりますけれども、そういった事実上の整理は共済事由にはなってございません。

 この問題は、共済でございますので、掛金をかけておられる中小企業者の皆様方で負担をしている制度でございますので、ある意味では、この制度の存立を確実にするためには、共済事由に該当するかどうかということをかなり客観的に把握するということが前提ではないかというふうに思っております。したがいまして、法的で明確な事由に限っているというのは、現時点での共済制度の前提になっているわけでございます。

 もし、これをもう少し弾力的にということになりますと、場合によっては制度の抜本的な見直しをして、リスクが高まるわけでございますので、共済の掛金なども考え直さなければ成立しないということになる可能性もあるわけでございまして、これはある意味では、共済制度として関係者の合意の中でどういうものを助け合うかということの共通の前提の上に立たなければいけないのかというふうに思っております。支払い事由だけを弾力的にするということは、制度の維持上はなかなか困難なところかというふうに私どもとしては現時点で考えているところでございます。

 それから、他方、先生おっしゃいましたこのパンフレットにつきましては、これは当委員会でもかねてから中小企業関係施策についてのパンフレットがわかりにくいという御指摘は私も何回か受けておりまして、その都度お見せいただいたパンフレットについて点検をしますと、おっしゃるとおりで、今先生おっしゃいました破産のところについても、私も眼鏡がないと見えないような小さい字で書いてあるということでございます。こういう御指摘については、私どもとしても真摯に受けとめながら、できる限りわかりやすく情報を伝えるためのパンフレットということを考えまして、今見直しを行っているところでございますので、今後ともよろしく御指導賜りたいと思います。

松島委員 これは実際にはどこが窓口になるかというと、銀行や信用金庫、金融機関で申し込むことになっている。金融機関が、おたくもちゃんと入っておきなさいよと、取引先がつぶれちゃったら困るから金融機関も言うわけですけれども、やはり金融機関に対して、よくそれを理解させるようにしないと、幾らパンフレットに書いたって、こんなパンフレットなんか全部読んで共済に入る人は余りいませんから、それはぜひ心がけていただきたい。

 あと、法律の改正については、私ども議員の立場からも仲間に検討を働きかけていきたいなと思っております。

 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

根本委員長 井上義久君。

井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。

 まず、質問の前に、七月の新潟、福島、福井の集中豪雨、そして先日の台風十号に伴う豪雨によって亡くなられた方々、そして被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。あわせて、災害復旧に努めておられます関係者、また多くのボランティアの皆さんの御労苦に対しても心から敬意を表したいと思います。

 今回の集中豪雨による被害、人的な被害、住宅の被害、さらに農業、それから道路、鉄道等の社会基盤、それに加えて今回は特に、いわゆる地場産業が集中している地域に非常に大きな災害をもたらしたということが一つの大きな特徴じゃないかというふうに思うわけでございまして、そういう意味で、今回はこの中小企業対策ということに絞って何点か質問をしたいというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 その前に、今回の集中豪雨の被災現地では激甚災害の早期指定を強く望んでいるわけでございます。小泉総理も現地視察を行って早期指定の督促を行っていただいておりますし、激甚指定に向けた作業の進捗状況、これがどうなっているのか、また指定時期の見通しをどう見積もっているのか、このことについて、内閣府来ていただいていますので、まず御報告いただきたい、こう思います。

柴田政府参考人 御報告いたします。

 今回の梅雨前線豪雨でお亡くなりになりました方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。政府といたしましては、被災者への支援等に全力を尽くしてまいる所存でございます。また、大きな被害が懸念されます台風十号への対応にも万全を期してまいります。

 お尋ねの七月梅雨前線豪雨関係でございますが、この災害、非常に大きなものでございました。したがって、その復旧事業費はかなり大きなものになるのではないかと想定されておりますので、激甚災害の指定につきましても当然考慮いたしまして、現在作業を進めているところでございます。

 ただし、その指定のためには災害復旧事業費の把握が必要でございまして、可能な限り迅速に手続を進めるためにも、被災した地方公共団体から現在急いで被害報告を受けるなど、被害状況の早期把握に努めております。

 いわゆる本激という、激甚災害の中の本激の指定につきましては、全国的な激甚災害でございますが、基準に適合する場合には、通常、災害が発生してから二カ月程度かかってございますが、被災地のことも考えまして、可能な限り短縮していきたいというぐあいに考えております。

 以上でございます。

井上(義)委員 現地の要望を踏まえて、できるだけ迅速に調査を終え指定をお願いしたいと改めてお願いしておきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、今回の災害、これは中小企業に対して非常に大きな被害をもたらしたということが一つの大きな特色ではないか、こう思っております。三条は機械金属の地場産業が盛んなところでございますし、あるいは見附はニット、あるいは鯖江は眼鏡とか漆器とか、戦後日本経済を下支えしてきたそういう地場産業でございますし中小企業ということで、これらの中小企業を今後どういうふうに立ち上げていくかということが非常に大事でございます。先ほどもちょっとお話がございましたけれども、やはりサラリーマンの皆さんは、自分の住宅が再建される、あるいは社会基盤が再建されれば何とか従来どおりまた仕事ができるわけでございますけれども、この地場産業、中小企業、これは経営自体が非常に大変ということもあるわけでございます。

 まず初めに、この集中豪雨の被害について、県市を中心に現在調査をしていると思いますけれども、特にこの中小企業、地場産業について、経済産業省、中小企業庁、被害状況をどのように掌握しているかということについてお伺いしたいと思います。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 今回の災害による被害事業者総数あるいは被害総額、そういったような被害の全容の把握につきましては、現在実施されております県あるいは市の調査結果を待つということになりますけれども、当省におきましても現地の主要な中小企業それから地場産業に対する被害状況について把握に努めているところであります。

 先生御指摘のとおり、新潟県の地場産業のうち被害の大きかったものに、見附のニット産業、三条の刃物産業、同じく三条のプレス金型産業がありますし、それから福井県の地場産業のうちでは今立町の和紙産業、鯖江の漆器産業といったようなものがございます。

 被害の状況を具体的に申し上げますと、繊維産業におきましては、ちょうど秋冬物の製造がピークを迎えるやさきにあったところでありまして、編み機あるいは原材料の浸水被害を受けたということであります。それから、漆器産業におきましては原材料の漆が浸水によって大きな被害を受ける、そういうことで、地場産業において浸水による設備、材料それから在庫に対する甚大な被害が発生している、そういうふうに承知をしております。

 これらの地元に対しましては、関東経済産業局それから近畿経済産業局の局長以下関係職員が出向いて現状把握を行っておりますけれども、私ども本省の方からも、製造産業局の繊維課あるいは素形材産業室、伝統的工芸品産業室の関係職員を派遣しまして、被害の状況を調査いたしております。それとともに県の担当者と復興策を検討する、そういうような作業を行っているところであります。

井上(義)委員 そこで、新潟、福井に災害救助法が適用されたことを受けて、中小企業に対する復旧対策として、中小企業庁としては、一つは政府系金融機関による特別相談窓口の設置、二つ目に災害復旧貸付制度の適用、それから三つ目に既往債務の条件緩和等、金融措置を軸に緊急措置をとっていただいているわけでございますけれども、この利用状況、またその効果、具体的にどう出てきているのか。この検証についてお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 新潟県におきましては、先週末までの半月間に、特別相談窓口における相談実績が具体的には三百七十九件ございました。それから、政府系中小企業金融機関、信用保証協会における融資・保証実績は、一般の制度を含めまして三十六件、二億九千九百万円というふうになってございます。

 福井県におきましては、先週末までの約十日間に、特別相談窓口における相談実績が百一件ございました。それから、政府系中小企業金融機関、信用保証協会における融資・保証実績は、一般の制度を含めまして四件、三千万円となっているところでございます。

井上(義)委員 それからさらに、今回の水害で、先ほども被害状況の報告がございましたけれども、金属加工関係の工作機械、精密な工作機械が非常に多いわけですけれども、あるいは繊維工業の編み機等が水や泥をかぶるというような大きな被害が出ております。

 事業再開に大きな障害となるこれらの事態に対して、経済産業省は、今回、被災地工場等への代替工作機械の優先的融通というのを関係団体に要請していただいておるわけでございまして、これは異例の措置で非常に評価したいと思います。これらの要請に対して、実際に工作機械等の復旧、現状どういう状況になっているのか、掌握できている範囲で結構でございますので御報告いただけますでしょうか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 今回の被災地における工場等の早急な復旧を図るためということで、被災地からの要望を踏まえまして、復旧に必要な代替工作機械、そういうものの優先的な融通、そういう最大限の便益を図りますよう当省から関連の五十の団体に要請を行ったところでございます。

 これに関しましては、例えば編み機あるいは工作機械の製造業者が、被災地の工場に技術者を派遣して、部品供給、メンテナンス、そういうことを実施しております。既にそういうような迅速な対応が行われているというふうに聞いております。

 一例を申し上げますと、編み機の場合ですと見附市内に販売先八十社あるわけでございますけれども、そのうちの七社、七十台の機械にさびなどが発生している、そういうようなことで、対策チームをそのメーカーでは編成をいたしまして、現地で最優先で部品供給を行うというようなことをやっておるところであります。こういうことをしている結果、機械製造企業の中には既に全面的に操業が再開されたというところもあると聞いております。

 他方、特殊な部品の調達がどうしても必要だ、そういうようなケースもございます。工作機械の中で特殊なモーターがどうしても必要だとか、そういうものにどうしても二週間ぐらいかかってしまうというようなことから一カ月程度操業がおくれる、そういう見込みの企業もあると聞いております。

 いずれにしましても、被災地の産業が一刻も早い復旧を図るという観点から、今後とも、それぞれの地域それから産業の個別の事情に応じまして、経済産業省としても最大限支援に取り組んでいきたいというふうに思っております。

井上(義)委員 あわせて、今回、繊維関連産業の下請中小企業が大きな被害を受けたということから、日本繊維産業連盟及び全国下請企業振興協会に、被災企業からの相談、協力要請への積極的な対応、あるいは納期や取引関係の継続など下請企業存続に関する相談への適切な助言等、経済産業省で要請していただいたわけでございます。

 企業、親企業間の関係において、今回の災害によるトラブル、そういうことについて未然に防止をするということで要請をしていただいているわけですけれども、これらの要請に対する対応について、現状、報告をお願いしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先生今おっしゃいました下請振興協会、各県にあります下請振興協会あるいは日本繊維産業連盟に対しまして、被災下請企業等からの相談、協力要請があった場合に、適切に積極的に対応するようにということを要請したところでございますけれども、八月二日現在の下請企業振興協会に寄せられました相談件数は、新潟県で九十件、福井県で八件でございます。内容については、資金調達に関する相談がほとんどでございます。新潟県で六十七件、福井県で七件と大宗を占めているところでございます。

 ただ、企業と親事業者間との取引関係について、製造委託元から借り受けた機械が被災をし、その修理費を要求されているというような下請の相談もございまして、こういった点については、下請振興協会の弁護士の無料相談などをあっせんしたりして対応しているところでございます。

井上(義)委員 緊急の災害復旧活動、これから本格化してくると思いますけれども、そういう中で今後さらにそういうさまざまな相談等が具体的に出てくると思いますので、緊急で打っていただいたさまざまな施策に対して、きちっとフォローアップをしていただいて、きちっとそれが実効あるものになるように、今後さらにしっかりお願いしたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、緊急措置、いろいろやっていただいておるわけですけれども、先ほどから申し上げておりますように、地場産業、戦後日本経済を下支えしてきた、また地域にとって基幹産業であるわけでございまして、この緊急措置以降の政府の追加支援策として、例えばセーフティーネット保証の特例適用というような追加支援策、どういうメニューがあるのかということをまずお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 現時点では、あと追加的にございますのは、セーフティーネットの信用保証協会の保証の別枠の指定というのがあろうかと思います。本件につきましては、現時点で、地方自治体における、県でございますけれども、被害状況の調査を行っているところでございまして、その結果を待って指定をしたいと思っております。

 また、先ほどお話もございました激甚災害の指定などがございますと、また追加的に幾つかの、金利の引き下げなどのメニューがあろうかというふうに考えております。

井上(義)委員 最後に大臣にお伺いしますけれども、これらの地場産業、かつて石油ショックとかドルショックがあって、それを乗り越えて地場産業として、今地域の基幹産業として頑張ってきているわけでございますけれども、今回相当なダメージを受けたということで、言葉が適切かどうかわかりませんけれども、災い転じて福となす、これを機会に地場産業としてさらに活性化していくという積極的、前向きなことが必要なんじゃないか。そういう意味では、例えば専門家による助言とかアドバイスとか、あるいは復旧、再活性化に向けたネットワークづくりというようなソフト面での積極的な支援というものも必要じゃないか。

 私聞いておりますと、現地でも、そういうかなり前向きな意見といいますか、そういう姿勢を持った経営者の方も出ているようでございますので、これを機会に地場産業の再振興を図るというような観点で、ぜひ経済産業省としても積極的な取り組みをお願いしたいと思うわけでございますけれども、その点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 結論的に言うと井上委員と全く同感でございまして、災い転じて福となすという言葉が、今回これだけの災害、また亡くなられた方のことを考えますと、その言葉は別にして、趣旨は全く井上委員と同感であります。

 災害復旧というと、どうしても原状回復という、もとに戻すんだというところまでが、私のところもよく豪雨災害、台風災害で橋が流されたり川が決壊したり道路が寸断したりということがあるんですけれども、同じ程度に戻すとまた同じ災害が来たらやられちゃうので、さらにいろいろ、インフラを原状回復よりもっと、時代に合ったといいましょうか、新技術で強固なものにしなければいけないということが去年の災害のときも随分地元で議論になったわけであります。しかも、それは主にハード面でございますけれども、井上委員の御指摘は、単にハード面だけではなくて、今のいろいろなネットワークづくり、あるいはまた専門家によるアドバイスといったソフト面についても原状回復以上のもの、つまり、地域の産業、地域の人たちが主役になって、これを災い転じてなのか奇貨としてなのかよくわかりませんが、厳しかったけれどもこれをひとつはね返してさらに前進していこうというお気持ちを持つ、あるいはまたそのお気持ちを持っていただくように我々がお手伝いをさせていただくということは、極めて大事なことだろうと思います。

 と同時に、その気持ちがあって、実際に主役は、それぞれの歴史に基づくそれぞれの地域の特別のノウハウがあるわけでございますから、国としてこうやれとかああやれとかいうことではなくて、そういう地域の皆さんの意欲と、そしてやりたいことをきちっと我々が後押しをさせていただく、それぞれの地域、それぞれの事情がございますから、もう既製品ではなくてオーダーメードで後押しをするという意味で、井上委員の御指摘はまことに私も同感でございます。努力していきたいと思っております。

井上(義)委員 以上で終わります。

根本委員長 次に、田中眞紀子君。

田中(眞)委員 無所属、民主党会派の田中眞紀子でございます。差しかえで質問をさせていただきたく存じます。

 このたびの七月の集中豪雨の被害に遭われて命をなくされた方々の御冥福をお祈りし、かつ、被害に遭われた皆様に対して、本当に心から、一日も早く支援ができるように私どもも努力をしたいということを申し上げたいと存じます。

 最初の質問でございますけれども、私は、細かい数字等につきましては掌握をしているつもりでございますので、むしろ中川大臣に、こうした災害、今も、お国元の北海道でもそうしたことが繰り返しあったというような御発言もなさいましたけれども、今までの先輩の皆様方の御質問も踏まえて伺いたい点がございます。

 それは、もう地元では、今回のことだけではありませんが、大きな災害が起こるときには、必ず激甚災害の指定を早くしてほしいという声が上がります。おとといの本会議でも、小泉総理が、その適用のために今査定を急いでおるというような御答弁をなさいました。それから、そのことはもちろん一番地元が必要としていることですけれども、特別交付税の迅速な実現、これを早くしてほしいということも、多分各省庁から、県からも、新潟県、福井県、それから福島、今回の四国の方もそうでしょうか、そうした要望が市町村からも県からも上がっているというふうに思います。

 問題は、私は、何といいますか縦割りで、今回のこの災害を見ましても、農水省もありますし、経産省もありますし、文科省とか、そのほか環境省、たくさんの省庁が縦割りでコミットせざるを得ない。これが実態なわけですけれども、そういうことを、最近も役所で聞きますと、下から、現場から上がってくるのをある程度待っているんだというような状態もありますし、なおかつまた、現場におきましては、早く上から指定をしてほしい、早く額を明示してほしいんだという声がありまして、言ってみれば、タイムラグといいますか、タイムロスというか、そういうものが生じているというふうに思います。

 ただし、今回、私は、発生直後から三回、四回と足を運んでプロセスを見ていますが、以前、私がかかわりました阪神・淡路でありますとか、あるいは、ちょっと質が違いますが、サリン事件なんかに比べますと、非常に動きが早くなっていて、自衛隊が早く来るとか、それからもちろん一般の方々の協力というものも非常に早いですし、いい傾向になっていると思います。

 実際の被災した方々につきましては、例えば、先ほど来数字が出ていましたけれども、新潟県の三条の場合は、年間の工業出荷額約二千億円というのが、金額があるんですね。そういうところの事業所の七割が被害に遭っていて使い物にならない、こういう実態、金属加工の産地でございます。それから見附は、繊維、ニットの産地でして、男物のニット製品の三割強を供給しているところなんですね。八月一日にこれは完全に最盛期を迎えていくわけですから、納期が八月一日というピークですから、そういうところでこういう災害に遭われた。

 最近、景気が確かに回復の傾向に来ているというふうには思いますけれども、十年来の不況でもって、こういう中小というか零細企業が担っておりますから、そういうところがどういう形でもって資金援助してもらえるか、立ち上がれるかということが、非常に精神的にもダメージが大きくて、暑い中での労働ということもあります。したがって、そういう中でもって、もう廃業しなければいけないのか、それから、ローンを抱えているので本当に自殺をするようなことになるかもしれない、重労働の中で、そういう声を聞いております。

 政府からの激甚災害の指定にしましても、特別交付税を前倒しで、迅速にということはわかっておりますけれども、それは、今までとやはり同じことになってしまうので、縦割りの中でどうやって速やかに対応するかということについて、やはりこれは内閣、政府主導で、言ってみればおおよその概算の数字は出ています、千五百億である云々と。細かい数字は役所が御存じだと思いますから復唱はいたしませんけれども、ある程度概算を出して、そしてそれの仮指定をするということがスピードアップのために必要であるというふうに考えますけれども、大臣はその辺を、若い大臣として、いかがお考えでいらっしゃいますか。

中川国務大臣 まず、田中委員の御地元が、今回の災害の中でも一番大きな人的あるいは経済的その他のダメージを受けられたわけでございますので、冒頭、お見舞いの発言をさせていただきましたが、とりわけ新潟県の田中委員には、災害発生後、大変復旧に向けて御尽力をされているというふうに聞いておりますので、本当に御苦労さまでございます。

 本当に私のところもよく災害が、数年に一遍来るわけで、そのときに、早く応急措置をする、早く激甚災害の指定、交付税の指定ということを地元の皆さんから私のところに、本当に一日千秋の思いでよく要望をいただくわけでございます。

 今、田中委員も御指摘のように、これは査定をしなければならない、しかもそれは各省ごとでやる、しかも、その主体はやはり一番事情がわかっている地方自治体が中心になっていくということで、私も、もっと早くできないものかというふうにいつも思うわけでございますが、復旧に対応するいろいろな工事なり対策というものをやる上での手続というものがあると言われれば仕方がないけれども、最大限努力をしてもらいたいということをいつも申し上げるわけであります。

 今御指摘があったように、総理大臣みずから迅速に視察をして、早く激甚災害の指定等をやれという命令が政府に下っておりますので、経済産業省も含めて、今鋭意、とにかくスピード感というものがこれは大事でございますから、やっているところでございます。

 概算でやるということについても、多分、概算をやるについても何らかのもとのデータみたいなものがある程度は必要になってくるんだろうと思いますので、今のところ、経済産業省としては、窓口相談であるとか緊急の貸し付け、そしてまた、御質問にはございませんでしたが、セーフティーネット保証、追加保証、これをできれば私は今週中にもきちっと決定をして、特に新潟県、これは一番早かったということと一番災害が大きかったということで、追加保証についても指定ができるように、できれば今週中に発表できるようにしろということを担当に強く言っているところでございます。

 そういう金融面も含めまして、経済産業省として、政府として、とにかく迅速に適切に、そして先ほど井上委員からお話があったように、単に原状回復するだけではなくて、先に進んだ、次に向かえるようなところ、今委員からは、もう廃業して自殺も考えるなんという方がいらっしゃるとするならば、何としてもそれを食いとめて、将来に対して希望が持てる、仕事の面でも生活の面でも希望が持てる、そういうような対策をぜひとっていきたいというふうに思っております。

田中(眞)委員 追加保証はぜひ事務方に督励していただきたく存じます。

 それから、今、激甚災害の指定で過去のデータがございますのですけれども、約二カ月から二カ月半かかっているんですね、あらゆるときにも。これからあと十日もしますと、発生以来もう一カ月たってしまうことになりますのですけれども、このプロセスが、まず、発生した後に調査をして、査定をして、それから内閣府と財務省とよく相談をする、その後にやっと中央防災会議に上がる。中央防災会議までいけば、閣議決定はすぐ同じ日にもできるわけですけれども、そこまでいくのにはやはり二カ月間以上を要するということですから、その辺のプロセスからいって、査定の金額が上がってこなければということは、それは省庁間ではそういうふうなできるだけ厳密にということでしょうけれども、そこで政治がいかに、生活者のニーズといいますか、声をくみ上げるかという判断が機能するかどうかということを私は問うているわけでございます。

 特別交付税につきましても、普通は、一般の交付税の場合は四月、六月、十月、十二月ですけれども、ところが特別交付税は一月と三月ですから、これもまた、役所もそこまで頭がかたくないと思いますけれども、これをやはりもっと速やかに、変更してでも早くする、増額もしていくということをしてもらいたい。

 なぜかといいますと、これはいろいろな省庁にまたがっていますが、農業関係であれば、もう御存じのとおり、農林大臣経験者でいらっしゃるからおわかりですけれども、農業共済がありますから、ですからいいんですけれども、中小企業というものは見舞金とか貸付金とかというふうなことになっていますから、そういう制度が、共済のようなものがないために、特に零細の方々が、日本の中小企業というのは九九%であるということを言われていますけれども、物づくりでは日本の経済の基本を支えているということは間違いないわけですから、そういう制度の創設というふうなことも考えていただきたいと存じます。

 また同時に、こういう災害が起こるときに、いつも中小企業の支援対策としてよく言われることですけれども、やはり債務の返済の猶予でありますとか、それから債務の償還期限の延長、こうしたこともぜひ考慮に入れていただかないとならないと存じます。

 それから、東海地域の豪雨がございましたけれども、平成十二年九月でしたが、これは本当にいろいろな、福井県の方も、そのほか、被害の方は皆さん、福井ももちろん、いろいろな和紙でありますとか、越前和紙だとか眼鏡とかいろいろなものがあるわけですけれども、そういうところもかなり零細だというふうに承知しておりますが、東海地域のときにあったような、国と地方自治体が協力をして、そして利子補給を行って、結果として無利子にする、こういうことが行われると、大変零細なところは喜ばれると思います。

 具体的な声はもうたくさんありますから、つぶさには申しません。大臣も御存じでいらっしゃると思いますから申し上げませんけれども、こうした制度上の問題を速やかにしていただきたく存じます。これはお答えは結構でございますが、ぜひ御検討といいますか実行をしていただきたい、実現をしていただきたく存じます。

 また、現場に関することをもう一つ。ごみ処理ですけれども、これもまた大変な問題になっていまして、ごみで道路の通行の邪魔になる云々ではなくて、第三セクターなんかでもってごみを扱っても、もう数日、一週間以内でもって一年分のごみが出てしまったということがあります。ごみの量だけではなくて、中身の問題で、例えばし尿処理、仮設トイレが相当ありますから、そういうものがどういうふうになっているかとか、それから、もっと大きいのは公害問題で、フロン、フロンガスの冷蔵庫とかエアコンですが、そういうものが雑多になっているというふうに言われています。

 私も先日知事なんかとお話ししましたときにも、まず分別をして、できるものは断裁をしてほしいということの要望も各市町村に言っているということですけれども、あの暑さの中で、あの大量の廃棄物、ごみの中で、臭気の中で、そこまでやるということはなかなか厳しいんですよね、現実問題として。そういう環境問題なんかも考えて、収集と運搬と処分といいますか、そういうことをどういうふうに今現在やっていらっしゃるか。これは事務方でも結構ですが、どなたかお答えいただけますでしょうか。

望月政府参考人 大変恐縮でございますけれども、ごみ処理のお話につきましては、先生、また縦割りといって怒られるかもしれませんが、厚生労働省の担当になろうかと思います。私ども、中小企業からそういったものも含めて相談がありましたら、私ども自身も関係省庁に連絡をしながら相談をしていきたいとは思っておりますけれども、現時点では、直接中小企業から私どもへのそういう相談は参っておりません。

中川国務大臣 ごみは多分大変大きな問題に今もなっているでしょうし、これからなってくるんだろうと思います。

 というのは、私が農林大臣に就任した九八年、就任して一週間ぐらいたったときに北関東で大水害がございまして、そして、栃木、群馬の牛が何と海でとれるというか、海に行く。それから、川魚が田んぼでとれる。とれるという言い方は余りよくないんですけれども、そのぐらいに牛が何十頭も利根川を中心に流されて、そして、一たん太平洋に流されるんですけれども、また潮の関係で上がってくるという。この処理をどういうふうにしたらいいのかというのが、県別あるいは市町村別で若干そのときに議論があって、しかし、ほっておくわけにいかないということで、最後は自治体の皆さんが大変御苦労をされて処理をしたわけでございますけれども、今回は工業分野も含めての御質問でございますから、この問題というのは大変難しい問題だろうと思います。

 新潟県の中だけでも大変な問題だろうと思いますので、今大事な御指摘をいただき、適切な答弁ができないことはまことに申しわけございませんが、これは自治体からの御相談ということをまず前提にしなければいけないのかもしれませんけれども、それをいただいたならば、私の立場としてもこれは全力を挙げて対応に取り組んでいかなければいけない問題だろうというふうに認識をしております。

田中(眞)委員 今、望月中小企業庁長官のお答えはわかりましたけれども、やはりこれは内閣として総合的に、あちらから、環境省からお話がありませんということではなくて、冷蔵庫でありますとかエアコンとか、こういうものは経産省の範囲内のことでありますし、それが原因として環境汚染ということになりますから、ですから、御自分の方から働きかけていただいて、お忙しいと思いますけれども、そういう有機的に連携をしながら解決をしていかないと、また大きな出費につながるということを申し上げます。

 それから、三つ目の質問でございますけれども、きょうは経産の委員会でございますからあえて大臣にぜひ伺いたいと思いますけれども、今の地方交付税の問題、その他特別交付税の問題もお尋ねしましたけれども、要は財源の問題ですね、すべて事が起こるときに。これは政治家としてぜひ大臣の認識を伺いたい、小泉内閣の閣僚として伺いたいんですが、地方経済の活性化ということを言われて久しいんですが、具体的にどのように考えておられるかということです。

 すなわち、三位一体の改革というのは、国と地方の税、財政の改革である。それから、総理は、三年間で四兆円の補助金削減をする云々ともおっしゃっているわけですけれども、地方分権ということを本当に実際に行うためには、これも私なりにずっと考えてきているテーマの一つなんですけれども、産業の九九%が中小企業であるということ、それから、東京、大阪のような大都市にばかり集中しているわけではなくて、地方都市に、今回の災害に遭ったところもありますし、今後のこともいろいろ考えた場合に、地震や台風等も考えられるわけですから、そういう全国の地方というところに目を転じてというか、むしろそこを中心の発想をしないといけないのではないか。この内閣はそれが非常に欠落しているという感じがします。

 最近の報道を見ましても、やはりメガバンクがどんどんできることについての是非とか内部事情の話は出ていますが、地方の銀行、それから地銀、信組の問題を申し上げたいと思います。

 実態として、地方の金融機関の不良債権の処理は極めておくれているわけですね。例えば、地銀の不良債権の比率というものが何%ぐらいあるか、中川大臣、御存じでいらっしゃいますか。

中川国務大臣 教えていただければありがたいと思います。

田中(眞)委員 八%と言われております。それからまた、信組とか信金ですけれども、これは一〇から一五%。これは一番直近の数字なんですが、そういう地方の企業を相手としている、お客様として抱えている地方の金融機関がこういうふうな不良債権比率であるということ、これはどういうことになるのかということを考えなきゃいけないわけで、今全体の金融の問題を考えました場合に、本当は、個人保証であるとか土地担保、そういうふうなことをやっていれば零細な企業なんというのはお金を借りられないわけですから、単に貸しはがし何とかが問題があるというだけではなくて、現実に、そういう金融の制度の根本的な見直し、中小のほとんど大多数の企業、日本全体で見た場合ですよ、そういうところにお金が回っていくような制度というものを、これはよほど考えていかないとならないというふうに思います。

 来年の四月のペイオフということが一応控えているわけですけれども、財務体質が弱い金融機関というものの再編を促す、そういう努力を政府とか金融庁は相当怠っているというふうに私は思っております。御意見は結構ですけれども、そういう全体的にきめ細かく血流としての資金が流れていくような、そういう制度づくりをやっていかないとならないのに、どうもメガバンクの方にばかり、大都会にばかり金融が動いていっているという感じがします。

 今回のようなこういう災害が起こったりしますと、非常に一段と色濃くそういうことを感じますので、そういうこともぜひ大臣にはお忘れなくいていただきたいと思いますが、ちょっと、もし御意見がおありになればどうぞ。

中川国務大臣 まず、地方の特に中小企業の認識につきましては、日本経済が非常によくなってきている。直近の数字で、年率換算でいくと実質成長率で六%というような数字だということなんですが、私も先日の参議院選挙で各地域を回って、しかも県庁所在地の商店街であっても、多分新潟もそうだろうと思いますけれども、中心商店街がかなりやはりシャッターが昼でも閉められているところが、もうシャッターが閉められていない地域がないと言っていいぐらい、程度の差はありますけれども、そういう状況になっている。県庁所在地ですから、まさに県の顔、目抜き通りなわけでありますけれども、そこがそういう状況になっている。

 そして、それは結局、その地域の経済をある意味であらわしているわけでございますから、全体としての数字は中小企業も大分よくなってきたとは言いますけれども、しかし、それはかなりばらつきがあって、私の地元で恐縮ですけれども北海道とか、南九州、沖縄とかいったところはまだ全体としてもよくありません。特に中小企業はよくありませんから、そういう意味で、中小企業を、地域に根づいた、そしてまた事業数としても圧倒的に多い、雇用者数としても圧倒的に多い中小企業の隅々にまで、景気の回復感あるいはまた実感というものが得られないうちは、真の意味の景気回復と経済の前向きの成長というふうには言えないというのが私の認識でございます。

 そういう意味で、中小企業、もちろん、物が売れるとかいろいろあるんでしょうけれども、そのための、今血流という言葉をお使いになったかと思いますが、まあ血流、そしてまた、エンジン役であります地方のより地場に密着した金融機関が積極的な役割を果たしていくということは極めて大事なことだと思います。もちろん、地方の金融機関も含めて金融機関の健全化ということが大事であると同時に、そのために地方の経済回復、地方企業の回復のために貢献ができないということになると、これはまた別の問題が出てまいりますので、その辺のことも含めて我々、特に中小企業庁としては借り手側の立場も十分ウオッチをしながら、真の意味の隅々までの経済回復に結びつけていきたいというふうに考えております。

田中(眞)委員 おっしゃることは同感なんですけれども、現実に、先ほど私が血流という、大臣はエンジンともおっしゃっておられましたけれども、それを実現するために私はちょっと一つの簡単なプロポーザルを今申し上げたというふうに思っているんですけれども、大臣は、この三位一体改革とか地方分権というようなことを総理がおっしゃっている中で、閣僚として聞いておられて、具体的にどういう形から確実にできる方法、どういうふうに考えておられるでしょうか。

 これは、この災害のことは離れて、やはり国民はみんな非常に関心があることなんですね。郵政の改革、道路公団のことを言いながら、三位一体、また次のメニューがほらほら出てきたわという感じがします。テーマはいいですけれども、テーマだけでもって中身がゼロという感じがするんですが、これを完全に地方ということだけではなくて、日本全体の経済のエンジンというものを担っておられる中小企業庁を抱えておられて、どういう方法が具体的にあるというふうにお考えでしょうか。

中川国務大臣 三位一体ですから、権限の移譲と同時に、やはり補助金の問題、交付税の問題、ある意味では町村統合による、合併によるメリットというものがきちっと生かされるためには、単に数合わせといいましょうか、数減らしといいましょうか、そして権限を上げるよというだけでは、私は、三位一体でもってうまくいくんだということであれば、単なる数の問題だけではないと思います。

 特に、私のところの極めて過疎の地域同士が、人口数千人単位の町村が合併するのにかなり四苦八苦して、今、率直に言ってかなり難しいというか、努力はしているんですけれどもなかなか前へ進まないという状況がございます。これはやはり、私の地元のことを言って大変恐縮ですが、一つの町が香川県や神奈川県ぐらいの広さの町で、しかも人口が数千人という町、農業、林業、特に農業は非常に盛んですから、そういう意味でいえばそういう産業はあるんですけれども、しかし、町全体として、おまえのところは人口が少ないんだからこことくっつけばいいだろうみたいな単純なものでいくと、四国ぐらいの町ができてしまうんですね、一つの町で。しかし、人口は一万から二万。こういうところと、もっともっと、例えば埼玉県のように、人口密集地帯がぼっと合併してさいたま市ができるのと大分条件が違うんだろうと思います。

 その辺のきめ細かいところまで配慮していただいた上での三位一体がなければ、首長さんだけではなくて住民の皆さんの納得、それから、メリット、それからもちろんデメリットも含めて、こういうところがありますよという説明が、埼玉の場合と私のところの場合とではかなり説明が違う、内容も違ってまいりますので、その辺のことをきちっと説明をして納得していただかないと、無理に、法律でもって来年にはもう決まってしまうんだ、やらないとペナルティーが来るよというような程度の話だけでぎりぎりいくと、なかなかこれは難しい問題だろうと思います。

 それから、もう一つちょっと、道州制につきまして今北海道が実験的に、かなり先行した実験をこれからやろうとしているわけでありまして、何でほかのところは州で北海道だけが道なんだと一度聞いたことがあるんですが、北海道から九州までやるから道州制、北海道は道で九州は州だから道州制、こういう説明を受けました。何かよくわからないんですが、とにかく、全国の道州制の実験的、先駆的な役割を今北海道が知事を先頭に懸命にやっております。

 これもやはり中央との権限の問題、あるいはまた財源の問題が道州制にも出ておりますので、これもよく使う言葉で申しわけないんですけれども、三千数百の自治体それぞれというのは違うわけですから、やはりオーダーメードの説明とオーダーメードのメリット、デメリットをきちっと住民の皆さんに御理解をいただく、あるいはまた、問題点をきちっと提示して、その上でどういうふうにしていったらいいか。

 方向性は、もちろん私も、三位一体を進めて、三位一体に基づいて地方自治の権限の強化、それから地方自治行政の合理性というものを追求していきたいと思いますが、そこに至るためにはもっともっと丁寧な作業が必要だというのが地元の実感だということを、私自身もそうだなと思いながら認識をしているわけでございます。

田中(眞)委員 三位一体の改革につきましては、国と地方の税と財政改革ということが掲げられていますが、今大臣は道州制の問題でありますとか町村合併についておっしゃいましたけれども、財政、税という問題で今回の災害なんかを見てみますと、本当に結構、現場の声を聞いていると、これで合併するのに何でこんな縦割りのことを言っているのかということを現場で感じることもあります。

 要は、やはり財源の問題でありますし、将来の日本がどのような形で富を生み出し、どれだけ安定して自信を持って各地域で、特に地方社会、地域社会でも暮らせるかということですから、これを内閣でどれだけ議論なさっているかわかりませんが、これも縦割りにならないように、やはり国家像といいますか展望を持って臨んでいただくように、この内閣では無理かもしれませんけれども、ぜひそういう方向性を持った閣僚の方が何人かいらっしゃると、中川大臣とかですね、心強いというふうに思っております。お題目倒れはもうたくさんでございますから。これは別に大臣に申し上げたわけではありませんので、ぜひだれかさんをけり上げていただきたいと思います。

 次に、この委員会ですから、ちょっとWTO、せっかく帰っていらっしゃいましたので伺ってみたいと思います。

 私も一度、外務省でWTOにシンガポールで出席いたしました。農水大臣と経産大臣、二回お出になっているわけですから、多分似たような感覚を持っているんじゃないかと思うんですが、何を一番言いたいかと申しますと、世界貿易の枠組みというものを決めるという、これは非常に大きな、大変チャレンジングな、また普遍的な課題なんですね。ヨーロッパの統合ということも起こっていますけれども、その中で日本がどうコミットしているかというところ、会議のあり方、ぜひ御意見を開陳していただきたいと思うんです。

 私は、アメリカはゼーリックが出てきてかなりしつこい細かいことも言っているなと思っていましたし、また、欧州委員会のラミーというのはなかなかしたたかですね。そういう中で、日本はやはり、先ほど来一貫して私が言っている縦割りなんですよね。その中でもって外務省があり、農水省があり、経産省があり、ベテランであるし、御存じだと思いますが、外務省の大島正太郎さんが結構ずっと頑張って、今回もジュネーブでやっていたと思うんです。

 それはそれとして、閣僚もかわりますし、そういう中で、本当に世界貿易の枠組みの中で日本が、関税障壁の問題もあるし、それからお米を特例化するとか云々、今回は結局先送りだったんだなという印象を私は持っております。それが必ずしもいいかどうかはわかりませんけれども、あの機能、WTOというものをもっと有機的に機能的にするために、日本政府の立場というものは、これは私は閣僚なんかが出てくる話じゃないんじゃないかという感じがしますね、こういう状態の政治が続いている中においては。

 結論は、専任者、民間でもいいと思いますし、官僚でも、リタイアした方でもいいかと思うんですけれども、公正で中立な方が専任で出ていかないと、閣僚が今回はなぜか、私のときは外務省は、絶対に経産大臣と行くようにと官邸から大変、国会の答弁があって、何かのときは答弁があるから一分でも二分でも抜けてはいけないと言うのに、今度は行け行けと大変なことだったんですが、実際は役人主導でやっているなという感じだったんですね、継続性がないですから。ずっと役人は続けて出ていますからね。ところが、今回は外務大臣はきっとほかの用があって行かない、そうなのかなと思っているんですが。

 どういうバランスで、どういうメジャーメントで内閣が判断しているかわかりませんが、一般の国民の皆さんたち、生活者としては、この問題を非常に注目しているわけですよね、多岐な、いろいろな業界にわたるわけですから。それにお出になってお帰りになったばかりですから、率直なところを、どういうふうにWTOと日本の政府のかかわり方について思っていらっしゃるか、お述べいただければと思います。

中川国務大臣 田中委員の方は外交全体については専門家でいらっしゃいますが、たまたま先週一週間の感想を述べよということでございますので、まず、よく言われるのは、日本は三人の大臣がそれぞれ行って、ともすれば、ばらばらに担当も違うし、目的といいましょうか、各省の目標が違うということで、よく内外からやゆされることが多いわけであります。ただ、複数大臣が行く例というのは、田中委員も御承知のとおり、EUなんというのは貿易担当委員と農業委員が行きますし、それから、今回はカナダも貿易大臣と農業大臣が来ておられましたし、そのほか、数カ国来ておりました。

 私自身、率直に申し上げて、マスコミからやゆされることは、それは結果としてそうであれば仕方がないわけですけれども、大事な会議でございますから、絶対に実態論においてばらばらにならないようにしようということは、亀井大臣と飛行機の中でじっくり打ち合わせをいたしました。主に行った役所は、外務省、農林水産省、そして私ども経済産業省と財務省でございましたけれども、私ども二人の大臣が、それぞれの役所を超えて、例えば大臣がいらっしゃっていない外務省あるいは財務省の分も含めて、きちっと全体を見、そして両大臣がよく連絡を折に触れてとり合う。

 私も農林大臣経験者でございますし、また、亀井農水大臣はいろいろと経済関係のことに大変お詳しい大臣でございますから、そういう意味でよく連絡をとり合いながら、少なくともこれは最後は闘いになるわけでありまして、いわゆる少数国会合なんというのは二日徹夜でやりましたけれども、今おっしゃったように、ゼーリック代表だとかラミー委員なんというのは、もう本当に頭のいい方で、学生時代から弁論の勉強をして、そして法律の専門家で、しかも政治家じゃございませんから選挙の心配も要らないというところで、物すごい議論をするんですね。

 一つだけ例を挙げますと、私は田中委員と違ってほとんど英語がわからないんですけれども、ある文章の中に「ジーズ・エレメンツ」という言葉が入っていたんですが、この「ジーズ・エレメンツ」について、アメリカ、EUを含め、ほとんどの国の人たちは、交渉を何年間もやっている、しかも英語ぺらぺらの人たちですから、「ジーズ・エレメンツ」なのか「ザ・エレメント」なのか「ア・エレメント」なのかで一時間ぐらい議論をやっているんですね。私にとっては、正直言って、何か中学校一年の英語の勉強を思い出しているようですが、実は、これが交渉の中身だと。「ジーズ」の複数形になるのか「ザ」がつくのか「ア」がつくのかでもって、そのエレメントの意味が全体に極めて影響してくるんだというんですけれども、通訳の人が一生懸命訳してくれますが、そんなものどうでもいいじゃないかというのが私の正直な気持ちなんですけれども、そこがやはり政治家の、私自身のアバウトなところであります。

 それから、もう一つだけ、これは聞いた例でありますけれども、例の五カ国、NG5と言われている、今回、実質農業の話し合いを煮詰めたと言われている国々の中に、ゼーリックさんとラミーさん、フィシュラーさん、それからブラジルのアモリンさんという外務大臣、これらはもう交渉のプロです。そして、選挙の洗礼を受けていない人たちです。他方、このメンバーの中のインドと豪州は政治家であって、いわゆるたたき上げの政治家の人たちですから、この人たちが、一日半、ほとんど徹夜で、我々の会議の前に実質的に農業合意を決めようといってやったらしいんですけれども、それに参加していたある国の大使から聞きましたけれども、もう政治家はこの議論についていけない。それに、法律家の人たちの、しかも弁の立つ法律家が、あるところで、さっきの「ザ」と「ア」と複数形じゃありませんけれども、そんなところをぱぱっと議論をしたり、その次の瞬間にはまた全然違う議論でどうするかと。例外品目についてはどうだとか、キャッピングタックスについてはどうだとか、そういう話をぱぱぱぱっと資料も見ずにやっていくと、豪州やインドの大臣ですらもうついていけない。日本は入っていなくてよかったね、こういうふうに言う、変な意味で励まされたという話を聞いたことが先週あります。

 事ほど、ある意味では国益を守るために必死になって各国頑張っているわけであります。日本は、そういう意味で、語学のハンディキャップ、それから大臣が今回二人、場合によっては外務大臣も含めて三人行くわけでありますけれども、ですから、今回は各省間の連携は非常にうまくいったと、正直言って、私は自信を持って皆様方に報告をさせていただくことができるというふうに思っております。何か御質問があれば私は喜んでお答えいたしますけれども。

 そして、成果としても、農業も含めて、これは先ほど冒頭申し上げたように、脱線状態から線路の上に車両を整備して乗っけて、そして加盟国がそこの列車に乗り込んで発車のベルをいつでも押せるような状態に戻したというのが、今回の会合のある意味では比喩としてはそういう状態でございますので、そういう意味では、日本の立場、内容も十分反映された形で、さあ、いよいよこの線路の上を終着駅に向かって進んでいこうというところの準備段階が完了したという全体としての問題と、日本の立場、先ほど松島委員からも質問がありました、いろいろなセンシティブな問題を含めて、結果としては、スタートラインとしてはいいスタートラインに日本としてもつくことができたというふうに私は委員会の先生方に御報告ができるというふうに思っております。

田中(眞)委員 前段は全く私も同感でございますけれども、今のことが新しいスタートラインについたとはとても思っておりませんで、相も変わらずだと。これはどの政権ができても多分こういう状態が続くだろうと思うことは、今も先生がおっしゃったように、政治家のトレーニングができていないし、私が先ほどプロポーザルしましたように、やはり、専任の人がいないとああいう交渉はできませんね。できないことをよく知っているのは役人ですね。たまたまその外務省の先ほど申し上げた方なんかは、語学も外務省きっての、最近見たことないほど上手だと思っていますし、こなれていますし、いろいろな知識もありますから、彼がいる間はいいけれども、彼は議員じゃありませんし、一外交官ですから。

 そういう中で我々の国民の生活に密接不可分な問題が決まっているんだと。WTOという言葉はみんな知っているんだけれども、農家も工業も。実際のあの会議に行ってみると、私なんか、これはとても立ち行かないと思いました。サミット一つにしても、御存じでしょうけれども、すべてノートパソコンでやっていますよね。もう言葉の入れかえ、首脳同士がパソコンを打ちながらどんどんどんどん変えていくわけですから、そこで日本の総理にだれがなっても、まあ、今の方は特にだめだと思うんですが、お客さんみたいなものなんですよ。役所の審議官か何かが全部やっちゃうわけですから、ちょっと失礼しますとやるわけです。私もわからないから、どこかポイントがあったら教えてくださいといって聞きに行くわけじゃないんですけれども、そういう状態で我々の生活に密接不可分な問題が決まっているんだということを、やはり我々参加した者は、政治家は、選挙の洗礼を受けてきて有権者の目を見ているわけですから、それを言わなきゃだめですよ。

 そのために私は専任を、もうゼーリックなんか、結構すごいこと、激しいことを後で、会議が終わってから、全然違うことを個人的に文句を言いに来たりとかしていましたし、私のときは、ニュージーランドの議長がいましたけれども、個人的に部屋へ行って話をしたい、役人、全部出してくれと言って、一対一でもって話をするんです。次の開催地の問題もテロの問題もあったんですけれども、それから関税障壁の問題もそうですが。

 そういうことをほかの国がやっていて、日本だけが役人がずらっといて、大臣が、まあ言葉の面もあるでしょうけれども、全然だめなんです、私も。だから、困っちゃったんですけれども、ほかの大臣方、今まで営々と困らずにこれはどうやってカバーアップしてきたのか、やはり上手に役人がつくっていると思うんですが。

 なぜかといいますと、今回の災害でも、お米が大変な被害を受けている。これはもちろんコシヒカリ系統ですから優良米でありますけれども、そうであるかどうか、新潟県のことだけではなくて、こういう食料被害が生じた場合にどうするか。減反を督励してやらせて、青刈りをやらせて、今日まで来ていて、農政がくるくる猫の目で変わってきた中で、これだけの田んぼがもうずうっと湖、海のような状態になっているんですね。これは、三日以上穂が中の方で出始めたときに水に浸されれば、もう完全に古米としても使えなくなってしまう。全部廃棄処分なんですね、コストをかけて。そういう中で、日本の食料自給率が今三〇%でしたかしら、その中で災害が起こったとき、世界に対しても、どうやって援助をしていくのかということも踏まえた中でWTOの問題もやっていかなきゃいかぬ。単に日本の食料、米を守ればいいという原始的な理論では決してない。

 けれども、同時に、世界四十九億ですか、ある人口の中で、日本がどういう食料の提供をするのかということをやはり大きな目で見て、ああいう会議でもってやはりイニシアチブをとれるような人を、もう政治家は当分、まあ、若い議員さん、今後将来、三十代、二十代が出てくるときどうなのか知りませんけれども、待っていられないわけですから。もうタイムラグというのは、政治で今、先送りとそれから時間がかかり過ぎるというのは、これは本当に切実な問題だと私は思っておりますので、これはやはり、決めるのは政治家がやっていくわけですから、中川大臣には、いろいろ経験もしていらっしゃるわけですから、実際はこうなんだと、きれいごとではなくて、問題点はこれとこれ、役人は二年か三年たったらかわっちゃうわけですから、やはり政治家が国民の生命財産と世界に対して責任があるんだという認識のもとで、ぜひ今後も御活躍いただきたいと思います。

 あと二分ほど残っておりますけれども、次の方に時間を差し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。あこがれの田中眞紀子さんの次にしゃべらせていただくことを光栄に思います。

 さて、本日は、先月発生いたしました集中豪雨による水害に被災された中小企業並びに零細な商工業者の支援対策について質問をさせていただきたいと思います。

 質問に先立ちまして、このたびの豪雨災害で犠牲となられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 また、本来ですと、私の同僚である菊田まきこ委員が、被害の大きかった新潟の三条市や見附市を選挙区とされておられます。同じ経済産業委員なので、本日は菊田まきこさんの方がここでお話をさせていただく予定でしたが、本日はあいにく災害対策特別委員会の現地調査と重なったため、私がそのお時間をいただくことになりました。

 きのう、菊田さんともさんざんいろいろな御意見を交換させていただきました。私も、災害が起こった直後、すぐに新潟へ飛んでいきました。そして、菊田さんと一緒に現場をいろいろ調査させていただきました。そして、きのうの打ち合わせも含めて、菊田さんの御意見を入れて質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。

 さて、私の地元は富山県です。新潟県の隣です。今回の豪雨で災害の大きかった福井県とも同じ北陸ブロックです。まずは現場を自分の目で見ることが必要だ、そう思いました。そして、七月十九日は新潟県の三条市と見附市、ここに菊田さんと一緒に行く。そして、七月二十三日には福井県にそれぞれ足を運んでいって、現場をじっくり自分の目で見てまいりました。さらに、七月の二十四日には、何と、新潟、福井に続き、私の地元の富山県も集中豪雨の災害を受けました。幸い決壊はなく、用水があふれただけで、百軒前後で済みましたが、本当に今、気候変動で、日本全体でかつて例のなかった異常気象ということがどんどん起こり始めた。徳島も同じように、今まで百年に一回しか起こり得ないなどと言われた異常気象が頻繁に起こることが当たり前になってしまった。そういう中で、私たちは、今後、水害に対しての防止策、そして復旧策などを真剣に議論していく必要があるんじゃないか、そのように考えております。

 今回の水害は、河川からあふれ出た大量の泥水が押し寄せたものであります。一般の住宅では畳や家具類、テレビや冷蔵庫などの電化製品が泥水につかり、自動車やバイクなども泥水に流されました。私も現場に行って、ああと思ってびっくりしたことがあります。駐車場があったんです。駐車場にたくさん車が並んでいて、これを見たら、大体窓ガラスまで泥がくっついているんですね。話を聞いてみると、これが全部ごみだと言うんです。そうなんです。車は一度泥水につかってしまうともう動けないんです。電子部品が中心になっている今の車、泥水につかってしまうと動かすだけでも大変。そして、処理をするのにもお金がかかる。そういったごみになってしまうという話を聞いて、本当に大変だなと思いました。そして、泥水につかってしまった自動車が車の交通を妨げる、それをどかすだけでも大変だ。今そういった現状を、本当に胸が痛い思いで見させていただきました。

 同じように、工場や商店や事業所なども泥水の水害に遭っています。泥水につかり、工場の機械や原材料がだめになる、商品がだめになる、在庫品もだめになる。そして、精密機械や工作機械は使えなくなります。そういった被災した工場や商店や事業所は、ほとんどが中小企業、零細企業ではないかと思います。この災害によって経営上大きなマイナスを背負うことになった中小企業の復旧支援について、その対策を中心に順次お尋ねしたいと思います。

 まず、現時点において、経済産業省は、七月の豪雨災害における被災地域の商工業者への損害、経済的損失をどのぐらいと見ておられますでしょうか。地域別にわかっているところをお答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 現時点で私どもが把握しておりますのは、まず、新潟県につきまして申し上げますと、新潟県の調査によりますと、県内商工業者約三万五千事業者のうち、約一割に及ぶ約三千の事業者が被害を受けているというふうに考えております。三条市の刃物産業、プレス・金型産業、見附市のニット産業が、製造装置の冠水による被害を受けているとの注進でございます。

 それから、福井県におきましては、漆器産業のある鯖江市や和紙の産地である今立町が浸水により大きな被害が生じているというふうに伺っております。

 これら産地におきましては、例えば繊維産業においては、秋冬物の製造がピークを迎えるやさきにあったところに生産設備である編み機や原材料の浸水被害を受けている。また、漆器産業においては、原材料の漆が浸水により大きな被害を受けるなど、浸水による設備、材料、在庫に対する甚大な被害が発生しているものと承知はしております。

 被害の金額につきましては、今後の調査を待ちたいというふうに思っております。

村井(宗)委員 それでは、今おっしゃられたような内容で、新潟県や福井県、そして富山県も含めて、地域の経済、地域の景気、雇用に与える影響はどのように見ておられますでしょうか。今把握しているところをお答えください。

望月政府参考人 これはなかなか、どこまで波及するかということは現時点でははかりがたいところではございますけれども、例えば、今申し上げました繊維産業におきましても、一番ピーク時に受注を抱えているわけでございまして、これが納期がおくれることによる被害がどうなるか。そういうことによって、現時点では、私ども、事業者の皆様方からのお話を承っておりますと、歯を食いしばって頑張っていくというような状態になっているわけでございますので、直ちに雇用に大きな影響が及ぶというふうには受け取ってはございませんけれども、中には、地場産業でこれまで大変厳しい状況の中で必死に経営をしておられた方々にとっては、もうこれ以上自分の事業を続けていくのは立ち行かないんじゃないかというふうに気力を失いかかっている中小零細企業の方もおられるというふうに承っておりまして、商工会議所とか商工会などの相談窓口におきましても、何とかこういうことについての個別の対策を、激励をしながら事業継続についての支援をしていきたいというような必死の状況にあることも事実でございます。

 今後につきましては、そういった意味で、一日も早くこういう事業者の方々が事業の健全な経営に立ち戻れるようにということで万全を尽くしていきたいというふうに考えております。

村井(宗)委員 今のところ具体的な数字というものは見えていない、そういうような内容でございました。ぜひ、次の秋の臨時国会では、きちんとした被害の総額や数字をまたこの委員会で御報告いただければと思います。

 経済産業省の関東経済産業局は、早速現地に入って、直ちに善後策の対応に当たられたと伺っております。本当にありがとうございます。

 ちょっと通告していない質問なんですが、大臣は、例えば、現場に入って、今後の被害や、そして、今復旧するのに大変だという現場の声などを聞いてみるおつもりはありますでしょうか。どうでしょうか。

中川国務大臣 七月十三日以降に発生したことで、総理はすぐに行かれたので、そしてまた、私は先週ニュースで、また、先週の大雨もジュネーブで見ておりました。行かないということではございませんが、必要があれば必ず行かなければいけないとは思っておりますが、今のところ日程にはないというのが事実でございます。

村井(宗)委員 今、中小企業庁の方がおっしゃられたように、実際、現場ではいろいろな声があります。もしよろしかったら、この国会が終わられてからぜひ一度現場を見ていただいて、そして本当に復旧のために必要な現状などを、今後対応していただければと思っています。

 日本全体の景気に回復の兆しが見えるといっても、それは輸出関連の大企業が中心であり、地方の中小企業や零細な商工業者はまだまだ厳しい経営環境にあります。何とか経営をやりくりし、当面の資金繰りに苦労している中小企業にとりましては、今回の水害は本当に気の毒であり、国としてもでき得る限りの支援をして、何とか復旧させていかなければならないと考えております。

 工場や機械が泥水に汚れてしまい、操業を再開するめども立たず、廃業するしかないというところまで追い込まれている事業者も多いと聞いております。また、原材料や在庫品をすべて泥水でやられてしまい、資金繰りが立ち行かなくなっているところもある、そういう声を聞いてきました。災害に遭った中小企業の厳しい現実を踏まえた支援策、きめ細やかな支援策が望まれると思います。

 特に、工場をもとどおりに復旧して一日も早く生産を再開したい企業にとりましては、機械の修理や入れかえ、部品の取りかえなどが急務です。このため、経済産業省は関連業界に対し速やかな働きかけを実施されたと聞いております。この措置については、地元からも大変感謝されているそうです。

 ここに、七月二十一日、経済産業省が出した通達文書、「工場等復旧のための代替工作機械等の優先融通に関する要請について」という文書を私は持たせていただいております。新潟や福島の豪雨、福井の豪雨、そういった被災状況につき、優先的な融通を各業界団体にお願いされたということ、本当に私もすばらしいことだと思います。

 この経過について、せっかくですのでお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 今、村井先生からお話があった件についての経緯でございますけれども、七月十九日に小泉総理が現地を視察しました。そのときに、平山新潟県知事から、復旧に必要な代替の工作機械、そういうものが不足している、政府として対応をお願いしたいという要望がございました。そのほか、現地の業界等からもそのような話がございます。

 そういうような要望を踏まえまして、被災地における工場などの早急な復旧を図る、そういうことのために、復旧に必要な代替工作機械それから建設資材、そういうものの優先的な融通をする必要があるということで、最大限の便宜を図るよう、当省として、今先生がおっしゃったような形で五十団体に協力要請を行ったという経緯でございます。

村井(宗)委員 私は、この要請文を出したこと、非常によかったと思います。今までのようにゆっくり機械を直すとか部品を調達するということになっていたら、経済の復旧、本当に困ったことになると思います。

 ただ、この優先融通に関する要請を出された結果、その効果はいかがだったでしょうか。比較的協力的だった業界団体とそうじゃなかった業界団体があったというふうに聞いておりますが、いかがでしょうか。

石毛政府参考人 そういう要請を出した結果でございますけれども、もちろんまだ事態が動いていることでございますけれども、幾つかの例を申し上げますと、編み機のケースでは、見附市内の販売先の八十社のうち、七社の七十台の機械にさびが発生してしまった、そういうことで、対策チームを早速編成して現地に最優先で部品供給を実施した、そういうようなケース。それから、三条市内にある企業のケースですけれども、ユーザーの企業に対して技術者を派遣してメンテナンスを実施している、そういうようなことが行われております。そういう形で、既に迅速な対応がかなりのところで行われているというふうに承知をしております。

 そういう結果、機械製造企業の中には既に全面的に操業が再開されたというところもあると聞いております。ただ、壊れたといいますか水につかった機械の中には、特殊モーターを使っているとか、そういうことでその調達に二週間かかるとか、あるいはコンピューターの基板が壊れてしまって、それで、交換用の在庫が今ちょっと足りないので少し時間がかかるとか、そういうようないろいろなケースがございます。そういうようなことで、一カ月程度操業がおくれるというようなこともあると聞いております。

 私どもとしては、被災地の産業の一刻も早い復旧を図るという観点から、今後とも、それぞれの地域、産業の個別の事情に応じまして最大限の支援に取り組んでいきたいというふうに思っております。

村井(宗)委員 今おっしゃられたように、本当に復旧のためにはそういったいろいろな業界団体の協力というものが私は非常に必要だと思います。今後、災害が起こったとき、そしてこれからの復旧をさらに進めるためにも、私は、そういった操業再開へ向けて協力してくださっているところをもっと公表して、イメージアップにつながるようにする、そうすることによってもっと積極的に操業再開へ向けての協力をしてもらえると思うんですが、その辺の実態の把握や検証、そしてそういったものの公開ということを進めたらいいかと思うんですが、どうでしょうか。

石毛政府参考人 業界団体に要請を出した結果について今幾つかの例を申し上げましたけれども、そういうふうに上がってきた情報に加えまして、経済産業省としまして、地元の実態をより詳しく調査するということで、先生御指摘の関東経済局あるいは近畿局の局長以下、そういう把握に努めているということに加えまして、当省本省の職員を現地に派遣しております。繊維課あるいは素形材産業室、伝統産品の対策室、そういうところの関係職員を現地に派遣しまして実態把握に努めております。その段階で、県の担当者あるいは現地の被災企業、そういうところと復興の方策について検討を行っているところでございます。

 今先生がおっしゃられました、非常によくやっているところについて、そういう例を公表したらどうかというお話でございますので、そういうことについても検討させていただきたいと思います。ただ、個別の企業の宣伝ということになってもどうかと思いますので、その辺のところについても配慮しながら考えてみたいと思います。

村井(宗)委員 それでは、次の質問に移ります。

 被害を受けてしまった中小企業への金融面での支援施策について話を変えさせていただきたいと思います。

 災害によって生産や営業を休止せざるを得ない中小企業や商工業者は、まず第一に、当面の運転資金が必要です。そして次に、生産や営業を再開するために必要な資金が調達できなければなりません。壊れた機械を修理し、汚れた工場を清掃し、使えなくなった機械器具を新しく入れかえなければなりません。もともと、ただでさえ資金繰りは楽でなかったところへこの水害ですから、本当に余裕もないと思います。

 政府は、相談窓口の設置や中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫による災害復旧貸し付けの受け付けを開始されております。そこでお伺いいたしますが、現時点で、この災害復旧貸し付けの利用申し込み状況はどのようになっておりますでしょうか。

望月政府参考人 政府系の今の災害復旧貸し付けにつきましては、私ども、申し込みというか、相談というのにまず入るわけでございますけれども、相談件数で申し上げますと、新潟県の場合二百十件、それから福井県の場合五十二件ございまして、現実に融資が行われましたのが、新潟県の場合二十六件、二億五百万円、それから福井県の場合一件、七百万円というのが現実にもう融資の実行が行われたところでございまして、他については今審査手続中と考えております。

村井(宗)委員 二百十件のうち二十六件、そして五十二件のうち一件ということでしたが、これは率にして聞くとちょっと少ないように思います。もちろん、今後いろいろ調べて、本当に貸し出しできるかどうかということを慎重に検討されるということだと思いますが、何とぞその辺、御配慮のほどお願い申し上げます。

 さて、特に私は、この災害復旧貸し付けの金利の部分について申し上げたいと思っています。

 政府系金融機関の災害復旧貸し付けについては一・八%という基準金利が設定されています。超低金利の、しかもデフレ経済下で、この金利のままで本当によいかという疑問が出ております。つまり、資金繰りの苦しい中小零細企業にとって、これから災害の被害から立ち直ろうとするときの金利が果たしてこの水準で適当なのかどうかという問題です。

 片や、激甚災害に指定された場合、特例の利率が三%以上六・二%未満となっており、これも現在の金利水準に全くそぐわないものであります。この災害復旧貸し付けの一・八%をさらに下げる考えはありませんでしょうか、お伺い申し上げます。

望月政府参考人 現時点では、直ちに実行いたしました災害復旧貸し付けについては一・八%の基準金利でやるということでやってございます。

 これから先ほど来御議論のございました激甚災の指定などが行われますと、これはある意味で自動的に、特利の三というお尋ねの制度が適用されることになりますと、現時点では〇・九%という特別優遇金利が適用されることになるというふうに考えております。したがいまして、先ほど来お話にあります激甚災の指定というのは、かなり広範囲にいろいろな影響が及ぶことであろうというふうに考えているところでございます。

村井(宗)委員 今の激甚災害法の十五条のところに、商工組合中央金庫の貸し出しの利率の部分が定められておられると思うんですが、この部分の御説明をお願いしてよろしいでしょうか。

望月政府参考人 今おっしゃいましたのは商中、商工中金のお話かと思いますけれども、下限金利が三%になっているので、これはかなり高金利時代の設定だろうと思います。これは別途、閣議決定によって引き下げることができるということになると思いますので、激甚災が行われましたときの閣議決定の一部にそういうものが、もっと引き下げる話が入ってくるというふうに考えております。したがいまして、政府系金融機関の優遇特利の適用とほぼ同様のものが適用されていくというふうに考えているところでございます。

村井(宗)委員 閣議決定によって引き下げることができるという話を今いただきましたので、大臣にちょっとまた、通告していなかったんですが、お伺いしてよろしいでしょうか。非常に簡単な質問でございます。

 今、激甚災害法の十五条の指定によれば、この法律は、まず高金利の時代につくられたものです。そして、もともと基準金利がもっと高かった時代につくった法律によれば、三%まで低金利で災害復旧貸し付けをできるというふうに書いてあります。ところが、今低金利で、基準は一・八%となっています。さて、今の基準金利である一・八%とこの激甚災害法の十五条に書いてある三%と、どちらが金利が高いでしょうか、どちらが安いでしょうか。

中川国務大臣 三%の方が高いと思います。

村井(宗)委員 だとすれば、本当に高金利の時代につくったこの三%という基準、これを閣議決定によって下げる、そうしないと災害復旧貸し付けの意味が私はないと思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

中川国務大臣 財務省的な理屈を言えば、この金利というのは、多分財投の金利から引っ張ってきて、その結果としてぎりぎりのところが三%だというのが財政当局側の理屈だと思います。

 しかし、おっしゃるとおり、私も政治家でございますから、この三%という金利が決して優遇金利としての数字としては、まさにおっしゃるデフレ、経済がよくなっているとはいえデフレ状態が続いているこの現状において、この三%で借りれば借りるほど金利負担が実質大きくなっていくという、スパイラル状態に続いているかどうかは別にいたしまして、いずれにしても、その三%という金利は、私は、高い、重たい、決して優遇ではない、他方一・八%というものが現にあるわけでございますから。激甚災害の指定になったときにはもっと優遇されるべきだというのは、私は、政治家の判断として当然のことだろうと思っております。

村井(宗)委員 先ほど中小企業庁の方から、閣議決定によって、法律上は三%と書いてあるけれども、もっと下げることができるという話をいただきました。何とぞ大臣の方で、また閣議の中で、その辺、一・八%という今の低金利の時代に合わせた本当の災害復旧貸し付けの金利に持っていってほしいというふうに願うんですが、一言お願いします。

中川国務大臣 最大限の努力をしたいと思います。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 そうしたら、ぜひ今の議事録、皆さんもまたしっかり見ていただいて、本当に一・八%以下の金利で災害復旧貸し付けができるように、最大限努力すると大臣がおっしゃられたということをマスコミの皆さんもしっかりと覚えていただければと、最大限の努力をするとおっしゃっていただいたことを皆さんもしっかり覚えていただければと思っております。

 さて、この災害復旧貸し付けの金利につきましては、県が利子補給を検討するような動きもあるようですが、仮定の話になりますが、この点についてはいかがでしょうか。

望月政府参考人 かつての阪神大震災だとかああいう大災害のときに、さらに、今の災害復旧貸し付けについて、金利を下げるために県のまず自主的な努力があって、それと私どもがつき合って金利を大幅に下げていくということがございました。今後の状態、情勢を見ながら、県の意見を聞きながら、そういうことの議論というのは行われる可能性があると思っております。

村井(宗)委員 激甚災害法の中には、いろいろな形で都道府県を、そして各地方公共団体を支援する中身があります。ところが、利子補給を都道府県がした場合、そういったものに支援をするという項目は、今のところ入っておりません。そこを何とか、仮に激甚災害に遭った地方が利子補給をした場合、そこにも協力をしてほしいと思うんですが、どうお考えでしょうか。

望月政府参考人 阪神、それから東海豪雨、三宅島等々のケースを、例示を挙げさせていただきましたけれども、そういった場合に、地方自治体が利子補給をして金利を下げます、それに加えまして国も追加的に費用負担をいたしまして、一番激しいケースでいえば金利ゼロにしたということでございまして、そういった、つまり実際に借り手の方に一番メリットのある形で国と自治体が協力していくという前例がございます。そういったことも、今後の激甚災害の指定等々を前提にいたしまして議論が行われていくという可能性があると思っております。

村井(宗)委員 災害復旧貸し付けの際の担保の問題についてお伺いいたします。

 水害を受けた地域の土地は、その担保価値を著しく低く評価されるおそれもあります。というのは、今後も水につかる可能性があるというふうに土地を見られる可能性があるということなんです。

 したがいまして、災害復旧貸し付けの担保の特例、今のところ、災害があった場所は五〇%担保徴収の免除、そして激甚災害になった場合は七五%の担保徴収の免除というふうに規定されておりますが、本当に復旧のためにお金を貸していくためには、さらに弾力的な担保の運用を検討する必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 とりあえずの災害復旧貸し付けにつきましての制度は、今先生おっしゃいましたように、激甚災になったときの貸付額の七五%または三千万円というのが、いずれか多い方を限度といたしまして担保徴求免除という制度がございます。したがいまして、まずこれについてどういうことになるのかということを私どもとしては見守っていきたいというふうに思っているところでございます。

村井(宗)委員 今、見守っていきたいということだったんですが、今弾力的な運用を検討する必要があると思うんですが、そういう担保のところについて検討する気はございますでしょうか。

望月政府参考人 災害の関連で一般的に適用される制度というのは、今申し上げたとおりの制度でございます。

 それから、これはまた別途でございますけれども、私どもは今、中小企業金融について、当委員会でも何度か議論をされておりますけれども、できる限り、いろいろな意味で無担保とか保証人なしとかいう制度を拡充していくということが大切な政策課題であるということを認識しながら制度の拡充を行っているところでございますので、個別のケースに応じて、事業者の方々の事情を伺いながら、そういう今つくろうとしている無担保制度とか無保証の制度とかいうものが適用されるのかどうかということは検討していく必要があると思っております。

 ただ、本件のように、できる限り速やかに運転資金が要るとかそういう事態になっているところでございますので、私どもとしては、その災害復旧貸し付けを直ちに御利用いただくということがまず第一ではないかというふうに考えております。

村井(宗)委員 次に移ります。

 信用保証協会のセーフティーネット保証についてお伺いいたします。

 激甚災害の指定の有無に関係なくセーフティーネット保証の別枠利用ができると思いますが、今回の水害に関しましてはどのように対応されますでしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 セーフティーネット保証につきましては激甚災とは別の基準がございますので、今回の被害調査の結果を見まして適用するということが検討できると思っております。

 先ほどの御質疑にもございましたように、大臣からの御指示もございますので、まず、先に起こりました新潟につきましてはある程度の調査が進んでいるようでございますので、そういったものを前提にして私どもも鋭意努力して、今週中にも結論を出していきたいというふうに考えているところでございます。

村井(宗)委員 金融関係についていろいろお聞きしてまいりましたが、相談窓口を置いても、いろいろな特例制度を設けても、それを本当に必要としている一人一人の中小業者そして商工業者に正しく伝わっていないと、何もならないと思います。

 水害に遭った中小企業の経営者、商工業者、自営業者の方々は、自分自身の住宅も水害に遭っているケースが多く見られます。個人の住宅復旧と企業の立て直しと、両方に取り組まなければなりません。個々のケースをよく聞き取って相談に乗ってあげる体制が必要だと思います。地域の商工会議所や商工会が政府系の金融機関としっかり連携をとっていく必要があると思います。

 そこでお伺いいたしますが、さまざまな支援制度について、実際に困っている被災者に対し、どのようにお知らせし、説明し、そして相談に乗っていますでしょうか。この細かい相談の体制、商工会議所や商工会と政府系金融機関との連携など、どう取り組んでおられますか、あわせてお伺いいたします。

望月政府参考人 委員会冒頭で申し上げましたように、今回の新潟及び福井での豪雨災害において、両県の政府系中小企業金融機関の各支店、信用保証協会、主要商工会議所、商工会連合会及び私どもの経済産業局に特別相談窓口を置いて、関連中小企業者の相談に応ずるような体制を整えておりますし、それぞれのところでは、できる限りワンストップサービスができるように、他機関の支援機関の情報なども御相談の内容に入れていくというような指導をしているところでございます。

 さはさりながら、御指摘のように、御自身の被災で手いっぱいの方々にこの支援制度を広報するということは大変重要なことでございますので、例えば新潟の三条市や福井県の福井市あるいは鯖江市の商工会議所などは、被災区域の商工業者の個別訪問を行っているところでございます。三条などは八百六十の会員の個別訪問を完了いたしておりまして、その調査結果などもまた取りまとめているところでございますし、鯖江の六百の会員あるいは福井の五百の会員などについて訪問をしている最中でございまして、こういった活動を通じまして支援制度のできる限りの広報に努めるということのようでございます。

村井(宗)委員 それでは、次に移ります。

 被災した中小企業の税金の問題です。税制の面から支援していく方法もあるかと思います。総務省の方にお尋ねしたいと思います。

 固定資産税の方についてお話ししたいと思うんです。固定資産税は三年に一回評価をすることになっています。ことしの一月に既に評価をされていると思うんですが、今回七月に被災した場合、そのままですと、ことしの一月に算定した基準額、これに応じてあと二年半、実際、本当のその建物の価値は下がっていたり、土地の価値が下がったりすることもあるかと思うんですが、そのまま高い値段を払う必要が出てくるかと思います。

 そこで、今総務省の方でもそういったことに対しての通達文書、七月三十日付で「平成十六年七月新潟・福島豪雨による被災納税者に対する減免措置等について」という文書を出されていると思います。それについて御説明をお願いいたします。

板倉政府参考人 固定資産税の関係につきましてお答え申し上げます。

 災害によりまして被災をされた納税者等につきましては、一時的に担税力が減少するということもございますので、地方税法及びこれに基づきます各地方団体の条例の定めるところによりまして、地方公共団体は、期限の延長、徴収の猶予、さらに減免措置、これらを講じてその救済を図ることができるということになっております。

 今回の新潟、福島及び福井におきます豪雨による被害を受けた納税者に係ります固定資産税につきましても、被災の状況等を踏まえまして各市町村が減免等の所要の措置を講ずることとなりますけれども、政府といたしましても、これらの措置について適切な運営が図られますように、七月三十日付で、今おっしゃいました地方団体への通知でお願いをしたということでございます。

村井(宗)委員 今の部分について、特に減免の部分についてもう少し詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか。評価額の算定そのものをもう一度見直して安くするのか、それとも、評価額はそのままにしておいて払う額だけを下げるのか、どういう形になりますでしょうか。

板倉政府参考人 固定資産税の課税の仕組みから申し上げますと、一月一日現在に所在をしている固定資産に対しまして、その年の、新しい年度に課税をする、こういう仕組みでございますので、途中でその課税の対象が災害でなくなったというような場合でも、制度的に言いますと一月一日に存在をしたということで課税対象になるというのが本来の仕組みでございますけれども、それはちょっと納税者の感情にも合致しないというようなことがございますので、この減免の規定によりまして、例えばそれがなくなってしまえばそれに応じた減免を行う、それが半分壊れればそれに応じた減免を行うというようなことで、それぞれの市町村で適切に対応をしていただく、こういうことでございます。

村井(宗)委員 特定の地場産業や伝統産業など、地域経済に大きなウエートを占める特定の分野の復旧に向けた取り組みはいかがでしょうか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 今回被災した地域の地場産業でございますけれども、バブル崩壊以降の景気の低迷の中で、そういう状況から立ち直れない、そういう厳しい状況にあった方も相当あるというふうに承知をしております。そういう観点から、私どもとしては、災害の復旧にとどまらず、この際、競争力を強化して地場産業の振興を目指す、そういうことが必要なのかな、そういうことが物づくり振興の観点からも大切なことだろう、そういうふうに思っております。

 現に、実際に職員を現地に派遣いたしまして地元の実態を詳細に調査をしましたところ、災害の復旧だけではなくて、事業の充実といいますか、この際事業を前向きに立て直していきたい、そういうふうに取り組んでいきたい、そういう積極的な姿勢を示しておられる方も相当あるということがわかりました。

 私どもとしては、現地のそういう頑張りをきめ細やかにとらえまして、今後ともそれぞれの地域、産業の個別要望を踏まえながら、個別の事情に応じて最大限支援をしていきたい、そういうふうに思っております。

村井(宗)委員 今、復旧支援策などもおっしゃっていただきました。

 それよりも私は、こういう復旧の支援策があるんじゃないかなと思っていることが一件ありまして、今既に借り入れしている融資について、その返済の期間などを軽減してあげる取り扱いなども有効かと思うんですが、この辺についてはどうお考えでしょうか。

望月政府参考人 借り入れの、先ほどの政府系の中小企業金融機関などの場合には、事情に応じて返済猶予とかあるいは条件変更だとか、そういうことの御相談にも乗るようにというふうに指示しておりますので、必要に応じてそういう議論が行われると思っております。

村井(宗)委員 先ほど融資の部分で、新規の融資の相談の例、そして貸し出しの申し込みの状況などを説明されましたが、同じように、いや、実際今仕事がなくなった、すぐにお金を返せない、そういった相談なども届いておりますでしょうか。

望月政府参考人 私どもが承っている、現時点で飛び込んでこられている話は、何とか新しいお金をという方の相談の件数が多いようでございますが、今後、やはり被害の実態あるいは復旧のテンポなどがだんだんわかるにつれて、いろいろな意味で返済猶予等々の御相談が出てくるのではないかというふうに思っております。

村井(宗)委員 中小企業庁そして経済産業省として、その返済の猶予などについての指示文書のようなものを政府系金融機関などに出される予定はございますでしょうか。

望月政府参考人 最初に相談窓口等々の今回の一括の体制をとるようにと言った中に、今の返済猶予等々についても言及がされてございます。

村井(宗)委員 ありがとうございました。

 これまでいろいろお聞きしてまいりましたが、最後に大臣にまとめてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の豪雨災害で被災された中小企業について、その復旧支援に取り組む経済産業大臣の決意と姿勢をお聞かせください。先ほどちょっと抜き打ちのような形で振ってしまいましたが、おっしゃられた災害復旧貸し付けの部分も再度繰り返し含めていただいて結構ですので、その決意と姿勢をお聞かせください。

中川国務大臣 今回被災された特に我が省関連の地場産業は、ニットにしましても、あるいは金属加工産業にしましても、和紙あるいは漆器、眼鏡産業等々、いずれも世界に冠たる地場産業だと思います。しかし、中小企業の状況というのは、決してこの地域、この業種においても、よくはなっているんでしょうけれども、絶好調という状況にはまだないのではないか。その中での今回の被災でございますから、我々は、もちろん被災に対しての対策をとるというだけではなくて、先ほども申し上げたように、世界に冠たる日本の地場産業でありますから、さらに前進ができるように、単なる原状回復ではなくて、もっと一歩踏み込んだ回復といいましょうか、前に進めるような対策を、我が省として、また政府全体として万全を尽くしてやっていきたいというふうに考えております。

村井(宗)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

根本委員長 塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、新潟、福井などの豪雨災害の地域における中小企業、地場産業の災害被災支援対策について質問をさせていただきます。

 きょうのようにこのような質疑の機会が設けられ、また、週明けには現地への実態調査、視察が行われる、そういう点でも、委員長を初めとした理事の皆さんの御努力、本当にうれしく思っております。やはりある意味では、今回の豪雨災害というのが中小企業、地場産地に対して大変な被害を与えた、同時に、これに対しての支援策が本当にふさわしいものなのかどうか、このことが本当に注目をされている、このことのあらわれがこういう委員会審議や視察という形でもあらわれているのかと思います。ぜひその点で、現場の声などを踏まえて御質問をさせていただきたいと思っております。

 新潟県の三条市が、三条市役所と商工会議所、それからあと新潟経営大学の学生の方と一緒に、三条市内にあります全事業所の調査を行ったそうであります。二千近い事業所を訪問して、八五%の事業所には実際に対面調査も行われたということですけれども、これも被害に遭った割合が七一・三%と、実際被害に遭った事業所の三分の一が製造業である。七月三十一日の取りまとめですけれども、実際、これは暫定的な調査でもありますし、大きな規模の事業所の被害額が入っていないとか、取引先との関係についての今後予想されるような被害想定などもカウントされておりませんので、被害額の実態がもっと大きくなるだろうと言われていますけれども、この被害額につきましても、三条市において合計で百五十億円、そのうち製造業が六十億円を占めております。

 被害の内容別内訳を見ますと、百五十億円を見ますと、設備関係が七十四億円でほぼ半分ですね。それから、製品や商品等、半製品なども含めたその被害というのが四十五億円ということですから、ほぼ三分の一を占める。それ以外に車両などの被害を受けているというのが現実だということであります。

 この三条は御承知のとおり金属加工業などが集積をしている地域で、二百五十の金属加工業の事業者のうち百近くが被害を受けているそうで、市役所としても、壊滅的な打撃を受けた、こういうことが言われております。それは九人以下の小規模零細な事業者というのが九割以上ですから、そういった小規模零細な事業者の支援策というのが実際の現地に見合った災害支援策につながっていくんだと思うんです。

 お聞きしたお話としても、この三条市の金属加工業の零細業者の方、夫婦でお仕事をされておられる方も、工作機械や材料、製品が水につかって、八百万から一千万の被害が出てしまった。仕事を始めて四十年以上になるけれども、夫婦でこつこつためてきたものがすべて流されてしまった。わずか三十分の水害で、三十年、四十年積み上げたものが失われてしまった。そういう人に対して、本当に立ち上がれるようなそういう支援策というのが求められていると思います。

 一方、福井県も繊維産業の地場産地でもありますし、越前漆器や越前和紙の伝統的工芸品産業の集積しているところでもあります。鯖江市の河和田地区の漆器などは、業務用の漆器の八割がここで生産をされている非常に大きな産地でもありますが、ここでも組合員の方の半分が被害を受けているそうで、倉庫の中にあった在庫ですとか半製品なんかも全部流されてしまった。泥棒に遭ったようなものだ、どうしたらいいのか、こういう思いの方が多数いらっしゃるというのが現状です。

 そういう上で何点かお聞きしたいんですけれども、やはりスタートの上で資金繰りというのはどうしても大事になってまいります。そういう点でも融資への相談や要望が強いわけですけれども、災害救助法に基づく取り組みとしても災害復旧貸付制度などがスタートしていますが、やはり災害関係のセーフティーネット保証の発動が本当に急いで求められていると思います。新潟県、そして福井県に対して、このセーフティーネット保証の四号の発動というのがいつぐらいになるのか。ぜひ早目の対応ということで、この点、お答えいただきたいと思っております。

望月政府参考人 先ほどの御質疑にもございましたけれども、手続といたしましては、地元からの被害状況の調査結果を踏まえて、私どもで、政府として決断をするということになると思いますが、新潟につきましては大分調査が進んでいるようでございます。それから、先ほど大臣からの御指示もございましたので、できる限り今週中に結論を出したいというふうに考えているところでございます。

 それから、福井については、起こった日にちも十日ばかり後でございますので、今、調査の進捗も少しおくれておりますのでそれを見守っているところでございますが、これも同じことでございますので鋭意調査を督励させていただきまして、私どもとしてもできる限り速やかな対応をしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 セーフティーネット保証の実際に適用する基準というのが、二百万以上の被害のある事業者の方が五百社以上ですか、そういうのが一つの基準だそうですけれども、例えば今紹介した三条市の実態調査というのも、千二百の事業者に合計して百五十億円ですから、一事業者一千万円以上の被害になるわけで、これは七月の三十一日の時点で取りまとめも行われているわけです。そういう点でも、もう少し現場の動きとリンクして、もう少し早目に出せるようなスキームというのも考えられるんじゃないか。

 過去の、実際にセーフティーネットの四号の指定告示までの日数を見ますと、例えば三年前の芸予地震などは六十一日もかかっているとか、六年前の高知県の豪雨災害も百一日と三カ月以上かかる、平均して四十四日ぐらいというのが出ていましたけれども、この辺もう少し、本当にセーフティーネットというのであれば、早目に動かせるようなそういう対応策というのをこういう機会に大いに考えるべきじゃないか。その点、具体的に検討なりお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 災害対策というものの基本的な考え方にもよっているところが大きいと思いますが、基本的には、県、市町村の主体的な対応に私どもが支援をするという体制になっているわけでございます。

 先ほどの調査のこともございますけれども、基本的には当該市町村の認定というようなことがまず第一に来るということでございまして、その後の私どもの手続を速やかにするということは、これは今後さらに一層努力をしていくということはお約束できると思いますけれども、そういったことを含めて、できる限り迅速なコミュニケーションを自治体ととっていくということが肝要かと思っております。

塩川委員 概数で把握して適用するということも大いにあり得る話だと思いますから、災害の被害規模が全体として見えてくる、五百社以上が被害があるとかということは、いわば被害が起こった時点である程度推測がつくものだと思いますから、そういう点での努力というものをお願いしたいと思っていますし、二百万以上、五百社というのも、もう少し工夫の余地もあるんじゃないかなと。小さい規模でも事業者の方が大きな影響を受けているわけですから、そういう点での対応もお願いしたいと思っております。

 それから、このセーフティーネット保証は一般的には七年ぐらいの返済期間というふうに言われていますけれども、実際に被災をした事業者の方はもう体力がないわけですから、七年と言われても、それじゃ短い、十年以上とかそういうことをお願いできないかという声というのはあるわけですね。その点で、セーフティーネット保証と、この間、昨年から取り組んでいる借りかえ保証を組み合わせて繰り延べをする、十年以上に延ばすとかそういう対応というのも実際可能だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

望月政府参考人 セーフティーネット保証は、民間金融機関の融資につきまして保証をするという仕組みになっているわけでございます、先生も御承知のとおりでございますが。したがいまして、最初に融資をするときは、民間金融機関がどういう融資期間で融資をするかということに合わせて保証期間も設定されるわけでございます。したがって、七年と限定しているわけではございませんで、実際にこういった災害の融資が行われるときにそういう期間のものが平均的に多いとか、そういうことで決まっている結果の議論でございます。

 ただ、借りまして、それが返済期限が来てもなかなか返せない事情にあるような場合に、もう少し融資期間を延長して返済をしていきたいということに対応するために、先ほどの先生おっしゃいました借りかえ保証という制度がございますので、これはその時点において適用できるというふうに考えております。事実上、そういう意味では接続をすることは可能だろうと思っております。

塩川委員 現場の運用というのはなかなか滞る場合が多いものですから、銀行の窓口の対応の問題ですとか保証協会の対応などについてもぜひ前向きの指導などを金融庁などと連携をとってお願いしたいと思っております。

 それから、本来、災害が起こった場合に、災害救助法そのもので具体的に動くことというのがあるわけですよね。災害救助法の二条にも、「現に援助を必要とする者に対して、これを行なう。」ということで、例えば避難所を設置するとか食品の供給なんかを行う、そういう項目とあわせて、生業に必要な資金、器具などの給与または貸与、これができるとあるわけです。ですから、なりわいを支える上でのいわば資金や物品、器材などの給与または貸与というのも行えるというのがあるわけですから、本来、この災害救助法のスキームでもっと大きく前に動かすということが必要なんじゃないかなと。私なんかは、もっとこの点努力すべきじゃないかなというふうに思っております。

 その上で、激甚災害指定があります。やはり公共事業ですとか農業などは、激甚災害指定などではいろいろな補助率のかさ上げなどで大きく動くわけですけれども、中小企業に対しての支援策は激甚災害指定によってどんなものがあるのか、この点、教えていただけますか。

望月政府参考人 激甚災害に指定された場合に、典型的な例は、小規模企業などの設備導入資金の既往貸付金の償還期間を延長するというような特例措置が適用されるということでございますけれども、法律そのものには、その他信用保険法による災害関係保証の特例等々がございますが、これは、別途の理由によって、事実上激甚災の適用にならなくてもセーフティーネット保証で前向きにやっていくということがその後導入されましたものですから、そちらが先にきくということでございます。

 あと、幾つかの、法律上直ちにリンクする制度といたしましては、事業協同組合等の施設の災害復旧事業に対する補助などとか、あるいは先ほど来ちょっと議論が出ておりました中小企業者に対する資金の融通に関する特例などがございます。

 ただ、これも、金利の問題も先ほど御議論ございましたけれども、そういった面で、現時点にそぐわないところについては、激甚災害に指定されたときに同時に閣議決定をしてさらに切り下げていくというようなことが副次的な効果として行われているということでございます。

塩川委員 やるべきことをどんどん早目に対応するということが必要で、融資の面などでは当然そうだと思います。

 そうしますと、激甚災害指定による中小企業支援策というと、いわば本当に指定によって動く制度というのは、今長官のお話にあった小規模企業者の設備導入資金に対する貸付金の償還期間の特例だ、これぐらいが実際には中身なのかなと思うんですけれども、これは既存の借り入れが七年を九年に延ばすとか、そういうスキームということですか。どのぐらいの事業に対して支援が可能なものなんでしょうかね。

望月政府参考人 通常七年のものを償還期間を二年を超えない範囲で延長するというのが法定されているものでございます。

塩川委員 いわば激甚災害指定されても、中小企業支援策のメニューがほとんどないというのが実態だと思うんですね。私、この点でも、大きな施策が入っていないのが実態だと思います。

 そうしますと、やはり公共事業や農業の施策に比べて余りにも貧困じゃないか。農業のように日本の基幹産業の支援策というのは災害時に大きく支えられていますけれども、中小企業、今回、産地の場合など、日本の製造業、地場産業として大きな役割を発揮しているわけですから、この点への支援のスキームというのをこの激甚災害法の枠組みの中でもっと大いに充実をしていくといいますか、積極的に提案もして、本当に災害時に中小企業を支えられるスキームにしていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。

 現場ではいろいろな努力が始まっておりまして、例えば福井県などでは、被災した中小企業に対して県が一定期間利子補給をする制度を全額県費で創設するということを今度決めるそうであります。

 こういうように、非常に積極的に県段階でも取り組みがあるわけです。ですから、私も、激甚災害指定がされるというのであれば、例えばこういう利子補給がばちっと国の制度として動くだとか、あるいは無利子無担保の融資で長期返済、こういうスキームがその時点ですぐスタートするとか、直接助成のそういうスキームが動くとか、何かそういうものを具体的につくっていく必要があるんじゃないか。

 中川大臣、その点で、激甚災害指定に伴って中小企業への支援策のメニューを大きく拡充する、こういう災害を機に、大いにそういう知恵も出して取り組みを進めていく必要があるんじゃないか。その点、大臣としての御決意をお聞かせください。

中川国務大臣 日本は非常に災害が多い国ですから、地震あるいは大雨等々あるいは噴火、いろいろあります。多分、そういう議論というのは、そのたびごとに同じような議論が繰り返されているんだろうと思います。そういう意味で、今回は、とにかくできるだけ早くやれることを最大限やっていくということが、当面我々が第一にやるべきことだろうと思います。

 他方、根本的に、この激甚あるいはまた地域、局地災害、何でもいいんですけれども、それに対しての、二十一世紀型のと言うとちょっと大げさかもしれませんけれども、時代に合った対策、もう何回も申し上げていますが、単に原状回復だけでいいというような発想の今の災害復旧ではなくて、これを不幸ではありますけれども奇貨として前に進めるような、一つのスタートラインにできるような復旧対策なんというものも検討するという意味で、この問題を早急に対策をとって、地域の皆さんにそれをうまく活用していただいて、とりあえず原状回復なり多少とも前進できたという一段落ついたところで、この問題にじっくりと政府を挙げて取り組んでいく必要がある。

 決して否定はしておりませんけれども、今やるべきことの第一は、現に起こっている災害に対する対応であるわけでありますけれども、根本的に検討するということも必要なのかなと私自身いつも災害が起こるたびに思っているところでございますので、しっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。

塩川委員 今回、地場産業が打撃を受けるというのが非常に特徴的な災害でもありますから、こういう機会に大いに研究、検討を進めるということが大事じゃないか。

 先ほど紹介した三条市の被害調査でも、被害額の三分の一が製品や半製品、材料ですよね。金属加工業の方は、今鋼材価格が上昇中なものですから、そのために、今のうちに買いだめといいますか、ストックを持っていたわけですよね。それが今回の豪雨災害で水につかって被害に遭ってしまった。そういう意味じゃ、弱り目にたたり目のような実態というのが現場の皆さんの声でもあります。

 ですから、農産物への補償のスキームと単純に同じではないですけれども、こういった製品、半製品などへの補償策の問題などについても、大いにこれを機に研究するとかいうことも必要なんじゃないか。この点、中小企業支援策として大いに前に進めるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 今回の豪雨災害のような場合に、産業と申しましてもいろいろな業態がございます。例えば、賃加工をやっているニットのような場合については、原材料それ自身は、委託側の親企業の方が所有権を持っていて、現実にはその被害に遭うということが多いんだろうと思います。それから、同じ原材料でも、例えばああいう繊維とそれから機械、金属などについて言えば、水害の程度は相当違うと思います。

 そういった意味で、被害の復旧に当たって、一体だれがどう負担していくのかというのは、多少紛争が起こるような場合には、私どもは、関係者が相談を受けて、あるいは仲裁をするというようなこともあると思いますけれども、被害の復旧に当たっての負担のあり方というのは、それぞれの現場で考えていくということが必要なのではないかというふうに思っております。

塩川委員 大いに検討していただきたいと思っております。

 今、取引先との関係の話がありましたけれども、例えば見附のニット産業などでも、この工業協同組合は、紳士物セーターでいえば業界全体の三割のシェアを占めるという大きな比重を持っている業界ですけれども、秋冬物の最盛期というお話も答弁の中でもありました。八月十日が納期のピークという、私は新聞記事でも拝見したんですが、各社が最終追い込みの段階での今回の被災だったということになります。

 そういう中で、大手小売など親事業者、取引先との関係で、納期おくれですとか、納入商品などがそろわないで、アパレルなどから補償金を求められるんじゃないか、こういう補償金を求められるようなことになったらどうしたらいいのか、こんな声なんかも現実に出てきているわけですね。そういう点でも、親事業者などからの不当なこういう要求に対してきちんと指導していく、こういうことが求められていると思うんですけれども、この点での取り組みはいかがでしょうか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 今お話がありました繊維の産地の関係でございますけれども、新潟県の見附市の産地で大変多くの企業が被災をしているということでございます。

 一日も早くそういう回復を実現するためということで、七月二十二日に私どもの方から日本繊維産業連盟に対しまして、被災を受けたそういう下請企業などから親企業に、繊維産業連盟というのは繊維の大きな企業から小さい企業までずっと含めている大きな団体でありますけれども、そういう下請企業から相談、協力要請があった場合には積極的に対応するようにということで要請をしております。

 それから、私ども、いろいろな事実をできるだけ把握しようと思っておりまして、日本繊維産業連盟の傘下の組合、これは見附のニットの工業協同組合でございますけれども、そこには相談が一件届いておりまして、これは、何か契約上の問題があるということで、組合から県の下請振興協会が行っております弁護士の無料相談サービスを紹介した、そういうような報告を受けております。

 そういういろいろな事実を私ども把握しようとしておりまして、その中でできることは支援をしていこうというふうに思っているところでございます。

塩川委員 今回、産地が大きな被害を受けているということで、産地の振興策、地場産業振興策というのをこれを機にもう一歩前に進める必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 新潟でいえば、見附のニット産業や三条の金属加工、福井の繊維産業もありますし、越前漆器や越前和紙の伝統的工芸品産業の振興策もあるわけです。

 例えば、三条市なんですけれども、お隣の燕市と一緒に、金属加工では全国的にも非常に有数の集積地になっているところです。ここでは、国の補助も受けて地場産業振興センターというのがつくられておりまして、リサーチコアという名前なんだそうですけれども、産業集積活性化法の支援なども受けて、例えば、仕事をとるために、いろいろな業界と業界を結びつけるようなコーディネーター、このコーディネーターの配置の予算を国からももらって、それが現地での仕事の確保に大きな力になっているんだというお話を、私も以前伺って、担当者の方からお聞きしました。来週の視察の際にもぜひそういう施設にも足を運んでいただきますと、現場での皆様の御努力と今の要望なども聞けるのかなと思っております。

 ここでは、そういう意味では、三条の現地には、具体的に中小企業支援を行う場合に、地元としての受け皿があるわけですね。こういったリサーチコアを初めとした県や地元、三条やあるいは見附なども含めた自治体からの具体的な要望が上がってきた場合に、それをぜひ積極的に対応していただきたい、地元からの要望をぜひ前向きに受けとめて、取り組みをお願いしたいと思っておりますが、中川大臣、この点、ぜひよろしくお願いします。いかがでしょうか。

坂本副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 三条・燕リサーチコア、これは正式には財団法人新潟県央地域地場産業振興センター、こう言うんですね。これは、新潟県が策定した特定中小企業集積活性化計画において中核的位置づけを与えられておるわけであります。国としても、今先生がおっしゃったように、地域産業集積中小企業活性化補助金の交付を行って、同センターが行う中小企業と研究機関との交流事業や中小企業者の販路拡大等々の支援をいたしておるところであります。

 また同センターは、国の地場産業等活力強化事業費補助金の交付を受けまして、地域産業振興のための中核的機関として活躍もいたしております。

 今後とも、国としては、地元の要望も踏まえつつ、同センターの行う地場産業振興のための業務に支援を通じまして地域振興に努めてまいりたい、こう考えております。

塩川委員 ぜひ地元の要望に前向きに対応いただきたいと思います。

 福井県の方では、伝統的工芸品産業の支援制度として、今回の豪雨災害を受けて、伝統的工芸品産地の復興のための支援制度の創設を検討しているそうであります。八月の県議会でこれが議題に上って、県として方向を出していくそうですけれども、こういう伝統的工芸品産業は、産業振興策として国も法律をもって支援を行っております。そういう点でも、漆器や和紙が現地でも大きな被害を受けている、そういう際に、こういった県などの独自の取り組みなども励ましながら、ぜひ地元の要望もしっかり受けとめて、前向きな対応をお願いしたいと思っていますが、この点、いかがでしょうか。

坂本副大臣 福井県の伝統的工芸品産地では、大きな災害を受けながらも生産再開に向けて産地一丸となって今取り組んでいるわけでございます。経済産業省としては、福井県の方とも十分協力して、伝統的工芸品産業振興のため、支援策について検討してまいりたい、支援してまいりたい、こう思っております。

 福井県におきます被災産地の今後の一刻も早い復旧を図る観点から、それぞれの地域や産業の要望をよく聞かせていただいて、経済産業省として最大限その支援に取り組んでまいりたい、こう思っております。

塩川委員 三年前ですが、伝産法の改正の議論がありまして、私もいろいろな産地を伺って、特に伝統工芸士の方、技術継承、産業振興の中核となっておられる方に対する支援策が必要ではないかということを訴えました。越前漆器や越前和紙の産地におきましても、数十人の伝統工芸士の方がいらっしゃいます。そういった方々の、いわば職人の方を本当に支援していくということが産地を立て直す上でも大きな役割を発揮するのではないかなと思います。漆器などでも、業務用のものは、これはこれとしてきちんとした対応策も必要ですが、伝統的工芸品としての職人かたぎの仕事については、個人での仕事ですから、これはやはりやる気を引き出すような取り組みが今本当に求められているんじゃないか。

 三年前の際にも、例えば人間国宝、これはもう文化財的な面ですけれども、年間二百万円の支援が行われます。あるいは現代の名工と言われるようなもの、これは労働省サイドですけれども、そういったものでは十万円の褒賞金が出るとか、お金が出れば単純にいいということじゃないんですけれども、励ましていけるような取り組みとして、伝統工芸士の方に対して具体的な資金援助のスキームというのはもともとないんですよね。大いにこの機会にこの点を考える必要があるんじゃないかと。

 三年前の質問の際には、当時の松田副大臣が、伝統工芸士の方への褒賞金や助成金の制度を求めたのに対して、将来の問題とは言いながらも、検討したいということをおっしゃっておられたのですが、この点、ぜひとも、今こそこういう検討が改めて必要で、具体化も必要ではないかなと思っておりますが、その点、お聞きしたいと思っております。

中川国務大臣 先日発表いたしました新産業創造戦略におきましても、日本がこれから、結果的には貿易立国、そのための力を蓄えていくためにどういうふうにしていったらいいかということで、先端産業と同時に、日本の伝統的な技術、よく私は例に挙げるんですけれども、ロボットとからくり人形との関連性でありますとか、あるいは水素ガスを入れるタンクを軽量、強固にするために組みひもの技術が応用されているとか、あるいは火星にアメリカの探査衛星が着陸したときに、地球上の細菌を持ち込まないための無菌状態にするための検査のために実はしょうゆの発酵技術が使われているとか、そんなようなものはまさに日本の伝統技術と先端技術とが見事に融合して一つのすばらしい成果を与えているわけでございます。

 そして、それはもちろん、今、塩川委員おっしゃるように、最後は人に行き着くわけでございますから、人づくり、あるいはまた、そういう本当にこの人でなければというような、例えば金型の技術であるとかいろいろな技術を持っている人に対して、その人に対してもインセンティブを与えると同時に、自分もその人を目標にして頑張りたいというようなシステムをどうやってつくっていくかというところを今省内で鋭意検討しているところでございまして、単に表彰状を一枚大臣や総理大臣から上げるだけでいいものなのか、あるいはまた、何万円かの賞金かあるいはカップかなんかを上げて、それだけでいいものなのか、それだったら今もいっぱいあるわけでありますから、もう少し踏み込んだ、もっと社会的にインパクトのある、後継者が次々とあの人を目指せというような形で広がりのあるもの、目的はさっき言った目的につながるわけでありますから、そういう形での人づくり。また、成果を上げている人は、例えはよくないかもしれませんけれども、何も人間国宝的に、とても立派な御高齢の方だけではなくて、現在第一線で働いている十代でも二十代でも、世界に誇れるような、日本のお手本になるような人にはどんどんそういうようなインセンティブを与えていこうというようなことにするためにどうしたらいいのかというところを今省内で知恵を絞っているというのが現状でございます。

塩川委員 大臣もおっしゃられた後継者養成の観点からも、この伝統工芸士への支援策の具体化をぜひ図っていただきたい、このことを最後にお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。

根本委員長 次回は、来る六日金曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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