衆議院

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第9号 平成16年11月24日(水曜日)

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平成十六年十一月二十四日(水曜日)

    午後一時十二分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    小杉  隆君

      佐藤 信二君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    竹本 直一君

      谷畑  孝君    中西 一善君

      西銘恒三郎君    野田  毅君

      望月 義夫君    森  英介君

      山口 泰明君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    奥田  建君

      海江田万里君    梶原 康弘君

      菊田まきこ君    近藤 洋介君

      高山 智司君    長安  豊君

      計屋 圭宏君    松崎 公昭君

      村井 宗明君    渡辺  周君

      江田 康幸君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           近藤 洋介君

   議員           高山 智司君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   経済産業副大臣      保坂 三蔵君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   衆議院法制局第三部長   夜久  仁君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      伊東 章二君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        楢崎 憲安君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十四日

 辞任         補欠選任

  中山 義活君     長安  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  長安  豊君     中山 義活君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(仙谷由人君外十六名提出、衆法第四号)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案並びに仙谷由人君外十六名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、公正取引委員会事務総局審査局長楢崎憲安君、資源エネルギー庁長官小平信因君及び国土交通省総合政策局長丸山博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西一善君。

中西委員 本日は、独占禁止法改正案についてお伺いしたいと思います。

 まず初めに、独占禁止法そのものは国民の損失を最小限に抑えるための経済憲法と言えるわけでありますが、今回の独占禁止法改正の理念、この理念について簡単にお伺いしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 今回の独占禁止法改正の理念についてのお尋ねをいただきました。

 申し上げるまでもないことでございますが、我が国の経済の活性化、あるいは産業の再生、さらには持続的成長といったものを確保していくためには、市場原理それから自己責任原則に基づいた公正でかつ自由な競争というものがきちんと行われているということが大変大事であるというふうに認識しておりますが、残念ながら、現状は、談合、横並び体質と言われるようなものが多くの業界において見られるところでございまして、独占禁止法違反行為が後を絶たないという現状にございます。

 今回の法律改正は、競争政策を推進し、市場メカニズムをより機能させることが大事であるという理念のもとで、今申し上げましたような現状、これは現行の措置体系が抑止力として十分じゃないということと理解できますので、これを抜本的に強化しようとするものでございまして、具体的には、課徴金の引き上げ、それから、本邦初演になりますが、課徴金減免制度の導入によって違法事実の摘発をより迅速に進めていきたいといったものでございます。

中西委員 独占禁止法改正には賛否両論がありますが、今、こういう形で抑止力を高めるという意味においては、それはベストを追い求めればいいわけでありますが、いろんな論評家も言っております。五年、十年かかるのであれば、これは日本の経済的な損失、また日本の国民の経済的な損失が大き過ぎるということで、セカンドベストかもしれませんが、いち早くこの法律を成立させることは私も重要であると思っております。

 しかし、翻りまして、やはり中小企業という小さな会社がたくさんあるわけでありまして、現状は、大手企業は二年連続過去最高益というような報道もされておりますが、今回の中小企業に対しての配慮、この改正案においては、小売、卸を除いた形でありますが、大企業は六%から一〇%、中小に関しては三%から四%ということで、中小企業に対しての一定の配慮というものを私も感じております。

 今回の法律の改正は、こういう大きな時代の流れの中で、それこそ外資が日本に入ってきて、日本の名前を冠した会社でも、その株主構成が、一体外資なのかどうなのか、これも全くわからない時代になり、いかに経済がグローバル化してきたか、そういうことであると私も思っております。

 元来日本は、人についても企業についても、ある部分、性善説の上に法律が立脚しているような部分もあると思うわけでありますが、私は、アメリカのように善悪二元論的な、また性悪説に基づいた法整備というものもなんだなとは思っておりますが、しかし、現実としては、世界が非常に狭くなっている、こういう状況からすれば、当然今回の改正というものはこのグローバル化に対応した中で大変時宜を得たものであると私は理解いたしております。

 それでは、我が党からも多くの質問、また民主党さんからも多くの質問がございまして、かなり議論は出尽くしてきているのではないかなと思いますが、まだ我が党から審判手続についての質問をしておりませんので、この残された大変重要な審判手続について質問をさせていただきたい、このように思っております。

 現在、カルテル、入札談合等の違反行為に対して公取が課徴金納付命令というものを出しておりますが、審判の件数はどのように変化していますか。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 審判の件数についてということでございますが、ここ数年、大きく増加しているところでございます。平成十年度と比較してみますと、平成十年度におきまして年度内に係属していた審判事件は三十五件でございましたが、平成十五年度におきましては百六十件と、四倍以上、四・六倍に増加しているところでございます。

 特に、課徴金納付命令についての審判事件の増加が著しゅうございまして、平成十年度は二十七件でございましたが、平成十五年度には百三十七件と、全審判事件数の約八六%を占めるに至っておる状況でございます。

中西委員 つまり、今の御答弁を聞きますと、今までで、罪を認める応諾の件数が減少して、その分審判に入る数がふえているということであると私は理解いたしておりますが、今、日本は、司法制度改革という大きな流れ、裁判員制度も導入されたことでありますし、司法制度というものは今大きな改革の流れの真っただ中にありますが、同じく、経済憲法であるこの独占禁止法の審判手続というものも、当然、今のこの経済のスピードを考えれば、私は、より迅速で適正にやっていくべきである、それが重要であると思っております。

 こうした状況を踏まえまして、実際に、今回の改正案では、この審判手続の迅速化、どんな見直しを具体的に行ったのか、お答えいただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 審判手続の見直しでございますが、今回の改正で大きな変更を加えさせていただいております。

 今回の改正は、一般の行政処分と同様に、勧告というものをやめまして命令にする、それから、不服がある場合は審判に入るという点が今までの制度でございますけれども、これをもう最初から命令にするということが大変大きな違いでございます。

 審判に限って申し上げますと、審判請求がなされた場合に、現行では課徴金納付命令というのは失効する、全く債務が発生しないということでございます。したがって、言葉は悪いですが、争っていれば、もっと申し上げれば、ごね得を許す余地があるわけでございます。それに対しまして、今回の改正では、審判開始請求がなされても、これは不服であるということで公正取引委員会と争うということをなさっても、課徴金納付命令は失効しないと。それで、いずれ審決が出て事柄が決着するわけですが、その段階で事業者側が負けた場合には、延滞利息をつけて払っていただく。逆に、公正取引委員会が審決において命令と違ったことをやる、取り消しをするとかいったような場合は、当然、その間先にお払いいただいているかもしれない、いずれにしても債務が発生する課徴金については、利息を、延滞利息を加えてお返しをするということをしております。

 それから、順番がちょっと逆になって恐縮でございますけれども、今までは、まず、本案について、カルテルをやったか、入札談合をやったかどうかということをまず決して、それが決まった後に課徴金納付命令ということになっておりましたけれども、別々に独立して行われておりましたけれども、これを同時に行うことができるように改める、この点も大変大きいことでございます。その結果としまして、先生御指摘の迅速化、効率化ということも図れる、同時並行で、併合審理ということで、本案と課徴金納付命令に係る争いを併合して審理できるということにもなってまいりますので、そのようなふうに審判手続をかなり大きく変えさせていただいております。

中西委員 今の御答弁を聞く限り、このグローバル経済に合わせた形で、並行して審理ができるということで、審判の迅速化というものに当てはまっているということを理解できました。

 先ほども申し上げましたが、日本の司法制度改革の中でも、今、法曹資格者、弁護士をどんどんふやしていこう、滑った、転んだで、すぐ裁判、そういう日本になってしまったら困る。日本は、元来、和をもってたっとしとなすという国の中の我々の原点というものがあるわけであって、何から何でも裁判、紛争、紛争、紛争、紛争だらけの世の中にしてはいけないと思うわけであります。先ほども申し上げたとおり、世界がその方向で動いていく中で、やはり日本の経済を守る、日本の経済を発展させていくという意味では、日本の法体系というもの、システムというものもそういう形に直していかなければならない、私もこのように思っております。

 その文脈の中で、司法では法曹資格者をどんどんふやしていく、その方向性が打ち出されております。この独禁法においても、私は当然当てはまってくるのではないかなと思っておりますが、現行のこの心配、今法曹資格者、たしか一人だとは思いますが、今回の改正に伴って、公取といたしましても、この審判件数がどんどん増大していく中で、審判官をふやさなければならないと私は当然思います。また、これは当然民主党さんからも、たしかそういう法案、法律の要望内容だったと思いますが、この審判官として、当然私も、法曹資格者というものをよりふやしていかなければ当然時代の波に乗りおくれるし、日本の経済が弱まる。突き詰めれば日本の国民の損失というものが拡大すると思うわけでありますが、この法曹資格者の拡大であるだとか審判官の拡大というものに関してどのようにお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 御指摘のとおりでございまして、私どもも、審判官の量的、質的な拡充に努めていかなければならない。具体的には、法曹資格を持っておられる方々に任期つき採用という道もございますし、他省庁との交流ということもございますので、そういうルートを通じまして、これからも法曹資格者の拡充に努めてまいりたい。

 具体的には、十七年度の組織要求におきまして、二名の審判官の増員、これは法曹資格者で何とか充てたいという気持ちを持ちまして今要求させていただいておる。それから、審判官の数は、現在法律で五名というふうになっておるわけでございますが、私どもは、これをもっと機動的に対応できるために、政令に委任させていただきたい。それで、申し上げましたように、量的、質的にこれからも拡充していきたいというふうに考えております。

中西委員 ありがとうございます。

 それでは、中小企業関連の問題に入りたいと思っておりますが、日本中小企業五百万社、そして、たまたま私の選挙区は東京都大田区、羽田空港の臨空地域でありますが、東大阪市と並んで中小企業の有名な集積地であります。この失われた十数年の中において、中小企業が非常に歯抜け状態になりました。そうした中においても、上空から、セスナ機から設計図を一枚落とせば、この集積をもって一晩にして試作品ができると言われているぐらい有数な地域でありまして、当然、そこを日ごろ歩いております私は、中小企業の生の声というものを、中小企業、零細企業の経営者から聞いております。

 優越的地位の乱用の問題、これは下請法にかかわることでありますが、私、今回衆議院議員にさせていただいたわけでありますが、かつて、二期、東京都議会議員として石原東京都政で仕事をしてまいりました。その中で、私、たしか予算委員会だか何かの委員会で質問させていただいたと思うんですが、かつて、金融の貸し渋り、貸しはがしというものが大変大きな社会問題となって、本当にこの運転資金が枯渇して、五十万、百万円、三百万円で、会社が実際に資金繰りが詰まって廃業を余儀なくされる。仮に、単月黒字の会社であっても、単年度黒字の会社であっても、資金ショートによって会社の存続がそこでストップするという会社をたくさん私は見てまいりましたし、私の周りの中小企業の知っている社長さんが事実そういうような事故に遭われ、そして首をくくっているという現実も私は見てまいりました。

 そこで、ちょっと話がそれて申しわけないんですが、私がそのときに質問させていただいたのは、こういう状況を一体東京都は把握しているのか、そうしたら、東京都は一元的な責任はないという答弁でした。では、だれが把握しているのか、これは当時の金融庁。金融庁なんかでやっているのかと私が聞きましたら、貸し渋り・貸し剥がしホットライン、非常に名前はいいです。貸し渋り、貸しはがしに遭った人たちが、会社がもしそういう目に遭ったら、駆け込み寺としてホットラインに電話しなさいということであります。

 しかし、長年つき合ってきた銀行、支店長さんとの人間関係を信じてつき合ってきた、そこで裏切られて、雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を持ってくるような銀行の姿勢というものが当初はあったわけです。今は直っていることを私は念願をいたしますが、当初はあったんですよ。

 そうした中で、金融庁へ、貸し渋りホットラインに実際電話をかけられる勇気のある会社の社長さんがどれぐらいいるのか。万が一電話してその銀行が指摘を受ければ、当然どこの会社がそういうことを告発したのかということがある程度見当をつけられてしまう。私は、実効性がないんではないかなと思って質問をして、その当時の記録をちょっと持ってきましたが、平成十四年十月から半年間、六カ月間、十五年三月三十一日までの間に、実際、五百万社、日本には中小企業があって、あれだけ社会問題になったにもかかわらず、六百二十八件しかこの貸し渋り・貸し剥がしホットラインには中小零細企業からの連絡はなかった。となると、行政は動かないわけですよ。

 私はこういうことを一番懸念しているわけであって、我々民から選ばれる議員に対しては、それぞれそこそこ本当のことを言ってくれますが、やはり民は官というものが怖い、また官を恐れている銀行その他というものが怖いという部分がどうしてもあります。こういうところが、この中小企業に対しての優越的地位の乱用、特に大手企業、親会社からの優越的地位の乱用というものを非常に私は懸念をしておるところであります。

 こうした中で、当然、今、大手企業が過去最高益ということで、新聞報道によりますと、二年連続過去最高益を出しそうな勢いだということでありますが、私が町を歩く実感としては、仕事は確かにふえました、仕事は確かにふえた。ちなみに、製造業でいえば、仕事はふえました。大田区でも、京浜島、城南島などが、工業団地がたくさんあるんですね。仕事は忙しくなってきたけれども、どうもまだ単価にまでいっていない、単価が抑えられたままだ、支払い条件が非常に厳しい、だけれども、それについて文句を言ったら取引を停止されるから、言えないじゃないかと。

 実際に、そこの会社に六割も七割も、三〇%だとしても、取引を依存していれば、取引条件で相当無理を言われたとしても、それは外部に伝えられないのが中小企業の置かれた厳しい立場であると私は常々思っておりまして、国会に参った暁には、このことを厳正に、強く、公正取引委員会、委員長がいらっしゃっておりますが、私は申し上げようと思って、きょうはこの日を楽しみにしてきたわけであります。

 この単価の非常に無理な引き下げであるだとか支払い条件が非常に厳しくなる、そうした中で、ある部分、大手は利益を上げてきておると思っておるわけであります。今回、公取は現在、下請法というものを実際に運用しておるわけでありますが、こういう法律を実際に実効性のあるものにするために、何か具体的な方策というものを公正取引委員会は講じているのか、この辺のことをお伺いしたいと思います。

山木政府参考人 下請取引の適正化につきましては、私ども重要な課題として政策を運用しているわけでございますけれども、大きな柱といたしまして、まず一つは、下請法の違反を起こさないために普及啓蒙を図るということでございまして、毎年、講習会でありますとか、十一月には下請取引適正化推進月間ということでキャンペーンを行いまして、講習会等をやっているところでございます。

 二つ目は、なかなかやはり下請事業者の方からは訴えが出てきがたいということもございますので、毎年万単位、昨年ですと十三万社、親子合わせて十万社を対象にいたしまして書面調査を実施いたしております。そのような中から、違反の疑いのあるものについてさらに詳細な調査をするということで、申し上げましたように、その普及啓蒙、それから違反事件の処理という形で、下請取引の適正化に努めているところでございます。

中西委員 今御説明を受けましたが、実際、公取としては、実効性が本当にあると思っておりますか。実効性があると思っているのかどうか。

 また、先ほど件数を申し上げていただきましたが、その件数がここ数年どういうように推移しているのか。実際に右肩落ちになっちゃったらお話にならないわけですが、その件数の推移はどうなっているのか。また、実際にこの違反行為、下請いじめ、具体的にどういう違反事例があるのか。できればちょっと具体的に御説明いただきたいと思います。

山木政府参考人 実効性の面につきましては、やはり書面調査、これも下請事業者に、昨年度ですと約十一万社弱の件数を行っておりますので、相当高いカバレッジを持ってやっておりますので、調査を行うこと自体において一定それなりの効果があると考えておりますし、その中で違反についてはしっかり処分する、措置をとるということで、効果があると考えておるところでございます。

 それから、お尋ねの調査件数でございますが、昨年度はトータル約十三万社と申し上げました。十四年度は約十二万ということで、少しではございますけれども拡充ということにいたしておりますし、今年度についてはさらに拡充を予定しておるところでございます。

 それから、中身でございますけれども、下請取引を行うときに、発注をしたら書面を交付するということがルールでございますけれども、その書面の不備でありますとか、交付していないものが、昨年度としては一番多かったわけでございます。その他、下請代金の支払い遅延、それから長期手形の交付、それから下請代金の減額といった行為がそれに続いておりまして、昨年度によりますと、八件法的な勧告という処理をいたしております。それから千三百五十七件について警告の処理ということで、調査を終わったものについてはそういう措置をしているという状況でございます。

中西委員 御答弁ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、この下請法という法律を厳正に運用していくとともに、これも一つの事例ですが、先般ある中小企業の社長さん、金型関係だとかプレスか何かだったと思いますが、これこれこういう事情で、大手の会社にこういうひどいことを言われているんだけれども、中西さん、これは法律に違反するのかどうか教えてくれと。うちで調べました。明確なる、これは下請法に抵触する事例でありましたので、当局にしっかり言って処罰してもらいましょうかと言ったら、それだけはやめてくれ、取引がなくなったら本末転倒だ、法律に触れるのかどうかだけでも知りたかったんだよ、中西さんという声なき声を聞きました。

 要するに、中小企業の社長というのは、当然、我々は法律をつくる仕事をしていますし、皆さんはそれを執行する仕事をしているスペシャリストですよ。そういうプロからすれば、そういう法律の存在というものは空気のよう、水のように、これはあって当たり前のものでありますが、現場の中小企業の人たちはそんな法律があるのかということも知らないわけであって、こういう法律を厳正に運用していく際に、公正取引委員会として、法律に抵触したら、それは違反だぞ、罪であるという姿勢をしっかりとるということと、また、そういう法律があるということを、それは何らかの広報を使ってでも、下請法という法律で皆さんは守られているんですよということを町場の中小零細企業まで行き渡らせるような、そういう親切な取り組みがあれば、公正取引委員会の存在意義、レゾンデートルというものはより上がっていくのではないか、私はこのように申し上げたいと思います。

 いずれにいたしましても、日本の経済も大きく世界の経済と歩調を合わせ動いておるわけであって、この経済のソフト化、サービス化、三次産業化というものは日に日に進んでおるわけであります。こうした中で、実際、この中小企業を守る下請法、どういう業種に適応しているのか、どういうところを対象にしているのか、お答えいただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 下請法は、従来、物品の製造及び修理に係る下請取引だけに適用されておりましたのですが、昨年の通常国会で下請の改正法案を成立させていただきまして、本年の四月から施行されておりますが、それの大きな点は、サービス分野にも下請法の適用を広げるということでございます。

 具体的には、情報成果物の作成、それからトラック運送、内航海運等の役務、ビルメンテナンスというようなものも最近随分ございますが、そういう役務の提供に係る下請取引、さらには、今御指摘のございました金型の製造、従来の物品の製造では読めなかったものでございますが、金型の製造に係る下請取引も下請法の対象であるということで拡大をさせていただきました。四月から実施しております。

 私ども、一生懸命周知徹底に努めております。今の先生の御指摘も踏まえまして、十一月は特別の月間でもございます。それから、何よりもこういったものは各業界の方々の目につくことが大事だ。従来は、親事業者が公正取引委員会に言われて改善措置を講ずるという場合には世の中に公表しないという趣旨の規定があったわけですが、それを昨年の改正で外しました。したがって、世の中に公表するということになっておりますので、そういうルートも通じまして、下請取引の適正化にさらに努力をしていきたいと思っております。

中西委員 十一月のこの強化月間、ぜひお手並みを拝見したいと思います。どうか中小零細企業のためにも頑張っていただきたいと申し上げたいと思います。

 最後に、不当廉売についても申し上げたいんですが、先般、我が自由民主党の独禁法調査会が十月五日に意見を出したわけでありますが、その六番目に、これは主に酒屋さんだとかガソリンスタンドになると思うんですが、中小企業等に不当な不利益を与える不当廉売、優越的地位の乱用等の不公正な取引方法については、公取において、厳正に対処するとともに、一層効果的な措置を講ずることができる方策につき早急に検討し、実施することと申し上げております。

 ぜひとも、この町場の中小企業、零細企業である商店街、これも地域を形成する大きな核でありますので、こういう形で、またこれから高齢化社会を迎えるに当たって、高齢者が安心して歩いて行けるところにお店がある、こういう状態を、非常に公平な立場から公取には御検討いただきたいと思っております。

 そして、これは私の意見でありますが、きょうの産経新聞に載っておりまして、愕然としましたが、これは民主党さんに関する記事なんですが、企業・団体献金の獲得増に向け財界に攻勢をかけている民主党が、今国会に政府が提出した独禁法改正案の成立を阻止したい日本経団連と共闘していくことで合意した。民主党内からは、献金欲しさに財界に政策を売ったとの声が漏れていると、この産経新聞に書かれております。

 こういう形で、新聞報道が一〇〇%正しいということを私は言っているのではない。私が言いたいのは、こういうことが実際に起こったら政治家として悲しいということを言っている……(発言する者あり)非常に民主党さんが怒っていらっしゃいますが、火のないところに煙は立たないということでこんな……(発言する者あり)事実でなければ、事実でなければ、怒る必要性はないわけであります。(発言する者あり)

河上委員長 御静粛に願います。

中西委員 いずれにいたしましても、なぜこのように怒るのか。私は、新聞報道が一〇〇%正しいとは思っておりませんが……(発言する者あり)

河上委員長 御静粛に願います。

中西委員 こういうことが起こるのであれば、抗議をするということを申し上げたいと思います。

 そして、最後に、民主党さんのことは関係なくなりましたが、アメリカの一九一六年アンチダンピング法の廃止、回復法についてアメリカ上院で法律が成立したことは、大変アメリカ合衆国の良識というものに私は感謝をして、先般質問をさせていただきましたが、以上の本日の質問とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

河上委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後一時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十六分開議

河上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。細野豪志君。

細野委員 それでは独禁法の質疑にいきたいというふうに思うんですが、まず冒頭、先ほど中西委員の方から、我が党の今までの経緯に対して、事実に全く反するものを引用して、事実無根の発言がございました。後ほど理事会の方で精査をして議論させていただきたいと思いますが、そのことにまず冒頭きちっと抗議をさせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)ちょっと黙らせてください。

河上委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。

 細野君、続行してください。

細野委員 では、気を取り直してやりたいと思います。

 担当大臣である官房長官が少しおくれられる、これからだということでございますので、まず冒頭、海洋権益の問題について二、三質問させていただいて、それから独禁法の質問に入りたいというふうに思います。

 逢沢副大臣に来ていただいていますので、まずお伺いをしたいんですけれども、先日、私が経済産業委員会の方で質問させていただいたときに、係争水域の問題については、中間線から西側についても主張するものの、実際に権益を主張するのは中間線からこちら側なんだという趣旨の発言がございました。よろしいですね。

 一つ、どうしても私、確認させていただきたいんですが、局長級協議において、係争水域を二百海里から向こう側まで外務省としては初めて主張されたわけですよね。それでは、その係争水域が西側まで広がっているということにおける何か効果はあるんですか。中間線からこっち側のことだけ言われるんだけれども、係争水域が向こうまで延びた、中間線ではなくて、西側まで延びたということに関して、では、どういう効果があるのか。主張をここまで延ばされたことに対する効果とは一体何なのか、何か変わったところがあるのかということをお伺いしたいと思います。

逢沢副大臣 効果というのは、どういうことを細野先生が頭の中で組み立てておられるのか、あるいは想定をしておられるのか、ちょっと直ちに理解をすることができないわけでありますが、旧来からこの問題については、我が国の政府としては、双方が領海から二百海里を主張し、そしてそれが重なり合う部分がつまり境界の画定を行うべき水域である、そしてその場合には、両国の領海基線から二百海里までが重なり合うわけでありますから、その中間線をとろう、こういう主張を繰り返し主張いたしております。それが我が国の基本的な物の考え方であります。

 それは国際法、あるいは幾つかの係争事案について、具体的な解決が図られました。多くの場合、あるいは大半と言ってもいいわけでございますけれども、中間線をベースにして、例えばマルタとリビアの場合、あるいは、少し私も調べてみたわけでございますけれども、オランダとドイツとデンマーク、ここにもかつていわゆる係争関係がありました。ちょっと複雑な経緯がたどられたようでありますけれども、基本的にはそれぞれの中間線、あるいはアイスランドとグリーンランドの関係等についても事例が報告をされているわけでありますが、そういうものをベースにいたしますと、やはりそれぞれが二百海里を主張し、境界画定を行うべき水域があるとすれば、それは中間線をとるということについて私どもは主張をいたしているわけであります。

 先般の北京におけます会議におきまして、いわゆる二百海里、そこまでが係争水域だと我が国が主張するという趣旨のことを、確かに薮中局長は主張をいたしたわけであります。

 厳密には、国際海洋法を調べてみましても、では何をもって係争水域とするか、それは国際海洋法の中に厳密な意味の定義は実は見つからないわけでございますが、つまり、主張がぶつかっている、主張が食い違っている、それが事実上、実態においてはその部分が係争水域、こういう現実ということになるんだろうというふうに思います。

 中国は、春暁の開発、これは我が国が主張する中間線の非常に近いところ、地下構造によっては我が国の権益が直接侵されている、そういう懸念を持たざるを得ない。したがって、情報の提供、こういうプロセスであるということは御承知のとおりでございますけれども、基本的には二百海里を我が国は主張し、中国もその土俵に乗ってくるとすれば、同じ土俵に立てるとすれば、それは中間線をとるということが非常に説得性を持ってくるわけでありまして、あくまで、日本といたしましては、その我が国の主張する土俵にやはり中国側を導いてくるといいますか、国際的にもそれがさまざまな事例からいたしましても常識ある解決方法であるという、幾つもの歴史が証明をしているわけでありまして、そういう意味で今回の主張をさせていただいたと御理解をいただきたいと思います。

細野委員 非常に丁寧に御説明をいただきましたけれども、結論としては、係争水域が西側にも延びているんだということは確かに主張したけれども、それで何か日本の考え方が変わるわけでもないし、行動が変わるわけでもない、そういう御説明だったかというふうに思います。

 この間の委員会の質問の中でも、実は幾つか中川大臣の方から発言があったんですが、では、果たしてそういう前提というものがきちっと整えられているのか。つまり、中川大臣はこういう言い方をしているんですね。万一入ってきたら、我々としてはこれは大問題にしますと。逢沢副大臣も、あくまで沖縄トラフだといえばその前提は崩れてしまうということは主張されているわけですね。つまり、沖縄トラフまでで中国が行動することになれば、これは前提が崩れるということをおっしゃっています。これが本当に守られているのかどうかということを少し確認したいと思います。

 中川大臣の委員会での答弁の中で一つ気になることをおっしゃっているんですが、日本側のあるところに鉱区を設定したという情報がありますという答弁をこの間されています。これは、中間線より日本側に鉱区設定を中国がしたとすれば、この前提が崩れるという話に当然なる。中川大臣もうなずかれていますが、外務省としてはどういうふうにこれは認識をされているのか、簡潔に答弁をお願いします。

逢沢副大臣 御質問でございますけれども、中国はさまざまなことをいわゆる中間線の中国側で行っているわけであります。また、中国は、基本的には沖縄トラフまでを主張しているわけでありまして、幾つかの情報によれば、日本側が主張する中間線を越えたところで鉱区を設定されておるといったような情報には接しているわけでございますけれども、外務省として、それがどういうレベルのものか、どういう、政府が認定をしたものか、どのぐらいの信憑性があるものかということについては、現在では確認中ということでございます。

細野委員 確認中という御答弁でございましたが、そのほかにもちょっと幾つか指摘したいことがあります。

 日中間では、海洋の科学的な調査において、事前通告制度というのが設けられています。外務省からいただいた資料によりますと、海洋法に基づいて日中間で結んだ事前通告制度、それに基づいて運営がなされているかと思いきや、実はそれに違反した事例というのが、中国側は十六年で四件、十五年はないんですが、十四年に二件、十三年に四件あるわけですね。事前通告制度のない部分で海洋法違反の事例というのが、平成十六年で何と十六件。つまり、中間線よりこっち側、これは東シナ海だろうが東シナ海の外だろうが、一応通告制度はやっているんだけれども、特にこの通告制度以外の部分、東シナ海以外の部分において十六件も海洋法違反があるわけですよね。これは外務副大臣、よろしいですよね、事実として。

 これは明らかに、外務副大臣がおっしゃっている前提、中川大臣がおっしゃっている中に入ってきたらというふうに、これはもう入っているんじゃないですか。これについて、中川大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 前回、細野委員の御質問に私がお答えし、また公のというか、国会が一番の公でございますが、ほかの場でも申し上げているのは、この春暁田以外に日本の中間線の内側、日本から見て内側に複数の鉱区設定をしたという情報を私は知っておりますということを申し上げておりまして、その根拠は、中国の石油開発あるいはガス開発会社のホームページに載っているのを確認したのが根拠であります。

 しかし、これはあくまでも民間企業のホームページでございますので、そういう情報があるという言い方をしているわけでございまして、それについて、十月二十五日の日中協議で日本側から問い合わせをしたということでございます。

細野委員 先日、中国の潜水艦が沖縄周辺に来たわけですが、中川大臣、こういうふうに記者会見でおっしゃっています。これは今までのいわゆる科学的調査、こういう部分について十分対応してこなかったのでああいう事例も出てきたんだと。そういう認識を持っていらっしゃるということでよろしいですね。これを確認させてください。

中川国務大臣 私は、軍事というか、もちろん潜水艦、専門ではございませんけれども、石垣島の、日本のもう一つの、慶良間島でしたっけ、先島群島のもう一つの島の間に潜水艦が入ってきた、しかも水深が百メートルよりも浅い地域に入ってきたというのは、潜水艦、ある方に聞きますと、相当の情報を持っていないとそういう浅い海域には入らない。だから、間違って入ってきたとしても、水深何メートルかは潜水艦は多分わかるんだろうと思いますから、相当のデータがないと、そこを航行して、しかも真ん中を通って行っちゃった、無事に行っちゃったということはやはり相当のデータを持っているのかなと、私は素人ながら推測せざるを得ないという認識を持っているわけであります。

細野委員 私も同様の認識を持っていまして、もうそこの部分について中国は相当の取り組みを今までもしてきたし、これからもしていくつもりであるということを前提に、この前提は私はもう崩れていると思います。

 試掘の問題についてこの間も御答弁いただきましたので、私ども政策をつくっておりますが、外務省にも取り組んでいただきたいということを申し上げて、独禁法に入りたいというふうに思います。

 まず、委員長にお伺いしたいんですが、中小企業関係で、不公正な取引方法について、特に優越的な地位の乱用について、各委員から随分いろいろな質問がありました。公取さんの方でいろいろ調査もやっておられて、いろいろな業界団体であるとか地方からも、何とかこの優越的地位の乱用であるとか不当廉売であるとかそういうものを課徴金の対象にしてくれないかという話があったという記録を私も見ました。

 それでも今回見送ったという理由として、委員長は、構成要件の明確化という法制上の壁があるんだと再三再四答弁されていますよね。私、よくわからないんですよ。法制上の壁、構成要件としての法制上の壁というのは、もう少し具体的に、どういうものなのか。わかるようにもう一度説明いただけないですか。

竹島政府特別補佐人 カルテルや入札談合の場合には、そういう基本合意に基づいて価格カルテルであったり談合をするわけで、その場合には、業者がどちらが優越的だとか、それからそれが他の取引分野にどういう影響を与えるかということをそれぞれ個別に見ることもなく、当然にこれは違法であるという考え方が確立しているわけでございまして、したがって、カルテル、談合は即違法と簡単に申し上げればなるわけでございますが、優越的地位の乱用とか不当廉売というものは、これは一概に言い切れない面がございます。

 したがって、それは何ぞやということを定義するのが、優越的地位の乱用という言葉は簡単でございますが、それに該当するかどうかというのは個別に見なきゃいけないので、そういう意味で、法律にかくかくしかじかのものは罰するというふうに単純に書くのが難しい。それを明々白々なものに絞り込んでしまうと、逆にグレー部分がどうなるんだというような問題も出てまいりますので、現在の法律では、不公正な取引方法につきましては公正取引委員会が告示で定めるということになっていまして、時代が変わったり、競争環境が変わったり、取引形態が変わったりすると、それに応じて、違法の行為というものはこうですよということが、弾力的といいますか、迅速に対応できるような仕組みになっているわけでございます。したがって、法律にびしっと構成要件というものが書いていないということでございます。

細野委員 不公正な取引方法というのが課徴金の対象にならないということなんですが、では法的にこれが何らかの措置ができないのかといったら、そんなことないんですよね。

 具体的に言いますと、注意というのもあれば、勧告という法的な制度があるわけですよね。勧告に異議を申し立てた場合は、審査に入って審決を出すわけですよね。これはまさに、構成要件が固まらないと審決を出せないじゃないですか。これは明らかに逃げていると私は思いますよ。では、どうやって勧告の場合に、審決を出す場合に構成要件を固めているんですか。

竹島政府特別補佐人 その点はおっしゃるとおりですが、問題は、刑事罰とか課徴金の対象にし得るか。やめなさいという排除勧告を出すことはできますけれども、それが刑事罰の対象にまでできるかというところが問題になったわけでございます。

 それで、刑事罰の対象にするに当たっては、その違反行為がどういう社会的な問題を提起するのか等々、法律用語で法益侵害の程度と言うようでございますが、法益侵害の程度というものを見なきゃいかぬ。何でもかんでもに刑事罰を導入するわけにはいかない。その点からしますと、不公正な取引方法、不当廉売とか優越的地位の乱用は、カルテルや談合というものに比べると法益侵害の程度が小さいというふうにとらえられてきているわけでございます。

 そういうことで、まず刑事罰の対象にするにはそう簡単ではありませんよという問題がございまして、加えて、現行の課徴金というのは、刑事罰の対象になっているものを、刑事罰ではいろいろハードルが高いから行政処分として、刑事罰の対象になっているものを課徴金の対象として迅速に処分できるようにしましょう、こういうことでございまして、まず法益侵害の程度の大小という問題がこの問題にかかわってまいります。

 これは、さっき申し上げましたように、時代の変化、取引関係の変化等々によって弾力的に対応した方がいいんだという考え方をどうするか、硬直的に考えていいのかどうかという問題が二番目にございます。

 それからもう一つは、罰金にせよ課徴金にせよ同じでございますが、不当利得というものを優越的地位の乱用とか不当廉売の場合にどう観念したらいいのかという問題がございまして、これは割り切りだという考え方もあるかもしれませんが、そういう考え方ではとても法制度としてはなじまないという問題もございまして、どのぐらいの経済的な不利益を与えるべきかという合理的な算定方法というのがなかなか難しいという問題がございます。

 しかしながら、これはよってもって全部だめだめだめと申し上げているわけじゃなくて、そういうことで日本のいわば刑事司法なり行政の基本にかかわるような問題がございますものですから、この法律を通していただいた後、二年以内に見直すというあの規定の中で、今、不公正な取引方法について課徴金とか刑事罰の対象にならないかという問題も、もう一回根本に立ち返って議論をさせていただきたい、こういうことでございます。

細野委員 いや、これはやはり認識の違いだと私は思うんですよね。

 確かに、談合は処罰しなきゃなりませんし、課徴金の対象にすべきだと思いますので、そこを重視するというのは結構です。ただ、経済状況を見ると、ではカルテルと不公正な取引方法、どっちが今深刻ですか。インフレの時代には、確かに、いかに値段を上げるかとみんな一生懸命頑張って、談合をしたりカルテルをしたりして価格を高くしたんでしょうけれども、今デフレの時代に入ったんですよね。デフレの時代に入ったときに、そこで中小企業も含めてどう適正な取引をしていくかということを考えるときに、そっちの方がはるかに実態は深刻なんですよ。

 そちらに公正取引委員会は目をつぶっておいて、構成要件とおっしゃったけれども、今私が指摘したように、裁決のときは、これは構成要件を確定して勧告をするんですから、裁決をするんですから、それは明らかに、公正取引委員長はずっと答弁されてきて、あれは逃げてきたんですよ。加罰性の部分での認識が、明らかに中小企業に対して、というよりは、取引先でいうと大企業に配慮をしてこれの導入を見送ったというのが実態じゃないですか。

 もう一つ伺いますが、きょう皆さんにお配りをした資料の中で、各国の課徴金であるとか罰則金、制裁金の関係の資料をおつけしました。

 不公正な取引方法にもいろいろありまして、再販価格の維持の制度、さらには優越的地位の乱用、不当廉売、不当表示と四つ代表的なものを、これは公正取引委員会につくっていただいて出させていただいていますが、一番進んでいるところでいえばフランス、それぞれ刑罰なり制裁金、これは制度をつくっています。再販維持制度に関して言うならば、これはもうEUも含めて各国でしっかりと何らかの措置を入れているわけですよね。

 こういう制度をこの見直しの間にきちっと研究をされて、我が国において、この不公正な取引方法のうち、どれが課徴金の対象になるかというのをきちっと精査されましたか。それをされずに十把一からげに全部だめですよというのは、私は公取の怠慢だと思いますよ。そういう精査をされたかどうかお答えください。

竹島政府特別補佐人 これは、今回の法律改正万般に及んでおります、その中の非常に大いに議論になった点でございまして、これは今の国会でもそうでございますが、国会にお出しする前の各方面との議論でも大変大きく取り上げたことでございます。私どももこれは真剣に、それからこの委員会でも、別な機会でございますが、同じようなことで課徴金の対象にすべきであるという御議論は何回もいただいておりますので、今回の法改正作業では、これは我々は本当に真剣に考えました。

 私も、率直に申し上げまして、課徴金の対象にできれば公取としてはその方がいいと実は思っております。しかしながら、法律制度としてそういうものが、さっきるる申し上げましたようないろいろな問題点がございまして、それに対して解決策が今回の改正では見出せなかったということでございまして、残念ながら、できたのが、一回やめなさいと言ったことを二度やった場合には罰金がありますので、これは今度は三億円に上げたということでやらせていただいていますけれども、これは逃げたりしたわけではなくて、相当議論して、残念ながら今回答えが出なかったということでございます。

細野委員 揚げ足を取るわけじゃありませんが、では再審判をして罰金を取ったことは今まであるんですか、公取が。最近あるんですか、ちょっとそれをお答えください。

楢崎政府参考人 お答えいたします。

 独占禁止法上の不公正取引として審決に違反したから告発をして刑事罰が科せられたという事案は、最近はございません。

細野委員 いや、そういう非現実的なものを取り出して、これで中小企業に配慮をしましたよというのは、それは逃げなんですよ。

 これは官房長官にぜひお伺いしたいんですが、これは私、表をお示ししましたけれども、できないのはうそです、やっている国はあるんですから。そのうちのこれとこれは少なくとも構成要件が該当するんじゃないか、デフレの時代で中小企業としてきちっとこれはやらなきゃならないんじゃないか。不公正な取引方法とか優越的地位の乱用とか漠然なことを言わずに、もう公取はガイドラインをつくっているんですから、一つ一つ検証して、構成要件をきちっと当てはめて、加罰性があるものについては制裁金の対象にする、課徴金の対象にする、これは官房長官、前向きに御答弁いただけないですか。

細田国務大臣 いわば公正取引委員会という専門家がいろいろ議論をしているわけではございますが、私は、日本の独禁法は何といっても英米法の流れをくんで導入され、大体は、この……(細野委員「英米でもやっているじゃないですか」と呼ぶ)いや、しかし、これを見ていただきますと、細野議員の資料の中でも……(細野委員「いや、これは公取のものです」と呼ぶ)どちらかというとフランス、ドイツ等でこういうことをやっておるということでございますが、私は法律上の考え方の問題だと思っております。

 それから、では公正取引委員会は本当に絶対やりたくないと言っているのかというと、まあそうでもないので、法律が国会で決めていただけるんなら、それも一つの考え方だと言っている人もいるんじゃないかと思います。

 私が思いますのは、細野議員、この間もお答えいたしましたけれども、排除をする、やめろと言ってすぐやめればそれでいいという考え方で長らく来たわけです。それでは社会悪というものが直らないんだ、不当廉売にしても、不公正な取引方法の中の優越的地位の乱用その他、直らないんだということが公に認識されて、これはどうしてもこういうことが必要だという立法論があれば、それは当然考えるべきことであって、それが立法府のお仕事でもあると思っております。

細野委員 いや、立法論の話は公取に任せておけばいいんですよ。これは社会悪として課徴金の対象にすべきかどうかという政治判断を聞いているんじゃないですか。

 官房長官がお答えにならないようであれば、経済産業大臣、どうですか、この問題。これは当然、中小企業にかかわってきます。どちらがより社会悪として大きいかということは、中川大臣もよくわかっていらっしゃいますよね。先ほどずっと説明をさせていただきましたが、中小企業も御担当をする経済産業大臣として、これは政府としてぜひ検討すべきである、公取にやらせるべきである。御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 この法律も、また今回の改正の御審議をいただいていることにつきましても、経済の発展のためにやっている法律でございますので、そういう観点からは、中小企業の重要性、あるいはまたそれに対する政策上の配慮というものが必要であるということは、私ども当然の認識を持っているところでございますし、そういう観点からこの法律の御審議をいただければというふうに思っております。

細野委員 では、改めて官房長官、もう一回だけ聞きますが、こういう過去の事例はあります。何もない世界に突入しろと言っているんじゃありません。各国で、こういう検討をしていて、きちっと罰則なり制裁金を科しているところはあるので、それを研究する、取り入れることを検討する。どうですか、お願いします。

細田国務大臣 私は、決してそう後ろ向きに答えているつもりはないんですよ。いろいろなことを挙げながら、そういう社会的な背景が変化してきた、そして、こういう悪い事例がどんどんふえている、デフレ時代に、昔の時代に考えられなかったような事態の方が社会悪をなしているという実態もあるということを申しながら、立法論というところもあるということを申し上げているんです。ただ、今後内閣府においていろいろ検討をする場がございますので、現行の我が国法制度の枠組みにかかわる問題も含めてここで議論されるということで、不公正な取引方法に対する制裁のあり方についても当然検討がなされるものと考えております。

細野委員 竹島委員長は必ずしもこの問題に消極的な方だとは私も思っていません。むしろ前向きに取り組む意志を持っておられると思いますので、今るるいろんな方から御答弁をいただきましたが、政府としてできるだけ早い時期に、二年とか三年とか、期限もそれは区切らずに、できるだけ早い時点で出していただいて、この委員会でまた独禁法の審議をしたいな、私はそう思います。

 先ほど中西委員からも、実は実際にもう運用されているものも守られていないんじゃないかというような、随分甘っちょろい御質問がございましたが、私はもう少しきちっと詰めてお伺いをしたいと思います。

 まず、法益の侵害でアンケートをとっているとおっしゃっていたんですが、私が問題にしたいのは、このアンケート、中小企業の場合の回答率なんですね。納入業者と、あと小売業者にアンケートをとっているんですが、納入業者の方、つまり物を入れている方ですよね、優越的地位の乱用の問題でいうと。このアンケートの回収率を見ると、平成十六年のもので三三・五%、平成十四年のもので一九・七%。これは匿名も認められているにもかかわらず、回答率が三割とか二割を切っているんですよ。これは何でですか。どう思われていますか。公正取引委員会としてどういうふうに認識をされているか、お伺いしたいと思います。

山木政府参考人 下請取引の書面調査につきまして、下請事業者からの調査回答率が、御指摘のように三〇%、三分の一程度ということは事実でございますけれども、下請取引と申しますのは、親事業者はたくさんの下請事業者と取引をしておりまして、そういうカバレッジの中でも相当のものが私どもとして事実として報告がございますので、そういうものを端緒といたしまして、精密な調査をさせていただいているということでございます。そういうことで、相当の効果があるということを申し上げたわけでございます。

 それから、この書面調査にいたしましてもその他の調査にいたしましても、だれがどういうことを申し立てているかということについてはわからないような形で実施いたしておりますので、そういう面でも、下請事業者が訴えることができやすいという形で調査をしているところでございます。

細野委員 ちょっとこれは事前に伺っても答えていただけなかったんですが、回答している二割とか三割、下請法の方も同じようなアンケートがありますが、そのうち匿名で答えている企業というのは何割ぐらいなんですか。半分を超えているのか、わずかなのか。大体で結構です、数は精査していないということですから。教えてください。

山木政府参考人 精密な分析をしているわけではございませんので、概括的な話でございますけれども、回答のありました中で約一割程度が匿名、九割程度が実名といった形でございます。

細野委員 もう一つお伺いしますが、では、答えなかった七割、八割の中小企業に対してはどういうふうにしているんですか。ここからはもう上がってこない、上がってこないということは違反がないという判断をされているのか。むしろそっちの方が深刻な可能性はありますよね。それについて何らかの措置をされているのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

山木政府参考人 親事業者の方については、カバレッジ一〇〇%ではありませんので、きちっと報告をしていただきたいということで、督促等の作業をいたしております。

 下請事業者につきましては、特にそういう作業をやっておりませんけれども、そういう報告をされてこなかった人たちの分、約三分の一程度でございますので、そちらの調査の中で、親事業者は下請事業者に、例えば十社と取引があっても十社の中の一社に対して特定の行為をやっているということよりも、親事業者は、十社の下請事業者がございましたら同じような行為をその十社の中でやっている可能性が事実として多いわけでありますので、約三割程度の回収をいたしました事実をもとに、私どものマンパワーを使って調査をさせていただいているということでございます。

細野委員 私も、独禁法の審議が始まってから、地元、うちは割にメーカーが多いものですから、下請法の関係のアンケートを実際にしているような企業に、かなりいろいろ話を聞いてみました。

 小売法関係の優越的地位の乱用の問題についても、いろんな話を聞けばそこへ行って直接担当者から話を聞きましたが、やはりそこから出てくる声というのは、このアンケートになかなか答えられないというんですよね。匿名であっても、どこの企業が答えたかという、親会社なり取引先からそれを突きつけられたときにどういう回答をするか、それがやはり怖いわけですよね。そこにこの回答率の七割というのが隠れていて、なかなか回答しても本当の回答が出てきているかどうかということも含めて、非常にこれは危ういところがあるということをぜひ認識していただいて、このアンケートをとっていただきたいというふうに思います。

 そこで、もう一つ問題にしたいのは、一つは、アンケートに答えないというので、最終的には課徴金の対象であるとか刑罰の対象になる可能性は極めて低くて、いわゆる罰則がきちっと科される、制裁があるということになっていないものですから、しょせん、やってもしようがないだろうという思いが一つあるんですね。

 もう一つは、これはある担当者の方が言っていて、なるほどなと思ったんですが、実際に公取の方が一番、例えば不当廉売なんかで何らかの違反があった場合にやられる行為というのは、注意ですよね。企業に注意をする。注意をするというのが、これは不当廉売だけで平成十五年度に六百五十三件あるんですが、その担当者が言っていたのが、注意なんかされたらたまらないというわけですよ。公表されるわけでもない、親会社に注意をして、じゃ、どこの企業がやったんだと犯人捜しが始まる、こんなことをやられたらたまらないのでアンケートは答えないんです、そういう話が現場で出ていますよ。そういう声をきちっと聞いていられますか。

 三割しか答えない、二割しか答えないのであれば、少なくともサンプル的にでもこの七割とか六割の企業に、どういうことなんだという調査を私はかけるべきだと思いますよ、何にもやっていないとおっしゃったけれども。これは公取の委員長に聞きたいと思います。どうですか。

竹島政府特別補佐人 下請法違反の場合には、例えば一方的に減額したら、我々としては、課徴金の対象ではございませんけれども、その減額は戻しなさい、値引きしたものはもとに戻せということの指摘は、原状回復というか、本来あるべき姿に戻すということも下請法によってできることになっておりますので、そういうこともやっておるということをちょっと一つ申し上げます。

 そのほかに、今御質問のもっと調査をしたらいいじゃないかと。それは考えさせていただきますけれども、私も、生に中小企業の、下請の方々から聞きました。委員おっしゃるとおり、そんなことを公取に言えるか、後のことが怖いんだという声は、もう異口同音と申し上げてもいいぐらいに伺いました。

 ですから、いわばその心の壁があるために言ってこられない。いろいろ我々はその情報が漏れないようにしているんですけれども、漏れるに違いないとまた思い込んでおられる。そこは私どもも、関係機関もございます、商工会議所もございますので、そういうところと、十一月なんかは一生懸命周知徹底をやっているんですけれども、やはりそれぞれの商店街なり組合なり、いろいろなところがあるので、これはもっと元気を出して、勇気を持ってこういうものにはつき合っていただきたいし、我々もそういう情報には最大限取り組んでいきたい。

 ですから、サンプル調査が有効であるかもしれませんから、そういうものは工夫していきたいと思っております。

細野委員 委員長、ここは精神論の世界じゃないので、具体的な成果をまた次に御報告いただきたいと思います。

 最後に一つ、この件に関して指摘しておきたいのは、うちは静岡でいうと東部なんですね。三島であるとか富士というところが選挙区なんですが、そこは公取の管轄でいくと地方事務所の中部担当なんですね。中部というのは名古屋にあるものですから、三島とかいうところは一番遠いわけですよ、神奈川との県境だから。それで、こういう公取の関係、いわゆる独禁法違反とか下請法で、そういうものというのはないんですかと言うと、いっぱいあると言うものですから、じゃ、公取の人がいろいろそういう調査に来たりとか、顔を見たことはありますかと相当聞いて回ったけれども、だれ一人としてそんな人は見たことがない、担当者は見たことがないと皆さんおっしゃるんですね。

 それで、皆さんから、公取さんの方から担当者の数を聞いてさもありなんと思いました。中部地方で下請法の担当をしているのはわずか四名、四名ですよ。中部地方といえば東海道ベルト地帯で、それこそメーカーの数でいうと物すごい数あるわけですよ。中小企業の数でいえば一番それは集中、まあ東京も、大田区もそれは立派だと思いますが、東海地方といったら相当あるわけですよね。四名ですよ。それで独禁法の担当者も十七名。これは本当にいかんともしがたいですよね。

 中央の方でやっていただくのはそれは結構ですけれども、実際に審判に上がってきたり裁判になるようなものの方が極めてこれはまれです。むしろ事件が発生をしているのは現場で、地方ですから、この四名というのは何とかなりませんか。委員長にお答えいただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 そういう実態にございますので、私どもは、大変厳しい行財政の中ではございますけれども、毎年増員をお願いしておる。今はようやく約六百七十名、これは全部でございますが、そのうち四百名以上は本局におりますので、地方はどうしてもそうなってしまう。

 ですから、人だけふやせばいいというものではもちろんないわけでございますけれども、本局の方に言っていただいてもきちんと対応するようなことになっておりますけれども、増員についても今後ともぜひ応援をしていただきたいと思います。

細野委員 先ほど私がずっと言ってきたことというのは、これは本当に一連の流れにあるんですよね。中小企業にとっては、しょせん公取に言ったって課徴金は課されないんだろう、言ったってしょせん調べに来てくれないんだろう、泣き寝入りというのがこれは実態なんですよ。

 今、公取委員長、我々に応援してくれという話がありましたが、それはもう官房長官、内閣全体を統括されているわけで、今回こういう形で本当に実効化するためには、やはり本当に中央の人数を減らしてでも地方にきちっと張りつけるべきだと私は思いますよ。官房長官にぜひ前向きに御答弁いただきたいと思います。

細田国務大臣 この法律改正に伴って検討の場をいろいろ設けなきゃなりませんが、これは内閣府において積極的に取り組んでまいりたいと思います。先ほど来おっしゃったようないろいろな事象は、本当にもう与党、野党を問わず、地元では本当に中小企業の皆さんが困って、特にこのデフレ時代にどうしたらいいんだということで、私自身も自民党独禁調で何十遍それを発言したかわかりません。差別的対価の問題にしても下請の問題にしても、これがなかなか法律論になると難しい面があったんですが、いよいよ皆様方からも強い要請が出て、しかも大多数の方がそれはもう新しい法的な観点からやるべしということが盛り上がれば、これは内閣府の検討の中でまた積極的な検討が行われる可能性がふえていくのではないか。ただし、法律的な問題は詰めていかなきゃいけませんよ。それは法律的なバランス論というのがあって、どうしても壁がこれまであることも事実でございますが。

細野委員 よくわからないんですが、人員の増を検討されるのか、それは今のままでいいという御判断なのか、どうなんですか。お答えください。

細田国務大臣 私は、もっともっと被害者から、積極的に例外なく苦情を申し立ててほしいと思います。私は、それが一番いいんですよ。行政需要がふえるということが初めて定数増につながるんです、交番の問題でも、どうしてもこれをやれということになればなるんですから。私は、四人がだめで八人ならいいというようなことはとても今申せませんけれども、もちろん行革の流れの中ではありますが、行政需要を見て検討をしていかなきゃならないと思っております。

細野委員 中小企業の側から言ってこれないので、それを見つける体制をつくってくださいと言っているんですよ。上がってくるのがいいなんというのはとんでもない答弁ですよ。きちっと見つける体制を整えて取り締まる体制がなければ、幾ら言ったって泣き寝入りで、これはだめだって言っているんじゃないですか。今の答弁はないと思いますよ。

細田国務大臣 いや、私もその議論を何遍もやってきましたが、これは、苦情を申し立てることができないからそれを発掘しろ、それは何人の定員があれば発掘できるはずだ、調査をしろ、注文を聞いて回れというような発想では、もはや非常に難しい面があるんです。したがって、すべての関係企業が堂々と公正取引委員会に対してこれはおかしいと、不当廉売があれば、もう直ちに酒屋さんや電気屋さんが皆おかしい、下請企業がおかしいと言っていただきたいし、そのことがやはり私は本旨でなかろうかと思います。

細野委員 やはりこういう問題は一罰百戒なんですよ。やったときは、それは黙っていて泣き寝入りになりそうになってもたまにはきちっと公取がやるというのがあれば、みんな震え上がるんじゃないですか。そんな全国の何万という中小企業を全部取り締まれなんて言っていませんよ。そういう一罰百戒できちっと取り締まれる体制を少なくとも公取はとるべきじゃないですかと今申し上げています。

 官房長官には今の御答弁だと期待できなさそうですので、竹島委員長、ぜひ頑張っていただいて、これはもう全体のバランスの問題で、やはり地方にきちっと人を張りつけるということをお願いしたいと思います。

 時間もなくなりましたけれども、最後に一点だけ、価格の同調的値上げのところですが、これは条文がなくなりました。全体の供給額が六百億円以上、上位三社で七〇%、三カ月以内に値上げをした場合、今までは報告をしなければならなかったのが、しなくてよくなったんですよね。

 これは実は過去のを見たんですが、例えばビールなんかで値上げがなされて、これは報告がなされているんですが、上位の各社を見ていると、例えば、アサヒ、サントリー、サッポロはそれぞれ、キリンのを見て、いや、これは参考にして値上げしましたといって報告が上がっているんですよね。全体ではカルテルというのは少なくなっていると思いますし、むしろデフレの方が深刻なので不公正な取引方法の方が重要だと思いますが、こういう独占的な分野においては、私は、報告には残しておいた方がいいんじゃないかと個人的には思うんですね。

 これをあえて、もう取り下げるということなので、それについては今やめてくださいとは申し上げませんが、じゃ、どうやってこういうのを取り締まっていくのか、本当にこれで大丈夫なのかということについて最後に委員長にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

竹島政府特別補佐人 同調的値上げをこれから先は見過ごすという意味じゃ毛頭ございません。

 現在のこの規定というのは、実態とも離れていますし、かつて狂乱物価等々で、管理物価、寡占市場における管理価格というようなことが問題にされた状況とは大きく変わっているということも事実でございますが、一言で申し上げますと、これは行政上のコストも企業側のコストも考えて、これからは違法行為を見つけてそれを摘発するに十分な証拠も得られないし、コストはかかるけれども効果において問題があるというのが率直な理由でございまして、しかしながら、こういった行為は、これからリーニエンシーでありますとか、それから犯則調査権限でありますとか、当然同調値上げが行われるというのは我々もわかりますので、それで仮にカルテルや談合があった場合にはきちっと摘発するという姿勢は、より強めることはあっても弱めることはございません。

細野委員 ありがとうございました。終わります。

河上委員長 次に、計屋圭宏君。

計屋委員 民主党の計屋でございます。質問をさせていただきます。よろしくお願いします。

 さて、日本の景気が失速してからもう十四、五年たつわけでございますけれども、いまだに景気の回復を見ていない。数字の上ではそれぞれ景気が回復したというような発表はございますけれども、実態としてはなかなか景気の回復に至っていないというのが現状であるわけでございます。

 そういう中で、やはり日本の構造的なものに由来しているんだ、こういうふうに考えるわけでございまして、中央集権、官僚主導、そして保護主義、こういう保護主義によって画一主義、あるいはまた、さらにはもたれ合い、癒着というものが日本の産業構造をゆがめ、そして景気を回復することができないというのが今の日本の状況である、こういうふうに考えております。

 そこで、だれもが創意工夫し努力すれば景気を回復するという、つまり、市場に参入でき、そして、そこで新しい産業を起こし、そして雇用を拡大していくということができるわけでございます。そういったふうな意味で、構造改革というものが進んでいかない限り、日本の国はもう失墜していく、あるいはまた、世界に冠たる地位を築いていけないということが言えるわけでございます。

 ですから、今回のこの独禁法改正におきまして、自由で公正な競争ができる社会を確立していかなきゃならない、こういうふうに考えているところでございます。

 そこで、そういったふうな考え方からしますと、平成十四年に法人への罰金の引き上げということで一億円から五億円に引き上げた、二年前にこういったふうに改正したにもかかわらず、今回、もっともっと構造的なものを考え、そして、これを改正するならば論議をしていかなきゃならない、こういうふうに思うわけでございますけれども、公正取引委員会が突発的に提示してきたように報じられているわけでございますけれども、公取委員会の位置づけについて政府の認識をお聞きしたいと思います。

細田国務大臣 私から御答弁申し上げます。

 市場経済システムを基本としている我が国、しかも、長い間のバブル崩壊による不況を経験して、非常に経済あるいは取引のありようが変わってきたわけでございますが、そういった中で独禁法は、そのシステムが十分に機能するための、市場における企業の取引ルールを定めた重要な法律であるわけでございます。

 私は、経済成長の時代にはむしろ、余剰利得、不当利得を得る、また、談合があったりカルテルがあったり、さまざまな行政需要があって、また、公正取引委員会は非常に多くの業績を上げてはおるわけでございますけれども、バブル崩壊による不況が生じてからは、競争面ではむしろ過激な競争が始まって、基本的には、建設業界だろうが小売業界、卸業界、大変な構造変化を迎えているわけですけれども、その中でまた、それぞれの大きな問題点、先ほど来各委員もおっしゃっているような問題点があって、そういう行政需要にきちっと強く対応していかなければならない、そういう時期を迎えていると思います。

 それでまた、これで経済への流れがかなり上昇気流にも乗りかかってはおりますが、まだ大企業分野中心であるということで、さらにこれが上昇気流に乗ってくると、それを両方ミックスしたような格好で対応していくということで、また課徴金の問題その他、いつまたそういった弊害が出るかわからない事態に対応するための法整備を、今しっかりとやっておかなければならないということであると思います。

 そして、平成十四年の独禁法改正において附帯決議が行われて以来、政府として閣議決定を何回か行いまして、十分な検討を重ねてきておるということを申し上げたいと思います。

 まさに委員のおっしゃったような社会の変化、構造の変化に敏速に対応するような独禁法であり、公正取引委員会であるべきであると思っております。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

計屋委員 それで、この独禁法の改正は、昭和二十二年に制定されて、その後五十二年から平成二年まで十五年間かかって改正された。そして、三年、四年とそれぞれ大幅に改正された。そして、四年から十四年、十年間かかったわけでございますけれども、この十四年の改正は抑止力がなかったということなのかどうか、お聞きしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 十四年に法人に対する罰金を一億から五億以下に上げたわけでございますが、これは他の経済犯に対する罰金の横並びをとったという趣旨の改正でございまして、これはあくまでも罰金を幾らにするかという問題です。

 今回お願いを申し上げていますのは課徴金でございます。罰金と課徴金等も、機能も違いますし性質も違うわけでございまして、罰金を上げれば課徴金を上げなくて済むという問題ではございません。

計屋委員 いずれにしましても、今回の改正法については、やはり構造改革をしないといけないというそっちの方から追求していかなきゃいけない。そして、やはりこれは経団連でもそうですけれども、構造問題を抜本的に整理をまずしなきゃいけないんだ、そして、公取委の権限を強化し、課徴金の一本化をすべきだ、こう言っておりますし、また、商工会議所も、規制強化じゃないのか、そして、EU型かあるいは米国型として、課徴金を一本化すべきだと。こういったふうにして、先進欧米においてはもうこれは一本化しているわけです。

 なぜこれがこういったふうにして、根拠がわからないわけですね。課徴金と罰金という形でこれを二本立てにする、そして、両方あった場合に、この罰金を、課徴金の五〇%を削除する。そういう根拠というのはどこなんですか。

竹島政府特別補佐人 今委員御質問のことは、すべて二年以内に見直すというまさに基本の見直し事項についてのお尋ねなわけですが、何で今回課徴金に一本化ができなかったのかということは、日本における制裁、広い意味の制裁、これは一番厳しいものが刑事罰、その前に行政処分というものがあるわけですが、この二段階で構成されている。制裁のピラミッド構造と言われますが、日本は、二段階で構成されているそういう制度を持っている国なのでございます。

 したがって、課徴金に一本化ということは、それも名前を制裁金に変えろという御意見でございますが、刑事罰にかわる機能を持たせるということを意味するわけで、これは昔のような、ある意味ではそれ以上の、行政罰というものを置くという問題にもなるわけでございまして、まさに我が国の刑事司法その他行政のもろもろの制度の基本にかかわる問題で、そういった刑事罰の機能もあわせ持ったような、それに代替し得るような行政罰的行政制裁金というものは我が国には存在しておりません。

 それを入れろという御主張なわけでございますので、これはよほどきちんとした、基本にさかのぼった議論をしなければいけないということでございまして、私どもは、今回の改正は、そういうことでは時間もかかりますし、必ずしもその道が日本の制度なり実態に合ったものでもない。やはり制度というのはきちんとワークしなきゃいかぬわけでございまして、理念だけがひとり歩きしましてもこれはどうにもなりませんので。

 そういうことを考えた場合には、現実的に、今回御提案申し上げている、日本はあくまでも、サンクションのシステムとしては二段階制、要するに、社会的に重大かつ悪質なものは最後は刑事罰でもってきちんと裁いていただかなきゃ困るということは残しつつ、そうじゃないものについてはきちんと行政処分が有効に働くという仕組みを維持する方が効率的であるし、現実的である、合理的であるというふうに考えたから、今回はそういうふうにさせていただいた。

 いずれにしても、基本的な議論がございますので、二年かけて大いに議論をさせていただきたいと思っております。

計屋委員 ですから、二年かけてやるというのはいいんですけれども、今回、なぜ急いでやったかということ、そういったような部分が、もっと論議をしなきゃいけないのに、こういったふうにして急いで独禁法をこの国会に提出したということ、この辺がやはりどうも私は理解できないわけなんです。

 いずれにしましても、やはり刑事罰が最後は必要なんだ、こういったふうに主張しておりますけれども、では、課徴金じゃなくて、刑事罰あるいは行政制裁金という形に持っていけばいいわけでございます。そういうところが大変不透明な部分でございまして、こういったようなことをもっともっと論議してやっていかなければ、日本の将来の独禁法というものが、やはり二流国として見られていくということにつながっていくんじゃないかということを懸念しているわけでございます。

 時間がないので、先に進みますけれども、では、今回の課徴金算定率の具体的根拠、妥当性についてお聞かせいただきたいと思います。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 今回の課徴金の引き上げは、平成三年改正、前回の引き上げでございますけれども、平成三年改正における課徴金算定率引き上げ以降も違反行為は減少しておらず、違反行為を繰り返す事業者が後を絶たないなど、違反行為防止の観点からは不十分であると考えられたことから、課徴金の算定率の引き上げを検討したところでございます。

 そこで、過去の違反事例におきます不当利得の状況、それから他法令の状況、さらには国際的な水準等も踏まえまして、違反行為を防止するのに必要な水準として、課徴金算定率を一〇%まで引き上げることとしたものでございます。これは、違反行為防止という行政目的に照らして合理的に必要と考えられる範囲内のものであり、適切な水準であると考えておるところでございます。

計屋委員 妥当性ということで、これについてもその根拠がやはりはっきりしないというところがあるわけでございまして、大企業の場合は六%から一〇%、中小企業は三%から四%ということで、妥協してパーセントをはじいた、こういうことでございますので、この根拠というものをやはりしっかりと示していかない限り、妥協的にこういったふうな算定基準を設けていくということに対して、非常にあいまいだ、こういうふうに考えます。

 それでは、次に進んでまいります。

 今回の政府案については、早期に違反行為をやめた場合の課徴金算定率の軽減措置を盛り込んだ趣旨はどういうものなのか、説明をいただきたいと思います。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 課徴金制度は違反行為を防止するための行政上の措置ということでございますけれども、その趣旨、目的には、一つは違反行為に着手すること自体、違反行為を行うこと自体を防止するということもございますが、それ以外に、仮に違反行為に着手した場合でも、短期間に違反行為をやめさせるということがあると考えておるところでございます。

 そういうことから、今回の政府案では、違反行為を早期にやめるインセンティブを高めるという観点から、立入検査前、公正取引委員会が調査を開始する前、具体的には一カ月前ということにしておりますが、そういう調査開始前に早期に違反行為をやめた事業者、実際に違反行為を開始したということでございますけれども早期に、これは二年を考えておりますが、二年以内に違反行為をやめた事業者につきましては、通常、原則一〇%でございますが、それより二割低い課徴金の算定率、具体的には八%になりますが、それを適用することとしたものでございます。

 また、早期に違反行為をやめるインセンティブが高まることによりまして、企業のコンプライアンスも促進されるものと考えておるところでございます。

計屋委員 それでは、民主党案でございますけれども、早期に違反行為をやめた場合の課徴金算定率の減免措置のような仕組みを盛り込まなかった理由をちょっと説明していただきたいと思います。

高山議員 計屋委員にお答えいたします。

 政府案のように、調査開始前に違反行為をやめたものについては減免ということですけれども、単に画一的に早期に離脱したことのみで課徴金算定率を軽減することというのはむしろ妥当でなく、そういう何か抜け目ない人だけが評価されるみたいなことでして、むしろ、違反事業者の自主的申告や違反事業者の法令遵守体制の整備など、総合的に評価して軽減を認めることが妥当だというふうに私ども民主党では考えております。

 ですから、今回の民主党の法案では、あえて、ただ単に早期に違反行為をやめた場合という規定は盛り込まないとする一方、例えば官製談合に関与した事実を申告した業者ですとか、また法令遵守体制を整備しているなどなど、そういったことをこれからさらに政令で細かく定めてまいりますけれども、そういうことを総合評価して、我々は、これは課徴金ではなく行政制裁金といいますけれども、行政制裁金を軽減する措置を規定しております。そして、この行政制裁金が公取の裁量的に減免されるのに使われないように、これは、行政制裁金減免調査官というのを独立して、客観的に審判していくという制度にしております。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

計屋委員 もう一点お聞きしておきたいんですが、政府案における審判手続改正の趣旨及び概要はどうなっておりますか。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案では、事件処理及び審判手続の迅速化、効率化を図る観点から、一つは、勧告制度を廃止いたしまして、事件審査の結果、違法行為が認められる場合には、その時点で正式な行政処分である排除措置命令を出せること。

 それから二点目としまして、その排除措置命令と課徴金納付命令を同時期に行えることとして、両者の併合審理も可能とすること。

 三点目として、審判請求がなされた場合、課徴金納付命令は失効しない。現在は失効するとなっておりますけれども、失効しないとすることのほか、課徴金の納期限までに納付しなかった事業者に対しては、審決後に課徴金と延滞金を納付させるというようなこととしております。

 また一方で、適正手続の確保というのも非常に重要でございます。そういう観点から、排除措置命令を行うに当たりましては、事前に意見申述、証拠提出の機会を付与すること。現在、勧告制度をとっておりまして、勧告を出すに当たって意見聴取の機会等は設けておらないわけでございますけれども、排除措置命令を行うに当たりまして、そういう機会を付与すること。

 それから、適正手続の確保の観点からの二点目としまして、審判官審判における審判官の権限等、審判手続等における規定を整備するという点。

 三点目としまして、審査・審判手続に関する公正取引委員会の規則を定めるに当たりましては、その手続の適正の確保が図られるよう留意しなければならないことを法律上明確にするというようなことを盛り込んでおるところでございます。

 以上でございます。

計屋委員 それでは、この政府案に対して民主党は、こういったふうなことを今後検討するということでございますけれども、この政府案をどういうふうに評価するか、お答えいただきたいと思います。

近藤(洋)議員 計屋委員にお答えいたします。

 先生御指摘のとおり、政府案では勧告を命令に変えているということでございまして、審判手続で争っているその間、この命令が有効だというのが政府案でございます。私たちは、これを白紙に戻しました。

 どのように評価しているかという問いでございますが、これは大変乱暴な改正手続の変更であり、むしろ改悪ではないかと考えております。課徴金を課すためには、刑事手続にならって、適正手続、いわゆるデュープロセスを確立しなければいけないことが何より大事でございますが、政府案のこの改正は、その処理のスピード、速度のみを重視して、適正手続の要請を犠牲にしたものだと考えております。

 私ども民主党案では、課徴金を行政制裁金と改めて、行政上の制裁としての性格を明確にした上で、その上で、やはり制度に対する国民の信頼を確保するためにも、法の実効性を高めるためにも、政府による手続の改正、拙速な改正は一度ストップして白紙に戻すべきだと考えております。

 先ほど政府の答弁で、現在はごね得を許しているという御答弁がございましたが、これは公正取引委員会の体制の不備であって、その体制の不備を度外視して、棚に上げて、ただただ制度を変えてしまえばよいというものでは全くないと思っております。

 この点につきましては、各界から大変な問題があると指摘をされているところでございまして、私ども民主党としては、経済界はもとより労働界、消費者団体、さまざまな方から意見を聞いて話を進めてきたところでございます。

 また、先ほど、経済界に関する一部新聞の報道についての御発言が与党議員からございましたが、責任ある政党としてあらゆる層の方と意見を交換するのは当然のことでございまして、責任ある政党として責任ある法案をつくって、今回の改正については私どもは白紙、その分、審判官を増員することでスピードアップを図るということでございます。

計屋委員 今、政府案に対して民主党の評価ということでお話を伺ったわけでございますけれども、やはり私も同感でございまして、これは審判官が少ないということを理由に、つまり、排除措置勧告と課徴金納付命令というのを入り口の地点でやる、そして課徴金というものを払えということで、しかし本人が払わなくてもそれは、さらに審判手続が行われたときに、そしてその判決が出たときに払ってもいい、そういったのはざる法だと私は思うんですよ。

 ですから、そういう点でこの辺をもう少し検討する余地があると思いますけれども、その辺はどうですか。

伊東政府参考人 先ほど御説明いたしましたように、私ども、事件処理の迅速性、効率性、これは必ずしも、公正取引委員会だけのためというよりも、企業にとっても非常に重要な関心事項でございますが、そういう迅速性、効率性だけの観点からではございませんで、あわせて適正手続の確保ということにも非常に重点を置いて新しい制度を考えたところでございまして、適正手続の観点から見ましても、特段の問題はないというふうに考えておるところでございます。

計屋委員 判決が出ないのに課徴金の納付命令を出すというのは、私は、これは片手落ちであって、やはりこういうことはやっちゃいけない。審判官が足りなかったらそれをふやして、きっちりとそれを審査した上で課徴金の納付命令というものを出すべきだ、こういうふうに主張しておきます。

 それでは次に、私ども、やはりここで公正で自由な競争の実現に向けて経済憲法とも言える独禁法の機能を高めるということは、言うまでもないわけでございますけれども、一方では、やはり中小企業にこのしわ寄せが行くんだというふうに考えているわけです。

 例えば、官庁入札の場合ですと、競争相手が多くなってくる。そうしますと、今までの指名された額よりも安く出していくということで、やはり自分の生活を守っていかなきゃいけない、そういったふうな動きになっていくわけです。

 ですから、そういうことを考えてまいりますと、特に、先ほどもお話がございましたけれども、ビルメンテナンスだとか警備業界、あるいは軽微な電気等の工事、あるいはまた建物の修理等においては、もう最低ラインで、そして、そこで働く人たちも最低賃金法のすれすれのところで従事しているわけでございまして、独禁法において自由で公正な競争原理を取り入れていくというのは、これは大変大切な一方、中小企業というものが現実として、今までの値段よりも、官庁入札の場合に半額で入れたとか、あるいはまた六割で入れたとか、そういうことにおいてその企業が継続できなくて給与の遅延という形が出ている。そうしますと、働く人にしわ寄せが行って、給与をもらえないで会社が倒産していくという例が幾つもあるわけです。

 ですから、そういうことで、こういったような公正で自由な競争原理を取り入れる場合に、現代の競争原理だけで物事を考えていくということは、私はやはりこれは問題があって、弱者を救済する方法ということとセットで考えていかなきゃいけないというふうに常々考えているわけです。ですから、確かに、今、日本の構造改革をしていかなきゃいけない、それには独禁法というものが必要なんだということは今主張したところでございまして、ところが、弱者の救済というものをどういうふうに考えているか、これはやはり中川経済大臣にお聞きしたいと思います。

中川国務大臣 経済が公正に、そしてまた発展をしていくということは、これは、公正取引委員会にしても私どもにしても、共通の前提だと思っております。

 そういう中で、いろいろな不公正等々があってはならないというのがこの法律の趣旨だと思いますが、今、計屋委員御指摘のように、先ほど下請に関しての御質問が細野委員からございましたけれども、弱者に対する優越的地位、反対に言うと優越的地位ということになるんでしょうが、弱者に対して十分な配慮をやっていかないと真の意味の健全な経済の発展につながっていかないと思いますので、弱者に対する配慮といいましょうか、セーフティーネットみたいなものを十分にこれからも、制度面でも、また我々の行政執行面でも考えていかなければならないというふうに考えております。

計屋委員 前向きの答弁があったわけでございますけれども、やはり日本のこの社会というのは、中小企業が九九・七%、そして従業員も約八割いる、そういったような中で、中小企業救済というものが、こういったような自由で公平な競争の裏で泣いていく人たちがいるんだ。やはり政治として、私どもは、そういったような中小企業を切り捨てていくんじゃなくて、やはりそこにスポットを当てていくということが大切だと思いますので、この二年間の検討期間の中でセットで弱者救済というものも検討していただきたいというふうに要望して、次に質問を進めたいと思います。

 次は、今、日本の原油、あるいはまたガソリン、軽油、こういったような部分が大変高騰しているわけです。その中で、日本のエネルギー政策について、今現状はどうか、今後どうするんだということを中川経済大臣にお尋ねしたいと思います。

中川国務大臣 もとより、日本はエネルギーというものが極めて少ない、要するに自給できない。たしかきょうの新聞でもエネ庁の広告が出ておりましたけれども、日本のエネルギー自給率は原子力を除いて四%という新聞広告を出させていただいておりますけれども、ほかの先進国に比べて大変低いわけでありますから、しかし、経済活動あるいは国民生活を少しでも豊かにしていくためには、エネルギーが必要であります。したがって、海外からの確保が必要であります。

 そういう中で、石油、天然ガス、石炭等々をいかに安定的に確保するかということと同時に、日本はオイルショックの経験を世界で一番生かしたと我々日本として自負していいと思いますが、省エネの技術とかいろいろなことをやっておりますし、また新エネとかいろいろなものにも努力をしてまいってきております。と同時に、今後、世界全体がふえていく、その中でもアジアの需要が非常に高くなっているということでございますので、多国間で、私もAPECでエネルギーの議論をしてまいりましたけれども、みんなで協力してやっていくことが大事だろうと思います。

 ちなみに、今、石油は、きのうまたニューヨークで五十ドルになったという状況でございまして、これは多分に私は投機的な面が強いんだろうとは思いますけれども、しかし、そこまでいくと、単に買う方だけではなくて売る方も、つまり、産油国の側も決してプラスにはならないというのが産油国、我々共通の認識でもございますので、これは日本だけの問題ではなく、世界の共通の課題として、みんなでエネルギーを安定的に供給する、そして確保するという体制づくりが必要であり、とりわけ、先ほど申し上げたような事情から、日本はその先導的な役割をとっていく、果たすべき立場にいるというふうに考えております。

計屋委員 日本のエネルギーの自給率が大変低いということでございまして、エネルギーの国際価格が高騰している中で、日本の利用されているエネルギーの五〇%は石油、そして石炭はいまだに二〇%を超えております。しかも中東依存度が八八%になっているなど、コスト、セキュリティー、そして京都議定書にも見られるような環境問題にも配慮をする必要があると思いますが、政府の考え方はどうですか。

保坂副大臣 お答えいたします。

 ただいま計屋委員からお話がありましたように、我が国の一次エネルギー供給の大宗を占めます石油に関しましては、お話しのとおり、中東依存度が極めて高いわけでございます。昨年ですと八七、今八八という話がございましたが、多分そのぐらいまで行っているということでございます。

 大臣からも御答弁申し上げましたように、向後を見ましても、中国を初めとするアジアの需要というものが極めて急速に増大してまいります。そして、石油自身の埋蔵量がほとんど中東に集中している関係上、中東依存度というのが、日本のみならず世界中がその傾向を払拭できない、そういう状況にあろうと思います。

 我が国でございますけれども、そこで、例えばロシアなど近隣の諸国を展望したところのエネルギー供給の多様化、それから産油国との関係強化、あるいは日の丸原油といいましょうか、自主開発の促進、こういうものを懸命にやっていかなくちゃいけない、こう思っております。

 今以上に資源外交を活発にする。それからまた、リスクマネーも、独法で石油天然ガス・金属資源機構という機構がございますが、ここを通じまして、できるだけ効率的かつ豊富にリスクマネーを出す。それから、川上の開発もやっていかなくちゃいけない、こういうことで、中堅企業もしっかり育てよう。そして最後には、やはりドメスティックに言えば、省エネを徹底する、それから原子力発電を推進する、あるいはまた天然ガスの利用を促進する、こういうことでエネルギーセキュリティーを図っていかなければならない、こういうふうに思っております。

計屋委員 けさの日経新聞にも出ておったわけでございますけれども、九二年の五月の京都議定書の記事が記載されていたわけでございます。日本は、九四年三月発効の京都議定書、地球温暖化防止条約の努力目標に従い、二〇〇八年以降には、九〇年の温暖化ガス排出レベルから、つまり、九〇年地点では六%削減しなきゃいけない、それから、その後アップしまして、七・六%アップしている、ですから、合計しますと一三・六%の削減が求められているわけでございます。

 ですから、そういったような点で、今の石油、石炭を八八%も使っておりまして、これは目標は達成できるんですか、その見通しはどうなんですか。時間がないので、端的にひとつよろしくお願いしたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 京都議定書で二〇〇八年から二〇一二年の間に、九〇年に比べまして、二酸化炭素の削減につきましては九〇年比六%削減というのは、先生の御指摘のとおりでございます。

 これにつきましては、これから、産業界、あるいは民生用、業務用を含めまして、私どもといたしましては、省エネ法の抜本的な改正等を含めましてこの目標が達成できるように、政府を挙げて、あるいは経済界、それから消費者の皆様の御協力をいただいてこの達成に向かって努力をしていく必要があるというふうに考えております。

計屋委員 政府を挙げてこれに取り組むということでございますけれども、なかなかそう簡単に達成できる目標じゃない、こういうふうに思います。ですから、私は、そういう点では、天然ガス、やはりCO2が出ない天然ガスをもっと導入していくべきだ、こういうふうに考えているわけです。

 私は、この夏、サハリンにも行って、サハリン1、サハリン2の油田、そして、今工事をやっているサハリン2のLNGの場所も確認してきました。そして、中国がパイプラインを国家を挙げて今取り組んでいるということで、私は中国にも行って視察をしてきたわけでございます。中国は今、経済の成長と同時に、エネルギーを倍にして経済を四倍にしよう、そういった大きな目標のもとに頑張っているわけでございます。そして、このエネルギーの問題については、やはり先ほど話もございましたけれども、尖閣列島、こういったようなところを含めて、あるいは沖縄の海域等々も調査して、海底の資源というものを今開発しようということで取り組んでいるわけです。

 ですから、そういうことから考えてまいりますと、私どもは、サハリン1というところに石油公団、そして伊藤忠、丸紅、こういったようなところが投資をして日本にパイプラインで引っ張ってこよう、そういったような計画をしていた。それが今度は、先ほどの日経新聞の情報を見てみますと、サハリン1の天然ガス、日本への供給白紙へ、エクソン、中国に全量を検討していると……(発言する者あり)いや、まだ時間はありますので、御心配なく。

 そんなことで、この天然ガスについて、日本が、国がここに投資した、それを日本に持ってこなくて中国に持っていかれる、そういったようなことで、私は、今後の日本のエネルギー政策に大変黄信号がともっている、こういうふうに考えているんです。

 この辺はどうですか。やはり将来において中東依存ということではセキュリティーにも問題がありますし、自給率も低いということから考えてまいりますと、日本の近海、そして、さらにはこのサハリンという近いところからパイプラインで日本に天然ガスを持ってくるということ。韓国にしても中国にしても英国にしても、国家でこういったようなインフラを整備しているわけです。ですから、日本の場合も、民間に任せているということになりますと、日本のエネルギーという問題が、やはりこれは大きな問題を、将来に禍根を残していく、こういうことにつながっていくだろうと私は思いますけれども、大臣、ひとつその辺を御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 先ほど申し上げたような事情ですから、何といっても、日本の近くに有望なエネルギー資源がある。今、計屋委員の御指摘はガス、その中でもサハリンの1について特に言及をされたと思いますけれども、これについて、サハリン1であろうが、2であろうが、あるいはシベリアであろうが、政治的に安定し、そして膨大な資源があるというふうに言われております地域から安定的に供給をするということは、これは、仮にサハリン1の場合には、特殊会社と商社とが出資をしている民間プロジェクトとはいえ、我々としても注意深く見守っているところでございます。

 このオペレーターは、御承知のように、エクソン・モービルという会社でございますけれども、今後どういうふうにしていくかということについては、この会社、サハリン1のプロジェクトの方にもいろいろと希望なり要望なりがあると思いますし、日本の側にも、いろいろなメリット、デメリットを今検討しているところでございます。採算性の問題であるとかいろいろな、供給の安定性であるとかありますので、その辺を我々としてもよく判断をし、そして先方ともしっかりと話し合って、ゆめゆめちょっとした条件が折り合わないからといって貴重な近隣資源が日本から失われることのデメリットが出ないように、細心の注意を持ってこのプロジェクトを見守っていきたいというふうに考えております。

計屋委員 見守っていきたいということだと、やはりこれは日本……

中川国務大臣 見守っていきたいというよりも、重大な関心を持って政府として関与できるところは関与していきたいという意味でございます。

計屋委員 関与するといっても、これはやはり私は、日本の国家の将来というものを考えた場合に、エネルギーというのはやはり一番大切な問題でありますので、これは国を挙げて、そして民間と協調して、そして、このパイプライン、ガスというものを、京都議定書にもあるセキュリティーでも、コストも十分の一だと言われていますので、ぜひ私どもこれは関心を持って、議連でも取り組んでいきますし、また国が積極的にこの問題に取り組んでいくことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 独禁法の議論ということで、競争政策の問題ですけれども、私、考えるに、今の中小企業の現状を思うと、大企業との関係での格差がある中で、やはり優越的地位の乱用などを是正する、不公正取引の是正、こういった立場で中小企業支援の振興策をきちっととっていくことが必要だ。それらと同時に、私、競争政策ということを言うのであれば、今の震災など被災者の、被災中小企業への支援というのも極めて重要だと思うんです。

 といいますのも、競争というのは同じ土俵で行うから競争であって、今の被災をされておられる方はそれはマイナスとなっているわけですから、このマイナスを取り戻して少なくともゼロにする、ここがやはり被災中小企業への支援策だと思っているわけですね。

 そういう点で何点か、被災中小企業に対する対策についてお聞きしたいと思います。

 最初に、二十三号水害でも大きな被害を受けた兵庫県の豊岡市のかばん製造業です。

 現地では、最近の新聞でも拝見をしましたが、イギリスの高級ブランドのバッグの取っ手なども豊岡の産地でつくっておられる、そういう輸出向けのものもつくるような技術力も持っている。こういう産地というのが、もうまるで水につかって、品物も在庫も仕掛かり品もすべて水につかるだけではなくて、生産設備が大変な被害を受けているわけです。

 そういった中で新たな奮闘も始まっているわけですけれども、私、そういう意味でも、こういった産地を支えている一番の土台の方たちを支援することが必要じゃないか。特に、豊岡の産地などにおきましては、縫い子さんと言われる御婦人の方々がミシンを使ってそういう一番の、いわば底辺としての仕事をなさっておられるわけですね。ここが、ミシンがもう水につかってだめですから、仕事をすることができない。もともと、五台、六台ある方のところに足を運んで仕事をされるような方もおるでしょうし、自分でお持ちの方もいるわけです。七十万、八十万というミシンですから、そうそう簡単に買うことができない。今の状況を考えると、もうこの辺でやめておこうか、こういうふうになると、一番のかなめがどんどんこぼれていく。それは産地を大きく崩壊に導くようなことになってはいけないわけですから、こういった縫い子さんたちのミシンの無償の貸し出しですとかいう取り組みなんかもぜひ考えてもらえないか。

 いろいろ経済産業省として生産設備の貸与の取り組みなども行っておられると聞いております。そういう点でも、こういったミシンなどについては積極的にあっせんをして、無償で貸し出すようなことも大いにやってもらいたいと思っているんですけれども、この点いかがでしょうか。

保坂副大臣 お答え申し上げます。

 新潟中越地震あるいはまた台風二十三号等の産業地への被害は大変大きなものがございます。一部ほとんど復旧した地域もあれば、また、一部は稼働が開始していないというような中小企業があることは事実でございます。

 豊岡のかばん産業でございますが、先日私も東京駅で、見本市的なものを、即売会はやっていませんが、見てまいりました。(塩川委員「展示会」と呼ぶ)展示会ですね。県が一生懸命でしたね。本当に真剣に自分の力で立ち上がるぞという意気込みを拝見いたしまして、胸に突き上げるものを感じました。

 お話がございましたとおり、工作機械や織り機が水に浸ったり、あるいは現実にもう機能しなくなっている。そこで、代替やあるいはまた優先的な融通によりまして整備をしてもらう、こういう努力は私たちもしてきたところでございますが、豊岡のかばん産業自体の強さというものはございますけれども、お話のとおり、例えば、現実に生産が開始されましても、納期の問題あるいはまた取引上のいろいろな問題が出てまいります。そういうときに、できましたらば、下請企業振興協会というのを全県に設けておりまして、ここにぜひお伝えいただきたい。そこを通して問題解決のあっせんをするべきだ、あるいはまたやりますということを、当省としては十一月の十二日に具体的に要請したところでございます。

 それから、そのほか災害復旧の貸付制度、これはもうかなり活用される可能性になってまいりまして、別枠で、一般貸し付けとは違う状況で利用が始まっております。

 それから、セーフティーネット四号適用は既に始まっておりますので、これらの金融面での措置はかなり進んできていると存じます。

 それから、十一月の十五日、先週の月曜日に、豊岡市長が大臣に直接陳情したいということでおいでをいただきました。これは、お話がありましたとおり、縫製用のミシンの優先修理要請や災害金融支援等の措置を要請してきました。お話を聞いて、全くそのとおりでございますので、当省といたしましては、行政でできる範囲をできるだけ超えてまでバックアップするというお約束を大臣がいたしまして、一刻も早い対応をしているところでございます。

塩川委員 ありがとうございます。

 そういう点でも、メンテナンスの面で優先的な対応をしていただく、こういう点で頑張っていただいているところだと思いますし、産業復旧貸付融資の問題やセーフティーネット保証などは、現場に即して対応いただいていることと思います。

 そういう取り組みとあわせて、現場からミシンの無償の貸与についてもこういうふうにやってもらいたいという要望があったら、これはぜひ積極的に受けとめて対応していただきたいと思うんですが、その点だけお約束いただけないでしょうか。

保坂副大臣 現状では無償というところまではいっておりません。ほかの災害の例なんかを見ますと、基金から無償で自治体がやっている例はございますが、今の状況ではそこまではまだいっていない。前向きに、懸命に努力してまいります。

塩川委員 自治体などでそういう取り組みがあれば懸命に応援していただけるということだと思っております。よろしくお願いします。

 それと、新潟中越地震ですけれども、私、昨日現地に行ってお話を聞いてまいりました。長岡の商工会議所と小千谷の商工会議所、それからあと観光地の方ですね、塩沢町の石打丸山観光協会の方と、それから一番群馬寄りの湯沢町の湯沢温泉旅館組合の組合長さんのお話と、それぞれお聞きしてまいりました。

 大変深刻な現状の中で、本当に懸命に努力をされておられる。お互い励まし合いながら、大いにやはり切り開いていこう。長岡の商工会議所に「希望」という大きなスローガンというか張り紙もしてありまして、そういう意味でも、お互いに励まし合って頑張っていこうという意欲を感じることができました。こういう現地をぜひとも応援していただきたいと思っておるわけです。

 そこで、最初にお聞きしたいのが風評被害の問題なんです。

 これは、例えば石打丸山観光協会の方なども、積極的に首都圏のエージェント、旅行代理店などを回っているというんですよ。大体スキーシーズンになりますと、旅行代理店にパンフレットの棚があるじゃないですか、その棚の大体一番上の棚に上越、新潟の湯沢だとか塩沢だとか、ああいうところのパンフレットが置かれるんですよ。それが今もう全然ない。あるとしても一番下の方で、そもそも置いていない。結局、お客さんの方からなかなかそういう希望がないという中で、そもそも代理店の方もそこまであっせんすることができない。

 また、新幹線がとまっていますから、大体新幹線の指定席とセットでツアーを組むのが多いんですよ。今、私も乗りましたけれども、越後湯沢まで新幹線は行っているんですけれども、指定席は一つもないんですよ。全部自由席なんです。そうすると、ツアーではやはり指定席があって行きますから、帰ってきますから、それがとれないというのはなかなか旅行代理店、商品としても組みにくいという話なんかも、なるほどなと思ってお聞きしました。実際にキャンセルが相次いでいるような状況があります。

 例えば、新潟というだけでキャンセルだというんですよ。もちろん、だから湯沢とか塩沢もそうですけれども、佐渡島ですとか瀬波ですとか、私なんかどちらかというと長野県というイメージのある妙高高原、長野市のちょっと上の方ですけれども、あそこまでわざわざ電話がかかってきて、妙高高原ですと言いますと、妙高高原は新潟県ですかと聞いてキャンセルしますなんというのもある。まるで地震の影響がないわけですよ。それなのに、新潟県というだけでキャンセルがされてしまう。大変深刻な事態になりました。

 湯沢町の温泉旅館組合の組合長さんのお話では、十五軒の旅館組合、ほかにも民宿の組合があるそうです。この旅館組合では、大体一日の宿泊のキャパシティーが四千人ぐらいだということなんですけれども、ずうっとキャンセルばかりだ、十一月二日時点の調査で、予約が入っていたのがキャンセルが幾つかといったら、五万人分のキャンセルだと言うんです。そうしますと、ほぼその被害額が十億円を超えるという事態になっているんですね。

 そういう点では、現地からは、災害貸し付けの融資限度額の拡大ですとか、貸し付け要件の緩和要望なども出されておりますから、そういう改善の取り組みもぜひともお願いしたいと思っています。

 そこで、一つ検討を具体化していただきたいと思っているのは、セーフティーネット保証の問題なんです。

 セーフティーネット保証四号というのは、この前質問をさせていただきまして、直ちに適用していただく、私の質問の翌々日には適用していただく。小此木副大臣にも本当に御努力いただきまして、現地の方も、そのことをお伝えしましたら、小千谷の商工会議所の方も、大変ありがたいと迅速な対応というのを喜んでおられました。

 そこで、セーフティーネット保証四号は、現時点では湯沢町には対象になっていないんですよ。というのは、セーフティーネット保証四号については、災害救助法の適用地域ということでかかっているんだというんですね。災害救助法というのは、実際の災害で被害を受けた、直接被害があったところへの手だてをとるスキームですね。湯沢町で聞いたら、テレビがテレビ台から落ちたなんという被害、ちょっとひびが入ったなんというのが幾つかあるだけで、実際には目に見える地震災害はないわけで、あくまでも二次災害というか一・五次災害というか、そういった風評被害の影響が極めて甚大、それが十億円を超えるような被害となってあらわれているわけですね。

 私はやはり、セーフティーネット保証四号が災害に適用されるというのであれば、この湯沢町にも当然のことながら適用されてもいいんじゃないか、その点、ぜひお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

保坂副大臣 お答えいたします。

 風評被害は特にひどいものでございまして、伊豆大島で噴火いたしますと、伊豆半島全体にお客が来なくなるというようなことまでございます。今回の場合も、新潟県という地名だけで確かにお客が来ない。それから生産者の方も、既に生産開始されているのに、まだ生産開始されていないごとくの風評が出ておりますが、まことに残念な思いでございます。

 今、本省からも三人の現地支援対策室の職員が新潟に行っておりまして、懸命に広報、あるいはインターネット、ホームページ、すべて利用しながら、また業界紙を利用しながら頑張っております。

 それから、ただいまお話がありましたセーフティーネットの四号ですが、これは十九日の日に四十八市町村に関しましては四号対象として指定をいたしました。しかし、湯沢町のように指定されていない地域もございます。特に湯沢町の場合、お話がありました宿泊業でございますが、この場合は、既にセーフティーネットの五号保証ということで不況業種の指定を受けているわけでございまして、現実的には、四号、五号適用も、認定されれば同じ内容になっております。

 したがいまして、それで勘弁してくれというわけではございませんけれども、しかし、深刻な事態は想定して、例えば新幹線につきましても、来月二十八日には完全に上越新幹線全線開通ということでやっておりますが、それに向けて今お客を、この冬のシーズンにおいでいただくように努力しているところでございます。

塩川委員 実際お話を聞きますと、では新幹線が通ったからすぐ来てくれるかというと、そうはならないだろう。要するに、エージェントなどを通じての、代理店を通じてのは三カ月前からとりますからね。そうしますと、もうことしの冬はだめだなという思いで、そのための資金繰りで何とか乗り切れないかというのが現地の一番の要望だ。

 もちろん、たくさん来てほしいですよ。しかし、ほかの被災地の方も身近に感じている。避難所に、それこそ湯沢の旅館組合の方などもボランティアで、澄まし汁と海鮮どんを五百食届けて、本当に喜んでいただいた、うれしかったということをおっしゃっておられました。そういう方々の暮らしを思ったときに、余り大きく大丈夫だ、大丈夫だと言えないという気持ちも本当によくわかるわけです。

 そういったときに、やはり資金繰りという手だてでとれるものはすべてとる。五号の場合には不況業種ということが当然ありますけれども、それ以外にひっかからないような業種も当然出てくるわけです。

 例えば、スキーリフトの会社なんというのも、小さいところなんかあの辺いっぱいあるんですよね、そういうのなんか対象になるのかどうか。そういうのを考えても、私、五号があるからというだけではなくて、きちっと、災害なんだから、突発的な自然災害に対応して四号というのはつけるんだから、新潟全域がそういう被害があるという形で、全域に網をかけるような四号保証の適用というのをぜひ検討してほしいと思うんですけれども、どうですかね。

保坂副大臣 金融支援に関しましては、公的な支援だけではないわけでございますが、御説まことにごもっともでございますので、できるだけ願意に沿うように努力をしてまいりたいと思っております。

塩川委員 ありがとうございます。

 小千谷の商店街に行きまして商工会議所の方にお話を伺いましたら、やはり一番被害が大きい商店街だということで、ちょうどきょうのお昼のNHKでも放映されておりました。拝見しましたけれども、ちょうどそこで紹介されたところに、平成商店街、寺町という場所にある商店街だそうですけれども、そこが映し出されて、頑張りたいという商店主の方のお話が出ていました。商工会議所の方にもお話を聞きましたら、この平成商店街の方が、もうお店つぶれちゃった、どうにか立ち直りたい、そういう意味では、意欲と能力のある業者の方が、共同店舗を始めたい、四、五人で共同店舗をやりたいと言うんだけれども、しかしながら、任意団体だと高度化資金などは使えないし、どうしたらいいんだろうかと。

 そういう意味では、当事者の方もいろいろ制度の運用もよくわからないですから、そういうものなんかについてはぜひ小千谷の商店街にも声をかけてもらって、現地に行かれている方もおられるということですから、そういう制度説明なんかを行って、そういう意欲などを引き出すような援助というのを、これは本当にお約束していただければ結構なんですけれども、現地にどなたか行っていただいて、そういうのはどうですかと一声かけていただきたいんですけれども、そういうお願い、いかがでしょうかね。

保坂副大臣 私も現地に行ってまいりまして、全くひどい状態でございます。商店街もアーケードはほとんどあいておりませんで、何しろ後背地のお客様の土地がやられているわけですから、店をあけたって来ないという状況が、小千谷あるいはまた川口、全部そういう状況でした。

 お話のとおり、共同で立ち上がろうという意気込みは既に起きておりますので、私たち経済産業省の方も、現地の関東経済局の職員がもう張りっ放しで、地元の商工会議所、商工会等々と連絡をしながら、県も出張って地元自治体と協議をしてやっておりますので、できるだけそういう共同事業に関しましてはサポートできるように努力してまいりたいと思っております。

塩川委員 ぜひ、小千谷の商店街の方に声をかけていただくということをお願いしたいと思っております。

 それと、商店街振興組合などがつくったアーケードですとかカラー舗装については、これは阪神・淡路大震災のときには少し上乗せの補助金のスキームなどをつくったというふうに聞いているんですけれども、どんな制度だか御紹介いただけないでしょうか。

保坂副大臣 お答え申し上げます。

 阪神・淡路大震災のときには、特別立法で、阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助等に関する法律というのが制定されました。この第六十六条に基づきまして、商店街振興組合が設置しているアーケード等、これはもうほとんど入ります、駐車場からカラー舗装、多目的ホール、これらに関しまして復旧支援事業に相当の支援を行いました。内容的に申し上げますと、国が二分の一そして県が四分の一の、合わせて四分の三の補助を行ったところでございます。このことは大変実効が上がりました。

 従来から、本省といたしましては、もともと商店街の活性化を図るための専門人材の派遣や新規創業を担う人材の育成等、いろいろハード施設につきましてもあわせてやってまいりましたけれども、総合的な支援は、実は特別立法がなければできないわけではございませんので、被災された商店街の復旧の取り組みに対しましては、特に地元の自治体と、先ほど申し上げましたように協議をしながら、生きた支援策をやっていきたい、このように思っております。

 また、激甚の指定を受けますと、金利の低減などもございますので、これらも効いてまいると思います。

塩川委員 全般にわたるような特別立法をぜひとも要求したいと同時に、特別立法を待たなくてもできることについては、今お話しいただいたような取り組みをお願いしたいと思っております。

 それでは、独禁法の内容についてお聞きします。

 課徴金の見直しのところで、違反行為を早期にやめた場合は課徴金を二割減額する措置についてお聞きします。違法な談合、カルテルを二年近く続けた後で立入検査一カ月前にやめた企業に二割減額する、こういう規定を設けた理由は何か、お聞きします。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、早期に、二年以内に、公正取引委員会の調査開始前、今お話のございました一カ月前にやめた者に対しましては二割軽減、具体的には、大企業の場合でございますと八%ということになりますが、そういう規定を盛り込んでおります。

 これは、課徴金は基本的には違反行為を防止するための制度ということでございますけれども、その趣旨、目的には、一つは、当然違反行為に着手すること自体を防止するということとあわせまして、仮に違反行為に着手した場合は、それを早期に、短期間にやめさせるということも含まれるというふうに考えておりまして、違反行為を早くやめるインセンティブを高めるために導入したものでございます。

 こういう制度を導入することによりまして、企業のコンプライアンスも促進されるものと考えておるところでございます。

塩川委員 この違反行為をやめた事業者の数についての制限はありますか。

伊東政府参考人 数については特に制限を設けておりません。先ほど申し上げました要件を満たした者に対しましては二割軽減した率が適用されるということでございます。

塩川委員 私は、いかがかなと思っております。

 研究者の方のお話などでも、多数の者を減免したり同時申請者すべてを減免するならば、かえってカルテルが安定化し、かつその結成もしやすくなる、発見されそうになれば皆が手に手をとって申請すればよいからだ、こんな意見もあるわけですね。一斉に、共同でやめる場合も認めるというのでは、やめるときまで談合という話になるわけで、こういうのはいかがかなと率直に思うわけです。

 この早期にやめた場合二割減額という措置については、昨年十月の独禁法研究会の報告でも、また、ことし四月時点での公取の概要でもなかった規定だと思いますけれども、何でこういうのが入ってきたんでしょうか。

伊東政府参考人 私ども、やはり一たん開始した場合でも早期にやめるインセンティブを何か工夫できないかということは検討してまいりまして、昨年の十月の研究会報告書には、そういう観点から一つの考え方、例えば、早くやめた者については早くやめた期間だけ課徴金の対象となる実行期間を短くできないかというような、研究会報告書はそういう一案が盛り込まれているわけでございますけれども、そういうのを含めていろいろ従来からこれは検討してきたところでございます。

 早くやめた者について実行期間を短くするということにつきましては、御案内のとおり、課徴金の実行期間というのは基本的に個々の事業者ごとに判断すべきものでありますし、違反行為をやっていた期間がわかるのであれば、それに対して原則課徴金を課するべきだというようなこと等もございまして、なかなか難しい点もございまして、御指摘のとおり、五月の考え方には盛り込んでおりませんでしたけれども、引き続き検討した結果、こういう案を盛り込むこととさせていただいたということでございます。

塩川委員 私、独禁法研究会の報告も読ませていただきましたけれども、あそこの趣旨というのはこういうのと違うんじゃないかなと思うんですよね。というのは、過去何年間もカルテルをやっている、それに対して、いや、私はもうやめると早目にやめた人については、これは、早くやめるという意味でインセンティブを付与する、減額するような、そういう措置というのは考える必要があるんじゃないかというふうに思っているわけですよね。

 大体、こういった、早くやめるという人に対しての課徴金面での配慮というのは、そもそも、課徴金の算定期間の三年を延ばすことによって、もっと過去にまでさかのぼって、その上で、一年前とか二年前にやめた人については、これは少し減らしましょうという方が、一緒に最後までやっているような人に対して早くやめた人にとって、やめるインセンティブになるわけですから、そういう方向でこそ対処をすべきだと思うんですよね。

 その点で、課徴金の算定期間の上限についての問題なんです。当初、四月時点の案でも、算定期間の上限について、三年というのを四年に延ばしたわけですよ。私、これは意味のある方向だなと思っておったんですけれども、四月時点で三年から四年にした理由というのは何なんでしょうか。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 確かに現在、三年間で、ある意味、三年以上やっていても三年間の売り上げに対しまして課徴金を課する、こういうことになっておるわけでございますけれども、これは平成三年の課徴金の制度の改正時に導入されたものでございますけれども、やはり証拠書類、企業におきます関係書類の保存期間等の関係、これが五年というような状況、もちろん長いのもありますが、五年というようなこともある。一方で、御案内のとおり、現在の公正取引委員会の事件処理手続は、排除措置命令手続といいますか、それをまずやりまして、それが審決が出た後で課徴金納付命令を出す、こういう構造になっております。そういう時間的な流れも考えますと、保存期間との関係で、やはり三年さかのぼるのが適当であるということから、三年ということになっているわけでございますが、今回私ども、確かに、それを四年にするという方向での検討をさせていただきました。

 これは、今申し上げましたような事件処理との関係では、我々、排除措置手続と課徴金納付手続を二段階でやるというのを改めまして、原則、同時にやるようにしたい、そういうための改正も考えておるということから、四年間さかのぼることも可能ではないかというようなことで、そういう提案をさせていただいたこともございます。

塩川委員 当時、いろいろパブリックコメントなどで意見があった際に、なぜ四年にしたんですかという理由として、大体、税制上も帳簿保存期間は五年ですよという中で、制度を少し見直して、もうちょっと長く見ることができる、それで三年から四年にという理屈もあったわけですけれども。

 そもそも、長期間にわたる違反行為が存在をしているんだということではあるんですよね。その点、いかがですか。

伊東政府参考人 現在の課徴金制度では三年間に限定をしておりますけれども、三年間を超える違反行為というのも現に存在することは確かでございます。

塩川委員 違反期間が三年以上というのは、何割ぐらい占めているものなんでしょうかね。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 平成十一年度から十五年度までの五年間で見た場合でございますけれども、合計が百十四件ということでございます。そのうちの三年を超えるものということで見ますと九十六件ということでございますから、かなりの部分が三年を超える。百十四件中九十六件ということでございます。

 なお、その九十六件の内訳を見ますと、三年以上四年未満というのが圧倒的で、これが七十件を占めておる、こういう状況でございます。

塩川委員 それは、帳簿の保存期間もあるでしょうから当然そういうふうになってくるわけで、しかし、その中で最大限延ばそうというのがそもそも四年の趣旨だったんじゃないかなと思うんですよね。

 四月段階で案を出された、それを踏まえて、パブリックコメントでたくさんの意見が寄せられた。それについて、私が拝見した八月四日の公正取引委員会の主な意見に対する考え方の中で、こういうふうに書いてありました。課徴金算定期間を三年から四年に延ばすことについてですが、「現行の課徴金の算定期間は、違反期間が三年を超えて長期に及ぶ場合は、それ以降違反行為を継続しても課徴金額が変わらず、違反行為をやめるインセンティブがないことになり、十分に違反行為を防止することが難しい」と。大変道理のある考え方だと思っております。

 四月時点では課徴金算定基準の上限を三年から四年に延長としていましたが、それなのに法案ではなぜ三年間のままとなったんでしょうか。

伊東政府参考人 今御指摘のような問題意識のもとで検討させていただいたことは確かでございますけれども、その後、関係各方面との調整の結果を踏まえまして、今回は、課徴金の算定期間について現行の三年間のまま据え置くことが適当であると判断したものでございます。

 なお、課徴金の算定期間は三年間に据え置くということでございますけれども、今回の見直しによりまして、課徴金制度について、不当利得相当額以上の金銭を徴収する仕組みとする。率にしますと、現行の大企業でございますと六%を一〇%にする等々の強化、それから、密室で行われるカルテル、入札談合の摘発、事案の真相究明を容易にするための課徴金減免制度等の導入というようなことによりまして、独占禁止法の措置体系を抜本的に強化できるものと考えておるところでございます。

塩川委員 なぜ四年が三年のままとなったのかということは関係各方面と調整という話ですけれども、全然見えないわけですよ、密室の中でのカルテル、談合のように。この関係各方面というのはどなたなんでしょうか。

竹島政府特別補佐人 パブリックコメントをもろもろのところからいただきましたけれども、建設業団体等からは、この三年、四年というのは反対であるといいますか、困るといいますか、そういう御意見もいただきました。そこばかりじゃございませんけれども、これは要するに、私どもの今回の改正は、課徴金の抑止力を高める。具体的にそれは何かというと、率と算定期間なわけでございます。私どもは両方ふやしたいと思ったわけですけれども、それは、関係方面もろもろございますけれども、調整の結果、基本の算定率は一〇%、そのかわり算定期間は三年に据え置くという判断をさせていただいたわけでございます。

塩川委員 ですから、率と期間の掛け算なんですよね。ですから、その掛け算の議論が実際どうなっていたのかということが問われるわけで、私も報道の範囲でしか拝見しておりませんが、例えば、毎日新聞などにおいては、「独禁法改正案 自民了承」という記事がありまして、そういう中で「課徴金上げ幅縮小・算定期間据え置き 公取と経済界”妥協” 談合抑止力には疑問」、こんな見出しが立っているわけです。そこに、記事でしたけれども、掛け算の話も出ておりました。

 経団連などの経済界と自民党との間の談合ととられるようなことでは、私は公正取引委員会の本来の役割も果たせないんじゃないかな、こういうことこそ明らかにして――いや、事実と違うというのであれば、それこそ明らかにすることが必要じゃないでしょうか。課徴金算定期間が、こういう経団連などの要求で三年間に値切られて、早期離脱者の二割減が持ち込まれるようなことであれば大問題であるわけで、そういう経過についてもぜひとも明らかにしていただきたい、このことを要求するものであります。

 次に、課徴金と罰金刑が併科される場合の調整措置についてお聞きします。

 課徴金と刑事罰のどちらかに一本化すべきだという意見がありますが、パブリックコメントなどに寄せられていたと思うんですけれども、公正取引委員会として現行制度を維持するという立場をとった理由は何なのか、そこをお聞かせいただけますか。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、議論の過程におきましては、刑事罰を廃止して課徴金に一本化すべきではないかというような意見も出されたことは確かでございますが、その場合、課徴金制度というのは、いわば社会的、道義的非難を加える、そういう刑事罰に代替するような制度ということになるわけでございますけれども、我が国ではそのような制度を設けている例が、御案内のとおり、現在のところないわけでございますし、また、独占禁止法違反というのは企業犯罪の典型ということでございまして、法人への刑事罰をなくせば、他法令との比較におきまして、独禁法違反事件というのはある意味金銭で片がつく事案なのかという認識を持たれるおそれがあるというような問題が存在するというふうに考えておるところでございます。

 したがいまして、現行の我が国法体系の枠組みを前提とした場合、課徴金と刑事罰を併科することによってより禁止規定の実効性を確保する現行の体系を維持することが適当であるというふうに考えたところでございます。

 なお、課徴金への一本化、あるいは振り分け方式と言われておりますけれども、両方制度としては残して、告発する場合には課徴金を課さないというような提案も出されておりますけれども、そういうような問題につきましては、今後、内閣府に設置される予定の検討の場におきまして議論されるものというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 カルテル、談合事件などは、今お話がありましたように、そういった独禁法違反というのは企業犯罪の典型ですから、私は、そういったことに対しての制度的な対応というのが求められていると思うんですね。そういう意味で、今度の法改正では、課徴金と罰金を併科した場合の罰金額、二分の一調整というのが行われますけれども、私は、それは不要なんじゃないかと思うわけですね。

 例えば、最高裁の判決でも、行政上の措置である課徴金と刑事罰とは、その趣旨、目的、手続等を異にし、その併科は二重処罰に当たらないという判決もあるわけですから、二分の一調整は不要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような最高裁判例等々から見まして、今回の課徴金制度と刑事罰につきましても、その趣旨、目的、性質、内容等を比較した場合、基本的に異なるものと考えておりまして、二重処罰の問題はないものと考えておるところでございます。

 ただ、課徴金は違反行為防止を目的としておりますし、また、刑事罰におきましても事実上違反行為の抑止効果をも一つの効果として期待されている、そういう意味におきまして、両者、刑事罰と課徴金に機能的に共通する部分が存在することは否定できないことから、違反行為防止という行政上の目的を踏まえ、課徴金の額から罰金額の二分の一に相当する額を政策的に控除する調整規定を設けることが適当であるというふうに判断したものでございます。

塩川委員 日弁連の意見書なども拝見していますと、「両者を調整しなければならない理論的根拠が見あたらない」「同一行為に対し、罰金と課徴金が併科されれば重きに失することになる場合が仮にあるとしても、刑事裁判での量刑判断で考慮することで調整すれば足りること」、こういう意見があることも紹介をしておきたいと思います。

 この課徴金と罰金刑の併科の問題については、パブリックコメントでの意見書で、経団連から意見が出されています。事業者に対する制裁は課徴金に一本化をし、刑事罰は行為者のみを対象とすることが簡明という意見についてはどう考えるか、経団連案を公取として受け入れないその理由は何なのか、お聞きします。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの答弁のやや繰り返しになって恐縮でございますけれども、仮に、法人に対する刑事罰を廃止して課徴金に一本化する場合ということになりますと、社会的、道義的非難を加えることを本旨とする刑事罰に代替するような制度ということに課徴金制度がなるわけでございますけれども、そもそも我が国ではそのような制度を設けている例はないということでございますし、また、先ほど先生御指摘のとおり、独禁法違反は企業犯罪の典型であるということでございまして、法人への刑事罰をなくせば、他法令との比較で、金銭で片づく軽微な事案という認識を持たれるおそれがある等の問題が存在するというふうに考えております。

 したがいまして、私どもとしましては、現行の我が国法体系の枠組みを前提とした場合、法人に対しての課徴金と刑事罰を併科することにより禁止規定の実効性を確保する現行の体系を維持することが適当と考えたものでございます。

塩川委員 独占禁止法違反行為というのは、典型的な企業犯罪であり、企業ぐるみ犯罪、組織犯罪であるわけですから、そういう意味でもこの法人刑事罰の重要性というのが指摘をされるところだと思っております。

 そこで、この間、公正取引委員会としての対応で、両罰規定を設けて法人重科の改正を行ってまいりました。そういう制度改正の趣旨、理由は何なのか、お聞きします。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 両罰規定そのもの、具体的には会社の従業員が独禁法違反事件を起こした場合にその従業員とともに会社を罰する、こういう両罰規定そのものは以前からあるわけでございますけれども、いわゆる法人重科の規定を設けたのは、平成四年の改正でございます。

 従来は、そういう従業員、個人に対する罰金額と会社に対する罰金額が同じ額であったということでございまして、具体的には五百万円ということであったわけでございますけれども、法人と従業員、個人に対する罰則というのは、そもそも根拠も違いますし、資力を考えますと従業員と会社が同じ額ということでは会社に対する罰金額として低過ぎるんじゃないか等々の議論もございまして、平成四年の改正で個人に対する罰金額と法人に対する罰金額を分離しまして、法人に対しましては一億円に引き上げたということがございます。その背景には、基本的には独禁法違反に対する抑止力を総合的に強化する観点があったということでございます。

 その後、平成十四年改正におきまして、先ほど申し上げました、一億円を五億円に引き上げる改正があったということでございます。これは、平成四年改正後約十年を経過して、他の経済法令の罰則が引き上げられたというようなことから、従来の一億円という水準は、他の経済法令における法人等に対する罰金刑の水準と比較するとかなり低いものになっている、経済活動の基本ルールとしての独禁法の重要性にふさわしい水準の罰則として、違反行為に対する抑止力を確保する必要があるというような理由から引き上げられたものでございます。

塩川委員 お手元に資料を配付させていただきましたが、そのホチキスどめの資料の一枚目に「法人重科規定に係る罰金の上限額の比較」、公正取引委員会でつくっていただいた資料があります。ここにありますように、罰金の上限額は今、一番が五億円で、そこには証取法ですとか金融先物取引法など経済関係の法令なども並んでいる。そういう意味でも、経済犯罪ないし行政刑罰全体の中で独禁法違反行為だけ刑事罰を外すというのは、体系上の問題もあると思います。何よりも、やはり法人刑事罰ということが独禁法違反行為に見合う措置として重要性を増している、私はそのように考えているわけです。

 そこで、法人刑事罰をなくすと、経営者や役員の責任が問われずに、いわば現場の平社員だけが罪に問われるようなことになる、こういうことも言われております。罰金額を一億円に引き上げた平成三年以降で独禁法違反で刑事告発をされた事件のうち、取締役が処罰をされた例というのは何%でしょうか。

楢崎政府参考人 平成二年に刑事告発を積極的に行うという方針を公表して以来、七つの事件につきまして告発をしているわけですけれども、個人は九十一名でございます。そのうち十七名が取締役、会社の役員でございますので、二〇%弱の比率で役員が告発をされ、刑罰を受けているという状況でございます。

塩川委員 配付した資料の二枚目以降をめくっていただきますと、平成二年度以降の刑事事件の一覧があります。ここで右側に被告人という肩書がありますけれども、ちょっとチェックをつけてあるところが取締役のところであるわけです。全体の二割弱になるわけですが、例えば、独禁法研究会の部会メンバーでもある舟田正之立教大教授がお調べになった数字ですけれども、証券取引法違反などの場合については、役員が問われる場合というのが六割を占めると言われ、大変高いわけです。もともと独禁法というのは、企業犯罪、組織犯罪と言われながら、取締役員などが罰せられるようなスキームになっていないわけですね。

 私は、本当の意味で抑止力という点でいいますと、法人刑事罰の立場を考えても、この点は重要だと思いますし、逆に法人刑事罰をなくすと経営トップの責任が無罪放免になるんじゃないか、それは本当の意味で抑止力強化につながらない、逆行する方向になってしまう、このように思うわけであります。

 そこで、民主党の法案提出者にお聞きいたします。課徴金を行政制裁金と改めて、行政制裁金と罰金刑が併科される場合に行政制裁金額から罰金相当額を控除するという提案についてでありますけれども、やりとりをしてまいりました法人刑事罰の意義ということについてです。といいますのは、罰金額の全額を行政制裁金から控除すると、罰金を科す意味がなくなってくるんじゃないかという声があるわけですね。悪質かつ重大な違反を犯した法人事業者に科せられてきた罰金刑が事実上その機能を停止してしまうのではないか、このように思うんですが、民主党法案提出者としてこの法人刑事罰の意義についてどのようにお考えか、お聞きいたします。

近藤(洋)議員 塩川委員の御質問にお答えしたいと思います。

 委員御存じのとおり、独占禁止法の課徴金と刑事罰の関係というのは、過去において刑事罰の上限が引き上げられてまいりましたけれども、要は、これは九〇年代初頭の日米構造協議の中で、アメリカの要求にどんどんどんどん屈する形でその上限を引き上げてきた経緯があるわけですね。したがって、日本の国内でこの課徴金と刑事罰の議論をこれまできっちり整理してこなかった。極端なことを言うと、あるときは課徴金、あるときは刑事罰と、イタチごっこで、ただただ言われるがままに制裁制度をつくってきた、ここに大きなゆがみがあるわけでございます。そこで、私ども民主党としては、課徴金を行政制裁金と改めて行政上の制裁という性格を明確にして、その中身の抜本改正に踏み切ったわけでございます。

 そうしたことを明確にした上で行政制裁金から罰金額の全額を控除するということでございますが、ただその一方で、現時点でも、確定判決において法人として罰金刑が確定したというこの事実は変わらないわけでございまして、この事実をもって当該法人が、社会的な制裁といいますか、社会的、道義的な非難を受けるべき行為を行ったという事実はやはり確定するわけでございますから、違反行為に対する一定の抑止力、取締役を初めとするそれぞれの経営陣に対する抑止力はあるものと考えておるところでございます。

 むしろ、法理論的には全額控除するかそれともすべてを加算するかのどちらかに立つべきであって、その辺は委員とは見解が違うかもしれませんが、いずれにしろ、政府のやっている二分の一というのは、理論的には破綻しているのではないかと感じているところでございます。

 罰金と行政制裁金のあり方でございますけれども、私どもとしては、将来的には、事業者については行政制裁金に一本化していく、ただし、日本の刑法の体系から考えていくと、どちらかというと、刑法の刑事罰については行為者個人を対象とするという形で整理をする方向で二年後の見直しの中では議論していくべきではないかと考えておるところでございます。

塩川委員 私も、別にアメリカの肩を持つ立場では全然ありませんし、日本の制度において整合的に機能するあり方というのは、やはり大いに議論をされなければいけないと思っております。

 同時に、日本の場合には、課徴金、罰金の両建てで成り立っていますから、それを一方を引き上げるというのは、やはり制度上の整合性の問題でいかがなものかということを改めて思っています。

 何よりも、罰金が結局引かれるとなりますと、刑事告発の段階で、そもそも罰金をかけるということに対してちゅうちょ、ためらいというのが実際に起こってくるんじゃないか、そういう点でのふぐあいというのを私自身は大変懸念するものであります。

 そういう意味でも、今提出者の近藤議員からお話もありましたけれども、民主党の将来の方向性としては、違反事業者に対する制裁は行政制裁金に一本化をして、刑事罰は行為個人を処罰するという方向に法体系、措置体系を見直しをする、この点は私も、先ほど紹介しました経団連の意見書での提案、事業者に対する制裁は課徴金に一本化をし、刑事罰は行為者のみを対象とする、この点では共通をしていると思いますが、その点だけ御確認いただけますか。

近藤(洋)議員 我々民主党の政策調査会の中で議論を進める中で、よりよい制度はと、海外の事例、ヨーロッパは、EUはどちらかといえば行政制裁金に一本化、アメリカは刑事罰という体系でございますから、その海外の先進国の事例を参考にした上で私どもの考え方をまとめたということでございまして、労働界、消費者団体、経済界、さまざまな方からヒアリング、意見交換をしてまいりましたが、偶然の一致といいますか、たまさか経団連の主張とその部分については一致したということかなと受けとめております。

塩川委員 私は、やはり独禁法違反行為が企業犯罪、組織犯罪、いわば企業ぐるみ犯罪という性格からいっても、法人刑事罰をきちんと機能させるという方向での対応こそ求められている、このように思っているわけであります。

 そこで、具体例を挙げてちょっと考えてみたいんですけれども、この配付資料の二枚目で、三つ事件がありまして、一番下の事件ですね。これは下水道事業団の談合事件、平成七年のものです。ここに、上から三つ目に、三菱電機があります。これは課徴金が五千六百七十二万円、それから罰金が六千万円となっている事件ですね。これは、ちなみに今回の法改正でシミュレーションするとどうなるのか。公取と、民主党の案なんかもどうかなというふうに思っているんですけれども、政府案の場合、この三菱電機を例にとって課徴金を計算するとどういうふうになるんでしょうか。

伊東政府参考人 この資料にありますとおり、三菱電機で見ますと、課徴金額は五千六百七十二万円ということになっております。これは六%の算定率を用いた数字ということになるわけでございまして、一〇%ということでございますと、課徴金額は九千四百五十四万円となるということでございます。

塩川委員 それで、今回のように、罰金額の二分の一を課徴金額から控除するとなるとどういうふうになるんでしょう。

伊東政府参考人 ただいま申し上げましたように、課徴金額一〇%で計算しますと、九千四百五十四万円ということであります。それに罰金額六千万円、この半額を控除するということでございますから、九千四百五十四万円から三千万円を控除して、六千四百五十四万円というのが最終的な課徴金額ということになるわけでございます。

塩川委員 足し合わせると幾らか。合わせての金額。

伊東政府参考人 合わせてと申しますと。(塩川委員「罰金と課徴金、足し上げたら」と呼ぶ)九千四百五十四万円に六千万円を足しますと一億五千四百五十四万円ということでございます。

塩川委員 一〇%で計算しますよね、課徴金を。そうすると九千四百五十四万円になりますよね。そこから、罰金額の二分の一を課徴金から控除して、合わせてその罰金額を足し上げると幾らかと。そうすると、九千四百五十四万引く三千万、プラス六千万ですよね。そうすると幾らでしょうか。

伊東政府参考人 失礼いたしました。

 罰金額が六千万円に課徴金が六千四百五十四万円、合計で一億二千四百五十四万円ということでございます。失礼しました。

塩川委員 民主党案の場合については、私の方でちょっと計算させてもらったんですけれども、今のように、行政制裁金を一〇%に引き上げます、そうしますと、この三菱電機の場合、九千四百五十四万円になります。そこから罰金額を全額控除しますね、つまりマイナス六千万。それに罰金額を足し上げると、プラス六千万ですから、そうしますと九千四百五十四万円という計算でよろしいんだと思うんですが、そうですよね。

 そうしますと、今の金額が、三菱電機の場合、現行制度ですと、足し合わせると一億一千六百七十二万円なんです。公取案も大したことないわけですよ。一億二千四百五十四万円ですから、現行よりも七百八十二万円増なんですね。その程度のものなんですよね。でも、民主党案ですと、これは下がるんですよね。一億一千六百七十二万円が九千四百五十四万円で、二千二百十八万円減というのは、これはちょっとまずくないでしょうかね。

近藤(洋)議員 このケースにおいてのシミュレーションということでございますから、一般的には広げられないかなとは思っておるわけでございますが、ぜひ御理解をいただきたいのは、私ども民主党案というのは、今までのゆがんだ構造を行政制裁金という形に一本化して、そして、基準率につきましては、私ども、あえて政府案と同じにいたしました。ここは、余計な議論を避けるために、違いを際立たせるために、基準率は一〇%という形に一本化しておりますが、繰り返し違反につきましては、十年間に二度三度繰り返した者については、倍増の二〇%という率を適用しているところでございます。これは一つの国際水準に引き上げているということでございますので、決して企業犯罪をした者に対して甘い措置をしているわけではございませんので、御理解いただきたいと思っております。

塩川委員 でも、実際に過去の独禁法、カルテル事件をめぐっては、課徴金額などを争って長期化しているわけですよ、裁判が。そうしますと、十年間で二回もそういった違反行為をやったという事例というのはほとんどないわけですよね。なかなか、実態にすると、そういうのは限られているんじゃないかなと思います。

 最後に、民主党の法令遵守体制、コンプライアンスについて、この減免措置の要件は何なのかお聞きします。法令遵守整備での減免措置の要件についてお答えいただけますか。

近藤(洋)議員 お答えいたします。

 法令遵守、コンプライアンスの取り組みを評価するということでございますが、法令遵守ガイドライン、アメリカでも既に導入されている制度でございますけれども、具体的には、代表取締役が法令遵守の取り組みに積極的に参加していること、組織が整備されていること、行動基準がきっちりつくられていること、さらには、法令違反した者、行動基準に違反した者に対しての懲戒処分等の措置を定めていること、さらには、再発防止の対応がとられていること、また、大前提でございますが、公正取引委員会の審査に対する協力ということも含まれているわけでございます。

塩川委員 時間が参りましたので終わりますけれども、コンプライアンスの体制については、この項目自身がかなり多いとなると、中小企業への配慮というのはまた逆に大変になるのかなということは思います。そもそも、コンプラを持っているような企業が独禁法違反をやるんじゃまずいわけですから、逆に、そういったコンプラを持っているような企業が違反したら上乗せしてもいいくらいなんじゃないかなという趣旨のことを思うんですね。もちろん、再犯防止という立場というのはよく承知をしておるんですけれども、しかし現実には、そのように機能しない、ワークしないんじゃないかということを懸念として申し上げて、質問を終わります。

河上委員長 次回は、来る二十六日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十八分散会


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