衆議院

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第11号 平成16年12月1日(水曜日)

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平成十六年十二月一日(水曜日)

    午前十一時三分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    小杉  隆君

      佐藤 信二君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    菅原 一秀君

      竹本 直一君    谷畑  孝君

      中西 一善君    西銘恒三郎君

      野田  毅君    平田 耕一君

      望月 義夫君    森  英介君

      山本 明彦君    吉野 正芳君

      大畠 章宏君    奥田  建君

      海江田万里君    梶原 康弘君

      菊田まきこ君    近藤 洋介君

      高山 智司君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    松崎 公昭君

      村井 宗明君    渡辺  周君

      江田 康幸君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           近藤 洋介君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   経済産業副大臣      保坂 三蔵君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   衆議院法制局第三部長   夜久  仁君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      伊東 章二君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        楢崎 憲安君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           桜井  俊君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長)    三代 真彰君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           中島 正弘君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月一日

 辞任         補欠選任

  山口 泰明君     菅原 一秀君

  山本 明彦君     吉野 正芳君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     山口 泰明君

  吉野 正芳君     山本 明彦君

    ―――――――――――――

十一月二十九日

 中小業者への経営支援に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第五三六号)

 同(志位和夫君紹介)(第五三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五三八号)

 原子力発電等に関する請願(江渡聡徳君紹介)(第五三九号)

 同(保利耕輔君紹介)(第五四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(仙谷由人君外十六名提出、衆法第四号)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案並びに仙谷由人君外十六名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、公正取引委員会事務総局審査局長楢崎憲安君、経済産業省大臣官房審議官桜井俊君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長三代真彰君及び国土交通省大臣官房審議官中島正弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。

松島委員 内閣提出の独占禁止法改正について質問させていただきたいと思います。

 私は、これまで中小零細企業、納入業者、下請企業といった、これらは重なり合う部分が多いんですけれども、そういう弱い立場にある会社を守るための質問をこの経済産業委員会でしばしば行わせていただきました。

 公正取引委員会の関係では、下請代金支払遅延防止法の改正にも取り組み、この法律の対象を、運送やビルメンテナンスといったサービスの提供あるいは金型の製造委託、さらにプログラムや番組の作成にまで広げることを実現させました。さらに、運送会社や倉庫会社については、荷主に対して非常に弱い立場でありますことから、独占禁止法の優越的地位の乱用の特殊指定、業界指定に加えることも獲得いたしました。

 今回の独占禁止法改正については、談合及びカルテルについての質問や議論が多かったように思われますが、私は、この二つのことではなくて、公正取引委員会の権限強化という点に着目して質問をさせていただきたいと思っております。本来、強い立場の会社が市場を支配することを防いで、弱い立場の会社や消費者を守ることが公正取引委員会の職務であります。そして、役所による事前規制をやめて自由競争を促進し、そして事後チェックを行う社会を確立することが求められている今、公正取引委員会が市場の番人と呼ばれるにふさわしい活動を行うこと、十分な力を発揮することが、この中小、弱い立場及び消費者の立場を守ることにつながる大事なことだと考えるからでございます。

 質問に入ります。

 今回、刑事告発のために犯則調査権限が与えられることになりました。これは、刑事告発する際には、裁判所に臨検、捜索・差し押さえ令状をとり、事件関係者の営業所などにいわゆるガサ入れを行うことができるようになったわけです。これまでこういうことができましたのは、犯則調査権限を持つのは、これまでは国税庁査察部そして証券取引委員会、この証券取引委員会の場合は、証取法違反でインサイダー取引や相場操縦など、そういう大きな問題を調べるときに限られていました。

 今まで公正取引委員会は犯則調査権限がないことによってどんな問題があったのか、また、今回犯則調査権限を持つことによってどういうメリットがあるのか。そして、メリットがあると同時に、この権限を行使するに当たっては、どんな点についてみずからを戒め、注意していかなければいけないとお考えか、委員長に伺いたいと思います。

竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 二点申し上げたいと思いますが、まず一点目は、疑わしきは罰せずということでございますので、きちんとした証拠を我々として持っていなければ、排除措置命令にせよ告発にせよできないわけでございまして、特に、悪質かつ重大な事件について告発をしようと思う場合には、なお強い権限を持っていませんと、なかなか正確な証拠収集、証言を得るというようなことができない、そういうことがございます。

 そこで、一点目は、この証拠収集能力を強化する。行政調査権限では、あくまでもこれは相手方の同意に基づくものでございまして、わかりません、知りません、覚えがありませんと言っていればそれで済むという世界であるわけでございますが、そうじゃなくて、犯則調査権限を持ちますと、相手の同意を要しないということでございますので、まさに強い権限なわけですが、これを持つことによって正確な証拠収集が可能になるだろう、現状よりはより改善するだろうというのが一点でございます。

 それからもう一点は、現状でも、私どもが行政調査権限に基づいて調べをして、これはいかにも悪質かつ重大であるという場合には告発をするわけでございます。このことについて、経済界等から、行政調査権限を行使して調べたものを告発に使っているではないかということで、適正手続上おかしいという御意見をいただいているわけでございます。

 そこで、ある意味では奇妙なことが起きておりまして、私どもは告発をしているんですが、私どもが行政調査権限で得た供述調書なりいろいろな証拠というものは、検察側が告発でもって起訴する場合には、我々の持っている資料を、実際は公取が検察にお願いしているという実態にあるにもかかわらず、逆に差し押さえてもらうということでなければ、行政調査権限というのは犯罪の調査のために行使してはならないということになっておりますから、そういう形でもって適正手続というものをクリアしているというような現状にあるわけでございますが、その辺は、ある意味ではちょっと不自然といえば不自然だと率直に思います。

 ところが、犯則調査権限を持ちますと、これはまさに右から左に、資料なり供述調書なり等々の証拠書類を公取から検察庁にそのまま移管できるということにもなりまして、その辺の不自然さもなくなる、適正手続上も経済界が心配しておられるようなことにはならないということで、メリットがある。

 それから、こういう権限を持ったらいろいろ注意しなきゃならぬことがあるでしょうというお尋ねでございますが、まさにそうでございまして、まず、事業者に対して立入調査をする場合に、その調査が行政調査権限に基づくものなのか、犯則調査権限に基づくものかということをはっきりさせなければいけないと思っております。それは、きちんとそういうふうに相手方にわかるように、これはこういう疑いがあってまさに裁判所の許可状をもらって立入検査をしているんですよということをはっきりと言う。そうじゃない場合は、行政調査権限ですよということをはっきり言うということをきちんとしなければいけない、相手方にわからせなければいけないというのが一点でございます。

 それから、仕事の仕方として、公正取引委員会事務総局内部におけるファイアウオールの問題があると思っておりまして、行政調査権限を行使する部門と犯則調査権限を行使する部門は、同じ審査局の中ではあっても別々にします。組織上も別々にするというお願いをこの十七年度予算でもしております。それから、その仕事の仕方も、融通無碍にならないようにきちんと情報は隔離するということをしていかなければいけないというふうに思っております。

松島委員 これまで公正取引委員会が、一方で、しっかり仕事をしろ、役目を果たしていないと言われつつ、一方で、それだけの権限なり陣容が整えられなかった、そんなふうに思います。今回の改正によって皆さん方がしっかりと仕事ができるように、そして、今言われましたスタッフ、職員の充実ということについては、私たちもバックアップしてまいりたいなと思う次第でございます。

 通告しました質問を幾つか省略して、全部やれないので省略させていただきまして、次へ移ります。

 今、何人かの委員もこの場で指摘されましたけれども、町の小売店、ずっと仕事をしてこられた町のいろんなお店が存亡の危機に立っております。例えばガソリンスタンドや小売の酒屋さん、酒店、こういったお店などが不当廉売など不公正取引で、あっちの店の方は非常に安い卸値で卸してもらって、だからあんな安売りできて、あるいはリベートがあるからあんな安売りができて、これまでずっと頑張ってきた我々はそういうことができないから太刀打ちできない、そういう悩みを抱えているお店がいっぱいあります。

 現在は、不当廉売などの不公正な取引につきまして、注意をするだけで罰則が伴いません。ですから、これを公表されますと、いけないことだといって公表しても、じゃ、あそこは安売り店だとお墨つきになったみたいにして、行列ができるようなことに、逆効果を招きかねない状況でございます。

 この独禁法はまた二年以内に再改正することになっておりますが、私は、こういう何度も繰り返す、つまり、注意を何度もしなきゃいけないリピーターといいますか累犯店に対しましては、罰金を科すことも考えるべきではないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 今回の法律改正の過程でも、今御指摘の不公正な取引方法に対して罰金なり課徴金をかけるべきではないか、それをきちんと検討せよというお話は、各方面から再三にわたっていただいているところでございまして、私ども、それは法制局を含め関係方面とも慎重に議論をいたしました。しかしながら、結論は、残念ながら、今回の改正に罰金の対象にするということは盛り込むことができませんでした。二年間かけて議論する、その中で対象になるとは思っておりますが、今回の対象にはできませんでした。

 その理由は、前にも御答弁申し上げておりますが、不当廉売にせよ優越的地位の乱用にせよ、これら不公正な取引方法というのは、一方であるカルテルや入札談合と違いまして、法益侵害の程度が小さい。要するに、そのガソリンスタンドが不利な立場に置かれるということでございまして、カルテルや談合のように社会的な影響ということを考えた場合に、法益侵害の程度がちっちゃい。要するに、損害の及ぶ範囲が限定的だということでございますが、そういう違反行為も罰金の対象にしていいのか。そもそも罰金の対象というのは、それなりに当然絞らなきゃいかぬわけですが、カルテルや入札談合と同じようなものとして扱っていいのかというそもそも論がございます。

 かてて加えて、違反行為の態様がカルテルや談合のように、これは時代が変わろうが市場環境が変わろうが、カルテル、談合というものがこれはもう違法であるということは、東西を問わず考え方は統一されているわけです。日本でもそうなんでございますが、優越的地位の乱用とか不当廉売とか、そういったいわゆる不公正な取引方法というのは、市場環境とか取引環境とか経済状況とかでいろいろ変わるわけでございます。お互いの立場も、相対的な関係でございますので、変わる。したがって、一概には取り扱いにくい、やはり個別事情をちゃんと見て機動的に判断すべきであるというふうに従来から考えられております。それで、何が違反になるかということについては、公正取引委員会が法律ではなくて告示によって定めるということにさせていただいているわけでございます。

 そういうものであればなおのこと、法律の構成要件を定めるということについて問題が難しくなってくるという事情もございまして、それやこれや、今回の法律改正では、罰金の対象にする、ないしは課徴金の対象にするということについては踏み切れなかったということでございます。

 しかしながら、実態にかんがみて、やはりこれは社会的に非常に問題である、一つか二つの小売屋さんの話かもしれないけれども、それは非常に問題なんだ、あちこちでそういう問題が起きているんだ、だから社会的な制裁としてもっと強力なものを考えるべきだと、それが罰金であり課徴金なわけですが、この問題は、冒頭申し上げましたように、この法律をお認めいただいた暁には二年間かけて議論することになっておりますので、制度の根幹にかかわる面もなきにしもあらずでございますから、慎重な検討が必要だと思いますけれども、決してだめということばかり言っているわけじゃなくて、さらに検討させていただきたいと思っております。

松島委員 この問題は、役人や学者の方々は、一つ一つ、例えば経済合理性だけで物事を考えられる。私ども国会議員、政治家は、日本の社会、日本の文化、そういうことを全体としてとらえて、やはり商店街が崩壊してはおかしくなる、町が崩れていっておかしくなる、そういう観点に立って物事を考えます。

 皆さんを責めても仕方がない問題でございますけれども、例えば、一方で、そうやって既存の小売店あるいは商店街、町並みというものを全部つぶす行動を許しておきながら、片一方で、例えば中心市街地活性化だとかあるいは商店街何とか政策などというものを、ほかの役所のほかの部署でやってみても、あるいは伝統文化保存何とかというのをやってみても、そういうことがばらばらに行われていて、一方でつぶすことをやって一方で守り立てることをやっても、日本の社会というもの、文化というものは守っていくことはできません。

 これは、私ども政治を担う者が国民の意見を吸い上げる立場でございますから、ぜひこの委員会で同僚議員たちともお話し合って附帯決議をつけるなりなんなりして、次の二年以内の改正を目指したい、かように思います。

 次でございます。これと絡む問題でございますけれども、優越的地位の乱用、それから不公正な取引。

 不公正な取引というのは、独禁法を見ますと、非常に抽象的にあっさり書いているだけでございますね。この不公正な取引について、例えば特許法違反のように文書提出命令の特則を義務づけるべきではないでしょうか。そうすれば、不公正な取引で迷惑をこうむったという人がいざ裁判で訴えるときにも、あるいは公取が裁判をする場合にも争いやすくなる、そのように考えております。

 そしてまた、中小や零細企業が一社で不公正取引の差しとめ請求をするのは至難のわざでございます。ドイツなどヨーロッパでは例が見られますが、被害をこうむった一社がやるのではなくて、例えば業界団体なりいろんなグループとして、今回の事案では直接被害をこうむったんじゃないけれども、同じことがよその地域で起こったらまた同じような目に遭うという人たちがグループとして、詳しい弁護士を雇うにもまとめた方が負担が少ないので、団体として告発の主体となることはできないでしょうか。そのように改めていくお考えはないでしょうか。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 差しとめ請求訴訟につきましてのお尋ねということでございますが、御案内のとおり、平成十三年の四月から、不公正な取引方法につきまして、被害を受けた者がその差しとめを請求することができるという制度が導入されたわけでございます。その制度に関連いたしまして、文書提出命令あるいは団体訴権の議論、意見が、我々、法改正の作業の過程で広く意見を求めましたが、その中で出されたところでもございます。

 私どもとしましても、差しとめ請求制度が効果的に機能するということは、独禁法の運用全体にとりましても非常に有効である、意義のあることだというふうに考えておりまして、その運用実績等も見ながら改善すべき点は改善していきたいというふうに考えておりますけれども、例えば団体訴権の問題につきましては、これは、消費者あるいは事業者団体等がございますが、今内閣府で、消費者団体にそういう団体訴権を認めるかどうかという検討をしておるところでございます。

 私どもとしましては、そういう動きも見ながら引き続き慎重に検討していきたいと思っておりますが、団体訴権の導入に当たりましては、訴えの利益あるいは当事者適格の問題、それから訴権を付与する適格団体の要件といった解決すべき問題がいろいろあるというふうに承知しておりますけれども、いずれにしましても、差しとめ請求制度が有効に機能する、あるいは不公正な取引方法に対するより一層効果的な措置というものを、引き続き真剣に検討してまいりたいというふうに考えております。

松島委員 ぜひよろしくお願いします。

 不公正な取引そして優越的地位の乱用というこの何とでもとりようのある漠然としたものを、いかに基準を設けるかということになるんですが、それぞれの業界において、やはり商慣習も違います。その中で、商慣習をきちっと契約書にするなど、近代的に改めていこう、ガイドラインなりマニュアルをつくっていこうという動きが幾つかの業界で出ております。

 例えば繊維業界、これは複雑な商取引の慣行が残っている業界でございますけれども、アパレル、テキスタイル、商社、染色加工業という、この業界の中での川上、川中、川下、各立場の団体が発注や受注に関するガイドラインをつくりました。その中で、割引価格、価格を決めておいても、割引になるのはどういう場合だとか、割り増し価格が発生する条件はどういう条件だとか、あるいはシーズンが終わった後の残在庫、残った在庫の処理条件といったような項目も盛り込まれているガイドラインがつくられました。

 こういうのは繊維業界の中でもいろいろな種類があるんですけれども、テキスタイルという織物以外に、例えばニットという編んでいる商品についても、これから業界の中でつくっていこうという動きが出ております。そういうふうに、繊維業界の中のいろいろな段階でガイドラインを一つの基準としてつくる、それで契約書をきちっと交わす、そういう動きがございます。それ以外にも、例えば金型の発注とか製作に関しても、こういう業界でマニュアル、基準をつくるということが既に進められております。

 こういう業界内の、自分たちもやはり、強い立場の者がむちゃくちゃやっていたらいけないんだ、いろいろな産地を残さなきゃいけないとか、日本の技術を残すためにはこうしなきゃいけないという取り組みについて、このせっかくつくったガイドラインが守られなきゃいけない。業界といったって、団体のトップがつくっても、末端までちゃんと広がるかどうかわからないわけですけれども、これはきちっとしたものをつくった。こういう基準を、皆さん方がこれまでいろいろやってこられたときの、不公正な取引だとか優越的地位の乱用という漠然としたものをかちっとする基準づくりという意味で、これに抵触していたらまずい、やろうとか、そういう公取として取り入れるお考えは、まあ、取り入れていただきたいと私は思うわけですけれども、いかがでしょうか。

山木政府参考人 先生御指摘のように、繊維業界におきましては、業界でガイドラインが作成されて、繊維取引の適正化が図られているところでございまして、私どもとしても、望ましい動きだと考えておるところでございます。

 繊維業界について申し上げますと、私どもも、平成十三年の九月に「繊維製品に係る取引における優越的地位の濫用行為に関し下請法又は独占禁止法上問題となる事例」というものを取りまとめまして、関係の業界の方に示して周知をして、違反行為のないように、取引の適正化が図られるようにお願いしているわけでございます。

 このように、私どもとしても、さらに業種別のガイドラインと申しますか考え方を整理して、業界に対する指導というものに当たっているわけでございますし、繊維業界以外でも、お酒に関しましては不当廉売それから差別対価的なもの、それからガソリンについても同様なものがございますけれども、そういう業種別の考え方については、適宜今後とも明らかにしていきたい、そして取引の適正化につなげていきたい、かように思っている次第でございます。

松島委員 ぜひそうしていただきたいんですが、その際に、公正取引委員会、それぞれの分野にお詳しいとはいうものの、スタッフの数も限られている、そしてまた、実際に商売を行っている経験をお持ちなわけでもない。ですから、これはやはり、その業界が独自につくったガイドライン、そして業界のそれぞれの立場の人が納得されているガイドラインがある業界についてはそれを準用するとか、それをやはりひとつ大事にしていっていただきたいなと思う次第でございます。

 それから、私、町でよく聞く手形の支払いの問題、あるいはその他について伺いたいと思っております。

 手形の支払いは、今手形の期限というのは百二十日以内と決められている。この中で、先ほど触れました繊維業界というのは九十日以内というふうに決められている。しかしながら、実際に地元の中小企業からよく聞きますのは、例えば二十日締めの取引と決まっている、これも払う側が決めているわけですけれども、二十日締めと決めていた場合に、実際には十一月十日に納入した、だけれども、口の約束というか口頭の指示で、これは二十一日か二十二日に納入してくれたことで、ちゃんとそうするからな、文書はそうするからなと。そうすると、発生日が翌月、十二月二十日締めということになるわけですね。そこで、手形のサイトの前に、一カ月ぐらい引き延ばしをされてしまう。かといって、だったら嫌です、いいかげんにしてくださいとそんな弱い立場の人間が言えるものではない。

 こういった事柄についての、帳簿と異なる、支払い期日違反というようなこともしっかり取り締まっていただきたいんですが、今のところどうでしょうか。

山木政府参考人 御指摘のような、事実上納入をおくらせることを仮装したような行為につきましても、やはりそれは立派な下請代金支払遅延等防止法の支払い遅延に抵触するわけでございますので、私どもとしては、違反事例として措置をしておるところでございます。ちなみに、平成十六年度上期におきましては、先生御指摘のような行為も含めまして、支払い遅延として百三十六件の警告等の措置をとっているところでございます。

 それから、先ほどの御質問にちょっと補足させていただきますと、業界のガイドライン等をつくる場合には、業界の実態等を十分踏まえてつくるというのは当然の話でございますので、今までもそうしておりますし、今後ともそういうことでございます。

松島委員 よろしくお願いします。

 ことしの七月、公正取引委員会は、マイクロソフト社に対して独禁法違反で排除勧告を行い、そしてマイクロソフト社が応諾しなかったので、九月に審判開始を決定しました。十月二十五日に第一回審判が行われたところでございます。

 日本の国内のパソコンメーカーが、市場の九五%を占めるマイクロソフト社の基本ソフト、ウィンドウズを搭載する契約を結ぶ際に、その契約書の中に特許権を主張しないことを約束する非係争条項を設けていたことが不公正な取引方法に当たるという理由でございますが、ただ、ソフトというのは三、四年で新製品に更新されますから、審判が長引くと意味がございません。

 今回の法改正、独禁法の改正は、こういうときにも有効に役立つのか。そしてまた、このマイクロソフト社については、世界各地でいろいろな問題が起こっていて、EUの公取当局もいろいろと調査をしております。EUとの間で、調査で明らかになった事実の共有などを進めるお考えはありますでしょうか。

竹島政府特別補佐人 今回、勧告制度を廃止いたしまして行政命令に変える、そのかわり、事前の手続をちゃんと置くということでございます。それによりまして、今御指摘のようなケースも、相手方がそういう違反行為は働いておりませんと言って争っていると、現状はそのままの状態が続いて、審判が終わって審決が出て、それでようやくどうなるか。その間、何年もかかり得る。その間、違法行為、こちらにしてみれば違法行為だと言っているものが治癒されないでいくという危険性があるわけでございますけれども、今度は勧告ではなくて行政命令にいたしますので、それに対しても当然不服があれば審判になりますけれども、今よりははるかに、当局が違法だと思うことを貫徹するというところまでいくと言うと言い過ぎでございますが、その効果をもっときちんと相手方に伝えるなりさせるという効果は、現状よりははるかに強まるというふうに考えております。

 それから、EUとの関係でございますが、日本とEUとの間では独占禁止協力協定を二国間というか、相手は国でございませんが、バイの協定を結んでおりますので、この案件も、何でもかんでも情報交換をできませんけれども、それが許す範囲で情報交換をいたしております。

松島委員 最後になりますが、保坂経済産業副大臣とは、お互い中小企業政策ということを政治課題の重要なところに置いて仕事をしてまいりました。今回の独占禁止法改正によって日本の中小企業が、私がこれまで申しましたような、いじめられる状況から少しでも脱出することができるのかという点についての総括的なお考え、そしてまた、中小企業政策を行っている経済産業省として、これを受けてどのように進めていくか、最後に御意見を伺いたいと思います。

保坂副大臣 おはようございます。

 お話しのとおり、中小企業を守るのは私たちの使命だと思っております。大企業の優越的地位の乱用によります不公正取引を抑止するというのは、もとより独禁法の重要な機能だ、このように認識しております。

 その上、今回の改正によりまして、先ほど来公取からお答えしておりますとおり、犯則調査権の付与、具体的に申し上げれば、臨検や捜索あるいはまた差し押さえ、こういうことが付与されたことによりまして、犯則の心証を得た公取は告発もできる、このようにきつく強化をされたわけでございます。また、調査の妨害などがあったときも罰則の強化がされた。それからまた、不公正取引が現実に実施されて、それに対する排除措置命令、これに対して従わない場合は、同じように罰金として、犯則強化をしている。

 こういう公取の機能の強化が一層図られることによりまして、中小企業いじめと言われるような不公正取引がなくなることを期待しているわけでございますけれども、本省といたしましては、下請代金支払遅延等防止法に見られるように、公取と連携をいたしまして、公正な、中小企業いじめがないような取引の環境が整備されるよう努力してまいりたいと思っております。

松島委員 ありがとうございました。一刻も早くこの独禁法改正がこの国会で成立いたすことを願っております。

 どうもありがとうございました。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。きょうは不公正な取引方法について伺います。

 先週の質疑の中で、竹島委員長の答弁にかかわって少し教えていただきたいんですけれども、細野委員のときだったと思いますが、竹島委員長が、不公正な取引方法について刑事罰や課徴金の対象にし得るか、排除勧告にとどまらず、刑事罰の対象にできるかと自問をされて、刑事罰の対象にするにはその違反行為の法益侵害程度を見る必要がある、その点で、不公正な取引方法は、カルテルや談合に比べると法益侵害の程度が小さいと述べられました。

 この不公正な取引方法がカルテルや談合に比べると法益侵害の程度が小さいというのは、どういう根拠といいますか理屈でそうなっているのか、その点をお示しください。

竹島政府特別補佐人 端的な例として、例えば、優越的地位の乱用という場合は、優越的地位にある者がその地位を利用して、例えば納入業者をいじめる、不当な条件を課す、不当な値引きをするというようなことでございますが、これはその当事者間の問題、社会的な影響が全くないとは言いませんけれども、当事者間の影響にとどまるということだと思います。それに対して、カルテルや談合ということになりますと、その社会的な影響がもう全然違うわけでございます。

 わかりやすい例で申し上げたら、そういうことがあるので、カルテルや談合については、個別事情をしんしゃくするまでもなく、そういうことが発覚した場合は、即違法であるということが言えるという考え方がもう確立しておるわけですが、優越的地位の乱用かどうかという場合は、今申し上げた社会的な影響という意味でも、社会的な損害という意味でも、法律用語で言えば法益侵害の程度ということにもなるわけでございますが、カルテルや談合に比べると小さい、そういったものまで一々罰金の対象にしていいのかというそもそも論がありますということでございまして、これを、いや、あるんですということを説得するためにはもう少し議論が必要ではないのかということでございます。

塩川委員 いや、カルテル、談合も重大な問題ですけれども、やはり優越的地位の乱用についても重大な事態なんだ。これについてしっかりと実態を踏まえて提起をすることが求められていると思うんですね。

 日本商工会議所と東京商工会議所が、去年の独禁法研究会の報告書に対する見解を昨年の十二月に出されております。重要なこともここで述べておられるわけですが、ちょっと紹介しますと、「今日、日本経済は内外の市場環境の変化によって、未曾有の競争的な市場となっている。」「国内にあってはバブル崩壊後の過剰供給・需要不足に伴う激しい競争が展開され、また、対外的にはグローバル化の進展に加えて中国はじめ有力な後発国の追い上げと円高によって厳しい競争圧力に晒されている。」「中小企業が産業の空洞化による地域経済の疲弊、デフレの長期化、金融システム不安という極めて厳しい苦難を背負いながら、生き残りを賭けて塗炭の苦しみに耐え事業を継続していることは周知のとおりである。」にもかかわらず今回の独禁法研究会では、「デフレとディレギュレーションが進行する現況、我が国の中小企業にとって問題視されるべき「不当廉売」や「優越的地位の濫用」等の競争実態を直視した不公正な取引方法の実効ある抑止に関する検討が行われなかったことは、片落ちの感を否めない。」こういう言い方で不公正な取引方法についてのふさわしい是正を強く求めているわけであります。

 私のいろいろ聞いたのでも、茨城県の石岡市などでも、大手の家電量販店が進出をして地元の業者の方が大変な苦境の中にある。これは全国共通していると思います。その安売りというのが、初日の安売りにその地域の電器の卸の問屋までがそこに買いに行って、それで小売に回すような、こんなことだって現に起こっている、おかしいじゃないかという声を上げておられるわけですよ。

 私、ひどいなと思うのは、こういう家電量販店というのは、社会的責任をどう果たすつもりがあるのか。例えば、ある家電量販店が、埼玉県内の商工会議所の方にお話を聞きましたが、商工会議所に入らないと言うんですよ。会費も払わないと。何でかというふうに聞くと、業績不振だからと言うんですよ。ふざけた話なんですよね。そんな企業に対してきちんと社会的なルールを守らせるような取り組みというのが、本当に求められていると改めて思うわけです。

 その点で、海外でもこういう不公正な取引方法については具体的に罰金や課徴金をかけている例も現にあるわけですから、この不公正な取引方法について刑事罰や課徴金の対象にしっかりするという点で、そのことを求めたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 不公正な取引方法の違反行為に対して罰金や課徴金の対象にするということは、これから二年間かけて議論する中で、本当に真剣に、またさらに議論させていただきたいと思います。

 それから、このことについて欧米はどうかということなんですが、これはやはり日本とは大分違いまして、フランスなんかではそういう事例が見られますが、欧米ではこういうことというのは本当に少ないんですね。日本の、ある意味では特殊な、古い商慣行なり力関係なりがなせるわざなのかなと思っております。

 それからもう一点、罰則とか課徴金の対象にすることも十分に検討しなきゃなりませんが、同時に私どもが問題にしていますのは、そういうことが何でできるのかというところを問題意識を持っております。それが、メーカー側から来ているリベートがそうなっているのか、その場合のリベートは差別的なリベートになっていないかどうか。客観的に、数量に応じてリベートが違うのは当たり前でございますが、差別的なリベートになっていないかどうか。

 そういったことで、やはり、先ほどもお話がございましたが、その業界、その業界の取引のルールというかガイドラインというものをきちんとしていくことが大事だ。我々も、そういうことで、特に不公正な取引方法が指摘される業界についてはそういうものをつくっていきたい、場合によっては特殊指定もしたいということで申し上げておりますけれども、そういったところは直していかなきゃいかぬ。それは、業界自身もそうでございますし、関係の、監督しておられる各省もそうでございますし、我々も一緒になって、要するに、公正な取引ルールというものをきちんと、それぞれにふさわしいものをつくっていく。それは当然、独禁法の趣旨に反するようなものが含まれて、カルテルまがいのものがそういう名のもとにルール化されるのでは困りますけれども、現実は各省ともちゃんと協議をし、各業界とも協議をし、独占禁止法上問題ないものをつくっておりますので、これからもそういうことをきちんとやっていきたいと思っております。

塩川委員 ことしの九月に、公正取引委員会で家電製品の流通実態調査報告書をまとめられました。拝見しましたけれども、そういう意味では、かなり複雑なリベートですとか、協賛金、ヘルパーの派遣などについても、書面調査が中心ですけれども、かなり実態を踏まえた報告書となっているのかなと思っています。

 そういう中でも、説明を聞いた中でも、例えば、粗利ミックスと言われるように、ほかの商品、製品のいわば粗利の部分を特定の商品の安売りに使うような形で目玉商品扱いをするようなこともあるんじゃないか、こういうことなんかも出てくるわけですよね。こういった形で不当廉売というのが現に行われているんじゃないか。実態を正確に把握すればそういうことが浮き彫りになってくるんじゃないか。

 そういう意味でも、こういった調査をさらに継続もして、粗利ミックスの問題なんかも実態をよくつかんで明らかにしていく、この点を求めたいと思いますし、先ほどの刑事罰、課徴金の対象にする問題についても、この二年以内に改めてその根本に立ち返って検討する、このことが求められていると思いますが、その点、委員長、改めていかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 御答弁が逆になりますが、刑事罰の対象にするかどうかは、再三御答弁申し上げておりますように、二年間の検討過程できちんと議論をさせていただきたいと思っております。

 それから前者の、いろいろなもので、要するにどんぶり勘定で、もうかっているからいいではないかという問題ですが、そのこと自体違法であるとは言えないと私は思います。

 ただ、そういうことで、ほかでもうけたものをつぎ込んで目玉商品を安売りする、その目玉商品が非常に大事な商品である、かつ、それをやっているところが非常に市場に影響を及ぼすような大手であるというような場合には、他の事業者に対する影響が出てきて、それがその取引分野において競争を制限するということにもつながってまいりますので問題になりますけれども、プールしていて、ほかでの利益を回してということだけでもって違法であると言うわけにはいかないということだと思います。

塩川委員 実態をぜひとも把握していただく点で、一層努力をお願いしたいと思っています。

 家電量販店の優越的地位の乱用の点では、メーカーの立場からも、経済産業省も関心を持って取り組みをされてきておられると思います。

 ここに御紹介しますが、国内家電流通の適正なあり方に関する研究報告書、ことしの三月にまとめられたものであります。これをまとめた事務局に経済産業省の情報通信機器課の担当の方も入っておられて、これをまとめるワーキンググループの一員として経済産業省も仕事をされておられるわけですね。

 この研究報告書で、家電流通の問題でガイドラインを求めておりますけれども、このガイドラインを求める提言、その内容、背景などについて御紹介いただきたいと思います。

桜井政府参考人 御指摘の報告書は、本年三月に、家電業界の関係者、メーカーですとか販売店、あるいは消費者、学識経験者等から成る研究会で取りまとめられたものでございます。

 この報告書におきましては、我が国家電業界を取り巻くさまざまな社会経済情勢の環境変化、こういったものを踏まえまして、家電業界が今後とも消費者利益の増進を図りつつ、みずからのあるべき姿を実現していく、そのための課題が提示されているというふうに認識しております。

 御指摘のガイドラインの構築でございますが、この提言の中で、今後の検討項目の一つとして取り上げられておりまして、独占禁止法が禁じます不当廉売あるいは差別的取り扱いについて具体的な基準を明確化して、公平かつ公正な流通環境を整備することが必要だという旨の提言だというふうに承知しております。

 当省といたしましても、このような提言を一つの契機といたしまして、業界関係者あるいは関係当局との連携によりまして、引き続き、我が国家電業界の健全な発展に寄与してまいりたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 この報告書が、実態を踏まえて、提言で、公平かつ公正な流通環境実現のため、不当廉売、差別対価、差別的取り扱いに関するガイドラインの構築を求めるという形で出しているわけですね。ここにもあるんですけれども、例えばお酒については、酒類ガイドラインというのが出ているわけです、平成十二年。それからガソリン等についても、平成十三年に同様のガイドラインが出ているわけですね。

 つまり、こういう酒とかガソリンの安売り、不当廉売の問題が社会的な大問題になったのを機に、ガイドラインという形で、具体的に適用する、運用するというのを迅速に対応できるようにするということでガイドラインを設けられてきたいきさつがあるわけです。それと同様に、家電流通について今深刻な事態があるんだというのがこの報告書の背景に挙げられているわけです。

 今、経済産業省として、関係当局との連携という話がありました。公正取引委員会に伺いますが、酒とガソリンにはそれぞれガイドラインがあります。家電流通についても、不当廉売、差別対価、差別的取り扱いに関するガイドラインを設ける必要があると思いますが、この点、いかがでしょうか。

山木政府参考人 御指摘のように、既にお酒、ガソリンの業界につきましては、流通における不公正取引に絡む、主として不当廉売、差別対価の問題でございますが、ガイドラインをつくっているところでございます。

 家電につきましては、先生御指摘のように、ことしの九月に流通の実態調査をいたしまして、リベートを含む取引価格の問題、それからヘルパーの派遣、それから協賛金等の問題について実態を明らかにした上で、独占禁止法上の大枠の考え方を示しまして、ガイドラインの大枠みたいなものは既にその中で述べておるところでございますけれども、さらに業界の実態、動向を踏まえまして、ガイドラインの作成について検討をしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 ガイドラインの大枠みたいなものは出ている、その上で、ガイドライン、具体的に検討していくということで、つくるということでよろしいですね。

山木政府参考人 時期とか内容につきましては今後さらに検討していかなければいけないということでございますが、ガイドラインの作成に向けて努力していきたいと考えております。

塩川委員 ぜひ、そういう実態、現場の実態を踏まえたガイドラインの作成を早期に求めていきたいと思います。

 それと、百貨店業の特殊指定、これを改廃するという形で、発展させる形で、大規模小売業者の特殊指定について、これを今年度末までに出すことを述べておられます。大規模小売業者による優越的地位の乱用行為を規制する告示の制定を行うということですが、まとめてお聞きしますけれども、適用を受ける事業者の範囲はどうなるのか、それから適用対象となる違反行為類型はどうなるのか、それに納入業者の範囲についてはどのように考えるのか、この点をお答えください。

山木政府参考人 先生御指摘の百貨店、つまり大規模小売業への納入取引のルールでございますが、現在、その改定と申しますか、新たなルールを作成すべく検討しているところでございますので、今詳細を申し述べることはできませんけれども、まず適用を受ける対象でございますが、現在は一定以上の面積を有する多種類の商品を販売する事業者ということで、例えば一定面積では、地方では千五百平米、東京でありますとか政令指定都市では三千平米、そういう店舗を有する者が適用の対象になるということでございます。

 ただ、昨今、店舗を持たない無店舗販売、通信販売のような大規模小売業というものも出てきておりますので、それに、必ずしも百貨を売らない専門的な量販店というものも出現しております。今のルールができたのが昭和二十九年、相当古いわけでありますので、そういう経済実態にそぐわないという点もございますので、どういうものを大規模小売業として適用対象としていくのが適当かということについて、今申し上げた観点から検討しているわけでございます。

 それから、適用の対象につきましては、今、不当返品、事後値引き等七行為が禁止の対象になっているわけでございますけれども、例えば、協賛金の要求とか物品の購入要求といった行為類型については、特殊指定、特別のルールの中では規定がなくて、いわゆる一般指定で規制をしているという現状でございます。そういうスタイルがいいのかどうか、特別なルールの中にもう少し行為類型をふやしたらどうか、それから、今ある類型として現状に合っているかどうかという点もございますので、そういう観点から検討をいたしております。

 それから、納入業者の範囲につきましては、今のルールが、百貨店業者がみずから販売し、または委託を受けて販売する商品を百貨店に納入する事業者であって、その取引上の地位が百貨店業者に対し劣っているもの、この百貨店業者というのは大規模小売業者という意味でございますけれども、そういう定義が今あるわけでございますが、このような定義で効果的な処理ができるのかといった観点から検討いたしておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、実態を十分に把握した上で、いいルールをつくっていきたいというふうに思っております。

塩川委員 ぜひ実態にかみ合った特殊指定の制定をお願いしたいと思っております。

 次に、公共調達と入札談合のあり方について何点か伺います。

 最初に公正取引委員会に伺いますが、建設業界の重層下請構造、そのもとでさまざまなゆがみが生まれて、従属関係やピンはね構造の是正というのが求められております。こういった中で優越的地位の乱用と認められる行為があれば是正措置が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 御指摘のとおりでございます。

 私どもも、昨今、公共工事につきましても、具体的な案件として取り上げて警告をするというようなことをやっておりますが、これからも実態に即して、何といってもこれは情報が大事なのでございますが、そういう情報の収集にもさらに努力して、厳正な法の執行に努めてまいりたいと思っております。

塩川委員 今、大手のゼネコンが地方の仕事までとりに来る、またダンピング受注も深刻だ、こういった中で、そういうしわ寄せというのは、結局、下請の事業者や建設労働者に回っているわけであります。そこをしっかりと見た対策が求められているわけです。ですから、そういう意味でも、そういった下請事業者や建設労働者の今の苦境をどう解決するのか、こういう立場で各地からいろいろ意見も上がってきているわけです。

 そこで、国土交通省に伺います。地方議会からこの問題での意見書が幾つも上がってきております。例えば千葉県議会のことし六月の意見書では、公共工事における建設労働者の適正な労働条件確保等に関する意見書、内閣総理大臣とともに国土交通大臣あてにも出されておりますが、その内容を御紹介ください。

中島政府参考人 ことしの六月でございますが、千葉県議会より国交大臣に対して意見書が提出されています。その内容を御紹介いたします。

 一、公共工事における建設労働者を初め労働者の最低労働条件の確保を図ること。

 二、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の附帯決議事項について、実効ある施策を実施すること。

 三、厳しい財政状況のなか、さらなるコストの縮減と品質の確保の両立を図るため、公共工事に相応しい調達方法の確立や技術者のいない発注者の支援について必要な措置を講じること。

 以上でございます。

塩川委員 建設労働者の適正な労働条件の確保を強く要望する意見書となっております。こういうのは、今、大阪の府議会ですとか大阪の市議会でも同様の意見書が採択をされておりまして、札幌市では、こういった問題について踏み込んで条例化ができないかという議論もあるそうであります。

 そこで、今の千葉県議会の意見書でも紹介をしている公共工事入札契約適正化法に対する参議院国土・環境委員会の附帯決議、その六項目めを御紹介ください。

中島政府参考人 平成十二年の十一月でございますが、参議院の国土・環境委員会で決議された公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議第六項を御紹介申し上げます。

  不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること。

 以上であります。

塩川委員 附帯決議にありますように、地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会の確保とともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保を求めるものになっています。

 先ほども紹介しました大阪府議会の意見書では、ILOの第九十四号条約、公契約における労働条項に関する条約というのがありまして、それを紹介しております。この条約では、国や自治体など公的な機関が発注する事業に従事する労働者に適正な水準の賃金、労働条件を確保するよう契約に明記することを義務づけております。大阪の府議会意見書では、この条約の趣旨を生かして公契約の入札制度の改革を行うことを強く要望しております。

 先ほど御紹介しましたように、札幌市では、こういったILO条約に基づいた公契約条例の制定という取り組みもあるそうですし、私、国としても、こういう公契約法の実現が強く求められていると思います。この点を要望するものであります。

 あわせて、今地方におきましては、公共工事の受発注を通じて地域経済の活性化を図ろうと独自の地域経済振興策が行われております。その一つに、小規模工事等契約希望者登録制度というのが市町村単位で行われております。どんな制度なのか、簡単に御紹介いただければと思います。

中島政府参考人 地方団体におきまして自主的に、特段私ども国土交通省としてそれを関知する立場にはないわけでございますけれども、独自に地域の零細業者の受注機会を確保するというような目的で導入されている制度であると承知しています。

 例えば、足立区の例をちょっと御紹介申し上げますと、小規模工事契約希望者登録制度という制度でございまして、この制度では、予定金額が大体百三十万円未満の軽易な工事につきまして、あらかじめ登録制度を設けまして、登録できる方は区内の法人または個人ということで、かつ通常の工事の登録をしていない業者さんに限るようでありますが、その方を登録した上で、その中から選定した業者の見積もりに合わせて業者を選ぶというようなことをやっておられるというふうに承知をしています。

塩川委員 自治体が発注する小規模な建設工事や修繕の受注機会を拡大して、もって地域経済の活性化を図ることを目的とした制度であります。全国で今数百の自治体で実施をされておるわけですが、私、こういうような地元業者、零細業者に対して、受注機会の仕事の確保を図るというのと同時に、これは地域社会においてもメリットがあると思うんですね。

 例えば、埼玉県の川越市でもこの制度を実施しています。一番喜んでいるのはだれですかというふうに担当の市役所の人に聞くと、学校の先生だと言うんですよ。といいますのは、学校の修繕、ドアのたてつけが悪いだとか窓ガラスが割れただとか、こういう軽易な修繕というのもどこに頼むかというと、この校舎を建てた大手ゼネコンの営業所に頼むと言うんですよ。そうしますと、御多分に漏れず、こんな金額の修繕なんかじゃすぐ来ませんから、営業所からそれぞれたらい回しにされて、二週間とか一カ月とかしてやっと駆けつけてくる。これじゃとても冬場の寒い教室で対応できぬじゃないかと。それが、川越市のこういう制度ができると、リストがありますから、それで頼みますと、地元の業者さんはすぐ来てくれるわけですよ。六年一組のだれだれちゃんのお父さんとか、一年二組のだれだれ君のおじいちゃんだとか、そういう人がすぐ駆けつけてくれる。本当に、顔の見える公共工事という点では、学校の先生方が一番喜んでいるというのは、なるほどなと思いました。

 こういった自治体としての独自の地域経済振興策、社会的な対策というのが、今大いに工夫がされるときではないかなと思っておるわけです。

 同様に、全国で、長野県の栄村のように、田直し事業とか道直し事業と言われるように、国の補助金は要らない、自前で、地元の人と自治体と業者の方が相談をして安上がりに、しかし実態に見合った公共工事というのが行われているわけですよね。こういう取り組みこそ、我々は大いに学ぶ必要があるんじゃないかなと思っております。

 そこで、中川大臣にお伺いいたします。

 中小企業政策におきましては、中小企業の受注機会の確保の取り組みも行っておるところであります。公共調達や入札制度のあり方につきましては、競争政策一辺倒ではなくて、地域経済振興策ですとか、下請構造の是正や労働条件の改善や品質確保、先ほど述べたような中小企業の受注機会の確保など、総合的な見地からそもそも取り組むことが必要なのではないか、このように思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

中川国務大臣 今、塩川委員御指摘のとおり、国としても、競争政策の確保と同時に、特に経済産業省におきましては、地域経済を支える中小企業あるいは雇用を支える中小企業の振興というものが、同じように大事だという認識を持っております。

 したがいまして、御承知のように、官公需における中小企業の受注の確保の法律に基づいて、年次報告、それから本年度の目標、平成十六年度なら十六年度の目標というものを設定いたしまして、閣議決定をさせていただきまして、官公需における国あるいはまた国に準ずる機関等の中小企業の調達あるいは入札のできるだけの確保に全力を挙げていきたい。特に、優秀な実績を残している中小企業を初めとして、地元の中小企業振興という観点から、我々としても重要な施策として推進をしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 競争政策一本やりで中小企業の受注機会の確保を否定するようなやり方はあってはならないと思いますし、官公需発注につきましては、かつて三木内閣のときに、国として五〇%という目標を掲げたときがありますので、ぜひそういう目標にふさわしく取り組みを強化いただきたいと思っております。

 あと当然入札制度改革が必要でありますけれども、建設業界の重層的な構造を変えるという方向の中で、入札制度を変えることが求められております。元請業者をふやす方向で単純な分割発注ではなくて、工程ごとの分離発注で元請業者をふやすことですとか、最低価格調査制度で下請業者に対する発注価格の妥当性などを調査する、工程管理もできるような行政の技術的役割も重要だということを指摘して、終わります。

 ありがとうございました。

河上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時七分開議

河上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉田治君。

吉田(治)委員 この法律案につきましては、審議の方ももう随分、各委員質疑等しておりますが、先日の参考人質疑については、本当に実のあるお話を聞かせていただき、また質疑もさせていただいたということ。やはりああいう議論をもっとしていかないと、こういう国の経済、政策を、方向性を決めると言ってもいいほどの法案について、重要なことであると感じているということをまず申し上げさせていただきます。

 まず冒頭に、この法案の中で、附則の中でもう二年以内に全面的な見直しをというふうな言葉が入っております。これについて、きょうは法案提出の官房長官においでいただいておりますけれども、この見直しについては、内閣府における検討委員会で検討を加えていくと。検討委員会で検討を加えるということは、まずこの検討委員会というのは検討してもう終わりなのか、それとも、検討した上で何らかの結論を出して、それを法改正という形で出してくるのか。出してくるのであれば、この検討委員会はいつぐらいに立ち上がり、この法案が通過した後、どれぐらいの期間をもって立ち上げ、どれぐらいの期間を審議し、そして、どういう中身を審議して、結果としていつぐらいに、法案成立後どれぐらいの時期でその結論になる、また法改正をするのかということがまず第一点。

 そして、よくこういう質問をしますと、法律が決まってから考えますという答弁ばかりいただくんですけれども、ここまで時間がかかっておりますと、検討委員会の人選といったもの、そういうふうなものをどういうふうに考えていらっしゃるのかということ、まずこの二点、官房長官の方にお聞きしたいと思います。

細田国務大臣 今回の独禁法改正案におきまして、吉田議員御指摘のとおり、附則第十三条で「政府は、この法律の施行後二年以内に、新法の施行の状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、課徴金に係る制度の在り方、違反行為を排除するために必要な措置を命ずるための手続の在り方、審判手続の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」としておるわけでございます。

 この見直しにつきましては、これまでの議論でも、各界から、制裁のあり方、課徴金と刑事罰の関係、不公正取引に対する罰則等、それから次に審査、審判のあり方、審判官の独立の強化等について抜本的な改革を行うことを強く要望する意見があると承知しておりまして、こういったものを踏まえたものであるわけでございます。そこで、今後、内閣府に検討の場を設けて、そうした要望についても、二年を目途に、国民各層の意見も十分に踏まえて慎重に検討していくこととしております。

 そこで、前のときにどういうふうにやっておるかというと、特に平成二年のときに課徴金の大改正がありまして、非常に大規模な検討のための学者あるいはさまざまな有識者を集めた会議をやっております。二十四名の会員で、それこそ刑法から行政法、経済法、その他の各分野の学者が十三人、館龍一郎名誉教授を初めとして、あるいはマスコミの関係の方、あるいは経済界の方、主婦連、弁護士、企業の方、そういった方を集めて、衆知を結成して、ワーキンググループもつくって検討したということがございます。

 それで、じゃ、なぜこれをやったかというと、あくまでも、法律、罰則の問題やら各法律のバランス、課徴金と罰金とか、その他の罰則との関係、これを審議するには、公正取引委員会の内部の検討では適当ではないということで、こういう幅広い学識経験者の意見を聴取したということでございますので、こういったことをこれから考えまして、法律が成立いたしましたら、できるだけ早くそれを招集し、できるだけ早く結論を出したいと思っております。

吉田(治)委員 今、官房長官、平成二年のときのは多分日米構造協議を受けたときかなと思うんですけれども、それであるならば、法律の専門家ばかりが多いですよね。やはり、実体経済というものを知っている方がどれだけ入るかということが実は必要である。もちろん、消費者の観点ということも私は大事だと思います。前回の参考人のお話を聞いておりましても、五人が五人ともそれぞれの御意見を持っていらっしゃる。だから、一つの部門に偏るということは一切しないということ。それから二点目は、前回のとき、これは事務局はどうされていたんですか。

細田国務大臣 これは当時の組織でございますので、行革の前でございますので、総理府の方でしておったと思います。

吉田(治)委員 その場合に、総理府のメンバーだけやったんですか、それとも、公取から何人か人が来て事務局という形で成り立っていたわけですか。

竹島政府特別補佐人 当時は内政審議室というものがございまして、それは内閣官房と総理府の内政審議室と二枚看板であったわけでございます。総理府の内政審議室として、その中に事務局を、局長がいたわけじゃございませんが、ほかの役所からも出ていって、公正取引委員会の職員も出ていって、それで事実上事務局をつくった、こういうことでございます。

吉田(治)委員 では、官房長官、今回も同じような形だととらえてよろしいですか。

細田国務大臣 行革で組織が変わりましたので、例えば、これはまだ事務的に検討をしなきゃいけませんが、今この役職に当たる者としては、内閣官房副長官補とかそういう役職になるかと思います。

吉田(治)委員 その場合、やはり検討委員のメンバーですよね。人数的には前回、平成二年と同じぐらいの規模で構成員も同じように今考えられているのかどうか、その辺はいかがなんですか。

細田国務大臣 当時の議論と今度の議論のいろいろな差もあるとは思います。確かに、二十四名のうち、各分野をお願いしたので、大学教授が十三名もおられるということではありましたけれども、実業界からは、経済界、よく知られた大企業の社長さん、中小企業の社長さん、あるいはもう一人、これは役所のOBでもありますが企業の会長さん、それからもう一人社長さんですか、四人がおられますね。そういうような経済界の人をどれだけ入れていくか。主婦の代表、消費者の代表等もありますけれども、これは今後また考えていかなければならないので、また吉田議員の御意見も拝聴して、ここの国会での御議論も拝聴したいと思います。

吉田(治)委員 この検討委員会、前回のときも、十四年前もそうかもしれませんけれども、間間で、例えば報告をするとか、中間報告を出すとか、国会において検討委員のメンバーの先生に来ていただくとか、そういう事例が過去あったのかどうかということ。それで、今後この検討委員会がなされていった場合に、これは我が民主党の法案にも明記をしておりますけれども、していった場合に、そういうことをしていくのかどうか。いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 これは、情報公開とか透明性ということが当時よりも強く言われている時代でございますので、できるだけオープンな体制をとっていく。ですから、節目節目どころか、毎回何をやっているかというようなこともわかるようなことを考えていくべきだろうと思っております。

細田国務大臣 当時は平成二年で、まだまだいろいろな行革が進む前、情報の公開の前でもございましたから、どうも、聞きますと、はっきりとは情報公開されたというふうにも聞いておりませんが、今後は当然やるべきであると思います。

 それから、官邸の機能が内閣官房の機能とちょっと複雑に絡んでおりますので、どういうふうな体制でやるかはまだこれから検討しなければなりませんが、いずれにしても、内閣府、内閣官房で責任を持って体制をとってまいりたいと思います、公正取引委員会と一緒になって。

吉田(治)委員 今、最後の一言が気になるんですけれども、公正取引委員会と一緒にということは、検討委員会は、内閣府が持つけれども公正取引委員会も参加をするというふうなことですか、それとも、独立したものとして今後二年以内に検討するということなんですか。

細田国務大臣 それは、最後につけ加えて公正取引委員会と言ったのは、まさに専門家の意見はいろいろ聞いていかなきゃいけませんから、そういう意味で申し上げました。

 それで、組織的な検討の事務的な主体は、先ほど申したとおりになると思っております。内閣府及び内閣官房ということになります。

吉田(治)委員 平成二年の場合は、先ほど申し上げましたように日米構造協議というのがあった。今回の改正については、二十五年ぶりの改正、いろいろありながら、この法案の附則自体に、二年以内に見直さなければならないという文言を入れているということは、例えば強力なるアメリカの圧力があったのか、はたまた、何らかの圧力があってどうしても今この時期にやってしまわなければならない、ただ、中途半端だから二年かけてもう一度勉強し直そう、やり直そう、そういうふうにしかとれないんですけれども、そういうふうな考え方については官房長官はどういうふうにお考えになられますか。

細田国務大臣 検討事項として残された大事な問題でございますので、しかも、法律的な諸問題も詰め、バランスも詰めていかなきゃならない、専門的な知見も必要であるということでございますので、できるだけ早期に解決、結論を得たいと思っております。

吉田(治)委員 それでいうならば、今後、独禁法の改正についてはすべて附則がついて、二年以内の見直し、要するに、社会経済状況の環境にかんがみという言葉があるように、そうしていかなければならない。そうでないと、この国会でこの法案を審議し、継続審議になった場合には次の国会でというふうなことになったときに、何のためにするのか、何のために今この時期にするのかというもともとの改正の意義というものがほとんど感じられないと私は言ってもいいと思うんですけれども、その辺は官房長官はどうお考えになられるのか。

 と同時に、あわせて、民主党案がそのことを同じように触れておりますけれども、そこの部分についてはどういうふうにお考えになられているのか。

細田国務大臣 これは国内にもさまざまな意見のあるところでございましたからこういう規定になったかと思っておりますけれども、やはり、これは早急に結論を得なければならないことであると思います。

 民主党案も一つの考え方でお示しでございますし、要は、これから公正な取引、独禁法の趣旨がしっかりと実現していくこと、それに伴って談合その他の弊害が少なくなってくることでございますので、これは積極的に検討をすべきである、こう考えております。

近藤(洋)議員 吉田委員にお答えいたします。

 今回の独禁法、なぜ今の時期に、そしてこの二年後何をするのかという御質問でございますけれども、私ども民主党といたしましては、現在の独占禁止法が過去のゆがみをずっと引きずり続けている、しかも、法文としてはあるけれども、午前中から御指摘あったような不当廉売等について実質的な措置を講じられていない、こういう現状にかんがみて、今のゆがんだ構造を根っこから変えようではないかという観点に立ちまして、行政制裁金制度を柱とする改正案をまとめたというところでございます。

 なお、二年後につきましては、二年後を待たずに、一年以内に官製談合防止法の全面見直し、さらには会計制度の話も含めたあり方、また、二年間のこの中では、公正取引委員会の体制そのものについても、審判部の分離も含めた体制そのものも含めて、経済司法体制を根本からつくり直すべきだという問題意識に立っておるところでございます。

吉田(治)委員 長官、この何日間かの議論の中で、自民党議員の質問にもありましたけれども、不当廉売の話と官製談合の話というものが出てきましたけれども、この検討委員会というものは、検討項目というのは、狭く、ここに書かれている法案のことのみを考えるのか。それとも、今話題になっているように、もう一度二年以内に抜本見直しという部分になってきますと、不当廉売であるとか官製談合だとかそういう独禁法全体のことをもう一度見直すということなのか。それはどちらなんですか。

細田国務大臣 ここに規定しておりますものは、むしろ罰則の中で、いろいろな議論がございましたように、課徴金と罰金のバランス論、併科、どういうふうに対応するのが最も適当かという、それがいわば刑罰と課徴金、行政罰といいますか、これとの関係をどう整理したらいいかという専門家の意見を聞くための組織であると観念しておりますが、当然、したがって、独禁法自体をどういうふうに見ていくかという競争政策全般の問題は、それはまた別に、さらに公正取引委員会あるいは関係のところでも検討しなければならない問題であると思っております。

吉田(治)委員 ということは、この検討委員会というのはこの附則に書いてあることだけをする、不当廉売だとか官製談合のことについては別途していくんだというふうに考えたらいいんですか。これは官房長官と公取委員長に。

竹島政府特別補佐人 政府が提案申し上げている附則の十三条は、まさに狭義でございます。関連することをいろいろ検討するということじゃなくて、ここに書いてありますように、課徴金と罰金の問題、それから審査・審判手続の問題ということで、「等」はございますけれども、基本的にはこういった事項について、日本の法制度の基本にかかわる問題であるから、専門家の意見をきちんと聞いて、それも内閣府においてやるということでございまして、対象はここに、一言で申し上げますと、集中してやる。

 それ以外の官製談合法というのは、今回の議論でも出てきております、公共調達のあり方等々ございます。こういったことは、引き続きそれぞれのところで議論していく。今回も相当議論が進んでいると思っておりますけれども、これは二年を待つなんという話ではなくて、もっと早くそれぞれ議論して結論を得るべきである、こう考えております。

吉田(治)委員 では、平成十四年の附帯決議が今回の法改正にも一つ大きな影響を持ってきたということが言われております。その認識については、官房長官、いかがなんですか。

竹島政府特別補佐人 十四年の衆議院の経済産業委員会における附帯決議でございますが、それは、まさに抑止力強化の観点から「措置体系全体について早急に見直す」という趣旨の附帯決議をいただいているわけでございます。

 これもありまして、またさらに、小泉内閣になりましてからの競争政策の拡充方針もございまして、政府としては閣議決定もいたしておりますが、規制改革の推進計画もございますが、それらにおいて措置体系の見直しということを掲げてきた。これを踏まえての検討結果が今回の政府案でございます。

吉田(治)委員 附帯決議の中には、これは法的拘束力という意味でいうならば、あるのかどうかというと、委員会としてこうして思いますよという意見表明だという話もありますし、国会がこういう審議の中で委員会として附帯決議を持つということは大変重い意味を持つという意味と、両極端あるんですね。

 そうしますと、使い勝手のいいところだけ、今の委員長の話を聞きますと、附帯決議一から六まであるうちの五だけをとって、これを持ってきた。それであるならば、今私が質問をしました附帯決議の四番にかかわる不当廉売の話は、じゃ、どうするの。前回の参考人質疑の中でも、国際カルテルの問題について参考人から御意見ありましたけれども、じゃ、その三番目における国際カルテルというものが、この附帯決議が出されてから二年有余がたって、何らなされることがあったのかどうか。一つ一つを確認していくと、どうも都合のいいところだけ、やりやすいところだけ、自分たちの権限だけがふえるところをとにかく慌ててでもいいから出してしまわなければいけない、ただ、それについて大きな問題があるから二年以内に見直すんだと。

 私は、それでいうならば、前回のこの附帯決議にかかわる不当廉売の話、官製談合を含めたものについて、今、委員長は、二年を待たずして検討して法改正をするというふうに言いましたけれども、例えば不当廉売というふうなものについては、今後どうされるんですか。

竹島政府特別補佐人 不当廉売につきましては、現在もガイドラインを出す等々して現行の独禁法の厳正な運用に努めているところでございまして、これから先もその姿勢は同じでございます。

 それから、制度問題としては、もう何回も御質問をいただいていますとおり、不当廉売について罰金ないしは課徴金の対象にするかどうかという問題も、今回の改正で十分議論しましたけれども、先ほど来御答弁申し上げていますような理由によってそれを盛り込むわけにはいかないということで、今回は盛り込んでおりませんが、今後検討していくということでございます。

 それ以外の点につきましても、私どもは、当然のことながら、附帯決議については十分に重いものとして受けとめておるわけでございまして、私が附帯決議の五項を引用しましたのは、今回の法律改正は、これはまさに措置体系の見直しということで法律改正をお願いしている、そういう意味では、根拠は附帯決議の第五項であるということでございまして、それ以外の附帯決議について何か軽視しているとかいうことは全くございません、それぞれのことに努力しておりますし。

 それから、一点、官製談合防止法について、早く答えを出すべきであるということを先ほど申し上げましたけれども、これは、お断り申し上げておきますが、議員立法で制定されている法律でございまして、それぞれの党において、今、与党においても野党においても御検討中というふうに理解しておりまして、こういったことについて我々はお手伝いをして、答えを出していきたいということでございますので、それぞれごとに検討のテンポも仕組みも違うというふうに思っております。

吉田(治)委員 不当廉売の話は皆さんがされているので、私が深く言う筋合いではないと思いますし、今、運用、運用と言われましたけれども、結果として運用でも間に合わないから、法体系という形で新たな立法が必要ではないかという意見も強いのだということを知っていただきたいんです。

 しかし、それの割には、先ほどの言葉と同じことになりますけれども、なぜ今この時期にここの措置体系だけをしなければならなかったのかということ、しかも、その措置体系は二年以内にもう一度全面的に専門家を入れて見直すということ。こういう言い方はよくないかもしれないけれども、何とはなしに間に合わせで出してきた。

 竹島委員長の前の委員長のときには、持ち株会社解禁というのがこの委員会で審議をされました、あの当時は商工委員会でしたけれども。そのときは、公正取引委員会の事務局を事務総局にしたい、事務次官という肩書がなければ事務次官会議に出れないからと。こんな言い方はよくないかもしれませんが、それが取引にされたと言われたものがあります。

 では、今回はこれを慌てて出すことによって何がプラスになって、ただ単に出しましたよというだけで終わりなのか。例えば、この附帯決議の三にある国際カルテルというふうなものに対して、どうプラスになるんですか。

竹島政府特別補佐人 これは何か急いで、また唐突に法律改正をお願いしているわけでは全くございません。平成十三年の最初の小泉総理の演説以来、先ほどの十四年の法律改正に伴う当委員会の附帯決議その他骨太方針等々で、政府としてこの措置体系の見直しが必要であるということをうたってきているわけでございまして、それに対する答えをようやく今回出させていただいたというぐらいでございまして、決して、何かそうじゃなくて、とりあえず出すとか急いで出すとかというものでは、全く実態は逆でございます。

 何ゆえにそれをやらなきゃいかぬかということでございますが、これはまさに釈迦に説法で恐縮でございますけれども、規制改革、構造改革、産業再生、経済再生ということが言われている中で、やはり公正な競争ということをきちっと定着させていかなければ、高コスト構造の是正にも、それから新規産業の参入にも技術革新にもいろいろ悪影響がある、日本経済の生産性が上がらない。その基本をなすところの競争のルールというものがきちんとして、かつそれがきちんと守られる、守らない者についてはきちんとした制裁がある、こういったことが必要だという認識があったから、累次の意思決定がなされてきているというふうに理解しておりまして、そういう意味で、今回の改正は総合的に見直した上でのきちんとした回答であるというふうに思っております。

 では、附則の十三条は何ぞやということでございますが、これは全く現在の我が国の法律体系の基本とは別な話を問題提起されているわけでございまして、刑罰にかわって課徴金を制裁金にして、すべて刑事罰にかわる機能も持たせるという、いわば行政罰ですべて仕切るというような考え方は、考えとしてもちろん成り立つし、アメリカやEUもどちらかでやっているわけですから、同じようにやっちゃいかぬということはもちろんないわけでございますけれども、それは日本の法律の根幹にかかわる話でございます。

 そういう議論は、しかしながら提起されましたので、附則十三条に掲げてある、それはきちんと内閣府というところに置いて、先ほど来おっしゃったように、専門家の意見できちっとやっていただく。これについては、決して予断を持っているわけではございません。そこの二年間できちんと議論をして、その答えに応じて、法律改正ということになれば法律改正をまた提案させていただくということになるわけでございまして、現行の基本を踏まえる限り、今回の改正は、私は、いろいろな問題についてすべて検討した上での答えであって、決して腰だめでも外部から何か言われてそれで急いでやっていることでも全くないということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。

吉田(治)委員 いや、それの割には二年以内に見直しということを言われるので、法体系だ、やれ何だと言われたときに、それだったら、なぜそれが済んだ上で出してこないのかというのが、今の答弁を聞いていてもやはり正直な気持ちになると思うんですね。

 そういう中で、官房長官も次の質疑者があると思いますけれども、官房長官、内閣の中において公取というのは三条委員会ですね、独立的なものですね。今回の法律を、きょう官房長官がおいでいただいているのは、要するに法律提出者は、公正取引委員会ではなくして内閣が所轄をして出してくるということで考えていくときに、こうして経済産業委員会に官房長官が来られて答弁するということは、何かちょっと奇異といえば奇異なんですよね。官房長官はずっと、通産の出身だし、党のこういう担当、調査会をやられていたということで、その辺について、実際当事者としてここへ来て座られてどういうふうにお感じになられて、これは行政の立場で私ども立法の方にとやかく言う筋合いは私はないと思うんですけれども、例えば、こういうふうな方がいいんじゃないかというふうな部分というのが何かありましたら、お考えをいただければと思います。

細田国務大臣 非常に大幅な行革をやりまして、御存じのように、公正取引委員会は総務省の中に入ったんですね。したがって、もうちょっと前にこの法案の審議が行われていると、総務大臣がここに出てくる。それがどうも、総務省というのは必ずしも据わりがよくない。そういうことで決めたということではありませんけれども、例えば、電波だとかいろいろなインターネットだとか、そういう業務を所管しておりますから。だから、総務大臣のところでやるよりは、やはり内閣でやるのがいいんじゃないか。

 しかしそれは、法案を提出したり閣議の決定を求めたりする責任大臣であって、やはり独禁政策というのは、本来独立した三条委員会でいろいろ打ち出すべきでありますから、競争政策については、公正取引委員会が委員長を初め委員の皆様初め皆さんでよく考えていただいて、必要に応じてまたしかるべき検討委員会を設けてやっていただくというのが筋だと思っております、基本的には。

 ただ、今回のこの十三条の問題は、特にこれはあらゆる罰則にかかわりまして、法務省だとかほかのバランスがたくさんある分野でございますので、この検討の場も内閣府と内閣官房で検討しようということであって、本来は、先ほど言われたようなさまざまな競争政策自体は公正取引委員会に第三者の賢人を集めて検討すべきものである、そういう整理をすべきだと思っております。

吉田(治)委員 将来的には、これはこの法案とはかかわりないかもしれないけれども、三条委員会というものに力を持たすのであるならば、法案提出権自身も内閣が持って、官房長官もお忙しい中に来て座れということがないようにするという方向も必要ではないかと思うんですけれども、それはどういうふうにお考えになられますか。

細田国務大臣 私も、そういう面があるなと思っております。

 では、アメリカがどうやってFTCに関連するものをやっているのだといったら、向こうは議員立法の国ですから、どうも実際には、国会、議会においていろいろな議論が行われ、その中でFTCがいろいろ意見を述べているという、より独立性もあるようでございます。こちらはどうも議院内閣制をとっておって、政府提出の場合には内閣で法案提出等を仕切るということで、そういうふうなことになっておるのかなと。ですから、おっしゃることの意味はよく承知いたしております。

吉田(治)委員 もう時間ですから終わりますけれども、長官言われるとおり、こんな大きな法改正について、内閣だけ、与党だけが事前に法案のことについて詰めて、それで出てきて、さあ野党、あなたたち、のみなさいよと言うのではなくて、議院内閣制とはいいながら、こういう国全体にかかわる問題については与野党で事前から協議をして、法について徹底的にやらないと、参考人が来て、五人来られたら公取のOBですら現法案について批判をするような、よくないと言うような、こういうことというのはちょっとおかしいと思いますので。

 以上をもって質問を終わらせていただきます。

河上委員長 次に、菊田まきこ君。

菊田委員 民主党の菊田まきこでございます。

 きょうは、まず最初に、先般十月二十三日に発生をいたしました新潟県中越地震に関しまして質問させていただきたいと思います。

 新潟県中越地震発生後、柏崎刈羽原発の安全確保はどうであったか、地方自治体との初動連絡はどうであったか、まず最初に大臣にお伺いをします。

平田大臣政務官 私の方でお答えを申し上げたいというふうに思っております。

 当然でございますが、かねてより原子力発電の大前提は、安全の確保と地元の御理解でございます。したがいまして、そういう考え方で原子力発電所の耐震設計には万全を期待いたしておるわけでございます。

 具体的に申し上げますと、当省では、原子力安全委員会が定めました指針に基づいて厳正な審査を行っているわけでございますけれども、その際には、すべての重要な施設が岩盤に直接設置をされておりますし、加えまして、敷地周辺の活断層や過去の地震などの詳細な調査に基づきまして、想定される最大の地震動にも耐えられるように設計されていることを確認いたしておるわけでございます。また、一定以上の大きな地震動を検出した場合には、原子力発電所が自動的に停止をする設計となるように事業者に求めております。

 我が省といたしましても、今後とも原子力発電所の安全確保に全力を尽くすとともに、このような原子力発電所の耐震性について御理解をいただけるように、自治体を初めとする地元の方々に対して十分な説明を行ってまいる所存でございます。また、立地地域近傍で比較的大きな地震があった場合には、発電所への影響の有無につきまして地元への適時適切な情報提供に努めて、原子力発電所の安全性への信頼を確保してまいりたいと考えておるところでございます。

菊田委員 それではお伺いしますけれども、これは地元、新潟日報という新聞の記事に、大変気になる記事が載っておりました。読ませていただきます。

  中越地震で東京電力・柏崎刈羽原発の初動連絡態勢に不備があったとして、地元で批判の声が上がっている。

  十月二十三日の本震直後、柏崎市と東電はお互いに一般電話などで連絡を取ろうと試みたが、回線混雑でつながらなかった。結果として、市が原発の安全を確認するまでには約四十分、刈羽村は約五十分もかかった。

  柏崎市役所では、原発内に直接つながる専用線(ホットライン)に何回もかけたが、原発の専用線近くに約二十分間、だれもいなかったため、ホットラインは事実上機能しなかった。

という記事でございます。

 そしてもう一つ、一方、原発の安全確保に責任を負う経済産業省原子力安全・保安院からの連絡も、地震が発生した二十三日には柏崎市に入らなかったという記事が載っておりました。

 地元では、国は原発の安全、安心を担保すると言ってきたのに、連絡体制は一体どうなっているのかという大きな批判、そして不満があらわになっております。これは事実でしょうか、確認させてください。

三代政府参考人 御説明させていただきます。

 まず、十月二十三日の新潟県中越地震の件でございますけれども、この地震が発生した後何が起きたかと申しますと、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所では、定期検査中の四号機、これを除く六基は安全に運転を継続いたしました。この際、地震により使用済み燃料プールのスロッシング、いわゆる水の横揺れでございますけれども、そういう警報が発生いたしましたけれども、事業者による点検の結果、安全上問題がなかったということが確認されております。その後、現地に常駐しております国の原子力保安検査官も、これら電気事業者の報告が適切であったというふうなことを確認しております。

 また一方、十一月四日に起きた余震があるわけでございます。ここにおいては、柏崎刈羽原子力発電所七号機において、タービンの軸受けの摩耗を検出するための保護装置、これが地震の影響により作動し、タービンが自動停止いたしました。この自動停止後の点検の結果、原子力設備は健全であるということが確認されており、十一月十三日にこの七号機は運転を再開したわけでございます。

 それで、地元との連絡でございますけれども、十月二十三日の地震発生時には、安全に運転が継続されたということで、国への報告対象となるトラブルではございませんでした。しかしながら、電気事業者は、地元自治体との安全協定に基づきまして、地元自治体に対して原子力発電所の運転状況などについて通報を行ったと連絡を受けてございます。

 そして、柏崎刈羽原子力発電所七号機が自動停止いたしました十一月四日のときには、原子力安全・保安院及びその柏崎刈羽原子力保安検査官事務所から新潟県知事に対して、原子力発電所の自動停止の状況について御報告させていただいたところでございます。

 なお、御質問のありました十月二十三日のときには、地震が起きた後、携帯電話が非常に連絡がつきにくかった、それから柏崎市が停電になったということで、連絡が多少おくれたという報告を受けております。

 現在、我々といたしましては、こういうことがないように、仮に地震によって原子力発電所が安全に運転を継続した際にも地方自治体に連絡するというふうにマニュアルを変えて、国の検査官事務所からやるというふうに改善をいたしているところでございます。

菊田委員 私が確認をさせていただきたかったのは、この新聞に書いてありますように、市が原発の安全を確認するまでに約四十分、刈羽村には約五十分もかかった。しかも、これは市側が何度も何度も電話を入れていたにもかかわらず、専用線近くに約二十分間だれもいなかったという、極めてお粗末だということを言わざるを得ないと思います。このことをまず確認させてください。

 それと、十一月に、これは原子力発電関係の道県議会議長協議会ということで、原子力発電等に関する要望書が出されております。ことしは関西電力美浜原発の発電所の事故もありまして、原子力政策に対する国民の理解と信頼を回復するために本当に努力をしなければならない、そういうことであったにもかかわらず、私は大変残念で、極めてお粗末な事件であったというふうに考えておりますが、先ほどの私の質問に対して、事実であったかどうか、もう一度確認させてください。

三代政府参考人 お答えいたします。

 電気事業者からの我々の受けました報告によりますと、柏崎市及び刈羽村への最終的な連絡、正式な連絡は地震が発生してから約四十分後であった、原子力発電所が安全に運転している旨の連絡は四十分後であったというふうに連絡を受けております。

 また一方、先ほど先生のおっしゃられた、原子力発電所側で電話に人がいなかったという話がありました。これは、確かにいなかったようでございます。これにつきましては、電気事業者に対して、二十四時間ちゃんとこの電話の前にいるようにということにした次第でございます。

 以上です。

菊田委員 突然の地震発生でございましたので、被災自治体は大変混乱をしました。そして、さっきの答弁にありましたように、一般電話も不通になり、携帯電話も不通になるということです。しかし、地震ということは当然こういうことが想定されるわけですから、当然安全対策マニュアルの中で、こういった事態においてどういう対策を練っていくのか、その訓練はどうするのかということが日夜試されなければならないと思っておりますが、そのことに対する認識が大変に低いのではないかと言わざるを得ません。

 現地では今も余震が続いて、不安が募っております。今後どのように信頼を回復していくのか、そして、自治体との連絡、連携、先ほど申し上げた問題点をどう克服していくのか、大臣の御見解を伺わせてください。

中川国務大臣 十月二十三日の中越地震、土曜日だったと思いますが、私も東京におりました。揺れたので、すぐ、どこで発生をしたのかということを確認いたしましたところ、これはテレビの臨時ニュースでございましたが、新潟地方ということでございましたので、私自身、すぐに柏崎刈羽原子力発電所のことが頭に浮かびましたので、周りにいた者を通じて、とりあえずその状況について、これは未確認といいましょうか、きちっとした手続以前の問題、もう瞬間的なことでございましたので、安全であるということをとりあえず確認をしながら、引き続き、原子炉規制法並びに御地元との連絡を万全を期すようにということで、ずっと注視をしていたところでございます。

 結果といたしましては、御地元との安全協定あるいはまた法律に基づく、保安院あるいはまた保安院の現地事務所を通じて安全であることを確認し、御地元に通知をさせていただきました。

 しかし、今の菊田委員の新聞報道の御指摘に関しては、今事務当局の方から、四十分、また先方からの連絡、非常電話を通じて二十分連絡がとれなかったということについて、協定に基づく連絡という観点から、そのような事実であったという答弁があったわけでございます。

 もう一度、その事実関係を私としてもきっちり確認させていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、御地元としては安全であるということを一刻も早く確認したいというお気持ちは、私も、日ごろ申し上げていることを申すまでもなく、当然のことだろうと思います。その間、二十分間電話に出なかった、あるいはまた一般電話が通じなかったということは、さぞ御地元の皆さんは御心配だったと思いますので、私として、事実関係をよく調べた上で改めて御報告をさせていただきたいというふうに思います。

 こういうことは、結果的に無事であったとしても、やはりあってはならないことだろうというふうに思っております。

菊田委員 大事なことですので、ぜひ経済産業省挙げてお取り組みをいただきたいというふうに思っております。

 それでは、続きまして、公正取引委員会の姿勢についてお伺いしたいと思います。

 新潟市発注の土木建築工事をめぐる談合事件が発生をいたしました。新潟県民としては極めて不幸で残念な出来事でございます。この事件に関してこれから質問させていただきますが、まず、その前に、せっかくの機会ですので、公正取引委員会委員長にお聞きしたいことがございます。

 私は、現在の日本の経済社会は、残念ながら、自由で公正で健全な競争になっていないと思っておりますが、公正取引委員会委員長はどのように考えますか、お聞かせください。

竹島政府特別補佐人 私どもは、基本的には日本は自由主義経済で、競争を前提にした経済取引が行われている国だと認識しておりますが、残念ながら、一部の業界、これは一つや二つではありませんけれども、それから、先ほど来出ております大規模事業者と下請ないしは中小企業者との関係、いわゆる不公正な取引方法等々に見られますように、やはり独占禁止法という競争法がきっちりと日本の経済社会の中に定着しているとは残念ながら言えない、そう思っております。

菊田委員 今ほどの御答弁の中に一部の業界というお話がありましたが、公正取引委員会として、ねらいをつけていると言ったらおかしいですけれども、今の日本の社会の中で、あらゆる業種、業界におきまして、談合、価格協定、寡占、独占、そして不当廉売などのたくさんの問題があるわけですけれども、こうした問題があると思われる業界、あるいは懸念をしている、危惧をしている業種、業界があったら、この際おっしゃっていただけないでしょうか。こういう機会にはっきりおっしゃっていただいた方がその業界は自粛するんじゃないかと私は考えますが、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 これはどの業界であっても、独禁法違反事件というのは個別のことでございます。業界としては大変競争が激しいということで有名であっても、場合によってはあり得るということでございますので、ねらい撃ちとか、どこかに重点業種ということを決めて調査をさせたりしていることはございませんが、結果においておわかりいただけますように、日本の場合は特徴的なのは、やはり公共工事をめぐる入札談合、工事だけじゃなくてソフトウエア等の調達をめぐる入札談合というのが非常に多いわけで、その関係。

 ですから、何も土木建築だけじゃございません。それ以外の、役務等々の物品も含めた調達というのは、これは幅広くいろいろなメーカーがあるわけでございまして、いろいろな業界があるわけでございますので、そういうところが日本の特徴かなと。

 あとは、先ほど申し上げましたように、大規模小売業者と納入業者の関係というのは非常に目立つと申し上げざるを得ません。したがって、そういうところについてはきちんとしたガイドラインなり特殊指定なりというものを制定した上で、厳正に対処していく必要があると思っております。

 それから、新しい分野では、やはり国際的な問題がございまして、国際カルテルについても、やはりより目を光らせていかなきゃなりませんし、最近では、自由化されて一般の新規参入が促されることになっておる電力にしましても、電気通信にしましても、そういう、従来公益事業ということで規制下にあったものがそうじゃなくなっている。かてて加えて、知的財産権だなんという問題も出ておりますので、そういう公益事業、IT分野、知的財産分野というものも、やはり心してといいますか、我々としてはきちんと問題意識を持ってウオッチをしていく必要があると思っております。

菊田委員 例えば石油、航空、鉄鋼、セメント、家電から始まって女性の化粧品に至るまで、本当に公正で自由な競争、自由な市場になっているかということに私は疑問を持っています。

 私の選挙区では、今、鉄やステンレスの価格の高騰によりまして、地場産業や町の金物屋さんは大変厳しい局面に立たされています。死活問題です。鉄などの値上がりは、政府によれば、中国市場の好調が理由だと繰り返し述べられておりますけれども、そうではないのではないか。大手二グループの寡占化により、あうんの呼吸で価格操作が可能になったのではないかと私は考えておりますが、この考えは間違っているのでしょうか、お聞かせください。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 価格引き上げの背景にカルテルというものがありますと、これは当然独禁法の問題になりますから、そういうことがないかどうかを十分注視してまいりたいというふうに考えております。なお、ステンレスでございますと、最近では、鉄鋼企業において冷間圧延ステンレス鋼板の製造販売業者六社が価格カルテルを行っていたとして、本年一月に審決を行ったところでございます。

 今後とも、こうした寡占業種におきまして価格カルテルなどの独禁法違反行為があった場合には、厳正に対応してまいりたいと考えております。

菊田委員 大臣、お忙しいところ恐縮ですが、この私の考え、そして、この状態を放置しておいてよいのかということについてお答えいただけないでしょうか。

中川国務大臣 たしか菊田委員の御地元は、選挙区として間違っていたら訂正いたしますが、燕三条ということで、台風被害もございました。それから、今御指摘があったように、一次産品といいましょうか、原材料が値上がりをした。これは全く、需給の関係で値上がりをしたことは現実としてございます。これは鉄であろうが、石油であろうが、石炭であろうが、銅であろうが、あらゆる一次産品が値上がりをいたしました。

 その原因は、もちろん需要、あるいはまた産地における港湾ストとか港の自然災害とか、いろいろありました。そういう面で需給において値上がり圧力が高まったということは事実でありますし、経済産業省としても、それについては把握をし、注視を今でもしているところでございます。それ以外に、寡占とかあるいはまた不公正な取引があったかどうかにつきましては、これは公正取引委員会の御判断になろうというふうに思っております。

菊田委員 ありがとうございました。

 セメント業界は多くの会社が淘汰されて、系列化をされています。今は、上位三社で市場全体の八五%を占める状態になっています。家電量販店は大手二社が業界の二二%をシェアしている。町の小さな電気屋さんは到底太刀打ちできないという現状でございます。私は、これは公平で公正で、そして健全な競争市場ではないというふうに思っております。

 こうしたことに対して、公正取引委員会は一定程度の情報や告発があって初めて動くのではなくて、市場の動きをぜひ観察していただいて、最終的には消費者の立場を守るということでぜひ御努力をいただきたいと思っております。

 それでは、続きまして、取引先の持ち株買いや社員の持ち株買いについての御質問に移らせていただきます。

 社員に自社の株を買わせたり、取引業者や納入業者に株を買わせている企業がございます。高度成長期のころには、長期的には株価が上がっていたため、社員の福利厚生の一環となったかもしれませんが、現在は違います。貯金したいのに給料天引きで自社株を買わせられたり、あげく株価が下がって泣いている社員もおります。

 納入業者や下請業者は弱い立場にあり、断れないのではないか、これらは優越的地位の乱用ではないか、公正取引委員会のお考えをお聞かせください。

山木政府参考人 一般的に申し上げまして、事業者が取引先の事業者に対しまして、取引上の地位を利用いたしまして、不要な、必要のないような自社株の購入をさせるといった場合には、取引上の優越的な地位の乱用ということで、独占禁止法上問題となり得るわけでございます。私どもとしては、こういう考え方をガイドラインとしても出して周知しているところでございます。

菊田委員 こういう実態があるということを調査していただいていますでしょうか。そして、いろいろ問題があるという現状を把握しておられるでしょうか。

山木政府参考人 持ち株の話だけではなくて、大規模事業者の納入取引につきましては、毎年ということではございませんけれども、数年に一回程度は何千という単位の書面調査をして、問題があるものについては指導をする、場合によっては違反事件として処理をするということをやっておりますので、このような株の話もありましたら、そのような中で処理をさせていただいているということでございます。

菊田委員 半ば強制的にやらされているという会社がございますので、ぜひ今後とも継続してしっかり監視をしていただき、必要であれば調査、取り締まりをしていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、新潟市の官製談合事件について質問させていただきますが、御案内のとおり、一九九二年の埼玉土曜会事件以来の十二年ぶりの排除勧告を大手ゼネコンなど百十三社が受けました。大変不名誉な、残念な事件でございましたが、この百十三社排除勧告を受けたうち、過去十年間に違反事例があった企業は何社あったでしょうか。

楢崎政府参考人 御説明いたします。

 百十三社に対して排除勧告を行ったわけでございますけれども、過去十年間に排除勧告を行った企業は九社でございます。ただし、排除勧告じゃなくて、直ちに課徴金納付命令を課した事件もございますけれども、それを含めますと二十九件。ただ、そちらの課徴金納付命令の事件につきましては、今審判中でございます。

菊田委員 大変問題であると思います。累犯する企業への対策は今回の改正でとられているのか、公正取引委員会、そして民主党の両提出者にお聞きをします。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 現行におきまして、違反行為を繰り返す事業者が後を絶たない状況が見られるということでございまして、今回、過去十年以内に違反行為を行った事業者に対しましては、過去の事例における不当利得の状況等も踏まえまして、通常の五割増しの算定率、通常が大企業でございますと一〇%でございますから、その五割増し、一五%の課徴金を課すことを法案に盛り込んでおり、これによって違反行為が繰り返されることを十分に抑止できるものと考えておるところでございます。

近藤(洋)議員 菊田委員にお答えいたします。

 民主党案では、過去十年間に一度繰り返した者に対しては政府案と同様に五割増し。ただし、二回繰り返した、十年間に三回行った者に対しては十割増しの行政制裁金ということでございます。そういう意味では、政府よりも大変厳しい措置をとらせていただいたのが民主党案。

 なお、官製談合に関しまして、官側のそそのかしを告発した者といいますか、情報を提供した者に対しては、最大二〇%の行政制裁金を減免するということでございます。

 官製談合というのは、委員御指摘のとおり、天の声、行政側が関与するケースでございまして、新潟の件もそうしたケースでございましたけれども、民だけを取り締まってもなかなか根絶できないという観点から、こうした措置を、政府案にない措置を盛り込んだというところでございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 続きまして、今回の排除勧告を受けて、新潟市は、勧告を受けた企業と類似行為が認められた企業百二十四社を三カ月間の入札指名停止にしました。指名停止三カ月といっても、その前に発注が既に終わっていて、三カ月後にはまた何もなかったかのように再開をする。大きなダメージにはならない。しかも、処分を受けた業者は町の建設業協会の支部長をやめない。やめずにまた協会の支部長の座に座り続け、公共事業の取りまとめ役みたいなことをやっている。これは、普通の感覚からして、どう考えてもおかしいのではないかと私は思っておりますが、公取としては違反行為の抑止という観点からこうしたことを監視しているかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

伊東政府参考人 入札談合を行った事業者に対しましては、御指摘のように、発注者におきまして指名停止措置が講じられているということでございますけれども、指名停止措置を受けた事業者が業界団体の役職を続けるかどうかにつきましては、当該事業者なり事業者団体の判断の問題ということになろうかと思いまして、公正取引委員会としてはコメントする立場にはございません。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

菊田委員 それではお聞きしますが、こうしたことはいいことだと思いますか、悪いことだと思いますか。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 業界団体の役職にあるような事業者につきましては、独占禁止法に違反するような行為を行うことのないよう、率先して社内の法令遵守体制を整備していくことが重要というふうに考えております。

菊田委員 お答えになっておりません。

 こうした事件が後を絶たないというのは、業界全体の体質をやはり根本から変えていく。それには、事件が発生したときにこうしたことに対応するだけでなく、やはり事前の抑止という観点をもう少し強化をしていいのではないかというふうに私は考えておりますが、委員長はいかがお考えでしょうか。

竹島政府特別補佐人 事前の抑止力というお話がありましたけれども、私どもはそのためにやはり独禁法の強化改正が必要だと。要するに、抑止力というのは、違反を起こしちゃまずいというふうに自制していただくということでございます。やったら厳しい制裁を食らうんだということがなければ抑止力にならないわけで、それが今回の改正の大きな眼目なわけでございます。

 あと、業界の立場をどうするかというのは、これはまさに、これだけ社会が社会的責任だ、コンプライアンスだと言っておられるわけなので、それは当然、その立場にある人間は法律云々以前の問題として考えるべきだと私は思います。

菊田委員 私の持ち時間が終了しましたので、またの機会にぜひ続けて質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木(陽)委員長代理 続いて、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司です。

 今の同僚議員の話も聞いていましても、やはりこの政府案と民主党案を比べてみて、明らかに政府案というのは、カルテルとか談合とか、そういう特定の業界団体があるような商品取引ですとか、そういうことに甘いような気がいたします。民主党案の方では、談合対策ですとかそういうのはばっちりなんですけれども、どうも現行の独禁法というのでは、そういう特定の業界やらカルテル、談合行為をやっているところにちょっと甘いんじゃないかな、そういう印象を持ちまして、その関連で、ちょっと今まで私が疑問に思ったことで、音楽CDの再販売制度について伺いたいと思います。

 官房長官はお急ぎだということで、ちょっと私は早口でどんどんやらせていただきますけれども、音楽CDだけじゃなくて、著作物の再販制度が認められている。その中で、著作物といっても、これは著作権法上の著作物ではなくて、著作権法上の著作物だと例えばDVDとかゲームだとかいろいろなものが全部入ってきますので、そういうものではなくて、書籍と、あとCDと、新聞、雑誌、こういう限定したもので再販が維持されているということなんですけれども、そもそもこれは何でそういう限定した書籍、あとCD、そういったものが独禁法上の例外で再販が維持されているんですか。これの詳細の根拠、条文が何なのか、教えてください。要するに著作物だということはわかっています、その著作物の中身が何かということの根拠はどういう条文でなっているのか。これは事務方でお願いします。

山木政府参考人 著作物の再販につきましては、独占禁止法の二十三条の四項に、著作物を発行する事業者またはその発行する物を販売する事業者は、その物の再販売価格維持行為ができるという規定がございまして、これが根拠条文のすべてでございます。

 その著作物にどういうものが該当するかということについては解釈ということになっておりまして、私どもは、これまでの著作物再販が認められた経緯等を踏まえまして、音楽用CDとか新聞、書籍、雑誌等六品目に限定してこれを認めているという状況にございます。

高山委員 そうしますと、これは条文上じゃなくて解釈でどういう品目かというのを決めているということですよね。そうすると、今、時代がどんどん流れてきまして、いわゆる著作物でも、我々一般消費者が受け取るときには、例えば今だったらパソコンでダウンロードしたものを聞くだとか、いろいろな配信方法ができてきているわけですけれども、その中で何でこれまたCDだけずっと保護し続けるのかというのは甚だ疑問なんです。

 それで、私がもう一つ指摘したいのは、特にCDはそうなんですけれども、価格維持が二つあるんじゃないか。縦の価格維持と横の価格維持と二つあるんじゃないか。それは、縦の価格維持というのは、メーカーが出してきて小売店でこのCDアルバム二千八百円ですよと言ったら二千八百円で全国一律で売らなければいけないというのと、もう一つは、まあ最近はDVDがおまけでついているだとかTシャツがついているとかいうことで少しずつ価格がばらけてきましたけれども、これはつい五、六年前までは、アルバムだったら大体三千円、大体というか、もう一律三千円ですよね。それでシングルCDは千円。これは、何か横でレコード業界がカルテルか何かをやって価格を決めているんですかね。なぜかといえば、同じ再販制度が認められている本で、例えばハードカバーの本が一律千五百円、それで文庫が一律四百円とかいう、そういう国ではないですよね、日本の場合は。

 どうしてこの音楽CDだけ、それも国内でプレスされたCDだけこういうふうに価格が全部一定になっているのか。これはそういうカルテルか何かが行われているんでしょうかということを、後で官房長官にも聞きますので、まず事務方の方。

山木政府参考人 再販売価格維持行為が認められておりますのは、縦の系列だけの行為でございます。メーカーが小売店の小売価格を指示してそれを守らせることができるということだけが、本来は独占禁止法上違反でございますけれども、特別に著作物についてはそれが独占禁止法上の問題にならない、適用除外をしているという制度でございます。したがいまして、私どもは、原則に対する例外的な制度ということで、著作物の範囲については限定的に解釈をしております。

 それから、今御質問ありました価格の横並びでございますけれども、メーカーが共同で再販行為をやるということはまさにカルテルでございますので、それはもちろん適用除外にもなりませんで、過去にレコード業界についてメーカーをカルテルとして問題にした事例はございます。

 そういうことでございますけれども、最近は新譜でありましても三千円とか二千五百円とか千円台のものもございますけれども、もう少し幅広い価格設定がなされてきていると思いますが、これは私ども、やはり再販制度のもとでも弾力的な運用というものができるのではないかということで、業界に対して要請を申し上げた一つのあらわれだと思っております。

 それから、もちろん、横並びを話し合って決めるということになりますと、当然それはカルテルでございますので問題になるわけでございますけれども、私ども、今直ちに横で話し合って決めているという実態は承知していないところでございます。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

高山委員 CD、これは本当に、五、六年前まで大体アルバムの値段はとにかく三千円で、シングルCDは千円で、これは何かいかにもカルテルでもやっているんじゃないのかなというふうに私は思っておりました。

 それと、もっといろいろ調べてみると、映画なんかもそうなんですよね。映画も大体ロードショーでやるのは一律千八百円ですよね。あれも映画の内容によって、この映画はもう大ヒット間違いないから五千円だ、それに比べてこれはいろいろみんなに見てもらいたいから五百円だとかなっているのはまだいいんですけれども、大体価格が安定していますよね。

 ですから、私は思うんですけれども、何かエンターテインメントの業界は、クリエーター、著作者本人を保護するというよりは、どうもこの中の興行権を持っている人だとかあるいはレコード会社、こういう人たちだけがすごくもうかるような構造になっちゃっているんじゃないのかなという危惧を持っております。

 ちょっと官房長官に見解を伺いたいんですけれども、今、国で全体でコンテンツ産業を隆盛させようだとかあるいは著作権を保護しよう、こういうことを言っておりますけれども、その目的は非常にいいと思いますし、私ももう大賛成なんですけれども、これは目的がいいからといって手段が正当化されることはないので、コンテンツ産業を隆盛させる、著作権を保護する、あるいはそういう多様な文化だからいろいろな品ぞろえがというのが、これは何で再販制度という手段をとらなきゃいけないんですか。別に著作権の強化とかいろいろな方法があると思うんですけれども、ほかの商品と比べてとにかくこの再販制度というのは独禁法上も極めて例外的な措置なので、その辺、ちょっと官房長官がどうお考えになるか、また、むしろこの再販制度というのは縮小する方が望ましいというふうにお考えかどうかを伺いたいと思います。

細田国務大臣 平成十三年に非常に多くの品目についてたしか再販価格制度を削減したときに、一番大きく問題となったのがこの音楽用CDなんですね。やはり関係者も非常に強い反対がある。そしてなおかつ、自分たちが二千八百円とかそういう値段で売っているCDが、同じ演奏家のものが海外でコピーされて入ってくると八百五十円で売られる、これでもう大変に困って、そちらの方の問題がまずあった。それから、何とか再販の最後のとりでとして残してほしいという要望があったことは、事実でございます。新聞とか書籍の方は、表現の自由とか出版の自由とか、その他の問題があったようでございます、議論としては。

 しかし、今や、先ほどもおっしゃいましたように、もうインターネットで曲は何曲でもダウンロードできるとか、もうさまざまな価格体系が破壊されておりますので、それがまたこの数年のうちに起こっておりますから、一体その実態に合わせた考え方をどうすべきかということは、考え直す時期に来ているのかなと思います。ただ、もちろん今の時点の中で独禁法違反行為があれば厳正に対処すべきであると思っております。総合的に時代の変化に応じて考えるべき状況にはあるなという感じがしております。

高山委員 官房長官、ありがとうございました。これで結構でございます。

 今、官房長官からも非常に前向きな答弁、時代が変化してきたのでちょっと一回考え直す必要もあるんじゃないかというようなお話もいただきましたけれども、今度はちょっとその先の話でして、レコードというか、今、CDがどんどん売れなくなってきている。それに比べて、例えば電気屋さんに行くと、MDプレーヤーとかCDプレーヤーなんかよりも、MP3プレーヤーという直接音楽配信を受けられるような機械がもう随分、九割方売れるようになってきていますよね。

 その音楽配信に関しまして、これはもう新し過ぎる話なので、これが違法じゃないかとかというのではなくて、こういう場合どういうふうに公正取引委員会は考えますかというのをまず教えていただきたいんですけれども、これはいろいろな類型があると思うんです。

 まず、レコードメーカー、その版権を持っているメーカーが、自分が例えばソニーのミュージックエンタテインメントというホームページで音楽配信をする場合、そのときに一曲一律百五十円ですよと価格を決めて売る場合と、もう一つ、例えばA社、B社、いろいろなレコード会社が、例えばヤフーみたいなポータルサイトがありますよね、あそこが音楽配信を始めたといったときに、例えばそのヤフーさんにうちが卸すときは全部一律百五十円でお願いしますよ、東芝EMIもソニーもみんな百五十円で一曲はお願いしますよ、こういうふうに言った場合と、これはそれぞれ不公正な取引になるかどうか、ちょっと公正取引委員会の見解をお願いします。

山木政府参考人 音楽配信におきまして、メーカー自身が、つまり、例えばソニー・ミュージックが自社のウエブサイトで音楽を配信するときに、例えば一曲百円、一曲二百円とすることにつきましては、当然それは、自社の販売価格を自分で決めるというのは当然のことでございますので、独占禁止法上の問題は通常は生じないということでございます。

 一方、だれかの事業者、配信業者を通じて自分の持っている楽曲を配信するといった場合には、その配信業者の価格を例えば一曲百円にするとか二百円にする、そういう制限につきましては、いわば再販的な行為でございますので、それは独占禁止法上、二十三条四項の再販売価格維持の適用除外制度にはならないわけでございます。つまり、二十三条四項は、形状のあるもの、物理的な形のあるもの、音楽でありますと、CDという形で物として流通する場合には適用除外しているわけでございますけれども、情報としての流通については二十三条四項に言う「物」に当たらないということでございますので、独占禁止法上の取り扱いは原則に戻りまして拘束条件つき取引の問題になり、通常、価格については問題が大きいということで、違法となる可能性が高いというふうに考えております。

 それから、メーカーが共同で何かをやるという行為については、縦の行為だけではなくて横の行為、つまり、カルテルといいますか共同行為の問題もございますので、その観点からも考えなければいけないということで、いずれにいたしましても、実態を見て法律の適用があるかないかを判断するということでございます。

高山委員 今、最後にちょろっとおっしゃった共同でやる行為というので、ではそうしたら、例えば、複数のレコードメーカーが共同出資してポータルのサイトを立ち上げて、そこで売っているアルバムは一律二千円、一曲百五十円、こういうふうに決めて出した場合、別の会社なんだけれども共同出資会社で、ただ、共同出資会社ですから、すべての株主はみんなレコード会社なわけですよ、三社、四社と。こういう場合はどうなんですか。

山木政府参考人 御指摘の、共同出資をいたしまして音楽配信会社を立ち上げてそこから配信するという場合にも、共同出資する会社のマーケットにおける地位ですね。例えば、マイナーなレコード会社が十社集まってやる共同行為とメジャーな会社が十社集まってやる共同行為については、マーケットにおける影響が相当違いますので、その辺のマーケットの状況。それから、共同音楽配信会社を介して配信する場合に、それでは配信元のレコードメーカーがダイレクトに配信することが制限されているかどうかとか、そういう要素とかどういう共同出資会社の運営形態になっているかということを見ないと判断はつきかねますけれども、やはり有力なメーカーが共同で配信会社を立ち上げて、そこでその共同出資の会社でなければ配信しないとか価格を一定のものに決めるということについては問題が大きいのではないか。一般的にはそういうふうに考えております。

高山委員 これは、仮定といいますか、まだ始まったばかりの話で、本当に、例えば、きょうとかからauは音楽「着うた」配信を始めるとかそういうレベルですから、まだ見解が固まらないといいますか、そういうことはあると思いますけれども、とにかく今、これからは著作権を大事にしなければいけないし、だけれども、こういうエンターテインメントとしてみんなが楽しめるようにしなければいけないということもありますので、伺いました。

 なぜ今音楽配信を聞いたかといいますと、今はまだ音楽配信ぐらいですけれども、どんどんブロードバンド時代になってくると、今度は映画とかゲームだとか大容量のものもすべてこういうスキームで配信になる可能性が非常に高いわけですよね。そうなってくると、もう一個、ちょっと先ほど話したんですけれども、映画なんですけれども、映画はまず縦の意味での価格の維持というんですか、配給会社が卸した価格のとおりちゃんと、入場料は千八百円なら千八百円で一律に取ってくださいとかそういうふうに拘束することは違法なんですか、それとも合法なんですか。

山木政府参考人 結論から申し上げまして、映画料金をメーカーであります映画会社が拘束することは、違法でございます。現に、私ども、違反として処理いたしました事例といたしまして、二十世紀フォックスというアメリカ系の会社がございますけれども、その会社が、日本の映画館を経営している業者に対しまして、入場料を例えば原則千八百円にするという契約を結んでいたことにつきましては、拘束条件つきの取引ということで、映画館を経営いたします事業者の制約をしているということで、違反として処理をしたところでございます。

 もちろん、入場料の横の話し合いをしていれば三条のカルテルということになりますけれども、二十世紀の場合は縦の拘束ということで、不公正な取引方法として処理をさせていただきました。

高山委員 今、縦の方は、もしそういう拘束があれば違反であるということだったんですけれども、フォックスがやられた事案のものをいろいろ読んでいきますと、結構、例えば、従来、都市部では千八百円で入場料が一律だったんだけれどもそれを幾らに引き上げとか書いてあるんですけれども、そもそも映画館の、ロードショーでやるものですね、あの価格って大体千八百円で今一律じゃないんですか。どうしてそういうことがまた起きちゃっているんですか。もうみんな一定じゃないですか。極めて例外的なインディーズとかは一本千円とかってあるかもしれませんけれども、もうほとんど、九九%、今大体千八百円ですよね。女性割引デーとかの曜日も決まっているし、あれはカルテルにはならないんですか。

山木政府参考人 現実問題として、基本的な映画料金が、封切りの映画につきまして千八百円程度になっているというのは事実でございますけれども、映画館の興行会社が横でそういう料金にしようとしているかどうかについては、私ども、証拠がございませんので、結果としてなっているということしか今申し上げられないわけでございますけれども、そういう現象にあることは事実でございます。

 ただ、業界の慣行というものもございましょうし、結果として価格が一致しているということ自体は、やはり私どもとしては問題にしがたいところでございます。

高山委員 いや、結果として一致しているというんじゃないんじゃないんですか、これ。いろいろ歴史を調べてみると、例えば戦時中、これは後でちょっと委員長にも伺いますけれども、戦時中はそもそも配給制で、だからみんな同じ値段でやっていて、それが戦後になって何回か勧告なんかあったりしてちょっと崩れたりしているけれども、でも、やはりずっと、特に映画の価格なんて一定じゃないですか。それで、例えばCDもそうですけれども、これは昔からの慣行でずっと定価販売していたから何となく認めちゃっているということですけれども、逆に、エンターテインメント産業がきちんと競争してやっていくということを何か阻害している気がするんです。

 確かに、私なんかも、映画って千八百円なんだなというふうに思い込んでいる部分もありましたけれども、やはりこれから、さっきの音楽配信じゃないですけれども、映画を見る方法も、これからもうどんどん変わっていくわけですよ。ペイ・パー・ビュー・テレビで配信になるのか、あるいはロードショーなのか、あるいはインターネットで先駆けてロードショーをやるようになるのか。こうした場合に、やはりこれはカルテルがどこかで結ばれているか、あるいは商慣行といっても、はるか昔に、何年も前ですけれども、話し合いがあったというふうに考えるべきなんじゃないかと思います。

 それで、委員長に伺いたいんですけれども、例えば、やはり著作物というか、そういうものに文化的だとかそういうことがつくがために再販制度を今認めているわけですけれども、再販制度、独禁法の例外ということであるがために、何か定価販売の慣行みたいな業界がそのままになっちゃっている部分があると思うんですけれども、委員長はこの再販制度について、できれば撤廃したいのかどうなのか、意見を聞かせてください。

竹島政府特別補佐人 公正取引委員会は、前々から、再販制度に対しては原則に戻すべきである、すなわち、適用除外制度は廃止すべきであるという見解をとってきておりまして、私もそれが筋であるというふうに思っておりますが、これはそういうことを言っているのは公正取引委員会だけぐらいなものでございまして、世の中は、文化であるとかユニバーサルサービスでありますとか等々のことをおっしゃって、再販制度は維持すべきであるというのが日本の国内の世論なわけでございまして、やむを得ず、十三年のときには、公正取引委員会としては、じゃ、当面残さざるを得ないという判断をしているわけでございます。私どもは、そういうことでございますが、基本的スタンスははっきりしております。

 それから、それをいいことにほかのことまでカルテルまがいのことをしているとすれば、まことにゆゆしきことだと思います。もしそういうことであれば、ぜひ具体的な情報をいただきたい。私どもは、当然それは厳正に処理しますし、新規参入者が出てきて仮に安い値段で映画をやってけしからぬというようなことになった場合には、当然そこでぼろが出るはずでございますし、出なくて、逆にきちんと千八百円なら千八百円で統一するとすれば、この改正でお願いしているリーニエンシーができたら、実はやっていましたという人が出てくるかもしれない。いずれにしても、そういう証拠に基づいて我々は厳正に処理するつもりでございます。

高山委員 ありがとうございます。委員長と今握手をしたいぐらい、おう、本当にいいことを言ってくれたなという感じではございました。

 ただ、私も、これからとにかく日本はコンテンツ産業、そして、著作権はどんどん保護していかなきゃいけないんだけれども、その目的のために再販制度という手段を使う必要があるのかなと。これは著作権そのものの保護だったり、あるいは逆に、高どまりしているCDの値段がありますけれども、レンタルなんてしてみんなコピーしているわけですから、コピー癖をつけないためにも、みんなが買いやすい価格になるように、再販制度というのは一回ちょっと考える必要があるなというふうに思っております。

 それでは、ちょっとまた話が変わりまして、今回の独占禁止法の方に入るんですけれども、先ほど同僚議員の方から不当廉売についての質問、また不公正な取引についての質問が相次ぎましたが、先ほどからの公正取引委員会の委員長の答弁とかを聞いていますと、刑罰というか、課徴金を課すんだと構成要件の明確化をしなければいけないのでとか、あとは二年間かけて検討というような話でしたけれども、繰り返し繰り返しやっている人に対して行政制裁金なり課徴金なりを課すことというのは、構成要件の明確化というか、そんな争いがないぐらいもう明確に悪い人に課そうという話ですから、そんなに問題があるのかなと。

 例えば、今まで、不当廉売に対しましても、警告のレベルでいえば、もう何件も出されているわけですよね。だけれども、排除勧告というのはここ二十年ぐらい出ていない。だから、やはり警告が随分重なっているところに対しては、少し厳しい措置をしてもいいんじゃないかというのが一つですし、あと、二年間かけて検討といいますけれども、ディスカウントの大手量販店とか、例えば、三、四年前なんか全然なかったようなところへどんどん出てきているわけですよね。これは二年間もたっちゃったら、もう業界地図、また一変しちゃっていて、こんな不当廉売なんということを言うまでもなく、全部大手の店だけになっちゃうみたいなことになるかもしれないわけですよね。

 ですから、これはやはり今の時点で何か対策は打たなきゃいけないんじゃないかな。そういうのも、公正取引委員会ということではないと思うんですけれども、現行の法案ではちょっとそういう特定の業界か何かであったりするところに甘いんじゃなかろうかと思いますので、これは、対案である民主党案の方も伺いたいんですけれども、民主党の方は、今回の中では不当廉売はないですけれども、行政制裁金という新しく随分フレキシブルに罰則を科せる制度が入っていますから、この不当廉売の制度についても、民主党はどのように対処を考えているのか、それをちょっと伺います。

竹島政府特別補佐人 不当廉売の話については二つばかりありまして、罰金とか課徴金の対象にすることの問題点を先ほど来るる御説明しております。その大きな理由として、構成要件の明確化というもののハードルが高いのでございますということを申し上げた、二年間かけてやりますからと。

 じゃ、何もやっていないのか、そうじゃございませんで、今回の法律改正でも、公正取引委員会が、不当廉売や優越的地位の乱用、いわゆる不公正な取引方法を働いた事業者に対してやめなさいと言って、わかりましたとなったにもかかわらず、またやったという場合には、今でも三百万円の罰金ということになっているわけですが、これじゃ甘いというので、三億円の罰金に上げさせていただいています。したがって、二回目に同じことを繰り返した場合にはびしっといくということを今回きちっと改正で盛り込ませていただいておりますから、これを適正に適用させていただくということでございまして、何もしていないわけじゃございません。それから、運用上も積極的に取り上げておりますということでございます。

近藤(洋)議員 高山委員にお答えいたします。

 先ほど来議論になっております不当廉売の話ですが、ガソリンスタンドの話、電器、家電の話、大変実態はひどい問題が起きているということでございます。

 私ども民主党としては、現在の政府、先ほど委員長の方から、繰り返しした場合は罰則を上げるというふうな御答弁がございましたが、しかし、現実として、過去二十年間、肝心かなめの排除勧告が行われていないんですね。その体質に極めて問題がありだと思っております。これまでの審議でも明らかになっておりますが、公正取引委員会の体質自体に、体制に、審査能力が非常に欠如しているのではないか、審査の人員も不足しているのではないかということを指摘されました。

 私ども民主党といたしましては、むしろ今の審査の部門をもっときっちり整備すべきであると考えておりますし、経済は生き物でありますし、市場も日々変わるわけで、そうした動きに全く今の体制は対応されていないという認識でございます。

 その前提に立った上で、不公正な取引方法についての抑止力ということでの行政制裁金の対象とすること、また、その取引自体に刑事罰を科すことについては構成要件の明確化という政府と同じ認識に立ちますが、その中間段階として、排除型の私的独占について行政制裁金の対象にできないかということは、内部で相当検討したところでございます。

 成立を急ぎたいという政府の意向に合わせるために、私ども対案を急ぎ提出したわけでございますが、この点については、まだ法案にはなっておりません。大至急詰めていきたいと考えているところでございます。

高山委員 ありがとうございました。

 公正取引委員会の方は、再販制度、CDの方に関しては結構やる気を出していただいていますが、とにかく業界のしがらみの多い今の政権ではできないということで、早くそれは新しい政権になってやっていければというふうに思っております。

 終わります。

河上委員長 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。

 先ほどは、官房長官のお時間の都合上、官房長官メーンに質問をさせていただきましたけれども、残された時間につきましては、今回の法案自身のことについて、まずは課徴金制度の見直し等についてから質問をしたいところですけれども、それ以前に、ここ一、二カ月の気になるニュースのことについて、公取としてどう考えているのかということをちょっとお聞きしたいなと思うのは、まずは、西武電鉄の株をコクドが出入り業者に押しつけた、無理やり買わせた。初めの方は、問題が起こった段階では、いや、これはなかなか西武さんに物を入れている立場としては、この契約をチャラにして戻すということは言いづらいよという報道もありましたけれども、これなんというのは、まさに優越的地位の乱用ということになるのではないかなと思うんですけれども、その辺はどうお考えになられているのかということ。

 二点目は、先ほど官房長官の御答弁の中で、公正取引委員会の所轄を総務省から内閣府に移した、その過程においては、電波通信の問題もこれありだという御答弁がございました。そうしますと、今回、マスコミ各社、とりわけ新聞社の放送局の株式保有のことについて、総務省のガイドラインというんですか、総務省の決めたのを超えている、集中排除になるんだというふうなことを言っていますけれども、この辺は、西武の問題、コクドの問題それから放送局の問題というのはどういうふうに公取としては認識をし、対応をしているんでしょうか。

山木政府参考人 一点目の株の購入要請の問題でございますけれども、私ども、報道等によってしか承知いたしておりませんので詳細は、そういう前提でございますけれども、一般的に申し上げまして、西武グループが西武鉄道株の購入要請を行ったのは大手の企業でございますので、西武がその大手企業に対して優越的な地位にあるということは一概には言えないのではないか。一般的に見ると、やはりそこは対等と申しますか、優越的な地位の乱用という形の行為にはなかなか当たりにくいのではないかというふうな感想を持っております。

伊東政府参考人 テレビ局等の株式保有の問題でございますけれども、独占禁止法では、株式所有によりまして企業結合関係が生じる、それによって競争に影響があるかどうかというような問題から、一定の要件に該当する場合でございますけれども、株式所有報告書の提出を義務づけております。そういう観点から、マスコミ関係の株式保有の実態についても把握に努めておるところでございます。

吉田(治)委員 私、この辺は不勉強なのでわからないんですけれども、例えばきょうの公報なんかを読むと、自民党さんはこの辺熱心に勉強されていますよね。

 そうしますと、放送局の全国ネットワークというもの、これは何か、私たちは生まれ育ったときからあるから当たり前のように思うんですけれども、欧米に行くと余りそういうのはないですよね、新聞社が持ってとかいうふうなところは。

 だから、私は全然勉強していないのでわからないんですけれども、その辺というのは、独占禁止法だとか公取だから、情報といったものの独占という部分で、それは会社が四つ、五つあるから競争はしているとはいいますけれども、その辺はどういうふうにとらえているんですか。それは総務省が所轄するということで、独禁法のどこかにそういう適用除外みたいなのが入っているんですか。

伊東政府参考人 放送関係につきましては総務省が集中規制といいますか、マスコミの集中規制の観点から一定の制限を設けておるというふうに承知しております。

 独禁法の観点からは、あくまで通常の企業と同じ基準で規制しておるということでございまして、具体的には、そういう株式所有によりまして競争の制限が生じるかどうかという観点から規制をしておるということでございます。

吉田(治)委員 いや、本当に何か免許による規制によってこのごろ、我が党でも問題になっているんですけれども、やはりマスコミの報道の中でいろいろ出てきているというのも確かですので、これはこの委員会でやるべきことではございませんし、もう少し勉強もしなければならないなと思っておりますので、課徴金の制度の見直しからちょっと御質問させていただきたいと思うんです。

 公正取引委員会は、昭和五十二年の課徴金制度導入以来、一貫して、国会答弁は、課徴金はカルテルによる不当利得を機械的に没収する行政上の措置にすぎない、制裁ではないことから、同一事案に関して課徴金と刑事罰を併科してもいわゆる憲法三十九条が禁止する二重処罰には当たらないということを説明されてきましたけれども、一方、今回の改正案では、これは参考人の方々も申されていましたけれども、課徴金の引き上げに伴い、その法的性格が行政上の制裁であるということを認めているということは、これはもうこれまでの国会答弁は変更されたと考えていいのですか、委員長。

竹島政府特別補佐人 説明の仕方といいますか、物の考え方に変更を加えていることは事実でございます。

 ただ、最初に申し上げておかなきゃならぬのですけれども、そもそも課徴金は何かというと、禁止されていることを守っていただくために、行政上の措置の実効をあらしめるためにもともと置かれていまして、具体的には、課徴金の場合はその事業者に対して金銭上の不利益を課すということでございます。

 そういう意味の課徴金としては今までもこれからも全く同じでございますが、今委員お話しになった、従来、入れたときには、不当利得の剥奪にとどまるんだ、だから二重処罰の問題にならないんだという説明をしたではないかということでございます。それに対して、今回は、いわゆる不当利得相当額以上の制裁金の水準にさせていただきたい、それによって課徴金の抑止力を高めたいと申し上げておりまして、そこで、行政上の制裁としての機能は従来の考え方よりも一歩強めましたということははっきり申し上げておるわけでございまして、この辺がニュアンスが違うわけです。

 では、しからば、憲法で禁止されている二重処罰に当たるのかという議論については、この間の参考人の御議論にもありましたように、刑事訴追を二回受けないんだというのが憲法の要請するものであるという、ああいうお考えもきちんとあります。

 いろいろありますが、前にも御答弁申し上げましたように、現在の課徴金、少なくともこの一〇%というぐらいの水準の課徴金では、憲法が禁止している二重処罰の問題にはそもそも当たらないという見解を私どももとっております。これは何もひとり公正取引委員会の見解ではなく、いろいろな法律学者その他の意見も聞いた上で、そうであるということでございます。

 それに対して、昔、五十二年当時は非常にその点について、言葉が適切かどうかわかりませんが、極めて神経質といいますか、慎重にそのことが議論されていたという、最初でございますからいたし方ないと思いますけれども、どうも、そういう議論があったので、不当利得の剥奪にとどまっているのだからおよそ二重処罰の問題というのはありませんというような趣旨で、文脈の中で答弁がなされたということだと理解しております。

吉田(治)委員 法律の専門家、専門家と言いますけれども、法律を決めるのは国会ですよ。よくそれを間違われる方が多いんですよ。専門家だからと言うけれども、最終的にはこの国会が、国会議員、国民によって選ばれた人間が法律を決めるのであって、法律の学者が決めるわけではないということ、これはぜひともよく覚えておいていただきたいと同時に、やはり今の質問でも、ごまかしているとしか、わからないんですね、ニュアンスがどうだとか。

 要するに、もともと不当利得だと言ったものが、それがそうじゃない、抑止力をつけるために上げていったんだ、これはパーセンテージが一〇%だったから二重処罰には当たらないんだ、そしてそれが行政上の制裁であるという言い方もできるということになってくるということは、そうすると、その本質はどこにあるのかというと、委員長はたしか国税庁の長官をやられていましたよね。国税庁で何か起こったら、追徴課税とかいうのがあるらしいですね。多分、追徴課税と同じようにとらえているんじゃないかなと。

 ただ、追徴課税というのは、私も不勉強ですけれども、税理士さんに聞きますと、いや、これはもう事細かく細目が決まっているんだ、だから、これでこうなったらこうなるというのはもう私ら税理士でもわかっているんだと。ただ、残念なことに、この課徴金というものはそこのところはわからず、とにかく一〇%と。

 ここで一つ聞きたいのは、もともとの案は一二%だと言われていましたよね、通常国会の段階で。それがなぜ一〇%にまけたんですか。

竹島政府特別補佐人 脱税をしました場合に、重加算税、本来の税額の四割増しということに法律で決まっているわけですが、それとの比較で申し上げますと、いずれにしても、不当利得の場合、不当利得をただお返しすれば、言ってみると不当な部分だけがなくなって、本来のものはちゃんと維持されているわけでございますので、脱税の場合は脱税した分だけということになりますが、それ以上の、四割増しの重加算税が課されているということの意味合いでは、同じようにやはり制裁といいますか、行政上の制裁、そういう問題意識でもって四割増しというものがなされている。これについては、憲法でも二重処罰の禁止規定には当たらないという最高裁の判決もある。

 そういう、性格的には、今度課徴金を不当利得の剥奪以上にしたことによって行政上の制裁が強まっているという意味の性格は同じでございますが、形として、脱税の場合は脱税額というのがはっきりしている、その四割増しということ、こちらの課徴金というのは、要するに抑止効果、この違反行為をやってもらっては困りますということをやめてもらうための抑止効果として、どのぐらいの水準であればそれが抑止効果として役に立つかということで考えるということでございますので、ちょっとその決め方については、定量的な面では脱税の場合とは違うということだと思っております。

吉田(治)委員 ちょっと私の質問に最後答えていない部分はあるんですけれども、初め公取は課徴金の二倍程度の引き上げを提案しましたよね。そうしますと、その課徴金は、社会の経済的厚生の損失補償を根拠に不当利得をはるかに超えた額の課徴金を課すことを提案したが、算定根拠として極めて不明確な基準であるとの批判が強く出された。これを引っ込めて、次に課徴金を、不当利得相当額以上の金銭、今、抑止効果ということを言われましたけれども、徴収する仕組みに変更した。

 その際、竹島委員長は会見でこう言われていますね。これは講学上の概念としての行政制裁金の考え方と軌を一にするとしながら、独禁法上、制裁金とか制裁といった言葉を使うつもりはないと。しかし、今、制裁という言葉を使われましたよね。さらに、その後公取は、行政上の制裁に変更している。先ほどの官房長官の議論のところで申し上げましたけれども、まさにその場しのぎ的な言い方、その場しのぎ的な法改正。

 残念なことに、これが現在の公正取引委員会の体質そのものを象徴しているというふうなことを言う方までおいでになるんですけれども、この辺はどうなんですか。

竹島政府特別補佐人 行政上の制裁でありますということを今回の改正の中ではっきりさせていただいたわけですが、それは御指摘のとおりでございます。

 これは、要するに、単なる不当利得の剥奪だけではない、それを超えるものだということでございまして、金銭上の不利益を与える水準として、どの程度のものでなければならないかと考えたときに、不当利得の剥奪だけでは不十分であるという認識をいたしました。したがって、それを超える、したがって、それは行政上の制裁としての機能がより強くなるということを率直に申し上げているわけでございまして、中途半端という御批判を今いただきましたけれども、そうは思っておりません。

 それは、行政上の制裁と申しましても、民主党さんの案にある行政制裁金というものが刑罰にかわり得る制裁金であるとすれば、それと、私どもが提案している行政上の制裁と説明している課徴金、これとは質的に異なるということを申し上げざるを得ないわけです。

 我々は金銭上の不利益は課しますけれども、これは刑罰とは違うものである、あくまでも行政処分であって、その実効性を保つための金銭上の不利益を課すものであるということで、違うわけでございまして、裁量をもって、それが悪意であったかどうかとか責任がどうであったとか、そういうことを全部見て刑事罰のように科す行政制裁金というふうには我々はこれを変えていないわけでございます。そういう意味で、決して、中途半端とかわかりにくいとかいう御批判もいただいていますけれども、私どもとしてはきちんと御説明を申し上げているつもりでございます。

 一二%程度と申し上げたのが何で一〇%になったのかというのは、各方面との調整の結果でございます。そのように数学的に、何足す何とか、何を持ってくれば課徴金の適正水準が出るというものではなくて、これはあくまでも政策判断として、どの水準が妥当か、今の時勢でどの程度のものが最低限必要かという判断、その判断材料は今までの御質疑の中で三つ、四つお示ししているわけですが、それらを踏まえて、一二%程度が適当ではないでしょうかという御提案を申し上げましたが、調整の結果、一〇%になったということでございます。

吉田(治)委員 いや、だから、委員長、課徴金の議論を一つし始めてもこれだけいっぱい出てくるわけですよ、細かい話で。一二%を一〇%にした、じゃ、もっと交渉していけば八%にまけることができたのか、そういうふうに思うじゃないですか。

 それによって被害をこうむる人、また今回公取が、課徴金引き上げの根拠として過去の事件ごとに不当利得を算定したデータ、平均したら一六・五%というものを提示されましたね。そのような算定が正しく行えるというのであれば、なぜ、行政上の制裁としての課徴金を決定するということについて、事件ごとに個別算定をするということを入れないのか。それとも、法的根拠にもなり得ない今のようなデータをもって課徴金の引き上げの根拠として示したのか。その辺はどうなんですか。

竹島政府特別補佐人 個別事件ごとに、個別の具体的な不当利得が幾らかということについては、これは実際上、一足す一は二であるというような答えが存在しているものじゃございませんから、前提を置くことによって変わってくる。その前提の置き方でいろいろ議論があるということでございまして、どこの国でもそういうことはやっていないわけでございます。日本も経済学者的に推計することはできますけれども、法廷でたえ得るようなものとして示すということは、これは事実上できないわけでございます。

 しかしながら、推計をしてそれを踏まえて政策判断で、これは一〇%なのか二〇%なのか、どの辺が妥当であるかという判断をする材料としては十分使える、こういうふうに思っております。

吉田(治)委員 時間がなくなってきたので、また通常国会でじっくり質問させていただきたいと思うんですけれども、何かすべてがあやふやだし、そして、この二重処罰の課徴金の問題だけではなくして、これは公取の立場ではそうですね、課徴金の問題、行政罰の問題。

 もう一つ、これは一番ターゲットとされている談合といったものになってくると、指名停止というのが出てきますよね、各地方自治体が。業者の方々にとったら、やった、やらないは別ですよ、審判制度の問題、これは、時間があったらまた質問させていただきたいですけれども。審判にかかる、いろいろある、今回は、話を聞いただけで命令を出すということです。多分、命令が出た段階で当該地方自治体は指名停止をかけると思うんですよね、その辺の整合性というのは、どういうふうにとられていくわけですか。これから地方自治体に対して、こういうふうな制度を入れていく、今までのやり方の指名停止のやり方をするのか。

 なぜそういうことを聞くかというと、例えば、審判に入って、審判によってこの事件はなかったと判断された、また、裁判で判断された業者さんが何ぼかおいでになると私は聞いております。そうしますと、結果としたら、その裁判よりも指名停止で干上がって倒産することの方が怖いんだというお話もありますよね。この辺の考慮というんですか、この辺のハーモニゼーション、地方自治体との調整というんですか、それはどういうふうにされるおつもりなんですか。

竹島政府特別補佐人 その点は、正式にはこの法律が成立した段階で、関係省庁と御相談の上決めることになると思いますが、現在は、勧告の段階で指名停止はしてもらっちゃ困るというのが、関係の発注機関がつくっているモデルで示されているわけでございます。

 その考え方でいきますと、やはりクロシロがきちっとついた段階で指名停止をしていただく、その精神は維持されると思いますが、今度、勧告が廃止になって命令ということになりますから、それを踏まえて、どういうモデルがいいのかというのは、その時点できちんと整理させていただきたいと思っております。

吉田(治)委員 これは、この間の同僚議員の近藤議員の質問の中にあったわけですね、クロシロはっきりしてからと。でも、肝心の公取の幹部職員がうそをついたわけでしょう、裁判の結果で。それで、クロにさせられて指名停止されて会社が倒産した。だれに損害賠償を持っていくのか、その職員が面倒を見るのか、公取が面倒を見るのか、そういうことはないでしょう。

 私は、この独占禁止法の強化だとかそういうことについて何ら反対するものじゃありませんけれども、その結果として被害をこうむる人もいらっしゃるということ、無実の罪に陥る人もおいでになる。そういう場合に、今申し上げたように、シロクロの段階でうそをつくような職員がおいでになられたということは、極めて問題ではないか。だからこそ、指名停止の部分というのをこれからどうするのかということ、再度答弁を求めたいと思います。

竹島政府特別補佐人 指名停止というのは、これは発注者がなさることでございまして、そういう意味では、答弁を何か逃げるわけではございませんが、公正取引委員会としては、あくまでも措置体系というのをきちっとさせていただいて、それに基づいてそういった指名停止、指名回避はもちろん問題があると思っていますが、指名停止にせよ損害賠償にせよ、そういったことは、それぞれの地方自治体なり発注のお立場にある省庁において整合的にお考えいただきたいというのが私どもの立場です。

吉田(治)委員 先ほどの二重処罰のことで申し上げると、刑事罰だったら、逮捕されて裁判が終わるまで推定無罪ですよね。これは行政ですよね、行政というのはどの時点まで推定無罪なんですか。それとも、はなからこいつはクロだ、行政が認定したからこいつはクロなんだという認定なのか。

 まさに、指名停止の事例を一つ申し上げましたけれども、そこが一番大きなかかわりだと思うんです。その辺、いかがなんですか。

竹島政府特別補佐人 おっしゃるところがございますから、私どもは慎重に、現行であれば、勧告の段階で指名停止というのは時期尚早ですよ、きちっと話が審決で決まる、または、同意されて決着を見た段階でやってくださいというのが我々の立場です。その精神は引き続き維持すべきであると思っております。

 では、それが行政命令になった場合には、行政命令を受けてどうするのかという問題も確かに出てきて、今よりもはっきりいたしますから、そのタイミングのとり方については、関係省庁と相談しなきゃなりません。今現在、しておりません。

 それから、一点申し上げたいのは、そういう勧告段階で指名停止をするのは時期尚早ですと申し上げているのに、そのようなモデルになっているにもかかわらず、地方自治体においては、勧告の段階で指名停止に走っているところがあるという状態があるわけですが、これはやはり、そのしかるべき立場にあるお役所においてきちっと指導をしていただきたい、地方自治体もそこは十分にそういうことをわきまえていただきたいというのが私のお願いでございます。

吉田(治)委員 もう時間もせいてまいりましたので、民主党案、それぞれ、課徴金の問題、また民主党案においては、二重処罰を避けるということで、行政制裁金という名称にし、一〇%にされているということ、それらを含めて、民主党案ではこの問題についてはどういうふうにお考えになられているのかということと、きょうは経済産業大臣おいでになられておりますが、やはり経済産業の、これは経済憲法とよく独占禁止法は言われております。自由な資本主義社会を目指すというのに大切な法案であるということを含めて、この委員会にも何度かおいでいただいて、御質問等にも答えていただきました。感想を含めて大臣の御答弁をいただければと思っております。

近藤(洋)議員 適正手続に関する御質問かと思います。吉田委員の御質問にお答えいたします。

 私ども民主党といたしましては、課徴金を行政制裁金というものに改めまして、そして、公正な手続のもとで加算、減算ができるような仕組みにそれを改めたということでございます。

 また、今の手続につきましては、課徴金の納付命令というのはやはり拙速である、勧告にとどめるべきだという形で、現行制度の問題点は認識しつつも、審判部を強化することでスピーディーな審判ができるようにする。その一方で、今の政府の改正についてはストップをかける、二年間の見直しの中で審判のあり方を抜本的に見直すべきだということでございます。

 経済憲法でございますから、手続はより厳格にしなければいけないという観点に立っております。

中川国務大臣 内閣として提出させていただいている法律でございます。経済の活性化あるいはまた公正なルールというものを両方とも目的達成をするという観点から御審議をいただいているわけでございます。

 特に、経済産業省といたしましては、今公取委員長から慎重なというお言葉がありました。もちろん、慎重にやっていただかなければなりません、万が一にも結果的に今吉田委員のような御指摘があったらこれは大変なことでございますので。と同時に、慎重かつ迅速にやっていただくということも必要だというふうに私としては思っております。公正に公平にこの反競争的な行為がなくなるように、これは運用面でもきちっとやっていただきたいというふうに思っております。

吉田(治)委員 どうもありがとうございます。

 ちょっと質問し忘れた点、公取委員長、先ほど私質問させていただいたときに、持ち株会社解禁のときに事務総局制になった、当時四百人が今七百人、三百人ふえましたよと。

 この委員会の質疑の中でも、人の部分というのは大変大きな議論になってまいる。先ほど、国税庁だったら税理士さんがいてる、公取の場合だったら弁護士さんになると思うんですけれども。審判の問題、法曹資格者の問題とかいろいろ入っていましたけれども、私は、公正取引委員会の性格というものからすると、もっと実社会の経験者がスタッフに入れるような仕組みをする必要があるんじゃないかなと。純粋培養も大事だと思うんです。しっかりと専門家として知識を担うのは大事だと思いますけれども、やはり世の中の社会の仕組みだとかそういうのをもっともっとわかったお方も公取の中には入っていただく必要があると思うんですね。

 専門的な部分でいったら、税務関係でしたら、税務大学校とかそういう国税専門官だとかいう形になるんだと思いますけれども、公取もこれほどの大きさになり、これからも大きな期待を持っているのであるならば、そういう人材育成という部分、そして人材養成、それと同時に、引き抜きと言ったら語弊がありますけれども、そういう方々を、途中からでもたくさん入ってもらう。またそれは、一生勤める方でもいいと思いますし、年限区切った三年、五年そこで活動するという、例えば弁護士さんを百人でも三年間入れるというと、多分、日本の弁護士事務所はこぞって、それだったら入れたいと、やはり大手弁護士事務所は皆さんそうおっしゃられていますので、その辺についての、今後、この法案は通常国会にまでまたいでいくと思いますけれども、委員長としてのお考えを。

 やはり、人の部分が大事だと思うんです。そうでないと、先ほどの犯則調査権、後日質問したいと思いますけれども、昔は税務署といったら、来ると言うたら怖かったものです、うちら町工場やっていましたから。税務署が来るというだけでびびり上がっていました。ある日突然やってきて、どんとやってくる。どうも公取の調査というのは、そういう部分が今あるんじゃないかと。そういう中で犯則調査権も入ってくるということであるならば、そういう権限を持つ人は、かえってそういうものを持った人が必要だと思うんですけれども、その辺、今後どういうふうに対応されていかれるおつもりでしょうか。

竹島政府特別補佐人 厳しい行財政の中で公正取引委員会は例外的に増員が認められて、今は六百七十名までふやしていただいているということでございます。さらに十七年度も増員をお願いしているわけでございます。

 ただ、そういう中で、私、今、公正取引委員会の職員はみんなそれぞれ頑張ってくれているというふうに思っておりますが、ただ、今委員御指摘のように、法曹資格者であるとか、それから大学院を出たようなエコノミスト、それもマクロじゃなくてミクロのエコノミスト等々の専門人材をもっと活用すべきであるという御指摘を受けておりますし、私もその必要性は十分にわかっているつもりでございます。

 したがいまして、今いろいろおっしゃった、中途採用もございますし、それから任期つきの採用もございますし、いろいろな方法がございますので、これからそういう質的な拡充ということについて努力してまいりたいというふうに思っておりますし、もう既にそういうことについては手がけておりまして、法曹資格者も今たしか九名にふえておりますし、これからもそれをふやしていきたいということで、努力させていただきたいと思います。

吉田(治)委員 九名にふえたと言われても、実感がぴんとこないですよね、九名では。やはり任期つき任用だとか、もうみんな出したいと言っているんですから。場合によったら出向で、お金つきで来るのじゃないかなと思いますので、まあまあ、そこはいろいろなかかわりがあると思いますけれども。

 もうこれで質問を終了させてもらいますけれども、やはりあとは、公取委員長でしょう、あとの委員のお方がどういうお方なのか。これから委員会としてまとまってやっていくわけですから、委員長が大臣で来られているわけじゃありませんから、そこのところも次回以降また質疑で織り込んでいきたいなと思っております。

 以上で終了します。

河上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時八分散会


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