衆議院

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第2号 平成17年2月23日(水曜日)

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平成十七年二月二十三日(水曜日)

    午前九時二十七分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    小杉  隆君

      佐藤 信二君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    竹本 直一君

      谷畑  孝君    中西 一善君

      西銘恒三郎君    野田  毅君

      平田 耕一君    望月 義夫君

      森  英介君    山口 泰明君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      奥田  建君    海江田万里君

      梶原 康弘君    近藤 洋介君

      佐藤 公治君    高山 智司君

      津村 啓介君    中川  治君

      中山 義活君    計屋 圭宏君

      村井 宗明君    渡辺  周君

      江田 康幸君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府参考人

   (内閣府産業再生機構担当室長)          藤岡 文七君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 香川 弘明君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    井戸 清人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           樋口 修資君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         恒川 謙司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           北井久美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          上村 隆史君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 井口 直樹君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局計画部長)         宮本 敏久君

   政府参考人

   (経済産業省地域経済産業審議官)         薦田 康久君

   政府参考人

   (経済産業省商務流通審議官)           迎  陽一君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            北村 俊昭君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           阿部  健君

   政府参考人

   (国際協力銀行理事)   野崎  茂君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  菊田まきこ君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     中川  治君

同日

 辞任         補欠選任

  中川  治君     菊田まきこ君

    ―――――――――――――

二月二十三日

 中小業者への経営支援に関する請願(田中慶秋君紹介)(第一九二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三〇七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府産業再生機構担当室長藤岡文七君、内閣府大臣官房審議官香川弘明君、財務省国際局長井戸清人君、文部科学省大臣官房審議官樋口修資君、厚生労働省大臣官房総括審議官恒川謙司君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君、厚生労働省大臣官房審議官大槻勝啓君、厚生労働省大臣官房審議官北井久美子君、厚生労働省大臣官房審議官中島正治君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長金子順一君、厚生労働省職業能力開発局長上村隆史君、厚生労働省政策統括官井口直樹君、農林水産省農村振興局計画部長宮本敏久君、経済産業省地域経済産業審議官薦田康久君、経済産業省商務流通審議官迎陽一君、経済産業省通商政策局長北村俊昭君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、資源エネルギー庁長官小平信因君、中小企業庁長官望月晴文君、国土交通省大臣官房審議官阿部健君及び国際協力銀行理事野崎茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平井卓也君。

平井委員 どうもおはようございます。自由民主党の平井です。

 きょうは大臣に、新産業創造戦略、N・レポート、そしてまた、アメリカで発表されたパルミザーノ・レポート等々を含めまして、今、日本の置かれる立場、これからどうやっていくんだというようなことについて少しお聞きをしたいと思います。

 まず、昨年十二月に米国の競争力評議会がイノベート・アメリカと題する報告書を出しました。これは、さかのぼると、九〇年代を引っ張ってきたヤング・レポートに匹敵するだけの大きなインパクトがあるなと思っていたのと、読むとそのまま日本に当てはまるようなことも非常に多いというふうに思いました。

 ここでいうところのイノベーションの定義というのは、社会的、経済的な価値創造を実現する発見と見識の融合、これはもうまさにそのとおりだと思いますし、人材、投資、持続的なイノベーションを実現する基盤整備の三つの分野について、これはいろいろと定量的にも分析しているという意味で、非常に私は意味があったと思います。

 九〇年代は、日本は空白の十年と言われていました。しかし、そんな中でも、日本では、携帯電話とかITの流れの中でのパソコンなどがある意味でのイノベーションを起こして、それなりに成長してきました。今後は、物によるイノベーションだけではなくて、工程や仕組みをイノベーションするという考え方が非常に重要だと私は考えています。そういう意味では、情報を早く伝えるITの持つ社会的なインパクトも非常に大きかったと思います。

 日本においては、産学連携やベンチャーに期待する志向が強い、また、法的支援とか税制優遇策などが実施されていますが、そういう状況の中で、この新産業創造戦略というものの中で、大臣は、将来を見据え、我が国の競争力向上や持続的な経済成長を実現させるというふうに述べられたと聞いております。

 このパルミザーノ・レポートについて、私自身が非常におもしろいなと思ったことについて幾つかちょっとお話をさせていただきますと、まず、自国の競争力に対して他国の状況などと比較するベンチマークの手法をとっているということです。これは、客観的に評価をしているということが一つ。それと、先ほどもお話ししましたが、人材とか投資とか基盤整備、この幾つかの項目について、技術者の数や成長率を具体的な数字で明示しているという点です。そして、現時点で明確にアメリカは一番だといいながらも、研究開発費のGDPに占める割合等は、スウェーデン、フィンランド、イスラエル、日本、韓国がアメリカを上回っているということで、分野ごとに競争力をベンチマークしているわけであります。

 もっと時間があればN・レポートもさらにいろいろな分析ができたんだと思うんですが、我が国の評価というのが、このパルミザーノ・レポートでは、一九九九年、二〇〇五年の中でも一位にランクされている。これはアメリカ側から見ている。しかし、我々が考えると、なかなかそんなふうにも思えないところがある。どっちかというと自信がない。しかし、海外から見ると、日本というのはまだまだ捨てたものじゃないという評価もここに一つあるんだなというふうに思います。

 技術革新については、総合科学技術会議とか経済財政諮問会議、産業構造審議会などでパラレルに議論はされておりますが、大臣は、このパルミザーノ・レポートにおける我が国の研究開発への評価の認識も含めてどのようにお感じか、お考えか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

中川国務大臣 おはようございます。

 今、平井委員の御指摘がありましたけれども、アメリカが産業競争力が九〇年代に非常に厳しい状況になったという認識、多分レーガン政権のときだと思いますけれども、それまでアメリカが世界一だというふうに自認をしていた産業分野のうち、競争力がなくなってしまって、そして、その時点でアメリカの競争力がいまだに強いと言われている分野は航空機産業と農業分野の二つになってしまったということで、産業競争力委員会、いわゆるヤングさんの委員会でありますけれども、ここで大変な危機意識を持って、国を挙げてやったわけであります。

 今、平井委員が御指摘のように、日本も、失われた十年ということで、やはり資源のない日本でありますから、人材あるいは研究開発、そしてそれに付随する投資とかあるいは知的財産権といったものを改めて、このN・レポートというのはこうしなさいということを実は言っているんじゃなくて、一つのきっかけにしていただきたいということで、この後御審議いただきます人材投資減税でありますとか、当委員会でいろいろとまた法案を御審議いただくわけでありますけれども、一つの触媒といいましょうか、きっかけにしていただきたいということでございます。

 今御指摘のように、アメリカの公的な研究分野だけではなく、トータルとしての投資、研究開発費が非常に少なくなってきているということに危機意識を持ったこのパルミザーノ・レポートでありますから、日本としても大いにこれを参考にし、そして負けないように、また日本としても、第二、第三の新産業創造戦略を国民に提示して、最後は、人づくり、そして人材づくり、技術力、先ほど委員の方からも、工程とか仕組みとかコンテンツとか、こういう分野が重要であるという御指摘がございましたので、そういう面も含めてさらに充実したものにして、世界の競争の中で負けないように引き続き努力をしていきたいというふうに考えております。これはあくまでも完成品ではございませんで、きっかけとして各界でこれを大いに活用していただきたいという提案だというふうに御理解いただきたいと思います。

平井委員 わかりました。

 このN・レポートも、韓国なんかは大変注目している。これの翻訳本はないのかというような話もあるように聞いております。

 今回のこのN・レポートというのは、自分を知るという意味で、国内産業のあり方を事細かに歩いて調べたレポートだなということもわかります。また、国際競争という意味で、アジアにフォーカスするというのもこれは一案だと思っていますが、今後は、このパルミザーノ・レポートにあるように、世界の中での日本、おのれをもっと知るという意味で、さらに突っ込んだ研究をしていただいた上で、できれば、もうこの時代ですから、トップダウンである程度指示が出せるような戦略も立てていかなければならない時期に来ていると私自身は思っておりますので、どうか今後ともよろしくお願いをしたいと思っています。

 物事というか、産業を育てる意味において、実は、国家がどのように物を調達しているか、先行してどういうものに投資していくかというのが非常に重要なことだと思います。

 私も、e―Japan重点計画特命委員会の方で、ずっと電子政府とか電子自治体とかITにかかわることに取り組んでまいりましたけれども、見ていてもったいないことが多い。政府調達というのはざっくり年間約二兆円あるんですよ、IT分野でいうと。郵政公社が大まかに約五千億。それを除いたら約一・五兆ぐらいなんですよね。それ以外に独立行政法人であるとか学校なんかを入れると、これがまた全部合わせると約五千億ぐらいある。結構な金を使っているわけですよ、ずっと毎年毎年。

 しかし、こういうような市場のうち、ハードの多くの部分とかソフトウエアの基幹部分は、アメリカとか海外に市場を奪われてしまっているというのも実情です。そういう意味で、政府として、産業を育成していくという調達の戦略性というものに、これは縦割りとかいろいろな問題がある中でもう一つ強く押し出せなかったんではないかというふうに考えています。

 今、e―Japanの方では、この二年間、レガシーシステムを見直して調達の安値落札をストップさせたり、コストダウンというのを図っているんですが、確かに、安値落札で後年度高負担とかなれ合いの随意契約とかというのはなくなってきて、一応競争入札もできるようになったんですが、今度は逆にコストさえ下がればいいんだろうというようなふうになりつつあるんですよ。

 つまり、これだけの金を使うんだから、新しい価値に対してお金を使うというような気概が見えなくなってきちゃって、確かに、今までむだなものをカットしていくということは、これはこれで当然時代の流れだし、やらなきゃいけないんですけれども、政府みずからの戦略的投資の視点がなくなってしまったら、これはまた逆の意味で非常に問題だと思います。

 もう一つ、IT分野の政府調達に関して言えば、大手ベンダー中心になっていて、なかなか中小企業に門戸が開かれていない。これは年度予算の問題もあったり、規模もあったりするんですが、これからはいろいろな発注形態というものを切り分けて出すこともできるんですよ。ですから、システムの投資する保守管理を分けたりとか、いろいろある。そういうものをできればトータルで、国家としての、こういう方針をやって、こういう産業を育成していくんだという、どこかでそれを打ち出せば、そういうものは大分変わってくると思うんです。今それぞればらばらに考えてやっていて、トータルとしてどうだと言われたときに、私自身、最近、もう二〇〇五年にIT立国として世界最先端だという国家を目指すというふうにスタートして、それなりにやってきたんですけれども、振り返ってみると、これでいいのかなというふうに考える面が多いんです。

 インフラとかというのは、確かにもう加速度的に、これはトップダウンである程度進んだんですが、それ以外の部分が、これはもったいないなというようなことがあって、私自身、我が国のソフトウエア産業を育成していくということに関して言えば、もう少し大臣に、強くそのあたりのことを指示していただくなり、その考え方をやはり入れていただく、そういうことをお願いしたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 御指摘はもっともだと思います。

 政府におきましても、総合科学技術会議で取捨選択をして、S、A、B、Cというランクづけをしまして、そこが司令塔になってやっているわけでありますけれども、こういう問題は最先端の技術あるいは研究ですから、なかなか目ききといいましょうか、判断が難しい部分もあるんだろうと思いますけれども、緊張感を持って、不断の努力をしながら、今、平井委員御指摘のような、常にリニューアルといいましょうか、よりよいものを目指していくということは、極めて大事なことだろうというふうに思っております。

平井委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 これにちょっと関連するんですが、最近いろいろなところで話題になっているOSS、オープンソースソフトウエアの関連で少しお話をさせていただきたいんですが、欧州を中心に、セキュリティーと競争政策の観点から、既存のソフトウエアとOSSを同等に検討するというようなことが進んでいます。

 これはリナックスに代表されるオープンソースを使うという方針がある程度明確になっている国もいるんですけれども、これは、OSSの問題も、マイクロソフトからレッドハットとかIBMに変わっただけでは何の意味もなくて、結局、そのオープンソースにかかわっていくというような懐の深いところで、日本の産業をいかに育てていくか。

 結局、OSの部分がある程度押さえられてしまうと、あとはアプリケーションの部分で勝負するとか、土俵が変わってしまって、アメリカは、やはり自国の技術が大したことなくても、強引にそこで標準化に持っていって囲い込むということにたけているんですが、そういう意味で、私自身、経済産業省も、OSSというか、市場に根づかせようという方針のように聞いておりますが、そのあたりの大臣の見解をお聞きしたいと思います。

平田大臣政務官 お答え申し上げたいと思いますが、御指摘のとおりでございます。

 もう御承知でございましょうけれども、オープンソースソフトウエアは、開発者が協力して開発が行える、重複開発の排除ができる、開発スピードが速い、コスト削減等の長所があります。また、特定の、申されました商用ソフトウエアへの過度の依存を回避する、あるいはビジネス上の選択肢を確保することにもつながるということで、大変、日本のソフトウエア、ITサービス産業にとりましても大きなメリットがあると承知をしております。

 したがいまして、当省では、技術開発の支援、学校へのモデル的な導入支援、アジア諸国との連携などを通じて、オープンソースソフトウエアの普及を図っているところでございます。また、民間を中心に設立されました日本オープンソースソフトウエア推進フォーラムにおいて、このソフトウエアをITサービスにさらに活用するための技術的課題、制度的課題等に関して、当省も積極的に参画をして検討を深めているところでございます。

 今後とも、これらの取り組みを通じまして、さらなる普及と、申されましたようなそれに伴う周辺のビジネスチャンスの拡大を図ってまいりたいというふうに思っております。

平井委員 はい、わかりました。

 今お聞きすると、オープンソースを学校へも導入するというようなお考えのように聞きました。確かに、若いうちからそういうものに触れるというのは非常に重要なことですし、結局、ここでぜひ経済産業省さんにも間違えないでほしいのは、オープンソースだからいいということではなくて、両方あった上で、いかに日本はバランスを持って、その中で人材と産業を育てていくかという視点を忘れない。マイクロソフトからリナックスに変わったらいいんだろうというようなことになっちゃうのが一つの懸念です。よくそういうふうに極端に振れてしまうということがあるんですが、そこはぜひ冷静に戦略を立てていただきたいと思います。

 あともう一つは、次に、地域再生法案が今度いよいよスタートします。各地域からいろいろなアイデアを募集してやっていこうということだと思うんですが、地域再生といいますか、地域の再生というのは、今までどっちかというと均衡のある国土の発展というのが余りにも前面に出た全総の精神、そういう中で、割と全国金太郎あめ的な開発とか、そういう物の考え方で進めたプロジェクトも多かったと思うんですが、どうも経済合理性だけですべてを判断するのでは、本当の意味で地域の幸せというものがこれからははかれない時代になってきているのではないかと思います。

 私の友人の母親がかかわっているプロジェクトで、創意工夫の具体例ということで最近いろいろなところで紹介されているんですが、私の地元のお隣の徳島県に「いろどり」という会社があるんです。ここでは高齢化の進んだ過疎の村というマイナス要因があるにもかかわらず、高齢者を活用して、裏山から松の枝や紅葉の葉などを集めて、高級つま物ですね、東京や大阪の料亭に宅急便で送るというこのビジネスモデルが、これはもう大成功しているんです。

 今は全国の七割のシェアということで、ここの従業員の年収が平均七百万、私の知り合いのお母さんはもう一千万取っているわけです。生きがいもあるし、もうかるしと。これはもう成功してまれな例かなというふうに思いましたが、これは、お金がもうかるだけではなくて、自分たちの仕事が評価されて認められているということが、物すごく地域の活力につながっているんだと思います。

 今回、地方自治体の判断で年度間の予算の流用が可能になったりする地域再生法案ですが、これもやりようによってはそんな第二、第三の「いろどり」みたいなものも出てくる可能性もあるし、省庁の縦割り行政を排除しながら今回の地域再生というのは進めるというふうにも聞いております。

 そこで、そのスキームの中に経済産業省としていかにかかわっていかれるのか、どのようにされていこうとしているのか、そのあたりについて大臣の見解をお伺いしたいと思います。

小此木副大臣 おはようございます。

 委員がおっしゃるように、地域では、きめ細かく見ていけば、さまざまな特色のあるところ、努力をしているところ、その努力をさらに伸ばしているところ、本当にあろうかというふうに思いまして、まずはそういった芽をさらに養って、どこにでも届くような芽をこしらえなきゃいけない。そういう意味で、自治体が積極的に活動しているときにさらにそれを支援するという意味で地域再生法案というのが今回提出されるというところであって、これまでも経済産業省として、地域経済といいますか、そういう活性化については積極的に取り組んできたところでありますが、まさに私が今申し上げたように、各地方経済産業局においてもそういう自治体に対してきめ細かに連携をとるなど、あるいは支援を強力にしてまいりたい、こういう法案を通じて、法律を通じてさらに積極的に参加してまいりたい、こういうふうに思っております。

平井委員 地域再生法というのは、これは今まで見ると、画期的な、いよいよ最後の手段かなと思われるようなスキームですので、ぜひこれを実効性のあるものにしていただくよう、御協力をお願いしたいと思います。

 次に、人づくりについてお伺いしたいと思います。

 近年の景気低迷時の新規採用の絞り込みとか、団塊の世代が職場から消え始めるいわゆる二〇〇七年問題等から、物づくりの現場で世代間の断絶が起こっていると聞いています。こうした状況への対応として、人材投資減税や製造現場の人材育成などを推進すると大臣も所信において表明されておりますが、これに加えて、経営人材の強化というものも非常に重要だと思います。

 例えば、日立、東芝、ソニーといった日本を代表するIT産業の企業のROEが、韓国のサムソン等の企業に比べて極端に低くなっちゃっているんです。これは、我が国の経営者の能力向上、特にロジカルに迅速に判断できる経営判断が、非常にその能力が重要になってくると思います。

 そのために、何歳から始めたらいいのかわかりませんが、三十代から子会社や海外の会社で経営を学ぶとか、若いうちからリーダーシップを学ぶとか、英才教育を施す必要があるのではないか、その点について見解をお聞きしたいと思います。

平田大臣政務官 大変重要な御指摘でありまして、新産業創造戦略の中で産業人材という、呼び方はいろいろあろうかと思いますが、産業人材としてその育成を最重要課題にしておるわけでございます。これから次から次へ新しいビジネスを切り開かなければならないという次世代のいわゆる経営人材の育成というのも、これがもう喫緊の課題でございます。

 したがいまして、御承知でございますが、企業にそういう人材育成に取り組んでいただくために、来年度税制で人材投資促進税制というものをお願いしております。これはかなり有効に御利用いただけるものと思いますので、ぜひひとつPR方、お願いを申し上げたいというふうに思います。

平井委員 時間もだんだんなくなってまいりましたので、一つこれはぜひ聞いておきたいなと思ったのは、今回の物づくり、特にものづくり日本大賞として表彰するという話がありました。しかし、我が国のGDPの約七割が実はサービス産業が占める中で、なぜことしからこのものづくり日本大賞を創設されて、どのような効果を考えて、どのように物づくりを推進されようとするのか、基本的なお考えをお聞きしたいと思います。

中川国務大臣 新産業創造戦略を議論しているときに、やはり最後は人材といいましょうか、人間力というものが日本の唯一と言ってもいいぐらいの資源であるわけでございます。

 そういう中で、例えばドイツにはマイスター制度がございますし、フランスにはMOF制度というものがあって、バッジをつけていると社会的にも大変評価が高い。日本にもいろいろな表彰制度があるわけでありますけれども、もちろん各省にもございます、経済産業省にも他省庁にもございますが、やはり内閣総理大臣が各界の物づくりの名人、名人と言っても、ちょっと語弊がある表現になるかもしれませんが、現役でばりばり頑張っている方を、今もう既に全国で地方予選をやっておりますけれども、自薦、他薦で各ブロックごとに、この人の例えば金型技術とか、あるいはまた何でもいいんですけれども、この人はやはり技術は自他ともにすばらしいというようなことを表彰させていただく。

 それは、単に賞状を上げて、何か賞金かトロフィーを上げてということではなくて、これを周りに対しての一つのインセンティブにぜひしたい。彼が頑張ったんだから自分も彼を目指し、あるいは乗り越えるために頑張ろう、そしてまたそれがちっちゃな少年少女たちの目標にする一つのきっかけにしたいということで、できれば八月の夏休み中に子供たちにも大いに参加をしていただいて、そして各分野のいろいろな方の選考を経て、そして大々的にお子さん方にも一つの刺激になってもらう。あるいはまた、その道を目指そうとしている方々にも刺激になって、励みになっていくように、第一回目でございますから、これを継続してやっていくことによって、やはり物づくりというものが日本の根幹にあるんだということをぜひ定着させて、そして国民的な応援と敬意というものをつくり出していければありがたいなということで、ことしからぜひスタートをしたいと思います。

 四国にも立派な方が大勢いらっしゃると思いますので、今、地方予選をやっておりますので、ぜひどうぞ、委員の皆様方も御推薦をいただいて、ひとつ大賞が受賞されるように大いに御努力をいただければというふうに思います。

平井委員 ありがとうございます。ぜひこれが根づいていただくように、お育ていただくようにお願いしたいと思います。

 これで質問を終わらせていただきますが、最後に一つお願いということでさせていただきたいと思うんですが、経済産業委員会ではITはITなんですけれども、私は総務委員会にもおりまして、あっちではICTなんですよね。用語が違うというだけではなくて、言っていることはほぼ同じなんですが、昨年大臣は経済ミッションでインドへ行かれましたよね。経済界と行政がどのようにこれからやっていくかということで、私、危機感を覚えておりますのは、例えば四年に一回の通信オリンピックという、テレコムワールドというのがあるんですが、よその国は政府の機関が出展して、その周りを民間が固めて、そこで商談も進めて、本当に熱心なんです。

 ところが、日本の場合は民間企業がちょこっと出ていってお茶を濁しているというようなことで、政府と一体感がないんです。そういうものは、確かに情報と通信の分野だから経済産業省は関係がないというようなことになってしまうとそこも非常に問題で、ITでもICTでもいいんですけれども、国家戦略として日本の産業をどのようにこれから海外でも強くしていくかというようなことに積極的に取り組まれることをぜひお願い申し上げまして、きょうの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 先日、大臣所信を述べられまして、それについての質問ということですので、きょうは全般的なことについてお話をお伺いしたいと思います。

 まず最初にお伺いをしたいのはWTOとFTAという問題でございますけれども、我が国の経済を見た場合に、この貿易の自由化というのは本当に重要な問題である。特に、ここ三四半期は踊り場的な経済の動向でございますけれども、この数年の間、やはりアメリカまたは中国等との貿易によりましてかなり経済が引っ張られてきた、こういうような現状をだれもが認識していると思います。

 そういった意味で、WTOについては、自由貿易の牽引役を果たしてきたというのは、これもだれもが認めるところでありますけれども、ただ、現実、新ラウンドについては、なかなか加盟国が多いわけでございますので、そういった調整、これは本当に厳しい状態、膠着状態というのが続いている。その一方で、加盟各国は貿易拡大をねらってFTAに傾斜していくという、こんな形が多く見られていると思います。

 その上で、まずは経済界、これはその当事者となるわけでございますけれども、それがこの貿易拡大を望んでいる中で、今の日本のFTA、WTOのとらえ方、取り組み方についてどのように認識をしているかということを、経産省としてどのように考えているかをちょっとお伺いしたいのと、大臣所信で、先日中川大臣は「経済連携については、現在交渉中のタイ、マレーシア、韓国、さらには、本年四月から開始されるASEAN全体との交渉などを積極的に推進してまいります。また、昨年枠組み合意に至ったWTOドーハ・ラウンド交渉を加速化するとともに、国際ルールの強化、活用に努力いたします。さらに、アジア諸国との連携のもと、輸出管理体制の整備や知的財産の保護などに取り組んでまいります。」というふうに述べられました。

 この二つの問題、WTO、そのもとでこのFTAだとは思うんですけれども、やはりFTAを進めていかなければいけない、現実問題としてやらなければいけないという中で、こればかり走ってしまうと、この自由貿易時代、その域内、その両国間ではいいですけれども、それ以外とは逆に格差ができてしまう。こういう現実の中で、我が国の基本方針は一体どうなっているのか、ここをまた改めてお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 WTOにつきましては、所信でも申し上げましたけれども、大分、二〇〇〇年からスタートをして、各国、百四十八の加盟国、そしてその中の多くはいわゆる途上国という中で、やはりごく一部の先進国に比べて非常に要求が厳しいといいましょうか、日本やアメリカやヨーロッパとかなり違う部分も現実ございます。しかし、日本としては、貿易立国として、世界じゅうの国々と貿易あるいはまた投資、人の移動等々を通じて、あるいはまた、先進国としては、その国々の経済的なレベル、技術レベルあるいはまたキャパシティービルディングを含めて、お手伝いをさせていただくということも非常に大事だろうと思っております。

 これは、あくまでも一般論としてWTOのルールの中でやっていきましょうと。ただ、大分スケジュールがおくれておりまして、去年のジュネーブでは、農業の枠組み合意はできましたけれども、ほかの分野についてはまだまだ、例えばサービス交渉の提出なんというのはほとんどの国がまだやっていないとか、非常に各セクターでばらつきがございます。しかも、これはコンセンサスとしては、ことしの十二月の香港閣僚会議で基本的なモダリティーをつくり上げていこうということになりますと、かなりスピードアップをしていかなければいけない。これは共通の認識であるわけでございますので、折に触れて、これから急ピッチで、非公式閣僚会合、あるいはまた高級事務レベル会合、あるいはまた日常やっておりますジュネーブでの会合等々を初めとして、あらゆる場でこれをやっていくことが、最終的には加盟国全体にとっての基本的な意味でのプラスになっていくんだという認識のもとで作業を進めていかなければならないというふうに思っております。

 他方、FTA、EPAにつきましては、これはあくまでも、対立する概念ではなくて、いわゆるWTOプラス、一般法のもとに特別法があるようなものでございまして、お互いにメリットになるものについては、そのルールを超えてやっていくことにメリットがありますねという場合にお互いに進めていこうということであります。

 これは個人的な話で大変恐縮なんですけれども、私が今から三、四年前にメキシコに行ったときに、メキシコの車というのは、ほとんど日本車が走っていると思ったところが、古い車は走っておりますけれども、いわゆる日本の新車というのはほとんど走っていない。

 これは、NAFTAがあり、それからメキシコとEUとのFTAがあって、あっという間にハンディキャップを負ってしまって、これはちょっと大変なことだなというふうに思って、日本も貿易立国としてFTAに真剣に取り組んでいかないと、貿易立国として世界と通商をやります、投資をやりますといっても、現実はかなりおくれてくるということの実感を私自身持ったものですから、もちろんウイン・ウインの関係というものが大前提で、また、譲るところは譲る、譲らないところは譲らないという大原則がありますけれども、そのぎりぎりのところで各国とEPAをやっていく。その場合には、東アジアの国々、あるいはまたお互いにメリットになる国々というところを優先してやっていく。

 今委員も御指摘になったように、あらゆる国と今やっていくということは、事務的にも大変な作業も現実にございますので、優先順位を決めて、そして、できるだけ貿易立国として、お互いにウイン・ウインの経済連携の枠組みをつくっていきたいというのが基本的な考え方でございます。

高木(陽)委員 今、メキシコの例を大臣挙げられましたけれども、まさにスピードとの勝負でもあると思うんですね。そういった中で、その優先順位をきっちりと決めていく、まさにこれがこれから重要な問題であるというふうに私も思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいなと要望をしたいと思います。

 もう一つは、これも先日の所信で指摘されたマレーシアの交渉で、ちょっと具体的な例で、農水分野には大筋合意してきて、同国の工業品の関税撤廃、これが焦点として残っている。マレーシアの政府の方は、農林分野の決着が視野に入るや否や、直ちに小型車などの保護政策、これを打ち出してきている。まさに、それぞれを担当する、農水省、一方でこっちは経産省、これがばらばらなんじゃないかな、そういうふうに思えるわけですね。

 いろいろな関係閣僚会議でやってはおられると思うんですけれども、まさにこの貿易の問題、中川大臣が本当に中心となってやっていく。もっと言えば、FTA担当というような形で、権限はどこまで及ぶかわからないんですけれども、農水を含めて一元化するぐらいにこの貿易の交渉というのはやっていかないと、どうしても縦割りで、それぞれがそれぞれの思惑がある中でやってしまうと日本全体の国益にマイナスになってしまうというふうに、これはいろいろなところでも指摘をされるんですけれども、そういう高い次元の交渉、これが必要だと思いますけれども、その点、どのようにお考えか。

中川国務大臣 私は、党にいるときにシンガポールもやりまして、それからメキシコともこの立場でやっておりますし、今、ASEANあるいは韓国とやっておりますけれども、交渉ですからカードの出し合いというものが当然あるわけで、フィリピンでもございましたし、メキシコでもございましたし、マレーシアでもございました。だから、それがある意味では交渉戦術としてあるとは思いますけれども、それをもって政府がばらばらだということは、交渉当事者としてはそういう認識は持っておりません。

 今までですと、外務、農水大臣とも、きのうも新聞に出ておりますけれども、きちっとした打ち合わせをいたしましたし、それから、何といっても、これは総理が自分が首席交渉官であるというふうにはっきり言っておりますので、折に触れて、小泉総理にもポイントポイントで御相談をし、強いリーダーシップのもとで指示をいただいておりますので、我々としては、ばらばらだということじゃなくて、あえて言えば、お互いに助け合う、お互いに譲り合う、そしてトータルとして国益にかなう最大限の成果を出していくということで、そういう御指摘がないように今後も努力をしていきたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 本当にリーダーシップを発揮しながら、国益という部分で取り組んでいただきたいと思います。

 その上で、今、ASEANの方をかなり重視しながらこれからの交渉というのが進んでいくと思いますけれども、もう一つ、アジアにおいて最も大きな市場でもあり、また力のある国という中国、中国は中国で戦略的にこのFTA交渉に取り組んでいる。

 対立する問題ではないと思うんですけれども、逆に言えば、中国と日本との貿易関係というもの、まさに日本の経済、バブル崩壊後苦しい中で、今大分回復基調になってきた。これは中国との連携の中でできてきている部分も確かでございますので、そういった部分では、今後、中国とのFTAについて本格的に取り組み始める時期に来ているのではないかな、また、それを検討し始めなければいけないのではないかな、そのようにも考えておりますけれども、その点についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

中川国務大臣 もちろん、中国は隣国であり、また大変大きな経済規模を持っている国でございますし、それから大変な成長をしている国でもございますから、この国とよりレベルの高い経済連携をしていくということは、当然視野に入れなければいけないと思っております。

 ただ、中国につきましては、猛烈な勢いで今各国とやっておりますけれども、そのレベルというものがかなり特別のといいましょうか、貿易中心のいわゆる文字どおりのFTAであったり、何よりも、中国というのは、二〇〇一年にWTOに加盟して以来、今、新規加盟国という扱いで若干の履行のための義務が課せられているわけでございます。

 それから、やはり中国という国は、率直に言って、法律制度あるいはまた法的安定性の面でもう少しきちっとしたいわゆるキャパシティービルディングを整備していただかないと、例えば、経済産業省でも御議論いただいております知的財産権の問題、模倣品、海賊品の問題等々のレベルアップ、先方の大臣なんかとお話ししますと、今全力を挙げてやっておりますということでございますから、そういう法制度等がきっちりでき上がったということであれば、お互いにウイン・ウインという最終目標に向かって交渉が始まっていくものというふうに理解をしております。

高木(陽)委員 時間も限られておりますので、次に中小企業問題ということでお話をお伺いしたいと思いますが、中小企業の再生支援協議会、中小企業版の産業再生機構とも言われる中で、各都道府県に設置し始めてもう二年。産業再生機構というのはよくニュースで流れておりますけれども、逆に、この中小企業の再生支援協議会、これは、まさに日本の企業というのは中小企業で成り立っておりますので、ここをしっかりと再生していかないと今後の日本の経済というのは成り立たない、そういう認識に立つ中で、この現状というか、実績等々について、まずお伺いをしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業再生支援協議会では、これまでに約五千七百社の企業からの御相談に応じておりますとともに、そのうち七百二十四社の再生計画の策定支援を行っております。既に三百五十九社の再生計画策定が完了いたしまして、その結果といたしまして約二万六千名の雇用が確保されるなど、着実に成果が上がっているところでございます。

 再生機構と違ってニュースが少ないじゃないかというお話でございますけれども、再生協議会、当初から中小企業の風評被害のことを大変心配しておりますので、基本的には個別名を公表しないということでやっていることで、なかなかニュースに乗りにくいところがございますけれども、私どもは、この運動、活動の成果をなるだけ広く広報するために工夫をしながら、幾つかの御了解いただけたような企業については公表するなど努力をして、その活動を広めていきたいというふうに思っておるところでございます。

高木(陽)委員 今、長官、風評被害という話をされまして、まさに微妙なところだと思うんですね、ここのところは。逆にオープンになることによっていろいろな形での支援体制というのが確実になってくるというのもあると思うんですけれども。

 実は、昨年の十一月の二十九日付ですか、毎日新聞に、「「金融再生」中小企業置き去り 主力都銀、役割を放棄」こんな記事が載っておりまして、簡単に申し上げますと、「大手銀行の不良債権「処理」が進み、政府は「金融再生」を自画自賛する。」これは不良債権処理がどんどん進んでおりますので。「だが、その陰で中小企業の「切り捨て」が進む。中小企業再生支援協議会という公的舞台でさえ、都銀などの消極姿勢は際立つ。」ということで、実例が報告されているんですが、これは、すべてがそうではないと思うんです。

 逆に、大手銀行の方がしっかりと支援する中で、地元の中小金融機関の方が体力がなくて支援できない。まさに、再生をしよう、いろいろなプログラムができた、あと一歩を押せばオーケーなのに、金融機関の協力が得られないケース。こういうところでかなり戸惑う部分もあるのではないかと思いますけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいますように、中小企業の再生を図るときに、複数の金融機関が関係しているような場合には、これの足並みをそろえて、どうやって中小企業を再生するという一つの方向に向けて調整をしていくかということが大変重要なわけでございまして、個々のケースによってはそれが難航する場合もございます。

 しかるがゆえに、中小企業再生支援協議会という、言ってみれば公正中立な立場でこの調整を行う人が、地域の有力者を中心としてつくっていただいたということでございますので、手法としては大変地道なことではございますけれども、でき得る限り合理的で実現可能性の高い公平な再生計画案をつくりまして、粘り強く中立な立場の方が説得を行って関係金融機関の協力を得るということが基本であろうかと思います。

 加えまして、具体的なケースによりましては、例えば政府系金融機関の方が新しい、ニューマネーをそこに入れるときにそういう調整を図っていくとか、あるいは、メーンバンクが中心になって、下位行の方々との関係でいえば、ニューマネーで債権を買い取るとか、そういう個別の手法はいろいろございます。

 基本は、全体として再生する方向へ合理的な計画になっているかどうかということが基本であろうかというふうに思っております。

高木(陽)委員 協議会に強制力がないですからなかなか難しいんですけれども、まさに、あと一歩でこれが再生される、次の大きなジャンプができる、こういうところについて、やはり先ほどの風評被害の話から、公表という、ここら辺の微妙な部分ですけれども、ここでしっかりとみんなで支え合っていくみたいな形をいかにつくっていくか。これはしっかり検討しながら推し進めていただきたいと要望したいと思います。

 続きまして、中小企業の金融、今ちらっと出ましたけれども、この円滑化というのは本当に重要な政策の一つでありますけれども、特に、平成十年から特別保証制度、これが導入されまして、我が党もちょうど連立に入るときでございましたから、これを推し進めて、これが逆に地元、各地域の中小企業にとっては本当に砂漠の中のオアシスみたいな形で、ここで救われたという企業がたくさんあると思うんです。

 その一方で、大分景気の回復が見えてきたこの段階にあって、保証制度の見直しの方向というのが検討されているようでございますけれども、中小企業の現状を見ると、そう簡単に見直されていいんだろうか、こういった疑問もございますけれども、ここら辺の方向についてお伺いをしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 信用補完制度につきましては、先生おっしゃいますように、これまでも中小企業の金融の円滑化のために大変重要な役割を果たしてきたわけでございます。

 ただ、しかしながら、この歴史の中で、現在の制度について見てみますと、幾つかの問題点が浮き上がってきております。例えば、本来であれば中小企業の経営への支援であるとか今申し上げた再生の支援であるとか、そういうときに保証協会自身が積極的にもう少し関与していったらどうかということであるとか、あるいは、全体に今一生懸命推し進めております保証人に過度に依存しない融資を拡大していくときに、保証協会は十分に機能しているかどうかとか、そういった中小企業のニーズに十分こたえられていないという御指摘もございます。

 それからもう一つは、このデフレ経済の中で事故率が非常に高まってまいりましたし、回収率の低下もございます。そういったことから、大幅な収支悪化によって運営基盤が脆弱化してきているというような問題点もございます。

 それから三番目に、保証つきの融資に対しまして、保証協会とそれから実際融資をいたします金融機関との責任分担の関係が必ずしも明確でないというような、さまざまな問題点を指摘されているところでございます。

 こういった問題点につきましては、包括的に検討すべく、今、中小企業政策審議会で検討しているところでございます。幅広く検討した結果、この審議結果を踏まえまして、中小企業の資金調達の円滑化に支障が起こらないように十分配慮しながら、必要な取り組みを行っていきたいということでございます。

高木(陽)委員 今、中小企業の資金調達にしっかり配慮したいというお言葉もいただきました。

 ケース・バイ・ケースだと思うんですね。特別保証制度を今までずっと使ったりだとか、借りかえ保証制度もありましたし、そういった中で、そういう特権というか、この制度をうまく利用して、これでしっかりと再生をする、頑張っていく企業もたくさんある反面、それを逆に悪用するのもあったのは確かだと思うんですね。ここら辺のケース・バイ・ケースをしっかり見きわめた上で、検討を進めていただきたいと思います。

 さらに、次の課題として、新産業創造戦略、先ほど平井委員の方からも御質問がございました。これは、産業界の方の評価はかなり高いわけでございまして、今までの役所的なさまざまな戦略から見ると、かなりきめ細かくやっておる、こういうように感じるわけでございますけれども、やはりどうしても枠組みがあるけれども、現場サイドの声というのが最も重要になるというのは、だれもが認めていることでございます。この現場の視点、これを重視していると思いますが、その点について、まずお伺いをしたいと思います。

平田大臣政務官 御指摘をいただいたというか、御評価をいただいたとおりでございまして、できるだけ具体論になるように現場主義を徹底されております。したがいまして、作成に当たって、事務局スタッフにおいては、約三百カ所、延べ七百名以上と意見交換を行っております。

 その結果、我が国の強い競争力を生かして世界で勝ち抜く先端産業群として、御承知ですが、燃料電池、情報家電、ロボット、コンテンツ等を記載し、社会の変化に対応した市場ニーズにこたえる産業群としては、健康・福祉、環境・エネルギー、ビジネス支援と合わせて七つ、戦略分野を記載させていただいております。

 さらに、先ほどからもお話が出ておりますが、地域再生を担う産業群を提示するとともに、人材育成、研究開発、知的財産保護等の横断的な政策を重点的に推進できるように記載をさせていただいたところでございます。

高木(陽)委員 今、大枠、お話をいただきました。

 その中で、質問する前にもお答えをいただいた地域再生、これはやはり重要な問題でございます。産業界、それぞれいろいろな分野がある中で、どうしても、それぞれの核がその地域にあるかどうかによってその地域の発展の仕方が全く変わってくる。そう考えますと、今回の戦略において、大臣が本当に力を入れられて現場からの声をしっかり吸い上げてきた。だからこそ逆にこれは地域にも反映されるわけでありますし、また、人の分野でもこれも反映されてくるとは思うんですが、いわゆる絵にかいたもちじゃありませんけれども、やはり絵だけじゃだめなわけですね。問題は、その後のフォローアップをどうしていただくかということで、これについては、これからさらにしっかりと見きわめていただいて推し進めていただきたいということを要望したいと思います。

 時間も大分参りました。最後の質問に入ります。

 まちづくり三法、これについては、平成十年、それぞれでき上がって、また改正されて、それが中心市街地を初め活性化につながるんだ、こういう思いで、私どももこれを推し進める側でありました。しかしながら、いざふたをあけて、五年間、六年間たってみて果たしてどうだったのか、やはりこの検証は大変必要だと思うんですね。ただ検証するだけではなくて、実は私ども、昨年の党の大会において、重点政策というような形で、このまちづくり三法については見直しの必要性を党として決定をさせていただき、訴えさせていただいております。

 しかしながら、何をどう変えればいいんだ、これは本当に検証が難しい部分であると思うんですね。しかも、これは経産省だけの問題ではなくて国交省も絡んでくるような問題。そうなりますと、省を越えてのすり合わせも必要でしょう。もっと言いますと、それぞれに利害関係者というか当事者がいるわけですから、当事者においても、その制度、法律が変わったから、はい、そうですか、こういうわけにもいかない。今現在仕事をしている、商売をしている、商店街の中でやっている、いろいろな問題等があると思います。

 そういった問題ですけれども、やはりここは手をこまねいていてはいけないのではないかなという思いが強いわけであります。この三法の今後の方向性、どうしていくのか、これについてお伺いをしたいと思います。

小此木副大臣 おっしゃるように、この問題は、まさに学者ですとか知識人の問題提議、そういうことではなくて、生活をされている方々がどのような気持ちを持っておられるかということを、我々も行政も政治家も本当にその地域の人たちも一体となって考えるということが、まさに原点に戻ろうという思いが大切だというふうに思います。

 そういったものの中で非常に難しくなっている点は多々ありますよね。例えば、都市が拡大をして居住者が郊外に移ってしまっている、車社会の進展だ、さらに公共施設が人が移動するに伴って同じようなところに移動している。さまざまな点が挙げられます。

 このまちづくり三法においても、本当に、私どもも、委員もそうでいらっしゃると思いますけれども、町を回って見ている中で感じることが多いかと思います。決して評判のいいところばかりじゃない、あるいは本当に問題視されているということで、現在、多くの意見を聞きながら、見直しを含めた検討にも入っているところでございます。

高木(陽)委員 今、副大臣、お答えいただきました。副大臣は横浜でございますから、首都圏、都市部ですね。私も東京多摩地域でございますし、一方、大臣は北海道。これは全国各地、状況がそれぞれ違うわけですね。この法律、制度によって、全部、大枠ぱちっとはまるかというと、はまらない部分が多いわけですね。

 例えば、地方都市または首都圏みたいな、または大阪圏、関西圏の大都市、または地方都市でもさらに地方というか小さな町、いろいろな中でこのまちづくり三法がかかわってきている。ところがなかなか、フィットしているところもあったと思います、この改正をされて、またこのまちづくり三法として、この六年間の間に、一方、フィットしていないところも多々あるという、ここのところの検証をしっかりしていただいた上で、当事者または利害関係者または役所もまたがってしまうというような中において、本当に、この中心市街地をどうしていくかということも含めて検討を推し進めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 民主党の海江田でございます。

 これから一時間ほどでございますが、中川経済産業大臣を中心に、小泉内閣あるいは中川経済産業大臣がお考えになっております経済産業政策全般についてお尋ねをしたいと思います。

 まず最初に、せんだって当委員会で中川経済産業大臣の所信表明演説を聞かせていただきました。これを聞いておりまして、私は一つ思い浮かびましたのは、今度の国会が始まりました冒頭に、実は竹中経済財政担当大臣が経済演説を行いました。これを聞いておりまして私は唖然としたといいますか、中川さんの話じゃありませんで、竹中さんの演説を聞いておりまして唖然とした。その唖然としたポイントというのは、もはやバブル後ではないということを言い切ったわけでございますね。

 これはもう皆様方つとに御案内だろうと思いますが、昭和二十年、日本が戦争に負けて、昭和三十年の経済白書でまさにもはや戦後でないという有名なフレーズを出しまして、そこから日本は高度経済成長に入っていくわけですけれども、そのことを念頭に置いて、そして、竹中さんの表現をそのまま引用しますと、「私は、不良債権問題の終結が見えた今、もはやバブル後ではないと明確に申し上げたいと思います。平成十六年度末までに主要行の不良債権比率を半減するという目標は、その達成が確実に見込まれます。企業部門でも、リストラの完了によって過剰債務や過剰雇用が解消し、収益力の改善が進んでいます。」と。もはやバブル後ではないと言うその大きな理由に、不良債権の処理が進んでいますよ、これは過剰債務ですけれども、この処理は進んでいます、それからもう一つ言えば、過剰雇用も解消して収益力の改善が進んでいる、これだけの理由を挙げて、もはやバブル後ではないというふうに言っているわけです。

 中川さんはもう少しこの間の演説では違いまして、「基調としては回復が続いております。しかしながら、回復の程度には規模、業種や地域によるばらつきがありますし、海外経済、為替レート、原油価格の動向にも十分に注視する必要があります。」こういうふうに述べられているわけですが、改めてお尋ねをしますが、竹中さんの言うところのもはやバブル後ではないという認識に対して、そのとおりだとお思いになるのか、いや、それはやはり違うんじゃないのというふうにお思いになるのか、お答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 竹中大臣はいわゆるマクロ経済を見るお立場でございまして、役割分担という意味で申し上げますと、私はどちらかというとミクロ、地域、業種、業態、規模を見ますので、私の立場からは、特に私の地元北海道あるいは北東北といった地域、その他の地域、総じていまだに回復の実感がないというふうに言わざるを得ないと思っております。

 もはやバブル後ではないという大臣のお言葉は、例えば今海江田委員おっしゃったように、不良債権が大幅に減ってきた、そういう観点からはそういう表現も適切なのかもしれませんけれども、踊り場という言葉に関しては若干私も、辞書でいろいろ調べてみましたけれども、なかなかそういった、私の立場からは踊り場という言葉が、多分いい意味で、一服といいましょうか、というふうに使われているとするならば、この前の会見でも、踊り場が若干長くなっちゃったみたいな御発言もあったようでございますけれども、まだまだ中小企業、非製造業あるいは地域等々の観点からは、力強い経済の回復という実感は、私の立場からはまだまだもう少し時間がかかるのかなというふうに認識を持っております。

海江田委員 これ、マクロとミクロという形で別に切り離しをして、マクロはもうバブル後ではないんだ、だけれどもミクロではまだまだいろいろな問題が残っているんだ、こういうことではないわけでありまして、やはり現実をつぶさに見ますと、それはとてもじゃないけれどもバブル後ではないというようなことを私は言い切れるようなことでは全然ない。

 しかも、それがいろいろな意味で、具体的にはこれから、まさに踊り場の話もこれからお話をしようと思ったわけですが、やはり一つ一つの政策に当然今の状況を、それこそマクロでどういうふうに見るのかということが大きな影響を与えてくるわけですから、ここはひとつ、きのうも月例経済報告の発表で、お隣のお隣ぐらいですか、座っておられたわけですから、やはりこれははっきりと、バブル後ではないんだというような言い方に対して、どこかで、それは違うよ、実際町を歩いてみて、実際つぶさにいろいろなところから聞き取りをして、それは違うんじゃないかということをどこかで言っておく必要があると思うんですね。

 私なんか本当に、町を歩いておりますと、やはり確かに不良債権の処理は進んでいますけれども、その不良債権の処理が進んだ反面の影響というのも出ているわけです。私は漢詩が好きなわけですが、お若い方もたくさんいますが、これは乃木大将のつくった有名な詩で、「金州城下」という詩なんですが、「山川草木轉荒涼 十里風腥新戦場」ですね。それから、その後が「征馬不前人不語 金州城外立斜陽」、こういう詩なわけですよ。それはまさに、戦争が終わった中で死屍累々として血なまぐさい。そこへ視察に行ってそういう詩を詠んだわけです。

 私は、やはりこの不良債権の処理については、まさに死屍累々で今はまだまだ血なまぐさいというのが現状だろうと思うので、このときに、もう既に処理が終わった、そのことをもってもはやバブル後でないということを言うのは、竹中さんからしてみれば、もうこの問題終わったから次はまさに郵政の改革だということをおっしゃりたいんでしょうけれども、それはやはりちょっと違うんじゃないのというふうな認識をしておりますので、ぜひそこは中川さんも、まさにこの経済産業の現場を運営していく一番重要な立場にあるわけですから、間違った認識をぜひ、幾ら隣か隣のもう一つ隣ぐらいの席で声高にこういう間違った認識を述べられても、ゆめゆめ影響されることのないようにまずお願いをしておきたいということでございます。

 踊り場というのは、きのう報告のありました月例経済報告でありますが、実はこれは、当然その前に、たしか二月の十六日に発表されました去年の十月―十二月のGDPの統計も踏まえて今度の月例経済報告ということになったんですが、やはり数字は、とにかく一月と比べてみましても悪くなっている。特に悪くなっておりますのは個人消費でございますけれども、個人消費は一月は少しよくなったのかなというふうな見方もあるんですが、ただ、全体として、この月例経済報告の基調は、回復が緩やかになっているという一月と同じような表現を使ってしまった。あえて私は使わざるを得なかったんだろうと思いますけれども、やはりそういう状況がある。

 それから、踊り場というのは、竹中さんが言っている踊り場というのは、要するに、経済全体は上昇過程にありますよ、だけれども、上昇過程にある中で一たんここで足踏みの状況が続いているのであって、まさに階段で上り階段を上っている途中でその階段の踊り場があって、ここから、特にことしの年半ばからもう一回再浮揚しますよ、こういうことを言っている踊り場なわけですね。だから、果たして本当にそうなんだろうかどうなんだろうかということで、特に私が気にしておりますのは、やはり日本の経済の回復というのは本当は改革なくして成長なしで、改革をやったおかげでほら成長してきたじゃないかということを言っておるわけでございますが、ただ、では、本当にその改革の成果として成長が出てきたのか。

 例えば、従来の景気回復が外需に依存をして、輸出の製造業が景気がよくなって、そこに働いている人たちの給料をふやしていって、そして個人消費を拡大していく。あるいは、そうやって企業が収益が上がってくれば税収が上がってくる、その税収が上がってくるものを公共投資という形で地方にばらまいて地方の経済を活性化する。こういう二通りの、二つの回路を通じて日本の景気全体がよくなっていく、こういうサイクル、あるいはルートがあったわけでございますが、今は、企業の収益は確かに上がっているけれども、それはとてもじゃないけれども企業の働いている人たちの賃金の上昇にはつながっていかない。それから、もちろん、税収は上がっても、それをとてもじゃないけれども地方に公共事業なんかでばらまいていく余力はない。

 そういうやり方はもう通用しないということで、いわば経済を全国的に、あるいは企業だけじゃなくて企業のところの収益をどうやってやはり働いている人たちに還元をしていくかというそのサイクルが断たれてしまっているわけですから、だから今度のこの景気回復というのは非常に難しいわけでありまして、その意味でいうと、本当に改革の成果が上がって、そしてそれによって成長してきたということには私はならないと思うわけです。

 まさに中川さんがこちらで、この委員会でやった所信表明の中にも、まさに地域のばらつきの問題、さっき御自身の口で北海道の問題のお話がありましたけれども、北海道だけじゃありません、各地方の地域の問題。それから、やはり個人の消費の問題。それから、外需に依存していますから外国の景気、中国の景気がどうなのか、アメリカの景気がどうなのか。あるいは、原油価格がどうなのかといったことがやはり心配になってくるわけでございますから、中川さんがお話しになった、演説をされましたその中身というのは、所信表明は、まさに私が言っていることがそのままだろうと思うんですけれども、そういう認識でよろしゅうございますか。

中川国務大臣 とにかく、今非常に大事な時期にあるんだろうというふうに思っております。データもいろいろな、よくなっているデータもありますし、そうではない、悪化しているデータもあります。

 先日、私は青森へ行って、有効求人倍率が〇・九二という数字が出まして大分雇用状況もよくなったのかなと思っておりましたけれども、青森の有効求人倍率は〇・三七ということで、大変私はびっくりいたしました。

 雇用状況が全体としてはよくなっていますけれども、まさにミクロ的に見ますとそういう状況もございますし、そういう意味で、まさしくこれからよくしていくために非常に大事な時期に来ている、油断はできないという意味では、海江田委員と認識を、緊張感を持たなければいけないという意味では共通しているものというふうに理解をしております。

海江田委員 やはりそういう認識を持っていただきますと、一つ一つの施策についての判断も当然違ってくると思うんですね。

 今国会にも幾つかの法案が準備をされていますけれども、法案についてはこれからじっくりと時間をかけて議論をするわけですからきょうは触れませんが、先ほど、中小企業庁の望月長官から答弁があって、高木委員からの質問がございましたけれども、例えば中小企業の信用補完制度の問題も、これはやはり今の経済の現状をどういうふうに認識するのかといったことと大変大きな問題がありまして、幾つか、四点、五点にわたって先ほど望月さんからお話がありました。

 あのとき聞いておられなかったかもしれませんけれども、特に大事なのは、やはり保証の割合を八割程度、金融機関の保証の範囲を八割程度に縮小してはどうだろうかというような意見が出ているというふうに私は聞いておるんですよ。

 これはどうしてかというと、実は、これのもとになりますのが、先ほど竹中さんのお話をしましたけれども、これは毎年毎年財政制度等審議会で、実は平成十六年度のときも平成十六年度予算の編成等に関する建議、今度も平成十七年度予算の編成等に関する建議という形で出てきているわけですよ。

 この中で、「中小企業対策」で「部分保証の大幅な拡大や保険料の一層の引上げなどの制度改善を図っていくことが重要である。」これは「大幅な拡大」と書いてあるけれども、その前に「部分保証の大幅な拡大」なわけですよ。今までは一〇〇%だったものが、金融機関が、信用保証協会が、一〇〇%これは保証がつきます、ではお貸ししましょうということだったのを、部分保証ですから、そこで一番出ているのが八割保証。二割縮小して八割保証という議論が出ているんですが、この八割保証のことについてどういうふうに、望月さんでいいですから、現状どういう議論になっているのかということを御報告いただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、誤解を招くといけませんので、八割という話を軸に議論をしているかどうかという話は、これはございませんので、まずそこのところはちょっと訂正させていただきたいと思います。

 それから、保証協会の行います保証については、現在一〇〇%であるということは、それを一般としておりますのは事実でございます。部分的に特別な保証については九割になっているところもございますけれども、これは特別な保証でございます。

 それで、この保証が一〇〇%であることについての問題点というのは、財政審が今建議でおっしゃいました話は、恐らく財政負担の問題を中心として御指摘になっているんだろうと思っております。私どもは、本件は、財政負担の問題ももちろん重要な問題ではございますけれども、保証制度そのものはもう少し幅広い視点から見るべきではないかと思っております。

 一〇〇%であることによりまして、実は金融機関による適切な審査が行われているかとか、あるいは金融機関によってその後の管理がきめ細かな経営支援が同時に行われるようになっているかどうか、そういう問題点、そういう懸念があるということから、本当に一〇〇%保証のままでいいのだろうかという問題提起が一方でなされております。それから、他方、単純に部分保証制度を拡大した場合には特に業況の厳しい中小企業や零細企業に影響が出るのではないか、つまり、資金の流れが悪くなるという意味での影響が出るのではないかという懸念も一方で表明されております。

 私どもといたしましては、こういった双方の問題認識を踏まえながら、保証協会と金融機関の責任分担のあり方について検討をしているということでございますので、今後、できるだけ早急にこういうものについては考え方を示したいと思っておりますけれども、そういう両方の問題意識があるというふうに考えております。

海江田委員 八割と言ったのは私も例で言ったわけですが、ただ、八割にならないという保証も全然ないわけですよ、はっきり言って。八割になりませんよというんだったら言っていただければいいと思うんですがね。

望月政府参考人 ちょっと局部に引っかかって申し上げましたけれども、ただ、若干、新聞報道などで八割という数字がひとり歩きをして、八割がいいのか悪いのかという議論が少しされたものでございまして、私としては過敏に少し反応をしたところでございますけれども、一般的に部分保証を導入すべきかどうかという議論が今行われているというふうに考えております。

海江田委員 ここはね、大臣、大事なところなんですよ。やはり、ペイオフがこれからスタート、完全実施されますから、本当に今中小の金融機関を見ますと、外から見えるように、窓のところに、ドアのところに、うちの自己資本比率は一四%ですよとか、うちの自己資本比率は一二%ですよとか書いているんですよ。こんなことは今までなかったですよ。それは、中小の金融機関が自分のところに本当にお金が集まってくるかどうかというのは、まさに自己資本比率が差し当たって一つの大きな基準になるわけですよ。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

 そうすると、この信用保証協会の保証のついた融資というのは、たしかこれはリスクウエートは一〇%なんですよ。リスクウエートが一〇%だということは、いいですか、そんなに難しい話じゃないですから、これは。一千万円貸し出しをしたと、一千万円貸し出しをしたら、百万円だけはこれは資産の方に繰り入れをしなきゃいけないんですよ。

 自己資本比率というのは、自己資本が分子でもって分母が資産ですよ。その資産というのは九割までが貸出資金なわけですよ。その貸し出しについて、まさに保証協会の一〇〇%の担保がついているから、これはリスク分としては一〇%の百万円でいいですよと。こういう時代になってきて、少しでもこの自己資本比率を高めようとしたら、自己資本の部はそんなに変わらないんだから、そう増資やるわけにもいかないから、変わらないから、そうしたら貸し出しの方の、つまり資産を圧縮すれば自己資本比率はすぐ高くなるわけですよ、これは。おわかりになると思いますね。

 しかもそのときに、今までだったら、一〇%ですから、一千万円のうち百万円をリスクアセット、資産の方に入れればよかったのが、今度仮に八割だと、八割でもって二百万円は、それは入れなきゃいけないわけですよ。一千万円のうち二百万円は入れて、保証はついていないから、二百万円ついて、残りの八百万円の一〇%ですから、さっき言った、こっちは保証がついているから。ということは、二百八十万円分母の方に入れなきゃいけない。結果的にそれだけ自己資本の比率が減ってくるわけですよ。

 だから、ただ単に、この答申でもってそういう八割にするということを決めた瞬間に、これはほっておけば、もちろん新規の貸し出しですけれども、新規の貸し出しは自動的に、今まで百万円だったものが二百八十万円ですから、二・八倍になるわけですよ、これは。三倍近くになるわけですよ。

 そういうような貸し出しに対して急激なブレーキを、それは、もう貸し出し態度がどうのこうのとかいうことじゃなくて、というか、もうそこで、決めた瞬間にそういうことが起きてくるわけですよ。だから、ここのところはよっぽど慎重にやらなきゃいけない、そんな簡単に金融機関の責任と、それから保証機関の方の責任を分け与えるとかシェアしなきゃいけないとかいう話では私はないと。

 それから、実際に、中小企業の政策審議会の中で、信用補完制度のあり方に関する検討小委員会、これは去年の十二月十七日にスタートをした、発足をした。先ほどお話をした平成十七年度予算の編成等に関する建議は、まさに十六年の十一月十九日ですから、こっちは西暦で考えているけれども、十一月十九日に財政制度審議会が先ほどお話をしたような方針を出して、部分保証の拡大、そういうことを出して、すぐそれでもって中小企業政策審議会が小委員会をつくって、さあ勉強を始めたということなわけですよ、これは。

 その中に、やはり今細かな状況もありますよ。そうすると、細かなデータを見ると実は完全に二分化しているんですよ、今のこの中小企業の銀行からの借り入れというのが、借入金に対する信用保証つき借り入れの割合というのは。

 これは中小企業庁自身がまとめたデータの中で、平成十年を境として、プロパー借り入れと保証借り入れとの二極化が進行していると。別にそんな保証がつかなくてもちゃんと銀行から借りますよというような借り入れの企業の部分と、やはり保証がつかなきゃどうしようもないんだというところ、二極分化をして、両方あわせて借りているというパーセンテージがずっと少なくなっているんですよ。

 これはまさに、それこそ本当に信用保証協会の保証つきの融資に企業が二極分化していく、そしてその中で落ちこぼれているという、まあ落ちこぼれている、今現在ですけれどもね、そういうような企業がこの信用保証協会の保証つきの融資でもって生き長らえているという現状があるんですよ、これは。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

 それはもう全部切ってしまっていいと、それこそ竹中さんの言うように、勝者が勝てばいいんだと。勝者は当たり前ですけれども、勝てばいいんだ、競争をやって勝てばいいんだということであれば、それはさっき言ったようなお話で、部分保証を拡大してもいいけれども。だけれども、そうでないのならば、できるだけやはり多くのところから、特に雇用もたくさん抱えていますから、しっかりとこの人たちを、ちゃんと立ち直りをしていってもらい、血液の融資、ちゃんと金融をつけていこうと思ったら、やはりここのところは今手をつけるべきじゃないと。

 しかも、先ほどお話をしたように、ペイオフの解禁もあって、金融機関は前と違うんですよ、去年やおととしと違うんですよ。まさにこの四月から、自己資本比率というものが自分たちのところの健全性を示す。本当はそれだけじゃないんですよ。本当はそれだけじゃないけれども、一般の預金者だとか一般の利用者にとってみればもうそれしかないから、どんどんどんどん金融機関がそういうことを前に出してくる。こういう状況を総合的に勘案をしたら、私は、そんな軽々にこの財政審が言っています部分保証の拡大なんということに乗るべきじゃないというふうに思うんですが、いかがでしょうか、大臣。

平田大臣政務官 委員の問題意識というのも我々も十分共通して問題意識を持っておるわけでございますし、中企庁長官が申し上げましたように、三点ほど申し上げましたけれども、その点を踏まえて慎重に検討をしてまいりたいと思います。

 バブル崩壊後、私自身も、数百社、地域の中小企業の資金繰りを面倒みてまいりましたけれども、大体、自分が金融機関の担当者なら金貸せないなというところがほとんどでございますので、そのために今の保証制度を少しでもなぶれば、その分信用が収縮するという状況も実際にはあるんだろうというふうに思います。それは業種であるとかさまざまございますけれども、ミクロでしっかり、大臣も申し上げましたように、ミクロの視点というのを忘れずに検討してまいりたいというふうに思います。

海江田委員 大臣、それから副大臣もそうですけれども、ここはやはり政治がイニシアチブをとらないと、今の流れからいきますと、それは申しわけないけれども、中小企業庁の長官は何と言うか知りませんけれども、八割だって絶対にならないとは言えないわけだから、これは。もうそっちへどんどんどんどん動いているんですよ、これは、はっきり言いまして。だから、ここはしっかりと、政治がまさに本当に主導権を発揮して、これはもうストップしろ、この問題だけは手つけちゃだめだよ、大変なことになるよというようなことをやはり言わなきゃいけない。

 ここに、中小企業家同友会の全国協議会と、私は東京のこの協議会の人たちと会っていろいろな話をしたんですが、東京の人たちは緊急アンケートをことしの一月にやりましたけれども、やはりかなりあれですよ。御社は信用保証協会つき融資を利用していますか、七四%の人たちが利用していると。御社の資金繰りで保証協会つきの融資をどの程度当てにしていますか、ないと困る、当てにしているが、両方合わせて六〇%ですから。

 さっきもお話をしたように、二極分化が起きているわけですから、それを切り捨ててしまおうというのならそれでもいいですけれども、そうでないならば、ここのところは非常に大事なところですので、ぜひ、そういう認識を私は持っていただきたいということ。これはもう一回、重ねての私の要望というか、言っておきます。

 それからもう一つ、中小企業の問題でぜひ大臣にも目を通しておいていただきたいのは、これは実は衆議院の調査局の経済産業調査室ですから、そちらの皆さん方がこういうのをつくっているんですよ。「グローバル化の進展と地域経済」という、委員のところにはみんな配られているはずですから、もう既にお読みになったと思いますが、これはなかなかしっかり仕事をやっていますよ。地方を回って、現地調査もやっているんですね。

 たまたま、ついこの間、二月一日のNHKの「プロジェクトX」ですか、あそこで紹介されましたヒロボーという広島県の会社の例があったんですね。あのテレビは僕は見なかったんですけれども、見た人の話を聞くと、余りよくわからないということを言っていたんですが、「町工場・復活のヘリコプター」といって、ごらんになった方もいらっしゃるようですが、これはヒロボーですから、名前が紡績会社であったわけですけれども、紡績業だけでは立ち行かなくなって、たまたまその社長の、松坂社長という、お父様が何かラジコンをやっていた、自分もプラモデルが好きだったとかいうことで、結局ヘリコプターをつくって、そのヘリコプターが農薬散布だとかいろいろなことをやっていって立ち直りをしたわけです。そのドキュメントをテレビでやっていたんですが、こちらの経済産業調査室がまとめましたレポートで、この松坂社長という人は大変いいことを言っているんですね、NHKではその部分がなかったやに聞いておりますが。

 「卓越した経営者の哲学―長期的視野に立った「四次元金融論」」ということを言っているというんですけれども、この松坂社長は、担保、これはお金、人(経営者)、それから技術という三要素に時間という軸を加えた独自の金融哲学を四次元金融論と名づけている。ここからですよ。

  日本の中小企業の資産の中で最大のものは、「時間」である。新規事業は一生を賭けて立ち上げて、その後で債務を返済すれば良い。銀行にとってリスクはあるが、終局的には銀行も儲かることになる。中小企業のオーナー経営者の強みは、大企業の様に株主の顔色を見て短期の利益を追求する必要がない点である。日本のオーナー経営者は、儲かったからといって会社を売って、南の島で遊んで暮らそうなどとは思っていないし、儲けは事業に再投資する。だから、地域社会も長期的に潤うことになる。

  従来、我が国には、短期的に資金が欠乏することがあっても、銀行との長期の信頼関係によって何とかするという、「担保+時間」という考え方があった。地方銀行は、本来的にこうした考え方でやってきたはずであるが、金融庁がそれを歪めた。

 「リストラによる財務内容の改善よりも積極的な新事業展開を」これはタイトルですな。

  日本の中小企業には、経営者が命懸けで一生やり通すという風土があり、市場経済の理論ばかりで行動している訳ではない。リスクとリターンばかりで議論しても新しい事業は育たない。米国は「儲かったら止める」が前提かも知れないが、日本の中小企業は、継続が前提となっている。

あと、いろいろありますけれども、やはりここで言っているのは、もう少し引用しますと、

  会社に金を貯めて財務諸表を改善しようというのは、縮小均衡的な考え方である。新事業に投資しようとすればリスクも大きく、相当な資金を投入しなければならなくなるので、当然、財務バランスも悪くなる。しかし、それでもやり抜かなければ、新産業は興らないし、そのためには時間が必要だ。

こういうことを言っておるわけですよ。

 こういうような声を聞けば、この会社がそうした信用保証協会の保証が必要かどうか、融資が必要かどうかはわかりませんけれども、やはりここの会社だって十年という時間が必要だということを言っているわけですよ。

 だから、冒頭に私が話しましたように、確かにバブルが一番大きく膨らんで崩壊をしたときからもう十年はたったけれども、まだまだ死屍累々なわけですよ。血なまぐさいわけですよ。だからそのときに、先ほどの話だと、もうそろそろいいんじゃないかとかいうような話になると、やはりこれから助かるものが助からなくなってしまうので、そういうことも含めて、日本の中小企業のこれまでのあり方、それから、これからも大変な競争の時代だけれども、金融環境は変わったけれども、それだけれども、時間さえくれればしっかりと立ち直っていこう、こういうような考え方がある以上、やはりそれに対して政治はバックアップをすべきじゃないだろうかというふうに思いますので、ぜひこれはもう一回、この点について中川大臣、答弁をお願いします。

中川国務大臣 日本の経済を支えている土台といいましょうか、底力は中小企業でございまして、そこが今、先ほど申し上げましたように、非常に大事な時期に来ているわけでございます。

 そういう中で、今海江田委員からは、主に保証、特に部分保証についての御議論がございましたが、中小企業支援策というものは、これ以外にも新しいいろいろな制度を今導入しているわけでございます。例えば売り掛け債権担保保証でありますとか、あるいはまた証券化の問題であるとか、いろいろなことをやっているわけでございまして、多種多様な融資あるいはまた担保保証というものを、メニューをいろいろと広げているわけでございます。

 そういう中で、先ほど中小企業庁長官からも答弁ございましたけれども、これについても、一長一短といいましょうか、いろいろな議論が現実にあるわけでございますので、審議会等で今まさに議論をしているところでございますが、いずれにしても、中小企業に対してのきめ細かいいろいろな諸制度の充実というものについては今後も大いに検討し、必要な施策はとっていく必要があるというふうに考えております。

海江田委員 いろいろありますというような話では、私はこの点だけに絞って話をしているんですよ。それは何よりも、さっきも、繰り返しになるけれども、やはりこのままだと肝心の金融のところが、血液のところがおかしくなるので、これはまさに、それは確かに審議会だとか小委員会だとか、学者さんたちもたくさんいるわけだから、この人たちは何か常に新しいことを言わなきゃ仕事にならないわけですからね。やはり一番、本当に、私たちだってみんな、新年会だとか、先ほど小此木副大臣からも話があったけれども、生の声を聞いているわけだから。

 だから、皆さん方が聞かなければ、本当に私たちのところへどんどん話が来ますよ、これは。もう与党頼りにならぬ、自民党頼りにならぬ、これからはもう民主党だという話になるので、まあそれでもいいんですけれども、だけれども、ここは今、まあ当面は、解散までは皆さん方に政権があるわけですから。そこの……(発言する者あり)解散まではありますよ、それは。それで、しかもそこのところに、まさにそういうような学者だとか何だとかは、それはいろいろなことを言いますよ。

 それから、財政のことだけを考えれば、確かに当面の目先の財政だけのことを考えれば、確かに保証協会が、これはまさに貸し倒れの部分があるのでそういう負担も出ていますよ。だけれども、これも、まさに日本の中小企業というのは金の卵を産む鶏なわけですよ。だから、これを育てていって税収が入ってくれば、またそれは目先の税収だけの話じゃなくて、長期的に考えればちゃんとつじつまも合うわけですから、そういうことも含めて、ぜひそこは、中川さんならそういうことを言ってくれるのではないかと一縷の望みを持ったわけでございますが、それも断たれたということで、大変残念でございますが、まあこれはしようのないことですね、それはやはり今の与党の限界だというふうに考えておりますが。

 先ほどの商店街の問題も、高木さんもいい質問をしましたけれども、やはり答えがどういうふうになっているんだかよくわからぬのですよ。これは一つだけ事実として、平成十七年度の予算で、いわゆる商店街振興のためどのくらい予算を計上しておられるのかということをちょっと教えてください。

望月政府参考人 平成十七年度の予算の中で、商店街関係でございますけれども、積極的に、前向きに取り組む商店街の支援をするために、アーケードなどのハード施設の整備や、あるいは専門人材の派遣や新規創業を行う人材の育成支援、駐車対策やイベント開催等のソフト事業など、ハード、ソフトの両面にわたるきめ細かな支援を関係自治体と連携してやってございます。

 細かくはあれでございますけれども、十七年度予算案トータルといたしましては、合計約百億円。十六年度、ほぼそれに見合うものが六十九億円ぐらいでございますから、そういう意味では、力を入れて増額をしたということでございます。

海江田委員 今、百億円というお話がございましたけれども、確かに百億円、四千万ぐらいですかね、百億四千万というのがことしの、これは先進的取り組みへの総合的支援から始まって、中心市街地、商店街等に対するハード、ソフトの総合的支援とか云々かんかんありまして、百億円と。

 ただ、これはいかにも少ないなという印象があるわけですよ。何か全国の牛を飼育している農家に対する支援がこの倍ぐらいあるとかというような話もあるわけでございます。

 ただ、百億が少ないという話で、私も個人的に聞いてみたんですけれども、実際、例のまちづくり三法をつくったときに百二十億ぐらい計上した。ところが、実際には百二十億使い切ることができなくて、その後ずうっと減らされて、それこそさっきもお話がありましたけれども、十六年度で六十九億円ですか、それから十五年度が八十四億円と、大体ずっと百億を切っていたわけで、やっとことしの予算で百億の大台に戻ったということです。

 結局、まちづくり三法をつくって意気込んだんだけれども予算も消化し切れなかったということは、実はそのまちづくり三法にかなり大きな、つくった年から、それだけでは不十分であったということが言えるわけですし、それからもうできて六年たっているわけですから、これの大幅な見直しというんですか、先ほど見直しも含めた検討に入っているというような、これは小此木さんから答弁があったわけですが、私なんかから言わせれば、本当は今度の国会に出てくるんじゃないだろうかというふうに実は思っていたわけですよ。だけれども、今度の国会にはどうなんですか、出てこないんですよね、これは。そこも含めて、それでちゃんと見直しをするんだ、ではいつまでに見直しをするんだということをおっしゃってください。

中川国務大臣 全国どこへ行っても中心市街地活性化問題、あるいはシャッター通りの問題が本当に切実な問題として出てきておりますので、先ほど小此木副大臣からも答弁いたしましたように、見直しも含めて検討ということで早急に、これは経済産業省だけの問題じゃございませんので、都市計画法等ございますので、関係省庁とできるだけ早くやっていかないと、先ほど申し上げたように、どこへ行ってもそれこそ要望、陳情が出てまいりますので、早急に対応していきたいと思っております。

海江田委員 もちろん、まだスタートをしていないわけですが、スタートをするということで、後で、ではいつごろからスタートさせると、もちろん他省庁、農水省だとか国土交通だとかありますけれども、それも含めていつごろからスタートするかということを教えていただきたい。

 それから、その際まず真っ先に、これは今からでもできるわけですけれども、大店立地法の指針見直しももちろんやらなきゃいけないわけで、これは実は予算委員会で中山委員も大店法の問題については随分質問して、そしてそれに対する中川大臣の前向きな答弁もあったやに聞いております。これは当然、大店立地法の指針見直しはやらなきゃいかぬということだろうと思いますけれども、まちづくり三法制定当時の産業構造審議会流通部会と、それから中小企業政策審議会流通小委員会の合同会議が答申を出しているはずです。もう今から六年、七年前ですか、日時的に言うと。

 この答申がこの間どのくらい実現が図られたのか、六年の間にどのくらい図られたのか。ここの検証をまず第一にやることが必要だというふうに思うので、まず、いつからスタートするのか、そのスタートをする際は、今私がお話をしたこの合同会議の答申がどのくらい実現をしておるのかということは、当然のことながら検証の一つのポイントとして、スタート台としてこれをやるんだということをお答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 先生今御指摘になった産構審の流通部会と中政審でございますけれども、今、中政審はちょっと組織改革をしまして名前が変わっておりますが、産構審の流通部会と中政審の商業部会というものが昨年の秋から既に実はまちづくり三法をめぐる問題についての検討は開始をいたしておりまして、とりあえず制度上、今年度内に先ほど御指摘あった大店立地法の立地指針の方を改定しなきゃいけないということで、先にそれをやってございまして、ほぼその案ができつつあるところでございます。引き続き、まちづくり三法のこれまでの評価というものを継続検討を今し始めた、既に始めたということでございます。

 これにつきましては、この審議の経過にもよりますけれども、できるだけ早くこの検討を済ませて今諸先生方の御指摘について、私どもなりの考え方の糧にしたいというふうに思っているところでございます。

海江田委員 本当にこれもぜひ早くやっていただきたい。しかも、先ほどお話ありましたけれども、他省庁とまたがる部分が随分ありますから、そこは本当は省庁の縄張り意識を大きく取っ払ってしまう政治力が必要ですから、まさにそれができるのかできないのか。またこの間のような、それぞれの省庁の縦割りの中で若干の手直しだということになると、本当に全国の商店街の人たちは大きく失望することになりますので、そこはぜひいいものをつくっていただきたい。

 それから、私どもも既にもう民主党の経済産業の部門会議の中で、まちづくり三法をどういう形で見直しをして、どういう新しいものをつくればいいかということを勉強し始めております。勉強というか、もう作業を開始しておりますので、どっちがいいものを出せるのか、余り政府の方が遅いようだったらこっちが先に出しますので、議員立法でやるというような、これは筆頭も言っておりますので、ぜひそういう形で競い合いを私はやりたいというふうに思っております。

 それから、次の問題で、ちょっとこれは事前の通告はないんですが、先ほどの与党委員とのやりとりを聞いておりまして、日韓のFTAの問題。きょうの新聞にも出ていますけれども、まあこれは先ほどのお話ですと、どうも中川経済産業大臣、自分が、よし、ここは何としても早く取りまとめようということよりも、本当は中川経済産業大臣はそういう意思が大いにある、ありありしているというふうに私は見ておるんですが、何か総理がこれからいろいろ訪韓というか日韓の首脳会談もあるから、そのくらいまでには何とかなるんじゃないか、総理が何とかしてくれるんじゃないかみたいにちょっと私は聞こえたんですが、この問題にかける意気込みといいますか、ここは大事ですから、もう一回改めて御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 先ほど申し上げましたのは、ことしじゅうに何とか合意したいということでございますけれども、これは私の印象もあるんですけれども、全体として高いレベルのEPAを締結するという作業が今のところちょっとスピードダウンしているということでございますので、きのう主な、外務大臣それから農水大臣と私とで、今後この打開に向けてやっていきたいということで話し合いをしたところでございます。

 総理に会うのは六月だったかな、日韓が、APECのときかな、いずれにしても総理にげたを預けるということは考えておりません。さっき申し上げたのは、FTA、EPAの最終責任者は私小泉純一郎であるということをはっきり申し上げたということを申し上げたので、実務の責任者は我々でございますので、我々で最大限の努力をしていくという趣旨で申し上げたところでございます。

海江田委員 それを聞いておるとげたを預けたように聞こえるわけですね、これは。まさに本当に実務の一番の責任者は経済産業大臣だという意気込みでやっていただきたいと思いますし、たしか、去年の十一月からもうとまっているんですよね、この話し合いが。たしかそうだろうと思います、これは。ですから、ちょっと長引いてきますし、それから、これはちょっと話が外れますけれども、最近の日本の外交あるいは諸国との関係づくりなんかを見ていますと、どうも、やはり隣近所との関係が余りうまくありませんな、これは。オーストラリアだとか、それからインドだとか、遠いところの、アジアの中でも遠い国々はそれなりに日本に対して協力をしてくれるということですが。やはり、善隣外交という言葉もありますが、あるいは別なところで遠交近攻とかね。遠くを攻めて近くと交わるとか、逆ですか、これは。遠くと交わって近くを攻めるとか、いろいろそれはあるわけでございますが。

 やはり、日本と韓国、それから日本と中国、この問題は、お互いが引っ越しをしていくことができないわけですから、それから、もちろん日本と中国との間には、これはエネルギーなんかの問題をめぐりまして大変やはり深刻な問題もあります。ただ、これも一つは、やはり日本の国が、中国は、はっきり申し上げまして一つの大きな戦略を、エネルギー戦略、それから、いよいよ、これまではどうしても内陸国だった、大陸国だったということで考えておりましたけれども、実はもう、あれはトウショウヘイさんの終わりの改革・開放経済をやった途中で、もう終わりのころで、八〇年代の後半に、もうこれからは外洋国家として生きていこう、外洋国家としての色合いを強めていこうということで、かなりこれは軍部も含めた一つの大きな戦略を出してきたわけです。

 当然、改革・開放経済をやっていくからエネルギーも大変に必要になってくるという話で、それこそ、毎年毎年一〇%ぐらいエネルギーの需要というか輸入も伸びているわけですし、もう輸入国になっている。当然のことながら、改革・開放経済をやっていけばエネルギー問題が非常に重要になってくるから、そのときはやはり海底油田の問題だとかいう話も、日本人もどちらかというと、中川大臣がテレビの番組でこうやってコップに、ジュースにストローを入れてすうっと吸って、そこから何かわかったみたいな話ですが、やはりそういう意味では戦略が大変立ちおくれているんですね、これははっきり言いまして、国としての戦略が。

 やはり、そういう中で国としての戦略を位置づけしていく、まずしっかりと。それと同時に、やはり日本は日本としての国益を主張していく。だけれども、そのときはお互いにやはり話し合いの精神というものは守っていかなきゃいけないわけで、今、この日中のエネルギーの問題を、例えば第三者の国際の司法裁判所の問題でありますとか、まず両方でお互いの国同士が話し合うというのが大原則でありますが、その大原則が行き詰まったときには、やはりそういう形で問題解決を図っていくということも大事ですし、それから、そのためには、まず何よりも日本の国としてのエネルギー戦略はどうなんだと。やはりそういうことを打ち出していく必要があるのではないだろうかというふうに考えておりますが、この点について大臣のお考えを。

中川国務大臣 それはもう海江田委員のおっしゃるとおりでございまして、日本は、エネルギー資源がほとんどないという中で、どうやって安定的にエネルギー、石油、天然ガスを初めとしてエネルギーを確保していくかということが、ある意味では国の基本方針であります。と同時に、特に隣国との友好関係というものも十分配慮していかなければなりません。

 この場合、隣国との友好関係というのは、日本にとっての中国、中国にとっての日本だというふうに思いますので、一昨年の十月以来、いわゆる係争水域と言われているところで石油の、ガスの採掘が着実に進んでいるということに対しての、ぜひ事情説明、データの説明をしてもらいたいというふうに言い続けているところでありますが、現時点においては、きちっとした向こうからの応答がない。去年の十月二十五日に、うちの小平長官と外務省の薮中局長等で話し合いをしたわけでありますけれども、有意義な会談にはならなかったということは大変残念だと思っておりますが、引き続き、我々としては誠意を持って先方に働きかけをしていきたいというふうに考えております。

海江田委員 両者で話し合いをして決着がつかない、あるいは中国側が今データを出してこないような状況ですから、そのままいつまでも放置をするんじゃなくて、そこはやはり、先ほど第三者機関と言いましたけれども、国連の場でも、中国側は大分アピールしているんですよ、かなり、積極的に国連の場なんかも使っても。しかし、日本側のそういうアピールというのは余り聞きませんし、それから、国連の場でのアピールということだけじゃなくて、やはり司法裁判所の問題でありますとか、そういうことも含めた第三者に対する働きかけということも私は大切だろうと思いますがね。

 やはり、いつごろまでにそういうことをやるという時間的な目盛りを持っていませんと、それこそ、もう四十年ぐらい、本当に鉱区の設定からあれからほったらかしにしておったなんというような例もありますし、やはりそういう意味では、なるべく早くに、この問題の解決に向かって、日本が能動的な働きかけ、中国だけにじゃなくて、そういう第三者機関なんかに対する働きかけをやるべきだと思いますが、もう一回御答弁を。

中川国務大臣 一つ一つステップを追ってやっていくことが大事だろうと思っております。そういう意味で、今外国船を借りていわゆる三次元の地質構造調査をやっておりますけれども、先週、その中間発表をさせていただき、また、外務省も中国大使館を呼んで改めて抗議をしたわけでございます。

 国際司法裁判所とか、あるいはまた試掘、採掘とか、いろいろな選択肢がこれから可能性としてはあるわけでございますけれども、今の段階ではまだまだ、データの解析、この後いろいろな解析がまだまだ残っておりますので、これをできるだけやるということが最優先に求められていることだと思いますので、今の段階では次のステップに進む、進まないという判断はしておりません。できるだけ早く、今持っているデータをきちっと解析して、先週申し上げたように、これが春暁あるいはまた断橋に向かって構造がつながっている可能性が高いということが現在我々が把握しているデータでありますけれども、より精密なものをきちっと解析していきたいというふうに考えております。

海江田委員 それはぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 それで、もう一つ。いよいよ京都議定書の発効に絡みまして、きょうの朝のニュースでちょっと流れていたようなんですが、これまでの経緯からいくと、CO2の排出量の問題を、総合エネ調の方は九%の削減を目指しますよと。それから、環境省の中環審ですか、ここが一二・四%という形で、同じ政府から出てくる数字が二つあるということで大変混乱をしていたわけでございますが、これは当然、今度一本化されたわけでございますね。その数字をちょっと教えてください。

小平政府参考人 CO2等の温室効果ガスの排出量の二〇一〇年におきます見通しでございますけれども、ただいま委員御指摘のとおり、昨年は少し私どもと環境省との間で数字等違いがございましたけれども、これを鋭意相談をしてきておりまして、これは環境省のみならず国土交通省等とも相談をいたしておりまして、実は本日の午後に、私どもの方の総合資源エネルギー調査会の需給部会、それから環境省の方では中央環境審議会で御審議をいただきまして、両方とも、そこで御審議いただく案は数字は同じでございまして、そこで御審議をいただいた後、政府全体の共通の見通しとして御提示をしたいというふうに考えております。

海江田委員 その数字はまだ言えないわけ、縛りがあって。

小平政府参考人 今申し上げましたとおり、数字の案はございますけれども、これは一応、形といたしましては審議会で御審議をいただいた後ということになっておりますので、数字につきまして現在案はございますけれども、ちょっと、ただいまのところは、詳細な数字につきましては、恐れ入りますけれども控えさせていただきたいと思います。

海江田委員 まあ、これもおかしな話で、ここで、国会で聞いているわけですから、それが言えないというのもよくわからない。

 どうしますか。ちょっと、ちょっと待って、相談してみますから。

河上委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河上委員長 速記を起こしてください。

 小平長官。

小平政府参考人 これは、本日の審議会に案として提案をいたします数字ということで申し上げたいと思います。

 二〇一〇年の推計でございますけれども、これを私ども対策強化ケースというふうに呼んでおりまして、さまざまな前提がございます。

 まず、数字が変わりましたのは、「改革と展望」等で成長率の見通しが変わりましたということ、それから、産業活動につきましても、最近の状況を踏まえましてそれを反映させる、あるいは、これからの政策の効果につきまして関係省庁で再度点検をいたしまして、それに基づきましてそういう対策を反映させた数字ということで作成をいたしました。

 それで、大きく分けますと、二〇一〇年で、一九九〇年に対しまして六%の削減というのが京都議定書上の目標でございますけれども、この中身が三つございまして、一つが温室効果ガスの削減、それから森林吸収源対策、あとその他、京都メカニズム等でございますけれども、森林吸収源対策につきましてはマイナス三・九%ということで、これは従前と同じでございます。それから、その他、京都メカニズム等につきましてもマイナス一・六ということで、従前と同じでございます。

 そこで、温室効果ガスの削減でございますが、これも、トータルはマイナス〇・五ということで同じでございますけれども、エネルギー起源のCO2につきましては、大綱、これはおととしであったかと思いますけれども、策定をいたしましたときにはマイナス二・〇ということでございましたけれども、今回の見通しではプラス〇・六ということになっております。他方で、代替フロン等の三ガスにつきましては、大綱の際には二〇一〇年プラス二・〇という見通しでございましたところ、今回はプラス〇・一という見通しになっております。それから、あと、非エネルギー起源のCO2、メタン、N2O等でございますけれども、これは大綱時点の目標はマイナス〇・五、これも二〇一〇年でございましたけれども、今回の見通しではマイナス一・二ということで、以上を合計いたしますと、温室効果ガスの削減がマイナス〇・五ということになっておるわけでございます。

 以上が、ただいま時点での案ということでございます。

海江田委員 今のを足したり引いたりすればいいんだろうと思いますけれども、いわゆる従来の表示でいう産業部門の九%と一二・四というのが、ここがまさに環境省の方と経産省の方と数字が違っていた。だから、ここの統一は図られたわけで、それはこの数字でいうと幾つになったの、なる予定なの。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 産業部門につきましては、マイナス八・六ということが現在の案でございます。これも対策強化ケースでございます。

海江田委員 その意味でいうと、従来の、幾つか数字が変わってくる前提というのは先ほどお話しいただきましたけれども、総合資源エネルギー調査会の需給部会のマイナス九より若干マイナス部分が減ったということが言えるわけで、環境税の問題はこれまたいろいろな議論がありますし、またじっくりと議論をさせていただきたいと思いますが、これはまさに京都議定書という形で、京都という名前が世界に向けて発信をされているわけでございますから、その中で、特に輸送部門が多いとかいろいろな事情はありますよ、それは事情はありますけれども、やはり経済産業省の一番大事な産業部門のところでの目標値をしっかりと決めて、そしてそこへ向けて、省エネ法もこれからまた出てくるようでございますが、共通の意思として実現に努めなきゃいけないと思いますが、何かもしあれば。

小平政府参考人 一点補足をさせていただきますと、実は、産業部門の削減幅は大綱時点ではマイナス七でございましたので、これは今回の見直しではマイナス八・六ということで、さらに産業界に削減努力をしていただくという前提で、大綱よりは削減幅を大きくしておりますので、ちょっとその点補足をさせていただきます。

海江田委員 いずれにしましても、私が言ったこの九というのは、これはたしか中間取りまとめの数字ですからね。だから、中間取りまとめから大綱になって、そして今度の本決まりというところですが、その意味では、数字が幾つも行ったり来たりしておりますので、ただ、若干この中間取りまとめから比べると後退をしているかなという感がありますので、ここはその数字ならその数字でもってしっかりとそれを実現するように頑張らなきゃいかぬ、また頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。

 まだ幾つかお聞きしたいことはございますが、時間も来ましたので、このぐらいにいたします。どうもありがとうございました。

河上委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 今、海江田議員から大局に基づいた御質問がございました。また、専門性に富んだ質疑内容がございましたが、私は、視点を変えて、ふるさと論議から始めさせていただきたいと思います。

 中川大臣のふるさとはどちらで、そして、今現状はどういう状況でしょうか。

中川国務大臣 私の地元は北海道の十勝というところでございまして、朝晩マイナス二十度でございます。しかし、大変天気がいいのでさわやかでございまして、主に農業、米はございませんで、畜産あるいはまた小麦、砂糖等が主要作物でございます。

大畠委員 非常にのどかな風景を思い描くような御説明でございますが、多分、商店街関係は一転してかなり厳しい状況にあるんじゃないかと思うんです。

 実は、ここに一枚の読書、本を読んだ感想文がございまして、これは池田さんという方なんですが、戦後六十年の間に農村ばかりでなく都会もまた帰るところではなくなってきているような感じがする、昔は、私の家の前には石置き場があった、また子供しか抜けられない家と家のすき間を伝わって進めば、寺の境内の裏に出た、どちらも格好の遊び場である、遊びをする場所はどこにでもあり、私は日が暮れるまで日々、近所のはな垂れ小僧とか一緒に泥だらけになりながら遊びに興じていた。こういう風情が日本各所にあったんです。

 ところが、今、その私たちをはぐくんできたふるさとというのが崩壊しようとしている。それも、非常に元気がない。農業問題一つをとってみても、あるいは地域の商店街をとってみても、小此木副大臣からは、いや、その中心部に住んでいる人が郊外に行っちゃったから、当然そういう傾向が出るのはこれはいたし方ないんだというような趣旨の御発言が前回もありましたし、今回もありました。これは、中小企業庁あるいはそういう担当の役人さんからはよく聞いている話なんですが、果たしてそんな認識だけでいいのかどうか、それをきょうは少し議論をしながら、対策について論議を深めてまいりたいと考えるところでございます。

 特に、私は、小泉総理の施政方針演説の中で、さきの予算委員会でもちょっと触れさせていただきましたけれども、どうも認識がよくわからないわけであります。「ようやく日本社会には、新しい時代に挑戦する意欲と、やればできるという自信が芽生えてきたように思います。」というのが小泉総理の認識なんですね。そして、あと、先ほどの竹中大臣の話について御指摘がされましたけれども、もうバブル後ではないという話で、新しく突き進むんだというんですが、私は、この経済産業委員会、もとの商工委員会でありますが、少なくても私たちは、この委員会は現実に立脚した形で論議を進めなければ何にもならない。

 現実問題はどうかというんですが、私は、その一つの指標として、自殺者数というのが一つ統計として見られると思うんです。もしも経済的に回復をしてきているということであれば、当然自殺者数、複雑な社会現象もありますが、大体失業者数と自殺者数というのは比例しているような感じがするんですね。それで、これを見ると、平成八年には二万三千百四人という自殺者数、それが平成十年に三万台に入って、平成十一年が三万三千四十八人、それから平成十三年、三万一千四十二人、ちょっと減りましたけれども、それから平成十四年、平成十五年と上がりながら、平成十五年は三万四千四百二十七人と最高の自殺者数を出しているんですね。

 この自殺者数でありながら、何がバブル後ではないとか、やれば元気が出る、やればできるという自信がわいてきたという、その政治認識がまず最初に私は間違えているんじゃないかと思うんです。政府の方がそういうふうな方に持っていきたい、持っていきたいというのはわからないわけじゃないけれども、少なくとも経済産業委員会は、こういう現実の厳しい実数値をもとに論議しなければ私は何にもならないと思うんですが、この問題について、竹中大臣のコメントもありますが、中川経済産業大臣として、本当にそういう竹中さんのメッセージとか小泉さんのメッセージで現状認識いいんだという認識を持っておられるかどうか、もう一回、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今の、自殺者数三万五千人弱という、しかも男性の方がほとんどというふうに聞いておりますけれども、やはり大変厳しい状況にあるなと。それから、いわゆる失業者数あるいはまたニートと言われる人たちの問題も、やはり健全な社会の中でできるだけこれはなくしていかなければいけないというふうに考えておりますので、産業政策としても、また、先ほどから申し上げております人づくりという観点からも、生きがいを持って、そしてやる気のある方が思い切って仕事等についていけるような社会にしていくことが政治の大きな役割であろうというふうに考えております。

大畠委員 ぜひ中川大臣には、常にふるさとを思い浮かべながら仕事をしていただきたいということをまず申し上げさせていただきます。

 それで、実はこの経済産業委員会で質問をするということを地元の方に話しましたら、早速何枚かのファクスが参りました。

 一つの商店街は、緊急に役員会を招集したと。そして、主にきょうはまちづくり三法問題を中心に質疑をしたいということを申し上げておったんですが、とにかく、今、日本国内の生産、物づくりというのが非常に小さくなってきている、何とか、海外での物づくりというんじゃなくて、もう一回国内生産というものを考えてもらえるような方策ができないかという、これは切実な話だと思うんですね。

 それから、職業、お店の違いによっていろいろあるけれども、言葉では言いあらわせないほどの難点を今抱えている、私たち商店会も、また一軒また一軒、廃業に追い込まれているというのが現状だ。大規模商業出店についても、大変頭の痛い問題で、ますます旧市内が空洞化するばかりです。消費税、増税する前に国民の税の使い方を節約すれば、増税は必要ないんじゃないか。こういうメモ書きが参りました。

 また、これはある商工会議所の方でありますが、昔のような商店街、店と住居を一緒にしたり、魚屋や八百屋もある、そういう、言ってみますとコンパクトシティーみたいなものをこれから考えていかなきゃならないんじゃないか、自分たちも努力をすると。それから、固定資産税の軽減により借地の地代を下げてもらい、商店のコストを下げるということはどうか。また、二十四時間営業のコンビニは青少年の不良化と関係しているんじゃないか、そんな思いを持っている。

 それから、物づくり、材料費の高騰を製品価格に転嫁できないという中小企業にとって、ハイテク技術も大切だけれども、ローテク技術こそ大切にすべきじゃないか。こういう御意見も来ているわけなんですね。

 こういうものから現実を考えれば、小泉さんや竹中さんの御認識というのは明らかに現実と異なる状況と言わざるを得ないと考えるわけであります。

 そこで、なぜこういう状況に至ってしまったのか。先ほどからちょっと御質問等もございましたけれども、私は、中川大臣も小此木さんもそうだと思うんですが、まちづくり三法、現代の社会においては、こういう状況の中でやっていこうということで、そういう時代なのかなという感じを持っていたところでありますが、現在の状況は、どうも私たちがあのまちづくり三法を通過させた状況とは全く異なる状況に入っているのじゃないかと思うのです。

 まずは、きょう農水省関係とそれから国土交通省関係の方にも来ていただいていますが、自分たちの町の中心の商店街対策をやろうというので、いろいろ経済産業省も努力はしているんですが、突然隣の村に駐車場七千台と一万台の規模の商業集積地がぼんとできてしまう。そうすると、どんなに、私の町、私の市の中心市街地はこういうふうにやろうといったって、言ってみますと津波に遭ったような形で、わっとその施策が壊されちゃうんですね。私は、どうもそういう点では、先ほどからまちづくり三法というのは見直しますという話がありますが、非常にスピードが遅い。このままでは中川大臣のふるさとも、ほとんど、やる気といいますか元気が出ない状況に至ってしまうんじゃないか。その元気が出ない町の中で育つ子供たちにとっても、私は、これからの人づくりという意味においてもこのまちづくりが大事なんですが、どうも今のままではいたし方ないという感じがするんです。

 一つの大規模な商業集積地域ができると、これは私の感覚ですが、半径五十キロ圏の市町村のいわゆる旧市街地の商店街の売り上げががたっと減る、こういうことがほぼ見えているんですね。こういう問題について、経済産業大臣、あるいは国土交通の副大臣にもきょうはおいでいただいておりますが、この問題についてどのような御認識を持っておられるのか、それぞれお伺いしたいと思うのです。

中川国務大臣 全国どこへ行きましても、いわゆる中心市街地の疲弊といいましょうか活性化問題といいましょうか、これはもうどこへ行っても聞くところでございまして、もちろん、私の地元も農村部でございますから、非常に商店街の皆さんが御苦労されているわけでございます。

 やはり、中心市街地という一つのコアを中心に町が発展をしていくということが必要なのではないか。もちろん、自動車の普及でありますとか交通の便がよくなったとか、お店そのものが、そこに行けば何でもそろうとかいろいろありますけれども、しかし、今委員御指摘のように、やはりふるさと、町というものの、これはかなり感情的といいましょうか、ノスタルジックな話に入っていくのかもしれませんけれども、やはりまちづくりというものをみんなでやっていこうと。その中心に、そこに住んでいるお店の人、あるいはまた働いている人、そして町の人々、そして子供たちがみんなでまちづくりをしていく、そしてそれが成功していくということが我々としても本来あるべき姿なのではないかというふうに考えております。

蓮実副大臣 平成十年に大規模小売店舗立地法を制定しました。あわせて都市計画法を改正して、用途地域内で大規模な商業施設などを規制することができるように、特別用途地区制度を改善いたしました。さらに平成十二年には、用途地域が指定されていない地域でも大規模な商業施設などを規制することができる特定用途制限地域制度を創設いたしました。

 これらの地域や地区は、市町村がまちづくりに主体的に取り組むことができるよう、市町村が定める都市計画としております。しかしながら、一つの市町村がこれらの制度を活用して大型店を規制したといたしましても、その周辺の市町村が規制をしなければ意味がないので、先生の御心配されているように、広域的な取り組みが必要ではないかと指摘もあります。

 このため、国土交通省といたしましては、広域的な観点から、調整する機能を強化することを含めて、中心市街地の活性化に必要な対策を総合的に検討してまいりたいと考えております。

大畠委員 基本的な御認識はそういうことだと思うんですが、現状はとにかく、お手元にきょうは資料を配付させていただきまして、A3サイズのちょっと大きな紙になりますが、これは、商工会議所さんからいただいた資料を参考にさせていただいて、コピーしてきたんですが、とにかく各地でこういう開発がかなり行われておりまして、それも、敷地面積十万平米とか敷地面積十九万平米なんかもありますね。それから、六万平米。

 とにかく、私たちがまちづくり三法を、法律を通したころの状況とは全く異なる規模の大型店が、今副大臣からお話があったように、自分のところで一生懸命守ろうと思っても、隣の村に、どっちみち農地が荒れているから、だれも耕作していない人がいるから、それを転用したりなんかでやっちゃおうとか、あるいは大きな工場が倒産して跡地があるというので、そこにどんとできちゃうわけですよ。そうすると、その当該の村じゃなくて、隣の町の人々はどうしようもないんです。

 これだけの、例えば今十二の例がありますが、これだけの例がある中で、この通常国会で何ら法律案が出てこないこと自体がおかしいんですよ、これは。そう思いませんか。大臣、そう思いませんか。これだけ、とにかく、私もけた数間違えたんじゃないかと思ったけれども、敷地面積二十万平米、そんなものが大臣の選挙区のどこかにできたら、もうこれは、旧来の市街地の商店街が一生懸命、まあ、中小企業庁は、いや、商店街の店主のやる気がないんだ、もうちょっとやる気を起こしてもらわなきゃならないと、あるいは住民が、いや、移動しちゃったから中心市街地が衰退するのも無理はないですねと言うけれども、そういうのも確かに因子があるのかもしれませんけれども、二十万平米の敷地面積で大型店が出てきたら、小此木さん、そんな状況は飛んじゃいますよ。

 私は、どうもそこら辺の御認識がちょっとずれているんじゃないかと。だから、やればできるという自信がみなぎってきたなんと言うから、こういう問題に対しては何ら手が打てないんですよ、政府の方で。

 私は、大臣の任期中にこれはぜひ新たな対策をとってもらわなきゃならないし、国土交通省の方でも、まあ、うちの方の管轄といえば管轄なんだけれども、実際は被害を受けるのは経済産業省だからなんという、横の方で見ないで、ぜひこれは、国土交通省の問題、まちづくり、都市計画がずさんなことからきているんですから、これはみずからの問題としてやってもらわなきゃならないし、きょうは岩永農水副大臣にもおいでいただいていますが、これは農地の問題とも絡んでいるんですよ。ですから、この問題は非常に重要な問題としてひとつ取り上げていただきたい。

 そこで、まず、なぜそんなことが次々と起こってしまうのかということなんですが、許認可がどうもあいまいなんですね、許認可が。私の調べたところによりますと、市町村長の認可、県知事の認可あるいは大臣の認可と、四万平米以上は大臣の認可とかいうふうになっているんですが、実態的には、地元の方でいいんじゃないのというような話になれば大体進んでしまうというのが実態なんですね。

 そこで、国土交通省として、単なる村あるいはそういうところの範囲だけの話じゃなくて、私は、国土交通省としても、ゾーニングという観点からも、広域的な影響を考えたゾーニング規制というものをまずすべきでないかと思うんですが、いかがでしょうか。

蓮実副大臣 大規模な商業開発等には開発許可を得ることが必要でありますけれども、これは原則として都道府県の知事の権限とされております。しかしながら、地方分権推進の観点から、政令指定都市、中核市、特例市では市長を許可権者としております。また、事務処理委任条例を制定すれば、開発許可の権限をその他の市区町村長にも委任することができるとされておりますので、実際には市町村長が開発許可を行う事例も数多く見られるところであります。

 しかしながら、大規模な商業開発等が行われる場合には、御指摘のように、その市町村の区域を越えて周辺市町村にも長期的な影響を与えることから、広域的観点からの調整が必要ではないかという先生の言われるとおりの認識をいたしております。

 国土交通省としては、今学識経験者にも参加をしていただきまして、アドバイザリー会議を設けて、中心市街地再生のためのまちづくりのあり方について検討しているところであります。その中で、広域的観点から、調整機能のあり方も含めて総合的に検討を進めてまいりたいと思っております。

大畠委員 あと、同じ問題ですが、農地転用問題なんですね。

 岩永農水副大臣に来ていただいておりますが、どうも農地が安易に転用されている事例がたくさんあります。私は、前にも申し上げましたけれども、フランスの用途制限というのはすばらしいなと思うんですけれども、パリの町から一歩出ると、道路だけがだあっとあって、道路わきにコンビニがあったりあるいは自動販売機があったりパチンコ屋さんがあったりなんという風景に出会ったことがない。実に見事な農地が整理されていますよ。

 要するに、後継ぎがない、なかなか後を継いで農地を耕してくれないから、草ぼうぼうになっている、どっちみち使い道がないから、だれか希望者がいたらぜひ売っちゃいたいというような話があちこちにあって、結局そういうところに中規模な商業施設とか、あるいは今言った十万平米とか二十万平米という大規模なものが進出する傾向がすごくあるんですね、あるいはまた、さまざまな娯楽施設も出ていますが。

 この問題を農水省としてほとんど放置しているとしか私は思えないんですが、農水省としてはどういう御見解をお持ちなんでしょうか。

岩永副大臣 大畠先生の御認識のとおり、日本は自給率四〇%と世界でも大変低い国家なんですよね。そういう状況の中で、将来を見通して農業転換をしていかなきゃならぬということで、今、この三月に基本計画の改定に向けて実は対応しているわけでございますが、そういう状況の中から、やはり農地というのは食料供給の命なんですよね。

 そういうことで、我々、農地が転用される、そして放棄されるというようなことについては、これはもう第一義的に慎重に考えていかなきゃならぬ、こういう政策については強いものを持っているわけでございますが、今先生のおっしゃったように、確かに、郊外型の大規模商業施設が設置されて、そして転用されているというような状況がございます。

 ただ、日本という狭い国土の中で、社会経済上、必要な土地需要にも適切に対応していかなきゃならぬというものがございまして、我々としては、そこらの調和というのは大変難しゅうございますし、県や市町村にはそこらを真剣に考えよというような話を流しているわけでございますが、第一義的には、周辺の農家に影響のない状況で調整をせいということ。

 それからもう一つは、四ヘクター以下は県ですが、四ヘクター以上はうちの大臣の許認可になっているわけでございますので、そういう状況の中で、特に、厳格、適正な農地制度の運用についての対応が必要だ、こういうように思っておりますし、農業生産基盤の整備の推進など諸施策を通じて、優良農地というのをどうしても確保していくというようなことを第一義的に考えていますので、先生のおっしゃるように、決して、緩やかな、そして野方図なやり方ということをやっているわけではなしに、私自身も、うちの農村振興局を初め、各県市町村については、厳格に農地の転用については対応してもらいたいという気持ちを伝えておりますし、うちの姿勢というのは大変厳しい姿勢を現在貫いております。

大畠委員 副大臣、今のお話を聞いていますと、農地転用のときに他の農家に与える影響を考えて云々していると言うんです。これは、他の農家じゃなくて、半径五十キロ圏ぐらいの商業者に対して大変大きな影響を与えているんですよ。ですから、農業の分野だけで考えるとそうかもしれぬけれども、もう農業の分野だけじゃないんですね、影響は。したがって、そこのところが抜けているんですね。

 これは経済産業大臣または副大臣にお伺いしたいんですが、お手元にもう一枚の紙を準備しました。参考資料として、「欧米主要国における大型商業施設の出店規制」という、これも商工会議所から資料をいただいたものを大きくしたわけであります。

 都市計画型、イギリス、ドイツ、アメリカ、商業調整型というのでフランスとイタリアがありますが、今のお話を伺って感ずるんですが、せめてフランス型、あるいはアメリカのようにゾーニングがきちっとできているというのならいいんだけれども、ゾーニングがかなりずさん、土地の利用がずさん。そして農業転用も、結局、他の農家に与える影響を考えながらやっていると言うんですけれども、総合的な影響をほとんど考えていないという意味では、日本の野方図な状況の中での転用あるいは大型施設の出店という話になっていて、規制じゃなくて、もうほとんど放任になっているんですね。それが、結局こういう各所で出ている事例に広がってきちゃったんですね。

 したがって、私は、少なくともフランス型あるいはイタリア型、フランス型の出店希望者は、地元市町村の長、商工会議所の代表、消費者代表など六名の県商業施設委員会に申請し、同委員会が許認可、不認可の判断を行う。これも、地域の村だけではなく、影響を受けるであろう半径五十キロ圏といいますか、そこら辺のメンバーが集まって、やはり地元のふるさとを守って一生懸命頑張っているおやじさんたちの話も聞かないでこういう許認可が行われているということに対しては、何かの歯どめが必要だと思うんです。

 そこで、これはだれがやるのかというんですが、何でもそうなんだけれども、痛い思いをしている人が手を挙げない限り、例えば借金でもそうなんだけれども、困る人が行動を起こさない限り、こういう問題は解決しないんです。一番困るのは経済産業省、まさに中小企業ということだと私は思うんですが、経済産業省としてこういう形の広域的に調整するという音頭取りを始めなきゃいかぬと思いますが、この問題について、経済産業省、農水省、それから国土交通省の御見解をお伺いします。

中川国務大臣 確かに、欧米へ行きますと、特にパリなんかは、自動販売機もありませんし、看板もかなり制限されておりますし、それから、ワシントンの住宅街へ行くと、芝生がぼうぼう生えていると隣近所から文句を言われるとか、その結果、住宅景観、都市景観が非常に美しく保持されている。やはりうらやましいなというか、すばらしいなと思っております。

 ですから、これは一人一人の心がけということに行き着いちゃうと元も子もないのかどうかよくわかりませんけれども、やはり一人一人の心構え、そしてまた、どの程度法律あるいは条例等でルールづくりができるかどうかわかりませんが、大畠委員の御趣旨は私も全く賛成でございます。

岩永副大臣 大臣が御答弁いただいて、もしも経産省の方でそういう音頭がとられて、我々もその協議に乗っていけということでございましたら、これは積極的に、我々、基本的には、農業用農地というのは日本の食料供給のために命がけで守らなきゃならないものでございますので、大いに相談させていただきたいと思います。

蓮実副大臣 先生御案内のように、外国のイギリス、ドイツ、アメリカなどは、都市計画の中でいろいろ規制をやっておるんですね。ヨーロッパは、原則新規の土地利用は許可制度でやっております。

 ところが、日本は、戦後の復興からスタートしたために、経済成長させるために、土地利用は禁止ではなかったんですね。ですから、建築の方に重点を置いてきたということで、確認の世界で今日までやってきたという問題が日本ではあると思うんですね。そういう意味で、都市計画の網をかける方策で今日までやってきた。

 ですから、今後、いろいろそういう問題も含めて検討していかなきゃならぬというふうに思っております。

大畠委員 それで、地元の方の話を十分聞いておられるでしょうから、ぜひ、大臣とかあるいは副大臣になられましても、代議士の心は忘れないでほしいんですよ。ともすると、周りの官僚の皆さんは頭のいい方がいるから、すぐ洗脳されちゃう、すぐ。こういう感じですから、特に今、現状問題じゃないんです、ですから、なぜ中心市街地が寂れてきたかというと、その地域に住む人がいなくて郊外へ行っちゃったから、それで中心商店街が寂れているので、これは日本の政府の施策がまずいからこうなっているんじゃないんですと。

 そういうことで、小此木副大臣、余り洗脳されないで、もうちょっと地域の人の話を聞きながらやりましょうよ。そうじゃないと、何のために私たちは選挙でこうやって当選して、この立法府に来ているのかわからなくなりますから、ぜひお願いします。(発言する者あり)いや、小此木副大臣がだめだとは言いませんけれども、ぜひみんなの期待にこたえて頑張っていただきたいと思うんです。

 そこでもう一つ、実は今、土地の利用、用途制限という話、あるいは国土交通省の方からもお話がございましたが、改めて、農水省として、いろいろ私聞きましたよ、大体、一年間に一万八千平米ぐらいの農地転用が行われていると。その中の千七百平米だったですかね、商業地域に転用されているという話がありましたが、では、転用された後、その農地が何に使われているのかというところまでは突っ込んで調査しておりませんと言うんですよ。そこのところが私は問題だと思うんです。

 一体、農地転用された後、その農地がどういうふうに転用されて、その地域にどんな影響を与えているのかというのは、農水省の範疇から離れちゃっているものですから、統計の資料がないみたいなんです。ですから、この問題の大もとはどこだろうと尋ねていくと、だれも、いや、私の責任ではありませんと言うんですね。事前ヒアリングのときに、この現象が起きている一番の大もとの責任部署はどこだろうと尋ねても、もちろん、責任者は私だというふうに手を挙げる人は少ないわけですが、どうも私は、農水省もそこらは抜かりがあるんじゃないかという感じがします。したがって、農地転用に当たっては、土地の利用の制限をかける。

 もう一つは、国土交通省にお伺いしたいのは、今度は逆に、中心市街地の真ん中、商業地域の真ん中の土地が空き地になったまま放置される、あるいは、大型店が入ったんだけれども出ていっちゃって、そのビルが空き家同然でずっとある。地主の方は困らない、でも、その町に住む方は困っているんだ。

 私は、農地とは違って、この中心市街地の土地の問題については、地主の権限を制限して、必ず有効に利用しなさい、あるいは、ある地域は行政に使用権を与えて、そして行政はその地主に対して借地金を払って、行政当局が中心市街地の管理あるいは再開発に入るというようなことでもやらないと、中心市街地では空き店舗が連なり、そして農地の方は大型店が進出するという悪循環がずっと放置されているんですよ。この問題について、農水省と国土交通省の御見解をお伺いしたいと思うんです。

岩永副大臣 確かに、お尋ねの、転用許可後における地元商店街への影響、これは、転用するときにどうするかという議論、それから、いろいろと地元の行政は行政なりの対応をしておりますが、後々の影響というのは把握していない部分があるわけでございます。

 しかし、農地転用許可制度は、優良な農地の確保と計画的な土地利用を促進するということを目的にしておりますので、周辺の農地の農業上の利用に支障がないかどうかということについては徹底的に判断をしております。

 また、では地元商店街への影響も考慮した商業調査をうちの農地転用でやっているかというと、そこについては、おっしゃるとおり、やられていない部分がございます。

蓮実副大臣 実は先生、この黒くなっているの、これは群馬県の前橋市なんですね、これは青空駐車場。(大畠委員「駐車場」と呼ぶ)ええ。これが足利の青空駐車場。(大畠委員「中心市街地のね」と呼ぶ)ええ、中心市街地。先生の御心配、そのとおりであります。

 中心市街地の活性化のためには、先生が言われるように、地権者の協力を得ながら、空き地あるいは空き店舗の有効利用を進めることが重要であるんですね。このために、平成十年度予算で、市町村の創意工夫と民間の資金あるいはノウハウを連携させて取り組む全国のまちづくりの支援をする、まち再生総合支援事業を創設いたしました。この中では、民都機構が遊休地を活用して町の再生を行う民間事業に出資したり、空き店舗の改修あるいは再利用をする民間事業に参加するなどの支援を行うこととしております。

 また、現在、先ほどお話し申し上げたようにアドバイザリー会議を設けて、中心市街地再生のためのまちづくりのあり方について、先生の心配されていることを幅広く検討してまいりたいと思っております。

大畠委員 今、農水省それから国土交通省の基本的な見解を副大臣からいただきました。先ほど中川大臣から、この問題、同じような認識を持っているので何らかの動きをしたいというお話がございましたが、改めて、両方でもうそういう認識を持ち始めているんですから、経済産業省が音頭をとって、郊外に広がる大店舗、それから中心での空き地あるいは駐車場、あるいは放置されている大型の建物が、町の景観あるいは町のイメージも非常に悪くしているんですね。したがって、土地の所有者の権利の制限、あるいは農地の転用のときの用途規制といいますか、そういうものをトータル的に束ねて何らかの対策をとろうという御決意があるかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 いわゆるまちづくり三法を、見直しも含めて検討いたします。これは、中心市街地活性化、活性化というよりも空洞化ですね、空洞化対策としてやっていくということ。あるいはまた、町そのものの活性化のために、いろいろな例があって、地域の人たちが町おこしといいましょうか商店街の活性化で御努力されている例もございますし、それぞれ御苦労されているところ、あるいは成果を上げているところがいっぱいあるとは思いますけれども、それからあと、景観の問題、これも、本当に景観に配慮したまちづくりをやっているところもございます。

 そういう意味で、経済産業省として所管する事項、あるいはまた多省庁にまたがる事項について、私自身も、先ほど申し上げたように、町の中心がゴーストタウンになること、あるいはまた景観が損なわれることは決して望むものではございませんので、そういう観点から何ができるか、検討しなければいけないと思っております。

大畠委員 ありがとうございます。

 それからあと、国土交通省ですが、先ほどのお話で、さまざまな開発行為等々について、狭い範囲じゃなくて広範囲なところで土地の利用というものは判断しなければならないと私は思うんですが、この問題について、蓮実国土交通副大臣、ひとつ国土交通省としても、先ほど駐車場がたくさんあるのを見せていただきましたが、各地でそういうものが虫食い状態に始まったんですね。では、その駐車場にだれがとめるんだというと、近所のお店に買いに来た人がとめるんですが、駐車場ばかりふえちゃったって意味がないわけでありまして、そういう意味では、国土交通省としても少し、そういう中心市街地の土地の利用のゾーニングの問題、あるいは、大型店ができるというときには、広範囲な影響を考えて出店に対する許認可、規制というものを行っていく方策というものを検討するべきだと思いますが、改めて副大臣に御見解をお伺いします。

蓮実副大臣 今、先生の御指摘をいただいた点も十二分に参考にしまして、幅広く検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

大畠委員 それからもう一つ、これは、地元の方からも声があるものを二つお伺いしたいのですが、一つは、さきの予算委員会で中山代議士が、これはちょっと事前に通告しておりませんけれども、中小企業の借金返済期間を延長すべきだという御指摘がありました。これは、何もお金が必要じゃなくて、制度を変えればいい話でありまして、いわゆる信用保証協会の保証期間といいますか、それを、例えば、百万円借りたのを三年間で返すという話を四年にするとか五年にするとか、それだけでも中小企業、要するに、借金を踏み倒すということじゃなくて、きちっと返します、ただ返済期間を長くしてくださいということですから、これは非常に私は一つの方策として、非常に苦しい状況の中では緊急処置的な対策でありますが、必要だと思うのでありますけれども、この問題、もう一度大臣として、予算委員会でも中山代議士が質問されておりますが、ちょっと整理をしてもう一度、御認識といいますか御見解をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 予算委員会でもそういう御質問をいただきまして、私は、そのときにお答えしたのは、実は、北海道等の農家が非常に厳しい時代に制度融資等々で延ばしてくれという議論がございまして、単に延ばすということは果たして借りている人にメリットになるだろうかということをもう少し考えないと、例えばの例ですけれども、七%で十年借りると元利で倍になっちゃうとか、そんなような計算も成り立っていくわけでございます。そういう意味で、本当に事業計画がきちっと立って、そして延ばすことによってメリットがあるのであればというような、積極的でもない、消極的でもないような答弁をしてしまったわけでありますけれども、それは、私自身が農業の制度融資で自分自身経験をしたから答弁をさせていただいたわけでございます。

 融資ではなくて、制度保証としては資金繰り円滑化借りかえ保証制度、これはもう既に大畠委員も御承知のことだろうと思いますけれども、これでもって償還を延ばすということに対して保証をつける、保証を延ばすというような制度も既にあるわけでございますので、単に融資そのものを延ばすということだけではなくて、保証についてはこういう制度もあって現に御活用いただいている方も大勢いらっしゃるということでございます。

大畠委員 現在の制度については私も存じ上げておりますが、先ほどお話ししたように、全体的に非常に厳しい状況でもあるし、もう一つの選択としてそういうことも検討すべきじゃないかということを中山代議士も予算委員会で質問したわけでありまして、ぜひ現在の制度だけではなく、プラスして何か新たなことも少し御検討いただきたい。これは要望しておきたいと思います。

 それからもう一つ、先ほども冒頭に読み上げさせていただきましたが、コンビニの問題なんですが、二十四時間営業。私も選挙のときに便利なのでよく利用するんですが、ただ、私は、夜中の十二時から明け方六時まで、あるいは本当に二十四時間営業することが必要なのかな。

 茨城県でも殺人事件が起きているんですね。まだこれは犯人が見つかっておりませんが、大学生が明け方にコンビニに行った。それで五時ごろ何かばたばたと出ていったけれどもそれっきりで、川沿いに死体があったというんですが、どうも夜中のコンビニが青少年のいわゆる何か温床になり始めているんじゃないかという指摘もございます。

 それから、私は、トラックの運転手さんにとっては、沿道なんかではやはりそれは必要なんだというのはわかりますが、どうもトラックの通りそうもないようなところでも押しなべて二十四時間営業みたいなところが見えるので、このコンビニの二十四時間営業問題については、どこかで許認可性、確かにそのニーズがあるというところは認可しても、あとは基本的には二十四時間営業は遠慮したらどうか、そういう対策が必要じゃないかという指摘があるわけでありますが、これは経済産業省の所管になるのでありましょうか。

小此木副大臣 認識は本当に私も同じでございまして、いわばコンビニエンスストアというのは、本当に生活をするのに私たちにとっても必要なものである、便利さを十分委員も感じておられる、私も同じ話であります。

 一方で、青少年の対策が困っていることも事実でございまして、二十四時間ということでありますと夜中のことを今言われているというふうに思いますけれども、明るいうちからでの問題もあるんですね。本屋さんのように立ち読みをするだけじゃなくて、寝ながら、座りながら少年たちが本を読んでほかのお客さんの邪魔をしているというような光景を私もかいま見るときがあるんです。注意をするにも注意ができないようなこともあります。教育的な視点から非常に重要なことであろうかというふうに思います。

 二十四時間じゃなくて、せめて夜のうちは閉めてもいいんじゃないかという御指摘だというふうに思いますが、これはまた本当に重要なことと思うのと同時に、やはり一方で、商売とのかかわり、自治体とのかかわり、そういったことがありますから、いろいろなところからやはり意見を聞いて、閉じるなら閉じる、ある一定の規制を設けるというようなことで十分に慎重にこれは結論を出していく姿勢を持ってまいりたいというふうに思います。

大畠委員 小此木さんらしくない、よくわからない答弁でございましたが。

 もうちょっと、私は、今日本であいまいな、あいまいさというのが一つの日本の文化ということもあるかもしれないけれども、こういう問題に対してはきちっと先手を打っていかないと、何となく自由のような規制のような感じではいけない。私は、わかっちゃいるけどやめられないみたいな感じの政治じゃもうだめなんです。わかったらその問題に対してきちっと手を打っていく。この大店法の問題もそうですし、コンビニ問題もそうですし、もうこれ以上地方の都市に犯罪を広げないためにも、また青少年のためにも、元文部科学省の副大臣をされていましたから、教育の観点からもぜひこのコンビニ問題については改めて検討をし直していただきたいと思いますが、再度、よくわかるように話していただけますか。

小此木副大臣 ですから、二十四時間のコンビニエンスストアを、国道沿いでなくて、要するに目立たないようなところの場合閉めたらいかがかというお話だというふうに思いますけれども、まさにそういったところで町がそういう思いがあったならば、それはそれで閉めていいというふうに思いますし、ただ、それは商売とのいろいろな関連性もある、議論が十分に慎重に進むことが大事だということを申し上げているわけであります。

大畠委員 ぜひそこら辺も、とにかく私たちのふるさとがもうずたずたになり始めているんですよ。中川大臣、それが現実なんです。どんなに総理が、やればできるという自信がみなぎってきたなんて言っていたけれども、どこの国の話だということですよ。町に帰ってみてくださいよ、そうでしょう、副大臣。町に行ったら本当に中心の、いわゆる町というのは何かといったら、大型集積商業施設が町じゃないんですよ。八百屋さんがあって、魚屋さんがあって、駄菓子屋さんがあったり、そういうところがやはり町じゃないですか。

 ところが、今そこら辺を人が通らない。だから、これでは町じゃなくなってきているんですよ。だから、私は、そんなところで育つ子供が、本当にこれからの日本を担うだけの人間が育つのかどうか。大型商業施設があるところで日本人が育つのなら、それはそういうふうに考えるのだったらそれでもいいけれども、どうも私はそうじゃないんじゃないかということをちょっと申し上げさせていただいております。

 そこで、何か忙しい方がおられるとちょっと聞いているんですが、その方については退席していただいても結構でございます。そういうことで、あと五分間だけありますので質問させていただきますが、そこで、次に地域経済の基盤である市町村の人口減少問題についてお伺いさせていただきます。

 きょうは、厚生労働省にも来ていただいているんですが、地方都市における少子化、あるいは人口減少、それから市町村における雇用の場、要するに、就職したくても就職するところがないと言うんだよね。これは非常に大きい声です。

 私は、そういうところに対して、さっき自給率四〇%という話がありましたが、農水省はもうちょっと山にお金を投入して、これは漁業者も要求しているんですね。魚がとれなくなっちゃった、これは山が荒れているからだというので、言ってみますと、この因果関係は非常に複雑なんですが、山にもうちょっと手を入れて、山を管理する人を雇ってやったらどうか。要するに、山間部、町や村の仕事をどうやってふやすかということは、ぜひこれは力を入れていただきたい。まず、その三つについて、厚生労働省と農水省からお伺いをしたいと思います。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の活性化という御指摘でございますけれども、活性化を図るためには良好な雇用の場を確保するということが最も重要であるというふうに考えておるところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これまでも、都道府県と連携するなどいたしまして、地域振興策と相まって、地域の雇用の場の確保の取り組みに対しまして支援等もやってきたところでございます。

 ただ、しかしながら、市町村をめぐる状況というのは個別の市町村にとってさまざまあるわけでございます。地域の特性を生かして、市町村が地域の経済団体などと協議しながら、ぜひこうした方式で雇用の場をつくりたいということで取り組まれることが非常に重要であろうと考えておるところでございます。

 そういった観点から、来年度におきまして、市町村がいろいろ創意工夫を凝らしながら地域において雇用創造を図りたいということで取り組まれる場合に、これに対して総合的な支援策を講じていこうということで、今事業の実施に向けて準備をしておるところでございます。

 その中身でございますけれども、雇用創造に自発的に取り組もうとされる市町村あるいは地域の経済団体等にそういった事業構想を立案いただきまして、そこで雇用機会の創出を初めとする雇用対策事業について提案をいただく。多くの自治体にそういった取り組みをしていただきまして、そういった中から、コンテスト方式によりまして、雇用創造効果が高いもの、こういったものを選抜いたしまして、当該市町村等に対しまして事業を委託する、その経費について面倒を見るということでございますが、地域提案型雇用創造促進事業と名づけておりますけれども、そういった事業に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、地域における創業ということも大事でございまして、地域で市町村がこういった産業をぜひ発展させたいということで選ばれた産業につきまして、創業支援に重点的に取り組んでまいりたいというふうなことを考えております。

岩永副大臣 先生、本当に今、農村がかなり疲弊してきている、過疎化してきている、少子高齢化の波をどんと受けているということで、やはり農村地域をどう活性化していくかということが、我々、大変大きな課題でございます。しかしながら、農業というものを中心にして農村が栄えているわけでございますので、これの大転換をしていこうというのがことしの基本計画の見直しでございます。

 だから、集落営農をやるとか、そして農業法人化をしていくとか、また企業のリース方式による農業参加を促していくとか、ありとあらゆる対応をしながら農村の活性化に努めていきたい。そしてまた、都市と農村の共生、対流ということで、やはり都市が農村にどう入り込んでいただくか、そのことの施策も今講じているわけでございます。

 林業につきましては、これは本当に、安い木材価格のためにどんどん林価が低迷をしている。山というのは、今の災害を見ても、それから今度の京都議定書を見ても、やはり公益的機能というのが大変大きいのではないか。だから、山自身はこれからみんなが守り育てていきながら、我々が新しい時代のためにともに生きていくというような機能を山に持っていく。山で経済性を求めるというのは、これは大変難しい。

 しかし、この間も、日本の主な住宅メーカー、例えば住友林業だとか積水ハウスだとか、そこの社長、副社長を、大臣以下我々そろいまして、ほとんど呼びました。そして、日本の木材を使ってくれ、外材ばかりで日本の山が守っていけるかということで、大変厳しくお願いをいたしました。

 事かようなように、我々も心を込めて、ひとつ農村繁栄のために頑張ってまいります。

大畠委員 ひとつそういうことをぜひ努力していただきたい。

 最後になりましたけれども、幾つか、物づくりとか知的財産とかエネルギーをお伺いしようと思ったんですが、時間がなくて、準備いただきました皆さんには大変申しわけございません。

 実は、若い女性の方から、予算委員会でもよく、質疑に今回出ていますが、出産費用、赤ちゃんが生まれてうれしいんだけれども、産院の出口のところで、三十万円出せ、現金で出せと言われると非常にがっくりしちゃうというので、この出産費用を健保対象にとか、あるいは助成金を何とか考えてもらえないかということがあるんです。厚生労働省として、大分前向きな検討をし始めているという話は聞いておりますが、ここら辺をちょっと整理して答弁をいただいて、それを私の最後の質問にします。

中島政府参考人 ただいまの出産費用の問題でございますけれども、現在、出産費用の負担の軽減を図りますために、医療保険からは、医療保険制度全体としてという意味ですけれども、医療機関における分娩料の状況等を踏まえまして、三十万円の出産育児一時金というものを支給しているところでございます。

 いわゆる診療報酬、保険適用の問題に関しましては、疾病や負傷といった保険事故に対して給付するという医療保険制度の基本的な性格を踏まえまして、いわゆる正常な出産自体は疾病や負傷とは異なるという考え方のもとに、現状、保険適用とはしていないということになっております。

 出産費用の負担を医療保険でどのように扱うかにつきましては、こういった医療保険制度の基本的な性格や厳しい保険財政の状況等も十分踏まえつつ、平成十八年度に向けました医療制度改革の中で検討していくということにしております。

 以上でございます。

大畠委員 終わります。

河上委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十八分開議

河上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 それでは、私の持ち時間の中、東シナ海の中国による海洋資源の試掘が今始まろうかということにつきまして、この点の資源開発を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 十八日の日、先週金曜日の夜でございましたけれども、経済産業大臣が記者会見をされまして、東シナ海の、私ども日本の排他的経済水域、日中境界線付近の日本側海域で実施していた海底資源探査の中間取りまとめを発表されました。その件につきまして、まず冒頭お尋ねをいたしますけれども、今、中国が開発中の二つのガス田について、石油、天然ガスがある地下鉱脈が日本側までつながっている可能性が高いというようなことを発表されました。これは以前から私どもも指摘をしてきましたし、また中国は、たび重なる私どもの日本国の要請にこたえないで、ただこの両国にはいさかいは存在しないんだという形でどんどんどんどん進めていた。大変憂慮すべき事態でございます。

 この点につきまして、中間取りまとめを発表されたということで、今現状を発表されまして、経済産業大臣、今後どのようにこの問題につきまして取り組んでいかれるのか。この後は、さらなる海底資源の存在の可能性について三月末をめどに解析をするということでございますが、その点につきましてどのようなスケジュールで進められるのか、経済産業大臣にまず冒頭お尋ねをいたします。

中川国務大臣 今御指摘のように、去年の七月から外国の三次元地質構造調査船をチャーターいたしまして、台風が多かったとかいろいろございまして、いまだにまだ調査をやっている最中でございますが、余りにも時間がたって最終段階でぽんと出すよりも、中間報告をした方がいいと思いまして、これはあくまでもデータ解析でございます。それから、今申し上げたように中間報告でございますが、いわゆる春暁それから断橋といったところで今中国は着々と採掘の準備をやっておりますが、地質構造によりますと、それにつながっている可能性が高いという専門家の分析が出たところでございます。

 今後どうするかということでありますけれども、一つ一つステップを積み重ねていきたいと思っております。最終的な調査がまだ残っておりますので、海底構造調査が終わった段階できちっとしたものを改めて公表といいましょうか、相手のあることでございますので、中国側の油田、ガス田との関連性について最終的なデータの結果をできるだけ早く公表させていただきたい、これが当面の我々のやるべき作業であるというふうに御理解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 今、大臣、時間がたってしまう前に中間報告という形で出したと。まさにそのとおりでありまして、急を要するんですね、この話は。もうこれはずっといろいろ、過去も昨年あたりはずっと指摘されてきました。もう既に中国は昨年の八月の時点で春暁の開発は実質的な段階に入っている。早ければことしの五月、あと三月後にはもう中国が生産を始めるのではないのかというような指摘も、資源エネルギー庁からいただいたペーパーの中にございます。春暁鉱区については二〇〇五年に操業開始予定であり、天然ガスの生産を開始する見込みだ、二〇〇七年から二〇〇八年には年産二十五億立方メートルに達する、それを目標に今中国がさまざまな開発を急いでいるということでございます。

 とにかく向こうはどんどんどんどん進めているんですね。日本は、正直言って、この間の議論はこれまでもしてまいりましたけれども、この時間がない中で、最終的な結論、我が国として、私もちょっと解析、分析というのがどれぐらい時間がかかるものかわかりませんけれども、どのぐらいの時期をめどにやろうとしているのか、その点についてはどうなんでしょうか。

小平政府参考人 今回発表をいたしました中間報告でございますけれども、まず、中間線の際の三、四キロ分につきましてはデータの取得は既に終わっておりますけれども、実際の作業が後になりましたものですから、今その解析を急いでおりまして、これにつきましては、できる限り三月中に終了をしたいというふうに考えております。

 それから、その他の海域につきましても、まずデータの取得はこれも三月いっぱいで終了をし、その後できるだけ速やかに解析をしたいというふうに考えておりますが、解析につきましても、さらに詳しい解析、特殊解析等を行いますためにはもう少し時間がかかりますけれども、全体としてできる限り早く結論を得るように今作業を急いでいるところでございます。

渡辺(周)委員 今、長官から、三月中に終了させるというような御回答があったわけでございますけれども、そうこうしている間にもう中国がどんどんどんどん進めてしまっているわけなんです。

 この点につきまして、杉山経済産業事務次官が、二十一日ですからこれは一昨日ですね、記者会見をしまして、ガス田に関する情報の提供を申し入れる、とにかく開発を中止せよということで記者会見をされたようでございます。

 この点につきまして、今回の中間報告を受けて非常に埋蔵の可能性が高まった、まさに我が国の国益に資する問題として、この海底資源が中国が今どんどん進めて独占されてしまうのではないか、大変な懸念の中で中国に開発の中止を申し入れるということでございますが、これはもう既にそういう行動を行ったのかどうなのか。あるいは、どういうスケジュールで行うのか、今回の中間報告を受けて。それともう一つは、今現在、中国はどのぐらいのところまで進めている、どういうふうに資源エネルギー庁としては現状を認識しているのか、その点については今どういう情報を持っていらっしゃいますか。

小平政府参考人 まず、中国側に対する申し入れでございますけれども、これにつきましては、従来から、情報の提供、それから開発の中止につきまして、大臣からも中国側に何度か申し入れをいただき、また、私ども事務方あるいは外交ルートを通じましても申し入れをしたところでございます。昨年の十月の日中間の事務レベル協議におきましても、開発中止、情報の提供等を申し入れております。

 今回の中間報告を受けまして、二月の二十一日に、外務省の佐々江アジア局長の方から、日本にございます中国大使館の公使に対しまして、開発の中止それから情報提供につきまして改めて申し入れをしたということでございます。

 それから、二つ目の御質問でございます中国側の作業の状況でございますけれども、これは、中国側の発表によりますと、先ほど委員からお話ございましたように、年内には生産に移行するということで準備をするというふうに聞いておりまして、既に、現在ございます構築物の上に生産に移行するための施設をつくる準備が進んでいるというふうに情報を得ておりまして、これが具体的にいつごろ、どういう時点で実際の作業が始まり、生産につながるのかということについての厳密なタイミングは、今のところは把握をいたしておりません。

渡辺(周)委員 外交ルートを通じて申し入れを、申し入れをというふうにして、申し入れをしてきたけれども、例えば、昨年の十月、北京での局長級の協議、中国は結局、こちらが求める具体的なデータというのは何ら出さずに、正直ゼロ回答であった。長官も御出席をされまして、中国側からは、要は棚上げして、共同開発はどうだという提案をしてきた。この問題が全然決着を見ないままにどんどんどんどん向こうが、中国側が進めている。残念ながら、日本は非常に後手後手に回っているわけでございます。幾ら申し入れをしたところで、彼らはどんどん進める。

 この後、この膠着状態をどういうふうに我が国としては解決するおつもりなのか。その点については、今大臣は、申し入れを繰り返してきている、しかし、それについて両国間には問題は存在しないんだということで向こうは進める、さあ、ここで我が国としてどう対応するべきなのか。大臣はどうお思いですか。このままのような形でいたずらに時間を引き延ばせばするほど、向こうはどんどんどんどんもう開発に着手しているわけですね。大臣としてはどうお考えですか、この問題、この時点で、やはり政治家として。これは確かに外交ルートですから、外務大臣、外務省とも話をしなきゃいけないでしょう。しかし、経済産業大臣として、非常に埋蔵の可能性が高まったというデータを受け取って発表された大臣として、今、現状どう対応すべきかということにつきまして御意見を伺いたいと思います。

中川国務大臣 十八日に発表したデータは、石油、ガスの、ガスだけでしたか、とにかく資源が入っている構造の可能性が高い、そして、その構造が春暁もしくは断橋につながっている可能性も高いということでありますので、これを、今小平長官からも申し上げたとおり、中国大使館を呼んで厳重に抗議をしたところであります。

 中国側は、この問題は、そもそも中間線は認めない、そしてまた、話し合いには応じましょう、こういうことをオウム返しに言っているわけであります。私も、六月、それから九月に直接、向こうの閣僚を初め、強く申し入れをしているところでありますけれども、答えはいつも同じであります。

 公電を一体何回打ったのか、私ももう忘れましたけれども、日中友好条約に基づいて誠意ある対応を我々としては求めているわけでありますけれども、きちっとしたデータ解析が最終的に行われた場合には、そこにあるということであれば、日本の貴重なエネルギー資源でありますから、これについて今後どういうふうにしていくのかということについて、現段階では何もまだ決めておりません。

 もちろん、データ解析をしてからということではありますけれども、当然、国民の、また国家の貴重な財産でありますから、それをどういうふうに扱うかということについては、次の段階で我々としても決断をしていかなければならないというふうに思っております。

渡辺(周)委員 今、最後におっしゃられた最終的な決断、それは、やはり日本側としても、当然、存在を実証するために試掘をするということで判断してよろしいですか、大臣のその決断というのは。それは、当然調査をして解析をして、中間報告か何か、三月末までにある程度の結果が得られた、そうすると埋蔵の可能性が非常に高いということになれば、当然、それを実証するわけですから試掘をする、そういう決断をするということで理解してよろしいですか。

中川国務大臣 そういう選択肢も当然あると思いますし、それから、ほかの選択肢としては、中国に中止を求めているわけでありますから、仮に中国が中止をするという決断をしたときには、また別の選択肢もいろいろあるということでございます。

渡辺(周)委員 もちろん、中止をすればまだ話し合いの余地が少しはあるのかなと思いますけれども、百歩譲って話し合いの余地があったとしても、これは御存じのとおり、我が国が主張する中間線と、中国側の言う大陸棚が自然延長していると。

 向こう側の言う、ここで余り詳しく言うまでもないわけですけれども、中国側は、大陸棚が沖縄トラフまで続いておる。日本側は、琉球大学の木村政昭教授でしょうか、この方の報告を読みましたら、同じ大陸棚の上に実は日本も中国も乗っているんだと。だから、日本側の言う中間線の、我々がここを中間線とするという主張の方がまさに的を射ているんだというような理論もあるわけでございます。そうしますと、これはやはり中間線の画定あるいは大陸棚の存在、大陸棚がどこまでかという沖縄トラフの海底地質調査ということも考えなきゃいけない、もちろん時間はありませんけれども。

 これについてもやはり日本側としての根拠を示さなきゃいけないと思いますが、この点について、今何かこの海底調査についてはやっているんでしょうか、あるいはやる予定はあるんでしょうか。

中川国務大臣 ですから、構造調査を今やっている最中でございますけれども、仮に春暁なら春暁が中間線をまたいでいる場合には、今度は中国側の排他的経済水域にあるものを日本が勝手にとってしまうということになると、今までとまた論理が百八十度変わってしまうわけでございますので、とにかく中国には日本の根拠を示して、中止をしろと。そして、日本の排他的経済水域は、特にここ十数年の国際司法裁判所の判例に基づいて、あくまでも中間線が原則であるという、これはもう私は確立した判例だというふうに理解をしておりますけれども、それに基づいて中国にきちっと日本の立場、意見を言い、そして中国も誠意を持ってこたえるものということで、引き続き努力をしていかなければならないと思っております。

渡辺(周)委員 言葉を選ばずに言ってしまえば、厄介な中国の、我々からしますと、とにかく向こうは話し合いに応じない、問題は存在しない、こちら側は何度も何度も申し入れをする、しかし、そのたびにゼロ回答。

 ここは御存じのとおり、イラクに匹敵する海洋資源、原油が、エネルギーが埋蔵されているというふうに中国は推定をしているわけであります。まさにこれは国益と国益をぶつけ合った大きな問題でありまして、こちらの方が紳士のように振る舞えば向こうも紳士のように振る舞う、こちらがほほ笑めば向こうもほほ笑む、そういう問題じゃないですね。向こうがここまで強硬な手段に来ている場合には、やはり私どもは、日本国としての、試掘も含めてその決断をしかるべき時期に来たらしなきゃいけない。つまり、日本も本気だということを示さないと、向こうはどんどんどんどん進めているわけでございます。

 その点につきまして、これは認識は一緒でございますから、ぜひとも、国の議論をする場でございますので、この問題は民主党も自民党もなくやっていきたいなというふうに思います。

 さてそこで、先ほどエネルギー庁長官からお話がありましたけれども、年内には中国としては生産活動に入るということでございますけれども、これは、民主党がいただいた、私どもの勉強会で以前、資源エネルギー庁から昨年十月にいただいた資料にありますけれども、操業予定として、春暁鉱区は油・コンデンセート、コンデンセートというのは専門用語でございまして、私もちょっと調べましたら、これは何かいわゆる精製過程で出てくる液状のものでございます。油・コンデンセートというものが、天然ガスの採取、精製の過程で得られる液体の炭化水素、これは、資源エネルギー庁の説明によりますと、既に開発されている平湖のパイプラインを利用して上海方面に供給、ガスについては浙江省に供給すると見込まれているというふうに我々は説明をいただいておりますが、こういう計画であろうということは、資源エネルギー庁の認識はそのとおりでよろしいですか。

小平政府参考人 ただいま委員の御指摘のとおりでございまして、春暁油ガス田から生産をされます原油とコンデンセートにつきましては、平湖に送られた後、平湖で既につながっておりますパイプラインで上海に送られる計画であるというふうに、プレスリリース等から承知をいたしております。また、ガスにつきましては、別途パイプラインを新設いたしまして、寧波方面に送られる計画であるというふうに、これまでのプレスリリース等から承知をいたしております。

渡辺(周)委員 それで、今お話がありました、つまり、油の方は上海と平湖を結ぶパイプラインで送られる。この春暁鉱区と平湖のところが大体百何十キロか離れているんですね。天然ガスについては、春暁から、これは浙江省でしょうか、浙江省に、今パイプラインの敷設工事をやって、それで送るということなんです。

 そこで、こういう記事が先般ございました。これは、ことしの二月十二日の東京新聞の一面で、この中国ガス田のパイプラインの敷設、平湖から上海までの海底パイプラインに対して、旧日本輸出入銀行、現在の国際協力銀行が総額一億二千万ドル、日本円にして約百三十億円の融資を実施していたと。つまり、このパイプライン、春暁の油を平湖から上海まで送るパイプラインは日本の融資で行われていた、こういう報道があるんですけれども、これは事実でしょうか。国際協力銀行、来ていらっしゃると思いますけれども、これは事実ですか。

野崎政府参考人 当行は、一九九六年八月に一億二千万ドルを限度といたしまして、アジア開発銀行とともに、平湖石油ガスプロジェクトに対しまして融資を行っております。

 当行のこの融資の対象は、本プロジェクトの原油パイプライン及びガスパイプライン、この設備費用でございます。

渡辺(周)委員 九六年に融資をしている、これは事実ですね。この報道のとおりでございます。

 実は、その前の年の九五年には、この春暁のガス田群で試掘に成功しているんですね。つまり、平湖と百数十キロしか離れていない春暁では、これは日本の防衛庁だったか海上保安庁だかが確認していますけれども、もう既に試掘に成功しているんです。

 つまり、極めて近いデリケートな場所でそういうことが行われている。にもかかわらず日本側が融資をしたということは、ある意味では、日本も知っていて、お墨つきを与えたという言い方はおかしいんですけれども、だって、これ、日本の融資でパイプラインをやっているものですよ、日本側は了解しているんじゃないですか、私は、まさにそういう間違ったメッセージを送ったんじゃないのかなと。そういう懸念は当時なかったんでしょうか。

 つまり、これは上海のいわゆる環境問題の解消ということで案件として受けて、先ほどお話があったアジア開発銀行と協調融資を行ったということでありますけれども、すぐそこで、まだ境界線も画定していないところで実はもう試掘を始めている。これは必ず大きな両国間の問題になるということをわかっていなかったのかどうか、にもかかわらず融資を決めてしまったのか。そのときの、当時いらっしゃったかどうかわかりませんけれども、その当時はそういう議論はなかったんでしょうか。

 あるいは、経済産業省等と資源エネルギー庁と、そういう議論は打ち合わせをして、こういう案件が来ているけれどもどうだという話は当時されなかったんですか。その辺はどうでしょうか。

野崎政府参考人 本件融資でございますが、当時、我が国政府の施策としての開発途上国への資金協力計画のもと、アジア開発銀行との協調融資案件として実施したものでございます。

 当行といたしましては、本件は、我が国企業が多数進出しております上海の浦東地区等に必要なエネルギー供給を行うこと、当時、同地区の都市ガスが石炭ガスで賄われ、これが大気汚染の主因となっていたところ、これをクリーンエネルギーである天然ガスに転換することにより環境改善を図ること等を目的として融資を行ったものでございます。

 当時、平湖石油ガス田は、日中の中間線から約七十キロ中国側に離れたサイトにあると判断しておりまして、現時点におきましても、春暁石油ガス田とは鉱区としても別個の石油・天然ガス田であるというふうに承知しております。

 なお、春暁の石油ガス田プロジェクトの原油につきまして、平湖関連の施設を利用するとの現地報道等が現在なされておりますことは承知しておりますが、本件融資の決定時におきましてそのような事態は想定しておらなかったということでございます。

渡辺(周)委員 当時は認識していなかった、だけれども、常識で考えれば、いいですか、融資をする前の年には春暁鉱区で既に試掘に成功しているんですよ。炎が上がっているのを日本側は確認しているわけですね。つまり、原油の試掘に成功している。

 しかも、七十キロしか離れていなければ、正直言って、そこから今度は、先ほど資源エネルギー庁からお話がありましたように、油は当然一番近くにあるパイプラインを使って上海に行くわけですよ。つまり、その時点でそういう可能性を予見していなかったのかということを聞いたら、正直言って予見していなかったということですけれども、つまり、それに関して融資を決めた際、一体どういういきさつで、いきさつは先ほど上海の環境の問題が出ましたけれども、だとすれば、例えば、経済産業省なり資源エネルギー庁なり外務省と、こういう話がある、情報を持ち寄れば、ちょっと待て、それは非常に危険なプロジェクトじゃないの、最終的には我が国の国益を脅かすことになるよという話は、例えば何かほかの省庁と話し合いは行われなかったんですか。その点はどうですか。

野崎政府参考人 当行といたしまして、九五年当時、中国が春暁での試掘に成功していたことは承知しておりませんでした。

 なお、当時、平湖石油ガス田は、繰り返しになりますが、日中の中間線から約七十キロ中国側に離れたサイトにあると判断しておりまして、現時点におきましても、春暁石油ガス田とは鉱区としても別個の石油・天然ガス田であると承知しております。

 また、第二点目でございますけれども、本件融資に当たりましては、政府の資金協力計画のもと、アジア開発銀行の協調融資ということもございまして、中国・上海地区のエネルギー需給緩和、それから環境改善効果が高い案件として、融資対象としたものであります。(渡辺(周)委員「ほかの省庁とは打ち合わせしなかったんですね。情報を共有しなかったんですか、当時」と呼ぶ)財務省とは一般的な協議をいたしたものでございますけれども、他の関係省庁との協議は、その時点では行っておりません。

 なお、現在は、当行融資の検討を行うに際しましては、関係省庁と相談しつつ対応してきておりまして、今後とも密接な連携、連絡を心がける所存でございます。

渡辺(周)委員 野崎理事が当時どれぐらいかかわっていたかどうか、今お役目で、ここでこう答弁せざるを得なくて、ひょっとしたら当時はそこにいらっしゃったかどうかわかりませんけれども、それにしても、今までも縦割り行政の弊害というのは我々は随分指摘をしてきました。いろいろな省庁にまたがる問題でも縦割りで、何で縦割りの弊害がというふうにいいますと、これは弊害なんてものじゃないんですね。国益の損失ですよ。縦割りの弊害とか、縦割りによって国益が喪失していると言わざるを得ないわけでございます。

 今こうなってみると、実は、我が国がお金を融資したパイプラインを使って春暁から平湖に油が運ばれて、そこから結局上海に、その春暁で採掘されるであろうものは、恐らく日本の側にもある海底資源をどんどんどんどん日ごとに日ごとに吸い取っていく、こういうことでございます。

 これは心がけるとかそんな生易しい問題じゃなくて、国益の喪失ですから、大変な、本当に悔やんでも悔やみ切れない大きな問題でありますけれども、ここでお尋ねしますが、財務省に来ていただいています。今、春暁から今度浙江省に引かれるパイプラインにはまさか日本の融資は行われていないと信じますけれども、財務省、きょうお見えですが、その点の事実はどうですか。

 そしてその後に、今のやりとりを聞いて、経済産業大臣、どういう御感想を持っていらっしゃるか、ぜひお尋ねしたいと思います。

井戸政府参考人 こうしたプロジェクトに対しまして資金協力を行っております政府系金融機関としては、国際協力銀行、これは旧日本輸出入銀行、及び日本政策投資銀行、これは旧日本開発銀行になるわけでございますが、こうした金融機関があるわけでございます。

 なお、国際協力銀行においては、平湖のプロジェクト以外に現在東シナ海のプロジェクトに資金を融資しているものはございませんし、過去の実績もございません。また、日本政策投資銀行につきましても、こうしたプロジェクトへの融資及び過去の融資実績はございません。

中川国務大臣 春暁、天外天、それから平湖、平湖とは大分離れておりますけれども、平湖のパイプラインを輸銀が融資をした、それに春暁、天外天をつなげた、そして、それが係争水域というか、日本のEEZに中にある日本の資源を中国の本土に運んでいっているということがわかったわけで、しかも、そのお金は国民の資金であるわけでありますから、当時の時系列的に輸銀なりあるいは財務省なりがその状況を把握していたかどうかは別といたしまして、こういうことがあったということがわかったということは、まことに遺憾なことだと思っております。

渡辺(周)委員 ちょっと時間の関係もありますけれども、大臣、平湖のプロジェクトに日本の資金が融資されたというのは、これは経済産業省はいつ知ったんですかね。大臣がお答えできなかったらどなたか、例えばこの新聞報道で初めて知ったとか、まさかそんなことはないと思いますけれども。

小平政府参考人 先ほど、国際協力銀行からお話ございましたように、当時は個別案件につきましては当時の輸銀から経済産業省に協議があるという仕組みになっておりませんでしたので、確認をいたしましたけれども、いつの時点で経済産業省がこの融資を知ることになったかということについて、正確な確認はできなかったわけでございます。

 ただし、当時の輸出入銀行はこの融資が決まりましたときに新聞に発表いたしておりますので、当然その時点では知ることとなったというふうに考えております。

渡辺(周)委員 つまり、新聞発表、だから、プレスリリースしたのが平成八年八月九日でございました。

 とにかく、この問題はまた改めてやりますけれども、中国にしてみると、これは個人の家に例えれば、境界線が画定していない隣の家の境目のところから、お互いがまだはっきりしていないところで例えば石油が出てきた。これはうちのものだ、うちのものだと言っている間に隣の家はどんどんどんどん吸い取ってしまう。実はこの吸い取る費用というのはおたくの家から出ているんですよと。

 本当に国益と国益がぶつかるのであれば、何で日本国がこのパイプラインにわざわざ融資までしていたのか。向こうにしてみれば、日本は、だってそれは承知の上じゃないか。日本は省庁の縦割りが日本の弊害であるということは知ってか知らずかわかりませんけれども、でも、日本政府としては了承したことではないか。私は、まさにこれは中国側にこの時点で間違ったメッセージを送ってしまったんだろうな、まさに悔やんでも悔やみ切れない話でございます。

 この点につきましてこれ以上はちょっと時間の関係でできませんが、ぜひこの点につきまして、我が国が一体となってこれはやらなきゃいけませんし、中国に対してとにかく、先ほどお話がありましたけれども、開発の中止はもちろんのこと、我が国としても早急に結論を急いで、そしてその上で、次のステップに進むときはやはり毅然とした態度で中国に物を言い、そして海上保安庁なり海上自衛隊なりを引き連れて試掘をする。それぐらいのことをしないと、これは、まさに日本はやられ損ばかりでございます。やられ損の国になってしまう。

 向こうにしてみれば、もうどんどんどんどん進め、進めとやってしまうわけでございまして、先ほど大臣が決意の話をされましたけれども、次なるステップに進む場合には、つまり試掘をするときにはかなりの妨害も予想されますね。これは向こうも、今回の調査でも妨害があった、中国側の船が航路をふさぐようなことも実際あったというふうに聞いておりますけれども、これから次のステップに進むとなれば、これはかなり緊張する関係になる。

 もちろん、先ほどお話ありましたように、友好国であるならば、これはもう毅然と、友好国でありながらもやはり毅然とした態度を国益をめぐってしなきゃいけないわけでありまして、そのときには当然関係省庁、それは海上自衛隊、防衛庁なり、あるいは海上保安庁なりと綿密に話をした上で今後のステップに進むべきだと思いますが、その点については大臣の御認識はいかがでしょうか。最後に伺いたいと思います。

中川国務大臣 当然のことです。

渡辺(周)委員 ぜひ我が国としての、この問題に対して中国に対しては一歩も引かないという姿勢をぜひ示していただきたいと思います。また、そうしなければ日本はいつまでたってもなめられる、そのことを申し上げたいと思います。

 さて、ちょっとここでこの問題を一区切りしまして、ちょっと別の質問をさせていただきます。国際協力銀行の野崎理事、ありがとうございました。

 それでは、あと約十分ほどでございますので、予定していた質問は全部できませんけれども、一月の一日から始まりました自動車のリサイクル、この点につきましては私どももいろいろユーザーの方や自動車関連産業にかかわる方からいろいろ御意見をいただいております。

 短い時間になってしまいましたけれども、この点につきまして、現状、まず一月一日から施行されましてどのような状況になっているか、その点についてお尋ねをしたいと思います。

石毛政府参考人 今先生お話のとおり、自動車リサイクル法でございますけれども、七千万台を超える自動車ユーザー、十万を超える関連事業者、それぞれ一定の役割をお願いするということで、自動車リサイクルを促進するための法律でございまして、これは一月一日に本格施行されております。

 この法律でございますけれども、リサイクル料金の前払いの方式、それから電子情報システムを活用しまして廃車の情報管理をするということで、いわば世界最先端の取り組みを導入しております。そういう意味でいい仕組みになっているというふうに考えております。

 この法律を着実に施行するということは、我が国の自動車リサイクルの促進、そういう自動車産業の競争力にも寄与すると……

渡辺(周)委員 時間がないから、それくらいでいいですから。今幾ら、要はどれぐらいの登録があって、トラブルはないんですか。現状どうなっていますか、一月一日から。

石毛政府参考人 現状は、一月一日に動いておりますけれども、トラブルとしまして、これは新聞でもちょっと報道されておりますけれども、自動車メーカーによりますリサイクル料金の設定につきまして、一部エアバッグについて、これは昔つくった自動車につきましては何かディーラーの段階でエアバッグを新たに装着するとか、そういうようなことも起こっていたということがあって、必ずしもその車種についてエアバッグがついているかついていないかについて適切な情報を把握していなかったということで、後ほど料金を修正したケースがございます。

渡辺(周)委員 では、今まで、要は一万円から一万五千円、元旦から始まって幾らぐらいのお金が集まっているんですか。自動車リサイクル促進センターという財団法人がこの資金管理をするんですけれども、このままいきますと、大体三年間で一兆円とも言われる運用資金が集まる。このお金を一体どうするのかということが問題でして、どんどんどんどん内部留保していきますと、国債を買うとか地方債を買うとかといろいろ御検討されているようでございますが、まず、その一兆円もの多額の資金、運用益をどうするのか。

 これが社会保険庁みたいにどんどんどんどん肥大化してここに管理されてくると、あれに使ってみよう、これに使ってみようとかいって派生をしたり、拡大したりすることを非常に懸念するわけです。例えば、最後は、人件費に使われたり、あるいは何か職員の交際費に使われたとか、実際社会保険庁もそうじゃなかったと言いましたけれども、結局最後はそうなったわけですね。職員の福利厚生になんか流用されたり、こういう懸念を持つわけですけれども、この点の我々の懸念についてはどうお答えになりますでしょうか。

 それからまた、これからメーカー側もいろいろ工夫をします。リサイクル費用がコストダウン、下がってきたときに、現行のまま、車種によって一万円から一万五千円、小型車から一万円、そうでなかったら一万五千円、この額が、例えば、当然引き下げられることがあるのかどうか。その点について、まとめてお答えいただけますでしょうか。

石毛政府参考人 最初に、リサイクル料金の現在の預託の状況でございますけれども、二月十六日現在で私どもの把握しておりますのは、百五十五億円の預託金が現在このセンターの方に預託されております。

 それから、運用益についてどうするのかというお尋ねでございますけれども、そもそもリサイクル料金を設定するときは、十年後とかそういう先のリサイクル料金はどうなるかということを試算するわけですけれども、それで試算をして、そこから運用益、当然発生するわけですから、その運用益を差し引いて、それで現在のリサイクル料金を設定するという形になっております。

 それからもう一点、そういうリサイクル料金を集めたものをほかに流用したりしていないだろうなということについては、これは、私ども、リサイクル料金についてはまさに直接的にかかった費用に充てるということになっておりますから、ほかに流用するというようなことはございません。

渡辺(周)委員 もう一つ、最後、ちょっと答弁漏れがあったんですけれども、これは、例えばリサイクルの技術が上がって、現行の一万円から一万五千円というこのリサイクルの預託金が、いわば負担金が減ることはあるんですか、将来の可能性として。

山本(明)大臣政務官 お答えいたします。

 この今のリサイクル料金というのは、将来の技術革新も含めた形でもうメーカーは計算をしておりますので、返還するということはございません。逆に高くなるかもわかりませんので、そのときの危険負担もあるということでありますから、返還はしないということであります。

渡辺(周)委員 これはやはり、特にことしから、今年新年度から新たな国民負担を非常に懸念する声がいろいろなところにあります。さまざまな、これは取りやすいところから取るという、このいわゆる国民負担増の時代の中にあって、これも新しい国民負担なんですね。

 その中で、将来、リサイクル費用、あるいは技術革新が進んだ場合に、当然これが引き下げられるという可能性も私はあるんじゃないかと思うんですね。つまり、現状のまま、高くなることはあっても、安くなることはない。

 しかも、先ほどお話の中にありました、何か別のことに流用することはないと言いましたけれども、そもそも年金も、年金の議論の中でいっぱい出ましたけれども、最初はそんなはずじゃなかったんだと。ところが、だんだんだんだんたまってくると、これを何か活用しないのはもったいないということになって、結局いろいろなところに流用されるようになり、それがいろいろな形で派生をし、いろいろなところに肥大化をしていって、最後はもう何だか何もわからなくなってしまった。

 つまり、こういう新しい組織、しかも莫大な資金管理をする団体ですから、そこを一番懸念するわけでございまして、それはもう、今回、今の答弁の中で、議事録に載りましたから、とにかく我々も議員をやり続ける限りは監視をしていきたいと思いますけれども、その辺についてもう一度お伺いをいたします。

山本(明)大臣政務官 このリサイクル料金の設定につきましては、法によりまして、勧告や命令は行政が行うということになっておりますので、しっかりとこれからも見守っていきたい、こう思っております。

渡辺(周)委員 では、もう一つ。

 では、お尋ねをしますけれども、つまり、この資金管理について、どのような形でこれを中身を協議するのか。つまり、透明性ですね、資金運用ですね。これについての透明性を確保しなきゃいけない、ユーザーの納得いくようにしなきゃいけない。その点について、どういう仕組みになっているのかということもあわせてお答えいただけますでしょうか。

石毛政府参考人 先ほどお答えしましたように、リサイクル料金は、これは直接のリサイクル費用ですから、それにしか使いません。それから、あわせて情報システムを運用しておりますので、その通信料金など電気料金がかかるものですから、それを公表しております。それもそれのみにしかお金は使わないという仕組みになっております。

 それから、委員お尋ねのとおり、非常に大きなお金がその資金管理センターに滞留するものですから、私ども、この中で、資金管理業務諮問委員会という、外部の先生方に、どういうような管理をしているのかというのを常に監視する、あるいは、監査法人の監査を通常受ける、それから、毎年どういう状況になっているか、それを公表する。

 そういうことで、こういう大きなお金を扱う団体でございますので、その資金管理については万全を期していくという形で対応をしております。

渡辺(周)委員 終わります。

河上委員長 次に、梶原康弘君。

梶原委員 民主党の梶原康弘でございます。

 午前中に大畠委員からまちづくり三法を中心に質問があったわけでありますが、私はまちづくり三法に絞って質問を用意いたしておりまして、重複を避けるとなくなってもいけないのでやらせていただきますが、少しでも突っ込んでいきたいと思っております。

 全国の地方都市、かつてはその中心部に銀座通りというのがあって、大変にぎわっていたわけでありますけれども、今やもうシャッター通りになってしまった。小売店の店舗数もここ二十年で四十万軒、実に四分の一がなくなった、こういう状況であります。それは数だけでありませんで、昔は、お父ちゃん、お母ちゃん、おばあちゃんに、息子も跡を継ごうか、こういう状況だったわけでありますけれども、今やおばあちゃんかお母さんが店番をしているだけ、こういうような本当に惨たんたる状況ではないかと思っているわけであります。

 さまざまな要因があろうかと思いますけれども、直接的に大きなダメージを与えたのがやはり大型店の出店であろう、こう言われていますが、その状況についてまずお伺いしたいと思います。

小此木副大臣 きょうはそういう問題でたくさんのお話をいただいておりますけれども、先ほど大畠委員のときにも、私が、なかなか活性化が進まない要因の一つとして、人や車や施設が郊外に移ってしまったということを申し上げましたが、それは、まあ、一つの現実としての事実であろうというふうにとらえています。

 そして、本当にきめ細かに、やはりそれもところどころでいろいろな事情があろうかというふうに思いますので、そういったことも含めて、今、まちづくり三法の話が朝から出ておりますけれども、しっかりと、本当の原因というのはどこにあるのかということをいろいろな角度から見て、見直しを含めた検討に入っているということを申し上げておきたいと思います。

梶原委員 今、大店立地法の指針の見直しというのが進められている、こう聞いておりますが、その内容について教えていただきたいと思います。

迎政府参考人 立地の指針につきましては、これは大規模小売店舗立地法に基づきまして、大規模小売店舗が立地する際に周辺の生活環境に影響を与えないようにするにはどうしたらいいかということで、指針というのを策定しておるわけでございます。

 この指針を策定した際に、これは平成十二年のことでございますけれども、実際初めて指針をつくるというふうなことで、技術的な蓄積を行った上で、施行後、十二年六月の施行から五年以内に見直しをするというふうなことにしたわけでございます。したがいまして、ちょうど五年を迎える、ことしの六月で五年たつわけでございますので、それに向けて、昨年の九月から審議会で検討いたしまして、見直しを検討しているところでございます。

 現在取りまとめ中の指針の改定案では、指針は国全体としての全国あまねくの基準を示すものでございますけれども、運用に当たる各自治体におきましては、地域の特性に応じてある程度弾力的に運用することが期待をされているというふうなことで、そういった弾力化ができるという旨を明示する。

 それからもう一つは、深夜営業がふえてまいったというふうなことで、周辺地域での犯罪の面とか、そういったものについての懸念等が出されておるわけでございます。したがいまして、出店者がきちっとした防犯対策への協力をやっていくというふうなことを指針に盛り込む、こんなことを検討しておるところでございます。

梶原委員 先ほどの副大臣の答弁、今の話の中でも、弾力化というのはどういうことかよくわからないんですが、いずれにしても、生活環境を中心に見ているということだと思うんですけれども、今ここで学者の勉強とかなんとかをしているわけじゃないんですよね。本当に塗炭の苦しみというか、苦しい状況にある商店街をどうするんだということが問われているわけで、何かもっと真剣な、そういう返事が返ってこないかなというような思いをいたします。

 昨年一年で店舗面積一万平米以上の大型店というのが百件届け出があったわけで、このところ大規模化、郊外化、複合化というのが進んでいる。大きいものは七万平米から十万平米、東京ドームが四万六千平米ですから、二つぐらい入っちゃうようなばかでかいものができている。

 うちの田舎にもありますけれども、城壁で囲ったような物すごいものができて、どんどん車を吸い込んでいく。外はだれも歩いていないわけですよね。一つの町ができてしまったような、そんな状況になっている。地方都市の中心市街地とはいえ、とても太刀打ちができない、物すごいダメージを受けているわけでありまして、決してこれは放置をできない。私は、商業調整を含む強い規制が必要ではないか、このように考えているわけでありますが、見解をお願いします。

迎政府参考人 まず、先ほど申し上げました立地指針について、いや、弾力化とかそんな悠長なことではなくと、こういう御指摘でございましたけれども、基本的にまちづくり三法の世界において、商業施設がどこに立地をしていいか悪いか、こういったものは都市計画の線引きの中でやっていく。その上で、その立地が決まったものについて、周辺の生活環境への影響、これは交通の渋滞でございますとか、あるいは廃棄物の置き場をちゃんと整備するとか、こういったものを立地指針で定めておるわけでございまして、それぞれの法の役割というのが期待されておるわけでございますので、そこの部分について今見直しをしている。それと同時に、三法全体については実施状況の検証を行って、現在、三法の見直しを含めて検討しているというふうなことでございます。

 中心市街地の活性化が進まない要因というのは、たびたび申し上げておりますように、町ごとにさまざまでございまして、郊外大型店の競争ということも一つの要因ではございますけれども、都市が郊外化、住民の方が住む場所が郊外化している。あるいは、車の普及率が高まって車で買い物に行くというふうなことが生活のパターンとなっているとか、あるいは商店街自体の魅力というのが低下をしたとか、あるいはそもそも商業販売額自体が、このところ消費が全体に伸びない。あるいは、消費の中でも物離れをしているというふうなことで、したがって、大型店だけを規制すればその中心市街地が活性化するとかそういう単純な図式にはなかなかならなくて、やはり郊外開発そのもののあり方ですとか、あるいは中心市街地の支援策をどうやってやっていったらいいのか、総合的な検討が必要ではないか、こういうふうに考えて現在検討をやっておるところでございます。

梶原委員 土地利用計画について触れたいと思いますけれども、それが有効に機能しているのかどうかということだろうと思います。

 私の田舎にも高速道路ができてインターができる、中心地へ立派な道がついて、あわせて圃場整備もしていく。区画がしっかりしていくわけですが、徐々に大型店ができる、パチンコ屋ができる、新しい町がそこにできてしまうわけでありまして、道沿いのいい田んぼから転用して、山沿いの狭い田んぼだけ残っていく、本当にそんな状況が続いている。先ほども触れられた土地利用計画というのは全く機能していないというふうに思っているわけです。

 大型店の郊外化で都市計画区域外の立地が進んでいるわけでありますが、このまちづくり三法から準都市計画区域というものが指定されて、これが二件。これは、制限をしていこう、乱開発を防ごう、こういうような趣旨だろうと思いますが、ほかに用途制限をしたもの、特別用途地区が八地区、それから特定用途制限地域が十地区ということを聞いていますけれども、これも何も大型店舗の出店を規制するものばかりではない。わかればこの中で大型店を想定したものが幾つあるのか教えていただきたいと思いますが、まちづくり三法ができてから大型店の新設届け出が二千二百九十二件ということを考えると、余りにも少ない数ではないか。立地法では出店調整というのができないわけで、この都市計画法でしかできないわけですね。それが余りにも少ない、全くできていないということが言えるんじゃないか。

 また、先ほどもありましたけれども、用途制限の権限というのは市町村にあるわけで、広域調整ができないであるとか、きょうは農水省の方、来ていただいておりませんけれども、先ほどもありましたけれども、転用して、ここ二十年間で六十六万ヘクタールの農地がなくなっている。これはゾーニングをしっかりとしていかないと、出店調整、私は何も調整だけで解決するとはもちろん思っていませんけれども、そういった状況ではないかと思いますけれども、国交省の見解を伺いたいと思います。

阿部政府参考人 都市計画法のゾーニングが機能していないのではないかという御質問でございます。

 都市周辺部におきます大型店の立地につきましては、市街化調整区域におきましては、市街化の抑制の観点から開発行為の規制が行われているほか、平成十二年の都市計画法の改正によりまして、一つは、線引きしていない都市計画区域の白地地域においては特定用途制限地域、さらに、都市計画区域外の地域におきましては、準都市計画区域を指定した上で、特定用途制限地域をそれぞれ都市計画で定めることによりまして大型店の立地規制を可能にしたところでございます。

 これらの制度は、地方分権の流れの中で、まちづくりの基本は市町村の主体的な取り組みにあるという認識のもとで、市町村が定める土地利用規制といたしたところでございます。しかしながら、これらの制度は、創設されてまだ年が浅いということもございます。また一方で、市町村の側からいたしますと、雇用増あるいは税収増の効果を考えまして、むしろ大型店の立地を歓迎する市町村も見受けられる。さらには、みずからが規制を導入しながら、隣接する市町村が規制を行わなかった場合に、規制のない市町村に大型店が立地することを懸念する市町村もあるというようなことから、これらの規制の導入に慎重な市町村もあるというような状況になっているのではないかなと思われます。

 こういった状況を踏まえまして、平成十五年には、さらにまた市町村に対しまして、都市計画の中心市街地に関しますガイドラインというようなことで、いろいろこういう制度があるので、また中心市街地の活性化というのは非常に都市計画上重要であるというようなことでガイドラインを各公共団体にも提示しておりますが、なかなか今の段階におきましては十分に活用されていないというのは、先生御指摘のとおりでございます。

梶原委員 まちづくり三法をつくったときに、これは政府はと申し上げますが、三法を一体として活用すれば大型店の立地調整を含むまちづくりに支障はない、こう説明したと聞いているわけでありますが、当時は大店法が機能をしていて、日米構造協議の中で規制緩和を強く要請されて大店法を廃止した、そのときの反対派をなだめる極めて玉虫色のものではなかったか。

 それぞれの法律というのは、一つ一つは確かに機能しているのかもしれませんが、三法というのは、一つの政策目的実現のために三法を組んでいるということだと思うんです。普通は三本の矢を束ねるとより強くなるんですが、この場合は三本それぞれすき間があって、全部肝心なところが抜け落ちているのではないか、こんな気がしないでもないわけでありまして、本当にこのまちづくり三法の真意がどこにあるのかというところをしっかりと焦点を当てなければいけないというふうに思います。

 私も、もちろん規制でがんじがらめにするなんということがいいと思っているわけじゃありませんけれども、地方都市の中心市街地を担う商工業者が大変厳しい状況に置かれている。これによって文化やコミュニティーが崩壊をする、そういう危機に瀕しているわけでありますから、私は、その影響を考えれば、出店調整が当然なされるべきではないかというふうに思います。

 そもそも、今、大型店を出店する大企業と、お父ちゃん、お母ちゃんでやっている小企業、自由で公正な経済活動といっても、これが果たして本当に自由で公正な経済活動がそこで担保されるのかどうか。私は本当にとてもそんなふうには思えない。一方でまた、文化を担い、これまで町をずっと支えてきた経験とか蓄積があるわけですから、そこはしっかりと取り組んでいかなくちゃいけないんだろうというふうに思っています。

 しかも、その調整が土地利用計画でしか対応できないというところが大変不幸なことであって、経産省も規制緩和を強いられて、大変厳しい中で大店法を立地法に切りかえたということは想像がつくわけでありますけれども、土地利用計画は国交省であり、また、都市計画区域を設定するのは都道府県であって、また、用途制限をするのは市町村。何か全部責任転嫁をして、ツールは置いておくからあとはやってくださいよというような大変無責任な構造になっているのではないか、そんな思いがするわけでありますが、三法の意図したところ、まちづくり三法と言われる目的というか、意図したところを改めて確認をしたいと思います。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

迎政府参考人 まちづくり三法の意図したところということでございますけれども、まさに通称としてまちづくり三法と言われているように、三法が目指したものはまちづくりでございます。

 それで、内外からの批判で、経済的な規制というものは廃止をする、それと同時に社会的規制に転換をすることによって、大型店と地域社会と調和のとれたまちづくりを総合的に進めるということを目的として制定したわけでございます。

 三つの法律にはそれぞれの役割というのがあるわけでございまして、都市計画法に基づいて、ゾーニングというふうな手法によりまして、大型店の立地が可能な地域と不可能な地域というのを線引きする。それで、可能な地域というのには、立地が決まった後において、交通渋滞、騒音、そういった周辺の生活環境への影響について、大店立地法によって良好な環境を保つようにする。それと同時に、中心市街地活性化法によって中心市街地の活性化というのを、関係省庁集まって、地域の特性に応じたまちづくりというのを支援していくというこの三つ、三本相まってまちづくりというのをやっていこうというふうなことで取り組んでまいったわけでございます。

 もちろん、それについてうまくいったのかというと、それはうまくいった地域もあるけれども、そうでない地域も結構多いということで、今、見直しをやっておるわけでございます。ただ、逆に言えば、ゾーニングの手法なんかもいろいろ用意されたのでございますけれども、それを基本的な単位となります市町村のところで本当に真剣に、自分のまちづくりをどういう形でやっていくのかということを考えていただいて、そこでいろいろなものを活用してやっていくというふうに取り組んでいただきませんと、なかなかその辺が、ある意味、もう少し考えていただけたらと……(発言する者あり)いや、それは制度について一切瑕疵がないということではないので、我々も見直しをしますけれども、ただ、そこのところは各地元で本当にその地域に応じてどういうまちづくりをしていくのかというのをぜひ真剣に考えていただかないといかぬと思っております。

梶原委員 現実がどうかというところを考えていただきたいと思うんですが、先ほどから言っているように、土地利用計画で出店規制というのは、本来的を射ていないというか、限界があるんだと思うんですよね。

 私が今考えているのは、確かに参入規制というような規制を新たにかけていくということはできなくとも、その地域の文化とかコミュニティーが崩れている大きな要因であるわけですから、今、立地法の中で影響を考慮、生活環境に対する影響というような言い方をされますけれども、私は、町の文化とかコミュニティーは重要な生活だと思いますよ。ですから、そこが崩れようとしているんだから、やりやすいごみとか騒音とかなんとかはやるけれども、難しい方は地方でやってくださいというのは全く無責任なというか、規制緩和という建前はいいけれども、やりにくい部分というのを押しつけていると言えるのではないか。

 私は、本来のまちづくりというのはこういうものだということを誘導していく、方向づけていくということも、もちろんこれは、今の地方分権を僕ら目指そうという時代に、こうだといってまちづくりを押しつけるつもりなんかはさらさらありませんけれども、少なくともその選択肢が与えられる、そういう環境というのをつくっていかないといけないのではないかというふうに思います。

 そもそも、まちづくり、町というものからもう一遍聞いていきたいというふうに思いますが、どうも何か、建物の集合体が町みたいな、そんな感覚なのかなと。私は、本来の町というのは、暮らしがあり、文化があり、コミュニティーがありというのが町であって、また、先ほどの規制緩和のことでいえば、何か経済活動自体が目的化しているというか、規制緩和しなくちゃいけない、いろいろな参入も促進して、プラスの面だけ見ていく。確かにそうかもしれないけれども、これは生身の人間の生きた社会ですから、規制緩和の実験をしているわけではないんだと思うんですよね。生きた私たちの暮らし、町の中で起こっていることだから、私は、もっと踏み込んだ体制というのが必要じゃないかというふうに思います。

 規制緩和については、やはり弱肉強食のルールなき戦いというのがこれからますます大きくなってくる、そんな危険性があるんじゃないか。私は、文化とかコミュニティーとか、あるいは社会秩序なんというのは、むしろ本当にそういう弱肉強食の世界とは相入れないというか、つぶされていく方向にあるのではないか、それにかわる、参入規制とかいうものにかわるしっかりとしたルールをつくっていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思います。私たちが目指している社会、町というのは、安全で安心して暮らせる、あるいは誇りを持てる、そういう町ではないのかというふうに思っていますが、そういう意味で、もう一度、三法がしっかり機能しているのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほど大畠委員の質問に答えて、まちづくりについて、一人一人の心がけということをおっしゃった。お考えはよくわかります。よくわかるけれども、大店法の今の状況をほうっておいてとは言いませんけれども、それで一人一人の心がけと言っても、どうもそらぞらしく聞こえる。私は、今のまちづくりの状況が教育の面とかいろいろな面にも出ていることを思えば、同じですけれども、もっとそういう方向というか、地方がやりやすい、まちづくりをしやすい環境とか条件をつくっていっていただきたい。

 そういう意味で、先ほどの質問ですが、三法がしっかり機能しているのかどうかということをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 きょうはずっと、まちづくりというものも何人かの先生からいろいろと御質問をいただきました。

 まちづくりというのは、もちろん大規模店舗だとかショッピングセンターだとかいうよりも、もう少し広い概念といいましょうか、文字どおりふるさとといっていいんでしょうか、生活空間といいましょうか、もう少し広い生活の場だろうと思います。

 ですから、先ほどちょっと申し上げましたように、例えば子供たちが学校の行き帰りに近所のおじさん、おばさん、お店屋さんとちょっとした会話を交わすであるとか、先ほど小此木副大臣からも、最近はなかなか物騒で声もかけられない、本当に世知辛いというか困った世の中になりましたけれども、ちょっとした声をかけ合う、あるいはまた、暗くなったから早く帰りなさいでありますとか、そういうふうに、何とかもとに戻していきたいなと。

 そこが本当の意味のまちづくりであり、そしてまた、そこに商店、お店があって、そしていわゆる対面販売で、いろいろと会話の中で物や商品知識のやりとりがあるというふうにしていくということが、今まさに、があっと効率性だけを追求してきた、いわゆる大規模店舗あるいは商業というものからもう少しそういう、心というとちょっとイメージがあれかもしれませんけれども、そういうふうにしていくために、本当の意味のまちづくりというものを、商店街も含めてどういうふうにしていったらいいのか。

 そこで、全国津々浦々、歴史も文化も景色も違うわけでありますので、そういう意味で、その地域に合った文字どおりまちづくりというものの主役は、やはりそこに住んでいる方々だと思いますので、最後は何か責任逃れみたいな答弁になって恐縮でありますけれども、そういう知恵をふるさとの町へ、あるいはノウハウをお手伝いできるようにするためにどういうふうにしていったらいいのかということが、今、多分、きょう一日のいろいろな委員の皆様方の御議論というものにも共通しているのではないかなというふうに思っております。

 そういう意味で、今、見直しも含めて検討をさせていただいているということは、できるだけ早くやれという御指摘もございましたので、そういうもっと心の温まるといいましょうか、世知辛いの反対みたいなもの、そういうまちづくりというものをどういうふうにしていったらいいのかということを経済産業省なりあるいは国土交通省なり、場合によっては文科省なり、あるいは国会の場で、いろいろとそれぞれの地元の皆さんのいろいろなお知恵もかりながらやっていくことが本当の目的達成のためにお役に立つのではないかなということで、きょう一日、大変活発ないろいろな御意見をいただいて、これを見直しの作業の中に大いに参考にさせていただきたいと思っております。

梶原委員 まちづくりについては全く同感なんですけれども、ぜひ大型店の出店について新しいルールを考えていただきたいというふうに思っているわけです。

 全国を見てみると、京都市とか長野市とか、景観とか環境とか都市利用調整という観点で大型店の出店規制をしている地域が既にあるわけでありまして、確かに京都とか長野とかそういう町かな、こういうふうに思うわけですが、必要性があるからこそそういう動きになっているわけでありまして、こうした動きについてはどういうふうにお考えでしょうか。

迎政府参考人 京都市の方では、都市計画法に基づくゾーニングとは別に、条例でエリアを決めて、各エリアごとに立地をする大型店の面積、この地域にはこういう店、この規模、こういうふうな条例を定めているというふうに承知をしております。

 それから、長野では今その条例の制定を検討中の段階というふうに私どもは承知をしておりますけれども、基本的には、まず、いわゆる需給の調整みたいなことになりますと、これはいろいろな、既存の条約ですとかこういったものと抵触するとか、そういう問題が生じてくるわけでございますけれども、そういったことが生じない限りにおいては、地方公共団体において、まさに自分たちの地域の問題として考えて、こういう条例というふうな手法を用いるというのも、これは一つの方法であろうというふうに考えております。

梶原委員 今、需給調整でなくということをおっしゃったんですが、確かに需給調整ということではなくて、何度も繰り返しになるんですが、やはり文化とかコミュニティーを守るという視点だろうと思うんですが、先ほどもありましたけれども、イギリスやドイツ、アメリカではゾーニングで出店規制をしている。フランスやイタリアでは、これは商業調整で、要するに需給関係を見て規制をしているということなんですが、そういう意味で、新しいルールをぜひ考えていっていただかなくちゃいけないわけです。

 冒頭でも言ったように、うちの方の大型店も、物すごい大きな、城壁みたいな建物があってそこに車がどんどん入っていくわけですよね。三カ所ぐらいあって、僕ら街頭演説するのに一番困るんですが、どこでやっていいかわからないし、外も大体人が歩いていないわけですからね。どんどん勢いよく車が入っていって、いつも困ってしまうんですが、それはともかく、そういう全く新しい町が一つできて従来の町との関係というのを断ち切ったような、そういったところに一番問題があるんだろうと思うんですよね。

 ですから、例えば立地についても、中心部にあれば、そこへ行く人がその途中で買い物もできるということもまたあるわけですから、今は郊外型が多いわけですから、中心部あるいは周辺部で立地を促進するとか、あるいは、その大型店の社会的責任、まちづくりに対する責任を付与するというような、そういったこともあるのではないかというふうに思っているんですが、まず、そういう意味での調整というか、立地法そのものにそういったものを付与していくということについてはどうなんでしょうか。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

迎政府参考人 立地法そのものにつきましては、三法の役割分担として生活環境の保持ということで、現行の三法の分担というのはそういうことになっておるわけで、今現在三法全体を見直しているというふうなことでございますので、そこは、立地法に付与するか否か、あるいはさっき言った条例みたいなものも一つの方法であるわけでございまして、そういうのを含めていろいろ検討はしていきたいというふうに思っております。

 おっしゃいますように、小売業はいわゆる地域密着型の産業でございますので、地域社会への貢献というふうなものも期待をされるわけでございますし、そういったことは、大型店が一種の社会的な責任を果たすべきであるという点につきましては当然であると認識しております。したがいまして、そういったことも含めて検討してまいりたいと思っております。

梶原委員 ぜひ積極的に、前向きにお願いしたいと思います。

 最後に、TMOのことについてお伺いしたいと思います。

 中心市街地においてTMO、そういった施策で各地で取り組んでいるわけですけれども、なかなか機能していない、成果が出ないということが聞かれるわけですが、そういった状況をどう認識されているのか。

 これは私の思いなんですけれども、その母体となっている商工会議所あるいは商工会、三セクというようなそういった母体が、やはり人材がない、経験がない、資金もないわけですけれども、企画開発ということについては極めて力がないのではないかな。これまで商工会議所とか商工会というのは、経営指導とかマネジメント、記帳指導とかそんなことをやって、今は記帳指導なんかなくても、みんなソフトでできるわけですよね。もう期待されているところは全く違うわけであって、そういった充実というのをきちっとしていかないと、せっかくのTMOも宝の持ち腐れになるというふうに思っております。

 むしろ、もう商工会が商工会議所と合併するなんというよりも、地方においては農協とか観光協会とか、市も含めて、経済団体というかそんなものが全部一つになって力を合わせていく、そういう時代じゃないかなと僕は思っているんですが、ぜひTMOが機能していくようなそういう強力な施策、これを期待して、その辺のところをお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 TMOの活動状況につきましては、先生御指摘のとおり、なかなか困難な状況にあるところが多いと思います。しかしながら、例えば私どもで調査した状況によりますれば、愛媛の松山であるとかあるいは石川の金沢であるとか、それぞれ工夫をしてTMO活動を活性化させて、貢献をして、成果もあらわれつつあるところもあることは事実でございます。

 ただ、こういった成功事例以外のところについて申し上げれば、やはり専門人材や運営資金の不足だとか、あるいは行政を初めとするまちづくりの関係者との連携不足から十分な活動を展開できないとかいうTMOもあることも、これまた事実でございます。

 したがって、私どもとしては、せめてそういう地元のTMOの方々が一生懸命やろうとすることについてさまざまなノウハウを提供できないかということで、かねてからいろいろやっておりますけれども、十七年度予算の中では、むしろ中小機構、今事業団が変わりました中小機構の専門家派遣事業などにおきましても、TMOをぜひサポートしたいというようなことで工夫をしておりますし、新しい予算も計上させていただいております。

 加えまして、先ほどの三法の見直しという話がございましたけれども、その中でも、TMOというのは本当はタウン・マネジメント・オーガニゼーションですから、商店街だけの話ではないわけでございますので、少しまちづくりの観点から、むしろ機能しないTMOじゃなくて、TMOの機能が足りないんじゃないかという議論もありますものですから、そういうことも含めて、御趣旨、御議論、十分よくわかりますので、活性化をしていきたいというふうに思っておるところでございます。

梶原委員 以上で終わります。

河上委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 近藤洋介でございます。

 大臣所信に対する一般質疑の機会をいただきましたので、私は、産業政策全般につきまして、経済産業省、そして政府の姿勢、施策を伺っていきたいと思っております。

 まず最初に、ここ連日報道されておりますライブドアによりますニッポン放送の買収劇、これを材料にしまして、企業の買収に関する制度について伺っていきたいと思っております。

 ライブドアによるニッポン放送及びフジテレビグループの買収につきましては、官房長官であるとか、さらには金融庁の長官、また与党の幹部の方も、外資による放送局買収を規制すべきではないか、または時間外取引のありようについていかがかという、こういった制度面についての発言をされています。

 今回の買収劇を見るにつけ、要するに、日本という国はまだまだMアンドAになれていないなという気がしております。いわゆる敵対的買収については特になれていないという気がしているわけであります。

 御案内のとおり、政府は今度新しい会社法の法案提出を予定しているわけでありまして、これは法務省の法律でありますけれども、経済産業省も大変作成に当たり深くかかわってきたと聞いておりますが、このMアンドA、特に敵対的買収につきまして、私自身は、ちょっと一部に出ているいわゆるライブドア悪玉論にくみするつもりは毛頭ありません。これはこれで、ライブドアなりその経営陣がどうであるとか行儀がどうであるとかいう問題は別にいたしまして、しかしながら、その法、敵対的買収に対して株主の利益をきちんと保護するという観点から、一定のルールというものも含めて必要ではないかという気がしているわけであります。

 まず大臣に、なかなか個別のライブドアの案件についてどのように受けとめていますかということはお答えにくいかもしれませんが、幅広く、経済担当大臣として、このライブドアに端を発したいわゆる企業の敵対的買収にかかわる法制度、制度のあり方についてお伺いしたいと思っております。

中川国務大臣 あくまでも一般論としてということでお話をさせていただきますが、今、近藤議員おっしゃるとおり、企業あるいはまた企業活動がどんどんどんどん国際化といいましょうか、アメリカンスタンダードの中に入っていくときに、やはりMアンドA、あるいはまた敵対的買収、来年から株式の交換による云々なんということもスタートをするようでありますけれども、それに対して、当然敵対的ということであれば防御ということもないとこれはバランスがとれないわけでございまして、そういう中で、今回のようなことが起きるということは、いわゆるステークホルダーの皆さん方にきちっとしたルールとして共通の認識を持つ必要があるということを改めて思い知らされたのかなと。そういう意味で、経済産業省も法務省と一緒になって研究会というもので今勉強をしているところでございます。

 これは、特に放送という、ある意味では一事業者よりも、電波は公共のものである、放送法にもそういう趣旨のことが書いてあるわけでありますけれども、それ以前に、こういう形でなかなかスピード感を持ってすごいことをやる若者がどんどんふえてきているんだなというふうには思いますけれども、やはりそれに対しての、攻めがあれば当然守りのルールもあって初めてバランスがとれるんだろうというふうに思いますので、三月中にも、新しい会社法に向けて、例えばポイズンピルでありますとかあるいは白馬の騎士とか、いろいろなことを今現在勉強している最中でございます。

近藤(洋)委員 やはりこの点もある程度グローバルスタンダードに一定限度合わせる必要があるんだろうなと思っております。これもなかなか難しい議論だということは私も十分承知しておりますが、ぜひその研究を生かして、これは、二〇〇六年から恐らく大型企業買収時代が場合によっては来るのかなという気がしておるものですから、制度の整備を急ぐべきだと考えております。

 また、きょう、日経平均株価は一万一千四百円程度のようでありますけれども、株がずっと、十年前と比べれば下がっておるわけで、今回も、やはり基本的には規制の対象は外資ということだと思うわけでありますが、日米の時価総額差、これは経産省さんから資料をいただきましたけれども、既にアメリカは日本の四倍ということなわけですね。

 放送局も重要でありますけれども、私がこの場であえて問題というか意識をしたいのは、ハイテク企業ですね。個別名はともかく、少なくとも日本のハイテク企業なり、もっと言えば、日本のRアンドDで国費が一部使われているようなプロジェクトを担っているハイテク企業に関して、これは今は外為法で規制といいますか、これがあるということは承知はしておりますけれども、実際、これからどんどんいろいろなことが起きてくるわけでありますから、そうした重要な技術開発を持つ企業に対する外資からの防御策の是非も含めて、御認識を伺いたいと思っています。

中川国務大臣 先ほどちょっと言い忘れましたけれども、小泉総理も海外からどんどん投資してくださいということを言っております。ですから、投資は一切だめよということではないということはつけ加えさせていただきたいと思います。

 そこで、日本の国益にかなうといいましょうか、買収されたり支配されると日本の国益を損なうものについては、今、近藤議員御指摘のように、外為法で幾つか列挙しているわけでありまして、今後、やはりそういうものも十分我々としても念頭に入れながら、今まで以上にやっていかなければならないというふうに思います。

 例えば、アメリカの場合には、御承知のようにエクソン・フロリオ条項でありますとか、多分、主な国どこにでもあるんだろうと思いますので、何でもかんでもマーケットの論理でやるということは、先ほどのエネルギーではございませんけれども、やはり、国益を損なうものについては何らかの歯どめというものが、今も制度としてはありますけれども、今後、ますますそういう点にも注意をしながら、国際化の中で日本の企業が活躍していくことが必要になってくるんだろうと思っています。

近藤(洋)委員 本件については、新しい会社法に絡んでまたさまざま議論の場があると思いますので、重要な問題でありますが、この辺で終えたいと思います。

 そして、これから本題に入りたいと思うんです。

 中川大臣は大臣に就任されて一年六カ月ぐらいになりなんとされているのかなと思うわけでありますが、私も議席を預かって大体それぐらいなわけでありますけれども、景気認識なんですが、きょうの議論の中でも大臣なり経産省の皆さんの景気認識がそれぞれ問われてきたわけでございますが、一年半前と比べまして、今の日本経済の状況は果たしてどうであるか。この一年半の間、経済産業省の施策はどれだけ貢献したと自負を持って採点をされますでしょうか。別に、あしたおやめになるわけでは決してございませんから、ですから、この時点で、経済産業省の施策は果たしてどれだけ貢献をされた、経済状況にかんがみてどうかというのを、評価を伺いたいんです。

中川国務大臣 間もなく一年五カ月になりますが、やはり、なったときにはデフレというものが、戦後といいましょうか、ここ数十年の間初めて経験した縮小経済といいましょうか、物の価値よりもお金の価値の方が相対的に強くなるという、かつて、数十年前は別ですけれども、経験したことのない経済状況からどうやって脱却するか。したがって、日銀なんかも量的緩和みたいなことを一生懸命やっていたわけでありますけれども、午前中も申し上げましたが、マクロとしては一時期の最悪の状態からは脱したんだろうと思いますけれども、ミクロを見る立場からはまだまだ手放しで喜べる状況にはないというふうに思っております。

 そういう中で、経済産業省としては、とにかく元気の出る施策というもの、これは産業あるいは研究も含めてということで、若い方々もまた先輩の方々も、やる気のある人に思う存分働いてもらえるような産業政策というもの。今お手元に新産業創造戦略をお持ちいただいておりますけれども、とにかく、いわゆる中小企業、町工場であっても頑張ってやっている企業はいっぱいありますし、そういう意味で、頑張る人には、いろいろな制度あるいはまた資金面、法律面、あるいはまた人材のネットワーク等々を含めましてできるだけ後押しをして、その成果が報われるようにということに省を挙げて努力をしてきたということ。自負というほどのものでないかもしれませんけれども、役所としてみんなでそれに頑張ってきたというふうに考えております。

近藤(洋)委員 この新産業創造戦略でございますが、私も三回読みました。三回読みまして、これは大臣が、N・レポート、通称中川レポートということでもあると伺っておりますけれども、大臣は以前、お若いころ日本興業銀行にいらっしゃいましたから、興銀のスタイルというのは現場主義だというふうに私聞いておりまして、とにかく現場に足を運んで融資をするというのが古きよき時代の日本興業銀行だったと聞いて知っておるわけですけれども、その思いが基本的には貫徹されているなという感想を持ちました。

 その意味では、大変よく事例を調べて、足を運ばれてというのは午前中の審議のとおりお答えをされたので、何を思うかということは先ほどの御答弁で十分伝わりましたので省略をしたいと思うわけでありますが、このレポート自体は、そういう意味では、私も立派なレポートだろうなという気がしております。ただ、問題は、このレポートで言っていることと実際の政策が、政府として行われていることが果たしてどこまでつながっているかということを、この審議を通じて産業政策を伺っていきたいと思っているわけであります。

 先ほど、デフレと戦ってきましたという話でありましたが、まさにその中で、この一年半というか二年間というか、私が判断するに、政府が一番力を入れて注いだマクロ政策というのは、金融周りを除くと、金融周りというか金融機関のことを除けば、私は、為替介入だったと思っているんですね。

 為替介入は、三月の末でぱたっと途絶えて、この一年間は行われていませんが、しかしながら、二〇〇三年度は何と三十二兆円の為替介入を行っております。この為替介入は、財務省さんの資料によりますと、百二十三兆円積まれて、七兆七千億円の含み損を結果として現時点では、現時点というか、平成十六年度末で出す予定だという資料がございます。ちょっと数字は違うのかもしれませんが、聞いておりますけれども、この巨額の為替介入について、その目的を、なぜあの当時、これだけ史上空前の為替介入をやられて、そして含み損といいますか評価損を出していることについてどのように総括しているのか、担当部局に聞きたいと思います。

井戸政府参考人 ただいま議員御指摘のとおり、二〇〇三年初めから二〇〇四年初めにかけて我が国は為替介入を行ったわけでございますが、これは、思惑的なドル売りによる相場の過度の変動あるいは無秩序な動きが景気回復に悪影響を及ぼすということを防ごうという観点から行ったものでございます。

 この時期の為替市場におきましては、イラク情勢等の地政学的リスクあるいは米国の双子の赤字への過度の注目というようなことから、米国経済が基本的には強かったにもかかわらず、思惑的、投機的なドル売りの動きが非常に強かったという状況にございまして、こうした状況に対応したものでございます。

 結果といたしまして、相場の過度の変動あるいは行き過ぎが企業や消費者心理に悪影響を及ぼすということを防ぐ効果があったと考えておりまして、我が国経済に一定の効果を及ぼしたものだというふうに考えております。

 二番目に御質問がございました外為特会の評価損についてでございますが、外為特会が保有する外貨資産につきましては、平成十六年度末時点におきまして、これはいろいろな計算の仕方はあるかと思うのでございますが、平成十七年度の予算参照書におきますと累積で約十一・四兆円の外国為替等評価損が見込まれているところでございます。しかしながら、外為特会が保有する外貨資産は、あくまでも為替介入のために必要とされる場合に備えているわけでございまして、いわば外貨を外貨として保有し続けるということに意味があるわけでございます。

 したがいまして、仮に円建てで評価損が発生していても、特会の運営に直ちに影響が出るというものではないというふうに考えてございます。つまり、この差損が実現いたしますのは、現在の為替レートで保有外貨資産を全額売却する、つまりドル売り・円買いをするということを想定した場合ということで、通常では、今のような状況ではなかなか想定しがたいという場合であると考えるわけでございます。

 また、外為特会が保有いたしております外貨資産の運用でございますが、これは運用収入が当然生じているわけでございます。この運用収入、これまで内外金利の動向を反映いたしまして、円資金調達のための借入金利子を運用利益が上回っている、利子が上回っているということで運用益が生じてきておりまして、外為特会の収支が悪化して財務の健全性に支障が生じているわけではないというふうに理解いたしております。

近藤(洋)委員 失礼しました。十一兆に膨らんでいたんですね。ですから、この二年間で六兆円から約五兆円ふえているということで膨らみ続けているわけでありますが、失礼をいたしました。

 これは、局長はこの介入をされたときの次長でもいらっしゃいますから、国金局の次長だと聞いています、まさに当事者でいらっしゃるので、ちょうど政府参考人としてはよかったと思うわけです。

 私は、効果、思惑的なものに対して一定の抑止だということでお話しでございましたが、この為替市場の中で、どれだけの介入の効果があるのかというのは非常に、まずそもそも評価できないのではないか。一千倍を超える、統計の取り方にもよりますけれども、三十二兆円の介入などというのは、大海に石を投げるがごときの、量としてはその程度の意味しかないわけですね。では、アナウンス効果がどれだけあるかというのも、これまた定かではない。これは、いろいろな為替市場は思惑で動くわけですから、御案内のとおり、政府がこれだけやれば逆にヘッジするとか、いろいろな形があるわけであります。したがいまして、効果がそもそも評価できないものに対してこれだけのものをつぎ込んでしまった。

 私は、この為替介入というのは一種のモルヒネだと思っているんですね。問題を先送り、本質的なことをしないで、何か幻想だけを与えて、そしてその結果、評価の損を出してしまう。確かに、おっしゃるとおり、全部の外債を売るということは理論的にあり得ないとおっしゃるが、しかしながら、日本全体の国のバランスシートを毀損していることは間違いないわけであると思うわけですね。問題は、これだけ大きなお金を外為特会という別のポケットの中で物を動かしてしまっていることの不透明性もあるかと思うんです。

 これは産業界の御要請もあったとは思うんですが、大臣の御見解はどうでしょうか。もし、簡単で、同じだというならば同じ、政府と、局長と同じでも結構でございます。

中川国務大臣 近藤議員は敏腕経済部記者であったので大変お詳しいと思いますけれども、一つだけ言えるのは、原材料高という日本経済にとって非常にマイナスになりかねないことについて、比較的、これは円高で動いたということのメリットと、円高であるがゆえに輸出に対してマイナスであったということと、両方多分言えるのではないか、これは、私の立場からはそういう認識を持っております。

近藤(洋)委員 私は、一定の、全く効果がないと言うつもりはないわけですが、しかしながら、本来の産業政策のとるべき話では毛頭ない。これだけ広がるとむしろ禁じ手に近い世界になっていて、事実政府もこの一年間やっていないわけでありますが、これだけ母数が大きくなってしまったわけですから、この外為特会の運用とか介入については極めて慎重であるべきだということを申し上げたいと思いますし、産業政策がある意味で不在であったという責任は、これは、財務省に限らず、政府全体として私は重いということを指摘しておきたいと思っております。

 そして、今の日本の産業を再生させるポイントというのは、私自身は、非常に乱暴な言い方をしますと、国民の所得を向上させること、これが少なくともこれから最も必要なこと、この一点に尽きると私は考えています。要するに、労働分配率というものを引き上げていくこと、これが消費を回復させるし、本当の日本経済の足腰を強くすることだと感じておるんですね。ところが、この労働分配率自体は、企業業績は大変急回復しているわけでありますけれども、非常な勢いで下がっているわけです。これで景気が回復するわけがないんですね。

 言い方を変えれば、今の景気回復というのは、企業のリストラと、そして、僕は政府の為替介入の効果はゼロだと思っていますから、企業の合理化努力、まさに企業の合理化努力、やせ我慢にやせ我慢を続けてやっと回復したということで、だから、やせ我慢ができない地方は厳しいし、そして中小企業は厳しいということなんです。やせ我慢ができる大企業だけは元気だ、こういうことだと思うんです。だから、労働分配率を引き上げるしかない。労働分配率を引き上げることしか産業を再生する道はない。

 サプライサイドというか、供給側をいわゆるいじくって、これはこれで一定の効果はあったでしょう。だけれども、もはや供給側を幾ら経産省が産業政策でいじくっても、日本経済は回復しないという考え方に立っております。

 そこで、この問題意識自体は、経産省も一定持っております。このN・レポートにも一応書いています。ただ、いずれにせよ、現在、若年者で未婚のアルバイトの雇用者のフリーターの方々が二百万人突破ですよね。派遣労働者、失業者の若者を加えれば四百万人、これは大変な数字です。ニートと呼ばれる方はこれと別枠で五十万人ですから、四百五十万人から五百万人の雇用の、これが働いていない、ないしは低賃金で働いているわけですから、幾ら企業が業績を回復しても、この数字を見れば明らかに、企業の業績はいいけれども全体としては沈んでいるとこれは出てくるわけで、これはこの十年間のまさに大変な政策のミスというか、負の遺産だと僕は思っているんです。過剰設備とかいろいろな問題がありましたけれども、この五百万人に迫らんとするこの部隊が大変な私は負の遺産だと思うわけです。

 そこで、お伺いするんですけれども、ここのにも若干出ておりますが、また、経産省が今回の税制改正で盛り込んだ人材投資促進税制ですか、これは経産省なりに言うと一丁目一番地だと担当の課の方はおっしゃっていましたが、経産省はどの課もみんな一丁目一番地だと言う役所ですからあれですが、財務省と大変議論をした結果できたといいますか、この効果と目的を改めて伺いたいと思います。

平田大臣政務官 よく御承知の上でお尋ねをいただいておりますが、実際に人材投資額というのが九〇年代以降約一千億減少をしているという事実がございます。そしてさらに、私もそうでありますけれども、いわゆる団塊の世代が企業を定年をしていくという状況等ございまして、経済の活力は人材でございますので、その辺で大変憂えるところがございます。

 したがいまして、人材育成をベースに、より高い生産性と産業競争力を再度強化しよう、こういうところで人材投資促進税制を申し入れをして策定したい、このように考えておるところでございますけれども、私自身も実際企業経営の経験からして、非常にこれは利用効率が高いんじゃないかな、このように思いますので、ぜひひとつまた詳細にお目通しいただいて、地元でもPRをお願い申し上げたいというふうに思います。

近藤(洋)委員 これはRアンドD減税とか既存の租税特別措置と比べてどれくらいなのかなというお答えは、なかなか事前に言いにくいですという話だったので結果を見たいと思うわけです。我々もPRをしますが、しかし、政府が果たしてどれだけ、これだけの肝いりでやったのなら、私の思いとすると、では現状でいくと減税効果が数百億ぐらいあるのかなという思いは期待を持っていますけれども、何か実際はそうでもなさそうだといういろいろな数字があるようでありますので、これを突破口に広げることが大事だ、最初の一歩なのかなという気持ちで見ているわけでございます。

 そこで、時間もありますので、厚生労働省、簡単で結構です。若年雇用対策、どんな施策を目玉でやるんですか。

上村政府参考人 先生から今お話がございましたように、フリーターやニート等が増加している現状にはございます。こういった状況が続きますと、本人にとってはもちろんでございますが、さらに産業や社会にとっても重大な問題であるというふうに認識しておりまして、対策としましては、一昨年、十五年の六月に策定されました若者自立・挑戦プランに基づきまして、フリーター等を含みます若者の職業能力開発施策等に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、一つは企業における実習、それと訓練校あるいは専修学校などの教育訓練機関における座学を並行して行いまして、企業ニーズに沿った人材を育成するということで日本版デュアルシステムというものを実施しているところでございますが、さらに、学卒未就職者等を対象にしまして、短期間のトライアル雇用、試行雇用を通じて常用雇用への移行を促進する若年者トライアル雇用などを実施しているところでございます。

 それに加えまして、働く意欲が少ない層についての対策も強化すべきではないかということがございまして、来年度におきましては、今申し上げましたような施策に加えまして、意欲が不十分な若者に対しまして意欲や能力を高めるための対策として、合宿生活の中での生活訓練あるいは労働体験等を通じて自信や意欲を喚起、向上させる、いわゆる若者自立塾と言っておりますが、それの創設や、若者が集まって相互に交流をする場として設定しておりますヤングジョブスポット、これも効果を発揮するように見直しをしていきたいというふうに考えて、それらを若者人間力強化プロジェクトとして推進するということにしております。

 これらによりまして、フリーター等の若者が安定的な職業につくことができるように頑張っていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 もう一点、これも大事なポイントなので、簡単で結構でございますが、若者の雇用と同時に大事なのは、私は技術の伝承といいますか、熟練工の世界だと思っております。

 私の地元の米沢も実は工業の町でありまして、東北有数の工業出荷高を誇るのですが、NECさんだとか日立さんとかの工場がそれぞれあるわけですけれども、現場に行きますと、実はほとんど派遣労働者の方になっている。フル稼働ですよ、工場自体はフル稼働です、昨年ぐらいまでは。ことしからはちょっとだんだんおかしくなってきている部分もありますけれども、ふえたといってもかなりの部分が派遣の方、ふえた部分は全部派遣です。名立たる大企業が大変派遣の方を使っているんですね。

 これは、いろいろ工場長さんとかに話を聞きますと、やはりラインをそのまま請け負わせるとかいろいろ工夫はしているけれども心配だと現場の方々はおっしゃっています、技術がちゃんと伝わるだろうかと。今は仕方なく、仕方なくと言うときついですけれども、コストということでやっているわけですけれども、大企業ですらこれだけ派遣が広がっているという状況で、私は日本の製造業の足腰の問題からもここが大変大問題だと思っているわけでありますが、熟練技術者の技術の伝承という観点から、どのような施策に力を注ぐおつもりでしょうか。

中川国務大臣 まさに、若年就業者と同時に熟練就業者の方の技術を守り、そして特に海外にとられないということは非常に重要なことでございます。

 よく、いろいろな企業の人に大丈夫ですかと聞くと、うちは企業ファミリーなので大丈夫です、こう言うんですけれども、それはそれとして、例えばヘッドハンティングみたいなことになったときには、なかなかこれは、本人の意思ですから、大げさに言うと職業選択の自由みたいなことになってまいりますので、それにつきましてはこの後御審議いただく予定にしております不正競争防止法等々でまたいろいろと御審議をいただいて、どんどん社外あるいは海外にそういう優秀な技術者が流れて、そしてそれが海外で伝承されていくということは、日本の国益上、できれば避けたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 政府は確かにそれぞれ施策を出しているんですね。ただ、いわゆる産業人材というか人材育成の総予算が、政府全体で平成十七年度六百七十九億円、昨年度の五百二十六億円に比べればふえたということでありますが、これはちょっと比較の問題なんですけれども、これだけ大事な問題に対して、経産省も厚労省も文部科学省も全部合わせてこの数字ということですけれども、お金の使い方で財政が厳しい中でこれだけふえましたという話なんでしょう。

 しかし一方で、これはまた特別会計ですけれども、これは厚生労働省の特別会計でありますが、京都の私のしごと館ですか、これは総工費五百八十一億円、片っ方で、特別会計の世界で五百八十一億円かけてぼんと箱物をつくっているんですね、大赤字の施設を。保険料から徴収したお金で箱物をつくっておいて、そしてこれだけ大事な話を各省庁まとめて六百七十九億円、箱物一個と同じというのは、お金の使い方として大変問題がある。本予算のところではおかゆ食ってそこですき焼きというのは、まさにこのことを言うんですね。なけなしでみんな知恵を出してやって箱物でこれというのはひどいと思うわけです。

 大臣、この状況について改善をすべきだと思うんですが、予算をふやすということと、あと特会の見直しも、産業投資特別会計、いろいろ特会がありますから、経産省の中でも。そういう特会全体を見直してこういう部分に注入するとかいう知恵を出す必要があると思うんですが、いかがでしょうか、後段はいいですが。

中川国務大臣 確かに多ければ多いほどいいわけですけれども、予算を今御審議していただいている最中でございますので、予算の中でできるだけ有意義に、成果が上がるように、大事に大事に使わせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 大事に大事にであれば、本当にむだなというか、それぞれが理由はあるんでしょうけれども、比較の問題でございます、優先順位の問題でございます、明らかにおかしい施設がどこどこと出ているという状況だと思うわけです。

 高齢者の六十五歳雇用の話も伺いたかったんですが、この法令、政府委員の方も来ていらっしゃいますが、指摘だけにさせていただきたいと思います。

 昨年度成立をしました高齢者、六十五歳まで定年延長の法案でございますが、熟年者のスキルを生かすという意味でも、これをきちっと法律どおり実行しなければいけないと思っているわけでございますので、実効性がどこまで担保できるのか、昨年通った法案でございますが、ぜひ実効性を担保するように、厚生労働省、制度を進めていただきたいという、これは要望だけを申し上げておきたいと思っております。

 また、なお、大臣、西村先生というのを御存じですか、東京大学の教授なんですが。御存じですよね、さすがでございます。私はお会いしたことがないんですが、今度日本銀行の政策審議委員に内定をしている。国会の合意がなければ決まりませんから内定されているというだけの方ですが、立派な学者さんだと思うわけですが、この方が最近出されたこの本の中でこういうことを言っています。「二〇〇三年から二〇〇四年にかけての景気回復は、目だった総需要喚起策のない「いつの間にか」の景気回復である。」そして、「政府の明確な政策が回復をもたらしたわけではない」、こう断言していますね。「企業自らの環境変化への調整の結果である」とこの先生は言っているわけです。

 政府の政策の結果、景気が回復したわけじゃないよと、日銀の今度政策委員になる、政府の一員になる人がみずから言っているわけでありますが、その意味も考えて、やはりこれまでの産業政策は、はっきり言って、結果として成果を出していなかったとこの次期日銀政策委員は言っておるということを指摘したいと思っております。私が言っているのではありません、彼が言っているわけであります。

 そこで、最後に一点。雇用が大事だ、雇用政策が大事だ、今、春闘やっていますから労働組合の皆さんもぜひ頑張ってもらいたいと思っているわけでありますが、経営者もその辺をわかって、マクロ政策をわかって経営者も対処すべきだと思うわけでありますけれども、政府としても、若者自立プラン、五名の大臣でこの自立プランをつくっているんですね。文部科学省、前大臣がいらっしゃいますが、五名の大臣がつくられている、連名で自立プランをつくりました。

 ただ、これは本来なら、私は、厚生労働省というか、労働省がある程度頑張る部分かなと思うんですが、厚生労働省は、今、年金とか医療で忙しくて頭が回らないですよ、大臣。回らないと思うんですよ。文部科学大臣も義務教育費の問題で頭が回らないと思うんですね。ここは中川大臣が先頭を切って、この五人の大臣連名の中で、やはりこれは産業政策の本丸なんだということで、リーダーシップを発揮して取り組むべきではないか。この経済産業委員会は前河村大臣もいらっしゃるわけですから、この問題について、スキルアップをする仕組みをつくる。

 一点だけ、もう時間が過ぎましたので提案をいたしますけれども、要は、フリーターの方々が職を転々とされたときに、その職歴がちゃんと評価される、能力がきちんと評価をされる。政府が今進めている作業というのは就職前の世界とかそういうことなんですけれども、フリーターの方とかが五百万人近くいるんだから、この方々が職をかわられたときに、ちゃんと評価をされて職が移れるような社会全体の仕組み、これをつくることが大事じゃないか。

 そういうことは厚労省考えているのかという質問はもう時間がないので、時間が来ましたのでやめますが、大臣の、そういう問題意識も含めて、リーダーシップを発揮して、中心に取り組んでいただきたい。一言だけ御決意をお願いします。

中川国務大臣 日本の唯一最大の財産は人ですから、人づくりをしていく、そしてまた伝承していくということをこれからもきちっと政策として、最重要課題として位置づけていきたいと思っております。ありがとうございました。

近藤(洋)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうはまちづくり三法、大型店問題の質疑が続いて集中審議のようですので、私からも大型店問題でも質問させていただきます。

 最初に、ダイエーの問題であります。

 産業再生機構が支援決定をいたしました大手スーパー、ダイエーが、ことしに入ってからの報道ということになりますが、五十三店舗を閉鎖するということが地元には大変衝撃でもありました。私の地元の埼玉・所沢にもダイエー所沢店というのがありまして、この五十三店舗の一つに数えられております。地元の方にお話を伺っても、今はもう電球を買いに行くにしてもダイエーしかないんだというような形で、出店をした以降、地域の商店が本当に消えてなくなってくる、そういう中で今ダイエーが、ある意味では商店街の核となって欠かせない存在となっている。そのダイエーがなくなることがどういう影響が出るのか、こういう声を上げておられます。

 地元の商店街の市長あての陳情書でも「既存市街地の中核として、街の賑わいと市民生活の利便性の一助となってきたダイエー所沢店の閉鎖は、地元商店街としての自助努力だけでは立ち行かない、まさに街並みの衰退を予測するもの」と訴えておられます。また、茨城の水戸でも、ダイエー水戸店が閉鎖の対象として名前が挙がっておりまして、やはり中心市街地の大型店がなくなれば食料品などを買う場所がなくなってしまう、ダイエー水戸店が出店をして、もともと地元にあった食料品店などがなくなってしまったわけですから、周辺の方はもうダイエーしか生鮮食料品を買うところがない、一気に不便になってしまう、こういう声を上げておられます。

 そこで、大臣に伺いますが、昨年十二月に産業再生機構がダイエー支援を決定する際に、機構法に基づく産業再生機構の主務大臣及び事業所管大臣として、経済産業大臣が意見を付しておられます。「ダイエーグループは、相当数の雇用、取引先を有するとともに、ダイエーの店舗が核店舗となる商店街も少なからず存在するところである。ついては、産業再生機構は、スポンサー選定及び事業再生計画の実施に当たり、地域経済、雇用及び取引先企業への影響に十分に配慮するとともに、既存店舗を有効活用されるよう考慮ありたい。これに関し、産業再生機構は、出資者としての責任を持って対処されたい。」と述べております。これはどのような趣旨の意見として付されたのか、お聞きしたいと思います。

中川国務大臣 やはり二百六十数店舗が影響を受けるということは、一ダイエーという会社だけではなくて、従業員あるいはまた取引先企業、そして何よりもその店、今、塩川委員もおっしゃっておりました、電球一個買うにも不便になってしまうということですので、やはり与える影響というものは大きいわけでございますから、そういうところにも十分配慮した再生をしていただきたいという趣旨でございます。

塩川委員 地域社会、地域経済に与える影響が大きい、その点で配慮してもらいたいと。それにとどまらず、やはり事業所管大臣としての経済産業大臣として、小売業のダイエーの経営に深く関与をしてきた経済産業省としても責任が問われていると私は思います。

 経済産業省はこの間、ダイエーに対し過去二回にわたって産業再生法の適用も行い、登録免許税などの減税も実施をしてまいりました。そこでお聞きしますが、この産業再生法に基づいてダイエーに行われた登録免許税等の減税額は幾らになるのか、お示しください。

迎政府参考人 産業活力再生特別措置法の認定に基づきます課税の特例といたしましては、増資にかかわる登録免許税、それから不動産取得税にかかわる登録免許税の軽減措置が行われているわけでございますけれども、ダイエーグループは、これらの措置により七・五億円の軽減を受けております。

塩川委員 七億五千万円の減税を受けているわけであります。そういう形でてこ入れをしてきたわけですね。

 それから、政府系の政策投資銀行からダイエーに対し出資及び融資も行われてまいりました。この政投銀からダイエーに対しての出資及び融資の金額がわかれば、教えていただきたいんですが。

迎政府参考人 日本政策投資銀行は、平成十四年の十二月に主力三行、UFJ銀行、三井住友銀行、みずほコーポレート、この三行とともに企業再生ファンドであるあかつきキャピタルを設立いたしまして、その際に、金銭出資百億の出資枠の用意を行ったということでございます。

 現在まで、あかつきキャピタルを通じまして、平成十四年に三十億円、平成十六年二月に五十億円、合計八十億円を出資しているというふうに承知しております。百億円の枠のうち八十億円の出資をしたということでございます。

 それから、融資額につきましては、有価証券報告書で公表されておりますところでは、十六年の二月の有価証券報告書で、日本政策投資銀行からダイエーに対する長期資金の融資額は百億円ということになっております。

塩川委員 ダイエーに対する政投銀からの出資が八十億、融資が百億、今残額があるということです。

 今回の機構による対応で政策投資銀行への債権放棄の要請額はどのぐらいに上がるのか、あるいは出資金の、出資額の毀損はどういうふうになるのか、この点、おわかりになるでしょうか。

迎政府参考人 お尋ねの点については、現時点で各銀行と産業再生機構の間でいろいろ調整が行われている段階であろうかと思います。したがいまして、現在確定していないというふうな状況だと承知しております。

塩川委員 実際進行中でしょうけれども、例えば読売の報道などでは、債権放棄額について、政策投資銀行は十三・六億円とかということも挙げられておりました。また、出資につきましても、減資もあり、また増資も行われることによって、もとの出資そのものは大きく毀損をすることにもなることになります。そういう点では、国民の財産をもとにする政策投資銀行からの出資、融資というのは、こういう形で大きく毀損をすることになる。この点も極めて重大であります。

 こういうダイエーに対して産業再生法を適用した理由というのは、そもそも何だったんでしょうか。お答えいただけますか。

迎政府参考人 産業再生法は、企業がみずから選択と集中の理念のもとで事業の再構築を進め、生産性の高い分野に経営資源を投入するというふうなことで再生を図っていく、これを国として促進、支援をするという趣旨の法律でございます。

 ダイエーの事業再構築計画につきましては、法の趣旨に照らして、法律の要件、産業再生法に定めます生産性の向上が図られるかとか、あるいは計画の円滑かつ確実な実施が見込まれるか、あるいは従業員の地位を不当に害さないか、こういったような法律で定める要件がございまして、これらについて審査をした結果、これらを満たすというふうなことが確認できたために、再生法に基づく認定を行ったものでございます。

塩川委員 産業再生法は、もともと、強い企業をもっと強くするんだということでスタートした法律でありますけれども、これは二〇〇一年におきまして産業再生法の省令改正が行われまして、従来、本来は債権放棄を受けたような企業には産業再生法は適用するものではないんだということは法制定時の審議では言っていた点なんですけれども、それを債権放棄を受けた企業まで適用できるように省令を改正して、その省令改正によって最初に認定を受けたというのがこのダイエーなんですよ。

 そういう点では、ダイエーを、省令まで改正をして省を挙げててこ入れをしてきたというのが経済産業省だった。私、これが今回のような機構送りになったという点では、経済産業省のダイエーへの支援というのがいわば失敗だったんだということが言えると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

迎政府参考人 今申し上げましたように、再生法に基づく認定というのは、法律に基づく要件についての審査に基づいて認定をしたわけでございます。認定を行いました平成十四年以降、ダイエーは、事業再構築計画に沿って、生産性の向上ですとか、あるいは有利子負債の削減に取り組んできたわけでございます。この再構築計画の期間はことしの二月の末までという期間ということで取り組んできたわけで、その結果として、それなりに当初の目的に沿った負債の削減等は行われてきたというふうに思っております。

 今回、産業再生機構の支援決定に至った点につきましては、これは、その後いろいろ事情の変化がございました。例えば減損会計の適用など、当初の計画で想定していなかった問題について早急に対応することが必要であるというふうなことで、十七年二月までの計画以降をにらんだ場合に、さらに従来の計画とは異なる再建の流れの中でどうしたらいいかという中で再生機構の支援決定に至った、こういうふうに理解をしております。

塩川委員 大臣に伺いますが、おととし産業再生法が改正をされる際の審議、これは機構法とセットで議論されたわけですけれども、当時の平沼大臣に、私、こういう省令まで改正をして、債権放棄を受けられるような企業まで産業再生法を認定できるようにした、こういうことについて大臣に伺いましたら、平沼大臣はそのときに、ダイエーは救済をする目的で私どもは認定したわけではない、自主再建できるんだ、だからこそ、いわば省令まで変えて、省を挙げて支援するということを表明したわけですよね。

 私、そういう点では、機構の主務大臣として何とか地域経済のことも考えて対応してくれと言うだけじゃなくて、ダイエーにてこ入れしてきた事業所管大臣として、この後どうなっていくのかについて、自分の問題としてきっちり支援を行っていくということが問われているんだと思うんですよ。そういう責任が重いんじゃないですか。機構に頑張ってくださいと言うんじゃなくて、経済産業省として、今後どうなるのか、きちんとフォローするということが必要なんじゃないでしょうか。この点をお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 平沼大臣とのやりとり、詳しいことは存じ上げませんが、今、迎審議官がお答えしたとおりで、当初の計画から幾つかの事情変更があって、最終的には、去年、産業再生機構のもとで再生をしていくということになったというふうに理解をしております。

塩川委員 中小企業に貸しはがしで、ダイエーには三回も債権放棄だ、こんなのあるかというのが庶民の声であります。機構の主務大臣として意見を述べるだけではなくて、ダイエーの経営に深く関与してきた事業所管大臣として、地域経済や雇用や取引先などに対して最後まで面倒を見るのは当然の責務だと思っております。

 そこで、実際に空き店舗になってしまったといったときにどうするのか。そういう意味では、この間、大型空き店舗対策予算というのが組まれてまいりましたけれども、これが計上されたのはいつで、計上される理由は何だったのか、その経緯について説明をしていただけますか。

迎政府参考人 大型店舗予算といいますか、私ども、大規模小売店舗法が廃止をされまして、まちづくり三法というふうなものが施行されまして、中心市街地の活性化に取り組むということで平成十年度以来やってきておるわけでございまして、その関連の予算といたしましては、平成十七年度予算におきましても約百億の予算を計上して、中心市街地の活性化支援に取り組んでいこうということでやっておる次第でございます。

塩川委員 質問に答えてもらっていないんですが、大型空き店舗対策予算はどうなったんですか。

望月政府参考人 御質問は大型空き店舗活用支援事業のことを言っておられるんだろうと思いますが、平成十四年から発足をいたしまして、当初一億九千万の予算で発足をし、来年度予算では二億四千万を計上しているところでございます。

塩川委員 大型空き店舗対策、大型空き店舗を埋めるという予算措置というのは来年度も入っているんですか。

望月政府参考人 平成十四年度に発足して数年間は、大型店の撤退が相次いだ一番大変な時期でございましたので、この時期にこの予算を発足いたしましたけれども、これは退店したところについての賃料負担をして、かわりの店舗を入れる支援をしているわけでございまして、これについては継続案件のみを対象にし、十七年度も予算を計上しているということでございます。

塩川委員 来年度はもう新規の案件は扱わないというんですよ。つまり、実質的に今年度で廃止ということなんですよね。

 中小企業庁が実施をした中心市街地における大型店の空き店舗に関する調査というのがあります。これは平成十四年三月の実施で、中心市街地活性化法に基づく中心市街地基本計画を策定済みの四百六十の市町村で一千平米以上の大型店の退店状況を調べると、その時点で百八十九市町村の二百七十五カ所あったんですね。その後補足して調べたデータも紹介されていましたけれども、平成十五年六月では、百九十四市町村、二百八十七カ所にふえているんですよ。さらに、今回ダイエーの撤退という形で、全部がなくなるということではないでしょうけれども、そういう点では事態は深刻になっているんじゃないですか。それをやめるというのはおかしいんじゃないですか。

望月政府参考人 やはり平成十四年度に調査をいたしましたときの、ちょっと恐縮ですが、今私手元に資料を持っておりませんけれども、調査をした時点では、思いもかけずこれまで中心となっていた核店舗が次々に閉鎖をしていったというある種の緊急事態に対応しなきゃいけないということで予算を計上し、数年継続したわけでございます。

 事態の改善は必ずしも十分ではありませんけれども、むしろその後の政策の中では、単に空き店舗の賃料負担をしてかわりの店舗を入れていくということだけでは、なかなかかわりの店舗の入るところも少ないわけでございますので、むしろ私どもとしては、きめの細かい対応としていえば、新規創業していくような若者たちにチャレンジショップを開かせるとか、そういった、言ってみれば大型店舗を丸ごと何とかしようということではなくて、幾つかの空き店舗区画に対して、新規のそういうチャレンジショップ事業だとか、あるいはコミュニティー事業だとか、そういうことに活用されるように、少し幅広い用途に向けてその空き店舗対策としての予算を新たに計上し、対応していく方がベターじゃないかというふうに考えているところでございます。

塩川委員 大臣に伺いますが、大型空き店舗というのは現状でも深刻なわけですよ。それを今年度で終わりにしちゃおうというのはないんじゃないのか。いや、もちろんチャレンジショップのような若者を支援するような創業支援というのは大いにやってもらう。同時に、大型空き店舗そのものが深刻なわけですから、キーテナントがなくなってそれで灯が消えたようになる、そこを多くの方が心配しているわけですから、もともと大臣そのものも意見で述べておられるような、地域商店街の核となっているこういう大型店の撤退の問題は深刻だという点でも、大型空き店舗対策予算を来年からなくすということなんかはもう改めて考え直して、使い勝手が悪いんだったら使い勝手がいいような工夫をすることできちんとした予算措置や対応を考えるべきだ、このことを思いますが、その点、お聞きしたいと思います。

望月政府参考人 大型の空き店舗の対策については、ビルが丸ごとあいちゃっているようなところも幾つかあるわけでございます。ただそれを、賃料全体を負担して維持していく、あるいは新しいものを入居を促すということにはある程度限界があろうかと思っております。むしろ、そういう空き店舗の場所は、既存の、かつてもともとの店舗が入っていたときに比べれば、経済原理として賃料自身も下がっていくわけでございますので、その賃料を我々国のお金で負担をして新しい店舗を入れていくという政策は、ある種の緊急時の対策としては意味があると私どもは思っておりますけれども、十四年から三年、四年目に入るわけでございますので、とりあえず私どもとしては既存の経緯があってそういうことをやってきた継続案件についての予算を計上するということが適切ではないかというふうに考えているところでございます。

 先ほどちょっと申し上げましたけれども、別途、きめ細かい創業対策の一環として、そういった区画を利用するようなチャレンジショップだとかそういうものに支援をしていく方が、むしろ前向きの中小企業施策になるのではないかというふうに考えております。

塩川委員 いや、緊急事態はまだ続いているんですよ、これから起きるかもしれないんですから。そういう意味では前向きじゃなくて後ろ向きなんですから、大臣、前向きに取り組むということをぜひ一言お約束いただけないでしょうか。

中川国務大臣 今緊急から脱したか脱していないかというのは、若干見解の分かれるところでありますけれども、今、望月長官から申し上げましたように、とにかく継続で引き続きやっていく、そして、どちらかというとハードからソフト面でアイデアを出しながら引き続き継続していくということで、できるだけこの空き店舗対策に努力していきたいというふうに思っております。

塩川委員 ぜひ地域の要望にこたえた取り組みをお願いしたいと思っています。

 もともとダイエーの中内オーナーは流通革命の旗手と呼ばれておりまして、大型店の規制緩和を先導してこられた方だったわけであります。その応援をしてきたのが通産省、経済産業省だった。規制緩和路線のもとでこのように大型店がどんどん出店をし、中小商店がつぶれて、その大型店同士の競争によって大型店も撤退をすることによって地域中心商店街も疲弊をしていくという悪循環に陥っているのが現在です。その大店法が廃止をされてまちづくり三法となって、施行されて六年であります。地域と商店街がどうなったのか、この六年間の検証というのが今こそ求められているときだと思うんです。

 もともとまちづくり三法は、御承知のとおり、都市計画法のゾーニングで大型店の立地を規制して、出店してきた大型店について言えば、周辺環境の整備についてきちんと大店立地法で担保する、中心市街地は活性化法で支援をしていこうじゃないか、この三つがうまく機能することによってまちづくりを大いに支援をできるんだという建前だったんですが、現実にはなかなかそう言えないというのが、きょうの審議の中でもずっと紹介もされ、実態も明らかになってきていると思うんです。

 私も各地を見ていまして、どういうところに出てくるのかなというのは、日商の篠原さんの意見とも一緒なんですけれども、やはり郊外の農村地域なんかにどんと大きいのができる場合と、それから都市の中の工場跡地に出てくるという場合と、それから市の方が、市町村などが音頭をとってやるような埋立地ですとか工業団地を商店も出られるような形で変えることによって出店する、大きく言えば三つぐらいのパターンで、あちこちに出てくるというのが現状だと思うんです。

 特に、まちづくり三法ができてからの変化ということでいえば、店舗面積が広大になっている、超大型店が出てきているということと、あとは深夜営業の問題というのがだれしも懸念をしているところだ。この点は皆さんも共通して受けとめておられることで、そういうのが相まって地域社会、地域経済に多大なインパクトを与えているんだと思うんです。

 数字で紹介しますと、日本ショッピングセンター協会が調べたデータで、出店地域がどこなのかというのをショッピングセンター協会がまとめているわけですよ。一九六九年のときには、中心地が六一・一%で、郊外が一〇・七%だった。それが、二〇〇〇年から二〇〇四年の数字をとりますと、この五年間の立地を見ると、中心地域が一五・五%になって、郊外が六六・一%と、まるで逆転をしている。

 一ショッピングセンター当たりの平均売り場面積が、二〇〇二年の一万九千八百六十平米から、二〇〇三年、一年間で二万八千四百五十五平米と、一挙に八千五百九十五平米増加をしています。

 これらを見ても、大型店が野放しになっていることが浮き彫りです。都市計画法に基づくゾーニングも、数字が出ていましたけれども、わずかな数で、実際の大型店規制に役に立っている事例というのは、率直に言ってないと言えるような状況であります。

 私は、そういう点でも、こういうまちづくり三法が何で機能しないのかなと。これは、大臣はどのように受けとめておられるんでしょうか。まちづくり三法が今機能していないんじゃないか、こういう声が上がっていますけれども。

中川国務大臣 今、塩川委員からもいろいろお話がありましたけれども、やはり郊外化、大型化、そして自動車、モータリゼーションというんでしょうかで、とにかく郊外にどんとでかいものがどんどんできていくということで、本当の意味のまちづくりという、本来の目的に沿うような法律の趣旨にかなっていないのではないかというふうに考えます。

塩川委員 いや、法律の趣旨に沿ってもうまくいっていないんじゃないかなという声があるわけで、改めてまちづくり三法の見直しが必要じゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

中川国務大臣 それは、朝からずっと申し上げておりますとおり、見直しも含めて今検討しているということでございます。

塩川委員 立地可否を都市計画で行うゾーニングの規制というのが現状機能していない。一方、大店立地法の十三条で、地域的な需給調整、これを禁止している。この両々相まって、無秩序な出店だけがまかり通るようなエアポケットに今あるんじゃないかというのが現状だと思うんです。

 そういう点でも、歴史上かつてないノンルールの状況になっているのを打開する上でも必要な法改正を行うということが求められていることを述べて、質問を終わります。ありがとうございました。

河上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十二分散会


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