衆議院

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第6号 平成17年3月16日(水曜日)

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平成十七年三月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      宇野  治君    遠藤 利明君

      大前 繁雄君    嘉数 知賢君

      川上 義博君    北川 知克君

      小杉  隆君    左藤  章君

      佐藤 信二君    佐藤  勉君

      坂本 剛二君    菅  義偉君

      田中 英夫君    竹本 直一君

      谷畑  孝君    津島 恭一君

      寺田  稔君    西川 京子君

      西銘恒三郎君    望月 義夫君

      森  英介君    山口 泰明君

      山下 貴史君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    奥田  建君

      海江田万里君    梶原 康弘君

      菊田まきこ君    近藤 洋介君

      佐藤 公治君    高山 智司君

      樽井 良和君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業副大臣      保坂 三蔵君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            振角 秀行君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           小田 公彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            岩井 良行君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           阿部  健君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     田中 英夫君

  武田 良太君     西川 京子君

  野田  毅君     大前 繁雄君

  平田 耕一君     宇野  治君

  望月 義夫君     佐藤  勉君

  高山 智司君     樽井 良和君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     平田 耕一君

  大前 繁雄君     野田  毅君

  佐藤  勉君     左藤  章君

  田中 英夫君     竹本 直一君

  西川 京子君     山下 貴史君

  樽井 良和君     高山 智司君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     寺田  稔君

  山下 貴史君     川上 義博君

同日

 辞任         補欠選任

  川上 義博君     津島 恭一君

  寺田  稔君     望月 義夫君

同日

 辞任         補欠選任

  津島 恭一君     武田 良太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官振角秀行君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、文部科学省大臣官房審議官山中伸一君、文部科学省大臣官房審議官小田公彦君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長岩井良行君、中小企業庁長官望月晴文君及び国土交通省大臣官房審議官阿部健君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。計屋圭宏君。

計屋委員 おはようございます。民主党の計屋圭宏でございます。

 それでは、きょうは午前中と午後の質問がございますので、午前中の場合ですと、日本の産業の骨格について質問させていただきたいと思います。

 それでは、まず、日本の現状として、大変なボーダーレスあるいはグローバル化の進展に伴って市場経済が競争の激化をしているという中で、企業を取り巻く環境においても大変大きく変化しようとしているわけでございます。そういう中で、日本の企業の場合ですと温室に入っていた。その中で、今この温室を外して、そして外圧あるいはまた不況下の中で企業がどう生き延びていくかということが大変大切だと考えているわけでございます。

 そういう中で、日本の企業は、今ニッポン放送株をめぐってライブドアとフジテレビとの、企業を買収しよう、そういったような意図でやっているところでございますし、あるいはコクドにおいても堤義明さんが逮捕される。そういったふうな急激な環境の変化という中で、私ども、この日本の企業の存亡というものあるいは中小企業の救済というものに取り組んでいかなきゃならない、こういうふうに考えております。

 まず、そこで、国家戦略として政府の産業政策の基本的な姿勢を確認させていただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

中川国務大臣 おはようございます。

 今計屋委員から、国家の産業政策の基本ということについてどう思うかという御指摘でございましたが、まず、日本は、国民の意欲と力を最大限発揮することによって国が成り立っている。つまり、その前提としては、自由と民主主義、そしてきちっとしたルールというものが前提になければならないというふうに考えております。

 そして、日本は、言うまでもなくいわゆる資源の少ない、ほとんどない国でございますから、海外からそういういろいろな資源を輸入して、国民の暮らしや産業のために活用して、付加価値をつけて海外に輸出をして、そして外貨を稼いでまた必要なものを輸入していくという国家でございます。そういうことで、日本は、世界の中でも、常に人間力といいましょうか人材力というものを発揮し続けていかなければ、国家としての活力以前の、ある意味では存亡というものにも影響してくると思います。

 私が常日ごろ申し上げておりますように、世界が平和で安定でなければならない。これは何も紛争だけではなくて、例えば、前から私が気になっておりましたことがついに、きのうですか、マラッカ海峡でのあの海賊船によって日本の船そして日本人、またフィリピンの方もいらしたようでありますけれども、シージャックされてしまった。安否が不明である。あの地域の海賊、あるいはまた、海に投げ込まれたとするならば、あそこはサメの非常に多いところでございますから、大変心配な状況でございまして、あそこは石油だけではなくて、きのうの船は何かパイプラインを敷設する船を引くタグボートだそうでありますけれども、とにかく、ああいうところを含めていろいろな安全が確保されなければならないと思っております。

 いずれにしても、日本の産業政策というのは、産業あっての日本、そしてその産業を支えるのは人材である、民間の人材であるということで、突き詰めてさらにさかのぼってまいりますと、その人材力、人間力を最大限、意欲と能力が発揮できるような、これはある意味では教育も入ってくるかもしれませんけれども、総合的な力の発揮のために、これは経済産業省だけではなく文部科学省その他、政府を挙げてそういう方向で取り組んでいくことが日本の産業政策の基本であるというふうに考えております。

計屋委員 そこで、産業政策における中小企業の位置づけということで、人間力ということで、産業によって日本を形成しているという話でございましたけれども、中小企業の位置づけについて説明いただきたいと思います。

小此木副大臣 おはようございます。

 私からお答えをいたしますが、もう委員御存じのように、中小企業というのは、日本の場合は九九・七%、もう一〇〇%近い存在でありますし、雇用は七割を超えているということでございまして、高度成長期も中小企業に支えてきてもらったんだというふうに私たち若い世代の者は特に思っております。

 そういう苦しい中であります。また、予算を計上するのも最近は大変苦しいわけでありますけれども、政府で千七百三十億円の予算を計上いたしまして、中小企業への総貸出残高というのは二百五十兆ほどありますけれども、そのうちの、政府系金融機関でいうと二十五兆、あるいはほかにも民間で三十兆、こういったものを用意しているところでありまして、大変に重要な、この今の時代であるからこそ本当に頑張ってもらわなきゃならない存在であるというふうな認識を持っております。

計屋委員 そこで、昨年五月に、新産業創造戦略に基づき、将来を見据えた我が国の競争力の向上や持続的な経済成長を実現すべく全力で取り組むということで、中川経済大臣がN・レポートというものを発表された。この中で中小企業の位置づけというのはどういう位置づけになっているのか、御説明いただきたいと思います。

中川国務大臣 昨年の五月に、新産業創造戦略いわゆるN・レポート、私は日本レポートというつもりでN・レポートとしたんですけれども、実はこれは、失われた十年と言われる中で、一番のダメージというものは、先ほど申し上げたように、産業に携わる人を初めとして人々の意欲というものを損なうようなことがあってはならないということで、今後に対しての一つの、これは何も方針でもなければ実施計画でもございません、一つの提言にすぎないわけでございますけれども、これに基づいて、ひとつ皆さん、これを少し参考にして、さらに質の高いもの、あるいはまた実行に移していただきたいという気持ちで、政府として発表させていただいたわけでございます。

 先端七分野とか、地域に根差した伝統的な技術等々いろいろありますけれども、要は、この中で一番大事な要素は人でありますし、また、絶対に欠くことができないのは御指摘の中小企業であると思っております。

 例えば、あの中で燃料電池とか、あるいはまたロボットとかいろいろありますけれども、燃料電池の技術、例えば燃料電池を、ああいう爆発するような可能性のあるものをきちっとタンクとして使うためには、一つの案としては、昔から使われております日本の伝統技術であります組みひもの技術なんというのを応用して炭素繊維を組み合わせていくなんという方法、これは伝統技術であり、中小企業のある意味ではきめの細かい技術なわけでございます。

 全国津々浦々の身近なところを支えるのも中小企業でありますけれども、いわゆる先端分野、世界と競争する技術的な世界の最先端分野においてもやはり中小企業の役割は大きいわけでございまして、例えば東京にも大阪にも、あるいはまた名古屋圏にも京都にも、全国津々浦々にそういう先端技術が伝統技術とセットとして、表裏一体として存在しているわけでございますから、名前は新産業創造戦略でございますけれども、目的達成のためには、中小企業の力、あるいはまた技術、あるいは人材力というものが絶対的な不可欠要素であるというふうに考えております。

計屋委員 日本のこのN・レポートというのは、アメリカのヤング社長のつくったヤング・レポートというもの、これをひな形としてつくった、こう聞いているわけでございます。

 アメリカのヤング・レポートによってアメリカが経済を活性化した、あるいは企業の再生を図った、こういうことで、このヤング・レポートで、大切なのは製造業の復活、技術力の強化、知的財産権の拡大と保護政策ということで、これを徹底的に実施した。その結果、成功裏に終わったわけでございますけれども、日本の場合ですと、このN・レポートによって本当に日本の経済を活性化できるのか、そして、今大臣がおっしゃったように、中小企業が大切なんだ、中小企業の持っている力あるいは技術力、そういうものを生かしていこう、そういう話であったと思いますけれども、これはどうですか。

中川国務大臣 計屋委員御指摘のとおり、非常に元気のない、何となくどんよりとした十年の中で、私がおととしの九月に経済産業省に参りましてから、みんなで元気に産業をまた頑張っていけるような何かの一つの導火線というかきっかけをつくろうよと言って、省を挙げて、全国に飛び散って、現場も勉強させていただいてつくったのがこのレポートでございますが、御指摘のように、ちょうどいいお手本、いいお手本といいましょうか、似たような例が八〇年代のアメリカにあったわけであります。

 日本あるいはドイツ、そしてまた、いわゆる当時NIESとかNICSとか言われる東南アジアの新興の国々の目覚ましい経済発展によって、アメリカの競争力が失われてきた。たしか、あのヤング・レポートによると、アメリカが絶対的に強かった産業十分野のうち、あの時点で強い分野というのは航空機産業と農業しかなくなってしまった、製鉄とか自動車とかそういうものは完全にやられてしまっている、だから何とかしなければいけないということで、ヒューレット・パッカードのヤングさんを中心にレーガン大統領のもとでできたのがあのヤング・レポートであります。

 御指摘のとおり、重点分野に対する投資、あるいは科学技術、そして何よりも人材投資ということに対して積極的にやろうということで、その後、ITとか、製造業も大分復活してきた部分もあるようでございますし、まさにヤング・レポートが九〇年代あるいはまた現在に至るアメリカの経済を支えているというふうに考えております。

 我々も同じような視点から、御指摘は、あれはたしか、どのぐらいのお金をどういうふうにやったらいいかとか、どういう減税をしたらいいか、かなり具体的に書いてあります膨大なレポートでありますけれども、私どもは、先ほど申し上げたように、あくまでも目標設定の一つを提示して、みんなでそれをやる。そのために、政策の方はある意味では後からついていくということで、予算面でも今御審議を参議院でいただいておりますし、人材投資減税であるとか、ものづくり日本大賞であるとか、そういうもので後ろから政策がついていくことによって、あの目標の主役である民間の意欲のある方々に対して頑張っていただきたいというのが、ヤング・レポートと私どものところのN・レポートの共通点と若干の手法の順序の違いというものがあることは事実だと思っております。

計屋委員 アメリカのヤング・レポートをひな形としてこのN・レポートということで、これを推進していこう、そして日本の再生というのを図ろうという、ねらいはそこにあると思うんですね。

 そこで、今年度の中小企業予算はどうなっているかということで、この辺を御説明いただきたいと思います。

小此木副大臣 特に、この新産業創造戦略において重点施策として、これまでも大臣が申してまいりましたけれども、人材の育成そして技術開発、これら重要なところに予算を強みとして持ってきているところでございまして、人材育成等への支援として、創業塾やOB人材活用推進事業のための予算など計六十七億円、技術開発に対する支援として、スタートアップ支援事業の四十二億円、そして創業・新事業展開への支援として、新連携に取り組む中小企業への補助や地域プラットホーム支援など計約百九億円に上っております。

計屋委員 そこで、日本全体の国家予算八十二兆千八百二十九億余万円という、この予算に対する中小企業の予算が千七百三十億円ということで、国家予算に対する中小企業予算の割合が〇・二一%ということであります。

 そして、全体的に中小企業を見てみますと、中小企業は御承知のとおり、就業者数が四千三百七十万人、中小企業の数が九九・七%でございまして、ここで働く方が約七〇%でございます。そして、この生産額というのが五百六十兆六千五百六十億円ということでございます。これは、日本全体の国内生産額に占める割合というのが約六割ということです。そのうちの中小企業庁の予算というのが千三百億円、こういうことです。

 全体の中で、国家予算の中でこれを見てまいりますと、本当に、占める割合というのが、今お話をしましたように、生産額としては約六割を示している、それにもかかわらず、この予算というのが〇・二%ということでございますから、これは大変少ないというふうに思います。

 また、例えば、これは比較にならないかもわかりませんけれども、目安としてあえて比較させていただければ、農林漁業というのが、この従事者が二百九十三万人、これは就業者数全体に占める割合が四・六%ということでございます。中小企業と比較しますと、中小企業の場合は約十五倍ということになります。生産額についても、農林漁業というのが十一兆一千十九億円。この生産額を比較しますと、約五十倍の差があるわけですね。

 それから、それを比較してまいりまして、国内生産額に占める割合というのが、中小企業の場合は六割、農林漁業の場合ですと一・五%ということで、この差というのが、先ほど話したように五十倍。そして、予算額においても、農林漁業というのは二兆九千六百七十二億円ということでございまして、つまり、農林漁業に中小企業の占める予算というのが六%ということでございます。

 ですから、中小企業が日本の、この国の六〇%を構成しているにもかかわらずこの予算が余りにも少ないというのは、今後、今N・レポートに基づいて日本の経済復興というものをやっていくのに、日本の国家予算の〇・二%というので日本を再生できるのかどうか、そのところを大臣にお聞きしたいと思います。

中川国務大臣 よく農林予算と中小企業予算との比較を御指摘いただきますけれども、確かに、いわゆる予算上の仕分けとして、項目としては、農林予算二兆何千億、そして、経済産業省を初めとする、いわゆる項として中小企業予算千七百三十億。これを比較すると、けたが一つ、十数倍違うではないかと。確かに、それを並べればそういうことになるかと思いますし、我々、中小企業政策が経済産業省のみならず政府としても最重要課題の一つでございますから、重要な中小企業施策については、もちろん一円でも多く予算を確保して、そして大切に使っていきたいという気持ちは言うまでもないことでございます。

 しかし、他方、我々が限られた条件の中で、財政的な条件、多分これは、余計なことかもしれませんけれども、農業予算の方ももっと欲しいというふうに思っているかもしれませんが、我々ももちろん一円でも多く確保したいところでございます。しかし、限られたというか、与えられた今御審議いただいている予算の中で最大限の目的達成をしていくということも、ある意味では、我々の知恵の絞りどころといいましょうか、我々の力を発揮しなければいけないところだと思います。

 予算に限っては、一千七百三十億円を新産業創造戦略も含めていかに有効に総合的な中小企業対策のために使っていくか。あるいはまた、それだけではなく、今小此木副大臣が申し上げましたように、政府系の融資二十六兆、信用保証三十兆、あるいはまた今回新しく人材投資減税を含めた税制、あるいは本法案で御審議をいただいております中小企業の新連携事業の促進のためのいろいろな制度等々を総合的に、予算だけではなく、税制、法制度面等々を含めて、総力を挙げて中小企業対策、これも再生支援であるとかいろいろありますけれども、新事業、新分野に対してやっていくために全力を挙げていることをぜひ御理解いただきたいと思います。

計屋委員 全力で頑張っているということは理解しても、やはり余りにも予算が少ないということが言えるわけでございます。昨日の参考人の東商副会頭の井上参考人、上野参考人等もおっしゃっておりましたけれども、国の予算が少ないということ、その当事者たる中小企業経営者は異口同音、対策が不十分であると強く言っているわけでございまして、やはり、N・レポートを成功させて日本の国を再生していくということについて考えていけば、この予算では少ないということが明らかであるわけでございます。

 ですから、日本の国の場合ですと、今、温室の中で育ってきた企業が温室を取っ払って、その中で景気がもう十五年、六年と停滞してきているわけですから、そういう中で中小企業が疲弊して元気がなくなっている、二極化してまいっていますので、もう死に体の企業がある。そして一方では、外圧によってこの日本の社会が大変な荒廃をしてきている。そういう中で、やはり日本の方向性というのをしっかり示して、そこでこの弱った中小企業に元気を出させる。そして、なおかつ、今回出された中小企業経営革新支援法、こういったふうな新法によって元気のある企業というものを育てていくということが大切である。

 日本は今二極化になってきておりますので、そういったような中で、この二極化の問題は午後からの部分でお話をさせていただきたいと思いますけれども。

 そこで、こういったふうな今の日本のやり方という形でやっていけば、中小企業対策は大切だと言いながらも、しかし、こんなことをいつまで続けるのか。やはりここで大きく政策を転換してもらいたい、こういうふうに考えますけれども、中川大臣、最後に答えていただきたいと思います。

中川国務大臣 先ほど申し上げたように一円でも多く財源を確保したいという気持ちはもちろんありますけれども、今、計屋議員御指摘のとおり、また御理解いただいていると思いますけれども、大きな産業政策あるいはまた中小企業政策を実現していくことが極めて大事でございます。まさにこの法案も、新しい、また新連携というようなものも中小企業の活力にとって非常にインセンティブになるというふうに期待をしておりますので、ぜひとも御理解をいただき、この法律に基づいて、あるいはまたいろいろな戦略レポートに基づいて、いろいろまた計屋委員の御指導をいただければというふうに思っております。

計屋委員 これにて質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、中山義活君。

中山(義)委員 おはようございます。

 昨日、参考人の皆様に来ていただいて、いろいろな御意見を伺いました。やはり大企業と中小企業の厳然たる差というものを皆さんいろいろお話をされていたような気がいたします。

 特に大店法の問題につきましても、商店街がどんどん疲弊しているということをかなり強くおっしゃっておりまして、また機会を改めて、大店法の見直しについては、都道府県単位の広域な行政として一つは考えるべきだろうということと、不当廉売や不公正な取引だとかこういう問題も、罰則を設けてしっかり取り締まるところは取り締まっていかなきゃいけない、こういうような話でありまして、ぜひ今後も、私どもも、地域の商店街がなくならないように、シャッター通りにならないように大臣にはお願いをいたしたいというふうに思います。

 また、もう一つは、きのう、インサイダー取引の問題で、大臣からもいろいろ表明がありました。

 私たちは、もともと産業再生機構というものがあって、それに再生法という法律があって、企業の活力を取り戻そう、こういうことでやったわけですが、例えば、あの当時、青木建設はつぶれたけれどもダイエーはつぶさないとか、最近では、金融機関でいえば、足利銀行はつぶしたけれどもその前のりそなはつぶさなかった。どこにその理由があるのか、そういうことについても、我々は、役所としては公平にやっているんだろう、一つの基準を設けて一生懸命取り組んでいるんだろう、こういうふうに思っていたわけですね。

 そろそろ産業再生機構も、できるだけ民間の力に任せて、または民間の銀行や証券会社に任せて何とか再生をさせていこう、こういう機運のときにああいうインサイダーの問題が出てきて、何だ、やはり、どうも裁量を用いて、この会社は、何か余り基準がなくてやっているような気がしたんですが、やはり我々からしてみれば、インサイダー取引があったり、今後も金融庁なんかがやっている銀行の関係や何かでも、何か大臣やそれにかかわる職員の裁量によったり自分の考え方で勝手に決めたり、そういうふうに疑われても仕方がなくなっちゃうと思うんですね。そういう面では僕は何てことをしたのかなと思うんですよ。こんなことをしちゃったら信用がなくなってしまいますよ。そう思いませんか。

 私たちは、産業再生機構は、一定の基準で、この会社をつぶすと社会に影響が大きい、これは救わないと今後の我が日本の国のこの産業にどうしても必要だ、そういう基準があってやったんだと思うんですが、もしこれが今まで省内の裁量だけでやったとすると大変な問題がある、私はそう思います。

 その辺の御答弁をお願いします。

中川国務大臣 改めまして、昨日御報告を申し上げましたが、今回の経済産業省の職員、しかもこれは、産業再生計画の直接の職務に携わる人間が、その企業に対して、TOBをやった結果、これは値上がり確実だということで、その株を買って、そして売り抜けて利益を得たという、典型的なインサイダーというか、インサイドというよりも中心にいる人間というふうに思います。

 ただ、そのことと産業再生政策の職務の遂行とはまた、その職員に関しては全く公私混同したわけでありますけれども、経済産業省の産業再生行政というものは、きちっと法律に基づきまして、そしてまたきちっとした手続によりまして遂行しているというふうに私は当然考えておりますし、また、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。

 例えば、ダイエーにつきまして一例を申し上げさせていただきますと、ダイエーの再生計画の作業に当たりましては、経済産業省、私は所管大臣またダイエーそのものの事業担当大臣といたしまして三つの要請をさせていただいたわけでございます。地域経済、雇用等に対する影響への配慮、あるいはまた適正な競争の確保、そしてまた、できるだけ早く自主的な再生、民間の再生ができるようにというような意見を申し述べさせていただいたことは、つい最近のことでございます。

 こういう再生計画あるいはまた再生機構の再生処理手続につきまして、これについて、当委員会の委員の皆様方あるいは国民に対して大変な信頼を損なうことをやったことは、本当に、厳に反省をし、また、省内のルールも一昨日の夜変えさせていただきましたが、まことに申しわけないと重ねて申し上げますけれども、しかし、この再生計画あるいはまた産業活力のための行政は、引き続き粛々と厳正にとり行わさせていただきたいというふうに考えております。

中山(義)委員 犯罪の手法としては、本人がやっていて、名義や何かの面からいっても、ある意味ではばれやすい状況だったと思うんですよ。もっと巧妙にこういうことが行われたら大変なわけですね。

 私たちは産業再生機構ができるときも御忠告申し上げたんです。この産業再生機構というのは、ある会社を助ける、こう決まったときにその株はどうなるか、こんなことも含めて裁量的なことをやって、いろいろ何か考えがあっておかしなことをやられたのでは困りますよ、それこそこういう産業再生というのは民間の仕事で、債権放棄はある意味では銀行が考えることであって、国がそれを強引にやらせることはちょっと間違っているんじゃないか、こんなことも申し上げてきたわけでございまして、この企業は救われないしこの企業も救われない、だけれどもこの企業を救ったという理由が何となく明確ではなかった。だから、こういう事件が起きると、何かあるんじゃないか、もっともっと省内に何かあるんじゃないか、こういうような疑いも出てくるんですね。

 私は、このことだけじゃなくて、最近は銀行の生き死にに関してもいろいろなことがあります。そうなってくると、ああ、金融庁でもやっているんじゃないか、いや、あの省もやっているんじゃないかと、政府では相当いろいろな疑いが出てきちゃうわけですよ。だからこそ、今回やったことは大変重いと皆さんも肝に銘じていただかないと、今後日本の国を再生する事業に変なことがかかわったんじゃ、せっかく皆さんが成果を上げても、何だ自分たちが得するためにやったんじゃないか、こう思われますので、これからもぜひ厳重に、省員の中に、みんながしっかり綱紀を粛正してやっていく、それを考えていただきたいと思います。

 その問題については以上で終わりますが、ひとつ考えていただければ幸いと思います。

 それから、今、私たちは、産業再生機構をやるときに、どうも、大企業はそうやって国が救う、だけれども中小企業は果たして国がそうやって救えるのかどうか、この議論をしたときも、大企業を救うのはその影響が大き過ぎる、または大銀行を救うのはその影響が大きい、しかし、小さいところをつぶす場合にはそんな影響力がない、だから中小企業はつぶれても仕方ないというような論理になってくるんですね。

 しかし、私たちは、中小企業九九・七%、ここに活力を持たせない限りは絶対に日本の産業の再生はあり得ない、こう思っているわけでございまして、中小企業にも同じような機構が欲しいということで、中小企業再生支援協議会、これは各都道府県の商工会議所につくっていただきました。これはもう本当にすばらしいことだったと思うんですね。

 しかしながら、産業再生機構と中小企業再生支援協議会とは似て非なるものなわけですね。例えば債権放棄とかそういうようなことを、しっかり計画を立てて銀行にそこまでやらせるのかどうか、こんなこともいろいろ質問をしてまいりました。

 実績なんですが、総理も本会議場でこの中小企業再生支援協議会の成果を語ったことがあります。大変すばらしくやった。ただ、我々は、本当に産業再生機構みたいに企業をしっかり立ち直らせたのか、どういうふうに立ち直らせたのか、この辺の今までの経緯をちょっと御披瀝いただきたいと思います。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、再生支援協議会は全都道府県におきまして活動を今精力的にしているところでございます。

 これまでの実績について御報告申し上げますと、相談実績は着実に増加をいたしておりまして、平成十五年二月に始めまして以来五千九百社からの相談に応じております。このうち約半数が協議会によるアドバイスや関係機関への紹介などにより課題が解決をし、また、七百六十六社につきましては、協議会自身が再生計画をつくるべきだということで支援を実施いたしております。そのうちの三百五十九社、約三百六十社がもう計画の策定を終わりました。策定を終わったということは、その不調であった中小企業が再生のプロセスに入ったということで、助かりつつあるということでございます。これに属しております従業員が二万六千人おりますので、そういった意味で、これだけの雇用の確保をできたというふうに考えているところでございます。

 こういった成果を上げているところでございますけれども、今の中小企業の状況を考えますと、ますますこれから案件がふえてくるというふうに考えておりまして、そういった実感を各地の協議会の皆様方は感じておられるというところにあると思います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

中山(義)委員 こういう相談業務またはそれを受けて何とかしてあげたいという気持ちは今答弁でよく出ていましたけれども、これは本当に相談できれば、相談した時点で半分ぐらい解決するんですね。

 というのは、中小企業の皆さんは、たまたま多重債務になっていくわけですよ。銀行の方は返せ返せと言うものだから、うっかりすると消費者金融あたりから借りて返している。だんだんだんだん借りているうちに金利の高いところから借りていく。それが多重債務になっていくわけですね。そうすると、奥さんにも言えないなんというケースがあるわけですね。社員にも全然言えない。自分一人で悩んでいるケースというのは私が調査した結果ではすごく多いんですよ。

 私も実は都会議員をやっているときから、いろいろなそういう相談を実は受けているんですね。それで、いろいろな人と話をするんですが、実は、相談の始めは、いや、実は女房にも言っていないので、ちょっと女房にばれちゃうとまずいんだとか、そんなケースが随分あるんですよ。いや、それは違いますよ、御夫婦ですべて話をして、そこから出発しましょうよ、家族みんなで力を合わせて、家族共有の財産についても、もし処分するならばよく話し合ってやりましょうよ、こういうふうに言うんですが、この中小企業再生支援協議会を知らない多くの中小企業者がいるということをまず気がついてもらいたいんですが、その辺はどういうことをおやりになって広報活動を続けているのか、その辺をお願いいたします。

望月政府参考人 先生おっしゃいますように、先ほど来出ております四百七十万中小企業の方々に広報するということ、私どもで一生懸命やっておりますけれども、なかなか、問題点を指摘されているところでございます。

 この再生支援協議会につきましても、私ども自身でつくりましたパンフレット、約十八万部ぐらいございますけれども、そういったパンフレットを作成いたしておりますし、それから、各地の再生協議会自身もそういうパンフレットの作成、配布などもやっております。それから、新聞を通じた広報であるとか、あるいは商工会議所の機関誌を通じた広報であるとか、そういった広報をやっておりますけれども、何よりもまず一番役に立つのは、地域の金融機関にこの情報をよく知らしめて、その金融機関を通じて、そこの窓口へ資金繰り等で御相談に来られる方々に対して広報するというのが多分一番有効ではないかということで、今地域金融機関との連携を一生懸命強化しているところでございます。

中山(義)委員 いや、中川大臣、実は、本当に、僕たちのところに相談に来る、どうしてそんなに金利の高いところから借りたのと言うと、やはり銀行からお金を借りているということの負担なんですね。それと、今まで銀行と取引してきたから、自分のところのメーンの銀行に相手にされなくなると信用を失うとか言うんですね。

 私なんかは来た人によく言うんですが、銀行にお金を返せないということは別に犯罪じゃないんですよね。大臣、そうですよね。お金を返せないということは、私は言うけれども、犯罪じゃないんですよ、返せないんだから。ところが、そこから始まるわけですね。もう返さなきゃいけない、返さなきゃいけない。商売そっちのけで資金繰りに追われる。

 だから、私がまず言うのは、友達から借りた金は、これは返さないと信用を失いますよ。だけれども、銀行から借りた金は、返せないのと返さないのと違うんだ。その辺のコンサルから始めるんですが、返せないんだから、では銀行としっかり話し合おうじゃないか、なぜ返せないのか、どうしたら返せるようになるのか、そんな話を基本的に始めさせるんです。

 だから、この辺がすごく大切なところで、ただ一人で悩んじゃって、返せない、返せない、ではといってどんどんどんどん消費者金融に借りまくって多重債務になって、最後は自分に生命保険を掛けて自殺をしちゃう、こういうケースなんです。悩んでいるんですね。まず悩みを解決しなければいけないというところなんです。

 それで今質問したんですが、長官、今言ったように、銀行にお金を返せない、返せないことそのものが犯罪じゃないんですよ。だから、まず話を聞いてあげるということがすごく大事なんですが、その辺の相談の内容について、本当に、相談して話をしただけで、結構、ああよかったとにこにこ帰るんですよ。そういうケース、どうですかね。相談がいかに大切かということをちょっと。

望月政府参考人 先生おっしゃるとおりだと思います。

 中小企業の経営が不測の事態によって大変困難な状態になるということは、これは本人だけの原因ではございませんで、社会経済情勢あるいはその他の情勢によって変わることがあるわけでございます。したがって、大事なことは、私どもとして、中小企業が活力を持ち続けてやることが日本経済にとって大切なことであれば、プラスになることであれば、みんなで企業を再生させるということが一番最大の課題ではないかということでこの政策をやっているわけでございます。

 したがって、こういう相談のプロセスの中で、いろいろな方が知恵を出し合って、合理的で実現可能性の高い再生計画案をつくるということが大事でございますし、それを公正中立な立場でやっていくというのがこの協議会の価値であろうかと思います。その過程で、ぜひ金融機関の方々にも入っていただいて、場合によってはリスケや新規融資などのニューマネーを入れるとか、そういう金融支援というものも、経済全体の立場から見てこれは合理的に必要なことではないかというふうに考えております。

中山(義)委員 いや、この問題は本当に広報して、こういうものがある、そういう窓口があるということをぜひ広めていただきたいんですよ。本当に一人で悩んでいる人が多いんです。サラリーマンの人でもそういう人がいまして、何だか知らないけれどもついつい消費者金融に手を出して、どんどんどんどん多重債務になっていくんですね。これも奥さんと話し合えば、今自分のある財産の中でどういうふうに処分できるとか、または専門家に聞けば、金利の引き直しや何かもあるわけですよ。一三〇%とか二〇〇%の金利だとかトイチだとかある。こういうのは非合法なわけですね。だから、ちゃんとした人が入れば、そういうものを金利を引き直せば、違った形が出てくるわけです。相談できないで悩んでいるから、日本の場合は金融に絡んで八千人ぐらいの自殺をする方がいると言われているんですよ。

 だから、中小企業再生支援協議会は中小企業のお医者様だと。来た人がやはり医者の診断を受けただけで、まだ完全に治らなくても自信を持って帰れる、にこにこして帰れる、そういう機関であってもらいたいんです。そういう面で私どもは、地元の中小企業を見ていて、中小企業再生支援協議会にはそういうこともやってもらいたい、こんなふうに思っているんですね。

 それからもう一つなんですが、今多重債務になっているところにただ金融でお金を貸せば、それは貸し倒れになっちゃうと思うんですよ。例えば木村剛さんの銀行なんかも、いろいろ状態を新聞で聞いていましたら、大変厳しい中小企業にお金を出した、すごくいいことをやっていると初めは言っていたんです。だけれども、そこには、本当は中小企業再生支援協議会にまず行って、こういうむだな部分は取り除こう、それから、今お金を借りているものは五年の返済を十年に延ばしてもらう、そういうことをやってからお金を新たに入れればいいんですが、ただ苦しいというところにお金を出せば、それは、結局、追い銭みたくなっちゃう。こういうこともありますので、その資金の資金繰りや何かについても、まずやるべきことは何か、この辺はどう思いますか。

望月政府参考人 私ども、今回、再生協議会の活動内容を伺うにつれて、勉強をしてまいりましたわけですけれども、大事なことは、事業が、キャッシュフローが回るようになっているかどうかということが非常に大事でございまして、そこさえしっかりしていれば、財務面のところの、これはいろいろな不幸な、バブルのときにばかなことをしたとかいろいろあるわけですけれども、そこのところの調整をすれば立ち直ることができるということでございます。

 その前提として、やはり事業自身がきちっとしたものになっているかどうかということが重要なので、先ほどちょっと合理的な再建計画と申し上げましたけれども、もっと申し上げれば、事業の選択と集中などを通じて事業面の再生を図るということがまず第一歩で、一番大切なことであろうかと思います。

 そのプロセスの中で、よく相談事例なんかを見ておりますと、例えば、採算部門を、新会社を設立して、そこへ営業譲渡するとか、会社分割をして、採算部門だけをどんどん伸ばしていくとか、そういう多様な手法をやることによって事業再生をするということに伴って、財務面でのいろいろな対策が効果を上げてくるというふうに考えております。

中山(義)委員 その手法は幾つかあるでしょうけれども、私たちもあえて最近見ると、競売になっちゃっている。競売になっちゃっているので、じゃ、競売の物件を別な人が買い取って、またその人に貸すとか、いろいろなことがいろいろな手法で行われていることも事実なんですね。

 私たちは、やはり、ある事業をしっかり面倒見てあげる。例えば民事再生法でも、みんな債権者にこれは勘弁してくれとやっちゃう。それから金を貸してくれと言ったって、もう銀行は、冗談じゃない、今までのを債権放棄させておいて、さらに金を出せとは何事だということがあると思うんですよ。

 だから、やはり中小企業再生支援協議会がしっかりとしたファンドを持つ。絶対自分たちのやったことが正しいと思ったら、そこにファンドを出せば、その会社が立ち直りますね。そういうファンドについての考え方を説明してください。

望月政府参考人 中小企業の再生の際に、ファンドのような機能というものが非常に必要ではないかという声が各地の協議会からも出てまいりました。ただ、そのファンド自身は、先生今おっしゃいましたように、何とか傷んだ中小企業を再生させようというファンドでございますので、少し時間がかかるファンドでございます。

 単に使えるところだけを切って売って、売り抜けてしまおうというファンドであれば、これはそこの部分のコスト、利益だけを見ればいいわけですけれども、再生させようという場合には、少し時間がかかってもいいからやるわけでございますので、そのファンドの資金というのは若干寝る場合があるわけでございまして、そういった、必ずしも一般の投資ファンドのように高収益を上げるようなファンドでないファンドでございますので、私ども公の方が少し支援をしようということで、中小企業基盤整備機構が出資金の半分をお手伝いをするということで、地域の再生ファンドの組成に力をかしているわけでございます。

 現時点で、地元からぜひこういうものをつくりたいという意欲のあるところと組みまして五つのファンドをつくっておりますけれども、あと、早々にもう発表されておりますけれども、二つのファンドができることになっておりまして、これはむしろ地元のニーズに応じてつくるということでございますので、必要があれば各地でそういうものができてきていただきたいというふうに思っているところでございます。

中山(義)委員 今回の法律でも、エンゼル税制とか、またはエンゼルが新しい企業に、創業者にいろいろやってあげる。ここが大事なんですね。だけれども、やはり一方、ずっと厳しい、バブルが崩壊してから何とかここまでやってきた、この企業も大切な我々の一員で、この人たちを救ってあげれば世の中変わってくる。あとちょっとなんだ、こういう人たちがたくさんいるということを考えていただきたいというふうに思います。そういう面でも、ファンドは極めて大事だと思うんですね。

 それから、金融機関に対しても、支援協議会に行って、この企業は立ち直るというお墨つきみたいなものが何かあれば、それによって銀行にいろいろ交渉ができるとか、こういうことも大切だというふうに思うんです。

 もともと、先ほど言いましたように、本業はうまくいっている、だけれども、あのバブルのときに、おたくは道路が広いところに土地があるから、二十階建てのビルを建てなさい、テナントはうちが全部入れますよ、中のマンションは全部うちで紹介しますとかなんとかうまいことを言って、銀行は金を貸したんです。ところが、あのようにバブルが崩壊しておかしくなった。

 しかし、みんなテナントが出ちゃって、この建物を守れなくなってきた、だけれども何とか本業だけは守っていきたい、こういうようなときに、やはり中小企業再生支援協議会が、物件は処分してあげるけれども、何とか実業を残していきたい、こういうようなことに対して、やはりちゃんとしたお墨つきを出してもらえば、この会社だけでも銀行からお金を借りて再生できるとか、いろいろ方法論があると思うんですね。その辺の取り組みをちょっとお話しいただきたいと思います。

望月政府参考人 先生今おっしゃいましたように、まさに事業の選択と集中で、生きている事業についてそれを何とか助けていくということが大事だと思います。

 したがって、先ほど申し上げました事業面でのリストラ、事業再生というのがまず第一でございまして、それが、合理的な再生計画ができ上がれば、金融機関に対して積極的に金融支援を協力するということになろうかと思います。

 具体的には、再生支援協議会の中に、政府系金融機関あるいは地域の民間金融機関のメンバーも入っておられるわけでございまして、そういった方々も含めてこの再生をやるということが、実は、金融機関にとっても、貸し金の回収ということを考えても、生きたまま回収するというのが一番回収率が高いというようなこともあるわけでございまして、そういった面での地域での全体の協力ということが今行われつつあるんではないかというふうに思っております。

中山(義)委員 あと、ちょっと長官に聞きたいんですが、こういうケースですね。連帯保証を自分の家族にさせているために、一応この会社はつぶして新たにやりたいと思っても、連帯保証のために会社をつぶせないというケースがあるんですよ。

 私は、この連帯保証というとんでもない差別的な人権無視のことは、いずれ必ずやめさせたいと思っているんですね。つまり、第一の債務者、金を借りている本人、この本人が銀行に返済をしなくなったら、その時点で今度はいわゆる第二債務者である連帯保証人がやられてしまうんですね。

 だから、自分は会社をつぶして何とか終わって、息子にかえたいと思っても、息子さんが連帯保証しているために、この債務を全部負っちゃうというようなケースで、連帯保証による相談、または自分の会社を手じまえない、こういうようなケースはありますか。

望月政府参考人 再生支援協議会の具体的な案件として、私、ちょっと今記憶にはないわけでございますけれども、連帯保証によるそういった事業の再建、再生にかかわる問題というのが起きていることはよく存じております。

 問題は、これは中小企業側におきましても、経営の公私の分離がどれぐらい行われているか、透明性がどれぐらい高いか、そういったこととも絡んでくる面もございます。私どもとしては、本来的に言うと、事業とそれからプライベートな生活の部分というものが分離されて、事業そのものについての議論が行われるというのが本来的には正しい姿だと思いますが、実態にそういうところがあるものでございますので、銀行との関係でなかなかうまく進まないというところはあろうかと思います。

中山(義)委員 大臣、今お話を聞いていて、中小企業再生支援協議会、僕はいい仕事していると思うんですよ。

 それで、結局、中小企業者としてみれば、一人で悶々と悩んでいて、どんどん多重債務になっていくケースは多いんです。だから、消費者金融で借りる前に相談に行けば、もっと早く来てくれれば再生できたのにというケースも随分あると思うんですよね。

 ですから、今回の支援をしていくのに、中小企業再生支援協議会、これにはもっと広報していただく。それから、やはりファンドが必要だということですね。それから、問題になっている制度の中に、連帯保証というのは、もうこれによって本当に問題が大きくなっちゃっているんですね。特に、消費者金融で借りた人たちは、この連帯保証によってがんじがらめで動けなくなっちゃっている。会社をやめることもできない。会社をやめれば、だれかに返済の責任が行くわけですね。

 ですから、私は、そういう連帯保証の面、制度の面、それから今言った中小企業再生支援協議会をしっかり、生んだんですから育ててくださいよ。

 もう一回、最後に大臣からの答弁をいただきたい。

中川国務大臣 中山委員御指摘のように、中小企業再生支援協議会は、全体として非常にうまくいっているんだろうと私は思います。これは関係者の皆様の御努力のおかげでございます。全国いろいろなところに行きまして、いろいろ話を聞きますと、非常にうまく、頑張っています、あるいはまた、今こういう事業を再生していますという話をよく聞いて、私どもも大変うれしく思っております。

 委員は、中小企業について大変お詳しい、実態をよく御存じでありますけれども、まさしく、本当に早く相談したら、まあ極端な例ですけれども、家族もあるいはまた御自身の体もそんなに損なうことはなかったのにという例は、多分、中山委員は随分と御経験されているんだろうというふうに思います。

 そういう意味で、こういう支援協議会があるということをきちっと広報することは、つくったと同じぐらいに大事なこと、つくっただけじゃ、知らなければ何の意味もないわけでありますから、そういう意味で、関係者の皆さんに存在それから趣旨を十分理解していただくためには、パンフレットをつくったとか広告を出しただけではなくて、不断の努力を、中小企業庁、私どもも、これからも努力をしていかなければならないと思います。

 それから、ファンドにつきましても、間もなく四十七のうち六県でファンドができるわけでありますけれども、これもやはり地元のことを一番よく知っている例えば商工会議所とか、あるいはまた自治体の関係者の皆さんとか、そして地域の金融機関とか、関係者が参加してやるわけでありますから、相談とファンドによる支援とか、時間的なずれは若干あるとさっき長官から答弁がありましたけれども、セットであるということが最大の強みだと思いますので、地元を挙げてやろうということでありますから、これについても、地域地域の御判断ではございますけれども、少しでもそのファンドの数がふえていったらいいなというふうに考えております。

中山(義)委員 質問を終わります。

河上委員長 次に、梶原康弘君。

梶原委員 民主党の梶原康弘です。

 きょうは、まず、エコキュート補助金制度について伺いたいと思っております。

 エコキュートというのは、御承知かと思いますけれども、高効率の給湯器、消費したエネルギーよりも出力の方が多いというようなことで、省エネで環境に優しいということで補助金制度がつくられた。CO2削減の問題もあるので、ぜひ促進をしてほしいというふうに思っているわけです。

 この補助金制度ができたのが平成十四年でありまして、毎年、三年間五十三億の事業費、予算がついた。十七年度予算では七十億が計上されているわけですけれども、私の知人の設備屋さんなんですけれども、地元では中堅というか、そこそこ大きな仕事をしていまして、十四年からその制度を利用しているわけですが、そのときは幾らかでもきちっと、制度が、やり方が違ったわけですけれども補助がついていた、ところがこのところ全く利用できない、こう言っているわけですね。

 制度が変わってきたわけですが、例えば平成十六年度第二期分、これは申込日が十月一日で、応募期間は十七年の一月末まであるわけですが、申込日当日に予算額が達成されたということで、しかも十月一日に到着した分も抽せんで決まったということです。

 その知人の会社も、そういった厳しい状況にあるという、大変応募が多いということはわかっているので、八十件の申請書を宅配業者に朝九時半に届けさせたということでありながら、当せんはわずか一件であった、こういうことです。他の業者に言わせると、それでもよく一件当せんしたじゃないか、よかったじゃないかと言われたというようなことなんですが、この制度、今年度は五十三億ですから、年間四万件の補助対象、これは最終的には個人の住宅になろうかと思うんですが、半期で二万件ということになります。そうすると、よっぽどくじ運が悪かったかもしれないけれども、八十分の一の確率だということは、応募が百六十万件ぐらいあったのかな、こんな計算も成り立つわけですよね。

 業者の中にこういう声があるということを知っておられるのかどうか、また、平成十六年の第二期分で何件応募があったのか、数はわかりますでしょうか。お願いします。

岩井政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がございましたいわゆるエコキュートの導入支援事業でございますけれども、その採択におきましては、原則といたしましては先着順で受け付けて採択することになっておりますけれども、予算の範囲を超えた日に到着をした申し出書につきましては、抽せんでこれを行うという制度にしておるわけでございます。

 御指摘のありました平成十六年度の第二期の採択でございますけれども、この募集開始当日である十月一日におきまして、その日一日に届いたものが予算額を大きく上回る応募があったということで、同日、募集を締め切り、抽せんを行ったということでございます。

 その件数についてのお尋ねでございますけれども、台数ベースで申し上げますと、応募四万七千三百二十五台に対して採択一万四千四百七十二台、申込件数ベースで申し上げますと、四万四千百四十六件に対しまして採択一万三千五百八十一件となってございます。

 なお、上期と下期でございますけれども、五十三億、予算的に申し上げますと第一期の方に三十四億分、第二期の方で十九億分というような募集をしてございますので、議員御指摘のように上期と下期でその採択件数が同じになっているというような運用ではなかったということであろうかと思います。

梶原委員 私もちょっと勉強不足でありまして、ただ、四万四千件の応募があって、採択が一万三千件とおっしゃいましたですよね、大体。

 その知人の会社によれば、補助金を取得するということを前提に営業していますから、採択できなくてもお客さんが納得してくれない。結局、その補助金分については業者で持ち出しをして取りつけた、こういうことなんですけれども、彼はやはり抽せん方法というのに相当疑問を持っているわけですよね。実際、私も実はきのうも確認したんですが、八十件出したと言っているわけです。それで一件しか採択がなされないと。

 今、数が明らかになったわけですけれども、相当な数の応募があって、これは財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターというところで、委託しているんですよね、その審査をするわけですけれども、膨大な申請書を大変短期間に処理をしている。それで、前日の郵送による申し込みは受け付けていないということでありますし、ヒートポンプ・蓄熱センターの役職員というのは、役員の方も含めて二十二名、大変小さい世帯であるわけですよね。

 また、これは、申請する場合に、一般申請といって、業者の代行で書類はつくりますけれども一般の方が申請する場合と、業者が予定枠申請ということでまとめて何百ということも申請が可能だということを聞いているわけですが、その知人いわくは、大手のところで相当枠を押さえてしまっているんではないか、だから自分たち中小企業、小さいところが申請をしても採択されないんだ、こういうふうに、推測であろうと思いますけれども、思い込んでいるわけであります。

 ただ、確かに聞いてみると、先ほど申し上げたように、膨大な書類をわずか役職員二十二名の団体で本当に短期間の間に審査をしている。こんなことが果たして可能なのかな、こういうふうに思うわけでありまして、どういうふうな形で抽せんをしているのかということをもう一度具体的に確認したいと思います。

岩井政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の、抽せんの方法あるいはその具体的やり方というお尋ねであろうかと思います。

 抽せんの方法といたしましては、まず、申込書を無作為に箱に詰めます。この箱には百五十件入れるということを原則としておりまして、それぞれの箱に通しの番号をつける。別に連番の番号札を用意いたしまして、審査委員会の委員がこの番号札を無作為に引くというやり方で当せん者を決めるという形をとってございます。

 審査委員会の委員でございますけれども、御指摘がございました財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターが、住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業費補助金業務細則というもので、審査委員会を設置し抽せんを行うということにしておるわけでございますけれども、この審査委員会の委員につきましては、同センターの理事長が経済産業省の関東経済産業局の職員など第三者を任命して抽せんをさせているということでございます。

 具体的に御指摘のありました平成十六年度の第二期でございますけれども、今申し上げましたように、申請のありました件数ベースで四万四千百四十六件を二百九十四の箱にまとめて無作為に抽せんをし、九十一箱を当せんとしたというようなやり方でやっているわけでございます。

 その意味で、私どもは抽せんそのものは公正に行われているというふうに考えておりますけれども、御指摘がありましたようなケース、七十件、八十件応募したのに、当せん回数が、平均倍率でいいますと、件数ベースでは三倍強、三・二五倍程度でございますので、七十件、八十件出したのに一件しか当せんをしていないというような事案があったということは承知してございます。それは、箱の中に無作為で入れるわけでありますけれども、同一の申請人の方がまとまって一つの箱に申請書がある程度入ってしまうと、箱ごとに選んでいるという仕組みからは、当せん率が下がってしまうということが現実にあったのではないかというふうに考えております。

梶原委員 今の話をその知人にしても、納得はしてくれないんじゃないかと思いますよね。

 それから、審査会というのは、もう全くの抽せんということになるんでしょうかね、審査とおっしゃいましたけれども。別に事前の審査というのはあるんですか。

岩井政府参考人 今申し上げましたのは抽せんを行う際の委員会でございまして、個別の事案一件一件に審査をするということではなくて、まさに機械的な抽せんを無作為に行うための委員会を審査委員会と呼んでございます。

梶原委員 今伺いまして、そうなんだろうというふうに思いますけれども、来年度七十億の補助金、個人のところを対象にこれだけの補助金、重要度が高いからこそこれだけの施策がなされているわけでありますし、大変に膨大な申請があるということですから、くれぐれもそういう疑念の起こらないような、また公平感のあるやり方をやってもらいたい。

 この業者いわく、あるいは私もほかのところにも確認しましたけれども、多分大手のところが押さえているんではないか、こういう言い方をしているわけですよね。私たちは、きょうここで取り上げたのも、中小企業が本当に頑張って元気を出してほしいからでありまして、結局は、いろいろないい施策も大手で押さえて自分たちのところに回ってこないじゃないか、そういう不公平感を持っているということをぜひ御認識をいただきたいと思います。

 そういった点で、こういった業者が不信感を持っている、抽せんについて大変疑惑を持っているということに対して、これからどういう改善というか、この財団に対しても指導をぜひお願いしたいと思いますが、その辺のところをお伺いしたいと思います。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、箱ごとに抽せんを行うという今のやり方そのものは適切ではないということはなかったんだと思っておりますけれども、同一申請者の複数の申請が一つの箱に入ってしまうということがあれば、まとめて採択をされないということが結果として起きてしまっていたということは事実だろうと認識をしております。

 今御指摘いただきましたように、この制度、大変重要な制度だと思っておりますので、お諮りをしております十七年度の予算におきましても予算を七十億円にふやすというような措置をとろうと思っております。そうなりますと、申請の数がまたことしよりもさらにふえてくるというようなことになりますと、現行の方式のままでは御指摘をいただいたようなケースと同様のケースがまた出てしまうということも確かに懸念をしておるところでございます。

 したがいまして、こうしたことも踏まえまして、来年度からは箱ごとに抽せんを行うというやり方を何とか改めまして、各申請をそういうような形でグループ化するということではなくて抽せんを行うというやり方に改めるということで検討させていただきたいと考えております。

梶原委員 ぜひお願いしたいと思いますし、また改めてちょっと大臣にもお伺いしたいと思います。今退室されていたのでどうかと思いますが。

 こういった七十億の補助金、これは本当に中小企業が扱える案件だと思うんですよね。また、ほかにも同種の補助金というのがあるんではないか。やはりこういうものを本当に有効に使いながら、中小企業に限らないわけですけれども、別に中小企業対策ということではないけれども、一方では環境対策、本当に重要な役回りもあるわけですし、中小企業がそういった補助金等も利用して活性化できるようなことをぜひ考えていただきたい。

 今の制度に中小企業の側が大きな疑念を持っているということも含めて、これからしっかりと取り組んでいただきたい、また、見ていただきたいと思いますので、ぜひ大臣、またひとつお願いします。

中川国務大臣 今の梶原委員の御質問を伺い、ちょっと途中失礼しましたけれども、今頭の中に三つ浮かんでまいりました。

 一つは、ヒートポンプという新しい技術、これは非常に大事な技術でございますから、これを大いに発展というか広く使われるようにしていきたい、そのために補助金を有効に使っていかなければならないということが第一点であります。それから第二点は、そういうものを選定するには公正な手続というものが必要でありますから、今も答弁ありましたように、より公正にするように努める、当然のことだと思います。それから三点目として、中小企業というもののある意味では育成ということが非常に大事である。

 この三つは、決して三つを追求することは矛盾することではないというふうに思っておりますので、委員の御指摘は全くそのとおりだというふうに考えております。

梶原委員 よろしくお願いします。

 続いて、中小企業と特に小規模事業所、倒産なり廃業の件数について改めて伺いたいと思うんですけれども、よく大手中心の、大企業中心の景気回復というのが言われる中で、中小企業においても倒産件数が下がっていますよというのは数字で出てくるわけですけれども、小規模事業所というのがどこまで把握されているのかなということを思います。

 大体、中小企業と小規模事業者という言い方をなされていますけれども、どこで区別しているかというのがもう一つ不明確なところもありますし、小規模事業所がどれほど倒産なり廃業しているかということについて伺いたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいましたように、中小企業の倒産件数の統計の際には、先ほど先生おっしゃいましたように、ここのところ一万八千件ぐらいの高い水準で推移していたのが昨年来ぐらいから一万三千件台に落ちておりまして、そういう意味では、大変倒産も落ちついているというふうに私どもは評価しております。

 ただ、小規模事業者、これは業によってちょっと基準が、定義が違いますけれども、基本的には五人以下の小規模事業者というふうに私ども政策対象として分類をいたしておりますけれども、なかなか小規模事業者の倒産、廃業数は、先ほど申し上げた中小企業の倒産件数の中に反映をされておりません。

 その小規模事業者の倒産、廃業などについての実態を把握するに当たりましては、私どもは、既存の統計で申し上げますと、総務省の労働力調査による自営業者の減少の数字、増減の数字を使って実態把握をいたすことが常でございます。それを見ますと、これは最終的な減少数でございますので増減の差し引きになると思いますけれども、二〇〇一年のときの自営業者の減少数というのが三十一万ぐらいございました。それが徐々に減ってまいりまして、二〇〇四年の数字では六万減ぐらいになっているわけでございます。

 したがって、小規模事業者の倒産、廃業数も、昨今、全体の中小企業の倒産件数の変化とほぼ同一に動いているというふうに感じておるところでございます。

梶原委員 今御説明いただいたんですけれども、僕がちょっと調べたところでは、製造業、建設業、運輸業というのは二十人以下ですよね。五人というのは、卸、小売、サービス、飲食というのが五人以下。製造、建設、運輸で二十人というと本当に地方においては健全にやっている、健全というのか本来はしっかりとやっていくぐらいの事業規模だろうと思うんですよね。そういったところがどんどん減っていく。

 私もちょっと別のところで見たら、大体数字は一緒かなと思うんですが、五年ほどで三十五万ぐらい減っている、符合しますよね。いずれにしても、小規模事業所、二十人以下の製造業、建設業、運輸業、五人以下の卸、小売、サービス、飲食というところが五年間で三十五万件もなくなっているというのは、そういったところが町を形成してきた、地域経済を支えてきたということを考えると、倒産というそういった形をとらなくても、結局やっていけないからやめちゃおう、やめざるを得ないといってやめていく。

 雇用の面からいっても、商店街の形成とか、町の元気というか活力というか、それをやはり相当足元から奪っているのではないかというふうに思いますが、その辺についての認識はいかがですか。

望月政府参考人 先ほども申し上げましたように、小規模の部分につきましては、トータル純減でございますので、そういう意味ではどんどん数が減っているという意味で、倒産統計とは評価がちょっと違うと思いまして、そういう意味では、小規模事業者の状況というのはより深刻だろうというふうにとらえているわけでございます。

 そういった中で、ただ、小規模事業者の数が減っている原因でございますが、総体として言えば景況感がずっと悪かったわけでございますので、事業を続けていくだけの経済力がなかったというのが一つと、それからもう一つは、これは業種によってもいろいろ違うと思いますけれども、後継者がおられないので、これ以上、自分の代でもういいやということでやめてしまう方とか廃業に至るという方も結構あろうかと思います。

 おっしゃるように、さっき私、卸、小売の話をちょっと申し上げちゃったような感じがしますけれども、特にそういう町を構成する圧倒的な数のサービス系の小規模企業者の観点からいうと、景況感とか後継者難とかいうことで廃業に至っているということが、全体としての町の活力を失わせている一つの原因ではないかと思っているわけでございます。

梶原委員 国から見ていると、横丁のラーメン屋がなくなっても余り気がつかないかもしれないけれども、やはりそういったところが僕は町の活力をそいでいるのではないかなというふうに思うんですね。

 私自身も中小企業の事業者、零細かな、事業者であるわけですけれども、製造業においては空洞化、流通業というんですか、流通、小売では商店街の低迷、中心市街地の低迷、農業も、今度の新食料・農業・農村基本計画なんですが、そこによりますと、施策を大規模農家、担い手農家に集約をするということで、小さいところは農地を出せというような施策になっている。

 例えば、これはちょっと余談になって申しわけないんですけれども、私が住んでいるところは全体でちょうど二十町なんですよ、農地が、集落が。農家が三十二軒あるんですね。農水省にもこの前確認すると、二十町まとめてもらわないとだめですよというと、三十一軒が農業をやるなということを言っているわけです。それはまた農水省の方にも言いたいと思うんですが。

 ただ、製造業においても小売業においても農家においても、大きくなければもう生き残れないよ、効率をとにかく優先してやっていくことが生き残る条件ですよと言われているような気がして仕方がない。ある面ではそういったことも認めないわけではありませんが、本当にそれでいいのかなと。時代の流れとおっしゃるかもしれないけれども、これまでも中小企業なり下請の製造業なりあるいは農家が担ってきた役割というのはすごく大きなものがあると思うんですよね。

 例えば、流通だからといって、ただ物を流通する、売るだけということでもない、製造業だからといって物をつくればいいというものではない。僕は、小さいところが果たしてきた役割というのはすごく大きいと思うんです。中小企業とか商店街とか農村というその機能を、僕は、さっき言ったみたいにただ物を売るだけとかつくるだけじゃない、それ以外の機能をきちっと果たしてきた、それが今の日本社会を形成してきているというふうに思うので、そこは、ただ市場経済云々というのではなくて、効率優先だというのではなくて、きちっと支えていかなくちゃいけないということを強く思います。

 今、市場経済とかグローバリズムというところへどうしても政策なりが尺度を合わせているんじゃないかなという気がしているわけです。その影で、今、本当に私たちがはぐくんできた文化であるとか技術であるとか伝統とかあるいは教育、僕は中小企業の教育力というのはすごくあると思うんですね。ちょっとわかりやすく言えば、大企業に勤めていた方がうちへ来ても、これまでずっとやってきたその部分だけはわかるけれども、あとの仕事がわからない。ですから、大企業で優秀な人も中小企業に来たら役に立たないというケースがたくさんあるわけですよね。人間関係とかいろいろな面で中小企業、商店街が果たしてきた役割というのはすごく大きいわけだから、そういった面から、安易な規制緩和とか効率優先だとか、そういう言葉に惑わされずに、僕はしっかりと守っていかなくちゃいけないんだというふうに思っています。

 その辺について、大臣のお考え、お聞かせいただけますでしょうか。

中川国務大臣 梶原委員の御指摘のとおりだと思います。

 個々の、例えば中小企業とか工場とか商店とか、あるいは農業の例も出されましたけれども、それ自体一つの経済体でありますけれども、その空間といいましょうか、あるいはまた歴史的な時間といいましょうか、あるいはまた人の集合体といいましょうか、そういう意味で、商店街、町だとか、あるいはまた工場地帯、中小企業の工場群であるとか、あるいは農村集落であるとかというものは、単なる個々の生産主体以上の、足し算して五十戸なら五十戸、十工場なら十工場というだけじゃなくて、もっとそれよりも一けたも二けたも大きい価値があると思いますから、守るべきものは守っていかなければいけないというふうに思っております。

梶原委員 ぜひそうした施策は積極的に展開をいただきたいと思いますが、あとは午後、時間をいただいておりますので、お願いします。ありがとうございました。

河上委員長 次に、菊田まきこ君。

菊田委員 おはようございます。民主党の菊田まきこでございます。

 本日は、大臣、お忙しいところを御出席いただいておりますので、まず最初に、現在の日本の景気について、大臣の御認識を伺いたいと思います。

中川国務大臣 去年の今ごろといいましょうか、たしか二〇〇二年の一月、二月が専門家の方によると経済の底というふうに言われておりましたけれども、徐々に全体として回復してきたという状況が去年の冬前ぐらいまで続いてきたんだろうと思います。しかし、現時点においては、政府の一部の方のお言葉をかりれば踊り場という表現、私は余り踊り場という言葉は使いたくないのでありますけれども、ちょっと回復の動きが停滞をしている。

 冬でございますけれども、いわゆる冬場の商戦といえば冬物でありますけれども、これが暖冬であるとか、あるいはまた菊田委員の御地元の新潟なんというのは大雨そして地震といった災害が多発した地域でございますから、その影響もまだまだ大きいわけでございますし、そしてまた、いわゆる川上部門でいうと原材料高というものが、多分菊田委員の御地元のいわゆる工場にも影響を与えているのではないかということ等を考えますと、全体として、今景気回復の動きが非常に弱い状況にあって、先行き不透明かなと。

 ただ、一月ぐらいの小売動向あるいは家計収入等を見ますと少しよくなっているというデータもございますけれども、全国的に見ると、地域的なばらつきあるいはまた業種のばらつき、特に製造業と非製造業なんというのははっきりしているわけでありますけれども、それから、何といっても大企業よりも中小企業の方が厳しいなということでございまして、御地元の新潟あるいは私の北海道なんかも同じような状況にあるのではないかというふうに考えております。

菊田委員 踊り場という表現なんですけれども、私も、これはよくわかるようなわからないような表現だなと。非常に、この先どうなるかやってみなければわからないというような、そんな感じがしてならない言葉です。

 今ほど大臣からお話がございましたとおり、私も毎週地元と東京と行ったり来たりしておりますけれども、本当にまだまだ地方は大変厳しい状況でございます。まず仕事がない、そして給料は下がる、昨年末はボーナスも出なかったというようなことでございますし、また、七・一三水害、中越大震災等々ございまして、中小企業、零細企業、そしてまた商店街、もうこれで商売をやめなければならない、実際に廃業に追い込まれてしまったところもたくさんございます。また、日本全体を見渡しましても、やはり私は、どんどん地方と中央の格差が、経済格差が大変大きくなっているという感じがしてならないわけです。

 そんな中で、いろいろな指標がございますけれども、例えば県民所得、一人当たりの県民所得というものを調べてみますと、例えば東京なんかは、平成十四年度の資料を見ますと一人当たり四百八万円の県民所得になっているわけですが、私の地元の新潟県では県民一人当たり二百七十一万円の県民所得となっております。大臣の御地元の北海道は、一人当たりの県民所得が二百五十六万円ということでございます。

 日本全国見渡しますと、最下位は沖縄ということで二百三万円ということですけれども、東京と比べると二倍の格差になっております。大阪は三百三万円ということですけれども、全国平均が二百九十一万ということでした。

 こうやって見ますと、やはり東京、都市部は県民所得は高いけれども、地方によっては大分格差があるということではないかと思っております。最新のデータが二〇〇二年度ということでございますけれども、これも大分、近年におきまして格差がどんどん広がっているということです。

 私は、経済産業省の基本的な理念というのは、本来、国土の均衡ある経済発展、決して一極集中ではなくて、バランスのとれた政策を打ち出していくことではないかというふうに思うわけでございます。現在の地方とそして都市部のこの凹凸感がある経済状況を見たときに、均衡ある経済の発展のためにこれからどう取り組んでいくのか、まさに大きな課題だと思いますが、具体的な取り組みがあるのかないのか、お示しをいただきたいと思います。

山本(明)大臣政務官 菊田委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 今、各都道府県で大分格差があるという話がありまして、先生の御地元の新潟県だとか大臣の御地元の北海道、東京の話がありましたけれども、私は愛知県でありまして、日本で一番今元気な愛知県と言われておりますが、見ておりましたら三百四十二万円で第二位だそうでありまして、大変ありがたいというふうに思っておりまして、この質問の答弁に適しておるかどうかわかりませんが。

 ただ、愛知県が一番元気であると言われておりますけれども、多少数字は違っておるかもわかりませんけれども、私、昔愛知県の県会議員をやっていまして、愛知県の今の法人事業税、利益に関係する法人税、法人事業税ですよね、これが今愛知県が大体三千五百億円ぐらいなんです。これが、私がやっておりました一番景気のいいころの愛知県が五千億円ぐらいあったんです、法人事業税が。ということは、これだけ愛知県が元気がある、元気があると言っておっても、七掛けしかありません。

 これをよく見てみますと、愛知県にはトヨタがあるわけでありますけれども、トヨタの関連十社というのがあるんですけれども、十社のうち七社が史上最高なんです。それでもなおかつ愛知県がこれしかないということは、いかに中小企業がよくないかというあらわれだと私はいつも思っていまして、こんな話をいつもさせていただいておりますが、したがって、地域にも格差がありますし、やはり大企業と中小企業はこれだけ格差がある、業種によっても格差があるということのあらわれであります。

 経済産業省の政策としては産業クラスターというのがありまして、これは各地域ごとにクラスターをつくっておるわけでありますけれども、これはやはり、まさに地域のいろいろな特性を生かした形で、産学官が協同していろいろな事業をしております。先生のお地元の北海道ではバイオクラスターというのがありまして、バイオの関係で大変……(発言する者あり)北海道は大臣でしたね、失礼いたしました。大臣の方にはバイオで頑張っていただきまして、先生の方ではまたいろいろな点があると思いますけれども、そういった産業クラスター等を生かしていただきますと地域の特性が生かせると思いますので、そんな形でどうか地域の活性を生かしていただきたいというふうに思います。

菊田委員 ただいま山本大臣政務官から御地元の具体的なお話をいただきまして、私も先ごろ経済産業委員会で愛知万博視察をさせていただきました。本当にすばらしい、これをぜひ成功していただいて、愛知の元気が日本全体に伝わるような、そんなことも期待してまいりたいと思います。

 かつて、経済産業省としましては、テクノポリス構想とか、あるいは工場再配置による地域活性化、そしてまた企業の育成などに非常に積極的に取り組んだ実績があると思います。これはかつて日本全国に夢と希望を与えたということで、新潟で申しますと長岡市が中心となってこれに一生懸命取り組んだということがございますけれども、こうした非常にダイナミックな政策をぜひ今後打ち出していただきたい。このような具体的な取り組みについてどのような評価をされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

望月政府参考人 工業再配置計画であるとか、そういった全国再開発的な、全国開発計画のような時代というのは、恐らく日本の工業化の最大のピークの時代ではなかったかと思います。その後、やはり周辺各国との関係も含めて、日本の置かれている経済状況あるいは産業構造の状況というのも変わってまいりまして、今や、そういう重化学工業を中心とした物づくりの拠点をつくっていくというような政策というものは、若干私どもとしては少し影を薄めてまいりまして、むしろ地域の創造性あるいは活力というのをどうやって生かしていけるかという観点からの産業政策に比較的変わってきているんではないかと思います。

 そういう意味で、先ほどちょっと政務官からもお話ございましたけれども、十九のクラスターを中心として、地域の言ってみれば英知を集めた産業政策というのが花開きつつあるわけでございまして、そういったところを中心とした、日本全国が地域の特性を生かしながらバランスよく発展していくというような政策を引き続きいろいろ考えていかなきゃいけないというふうに考えております。

菊田委員 やはり私は、日本全体の均衡ある、バランスのとれた経済発展ということを忘れてはならないと思っています。たとえ景気がよくなったとしても、それは非常にごく限られた一極集中であるということ、他方でまだまだ置き去りにされている地域があるということを決して忘れてはならないということをぜひまた皆さんに機会あるごとに訴えながら、またそういう認識のもとにバランスのとれた経済政策を進めていただきたいというふうに思っております。

 それでは、続きまして、政府の中小企業関連予算についてお伺いをいたしたいと思います。

 先ほど計屋委員からも質問がありましたけれども、私は、現在の政府の中小企業関連予算は中小企業の立場に立った積極的な対応をしているとは感じられません。私たち民主党は、政権をとったら中小企業対策費にもっと思い切った予算を計上して、中小企業を支援していきたいと考えています。

 中小企業対策当初予算額と農業関係予算額を比べますと、平成十七年度で中小企業対策の当初予算額が千七百三十億円でございます。農業関係の予算額が二兆二千六百億円。もちろん、性質上、農業と商工業を一概に数字だけで比較することは正しいかどうか別だと思いますけれども、しかし、特に農業土木には巨額が投じられている一方で、中小企業関連の予算はまだまだ不十分で少ないと私は考えておりますが、大臣はどうお考えになられているか、お聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 先ほども計屋委員にお答え申し上げましたが、二兆数千億と千七百三十億を比べればどっちが大きいかと言われれば、それはもう数字は明らかでございますけれども、その中で最大限の効果を、中小企業振興、新技術創造、あるいはまた再生のために、人づくりのために最大限の効果を発揮するために、我々、ここがまた仕事のしどころといいましょうか、知恵の出しどころだというふうに思っておりますし、先ほども申し上げましたが、これは予算だけではなくて総合的な施策ということで、きょう今御審議いただいている法律も多大な効果を発揮するもの、特に新事業連携なんというものは新たなインセンティブがあるというふうに思っております。

 また、先ほどもお答え申し上げましたけれども、政府系金融機関の融資二十六兆、あるいはまた保証三十兆というものも非常に効果の大きいものだと思っておりますので、ぜひとも、限られた、確かに小さな予算というふうに、比較すればそうなるかもしれませんけれども、トータルとして見ていきたいと思います。

 菊田委員の御地元、私行ったことがありますけれども、豊かな水田地帯が広がっているところでありますから、中小企業も大事、また日本の米どころも大事、両方大事だということで、それぞれ政府において頑張っているということをぜひとも御理解いただきたいと思います。

菊田委員 納税者という観点からしますと、例えば資本金一億円以下の法人税額を見ますと、平成十五年度の数字ですけども、四兆三千億円くらいですね。一方で農業所得者の申告納税額を見ますと、これは二百六十八億円くらいということで、これも単に数字の比較だけはできませんけれども、しかし、考えてみれば、一生懸命働いて、朝から晩まで真っ黒になって働いて、そして利益を出して、一生懸命まじめに税金を納めていただいている。私は、ぜひその税金をまた商工業発展や中小企業のために還元していただきたいというふうに思うわけでございまして、ぜひ、もう少し積極的な中小企業支援のための政策、予算措置を行っていただきたいということを要望したいというふうに思っております。

 それでは、続きまして、昨年、私の地元は七・一三水害で大変な打撃を受けましたけれども、大臣を初め経済産業省挙げての御支援をいただきましたことを、この場をかりて心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 被災企業は工場や機械設備がだめになり、製品を初め在庫までもだめになりました。加えて、復旧作業のために一カ月、二カ月操業停止、休業せざるを得ないところが出たわけでございますので、その間は全く収入が途絶えてしまったということでございます。公的な支援といえば特別な融資を受けるだけしかなく、それも、既に借金がある場合には、これを借りたとしてもまた二重ローンになってしまうということで、全く返済の見通しが立たず、結局廃業に追い込まれてしまったというところもあったというふうに聞いております。

 そこでお伺いいたしますが、昨年七月の新潟県豪雨災害融資の実績をお聞かせいただきたいと思います。

望月政府参考人 昨年の豪雨災害は大変ひどいものでございまして、私どもも直ちにさまざまな災害対策の施策を実施いたしました。特にお尋ねの融資につきましては、政府系中小企業金融機関、すなわち中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工中金による災害復旧貸し付けを適用いたしました。

 この豪雨災害における貸付実績については、本年二月末現在で貸付実績三百七十六件、約五十一億円となってございます。

菊田委員 それでは、お聞かせいただきたいんですけれども、この実績に対しまして申込件数がどれくらいあったのか、お聞かせください。

望月政府参考人 申込件数は四百六件あったと承っております。

菊田委員 申込件数が四百六件、実績が三百七十六件ということですけれども、そうしますと、三十件は借りられなかったけれども、それ以外はほとんど希望どおり融資を受けることができたということだと思いますけれども、ちなみに、この三十件がなぜ受けられなかったのか、お聞かせいただけますでしょうか。

望月政府参考人 災害対策のことでもございますので、申込件数の中には、直ちに口頭で仮申し込みをされたというような件数も含めてカウントをされておりますので、一たん仮申し込みをした後、思ったよりも被害が軽微だったためみずから取り下げたものなどが多数含まれております。

 その他、ごく一部については、例えば、災害前に一度通常の融資相談をした場合にお断りをした、それは経営状態等々でお断りした方が災害後に改めて同じ申し込みをしてこられ、それをお断りしたケースもあるというように伺っておりますけれども、ただ、このようなケースは大変まれでございまして、災害復旧貸し付けにおきましては、私どももよく承っておりますけれども、被災中小企業者からの申し込みについてはできる限り前向きに対応させていただいているところでございます。

菊田委員 私が心配したのは、申込件数が四百六件で、融資を実際にやったという実績が三百七十六件ということで、ほぼよくやっていただいたなという思いなんですけれども、そんな中でも、この申込件数の数字なんですが、例えば、融資を受けたいんだけれどもという相談の段階で、おたくの場合は保証人のこととか経営内容のことを考えると非常に難しいですよともう事前に言われて、正式な申し込みができなかったというようなケースがあったのではないかということなんですね。そういう人がこの申込件数の中に含まれているのか、含まれていないのか。私は、本当に苦しい人たちをきちんとお救いすることができたのかどうかということをここで確認させていただきたいと思います。

望月政府参考人 私ども、個別相談ケースにつきましてすべてを承知しているわけではございませんけれども、ただ、本件のような災害が起こった場合に、直ちに各政府系金融機関も出向いていって相談窓口を開き、お話を承っているときの少なくとも政府系金融機関の姿勢は、できる限り前向きに、かつ弾力的に、融資条件あるいは先方の事情などについても前向きに、事情を酌んで対応するということを基本方針といたしまして相談を承っているというふうに私どもも理解しておりますので、個々のケースはよくわかりませんけれども、もし、かような基本的な方針に沿っていないようなことがあるとすれば、これは間違ったことでございますので、こういうときにこそ政府系金融機関のやるべきことが多いというふうに考えているところでございますし、そうであったというふうに考えております。

菊田委員 実は中越大震災の方の災害も本当の意味での復興というのはこれからになります。当面の間は何とかしのいだけれども、これから本当にどうするかということで、またさまざまな相談あるいは申し込み等々あると思いますので、ぜひ、先ほど御答弁がありましたとおり、皆さんから前向きな対応をしていただきたい、できる限りの方をお救いしていただきたいというふうに要望したいと思います。

 それでは、引き続きまして、これはもういろいろな場で何回か質問させていただきましたけれども、鋼材の急騰と品不足に対する対策についてお聞かせをいただきたいと思っております。

 鋼材の価格は、ここ一、二年、数次にわたって価格が上昇しております。さらに、昨今の深刻な品不足状態で必要鋼材の確保ができない状況にある。価格上昇分のコストを受注価格に転嫁することも困難なため、収益が急激に悪化をしています。このままでは日本の産業、製造業を支える地場の金属産業は崩壊してしまうのではないか、大変心配をしているところでございます。

 私の地元の三条商工会議所が去る二月十六日に、日本商工会議所を通しまして、中小企業庁並びに関東経済産業局に対して、このことに対する陳情を行ったところですが、経済産業省としての対策をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

山本(明)大臣政務官 鋼材の値上がりにつきましては、委員御承知のように、中国の需要というのが大変大きな影響を及ぼしておるわけでありまして、毎年新日鉄が二つぐらいふえていくというぐらいの需要増であります。したがいまして、鋼材不足というのは日本じゅう大変な状況であるわけでありますけれども、その中で日産が、鋼材の一番大きな需要先というのは造船とか自動車なんですけれども、その一番大きな需要先で一番発言力の強い自動車メーカーで、日産が供給をストップされた、こういう状況であります。

 どうしてストップされたかというと、トヨタと違いまして、日産の場合はゴーン政権になりまして、どこのメーカーを使うかというのは競争をしたわけです。今まではここに決めておったわけですけれども、自由競争にしました。したがって、メーカー側としては余り恩を感じなくなったわけでありますので、そんなこともありまして納入ストップ、こんなことも考えられたわけであります。

 したがって、やはり商売というのはどういうつき合い方をするかというのはそれぞれの関係でありますから、簡単に、下さいよと言って、はい供給しますというわけにはいかないわけでありますが、しかしこれを言っておったのでは政治は要らなくなりますので、我々経産省としてはどうするかといいますと、供給拡大だとか計画的な供給とか公平な対応、これをぜひしてくださいということはメーカーに日ごろ要請をしております。

 そして、中小企業の価格転嫁というのが今一番大変な状況であります。ほかの企業、大企業の場合はだんだん価格転嫁ができてきますけれども、中小企業は価格転嫁がなかなかできていきません。そうした中で、下請中小企業振興法というのがありました。これは、下請と元請が需要とか供給についてしっかり話し合いをしてくださいということでありまして、その基準をしっかり徹底するようにということを今経産省としては指導させていただいておる、こういうことであります。

菊田委員 この問題は、何も私の地元だけで起こっていることではないだろう、恐らく全国各地域で、各地の地場産業地域で多くの悲鳴が上がっているのではないかというふうに思うわけですけれども、経産省としましては、全国九カ所の経済産業局内に相談窓口を開設して、個々のケースでさまざまな意見を聴取し、またアドバイスをしているというふうに聞いておりますが、どのような地域からどんな要望が上がっているか、もし事例がございましたらお示しをいただきたいと思います。

山本(明)大臣政務官 三十件弱だそうでありまして、全国各地からそうした要望が出てきておる、こういうことだそうであります。

菊田委員 中国の鉄需要の急増で、もうこれから鉄は不足する時代になっているという状況は私も十分認識しておりますが、ちょうど一年前になりますけれども、私、やはりこの委員会で大臣にこの問題について質問させていただきました。そのときに御答弁をいただいております。「早急に実態を把握して、特に悪い影響を受けている部分についての対策、何ができるかということを答えを出すために、」「早急に調査をしております。」という御答弁をいただいております。

 あれから一年がたちましたけれども、大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 たしか、ここでの菊田委員の御質問を初めとしてそういうことがあったものですから、しかも石油、鉄鉱石、石炭、銅、その他いろいろな原材料が急騰しているという状況でしたので、役所の中に原材料問題連絡会ということで、実情把握に努めたチームをつくりまして、現在もそれが機能しているところでございます。

 いわゆる大企業は、もちろん高いから大変だということでありますけれども、そう危機的な状況にない、ある程度体力があるからということだと思いますが、いわゆる中小企業、御地元の燕三条のようなところで使う材料等についても当然厳しいという御指摘がさっきあったわけでございまして、何もでかいところだけ見ていればいいということではなく、きめ細かく、また、先ほどのように各地の特色もございますから、地域も全国にわたってきめ細かく、そしてできるだけ適時適切に対応できるように、これからもこのチームを通じて注意深く把握していきたい。

 ちなみに、今石油なんかもここのところぐんとまた上がってきておりますし、鉄鋼も上がってきている状況でございますから、注意深く見守っていかなければならないと思っております。

菊田委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 例えば作業工具は、輸出は国際価格に連動して値上がりしているんですけれども国内は上げられずにいたり、あるいは国内の大手小売店、親企業などとの力関係が影響していたりということで、非常に市場がいびつな状態になっていることを私は放置してはならないというふうに思っておりますし、また将来の値上がりを見越して在庫を抱え込んでいる鉄屋もある。メーカーのみならず流通段階への指導も適宜必要だというふうに考えておりますので、引き続き監督指導を行っていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、最後の質問となりますけれども、この日本という国は毎年三万四千人の方がみずから命を絶って自殺をしているという、戦争もない平和な国でありながら、こういうことは本当に悲しいことでございますけれども、その中でも経済苦が理由で自殺をしているという方が大変ふえているということでございます。

 しかも、この数字を見ますと平成十年から一気にふえているということで、この中には中小企業の経営者が非常に多く含まれているのではないか、資金繰りに行き詰まったり、先ほどからお話がありましたとおり、連帯保証人で負債を背負ってサラ金から追われたり、家族みんなで身ぐるみをはがされた人がいる等々、本当に悲しい事件が多過ぎるわけですけれども、本当に何とかならないのかというふうに思っています。

 そもそも、連帯保証人という制度は世界にも例を見ないのではないかと私は思っているわけでございますが、こうしたことに対してどのような考えであるか、最後にお伺いをしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 不運にも、大変厳しい事業環境に直面する事業者が、御指摘にあるような痛ましい事態に追い込まれることは、絶対に避けなければならないというふうに考えております。

 中小企業庁といたしましても、これまでも、いろいろ申し上げましたように、こういった厳しい環境にある事業者を幅広く支援するためのセーフティーネット等々の施策は万全を期すようにしておりまして、中小企業が経営破綻に軽々に追い込まれないようにしなきゃいけないということはもちろんのことでございます。

 加えまして、実は、保証の問題につきましてはさまざまな問題点が指摘されているわけでございますけれども、保証問題についてもとにかく一歩一歩改善をしていかなきゃいけないということから、例えば、ことしの四月一日から施行されることになっております改正民法におきましては、保証期間や保証限度額に制限のない包括根保証が禁止されることとなります。保証人を無制限の保証責任から解放する極めて重要な制度変更でありまして、私どもとしても、法務省等の関係省庁と連携をしながら、制度変更の内容について幅広く周知を図っていかなければならないというふうに思っております。

 以上でございます。

菊田委員 今後もこうした制度改革、法整備をしていくということは当然のことでありますが、遅きに失したなという感じがしてなりません。こうした悲しい事件がないように、これからみんなで力を合わせて取り組んでいきたいと思っております。

 質問を終了いたします。ありがとうございました。

高木(陽)委員長代理 続いて、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 私も、中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 さて、政府は、バブル経済崩壊以降、これまでにも何回も中小企業支援策、景気対策を打ち出してこられました。平成四年、宮澤内閣当時から、実に十六回、事業規模で総額百二十八兆円にも上る経済対策を打ち出してきました。その中で、いわゆる中小企業対策と言われているものは、合計で二十一兆円になります。非常に大きな予算が投下されているわけです。

 しかし、中小企業を取り巻く状況はいかがでしょうか。特に、地方の中小企業、零細企業の置かれた状況は非常に厳しいものがあると言わざるを得ません。

 先月、全国商工会連合会がおまとめになった小規模企業景気動向調査を拝見いたしますと、全国各地の商工会の経営指導員の皆様のコメントが紹介されています。その中には、悲鳴とも言えるようなコメントが次々と並んでいるわけです。大型店の出店の影響で売り上げが減少し、存続の危機にさらされている小規模の小売店、低料金のチェーン店が進出してきて顧客が激減してしまった理髪店、災害や豪雪の影響で観光客やスキー客が減少し、売り上げが落ち込んでいる旅館や飲食店、製造単価の引き下げや省ロット化の要求が強く、転業や廃業を考えている零細な製造業者、親会社からの支払いサイトの延長や手形の増加によって資金繰りが悪化してしまった中小建設業者などなど、非常に厳しいコメントがたくさん紹介されています。

 もちろん、経済産業大臣初め経済産業省、中小企業庁の皆さんが今懸命に努力されていることはよく承知しております。日夜知恵を絞られて、さまざまな対策を打ち出してこられたことに敬意を表したいとは思っています。しかし、バブル崩壊から十数年が経過しても、現状は本当に厳しいと言わざるを得ません。せっかくの中小企業対策、中小企業支援策はどうして効果が出てこないのでしょうか。一体これはどこに原因があるんでしょうか。何が問題だったんでしょうか。そんな問題意識に基づいて、質問に入りたいと思います。

 まず、開業率、廃業率の推移についてお伺いいたします。

 これまで創業支援策やベンチャー支援など、さまざまな対策が打ち出されてきているわけですが、総務省の事業所・企業統計調査によりますと、我が国の非一次産業の年平均の開業率、廃業率は、バブル経済崩壊後、一貫して廃業率が開業率を上回っています。一九九六年から一九九九年までは廃業が五・六%、開業が三・六%、一九九九年から二〇〇一年までは廃業が四・五%、開業が三・一%、何と廃業が開業を一・四から二%常に上回っています。さらに、開業率そのものも減少してきています。年平均の開業企業数と廃業企業数で見ても、七万件から十万件余り廃業数の方が多くなっています。

 この原因をどう見ておられますでしょうか。中小企業庁にお伺いいたします。

望月政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、我が国の開業率というのは、特に一九八〇年代に入って低下をし始めまして、八〇年代後半以降は開業率が廃業率を下回る現象が続いているということでございます。

 高度成長期にはGDPの成長率も高く、事業を開始するのに非常に良好な経済環境にございましたので、開業率も高い水準にございました。しかしながら、二度のオイルショックや円高不況を経て、八〇年代以降は趨勢的にGDP成長率が低下するとともに、新規の事業機会が少なくなり、開業に対する期待が減少したことが開業率低下の一因であろうかと思います。加えまして、被雇用者、雇われている人の給与水準に比べまして、開業をし自営業者となることによって得られる期待収入というものが相対的に低くなったことも開業意欲を減少させている要因にあろうかと思います。さらに、実際に創業した人に対するアンケート調査によりますと、創業時に困難であった点として、資金調達や人材の確保、あるいは販路先開拓などが指摘されております。こういった要素も、開業数増加の課題というふうになっているものと考えております。

村井(宗)委員 今望月長官がおっしゃられたような状況で、非常に開業の方が厳しい状況になっています。しかし、一転、アメリカを見ると、開業数の方が廃業数より多くなっています。アメリカの場合、開業率は一貫して一三%から一四%、廃業率は一一%から一二%です。この日米間の違いは一体何なんでしょうか。制度その他に基づいてお答えいただければと思います。

望月政府参考人 御指摘のとおり、米国では開業率が廃業率を上回っている一方、日本では先ほどのような状態でございます。このように、米国と比較して、近年、日本の開業率が低迷している原因は、先ほど申し上げましたように、GDPの成長率の問題がございます。特に、日米間でのGDPの成長率に大きな違いがその後あったということがまず一つございます。それから、加えまして、開業志向の強い三十代から四十代の人の人口構成が米国に比べて低いこと、あるいは米国に比べて就業形態間での流動性が低いことなどが指摘されているところでございます。

村井(宗)委員 この日本の毎年四%から六%になる廃業の理由、原因などを調査されておられますでしょうか。経営不振によって倒産したのか、後継者がなくて廃業したのか、いろいろあると思います。その内訳を中小企業庁にお聞きしたいと思います。

望月政府参考人 私どもで調査いたしました事業継続意思の有無に関するアンケート調査によりますと、経営者自身の引退後も事業を続けてほしいと考えている経営者は過半数を超えておりますものの、自身の引退後、自分の代で事業をやめたいと廃業を考えている経営者も三割近くに達しているということでございます。

 事業継続を希望しない理由といたしましては、業績不振を挙げる経営者が最も多いものの、経営を承継する適当な人がいないという経営者も三割に達しているわけでございまして、後継者不足のために廃業に至る経緯があるということも事実でございます。

村井(宗)委員 今のこの問題について大臣にお伺いしたいと思います。

 それでは、今回の法改正で日本の開業率は伸びる効果が期待できるんでしょうか。それとも、新規開業、新規創業の妨げになっているリスクや不透明感を打ち消す効果、和らげる効果が期待できますでしょうか。具体的に創業を目指す人たちにどのような効果を発揮するんでしょうか。お伺いいたします。

中川国務大臣 今回は、一つは、今まである法をわかりやすく、わかりやすくということは利用していただきやすくするということが一つのポイントでありますが、それ以外に、創業それから経営革新ということ以外に新事業連携という三つの柱があるわけでございまして、そういう意味で、今までも創業については多くの実績が、この法律に基づいて一万数千社という実績があるわけでございます。その他、御承知のとおり、最低資本金制度の実質的な例外措置でありますとか、経済産業省としては、ドリームゲートでどんどん若い人が入っていけるようにしようとかいうこともございますので、今までもこれらの法律を含めていろいろな制度で開業についての支援をしてきたところでありますけれども、さっきも、中山委員でしたか、御質問がありましたけれども、わかりやすくする、あるいはこういう法律なり制度があるんだなということを周知徹底することによってさらに活用しやすくなるというふうに期待をしておりますし、また我々も広報等で努力をしていきたいと思いますが、いずれにしても、トータルとして、この法律が新しく改編また整備されることによって開業率の向上に向けて大きく貢献するものというふうに期待をしております。

村井(宗)委員 もう一つ、開業に関して大臣にお聞きいたします。

 政府は、我が国の産業競争力を強化し経済活性化を図る観点から、平成十三年六月、産業構造改革・雇用対策本部の決定による中間取りまとめにおいて開業創業倍増プログラムを策定し、資金、技術、人材面の幅広い支援を通じて新規開業数を五年間で倍増させる目標を掲げました。これは平成十八年までに年三十六万社という政策目標になると思いますが、達成の見通しはいかがでしょうか。大臣にお伺いいたします。

中川国務大臣 今、村井委員御指摘のように、創業倍増計画ということで、三十六万社を目標にするということでやってまいりました。その間、先ほど申し上げたこと、あるいは産学官の柔軟な活動ということで、大学発ベンチャーとかいろいろなことを考えてまいりました。

 最低限必要なことは、まず業を起こしたいという気持ちを持ってもらう、また持たなければできませんから、まずそのところをどういうふうにするかというところが最初にして最大のポイントだと思いますので、経済産業省としては、例えば、小学校、中学校へ行って、ビジネスとはどういうものか、あるいはまた仕事というものはどういうものかみたいなことの体験学習的なところから始めて、また大学生等のレベルも含めて、社会人予備軍みたいな人たちに、将来はひとつ業を起こして、アメリカの世界一のベンチャーのあの経営者のようになりたいとか、日本でいえばだれだれさんみたいになりたいみたいな一つのインセンティブを持ってもらうということも大事だと思います。

 また、いわゆる卒業はしたけれども仕事につく気がない、つけないだけではなくて、つく気がないという方々に対しては、ジョブカフェとかいろいろなところ、これも非常に実績を上げていると私どもは思っております。

 先ほど申し上げたことは繰り返しになりますので言いませんけれども、いろいろな制度をこの平成十三年以来やっておりますので、村井委員が大変危機感を持っておられるように、何とか、少なくとも開業率が廃業率よりも一刻も早く上回る、私は、このことはそう難しいことではない。今までそうだったこと自体が異常だったわけでありますから、できるだけ早く正常な形に戻したいと思いますし、この目標、倍増計画そのものも何とか実現できるようにしたいというふうに考えております。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

村井(宗)委員 今大臣がおっしゃられたように、本当に若者たちが夢を持って創業できていける、そういったものをサポートしていただきたいと思います。今後もますますそうしていただければと思っています。

 さて、次の話にかわらせていただきたいと思います。

 中小企業支援策は非常にたくさんあります。そして、中小企業庁の皆さんなども非常にいろいろな形で取り組んでおられることはよくわかります。しかし、今私がこうやって持っている中小企業支援策利用のガイドブックなんかを見ましても、中小企業の支援制度というのは百五十種類弱あるということがわかるんです。しかし、実際なかなかその制度が伝わっていないんじゃないかと思うんです。

 例えば、この経済産業委員会に所属する私たち国会議員の中でも、この制度のうち何種類ぐらい理解できているでしょうか。ましてや、中小企業の経営者は一体どうなんでしょうか。例えば理髪店の人にしても、仕事をしながらこの制度を理解しなければならない。それから製造業者にしても、社長みずからあっちこっち営業に飛び回らにゃならぬ、そして部下の、いろいろなメンテナンス、人材のこと、そんなものも見なきゃならない、その中でさらにこういったものを勉強しなきゃならないわけです。

 学生や学者だったらもちろんそれでいいと思うんです。この利用制度について、施策についていろいろ勉強して、何が使えるかなと思っていろいろ調べたり聞いたりすることができる。しかし、今実際に、多くの中小企業経営者にとって、どれだけ今ある支援制度を理解してもらっているのか、そこを問いたいと思います。

 そこで、中小企業庁の方に質問いたします。今、中小企業庁は、中小企業施策の利用の広報についてどのぐらい予算をとっておられますでしょうか。

望月政府参考人 私どもの省の中小企業施策広報に関する十七年度の政府予算案の中に今盛り込まれておりますものは、二億一千万円となってございます。

村井(宗)委員 今、二億一千万円この広報にとっておられるというふうにお聞きいたしました。

 しかし、今私の手元にある中小企業の支援の施策、これ、いろいろな広報物があるんです。私は、いいものつくっているなと思いました。しかし、まだ難しいかなと思うんです。

 今私の手元にあるだけで、まず、「中小企業施策利用ガイドブック」、これは平成十六年度版、それから「中小企業税制 四十五問四十五答」、これも非常に、漫画でわかりやすいように見せかけています。それから「中小企業支援策のご案内」、これは十三種類ぐらいいろいろなものが細かく書いてあるんです。それから「中小企業金融対策のご案内」というのもあれば、「中小企業の会計 三十八問三十八答」、いろいろあるんです。いろいろあるんですが、実際中小企業の中にどれだけ浸透しているんでしょうか。本当にお手元に漏れなく届いているのかどうか、私は非常に疑問に思っているわけです。

 そこで、経済産業省が、そして中小企業庁が中小企業向けに作成しているガイドブックやパンフレットは、一体全部で何種類あって、総ページ数は幾らぐらいになるんでしょうか。そして、どのぐらいの数量を作成して、どのぐらいの数量が中小企業の皆様方に行き渡り、どのぐらいの部数が余っているのかをお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 私どもが作成をいたしております広報資料は、そこにございますような非常に薄いものから厚いものまで、取りまとめまして約二十一種類ぐらいを作成いたしております。一枚のチラシから、数百ページにわたるものまでございます。

 広報冊子の目的に応じたつくり方をしているわけでございまして、単純にページだけを合計しますと、一つ四百八十ページと大きいものがございますものですから、それを全部足しますと八百四十ページになっております。ただ、その中には一ページ物とかいろいろございますので、足した数字がどれぐらい意味があるかというのはちょっとよくわかりません。

 それから、今先生がお示しになったガイドブックなどは十六年度で二十五万部を作成いたしまして、現在残っている残部数は百五十部でございますので、ほかの広報資料の残比率を見てもほとんどが一%から一%未満の残部数になっておりますので、配布自身はかなり幅広くやられていると思っております。

 ただ、一点だけ申し上げますと、私どもがつくっている二十一種類の資料の中で、中小企業者自身の方の手元でごらんになっていただいた方がいいと思っている目的でつくっているものと、例えば先生最初にお示しになったガイドブックなどは、むしろ中小企業の相談をされる方とか、そういう方々の手元にまずは幅広く行き渡らせて、中小企業の方が全部それを読まないとわからないという状態ではなくて、むしろ相談員とかそういう方々がそれを手元に置いて作業をするというのが多分一番便利な使い方ではないかと思っております。

村井(宗)委員 もう一度望月長官にお伺いします。

 二十五万部だとすると、日本の中小企業が何社あり、そのうち大体何%ぐらいにこの中小企業施策を説明できる資料が行き渡っているんでしょうか。

望月政府参考人 日本の中小企業は個人事業主も含めまして四百七十万とか四百六十数万ということになってございますので、その二十五万部がそれぞれの方の手元に全部行っているとは私どもは考えておりません。

 ちょっと先ほど申し上げましたように、そのガイドブック自身は、恐らく、支援機関の経営指導員であるとか、そういう方々が多分一番使い勝手がいいようにつくっているんではないかと思います。

 それから、十数種類、先生がお見せになった一枚とか二枚のリーフレットにつきましては、それぞれの目的に応じて必要とされる中小企業の方々のところに配られるようになってございまして、これらも、それぞれ数字によって少しずつ違いますけれども、十数万部から、金融対策などは五十万部ぐらい刷ってございまして、私どもは一たん刷ったものを、これは経験則で、足りなければ要望がさらに来るわけでございますから、刷り増しをしたりしながら、先ほど申し上げましたように残部数がないようにつくっているということでございます。

村井(宗)委員 さて大臣、今の議論だったんですが、経済産業省そして中小企業庁、本当に物すごくたくさんいろんな中小企業施策をつくっておられます。

 しかし、今お話しいただいたように、四百七十万社があるにもかかわらず二十五万社分、二十五万部お配りしている状態では、本当にそれぞれの施策がどういうのがあるかというのが十分行き渡っていないんじゃないかと思うんです。

 また、今ちょっとありましたように、若干難しいものもあります。本当にわかりやすくこんな制度がありますよという広報、わかりやすいもの、パンフレットなどをつくっていくべきだ、そして、本当にたくさん配るべきだと思うんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。

中川国務大臣 済みません、途中で中座しまして。しかし、御趣旨はわかっているつもりで答弁させていただきますが、全くそのとおりだと思います。

 つまり、我々は、中小企業者のためによかれと思って施策をつくり、そしてそれを活用していただきたいというふうに思っていることは当然でございますけれども、しかし、例えばふらっと商工会議所の窓口あるいは政府系金融機関の窓口に行くと、そこにあるようなパンフレット等が、何か棚みたいなところへだあっと並んであったり、あるいは山積みになってばあっと置いてあったりして、ああ、これは本当に中小企業者の人が、全部とは言わないけれども、自分が見たいあるいはまた希望しているようなことについて、ぱっと必要なパンフレットなりブックなりを手にとることができるのかな。そして、それを見てさっと読んで、もちろん中小企業者は経営のプロですからイロハのところは当然おわかりだとは思いますけれども、でも、それが果たして、例えば自分の資金の面あるいは人材確保の面あるいは経営相談の面、いろいろニーズがあると思いますけれども、それに対してきちっと短い時間でその情報が確保できるかということは、素人の私ではございますけれどもちょっと心配な面があると思っております。

 そういう意味で、できるだけわかりやすく、相手の立場に立って、来る方のほとんどは困って来る方だと思いますので、その方に対して、できるだけわかっていただきたい、そしてお役に立ちたいというふうに思っておりますので、村井委員の御指摘も踏まえ、また、ユーザー側のニーズももっと真剣にきめ細かく聞いて、我々の気持ちというか、やりたいことが伝わることによって向こうのニーズにこたえなければいけない。そもそもこの法律自体も、三本が重なり合ったり入り組んだりしていることで法律自体御理解いただけないところを、三本を一本にまとめた法律でございますけれども、ふだんの広報あるいはまたいろんな資料についてもそういうふうにしていかなければいけない、これは終わりのない作業だと思っておりますので、これからも努力をしていかなければいけないと思っております。

村井(宗)委員 今大臣がおっしゃられたように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 本当に今この施策があることを知っておる人だけが得をするということではいけないと思うんです。できたら簡単なものを全中小企業に送る、そして、詳しいことが聞きたい人は聞いてくださいとか、そういった形のものをやるべきではないかと私は考えております。

 さて、中川大臣が確実に席におられるのは午前中だけだということですので、もう一つ別の角度から質問をさせていただきたいと思います。

 今商店街の中で、シャッター街が結構あります。たくさん商店街があるけれども、後継者がいなくなって廃業しただとか、事業がうまくいかなくて廃業したというところが少なくありません。そして、何カ所かそこでシャッターになっているところ、こういったものを、介護施設、今回介護保険法の改正で小規模多機能型という新しいものが認められることになりました。今までの特別養護老人ホームそれから老健施設、療養型病床などは非常に要件が厳しかったんです。例えば、この静養室は何平方メートル以上、それからベッドはどれだけ、食堂はどれだけ、非常に厳しい制度になっていた中、今回の介護保険法の改正によって、小規模多機能型、つまり空き店舗を利用したり民家を利用したり、設備要件がほとんどないかわりに少人数を入れるという制度ができ上がろうとしています。これを利用すれば、商店街の空き店舗の中にいろんな小規模多機能型の介護施設を入れることができる、そうすることによっていろんな年配の方々がそこへ通う、そうすることによって商店街がますます活性化することができるなどと思います。

 こういった業界や分野を超えたアイデアを商店街対策などに取り込むべきだと考えますが、中小企業庁の取り組みについてお伺いいたします。

望月政府参考人 空き店舗対策につきましては、従来から空き店舗を活用したチャレンジショップやイベントや展示会などを実施する事業に対して支援を行ってきましたし、それから、平成十四年度から空き店舗を活用して子育て支援施設や高齢者の交流施設などのコミュニティー施設を設置する事業などに対しても支援を行っているところでございます。

 今御指摘の新しい介護施設などについては、ちょっとまだ十分勉強できておりませんけれども、先方の法律の規定が許すのであれば、私どもの予算の仕組みの中に乗せていくことは、私どものサイド、予算の仕組みからすればそんなに不可能なことではないと思っておりますので、勉強させていただきたいと思います。

村井(宗)委員 最後に大臣にお伺いいたします。

 今言った話なんですが、商店街の中にいろんな、もちろん非常にぎっしり埋まっているところまではそうじゃないんですが、あいている商店街などの活性化のために、そういったところに小規模多機能型の新しい介護施設などを入れるということについてどのようにお考えでしょうか。

中川国務大臣 全国に、私もいろいろなところへ行くと、言われるまでもなく、見ればシャッターがおりている商店街、しかも県庁所在地のど真ん中の駅前の商店街でもあるということを、つい最近もあるところへ行って大変びっくりいたしました。

 そういうことで、商店街活性化対策、空き店舗対策というのは極めて重要な我々の仕事でありますが、今具体的に村井委員が御提案になったように、私はやはり、東京の中小企業庁や私どもがこうしなさいと言って全国の商店街にアイデアを出すというのは、決して、お役に立てることには限界があると思っておりますので、今のようなことも含めて、ぜひ地元でこういうアイデア、こういうことをしたいんだというようなことを上げていただく、それを我々が受けてバックアップをするということであります。

 今の、介護施設なり福祉施設を商店街の中に、ちょっと前であると余りそういうことは少なかったんだろうと思いますけれども、今長官が答えたとおり、所管官庁の方の整備が整えば、そういうことも含めて積極的にどんどん、いろいろな人が集まりやすいような、また、そこで空間、時間を過ごしやすいような商店街にしていくように、我々も最大限努力していきたいと思います。

村井(宗)委員 確かに、今、この委員会と別の厚生労働委員会の方で、私が言った介護保険法の改正、そして空き店舗や民家にも使える新しい介護施設制度の創設ということが議論されています。向こうで決まるかどうかは別の話ですが、今提案されているとおりになれば、縦割りな形ではなくて、やはり経済産業省の商店街対策なんかも一緒になってこの新しい介護保険法の改正でつくられるものを守り立てていく。そうすることによってこそ商店街がますます発展するのではないかと御提言申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 中小企業経営革新支援法の改正案についてですけれども、三法の整理統合で、利用者、中小業者にとってわかりやすい政策体系の実現をする、使いやすさ、わかりやすさを追求するとされておられます。既存の経営革新支援についても、利用の数、計画承認件数がふえてこそ、わかりやすくなった、使いやすくなったと言えると思います。支援法の中身を中小業者に伝えるとともに、さまざまな条件の中小企業、すそ野を広く利用できるように支援策と予算の拡充をぜひとも求めておくものであります。

 このスキームを活用する中小企業は全体から見ればごくわずかでもあり、懸命に頑張っている広範な中小業者、小規模事業者をしっかり支えていく取り組みが必要だと思っております。

 その一つが、先ほども自然災害の困難に直面した中小業者支援のお話がありました。私の方からも、一つ、震災から十年目となります阪神・淡路地域における被災中小業者の方の寄せられた要望についてお聞きしたいと思っております。

 兵庫県が神戸市などと国とも協力をして実施してまいりました緊急災害復旧資金の据置期間の延長が行われていたわけですが、これがここで打ち切られる、三月末で打ち切られるという話がありまして、国、兵庫県、神戸市、ともに延長しないことを決定いたしました。しかし、現場の中小業者の方からは、死活問題だと延長を求める声が寄せられております。

 例えば、私がお聞きしたお話でも、神戸市灘区の豚カツ店の方のお話ですけれども、震災前の借入金の残高が七千万円あって、震災後に、ピーク時には一億五百万円の借入金となる。家族総出で懸命に毎月七十万円ずつ返している。ことしの二月に七千万円の残で、震災前にやっと戻った。それも、こういう返済の据置期間の延長の中で何とかここまでやってきたということがあるものですから、これが打ち切られるというのが大変、どうなるのかと先行き不安な思いになっておられるということでもありました。

 また、神戸市の須磨区のケミカルシューズのゴム底プレス加工業者の方の話ですが、御案内のとおり、神戸市におきましては、地場産業としてケミカルシューズ産業があります。これも震災で大きな打撃を受けたわけですが、皆さん懸命に頑張られて、今復興で取り組みを進めてきているわけです。もともと多品種少量生産ということで、中小業者同士の連携の中で成り立っている、そういう地場産業でもあるわけですが、そういう業者の方にしてみても、今大変な状況になっておりまして、震災で工場兼自宅が全焼する。震災前二千万円の借り入れがあって、震災後、仕事の再建を目指して八百五十万円の借り入れをした。据置措置や利子補給などの制度も活用しながら、ピーク時には月々の返済が三十万円を超している。据置措置が命綱の役割を果たしてきたが、まだ事業再建を果たせていない、こういう状況にあるわけです。

 この据置期間の延長措置の必要性はなくなっていないと率直に思うんですが、御答弁をいただければと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 本融資制度は、据置期間を三年、貸付期間を十年といたしまして、かつ、金利を兵庫県及び神戸市による利子補給事業により実質ゼロにする融資制度として、平成七年二月から七月までの半年間に実施された融資制度でございます。

 これまで、据置期間が満了する平成十年から七年間にわたり毎年据置期間と貸付期間の延長を続けてまいりましたけれども、既に約八割の償還が行われております。

 今回、兵庫県の震災復興計画が終了するのを機に、本融資制度に係る兵庫県及び神戸市による利子補給事業も終了されることになりましたことから、国としても、この判断と同様に据置期間と貸付期間のさらなる延長は行わないことといたしました。

 ただ、先生おっしゃいましたような状況にかんがみまして、当然、私どもとしては、据置期間及び貸付期間の延長措置は終了したところでございますけれども、これまで本制度に基づき据置期間の延長措置等が講ぜられていた中小企業者に対しましては、個々の事業者の実情に照らして必要かつ適切な場合には、今後の返済条件等に対し、関係機関で弾力的な行動をとるよう指導を行ってまいるというような基本的な考え方でございます。

塩川委員 延長打ち切りの経過がよくわからないんですけれども、県、市の方から上がってきたというお話のように聞いたんですが、兵庫県の方で延長はもうできませんという案内のペーパーには、延長について国に要望したんだ、それで協議をしてきたんですが、延長措置は困難であるという旨の連絡を国からもらったんだという説明なんですよね。

 もちろん、いろいろ協議をされた結果でそうなったんでしょうけれども、もちろん、県、市にも頑張ってもらわなくちゃいけないですし、国にも大いに頑張ってもらいたいんですが、例えば、いろいろな対応策で借りかえ融資の問題などもあるわけですけれども、実際に、一本化できないですとか、新たな保証料の負担もあるだとか、利用の可否が金融機関の判断とか、なかなか現場にそぐわないという状況がある。それで、これを代替措置だと言われても、実際にはなかなか事業者の方にしてみれば先が見えないということもあります。

 そういう点でも、新たな負担を事業者の方に押しつけるような形にならずに支援措置が工夫できないのか。本来は国が延長すると言えば、基金そのものは積んだままになっているわけですから、新たに資金投入ということでなくても、取り組みもできるわけですし、ぜひ国の責任で負担のない代替措置についてもう一歩踏み込んで検討もしてもらいたいと思うんですけれども、改めていかがでしょうか。

望月政府参考人 経過について、さらにもう一度繰り返しになりますけれども、本措置については、基本的には、兵庫県、神戸市における利子補給とセットになった制度でございます。その利子補給をやめるという判断の基礎になった事業者あるいはその環境の判断については、私どもも答えを同一にするものでございますので、制度の一部分が廃止されるときに制度の一部分だけを残すというのはいかがかということはございます。

 いずれにいたしましても、償還された八割の方々と苦しいながらまだ残っておられる方々との間の公平性の問題等々もございますので、国の措置の部分だけを残すということについては、私どもとしてはいかがかと思うわけでございます。

 他方、先ほど追加的に申し上げましたように、中小企業者の方々、あるいは特に零細企業者の方々については、個々にさまざまな事情があろうということも重々承知しているわけでございますので、その辺については、むしろ、その事情をよく伺いながら対応策を考えていくということの方が、より適切な方策ではないかというふうに判断しているところでございます。

塩川委員 きめ細かい柔軟な対応というのをぜひとも求めていきたいと思っております。

 続けて、商店街、大型店、まちづくり問題についてお尋ねをいたします。

 前回の質疑の際に中川大臣からも、まちづくり三法を見直すという御答弁がありました。そういう意味では、どう見直すのかということが今問われてくると思うんです。きょうは、この三法の枠組み、特に大店立地法とWTO・GATSとの関係、それとの関係で、地方のまちづくりの取り組みとの関係で議論をしたいと思っております。

 今、兵庫の話もしましたが、先日、兵庫県の尼崎に行ってまいりました。阪神工業地帯のど真ん中で、今、大企業のリストラ、海外移転が大いに進んでいるという中で、その工場跡地に大型店が進出をするということが地域でもいろいろ問題になっているところです。

 そういう中で、尼崎市がこういう大型店の無秩序な出店を誘導、規制したいとして、商業立地ガイドラインというものを制定いたしました。これは、日本商工会議所が昨年十二月に提言を出しておられまして、その中で紹介しているのがこの尼崎の事例だったんですね。ここでは、まちづくり三法の抜本的見直しが必要であるが、この商業ゾーニング、このガイドラインに基づく商業ゾーニングはそれまでの過渡的な取り組みとして有効性が期待をされると日商の提言では紹介をしておられます。

 私も大変興味があって、それで尼崎に伺ったわけですけれども、国として、こうした地方の取り組み、努力をどのように受けとめておられるのか、その点、お聞きしたいと思っております。

迎政府参考人 お答えいたします。

 尼崎市では、都市計画法に基づくゾーニングとは別にエリアを定めまして、そのエリアごとに大型店の面積について上限を定める、それから、それを担保するために大型店に届け出義務を課しまして、指導助言あるいはその勧告、公表を行うというふうな条例を定めておるということでございます。同じような類似の条例の制定の動きがあるというふうなことは承知しておるところでございます。

 大型店と既存商業者との間の事業活動の調整、いわゆる需給調整みたいなものは条例によっても行い得ないと考えておるところでございますけれども、こういった形で尼崎の条例の場合は、都市機能の適正な配置というふうなことを目的に地方公共団体がこのような手法を講じるということは、まちづくりの一つの方法であるというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 現地に伺って改めて思ったんですが、この大店立地法施行後の五年間で大型店の進出ラッシュになっています。一方で、撤退も続いていまして、あそこはダイエーの出屋敷店の撤退が報道されておりますし、カルフールの撤退の話もありましたし、トポス尼崎店というのも撤退をする。一方で出店、撤退。そういう点では、まちづくりとしてどうなるのかという不安の声になっているわけですね。

 商店街の空き店舗率も全国平均より高い約一〇%ですし、民間の市場などでは空き店舗率が五〇%にも上ると言われているわけです。さらに、全体としての人口減少もありますし、町が危機的な状況にあるということは市長さん自身も深刻に受けとめておられました。

 そういう中で、尼崎の商店会、商店連盟など、あの地域六市一町の阪神地区の商業者連絡協議会も二月に声明を出されて、大型店進出規制と大店立地法の見直しを要求しておられます。当然の声だと思うんです。

 昨日の参考人質疑でも、全国連の会長清家さんからも、まちづくり三法の見直しのお話もございました。清家さんは、何もかもアメリカ型に規制緩和をして町をぼろぼろにしてしまったのは日本だけだ、こういう言い方も、新聞などでも発言をされておられます。そういう点では、そもそもに立ち返った検証が必要だと思っております。

 そこで、日本商工会議所などの中小四団体が昨年の七月に、まちづくりに関する要望を出しました。そこで紹介をしていますけれども、政府は、WTO・GATSのもとでは大店法を廃止せざるを得ないが、三法を一体として活用すれば、大型店の立地規制を含むまちづくりに支障はないと説明をしたと。後段の、三法を活用すればうまくいくんだというのは、現状はそうはなっていない。

 その前段のWTOとの関係のことをお聞きしようと思うんですが、大店法はWTO違反だったのかということなんです。旧大店法、大規模小売店舗法はWTO違反でないということが本会議の答弁でもあると思うんですけれども、今も同じ見解だと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

迎政府参考人 大店法、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律につきましては、平成八年の六月にアメリカから、外国の小売事業者の流通市場への新規参入を阻害するものであって、WTOサービス協定に違反するということで、二国間協議の要請を受けたところでございます。

 これを受けまして、両国で二回協議を行った経緯があるわけでございますけれども、その際、アメリカは異なる立場をとっておったわけですけれども、我が国の方は、大店法の措置は、WTOサービス協定が禁じている市場アクセスですとかあるいは内国民待遇に関する制限等には該当しない、したがって、サービス協定に整合しない措置には当たらないというふうな立場をとっておったわけでございます。この立場に立って協議を行ったということでございます。

 その後、アメリカから提起をされました二国間協議は中断をしておるわけでございますけれども、平成十二年六月に大店法が廃止をされましたので、この点については、WTOサービス協定との関係について、一種、見解を論ずる実益がなくなっている状態だというふうに理解をしております。

 したがって、そこについての立場がどうかということについては、実益は余りないんですけれども、あえてお答えをするとすれば、当時の考え方を変更するという意思決定を政府で行ったというふうなことはございません。

塩川委員 当時の橋本総理大臣の本会議答弁でも、日本政府としてはWTO違反には該当しないという判断だし、ただ、アメリカ側から言われているということがあったわけですよね。

 そこで、重ねてお聞きしますけれども、小売商業特別措置法、いわゆる商調法というのがございます。これが、大店法が廃止をされた後に、大店法時では二重規制で適用除外だった部分があったんですけれども、それが大店法廃止で外れたということで、生き返っているとされております。この商調法も当然WTO法違反ではないと思いますけれども、その点、お聞きしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 小売商業調整特別措置法につきましては、平成八年九月当時、米国から、旧大店法と同様に我が国流通市場における参入規制であって、WTOサービス貿易一般協定に違反するとして、二国間協議の要請を受け、協議を行った経緯がございます。

 当時、日本政府といたしましては、商調法に基づく調整措置は小売業に関して大企業と中小小売業との間に生じた紛争を解決する手続を定めたものであって、その運用は都道府県知事の裁量によるものであって、なおかつサービス貿易一般協定の批准以来調整措置の適用実績がないため、同協定に何ら違反するものではない旨主張したところであります。

 その後、米国から提起された二国間協議は中断をしておりますが、日本政府の見解については、現在も基本的には変わることはないというふうに考えております。

塩川委員 旧大店法も小売商調法もWTO違反ではないということでありますし、それなのに、日本政府はアメリカの主張を受け入れて、九〇年の日米構造協議以降大店法を三度規制緩和し、ついに九八年には廃止をいたしました。その後も、日米規制改革イニシアチブによって、地方政府の監視をしなさいということなどもアメリカからの要望が出ているわけですね。これは九八年十月のアメリカの対日要望書ですけれども、規制撤廃要望書ということで、この中を見ると、先ほど出た商調法についても、これは撤廃しろということも書いてありますし、地方自治体による大店立地法の適用に対する中央政府による厳密かつ継続的な監視を確立することと、地方が勝手なことをやるなということをきちんと日本政府は見張れということを、アメリカがわざわざ要求で掲げている。余りにもこれは異常じゃないかと率直に言わざるを得ません。

 そういう点で、世界を見るとどうなのかということなんです。

 そこで、国土交通省にお聞きします。

 まちづくり三法の一つである都市計画法を所管する国土交通省では、中心市街地再生のためのまちづくりのあり方に関する研究として、アドバイザリー会議をやっておられると思います。そこでも紹介をされていると思いますが、欧米主要国における大型店の出店規制がどうなっているのか。特にお聞きしたいのが、ドイツとアメリカの状況を紹介していただきたいと思っています。

阿部政府参考人 欧米諸国におきます大型店舗の立地規制の状況についての御質問でございます。

 これにつきましては、それぞれの国の仕組みあるいは法制度、それから、そもそも公共団体の成り立ちというようなことがいろいろ違いがございまして、単純には比較はできませんが、それぞれにさまざまな手法がとられておるわけでございます。

 最初にドイツでございますが、ドイツにつきましては、都市計画の制度に連邦建設法典といいまして、ブンデスバウゲゼッツと申しますが、これに基づきまして、市町村が土地利用計画の大枠を決めますFプランというのがございます。それと、地区レベルのきめ細かな規制、これを行いますBプラン、この二段階で都市計画を定めまして、用途規制の種類、内容、こういったものが連邦建築利用令で定められているわけでございますが、こういった仕組みによりまして、延べ面積が千二百平米を超える店舗の立地は、原則として中心地区またはショッピングセンターを目的として設置します特別地区、そういうところのみで可能ということで定められております。そういう意味で、大型店の立地できる区域は一般に限定されている。

 特に大型店の郊外立地につきましては、先ほど申しました土地利用計画に当たりますFプランの変更を要する場合が多いわけでございますが、これには州の認可というものが必要になりますために、州による広域の見地からの一定の歯どめがかけられる運用がされているというふうにお聞きいたしておるところでございます。

 それから、アメリカにつきましては、開発建築規制というのが州レベル以下の権限とされております。これは、一九二八年に連邦政府が標準都市計画授権法というものを定めまして、それから都市計画がずっと普及しておったわけでございますが、この法律に基づきまして、州が市町村に権限を付与しまして、市町村がゾーニング条例を制定する。これに基づきまして、建築物の用途、容積率などを規制いたしております。

 これは各州ごとあるいは市町村ごとにいろいろなバリエーションがありますので、一概には申し上げられませんが、一般的には住居系、商業系、産業系のそれぞれの数種類のゾーニングがございまして、各ゾーンにおいて建築できる店舗の規模等が定められておりまして、大規模店舗が立地可能なゾーンが限定されております。

 このようなゾーニングによる土地利用規制、これは基本的には、現状の生活環境の維持というところをまず基本にいたしております。それに即してきめ細かく定められているという特徴がございます。一方、ゾーニングは、具体的な開発計画があった場合には、頻繁に変更が行われております。ですが、その場合には住民参加の手続を経て行われているというような状況になってございます。

塩川委員 ゾーニング、都市計画法上のいろいろな規制の中でまちづくりを行っているわけですけれども、やはり商業調整についての機能を排除していないんですね、スキームそのものが。ドイツなどでもデュッセルドルフ州の判例では、既存商業の売上額の一〇%に影響を及ぼす出店は禁止をするとか、そういう具体的な形での、都市計画上の中での商業調整の機能というのが発揮をされているわけです。

 そこで、中小四団体の昨年七月の要望書でも取り上げています。イギリス、ドイツにおいても都市計画の観点から大型集客施設の立地規制を行っているが、これらはGATS違反とは見られていないというふうに要望書にも書いてあります。これは事実ということでよろしいですね。その点だけ確認です。

阿部政府参考人 各国、都市計画の観点からというようなことの手法を使いましてやっておる例が多うございます。

 なお、フランスなどはGATSにつきましては留保いたしましたが、当然、都市計画関係の法令においても規制できますが、プラスアルファで商業調整をしているのではないか、商業調整のシステムはまた別個に講じているというような状況かと思います。

塩川委員 国内では、地方自治体で今いろいろな取り組みが始まっています。先ほどの尼崎もそうですけれども、福島県でも三月の四日に、福島県良好な小売商業機能が確保された誰もが暮らしやすいまちづくりの推進に関する条例案を公表して、今、県民の意見を集約中です。昨年三月の県としての政策提言では、まちづくりと生活者の利益と施策の効果的推進の三つの観点から、大型店の広域調整のための取り組みを行うということを掲げての条例案になっています。

 こうした地方の努力を積極的に評価していただきたいと思いますし、例えばこういう福島県の事例などもWTO・GATSに抵触しないと思いますが、その点はいかがでしょうか。

迎政府参考人 福島県の条例自体が、現在、策定についての検討中の段階というふうに理解をしております。

 それから、条例案自体のほかに、いろいろ実施等のガイドラインとか運用要領とか、そういうものをトータルで見ないと、そもそもそれがGATS違反かどうかということについては、明確に見解を述べることはちょっと私どももできかねるということでございます。

 いずれにしても、大店立地法の中でも、地方公共団体は、地域的な需給の勘案をすることなく条例を定めていただきたい、こういうふうなことを法律でも定めておりますので、こういうふうなことにならない範囲で、いわゆる都市機能の適正な配置ですとか、そういったような観点から条例を定められるということについては、一つの方法であろうというふうに考えております。

塩川委員 今、地域的な需給調整を勘案することなく、地域的な需給調整禁止という話もありましたけれども、こういう経済的規制だけを取り出して禁止している国というのは、ほかにはないわけですよね。そういう意味では、各国とも経済的、社会的な規制を統一して大型店の立地規制をやっているわけです。

 大臣に最後に伺います。都市計画的な手法、ゾーニング的な手法によるまちづくりにおいて、その要素として既存商店への経済的影響を勘案したり、商業調整の観点が入っていたとしても、WTO・GATS上は問題がないわけです。まちづくりにおいて、商業調整の観点を含めて三法の見直しをする必要があるんじゃないか、広い意味での見直しとおっしゃっておられますから、こういう観点も含めて見直しをされることが求められているのではないかと思うんですが、お考えをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 もちろん、今、国際協定としてはWTO・GATSという協定がありますが、サービス協定そのものが今WTOで議論をされているということが一つございます。

 それから、先ほど塩川委員が、まちづくり三法について、私が見直しをするというふうにおっしゃいましたけれども、正確に申し上げますと、見直しも含めて検討するということでございまして、今のような御議論も含めて、現在、鋭意検討作業を進めているところでございます。

塩川委員 そういう意味では、欧米主要国では商業調整も含めて対応しているわけですから、それが本当に認められないというのであれば、その桎梏となっている大店立地法の十三条、もうこれを撤廃するしかないわけであります。

 そういうまちづくり三法の見直しをすべきではないかと申し上げて、質問を終わります。

河上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

河上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菊田まきこ君。

菊田委員 それでは、午前中に引き続いて質問をさせていただきます民主党の菊田まきこです。よろしくお願いいたします。

 この新しい中小企業新事業活動促進法の制定が中小企業の活力の源泉となり、日本の経済の活性化の牽引となるよう期待をしながら、以下、質問をしてまいります。

 まず最初に、これまでの中小企業経営革新法、中小創造法、新事業創出促進法について検証をしてみたいと思っています。それぞれの法律が制定をされ、施行された後、目的を十分に達成することができたかどうか、またどのような成果、実績を上げることができたか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

望月政府参考人 平成七年から平成十一年にかけまして、その時々の経済社会環境のニーズに対応して、中小企業を支援する三つの法律を制定し、中小企業の創業や経営革新を推進してまいりました。

 具体的な実績を幾つか申し上げますと、新事業創出促進法では、最低資本金規制の特例を活用して約二万社の会社が設立をされております。また、中小創造法では、研究開発等事業計画の認定が累計で一万八百三十八件ございます。それから、経営革新支援法においては、経営革新計画の承認が累計で一万六千五百五十一件となってございます。

 このように、既存三法につきましては相応の実績を上げてきたものと評価をしておりますが、一方で、要件が細かく分かれており、施策に重複感がある、わかりやすくしてほしいとの利用中小企業などからの指摘がございました。このため、大臣の御指示によりまして、既存三法を整理統合し、国民にとってわかりやすい骨太な体系にするとともに、最近の注目すべき動きである事業者の新連携を新たに施策の柱に加えて、中小企業の総合的支援法として強化をすることといたしたわけでございます。

菊田委員 それぞれの法律のもと、たくさんの会社が設立をされたということでございますけれども、大切なことは、創業して、そして継続して、いかに地域を活性化させるかということだと思いますが、当初それだけたくさんのものが設立をされて、そして今日に至るまでどれぐらいが継続されているのか、もしわかったらお聞かせをいただきたいということと、そしてもう一つ、もちろん成果を上げた実績というものもあった一方で、やはり問題点あるいは反省すべき点があったと思います。その点についても具体的にお答えをいただければと思います。

望月政府参考人 ちょっと、先ほど私、早口で申し上げて、意が十分お伝えできなかったかもしれませんけれども、会社を新たに設立いたしましたのは、新事業促進法で、新しい会社創業を二万社の会社が設立されているわけでございます。あとのものは、既存の中小企業が研究開発などのための計画を認定していただいた数であるとか、あるいは、経営を革新していくということで新しい革新計画をつくっていただいて、それを認定された数でございまして、それぞれにつきまして、その後者二つにつきましては、設備投資の減税だとか、あるいは融資だとか補助金だとか、そういうことを受けたわけでございます。

 ちなみに、もう少し具体的に法律上の成果を申し上げますと、最後の経営革新支援法でございますれば、経営革新計画を終了した事業者の平均的な付加価値額というものは、サンプル調査で一人当たりの付加価値額を見ますと三五・七%ということになっておりまして、一般の中小企業、これは工業統計などで計算をいたしますと一八・九%でございますので、ある意味ではこの経営革新終了事業者の達成した付加価値は高かった。もっとわかりやすく申し上げれば、売上高などで見てみますと、経営革新終了事業者は年平均で一〇・九%の高い伸びをしておりますが、一般の中小企業は、この間の景気の低迷などもございましたものですから、平均でいきますとマイナス二・五%になっております。利益額も相応に、経営革新計画の終了事業者は一一%ぐらい伸びておりますが、一般の中小企業者は七%ぐらいの伸びになってございます。

 それから、創造法などについて見てみましても、創造法の認定事業者は売上高の伸び率もプラスでございますけれども、一般の中小企業者は先ほどと同じようにマイナスになっているというような意味で申し上げますと、この厳しい平成七年、十年以降今日までの間の企業の活動状況という観点で見ますと、それなりに意欲のあった方が手を挙げて認定されたということはもちろんあるわけでございますけれども、結果はそういう良好な結果を示していて、私どもとしてはこの結果を評価していきたいというふうに思っております。

 それから、御質問の後半の、問題点は何かということをあえて先ほどちょっと申し上げてしまいましたけれども、これは、施策が十分に一般中小企業者全般に知れ渡って公平に手を挙げてこられたかということになりますと、私どもとしては、これは常にでございますけれども、内心じくじたるものがございます。したがって、この施策が今後とも幅広く皆様方に伝わるように広報は強化していかなきゃいけないと思いますし、広報する中身がわかりやすくなければいけないということが出発点でございますので、その点についての反省を込めてこの新法を提出させていただいたということでございます。

菊田委員 本当に意欲のある企業が手を挙げて、そして、こういったことで新しいチャレンジをしていく。大変すばらしいことだと思いますが、その一方で、意欲があってもなかなかそのノウハウがなかったり、あるいはその手法がなかなかないということでこうした事業に挑戦できない企業があるということですので、今回の新しい制度によって、本当に幅広く、多くの中小企業がまたチャレンジできるような、そんな機会をふやしていただきたいというふうに思っておりますが、今回の新しい制度によりまして特にどのような成果を期待しているのか、挙げていただきたいと思います。どのくらいの経済効果が見込まれているのか、あるいはまた、どのような分野での活性化が期待をされているか、お示しをいただきたいと思います。

望月政府参考人 過去の三法を統合した部分につきましては、従来の政策の延長線上の中でさらに一層支援策を強化していきたいというふうに考えているわけでございますけれども、特に、今般新しく追加をされました中小企業の新たな連携についての施策でございますれば、このグローバル化した日本経済の中で大変中小企業が苦しい環境になっているわけでございますが、そこの中小企業の人たちが前向きに、強みを持ち合いまして手を組んで新しい事業に挑戦をしていくということについて、私どもとして、技術開発あるいは販路拡大など、あるいは新しい事業計画の策定支援などについてコーディネーターをつけまして計画策定をしていく、あるいはその後のコーディネートをしていくというようなことに通じまして、新しい発展をしていただけるのではないかというふうに思っているわけでございます。

 具体的には、法律が今御審議いただいているわけでございますけれども、これまで、昨年もその前段階として試みに予算措置で全国からこういうプロジェクトについての手を挙げていただけないだろうかということで申しましたところ、全国から四百ぐらいの案件が手が挙がってまいりました。その中で、特に見込みのいいもの、すぐれたもの、計画というものをピックアップして、今具体的にその試みの支援をしているところでございますけれども、こういった中小企業の方々の新しい支援というのは、私どもが思う以上にまことに活力があるものだというふうに思ってございますので、これを新しく法律にさせていただいてということであれば、この施策自身ももっと幅広く世間に知られることになると思いますので、その中で手を挙げていただいて、中小企業の最先端のところを引っ張っていただくということも非常に大事なことではないかと思っています。

菊田委員 私も、当選させていただいてから週末には地元に帰ります。そして、地元の中小企業、町工場等々を回らせていただいているんですけれども、やはり、中小企業というのは、本当に優秀な人材、そしてまたさまざまな技術を持っている、日本のものづくりの先端を担ってきた本当にすばらしい知恵と人材の宝庫だなと改めて感じるんです。その一方で、そういった思いとか、あるいは、このような研究をもう少し深めたら新しい製品ができるんじゃないかというようないろいろなアイデアがあっても、具体的には、現実には、目の前のノルマに追われていたり、日常の仕事に追われていたり、あるいは十分な資金力がない、あるいはまた余裕がないということで、なかなか新しいことにチャレンジする機会がないというのが現実ではないかというふうに思っております。

 ですから、幾ら経済産業省でこのような新しい制度をつくっても、これが中小企業の側から見ればまだまだ遠い存在になっているのではないかというふうに思うわけですけれども、せっかくつくったこういう制度を積極的に利用していただくためには、やはりどうフォローしていくのかがとても大事だと思いますが、それについてお聞かせをいただきたいと思います。

望月政府参考人 この中小企業の前向きな意欲を具体的に現実に引っ張り出して事業化をしていくところまで引っ張っていくということは、先生おっしゃいますように、これはなかなか実は困難なところがございます。

 個々のケースによって中小企業というのは足りないところが幾つかあるわけです。例えば、経営者がいいビジネスモデルを持っていたり、あるいはいい製品をつくる能力があった場合に、では、それを新しい製品であるがゆえに全く知らない事業分野へ販売していくときに、販路開拓の人材がいなかったり、あるいはその流通ルートを知らなかったり、そういったところもございます。

 それからまた、よく出てまいりますように、いい計画を持って、いい販売ルートもわかるんだけれども、実際に、初期のところで工場をつくるだけの資金がないとか、寝てしまう資金が当初かなりある。そういうところをどうやって資金調達するのか。あるいは、少しやっていくとなれば自分の右腕になってくれるような人材がいないとか、そういった個々のケースで中小企業の方というのは、本当にすぐれた中小企業でも、どこか欠けているところがある。こういったところを私どもはいかに手づくりの支援ができるかということがこの施策のみそではないかというふうに思っております。

 したがって、私どもがまず最初にこの新連携の場面でも配置する、各ブロックに配置をいたしますプロジェクトマネジャーみたいな方は、このプロジェクトに集まってこられる中小企業群の方々のところで何が欠けているかということをよく見て、それで分析をし、その必要な、資金であるのか、人であるのか、あるいは販路のルートであるのか、人脈であるのか、そういうことをよく見きわめながらアドバイスし、コンサルタントをしていく。

 加えて、大切なことは、私どもは、何か施策をしますとそこのところで、一回の施策で終わってしまうということが後へつながらないということをよく批判されますけれども、こういったことについてもよく考えまして、最初に手がけたプロジェクトマネジャーが、例えば、物をつくるところでいろいろ知恵をかした人と同じ人が最後の、販路開拓のところまで、事業化するところまで同じ人ができる限りフォローしていくというようなことで、我々としても、やったことの結果が見えるように、評価できるようにするというような体制を、これは、我々のちょっとあれで申しわけありません、ハンズオン支援というふうに言っているんですけれども、手づくりの支援をしていくような体制をまた全国にしいていかなきゃいけないというような課題に挑戦していきたいというふうに思っております。

菊田委員 NHKの「プロジェクトX」ですか、あの番組を見ると、新しい一つのものが生み出されるには本当にたくさんの人の手にかかり、そしてまたたくさんの困難や失敗を乗り越えて一つのものが世の中に出るんだということを感じさせられるんですけれども、まさしく、今お答えがありましたとおり、やはり、入り口のところで挫折をしたり、あるいはいい成果が出ないということでそれが途中でとまってしまうようなことがないように、息長くこの制度が大いに利用されるように心を配っていただきたいというふうに思っております。

 そこで、お伺いしますけれども、新連携支援地域戦略会議というものが設置されるということでございますけれども、これは全国の九ブロックに設置される予定だと聞いております。全国をわずか九つのブロックに分ける、これだけでは広過ぎて、今おっしゃったような地域の特徴とか細かいニーズ、あるいは情報というものを十分に吸収して、そしてまたそれをフォローできるかどうか私は大変疑問に思っておりますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

望月政府参考人 この体制につきましては、先生おっしゃいますような面と二面あろうかと思っております。

 九ブロックに本部をつくってそこのところに集約をしていくという話は、連携でございますから、去年から見ております具体的な例を見ましても、その連携の人は、あるときは、例えば首都圏でも、東京の人と千葉の人とあるいは新潟の人と組んだりすることもあるわけでございまして、幅広い可能性を見るという意味ではある程度のブロックでフォローをしていくということも必要なわけでございますし、逆に、身近に相談をするという観点からいうとかなりきめ細かく存在しなきゃいけないということがございます。

 したがいまして、今回の地域戦略会議と我々呼んでおりますものは九ブロックにつくりますけれども、それで幅広い連携をつなげるように体制をとりますけれども、その下に支援チームのようなものをそれぞれつくりまして、その支援チームが個々のプロジェクトの案件に専属でつきましてやっていこうということでございます。必要に応じ戦略会議の置かれた都市からその管轄する、離れているところまで出かけていって支援をするというような体制をつくっていきたいということでございまして、この両面の要請にこたえていかなければいけないというふうに思っております。

菊田委員 例えば、新潟を管轄する関東経済産業局は一都十県ですよね。新潟県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県ということで、こんなに行政区域が広くては、それぞれの地域のニーズをうまく掘り起こしてマッチングできるのかなと。幅広い連携という意味ではいいのかもしれませんけれども、繰り返しになりますけれども、身近なニーズをやはり瞬時にキャッチをしてつなげていくというのはとても大事な作業だというふうに思います。そこで、支援チームを設けていくというお話ですけれども、分科会というものも必要に応じてつくっていくというふうに聞いておりますが、この分科会と支援チームというのはいわゆる別の組織ということでよろしいんでしょうか。

望月政府参考人 ただいま法律を御審議いただいている最中でございますので、戦略会議の下の分科会のところまでについての詳細はまだ私ども決めておりませんけれども、戦略会議自身は、こういったプロジェクトを引っ張り上げて、そこでみんなで連携対象として拾っていく上部組織と考えております。それが地域、先ほどおっしゃいましたが、首都圏全体をあるいは見ていくという意味では幅広過ぎるということでございますれば、場合によってはその会議の分科会を設けることも考えたらどうかということを今模索しているところでございます。

 それから、今私がちょっと申し上げた支援チームは、個別に案件が採択されたような場合には、その案件について専属の支援チームをつくって、さっきのような支援をしていくということでございます。これは、どちらかというと専門家集団の集まりというふうに考えていただいたらいいのではないかと思っております。

菊田委員 この分科会も、例えば産業分野ごとに分けるのか、あるいは、先ほど言いましたように都道府県ごとに分けていくのかによって、大分変わってくると思うんですね。その点についてはどんな計画でしょうか。

望月政府参考人 余り予断を持って決めつけるのもいかがかと思いますけれども、新連携の場合は、基本的な考え方が、キーワードは異業種の連携というものを大分考えておりますものですから、産業分野ごとというよりは、むしろそういう異業種連携を幅広く補足をしていく、あるいは支援するチームをつくっていくという観点からいくと、もし首都圏全体一つでは広過ぎるということであれば、地域で選んでいくということになろうかと思います。その単位がどのぐらいが適当かということは今後の検討課題だろうと思っておりますけれども。

菊田委員 それから、新連携支援地域戦略会議には地元関係者が入るということになっておりますけれども、具体的にはどのような人が入る予定か、お聞かせください。

望月政府参考人 これは、先ほども議論がございましたけれども、私どもは実は再生支援協議会というのを今やっておりますが、あのときのひそみに倣って、地元の有力者、経済界の有力者のような方、あるいは地元の専門家の方というものが地元の英知を集めてこの話を推進していくという体制をつくっていくというのが非常に大事だと思っておりますので、地元の例えば経済界の有力者、それから金融機関の関係者、あるいは中小企業診断士のような中小企業の支援の専門家の方々などなどを構想しているところでございます。

菊田委員 本当に地元の事情を細かくキャッチをするという意味では、少しでも多くの地元関係者を入れていくということはとても大事なことだと思っております。

 それから、やはり自由な立場で、あるいは自由な発想でどんどんチャレンジしていけるような、そういう人を選んでいくこと。あるいはまた若い方、あるいはまた女性の感性、女性の視点というものもこうした地元関係者の中に大いに入れていただいて、まず会議が活性化されなければ全体にいい影響が出てこないわけですから、十分に意を払っていただきたいというふうに思っております。

 それから、産官学の連携についてお聞かせいただきたいと思いますけれども、この産官学の連携というのは、これまでも盛んに言われてまいりましたし、さまざまな取り組みが行われてまいりました。うまくいったところもありますし、また、なかなかうまく進まなかったというような話も聞いておりますけれども、中小企業には光る技術を持つ企業がたくさんあります。そういうところは大学や旧国立研究所と連携している場合が多くありますけれども、しかし、一般的にはまだまだ大学や旧国立研究所というのは敷居が非常に高いというふうに思われます。大学や旧国立研究所を本当に地域の中小企業に開かれたものにする、敷居を低くして十分な交流ができるような、そういう対策をしっかり考えていかなければならないと思いますが、抜本的な方策は何か、お聞かせいただきたいと思います。

小田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大学などの敷居がまだ高いのではないかということで、抜本的な方策はいかがという御質問でございます。

 大学や公的研究機関にとりましては、中小企業と連携を進めるということは、大学などの研究成果の社会への還元を図るということで大きな役割を果たすということと、それから、地域の活性化にも大いに資するものであって、大変重要なことであると認識しておりますし、このことにつきましては昨年の四月の大学の法人化に際しまして、大学の使命というのは、本来の任務の教育、研究ということに加えまして、第三の柱として社会への貢献といったことも明確に位置づけしております。

 一つは、大学側も最近は非常に熱心になってきておりますが、まだまだそういった点での敷居が高いという意見も聞くわけでございます。やはり意識の改革が非常に大事だということで、まず、政府といたしましても、産学官連携推進会議といったようなことを三年ほど前から続けておりまして、実務者レベルでもそういった意識の改革を図るといったことを進めてきております。

 さらに、文部科学省におきましても、特に地域における産学官連携を促進するという観点から、大学への地域共同研究センターを設置するということを進めるとか、それから、知的クラスター創成事業、あるいは都市エリア産学官連携促進事業などを通じまして、地域の多くの中小企業の参加を得て産学官連携の研究開発を進めているところでございます。ちなみに、知的クラスターにおきましては中小企業は五割ほど、五〇%も入っておりますし、それから、都市エリアにつきましては中小企業の参加が七〇%に上っております。

 また、資金的にもマッチングファンドということで、大学と企業とが双方に資金を持ち寄って共同研究を行うといった支援も行っております。特に、中小企業と大学が共同研究を行う場合には、通常二分の一以上を企業が負担するんですが、中小企業の場合には国側が三分の二を負担することができるといったことで優遇措置を図っておるなどしております。

 また、各国立大学におきましても、法人化などを踏まえまして、地域の企業との連携を産学官連携の基本方針に据えるといったことで、特に地域との共生といった視点からも、中小企業との連携促進を図る取り組みが進められておるところでございます。

 具体的に、国立大学と中小企業との共同研究、年々増加しております。平成十四年度には二千七百十七件に上りまして、共同研究全体の三分の一以上を占めているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、大学などと中小企業との連携がより一層活発に行われまして、地域における産学官連携、あるいは科学技術駆動型の地域経済の振興といったことを積極的に支援していきたいと思っております。

菊田委員 年々産官学の連携が進んで成果も上がっているという御報告でしたけれども、私は、もう少し文部科学省の方も、開かれた大学をつくっていくという面においてさらに力を注いでいただきたい。意識の改革も大事ですし、具体的にこれまで連携がうまくいかなかったのはなぜなのかといった検証も、あわせて行っていかなければならない。

 やはりアメリカなどに比べると、まだまだ日本の産官学の連携というのはおくれているのが現実ではないかというふうに思っておりますし、中小企業の側からすれば、本当に優秀な地域の大学の研究者と連携していきたいという気持ちは十分にあるわけですけれども、なかなか大学側からのアプローチが少ないのではないかというのが私が地域を回ってみての感想でございますので、文部科学省を挙げてこうしたことに積極的に取り組んでいただきたいと思っております。

 そこでお伺いしますけれども、大学にいる高度な研究人材はどうしても中小企業には流動していかない。これは、その研究者の処遇とか研究者のアカデミック志向にも問題があると思いますけれども、もっと人材マッチングのシステムを強化していかないと、お互いのニーズやお互いの情報がよくわからない。これには公的な支援が必要であると考えますけれども、どう対応していくのか、お聞かせをいただきたいと思います。

小田政府参考人 産学官連携の中で、中小企業と大学などの人材の交流についてのお話でございます。

 大学の研究成果が具体的に社会還元を図っていく上で、高い技術力を有する中小企業の果たす役割、これが極めて大事だということは認識しておりますが、中でも、先ほどの産学官連携の中でも、やはり大学側と企業側とを結ぶ、橋渡しする、そういった人材が必要だろうということで、文部科学省といたしましては、産学官連携コーディネーター推進事業といったものを設けまして、全国の主要な大学などに百十名のコーディネーターを派遣して、そういった人たちが大学の中の実情をよく把握し、さらに、地域の企業等を回って、何かの橋渡しをするといったような事業を三年ほど前から進めております。

 まだことしは三年目で、現在その点につきまして評価を行っておりまして、どうそれが具体的に生かされているのか、さらに、これの改善策はどうかといったことを現在評価していまして、三月の下旬をめどにまとめてみますので、その点についてまた公表していきたいと思っております。また、そういった改善策などについても図りながら、人材交流、ひいては産学官連携の実が上がるようにしていきたい、こう考えております。

菊田委員 それでは、最後に大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、この産官学の連携を政府として大いに評価をしていく、そういう仕組み、あるいはそういう考え方をもっともっと私は大きくしていかなければならないと思うんですが、その点について大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 菊田委員が御指摘のように、すばらしい研究開発、そしてそれを商品化、製品化していく、そしてまた一人でも多くの方に買っていただいて、そのメリットを享受するということを、みんなで知恵を出し合って、あるいはまた資金やいろいろなものを持ち寄ってやっていくという意味での一つの例としての産官学連携というものは、非常に重要でございますから、そういう意味で、大変御熱心な御議論をしていただいたことを私としてもうれしく思っているところでございます。

 とにかく、成功事例もいろいろございますけれども、なかなかうまくいっていないということも現実にあるわけでございますから、そういう意味で、できるだけ連携ができるように、我々も、また学界、大学の方も、あるいはまた経済界の方もそれぞれ努力し、また連携していかなければいけないと思っておりますし、また、その連携のあり方あるいは成果について、成功例、失敗例、あるいは、なぜ連携できなかったのかとかいうことも含めて、きちっとチェックをしていくことが本来の目的達成のためにも大いに前進すると思いますので、貴重な御提言をいただいたというふうに思っております。

菊田委員 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

河上委員長 次に、計屋圭宏君。

計屋委員 民主党の計屋圭宏でございます。午前中に引き続きまして質問させていただきます。

 午後からの第一問目の質問でございますけれども、日本の中小零細企業における二極化の問題でございます。

 平成十年を境に、金融機関からプロパーで借り入れできる企業と、保証つき借り入れでなければできない企業との二極化が進んでいるわけです。この表でございますけれども、この黒い部分が保証つきでしか借りられない企業でございます。それから、このブルーが併用でございます、プロパーと。このイエロー、黄色い部分がプロパーのみということで、この一覧表を見てまいりますと、平成十年を境として、中小零細企業の二極化というのが進んでいるわけでございます。

 これを見まして、中川大臣、どういうふうに感じますか、御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 日本は自由主義、あるいは民が主体の経済体制の国家でございますから、本来は、民間企業に対して民間が資金提供その他をするというのが原則だと思います。しかし、いろいろな事情、状況に応じまして、民の補完として官が出ていく、あるいはまた、官の保証、官と言いましょうか公的な保証をするという制度があるわけでございますから、そういう意味で、民で完結するものであれば、私はそれにこしたことはないというのが基本的なまず原則でございます。

 ただし、いろいろな事情で、もう少しこの資金があればとか、民ではなかなか貸してくれないけれども、信用保証協会の保証があればというときに、多少の別のところの制度を利用して保証をするとかいうことも必要でございますので、そういう意味で、原則としては、いわゆるプロパーの部分と、それから信用保証がそれを補完するといいましょうか、それに乗っかっていくという部分と、両方あっていいんだろうと思います。

 最近は二極化が進んでいるという御指摘でございます。保証が受けられる者と受けられない者という意味の二極化ということだというふうに理解をしておりますけれども、受けたくても受けられないという方があるとするならば、本当にやる気があって、そしてまた保証をつけることによって資金が出ていくということによって事業活動がさらに前進をする、活発化をするということであれば、できるだけ、目的に合致するという観点から、そういう補完機能を大いに発揮すべきだというふうに私は考えております。

計屋委員 確かに、独自で経営するというのは、これは基本原則だと思いますけれども、ただ、やはりそういう弱いところに光を当てて、そしてそれを育てていくというのが政府の役割、あるいは国の役割だと思うんです。ですから、この十五年から六年、景気が停滞しているという中において、中小企業が独自で立ちたくても立てない、そういう状況が起きてきています。ですから、そういう中で、やはり今回の中小企業経営革新支援法においても、これはプロパーかあるいは併用してお金を借り入れられるところに光を当てていこうということでございますので、やはり信用保証協会を活用してお金を借りられないというところがこういったふうにして多くなっているということなんです。

 ですから、こういうことから考えてまいりますと、やはり政府としては、こういったような底辺の中小零細企業というものにスポットを当てて、そこに手厚く手当てをしていく、これがやはり大切なんですよね。もう弱者切り捨てという形に今なっているんですね。ですから、こういったようなことを力を入れていかなきゃいけない、こういうふうに思います。

 私は先般、地元であります等々力の中小企業の工場協会というところにお伺いして、会長さん以下お話を承ってきたんですが、皆さんがおっしゃるのは、私たちは中小企業ではなくて零細企業なんだ、長引く不況で手持ち資金はない、機械を買うのに一千万円もかかると。ですから、一千万円の金がないということでございます。

 それから、設備を入れかえて起死回生を図りたい、しかし、いざ融資の申込みをしてもハードルが高くて認可されないんだ、この辺の会社はバブル期に購入した工作機械で仕事をしている、十五年も前あるいは二十年前あるいは三十年前に設備投資をしている、ところが不況になって設備投資ができない、こういうふうに言っております。

 そしてまた、仕事においても驚くような低い単価で仕事が入ってくるんだ、とても請け負えないが、次回のことを考えれば受注して仕事をやっている。自動車関係の仕事はそれなりにある、しかし、最新の工作機械があればの話であり、現実的には仕事を請け負ってやることができない、こう言っておりますね。

 それから、お金を借りるにしても、設備投資のためにお金を借りたいんだ。繰り返し繰り返し言っていたことは、技術はだれにも負けないものを持っている、その腕を買われて外国にでも出向く人もいるというようなことを言って、そういうことも考えようかという人もいないわけではない。零細企業は今までは多くの人を使ってきたが、やはりニートとかフリーターが多くなっているので、中小零細企業に集約できなくなった、こう言っているわけです。

 ですから、この実態をお聞きしまして、もう八方ふさがりだということで、私も、何ともむなしさというか、あるいはまた何とかしなきゃいけないと一方では考えたわけでございます。

 そこで、私が尊敬している安岡正篤氏は、戦後、政界、財界人に大きな影響を与えた人物であり、今の日本に、特に日本のリーダーに、また中小企業を考えるときに大切なお教えを説いているわけです。

 その安岡氏のスローガンとして、一灯照隅、万灯照国を掲げているわけです。一隅を照らすことは焼け石に水のようではあるが、すべてはそこから始めることによって現代をよみがえらせることができると。また、安岡氏は、宋の張横渠の文章を下敷きにして、天地のために心を立て、生民のために命を立て、去聖のために絶学を継ぎ、万世のために太平を開く。今絶えてしまい、だれ一人振り返ることもなくなった政権の学びを私は受け継ぎ、必ずやこの民族の精神を復興させるためのあらゆる努力をされたわけでございます。迂遠なようだけれども一人一人を奮い立たせていく以外に民族の復興はない、こう言っております。

 ですから、政府の場合も、今一番困っているのはこういったような中小零細企業だ、そういうところに光を当ててこそ、日本の中小企業は九九・七%という数もあるわけでございますから、そういうことを考えていったら、やはり私は中小企業にスポットを当てていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

 この安岡先生の考え方に対して、大臣、どうお考えですか。

中川国務大臣 安岡正篤先生の今のお言葉は、余りにも重たく意味深いものでございますから、正直言って全部今お聞きしても理解できない部分がございましたけれども、本当に弱い者、困っている者に対して、頑張れ、支援をしろという御趣旨の流れの中での安岡先生のお言葉の御引用だと思います。中小企業、本当に日本を支えております屋台骨でもございますし、今を時めく電機メーカーであろうとオートバイメーカーであろうと、いろいろな企業が、もともとはいわゆる町工場、中小零細企業からスタートしたものもたくさんあるわけでございます。他方、また中小企業、零細企業と言われている中にも世界ナンバーワンの技術を持った中小企業が、東京や大阪あるいは神奈川その他いろいろなところにもある、頑張っているところもあるわけであります。

 そして、計屋委員の御地元の先ほどの工場、機械を新しくしたい、技術はだれにも負けないんだという自信と、そして現実の厳しさのあるところについては、ぜひともいろいろな制度、民間あるいはまた公的問わず、無担保無保証というような制度もございますし、また先ほどからの信用保証制度もございますし、またいろいろな資金支援、いわゆるファンド的なものもどんどん整備はされておりますけれども、とにかくそういうところにこそ国の支援をという計屋委員の御趣旨は、本当に頑張っているところ、能力があるけれども何かがちょっと足りないというところを一押しせよという御趣旨については、一般論ではございますけれども、そこにこそまさに民の補完としての国の役割があるんだろうというふうに私も考えております。

計屋委員 安岡先生のこのスローガンでございますけれども、やはり一隅を照らすことによって、そのことが日本の国を照らしていくんだという趣旨のことでございますから、こういったふうな中小企業に経済産業省としては手厚く支援をしてもらいたい、こういうことでございます。

 ところで、平成十年から十三年まで実施された中小企業金融安定化特別保証制度は、当時貸し渋りに苦しむ中小企業の救済に三十兆円規模で特別な融資を実施して五年が経過したわけでございますが、その状況と評価ということをしていただきたいと思います。

望月政府参考人 御指摘の中小企業金融安定化特別保証制度につきましては、平成十年十月から十三年三月までの間に百七十二万件、二十八兆九千億円、約三十兆の保証承諾をいたしております。このために、信用保証協会に対し二千九百億円を拠出するなど、合計で一兆四千五百億円の予算措置を講じたものでございます。

 本制度は、未曾有の貸し渋りの状況下における臨時異例の措置として、中小企業の倒産の急増を緊急避難的に回避するのに効果的であったというふうに認識をいたしております。

 もう少し分析をいたしますと、中小企業白書などでも何回かこの分析をいたしておりますけれども、一連の金融システム不安、信用収縮対策の効果として、平成十年度、十一年度合計で約一万社、負債総額約二兆円の倒産が回避され、約十万人の雇用が維持されたというような推計もいたしております。

計屋委員 緊急避難的に救済して効果があった、こういったふうなお話でございますけれども、ここで代位弁済というのか、保証協会の補てんというのは安定化資金でどれぐらい出ているのか、細かい数字になりますけれども、教えていただきたいと思います。

望月政府参考人 現時点までの、先ほど申し上げた保証総額の二十九兆円に対しまして、代位弁済金額は二兆一千七百三十四億円になります。代位弁済率で七・五一%ぐらいでございます。

計屋委員 これは国の資金からどれぐらい出ているのか、教えていただきたいと思います。

望月政府参考人 代位弁済金に直接リンクしているわけではございませんけれども、特別保証のために信用保証協会なり保険の収支が悪化をしたものを補てんするという意味で、所要額で一兆四千五百億円の出資を国からいたしております。

計屋委員 一兆四千億というのは、これは、この三十兆枠で緊急避難的に貸し付けた、この分の補てんですね。

望月政府参考人 もう少し詳細を申し上げますと、これによって保険収支が悪化した分の補てんとして一兆一千六百億円、それから各都道府県の保証協会の収支が悪化したということに対する補てん金として二千九百億円、合計一兆四千五百億円が国費から出されているということでございます。

計屋委員 補てんした部分が一兆四千億円ということで、そうしますと、この返済した額が、それから波及した経済効果というのは計算していますか。

望月政府参考人 もし質問の趣旨を誤解していたら恐縮でございますけれども、私どもは、これによる経済効果という意味でいえば、中小企業の倒産だとか、そういうことの防止にどれぐらい役立ったかということではないかと思っておりますけれども、これを中小企業白書で試算したところで申し上げれば、先ほどちょっと申し上げましたように、平成十年度、十一年度の合計で約一万社の倒産回避ができ、負債総額でいうと二兆円、約十万人の雇用が維持されたという推計がされております。

計屋委員 こういったことを考えてみますと、やはりこの緊急避難的な中小企業金融安定化特別保証制度というのは大変効果があった、こういうふうに理解しなきゃいけないと思います。

 そうして、やはり皆さんが無担保で特別枠でお金を五千万借りた、そういうことをすれば、それだけ中小企業が、先ほどの保証協会の保証をつけないとお金を借りられないという人が救済されていくわけです。そういう中で、新聞情報でございますけれども、中小企業の融資について公的信用保証制度を改正する動きが出ている、これには中小企業の皆さんは大変不安がっているわけでございます。これまで中小企業支援の切り札として活用されてきた公的信用保証制度ですが、現在の収支の状況を教えていただきたいと思うんです。

望月政府参考人 先ほどの特別保証制度導入以来、これは終息しておりますけれども、その後の経済状況の厳しい状況を反映いたしまして、信用補完制度における収支が大変悪化をいたしております。年によって変わりますけれども、四、五千億の赤字を毎年出しておりまして、一番最近、多少収束をしてまいりましたけれども、二、三千億の赤字のところまで減ってまいりましたが、まだそれだけの赤字を出しているというのが現在の実情でございます。

計屋委員 この信用保証の圧縮議論がありますけれども、どのように今これを検討されているのか、お聞きしたいと思います。

望月政府参考人 信用保証の圧縮とおっしゃいましたが、多分新聞記事から来ているのではないかと思いますけれども、ちょっとゆがんだ報道がなされましたものですから、私どもはその後正確にいろいろ説明をしているところでございますが、実は信用補完制度は、一番最後に、昭和四十年に審議会で制度の見直しの検討をいたしましてから今日まで約四十年間、制度の大幅な変更は余りなされてきませんでした。したがいまして、いろいろな意味で金融の高度化などが起こっている昨今、信用補完制度についてのさまざまな問題、検討すべき課題が山積をしてまいりました。したがって、信用補完制度全般にわたりまして、この課題をこの際総点検しようということをねらいまして、今、審議会での検討を開始したところでございます。

 一番大きな点は、信用保証協会というところが中小企業の前面に立って保証の引き受けをしているわけでございますけれども、それに応じて金融機関が融資を行うわけでございますが、金融機関は、一回融資した後、その企業に対して常時、継続的に期中管理というか、つき合うわけでございますから、その企業の状態はわかるわけでございます。ところが、信用保証協会は、最初に一回保証した後に、この次の保証、追加保証が来るまでの間は、どちらかというと金融機関任せになっている、その途中での企業の状態について必ずしも十分フォローしてこない、そういう位置づけになっているところが多うございます。

 したがって、中小企業がちょっと経営が傾いてきたときに、専門家としてきちっとアドバイスをしたり指導をしたりすることによって、最悪の事態へ行く前に企業経営が変わるというような経営指導みたいなことを、本来であれば融資した側、金融機関側がするわけでございますが、そういったことについて保証協会も、同じこれだけの保証をしているわけでございますので、すべきところを、経営相談、能力は、保証協会も経営指導員もたくさん抱えているわけでございますが、能力がある割には、そういう経営支援だとか、そういうことをやってこなかった。

 つまり、保証協会と中小企業との関係がある意味では一回こっきりの関係になっていたというような問題点であるとか、あるいは、先生ちょっと御指摘になった金融機関と保証協会の関係で、今は多くは、基本は一〇〇%保証協会が保証したもので融資をするということでございますから、金融機関はリスクゼロの融資を行っているわけでございます。そうなりますと、金融機関側のある意味では責任分担というか、中小企業への面倒を見る姿勢とか債権の管理に対する姿勢だとか、そういうたぐいについてもさまざま問題点が指摘されているところでございます。

 それから、加えまして、不動産価格の下落によってなかなかその担保がなくなってきている中小企業に対して、担保とか保証人に依存しない融資をこれからますます拡大していかなきゃいけないというような社会的な要請もございます。そういったさまざまな環境の変化に即応して保証制度自身が何の変更もしてこなかったというのが実は私どもの反省でございまして、そういった点を幅広く、どうしたらいいかということを今検討している最中でございます。

 その中で、今ちょっと申し上げた一〇〇%保証についての問題点の見直しみたいなものが、少し肥大化されて注目され過ぎて先ほどのような報道になったということでございまして、この点については、問題点もございますし、それから、安易に変更することに伴うまた新しい問題を起こすという両面もございますので、今、慎重に検討をしているところでございますけれども、何らかの意味で金融機関の責任分担を図らせなければいけないというような議論が主流になっていることも事実でございますので、その辺、慎重に議論をしていきたいというふうに思っております。

計屋委員 おっしゃることもよくわかるし、なおかつ、先ほどの中小零細企業が二極化してきた、そして保証協会に頼らざるを得ない、頼らないとプロパーとして、あるいは民間の金融機関からお金を借りられない、今こういったようなはざまに立っているわけです。これは大変大きな社会的な問題であるわけです。ですから、こういったふうな中小企業を救済していくということにおいて今この保証制度というものを見直した場合に、中小企業、弱い者をもう切り捨てていくということになって、今、こういったふうな二極化の底辺の部分の中小企業というのはたこが糸を切られたごとく消滅してしまう、そしてまた中小企業の経営者が自殺に追い込まれる、こういったふうなことを繰り返していく。あるいはまた、こういったふうなことのみじゃなくて、日本の経済に与える影響というのは大変大きな部分がある。こういうふうに理解するわけです。

 ですから、そういうことを考え合わせてまいりまして、先ほど長官がおっしゃったように、お金を貸し出したら金融機関は面倒を見ているけれども、保証協会というのは、お金を貸し出せばその当初に最後までの保証料金をもらうわけですから、もう後は行かなくたって済むわけですね。ですから、まさにそういったふうな指導だとかあるいは相談という部分が今まで不足していた。そういう点で、そういうところを強化していくということは大変ありがたいことであるわけですけれども、やはりそのところを、中小企業の底辺の零細企業、ここを切り捨てていく結果につながっていくんだということをしっかりと認識していただきたい、こういうふうに思いますけれども、その辺をもう一回ひとつ発言いただきたいと思います。

望月政府参考人 今、関係者の専門家の皆様方で検討している最中でございますので、私が予断を持って結論を申し上げるのはいかがかと存じますけれども、そういった制度の変更が中小企業、特に零細企業への資金の流れを細くすることのないように、制度変更はいずれにしても考えなきゃいけないと思っております。したがって、この制度変更によっていささかも中小企業の資金の流れが細くなっていかないようなこともよく見ながら、あるべき姿について考えていかなきゃいけない。

 他方で、これはちょっと別の話でございますけれども、金融機関に公的資金を導入したときも、同じことでございますけれども、これは一般会計から税金を投入するわけでございますから、それが一体、ノーリスクで銀行が貸すために投入しているのか、私どもが非常に大切にしている零細中小企業の方の資金の流れのために投入していくのかというのをどうやってちゃんと判断して、適正な制度をつくっていくかということが大事じゃないかと思っております。

計屋委員 中小零細企業が、今、水が必要だ、あるいはまた肥料が必要だというときに、そういったふうな保証協会の保証を得てよみがえっていくという形で、こういったふうな底辺の零細企業が併用でプロパーも借りられるという方に持っていかなきゃいけないわけで、それが今保証協会の保証が必要なんだということですね。ですから、そういったようなことを含めて御検討いただきたい。

 そして、先般、私は金融機関の皆さんともお話をさせていただきました。金融機関にリスクを負わせるということは、それは話はわかるわけですけれども、ただしかし、審査が厳しくなってさらに貸し渋りがふえていくだろうな、そしてまた、もし万が一お貸しする場合においても金利が高くなっていく、そういった話をしていたわけでございます。

 ですから、そういうことを考えてまいりますと、貸し渋りによって中小零細企業の命綱を切っていくということは大変危険なことで、日本の将来に赤信号ということにつながっていくと思いますので、その辺を十分留意しながら、中小零細企業の救済ということで取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、中小企業・ベンチャー挑戦支援事業に関してでございますけれども、昨年度の支援事業に対して応募件数が六百七十八件、採択件数二百二十二件、応募倍率三・一倍、そしてさらに、事業化支援事業として五百二十二件の応募があって、採択件数が四十三件、応募倍率が十二・一倍。二回目にまた募集したら、六百十二件の応募があった、そして、採択予定件数としては四十五件、十三・六倍だ。こういうふうに資料があるわけですけれども、これは、この応募が、採択してほしかったのに採択されなかったのか、技術的に採択に値しなかったのか、どちらなのかお答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 余り正確には区別はできないと思います。もちろん、予算制約がございますので、その予算制約の範囲内で採択したということは事実でございます。しかしながら、その中で、実用化研究開発補助などにつきましては、専門家が技術の新規性とか事業化可能性などについて評価を行って、その評価結果に基づいて採点をしたわけでございますので、そういう意味でいえば、中で競争がきちっと行われたということでございます。

 十数倍の制約の方は、恐らくこれは予算による制約というものが大きかったというふうに思っております。

計屋委員 両方あるんだろうと思います。予算による制約あるいはまたその条件が満たなかったということによると思いますけれども、ただしかし、こういったふうにしてやはり中小企業を育てていこうということで、応募者があった、これを救っていくということで、昨年そうだったらことしは予算をもっととって、積極的にこうしてみずから応募してくるという意欲のある中小企業というものを救済しないで、枠を決めて、倍率が高いからといって切り捨てていくということは、やはり健全なる中小企業を育成していくということにはつながらないと思うんですね。

 ですから、こういう点はどういったふうに考えているのか。先ほどの午前中の予算の問題とも関係してくるわけですけれども、何かこういったふうな、日本が停滞して、不況が十五年も六年も続いている中で、もっと意欲的な政策というものを展開してもらいたいと思うんですけれども、その辺はどうなんですか。

望月政府参考人 ベンチャー挑戦支援事業について、十六年度がこれだけの数多くの応募が出てまいりましたことについては、ある意味では私どもはそういうベンチャー事業に挑戦しようとする方々の意欲を大変強く受けとめたわけでございます。したがいまして、その点については心強く思うと同時に、私どもとしてもこの分野における支援措置を拡充していくということが必要だということだろうと思っております。

 したがって、十六年度はトータルで本分野について三十九億九千万円の予算でございましたけれども、十七年度については限られた予算の中でここに数多く張りつけまして、四十九億二千万円の予算を計上して今御審議いただいているところでございます。

 これが、十六年度のものが一過性のものでなければ、この四十九億についても立派な応募がたくさん来るのではないかというふうに期待をしているところでございます。

計屋委員 やはり今回新連携事業ということで、この法案の目玉なわけですよ。経済産業省の目玉として、今までの三法を一緒にして一つの新連携ということで法案を出そう、こういうことでございます。そういったふうな姿勢から見てみますと、これは四十九億ということでございまして、この競争率も、実用化研究開発事業というのが三・一倍だった、そしてこの事業化支援事業についても、これは十二・一倍が第一回目、第二回目が十三・六倍、こういったふうなことで、これが十億円のアップという予算でございますけれども、この予算が、全体の経済産業省の予算に対する割合というのは何%で、それだけの目玉で、法律まで改正して中小企業の救済あるいは新連携をして日本の産業の活性化を図っていこうというのにもかかわらず、こういったふうな予算を見てみると大変低いということが言えるわけです。

 ですから、この四十九億だって、この件数を見たって、これが二百二十二件、それから四十三件と四十五件ということで、事業化支援事業においても八十八件ということになりますけれども、こういったふうなこの数で皆さんは満足しているのかどうか。こういうことを考えてまいりますと、私は非常に形式だけではないかなというふうに思いますけれども、その辺をひとつ答弁いただきたいと思います。

望月政府参考人 今回の法律に関する支援措置でございますけれども、この予算ももちろん関係する予算で、四十数億ございます。これは創業だとかベンチャーの支援の予算でございます。加えて、先ほど来申し上げております直接の新連携事業についての予算がやはり四十数億ございまして、そういった意味で、予算額はもう少し多いわけでございますけれども、私ども、この新連携の法律というか、今度の新たな事業活動の促進法でお願いをしております法体系の中では、予算だけではなくて、先ほどちょっと申し上げましたように、個々の中小企業群の活動を支援するようなコーディネーターの支援だとか、計画を作成する支援であるとか、販路開拓の支援だとか、そういう支援策、加えまして税制上の支援であるとか、それから金融の支援であるとか、そういった私どもがおよそ考え得る政策的支援措置を全部糾合いたしまして、この新たな中小企業の支援の法律のところへ盛り込んできたということでございます。

 確かにこの予算は一部でございますけれども、この予算がこれだけ人気があるというのは、私どもとしてはある意味ではうれしいことでございます。

 ただ一方、先生にもう一つ申し上げますと、この技術開発に関するような予算については、国が募集したものについて、経験則でいうと、私ども三倍ぐらいの競争率があるというのは結構多いわけでございます。三倍ぐらいの競争率がある中で、他も見ていきますと、実際は、少しボーダーラインで落ちちゃうものもございますけれども、かなり立派なものが、今、一回目、二回目ぐらいになってきますと拾えてくるということでございまして、先ほどの三・一倍の方について言えば、本当に立派なものというのは、この法律が成立をして何回かやっていくうちにかなり拾えてくるのではないかというふうには思っております。

 十倍強の事業化支援は、これは技術開発支援ではございませんで、販路開拓の支援とかそういう支援でございますので、こういった面については、私ども、この予算で支援することだけがすべてなのかどうか、応募の状況を見ながらも新しい政策を考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。

 いずれにしても、反響が非常に強いということについては、私ども力も得ておりますけれども、私ども自身、今年度から来年度、再来年度に向けて、より一層その予算の拡充について努力しなければいけないということではないかということも考えております。

計屋委員 望月長官はこういった競争率が高いということを、受験じゃあるまいし、喜んでいるみたいな発言でしたけれども、決してそういうことじゃなくて、やはりそれだけのニーズがあるということ、それに対して手当てをしていくということで、競争率なんかない方がいいわけだ。

 ですから、そういうことを考えてまいりますと、やはりこの場合は受験と違って、こういったような、皆さんが新事業に取り組んでいく、チャレンジをしていくということに対して、手厚くこれを助成していく、そういうことが大切で、日本の経済を活性化していく、活力ある日本をつくっていくには、そういったふうな投資額に見合っただけしかこれは活性化できないんだということですから、やはり国がそれだけ手厚くこの資金を援助することによって、それだけの経済効果があるわけです。

 ですから、この安定化資金においても、それだけの零細企業を救ってきたわけで、効果があった、こういったふうにおっしゃっているわけですから、今後もこういったふうにして、国がどれだけ中小企業に投資して、金の使い方が悪いとこれは効果が出ません。ですから、この日本の産業あるいは日本の経済を立て直していくということにおいては、やはりこれはちゃんとしたお金の投資の仕方ということをすれば、それにリターンというのは必ずあるわけですから、長官も大臣も、こういったふうなお金の投資の仕方ということを考えていけば、これは中小企業に投資することによって効果がある。私は先般本会議でも、この保証制度の問題あるいは安定化資金が効果があったということにおいて、やはりもう一回経済回復のための措置をとったらどうですかということでお伺いしたんですけれども、これに対する答えがなかったわけですけれども、大臣、お答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 今、安定化資金の三十兆のときのことを先ほどの計屋先生と長官とのやりとりで思い出しておりましたけれども、あのときは、バブルが崩壊して、そして金融機関あるいは大手の証券会社その他企業がばたばたと経営破綻をしていっている中で、いわゆる間接金融が急速に蛇口が締まってきて、その影響を特に中小企業、私の地元もそうでしたけれども、それに対してのあの三十兆の保証というものは極めて効果的だったというふうに思います。

 先ほど代位弁済率が七・数%、八%弱ということを聞きまして、思ったよりも低いな、それだけ本当にあれが効果的に効いていたんだなというふうに今改めて思っているところでございます。まさにあれは緊急避難的な非常措置だった、しかし、その効果は非常に大きかったというふうに思っております。

 現時点で今御審議いただいておる三法につきましては、新事業創造支援あるいはまた革新支援、そして新連携という三本柱でございますが、今の経済の状況は、九七年当時、平成十年当時に比べますと、あれよりは大分よくなってきている。しかし、先ほどから申し上げておりますように、まだまだ中小企業、地域、業種によってはばらつきがあるというところでありますから、そういう中で一押しできればというための支援策でございますので、あのときとそのまま同じものをということにはならないとは思いますけれども、新たな制度としての新連携も含めて、本当に、先ほどの計屋委員の御地元の中小工場ではございませんけれども、一押しすればさらに力強く発展をしていくということを我々は期待しているといいましょうか、そのためにこの制度を大いに活用していきたいというふうに、確信をしております。

計屋委員 大臣からお答えがあったわけですけれども、やはり中小企業に一押しすることによって日本の経済の活力が出てくるということで、昨年の五月に提案されましたN・レポート、私は中川大臣ですからNとつけたのかと思ったんですけれども、そうじゃないんですね。これは日本のNですね。日本のNということでN・レポートということで、こういったところにもやはりお金を重点的に配分していかないと、日本の活性化あるいは日本の景気の回復というものはなかなかできないんじゃないかなというふうに思います。

 ですから、午前中から申し上げておりますように、日本の国家予算に対する経済産業省の予算が余りにも少ない、そして、なおかつ中小企業対策費についても少ない。こういったふうな日本の産業にとって日本の国の目玉となる政策に予算が大変少ないということは、やはり投資額に対するリターンということでございますから、今底辺にあえいでいる、あしたこの命綱が切れるかもわからないというそういう中小企業に対して手厚い支援をしていけば、私は必ず、この底辺の、保証協会づきのお金しか借りられない、そういう中小企業がプロパーのお金を借りられるようになって、そしてそこから税金を生み出していくということにつながっていくと思うんですよ。

 私は、中小企業の経営者というものは、従業員を雇って、そしてそこで給与を払って、たとえ十万の給与を払っても、その十万のお金が生活のために、あるいはいろいろな食品だとか医療だとか、そういったふうなものを買って、そこで税金を払う。そうすると、そのお店はまた仕入れをする、そうすると、そこで税金を払っていく。その問屋さんはさらにメーカーに払っていくということで、それが何回となく繰り返されて、この十万円が百万円となり一千万円となりということでどんどんふえていくわけですから、中小企業が九九・七%というふうな数の中で、従事者も七〇%だ、こういうことでございますから、そこに手厚く支援することが日本の経済の活性化というものにつながっていくわけです。もう大臣いなくなりましたけれども、そういうことで、長官もしっかりと中小企業対策というものを考えていただきたい、こういうふうに要望をさせていただきます。

 それから、もう時間があとわずかになってまいりましたけれども、中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 先ほどの私どもの同僚の菊田議員もお尋ねになっておりましたけれども、新連携支援地域戦略会議、こういったようなことの概要をちょっと系統立てて説明いただきたいと思います。手短にお願いします。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

望月政府参考人 新連携の支援に当たりまして、私どもは、新連携のプロジェクトを支援する、各地域ブロックごとに、地元経済界の有力者あるいは地元金融機関の代表者、学識経験者などから成る新連携支援の地域戦略会議を設置し、地域を挙げて新連携プロジェクトを支援する体制を整備することといたしております。

 その会議の事務局には、ビジネスに精通したコンサルタントなどをコーディネーターとして配置するとともに、金融機関、弁護士、税理士、商社など、案件に応じてさまざまな専門家が一体となって、資金調達や販路開拓、技術開発に関する助言などの、事業者のニーズに合わせて事業化に向けた支援を総合的に行うことといたします。

計屋委員 それで、事業化まで専門家がフォローアップするということでございますけれども、これは私は大変大切なことだと思います。今まで中小企業というのは、コンサルタントあるいは専門家に頼みたくても支払うお金がないということで、独自でやってきた。ですから、足元だけ見ているということが言えたわけです。ですから、経済が行き詰まったということも大変大きな要因だと思うんです。そういうことで、やはりこのコンサルタント、企業診断士だとかあるいは税理士さんだとか弁護士さんだとか、こういった皆さんが中小企業の相談に乗ってやるということは、大変大切なんです。

 ですから、私はむしろ、今、企業の会計年度で確定申告するときに税理士さんの判こが要るわけですけれども、税理士さんは企業の専門家として企業を分析しているわけですから、企業のことは一番わかる。ですから、この人たちに企業診断士あるいはコンサルタントの地位を与えて、あるいは講習するかあるいは試験をするかして、挑戦したければ、そういったふうにしてコンサルタントの資格を与える。

 経営というのは、後ろ向きの、結果が出てからそれを計算して出す、そういうことも大切なんですけれども、それよりも、今後どういったふうにして企業を経営していくかということが最も大切なわけです。ですから、それを考えてまいりますと、税理士さんだとか公認会計士さん、あるいは弁護士さん、こういったような人たちをコンサルタントとして、そういう人の診断を仰ぐ。そういったように商法も変えた方がいいのではないかというふうにも思っているわけですけれども、そういったふうな診断士を積極的に登用していくということが大切ですけれども、それに対してどうお考えですか。

望月政府参考人 中小企業診断士につきましては、中小企業の経営診断に対する先生おっしゃいましたような需要が今非常に増大をしております。したがいまして、この役割が大変重要になってきておりますので、今、私ども審議会で、中小企業診断士の質を維持しながら登録者数を拡大することが必要だということで方策を練っているところでございまして、診断士の試験制度についての見直しをやっているところでございます。

 そういった中で、税理士さんとか公認会計士さんをそのまま診断士に登用するというわけにはまいりませんけれども、試験のときに幾つかの所要科目を免除するというようなことをいたしまして、診断士の資格を取るのに時間がかからないようにするというようなことも考えていく必要があるのではないかということで検討しております。

計屋委員 ぜひ検討していただきたい。先ほども話したように、経営は後ろ向きの、事業年度が終わって、それを計算して出すというところを重要視するんじゃなくて、やはり前向きで積極的に起業に取り組んでいく。そういう情勢分析ということをしっかりしながら徹底した経営というものを行っていくことにおいて利益を生んでいくわけですから、そういう意味では、移行措置として何らかの、研修とかあるいは試験とかそういったようなことにおいて、企業診断士あるいはコンサルタント、そういう人たちが経営者にアドバイス、進言していくことにおいて企業というのは利益が出ていく、こういうふうに思います。

 それから、最後でございますけれども、この中小企業経営革新支援法の部分でございますけれども、こういったふうな制度ができてもやはり中小企業の皆さんに浸透しない、これをどういったふうにして浸透させていくかということが大切であるわけです。

 ですから、こういったふうな制度というものをいかに中小企業に浸透させていくかということが大切ですから、そういうことも含めて、もう時間が参りましたのでお答えはいいですから、中小企業、零細企業の末端まで制度が浸透でき、そしてそれを活用できるようなシステムにしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

高木(陽)委員長代理 次に、江田康幸君。

江田委員 公明党の江田康幸でございます。本日は、中小企業新事業活動促進法案について質問をさせていただきます。

 現在の我が国の経済の動向でございますけれども、これは全体としまして回復基調の踊り場にあると言われておりますけれども、大企業と中小企業では依然格差がございますし、また地域別、業種別でも回復には偏りが見られておりまして、中小企業にとっては依然厳しい状況にあると思っております。

 先ほど来出てきておりますけれども、やはり日本の全企業数の九九%以上、そして雇用者数の七〇%を占めているのは中小企業でございます。まさに我が国経済の屋台骨でございまして、中小企業の活性化なくして日本経済の再生はない、そういう思いを肝に銘じなければならないと我々は思っております。

 このような思いで、公明党は、野党時代から一貫して資金繰り支援など多彩な施策を支援してまいりました。経済が危機的状況だったあの九七年には、中小企業金融安定化特別保証制度を創設させていただきまして、融資保証枠は三十兆円まで拡大したわけでございます。セーフティーネット保証・貸付におきましては、利用実績七十二万件、十三兆円に達したわけでございます。一昨年の二月には、我が党の提唱でもございましたが、資金繰り借りかえ保証制度を創設して、実績は四十七万件、七兆円に達しております。

 公明党は、今後とも中小企業支援には全力で力強く推進していく所存でございます。

 まず、きょうは大臣にお伺いしようと思ったのでございますが、副大臣、中小企業の活性化につきまして、基本的な考え方と今後の決意についてお伺いをいたします。

小此木副大臣 お答えをいたします。

 大臣がおりませんで大変恐縮でございますけれども、けさからこの委員会を通じてそのようなお話がございましたが、やはり依然として厳しい状況ということは本当に意識をしておかなきゃいけないというふうに思います。

 私たち政治家としましても、やはりここで議論するだけでなくて、自分の足でそれぞれの選挙区で状況を見ているところでもありますし、特に地域経済、地方においては大都市と比べて中小企業の数はさらに多くなってくるということで、こういうことも含めて新たにこの法律案を審議していただいているというところであります。

 異業種交流、前からも言われているところでありますけれども、こういったところにきちんと政府として支援をする。金融面におきましても、無担保無保証、これはもうむやみやたらというわけにはいきませんけれども、しっかりとそこは判断をさせていただいて、そういったことが可能になるようにする。けさも出ましたが、中小企業再生支援協議会、こういったことがあるんだよということも、午前中、中山委員や先ほども計屋委員の強いお話がございましたけれども、政府として、知らない方々に、本当にこういった施策があるということをいろいろな方面を通じて宣伝広報に努めていくということが大変重要であるというふうに思っております。

江田委員 今申されましたけれども、中小企業を活性化するためには、一方では、やはり中小企業再生支援協議会、それからさまざまな金融支援、そういうようなところでセーフティーネット網を張らなくてはいけないと思いますし、また一方では創業支援や経営革新などの前向きな政策、これが非常に重要となってきていると思います。

 今、我が国の中小企業をめぐる環境は、近年のグローバル化や産業構造の変革に伴いまして大きく変化していると思います。すなわち、海外生産は拡大する状況でございますし、また技術革新の進展や国内市場の成熟化、これを背景に、従来の系列関係というのは崩壊しつつある。また、厳しい競争環境のもとで、高付加価値の新たな製品、サービスの開発、またその提供を図るために積極的な創業、それから経営革新の推進が求められているところであると思います。

 このような中で、政府は、中小企業の活性化を目指して、従来の中小三法を改めて、骨太のこの中小企業新事業活動促進法を成立させようというところでございますけれども、これについて幾つか御質問をさせていただきます。

 これからの我が国産業とこれに対する政策のあり方につきましては、先ほど来出ておりますけれども、私も政務官在任中の昨年五月に、経済産業省で新産業創造戦略、N・レポートというものが取りまとめられたわけでございます。この新産業創造戦略におきましては、グローバリゼーションの進展や市場競争の激化、さらには先端分野の目覚ましい技術革新等の構造変化に対応するために、事業者が集まって技術やノウハウのすり合わせを行うことの重要性を指摘したわけでございます。

 今回の改正によりまして新たに支援対象とする新連携は、まさにこのような観点から、中小企業同士の横の連携の重要性を再認識して支援強化を図ることとしたものと認識しております。

 そこで、この新連携というのはどのようなものか、改めて伺いたいと思います。中小企業が連携すれば何でもいい、そういうものではないと思いますし、今回の新法により支援の対象となるこの新連携について、本法案の趣旨のとおり、わかりやすく具体的なイメージを示していただきたいと思います。

望月政府参考人 わかりやすく答弁しろとおっしゃいまして、なかなか緊張いたしますが、委員御指摘の、先般の新産業創造戦略で指摘いたしました、経済環境のもとで強みを持った中小企業が技術とかノウハウの異なった経営資源を持ち寄って付加価値の高いものを生み出していく取り組みというのが非常に重要で、おっしゃいましたように、今度の連携の特徴は、技術のすり合わせということが軸に置かれていると思います。

 特に、今回対象となります新連携というものは、異業種、異分野の、異なった分野の中小企業が複数連携をいたしまして、新しい商品の開発だとか新たな生産方法の導入をするとかいうような事業活動を行うものについて取り上げたいと思っているわけでございます。

 実は、これにつきましては、私ども十六年度も予算措置で試みに募集をいたしておりまして、その中で数多くの具体例が提案をされております。その中で私どもますます確信を得たわけでございますけれども、一、二、例を申し上げますと、例えば、福井の織物メーカーが、日本では今やごく一部にしか使われていない、通常の二軸で織る織物を、縦糸、横糸で織る織物を三軸で斜めに織るというような特殊な技術、古来ある技術を持っているわけでございますけれども、そういう技術は、これはなかなか工業化できなかったわけでございますけれども、これを工業化することによりまして近代技術になってきたわけでございます。

 これを何の用途に使うか。非常に伸縮自在で耐久性の高い布地ができるものでございますので、これを、アンテナメーカーと一緒になりまして、宇宙でのアンテナだとかあるいは携帯用のアンテナとかそういうものに、布地でできるようなアンテナをつくるというような例が一つございます。これなどは宇宙開発の分野でも注目をされつつあるわけでございます。

 もう一つは、自動車産業の下請の部品メーカーが集まりまして、特に技術のすぐれた部品メーカーが集まりまして、これは特に鍛造、高度な鍛造技術を持つ人が中心になって、切削だとか溶接だとか表面処理の加工メーカーと連携することによりまして、自動車に使用しているシャフトの部品を非常に短納期でつくることができるというような取り組みがございます。

 こういった取り組みが数多く出てきて、日本の中小企業の活性化につながればと思っております。

江田委員 やはり本法案の趣旨でございます、わかりやすく骨太にすることが趣旨でございますので、今わかりやすく具体的に示していただいたわけですけれども、私の地元熊本県でもGamadasという企業グループが結成されておりまして、このGamadasというのは熊本弁で精いっぱい頑張るという意味なんでございますが、約二十の、設計、制御、機械加工、板金、プレス、製缶、金型、鋳物、表面処理等の優良中小企業が集まりまして、外部からの発注に応じて案件ごとに担当会社と幹事会社を決定しまして、迅速に優良な製品を生産していく仕組みをとっております。

 中小企業の将来を見据えた場合、非常に意義のあることだと私思っておりますが、他方で、中小企業が二十社も集まって、それぞれの強みを生かしつつ連携することは容易ではないと感じておりました。Gamadasグループにしても、中核にしっかりした企業が存在するので運営が円滑にいっているわけでございますが、企業グループをまとめるために、中核企業には相当の負担が生じます。また、新商品の開発には技術開発や設備投資も必要となってまいります。

 連携の重要性を説いているだけではなかなか現実の連携は進まないわけでございまして、今回の法律では、この新連携に対しまして具体的にどのような支援を盛り込んでいるのか、お答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 おっしゃいましたような異分野の中小企業群が連携して取り組んでいくときに、さまざまな費用がかかることも事実でございます。そういった連携に伴う費用につきましては補助金を用意しておりまして、総額で一応四十一億円の補助金を用意しております。また、設備投資などを行うことがあろうかと思いますけれども、政府系金融機関による新たな低利融資制度を創設し、あるいは信用保険法の特例による保証枠の拡大だとか、設備投資に対しての七%の税額控除とか、そういった減税措置などを適用することといたしております。

 そういった中で、できる限り、コアになる、核になる企業については負担を軽減することができるのではないかというふうに考えております。

江田委員 政府は、初年度に全国で約三百件の新連携事業の成立を目標としているようでございますが、連携の推進を軌道に乗せるためには、今私が申しましたように、コア企業をどのように見出していくか、成功の秘訣はここだと私は思うんです。または、連携をどのように組織していくか、これが簡単なことではございませんで、支援機関においては、こういうコーディネート機能を果たす優秀な人材、それを確保していくことが不可欠であるということを主張しておきます。

 我が党は、地域の再生を政策の大きな柱として掲げておるわけでございますが、この中小企業対策を考えていく上では、中小企業がまさに地域経済の主要な担い手、エンジンであることを十分踏まえて、中小企業に対する支援によって地域経済の活性化につなげていくことが、私は要望しますし、重要なことであると思っております。

 そこで、今回の法律でございますけれども、地域経済の活性化にどのように貢献いたしますか。

望月政府参考人 私ども、かねてから経済産業省挙げて、地域の産業の活性化という観点から申しますと、産学官協力のクラスターなどをずっとやってまいりました。これは地域においても相当成果を挙げていると思います。

 ただ、私ども、最近特に思いますのは、産学官でやったプロジェクトについて、研究開発は非常にうまくいった、ではそれがどれだけ事業化されたかということになると、なかなかその事業化率というのが高まらないという問題点がございます。こういった意味で、中小企業の取り組みを、地域の事業を盛んにしていくという意味で申し上げれば、そういった取り組みが事業化につながるということが非常に大きいことではないかと思います。

 一例で申し上げた産学官でございますけれども、そういった地域の、これもある種の一つの連携の形でございますけれども、そういう連携が最後に事業化に結びつくことによって地域経済に実際の効果が上がっていくというところに力点を置いて、私どもとしてはこの支援をしていきたいというふうに思っております。

江田委員 まさに、事業化に結びつくのが地域経済の活性化に結果としてつながるわけでございまして、今申されました、経済産業省が推進しておられます全国十九プロジェクトにあるIT、バイオ、ナノ、環境というような分野で先端の産学連携がとられている産業クラスター計画でございますけれども、各地域の中小企業経営者や技術者、研究者のグループが形成されてきていることは評価できると思います、やっと日本もその時代に入ったかと。

 しかし、それが具体的な事業につながっていくかどうかというのがなかなか難しいところでございまして、私もそのようなことを解決する方策はどのようにしていくべきかという思いの中で、政務官時代に米国のバイオクラスターを視察させていただきまして、参考になることがございました。それは、ベンチャー企業や研究機関などが集積しているだけではなくて、マーケティング、法律などの専門家、金融機関などがその地域に数多く存在して、それらがネットワークを組んで中小企業の活動をサポートして、地域コミュニティー全体として事業が進められる点にアメリカの強みはあったんだなということを実感してまいりました。

 私もそのときに、産業クラスター理論の提唱者で、バイオクラスター戦略に詳しいマイケル・ポーター教授とハーバード大学でお会いしました。意見交換の中で彼は言っておりましたけれども、ただ企業を集めるだけではクラスターは発展しない、大学や研究機関、ベンチャー企業をリンキングするコミュニティーが重要であると。このことを彼は指摘していたわけでございますけれども、今回の法律改正に伴いまして、各地域の新連携プロジェクトを円滑に進めるために政府がブロックごとに新連携支援地域戦略会議を置かれようとされています。これは確かに、今言った趣旨に、それこそ地域コミュニティーをつくるというその基点になるという意味で重要であると感じておりますが、そこで、新連携支援地域戦略会議の具体的な内容を改めて問います。

 これによって、新連携に取り組む地域の中小企業に対する金融、税制、そのほかの支援措置が、これが大事なところですけれども、ワンストップで得られることができるのかどうか、そのような体制になるのか、お伺いいたします。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

小此木副大臣 御指摘のことに関しまして、今回の新連携の支援に当たって、各地域ブロックごとに地元の経済界の有力者、あるいは地元の金融機関の代表者、学識経験者等から成る新連携支援地域戦略会議を設置し、地域を挙げてこの新連携プロジェクトを支援する体制を整備することとしております。

 また、同会議の事務局には、ビジネスに精通したコンサルタント等を配置するとともに、金融機関、弁護士、税理士、商社など、案件に応じてさまざまな専門家が一体となり、資金調達や販路開拓、税制優遇措置に関する助言など、事業者のニーズに合わせ、事業化に向けた支援をワンストップで総合的に行うこととしております。

 このような体制を整備することにより、法律により認定を受けた後の各支援措置を円滑に実施するとともに、地域が一体となって新連携をバックアップすることができるものと考えております。

江田委員 今おっしゃっていただきましたけれども、ここにプロジェクトマネジャーを置く、これがキーパーソンでございますけれども、これを中心に金融技術専門家、マーケティング専門家、法律専門家、こういう方々が一体となって相談を受けてその支援を行う、こういう新連携支援地域戦略会議というものにしていきたいということでございます。

 私も、それが成功することを強く望みますし、応援をしていきたいと思っておりますが、特に、金融機関の関係者の参加がまた大事だろうな、目きき能力のあるそういう金融機関の専門家、ここを参加させていくのが重要だと思いまして、もう一つ質問をさせていただきます。

 中小企業に対する政府系金融機関の融資制度というのは、中小企業にとって非常に大切なものであるわけでございますが、中小企業の皆さんからは、やはり、制度が複雑でわかりにくい、使いにくいといったような声がございます。特に、国や県の計画認定を受けた場合でもさらに十分な担保がなければ融資を受けることができないというのでは、計画認定の意味がないと私は思うのであります。

 金融機関のあり方としまして、これも大事なことでございますが、今、リレーションシップバンキングという機能強化が求められております。すなわち、担保とか保証人に依存せずに、その企業の、中小企業の持つ技術力、将来性、人脈、そういうようなところを評価して金融機関が融資をするというものでございますが、政府系金融機関には率先して、担保や保証人に依存しないで当該企業の財務状況とか事業計画を重視して融資を実行していくことが求められると私は思うわけでございます。

 今回の改正で政府系金融機関の融資制度にはどのような改善が行われていくのか、お答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 政府系金融機関の融資制度につきましても、これは、今回法律を改正したのと同じ動機で、とにかく、細かいいろいろな枠があるのはわかりにくいということでございますので、この政府系金融機関の枠をわかりやすく骨太にしていくということで、その枠をかなり数を減らしました。そういうようなことがございます。

 それから、あわせまして、中小企業金融の円滑化のためには、委員御指摘のように、担保とかあるいは保証に依存しない融資というものを抜本的に導入していくということが必要でございますので、これは政府、民間を問わず必要だと思っておりますけれども、政府系金融機関が率先してこれをやるために、十七年度から、これはもちろんリスクとの見合いでございますので、適切な金利の若干の上乗せを前提にしながらも、担保の全部または一部を免除する制度や、あるいは経営者本人の保証を不要とする制度を幅広く導入することといたしております。

 それとこの新連携の政策との接点は、先ほど委員御指摘のような、新連携支援地域戦略会議に地域の政府系金融機関の代表も、あるいは民間金融機関の代表も入っていただいて、それでこのプロジェクトの組成の当初から参加していただくことによって、時を経ずにできるだけ金融がスムーズについていくということを企画しております。

江田委員 今おっしゃっていただきましたので私も少しは安心いたしましたけれども、きのうの参考人質疑でも、政府系金融機関の役割、やはり、リスクをかけてでも中小企業を支援していくべきである、また、支援を受けても融資は別というようなのは、これはとんでもないというような御意見がございましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 審査する側にもこのような目きき能力を備えることが求められていると思うんですね。したがって、この人材を審査する側にも人材を育成、確保していくというのが課題ではないでしょうか。

 時間になってきましたので、最後の質問をさせていただきますけれども、私も、議員になる前は長年研究を行ってきておりましたので、研究開発の、また技術開発の重要性というのが非常にわかっている者の一人でございます。

 日本版SBIR制度についてお聞きいたしますけれども、日本版SBIR制度は、アメリカのSBIR制度をモデルとして、新事業創出促進法によって導入されたわけですね。中小企業の技術開発、物づくりの競争力強化のための施策として大きな期待を寄せられて発足したわけでございます。平成十一年の制度開始以降、この累積支出額は約千五百億円となっております。しかし、この日本のSBIR制度は、平成十六年度予算額でも三百億円程度でございまして、アメリカのSBIRの年間千四百億円と比べると、スケールは格段に小さいわけでございます。

 また、今般の三法の統合に伴いまして、研究開発型企業に対する支援は、従来のような法律の支援の柱がなくなるわけですね。支援措置も再編統合されるという、整理再編されるということになろうかと思います。それは研究開発に対する支援が縮小することを意味するんですか。中小企業の研究開発というのは新たな事業活動の開発のためには重要な重要な要素でございまして、中川大臣がまとめられました新産業創造戦略においてもその骨格をなすものでございます。今後もこの研究開発への取り組みが縮小されるべきではないと思いますけれども、どのように支援していくのか。特にSBIR制度の一層の拡充を図るべきであると思いますが、副大臣の所見をお願いいたします。

小此木副大臣 結論から申し上げますけれども、そういった研究開発費あるいはSBIR制度、こういったものが縮小されるものではありませんということをまず申し上げたいというふうに思います。

 今御審議いただいております法案は、新事業創出促進法、経営革新法、あるいは創造法ということを本当にまとめたものでありまして、余り言いたくはありませんけれども、はっきり言って使い勝手が悪いという、あるいはわかりにくいという評判もあった中で今御審議いただいているという私の認識でございますので、おっしゃったことはさらに拡充をしていかなきゃならないというふうに思っております。

 確かに、SBIR制度、アメリカと比べられたらば三分の一、もっと低いものになってしまうかもしれませんけれども、徐々に上がっているわけでもありますので、こういったところには重点的にしっかりとした目線を持って対処してまいりたいというふうに思っております。

江田委員 SBIR制度、一層の拡充を図っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後でございますけれども、もうこれは質問ではございません。せっかくこのようないい内容の、私はきょうは前向きに明るく議論をさせていただきましたけれども、私はこの法律には本当に期待をしておりますが、このようないい内容の法律をつくっても、地域の多くの中小企業の人たちはその存在すら知らない人も多いわけです。これまでの支援策がそうでありました。パンフレットが悪いとか、委員長も言われておりましたが、過去。やはり広報活動というか、そういうことが非常に大事だと思います。

 まずは国の施策をやはり中小企業に普及することが第一でございまして、今回のこの新法制定についても、しっかりと中小企業の皆さんに、地域の隅々まで行き届くように、商工会、商工会議所の経営指導員の質もしりをひっぱたきながら向上させて、それで、相談に来たらすぐ説明できるようにしていっていただきたい。そのことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、梶原康弘君。

梶原委員 民主党の梶原康弘です。

 午前に引き続いて質問させていただきたいと思いますが、同僚議員と質問がかなり重複してくるんじゃないかと思うんですが、そのために省略したりまとめたりということで考えております。

 中小企業の現場で新しい事業を進めるというのは想像以上に大変だということを申し上げたいというふうに思います。先ほど望月長官の話では、大変僕が言いたいようなことも言っていただいているとは思いますけれども、現場の代表として切実に訴えていきたいというふうに思います。

 中小企業の現場なんというのは、もうまさしくお金も人も自転車操業みたいなものでありまして、日々の仕事はこれは停滞できない、お金の余裕もない、もちろん人材もいない。そういった中でやっていかなくちゃいけないということでありますし、ましてや新しい分野の技術者、ノウハウを持った人なんというのはいないわけですし、特に地方へ行くと全くいないと言ってもいいんじゃないかなと。

 人を探すことすらできない、そんな状況の中で、先ほど申し上げたように、資金もない、資産もない、担保もない、そんな中でやっているわけでありまして、今回の法律案が、三つあるからややこしいので一つにするということだけじゃなくて、本当に今中小企業が何を求めているのかということに、やはりきちっとその意にかなったものであってほしい、中小企業のつえとなるような、そういうものであってほしいということを強く思います。

 新法について、先ほど来質問がありますので簡単にと思いますけれども、まずは、中小企業というのは大企業と違って利益率が低くて、とにかくお金の余裕がないということだと思います。研究開発のための費用も、そのための人件費もないわけでありますから、補助金にしても、それから融資にしても、信用保証にしても、十分な枠をとっていただきたいということであります。

 あともう一つ、予算の単年度主義、これは予算の性格でよくわかるんですけれども、中小企業が新しい事業を進めようとするときに、これは予定どおりどんどん進んでいくなんということを考える方が甘いんじゃないかな。なかなかこうしたことも執行できない、成果が出なければどうしても計画がおくれてくる、そのときに年度末じゃなければだめですよということで事業が打ち切られてしまうようなことがないように、そういったところも配慮をしていただきたいなというふうに思っております。

 もちろん一年としても、何かあればきちっと窓口で話を聞いてもらえるというような取り組みが必要なんではないかというふうに思いますし、もちろん、担保、保証人、そんないるはずがないわけであります。

 これも誤解を恐れずにというか、こういうこともどうかと思うんですが、私も小さな会社を経営しておりまして、自分のところの借金なり、関係のグループをつくっておりますから、どうしても保証人にならなくちゃいけない。個人ではとても返せないぐらいの保証をしているわけですよね。どうやって気持ちの上で納得するかというと、開き直るかというと、やはり保険に入っている。もし何かあったら自分が死ねば弁済できるんだ、もちろん家も何もかにも入っているわけですから、本当にそれが率直な気持ちなんですよね。

 こんなに入って、ではどうするんだろう。結局は保険に入っている。僕は、本当に中小企業の経営者が追い詰められて自殺をしていく、その気持ちがわからないではないと言ってはあれでしょう。だけれども、本当にそれぐらい追い詰められた状況の中で経営をしているんだ、それがまた自分の会社をよくしていこう、新しい分野に進出していって何とか頑張ろうという力にもなっているんだと思います。そういったところをぜひ御理解いただいて、対応をお願いしたいというふうに思っているわけです。

 ちょっと全部まとめてしまったんですけれども、補助金なり融資、信用保証の枠を十分とっていただきたい。また、予算の単年度主義、補助金の場合でしょうけれども、そういったことにも柔軟に対応していただきたいと思うし、また、担保とか保証人、連帯保証のない融資、保証というものをお願いしたいというふうに思っておりますが、それについて伺いたいと思います。

望月政府参考人 このたびのこの法案は、私どもの中小企業を支援する法律の集大成みたいになっているわけでございますので、これに関連する予算、税制、金融などにつきましては、総力を結集してやっていきたいというふうに思っております。必ずしも、先ほど来の御批判もございますように、予算が今の時点で十分なものがついているかと言われれば、我々としてはじくじたるところはあるわけでございますが、今後ともこの法律を支えていきたいということで、予算要求もきちっとしていきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、単年度主義につきましては、これは今の制度の中で私どもだけで乗り越えるというのはなかなか難しいわけでございますけれども、幾つかの努力をしたいと思いますのは、一つは、予算が成立したらできる限り早期にその年の予算の執行に入るということによって、その一年間きちっと使えるようにするということが一つ。

 それからもう一つは、私どもは、傍らに中小企業政策を一緒にやっているものとして基盤整備機構がございます。基盤整備機構は、事業団から変わったときに独立行政法人になりました。その一つの利点は、単年度主義を打破できるということでございまして、独立行政法人としての事業の判断はあろうかと思いますけれども、私どもが委託している幾つかの補助金について、基盤整備機構のものについて言うと、多少事業年度をまたいで執行ができるというようなこともございますので、この辺の独立行政法人の利点なども併用しながら、いろいろ工夫をしていきたいというふうに思っております。

 担保、保証に依存しない融資につきましては、政府系金融機関の融資それから民間の中小企業融資などについてもこういう思想を広げていくように、今私ども挙げて、金融庁とも協力しながら拡大をしているところでございますので、その点、引き続き御支援賜りたいと思います。

梶原委員 ぜひそういった方向で御努力をいただきたいというふうに思っております。

 それからもう一つ、新法についてなんですけれども、新連携というのが大きなポイントだろうというふうに思います。連携の実をいかに上げていくかということだと思いますけれども、机の上では簡単なことであっても、現実にはなかなかやはり難しいものがある。

 十年ほど前だったでしょうか、異業種交流というのが、やはり予算がついて、補助金をもらって、私どももやりました。現実には、私が知っている限りでは、新しい商品開発とかそういった成果がほとんど出ずに、サロンみたいなことで終わってしまった。それはそれなりに、いろいろな工場を見たりなんなりというので、プラスはあったと思いますけれども、当初期待されたような成果はなかったというふうに思っています。

 今の時代は、もっともっと厳しい中で、本当に生き残りをかけて新しい分野に出ていく。これを一から自前で調達しようなんというのはとてもできないわけですから、当然、信頼できるパートナーと連携を深めなきゃいけないということなので、商工会、商工会議所、自治体、あるいは大学とか、研究機関とか、銀行とか、そういったところと本当にきちっとした連携がとれるような、そういった施策が必要だということで、先ほどもお話があったわけですけれども、改めてちょっと伺いたいと思います。

望月政府参考人 中小企業政策の幾つかの過去の試みの中で、異業種連携というのが華々しく行われたこともございました。異業種交流ですね、当時はどちらかというと異業種交流ということが行われました。そのことが、従来の事業協同組合のような同業種の世界から一歩進んだものになるのではないかという期待もございました。先生おっしゃいますように、結果としてはサロンのようなものに終わったものが多うございます。

 私どもが今の時点で政策を見直すといたしましたら、やはり先ほどの産学官連携も同じなんでございますけれども、最後のところ、中小企業庁の経済政策であるとすれば、事業化、マーケットというところまで結びつくかどうかということが政策評価の基軸になるかと思っておりまして、今回、同じようにキーワードは異業種、異分野でございますけれども、これを、最後のマーケットのところに結びつくところまで、ビジネスとして成立させるところまでの支援というものを視野に置いてやるというところが、今回の決意でございます。

梶原委員 その連携ということについて、特に地方においては商工会とか商工会議所というのが一つの大きな役割を果たしていかなければいけないんじゃないかなというふうに僕は思っているわけです。

 ところが、これまでの商工会、会議所というのは、どちらかというと経営指導、記帳指導とか、社会保険とか、それから労務管理とか、会社でいえば総務的な仕事を担ってきたんだと思います。ただ、今は、記帳にしてもパソコンもありますし、税理士さんとか社会保険労務士さんというのがいるわけですから、そういったことを期待するよりも、会社でいえば開発部門というか企画部門というか、マーケティングとか、そういったところの機能を担っていく。今、一方で、市町村合併とともに商工会なんかも合併して基盤が強化されているわけですから、もっと戦略的に、市場開拓をするとか、そういったことまで担っていく必要があるんじゃないかな。

 私は、そういう意味では、商工会の枠を超える、会議所の枠を超えるぐらいの役割を果たしていって、会員に対してむしろリードするというか、誘導していくぐらいの力を持っていかなくちゃいけないんじゃないかな。実際、自分のところの会員さんが例えばおせんべいをつくっている、デザインも悪いし販路も悪いし、もっとそれに対して、こうしていかなくちゃいけませんよということを積極的にサジェスチョンというか道をつけていけるような、そういう機能を持たなければいけないと思っておりますが、それについていかがですか。

望月政府参考人 全国の二千数百ある商工会の中には、区々だと思います。

 それで、商工会連合会の活動の中でも、私ども拝見していて、そういう意識の高い方もおられまして、これは先生の方がよく御存じだと思いますけれども、数年前に、商工会連合会の七つのアクションプランというのを出されて、「提言する商工会」とか「成長する企業づくり」だとか等々について先進的な試みをしていこうじゃないかということを提案されて、活動を始めておられるところが結構ございまして、そういったところの活動を見てみますと、やはり受け身型の経営指導から提案型、指導型の経営指導だとか、あるいは、まさに先生おっしゃいましたような地域での企画機能を果たすような商工会であるとか、そういったことをやっておられてきているんじゃないかというのもございます。

 私どもは、こういった前向きに取り組んでおられる商工会の方々が全国の商工会をリードするような立場になればいいのではないかというふうに見守っているところでございます。

 それからもう一つは、私どももただ見ているだけではなくて、こういった動きを支援するためにも具体的な予算を考えておりましたのは、去年からやっておりますジャパン・ブランドというのがございます。ジャパン・ブランドは、地域で有力な、地域でそこそこ通用している物とかサービスについて、むしろ日本全国だとか世界に売れるんじゃないか、そういうものがあるとすれば、地域で提案をしてくれれば私どもは支援しますということになっているわけですが、それの中心は商工会とか商工会議所がおやりになって、去年も三十ぐらいの提案を採択してやっておりまして、そういった企画的な活動がどんどん広まっていくことが重要ではないかと思っております。

梶原委員 もちろん、そういった取り組み一つ一つを応援していくということも大切だと思いますし、商工会あるいは商工会議所の性格そのものを少し見直していく必要があるんじゃないかな。事業項目は変わらないわけですよね。事業項目そのものを何か見直して、もっと戦略的に対応できるような、そういった組織に改編をしてほしいなというふうな思いがいたします。

 続いて、FTA、EPAの問題にちょっと触れたいと思うんです。

 私も基本的にはもちろん、自由貿易が促進されるということは望ましいと思っていますが、中小企業のことに触れる前に、私が今FTA、EPAで若干不安に思っているのは、日本の社会というのはすごく均質な社会であったかと思うんですが、FTA、EPAでどう変わっていくのか。農業にしても、人の問題にしても、そのことが余り国民の間で知られていないということじゃないかなと思うんですよね。盛んに政府でも積極的にあちこちとやっているけれども、国民の中にどれほど意識があるのかな。進んでみて、どんどん農産物が入ってくる、あるいは人も入ってくるということで、初めて、日本の社会というのは随分変わってきたなというようなことになってしまうのではないか。私はちょっとその辺を、国民に対する周知が全くなされていないという気がいたしまして、大変不安に思っております。

 それはもう一つ、今それぞれのお役所で担当してやっておられるわけですが、やはりそういう縦割りというところに大きな原因があるんじゃないかな。自分のテリトリーだけは見るけれども全体を見ていない、木だけ見て森を見ていないというような状況じゃないかというふうに思いますので、そういったことでは本当に日本の社会に対して責任がとれないということになってしまうのではないかというふうに思っていますが、ここではFTA、EPAが日本の中小企業にどういう影響をもたらすのかというところを伺いたいと思います。

小此木副大臣 もとより日本は、昔も今も変わらないのは貿易立国であるということでありまして、資源がない、だから他国と本当に腹を割って話しながら、いい品物を輸入し、そしてそれに付加価値をつけて輸出をしていくということは変わっていないというふうに思っています。

 そこで、我々は、今FTA、EPAということでいろいろな交渉を各国としておりまして、特にアジア諸国と深い関係をさらに充実したものにしなければならないということで貿易の話を交渉しているわけでありまして、こうなってくると、やはり今まで入ってこなかったものが入ってくる、当然こう予想もしなければなりませんし、覚悟も持っていかなきゃいけない。国内だけの競争ということじゃなくて、中小企業の皆さんあるいは経営者の皆さんには、競争力というものを高めるという意識をさらに持っていただかなければならないというふうに思っています。当然のことだというふうに思いますが、そこを我々が工夫をして支援していくということ。

 これまでも中小企業というのは、このような環境に対応するため、さまざまな取り組みを行ってきたというふうに思います。主要取引先が生産拠点を海外移転したことを契機に、新たな技術や製品開発を通じて独力で新たな市場を開拓し、その市場でトップ企業となるケースはこういったケースで、みずからの国際競争力を高めようという意識に基づいているというものです。

 先ほど、中小企業施策について我々もっと宣伝広報しなきゃいけないというのも、これは本当に責任を持ってやらなきゃならないことでありますけれども、中小企業経営者がみずからもそういったものを知る努力といいますか、そういった意識を高めていただくことも必要だというふうに思いますので、まさに新しい連携の中で、異業種と異業種がしっかりとコアグループのリーダーシップのもと、こういった新しい制度を紹介するとともに、皆さんの努力でも、足を働かせて知っていただく努力も欲しいな、こういうふうに思っております。

梶原委員 大変難しいあれだったんですが、FTAでビジネスチャンスが生まれる、そういうケースと、あとはよそから、例えば前もタオルなんかそうだったと思うんですけれども、どっと入ってきて相当国内の製造業がダメージを受けるということもあろうかと思います。

 まず、製造業の分野、今も関税が大変低いとは思いますけれども幾らか関税がかかっている部分もあるわけですし、海外からどっと輸入がふえた、それで国内産業にダメージがあったという場合については、どういう措置をとられるおつもりなんでしょうか。

小此木副大臣 この場合は、FTA締結による関税の撤廃または引き下げの結果として、おっしゃいましたように相手国からいろいろなものが急激に増加をして入ってくるという場合、きっちりと国が、ある程度どういうふうな重い影響を受けたのかというものをしっかりと把握して、そういったことであれば、締結相手国以外の国に対して適用されている税率、実効税率までの関税の引き上げ、または関税引き下げの措置の一時的停止を行う二国間においてのセーフガード措置を発動することができる。現に、今シンガポール、メキシコとのFTAを結んでいるところでありますけれども、この二カ国ともそういったお互いの約束が規定をされているということでございます。

梶原委員 そういった打撃を受けるというのは、大体地場産業というか中小企業を中心とした分野ではないかというふうに思いますので、そういうことが余りあってもいけないかとは思いますけれども、そういった措置も必要な部分があるだろうというふうに思います。

 また、ビジネスチャンスの部分でも、中小企業にとっては海外との取引ということになるといろいろな制約も出てくるのではないかというふうに思うわけですが、そういった中小企業に対する海外展開の、取引をしていこうということの支援策というようなものは考えておられるんでしょうか。

望月政府参考人 先生おっしゃいますように、FTA交渉が進展する中で、中小企業の海外展開などに積極的に取り組んでいくということが前向きの体制だろうと思いますが、十分な情報に基づいて海外についての的確かつ迅速に判断をしていかないと、中小企業は間違った行動をとることになるわけでございます。

 これらの中小企業に対して有益な海外情報を提供したり、それから国際化に当たって発生する問題についての相談などに応ずる体制というものが必要であろうと考えておりまして、基本的にはジェトロあるいは中小企業基盤整備機構などを通じまして、情報提供あるいはアドバイザーによる相談業務、セミナーの開催あるいは海外見本市への参加支援などを行うことによりまして中小企業の支援を行っていきたいと思っておりますし、先ほどちょっと申し上げたジャパン・ブランドの支援事業なども海外向けにも活用していただくものだというふうに思っております。

梶原委員 時間が余りなくなってきたんですが、あと、日本というのは技術立国を目指していくということなんですが、NHKの「プロジェクトX」、さっきもだれか言われましたけれども、僕ら本当に感動するんですね。あれに出てくる出演者というのは大体、何か町のおじさんみたいな人ばかりで、とてもそんな優秀な科学者とか技術者なんという人じゃなくて、言ったら失礼かもしれないけれども、本当に中小企業の中でも、自分たちが魂というか情熱を燃やして一生懸命取り組んでやってきた、その成果がああいった形になっているのだろうというふうに思います。

 職人的なわざとか、日本の製造業を支えてきた技術、そういったものに対する評価というのが日本の社会の中ではまだまだ低いんではないかなというふうに思っておりまして、ぜひそういった評価をしていかなければいけない、そういうふうに思いますので、その辺のところについて、いかがですか。

山本(明)大臣政務官 今、梶原委員お話があったとおりでありまして、技術者というのは、先ほどもお話がありました「プロジェクトX」は成功した人たちばかりなんですけれども、基本的には、自分のアピール力というんですか、PR力が下手なんですね。したがいまして、どうしても埋もれたまま終わってしまうという可能性が強いというふうに思います。

 今委員御指摘いただきましたように、社会的評価をするということは、大変そういった意味では、技術者を養成していくためには、やる気を起こさせるためには必要だというふうに考えております。

 そこで、ことしからものづくり日本大賞というものを設置いたしまして、総理大臣賞を差し上げる。それによって生きがいを持ってもらいたいと思いますし、これから頑張ってもらいたいと同時に、若い人にもそうしたものに対してあこがれを持つような、そんなふうにしたいということでございまして、先週公募が終わりまして八月に表彰をさせていただく、こんな形になっておりますので、よろしくお願いいたします。

梶原委員 さらに、技術立国を目指すということについては、子供のころからきちっとした、そういう発明、工夫とか研究というのかな、教育をしていかなくちゃいけないというふうに思っているんですが、今子供たちの世界を見ると、ゲームにしても何にしても、何かすべてあてがわれたもので遊んでいる。昔は、自分たちでいろいろなものをこしらえて遊んだり勉強したりしたように思うんですよね。そういったところの教育というか、どうなっているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

山中政府参考人 先生、物づくりのわざ、技術、そういうものを学校教育の中でどうやって教えているかということでございますけれども、学校の中でも、子供たちが実際の体験に基づきまして技術への関心を高める、あるいはその楽しさ、大切さということを体験するということは、非常に重要であるというふうに考えております。

 例えば、中学校の技術家庭という中では、物づくりについての実践的な体験活動をするということで、それを通じまして技術の果たす役割、それを活用する態度というものを育てたいということで、技術と物づくりという内容を一つ柱を立てまして、すべての生徒に履修させるというふうなことも行っております。

 また、経済産業省、厚生労働省、文部科学省、これが主に担当してまとめておりますものづくり白書、この中でも、学校教育の中で物づくり教育に具体的にどう取り組んでいるか。地域の技術者の方に授業に来ていただく、あるいは町の中小企業の中でインターンシップで子供たちが学ぶとか、いろいろな形で具体的な取り組みが紹介されているところでございます。

 まだまだ充実していく必要があるというふうに思っておりますけれども、文部科学省におきましても、今後とも技術教育、物づくり教育の充実というものに努めてまいりたいというふうに考えております。

梶原委員 最後の質問になるのではないかと思いますが、今、これから人口減少社会を迎える、効率優先の社会というか、そういったものが進行しているように思いますし、そういった中でますます都市への一極集中というのが始まるのではないかな、起こってくるのではないかというふうに思っているわけです。

 私どもは、私自身が特に地方で仕事をしておりまして、地方、特に僻地でそういった事業を行うのと大都市部で事業を行う、これはもう社会に対する、地域に対する貢献度というのが大きく違うんだというふうに私は思っています。

 過疎地で、たとえ三十人、四十人であっても工場を営んでいく、それによって雇用が生まれる。あるいは、小さなスーパーでもやっておったら、車に乗れないおじいちゃん、おばあちゃんも買い物に行ける。その店がなくなったら生活ができないかもしれない。あるいは、その過疎地を走っているバス、それがなければ病院にさえ行けない。そうすると、ではどうするんだというと、公共的にそれをやっていくんですか、サービスを提供するんですかといっても、なかなかそんなことはできないわけですよね。

 私は、それこそ商社が中国へ日本の規格を持っていってつくらせて、そこで利益を上げる、そういう商社と、田舎の方の過疎地で地域に貢献している企業と同じ法人税を払うなんというのは、僕は納得できないといつも思うんです。ただ、田舎の方の企業は余り法人税を払っていないかもしれないから、そこの部分で優遇してくれといっても優遇のしようがなくなってしまうわけですが、何か日本に対する、あるいは地方というか僻地に対する貢献度というのをやはり勘案して、優遇措置というのか、あるいは地方においてもやっていける基盤を考えていただきたい、こういうことを強く思っているわけですが、その辺についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

小此木副大臣 地域において活躍する、過疎地ということも言われましたけれども、そういったところで活躍する中小企業に対して支援をしていくということは言うまでもなく重要なことであるというふうに思いますし、今回御審議いただいているこの法案も、そういった意味では、新事業が創出できるように、いろいろな販路が開拓できるように、さまざまな方面から応援をしていくという法案であります。

 その他、地域発の商品、サービスを地域イメージのブランド化と結びつける地域ブランド化を支援するJAPANブランド育成強化支援事業や、地場産業の活性化を支援するための地場産業等活力強化事業等の措置を講じて、地域経済と雇用を支える中小企業を支援しているところでありますので、こういった問題にも力を増してまいりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

梶原委員 以上で終わります。

河上委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 午後は今回の改正案の内容について幾つか質問したいと思います。先輩議員の質疑と重複する部分があるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 異分野連携新事業、分野開拓の促進に関する支援策としては、中小企業信用保険法の特例や中小企業投資育成株式会社法の特例の適用が継承され、限定要件の撤廃や緩和も措置されています。ところが、これまで経営革新法では、承認経営革新計画を行う中小企業者であって、生産額または取引額が大幅に減少しているものとして行政庁の確認を受けたものについて欠損金が生じた場合には、法人税の還付措置が設けられていましたが、今回の改正で廃止されることになる理由をお尋ねいたします。

望月政府参考人 お答えいたします。

 経営革新法の承認企業に関する税制措置として、御指摘の欠損金の発生に対する法人税の還付措置が設けられているところでございますけれども、実はこの利用要件が非常に限定的で限られているところから、本措置が設けられた平成十一年度から現在までの利用実績が大変少ない状況にございます、合計で六億円というふうに私どもはとっておりますけれども。

 こうしたことから、新法におきましては、欠損金の還付措置を廃止する一方で、意欲ある中小企業の多様な経営革新に対する取り組みをより効果的に支援するための設備投資減税の対象者の拡大や留保金課税の停止措置を新たに講ずるというようなことといたしたわけでございまして、限られた資源の中で税制措置をより有効な方に振り向けたということでございます。

村井(宗)委員 またそういった設備投資減税などをもっともっとしっかりと盛り込んでいただければ、ますます中小企業が発展していくのではないかと思います。

 ところで、これまでの中小企業創造法でせっかく事業計画の認定を受けたところも、補助金などの支援措置の対象として採択されるのは結果としてその一部だけだったという不満の声が中小企業から寄せられているとお聞きしました。似通った補助金が幾つもあって、補助金の制度が複雑で使い勝手が悪いとの指摘があったわけですが、今回の改正でこの点は改善できるんでしょうか、お伺いいたします。

望月政府参考人 従来は、中小創造法の認定を受けた事業者に対する補助金と、それから経営革新法の承認を受けた事業者に対する補助金がそれぞれ併存をしておりました。中小企業の側から見ますと複雑であって、かつ、弾力的な運用も非常にしにくいという制度になっておりました。

 このたびの改正に当たりましては、法律を整理統合するのみならず、これに伴う補助金につきましても整理統合を行いまして、従来の創造法、経営革新法に関する補助金を一本化する予定でございます。これによって、中小企業の方にとってよりわかりやすく、広く利用できる補助金制度として改善をしていきたいということになっているわけでございます。

村井(宗)委員 次に、日本版SBIR制度についてお尋ねいたします。

 今回の改正におきましても、研究開発予算を中小企業に重点投資するため、この日本版SBIR制度は基本的に継続されていくことになっています。一応全省庁が横断的にベンチャー企業の育成に努めることになっていますが、現実は六省庁が別々に取り扱っています。今回の改正を機会に、取り扱いの一本化、特に中小企業者との窓口は中小企業庁に一本化するなど、大胆に見直すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 SBIR制度の対象となっております研究開発補助金などにつきましては、本来的には、おのおのの所管省庁の政策の一環として行っておる研究開発補助金でございます。他方、中小企業支援の視点という観点ももちろんございますが、各補助金が最も適正に運用されるというためには、一義的には所管省庁がみずからの政策として責任を持って執行するということが適当だと思っております。

 中小企業庁は、このように各省庁の政策に基づく研究開発補助金が、中小企業の研究開発支援にも活用されるよう推進する役割を担っているものと認識をいたしております。具体的には、毎年度、政府全体の支出目標額や各補助金の統一的な運用方針を定めた交付の方針の閣議決定に当たりまして、各省庁と協議しながら、当該方針の案を作成するという役割を果たしております。

 こういった格好で、中小企業庁は、どちらかと申し上げますと中小企業支援のためにいろいろな制度を使えるようにするという、言ってみればしりたたき役をやっているわけでございますので、その点、役割分担をしていった方が、実は今少ない少ないと言われるSBIRの補助金の拡大にも資するのではないかというふうに考えております。

村井(宗)委員 今おっしゃられたことはもっともだと思いますが、現状、ばらばらな行政の縦割りそのものどおりにあると、非常に中小企業にとってわかりにくい話になるのではないかという不安があります。

 そこで、中小企業庁の皆さんには、またわかりやすく、そして必要な補助金が何なのか、使える補助金が何なのかをますます告知していっていただけたらいいのではないかと思います。午前中も私はこの利用ガイドブック、そしてそれらほかの広報物について取り上げさせていただきました。何よりも大事なのは、中小企業支援策はたくさんあるんですが、そのものを強化することはもちろんです。ただ、今どんな支援策があるのかをもっともっと広報していかないと、十分使い切れないのではないかと思っています。

 このSBIR制度についても、より使いやすくなるよう、中小企業庁の皆さんには取り組んでいただきたいと思っています。

 さて、これまでも中小企業者がさまざまな書類を準備し、必要な手続を踏んで事業計画の認定を受けても、実際の融資の申し込みや信用保証の申し込みに当たってはまた一から書類を出して審査を受けることになり、必ずしも事業計画に連動する形での融資は受けられないという不満がありました。今回の改正でも、例えば経営強化計画、経営基盤強化計画などが認定された場合、貸し付けや信用保証の実行に当たって柔軟な金融支援が期待されていると思いますが、この点は何らかの改善がなされますでしょうか、お伺いいたします。

望月政府参考人 これまでの経営革新法の認定を受けたりした場合に御不満を言われる方ももちろん多いわけでございますけれども、実態は、例えば経営革新法で申し上げれば、承認件数の八割近くの融資実績がございます。したがいまして、相当程度の利用がなされたものと私どもは認識をしているわけでございます。

 確かに、二割の方々のうちで、もし融資をしてほしいとおっしゃる方がおられた場合には入っていないわけでございますから、そういう意味では一般的な傾向を申し上げただけでございますけれども、ある意味ではかなり役に立っているのではないかというふうには思っております。

 それで、経営革新計画の認定を受けられたことと、融資の際の書類でございますけれども、経営革新計画の認定を受けられたことの証明自身は、このことが、しっかりとした基盤に立った企業が資金の使途がきちっとしていて使われますということについては、それ以上の追加的な資料は本来的にとる必要もないんだろうというふうには思われます。ただ、融資するに当たって、その企業の財務状況等々についてやはりそこで見なければいけないというのは金融慣行でございましょうから、一定程度の書類は必要になるのではないかと思います。

 これまでは、経営革新法の認定を行いました例えば都道府県と金融機関と別々にやっておりましたから、その間にかなり、本来であれば要らないものまでも追加的に必要にされたということがあるかもしれませんが、今回そういった点についてもできる限り改善をしたいということで、特に今回の新連携の場合などにつきましては、支援機関の方々に戦略会議に入っていただく、あるいは支援チームに入っていただくというようなことを考えているわけでございます。そうすると、初期の段階からこの計画認定に関与するということになるわけでございますので、できるだけ早期に融資に結びつくというようなことになるのではないかということも期待をしながら、新しい仕組みを考えているということでございます。

村井(宗)委員 今のお話ですが、今まで都道府県と金融機関が別々だったから書類を何回も出さなければならなかったと。

 ところで、今おっしゃられたように、戦略会議や支援チームに入っていただいた場合、もちろん早期に融資がしやすいというのはわかるんですが、それでも書類はやはり別々に出さなきゃならないんでしょうか。

望月政府参考人 融資についての申請書類というのは、当然にその出す相手というのが、名義人が違いますから、それは必要だろうと思います。ただ、そのときにどこまでこの融資が政策的に意味があるとか、効果があるとか、そういうことについての証明というのは、恐らく計画認定がされるということによって既に済んでしまうと思いますので、その点は簡素化されるのではないかと思っております。実際は全国各地でいろいろなことが行われると思いますので、私どもとしては、その手続面についても御指摘のようなことが余りないように、よく見守ってまいりたいと思います。

村井(宗)委員 今おっしゃられたように、できるだけ書類を簡素化していただければと思います。

 中小企業の人たちは、ずっとその書類にだけ取り組むわけにはいかないんです。やはり経営しながら、そして自分で営業しながら、自分で部下の面倒を見ながらやるわけなんです。ところが、役所関係になると、そのたびそのたびにでっかい書類ばかりになる。そうなると、本当に実効性のある、ありがたいわけではない。私たちは、縦割りの弊害をもっともっと簡素化し、より書類を簡素化する、同じ内容のものはより出さないようにしていくということをやっていきたい、そしてやっていただきたいと思っています。

 さて次に、新連携について何点かお伺いします。

 この新連携について言えば、何といってもコーディネートをする人材がかぎを握ると思います。この人材の発掘や配置はどのように準備、計画されておられますでしょうか。

小此木副大臣 お疲れさまでございます。

 先ほどからたびたび議論をいただいておりますけれども、この新連携というのは、今まで単独ではなし得なかった事業というものを、コア企業のリーダーシップのもと、複数の企業が集まって、新しい商品価値、それを新事業の中で販売していくに至るまでやっていきましょうということでありますが、当然、コーディネーター、そういった新しい事業でのノウハウ、これまで蓄積してきたノウハウというものを本当に知っている人が支援をしていただかなくてはならない。

 そういった中で、各地域、ブロックごとにこの新連携支援地域戦略会議というものを設置いたしてまいります。同会議の事務局には、先ほども答弁をいたしましたけれども、起業経験者や金融機関、商社、メーカー、さまざまなノウハウを持った、実際に経験をされた出身者、ビジネスの実務に精通した者をプロジェクトマネジャーとして配置をして、このプロジェクトマネジャーを中核として支援チームを組成し、事業計画の策定段階から研究開発あるいは販路開拓等のさまざまなステージにおいて必要な支援を行ってまいりたいと思います。

村井(宗)委員 そこで、最前線で日常から中小企業者と接するのは商工会議所や商工会の経営指導員の皆さんだと思います。この新連携を推進していく上で実際にコーディネートしていく際に、商工会や商工会議所の果たすべき役割はどう位置づけられているんでしょうか。また、経済産業省と地方自治体との連携などについてどのようにお考えになっておられるんでしょうか、お伺いいたします。

山本(明)大臣政務官 経営指導員というのは、御承知のように、今委員御指摘のように、日ごろ会議所だとか商工会の会員の皆さん方の経営指導をしておるわけでありますから、一番最先端の相談員だというふうに思います。先ほど午前中の村井委員の質問の中にも、パンフレットがなかなか全部行き渡らないのではないかという話がございましたけれども、まさにそういった意味でこの新連携がどれぐらい行き渡るかという大変大きな問題でありますが、これもやはりこの経営指導員の大きな役割になってくるというふうに思います。

 経営指導員の皆さん方が新連携をしっかり把握して、そしてこんなものがありますよということを会員の皆さん方にお伝えをして、そしてプロジェクトマネジャーに相談に持っていかせる、そういった役割だと思いますので、我々としては、この経営指導員にいかにまた研修会等を行って周知徹底するかというのが我々の責任かな、こんなふうに思っております。

村井(宗)委員 今おっしゃられた中で、商工会、商工会議所の経営指導員の資質の向上も重要な問題だと考えますが、取り組みはどのようになっておられますでしょうか。

望月政府参考人 商工会、商工会議所の経営指導員の資質の向上というのは大変重要なことでございます。

 私どもといたしましては、中小企業大学校における経営支援能力の養成研修、あるいは各都道府県の商工会連合会や主要商工会議所における金融、税務等の基本能力研修及びマネジメントやマーケティングなどのテーマ別に実施する専門スタッフ育成研修などを実施しております。

 さらに、本年度から、経営指導員の資質向上を図るための抜本的な対策といたしまして、インターネットを活用した経営指導員の自主的な能力開発システムでございます全国統一演習研修事業というものを導入いたしまして、全国の経営指導員を対象に、全国統一のカリキュラムによる研修及び研修効果測定試験を実施しております。

 また、平成十七年度からは、この試験結果や経営指導の実績にすぐれた経営指導員を創業や経営革新を目指す中小企業者を支援するシニアアドバイザーに選定をいたしまして、その能力をさらに活用することといたしております。

村井(宗)委員 今出たウエブ試験、そしてウエブ研修によるシニアアドバイザーなんですが、私がちょっと疑問に思ったのは、実際、ウエブ上でテストをする場合、カンニングとかそういうこともできるんじゃないのかと思うんですが、その辺はどのように考えておられるんでしょうか。

望月政府参考人 私も、自分で設計したわけじゃないので、その点大変気になりまして、いろいろと教えていただきましたところ、今の設計は、ある特定の日にちのある時間帯にだけアクセスできるようにして、つまり、自分の会議所なり商工会に置いてあるパソコンで直接アクセスをして、限られた時間内に答えを出さなきゃいけない。そのときに隣近所に協力する人がいたらこれはもうどうにもならないわけでございますけれども、ある意味では、学校と違いまして、商工会、商工会議所は、そういった人たちを本当に育成し、あるいは評価をしていかなきゃいけない監督下にあるわけでございます。

 したがって、そういう、まあ言ってみれば不正みたいなことが行われることがないように、よく訓令を通してやっていくつもりでございますけれども、一応は、限られた時間内におけるきちっとしたウエブテストができるというふうに認識をしております。

村井(宗)委員 私は、研修はウエブ上で構わないと思います。というのは、毎回毎回集まったりするのが非常に難しい。インターネットの普及した社会の中で、研修はそれでいいと思うんです。ところが、テストはそんなに何回もあるわけじゃないんです。多くて一回、二回、まあ大体一回だと思うんですが、そのテストのときだけは、例えばどこかに集まるとか、各県に一カ所にするだとかいう形にした方がより公正になる。公正なテストに受かった人がシニアアドバイザーになっていく方が、やはり皆さんしっかり勉強する。しっかり勉強することによって、より中小企業の皆さんの経営の役に立つと思うんですが、公正なテストに持っていくべき、そして、そのためにしっかりと集まってテストするべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 これは、日常の業務をどれぐらい離れて、こういうことにコストと時間をかけるかという問題だろうと思います。それで、商工会、商工会議所の中にいる経営指導員は、言ってみれば組織内人間でございます。組織内において、組織の中で評価をするシステムとしてどこまでコストと時間をかけて厳密にやるかというような問題だと思いまして、言ってみれば、私どもが資格制度で一般に受け付けてやる国家試験のような問題であれば、委員御指摘のとおりだろうと思いますけれども、組織内でやるものについて、組織の中での評価をある程度定めていこうということでございますので、私どもは、どちらかというと、それによって商工会、商工会議所の日常業務が余りにディスターブされるということになりますと問題が多いかなということもございまして、とにかくことしはそれでやってみたいということでございます。

 問題が生じるようでございましたら、これは国家資格検定でもございませんので、常時見直していくということも必要だろうとは思います。

村井(宗)委員 もし中小企業診断士のテストをウエブ上でやる、そして、周りに何があるか監視員がついていないとなると、中小企業診断士というテストについての公平性が疑われると思うんです。私は、残念ながらシニアアドバイザーがそうならないのか、不安に思っています。また、今後はできるだけ公正な、そして実力のある人が受かっていくようなテストをつくられた方がいいんじゃないかというふうに御意見を申し上げます。

 さて、次に、新連携とNPOの関係を取り上げたいと思います。

 最近期待が高まっている新規事業分野というのは、必ずしも経済産業省の所管分野に限定されるものとは限りません。むしろ、福祉であったり、介護であったり、医療分野であったり、さらには観光や物流など、地域によってさまざまな特徴もあるのではないかと思います。こういった省庁の垣根を越えた連携を模索するときに、NPOという存在が重要な役割を果たせる場合があるのではないかと考えています。

 この新連携を模索していく過程で、NPOを参画させていく工夫についてどのように考えておられますでしょうか、お伺いいたします。

望月政府参考人 私どもも、中小企業の新事業を支援する者として、地域に密着して地域のニーズを把握しているNPOは、重要な役割を担うというふうに認識しております。そういう過程で、新連携支援におきましても、NPOが参加する形態を支援していくこともあるというふうに考えております。

 例えば、沖縄では、生ごみリサイクルによる飼料化装置の開発を行う、飼料にする装置の開発を行う事業者と生ごみの回収・養豚を行う事業者の連携によって、生ごみを再生した飼料で養豚した豚肉を販売するという従来になかったビジネスが行われております。その際、この連携に参加したNPOは、生ごみリサイクルの普及啓発を行い、リサイクルの重要さを理解してもらうということで、販売先事業者の開拓を行うという役割を果たしております。

 このようなNPOの独自の役割を期待しながら、特に環境だとか、あるいは介護、医療だとか、そういう分野におけるNPOが新しい事業に新連携の一角として参加をしていくということは、大いにあり得ることだというふうに思っております。

村井(宗)委員 いつの時代でも、創業や開業に当たっての最大のネックは、やはり資金の手当てだと思います。中小企業の経営者や零細な商工業者の最大の悩みも、資金繰りであると思います。個人保証と土地担保主義と手形制度が大きなネックになっていることは間違いないと思います。

 そこで、今回、この新連携の認定、承認に当たっては、貸し付けにおける個人保証と土地担保主義を大幅に緩和する制度を盛り込めばその効果は絶大だと考えますが、いかがでしょうか。経済産業省の考え方をお聞きしたいと思います。

小此木副大臣 経営者の本人保証や担保については、政府系金融機関において、適切な金利の上乗せ等を前提に、経営者本人の保証や担保の全部または一部を不要とする制度を来年度より幅広く導入いたします。新連携の支援に当たっても、こうした制度の適用を受けることとなります。

 また、民間の金融機関においても、現在、担保や保証に過度に依存しない中小企業への融資の拡大を図っているところであり、新連携支援の際もこうした取り組みが行われることを期待しております。

村井(宗)委員 それでは最後に、副大臣または政務官に、まとめる意味でお聞きしたいと思います。

 今回の改正が実現しますと、中小企業の方々にとって具体的な支援策がどのようなわかりやすいものになり、また、さらに、その支援策がどのように使いやすくなるものと思えばよろしいのでしょうか。副大臣か政務官に御答弁をお願いいたします。

山本(明)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今までの中小企業三法というのは、我々が見てもなかなかわかりにくかったわけでありまして、法律をつくった我々がわかりにくいわけですから、使う人はもっとわかりにくいというふうに思います。これをやはり三つを一つにしたということが大変大きいわけでありまして、ただ、私も今この法律の名前何だったかなと思って、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律、法律の名前は長いんですけれども、中小企業のための法律ですよということがすぐわかるということ、まず、これが一本ですよというのが非常にわかりやすい。

 しかも、先ほども御質問ありましたけれども、商工会議所等によってすっと入ってくるというんですか、そういった意味で、非常にわかりやすくなったというのが今回一番大きな内容だというふうに思います。そして、先ほどもずっと説明ありましたけれども、補助金だとか税制だとかそういったものプラス新しくソフトの部分、プロジェクトマネジャーによるソフトの部分が入ってきましたよということで、そういった意味でわかりやすいし、使いやすくなった。こんなふうに自負心を持っておりますので、これからこれが広がるように皆様方にも御協力いただきたいと思います。

村井(宗)委員 どうもありがとうございました。

 それでは、私の質問を終わらせていただきます。

河上委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 中小企業の三法案ということで、朝から非常に長い議論が続きまして、私の先輩議員からもいろいろな質問がありまして、本当に内容的にはいいものだなというふうに思います。

 それで、今回のこの法案、もう三十分でも早く成立させた方がいいと思いまして、きょうはちょっと大臣がひょっとするとお越しいただけないかもということでしたが、質問させていただきます。ですから、副大臣には政治家としていろいろ伺いたいことがありますので、先輩としてよろしく胸をかしていただければと思います。

 まず、今回のこの三法案、いろいろな地方の経済局、近畿経済局だとか関東経済局、ああいうところもいろいろかんで、中小企業のノウハウだとか、あるいはどういうふうにこれから事業展開していったらいいか相談に乗っていく。これは、上から物を言うというよりは、パートナーとしていろいろやっていこうじゃないかということで非常にいいと思うんですけれども、つい先日、経済産業省職員のインサイダー取引疑惑という事件がありました。

 それで、せっかく中小企業の人も、どこへ行っていいかわからない、だから、パートナーとして相談に乗ってもらえればいいなと思って経済産業省の方に情報を持ってのこのこと相談に行ったら、それで私腹を肥やされてしまう。これはちょっと構造的にまずいと思いますよ。これは経済産業省の職員だからまずいとかというよりも、インサイダー取引というのはだれがやっても違法なわけですね。そういうことを、自分のところにどんどん相談に来なさい、新しい法案どんどん通りますから、どうぞ相談に来てください、いろいろな窓口つくりますよとやっておきながら、相談に来させておいて、あげくの果てにはこういうインサイダー取引。ここまで行かなくても、何か私腹を肥やすために情報を使われちゃうということでは、全然これは本末転倒なんだなと思います。

 ですから、今回のこの事件について、これが一体、係長ですか、個人の問題なのか、組織的な、何か構造的な問題なのかということをまず副大臣に伺いたいと思います。

 まず、この事件につきまして、これは明らかな違法行為なんですけれども、副大臣、これはいつ聞かれましたか、それでそれに対してどういう指示を出されましたか。一番初見のときをお願いします。

小此木副大臣 これを知ったのは、私の携帯電話に、その日、時事通信ですか、それで実は流れてまいりました。報道された日でありました。

 この件につきましては、組織のことなのか個人のことなのかという以前の問題として、私ども経済産業省にいる一人の、代表者は大臣でありますが、副大臣といたしましても、国民の皆さんにおわびしてきたところでもあり、ここでもまた改めておわびを申し上げる次第でございます。

 委員がおっしゃるように、この件については許されるべきでない話であるというふうに思い、職員に対する服務規律のさらなる徹底を図ってまいりたい。大臣も、新たな服務規律を徹底してまいりたい、このような気持ちでありますし、大臣以下我々もそのような気持ちで、今後こういうことがないように対処してまいりたいと思っております。

高山委員 これも山本先生にも伺いたいんですけれども、いつこの事件を知りまして、それでこの事件に対するどういう対応、指示を出されたか、一番初めに御自身どういうことをされたか教えてください。

山本(明)大臣政務官 一昨日、万博の会場に行っておるときに私の秘書官の方からメールが入りまして、こういったことが共同通信から配信されたよという話が入りました。

 最初の印象としては、本当に何とばかなことをしたんだ、一番基本的なことというんですか、当然役人としても基本的なことでありますし、株の中の話としても基本的なことでありますから、まさにインサイダー取引の一番基本的な間違いを犯したんだ、そういったことをまず第一印象として持ちまして、その話を秘書官に伝えた次第であります。

高山委員 これはまたちょっと副大臣にも伺いたいんですけれども、今回このインサイダーに触れた係長、係長が知っていた情報というのがあるわけですね、特殊な情報というんですか。こういう大切な企業情報というものを、いわば経済産業省にとってみたら営業秘密というか、企業秘密的に大事に扱わなきゃいけない情報なんですか。それとも、そこら辺の、席にいたらこういうふうに普通に置いてあったり、だれでも経済産業省の建物の中にすっと入っちゃえば、おお、こんないい情報があったななんて見られるような、そういうようなものなんですか、今回の事件、インサイダー取引の方が知った情報というのは。これはどの程度の秘密情報なんですか、それをちょっと大臣に伺いたいんです。

 あるいは、今回のことに限らず、今こういういろいろな法案が出てきて、企業秘密、どんどん知る立場にあるわけですね。そういったときに、そういう秘密情報といいますか、これは一般企業でいえばいわば営業秘密のようなものだと思うんですけれども、副大臣といたしましてはどういうような認識ですか。別に一般のこういう、ただの僕のきょうのメモみたいなものと同じようなものなのか、それとも、一般企業でいえばいわば営業秘密に相当するような大事なものなのか。どちらという認識なのかだけまず教えてください。

小此木副大臣 全く軽々しいものではございませんで、大変、企業にしても営業秘密、格段に重い、重く秘密としておかなきゃならない情報であると認識しております。

高山委員 今度、次の法案か次の次の法案かわかりませんけれども、不正競争防止法で営業秘密を保護しようだとか、あるいは今度四月から個人情報保護法というのが施行されますね。そうなると、当然経済産業省も一つの事業体として、個人情報を保護したり、そういうことが必要となってくると思うんですけれども、経済産業省内での法令遵守体制というんですか、情報管理体制、こういうのがどうなっているのかということをこれから伺います。

 まず、経済産業省という一つの事業体の中でのコンプライアンス、法令遵守体制の責任者というのはだれになりますか。

小此木副大臣 我が省大臣であります。

高山委員 そうしますと、大きく言うと法令遵守体制の責任者は大臣だ、その中で、例えば営業秘密の責任者、こういう情報を扱う責任者、とりわけ経済産業省ですから企業情報だとかそういうすごいコアなものが入ってくるわけですね、これの情報管理の責任者というのはだれですか。

小此木副大臣 当省における情報管理の取り扱いについては、文書の管理をきちんと行うことが基本である、これは言うまでもないことでありますが、行政文書については行政文書管理規程等を定め、各課、各室の課長、室長を文書管理者として置き、文書管理を適切に行ってきたところでありますが、今回こういうことになってしまったことでありまして、申しわけなく思っております。

高山委員 あと、個人情報保護法が今度四月から施行されますね。当然これは企業情報だけじゃなくて、いろいろヒアリングしていくうちに、この社長がどれぐらい借り入れがあるかだとか、極めてコンフィデンシャルな問題も知ることになると思うんですけれども、個人情報保護の責任者はどういうふうになっていますか、また、どういう管理体制になっていますか。

小此木副大臣 それぞれの課のレベルで課長が管理をしていくことになっています。

高山委員 これはすごく大事なことなんですよ。今回管理をしていたというのにインサイダー取引なんというのができてしまったという、重大なこれは欠陥があったわけですよね、制度に。それから、それともこれは本当にもうただの個人の犯罪だというふうに片づけるつもりなのかどうかわかりませんけれども。

 非常にこれは細かい話なんですけれども、各課、局長なり課長なりが管理しているということですけれども、ちょっと細かくどういうふうに管理されているのかというのを、これは技術的なことなので事務方でも構いませんけれども、教えていただけますか。経済産業省ではどういうふうにやっているのかということです、文書の管理を。具体的に教えてください。――もしわからなければ、時計をとめていただいても結構です。

望月政府参考人 一般ルールで恐縮でございますけれども、行政文書管理規程というものを定め、各課の課長の責任において管理をする。もちろん、その文書の中には、文書の性質において秘密の指定もできるというものについてはそれに応じた管理が行われるということだと思います。

高山委員 これは一般ルールでということでしたけれども、やはりこういう営業秘密ですとか、これからもう特に知的財産だなんといって情報が大事だということですよね。

 ですから、副大臣、これは私はちょっといろいろ調べようかと思って見てみたら、「営業秘密管理指針の概要」ということで、経済産業省の方で平成十五年につくられている。これは部会とかで配る資料ですか、こういうものがありますよ。これを見ていくと、どういうふうに管理をするんですかみたいのが随分細かく書いているんですよね。

 それで例えば、「秘密管理性」というので、「当該情報にアクセスできる者を制限する」「同情報にアクセスした者にそれが秘密であることが認識できることが必要である」とか、結構これは細かいですよ。例えばここに、「営業秘密に係る「ミニマムの管理水準」(判例より)」ということで、これはもう最低限やっておいてくださいねと。経済産業省みたいに極めて機密性の高い情報が集まるところだけでなくて、一般の企業に対するものだと思いますよ、これは判例で出ているんですから。

 当然これはクリアしていると思いますけれども、一つ一つ聞いていきたいと思いますけれども、これは例えばですけれども、課員の方が使われているパソコンがありますよね。あのパソコンでいろんな情報を閲覧できるわけですよね。そのときに、ある一定の機密がかかっている情報に行くにはパスワードが必要だとか、こういうようなアクセス制限、パスワード処理というのがされているんですか。

望月政府参考人 情報の種類によって当然パスワード制限がされております。

高山委員 あるいは、紙であれば、保管場所を特定するですとか、保管場所を施錠するとか、こういうようなことが書いてありますけれども、当然これは経済産業省の中で、どの棚にこういうものが入っていて、これは管理者はだれだ、かぎはこういうふうになっています、そういうことに関しましては、どのように細かく決まっていますか。

望月政府参考人 先ほど申し上げました行政文書管理規程上、きちっと管理するようになっております、保管場所の特定等も含めまして。

高山委員 しかし、今の話ですけれども、それは本当ですかね。

 これはたまたまこの係長が知った情報で自分でこれを利用してしまったという話なのか、同じ課員の中で、ああ何かこういうのをやっているよねと横目で見ながら、これは当然頭に入っちゃえばわかりませんから、盗んだりとか、そういうことをやっちゃう可能性もありますよね。

 これは、経済産業省の方で、営業秘密を管理するにはちゃんとこういうふうにアクセス制限してください、こういう基準をいろいろ出されているわけですよね、民間に対して。これは今、どことは言いませんけれども、いろいろな銀行で、自分の銀行ではこういうのをやっていますというのを私の方で三、四社いろいろ調べましたけれども、例えば、省外というか自分の会社外にメールなんか出したりするときに、添付ファイルなんて一〇〇%全部チェックしているわけですね、今金融機関なんかでは。伺いますけれども、経済産業省では、例えば省外にメールで出す場合には、メールがどういうところに出されたか、発信者がどうだ、そういうチェックをされていますか。

望月政府参考人 先ほど申し上げたアクセス制限みたいなものはございますけれども、メールのチェックは事前的にはしておりません。

 それから、ただちょっと一点だけ申し上げますと、本件につきましては、課内で情報が漏れたとかなんとかいう問題というよりも、担当者本人でございますので、本人の情報をもって使ったということだろうと思います。

高山委員 今、中小企業庁長官、非常に余計なことを言いましたけれども、本人が悪いのはこれは当然ですよ、インサイダー取引はやっちゃいけないんですから。

 だけれども、今聞いたら、メールも外にやるのを全然チェックしていません。それで、課内で、じゃ、隣の人のこうやって見たりとかして、情報漏れといいますか、当然これは起こり得ますよね。

 これは本当に冗談にもならない話ですけれども、例えば、僕が国会議員に当選しましたなんといったら、友達が、おう、じゃ、何かもうかる株の情報知っているんじゃないかなんて、結構世間はそういうふうに思っているわけですよね、我々国会議員だとかあるいは霞が関の人間だとか。だから襟を正していこうじゃないですかということで倫理規程があるんだと思うんですけれども。

 これは副大臣に伺いたいですけれども、大臣というのは、行政の長ということで社長的な役割でみんなを統括していくというのも当然あると思いますけれども、唯一政治家が、国会議員が行政の方に乗り込んでいってチェックしているんだ、そういう意味合いもこれは当然あると思うんですよね。今、細かいことだからということで副大臣には伺いませんでしたけれども、情報管理体制が今本当に細かくどの課でどういうふうに管理されているか、こういうようなことに関して、副大臣、どの程度わかっていらっしゃいましたか。それと、今聞いた印象ですけれども、この程度の情報管理体制で十分だとお考えかどうか、副大臣に伺います。

小此木副大臣 言われるように、私たちは選挙によってこの場に参りまして、議員とも議論をし、役所の大臣であればトップになってそれなりの責任を持っている人間でございますから、今現時点で、そういう意味では政治全体が信頼を失っているということも日々私ども地元に帰れば感じるところでありまして、そこの意識の差といいますか認識の差というものがあることは承知をしておりまして、その差を縮めるために力を尽くさなければなりませんので、委員のおっしゃることはよく理解をしておりますし、さらに、こういう事件を契機に、出来事を契機に、今までの情報管理というものを自分の認識も深めてまいりたいというふうに思います。

高山委員 いや、副大臣、今細かい話だから事務方で結構ですと言いましたけれども、情報管理の遵法体制の責任者というのは大臣なわけですよね、あるいは、次は副大臣だ、次は政務官だ、そういうふうに責任がなっているんじゃないんですか、これは先ほどの説明では。一番の責任者は大臣である、次は、だから副大臣なわけですよね。そういう立場にある方がこの程度の情報管理体制でいいというふうに本当にお考えですか。

 もうちょっとこれは根本的に見直し、根本的にどころか自分のところで出しているんですから。一般の企業に対してはこれだけのことをやってくださいね、全部細かく指針までつくって、それを真に受けたまじめな一般企業の方ではかなり細かい基準をつくっているわけですよね。肝心の経済産業省のあの建物の中だったり経済産業省という中の組織の情報管理というのが、一般論である公務員の倫理法ですか、あるいはそういう公務員の行政文書の扱いだとか、こういう程度でいいんですか。

小此木副大臣 国家のさまざまな大事な重要なものをつかさどるところでありますから、その点につきましては厳しくなければならないと認識しております。

高山委員 いや、厳しくなきゃいけないなんという問題じゃないですよ。これは個人のたまたま運の悪いばかな係長がやったななんという話じゃないと思いますよ、これは。

 例えば、ちょっと古い話になりますけれども、エンロン事件というのが昔ありましたよね。エンロンなんか粉飾決済していた、そうしたらそれを見ていた会計事務所までもうつぶれちゃいましたよね。要するに、そういう情報を扱っているようなところというのは、極めて外形上も実際上もコンプライアンスというのが重視されて、その信用が失われたら、民間だったらこれはつぶれちゃうんですよ。

 今、民間でなくたって、例えば社会保険庁なんか、いろいろ職員が端末で個人情報なんかを閲覧していた、小泉総理大臣が年金未納かどうかまで全部チェックしていたということが問題になって、社会保険庁なんて、今、解体だとかあるいは民営化した方がいいじゃないか、こういう議論まで出ていますよね。

 それで、何か知らないけれども、あれでしょう、中小企業の、企業の経営がうまくいかないから、いろいろな施策でコンサルティングを我々の方でいたします、こういう施策もありますよ、どんどん相談しに来てくださいと中小企業庁だとか経済産業省の方で言っておいて、この体制というのはちょっとまずいんじゃないですか。余りにも情報の管理ということが甘くないですか、今の体制というのは。

 ちょっと大臣に見解を伺いたいんですけれども、このインサイダーがあった、どうのこうのというだけじゃないですよ。仮にこんな事件がなくても、経済産業省全体の情報管理体制というのは、現行のものはちょっと手落ちがあったんじゃないかというふうに思われませんか。副大臣に伺います。

小此木副大臣 先ほどのパスワード等、これはもうしっかりと管理されているものでないと運営をしないということでもありますし、ただ、委員が御指摘のように、甘いのではないかというところは、さらに自分自身でも見てまいりたいというふうに思います。

高山委員 じゃ、大臣は、現行法といいますか、現行制度で十分であった、特に遺漏はなかったんだというふうにお考えですか。

小此木副大臣 今回の出来事については先ほど中小企業庁長官が申しました。それに対して御不満があったかもしれませんけれども、情報漏えいということではなくて、まさにみずからが担当者として得た情報をみずからの利益に使ったということ、到底これは許されるべきではありません。ありませんけれども、この事件を契機に、さらにこれは見直して、見直しといいますか、私の目で見ていかなきゃならないことだというふうに思います。

高山委員 いや、そうですかね。

 副大臣にこれは伺いたい。今のインサイダーの問題は、ある意味、これは個人の犯罪かもしれないですよ。今回のこの係長さんの話はそうかもしれない。だけれども、今いろいろ聞いてみたら、一般企業より随分緩いじゃないですか、情報管理が。それでいいんですかということですね、まず私が聞いているのは。一般企業より経済産業省の方が情報管理体制は緩くていいんですか、これは大臣に聞きますけれども。

小此木副大臣 そういうことはないと思います。

高山委員 そうしますと、これは平成十五年に経産省の方で、こういう指針で営業秘密を管理してくださいですとか、営業秘密と言われる重要な情報は、このようにシュレッダーによる処理をしてくださいですとか、パスワード管理の徹底ですとか、あるいはコンピューターの電磁記録を消去しろ、かなりこれは細かいことを随分言っていますよね。これは本当にやられているんですか、経産省の方で。私がさっきちょっと聞いた限りでは、こちらの方が基準厳しいですよ、自分のところでやっていることより。

 これは大臣にちょっと伺いたいんですけれども、これはちょっとおかしくないですか。一般の企業に対して厳しくやっておいて、自分のところは、うちは経産省だから大丈夫だ、みんな公務員倫理を守っている侍だから大丈夫なんだということですか、これは。個人の倫理観に任せるんだということですか。個人の倫理観に任せるのか、やはり制度上でも一番厳しいぐらいにしなきゃいけないのか、これはちょっと大臣に伺いたいですけれども。

小此木副大臣 民間の企業よりも厳しくなかったかといえば、私は、同じように厳しかったと。特に国の物を預かる役所でありますから、こういったものは厳しくやってきたという認識をしております。

 しかし、今回の出来事を契機に、さらに、委員の指摘を受けて、深くそういうものを自分の目で政治家として見てみることが必要だというふうに思っております。

高山委員 これはいろいろ記事を見てみますと、今回のこの株取引のものを受けて、株取引、規制強化かと。それで、今までは審議官クラス以上のものをやっていたけれども、全職員のを聞き取りますとかいう、株の取引なんというものは別にやったっていいじゃないですか。株取引そのものは別に違法じゃないですよね。別に、インサイダーが違法なだけなわけですよね。あるいは、そういうインサイダーにつながり得るような情報が省内を飛び交っているという状況が極めて危なっかしいわけで、職員の方が株取引そのものをやるということを何か強化するというのは、ちょっと方向性としてはどうなのかなと。むしろ、そういうインサイダー取引につながりかねないような大事な情報が省内を飛び交っている、飛び交っていると言うと語弊があるかもしれませんが、きちんとした管理体制でなされていないということの方が僕ははるかに問題だと思いますね。

 ですから、これは副大臣に伺いたいんですけれども、副大臣に伺う前にこれはもう一つ。

 株取引の内部規定で審議官クラス以上というような話がありましたけれども、例えば地方の関東経済局だとか近畿経済局、ああいうところの局長だとか職員というのはこの対象にもともと入っているんですか、これは事務方でも結構ですけれども。

小此木副大臣 局長が入っております。

高山委員 それで、今後、こういう事件もありましたということで、いろいろ地方局の職員の情報取り扱い、こういったものはこれからどういうふうに考えていくおつもりですか。

小此木副大臣 先ほど大臣の、服務規定を株の取引、こういったものを厳しくする、ともに厳しくするということは、やはり、こういったことを契機により、株式の取引を厳しくする必要はないじゃないか、こうおっしゃいましたけれども、こういうことにも飛び火をするといいますか、世間から疑いの目を向けられている我が省について、株取引のことまで厳しくしましょうという、これは大臣の判断であります。

 情報が漏えいされる、これは役所のあるいは政治家の守秘義務としてあってはならないことでありますので、そういった点につきましては、先ほどお答えをいたしましたとおり、さらに深く認識をしてまいりたい、こういうふうに思っているわけであります。現状がいいということではありません。

高山委員 省内の株取引規制は大臣の判断でやられた、一般の公務員の倫理法だなんだというのと関係なく、経済産業省の大臣の判断で今やられていることだと思いますけれども。

 それでは、伺いますけれども、今度、何か四月から国家公務員の倫理法というんですか、倫理規程がまた変わりますよね。僕なんかは官民交流はどんどんした方がいいと思っているんですけれども、一般的には、例えば細かい話でいえば、何か五千円以上の飲食だったのが一万円以上が届け出になるとか、そういうことですよね。

 これは官民交流して情報を得るのはいいですけれども、情報を持ってきたはいいけれども、またこういう官僚、聞いたその本人の、官僚の人が官民交流で情報を得ますよね、得たりいろいろ情報交換をする。それは公務員として名刺を持って行っているわけですから、やはりそれは国民の共有財産にしてもらわなきゃ困るんですけれども、今回のこういうインサイダー取引みたいに、個人の私腹を肥やすことに逆につながったりとか、そういうおそれも当然あると思うんです。

 これは大臣に伺いたいんですけれども、今回、国家公務員の倫理規程というのが、いわばほとぼりも冷めたというか、緩和されましたけれども、この件に関しまして、大臣は、緩和したままでいいというのか、あるいは経済産業省としてとりわけ何か厳しいことを考えているのか、そこを伺います。

小此木副大臣 私もいろいろな意味で、民間の情報あるいは知識といいますか、この永田町、霞が関にない知識というものを、現場に行って、現場での情報認識というものを得るということは必要なことだというふうに思います。そこは、私たちがしっかりとした自己規律のもとでそういう情報交換をやるべきであるというふうに思います。

高山委員 今副大臣がおっしゃった自己規律というのは、それはもう個人の判断に任せると。特に経済産業省として規定をつくるということですか、それとも個人の判断に任せるということですか、ちょっとお願いします。

小此木副大臣 公務員の倫理規程に従うということと同時に、自己規律というものが大事であるということであります。

高山委員 自己規律といいましても、結局こういうようなことが起きちゃったりもしますね、今回の事件みたいなことで。だから、この事件で一罰百戒ということじゃないですけれども、ちょっとこれはのど元過ぎればというわけではありませんが、何年か前に大蔵省時代に銀行局の人がすごい過剰接待を受けていただとか、そういうことがありましたよね。そのときなんか、もうそれでなくなって新たに金融監督庁をつくろうだとか、そういう新たな動きもありましたけれども。

 今回、これは経済産業省の中で、経済産業省ということで今やっているけれども、こういう情報、特に企業情報をどんどん聞いたりする、今回も産業再生だとかそういう部門を扱うところは、これは別局にしようだとか、組織的にもこれは別にしてみた方がいいんじゃないかとか、そういう話し合いはありましたか。

小此木副大臣 そこまでの検討はいまだございません。

高山委員 それでは、もう一個、ちょっと話を変えまして、今回の事件について伺いたいんですけれども、先ほど副大臣、あとまた山本政務官に伺いましたら、メールで第一報は知りました、それでこのように指示をいたしましたということでしたけれども、それは個人的な判断といいますか対処方法だったと思うんですけれども、こういう違反事件といいますか、まずこれは制度的に、経済産業省内に今ある制度の中ではどういうふうに処理されるべきものだったんですか。そもそも、どこからどういう告発があって、どういうふうになったのか、まずこれを伺いたいと思うんですけれども、形式的なことを伺いたいんです。

小此木副大臣 証券取引等監視委員会からの告発があったということでございます。

高山委員 新聞報道によればですけれども、この係長本人は、朝出てきて普通にいた、それで、その後帰られたというようなことでしたね。

 告発があった、それで、告発は形式的には例えばだれが受理するんですか、それで、どういうふうに省内で処理をしていくんですか、これを教えてください。

小此木副大臣 告発は東京地検でございます。

高山委員 いやいや、経済産業省の中でそういう東京地検に告発されたような犯罪者とおぼしき職員が出てきた、そういう情報が入ってきたときにどういうふうに処理されるんですか。これは、法令遵守体制の責任者である副大臣に伺います。

小此木副大臣 これは、秘書課が取引委員会に確認をしたということであります。

高山委員 そうしますと、今回の事件のときは、秘書課の人が事件を受けて確認して、それで秘書官なりに、メールだったりあるいはそういう、小此木先生の場合は外部からの情報ということもあったかもしれませんが、そういう処理をされたということでよろしいんでしょうか。

小此木副大臣 そういうことでございます。

高山委員 それは随分あれですね。そうすると、何か個人の力量に負うところが多くないですか。

 個人情報保護法の方なんかで見ていても、会社の中にそういう個人情報の最高責任者をつくってください、また、そういう委員会をちゃんとつくってください、それで、その委員会から社員に対して、個人情報保護だったり営業秘密の保護だったりに関して教育もしてください、こういうことがこの指針に書いてありますけれども、経済産業省の中でそういうことはやられていますか。

小此木副大臣 やっております。

高山委員 そうしますと、今回の事件は、経済産業省の中でつくられたスキームですと、本来どういうふうに処理されるべきだったんですか。――事務方でも構いませんよ。

小此木副大臣 済みません。秘書課が全省庁的に連絡をするということでございます。

高山委員 そうすると、先ほど一番初めに伺いましたのは、この法令遵守体制の最高責任者は大臣、副大臣である、こういうことでしたけれども、秘書課の方からこれはどういうふうに制度的に、大臣に例えば連絡が行く、そしてそれに対して、こういう許可、指示が来たらこうだ、こういう指示が出なかったらこの程度の処分にとどめる、これはどういうふうに決まっているんですか。

小此木副大臣 これもそれぞれの事案によりますので、特に定めてはおらないということでございます。

高山委員 いや、今回の事件ですよ。今回の事件みたいにいきなり、これはだって、思い切り仕事に関係のあることでインサイダー取引が行われて、それで告発まで受けてという場合ですよ。これは、どういうふうに本来処理されるべきだったんですか、それを教えてください。

小此木副大臣 今回のあり方が、本来といいますか、告発を受けて今の状態にあるわけでありますから、この状態が決していい状態とは言いにくいわけでありますけれども、これが本来のあり方でもあろうかと思います。

高山委員 ちょっと待ってください。だって、全然本来のやり方じゃないじゃないですか。例えば秘書からメールが入ったから、それでこれこれこうしろという指示をしたですとか、そういう話でしたよね。それは非常にいい指示だったと思いますよ。だけれども、制度として、大臣、副大臣がどういうことを指示できるようになっているのか、それを伺いたいんです。しかも、それは細かいことじゃないですよ。法令遵守の最高責任者の大臣が、こういう事件が起きたときにどういう対処をしなきゃいけないというのは、当然知っておくべきことなんじゃないですか。

小此木副大臣 大臣が参りましたけれども、このことを知って報告を大臣は、私どもも受けて、先ほど申し上げましたように、私たち経済産業省の審議官以上がそういったものを、株の取引というものは自粛をしましょう、やってはならぬという大臣からの話があったわけでありますから、そういう意味で、おふれをしいたといいますか徹底をして、私たちが戒めるべき点は戒めて、反省の思いを今持っているということでございます。

高山委員 これは大臣に質問させていただいてよろしいでしょうかね、今、来ていただきましたので。

 今私が質問させていただきましたのは、今回のインサイダー事件も起きました、そのときに経済産業省自体の法令遵守体制というのはどうなっているのかと。今まで私聞きましたのは、一般の企業よりもどうも緩いようである。例えば外に出すメールのチェックもしていないようですし、普通の銀行だとか情報を扱う企業よりも、肝心かなめの経済産業省がどうもそういう情報管理に関して甘いようじゃないかということを今いろいろと話させていただきました。

 それで、今回のインサイダー事件ですけれども、まずこれは大臣に伺いたいんですけれども、大臣は、この事件をどういう形で第一報を知り、それでどういう指示をそのとき出されましたか。

中川国務大臣 まず、二点おわびをしなければなりません。途中中座をしたことをまずおわび申し上げます。

 それから、この件でございますが、きのうも御報告申し上げましたように、我が省の職員が、職務上知り得た情報をもとにして、TOBによる株の値上がりを予想して株を買ったことによって利得を得たということで、証券取引法違反、いわゆるインサイダー取引で東京地検に告発をされた、このことにつきまして改めておわびを申し上げます。

 さて、高山委員の御質問でございますけれども、私がこのことを知りましたのは、おとといの昼ごろ、事務次官から、どうもきょう、午前中だったでしょうか、正確な時間はちょっと恐縮なんですが、午前中に、証券取引等監視委員会が東京地方検察庁に対して、インサイダー取引の疑いで我が省の職員を告発したという情報を事務次官並びに官房長から私のところに、月曜日、おとといの午前中、報告を受けました。

高山委員 それで、大臣に伺いたいのは、今、副大臣にもとうとうと伺っていたんですけれども、法令遵守体制の最高責任者はだれなのかと聞きましたら、それは大臣ですということでした。それで、その法令遵守体制の最高責任者の大臣がそういう情報を得て、どういう処分をするのか正式に決まっているんですかと聞きましたら、それは、証取などあるいは検察庁などから告発があったときには秘書課の方で対応いたしましたということでしたけれども、法令遵守体制の最高責任者の人がこういう事件が起きたらこういう処分をするんだというのがどうして決まっていないんですか、経済産業省は。

中川国務大臣 まず、経済産業省の職員である前に国家公務員でございますから、国家公務員法上の規定というものが法律上あるいはまた国家公務員倫理法に基づいてございます。もちろん、一般の刑事罰とかいろいろな罰に対しての処分というものがありますけれども、この件に関しましては、審議官以上の人間が株取引をしたときは報告をしなければならないということが、これは国家公務員倫理法上のルールになっております。

 それから、経済産業省の内部のルールといたしましては、数年前の事件をきっかけにいたしまして、原課、つまりその企業を所管している人間は、その企業の株の売買をしてはならない、それから非公開株の売買もしてはならないというのが今までの経済産業省のルールでございます。

 そこで、おととい我が省の職員が告発をされたことを確認した後、おとといの夕方に私が、今後、審議官以上ではなくて、すべての職員の株取引を報告するようにということをルールとして決定いたしました。最終的には事務次官に報告する体制になっておりますが、この問題の最高責任者は私でございます。

 それからもう一点、最後に、処罰をどうするのかという話がございました。

 省内の手続としての処罰の対象者は、本人と監督責任者と二つに分けられると思いますが、特に監督責任者につきましては、本人の処罰が決まった段階で監督責任者の処罰をしたい、時期的にしたいというふうに考えております。

 では、本人の処罰はいつするかということにつきましては、推定無罪という言葉がありますけれども、実質的に、例えば本人がもう事実関係を認めたとか、あるいはまた客観的にこれはもう公務員としてあるまじき行為だということが明々白々であるという時点、つまり事実が、判断するのに、できるだけ早いといったら失礼でありますけれども、遅くない時期にきちっとした本人に対する処罰、そして監督責任者に対する処罰を考えております。

高山委員 もう時間もあれですので。

 今大臣の方から御説明いただきましたけれども、その判断そのものはすごくいい判断であったし、今回、非常に迅速だったと思います。

 ただ、私は、きょう副大臣相手にるる説明させていただいたのは、例えば、こういう営業秘密を管理するにはこういうふうにしてくださいと細かい指針を経済産業省の方でつくっておきながら、経済産業省自身の情報管理体制、また法令遵守体制というのが制度として確立していないんじゃないんですかという質問をさせていただきました。

 それで、今回の大臣の判断は、政治家としても経済産業省の長としても非常に迅速なものだったとは私は思います。しかも、この株取引そのものなんというのは別に、そんな規制するものなのかどうなのかとも思うぐらいのことですけれども、こういう企業情報だったり極めてコンフィデンシャルな個人情報が集まってくる経済官庁であるこの経済産業省が、一般の企業よりも緩い情報管理体制にあるということは問題じゃないかということを指摘させていただきまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

河上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平井卓也君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。細野豪志君。

細野委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  近年、グローバル化の進展による市場競争の激化及び企業の取引慣行の変化等により、企業の経営環境が大きく変化している現状に鑑み、中小企業が我が国経済の活力の源泉として新たな事業活動への積極的な取組みを推進することができるよう、政府は、本法の施行に当たり、次の諸点に留意すべきである。

 一 本法による三法律の整理統合に伴い、新たな事業活動の促進に関する各般の中小企業施策が、利用者にとってわかりやすく、利用しやすいものとなるよう、改正内容等の積極的な広報に努めるとともに、中小企業施策全般についても、利用者の一層の利便向上を図るため、今後も引き続き体系の整理及び施策内容の充実に努めるものとすること。

 二 異分野連携新事業分野開拓に関する計画については、中小企業者にわかりやすい認定基準の策定に努めるとともに、連携のノウハウ及び成功事例等について、中小企業者に対する積極的な情報提供に努めるものとすること。

   また、計画の認定に当たっては、中小企業者の新たな事業活動を促進する観点から、可能な限り弾力的に行うものとし、新連携支援地域戦略会議の運営においては、中堅企業のみならず、比較的小規模の中小企業者についても広く制度の活用が図られるよう、適切な人材を登用する等中小企業者の利便に資する体制の整備に努めるものとすること。

 三 経営革新及び異分野連携新事業分野開拓等に係る施策の実施に当たっては、計画の承認・認定及び金融支援等の各種支援策が適時適切に連動し、効果的に実行されるよう努めるとともに、関係の自治体とも幅広く連携して、金融支援のみならず、事業化、販路開拓のための支援等に至るまで、より一貫したきめ細かな支援体制の整備に努めるものとすること。

 四 中小企業における研究開発の更なる促進を図るため、各省の連携を強化し、引き続きSBIR制度の拡充強化に努めるとともに、TLOについてもその強化を図り、産学連携の一層の推進を図るものとすること。

 五 最近における中小企業を巡る景況の悪化等に鑑み、必ずしも今般の本改正の支援対象に含まれない中小企業者についても、金融をはじめ、その経営安定のための支援策の充実強化に努めるとともに、中小企業対策全般の一層の拡充に努めるものとすること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

河上委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

河上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十八分散会


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