衆議院

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第21号 平成17年7月15日(金曜日)

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平成十七年七月十五日(金曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 細野 豪志君 理事 吉田  治君

   理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    小杉  隆君

      佐藤 信二君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    鈴木 淳司君

      武田 良太君    谷畑  孝君

      西銘恒三郎君    野田  毅君

      馳   浩君    平田 耕一君

      望月 義夫君    森  英介君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      奥田  建君    海江田万里君

      梶原 康弘君    菊田まきこ君

      近藤 洋介君    佐藤 公治君

      田村 謙治君    高山 智司君

      中山 義活君    計屋 圭宏君

      村井 宗明君    渡辺  周君

      江田 康幸君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            藤野 達夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 鈴木 隆史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総務課企画室長)       佐味 祐介君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          北畑 隆生君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局産業構造課長)     森川 正之君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          齋藤  浩君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            岩井 良行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長)    三代 真彰君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           平田憲一郎君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局技術安全部長)      久米 正一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三十日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     山口 俊一君

七月十五日

 辞任         補欠選任

  嘉数 知賢君     鈴木 淳司君

  渡辺  周君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     馳   浩君

  田村 謙治君     渡辺  周君

同日

 辞任         補欠選任

  馳   浩君     嘉数 知賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

 経済産業の基本施策に関する件(企画室研究費問題等)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件、特に企画室研究費問題等について調査を進めます。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 おはようございます。

 まず、今回、経済産業省大臣官房企画室におきまして、調査研究の残余額を前企画室長が私的に流用するなどの問題が起きてしまったことに関して、改めて、国民の皆様及び当委員会、国会に心からおわびを申し上げます。

 本件の経緯について御報告申し上げます。

 経済産業省は、本件につきましては、捜査当局による捜査の過程で把握いたしました。詳細につきましては、捜査当局から秘密の保持を要請されているところであり、御報告できることには限界がございますが、当省として捜査への影響を考慮しながら内部調査を行ったところ、次の事実が判明いたしました。

 財団法人産業研究所が実施する調査研究は、同財団が外部有識者を集めた研究会を組織して実施する場合や外部に委託して実施する場合があります。昭和六十三年ごろから平成五年ごろにかけて、そうした調査研究のうち一部テーマについて、外部有識者による研究会が同財団の委託を受けて調査研究を行い、その際、大臣官房企画室が当該研究会の依頼を受ける形で調査研究費の執行管理を行っている事例がありました。

 その際、当初計画よりも支出が残る場合があったようであります。あくまで現段階での調べでございますが、昭和六十三年度から平成五年度にかけて三十八本の調査研究プロジェクトを行い、そのうち十六本で残余が生じ、総額、利子を含めて約二千九百万円に及びました。こうした形態での調査研究は平成六年度以降はやめ、残余額につきましては企画室で引き継がれておりました。

 そうした状態で、平成十六年四月ごろ、中富前企画室長が、自己資金に加えて、当該残余額の相当部分を株取引に使っておりました。なお、その後、株取引に使った金額及びその運用益は全額返還されております。

 本人につきましては、公務員としてあるまじき行為である旨伝えたところ、本人は辞職したいということであったので、平成十七年六月六日時点で諭旨免職処分といたしました。諭旨免職処分では退職金が支給されますが、本人からの申し出により、六月三十日に返還されております。

 また、中富が調査研究の残余額を私的に使った平成十六年四月当時、官房長として上司であった北畑隆生経済産業政策局長を、平成十七年六月二十二日付で監督不行き届きの事由で国家公務員法上の戒告処分といたしました。

 これまでの調査は捜査当局の捜査に影響を与えない範囲のものであったため、事実関係等の把握は必ずしも十分ではありません。そのため、外部法律専門家による調査委員会を設置し、これまでの経緯、資金の使途等について徹底的な調査を進めることとしており、第一回を七月六日に開催いたしました。当該調査委員会の調査結果につきましては、可能な限り公表してまいります。その他、不透明な資金の所在の有無につきまして、現在内部調査を実施しているところであります。

 また、経済産業省に対する国民の皆様の信頼回復のために、経済産業省全職員の株取引を七月一日から一年間自粛させることとしております。

 今回、このような重要な事項について、私に報告があったのが六月二十二日でありました。最高責任者たる私に適切な時期に適切な報告がなされていなかったため、事務次官と官房長を六月二十八日付で訓告処分とすることといたしました。

 以上御説明申し上げましたように、国民の皆様におわびを申し上げなければならないような一連の事態が起こってしまいましたことにつきまして、私といたしましても、経済産業省の長といたしまして、俸給額の一カ月分を自主的に返納いたしました。

 いずれにいたしましても、失った信頼を回復するために襟を正して職務に全力を尽くすしかないと考えており、職員には厳しく指示したところであります。

 当委員会におきましてもいろいろ御迷惑をおかけいたしましたが、何とぞ今後とも御指導よろしくお願いをいたします。

    ―――――――――――――

河上委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長藤野達夫君、経済産業省大臣官房長鈴木隆史君、経済産業省大臣官房総務課企画室長佐味祐介君、経済産業省経済産業政策局長北畑隆生君、経済産業省経済産業政策局産業構造課長森川正之君及び経済産業省製造産業局長石毛博行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。櫻田義孝君。

櫻田委員 おはようございます。自由民主党の櫻田義孝でございます。

 今日、日本が抱えている多くの問題の一つで、解決せねばならない大事な政治的課題に財政再建というものがあると思いますが、その財政再建に当たっては、税という形をつくって国民に御負担をお願いしなければならないような時期が刻々と迫っているのではないだろうかというふうに私は認識しているところであります。

 そんな中、我々政治家や行政に携わるような人が率先して自己負担を買って出るような、そんな気持ちがないと、なかなか国民の理解は得られないのではないだろうかというふうに思っております。そんな中、公共的資金を流用して私腹を肥やす、こういうようなことは公務員として絶対にあってはならないものだ、こんなふうに思っておりますので、行政に対する信頼というものを著しく損なわせたということで、大事な問題だ、大変な問題だというふうに思っております。

 そんな中、前中富企画室長はカネボウ株の取引をしたと聞いておりますが、カネボウは、昨年三月に産業再生機構による支援決定など、再建に向けた計画の策定作業が産業再生機構や経済産業省の関与のもとに行われていると聞いております。そんな中、前企画室長は、職務上知り得た情報に基づいて不当にカネボウ株を取引したのではないか、こういう疑念が持たれているところでありますので、その面につきまして、時系列的な動きも含めて事実関係をお話ししていただきたいなと思っております。

 また、経済産業省におきましては、カネボウのような産業活力再生特別措置法関連の機微な情報の管理につきましてどのように行っているか、あわせてお伺いしたいと思います。官房長にお願いいたします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのカネボウ再生支援の経緯の概要につきましては、次に述べるとおりでございます。

 十六年三月十日、カネボウ等、これは同社及びグループ会社三十四社でございます、及びカネボウブティック、これはカネボウの子会社で現カネボウ化粧品でございます、につきまして、産業再生機構が支援決定をいたしました。同年三月三十日、カネボウブティックに対する債権について産業再生機構が買い取り決定をいたしました。同年五月三十一日、カネボウ等について産業再生機構が三月十日付の支援決定を撤回し、再度支援決定をいたしました。同年七月三十日、カネボウ等に対する債権、化粧品部門以外でございますけれども、につきまして、産業再生機構が買い取り決定をいたしました。

 なお、産業活力再生特別措置法との関係は以下のとおりでございます。

 すなわち、十六年四月二十三日、カネボウブティック、カネボウ化粧品百貨店販売の計画を認定し、同年八月十七日、カネボウのほか八社の計画が認定されているところでございます。

 お尋ねの機微な情報の管理でございますが、機微な情報を含む産業活力再生特別措置法関連の情報につきましては、事前相談の段階から担当者を確定し、認定まで一貫して当該担当者が事業者の方と相談に当たるとともに、当該案件の情報の取り扱いについては関係者以外に漏えいしないように運用の徹底を図っているところでありまして、企画室長はそういう情報に触れる立場にはないというふうに認識をしております。また、本人から、カネボウ株の取引に当たって不当に職務上知り得た情報をもとに売買を行ったわけではないという説明を受けているところでもございます。

 いずれにしましても、今回の前官房企画室長が行った株取引がインサイダー取引に該当するか否かは、司法当局の判断にゆだねられるものでありますが、現時点では、捜査当局からインサイダー取引の疑いがあるとは聞いておりません。

 以上でございます。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

櫻田委員 前企画室長に対して諭旨免職というものが行われたということでありますが、これは国民の常識の感覚からいくと極めて甘い処置だと思います。即刻懲戒免職というのがやはり国民の感情からいくと当然のことのように思いますが、なぜこのような事態になったのか、十分なる説明を、我々が納得できるような説明をお願いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員法上の懲戒処分につきましては、人事院が公表しております「懲戒処分の指針」の中で、例えば、例として重大な刑事犯につきまして懲戒免職処分に該当することが示されております。この場合も、刑事事件として立件され、裁判を経て有罪が確実になるなど、刑事犯に該当することが明らかになった場合に懲戒免職処分とされるものであります。

 今回の事案は、刑事事件として立件する見通しが立っていなかったこともあり、懲戒免職処分としてはおりませんが、国家公務員の身分を将来において失うという意味で、最大限の措置として諭旨免職としたところでございます。

 なお、本人より退職金を返納したいとの申し出がございました。結果、六月三十日に返還されているところでございます。

櫻田委員 六月の六日に前企画室長を諭旨免職とした後、六月二十二日になって初めて中川大臣に報告するというようなことで、こんな重大な案件は即日報告するのが当然のことのように思います。この遅過ぎるような理由について、我々が納得するようなどういう理由があったのか、ぜひお聞かせください。再度お願いします。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、今回のような重要な事項につきまして大臣に適切な時期に適切な報告を行わなかったことにつきましては、まことに申しわけなく思っております。この点につきましては、過日、大臣から事務次官、官房長が強く叱責を受けるとともに、二十八日付で訓告処分を受けたところでございます。

 なお、報告がおくれた理由についてお尋ねでございますので、御説明をさせていただきます。

 その当時、捜査当局から捜査上の秘密の保持の要請を受けていましたことから、事実関係についてごく限られた範囲でしか内部調査を実施できず、全体像を十分把握できずにおりました。大臣にはある程度の事実関係を把握してから御説明をと思っておりましたところ、調査に時間がかかり、ようやく二十二日に至り、ある程度の全体像の把握ができ、また北畑経済産業政策局長の処分案を策定できたことから、大臣に説明をし、当該処分案について了解を得たところであります。

 現在、そのときの判断をどう考えるかというふうに問われれば、その時点で限られたものとはいえ把握していた情報をいち早く大臣に御説明すべきであったと思い、この点については本当に深く反省しているところでございます。

櫻田委員 これは大臣にひとつ御答弁をお願いしますが、本件の真相究明のために外部の法律専門家から成る外部調査委員会を設置して調査を進めるというふうに伺っているんですが、外部調査委員会の調査の結論は、いつ、どのような形で公表されるのかをお伺いしたいと思います。

 また、今回の事件は極めて重大な問題でありますので、我が国の経済産業を担っている経済産業省が、国民の信頼を取り戻すため、あるいは回復するために疑惑の徹底した解明と再発防止に全力で取り組むべきと思いますが、それにつきまして、大臣の今後の取り組みと決意のほどをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今、始まってまだ十分ぐらいしかたっておりませんけれども、櫻田委員の御質問の間の当委員会の雰囲気を感じましても、この問題に対する当委員会、つまり国民の代表である当委員会の委員の皆様方の雰囲気というものがもう既に私には十分重たいものとして感じております。

 そういう意味で、実はこの件と相前後して、これは完全なインサイダー取引として本人も認めた、もう今起訴されている裁判事案が昨年のほぼ数カ月の間に発生しているということも考えますと、合わせわざでというと言葉が適切じゃないですね、総合的に群発したこういう不祥事、あるいは今申し上げたものは完全な刑事事件でございますけれども、等があるわけでございますから、連発しているということを考えますと、これは足し算ではなくて幾何級数的なマグニチュードを持つ問題であろうというふうに考えております。

 したがいまして、どんなに内部でやっても、やはり当時の部下とか上司とか、そういう関係がございますので、それとは全く別の捜査の専門家あるいは法律の専門家の先生方にお願いをして、七月の六日に私から三先生に直接委嘱状をお渡しし、そしてまた、その後若干、懇談の中で私がお願いしたいことを申し上げたところでございます。

 いずれにいたしましても、櫻田委員がおっしゃるように、経済産業省は経済産業政策を進める上で当然知り得る情報、中には秘密というものがありますから、これはインサイダー以前に国家公務員法の問題、守秘義務の問題もかかってくると思いますし、少なくとも今回の事案は、自分のお金でないものを、代々役職に基づいて預かっていたものを私的に流用して、しかもそれが疑惑を持たれてもしようがないような銘柄に投資をしたということは、これはもう疑惑という観点では大変な重大な問題があると思っておりますので、外部調査委員会、あるいはまた当委員会を初め行政を監督、チェックする立法府においても、私は徹底的にやっていただきたいと思います。

 ただ、外部調査委員会が現在やっておりますので、できればその調査に支障を来さない限りというと当委員会との関係が大変微妙になってまいりますので、当委員会にもいろいろと御説明をしながら、外部調査委員会の調査を徹底的かつ早急にやっていただきたいと思っております。これは委員会の先生方の御判断でございますけれども、私からは、御判断でございますが徹底的かつ早急にやっていただきたい、経済産業省としてはその作業に奉仕をさせていただきますということを七月六日に申し上げたところでございます。

 なお、六月六日の処分で六月二十二日になっての報告ということは、そういう一連の物事の、点ではなくて線、面として、重大性を考えたときに、私に対する報告がおくれたということは極めて遺憾なことであって、私としては厳重処分ということにいたしたところでございます。

櫻田委員 今後の大臣のリーダーシップに強く期待します。

 以上をもって質問を終わります。

河上委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 この問題について、時間が限られておりますので論点を絞って聞いていきたいと思うんですが、まず初めに人事院の方にお伺いをしたいんですが、今回、中富氏に対して下された諭旨免職というこの決定なんですが、諭旨免職というのは、私が知る限り、国家公務員法上の懲戒の処分には入っていないということなんですね。いわゆる依願退職、希望退職と諭旨免職の制度的な違いはどこにあるのかということを人事院から教えていただきたいと思います。

藤野政府参考人 ただいま御指摘ございました諭旨免職というのは、一般に、重大な非違行為を行った職員を諭して、当該職員に辞職の申し出を求め、これを承認するという一連の行為をいうものと承知しておりますが、国家公務員法及び人事院規則に規定されている用語ではございませんで、国家公務員制度におきましては、いわゆる依願退職を意味する辞職、すなわち職員の意による退職というものに分類されるということでございます。

細野委員 基本的に、自分でやめた場合と法的には全く同じだということなんですね。

 では、もう一つお伺いしますが、全省庁の中で今まで諭旨免職が何件あったのか、それがどういう事由に基づくものなのかということを人事院として把握されているかどうか。さらにもう一つ、諭旨免職をした場合に、その公表はだれが判断をし、どういう義務が課されるのか。これについてお答えいただきたいと思います。

藤野政府参考人 一般職の国家公務員の辞職の件数でございますけれども、地方自治体等との人事交流による辞職等もございますので、これをちょっと除きまして退職者の数を申し上げますと、平成十五年度は約三万二千件、平成十四年度は約二万七千件でございます。

 先ほど申し上げましたように、諭旨免職という形の分類での統計は把握しておりませんので、そのうち諭旨免職何件ということについては、私どもとしては把握をしておりません。また、それらの辞職のうちで、個々の案件について各省においてどういう形で公表されているかについても、私どもとしては把握しておりません。

細野委員 要するに、諭旨免職というのは依願退職と制度としては変わらないわけですね、大臣。しかも、これは公表が義務づけられていないわけですよね。そういう制度で、この中富さんという方がおやめになりました。

 そこで、経済産業省の官房長の方にお伺いしますが、六月六日に中富さんが退職をしたときに、これは課長として退職をされていますから、当然、後任人事があるわけですね。そのとき、六月六日の時点で大臣のところに説明に行っていますね。このとき、どういう御説明をされたんですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣に対しましては、中富前室長から辞職をしたいという申し出がありましたという御説明をしております。

細野委員 要するに、六月六日にそのことは、辞職を報告して新しい人事も大臣に報告したんだけれども、この諭旨免職をしたということは言っていないわけですね。しかも、そのままやり過ごして、二十三日に朝日の新聞が出るということが明らかになった二十二日になって、大慌てで報告をしている。

 このタイム差に大きな問題があるわけですが、さっき櫻田委員の質問に対して、限られた情報であったので報告をしなかったということなんですが、これは事務次官も知っていて、官房長も知っていて、そこで今回は限られた情報なので、じゃ、情報が集まってから情報は大臣にお伝えをしましょうということで、相談をして決めたということでいいんですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、大臣にはある程度の事実関係を把握してから御説明しようと思っていましたところ、捜査当局とのいろいろな問題がございまして、調査に時間がかかり、ようやく二十二日に至り、ある程度の全体像の把握ができ、また、北畑経済産業政策局長の処分案も策定できたことから大臣に説明をし、当該処分案について了承を得ました。

 その後、中富前官房企画室長及び北畑経済産業政策局長の処分を公表する必要があって、捜査当局の間で公表の仕方について調整を進めて、調整が終了した二十三日に公表をした次第であります。(細野委員「事務次官と相談したのかと聞いている」と呼ぶ)はい。事務次官とはすべて相談して行っております。

細野委員 では、ちょっと聞きたいんですが、官房長、六月の六日に諭旨免職をしているわけですよね。こういう悪いことをしたので、あなたはやめるべきだと諭しているわけでしょう。限られた情報で何が事実かもわからない、大臣にも報告できないのに、何で諭して、そこでやめさせることができるんですか。こんな無責任な話はないじゃないですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 それは、中富前企画室長が捜査当局からかなりいろいろなことを言われておりまして、私どもは、中富前企画室長から話を聞いただけで、そのとき、どういう資金を使ったのかとか、要するにどういうプロジェクトであったのか、そういう背景事情は全くわかりませんでしたが、中富前企画室長は捜査当局からかなりいろいろ詰められておりまして、彼自身としてはそういうことを自分の非を自覚しておりましたので、私どもの方からどういう責任をとるんだと言ったら、彼はそれに気づいてやめたいと言ったということでございます。

細野委員 私は、諭旨免職という制度自体がこれが非常に、公開も義務づけられていないし、内部の処分なんですよ。実際何か、聞きましたら、経済産業省の中で諭旨免職というのは今までやったことがほとんどないらしいですね。そういう制度なんですね。

 そして、六月の六日に大臣に、報告に行く義務がなくて報告していないなら遅くなるというのは、これはわからないではないですよ。そのときに報告をしていて、しかもその話をしていない。事務次官とも、大臣、相談をされているわけですよね。私は、周辺状況を総合して考えれば、これは間違いなく報告するつもりはなかったと思います。

 もう一つ言うと、大臣、先ほど、公務員法の倫理規程があって、懲戒についてはいろいろ、本指針があってそれに基づいてというふうに書いていますが、これによると、確かにそういう基準は個別に書いてありますが、処分の量定を決定するに当たっての参考に供することを目的としているというふうに書いてあるんですね。加えて、標準例に掲げる量定以外とすることもあり得るというふうに書いてあるんですね。

 私は、後からやりますが、これは間違いなく横領だと思うんですよ。公金の横領なんです。そうでしょう。競輪の金が回ってきて、そしてそれを私的にわざわざ口座からおろして株に使っているんですから、横領なんですよ。

 なぜ、今、法務省が横領ということで取り締まりがきちっとできないかというと、これは、それこそ日自振とか産研が横領された金を、持っていかれた側が告訴していないからなんですよ。

 何で告訴しないんですかということを、これを我々は推察するに、これは日自振も産研も天下り団体になっていて、経済産業省がトップで、常任の理事は全部経済産業省OBですよ。だから、これは告訴していなくて、今のところ横領になっていないんですよ。これは、私は大臣のリーダーシップを発揮するべきだと思いますよ。明らかに横領ですから、今後そういう展開になる可能性もあると思いますが。

 大臣、今の話を総合して、この諭旨免職という決定が妥当なものかどうか、お答えをいただきたいと思います。

中川国務大臣 今、細野委員が御質問をされた大半は、私は、六月二十二日の午前中、次官、官房長から報告を受けて、同じような質問を次官、官房長にいたしました。いずれにいたしましても、できるだけ早くこれは公表した方がいい、しかし捜査当局との関係もあるのでということで、とにかくそういうことの問題点が解決されたらできるだけ早くこれは公表した方がいいと。当省職員の身分に関することですから、しかも決していいことでやめたわけではないわけですから。やめる場合にはやめる理由、例えば選挙に出るとか民間で活躍するとか家業を引き継ぐとか、いろいろな理由があるわけでありますけれども、こういう事由であったということは二十二日になってということであったわけであります。

 そういう意味で、今御質問の御趣旨は、私自身も政治家として、常識として私も十分御理解のできる御質問でありますし、現在、諭旨免職でやめた、その後退職金を返した、だから本人を含めてこの件は一件落着ではない。むしろ徹底究明をしなければいけないので、内部調査に加えて外部調査、あるいはまた当委員会での御審議をしているところでございますから、本人も含めて、現職、OB含めて、身分あるいは処分についてはまだまだ最終ではない、現在進行形であってとりあえずという認識で私自身はおります。

細野委員 残りはちょっと法案質疑の中でもやらせていただきたいと思いますので、これで初めの質問は終わります。

河上委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 先ほどから、櫻田委員そして細野委員も質問してまいりましたけれども、やはり素朴な疑問ですね。今回の事案に関しまして、報告が遅かったという点、その前に処分がされていたという点、処分は一体だれの権限でできるのかという点、ここら辺のところが素朴な疑問なんですけれども。

 まず、六月六日に免職を決めて二十二日に大臣に報告が行った。先ほどから、詳しくわかってからだとか、捜査中であるとか、いろいろなことを言われておりましたけれども、そもそも、やはり第一報というのは大臣に報告しないと大臣は判断できないわけですよね。大臣が責任をとっていくわけですから。次官なり官房長が全部責任をとってくれるのだったらいいですよ。最終的には大臣が責任をとっていかなければいけない、こういう問題に関して、なぜ一報、これが入らなかったのか、その報告を逡巡した、ここら辺のところをもう一度正直にお話をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどから申し上げておりますが、やはり大臣にはある程度の事実関係を把握してから説明しようとその当時は思っていたわけでございまして、中富前室長から聞いたときには、我々は中富企画室長の発言のみしか事実関係はございませんで、それを裏づける資料とか証拠とかがほとんどない段階であったわけでございます。ただ、中富前室長につきましては、先ほど申し上げましたように、捜査当局の中でかなりそこら辺をやられていたらしく、彼自身については、彼は思うところがあったようでございます。

 それで、そのときの判断でございますけれども、これも先ほど申し上げましたように、先生おっしゃるように、わかった段階で一報をきちっと大臣に上げるべきであったというのは、私ども、現時点に立ちまして深く反省しておりまして、今後もうこういうことがないように努力してまいりたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 先ほどから同じような御答弁なんですけれども、このときに、素朴に感じるところは、報道がある、二十三日の報道でしたか、この報道をする前に、やはりそれなりに、各マスコミ、記者は動くわけですね。そういうことがあったので初めて大臣に報告したのじゃないか、こういうふうに思うわけですよ。もしマスコミが動かなければ、この事案について書かなければ、書こうとしなければ、これは結局、大臣に報告をずっとしなかったのではないか、そういうふうに思うんですけれども、どうですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、中富前企画室長のほかに、監督責任ということで、北畑現経済産業政策局長を、国家公務員法に基づく戒告処分ということを六日から二十二日に至る段階で検討しておりましたので、そういう国家公務員法上に基づく戒告処分をすることによって、当然、後でそれは公表しなきゃならないことでございますので、そういうこともございまして、当初から公表しないなんということは全く考えておりません。したがいまして、私ども、公表についていろいろと問題があったのは、一つは、捜査当局から捜査上の秘密の要請をされておりまして、その調整を進めなきゃいけなかったことがございましたので、そういう結果になったのでございます。

高木(陽)委員 先ほど大臣が御答弁された中で、速やかに公表すべきであるというお話もございましたし、大臣の感覚というのがやはり普通の感覚だと思うんですね。捜査当局はいろいろとあるでしょうけれども、大臣に報告するというのは外部に報告するわけじゃないですから、ここのところなんですよ。結局、大臣は何年かして内閣改造等でかわってしまう、結局おれたちでやっているんだ、そういうような感覚が皆さん方にあるのじゃないかな。結局、大臣がここまで、さまざまな問題について、国民の代表たる国会の場で、さまざまなことを責任を持ちながら答弁している。にもかかわらず、こういった問題に関して、官僚の皆さん方が、次官をトップにして、結局、自分たちは別物なんだという感覚を持っている、そういう体質が根本的な問題なんじゃないかなというふうに指摘をさせていただきたいと思います。

 その上で、時間も限られているのですけれども、そもそもこのお金は何の目的でプールされていたのか、何に使われてきたのか、いろいろ報道もされていますけれども、なぜ返却もされずに代々引き継ぐのか、ここら辺のところはどのようにとらえているのか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの私どもの内部調査では、基本的には、有識者を集めた研究会を開催して、謝金の支払い、報告書の作成等の事務に使われておりまして、それが当初計画に比べて残余金が生じたものが累積したというふうに承知をしているところでございます。

 しかしながら、捜査当局から捜査上の秘密の保持の要請がございまして、事情聴取の対象者も限定せざるを得ないなど、これまで必ずしも十分な内部調査が行えなかったため、先生おっしゃるような使途、それからどういう形で引き継がれてきた、理由など、事実関係を十分把握しているわけではございません。

 具体的な支出内容などの詳細につきましては、先ほどから大臣から御説明がございましたような専門家から成る外部調査委員会で徹底的に調査していただく予定でありまして、当然、その席上には過去の企画室長なんかが呼ばれてそこら辺の話をするかと思いますが、そういう調査結果を踏まえて公表していきたいというふうに考えているところでございます。

高木(陽)委員 今お話のありました委員会で調査して調査結果を公表したいと。速やかにここのところを、調査を進めていただく中で報告をいただきたいと思いますし、結局、これによって、調査結果が明らかにされて、そこで初めて何が問題だったのかというのがえぐり出せてくるわけですね。そこをしっかりと見きわめていかないと、ただ単に委員会が調査しました、発表しました、これでした、これで終わってしまったら次また同じようなことを繰り返してしまうということで、この点は大臣も含めてよろしくお願い申し上げたいと思います。

 あと、官房企画室がこの産業研究所の事務局を務める、まずこのことが不思議だなと思うんですね。補助金の研究委託費を具体的に管理していたというのですけれども、役所がある意味で言うと民間団体の扱うべき金を管理できるシステム。逆だったらあると思いますよ。いわゆる民間の方がしっかりとそういうのを、委託して見る。逆に役所の方が民間の金を見ていく、こういうシステムはちょっと異様だと思うんですね。研究テーマの決定に国が関与することはあってもいいですけれども、財団の本来の業務にかかわる金の扱いについて、通帳を預かって、しかも金銭の具体的な出し入れを国の業務としていた、これは本当に異常であるなというふうに感じるのですけれども。

 ここら辺のところの金の管理について、今まで、おかしいなだとか、そういった異論を出されることはなかったのか、またそういう異論を述べることができない、そういう力関係だったのか、ここら辺はどうなんでしょうか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 産業研究所についてのお金の管理の関係でございますけれども、私ども、産業研究所から聞きましたところ、研究所は、契約の当事者であります学者とかそういう研究グループの代表者の口座に直接払い込むという形をとっているということで、実際にほかの者が資金管理を行っていたということは知らなかったというふうに聞いております。

 いずれにしましても、今までお話がございましたように、外部有識者による調査委員会でそうした点について徹底して調査をしていただくというふうに聞いておりますので、その中で明らかになっていくというふうに承知をしております。

高木(陽)委員 時間が限られているので、いろいろなことをお伺いしたいんですけれども、いろいろな問題点、結局、今いろいろと聞くと、一応委員会を立ち上げましたから、そこで調査中または捜査中、そういった部分でなかなか明らかにできない。また、皆さん方も個別にいろいろとその当事者等に聞いたりしてはきたんでしょうけれども、その部分でのかなり制約がある、そういった答弁が多いと思うんです。

 しかしながら、やはりこの問題に関しましては経済産業省の体質自体が問われている、こういうような問題になってくると思うんですね。結局、この後株の取引もやっているわけですから、この部分についても果たしてどうなのかといった問題。一応一年間自粛というお話がございましたけれども、これについても果たして一年間でいいのかどうか。もしくは、株取引自体は悪いことではないんですけれども、情報を持っている経産省がどこまでかかわるのか、かかわれないのか、こういった部分も含めてしっかり御検討もいただきたいと思います。

 時間がもう終わりますので、最後に大臣にもう一度、この問題について、結局報告がなかった。僕は、役人の皆さん方は、大臣を初め政治家を結局なめているのかな、そういうふうに思うわけですよ。これは与野党を問わず、または政府に入られている大臣、副大臣も含めて、結局お客様なのかな。こんなふうな体質がもし経産省の中に根づいているんだったら、これは断固打破しなければいけない問題だと思いますし、その点最後、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 議院内閣制ですから、国会が行政をチェックするということ、そういう過程において、多くの閣僚、大臣は、省担当大臣として国会議員の場合が多いわけでございます。

 そういう意味で、今回なんというのは典型的だと思います。こういう、人の通帳をわけもわからなく二十年近く預かっているとか、それを、通帳をいろいろいじくり回す、そして、あげくの果てにはそのお金を自分の株取引に使ってしまう。

 それから、忘れてならないのは、先ほども申し上げたように、これが突発的にぴょんと起きたんじゃなくて、もっと刑事事件になっている件がほぼ同時に行われているということになると、今高木委員、体質という言葉を使われまして、我々、そういうふうな体質と言われると本当に恥ずかしいというか、そういう体質でないということを一日も早く国民の皆さんにわかってもらうように今努力をしているわけであります。

 と同時に、外部調査委員会にお任せしたということで、何となく丸投げして、調査が出たらそれでもっておしまいということではなくて、先生方に今この暑い中でお忙しい中、鋭意大変なエネルギーでやっていただいているわけですから、その調査をできるだけ早くやっていただきたい。そして、その調査結果が、ある意味では事実関係把握、そして今回の問題に対するこれからの対処のスタートにしなければいけないわけでありますので、そういう意味で、内部調査も含めてやっていかなければならないと思っております。

 そういう一連の中で、六日から二十二日まで私に対する報告がおくれたということは、今官房長がいろいろ言っておりまして、私としては、それを受けとめて、今後どうしていったらいいかということを考えなければいけないと思っておりますけれども、先ほど申し上げたように、あくまでもこの問題は今真相究明のスタートについたばかりでございますので、徹底究明を通じて最終的な判断、処分も含めて、これからはフリーハンドで私はやっていきたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 終わります。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回の経済産業省におけるいわゆる裏金問題というのは、極めて重大であります。国民にとりまして、公金がこういう扱われ方をされることについての厳しい批判が寄せられておりますし、また、競輪の施行者の皆さんにとっても、競輪施行四団体からの陳情書も出されていることは大臣も御存じのとおりだと思います。

 私の地元の所沢市でも、施行者の自治体として、いろいろやりくりをしながらの努力をしている。そういう中で、実際に交付されているお金がこんなずさんな管理のされ方をしている、こういうことへの憤りは大変強い。要望書の中でも、強い憤りとともに、この事件が氷山の一角ではないかとの疑念を抱かせる、こういう形での厳しい指摘をしているわけであります。これにこたえるような厳正な対応、措置、これが求められているわけであります。

 そこで、何点か大臣に基本点でまずお伺いしますが、冒頭の大臣のきょうの御説明の中で、前企画室長の不祥事についてということで、残余額を私的に流用していたことについてのおわびということがございました。これは当然そうであるわけですけれども、しかし、もともと、こういう日本自転車振興会からの補助金は、余れば返還する必要があるわけですね。そういう点で、残余額が手元に残っていること自体が、不正な手続があった、不正な補助金処理の手続が行われていたということを示している、これはそのとおりだと思うんですが、確認させていただきます。

中川国務大臣 私が事務当局から聞いておりますのは、余ったときに返す約束がない、だから返そうにも契約上返すことができないという報告を受けております。しかし、それはあくまでも産業研究所とプロジェクトチームとの間の関係であります。だからといって、それを企画室あるいは企画室長初めごく一部の人たちがずっと預かっていて、私も、常識からいって、わけのわからない通帳とお金を、これ預かってくださいと言われれば、これは不安ですよ。預かって、しかもそれを使っちゃったということですから、これは常識で考えても本当に摩訶不思議であり、摩訶不思議というのはちょっと無責任な言い方かもしれません。だからこそ、現在、外部調査委員会あるいは内部調査で、氷山の一角かどうかを含めて、徹底的に今調べていただいているところであります。

塩川委員 大臣、その認識は重大ですよ。返す基準とか返す規定がないということはないですよ。日本自転車振興会の規則に基づいても、補助金が余れば返還をする、返還を求めるというふうになっているわけです。それは、石毛局長、そうですよね。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 日自振と補助先との関係でございますけれども、補助先の交付の決定の内容に反して用いられた、そういう場合は、日自振は補助金の交付決定の全部または一部を取り消してその返還を求めるということにはなっております。

 ただ、本件につきましては、中身について現在外部の専門家による調査委員会で調査をしておりますので、その中身を見た上で日自振は適切に対応していくんだろうというふうに思っております。

中川国務大臣 私が申し上げたのは、プロジェクトと産業研究所との関係において、仮に余った場合に返す規定が明確ではない、だから、どうしようどうしようと言っているうちにこんなことになってしまったというような趣旨の報告を受けたということでございます。したがいまして、日自振においては、今後新しい理事長のもとで、この問題について日自振としても徹底的に調査はするというような話も聞いております。

塩川委員 いやいや、精算払いとか概算払いとか、あるいは前払いみたいな形で支払いの仕方はあるけれども、当然のことながら、当初の補助金の限度額に対して余れば、一度受け取ったお金であれば返すわけですよ。そういう規定には当然なっているわけですよ。

 そういう点でも、今回の場合、事業完了報告書などをきちんと当然出しているわけです。そこでは余っていないはずなんですよ、余っていれば返すんですから。手元にお金が残っていること自身が、不正が行われているということははっきりしているでしょうということを確認しているんです。そのとおりですよね。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 先ほど日本自転車振興会と補助先との関係についてお答えいたしましたけれども、産業研究所と委託先との関係でございますけれども、委託先であります研究者個人とかあるいはシンクタンクとか、そういうところの調査のために必要な金額の支払いについては、請求を受けて、その請求に基づいて何回かに分割をして支払いを行って、最終的に支払いは委託調査の完了後に全体として行うというものであるというふうに産業研究所から聞いております。

 したがいまして、産業研究所について、委託先からの請求に基づいて行うんだということでございますから、仮にそういう残余のお金があれば返還をしてもらうということになってございます。

塩川委員 残余のお金があること自身が不正なんですよ、手続上は。

 ですから問題は、個人の補助金のいわゆる横領ということではなくて、問われているのは、何よりも経済産業省としてのこういう補助金の組織的な横領ということが問われているんだ。こういう問題としてしっかり据えて対処していくことは当然必要だということが言えると思うんです。大臣、そのとおりだと思うんですが。

中川国務大臣 とにかく、一般論として、わけのわからないお金を預かって、そのまま歴代に引き継いでいった。公務員ですから、公務員がわけのわからない通帳を、その中にはお金が入っている、それが幾つもあるというものを引き継ぎで預かっているということの慣習ができ上がったということが、まず一般的には疑問ですよね。

 それから、横領の疑いがあるという御指摘については、株に、私的な株の運用に使ったということでありますから、横領の疑いがあるという御指摘は、私自身も直観的にそのとおりだと思います。

 ただ、そういう刑事事件でありますから、最終的には刑事当局が判断をするわけでありますけれども、いずれにしても、これは犯罪性の云々以前に、全くこれは私自身も不可解だということで、現在調査をお願いしているということであります。

塩川委員 日自振の補助金の支給のあり方についての不正な手続があったという点ははっきりしているわけですから、その際にそのお金を私的に流用したという、個人の問題というのも当然あります。私がお聞きしているのは、そういうお金というのは組織的につくられているんじゃないのか、経済産業省としての組織的な不正がある、そういう角度できちっと問題を明らかにする必要があるんじゃないのか、ここをお聞きしているんですが。

中川国務大臣 ですから、そういうことがあるのかないのか、ないことを私としては心から願いますけれども、そういうことも含めて、今回の企画室の資金流用問題について、外部調査委員会の先生方に徹底的に今調査をしていただいているところでありまして、そういう問題認識も当然持っています。

塩川委員 ぜひそういう認識で進めていただきたいと思っています。

 その上で、そもそも、日本自転車振興会と産業研究所の間での補助金のやりとりであったわけなのに、なぜ官房が関与するのかということなんです。官房が入る余地ないじゃないですか。本来であれば、補助を出す団体と補助先との関係なんです。何で官房が関与しているんですか。官房が関与する必要というのは何なんですか。

鈴木政府参考人 私どももそれは非常に不思議に思っておりまして、この事件を調査するに当たりまして企画室長から話を聞いたところでございますが、完全に答えが出ているところではございません。

 ただし、一部こういう話がございます。要するに、産業研究所と外部有識者たる先生方のプロジェクトチームとの間で契約を結んで、そのプロジェクトチームが、その事業を実施するに当たって官房企画室の方に依頼をして、そこら辺の出納管理をやってほしいということであったのでやったという発言もございますが、いずれにしましても、そこら辺を含めまして、どういうことでそういうふうになっているかは、大臣も今申し上げましたが、今後、外部調査委員会でヒアリングの上、徹底的に追及していただきたいというふうに思っているところでございます。

塩川委員 企画室に依頼したんじゃないかという話ですけれども、そもそも産研があるわけですよ。産研で事務局引き受ければいいわけで、官房が出てくる必要なんかどこにもないわけですよ。そこの点が一番問われているわけで、全く納得がいかないわけです。

 お配りの資料に、日本自転車振興会役員への経産省などからの天下り、それからまた、日本自転車振興会の機械工業振興補助金の補助先上位十団体への天下りと補助金額の一覧です。ここにあるように、主要な役職を常勤で経産省などの天下りが占めている。産業研究所についても、多額の補助金を受けている。上位十団体、天下りが主要なポストを占める上位十団体に全体の七二・三%が支給をされる、右下にありますけれども。

 そういう意味では、いわば経産省が天下っている日本自転車振興会が経産省が天下っている団体先に多額の補助金を支給している。そういう点では、いわゆる補助金支給のトライアングルといいますか、そういう疑惑というのが当然浮かぶわけです。そういう意味でも、日自振とまた産研との間に裏金をつくる、そういう作業があり、その指揮を大臣官房が行っていた。官房も日自振も産研も、みんな裏金づくりのためのぐるになっていると見られるのは、当然だと思うんです。

 この点をきちっと疑惑を晴らす、そういう点でも、こういった天下りの問題を含めて、踏み込んだ対応というのをぜひ求めていきたい、その点を最後にお聞きして、質問を終わります。

中川国務大臣 まず、この産研の委託しているプロジェクト、私も項目だけしか見ておりませんけれども、そうそうたる学者さんあるいは新進気鋭の研究者にお願いをして、これ自体は成果を上げているというふうに思っておりますので、そのことまで含めて否定ということは、私は今の時点では考えておりませんけれども、今、塩川委員御指摘のように、幾つかの、官房長ですらその点がわからないんですよねと答弁するぐらいですから、私や塩川委員にとってはもっとわからない。だから解明しなければならないということでありまして、問題は、今天下りの御指摘ですけれども、人の問題、権限の問題、お金の問題について、少なくとも、現時点において、経済産業省には、目的達成のための真の厳しい自己規律のもとにおける使命の遂行とはほど遠い現状にこの問題があったという認識で、今調査を進めているところであります。

塩川委員 終わります。

     ――――◇―――――

河上委員長 次に、内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長藤野達夫君、経済産業省大臣官房長鈴木隆史君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、経済産業省大臣官房総務課企画室長佐味祐介君、経済産業省経済産業政策局長北畑隆生君、経済産業省経済産業政策局産業構造課長森川正之君、経済産業省産業技術環境局長齋藤浩君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長岩井良行君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長三代真彰君、国土交通省総合政策局次長平田憲一郎君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、国土交通省自動車交通局技術安全部長久米正一君及び環境省地球環境局長小島敏郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江田康幸君。

江田委員 公明党の江田康幸でございます。本日は、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案について、質問をさせていただきます。

 まず、地球温暖化を防ぐため、二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減を目指す京都議定書が二月の十六日に発効されたわけでございます。近年、世界では、猛暑や洪水、干ばつなどの温暖化の影響とされる異常気象が頻発しております。東京大学などグループが、昨年、世界最大規模のコンピューター、スーパーコンピューターで調べた将来の気候予測は衝撃的なものでございまして、現在のままでいくと、地球の平均気温は今後百年間で四度、二一〇〇年には日本国内の真夏日が百日を超えると予測しております。国立環境研究所がまとめた結果も同様の予測でございました。京都議定書は、こうした被害を食いとめる唯一の国際的な取り決めでございまして、我々はこの歴史的な議定書の発効を温暖化防止への重要な一歩としなければならないと考えております。

 この京都議定書の発効を受けて、我が国は、京都議定書の目標である九〇年対比六%削減を達成するため、この四月末に、温暖化対策推進法に基づく京都議定書目標達成計画を策定し、閣議決定したわけでございます。

 私は、この地球温暖化問題の本質というのは、世界全体の温室化ガスをどのようにして有効に削減していくかということに尽きると考えております。毎年世界全体で炭素換算六十億トンの温室効果ガスが人類の活動により発生するわけでございまして、これに対して、陸地の森や海に吸収されるのは三十億トン、半分にしかすぎないわけで、残りの三十億トンは年々蓄積する、そういう構造になっているということでございます。

 産業革命以前には二八〇ppm程度であった大気中の二酸化炭素濃度は、現在は三七〇ppmとなっております。年々一ないし二ppmずつ高くなっております。このようなことが長期的に続けられるとは考えられないわけでございまして、人類は英知を結集してこれに対応していかなければならない。

 本日は、この地球温暖化問題について、世界全体の排出量を実質的に削減していく上で何が本質か、いかなる視点からどのような取り組みが必要か、我が国はどのような方針でこれに臨むべきか、こういった観点に立って以下の質問をさせていただきます。

 まずは、科学技術の役割についてということでございます。

 京都議定書は確かに重要な第一歩ではあるわけでございますが、二〇〇八年から一二年の五年間の排出削減を決めているだけでございます。地球温暖化問題を克服していくためにはもっと長期の抜本的な削減を考えなければならないわけでございまして、こういう観点からは、科学技術の役割は極めて大きいと私は思います。まず、ありとあらゆる技術を思い切って駆使していくことが必要でございますが、例えば、省エネに限らず、原子力や再生可能エネルギーへの転換、炭素隔離など、技術を駆使していく必要がございます。

 そこで、政府は、地球温暖化問題への対応に当たって、こうした省エネや新エネといった技術の役割をどのように考えて、これまでにどのような技術を発展させてきたのか、また今後どのような展開を見込んでいるのか、その見通しについて具体的にお話をお伺いしたい。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

小平政府参考人 ただいま先生から御指摘ございましたように、地球環境問題に対応する上での基本は、特に永続的に対策の実効性を高めていく上では、科学技術、技術による対応というものがかぎになるというふうに考えております。

 省エネルギーにつきましては、エネルギー利用効率の向上を通じまして、エネルギーコストの低減を可能とし、技術開発と普及を進めていくことが環境と経済の両立の観点から大変重要であるというふうに考えておりまして、これまでも我が国におきましては、官民協力をいたしまして、省エネルギー技術開発に取り組んできているところでございます。

 例えば一九九八年にいわゆるトップランナー基準を導入しておりまして、これによりまして、我が国の技術を生かしましたエネルギーにつきましての高効率の製品の普及が進んできております。冷蔵庫について見ますと、この二十年で大きさは約二倍になっておりますけれども、それを上回る大幅なエネルギー消費効率の改善が進んでおりますので、大きくなったにもかかわらず、年間電力消費量は二十年前の二分の一ということになっております。

 また、新エネルギーにつきましては、当面は補完的なエネルギーという位置づけではございますけれども、この導入の推進を図る上で、高コスト等の課題を克服するための技術開発を進めていくことが重要であるということで、例えば太陽光発電分野では、技術開発と導入補助を並行して実施することによりまして、平成五年度から十五年度の間に導入コストが五分の一に低下をしたというような状況にございます。

 今後とも、技術開発、環境と経済の両立を達成しながら、真に持続可能な経済社会を築いていく上で大変重要でございますので、引き続き省エネルギー、新エネルギーを初めといたしますエネルギー関連の技術開発、導入促進を積極的に進めてまいりたいと考えております。また、こうした技術を国際的に普及し、地球規模での温暖化、省エネ対策にも貢献をしていくことも大変重要であるというふうに考えております。

江田委員 私も、科学技術が地球温暖化対策またエネルギー対策においては最も重要なキーワードであると思っております。経済産業省におかれましては、政府のリーダーシップをとっていただいて、省エネに限らず、積極的に新エネ等の科学技術を進展していくようにリーダーシップを発揮していただきたいと思ってこの質問をさせていただきました。

 次の質問でございますけれども、京都メカニズム、技術移転の仕組みの充実についてお伺いをさせていただきます。

 世界全体の排出削減をいかに有効に進めるかがこれは重要な課題でございます。京都議定書が削減義務を課している国というのは、米国が議定書を離脱する中で、二〇一〇年においても世界全体の排出量の三分の一にしかすぎないわけでございます。今世紀末には途上国の排出量が四分の三に達するという見通しもございます。世界最大の排出国でありながら京都議定書を離脱している米国の復帰は当然でございますけれども、経済成長に伴って排出量が増大する途上国についても有効な排出削減が不可欠でありまして、途上国の努力を手伝うことが先進国の責務であると思います。

 京都議定書、二〇一三年以降の国際的な枠組みをどうするか、その中で我が国がどのようなリーダーシップをとっていくか、特に、技術の重要性を考えれば、この技術移転の仕組みをどうつくっていくかが重要でございます。

 現在の京都議定書には、途上国に技術や資金の移転を進める京都メカニズム、CDMがございますが、しかし、現在のCDMの国際的枠組みには重大な欠陥があるわけでございます。すなわち、現状では、フロンガス等の回収、破壊プロジェクトなどが中心となっておるわけで、省エネとか再生可能エネルギーなど、CDM本来の目的である途上国の持続可能な開発に最も寄与するこのプロジェクトが実現しておりません。省エネや再生可能エネルギーなどの二酸化炭素の削減プロジェクトはCDMの重要な要件である追加性の証明が難しいためであるわけでございます。

 このまま現在のCDMの運用を続けた場合、CDMのプロジェクトは、第一約束期間のみで先細りとなるばかりでなく、途上国の持続可能な開発の上で重要な省エネルギーを初めとするエネルギー分野の取り組みにつながらないまま実質的に終わってしまう可能性があると考えます。

 将来の枠組みにおきましては、その見直しを含めて新たな制度設計を検討することが必要であると考えます。京都メカニズムのような技術移転の仕組みをどのように充実させていけばよいか、各国の考え方とそれを踏まえた目指すべき方向とその対応について、これは中川大臣にお聞きしたいと思いますが、副大臣でも結構です。

小此木副大臣 おっしゃいますように、京都メカニズムというのは、一つの、地球規模で温室効果ガスを削減するための重要な手法の一つであるというふうに思いまして、CDM、これも重要なものであります。

 その中で、我が国の日本の先達たちが築き上げた技術というものを世界に示すということが本当に重要なことであると思います。そういうものを省エネルギー分野のプロジェクトの中で実施をしていくということが委員のおっしゃる重要な意味だというふうに思っております。

 こうした省エネルギー分野でのCDMプロジェクトにつきましては、多くの先進国、途上国を問わず、強い期待が寄せられていると思います。特に、中国、インド、チリなどCDMのポテンシャルの高い国々、こういったところで省エネを明確に重点分野として挙げていますし、他方では、プロジェクトの実施のために国連のCDM理事会の審査を受けることが必要であり、その円滑化が最も必要であるというふうに感じます。

 こうした状況を踏まえ、昨年末に開催された気候変動枠組み条約第十回締約国会議、COP10において、我が国からCDMにおける省エネルギープロジェクトの重要性についての問題提起を行った結果、その促進を図る旨の決定がなされたところであります。さらに、本年五月には、我が国主導のもと、省エネルギー分野のCDMプロジェクトの促進を図ることを目的とするCDMの将来委員会を、主要国、これはオランダ、カナダ、中国、インド、ブラジル、チリ、これらの参加を得て開催したところであります。

 今後、これらの国々とも協力しながら、プロジェクト形成やCDM理事会での審査の手法などについて検討し、提言を行うなど、より多くのCDMプロジェクトの実現に向けて主導的な役割を果たしてまいりたいと存じております。

江田委員 CDM本来の目的である、途上国の持続可能な開発に最も寄与するそのプロジェクトというのは、やはり省エネとか新エネとか、そういうものが認められることだと思います。COP10で、CDMに省エネプロジェクトを認める、そのような決定が日本の努力によってなされたことについては非常に喜ばしいことでございまして、大いにこれを進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、米国参加のためのアプローチについてお伺いしたいと思っております。

 御存じのように、今の京都議定書の枠組みには米国が参加しておりません。米国の参加は、今後その排出量の増大が先進国の約半分を占めることもさることながら、主要途上国の参加を得る前提として必要不可欠でございます。すなわち、世界最大の排出国である米国が参加しない以上、中国、インドなどの主要途上国が参加するわけはないわけでございまして、したがって、将来の枠組みの検討に当たっては、いかにして米国の参加を得るかという観点が極めて重要であるかと思います。

 米国の不参加は当然非難されるべきものであると私も考えますが、EUのように、現在の京都議定書をそのまま継続して、かつ短期的に大幅な削減を求めるアプローチについては、アメリカにとっては、人口増加のため当面は排出量の増加が不可避であるわけでございますから、極めて受け入れがたいものと考えていることと思います。

 こうした米国を国際的枠組みに復帰させるためには、ただ単に復帰するようにと説得するだけではだめだと思っておりますが、そこで、この国際的な枠組みに参加した先進国と途上国の双方が、京都メカニズムのような仕組みを使いながら、環境によくて経済効率を高める数多くのプロジェクトに取り組むことができれば、米国におきましても、そういった流れに乗りおくれてはいけないということで、そういう機運が盛り上がって、国際的な枠組みへの参加の意欲が高まるのではないかと思います。

 国際的な枠組みの構築に向けたこれからの議論の中で、米国の参加への誘引を図る、高めるためには、こうしたアプローチが有効かと思いますが、この点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

中川国務大臣 もう江田委員御指摘のとおりでございまして、世界のエネルギーの四分の一を占めるアメリカが離脱をしたということは、これは非難されてしかるべきことだろうというふうに思います。

 私は、実はきのうまで大連のWTOの非公式会議に行ってまいりましたけれども、やはり、途上国、特に大連では開発という観点からの議論が多かったんですけれども、やはり開発をするためには、先進国の責務あるいはまたリーダーシップというものが強く改めて確認されました。

 この環境においても、やはり先進国が責務を負い、リーダーシップをとっていかなければだめなんでありまして、そういう意味で、アメリカが離脱をしているということは、この責任というものは、今御指摘のように、これから百年間四度上がるという試算もあり、これは大変なことで、多分、生態系以前に、地球の氷河等々を含めて大変な変化、地図が変化しちゃうんじゃないのかなということをまず思うわけでありまして、そういう意味で途上国も巻き込んでいかなければならない。

 そうすると、ナンバーワンのエネルギー消費国でありナンバーワンの先進国であるアメリカがむしろリーダーシップをとるべきことであって、おれは知らないよということであっては、やはり途上国に対して参加を促す上で大きな問題点になりますので、今、江田委員、一つの巻き込むための提言をいただきまして、大変貴重な提言として、それも踏まえて、いろいろなアメリカを巻き込むためのあの手この手を今後考えていかなければならないと思っております。

江田委員 アメリカ、そしてアメリカを初め、やはり各国が参加しやすい、また参加できる、そういう枠組みを、ポスト京都議定書、二〇一三年以降考えていくことが最も重要だと思いますが、大臣におかれては、そういう魅力的なプロジェクト、これをどんどん日本としても進めていく、そういうリーダーシップをぜひともとって、米国の参加を促していただきたいと強く思います。よろしくお願いいたします。

 時間があるようでないわけで、かなり用意していたのをちょっとカットいたしまして、先に進ませていただきます。

 私は、省エネ法の改正について次に質問をさせていただくわけでございますが、その中で、特に重要な国民の意識改革について、また国民行動の目安とその普及についてまず質問をさせていただきます。

 我が国のエネルギー使用量の約三割を占める民生分野のエネルギー使用量も増加し続けておりまして、二〇〇三年度のエネルギー使用量は九〇年度と比べて約三〇%増加しているという状況であります。この分野において省エネの取り組みを進めるためには、国民一人一人が自分の問題として取り組むことが不可欠でございまして、省エネや環境についての意識を一層高めて、自発的に取り組みを進める環境を整えることが必要と考えます。

 今回、電力会社やガス会社、家電の小売業者に対して省エネ情報を国民に提供する仕組みを制度化するということでございますが、この効果がどれほど期待できるのか、国民生活にどのようにこれを実効性あるものにしていくのかということをお伺いしたいと思います。

 さらに、国民の意識改革についてでございますが、やはり国民一人一人が自分の問題として取り組み、その行動を起こすことが必要不可欠でございまして、そのためには、環境税などの課税という痛みによりこの目を覚まさせるというやり方もあるかもしれませんけれども、いきなりそのような方法に持ち込んでいいのか。そうではなくて、まず国民への積極的な意識改革を進めてきたかどうかが今問われていると思います。

 今、産業界は自主行動計画をつくって、生産活動から二酸化炭素の排出量削減に取り組んでおります。政府や地方自治体も、みずからの公的サービスに関して削減を行う率先計画を策定しているわけでございます。そこで働く企業経営者、従業員、公務員、そしてその家族、奥さんとか子供さんとかおじいちゃん、おばあちゃんたちがいらっしゃいますが、さらには学校や地域における活動などを考えますと、こうしたつながりだけで国民の相当数に上ると思います。

 国民全般の意識改革となると、漠然としてどう対応していいか、政府もこれは手をこまねいているわけですけれども、こうした特定の国民集団に対しての意識改革を進めれば、極めて有効に働くと考えるわけでございます。

 これまでの地球温暖化対策大綱にも国民各層の努力がうたわれているわけでございますけれども、しかし政府は、今回の見直し作業の中でそれを評価することもせず、放棄しようとしているように見えますが、これまで政府として、国民の意識改革のためどのような取り組みをしてきたのか、また、その結果をどう評価して、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、これは環境省にお伺いしたいと思います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

小平政府参考人 情報提供の件につきましては、私の方からお答えを申し上げます。

 今回の省エネ法改正によりまして、電力会社、ガス会社といったエネルギー供給事業者につきましては、例えば、毎月送付されます検針票に前月、前年同月のエネルギー使用量と当月との比較情報を記載することや、消費者の御要望に応じて毎月のエネルギー消費量を、例えば過去一、二年分グラフ化して情報を提供すること、あるいは省エネルギーとなります機器の情報の提供等を求めていくことを想定いたしております。

 こうした情報提供の効果がどのようなものであるか、特に定量的に示すことは必ずしも容易でございませんけれども、消費者に対しまして情報提供を行うことによりまして省エネを図ろうとしました過去の試みといたしましては、省エネナビによります実証事業がございます。これは、エネルギー消費量や電気料金をリアルタイムで表示を行います省エネナビを各家庭に設置いたしまして、情報提供を行ったものでございます。平成十五年におきましては、これを設置いたしました二千八百世帯につきまして、平成十三年と平成十五年の夏季の電力消費量を比べますと、約一割電力消費量が減ったという効果が確認をされております。

 今後、関係業界の御意見を十分踏まえながら、具体的に効果のある仕組みを検討してまいりたいというふうに考えております。

小島政府参考人 国民の意識改革でございます。

 今回、ことしの四月に目標達成計画を閣議決定していただきましたけれども、そこの中にも国民運動を行うということがうたわれております。この意識改革というのは非常に重要なことでございまして、地球温暖化問題への国民の関心というものを行動に結びつけていくということがポイントかと思っております。

 これまでの取り組みは、例えば家庭におきましては給湯とモーターと照明、こういうことが非常に大きな部分を占めておるわけでございますけれども、例えば照明についての気づきをしていただくということで、夏至の日に「CO2削減・百万人の環」消灯キャンペーンなども実施しておりますし、最近は非常に、いろいろな方々が自分が見るメディアが決まっております。例えばこのテレビしか見ないとかこのラジオ番組しか聞かないとかこの雑誌とかは見ないというようなことでございますので、メディア別に多様化したアプローチをしようということで、各種のメディアあるいはそれぞれのタレントさんに協力をしていただいて運動をしております。

 これまでの成果でございますけれども、例えば消灯キャンペーンでございますが、企業の協力も得られつつありまして、例えば二〇〇三年でライトダウンに参加していただいたのが二千数百カ所でございますが、去年は六千数百カ所、ことしに入りまして急にまたふえていて二万二千ということで、着実に浸透はしてきているのかなと思っております。

 それで、今後でございますけれども、目標達成計画におきます国民運動でございますが、総理を先頭に国民運動をすべきだということが非常に各界から言われておりました。政府一体となって行うということで、目標達成計画が決定した次の日に、総理みずから目標達成計画が始まるということで全面広告を打ちまして、企業においても、総理が前面に立ってやるんだなということを印象づけられたということで、今、チーム・マイナス六%というのは政府のキャンペーンだけでなく、それぞれの企業の広告あるいは企業のテレビCMなどにも使っていただいております。このチーム・マイナス六%というものの運動はクールビズだけでございませんで、企業行動の広報活動の中にも浸透してきつつあると思っております。

 今後とも、企業あるいは国民一人一人の連携のもとに国民運動を進めていきたいと思っております。

江田委員 今お伺いいたしました、とにかく、地球温暖化対策の中で、京都議定書目標達成の中で民生、運輸というのが一番難しい。その民生部門において、これまでの対応等を今環境省の方から説明していただきましたけれども、私はここで一つの提案をしたいわけでございます。

 地球温暖化問題の重要性については、種々、これまでの対応等でわかってもらっているとは思います、国民に。しかし、具体的に何をしたらいいのか、ここが国民にはわかりにくいと思うわけです。家庭部門の排出量が目標を二、三割上回っているといっても、それが何を意味するのか。それから、実際に我々が、一人一人が何をすればいいのか、ここが理解されていないのが、今の民生部門での省エネ等のコントロールができにくいところではないかなと思うわけです。

 だから、国民一人一人の生活の中でわかるような目安を示すべきであります。例えば、四人家族の例であればどのような機器を入れればどれだけ家庭のエネルギー消費が減るといったメニューとコストを示すとか。それには、例えば最近省エネ大賞を受賞した魔法瓶ぶろとかいうようなものもございますよね。これを自宅に設置したら、六時間たってもお湯が二度しか下がらない。ヒートポンプとか高効率のガス給湯器なども有効だと思います。こうしたものを活用して、どのくらいの家庭のエネルギー消費量を減らすことが可能か。これは、国がわかりやすく示すことが重要であると思います。削減の定量的な目標を月額の例えば電気料金とかガス料金で示すことで、国民に意識喚起をさせることも考えられるわけでございます。

 このような内容を含む国民行動の目安を国が明示して普及させることで国民の意識改革を大きく進めることを、これまでも私主張してまいりましたけれども、ここで改めて提案したいと思いますが、これについて政府の考え方をお聞きしたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のございました目安でございますけれども、これにつきましては、本年四月に閣議決定をされました京都議定書目標達成計画におきましても、そういう目安を策定、提示し、普及啓発に努めるべきであるということが掲げられております。

 これを受けまして、七月十二日に、環境省とともに京都議定書の削減約束達成に向けた「国民行動の目安」を公表いたしております。これにおきましては、エネルギー消費量の削減の目安を国民一人一人が身近に感じられるようにするために、各世帯に期待されるエネルギー消費量の水準につきまして、地域別、住宅の形態別、世帯人員別、燃料種別ごとに分類してわかりやすく提示をいたしております。

 さらに、こうして得られました分類ごとのエネルギー消費量の水準につきまして、より国民の皆様にわかりやすい形として、家庭における電気料金やガス料金などエネルギー源ごとの支払い額に換算いたしましたものにつきましてもあわせて提示をいたしております。

 今後、この目安につきまして、普及啓発を図る、あるいはさらにそういうことを達成するためにどういうような具体的な努力が必要かというようなことも含めましてさらに提示をすることで、家庭部門の温室効果ガス排出削減に引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

江田委員 今申していただきましたように、「国民行動の目安」というのがやっと形として国民に公表、示されたということでございますので、この効果をしっかりと私も見ていく必要があるなと。

 きょうは、地球温暖化対策に対して、地球レベルでの、また世界レベルでの京都議定書さらにはポスト京都議定書の枠組みから、それと我が国においては国民、民生分野の省エネを推進するために、一つ一つ、国民一人一人が何をなすべきかわかりやすく示す必要があるというところで「国民行動の目安」が実現したというところまで質問させていただいて、また答弁をいただきました。

 今後とも、この省エネ法の改正をまた機に、地球温暖化対策を大きく我が国がリードして進めていけるように、私も大いにこれを応援していきたいと思っております。

 時間がもう来ましたので、きょうは国土交通省、せっかく来ていただきましたけれども質問ができなくて、おわび申し上げます。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

河上委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 省エネ法についての質疑でございますので、まずそのことについてお伺いしたいんですが、今回、この省エネ法を議論する中で、民主党の中で、随分各業界から、どんな形で省エネが進んできたのか、それについて話を聞きました。

 率直な印象として、我が国の各産業界というのは非常な努力をして、相当、これはもう本当に成果を出してきているな、そんな印象を私は持っております。これからこういった問題を考えるときに、もう一つ忘れてはならないのが新エネの方だというふうに私は思っておりまして、省エネは省エネできちっとやる、新エネは新エネで、では、我が国としてどう考えていくのか、これに関して大臣からお考えをお聞かせいただきたいんです。

 一つの契機としては、RPS法ですね。これがことしの十二月まで、来年から見直しということになっていますから、一つの期限がことしの十二月なんですね。今のところ、平成二十二年、二〇一〇年で一・三五%という目標になっておるんですが、この水準も含めて、もう少し前向きに考える余地が私はあるのではないかというふうに思っております。大臣の見直しに向けてのお考えをまずお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 RPS法に基づく新エネの増加というものは、今、細野委員御指摘のとおり、省エネと新エネというものを両立することによって、経済と環境の両立ということになります。特に、技術開発という観点からも、新エネというものは、日本は世界のトップランナーにいなければいけないと思っておりますので、そういう意味で非常に大事だというふうに思っております。

 そういう観点から、RPS法の義務づけというものも、平成二十二年度目標を置いてあることは、もう細野委員も御承知のとおりだと思いますけれども、この評価につきましては、関係審議会で鋭意やっておりますし、またやっていくわけでございます。それに基づいてさらにやっていきたいという御趣旨については私も全く同感でございますので、今後、この法律をどういうふうにするかという検討を、関係審議会の議論を踏まえて、また当委員会の御議論も踏まえまして、経済産業省としても検討をしていきたいと思っております。

細野委員 最近、私は、東シナ海の問題もあって中国のエネルギー関係者と非常によく会うんですが、最近、中国のエネルギー関係者が共通して言うのが、中国は新エネ一〇%という目標を立てたんですね、まあ、あの国の目標がどれぐらい実効性があるかは別にしてですよ。どうですか大臣、一・三五%という目標は、これはもう少し考えた方がいいんじゃないかと私は思うんですが、どんな印象を持っていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 率直に言って、私も、中国の一〇%、二日ほど前に中国の薄熙来大臣と一時間半ほどお話をしましたが、その半分ぐらいは実はエネルギー政策であって、とにかく中国、省エネ、新エネ技術しっかりやってくださいと。IEAの統計によると、エネルギー効率は日本の十分の一というか、十倍エネルギーをむだに使っているわけですから、せめて半分にするだけでもこれは世界のエネルギー状況にいい影響を与えますよと言ったら、ぜひ日本の協力を得たいということで、そこだけは一致しました。そこだけというと、まあ、あとほかの議論はいろいろやりましたので、ただし、時間としては半分ぐらいをそれに費やしたわけであります。

 例えば、オーストラリアとかブラジルとかアメリカとかカナダ、ヨーロッパの位置づけも高いわけでありますから、そういう意味で、日本は世界一の省エネ国家、また環境にも配慮しているというだけではなくて、新エネあるいは再生可能エネルギーについても、もっともっと日本としては高めていくべきだと私自身は思っておりまして、そういう観点からまた御議論をいただきたいと思います。

細野委員 次にお伺いしたいのが、あの東シナ海の同じく日中の間に横たわっている大きな問題でございますが、これについてはきのう大きな動きがありました。試掘権の設定、これについて許可を出された。このことは再三再四この委員会でも申し上げてきましたので、その決定に対しては非常に多としたいなというふうに思います。

 そこで、短くて結構なんですけれども、一方でよく言われていることは、試掘権の設定まではやるんだけれども、実際、日本は掘れないだろうということがいろいろなところから言われております。いつ、どういうふうにというのは、外交上もありますし、実務上の問題もあるので、そこは答弁を求めませんが、実際に掘るということについて大臣、どうお考えになっているのか。また、その中で日中協議、これからどの部分にポイントを絞ってやろうとされているのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 三十数年前から申請があって、今回改めて申請について検討した結果、昨日、ああいう決定をさせていただきました。関係者は、本当に長い間待ち望んでいた決定だといって大変喜んでいただいておりますけれども、これでもって何かマスコミでは日中間でとんでもない紛争が起きるんじゃないかとか、これで果たしていいのだろうかという一部論調がありますけれども、これは粛々と、中国の開発開始以前からずっと日本の国内業者が申請していたことであって、それについて、鉱業法に基づきまして手続をしたわけでありますから、付与した会社が実際試掘するかしないかは、私はビジネスの話だというふうに思っております。

 ただ、きのう記者から質問があって、安全についての法整備はどう検討されていますかと言うから、残念ながら政府としては検討しておりませんけれども、細野委員も含めた超党派の議員連盟で大変今鋭意検討していただいていることを評価し、期待をしているという答弁をさせていただきましたので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 いずれにしても、次に試掘するかどうかは当該石油会社の御判断でございますけれども、付与した以上は、幾つかの前提はありますけれども、ぜひやっていただいて、日本のエネルギーに貢献をしていただきたいというふうに思っております。

細野委員 ありがとうございました。

 非常に前向きな御答弁をいただいたというふうに思います。

 前向きな話はここまででございまして、ちょっと今度は、また例の件に戻って質問したいというふうに思います。

 先ほど、ずっと私、私の後の委員の皆さんの質問も聞いておりまして、ぜひちょっとそこの部分について掘り下げて聞いていきたいと思います。

 まず、これは官房長にお伺いしますが、二十三日に朝日新聞に出るということがきっかけになって公表したのではないかという高木委員の質問に対して、いや、違うんです、その証拠に、北畑局長に関しても戒告を出して、戒告を出したらこれは公表しなければならぬというふうにおっしゃいました。六日にいわゆる中富さんの諭旨免職をして、十六日間たって二十二日に北畑局長の戒告があり、二十三日に新聞にも出て公表もしているわけですね。では、この二十二日の戒告処分と二十三日の新聞発表というのは、これはタイミングは偶然ですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 二十二日に大臣に御説明したのは、先ほど申し上げましたように、六日から、事実関係の確定とか、それから北畑経済産業政策局長に対する処分がどういうものがいいかというのを検討してまいりまして、結果的に二十日前後にまとまり、二十二日に大臣に上げたということでございます。したがいまして、二十二日の午前中に大臣に上げたというふうに記憶をしているところでございます。

 したがいまして、二十三日に朝日新聞の記事が出るなんというのは、その時点では私ども全く予想しておりませんし、知り得る立場になかったということでございまして、偶然だと思います。

細野委員 ちょっとお伺いしたいんですが、北畑局長は、では戒告の話、懲戒の話、戒告になりそうだと聞いたのは、これはいつですか。

北畑政府参考人 中富前企画室長がやめる六月六日の少し前であったと思いますが、次官、官房長から、中富君がやめることになった事情を伺いました。そのときに私は、当時、私、官房長として上司でございましたので、そのことについて責任があると申し上げました。

 処分について次官から通知を受けたのは、二十二日であったと記憶をいたしております。

細野委員 しつこいようですが、二十二日の何時ですか。戒告について聞いたぐらいですから、どのタイミングでどういうふうに聞いたかというのは、はっきり記憶されていますよね。

北畑政府参考人 正確な時刻は記憶をしておりませんが、午後であったのではないかと思います。

細野委員 今、官房長、午前にそう言ったと言いましたよね。午前に報告に行って、何で北畑さんが午後に聞いているんですか。おかしいじゃないですか、今のだって、もう。

鈴木政府参考人 二十二日の朝に大臣に御説明をして、御了解を得たということでございます。

細野委員 北畑局長の処分を本人に通知する前に大臣に言ったんですか、午前中に。その後本人に通告した、そういうことですか。

中川国務大臣 さっきも申し上げましたが、二十二日に中富前企画室長のその時点での全容の報告を受け、そして私が、できるだけこれはわかったこと、あるいはまた何かをするのであれば公表すべきであるというふうな指示を出したのが午前中、九時過ぎか十時過ぎから一時間半ぐらい、次官、官房長からいろいろ報告を受けて、早急にやるべきであるという指示を出しました。その中で、当時の監督者であった北畑前官房長についてもこういう処分をしたいということなので、とにかく、まあちょっと言い方が乱暴ですけれども、こういうときにはきちっとした処分が大事ですから、官房長、前官房長に限らず、処分はどんどんやるべきであると。ただ、それは事実に基づいたものでなければならないですけれども、そういうことで了承したのが午前中でございます。

 それで、私が了承して、これは国家公務員法上の処分でありますから、当然私の許可を得て、そして決定をし、今の北畑官房長の話ですと、午後、そのことを言い渡されたということでございます。

細野委員 処分を本人に前に通知するのか、大臣に通知をするのか。中富さんの場合は、六日に本人に通知をしてやめてもらって、十数日して大臣に報告をしているわけですね。北畑局長の場合は、本人に言う前に大臣に決めてもらって、そして、その後本人に通知しているんですね。通例、どっちなんですか。本人に先に通知をするのか、大臣に先に相談をするのか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 通例は、もちろん大臣に御了解を得て、その旨を後で本人に伝えるというのが通例でございます。したがいまして、中富の場合につきましては、私ども、そういう判断がまずかったということで陳謝し、処分も受けているところでございます。

細野委員 いや、今の話だけ聞いても矛盾しているんですよね。中富さんのは諭旨免職という、国家公務員法のもちろん懲戒ではないけれども、より重要な処分を下したのを大臣に後から報告をして、北畑局長の件は、これは先に報告をしているというふうに、矛盾をしています。

 大臣、こういうふうにおっしゃっているんですね、記者会見の中で。これは六月二十九日ですが、六月六日の時点で処分をして自分に報告がなかったということは、その時点では隠したと言われても仕方がないのではないかということです。我々委員も、これは与野党問わず、これは隠すつもりだったのではないか、率直にそう思っています。そういう質問がさっきから何回かありました。大臣は、これは本音の部分ではどう思っていらっしゃるんですか。

中川国務大臣 いや、ですから、二十二日については、先ほどの細野委員にしても高木委員にしても塩川委員にしても、御質問されていることについては、二十二日の時点では全く同じような疑問を持ったわけでございます。

 中富の場合には、依願退職と法律上は同等の扱い。依願退職であっても、いわゆる管理職、室長ですから、先ほど申し上げたように、どういう理由でということを報告があったり、私が聞くわけですけれども、今回の場合、六月六日は、私が聞いたかどうかはちょっと記憶にないんですけれども、そういう報告をしなかったということでありまして、私としては、まあいろいろな事情があったと。それに、やはり捜査当局との関係というのはある意味では重要でございますので、我々としてはそういう配慮も事務当局にあったんだろうと思いますけれども、いずれにしても、細野委員初め普通の常識でいえば、ほかの場合には、公務員の、やめるという重大な決定を本人がされるわけでありますし、それを認める、あるいはまた今回の場合は諭旨ということでありますから、報告が私になかったということは、そういうふうにとられても仕方がないのではないかというのが私の印象であります。

細野委員 先ほどからもずっとありますが、捜査当局への配慮というのは、これは外向きにはいろいろあるかもしれませんよ。国会向きにもそれはいろいろあるかもしれませんが、事大臣に関してはそれは関係ないですよね。それはわかった上でおっしゃっていると思いますが、大臣、ここは余り遠慮なさらずに。隠したと私は思います。その中で、この六日から二十二日の間、それ以前も含めて、それぞれ皆さんの中で相当いろいろ口裏合わせもあったと思うんですよ。それも含めてきちっと調査委員会で調べられたらどうですか。

 というのは、私、組織として裏金をつくっていた人間がいて、こっそり諭旨免職でやめさせて、それをトップたる事務次官と官房長が仮に隠していて、会社でいえば、背任をしている部下をかばって役員がそのままやり過ごしたというようなものですよ。そういうことを許して、果たして経済産業省という組織がもつんですかということを聞きたいんです。

 今、この二人は隠していないとおっしゃっているので、ちょっと報告がおくれたということで訓告という、国家公務員法の規定にもない、注意です。何ら法的な効果もないし、記録にも残らない。記録には経済産業省の中では残るのかもしれないけれども、報告には残らない訓告という処分になっています。その事実解明と、仮にその事実解明の中で、そこでこれは隠匿があったということであれば、この処分も含めて見直す必要があると思いますが、大臣、どう思われるか、お答えください。

中川国務大臣 いや、ですから、戒告という国家公務員法上の処分と、それ以外の諭旨免職なりとは、ある意味では、官僚の世界では雲泥の差があるらしいんですね。あえてそういう処分をしたということは現時点の事実ですけれども、先ほども申し上げておりますように、氷山の一角であったとは思いたくありませんけれども、これから外部調査委員会、あるいは内部の委員会、また当委員会でのいろいろな御指摘等々を踏まえて、一たんやった処分は、現役であろうがあるいはOBであろうが、新たにというか、最終報告書を調査委員会が出していただいたこと等を踏まえて、やり直しというよりも、そのわかった事実に基づいてきちっとした処分なり対応をするということで、この現時点での処分が決して最終的な処分ではないというふうに思っていることだけは御理解いただきたいと思います。

細野委員 では、確認ですが、その間の隠匿の部分も含めてきちっと調査委員会で調べてもらう、そういうことでよろしいですね。

中川国務大臣 もちろん、そうです。

細野委員 わかりました。

 では、次に行きたいと思います。

 きょうはそれぞれの歴代の室長さんにも来ていただいているので、簡潔に一つずつ聞いていきたいと思います。

 中富室長が就任をしたのが二〇〇三年七月、そして二〇〇四年の四月に二千九百万という、三十八ですか、三十八の通帳のうち十六の通帳から二千九百万を現金化して、二千四百万を株投資に使っているということが記者会見でも出ています。そして、そのうち、この経緯が記者会見の中でよくわからないんですが、中富室長が佐味室長に交代をした二〇〇四年の六月、もともと二千九百万あってそれぞれ通帳に入っていたものを、千五百万を現金で佐味室長に渡しているというんですね。現ナマ千五百万ですよ。それを役所の中で渡したわけですよね。私が疑問なのは、佐味室長というのは、この千五百万もらったときに一体どうだったんだと。一年前のことですよ。現ナマやりとりしたんですか、そこの経緯を教えてください。

佐味政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、引き継ぎ前におきましては前室長の中富氏の個人名義の通帳において管理されていたというふうに引き継ぎ時に中富氏からは聞きました。しかしながら、引き継ぎ時には現金の形態で私は預かりました。

 以上でございます。

細野委員 現金もらって、まあそうですかということで懐に入れられたわけですな。どうやって管理したんですか。

佐味政府参考人 お答え申し上げます。

 引き継ぎのときには現金の状態で預かりましたが、安全等を考えまして、その後、現室長である私、佐味の個人名義の通帳で保管をしてまいりました。

細野委員 個人の口座に入れるというのは、これは横領じゃないんですか。自分の通帳に移したんでしょう。

佐味政府参考人 客観的にどのように御判断になるかというところにつきましては、私自身、非常にじくじたるものがございますけれども、私自身は、当時、安全ということで頭がいっぱいでございました。

細野委員 いや、もう余りこの辺についてコメントしようもないので、あとは捜査当局にお任せをしますが、では聞きますが、その後やってきた千六百万は、これはどこに入れたんですか。千五百万もらって、その後株投資から返ってきて二百万ふえたという、これも何かとんでもない話ですが、それはどこに入れたんですか。

佐味政府参考人 千六百万円の残りのお金があったという御質問でございますけれども、そのうち五百万余につきまして、私は、ことしになりましてから中富氏からまた現金の状態で預かりました。しかし、その残り、差額であります千百万につきましては、私は目にしておりません。

細野委員 千五百万もらって、それがどういうお金かという、どういう説明をされたのかというのも問題ですが、管理のあり方としても、その後五百万もらう、これは通常の金の渡し方ではあり得ないし、組織としてもあり得ないですよね。

 これはどなたかに相談はされたんですか。上司に報告をされたんですか。

佐味政府参考人 お答え申し上げます。

 もとより、本来であれば一人で判断することなく直ちに上司に報告すべき、そしてまた、適切な対応につきまして相談をすべきことであったというふうに認識しております。したがいまして、極めて不適切な対応だったということを深く反省しております。

細野委員 今、室長にもう一回お伺いしますが、その千五百万、五百万のお金を受け取ったときに中富さんからどういう説明を受けたんですか。

佐味政府参考人 お答え申し上げます。

 それまでは複数の通帳に分かれていたものであった、そしてそれを現金の形にして御自分の通帳において管理をしていた、そういうふうに聞いております。

細野委員 本人の通帳に入れたこと、仮に管理ということであえてこれは目をつぶるとしても、中富室長がわざわざ個別のプロジェクトごとになっていた口座から現金を引き出して千五百万持っていた、それが二回に分けて出てきたということは、これは横領の疑いがあるというのは当然室長はわかったでしょう。

佐味政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、現金の形で多額の資金、お金を渡されるということについて、異常なことであるという認識はございました。

細野委員 大臣には後ほど聞きますが、きょうお配りをした資料をごらんいただきたいんですが、日自振から産研を通じて配られたお金の金額なんですが、私、当初は、この二千数百万ですか、このお金についてということだったので、まあ、その程度のお金かというふうに実はちょっと思っていたところがあるんですね。ところが、実際、日自振から産研へ行っている金額、これを見ると、各年五億円から六億円なんですが、ちょうどこのプール金になっている昭和六十三年から平成五年にかけてというのは、金額はバブルで物すごく大きいんですね。全体を足し合わせると、大臣、百十二億円です。この百十二億円を官房企画室で預かっていて、それを、采配を振るっていたんですね。

 これは官房長に聞きますが、三十八口座があって、そのうち十六には現金が入っていて、それは引き落とした。三十八引く十六で、二十二はお金が入ってなかったということですね。この金額からいって、三十八しかなかったことなんてあり得ないんですよ。それぞれのプロジェクトごとに口座ができていて、ゼロになっているものも口座として二十二も残っていたというんだから、ほかにも通帳はあったでしょう。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 中富前室長からは、引き継いできた通帳として四十五口座の提出がございました。それ以外の通帳の存在などにつきましては、現在のところ、私どもは把握しておりません。

 それで、これまでの私どもの調査では、捜査当局の捜査に影響を与えない範囲のものであったため、事実関係の把握は必ずしも十分ではございませんでした。本件の徹底的な究明のため、先ほど来外部有識者による外部調査委員会を設けたところでございますので、この委員会におきまして、これまでの経緯、資金の使途等について専門家による徹底的な調査が進められることを期待しております。御指摘のような点もこの委員会で解明されるというふうに考えております。

 以上でございます。

細野委員 今、三十八が四十五になりました。

 さて、これからが問題なんですが、歴代の室長さんに伺いますが、北畑局長に何度か質問させていただいているので、平成七年の七月に官房企画室長になられたときには四十五でしたか。それ以上あったんじゃないですか。

北畑政府参考人 責任逃れをするつもりは全くないんでございますけれども、私が平成七年の七月から翌年の六月まで約一年間企画室長をしておりましたこのときに、今御指摘の預金通帳というものは室長が管理をしていたという事実はございません。

細野委員 いや、だとしたら、そもそもこの事務次官の報告は全部パアになるじゃないですか。この間管理をしてきたので、その以降は直しましたのでありません、そういう話の報告書になっているでしょう。

 では、北畑局長はこの口座の存在を知らなかったということですか。――ああ、それはちょっと、そもそもこの報告自体やり直していただいて、もう一回やってもらわないと、これはもう話が続かないですよ。

 では、ほかの局長さんも来ていただいているので伺いますが、きょう来ていただいているのは森川課長ですね。森川課長は口座を管理していましたか、していた上でその口座に手をつけたことがあったかどうかも含めてお答えください。

森川政府参考人 お答えいたします。

 私は、前任者から通帳の入った紙袋を引き継ぎました。これは、私、この中に何冊通帳が入っていたかというのは確認しておりませんので知りませんけれども、複数の通帳があったというふうに記憶しています。それで……

細野委員 いや、結構です。

 では、官房長に聞きますが、歴代何代前まで企画室長が口座を管理していたかということを把握されているんですか。

鈴木政府参考人 何年度かというのは明確にわかっておりません。私ども、聞いた限りでは、すべての企画室長が引き継いだわけではなくて、ある場合は企画室の課長補佐であったりとか、そういうことだろうと思っておりまして、今後それは、まさに外部調査委員会が関係者を呼んでそこら辺の真相をきちっと突きとめるということだろうと思っております。

細野委員 中富室長の話であれば、さまざまな捜査上の理由でここで十分答えられないとか、すべて明らかにならないということは、これは理解はできます。ただ、その前に関しては、これはまさに競輪のお金という公金がそれこそどう使われていたかという問題ですので、これは国会としても調査をしなければならないというふうに思います。

 これは大臣にも認識をしていただきたいし、委員の皆さんも認識していただきたいんですけれども、百十二億ですよ。これは金額がすごく大きいです。私も調査をやっていた人間なのでわかりますが、研究者の謝礼なんというのは、それこそ一回審議会へ出てきて議論をしても、二万とか三万なんですよ。原稿料というのは、これはもう本当に余りお金にならない世界でして、そんなにお金はかからないですね。研究そのもので百十二億、六年間とはいえ本当に使ったのか、一体これは何に使っていたのかという根本的な疑問を私は持っています。

 過去も含めて、大臣にきちっと調べていただきたいということと、あと、個人攻撃のようで恐縮ですが、佐味室長は官房企画室長をやめていただかないといけないと思います、それを知っていて言わなかったんですから。それも含めて大臣には御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 百十二億というお金も、それは公金であり、少なくとも自分のお金じゃないものをいろいろ引き出したりする権限があった。まあ、権限というか、委託されての権限ですけれども、あったということの重さが第一点ですね。

 それからもう一点は、今のように、一千五百万をぽんと預かるとか、通帳を何十冊もぼんと預かるとか、そして、実はけさ佐味室長にこの話を聞いて、私も正直言って愕然としたんですけれども、気持ちが悪いから保管のために自分の個人の口座に入れましたと言うので……(発言する者あり)今ちょっと、不規則発言の中にもあるような疑惑を持たれてもしようがないだろうということをさっき彼に注意したんですけれども、本人にはそういう意図がなかったというふうに私は信じておりますけれども、一たん自分の口座に、私的な口座なのか、本当にプライベートの口座なのかと確認したら、そうだと言うんですね。本人も言っているとおり、これはうかつだったと思います。

 ただ、いずれにいたしましても、今、北畑官房長あるいはその他の室長経験者が言っていることに一様でない部分があるということが当委員会の御質問によってわかったわけでありまして、これ自体は別に何ら驚くことはないと思っております。つまり、何も企画室長が歴代、完全に引き継いでいるんだということではないということがとりあえずこの発言でわかったわけであります。

 いずれにいたしましても、要は、今、徹底的に外部調査委員会でも企画室長を歴代呼んで細かく調査をしておりますし、通帳の方も調査しているようでございますから、その結果を待って、先ほどの処分も含めて、今、佐味をどうするのかというお話がございましたけれども、すべて、これは本人の身分にかかわる問題でございますから、そういうものも含めて、私はフリーハンドで、これからの当委員会の御審議も踏まえまして、その上でやっていきたい。私としては、個別の、小出しの処分だけはしたくないと思っております。

細野委員 企画室長については、きょう聞かれたということですので、これからお伺いいただくということで結構であります。

 あとは、調査委員会の報告は我々はしっかり見ておりますが、一方で、これはまさに国政に深く関わるテーマでして、それと並行して、刑事事件になっているものでもありませんので、国会でぜひ歴代の官房長と特に企画室長、この方を呼んで、きちっとお一人お一人にどういう管理をしていたかということを改めて聞くように委員会を運んでいただきますように、委員長にお願いをいたします。

河上委員長 後刻、理事会で協議いたします。

細野委員 そのときにまた聞かせていただくということを改めて申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田でございます。

 省エネ法の質疑時間が、そういった経産省の裏金の話の質疑のようになっております。いろいろな方々の御意見をお聞きしておりながら、捜査中、捜査当局にお任せしている部分が大きいとはいえ、やはり部内の問題であって、だれからだれに渡ってだれに渡した、そして自分のときにはどういうことに使っていた、こういうことが部内で明らかにできないということは、やはり省庁内の調査能力あるいは自浄能力というものに疑いを向けざるを得なくなってしまう。ですから、ぜひそういったところで、捜査と並行して、省内での努力というものをお願いしたいというふうに思います。

 そして、斜めに物を見た言い方ですけれども、各省庁がこういった公営ギャンブルに関してつくってきた一つの自己資金、こういったものは昔からいろいろと問題があったことを大臣も記憶なさっていると思います。JRAでも、船舶振興会、日本財団、そういったところでも、やはりそういった補助金のシステムというものに何度かそういった問題点というのは指摘され続けてきたことがある。やはり内閣としては、繰り返されたことではありますけれども、こういった資金のあり方、そして一つの監査の仕方というものをもう一度改めて精査してみるというよいきっかけになるのではないかなということを意見としてお伝えして、質疑に入りたいというふうに思います。

 法案の方、珍しく法案について淡々と質疑をさせていただきます。

 こちらの法案も大きな一つの京都議定書の目標達成計画と連動して出されてきた改正案というふうに思いますけれども、規制対象あるいは義務対象といいますか、そういった範囲が今までより大きく広がっていること、そして、運輸事業でありますとか、そういった新しい分野にも手をつけていただいていますし、幅広い義務と規制を課すというところでは、今の時代の流れの中である程度の評価をいたしたいというふうに思います。

 ただ、これまでもあった法案での改正ということで、一番大きな大口エネルギー利用者、そして今度新しく入る運輸事業者、そういったところでのカバー率といいますか、この規制による捕捉範囲といいますか、いろいろな報告、計画を出せという対象になる業者の業者数、あるいはエネルギー消費量に対しての捕捉の割合といったものを省庁の方から報告していただきたいと思います。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の改正によりまして、まず工場、事業所でございますけれども、現在、約一万が規制対象になっておりますけれども、今回、熱と電気を一体的に管理する対象にするということで、これが一万三千程度に拡大をするということになると考えております。

 また、エネルギー消費量に対しますカバー率といたしましては、現在、産業部門全体の約七割をこの一万件でカバーしているというふうに思いますが、これが八割に拡大をすることになるというふうに試算をいたしております。

 また、運輸部門の中で、今回、輸送業者と荷主の双方を規制対象にいたすわけでございますけれども、荷主につきましては約二千社程度、日本の総輸送量、いわゆるトンキロということで計測をいたしております総輸送量の約五割程度がこの対象になるものと試算をいたしております。

奥田委員 今の対象範囲が広がるということ、これまでも省エネという取り組みについては、そういった対象になった企業からある程度の効果が上がってきているということは報告を受けていますので、またその範囲が広がるということで大いに期待をしたいと思います。

 そしてもう一つ、今回の改正の中で、管理者、エネルギー管理士という名での管理者の改正というものが入っております。これは、今までは熱、そして電気といった分野別に専門資格をつくって、各企業での日常管理と将来計画といったものを管理者として立てていただいていた。これが統合する方向で法案が出されている。これに対してはかなり、一つの意識調査、意見調査の中でも、現状維持でだめなのかという意見が多くあったというふうに記憶しておりますし、そしてまた、かなり難しい高度な資格試験であるということも聞いております。

 この点について、統合しなければいけない必要性、確かに時代の流れとしてエネルギー関係のシステムというのが統合されつつあるような流れにあることはわかりますけれども、それに伴って資格というものを統合する必要性があるのか、そこの点についてお伺いしたいと思います。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の、熱と電気を今度の法律で一体的に管理をしたいというふうに考えておるところでございまして、その理由は、御質問の中でも触れていただきましたけれども、コージェネレーションでございますとか、ヒートポンプ技術でございますとか、熱と電気を一体的に使うことによってエネルギー効率を高めていきたいというような技術も随分進展をしてまいりまして、そういったものを導入される企業もふえてきているという実態がございます。それも、ここ数年で非常にこれが進んできているという実態があるわけでございます。

 また、お触れいただきましたように、京都議定書が発効するということで、この国全体としてもどうやってエネルギーの効率的な利用ができるかというような点を考えまして、そもそも規制の対象を、熱だけはかる、あるいは電気だけはかるというやり方ではなくて、熱と電気を合わせた形でどのようにエネルギーを使っておられるのかという形で規制を考えるというふうに、今回、考え方を変えてきたわけでございます。

 その際、御質問でも触れていただきましたように、企業においてその計画を立て、管理をしていく中核は、管理士という資格を持っておられる方にお願いをするわけでありますけれども、今のような形で熱と電気を両方見ていくような形で企業の管理をしていく際には、管理士の方にも両方のことをおわかりいただいてやっていただくようにしていく必要があるのではないかというふうに考えた次第でございます。

 議員御指摘のように、私どもも、管理者の方がどのようにいろいろなことを考えておられるのか、折節、関係団体でアンケートなどもしておりまして、三年前に実施いたしましたアンケートでは、熱と電気というのは別にあわせてやらなくてもいいんじゃないかとお考えの方もある程度の数おられたということは承知してございますけれども、今御説明申し上げましたような技術の進歩、あるいはエネルギーの使い方、あるいは環境も変わってまいりましたので、統合した資格として今後運用していきたいというふうに考えている次第でございます。

 ただ、御指摘ございましたように、これは大変立派な資格でございまして、高度な知識を要することになるわけでございます。新しい制度では、熱と電気と両方わかる、より立派な管理士の方をお迎えしたいと思っておりますけれども、例えば、今、八万人おられる管理士の方で、熱と電気の資格をあわせて持っておられてもともと両方おわかりになるという方は、資格の面では、八万人のうち三千人程度であるということでございますので、一定の経過期間の中で、今の管理士の方々に、場合によっては試験科目等が軽減された部分で、持っておられない方の資格の試験を受けていただくということもありましょうし、特別な研修制度というものを設けまして、片方の資格をお持ちの方がそういった研修制度を受けていただければ全体の資格があるというような仕組みはできないだろうかというようなことを、五年程度の経過措置の中で現実的にやっていきたいという考えでございます。

 具体的にどのようなやり方をさせていただくのが適当か、関係の審議会の御意見なども賜りながら、無理のない、しかして実効性の上がる制度として、新しい仕組みを回していきたいというふうに考えている次第でございます。

奥田委員 今のお話だと、今回の法案では、ただ、改正案として入っているわけですよね。五年程度というかなり長い経過措置の中で、今までの二つの熱と電気の資格と、今度統合したエネルギーの管理者という資格が、三つ、数年間並行して混在するということになるんですか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 この改正法が施行されますと、熱と電気を一体的に管理をすることになります。管理士の方にいていただくということも、法律上決まっておる次第でございます。

 そのときに、熱と電気の両方の資格を持っておる管理者の方という数が少のうございますから、五年間の経過期間に、管理士を置いて管理をしなさいというその管理士の方がどのような資格を持っている方でなければならないだろうか。例えば、熱と電気両方資格を持っている方であれば一人で済むんですけれども、熱だけの資格を持っておられる方、電気だけの資格を持っておられる方、そういう方が二人でやっていただければいいのではないかというようなやり方で、どのような管理士を置いていただくかという意味での経過措置も設けてございます。

 それから、片一方の資格を持っておられる方がどういうやり方で両方の資格を持てることになるのか。一番簡単なのはもう一回試験を受け直していただければいいんですけれども、そういうことを強いるのではなくて、追加的な試験を受けていただく、あるいは試験にかわるものとして特別の研修を受けていただく。そういうようなやり方でも新たな両方の資格を持つような管理者になっていただくという資格面におきまして、あるいは管理者の置き方の問題として、この二つ、経過措置の問題がございまして、この経過措置をこの法律の中で規定をさせていただきながら、無理のない形で移行をしていきたいというふうに考えている次第でございます。

奥田委員 どのような形が無理のない形なのか、ちょっと私もひとつ提言をなかなかできないですけれども、例えば合格率一つ聞いても、やはりこれはかなり高度である。

 今おっしゃったように、もしそういった熱や電気を測定して、あるいは義務づけられている政府の報告書を書くという程度が仕事の中心であるというのなら、併用することはできると思います。だけれども、大きな工場の、あるいはプラントの、そういった熱を使う仕事の最先端の技術の計画を会社の一人の責任者として立てていかなきゃいけないような仕事が、資格を一緒にしましたからすべてあなたはエネルギーに関してのオールマイティーの方で仕事をしてくださいというのは、少し現実的に無理があるんじゃないかなと。

 私も、例えは悪いですけれども、英語をしゃべれる人が中国語もしゃべれないと通訳とは言わないよというようなくらい、技術屋から見れば少し乱暴な話に聞こえてくるような資格の改正ということになってきますので、研修や人材育成の中で、やはり慎重で、そしてまた、今資格を持っていらっしゃる八万人ですか、そういった方々、あるいはその方々に作業していただいている会社の方も納得できる姿が出てこないと、ちょっと今のままだと、省庁側の理屈はわからないでもないですけれども、それが周辺に納得されないまま出されてきているような姿に見えますので、ぜひ十分な検討をいただきたいというふうに思います。

 そして、前に参考人の方からいろいろとお話も聞かせていただきました。その中でちょっと私の理解不足もあってなかなかわからない部分があったんですけれども、それは、エネルギーに関する企業秘密という部分なんです。そのほかにも化学物質だとか原材料の部分で企業秘密というのがいろいろ言われたことがあります。そちらの方は理解できないわけではない。だけれども、熱量、エネルギー量というのが、どういう分野でどういう理由で企業秘密になるのかということを詳しく教えていただいた方は余りいなかったんじゃないかなというふうに思います。

 そして、企業の代表の方のお話、あるいは経産省のお話、そしてNPO側、何か聞くところによると一部では訴訟みたいなのも起きているというふうに聞いていますけれども、NPO側が要求している情報公開というものが、同じ話をしているんだろうかというようなことが少し気になったりしたわけです。

 このエネルギーと情報公開、企業秘密という部分で三者が、企業と行政とNPOとか情報公開を求める側が、どういう主張をしてどこが食い違っているのかということを、ちょっとわかりやすく教えていただきたいと思います。

岩井政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、この法律では、エネルギー管理指定工場に対しまして、燃料種別ごとのエネルギー使用量でございますとか、具体的にどのような設備を使ってどういうふうに動かしているのかというようなことを、年に一度定期報告の形でお出しいただいているわけでございます。

 これは何のためにやっているかということになりますと、まず、企業に自分のエネルギーの使い方を客観的にきちんと把握をしていただいて、みずからエネルギーの合理化計画をつくっていただくというある種自主管理的なものとして企業にまずつくっていただいて、その上でそれを国に御報告をいただく。国の方では、それを見せていただきまして、仮に必要があれば例えば改善命令を国の方からお出しするというような形で、国の方で、省エネルギーの達成率が悪ければ、必要があれば必要な措置をとる、こういうことが必要でございますので、企業の自主管理と国が追加的にすべきことについて必要最小限のデータをお出しいただいているということがあるわけでございます。

 恐らく、議員御指摘の点は、CO2の排出量その他が非常に重要になってきていて、それぞれの個別の企業でどんなCO2を出しているのか、エネルギーを使っているのかというようなことを広く開示することが要るのではなかろうかと。今申し上げましたようなことで経済産業省がそういうデータを持っているのであれば、そのデータを見せてもらえればどのようなCO2の排出量なのかがわかるので、それを出してもらえないだろうかというようなお話があるということであろうかと思います。

 その際、今申し上げましたように、私どもがそうしたエネルギーに関する情報を持っておりますけれども、それは、先ほど申し上げましたように、必要があればこの法律に基づいて必要な措置をさせていただくためのデータ報告でございますので、それを目的外に一律に外に、こちら側から一方的にお出しをするということはできないというのが法律の仕組みでございます。

 その際、そうであれば、役所が持っております情報であるので、それを情報公開法にのっとってその請求ができないだろうかというような形で、情報公開の請求をいただいているような例があるわけでございます。

 私どもは、今のような形になりますので、私どもの方から一方的に出すことはできませんので、事業者の方に対して必要に応じて意見照会をさせていただいて、開示ができる場合には開示をするということになるわけでございます。

 その際、企業の方でどのような御判断があるかということでございますけれども、いわゆる六ガスの話をしたときには、特殊なガスが出ているときにはそれで非常にその生産がつかみやすいというようなケースが、例えばフロンの排出量その他で出たわけでありますけれども、一般に言われることであれば、例えば全体に燃料を出している、そういうデータが本当に企業の秘密になるようなケースがあるだろうかというような御質問をいただくことも間々あるわけでございます。

 それはケース・バイ・ケースでいろいろなケースがあろうかと思いますけれども、今申し上げましたように、燃料種別ごとのエネルギー使用量の情報ということがございます。それから一方で、例えばその工場がどれぐらいの製品を出しているかというような数量は公表されているケースもございます。そういたしますと、実は、最終的な物のコストとその途中の材料費とか原料費の部分の比率がわかってしまうというようなケースも間々あるわけでございまして、場合によりましては、そういうケースで情報が表に出ますと、企業が事業活動を営んでいく際に、競争上不利益になるという判断を企業がされるというケースもあり得るということだろうと思います。

 このような議論がこれまで長くされてまいりまして、とりわけCO2の排出量というものについて、それじゃ、競争に支障のないような範囲で、あるいは、企業ごとにそうやって管理をしているのであれば、事業所ごとにまとまったような格好で対外的な公表ができないんだろうかというような御意見もございまして、私どもは、関係省庁、環境省さんとか経済界の方ともお話をいたしまして、今通常国会において成立いたしました温対法でエネルギー起源のCO2を初めとする温室効果ガスを一定以上排出する者に対して事業者ごとに報告を義務づけまして、それを国が公表するという格好でできないだろうか。その際に、冒頭申し上げましたように、省エネ法に基づきましてかなりの部分もうデータを出していただいていますから、そのときに、省エネ法という仕組みもうまく使えば事業者の方に追加的な負担がなく御報告をいただけるんじゃなかろうか。

 したがいまして、省エネ法の仕組みもうまく使いまして、温対法もうまく使いまして、とりわけ興味が強く持たれておりますCO2の排出量というものについて企業ごとに御報告をいただいて、国がそれを公表するという仕組みで一歩前進を図りたいということで、省エネ法の関係部分の改正も盛り込み、温対法の部分につきましても改正を盛り込んでいただきまして、二つの法律の改正がいわばセットになるという格好で今国会御審議をいただいているところでございます。

 この省エネ法の成立もできますれば、この施行とともにCO2の企業ごとの公表ということが新しく原則的にできるような制度が仕上がる、こういう形で議論が進んでございます。

 長くなりましたが、以上でございます。

奥田委員 今、温暖化の防止対策の法案の改正の話もありましたけれども、それも改正していただくことはありがたいけれども、もう何年も前から、省庁の壁を早く取っ払って、省エネ法での企業からいただくデータをCO2排出量に早く換算させていただきたいことを何年もお願いしてようやく今回の改正にセットでされたということですので、余り非難もしませんけれども、そんなに威張って言うほどのことでもないんじゃないかなというふうに思います。

 そして、この企業秘密というのは、多分限られた分野だけだと思うんですよ。やはり限られた分野の中で、企業名まで言うかどうかは別として、こういう業種の熱量はこういう理由で企業秘密に属するんだというところまで言っていただかないと、漠然と十把一からげに企業秘密だ、企業秘密だと言われても、どういうケースに企業秘密になるのかということがさっぱりわからない。私もNGO、NPOがどういう資料要求をしているかまでは存じませんけれども、今言っていた企業であるとか事業所、あるいは地域別あるいは業種別、そういったふうに統計にしていただいて出していただいてあるデータで、どこが不足とされているのかというようなこともやはりポイントとして明らかにしていただいてから議論に入らないと、参考人の方々のお話を聞いているだけでは、そこの議論というのがどこに焦点があるのかということがちょっと私には理解しかねるような部分がありましたので、またそういった説明といったことも省庁の取り組みとしてお願いしたいというふうに思います。

 質問の方、今度は運輸分野に入らせていただきます。国土交通省の方からも、政策局次長さんですか、来ていただいております。

 今回の法案のこと自身を聞きたいというわけではないんです。今まで、ITSという高度情報交通管理システム、道路管理システムということが叫ばれて、唱えられて、かなり長い時間がたっています。信号機の統一的な管理だとか、あるいは日本道路公団でのETCですか、そういったものがそういった分野の成果として一つの部類に入るんだと思いますけれども、今私は、それ以上に期待している技術というのがあります。それは、ETCを導入するときにも、どうして有料道路の道路公団の道路だけなんだ、そういった技術は、すべての車につけてくださいということをお願いするのならもっと汎用性の広いものなんじゃないですか、料金の自動徴収システムあるいは自動車を識別するシステムというのは。

 それで、今自動車局の方が中心になって、スマートナンバーですかスマートプレートですか、そういったシステムが実用化一歩手前の、全国で少しずつモデル実験をしているという段階だというふうに聞いておりますけれども、期待をする気持ちを込めて、その実現の可能性であるとか、あるいは現状どんな段階であるということ、そして先ほど言いました一番広い応用範囲、汎用性について少し教えていただきたいと思います。

久米政府参考人 国土交通省におきましては、平成十二年度より、ただいま御質問いただきました、自動車のナンバープレートにICチップを取りつけまして無線通信によりまして自動車を電子的に識別することのできるスマートプレートの研究開発を進めてきているところでございます。現在までに、実用化に向けまして、通信の確実性等の技術的なめどがついたところでございます。

 スマートプレートにつきましては、比較的低コストでの導入が可能と考えておりまして、スマートプレートが実用化されれば、例えばナンバープレートの偽造、変造防止等に役立てられるほか、交通量の効率的な把握、各種自動車の確実な出入り管理等により、環境対策あるいは交通渋滞対策等広い分野で活用されることが期待されております。

 こうしたことから、今後実用化に向けまして、車両が容易に識別されることに対する国民感情の問題、事故や故障時の対応、あるいは具体的な取りつけの体制などの課題につきまして、関係機関と検討を重ねているところでございます。

奥田委員 もう一つ、こういった技術がどういったことに応用できるだろうかということも検討されていると思いますので、そういうことも伝えてほしいのです。

 そして、大臣の方も当然御存じのことだとは思いますけれども、今は車に関しての自動車局の方での話ということになっていますけれども、やはり通信技術であるとかICのマイクロチップ化とか、あるいはそれを総合管理するコンピューターネットワーク、そういったものがあっていろいろな形に使えることですので、今の場合は交通網に関してですけれども、こういった高度情報管理の中での省庁間の連携と、その応用範囲を広げるということに対して、大臣としてもぜひ関心を持った取り組みというのをお願いしたいというふうに思います。

 いろいろな応用範囲や、今モデルケースでどんなことをしようとしているかということを少しお話しいただけますか。

久米政府参考人 環境問題なんかでいきますと、路上での排気ガスの自動測定あるいは廃棄物の不法投棄の防止、そういったような把握ですとか、あるいは、交通安全なんかになりますと、交差点での出会い頭の事故の防止、あるいは高齢者や支援を要する方への自動車の接近への通知だとか、そういったようなことに使えると思いますし、渋滞緩和ということになりますと、通行量の正確な把握で交通量を調整するとか、あるいは、現在千葉の方でモデル事業としてやっておりますのは、客待ちタクシーにより駅前が非常に混雑している、そういったところでこういったスマートプレートを使って円滑に回していくというようなことをやっております。あとは、現在万博の方でも、こういったスマートプレートを使ったデモンストレーションというものも行っているところでございます。

奥田委員 これも、世界を見てみればかなり、私が行って、初めて出会って驚いたのはシンガポールでしたけれども、イギリスなんかでもこういったシステムがもう社会の中にだんだん実用化されてきているというようなお話を聞いています。

 シンガポールで見させていただいたのは、通勤時間帯とか渋滞になるときに、そこの路線を通ると自動的に料金が加算されますよと。ふだんは加算されない。そういった中で、毎月利用した分の、請求書か引き落とし書か知りませんけれども、そういったものが利用者には来るといったようなことがあって、かなり利用者にとっては無理のない渋滞対策や交通量調整というのができるんだなというようなことを聞いて、そして、日本に帰ってきたら、ETCでしたか、道路公団の方のシステムがこれから導入されるということで、その応用範囲をぜひ広げていただきたいということをお伝えさせていただいたわけなんです。

 今、いろいろな偽造とかそういったことも多い時代ではありますけれども、ぜひそういうところでのしっかりとした担保をとって汎用化していただければ、先ほど国民感情の話がありましたけれども、いろいろな盗難車とか犯罪とかいった部分でも今度は応用がきいてくるというふうに思いますので、直接に省エネということにかかわりませんけれども、ぜひ、それを大きく補佐できるシステムとして努力をお願いしたいというふうに思います。

 次に、住宅の方の話に入らせていただきます。

 これも、対象範囲が広がるということで、大規模修繕、そして住宅、集合住宅だと思いますけれども、一定規模以上の住宅に対しての届け出義務というものが課せられることになります。

 これまでも特定建築物についてはこういった義務が課せられていたわけですけれども、一つの罰則といいますか、そういったものが適用されたということは余り聞かないんですよね。こういうことが義務づけられても、実際の建築物あるいは設計という段階にどれほど反映されるのかということが少し心配されたりもします。

 今、こういった建築物に対する省エネ措置、大体何件ほどの指導あるいは勧告、公表という罰則もあるわけですけれども、こういったものが行われているのか、少し現状について報告をお願いしたいと思います。

山本政府参考人 現在、平成十四年の省エネ法改正で施行されました十五年四月から、一定規模以上の建築物につきまして、二千平米以上でございますが、省エネ措置の届け出を義務づけております。

 平成十五年におきまして、二千平米以上の、本来届け出をする必要がある義務づけられた建築物というのは、棟数で五千七百棟ございました。実際に届け出が行われました建築物は、三千八百棟でございます。届け出率というのを計算しますと、棟数ベースでは七割でございます。大きい建築物の方が届け出率が高いものですから、総床面積で比べますと、約九割は届け出をいただいております。

 届け出がありましたもののうちに、省エネ基準に適合しているものがどのぐらいあったかというのを調べてみますと、床面積ベースで、およそ八割は基準に適合しておりました。対象となる建築物全体で見ますと、適合率は約七割という結果となっております。義務づけているのは届け出だけでございますので、そういう状況になっております。

奥田委員 今、いろいろな大規模改修を集中的に、やはり民間事業者ですといろいろなコストの問題があって、省エネもしたいけれども、その前に今問題になっているようなアスベストなんかがあったら、そっちを除去する方に大変な費用がかかるとか、そういったことも出てくる。ぜひ一つの社会常識として定着するように頑張っていただきたいんですけれども。

 これともう一つ、何げなく、この届け出をした建物について維持管理の報告を出すということが義務づけられようとしているんですけれども、ちょっとこの義務づけについて、どういった形のものを考えているか、だれが検査をして報告するのかとか、そういったことを教えてほしい。

 といいますのは、現状の建物でも特定建築物は定期検査を義務づけられていますし、そして、今度は消防法なんかでまた別の検査があるということで、やはりビルの所有者とかオーナーの方たちは、幾つもの検査の負担といいますか義務を負っているわけですよね。そういったものをぜひ一本化してほしいということはこれまでもあった要請ですし、そういったことをちょっと勘案しながらお答えをいただきたいと思います。

山本政府参考人 建築物について講じられました省エネ措置が実際に期待された効果を継続的に発揮するというためには、適切な維持保全が行われるということが必要にして不可欠なわけでございます。今回導入いたします制度は、省エネ措置の建築等をする際に届け出をいたしました者、つまり建築者、あるいは維持保全段階では所有者ということになりますが、に対しまして、省エネ性能が適切に維持保全されているかどうかを確認するために定期に報告することを義務づけるものでございます。

 例えば例を申し上げますと、空調機につきまして、エアフィルターが的確に清掃され、交換されているかといったような履歴を整理して報告していただくということになります。この場合、定期報告された内容を吟味いたしまして、省エネ性能が著しく不十分になっていると判断した場合には、所管の行政庁が管理者に対しまして改めて報告徴収をいたしましたり、あるいは、場合によりましては立入検査をしてどういうふうになっているかというのを吟味いたします。それで、省エネ性能が著しく不十分な状態であると判断しますと、定期報告をした者に対しまして、省エネ性能の維持保全に関して必要な措置を講じるように勧告するという制度を、今回改正でお願いしているわけでございます。

 なお、御指摘がありました定期報告制度の運用につきまして、建築基準法上の定期報告がございます。安全性とかいろいろな観点から、特定建築物等につきましていろいろな報告がございますけれども、これが重複することで過度な負担とならないように配慮することは必要があると思っております。

 したがいまして、そういう努力をするということと勧告制度の導入に当たりましては、所管行政庁において適切な運用がなされますように、法律をお認めいただきました後、施行するまでの間に、勧告すべき場合の目安などを示すガイドラインを整備したいと考えております。

奥田委員 ぜひ、チェックシートみたいな形でビル点検して、そのチェックシートの保存を義務づけるとか、そのくらいであってほしいなと思うんです。今、既存の建築確認制度も、地方では第三者機関に委託されたりもしてきますけれども、今の定期点検が行われているのだって、設計事務所、一級建築士を持っている人たちとかが入ってお金をとって、行政に持っていったらどうなると思いますか。ちゃんと出しているか、判こを押して検査料を取るだけですよ。そんなようなチェックシステムを世の中にたくさんつくっても、余り世の中のためにはならないというふうに思うんです。実際に建物に入って調べて勧告した行政マンというのは、私はほとんどいないんじゃないかなというふうに思ったりします、事故でも起きれば別ですけれどもね。ですから、ぜひ現実と伴うようなチェック制度であってほしいなということをお願いいたします。

 大臣に最後に一つだけお尋ねしたいと思います。

 今、先に質問に立ちました江田議員や細野議員からも、新エネルギーそして京都議定書でのCDM、クリーン開発メカニズムといったところでの質疑がされました。重複は避けますけれども、昨年そしてことしと、昨年はドイツ、ことしは岐阜の方でも、再生可能エネルギーの会議というものが国際会議、アジア会議として持たれています。これも自民党の小杉先生やあるいは民主党で細野議員も大切な役割をしていただいているんですけれども、そういった中で、以前から、新エネルギー、私たちは再生エネルギーという言い方をしていますけれども、そういったものの普及促進といったものをぜひ図りたいという目的で集まっていろいろな意見交換をしているわけです。

 そんな中で、また、これだけ国際的に大きな役割を担ってくる再生可能エネルギー、自然エネルギーに近い新エネルギーが、なかなか関係国同士といいますか、先進国、途上国との間なんかで、新しく普及させていくシステムや手法というのがうまく調整できていないんじゃないかという中で、ドイツのヘルマンさんという方が、国際機関をぜひ設けることをみんなが国に帰って呼びかけていただきたいというようなことを提案していらっしゃるんです。

 確かに、原子力あるいは石油というようなそういった国際エネルギー機関というのはありますけれども、再生エネルギーというところでの、新しい機関か部門かは別としまして、そういった特化した機関というのはちょっと私は聞いていない。もし、今あればそれでいいんですけれども、それが国際エネルギー機関かあるいは国連の中の一部門かとかいうようなことは別としまして、そういった提案に対して、大臣の少しお考えといいますか、展望、あるいはこういった提言に対しての取り組み方といったものをお伝えいただければというふうに思います。

中川国務大臣 奥田委員が大変再生エネルギーに熱心だということは、日ごろから承知をしております。また、ボンの会議においてもそのような専門の再生エネルギー機関、国際機関を設けるべきだという議論があったことも承知をしております。

 IEAという機関がありまして、IEAも最近は省エネとか再生エネルギーの問題に取り組んでおりますけれども、その専門の機関を、部門でもいいというお話がございましたが、要は、省エネとか新エネというものの国際的な連携というものは、途上国も先進国も含めて、またいろいろなエネルギーソースを統合的にやるということによって意味があるものというふうに思っております。

 そういう観点から、奥田委員からは御指摘をいただき、どういうふうにしたらいいのかということについて、奥田委員の目的は多分私と同じだろうと思いますから、それに向けて、その機関なるものが今後どういう位置づけとして役割を果たしていくかについて、私としても勉強させていただきたいというふうに思っております。

奥田委員 日本としてもまだ世界に訴えかけてリードできる段階の分野だと思いますので、ぜひ強い取り組みをお願いしたいと思います。

 新エネルギーとか再生可能エネルギーという定義さえばらばらなんですよ。先ほど中国が大きな目標値を立てていると言いますけれども、私たちが再生エネルギーと言うのは、そんな大規模水力を含んだりはしませんし、マイクロ水力は入れても、そういった定義の段階や、同じ言葉を話していてもその言葉の中の範囲が違う中でまだ議論をしているような段階ですので、そういったことの統一も含めて、まず第一の取り組みとして、ぜひお願いしたいというふうに思います。

 以上で終わります。

河上委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。省エネ法の質疑でございますから、私もクールビズをやらせていただいております。よろしくお願いいたします。

 国会は延長国会となったわけですけれども、この国会がなぜ延長されたかといえば、郵政民営化の議論のために延長されたと思っておるわけであります。御案内のとおり、法案は参議院に移りましたけれども、一期生議員の私からすると、大変緊迫感を持ちながら参議院の審議を見守っているわけであります。

 しかし、国民の視点に立てば、郵政の民営化よりもはるかに重要で急を要する課題がたくさんございますし、さまざまな問題も表面化していると感じております。郵政の議論というのは、ある意味で、国民の皆さんのお金、資産の集め方の議論の面もあるかと思うわけですけれども、今の日本にとって本質的に重要なのは、お金の集め方よりもお金の使い方だと思うわけであります。

 ここにメスを入れないで議論をして、小泉首相が私に言わせれば郵政改悪を強要しているということに大変大きな問題があると思っておりますし、またさらに、事もあろうか、政府税調は大がかりなサラリーマン増税をこれまた画策しているということも明らかになっておるわけでありまして、こうした状況にかんがみまして、国会の役割として、お金の使い方について徹底的に洗い出す必要がある、そう冒頭改めて指摘をしておきたいと思うわけであります。

 その中で、前半戦で議論になりました経済産業省の裏金流用問題、これも同僚議員が数々指摘をしてまいりました。引き続き議論がされると思いますが、この話とまた別に、大きなお金の使い方の問題点が明らかになっております。鉄骨橋梁談合事件であります。あえてこの問題、省エネ法の質疑でありますけれども、今の状況にかんがみて、質問させていただきたいと思っております。

 鉄骨橋梁談合事件でありますけれども、これは国土交通省の発注分に加えて、日本道路公団の発注分についても告発が行われ、そして逮捕者が出るという事態になっております。特に、道路公団のOBが逮捕され、現在では捜査当局で現職の職員の関与も取りざたされている、調べられているということが報道でされておるわけであります。

 まず最初に、公正取引委員会の委員長にお伺いしたいんですが、今回の鉄骨橋梁談合事件、範囲は、鉄骨橋梁ということでございますけれども、調べてみますと、鉄骨に限らず、さまざまな橋、事案で、やはり大変高い落札率で、しかも一定した落札率で落札されているという状況も明らかになっておるわけでありまして、個別の現在の鉄骨橋梁の事件のことを細かく状況を教えてくださいとこの場であえて聞くことは省略をいたしますが、ほかの橋梁関係ないしは道路公団のほかの部分について、公正取引委員会はどのように今調査をしているのかが一点。もう一点は、今回の談合、今回の談合というのは鉄骨橋梁談合事件でありますが、これは官製談合であるというふうに認識をされていますでしょうか。まずお伺いしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 今回の鉄骨橋梁以外の道路公団関連のことについてどうするかというお尋ねでございますが、これは道路公団に限らずすべてそうですが、あくまでも我々は違反事実の情報に基づいて、違反行為があればそれは法に照らして厳正に対処するということでございますので、そういうことに尽きるわけでございまして、それ以外、今具体的にどういうことについて調査しているかというのは、これはちょっと今申し上げるわけにはいきません。

 いずれにいたしましても、違反事実の情報に接した場合には厳正に対処していくということでございます。

 それから、今の鉄骨の橋梁の談合について、官製談合ではないかというお尋ねでございますが、この点も、まさに今、私どもにおいては審査でございますし、検察当局においては今まさに捜査が行われておりまして、私どもも、当然官製談合という問題もあり得るということで、問題意識としては持っておりますが、きょう現在、この事件がそうであるということを申し上げられる段階ではまだございません。

近藤(洋)委員 まあ、いいでしょう。

 少なくとも、公正取引委員会が告発をして今回の事件が明らかになったということでありますから、ぜひ引き続きメスを入れていただきたいと思っておりますし、この件についてはまた質疑をする機会があるとは思うんですが、ただ、一点どうしても確認をしたいのは、やはり今回の鉄骨橋梁談合事件は、数多くの企業、しかも大企業も含めてかかわっている。一見すると、これはもちろん、かかわった企業も当然問題だと思うわけでありますけれども、少なくともOBの組織があり、そしてOBの方も逮捕され、さらには、さまざまな形で現職の職員のところにも行っていたということが、もう報道で明らかになっていますね。この事実を総合すれば、これは典型的な官製談合事件である、これはもう明らかだと思うわけであります。また、この官製談合問題については、これを機にやはり徹底的に調べ上げなければいけない。モグラたたきであってはいけないと思うわけでありますね。

 公取委員長、官製談合の根幹にメスを入れる絶好の機会だと私は思います。メーカーさんなり民間の企業だけがある意味でたたかれて、そして裏で笑っている人たちがいるという構図だけは許せないわけでありますし、私ども民主党としますと、今国会で成立いたしました独占禁止法の改正の議論の中でも、官製談合防止法の強化ということをうたっておるわけでありますけれども、やはり今の法制ではなかなか官製談合の本質にメスを入れることがかなわないので、ぜひここはやはり法的に整備をすべきではないかと思うわけでありますけれども、公正取引委員会の委員長の御見解をまず伺いたいと思います。

竹島政府特別補佐人 御指摘のように、いわゆる官製談合であれば、それは厳正に摘発をされ、しかるべき処分を受けるということでなければならぬわけでございまして、その点に関して、やはり二つあると思っています。

 要するに、官製談合であるという事実、違反事実をいかに解明するかという問題、それから、官製談合に対するいわゆるペナルティーをどうするかという問題、二つあろうかと思います。

 前者については、これは、独禁法の改正のときにも申し上げましたが、リーニエンシーというものを入れていただいたわけですが、こういうものによって、違反事実が我々にとってより解明しやすくなるということはあると思います。そういうことを通して、官製談合事件があればきちんとそれを解明していくということになっていくのではないかと期待しているわけでございます。

 もう一方のペナルティーの話は、これはもう官製談合法が議員立法でつくられておりまして、今でもワークしているわけでございますが、それがさらに厳しいペナルティーをすべきであるという御議論は、もう独禁法の改正のときにも御議論をいただいておりまして、この点はまさに各党で官製談合法の見直しについて御検討をなさっていらっしゃるわけでございまして、私どもとしては、それが実りある結果をもたらすように、公正取引委員会としても御協力申し上げてきているつもりでございますし、これからもきちんと御協力申し上げていきたいと思っております。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

近藤(洋)委員 我々民主党は、現在、官製談合防止法の改正案を内部で鋭意検討しております。具体的な内容は改めて法案を提出した際にと思っておりますが、方向感としましては、まずは刑法を一部改正させてもらいたいと思っています。公務員の皆さん方に対して厳しい措置を加えるということ、刑法そのものにも手を入れていきたいと思っております。

 同時に、談合罪というものが非常に甘く運用されているという現状にかんがみて、これについても考えていきたいと思っております。あわせて、官製談合防止法のいわゆる黙認について黙認罪というものを、黙認というものを中に入れていこう等々、相当しっかりしたものをつくっていきたいと思っておりますので、ここは、ぜひ与党の委員の皆様も、せっかく国会が延長されたわけでありますから、ぜひ一緒につくっていただきたいということをあえてこの場で申し上げていきたいと思うわけでありますし、公正取引委員会におかれましても、ぜひ協力をお願いしたいと思っているわけであります。

 続いて、今回、三菱重工さんや石川島播磨重工業といった日本のリーディングカンパニーの企業の方々もこの問題にかかわってきた、大変残念なことですが、この事実が明らかになっているわけであります。こうした企業については、経済産業省も、所管官庁でもありますし、また指名停止処分にしているわけでありますが、ここは、こういった日本の名立たる企業もこの官製談合に、私どもに言わせれば官製談合にかかわってきたということを、経済産業大臣としてどのように受けとめていらっしゃるのか。官僚の天下り問題も含めてどのように改善したらいいとお考えなのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

中川国務大臣 今回の橋梁に関します談合事件に関しては、捜査当局の手に今ゆだねられているわけですけれども、経済産業省としても、指名停止あるいはまた補助金、交付金ですか、の交付停止とか、そういう措置をとっております。

 とったということの前提は、こういうことがあってはならない。談合は独禁法によって厳しく罰せられるということを、多分プロの人たちですからわかっていると思うんですけれども、K会かA会か知りませんけれども、そういう形でやってきたということですから、これは経済産業省としても厳しく対処する。

 最近は、企業の社会的責任とか信用とか、そういうものがとても大事な状況に入ってきているわけでありますから、経済産業省が関係する日本を代表するような企業が、こういうことによっていわゆるブランドイメージあるいは社会的イメージ、責任を全うできないということは、大変遺憾なことだというふうに思っております。

近藤(洋)委員 この官製談合、鉄骨橋梁事件についてやりますと、これは、時間が幾らあっても足りませんし、具体的に我々も調べておりますが、またの機会に譲りたいと思います。きょうは基本的な認識だけを伺いたいと思っているわけですけれども、大臣、今回の問題に限らず、談合せざるを得ないという環境に日本の産業構造の一部をつくってしまっているというのも、これはやはり見逃せないと思うんですね。悪いのはわかっていながらも、しかしながら、談合しなければ生きていけないという一部産業を残してしまっている。

 もう一つは、その根底にあるのは、何を言いたいかというと、天下りの問題ですね。やはり、天下りをある程度受け入れて、そして、その方々の情報をもとに受注をしなければいけないという環境をつくってしまっている部分が、産業が大変多くあるということだと思うんです。やはり、この天下りの問題を徹底的に見直していかないと官製談合というのは根絶できないと思うわけであります。

 天下りの問題というのは、何も霞が関で働いている有為な人材を再就職するなと言うつもりは毛頭ないんです。何を言いたいかというと、要するに、大臣官房人事課とか大臣官房秘書課の最大の仕事というのは、OBの再配置なわけですよね。官房長は幹部職員の事務次官なりなんなりのOBの再配置の仕事をし、人事課長、秘書課長はその他キャリア職のOBの再配置を、組織的にどの役所も、国土交通省に限らず経済産業省だって、みんな組織的に再配置をしている。せざるを得ない。なぜならば、女王バチのように事務次官になるまでどんどんみんなやめさせるからです。

 こういった人事システムを含めて本格的に見直していかないと、天下りに伴う、そのために法律をつくる、そのために財団をつくり、現役官僚たちは、必要に迫られて、志を持った役人たちも、幹部の職員の方々を前に大変恐縮ですけれども、だんだん志を失ってとは言いませんが、自分の再就職を考えてそうせざるを得ない環境もつくっている。

 そういう今の官僚システムそのものをしっかり見直して、その上で、天下りはさせないというのをセットで本気で考えないと、官製談合の問題をなくすことは僕は大変難しいと思っているわけでありまして、そういった問題意識をどこまで今の小泉内閣が持っているのかなというと、私は大変疑問であります。この点も問題点だけ指摘をさせていただきたいと思います。

 官僚の天下り問題を根絶せずして官製談合をなくすことはできないと思っていますし、入札改革、また我々はペナルティーの強化ということを法案として具体的に提案していきますが、それだけではなかなか直らないので、ぜひ、政府内部においても、官僚の人事システムのあり方を大至急検討していただきたいものだと思いますし、我々も検討していきたいと思っております。

 時間が過ぎましたので、エネルギー政策の質疑に移りたいと思います。

 省エネ法の関連でありますが、現在原油の価格が大変値上がりをしておりますが、現在、きのう時点の数字では、WTIで一バレル当たり六十ドル、ドバイで五十五・一ドルと、ついにそこまで、WTIだけじゃなくて、ドバイ原油までが上がってきているという、大変高騰を続けているわけでありますけれども、まず、今後の価格の見通しとこの原油高が日本経済にどういった影響を与えるか、経済産業省の認識を伺いたいと思います。

小此木副大臣 現在の原油価格は、さまざまな要因がありまして、高い水準で推移しています。急激な原油の世界的な需要、これも一つ、あるいはOPEC各国の原油生産余力が小さいことなどなど、そういった要因がたくさんございます。

 この価格については、先ほど言いましたようなさまざまな要因の中で今後どのように推移するのかを予想することは大変困難でありますけれども、これらの構造的な要因自体は、短期的にはなかなか解決することが難しいのではないかというふうにも思っています。

 この原油価格の上昇が我が国の経済に与える影響でありますけれども、総輸入額やGDPに占める原油の輸入額の割合が石油危機当時から低下をしております。例えば、一九八〇年度と昨年度を比べますと、我が国総輸入に占める原油輸入金額の割合、八〇年度三七・五%が昨年度は一二・六%でありました。GDPに占める原油輸入金額の割合、八〇年度は四・八%、昨年度は一・三%でありました。

 こういうような形で、過去と比べ、マクロで見れば必ずしも大きくないものとは考えられますけれども、他方で、産業、企業というところで見た影響については大きな違いがあり得ることから、経済産業省では、昨年八月及び本年三月に続き、中小企業への影響を含め、再度実態調査を行ったところであります。

 今回の実態調査で、経営への影響が深刻なものとはなっていないという全体の傾向は従来と大きな違いはありませんけれども、一部に影響の広がりが見られます。また、足元の高い価格水準の影響は今後顕在化する可能性があり、物流等のコスト増、海外経済の減速等の二次的、間接的な影響を含め、経営、収益への影響を懸念する企業も少なくありません。このため、当省といたしましては、引き続き中東の情勢、内外の需給、価格の動向等を十分に注視してまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 やはり、いろいろな要因があるという副大臣のお答えでございましたけれども、基調としては、この基調がそう簡単に崩れることはないという御認識なのかなと。そう一気にまた値下がりするような地合いではないという御認識で経済産業省は見ているなというふうに理解をいたします。

 基本的に私は、中国の需要増、そしてアジアを中心とする需要増等、さらにはテロの地政学的な要因とかさまざまあるかと思いますけれども、そういうことを勘案すると、この原油の価格の状況というのは、先を見通すことはできませんが、少なくとも年内なり一、二年の間では高値安定が予想されると思うわけであります。

 そうなりますと、これはやはり運輸業なり中小企業に対して大変な影響を与えるわけでありまして、それ自体やはりしっかりした手当てがこれから必要になってくるのではないか、日本経済にとってやはり大きなリスク要因にこの原油の状況がなるのではないかと思うわけです。

 その対策をとるのと同時に、副大臣もおっしゃいましたが、やはり日本経済の構造は随分オイルショックのころとは変わったと思うんですね。そこはそれで、日本企業というのはやはり大したもので、環境に順応して産業構造なり自分の企業体質をつくりかえてきた。これは、見方を変えると、この原油高を一つの契機として、ある意味で中小企業にとっては大変問題だし、業界によっては大変問題なので、対策は練らなければいけないんだけれども、同時に、石油にある意味で頼らない日本の技術力というか産業構造力というか社会というものをつくる一つのきっかけに受けとめてもいいのかなと思うわけであります。

 それがひいては省エネ法で言っているところのCO2の削減というのにも直接つながるわけでありますから、頑張ってみる価値がある。その中で、新エネルギーの話も出てまいりましたが、私、注目しているのは、燃料電池であります。燃料電池において、これは政府が大変肝いりで開発を進めているという話を私も伺ってまいりました。その中で、トヨタとGMが技術提携の話を進めていると。八月にも一つの結論が出るという報道も一部にありますけれども、いずれにしろ、トヨタ、GMがそれぞれ燃料電池という新しい分野で提携をする、アライアンスをするという交渉が進んでおります。

 これは、日本政府として、政府も相当お金をつぎ込んで燃料電池を開発しているわけでありますから、ある意味では当事者だと思うんですけれども、どのようにこの動きを見ているか、お答えいただきたい。

小此木副大臣 この数十年の中で、日本はやはり経済が非常に成長してきた。その中で、一方では、公害といいますか負の遺産も背負ってきて、そういった壁を乗り越えてきた。それがエネルギー効率と。これは、世界に自慢のできるエネルギー効率、技術力を持った国であるということが今証明されているというふうに思いますし、そういった技術力を他国にも発していかなきゃならないというふうに私は思っています。

 その中で、今御指摘をいただいた、それぞれの技術の中での燃料電池、これをアメリカの自動車会社と日本の自動車会社が協力し合っていこうということは、これはまた前向きに、ぜひ民間の中で進めていただくべきであるというふうに思いますし、当省といたしましても、これが、手伝えることがあれば協力は惜しまない仲であります。

 個別の、トヨタ、GM両社に関することについては、これはコメントは控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、日米メーカーの協力関係というものは、さらに進められることが望ましいというふうに思います。

近藤(洋)委員 自動車というと、GMは今非常に経営難が伝えられているわけでありまして、自動車というと、十二年前の日米自動車摩擦のことを思い出すわけであります。

 今回はそういう状況ではなくて、むしろアメリカの国内でも別に日本バッシングというのが起きていないということでは、自動車貿易も随分姿が進んだなという感を強くするわけですけれども、ただ、アメリカという国にとってみると、自動車というのはやはり独特の思い入れがある産業だと思いますし、両方が次世代のエンジンとして張り合ってきた分野が提携をするわけですから、ぜひ政府としてもこの動きを側面支援というか、特に経済産業省に側面支援をしていただきたいと思うわけであります。それがひいては日米の自動車摩擦を再燃させない大変大きなフラッグシップになると思うわけですから、ぜひその点、配慮をいただきたいと強調しておきたいと思います。

 あともう一つは、燃料電池では、定置型燃料電池、家庭用の燃料電池のプロジェクトも進んでいる。こちらの方も、首相官邸に導入されたり云々という話も説明で伺いました。ただ、普及はまだこれからということと伺っております。自動車の燃料電池よりも早く一般化する勢いで、これまた民間企業が、名立たる日本の国内の企業がしのぎを削って開発中ということを伺っておりますけれども、定置型燃料電池プロジェクトの実用化のめどというものと全体の市場、産業波及効果を簡単にお答えいただけますでしょうか。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 定置用燃料電池につきましては、現在、家庭用の一キロワット級システム製造価格が約八百万円ということになっておりまして、これを実用化し、普及していきますためには、耐久性の向上や大量生産を含みます大幅なコストダウンを図る必要がございます。

 このため、経済産業省といたしましては、二〇〇八年には量産開始につなげられますように、二〇〇八年において一キロワット級システム製造価格が百二十万円以下になることを目標にいたしまして、本年度から四百台規模での大規模な実証実験を開始いたしました。

 今後、実証事業の対象台数を逐次ふやすことによりまして、二〇〇八年量産開始の目標に向けまして強力に支援をしてまいりたいと思います。

 また、お尋ねのございました燃料電池の市場規模でございますけれども、昨年の五月に経済産業省で策定をいたしました新産業創造戦略におきましては、燃料電池自動車と定置用燃料電池、合わせました市場規模が、二〇二〇年におきまして約八兆円になるという見通しを示しているところでございます。

近藤(洋)委員 ぜひこちらも、二〇〇八年が天王山、天下分け目の天王山というふうに聞いておりますので、お金の使い方ということを冒頭申し上げましたけれども、こういう必要な、大きな波及効果のあるものについてはやはり思い切って進める、そしてむだなものについてはばっさばっさ切るというか、やはりそういうめり張りが重要でありますが、こういった分野はまさに二〇〇八年が天王山ですから、頑張って進めてもらいたいと思うわけであります。

 続いて、クリーンエネルギーといいますか、CO2の排出削減という観点から、原子力政策について伺っていきたいと思うんです。

 先ほど来、京都メカニズムの話、途上国への技術移転の仕組み、クリーン開発メカニズム、CDMについて議論が出ておりました。現状でこの省エネルギープロジェクトをCDMに積極的に入れ込むべきだという議論について、私も基本的に賛成であります。進めたらいいと思います。

 と同時に、原子力の扱い、原子力発電の扱いというのは一体どうなっておるのかというわけです。エネ庁の資料等々を見ますと、原子力はCO2を削減するクリーンエネルギー、これは政府の広報でも書いているわけですね。ところが、京都メカニズムのCDM、クリーン開発メカニズムには原子力が入っていない、落とされているというわけであります。これは、国内で言っているのと海外で言っているのとダブルスタンダードに今現状なっていると思うんですね。

 原子力の技術移転、技術開発も、原子力発電のCO2削減効果に着目をすれば大変な削減効果があるわけでありますから、今後、CDMの中に我が国としては原子力発電、原子力というものも組み込むべきではないかと思うわけですけれども、これはいかがでしょうか。政府一枚岩で、我が国が原子力はクリーンエネルギーだと政府一丸で言っているのであれば、環境省は違う言い方、経済産業省は違う言い方というんじゃなくて、みんな一枚岩であれば、これはポスト京都メカニズム、今度の交渉の中で、原子力発電というものもしっかり位置づけて、CDMに組み込むよう新エネルギーとともに訴えていけばいいと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 近藤委員の御指摘のとおりでありまして、原子力というのは安全性を大前提にして、日本の場合には、特に地元、国民の御理解も大事でございます。そういう前提で稼働していけば大変クリーンなエネルギーであるということであります。他方、先ほどの奥田委員の御質問にもありましたけれども、大水力は外では再生の中に入っていないとか、いろいろ定義があって、原子力についてもCDMのメカニズムの中に入っていないということであります。

 我々としては、何か数字のつじつま合わせのために引き込むのではないかということは恐れますけれども、しかし、クリーンなエネルギーとして、しかもこれが途上国で安全に稼働すれば、途上国の環境あるいはエネルギー政策にとっても大変な貢献をしていく、中国なんかもそうだと思います。そういう意味で、新技術による原子力発電というものとCDMとの関係というものは、やはりクリーンなエネルギーとして京都議定書の目的に合致するものだというふうに私は考えております。

近藤(洋)委員 クリーンなエネルギーで合致するものだという中川大臣の御認識であります。

 だとするならば、続いて原子力について伺いたいんですが、原子力発電所の技術といいますか発電プラントの技術、原子力については今既に五十基を超える発電所があるわけですけれども、そろそろ交代時期というのも、二〇二〇年、一〇年、二〇年ということを考えれば出てくるわけでありまして、こういったリプレース需要をどのようにするのか。「もんじゅ」にすぐかわる、FBR、高速増殖炉に二〇二〇年、三〇年にかわるというならまた別ですけれども、なかなかそういう状況でもないとするならば、次世代型の、さらに安全で安定的でしっかりした原子力発電所プラントの技術開発、次世代型日本型軽水炉というものもそろそろ見据えていいのではないかという気がするわけですけれども、こういった分野は、どうでしょうか。官民で一つプロジェクトを、燃料電池と同様に、やはりエネルギーの基幹技術でありますから、開発を進めていくべきだと思うわけですけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 エネルギーという観点から省エネ、新エネということが、先ほどの燃料電池、これは去年発表した新産業創造戦略の先端的な四つの柱の一つですけれども、それとは別でありますが、やはり日本にとって、また世界に貢献できるという意味で、日本がエネルギー技術の開発のトップランナーとしてやっていく。そういう観点から、近藤委員が軽水炉の新型のもの、更新していくことはこれは目に見えているわけですので、それに当たって日本の技術で貢献をしていきたいということは、日本のメーカーもそういう希望を持っているようでありますし、また経済産業省、政府としても、先ほど言った目的に合致するという観点から、そうであれば、これは国家プロジェクトとして支援をし、そしてまた世界に貢献をしていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 その中で、特に中国の原子力発電所、国内のリプレースという問題もあるわけですけれども、同時に、やはり問題意識として、アジアに次から次へと原子力発電所の計画ができている。特に、とりわけ中国では大変な勢いでできている。この中国にやはり安全でしっかりした原子力発電所をつくってもらわなければ、これはビジネスという問題以前に、やはり我が国の安全といいますか、環境を保全する上でも、しっかりした原発をつくってもらわなきゃ困るという事情があると思うわけであります。

 その意味で、とりわけ中国でありますが、先ほど中川大臣、エネルギーについてはいろいろあるけれども、新エネについてはしっかり合意をできたという話でございました。

 もう一歩進めて伺いますと、大臣、中国に対してサポートレターを出されていますよね。二月付で、中国の原発に対して日本の技術も十分協力できる、日本の企業の活用を考えてほしい、こういったサポートレターを出された。恐らく中国に対して原発の輸出についてこういった姿勢を政府がきちんと示したというのは、私の記憶では余りないんですが、どうなんでしょう。

 こういったレターも出されるように、やはり政府として、しっかりそういった輸出戦略も含めて、同時に、輸出をするのでは輸出だけでは事は済まないと思います。それは最後に質問いたしますが、まず、輸出戦略について政府としてどういったお考えなのか、改めて伺いたいと思います。

中川国務大臣 今御指摘のように、二月に呉儀副総理、経済担当、エネルギー担当の副総理にレターをお出しいたしました。また、五月に万博で呉儀副総理が来られたとき懇談いたしましたときにもこの話が出ましたし、おとといの薄熙来大臣とのお話でも、省エネあるいは新エネ、環境等、エネルギーの関係について日本として貢献したいということを申し上げたわけであります。

 特にレターを出した意味というのは、いろいろな意味があるわけでありますけれども、後で御質問するということなのでそれは後にいたしまして、一つには、日本にとってのいいものをぜひ中国で買ってください、簡単に言えばそういう意図もあることは言うまでもないことであります。それ以外のこともありますけれども、後で質問いただけると思いますので。

近藤(洋)委員 同時に、中国に輸出、輸出だけでは私はやはり原子力の技術というのは済まないといいますか、発電所を出しておしまいというものではないと思うわけです。使用済みの燃料が出てくるわけでもありますし、そういったものがちゃんと管理されるかということも含めて、また、当然、運転されたプラントがしっかり運転できるかという運転技術のことも含めて、使用済み燃料の問題、そして処分も含めて、これは、原子力発電を輸出するということは、そういうことも含めて、しっかりとした覚悟で輸出をしなければいけない。これはコインの裏表だと思うわけであります。

 その意味では、大臣でも長官でもどちらでも結構ですけれども、アジアにおけるそういった安全管理の枠組みであるとかプルトニウムの管理のありようであるとか、それは、日本が唯一の被爆国として、これも政府が輸出に踏み出すというのであれば同時セットでつくらないと、これはある意味で海外から疑惑の念を持たれかねない部分もあるかと思うので、そこもやはりしっかりつくらなきゃいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 日本は、御承知のとおり、IAEA上の特別の待遇を得ているだけの責任を持って今まで努力をしてきているわけであります。

 今、近藤委員御指摘のように、原子炉というのは、物一個を輸出しておしまいじゃなくて、文字どおりプラントですから、オペレーション、そして、そのための人材が必要になってまいりますし、危機管理というものが大変重要になってくるわけであります。

 各国によってその危機というのはいろいろあって、地震であったり津波であったり、あるいはまた場合によっては暴動であったりと、いろいろ考えられるわけでありますから、それにきちっと対応できるようなことも含めてセットで出さないと、文字どおり、出した方の日本の信用といいましょうか、日本に対する疑惑が発生してはこれは大変なことになるわけですので、何としてもそれを防止しなければならない。

 そういう前提で、各国のエネルギー状況あるいはまた環境状況というものに大きく貢献できるであろう原子力発電というものを、そういう意味ではかなり厳しい条件つきではありますけれども、しかし、その国にとっていろいろな意味でキャパシティービルディングになります原子力施設の設置と稼働とオペレーションがうまくいくようになるということも含めて、日本の広い意味の輸出とキャパシティービルディングというセットで初めて成功するんだろうと思いますけれども、そういう面を含めて、特に東アジアの国々に対して、日本として責任を果たしていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 この問題は、やはりセットの問題だと思うんですね。ですから、そういったものも担保されなければ、安易にこれは輸出できないものだとも思っておりますし、そこはやはりしっかりとつくる必要があるということを指摘しておきたいと思います。

 エネルギーをめぐっては、今、三菱重工業がウエスチングハウスを買収するという報道がございました。こういう意味では、国際間で競争が大変激しくなっている。中国は、これは原子力じゃございませんが、中国の企業がユノカルを買収し、石油の権益をとりにいくと。

 日本の場合、残念ながら、石油開発という意味ではおくれをとった部分があるかと思うんですね、世界全体で。中国が大変な資金力で石油企業、資源を押さえに来ているという中で、我が国の戦略とすると、やはりクリーンなエネルギーなりハイテクエネルギーといいますか、そこで世界をリードするということが、これは国家戦略的にも非常に大事だと思うわけであります。三菱重工がウエスチングハウスを買収、まだわかりませんが、そういう形。例えば、トヨタとGMが燃料電池を開発する、さらには、定置型では各企業がしのぎを削る。こういう環境をやはり積極的に推し進めていくことが日本の国益にもつながると思っておりますし、この点においては、大臣、政党は違い、また郵政民営化に関する考え方は違いますけれども、一致する部分はあるのかなと思ってもおりますし、ぜひ今後も、いろいろな意味で、こういった観点からのエネルギー戦略を打ち立てるべきだということを強調しまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。

 今国会、法案の最後の質問という形で、時間も押しております、本会議もございますので、できるだけ端的に御質問しますので、お答えのほどをお願い申し上げたいと思います。答えも端的に、時間がありませんから。

 省エネ法の問題の中で、論点がいろいろ出てまいりました。その中で、きょうは、国土交通省、環境省からおいでいただいております。

 とりわけ国土交通省に関しましては、これはトラック運輸部門という部分で、トラックの省エネの問題が出ております。業者はたくさんあって、また出入りも多くございます。とりわけトラック部門の中小事業者に対する配慮というものが必要だと思いますが、その辺をどういうふうにお考えなのか。

 そして、環境省に関しましては、これは、省エネというのは、CO2の伸びを考えていったときに、やはり民生部門、私たち一人一人がどう省エネをしていくのかということ、これは住宅だとかさまざまあるかもしれませんけれども、私たち国民一人一人にどう訴えかけていくのかということ。申しわけないけれども、大臣がポスターになって看板になったら、それで省エネになると私は決して思わないんですけれども、しかしながら、細かな細かなそういう働きかけというのが、一人一人が、よっしゃわかった、やろうという部分になるようにする必要があると思うんですけれども、その辺の環境省としての市民への働きかけというものをどう考えるか。

 また、あわせて、これは大臣にも御答弁いただきたいんですけれども、気がつけばCO2を私たちは必死に削減している。先ほどからの質問の中にも、日本が国じゅうを挙げて、産業界を含めて、こうして省エネ法を含めて、国民を含めて、とにかく少なくしようとしているんだけれども、アメリカ、中国、そして、これからインド、ブラジルというふうな部分がどんどんふやしていって、気がつけばいわゆる京都枠組み条項の中に入っていない。同僚議員の質問の中にも、アメリカに対する日本からの要望の中で盛り込むべきだという意見もありました。これは環境省として今後どうするのか。また大臣として、それぞれの国に、外務省の答えは、いや、対米要望は細かいことだから、もっと政府間の高いレベル、つまり大臣レベルでもっと言ってもらわなければというふうなこともきょうの理事懇で言っておられましたので、その辺を含めて大臣の御決意。

 そして、これから省エネというのは、テレビ報道を見ておりますと、大手家電量販店のみが、私どもの電器はこれだけ省エネ省エネでやっていますと言っていられるんですけれども、省エネをするときに、省エネ機器等の販売等を含めて、家電量販店の持つ意味も大きゅうございますけれども、こつこつ電気製品を売っている町の家電販売店、これから高齢化になってくると町の電気屋さんが非常に、このごろ少しずつですけれども、やはり町の電気屋さんが大事だなという話が出てきております。やはりこの方々にも、省エネという部分でしっかりとお客さんに勧める、またそれを自分たちの営業の一環にしていくということが大事だと思うんですけれども、きょうは商務流通審議官がおいででございます、この辺についてどうお考えになられているのかということ。

 そして最後、大臣に、やはり熱と電気という形で、これまた中小企業事業者等にも、国民への問題と、それから中小企業者への、こんな言い方はよくないですが、一番最初の質問でも申し上げましたように、経済が厳しい中、加重な負担にならないように、しかしやるべきことはやっていく、その辺のあんばいというのは大変難しいと思いますけれども、所轄大臣として、その辺をどうお考えなのか。大臣に申し上げたいのは、工場、中小企業、海外の問題、それから民生部門、この点について、大臣から最後御答弁をいただきたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省の改正省エネ法の取り組みに対する御質問でございますが、先般閣議決定されました京都議定書の目標の達成計画におきまして、二〇一〇年を目途に六%削減するということでございます。

 各部門のCO2の排出量の推移の中で、運輸部門、民生部門の排出量は増加しているということで、私ども、CO2排出削減の手段といたしましてエネルギー消費の削減をさらに進めることが必要であるということで、運輸部門におきましては、運輸事業者と産業界との連携による省エネの取り組みを強化することとしてございます。また、住宅建築物の分野におきましても、住宅の省エネルギー対策の強化、既存ストックの省エネルギー対策の強化を行うなど、今回省エネ法の改正をお願いしているところでございます。

 具体的には、委員御指摘のように、運輸分野につきましては中小企業が九九・九%を占めるというようなことから、トラック事業でありますとかタクシー事業では、中小企業の比率が非常に高うございます。こういったような実態を踏まえまして、一定規模以上の輸送能力を有する輸送事業者に、省エネ計画の作成、定期報告を義務づけるということと同時に、貨物輸送を発注する荷主にも省エネ計画の作成、定期報告を義務づけるなどの改正を行うことといたしております。

 以上の改正を通じてエネルギー消費の削減を着実に進めていきたいと考えております。

小島政府参考人 地球温暖化に関する市民への働きかけということでございます。

 各家庭におきましては、家電製品あるいは照明器具、給湯、これが大体三分の一ずつぐらいでございます。これらの対策といたしましては、やはり省エネの性能の高いもの、あるいは、給湯器も最近いいものが出ておりますけれども、そういうものに買いかえていただくというのがまず第一でございます。そういう意味では、省エネのトップランナーの基準、さらにそれを上回るものも販売をされております、このメーカーの努力が消費者の購買活動に結びついていくということがまず第一だと思います。

 それから、買った電化製品をちゃんと使いこなすということも大切でございまして、最近行っております冷房温度二十八度というのも、使い方について国民に関心を呼び起こし、行動に移していただくということで行っているものでございます。

 そういうきめ細かなといいますか、それぞれの趣味、年齢に応じ、あるいはライフスタイルに応じ接触をしているメディアが違いますので、そのメディアに応じたPR活動、国民活動というものをやっていきたいと思っております。

 それから、アメリカに対する働きかけでございますけれども、総理、大臣等のハイレベルのほか、やはりアメリカというのはいろいろな方々がおられます。企業でありますとかシンクタンクとか、そういう方々に対する働きかけも継続をしております。

 中国につきましては、日中韓の三カ国の協議というものを恒常的に行っております。最近はモンゴルも含めて北東アジアということでございますが、そういう公式のチャネルの中で少しずつ変化も生じてきているということでございます。これからも引き続き働きかけてまいります。

迎政府参考人 省エネにおける中小電器店の役割というお尋ねでございますけれども、電気製品、大型のスーパーですとかあるいは専門の量販店とか、こういったところもいろいろ販売しておるわけでございますけれども、そういう中で、中小電器店は、地元に密着をして、顧客の方と、顔をよく知っている、あるいはその家なんかもよく知っている、こういうふうな立場にあるわけでございますので、きめ細かなサービスあるいは省エネなんかで量販店なんかと競争、対抗していくということが期待されるわけですけれども、その際に、機器の性能、省エネの性能ですとか、あるいは実際に機器を使いこなすについてのきめ細かな御相談に応じるとか、こういったことを進めて、中小店としての特色を生かしてやっていただくことが期待される、こういうふうに思っております。

中川国務大臣 吉田委員から二点だと思いますけれども、まず、世界的な省エネへの貢献という意味で、私も、去年の国際エネルギー産消対話とか、あるいはそれがきっかけで、ことしの初めインドで、アジアの、中東から東アジアに至る産消対話ということで、その中で、日本として省エネの技術、経験、人材育成について貢献をしたい。先ほどの中国もそうでしたけれども、ぜひそれを先方も活用したいということでございますので、日本の役割を積極的に果たしていきたいと思います。

 それから、過重な負担の問題です。これはもう、過重な負担によって経済活動そのものの活力が損なわれるということがあってはなりませんので、どうしてもそういう新しい機器あるいはまたそういうより付加価値を求める機器は高くなりがちですけれども、そこは経済的なぎりぎりのところと、それから、やはり雰囲気といいましょうか、これをやることによってプラスになるんだと。アメリカでハイブリッド車が人気があるのは、ハリウッドのスターだとかそういう人たちが先駆的にやっていて、いわゆる米語で言うクールというんですか、格好いいということが一つのインセンティブになっているようですから、みんなで、オピニオンリーダー的な人が先駆的にやっていくことによって家庭あるいはまた企業においてのインセンティブになっていくというようなことも含めて、過重な負担にも配慮しながら促進していきたいと思っております。

吉田(治)委員 もう時間です。終わります。

 一点だけ、大臣、やはりもっと国民にも働きかけと、それから、私質問させていただいたのは、さっきの環境省への質問と同じですけれども、中国にやはり大臣からもっともっと二酸化炭素、メカニズムに入るようにということをしていく必要があるのでないかなということ。

 それから、最後、技術は外へ出すのと同時に、例えばヨーロッパにおいてはクリーンディーゼルエンジンというものが非常にポピュラーになってきている。何度もこの場でも質問あったと思いますけれども、やはり日本にはディーゼルというだけで避ける部分がありますけれども、その辺をどううまく導入していくのかとか、そういうような部分も進めていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 以上です。

河上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平井卓也君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。村井宗明君。

村井(宗)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、限られたエネルギー資源の有効な利用を図るとともに、エネルギー起源の二酸化炭素の排出をより一層抑制し、環境と経済の両立に配慮した省エネルギー対策を確実に推進するため、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 工場及び事業場における熱と電気の一体的管理の導入に際しては、省エネルギー施設導入に当たっての支援措置の拡充等、中小事業者の実情等に十分配慮した運用を行うとともに、エネルギー使用量等に係る情報の開示に努めること。また、熱電双方の専門的知識を有するエネルギー管理士の早急な人材育成に努めること。

 二 運輸部門に対する新たな規制の導入に関しては、中小事業者等の実情に十分配慮した運用を行うこと。また、自家用自動車によるエネルギー使用の抑制に向け、自動車メーカー等の取組を支援するとともに、国民の省エネルギー意識を喚起するための広報・教育活動を行い、地方自治体との十分な連携を図りつつ幅広い視点からの総合的な対策を講ずること。

 三 民生部門における省エネルギー推進のためには、国民の自主的な努力が不可欠であることから、省エネルギーの必要性や本改正による具体的な効果等について国民に対してわかり易い説明を行い、国を挙げた省エネルギー推進に向けて対策を一層強化すること。

   また、小規模の建築物や住宅についても地域の実情を勘案したうえで省エネルギー対策の強化を図るとともに、新築や改築に係る住宅の省エネに対する金融等の支援の拡充に努めること。

 四 省エネ性能に優れた機器の一層の普及を促進するため、いわゆるトップランナー方式の対象機器の拡大に努めるとともに、省エネラベリング制度の拡充徹底を図ること。併せて、公共工事の入札や機械・備品・車両等の調達に当たっては、省エネルギーの徹底を旨とし、適切に行うこと。

 五 我が国企業が有する優れた省エネルギー技術の発展途上国等への移転は、世界規模での地球温暖化対策に極めて有効であることから、京都メカニズムの活用等を通じた省エネルギー技術の円滑な移転が行われるよう、条件整備に努めること。併せて、新エネルギーの導入促進に向けて更なる技術開発等の施策の効果的実施に努めること。

 六 米国、中国等の二酸化炭素大排出国やインド、ブラジル等の将来、二酸化炭素排出量の伸びが予想される国々に対する働きかけを強化するとともに、国内経済への影響を最小限に抑えるため、他の先進国との負担の公平化を目指し、更なる多面的な外交に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

河上委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

河上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十一分散会


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