衆議院

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第2号 平成17年10月19日(水曜日)

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平成十七年十月十九日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 谷口 隆義君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 新藤 義孝君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    岡部 英明君

      片山さつき君    亀岡 偉民君

      岸田 文雄君    北川 知克君

      小杉  隆君    近藤三津枝君

      清水清一朗君    菅  義偉君

      平  将明君    谷畑  孝君

      長崎幸太郎君    早川 忠孝君

      平田 耕一君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    望月 義夫君

      森  英介君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    川端 達夫君

      吉良 州司君    北橋 健治君

      後藤  斎君    神風 英男君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      三谷 光男君    鷲尾英一郎君

      江田 康幸君    塩川 鉄也君

      武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   会計検査院事務総局第五局長            船渡 享向君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   舟橋 和幸君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 鈴木 隆史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房政策評価審議官)       高橋 英樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           長谷川榮一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           江嵜 正邦君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          北畑 隆生君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            北村 俊昭君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          肥塚 雅博君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           平工 奉文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   参考人

   (財団法人産業研究所所長)            角間 信義君

   参考人

   (日本自転車振興会副会長)            深澤  亘君

   参考人

   (独立行政法人日本貿易振興機構副理事長)     塚本  弘君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     亀岡 偉民君

  佐々木隆博君     福田 昭夫君

  松原  仁君     神風 英男君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     坂本 剛二君

  神風 英男君     松原  仁君

  福田 昭夫君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     佐々木隆博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

谷口委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として財団法人産業研究所所長角間信義君、日本自転車振興会副会長深澤亘君及び独立行政法人日本貿易振興機構副理事長塚本弘君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長舟橋和幸君、法務省大臣官房審議官深山卓也君、経済産業省大臣官房長鈴木隆史君、経済産業省大臣官房政策評価審議官高橋英樹君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、経済産業省大臣官房審議官長谷川榮一君、経済産業省大臣官房審議官江嵜正邦君、経済産業省経済産業政策局長北畑隆生君、経済産業省通商政策局長北村俊昭君、経済産業省産業技術環境局長肥塚雅博君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、経済産業省製造産業局次長平工奉文君、資源エネルギー庁長官小平信因君及び中小企業庁長官望月晴文君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長船渡享向君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡部英明君。

岡部委員 おはようございます。今回、私、初当選させていただきました自由民主党の岡部英明でございます。初めての質問ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私の地元は、茨城県の県北で、日立市を中心とした電機産業の企業城下町でございます。多くの中小企業を抱えておりますし、また農村部、漁村部、そういった地域でございます。バブル崩壊後、国の景気は緩やかには回復してきているという指標が出ておりますが、まだまだ私の地元、そして地方においては中小企業を中心として大変厳しい状況にあるのではないかと思っております。そういう地元の声そしてまた中小企業の声を踏まえて、きょうは質問させていただきたいと思っています。

 まず初めに、我が国の景気につきまして、国全体の景気は緩やかな回復基調だということではございますが、これは地域によって大変さまざまでございますし、私の感覚で申しますと、大都市中心そして大企業中心の回復であると理解しております。我が国は今後、本当の意味での経済状態からの回復ということであれば、地方の再生そして中小企業を含めた景気の回復でなければならないというふうに思っています。ぜひ、地方の再生という意味で、改革を進めてもいただきたいというふうに思っております。

 ぜひ大臣にお伺いしたいと思います。中小企業、そして地方の現況と将来の見通しに関しまして、どのような認識をお持ちになっているか、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 おはようございます。

 今、岡部議員から最初の質問ということで、私も、最初の質問のときに緊張と責任感を持って質問したことを、今、岡部議員のお顔を拝見しながら思い出しているところでございます。

 さて、日本経済、全体としてマクロとしてはよくなっているというふうには言われております。しかし、経済産業省としては、ミクロを見るあるいは個別企業を見るという状況からはまだまだ全体としていいという判断はできないというふうに私は思っております。もちろん、全体としてはいいんでしょうけれども、そういう意味で、地域によって、茨城あるいは私の北海道も大変ひどいんです。そういう状況、あるいはまた業種によって、あるいはまた中小企業、こういう状況がまだまだよくない。

 それから、日本経済全体がまだデフレ状態にある、これを何としても脱却しなければいけないということがこれからの我々の一番大きなポイントだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、日本の九九%以上を占める中小企業あるいは雇用の七〇%を占める中小企業の雇用、こういうものが本当によくなっていかないと、設備投資あるいはまた個人消費がよくなっているとはいえ、全体として、まだまだ我々政府があるいはまた政治がやることがいっぱいあるのではないかというふうに考えております。

岡部委員 ありがとうございます。

 今大臣から、中小企業を取り巻く環境というのはまだまだ厳しいというお話がございました。それに関連いたしまして、政府金融改革についてお伺いしたいと思います。

 現在、政府系金融機関の統廃合について議論が上がっておりますが、最初に統合ありきというのではなくて、それぞれの機能、役割、そしてその重要性をかんがみて、私は慎重な議論が必要ではないかと考えております。

 貸し渋りが頻発していたころ、発生していたころ、政府系金融機関が民間金融機関の役割を補って多くの中小企業を救ったという事実は忘れてはいけないと思いますし、また、日本商工会議所のアンケート等では、中小企業向け三金融機関の統合に関して、それぞれの機能が失われる、どちらかというと薄まると考える中小企業が合わせて六七%にも上っておる。そういう意味では、中小企業の皆様が大変心配し、そして多くの方が懸念を持っているというふうに感じております。

 また、二〇〇三年度の国税庁の調査によりますと、資本金一億円未満の中小企業の六八%がまだ累積欠損を持っている、そして四〇%がまだ単年度で赤字であるという状況の中では、民間金融機関の融資が十分に受けられないような多くの中小企業がまだまだ存在しておりますし、政府系金融機関の役割というものはまだまだ大切なものだというふうに私は思っています。今後行われるであろう政府系金融機関の統廃合の議論の中で、その機能が落ちることなく、また現在の役割が維持されるようなことをぜひお願いしたいと思っております。

 また、その議論の中で、今後、やはり創業であったり経営革新そして再生など、なかなかまだまだ民間金融機関ではリスク評価が難しい分野におきましては、十分に対応できるようなそういうものを構築していただきたいというふうに私は思っています。

 ぜひ大臣にお伺いしたいと思います。金融再編成と政策金融のあり方というものを大臣はどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 日本の経済を支えているのは中小企業だ、これはもう世界がそういうふうに評価をしていると自信を持って言えると私は思います。発展途上国、あるいはまた日本を引っ張っていっている企業も、実は中小企業がしっかり支えているから日本の経済が力強くなっている。でも、さっきお答え申し上げたように、中小企業はまだまだ厳しいという状況であります。

 そういう中で、中小企業金融、これはもちろん、民でできるところは民で、そしてそれができない場合には官が補完をするというのが基本的な考え方だろうというふうに思っておりますけれども、その中小企業の金融機関を支えていく政府系金融機関が、民ができない部分について一生懸命役立っていくということは、今までも重要な役割を果たしていたと思いますし、またこれからも非常に大事なポイントだろうというふうに思います。

 そういう意味で、政府系金融機関が果たしております無担保無保証、あるいはまたいわゆる担保が要らない保証とか、あるいはまた証券化とか、いろいろな多様な融資形態あるいはまた保証形態、こういうものを民のできない部分について一生懸命やっていくということはこれからも重要ではないかというふうに考えております。

岡部委員 ありがとうございます。

 ぜひ、今後の政府系金融機関の見直しの中で、十分中小企業が安心していけるような、そんな形になっていただきたいと思っていますし、ぜひ大臣にはよろしくお願いしたいと思います。

 次に、先ほどの地元のお話の中で、地域の中小企業、特に製造業が多いわけでございますが、中小企業に関連いたしまして、特に物づくりの中小企業について伺いたいと思っております。

 日本の自動車、電機産業、数多くの主要な工業製品が品質などの面において高い競争力を有しておりますのは、私はやはり、海外企業には容易にまねのできない、すぐれた基盤的な技術を持っている多くの中小企業が存在しているからだというふうに思っておりますが、そういう中で、なかなか、現在、中小企業も多くの課題を持っている。中小企業にとっては大変大きなリスクを伴うこともありますし、また、技術者の高齢化が現在大変進んでおる、そして大企業が今採用数をふやし始めている。そういう中で、人材の確保、育成が一層困難になってくるなど、さまざまな経営課題があるわけでございます。

 そういう中にあって、こうした物づくりを支える基盤的な技術を担っておる、また今後も担っていくと思われる中小企業に対して、どのような支援策を講じるべきか。そして、今まで経済産業省が取り組んできた中小企業支援策の成果、評価を踏まえて、今後どのように経済産業省では取り組んでいこうかと考えているか、そのことについてお伺いします。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃいましたように、これまで私どもとしては、経営革新や技術開発などに取り組む中小企業に対してさまざまな施策を展開してまいりました。

 その一環として、ことしの四月の通常国会で、中小企業新事業活動促進法という新しい法律を制定していただきまして、直ちに施行いたしました。これは、中小企業の挑戦を支援する総合的な支援法という位置づけで成立をさせていただきましたけれども、その成果の一例を申し上げますと、複数の中小企業が強みを持ち寄って新しいビジネスを展開する新連携などに関して位置づけていただいたわけでございますが、既に認定件数が百件を超え、その中には物づくりの中小企業も数多く含まれているわけでございます。

 また、御指摘のように、すぐれた技術を有する物づくりの中小企業、これは私ども、我が国製造業の国際競争力を支える基盤であると、経済の活性化、産業競争力の強化を目指した、昨年来経済産業省として取りまとめました新産業創造戦略の中でもその重要性を改めて認識しているわけでございます。

 しかし、こうした物づくり中小企業について、御指摘のように、求められる技術というものが一層高度化、専門化している、あるいは市場競争の進展に伴って、従来の固定的な下請取引から、よりオープンで競争的な取引への移行を迫られており、取引先企業のニーズや技術に関する情報というものがなかなか入手することが困難になってきているという問題、あるいは物づくり中小企業の技術者の高齢化が進む中で、人材の確保、育成が一層困難になっているというような、さまざまな経営課題に直面しております。

 このため、高度な技術を担う物づくり中小企業の発展強化を図るための法的措置を初め、予算、金融など総合的な施策を講ずることを来年度に向けて検討しているところでございます。

岡部委員 ありがとうございます。

 時間がなくなってきたので最後の質問をさせていただきたいと思います。先ほど地方経済についてお伺いいたしましたが、それに関連いたしまして、まちづくりについてお伺いしたいと思っております。

 現在、私の地元でもシャッター通りと言われるような商店街がございますし、また、ことしになって、二店舗ほどですが、デパート、大規模店舗が実は撤退しております。客の流れが変わって、地域の商店街、大変困っております。

 そういう中にあって、全国的にやはりこの中心市街地というのは衰退傾向にあるのではないか。その要因としては幾つか考えられると思いますが、郊外開発、また地権者等のまちづくりに対する協力不足、また中心市街地自体の魅力の低下など、いろいろとあると思うんですが、その一方で、福島県を初めとして、今、幾つかの地方自治体が大規模の店舗に対する規制であったり条例をつくるという動きがあると思いますが、その中で現在まちづくり三法の見直しの機運がありますが、地方の自立というのであれば、やはり地域のデザインを地域みずからが描くことができるような、そんなまちづくり三法になっていかなければならないと私は思っています。

 ぜひ経済産業省に伺いたいと思います。まちづくり三法の見直しも含めて、今後のまちづくりについての経済産業省のお考えをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 私も全国を回りますと、景気の問題それから中心市街地活性化の問題、どこへ行ってもそういう話を伺います。やはり町の中心である市街地を活性化するということは非常に重要なことで、これをぜひ活性化していきたい。いわゆるまちづくり三法を抜本的に見直しをしてやっていきたい。ただし、それは、今までのように、国があるいはまた公的な部分がこうしろということじゃなくて、ぜひ、御地元の日立なら日立、あるいは私の北海道が知恵を出してやっていけるような、いわゆるコンパクトシティーとかいろいろ言葉はありますけれども、ぜひ、御地元のアイデアを国があるいは自治体が一生懸命お手伝いをさせていただく、そういう形で、抜本的な、法律の見直しも含めてやっていきたいと思いますので、ぜひ岡部先生のアイデアを生かしていただきたい。全面的に応援させていただきたいと思います。

岡部委員 どうもありがとうございます。

 時間ですので、終了させていただきます。どうもありがとうございました。

谷口委員長 次に、片山さつき君。

片山委員 自由民主党静岡七区選出の片山さつきでございます。先日の郵政特委に続きまして、新人ながらこういった質問の機会を与えていただき、大変ありがたいことだと思っております。

 本日は、産業立国、物づくり国家日本を支える経済産業政策という観点から二、三お伺いしたいと思います。

 私の選挙区の静岡七区もかなり産業の集積があるところでございます。その中で非常に重要だと思っておりますのが、研究開発の促進でございます。いわゆる研究開発促進税制は、我が国でも二十年来存在はしておりますが、まさに三、四年前に我が国経済が金融危機とともにどん底に陥ったときにいろいろなアイデアが出てきた中で、やはり産業構造の転換こそが苦境脱却のかぎの一つなんだ、そういった発想もございまして、平成十五年度から、従来まで増加型であったこの税制が総額型に抜本的に底上げされまして、それ以降、非常にこの民間研究開発投資の誘発効果が目覚ましいというふうに伺っております。ある民間の試算によりますれば、実質GDPが相当押し上げられて、三年間で五・六兆円とか、あるいはもっとという声もあるわけでございます。

 実は、導入当時、私も財政当局におりまして、委員長も財政当局の私の大上司でおられたわけでございます。この導入当時には、当然、税収の問題、多年度税収中立といった議論もございましたわけでございますが、見方によっては、小泉政権の改革路線の中でも郵政民営化を突破口とした財政健全化は非常にキーでございますが、こういったおつりが来る税制というのは、民間活力をてこにした財政健全化にもつながり得るという見方もあると思うんですけれども、その辺につきまして、この税制あるいは研究開発促進に対する経済産業省のお考えをまず最初にお伺いしたいと思います。

小此木副大臣 おはようございます。私からお答えをいたします。

 おっしゃるように、平成十五年度の研究開発税制の抜本的な強化を受けまして、我が国の民間研究開発投資、これは大きく増加をしております。平成十六年度から二年連続で約七千億円の増加となり、民間研究開発投資は、平成十五年度の十一・七兆円から、平成十七年度には十三・一兆円に達する見込みであります。

 研究開発税制の強化は、企業の設備投資の国内回帰や先端分野の積極的な研究開発投資をもたらしておりまして、具体的には、二つ申し上げますが、情報家電メーカーの例では、国際競争に勝ち抜くため次世代ディスプレーの研究開発拠点の新設を進めており、平成十八年度には稼働予定となっております。自動車メーカーの例では、研究開発投資を大幅に増加させ、低公害車を初めとした環境関連の研究開発を進めるとともに、将来に向けた燃料電池自動車の研究開発にも取り組んでいるということであります。

 経済の持続的な発展のためには、産業全体における生産性の向上や豊かな国民生活の実現につながる研究開発を推進することが極めて重要であると思っています。また、国際競争が激化する中で、競争力ある産業を創出するためにも、民間企業における研究開発の推進が不可欠であると考えております。

 このような観点を踏まえ、民間企業の研究開発投資の推進に大きな効果を有する研究開発税制がさらに継続されますように、私たちは精いっぱい努力してまいりたいというふうに思います。片山委員初め皆さんの御声援も、よろしくお願いをしたいと思います。

片山委員 ありがとうございました。

 副大臣の大変力強いお言葉を伺って、私どもも、微力ながらこの政策の推進に向けて頑張っていかなければならないという思いを新たにしたところでございます。

 今お答えになられましたような実際の活用例のアピールということ、それから全体的なマクロ的な数字の押し上げ、そういったデータをもとにしつつも、もう一つの考え方といたしましては、当時、三、四年前にどういう議論がされていたかということを思いますと、やはり産業競争力が抜本的に強化されて日本経済全体の腰が強くなるということにより、核となる企業の雇用が安定し、場合によっては創出される、そこがベースになって、サラリーマンの雇用、そしてサラリーマンの民間所得、サラリーマンの消費、こういうよいスパイラルを生むという発想があったわけでございますね。今、サラリーマン増税だ減税だ、企業減税だ増税だ、こういった比較をする向きも一部にあるようでございますが、もともとはそういった発想であったということも考えて、いろいろな交渉ですとか年末に向けての政策論争に向かっていかなければならないのではないかと考えているところでございます。

 まさに今副大臣からお話がございましたように、こういった産業競争力の強化の中でも、日本のリーディング産業と申しますか、基盤となる産業というものの重視ということが一つキーとなると思います。

 その中では、私、浜松でございますから申し上げるということではないんですけれども、やはり日本のリーディング産業の一つとして、そのすそ野の広さ、そして輸出競争力、それからザ・ニッポンのブランド力でございますね、そういった意味から、すべての面で産業立国の日本それから物づくり日本の牽引力としてこれまで頑張ってまいりました自動車に対する産業政策のあり方について、お伺いしたいと思うんです。

 やはり九〇年代は、さすがの自動車産業もいろいろな苦境がございました。まず、日米の摩擦も相当激しいものがございました。それから、一部のメーカーは、やはりいろいろなボトルネックに陥り、ある意味では合従連衡、世界的な勢力分布図の中に組み込まれるという形での生き残りを図ったわけでございますが、そんな中でも、日本の自動車産業の強みと言われております物づくり現場での断固たる組織能力、改善能力、これが生かされることによって、その裏方である生産開発能力、生産開発現場での競争力が発揮され、今おっしゃられましたような研究開発税制の後押しもあって、低公害車の開発にもつながり、ますます産業競争力に磨きがかかったという、いい方の立ち直りを見せたわけでございますが、今、それでは、自動車産業を支えていくために我が国の産業政策としてどのようなことをというと、やはりこれからアジアに目が向いているということが言われております。アジア諸国とは、FTA、EPAも進んでおります。それから、最後に残された大きなフロンティア、中国という問題もございます。これに関する取り組みについて、次にお伺いさせていただきたいと思います。

小此木副大臣 申すまでもなく、我が国の自動車産業は全世界に事業を展開しておりまして、委員がおっしゃいましたように、とりわけ、これからASEAN、中国は重要な位置づけになるというふうに思っています。

 ASEANにおきましては、既にEPA交渉に取り組んでおりまして、フィリピン、マレーシア、タイと大筋合意ができているというところでございます。今後も、インドネシア、ASEANとの交渉を通じて、我が国自動車産業の発展をぜひ後押しをしていくということでございます。

 他方、中国についてでありますが、この数年、日系自動車メーカーの現地生産が相次いでおります。先行した欧米勢にキャッチアップを図りつつあります。

 中国市場は、その成長性が魅力である一方で、模倣品問題に関する被害なども発生をしています。このため、知財保護の問題に関して、本年六月に、第三回となります官民合同の訪中ミッションを派遣したほか、昨年四月には、双方の産業界も交えて、日中自動車官民対話を開催したところであります。

 我が国自動車産業が競争力を持って事業活動を行えますように、引き続き政策対話の場を強化して、中国政府への働きかけ等々を行ってまいりたいと思います。

片山委員 ありがとうございました。

 私の選挙区も自動車産業を中心に多くの下請が広がっておりますが、皆さん中国と何らかのビジネスをし、今進出しかけているところもたくさんございますが、今副大臣からお答えいただきましたようなさまざまなボトルネックも抱えております。まさに、中国は大きくなりつつあるといえども、まだ大きな途上国としての側面、ルール・オブ・ローの欠如を抱えております。そういったところは、やはり国として伝統的な通商政策で後押ししていく部分が必要な部分だと思いますので、ぜひ今後とも経済産業省に頑張っていただきたい、かように考えております。

 そしてまた、自動車産業からの関連でもあるんですけれども、やはり環境問題としてグリーン税制の重要性ということがございます。排出ガス、燃費に応じて自動車税を軽減するという、こちらの機能といたしましては、省エネ技術の向上に対する大変なインセンティブになりますし、また、経済界全体としての最大の課題でございますCO2削減目標の達成、今のところプラス六になってしまうというデータもあるわけですが、そんな中で、産業界、工場の方で幾ら頑張ってみても、運輸の方でかなり出てきてしまう、こういうお話もあります。

 こういった中で、やはり環境税制の重要性ということもあると思うんですけれども、こちらへの取り組みに関してもお伺いいたしたいと思います。

平工政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる自動車グリーン税制といたしましては、自動車税のグリーン化と自動車取得税の低燃費車特例が講じられております。

 ただいま片山委員御指摘いただきましたとおり、両制度を通じまして、燃費性能及び排ガス性能ともにすぐれた低公害車の普及が年々進んできておりまして、本税制は重要な役割を果たしているものと認識をいたしております。

 本年二月に京都議定書が発効いたしました中、地球温暖化対策や排出ガス対策の観点から、低公害車の一層の普及が求められております。経済産業省といたしましては、自動車グリーン税制の延長を要望しているところでございまして、その実現に向けて、関係省庁と調整しつつ、最大限努力してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

片山委員 ありがとうございました。こちらも重要な課題ではないかと思います。

 最後に、ことしの目玉、昨年からお始めになったと伺っておりますが、経済産業省のことしの、二〇〇五年の新産業創造戦略でございます。やはりグローバル競争の激化の中で、新産業創造ということで、常に日本は一歩二歩先に行かないとこの競争に勝ち残れないという危機感の中から、確固たる計画をつくっておられるというふうに伺っておりますが、まずその概要からお伺いしたいと思います。

小此木副大臣 昨年五月に、新産業創造戦略を策定いたしました。

 ポイントは、我が国の将来を支える戦略分野、人材育成、知的財産保護、研究開発等の横断的重点政策、こういったものに置いて策定をいたしました。世界で勝ち抜き、日本の将来を支える戦略分野として、燃料電池、情報家電、ロボット、コンテンツ等の分野を定めるとともに、人材の育成、知的財産保護、研究開発などの横断的な重点政策をまとめてきたということであります。

 さらに、新産業創造戦略というプランの実現には、継続的な取り組みの実施に加え、取り組みの進捗状況や状況変化を確認し改善していくこと、これが重要であります。そのため、昨年の戦略の基本コンセプトを継承しつつ、今後重点的に取り組むべき施策の具体化、進化を行うため、本年六月に新産業創造戦略二〇〇五を策定したところであります。

 この分野におきましては、戦略分野への施策や地域再生分野への施策のさらなる具体化、我が国の強みの源泉である基盤技術を担う中小企業や高度部材産業への施策の重点化、人材、技術等の蓄積、進化、知的資産重視の経営の促進などの横断的施策の進化、これを進めることとしております。

 この新産業創造戦略は骨太方針二〇〇五においてもその推進を図るものと位置づけられたところでありまして、今後とも、各省庁との密接な連携のもと、政府一丸となってこの戦略の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。

片山委員 ありがとうございました。

 まさに骨太の方針で大きな骨格を経済産業政策についても示されるようになりましてから、科学技術、研究開発の分野についても、選択と集中、テーマを絞り込むということがだんだんはっきりしてまいりまして、非常に目的意識それから現実性がついた計画で、毎年毎年リファインされているなというふうに拝見させていただいております。

 そんな中で、具体性それから部素材への重点化というのは非常に重要だということがわかるんですけれども、やはり中国のような国を見ておりますと、我が国のような場合は、彼らに比較優位を持つためには、ネクストジェネレーション、今現在生まれていないような発想、次の世代の産業の育成という発想を常に持って引っ張っていないと生き残れない。応用の部分については彼らはすごい勢いで追いついてきますから、それだけではなくて、やはり無限の可能性が広がっております光ですとか核融合ですとか、我が国は常に新しい技術を創造し続けるんだという発想を持ち続けるということも大事ではないかと思っております。

 私どもの地元も、光産業の産業集積の促進特区というのをつくっておりますが、一応その中で、光産業の非常に大きな高邁な理想を持ちながらも、川下の方にも広がるということが始まってはおります。ですから、ぜひ経済産業省のこういった戦略の中にも、川上から川下まで、非常に広いクラスターも包含していただきたいと考えておりますが、最後にそちらの点だけ、お願いいたします。

谷口委員長 肥塚産業技術環境局長、簡潔にお願いします。

肥塚政府参考人 おっしゃるとおり、次世代につながる基礎研究とか技術シーズの発掘に資する研究開発が非常に大事だというふうに思っています。

 副大臣からお話がありました新産業創造戦略を踏まえて作成した技術戦略に基づいて、基礎研究、技術シーズの発掘から実用化に至るところまで、研究開発の各段階に応じて適切に支援したいというふうに考えております。

片山委員 ありがとうございました。

谷口委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 近畿ブロックの近藤三津枝でございます。

 新人でございますのに、きょうこのような質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。新人でございますので緊張しております。どうぞよろしくお願いいたします。

 私、選挙前まではジャーナリストとして経済、環境、エネルギー問題を取材しておりました。そこできょうは、国民生活に密接にかかわります原油価格高騰の影響とその対策について、またエネルギーの安定供給確保と同時に、地球温暖化対策の一環を担う新エネルギー、省エネルギーそしてリサイクルについて、お時間の許します限り質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに原油問題です。

 原油の価格、我が国に直接関係のありますドバイ原油、一バレル六十台の高値で推移しております。これは御存じのとおり、中国の需要が激増した結果、スーダンなどカントリーリスクのある国にまで進出するなど、世界じゅうの油田の利権獲得が起きている、これが原因だと思います。

 原油の高値推移は構造的な問題と見る向きも非常に多うございまして、私も取材しておりますと、原油価格は今後もこうした高値圏内にとどまると予想していらっしゃる経済人も非常に多くいらっしゃいます。

 石油製品価格も、レギュラーガソリン、ことしの四月の値段を見てみますと一リットル百二十二円でございましたが、半年で百三十一円、軽油は、ことしの四月、一リットル九十八円でしたが、半年で百六円へと価格上昇いたしました。軽油、重油をエネルギー源とする例えばクリーニング業、漁業関係、非常に大変な、苦しんでおられます、苦境に陥っていらっしゃいます。こうした業種は特に中小企業性が高うございますので、石油製品の値上がりによりますコスト上昇を価格に転嫁できない、そういう企業が非常に多いようです。適正な価格転嫁のために何らかの対策が必要だと思われますが、いかがなんでしょうか。

 そしてまた、これからの需要期を迎えまして、国民は灯油などの価格の先行きに不安を感じております。特に寒冷地におきましては懸念が広がっております。ようやく個人消費の回復の兆しが見え始めたところなんですが、タイヤとかかまぼこ、お砂糖の値段が上がっているというふうにも新聞記事でも見ておりますし、我々の生活にじわじわと影響が出てきているのではないか。つまり、最終製品への価格転嫁も出始めているようにも思われます。

 家計にどのような影響があるのか、どのようにごらんになっているのか、教えていただけますでしょうか。

小此木副大臣 おっしゃいますように、中小企業に対する原油価格上昇の影響につきましては、五月、七月そして九月と定期的に調査をしておりまして、九月に行った調査では、約六割の企業が収益を圧迫されて、約九割の企業が価格転嫁が困難になっているとの調査結果が出ています。

 また、業種別に見ますと、石油製品製造業、プラスチック製造業、運輸業等に大きな影響が出ていると承知をいたしております。

 この調査結果を受けて、下請中小企業振興法に基づく振興基準におきまして、取引対価は、材料費、運送費等の要素を考慮した合理的な算定方式に基づき、下請事業者と親事業者が協議して決定をするということとしております。そうしたところ、九月三十日に本振興基準の周知徹底を図るなど適切な措置を講じることを要請する文書を関係親事業者団体に発送したところであります。

 あわせて、政府系金融機関等に特別相談窓口を設置するとともに、経営状況が厳しくなっている中小企業については、政府系金融機関によるセーフティーネット融資できめ細かく対応しております。

 今後とも、原油価格上昇に伴う中小企業への影響については引き続ききめ細やかな実態把握を行うとともに、フォローアップに努め、適切に対応してまいりたいというふうに思います。

 そして、この冬以降の家計消費に与える影響ということでありますけれども、我が国経済は民間主導で緩やかにこれまで回復をしておりまして、先行きも回復の継続を見込まれ、またそのためには努力をしなければいけません。消費者物価はマイナスで推移しておりまして、現時点では、原油価格上昇が家計消費全体に大きな影響を及ぼしている状況にはないというふうに思います。

 引き続き、物価動向や家計消費等への影響を注視してまいります。石油製品の安定供給に万全を期しながら、特に灯油懇談会、こういったものを通じて、消費者の不安感、こういったものを払拭してまいりたいと思います。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 せっかく消費マインドがアップしてきたところですので、ぜひ、この芽を絶やさないようによろしくお願いいたします。

 さて、石油価格が上がってまいりましたこの影響を軽減しますには、脱石油を一層図ることが必要かと思われます。

 ちょうだいしました資料によりますと、オイルショック以降、脱石油の努力を重ね、現在では、全エネルギー需要に占める石油依存度四八・九%、五割を切るまでになりましたが、海外の方に目を転じてみますと、アメリカが三九・三%、イギリス三四・七%と、欧米諸国と比べますと石油依存度はまだ高いようです。しかも、その石油はほとんど中東に輸入を頼っているという現状で、石油依存度、中東への依存度は八九%にまで上っております。供給面で脆弱性があるという考えは否めないと思います。

 脱石油につきましては、エネルギー供給源の多様化が必要でありまして、太陽光発電、風力発電などのいわゆる新エネルギーの普及拡大も非常に有効な手段でございます。原油価格が今、高どまりしております。この今こそ、絶好のチャンスが新エネルギーに回ってきているのではないかと思っております。新エネルギーの普及拡大は、地球温暖化対策としましても重要です。新エネルギー政策への取り組みを一層強化するべきではないかと思っております。

 日本では、政府の支援策などもありまして、太陽光発電の導入量、世界で最も多くなっておりまして、これは非常に喜ばしいことと思っております。しかし、エネルギー全体で見ますと、現在一%、二〇一〇年には三%。非常に期待しておりますので、太陽光発電、頑張っているんですが、この三%という数字をどう見るかだと思うんです。これもまた、欧米諸国などと比較をいたしますと、新エネルギーの導入割合は低いのではないかとあえて申し上げさせていただきたいと思います。

 このことに関します御認識、そして今後の新エネルギー促進の具体策をお伺いいたします。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘がございましたとおり、新エネルギー、大変重要なエネルギーでございまして、政府といたしましても、この新エネルギーの導入の促進を図るということで、二〇一〇年の新エネルギー供給に占めます割合三%ということを導入目標にいたしております。

 新エネルギーにつきましては、まだ経済性の問題があるわけでございまして、この二〇一〇年の目標を達成するということがまず第一に重要であろうかというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、財政上の支援、法律上の措置などさまざまな措置を講じております。

 具体的に申し上げますと、平成十八年度の概算要求におきまして、新エネルギー関連予算といたしまして千六百八十一億円を要求いたしておりまして、研究開発への支援、設備導入の補助を行うというようなことを予定いたしております。

 また、平成十四年に制定をされました電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法によります電気事業者への新エネルギー利用の義務づけ等のいろいろな措置を講じておりますが、今後とも新エネルギーのさらなる導入拡大に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 その新エネルギーについて、もう少し質問を続けさせていただきたいと思います。今度は、新エネルギーを地球温暖化の側面から見てみます。

 ことしの四月に閣議決定されました京都目標達成計画におきまして、温室効果ガスの排出総量の六%削減方策の一環としまして、我が国の新エネルギー導入量でございますが、二〇一〇年には、原油換算しまして、千九百十万キロリットルにする予定でございます。この数字を二〇〇二年と比べますと、二〇〇二年度実績が九百二十三万キロリットルですから、倍増する計画になっているわけでございます。

 この新エネルギー、さらに深く見てみますと、発電分野と熱利用分野に大別されますが、それぞれの目標が、発電分野が八百万キロリットル、そして熱利用分野がおよそ千百万キロリットルとされております。発電分野では、目標達成の確実性を高めるためにRPS法を制定するなど、規制的措置が導入されておりますが、熱利用分野に関しましては、業界の自主的な取り組みに任せているというふうに伺っております。

 このトータルの新エネ導入目標千九百十万キロリットルを達成するためには、規制がなく、自主的な取り組みに任せているという熱利用分野についてはどのような施策をもって確実性を高めていかれるのか、このあたりをお伺いさせてください。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 新エネルギーの熱利用の面につきましては、さまざまな熱利用の形態がございます。それぞれの利用形態につきまして、これまでも技術開発等に対する支援を実施してまいりましたけれども、平成十八年度の概算要求におきましては、こうした対策をさらに強化するということにいたしております。

 具体的には、バイオマス熱利用につきましては、下水汚泥でございますとか食品廃棄物のメタン発酵によります燃焼利用、地域におきますバイオマス熱利用の技術的、経済的な実証を行う事業というようなことで四十億円の要求をいたしております。また、バイオマス資源の収集から利用まで、地域の特性に適合いたしました一連のバイオマスエネルギー利用システムを構築するための実験事業として二十億円を要求いたしております。

 また、太陽熱利用につきましては、公共施設や集合住宅等で普及が進んでおりませんので、こうした分野への導入拡大を図りますフィールド事業といたしまして十億円を要求いたしております。

 このような措置に加えまして、先ほど申し上げました新エネルギー全般に対します支援措置等も積極的に活用していただいて、熱利用の促進を図っていきたいというふうに考えております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 バイオマス発電、風力発電など、各省庁間、地方自治体との連携も重要になってくると思います。新エネ対策部門を持っておられる経済産業省、リーダーシップをとって取り組んでいただきたいと願っております。

 エネルギー供給面で多様化、石油備蓄対策を図るだけでは、エネルギー情勢の安定、地球温暖化対策としては不十分であり、需要側の省エネルギーの一層の推進が必要だと思われます。さらに、近年需要の伸びが著しい民生部門、運輸部門での省エネを促進するため、前の国会でいわゆる省エネ法が改正されました。

 現在でも、日本メーカーの家電製品、そして自動車のエネルギー効率、世界的に見てもトップクラスであると考えられます。これは非常にすばらしいことだと思っております。しかし、より一層の省エネ努力も必要だと思われます。これには官民一体となった取り組みが必要ではないかと思われます。今後の具体策をお伺いさせていただきます。

 また、冒頭にも申し上げましたように、中国が経済発展に伴い、エネルギーの大消費国となっております。石油輸入を増大させていることが原油価格高騰の原因とされますが、今後の世界的なエネルギー情勢は楽観を許されません。そうした中、我が国の省エネ性能の高さは、日本の有効な競争力となるとともに、世界のエネルギー情勢の安定のために極めて大きな貢献が期待されるところであると思います。その御認識、そして具体的な取り組みを伺わせてください。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、これからの省エネ対策の充実でございますけれども、これにつきましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、省エネ法の改正を先般の通常国会で成立をしていただきましたので、この施行をしっかりと行ってまいりたい。省エネ法は、具体的には、それぞれの部門での自主管理、自主的な努力を促進するための枠組みでございますので、こうしたことによりまして、一体となって省エネを進めていきたいというふうに思っております。

 また、この法律に基づきますトップランナー制度につきましては、新たに、重量のある車、液晶・プラズマテレビにも広げますことによりまして、製造業者や販売業者におきますエネルギー消費機器の効率向上を徹底してまいりたいというふうに考えております。

 加えまして、高効率給湯器、高効率空調機など、大変エネルギー消費効率のすぐれたものに対します予算上の補助あるいは税制による支援等を実施しているところでございます。全体、法律、税制等を含めまして、さらに努力を促進していきたいというふうに考えております。

 また、アジアにおきます省エネルギーにつきましては、特に需要が伸びておりますので、これの拡充が必要であるというふうに考えております。これまで、アジア地域を中心といたしまして、相手国政府との政策対話を行う、あるいはモデル事業を実際に日本の予算を活用して行う、あるいは省エネルギー分野での研修生の受け入れでございますとか専門家の派遣によります人材育成等を行ってきておりますけれども、さらに全体としての仕組みを改善することによりまして、日本のすぐれた省エネ技術あるいは省エネ政策をアジアを中心といたしまして国際的に普及を図ってまいりたいというふうに思っております。

近藤(三)委員 ありがとうございました。お時間が来たようです。

谷口委員長 次に、清水清一朗君。

清水(清)委員 私は、自由民主党の新人清水清一朗でございます。ちなみにやはり私も初めての質問でございます。つたない質問ではございますけれども、思い出に残るような温情のある御答弁を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 私は、ベンチャービジネスに対する投資減税と再出発できる債務処理及び商店街活性化に関する都市計画に関して、幾つかの質問を試みたいと思います。

 我が国の景気もようやく踊り場を脱却しつつあると言われております。大学発のベンチャービジネスの数も、政府目標を超えて、千百社になったと聞いております。チャレンジ精神に富んだベンチャービジネス企業の勃興がこの景気回復の牽引役の一翼を担ったことは、言うまでもないと思っております。

 そこで、今後さらに景気の回復を図っていくために、ベンチャービジネス企業の安定した資金供給を図っていく必要があると思います。そのためには、申告手続の簡素化など改善が待たれているところではございますけれども、ここでは、より効果の大きい税制についてお伺いをいたしたいと存じます。

 我が国と主要国との違いについて見てみますと、御案内のとおりではございますけれども、アメリカは、譲渡益に関しまして、適格企業の株を五年以上保有した場合、譲渡益を二分の一に圧縮、ただし、その上限は取得額の十倍となっております。譲渡損に関しましては、ベンチャービジネスに限らず、夫婦で年間十万ドルまで他の所得との通算が可能で、繰り越しは無期限、無制限となっています。

 同様にイギリスも、譲渡益の場合、適格企業を五年以上保有の場合には、売却益は非課税、適格ファンドの配当及び譲渡益は非課税です。また、適格会社の譲渡損につきまして、やはり他の所得との通算が可能で、繰越期限は無期限でございます。

 フランスも同様でございまして、すべての株譲渡益は年間一万五千ユーロ、約二百万円まで非課税でございますし、適格会社の株の譲渡損は夫婦で年間三万五百ユーロ、約四百万円まで他の所得との通算が可能で、繰り越しは五年となっています。

 日本の場合は、適格企業の株を三年超保有し、一定の条件を満たした場合に、譲渡益を二分の一に圧縮、そしてまた、譲渡損に関しましては、これはほかの株式譲渡益からのみ翌年から三年間の繰越控除ということになっています。

 以上のように、我が国のベンチャービジネスを取り巻く環境は、海外の主要国の手厚さと比較いたしますと、大変物足りないというぐあいに思えるわけでございます。以上を踏まえて質問をさせていただきます。

 まず第一点でございますが、投資家のリスクをより軽減して安定した資金供給を行うことが、日本の経済拡大あるいは景気拡大、ひいては財政再建にも大いに資するものと存じます。ゆえに、我が国においても、譲渡損に関して上限を設けず、他の所得と通算できるようにすべきであると思いますが、いかがでしょうか。

 さらに第二点として、第一点と同様の趣旨から、譲渡益の繰越期間を三年から無制限、無期限とするべきと思うが、経済産業省の御見解をお伺いいたします。

北畑政府参考人 ベンチャー税制についての御質問についてお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、平成九年度にいわゆるエンゼル税制を創設いたしまして、その後何度か制度改正をいたしまして、税制面でのバックアップをそれなりに拡充をしてまいりました。

 欧米のエンゼル税制に比べてどうかという御質問につきましては、まだまだ差があると思いますけれども、こういう税制に限らず、ベンチャーにリスクをとった投資家の資金が回るような環境整備には、引き続き努めてまいりたいと思います。

 具体的な御質問を二点いただきました。

 最初の株主譲渡損を他の所得と通算をしてはどうかという御質問でございます。これも議員御案内のとおりでございますが、我が国は株式の取引に伴う損益につきましては、申告分離という累進課税の所得税の中ではそれなりに株主優遇の措置にできており、その中で一定の要件を満たすベンチャーに対する投資についても、利益が出た場合、その利益を二分の一に圧縮をするという特別のベンチャー優遇策が講じられているということでございます。

 利益が出た場合にそういう措置がとられておって、損失の場合はどうかということなんですけれども、我が国では株式については他の所得と分離をするという大原則がありまして、利益が出たときは分離、損失が出たときは通算というのはややバランスを失する考え方かなと思いまして、引き続き議論、検討はしてまいりたいと考えておりますけれども、なかなか難しい問題があるということを御理解いただきたいと思います。

 それから、損失繰越期間の延長、現行三年でございますけれども、残念ながら、法人税と違いまして、所得税の世界では損失の繰越控除というのは三年というのが、他の制度も三年ということになっておりまして、ベンチャーだけを優遇するどういう理由があるのかというのについては、引き続き検討して考えていきたいと思いますけれども、一応そういうバランス論があるということを御理解いただきたいと思います。

 なお、前国会ではこの経済産業委員会で有限責任事業組合法というものを御審議いただきまして成立をいたしました。既に施行されておりますけれども、委員会でも、この制度をベンチャーに活用すべきだという御指摘をたくさんいただきました。この制度では、有限責任のもとで、構成員課税、ベンチャーに伴う損失を本体の方で利益相殺できるという税制面の措置ができております。

 この制度に限らず、我が国の個人金融資産を有効に利用するという大きな流れ、貯蓄から投資へ、間接金融から直接金融へという大きな流れの中でベンチャーへの資金の流れも考えてまいりたいと思います。

 ハイリスク・ハイリターンという言葉がいいかどうかわかりませんけれども、一定のリスクも覚悟の上でベンチャーに投資をするという投資家がたくさんあらわれてくるということが大変重要なことでございまして、税制に限らず、幅広く検討してまいりたいと考えております。

清水(清)委員 ありがとうございました。

 税制については総合課税に向かう傾向が強いと思っておりますので、また、アメリカなどについては、十回に一遍当たれば何とか元が取れるということで、ベンチャーに対する投資がふえてきているということもありますので、今後、いろいろまた要求をしていきたいと思っております。

 次に、地方経済と中小企業再生についてお伺いいたしますが、景気が踊り場を脱却した、喜ばしいということはそのとおりでございますが、これから、地方経済ないし中小企業の分野においては不良債権の処理も本番を迎える状況かと存じます。ちなみに、大手銀行の不良債権比率は二・九%、金額にしまして七・四兆円ですか。他方、地銀、第二地銀のそれは五・五%、金額で十兆四千億と言われております。今後の企業再建には産業再生機構の出番はもうないわけではございますけれども、中小企業再生支援協議会の取り組みについてはどのように御指導していかれるのか、中小企業庁にお伺いをいたします。

 また、地銀、第二地銀に対しましては、地方経済の特殊性から事業再生を主とした取引先への対応が求められ、おのずと時間がかかる処理が迫られるわけでありますが、仮に、法的整理を選択しなければならなくなった場合でも、早い時期に整理または再生のスキームが決定すれば、当該企業の事業価値の毀損を少なくすることができ、ひいては雇用の継続や再建も容易になるなど、社会的損失を回避することができるわけであります。

 この観点から、事業価値の毀損を防ぐために、現行法よりも法的整理の時間短縮あるいは簡便な手続を導入する必要があると思いますが、この点を法務省にお伺いいたします。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、中小企業庁といたしましては、産業再生法に基づきまして中小企業再生支援協議会を全国各都道府県にそれぞれ設置いたしまして、地域の総力を結集しまして、相談から再生計画作成支援まで、きめ細かな中小企業の再生支援をいたしているところでございます。

 協議会では、これまでに、平成十五年六月に発足いたしましたけれども、約二年間で七千三百の企業からの相談に応じますとともに、そのうち、金融機関と調整を含む抜本的な対策が必要だ、地域を挙げて助けなければいけないというものについて、手ずから計画をつくったものが五百八十四社ございます。この計画の策定はもう終了しておりますので、言ってみれば、つぶれるべきところをつぶさないで何とかしたというところの従業員を数えてみますと、四万三千人の方々がこれで助かったというところになっているわけでございます。

 このように、全国の関係者の御努力によりまして着実に成果が上がっておりますが、議員御指摘のように、地域の金融機関の不良債権処理がむしろこれから加速されるというようなことが懸念されるわけでございますけれども、こういった場合には地域金融機関からの持ち込み案件が今後増加するのではないかというふうに考えておりまして、協議会に対するニーズは一層高まるということで、協議会の方の体制も整備していかなきゃいけないというふうに思っております。

 協議会を軸といたしまして、政策金融などの支援も結集いたしまして、中小企業の再生支援に今度とも全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

深山政府参考人 それでは、法務省の方からもお答えいたします。

 委員御指摘のとおり、中小企業が法的な整理手続を利用して企業再建を図る場合には、企業価値の毀損を最小限に食いとめる、そのために、その手続が迅速かつ合理的なものであるということが非常に重要な要素だと思っております。

 法務省では、平成八年から倒産法制の見直しの作業をしておりまして、中小企業に利用しやすい企業再建のタイプの倒産処理法として、平成十一年の十二月に民事再生法を制定しております。これは、前身の和議法に比べまして、各手続の簡素合理化を図ってスピードアップを図った手続でございます。その結果、旧来の和議手続に比べて、再建計画ができるまでの期間が約半分に現在なっております。

 この中小企業向けの民事再生手続については、さらに個人の事業者向けに特例手続も翌年設けておりまして、これによりまして、個人の零細な企業者についてはより簡易な手続で再建が図れるようにしております。

 今後とも、再生手続の運用状況を見ながら、迅速かつ合理的な中小企業の再建が図れるように適切な措置を講じてまいりたいと思っております。

清水(清)委員 時間がなくなりますけれども、まちづくりと商店街の活性化についてお伺いします。

 私、数年前にオランダの商業と債務者保護について調べに行ったことがございます。そのときにスーパーマーケットの事情についてもちょっと調べてみたんですが、大規模チェーンストアは存在するんですけれども、店舗の数が多いだけで、一店舗当たりの売り場面積が非常に少ない、狭いものでございました。また、ディスカウントストアについては会員のみの利用に制限されておりまして、商い高は非常に少ないものでございました。ヨーロッパの商店街が総じて活力がある、元気があると言われておりますが、オランダも例外ではありませんでした。

 私が思うに、都市計画に対する考え方に大きな違いがあると思われます。日本はアメリカ型でございますので、麦畑の中にあるいは田んぼの中に突然大店舗が出現する、あるいはパチンコ屋さんができる、そんなことがありますけれども、ヨーロッパでは、農地の中に住宅さえつくることができません。放牧地の中にはスーパーマーケットなど思いもよらぬことでございまして、つまり、都市計画が峻別され、厳密に守られておりますので、街区の中にしかスーパーマーケットは出店ができないわけです。

 その街区たるや、六百年、七百年も前の石づくりの建物、そういうものが並んでおって、かつ、文化財や町並み保存のため改築が制限されておりますので、そのために、大きな面積のスーパーマーケットは進出が不可能であります。規模のメリットがとれないために、総体的に大型店の競争力が強くならない。専門店を中心とした商店街が元気であるというのは、このような理由であると思っておりました。

 そこで、まちづくり三法の見直しについて、きょうは副大臣がおられますので、お地元の要望も踏まえ、今後の経済産業省の取り組みと副大臣の抱負をお伺いいたしたいと思います。

 また、先日、実は福島県の商業まちづくり条例の成立の記事が新聞に載っておりましたけれども、しかし、自治体におきましては強制力がなく、単に企業名を公表する程度の誘導行政しかとれないわけでございます。今後、国としてきっちりナショナル法として整備していくよう御要望申し上げるとともに、経済産業省の今後の取り組みをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

小此木副大臣 この委員会でも、今おっしゃるような観点からのまちづくり、商店街のことについてさまざまな議論をさせていただきましたし、御意見もちょうだいをいたしてまいりました。地方の中心市街地の空洞化については本当に深刻な状況でもありまして、何とかこのまちづくり、活性化をしてほしいという声が地方からもあるところであります。

 このような現状を踏まえて今後のまちづくりについて考えたときに、これからは人口の減少といったことを念頭に置きまして、やはり、コンパクトではあるけれどもにぎわうまちづくりということを目指すことが重要であるというふうに私は考えております。具体的には、公共公益施設を含むさまざまな都市機能、これを市街地へ集約するということ、中心市街地のコミュニティーとしての魅力向上を車の両輪として展開する必要があるというふうに思います。

 具体的な制度のあり方につきましては、中心市街地活性化法の抜本的改正、これも含めて、当省の審議会での審議を踏まえつつ、国土交通省、こういった役所を初めとする関係省庁と連携して検討を進めてまいりたいというふうに思います。その際、大型店の立地規制につきましては、個別大型店等の出店による既存商業者への影響を考慮するということなど、いわゆる商業調整に陥ることのないように留意をすべきだというふうに考えております。

谷口委員長 迎商務流通審議官、簡潔に答弁をお願いします。

迎政府参考人 福島県の条例については私どもも存じております。中心市街地の衰退にどう対処するかという問題意識は共通するところがあるわけでございますけれども、あちらの条例では大型商業施設の対策だけで措置されているわけでございますが、ただいま副大臣申し上げましたように、まちづくり全体、都市機能全体をどういうふうに集約するかというふうな総合的な対策がなければ、商業問題だけではこの問題は解決しない、こういうふうに私ども考えております。したがいまして、関係省庁とも連携して、国として総合的な対策を講ずべく今後検討していきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

清水(清)委員 ありがとうございました。これで質問を終わりにいたします。

谷口委員長 次に、平将明君。

平委員 私は、自由民主党、新人の平将明でございます。東京四区という、東京の大田区の中小企業の集積をしているところからの選出であります。

 私自身も、議員になる前は大田区にある大田市場というところで中小企業の三代目をやっておりまして、連帯保証しながら、資金繰りに非常に苦労しながら中小企業を経営してまいりました。また資金繰り、貸し渋り、貸しはがしがあった中では、私の取引をしている金融機関が相次いで破綻をいたしまして、そのときに、ほとんど大きな銀行そして政府系金融機関も、少しは助けていただきましたが、なかなかかゆいところに手が届く策ができなかったという実感を持っているところであります。

 そんな中で御質問をさせていただきたいと思いますが、エネルギーの問題は先ほど近藤先生から詳しく御質問がありましたので、私は、中小企業の件に関して御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、中小企業の財務基盤強化のための同族会社留保金課税について、また中小企業の金融のあり方についてでありますが、私も中小企業を経営して、貸し渋り、貸しはがしの中で、いろいろな金融機関を回ったときに、売り上げが伸びている、利益は出ている、将来的にはこうなるという説明をしても、なかなか銀行に評価をされない、銀行は過去の実績しか見ないというようなところがありました。そして、どうしてもバブルのときの痛みがバランスシートに載っていく中で、いろいろな交渉をしながらも、最後の最後は、銀行からこのバランスシートでは貸せませんと言って断られた経験がございます。

 そんな中で、今の日本の税制を見ると、中小企業の財務に着目をすると、銀行の借り入れが実質資本の役割をしている、疑似エクイティーと化しているという現状があると思います。

 そういう中で、中小企業の財務の質の向上へ向けた施策が必要であると考えています。中小企業の財務向上に向けたインセンティブのある仕組みをつくっていく必要があると思うんですが、そうした中で、こうした中小企業の財務を健全化していこうとする努力を邪魔しているのは政府であるという認識を持っております。多くの中小企業が支払いを求められている留保金課税であります。

 確かに、自己資本比率五〇%以上のところにかけていくとかいろいろな緩和措置がありますけれども、中小企業の経営というのは環境に非常に大きく左右されますので、いいときもあれば悪いときもある。今がいいからとそこに課税をしてしまっても、翌年になったら激変をするというのが中小企業の経営であります。

 そんな中で、貸し渋り、貸しはがしの状態になってから税金を使って政府が対策を講ずるのではなく、景気後退で貸し渋り状態になる前に、民間がみずから努力をして準備をしていくような社会環境を築いていく必要があると思います。まさに、民でできることは民でやっていく、小泉政権の方針に沿った考え方であると思います。

 そんな中で、外部からの資金調達が中小企業は実質困難であります。急成長が望めるところは直接金融での資金調達ができますが、ほとんどの中小企業というのはぎりぎりでやっているというのが現状であります。そして、内部留保だけが頼りの中で、中小企業における不良債権処理、バブルのときのいわゆる簿価を時価会計に近づけていかなければいけない、そして、中小企業といえども信頼性のあるバランスシートをつくっていかなければいけない。これに関しても、資本というものを充実させていく必要があると思います。

 今、中小企業の各種団体からこの内部留保の課税についていろいろなお願いが来ていると思いますが、これは、決して中小企業が泣き言を言っているわけではなくて、これからの中小企業金融のシステムを考えていくときに絶対に必要な仕組みである、内部留保、自己資本を充実させていくということは必要なことであるというふうに考えております。

 留保金課税の見直しについて、政府の見解をお尋ねさせていただきます。

山本(明)大臣政務官 平委員の質問にお答えをさせていただきます。

 平委員は、東京青年会議所の理事長をやっておられたということでございまして、私ごとで恐縮ですが、私も、大分昔でありますけれども、愛知県の豊橋市というところで青年会議所の理事長をやっておりました。やはり、青年会議所でございますので、地域の活性化のため、そして、基本的には中小企業の出身でありますので、これからも中小企業対策についてぜひお力をいただきたい、そんなふうに思います。

 そうした中で、留保金課税の御質問をいただきました。まさに経済産業省の考え方と委員の考え方はほとんど一緒でありまして、平成十八年度の税制改正に向けて、今回、留保金課税の停止措置を継続できるように、逆に廃止ができるように、私どもも一生懸命努力をしておるところでありますので、ぜひ委員のお力もいただきたいな、そんなふうに思っております。

 今委員も御指摘いただきましたように、この制度というのは昭和三十六年に創設されたんですけれども、当時の所得税を見ますと、当時所得税は七〇%でありました。それが、法人税はどれだけかといいますと三八%でありました。したがって、その差が大変大きい。中小企業というのは悪いのも多いじゃないかというような、そんな発想もあったようでありまして、そうした間隙を縫って、会社にためて税金逃れをして、所得税逃れをして、そして、会社の方で安い法人税でその分を穴埋めする、そういったことから創設をされた税金であります。

 しかし、委員御指摘のように、やはり、中小企業も今は自分の財務体質をしっかりするということの方が大事でありまして、そうでなければ銀行は金を貸してくれぬわけでありますから、そんな経営者は今はほとんどいない、私もそんなふうに思っておりますので、我々としても、委員の御指摘の形でこれから進んでいきたい、こう思っております。

 内容につきましては、今委員も御指摘がありましたけれども、中小企業の自己資本比率が五〇%以下のところと創立後十年以内の中小企業、そして、今回中小企業新法ができたんですけれども、その新法の中の経営革新計画承認企業、これについては留保金課税を停止させていただいておるわけでありますけれども、平成十八年度でこれが切れるということでありますので、それが切れないように最善の努力をさせていただきたいというふうに思っております。

 私も本当に全く同じ考えでございまして、これは当然廃止に向けて進んでいくべきだというふうに考えておりますので、ぜひ力を合わせて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

平委員 ありがとうございます。ぜひ廃止をするという方向でやっていただきたいと思っております。

 続きまして、議員になる前に、経済産業省産業構造審議会の基本政策部会で委員をやらせていただいておりまして、日本の全産業の生産性をいかに上げていくかといういろいろな議論をさせていただいたわけでありますが、国際競争力が激化する中、また人口が減少していく中で、持続的な経済成長を担保するために、日本の国の新産業創造育成のために、新たな技術の研究開発、実用化、そして、その技術の融合というのが極めて重要になってくるわけであります。その積極的支援措置を講ずる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

肥塚政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お話しのとおり、研究開発の成果をもとにして新製品の開発を図り、事業展開を図って新たな市場や産業をつくっていくという民間企業の役割、あるいは民間企業の研究開発の推進というのは、非常に大事だというふうに思っております。

 経済産業省においては、民間からすぐれた技術の実用化開発に関する、例えば提案を募集して助成する制度を実施しておりますけれども、そういう事業の実施に当たりましては、技術や事業化の専門家によって最新の技術動向を踏まえて採択審査を行うとともに、製品化や事業化に関する指導や助言ということにも取り組んでおります。この事業の支援を受けて事業化に成功する事例も生まれてきておりますけれども、今後とも民間企業の研究開発に対する支援措置を充実していきたいというふうに考えております。

 それから、今先生のお話がありましたように、融合領域、異分野の融合によってイノベーションが起こるというのも非常に多くなってきているというふうに思っていまして、そういう点にも留意しながら研究開発を支援していきたいというふうに考えております。

平委員 関連をいたしますが、経済産業省の基本政策部会でぜひ発言をさせていただきたいなと思っていたのですが、その機会もなくなりましたので、今、日本の全産業の生産性を飛躍的に上げていく、例えば、経営革新であるとか人材育成、イノベーション、いろいろありますが、一つ私は着目すべき点として、言語の壁を越える。日本人は英語がネックになっていてなかなかグローバルに活躍ができない、それが見えない障壁になっているというところがあります。

 実は、東京のベンチャー企業で画期的な翻訳ソフトをつくっている会社がありまして、今までの翻訳ソフトというのは単語掛ける文法で翻訳をしていたのですが、それを一回ネットの海に入れて検索をかけるんですね。そうすると、正しい日本語というか、一番よく使われている日本語が、一番ヒット数が多くてそれを自動的に翻訳に出してくるというような、今のインターネット社会ができたからこそできる、そういう翻訳ソフトなんかが今開発をされているところであります。

 そして、それのみならず、日本の非常に得意とするいわゆるPC、コンピューターのようなものをウエラブルにする、小さなものにしていく、そして、自動音声認識装置等も集中的に開発をしていく。そういうことを組み合わせれば、既存の技術を少し進めるだけで、そして複合するだけで、もしかしたら本当に二、三年のうちに日本は言語の壁が乗り越えられるかもしれない、そんな可能性もあるわけでありますので、今、ロボットや燃料電池等いろいろな分野に特化をされておりますが、ぜひ言語の壁を越えるというような部分についてもフォーカスをしていただいてやっていただければというふうに思いますし、また、産業構造審議会基本政策部会の方でもぜひ御検討をいただきたいと思います。

 続きまして最後ですが、今、中小企業の対策に関していろいろな議論がされているのですが、中小企業の現場ではどういうことが起きているかということを一つ御紹介したいと思います。

 去年の消費税が内税になったときに、スーパーを初めとした小売業は、価格が今までの価格競争プラス消費税が内税になったものですから、非常に過当な価格競争になりました。そんな中で消費税の五%を取ることができないという状況に陥りました。

 そして、何が起きてきたかというと、取引先の問屋、特に中小の問屋に対して、バックマージンというものが商慣行であるんですけれども、それに上乗せをしてくるというようなことがあるわけですね。今までバックマージン三%でやってくださいというものを、極端な例で言えば消費税分そのまま、八%、バックマージンを来月からふやしてください、そういうようなことがあるわけです。そして、その分は価格に転嫁をしてくださいと言うんですけれども、そんなことはできるはずもないです、競争の中で。

 そういうようなことが、実際、中小企業の現場で起きているわけでありまして、幾ら金融とか細かい制度設計をしたところで、そういうことがまかり通る。大手と中小企業の間でそういう不公正な取引がある以上は、本当に有効性のある政策というのはきいてこないと思うんですね。そのような実態についてどのように把握をされているのかということと、今後、ぜひそういう分野については厳しく、公正な取引が担保できるようにしていただきたいと思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

舟橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども公正取引委員会といたしましては、大手スーパーや大手の量販店、こういったところによる優越的地位の乱用行為、そういうふうに言っておりますけれども、この中には、先生今御指摘のあった消費税分を問屋から取るとか、ほかにもいろいろな協賛金、リベートを取る、それから棚卸しに際しては人を出せと言ったりとか、いろいろな行為が含まれ得るわけでございます。

 この優越的地位乱用行為の問題につきましては、私どもは次の三つの取り組みをしてきておるところでございまして、一つはルールをきちんと明確化する、それによってコンプライアンスなりその予防効果を高める、こういうことでございます。ことしの五月でございましたけれども、これは告示という形でどういう行為がこれに該当するかということを明らかにしたところでございまして、この告示は来月の一日から施行になることになっておりますけれども、十ほどの行為を指定いたしておるところでございます。現在その周知をしておる。

 それから第二は、先生も御指摘ございましたけれども、実態調査、これは従来から定期的に行ってきておりますけれども、最近では昨年三月、それからことしの二月にそれぞれ実態調査の結果を公表いたしております。昨年三月には消費税の総額表示移行に伴う問題、それから、ことし二月は大規模小売業者と納入業者の取引に関する問題、その実態調査を行いまして、必要な場合にはその改善指導というのを行ってきておるところでございまして、今後も、先ほど申し上げた告示が来月から施行になりますので、来年度もまた実態調査を行いたい、そういうふうに考えております。

 それから最後に、三番目でございますけれども、違反行為に対する厳正な対応ということでございまして、今後もそういう大手スーパー等の大規模小売業者、これが独禁法違反行為をした、しているんじゃないか、そういう端緒に接した場合には、私どもとしては厳正に対処をいたしていきたいということで、ルールの明確化、実態調査、それから厳正な対応、こういう三つのルートといいますかアプローチでこの問題に取り組んでおるところでございます。

平委員 ありがとうございました。

 私の認識では、現状は全く改善をしていないということであります。そして、規制緩和が先行しておりますけれども、独占禁止法の運用強化とは表裏一体でありますので、そこで中小企業にしわ寄せが全部来るような、そういうことだけはぜひ避けていただかなければいけないし、今後も監視を強めていただきたいと思います。

 これにて質問を終わります。ありがとうございました。

谷口委員長 次に、長崎幸太郎君。

長崎委員 山梨県からやってまいりました自由民主党新人の長崎幸太郎でございます。本日は、中川大臣の前で初質問をさせていただく機会をいただきまして、まことに光栄であります。ぜひよろしくお願いいたします。

 私は、中小企業、とりわけ地方における中小企業の金融問題を中心にお伺いしたいと思っております。

 金融機関による中小企業向け貸し出しにつきましては、政策当局の御努力あるいは地域の民間金融機関の努力によりまして、外見上、大分改善されてきたというふうに言われております。しかしながら、私、実際地元に戻ってみますと、いや、とんでもない、まだまだ全然金融は厳しい状況だ、お金を借りたくても借りられない状況にあるんだ、そういう声を聞きます。見た目と実際の声では大分ギャップがあるように思われます。

 そこでお伺いいたしますが、最近の中小企業、特に地方における中小企業の金融情勢というのは実際のところどういう状況なのか、どういうふうに御認識されているのかお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 日本全体としては、いわゆる踊り場脱却という言葉、あるいはまた設備投資、個人消費がよくなってきて日本経済を引っ張っているという認識、一言で言えばそうなんでしょうけれども、経済産業省としては、中小企業庁、あるいはまた業種を見ている、あるいはまた地域経済を見ている立場から見れば、一言で、総じていいんだということで全部いいんだということには決してならない。私の地元の北海道も大変広うございますから地域によって違いますし、御地元の山梨県も、業種によって、地域によって、また中小企業によっていろいろばらつきがあるんだろうというふうに思います。したがいまして、目標としてはすべての業種、あるいはまた地域経済がよくなることが我々の最終目標であるというふうに思っております。

 とりわけ、ここ最近は石油の値段が随分上がってきておりますので、ガソリンあるいはまた石油関連商品、あるいはまた、よく言われておりますクリーニング屋さんとか、あるいは農業関係とか、御地元には漁業があるかどうかわかりませんけれども、内水面なんかも多分影響あるんじゃないかと思いますが、そういうところも含めまして、非常にリアルタイムで対応をきちっとしていかなければいけない。

 いずれにしても、日本を支えている中小企業が本当の意味でよくなっていくように、これからも注意深く、ということは、霞が関あるいは経済産業省だけではなくて、御地元の先生方のリアルタイムの情報というものを我々はしっかり把握をして対応していきたいというふうに考えております。

長崎委員 いわゆる中小企業の金融情勢は、地域、業種によってまだら模様であるということなんだと思います。

 もう一つ、まだら模様といえば、地価の動向もまだら模様になっているわけです。都市部においては、地価、そろそろ底打ち感が出ておりますが、地元山梨ではまだまだ下落状態が続いております。地価の下落というのは、当然、不動産担保価値の下落を通じまして金融機関の貸し出し行動に影響を与えるわけです。最近では、民間金融機関におきましても、無担保ローンですとかビジネスローンですとか、そういう形でいろいろ努力はされているようですが、そうはいってもまだまだ中小企業金融における不動産担保のローン、貸し出しというのは大きな割合を占めているわけであります。また、金融機関の経営状況によりましては、幾ら無担保ローンに今現在注力しているからといって、今後ずっと今の規模あるいは条件によって無担保ローンの貸し出しが行われるかというのは、大変大きな不安が、将来に向けての不安が残るわけです。

 そこで、地価の動向、あるいは金融機関の経営状況という外部環境の変動によって、本来であれば成長力があったり有望な中小企業においても、担保余力がないばっかりに貸し出しを受けられない、あるいは成長を阻害されて苦境に陥る、こういうことはこれからも十分起こり得る問題なんだと思います。そうはいっても、だったら間接金融ではなくて直接金融に行けばいいじゃないかというふうな御意見もあるかもしれませんが、中小企業にとりまして資本市場は残念ながらまだまだ敷居の高い存在で、今すぐ、単にもう金融機関の貸し出しがだめだから、では直接自分で株式を発行したり、あるいは社債を発行して資金調達しろといっても、それは到底無理なお話だと思います。

 そこで、先ほどの中川大臣の御答弁にもありましたように、中小企業はまさに地域経済の主要な担い手であり、中小企業金融の安定というのは地域経済の安定のかなめであると言っても過言ではないと思います。したがいまして、中小企業金融について、資金調達ルートを、金融機関貸し出しだけではなくて、もっと多様化する政策を進めるということが、地域経済のインフラづくりという観点からも、その一環として位置づけられるのではないかと思います。

 この点、そのインフラ整備ということで、個々の民間企業あるいは民間金融機関に任せるものではなくて、ここはまさに積極的に公的セクターが登場すべき分野である。中小企業金融の安定のための資金調達ルートの多様化、これはまさに公的セクター、それは政府であるかもしれませんし、自治体であるかもしれない。いずれにしても、公的部門がやるべき課題であると考えております。

 この点、近年、東京都を初めとしまして債券市場構想ですか、いわゆる証券化の技術を活用したCLOが進められておりますが、中小公庫におきましても、去年、十六年度からこの取り組みが進められているというふうに伺っております。

 そこでお伺いいたしますが、このCLOを推進するに当たりまして、自治体ではなくて中小公庫がそのオーガナイズをするということの優位性というかメリットというのはどの辺にあるのか、この点をお伺いできればと思います。

山本(明)大臣政務官 長崎委員の質問にお答えをさせていただきます。

 委員今御指摘いただきましたように、債権の証券化というのは、中小企業が、今お話ありましたように、もう担保がだんだん目減りをしてきておるという状況の中で、無担保でどうやって借り入れるかということであります。無担保無保証とよく言いますけれども、無保証は、そこまでしてしまいますと経営者としての責任がなくなってしまいますのでいかがか、私はそんな考えを持っておりますけれども、無担保融資というのはどうしても必要だ。そのためにどうするかということで、債権の証券化ということでございます。

 今御指摘いただきましたように、昨年の七月に中小企業金融公庫が証券化支援事業を開始させていただきました。その中には、買い取り型と保証型とありまして、いわゆるメガバンクの場合は、自分で証券を発行できますから、これはもう保証するという形で、中小企業金融公庫は保証だけいたします。

 それよりももっと大事なことは、中小金融機関がどれだけこうした債権を証券化できるかということでありますから、それは中小企業金融公庫が買い取りをする、買い取りをすることによって証券化していく、こういったことが大変中小企業にとっては大事なことでありますし、中小金融機関にとっても大変ありがたいわけであります。

 実績を見てみますと、保証型の方は、昨年度十六年度で、みずほ銀行と三井住友銀行が中心になりました二件がありました。ことしもまた進んでおりますけれども、大事なのは買い取り型であります。買い取り型の方はどうかといいますと、第一回が、UFJと東京都民銀行、そして八千代銀行の三行が参加いたしまして、五十八社二十六億円の証券化をしております、ちょっとこれはまだ少なかったんですけれども。第二回目は、地銀、信組合わせて十四機関が参加をいたしまして、五百七社百四億円の証券化をしてきておるところでございます。

 こういったことをこれから積極的に進めることによりまして、中小金融機関、中小企業の皆さん方が少しでも無担保で仕事ができるような、そんな形をこれからも支援していきたい、こう考えております。

長崎委員 私は以前、山梨県庁に出向したことがありまして、その際に、まさに山梨県におきまして自治体主導のCLOが導入できないかということをさんざん検討したことがあります。

 ただ、その当時、山梨県、人口は約九十万ということで、極めて経済規模が小さい自治体、地域です。そういった中で、民間主導でビジネスベースでCLOを組成してもらうということは、ロットの点からも対象企業の数からも、それはもう無理です、コストがかかり過ぎてできませんということで、山梨県では単体で中小企業の債券市場、CLOというものを組成することはできなかった、挫折した経験がございます。

 この点、中小公庫がCLOのスポンサーになっていただいてこれを全国展開していただくということは、まさに山梨のような経済規模の小さい地域におきましても、中小企業金融の資金調達の多様化あるいはセーフティーネットという恩恵にあずかることができるわけですので、極めて意義深いことでありまして、ぜひ積極的に今後進めていただければと思います。

 最後にお伺いいたしますが、こういうまさに民間金融機関ではなかなかビジネスベースに乗り出さないけれども、地域経済のインフラストラクチャーとしてぜひ必要な金融基盤の整備、具体的には先ほどのCLOなんかもその代表例ですが、そのほかにも、セーフティーネット貸し付けとかいろいろ政策金融機関、御努力されておりますが、こういう機能は、今後、政策金融の組織論あるいは統合がいろいろ議論になっている中でも、まさに公的セクターが必ずやらぬといかぬインフラ整備だと思います。

 そこで、ぜひ中川大臣にお伺いしたいんですが、今後の政策金融、今経済財政諮問会議でも始まっておりますが、今後の政策金融機関改革の議論におきまして、このような必要な機能をぜひ公的部門として残す必要があると私は思いますが、それに関して大臣の御所見をぜひお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今まさに、政府あるいはまた各党で政策金融機関、具体的に八つの政策金融機関のあり方について議論が行われているわけですね。その中で、私は、やはり基本は民ができることは民でやる、そして、民ができない、あるいはまた非常にやりにくいということについては緊急的に官が出動して、官というか政府系金融機関が出動していくということの意味も十分あるのではないか。

 例えば、昨年の中越地震、もっと前の阪神・淡路とか、それから最近の、今御指摘ありました石油の上昇によるセーフティーネット融資であるとか、こういう一時的な、緊急的な融資あるいはもっと広い意味の保証、こういうものについては、やはり民ではなかなかできにくいというところに関してはやはり官が緊急的に出ていく必要があるのではないか。私は、機能論からきちっと議論をしていくことも極めて大事なことではないかというふうに考えております。

長崎委員 どうもありがとうございました。

 以上です。

谷口委員長 次に、達増拓也君。

達増委員 経済産業省企画室研究費問題でございます。

 これは、六月下旬に事が公になりまして、当経済産業委員会でも七月十五日、八月三日、二度の委員会で取り上げられておりますけれども、そのときには、外部調査委員会をつくって調査中だ、そういうことで、その報告書がもうすぐ出るということでございました。報告書は八月二十六日に出まして、このときにはもう衆議院が解散されていて、選挙の直前でございました。

 そこできょうは、この外部調査委員会の調査報告書をもとに質問をさせていただきたいと思います。

 この外部調査委員会の報告書を読んでみますと、どうも企業コンプライアンスの切り口、民間的な発想からの切り口で、いま一つ行政また財政のあり方、そうしたところへの切り込みが弱いのではないかというところを感じました。また、幾つか、どうもこれは認識が甘いのではないかと思われるところもございます。

 そういったところについて質問をしていきたいと思いますけれども、きょうは、この問題の当事者でもあります財団法人産業研究所、そして日本自転車振興会から、それぞれ参考人にも来ていただいておりまして、その当事者の意見も伺っていきたいと思います。

 では、まず冒頭、この委員会としてやはり聞いておかなければならないと思います。まずは、角間産業研究所所長に伺いますけれども、この企画室問題に関します産業研究所としての見解を問いたいと思います。

中川国務大臣 よろしいでしょうか、御指名じゃないんですけれども。

 まず、責任者として、当委員会で御指摘をいただき、そしてまた調査委員会の先生方に、本当に、お盆、夏休みを返上して大変長時間にわたって鋭意この問題、徹底究明をしていただいたこと、そしてまた当委員会、国会、それから国民の皆様に大変御迷惑をおかけしたこと、それによって私自身の、私の場合は自主的な責任であると同時に、経済産業省の職員に対しての処分も行いました。

 決してこれは、現在進行形であって、終わったことだとは思っておりませんけれども、関係の皆さん方に大変な御迷惑をおかけしたということをまず冒頭おわびを申し上げ、とりわけ衆参の経済産業委員会、国会におわびをまず冒頭申し上げさせていただきまして、指名もされていないのにしゃしゃり出て大変申しわけございませんけれども、そのことをまず当委員会、委員長、理事、委員の先生方に申し上げたいと思います。

角間参考人 今回の外部調査委員会の報告書におきまして、当時の産業研究所がこの企画室の問題について一定の関与をしていたということが認定をされております。このことは大変遺憾なことでございまして、私どもとしては、今後かかることが二度と起きないように、その再発防止に全力で努めてまいりたいと思っております。

達増委員 では次に、日本自転車振興会副会長深澤参考人に、自転車振興会としての本件に関する見解を伺いたいと思います。

深澤参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、当会の補助金、補助事業、これは競輪の売り上げの一部でございます交付金を原資として行っているものであります。その貴重な補助金が不正に使用されたということにつきましては、大変にそれを遺憾というふうに考えてございます。

 当方といたしましても、補助事業の執行ということに関しましては厳しいチェックを行っていく必要性があるということと、それから、いずれにしましても、当会の行う補助事業につきまして、従来以上に透明性を高めていく必要があるというふうに認識してございます。

達増委員 それでは、調査報告書に沿った質問をしていきたいと思いますけれども、まず「基盤調査研究に関する企画室の関与」というところで、この産研プロなるものに関して「長年にわたって、企画室における通常業務として、企画室の係員らによって委託研究費の管理支出が行われてきた。」というふうに報告書には書いてあります。

 これは、本来、外部研究、その委託を受けた研究会が独自に事務的なこともやるべきであります。にもかかわらず、それを役所が引き受けて、企画室として管理支出を行ってきたというのは非常に異常なことだと思うんですけれども、この報告書に述べられている、ここは事実だったのでありましょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 達増委員御指摘のとおりでございまして、外部調査委員会の報告書に記載されておりますとおり、企画室において、財団法人産業研究所が委託する基盤調査研究を産研プロと呼び、企画室の職員によりまして委託研究費の管理支出を行ってきたというふうに認識をしているところでございます。

達増委員 まずこの企画室が委託研究費の管理支出を行うというところからすべては始まっているわけでありますけれども、このことについて、これは角間参考人に伺いますが、産業研究所としてはこれはわかっていたのでしょうか。

角間参考人 私自身はこの件につきましては全く承知をしておりませんでしたが、当時の産研の関係者がこの外部調査委員会に何度か呼ばれまして、その場では、企画室におけるこういう契約に伴う資金管理の実態について十分には認識していたわけではないというようなふうに申し述べたと聞いております。

 ただ、私ども産研といたしまして、今回の外部調査委員会の調査には全面的に協力をし、私自身を含めて何人かの関係者は事情を申し述べましたし、それからまた、いろいろな資料の提供もいたしました。そういうことの結果といたしまして、この外部調査委員会が幅広い関係者から意見を聴取し、事実関係を精査し、そして報告書にあるような事実認定を行ったものだ、こういうプロセスだと承知をいたしておりますので、その結果の事実認定については重く受けとめたいと思っております。

達増委員 では、これは角間参考人に重ねて伺いますけれども、七月十五日、この委員会で、高木陽介委員の質問に石毛製造産業局長が政府参考人として答えて、「産業研究所についてのお金の管理の関係でございますけれども、私ども、産業研究所から聞きましたところ、研究所は、契約の当事者であります学者とかそういう研究グループの代表者の口座に直接払い込むという形をとっているということで、実際にほかの者が資金管理を行っていたということは知らなかったというふうに聞いております。」

 つまり、企画室が資金管理を行っていたということは産業研究所は知らなかったというふうに聞いておりますという答弁をしているんですけれども、確認いたしますけれども、企画室が資金管理をしているということを産業研究所は知らなかったんですか。

角間参考人 先ほど、当時の産研の関係者が調査委員会で申し述べたとおりだろうと思います。つまり、認識を持っていなかったということだろうと思っております。

達増委員 この点はちょっと異常な点でございまして、では、これは一方、役所側に聞きますけれども、役所側としては、企画室が事務局をやるということを産研に知らせずに、産研が知らないうちに企画室は事務局をやっていたんですか。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 今、達増委員がお話をされたとおり、七月十五日の経済産業委員会では私の答弁でそういう部分がございまして、そのときに、私はそれに加えまして、「いずれにしましても、今までお話がございましたように、」るるその前にいろいろな議論があったわけですけれども、外部有識者による調査委員会でそうした点について徹底して調査していく、そういう中でこういうことが明らかになっていくだろうというふうに答えたわけでございますけれども、そういうことで、その時点では私の方も、産業研究所から聞いたとおり、産業研究所はそういう認識はなかったということでございましたので、そういうふうな答弁をさせていただきました。

達増委員 それでは、こういう報告書が出た現在、産業研究所に了解も得ず、産業研究所が知らない間に、企画室は企画室、役所としての判断で勝手に事務局機能を務めていたということを認めるということでしょうか。

石毛政府参考人 今、達増委員がおっしゃったように、外部有識者による調査委員会のレポートの中では、そういう広い範囲の方からまさに事情を聴取しましてそういう判断をしているということでございますから、私どもとしても、そういう判断のとおりだろう、そういう事実認定だろうというふうに理解をしております。

達増委員 この調査報告書の当該事実認定は、事実として、企画室が委託研究費の管理支出を行ってきたということは書いているんですけれども、そのことを産研側が知らなかったという結論は明示しておらず、むしろ、暗黙の了解があったかのようなことを後に書いているんですね。そうしますと、ここの報告書に書いていることと、今、産研側、役所側からそれぞれ答弁している、産研は企画室が事務局をしていることは知らなかった、企画室が勝手にやっているという答弁とは矛盾してしまうことになるわけですよ。

 ですから、これはもう一度角間参考人に伺いますけれども、企画室が事務局をやっていることを産研は知らなかったということでいいんですね。

角間参考人 補足をいたします。

 このいわゆる企画室案件につきまして、テーマの選定、それからどういう体制でこの研究を進めるかという、例えばその陣容といいますか、そういうものについて企画室がやっているということはもちろん知っておりました。

 それで、さっき申しましたけれども、この資金管理の実態については十分な認識を持っていなかったということを当時の産研関係者が申しているのでして、このプロジェクトが全く企画室と無関係に最初から進められるものである、そういうことではございません。企画室の関与のもとにこのプロジェクトが進められたということは、もちろん知っておりました。

達増委員 この調査報告書二十一ページ、「一次口座が放置された経緯」ということで、この一連の、企画室が事務局として取り扱っていた通帳にお金が余ってもそれをそのまま企画室が持っていたことについての経緯がまとめられております。わかりやすくするために言いますと、私の質問通告で言うと十四番の質問をこれからしようとしているわけであります。

 この二十一ページ、(3)のところには、「ヒアリング等によれば、産研から年度で処理が終わっており受け取れない旨の話しがあったことの供述がなされている」。受け取れないというのは、企画室が管理している通帳に研究費が余っている、その余ったお金は受け取れないということが産研から企画室の方に話があったと書いてあるわけです。つまり、産研は、企画室が事務局をやっていたとわかっていなければ、企画室に対して余ったお金は受け取れないという返事はできないんです。

 改めて角間参考人に伺いますけれども、では、まず前提として、この二十一ページに書いてある、余ったお金について産研側が受け取れない旨企画室に話したということは事実なんでしょうか。

角間参考人 私どもは、本件につきまして、当時の産研関係者など限られた範囲の人からの情報しか得ていないわけですけれども、その限りでは、こういう剰余金の扱いにつき相談があったかどうかということについてはわかりません。

 それで、さっき申しましたように、この問題については、この調査委員会が幅広く、両方の当事者を含めて幅広い関係者の意見を聞き、事実関係を精査した結果がこのレポートになっておるわけですので、私どもはその結果は重く受けとめたいと思っております。

達増委員 同じ質問を役所側にしたいと思います。つまり、この報告書にあったとおり、産研の方から余ったお金は要りませんよと言ったかどうか、そういう事実については産研としてはわからないというのが今の参考人の答弁だったわけですけれども、受け取った側、その余ったお金を手にしていた企画室サイド、経産省側としては、それは産研の方から余ったお金は受け取れないという話があったから返さなかった、この事実については役所側の方は認めますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今、報告書は、六十一人に及ぶ企画室の経験者からヒアリングをし、五十一人に上る関係者からいろいろ調査報告書等をとって、総合的に勘案した結果そういう事実を認めておりますので、私どももそうだという認識は持っております。

達増委員 非常に不透明な事実関係の中で、報告書を読むと、結局、産研の方から、余ったお金は要らないと産研が言ったから企画室の方はそのお金を返さなかった、そういう調査結果に基づいて返さなかったことについても一理あるとかいうような感じの報告書になっているわけですけれども、やはりちょっと今の答弁を聞いていても、その結論に至る途中の、事実関係を明らかにしようとしている部分の根拠というのは非常に薄弱であるということが見えてきていると思います。

 結局、報告書は、お互い、そういう余ったお金は企画室の方で上手に使ってください、産研側はそういうつもりだったんだから、それで企画室はその通帳を持って使い続けたということになっているんですけれども、そもそも、この産研プロのテーマはもともと企画室でつくって、そしてその企画室が研究計画書や予算書を産研の方に提出し、そしてその産研から日本自転車振興会の方に補助金申請があってそれで補助金になるわけですけれども、その日本自転車振興会の補助金の認可は経産省がやっているわけですね。ですから、同じ省で研究テーマをつくって予算書を書いて、その補助金の認可についても同じ省が行うということで、これはもうお手盛りのお金づくりでありまして、競輪の売上金の一部を機械工業等の振興のために、民間がいろいろ努力しているところに補助金を出す、そういう自転車競技法の趣旨には反するのではないでしょうか。この点についての経産省の見解を伺います。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、当時の産業研究所の基盤調査研究のテーマ選定などでございますけれども、企画室が非常に深く関与していたということ、これは外部報告書で認定されているとおりでありまして、これは極めて不適切であって、遺憾であるというふうに考えております。

 他方、日自振補助金の補助先あるいは補助金額、こういうものにつきましては、日本自転車振興会みずから厳格に審査をいたしまして、産業構造審議会におきまして外部の委員による審議を経て大臣認可されるということであります。今まで、こういう事業計画その他につきまして、このような手続は適正に行われているというふうに考えておりまして、そういう意味で、この自転車競技法の趣旨に反するものではないというふうに考えております。

 ただ、先ほどの産研についてのことでございますけれども、産業研究所の委託調査のテーマの選定に当たりましては、現在におきまして、広く関係者、産業界あるいは学識経験者、そういう方々からいろいろな意見をいただいて、テーマを募集して、その決定に当たっても外部の有識者を含む委員会で決定するということで、公平かつ透明な手続で行っているところであると承知をしております。今後とも、この透明性の一層の徹底という趣旨を図っていきたいというふうに思っております。

達増委員 しかし、そういった経緯の中で、本来国の予算として認められていない、いわば隠し予算を企画室が握って、それを執行した形になっているわけですね。

 財政法十四条には、行政の収入支出というものはすべて予算に盛り込まなければならないとあります。そして憲法は、財政民主主義のもと、国会の関与のもとでその予算というものが決定し、そして行政の支出というものも、また収入というものもそういう国会の財政民主主義のコントロールのもとになければならないはずであります。

 にもかかわらず、企画室がそのような予算の外のお金を収入として得て、そしてそれを支出していく。これは企業コンプライアンス的な発想からはこういう切り口には入っていけないと思うんですけれども、やはり国会として、行政の執行、予算の執行をチェックするという観点からすると、これはまさに隠し予算を行政が持って、それを使ってきたということになるんじゃないでしょうか。この点を伺います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 外部調査委員会報告書でも御指摘されましたとおり、個人である大学教授らが調査研究の各種の事務的な作業を行うことは困難であることから、企画室は、委託研究費の管理や支払いなど、その所掌外の業務を長年にわたって引き続き継続してきたわけでございます。

 経済産業省といたしましては、こうしたことは不適切というふうに認識しておりまして、平成十年度以降こうした委託研究費の管理は行っておりませんが、達増委員御指摘のように受けとめられてもやむを得ないというふうに考えておりまして、まことに遺憾だというふうに考えております。

達増委員 もう一度、先ほどの一次口座が放置された経緯に戻りますけれども、結局報告書では、産研側が余ったお金は要らない旨話した、それで企画室も余ったお金を返さなかったということなんですけれども、そのこと自体本当かなというところがあるんですが、仮に実際そういう口頭の了解があったとしても、覚書とかを残さないで、そういう口頭の了解だけで、はい、そうですかと役所がお金を持ってしまった、相手に返さないでしまったというのは、これは異常なわけですね。目的不明で、本来日自振に返すべきお金でありましょう。それを企画室、自己の管理下に置いたというのは、これは横領になるんじゃないでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 達増委員御指摘のとおり、本来委託研究費が残った場合でありますれば日自振に返還をすべきでありまして、企画室におきましていわゆる一次通帳の存在を認識しながら長年にわたって放置したということは、不適切と言わざるを得ないと考えております。

 外部調査委員会の報告書によりますれば、一次口座の残金につきましては、いわゆる二次口座へ移転するまでの間、私的流用の事実は明確に認められなかったとされておりました。また、二次口座における出入金につきましても業務上横領には該当しないと判断されていることにかんがみまして、横領罪には該当しないと判断をされると考えております。

達増委員 これは日自振にも伺わなきゃならないと思うので深澤参考人に伺いますけれども、やはり日本自転車振興会としては、その補助金、余ったら、余剰金は直ちに日自振に返却すべきだったと思いますけれども、そういう御認識でしょうか。

深澤参考人 お答えいたします。

 これはもう御指摘のとおりでございます。だから、これは判明すれば直ちにそれを返却されるべきというのは当然の話でございます。

達増委員 全く私はそのとおりだと思います。

 ただ、この報告書でも「一次通帳を放置した行為は強く非難されなければならない。」と二十三ページにあるんですけれども、その行為について、「問題の解決を先延ばしにした」というような表現を使っているんですけれども、問題の解決というのは返せばそれが解決なんであって、返さないでおいて後で何か話し合って決めようとかいう性質の問題ではないと思うんですね。ですから、これは問題の解決を先延ばしにしたというよりも、返さなかったという時点で結局もう問題解決を放棄したということを当時の企画室ではやってしまったということになると思うんですが、この点、いかがでしょう。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 達増委員御指摘のとおり、歴代関係者の一連の問題先送りと評価されてもやむを得ないと考えますし、また、返還による処理を断念したということにつきましては、問題解決の放棄と受けとめられてもやむを得ない面があり、そういった意味では、当省といたしましても深く反省をしているわけでございます。

 外部調査委員会の報告書におきましても、一次通帳の存在を認識しながら長年にわたってこれを放置してきたことは極めて不適切であり、強く非難されなければならないとされておりまして、この点、深く反省をいたしております。

達増委員 報告書の同じページには、「今後外部からの委託研究費を管理する場合には、」「本件での問題点やその教訓が活かされることが必要である。」と書いているんですけれども、こういう外部からの委託研究費を管理するということそのものが今回の過ちの原因だったわけでありまして、外部研究としてやる場合に、勝手にそれの事務局を企画室がやって、またその通帳を勝手に管理するということが問題の本質なわけでありますけれども、「今後外部からの委託研究費を管理する場合には、」とありますが、経産省としては、今後もこういう委託研究費の管理というのはやるつもりなんでしょうか。

中川国務大臣 御指摘のように、これは人のお金なんですよね。本来預かっちゃいけないお金を長期間にわたって預かっていますから、二度と人のお金は、経済産業省、国家公務員はむやみに預かるべきではないというふうに思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 企画室が所掌外の業務を行ってきたことは不適切との認識のもと、先ほど申し上げましたように、平成十年度以降、産研からの委託研究費の管理は一切行っていないところでございます。

 外部調査委員会の御指摘にもございますように、本件での問題点やその教訓を生かすことが重要であるというふうに認識をしておりまして、今後も本件のように外部からの委託研究費の管理を行うことは考えておりません。

達増委員 報告書はこの後二次口座の問題に移っていくわけでありますけれども、外部研究のそれぞれの研究会ごとにつくっていた通帳、お金が余っていたのでそれを一つにまとめてFUP、フォローアップの略ですね、FUP研究会という名義で新しい口座をつくってしまった。これも、余ったお金が入っている通帳をそのまま持っているよりも罪が重いと思うんですね。すぐに返すべきものを逆にもう恒常的に自己の支配下に置こうとするものであって、この二次口座の開設ということこそ横領に当たるんじゃないかと思うんですけれども、この点はいかがでしょう。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 外部調査委員会の報告書におきましては、当時行われていた産研の調査研究に関連をいたしまして支出されたというものでありまして、企画室職員の私的な用途に費消したとは認められないということから、これら使途への出金が委託研究の趣旨を逸脱したものと断ずることは困難であり、業務上横領には該当しないという判断がされておりますが、しかしながら、いずれにいたしましても、このような形で他の目的に流用したということにつきましては、非常に不適切であるという指摘を受けておりまして、我々もその点は十分認識をしてございます。

達増委員 今の点について確認いたします。

 これは事前通告の二十八番の質問に当たるんですけれども、確かに、今の答弁にもあったように、この二次口座からの支出が委託研究の趣旨を逸脱したものと断ずることはできないとか趣旨に沿うものとか、そういうことを報告書は書いているわけですけれども、結果オーライということではないと思うわけですね。

 本来、即刻、日自振に返却すべきお金を、いいことに使ったからいいだろう、そういう結果オーライでは、特に、行政というのは手続というのが大事であって、すべて行政は法令に従って行われなければならない、そこに国会によるチェックがあって、国民によるチェックがあるわけですから、この点、結果オーライだからいいんだというようなことではないということを確認したいんですけれども、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 外部調査委員会報告書におきまして、二次口座に関しまして、歴代関係者が問題を先送りしたあげく、これを裏で処理しようとし、その後再び問題の先送りに戻ったとも評すべき一連の対応であって、ここには国家公務員としての問題解決に向けた真摯な姿勢が見られず、極めて不適切な行為であったという指摘を受けているところでありまして、我々といたしましても、行政的には厳しく責任を問われるべきものであり、痛切に反省をいたしているところでございます。

達増委員 この二次口座ができてからの経緯については、それまでは、外部委託研究されていたその費用を、それぞれ研究会ごとに通帳を個別につくって、そこで企画室が支出を管理していたものを、二次口座をつくって以降は、産研独自の自主事業、産研の自主事業に対して、今度はこの二次口座から、フォローアップ口座から足りないお金を補うという形になっているんですね。

 ここはよく考えてみると非常におかしな話でありまして、それまでは、同じ日自振の補助金を受けて行われる産研の研究事業であるにもかかわらず、外部研究会をやっていたときには、一つの研究会について何十万とか何百万とかお金が余ったわけですよね。ところが、それをまとめて、二次口座をつくった後は、産研自主事業というのが、その二次口座から補わないと、速記代とかタクシー代とか、そういうのを補わなければお金が足りない、そういうお金の流れの逆転現象があるわけですね。

 そこで、よくよく考えてみると、実は、当初、外部研究会予算がどんどん余っていったということは、お金が余るように企画室が予算書をつくって、わざと余らせて、そしてその余ったお金をいいかげんに使えるようにしていたということになると思うんですが、この点、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 外部調査委員会の報告書におきまして、企画室担当者による委託研究費の支出に関しまして、次のように記載されております。「長年行われてきた方法を形式的に引き継いで委託研究費の請求をなしたにすぎないものと認められる。」ということでございまして、意図的に金を余らせることを目的として一連の行為がなされていたわけではないというふうに認識をしているところでございます。

達増委員 産研側にこれは伺いたいんですけれども、角間参考人に伺います。

 この二次口座の存在、そして二次口座を使って、企画室として、ここは足りないから補ってやろうというところにお金を補っていた。これは、三十八ページに「上記の各経緯は、産研側が各研究会代表者個人名義の口座に残高が存在することを承知した上で、その残額の処理を企画室が行なうことを暗黙のうちに認めたものと解さざるを得ない。」とあるんですね。

 産研としては、この報告書のこれを認めますか。つまり、結局暗黙のうちに認めていたということを産研としてはお認めになりますでしょうか。

角間参考人 先ほど申しましたように、この外部調査委員会は、その道の専門家の方がお集まりになって、それで幅広く関係者から意見を聞いたり、あるいは資料の提供を求めて事実関係を精査した結果の判断を下しておるものだと思っておりますので、その報告書に書かれておるとおりだろうと思っております。

達増委員 では、同じことを役所側にも伺いたいと思います。

 この報告書に、その後、「このことを企画室側から見ると、委託研究の趣旨に沿う使途に支出する方法により上記各預金口座の残額を処理することが、産研側から黙認され許容されたと認識したことを示している。」つまり、企画室側としても、産研側からの黙認があった、暗黙のうちに認めたということがあった、企画室側でそう認識していたということは、これはそのとおりなんですか。

鈴木政府参考人 御答弁申し上げます。

 達増委員御指摘のように、外部調査委員会の報告書では、当時の企画室のメンバーとしましては、過去の研究のフォローアップや新たな研究のために必要と認められる用途に使うのであれば当初の研究会の趣旨に沿うというふうに考え、残余金を使用したものとされており、企画室としましても同様の認識をしていたものと私ども承知しておるところでございます。

達増委員 一方、これは日自振に伺わなければなりませんが、深澤参考人に伺います。

 そんな、暗黙のうちに認めたとか黙認されたと認識するとかいう問題ではないはずなんですね。補助金が余っているのであれば、即これは日本自転車振興会に返却されなければならなかったはずなんですが、そういう認識でよろしいでしょうか。

深澤参考人 お答えいたします。

 今御指摘のとおりです。だから、二次口座開設云々というよりも、その前に余っていたわけでございますので、その段階でもう既に目的外の使用の動きというのはあったわけでありますから、だから、その段階で知れば、わかっていれば、当然のことながら、その段階でもう既に返還請求というような格好になっていたと思います。

達増委員 全くそのとおりなわけでありまして、しかし、この報告書の結論部分、五十九ページなんですけれども、「結語」のところですね。三段落目に、「今回の調査の過程で、上記調査研究が経済産業省による組織的な裏金作りのために行われてきた旨の一部報道に接したが、当委員会の調査においてかかる事実を認めることはできなかった。」組織的な裏金づくりはなかったということがこの結論になっているんです。

 まず、少なくとも、国会から見ますと、先ほども言いましたように、財政民主主義を逸脱するような形で行政が予算の執行、まだ正規の予算じゃなかったわけですから、企画室が支出していたのはもう裏予算と言っていいんだと思うんですけれども、そうした裏予算の執行を行政が行うということは、これは財政民主主義、憲法の原則にも反することだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 この調査委員会は、七月の初めから八月いっぱい、二カ月間、先ほども申し上げましたが、法律の専門家の先生方に本当に昼夜を分かたずやっていただきましたが、でも、調査が必ずしも十分じゃなかったということは先生方もお認めになっていらっしゃいますね。つまり、古いデータがあったり、その書類がなかったりということで。しかし、そういう中で本当に一生懸命やっていただいたということであります。そういう中で、経済産業省のお金の扱い方が不十分であった。しかし、この産研から委託されている研究については、これは非常に重要な大事な研究成果であったということも指摘されているわけでありますから、結果はよかった。でも、今、達増議員御指摘のように、そのデュープロセスが極めてよくなかったというのが私どもの最大の反省材料でございますので、国会で多分十分チェックをこれからもしていただくんだろうと思います。

 私も、先ほど申し上げたように、自分自身も責任を感じておりますし、次官、官房長以下、大量の処分も出しておりますので、どうぞこれからも徹底的に調査をしていただきたいというふうに思います。

達増委員 これはもう言われなくても、国会の務めとして行政のチェック、これは調査はきちっとやっていかなければならないものですので、それはやるわけでありますけれども、結果オーライではだめだということについては、戦前の満州事変とか、あれなんかは当時は結果オーライという発想で内閣が後で追認したりとか、やはり手続がいかに重要かというのは、まさに過去の歴史を率直に反省するところからも民主主義における手続の重要性というのは明らかだと思うんですね。

 大臣もそういう趣旨の御答弁だったのかと思いますが、この報告書でもう一つそれに関して気になるところを指摘しますと、最後の六十ページに、民間企業もやっているような努力を国もしろということで、法令遵守などということも書いてあるんですけれども、行政というのは法令以外のことはやってはならないわけでありまして、法令の執行が行政でありますから、法令遵守そのものでなければならないわけですね。

 ですから、法令遵守に向かって努力するとかいう民間企業のコンプライアンス以上のそういう厳しさ、法令や手続に対する厳しさというものが行政には求められる、特に予算の執行には求められるということ、大臣の見解を伺いたいんですが。

中川国務大臣 もとより、経済産業省も法令遵守であることは言うまでもないわけですけれども、自分の口から言うのは変ですけれども、今回企画室以外にもいろいろな不祥事があって、今国民からあるいは国会から求められているのは、法令以上のもっと厳しいものを我々は求められているわけでありますから、そういう意味で、法令よりももっと厳しいコンプライアンスあるいはデュープロセス、厳しいものをみずから律して、しかも八月の末にこの企画室も廃止する、あるいはまた処分も行う。

 それから、今答弁しております高橋首席監察官を初めとする内部に厳しい監察チームをつくるということもやっておりますけれども、これはすべてこれでもっておしまいじゃないんです。現在進行形なんです。将来においても、また国会の御議論も、また国民の皆さんの厳しい監視も。ですから、これからも、国民的な、あるいはまた法令以上の厳しいものを我々は努力をしていって、そして経済産業省、大事な仕事を私はやっていると思っておりますので、そういう意味で、その仕事に値する信頼を回復できるように、省を挙げて今一生懸命やっているところでございますので、ぜひ国会でもそういう観点から、厳しい御指導、またチェックをしていただきたい。そのために当委員会も、きょう達増委員初め御審議いただいているものというふうに考えております。

達増委員 この外部調査委員会報告書でもう一つ重要な論点として、大臣への報告のおくれの問題について取り上げています。

 これで気になるところが五十五ページにありまして、ここで「大臣への報告にあたっては、公表が前提となることから、捜査当局とも連絡をとった上で、翌日に報告することにした。」とあるんですね。ですから、なぜ大臣への報告がおくれたかという問題の中で、公表が前提になるからおくらせたというようなことが書いてあると思うんですけれども、大臣への報告というのは公表が前提になる、そういうものなんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 内部調査を進めまして、中川大臣に御報告できる状況が整った時点で、大臣に御報告する内容の中に、これは私ども幹部の処分案が含まれておりましたので、当然処分案というのは公表するものでありましたために、事前に捜査当局に連絡をとり了解を求めたものでございます。

達増委員 関連して、前室長への処分に対して、この報告書では五十七ページ、「辞職の申し出に対する承諾を留保し、一定の調査後に辞職の申し出を承諾するか、あるいは懲戒処分とすべきかを判断するという対応は可能であったはずである。」という結論を出しているわけですけれども、この点についてはもうそのとおりだったと経産省側は認めますか。

鈴木政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘の点につきましては報告書に書かれたとおりであるというふうに考えておりまして、反省をしている次第でございます。

達増委員 この経済産業省企画室研究費問題については、午後も同僚委員の方からさらに質問を続けさせていただきます。

 先ほど大臣もおっしゃいましたように、ほかにもいろいろ問題が経産省の内部調査からも出てきている。また、これは九月三十日の予算委員会で民主党長妻委員から質問をした件でありますけれども、雑豆輸入基金協会のお金の流れの問題ですね。ジェトロに対して、これは二百三十九億円ということだそうですけれども、雑豆輸入基金協会からジェトロに対して二百三十九億円の交付金があったと。この二百三十九億円、いろいろ利子を生んだりもしているそうなんでありますけれども、このお金というものがどのように使われたのか。このお金のかなりの部分が今でもジェトロの中に残っていて裏金化しているんじゃないかという疑惑があるわけですけれども、このジェトロへの二百三十九億円の交付金のその後の行方について端的に答弁をいただきたいと思います。

北村政府参考人 御答弁申し上げます。

 今、先生御指摘のとおり、昭和四十年度から平成六年度までの間、約三十年の間にわたって財団法人の雑豆輸入基金協会から、これは当時の通産大臣の指示に基づいた話でございますけれども、ジェトロに対しまして累計で約二百三十九億円の資金交付がございました。

 この資金交付を受けまして、ジェトロにおいては、まずみずからの事業費、ジェトロが行っております貿易振興事業の事業費として利用をいたしております。このほかに、ジェトロから、貿易振興あるいは国際交流といったことを行っている民間の団体に対しまして、これも通産大臣あるいは経済産業大臣の指示に基づきまして、資金の交付あるいは貸付事業といったことを行ってきております。

 現在どうなっているかということでございますけれども、ジェトロは平成十五年の十月に特殊法人から独立行政法人に移行いたしました。その際に、これは政府全体の方針でございますけれども、独立行政法人はできる限り業務をスリム化するという観点がございました。そういった観点から、この資金につきましては、独立行政法人に移行したジェトロとしては新たな貸付事業あるいは新たな交付事業は行わないという結論となりまして、したがいまして、ジェトロとしては、既に貸し付けている貸付債権の管理、回収のみを行うということにされたところでございます。

 この結果、現時点におきましては、貸付金の残高が五十一億円、それから、平成十五年当時から貸し付けたもののうち一部は回収をしておりますので、回収金が約六億円、現預金としてジェトロに残っているということでございます。

 以上でございます。

達増委員 今の答弁からしますと、二百三十九億円のうちジェトロの手元に残っているのは約六億円ということですけれども、そういうことなんでしょうか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお答え申し上げましたように、現在ジェトロが行っておりますのは、平成十五年十月の独立行政法人への移行前に既に貸し付けていた貸付金の管理、回収のみをやっておりまして、そういう意味で、貸付債権として現在保有をしておりますのが五十一億円、これは貸付債権としてジェトロのいわば資産になっております。

 それから、平成十五年十月以降、回収がございますので、その回収したお金は、現預金としてジェトロのこれまた資産として保有をしているということでございます。

達増委員 ですから、そのジェトロが保有している金額というのは、これについて百億ぐらいの裏金を持っているんじゃないかとか、そういう疑惑の指摘があるわけでありまして、数字をはっきりさせてもらわないと困るんですけれども、さっき約六億ジェトロのところに預金としてあるという答弁だったと思いますけれども、それ以外にはジェトロの手元にはそういう、この二百三十九億円に由来するお金はないということですか。

北村政府参考人 私の答弁が必ずしもはっきりしていないので申しわけありませんけれども、繰り返しになりますが、ジェトロは現在、過去に行った貸付債権の管理あるいは回収をやっておりまして、貸付債権として現在持っておりますのが五十一億円でございます。したがって、ジェトロが、ある民間の、もちろんこれは貿易振興事業、国際経済交流事業をやっておる団体に対しましての貸付金でございますけれども、この貸付金は、やはりジェトロの資産として保有をしております。ただ、これは貸付金という形で保有をしております。

 それから現預金としては、先生御指摘のように、既に貸し付けから一部返ってきておりますので、この回収金をジェトロのいわば手元に置いて現預金として保有をしているということでございます。

達増委員 その現預金でありますけれども、これは、雑豆輸入基金協会というのは平成七年に解散されていますし、一体何のためのお金としてそれは保有しているんでありましょうか。その現預金六億円というものの位置づけ、一体何に使うお金、あるいはいずれどこかに返すお金、これはどういう位置づけの六億円が現預金にあるんでしょうか。

北村政府参考人 現在の現預金と申し上げました六億円につきましては、ジェトロにおきまして政府からの出資金という形で会計上整理をされております。したがいまして、まさに独立行政法人としての政府の出資金の一部を構成しているということでございます。

達増委員 六億円も預金があれば、今のような利息の低い時代であっても、それなりの利息がついて果実が得られるわけですけれども、その果実はどのような予算上の位置づけになるんでしょう。

北村政府参考人 大変失礼いたしました。

 六億円、現預金でございますので、もちろん果実を生みます。この果実につきましては、雑収入という形で収入に計上されているところでございます。

達増委員 その雑収入というのは、予算上の正規の雑収入、予算書の中にあるいは決算の中にきちっと計上される意味での雑収入ということなんですね。

北村政府参考人 雑収入として収入に区分されておりますけれども、これにつきましては、もちろん適切な正規の収入の一環として独立行政法人であるジェトロの資金の一部を構成しておりまして、それにつきましては、ジェトロ自身の監査、あるいは第三者、具体的に言いますと外部の監査法人でございますけれども、監査法人による監査、さらには究極的には会計検査院の検査ということで、何重ものチェックを行っているというふうに理解をいたしております。

達増委員 時間なので私の質問は終わりますけれども、また午後、引き続き一連の予算の使い方の問題について伺いたいと思います。

 ありがとうございました。

谷口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

谷口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 前国会に引き続き、幸運にも再び経済産業委員会に所属をさせていただきました。また、本日は一般質疑の機会をいただき、感謝をいたします。よろしくお願い申し上げます。

 私も、同僚の達増議員に続きまして、経済産業省の関連団体の補助金の使い方、不透明なお金の使い方につきまして、いわゆる裏金問題も含めまして、中心に質問をしていきたいと思うわけでありますが、その本題に入る前に、ちょっと二、三、別件の話を伺っていきたいと思っております。

 大臣、現在、WTOの交渉、いわゆるドーハ・ラウンドが一つの大きな節目を迎えていると伺っております。先ほど大臣に伺いましたらば、きょう、夕方のフライトで出発をされるということでございますが、大変な急ピッチで今のWTO交渉が一つの節目を迎えようとしている、一つの詰めの段階かなと聞いておるわけでございます。FTA、二国間の貿易交渉も極めて重要でしょうが、多国間のWTOというのも非常に大事な、貿易立国の日本にとって、世界の一つのインフラだと思うわけであります。

 二〇〇三年にカンクンで閣僚会議が決裂して以来、足踏み状態だったこの交渉が進んでいるということは、これは喜ばしいことであるわけでありますが、一つ大事なことは、その内容が我が国の国益にかなったものでなければならないということだと思っております。

 実は、昼間、私の地元のJAの方々が、地元選出の国会議員と懇親というか意見交換をされまして、やはり全国各地で、とりわけ米の問題が焦点でありますから、農業関係者も含めて、また産業界も大変注目しているこの交渉であります。

 そこでお伺いしたいんですが、こういった交渉を前に、小泉純一郎総理大臣が一昨日、靖国神社に参拝をされました。関係諸国、とりわけ中国、そして韓国がこの行動を非難しておるわけであります。WTOの交渉にとりまして、これは多国間の交渉事ですから、やはり日本の国益を実現するためには数多くの同調者といいますか、共同歩調をとる仲間の国が必要になるわけでありますけれども、韓国は、例えば米分野においては日本と非常に共同歩調をとっていただいている国であります。また中国も、途上国のリーダーとして大変大きな役割を担っている国であります。そうした近隣諸国の感情を逆なでするような今回の小泉総理の靖国参拝を私は非常に心配をするわけでございます。これから交渉に、今晩出発される大臣、今回の交渉の行方と、また総理の今回の靖国参拝、交渉に与える影響があるのではないかと懸念するわけですが、大臣の御見識をまずお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 二〇〇一年の十一月にドーハでスタートいたしました新しいラウンド、いわゆるドーハ開発アジェンダ、DDA、これが、率直に言って大分スケジュールがおくれておりまして、何としても、ことし十二月の香港の閣僚会合で、来年じゅうの合意に向けて鋭意各国とも努力をしたいというコンセンサスがだんだん強くなってきているというふうに思っております。

 日本はもとより貿易立国、諸外国と平和的な関係を持って貿易を進めていくことによって日本もハッピーになりますし、また諸外国にも貢献できるというふうに考えております。

 そういう中で、今、近藤委員の御指摘でございますけれども、韓国も中国ももとより隣国であり、また日本と同じように、韓国も中国もWTOの主要メンバーだというふうに認識をしております。日本だけではなくて、百四十八の加盟国、全く同じスタンスであるかどうかということは、それぞれ国益を背負っておりますので、必ずしも同じではない、これはある意味では当然のことだろうと思います。

 例えば韓国は、工業分野では先進国、それから農業分野では発展途上国、そして、日本と同じように米が非常に大事である。それから中国は、今まで農産物の輸出国であったと同時に、これからは輸入国という立場になってくるわけでございます。それから、途上国のある意味ではリーダー的な存在だというふうに考えております。

 そして、中国の場合には、二〇〇一年の十一月にWTOに加盟した、いわゆる新規加盟国という立場でもあるわけでございまして、それぞれ、全く同じではないけれども、しかし、共通分野については協力してやっていきましょうということです。もちろん、アメリカ、EU、それから東アジア、そして途上国、そしてまた中国、韓国、それぞれ共通で進んでいけるところは大いに共通にして、そしていい成果を成し遂げていきたい、こういうふうに思っております。

 今回、今御指摘のように、先週の土曜日までジュネーブに行っておりましたけれども、今回、急遽、当委員会また国会その他のお許しをいただきまして出張させていただきますけれども、世界経済のよりよい発展のために、日本としても最善の努力をしていきたいというふうに考えております。

 靖国に関しましては総理の御判断でございますけれども、私といたしましては、このドーハ・ラウンドの成功に向けて全力を尽くして頑張っていきたい、こう思っております。

近藤(洋)委員 担当大臣としては、全力を尽くしてということであるかと思うんです。しかし、この点も、時間もあれなので余りしつこく聞きたくはないんですが、靖国神社の参拝、靖国問題については、それぞれの政治家の方々はお考えがあろうかと思います。ただ、総理大臣として、その担っている責務の重さを感ずると、やはり、少なくとも通商交渉、さらには経済産業省の所管でいえばエネルギー問題、日中のエネルギー問題もあるわけでございます、開発問題もあるわけでございます。

 こういった経済産業省の所管大臣としてのお答えをいただきたいと思うんですが、靖国問題の是非をこの場では問うつもりは全くないんですが、経済産業大臣として総理の行った行動は、例えば事前に大臣に行くぞというお問いかけでもあったのかどうか、少なくとも所管大臣に対しての業務には大きな支障を来したと思うんですね。事実、外務大臣は、トップ会談が、大臣同士の会談がキャンセルされているという現実に陥っているわけですし、やはりこれは国益を損ねていると、経済産業大臣として、所管大臣として今回のことをお思いになりませんか、申しわけございません、通告なくて恐縮ですが。

中川国務大臣 中国は、世界最大の人口を有する、そしてまた八%、九%の経済成長を遂げております大変勢いのある国でございます。そして、隣国でございます。したがいまして、日本との関係も非常に深い。今御指摘がございましたように、エネルギー、あるいはまた貿易、あるいはまた知的財産、あるいはまた投資等々、いろいろ関係が深いわけでございますので、そういう意味で、総合的に、中国とはお互いに発展をしていくことがプラスだ、ウイン・ウインの関係にあるという観点から、私は経済産業行政を今つかさどっているということでございます。

近藤(洋)委員 私は、今回の参拝はやはり日本の国益を大変損ねる懸念があるということだけをこの場で申し上げたいと思っております。

 続いて、原油高問題について伺っていきたいと思うんですが、経済産業省は、我が国産業全体としては今の原油の価格はそれほど大きな影響はない、オイルショックの当時とは違うのだという認識は伺っております。午前中の質疑でも、しかしながら中小企業に対しては大変なやはり影響があるということは大臣も御答弁をされました。ですから、この点についてはもう重ねて問いただしませんが、特に私心配しているのは、灯油の値段であります。

 大臣も北海道、私は山形県でありますが、やはりこの冬場の灯油の値段の上昇というのは家計に直撃を与えるわけであります。大変、熱源が灯油に頼っている地域でありますから、ぜひ便乗値上げなどのないように、さらには元売各社に対しての在庫管理の徹底等を含めて、しっかりした指導を行っていただきたいという要請にとどめさせていただいて、伺いたいのは、家庭に対してもそれは大変大きな影響があるということ、さらには、やはり中小企業に大きな影響を与える。その中で、産業として見ますと、やはり運送業だと思うんですね、この原油高の影響を最も受けるのは。また、一般の自動車ユーザーも、ガソリン高でこれは影響を受ける、ガソリンを使いますから影響を受けるというわけであります。

 これは、考えてみますと、自動車関連の税制というか税というのは、もうさまざまな段階で税金がかかっておる。買うときに消費税と取得税がかかり、保有するときもかかり、そして使うときもガソリン税がかかるという、多段階、多重構造、複雑怪奇と言うと言い過ぎかもしれませんが、大変複雑な税制になっておる。しかも、この額たるや、租税収入の一一・三%、九兆円。自動車からこれだけ、むさぼり尽くすと言っても過言でないぐらい取っていると思うのが我が国の税制なわけであります。

 小泉首相は道路特定財源を一般財源化するということを掲げていらっしゃるやに聞いております。我が民主党は既にこの一般財源化というのを主張しておりますから、総理が後追いされることについては歓迎をいたしますけれども、問題は、いっそのこと、一般財源化を考えるのであれば、この税の部分も見直したらどうだろうか。さまざまな問題、二重課税の問題とかも指摘をされているわけでございますし、とりわけ、この原油高を受けて、運送業もまた一般のユーザーも、そのガソリン諸税、自動車諸税で大変負担を受けているわけであります。ぜひ、これを機に、自動車関連税制を見直すということも踏み出していいのではないかと思うわけであります。

 とりわけ、平成十九年で、推定で七千六百億円もの余剰が道路特定財源で生まれるという試算も出ておりますし、新たな余剰も生まれるわけですから、これを機に見直すということがあってもいいのではないかと思うわけです。大臣、これは、重要閣僚として、ぜひ御見解を伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 率直に申し上げまして、経済産業大臣、ユーザー、あるいはまた自動車産業を所管する立場から見れば、こういう税は軽い方がいいというのが率直な気持ちでございます。

 他方、使う側から見れば、これだけ財政状況が厳しい折でございますので、特に税務当局の方でのお立場もあるわけでございますので、今、こういう、石油の価格が上昇している、今御指摘があったように、運送関係、あるいはまた農業、漁業関係、石油関係、ひいてはクリーニング屋さんとかいろいろなところが大変困っている。トータルとしては大きなダメージはないですけれども、個別的にはかなりダメージを受けている分野もあるわけでございます。今御指摘のように、山形や北海道のような地域は、これから寒い季節に入ってまいりまして灯油の需要もふえてまいりますので、気持ちとしてはわかりますし、私も気持ちとしては同じでございますけれども、これは、トータルとして政府内部で議論をすべき問題だろうというふうに考えております。

近藤(洋)委員 大臣、ここは、経済産業大臣でありますから、この今の原油高の状況とか国内の景気の状況も踏まえて、また家計を元気にしようということを考えても、やはりこれだけ複雑な自動車関連諸税を見直す僕は好機だと思うわけであります。内閣改造がどうなるかはわかりませんが、大臣、留任される可能性もあるかもしれないわけでございますし、どうだかは別にして、やはりここは思い切って踏み出すというのが、僕は、経済産業を所管する大臣としてまた考えてもらいたいものだと改めて申し上げておきたいと思います。

中川国務大臣 近藤委員は有能なエコノミスト、マスコミとして長くおつき合いをさせていただいておりますので、重要な御指摘として深く心にとどめたいと思っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。ぜひ御検討いただければと思います。

 まさに、今道路特定財源の話を申し上げましたが、やはりこの税金の集め方、そして使い方、こういった問題をしっかりチェックをしなければいけない、メスを入れなければならないと思っております。その中で、むだ遣いは許さないというのが我々民主党の基本軸であります。行政機関は執行機関としてのモラルが求められる。そうした観点からも、許されない残念な不祥事、疑問に思われるような行動が経済産業省で起きたということは、私、大変残念であります。

 これから若干厳しい質疑をさせていただきたいと思っておりますが、これは個々の官僚の方々を非難しようと私どもは考えておりません。それぞれの方々は一生懸命仕事をされているのだろうと信じたい、そう思っております。以前もこの問題を委員会で取り上げたときに申し上げましたが、城山三郎、私の大好きな小説家でありますが、小説「官僚たちの夏」、あそこに出ているのは、通産省が舞台なわけです。あの経済産業省はどこにいったんだ、あの気骨はどこにいったんだと思うような事件が、そして不祥事が続いておるということでありますから、これはやはり国会でしっかりと原因を明らかにして、そして構造的な問題をチェックをしていかなければいけないと改めて思うわけでございます。

 大臣、冒頭にもう一度伺いますが、官房企画室の裏金問題、さらには職員によるインサイダー問題、インサイダー取引、さまざまな不祥事、一連の不祥事がこの半年ぐらいで起きてまいりました。大臣の指示で明らかになった不祥事もございますが、いずれにしろ、起きたことは事実であります。こういった一連の不祥事、大臣はどのように総括というか受けとめていらっしゃいますか。改めて、何で「官僚たちの夏」に書かれたあの通産省が、ここまで次々と事件というか不祥事が起きるようになってしまったのか、なぜだと思うか、その受けとめ方をもう一度お聞かせください。

中川国務大臣 これは、何回おわびしても、し切れるものじゃないと思います。改めて、この企画室問題のみならず、複数のこういう不祥事が同時多発的に発見されたということは、もうまことに申しわけないことだと思います。起きたんじゃなくて、三十数年、四十数年、一連の出来事が今回一挙に発見をされたということでございます。

 これは、企画室に限って申し上げますと、例の外部調査委員会の先生方の御指摘にもありますように、「杜撰」「先送り」「不適切」と、大変厳しい御指摘をいただいているところでございます。私を初め次官、官房長、そして責任者、あるいはまた実際の担当者含めて、私としてはできるだけの処分をいたしました。

 ただ、これが事件になっているもの、あるいはまた事件に相当しないもの含めて、いっぱいあったわけでございますけれども、これは組織改革もしなければいけませんでしたし、それから、首席監察官を先頭に常にチェックをしなければいけないということで、今まだ現在進行形でございます。

 これでもって処分をしたからおしまいということでは決してございません。まだまだ省を挙げて謹慎中の最中でございますので、当委員会、国会、あるいはまた国民の皆様方に厳しい御指摘をいただきながら、一刻も早く信頼回復をしていかなければならないと思っておりますけれども、いずれにしても、過去数十年にわたるうみが一挙に吹き出してきたということ、これを奇貨として、きちっと立て直していかなければいけない。

 何回も申し上げますけれども、まだこれは現在進行形であって、もうこれですべておしまいということでは決してないということで、引き続き当委員会の御指導をお願い申し上げたいと思います。

近藤(洋)委員 大臣がおっしゃったとおり、私もうみが吹き出したんだろうという認識であります。ですから、今回の処置は重要である、これからの対応が重要であると思うわけでありますが、官房企画室で行われた不正問題について、大臣に報告書が提出されたのが八月の二十六日、そして処分を下されたのが二十九日ということであります。

 この処分でありますが、経産省の説明によると、経産省始まって以来の大変大がかりな処分だったという説明を受けております。次官、官房長が減給というのは過去なかったという話でございますし、次官が減給されたのはあの泉井事件以来だという話でありますが、思い切った処置をしたというのが経産省の説明でありました。

 しかし、ちょっと、一つお伺いしたいんですが、二十九日というと選挙の前日、告示日前日であります、解散をしているときであります。報告書が出たのは、これは我々も前委員会で、早く出しなさい、早く出しなさいということをずっと言ってまいりました、なかなか出なかった。これは、先生方が一生懸命調査したから、この日が二十六日というのはひとついたし方ないところであります、解散でなったということは。だれもあのとき解散があるとは、多くの人が予想しませんでしたし、これは仕方がないことですが、これだけ大がかりな処分を、解散された期間で、しかも二十九日にわざわざする必要があったのか。ちょっと疑問に思うんですが、大臣でもどなたでも結構ですが、その経緯を簡単に教えていただきたい。

中川国務大臣 万が一事実関係が違っていたら訂正させますけれども、これは大変ゆゆしき事件であるということで、七月の六日に、法律の専門家の先生方に徹底的な調査を御依頼申し上げました。午前中も申し上げましたように、これはお盆の時期、夏休みの時期を返上して、とにかくできるだけ早く、そして徹底的に調査をして、お願いを申し上げたい。ただ、三十年も四十年も前のことでございますから、先生方も、そしてまたその調査に協力した事務当局も本当に、ロッカーの中のもうほこりまみれの資料を徹底的に、こういうことを言っても意味がないかもしれませんけれども、担当職員が汗だくになって資料を見つけ出したと。他方、私は先生方に、できるだけ早くやってください、もう無理を承知でお願いをし続けたわけでございます。したがいまして、夏休みも先生方は返上していただいて、そして、出てきたのが八月の二十六日でございました。

 そして、今、近藤委員御指摘のように、八月八日に衆議院の解散ということになったわけでございます。これは、その間、経済産業省としては、衆参の当委員会に状況報告あるいは作業状況について御報告をしながら作業を進めさせていただいていたところでございますけれども、何としてもこれは、選挙の前の日によりによってという御指摘も、事実でございますからそれは甘んじてお受けいたしますけれども、他方、早くこれを御報告したい、しなければならない。正直言って、私も政治家、選挙を受けた身でございますから、経済産業大臣として、また経済産業省として、これを選挙の前にわざわざ出すのは、決して私にとっては、正直言って余りいいことじゃなかったんですけれども、しかし、早くやりたかった、早くやらなければいけなかったということでああいうことになったということをぜひ御理解いただきたいと思います。何回も申し上げますが、これは決して、それでもってもう打ちどめ、おしまいということではないということも、引き続きまた御指導いただきたいと思います。

近藤(洋)委員 大臣、これは私の考えですが、何も二十九日に焦る必要はなかったのではないかと思うわけであります。

 それはこれから質疑で明らかにしていきますが、二十九日に出したのは、減給であるとかさまざまな処分であるとか、これは通産省の内部の処分の話であります。ただ、減給といっても、金額のことだけを申し上げれば、まあ、官房長、せっかくいらっしゃるから、事実だけでいいです、次官は幾ら、金額として二カ月間、二〇%というのは幾らになるんですか、お金にすると。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 事務次官は、俸給月額の二〇%を二カ月間、国家公務員法に基づく減給処分を受けております。

 減給処分を受けた者は、俸給月額のほかにボーナスを二〇%減額することになっておりますので、月給、ボーナスを含め、トータルでは、事務次官、百二十二万五千四百八十九円でございます。

近藤(洋)委員 個人の次官とすると、家計から考えれば大きな額かもしれませんが、その裏で行われている膨大な税金のむだ遣い、不透明さのところを考えると、百二十何万円を減給したからといってどうなるものでも全然ないんですね。もちろん、減給だけではなくて、さまざまな処分も受ける、ペナルティーもあるんでしょう。その方は一年間は昇進できないとか、いろいろあるのかもしれませんが、しかし、全体の構造を直すということをしっかりしないと、これを、幾ら何人省内処分をしたところで、大規模な改革とは言えないということなわけであります。

 私が申し上げたいのは、二十九日の時点ないしは現在も、そういう意味での構造的なこの裏金問題の是正措置は、申しわけないけれども、ほとんどとられていないと言わざるを得ないと思うわけであります。

 これからこの話を伺っていきたいと思うわけでありますけれども、まず、自転車振興会の話であります、企画室の問題でございますけれども、達増委員が大変緻密に今回の問題について、おかしな点を明らかにしてまいりました。

 少なくとも、産研、産業研究所は、質疑を聞いていると、もはや存在意義を失ったなと思うわけでありますが、私は、今回の問題になりました企画室の不正経理の原資となった日本自転車振興会の機械振興補助金、この制度のあり方について伺っていきたいと思っております。

 このお金は、競輪の売上金の一部を原資にしているわけでありますけれども、多くの団体がこの補助金を機械振興枠ということで受け取っておる。産研は、そのごく一部であります。経産省に伺いたいんですが、この配分を実質的にだれが決めているのか、また、経済産業省はどのようにかかわっているのか、簡潔にお答えいただきたい。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの日本自転車振興会の機械振興補助金でございますけれども、産業構造審議会の審議を経て、まず補助方針というのを決めて、それで公募をいたします。日本自転車振興会において審査を行いまして、その結果に基づきまして、日本自転車振興会が補助事業計画を作成、決定をしております。

 経済産業省のかかわりでございますけれども、自転車競技法におきまして、日自振は、その補助事業計画の決定に当たりまして、産業構造審議会の審議を経た上で経済産業大臣の認可を得るということになっております。

 そういうことでございますので、経済産業省としましては、その大臣認可に際して、適切な補助事業計画の作成を指導監督するというような観点、それから、国による機械工業振興策を所管するという立場から、国の施策の質的あるいは量的な補完を行うという競輪補助金についてもその整合性を監督する、そういう観点から、補助事業計画の内容を把握して、必要があれば意見を述べているということでございます。

近藤(洋)委員 今の局長の答弁だと、公募をしたものに対してチェックをしているというふうに受け取れるわけですが、経産省は事前に経産省内でヒアリングを行っているんじゃないんですか。各局が担当所管課か、ないしは製造産業局の局内で、製造産業局の総務課、今は総務課と言わないのかもしれませんけれども、ないしは車両課で、事前に各課のヒアリングを行った上で、そして公募をさせて配分をしているのじゃないんですか。もう一度お伺いしたい。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたとおり、経済産業大臣の事業計画についての認可が必要だということで、その認可を適切に我々としては行う必要があるということで、私ども製造産業局におきまして、その認可を行うに当たって必要な範囲でいろいろな情報を集めているわけでございますけれども、省内関係各課で所管団体がいろいろございますが、そういうところが日自振へ補助金の要望を出しておりますので、その要望の状況がどういうふうになっているか、そういったような要望の内容について、政策的な重要性はどういうところにあるのか、そういうような情報収集を行っております。

 したがって、ヒアリングというふうに御指摘ありましたけれども、まさにそういう形で行っているわけでございますけれども、これはあくまでも補助事業計画の認可を適正に行うというための情報収集の一環でありまして、私どもが何かそれを実質的に決めているというようなことはないと思っております。

 ただ、こういった形でマスコミなどからもいろいろな疑念が表明されているということでございますので、私どもとしては、その補助金の配分の決定について、あらゆる段階でその透明性を徹底的に高めるということで努力をしていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 参考人にも来てもらっていますので、日本自転車振興会の深澤副会長、深澤参考人ですね。機械振興枠ですが、この配分の決定は、私の見るところ、基本的には経済産業省が実質的には取り仕切って、公募という形はとっておりますけれども、その中には日自振の意思というものはほとんど反映されないのではないか。少なくとも私の調べたところ、そういう確証を得るに至っているのですが、副会長は、日自振の内部的なイニシアチブというのは働いているんですか、お答えください。

深澤参考人 お答え申し上げます。

 いろいろそういう意味で、経済産業省の方と必要な情報交換はいたします。しかしながら、これは機械だけじゃなくて、私ども公益の増進ということで、ほかの分野のこともいろいろやったりしています。

 したがいまして、これは経産省とだけいろいろ話をさせていただいているわけじゃなくて、また、文部科学省それから厚生労働省ともいろいろな情報交換をしたりしながら、こういう計画を立てていっておるというところでございます。

近藤(洋)委員 お答えは、経産省だけじゃなくてほかの役所とも情報交換しているという話ですが、いずれにしろ、霞が関の中での話ですよね。日本自転車振興会というのは、別に霞が関とだけ話をする必要はなくて、公募をするというのなら、ほかの民間の方とも、第三者的な方とも話をされてもいいのかもしれませんが、今の御答弁でも明らかなように、お役所と連絡を密にとりながら、いずれにしろ、これはいい、悪い抜きにしてもですよ、現に現実問題としてはお役所と連絡をとりながら配分を決めているということだと思っております。

 結局、この結果、少なくとも受け取っている団体、上位団体のほとんどが経済産業省所管の団体になっているからそういう疑念も生みますし、実際にヒアリングといいますか、これは私流の言い方ですが、ヒアリング、省内調整もされた結果、この補助金配分のあて先がほとんど経済産業関係の団体になっている。過去数年来の補助金交付団体を見ましたら、提出していただきましたけれども、ほとんど変わりがありません、若干の順位の変動はありますけれども。お金も、比率についてはほとんど変わりがないということであります。

 しかも、自転車普及協会とかそういった自転車に関係するところならばいざ知らず、見ますと、平成十七年度ですと、日本航空宇宙工業会に十五億円とか、ニューメディア開発協会に十四億円とか、日本産業デザイン振興会とかさまざまな団体に、知的財産研究所もそうですね。それぞれの団体はそれぞれ立派なことをされているんでしょうけれども、およそ自転車と余り縁のない、まあ機械振興ということでやられているんでしょうけれども。

 しかしながら、すべてが経済産業省の関係の団体です。しかも、そこにはほとんどすべて天下りの方がいらっしゃるということであります。これでは、達増委員も指摘をしましたが、お手盛りと言われても仕方がない。年間百億円を超える補助金がこのようにして決まっているわけであります。

 さて、この配分された補助金を、だれがどのように使い方をチェックしているのか伺いたい。日本自転車振興会は、どのような体制で、使われた補助金が適正に使われているのかチェックしているんですか。

深澤参考人 お答え申し上げます。

 どのような体制でチェックしているかという点でございますが、当会の行います補助事業、これはまず、補助金の支払いのとき、これは大体、精算払い体制を前提にしてございますので、そういう段階におきまして、いろいろな払ったことの証明等、その証拠書類を全部、すべてチェックをしております。それがまず第一段階。

 それから、第二段階としますと、事業が完了いたします。そうしますと、確定調査という段階に入ってまいりまして、これは、支払った部署と違ったチェックする部署の部隊が、再度、現地にも赴きながら中身のチェック、それから、支払い状況の、実際の証拠書類等を全部チェックしながら、再度、適正に行われているかどうかということについてのチェックをいたします。こういうことでもって、ダブルチェックのような体制でもってチェックしてございます。

 それから、これが終わりますと、二年ぐらいの間でございますが、これは全部というわけにはすぐまいりませんけれども、一定の事業につきまして、監査ということをこの体制としてフォローさせていただいております。

石毛政府参考人 済みません、先ほどの御質問のところで、訂正をした方が事実認識としてよろしいかと思いますのでちょっと申させていただきたいんですが、上位三十団体の補助金についてなんですけれども、先ほど、航空宇宙工業会について十五億円、ニューメディア開発協会十四億円とおっしゃいましたが、これは一億五千万、一けたずれておりますというのが一点。

 それから、こういう形で、機械枠ということでございますので、その対象が機械振興を公益的に行っている団体ということになるものですから、どうしてもそういう分野につきましては経済産業省の所掌の範囲の団体が多くなってくる、そういう制度的なものはあろうかと思います。

 いずれにしましても、そういう先生の御疑問が起こるようなことがないよう、各段階において、今副会長も申し上げましたけれども、透明性、徹底した監査というものを行っていくということが必要だと思っております。

近藤(洋)委員 大変失礼しました。数値を読み間違えまして、御指摘、ありがとうございます。

 その監査なんですけれども、私、事前に説明を聞いた限りでは、監査をしている、補助金の使われ方をチェックしている部署は、人員は四名だというふうに事前に聞いておりますが、その四名で正しいのかどうか。また、その中に、いわゆる監査の専門家、会計士の資格を持った、しかるべき資格を持った人はいらっしゃるかどうか。事実関係だけ、参考人、教えてください。

深澤参考人 お答え申し上げます。

 何人ぐらいでという点でございますけれども、これは総勢で三十六名ぐらいになります。先ほど、第一段階のチェックとか第二段階のチェックを申し上げました。そして、監査のチェックも申し上げました。第一段階で、支払いのときにいろいろチェックいたします。(近藤(洋)委員「最終段階だけでいいです」と呼ぶ)はい。それは全部で二十二名おります。それから、別働隊がそのころ参ります、これはまた調査の部隊が入ります。これは全部で十名でございます。そして、監査でございますが、これが四名。トータルで三十六名ということでございます。

 それで、この中で、先生御指摘のような、会計士のような資格を持っていたりとか、そういったものを持っている者はおりません。

近藤(洋)委員 御丁寧に御答弁いただき、ありがとうございます。

 いずれにしろ、最終的な監査をするのがわずか四名で、しかも、そういった資格を持っていない。だから、産研のようなことが起きるんですよ。百億円を超える補助金のチェック体制が、総勢三十六名とおっしゃっているけれども、最終的なチェックは四名で、しかも、三十六名おって産研の今回のような不正を見抜けなかった。だから、こういうことが起きるわけであります。しっかり体制を整えなきゃいけない。

 問題は、今回のこの経産省が出した報告書に、こういった配分のチェックの仕組みは正しいのか、そもそも正しい事業にやられているのか、この補助金体制がいいのか、制度そのものがいいのか、こういった問題に対する言及が一行も書かれていない。もちろん、今回の報告書は企画室の不正経理をめぐる話でありますから、書く必要はないのかもしれません。弁護士の先生が企画室の問題について報告を出した、大臣に答申した。

 だけれども、経済産業省、大臣なり大臣官房は、その報告を踏まえて、では、この補助金の制度はどうだったんだ、チェック制度はどうだったんだ、そのことをしっかり書いて、改善策を書いて処分を決定するのが筋なんです。選挙の直前に減給だ何だという処分を発表して、しかも、議会がない、解散されているときに発表して、その改善策が今もってないとすれば、これは選挙のどさくさ紛れに発表したと思われても仕方がないと思います。

 大臣、いかがでしょうか。この点について、こういった補助金の体制をやはり見直すべきだと思うんですよ。少なくとも、その見直しは指示をされていますか。機械振興補助金、日本自転車振興会のあり方、この補助金のあり方について、まずあり方論、さらにはチェックの仕組み、日本自転車振興会はわずか四名でしかチェックしていません、この法人には会計検査も入りません、これは後でも言いますが。こういった問題について直せという指示は、大臣、出されたんでしょうか。お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今回は、今、近藤委員も御指摘になりましたように、インサイダー取引、あるいはまたユニセフの問題、それからアルバイトの方に対する報酬の問題、そして企画室、その他一連のことが一挙にわかったわけで、徹底的に調査をしたわけでございます。

 その結果、先ほどのこの調査報告書の中にもございますように、「杜撰」「先送り」「不適切」という言葉がもう随所に出ているわけでありまして、この言葉というのは、我々極めて重たい言葉だというふうに思っております。

 それから、今、近藤委員も御指摘のように、日自振そのもののチェックも実は経済産業省がしなければいけないということにもなっているわけでございますので、そういう意味で、一連のこの出来事、不祥事について徹底的に見直していかなければならない。したがって、首席監察官制度もつくり、企画室も廃止し、そして株取引については一年間自粛をしということを徹底的にやりました。

 いずれにしても、私としては、願わくは二度とこういうことが起こってはならないとは思います。しかし、こういうことが仮にも起こる、起こってはならない、しかし起こるということを厳重にこれからも厳しくチェックするという意味で、私は、二度とこういうことが起こらないように徹底的にこれ以外についてもチェックをしてもらいたいということは、一般論と言われれば、具体的なことはこれ以上わかっておりませんので、これについてあれについてとは申し上げておりませんけれども、とにかくきちっと、二度とこういうことが起こらないようにということは厳しく言い続けているところでございます。

近藤(洋)委員 大臣、私が伺っているのは、この補助金の制度そのものが問題になっているのではないかということも含めてなんでございます。

 なぜこのことを聞くかといいますと、御存じのとおり、競輪事業というのは各自治体が行っているわけですけれども、大変今苦戦しているんですよね。平成十六年度で、五十八団体のうち二十五団体が赤字です。前年度と比べて赤字になっている団体が九団体もふえています。赤字なんですよ。赤字の団体からピンはねというか、お金をとってそれをまいているんです。もともと減らしてもいいはずなんですよ。

 規模を見る、そしてその上で中身が正しいかどうかということをやらなきゃいけない、そこまでこの仕組みは、基盤、そこまで追い込まれているという認識を大臣はお持ちかどうか、経済産業省は持っているのか。何ら考えていないんじゃないんですか、原局は。

中川国務大臣 競輪事業の主催自治体から厳しい御指摘をいただいておりまして、それを真摯に我々も受けとめて、ちょっと細かいことはまた製造局長から説明させますが、審議会でもってきちっと今抜本的な見直しをやっているところでございますし、それからまた、例のユニセフについても、ユニセフの慈善事業に対して大変な御迷惑をおかけしたということに対しても、私自身、何回も文書あるいはお電話でおわびかたがた反省をしているところでございます。

 先ほどから申し上げておりますように、首席監察官、あるいはまた省内に、私を本部長、副大臣、政務官を副本部長等々にして、省内の抜本的な見直しの体制をつくっているところでございまして、いずれにしても、これでもっていいということでは決してございません。近藤委員の御指摘、その他きょう委員会での御指摘を重々重たく受けとめて、二度とこういうことが起こらないようにしていきたいという決意は、私自身重く感じているところでございます。

近藤(洋)委員 ぜひ、大臣、そういうことでしっかり指導していただきたいと思います。

 次の話に移ります。

 続いて、経産省の話で疑問点が指摘されているものが、いわゆる雑豆問題であります。これも、午前中、達増議員が指摘をしてまいりましたが、私も引き続いて伺ってまいります。

 雑豆問題については、予算委員会で大臣も、しっかり見ていくという話でございました。その調査をできるだけ早く終えていただきたいと思うわけでありますが、時間の関係上、この制度の仕組みについては委員各位御存じでありますでしょうから繰り返しませんが、昭和四十年から平成七年にわたるまでジェトロに交付された二百三十九億円、総額では六百六十一億円ございます。農林水産省の団体、そしてジェトロ、そして残りは税金という形で国庫に入ったということでありますが、この二百三十九億円の使い道が今問われているわけであります。

 そこでぜひお伺いしたいんですが、まず最初に、この二百三十九億円というお金は公的な資金であるという認識でよろしいんでしょうか。事務方、お答えください。簡単でいいです。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、いわゆる雑豆資金は、昭和四十年以降、雑豆に関する輸入割り当て制度が廃止されます平成七年までの間に生み出されてきた資金でございます。この資金につきましては、二つの目的から、財団法人の雑豆輸入基金協会に、輸入割り当てを受けて雑豆を輸入をいたしました輸入業者が差益金、当時の国産の雑豆の価格と輸入価格との差益でございますけれども、その差益金を財団法人に自主的に拠出をするということで生み出されたものでございます。

 今申し上げた二つの目的と申し上げますのは、国内の豆生産農家の保護が第一でございます。第二に、民間が主体となって、貿易振興あるいは国際経済交流といったことを通じて我が国の貿易立国としての立場を強化していく、そういう二つの目的から、先ほど申し上げた仕組みで自主的に拠出をしたものでございます。

 それからもう一点、先生御指摘のように、財団法人が得た収益を法人税として、当時は二八%だったと記憶しておりますけれども、法人税が国庫に納入をされております。

 以上申し上げたことから申し上げますと、やはり第一義的には、民間が差益金を自主的に拠出をした、そういった利益について法人税として国庫に納付をしているということから見ますと、民間資金であるというふうに考えております。

 ただ、こういった仕組みが、先ほど申し上げました、目的が国内の農家の保護、あるいは貿易振興、あるいは国際経済交流という政策的な目的に使うという観点から、その使い道、使い方につきましては、当時の通産大臣あるいは農林大臣が使途について指示をするという形での公的な監督を行っている、そういう意味での性格をあわせ持っているということでございます。

近藤(洋)委員 民間資金と言い切るのはちょっと乱暴だと思うんです。局長も後半そう言われたように、公的なものが管理をしている。課徴金という性格を持つものでありますから、やはりこれは公金だと思うんです。だから、ジェトロに行くわけです。だから、なくなりましたけれども、農林水産省関係の団体にお金が行っているわけでありますから。公的な性格を持った、極めて公金に近いお金だと私は思うわけでありますけれども、そのジェトロに交付された二百三十九億円のうち、ジェトロに残ったのが四十四億円、五億円が国庫に納付されているというのが現在の状況であります。そして、残り百三十九億円が関係各六団体に交付されている。貸し付けもあります。

 この百三十九億円のうち、平成十五年に九十七億円、ほとんどが四団体に一気に交付されている。なぜか、ジェトロが特殊法人から独立行政法人になったからであります。独法になったから、業務が小さくなったから、関係団体に一気に交付しているんですよ、平成十五年に。例えば、国際経済交流財団、四十億円です。貿易研修センターには十五億円。日中経済協会には二十億円。大変大きなお金が平成十五年に一気にばらまかれている。

 これは、ジェトロの副理事長、せっかく参考人で来ていただきましたから、その経緯を簡単に。これはおかしいんじゃないですかね。先ほど、スリム化して今小さくなっていますというのが役所の説明でしたけれども、ジェトロの業務はスリム化したけれども、その分いきなりお金を処分した、公益法人に押しつけたと見られても仕方がない会計の処理だと思うんですが、ジェトロの副理事長、これはどういうことでしょうか。お答えいただきたい。

塚本参考人 お答え申し上げます。

 今、北村局長からお話がございましたけれども、この雑豆の全体的な運用ということにつきまして、国際経済振興あるいは国際貿易の振興、こういう観点からいろいろの形で今まで使われておりました。これは、基本的に政府の方で、最終的にジェトロが独法になったときにどういう形でジェトロを考えていくかということをお考えいただきまして、それから今御指摘の四つの団体、基本的な四つの団体に対してどういう形で配分するかということについては、基本的には政府の方でお考えになったものだというふうに認識しております。

近藤(洋)委員 時間がないのではしょっていきますが、では、今、現時点で残っているお金というのを聞きましたら、九十七億円、あれから二年たって七十三億円、各団体に残っているそうですよ。七十三億円。貿易に資するために貿易関係団体に出したというけれども、この四団体はすべて天下り法人です、ちなみに申し上げれば。そして、一年間ではとても処理し切れないお金を、一気に平成十五年に配分しているんですね。

 こういう配分、処理の仕方というのは果たして適正なのかどうか。私は、一たん国庫に納めて、今までためたお金、公的なお金がたまってきた、ジェトロの業務が縮小したというか、特殊法人から独立行政法人になった、そのときにお金がいっぱい余っていた、余っていたお金を関係団体に一気に押しつけた、押しつけたという言い方じゃない、要するに配分したというふうに思われても仕方がない。七十三億円、現時点で残っている現状を考えれば、とても一年では処理できないお金を配分しているわけであります。

 こういう会計処理が適正かどうか、会計検査院にお伺いしたい。どのようにお考えでしょうか、会計検査院。

船渡会計検査院当局者 先生御指摘のような御懸念もございますことから、御指摘の御趣旨を踏まえまして、今後本院といたしましても、ジェトロなり、それから経済産業省の見解を十分徴しまして、検査してまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 済みません、そのままで。今の時点で適正とは言い切れないということでよろしいんですね。適正だという判断をしていないということでよろしいんですね。

船渡会計検査院当局者 今の段階ではそういう判断はしておりません。

近藤(洋)委員 ぜひ、適正でないというか、まだ現時点で適正だと言い切れないという判断でございますから、平成十五年のこの処理が正しかったのかどうか、九十七億円の処理が正しかったのかどうか、チェックしてもらいたいと思うわけであります。

 もう時間も迫ってまいりましたけれども、会計検査院においては、平成十五年の九十七億円の各団体への配分、これが正しいか正しくないかというのは、会計検査院は調べることができる。だけれども、配分した先の各公益法人、財団については、会計検査院のチェックは入らないんですね。

 これはやはり先ほどと同じように経済産業省がチェックするしかないということなのですが、私はやはり、こういった公益法人というものについてのチェック体制というのは――残念ながら、これは経済産業省に限りません。私は、こういった問題、補助金の問題は、経済産業省だけが疑惑を持たれていると思いませんが、あらゆる霞が関の各省庁に言えることだと思うんですけれども、その所管省庁でチェックをするというのはどだい無理だと思うんです。

 なぜなら、天下りがいるから。そして、補助金もその団体に出ていれば、これはチェックをするというのはどだい無理なんですよ。どちらかをやめるしかありません。天下り団体には補助金は出さない、ないしは天下りを禁止するか、どちらかの道をとるしかやはり国民の目から見て公正だとは思えない、正しい処理だと思えないと思うわけであります。

 大臣、時間が参りましたので、ここはぜひお答えいただきたいんですけれども、こういう、幾ら大臣だって、今回不正問題がいろいろ次から次へと出てきて、多分気分を相当害されたと思うんですよ。何でこんなことが起きるんだ、何でおれの知らないことでこんなことが起きるんだと思われたと思います。官房長にしろ局長にしろ、ひょっとしたら知らなかったというか、それは知らなかったと信じたいですよね、知らなかったと信じたい。えっ、こんなことがあったのかということで信じたいです。要するに、全部チェックすることは不可能なんですよ、省内で同じ人たちがやる限りにおいては。外部監査が必要だと思うんです、外部の監査が。

 それは会計検査院であります。今、参議院で会計検査院法の改正が議員立法で与野党とも出ておりますけれども、やはり会計検査院のあり方を見直して、こういった財団であるとかいうものに対しても会計検査院がチェックできる。例えば、自転車振興会なんというのは、会計検査院でチェックしなければ、これはとても直りませんよ。ジェトロは辛うじて会計検査院のチェックが入るから、まだ救われるんです。しかし、その先には入らないんです。その先の財団には入らないんです。日本自転車振興会には入らないんですよ、あれだけ大きなお金を扱っている自転車振興会には。

 どうか、これは政治家として、やはりこういった制度のあり方をチェックする。もちろん、国会でもチェックをしてまいりますが、会計検査院という第三者の機関といいますか、公的な力で行政を監督させるということが必要だと思うんですが、こういった改正について大臣はいかがお考えでしょうか、最後にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 先日の予算委員会で御指摘があって、こういう経済産業省の時期でございますから、徹底的に内部調査をさせていただいて御報告を申し上げますとお答え申し上げました。現在、まだ調査が終了しておりませんけれども、内部でまず徹底的にやっていかなければなりませんし、近藤委員御指摘のように会計検査院という方法もあるでしょう。また、最高機関である国会の御審議もあるでしょう。

 いずれにしても、どこがやるということではなくてと言うとちょっと誤解を招くかもしれませんけれども、きちっとした実体が伴う、成果が出るようにしていくことが一番の問題だろうと思いますので、とりあえずは経済産業省の中で今徹底的に調査をし、できるだけ早く当委員会等に御報告をさせていただきたいと思います。

 会計検査院とかほかのところとかいうことについては、経済産業省だけでは済まない議論だと思いますけれども、その御指摘もしっかりと受けとめさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

谷口委員長 参考人各位におかれましては、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 私も、今回初当選でございます。経済産業委員会に所属をさせていただきまして、きょう、こうして一般質疑での質問の機会を与えていただきました。心から感謝を申し上げます。また、経済産業委員会では、今回初めての質問ということになります。ふなれなためにぶしつけな質問もあろうかと思いますが、どうかお許しをいただきたく存じます。

 きょうは、今焦点となっております特別会計、経済産業省所管の二つの特別会計がございます。電源開発促進対策特別会計及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計について質問をさせていただきます。

 この特別会計の改革につきましては、小泉総理が、今国会の所信表明演説の中でもわざわざ言及をされました。私ども民主党の前原代表も、代表質問の中で、また予算委員会の質問の中でも、この特別会計の抜本的改革のことを訴えております。

 平成十七年度予算の各特別会計の歳出額、これは単純に合計をした歳出総額は約四百十一兆九千億円にも上ります。会計間の重複計上を控除した特別会計の純計は約二百五兆二千億円、何とGNP比でいいますと四割にも相当する膨大な額に上ります。

 母屋でかゆをすすりながら離れですき焼きを食べているという、塩じいこと塩川前財務大臣の言葉が最近よく引用をされますように、これだけ厳しい財政事情のもと、各特別会計についてむだと思われる事業はぜひともやめていただきたい。また、不要不急の事業もやめていただきたい。各特別会計の規模を縮小していただくことは無論のことでありますし、また、不必要と判断されれば、その特別会計そのものをやめていただくことも考えていただかなければならないのではないかと思っています。

 そこで、お尋ねをいたします。

 経済産業省所管の二つの特別会計、電源開発促進対策特別会計、以下電源特会と申し上げます。石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計、以下石油特会と申し上げます。この二つの特別会計につきまして、それぞれの予算規模はいかほどになるのか、平成十七年度予算額、十八年度要求額を教えていただきたい。

 また、石油特会につきましては、予算額は一般会計からの繰り入れでございますので、税収はいかほどかということもあわせて教えてください。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、二つの特別会計の予算規模でございますけれども、電源特別会計につきましては十七年度予算ベースで四千三百六十七億円。それから、石油特別会計につきましては十七年度予算ベースで六千四百三十二億円というふうになっております。

 また、一般会計からの繰入額のお尋ねがございましたけれども、石油石炭税収の一般会計からの繰入額につきましては、十六年度決算ベースで三千九百六十五億円、十七年度の予算ベースで三千九百四十三億円というふうになっております。

三谷委員 十八年度の要求額もお尋ねをしたのですが。

小平政府参考人 失礼をいたしました。

 電源特別会計、十八年度予算の予算規模、要求額ベースで四千三百六十六億円。それから、石油特別会計につきましては、同じく十八年度予算要求ベースの予算規模は六千四百二十四億円でございます。また、一般会計からの繰り入れは、このうち四千六百四十億円ということになっております。

三谷委員 今お話がありましたように、電源特会の十七年度予算額、十八年度予算額の増減幅はたったのマイナス一億円なんです。四千三百六十七億円から要求額四千三百六十六億円。石油特会におきましても、この増減額は八億円にすぎません。マイナス八億円です。たったの八億円です。六千四百三十二億円に対しまして要求額は六千四百二十四億円、八億円の減額幅です。

 いずれの特会も、予算規模そのものが大き過ぎることが今指摘をされています。また、この厳しい財政事情に加え、今特別会計そのものがこれだけ大きな焦点になっているときに、ほとんど減額、縮小の努力というものが、この数字を見る限りにおきましては、つまり、前年度の予算額、今年度概算要求、来年度に向けて概算要求されます十八年度要求額、この減額幅、それぞれ一億円と八億円にすぎません。ほとんど、減額をしていこう、縮小をしていこうという努力がうかがえないのです。

 冒頭申し上げましたとおり、不要不急の事業については、この際大胆にやめていただきたいと思うのですが、所管省庁といたしまして、予算額、事業規模と言ってもいいと思いますけれども、これを縮小していこうという努力はしていただいているんでしょうか。お願いいたします。

中川国務大臣 もとより、財政状況は非常に厳しいわけですから、きちっとした形で、また当委員会でも、以前にもいろいろな御指摘もいただいているところでございますので、この特会を初めとして、むだのないように、またきちっと説明ができるように、一般会計も含めてやっていくことが、もう言うまでもなく大事なことだろうと思います。

三谷委員 先ほど申し上げましたとおり、この電源特会にいたしましても、また石油特会にいたしましても、少なくともこの額を見る限りでは、ほとんど、縮小していこう、そういう努力は見受けられないように思います。

 また、この両特会について言えることなんですが、不要な事業というものが多過ぎるのではないかと思います。限られた時間しかありませんので、一つ一つ例を挙げていくことはここでは控えさせていただきたいと思います。今後の質問の機会の中でまたこれは指摘させていただくことにいたします。

 ただ、大ざっぱにも、中でも電源特会、電源立地対策としての電源地域振興のための交付金というものがあります。こうしたたぐいのものですが、一度予算がついてしまいますと、市町村が要求をすれば、市町村側としましては、もらえるものは要求していこう、どうしてもこういう話になるに決まっているところがあります。どうしても予算がつき続ける傾向があるのではないかと思います。中にはお手盛りとしか考えられないような予算もございます。あるいは、こうした交付金に限らず、電源利用促進のための電源利用勘定の各事業の予算づけもあわせまして、各事業の査定は本当にどういうふうに行われているのか。

 先ほどと同じお尋ねになりますけれども、不要不急のものはなるべくなら切っていく、そういう姿勢を持って、縮小していこうという姿勢を持って本当に行われているんでしょうか。エネルギー庁長官にお尋ねをいたします。もう一度お答えをお願いいたします。

小平政府参考人 お答えいたします。

 電源開発促進対策特別会計では、電源立地地域対策交付金の活用などによりまして、発電用施設の設置、それから運転の円滑化を図るという電源立地対策と発電用施設の利用の促進に係ります技術開発などの電源利用対策を実施いたしております。

 経済産業省におきましては、電源特会の目的に合致する事業の中で真に必要とされる事業を精査した上で、財務省との協議を経まして予算編成を行った後、国会に御議決をいただいた予算に基づきまして、その範囲内で事業を実施いたしております。こうした点は、一般会計と同様でございます。

 ただいま御指摘のございました電源立地対策交付金でございますけれども、これは、我が国にとりまして必要なエネルギー、電力を確保するという観点から、発電所の設置、それからその運転の円滑化という観点から交付をしているものでございますけれども、地方公共団体が実施をいたします事業に対しまして、発電用施設の規模、周辺地域の人口等に応じまして、あらかじめ定められました基準に従って算定された交付限度の範囲内で、予算に基づいて交付をしているものでございます。

 また、平成十五年十月には、交付金の対象事業にソフト事業を追加するということとともに、細分化をされておりました各種の交付金を統合するというような改正を行いまして、幅広い対象事業の中から、立地地域が自主性と創意工夫を生かして選択した事業に対して支援するということに改めたところでございます。

 先ほど大臣からもお話がございましたように、地域の現状とニーズを踏まえながら、発電所の設置及び運転の円滑化という本来の目的を果たすべく、効果的、効率的な執行に努めてまいる所存でございます。

三谷委員 電源特会も石油特会も、それぞれ大変多額の剰余金、不用金が生じています。確かに、財政審からの提言もありまして、減っては来ています。電源特会につきましては、平成十四年、千三百八十三億円もございました。これが確かに、平成十六年、八百七十五億円まで減っております。しかし、八百七十五億円もございます。また、石油特会、これも確かに、同じように財政審からの提言もあって、減っては来ています。これも同様に、平成十四年までは千六百億から千八百億円程度ございました。これが、平成十六年度には九百九十五億円にまでは確かに減ってはいます。ただし、これも、約一千億、まだ純剰余金がございます。

 どうしてこれだけ多額の剰余金が今もなお生じるのか、それを教えていただきたい。また、この剰余金、あるいは不用金もございますが、その剰余金、不用金の使い方もあわせて教えていただきたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、電源特別会計でございますけれども、今先生から御指摘ございましたように、いわゆる純剰余金、十四年度決算で千三百八十三億円でございましたけれども、十六年度決算で八百七十五億円ということで、減少傾向にございます。

 こうした剰余金が生じた理由でございますけれども、幾つかございます。

 一つは、電促税の税収が当初見込みを上回りましたことによります歳入の増加。それから、予算の効率的な執行に伴う不用、これはいわゆる予算の節約でございます。それから三番目が、原子力発電所立地の地元調整が難航したことによりまして、予定をしておりました電源立地交付金が交付されなかったことによります不用。それから、新エネルギー対策などで、当初予定をしておりました事業、これは民間事業者に対する支援等が予算の内容でございますので、そうしたものが実施されなかったことによる不用などによりまして生じております。

 また、石油特別会計の剰余金につきましても、十四年度決算で千八百二十八億円、十六年度決算で一千十一億円ということになっておりますが、石油特別会計の剰余金も、一つは、予算の効率的な執行に伴う不用、これもいわゆる予算の節約でございます。また、緊急時におけます備蓄石油の放出に備えて計上しております予算の執行がなされなかったことによります不用。それから、国家石油備蓄基地の操業の効率化によります不用。石油流通対策等におきまして、当初予定しておりました事業の申請件数を下回ったことによる不用などによりまして生じております。

 こうした純剰余金でございますけれども、決算額が確定をいたします時期と予算要求の時期との関係から、翌年度ではなく、翌々年度の歳入予算に計上をされるということになっておりまして、その間は財政融資資金に預託するということなどをしているところでございます。

 これまでもたびたび御指摘いただいたことを踏まえまして、不用が多い予算を徹底的に合理化するとともに、石油特会につきましては、一般会計からの繰入額の減額を実施いたしました。また、電源特会につきましては、建設がおくれております原子力発電所が将来建設されることに伴う財政需要に備えまして周辺地域整備資金を設置するというような対応をしてきたところでございますけれども、今後とも、エネルギー情勢を踏まえつつ、引き続き事業の選択と集中によりまして歳出の見直しを行い、剰余金の縮減に向けて努力してまいりたいと考えております。

三谷委員 今、小平長官が御説明をされた理由もあるにしても、また、計上そのものが翌々年の計上になり、また預託というような難しいことがある、このこともわかっております。しかし、これだけ多額の剰余金、不用金が生じるなら、初めから予算規模をもっと縮小すればいいというふうに思うのです。また、こうした剰余金の大きな部分、あるいはまた半分でも、予算額そのものを減額していくことは私は十分可能だというふうに考えます。

 また、石油特会、これは、石油石炭税が財源ということになっています。電源特会と異なりまして、一度一般会計に入りまして、一般会計から予算額が繰り入れられる仕組みになっている。そういう電特とは違いがありますけれども、申し上げたとおり、多額の剰余金が発生をしております。にもかかわらず、この石油石炭税は引き上げられているんです。

 石炭が課税対象になりましたのは、平成十五年から課税対象になっています。石炭一トン当たり、導入時は二百三十円、平成十七年四月から四百六十円、さらには、二年後になりますが、十九年四月からは七百円に税率が引き上げられることになっています。

 石油だけは変わっていませんけれども、これがキロリッター当たり二千四十円という非常に高いままで推移をしています。

 また、LNGあるいはLPG、これはいずれも引き上げられる。あるいは、引き上げられていますし、引き上げられることにもなっています。

 なぜでしょうか。これから、特別会計が今問題となり、また縮小をしようというときに財源そのものを引き上げていく、この理由がわからないのですが、どういう理由から引き上げられることになっているんでしょうか、教えてください。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の石炭への課税でございますけれども、これは、平成十五年度に行われましたエネルギー特別会計の制度改正の際に、それまでは石油、LPG、LNGに課されておりました石油税の課税対象に石炭を追加いたしまして、石油石炭税というふうに名前を変える形で導入をされたところでございます。

 これは、我が国として地球温暖化対策をより確実かつ円滑に実施していくためには、エネルギー分野における対策の充実強化に早急に取り組む必要があり、その一環として石炭のクリーンな利用方法の技術開発なども進めていくことというふうにしております中で、課税面におきますエネルギー間の負担の公平を図るという観点から、石炭にも課税をするということにしたわけでございます。その際、急激な負担増を避けるという観点から、増税は段階的に実施をするということで、今先生からの御指摘のような形で、だんだん税率を上げているところでございます。

 他方、多額の剰余金がある中でなぜ増税かという御指摘でございますけれども、近年、石油税あるいは石油石炭税の税収は毎年の予算執行額とほぼ均衡をしているところでございます。そうした中で、剰余金の縮減を図るという観点から、一般会計から石油特別会計への繰入額を毎年減少させてきておりまして、平成十四年度以降は予算執行額が繰入額を上回るという状況が続いております。

 このような中で、環境省とも協力をして、エネルギー起源のCO2を削減するための対策を拡充するに当たりまして、石炭への課税を含めた増税を行ったということでありまして、地球温暖化対策を確実に進めるという観点から、必要な措置であったというふうに考えております。

三谷委員 まさに今、小平長官がおっしゃいました。温暖化対策のために、それだけ事業を特会の中で広げたわけです。石油石炭税はCO2抑制を主目的とする環境税とは違うということは、経済産業省が述べられています。こうした出されたペーパーの中にも載っております。確かに私も違うと思います。性格も内容も違う、それは非常によくわかるんです。

 しかし、石油特会の中で、先ほど小平長官がおっしゃられたような温暖化対策のために、京都メカニズム関連でありますとか石炭の環境負荷低減利用など、CO2の抑制あるいは環境対策のためにこの事業の中で使われています。環境税じゃないけれども、環境のためにも使うということになっているわけです。使えないとはもちろん言いません。使えるんです。

 しかし、申し上げたいのは、この特会で使える事業を広げていくことがいいのか悪いのか。先ほど来申し上げているように、これから縮小をしていこうという話ではなくて、特会そのものの規模をさらに大きくしていこう、こういう話になっているように思えて仕方がありません。

 そして、もちろん石油特会だけではありません、電源特会にも言えることではありますけれども、もしそういうふうに限られた特定の目的から、もう少し多岐に、また総合的に、目的がもしさまざま加味されていくのだとするならば、思うのですが、何も区分特会にする必要はなくて、一般財源化すればいいと思うんです。

 同様に、電源特会におきましても、電源開発促進税を目的としまして、一般会計と完全に区分されていますけれども、行っている事業は、長い年月の間に、先ほど申し上げた電源立地地域振興しかり、電源利用の促進と称しながら、新エネルギー開発の支援や燃料電池の技術開発支援など事業も多岐にわたり、エネルギー全般にわたる総合的な事業を行っている、そういう色彩が強いと思うんです。

 この両特会を、また電源開発促進税そのものは全く閉じているわけですけれども、経済産業大臣、これを一般財源化するお考えはありませんでしょうか。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、石油特別会計でございますけれども、これは先ほど申し上げましたとおり、石油石炭税は一度一般会計に入りまして、それから石油特別会計に繰り入れられるということで、これは、近年では毎年一千億円程度一般会計に留保がされているという状況でございますので、そうした形で石油特会の全体の効率化を図っているということでございます。

 また、電源開発促進税は、設けられましたときから完全な目的税でございまして、御指摘のとおり、税収は一般会計と完全に区分をされております。

 これは、発電所の立地地域の振興でございますとか、安全・防災対策といいます電源対策に必要な費用は、こうした対策を実施することにより便益を受ける電力会社に課すことが適切であるという、制度をつくりましたときの受益と負担の考え方に基づいてつくられているものでございます。この考え方は、現在のエネルギー情勢にかんがみますと、現状でも基本的には妥当するものというふうに考えております。

 引き続き、原子力立地の推進、安全・防災対策の充実など、必要な施策をしっかりと講じますとともに、事務事業の歳出の見直しなどによりましてさらなる剰余金の縮減を図るなど、予算の適正化、合理化に最大限努めてまいりたいと考えております。

三谷委員 この一般財源化の問題につきましては、特別会計のことそのものがこれだけ大きな焦点になっておりますので、この両特会につきましても例に漏れず、これからも十分に議論をしていく必要があろうかと思います。

 また、こうした各特別会計につきましては、抜本的な改革、すなわち徹底的に規模を縮小していくことが迫られております。所管する役所からすれば、先ほどのお答えの中でも何度もございましたけれども、どれも重要なことであり、また必要なことという答えが必ず返ってまいります。ほかの特会でも同じことです。

 この改革は、容易なこととは思っていません。しかし、財政の健全化、そしてこの規模のことを考えますと、未来に向けて活力を維持していくためには、どうしても避けては通れない大事な改革だというふうに思います。両特会の規模の縮小あるいは不要不急の事業の廃止につきましては、引き続き努力をしていただくようにお願いを申し上げます。

 また、最後に全く話が変わりまして恐縮なのですが、これも今大変大きな焦点になっております政策金融の改革につきまして、経済産業大臣にお尋ねをしたいことがございます。

 小泉総理大臣が、今国会のこれも同様に所信表明演説の中でも言及をされました。また、さきの経済財政諮問会議の中でも、政府系の金融機関八機関の統合に触れられまして、できればこれは一つになればいいという発言をされたというふうに報道がされています。一つというのは大変に極端な話かもしれません。多分、機関数の大幅な統合、これを意味されたというふうに理解をいたします。こうした政府系金融機関の統廃合、さらにはそれぞれの事業内容の見直しといった政策金融の改革は、不可欠の改革だというふうに私も思います。

 そこで、統合といいますとすぐに思い浮かびますのが、言われていることでもあります中小企業向けの融資をしている中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工中金、政府系のこの三金融機関の統合の話がもう既に出ております。小泉総理の話自体は大変粗っぽい話なんですが、統廃合も事業の内容の見直しも必要なことだとは思うんです。必要なことだと思いますが、反面、今回の郵政民営化の話もそうですけれども、官でやらなければいけないことと民でやっていただかなければならないことということをきちんと仕分けしていくことが、私はこの改革を進めていく上でも大変重要なことだと思っています。

 政策金融におきましても、官が行っている余計なお世話の部分は大胆に切ってもらわなければいけません。だけれども、官でやるべきことはきちんと残していただくことも大事です。国際協力もそうですけれども、民業補完の範囲内での中小企業向けの融資というのは、私は大事かという認識を持っています。

 小泉総理も言及をされましたこの政府系金融機関の統廃合につきまして、最後に経済産業大臣の所見をお伺いいたします。

中川国務大臣 今、三谷委員御指摘のように、まず大原則は、自由経済でございますから民が主体だ、そして民ができることは民で、そして民でできないこと、またやれないことは、やはりこれは公的な部分がやっていくということが大原則でございまして、そして、出過ぎたことはしてはならないということは認識が共通ではないかと思っております。

 そういう中で、小泉改革の中で、できるだけ簡素で効率的な公的なセクターを進めていくということも、私も内閣の一員として重要な仕事だというふうに思っております。

 他方、そういう部門でできないところ、例えば今から数年前の貸し渋り対策のときのセーフティーネット保証でありますとか、あるいは昨年の中越地震でありますとか、最近の石油の高騰による中小企業対策、あるいはまたいろいろな分野における影響を受けているところに、いち早く、そしてまた民間の議論では超えられないといいましょうか解決できない分野について、中小企業金融というものが政府系、公的な部分として出動していくことも十分私は必要なことだろうというふうに思いますので、そういう機能を十分精査した上で、民ができるところは民で、そして官が補完するべきところは官でという議論が必要なのではないかというふうに考えております。

三谷委員 質問を終わります。ありがとうございました。

谷口委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十三分散会


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