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第1号 平成18年2月15日(水曜日)

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本国会召集日(平成十八年一月二十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 谷口 隆義君

   理事 新藤 義孝君 理事 松島みどり君

   理事 近藤 洋介君 理事 達増 拓也君

   理事 高木 陽介君

      今井  宏君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      北川 知克君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      塩谷  立君    平  将明君

      長崎幸太郎君    野田  毅君

      橋本  岳君    早川 忠孝君

      平田 耕一君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    増原 義剛君

      武藤 容治君    望月 義夫君

      森  英介君    山本 明彦君

      吉川 貴盛君    大畠 章宏君

      川端 達夫君    吉良 州司君

      北橋 健治君    後藤  斎君

      佐々木隆博君    松原  仁君

      三谷 光男君    石田 祝稔君

      塩川 鉄也君    武田 良太君

    ―――――――――――――

一月二十日

 谷口隆義君委員長辞任につき、その補欠として石田祝稔君が議院において、委員長に選任された。

平成十八年二月十五日(水曜日)

    午後零時十一分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 松島みどり君 理事 吉川 貴盛君

   理事 近藤 洋介君 理事 達増 拓也君

   理事 高木 陽介君 理事 桝屋 敬悟君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    北川 知克君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    塩谷  立君

      平  将明君    長崎幸太郎君

      野田  毅君    橋本  岳君

      早川 忠孝君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      望月 義夫君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    川端 達夫君

      吉良 州司君    北橋 健治君

      後藤  斎君    佐々木隆博君

      松原  仁君    三谷 光男君

      塩川 鉄也君    武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   経済産業副大臣      松 あきら君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   経済産業大臣政務官    小林  温君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            加藤 和夫君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十日

 辞任         補欠選任

  谷口 隆義君     桝屋 敬悟君

二月十五日

 理事櫻田義孝君及び平井たくや君平成十七年十一月二日委員辞任につき、その補欠として今井宏君及び増原義剛君が理事に当選した。

同日

 理事河村建夫君平成十七年十一月二十四日委員辞任につき、その補欠として平田耕一君が理事に当選した。

同日

 理事松島みどり君及び高木陽介君同日理事辞任につき、その補欠として吉川貴盛君及び桝屋敬悟君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月二十日

 海底資源開発推進法案(細野豪志君外四名提出、第百六十三回国会衆法第一五号)

 排他的経済水域等における天然資源の探査及び海洋の科学的調査に関する主権的権利その他の権利の行使に関する法律案(細野豪志君外四名提出、第百六十三回国会衆法第一六号)

二月九日

 中小業者への経営支援に関する請願(笠井亮君紹介)(第三〇一号)

 中小自営業の女性起業家・家族従業者に対する支援の充実等に関する請願(石井郁子君紹介)(第三〇二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件

 鉱業と一般公益との調整等に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 このたび、経済産業委員長に選任されました石田祝稔でございます。

 御承知のとおり、我が国を取り巻く経済及び産業の諸情勢は、着実な回復を続け、明るい兆しが見えてまいりましたが、地域間にはばらつきがあり、依然、原油価格の高騰が続くなど、懸念材料も抱えております。

 このような現状を踏まえ、我が国の将来を見据えたとき、構造改革、規制改革の一層の推進、中小企業支援対策の充実、豊かで活力ある地域社会の実現、総合的なエネルギー政策の樹立など、解決すべき問題は山積しております。

 かかる重大なときに当たり、適切な施策を推進し、国民生活の安定と向上を図るため、本委員会に課せられた責務はまことに大きく、改めてその職責の重大さを痛感いたしております。

 理事並びに委員各位の御指導と御協力を賜りまして、公正かつ円満なる委員会運営に努め、本委員会の使命を果たしてまいりたいと存じます。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

石田委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事松島みどり君及び高木陽介君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任並びに委員の異動に伴い、現在理事が五名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      今井  宏君    平田 耕一君

      増原 義剛君    吉川 貴盛君

   及び 桝屋 敬悟君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する事項

 資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する事項

 特許に関する事項

 中小企業に関する事項

 私的独占の禁止及び公正取引に関する事項

 鉱業と一般公益との調整等に関する事項

以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

石田委員長 経済産業の基本施策に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件並びに鉱業と一般公益との調整等に関する件について調査を進めます。

 この際、経済産業大臣から、経済産業の基本施策について所信を聴取いたします。二階経済産業大臣。

二階国務大臣 第百六十四回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を行うに当たりまして、私の所信の一端を申し上げます。

 現在、我が国の経済は、緩やかに回復しつつあることは御承知のとおりであります。しかし一方で、企業規模や地域によるばらつき、原油価格の上昇、高どまりの影響についても十分に注視する必要があります。また、中長期的には、少子高齢化と人口減少社会の到来、グローバル化と国際競争の激化、エネルギー・環境制約の高まりなど、我が国経済を取り巻く環境が大きく変化しております。

 このような中、歳入歳出の一体改革など政府が抱える大きな課題にチャレンジしていくためには、我が国経済の活性化による国富の拡大が不可欠であります。経済産業省の使命として、全力で取り組んでまいります。

 そこで、改革の先にある強い日本経済の将来像を描くとともに、それを実現していくための方策として、国際競争力の強化と地域経済の活性化を二つの柱とする新経済成長戦略を策定いたします。五月の取りまとめを目指し、三月中に中間報告を行う予定にしております。

 また、我が国の強みの源泉とも言える基盤技術を担う高度部材・基盤産業を支援するとともに、産業の競争力の基盤となる研究開発、人材育成、情報技術の活用の支援などに積極的に取り組んでまいります。先日、私も金型や鋳造の中小企業の現場を訪問させていただきました。そこでは、デジタルカメラや液晶製造装置など国際的にも評価の高い部品を製造されておりました。

 小泉総理も物つくり現場をみずから御視察され、中小企業の経営者や技術者の皆さんを激励していただきました。私も、この大企業にも決して負けないすぐれた物つくりの技術を持つ中小企業が、我が国の製造業の競争力を支えているということを改めて強く認識いたしました。こうした、日本の誇る、しかもみずからも自信を持つ中小企業の技術力を一層強化するための法案を提出いたしました。

 なお、こうした中小企業のやる気を最大限に引き出していくために、物つくりで頑張っている全国の中小企業三百社程度の優秀企業の事例をまとめ、海外も含めて広く周知してまいります。

 また、国民に夢を与えるため、次世代のイノベーションにつながる次世代自動車、ロボット、国産航空機などの分野への支援を拡大してまいります。

 さらに、知的創造を競争力に結びつけていくためには、知的資産を活用した経営を促すとともに、デザインなどの保護強化や模倣品・海賊版対策などを盛り込んだ意匠法などの改正案を提出し、あわせて特許審査の迅速化、効率化も積極的に推進してまいります。

 地域経済の活性化については、地域産業が自立的に活性化を図ることが重要であります。そのため、各地域が創意工夫し、歴史や文化、伝統をも含む固有の資源を活用し、地域ブランドや観光資源を地域の産業競争力に結びつけられるよう支援してまいります。同時に、海外からの直接投資を受け入れる環境を整え、地域産業を含めた国内経済の活性化につなげます。地域経済の重要な要素である中心市街地活性化については、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを推進すべく関係省庁と連携して法案を提出いたしました。また、各地域の中小企業が組合事業を適切かつ円滑に行えるようにするための法案を提出してまいります。

 昨年秋の就任以来、私は数々の国際交渉の場に臨みました。国と国との信頼関係は、各国首脳や閣僚同士の友好、信頼の関係を築くことが重要であります。しかし、我が国経済の繁栄が世界経済全体の発展にいかに貢献できるかが何よりも重要であります。

 具体的には、WTO交渉と経済連携交渉を車の両輪として、対外経済政策を進めてまいります。

 WTO交渉については、就任以来、私も既に四回の出張をしており、本年末のドーハ・ラウンドの交渉終結に向け、鉱工業品関税、農業、サービス、ルールなどの主要分野における我が国の国益を最大限反映した成果を目指します。また、途上国と先進国が協同してラウンド交渉を成功に導くため、途上国支援の一環として、途上国の特色ある商品の発掘、育成などを内容とする一村一品運動を積極的に展開してまいります。先日、アジア、アフリカの途上国の在京大使を経済産業省にお招きして、協力の呼びかけを行ったところであります。今後、関西空港、成田空港、中部空港、羽田空港、さらに明日二月十六日に新しく開港する神戸空港などで発展途上国産品の専門の展示・販売コーナーを設置するなど、国土交通省及び各空港会社の御協力をいただきながら、具体的に支援してまいります。

 経済連携交渉では、先般のマレーシアにおける小泉首相とアブドラ・マレーシア首相との協定署名を弾みとしてASEAN全体との交渉などをさらに推進し、そのための環境整備のための法案も提出してまいります。さらに、東アジアを中心とした地域統合や国際分業を基軸としたグローバル経済戦略を策定いたします。

 昨今の原油価格高騰の背景には、アジアのエネルギー需要の増大などエネルギー市場の構造変化があります。このため、我が国が得意とする省エネルギーのさらなる推進や、バイオエタノールなどの新エネルギーの導入、安全確保を大前提とした核燃料サイクルを含む原子力発電の推進、石炭のクリーンな利用などによるエネルギー源の多様化に取り組んでまいります。また、石油、天然ガスの自主開発と供給源の多様化、海洋権益の確保に力強く取り組んでまいります。さらには、中国を初めとするアジアへの省エネ・環境対策協力などに見られるように、世界最高水準にある我が国の環境・エネルギー技術を活用し、世界全体でのエネルギー問題の解決に貢献してまいります。

 今後は、これらを踏まえ、エネルギー安全保障を基点として、新国家エネルギー戦略を策定し、具体的に推進してまいります。

 地球環境問題や循環型社会の構築は、今や全人類が一丸となって取り組む喫緊の課題であります。環境と経済の両立のもと、京都議定書の目標を達成し、我が国のすぐれた技術などにより途上国の持続可能な開発や地球規模での温暖化防止にも貢献する京都メカニズムを、政府としても、国民各層の参加と協力をいただきながらともに目的実現するための法案を提出いたしました。

 以上、私の所信の一端を申し上げました。国民各位の御理解のもと、経済産業政策の推進に全力を挙げる所存であります。特に委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

石田委員長 以上で大臣の所信表明は終わりました。

 次に、西野経済産業副大臣、松経済産業副大臣、片山経済産業大臣政務官及び小林経済産業大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。西野経済産業副大臣。

西野副大臣 さきに経済産業副大臣を拝命いたしました西野あきらでございます。

 御案内のとおり、経済産業行政は、経済政策、資源、エネルギー、さらには通商政策と、実に多岐にわたっておるわけでございます。中でも、経済の活性化の中で、お話がありましたとおり、中小企業がその大宗を占めておるわけでございますから、これらの中小企業の活性化というものが喫緊の課題であるというふうにも思っておるところでございます。

 実は先日、機会を得まして、アジア太平洋パートナーシップ閣僚会議に出席をさせていただきました。増大しますエネルギー需要の問題に対し、とりわけ環境・エネルギー、そして地球温暖化防止を含めました点に日本の技術力をしっかりと活用していく、そして、官民挙げて、これらの京都議定書枠外での範囲において、この目的達成のために尽力をしていこう、こういう会合があったわけでございまして、さらに私どもも国内においてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っておるところでございます。

 今、ごあいさつがありました二階大臣の指揮のもとに、きょう出席をしております松副大臣、そして片山政務官、小林政務官、相協力をいたしまして、そして、石田委員長さんを初め、本日御出席の本委員会の委員の先生方の一層のひとつ御指導と、そして御鞭撻を賜りますようこの機会にお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

石田委員長 次に、松経済産業副大臣。

松副大臣 このたび経済産業副大臣を拝命いたしました松あきらでございます。本日は、ごあいさつの機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、平成十四年に経済産業大臣政務官を務めさせていただきました。その後も、経済産業関連の政策には深い思いを持って取り組んでまいりました。このたびの重責には身の引き締まる思いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 国際競争力が激化をする中で、我が国産業の一層の競争力強化のためには、特に物づくり中小企業の支援が私は重要であると考えております。昨今では、私も訪問いたしましたインドとの間で、日本の中小企業が進出をする、そのためのインフラ整備の議論などが活発でございます。人口減少社会、少子高齢化に突入をいたしました、その中で、我が国の社会がいかに活力を保っていかれるかが課題であると私は思っております。サービス産業の充実、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり支援などを通じまして、人々の生き生きとした豊かな心がはぐくんでいかれたら幸いであると存じております。

 私は、女性の視点を大切にしたきめ細やかな行政をということをモットーに、西野副大臣、片山政務官、小林政務官ともども二階大臣をお支えし、非力ではございますけれども、全力で取り組んでいく決意でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

石田委員長 次に、片山経済産業大臣政務官。

片山大臣政務官 昨年の十一月に経済産業大臣政務官を拝命いたしました。つい先ごろまでそこに座っておったような気がいたしますが、片山さつきでございます。本当に皆様どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど大臣、副大臣の方から、経済成長それから産業競争力強化の必要性が喫緊の課題であるというお話がございましたが、まことにそのとおりでございまして、国際競争の熾烈化というのは、私の地元のような工業地帯では、もう日々痛いほど感じられる中でございまして、その中でも、先端産業と申しますか、エネルギーや環境技術を駆使して勝ち残ってきた自動車ですとか電子ですとか、先端産業がございますように、我が国の力、我が国の底力、我が国の付加価値を生かして我が国が世界のイノベーションセンターになっていかなければならない、そういったことを目指していくとともに、それから、貿易・投資環境整備も含めまして、通商政策を積極的に展開するなど、国際競争力の強化に向けた取り組みを前向きに進めていくということが求められております。

 西野副大臣、松副大臣、小林大臣政務官とともに二階大臣をお支えいたしまして、本日、経済産業省幹部全員参っておりますが、本当に課題が山積しております経済産業行政のより一層の推進のために、そして、近い課題といたしましては新経済成長戦略の策定ということもございますので、一層全力を尽くしてまいる所存でございます。

 石田委員長初め本委員会の委員各位の皆様のより一層の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私のごあいさつにかえさせていただきます。

 ありがとうございます。(拍手)

石田委員長 次に、小林経済産業大臣政務官。

小林大臣政務官 昨年十一月に経済産業大臣政務官を拝命いたしました小林温でございます。

 この委員会での議論は、我が国の経済の活性化のために極めて重要な意味を持っているというふうに認識をさせていただいております。今ほどごあいさつのございました西野副大臣、松副大臣、片山大臣政務官とともに二階大臣をしっかりと支え、さまざまな経済産業行政、より一層充実のために頑張ってまいりたいと思います。

 石田委員長初め衆議院経済産業委員会の皆様には、御指導、御鞭撻のほどを心よりお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)

石田委員長 次に、平成十七年における公正取引委員会の業務の概略について説明を聴取いたします。竹島公正取引委員会委員長。

竹島政府特別補佐人 平成十七年における公正取引委員会の業務について、その概略を御説明申し上げます。

 公正取引委員会は、以下に申し述べる施策に重点を置いて、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独占禁止法等の厳正な執行及び競争政策の積極的な推進に取り組んでまいりました。

 重点施策の第一は、迅速かつ実効性のある法運用であります。

 独占禁止法違反行為に対して引き続き厳正に対処し、価格カルテル事件、入札談合事件、不公正取引事件、知的財産権・IT関連事件等二十件について法的措置をとったほか、二十六件の価格カルテル・入札談合事件について、延べ百二十一事業者に対して総額八十三億六千九百十万円の課徴金の納付を命じました。

 また、国土交通省発注の鋼橋上部工事に係る入札談合事件について二十六事業者等を、日本道路公団発注の鋼橋上部工工事に係る入札談合事件について六事業者等及び日本道路公団副総裁等を、それぞれ検事総長に告発しました。さらに、日本道路公団発注の鋼橋上部工工事に係る入札談合事件について、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の規定に基づき、発注者に対し改善措置要求を行いました。

 さらに、合併等の企業結合事案につきましては、事案処理の一層の迅速化及び透明性の向上に努めているところであり、平成十七年におきましても、引き続き企業結合審査を的確に実施するとともに、事前相談への適切な回答及びその公表内容の一層の充実に努めました。

 また、課徴金制度の見直し、課徴金減免制度の導入、犯則調査権限の導入及び審判手続等の見直しを主な柱とする独占禁止法の改正法が平成十七年四月に成立したことを踏まえ、改正法の内容の周知及び円滑な施行のための取り組みを行いました。

 第二は、ルールある競争社会の推進であります。

 市場における公正な競争を確保するため、中小事業者に不当な不利益を及ぼす不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法に該当する行為に対し、迅速かつ厳正に対処いたしました。また、大規模小売業者による納入業者に対する優越的地位の濫用について効果的な規制を行うため、平成十七年五月には「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」を告示し、同年十一月から施行しました。

 下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法に関する業務については、下請代金の減額、支払い遅延等の違反行為に対処し、八件の勧告、公表を行ったほか、四千二百二十七件の警告を行いました。

 不当景品類及び不当表示防止法、いわゆる景品表示法に関する業務については、過大な景品類の提供及び不当表示の排除に努め、十六件の排除命令及び三十五件の警告、公表を行いました。

 第三は、競争環境の積極的な創造への取り組みであります。

 公正取引委員会においては、市場における公正かつ自由な競争が確保されるよう、規制制度等についてさまざまな調査、提言を行い、また、独占禁止法上の考え方を明らかにしてきております。

 平成十七年におきましては、発注機関側における入札談合防止のための取り組み等の実態について、地方公共団体のほか国が二分の一以上を出資する政府出資法人を対象としたアンケート調査を行い、この結果を踏まえ、発注機関としての法令遵守意識の向上、情報管理の徹底等の入札談合防止に向けた取り組みに関する提言を行いました。

 また、制度改革が進展している公益事業分野における相互参入に関する基本的考え方を明らかにするとともに、電力事業分野におけるガイドラインの改定を行いました。

 以上、簡単ではありますが、業務の概略について御説明申し上げました。

 今後とも、どうぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。

石田委員長 次に、平成十七年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について説明を聴取いたします。加藤公害等調整委員会委員長。

加藤政府特別補佐人 公害等調整委員会が平成十七年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について御説明申し上げます。

 第一に、鉱区禁止地域の指定に関する事務について申し上げます。

 当委員会は、主務大臣または都道府県知事の請求に基づき、鉱物を掘採することが一般公益または農業、林業その他の産業と対比して適当でないと認める地域を鉱区禁止地域として指定するものとされております。

 平成十七年に当委員会に係属した事件は三件であります。

 これらのうち、石見銀山遺跡関係地域の指定請求事件は同年一月に、宮ケ瀬ダム関係地域の指定請求事件及び羽地ダム関係地域の指定請求事件は同年六月に、それぞれ指定公示を行い、終結いたしました。なお、世界遺産の候補とされております石見銀山遺跡関係地域については、遺跡などの歴史的な文化財を中心とする観光資源の保護を目的として鉱区禁止地域の指定を行ったものであります。

 第二に、鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定に関する事務について申し上げます。

 鉱物の掘採、岩石、砂利の採取の許認可処分等については、当委員会に対して不服の裁定を申請することができるものとされております。

 平成十七年に当委員会に係属した事件は七件であります。

 これらのうち、徳島県阿南市地内の砂利採取計画不認可処分に対する取り消し裁定申請事件等三件につきましては、同年中に終結いたしました。

 第三に、土地収用法に基づく意見の申し出等に関する事務について申し上げます。

 当委員会は、土地収用法、鉱業法、採石法等に基づき主務大臣が裁決等を行う場合には、意見の申し出、承認等を行うものとされております。

 平成十七年に当委員会に係属した事案は、土地収用法に基づく意見の申し出が五十九件であり、これらのうち、同年中に処理した事案は四十八件であります。

 以上が平成十七年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要であります。

 公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの事務を迅速かつ適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願いいたします。

石田委員長 以上で両委員長の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十一分散会


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