衆議院

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第12号 平成18年4月14日(金曜日)

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平成十八年四月十四日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 上田  勇君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    北川 知克君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    塩谷  立君

      平  将明君    長崎幸太郎君

      野田  毅君    橋本  岳君

      早川 忠孝君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    松島みどり君

      御法川信英君    武藤 容治君

      望月 義夫君    森  英介君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      逢坂 誠二君    吉良 州司君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      野田 佳彦君    松木 謙公君

      松原  仁君    三谷 光男君

      鷲尾英一郎君    高木 陽介君

      塩川 鉄也君    武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   経済産業副大臣      松 あきら君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局企画部長)         宮本 敏久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     御法川信英君

  後藤  斎君     川端 達夫君

  佐々木隆博君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  御法川信英君     小此木八郎君

  松木 謙公君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     佐々木隆博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省農村振興局企画部長宮本敏久君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、中小企業庁長官望月晴文君、国土交通省大臣官房審議官加藤利男君及び国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水清一朗君。

清水(清)委員 自由民主党の清水清一朗でございます。本日は、貴重な質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 それでは、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案につきまして質問をさせていただきます。

 現行の中心市街地活性化法は平成十年に制定されたものでありますが、その当時に比べ、我が国をめぐる社会的状況は大きく変化してまいっております。特に、地域によっては、人口の減少、公共施設の郊外移転、モータリゼーションの推進等により、また大型集客施設の郊外への進出など、中心市街地の空洞化が顕著になってきております。

 一方、人口の減少、高齢化社会を迎える中、地域においては、このような中心市街地の空洞化がさまざまな問題を生じさせております。中でも中心市街地が空洞化された地域では、地域のコミュニティーが希薄となって、コミュニティーが担ってきた人と人とのつながり、例えばお祭りなどの地域の催しや防犯、防災などの地域活動などが縮小してきており、また、町本来が持っていたにぎわいが失われつつあることは深刻な問題であると考えております。

 中心市街地はその町の顔であり、コミュニティーの場でもあります。また、町がにぎわいを取り戻すためには、再び人々が集まるように中心市街地を活性化し、コミュニティーを回復することが重要であります。

 そこで、お伺いをさせていただきますが、全国各地の中心市街地の状況は依然厳しいものがあり、地域のコミュニティーも失われつつあると考えますが、改正法案では今度こそ地域のコミュニティーの魅力向上を図ることができるのか、その理念と新しい取り組みについて見解をお伺いいたします。

片山大臣政務官 御指摘のとおり、魅力的なまちづくり、地域の個性あるまちづくりのためには、単なる商業の集積ということのみならず、人々が集いそして語り合うような場、コミュニティーというのが非常に重要だというふうに考えております。

 今回の改正法案では初めて中心市街地活性化の理念を法文上明確に規定いたしまして、その中で、中心市街地というものを人々の生活と交流の場、地域住民等の生活と交流の場、すなわち委員御指摘のコミュニティーの場そのものであるというふうに位置づけております。これは初めて、今回の改正法できちっとさせていただいたところでございます。

 そして、この中心市街地に人々を呼び戻すために、従来からの商業の活性化と市街地の整備の改善に加えまして、町中居住、住んでいただくということ、町中居住の推進や、病院や学校などの都市のさまざまな機能をこの市街地に集約するということも一体的に推進していくことにしておりまして、これらの措置を通じまして、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりという今回の政策のテーマを実現して、地域のコミュニティーの魅力向上を図ってまいりたいと考えております。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 ただいま、コンパクトでにぎわいあふれる町という表現がありましたが、今回の改正法によって中心市街地のにぎわいを取り戻すには、重要な概念であると考えております。しかし、成果をおさめるためには、あらゆる努力を惜しまずに全力投入することが必要かと存じます。

 ここで、大臣は同僚議員の質問に対しまして、前回の反省を含め、大変謙虚に、また責任ある態度をお示しになられたわけでございますけれども、私も、今回の法改正に当たりまして、経済産業省及び大臣の意気込みについてお伺いをさせていただきたいと存じます。よろしくお願いします。

西野副大臣 清水先生の御指摘でございますが、町並みが、特に中心市街地が活性化するということ、例えばその一つの例に商店街があると思いますが、商店街というのはおおむね町並みの中核をなすものだと思っております。その商店街がシャッター通りに変貌いたしますと、そのにぎわいが薄れていくのは当然のことであります。

 お示しのとおり、社会的現象、モータリゼーションの変化もございますし、あるいは少子高齢化社会という現状、あるいは人口の減少傾向、こういう状況も踏まえて、それに対応すべく、お示しのコンパクトでにぎわいあふれるまちづくりの実現ということが今回の目的であるわけでございます。

 しかし、そのためにはどうしても、それぞれの地域の方々の、やる気のある、文字どおり意欲的な取り組みというものに期待をするわけでございまして、そういうものに対して、全省を挙げて一丸となって集中的に支援をしていきたいというふうにも思っておるところでございます。

 経済産業省といたしましても、実は活性化の成功例というものがございますので、まちづくりに頑張る商店街百選なるものを作成いたしまして、近々情報提供して、全国の参考になれば、このようにも思っておるところでございます。さらに、全国には経済産業省は九カ所の地域の支局を持っておるわけでございまして、これらの職員が、あるいは関係します機構が文字どおり一丸になって、大臣が以前にもお答えをいたしましたとおり、単なるテーブルの上に着いているだけではなくて、それぞれ町並みに出かけて、意欲的な取り組みがなされるように促していこう、こういうふうに申し上げておられるところでもございます。

 したがって、大臣も発言をいたしておりますとおり、文字どおり今度こそは、こういう意気込みで法案を提出いたしておるところでございまして、一カ所でも多くの地域がそれぞれの思いを込めてこの中心市街地の活性化を促していただける、そういうものになってほしいというふうに考えておる次第であります。

二階国務大臣 ただいま西野副大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、私は、まちづくりに頑張る現在の商店街の代表的な事例を百集めまして、これを参考にして他の商店街の皆さんも、よし、このくらいなら自分たちもやれると。いろいろな創意工夫が必要なんです。

 例えば、今度の法案を共同で出させていただいております国土交通省の北側大臣のお地元、堺などというものは、今日まで歴史的に商都として大変盛んであったことはだれもが認めるところであります。その歴史的な蓄積がやはり今だんだん大きく発展を遂げておるというふうに私は思うわけであります。

 ですから、この国会が終わった段階で、経済産業省もこうした町々に二人一組ぐらいで幹部を含めて現地に派遣して、この町はなぜ歴史的にこのような発展を遂げてきたのかということをもう一度経済産業省の幹部そのものが勉強し直す。というのは、指導するとか、役所言葉にそういうのがあるわけで、これはもう清水委員も御承知のとおりでありますが、そんな高いところから商店街を指導するなんということを言っておったってこれは始まらないわけでありまして、商店街の皆さんがその気になって奮起する、その状況をつくっていかなくてはならないのではないか。

 浅草の商店街を今後どう維持発展させていくか、浅草の地域の人たちはそのことを一生懸命勉強していますね。こういうことが私は大事だと思うんです。それを後ろから少し背中を押すという程度が商店街あるいは商業の活性化に対する経済産業省の役目であって、経済産業省が商売をリードするというようなことは、これはとてもできる仕事ではありません。あの方々は百年も、人によってはもっと前から伝統的に商いをずっと続けてこられた。そういう人たちが頑張ってさえもうまくいかない。

 私は、あるとき、私の地元の県の産品を東京で販売するのに、どうすれば皆さんのようなぐあいにうまくいくかということを大手のスーパーの社長に相談したことがあります。もしそういう御希望があるならば、私たちのお店の中の一角をお貸ししますから、そこでおやりくださいよ、我々専門家の商売人が一生懸命心血注いでやっても商売というものはうまくいかないんだ、うまくいかないものなんです、それを県とか市とかがやってうまくいくわけがない、こう言われたんです。

 なるほど、私も最初の日、途中の休みに見に行ってみましたが、最初の日だけは、お役所仕事であっても、一応のことはやっておりました。中間からずっとなりますと、もうほとんど元気がない、太鼓を持ってきて何か催し物をしている、そこだけ人は集まっておるが、肝心の産品を並べているところにはもうだれもいないわけですね。私は、そういうことから見て、なるほど、そこの社長が言っておられた、商売というのは難しいものなんですよということを諭すようにおっしゃっていただいたことが本当によくわかる。

 今この立場に立って、法案を御審議いただき、新たなステップ、今度こそという意気込みは私ども皆持っておるわけでございますが、どうか与野党の委員各位にも御指導いただきながら、我々は、この問題、永遠の課題だと思いますが、しっかり取り組んでいく決意だけは申し上げておきたいと思います。

清水(清)委員 ありがとうございました。

 西野副大臣からは、我々がその現場へ行ってもというお話もいただきました。また二階大臣からは、何といっても、商店街そのものの構成員である商店の方々がその気になるようにするのが我々の仕事だというお話でございました。お二人から御答弁をいただくことは、この上もなく皆さんの意欲が私どもに反映されてくるところでございまして、大変ありがとうございます。これからもひとつ、どうぞよろしくお願いします。

 次に、実は、高齢化社会が進展する中で、助け合いあるいは相互扶助ということも含めてですが、再びコミュニティーを取り戻すこと、このことが大変必要なのではないかと思います。そのためには、歩いて暮らせる範囲の中で必要なものが手に入るというようなことが重要なのではないでしょうか、こう思います。そのために、人と人との交流があり、必要なものが手近に手に入り、お客と商店主がよい人間関係を保つ、昔の商店街のような町が中心市街地に必要なのではないかということでございます。

 しかしながら、今は、お祭りや地域の防犯、防災などの地域活動に、従来のように商工会あるいは商店街が指導的な役割を果たす力を失ってまいりました。地域コミュニティーを回復させるためには、にぎわいのある中心市街地、特に商店街の復活が必要なのではないでしょうか。

 ちょっと質問が戻りましたけれども、ここでお伺いをさせていただきたいと思います。

 地域のコミュニティーの中での商店街の役割は大きく、コミュニティーの回復のためには商店街自身の積極的な取り組みが最も重要だと考えますが、商店街が地域のやる気を引き出す方法、インセンティブ等をどのように盛り込んでおられるのか、法案についてお伺いをさせていただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣、副大臣からほとんどそのエッセンスのところのお答えがありましたものですから、私どもとしては、政策をこれまでずっと継続してきた過程で商店街というものをどういうふうに見てきたかということをまず申し上げたいと思います。

 地域において商店街は、先生御指摘のように、歴史的経緯あるいは地理的状況を背景に文化や伝統をはぐくんできた、それから、公益あるいは産業などの各種の機能を担ってきた社会資本の蓄積地だというふうに受けとめております。先ほど来お話がございますように、人々が集い、ともに助け合い、楽しむ地域コミュニティーとしての商店街、私どもも懐かしく覚えているわけでございます。こういった商店街がまさに中心市街地の核としての役割を再びきちっと果たすことができるかどうかということが本法案の成功のかぎになるんだろうということは、ひとしく共通認識を持っているところでございます。

 まずは、先ほどのお話にもございましたように、商店街を構成する商業者の方々御自身の熱意ある取り組みということが必要であるということでございますけれども、ただ、この熱意ある取り組みということに対して国は一体どんな支援ができるだろうかということをこれまでもずっと議論をした結果が、この法律に結実したと思っております。

 一つ大事なことは、例えば、ここに住んでおられないけれども権利を持っておられる地権者というような方々が、これまでともすれば人ごとのように、商店街の問題のことを考えてこられなかったということでございまして、こういった地権者の皆様方もまちづくりの一端としての商店街の活性化にその責任を果たすという意味で取り組んでいくことが非常に重要ではないかということが、今回の法律の議論の際にも重点的に議論をされました。私どもも、そういった幅広い方々の参加を得た支援策ということを考えていきたいと思いますし、そういうものに国として横から必要な支援を、皆様方の御希望を伺いながらやっていきたいということでございます。

 具体的な取り組み事例につきましては大臣から、副大臣からも御督励がありましたけれども、実は日本にはきっと成功している商店街もあるはずなんだから、そういったものを取り上げて皆様方にお示しすることによって、その方々に対してもさらにいい効果がございますし、あるいは、そういう知識を知った方々についてのこれからの意欲を上げるという意味でも大変重要なことになるんだろうと思います。

 そういったことも考えながら、私どもとしても、やる気を引き出すための一端を担っていきたいというふうに思っておるところでございます。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 それでは次に、細かい点についてお伺いさせていただきます。

 商店街のお店一店一店は、中心市街地の核であるとともに、にぎわい創出の源泉となるべき存在であると考えております。現在、中心市街地の商店街の中には、シャッター通りと呼ばれる、にぎわいを喪失しているような商店街も散在しているわけでございますが、そのメカニズムは、空き店舗の数が一つ二つあるいは三つと増加することにより商店街のにぎわいがどんどん喪失していく、空き店舗の増加と反比例するように商店街の活気は失われ、客の足も遠のき、ますます空き店舗が増加していくというような、商店街衰退の悪循環が起きていると考えるわけでございます。つまり、空き店舗を放置することは、このような悪循環を加速させることになり、さまざまな活性化のための取り組みもその効果を失いかねないのであります。

 そこで、中心市街地の一角がゴーストタウン化した場合、コンバージョンやリニューアルが重要なかぎだと思いますけれども、図書館や公民館あるいは診療所、町中居住に資する施設をコンパクト化し、身近なところに集めることによって再び人を集め、にぎわいを回復することが必要だと思います。

 そこで、商店街における空き店舗対策について、経済産業省にお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 御指摘のとおり、空き店舗の放置というのは、商店街あるいは個々の商店に大きな影響を与えるのみならず、地域全体の活力を低下させるということで、大変重大な問題であると考えております。

 したがいまして、今回の法案におきましても、地域が取り組む空き店舗対策に最大限の支援を効果的にしていくということが主眼になってございます。

 具体的には、中小小売商業者が取り組む商業機能強化への取り組みについて、地権者などを巻き込んだ取り組みとするために、中小小売商業高度化事業の認定要件として、土地の所有者の協力を得るということを考えております。

 認定されたこの事業につきましては、例えば、中心市街地活性化協議会に参加する商業者が、空き店舗を借り上げて託児所やあるいはコミュニティー施設、さまざまなものが考えられると思いますけれども、そういうコミュニティー施設を運営する事業などに対して、新たに拡充する戦略的中心市街地活性化事業などによって重点的に支援をしてまいりたいと思っております。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 地方の中心市街地では、同じように、大型店の撤退後の大型店舗や空きビル、大きなものが有効活用されないまま放置されている場合があります。その跡地では治安も悪化するような状態があると伺っておりますが、次の展開へのスピードも大きな要素であると考えます。

 そこで、二点ほどお伺いをさせていただきます。

 中心市街地の活性化のためには、再び人々を集め、町のにぎわいを回復する代替店舗を一日も早く営業再開することが必要だと考えますけれども、そのためには新たな出店を促進させる規制の緩和措置を講ずるべきだと思いますが、どのような法的措置が考えられておるのか、これは経済産業省の方にお伺いさせていただきます。

 また、空きビル対策として、財政面を含めた国からの支援策について、どのようなものを用意しておられるのか、具体的に国土交通省にお伺いをさせていただきます。よろしくお願いします。

迎政府参考人 まさに御指摘のとおり、中心市街地に存在する大型の店が撤退をした、そういったところが空きビルになっていると町のにぎわいという点で大変マイナスになるわけでございまして、そうしたものを活用して次の店舗、大型店が出店するというのは、町の活性化にとって非常に大きなプラスになることだと考えております。

 今回、中心市街地活性化法の改正に際しましては、そうしたケース等を中心に、中心市街地において大規模小売店舗が迅速に立地できるように、大店立地法の規制を緩和する方法というのを盛り込んでおります。

 具体的には、大規模小売店舗の出店に際しましては、出店者は都道府県への届け出後八カ月間は開業ができないということになっておるわけでございますけれども、これは地域の判断で特例地区を設定して、こうした八カ月というふうな期間を経ないで速やかに出店するようなことを可能にするものでございます。

 この制度につきましては、今回盛り込む前に、規制緩和の特区という形で、先般委員会でも御視察いただきました宇都宮市では、規制緩和の特区制度を活用して、あいた店舗の後に別の小売業の出店を促す、短期間に出店を実現するというふうなことで、効果も実際にあったものでございます。

 今後、地域の御発意によりましてこうした措置も御活用いただいて、商業の活性化、にぎわいの回復に役立てていただければというふうに考えている次第でございます。

加藤政府参考人 国土交通省といたしましては、これまでも、まちづくり交付金などを活用いたしまして都市の既存ストックを有効活用するための施策を講じてまいりましたが、中心市街地の活性化のためには、いろいろ御指摘いただきましたように、さまざまな都市機能がコンパクトに集積したまちづくりを進める必要があるという認識のもとで、今回のまちづくり三法の見直しでは、病院ですとか文化施設といったようなさまざまな都市機能を町中に立地促進するための支援策の充実を図っているところでございます。

 まず、まちづくり交付金についてでございますが、まちづくり交付金につきましては予算額を大幅に増額いたしております。また、市町村の提案に基づく事業に対する支援といったものも拡充することとしておりまして、これによりまして、既存ストックの活用によるまちづくりの支援を行うこととしております。

 加えまして、今年度から新しく、暮らし・にぎわい再生事業というものを創設させていただきました。これによりまして、今お話にもありましたが、大規模店舗が撤退した空きビルを例えば病院ですとか図書館ですとか市民センターなどの公益施設を含む施設に用途転換する場合に、その改修などに係る費用のうち、原則三分の一を国費で支援する、こういったような措置も講じているところでございます。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 大変盛りだくさんに画期的なものがあって、大変心強い次第でございます。

 中心市街地の駐車場についてお伺いをさせていただきます。

 どうしても、大きな買い物をしたいということになりますと車を使いたいわけでございますが、中心市街地というのは、もともと土地が高いせいでしょうか、駐車場が余りなくて、あきを探している間に時間がたってしまう。また、一方では、郊外の商店街モールなどでは大規模な駐車場が用意されておるということもございまして、どうしても客足がそちらへ行ってしまうというようなこともあります。また、中心市街地でよくあることには、自転車、バイク等が大変多く放置してありまして、お年寄りなどが危なくて通行することもままならないというようなことがございますので、こういったことを解消するために駐車場について新たな考えがありましたらお示しをいただきたい、こう思います。

加藤政府参考人 中心市街地内の路上駐車を解消いたしまして、円滑な自動車交通ですとか安全、快適な歩行者空間を確保するため、適正な位置に使い勝手のよい駐車場、駐輪場の整備を促進するということは、中心市街地活性化に重要な施策であるというふうに考えております。

 これまで、地方公共団体ですとか民間による駐車場、駐輪場の整備に対しましては、まず、道路の一部となる駐車場、駐輪場に関しましては街路事業、また、面的なまちづくりの一環として整備されるものについてはまちづくり交付金等による補助を行ってまいりました。また、一定規模以上の駐車場、駐輪場に対しまして、道路開発資金ですとか政策投資銀行による融資も行ってまいっております。また、加えまして、都市計画決定されたものに対しましては事業所税の非課税措置といったような措置も講じているところでございます。

 このように各種の支援策ばかりでなくて、附置義務制度というのが駐車場法にございます。この駐車場法による附置義務制度を通じた規制、誘導策も通じて、いろいろまた施策を通じて駐車場、駐輪場の整備の推進を図ってきているところでございます。

 とりわけ、中心市街地の活性化の観点から、中心市街地内の駐車場、駐輪場については、今申し上げましたこれらの支援策の対象として積極的に支援をするということとあわせて、立体式駐車場の不動産取得税、固定資産税を減免する税制優遇措置の拡大などにより、これまでも重点的な支援をしてまいりました。

 さらに、近年、歩道、車道を問わず違法駐車している自動二輪車が、バイクでございますが、歩行者、自動車の交通を阻害し問題になっているということにも対応するために、自動二輪車を駐車場法の対象に追加するといった改正法案を今国会に提案いたしておりまして、別途御審議をいただいているところであります。

 今るる申し上げましたが、このような各種の施策を通じまして、中心市街地活性化に資する駐車場、駐輪場の整備を今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたのであれですが、今回の法改正では、中心市街地の居住を回復するという施策も盛り込まれているようでございます。認定を条件としてではございますが、町中居住促進のための施策について、共同住宅供給事業など、施行者別、補助対象別に少し教えていただければありがたいと思いますが。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、人が住んでいるということは町が成り立つ基本的な条件でございますので、町中居住は極めて重要でございます。

 このため、今御指摘いただきましたように、今回の中心市街地活性化法の改正案におきまして、中心市街地共同住宅供給事業を創設しまして、町中居住を促進することとしております。

 具体的には、中心市街地における都市福利施設に近接するなどの要件を満たす優良な共同住宅事業、これを市町村長が計画を認定しまして、当該事業を行う民間事業者等に対しまして、調査設計計画や共同施設整備などにかかる費用について、国と地方公共団体がそれぞれ三分の一ずつ補助を行うとともに、所得税、法人税の割り増し償却などの税制上の特例措置を講ずることとしております。

 このほか、予算措置による支援策としまして、基本計画の認定を受けた中心市街地における民間の多様な住宅等の整備事業に対しまして出資により支援を行う街なか居住再生ファンド、こういったものの活用を行うとともに、各施策の活用により、町中居住が促進されるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

清水(清)委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので終わりますが、現地では大変苦しんでいる方もたくさんおられます。今後とも、現地の方々のやる気を出すため、そしてまた人材を養成すること、また、先ほどお話がありましたノウハウを提供すること等、大変待っておるところが多いわけでございますから、今後ともどうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、達増拓也君。

達増委員 まず、PSE問題について質問をしたいと思います。

 四月一日、まさに運命の日であったわけでありますけれども、施行から五年間たちまして、五年の猶予期間を終えた商品についてPSEマークの表示が義務づけられるようになる、その四月一日を先ごろ迎えたわけであります。

 経済産業省もいろいろな特別な措置もとり、その四月一日を迎えたわけでありますが、四月一日以降、一体どういうことになっているか。特に、中古品業者、リサイクルショップ等をめぐる混乱が事前にあり、また四月一日以降も予想されたわけでありますけれども、四月十日に、ある県でPSEマークの表示手続講習会というものが開かれまして、それについての地元新聞や主要紙の地元版のところに報道されたものをまず紹介したいと思います。

 見出しを拾ってまいりますと、「PSEマークの表示手続き講習会 リサイクル業者ら反発 周知不足など指摘 経産局は「反省」」「経産局担当補佐 業者にひたすら陳謝 PSE講習会の席で」、そして、「PSE法 検査態勢不備を批判 業者、国の講習会で」というような見出しが躍っておりまして、なかなかスムーズに四月一日以降を迎えているとは言えないような状況かなと思われます。

 こういうことにならないようにと思って私も事前にこの経済産業委員会でも質問に立ちまして、特に、業者の立場から知りたいこと、わからないこと、そういった項目に的を絞って質問し、それは国会としても全国に向かって発信されたのかなと思っていたんですけれども、まだまだ誤解が広くあるのかなと思っております。

 例えば、これもある県の講習会の様子を報道した記事に書いてある、その記事の文章を紹介しますが、こういうふうに報道されているんですね。例えば「経済産業省は先月末になって事後検査すればマークなしの販売も認めると発表した。」。事後検査すればマークなしの販売も認める、たしかそういうルールではなかったはずであります。もう一つは「経産省は当面、リサイクル業者がマークなしで販売しても「レンタル」とみなす方針だ。」と。マークなしのものを販売、レンタル契約ではない、販売をしても、それをマークなしで販売した場合はレンタルとみなす方針だ、これも間違いなんじゃないかと思いますが、経産省、いかがでしょうか。

迎政府参考人 まさに先生御指摘のとおりでございまして、電気用品の販売に際しましては、電気用品安全法の検査を行ってPSEマークを付していただくということがことしの四月一日から必要になっておるわけでございます。

 そうした中で、中古品を扱っている方々におかれまして、その検査機器が必ずしも三月末までに十分に行き渡っていない、直ちに検査をしてPSEマークを付して販売をすることが、準備が整っておられない方がおられるということは実態としてあるわけでございます。

 そうした方々から、四月一日に営業活動が一切とまるというのは非常に大変なことなので、そういう場合については、レンタルを活用して、商品を引き渡してもその所有権は留保をする、あるいは、検査体制が整ってから事後的に検査をして、その上で所有権の移転をやるような方式ができないか、こういうふうなお尋ね等があったわけでございます。この点につきましては、私ども、従来より法律自体が販売の事業を規制しているということで、レンタルという方法は可能というふうな確認をしたわけでございます。したがいまして、実際に販売をした上で事後的に検査をするとか、こういうことは、法律上やはり法律違反とならざるを得ない。

 それから、PSEマークを張らずに販売したものをレンタルとみなすというふうなことも、これもできかねるわけでございまして、あくまで契約としてレンタルということで渡されたものについては、これは法律違反にはならないですよ、こういうことを申し上げたわけでございます。

 今御指摘ございましたように、十分そういったものが伝わってなくて若干誤解が生じているというふうなことも、これは報道なんかもそうでございますし、あるいは事業者の方もそういうふうに誤解をされているという実態があるんじゃないかということでございますけれども、ただいまも先生の方からお話ございましたように、現在、全国でこの法律についての講習会を実施しております。既に千人以上の方がその講習会に御参加をいただいておりまして、こうした法律の手続でございますとか、あるいはその検査の方法についてきめ細かく講習をやっていきたい。今月中で、全都道府県、四十八カ所でやる予定をしておりますので、そうした中で、誤解等もないように、最大限の説明、講習を行っていきたいと思っておるところでございます。

達増委員 私が四月一日前に地元の岩手県の中古品業連合会会長さんに会いましてこのPSE問題についていろいろ懇談した際に、その会長さんは、とにかく法令は遵守したいんだ、自分たちは法令を遵守したいんだけれども法令がよくわからないということを聞かされまして、本当に、正しい情報が正しく伝わることが非常に大事なんだなというふうに思いました。

 さっきの質問のことも、私も四月一日前、前回、この経済産業委員会で同じ質問をしたわけです。というのは、やはり新聞各紙、主要各紙が同じように、マークなしでも販売できるかのような、そういう報道をしたものですから、それは誤解だということを国会の審議の中できちんと取り上げ、きちんとした答弁があっても、なかなかそれが現場に伝わっていかない。これは本当に立法府としてもやはり考えていかなければならない問題だと思います。

 そして、レンタルならばいいんだという話が大きく報道され、広まってしまった結果、あたかもマークなしでレンタルするのが四月一日以降の原則だというような、これもまた誤解が広がっているところがあると思います。

 先ほどの、ある県の四月十日の講習会を報じた新聞の記事の中にもこう書いてあるんですね。「四月からレンタルの形で中古家電を引き渡し、販売後にリサイクル業者が検査機器で安全確認することになっているが、」云々と、何かあたかもマークのない中古品についてはレンタルで引き渡すことになっているというような報道ぶりがされております。それはこの新聞だけがそう書いているわけじゃなく、その県の業者さんたちもそういう認識になっているようでありまして、ある中古品業者の発言として、レンタルで引き渡してしまってどこに行ったかわからなくなったらどのようにして検査するのかとか、広い県内の地域事情がわかっていないんじゃないかという、あたかももうレンタルしかないみたいな、四月一日以降はレンタルが原則だというような認識が広まりつつあるようなんです。

 経済産業省として、レンタルもあり得るということでやっているのでしょうが、レンタルを推奨したりあるいはレンタルが原則だというふうに国として指導をしているわけではないと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

迎政府参考人 まさに先生おっしゃるとおりでございまして、私どもが申し上げているのは、四月一日時点において、検査体制が整っていない、検査ができない、マークも付せない、こういう方たちがそのまま販売をされるというのは法律違反ですから、こういうのはまず一番避けていただきたい。それに比べれば、要するにレンタルというのは違法な措置に当たらないわけですから、そういう方法を工夫されるというのは事業者の対応として一つの方法ではないかと思うわけです。

 ただ一方で、では、そもそも、販売は規制されていてレンタルというのは何で規制されていないのかというと、それは、所有権を持っていて、引き渡し先も把握をしていて、その商品の状態を把握しているから安全規制が販売とは違う扱いをしているのが、レンタルで引き渡してしまってどこに行ったかわからないというふうなことでは実際困るわけでございます。

 実際、今現状で、国内の市場なんかを見ましても、検査機器の販売というのは、相当な量が供給をされておるわけでございます。それから、私どもに対する事業の届け出も順調に行われておりますので、逆に言えば、レンタルというふうな形で、これはこれで、今まで販売をしておられた方にとっては、自分の資産としていつまでも残っている、あるいは責任関係が残っているというふうな、必ずしも事業者自身も望まれる取引形態ではないと思われますので、そうした検査機器の普及あるいは法律についての理解というふうなことを私ども最大限努力をしていくことによって、そうした何か緊急避難的な措置がむしろ原則であるみたいな誤解みたいなことは解いていかなければならないし、あるいは実態としても、そういうふうなことではない、正常な取引関係になるようにやっていかなければならない、そのように考えております。

達増委員 いずれ、レンタル契約にしたにせよ、販売の形にするには、後で検査してPSEマークを付さなければならないわけですから、やはり事前に検査してPSEマークを付して普通に販売するようにした方が、これは売る方も買う方も楽だと思うんですね。

 ですから、それがスムーズにいくように国としてもやっていかなければならないと思うんですが、今答弁の中で、検査機器が大分出回っているということもありましたし、また私も、一個三千円とかで検査をしてあげましょう、そういうビジネスも今出てきているということも聞いております。

 ただ、中古品業者は零細な業者も多いので、なかなか、機器を自分で買ったり、また一個幾らで検査を委託するのも大変な業者がむしろほとんどではないかと思っておりまして、経済産業省がやると言っている検査機器の貸し出しや、あるいは、ある場所に行けばそこで検査ができるということが非常に大事だと思います。

 これについては、先ほどから紹介しているある県の講習会では、出席者から自主検査を行う機器の貸出期間や開始時期などの質問が出されたが、経済産業局は現段階ではっきりしないと回答、このため、全く対応がなっていない、詳しい情報提供がなく混乱が深まったなどと反発したというふうに報道されております。

 どうもまだ業者のニーズ、求めに対応し切れていないような感じもいたしますけれども、この機器貸し出しの体制は今どのようになっているのか、また、これからどうなっていくのでしょうか。

迎政府参考人 機器の貸し出しでございますけれども、確かに、すべてのブロックあるいは全国をカバーする体制がまだとれていないというふうなことでございまして、これはできるだけ早くやらなければならない、こういうふうに思っておるところでございます。

 具体的に申し上げますと、全国で、三月二十三日に四国で開始をして、先月中に四国、近畿、中国でやっておるわけでございますけれども、本日から中部地域で始めておりまして、さらに、来週に入りましたら関東、東北で実施ができるようにしたい。それから、その翌週には日本全国をカバーするような形でやりたい。

 それから、今ブロックで中心を置いて一カ所みたいな形でやっていますけれども、これは状況を見ながらさらにその地点数をふやして、近くで借り入れができるというふうな体制を順次とっていきたいと考えております。

 したがいまして、今のところ貸し出しの状況はそういうふうな状況でございますし、それから公設試等の協力なんかも仰ぎながら貸し出し拠点をふやす、それから電気保安協会による無料出張サービスに関しましても、来週には開始ができるよう準備をしておるところでございます。

達増委員 そうなってまいりますと、個々の業者さんにとっては、では自分のところにはいつ来るのか、自分の地域ではいつから体制ができるのかということが知りたいわけでありますが、この四月十日のある県での講習会での業者さんの代表の発言にこういうのがあります。「国の出先機関が本県になく、情報提供やきめ細かい対応がなされていないことも問題だ。」と。これは前回私が質問に立ったときも指摘した問題ですが、いわゆる相談窓口問題ですね。相談窓口が地域にない、地元にないということが混乱に拍車をかけているところがあると思います。

 そこで、経済産業局の支分署を各県につくれというのは行革にも逆行する話ですので、そうすると都道府県が対応するのかということになりますが、これはある県の県議会議員さんから聞いた話なんですけれども、県に対して、PSE問題についてぜひ県に相談窓口をつくってくれという話をしたところ、県の方では、権限がないからできないと言うんですね。このPSE法の施行に関して都道府県には権限がないのでそういう相談窓口はできないという回答、返事だったそうであります。

 であれば、例えば、この電気用品安全法に一文、一条、都道府県はこの法の施行に関し所要の措置をとる責務を負うとか、特に中古品業に限定してもいいかもしれません、都道府県にこの法のスムーズな施行に関する権限を、あるいは所要の措置をする責務をこの法律に一行入れれば都道府県に権限ができて、相談窓口をつくれるようになるんでしょうか。

迎政府参考人 そもそも、今般のPSEの問題に関しまして、三月十四日に支援策を発表したわけでございますけれども、この際に、ぜひこうしたものも含めて周知について協力をしてくださいというふうなことを都道府県にもお願いしたわけでございます。それから、まさに各県単位での講習会なんかの実施につきましても、各種、都道府県の公設試験機関ですとか、こういったところと連携をとりながら、御協力を仰ぎながら実施をしているところでございまして、都道府県においていろいろ御協力をいただくということは私どもぜひともお願いをしたいと思っておるところでございます。そうした中で仮に相談窓口みたいなものをつくっていただけるのなら私ども大変ありがたいことで、それは、そもそも権限がないところが何をやるとか、そんなことを申し上げるつもりは私ども全くございません。

 では、法律に責務というふうなことを設けるのはどうかということでございますけれども、一方で、電気用品の安全という問題については技術的な知見等も必要なものでございまして、そういうものについては、私ども安全を担当するところとして責任を持って対処していかなければならない問題でございます。ぜひ御協力はお願いしたいということでございますけれども、それを何か責務という形でやらせるみたいなことを言うのはちょっと私どもからはなかなか申し上げにくいことであろうかと思っておりまして、ぜひその連携協力はお願いしながらやっていきたい、こう思っておるところでございます。

達増委員 今、責務として必ずやれということはなかなか言いにくいという趣旨の答弁だったと思いますが、なるほど、電気用品安全法に一条加えて、電気用品安全法上のそういう責務、権限を都道府県に付与するという考え方でいきますと、電気用品の安全確保というところの権限そして責任が都道府県に行っちゃうことになって、例えば業者さんに、この機器、チェックをこういう感じでやったけれども、これを売っていいですかなんというのを都道府県が聞かれても、さすがにその安全については責任を持ち切れないんだと思います。

 ただ、業者さんが求めている相談窓口というのは、そういう安全確保についての相談、電気用品安全法そのものの趣旨に沿った相談というよりは、自分たちの商売についての相談をしているわけでありまして、さあ困った、今までどおりに商売をやりたいんだけれども、どうも今までどおりにはやれなくなったようだ、どうしていいかわからない、あるいは、在庫が積み増しになってきて資金繰りにも困る、何かお金を借りたりもしたいとか、実はそういう経営指導みたいなものを求めているんだと思うんですね。

 多分、経営指導ということであれば、これは何か法律をいじらなくても、今の都道府県には経営指導を中小企業に行うそういう権限はまさにあり、このPSE問題といいますか、それで困っている地域の中古品業者に対してもいろいろな対応が可能だと思うんですけれども、どうでしょうか。

迎政府参考人 まさにそうした観点から周知について御協力を賜れば、私どもとしては大変幸いとするところでございます。

 確かに、電気用品安全というものを考えた場合に、例えば全国のマーケットに供給している大きな電機メーカーみたいなものと、今回いろいろ議論になって、周知が行き届かなかった中古品を扱っている方々というのを比べてみますと、やはり事業の範囲なんかもかなり地域性を持っておられる事業でございますし、それから、私ども、その周知が行き届かなかった一つの理由が、全国的な団体がなくて地域ごとに、しかし、今回講習会なんかもやってみますと地域ごとにはいろいろな組織なんかもあるようでございます。そういう中で、特にそうした地域に密着した事業に対して地域に密着したサービスを提供する主体である自治体というのが存在するわけですので、私どもとしても、そうした都道府県なんかと今後はよく相談をし連携を深めていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。

達増委員 先ほど紹介したある県の例、権限がないので本格的な相談窓口を設けられないという県の場合は、このPSEマーク表示のための講習会、そうした担当は消防防災関係の部局がやっているそうなんですね。まさに電気用品安全法だから、安全のためのことだからそういう消防防災部局がやっているということなんですが、消防防災部局では、中古品業の振興とか、そういった経営指導とかということは権限じゃないのでしょう。

 しかし一方で、県には商工労働観光部のような、そういう中小企業振興をやる部局もあるわけでありまして、むしろそちらの方が積極的に相談窓口を設けていけばいいんじゃないかと思うわけであります。直接じゃなくても、商工会議所や商工会を通じて行っても構わないでしょうし、ただ、これは私がある中古品業者さんから聞いたんですが、商工会議所というのはどうもえらい立派な会社ばかり行くところで、どうも敷居が高いなんと言う。ですから、そういう業者さんたちが今、緊急避難、危機的状況にあるわけですから、本当に、国と地方とそこは連携しながらこの危機対応をしていかなければならないと思っております。

 さっきの質問は、都道府県としてそういう経営指導のような形でこの問題に対して対応できるかという質問でしたけれども、国としても、やはり中小企業支援の一環という角度からもこの中古品業者の皆さんの苦境に対応していくべきと考えますが、どうでしょう。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、今回の関係者の中で中小企業の方々は数多くおられると思いますし、そうした場合に、いろいろな問題点があろうかと思いますけれども、経営上の問題点から申し上げれば、一番多いのはやはり金融問題になることが多いと思います。運転資金等々を中心とした金融問題については、政府系金融機関はもちろんでございますし、信用保証協会の保証なども活用できるところがあろうかと思います。

 こういった面を中心とした経営相談につきましては、そういった政府系金融機関自身あるいは保証協会の窓口、それから同時に、各地の商工会やあるいは商工会議所などに経営安定相談窓口というのがございますので、そういったところが御相談を受け付けられる能力があろうかと思います。

 必ずしもこういったところにタイムリーに本問題の技術的な問題等々については行っていたかという問題はありますけれども、現時点ではそういう情報も責任ある当局から大分きちっと行っているようでございますので、背景も含めて、こういった資金面、経営面などの御相談に乗り、中小企業支援策で活用できるものについてのアドバイスなどもしていくべきだというふうには考えております。また、そういう体制を整えつつあるように私どもとしては認識をしているところでございます。

達増委員 いよいよ中心市街地活性化法に直接かかわる質問をしていきたいと思いますが、実は、今回のこのPSE問題と中心市街地活性化の問題が同時に私の目の前に出てきたといいますか、国会で取り上げられるようになったといいますか、日本で起きているといいますか、実はそれは非常に関係のあることだと思います。

 といいますのも、中古品業者というのは、結構、町の顔になっていたり商店街の顔になっていたり、そういうケースもあるわけです。おととい視察に行きました宇都宮のオリオン通りにも古着ショップのお店がありまして、格好いい古着を格好よく並べていました。恐らく、そういう古着屋さんやそれから古本屋さんを含めますと、こういう古物商というのはどの商店街にも一つはあるんじゃないかと思います。

 したがって、今全国的にこういう中古品業者がピンチだということは、それは中心市街地活性化の観点からいっても放置できないし、今回のこのPSE問題を契機に、そうした中古品業界や古物商といったところにもうまく施策を関連づけていくことで商店街振興、中心市街地活性化にも資することができるんじゃないかと思うんです。

 中心市街地活性化法の第一条、改正案の第一条では、この中心市街地活性化の定義がこうなっているわけです。「中心市街地における都市機能の増進及び経済活力の向上」、それが中心市街地の活性化だというんですね。「中心市街地が地域の経済及び社会の発展に果たす役割の重要性にかんがみ、」その「中心市街地における都市機能の増進及び経済活力の向上」を推進する、それが中心市街地活性化だと。

 そうしますと、商店街の顔になっている、あるいは商店街の一部を構成している中古品業者、こういったところに適切な施策をとっていくこともこの中心市街地活性化だと言えると思うんですが、いかがでしょう。

迎政府参考人 まさに御指摘のとおり、第一条の「目的」は、都市機能の増進と経済活力の向上というものを総合的、一体的に推進していくためのさまざまな措置を講じていくというのが、今回の御審議いただいております中心市街地活性化法の目的ということでございます。

 その中で、経済活力の向上を図っていくためにはいろいろな方途があるわけでございまして、それは、経済社会の状況の変化というふうなことによってまた時代とともに変わってくるわけでございます。

 そういう中で、やはり省資源、省エネルギーというふうなことについて、あるいは環境の問題等に消費者の関心も高まる、あるいはそういうものを背景に各地域で中古品の流通というふうなものが盛んになってきて、そうしたお店も商店街の一角を占めるという状況も生じてきておるわけでございます。さらに、あるいはそうしたお店というだけではなくて、イベント的に中心市街地なんかでフリーマーケットみたいなものが開かれて、そこで多くの人を集めるというふうな実態もあるわけでございます。

 そうしたものも含めて、まさに経済活力の向上にどういった方途をとっていくかという点について、ぜひ各地域地域でいろいろ特色を踏まえて中心市街地の活性化の基本の計画というのを考えていただきたいというふうに考えておる次第でございます。

達増委員 そうしますと、同様に第三条の「基本理念」のところでも、「中心市街地の活性化は、中心市街地が地域住民等の生活と交流の場であることを踏まえつつ、地域における社会的、経済的及び文化的活動の拠点となるにふさわしい魅力ある市街地の形成を図ることを基本とし、」「その取組に対して国が集中的かつ効果的に支援を行う」というふうに規定されておりますので、先ほど答弁にもあったような形で、中古品業者、リサイクルショップなどがうまく組み込まれた形のそういう中心市街地活性化に対して国が集中的かつ効果的に支援を行う、そう解釈できるというふうに考えてよろしいでしょうか。

迎政府参考人 三条におきましては、まさに中心市街地が地域のコミュニティーの中心であるというふうなことを踏まえて、地方公共団体、事業者、地域住民、あらゆる関係者が主体的に取り組むことが重要で、それについて国が支援をしていくというふうに規定しておるわけでございます。

 したがいまして、今御指摘の中古品を扱っている事業者の方もまさにその地域の事業者の一員として、あるいは地域住民の方たちが中古品を交換する場みたいなのを設けるということであれば、その地域住民という立場でいろいろ中心市街地の活性化に主体的に取り組むということで考えていただくということで、まさにここに規定しているものに含まれ得るというものであろうかと思っております。

 こうした事業についてどういうふうに支援措置を講じていくかというのについては、まさに地域の計画、地域の特色を踏まえて判断をしていくべきものだろうと思っております。

達増委員 次は、第五条の「地方公共団体の責務」について質問するわけでありますけれども、実は、岩手県の盛岡市には紺屋町という商店街がございます。この紺屋町というのは、もともとは旧奥州街道、江戸時代の奥州街道の一部分で、古い酒屋さんでありますとか染物屋さんでありますとか、そして南部せんべい、古い江戸時代からあるおせんべい屋さんとか、そういうお店が並ぶ商店街だったんですけれども、近代的な商店というのが余りふえないまま二十世紀後半を迎えていたところ、リサイクルショップや中古品屋さんが出てきまして、岩手県の県中古品業連合会の会長さんのお店、本店がその紺屋町にありますし、また盛岡福祉バンクという、これは障害者の皆さんに、中古品の改修、きれいにしたり直したりする作業、そして実際お店で売る、こういうのを一緒にやってもらう、あるいはもう前面に立ってやってもらう、そういう福祉バンクというのがあって、あちこちに店舗があるんですが、その本部と本部直営店が紺屋町にあるんですね。ですから、岩手のそういうリサイクル、中古品業を象徴するような、代表するような、そういう商店街になっております。また、これが週末にはアンティーク市という、まさに古道具、アンティーク、そういったものをメーンにしたフリーマーケットのような、そういうアンティーク市を毎週週末にやっておりまして、実は、もう本当に、中古品を顔にしている商店街というものでございます。

 したがいまして、そういったところをさらに広い中心市街地の活性化の核にしていくということは大いに考えられると思うんですけれども、中心市街地活性化法第五条「地方公共団体の責務」、「地方公共団体は、第三条の基本理念」、先ほど取り上げた第三条の基本理念「にのっとり、地域における地理的及び自然的特性、文化的所産並びに経済的環境の変化を踏まえつつ、国の施策と相まって、効果的に中心市街地の活性化を推進するよう所要の施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と。これも中古品業者との関係で生かすことができる条文と考えてよろしいでしょうか。

迎政府参考人 第五条は地方公共団体の責務を規定しておるわけでございますけれども、まさしく中心市街地の活性化という問題につきましては、私ども国のレベルでも今回法改正して地域の取り組みを支援してまいるわけでございますけれども、基本的には、まずは地域が、地域地域で、地方公共団体のレベルで、その地域の有する地理的、自然的、文化的な特色を生かしながらそういうものを振興していくというのが地方公共団体の責務であろう、それを支援するのが国の役割、こういうことであろうかと思っております。

 その場合に、中心市街地でまさにバザール等が開催されるとか、そういうことでにぎわいが取り戻されるというふうなこともあるわけでございますし、そういったもの、どうした活性化策をとっていくのか、これはまさに地域の特色を踏まえながら公共団体でしっかり御判断をいただきたい、こういうふうに思っております。

達増委員 PSE法の本格施行をめぐる中古品業者、リサイクル業者の皆さんの混乱、不安そして窮状、これを救うためには、国と都道府県、地方がそれぞれやれることをやり、またやるべきことをやるということと、同時に、単に安全部局、これは国においても地方においてもですけれども、安全部局だけの問題ではなく、それは、中心市街地活性化など、商取引、まちづくり、そういったことを担当する部局も本気になってやっていかなければならない問題であるということを改めて確認したいと思います。

 そもそも中古品というもの、今回のことがありまして、私もいろいろ考えてみたんですけれども、なかなか市場メカニズムというものに当てはまらない品物なんだなということに気がつきました。

 といいますのは、市場メカニズムというのは、その根本、核心は需要供給の法則だと思います。

 ちょっと理屈の話をいたしますけれども、需要供給の法則というのは、右肩下がりの需要曲線があって、右肩上がりの供給曲線があって、需要曲線と供給曲線の交わるところで価格と数量が決まって、それが最も効率的な価格と数量、それがマーケットメカニズムによって、いわば神の見えざる手によってそういう効率的な資源配分、消費と生産が行われるというのが需要供給の法則で、それが市場メカニズムの核心だと思うんです。

 実は、中古品といいますのは、まず需要面からいいますと、普通の品物というのは限界効用逓減の法則というのがございまして、その同じものをもう一つ買うときに少しずつ喜びが減っていくということで、それで、このくらいの値段であれば一個しか買えないけれども、このくらいの値段なら二個買おう、三個買おうというようなことが起きるわけですが、中古品の場合ですと、とにかくそれが欲しいんだ、特にビンテージ品ですとかあるいは古伊万里の焼き物とかでもいいんですけれども、とにかくそれが欲しいんだということで、限界効用がゼロなんですね。同じものをもう一個もらってもしようがないというところが、この中古品の世界には多いと思います。ですから、これはもう、欲しい人は幾らでも金を出すとかの世界になるわけでありますし、きちっとした需要曲線が書けないんですね。

 供給面についていえば、これはもう決定的なんですけれども、ちょっと理屈の話になりますが、供給曲線というのは、あれは限界費用曲線でございまして、もう一個追加的に生産するのに幾らかかるかというのが供給曲線でありまして、中古品というのは生産されないものなんですね。これは全く当たり前の話なんですが、これ以上生産されないものが中古品でございますから、中古品については供給曲線というのはあり得ないんですよ。したがって、中古品というのは、市場メカニズムには全然なじまない品物だと思うんですね。

 この五年間、何でこの中古品業界がほうっておかれたのかというのをつくづく省みますと、実は、市場メカニズム最優先の内閣が五年間続く中で、この中古品業界というものがほうっておかれたのかなということを思いまして、それで政府に質問したいんですけれども、幾ら市場メカニズムになじまないからといって、政府として、この大事な中古品業界というものを排除したり切り捨てたりはしませんよねということを伺いたいと思います。

片山大臣政務官 ただいま委員のお話を伺っておりまして、大変勉強になりました。

 委員は外務省の御出身で、委員や私の年代のころは外務省は筆記試験をしておりまして、経済原論が非常に大きな比重を占めておりまして、実は私も二十のときに受けて合格しておりますので、このときの教科書を大変に思い出させていただいたところでございます。そのPQ曲線、DS曲線の講義の後には、供給側独占というのもたしかあったような気がいたしますけれども。市場メカニズムのお話についてはよく政策議論で出てくるのでございますが、市場メカニズムの発生の仕方の中にはオークションシステムというのもございまして、ビンテージ商品の中には、オークションで、競り売りのような形である意味競争価格が決まっていくものもございますので、必ずしも中古品のすべてが全く市場メカニズムになじまないということではないと思います。その辺はもちろん全部御存じの上での御質問と思います。

 今政府参考人の方から中活法についてお答えさせていただきましたように、中心市街地の振興策一般につきましては、地域におけるさまざまな取り組みを、しかも自主的な取り組みを支援していく法制でございまして、今般の改正も、こういった中古品業者が独自のまちづくりをしていらっしゃる。先ほど御指摘のありました御地元の盛岡もございますが、そのほかに宇都宮、大垣、小淵沢、秩父など、アンティークが中心になっている地域がたくさんございまして、そういったところももちろん取り組みの一つとして支援の対象になりますし、今までもこれからも、中古品業界の方々が産業政策の中の中心市街地や中小企業の振興の中にもちろん対象として入っているということは当然でございます。

達増委員 今の答弁の中でオークションというのが紹介されて、それがマーケットメカニズムの一部だという答弁だったと思いますが、私は、オークションというのはマーケットメカニズムの一部だととらえない方が本質をつかみやすいと思うんですよ。

 マーケットメカニズムというのは、それはマーケットメカニズムの定義にもよるんでしょうが、外国為替に象徴されるように、世界じゅうのどこでも一ドル幾らだ、原油なんかでも世界じゅうのどこでも一バレル幾らだと、若干の微調整はありますけれども、同じ品物が世界のどこでも同じ値段になっていくメカニズムがマーケットメカニズムなんだと思います。労働力もそうなるし、何でもかんでもそうなるというのがグローバリズムの本質だと思うんですけれども、オークションというのは、逆に、今目の前にあるこれしかないものに一体幾ら出すかという、その人の生きざまが問われるような、そういう商取引でありまして、それは、世界大の効率化を目指していくマーケットメカニズムとはかなり違うんじゃないか。

 私は、整理すれば、マーケットメカニズムに対してバザールファンクションという概念を提案したいと思うんです。マーケットというよりバザールなんですね。それは、顔と顔が見える相手での、同じものでも、金持ちのお客には一万円で売り、お金を余り持っていない人には同じものを二千円で売るような、そういうバザールの世界。

 バザールというのは、ロングマンの英英辞典でバザールの定義を調べますと、一つには、オリエントとかアジアとか、そういう東方、東の方の市場、ヨーロッパの市場はマーケット、ヨーロッパじゃないところの市場をバザールと呼ぶんですね。二つ目の定義は、福祉、慈善、慈善事業のための、慈善のためのお金を稼ぐためのものを売る場をバザールと呼ぶ。日本でいうバザーですね。そういうバザー。

 オークションなんかも、昔、古い話ですけれども、牧伸二が司会するテレビ番組で、何かいろいろなお笑いタレントとかの身につけているものをオークションで売るというのがあって、売り上げは全部あゆみの箱に入れられるわけですけれども、あれはなかなか、マーケットメカニズムとは全然違う原理で機能する世界だと思いますよ。

 そういうバザールファンクション。これは、メカニズムというよりファンクション、かちっかちっとした機械的なメカニズムじゃなく、もっと機能、働き、ファンクション。ファンクションというのは、外交の世界では宴会やパーティーのことをファンクションというんですね。人と人との出会う場のことをファンクションともいいまして、まさにバザールというのはそういうものじゃないか。

 地域の商店街、中心市街地というのは、マーケットメカニズム原理でいくんじゃなくて、こういうバザールファンクションという観点から振興を図っていかなきゃならないんじゃないかと思うわけであります。

 このやり方は、そういう昔に戻ろうという話だけじゃなくて、実は、二十一世紀、情報化社会の本質に迫ることでもあります。

 梅棹忠夫という京都大学の民族学、比較文明学の先生なんですけれども、「情報産業論」という論文を四十二年も前に書いているんです。そこで、情報の値段の決まり方というのは、普通の物、産業社会で生み出される製品、物の値段の決まり方と情報というものの値段の決まり方は全然違う、これはすごいということを四十二年前に指摘しまして、さっきも言った限界効用ゼロの話。新聞とか雑誌というのは、全く同じ新聞をもう一つ買いたいということはないわけですね。例えば、英語版のニューズウィークというのは日本で買おうとすると六百円ぐらいする高い雑誌ですけれども、六百円で一冊買うニューズウィーク、もし百円だったら五冊も六冊も買いたいという人はいないわけでありまして、一冊買えば済むものなんですね。そういう限界効用ゼロというのは、これが情報の本質、性質なんです。

 ちょっとおしゃべりを長くしますが、最近はやっているもので、御当地キティちゃんというものが今はやっているんですね。これは別に資料として提示しているわけじゃなく、ポケットに入っていたものをたまたま今取り出して見ているんですけれども、永田町キティちゃんというのがあって、これは背広を着たキティちゃんが国会議事堂のかぶりものをかぶっているキティちゃんなんです、携帯のストラップとかに使えるんですが。私がこの御当地キティちゃんを最初に発見したのは、去年の今ごろ、仙台に行く機会がしょっちゅうありまして、それで、仙台駅をぶらぶらしていたら笹かまぼこキティちゃんというのを発見しまして、キティちゃんが笹かまぼこの着ぐるみを着ている、そういうマスコットがあって、おお何だこれはと思ったわけですね。

 これがまさに限界効用ゼロで、一つは欲しいと思うわけですよ。ただ、そんな同じものを二つも三つも持っていてもしょうがない。ただ、あえて二つ目三つ目がもらえてうれしいとすれば、それは同じものを人にあげることができる。だから、この手の限界効用ゼロのものというのは、さっきもバザール、バザーで慈善の話、あゆみの箱のことも紹介しましたけれども、本当にその人の生きざまとか愛と感謝、そうしたものが生み出されるのがバザールでありまして、御当地キティちゃんも、まさにこれは、笹かまキティちゃんは宮城でしか売っていないし、永田町キティは東京でしか売っていないんですよ。最近ようやく全部で八百種類あるカタログが発売されたんですが、それが発売される以前は、インターネットの中で、みんな全貌がわからないんですね。どこに何が売られているかというのはだれもわからなくて、インターネットで何県でこういうのを発見したという情報が飛び交い、そして、これは絶対欲しいなんという人がそれこそ幾ら出してもいいとかいう話。また、譲りますという人が、本当は足元を見て一万円でも売れるかも知れないものをあえて定価四百五十円に近い五百円で譲りますとか、まさに愛と感謝の生産がそこで行われていると。

 したがいまして、中心市街地活性化の話に戻りますが、政府としても、中心市街地活性化に当たっては、市場原理のみにとらわれず、社会的、文化的要素も加味して中心市街地活性化に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

片山大臣政務官 おっしゃるとおり、当然、中心市街地におきましては、その地域が長年間築いてきました古い歴史、伝統、文化の薫りを持った町の顔というのを大事にして発展してこられているわけですし、そういった社会的、文化的要素をまちづくりの中で不可欠なものとして入れていただいて、中心市街地の活性化協議会にもそういった議論が行われるでしょうし、商業者のみならず、そういった御関係の方、町の伝統や文化に明るい方々、また町の伝統や文化を支えている方々なども当然御参加、御参集いただいて、その知恵と力を結集していただいて、まさに文化、経済の両方の拠点としての市街地の再生を行うということが政府としての方針でございます。

達増委員 私、さっき、今の内閣はどうも市場原理ばかりやり過ぎるんじゃないかということも申し上げましたので、内閣の一員である二階大臣にも、中心市街地活性化に対する意気込みを伺いたいと思います。

二階国務大臣 先ほど来、奥州街道の紺屋町のアンティック市のことなど御紹介をいただきましたが、私どももこの奥州街道の紺屋町には大変注目をしておるところであります。先ほども御答弁で申し上げたとおり、国会も終了した段階で全国に経済産業省の幹部を派遣してその状況等をつぶさに調査をし、ここがなぜにぎわっておるか、ここがなぜ繁栄しておるかということなどを調査し、今後の参考にしたいと申し上げました中に、紺屋町など念頭にあるわけであります。

 また、今、バザール等につきまして、またマーケットメカニズムにつきまして、達増委員の幅広い学識に基づいて、参考になる御意見をちょうだいしました。

 今片山政務官からも御答弁のとおりでありますが、私はやはり、この改正法案に基づいてさまざまなまちづくりということを考えていかなくてはなりませんが、中でもやはり一番大事なことは、中心市街地活性化協議会、これで関係者がみんな集まって協議をし、納得の上にみんなで力を合わせて取り組んでいく。それは、公共団体の代表の皆さんの意見も大事でありますが、何としても、そこで御商売を営んできた今日までの歴史的な経験に基づいて、人々がどのようにして集ってくるか、そして、訪ねてみて本当によかった、時間があればあそこの商店街へ行ってみたいというふうな気持ちになれるような商店街をつくっていくことが大事であります。今度の法律改正によりまして、社会的、文化的、経済的な分野におきまして中心市街地が大いに再活性化することを願って、私どももでき得る限りの努力を傾注してまいりたいと考えております。

達増委員 時間ですので、終わります。

石田委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案について質問させていただきます。

 先ほどは、達増先生から大変いろいろと勉強になるお話もございました。ああ、そういう視点もいろいろあるんだなということを学んだわけでありますが、私は少し視点を変えて、現在の地域社会における町の現状というものの現実を踏まえながら、質問をさせていただきたいと考えるところでございます。

 ちょっとその前に、一昨日ですかの夕刊に出ていたもので、これは国土交通白書の中でありますが、国民の七割以上が今の日本は危険と認識していることが、十一日に公表された国土交通白書で明らかになったと。最近、目にすること、耳にすることは非常におかしなことが多いわけでありまして、新潟県の中越地震、台風、大雨、自然災害、JR西日本の福知山線脱線事故、耐震強度偽装問題、確かに経済的には少し立ち上がり始めているとはいいながらも、国民自体はどうも、この日本という国が、あるいは地域社会が、何か危険になってきているんじゃないかという認識を深めてきているんじゃないかと思うんですね、いわれなき殺人も多くなってまいりましたし。

 そういう意味で、先ほど達増議員が、小泉内閣の五年間の構造改革と現在の日本というのは、これは当然切っても切れない関係にあるわけでありまして、現在の日本の国民の七割、詳しく申し上げますと、危険だと思うというのが二八・五%、どちらかといえば危険というのが四二・一%に上って、合計七〇・六%が危険と認識しているという実態が明らかになったというんですね。

 この日本の社会の現状等について、これは国土交通白書でありますから大臣の所管ではありませんけれども、やはり、住んでいる国民がこういうことを感じているということに対して、経済産業大臣としてどういう御所感をお持ちか、冒頭にお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、上田委員長代理着席〕

二階国務大臣 ただいま国土交通白書について御紹介がありましたが、最近の新聞やテレビだけではなくて、この社会の状況等をお互いに認識する中で、少し、何となくおかしいことが起こり過ぎるではないか、そして、これは地球温暖化からくるんだなんて言われる人もおりますし、みんなそれぞれいろいろな意見を持っておられるわけであります。先般の客船の事故でも、犯人といいますか、ぶつかった相手は鯨ではないか、こう言われるのですが、これもまだ定かではありません。何かの物体とぶつかったに違いないわけでありますが、その原因究明等が今いろいろ言われているところであります。

 そうした中で、今議員が御指摘のように、改革あるいはそのスピード等と関連があるのではないかという御指摘でありますが、私どもは、一概に、小泉内閣改革と今の問題とが直接関係がある、そういう立場ではありませんが、しかし今、現に起こっておる各種のそうした問題につきましては、けさの閣議におきましても、総理からも、安全の問題について、担当大臣初め各閣僚が十分これについて対策を講ずるようにという御指摘がありました。

 そういう面からしましても、私どももいろいろな分野で、経済産業省の所掌範囲におきまして足元を点検してみる必要もあるわけでありますが、今、大畠議員の御指摘のようなことにつきましても、よく念頭に入れて、今後、国民の皆さんの、安全でしかも楽しい生活が送れるように配慮をしてまいりたいと思います。

 なお、一点追加して申し上げますと、私ども実は、経済産業省では、子供たちの塾の問題につきましても私たちの所管であります。したがいまして、塾で発生した事件を中心にして、この問題に対する、犯罪防止に関する閣僚懇談会というのがありまして、そこから我々に対していろいろの御指摘がありましたので、早速私は、関係省庁、つまり、文部科学省もやはりこれに対して考えがあるはずだ、警察ももちろんだ、少子化社会においての観点から内閣府も参画をしたい、こういう希望がありましたので、関係省庁の局長クラスで、また課長クラスで会議を催して、今取り組んでいるところでございます。

 そしてまた、先般は、携帯電話をつくっておられるある会社の実験でありますが、危険を察知した場合の対応ができるような子供用の携帯電話が開発されたということで、そういうお示しがありました。私どもは、これから、そうした機材も含めて、国民の皆さんの安全を確保するという面で、経済産業省に何ができるかということを真剣に考えてみたいと思っておる次第であります。

大畠委員 まちづくり問題も非常に大事なのでありますが、その以前の問題として、日本の国民の七割以上が今の日本は危険だという認識を示していることは、ぜひ、内閣としても大臣としても重く受けとめていただいて、どうするか、しっかりと考えていただきたいと思うんです。

 栃木県の今市市で小学生が殺害をされて、私の選挙区の近くで発見をされたんですね。もう既に、あれは十二月ですから四カ月近くたつんですが、今でも犯人は全く見つかっていないんです。ですから、小さな子供さんを持つ親御さんは、御両親は、みんな何でこういうことになってしまったのかなと。毎日帰ってくるのが当たり前でありますけれども、しかし、本当にきょう無事帰ってくるんだろうかという心配をしながらの昨今になっているということを考えると、私は、大臣は小泉改革云々ということではないという話でありますが、今小泉改革が掲げるとすれば、改革加速じゃなくて改革検証じゃないかと思うんですね。

 要するに、この五年間の間やってきた改革というものがどんな社会的な影響を与えたのか。国というのは経済だけで成り立っているわけじゃありませんから、文化も伝統も治安も人間も、それから地域社会のコミュニティー、家族、地域社会、全部ですから、そういう意味では、何か私は、最近の世相を考えますと、小泉内閣が掲げる改革加速というあの標語自体に違和感を最近覚えるんです。

 ぜひ、内閣の一閣僚としても、閣議の中でもそういう問題についての検証をすべきじゃないか、もしも問題点があればそれを軌道修正していく、ただ方向性を決めてどんどん加速すればいいというものではないんじゃないかと私は思いますので、この点だけは指摘をさせていただきます。

 さて、いわゆるこのまちづくり三法の問題であります。

 平成十年にこの法律を私もいろいろと審議させていただいて成立をさせたところでありますが、考えてみますと、あの平成十年にまちづくり三法の制定を行ったときに、現在のような状況というのは余り、残念ながら想定しておりませんでした。これほど町の郊外に無秩序に大規模開発が進むということは、私も委員の一人としてこの法律の審議をしながらも、まさに想定外といいますか、想定の範囲をはるかに超えた現状になってしまいました。

 この問題については、既に政府の方で、この改正作業に入るに当たって、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会、こういうところから、去年の七月にも「まちづくり推進のための新たな枠組みの構築に関する要望」とか、さまざまな要請あるいは意見が寄せられまして、今回、まちづくり三法の改正ということになったわけであります。

 私自身も自照しながら振り返ってみたいと思うんですが、あの平成十年時点でこのまちづくり三法というものをやったわけでありますけれども、一体、何が間違えていたのか、なぜ今回改正をしようということになったのか、そのことについて、率直に経済産業省と国土交通省にお伺いしたいと思います。

迎政府参考人 まちづくり三法制定後の状況につきまして、どういった点が旧来の法律において不十分だったのかという点につきましては、私どもでも審議会の審議を一年以上にわたりまして審議をいたしまして、さまざまな方からいろいろな御意見を受け、その中でいろいろな御指摘を受けたところでございます。

 基本的には平成十年から以降というのは、中心市街地がかなり寂れるような状況になったというのは、背景に、経済環境が非常に厳しかった、経済環境の中でも小売業の販売額自体、トータルがずっと八年、九年と減っていくような状況にあったというふうなことが背景にあろうかと思いますけれども、私どもの中心市街地活性化法におきましても、やはりまちづくりの観点が、旧来の法律では、市街地の整備と商業等の活性化の一体的推進というふうなことで、商業に偏っていた視点であった。もっと町トータルに、町の郊外化、人口の郊外への移動とか、あるいは公共施設の全体的な郊外への移転とか、そういったものについての対応策みたいなもの、より大きな視点でのまちづくりというふうな観点が不十分であった。

 それから、実際に、その中心市街地活性化のための施策につきましても、市町村が作成をする基本計画について、十分チェック、レビューをする仕組みというのがつくられていなかった。

 それから、先ほどの第一の点、視点が商業にちょっと偏り過ぎていたんじゃないかという点とも関連するところでございますけれども、やはり商業関係者と、それからその他の開発を手がける方、あるいは地権者ですとか、そういった町全体の関係者の連携が不十分であった。町ぐるみの取り組みというのを促すような仕組みというのが不十分だった等々の課題があるというふうに御指摘をいただいているところでございます。

 今回、私どもといたしましては、こうした指摘を踏まえまして、本法案においては、まさに都市機能の市街地への集積、町中居住の推進といった町のコンパクト化と、それと合わせた中心市街地のにぎわいを回復する、図るということで、コンパクトでにぎわいあるまちづくりというふうなものを基本的な目標として掲げたわけでございます。

 また、支援策等の仕組みにつきましても、基本計画の認定スキームを設けまして、チェック・アンド・レビューを働かせていく、それからその中で、支援策を拡充するとともに重点化を行っていく、それから町ぐるみの取り組みを促すための中心市街地活性化協議会を法定化する、こういった抜本的な見直しを行った次第でございます。

    〔上田委員長代理退席、委員長着席〕

大畠委員 いろいろとお話をいただきましたけれども、結果的には、平成十年にあの法律をやりましたけれども、想定した状況ではなく、地域からも、商工会議所からも指摘されているように、無秩序な大規模開発が増加して、社会、文化、生活、環境面、行財政面など、さまざまな分野で弊害が発生しており、構造的な閉塞感をもたらし、地域全体の危機とも言える状態に至ってしまったということは事実だと思うんですね。

 それで、これからどうするかということなんですが、では、どんな町を想定してやるんだ。平成十年もそういうことをやりましたが、きょうは片山経済産業大臣政務官、二十のときに公務員試験に通ったという話を……(片山大臣政務官「外交官」と呼ぶ)外交官試験ですか、お話を先ほど披瀝いただきましたけれども、それから、後藤国土交通大臣政務官もおいででありますので、一体これから、まちづくり三法と言われていますが、中心市街地あるいは町とは何だ、どんな概念をお持ちなのか、お二人からそれぞれお述べいただきたいと思います。

後藤大臣政務官 今委員からのお尋ねでございますけれども、(大畠委員「個人的なあれで結構ですから」と呼ぶ)はい。これまでのいろいろな町のことを考えてまいりますと、人口の高齢化あるいは減少化の中で、これまでのまちづくりというのは都市が拡大成長をするということを前提としてつくられてきていたように思います。

 そのことが高齢者にとって本当に住みやすい町であったのかとか、あるいは環境負荷についてどうなのかとか、後追いでインフラを整備していくことでコストがどうなのかとか、あるいは各種の公共的なサービスがどうだったのかとか、そういうようなことでさまざま、生活、活動、交流の場としてのいわゆる町の機能が損なわれているのではないか、そんな問題意識は私も共有をしているところでございます。

 まちづくりにおきましては、やはり都市機能の無秩序な拡散に歯どめをかけまして、地域交流あるいは地域固有の文化や歴史を大切にする、そして地域の創意と工夫を生かす、そういうまちづくりをしていくことが必要でありますし、中心市街地はそういうものでなければならない、そんなふうに思っております。

 また、都市機能がコンパクトになっていく、公共交通機関を使う、そういうようなことも含めまして、高齢者も含めてすべての人々にとって暮らしやすい、歩いて暮らせる美しい町をつくっていかなきゃいけない、そんなふうに思っておりまして、このようなまちづくりのためにしっかりとやってまいりたいというふうに思っております。

片山大臣政務官 町ということがどういうものを意味するかという個人的な感想、個人的な所見ということでございましたが、やはり町というのは人々が集い、住み、暮らす場であって、また、生活の場でもありますが、交流の場でもあるようなところなのかなというイメージを持っております。

 町が町並みという形になりますと、それに美観ですとか建設、建築的な観点も加わってくるでしょうし、まちづくりということになりますと、ただいま後藤政務官からお話がありましたように、より都市計画、都市機能構造的なお話になってきますでしょうが、町ということには多様な意味がありまして、先ほどから議論に再三出ておりますようなコミュニティーの発想がございますでしょうし、町中という言葉になりますと、ある程度、そこに必ずしも定住していなくても、雑踏のようなエリアですか、そういったものを示すこともあると思います。

 今回の中心市街地の活性化及びまちづくり三法で考えております中には、今言ったような概念もすべて含めた上で、さらに公共の交通機関などの有効な利用、それから、先ほど申し上げましたような文化、教育的な面もすべて含めて一体的に取り組んで、今回こそは中心市街地活性化を何とか成功させたいという法案になっているのではないかと考えております。

大畠委員 今お二人の政務官からお話をいただきましたが、今のイメージからすると、いわゆる大型、大規模商業集積施設というのは入っていないんですよね。やはりイメージするのは、商店街があって、学校があって、企業があって、病院とかそういうのがあって、そういうところが町というイメージなんですが、これが古来からの日本における私たちが描いている町なんだと思うんです。

 そこに突然、私たちの予想もはるかに超えるような、映画館もあれば、自動車も売っている、ラーメンも売っている、住宅の部品も売っている、そこに行けば何でもある。行ってみますと、町といいますか、巨大なショッピングセンターというのは余り私たちの概念の中に入っていなかったんですね。ところが、郊外にそんなのが出てきてしまうと、突然、私たちが考えていた町の中心の商店街関係に人が行かなくなる、とすれば当然お店が成り立たなくなる、それでシャッター通りになる。それで、さあ、大変だというのでここまで来たわけなんです。

 そのときに、かつてこの間の中心市街地の商店街の空き店舗問題について質問をすると、中小企業庁は何を言うかというと、いわゆる郊外に市民が住み始めちゃって、中心部に住んでいないから必然的に中心市街地の商店街のお店が疲弊してきたんです、同時に、その商店街の人のやる気がないから、商店主が、まあ、お店をあければだれか来てくれるだろうというので積極性がない、その二つが相まってこのような状況になってしまったんですという答弁を何回も聞かされたんです。私は、これは構造的な問題だと思うんですね。

 したがって、今回論議する上で、私たちは当然どんな町をつくるんだということを、これはオランダの発想で、まちづくりは五十年間かかると言うんですね、すぐはできない、五十年間かかる。だから、これから五十年後にどんな町をつくるかということを想定しながら、私たちは改めて軌道修正をしなきゃならないと思うんです。

 そこで、理想とする町の姿に私たちが描くのは、やはりヨーロッパの町並みなんですね。私たちも委員会の派遣とかなんかでよく行きますが、いい町だなと思います。イギリスの古い町なんかも、とてもすてきだ。ああいうところに住んでみたいとも思うし、フランスの郊外の町もなかなかすてきだ。カナダに行きましたけれども、カナダでも、なかなか立派なといいますか、重みがある町があって、住んでみたいと思う。前にも申し上げたけれども、町の中をリスが走っている姿なんかは日本じゃなかなか見られない。そういう意味では、何がどう違ってこうなってしまったんだろうかという思いを持つんです。

 一つ私たちが見落としていたのは、中小企業庁からも前に答弁いただいたんだけれども、中心部に人が住まなくなってしまった、ここのところが大きな問題だと私も思うんです。やはり、人が住んで、働くところがあって、病院があって、学校があって、役所があって、集会所等があって、そしてお店がある、これが町の姿なんだけれども、どうも、中心市街地というと、お店だけとか、企業だけというイメージなんだけれども、やはり人が住むということが大事なんだと思うんですよ。ヨーロッパの町を見ると、必ず三階とか四階には住宅があって、下の一階、二階が店舗とか企業とかが入っていて、実にそこのところはうまくコントロールされているんですね。

 ですから、私たちのいわゆるまちづくりという意味での概念というのが、従来やはり間違えていたんじゃないかと私は思うのでありますけれども、この件、自動車の普及というのも私たちの考えるテンポをはるかに超える形で進んでいます。

 したがって、これからどんな町を目指すのかということについて、改めてまちづくり三法を改正するに当たって、国土交通省、経済産業省から、目指すべき概念というのをお伺いしたいと思うんです。

迎政府参考人 目指すべき概念ということでございますけれども、まさに今御指摘もございましたけれども、従来のまちづくりというのは、人口が増加する中にあって町の拡大であったわけでございます。それと同時に、郊外の開発であり、その結果として町の郊外化というふうなものが進んできたわけでございます。

 現在、人口も、これは地域によって違いはあるわけでございますけれども、減っていく、そして、財政上の制約もある中で、既存の開発された地域のインフラというのを活用して町をつくっていくという意味におきまして、町のコンパクト化というのを図っていくことが必要なのではないか。それと合わせて、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりを図っていくというのが基本の考え方であるというふうに考えております。

加藤政府参考人 どういう町をこれからつくっていくかということについてでございますが、これは、先ほど後藤大臣政務官から御答弁がございましたように、これまでの都市の拡大成長を前提としてきたまちづくりではいろいろな問題が生じてきている。このまま放置した場合に、さらに中心市街地の衰退が進み、生活ですとか活動、交流の場としての町の機能が大きく損なわれるということが想定されるということが非常に問題だというふうに考えております。

 中でも、今先生御指摘になりましたように、町中に人が住まなくなったということも非常に、生活、活動、交流の場として中心市街地に魅力がなくなってきたということが大きな原因の一つになっているであろうと思っております。

 このために、今回の中心市街地活性化法の改正の中では、共同住宅供給事業といったような町中居住の促進のための施策も盛り込んでおりまして、中心市街地の基本計画をつくっていただきまして、その認定を条件として、町中居住を進める場合には重点的な支援措置を講じていきたいと考えております。これによって町中の居住の回復を少しでも図っていければというふうに考えております。

大畠委員 正直言って、今までの私たちの町に対する概念というのは非常に貧弱だった。部分部分ではいろいろ過去考えてきたけれども、一体どんな町をこれからは目指すのだという意味では、発想あるいは現実を通し見る力というのが私は非常に不足していたんじゃないかという反省を持っておりますし、今御答弁いただきましたけれども、ヨーロッパでは、町の中に入る自動車でもナンバープレートで制限したり、あるいは町の周辺部までは車で来ていいけれども後は公共機関使ってくれと強制的に、規制緩和じゃなくて規制強化しながら、町の中の交通システムといいますか流れまでコントロールしようとしているんですね。

 今、日本では規制緩和の大合唱ですよ、規制緩和の大合唱。だけれども規制も、きちっとしているときは規制しなければ、だから、結局どんな町を考えるのか、どんなシステムを考えていくのかという概念がないままに規制緩和をやると大混乱になるということが、今回のまちづくり三法の問題でもわかったわけですよね。

 ですから、これからやはりある程度、ある程度というか明確に、どんな町をつくるのかというのは、経済産業省も国土交通省も協力をしながら青写真をつくって、五十年後にはヨーロッパ並みの町をつくるというぐらいの決意を持って私はやるべきだと思うんですね。

 そこで、今回の法改正で一体何がどう変わるのかということについて質問をさせていただきます。

 平成十年のときに法改正をして今日の無秩序な郊外型の大規模商業施設ができてしまったんですが、今回の法改正で、例えば工場跡地の出店、あるいは農地の転用による大規模店の出店等々、こういうものに対してどういう規制といいますかフィルターがかかるのか、これについてお伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 同時に行わさせていただいております今回の都市計画法の改正では、大規模集客施設が広域的に都市構造ですとかインフラに大きな影響を及ぼすということにかんがみまして、大規模集客施設の立地可能な用途地域を、現行の六種類から、商業地域、近隣商業地域及び準工業地域の三種類に限定する。それとともに、都市計画区域及び準都市計画区域内の用途地域の指定のない、いわゆる白地地域と言っておりますが、白地地域において、大規模集客施設の立地を原則禁止することとしております。

 また、都市計画区域外でございますが、都市計画区域外におきましても都市計画の土地利用規制を行うことができる準都市計画区域制度がございますが、これの準都市計画区域制度について、農地も含め土地利用の整序等が必要な区域に広く指定できるように指定要件を見直す、それとともに指定権者を都道府県に改めることとしております。

 このように、大規模集客施設については、郊外も含め広く立地可能とされていたこれまでの土地利用の原則を逆転させ、商業地域等を除き原則立地ができないこととしております。これにより、大規模集客施設を立地しようとする場合には都市計画手続を要することとなります。当該手続を通じて、地域の判断を反映した適正な立地が確保されることになると考えております。

 また、御指摘ございました工場跡地の関係でございますが、工場跡地への立地につきましては、まず、工業地域については、今回の改正により大規模集客施設の立地を原則禁止したところでございます。なお、準工業地域については、当該用途地域の性格から新たに規制を強化することとはしておりませんが、地方都市については、中心市街地活性化への影響にかんがみまして、特別用途地区の活用を図る、それで大規模集客施設の立地規制を促進することといたしておりまして、これを中心市街地活性化法に基づきます基本計画の大臣認定の際の要件とすることを予定しております。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。農地転用とのかかわりでございます。

 当然のことながら、国民に対する食料の安定供給を確保する上で、優良農地を良好な状態で確保することは極めて重要であるというふうに考えているところでございます。このため、集団的農用地あるいは基盤整備が済んでいる農用地、こういったところにつきましては農用地区域と定めまして、農地転用を原則として認めないということとし、計画的な土地利用の推進に努めてきたところでございます。

 今回の都市計画法の改正は、農地を含めた土地利用の整序が必要な区域を準都市計画区域に指定し、大規模集客施設等の立地を規制すること等を内容としているものと承知いたしております。

 農地転用の許可に当たりましては、都市計画法等の他法令の許認可の見込みのないものにつきましては転用を認めないこととされているところでございまして、今回の改正によりまして農地の転用によります大規模集客施設等の出店は抑制されるものというふうに考えております。

 また、私ども農林水産省といたしましては、今回の都市計画法等の見直しにあわせまして、農業振興地域制度及び農地転用許可制度の適正かつ厳格な運用を進めるとともに、公共施設の整備のための農地転用を行うに当たりましても、農業上の土地利用との調整の徹底に努めることとしておりまして、改正される都市計画制度との連携を図りながら、優良農地の確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

大畠委員 これまで、大型店の出店の実態等を調べた資料もございますが、とにかく十万平米とか十九万平米とか、自動車の駐車場も大変大きなものでありますし、こういう大規模なお店の出店については農地の転用というのがすごかったんです。

 私もこの問題、農水省はほとんど、中心市街地の衰退問題については我関せずというような意識を持っておられましたけれども、皆さんのところの農地転用というのがどれほど町を壊してきたのかという話もさせていただきました。そして、農地がどんな転用をされて何に使われているのか農水省は把握していますかと言ったら、把握しておりませんと言うんだよね。

 だから、ここら辺は、今一応、外の方から明かりをともしたような感じの答弁をいただきましたけれども、もうちょっと農水省も、日本国内の農水省なんですから、農業関係だけやっていればいいというのじゃなくて、やはりまちづくり、自分たちの地域の、ふるさと自体が破壊されようとしているんですから、農地転用問題についてはもっと力を入れて、今御答弁いただいたことを徹底するように、さらに一層努力していただきたいことを要望しておきます。

 そういう意味でも、今回の法律案で中心市街地活性化協議会というものが新たに設置されることになりました。フランスでも同じようにそういうものが設置をされていまして、フランスの例では、県商業施設委員会というのがあるんですね。県商業施設委員会というのは六名で構成する、地元市町村の首長さん、それから商工会議所の代表、消費者の代表など六人の委員で、中身を精査して許認可を出しているんですね。

 注目されるのは、この新たにつくられた中心市街地活性化協議会というものでありますが、まだ詳しくは決まっていないんだというお話は伺っているんですが、ここら辺、どういう形でどう運用されるのか。特に、私は、これからのまちづくりにおいて商工会、商工会議所の役割というのは非常に重要だと思っておりますし、また、その中に市民の代表というのも入ることが大事だと思うんですね、まちづくりという意味では。

 そういう意味で、この中心市街地活性化協議会というのは、どういう形で、どんな運用をされるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。

迎政府参考人 中心市街地活性化協議会は、今回法改正で位置づけるものでございますけれども、まさに町ぐるみでまちづくりを考えていただくための組織ということでございます。

 商工会や商工会議所、あるいは商店でございますとか、そういった商業関係の商業活性化を推進される方と、それから中心市街地推進整備機構といった都市機能の増進に携わる方、こうした両方の方が必ず入っていただいて共同で組織をする。さらに、中心市街地活性化に関係する開発業者ですとか、あるいは地権者ですとか、場合によっては住民の方ですとか、それから行政なんかも含めて、まちづくりを進めるに当たって不可欠な関係者が幅広くメンバーになっていただくということを考えております。

 ここにおいて市町村がつくります中心市街地活性化の基本計画についても議論をして、協議会の意見を聞いた上で決めていただく。それから、さらに、事業の実施段階におきましても各種事業の実施の調整を行っていくということで、全体の意見の調整を図ると同時に、まちづくりの推進の中心的な役割を担っていただく組織にしていきたいというふうに考えておるところです。

大畠委員 そうすると、今のお話ですと、当該する市町村以外に、影響を受けるだろうという周辺の首長さんなんかも、この中心市街地活性化協議会、郊外に大型店なんかが進出しようとするときには、こういうところで調整あるいは規制することができると考えてよろしいんですか。

迎政府参考人 その点でございますけれども、中心市街地活性化協議会は、基本的には中心市街地活性化法の中で、市町村の単位で基本計画をつくって活性化の事業を実施していくというふうなことで考えておりますので、その活性化協議会のメンバーもそういう範囲で物事を考えるというふうなことになろうかと思います。

 ただいま先生の御指摘のありましたのは、こうしたまちづくりの推進の活性化協議会というふうなことではそういうことでございますけれども、まさに出店についてまちづくりへの影響等をどう考えるか、こういう点についての広域調整の問題かと思いますけれども、この点は、中心市街地活性化法ではなく、都市計画法で今回対処をするというふうなことでございます。

大畠委員 では、都市計画法の中で、郊外に大型店が希望してきた場合には、どういう形で調整をされるのでしょうか。

加藤政府参考人 先ほど申し上げましたが、郊外部で土地利用規制を、非常に緩かったところを、今回、原則と例外を逆転させまして、白地地域においては大規模集客施設を原則禁止すると申し上げました。そういうことで、都市計画区域の外の準都市計画区域においても、これまでは一の市町村が指定をするという、どちらかというと非常に狭い範囲でしかできなかったことでございましたけれども、先ほど農水省さんからもお話がございましたように、この指定を、農地を含めたより広範囲な範囲で、都市計画区域の外であっても、準都市計画区域を広範囲にかける。

 その際に、市町村ではなくて、指定権者を都道府県に改めるというお話をさせていただきましたが、その中でも、同様に、大型集客施設の立地制限がきくということになりますものですから、大型集客施設に限って見れば、これまでのような非常に広範囲な、かなり自由に立地できたものが制限をされるということになるものと考えております。

 ただ、当然、地域の判断で、みんなで都市計画を変えてここに立地をさせようということになりますれば、それは都市計画手続を踏んでいただいて、都市計画決定をして立地を可能とする、こういうふうな考え方で整理をしております。

大畠委員 わかりました。この法律がどのくらい効果が出るのか、そこら辺はしっかりと私も検証をさせていただきたいと思います。

 あと二つほどお伺いしたいと思うんですね。

 今度はこの法律案に直接絡むものではありませんけれども、一般的にヨーロッパの町並みの美しさは、看板とか広告類が非常によく規制されていてきれいなんだけれども、美しいところに突然ぱたぱたぱたっと看板があったり、非常に日本の場合には自由になっちゃっているんですね。

 それから、建物の色も、奇抜なピンクとか赤とか真っ黒とか、きょうはたまたま服が違っていましたからよかったんですが、町並みというか、そういうものについても、目に触れるものは公だと言うんですよね、フランスの、ヨーロッパの感覚は。自分のうちだから何色に塗ったっていいというんじゃなくて、目に入るものは好きでも嫌いでも目に入っちゃうんだから公だということになって、ちゃんと規制をしているわけですが、これからはそういうことも私は必要なんだと思うんです。

 いずれにしても、現在の一番の町の悩みは空き店舗等々でありますから、今ヨーロッパでもタウンマネジャー制度というものを導入して、空き店舗があればそこにだれを入れるか、あるいは、もうやめたいんだという人には相談に乗って新しい人を入れるとか、大体、年間三千万ぐらいの予算をかけてタウンマネジャーを要請して、町並みをそろえているということですが、これについてはどういうふうな形で取り組もうとしているのかというのが一つ。

 それから二つ目には、チェーン店とかコンビニが町の中で非常にふえているんだけれども、商工会議所とか商工会に入らないし、あるいは商店会にも加入しない、なかなか町の連帯がとれないんだという話が出ていますが、こういう意味で、中心市街地に指定された地域の商店街、中小企業は、商工会議所、商工会に入るという加入義務づけもこれから必要になってくるんじゃないかという意見が出ています。

 それから、コンビニの二十四時間営業に対しても、本当に必要なのか。夜中の一時、二時、三時まで、だって、そこがまた犯罪の温床にもなったという、犯罪の温床というよりも、犯罪を生むところにも使われたことがあるという過去の事例もありますし、国道筋なんかは一つのニーズがあるでしょうけれども、二十四時間営業については許認可制にしたらどうかという意見もございますが、ここら辺を含めて御答弁をいただきたいと思います。

望月政府参考人 タウンマネジャーのお話がございました。

 これは、こういった中心市街地の活性化の際、あるいは商店街の活性化の際に、大変重要な役割だと思います。今でも、空き店舗の地権者を一軒一軒回って熱心に独自の構想で粘り強く協力要請を続けているようなタウンマネジャーもおられますので、そういう方々をこれからも大いに活用していかなきゃいけない。

 したがって、先生おっしゃいましたように、町に常駐して、そういうことを含めてまちづくりに専念するようなタウンマネジャーについて、今度の法律のもとで、私どもは活動経費などについても補助できるような仕組みを盛り込んでおります。

 コンビニの話は、ちょっと省略します。

迎政府参考人 まず、チェーン店とかコンビニが商工会議所、商工会へ加入するという問題について、加入を義務づけるというふうなこともございましたけれども、そもそもこういうのは自主的団体でありますから、加入を義務づけるみたいなことをしては、組織の本旨が損なわれるものであるというふうに思っております。

 ただ、一方で、こうしたお店につきましても、地域に存在する以上、地域との協力をきちっとやっていく、いろいろな催しに協力をするとか、いろいろな地域での事業に積極的に取り組むというふうなことは、まさに事業者の責務ということで取り組んでいただきたいということでございまして、法律にも、具体的に第六条で、事業者の責務というふうな規定を設けたわけでございまして、こうしたものを踏まえて、ちゃんとやっていっていただくよう、私どもも促してまいりたいと思っております。

 それから、コンビニの二十四時間営業につきましては、過去に犯罪があったとか、あるいは青少年のたまり場になったとか、あるいは、お酒、たばこを青少年がそういうところで買ったとか、いろいろそういうふうな問題が起きたこともございます。

 したがいまして、そういった状況を解消すべく、セーフティーステーション・トライアル活動というふうなものを日本フランチャイズチェーン協会において取り組んで、警察庁等とも共同して、私どももこういった取り組みを支援したところでございまして、実際に多くの成果を上げてきておりまして、最近では、消費者の方なんかにアンケートをいたしますと、深夜において必ず電気がついていて逃げ込む場所にもなるというふうなことで、逆に、防犯に役立って安心だというふうな評価もふえているやに聞いております。

 したがいまして、引き続き、こうした防犯ですとか、あるいは地域の安心ということのために評価を受けるよう自主的に取り組んでいくということについてバックアップをしていきたい、こういうふうに思っております。

大畠委員 これで質問を終わりますが、ぜひ、大臣を初めとして、しっかりとした、ヨーロッパに負けないようなまちづくりに向けて邁進していただきますよう要請して、質問を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、橋本岳君。

橋本委員 自由民主党の橋本岳でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきましてありがとうございます。

 さて、早速入りますけれども、中心市街地活性化の問題を考えるに当たりまして、大規模ショッピングセンターというものが、一つ、ある意味、天敵のような扱われ方をすることがあります。必ずしもそうでない面もあると思いますし、そういう面もあるかとも思いますが、いずれにしても、町がにぎわっていくというものを今後どうつくっていくかというときに、逆に、わっと人が集まるショッピングセンターというものを参考にする点もあるだろうと思うわけであります。

 何で大規模ショッピングセンターに人が集まっていくのか。例えば、お店がたくさんある、品ぞろえが幅広い、何でもそろう、あるいは最新の商品もそろっている、御飯も食べられるし、映画も見られるし、駐車場も広いし、そこで一日過ごせる、ある意味でコンパクトシティーができちゃっているわけですよね。

 ただ、それが、要は流通事業者の方で実現をしているのか、あるいは、中心市街地というのを考えた場合では、それを要は町の人たちが協力をしてみんなでつくっていこうかと、そういうような違いというものがあるかと思うわけであります。

 それを中心市街地で実現するためには、例えば、お店がちゃんと魅力ある商品、品ぞろえを持って、そんなに、ショッピングセンターみたいに何千人とか何万人も集めることはないけれども、きちんと個々のお店がお客をつかんでいる、あるいは、地権者、土地を持っていらっしゃる方が、きちんとお店をお店として価値を持つ、高めるように努力をされているかどうか、空き店舗として放置をしていくなんということは、そういう意欲、意識が問題になってくるんではないかと。

 あるいは、いろいろな施設がその中心市街地にちゃんとぎゅっとあるということは、例えば自治体の施策として、例えば公共施設が郊外に移転するだとか、病院だとかそういうものも出ていくようなことは、そういう逆行するようなことはないように、しっかりとそれを調整していかないといけなかったと。

 そういう意味で、みんなでそこの町を盛り上げていくんだという協力体制が大変重要でありまして、中心市街地を活性化するために、国があるいは自治体が旗を振って頑張れと言うことは、悪いことだとは思わないんですけれども、何よりも第一に、その中心市街地に暮らして、お仕事をされている、商売をされている方々、あるいは、そこの土地を持って左右することができる地権者の方々とその地域の自治体の方々みんなで、夢と明るさと希望を持って、前向きになって、まず自分たちの店をどうにかしていきたい、それからこの町をどうにかしていきたい、そういう、お一人お一人がまず活性化して、元気になって、その中で、では、この町をどうしていこうかという、協力をして取り組んでいくというそういう思い、元気、やる気みたいなものが大変重要なんじゃないかと思うわけであります。

 例えば、ここはちょっとまちづくりと離れるんですけれども、日本一明るい経済新聞というのがありまして、大阪の方でこういうペーパーをつくっていらっしゃる方がおられる、この間、お話を伺ったんですけれども。例えば中小の、いろいろな方々、企業の方々でも、いろいろなアイデアを出して工夫して、元気に取り組んでいるんだ、そういうのを集めた新聞などがあって、こういうのも大変いいことだなと思っております。

 あるいは、元気とかいう意味であれば、先ほど達増議員が、おられないな、達増先生がマーケットとバザールというお言葉でおっしゃりたかったことも、ある意味で、お金のやりとり、経済原理で動くというだけではなくて、感情、やる気だとか、例えばビンテージ物にすばらしいと思う心だとか、そういうようなものも大事にしていってほしいということではないかと私は思いました。

 私の地元、倉敷におきましても、商店街があって、人通りはやはり少し減ってきている。そこで、月に一度、三斎市という朝市をわっと開いて、いろいろな人に集まってもらおうという思いを持って努力をして取り組んでいる。そういう努力もしていますので、二階大臣初め、政府の方々、きょうお越しの委員の方々にも、ぜひ、御家族、御友人、御後援の方なども引き連れて、倉敷に遊びに来ていただきたいと思っているわけでありますけれども。

 まあ、宣伝はそのぐらいにいたしまして、何が言いたいかといいますと、要は、こういう市街地の町の活性化の主役というのは、何よりもその町に住んでいらっしゃる、その町にかかわっていらっしゃる人々が一番の主役である。国は、行政は、その方々の思いを受け取って、支援すべきところ、頑張ろうとしている人たちにどう支援をしてあげるかというところがポイントとなると思いますし、今回の法律の改正におきましても、要はそういう、大臣はよく選択と集中という言葉をおっしゃいますけれども、そういう意味で、しっかりと受け取る、思いを受けとめるべきところを受けとめて支援をしていこう、そういう方向に転換をされていくのが今回の法律の改正なのかなというふうに理解をしております。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、今申し上げましたようなことにつきまして、特に、その地元の、地域の方々の元気、熱意、そういうものが大変重要である、大事であるということにつきまして、大臣から一言御答弁をお願いしたいと思います。

二階国務大臣 橋本議員は、過去には三菱総研やあるいは大学で御研究等をなさっておられたわけでありまして、そういう見地からも、今、御提言のありましたこと、大変参考になる御意見であったと思っております。

 また、倉敷にも御招待をいただきましてありがとうございました。機会があればぜひ、あの倉敷の町並みというのは、観光地という面からとらえても、あるいはまた美術館等におきましても、他を圧しておる、そういう感じで、かねて敬意を表しているところでございます。

 今、議員御指摘のように、私は、何といっても、法律も大事であることには違いありませんし、政府がこうしたことにバックアップをするということ、これも重要な要素でありますが、何としても、その地域の方々が周りの皆さんと一緒に協力して、この町を立て直そう、この町を魅力ある町にしようという気概がなくてはだめだと思うわけであります。

 先ほど大畠議員からもしばしば御指摘のあったように、ヨーロッパの町並み等、私も若いころヨーロッパに最初に参りましたときに、本当にヨーロッパの人々が花を愛する気持ち、それは、日本人の場合にはすぐ塀の中で、花の首でもちぎられては困るという気持ちがあるのか、内向きに何でもやるわけでありますが、ヨーロッパの皆さんは、お向かいの人に、お通りがかりの人たちに、どうぞごらんくださいという形で極めて前向きに取り組んでおられる。その姿を見ておると、しかしそれは、半年や一年でそんな町ができたのではなくて、やはり三十年、五十年の歴史や伝統や、あるいはまたその地域の文化の水準、そうしたことからああした町が象徴的に誕生してきたんだ、また、音楽あるいは小説や絵画や、いろいろな面でも進んでおります伝統がああいう結果をもたらしているのではないか、こう思うわけであります。

 また一方、商店の場合などを考えてみますと、何が一番売れるのか、何が消費者の皆さんが期待を込めておるのかということに対して、私は、にぎわっている町とそうでない町とに、やや失礼ながら、差があるのではないか、こう思うわけであります。

 例えば、はやっております店の前を通りますと、必ず、陳列の飾りつけでもしょっちゅう変わっておるわけですね。そしてそれは、ウインドーショッピングという言葉があるように、みんなそこの前を通りがかるだけでも楽しいわけなんです。ほとんど人が寄りつかないような、そんなに繁盛しているように見えないような店の陳列というのは、決まって、一月の月も二月の月も三月の月も、同じ物が同じ形で並んだままになっておって、だれもその店に立ち寄っている姿が見えないというような店もありますね。

 だから、そういうものを政府が幾ら補助金を出して、あるいは、私も若いころ県議会でそういう問題を扱っておって、地域の要望を受けて、スズラン灯をつくりなさい、こういうことでありまして、スズラン灯を、少ない予算でそうしたものをようやくつくった。店がどんなに繁盛しているかと思って見に行ってみますと、夜七時が来れば店は閉まっております。それで、スズラン灯だけが光っております。これでは全く、言葉は悪いですが、誘ガ灯じゃないかと。お客はどこにも入っていきようがない。そういうことで、これは単なるミスマッチというのかどうか、本当にもう一度商店街の皆さんにも、これを指導するというふうな立場にもしあるとすれば、経済産業省を初め、政府も考え直さなくてはならない点があるのではないか。

 ですから、私は、この法律ができたからといって、それだけで商店街が活性化するとは思えないということをしばしば発言させていただいているのは、特に嫌事を言っているのではなくて、そういうことに対して今からみんなで心の準備をしようではないかと。

 それで、私は経済産業省の幹部にもしばしば申し上げておるのは、指導するというふうな立場に立つのではないと。あなた方は過去、きょうまでの間に何を売って、何を商いして、何か経験があるのかと。何の経験もほとんどないんですね、学校を出て役所に入ってずっとして、お勉強はよくできたかもしれないが。そういう面では、やはり、町の商店の人たちの知恵、そして経験、そうしたことを我々が謙虚に学んで、そこから対策を講じていくべきではないかというふうに思っておりますので、私も一生懸命、商売、商店街、こういうものに対して改めて勉強したいと思っておりますが、どうぞ委員も、たくさんの御経験を積んでおられるわけですから、いろいろな御提言をちょうだいしたい、そのことを期待して、答弁といたします。

橋本委員 大臣、ありがとうございました。

 まさに本当に今おっしゃったような形で進めていただきたいと思っております。では、移っていただいて構いません。

 では、これから、今大臣がおっしゃったような、あるいは私が申し上げたようなことで、中心市街地の活性化というものがきちんと運営されていくのかということを、各論についてお伺いをいたします。

 まず、今回の改正によりまして、中心市街地の活性化の基本の計画を自治体がつくる、それを国が認定を行うということになっております。その認定をするしないという基準をぜひ教えていただきたいと思います。特に、今地元の方々のやる気という話をしましたが、そういうものを判断するようなことになるのか、あるいはそれをそいでしまうようなことがないのかという点についてお伺いできればと思います。

迎政府参考人 まさに地元の各地域の事情はさまざまでございます。したがいまして、地域の主体である関係者が一番事情をよく知っておるわけでございますから、そういう中でいろいろアイデアを出して基本計画というのをつくっていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。

 一方で、その基本計画を認定するに当たっては、したがいまして、むしろ実現可能性、きちっとそれが実現をされるものなのかどうなのか、こういう点を中心にその認定をしていくことが適当であろうというふうに考えております。

 まず、その一つには、やはり計画をつくる以上、それが達成されているのかされていないのかがわからないような抽象的なものでは困るので、きちっとした客観的な目標を掲げてやるものであること。それから、やはり地域の関係者がみんなそれに賛成をしていて、みんなで取り組もうというふうなものになっているということ。それから、事業の中身としても、要するに、商業の活性化ですとかあるいは市街地の整備とか町中居住ですとか、いろいろなそういうものが整合的に行われるものでなければいけない、ばらばらの方向を向いているような事業が並んでいるというふうなことでは効果も上がりませんので。

 そういった観点から認定を行うということを考えております。

橋本委員 では、認定については、そういう整合性だとか、あと、目標がきちんと具体的に評価できるようなものになっているか、そういう外形的な面についての認定であるということと承りました。

 また、この認定につきまして、一つ、いろいろな懸念がされている中で、小さいところの自治体、あるいは小さい市街地について切り捨てられるのではないかということを御心配されている向きがあります。

 中心市街地の問題を検討した資料を拝見すると、例えば静岡とか鹿児島、地方都市としてはそれなりのちゃんとした規模がある町の話が出ているわけですけれども、もっと小さいところでもきちんとこれは認められるのか、あるいは、自治体の中で、合併によって、昔は中心だった、今はもっと大きな町にくっついているけれども、そういう取り残されたようなところもあるわけですが、そこは頑張ろうと、意欲を持って取り組んでいるところについてきちんと認定いただけるのかどうか、お伺いします。

迎政府参考人 この点につきましては、規模によって小さいところを除外するとか、こういったことは考えておりません。ですから、ある程度大きな規模の町はそれに即した計画を、それから小規模な市町村であればそれにふさわしい実現可能性のある効果的な計画というのをぜひつくってきていただきたいということでございます。

 一方で、やはり支援を行うに当たっての効率というのはございますので、今つくってあるものが全員そのままオーケー、こういうことでは、まさに重点的な支援を行って成果をはっきり上げるというのにはそぐわないわけですけれども、その場合に、その大小で切り捨てるとか、こういうことは全く考えてございませんので、私どもとしては、できるだけ多くの市町村が認定を受けられるような計画をつくっていただきたいと考えております。

橋本委員 ありがとうございます。

 では、もう一つ認定について。

 今、元気という言葉がありましたけれども、そういうところはえてして個性的なわけでありまして、よそと違うところをやろう、うちはこういうふうにやるんだ、よそは全然ほかのことをしていないけれども。そんなところもあるわけだし、逆に言うと、そういう意気込みがあるようなところの方がむしろ元気だったりする。

 国が認定するということで、ちょっとそういう個性的な取り組みみたいなものをそいでしまうんじゃないかというような御懸念をされる向きもあるようでございますが、そういう事業内容の画一化につながらないかどうか、そういう点についてひとつお願いします。

迎政府参考人 まさにそういうことになってはいけないわけでございまして、地域の置かれた状況、あるいはその持てる資源等は本当に二つとして同じところはないというふうなことであるわけでございますので、まさに地理的、自然的、文化的な特色を生かして、まさに各地域が、日本でここしかないというふうなことで、そういう意気込みでその計画をつくっていただきたいということで、我々は、何かそのアイデアについてよしあし、こういうふうなことよりも、むしろそれが実現可能性、実効的なものかという観点を中心にその認定を行う、チェックを行うというふうなことでいきたいと思っております。

橋本委員 ありがとうございました。

 では、続いて中心市街地活性化協議会について幾つかお伺いをいたします。

 その町の方々がまちづくりに取り組む場として、中心市街地活性化協議会というものが今回の改正によりまして新たに定められたところでありますが、これまで、現在の法律におきましてもTMOが規定をされておりまして、そこで取り組んでいこうという一つの方針があったわけですけれども、従来のTMOと今回規定される中心市街地活性化協議会がどう違っているのか、新たにその協議会というものがどう関係するのか。

 特に、最初に申し上げました中で、地権者の方々をどう取り組んでいくかというのが大変重要だと思うんですが、そういう点も踏まえて、どう違っているのか、新しいところは何なのか。それから、あと、これまでTMOで取り組んでいた方々が、どうその協議会とかかわってくるのか。この点につきまして教えてください。お願いします。

迎政府参考人 従来のTMOというのは、中小小売商業高度化事業を総合的に推進する者という法律上の位置づけでございまして、各地の商工会議所なんかがこの役割を担ったりしておったわけでございますけれども、新しい中心市街地活性化法におきます中心市街地活性化協議会においては、基本的に、経済活力の向上のための事業を推進する者と、それから都市機能の増進を推進する者と、両方が必ず入っていなければいけない。

 さらに、この両方を核として、まさに御指摘のありましたような地権者の方ですとかその開発を手がける方ですとか、あるいは公共団体、場合によって住民の方とか、その関係の方に広く入って御議論をいただき、あるいは事業の推進についての調整をしていこうというのが、その新しい中心市街地活性化協議会であるわけでございます。

 今までのTMOはどうなるのかということでございますけれども、まさに今まで現行法に基づいて商業の活性化に取り組んでこられたTMOというものは、新しい法律の中心市街地活性化協議会の経済活力向上を推進する者という役割において、新しい組織に参加をして、ぜひ中心的な役割を担っていっていただきたいというふうな期待をしておるところでございます。

橋本委員 では、関連して、現在、経済産業省さんはTMOを支援するような施策に取り組んでおられると思いますが、今回の法律の改正後もそれは引き続き行われるのか。例えばタウンマネジャーさんの活動費の支援なども行っておられると思いますけれども、こちらについてどうなのか。ちょっと時間も限られておりますので、簡潔にお願いできればと思います。

望月政府参考人 新しい体制の中でも、戦略的中心市街地商業等活性化支援事業を金額的に大分拡充しておりますけれども、その中で、タウンマネジャーの活動経費を従来以上にきちっと手当てしていこうというふうに思っております。

橋本委員 この中心市街地活性化協議会というのが、実は、住んでいる方々、関係する方々が集まって協議をするまさに中心的な場になるんだろうと私は思っておりますけれども、一つの提案というか何というか。

 これまでの現行の計画の一つの問題としてそういう例もあったということで、自治体が、要は、地域、そこに住んでいる方々の意向だとかニーズだとかを余り踏まえないで、むしろ自治体がこういう事業をやりたいから中心市街地活性化のスキームを使ってというような思いで計画をつくられたようなこともあったんじゃないかと思うわけでありますが、実際、やはり申し上げていますように、その場でやる気がある人がいて頑張るというところが、本来その始まりであるべきであろうと思うわけであります。

 例えば、その中心市街地活性化協議会がまずできる、やりたい人たちがつくる、その方々が例えばどこからどこまでを中心市街地にする、そういう区画の設定をする、あるいはどういう計画をつくる、案というような主体として中心市街地活性化協議会が働くべきではないかと思うんですが、この提案につきましてコメントをお願いします。

迎政府参考人 今の御提案は、要するに、基本計画か何かをつくる前に、むしろその中心市街地活性化協議会の方が先にできて、その提案に基づいて基本計画が出てくるのが望ましいんじゃないかと。

 まさにそういうふうなものも、関係者の意欲という意味でいいと思いますし、それから、一方で、やはり市町村が主導になって、市町村がいろいろアイデアを出して、それに対して、ではみんなでやろうということで活性化協議会ができてくるというふうなケースも、これは地域によってさまざまだと思いますけれども、新しい法律においては、中心市街地活性化協議会が最終的には、その地方、市町村が基本計画を作成する際にはそこできっちり意見を言っていただくということで、自治体とそれから民間の関係者のコンセンサスがきちっととれたものとして認定に出していただく。それから、事業実施段階においても、各種事業、公共的な事業あるいはいろいろなプレーヤーの事業、民間の事業というのが整合的に実施されるように、協議会の場で調整をしていくということを期待しておるところでございます。

橋本委員 あと二つ質問を予定しておりますけれども、まとめてさせていただきます。

 一つはまず、第十五条の七項という協議会の話の中で、独立行政法人の中小企業基盤整備機構、それから民間都市開発推進機構にいろいろ協力を求めることができるというふうなことが書いてありますけれども、これらの独立法人が協議会に支援を行うということのその役割と、そういうニーズというものが把握されているかどうかということを、今、経産省さんですので、中小企業基盤整備機構につきましてお伺いしたいというのが一つ。

 もう一つ、協議会がいろいろな取り組みをします。それがほかの地域にも参考になることもきっとあるでしょう。そういった取り組みの水平展開についてぜひ支援をされるべきではないかと思いますが、以上二点につきまして、まとめて御答弁をお願いします。

望月政府参考人 基盤整備機構の役割でございますけれども、中心市街地の活性化につきましては、基盤整備機構の重要業務の一つになってございまして、これからも一生懸命やっていきたいと思います。

 大きな点、二つだけ申し上げますと、一つは、自治体と民間事業者が一体となって取り組むまちづくり事業に関しまして、資金面での協力などを行っています。例えば、九州の諫早市とか日向市など、商業施設の魅力と機能を高めるためのハード整備に要する資金を商業者等に提供して、空き店舗の減少や来街者数の増加に今つながって成功している例はございます。

 それから、外部の専門家を使いながら、地域のまちづくりプランなどを総合的に診断をして、実効性を高めるための助言などもやっておりまして、一番典型的な例は、瀬戸市などで、空き店舗を利用した商店街の陶芸ギャラリーについて、常設展の出展者を入れかえる仕組みなどを助言し、地域のコミュニティーづくりに貢献をしたり、松江市で、高齢者に特化した商店街への見直しをすべきだという助言をいたしまして、にぎわいの改善に寄与しております。

 この中小企業基盤整備機構は、今九つの支部をつくって、人員の半分以上を地域に配置をして、こういった相談に乗っているわけでございます。

 済みません、次の成功事例、ちょっと簡単に。

迎政府参考人 まさに中心市街地活性化を推進していくためのアイデアを得るという意味で、成功している地域の事例を学ぶというのは非常に有効な方法であろうかと思っております。

 私どもでは、これまでシンポジウムを開催するとかワークショップを開催する等々で成功事例の紹介に取り組んでまいりましたけれども、現在は、これは大臣の指示によりまして、まちづくりに頑張る商店街百選というふうなものを早急につくって、こういったものも情報の提供として役立てていただきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。

 引き続き、こうした形でのサポートというのには力を尽くしてまいりたいと思っております。

橋本委員 ありがとうございました。

 水平展開につきまして、ぜひ、展開されるもとの、要は最初にやった、取り組んだところも何がしかメリットがあるようなことを御検討いただきたいと思っております。

 大臣の御答弁もいただきましたし、地域の方々が盛り上がって思いがあるところをしっかりと国としても支援をしていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

石田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十二分開議

石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松原仁君。

松原委員 まちづくりの中心市街地における整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律、こういったことであります。

 既に大分質疑もされてきているわけでありますが、従来行われてまいりました中活法というものがやはりこの議論をする前に総括をされなければいけない、このように思っているわけであります。これに関しての総括、簡潔に、どういうふうに総括をするか、お伺いいたします。

迎政府参考人 これまでの中心市街地活性化施策についての総括という意味では、私どもも審議会を開いてレビューをしてまいったわけでございます。結果として、一部についてよくなった中心市街地もあるわけでございますけれども、総じて言えばみんな厳しい状況にある。

 今まで、基本計画をつくってそれに対する支援をやってきたわけでございますけれども、たびたび申し上げておりますように、商業に偏っていた、まちづくり全体についての一体的な施策とあわせてやる、特に、町中居住を推進する、あるいは都市機能を中心部に集積する、こういった施策と一体的な施策が必ずしも十分に講じられていなかった、そういった点がるる指摘をされてきておるところでございます。

 したがいまして、今回、法律を、中心市街地活性化に関する法律ということで、まちづくり全体と一体的に振興を図っていく体系に直した、それから、市町村の計画につきましてもチェック・アンド・レビューの仕組みをつくる、それから、政府全体として一体的に支援をしていく体制をつくるというふうなことで見直しを行った次第でございます。

松原委員 もうちょっとさわりだけでよかったのでありますが。

 従来の中活法の成功した事例、なぜそれを成功と判断したのか、まずこれをお伺いいたします。

迎政府参考人 成功した事例、失敗した事例があるわけでございますけれども、成功したような事例という点でいいますと、やはり市町村の計画自体が郊外開発の抑制策と一体的になっていたとか、あるいはコミュニティーの魅力向上に向けて関係者が一体となって取り組んだ、あるいは商店街、商業者の取り組みというものに顧客、消費者ニーズの実現に向けた努力を傾けたというふうなことが見られるかと思っております。

 逆に、失敗の事例というのはその裏返しでございまして、言うなれば、商業活性化策は講じている一方で、病院ですとか大学といったような都市機能を郊外に移転させる、あるいは一方で郊外の住宅開発なんかを盛んに進めている、果ては行政機関なんかも中心部から郊外の方に移転している。そういう中で、商業だけ何かしようといってもなかなかうまくいかない、あるいは十分な関係者の一体的な取り組みがなされていないとか、こういうふうなものではなかなか効果が上がっていないという事例が結構ございます。

松原委員 今、成功事例、失敗事例もまた別個質問しようと思っていたわけでありますが、そこまで御答弁いただいたわけであります。

 成功事例としては、郊外にさまざまな人の流れが、出るのを抑制したと。しかし、私はそういう分析では不十分だと思うんですよね。成功事例の方の中には、病院その他こういったものをそのまま都市の内部に温存した、そういうのが成功事例、こういうことでよろしいんですか。

迎政府参考人 そういうふうなことだけが決め手ではございませんけれども、一体にそういうものについて郊外に移転する、例えば建てかえる際に広い場所を求めて郊外に移転するというような事例が結構日本国じゅう多く見られて、そうしたものは集客、実はたくさんの人が出入りをしていて、そういうものの移転に伴ってその周辺の人通りが激減をしたというふうな事例は多々見られるところでございます。

 その意味において、そういう考え方を、早くからコンパクトシティーというふうなものを打ち出したようなところで、比較的中心市街地のにぎわいで頑張っているという地域も見られるということでございます。

松原委員 コンパクトシティーの成功事例としてどういうものがあるのか、また、その成功の理由としてどういうものがあるのか、分析をお伺いしたい。

迎政府参考人 例えば、明示的に市の取り組みとしてコンパクトシティーというふうなものを早くから打ち出した例として有名なのは青森とか、こういう例でございます。

 これは、実際に市が郊外に発展をしていくということで行政経費がかさむという問題意識から、早くから郊外部の開発を抑制するというふうな政策をとっておりまして、それだけではございませんで、それと同時に、町中の活性化についても比較的積極的に一体的に取り組むという体制ができていたということもあって、類似の都市に比べて中心部のにぎわいというのを維持しているというふうな例かと思います。

松原委員 都市のにぎわいと行政との関係、行政がそこにあるかないか、行政の意思決定権があるかないかということと都市の成功事例との間に相関性はあるというふうに御認識はありますか。

迎政府参考人 ただいま申し上げましたように、やはりまちづくりでございますので、行政のまちづくりについての考え方、これは非常に重要な要素だと思います。ただ、行政だけでできるものではなくて、実際にそこで事業を営んでいる商業者の方とか、こういった方の取り組みというふうなこともあろうかと思います。

 それからまた、やはり地域の購買力というのはその地域の経済力と当然比例するわけでございますので、与えられた条件に応じてうまくいく例、そうでない例、こういうことはあろうかと思いますけれども、ただ、やはり行政が一つ大きな役割を果たすものであるというふうに考えておるから、まさに今回の中心市街地活性化法でも、基本計画をつくるのは市町村である、ここが中心になってまちづくりを考えていっていただくというふうなことを期待しておるわけでございます。

松原委員 ちょっと質問の趣旨が間違って伝わったようでありますが、私は、成功事例としては、県庁所在地が成功事例としてあるというのがさまざまなデータから明らかであって、私が今行政と言ったのは、行政の計画でどうだということについての行政の評価じゃないんです。中活法が成功している場所というのは行政の、県庁所在地が多いんじゃないですか、県庁所在地はほぼ失敗しないで成功しているんじゃないですか、こういうことを聞いているんですが、いかがですか。比較論ですよ。ほかと比べて。

迎政府参考人 その点でございますけれども、今青森を例に挙げましたけれども、例えば近くの県庁所在地でもかなり中心部のいわゆる空洞化みたいなのが進んでいるところもございますし、それから県庁所在地でないところでも、例えば滋賀県の長浜市ですとかあるいは飯田市ですとか、そういったようなのが成功事例としてよく引かれるわけでございますので、県庁所在地なり行政機関があるなしが決定的な要因であるというふうなことでは必ずしもないんではないかと考えております。

松原委員 決定的ではなくても、私は、そこが一つのポイントにあるのではないかという気がしてならないわけであります。

 このまちづくりの従来の中活法が不十分だったのは、商業に偏っていたというふうなことをおっしゃいました。つまり、商業に偏るまちづくりではなく、にぎわいを回復するためには商業以外の要素も入れてまちづくりをやろう、これが今回の新しい中活法の根本にあるんだろうというふうに思っているわけでありますが、その中で、やはりまちづくりの哲学というものが大きくポイントとして挙げられるだろうというふうに思っているわけであります。

 このまちづくりの哲学というのは、大変にざくっとしておりますが、大体、どういうふうなイメージ、どういう哲学なのか、お伺いしたいと思います。

迎政府参考人 まちづくりの哲学というふうなことになりますと、まさにまちづくり、どういう形でやっていくかというのは、その地域の歴史ですとか伝統ですとかいろいろな資源ですとかを踏まえて各地域でいろいろ考えていっていただきたい、こう思っているわけでございます。

 それから、生活の場として、コミュニティーとしてどうやって再生していくのか、こういうふうなことは、国が基本的に何か哲学を示して画一的な方向にというのではなくて、基本は各地域でお考えいただきたいんですけれども、ただ、全体を通じて私どもとして問題意識として考えているのは、まさに人口がこれから減少する社会に転じていく、それから地方の財政という問題も今後大変重要な問題になっていく、そういう中で、総体として言えば、やはり、これまでの地域の都市の拡大というふうなフェーズから既存インフラの活用という方向に変わっていくことが一般的には求められていくんだろう。

 そういうことで、まさにコンパクトなにぎわいあるまちづくりというのが国の方でお示しした一つの哲学であるということでございまして、そういうのを踏まえながら、各地域でそれぞれの状況を踏まえておのおのの地域のまちづくりのあり方というのを考えていただきたいということでございます。

松原委員 今のではまちづくり哲学というのがよくわからぬわけですよ。にぎわいをつくればいいという、それはにぎわいは結果としてついてくるわけですよね。商業の繁盛ということも当然必要でしょう、物販が、売れるとかそこにたくさんの顧客が買いに行くとか。それは一つのそういう側面も出てくるわけですが、にぎわいを持たせるとかそこにある商店が活性化するとかというのでは、それではまちづくりの哲学とは言えないと思うんですよね。

 それぞれの地域の歴史、伝統を大事にするというのは、それは一つの柱にはなると思うんですよ。しかし、私は、やはりそこに一つの考え方というのがなければいけないと思うんですよ。

 歴史をひもとくと、昔、アレキサンダー大王というのが紀元前の時代にいたわけでありますが、歴史の授業をするわけじゃありませんが、アレキサンダー大王というのが、アレキサンダーの名前を冠したアレキサンドリアという町をたくさんつくった。この町の特徴はどういう特徴だったか、簡単にお伺いしたいと思います。

迎政府参考人 私はこの方面を余りよく存じませんけれども、御指摘のありました人工都市のアレキサンドリアというのをつくる場合には、アクロポリスというふうな神殿と、それからアゴラという広場、市場をつくって、これを中心ににぎわいが生じ、そこに文化が芽生えた、こういうふうな都市であったと承知をしております。

松原委員 これ、非常に勉強していただくと、私も一緒に勉強しているわけでありますが、このアクロポリスとアゴラがあった。古代のギリシャにおいても、アテネを見てもアクロポリスの丘というのがあって、その下にアゴラというのがある。

 アゴラというのは、そこで例えば有名な古代ギリシャの哲学者のソクラテスが出てきたりプラトンが出てきたり、あるいはアリストテレスが出てきたりするわけでありますが、アゴラというのはどういう施設だったか、お伺いしたい。

迎政府参考人 アゴラというのは、広場があって、そこでいろいろ人が集まると同時に、そこに市場ができて、商業機能もあったというふうなことだと聞いております。

松原委員 つまりそれは、言ってみれば、今の言葉で言えば中心市街地である、こういうことですな。

 恐らく、僕はイメージとして、そこで単に商品の売買をするというだけではなくて、そこでにぎわいがある、それが極めて重要な要素だと思うんですよ。だから、商業施設だけでということではなくて、古代ギリシャのアクロポリスとアゴラというのは、アゴラという場所に人が集まって、雑踏があったわけですよ。それは、アテナイの人口というのはせいぜい三十万とか四十万ですからちっちゃいですけれども、そこに人が集まって、そしてさまざまな議論をした。もちろん政治の議論もあっただろうし、その当時の社会においてさまざまな、あの時代にはあの時代の工場もそれなりにあったわけです、その生産技術の議論もあったし、また哲学の議論もあったし、さまざまな議論が行われた。そういうふうなイメージというのは、私は、今回の中活法を考える上で一つのイメージになると思うんだね。

 大事なことは、アリストテレスの時代から、人間というのはポリス的動物であるというふうなことを言っている。つまり、そういった都市国家において、会話をするところによって、それで人間の精神的な営みがなされる、こういう話がなされていたわけでありますが、ここで、そういったイメージが中活法に必要だろうと私は思っております。

 いわゆる今言ったアゴラみたいな発想、このアゴラみたいな発想というのをどうやって今の都市の中に生かすか、私は、実はこれはキーワードだと思っているのであります。

 最近の女性の社会科学者で、アーレントという女性の社会科学者がおられるわけであります。このアーレントが、さまざまなことを言っているわけでありますが、人間のさまざまな行動を三つの分類をしている。一つが活動、一つが仕事、一つが労働、こういうふうに言っているわけであります。

 このハンナ・アーレントの活動というのが、これは、人間がお互いに会話をする中で、お互いに満ち足りた時間を持つ。物を買って、その物の使用価値を味わうだけで喜ぶわけではなくて、人間というのはそれぞれ自己実現があるわけですから、そういった意味では、このアーレントが活動というふうなことを言った。この活動の中に、彼女が言うには、これがなかなか読みづらいのでありますが、私的な生活では味わえない公的な幸福というものが出てくる、こういうふうにハンナ・アーレントは書いているわけであります。活動は言葉を伴う営みであり、他者の存在を不可欠の条件とし、活動の目的はさまざまであるが、その過程で行為者は自分自身を発揮して、卓越への欲求を充足させる、このことによって人々と公的な事柄がかかわり、その中で語り合い、そして語り行為する喜びのために集会に参加したりする、こういうようなことをアーレントは言っているわけであります。

 社会学的、心理学的に言うと、これが実は一番人間の喜びになっているだろうというふうなことを言われているわけでありますが、彼女はそれを古代ギリシャのポリスの中におけるアゴラにおける人の語らいにしたというふうに言っているわけであります。私は、こういうふうな物の見方というのがやはりベースになければいかぬのではないかというふうに思っております。

 また、社会科学者のハーバーマスという人がいる。これは何を言ったかというと、彼は、公共の会話というのは極めて大事だと。彼らの議論というのは、例えば今風に言えば、環境問題や人権問題、難民問題、こういったものをさまざまカバーするNPOやNGOというものの活動がある、そういった活動が行われ得る場所、そこに個人が社会の公共性に自己のかかわりを持つような場所がある、そこにやはり一つのにぎわいがあるというふうなことを彼は言っているわけであります。

 私は、こういう社会学的なアプローチというものを、やはり中活法を考える場合、これは経済産業省がやることかどうかちょっと極めて微妙で、縦割り行政だと一体どこがこれをやるのかというのは非常に難しいのでありますが、こういう社会学的なアプローチというものがなくて、単ににぎわいがあります、単に商業地の繁盛だけを目指しますというのでは、私は、まちづくり哲学というのにしては余りにもそれは浅薄ではないかと思うわけであります。

 こういう社会学的なアプローチ、心理学的なアプローチ、こういったものについては、どういうふうにされたのか、していないのか、この辺をお伺いしたい。

迎政府参考人 私ども、法案を検討する際におきまして、産業構造審議会の流通部会、中小企業政策審議会の合同会議を開きましたけれども、そこの中にはこうした社会学を御専門にするような方には入っていただいておりませんで、今お伺いしたような社会学的アプローチについては、明示的に御議論をいただく機会はございませんでした。

 ただ、基本的には、各地域の活性化の取り組みの中で、まさに人の集まる場所あるいは人が集会をするような施設というのをにぎわいの再生のために整備するというふうなものも計画の中に入れておるところもございますし、それからまた、今御指摘のありましたようなNGOの活動によって中心市街地の活性化を図っていこうというふうな取り組みもございますので、今回の中心市街地活性化において、ただいま御指摘のございましたような視点でいろいろな活性化の取り組みが行われていくというものはこの法律の視野に入り得るものであるし、国としてもいろいろ支援する手だてというのはあるのではないか、こういうふうに思っております。

松原委員 私が最初、冒頭聞いたのは、従来の中活法は、はっきり明言はしなかったけれども、成功はしていなかったというのは明らかでありまして、やはりそれだけでは都市の魅力というのは不十分なんです。都市の魅力というのは、もちろん買いやすさ、便利さというものはあるけれども、それだけではない。なぜ今大規模店舗に人が流れるのか。大規模店舗の中には、別段そこには語り合う場所はないわけであります。安い商品を買える、極めて便利に買える。しかし、その土俵で戦って、それは中活法が復活を目指す商店街、市街地の中心にある商店街にしても市街地そのもののにぎわいにしても、そういう土俵で議論していたら活性化なんかするはずは全くないわけであります。

 そうではなくて、全く違う要素、さっき私は古代ギリシャのアゴラということをあえて申し上げた。そういったところに人が集まってきて、そして、いわゆる会話と購買、物を買うという行動とそして会話をするという行動が一くくりの中でにぎわいが発生したんだと。それは、例えばどこかのデパートに行って、そこで会話をしながら買うということも時にはあるかも知れないけれども、基本的には、たくさんの雑多な人が入ってきて、全くその商品とは違う会話もするとか、そういうふうなことは実際デパート等では考えられないわけであります。それができるような都市の設定をするというのは極めて大事であって、そういったことを議論としてしなかった。イメージとしてはそういうものもあるというふうな中途半端なことじゃなくて、きちっとそういうものも明示的に、目的的に議論の中に入れてその都市のまちづくりの哲学というものを構築しなかったら、私は、今回のこの中活法だって失敗しますよ。そこのきちっとしたアプローチがなければ絶対失敗する。それは一部のお金が行って多少商店がよくなるところもあるでしょう。しかし、根本的な部分で、そういう安直な考え方でやっていたら私は成功しないと思うんです。

 だから、そういうアプローチを今からどう入れるかといったらなかなか大変かもしれないけれども、しかし、イメージとしてそれをまず、具体的にできることとできないことは行政の中でありますよ。しかし、それを入れなければ私は所期の目的も達成できないと思うんですが、片山さん、何か意見があったら言ってください。

    〔委員長退席、上田委員長代理着席〕

片山大臣政務官 御質問いただきありがとうございます。

 きょうは本当に、午前午後とも大変勉強になるお話をいただきまして、私、浅学非才なものなので、大変勉強になって、ありがとうございました。

 今デパートのお話、大型店舗のお話も委員からちょっと伺ったんですが、私の知人に松岡という、商店街や商社の機能、問屋の機能、そして小売店の機能を分析している者がおります。アナリストとしては相当名の売れた人物でございますが、今、産業再生機構で執行役員で、ダイエーの再建を担当しております。彼が、日本においては、過去三、四十年の間に、デパートやある種の大型店舗というのは、まさに今委員がおっしゃったような一定の人間の語らいの場所になっているという説を唱えております、そういう論文や文書もございますので。

 やはり、人間の生活パターンが変化していく中には、大型店舗であり、あるいはショッピングセンターであり、それが一概に、全くコミュニティー的な、人間が本来持っている、先ほどおっしゃった活動、仕事といった原初的な欲望の中での行動学、人類行動学や社会学と全く不一致なものなのかというと、そういうことではないと思います。

 また、近年において、車社会そのほか、人間の行動パターンを大きく変えるような技術の変化があったわけですから、それを考慮に入れた上で、今後、中心市街地、商店街をどうやってつくっていくかというようなことを、今回、先ほど政府参考人の方から申し上げました二つの審議会の部会ではかなり議論していったんです。

 それが、多分委員におかれましてはそこのレポートもお読みいただいていると思うんですが、精神的な哲学に高められているかどうかは、私どもとしてもそこまでの御評価をいただいているとは必ずしも思いませんが、ある程度、現在において、中心市街地や商店街が置かれている状況、それから周辺にできた郊外店舗が社会において果たしている役割というものを見据えながら、今であれば先ほど申し上げたような基本理念の言葉になってしまうのかなというような感想を私としては持ったところでございます。

松原委員 片山さんは極めてブルジョアですから、ブルジョアというか、いいところにしか行かないんだと思うんだな。町のスーパーというのは、そんな語り合いをするような雰囲気じゃないんですよ。それは一部のデパートは、高級なデパートとかそういうのは別ですよ。やはり最近は、そういう語り合いの場をつくるように大規模店舗もしていますよ、それがわかっているから、そういう何か空間をつくったり。

 しかしながら、やはりそういう要素を加味したものがなければ、中心市街地の活性化というのは私はなかなか難しいと。それは、別に精神的なというか、一つの具体的な意識づけの中でそういうのがやはり企画なり計画に入ってくるということは、私は極めて重要なことだと思っているんですよ。

 やはり、商業だけに偏っていては今までの中心市街地の活性化が不十分だったという反省があるならば、今言った部分が、要するに物を売り買いする商業的な要素のプラスアルファのところの、人と人とが語り合うというよりは、もうちょっと前向きなイメージで、そこにだから今言ったNPOやNGO的なものもどんどん入ってくるような、そういうイメージの、そういうのをきちっとやろうということを目的的に示す方が中心市街地の活性化にはつながるというふうに私は思っておりますので、ぜひともそういったこともこれからのこういう計画には考慮していただきたいと思うわけでありまして、二階大臣の御所見もお伺いしたい。

二階国務大臣 大変幅広いお立場から、これからの中心市街地の活性化について示唆に富んだ御意見をちょうだいしました。

 私どもは、単に商店街が繁栄するために何をすればいいかということで法律が、一応現行法に比べて少しは前進を見た、こういうつもりでありますが、今のような幅広い観点から、歴史的、文化的な立場からも、商店街の活性化ということに関してはもっともっと研究を深めていかなくてはならないということを、今議員の御提言を伺いながら拝聴しておりました。

 私たちは、そうした面も十分銘記しながら取り組んでいきたいと思っております。

松原委員 そういう一つのまちづくり哲学については、やはり明快な哲学を持つべきだということをまじめに、真剣に考えてもらいたい。

 そして同時に、今の商店街、実際どこの商店街もそうでありますが、シャッター通りというか、こういったものが大変に広がっているわけであります。シャッター通りの商店街、暗い暗やみがあるような商店街というのは、どんな繁栄しているような商店街においても、極めてそういったものは散見しているわけであります。

 そういうところに言ってみれば空き地があいているわけでありますね。空き地といってももちろん所有者はいるわけでありますが、そういったシャッター通りの空き地というものが、きちっと商業施設がそこにできるかどうかというのは、一つの商店街のにぎわいから考えても極めて重要だと思うわけであります。

 個人が所有していて何も使っていないシャッター通りになってしまっている場所、もしくはあいた土地になっている場所、そういったものについて、今回の新しい中活法の中において何か具体的な取り組みの要素とかイメージとか、そういったものがあるのかどうか、お伺いしたい。

迎政府参考人 まさにおっしゃるとおり、一つの商店街の中で、あるお店がシャッターがおりているというふうな状況になりますと、これは、そこの部分のみならず、全体のにぎわいとか集客とか、そういう点でマイナスになってくるわけでございますので、そこの部分について、やはり、自分が店を閉めたからもうそれはそのまま置いておけばいいというふうなことでは、商店街全体としてなかなかうまくいかないわけでございます。

 したがいまして、今回は、そういったあいた店舗についていろいろ活用するという取り組みは、商店街活性化の中でいろいろ行われております。公共機関で買い上げてそこに新たな集客の施設をつくるとか、あるいは、あいた店舗をNGO等が借りていろいろな活動を行うとか、そういったことで、今までも、私ども、そういったものについても各種の支援をやってきておるわけでございます。

 さらに、今回の法律では、中心市街地活性化協議会というふうなものを設けて地域の関係者のコンセンサスを図っていく、これが一番重要であるということで、商業関係者のみならず地権者等も入って、そこの場で活性化のあり方について御議論をいただく。今おっしゃったような、自分では活用していないけれども不動産を所有しておられる、こういった方にもしっかり御協力をいただくような仕組みをつくっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

松原委員 土地を所有している人が、そういったことで協議会に出てきたり、具体的に前向きに検討してもらえればそれはそれでいいわけでありますが、そういった方が全くそういう前向きではない場合、これはもう、憲法で個人の所有権というのは極めてきちっと保護されているので、なかなか手を突っ込めない。

 しかし、私もある場所で存じ上げているんですが、ある駅で、そこの前に巨大な土地があって、その土地がずっと長い間開発されなかった、ずっと暗やみだった。そのことによってやはりその町の発展というのは随分おくれたのではないかという声が上がったりしたのもあったわけですよ。結果的にそこはまた変わったわけでありますが。

 やはり、十年、十五年、土地はだれのものかというと、個人のものであると同時にこれは極めて公共性が高いわけでありますので、そういった意味で、果たして今言ったことで、協議会をつくって、そこに所有者が出てきてもらえればいいですよ。具体的に前向きにやりましょうと言えばいいですよ。しかし、そういったことに前向きな所有者が出てこない、そういった場合に、土地所有者に対して、制限というと言葉は非常に難しいですが、何らかの措置がとれるような、そういったところまではさすがに考えない、そういうことでしょうか。

    〔上田委員長代理退席、委員長着席〕

加藤政府参考人 私権制限のあり方については、先生今おっしゃったとおりに、憲法上の問題でありますとか個人の権利の問題等々がございますので、これはさきの審議のときにも二階大臣から、慎重に検討する必要があるというお話があったと思います。

 ただ、実際上、今先生お話があったように、空き店舗とか空き地を有効に活用するというのは、私ども国土交通省としても非常に重要だというふうに考えております。

 この空き地の利用を見てみますと、全国的な事例を見てみましても、例えば、空き地、空き店舗の地主、家主に対して、まちづくり会社ですとか信用力のある第三者がまちづくりの方向性に沿った新たな利用形態を提案したり、転貸を仲介したりしている事例、これはかなり成功している事例も見受けられます。そのほかにも、大規模店舗が撤退して解体された後の更地を地方公共団体がオープンスペースとして活用する例、こういった例も見られるところでございます。

 したがいまして、今回の改正案では、まちづくりを行うNPOなどの非営利法人も、市町村が指定する中心市街地整備機構の対象として、信用力のある第三者が点在する空き地を広場とか駐車場として有効利用する制度を創設する、あるいは、やる気を持って主体的に取り組もうとしている市町村に対しては、まちづくり交付金の拡充ですとか、新たに創設します暮らし・にぎわい再生事業などの予算措置を講ずることとしております。

 ほかにも、税制上の措置でありますとか、先ほど来経産省の審議官からお話ありますように、中心市街地活性化協議会を制度化しておるところでございまして、これらの措置を通じて、空き地、空き店舗が中心市街地において有効活用されるよう、むしろ支援策の充実を図って応援していきたいというふうに考えております。

松原委員 今回、例えば郊外の店舗について規制を加えるというようなこともまた出てくると思うわけであります。

 私がいただいた資料を見ますと、世論調査では、さまざまな世論がありまして、特にこの日経調査、平成十八年二月二十日のものでは、大店舗の郊外出店規制については、市街地の活性化を目指す改正案について「反対」「どちらかといえば反対」というのを合わせると六五%であると数字で上がっているわけですね。これは調査室からいただいたものでありますが、しかも、逆にこれがまた景気への影響をマイナスとするという回答が三二%、プラスは二三%、こういうふうなことがある。これは恐らく消費者側の世論調査だと思うんですね。いわゆるこの世論調査で出てくる数値、こういった法改正に対して「どちらかといえば反対」まで含めると六五%というのがある。これは恐らく、消費者の方は、先ほど片山さんが言ったようにモータリゼーションが進んでいますから、そういうふうな一つの流れがもしかして阻害されるんじゃないか、こう思っている人もいるわけであります。

 私が言いたいのは、それはそれとして、やはり郊外のそれをある程度抑制することも必要だろうというのは議論としてわかるんですね。であるならば、逆に言えば、こちらの中心市街地の中における土地についても、これもある種の規制ですから。ですから、私はそこに、いや、うちはここで二百平米、真っ暗な、夜になると電気もないような暗やみだけれども、おれの所有地で、そのうちもうちょっと都市が活性化したらどこかに売ろうと思っているんだとか、いろいろな発想があるかもしれないけれども、そういうものをやはりある程度使わせる。それに対して、私的所有権に関してというのは大変難しいですよ。しかし、一方においても、それは同じように規制なんだから、外に対する規制があるんだったら、中に対しても、有効活用しなさいよという、ある程度そういう物の考え方というのはやはりないと、なかなか本当の意味での活性化というのは難しいんじゃないか。もちろんそれでもそれなりの効果はあるかもしれないけれども、決定打のところがやはり抜けてしまう可能性もあると思うんですよ。

 だから、そういうこともぜひともどこかのタイミングで検討せざるを得ないんじゃないかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西野副大臣 大変示唆に富んだ御提言だというふうに思います。

 例えば、確かに町並みの中でピンポイントで空白地がある、あるいは空き店舗があるということは、その町並みの活性化に大変な悪影響を与えていることも事実であります。しかし、現実がそういうことになっている、そういう場合に、ある意味では私権というものがあるわけですが、何か方法はないのか、こういう御質問だろうと思います。

 例えばそれを信託にして活用させてもらうような方策をその所有者に対して持ちかけることをするとか、それは単体ではなくて、例えば地域の活性化協議会なり、そういう地域の団体的なものから町並みの形成のためにアプローチをかける、そういう方策は検討ができるのではないかというふうに思いますが、たまたま所有権等々もございますから、その私権をこのために制限するということはこれまた難しい問題がありますから、今申し上げた一つの方法があるのではないか。いわゆる信託とか、あるいは協議会とかそういう団体を通じて、組織として地域のためにお願いに上がる、そういうことはあるいはできないのか、そういうことも検討してみたいというふうに思います。

松原委員 土地はだれのものかというのは昔から議論があって、土地は、例えばここはだれだれの土地だといって、一億年前からその人間の土地じゃないわけです、そんなものは、はっきり言って。せいぜいこの三百年ぐらいだね。もう五百年さきになったらだれの土地なんというのはないわけです。最初に来た人間がおれの土地だと言ったら、その人間の土地になっているんですよ。

 だから、私は、土地の所有というのは本質的に、やはりそれは、イギリスなんかに行くとそういった日本的な所有権がないとかいろいろな話があったりするけれども、やはり土地というものに関して、おれの土地だ、おれの土地だ、何言っているんだと。まあ民族の土地というのはあるかもしれないけれども、しかしながら、だれだれの土地というのはせいぜいこの四百年、五百年の話ですよ。

 そういう中で考えたときに、やはりある程度、特に中心市街地のようなこういったもので、国のお金も使って、さまざまな法のメリットも使って、そこを活性化しましょうというときに、やはりそこについての公共性というのは極めて高いと思うんですよ。

 日本の場合はどこか一軒家があかないと道路も三十年動かないとか、一軒気合い入れてどかないとというのは、これも公共性のないこと甚だしい議論で、それをもうそろそろ、まだ日本も高度上昇しているときはいいけれども、こうなってきてそんなことをやられても困るわけですから、この辺の公共と私権との関係というのは、特に今回の中括法に際してもきちっとやはり考えていくべきだと思うんですね。そのことはぜひとも頭に入れていただきたいと思います。

 実際、私の大田区なんかでも、田園調布の方に行くと、建物も、ある程度以上の高さはいけませんとか、こういった刺激的な色を使ってはいけませんとか、かなりそれはある意味で制限ですよ。別に日本の国の法律でそうなっているわけじゃないでしょうが、地域がそうしないと黙っていないから、結局つくる人間はそういう制限を甘んじて受けているわけですね。

 やはり、そういうことも含め何らかの措置というものが、そうしないと、都市がなかなか魅力のある都市にならないわけですね。

 ヨーロッパの方には景観に関してさまざまな決め事をしているところがあるということでありますが、これについてのサンプルというか事例を御紹介いただきたい。

片山大臣政務官 事務方が答える前にちょっと、今調べているようですので。

 私の知る限り、私は昔フランスに二年間住んでおりましたが、パリ市内では条例及び条例にもなっていないようないろいろな決め事がございまして、まず、多くの通りでは建物の高さをそろえております。また、建物の壁の色が、これはオスマン公爵、十九世紀のですか都市づくりをほとんどパリでやった方ですが、の時代ぐらいに恐らく固まったものと思われますが、白というのですかベージュというのですか、ホワイトグレー、オフホワイトというのですか、あの色に統一しております。それから北欧、オランダ等でも、都市により、あるいは都市内の区域により一定の色を塗り分けている例が幾つかございます。

 詳細はまた政府参考人の方から追加があると思います。

加藤政府参考人 諸外国における良好な景観を守るための仕組みについてでございますが、イタリア、フランス、ドイツ、いろいろなところでいろいろな取り組みがなされております。

 例えばドイツですと、全国土を対象としてFプランとBプランというのがございまして、その中で景観の観点も含めて各種の規制が行われております。イギリスにおいても土地利用のマスタープランというのがございまして、ディベロッププランという名称でございますが、そこですべての開発行為を個別に規制いたしております。その中で景観の観点からの必要な判断も行っておる。それぞれお国柄によりまして、フランスでは例えば風景法といった法律もあるようでございますが、いろいろ先進的な取り組みがなされているところでございます。

 ただ、我が国におきましても、平成十六年六月に国会で景観法というのを成立させていただきまして、十七年六月に施行になっております。

 具体的には、この景観法の中で、地域におけるいろいろな建築物のデザインですとか高さですとか、地域の景観上重要な建造物を利活用して全体として景観を向上させていこうという施策がもう既に取り入れられておりますので、この利活用を図ることによって、中心市街地だけでなくて、必要なところではその景観が維持保全、それを町の活性化に利活用できるように、こういう観点から引き続き公共団体に必要な応援を行っていきたいというふうに考えております。

松原委員 私がきょうこの質疑の中で二つポイントとして申し上げたかったのは、一つはまちづくりの哲学というところで、それはそういう今まで蓄積されたノウハウですよ。西洋流かもしれないけれども、一つの都市づくりのノウハウというものがある、哲学がある、考え方がある。そういうふうなアプローチというものは、やはりこれは少なくともよく研究しておく必要がある。私は、そういったものがあって検討してこのアクションプログラムを進めるのと、なくてやるのでは全然違うだろうというふうなことが第一点ですから、よくよく、西洋のそういったものも含め、もちろん東洋にもあるんだろうけれども、やはり西洋のそういったものは今の社会の中でかなり浸透している文化のあり方ですから、研究をしてほしいというのが第一点。

 それから二つ目は、やはりある程度のこういった強制力というものは、少なくとも郊外に立地することに対してももちろん強制力でそれをある程度するわけですから、これに関しては、そういったものをきちっとやってこの中活法を活用しなければなかなか所期の目的は達成できないんじゃないかと私は思うので、こういった二つのことをぜひとも大臣も頭の中に入れて今後は検討していただきたいと思います。

 最後に、大臣のこの中活法によるにぎわいのある都市づくりに対する御決意をお伺いして、質問を終えたいと思います。

二階国務大臣 松原議員から大変幅広い御意見をお述べいただき、まさに傾聴に値する、こういうことで先ほどから伺ってまいりましたが、今後、今御指摘のような点について、私ども経済産業省だけではなくて国土交通省も含めて、幅広く政府の関係省庁が研究をしていく課題の一つであるというふうに思っております。

 また、強制力の問題でありますが、そうしたことが直ちに実行できるようなことであればもっと日本の国土の進展のために役に立つ、あるいは、道路、鉄道、いろいろな事業を展開していく場合でも、個人の主張によってなかなか解決を見出せないような場面がしばしばあるわけでありますが、こうした問題につきましては、御提言を十分踏まえて、今後においてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

松原委員 以上です。終わります。

石田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 きょうは、国土交通省の方にもおいでをいただきました。もう衆議院の方は通過をしておりますが、都市計画法の改正について、中身と今後のスケジュールについて幾つかお尋ねをしたいと思います。

 先ほど松原議員が、世界史からにぎわいまちづくりということを御議論されていました。私は、少し日本史も入れながらやりたいと思いますが、ぜひ、現実的な議論、この法律が成立した後のそれぞれの地域でまちづくりがよりにぎわいを取り戻せるように対応したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、冒頭お尋ねをしたいのは、都市計画法の改正で、いわゆる大規模集客施設の立地の規制ということで、一万平米ということで基準を区切りました。しかし、これは、いわゆる一万平米未満ということで、未満の場合はある程度今のように自由に対応していいよ、超えた場合、規制をするよということであります。

 例えば連続をして九千九百九十九平米の、いわゆる大じゃありませんから中規模集客施設になるのかもしれませんが、例えば連続して三つとか五つとか計画をしたような場合、これは規制の対象から外れるんでしょうか。

和泉政府参考人 一万平米未満であれば規制の対象から外れます。

後藤(斎)委員 ということであれば、外れるということですから、この一万平米というものが正直言って余り意味を持たないものになるのかなと。

 これは、別の委員会、農林水産委員会の方でも議論をしているいわゆる直接所得支払い、経営所得安定対策のときにも、都府県では四ヘクタール、北海道では十ヘクタール以上の認定農家に直接支払いを土地利用型はするよというのと全く同じでして、やはり、それが連続して一万平米以下ということであれば、そこの法の趣旨が非常にあいまいになるというのが一点。

 そしてもう一つは、例えば、今区画整理事業をやっている幾つかの市町村、計画をしている市町村が多分あると思います。既に今、国と計画を事前協議したりというものがあります。

 参議院の方はまだ通っておりませんですよね、ですから、通って施行日が決まって一年半たって周知期間的なものがある。計画をしていたけれども、この法律はどこかで線を引かなきゃいけない。そのときには、三万平米以上の大規模集客施設があるというときに、都市計画法が改正した後、例えばもう協議中、今後も計画があるという、どこで線を引いて一万平米を超える大規模集客施設を規制するんでしょうか。

和泉政府参考人 まず、先生の前者の方の御質問にお答えします。

 非常に難しい御質問でございまして、なかなかすっきりとした答弁はできないわけでございますが、今回の改正は、先生御案内のように、中心市街地の衰退の大きな原因の一つである郊外部における大規模集客施設の立地を用途地域によって全国一律に規制する、こういったものでございます。したがいまして、規制対象となる施設の面積を決める必要があるわけでございまして、それを今先生御指摘のように一万平米と決めた。今先生が御指摘になった問題、九千九百九十九平米、こういった問題は必ず起こるとも断定できませんが、また必ず起こらないとも断定できない。裏返していえば、論理的にはその可能性は否定できない、こういったものでございます。

 したがいまして、先生の御指摘になった問題が生じるおそれがある、あるいはそういった問題が起きて現に中心市街地の活性化の観点から問題が起きている、こういった場合が生じれば、地方公共団体において、地域の状況に応じて、さらにきめ細かな規制を行うことができます特別用途地区とか地区計画とか、あるいは当該地域が白地地域であれば特定用途制限地域、こういったものを活用して総合的に対応していただくというようなことで、公共団体とも十分連携してまいりたいと思っています。

 ただ、今回の改正案が国会において可決いただきまして施行された暁においては、先生の今御指摘になったような問題が本当に起こるのか起こらないのか、あるいは起こった場合に今私が答弁したような方法で公共団体が十分な対応ができるのか、こういったことについては真摯に見守って、その上で、十分対応できないということがあれば、さらにきっちりとその制度の見直しについても検討していくという心構えでしっかりと対応してまいりたい、こう考えております。

加藤政府参考人 お尋ねの、現にいろいろ計画といいますか進捗しているプロジェクトと施行期日との関係でございますが、今回の改正は大規模集客施設の立地について制限を強化するものでございますので、既に土地を確保して出店準備をしている事業者について、その既得の権利の保護にも配慮して、適切な周知期間として、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲で政令で定める日ということにいたしております。

 その際に、既に進捗しているプロジェクトに対して施行になった後の適用関係についてどう考えるかというお尋ねでございますが、この建築規制については、建築基準法三条第二項により、規制の施行の際、「現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物」である場合には当該規制を適用しないこととしておりますので、今回の改正法の施行までに工事に着手しているということであれば、今回の改正による大規模集客施設の立地についての制限は受けないということになると考えております。

後藤(斎)委員 さらにちょっと確認をしたいんですが、その点については、例えば、まだ建築に着工していないけれども、一応市なり県が審査中だというものについては、それはどうなるんでしょうか。それも切るんでしょうか。

和泉政府参考人 単純に審査中とか建築確認をとっているだけではだめでございまして、新築について言うと、建築している。じゃ、どこで建築を切るかということでございますが、従来の解釈でいえば具体の工事。建築というのは、例えば、契約をして、建築機械を現場に運んで、さらには資材を持ってきてと、そこまでじゃだめでございまして、実際に基礎の根切り工事とか、物をつくるということに着手したそれ以降のものについては不適用になる、こういったことでございます。

後藤(斎)委員 わかりました。

 ただ、先ほども御答弁いただいたように、多分、これは法律が正式にスタートした時点で、いろいろな角度からさらに検討していただく点がたくさん出てくると思います。その辺は、柔軟というか法の趣旨にのっとって、バランスよくぜひ対応していただきたいという御要望を申し上げたいと思います。

 次に、中活法に入る前に、いわゆるこの中活法、仮に基本計画が認定をされ、それぞれ例えば経済産業大臣が支援事業を決めるという際にも、自己資本というものが当然必要になってまいります。

 よく言われているように、一番補助率が高いのは三分の二ということで、かなりほかの事業に比べれば補助率が高い事業が、今回の特に戦略的中心市街地商業等活性化支援事業なんかはそういう仕組みになっています。

 その前に、やはりそこのにぎわいを取り戻せるかどうかという、商業者、小売業であるとか卸業の方が、本当に資本力が、例えば平均で大体四億円くらいを念頭に置いていますから、半額補助であると二億円自己調達をして事業を実施しなければいけないということになります。

 まだまだ、大臣も御案内のように、地方の特に中小企業は、貸し渋り、貸しはがしというものに大変御苦労なさっている製造業者の方、また小売業の方がたくさんいらっしゃいます。

 まず、その辺の実態について簡単に御説明をお願いしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の地域における資金繰り状態につきましては、一九九七年の金融危機時に最悪の事態に陥りまして、金融機関の貸し出し態度が急激に悪化をして、いわゆる貸し渋り、貸しはがしといった現象が起こりました。その後数年間、厳しい貸し出し態度が続いていたことは事実でございます。

 今回の景気回復局面におきましては、中小企業についても、全般的には借り入れ難易度が金融危機以前の水準へと回復しつつございまして、マクロで申し上げれば、ようやく厳しい状況を脱却しつつあると言えます。

 もっとも、相対的に見ますと、小規模企業ほど思いどおりの借り入れがしにくいという傾向がございますし、企業規模による差異が見られるということも事実でございますので、ミクロではまだまだいろいろな問題を抱えているところがあるということであろうかと思います。

後藤(斎)委員 また、小売業とメーカーの間では、いわゆる手形のやりとりというものもまだまだございます。特に、先ほど長官がお答えいただいたように、確かに改善傾向にあるものの、特に小規模の事業者、零細の方と定義をしていいと思いますが、思いどおりに貸してもらえなかったという企業は大きな企業に比べてはるかに多い比率になっている。これも中小企業白書にもありますように現実であります。そして、多分この数字よりもはるかに、いわゆる都市と地方という、地方の部分では、これが如実になっているというふうに思います。

 一昨年の資金調達環境実態調査を見ると、そんなでもないというような感じがあるんですが、手形というのは、実際、銀行からすぐ融資が受けられない場合、同業者同士等でやる場合が当然多いわけなんですが、この手形も最近ちょっとずつ減っているというふうな話も、これはどちらかというと経費削減のために、換金の、かえる手数料を少しでも経費削減の部分に回していきたいというようなことがありますが、実際、金融機関からこの手形決済自体を拒絶されたり割引率の引き上げを要求されてやめたという方も、東京商工会議所の二〇〇三年四月に行った調査では、当時まだ一六%ほどありました。

 この手形というのを今経産省としてはどんな位置づけで見て、これからどんな変化をするのか、ちょっと簡潔にお答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 実は、全国の手形交換高というのは、バブル期の九〇年の約四千八百兆円をピークに減少の一途をたどっておりまして、現実には二〇〇五年、最近では五百二十九兆円ということで、一方的に減少して、九分の一まで減少しているというのが実態でございます。

 この要因といたしましては、もちろん、バブル崩壊後の企業間の信用力の低下から、手形決済から現金決済にシフトする動きというのがあるのも事実でございますし、また、手形発行時にかかる印紙税を初めとした事務コストの軽減のために、手形発行をやめて振り込みを利用する企業が増加したというような、さまざまな要因が考えられるわけでございます。

後藤(斎)委員 そしてもう一つ、前回のときにもお伺いをしましたが、いわゆる売り掛け債権担保融資保証制度、これは鳴り物入りで結構やったんですが、まだ目標が明確ではなかったものの、一兆円を若干超えたくらいというのが実態であります。それ以外に、在庫担保融資であるとかいろいろな融資の仕組みが、少しずつですが日本の中でも出ています。ただ、ウエートを先ほどの実態調査で見ると、まだまだ大変低いのが現状であります。

 やはり、後で議論させていただきますが、この中活法で、いわゆるやる気がある経営者の方がたくさんそろっても、その資金繰りが十二分になければ、やはりギブアップをせざるを得ない。それは全体の、そこの町並みのにぎわいを取り戻すことにはならないという負の循環になるというのが多分あると思います。

 多分、江戸時代に城下町をそれぞれのお殿様がつくったときには、絶対的な権力で、ここはお寺の通りだ、ここは八百屋さんの通りだ、ここは魚屋さんだよといろいろな形でつくって、確かに一部、今観光地でいろいろな部分できれいだなというところも、そういうふうな時代に強制権力を持ったある一人の方が指示してつくったものが、たくさんまだ日本でも残っています。今そうできないから非常に苦しんでいるというのはよくわかりますが、たくさんの、いわゆる昔、つい五、六年前までは、この売掛金担保が国会でいろいろな議論をされるまでは、ほとんどが土地担保というものを前提にしながら、土地本位制の中で金融機関もやっていた。それが、すとんとバブルの崩壊で落ち込んで、皆さんが本当にすさまじい、厳しい思いをしたという現実なんですが。

 これからは、もっと売掛金だけではなくて多様な資金調達というものも含めて体制づくりをしないと、今回の中活法の改正もある意味では絵にかいたもちだというふうに思うんですが、多様な資金調達というあり方について、どのようにお考えでしょうか。

望月政府参考人 デフレ経済の長く続いた反省で、自分の事業と直接関係のない不動産価格の低落によって自分の信用力が減ってくる、こういう事態は変だという前提に立って、過度に不動産担保に依存した金融システムというものを直すべきであるということは、これはコンセンサスになりつつあるんではないかと思います。

 私どもは、政府系金融機関とか、あるいは政府が究極的には関与しています信用保証制度だとか、そういうところで先駆的に、できる限り不動産担保に依存しないような融資制度というのを取り込んでまいりましたし、先生御指摘の、売り掛け債権の担保融資保証制度などもその一環でございます。

 おかげさまをもちましてそれも徐々に浸透しつつありますし、それから、民間金融機関のサイドでもそういったことについて反省の機運が出てきておりまして、不動産担保に過度に依存しない融資制度の仕組みというのも、民間ベースの知恵でも開発しつつあることも事実でございまして、私どもは、こういった動きをさらに一層加速すべく、万般の政策をとってまいりたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 ただ、長官、今のような流れだとは思うんですが、特に今、いわゆる大手銀行、都市銀行と言われているところは、財務内容もよくなって、むしろ一番地域に密着をしているはずの信用組合とか信用金庫よりもはるかに安い利率設定をして、今もう、東京を中心に、東京から地方の中小企業、少し元気のいい中小企業に直接行って融資をまとめてと。ですから、地方の金融機関、一番地元の商店街や地域の企業に密着しているはずのところのいいところをがさっととっている、これが実際、実態でございますよね。その点については、どういうふうにお考えでしょうか。

望月政府参考人 私の所感から申し上げますと、金融機関同士の競争について、なかなか申し上げにくいところではございますけれども、借り手の立場から申し上げれば、本来的に言うと、不動産担保などに過度に依存しない融資というのは、中小企業の信用力あるいは事業内容についての目きき能力のある方が安定的な融資をしていただくということが借り手から見ればありがたい話でございまして、そういった能力は、相対的に見れば地域の金融機関の方が密着しておりますから高いわけでございまして、そういった意味で、私どもは地域金融機関に期待するところが大でございます。

 そんな中で、メガバンクが収益を上げようとする、しなきゃいけないということで、中小企業向けの融資を拡大する。これは一般的にはいいことで、歓迎でございますけれども、その際に、やっていただくのであれば、安定的にかつ目きき能力を本来発揮してやっていただくということが基礎にあるわけでございまして、それが一時のことでお客をとりに行って、金融情勢が変化したときに引かれてしまったのでは、借り手から見れば非常に問題が多いということでございます。

 今、変化の時期ではないかと思いますので、私どもは、こういった金融機関の融資姿勢については、それが腰を据えたじっくりとしたものなのか、あるいはいかがなるものかということはじっくり見きわめていきたいと思いますし、借り手の立場から、注意深く、関心を持って政策をとっていきたいと思います。

後藤(斎)委員 長官、ぜひそういう視点でお願いしたいんです。

 これは前回のときに長官からも御指摘をいただいた、四月から信用保証協会で連帯保証を原則廃止いたしました。

 まさに中小の信用組合とか信用金庫とか地方銀行は、メガバンクほどは利率も下げられないけれども、でも、やはりきめ細かな経営指導も含めてする。そのときになくてはならないのが、やはり信用保証協会が保証をするかどうかというのがもう今必須条件なんですね、ほとんど。ですから、ここについてはもっと目配りをぜひしていただきたいというのを御要望しておきたいと思います。

 大臣、今、行革特の方、大臣もよく出席なさっていますが、今回、今御指摘がありました政府系金融機関の改革ということも対応なさっています。平成二十年、ですから、あと二年ですか、二年後には中小公庫と国金、農林漁業金融公庫も統合され、いろいろな形で新しい公庫に、公庫という名前になるのでしょうか、生まれ変わります。

 商工中金も完全民営化されるという中で、先ほど御指摘をさせていただいた資金調達環境実態調査という中でも、やはり政府系金融機関の非常にいいところというのを中小企業、回答なさった方もかなり評価をなさっていて、必要と、ある程度必要というものを含めると七割、ちょうど七〇%ほどが、何とか政府系金融機関のいいところを残して、民間の金融機関では対応できないものをちゃんとしてくれというふうな強い要望も、大臣御案内のとおり、ございます。

 先ほど申し上げましたように、中活法で対象になる地域の、エリアの小売業や卸業、その対象になるストリートで御商売なさる方が、これからやはり不安がないように、一生懸命頑張っていけば町全体、自分もよくなるよ、ですからそこに金融機関もお金を貸す。当然こういういい循環、良好な循環にならなきゃもちろんいけないわけなんで、その点について今、統合について不安視をしている方もいらっしゃいますし、なかなか資金的需要が難しいというふうに不安がっている地方の中小企業の方がたくさんいらっしゃいますので、そこに対してぜひ、不安がないということで、大臣、強いメッセージをお願いいたします。

二階国務大臣 これまで中小企業向けの政府系金融機関、私はもうたびたびこういう表現をさせていただいているんですが、極めて嫌な言葉でありますが、いわゆる貸し渋りや貸しはがしが行われる。これは我々、受け取る側としては本当に、なぜ金融機関がそういう困った人、困った企業に対してわざわざ足を引っ張るようなことを仕掛けていく、そして比較的資金の順調なところには金を借りないかと言って積極的にアプローチする、そういうことが常に行われているということをよく耳にするわけでありますが、今回、政府系金融機関の民営化という問題に取り組んで以来、特に商工中金等におきまして今日まで果たしてきた役割ということを改めて評価をするものであります。

 先般も御党の渡部国対委員長のお話を承っておりますと、やはり、御自身のお地元で旅館が倒産の危機に瀕した、三千万円の融資をしてもらえなければこの旅館は間違いなく倒産する、そういう状況のときに、商工中金がこの企業の、このホテル、旅館の将来性ということを見込んで、そこに融資に踏み切った、よって、今地元では最も繁盛している旅館として頑張っておられる、商工中金の果たす役割というものはすばらしいものがあるというお話を伺ったところであります。

 私どもも、地元を回っておりましても、商工中金のおかげで、倒産しそうになっていたとき助けてもらった、こう言われることがしばしばあるわけでありますが、それだけに、今度完全民営化の後に、そうした商工中金初め政府系金融機関に頼って企業の経営をなさっておられた方々が不安感を抱くことのないように、我々は、これからの、法律を通していただいた後の制度設計におきまして、当委員会及び行革委員会等で各党からお寄せいただいたさまざまな意見があります、この意見を十分精査して、できる限り国会の御議論を尊重して、制度設計の上に反映をさせていきたいという決意を持っております。

 どうか当委員会におきまして、委員長初め関係の皆さんそれぞれ、中小企業の問題においては、私は、いつも述べておりますように、政党政派はないわけであります。イデオロギーの争いはない。中小企業を支援するためにお互いに力を尽くし合うことは当然のことであります。そういう観点で、私たちも、政府だけで何かを考えるというのではなくて、委員各位の御協力をいただきながら、中小企業の関係者、四百三十万社の皆さんに安心感を与える、こういうことで取り組んでまいりたいと思いますので、一層の御支援をお願い申し上げるものであります。

後藤(斎)委員 ぜひ大臣、今の強い御決意をまた省全体にもきちっとお話をいただいて、遺漏なきようにお願いをしたいと思います。

 それでは、いわゆるこの中活法の新しい法律、旧法でもそうですが、第二条に「中心市街地」という定義がございます。これで、先ほど来いろいろな御議論があるように、定義を一部変更なされながら、新しい時代に合った中心市街地のあり方を今回規定しています。

 ただ、普通で考えれば、先ほども松原委員からお話があったように公共的な部分をどう見るかということもあるのかもしれませんが、いわゆる商業施設と公共施設、文化施設、さまざまな機能が集積している都市の中心地区というのが、これは三省堂の辞典ではそういうふうな定義がしてあります。

 ここではもう少し基本理念が違っておりますが、簡潔に、旧法の部分と今回の新法の部分で、どんな中心市街地という定義をお決めになりながらこれから施策を進められていくのか、簡潔にその差をお尋ねしたいと思います。

迎政府参考人 中心市街地活性化法では、現行法で三つの要件をもって定義をしているわけでございます。

 それで、そのうちの一番目、相当数の商業者それから都市機能の集積があること、それからさらに、一方で当該地域が空洞化等の課題を生じ、あるいは問題を生じるおそれがある地域であること、この二つの要件は今回も変えておりません。

 それと同時に、旧法では、市街地の整備改善とそれから商業の活性化を一体的に推進することが、当該地域の発展にとって有効かつ適切であると認められる、こういうふうな要件であったわけでございますけれども、ここの三点目につきましては、まさに、従来、市街地の整備改善と商業の活性化を一体的にやるという考え方より、もっと広く大きく、都市機能の増進と経済活力の向上を総合的に推進することがその地域の発展に有効な地域ということで、施策のシェアを広げたことに伴って中心市街地の定義についても要件を変更したということでございます。

後藤(斎)委員 まさにこの中心市街地の定義によって、後ほどお話をしたいと思うんですが、この基本計画の認定の一番根幹にかかわる部分であります。旧法で、先ほども局長がお話をされたように、当該市街地に相当数の小売業者が集積、都市機能が相当程度集積と。相当程度、相当程度ということで、この辺が、この七年間の旧法の時代から、ホームページを見ますと、旧法の部分では、年間、関係八省で総額数千億から一兆円規模の国費を確保して、平成十七年度も予算執行をしていきますというふうな記述がございます。

 要するに、六百八十を超える認定を前法の中でされて、先ほど来お話がありますように、幾つかの成功事例はあるものの、きのうですかお配りをいただいた、「元気なモノ作り中小企業三百社」、三百に載った企業者は非常にこれからもっともっと頑張るのかもしれませんけれども、元気のにぎわいのあるまちづくり三百というようなものがないというのも、少し悲しい部分もあります。

 では局長、これからの認定作業、まず決めるのは、新しい体系の中でだれが基本計画を認定するという作業をするのですか。その簡単なプロセスと、だれが認定をするのかをぜひ教えてください。

迎政府参考人 基本計画は、市町村が中心市街地活性化協議会の意見も聞きながらつくっていただくということでございます。これを御提出いただきまして、政府の方では内閣総理大臣がこれを認定するということでございます。

後藤(斎)委員 総理大臣が全部の、各地域の、先ほどの文化的施設、いろいろな申請書を見るわけじゃないんでしょうから、基本的にはここにある、総務省を含めて農水、経済産業、国交省、四省の方がこれから事務局をつくって多分審査を具体的にするんでしょうけれども、では、その認定をするときの一番の基準は何なんでしょうか。

迎政府参考人 認定の基準につきましては、基本的に、その計画自体の実現可能性及び、それが中心市街地の活性化という目標に向けてきちっと効果を上げ得るかというふうなことを具体的な基準として、基本方針の中で決めていきたいというふうに考えております。

 今申し上げたことをもう少し具体的に申し上げますと、明確な目標を掲げていただく、それから地域で町ぐるみで取り組むというふうな体制ができているか、それから各種の事業が、取り組みが整合的に推進されるような計画の中身になっているか、こうした点をチェックして、判断をして認定していくということを考えております。

後藤(斎)委員 その場合は書面だけで審査をなさるんでしょうか。それとも、事務局の方が現地に出向いて、きちっとそうであるかどうかということを確認するんでしょうか。

 あわせて、実現可能性ということで認定をするというお話がありましたが、もし実現をしなかった場合、どんな責任をだれがとるんでしょうか。

迎政府参考人 まさに、そこを実際に、書面でやるのか現地に赴くのかという点につきましては、これは特段今決めておるわけではございません。具体的には、中心市街地活性化本部というのが設けられる、この法律がお認めいただくとできるわけでございますけれども、この事務局が内閣官房に設けられまして、ここでその認定の作業をやることになるのでございますけれども、多分、それは書面も見つつ、必要があれば実地の調査、あるいは現地に赴いて状況をヒアリング、いろいろ聞かせていただくとか、そんなことをあわせて総合的に判断をするというふうなことであろうと思います。

 それから、実際に認定をした計画が実施をされていないとか、あるいは所期の効果を生んでいないというふうな場合につきましては、法律の中で、認定の取り消しというふうな手続も設けております。なるべく取り消しみたいな形にならないような形でやっていただきたいわけですけれども、途中で大変事情が変わってとても実施ができないというふうなものについては、そういった措置も準備をしているということでございます。

後藤(斎)委員 前回の中活法の部分で、六百八十を超える、七年間でということなので、割り算をすると一年間に大体百くらいの認定をされているはずですよね。

 今回、限られた予算ということで、例えば先ほど御指摘をした戦略的中心市街地商業等活性化支援事業、これが五十九億あります。積算を見させていただきますと、大体、ハード事業で、四・二億で七カ所、四・一億が十五カ所、これは三分の二補助と二分の一補助に分かれていますが、ソフト事業が四千百二十五万で十八カ所、これは三分の二補助、三千万が二十五カ所で二分の一補助。

 例えば、百件あって、基本計画はいいよ、基本方針も合っているからいいよ、でも、支援事業になったときに、漏れるというか、適用されない方が出てくるわけですよね。では、その支援事業の優先順位をどういう形でつけるんでしょうか。

迎政府参考人 その点につきましては、まず、六百幾つ認定というお話がございましたけれども、今までの六百幾つは、市町村がおつくりになって、認定というふうな手続は経ていなかったわけでございます。それで、今回はその認定をやっていくわけでございます。

 今の優先順位というお話でございますけれども、まず、その認定を進めるに当たって、当然、関係の各省庁との、意見なんかも聞きながら、内閣官房の方で進めますので、それに応じて、各省庁においては、認定された計画についてはなるべくきちっと支援ができるようにというふうなことで考えておりますので、そこは、まずはきちっと予算を確保していくというふうなことを考えなければいけない。再々ここでも御議論になっておりますけれども、毎年度、中心市街地に投入する予算というのを要求段階できちっと内閣官房の方でまとめる、それから、実際に投入した額というのをきちっとチェックしていくというふうなことになるわけです。

 それと同時に、ただ、一方で予算というのも限りがあるわけですから、ある年度でとってみれば、競合する地域が非常に多くて、どうしても足りないというふうなときが絶対ないかというと、それはあり得るわけですけれども、そこのところは、言うなればその予算を執行することによって得られる効果を勘案して順序をつけるというふうなことになろうかと思っております。

後藤(斎)委員 今の局長のもの、おっしゃっている意味もわからないわけではないんですが、先ほどの商業等活性化支援事業、例えばハード事業で、四・二億の三分の二補助が七カ所、四・一億で二分の一補助が十五カ所、多分これは二十二カ所になりますよね、これはまあ平均なんでしょうけれども。例えば、百、基本計画を総理大臣が認定をしました、でも、例えば経済産業大臣がこの支援事業を、実際の補助金を出すときに、では、二十二しかない、残りの七十八はどうなるんですか。

 ですから、基本計画をつくるときにもう優先順位がある程度なければ、各省がやる支援事業の部分の優先順位が決まらなければ、だから、もう少し具体的な指針というかガイドラインをつけないと、何でおれは落ちてあなたは通ったのと、前回御議論したNEDOのあの事業もそうですが、ということは必ず起こるはずなんです。

 ですから、では、それについてはどうやって、基本計画を全部、例えば一年で百来たもの、法律の趣旨に全部合致していますね、そして、実際、予算執行できるのはそのうちの二十です、あと八十は、翌年、翌々年、優先的にその人たちがなるんですか、ならないんですか。

迎政府参考人 今の例ですと、要するに、中心市街地活性化の関係の予算、いろいろあるわけでございますけれども、仮に百というふうなものが認定を受けるとした場合に、すべての方が今申し上げた経産省の活性化補助金を使われるかどうかというふうな、今、六百幾つでも、もう少し、ことしは六十億確保しているんですが、昨年度は四十億で、それで六百のベースでも四十億で三次募集までかけてちょうど使い切ったというぐらいの需要だったわけですので、百出てきたとして、どれぐらいの方がお使いになるか。

 それから、年度割りとして、またこれ計画をするにしても、いろいろな、市街地の整備ですとか、あるいは商業関係以外の施設の整備ですとか、国交省の事業の予算を使用してやりたいというような事業もあると思うので、例えば百のうち、うちの補助金を請求される方、あるいは、それが認定の年にわっとお使いになるわけじゃなくて、いろいろ、この年はこれにやろうというふうなことで、基本的にはそういうことで、認定はしたけれども助成は全然もらえない、あるいは、そこの段階でもう一回ハードルがあるというふうな状況にはならないように、それぐらいのものを今回増額を要求して確保したと考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 これは、今、局長がお答えになったことがもし事実であれば、地方自治体も含めた、前回の何年間の旧法時代の予算の手当てと、そしてその成果というところが、私は生かされていないんじゃないかなと思うんです。

 むしろ、今回この改正をして、選択と集中によってにぎわいを取り戻すということが主眼であるのであれば、かなりの部分で、自治体からのニーズ調査であるとか商工会議所からニーズ調査とかしているはずですよね。ですから、私は、六百八十二の、旧法の中で市町村の主体がつくった活性化のいろいろな具体策、それをもう少しリバイスとかバージョンアップして、その人たちがたくさん来ないと、この法の趣旨であります、要するに、郊外から中心市街地ににぎわいを取り戻すということが達成されないということになるんじゃないですか。

迎政府参考人 まさに、今回、先ほど申し上げましたような認定基準をクリアするような定量的な目標を持ち、かつ、地域のコンセンサスを得て整合的な計画をつくってくるというのは、私どもその数を制限するつもりはないわけでございますけれども、直ちに六百九十が右から左にいけるというふうなものであるとは思っておりませんで、それなりにその地域でしっかり議論をして、確かに今既に準備の進んでおられるところはあると思いますけれども、わっとそういう形で、何か今の計画で積み上がって、それが右から左に出てくるというふうなものとは思っておりませんで、逆に、これを機にもう一度その計画の実現可能性等をしっかり見直して、できたものから順次上げてきていただく、そういうものについてしっかりその支援をしていけるようにやっていきたい、こう思っております。

後藤(斎)委員 私は、そういう意味では、もっと本当にこの基本計画が、それぞれたくさんの地域で総理あてに送られ、認定をした後、国土交通省と経済産業省がそれを下支えする支援策をすればという期待を持っている商店街の方はたくさんいらっしゃいます。いわゆるこのまちづくり三法というものが成立をして、経済産業省から、莫大な予算とは言いませんが、非常に補助金が出て、そしてそれで自動的によくなるんだと思っている方も、私も何人かとお話をして、いやあ、早くまちづくり三法を国会で通して、補助金もらって商店街よくなるんだろうとイメージを持っている方も、正直言っていらっしゃいます。

 でも、今、局長のお話を聞くと、いや、そこまでやっているところは正直言ってまだまだ少ないと。私は、あえて予算を、ある意味では増額をもっとして、もっと手当てをきちっとしてやるべきだというふうに、大臣にも今お話をしようと思ったんですが、どうもそうではないというふうな感じも何か聞こえるんです。

 しかし、これはやってみなければわからないという前提であれば、私は、先ほど、この中活法は、大臣も何度かお話をしているように、その地域にいる人や、その地域の必要性みたいなものがもっともっと出て、創意工夫を凝らしてやらなければ絶対よくならない、幾ら行政が旗振って補助金を出してもだめだと。まさにおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、これが仮に法律の目的のように進むというふうに仮定をして、先ほど松原委員からも若干触れられましたが、いわゆる県庁所在地の、ある程度人的スタッフも整っている、しかし、商店街がもう十軒くらいしかないような町も、多分大臣の地元もそうだと思いますが、山に近ければ近いほどたくさんあります。

 いわゆる都市と地方の格差だけではなくて、地域の中の格差が非常に拡大するというおそれ、これは実際、これから、もしこの支援策がスムーズに目的のように進んでいけば、それが起こるはずです。限られた予算しかない。予算の分捕りではありませんが、必要だ必要だと言っても、財務省は、いやいや、この枠内でやれと当然言うでしょうから、そこの矛盾をどう取り除くかというのが、先ほども金融の話で御指摘したように、やはり運転資金や設備資金が必要であって将来性があれば、きちっと出すような仕組みを政府系金融機関としてもつくっておいてほしい。

 この支援策が実際生きるかどうかというので、やはり地域間の格差がこれ以上広がらないように、それぞれの集積法だけじゃなくて、ほかにもいろいろな支援策がありますが、やる気のある、例えば小さな五軒であっても十軒であっても、そういう商業地域の経営者の人にもきちっと対応ができるというふうな形で、私は、地域のまちづくりも含めてしていただきたいというふうなことを考えていますが、ぜひ大臣、大臣の御決意も多分同じだと思いますが、最後にお願いをしたいと思います。

二階国務大臣 商店街の活性化ということに関しましては、大変難しい課題でありますが、長い不況のトンネルが続いた中で、商店街の皆さんも大変な御苦労をされ、また、ばらばらになってしまったような商店街も現に存在しておるわけですが、何とかしてここらで歯どめをかけて、反転攻勢、立派な商店街が日本国じゅうに幾つかでもできたということによって、次なる希望を抱いてお互いに頑張っていくことができるような道を開いていきたいと考えておりますから、地道にしっかり取り組んでいきたい、このように思っております。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 中心市街地活性化法に関係しまして、最初に、中活法の支援措置の一つであります大店立地法の特例措置に関連して、何点かお伺いしたいと思っております。

 中心市街地における空き店舗への大型小売店舗出店時の規制緩和、中活法の改正の一枚紙に、支援措置の一つとしてそういうふうに書いてありますけれども、この特例の内容はどういうものなのかについて簡単に御説明をいただけますか。

迎政府参考人 具体的には、大規模小売店舗の出店に関しては、現状では、大店立地法に基づきまして、出店者は都道府県へ届け出後八カ月間は出店ができないということになっておるわけでございます。この点につきまして、地域の判断で中心市街地に特例区域を設定した場合については、届け出後、説明会を行えば直ちに出店ができるというふうなことになるわけでございます。

 また、さらに、内閣総理大臣の認定を受けた中心市街地におきましては、地域の判断で、届け出についてまで不要というふうな緩和まで行うことができることとなっております。これによって、例えば、中心市街地から撤退した大型店の跡に後継テナントを探すというふうな場合に、円滑な進出等が可能になるというふうなことが期待されるわけでございます。

塩川委員 いわゆる二種特例区域の場合、指定をすれば、届け出及び説明会の開催のみで出店が可能だ、総理大臣認定を受ける一種の特例区域の場合であれば、手続がすべて不要になるということです。

 しかし、本来、しかるべき手続を踏まえるということが大店立地法の趣旨としてあるわけですけれども、そもそもこの大店立地法の目的が何なのかということについても議論の上で大事ですので、その点、お答えいただけますか。

迎政府参考人 大店立地法の目的は、まさに、大型店が出店をする周辺の地域の生活環境への悪影響を生じないようにするということでございます。

塩川委員 大型店立地に際して、周辺の生活環境へ悪影響が及ばないようにするということがその目的であります。今回、そういう手続が省略をされるという形になるものであります。

 そこで、そういう点では、中活法に特例措置を設ける上で、その前提となっていたのが大店立地の特区であります。この大店立地の特区についての検証が必要なわけですけれども、これは昨年の六月二十三日に特区評価委員会へ検証報告が出されている、検証の内容についての報告が出されているわけですけれども、その内容のポイントを紹介していただけますか。

迎政府参考人 構造改革特区推進本部の評価委員会におきまして、大店立地法の特区の全国展開が可能かどうかというふうな御議論が行われたわけでございます。そこの御議論の際に、私どもの特例措置についての調査結果をもとに御議論が行われたというふうに承知をしております。

 その際、私どもの調査結果でございますけれども、これは昨年五月に、当時、特例措置を利用して大型店が進出した宇都宮市について現地調査を行った結果として、退店した百貨店の跡地に出店した二つの大型店については、出店後においても周辺生活環境への悪影響が生じていないというふうな調査結果でございました。

 第二に、特例措置対象を中心市街地に限定せずに全国展開した場合については、特例措置の適用区域のインセンティブというふうなものが消失するのではないかというふうなことを調査結果として述べております。

 それから、特区認定申請に当たって、これは周辺の生活環境についてのものでございますので、周辺の住民の方が納得し得るような形で特区の認定申請を行う手続というのがなされておるわけでございまして、これを排除した形で全国展開をすることは納得が得られないのではないかというふうな指摘を行っております。

 さらに、既存店の跡地でない場所に店舗を出店するものについてまで、弊害が発生する可能性がないと言い切ることはできるのかというふうなことを調査結果では書いておるところでございます。

 それで、当省の調査結果をもとに評価委員会の方で御議論なさった中では、代替措置、いわゆる弊害を防止するための措置などがしっかりしていれば全国展開をしてもよいのではないかという議論が行われたというふうに私どもは聞いております。

塩川委員 宇都宮の事例で、弊害はなかった、確認できなかったということですが、これは大型店、大型空き店舗に新たなところが入る、そういう点では、従来の大型店があったときと条件が同じだという点では、弊害というのは確認できなかったという趣旨です。ですから、この経産省の報告の中でも、周辺住民にとっては旧店舗が存在した時期に比して大きく変化したわけではないという特別な事情があるということを念頭に置かなくちゃいけないということを言っているわけです。

 その上で、今商務流通審議官からの説明にもありましたけれども、全国展開による弊害の問題について、これについては、現時点では弊害の発生は確認できなかったという説明に加えて、全国展開した場合に、既存店の跡地ではない場所に店舗を出店する場合や、既存店の跡地であっても、長期間放置され、大型店が存在しないことが周辺住民にとって通常となった場合等には弊害が発生する疑念は残る。つまり、新規出店の場合でもこれは可能なんですから、新規出店の場合でしたら、丸々新しい大型小売店舗ができるということについて地域住民の声を聞かなくて大丈夫なのか、こういう疑念というのは当然残るじゃないかということを述べているわけですね。

 そういう点で、大臣に伺いますけれども、この一連の手続が省略をされた場合に、立地法の目的でもあります周辺の生活環境の保持はどのように担保されるのか。大型店出店に際して、交通、騒音、廃棄物、これらの懸念がある場合に、住民の意見をどのように反映されることになるんでしょうか、その点、伺いたいと思います。

西野副大臣 既存の特区制度におきましても、その制度に基づいて市町村や周辺住民の意向というものは反映する手続をとることになっておるわけでございますから、弊害は特に発生をしないというふうに承知をしております。

 新たな今回の中心市街地活性化法の一部改正に伴います大店に対する問題でございますが、これも自主的に都道府県が定めるわけでございますから、その場合にも、該当する市町村とそして周辺の住民等に対して、環境等生活環境への影響を与えない、そういう地域住民の意向というものを十分反映する手続を定めることになっておるわけでございますから、私は問題がないというふうに思っておるわけであります。

 ただ、いずれにしても、この制度が、国が一律に特例区域等々を指定して強制をしていくものでは決してないわけでございまして、中心市街地の活性化と、それからあわせて生活環境の保持という両面のバランスを十分勘案した上で当然ながら活用していくべきだというふうに思っております。

塩川委員 住民の意見を聞くような機会があると言うんですけれども、個々の出店について住民の意見を聞くスキームというのはあるんですか、この場合に。

迎政府参考人 そういうことではなくて、まさにこういう特例区域を設定することについての是非について、市町村ですとかあるいは地域住民の御意向を十分に聞いた上で行うということでございます。

塩川委員 ですから、特例区域をまず定める、その際には、公告縦覧も行って、意見も聞きましょうという話ですけれども、多くの住民の皆さんが直面するというのは、実際に大型店が立地をするということが言われたときに初めて自分の問題になってくるわけです。自分の住環境を考えたときに、目の前に大型店ができる、車はどれだけ来るんだろうか、騒音はどうなんだろうか、ごみの問題は大丈夫か、こういうときに初めて住民としての意見表明権というのは意味があるんじゃないでしょうか。もう区域を指定しました、そこではもう既に意見を聞いていますから、その後、個々の出店については住民の声は聞きませんよというのがこの中身ということになるんじゃありませんか。

迎政府参考人 その点については、ですから、どういう地域に特例区域を指定するかというのは、周辺にたくさん人が住んでいるところなのかどうなのか、あるいは現実に新しい大きな店が出てき得るような土地利用の状況の地域なのか、それとも、むしろ先ほど申し上げましたように、既存の空き店舗に誘致がしたいのか、そういう状況を考えた上で、その特例区域を、ここならこれはもう誘致する必要性、早期に店を入れる必要性の方が、その周辺に余り人も住んでいないし、ここに出てきてもそれほど従来と変わった影響は出ないだろうというふうな判断をした上で、それでさらにいろいろな御意見を聞いた上で特例区域を設定するということでございますので、何か中心市街地であるから全部特例区域にするとかそういうことではなくて、まさにそういう問題が生じ得るか得ないかというのを含めて御判断をいただくというふうな仕組みになっているわけです。

塩川委員 例えば、一昨日調査にも行きました宇都宮の場合についても、中心市街地の部分と宇都宮駅の西側について特区のような指定があるわけですよね。そこというのは、もう三つ、四つという大型店が撤退をする、あるいは閉鎖をする、そういう中で、そこに何とか入れたいということでもともと設定をされたわけであります。ですから、大型空き店舗の穴埋めということが当初の目的だったから、周辺環境についても以前との大きな違いがないということが前提となっているんですよ。

 しかし、特区もそうでしたけれども、今回のスキームも、新規立地についても、当然のことながら、特区で、一連の規制緩和で、住民の意見を聞かなくてもいいわけですよね。そういった宇都宮の中心部だって人が住んでいるんですよ。そこが生活の舞台になっているわけじゃないですか。そういうときに声を聞かなくていいのかということが問われているんじゃないでしょうか。

 ですから、そういう点では、今回の特区を踏まえた特例措置を中活法に盛り込んだということは、先ほど述べたような特区の検証の枠を大きく踏み越えた、いわば検証もしていないようなことまでこの中活法の中に入れ込んだという点で、極めて重大だと思います。

 大体、審議会の産構審、中政審の合同部会で二年ぐらいずっと議論しているわけですよ。その議論の中で、では今回の特例措置について、特区についての手続、規制緩和についてどういう議論があったかというと、ほとんどその合同部会の中ではないわけでしょう。特区の評価委員会の方でやっていて、それが突っ込まれて、法案として盛り込まれるということですから、今回のまちづくり三法といいますか、都市計画法の改正とそれから今回の中活法の改正の全体のスキームとは別なところからこれが突っ込まれているというのが今回の大店立地法の手続規定の規制緩和なんじゃないでしょうか。

 大臣、お伺いしますが、今回の法改正の中でそもそも町中居住ということをうたっているわけです。町に人を呼び戻そうということで、国交省のスキームなどで町中居住を促進するような支援策も盛り込まれました。一方で、町中に人が住めるようにしよう、そういう取り組みを応援しておきながら、そこに住む人たちにとっての住環境、生活環境に重大な影響を及ぼすような大型小売店舗の出店時においてその住民の意見を聞くスキームを外してしまうというのは、これは矛盾しているんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

西野副大臣 それだけを聞いていますと、何か住民の意見を無視したものをやる、こういう考え方になりますけれども、決してそうではないわけでございまして、地域の協議会等々において関係者の皆さんができるだけ広く入りまして、そこで協議をいたすわけでございますから、その時点でそれらの問題、生活環境にどう影響が出るかとか、あるいはその保持ができるかとか、そういった多方面にわたっての考えを入れて協議会で決定をするわけでございますから、そのような御心配はないというふうに思っております。

塩川委員 いやいや、西野副大臣はどういう御理解をされているのかというのがよくわかりましたけれども。

 そもそも区域の指定の時点で今言った議論があるのかもしれませんよ。しかし、住民の皆さんにすれば、個々の出店の時点というのが直面する一番の問題なんですよ。大型店が出てくるだろうというときに、具体的に生活環境にどういう影響が及ぼされるのかという懸念があるからこの大店立地法というのがそもそもできたんじゃないですか。出店の可否は都市計画法、ゾーニングでやるとしても、出店に際して生活環境への悪影響を小さくするために、そういうことを生じさせないために大店立地法の一連の手続の規定があるわけです。住民の意見を聞くですとか、自治体としての意見、都道府県としての意見、あるいは勧告の措置まで一連の措置、事業者に対して是正策を求めるようなスキームがあるのをなくしちゃうんですから。

 大臣、改めていかがですか。一方で町中居住というのを述べておきながら、他方で、今言ったみたいに、住環境の悪化についての手続規定、これを外してしまうというのは矛盾しているんじゃないですか。大臣、いかがですか。

迎政府参考人 そこは、先ほど来申し上げておりますように、町中居住、まちづくりを考えるときに、大変生活環境が悪いようなところに住んでくださいといっても、これまたなかなか魅力がなくて、人も来てくれないわけでございますので、それは、ここにどういう住宅をつくるのか、それから現にどれぐらい人が住んでいるのか、それからこっち側にどれぐらいの商業施設ができ得るのか、こういうのをまちづくりの計画の中でしっかり考えた上で特例区域を設定していただくということでございます。

 それから、先生の御指摘で、周辺の方というのは、現に出てくるときになって、直面して意見が言いたいんだ、そういう側面もあるかもしれませんけれども、やはりそこは、ちゃんと意見を言う機会なりなんなりが事前に与えられているときは、そこの段階で言っていただくというふうにしないと、それは、一方で、特例区域を設定することによって迅速に物が建てられるというふうなことをその一つの魅力として、その中心部に大店立地法の対象になる規模の大型店を誘致して活性化につなげようということでございますので、これはその両方、メリット、デメリットある話でございますので、そこのバランスを、まさにその地元の事情を十分御承知のその地域の関係者が市町村の意見を聞き、都道府県が特例地域を設定するという形で活用をしていただきたいということでございます。

塩川委員 大臣のお考えを、一言で結構ですからお聞かせいただけますか。

二階国務大臣 中心市街地の活性化のために周辺の生活環境を保持するということのバランスをとっていくということは当然のことでありまして、地域住民の皆さんの声は、いかなるときでも関係者の声をよく伺った上で、大型店等の問題に対して結論を見出していくということを期待いたしております。

塩川委員 この大型店出店に際しての住民の意見表明権を奪うようなのは、本来の町中居住を掲げた方向とも逆行するものだと言えると思うんです。

 今回の大店立地法の手続規制緩和というのは、都道府県、政令市の勧告権ですとか、あるいはその公表規定も外してしまうものになります。

 例えば、全国で唯一勧告が行われております仙台市の事例ですが、ここでは、イオンが出店をする際に、当初予定していた駐車場が隣地に確保できずに、少し離れたところに確保することになった。そこがちょうど狭い四メートルとか六メートルの道路で、通学路にもなっている。こういうところに駐車場ができると子供たちの安全のためにも困る、是正を求めるという意見が住民から出されて、仙台市としても意見をイオンに述べました。残念ながら、その際にイオンの方は改善策をとらなかった。それについて重ねて仙台市が勧告を行うことによって、イオンの方は別な場所に駐車場を確保するということでの対応策をとったというように聞いております。

 こういうように、住民の意見、住環境、生活環境への悪影響を防ぐためにという中で、自治体が一連のこういう手続を有効に活用してきているというのが、この大店立地法の手続規定であるわけです。それさえ外してしまうということでは、この大店立地法の周辺環境保持の機能そのものが骨抜きになるんだということが問われていると思うんです。

 ですから、改めて大臣に伺いますけれども、大型店を誘致しやすくすれば、中心市街地ににぎわいが戻るというふうにお考えなのか。言い方をかえれば、もうからなければ撤退をするような、そういう大型店に頼ることで町のにぎわいが戻ると言えるのか、それを促進するような手続規制の緩和というのは本当にふさわしいのか。この点いかがでしょうか。

迎政府参考人 仙台市の勧告まで至ったという事例、ございますけれども、その大方のものについては、かなりその前の段階で、やはり出ていく大型店も地域の評判というふうなことは非常に気にもかけるわけでございます。今回、特例区域内でそうした手続上の義務は外すわけですけれども、それと同時に、そこに出てくる大型店については、周辺の生活環境への配慮を促すような規定も設けたところでございまして、全くその生活環境を何もしなくていい、こういうことではございませんので、そういった法律上の勧告権はなくなるけれども、実際上の話し合いとかそういうことで、あるいは、当然、お店でございますので、社会的な責任とかあるいはその店の評判といったものも気にするわけでございまして、そうした中で、かなりのものが解決可能なんではないかと思っております。

 それから、大型店を入れることが中心市街地の活性化につながるかどうか、こういう点につきましては、それは、確かに外部の資本で出ていくとかそういうこともあろうかと思いますけれども、一方で、ある程度大きな集客力あるいは品ぞろえを備えた店があるというふうなことが、周辺の商店あるいはその商店街全体というものの集客力等に裨益をする、これはもう厳然たる事実であろうかと思います。

塩川委員 私も、その大型店と地域の商店街や地域の方々が共存共栄するということが望ましいと思うんです。その際に、その大型店舗の企業が周辺環境の保持などについて企業の社会的責任を果たすことが求められていると思うんです。それを担保するのがこの大店立地法の一連の手続だったんじゃないですかということを述べているわけです。

 今回の場合でも、もともとはその大店立地法の十条での配慮義務というのが、実際には努力規定という形で後退しているわけですから、そういった意味では、企業の社会的責任といっても、本当に企業の自主的な判断任せというところで、本当の意味で改善策というのはとれるのかということが問われていると思うんです。

 今、国民の意識もこの点で大きく変わりつつあると思っておりまして、例えば、内閣府が行いました小売店舗等に関する世論調査、これは昨年五月の調査ですけれども、これを拝見しますと、「新たな大型店の出店は必要か」というのに対して、不要だ、「不要だと思う」という答えが五〇・六%と過半数になりました。初めてそういう声になってきています。また「新たな大型店の出店に規制は必要か」、これに対して、「必要だと思う」というのが六〇・四%、「不要だと思う」が一八・一%ですから、国民の意識の中でこういう声が広がっているときに、大型店の出店に際して、ふさわしい意見表明の機会を設けるということ自身が、こういった国民の声、要望にこたえる方向だ。そういう点でも、今回の規制緩和措置というのは国民の意見、要望と逆行するものだということを言わざるを得ません。

 時間の関係で、ちょっと最後何点かお聞きしますが、大型店が実質的にこの大店立地法の周辺環境保持のための手続がなくなるとなると、大店立地法で残っているのは何かというと、実質的には十三条ということなんですよ。地域の需給状況を勘案することなくという十三条自身が残っているだけで、事業者への縛りはなくして、いわば自治体への縛りだけが残るような大店立地法の実態というのがあるんじゃないでしょうか。

 十三条の規定にもつながっているのが、アメリカの対日要求であります。そこで、経済産業省に聞きますが、昨年十二月のアメリカの対日規制撤廃要望書において、大規模小売店舗に関する法の項目には何と書いてあるのか、紹介していただけますか。

迎政府参考人 御指摘の大規模小売店舗の規制に関する要望といたしましては、日本が大規模小売店舗法にある規制を廃止する法案が一九九八年に通過し、大規模小売店舗に関する設立、運営、拡張の著しい改善につながったことを米国は歓迎する。しかしながら、日本の省庁内で、消費者ニーズに合った大規模店舗を開く小売業の選択を厳しくする、あるいは新たな制限を課することになるであろう方策を現在検討中である。米国政府は、市街地活性化のためのイニシアチブが、都市、郊外、地方地域に大型店舗を出店する小売業を制限するような新たな規制もしくは他の措置をもたらす結果にならないことを確実にするよう日本国政府へ要望する。こういった記述でございます。

塩川委員 九八年の大店法の廃止、大店立地法などまちづくり三法についてもアメリカは歓迎すると述べて、今回の、今私たちこの議論をしています法改正について海の向こうからも注文がついているわけであります。

 それとの関係で、自治体に対して注文をつけるということも今行われております。郊外型大型店の出店調整を盛り込みました福島県の商業まちづくり条例に絡みまして、アメリカ大使館のメンバーが福島を訪問していると聞いております。福島県と大型店の出店についてのいろいろな取り組みのありました伊達市に、このアメリカ大使館員が調査に行ったというのは事実でしょうか。

迎政府参考人 アメリカ大使館が福島県及び伊達市を訪問したということは事実であるというふうに承知をしております。

 ただ、中身といたしましては、そもそもアメリカ大使館自体が、福島、伊達市以外にも全国各県あるいは各地の商業施設等を訪問しておるようでございまして、福島県、伊達市におきましても、商業関係についてのいろいろ一般的な質問をして帰ったやに承知をしております。

塩川委員 朝日新聞の報道では、このアメリカ大使館員は伊達市長に対して、「厳しい内容の条例が全国に広がることを心配している」「(大型店出店は)消費者に大きなメリットがある。条例は自由経済の点から見て厳しいもので心配」だ、福島県の条例についてこういうふうに述べているわけであります。

 そういう点でも、もともとアメリカの対日規制改革要望書の中に、地方自治体による新たな規制策について、これについて厳しく監視をすべきだということがうたわれております。九八年の対日改革要望書でもそういうふうにうたわれておりますし、それに基づいて、九九年五月の日米規制緩和イニシアチブ、日米の共同現状報告の中でも、日本側の対応として、「通産省は、地方自治体による大店立地法の運用が法の目的を損なうものとならないよう注視する」ということで、いわば立地法の十三条に基づいて自治体が独自の大型店規制策をとるようなことについて監視をする、注視をしていくということが通産省としても掲げられていたわけです。

 そういう点でも、私、こういった自治体の独自の取り組みに対して口を挟むような規定になっている大店立地法の十三条をこそ廃止すべきだということをぜひ一問お伺いして、終わりにしたいと思います。

迎政府参考人 この点につきましては、前回、大店法を廃止いたして現行のまちづくり三法を制定するに至った過程において、旧来の商業調整のような規制のスタイルは、これはいろいろ問題もあるのでやめよう、それで、まちづくり三法の世界においては、大型店のどこに建てていいかというものについては、まちづくりの観点、都市計画法で規制をしていこうというふうな体系に移行したわけでございます。その際に、国の政策と同様に、地方自治体においてもそういうふうな商業調整になるような条例はつくってはならないというふうな規定を設けたわけでございます。

 今回、三法を見直すに当たって、基本的にそのまちづくり三法をつくったときの考え方というのは変更をしないということでございまして、ただ、一方、都市計画の世界の中においては、無秩序に郊外に大型店が出店をしていくことについては、もう少し厳しい規制が必要なんではないかというふうな都市計画法の改正を行ったわけでございます。

 アメリカが具体的にどういうことを言ったかということについては、私も直接折衝の衝におらないわけでございますけれども、アメリカが意見を述べた、十二月七日に要望を出したというのについても、これは大店立地法ということではなくて、むしろ都市計画法についていろいろな検討が行われることについて御意見を申し述べられたというふうなことではないかと理解をしておるわけでございます。あくまで、日本国として、商業調整みたいな世界に戻ろうとしているのではなくて、まちづくりの観点から当然あるべき規制なり手続なりを課するというふうなことにしているのだという点は、きちんとアメリカに今後とも説明をしていくべきだろう、こういうふうに思っております。

塩川委員 アメリカの自治体でも……

石田委員長 塩川君、申し合わせの時間が大分過ぎておりますから。

塩川委員 経済規制を含むような条例をつくっているわけで、経済的規制を含まない社会的規制というのはあり得ないということを申し上げて、終わります。

石田委員長 次回は、来る十八日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会


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