衆議院

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第15号 平成18年5月10日(水曜日)

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平成十八年五月十日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 桝屋 敬悟君

      江渡 聡徳君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      北川 知克君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      塩谷  立君    平  将明君

      長崎幸太郎君    野田  毅君

      橋本  岳君    早川 忠孝君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      松島みどり君    武藤 容治君

      望月 義夫君    森  英介君

      山本 明彦君    石関 貴史君

      大畠 章宏君    川端 達夫君

      吉良 州司君    北神 圭朗君

      佐々木隆博君    松原  仁君

      三谷 光男君    高木 陽介君

      塩川 鉄也君    武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   舟橋 和幸君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        松山 隆英君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高部 正男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 加藤 治彦君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局企画部長)         宮本 敏久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     奥田 真弥君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西川 泰藏君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (特許庁長官)      中嶋  誠君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局次長)          松尾 庄一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  上田  勇君     桝屋 敬悟君

五月十日

 辞任         補欠選任

  藤井 勇治君     江渡 聡徳君

  北神 圭朗君     石関 貴史君

同日

 辞任         補欠選任

  江渡 聡徳君     藤井 勇治君

  石関 貴史君     北神 圭朗君

同日

 理事上田勇君四月二十五日委員辞任につき、その補欠として桝屋敬悟君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月九日

 中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)

四月二十八日

 電気用品安全法改正に関する請願(荒井聰君紹介)(第一六九五号)

 太平洋パイプライン計画への日本の協力・融資に関する請願(田島一成君紹介)(第一七四三号)

 同(高井美穂君紹介)(第一七四四号)

 同(長浜博行君紹介)(第一七四五号)

 同(吉田泉君紹介)(第一七四六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に桝屋敬悟君を指名いたします。

     ――――◇―――――

石田委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長舟橋和幸君、公正取引委員会事務総局審査局長松山隆英君、金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、総務省自治行政局長高部正男君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、財務省大臣官房審議官加藤治彦君、財務省大臣官房審議官草賀純男君、農林水産省農村振興局企画部長宮本敏久君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官奥田真弥君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、経済産業省大臣官房審議官西川泰藏君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁次長細野哲弘君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高原一郎君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長広瀬研吉君、特許庁長官中嶋誠君、中小企業庁長官望月晴文君、国土交通省大臣官房審議官加藤利男君、国土交通省自動車交通局次長松尾庄一君及び環境省地球環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉川貴盛君。

吉川委員 実は、私は経済産業委員会に所属するのは初めてでございます。そして、きょうは初質問の機会をいただきまして大変緊張ぎみでございますので、ふなれな点も多々ございますからお聞き苦しい点があろうかと思いますが、どうぞお許しをいただきたいと存じます。

 最初に、これは「各委員会所管事項の動向」という衆議院の調査局が出している冊子でありますけれども、経済産業委員会のところを私はめくってみました。

 そういたしますと、大変多岐にわたりまして所管事項というのがございまして、ここに書いてございますのは、まず景気動向とか、あるいは新産業創造戦略の策定ですとか、さらには産業人材の育成支援、地域経済の活性化、企業制度の見直しですとか、創業・ベンチャー支援、さらには産業再生機構等による再生支援、そしてまた通商政策、この中には自由貿易協定やあるいは経済連携協定等が書き記されてございます。さらには中小企業政策、中小企業金融の円滑化、政府系金融機関の見直し、そしてまたまちづくり関連施策の見直し、中小企業組合制度の見直し、特許法及び不正競争防止法の改正ですとか、そしてまた資源・エネルギー政策、この中には東シナ海の資源開発問題、原子力政策に関する動向ですとか、そしてまた京都議定書の目標達成に向けた省エネルギー対策の推進、容器包装リサイクル法の見直し、独占禁止政策ですとか、本当にこの経済産業委員会というのは多岐にわたって所管をしておるところであります。

 なお、経済産業省、二階大臣を初め皆様におかれましても所掌事務というのは、エネルギー政策も今申し上げましたのももちろんそうでありますし、まちづくり、中小企業、ものづくり、人づくり、環境問題も含めて、本当に多岐にわたっているところでございます。そういう意味におきましては、我が国におきまして、中小企業を初めとする、エネルギーから環境問題等々を考えますと、極めて重要な事務事項を所掌されているわけでございまして、大臣を初め皆様の責任というのは、極めて重い責任を感じながら毎日御苦労をいただいているのかなということを私は強く認識させていただいているところでもございます。特に、私もこれは全く知らなかったところでありますが、教育関係だなと思っておりました塾も経済産業省の所管だということでございまして、大変びっくりいたしたところでございます。

 きょうは、その多岐にわたる所掌あるいは所管の中から、エネルギー問題と地球環境問題、この二点に絞りまして質問をさせていただきたいと存じます。

 最初に、エネルギーに関しまして質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、エネルギーに関しましては、我が国におきましてのエネルギー自給率はわずか四%、諸外国と比較して極めて低いわけでございます。

 他方、現在のエネルギー情勢というのは大変大きく変わりつつあるんだろうと私は思っております。米国に次いで世界第二位のエネルギー消費国となった中国では引き続きエネルギー需要が急増をしているところでありまして、二〇〇〇年から二〇〇四年の四年間を見ましても、世界の石油需要増加の三分の一を中国が占めている。さらに、世界のエネルギー需要全体も今後ますます増加していくことが見込まれておりまして、IEAの見通しによれば、二〇三〇年には現在よりも六〇%も増加をするだろうと。他方、供給面を見てみますと、産油国側において生産能力の拡大がなかなか進んでおりません。そういったことを考えますと、世界のエネルギー情勢はますます厳しい局面を迎えているのではないかと言わざるを得ないと思うんです。

 このような状況下におきまして国民生活や経済活動を支えていくためには、エネルギー安全保障の確立に向け、各国にも増して積極的に取り組むべきと私は考えるところでございます。ところが、残念なことに、今のところ国内のエネルギー問題に対する危機感はまだまだ足りないのではないかと実は危惧をしている一人でもございます。

 そこで、原油価格の高騰の原因についてお伺いをしてまいりたいと思いますが、原油価格が七十ドルを超える非常に高い水準で推移いたしております。九〇年代後半までは二十ドル以下で比較的安定に推移していたことを考えますと、この数年間の間に三倍以上も価格が高騰したということになるのでありますが、最初に、この原油価格の高騰の要因について、経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

細野政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ございました原油価格の上昇でございますけれども、さまざまな要因が複合的に重なった結果であるというふうに認識をしております。

 すなわち、まず第一に、今御指摘もございましたように、中国とかインドを初めとする世界の石油需要が非常に伸びておること、それから、これも同じく御指摘ございましたように、OPEC各国のいわゆる原油の生産余力、こういうものが非常に小さくなってきていること、こういうことで、需要、供給、両面にわたる構造的要因がまず考えられると思います。

 これに加えまして、最近でございますと、イランの核問題の深刻化あるいは不透明化、それからナイジェリアの内政によりますところの原油生産の混乱、あるいはアメリカのガソリンの在庫、これは、需要期を迎えまして米国市場において需給が逼迫しているというようなこともございまして、こういった短期的な懸念が高まっていることも挙げられると思います。

 さらに申し上げれば、今申し上げましたこれらの要因に絡みまして、いわゆる短期資金、こういうものが市場に流入をしておりまして、こういったことも相まって原油価格が現在のような状況になっていると認識をしております。

吉川委員 世界のエネルギー市場が大きく変わりつつある中でエネルギーの安定供給を図るためには、国際的な取り組みが大変重要な課題となっていると私は思います。

 そこで、四月、先月になりますけれども、カタールで国際エネルギーフォーラムが開催をされたところでありますが、産油国と消費国の双方が一堂に会してエネルギー問題を議論する会議であるとお聞きいたしております。原油価格が過去最高を更新するという状況の中で、この原油価格の高騰問題について議論する最適の場だった、私はこう思っておりますが、二階大臣が出席をされましたこのカタールでの国際エネルギーフォーラムにおきまして、大臣としてどのようなメッセージを発信され、あるいは各国からどのように受けとめられたと考えているのか、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 まず、答弁の前に、吉川議員から、経済産業省が今担っております重要な課題についてそれぞれ御開陳がございましたが、大変な御理解をいただいておりますことに改めて感謝を申し上げたいと思います。

 お尋ねの国際エネルギーフォーラム、IEFでありますが、ちょうど、世界各国から五十九カ国、六つの国際機関が参加をいたしました大変重要な会議でありました。殊に、開かれた会議はたまたま定期的な会議であったわけでありますが、石油エネルギーがこのように高騰しておって、何らかの手を打たなくてはならないという国民の皆さんからの声もあり、重大な時期にまことにいいタイミングでこの会議が開かれた、私はそう認識し、この会議を大いに活用しなければならないと思って、まずこれに臨んだ次第であります。

 そこで、私は、開会冒頭の第一セッションの最初のスピーカーとしてのチャンスを与えられましたので、産消対話、いわゆる産油国と消費国との対話の最初のスピーカーとして、石油価格というのは、我々消費国にとっては安ければ安い方がいい、あるいは産油国にとっては高ければ高い方がいい、これは表面的にはそう受けとめられる向きもあるわけでありますが、我々はあの第一次オイルショックという大変な経験を経て、その経験から見て、今申し上げたようなことは産油国にとっても消費国にとっても適切ではない、安定供給の状況をつくり出していくことが産油国にとっても消費国にとっても、また国際的に地球全体の発展にもつながっていく。そういう基本的なスタンスを踏まえて、私は、省エネルギーの推進、そして投資の拡大、市場の透明性の向上、この三つの課題に取り組むことが重要であるという我が国の従来の主張を強調してまいりました。多くの出席者から賛同を得るとともに、会議の結果の取りまとめの中に総括としてこれらの意見は盛り込まれた次第でありますが、各セッションにおきましても、日本の発言によるとということで、随分多く取り上げられました。

 また、サウジアラビアや、OPECの議長を今務めておるのは、御承知のとおりナイジェリアのエネルギー担当大臣がOPECの議長でありますので、こうした主要生産国のエネルギー担当大臣とバイの会談を重ねました。お目にかかった閣僚の数は二けたに達しておるかと思います。その際、私からは、石油市場の安定に向けた生産能力の拡大のために必要な投資を行うように求めるとともに、特にサウジアラビアからは、いかなるときも日本にとって信頼できる供給者であり続ける、こういう明言がなされたわけであります。

 そして同時に、供給が今足りなくて、需要が多過ぎて今のような石油高騰の状況を醸し出しているわけではないと。よく、まるで供給側が供給を怠っているために、あるいは供給をセーブしているために値上がりを期待しているんじゃないかというふうな声も聞かれるが、全くそういう事実はない、むしろ、演説あるいは口先のいろいろな宣伝に惑わされてそうしたことの結果を招いておるのであって、我々の方も、我々の方というのは産油国の方も大変迷惑をしておる、こういうことでありました。先ほど申し上げましたとおり、日本をよきパートナーとして、我々は安定した供給国であり続けたい、こういうこと。

 同時に、他の国々のエネルギー担当大臣からのお話の中に、我々が心しなければならないことは、日本との関係は石油の取引だけの関係でありたくはないと。つまり、もっと日本の文化や日本の歴史も学ぶと同時に、日本が今日このような繁栄を築いておることに対して我々が学ばなきゃいけない点はたくさんある、それは承知している、そのための交流をどんどんやれるようにしてほしいと。

 ですから、先般、小泉総理も閣議及びいろいろな場所で改めて御指示をされておりますことの一つに、いろいろな国々へ国会議員の皆さんも政府の代表、閣僚も出かけるわけでありますが、おいでになる国は、集中して行っておるわけですね。これをもっと戦略的に散らしてといいますか、いろいろな国を視野に入れて訪問し、交流し、相手の御意見を聞く必要があるのではないか。

 私は、サウジアラビア初めいろいろな関係の皆さんの国々の産品を、例の一村一品運動の国際版としてとらえて御協力を申し上げておるわけでありますが、会談の前に私はその国の展示販売している品物を調べておりましたので、おたくの方のこんな品物については日本では大体このような値段で今成田空港で販売させてもらっておる、関西空港においても販売しておる、こういう事実を紹介しますと、大変驚いたような顔をすると同時に、その次の瞬間には、本当に日本がそこまでやってくれておりますかと。私は、その写真等を提示しまして、おたくの国のこともこのように我々は扱っておるというふうな話をしてまいりました。

 そうした一つ一つを大事にしながら、石油が高騰したから、石油が需要と供給のバランスが崩れたからといって慌てふためいて石油ごい外交に飛んで歩くようなことではなくて、もっと常々からそうしたことを視野に入れて対応していく必要があるということを痛感した次第であります。

 私は、今国会終了後、経済産業省の幹部を産油国等に重点を置いてそれぞれ派遣して、相手の国との間の十分な対話を重ねてまいりたいと思っておりますし、各党の皆さんも、いろいろな機会に海外に御出張されるわけでありますが、必ず一カ国は産油国を回ってくるというふうな配慮をいただければ大変都合がいいのではないか。日本国民の本当の気持ちを相手の産油国の皆さんに知っていただく、その努力が必要ではないか。

 そういうことでありますが、引き続き、石油市場の安定化のためにも、現在の状況は異常であるということは我々も痛感しておりますので、あらゆる方策を講じて対応してまいりたいと思いますが、くれぐれも国民の皆さんにお願いをしておきたいことは、石油エネルギーは十分余っておるわけです。日本には備蓄もあるわけです。民間の備蓄もあるわけであります。それを合わせれば一年分ぐらいは十分蓄えを持っておるわけでありますから、少々の、市場関係者が意図的に流したのではないかと思われるようなことにも余り反応を激しくなさらないで、そこは冷静に対応していただくということが一番、今私たちが対応していく上において御理解、御協力をいただいているものと思っております。

 我々は、エネルギー問題の責任者としての責務を回避するつもりは全くありませんが、今、言われるほどの問題ではない、言われるほどの状況に追い込まれているわけではない。その中から、新エネルギーの問題、省エネの問題等重ねながら、堂々たるスタンスで産油国と対峙していくことが大事だ、私はそう思っております。

吉川委員 カタールでの二けた以上の国の方々との会談の中で大変精力的に二階大臣が御活動されてきたことを今御開陳いただきまして、大変安心をいたしました。特に、今最後の方に大臣からお話をされました、石油エネルギーは余っている、備蓄はあるんだ、冷静に対応をということは、このメッセージをぜひとも資源エネルギー庁は国民の皆さんに対してしっかりとお伝えしていただきたい、このことが極めて肝要なことだ、今私は答弁を聞いてそう思った次第であります。

 さらに、本年はロシアのサンクトペテルブルクのサミットも行われるわけでございまするけれども、またそのことにつきましては関連性がありますので後ほど聞きたいと思っておりますが、この中で、G8サミットはエネルギー安全保障を重要なテーマとして取り上げるとも私はお聞きをいたしております。

 そこで、ことしの三月にモスクワで行われましたG8エネルギー大臣会合に西野副大臣が代表されて参加をされました。その折の、エネルギー関係のテーマについて幅広く議論をされたと伺っているわけでありまするけれども、この会合の成果について西野副大臣からぜひお伺いをしておきたいなと思います。

西野副大臣 まず、お答えをいたします前に、吉川委員には、常日ごろ、政治的な問題に取り組まれる姿勢の真摯さ、さらには、私どもが見まして、政治のセンスといいますか、そういうもののすばらしさにむしろ仲間の一人として非常に敬意を表しておきたいなというふうに思っておるところです。

 今先生からお示しをいただきました、この三月、モスクワで開催されましたG8エネルギー閣僚会議の内容でございます。

 先ほど来もお話がありましたとおり、この会合は、もちろんG8のエネルギー関係の閣僚、二階大臣が他の国際会議出席のために出席がかなわず、私がかわりまして出席をさせていただく機会に恵まれたわけであります。そのG8の閣僚とあわせまして、それ以外に、お話のあります、エネルギーの需要が急増しております中国それからインド等の閣僚も実は出席をいたしまして、文字どおり先進国と途上国との間でエネルギーに係ります安全保障の議論が実に活発に展開をされたわけであります。

 内容につきましては、当然ながら、我が国の持ちます、まず一つには省エネルギーの推進、それからもう一つは、エネルギー分野で投資促進を行いますための何といったって環境が必ずしも整備をされておりません。例えばインフラの問題もそうでございましょうし、あるいは国々によりまして税の体系も異なっておるわけでございまして、そういう環境整備。それから、エネルギー市場がいかに効率性を持って取り組むことができるかという、お話のありました、七月にサンクトペテルブルクで開催が予定されておりますサミットもこのエネルギー、省エネ問題がテーマになる、このようにも聞き及んでおるところでございまして、それに対する実は一種のエネルギー関係の事前の会合、閣僚会議でもあったわけでございます。そういう機会に恵まれたことは、私にとっても大変いい経験と、また大変その責任の重さを実は感じた次第でございます。

 さらに、それだけではございませんで、この閣僚会議の後、クレムリンでプーチン大統領とG8のエネルギー閣僚だけの会合が開催をされまして、文字どおりエネルギーの安全保障についての率直な実は意見交換が行われました。

 冒頭は記者団もテレビも入っておりましたが、その中でプーチン大統領から、エネルギーの安全保障問題について、特にエネルギーの大変多くの埋蔵を有しておる東シベリアの資源に対して、太平洋側の延べ四千二百キロほどにわたる距離に対してぜひパイプラインを敷設しておきたいという、日本にとりましては大変ありがたい、大変期待をしておる発言がみずから飛び出してきたわけでございまして、それを期待いたしておるところでもございます。

 その後、記者団が退席をされましてから、これからメディアもテレビも記者もおられませんから、どうぞ各国は存分に思いの話をひとつしていただきたい、ロシア側もしっかりとお答えをさせていただきたいしお願いもしていきたい、こういう発言の中から、実のある会合になったというふうに私は思っております。その折に、日本が盛んにこの閣僚会議で発言をされている省エネというのは例えば具体的にどういうものを指すのでしょうかというプーチン大統領からの問い合わせもございました。

 そんな中で、私は、わかりやすく、例えば我が国はトップランナー方式というものを採用しておると、その一例を挙げて説明いたしたところでございまして、そういうものに対しても大変関心を持って聞き及び、各国の閣僚も、我が国の省エネ技術の進んでおることに対して大変な関心を抱いておられたわけでございます。

 こういうことの、私にとりまして、また我が国にとりましても大切なエネルギー問題について、G8閣僚会議でお互いに存分の話し合いができた、実のある会合ができたというふうにも思っておるところでございまして、今後エネルギー需要が増嵩してまいります中で、原油価格のお話もありましたとおり、これらの課題に対して、何か、地球上で最も大きなエネルギーの埋蔵量を持っておるロシアの発言が一種の大きな光を与えてくれたようにも思っておるところでございます。大変意義のある会合であったというふうに思っております。

吉川委員 続きまして、原油価格の高騰の影響について少しだけお伺いをしておきたいと思うんです。

 原油価格の高騰は我々の暮らしにとっても本当に大きな問題でございまして、経済や産業に対しても大きな影響を及ぼしているのはもう申し上げなくても御理解をいただいているところだと思いますが、例えば私の地元の北海道、ことしは非常に雪が多い地域がございました。特に札幌も、降った雪の量というのは平年並みでございましたけれども、寒い日、寒波が続きまして、なかなか雪が解けませんでした。その折に灯油が値上がりをいたしまして、市民生活にも大変影響を及ぼしたということもございました。やっと桜前線が札幌まで参りまして、暖房は最近は使わなくともいいというような状況になりましたけれども、御承知のように北海道は北国でございますから、この五月に入りましてもまだ暖房の必要なところがあるわけでございまして、この原油価格の高騰というのは国民生活に及ぼす影響が極めて大きいと私は思っております。

 そこで、この影響を極力少なくするように万全の対策をとることが必要であろうかと私は考えております。先ほど二階大臣が大変すばらしい御答弁をしていただきました。国民に対してメッセージをと私も申し上げましたけれども、この原油価格の高騰に対して今後どのような対策をとっていくのか、簡単で結構ですから、御答弁をいただきたい。

細野政府参考人 お答え申し上げます。

 外交的な取り組みにつきましても今大臣、副大臣から御説明申し上げたとおりでございますけれども、国内における国民生活あるいは中小企業を含む関係のところに対する影響についても十分注意を払ってまいるべきと思っております。

 ガソリンでありますとか今御指摘にありました灯油あるいは軽油、こういうものにつきましては毎週その動向について把握をしておるところでございますが、あわせまして、二階大臣の御指示も受けまして、いわゆる産業への影響、こういうものについてもフォローアップをしておりまして、しかもそれを前倒しするということで、先日、連休の前でございますけれども、四月二十八日に、まず大企業についての影響について調査したものを公表させていただきました。中小企業の関係についてもあわせて今調査中でございまして、来週中にもまた結果を御報告できるようになると思います。

 それから、具体的には、その高騰等によりまして中小企業の皆さん方に影響が出る場合がございます。したがいまして、これまでもいろいろな対応を図ってまいっておりますけれども、特にセーフティーネットなんかの融資制度、こういうものの活用については、引き続ききめ細かい対応をするということを同じく四月二十八日に再度徹底させていただいたところでございます。

 それから、トラック等の運輸業、こういったものについての影響の大きさなんかにもかんがみまして、いわゆる省エネ機器なんかを導入していただくための諸制度あるいは予算措置についても御活用いただくということで、広報と普及に努めておる次第でございます。

 御指摘のように、国民生活、産業に対して非常に影響の大きいものでございますので、引き続き、関係の情報を把握の上、適切な対応を図ってまいりたいと思います。各省とも十数回にわたりまして局長級あるいは課長級の連絡会議をしておりまして、各省とも適切な連携を図りながら対応に努めてまいりたいと思います。

吉川委員 昨日の新聞にも記事として載っておりましたけれども、ガソリンが百三十四・九円、十五年ぶりの高値ということでございまして、これは石油情報センターが発表をされた数値でございまするけれども、レギュラーガソリンで、全国の平均店頭価格が前週よりも三・八円上昇して百三十四・九円と、湾岸戦争時の一九九一年二月に並ぶ十五年三カ月ぶりの高値となった、こういうことでございますね。元売各社が五月一日から卸価格を一斉に一リットル当たり四円超値上げをしたためで、前週比で三・八円の大幅な上昇は昨年四月四日以来となる、こういうような記事が載っておりました。

 元売各社は、ことしの利益が七千億超だと私は聞きました。ここでは、小売店というのが本当に今日までこの原油価格の高騰で苦しんでまいりました。そういった小売店のいろいろな実態も含めて、資源エネルギー庁として、この原油価格高騰に対しての対処方を私は強く要望しておきたいと思いますので、これは要望にとどめておきたいと思います。

 このエネルギー問題につきまして最後に二階大臣にお伺いをいたしたいと思いまするけれども、各国においてエネルギー政策の見直しが進められていると聞いておりまして、日本政府内におきましても、エネルギー安全保障に重点を置きまして、エネルギーの国家戦略を策定していると聞き及んでおります。我が国のエネルギー戦略について、二階大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。大臣、時間がありませんので、簡単で結構でございます。

二階国務大臣 吉川議員から、エネルギー問題に対して、大変深刻な状況であるという現状を把握されて、的確な御質問をちょうだいしました。私どもは、まず、そのことを参考に、今後対応してまいりたいと思っております。

 申すまでもなく、エネルギーは我が国経済、産業にかかわるまさに生命線であり、この安定供給確保こそ国家の重要な課題であり、まさにエネルギー安全保障にかかわる問題だと思っております。

 また、国際的には、原油価格の高騰が、御質問にもありましたとおり、中国やインドを初めとする世界のエネルギー需要の急増など、エネルギー情勢は急速に厳しさを増しておるということに対して、認識を同じくしております。

 特にまたアメリカ、欧州各国、さらに中国など諸外国におきましても省エネルギー施策の充実のためにいろいろな手を打っているわけでありますが、同時に、原子力に対する見直しなども盛んであります。まさにエネルギーに関する国家戦略の構築がそれぞれの国において進んでおるわけであります。

 我が国におきましても、現在、エネルギー安全保障を軸とした新国家エネルギー戦略の策定に取り組んでおります。

 具体的には、省エネルギー、特にこれは小泉総理の方針でもありますが、石油依存度の低減を図る、このことに重点を置いて、今後、あらゆる施策を展開してまいりたい。特に、原子力の推進、アジア諸国とのエネルギー問題に対する連携等も十分考えてまいりたいと思っております。

 なお、今月の終わりでありますが、再々当委員会でも御説明を申し上げてまいりましたとおり、中国との省エネ・環境フォーラムを開催することにいたしまして、今精力的に準備を進めておるところであります。

 また、新しいエネルギーを開発するいわゆる次世代の新エネルギーにつきまして、代表的なものをピックアップして、エネルギーパークなどの検討も今おいおい進めておるところでありますが、やれるものは何からでも対応していく、そして、議員からも御指摘がありましたとおり、我が国は石油資源が四%しかない、このことを念頭に入れて巧みな経済産業外交を展開してまいらなくてはならないと思っておりますので、議員各位の一層の御協力を心から願うものであります。

吉川委員 時間がなくなりまして、環境と経済についても議論を深めたかったのでありますが、大変残念でございますが、最後に、西野副大臣にどうしてもここだけは聞いておかなければならないという点がございます。

 一つは、はしょってお話をいたしますが、アジア太平洋パートナーシップの会議にも西野副大臣が参加をされております。この点について、これからのアジア太平洋パートナーシップにおける取り組み、さらには京都議定書との関連性、そして環境税というような話も出ているわけでございます。私、個人的にはこの環境税に対しましては極めて疑問を持っているところでございまして、国民の皆さんに、例えば電気料金に付加して全部環境税をお支払いしてくださいよというような税だとすれば、中身は私まだ詳しくは聞いておりませんけれども、モラルハザードの問題が非常に大きな点になってくると思うんですね。要するに、税を納めているから省エネをしなくてもいいのではないか、結果として二酸化炭素の削減というものが、京都議定書の目標を達成できなくなるのではないか、私はそういう危惧の念を持っている一人でございます。

 総合的に、アジア太平洋パートナーシップ、そしてこれから地球環境問題、CO2削減の関連、さらには、最も大切なのは、我が国におきましては経済と環境の両立だというふうに私は思っております。その点を含めて西野副大臣の所見をお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。

西野副大臣 多岐にわたる御質問の内容でございますので、時間の関係で手短に申し上げたいというふうに思います。

 去る一月にシドニーで開催されました第一回の閣僚会合でございます。参加いたしましたのは六カ国でございまして、我が国と豪州、そしてアメリカ、韓国、中国、インド、こういう国でございまして、この中で京都議定書に加入している国、削減義務があります国は我が国だけでございまして、最大の排出国、米国が入っておりますし、第二位の排出国であります中国がまたこれに入っておる。いわば、日本以外はすべて議定書の義務を負わない国々であります。そういう国々が入って、実は政府関係だけではありませんで、特色は、主要な民間の企業の方々が代表して入っておられるわけであります。しかも八つのタスクフォースに分かれまして、それぞれのセクションで取り組みを検討する、こういうことでございます。

 大変大きな意義があり、京都議定書の枠をむしろ補足するといいますか、実効ある地球温暖化の防止を図るためには、京都議定書の調印国だけで約半分、あとの半分は非加入の国々に課題があるわけでございまして、そういう国々が文字どおり入りましてのエネルギー閣僚会議であるというところに実はこのAPPの大きな意義があるわけでございます。しかも民間が入っている、こういうところでございまして、我が国はその中で、鉄鋼とセメントの分野について議長を果たして、積極的な働きをいたしておるわけでございます。

 これも、ただ単に一月でその会合が終わっただけでありませんで、引き続いて、実は先月でございますが、事務レベルと民間の方々が入りまして、申し上げました八つのタスクフォースの取り組みについて、官民挙げまして総勢で三百三十名でございまして、我が国からは七十名の役所と民間の方が入りまして、第一回の実質的な会合が開かれたわけでございます。そういう意味で、私は非常に意義があったなというふうにも思っておるところでございます。

 ですから、このことが今後のポスト京都議定書の枠を文字どおりフォローいたしながら、かつ実効ある地球温暖化防止に役立つ仕組みとして、これから大いにこれを期待していきたいなというふうにも思っておるところでございます。

 あわせまして、先生から環境税の話が出てまいったわけでございまして、これは一言で言いがたい……(吉川委員「一言で」と呼ぶ)一言でお答えをいたしますならば、化石燃料に例えば税を課すことによって、それに伴うて地球の温暖化が防止をされるというのならば、これだけですべてが終わるわけでございます。

 私は、決してそういうものではない、このようにも思っておる次第でございまして、むしろ我が国が追加措置を講じて目標達成、あわせて文字どおり地球環境の中で効果がある仕組みをそれぞれの分野で取り組んでいくべきではないのかな、こういう大きな課題に今直面している、このようにも認識をしておるところでございます。

吉川委員 ありがとうございました。

石田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 限られた時間、議論をさせていただきます。

 大臣には、先ほど石油市場の安定化に向けた大臣の御決意は伺いましたから、どうぞ、御予定がおありだと思いますから、結構でございます。

 本日は、私は、限られた時間でありますが、タクシー業界のグリーン化の問題について一点議論をさせていただきたいと思います。

 いわゆるデジタル式のGPS―AVMシステム、これは衛星を使ったタクシー事業者の配車システムでありますが、これをデジタル化しよう、これを促進する、これが省エネにつながる、こういうものでありますが、十八年度からNEDOにおいてこの促進事業が取り組まれておりまして、具体的には補助制度、民間のタクシー事業者に対して補助をする、こういうものであるようであります。

 十八年度、新たにNEDOにおいて取り組まれるということでありまして、十八年度の資源エネルギー関係の予算あるいは事業全体の中でこれはどういう位置づけなのか、時間がありませんから簡単に、ポイントだけお答えいただきたい。

西野副大臣 お答えをいたします。

 今先生からお示しの分野は、本年四月に施行されました改正省エネ法に基づいて新たに予算措置を実施しよう、こういうふうに位置づけておるところでございます。

 御指摘のデジタル式のGPS―AVMシステムでございますが、これはタクシーの効率的な運行を実現するという省エネ設備でもあるわけでございまして、この問題は、国土交通省とも連携をしながら、申し上げましたとおり、本年度より関係予算を実施していこう、このように思っておるところでございまして、これらに基づきまして、文字どおりの運輸関係での省エネ、そういう効果が上がるように積極的に導入を図っていきたい、このように思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 お答えがありましたように、これは経産省と国土交通省が連携をされて十八年度から新しく取り組まれる、こういうことでありまして、とりわけ運輸部門における省エネ対策として私も関心を持っている事業でございます。

 そこで、きょう、連携をされておられます国土交通省自動車交通局も来ていただいております。聞きましたら、平成十一年ぐらいから国土交通省においてはこうした取り組みも、いわゆるデジタル化ですね、取り組まれているというふうに聞いております。十八年度、今年度からは、今御説明がありましたように、NEDOにおいて石特特会の金を使って新たにまた取り組まれるということでありますが、国土交通省においてはどういうふうな位置づけをされておられるのか、具体的な事業の内容も含めて御説明をいただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 このデジタル式GPS―AVMシステムと申しますのは、もう御承知のところでありますけれども、GPSを活用いたしまして現在のタクシーの位置情報をリアルタイムで把握いたしまして、また実車、空車の別もリアルタイムで把握することによりまして、お客様から電話等で予約が入りましたら、そのお客様に一番近いところの車を回すという配車システムのことを言っております。

 これによりまして利用者の呼び出し地点に一番近い車を配車することができますので、タクシー業界で言っております無線配車の効率化、具体的には空車走行の削減、したがいまして、それに伴いまして省エネ対策、ひいては地球温暖化対策に資するものというふうに考えて、その普及を図ってまいりたいと考えているところでございます。

桝屋委員 今御説明ありましたように、両省において新たに取り組まれる、国土交通省は十一年からほかの予算を使ってこうした取り組みをされてこられたようですが。話を聞きますと、全国で、タクシー業界、法人で八千ぐらいあるんでしょうか、二十二万台ぐらいの車が走っている。そうした営業実態を効果的に運営していこう、これは、単に営業効果のみならず、省エネに大いに寄与する、こういうことで国土交通省も以前から取り組まれている、それをまさに十八年度から新たな仕掛けにされた、こういうことであります。

 そこで、具体的な事業の目的なり効果についていま少しお聞きしたいのでありますが、NEDOが窓口になって補助事業を実施されるようであります。これは具体的な事業のスキームとしまして、国土交通省の認定を受けながらNEDOに申請をする、こういうことのようでございますが、事業全体のスキームを、きょうは高原さんにも来ていただいておりますので、具体的に、NEDOあるいは経済産業省、省エネの方の立場ではどういう審査をされるのか、そして国土交通省とどういう連携をおとりになるのか、詳細を御説明いただきたいと思います。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の支援事業に関しましては、まず、事業者の方々に、このシステムを導入して行おうとする省エネの取り組み計画というのを作成していただきます。そして国土交通省の認定を受けていただくということにしております。

 その後、事業者の方々には、国土交通省の認定を受けたことを示す書類を添付していただきまして、そしてNEDOに所定の公募の申請書を公募期間、この五月三十一日まででございますけれども、に提出していただくことになっております。

 NEDOにおきましては、学識経験者から成る公募審査委員会に諮っていただきまして、予算の範囲内で補助対象を決定いたしております。特に、国土交通省の認定を受けて申請のあった案件につきましては、政策的な意義が高いということで、審査においても高い評価を得て、助成対象としておるということでございます。このような国土交通省さんとの連携型の案件でございますけれども、別の業種でございますが、同じような案件がございますけれども、昨年度、六十五件の国土交通省の認定を受けたものがございますが、すべて採択をされております。

 以上でございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 そこで、これからが私の問題意識なんでありますけれども、こういうふうに両省で取り組まれている、まさに運輸事業者、とりわけタクシー事業者のグリーン化、省エネ対策でありますけれども、いろいろ伺いますと、参加事業者、いわゆる補助を受けようという、国土交通省の認定を受けてNEDOに補助金の申請をされる事業者の要件がありまして、この要件は、当該営業区域の全タクシー車両の一割以上、あるいは一割なんだけれども七十両以上、あるいは百両以上の運行管理あるいは配車システムを構築するということが対象であるというふうに聞いております。

 この七十両あるいは一割あるいは百両という根拠はどこにあるのか、いやいや、それ以下でもやりたいんだという声もあるわけでありますけれども、そこの理由を御説明いただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答えします。

 その前に、先ほど、すぐれものであるというGPS―AVMシステムの説明をいたしましたけれども、では、具体的に今どの程度タクシーに搭載されているのかということでありますが、ことしの二月末現在では、全国では七%、まだまだ一割に達していない状況であります。(桝屋委員「車の七パー」と呼ぶ)そうでございます。そういう状況の中で、これを普及促進したいということで、経産省さんとも連携して支援事業を開始したというところでございます。

 ただ、とはいいつつ、やはり予算の限度があるということから、その範囲内で効率的に予算を執行したいということで、基準を定めたところでございます。

 言うまでもございませんけれども、こういうデジタル無線による無線配車を効率的に行うというのは、そのシステムに参加する車の数が多ければ多いほどその効率化が増すわけでございますので、まず、一定規模以上のシステムを対象にしようということでございます。

 そこで出てきましたのが、営業区域内の一割以上の会社等のシステムを対象にしようということを決めたわけでございます。ただ、東京、大阪等大きなところになりますと一割というのは相当な数になりますので、そういうところにつきましては百台、百両以上の会社をとりあえず対象にしようということで始まったわけでございます。(桝屋委員「七十は」と呼ぶ)

 七十といいますのは、営業区域の一割といいましても、これまた地域差がございますので、余り小さいところですと一割というのは数が少なくなってしまいますので、今現在のGPS―AVMシステムの平均車両数というのを算定いたしましたところ、六十八・五両という数字が出ております。つまり、現在のシステムの平均数程度はやはり必要であろうということで、一割は満たしているけれどもその平均以下であるところは今回は御遠慮願おうということで七十という数字を出した、こういう次第でございます。

桝屋委員 御遠慮願おうという表現は余りうれしくないのでありますけれども、つい本音が出たんじゃないかというふうに私は思うのであります。

 もう一回確認なんですが、ここが私のきょうの一番関心事であります。今のお答えでは、この七十両というラインは、一定以上の台数があった方が効果的な省エネ効果が期待できる、こういうことなんでしょうが、今の御説明では、現在システムを構築されている、その平均台数が六十八・五だ、こういうふうにおっしゃったんです。昨日、私、レクを受けているときに聞きますと、法人の事業者の平均の台数が七十台ぐらいじゃないかという御説明もいただいたんですが、そうではないんですね。現在のシステム、現実に配車システムを組んでおられる、どこも配車システムは当然あるんだろうと思いますが、その平均が六十八・五だ、こういうことでいいんですか。もう一回お答えください。

松尾政府参考人 既に、GPS―AVMシステムは全国で七%ほどの車両に導入されているというふうに申しました。(桝屋委員「その七パーが平均」と呼ぶ)そのGPS―AVMシステムを導入しているシステムの平均ということでございます、無線はそれ以外にもたくさんございますけれども。

桝屋委員 では、これは通告しておりませんが、基礎的データですが、八千社ある法人の二十二万台。そうすると、平均大体どのぐらい台数をお持ちなのか、もしわかれば。ただ二十二万割る八千でいいんですか。僕が計算しましょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 車両数そのものは二十九万台ほどございます。その七パーということで、恐れ入ります。

桝屋委員 僕が聞きたかったのは、今のタクシー業界の通常の法人、東京ばかりじゃありませんね、全国的に見て一事業者が大体どのぐらい車をお持ちなんですか、平均の数字があればお示しをいただきたいと聞いたわけであります。

松尾政府参考人 たびたび数字の変更で恐れ入ります。二十七万台ということで、八千社でございますので、三十数両ということになろうかと思います。

桝屋委員 恐らくその三十というのは適切な数字じゃないと思うんです。平均すると一社大体どのぐらい台数を抱えているかということを私は確認したかったんです。機械的に計算すれば三十ということではありますが、それなら余計七十という線が、先ほど次長は御遠慮願うとおっしゃったんだけれども、御遠慮願うのは省エネ対策を御遠慮していただくわけではないですよね。ぜひそれは取り組んでいただきたいわけであります。

 そこで、実際、私もこの話題は、専門家でもないし、実態はよくわからない。ただし、このゴールデンウイーク、ずっと現場をあいさつ回りしておりまして、タクシー事業者の皆さんから初めて伺った話でありまして、いやいや、非常にいい事業なんだけれども、七十台あるいは百台という線は、例えば私の地元であります鳥取県とか島根県とか山口県ではなかなかありまへんよということで、クリーンエネルギー対策といっても結局は特定地域を想定しておやりになるんですか、それでいいんでしょうか、こういう切実な声を伺ったわけであります。

 現場のタクシー業界の皆さん方はこのデジタル化については、確かに効果があるようでありまして、平成二十三年ぐらいを目途にぜひ進めたいという声もあるわけで、これは業界の自主努力としてまことに結構なことだと私は思っておるわけでありますが、それだけに、この普及事業、大いに期待をされる、効果を期待したいと思っているわけであります。

 では、どういう手があるかというと、事業主体としては、申請をするのであれば、何も単一の事業者じゃなくても、事業協同組合あるいは無線共同配車センターの単位でもできますよ、したがって地方でも連携をおとりになったらどうですか、こうも言われているわけでありますが、配車というのはまさに営業の一番の根幹でありまして、お客さんの奪い合いも結構あるわけでありまして、まさに経営上の問題もあって簡単なことではない。昔は配車をやったけれども、どうしてもうまくいかないからまた別々になっちゃったという経緯もあるようであります。

 今後、私は、この事業のあり方、始まったばかりの事業でありますが、もう少し工夫をしていただく必要があるんじゃないか。一定の台数以上持っているところを対象にして、あとは御遠慮願うということではなくて、むしろ省エネという観点で少し工夫の余地があるんじゃないか。

 私、専門家でないからどういう基準がいいのかわかりませんが、やはり地方においても省エネ対策は同じように取り組んでいただかなきゃならぬ。それは東京、大阪も大事ですけれども、地方もやはり運輸部門の省エネ対策というのは極めて大事でありまして、そうしたところにも何らかのインセンティブが図れるような工夫を考えていただいてもいいのではないかな、私はこう思っているんです。今回は今回、これからこの事業の実施状況を見ながら、工夫の余地があると私は思っておりまして、御検討をお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。

松尾政府参考人 今後の検討へのお答えの前に、委員も御指摘になりましたように、小規模事業者でもこういうGPS―AVMの導入の機運が大変高い、それを単体の小さいところだから外すのはおかしいではないかという御指摘でございます。

 委員も御指摘のとおり、省エネへの取り組みを我々は遠慮願っているわけではなくて、今回の補助金の申請の一つの基準として、予算の範囲内でやる一つのラインとしてつくっておるということで御理解をいただければと思うんです。

 ただ、経営上、小さい事業者が集まって配車センターをつくるのは難しいではないかという御指摘でございますが、一方では、数が多ければ配車の効率もまた上がるということでお客さんの数もふえる、こういうことで、積極的にそういう配車センターをつくろうという機運も地域によってはございます。

 一例を挙げますと、九州でございますけれども、複数のタクシー事業者で構成されるタクシーの無線協同組合あるいは無線共同配車センターというものを設立しているところがございまして、その結果、九州だけで、七十台以上の車両規模で配車業務を運営しているケースが六十ございます。

 したがいまして、山陰地方のお話をされましたけれども、やはり経営上の判断ということでございますが、逆の意味の経営上の判断に立てば、こういう共同配車センターというものを積極的につくっていただきたいというふうに我々としては思うところでございます。

 ただ、この補助金との関連、支援事業との関連でございますが、まさに始まったばかりでございます。この事業は本年度から開始したという状況を踏まえ、今後、その実態等を踏まえ、おっしゃるとおり、最終的には全国的に普及促進するのが目的でございますので、経産省さんとも十分に連携しながら、必要に応じて検討してまいりたいと思っておるところでございます。

桝屋委員 ありがとうございました。

 反論されまして、その反論に抵抗する材料がきょうはありませんから、それでお聞きしますが、ただ、気持ちは同じだと思うんです。

 けさ、NEDOのホームページをずっと見ておりまして、募集要項をずっと見たんですけれども、七十台とか百台とかという要件はなかなか出てこないんですよ、副大臣、また御自分で見ていただきたいんですが。あれを見て、よしと思って行ったら、国土交通省ではねられるんでしょう、御遠慮してくださいと言われるんでしょうが、私は、やはり全国展開を、促進事業であるということを考えると工夫の余地はあると思っておりますが、副大臣、いかがでありましょうか。お答えを聞いて終わりたいと思います。

西野副大臣 まさしく効率のいい形は一定の数が出てくるんでございましょうが、日本全国ひとしくそれらの思想を普及することも大事でございますし、全国的に地域に漏れなくそういうものが徹底することが大事でありますから、先生がお示しのように、これらの数だけにこだわらず、柔軟に今後も検討していくべき課題であるというふうに思っております。

桝屋委員 終わりますが、先ほどの九州の六十、全部が恐らく補助対象にはならないと思いますので、また、どういうものが補助対象になるのか、現地をしっかり見て勉強したいと思います。また教えてください。

 以上で終わります。ありがとうございました。

石田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松原仁君。

松原委員 このゴールデンウイークがありまして、さまざまな外交活動というものが展開をされたわけであります。二階経済産業大臣におかれては、二十二日、訪問先の中国において曽慶紅国家副主席と、この曽慶紅さんというのは中国では事実上ナンバーツーともスリーとも言われている方でありますが、会談をなさった。その中で、東シナ海資源開発問題について具体的にどのようなやりとりがあったのか、できればお話をいただきたいと思います。

二階国務大臣 先月の下旬、お話のとおり、博鰲アジアフォーラムに出席をいたしました。その際、中国を代表して曽慶紅国家副主席が御出席になっておられました。

 まず、この同フォーラムにおきましては、中国の曽慶紅国家副主席が演説を行い、出席者に対してのごあいさつと同時に、中国の政策につきまして概略的なコメントがございました。ことしから始まる中国の第十一次五カ年計画において、中国は科学的発展の展望及び調和のとれた社会の構築という要求の着実な実行に努力をする、資源の節約と環境保護を基本的施策とし、持続可能な発展を促進していきたい、こういうことをお述べになったわけでありますが、私もこの発言の機会に、イノベーションと需要の好循環、日本とアジアの成長の好循環及び、人材立国の推進を通じて、GDP、実質におきまして年率二・二%以上の成長を実現するんだという決意を表明したところであります。

 その後、ただいま松原議員からもお話のありましたとおり、曽慶紅国家副主席とバイの会談を行いました。

 会談において種々のお話をさせていただきましたが、中でも最も御関心の深い東シナ海の資源開発等を含む日中関係についてでありますが、東シナ海の資源開発問題は、私からは、東シナ海をお互いの協力の海とするべく、話し合いにより、より早期に解決することが必要だということを申し述べました。その上で、本格的な協議がいよいよ今日開始されようとしておるわけでありますが、交渉が進展していくためには、ただいま松原議員から御指摘のあったとおり、曽慶紅副主席は、まず、ナンバーツーかナンバースリーの実力者の一人でありますから、ぜひこの交渉を促進するように強力にバックアップを願いたい、中国側で指導力を発揮していただきたいという旨を申し述べたところであります。

 これに対して、曽慶紅副主席は、東シナ海を協力の海とするという考え方に賛同するとともに、日中双方にとり利益となる共同開発による解決を期待するということを述べられたわけであります。

 そしてまた、さきの講演におきましても、友達は、友人は選ぶことができる、しかし隣国を選ぶことはできない、そういう御発言がありましたが、今後の日中関係についてのお考えの一端を示唆されたものと思いますが、私は中国側に対しまして、今、このお話し合いが間断なく行われているわけではあるが、早期に決着をつけることができるように一層の協力を願いたいという旨述べたところであります。

松原委員 日中中間線をまたぐ資源問題でありますから、今大臣がおっしゃったように、友達は選ぶことができるが隣人は選ぶことができないという中において、どこの家に行っても、隣の家と仲がいい家もあれば、私なんかも、地域、地元選挙区を回っておりましても、何かいさかいごとがあって、実は、隣の家とのけんかで、どうなんだみたいな、いや、どっちも選挙民だし大事だからなんという話をしばしばするわけでありますが、私は、結局、隣同士だからこそそういった大変に緊張感がみなぎる部分があって、したがって、隣であるがゆえに、やはり毅然として、言わなければいけないこともあえて頑張って言わなきゃいけない舞台というのもあろうかと思っております。

 そうした中で、中国側による日中中間線をまたぐ船舶航行禁止区域というのが設定されたのは既に報道でもされているわけでありますが、この理由として、こういった中国のガス田がいよいよさらにステージアップして量産態勢に入るための準備であるというふうなことも報道されているわけであります。

 今回、曽慶紅副主席との話ではこれは出なかったとは思うんですが、しかし、これに関して、日本側の抗議に対して、中国側は技術的なミスだといってとりあえずこの区域設定を撤廃したわけでありますが、このことに関しての大臣の御所見をお伺いいたします。

二階国務大臣 中国の海事局が提示しました航行通告に対しましては、外交ルートを通じて照会を行うとともに、これに対し、中国側より技術的な誤りがあった旨の説明が外務省を通じてありました。その後、四月十八日にこの航行通告は修正をされております。しかし、外交ルートを通じて、これまた東シナ海資源開発問題に関する本格的な協議が始まった重要な時期である旨を指摘し、このような事態の再発防止を重ねて中国側に強く求めておるところであります。

 また、東シナ海を協力の海とするというこの基本方針に基づいて、引き続き対話を通じた迅速な解決に努力をするところでありますが、いよいよこの五月の中旬、来週中に第五回目の正式なといいますか公式協議が始まるわけであります。それじゃ、四回目と五回目の間に随分時間がたったなという思いを一般の方はお持ちになると思うんですが、その間もあらゆるルートを通じて積極的に交渉を行っております。

 五月十五日の会合がもう目前に迫っておりますので、この際、私から微妙な点につきまして積極的にコメントすることは差し控えておいて、経済産業省の資源エネルギー庁長官と外務省のアジア大洋州局長が積極的に熱心に取り組んでおるわけでありますから、この交渉にゆだねて、いきさつを十分注視してまいりたい、このように思っております。

松原委員 今微妙な時期だからというのは、私は確かに政治的にそうであろうと思っております。私がこの委員会の席で申し上げたいことは、やはり、従来、報道によって我々が知らされた限りの中国側のいわゆる共同開発提案というのは、報道による限りでは、我々がなかなか納得できる中身になっていないというふうに思っておりまして、これに関しても、国益ということ、そして、その国益や経済的な部分だけではなくて、まさに、「国家の品格」という書物が今売れておりますが、国家の名誉と、そして精神的なテンションの高さを含めてのものであるという観点で、その協議がどういう結論を出すのか、それを私も注視をさせていただきたいと思っております。

 また、カタールにおいてACD、アジア協力対話というものが行われるわけでありますが、日中の外相会談も行われるわけであります。経済産業大臣にとっては立場が所管外ということかもしれませんが、この中で、当然、東シナ海資源開発問題ついて議論がなされなければいけないというふうに思っておりますが、このことに対する何か期待感があれば御所見をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 外相が正面に立っておやりになるわけでありますから、ただいま日中間の本問題に対する解決に向けた本格的な協議が始まったところであり、そうしたことは外相自身がよく承知をされておるわけでありますから、日中外相会談等が開かれる場合に、政府全体の方針に基づいて本問題の解決に向けた話し合いが行われるものと期待をしているところであります。

松原委員 従来、この委員会の質疑でもさまざまありましたが、特に東シナ海の資源問題というのは、先ほどおっしゃいましたように、資源エネルギー庁長官とアジア大洋州局長も議論をして密接な連携をとってやるということの中で、二階経済産業大臣と麻生外務大臣の平仄が内閣の中できちっと合って行うという点を含め、こういった外相会談に向かって、それを協議する必要がないといえばそういう議論もあるかもしれませんが、外務大臣と二階産業大臣がどこかで一回協議をする、そういった御用意はありますでしょうか。

二階国務大臣 週二回閣議がございますから、その場でもいろいろ話し合いをいたしております。きょう松原議員から、特に両閣僚はしっかり話し合うようにという御要請があったということを受けて、また外務大臣とも話し合ってみたいと思います。

松原委員 日本側からすれば、試掘問題というのが一つ存在しているわけであります。微妙な時期ですから発言ができないというのも一つの判断だと思いますが、日本側の試掘、帝国石油は試掘権に関してやるという意識をまだ固めていないということでありますが、仮にそうした試掘をしたいという意識が会社の中にある、もしくはまた日本国の中にそういった思いが高まってきたときに、試掘に関して大臣は現段階ではどういう御所見を抱いているか、お伺いいたします。

二階国務大臣 私は現段階も以前の段階も同じ考えでありますが、今お尋ねの試掘につきまして、仮に、帝国石油から具体的な計画について御提示があり、御相談があった時点で、政府としてしっかりと適切な判断を下してまいりたいと思っております。

松原委員 これでいわゆる資源問題に関しての質問は終わりますが、やはりその段階では、帝国石油が民間としてやりたいという意思を持ったときは、ぜひ大臣におかれてもそういう思いで対応していただければ、このように思う次第であります。

二階国務大臣 帝国石油から、先ほど申し上げたとおり、そういう御意向が示された場合には、種々の情勢を判断して、資源を確保しなければならないという我が国の立場からして、十分な対応をするということは当然のことであります。

松原委員 次に、中小企業問題についてお伺いしたいわけであります。

 この連休前後を含め、私も、地域、特に品川区、大田区というのは中小企業が大変集積をしている地域であります、その中で幾つかヒアリングをしてまいりまして、そのことのお伺いをしたいわけであります。

 一つは、今、中小企業に対する金融というのがなかなか厳しい環境にある。ピークは過ぎたと言われておりますが、なかなか厳しい。特に、中小企業の多くは、金融機関からお金を借り入れた場合に、そのお金をずっと二十年も三十年も借り続ける、一体何の名目でこのお金を借りたのか、経営者もよくわかっていない、貸している方もわかっていない、しかし、借り続けて企業が利益を出し、また金融機関は利息を取る、こういうふうな状況が大変散見をされる。

 通常、これをべったり貸しと言ったり、いろいろな表現を使うわけでありますが、私は、このものに関して、明らかにそれは疑似資本とみなすべきだろうと。特に、日本の場合は、こういった中小企業がみずから資本を持って戦うということをしませんでしたから、疑似資本と。

 疑似資本とこれをみなすというように、財務諸表上そういうふうにみなすべきだということを、私はやはり中小企業庁は金融庁に言っていくべきだと思うんです。これを疑似資本とみなせば救われるところが、疑似資本とみなされないがゆえに随分とお家お取りつぶしになったということが事例としてあるわけですから、このことについてお伺いいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいますように、中小企業の資金調達あるいは資金繰りの観点で、長期にわたって特定の金融機関から借り入れて転がしているような形があるというのは、今の日本の中小企業の多くの実態であるわけでございます。

 私どもは、そういう実態を踏まえて、特に金融庁の金融検査マニュアル中小企業編を作成する際には、そういう中小企業の特性に留意して金融検査のあり方を決めていただきたいということをかねてから申し上げておりまして、その一環として、これを借り入れなのかあるいは資本と同等のものと解釈するのかというのは、外形的には非常に難しい面があるわけでございますけれども、そういった私どもの議論の結果、平成十六年の、最近有効であるところの金融検査マニュアル中小企業編におきましては、金融機関が保有している中小零細企業向け要注意先債権を、返済が他の債権より劣後されるなど、一定の条件を満たした場合には、当該債務者の資本とみなすということができるような改定がなされているわけでございます。

 私どもは、これで十分であるかどうかということについては、中小企業側の要望にすべてこたえている、あるいは実態をすべて踏まえた上での最適なものというのはなかなか難しいと思いますけれども、先ほど来申し上げているように、通常の借り入れと区分することが外形的に非常に難しい以上は、こういった金融庁の御努力を前提として容認するとともに、私どもとしては、改めて中小企業者の自己資本の充実にも努めてまいりたいと思っております。

松原委員 マニュアルはいいんですよ。運用において、中小企業にお金を貸し付けているさまざまな地域の信用金庫や信組がびびっているわけですよ、金融庁に。これを疑似資本で、今言ったみたいな判断をすると、金融庁からしごかれるんじゃないかと。そういうことで、結果として、びびりの構造といいますか、大変に怖いというか恐れの構造で、結局、そういった文章になりながら、そのことがどこまできちっとできるかというのは非常に難しい部分があって、だから、マニュアルだけではなくて、もうちょっと本丸部分でも、なかなか難しいですよ、難しいですが、こういった議論をしてほしいと思うんです。

 そこで、特に中小企業にお金を貸し付けているところが、民間の金融機関だとこれは金融庁にそういったことになるんですが、ある意味では、そういった部分で、日本の中小企業の極めて特異な特性であるところのべったり貸し、疑似資本、金融機関からの疑似資本組み込みみたいな、これに関して、公的な金融機関の方が私はやはり向いているんじゃないかと思うので、私はこれを二階大臣に、前にも申し上げましたが、中小企業向けの金融機関というのはやはり断固として守るべきだということを、今言った観点からも申し上げたいと思うんです。

 御所見をお伺いいたします。

二階国務大臣 先般の衆議院の特別委員会におきましても、その点について与野党全会一致で、中小企業の金融についてしっかり頑張れという激励を込めた附帯決議をちょうだいしておりますから、我々はその線に沿って、これからの制度設計において、中小企業を守る、おっしゃるとおり、そういう観点で対応してまいりたいと思っております。

松原委員 もう一つ、今回、ずっと地域を回っていて思ったことは、この優越的地位の濫用というものが、大手の中小企業に対する虐待といいますかいじめといいますか、大変に深刻になっている、これを感じました。

 きょうは公正取引委員会も、来ていますか、来ていますね。公正取引委員会の方にお伺いしたいわけでありますが、例えば、今回、三井住友銀行による金融のスワップ商品かなんかの、言ってみれば押し売りみたいなものがあった。この実情と被害、どんな感じで把握しておられるか、お伺いします。

松山政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会は、昨年の十二月二日、三井住友銀行が、その取引上の地位が同行に対して劣っている融資先の中小企業に対しまして、金融スワップの購入を余儀なくさせるという行為がございまして、独禁法が禁止しております優越的地位の濫用に該当するということで排除勧告を行いました。同銀行の方で勧告を応諾いたしましたので、二十六日、勧告審決を行ったところでございます。

 この審決におきましては四件ほど違反事例を挙げておりますが、これはあくまで典型的な事例を掲載させていただいておりまして、公正取引委員会としては、広範囲にわたって各地域に所在する三井住友銀行の法人営業部において、本件の違反行為が行われているということを確認しているところでございます。そういう面で、銀行が組織としてこういう違反行為を行っていると認定して、排除勧告を行ったということでございます。

 具体的に、被害の状況の把握ということでございますが、私ども、今回の調査に当たりましては、全数調査はなかなか難しゅうございまして、時間の関係もあって、アンケートなりサンプル的な調査を行っております。そうした中で、私ども、違反事例としては十数件の違反の事例があったというふうに確認をさせていただいているところでございます。

松原委員 時間がないので早口で参りますが、この救済措置とか、摘発はしたけれども、その後の中小企業に対しての何らかの措置というのは考えられるのかどうか。これは公正取引委員会じゃなくて中小企業庁、通告してないから、じゃ、次にしようか。

 そして、同時に、他の金融機関が同じようなことをやっているんじゃないかというふうな指摘もあるんですが、これについて公正取引委員会は把握をしておられるでしょうか。

松山政府参考人 他の金融機関でも同様の問題があるかという御指摘でございますが、今回、三井住友銀行に対して措置をとったわけでございまして、具体的な事件としては他の金融機関については承知をしておりませんが、一般的に、金融機関が融資先の企業に対して、取引条件の設定等で不透明な取引あるいは優越的地位の濫用に該当するような行為があるんじゃないかという懸念は私ども持っておりまして、従前からも実態調査等を行っております。平成十三年にも調査を行って、公表して、考え方なんかをしておりますし、現在もまた、銀行等の金融機関やその融資先の企業に対しての実態調査を行っておりまして、ことしの夏を目途に調査結果を取りまとめて公表したいと考えているところでございます。

松原委員 この優越的地位の濫用というのは、地位を濫用する側は、証拠を、私はこういうふうに優越的地位を濫用していますなんてばかなことは言わないわけですよ。濫用されている側は、それを言ってしまうと、これはまた大変なことになる、八つ裂きの刑になってしまうかもしれないと。取引を停止されたり、だから、なかなか言えないんですよ。そこをやはり、大岡の越前裁きじゃないけれども、わかって改定していくということをしなきゃいかぬ。

 私は、三井住友だけではなくてほかのところも、私、いろいろと聞いていますよ、あるんじゃないかという気がしているので。ただ、それをきちっとチェックするべき努力をこの金融の部分に関してはしてほしいけれども、問題は、同じような優越的地位の濫用というものが、親企業が下請企業、建設であれば、建設の施主が受注する企業に対してということもあり得ると思うんですが、そういったところで、特に大田区、品川区の製造業を考えれば、買いたたきというのかな、製品を納めさせるときにめちゃくちゃ買いたたく、こういう優越的地位の濫用が非常に不景気になってからふえているわけなんですが、やはり極端な買いたたきというのは優越的地位の濫用に相当するのかどうか、ちょっとお伺いしたい。

舟橋政府参考人 買いたたきに関する独禁法上の評価についてのお尋ねでございますけれども、まず最初に、価格交渉についての一般論をちょっとお話しさせていただきたいと思いますけれども、一般論ということで申し上げますと、事業者間の価格交渉は、需給の動向なり取引数量とか今後の原材料の価格推移等々を勘案して自由に行われるべきものと考えております。

 ただ、その中で、先生御指摘の買いたたきに該当するかどうか、これは、まず一つは、優越的地位にある者による行為か、そして第二に、そういう地位にある者の濫用に当たるかどうか、こういう二つの点がポイントになるわけでございますけれども、最初の優越的地位については、取引上優越的な地位にあるか、これはなかなか立証が難しいところがありますけれども、それが一つでございます。それから、二番目の濫用につきましては、取引に係る対価の設定に際して、同種類似の取引に対して通常支払われる対価に比べて著しく低い額、これを不当に定めている場合、これが買いたたきということに該当するということでございまして、以上、そういった観点から評価をしていく問題だと考えております。

松原委員 要するに、買いたたきは、今言ったように、買いたたきで、えっ、こんな安く、しかし、おまえ、つくらなかったら、ほかへ発注するぞと。これは、まあ言ってみれば優越的地位の濫用だと思うんですよ。赤字覚悟でみんなつくるような状況というのは、完全にそれになると思う。優越的地位の濫用として買いたたきも入る。これは極めて重要な発言なんですよね。ただ、今言ったように、該当条件の部分があいまいとしている、あいまいとしているがゆえに、灰色は黒じゃないといって全部いってしまったら、これはいかぬわけですよ。

 優越的地位の濫用で買いたたきが摘発された事例というのはあるんですか。

舟橋政府参考人 昨年だったと思いますけれども、全国ランキングに入るある大手のスーパーが、ある店舗、複数だったと思いますが、そこが納入業者に対して、たしか生鮮品でございますが、それについて買いたたきをした、これを独禁法違反とした事例はございます。

松原委員 製造業についてはいかがでしょうか。

舟橋政府参考人 製造業につきまして、独禁法違反とした事例はございません。

松原委員 ストライクゾーンがどこなのかというのは非常に難しい議論ではあるんですが、やはり、ほかの部分ではかなりこういったものをタイトに一応チェックするようになっている中で、私は、優越的地位を濫用した買いたたきというものに関して、やはり、金融マニュアルがあるように、マニュアルをつくるべきだと思うんだよね。こういうのは該当になる可能性がかなり高いとか低いとか、やはりそういうふうなものをつくらないといけないぐらい、今、世知辛い世の中になった。

 特に、いいかどうかは別にして、外資がどんどん入ってくる。今まで日本的風土の中で、日本企業的な精神の中でやっていたら、まあそこは、こっちもこっちであれだけれども、あんたもあんたでうまくやって、三方一両得でやりましょうみたいな話になってきたけれども、本当に、利益を一円出すか二円出すか、そこが勝負やみたいな発想の外資がどんどん入ってきたら、それは、個名を挙げませんが、ある大手企業も、そこのトップが外資の人になった瞬間に発注の仕方が変わったと。それはいいんですよ、それは国際社会のルールだから。

 しかし、逆に言えば、そういう時代になったらばこそ、今度は、そこのマニュアル、買いたたきマニュアルか何かなければ、中小企業の立場の保全というのは私はできないと思うんですよ。望月さん、どうですか。

望月政府参考人 取引関係全般にわたってなかなか申し上げることは難しいと思いますけれども、私ども、独禁法の特別法でございますところの下請代金支払遅延等防止法というのがございまして、これがある種の親企業と下請企業の間での地位関係における取引の適正化ということを、公正取引委員会とともに共管している法律の運用を見てまいりますと、個々の取引関係の中で、先生がおっしゃいますようなグレーゾーンのところでどう判断するのかという難しい問題があることも事実でございますけれども、これは累次共同でアンケート調査をしたり立入検査をしたりしている過程の中で、ある種のルールが積み上がってきていることも事実でございますけれども、時代の変化に対応して、常に研究をしていかなきゃいけないと思っているところでございます。

松原委員 私は、やはりマニュアルみたいなものがないと、そういったものができること自体が言ってみれば抑止力になると思うんですよね。やはり、大企業の下請に対する下請たたきというのは大変強烈でありますから、現実に、これが黒だとか、これはストライクゾーンのど真ん中だといってそれを糾弾するだけではなくて、やはり抑止力を持たなきゃいかぬ、こう思うんですよ。

 ちょっと公正取引委員会に聞きたいんですが、今の公正取引委員会の数、私は不十分だと思うんです。品川、大田の中小企業、例えば、百社に一人ぐらいずつ公正取引委員会の人間が、ぐるぐる昼間回って、どうですかみたいな、優越的地位の濫用でたたかれていませんか、いや、たたかれているんですけれども、それは証拠になるかな、いや、でもこれはどうだ、こういうふうな見回り隊があれば、公正取引委員会中小企業担当見回り隊、百社に一人、大分抑止力になると思うんですが、ちょっと御所見をお伺いしたい。

竹島政府特別補佐人 公正取引委員会というのは独禁法を執行するところでございまして、中小企業庁とは役割が違うわけでございます。したがって、見回り隊というようなことに対応できるマンパワーもなければ、恐らくそういうための定員はつかないだろうと思います。

 ただ、今までの先生の御議論で私ちょっと申し上げておきたいのは、よく中小企業に関して、買いたたきとか優越的地位の濫用があるので、明らかな保護の目安になるようなものをつくってはどうか、ガイドラインなんというものをきちっとつくって、何が黒か何が白かというのをはっきりさせるべきだという御議論は、いろいろなところから私も伺っております。ただ、それに関しては、私は慎重でなければならないと。

 自由主義経済のもとでどういう価格であるべきかというのは、まさに当事者が協議して決めるべきことというのは非常に大事なことであって、それに対して公正取引委員会のような役所が介入をして、例えば、原価が幾らで適正利潤が幾らだから幾らでなければそれはダンピングである、または、買いたたきに当たるというようなことを具体的な数字をもって示すということは、極めて慎重でなければならないと思っております。これは、あくまでも当事者同士がいろいろな状況を考えて取引の条件を決めるべきもの。

 ただし、その場合であっても、おっしゃるように、優越的地位にある、典型的なのは、下請業者がその親事業者との関係を断つわけにはいかない、そのもとで不当な制約を受けた場合、これはきちんと法律に基づいて救う必要があるけれども、特に価格なんかにつきましては、私どもの介入というのは慎重であるべきだというふうに思っております。

松原委員 それは正論ですよ、正論だけれども、実態はかなり違うと私は申し上げたい。

 ですから、私は、価格は自由経済だから当たり前ですよ。少なくとも、これは買いたたきであるとか、なかなかそれは立証できないから抑止力をつくりなさいということを言っているんですよ。まあそれは公正取引委員会に言う話じゃないかもしれないけれども。

 だから、例えばこういったものはマニュアル的に買いたたきになるよと。実際それは、該当するものが、証拠とかそういうものは出てこないですよ、証拠を残すようなことはないし。でも、両者がディスカッションをして親会社と子会社が価格を決めるなんて、今ほとんどあり得ないんですよ、私が知る限りでは。私が厳しい環境の中小企業ばかり回っているのかもしれないけれども。

 私は、その点は、おっしゃることはわかるけれども、私が言っているのは、公正取引委員会の人数をふやし、やはり、地域地域においてそういうふうな目が光っている、そういう仕組みにしないと厳しくなる。その理由として、さっき言ったように、外資もどんどん入ってきて、従来の日本的な美風というか、三方一両得で全部は吸い取りませんよというんじゃなくて、たたけるんだったらどんどんたたけみたいな話に風土も変わってきているんですよ、実際。品川、大田を回っていただけるとわかる。何社か回ってもいいんだけれども、回ると社長は貝のようになって公正取引委員会の方に言わないかもしれないからあれだけれども。

 そこで、最後に二階大臣にお伺いしたいのは、やはりそういう買いたたきを防止できるようなマニュアルをつくるとか、中小企業の百社、下請、孫請、そういったところに、今、公正取引委員会が無理だったら、公正取引委員会が一番いいんですけれども、そういうふうな人間がいると。要するに、買いたたきの抑止力、それをさせない抑止力をつくるということは、健全な中小企業は、ものつくりの日本が残るために、ものつくりがなくなってもいいというのなら別なんですよ。日本は、ものつくりを残さないとこの国の繁栄はないわけだから、私が思うには。そのためには、そういったものを経済産業省としては真剣に考えるべきじゃないかと思うのですが、御所見をお伺いいたします。

二階国務大臣 中小企業問題に大変愛情を込めていつも御活躍をいただいている立場から、地元の声を反映させていただいたものと先ほどから拝聴しておりました。

 私は、議員も御指摘になりましたように、例えば、下請代金支払遅延等防止法、この法律は、もうできてから四十年以上になるわけですけれども、ほとんど適用されたことがない、実績がないというふうに思うのです。私は、そうした問題についてももっときちっとした対応ができるようなことを考えていかなくてはならない、先ほどから御意見を伺いながら、何か知恵を出していかなきゃいけないのではないか。それは、この下請と親会社との間の、そういう優越的地位の濫用とまで言わなくても、優越的地位にあることには間違いないわけですから、そうした企業との間の関係で、下請代金など、支払い遅延されても直ちに訴えていくということは立場上なかなかできにくいものなんだと私は思っております。

 したがって、それに対して先ほどからマニュアルというお話がございましたが、何かいきなりその法律に持ち込まなくても、その以前にそれをできるだけ抑制していくという方法がないかということを検討してみることは大変大事なことだというふうに思っております。

 なお、中小企業の問題の御意見をいただいたついでに、恐縮ですが、元気な有力な中小企業三百社を選んで、今経済産業省の一階のロビーで、それぞれの三百社、いきなり三百を展示するわけにいきませんから、交代交代で三百に登場してもらうようにしておるわけですが、今、一般の皆さんがお集まりをいただいて熱心に眺めておって、これが中小企業ですかと言われるほど立派な中小企業の姿が表に出てきております。

 我々は、そういう面と、今、松原議員御指摘のような、そういう下請の問題あるいは優越的地位の濫用等について十分目を光らせていくと同時に、どうすればそういう皆さんに対する温かい手を差し伸べることができるか、よく検討してみたいと思っております。

松原委員 終わります。よろしくお願いします。

石田委員長 次に、川端達夫君。

川端委員 大臣、副大臣、御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。

 いわゆる産業立国、工業立国という我が国の基本的な国の姿勢の中で、経済産業大臣の果たされるべき役割、そして、責任は極めて重いというふうに思います。日々その使命を帯びて頑張っていただいているというふうに思いますが、もちろん今お話にありました中小企業の問題、製造業の問題、あるいは外交までを含めたエネルギーの問題等々、多くの重要課題が山積しております。

 その中で、きょう私は、特に、せっかく一般質疑という時間をいただきましたので、国の根幹をなすエネルギーの安定確保、安定供給と同時に、京都議定書に象徴されますように、環境問題、CO2の削減問題、エネルギーを安定的に確保しそれを使うということは、一方でCO2をある意味では発生させるという両面を抱えながらやらなければいけない大変極めて難しい状況にあるわけですけれども、その中で、経済産業大臣として大変大きな使命と責任を負っておられるということであるし、私は、いわゆる安定供給とCO2削減、この二つのテーマを両立させるということを達成することが、経済産業大臣としての、極端に言えば一番重い責任の一つではないかというふうに思うんですが、この件に関しての大臣の所信というか御決意を伺いたいと思います。

二階国務大臣 ただいま川端議員から御指摘のとおり、我が国産業におきまして、やはりこのエネルギーをどう確保していくかという問題と同時に、それをいかに効率的に活用していくか、そして、環境問題に対しては世界の先端を行くと自負しておるわけでありますから、その効果、これをどう求めていくか、これが我が国産業の大きな命題であり、あわせて、川端議員御指摘のとおり、経済産業省の最も重要な責務の一つであろうというふうに認識をいたしております。

 エネルギーは、もう申すまでもなく、私たち、日本の経済、産業の生命線であることはたびたび申し上げているとおりでありますが、この安定供給の確保は国家的な重要な課題であると認識をしております。CO2排出増に伴う温暖化問題など、地球環境問題への対応は、エネルギー政策上極めて重要な課題であるというのは、もう全く議員と考えを同じくするものであります。

 そういう意味で、経済産業省としては、今月中に最終の取りまとめを行おうとしておりますが、新国家エネルギー戦略なるものを策定しようということで懸命に取り組んでおります。例えば、安定供給確保と環境への適合、ただいま御指摘のとおり、この両面に対する私たちの考え方をまとめようとしているわけでありますが、目標としては、簡単に申し上げますと、二〇三〇年までにこの三〇%の効率改善を目指すということを大きな柱として取り組んでまいりたいと思っております。

 しかし、この環境問題、いずれにしましても、言うはやすく行うことはなかなか難しい問題であります。先般も、私は、アメリカのUSTRの代表に、電話会談でありましたが、この問題については、今自分は環境大臣の臨時代理をやっているんだ、そういう立場から改めて申し上げておくが、アメリカがこの京都議定書等に対してもっと積極的に参加する、そのリーダーシップをとる、それくらいの気持ちがなくてはならぬということを申し上げましたが、きょうは突然のことだから答弁は要らないということで、また今度別の機会にお会いしてその後を進めようと思っておるわけでありますが、そういう問題がインドに対しても中国に対しても残っておるわけで、ブラジルに対しても同じであります。

 そうしたことなどをどう解決していくか大きな課題でありますが、議員の御指摘を踏まえて、今後懸命に対応してまいりたいと思っております。

川端委員 今、いわゆる政治あるいは政治家と行政の関係というのがよく議論になります。圧倒的な情報と実績を踏まえた強大なシンクタンク機能を有する執行機関である行政機能、大臣おっしゃるように、エネルギーの政策に関しても、いろいろな情報をまとめる中で政策を立案していることは事実だと思うんです。ただ、そのときに、いわゆる政治主導、政治家がそのイニシアを持たなければこの難しい時代は進んでいけないのではないかということでの政治主導ということもよく言われます。

 私は、そういう意味で、大臣、各般、今言われた新エネルギー計画もまとめられつつあるというのも承知をしております。そういう中で、やはり、将来を見据えて、大きな目標に基づいて具体的なメッセージを強烈にリーダーシップを発揮して進めるということがないと、言われるように、あれもこれもこれもというのはいろいろあるんですけれども、実際そういうふうにエネルギー削減できるんだろうか、京都議定書が達成できるんだろうかということにおいて、国民の意識と実態が乖離していくのではないかということを懸念しております。

 そういう観点で、いわゆる政治家としての議論をきょうはさせていただきたい。細かい数字は、必要な部分は資料にもう用意をしておきましたので、そのような議論でよろしくお願いしたいと思います。

 それで、今言われたように、エネルギー確保と環境というときに、いわゆる石油、最近もまたまた原油高、あるいは世界紛争の背景にはオイルが必ずあるのではないかと言われるような、外交も含めていろいろなことが全部エネルギーに関連をしているという情勢の中で、我が国は大変石油の依存度が高かった。しかし、各般、皆さん方の努力で、原子力の推進とか、あるいは代替エネルギー、天然ガス化等々、そして、将来的に言えば自然エネルギーへの道筋等々で石油依存度が随分低減をされた。最近でいうと、この三十年で五〇%以下まで低減をした。私は、これは高く評価をしたいというふうに思っているんですが、さらなる石油依存度の低減が当然求められるべきである。

 先ほどのエネルギーの長期計画でも四〇%ですかね、目指そうということを思っておられることは承知をしているんですが、お手元にお配りしました資料の一番上のページは、きれいに体裁よくカラーでつくってある資料を何枚か添付しましたが、これは資源エネルギー庁の資料でございますので、皆さんはこういう認識を既にしておられるということであります。後ほど議論もさせていただきたいんですが、役所としての情報収集やあるべき姿というのは十分に承知をしておられるわけなんです。それが本当にどういうふうに実行されるかということで政治主導が求められている部分をお尋ねしたい。

 石油依存度で申し上げますと、今五〇%弱、四七、八%ですかね、随分下がったとはいえ、資源のない国、そして国際紛争等々、原油高等々でいうと、より石油依存度を下げようということは大きな命題であることは間違いない。そのときに、この添付の資料の一番上の資料で「精製用原油のエネルギー転換後の割合」というので、要するに、石油の大部分は輸送用燃料として使われていますと。だから、石油依存度を下げよう下げようというときに、半分は輸送用に使っているということになっているわけです。

 次のページの右の端っこに青の小さなグラフがありますが、「運輸部門のエネルギー需要の推移」ということがありますが、それで、いわゆる下の青いので塗りつぶしたのが自動車、いわゆる旅客用自動車、そして、斜め線が自動車で貨物用、上のいろいろなレインボーみたいに色を塗っていろいろ分けてあるのが船舶と航空なんです。

 ということは、一ページ目で言う日本の石油の半分は輸送用に使われていて、そのほとんどは車に使われているという実態にあるわけです。そういう意味では、石油依存度を下げるということを大きな命題として取り組むときに、最重要の、もう極端に言えば、唯一のターゲットは車の燃料をどうして下げるかということにかかっているということを示していると思うんですが、それはそれでよろしいんでしょうか。

二階国務大臣 おっしゃるように、我々が承知しておるところは、石油が液体であり、利便性、熱効率にすぐれているという面で、運輸部門はほぼ一〇〇%を今日石油に依存しておる現状であります。これを八〇%に下げていくためにどう対応するか、これを当面の大きな目標といたしております。これは、小泉総理も特にこの面に注目をされておりまして、常に我々に対して強い御指示があるわけであります。

 今後、石油消費及びこれに伴う二酸化炭素排出削減に向けて、自動車燃費の向上による運輸部門の省エネの推進に取り組んでまいりたいと考えております。

 バイオマス燃料の活用や天然ガス等に基づく合成液体燃料の活用も進めてまいりたいと思っております。

 今、アメリカですらこのバイオマスの問題について大変熱心に取り組んでおりますが、幸い、以前からブラジルとの間で、バイオマスエタノールの燃料につきまして積極的なブラジル側の働きかけもありまして、私どもはそれを受けて、ブラジルの閣僚とこのスタディーグループを結成して、今鋭意専門家の間で御協議をいただいております。最近に至って、ガソリンスタンドの関係者また実際の石油を扱っておられる関係の業界の皆さんにも御参加をいただいて勉強会を続けておりますが、ほぼこうした関係者も現状を認識されて、御理解を得つつあるというふうに考えております。

 したがって、この問題につきましては、ブラジルとの間におきましてさらに突っ込んだ協議を行ってまいりたいと思っておりますし、我が国でも沖縄でこの関係の原料がとれるわけでありますから、その面におきましてももっと拡充することができないかどうかを含めて目下検討中であります。

川端委員 先読みして、先の御答弁までいただいたような感じがしますが。

 いわゆる自動車の燃料をいかに削減するかというのが最大のポイントである、エネルギー、石油依存度を減らすにはそうだというふうに御認識いただいていると思うし、そうだと思います。

 同時に、京都議定書の目標達成でいいますと、これもまた添付の資料で、二つグラフが、上に文章が書いてある表がありますが、上の表は日本経団連の資料で、いわゆる産業部門と民生部門と運輸部門の、よくある仕分けでありますが、基準年の一九九〇年から見たときの、これは二〇〇一年、ちょっと古いデータですが、それぞれの部門がCO2削減に対してどういうトレンドを持っているのか、目標に対してどういうふうになるのかというもの。

 下の段は、これは衆議院の環境調査室がまとめた経年変化でありますけれども、ここにもありますように、いわゆる産業部門は、これは発電所等々のエネルギー部門も含めているんですけれども、こういう部門は、実際上むしろ基準年から見てCO2は減ってきているという状況、減らしてきている、これはもう大変な努力だと思うんですが、そして一方で、民生部門は、基準値からということよりも、むしろどんどんふえていっている。これは省エネ法を含めて、経済産業省でもあらゆる角度から取り組もうというのでやっていただいているというのは承知をしておりますし、工場においてもそれをやっているということでありますが、実は、二酸化炭素の四分の一を占める運輸部門もどんどんふえる一方である。

 ですから、エネルギー、石油依存度を減らすためにも、それからCO2削減のためにも、車の燃料を、石化燃料をいかに減らすかということがこの両命題を達成する最大の課題であるということは、ここから皆さんもう御承知のとおりだと思うんです。

 そこで、経済産業省が、先ほど言われたような、要するに新エネルギー大綱をおまとめになりつつあるということで、これはちょっと順序が違ったんですが、次の次のページ、これもエネ庁がおまとめになった「新エネルギー施策の概要」というのが書いてあります。

 これを見ますと、いわゆる法制度として、新エネルギー利用の促進のためにいろいろ金融上の支援をしよう、あるいは電気事業者に対してもバックアップをしよう、予算に関していえば、自然エネルギーの問題とバイオマスの導入、あるいは燃料電池、水素の技術開発等、税制に関しても、いろいろ減税をしましょうというふうにたくさんやっていただいているし、やろうとしておられる。

 しかし、これを冷静に見ますと、いわゆる低公害車の開発、あるいは低公害車を使う、低燃費車を使う、低燃費車をつくる、こういうことに関して研究開発を助成しましょう、あるいは税金を安くしましょうという、そういう車をつくりましょう、その車を買うんだったら税金を優遇してあげましょうという施策は随分たくさんあるんですよ。しかし、こういう燃料を使いましょう、あるいはこういうふうにしたらもっと減らせますよねということに対して研究開発をしよう。今エタノールの話、ブラジルの話をされましたが、そういう努力はしておられるのは承知をしておるんですが、予算や税制の面でそういう視点、いわゆる燃料から見た視点というのが余りにもなさ過ぎるのではないかとかねがね思っておりました。

 国土交通省の自動車グリーン税制を見ますと、そういうもので、例えば、電気(燃料電池を含む)自動車、メタノール自動車、CNG自動車に係る自動車税は、おおむね五〇%軽減、こう書いてあるんですけれども、メタノール車というのはないんですよね。世の中に売られていないんです。売られていないものを税金を半分まけてもらってもどうしようもない。メタノール車をどうして開発しようかという話は、実は余り進んでいないんです。

 それで、自動車をどうして直すかというのは、ハイブリッドも含めて大変大事であって、低燃費、低公害の車開発というのは非常にバックアップされているし税制も優遇されているけれども、燃料の視点に立って、少しでもガソリンを減らそうということに関して、あるいはガソリンを使わないということに関しての国としての施策や方針は非常に弱いのではないか。

 ところが、ガソリンを、例えばバイオ燃料を三%添加してということがクリアできたら、丸々三%減るんですよね、石化燃料は。ということは、CO2はその分間違いなく、四分の一を占める自動車燃料の三%減ることになるという効果は物すごく大きいということなんですが、そこの部分はやや弱い政策ではないかというふうに私は常々感じているんですが、いかがでしょうか。

片山大臣政務官 ただいま御指摘がありましたように、新エネあるいは代エネ政策についていろいろと導入しております中で、バイオエタノールにつきましても政策がございまして、京都議定書の目標達成計画におきましては、二〇一〇年度に五十万キロリットルの導入を目標としておりまして、この目標の実現を目指して技術開発や実証事業なんかにも支援はしております。また、沖縄においては、自動車でバイオエタノールを実際に利用する実証事業について検討はしております。

 ただ、運輸部門が今後のCO2削減について非常に重要である。これはもう委員御指摘のとおりでございまして、あのグラフのとおりでございまして、私どもも、燃料電池ですとかハイブリッドですとか、CO2をより出さない運輸部門へという技術を登っていく山道ですね、これは一方のやり方だけではなくて幾つかの登り方があるわけでございますが、そういった中で、どの道を通るところにどのように今資源配分をするかということは真剣に検討しているわけでございます。

 ちなみに、海外では、確かにブラジルなどは生産地としての有利がございますから、ガソリンにバイオエタノールを二〇%混合することを義務化しておりまして、フレックス燃料車の普及も進んでおります。これに強いメーカーはどこかというと、アメリカでいうとGMとフォードなわけでございまして、この二つは、率直に言ってハイブリッド、燃料電池車の方についてはおくれているわけですね、ことしのモーターショーなんかでも顕著なように。この部分については、ハイブリッド、燃料電池については日本車の技術力が圧倒的に優位なわけでございます。ですから、どちらの道にどのように配分するかという問題もございますが、いずれにしても、総合的に、バイオエタノールやバイオマスも含めて施策をとってまいる所存でございます。

川端委員 というふうに聞いていると物すごいやっているように思うんですが、実は違うんです。

 一つ、山を登っている、道の選び方がと言うけれども、足引っ張っているんですよ、税制で言えば。具体的に申し上げますと、いっぱい論点があるんですけれども、税制、御専門ですから申し上げますと、今、例えば、バイオディーゼル、一生懸命バイオマスでディーゼル燃料をつくる、あるいはメタノールを入れる。軽油引取税あるいは揮発油税、総量に掛ける。ドイツは、バイオディーゼル燃料を使えば、その分いわゆる環境税は免除する、間違いなく促進している。

 ところが、同じようにしますと。山を登るのに、同じようにということであれば何も促進ではないんですよ。そして当然ながら、これは技術開発でいいますと、いろいろな問題がまだありますよね。というときに、育てるためにやっているのか、いじめるためにやっているのかと思わざるを得ないようなことばかり目にするから、きょう議論をさせてほしいと私は思っているんです。

 具体的に申し上げますと、一つは、例えば、大臣は、公用車はどういうお車に乗っておられますか。

二階国務大臣 トヨタのセンチュリーだと思います。

川端委員 例えば、総理が、公用車はすべて公約どおり低公害車にかえましたとか、仕様はそうだと思うんですけれども、ということを言っておられるんですが、いろいろな自動車の中でハイブリッドが今市販としては一番低燃費、低公害の車だと思うんですが、各役所がそれぞれいろいろ使われるというときにどれだけの効果があるんだろうか。パフォーマンスとしてそういうものを全部使うということはある意味で運動促進になるというメッセージ性は間違いなくあるんですけれども、実際の効果はどうなんだろうというときに、燃料から着目したときに、劇的な炭酸ガスの削減や脱石油ということとは少し違うのかなと私は感じています。

 そういう中で、私は、きょうは三つの視点でお尋ねをしたかったんですが、一つは、燃料電池というのは、随分、開発も力を入れておられるし将来に期待を持っておられる。ただ、今経済産業省に二台あるらしいですけれども、まだまだ実用化には道のりが遠い。

 二つ大きなネックがあって、一つは、いわゆるガソリンスタンドと同じように、水素を供給できるインフラ整備の投資は可能なんだろうか。もう一つは、水素をどうしてつくるのか。この部分が、燃料電池で、まさに水素で、酸素と反応させて水しか出ないというのは、燃料的にいえば、全く石油を使わない燃料電池は一つのモデルの自動車だと思いますので、将来を見据えては非常に大事だと思うんだけれども、やはりネックはかなりある。だから、少しか相当時間がかかると私は思っています。

 一番ネックになっているところの水素はどうしてつくるのか。石化燃料を分解したりしたら意味ないですから。実はこれが一番ネックで、水素をつくるには、多分、一つは、水を電気分解して水素をつくるあるいは熱分解して水素をつくる、そしてもう一つは、要するに固体の電解質系の高分子、水素がいっぱい入っていますから、それを何とか電気分解して、技術的にそんな難しいことは聞きませんから耳打ちは要らないです。そういう意味で、実は、水素をつくるのにエネルギーが要るんですよ、水素をつくるのに。僕がちゃんとわかるように話しているんだから、余計なことで注意を散漫にさせないでくださいよ。

 大臣、燃料電池は水素を使って、その車自体は非常にいいんだけれども、その水素をつくるのにエネルギーが要るんですよ、当然ながら。これの今一番有力視されているのが、水か電解質性の高分子を電解水にして電気分解するかということでいうと、電気を使って水素をつくるんですよ。電気はどんどん、脱石化を一生懸命目指しておられますから、これは一つの有力なアイデアであることは間違いない。

 しかし、燃料電池は多分相当暇がかかります、実用化するのも含めて、インフラも含めると。そうしたら、電気を水素にかえて、水素を反応させて走らすのであれば、電気を電池に入れて蓄電して走らすというのは電気自動車なんですね、実は。わざわざ水素にしなくても。

 ところが、これは一つのハンディがありまして、電池能力が余りないですから、航続距離が短い、そして重い、同時に、速度がそんなに出ないというハンディがあるんです。ただ、車というのは、どの車でも、高速道路をびゅんびゅん百キロで走れて、一回ガソリンスタンドに行ったら五百キロ走れるという車ばかり必要かといったら、そうでないと私は思うんですよ。

 そういう意味で、実は、経済産業省の公用車を、ちょっとどんな状況なのかと教えてもらいました。そうしたら、こういう資料があるんですけれども、「経済産業省燃料別公用車数及び走行距離について」というので、ガソリン、これは低排出ガス車、大臣の車もそういう部類だと思うんですが、いわゆるガソリンの低公害車、それからハイブリッド車、天然ガス車、燃料電池車、合計八十一台、一年間に五十八万キロ走っていますと。

 それぞれ分類して、年間どれぐらい走っているのかよくわかりませんが、祭日以外走っておられるとしたら、二百五十日で割ると、一台当たり、これは真ん中二つがありませんが、大体二、三十キロなんですよ、一日走行平均が二、三十キロ。多分、この周辺をぐるぐる回っておられるんだ。多くても五十キロだと思うんですね。

 今電気自動車の能力がどれぐらいあるかと申し上げれば、残念ながら、市販されているものはまだ軽自動車のレベルなので乗用車はありません、しかし、六十五キロから百キロぐらいの速度が出て、大体八十キロから百十キロぐらい一日走るんです。

 これの特徴は、夜の電力、夜間電力というのは、御案内のとおり、実は、原発を中心にして、使われなくても捨てている電力がある、一定量の電力は維持しますから。その分でいうと、実はほとんど使わないで無駄に放出している電力を夜間に充電をして、昼間だけ数十キロ、時速も六十キロ以下で走るという用途であれば、こんなに環境にいい車はないんです。

 経済産業省、見ましたら、あるいはバイクですと大体四十キロぐらい一日で走るんですけれども、これはインフラは要らないんです、夜、家庭用のコンセントに突っ込めば充電できる。そして、昼間走ってまた夜充電するということをやることは、私は、総理が就任時に約束したとおり、政府の公用車はすべて低公害車に切りかえましたと自慢しておられましたけれども、例えば、経済産業大臣が、軽自動車、もう少し開発をちゃんとしろ、そして夜間電力を使ってやれば、公用車を全部電気自動車にかえれば、経済産業省、車は一滴もガソリンは使いませんというのはそんなに難しいことじゃないと私は思うんです。いかがですか。

二階国務大臣 大変すばらしいアイデアだと思いますが、私どもは、現実の問題、そして中長期的な問題、それぞれ分けて、エネルギーの安定的な供給を考えてまいらなくてはならないと思っております。

 今御指摘のハイブリッド車におきましても、私自身も、以前に、ハイブリッド車がようやく世の中に出てきたときに、ちょうど運輸大臣を拝命しておりまして、大臣の車もこれにしようやということを申し上げたんですが、よくよく考えてみれば、北海道開発庁長官と当時兼務しておりまして、そうすると、SPだ秘書官だというとそれぞれの省におりまして、これを乗せるためにはもう一台つけて歩かなきゃいけないことになりまして、これなら大きい車の方が合理的だというようなことになって、それ以来そんなものかなと思っておるんですが、今御指摘のようなことは大変大事なことだと思っております。

 当時運輸省の幹部に、先ほどからお話しのグリーン税制というふうな問題をやっておりましたころに、あなた方は黒い大きな車に乗って、そしてハイブリッド車をどうするこうするということを言うのはおかしいじゃないかと言ったら、間もなくして私の部屋へやってみえまして、きょうは車を見てもらおうと思ってやってきた、いよいよ局長もみんなハイブリッド車にかえました、それを見てもらおうと思うんだと言っておいでになったことがあります。

 当時、環境庁の長官というか、そんな時代でした、いまだ環境省になっていないときですが、そこでもこのハイブリッド車が全然扱われていないので、今川端議員が御指摘のように、言っていることと、理想と現実との間にいろいろ乖離があるのではないかという御指摘だと思いますが、我々も、現実的にいかにして一歩でも理想に近づけていくことができるかという観点から、今御指摘のようなことに対して十分考えてまいりたいと思っております。

 なお、経済産業省には、おいでになったときにごらんになった方もいらっしゃるかと思うんですが、随分自転車を並べてあるんです。これは何をするかというと、近所の役所へ行くのには自転車の方が便利だ、これは排気ガスも何も発することがないからといって、この間お話がありました。それじゃ国会へ行くときに今度僕も借りていこうか、こう言っておるんですが、警備が大変だからそんな余計なことをするなと言われているんですが。

 それはそれとしながらも、川端議員が今このデータをお示しいただき、真摯に御提言をいただいたことを十分考慮に入れて、今後の対応を考えてまいりたいと思っております。

川端委員 今お話のありましたように、ハイブリッド車の導入ということが、私は、一つのメッセージとして、そういうことを大事にしていこうということは評価をする。

 しかし、それであれば、経済産業省の、今自転車のお話もされましたけれども、そうすると、例えばある年のいわゆる公用車としての、経済産業省、まあ霞が関だったら霞が関周辺でもいいですが、という周辺で、持っていた車の一年間の走行距離と総ガソリンはこれだけでした、こういう施策をとってきて、近場は自転車で行けとかいうことで車の台数は減りました、ガソリンもかくかく減りましたということをチェックしておられるんだろうかと。そういうのがあるかということに関しては、余りなかったんです、なかった。

 極端に言うとということで私が申し上げたのは、それを電気自動車にしますと言った瞬間に電気の使用量はふえます、当然ながら、夜。しかし、夜間電力で契約すればかなり安い電力です。そしてガソリンは一滴も、先ほど警護の人、使い分けがあると思うんですね、必要なものもあれば、自転車までいかなくても近場の部分は小さい車で、電気自動車で走ればいいということの。

 そして、使用実態からいえば、もう一日平均三十キロも乗っていない。衆議院の院車を調べたんですが、これも一日平均でいうと三十キロ以下です。我々も使って、そんなに乗らないですよということでいうと、そういうところをやれば間違いなくガソリンはゼロになるんですよ。低燃費ではかるのは難しい話でないということは、脱石油、そして環境に優しい、これは全然もうガソリンは使わないという、二酸化炭素は減るわけですから、ということは、大目玉として私はやられていいものだという御提言を申し上げました。

 それで、先ほど片山政務官からお話ありまして、五十万キロリットルですか、バイオをやろう、日本の基準がE3、エタノール三%というので、やっと品確法を含めて規格をつくろうと。

 ブッシュ大統領の一般教書あるいは先端エネルギーイニシアチブ等々で、二〇〇五年八月に包括エネルギー法案成立、再生可能燃料、主にエタノールの使用を義務づけ、使用量を二〇一二年までに七十五億ガロン、二千八百三十九万キロリットル。これはアメリカの二〇〇四年のガソリン消費量五億五千万キロリットルということから換算すると多少伸びるんでしょうが、二〇一二年で約五%ですね。ガソリンの五%はアルコールに置きかえなさいという法律が通っているということなんです。

 日本は五十万キロリットルと先ほどおっしゃいました。そう書いてあります。日本のガソリン消費量は、アメリカより大分少ないですから、約一億キロリットルぐらいですかね。ということでいうと、日本は、目標としている数字を二〇一〇年に達成すると、〇・五%をアルコールに置換するという世界を目標にしている。アメリカは五%を法律で義務づけをした。当然いろいろな関係があります。エタノールが手に入りやすいのか、値段がどうかと。しかし、余りにもメッセージとそのスタンス、指導力というのは違うのではないか。

 そして一方で、燃料と添加物の規制という環境保護庁の規制では、ガソリンの二・七八%、これを二〇〇六年、ことしですね、再生可能燃料、エタノール、バイオディーゼル等で賄うことを義務づけている。既にことしで二・七八%で、二〇一二年には五%を義務づけすると言っているんです。

 そして、例えばEUであれば、ここの資料に「世界主要国の輸送用新燃料への取り組み状況」、これもエネ庁がまとめられた資料ですから、こういう状況にあることは御承知なんです。

 アメリカのことは今、上に書いてあります。

 EUは五・七五%を目標設定。二〇一〇年、五・七五%。フランス、スペインではETBE、あるいはスウェーデンではガソリンでE5、E10、要するにこれはエタノールということですから、五%、一〇%の燃料を使うようにしようとしている。そしてブラジルでは、生産国だとおっしゃいましたけれども、そのとおりでありますが、二〇から二五%という水準で使おうとしているという。明確に国の大方針として、数値を挙げて、年限を決めてやろうと言っているときに、日本は今E3ですか、三%だと言っている。この落差というのは、認識として非常にギャップがあるなという感じをいたします。

 先ほどからくどく申し上げましたけれども、日本の脱石油、石油依存度を減らすと同時に、京都議定書を達成するということでいえば、一番対策を打つべきは車の燃料であるということは間違いないんです。その燃料に一番即効性があるのが、ガソリン以外のものを添加して代用するということに尽きて、それはアルコール系の燃料でやる、だから、世界じゅうそこに焦点を絞ってどんとやっているときに、まどろっこしい三%みたいな話でやられているというのは、政治の指導力として、お配りしましたように、行政の役所は全部知っていますよ、状況も。

 しかし、具体的にやるといろいろな障害があることも事実だというときこそ政治家の、政治主導の出番であって、目標を高く掲げ、そのために知恵を出し合って全力で進めと言われるのが大臣の責務だと私は思うんですが、いかがですか。

二階国務大臣 バイオエタノールの場合を例に挙げますと、今、ブラジルとの間で随分綿密な交渉をいたしておりまして、我々はこれを国に導入した場合にどういう対応ができるか、あるいはまた農業政策の面から、沖縄等で生産されるサトウキビ等の活用については、沖縄の対策等も考え合わせて行政として対応しなければならないというのは、これはもう当然のことでありますが、そうしたことなどを考え合わせて今積極的な対応をいたしております。

 やがて関係業界の皆さんの御理解、御協力が得られるような状況になれば、今アメリカに比べてはるかに低いということの御指摘がありましたが、やがては、そういうことが軌道に乗れば、またアメリカに対して追いつき追い越すことのできる時代も来るのではないか。そして、それはバイオエタノールだけではなくて、太陽光発電あるいは風力その他もろもろの次世代の新エネルギーというのがあるわけでありますが、これはすべて多くの国民の皆さんの御理解がなくてはなりません。そういう面で、今積極的に理解を得るための努力をいたしておるところでありまして、今御指摘のありました点なども十分勘案しながら今後対応してまいりたいと思っております。

川端委員 時間がほとんど来てしまったんですが、認識と姿勢は私は十分評価しているんです。ただ、今の国のエネルギーの安全確保と京都議定書ということでいえば、もっと強烈なメッセージと政治的指導力を期待したいということを申し上げたことを御理解いただきたいと思います。

 その中で、先ほど、軽油引取税あるいは揮発油税、これはそういうふうに添加をしていっても全部同じように取りますと。そして一方で、今E3、E5の議論のときに、品確法を含めて、安全性の問題があるんだ、バイオディーゼルフュエル、BDFにしてもそうだと。

 どうも、こういうものをまぜると詰まったりとまったり危ない、だから、きちっとせないかぬというのは随分熱心なんです。もうエネ庁を挙げてというぐらい、悪玉燃料撲滅キャンペーンみたいに、ガソリンスタンドのレシートには書くわ、ポスターはつくるわ、あなたの車は大丈夫ですか、御存じですかといって、もう山盛り言う。それは、確かにそうなると危ないから、きちっとせないかぬというのは当然なんです。しかし、石油を減らし炭酸ガスを減らすという観点から見たら、将来非常に有望な子供に育つというものではないんですかと。

 この前も、NHKのニュースを見ていましたら、京都市がごみ回収車とか使っているものがあるんですが、これを、一定の基準をつくりましょう、そうでないととまったり詰まったりしますとNHKで言っているわけです。

 ところが、国土交通大臣をされていたから御承知だと思うんですが、高濃度のアルコール燃料を使ったりあるいはBDFをまぜたりしたときに、トラブルはあるんです、実は。これは、燃料が違うことによる主としてパッキング、油送系の部分の問題であって、技術的にはいとも容易にクリアできる部分。

 だから、こういう新しい燃料が出てきたときに、ガソリンを減らす可能性があり非常にいい燃料であるからというのであれば、それを適合するように、パッキング、油送系をかえた車を認定して、それは優遇しましょうというのはやるべき姿であって、山登りであれば押して引っ張ってあげる話であって、それを、危ないからこれ以上は使うな使うな使うな、危ないよ危ないよ危ないよと言うのはいじめているのではないかと。そして、税金も同じように取るぞと。踏んだりけったりして、やっといい子がひょっとしたら育つかもわからぬというときに、寄ってたかって何かもう育たないようにしているというふうにしか思えてならないので、非常に残念に思うんですよ。

 NHKのニュースで、この前、E3かE5か忘れましたが、規格をつくろうというニュースでしたけれども、それだけ聞いていたら、これはまぜたらまずいんだな、やばいんやなという印象でメッセージが伝わってくる。エネ庁は、ホームページからビラからチラシから挙げて悪玉燃料撲滅キャンペーンといってやっておられるけれども、もうちょっと違うことに熱心にやってほしいと僕は正直思いました。

 インディレースでインディ五〇〇という自動車レースがありますが、インディ五〇〇の世界の高速レースをする自動車の燃料は、違う理由からなんですけれども、一〇〇%メタノール車です。だから、車の技術で、そして日本が外国へ輸出する分はその国のE10とかE15の仕様に合わせてかえているはずなんです。だから、そういう部分をぜひとも、一度燃料から見た部分で、まだまだ未熟だけれども大きく育ててやろうという施策、税制、それからキャンペーンというものをぜひとも配慮していただきたいと思うんですが、最後にその御所見だけ伺いたい。

二階国務大臣 私は、エタノールの問題だけに関しましても、ブラジルの担当大臣ともう既に四回お目にかかっております。それは、ブラジルが大変熱心だからでもあるわけでありますが、今度いよいよ私もブラジルを今国会終了後訪問するということで今計画を進めておるところでありますが、その際に、単なる訪問ではなくて、きちっとした将来的な打ち合わせもしてまいらなくてはなりません。

 日本がこの問題に対して門戸を閉ざしておる状況のときには、これを使ったらいい、買ってくれ、幾らでも提供する、ブラジルの広野を見てください、こう言うんですが、いよいよ日本がそれを活用するという姿勢を示したとすれば、直ちに、そんなに原料はないんだ、そういうことをおっしゃるわけです。

 ですから、我々はこの場で何もかも明らかにしてしまうわけにはいかないかもしれませんが、川端議員がせっかくの御指摘でございますから、我々、国内的な事情も十分勘案しながら、相手の立場もにらんでやっていかなきゃいかぬ。その上においては、やはり税制の面とか、あるいは国民の皆さんに御理解を呼びかける問題、また、新エネルギーに対して、国民の皆さんの興味を引く、関心を呼ぶ、また現場を見ていただくという面で、次世代の新エネルギーパークなどというようなもの、そんなに金をかけずにできるわけでありますから、そうしたことなども今実験的に対応できないかということを模索しているところであります。

 そんなに遠くない将来に結論を出して直ちに実行してまいりたいと思いますし、今、そういう新エネルギーに対応していく際には、おっしゃられた税制の問題、金融の問題も大事であります。それは、ガソリンスタンドを少し改良しなければならぬ部分もありますから、これは今ガソリンスタンドの関係者にみずからの投資でスタンドを改良するようにということは酷でありますから、ここらの面については、私は、融資の面も含めて対応していかなくてはならない。そうしたもろもろの問題を展望しながら、今御指摘のようなことに対して、経済産業省挙げて懸命に取り組んでまいりたいと思っております。

川端委員 ありがとうございました。

 ぜひともいい結果が見えてくるように御期待申し上げて、終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 ただいま川端委員から、環境問題等々含めてエネルギー問題についての御質問がございました。また先ほどは、その前に松原議員から、原油の値上がり問題についての、あるいは中小企業に関する質問がございました。私の方からは、幾つか準備したわけですが、時間の関係もありますので、重複するところは少し省きながら質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思うんです。

 きょうは三つほど質問したいと思っております。一つはBRICsというものの台頭といわゆる日本におけるエネルギー・環境対策ということ、もう一つは中小企業ものづくり対策、そして三点目が地域経済の課題と対策という三つでございますが、最初に、経済産業大臣である二階大臣に、BRICsの台頭と日本への影響というものについて少しお伺いしたいと思うんです。

 私も資料を見せていただきましたが、二十一世紀に入ってから五年間でGDPは一三%増、日本のGDPは六%増、中国のGDPは何と五五%増ということになっておりますし、また、BRICsと言われていますブラジル、ロシア、インド、中国、ここのところが非常に好調に推移していまして、一体これで、アジア経済といいますか、世界の経済はどこまで行ってしまうんだろうかと、非常に不安な要因もございます。

 その一方では、アメリカが、イラク戦争等々もありまして、軍事予算を倍増させている。二〇〇〇年に二千九百四十五億ドル、これは大体三十一兆円ぐらいだと思うんですが、それが二〇〇六年には五千三百五十九億ドル、大体五十八兆円、日本の予算の税収以上に、倍増させた軍事予算を使っているわけでして、これも世界経済に大きな影響を与え始めています。

 これから日本の現状を考える場合には無視できないこのBRICsの台頭というものがあるわけですが、経済産業省としてこのBRICsの台頭に対してどのような御所見をお持ちか、最初にお伺いしたいと思います。

片山大臣政務官 ブラジル、ロシア、インド、中国でBRICsという、この新興工業国が非常に高い経済成長を実現しているというのは御指摘のとおりでございまして、最近ブラジルが、周辺環境の問題もありましてやや低いんですね、二から三のときがございますが、あとは、六から一〇ぐらいの非常に高い経済成長を実現しておりまして、存在感も増しております。

 我が国との関係につきましては、我が国としては、グローバル競争の競争相手がふえたという効果は当然ございますが、逆に、投資先としても貿易パートナーとしても、お互いウイン・ウインの状況で、あちらの発展にメリットを得ているという面もございます。

 また、ちょっと離れますが、金融市場や株式市場におきましてもこのBRICsというのは、非常に大きなパートナーというかプレーヤーになってきているというところも無視できないところでございまして、経済産業省といたしましては、今成長戦略をつくっておりますが、その中でのグローバル戦略を考えるに当たりまして、これら四つの影響は全く無視できないというか、非常に重要ということで考えておる次第でございます。

 また、軍事予算をアメリカがふやしているというのは全く御指摘のとおりで、私、前々職がその担当でございましたのですが、五十八兆円になっているものの内訳の増分のほとんどはイラク、アフガニスタン関係でございまして、国内分においてはリストラをしているところもあります。

 いずれにしても、中東関係で非常に大きな増額をしているということは、これも世界全体の経済バランスとしては見逃せない点だと思います。

大畠委員 そこで、そういう現状になっているのにもかかわらず、小泉政権は、アメリカと仲よくすればアジアともうまくいくんだ、こういうことで、言ってみますと、現実の世界の動きと日本の小泉政権のいわゆる視点というのがずれているんじゃないか、私はそこを非常に危惧しているんです。きょう新聞に、同友会が小泉総理の靖国参拝については反対する、それは日本の経済に大きな影響を与えるからという話がございまして、これは経済同友会の中でも、一同が同じじゃなくて、何か六十人ぐらいの十一人が反対されたというんですが、私は、これは非常に深刻な状況に入っているんじゃないかと思うんです。

 そこで、私は、きょう、この問題を含めて、いわゆる日本の対外貿易の構造の変化の問題も、資料を見ますと、明らかに、一九九〇年にはナンバーワンの貿易の輸出国はアメリカだったんですね。輸出に占める比率が三二%、輸入に占める比率も二二%で大きな割合だったんですが、二〇〇五年には、輸出に占める比率四八%はアジア、それから輸入に占める比率も四五%がアジア、アメリカは二三%、一二%ということで、非常に状況としては、もうアジアにシフトしたというのが現実問題なんですね。だから、経済同友会なんかも、本当は政府に物は言いたくないけれども、この際やはり言っておこうということで言ったんだと思うんです。

 外務省がこの問題をどういうふうにとらえているのか、あるいは経済産業省として、この日本の対外貿易の構造の変化に対して、外務省と経済産業省はどんな連携をとって日本の未来を切り開こうとしているのか。ヨーロッパと同じように、アジア通貨基金というのでもつくって、やはり日本がアジアの経済に大きく寄与する、そういう姿勢を示し、経済問題、エネルギー問題、それから、先ほど川端委員からもお話がありましたが、環境問題、アジアの環境も非常に深刻な状態になっていますね。

 ですから、こういう問題に対して、どういう形で日本がイニシアチブをとるかということをきちっと指し示すのが日本の外務省だし、外務省と連携をとった経済産業省のあり方だと私は思うんですが、ここら辺についての外務省、経済産業省、環境省の見解を伺いたいと思います。

西野副大臣 まず、経産省の考え方を申し上げたいと思いますが、お示しのとおり、各般にわたりまして、例えば貿易だけで見ますと、貿易総額の中で東アジアの占める割合が約半分、また対外直接投資という点から見ますと、これは大体三分の一ぐらいが東アジア中心になってきております。先生がお示しのように、環境問題しかり、貿易問題しかりでございまして、今、アジアに対する大きな力点がといいますか、ウエートが変化してきておることも事実であろうというふうに思っておるわけであります。

 さはさりながら、米国と今日までの長年にわたる同盟関係を含めて、経済、外交等々の面から、当然ながら、引き続いてこれらについても維持発展をさせていくことも大事であるというふうに思っておるところであります。

 そういう中で、とりわけ東アジアに対して活力を見出すためにも、何といっても、一言お示しをされておりました経済統合等々に向けましても、私どもの二階大臣が以前にも発言をいたしておりますとおり、アジアの経済統合に向けてリーダーシップをとっていくべきだというふうに思っておりますだけに、東アジアEPA構想、あるいは人財資金構想などを実は挙げておるところでございまして、今後とも、日本と東アジア、さらには世界の中でアジアを中心にして我が国は発展をしていく、こういう趨勢の中で諸般の施策を講じていくべきだというふうに思っております。

佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもといたしましても、アジアにおきまして、委員御指摘のとおり、中国あるいはインドという国々の急速な台頭という大きな環境変化が見られる中で、特に東アジア首脳会議等の成果を踏まえまして、普遍的な価値とグローバルな規範にのっとった東アジア共同体ということの構築を目指していきたいと考えております。

 そのためにも、東アジア首脳会議参加国の間で、委員御指摘ございました、経済分野あるいはエネルギー、環境問題等々、地域が直面いたしますさまざまな共通課題に対する具体的な協力を進めて、共同体の形成に向けた一体感を高めていきたいと考えております。

 我が国といたしましては、また東アジア首脳会議の場で、共同体の形成も視野に入れて、地域協力の理念や原則あるいは共通課題の対処について、戦略的な、あるいは大局的な観点から、それらの国々との議論を深めていきたいと考えております。

 共同体形成を共通目標にこういった取り組みを積み重ねることで、私どもの属します東アジアが、経済面も含めてさまざまな面で一体性を高めてより一層繁栄していく、協調的な地域の形成につながっていくと考えております。

 今、経産省副大臣の方からも御指摘がありましたけれども、東アジアEPA構想、幾つかアイデアをいただいております。私どもとしては、こういう課題について、政府一丸となって、経産省さんともよく連携をしながら課題に取り組んでいきたいと考えております。

 同時に、域外国にどうやって開放性を保っていくかとか、あるいはインドその他の国々との交渉の整合性とか、いろいろな問題がございますので、さらに関係の省庁とも議論を十分に尽くしてまいりたいと考えております。

小林政府参考人 アジアの戦略が必要であるという御指摘でございます。

 環境面で申し上げますと、CO2の排出量、中国は既に日本の三倍、インドはほぼ日本と同じということでありまして、大変大きく成長しております。また、御案内のとおり、黄砂の問題、あるいは酸性雨の問題、そして漂着ごみの問題、アジアに、環境は国境がない、こういったことが日ごろ感じられるところでございます。

 そうしたことでございますので、環境省としては、先ほど御指摘のようなアジア中心の環境対策ということを、外務省あるいは経産省と協力しまして、あるいは経済界そしてNGOとも協力して進めているというところでございます。

 例えば、アジア太平洋地域の環境大臣の集まりのエコ・アジアといったような会議を定期的にやってございますし、特に中核になります日中韓、ここにおきましては定例の三カ国の環境大臣会合といったようなことを進めてございます。

 それからまた、実務が大事でございますから、酸性雨のモニタリングネットワークとか、こういったアジアをベースにした地域の取り組みということに力を入れるように努めているところでございます。

 また、今般は、二階経済産業大臣のイニシアチブで行われます日中の省エネそして環境保全の総合フォーラムといったようなこともございますが、こういったところにも参加をいたしまして、実務ベースで環境対策が普及されていくように、アジアに中心を置いて頑張っていきたいというふうに考えてございます。

大畠委員 いろいろと今三省庁から基本的な考えをいただきましたが、私が御指摘申し上げたいことは、今、日本が眼中の中心に据えるのはアジアだ。西野副大臣は東アジアと使われましたけれども、私は、やはりインドも入れた形でやらないといけないのではないかと思いますし、ぜひアジアに日本の外交あるいは経済問題も含めてシフトして、寺島さんの御発言を聞くと親米入亜というらしいんですが、アメリカとは親しくしながらもアジアの一国としての位置づけを非常に鮮明に日本はすべきだ、これを逃すと大変な状況になるという指摘を、私もお話を聞いたことがあるんです。

 そういうことはぜひ、経済産業省も外務省も、環境省、特に環境省は頑張っているけれども、私もいろいろ自分で考えたんだけれども、一万四千キロというこの地球の直径、それを十四センチのボールに例えると、地球の空気の層は〇・一六ミリなんですね、十六キロですから。飛行機が飛んでいるのは十キロですから、一万メーター上空ですね、十キロ。その上にあと六キロしかないんですよ。十六キロ上空はもう空気層はないんですね。ですから、それで計算すると、十四センチのボールの上に〇・一六ミリの薄い膜が空気層である。これが損なわれると、人類というか生物は生存できないんですね。

 だから、環境問題は本当に、クールビズもいいですが、クールビズだけではもう乗り越えられないところにまで入っている。ですから、環境省もぜひ自信を持ってアジア全体の環境問題についても提言して、ODAも、お金を置いてくればいいというのではなくて、やはりお金を何に使うかですから、実効ある形で環境省も頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、エネルギー問題でちょっと気になることが二つありますので、この問題をお伺いしたいんです。

 原子力発電所の耐震指針の見直しという方針が出されて、そろそろ出たという話も聞いておりますが、日本のエネルギー政策の中において、原子力政策というのは非常に大事なんですね。ところが、女川の原子力発電所が地震によって停止したときから随分たったんですが、大分おくれて、裁判に負けて、現在、耐震指針の見直しを進めているということであります。

 今後の対応について原子力保安院のお話をいただきたいと思うし、同時に、ガスエネルギーというものに注目してやっているんだけれども、どうもガスエネルギーに対する力点が今欠けているんじゃないかという話も聞いておりますので、このガスエネルギーに対する国家戦略についてエネ庁からお話をいただきたいと思います。

広瀬政府参考人 四月二十八日の原子力安全委員会の耐震指針検討分科会におきまして、原子力発電所の耐震設計の審査に用いられております耐震設計審査指針の改定原案が取りまとめられたところでございます。今後、原子力安全委員会の本委員会における審議、パブリックコメントなどを経て改定が決定される予定と聞いております。

 今回の改定は、最新の知見を取り入れ、原子力発電所の耐震安全性に対する信頼性を一層向上させることを目的としたもので、改定後の指針は、今後新たに安全審査を受ける原子力発電所に対して適用されるものであると理解をいたしております。

 また、原子力安全・保安院は、従来から、指針への適合性はもとより、地震学や耐震工学の最新の知見を踏まえた安全審査等を行っておりまして、稼働中、建設中の原子力発電所の耐震安全性は確保されていると考えております。

 しかしながら、耐震安全性に対する信頼性の一層の向上のためには、今回の指針改定の趣旨を踏まえ、最新の知見に照らして耐震安全性を確認していくことが重要と考えております。このため、原子力安全・保安院としては、指針が改定された時点で、全国に立地しているすべての原子力発電所について、改定された指針に照らして耐震安全性を確認してまいります。

片山大臣政務官 御指摘のように、天然ガスは、石炭、石油に比べましてもCO2の排出が少ない上に、産出先が非常に安定してというか分散しております。石油は九割中東ですが、天然ガスはオーストラリアからサハリンまで幅広くございますので、非常に優秀なエネルギー源と考えております。

 天然ガスの普及拡大に向けて、供給面では、天然ガスへの燃料転換の促進、需要家数の九割以上をもう完了しております。また需要面では、産業用ボイラー等の天然ガスへの燃料転換ですとか、より効率の高いガス機器の、エコジョーズとかですね、導入などに対する助成も行っております。

 また、国内においてこれを運搬する基幹パイプラインの整備についても支援しておりますし、海外からの天然ガスの安定的な確保に向けましては、今、多様な国々、多様なガス生産国との関係強化なども進めておりまして、今後とも、ガス政策は一層充実強化、しっかりやってまいりたいと思っております。

大畠委員 ひとつそこら辺は、環境問題も考えながらエネルギー政策をしっかりと進めていただきたいということをお願いしておきますし、原子力発電所については、今保安院の院長からお話がありましたように、新しいプラントに対する指針であるとはいいながらも、既存のものについても順次きちっと確認をして進めることが必要だと思いますので、そういう形でぜひ進めていただきたい。そして、国民の信頼、国民の安心感、そういうものが得られなければ原子力政策というのも前に進みませんから、そこら辺を十分配慮して進めていただくように要請をしておきます。

 残りの時間が少なくなってまいりまして、いろいろと準備いただいた方もおられるんですが、中小企業問題について一つお伺いしたいと思います。

 中小企業、私もこの五月の連休中、ずっといろいろ歩きまして、いろいろお話を伺いました。一様に言えるのは、黙々と一生懸命仕事をしてきたんだけれども受注量が減ってきて非常に困ったというんですが、非常にいい技術を持っているんですね。そのいい技術に何とかもう一回日の目が当たるようにできないかというので、私は、特許というもの、いわゆるこれまでのバブル崩壊後の金融中心の経済から、ものづくり中心の経済へ転換すべきだということを申し上げたいわけです。

 そのためには、地域の中小企業の持つ長年積み上げた技術、技能というものを特許化する、その中核に商工会議所とか商工会、ここに知財駆け込み寺というものの構想があるということは中小企業庁から聞いておりますけれども、特許庁と中小企業庁が、連携をとって全国の技術、技能のネットワークをつくって、中小企業が、自分が持っているこの技術、技能を生かせないかということで、全国のネットワークをつくるという動きを強めることが必要なんだと私は思うんです。

 日立市の中小企業の皆さんが大田区で技術フェアか何かをやったんですね。そうしたら、大田区の中小企業の人も来て、あなた、こういうことをやっているのか、では、うちでぜひこれを頼みたいよというので、お互いに、日立市と大田区が交流を始めたという話であります。

 そういう意味では、やはり知らないんですね、お互いに。だから、特許問題と、それから中小企業の技術、技能をお互いに連携をとる、そういう動きを中小企業庁と特許庁が協力して行うべきだと私は思うんですが、この件についての現状と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。

片山大臣政務官 ただいま委員御指摘の知的財産の駆け込み寺でございますが、今年度から新たに、中小企業にとってより身近な窓口である全国の商工会、商工会議所に整備するというところで今鋭意やっているんですが、具体的には、知的財産に関する相談内容を聞いた上で、責任を持って適切な公的機関、まさに特許関係の、特許の流通アドバイザーであるとか、また弁理士会であったり発明協会であったり、あるいは特許室そのものであったり知的所有権センターであったりですとか、そういうところに取り次いだり、またさらに専門家を紹介したりという体制を整備してまいるということでございます。

 こうした仕組みがさらに十分に機能するように、これらの商工会等の全国団体でございます全国商工会連合会それから日本商工会議所が、取次先となる支援機関と一層連携強化を行うということになります。具体的には、先ほども申しましたように、弁理士会等を含みます知的財産の専門機関、それからベンチャー総合支援センターなどの中小企業支援機関との連携をこれらの全国団体が強化していくということになります。

 こういった取り組みにより、総合的に知的財産の保護と活用に関する支援を中小企業に対しても、実務的にうまく回るようにやってまいりたいと考えております。

大畠委員 ぜひ、必死に中小企業の経営者も何とか地域経済の担い手としてやろうとしているし、その中小企業で働いている人が地域で子供を育てて、また次の時代を担う人材も教育あるいは育てることでやっているので、何か最近の日本経済の一つの流れとして、大きなものがより大きくなればいいんだ、六本木ヒルズじゃありませんけれども、何か派手なものがどんとできて、それでとにかく日本はよくなってきたというんだけれども、私は、そういう光り輝くものも大事かもしれないけれども、やはり地域で本当にまじめに暮らしている人というのが日本の宝なんですよ。そういうものをもっと大事にした政治であるし、そういう方針であっていただきたいということから申し上げたんです。片山政務官のお話にもありましたけれども、政府としてもぜひそれを十分踏まえてやっていただきたいということも申し上げておきます。

 それから、地域の課題についてでありますけれども、幾つかあるんですね。大手企業と地域の中小企業との受注バランスをきちっととってほしい。今は何でもありの時代ですから、それは大手企業というのは何でもできますよ。ですから、小さいものまで底びき網で引くように仕事を持っていってしまう。それは受注競争で値下げ競争をやったら大きいところにかないませんね。そうすると、結局、小魚も残っていないというような話で、大変な競争激化になっているんです。私は、何でもありというのはどうも、地域を考えるとやはり間違えているんじゃないかと思うんですね。

 そこで、この大手企業と中小企業の受注バランス、いわゆる公共事業関係でもそういう傾向が出ていますので、総務省からその問題についての対応策をお伺いすることと同時に、あと、金融庁、きょう来ていると思うんですが、さっき松原さんからも指摘されていましたけれども、地域金融の問題。あそこに貸しちゃだめだ、ここに貸しちゃだめだ、地価が下がったから、もう担保割れしているからこれはだめだという、その方式でやったら本当に、なかなか企業に対する金融というのが滞っていて、結局それも地域経済が落ち込む原因にもなっていますので、そろそろ、四%未満というBIS規制がございますけれども、金融監督庁が微に入り細に入り指導するという姿勢は改めて、もう自己責任のもとに大いにやりなさいと。おかげさんで、この間、皆さんの協力で何とか日本の経済も中央部は立ち直ってきた。今度は地方の方が大いにやりなさいというので、あしき慣習と私言いたいぐらいでありますが、もう本当に、なぜここまで指摘されなきゃならないんだろうかと思うほど、重箱の隅をつついて掘り起こしてまでやっているという実態が過去にありましたけれども、この状態、大手金融機関も、預金者に金利を払わないで自分の不良債権処理のために使って大体元気になってきましたから、そろそろ、地域の経済の活性化のために私は規制緩和すべきじゃないかと思っておるんですが、ここら辺の二つについてお伺いしたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 御案内のように、地方公共団体の入札、契約等につきましては、地方自治法で大枠を定めているところでございますが、透明性あるいは公正性といったものの確保というような観点から、競争入札を原則としているところでございます。

 しかしながら、一方で、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、いわゆる官公需法でございますとか、この法律に基づきます閣議決定による国の施策に準じて、地方公共団体におきましても、中小企業者の受注の機会の確保をするために必要な施策を講ずるように努めるということとされているところでございます。

 これらの法律などを踏まえまして、指名競争入札でございますとか随意契約の方法を活用することによりまして、官公需適格組合を初めとした中小企業者の受注の機会を確保するために必要な施策を適切に講じていただきたいものだというふうに思っているところでございます。

山崎政府参考人 地域金融機関についてのお尋ねというふうに理解しておりますが、自己資本規制の問題につきましては、金融機関の貸し出しの原資が預金であるということから、金融機関が破綻した場合に預金者の預金が毀損される等の悪影響が発生するということがございまして、このような事態を避けるため、金融機関が融資等の機能を継続的に発揮するための金融機関の財務の健全性の確保のための規制でございまして、これは必要不可欠であるというふうに考えてございます。

 したがいまして、自己資本比率規制の重要性は主要行であれ地域金融機関であれ変わらないものというふうに考えてございますけれども、一方で、地域金融機関につきましては、地域の中小企業等の資金ニーズに適切に対応するとともに、経営の健全性を確保し、地域の利用者から十分な信認が得られるということが重要でございまして、私どもは、地域密着型金融の機能強化に向けて、自主的な内容の各種取り組みを着実に推進することが期待されるというふうに考えてございます。

 こうしたことから、現在、地域金融機関におきましては、みずからの経営判断のもとで、地域の特性を踏まえた個性的な地域密着型金融推進計画、これを策定いたしまして、その規模や特性等に応じた中小企業金融の円滑化や利用者の利便性向上に向けた施策を推進しているところでございます。

 金融庁といたしましては、引き続き、この計画のフォローアップ等を通じまして、各金融機関が自主的に内容を決めた取り組みを一層推進していくことによりまして、地域の中小企業への円滑な資金供給が図られるよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。

大畠委員 今金融庁から答弁をいただきましたけれども、本人は生きているつもりでも、何か、もうあなたは死んでいるんだから棺箱に入れというような感じの非常にひどい指導も随分あったんですよ、過去に。だから、要するに患者を診ないで薬を調合するなかれですよね。患者を実際に診もしないでこの人はもうだめだとかこの人はいいという、実際に患者を触診してみたり、よく現場を見ないで書類だけで査定をしてこれはだめ、これはいいというような形が過去において随分見られましたから、今お話しのように、地域の実態に合った形の金融をしなさい、それで私はいいと思うんですよ。ぜひ実態をよく見た形で金融庁もやっていただきたい。これが地域経済を支えている中小企業にとって大変重要な課題になりますから、その点を心してやっていただきたいということを要望しておきます。

 最後に、いろいろ幾つか聞きたかったんですが、特許庁長官もおられますし、中小企業の中で、特許を取得したいんだけれどもなかなか大変だというのと、特許を取得すると、なかなか審査期間が長くなっちゃって、その間に特許が使われていた、海外で使われてしまうというような話とか、先使用権制度というようなものをうまく利用してやるべきじゃないかとか、そういういわゆる日本の技術流出防止のための対策という意味で特許を十分に使いたいという意見がございますが、質問時間が参りましたので、この件については次回にお伺いをすることにして、私の質問を終わります。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 この間、当委員会でも中心市街地活性化法、また都市計画法改正の連合審査も行ってまいりました。その関係で、この大型店の立地、出店の問題につきまして、郊外について言えばいわばブレーキをかけていく、中心部にいわばアクセルをかける、そういう形で活性化を図っていこう、均衡あるまちづくりを進めていこうということが掲げられているわけであります。それが具体的に、規制策であればどのように機能をしていくのか、その問題について最初にお尋ねしたいと思っております。

 配付をしました資料の二枚目の方なんですけれども、「大型店出店構想の事例と懸念されている社会的影響等」という表になっておりまして、これは日本商工会議所など中小四団体のまちづくりに関する要望の参考資料として挙げられているものであります。これは、非常にいろいろ懸念されている事例として特徴的なものだろうなと思っているわけです。ここに十二の事例が挙げられているんですが、そのうちの七つが農地、農用地にかかわっている問題なんですね。その点で、農水省さんに最初にお伺いしたいと思っているんです。

 ごらんいただいても、例えば、一番の大田原市の場合も、広域的調整の仕組みがない、これは田園地帯に大型店が出る事例。二番の松山市の場合は、隣町が農転で大型店を誘致する、こういう事例ですとか、ちょっと飛びまして、七番の甲府市なども、隣町への出店が行政投資を無駄にするおそれとか、十番、仙台市の、県を越えた広域的影響を懸念する、こういうように、十二の事例のうち七つが農地にかかわるものになっております。そういう点でも、農地における何らかの規制策が求められているわけであります。

 そこで、農水省に伺いますが、いろいろな、全国で大型店が出店、立地をする際に活用されているスキームの中で、農村活性化構想、それの延長線上で、いわゆる二十七号計画というものがあるというふうに聞いております。こういう大型商業施設の立地の際に活用されている農村活性化構想及び二十七号計画がどういうものなのか、その概要について説明いただけますか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のございましたいわゆる二十七号計画と申しますのは、地域農業の振興のために市町村が定めるという計画でございまして、農振法の施行規則の第四条の四第一項第二十七号に規定されていることから、一般的に二十七号計画と言われているものでございます。

 また、農村活性化土地利用構想と申しますのは、農業振興地域整備計画の変更の要件が平成十一年に法定化されました。それ以前に通達に位置づけられていたものでございまして、その内容は、現在のいわゆる二十七号計画と同様のものでございます。

 具体的には、この計画は市町村が、先ほど申し上げましたように、地域の農業振興の観点から農業委員会の意見を聞いて定めるものでございまして、他にかわる土地がないことや、周辺農地の効率的な農業利用に支障がないことなど、農用地区域内の農地の農業上の効率的な利用に関する基準を満たすとともに、農地転用あるいは都市計画上の開発許可、こういったものの許認可の見込みがあることという要件を満たすことを要件としているところでございます。

 この計画につきまして、農振計画の策定者でもある市町村が農業振興との調和に配慮しつつ策定するものでございまして、この計画に位置づけられる施設の用地に農用地区域内の土地が含まれる場合にありましては、例外的に農用地区域からの除外が認められるということになっているわけでございます。

塩川委員 今お話がありましたように、農振法に基づいて、農業振興に資すると同時に、農村の活性化、農業の活性化のために、現実には大型店の誘致というのが行われてきているわけです。ですから、農村の活性化、農業の活性化と言いながら、実態は優良農地がつぶれて大型店がどんと出るというのが現実に起こっている事例であります。

 そこで、資料の一枚目ですけれども、これは、イオンモール、イオンのショッピングセンターの開発会社の会社案内ですけれども、イオンモールが全国どこにショッピングセンターを出店しているかという一覧表であります。イオンの場合には、ダイヤモンドシティの系列でもショッピングセンターを行っております、ここで、経営統合という話が出ているそうですけれども。このイオンモールにおきましても、ここに挙げられたような事例があります。

 そこで、例えば、ちょうど真ん中あたりに開発方式とありますけれども、一番上のイオン柏というんでしょうか、青森県つがる市の場合にも開発方式が農村活性化構想、それから、上から六番目のイオン三光ショッピングセンター、大分県中津市の場合も農村活性化構想。今お話のありました、現在は二十七号計画と言われている開発方式で大型店が出店をしてきているわけです。それ以外にも農地を活用している事例というのがその後も生まれてきております。

 ここには出てこないんですけれども紹介したいのが、福島県、今、条例を進めてこの秋に施行されるわけですけれども、県としてのまちづくりの条例があります。その福島県で駆け込みの出店の一つとして、会津に福島県の湯川村というところがございます。ちょうど会津盆地の真ん中で平らなところですね、田園地帯ですけれども、ちょうど喜多方と会津若松市の間にある村ですけれども、そこにジャスコの出店計画があるそうであります。湯川村自体は米どころですけれども、その農業振興地域の農用地区域にジャスコが大型店の出店の計画をしております。敷地面積が十三万平米で売り場面積が三万七千平米、これが二十七号計画を使って行うと。つまり、湯川村として計画をつくって大型店を誘致しようという話になってきているわけです。

 こういうように、農村活性化構想及び今では二十七号計画が活用された大規模商業施設の建設が進められてまいりました。これは、活用している自治体に聞きますと、二十七号計画を使えばスピーディーに開発ができるんだというような説明をしているというんですよ。これは本来の趣旨から見てどうなんでしょうか。率直なお考えを農水省にお聞きしたいんです。

宮本政府参考人 今御指摘のその湯川村の案件につきましては、私どもも新聞報道等以外は承知していないところでございます。

 今、いわゆる二十七号計画を使えばスピーディーにできるというお話がございましたけれども、基本的に、先ほど申し上げましたように、この二十七号計画の策定に当たりましても、これに基づく農用地区域からの除外等に当たっては、一定の法律上の要件が定められております。それらの要件の適否につきましては、きちっと判断することになっているわけでございまして、一概にスピーディーになるかどうかということにはならないのではないかというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 事業者がこの二十七号計画を使うというのは、立地する市町村が計画をつくるわけですね、そうすると、立地する市町村にいわばお墨つきをもらって出店ができるというところに事業者にとってのメリットがあるという部分があるわけです。そういう点で、この二十七号計画を使って、村なりがおぜん立てをしてくれて、関係者とのいろいろな調整もしてくれるという中にどんと入っていきたいということに、現実には開発のツールとしてこの二十七号計画が使われているというのが実態であるわけです。

 そういった際に、農振除外、農地転用の話でも、この二十七号計画というのは、いわば農業政策の観点からのみ判断が行われているわけですよね。ですから、ある自治体のこういった二十七号に基づく計画が周辺市町村に農業以外の問題で影響を与える、こういったときに、一自治体の判断だけで本当にその開発を進めていいのかということが今問われているんじゃないかと思うんです。

 広域的な影響を与えるような大型商業施設の出店の場合に、一自治体の判断だけでこういう計画を進めてよいのか、これについては、農水省としてはどのようにお考えですか。

宮本政府参考人 御指摘のとおり、いわゆる二十七号計画におきまして、いわゆる大規模集客施設が位置づけられている例というものがあることは承知しております。ただ、このいわゆる二十七号計画の適否につきましては、今委員御指摘のとおり、まちづくりの観点というよりは、周辺農地の農業上の利用なり農業振興上の観点なり、こういう観点から内容の適否を判断しているところでございます。

 ただ、農振法におきましては、市町村が農用地利用計画の変更をしようとするときにおきましては、その広域自治体といいますか都道府県の同意を得るというシステムが組み込まれておるところでございます。そういう意味では、市町村の判断のみで農用地区域からの除外が行われるというわけではなくて、策定いたしました計画が、農振法上のいろいろな要件、先ほど申し上げました要件に該当しているかどうかにつきまして、一自治体のみならず都道府県もあわせて判断して手続が行われるということでございます。

塩川委員 その点でも、あくまでも県の同意の話というのは、農業振興との関係での判断ということですから、そういう点では、農業以外に影響を与える問題について、じゃ、口が挟めるのかという問題というのは当然残るわけであります。

 ですから、これは農業サイドだけで解決できる問題ではないということで、この後国交省さんの方にもお聞きしたいと思うんですけれども、そもそもこの二十七号計画、これのもとになっている農村活性化構想がいつスタートしたかというと、一九八九年ですよね。このときちょうど、農林水産事務次官通達でこの農村活性化構想というのが示されたわけですけれども、当時はどういう状況かというと、要するにバブルですよ。バブルの絶頂期です。このときにつくられたのがこの農村活性化構想です。

 ですから、そのときの事務次官通達を紹介しますと、その趣旨には、近年における経済的、社会的情勢は急速に変化しつつあり、都市機能の地方への分散、余暇時間の増大等を背景として、宅地、レジャー施設用地等の多様な非農業的土地需要が生じているため、この経済的、社会的情勢の推移及び地域の実情に応じた農村地域活性化等のための土地利用調整の一層の円滑化を図る措置を講ずると言われるように、近年における経済的、社会的情勢が急速に変化しつつあるというのは、バブルの絶頂の、どんどん行こう、開発推進だというときに合わせてつくられたのが土地利用構想なんです。それをいまだに引きずっているということでいいのかというのが問われているんじゃないでしょうか。

 ですから、都市計画法の改正も行われるわけですから、それに合わせてこの二十七号計画が大型商業施設の受け皿となっているという現状について、これは改める必要があるんじゃないのか。今後どう対応するのか。その点を農水省に伺いたいと思います。

宮本政府参考人 このたび、都市計画法の改正も一方で御審議をいただいておるところでございますけれども、せんだって先生にも御回答申し上げましたように、今回の都市計画法の改正に合わせまして、私ども、農振農用地制度につきましても厳格かつ適正な運用の徹底を図るということで、都道府県、市町村等を指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 この中で、いわゆる二十七号計画につきましても、その施設の予定地に代替すべき土地がないかどうか、周辺農地の農業上の効率的な利用に支障を及ぼすおそれがないか、こういった要件を満たしている場合のみ農用地区域からの除外が可能となるものでございまして、これらの要件の適否についても厳格に判断するよう周知していきたいというふうに考えております。

 また、当然のことながら、都市計画法改正と合わせまして、私ども、国土交通省関係部局とも連携しながら対応していきたいというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 ほかに代替すべき土地がないか精査をしてもらうんだ、その趣旨を徹底するという話ですけれども、要するに、市街地に隣接しているような場合とかというのは、まあ、何らか判断する場合もあるだろう。それでも実態に応じて個々に対応すべき問題ですけれども、少なくとも会津盆地のど真ん中の平らなところに、田んぼばかりの真ん中に、農協がつくるような産直センターというのならわかりますよ、そうでない大型のショッピングセンターがどんとできるというのは、これはどう考えてもおかしい。そういうのはやらない、認められないという方向での対応を具体的に、例えばガイドラインなどで示すというお考えはありませんか。

宮本政府参考人 いずれにしましても、今先生がおっしゃいましたことも、まさにいわゆる代替すべき土地の有無、あるいは農業上の支障の適否、この判断に係ることだろうと思っております。

 そういう面では、今、これらの要件の徹底をしっかりと関係者にも指導していきたいというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 ガイドラインをつくるということですが、いつぐらいの予定でおられるんでしょうか。

宮本政府参考人 現在、関係の法案が審議中でございますので、これらの審議過程におきます皆様方の御意見等も踏まえまして、できるだけ早い機会に施行させていただきたいというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 続けて、国土交通省に伺います。

 今言ったように、農水省としての取り組みではあくまでも農業振興、農村活性化というサイドだけの問題になるわけで、当然、でも、そこで縦割りじゃいかぬというのが今回の趣旨でもありましたから、そういう点でも連携を図っていくということになってくるわけですけれども、農地については、これまで農振法によって土地利用規制を行って、例えば、都市計画区域外の農地については準都市計画区域の指定がなされない、その結果、農地転用された場合にはどこの省の土地利用規制も及ばないという、いわゆるぽてんヒットという状況に陥るということが問題とされてきたわけですね。

 そのため、今回の都市計画法の改正で、こういった都市計画区域以外の農地に都市計画規制が及ばないという現行制度の改善を図ったということでありますけれども、どういう改善を図ったのかということについてお答えください。

加藤(利)政府参考人 お尋ねの件でございますが、先生御指摘のとおり、現行の都市計画制度においては、いわゆる白地地域ですとか都市計画区域外については建築物の用途に関する規制がないため、このような地域の農地が農地転用された場合には、都市的土地利用規制も農業的土地利用規制も適用されない、御指摘にありましたぽてんヒットの状態になるということでございまして、それが結果として大規模集客施設の無秩序な立地につながっている事例が散見されるということでございます。

 国土交通省といたしましては、このような課題に対応するために、今回の都計法等の改正では、都市計画区域及び準都市計画区域の白地地域について大規模集客施設の立地規制を行う。それとともに、これまで相当数の建築物の建築等が行われる蓋然性の高いエリアをスポット的に指定してきました準都市計画区域制度、これらにつきまして、農地を含めて土地利用の整序または環境の保全が必要な区域に広く指定できるようにするということでございます。それとあわせて、指定権者につきましても、これまでの市町村から、広域な観点から指定するという点を踏まえて、都道府県に改めることとしているところでございます。

 これらの措置によりまして、従来、農地転用されれば自由に大規模集客施設が立地することができた区域でも、立地する場合には都市計画の手続を要するということとなります。この都市計画の手続における都道府県知事による同意協議を通じて、より広域的な観点からの調整が行われるというふうに考えております。

塩川委員 都市計画区域でない農地に対しても準都市計画区域という形で網をかければ都市計画法上のスキームに乗っかっていくという形で、ふさわしく手続あるいは透明性の確保を図ることができるということになってくるんだと思います。

 それとあわせて、続けてお聞きしますが、一方で、都道府県から市町村にいろいろな権限が移譲された結果、一つの市町村の枠を超えた大きな影響を与える問題についていろいろな弊害が出てきたということがこの間言われてきているところです。そういう点でも、一市町村の視点だけではなくて、広域的な観点から適正立地を調整する視点が必要だと言われてまいりました。

 その上で、一市町村の視点だけでなくて、広域的な観点から適正立地を調整する手続を今回整備した、都道府県による広域調整の問題ですけれども、これはどういうものなのか、お聞かせいただけますか。

加藤(利)政府参考人 今回の法案改正でどういう点が改正されたかということについては、今から申し述べますけれども、まず第一点が、先生も御指摘ありましたように、市町村が都市計画決定をする場合の都道府県知事の同意は、一の市町村を越える広域の見地からの調整を図る観点または都道府県が定め、もしくは定めようとする都市計画との適合を図る観点から行うものとされております。

 それで、その際に、今回法案改正をお願いいたしまして、都道府県が行います同意協議の際に、関係の市町村から資料の提出なり意見の開陳を求めることができるというふうにして措置をさせていただいておりまして、そうしたことを通じて、より実質的に広域的な判断が都道府県においてなされるような、そういう仕組みを導入したところでございます。

 では、市町村、関係市町村の意見を聞くけれども、都道府県知事が判断するときに具体的にどういう判断基準でということになろうかと思いますが、それは、具体的には、都市計画区域のマスタープランの内容ですとか、都市圏におきます都市構造ですとか、広域的なインフラに与える影響等を考慮して同意の判断が適正に行われるということになるものと考えております。

塩川委員 いわば、都道府県がやる気になって、マスタープランやあるいは広域的なインフラに影響を与えるという観点から、県全体についてどういうアプローチをするのか、ここをしっかり持っていれば、今言った準都市計画区域などを使って、農地も含めて適切な立地を図ることも可能だし、また、今回のように、一市町村に出店するような場合についても関係市町村の意見を聞く、その意見を聞く際の判断基準をしっかり持っていれば、都道府県としてはそれなりの対応ができるということだと思うんですけれども、そういうことでよろしいですか。

加藤(利)政府参考人 都道府県が行う協議同意の際に、都道府県が、当該都道府県の広域的な観点からいろいろ総合的な判断を加えて協議同意の際の意見を言うべきものというふうに考えております。

 ただ、そのためには、都道府県なり市町村において、今回の改正の趣旨あるいは目的を十分理解していただいた上でそれぞれの地域にふさわしいまちづくりのあり方について十分な議論がなされて、それを受けて適切な運用が図られるべきではないか、そういうことが極めて重要であるというふうに考えております。

塩川委員 この間の規制緩和路線の中で、現場の市町村は逆方向にかなり走っているような状況にありますから、そういう点でも趣旨の徹底というのがきちっと図られないと、一番の現場の市町村の皆さんが大変混乱をされる、苦労されるような状況にありますから、そういう点についてふさわしい対応をお願いしたいと思っています。

 同時に、今回のそういった規制が図られる中でも、地区計画の提案制度、開発整備促進区の活用などのいわゆる抜け穴などもあるものですから、そういう問題についてもきちんとした対応というのが求められていると思います。

 その上で、郊外での規制の問題と、一方で中心部においての、いわゆるアクセルをかけるという話、大型店を誘導する方向というのが今回も出されているわけです。準工業地域でも大都市部においては大型店の立地が可能になっているわけです。

 そこで、二階大臣に伺いますが、いわゆる中心部に大型店を誘致すれば、それをもってにぎわいを取り戻すということに本当につながるのか、そういう中身に本当になっているのかということを大臣はどのようにお考えでしょうか。

二階国務大臣 中心市街地のにぎわいを回復させるためには、商業施設のみならず、住宅あるいは公共公益施設、事業所等のさまざまな都市機能を中心市街地に集積するということが重要であると考えております。中心市街地が過疎化するといいますか、非常にがらがらになっていく地域は、今申し上げたような都市機能がだんだんだんだん地方へ分散していってしまっておるというふうなことから逆にそういうことが言えると思うわけであります。

 また、集客力のある大型店が無秩序に立地するのではなくて、都市計画制度のもとで適正な立地が図られることがまちづくりにおいては重要なことと考えております。都市計画法等による措置を講ずること、これが大事だと思っております。

 また、各地域が大型店の誘導を必要と判断する場合、大型店の中心市街地への迅速な立地を可能とする法制度を整備するとともに、予算措置も講ずることとしておるわけであります。

塩川委員 大型店が来ることによって、では、中心商店街もにぎわいを取り戻せるのか。もちろんいろいろな法制度上の支援策というのは考えますよ。同時に、大型商業施設を中心部に持ってくるということを今回行うことによって、それをもって、では、商店街ににぎわいを取り戻せるというのが本当に言えるのか、その点は確約できる話なんでしょうか。

二階国務大臣 いずれの場合もケース・バイ・ケースであろうと思いますが、私は、そうした試みも積極的にやってまいるべきだというふうに思っておるわけであります。

塩川委員 例えば、これは商店街振興組合連合会に委託をした商店街実態調査、平成十六年三月に行われましたけれども、そこでも、内容を見ますと、大型店の出店があると回答した商店街、大型店の出店があったと回答している商店街に聞いたアンケートでは、商店街にやってくるお客さんの数の変化について、かなり減少した、あるいは、やや減少したという、マイナスに影響しているというのは七四・六%です。また、逆に、かなり増加、やや増加というプラスの影響というのは七・四%なんですね。やはり、大型店が来るということが商店街に非常にマイナスの影響を与えているというのが実態なんじゃないか。中心部に誘導すれば、それをもってよくなったと本当に言えるのだろうかと思うんですが、それはどうでしょうか。

二階国務大臣 現状のこの商店街がだんだんと疲弊をしていっているというようなことに対して何らかの手を打つべきだということはだれしもが考えていることでありますが、私どもとしては、今回この法律によって新たなチャレンジをしていきたい。そしてまた、その結果、その動向を見ながら適切に判断していきたいと思っております。

塩川委員 ですから、これは商店街の困難さと同時に、その中心部にお住まいの方々、消費者の立場から見ても、では大型店の出店はみんなオーケーかというと、必ずしもそうではないというのが実態だと思うんです。

 そういう点でも、内閣府の小売店舗等に関する世論調査、これが去年の七月に発表されておりますが、その中に、新たな大型店の出店は必要か、大型店の出店を歓迎するかというのに対して、不要だというのが五一%、いやいや必要だというのは四〇%で、不要だというのは過半数になっているんですよね。消費者は大型店だったら歓迎をするんだとよく大手の商業資本の皆さんが言うようなステレオタイプの考え方というのは実態とも違ってきているというのが、消費者、住民の意識なんじゃないかなと思っているんです。

 さらには、新たな大型店の出店に規制策が必要かという問いがあるわけですけれども、不要だ、必要ないというのは一八・一%、必要だというのは六〇・四%です。その六〇・四%の中身を見ると、大都市部ほど必要だという回答がふえているんです。町村は五五・七、小都市が五九・八、中都市が六〇・六、それから二十三区とか政令市などの大都市部では六三・八%が大型店の出店規制が必要だと答えている。平均以上に、大都市部ほど求めている。そこにやはり、今の住民、消費者の大きな声があるんじゃないかなと思っています。

 子供など青少年への影響もありますし、商店街への影響も大きいということについて、これはやはりしっかりとした大都市部での規制策も考える必要があるんじゃないのかということについて、一言お答えいただければと思います。

片山大臣政務官 先般からのまちづくり三法の議論におきましても、委員から現場の実態等もお調べになった御指摘がさまざまございまして、今回、まちづくり三法をああいった形でお出ししたわけでございます。

 やはりWTO等いろいろな歴史がございまして、ある程度ゾーニング規制という方向しかないということがあるわけで、欧州なんかでもそういう形をしながら、今回はああいった組み合わせでまちづくり三法を出させていただいているわけでございます。これはもちろん、中に盛られているいろいろな施策においてさまざまな配慮が、大都市においておろそかになっているということでは必ずしもございませんし、また、そういった視点は必要ではないというように私どもの方で思っているということもございません。

 実態として委員がお配りになっていらっしゃる、既に出たものもあるし、構想時点で問題が指摘されているものもありますが、たまたま私はそのうちの二つを、現場も見ております。一つは私の選挙区、もう一つは、先般県知事選の応援に行ったところで、その商工会連合会長さんがうちの選対本部だったものですから、まさにその商工会連合会長さんが佐世保におけるショッピングセンターの案件を全部おやりになって、しかもいろいろな調整もされた上で、多くの商店街はこちらに入って営業しているんですよね。ですから、結局、そちらの方のお客の方がこちらに行って買っているので、確かにちょっと遠くなったということはある。ただ、昔からの品物を買いたければ、みんなが大型店の一律の商品を買っているのではなくて、昔からのお店がこっちへ移動して、この六万平米の中にある店舗が相当数あるんですよ。

 ですから、結局は、地理的な問題ですとか、生活の利便性の問題ですとか、これからの中高年を踏まえたまちづくりとか、そういった問題になると思いますので、御指摘の点も踏まえながら、国土交通省とともに真摯に対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 中小企業組合は、中小企業者が相互扶助の精神のもと、連携して事業を行うための組織体として、中小企業者の事業活動を強力に後押ししてきました。今後とも、中小企業者にとって使い勝手のよい組織体として、我が国経済社会において積極的な役割を果たしていくことが期待されているところであります。

 他方で、制度の創設以来約半世紀が経過する中で、当初の想定を超えて、極めて大規模に事業を展開する組合や、共済事業に代表されるリスクの高い事業を行う組合が出現しており、運営規律が十分に働かなくなった中小企業組合の破綻事例が散見される状況となっております。このため、組合運営全般について規律の強化を図るとともに、中小企業組合が行う共済事業の健全な運営を確保するための措置を講ずることにより、中小企業組合制度の信頼性の向上を図ることが喫緊の課題となっております。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、中小企業組合について、組合員による運営の自治を確保しつつ、運営の規律を強化するため、役員の任期の見直しを図るとともに、監事に業務監査権限を付与することを原則とします。また、一定規模以上の中小企業組合の資産運用方法に制限を設ける等の措置を講ずることとしております。

 第二に、中小企業組合が行う共済事業の健全性を確保するため、共済事業と他の事業との区分経理の義務づけ、資産運用方法の制限、業務・財務に関する情報開示の義務づけ等の措置を講ずることとしております。さらに、一定規模以上の共済事業を行う中小企業組合については、共済事業以外の事業との兼業を原則として禁止するほか、健全性に関する基準の設定等の措置を導入することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二日金曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


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