衆議院

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第17号 平成18年5月17日(水曜日)

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平成十八年五月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 桝屋 敬悟君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      金子善次郎君    北川 知克君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    塩谷  立君

      平  将明君    長崎幸太郎君

      野田  毅君    橋本  岳君

      早川 忠孝君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    松島みどり君

      武藤 容治君    望月 義夫君

      森  英介君    山本 明彦君

      山本ともひろ君    小川 淳也君

      大畠 章宏君    川端 達夫君

      吉良 州司君    北神 圭朗君

      佐々木隆博君    津村 啓介君

      野田 佳彦君    松原  仁君

      三谷 光男君    鷲尾英一郎君

      高木 陽介君    塩川 鉄也君

      武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   内閣府副大臣       櫻田 義孝君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房総括審議官)     和泉澤 衞君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        松山 隆英君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            畑中龍太郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  鈴木 康雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大辻 義弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           板東 一彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        近藤 賢二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      安達 健祐君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            古賀 茂明君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     金子善次郎君

  佐藤ゆかり君     山本ともひろ君

  北神 圭朗君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  金子善次郎君     片山さつき君

  山本ともひろ君    佐藤ゆかり君

  小川 淳也君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     北神 圭朗君

    ―――――――――――――

五月十六日

 意匠法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)(参議院送付)

同月十七日

 新聞の特殊指定堅持に関する請願(越智隆雄君紹介)(第二〇六一号)

 同(木村勉君紹介)(第二〇六二号)

 同(武正公一君紹介)(第二〇六三号)

 同(太田昭宏君紹介)(第二一二九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)

 意匠法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局官房総括審議官和泉澤衞君、公正取引委員会事務総局審査局長松山隆英君、金融庁総務企画局審議官畑中龍太郎君、金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、総務省郵政行政局長鈴木康雄君、経済産業省大臣官房審議官大辻義弘君、経済産業省大臣官房審議官板東一彦君、資源エネルギー庁資源・燃料部長近藤賢二君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長安達健祐君、中小企業庁長官望月晴文君及び中小企業庁経営支援部長古賀茂明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。

 先日の委員会に引き続きまして、中小企業等協同組合法の審議をさせていただきます。

 先日の委員会の審議を聞いておりまして、相当きめ細かな質疑が行われたというふうに思っておりまして、私自身も大変に勉強になった次第であります。先日の質疑を参考にさせていただきながら、なお大きい観点から質疑をさせていただきたい、このように思っております。

 先日の質疑でもよく理解できたところでありますが、今回の改正、時代の変化の中で、中小企業組合等の事業運営全般のガバナンスの強化、規律の強化を図るというものであります。あわせまして、問題になっております共済事業の健全運営を図ろうというものでありまして、重要な改革であるというふうに思っております。

 保険業法の改正でありますとか、あるいは農業協同組合法の改正、さらには会社法制の改正、そしてこの国会にかかっております公益法人の改革というようなことを考えますときに、やはり中小企業の協同組合についても時代に対応した改正を行わなきゃならぬということはよく理解をいたします。

 その上で、私、そもそも論になって恐縮なんですが、この中小企業等協同組合法の法律、それから、よくよく法律を眺めてみますと中小企業団体の組織に関する法律がありまして、この二つの法律はどういう関係かなということを、素人でありまして、ずっと勉強しておりますと、両方の法律を眺めてみて、現場で話を聞きますと、この二つの法律はそれぞれ、基本法と個別法の関係だという説明をされておられる方もありますし、あるいは団体法については、やはり総括的な、包括的な法律なんだ、あるいは母親の法律だとかいろいろ言われて、なるほどと。

 しかし、法律の目的なりを眺めてみると、そんな関係があるのかどうなのか。あるんだろうと思いながらも、せっかく今回、団体、企業等のガバナンスの向上のための措置、一連の中小企業協同組合法の改正経緯を見ますと、今回の改正というのは相当大きな改正ではないかな、私はこう理解をするわけでありまして、どうせならば、私のような素人から見てもわからぬ法律の関係は整理して一本化するとか、抜本的な改正をする必要があるんじゃないか。法律というのは少なければ少ないほどいいわけでありまして、とりわけ、私、公益法人の改革にずっとこの四、五年かかわってまいりまして、随分苦労して、民法三十四条に基づく社団、財団、二万六千ありますけれども、手をつける、抜本改革をするということでこの国会に法律が出ているわけであります。

 中小企業組合、これもやはり法人でありまして、全国で相当数、三万八千ぐらいの数があるということで、レベルアップを図るということであれば、法体系としての見直しもあっていいんじゃないか。今回、五年の経過措置がありますから、全体の流れを見てさらに考えていくということかもしれませんが、その辺の大きな話をまずお尋ねしたいと思います。

望月政府参考人 中小企業組合法と、それから中小企業団体の組織に関する法律、いわゆる団体法との関係、先生今言及されましたように、一般的には、団体法が一般法で、むしろ組合法というのは、協同組合あるいは中央会などについて規定をしている特別法的な存在であるというふうに位置づけられている、法制的にはそういうことだろうと思っております。

 ただ、この両法律も大変歴史的経緯を持っている法律でございますので、過去に、例えば団体法などにつきまして言えば、中小企業が組織化政策の中で、弱い者同士が非常に協力していかないといけない、特に日本経済の二重構造と言われていたような時代における政策の中では、中小企業のための共同行為などについて独禁法の適用除外にするとか、そういったことで機能を発揮してきた部分ももちろんあるわけでございますし、それから、団体法のみに基づいてできている中小企業の組織というものも幾つかございまして、それに基づいて現実には活動をされている組織もあるわけでございます。

 今御提案申し上げております組合法の中における改正についての意識は、むしろ、協同組合の事業そのものが、今主流にはなってきておりますけれども、現時点における解決しなければいけないさまざまな新しい問題、特にガバナンスの問題と言っておりますけれども、一般統治の問題につきまして早急に手当てをしていかないと組合自身の存在意義にかかわってくるということがございましたものですから、組合法についてその改正を御提案申し上げているところでございます。

 現実問題として、団体法に規定されている組織と組合法に規定されている組織との間で、一般法、特別法の関係を超えて、さらに、何か特段の混乱とか困難が生じていて中小企業者の間で非常に困っているというような事態を現時点では私ども余り認識をしていないものでございますので、今回は組合法の改正ということでお願いをしているところでございます。

 もちろん、こういった社会経済組織の中における私どもの政策の一環としての法制度でございますので、不断の見直しということは常に必要だと思っておりますので、私どもとしても、御議論を踏まえてさらに考えていく必要はあろうか、こういうふうに思っておるところでございます。

桝屋委員 わかりました。団体法もあるいは組合法もともに歴史的経緯がある、こういうことでありますが、今御説明がありましたように、恐らく団体法も相当大きな役割を果たしてきたんだろう。

 ただ、今の時点で、法律というのはわかりやすい方がいいわけでありまして、本当に私はずぶの素人として、今回の法律改正をするに当たって法律全体をずっと眺めてみるとなかなか、素人から見るとすぐ理解できない。どういう関係なんだろうかなと。一般法と特別法とかいろいろな言い方はありますが、では、どういうかかわりがあるのか。こういうと、余りかかわりがないような、全く別個の法律のような気もするし、あわせて、当然ながら、今回の法改正の中でその他の組合等についても改正されているわけで、だから、団体法は恐らく改正する必要は全くない。全くないということは、かかわりはない、一般法と特別法の関係なのかな、そうでもないんじゃないかなと。

 経緯の中で、法律を整理するということは余りしたがらないんですね、役所は。私、さっき言いましたように、法律は少なければ少ないほどいい、日本の国は法律が多過ぎる、こう思っている一人でありまして、ぜひそういう観点からも、私自身もさらに研究をしていきたい、こういうふうに思っているところであります。

 さて、内容に入りたいと思います。

 今回、ガバナンスの充実のために規律強化の仕組みが導入されるわけであります。大規模な組合に対する措置として、監事の権限強化であるとか、あるいは員外監事制度の義務化、さらには余裕金の運用制限の導入というようなこと。そして、大規模に共済事業を実施する組合、いわゆる特定共済組合でしょうか、これについても兼業の禁止であるとかさまざまな新しい仕組みが導入されるわけでありますが、その対象区分、これは政令で規定をするんでしょうか。組合員千人以上ということが想定をされているようですが、この対象区分の考え方について、改めてもう一度御説明をいただきたいと思います。

古賀政府参考人 お答え申し上げます。

 組合員数の大きな大規模な組合とそうでない組合を分けて考えるというのが今回の改正の一つの特徴になっているというのは御指摘のとおりでございます。

 やはり組合というのは、組合員自治で、相互扶助の精神で運営してもらおうというのがあくまでも基本ではございますけれども、昨今のいろいろな状況の変化、いろいろな問題が発生しているというようなところから、このガバナンスの規律を強化する必要があるということで、全般的に規制を強化するということを行うに当たっては、やはり組合自治というところの、余り過剰な規制になってはいけないということで、必要最小限のものをまずかけるということでございます。

 そしてその上で、昨今のいろいろ問題が起きている事例を見てみますと、非常に組合員の数が多い組合で問題が起きている。では、それはなぜなのかということを考えてみますと、組合員の数が多くなりますと、どうしても個々の組合員が、組合運営に自分が携わっているんだ、自分たちが主体なんだという意識が希薄化する傾向があるということが考えられまして、それによって、例えば理事がおかしなことをやっていてもなかなか組合員によるチェックがきかない、そういった問題が出てくるという実態がございます。

 過去に起きました事例を見てみますと、いずれも千人を超えるような大規模な組合で問題が生じていたというような具体的な事例がございますので、この千人というのを一つの基準といたしまして、千人を超えるようなものについてはさらに一段厳しい規律強化の規制を行っていこうということにいたしたものでございます。

 また、昨年改正されております保険業法におきましても、契約者の数が千人を超えるかどうかというところは、自治運営が機能しにくいんじゃないか、そういう基準として、考え方として採用されているということも踏まえたものでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 そこで、大規模な共済事業を実施する組合、いわゆる特定共済組合ということになるんでしょうか、今回は原則兼業禁止ということでありますけれども、原則というのは例外があるわけでございまして、恐らく百ぐらいの数が想定されているんでしょうが、私も現場に行って、団体中央会でいろいろと実態を聞いてまいりました。県単位であります火災共済組合あるいは中小企業の共済等については恐らく専業型で行われているわけでありまして、これだけでも合わせれば九十ぐらいになるわけで、ほとんどは問題はないんだろう、私はこう思っているんですが、その他、原則兼業を禁止するという場合、では、例外はどういう場合にオーケーなのか、あるいは具体的に兼業を行う今の中小企業組合の実態があるのかどうか、そうした実情を聞かせていただきたいと思います。

古賀政府参考人 組合員の数が千人を超えるような組合で共済事業を行っているものというのが、今後、特定共済組合ということで、兼業が原則禁止されるということになるわけでございます。私ども、もちろんそういうところ、今どんな兼業をしている例があるのかというようなことも調査しております。

 基本的に、なぜ兼業を禁止するかといえば、当然のことながら、兼業している共済事業ではないほかの事業が何かうまくいかなかったというようなときに共済事業の健全な運営に影響を与えるおそれがあるということで、そういうものはやってもらっては困るという考え方に立っているわけでございますけれども、今まさに先生御指摘いただきましたとおり、大規模な組合においては、ほとんどのところは兼業はしていないというのが実態でございます。

 ただ、幾つか兼業と考えられる事例もございまして、例えば、ガソリンスタンド業者の組合の連合会でやっております事業で、皆さん、ガソリンスタンドで窓ガラスをふいたりするときにタオルを大量に使うわけですけれども、このタオルを共同購入すれば非常に安くなるということがあるものですから、この連合会では共済事業をやっているわけですけれども、それと並行してタオルの共同購入事業をしている。これは形式的に言えば兼業ということになるわけでございます。

 この兼業しているタオルの共同購入事業というのがどういうやり方で行われているのかというようなことも考えなくてはいけないということでございまして、例えば、今行われているものはたまたま、まず注文を組合員からとりまして、そしてその注文に応じて代金を先払いしてもらう、そして払ってもらった人の分を集めて共同購入するというようなことを行っております。そのような形で、前払いを受けてそれから買うというようなことであればそこで穴があくという心配はございませんので、そういうことがしっかり行われるというようなことであれば安全な事業だと認定される可能性が高いのではないかと考えておりますが、これが全く違う形の共同事業で、例えばいろいろな貸し付けを行うとか、そういったようなことをもし行っているということであれば、それでその貸付債権が不良債権化してしまえば共済事業に影響があるということになりますので、そういったものについては厳しく規制がされるというようなことになるかと思います。

桝屋委員 今の御説明でありますと、原則兼業禁止と。これはあくまで原則であって、例外としては、今言ったように、事業に大きな支障がないというふうに見込まれる場合は例外として認められるケースもあると。これは、一定のルールというよりも、個別に判断をしていくということなのかどうか。

 それから、実際にこれはやはり大きな影響があるということで兼業禁止となった場合は、その他の事業については、別途新たな組合とかあるいは組織を設立しなきゃならぬということになるのかどうか。そういう実態を想定されているかどうかもあわせてお尋ねしたいと思います。

古賀政府参考人 これをどのように具体的に運用していくかということでございまして、基本的には個別の案件ごとに見ないと、ただいま申し上げました例えばタオルの購入事業だったらいいですよというようなことをもし書いてしまうと、今度は、タオルの購入事業であっても、見込みで発注をしてしまって大量に買い付けてしまって、それから組合員に販売しようとしたらだれも買ってくれないというようなことが起きないとも限りませんので、そういったところは個別に、具体的に見ていく必要があろうかと思います。

 ただし、そういった事業は割と類型化できていく可能性もございますので、そこは個別に実態を見ながら、考え方はもちろん私ども経済産業省としてはっきり示していく。そして都道府県や関係省庁に対してもしっかり御説明をし、運用がばらばらにならないようにということは努めてまいりますし、それから、個別のいろいろな判断事例が積み重なってまいりましたならば、それをまた整理して運用の統一というものを図っていきたいというふうに考えております。

 それからもう一点は、今仮に兼業を行っている組合が例外として認められない場合にどうなるのかということでございますけれども、これは、やはり共済事業の健全な運営を確保するという観点からは、大規模にやっておられるところでは、それをもし続けていきたいということであれば、改めて別の組織で行っていただくということになると思います。もちろん組合という形態で行うこともあると思いますけれども、その場合は、新しい組合をつくって認可を受けて、別のものとして行うということかと思います。

 ただ、これは大変大きな組織の変更でございますし、新しい組合をつくるためにまた出資金を集めるというようなことで大変大きな作業になってまいりますので、これをあしたからやれということになると、今問題が起きそうだということであれば別ですけれども、特段何の問題も起きていなくてしっかり健全にやっているところであれば、それをすぐにやれというのはやはりこの組合の本旨にややもとるということもございますので、これは五年間の猶予期間というものを設けまして、その間にしっかり対応の準備をしていただくということを考えております。

桝屋委員 あくまでもそれは個別に判断をしていく、こういうことになるということでございます。

 そこで、今回の法改正というのは、こうした中小企業協同組合をどういうふうに、今問題が出ている、この現状をどう改革するのかということで、方向性としては、自律を強化する、ガバナンスを強化するというやり方が一つ。

 それからもう一つは、やはり行政庁によってきちっと指導監督をするという観点もあろうかと思うんです。今回はガバナンスを強化していただくという改正であるというふうに理解しておりますが、そうはいいましても、行政庁における適切な指導監督というのは、引き続きやはりこれからも必要であろうというふうには思っております。

 各組合、年に一回、事業年度ごとに事業報告書を所管行政庁に提出するということになっているわけでありまして、そういう意味では、実態も当然把握をされているというふうに、私は余り把握されていないんじゃないかと思いましたけれども、そういう意味ではちゃんと把握されているというふうに理解をしております。そうした報告に基づいて、法令違反などの疑いがあるものについては重ねて報告の徴収、検査、監督上の命令を出すことができる、こういうふうにされていますが、その実態がどうであるかということを一つ伺いたい。

 もう一点、私は、これは大臣にも副大臣にも聞いていただきたいんですが、組合、理事、監査の権利義務をきちっと整理してガバナンスを強化するというやり方もあるし、それから監督庁が指導を強化するというやり方もあると思うんですが、やはり協同組合の目的からいきますと、どっちも大事だけれども、それよりも、さっき言いましたように、千人以上になると、要するに自分がその団体に所属しているという帰属意識といいましょうか、自分たちが参加しているんだという意識が薄らいでくる。サービスを受けたいということで一応共済に入っているけれども、その共済がどういうふうに運営されているか、どういう方向でいっているのかという意識はふだん持たない。こうした帰属意識、参加意識がない中で不祥事が生まれてきた、こういうこともあるわけで、やはり、自律の強化、ガバナンスの強化もさることながら、協同組合の目的からして、もう少し皆さん方が、自分たちが参加している組織に対する、組合に対する思いというものを強めていく、そういうアプローチはないのかなと。そういう意味では、私は、団体中央会の役割というのは非常に重要ではないかなと思っているんです。

 行政庁の指導監督の状況と中央会の役割について御説明をいただきたいと思います。

望月政府参考人 まず、実態の方を申し上げます。

 中小企業組合は、現行法制下では、年一回、事業報告書を所管行政庁に提出するということになっておりまして、所管行政庁は、先生今おっしゃいましたように、法令等に違反する疑いがある場合には報告の徴収、検査、監督上の命令を実施できるということになってございます。

 最近の実態といたしましては、直近の平成十四年度から十六年度までの三年間におきまして、報告の徴収、検査、監督上の命令というものは、それぞれ約三十件から四十件程度実施をいたしております。(桝屋委員「年間、合計ね」と呼ぶ)はい、合計です。三十件から四十件程度、報告徴収、検査、監督上の命令、それぞれについて実施をいたしております。これは法令違反の疑いがある場合ということでございますので、そういう意味では、そこそこの数字かなというふうに思っているところでございます。

 なお、今般の法改正において、監督の方も、共済事業を行う組合の業務の健全かつ適切な運営を確保して、共済契約者の保護を図るために必要とあるときはいつでも報告の徴収、検査、監督上の命令を行うことができるということに改正をすることにいたしておりまして、この面からも、所管行政庁による指導監督は、特に共済事業については強化をいたすということになってございます。

 中央会の役割について……

桝屋委員 わかりました。

 中央会について、今、指導監督という立場で、中央会の役割は私は非常に重要ではないかと。私は、現場の中央会に行きましたら、やはり、報告をされているその内容については中央会が一回目を通す、そして問題があるものについては所管庁と十分協議をされている、こういう実態も聞いてまいりました。そういう役割もあるのかなと思います。

 重ねて、各県の団体中央会については、中小企業組合の新事業展開において非常に重要な役割を持っている。答申を見ましてもコーディネート機能として大変な意義を認めているわけでありまして、具体的に、この県の団体中央会に対して、どのような方策で今後進められるのか、西野副大臣にお伺いしたいと思います。

西野副大臣 御案内のとおり、本法が制定をされた当初は、共同購入し、そして共同生産してそれを共同販売していく、こういう協業的な性格の事業が非常に多かったわけでございますが、先ほど来お話がありましたとおり、近年、新事業の展開、特に異業種の中小業者が連携をする、そういった事例もございますし、あるいは経産省が昨年より実施をしております新連携、こういうものに基づく活用事例もあるわけでございます。

 したがいまして、経産省といたしましては、全国の中小企業団体中央会あるいは都道府県の中央会、これらと当然ながら連携をいたしながら、さらに組合が新規の事業展開をするとかあるいは経営革新等を行うとか、そういうものに対して積極的な支援を行っておるところでございます。

 こういう組合間の問題に加えまして、組合自身に対しても、お互いが出会いを持つ場を提供するとか、あるいはビジネスが軌道に乗っていくために販路開拓等においてのそういうノウハウを持った人材を育成していくとか、そういうことも考えておるところでございます。

 具体的には、各都道府県にあります中央会には約九百五十人超の指導員がおるわけでございまして、この指導員がさらに資質の向上を図るための指導員に対する研修等もあわせて検討していきたい、このように考えております。

桝屋委員 今、九百人を超える指導員、大変すぐれた人材があるわけでありますが、今までは補助金で運営をしてきて、だんだん国の補助金がなくなってきたという中で各中央会はそれぞれ努力をされておられるという実態も私は聞いてまいりました。

 そこで、最後に大臣にも伺いたいと思いますが、最近、やはりトレンドは企業組合でありまして、特に創業という観点でも、私の地元の山口県、余り中小企業が多くない地域、基幹型の大きい産業ばかりで、中小企業が余り育っていない。マツダがやってきても、中小企業、下請まで連れてきたというようなことで、なかなか育っていない。ものづくりにおいてもそうなんであります。

 私は、創業という観点でもこの企業組合の役割というのは非常に大きなものがあるなというように期待をしているわけでありますが、企業組合の今後の活用方針について大臣のお考えを聞いて、終わりたいと思います。

二階国務大臣 企業組合は、議員御承知のとおり、原則、協同して事業を行おうとする個人の集合体であるわけでありますが、小規模な事業を創業する際の大変簡易な手段として活用されておるわけであります。

 実際、企業組合の設立数は近年増加の傾向にあり、個人集団の創業に利用されている事例がふえておると考えております。

 経済産業省としましても、こうした動きを支援すべく、平成十四年の組合法改正におきまして、出資配当制限を緩和するなどの措置を講じたところであります。

 今後、企業をリタイアしたいわゆる団塊の世代がふえてくることが見込まれるわけでありますから、こうした方々が集まって新たなビジネスを企画する場合に、一人一票制に代表される相互扶助の精神を踏まえて、企業組合が大いに活用されることを期待しておるわけであります。

桝屋委員 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

石田委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 おはようございます。民主党の吉良州司でございます。

 きょうは、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案という法のかなり大まかなところについての考え方をお聞きすることと、それから、時間がありませば、私自身の一つの国会議員としてのライフワークだとも思っております経済安全保障、特に原料、資源、エネルギーの安定確保、この二つのテーマで質問をさせていただこうというふうに思っております。

 まず、提出された法案については、私自身も、方向性としては異論が基本的にはない。昨日も私ども民主党は、証券取引法に絡んで、日本版のSECをつくるべしということを再度提出いたしまして、自由な経済活動、競争、そういうものは、同時に、ここでも言われているある種の規律強化の必要性、またガバナンス充実の必要性、このことは十分理解をしておるつもりであります。そういう意味で、方向性として大きく異を唱えるものではないんですけれども、それを前提に、あえてちょっとそもそも論をお聞きしたいと思っておるんです。

 まず、今、政府としての中小企業政策の理念を、以前の大企業と中小企業の格差の是正という観点から、多様で活力ある中小企業の育成、発展というふうにある意味で理念を変えてきた、こういう背景がございますけれども、今回の法改正は、先ほど言いました規律の強化、ガバナンス充実の促進、こういう側面を持っておるわけであります。これが、多様で活力ある中小企業の育成、発展という、自由な経済活動をやってもらうということと相反する部分もあるんではないか。

 私、常々、いろいろな不祥事が発生したときの対応について見ておりますと、わかりやすく例を言いますと、例えば百人のお医者さんがいて、その中で五人だけ悪徳医師というんですか、余計な治療をして、稼ぐために余計な医療を施そうとするようなお医者さんがいらっしゃる。九十五人は非常にまじめに、できるだけ負担をかけまい、それでいていい治療をしよう、こう思っていても、例えば五人の悪徳医師というのが出てきたときに、その五人をどうするかということではなくて、百人全員の手足を縛って、それでその五人を出さないようにしようとする。こういう規制が、ある意味で、善良なといいますか性善説に立った方々の手足を縛ることになるんではないか。

 そういう意味で、今回の提案の背景が、一部いろいろな形での不祥事が起こっている、規律の必要性というのが出てきている、これはわかるんですけれども、今申し上げました中小企業の新しい理念、多様で活力ある中小企業の育成、発展、そのためにできるだけ自由に活動させるということと今回の規制強化ということとの整合性についてどう考えておられるか、二階大臣の御見解を賜りたいと思います。

二階国務大臣 中小企業組合は、御承知のとおり、昭和二十四年の法制定以来、相互扶助の精神で中小企業が連携して事業を行うという組織として今日まで活動してまいりましたことを政府として後押ししてきた、こういう関係であります。大企業と中小企業の格差是正を目的に、同業種の中小企業者を組織化し、共同購入、共同生産、共同販売等が活発に行われるように期待をしてまいりました。

 近年、異業種を含め、中小企業者がそれぞれ強みを持ち寄って連携し、創業、新事業展開等を行う事例がふえてきまして、成功事例も相当ふえてまいりました。こうした活用例は、まさにやる気と能力のある中小企業の育成、発展という中小企業政策の基本理念に合致するものであります。

 しかしながら、今議員御指摘のように、こうした企業組合の中にも、不祥事につながるような行為を行うものも全く皆無ではありませんので、その点につきましては、政府として、やはりこの制度を推進していく上において、そうした不心得者に対してはきちっとした対応をしていかなくてはならない。そして、これだけ広く多くの関係者が存在する中小企業の団体に対して経済産業省が十分目が行き届くわけではありませんから、これは、県御当局、またその他の団体ともよく連携をとって対応していきたいと思っております。

 今後とも、中小企業組合が、中小企業者の創業、新事業展開など、一層いい方向で活用されることを期待しているものであります。

吉良委員 今の答弁のこの法を提出する意味合いについては、おっしゃるとおりだと思いますし、わかっているつもりであるんですが、今回の場合は、特に組合員数の多い大きな組合等については外部監査、例えば外部の会計監査を義務づける等、その組合にとって費用もかなりかさむであろう。一方でガバナンスの充実というものがなされるにしても、やり方によっては大きな費用負担も発生する。

 それが、先ほど私が言いましたように、では、不祥事が確かに百あるうち二つ三つ起こっていますということで、その人たちに対するいろいろな意味での指導は強化していかなきゃいけない。ただし、さっき言いましたように、網かけをすることによって、これまできちっと善良にやってきた、そういう組合の方々までも大きな費用負担を強いるようなことになってしまう、そういう意味での問題提起をさせてもらっているわけでございまして、その辺についてどう考えておられるか、もう一度御答弁をお願いします。

西野副大臣 大臣もお答えいたしましたとおり、本法を制定したのが昭和二十四年でございますから、おおむね五十数年経過をしている。この間に、当初の目的以外に新たに、時代の変化とともに、異業種との関係、あるいは事業自身が多様化し、高度化してくるわけでございます。その中でたまたま二、三件、こういう破綻とかいう問題を惹起しているわけでございます。

 したがいまして、今回の法改正は、御承知のとおり、そういう事態が起こらないためのガバナンス、規律を強化するということとあわせて、大事なことは、共済事業が健全性を確保していくんだということがやはり大変必要であろうというふうに思います。

 古い言葉でございますけれども、備えあれば憂いなしでございまして、そういうことがないように、広く、そういう事業者に対して、組合に対して一種の規制、指導を行っていくということも、組合員の信頼を確保する意味でも大切なことではないのかな、このようにも思っておるところでございます。あわせて、これが多くの優良な組合の活性化に向けて役立つものであれば大変ありがたい、いわばこの規制は必要最小限度のものである、むしろこのような考え方を持っておるわけでございます。

吉良委員 若干しつこくなるかもしれませんけれども、例えば、今回、余裕金の運用制限というのもあるわけですけれども、私が勉強した限りでは、これまでも余裕資金の運用については制限が実際設けられておったということでありまして、かつ、今回、具体的なその運用方法については主務省令で定めるということになっております。それから外部監査の導入につきましても、外部監査対象となる組合の基準として、共済掛金の保護という趣旨を踏まえ、負債総額に着目し、これが一定額以上の場合に導入を義務づけることが予定されているが、具体的な負債総額の金額は未定であり、今後政令で定められるというふうになっております。

 いわば、これまでも一定の規律、制限はあった。それから、くどいですけれども、大半は守っていたという状況の中で、再度それを強化する。それで、この法律が出てきている時点で、その細目はということになれば、それは省令です、政令ですということになっているわけですね。運用方法についてのさらなる細目については、これは大きく組合の活動自体を縛るものではないと思うんですけれども、先ほどちょっと読ませてもらった、負債総額の金額をどの程度にするのか、これも政令で定めると。これは、どういう政令が出るかによって大きく組合の活動が制約を受けてくるわけです。

 その点について、もう一定の判断基準を示されておるのか、それから、今言った、いわば経済産業省が生殺与奪の権を握るようなことになりはしないか、この点についてはいかがでしょうか。

古賀政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいた幾つかの点について、政省令等にゆだねられている部分があるというのは御指摘のとおりでございます。

 特に、負債総額が一定規模を超えた場合に外部監査を義務づけるということについては、外部監査をお願いすれば、当然それなりの費用がかかるということでございます。

 その点について、今、具体的に何億円とか何十億円とかいうところまでまだ決めておりませんけれども、この点は、今の共済組合の事業の実態等もよく見きわめて、あと、監査をした場合に、今の共済事業のやっているやり方から見て、監査法人から見るとどれぐらいの費用がかかると言われるのか、この辺も今いろいろ問い合わせなどもしておりまして、幾つかの数字などもいただいております。そういったことを見て、そのコストを、当然、コストがかかった分は、掛金が上がるというようなことで保険契約者に最終的には負担していただくという形になっていくと思います、もちろん効率化というようなこともありますけれども。

 そういったことで、保険契約の掛金が上がれば、余り上がればほかに行った方がいいということで、事業は成り立たなくなるというようなこともございますから、そういったこともよく勘案しながら、適切な水準に決めていきたいと思います。

 ただ、負債総額は、数十億とか、あるいはもうちょっと上かもしれませんけれども、そういったオーダーで考えておりますので、小規模な、小さなところでいきなり監査を入れて事業が成り立たなくなる、そういうようなことは余りないと思いますし、逆に、それぐらいの規模になればやはりそれぐらいのきっちりしたものをやっていただかないと、安心して健全な経営だというふうに認めるわけにはいかないということかと思いますので、その点は、実態をよく踏まえながら判断して決めさせていただきたいということでございます。

吉良委員 冒頭申し上げましたように、資本市場における日本版SECということと今回の組合関係というのは、より広範な投資家の保護という意味合いと、中小企業の方々はほとんど入られているとはいえ、かなり限定された組合が対象になります。そういう意味で、私自身はもともと、何か不祥事が起こるたびに、言い方は失礼ながら、役所が焼け太りをして、その権限がよりふえていって、結果的には対象となる民間の個人、それからそういう団体が手足を縛られることのないようにというのが私の基本的な考え方でありますので、先ほど冒頭言いましたように、方向性について大きな異を唱えるものではありませんけれども、その辺のところ、焼け太りのなきようということをお願いして、次の、経済安全保障という観点での話に移らせていただきます。

 私は前回も、日本の経済の安全保障、その経済の安全保障を担保するものは、日本がほとんど海外に依存する原料、エネルギー資源の安定確保である、このような視点で質問をさせてもらい、またある種の提案もさせてもらったわけでありますけれども、きょうは、まず第一番目に、余り世間では注目をされないレアメタル、希少金属の安定確保という点についての問題提起、また政府の方針をお聞きしたいと思っております。

 まず、国民に知らせるという意味もあって、レアメタルというものが一体どういうものなのか、それが日本に、また日本の経済にとってどういう位置づけにあるのか、その辺について、これは参考人からでも結構ですけれども、御答弁をお願いします。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、レアメタルでございますけれども、例えばニッケルでございますとかクロムでございますとか、タングステン、コバルト、モリブデン、こういったようなものでございます。

 少し具体的に申し上げますと、例えばニッケルでございます。これは、ステンレス鋼でございますとか構造用の合金鋼、要は非常にかたい金属に使うといった用途がございますし、最近ではICの材料それからニカド電池といったようなものにも使われております。それから、もう一つだけ実例を申し上げますと、タングステンにつきましては、超硬工具ということで、ドリルでございますとかカッターといったようなもの、さらには耐熱鋼であるとか、非常にかたいものでございます。加工に使うもの。

 こういったようなものを含めまして多くの種類があるわけでございますけれども、今先生御指摘のように、我が国にはいずれも存在が非常に乏しいものでございますので、これらの資源の確保というのが非常に重要なテーマになっておる、このように理解をしておるところでございます。

吉良委員 ありがとうございます。

 私は、いわゆる狭義のレアメタルに加えて、最近また注目されておる希土類といいますかレアアースということも含めて問題提起をさせてもらいたいと思っているんです。

 今説明いただいたように、レアメタルというのは、量的にも非常に少なくて済むんだけれども、いわば御飯にふりかけをかけるだとか味の素、そういう調味料を振るとかいうような形で、そういうものをすることによって、変形するにはやわらかいけれども非常に強度が強いですとか、今御指摘になったような、それこそドリルというので金属に対して穴をあけるだとか、それから高熱のタービン材料として耐えられるだとか、単純に鉄鉱石とコークスだけで鉄をつくったのではそういうものはできないけれども、そういうものをまぶすことによって非常に高度な、質の高い鋼板等々ができてくるということで、ある意味で、日本の現在の産業というのは素材が非常に質が高いということで、それに伴って自動車産業であるとか家電産業であるとか、そういうものが繁栄をしているわけであります。

 そのレアメタル、レアアースというのは、御承知かと思いますけれども、地政学的に見て極めて不安定なところに偏在をしている。レアアース、希土類については、特に最近、日本が得意とするデジタル家電だとか自動車のモーターとか、まさに日本の産業を引っ張っている、こういう産業に必要不可欠なものでありますけれども、レアメタルパニックと言われるごとく、特に希土類、レアアースは中国に偏在をしている。日本の輸入量の九〇%を中国に頼っている。ただ、その中国が最近は生産制限をしている。かつ、自国の経済発展に伴って、当然国内使用、国内消費が非常にふえている。この二つが相まって、日本への、または中国以外の地域への供給が細りつつあって、異常なほどの高騰に見舞われている、こういう状況であります。

 政府の方で、希土類というかレアアースの現状、それから、それが中国に偏在しているということを受けて、今どのような対応をされているのか、また今後されようとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生御指摘のように、私、先ほどレアメタルだけ御説明をいたしました。さらに加えまして、今御指摘のレアアースを少し例にとって申し上げますと、レアアースというのは磁石でございますとか二次電池といったものに使うわけでございますけれども、この主要生産国を見ますと、中国が世界全体の九三%、インドが三%。ですから、一位が九三、二位が三%、こういう偏りがあるわけでございます。

 このほかにも、例えば中国のシェアが大きいもので申し上げますと、タングステンは八八%が中国、二番はロシアの六%、こういったような状況でございます。また、クロムあたりでも、半分は南アフリカ、こういったような状況でございまして、相当資源が偏在をしているということは事実でございます。

 今御指摘の中国、それから、これからの政策全体をどうするかという御指摘でございますが、ちょっと細かくなりますが、中国のことを少しお答えさせていただきますと、最近、中国の方でいろいろと輸出の抑制をするような動きがあるということが新聞等でも報道されているわけでございます。これは、一昨年でございますので二〇〇四年からでございますけれども、銅、ニッケル、タングステン、それから今御指摘のレアアースといったものを含めまして、国産の金属に対して輸出関税を引き上げることなどによりまして輸出抑制を促すといった措置を講じておるところでございます。

 ただ、中国は、中身が二つに分かれると申しましょうか、一つは、中国は既に銅とかニッケルなどの主要な金属につきましては完全な輸入国でございまして、そういうものについては、輸出抑制をすることがあっても、さほど私どもに大きな影響はないわけでございます。ただ一方、今御指摘のレアアースでございますとかタングステンといったものにつきましては、中国に供給の大部分を依存しておりますので、これは非常に重要な、私どもにとっても大きな影響が出てくるわけでございます。

 そういう状況も頭に置きながら、今、いろいろとこの非鉄金属の中で、どういう形で資源を確保していくのかということが非常に重要なテーマだと私どもも思っております。

 特に、我が国産業の国際競争力のためにこの希少金属の安定供給確保というのは非常に重要でございますので、昨年の十二月から、資源エネルギー庁の方に、関係業界の代表や有識者をメンバーとする資源戦略研究会というのを設置いたしました。東京大学大学院理学系研究科の浦辺先生に座長になっていただいて、希少金属を初めとする非鉄金属の安定供給確保のあり方について今議論をしているところでございます。

 この研究会での議論も踏まえまして、海外の資源の権益の確保でございますとかリサイクル、代替材料開発ということをしっかり取り組んでまいりますし、さらに、これに加えまして、短期的な供給障害に備えたレアメタルの備蓄制度、こういったものの適切な運用といったことも検討して着実に実施をしていきたい、このように考えておるところでございます。

吉良委員 詳細な説明、ありがとうございます。

 今、最後の方で答弁がありました、レアメタル、希土類、レアアースも含めた備蓄制度、私、以前も予算委員会でこのことを申し上げたことがあるんです。一時は、お金を出せば全然問題なく購入できるということで、今、政府と民間とパッケージといいますか、両方での備蓄制度になっておりますけれども、民間がちょっと消極的な時期もあったと了解しておりますけれども、今の七つの非鉄金属のみならず、もう少し今の日本の、先ほど言いました、主要産業を支えるレアメタル、レアアースについて、対象を広げた備蓄制度をぜひ考えていただきたい。

 その際に、今までどおり民間備蓄も継続する場合、または拡大する場合には、民間の負担にならない。確かに、備蓄するわけでありますから民間企業も受益者の一人ではありますけれども、あくまでこれは国全体の産業の育成、安定のために備蓄をするわけでありますから、民間の負担にならない。負担にならないという意味は、備蓄することによって、それを管理するマンパワーが必要になり、在庫を抱えれば当然その金利が必要になる。そういうものを全部民間でどうぞというと、民間は当然ながら備蓄をするというインセンティブに欠けてくるわけでございますので、その辺について、民間がきちっと国の方針、日本全体の経済の安定に資するという形で積極的に乗ってこられるような、そういう備蓄制度をぜひお願いしたいということを申し上げたいと思います。

 この辺について、一言でも結構ですけれども、いかがでしょうか。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、レアメタル備蓄について御指摘をいただきました。

 私ども、昭和五十八年以来、官民一体となった備蓄制度を運用しておりまして、今御指摘のように、国家備蓄それから民間の備蓄と二本立てでこの対策を講じてきているわけでございます。

 この中で、特に最近でございますけれども、平成十六年以降で、バナジウム、モリブデン、マンガン、ニッケル、タングステンという五鉱種につきまして、十四回の放出といったことを実施しておるわけであります。

 このように、最近の相当厳しい状況の中でこの制度の活用を図ってきているわけでございますけれども、今御指摘のように、最近の厳しい金属資源をめぐる情勢の中で、制度創設以降の状況変化を踏まえまして、最低限のコストで最大の政策効果を引き出すという目的に向かいまして、備蓄数量の拡大でございますとか備蓄対象金属の見直しといったことについても検討をする必要があると考えているところでございます。

 今後とも引き続き、短期的な供給障害への備えとしての備蓄制度の機能を重視しながら、機動的な運営にも努めてさまざまな検討を重ねていきたい、このように思っているところでございます。

吉良委員 ぜひ、民間の意見も聞きながら、国家としての安定のための備蓄制度充実をよろしくお願いしたいと思います。

 それで、先ほど、やはりレアメタル、レアアースについては、偏在をしているということと中国が輸出制限等もしてきているということで、新たな供給先開拓ということも視野に入れているというお話がございました。

 そういう中で、世界的な動きとして私が最近気になっておりますのは、一時、ロシアがウクライナに対して天然ガスの供給をストップしたということもありましたし、最近は南米のボリビアが、自国の石油、天然ガスについて国有化宣言をしたということでございます。そしてベネズエラに至っては、もともとPDVSAという石油企業を国営化し、最近はその国有化の動きがより加速をしている。外国資本の権益を買い戻しといいますか、強引に国に移管させるというようなことまでやられ始めております。そしてこれ以外にも、エクアドルもしかりです。ブラジルはそうでもないですけれども、特にベネズエラ、ボリビア、エクアドルといったようなところがそういう傾向を見せているわけであります。

 一方、こういう国々に対して中国は接近をしている、関係を深めているという事情がございます。御承知かと思いますけれども、一九九二年にトウショウヘイさんが、中東に石油があるけれども中国には希土類がある、レアアースがあるということで、このレアアースを国家的な戦略物資として使っていくんだ、こういうような発言をされているわけであります。

 そういう意味で、私が非常に心配しておりますのは、世界の中で、先ほど言いましたレアメタル、レアアース、それから原料、エネルギー資源、こういったものを国家戦略物資として、自国の言うことを強引に通すために使い始めているという傾向がございます。

 一つ、通告の中でそこまで細かいことを質問するとは言っていないんですが、経産省管轄のNEXIさん、貿易保険の方で、例えばボリビア、ベネズエラ向けの投融資それから輸出にかかわる貿易保険の料率の見直しとかいうことはされておるんでしょうか。

板東政府参考人 お答えいたします。

 先生御案内のとおり、基本的には貿易保険も収支相償という原則に立ってございますので、それぞれの国のリスクに応じて料率を定めていく、こういう方法で現在保険の引き受けを行っております。

 ただ、かねてから先生からの御指摘もございましたように、いろいろな形でより資源の獲得という観点から考えましても、リスクについての細分化でありますとか、さまざまな方法でより引き受けやすくする、そういう手法を考えることは非常に大切なことだと思っておりまして、現在、私どもとNEXIとの間でもいろいろ作業を進めてございます。できるだけ早急に見直しの方向で検討を進めさせていただきたいと思っております。

吉良委員 答弁の中で言っていただいてありがとうございます。

 私、以前、特にカントリーリスクについて、日本の貿易保険の方は、本来なら世界的な標準としては四つぐらいのカテゴリーに分かれているのが、日本は全部ワンパッケージ。それは、今御指摘のように貿易保険全体の収支を考えてのことと、この辺のところはわかるんですけれども、そもそも貿易保険が独立したことの背景は、より民間のニーズに地道にかつ丁寧にこたえていくということがございますので、その辺のさらなる検討をお願いしたいというふうに思っています。

 なかなか、ボリビアだとかベネズエラというのは直接的な経済関係がないので日本としては余りぴんとはきていないですけれども、御承知のとおり、ベネズエラについては、米国は輸入原油の一割をベネズエラから輸入しているというような現状もあって、最近の南米の、言い方は極端でありますけれども、反米左派政権というものが台頭したことによって、世界のエネルギー需給、原料資源の需給にやはり影響を与えないとも限らない。もうこういうところに既に投資をしている欧米の企業がありまして、そういうところというのは訴訟も開始をしたりしておりまして、中南米の供給があって成り立っている世界の需給がやはり壊れてしまうという可能性があります。

 では、日本の国としてどういうことができるのかということになりますと、なかなか具体論は正直言ってないわけでありますけれども、一つは、貿易保険の料率の改定のところで相手国政府ときっちり話をしていただきたいと思いますし、日本が言ってどうなるというのはあるんですけれども、それでも世界の声としてきちっと政府に対して物を言っていってほしい、このように思っております。

 最後になりますけれども、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、私、前々回の当委員会での質問の中で、今後、日本が原子力の平和利用について世界のリーダーになるべきだという問題意識から、特に、中国が現在、原子力発電所の建設計画が三十二ある、それをできるだけ、日本はもちろんですけれども、日米、日加または日米加共同で原子力発電所の受注をしていくような取り組みをお願いしたい、このようなことを申し上げました。

 中国の原子力発電所建設については、前も言いましたけれども、結果的に今、中国を初めとするBRICs諸国の資源の爆食によって世界全体の特に化石燃料の値段が上がっているという現状にかんがみて、原子力発電によるエネルギー供給が進んでくれば相対的に値段が下がってくるだろうという問題意識と、黄砂ではありませんけれども、中国でチェルノブイリ級の事故が起これば被害をこうむるのは日本ということがありますし、また、今後、日本の原子力発電所のリプレースメントのときに、技術者そしてまた技術そのものの伝承という意味で、ぜひ今の中国の建設計画に深くかかわっていくべきだということを申し上げました。

 そしてもう一点、もう一歩踏み込んで、京都議定書と並んで、日本はこの原子力の平和利用という意味での世界的な枠組みを積極的につくっていくべきだ、そのイニシアチブを日本がとっていくべきだというような問題意識を私自身は持っております。

 その意味で、先日、連休中に、私、ワシントンに伺いまして、世界銀行のエバンス環境局長と面談をしてまいりました。民主党を代表してではありませんし、もちろん日本政府を代表してでもないんですけれども、私個人の問題意識としまして、これだけ今申し上げました世界的なエネルギー資源の高騰がある中で、やはり世界全体として原子力平和利用、原子力発電所建設の推進を図っていくべきだ、そういう中で世界銀行も世界機関の一つとしてその旗振り役をするべきではないか、このような問題意識。

 それと同時に、我が国、日本政府としては、OECDに対して、原子力発電所にかかわる、例えば今、JBICに限らず、各国の制度金融が原子力発電所用に融資基準、通常の制度金融よりももっと緩やかな条件の金融を供与することが認められておるわけですけれども、私が問題意識として申し上げたいのは、今、日本としても協力しようとしている、ネシアだとかベトナムだとか、まだ技術的に未熟な国に対しても、先ほど言いました世界全体のエネルギー資源の安定という観点から、今後やはり推進していくべきだ。そうしたときに、世銀自体も原子力発電所の建設に関して、借款供与も含めて検討すべきだ。そしてそれは、私の了解では、今現在のOECDのガイドラインを変更しなければいけない。それは、世界銀行もOECDに働きかけ、また我が国も、先ほど言いました、京都議定書と並んで、環境とエネルギー、省エネ、こういう部分で積極的に国際的な枠組みをつくる、そのイニシアチブをとるべき、こういうことでOECDにぜひ働きかけていただきたい、このように思っております。

 それで、エバンス局長にぶつけたところ、驚いたことに、私がお伺いした直前の理事会で、やはり世銀としても、原子力発電所も今後、世銀の対象として考えようというような話が理事会で出たそうであります。私自身がぶつけた問題意識についても非常に興味を示しておりました。

 最後に二階大臣に、今申し上げました原子力の平和利用、特に、原子力発電所建設について日本が世界のイニシアチブをとっていく、その辺についての御決意といいますか問題意識についてお伺いして、終わりたいと思います。

二階国務大臣 吉良議員から、過去の御経験に基づいて、我が国の資源エネルギーの確保の問題について示唆に富む御意見をちょうだいしたことを改めて感謝したいと思います。私どもは、そうした御意見を十分体して今後対応してまいりたいと思っております。

 原子力発電の世界的利用、特に平和利用、安全の確保等、極めて重要な点を御指摘いただきましたが、私は、認識の点ではまことに一致しておるというふうに考えておる次第であります。

 ただいま御指摘の世銀の問題でありますが、私も、先般、アメリカのシーファー大使から、ぜひ訪米をということで熱心にお勧めをいただいておりますので、今国会終了後アメリカに赴く予定であります。その際、世銀の総裁にもお目にかかろうと思っておりますが、そのときの議題、テーマとして、ただいまのことを十分踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。ちょうど総裁は、我々が国会に初めて登場したころにアジア課長か何かをやっておられまして、以来よく存じ上げておりますので、十分そうした問題を話し合ってまいりたいと思います。

 また、OECDについての御指摘がありましたが、国会の御了承が得られれば、私は来週早々、OECDの会議に政府代表で出席をさせていただく予定になっておりますので、この際も十分念頭に入れて対応してまいりたいと思っております。

 また、原子力平和利用について我が国がリーダーシップを発揮すべきだということ、まことにごもっともでありまして、そうした面については各国の理解、また協力がなくてはなりませんが、そうしたことにもこれから熱心に取り組んでまいりたいと思っております。

 なお、ちょうど今月の末に、中国と日本との間で、かねてより再々御報告を申し上げてまいりました、省エネルギー、環境問題の大々的なフォーラムを開催する予定で準備を進めておりました。今月の末には、恐らく中国から、中国政府の方々あるいは民間企業の代表等合わせまして約二百五十名ぐらいの代表団が日本を訪れることになっております。我が国は約三百五十名ぐらいの経済界の皆さんに御出席をいただき、日中間の歴史的な省エネそして環境についてのフォーラムを開催したい。

 その我々の目的、願い、ねらいについては先ほど吉良議員からお話のありましたような点で、黄砂の問題一つ取り上げてみましても、あすは我が身でありまして、我々も、これは中国のことだといって説明しておるだけでは話になりませんので、その点についても十分心得て対応してまいりたいと思っております。

 こうした問題につきまして、与党、野党の壁を越えて御理解、御協力をいただけることを大変ありがたく思いますが、ぜひ、このエネルギー政策というものは日本の経済の、日本の産業の最も大事なまさに生命線でありますだけに、今後一層の御理解と御協力をこの際委員各位にもお願い申し上げておきたいと思います。

吉良委員 強い決意、ありがとうございます。積極的な推進をお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、中小企業等協同組合法の一部改正案について、そしてさらに、中小企業を取り巻く環境につきまして、政府の考え方を中心に伺っていきたいと思っております。

 まず、本法案でございますが、既に同僚議員からさまざまな指摘等がございました。私の方から、ポイントを絞って一点お伺いしたいと思うわけでございます。

 本法案は、中小企業の協同組合について、運営の透明性、財務の健全性を求めておるわけです。この趣旨には私も賛同するわけでございます。特に、大規模共済事業については、財務の健全性の基準であるソルベンシーマージン比率を導入することとなりました。

 そこで、伺いたいのですが、このソルベンシーマージン比率というのは、支払い余力を示す一つの指標でありますけれども、民間の生保や損保で使われておるわけです。私も昔、生損保を取材記者として取材したことがございますが、大変これは難しい数字でありまして、非常に複雑な計算が必要であります。この難解な基準を、果たしてそれぞれの組合が、自己検査と自己の査定として本当に把握する能力があるのか、また中小企業庁ないしは都道府県がそれを守らせるだけのノウハウが本当にあるのかというのは、私もやはりやや疑問というか不安な点がございます。

 そこで、お伺いしたいのですが、これを絵にかいたもちに終わらせないための対応策を端的にお答えいただきたいのです。

西野副大臣 お示しのソルベンシーマージンにつきましては、健全性の基準を問われるわけでございますから、これらにつきましては、基礎となるべき項目は主務省令で定める、こういうことになっておるわけでございます。私どもも勉強いたしましたら、なかなかこの計算式は容易ならざるものがあって非常に難しいと率直に思っておるところでありますが、しかしながら、健全性を確保するためにこの基準は大変大事なことである、このようにも思っております。

 したがいまして、指導団体であります全国中小企業団体中央会、そして、さらには全日本火災共済協同組合連合会を初めとする共済組合の連合会などの団体に対しまして、あるいは会員である組合に至りますまで、十分な助言指導が徹底されますように努力をしてまいりたい、このように思っておるところでございます。

近藤(洋)委員 副大臣、ぜひそういう方向でお願いしたいと思うわけであります。

 もちろん、場合によっては専門の金融庁との連携ということもまた一つの考え方としてあり得るのでしょうが、幾ら行政がどんどんどんどんチェックをしても、やはり限界があると思うんですね。そうなりますと、私は、ある意味で上部団体というのは活用の仕方でありまして、例えば生命保険なら生保協、生命保険協会があり、損保なら損保協というのがあり、そういったところが健全性を保つ上での自主ルールをつくっていくということが重要で、同じように中小企業協同組合も、副大臣おっしゃったとおり、そういった上部団体の指導というものも、悪い意味の業界横並びではなくて、よいことを目指す上での自主ルールということは実態的には必要なのかなという気がしておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 また、ちょっと時間の関係上、大変恐縮ですが、もう指摘をされているところでもございますので、ここは私の方からの要望にさせていただきます。

 本法案では、資産運用ができるのは預金、国債、有価証券となっておるわけですね。ただ、行政庁の認可を受けた場合は例外的に認める、こういうことであります。大事な資産の運用でありますから、やはり安全を旨とするということでありましょうし、基本的には、投機的な金融商品、投機的な資産運用は例外的にも認めないんだという運用姿勢が重要ではないか。特に中小企業等の協同組合につきましては、基本的には例外的にも投機商品は認めないという運用が重要かと私は思いますので、ここは指摘と要望にかえさせていただきたいと思っております。

 そこで、次のテーマに移りたいんですが、今回の法案というのは、やはり中小企業の健全な発展ということを大きな目的にしておるのだろうと思うわけであります。

 大臣も副大臣も、中小企業は我が国産業界の活力であり源だということは何度もおっしゃっております。私も全く同感であります。そういった中で、本委員会でもまた他の委員会でも私は指摘をさせていただきましたが、あってはならない事案が中小企業をめぐる金融において起きてしまいました。三井住友銀行による独占禁止法違反事件でございます。同行に対しての独禁法違反については当委員会でも御議論させていただきましたが、あれから新しい事態になりました。金融庁が同行に対して業務改善命令を下して、そして金利スワップ商品の法人営業部への半年間の業務停止命令を金融庁が下したということで、新しい事態になりました。

 委員長のお許しを得まして資料を配付させていただいております。新聞記事の切り抜きでございますが、二枚目に添付させていただいております。本件につきまして五月十日の財務金融委員会を受けての記事でございますが、記事にもございますとおり、当事者の三井住友銀行の現在の経営陣は、違反当時の経営責任について、すなわち前経営陣について、退任されたトップの方々の経営責任を国会の場でもお認めになりました。そして、当時の経営者、頭取であった西川善文前頭取、現在は日本郵政株式会社の社長でありますが、西川前頭取に対して役員報酬の返納などの金銭的な負担を求めることを国会の場で表明されております。また、与謝野金融担当大臣も、当時の経営者に責任があるという旨の答弁をされておるところでございます。

 そういう意味では、当事者の現経営陣も当時の責任を認めるということと、監督当局もこういった責任があるという認識を示されておるわけですが、そこで、二階大臣にこういった御答弁を前提にお伺いしたいわけであります。

 大銀行によるこのような事件、すなわち、中小零細企業に対して圧力販売をかけた、この商品を買わなければ融資を引き揚げるぞということで無理な商品を買わせて、本当の借金の返済が終わったのに、企業によってはその商品の金利を払わなければならなかったといったいわゆる圧力販売が起きたこと。大銀行におけるこういった異例の厳しい措置でございますが、こういった事件が起きたことにつきまして、中小企業を所管する大臣としてどのように受けとめていらっしゃいますか、お答えをいただきたいと思います。

二階国務大臣 昨年の十二月、公正取引委員会は、御指摘の件につきまして独禁法上の優越的地位の濫用に該当するという認定をし、これを取りやめるように勧告されたものと承知をいたしております。このように、三井住友銀行のような大企業が優越的地位を濫用し、中小企業が不利な取り扱いを受けたということは、今委員御指摘のとおり、私は中小企業を守る立場からも大変遺憾に思っております。

 経済産業省としては、こうした事案が再び起こることのないように、独占禁止法の運用等の面で、公正取引委員会と密接な連携をとりながら、再発防止に向かって努力をしてまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 大臣、どうもありがとうございます。全く同感でございます。

 そこで、お伺いしたいわけですが、お忙しい中、金融庁の参考人に来ていただいておりますが、申し上げたとおり、三井住友銀行の経営責任について、責任を明確にせよということを金融庁も業務改善命令の中で出されておるわけでございます。

 そこで、西川前頭取への役員報酬の返還、さらには、西川前頭取は退職金は今現在受け取っていないということでございますが、お伺いしたいのですけれども、そうであるとするならば、本来支払われるべきだった退職金は想定で幾らぐらいになると把握されておるのか、また当行が一部返還等を検討している頭取としての役員報酬は一年間で幾らだったのか、金融庁、お答えいただきたいのです。

櫻田副大臣 お答えさせていただきます。

 金融機関役員に関する個人ごとの報酬や退職金の金額については、金融機関の経営判断に基づき決定されるものであり、当局から申し上げることは差し控えさせていただきたいなというふうに思っております。

 なお、西川氏の退職金に関しては、十七年六月の三井住友フィナンシャルグループの株主総会におきまして、自分、いわゆる西川社長でありますが、自分と岡田会長は公的資金の完済を果たすまで退職慰労金の受け取りを見合わせたい旨表明しているというふうに伺っております。

近藤(洋)委員 副大臣、私は、なぜそこを公表できないのか、もう一度お伺いしたいと思います。

 おっしゃったとおり、三井住友銀行には公的資金が現在入っているんですね。したがって、優先株を政府は持っております。ということは、大株主なんですね、政府は。大株主である。

 私は普通の銀行のことを言っているわけではございません。銀行法上で問題を起こしたというふうに責任を問われている経営者の方のペナルティーの対象になっているものが大体幾らになっているんだと。それが幾らであって、その対象からこれだけ引かれるんだというのは、それは銀行が判断するのはわかりますけれども、その対象が幾らなんだろうかということは、私は、副大臣、公的資金を投入しておるわけですから、国民に対して公表する責任があると思うんです。かつ、西川社長は現在、全くの私人、民間人ではなくて、日本郵政というこれまた政府全額出資の法人の社長であります。すなわち公人でありますから、これは、公人としての説明、公表対象にもなるのではないかと思うのですが、副大臣、もう一度、いかがでしょうか。

櫻田副大臣 個別の金融機関についてはコメントは差し控えたいところでありますが、一般論として申し上げれば、役員報酬及び退職慰労金の支払いについては、基本的には、金融機関の経営判断に基づき、株主総会の決議において行われるものでありますので、各行において、早期健全化法に基づき資本増強が行われた趣旨やみずからの置かれた状況を踏まえ、適切に対応されることが期待されておるところでございます。

 早期健全化法に基づき資本増強が行われた金融機関は、経営健全化計画において、役員報酬、平均役員報酬、平均役員退職慰労金等について記載し、決算期ごとにその履行状況について公表することとなっておりますので、これにより、パブリックプレッシャーによる金融機関の自己規制を促すこととされておるところでございます。

近藤(洋)委員 一般的な銀行のことはそうでしょう。私も、三井住友銀行の役員報酬、賞与の状況についてという資料はちょうだいいたしました、全体について。そうではなくて、銀行法上問題を起こされた責任を問われている経営者の方について、西川さんについてお伺いしているんです。その方は現在公人であるというこの重要性にかんがみて、公表する、説明の責任があるのではないか、こういうことなんですね。

 もう一度お答えいただけませんか。ないしは、現時点で金融庁は、副大臣、把握されていないんですか。御存じないと。金融庁は知っていて言えないのか、実は知らないのか、どちらなんでしょうか。

山崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 個別の金融機関の個別の人に対して幾らぐらいの報酬が払われているか、あるいは幾らぐらいの退職金が支払われているかということにつきましては、個別の経営判断の問題でございまして、私どもとしては、それをどこまで把握しているかということも含めまして、お答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 では、何のための経営健全化計画なんですか。

 通年検査で金融庁は検査に入って、そして公的資金がちゃんと返るように監督しているわけですよね。我々の税金が入っている会社の経営者なんです。だから、そういうことにかんがみて、退職金受け取りを完済するまで西川頭取は猶予されているわけじゃないですか。普通の銀行と違う、普通の企業と違うんです。何で答えられないんですか。今わからないんですか、把握していないんですか、金融庁は。把握していないんですか。把握していないのなら仕方がない。把握しているんですか、していないんですか、どっちですか。

山崎政府参考人 まず、健全化計画との関係でございますが、この考え方におきまして、私どもは、役員報酬とか平均役員報酬、役員報酬の総額ですとか平均役員退職慰労金等についてはこれを把握し、公表しているわけです。まず、そういう仕組みになってございます。これで、早期健全化法に基づき資本増強が行われた金融機関の経営につきまして、今のことにつきましては把握し、公表しているわけでございます。

 それから、我々監督当局としていろいろヒアリングしたりいろいろな情報交換を行っておりますが、これにつきまして、個人の、個々の取締役の報酬なり退職金なりをどこまでどういうふうに把握しているかということにつきましても、これは我々とそれから金融機関の間の情報交換の問題でございまして、これについてもちょっと、まことに申しわけありませんが……(近藤(洋)委員「しているんですか」と呼ぶ)しているかしていないかということにつきましても、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 何で答えられないんですかね。

 これは、二階大臣、聞いていて、ぜひ御理解いただきたいんですけれども、この資料にも添付一でさせていただいていますけれども、中小企業は本当にばたばたつぶれているんですね。これだけ数が減っているんです。公的資金なんか一銭も入っていないんですよね。本当に、地元を歩けば、大銀行には公的資金が入っているけれどもと、こういう話はよく私も聞きます。それだけ金融機関を守らなきゃいかぬということで公的資金が入っているんです。公的な存在なんですよ、こういう中小企業の状況の中で。そして、その中で、今回の三井住友銀行は中小企業を踏みにじった形で事業を行って独禁法違反で摘発されているんですよね。半世紀ぶりの事件を起こした。そして、金融大臣も責任を認めている、責任があると認めている。にもかかわらず、金融庁がそのペナルティーの対象になる退職金なり役員報酬が答えられないというのは、私はお話にならないと思うんですよ。簡単なことですよ、これは。

 大臣、どうこれを思われますか。西川頭取の退職金が一千万、二千万だというわけじゃないんです。西川前頭取は、昭和六十一年から取締役になられていますから、二十年近く取締役をやっている。いろいろな計算の仕方がありますが、大体十億近くになるんじゃないか、十億を超えるのではないかという試算も、言う人もいますよ。かつて大手銀行でやはり三十年ぐらい役員をやられていた方の退職金は三十数億円でありましたから、そこから計算しましても、十億を超える退職金なんというのは大変な額ですよ。こういうことを公表しないで、規律ある行政というのが保たれると思いますでしょうか。

 ここは大臣、経済閣僚として、そして政治家として、私は公表すべきだと思うんですけれども、大臣の御見識をぜひお伺いしたいと思うんです。中小企業を踏みにじってこういった形になっているわけですから。いかがでしょうか。

石田委員長 金融庁、もうちょっと明確に答えられないですか。

山崎政府参考人 まず、西川氏の退職金の話でございますが、この退職慰労金につきましては、十七年六月の株主総会、これはFG、フィナンシャルグループの株主総会におきまして、総会で承認されておりますが、金額等は取締役会に一任されているという状況でございます。かつ、株主総会において、西川社長から、自分と岡田会長は公的資金の完済を果たすまで退職慰労金の受け取りを見合わせたいというふうに表明されてございます。ということでございまして、こういう事情ということになってございます。

 まことに申しわけございませんけれども、だれに幾ら報酬を払うかというふうなことは金融機関の経営判断でございまして、これが明らかにされるということにつきましては、他行との競争というのが、一般論として申し上げましてそういうことでもございますので、この点につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいということでございます。

近藤(洋)委員 大臣、聞いていてわかりますか。これは一般論じゃないんですよ。これだけのことを行った経営者の方、そして担当大臣も責任を認めているんですよ。前経営者に責任ありと答弁されているんです、与謝野金融担当大臣は。現経営者も責任はあると認めているんです。そして、返納していただくことを検討しているとまで言っているんです。こういう話なんですよ。

 私は、ここまで来て公開できないというのは、しかも、西川さんは公人です、今。日本郵政の社長さんですよ。私は、公表すべきだとなぜ言えないのか理解に苦しみますが、大臣、いかがでしょうか、どうお考えになりますか。

二階国務大臣 御指摘の西川氏の日本郵政株式会社社長への就任の以前のことでありますが、この問題につきましては、再々当委員会でも、また特別委員会におきましても、たしか行政改革の特別委員会でありますが、近藤委員から御質問で総理がお答えになったりしておるその現場にも私もおりました。ただいまの件につきましては、やはりこれは金融庁の所管でありますから、私の立場から公表すべきだとかすべきでないとかということを申し上げるのはやや僣越かと存じますが、ただいま議員がおっしゃっている意味は私にも理解できますから、与謝野大臣その他ともまたお目にかかる機会がありますから、御相談をしてみたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ内閣でそういった趣旨で御議論をいただきたいと思うんです。

 続いて伺います。

石田委員長 副大臣が何か発言があるそうですから。いいですか。

 櫻田副大臣。

櫻田副大臣 金融庁といたしましては、先般の行政処分、四月二十七日付でありますが、三井住友銀行に対して、問題事案発生時の役職員を含め責任の所在の明確化を求めているところでございます。

 なお、先週十日の衆議院の財務金融委員会における参考人質疑において、三井住友銀行の奥頭取から、今回の優越的地位の濫用に関し行政処分を受けたことを踏まえ、既に退任したトップや当時の担当役員にも、金銭的な負担も選択肢とした上で、その責任のとり方につき何らかの対応を求めていきたい旨の発言があったものと承知しておりますので、期待しておるところでございます。

近藤(洋)委員 ぜひやはり公開をすべきだと思うわけです。

 では、現在、西川前頭取は日本郵政株式会社の社長でありますけれども、総務省から局長さんにお忙しい中来ていただいておりますが、現在の日本郵政社長の報酬、西川さんに対する報酬は年間お幾らになっていますか、教えてください。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 日本郵政株式会社の西川代表取締役社長の役員報酬につきまして、同社に確認いたしましたところ、個人の問題であるので具体額をお答えすることはできないという回答でございまして、私の方からお答えを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

 また、先ほど公人として云々ということがございましたが、これまで、特殊会社の役員報酬につきましては、通例、特定の者の個別の報酬額については明らかにされておりませんで、報酬支払いの総額、取締役の数並びに平均額が公表されてきたものとなっております。

 なお、日本郵政株式会社の設立時におけます創立総会の決議におきましては、取締役に対する報酬総額は、報酬の支払いを受ける取締役が二十人以内、年額三億五千万以内という決議がされております。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 日本郵政株式会社の株主はだれですか。はい、答えてください。株主はだれですか、日本郵政株式会社の株主は。

鈴木政府参考人 現在は国、すなわち、代表しておりますのは財務省でございます。財務省が一〇〇%株式を保有しております。

近藤(洋)委員 国なんですよ。国民なんですよ。だから、臨時株主総会を開いて、そして公表すればいいじゃないですか。何で公表できないんですか。株主は政府なんですね。そしてこれは、一般論ではなくて、そうした事案を犯した方が現在どれだけのものをもらっているんだということなんですね。

 この間まで役所でやっていたんです。役所であれば、次官の給与は幾らか、局長の給与はお幾らかというのは、仮に不祥事があった場合は公表されますよ。経済産業省でも公表しています。次官の給与は聞けばわかります。局長の給与も聞けばわかります。西川さんは、あえて言えば次官みたいなものじゃないですか、旧郵政省の。それが何で公表できないんですか。国の機関なんですよ。私は理解に苦しみますね。

 しかも、重ねて言っているように、こうして中小企業に問題を起こした責任があると今問われている。こういった事態の重さからすれば、公表する、日本郵政の社長としての給与もです。

 私は公開できない理由がわかりません。すべきだと思うんですけれども、もう一度お答えください。株主は政府なんです、政府なんですよ。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘ございましたが、この会社は国の機関ではございませんので、まず国の機関かどうかという点では、国の機関と同等の扱いはできないと思っております。(近藤(洋)委員「株主」と呼ぶ)株主といたしまして、当然国でございますが、それは他の特殊会社も同様でございまして、他の特殊会社と同等の扱いをしているということでございます。

近藤(洋)委員 私はおかしいと思いますね。

 郵政民営化のお題目というのは、大臣、収支や事業内容を、運営も含めてできるだけ透明にしよう、株式会社にして透明にしよう、今までお役所仕事だったのを透明にしよう、事業収支もわかりやすくしよう、そういうことで効率化を図って、そして国民の資産をしっかり運用していこうじゃないかというのが小泉さんの言った郵政民営化の目的だったはずですよね。

 ところが、事務次官や局長だったら給与はわかったけれども、特殊会社、国が株主なのに言えないと言っている。しかも、これは全然関係ない会社じゃなくて、金融会社ですよ。巨大な金融会社なんですよ、郵貯会社は。国会で前時代に金融業として問題を指摘されて、公正取引委員会から指摘をされた、そしてその方が今同じ金融業をやっている。株主は政府だ。これを公開できないというのは、郵政民営化というのは余計不透明にする改革だったんですか、それでは。不透明にする改革にしては私はいけないと思うんですね。

 大臣、郵政民営化の事業計画等は全閣僚をメンバーとする郵政民営化本部で最終的に決まると聞きました。委員会ではなくて、委員会は意見を具申するだけで、郵政民営化本部が、全閣僚がメンバーだと聞いております。総理が本部長ですが、大臣もその郵政民営化本部の一員として、お聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

 西川社長の日本郵政から支払われている報酬すら公開できない状況というのは私はおかしいと思いますし、ぜひ公開すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

二階国務大臣 直接所管の担当局長から先ほど来答弁をしておるわけでありますが、そうした問題につきまして、きょうはこの委員会で近藤議員からこのような指摘があったということを、先ほどの案件とあわせて、金融庁あるいはまたその筋に御相談をしてみたいと思っております。

近藤(洋)委員 私は、公開だけではなくて、重ねて申し上げますが、こうした状況の中でトップに西川さんが座るということはやはり大きな問題を残すと思います。

 三井住友銀行は六月初旬までに何らかの処分を、負担を求める、これは銀行として求めるわけですけれども、発表するということでありますが、そのときにはそれなりのペナルティーが明らかになるわけですね。

 その後には、私は、こうした問題を起こされた方が、今、日本郵政は中小企業への融資もやりたいと西川さんはおっしゃっています。中小企業、零細向け融資をやりたいと、これは認可できるかどうかは別にして、本人はやりたいとおっしゃっているんです。巨大な政府機関としてやろうとしている。生命保険も売りたい。恐らく、今度は不動産もいっぱい持っていますから不動産投資信託とか、いろいろなことをやるんじゃないですかね。少なくとも中小企業融資をやりたいと言っているんです。

 ここで大臣、こんなことをやられた方が引き続き政府の経営者であるということは、私は適格性の問題があると思っております。経済閣僚として、中小企業を預かる閣僚として、大臣、いかがでしょうか。適格性に問題ありと言えませんでしょうか。

二階国務大臣 先般発足しました日本郵政株式会社の西川社長は、去る一月二十四日の共同通信などのインタビューで、二〇〇七年十月に郵政民営化で誕生する郵便貯金銀行の新規事業として、ただいま御指摘のありましたとおり、個人、中小零細企業向けの融資業務を検討しているということを明らかにされております。私の立場から、より多くの金融機関が中小零細業に向けて金融の配慮を行うということは、ある意味では当然のことであると思うと同時に、そうした配慮がなされるということには私は期待をいたしたいと思っております。

 ただいま御指摘のような問題とこの中小企業融資の問題とは、やはり本質的に別の問題であるというふうに私は考えております。

近藤(洋)委員 いや、大臣、ちゃんとした融資が行われるなら、それはいいことなんです。ただ、その西川現社長は、中小企業への押しつけ販売、優越的地位の濫用を行った経営者なんですよ。違う人だったらいいんです。我が国には、もっと立派な人材がいっぱいいます。違う方がやられるならいいでしょう、ちゃんと本当に必要なところにお金が流れる。ところが、今いらっしゃる方は、そうじゃなくて、大きな力を背景にして中小企業に押しつけ販売をされたんです。失敗したんです。そして、公取委から問題だと指摘を受けている。監督官庁の大臣からも、責任があるのではないか、結果として責任があるということを言われている。そういう人がこれをやるから問題だと私は申し上げているんです。適格性の問題なんです。まず第一点ですね。

 また、伺いますが、公正取引委員会の竹島委員長、お忙しい中、来ていただいておりますが、巨大金融機関としての郵便事業、まさに、いろいろな事業をやりたいということを今言っております。公取は、郵便事業について、独禁法上の問題点を先般、問題点というか論点、レポートを公表されましたが、私は、金融事業についても、少なくとも官のかかわる間の無理な肥大化が進めば、優越的地位の濫用であるとか、さらには不公正な取引であるとか、さまざまな問題が出てくる可能性があるのではないか。実際、民間銀行からは、不公正な競争になるんじゃないかと心配する声も出ておりますが、竹島委員長は、どのようにお考えになっていますでしょうか。

竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、大変大きなインパクトを与える郵政の民営化でございますので、これから具体的に新規業務、新規事業に参入していくという場合には、私どもも当然関心を持って、それが競争法上の問題を起こさないかどうか、起こしてからというよりも、むしろその前に、この間、国際物流の参入に関して考え方をまとめさせていただいたと同様に、郵便貯金ないしは保険、この事業について、官民のイコールフッティングその他競争政策上の問題点について勉強をして、時宜を失うことなく公正取引委員会の考え方をお示ししていきたいと思っております。

 このことについては、まず第一義的には、郵政民営化委員会というのがチェック機関として置かれておりますので、そこの御議論がまず行われるのだろうと思っておりますが、私どももそういう動きにおくれることなく、必要な場合にはきちんと意見を申し上げていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 もう既に公正取引委員会に摘発された経営者なんですから、公取に摘発された経営者が日本郵政の社長ですからね、公正取引委員会としては心配で心配で仕方がないと思いますね。この問題を除去するためには、やめていただくしかないと思うんですね。

 大臣、配付した資料三をごらんいただきたいと思うんです。銀行はすごい好業績ですよ。トヨタ自動車の最終利益は一兆三千五百億円なんですね。三菱UFJグループは最終利益一兆一千七百億、トヨタに次いで二番目です、連結ベースで。この十傑、上位を見ますと、トヨタなりドコモなり、ホンダとかNTTとか日産自ありますけれども、急に、もう大手メガバンクがどんどん軒並み出ていますよ。でも、税金は払っていないんです。法人税も払っていません、繰越欠損金の制度で。かつ、配当も低い、そして預金金利はスズメの涙。こういう理不尽なというか、私は、本当に銀行の経営について、これはいいのかなという気がしますね。

 産業を預かるユーザーの立場として、大臣、本当に問題だ、これはどうかなと思うんですね。利益を還元すべきだと思うんです。そういう意味でも、この西川さんのような経営者が日本郵政の社長にいるということは、悪いことをしても、独禁法違反を犯してもおとがめなしなんだということを天下に知らしめることだと思いますし、郵政民営化委員会が決めるというおっしゃり方でしたけれども、郵政民営化委員会は、決定権はありません。意見しか具申できません。決定権があるのは内閣であります。内閣が決定するんです。内閣の一員として、こういった状況の中で西川さんが社長として居座るということは大変問題が多いと思いますし、重ねて申し上げます、ぜひ、しかるべき時期に罷免の要求をすべきかと思います。大臣、いかがでしょうか。最後にそれを伺いたいと思います。もう一度伺います。

二階国務大臣 既に、任命権者であります総理からも近藤議員の質問に対してきちっとしたお答えをされておるわけでありますが、ただいまのような御意見等をきょうちょうだいしたということを私もよく心得ておきたいと思っております。個別の金融機関等の問題につきまして、私どもも今御指摘をいただいた御意見はよく理解するところでありますが、これに対して突っ込んだコメントを申し上げる立場にはありませんので、そこは十分御承知おきをいただきたいと思います。きょうの御意見は御意見として承っておきます。

近藤(洋)委員 総理は九月におやめになります。郵政民営化は今後も続きます。私どもはこの点を引き続き申し上げていくということを宣言いたしまして、時間ですので、質問を終わりたいと思います。

石田委員長 次に、松原仁君。

松原委員 ただいま近藤委員から、西川さんの問題、私は、これは通告していないわけで、今の話を聞きながら、先ほどから大変興味深く議論の推移を聞いていたわけであります。

 きょうの私の質疑の中においても、前回の質疑に引き続きまして、いわゆるこの独禁法の中におけます優越的地位の濫用の防止ということはテーマとしてぜひ扱いたい。協同組合がこういった親企業、発注元による優越的地位の濫用に対して一つの防波堤になるのではないか、こういう議論も私はきょうこの委員会において展開したいと思っておりますが、わけても、二階経済産業大臣は中小企業の味方という認識を中小企業の方々は持っている。先般のあの書物も、私の地元の企業も、北嶋絞とか何社か載っていたわけでありますが、まさにああいったことで、中小企業よ頑張れというエールを送っておられる二階大臣であります。

 したがって、中小企業のこの思い、中小企業はなかなか、口に出して物を言うと唇寒しということで、親企業や金融機関に対して物が言えないという状況が今日まで続いているし、これからも続くかもしれない。こういう中において、今近藤委員から指摘がありましたように、独禁法のまさにこの優越的地位を濫用して金融商品を押しつける、その人が日本最大の金融機関のおさとして、その金融機関はまさに国がつくった金融機関というふうになるわけでありますが、そのおさとして、のうのうとして、まさに社長としての命を生き長らえさせるとするならば、私は、このことをもって、優越的地位の濫用がむしろおさまるどころか、やっても何とかなる、こういう認識が広まってしまうとなるなら、これは、中小企業に対する独禁法の優越的地位の濫用による金融的ないじめ、親会社のいじめ、多発をしていると思います。

 私も実は、この西川さんの話は、地元を回っていて、どうなんですかというのは、これは、一般の有権者はもちろんでありますが、それ以上に中小企業の社長さんたちに言われる。これは事実であります。

 既に二階大臣は近藤委員の質疑に対してお答えをしたわけでありますが、私も改めて、中小企業の味方として二階経済産業大臣が閣議で言い出さなければ、ほかの閣僚の方は閣議で言い出し得ないだろうという前提のもとで、もう一度お伺いしたいと思います、この問題に対するお取り組み、御所見をお伺いしたい。

二階国務大臣 中小企業を守る、中小企業を所管する立場の者として、今回の三井住友銀行のこの件につきましては大変遺憾に思うということを先ほど申し上げたわけでありますが、私は、これらの問題についてもう少し詳しい事情を改めて経済産業省の立場からも聞いておきたいというふうに思っております。

 ただいまの閣議云々という話がありましたが、閣議で発言するのがいいのか、きょう関係者が御出席をされておるわけでありますから、関係当局ともう少しよく協議をして、できるだけ国民の皆さんに御安心をいただけるような結果になるように我々も努力をしてみたいと思っております。

松原委員 今の大臣の御発言は極めて重要な決意を秘めての発言というふうに私は聞かせていただきました。多くのまさに中小企業者の立場に立った御発言であり、このことで、一罰百戒ではありませんが、独禁法に言うところの優越的地位の濫用は、さまざまな局面において下請零細企業に対して今までなされてきた、それが今の二階大臣の決意の中で今後払拭されることを心より期待して、質問に入りたいと思います。

 まず、今回のこの協同組合の問題でありますが、総論として、冒頭にお伺いをしたいわけであります。

 今後、国際競争が激化する中、中小企業を取り巻く経済環境が変化するわけでありますが、中小企業者がこういった国際競争力をつけるためにも、また中小企業組合の存在がさらに重要になると考えられております。

 今般の中小企業法改正が中小企業組合にとってどのような意義を有するものか、これをお伺いいたしたいと思います。

望月政府参考人 中小企業組合は、中小企業者が相互扶助の精神に基づきまして協同して事業を行うということで、中小企業者自身の競争力の強化に資するものであります。御指摘のとおり、国際競争が激化する中で、その重要性というのは今後ますます高まっているところであろうかと思っております。

 他方、近年、規模の大きい異業種組合の出現や、事業の多様化、高度化などに伴いまして、組合員による相互扶助の精神に基づいた自治運営が機能しにくくなっているということも事実でございます。

 今般の法改正は、この点に着目し、また、最近の他の法制に関する動向も踏まえながら、組合運営の規律を強化するものであります。また、共済事業の健全性を確保するための措置を講ずるためのものでございます。

 今般の法改正により、組合に対する信頼性が向上し、経営資源の相互補完を通じて競争力の強化を目指す組合活動が活性化するということを期待しているものでございます。

松原委員 中小企業というのは、これは単体では大変に弱い存在でございます。今申し上げましたように、厳しい下請いじめも含め、また、単体では金融機関からお金を借り入れる場合にもなかなか難しい側面があったりする。難しいというのはいろいろな議論がありまして、私も今回この質疑をするに当たって、地元大田区の京浜島、ある企業も訪れて話をしました。

 例えば、金融機関からお金を借りよう、こういうふうにした場合に、通常ですと大変な分厚い書類が必要になる。しかし、協同組合を通して行うと、協同組合に借り入れをします、わかりましたと協同組合の幹部が言うと、極めてスムーズにお金を借り入れることができる。

 中小企業ものつくりの方々は、これは事務屋さんではありませんから、そういった事務処理の書類をたくさんつくるというのは、大変に苦手なケースが多々あるわけであります。それに使う日数、それに使う手間、そういったものの価値を考えたときに、それをあえて省いて、そして、信頼関係の中で協同組合が窓口になってお金を貸し付けることができるというのは、それは大きな財産でありますが、同時に、もちろん、この問題に対してのマイナス面としては、安直にお金が借りられてしまう、こういった指摘も私は承ってまいりました。

 この中小企業が、協同組合として、しかしながらこれからも結束をする、これは時代の趨勢だろうと思っております。今、事務方からも御答弁があったわけでありますが、大臣としては今回のこの改正の中で何を一番ねらっていきたいのか、その大臣の全体における抱負を語っていただきたいと思います。

二階国務大臣 ただいま中小企業庁長官からお答えをしたとおりでありますが、中小企業組合というのは、もとより相互扶助の精神を中心にしまして共同事業を行う、また、中小企業者は競争力の面で、ただいま御指摘になりましたように、国際的な競争等についても弱い立場である、それを補っていく、そういう必要性が高まっているところであり、我々はここに注目をしておるわけであります。

 また、規模の大きい異業種組合が出てまいりましたので、事業の多様化、また高度化に伴って、組合員によるお互いの協力関係、いわゆる相互に助け合うという自治運営の機能がしにくくなっておる、そういう点についてもっとスムーズにやっていこう。

 今般の法改正におきまして、こうした点に特に配慮をし、最近の状況等を踏まえて、組合運営の健全化のために対応しよう、こういうことであります。

 ただし、善良な、また優秀な、また能力のある中小企業の皆さんがお互いに協力し合ってやっていこうというのが基本でありますが、中にはそのレールを踏み外すような人たちもいないわけではありませんので、その面につきましては、これはこれで十分注意を喚起しながら、地元の都府県等とも協力し合って、今後、中小企業の健全な育成に努力をしてまいりたい、このように思っておる次第であります。

松原委員 この趣旨に沿って行う場合に、これが非常に表裏、表と裏で難しいわけでありますが、ガバナンス機能を高める、中には悪いやつもおる、これをきちっとチェックしようということでありますが、このチェックをしようということが、逆の立場から見て極めて煩雑な作業を巨大に求めるということになると、これは協同組合自体の負担というものがふえてまいりますので、そこは法案をつくる過程、またきちっとする過程で、ぜひともそこの平仄というのは見ていただきたいと思うわけであります。

 次に、今、金融機関も、例えば三井住友になったりみずほが何とかになったり、たくさんの合併が行われているわけであります。この合併の問題というのは、金融機関だけの問題ではない、会社だけの問題ではない。私の地元でもナムコという会社がありますが、ナムコがバンダイと一緒になったとか、こういうふうな企業の合併というのは、やはり、競争力を高めないと生き残っていけない今や過酷な経済環境でありますから、それが始まっている。

 そういう中で、やはり組合の合併というものは、私は極めてこれから必要だろうと。これ、ヒアリングしても、合併した方がいいよという話が随分とあるんですよ。ただ、その合併に対して今回の改正というのはどういうふうなメリットがあるのか、その合併の具体的な事例が従来どういう事例があったか、そしてこの法改正によってどのぐらい進むと考えるか、いや、それは全然念頭に置いていないのか、この辺について語っていただきたいと思います。

望月政府参考人 先生御指摘のように、現行法制下におきましても、組合事業の効率化あるいは健全化という観点から合併をする事例が見られるのも事実でございます。

 その合併の際に何をねらって合併をされているかということでございますけれども、大きく分けますと、地域とか事業内容だとかあるいは組合構成員などが重複するような組合が、組合運営の効率化を目的に合併した例というのが一つあろうかと思います。それから、特に、東西に分かれていた同業種の組合が、情報を共有して、技術交流だとか技術開発の連携を深めるために合併した事例。あるいは、その業界全体が成熟をして、総需要が伸び悩む中で、機動的な組合活動を可能として、業界の活性化と発展を目指すために合併したというような事例が見られるわけでございます。

 こういった事業協同組合の合併それ自身は、組合の運営姿勢あるいは組合のリーダーの運営方針によって、効率化を目指すというまさに自治の観点から先ほどのような理由で合併をしていくということだろうと思いますので、私どもは、そういった組合の方々の考え方については大変敬意を表し、その合併について歓迎しているところでございます。

 他方、今回もう一つ問題がございました共済事業の組合に関して申し上げますと、やはりこれは、共済事業の仕組みそれ自身の持っているリスクという観点から、ある程度規模の大きさというものを持つことが共済事業の安定的運営を確保という観点から必要だということは一般的に言えるわけでございまして、こういった観点から、共済事業を行う組合同士が合併をするというのは、先ほどの一般的な事業協同組合の合併以上に重要な問題があろうかと思っています。

 したがいまして、今回の法改正におきましては、共済事業の合併につきましては、より機動的に合併を行うことができますように、例えば、総会にかえて総代会の議決による合併を認めるというような、合併促進になるような制度を設けているところでございます。共済事業を行う組合の一般の合併につきましても、先ほど申し上げましたように、合併の推進について私どもは大いに歓迎しているところでございます。

 ただ、合併することによって組合規模が相当程度拡大することも考えられますけれども、今般の法改正では、一定規模を超える大規模な組合について、員外監事の設置の義務づけなど組合自治をより機能させる措置も他方講じながら、組合がおかしなことにならないようによく注視をしていくという、双方の方向での政策を盛り込んだものでございます。

松原委員 もちろん、合併して規模が大きくなりますと、社会学でミヘルスの寡占というか、そういう組織がだんだん大きくなっていくと一部の特権階級が生まれるというふうな社会学の論理も昔からあるわけでありますが、この合併がどれぐらいこれで進むようになるかとか、そういうシミュレーションというのはしておりますか。

望月政府参考人 具体的な数字のシミュレーションは行っておりませんけれども、現在、幾つかの共済事業が問題を抱えている事例もあるわけでございますので、そういった共済事業については合併というのも問題解決の一つの選択肢となるのではないかと想像しておりますし、具体的に、この法改正が通りました後にはそういう動きも起こるのではないかというふうに考えております。

松原委員 金融機関でもそういった合併というのはあるわけですよ。今言った類のことを原因にして生ずることがある。

 私は、協同組合というものの歴史的意義というものは極めて今高くなっていると。今回は、悪いことをする連中もいるからこれを何とかしなきゃいかぬ、共済の方の一つのリスクをヘッジするためにも何かしなきゃいかぬ、こういうふうな話でこういった改正が行われる。私は、協同組合に参加している方々の要望というかそういったものについては、やはり中小企業庁としてもいろいろと把握をしていると思うんですよ。今までどんな要望が上がってきたか教えていただけますか。

望月政府参考人 この法案改正に際しましても、公の場でございますけれども、中小企業政策審議会における組合代表の方々の意見聴取というのも何回にもわたって行われました。今回の法改正を目指したそういう場でございますので、具体的な組合法の改正についての御意見については幾つか要望がございました。

 それは、他方で、規制を強化することについての懸念というものももちろんございましたし、それから、どうせやっていただくのであれば、組合がより近代的なことをいろいろできるように、御意見をちょうだいした点もいろいろございましたけれども、結果としてこういう形の法改正に結実をし、御賛同いただいたという格好でございます。

松原委員 今回の改正の中にも、問題点とかさまざまレクを受けた中で、やはり一回組合幹部になるとどかない、若い人がなかなか入ってこれない、つまり、血の循環が行われない、こういうふうなことも書いてあるわけですから、この血の循環が行われない他の部分の組合員の声というのを私はやはり聞く必要があると思うんですよ。

 恐らく、今の作業というのは十分には行われていないと私は思うんだ、印象として。それぞれの組合員が、こうしたら今の時流に乗っていけるだろうとか、そういうふうな部分でやはりもうちょっとヒアリングもしていただきたいと思っているわけであります。私は、協同組合というのは幾つか意味があるだろうと思いますが、二つ、三つ、特にこれから期待される部分があるだろうと思うんですね。

 一つは、金融の問題であります。

 先ほども私は指摘いたしましたが、貸し渋り、貸しはがしというのが金融機関から行われたときに、協同組合がこれは連帯保証しているわけで、協同組合が金を借りる、こういったことは恐らくこれまでもあったし、これからもあるだろうし、そして、協同組合がいわゆるそのバッファーとしてあるそのお金を貸し付けた場合の金融機関の貸しはがしというのは、協同組合じゃなくて単体で借りた場合に比べれば、私は抑止力があったのではないか、間違いなく抑止力があったのではないか、こういうふうに認識をしております。

 そういうふうな観点からすると、これも後で聞こうと思うんですが、協同組合と一番関係の深い金融機関、商工中金でありますが、商工中金の存在というのは、これは協同組合を守ろうとする、協同組合を育てようとする経済産業省の意思を考えれば、既に二階大臣も、このことについてはもう守るんだという答弁をおっしゃっておられたと思いますので、あえてここではお伺いしませんが、これはもう一連の話になってくるわけであります。

 協同組合が、いわゆる資金需要についての、一つではなかなか担保価値もない、さっきもお話ししましたように、一つだと、苦手な事務的な書類をこんな書かなきゃいかぬ、しかしながら、この協同組合を通すことによってその保証力と集積のメリットも出てくるというふうな話であります。

 もう一つは、これはやはり、先回の質問でも申し上げましたが、独禁法に当たるところの、今回の西川さんの話も同じであります。私が言いたいのは、優越的地位を濫用しての買いたたき、これに対しての抵抗のこれも、この協同組合というのは一つのバッファーといいますか抑止力になるのではないか、こういうふうに私は考えているわけであります。

 そこで、お伺いいたしますが、こういった組合を活用した独禁法の優越的地位の濫用の防止ということの可能性、中小企業が親会社から買いたたきをされる、優越的地位の濫用の被害に遭っている場合、中小企業組合がかわって公正取引委員会に訴えることができるのか、またそのような具体的事例はあるのか、これをお伺いいたします。

松山政府参考人 お答えいたします。

 今の、優越的地位の濫用行為の被害を受けた組合員にかわりまして協同組合が公正取引委員会に申告することができるか、その事例の有無についてのお尋ねでございますが、従来からその申告等々の情報につきましては、その有無も含めまして公表させていただいておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 独占禁止法四十五条一項では、「何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。」と規定されておりまして、組合員が優越的地位の濫用行為の被害を受けているということを確認した場合に、組合が組合員にかわって公正取引委員会に申告することは可能でございます。

松原委員 なぜその有無は言えないのか、ちょっと理由を教えてもらえますか。

松山政府参考人 これは、従前から私ども公正取引委員会は、いろいろな情報収集活動を行いまして違反事件の審査に着手しているところでございますが、その情報源である申告の内容等につきましては、具体的なその情報内容も含めまして、あるいはどういうところからの申告があったかということも含めてお答えをしていないということでございますので、御理解賜りたいと思います。

松原委員 理解できないわけでありまして、その内容はいいですよ。具体的にどういう会社がどうだと、それは個別の話ですから、会社の名誉にもかかわるでしょう。しかし、その有無ぐらいは答えてもいいじゃないですか。

 私は、やはり現実に協同組合がこういったものに対して抵抗力を持って、例えば大田区であれば、鍛造、メッキ、鋳造、さまざまなプレス、それぞれ組合があるわけですよ。京浜島にだってある。それは同業者の組合ですから、その組合だけで親会社に対してこれは買いたたき過ぎだと言ったら、親会社がほかに移すかもしれないリスクはありますけれども、しかし、やはりそういうふうな行為も一方では必要なんですよ。

 私はさっき統合の問題を言いましたが、そうして日本の津々浦々の例えば鍛造の会社が、単一の組合に入るかどうかというのは、これは非常に議論がありますよ。しかし、労働組合をつくるという話じゃないけれども、自由競争は自由競争であるんだけれども、行き過ぎが今あって、中小企業の社長で、今でもあるんですよ、最近減ってきたけれども。この間、元気だなと思ったら、ちょっと心筋梗塞で亡くなりましたと。話を聞いていたら、実は心筋梗塞というのは、心臓がとまった状態を心筋梗塞というんだから、自殺したって心筋梗塞なんですよ。こういう事例は、最近はかつてよりはちょっと減ってきた。しかしながら、まだある。

 そういうようなことを考えれば、やはり買いたたき過ぎの実例はあるわけであって、私はそういう中で、それぞれのユニオンがあるように、鍛造だったら鍛造で、できるだけ大きな規模を持つ、そしてその協同組合の中で、これは買いたたきじゃないか、こう意見を言う。それに対して公正取引委員会も、これは確かに疑いがあるなと。そういう仕組みがあるだけで、私は、実態としてそれがどこまで効力を発するかということではなくて、前回の質問でも申し上げたように、抑止力になる。大企業が下請いじめをするときに、人間というのは行き過ぎると本能的にやるんだけれども、途中ではっと理性によって後ろ髪を引っ張られる、これが大事なんですよ。

 だから、私は、その有無が言えないというのは、それぐらいやはりこれから最低限、内容じゃないんだから、検討していただきたいと思いますが、検討できませんか。

松山政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、公正取引委員会は、従前から個別事案も含めまして、その申告情報等についてはお答えしないことになっております。

 ただ、御指摘のように、協同組合が公正取引委員会に申告することができるかどうかということにつきましては、先ほどお答えさせていただいたとおり、当然、何人もということでございますので可能でございますし、過去の事案の中で、協同組合が申告したことは全くないかといえば、そういうことはございません。

 ただ、具体的に、今先生御指摘のような優越的地位濫用についてどういう形でということについては、ちょっとお答えを差し控えさせていただくということでございます。

松原委員 それで、前回も質問したわけでありますが、やはり抑止力をつくれというのが私の議論なんですね。ですから、できればこういった買いたたき防止のための、親会社の行為が買いたたきの事例に当たると判断できるようなマニュアルを整備してほしいということを改めて要望として、これは経済産業省になるのか公正取引委員会になるか、どっちになるんでしょうね。企業庁長官、答えてください。

望月政府参考人 独禁法プロパーの優越的地位の濫用問題につきまして、私どもがそのガイドラインをつくるということは考えられないと思いますけれども、先ほど来お話を承って、協同組合という観点から、一体その取引関係の中で何ができるか、あるいは役に立つのかという観点から申し上げれば、法令違反ということではございませんけれども、今般お通しいただきましたものづくり法を考えるプロセスにおきましても、例えば、金型の重量取引、目方で売るという取引慣行については、やはり今や適正な取引慣行ではないのではないかという観点から、重量でない取引慣行をもっと確立するべきだというようなことについては、その業界においても大変議論が起こりつつある話でございまして、そういった場合に、その当該同業種組合において適正な取引慣行について考えるというようなことも、これは納入側としてそういう問題提起をするというようなこともあるわけでございますので、取引慣行について、もちろん、協同組合というのは大いに役に立つ組織であると思っております。

松原委員 前向きな御答弁ですが、中小企業庁長官は、こういうマニュアルがあったらいいと思いますよね。ちょっとどうですか。いや、長官に聞いているの。

望月政府参考人 御質問のその前提になっているマニュアルがあった方がいいかどうかということでございますけれども、前提になっているマニュアルについての公正取引委員会の方の御見解をちょっと承ってからでないと、感想はなかなか述べられないと思っているんですけれども。

和泉澤政府参考人 公正取引委員会では、いわゆる下請法の運用、周知、それからおっしゃっているような違反行為の抑止という観点につきまして活動を行っておりまして、下請法に関しまして、マニュアルというふうには呼んでおりませんけれども、発注親企業の担当部署に対する研修、講習用の、通達類ばかりでなく、べからず集という格好で、そういう研修、講習資料というものをつくっております。

 また、あわせて、そうした部分のところの周知徹底にも意を用いているところでございます。一層その充実を図っていきたいと思っております。

松原委員 その効果が十分にあれば、いろいろなところ、私が地元を回ってもそういう声は上がってこないんですよ。だから、その研修の成果は、残念ながら、まだ深く親会社の資材部の胸に刻み込まれていない、こういうことですよ。二人そろっているんだから、ここで議論してもいいんだけれども、横で議論するわけにはいかないだろうから。

 私が申し上げたいことは、少なくとも中小企業庁長官は、経済産業省の立場から、二階大臣の意を受けて、もう暗黙の思いをいたして、我々はつくりたいとここで言えばいいんですよ。やはりそういったマニュアルというものを、明快に買いたたきマニュアルという名称であるかないかというのは、抑止力としては違うんですよ。

 私は、それで犯人を捕まえようということを期待しているわけじゃないんです。期待があればやらざるを得ないけれども、抑止力が必要だと。資材部の連中が買いたたくときに、後ろ髪を引っ張って理性を目覚めさせる抑止力が必要だということを言っているんですよ。そういうものがあれば抑止力になるんですよ。二階大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 せっかくの御提案でありますが、私ども、中小企業を守るという立場ではあらゆる面から対策を講じていかなくてはならないと思っております。

 前々から、再々この場でもお答えしておりますように、下請代金支払遅延等防止法におきましても、今委員御指摘のような抑止力をどう発揮するかということが大事だと思うんです。支払いがおくれたからといって直ちに親会社を告発するというやり方は、なかなか日本人的でもありませんし、それをやることによって今後の取引等が変化を来すようなことがあってはならないという思いもあるでしょうから、実際これが運用、実行されていくためには、私どもの側でやはりしっかりした対応をしていかなくてはならない。

 ただいまの御指摘のような点については十分検討してみたいと思っております。

松原委員 ぜひ検討を。検討し始めたというこれだけでも抑止力になると私は思う。そのマニュアルができなくても、らつ腕経済産業大臣である二階先生が検討を始めたというだけでこれは抑止力になる。現状のままでは抑止力になりませんが、さっきの西川さんの問題も解決をし、この問題のマニュアルもつくるとなれば、これは物すごい抑止力になると私は思うんです。

 そこで、公正取引委員会にお伺いしますが、例えば、公正取引委員会の中の話というのは僕はよくわからないんですが、買いたたき等に関しての専門の部署というのはあるんですか。

和泉澤政府参考人 お尋ねの点でございますけれども、公取といたしましては、従来から、優越的地位の濫用に対しては法的措置を含め厳正かつ積極的に対処してきているところでございます。

 また、下請法につきましては、その厳正、積極的な運用に努めておるところで、昨年度、十七年度のところで四千件の警告等を行っております。この下請法の運用部門、現にございます。そこの体制強化というものが図られてきておりまして、公取の本局、地方事務所等合計で、十八年度末現在の定員で七十一名というふうになっているわけでございます。

 公取といたしましては、今後とも、優越的地位の濫用行為などの独禁法違反行為及び下請法違反行為に対しましては厳正に対処するとともに、所要の執行体制の確保、機能充実に努めてまいりたいと考えております。

松原委員 そこで私は、この間は、例えば三百社、四百社に一人ぐらいそういった公正取引委員会の人がいれば、これは今の人数より全然大きなグロスになるわけでありますが、それは大変な抑止力になるということを申し上げました。

 私は、つらつら考えてみますと、それはそれで一つの考え方ではありますが、協同組合というのがいろいろな形である、そこにほとんどとは言いませんがかなりの、過半数の中小企業が場合によったらまじるぐらいの勢いがあるかもしれぬ。そうした場合に、協同組合というところが、優越的地位の濫用による下請いじめ、それは金融の問題もそうですよ、いろいろとひどい話がありますよ、今度時間があるときにそれも御披露申し上げたいと思いますが、何でこれで貸しはがしを受けなきゃいけないのかみたいな、そういった事例の集約をする。親会社が発注をする場合の激しい下請たたきの集約をする。そういう集約の一つのチャネルとして協同組合、それは極めて有効に機能するんではないかと私は思うんですが、御所見をお伺いしたい。

和泉澤政府参考人 先ほど御指摘ございましたとおり、下請問題、特に下請いじめは、下請企業さんから個々に、例えばこういう問題があるというのはいろいろと表に出しにくい、あるいは公取が書面調査を行ってそこに書き込んでもらうとか積極的に申告をするということは、確かに難しい状況はございます。

 そういう意味で、今御指摘のような、広い意味で、協同組合もそうなんですが、いわゆる御同業、下請さんもそうですが、御同業の団体といったところで、個別の議論はできるかどうかは別として、こういう点の改善とか、ここに目を向けて、力を入れて調査、審査を行ってほしいとか、そういう部分の情報というのは当然これは集まってくるところかと思います。

 具体的な申告なのか、それももちろん結構でございますし、それからこういう点での規制強化あるいは摘発をお願いしたいという要望であれ、そうした団体を通じてのお話ということも十分今後出てくるかと思いますので、私どもとしても心して対応していきたいと思っています。

松原委員 時間が参りましたが、協同組合の責務としては、今言った資金的な部分、これは商工中金がある。同時に、協同組合が一つのバッファーになってさまざまなことができるだろう。下請いじめに関しても右に同じであります。

 私は、くどいようでありますが、抑止力をつくるというところが最大のテーマなんだということを申し上げたいのです。そういう二つのことを体しながら、協同組合、やはり新しい責務に向かって頑張ってもらいたいと思うわけでありますが、最後に大臣の御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

二階国務大臣 中小企業問題に対して、特に松原議員のお地元は大変、メッカといいますか中心的な地域でありますだけに、それぞれの地域をお回りになって直接中小企業の皆さんからお話をお聞きになり、そうした体験に基づいて御意見をちょうだいしました。

 私も、大田区へ先般伺ってまいりましたが、本当に関係者の皆さんの御努力というのは大変なものでありますし、しかし、同時にまた、それぞれの実績に基づいて従業員の皆様もそれぞれプライドを持って対応していただいておるということを考えますときに、これからの中小企業の育成のために何が大事かという点から、ただいまるる御指摘のありました点、さらにまた、中小企業の生命線でもあります金融関係では商工中金の問題等につきましても、これまた各党の皆さんから大変御理解のあるバックアップをちょうだいしております。先般、特別委員会におきましても、この商工中金の問題等につきましては全党一致で御理解のある附帯決議をちょうだいしております。

 私は、これより、この法案成立の後にいよいよ具体的に制度設計に入っていくわけでありますが、その際、当委員会等における御意見等を十分体して、中小企業の皆さんに安心していただけるような結果を招来することができますように努力をしてみたい、このように考えておる次第であります。

松原委員 以上で終わります。ありがとうございました。

石田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四分開議

石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。達増拓也君。

達増委員 対日改革要望というものが注目を集めています。正式には、日米規制改革及び競争政策イニシアチブに基づく日本国政府への米国政府要望書。毎年一回ずつアメリカ政府から日本政府へと渡される文書でありますけれども、これに対する注目が高まりました大きなきっかけは、去年の郵政民営化をめぐる議論の中で、この郵政民営化というのは、結局、このアメリカの対日改革要望に基づいてやっているんじゃないか、アメリカに言われたとおりにやっているんじゃないかという議論でございました。

 これは、衆参両院の郵政特別委員会でも、野党のみならず与党の議員からも指摘された論点でありますけれども、毎年のこの対日改革要望の中に郵政民営化、盛り込まれまして、ちょうど日本側の郵政民営化、法案をつくって、国会に上げて、通していくそのプロセスと、アメリカからの要望というものが非常に平仄が合っていて、結局、これはアメリカの利益のために日本でやっているんじゃないかということが指摘をされました。

 そして、先ほど厚生労働委員会で、医療改革関係法案をめぐり、いささか普通でない展開になっていると聞こえてきておりますけれども、この医療改革についてもやはりこの対日改革要望の中に盛り込まれてきていて、それに従ってやっているんではないのか。この郵政民営化と医療改革をつなぐキーワードが保険であります。

 これは、アメリカの保険会社、大変有力な政治力のあるそういう保険会社、政治力もあって、アメリカ政府にいろいろ働きかけて、日本の簡易保険、郵政がやっていた簡易保険百二十兆円を、そこにアメリカ保険会社がどんどん入っていく。また、日本の公的医療保険、これを相対的に縮小させ、自己負担が上がった分、民間の医療保険に入って、入院保険でありますとか、がん保険でありますとか、そういった民間の保険に入っていれば大丈夫というふうに、そのように日本の公的部門を縮小させて、そこにアメリカの保険会社がどんどん入っていけるようにする。そういう目的のために郵政民営化だ医療改革だということが行われているんではないかということが議論され、そういったことを解説する書物もどんどん出て、売れているという現状であります。

 また、このことは新聞、テレビがなかなか取り上げないというところも指摘されておりまして、去年の郵政民営化をめぐる衆参両院の特別委員会での議論でも、せっかくの質疑、答弁が新聞には載らなかったり、テレビでも取り上げられなかったり、かなり日米、国を挙げて謀略的に進めているんじゃないかというような指摘も行われております。大変気になるテーマでありまして、そこに保険というキーワードがある。

 今回のこの中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案でありますが、ほとんどが共済制度に関する改正と言っていいと思います。共済というと保険であります。そこで、ひょっとしたらと思って、去年の十二月に出ましたこの対日改革要望を調べてみたところ、ありました。「透明性およびその他の政府慣行」という項目のもとに「共済」という章がございまして、次のように書いてあります。

 「共済は、民間と直接競合する各種の保険商品を提供し、日本の保険市場において相当な市場シェアを有している。共済には、保険の監督官庁である金融庁以外の省庁が規制を行っているものがある。」今私たちが審議している法案もまさにそれなわけであります。「また、全く規制を受けていない共済もある。共済に関する一貫した規制体制の欠如は、健全かつ透明な規制環境を企業並びに保険契約者に提供する日本政府の能力を損なうものであり、また、ビジネス、規制及び税の観点から、共済が民間の競合会社に比べて大幅に有利に立つ要因となっている。」かなり強い表現も入っております。「中には、この有利な状況を市場シェアや商品提供の拡大のために利用し続けている共済もある。米国は従って、日本に対し次の方策を取るよう要望する。」とございまして、まず一番目、「全ての共済に民間競合会社と同一の法律、税水準、セーフティネット負担条件、責任準備金条件、基準および規制監督を適用することにより、共済と民間競業会社の間に同一の競争条件を整備する。」「全ての共済」と書かれております。

 そして、次に、金融庁以外が規制を行っている共済のことを制度共済と呼んでいるようなんですが、「特に「制度共済」については、現状の見直しと、様々な問題の中でもとりわけ、不特定の大衆を事実上対象とする共済の販売慣行について調べる政府横断の検討を二〇〇六年中ごろまでに行う。」現状の見直しを二〇〇六年中ごろまでに行う。ああ、実は今、この審議はこのとおりにやっているのかとはたと思うわけであります。「この見直しでは、制度共済間の規制の扱いや監督の相違点、また、それらと民間保険会社との違いも調査するべきである。」と書いてあります。

 この見直しの仕方については、今読んだのは一番新しい去年十二月に出た対日改革要望ですが、その前の年、二〇〇四年十月に出た対日改革要望の中では、その見直しの要望についてはこう書いてあります。「米国政府は、現在、金融審議会の保険の基本問題に関するワーキング・グループにおいて、無認可共済にかかわる議論が行われていることを歓迎するとともに、根拠法を有する共済に関しても早い時期に同様の見直しが開始されるよう求める。米国政府はさらに、これらの議論および関係省庁間の議論がオープンで透明性のある形で行われ、また利害関係者(外資系を含む)が議論に積極的に貢献し、関係省庁職員と意見交換をする機会が提供されるよう求める。」

 この要望書が出た後に中小企業政策審議会第一回組織連携部会ということで、去年六月にこの中小企業政策審議会の組織連携部会がスタートいたしまして、今回の法改正につながる審議会の見直し作業がちょうどこの対日改革要望を受けたような時間的な流れの中でスタートしている。かなり手とり足とり、この対日改革要望のとおりに作業が進んでいるのではないかという疑問を持ちまして、まず伺いたいんですが、今回のこの法改正というのは、結局この対日改革要望を受けて行われているものなんでしょうか。

二階国務大臣 今回の改正は、中小企業組合が、近年、規模が大きい異業種の組合が出てきていること、同時に、事業の多様化または高度化が進展しておる今日、組合員の自治運営が機能しにくくなっておる部分もあり、一部で破綻する組合も出てきていることは事実であります。

 このため、中小企業組合制度を見直し、中小企業組合の信頼性を向上させることが必要であると考え、これにより、中小企業者の事業活動の活発化につながるものと認識しておる次第であります。

 今回の法改正につきまして、ただいまの御質問にお答えしてまいるとすれば、こうした我が国中小企業組合をめぐる現状と課題を踏まえて行うものであるということを申し上げておきたいと思います。

 なお、アメリカからの対日改革要望について、その要望を受けたようなという表現で、共済全般についてのアメリカの対日改革要望についての御紹介がありましたが、共済全般に関する要望事項はそうした御指摘のとおりでありますが、今回の法改正はこれを受けて行うというものでは全くありません。

 先般、シーファー駐日大使も経済産業省にお越しになりまして、約一時間ばかり日米間の経済問題を中心として話し合いを行いましたが、この問題に対する言及は全くありませんでした。また、WTOの関係でポートマン通商代表とは再々話し合いの機会もありますし、先般も電話会談を二度にわたって行いましたが、そのようなアメリカの関係者からこの対日改革要望についての今回の法改正等について要請があったというようなことは全くありません。

達増委員 今までも、中小企業団体の組織に関する法律の改正というのは何度も行われておりまして、この中小企業組合等は、商工組合制度というものから始まって、事業協同組合とかいろいろなそういう組合を認め、また、組合員にとって、中小企業にとって使い勝手のいいようにいろいろ制度改正が重ねられてきているんですが、今回の制度改正というのは、そういう流れの中からするとちょっと異質な印象を受けるんです。そもそも、だれのために、なぜ今こういう法改正なのか、そういういわば動機の部分でなかなか釈然としないところがあるわけです。

 中小企業政策審議会組織連携部会が、去年六月、第一回の会合を開いて、そこから全部で八回会合を開いて、今回の法改正につながる結論が出てくるわけでありますけれども、第一回の中小企業庁からのあいさつを読んでいても、また、中小企業庁からの事務局説明ということで「中小企業組合制度の現状と課題」というところを見ても、そもそも共済という言葉がなかなか出てこないで、歴史とか制度とかそういう組合全般の説明が長々と続きまして、今どういう問題があるかというところでは、組合員の減少、世代交代、組合員の中の格差、そういう組合の事業の停滞というような、実は今、ほとんどの組合員、中小企業が直面している課題はここでありまして、これを何とか解決するということが実は時期的には求められているんだと思います。

 ただ、いろいろわかりやすい事件も生じておりまして、そういうガバナンス機能が機能しにくくなっているということが紹介され、幾つかのそういう典型的な事件が紹介されて、そして、「今後の検討の方向性」ということで「信頼性の向上」とか「中小企業組合の活動の円滑化」とかが出てくるわけですね。

 そういうところから、何で今回の法改正、つまり、共済制度の改正を主要な内容とするそういうところにつながっていくのかというのがよくわからないんです。アメリカからもこういう要望が出ているという説明をすれば非常にその流れがわかるようになると思うんですが、対日改革要望のことはこの中小企業政策審議会組織連携部会の中で全然紹介されないんですね。全然それに言及しないというのもかなり不自然だと思うんですけれども、なぜこれは言及されなかったんでしょうか。

望月政府参考人 議事録をごらんになっているんだろうと思うんですけれども、そういう形になっているのが、私も当初からずっと関係をしておりましたものですから、私どもにとっては大変自然であったというふうに思っております。

 と申しますのも、一昨年来、私が今の現職につきましてからも、個別事例でいろいろな破綻事例がございました。その破綻事例が起きるたびに、この責任は一体どこにあるんだと。共済事業もそうですし、組合事業そのものの破綻もございましたものですから、そういうときに、被害を受けられた方も相当地元では大きな騒ぎになりました。そのときに、責任はこの組合の執行部にあるのか、あるいは監督している都道府県にあるのか、あるいは国にあるのかというところで、かなりのやりとりが行われた事例、何件かございました。

 そういった中で、私どもは、この組合自身、全国組織もあり、私どもの中小企業行政の中で重要な役割を果たしているこの組合が、その存立の基盤が危うくなってきているという実感が大変したわけでございまして、そういった面で、どこに問題があるのかということを、これはもう真剣に早急に公の場で議論を始めなければいけないんではないかということがそもそもの本当の動機であるわけでございまして、そういった問題点を摘出するためには、組合のそもそもの成り立ちから現状についての共通認識を委員の皆様方に持っていただいた上で、問題点をえぐり出すということが必要だと思っております。

 そういった観点から、組合の機能であるとか抱えている問題であるとかいうことについての議論が行われたところから始まったのはごく自然であって、かつ、その中で各種の事故事例についての議論もあったということも、今回の検討の手始めとしては大変自然なことであったし、そこに米国の対日要求がなかったというのも、実は私どもの頭の中をそのまま反映しているということではないかというふうに思っております。

達増委員 この対日改革要望の問題や、またそこで、共済制度の改革、金融庁所管以外の共済制度も、共済すべてを民間の事業と同じように規制を変えろ、そういう問題意識をどうも隠そう隠そうと入り口のところでしているんじゃないかという疑問を持つんですけれども、最終的に共済のことが法改正のほとんどであるにもかかわらず、審議会のこの部会が始まって、共済という言葉がなかなか出てきませんで、先ほども言及した「今後の検討の方向性」という横長一枚紙の資料にも「中小企業組合の信頼性の向上」「中小企業組合の活動の円滑化」「その他」とあるんですが、その共済という言葉は出てこない。

 これの中小企業庁側からの説明の中で、本当に最後の最後のところで「その他」というのが三番目にあって、その「その他」の中で「最近の社会・経済情勢、組合運営の実態を踏まえつつ、制度のあり方を検討する。」その最近の社会経済情勢を踏まえというのを受け「関連する最近の動き」として紹介されているのが、会社法のことでありますとか農業協同組合法の改正のこととか、そしてそこで初めて共済という言葉が出てきて、保険業法の改正というところもあって、最後の最後に、実は大事なのは、保険との関係で共済なんだなというのがちらっと出てくるような説明なんですね。

 ですから、そういった中小企業庁のあいさつや説明を受けて始まった自由討論というのも、なかなか共済の話にならないわけですよ。四人の委員が入れかわり立ちかわり発言するんですが、そこでは、中小企業組合、信頼性の問題、いろいろな事件の問題、それは制度の問題なのか人の問題なのかとか、運営の健全性、透明性ということで、そういった不祥事をどう克服するのかという組合のガバナンス、総論、全体論のような議論が続くわけです。

 共済という話になかなか入っていかないところで、中小企業庁からの出席者が「あまり先走ったことを申し上げてはいけないんだとは思いますが、それが直ちにこれからのところで規制強化になるかどうかは問題ですが、」という物すごい丁寧な言い方をしつつ、共済の話を紹介するんですね。

 中小企業庁の出席者が共済の話をしたら、その後、保険制度を専門としている学者さんが、保険業法との関係で共済の見直しが必要だということを二人の学者さんが次々に発言し、念の入ったことに、その後、部会長さんが、きょうは公認会計士の先生もお二方いらっしゃいますので、何か発言ありませんかと水を向け、公認会計士さんは金融、保険、共済の専門家でありまして、そういう発言をするという感じで、何か、共済のことがメーンテーマじゃないかのような入り口から入っていって、出口の部分では実は共済が問題なんだという流れができていて、今のは第一回の部会の議事録なんですが、第二回、第三回は、何とどっちも共済のことばかりやるんですね。第二回で役所の側から共済制度についての説明があり、第三回はそれにかかわる団体からのヒアリングということで、一気に共済問題に入っていく。

 ですから、やはり最初からこれは共済のことをやるつもりなんだけれども、なるべくそうとわからないような入り方をして、第二回、第三回で一気に共済の問題に行く。その後、第四回、第五回と部会は重ねられるんですけれども、前半後半二部構成にして、片方で共済をやり、もう片方でガバナンス全般というふうに分けてやり、四回目、五回目は共済が先なんですが、六回目、いよいよ最終取りまとめが近づいてきて、今の法律やその説明の紙にあるように、全体のガバナンスの話が先に来て、共済の話が二番目に来るような整理になっていく。

 これは、やはり意図的に共済の問題じゃないような入り方をしつつ共済の問題をやる、そういう運びをしたんじゃないんでしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 今回の法律案をごらんになっていただいて御審議賜っているときによく私どもも申し上げておりますけれども、大きな課題が二つあるわけでございまして、一つは、事業協同組合のガバナンスの問題。

 これは、入り口でさっとやったというような話ではなくて、当時、高速道路の割引料金制度に対する一部の事業協同組合の悪用事例というのが幾つかあったわけでございまして、その際に、私どもの現場の局は、ほかの仕事もできないぐらい局を挙げて、この組合に対する立入検査をしたり対処をして実態把握に努めたわけでございまして、これは私ども、この組合を所管している制度当局といたしましては、こんなことは何回もできない、したがって、組合自身のガバナンスをきちっとした規律のものにしていく必要があるというのは、これこそまさに喫緊の課題であったわけでございまして、もう火が噴いていたわけでございます。

 したがって、そこについて、入り口でどっちを先にやるかはあれでございますけれども、課題として取り上げたのは、まさに私どもの気持ちのあらわれだろうと思います。

 それから、共済問題につきましては、同じように破綻事例がございましたから、そういう普通の事業協同組合の活動についての破綻事例の問題と、それをやるとすれば、共済についての破綻事例の問題も当然扱わないとおかしい、おかしいし、私どもとしても問題意識が高かった話ではございますので、そこについてやる。

 加えまして、先生、先ほど保険業法の話が出てまいりました。ちょっと先走ったことになりますけれども、保険業法の方が一年前に法改正をして、無認可共済を傘下に、その規制のもとに置いたということでございまして、これは有利とか不利とかいう問題ではなくて、そこに事業者の方が規制の緩いところに殺到するおそれがあるという意味では、むしろ私どもは一日も早くやらないと組合共済自身が非常に危ない共済として位置づけられてしまうかもしれないという危機感があった。その二つの危機感はいずれも甲乙つけがたい大変な課題であったということで、私どもは当初から、こういうものについては、その対応方針を早急に決定するんだ、やるんだということを明示しながら審議会を開始したわけでございます。

 二回目以降の審議が、どっちを先にやってどっちを後にやったという問題は、ちょっと私も、議事録を今手元に持っておりませんので、その時々のことは思い出せませんけれども、その日の会議の都合でそうなったので、大体、常にその二つの大きな課題を追いかけながらこの審議会の運営は行われたというふうに記憶しております。

達増委員 非常に大きい危機感があった、強い危機意識があったということなんですけれども、ただ、今回、当事者である中小企業関係団体の方は、当初かなり法改正に消極的だったんじゃないかと思うんですね。

 これは、中小企業政策審議会の組織連携部会第二回。役所からの説明があって、それに対して委員の質問が、あるいは意見が出されているところですけれども、この中小企業組合関係の委員の方がこういうふうに述べているんです。

 「前回ときょうといろいろご説明を受けまして、中小企業組合が実施する共済事業を取り巻いている環境が、ここへ来て大変厳しくなってきておることもわかりましたし、これに関する一定の規制強化の必要性は、私としても十分に理解したところでございます。 しかしながら、共済事業の規模、あるいは、契約者である組合員数だけを基準に、規制強化の度合いを変えていくといった論調でございますので、本当にそれでいいのだろうかという気持ちを少しもっておるところでございます。」

 というところから始まりまして、特に少人数の共済について、「最後にご説明いただきました少人数の共済についてでございますが、現行の組合法上で一定のガバナンス規定があることを考えますと、」「少人数の場合には、きちんとした組合員のガバナンスが働いていることを前提にした場合、これについては、特段の規制をする必要はないだろうと私は考えております。」というふうに、そんな規制は必要ないんじゃないか、そういう法改正は必要ないんじゃないかというような意見がまず出ているわけです。

 これは、第三回目、団体からのヒアリングではもっとはっきりしておりまして、そもそもこの中小企業共済というものが共済全体の中でどういう規模かというところから団体の代表が説明しているんですけれども、件数でいってわずか〇・四五%、総資産からいってわずか〇・〇一%。日本の共済事業、これはアメリカからの対日改革要望で、共済というものは非常に大きなウエートを占めているとアメリカは指摘していますが、ただ、その中で、中小企業共済が占める割合というのは、本当に微々たるものだというところから始まりまして、もう本当、全論点についてことごとく、過度な負担増になると困るとか、配慮いただきたいとか、新たな法制化は必要ないのではないかとか、今の現状でこれで十分対応できるのではないかとか、およそあらゆる論点について否定的な見解を出しています。

 だから、やはりこれは、そもそも中小企業組合関係者が望んでの法改正ではなく、アメリカに言われてやっている法改正じゃないかという疑問が生じるんですが、いかがでしょう。

西野副大臣 達増委員も御案内のとおり、本法律の改正は中小企業組合等のいわゆるガバナンスの強化というものにあることは御案内のとおりでございまして、お示しの議事録等々で今改めて承ったのでございますが、その中小企業組合関係の諸団体につきましては、確かに当初この審議会で審議が開始をされます前までは、一体今回の意味合いがどういう方向性を持っているんだとか、あるいはその内容がつまびらかでなかったというふうに思いますだけに、この改正に対して何となく不安感というものがあったというふうに私は理解をいたしております。

 しかしながら、審議会において議論を重ねるにつれて、これは中小企業組合の信頼性の向上にあるんではないかということで、今回の改正の趣旨というものについても、これは一定の規律が必要だということで御認識をいただくようになってきたんではないかというふうに思っております。

 具体的な審議内容につきましても、中小企業組合の関係の皆さんの意見も十分踏まえておりますし、そういう中から諸団体の御理解もいただける改正に変わった、このように思っておりますし、その経過においては、お示しのような不安というものがあったのではないか。最終的には十二分に御理解をいただいて、その意見も反映できたのではないかというふうに思っておるところでございます。

 ただ、今後も引き続きまして、各組合に説明会や広報等を通じまして、この改正の趣旨というものも、十分内容等についても共通の認識が持てるように努めてまいりますので、御了承いただきたいと思います。

達増委員 アメリカの対日改革要望、先ほど紹介した、この審議会が始まる前の年、二〇〇四年十月のこの対日改革要望の中では、見直しのやり方について細かい注文がついているんですね。根拠法を有する共済に関して、その見直しの「議論および関係省庁間の議論がオープンで透明性のある形で行われ、また利害関係者(外資系を含む)が議論に積極的に貢献し、関係省庁職員と意見交換をする機会が提供されるよう求める。」

 この「共済」の項目が入っている大きな章のタイトルは「透明性およびその他の政府慣行」という章なんですけれども、ここにはパブリックコメントをもっとちゃんとやれという話が毎年毎年書かれてきていまして、政府が何か、特に規制改革するときにはパブリックコメントをちゃんとやれということが、対日改革要望には毎年毎年書いてある。

 この審議会の最後のところでも、パブリックコメントが行われております。中小企業政策審議会組織連携部会としてパブリックコメントを行っているんですけれども、去年の十一月から十二月にかけて行われていますが、意見を寄せた人たち、一番多いのは生命保険業界関係なんですね。生命保険業界関係が十件、次が中小企業団体中央会及び組合関係七件、共済組合関係六件、弁護士四件、消費者団体関係三件、損害保険業界関係が三件入り、大学教授等二件、その他一件というのが全体、全貌でありますけれども、このパブリックコメントをやった結果、保険会社ばかりがコメントしてきていることについて、政府としてはどう評価いたしますでしょうか。

古賀政府参考人 御指摘のとおり、パブリックコメント、昨年十一月から十二月にかけて実施いたしまして、合計三十六件の意見をいただきました。

 そして、保険会社からの御意見十三件というのも御指摘のとおりでございます。そうした意見の中には、基本的な方向性について賛成だというようなところもございますし、それから共済事業に関して、このもともとの考え方よりはもっと厳しくするべきであるという御意見もあわせて、かなりの数いただいております。

 これは、保険会社としましては、改正保険業法の方を参考とした規制を求めるというのが基本的な姿勢でございまして、組合が行う共済事業に対する今回の改正について、保険会社としては、同業者ですから、関心を持つということは当然のことかなというふうに考えております。

 ただ、もちろん、数では確かに保険会社は非常に多く出ておりますけれども、組合関係者、組合をちょっと数字の発表の仕方で一般事業組合とそれから共済をやっている組合と分けて書きましたので、少し組合が少ないように見えますけれども、組合関係も十数件いただいておりますし、そういうことを考えますと、かなり幅広い方々、これも弁護士とかあるいは消費者団体の方からもいただいておりますし、幅広い方々からも御意見をいただいたということでございます。組合の関係者の方からは、保険会社とはまた逆の視点で、過剰な規制になり過ぎては困りますよというような御意見もいただいたところでございます。

 そういう意味では、各方面からいろいろな視点に立った御意見をいただいたということでございまして、そうした御意見を総合的にしんしゃくいたしまして、組合の現状、あるいは他の法制に関する動向も十分踏まえまして、共済事業の健全性を確保するための措置をとったということでございます。

達増委員 私はこの対日改革要望について一つ疑問があるんですけれども、アメリカが一方的に日本に言ってきているにしては余りに日本側の動きと平仄が合っている。これは日本側も事前に見ているんじゃないかと思うんですね。

 実際、あらかじめ日本側もチェックしておかないと、アメリカ側がとんでもない誤解で、日本側の制度がよくわからないで、絶対実現できないようなむちゃな要望をする危険性もあるし、そういうことがないようにちゃんと日本側で事前にチェックして、それで、もちろんそのチェックというのは、アメリカの要望に対して、わかりました、全部そのとおりやりますと、事前に確認した上でアメリカに出させているという意味ではないですけれども、ただ、アメリカが一〇〇%勝手につくって勝手に出してきているわけではないと思うんですけれども、今回のこの共済のことについても、これは事前に見ていたんでしょうか。

望月政府参考人 まず、結論から申し上げれば、全く見ておりません。事前にそんなものは見ておりません。

 それから、もう一つは、先ほどまさに先生がおっしゃいましたように、私どもの中小企業組合関係の共済というのは、本当に、全体の大きなあれからいいますとウエートは低いものでございますので、保険業界とのイコールフッティングだとか外資だとか、そういう観点からいえば、まあ、とてもターゲットになったとは思えませんという感じはいたします。

 したがって、私どもも粛々と、他の制度との関係において組合の共済が生き抜いていくための道筋を考えるのを、私どもの中で議論が十分できたということでございますし、それから、結論といたしましての制度改正の中身も、先ほど先生御指摘になったような米側要望との関係でいうと、微妙に食い違っていて、違う形になっているんですけれども、今のところそれについての要望も聞いたことはございません。

達増委員 事前に見ていないということで、この文書そのものを事前には見ていないとか、今の答弁は多分それはそれでうそではないと思うんですけれども、もうちょい何か日本側としてのニュアンスが相手に伝わるような仕組みになっているんじゃないのかなという感じは非常に強く疑問として残っているんですが。

 といいますのは、やはりある程度すり合わせて、日本側の事情を理解してもらい、かつ、日米双方のためになるような対日改革要望にしていった方がいいと思うんですね。同時に、アメリカに対しても改革要望を日本政府から出していて、お互いさまだという話もあるんですが、お互いぶつけっ放しじゃなく、それぞれが、日米経済全体がよくなっていくようなふうにした方がいいと思うんです。

 アメリカのこの共済に関する言い分の中で、かみ砕いて言えば、共済制度をいわば悪用して、金もうけのために利用しているんじゃないかという問題意識、これはあり得る問題意識だと思っていまして、共済制度全体の中では、本当にもうこれは民間保険会社と同じようなものなんだからイコールフッティングでやった方がいいというところは多々あるんだと思います。

 ただ、中小企業関係の部分は、相互扶助の精神に基づいてやっている話でありまして、そういう歴史の積み重ねもあるわけなんで、だから、アメリカの方に「全ての共済」なんていうような書き方をさせない工夫があればよかったんじゃないかなというふうにも思うわけですね。

 どうも、この共済の問題に限らず、郵政民営化とか、あと医療改革も含めて考えますと、アメリカは、そういう保険分野への進出とか、あとMアンドA、日本の会社をどんどん買うMアンドA。日本の株安とか会社の時価総額の相対的な低さとか、そういうバブル崩壊の後遺症を活用したMアンドA攻勢とか、それは、アメリカの企業、アメリカ側に有利になるような形の改革を求めてきていて、ただ、そこに日本側としても安易に乗っかっちゃっているんじゃないかなという疑問を持っております。

 特に経済産業関係では、対日直接投資の増加ということが今政府挙げての目標になっているわけで、小泉首相も、これは総理大臣がみずから、五年間で対日直接投資残高を倍増するというものですね。二〇〇三年一月に小泉総理が表明した五年間で対日直接投資残高を倍増するとの計画、その達成に向けて国を挙げて頑張っているということなんでしょうが、これはグローバル経済戦略の中にも書いているんですけれども、今のところ対内直接投資の約八割がMアンドAだということで、日本はやはり暮らしや仕事の現場がかなり危機的状況になっているわけでありまして、もっと産業振興的な仕事がふえて、収入もふえて、暮らしがよくなるような、そういったところの改革を進めていくべきだと思うんですね。

 ですから、直接投資で、アメリカが日本に工場を建てるとかそういう直接投資なら大変結構なんですが、MアンドAばかりでやっていますと、去年、おととしあったように、そのMアンドAでかえって何か経済社会的な混乱が起きてしまったり、余波を食らって政治の方もちょっと混乱したりもしましたけれども、そういうMアンドA騒動ばかり。そこでアメリカの会社に渡ったお金というものが日本の雇用とかそういう所得とかに生かされればいいんですが、それがまたマネーゲームに回っていくということでは、お互いにとっていい結果にならないと思うんですね。

 この対日改革要望の議論、昔は、日米のこういう規制の問題というのは構造協議とか包括協議とかでやっていて、その原点には内需拡大という話があったと思うんですね。アメリカの製造業がぱっとしなくなってきて、最近は内需拡大の話よりもこのMアンドA、投資の話ばかり出てきているのかもしれませんが、日米お互いのためにも、やはり、日本の内需拡大で日本の経済規模というものが成長する中で双方のビジネスチャンスがふえていくというようにするのが、日米一緒になった規制改革の基本だと思うんですが、この点、いかがでしょう。

大辻政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、海外からの投資に関してでございますが、外国から我が国への投資は、二〇〇四年のフローベースで、確かに、直接投資が約八千五百億円、証券投資が約二十一兆円と、後者が大きく上回っているというのは御指摘のとおりでございます。

 経済産業省といたしましても、先ほど御指摘のとおり、雇用の拡大につながり、また、我が国の経済の発展に大きく貢献するような、そういうふうな海外からの投資の受け入れということが非常に重要だというふうに認識しておりまして、平成二十二年に対GDP比倍増となる五%程度の対日投資受け入れを目指しておるところでございます。

 第二点目の内需の振興という点でございますが、我が国経済は、いわゆる三つの過剰が解消いたしまして、民間部門が好調に推移する中、国内民需中心で回復が継続してきておるところでございます。

 こうした動きをおっしゃるような中長期的な成長につなげていくため、現在、新経済成長戦略の検討を進めておるところでございます。

 この中で、世界のイノベーションセンターとして、アジアの成長に貢献し、アジアとともに発展すること、それからもう一つは、地域の発想とやる気を最大限生かしつつ、サービス産業の生産性向上や、あと先ほど御指摘の雇用を支える中小企業の活性化の促進などに取り組み、国内の民需、内需主導の持続的な経済成長を実現していきたいと考えておる次第でございます。

達増委員 今、日本がアメリカとやりとりをしながらやっている改革というものは、市場原理に従って、効率性は高めていこうという方向性は感じられますけれども、ただ、その結果、働く現場や暮らしの現場がかえって劣化してしまうようなことも起きていて、それでは本末転倒じゃないかと思うんですね。

 よくこれは、共済でもあるいは保険会社でも受け取るサービスとして同じならいいじゃないか、また、日本の保険会社でもアメリカの保険会社でも同じサービスが得られるならいいじゃないか、もしよりよい、効率のいいサービスが得られるならそっちの方がいいじゃないかという議論があるんですけれども、そこだけ見ていたのではだめで、そこでもうかったお金というものがきちんとまた、日本の中のものづくりの現場ですとか商店街ですとか、また一人一人の暮らしですとか、そういったところにお金が戻ってきて日本の経済社会全体が豊かになっていくような、そういうお金の回り方ならいいんですけれども、MアンドA初めマネーゲームにそのもうかったお金がどんどん流れていって、それで、表面的な効率性は市場原理に従って高まっているけれども、生きたお金の使い方がされなくて、結局日本の暮らしや仕事の現場が劣化していくというのは、本当にまずいと思うんですね。

 この点、やはり経済産業省が中心になって、ちゃんと仕事や暮らしの現場本位の経済産業政策ということを展開していかなければだめだと思うんですけれども、いかがでしょう。

二階国務大臣 ただいまの御質問にありましたように、その経済行為がまた日本の現場に利益をもたらすような活動であるべきだという御指摘でありますが、私どもも、そうした御意見を十分体して、今後の経済活動の上で有意義な事業として展開できるように努力をしてまいりたいと思います。

達増委員 市場原理に基づく自由な競争というのは効率性を高めはするんですけれども、これは経済学的にいっても、効率以外の厚生を高めるとは限らない。よほどうまく制度をつくっていかないと、経済社会全体の向上にはつながらない危険性がある。

 アメリカ、イギリス、アングロサクソンで発達したこの市場原理ですけれども、無限のフロンティアが目の前に広がっているときには物すごい効果的だと思うんですね。七つの海に乗り出すときのイギリスでありますとか大西部開拓時代のアメリカ、無限のフロンティアが目の前にあるときには、もう自由にそれぞれ切り取り放題といいますか稼ぎ放題といいますか、そこの相互の調整はほとんど考慮せず、みんなが自由にどんどんばりばりやっていけばいい。

 ただ、そういうフロンティアが無限にはない、特に限られている、ひょっとしたら縮小しているようなときには、かなりお互いの調整の仕組みを取り入れていかないと、格差社会とかになってしまう。

 最後に質問しますけれども、そういう意味で、相互扶助の精神、この法律の一条の目的のところにありますそういう相互扶助の精神ということは、これはやはり政府としても守っていくのだということを確認したいと思います。

二階国務大臣 御質問にありましたように、中小企業等協同組合法において、相互扶助の精神に基づき、その有する経営資源をお互いに補完することにより、先ほど御指摘のありましたような市場経済における中小企業者の競争力に資すること、これを目的としておるわけであります。

 我が国経済における中小企業者の重要性を踏まえれば、こうした中小企業者の競争力の強化は極めて重要であります。

 今回の法改正におきまして、相互扶助精神がこれまで以上に生かされることを目的に行うものであり、こうした考え方は、今後とも極めて重要であり、大切に維持すべきものであると考えております。

達増委員 終わります。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 中小企業等協同組合法等の一部改正案について質問をさせていただきます。

 もともとは協同組合の中での福利厚生事業の側面を持った共済事業であります。そこで、まず前提としてお尋ねしますけれども、福利厚生事業としての中小企業団体の活動として、中小企業者の暮らしですとか健康に着目した、こういう実態というのを経済産業省、中小企業庁としてどのように把握しているのか、この点をまずお聞かせください。

望月政府参考人 共済事業の健全性を確保するという観点から、共済事業を行う組合の実態把握には常に取り組んでいるところでございます。

 他方、お尋ねの中小企業の暮らしと健康については、例えば中小企業で働く女性について、労働や健康あるいは経営などの側面から、その実態や抱える課題を把握するための調査を行ったことがございます。適宜、中小企業対策の参考といたしているわけでございます。

 いずれにいたしましても、今後の共済事業の円滑な実施という観点から、引き続き必要な実態把握に努めたいと思っております。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

塩川委員 中小企業者の方にしてみても、例えば休みをとりたいというのになかなかとれない、そういう際に休業補償のような制度が欲しい、そういうのを例えば共済事業で行う、こういう場合だって当然あり得るわけであります。そういう点でも、中小企業者の暮らしと健康の実態がどうなっているのかということについて改めてしっかりと調査をする必要があるんじゃないか。

 先ほど望月長官が紹介されたのが、中小企業庁が全国連、全国商工会連合会に委託をした調査、「自営中小企業に携わる女性の労働と健康に関する実態について」こういう報告書が平成十三年度に出されております。

 こういう調査について、本来であれば、現時点、この法改正に合わせてしっかりとやる必要があったんじゃないのか。中小企業者の方の、営業の実態を把握するのは当然ですけれども、その営業の前提として、生業と不可分のような状況にあるわけですから、暮らしや健康の実態についてしっかりとした調査というのは改めて必要なんじゃないのか。

 例えば自営中小企業に携わる女性のこういった実態調査について、請願なども出されておりました。昨年の臨時国会でも経済産業委員会にかかりまして、保留という形にはなりましたけれども、そうしましたのも、中小企業庁として今後しっかりとした実態調査をやる予定があるんだということが理事会に報告があったからというのがその趣旨でもありました。昨年の十月の臨時国会での経済産業の理事会で、中小企業庁からの報告の文書の中にも、この調査については前回一回限りで終わらせるということではなく、今後も実施していく所存だと述べているわけであります。

 こういう調査を本当はここに合わせてきちっとやった方がよかったんですけれども、おくればせながらでもしっかりと行う必要があると思うんですが、今後のそういう調査の予定についてどのようにお考えか、聞かせてください。

望月政府参考人 先生御指摘の調査は全国連の中でやっていただいたわけでございますけれども、実は、私どもと全国連の間では、デーリーに大変密接な連絡をとっているわけでございます。例えば、そのときの調査のもとになりました女性の経営者の方々の状況などにつきましても、昨年の全国連の婦人部の全国大会、これは十一月ごろに新潟であったわけでございますけれども、そこへたまたま私も出かける機会がございまして、その幹部の皆様方と現状についていろいろな意見交換をさせていただいたし、その大会にも参加させていただきました。

 その中でむしろ課題になっておりますのは、そこで、三年前か四年前の調査のときに労働時間ということについての調査があるわけでございますけれども、それは全体として短縮傾向にあって、そういう意味では環境としてはいい状況にあるわけですが、昨年のそういう大会のところにおける皆様方の御意見から申し上げれば、経済全体の状況についての厳しさとか経営の厳しさとか、そういう議論が中心でございましたものですから、私どもとしては、とりあえずは、今、全般的に日々行っている経営状態の調査等々についての情報収集をもって把握しているところでございます。

塩川委員 大臣、いかがでしょうか。昨年の経済産業の理事会におきましても、調査を今後も実施していく所存ということが中小企業庁から報告もあったものですから、いつ、どこで、どのようにといってもなかなかあれでしょうけれども、具体的に今後しっかりやっていくということはぜひお約束いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

二階国務大臣 そのときのいきさつを改めて調べてみまして、また委員に御回答を申し上げたいと思います。

塩川委員 よろしくお願いいたします。

 それで、本来であれば、先ほども言いましたように、こういう福利厚生事業と深くかかわる中小企業協同組合の共済事業ですから、実態調査が行われないままでこういう法改正というのは不適切であると率直に思っております。その上で、法案の中身についてお尋ねをいたします。

 事業協同組合の規律強化のための仕組みについてということで法改正が行われるわけですが、事業運営の規律強化関係及び共済事業関係の措置について、一定規模以上の組合には上乗せ規制を導入するとしています。その具体的な規模としては千人以上の組合とすることが想定をされているわけですが、この組合員千人以上と想定している根拠は何なのかをお示しください。

西野副大臣 共済事業等を行いますこの組合は、御承知のとおり、相互扶助という精神に基づいて中小企業者がみずから自治運営をしていこう、こういう趣旨であることはもう御案内のとおりであります。

 しかし、それが、今委員おっしゃったとおり、一定以上の数を有する組合ということになりますと、何となく意識がお互いに希薄化していく傾向にあるのではないか、行き届かないのではないか、そういう懸念もございますし、事業を行うにつきましても、健全性という点を考えれば、やはり一定以上の数のところについては上乗せをするような形で実施すべきではないか。これが、いわゆる千人という一つの基準を設けたわけでございます。

 この千人はどこにあるかということですが、最近のいろいろな不祥事がありました例を見ても、ことごとく実は千人を超える組合員数であったという事実、そういう等々がありますので、千人というものを一つの基準として、今回上乗せをすることにいたしました。

塩川委員 あわせて金融庁にお尋ねしますけれども、保険業法で、千人以下の者を相手方とする場合については保険業法の適用対象から除外とされているわけですけれども、この適用対象から除外としている理由は何なのかをお示しください。

畑中政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございましたように、改正保険業法におきまして千人以下の者を相手方とするものを適用除外としておるわけでございますが、その理由といたしましては、一つには、当事者の自治による監督が可能であるということ。それからもう一つは、共済事業により影響を受ける者の範囲が限定的であると考えられる人数であるということが基本でございますが、これに加えまして、一般に保険事業の安定的な運営のためには、一定の規模の人数のものによってリスク分散が図られる必要がございます。言葉をかえますと、余りに少人数でございますと、いわゆる保険数理、大数の法則が働かずに保険が成立しない、そういうこと。それからもう一つは、他法令の例ということで、例えば厚生年金保険法上の厚生年金基金、これなどの設立につきましては、それぞれ千人以上の組合員、被保険者が必要とされている。

 こういったことを総合的に勘案いたしまして、政令におきまして、ただいま御指摘ございました千人以下を適用対象から外しているということでございます。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 保険業法では千人以下を対象から外しているわけですけれども、今回の中小企業協同組合法の場合におきましては千人という線は引きます。それはあくまでも上乗せの規制であります。その際も、先ほどは西野副大臣おっしゃりませんでしたけれども、保険業法の千人というのが先ほどの上乗せ規制の一つの目安だということは、この委員会でのさきの答弁でも触れられていることであります。あわせて、千人以下についても、中小企業協同組合法では、共済事業についてその規制の対象にしているわけですね。

 保険業法では千人以下は対象としていないのに、中小企業協同組合法の共済事業では千人以下の組織について適用除外にしていないというのはなぜなんでしょうか。大臣、その点、わかりやすく御説明いただけますか。

西野副大臣 これは先ほども別の委員さんの御質問でお答えをいたしたところでございますが、わかりやすく言いますならば、備えあれば憂いなしでありますよと。要するに、千人以下でありましょうとも、その組合が健全運営されるためにはそれなりの仕組みをしっかりとしておくことの方が、千人以下といえども十二分に趣旨が徹底して問題が起こらないだろう、運営がスムーズにいくだろう、こういう思いで一応千人以上は改めて上乗せをした、こういうことでございます。

塩川委員 保険業法では対象外にしているわけですよね。何で、相互扶助の組織として自己規律を発揮して自主的な運営を行っている協同組合の共済事業について、千人以下について対象外にしないんですか。保険業法との並びでもおかしいんじゃないですか。協同組合の組織の方がしっかりとこれまでもガバナンスを発揮してきたということが協同組合法のそもそもの趣旨ですから、その点で、同じ並びになっていないこと自身がそもそもおかしいんじゃないですかとお聞きしているわけです。

二階国務大臣 御質問にありましたように、保険業法は保険契約者の保護を目的とした法律であることは御承知のとおりでありますが、他方、中小企業等協同組合法は、中小企業者が、相互扶助の精神のもとに、自治により運営し事業を行う組合を規定する法律となっております。

 これを踏まえながら、事業の健全な運営を今後確保するという必要性が高い共済事業に関しましては、組合員数が少ないものも含めて、自治運営に一定の方向性を与えるための準備金の積み立て義務等の措置を導入することとしたものであります。また、組合員数が千人を超える場合には、自治運営が機能しにくくなることを踏まえ、さらに兼業禁止などの措置を上乗せすることとしております。

 農協共済あるいは生協共済におきましても、組合員数が少ないものも含め、全ての組合に対し、健全な組合運営を確保するための一定の措置が導入されておることであります。

塩川委員 いや、先ほどの西野副大臣の言葉をかりれば、備えあれば憂いなしというんだったら、保険業法でも千人以下もきちんと対象にすべきだという理屈なんですよ、それは。そうなっていないのに、何で協同組合、先ほど大臣もおっしゃった、相互扶助の自治によって運営をしている協同組合において千人以下を対象にする。おかしいじゃないですか。逆さまじゃないですか。その点を聞いているんですけれども、どうですか。

西野副大臣 私は、答弁で保険業法のことは一切も触れておりません。ですから、それを質問に引用されることは、私は答える必要はないと思います。

古賀政府参考人 若干補足をさせていただければと思いますけれども、少額短期に当たるかどうかというところで、千人というのが保険業法の方では、しっかり規制をするかどうかの基準になっているわけです。

 組合法の方の千人で切った場合の、上乗せされるかしないかという基準になるわけですが、その千人以下のところにかかっている規制の内容というのは、具体的には、例えば区分経理をしてください、あるいは事業内容についてあらかじめ認可を受けてください、それから準備金に関する規定はちゃんと整備しましょう、それだけ準備金を積みましょう、それから外債のような危ないものに投資する必要はないでしょうというようなこと、あるいは契約者に対して重要事項を説明してください、それから業務や財産書類を開示してくださいというような規制で、比較的軽いものでございます。特に、何か中小企業組合がこういうことをやるのに、共済組合が、共済をやっているところがそういうこともできないということで本当にいいのだろうかというような内容ばかりでございます。

 ただ、一部負担がかかる可能性のあるものがございまして、それは、保険の内容が非常に複雑なものがあるというような場合は共済計理人の関与をさせてくださいと。共済計理人が関与をするということは、何がしかお金を払うということがございますのでコストが生じる。あるいは外部監査を義務づける。これは、負債総額がかなり大きなものについては、人数が仮に千人を下回っていてもそれはやってくださいということです。これは、非常に複雑なものをやるとか、あるいは数は少ないけれども負債額は非常に大きいというようなことですから、ある程度の負担能力は当然あるだろうというふうに考えております。

 これに対しまして保険業法の方は、適用されますとこれよりも若干厳しい規制になっておりますので、そういったところは同列には、千人で保険業法の方が適用除外だからこちらの方も同じようにすべきだということではないというふうに考えております。

塩川委員 いや、同じ千人という組織で切った場合の比較をしているわけで、先ほど西野副大臣がちょっと言われましたけれども、備えあれば憂いなし、千人以下の組織においても同じような規制をかけるということについて、保険業法ではかかっていないじゃないですかということを申し上げて対比したわけです。

 今のお話をお聞きしましても、全体としては負担はかからないんだというお話でしたけれども、しかし、本当にそうなのかということだと思うんです。大体、当事者の方にお聞きしましても、今お話もあった、負担のかかるものと言われていた外部監査の導入ですとか共済計理人の選任、関与などは、負担が大きいという声が実際出ていると思うんですけれども、どうですか。

古賀政府参考人 共済計理人の関与が義務づけられるような長期のものであるとか、あるいは払い戻しがあるような複雑な計算を必要とする、そういう保険を実際に行っているところはほとんどないというふうに承知をしております。

 仮にこれからそういうものを始めたいということであれば当然そうした負担は生じるわけですけれども、これも、例えばそういう契約を一つつくるからといってその共済計理人を常駐させなくてはいけないということではなくて、それをつくるとき、あるいはその結果のいろいろな計算書類を出すときにちゃんと共済計理人が関与をして、これなら大丈夫だということをやってもらえばいいということになりますので、これはそれほど大きな負担になるとは考えておりません。逆に、それだけ複雑な保険契約をやろうというようなところは余り小さいところはないだろうというふうに思っております。

 それから、外部監査の義務づけにつきましても、これは、金額はこれから検討させていただきますけれども、少なくとも数十億とかそういうようなレベルになってまいりますので、そんなに小さな組合が対象になるというふうには考えておりませんし、その部分のコストというのは最終的には契約者の掛金に反映をされるということになるかと思いますけれども、それだけの契約規模が大きいところであれば、それを非常に薄く割り振っていった場合に、それで何か事業が非常に困難に陥るというようなことはないだろうというふうに思っております。

塩川委員 今のお話のように、共済計理人にやってもらうような複雑なものは、現状、一千人以下のところではありませんよと。あわせて外部監査も、基準はこれから決めるにしても、数十億という例を挙げましたって、数十億という規模では現状ではないでしょうと。

 であれば、外部監査の導入ですとか共済計理人の選任、関与などについては、例えば一千人以上の仕切りにしたっていい話なんじゃないですか。それを、今回のように組合全般に対する措置として行うという点で、筋が通らないんじゃないのか、保険業法の並びでもこれは説明がつかないんじゃないですかと言っているんですが、どうですか。

望月政府参考人 先生、今部長の方からお答えしましたように、実態という面では申し上げたとおりでございますからそういうことですが、筋が通らないという観点からいえば、筋から考えれば、そういう複雑な保険をやる人が、共済計理人がいるんだし、長期のものをやるのは共済計理人がいる、そういうことになるわけでございます。したがって、むしろ制度の規制でございますので、万が一、少人数だけれどもそういうものをやりたいという人が出てきた場合に、そこが筋が通らないような制度にならないようにしなければいけないということで規定したわけでございまして、直ちに実態の上で規制されるような組合が数多く出てくるということは予想できないというふうには思っているわけでございます。

塩川委員 いや、制度であれば実態から出発すればいいわけで、そういう意味でも、千人という基準を一つ引くのであれば、それ以外は対象外にするということの方がよっぽど筋が通っていると思いますよ。

 その点で、例えば外部監査の話ですけれども、一定負債額以上は義務づけるということですが、金額は今後政省令で決めると、先ほど数十億円という言い方をされましたが。では、例えば会社法で義務づけられている外部監査導入というのは、どの程度の規模の会社が対象となっているんでしょうか。

古賀政府参考人 今、共済組合について規定しようとしておりますのは負債の額ということで検討しておるわけですけれども、負債の額ということで比較をしていけば、会社法の方では二百億というのが一つの基準になっているというふうに承知しております。

塩川委員 負債の二百億円、これは資本金でいえば五億円ですよ。いわば大企業ですよ。大企業と同じものを中小企業の協同組合事業に当てはめるということ自身が、これはやはり過大な負担増になるというのは明らかじゃないでしょうか。

 ですから、私は、共済事業を営む千人以下の組織であっても、保険業法の適用除外となる組織は新たな負担なしで済むのに、しっかりと組織運営をしてきた中小企業の組合には新たな負担の押しつけが行われるという点で、筋が通らないと思います。

 この際に、備えあれば憂いなしの話もありましたけれども、契約者保護ですとか組合員の利益を守ることにつながるんだということの説明がよくあります。私、契約者の保護とか組合員の利益を守るというのであれば、協同組合の共済事業に対する一律の規制の押しつけではなくて、現実に問題となった事件、事例から教訓を導き出して対応策を考える必要があるんじゃないでしょうか。

 そこで、四例ほどそういう問題のある事例がこの間も紹介されていますけれども、共済事業に係る事例は一件ということですね。佐賀の商工共済組合ですけれども、この佐賀商工共済組合の破産事件の概要について紹介をしていただけますか。

古賀政府参考人 佐賀商工共済協同組合についてお尋ねでございますけれども、これは、組合員数でいいますと一万五千人を超えるというような大規模な共済の事業を行っている組合でございました。この組合は、共済事業と組合員などからの借り入れと貸し付けというようなものを実施しておったところでございます。

 この共済掛金等で組合員から集めました資金を外債、具体的にはアルゼンチン債、ブエノスアイレス債と呼ばれるようなものでございますけれども、そういったものに運用したりしておりまして、これらの失敗、あるいはそういったものの会計上の処理の仕方とか、そういったところに不適切なものもあり、結果的にはこれが破綻をして組合員に大変な迷惑をかけたというような事例でございます。

塩川委員 この事件については裁判になっておりまして、先日の審議で三谷委員の方から御紹介もありましたけれども、地裁の方から和解案が出されております。

 和解案の内容について紹介しますけれども、今年の三月三十日に、県などの責任を認めて、組合員の実損額の六五%の支払いを求める和解案を佐賀地裁が提示しました。佐賀地裁は、県知事は、商工共済の経営状況が相当に厳しく、多額の負債を粉飾していることは十分に認識しており、新たな共済金等の受け入れを制限するとか、現在の経営状況を反映した財務諸表を公開するとかの指導、命令をすべき義務があったとして、県の責任は免れないと結論を出しております。

 ですから、改めるべきは、協同組合の共済事業に対する一般的、全般的な規制策ではなくて、まさにこの事例から教訓を導き出すのであれば、佐賀県の監督責任をきちんと明らかにすることこそ経済産業省、中小企業庁が行うべきことではありませんか。

古賀政府参考人 今御指摘のありましたケースにつきましては、今係争中でございまして、今御紹介いただきましたような和解案が提示をされているということも承知しております。そこの損害賠償責任等について最終的に結論が出るまでにはまだ少し時間がかかるのかもしれませんけれども、そこの事実認定のところについて私どもが何かここで申し上げるというわけにはいかないわけです。

 こうした問題、これは共済の事例でございますけれども、そういった事例があった。あるいはその他のケースでも破綻事例が出たというようなことを踏まえまして、特に共済事業につきましては、従来は、共済事業ということではなくて、一般の組合としては、法令に違反する疑いがあるというような場合にはいろいろな行政上の権限を発動することが可能だったわけですけれども、今回は、共済事業を行っている組合に対しましては、そういうことではなくて、随時、経営の状況が、これはおかしいというような事態を把握すれば、いつでも例えば報告徴収を求める、あるいは立入検査をすることができるというようなことに、もちろん必要に応じていろいろな指導あるいは命令もできるような仕組みに整えていくということを行おうとしているわけでして、これを着実に実行することによってこういった破綻事例を最小限に食いとめていきたいというふうに考えております。

塩川委員 一般的な話じゃなくて、この事件から教訓を導き出すべきだと言っているわけですよ。そういう意味でも、佐賀県は、破綻をする数年前から深刻な経営状況にあるんだということを把握していて、内部で文書も上げているわけですよ。そこが今問われているわけです。

 組合員の皆さんにしてみれば、それこそ毎月数千円の掛金で、老後の安心のために使っていたような、そういったお金というのが二割、三割しか返ってこないという話ですから、とんでもないという怒りになっているわけで、そういう点でも、佐賀県がやるべきことをやらなかったということが問題となっているんじゃないですか。

 加えてお聞きしますけれども、現行の制度でできることをやっていなかったという点で問題となることの一つに、佐賀県は、知事そのものがこの共済協同組合の理事長の引き継ぎにもかかわっていたんじゃないですか。

古賀政府参考人 今御指摘いただきましたとおり、このケースについては、県がどのような監督をしていたかということがもちろん問題になってくるわけでございます。仮に、定款あるいは法令に違反するようなことをやっていたという事実を知っていて、それを何の措置もしなかったということであれば、当然、この法律が想定している枠組みであります監督というのが適切に行われていなかったということになるわけですけれども、そこの事実認定というところについては、これはたまたま県所管で佐賀県が責任を負っているという法律的な枠組みになっておりますので、そこのところは、私どもとして、知事がそれを知っていたはずであるということを認定するようなことはいたしかねるわけでございます。そこは、現に裁判で争われているわけでございますので、そこで明らかになっていくだろうというふうに考えております。

塩川委員 いやいや、今回の法改正をする際に、問題となる事例があるからということが理由の一つになっているわけでしょう。まさに共済事業で問題となっている佐賀商工共済協同組合の事例について、何でこんな基本的なことを知らないんですか。

 そもそも、国会で二〇〇四年、破綻をしたときに議論になっているじゃないですか。民主党の原口委員が、佐賀の方ですから、この問題を取り上げて、望月長官だってちゃんと答弁しているでしょう。そういう点では、理事長の引き継ぎに知事が関与をしていたという事実ははっきりしているんじゃないですか。

望月政府参考人 国会での御議論については私も承っております。しかしながら、事実についての確認は私どもできておりませんものですから、そこについて、私どもから知事が関与していたということを申し上げることはなかなか難しいというふうに思っているところでございます。

塩川委員 ですから、こういう審議をする際に前提となる問題となる事例の内容について把握もしていないのが大問題じゃないですか。

 これは、二〇〇四年の八月二十五日に、佐賀県議会のこの問題での特別委員会で参考人質疑が行われました。その際に、当時の理事長であった水田さんという方がおいでになった。この方は県議会の議長も務めた自民党籍の方ですけれども、この方が出席をされて経過を説明しました。

 その水田元理事長は、平成八年、井本知事より電話があり、お願いができた、何ですか、うんと言ってくれれば言うさい、何ですか、うんと言いましょう、商工共済の陣内氏の後、理事長をやってくれと言われて、全容がわからぬまま、陣内氏の後なら相談しながらやっていけるだろうと思い承諾をしたと述べているんです。このときに、同時に参考人で井本知事も出席をされております。井本知事も、そがん言わんでうんと言わんねと言ったのは事実だと認めているじゃないですか。

 当事者自身が、この理事長職の交代、引き継ぎに当たって知事、県の関与というのをはっきり認めている特別委員会での参考人質疑の問題について、そんなことも知らないで、問題があるから法改正を行うなんということは、これは片腹痛い話だ、とんでもないことだ、大臣、そう思いませんか。

望月政府参考人 本件について、佐賀県の中で、理事長交代等々のあれがあって、その後の責任問題についての議論が起こっていて、それがいまだに、例えば、この間の地裁の和解案に対しても県がみずからの法的責任はないと言っておられるというように争いがあるわけでございますから、その争いがある中で、ある事実について、私ども自身が事実認定したわけでもないことについて、あたかもそれを証明することはできないし、その一方についてここで私どもお述べ申し上げることが適切かどうかということであろうかと思います。

 いずれにしても、もともと県が本件についての許認可のすべての権限を持っているというところから始まっているものでございますので、私どもとしては、そういった地方自治体が許認可権限を持っておられることが適切に運用されるような観点から、環境整備として制度上の問題点はないかということは、この佐賀共済のケースも問題の一つとして、前提といたしまして本件の法律の改正を考えたということでございます。教訓を踏まえていないかといえば、教訓は踏まえていると思いますけれども、個々の事例について私どもがこれ以上立ち入るわけにはいかないということでございます。

塩川委員 水田さんの前の理事長の陣内さんという方がどういう方かというのも答えができないということですか。

望月政府参考人 御面識はありますけれども、どういう方かということについて私が述べるのが適切だとは思いません。

塩川委員 御案内のとおり、佐賀県の陣内さんといえば参議院議員の方でいらっしゃるわけで、いわば、自民党の参議院議員の方から自民党の県会議員の方に理事長職が引き継がれているのですよね。そういう中で、県としても、監督責任はあるけれども、問題を把握しながらその時点で明らかにしないで、かえって被害が拡大をしてしまったというのが今回の事件だったのじゃないのかと。こういうことについてきちんとした教訓や総括も明らかにすることなしに、単純にこういう形で、これを理由にこの制度の規制強化を行うということは筋違いだということを私ははっきりと申し上げたいと思います。

 そもそも、相互扶助の協同組合の福利厚生事業としての共済事業に対し、不特定多数から保険料を徴収することでもうけを追求する保険会社の保険事業と同じ基準を当てはめようとすること自身が間違いであります。明確に区別をすべきだということが前提だと思っています。

 何でこんなことになるのか。私は、やはり、先ほど達増委員からの御質問もありましたけれども、アメリカと日本の保険業界からの要求が背景にあるのじゃないですかと率直に思います。

 例えば、今、規制改革・民間開放推進会議に対する規制改革要望は、六月と十一月に行われるわけですが、きれいな花などに例えて、六月があじさいで、十一月、秋がもみじというそうですね。二〇〇五年六月のあじさいのときにも、在日米商工会議所は、共済と民間保険会社間の平等な競争環境の確立、あるいは外国損保協会は、制度共済と保険会社間の平等な競争環境の確立ということを述べています。

 そこで、伺いますが、ここでも出されている制度共済というのは何を指しているのか。そういう中で、保有契約件数での市場シェアがどの程度になるのかについて、保険全体を含めた中での共済事業、さらにいえば中小企業共済です、今回対象としているものですね、シェアがどの程度か、教えてください。

古賀政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる制度共済と呼ばれておりますのは、各種の協同組合関係法、当省が所管をしております中小企業組合法もございますし、それ以外のものもございますけれども、そういった各種の組合制度などにおいて実施されている、そういう法律に基づいて設立された組合で実施されている共済事業のことを意味するものというふうに理解しております。

 もちろん、これは私どもの所管外のものもございますので、すべて正確に把握しているということではございませんけれども、代表的な制度共済としましては、御案内のとおり、農業協同組合法に基づいて農協において実施されている農協共済、それから、消費生活協同組合法に基づいて生協において実施されている生協共済、それから、中小企業等協同組合法、この法律で行われている制度共済といったものが代表的な例でございます。

 そういった共済につきましての統計というのは、何か統一的に正式な数字というものがとれているわけではないのですけれども、私どもが把握している範囲で申し上げれば、件数で見ますと、例えば民間の損害保険が一億四千万件程度、それから生命保険が二億二千万件程度、そういう億という単位でございます。そして大きな共済としては、農協共済が約六千万件程度、それから生協共済が三千二百万件程度、そして私どもの中小企業共済が約二百八十万件というふうに理解しております。

塩川委員 配付資料の一枚目にありますように、この間、簡保などの割合も下がっていますから、全体とすると共済が伸びているのですよね。ですから、その共済を市場として参入したいという業界の要望は大変大きいというのが今回の、例えば昨年などの保険業法改正の背景にあると思います。

 ですから、二枚目に見ましたこの資料なども、先ほど達増委員が紹介されたような要望がこういう形で書かれています。三枚目は、これは中小企業庁に対して在日米国商工会議所が出された要望であります。ここにもイコールフッティングと。いわば出自の違う、対象も違う、広くもうけを対象に不特定を対象にするような保険事業とクローズドの組合を、相互扶助の共済事業を一緒くたにしてイコールフッティングだということを要求しているわけですけれども、こういう要求に対しては聞く耳を持たないというのが経済産業省の立場なのかという点を最後に伺いたいと思います。

望月政府参考人 先生の御配付の今の資料は、この法律案の、中政審答申に対するパブリックコメントを募集したときの在日米国商工会議所から出されたものだと思います。

 私どもは、先ほど来、この御審議の中で申し上げておりますように、民間保険会社に対する規制というものが保険契約者の保護ということを第一義に考えていることに比べまして、この組合共済は、組合員の相互扶助という観点からの共済事業ということからすればおのずと一番大事なところで立脚しているところが違う部分がございますので、それが完全にイコールフッティングであるということからスタートする必要はないというふうに考えておるところでございまして、今回御提案申し上げているような制度にしていただければというふうに思っておるところでございます。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

石田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 政府は、中小企業組合の破綻を本法案の提案理由として挙げています。組合の破綻は組合員の利益を損なうものであり、当然必要な対応がなされなければなりません。しかし、共済について破綻した事例は一件のみであり、この案件は、本来、現行法の枠内で当該県当局が責任を持って監督すべきものでした。それができなかったのは、現行法制に問題があるのではなく、法の効果的な運用を妨げた政官業のもたれ合いにこそメスが加えられるべきものでした。

 本法案の反対理由の第一は、米国政府の規制改革要望に端を発した、共済と民間保険会社間の平等な競争環境の確立を求める日米保険業界の要求に沿うものとなっているからです。これは、中小企業組合員の利益保護、組合活動の発展方向に背を向けるものです。

 第二は、中小企業の特定組合員みずからの福利厚生事業の一環である共済事業を、不特定多数を対象とする民間の営利目的の保険事業に取り込もうとするものであるからです。これは、相互扶助の精神に基づく中小企業組合の共済事業の存続、継続を脅かし、根本的にその性格をゆがめるものになるものであります。

 例えば千人以下の組合の共済にまで規制を行いますが、保険業法でさえ自己責任が問える範囲として適用外となっており、本来組合自治の原則のもとに運営されている中小企業協同組合に対して、不必要で過剰な負担を強いるものです。

 また、千人以上の大きな組合に、兼業禁止や健全性の確保の基準など、実質上保険会社と同様の基準を導入しますが、健全性を過剰に求める余りに、共同事業としての共済事業が事実上否定されかねないものという中小関係者の懸念は当然のことであります。

 なお、本法案は、組合運営の適正化、規制の強化を行います。一定の規律強化の措置は必要であると考えますが、組合自治の原則で運営されることが基本であります。組合は中小業者が集まった組織であり、その点で、大会社とは区別した配慮が欠かせません。員外監事の導入など、慎重な配慮を求めて、討論を終わります。

石田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、増原義剛君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、中小企業組合が、組合員による自治のもと、事業の健全な運営を確保し、信頼性の向上を図ることができるよう、次の諸点について、適切な措置を講じるべきである。

 一 中小企業組合が本法による規律強化の措置に円滑に対応できるよう、法令等の周知徹底に万全を期するとともに、その支援のための相談体制等の強化を図るものとし、併せて、都道府県と共に、早急に中小企業組合の実態の把握に努め、必要に応じて業務の適正な実施を確保するための適切な指導に努めること。

 二 中小企業組合が行う共済事業については、本来の相互扶助といった性格及び組合の自律的運営との調整に留意しつつ、契約者等の保護を図る観点から、国と都道府県の間及び省庁間の連携強化に努めるなど、適切な監督・検査体制の整備に万全を期すること。また、組合の本旨に即した事業内容とする観点から、事業範囲、商品内容、運営の仕組み等の事業の在り方についても不断に検討を加えるとともに、共済事業の適切な実施に必要な知見を有する人材を確保するための研修等の支援措置の拡充に努めること。

 三 中小企業組合の活動の一層の活性化に資するため、組合運営に関する知識・経験の豊富な人材の育成や、組合組織の活用事例等の情報提供に積極的に取り組むとともに、中小企業組合が創業及び新連携等の受け皿として今後も活用されるよう、さらなる環境の整備に努めること。また、中小企業組合制度の今後の在り方について、昨今の社会経済情勢の変化に適確に対応するため、さらに検討を進めること。

 四 景気が全体として着実に回復に向かうなかで、地域、業種及び企業規模等による景況のばらつきが残る現状を踏まえ、金融等のセーフティネット整備などの支援策が中小企業の実態に即して適時適切に実施されるよう、関連中小企業施策の一層の整備拡充に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、二階経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。二階経済産業大臣。

二階国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

石田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、意匠法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 意匠法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 意匠法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 本法律案は、我が国産業の国際競争力を強化するため、産業財産権の一層の保護を図るとともに、模倣品対策を強化するための所要の改正を行うものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、デザインの保護を強化するため、意匠権の存続期間の延長、操作画面に係る保護対象の拡大、関連意匠や部分意匠の出願期限の延長等の改正を行うこととしております。

 第二に、特許権の取得を容易にするため、出願を分割できる時期を追加するとともに、公平な審査を行う観点から、出願の補正を制限することとしております。

 第三に、ブランドの保護を強化するため、小売業者等が使用する商標を役務商標として保護する制度を導入し、また、団体商標の商標登録を受けることができる主体を拡大することとしております。

 第四に、模倣品対策を強化するため、模倣品を輸出することや譲渡等の目的で所持することを産業財産権の侵害行為とするとともに、産業財産権の侵害や不正競争についての刑事罰を強化することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十七分散会


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