衆議院

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第21号 平成18年6月9日(金曜日)

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平成十八年六月九日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 桝屋 敬悟君

      井澤 京子君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      北川 知克君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      塩谷  立君    平  将明君

      長崎幸太郎君    丹羽 秀樹君

      野田  毅君    早川 忠孝君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      松島みどり君    武藤 容治君

      望月 義夫君    森  英介君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      川端 達夫君    吉良 州司君

      北神 圭朗君    佐々木隆博君

      野田 佳彦君    松原  仁君

      三谷 光男君    高木 陽介君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 塩沢 文朗君

   政府参考人

   (総務省大臣官房技術総括審議官)         松本 正夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     奥田 真弥君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          北畑 隆生君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          石田  徹君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          豊田 正和君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     井澤 京子君

同日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     丹羽 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

六月五日

 新聞の特殊指定堅持に関する請願(石崎岳君紹介)(第二五六二号)

 同(木村太郎君紹介)(第二五六三号)

 同(小平忠正君紹介)(第二五六四号)

 同(下条みつ君紹介)(第二五六五号)

 同(神風英男君紹介)(第二五六六号)

 同(中山成彬君紹介)(第二五六七号)

 同(仲野博子君紹介)(第二五六八号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第二五六九号)

 同(金田誠一君紹介)(第二六二三号)

 同(丹羽雄哉君紹介)(第二六二四号)

 同(三井辨雄君紹介)(第二六二五号)

 同(今井宏君紹介)(第二六六〇号)

 同(大野松茂君紹介)(第二六六一号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第二六六二号)

 同(中野正志君紹介)(第二六六三号)

 同(永岡桂子君紹介)(第二六八六号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第二六八七号)

 同(古賀誠君紹介)(第二七一九号)

 同(新藤義孝君紹介)(第二七二〇号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第二七二一号)

同月八日

 新聞の特殊指定堅持に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第二七六六号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第二七六七号)

 同(野田聖子君紹介)(第二七六八号)

 同(松本文明君紹介)(第二七六九号)

 同(安住淳君紹介)(第二八四四号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二八四五号)

 同(小川淳也君紹介)(第二九三一号)

 同(梶山弘志君紹介)(第二九三二号)

 同(上川陽子君紹介)(第二九三三号)

 同(木村義雄君紹介)(第二九三四号)

 同(北村誠吾君紹介)(第二九三五号)

 同(倉田雅年君紹介)(第二九三六号)

 同(徳田毅君紹介)(第二九三七号)

 同(中川昭一君紹介)(第二九三八号)

 同(林潤君紹介)(第二九三九号)

 同(望月義夫君紹介)(第二九四〇号)

同月九日

 中小自営業の女性起業家・家族従業者に対する支援の充実等に関する請願(石井郁子君紹介)(第三〇二三号)

 同(原口一博君紹介)(第三三一〇号)

 中古家電規制の猶予期間延長を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三〇二四号)

 新聞の特殊指定堅持に関する請願(枝野幸男君紹介)(第三〇二五号)

 同(菅原一秀君紹介)(第三〇二六号)

 同(田村憲久君紹介)(第三三一一号)

 同(中川秀直君紹介)(第三四一一号)

 同(細野豪志君紹介)(第三四一二号)

 同(御法川信英君紹介)(第三四一三号)

 特定家庭用機器再商品化法の見直しに関する請願(大畠章宏君紹介)(第三三〇九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官塩沢文朗君、総務省大臣官房技術総括審議官松本正夫君、経済産業省大臣官房総括審議官松永和夫君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官奥田真弥君、経済産業省経済産業政策局長北畑隆生君、経済産業省貿易経済協力局長石田徹君、経済産業省商務情報政策局長豊田正和君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長広瀬研吉君及び中小企業庁長官望月晴文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝でございます。

 本日は、経済産業委員会で質問をさせていただく機会をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。

 まず、きょうは、今国会で成立しました中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律に基づく具体的な今後の対応などについて質問させていただきます。

 まず、こちらのパネルをごらんいただきます。三月二十九日の経済産業委員会で、こちらのパネルにありますように、物や場所に張りつけられたICタグの情報を読み取ることができるICタグリーダーつき携帯電話を実用化することがユビキタス社会の実現に不可欠であると質問をさせていただきました。

 その後、最新の総務省と民間企業との連携による開発状況、ICタグを読み取ることができる携帯電話の市場への導入の見込みとその時期、また当初想定されている利用分野、さらに携帯電話が将来のユビキタスネットワーク社会にどのような変革をもたらしているかについて、総務省の見解をお伺いいたします。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、二十一世紀になりますと、情報通信技術というものが日常生活の隅々まで利用される、国民がその利益を享受できる時期が来ると思っておりますが、それを我々はユビキタスネット社会と呼んで、その実現に向けて今施策を講じているところでございます。

 その一環として、この時期になりますと、いわゆる電子タグと言われるものが大変重要な役割を担うものと思っております。物流でありますとか、子供の安心、安全の確保、あるいは医療過誤の防止、さまざまな分野で利用されるということが今期待されておりまして、その研究開発を、私ども産学協力して実施しているところでございます。

 この電子タグを利用するに当たりまして大変重要な役割を果たすと思われますのが、先生御指摘の電子タグの読み取り機能つき携帯電話の普及でございます。この実現に向けて、今総務省では産学協力いたしまして研究開発を進めております。その実証実験も既に行われているところでございます。この機能を持ちました携帯電話を開発している民間企業の開発状況によりますと、年内にも実用化したいということで研究をしている、開発をしているというふうに伺っております。

 こういったシステムが実用化され、多くの携帯電話にその機能が搭載されるということになりますと、いろいろなところに張られました電子タグを自由に読み取ることができるようになる。食品の安全でありますとか薬の飲み合わせの確認でありますとか、あるいは観光案内、それぞれの町に張られた電子タグを読み取ることによって地域の観光案内にも活用できるということで、ユビキタスネット社会で大変有効な役割を果たしていくものと思っています。

 私ども、そういう観点から今後とも研究開発を推進してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 ただいまの御答弁から、いよいよICタグが読み取れる携帯電話の実用化の見通しが開けてきそうだという気がいたしております。ぜひこの技術を、国内市場だけではなく、国際市場も視野に置き、国際貢献できる、オープンでユニバーサルな技術、システムに成長させていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 六月一日には厚生労働省から、二〇〇五年の出生率が、前年に比べ〇・〇四ポイント下がり、一・二五まで落ち込んだことが公表されました。予想を上回る速度で少子化、人口減少が進んでいると言えます。

 このような中、経済産業省は昨年十二月二日に、人口減少下における地域経営の報告書を発表されました。この報告書では、二〇〇〇年国勢調査をもとに、都市間の通勤状況などを踏まえ、全国で二百六十九の都市雇用圏を定めた上で、二〇三〇年の地域経済のそれぞれの姿を検証しています。

 具体的には、二〇〇〇年の国勢調査の将来人口推計値をもとに、二〇三〇年の二百六十九の都市雇用圏の人口を推計しています。その結果は、東京を除くほかの二百六十八の都市雇用圏は人口が減少する、そして大都市を中心とした三十五の都市雇用圏以外は、域内の総生産すなわち経済規模も縮小するという内容でございます。まさに、このままの状態では、二〇三〇年に向けて地域経済は急速なスピードで縮んでいくという衝撃的なレポートだと思っております。

 私も、今後の地域の活性化策を考えていく場合には、実際の経済社会的なかかわり合いが深い複数市町村のまとまりを単位として、効果的な施策を講じていくべきであると常日ごろ考えております。

 そこで、お伺いさせていただきます。

 経済産業省は、都市雇用圏などの複数市町村から成る経済社会圏を単位とした自律的な取り組みがなされるために、具体的にどのような地域経済政策を展開していこうとされているのか、お考えをお示しください。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、例えば関西で申し上げますと、従来、芦屋市とか神戸市とか西宮市とか、そういう市町村単位でいわゆる地域活性化策とか地域経済産業政策が講じられてきたわけでございますけれども、実際の地域経済、住民生活は、市町村の枠を超えて、多くの場合、複数市町村から成り立つ都市雇用圏というような形で成り立っているということでございます。

 また、少子高齢化が進みますと、ある施設がある都市で足りないとか、あるいは同じ機能を持った施設が隣接の市町村で同じようにあるとか、そういったような状況も出てまいりますので、我々といたしましては、経済社会的に一体性を有する単位を対象とした総合的な地域活性化策をぜひ講じていっていただきたいというふうに思っておりまして、昨年の報告書をつくらせていただいたわけでございます。

 現在取りまとめ中の経済成長戦略大綱におきましても地域活性化というのは大変重要な柱の一つになっておりまして、その中で、複数市町村圏単位での地域活性化を念頭に置いた施策のあり方について検討を進めております。

 一例といたしましては、地方におきます食品とか繊維などの生活関連製造業ですとか農林水産業などのいわゆる地域資源を活用した新商品の開発とか販路の開拓への支援、こういったものを複数市町村圏単位で地方活性化総合プランという形で実行いたしまして、五年間で千の新たな取り組みの創出を目指す、そういったことを取り上げていきたいというふうに思っております。

 当省といたしましては、これらの実行を通じて、また必要に応じまして関係省庁とも連携をとりながら地域の活性化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

近藤(三)委員 今回の経済産業省の報告書は二〇〇〇年の国勢調査をもとに分析されていますが、予測よりも二年早く、昨年我が国は、戦後初めての人口減少社会に突入しております。

 また、先般、二月二十日の予算委員会で質問に立たせていただきました。今後の国のさまざまな政策を立案する上からも、最新の将来人口推計値を極力早く公表してほしいと要望いたしましたところ、これに対し川崎厚生労働大臣から、本年秋までには二〇〇五年の国勢調査をもとにした将来人口推計値を公表したいとの御答弁をいただいております。

 人口減少動向や市町村合併などの地域の実情を踏まえ、ほかの市場からも存在感のある経済社会圏に成長していきますよう、検討を今後とも進めていただきたいと思います。

 御案内のとおり、日本の企業の九九%以上が中小企業でございます。二次、三次産業の従業者のおよそ八割が中小企業に従事され、中小企業の活力そのものが地域経済の源でございます。

 中小企業の実態などにつきましては、先般、四月二十八日に中小企業白書が公表されました。白書では、それぞれの中小企業のたゆまぬ経営努力によって、バブル崩壊以降中小企業が抱えてきました債務、設備、雇用の三つの過剰をおおむね克服し、企業にとって収益が上がりやすい明るい環境が整い始めたと報告されています。

 しかし、一方では、人口減少社会、熟練技術者の高齢化、東アジアとの激烈な競争、大企業と中小企業との系列構造の変化など、まだまだ中小企業を取り巻く環境は厳しいものがあると思います。

 こうした中、製造業は、大企業の業績向上が部品や原材料の納品という形で直接地域の中小企業の利益につながる傾向にあるため、製造業や地域経済の改善に主導的な役割を担うものと考えております。その意味からも、各地域におきまして、特に製造業部門の実力を高めていくことが重要であり、その支援策としてものづくりの基盤を支える中小企業の技術開発を後押ししていくことが大変重要だと考えております。

 このてこ入れとして今国会で成立しました中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律は、まさに時期を得たものと考えております。本法律は本年六月中に施行される予定であり、初年度のことしの取り組みがこの制度の今後の成否を握るものと思います。

 法律の施行以降、法律に定められている特定ものづくり基盤技術高度化指針の策定、中小企業者等による研究開発計画の策定と国の認定、個々の研究開発に対する財政的支援の手続が進められておりますが、具体的に今後どのようなタイムスケジュールでこれらの事項を進めていく予定であるのか、経済産業省にお伺いいたします。

望月政府参考人 お答えいたします。

 おかげさまをもちまして、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律は今国会で早期に成立をさせていただきました。私どももその施行を急ぎまして、来週、六月十三日に法律自身は施行することにいたしております。

 法施行後速やかに今御指摘の高度化指針を策定し、告示しなければいけないと思っておりまして、この策定作業はもう既に順調に進んでいるところでございまして、速やかに告示ができるものと考えております。その後、中小企業者がこの指針に沿いまして作成をいたします特定研究開発などの認定を行うということになっていく予定でございます。また、研究開発助成事業につきましては、認定を行った後に、認定を受けた中小企業者を対象に速やかに公募を開始したいというふうに思っておるわけでございます。こういった一連の手続を、今予定をいたしておりますのは、七月中ぐらいにはすべて公募開始まで持ち込みたいというふうに思っているところでございます。

 経済産業省といたしましては、これらの認定の受け付けの開始、研究開発助成事業の公募の開始についてできる限り幅広く周知を図りましてこの法律を円滑に施行してまいりたいと考えているところでございまして、そのためにも、地域の隅々までこの情報が行き渡りますように、スケジュールの確定をいたしましたら、地域の経済産業局などを中心にしていわばものづくりのキャンペーンを行っていきたいというふうに思っているところでございます。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 今の御答弁にありましたように、地域の経済産業局などを通じ、地域の企業の方々にこの法律の意味するところ、活用の仕方などを十分理解していただき、意欲的な取り組みにより、大きな成果を上げていただきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律の主役は、何と申しましても、イノベーションに挑戦するそれぞれの地域の中小企業の皆さん方だと思っております。しかし、地方の中小企業者にとりましては、大企業などの川下側がどのような技術を必要とし、どのようなものを製品化しようと考えているのか、そのニーズを把握することが難しい、そして、みずからの企業で提案できる革新的な技術開発内容や技術開発の道筋を文書化していくことが難しいなどなど、現状では、みずからの企業だけでは、そのために必要な人材、時間、費用を生み出していくことはなかなか難しいとの御指摘がございます。

 この課題を解決し、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律に基づく技術開発を円滑に進めるためには、平成十一年に施行されたものづくり基盤技術振興基本法の第十一条にもあります、中小企業者を中心としたものづくり事業者と大学、高等専門学校などとの有機的な連携をそれぞれの地域に適した形で進めていくことが大切であると考えております。

 そこで、こちらのパネルをごらんいただきたいと思います。

 このパネルは、本日二番目に質問いたしました二百六十九の都市雇用圏を、日本列島の上にブルーと黄色の二色に色分けして整理いたしました。二百六十九の都市雇用圏のうち、圏域人口が二十万人以上の都市雇用圏八十九をブルーで示し、二十万人以下の都市雇用圏はイエローで示しています。二百六十九の都市圏の中には人口規模の小さな都市雇用圏も多く含まれていますが、この規模の都市圏ですとなかなか産業の集積も難しいのが実情でございます。二十万人以上の人口を擁する都市雇用圏は八十九ありますが、一定の中小企業群の集積もありまして、中小企業間の連携により、新しい技術を生み出す基盤が整っていると考えられます。

 このパネルの赤丸が全国六十三校の高等専門学校、青の丸が主な理系大学を示したものなんですが、ごらんのように、二十万人以上の都市雇用圏の多くにこのような高等教育研究機関が存在しているということでございます。つまり、八十九の都市雇用圏には、地域の中小企業者が相談できる、技術支援を受けることができる大学などが配置されているということでございます。高専の中には、大企業のOBの協力も得ながら地域の企業に対する技術支援の体制も充実されつつあり、高専と地域企業との連携ならではの新技術も生まれてきていると聞いております。

 今後、ものづくり基盤技術に関する法律に基づき具体的な技術開発を進めるに当たり、地域の中小企業者間の連携を深めるとともに、川上の中小企業群と川下の大企業の連携を深めていくためには、学の立場から新たなイノベーションを生み出す積極的な役割を担うことを地域の高等専門学校や大学の高等教育研究機関に期待したいと考えますが、国としてどのような支援をしていこうとお考えなのか、経済産業省にお伺いいたします。

望月政府参考人 中小企業のものづくり法の関連の支援事業の一つに、地域の産業界と今御指摘の工業高専が連携して中小の製造現場を担っていく若手技術者を育てる事業というものを御提案させていただいております。その中で、今年度の予算でもございますので早速に募集を開始いたしましたところ、全国の工業高専と中小企業が連携してプロジェクトを提案してこられまして、現在のところ、約三十カ所で開始することになっている予定でございます。

 また、あわせまして、地域の産業界と理工系の大学などが連携をし、ものづくり現場の中核となる高度専門人材を育成するためのカリキュラム開発などを内容とする事業も昨年から実施しているところでございます。

 これら高等専門学校や理工系の大学などが中心となって展開する人材育成事業に中小企業者が参加することによりまして連携がより一層深まると考えております。また、研究開発助成事業などにつきましても、高等専門学校や理工系の大学を含めた研究機関等と連携した中小企業の研究開発についても対象としているところでございまして、こういった助成事業を通じまして、地域を核とした産学の連携が進むことによって中小企業のものづくりの基盤が一層強化されていくということを私どもとしては真に願っているところでございます。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 我が国と経済成長の著しい東アジア諸国との競争が非常に激しくなっております。アジア諸国との分業構造も、従来の雁行型から国際水平分業体制に移りつつあります。このような国際水平分業体制では、コアになる革新的な技術を、我が国の製造業を中心として、国内企業間の連携によりたゆまなく生み出し、新事業を創造していくことが、資源の乏しい国、我が国が生きる道と考えております。

 時間がなくなってまいりましたので、御用意させていただいておりました五問目を飛ばさせていただきまして、最後に、二階経済産業大臣にお伺いさせていただきます。

 そのためには、本日質問の中で指摘させていただきましたように、第一に、地域経済政策を効率的に行うための単位として通勤圏や生活圏など複数市町村から成る都市圏域を考え、地域産業政策を立案していくこと、第二に、圏域内の製造業を中心とした地元企業間の連携を一層深め、これまでそれぞれの企業が培ってきた高度で精巧な技術を互いに生かし、成長できる中小企業群としていくこと、第三に、このような都市圏域内の企業群を束ね、大都市などに立地する川下の企業と地元企業を結びつける役割をそれぞれの都市圏に配置されている高専や理工系の大学が担っていくという、地元企業と高等教育研究機関との緊密な連携を確立していくこと、この三つが必要ではないかと指摘させていただきました。

 これに対し、本日は経済産業省から、意欲的な姿勢と、効果を最大化するための連携施策などについて御答弁をいただきました。

 最後に、このような論点につきまして、経済産業大臣の御所見と、来年度の重点施策など今後の新たな取り組みについてお考えをお聞かせください。

二階国務大臣 ただいまは、さまざまな角度から中小企業ものつくりの発展のために御意見をいただいたわけでありますが、ちょうどたまたま、きょうの日でありますが、私は、経済産業省の出先の局長にお集まりをいただいております。

 それはどういうことかといいますと、今、今国会で御審議いただいております中小企業対策、とりわけ新経済成長戦略の中における中小企業の位置づけ等につきまして、それぞれの出先機関をフルに活用してこれから対応を図っていきたいということで、私から出先の局長に直接それらに対しての指示を行うと同時に、出先の局長以下二千九百名おるわけでありますが、そういう出先の一層の奮起を期待したいと思っておるわけであります。

 高等専門学校、工業高校を活用してということは私ども全く同感でありまして、これに対して対応いたしますし、最近は理科系の大学等との関係を深めていきまして、先般もある理科系の大学の学長がお越しになりましたので、できれば中小企業の冠講座を実験的にやらせていただけないかということをお願いしましたら積極的に賛同を得ましたので、準備が整い次第、中小企業のものつくりにいそしんでいる優秀な方々に大学で教壇に立っていただいて、そしてまた学生の諸君はその中から、中小企業であってもこんな立派な会社があるのか、卒業後ここに就職をしたいというふうな希望のまた新しい道が開けるのではないか、そのようなことを期待しているところであります。

 また、前に委員各位にもお配りしましたが、いわゆる「元気なモノ作り中小企業三百社」というのは今も経済産業省の中で展示をさせていただいておりますが、大変好評で、いろいろなところからの問い合わせが殺到していることと同時に、私たちが予期しなかったことで、例えば、三百社のそういうメンバーが、お互いにみずからの持っている知見を共有し合う、あるいはお互いに協力し合うという関係は今までほとんどなかったわけであります。

 大企業の場合には、いろいろな関係でお集まりになったり意見交換したり新聞広告が出されておるということで、お互いに、相手の会社が何を考えておるか、何を研究しているかおよそは見当がつくんですが、中小企業は残念ながらそういうところまで至っておりませんでした。

 今度、元気なものつくり三百社がお互いに共通の関心事を見出して融合するといいますか協調し合うということがどんどん出てきておる。また、海外からも問い合わせが殺到して、英文に訳したものなんかはいろいろな国の大使の方からも問い合わせがあったりして、中小企業の国際化という意味で非常にお役に立てたかなと思っております。

 なお、先ほど冒頭に近藤議員から携帯電話の問題についてお話がありましたが、我々は、携帯電話の問題について、これは重大な関心を持っておりますので、近く、今国会終了の時点で専門家にお集まりをいただきまして、携帯電話の今後さらなる発展のために、経済産業省としてこれを大いに取り上げて対応策を考えていきたい、このように思っておる次第であります。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

石田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。おはようございます。

 大臣は十時十分ぐらいから席を外されるようでありますから、それまでの間、大臣と議論させていただきたいと思います。

 きょうは、一般質疑でありますから、二点だけ大臣と議論したいと思います。

 一点が新経済成長戦略の話、それからもう一点は大臣の御専門であります観光業、サービス業、とりわけ観光業の振興について御所見を賜りたいというふうに思います。

 それはそれといたしまして、国会もあと何日かで終わりそうな雰囲気でありまして、これほど課題が多いときに終わっちゃっていいのかと思いながら、ちょっと気の抜ける感じもするんですが、気を取り直してきょうの審議をしっかり行いたいというふうに思います。

 最初は、新経済成長戦略の話であります。

 現在、政府・与党におきまして、二〇一一年、だれが二〇一一年と決めたのか定かでありませんけれども、二〇一〇年代初頭ということで、二〇一一年がもうゴールになってしまった感がありますが、プライマリーバランスを何とか均衡させるということで、歳入歳出一体改革の議論が進められております。

 この歳入歳出一体改革の議論と同時に、どうも、我々が理解しております状況では、二階大臣のもとで進められております新経済成長戦略、これもやはり一体となって議論をした方がいいと。

 恐らく、想像するに、歳入歳出一体改革は、収入、税をふやして、あるいは歳出を削るということでありますから、いずれもつらい、苦しい話でありまして、どっちかというと暗い話ばかりでありますから、この委員会でも大臣御答弁になりましたように、やはり未来志向で、たとえ人口減少の時代であっても経済は成長するんだ、こういう方向性を打ち出したいということは、私、理解はしておるんです。

 しかし、歳入歳出一体改革も、とりわけ歳出改革、今自民党の中で随分議論されているようでありますが、我が党は与党の一員でありますが、もうついていくのも苦しいぐらいの実は思いであります。恐らくポイントとしては、公共事業をどれぐらいこれからも削っていくのか、あるいは地方歳出をどういうふうにしていくのか、新型交付税という話もあります、あるいは社会保障の分野をどう手をつけていくのか、いずれも困難な課題であります。簡単なことではないだろうと思っております。

 二〇一一年の数字を展望しますときに、例えば二十兆とか十八兆とかあるいは十七兆とか、これぐらいの数字を何とか埋めなきゃならぬ。下手をすると、三位一体ではありませんが、数字合わせのような議論がこれから続いていくんだろうと思っておりますが、その中で、二階大臣のもとで政府を挙げて今検討されている経済成長戦略、私は、これが誤解されても困るなと。

 確かに未来志向の明るい話題というのは政府が国民に打ち出すときに必要ではあろうと思いますが、歳入歳出の改革がどうしても展望できない、どうしても数字が余ってしまった、どうしてもここまでできないということで、とりわけ大臣がおっしゃっている、厳しい状況の中でも、人口が減少する中でも高目の経済成長をというこのキャッチフレーズが、歳入歳出、政府・与党で議論したけれども、どうしてもこれだけ差が埋まらない、あとは経済成長戦略に期待をするということだけで終わってしまったら、やはり財政構造改革というのは、成長戦略とは別に、これはまた財政の健全化を目指す大事な作業だろうと思っておりまして、ある意味では、むしろ厳し目の数字でいかなきゃならぬというふうに思うわけです。

 そんなことで、私は、下手に悪用されてはならぬな、老婆心ながら与党の一員としてこういう心配をしておるのでありますが、今後この新経済成長戦略を整理する上で、大臣、どういうふうにお考えになっているのか、御見解を伺いたいと思います。

二階国務大臣 経済産業省におきましては、前々から、人口減少という逆風の中にあっても新しい経済成長を実現する、そのためにどうあるべきかということの戦略を描き、また一つ一つ数字を積み上げてまいりました。

 ですから、よく何%成長、何%成長と経済の専門家が物知りとしておっしゃる場合があるわけでありますが、我々は、そういうことではなくて、一つ一つ積み上げてまいりました。若手も含めて、多くの職員が、ほとんど毎日のように徹夜に近いような作業をずっと続けてまいりました。中にはもう少し成長が見込めるんではないかとおっしゃっていただく有力な閣僚もおりますが、しかし、私どもの方は、今議員が御指摘になられましたように、ただ絵にかいたものであってはならぬわけでありますから、実現の可能性があるということが最も大事だ、こういうふうに思っております。

 今、実質経済成長、二・二%からもう少し上に行くんではないか、これを考えておるわけでありますが、これを十年間続けていきますと国民の皆さんの所得が三割方上昇するであろうということを私たちのねらいと考えておるわけであります。

 先般、OECDのグリアという事務総長とも意見交換をする機会がありましたが、日本経済が長い低迷の中にあったということはOECDにとっても大変心配事であった、ようやく元気を出して新しい成長の方向に歩むということは大変歓迎すべきことだと思う、したがって、この計画が公式に表に出た場合にはOECDとしてもしっかりしたコメントを発表させていただきたい、こういうことでありますから、グローバル社会の中においてOECDがコメントし、またサポートしていただくということは大変歓迎すべきことだと思っております。

 しかしまた、今おっしゃっておられたように、財政再建につきましても、政府は一丸となって取り組むべきことであることは、これはもう政府の最重要課題である、与党の最重要責任課題であるというふうに思っております。

 しかし、それじゃ、それだけで政治はいいのかということになりますと、私は、改革の後に何があるかということをやはり国民の皆さんに指し示すことが重要だという観点から、思い切って、人口減少下でもやれると。まず、口を開けば、少子高齢化時代がやってまいります、そして地方もまだまだまだら模様であります、中小企業もまだまだ元気がありません、よってというような話で、元気の出ようがないじゃありませんか。

 私は、そういうことで安穏としているよりも、我々は思い切って、あえて逆風をつくというぐらいの気概を持ってこの経済政策に取り組んでいくべきだというふうに考えておる次第であります。

 今、財政諮問会議におきましてもあるいは閣内におきましてもだんだんとその方向で収れんをしつつありますので、与党との間でも十分協議の上、間もなく新経済成長戦略大綱なるものをまとめて二〇〇六年の基本計画にこれを盛り込んでいく、そして実現が可能なように予算措置においても対応していく、こういう方向で取り組んでいきたいと思っております。

 そして、今議員から御指摘の歳出歳入一体改革、これはこれで車の両輪だと言われますが、もう一つ、新経済成長戦略と歳出歳入一体改革、これが車の両輪だと私は思っておるんです。そういう方向でしっかりとした取り組みを行ってまいりたいと思っておりますので、公明党におかれましても、どうぞ一層の御協力をお願い申し上げる次第であります。

桝屋委員 ありがとうございます。

 時間がないのですぐ次の質問に行きたいと思いますが、今の大臣のお心はよく理解できますし、我々も与党の一員として全力を挙げて応援していきたいと思っておりますが、大臣の御決意が大きければ大きいほど、先ほど私が懸念をいたしました、大臣の大きな決意が、志が変なところで数字合わせに利用されてもいかぬな、そこら辺はしっかり与党の一員として見ていきたいというふうに私は思っております。

 それからもう一点、観光業の振興でありますが、大臣、実は先日、我が党の経産部会で、立命館アジア太平洋大学の牧田先生に来ていただいて、これからのサービス業の振興、とりわけサービス業の生産性をどう高めていくのかということで議論をさせていただきました。勉強させていただきました。その中で、とりわけ観光業、観光、集客サービスといいましょうか、旅館業でありますとかホテル業、こうした業界の実態を聞かせていただきました。

 一言で言うならば、まさに観光地は今、厳しい状況の中で再生に向けてそれぞれが努力をされている、こういうふうに私は理解しておりますが、そんな中で、民事再生で一つのホテルだけ救われるということではなくて、やはり地域を挙げたまさに総合産業化という取り組みが大事ではないかというような話も聞かせていただきました。地域ブランド、ブランド力を高めるというような取り組みであったり、地域の商品開発能力を高めていくというような地域を挙げた取り組み、さらには地域金融のサポート、こうしたものが一体的に進められないとなかなか効果的なサービス業の振興というのはないんですよというような話を聞かせていただいたわけであります。

 地域のさまざまな主体の参画による地域ぐるみの取り組みということについて、二階経産大臣はまさにこの分野の専門家だと私は思っておりまして、大臣の御指導を受けたいという気持ちで、御所見をお聞きしてみたいと思います。

二階国務大臣 まず、アジア太平洋大学、これは立命館大学がおやりいただいているわけでありますが、私も先般、総理とともに、アジア太平洋大学が中心となって行う大分での国際観光フォーラムに出席をしてまいりましたが、我々の予想を超えたアジア太平洋大学の国際的な面、そして観光の分野に意欲的に取り組んでおられることに大変感心をした次第でありますが、今、公明党でそのお話をお伺いになったということを聞いて、意を強くするものであります。

 観光というのは、単なる物見遊山といいますか遊びのような感覚から、政治的にもあるいは行政の上においても、実は大きな位置づけではなかったわけであります。しかし、諸外国、先進国等を見ておりますと観光産業がその国の産業の中心部分に位置しておることに比べれば、我が国の観光産業に対する評価というものは余りにも低いということを思いまして、そんなことでは我が国の発展につながらないではないかという思いと、私も選挙区に多少の観光地、温泉を控えておりますので、そういう面の勉強はしてみたいなと思っておりました。そんなことから、だんだん観光の方に足を踏み入れたわけであります。

 私は、まだ専門家でも何でもありませんが、観光振興においては、今後、我が国の経済の振興の上にも大いに役立つ産業であるというふうに評価をしておる次第であります。

 いっとき、観光産業に従事している人は四百万人程度だということを言われておりましたが、きょうは議員の御質問に備えてもう一度調べてまいりましたら、今はもう既に四百七十五万人従事しておるということでありますから、大変すそ野の広い産業と言えるわけであります。

 そして、この産業の特徴は、もう既に議員が御承知のとおりでありますが、大都市は大都市なりに、過疎地は過疎地なりに、努力すれば努力しただけの効果が上がる産業であります。当然、大都市は人口も多いわけですから、観光客が多く入ってこられてもそれほど、それでもって経済がぐんと上がったというようなことにならないんですが、地方の小さい町になりますと、観光で大いににぎわっているところがあります。

 そういう事例を見ましても、私は、観光産業というのは、国土の均衡ある発展を図っていく上においても考えていかなきゃいけない。そして交通のインフラ、また携帯電話等の問題、ユビキタス社会の問題等についても、観光を通じてその地域が十分な対応ができておるかということを考えれば、鉄道が足りない、道路が足りない、あるいは港がない、いろいろな問題もそこで起こってくるわけでありまして、我々はこれに対する対応が大事。

 最後に、私がぜひ議員に御理解をいただきたいところは、外国から日本への観光客、ビジット・ジャパンといって国を挙げて大変熱心に取り組んでいただいているんですが、一千万人を目標にしておりますが、今ようやく七百万人に近づいてきましたから、恐らくこれは目標達成は難しいことではないと思っております。

 しかし、このままの勢いでずっと伸びていきますと、二〇三〇年には四千万人時代が来るということが数字の上で明らかになってまいりました。四千万人というとみんなちょっと首をかしげるかびっくりされるわけでありますが、現在のイタリアが四千万人であります。我々はイタリアよりはるかに小さい国で、イタリアよりはるかに魅力に乏しい国かというと、みんな、それに対してうなずく人はいないんじゃないか、そんなことはなかろうと。

 その証拠に、先般、イタリアの経団連の会頭がやってまいりまして、何とか日本との間で観光交流をしたい、こう言うんですね。これは、日本なんかうんと低いでしょう。イタリアがうんと上でしょう。それでも一緒にやろうということですから、諸外国からそういう声が届いておるわけですから、一層観光振興に御理解をいただくということ、大変心強く思っております。

桝屋委員 時間がなくなりましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

石田委員長 次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁でございます。

 まず最初に、外国人の労働者のことについてお伺いをしたいと思っております。

 現在の外国人の日本における労働者は、実習制度、研修制度というものがあるわけでありますが、この現状についてまず御説明をいただきたいと思います。

北畑政府参考人 御指摘の外国人の研修・技能実習制度についてでございますけれども、まず研修制度で一年、それから技能実習制度で二年ということでございまして、産業界の人材ニーズにもこたえつつ諸外国への技能移転を図る制度として定着しつつあるのではないかというふうに認識をしております。

松原委員 この実習制度ということでありますが、今何人ぐらいこれを活用して日本に来日をしているのか。また、これはアバウトで結構ですが、十五歳、十六歳で日本に来る方がおられるのか、最初の段階で何歳ぐらいが平均なのか。この辺の実態を教えていただきたい。

北畑政府参考人 二〇〇五年度での実績で申し上げますと、研修生として入っているのが五万七千五十人、技能実習生として入国しておりますのが七万五千三百十五人、合わせまして約十三万人ということになっております。

 年齢でございますが、詳細は把握をしておりませんが、日本人でいえば高卒レベルの方が多いんじゃないかというふうに考えております。

松原委員 人数でありますが、この人数については、これが適当であるかどうかとか、そういうふうな議論はなさったことがありますでしょうか。

北畑政府参考人 受け入れの企業あるいは産業界との関係だと思いますので、これが適切、適切でないというよりも、むしろ、こういう研修生を受け入れたいというニーズの方から決まってくるんじゃないかというふうに考えております。

松原委員 ニーズが高まればこの人数は十三万人から二十万、二十五万というふうにふえる、これは当然現実の、実社会のニーズの中であり得ることだ、こういうことでよろしいですか。

北畑政府参考人 先ほど二〇〇五年度の実績を申し上げましたけれども、二〇〇〇年度での実績が両制度合わせまして六万人、これが五年間で倍増しているわけでございますから、枠とかそういうものはございませんので経済の実態いかんだと思いますが、ふえていく可能性はあると思っております。

松原委員 この受け入れは、個別の企業で可能なのか、それとも何かそれを受け入れる組織、団体を通してやるのか、現実の具体的な話、実務的な部分を教えていただきたい。

北畑政府参考人 個別企業の部分と団体の部分がございます。

 個別企業の方は、海外、研修生を受け入れる国に合弁等の形で会社を持っている、工場を持っている、こういう企業については単独企業としてこういう制度が利用できるということでございます。それ以外に、団体として、業界団体あるいは全体の全国団体、そこで研修生を受け入れる。この二本立ての制度になってございます。

松原委員 こういう受け入れということがなされているわけでありますが、これは北畑局長のエリアかどうかわかりませんが、今団塊の世代が退職をここ数年で一気にいく、このことによってどれぐらいの中小企業において従業員が減少するかとか、当然経済産業省としてはその辺をウオッチしていないはずがないわけでありますが、もし御答弁できる方がおられたらお願いいたします。

北畑政府参考人 その種の正確な数字は把握をしておりません。

 団塊の世代が退職を大量にするのが二〇〇七年度からということでございまして、これは産業界にとって一つの大きな課題ではないかなと考えておりますが、恐縮ですが、正確な数字は持っておりません。

松原委員 西野副大臣、この団塊の世代が一気に大挙して、これは通告していませんが、一般論として言う中において、私もさっき大田区のある有名な中小企業、二階さんが選んだ三百社にも入っていますよ、社長に聞きました。うちの団塊の世代が引退する、外国人の研修生を受け入れざるを得ない、こういうふうな話であったわけでありますが、受け入れだって入管の手続とかいろいろあるわけでありますが、どれぐらい団塊の世代が減ってどういうふうにそれに対応しようかということに対して、経済産業省の内部でそういったことの議論はなされた経緯があるのかないのか、それだけ教えていただきたい。

西野副大臣 まさにお示しのとおり、団塊の世代の、二〇〇七年、来年度からそういう傾向にあるわけであります。これは総体的にそういうことでありますが、されば、どれだけの数でどういうようなことという数値につきましては、むしろ厚労省等が中心になって検討、把握をしているというように思っておりますが、経産省として、それらにつきまして情報を今後入手しながらむしろ進めていくべき問題だと思います。

 ただ、経産省としては、現在の産業界において、新たな人材育成を含めて新技術等々において、それらの団塊世代の労働力の低下という問題に対して対応していくような体系を、むしろ技術革新という意味で取り組むべく、今進めておるところでございます。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

松原委員 技術革新によってそういった人手が要らないように工場を整備するということもあろうかと思いますが、やはり人間がそこに介在しなければいけないものもある。私は、やはりそこは、個別企業のニーズと言いながら、実際、大田、品川の中小企業を回る限り、そのニーズはもう既に現状高まっているわけであります。やはりそれに対して、それは民間でニーズがあればやるんだよ、こういう話でありますが、経済産業省としてのこれぐらいは外国人労働者はふえるんだろうなという認識、私はこの辺で推測をするべきだと思うのでありますが、御所見をお伺いしたい。

北畑政府参考人 今副大臣の方から答弁があったとおりでございますけれども、労働力が足らないからそれを外国人あるいは研修生、こういうことで単純に考えるというのは必ずしも適切じゃないんだろうと思います。

 まずは、国内にある潜在的な労働力であって顕在化していない人、女性とか、それから今定年の問題がございましたけれども、六十歳になっても気力、知力、体力で何ら現役と変わらないという人はたくさんおられるわけでありますから、そういう高齢者の再雇用とか活用というのを考えていく。それから、副大臣から答弁がありましたけれども、一人一人の生産性を高める、機械に置きかえる、ITの活用をする、そういうことがむしろ主として考えるべきことだろうと思います。

 研修制度は外国に技術を伝えるというもう一つの方に趣旨があるわけでございますから、労働力の不足部分を研修生、外国人で置きかえるというふうに短絡的に考えるのはよくないんじゃないかなと考えております。

松原委員 局長、そうしたら、私が今言った大田区の中小企業が、団塊の世代がぐっと減ってしまうので何とか労働力を外国人に頼んでいかなきゃいかぬと、声としてあるんですよ。私はきょうも電話で聞いている。それは間違っている、そうおっしゃるんですか、お伺いしたい。

北畑政府参考人 国内にも、就職氷河期でなかなか就職ができず、そのままフリーターになっているという若者はたくさんございます。それから、先ほども申し上げましたけれども、高齢者で引き続き、技能、技術、体力、何ら遜色のない人たちはたくさんおられるわけでありますから、まずはこの人たちを雇用するというのが先だと私は考えております。

松原委員 彼らが工場の現場の、汗と油と、そういう職場に来ないという現状は認識をしておらないんですか。

北畑政府参考人 中小企業も含めまして、働きやすい職場をつくるということでありまして、一時、三K職場と言われましたけれども、その改善に取り組むということが基本だろうと思います。

松原委員 副大臣、局長はもうここまでしか答弁できないと思うんですよ。しかし、現実問題で、私が聞いている声は、団塊の世代が引退をする段階で、日本の今のフリーターとかそういった人たちが、メッキのにおいがぷんぷんするところとか、すさまじい超音波の音がする事務所とか工場とかに働きに来ることは現実的にはあり得ないということを知っているわけですよ。

 それを考えたときに、私は能書きは能書きであると思う。しかし、現実は現実として、そういったものを認識するということを役所がしておかないで、役所がきれいな職場になればいいですということできれいな職場になるわけではないんですよ。その辺をぜひとも、局長はこれ以上答弁できないと思いますが、これはこれ以上聞きませんが、やはり団塊の世代がどんどんと引退する中で、そういった外国人労働者というものの比重が深まらざるを得ないという現実は御理解をいただきたいと思う。また、そのための、そのときに万全なる受け入れ体制がとれるのかということも議論をしてほしいと思うわけであります。

 外国人労働者を入れるというこの決断をしたとき、先ほどから技術移転ということもおっしゃっていましたが、今回、外国人労働者のこういう制度ができた、そのそもそもの淵源はどういうことか、お伺いしたい。

北畑政府参考人 研修制度、技能実習制度が創設された趣旨は、先ほども御答弁申し上げたんですけれども、産業界のいろいろなニーズにこたえつつ諸外国への技能移転を図るというのが主たる目的であったと考えております。

松原委員 産業界のニーズを踏まえながら技能移転を考える、こういうお話でありました。私はそれでいいと思うんです。これは事実でしょう。

 ただ、日本の国としては、やはり外国人労働者を受け入れた場合に、彼らが地元に戻る場合も気持ちよく戻ってもらわなきゃいかぬ。彼らもロボットではありませんから、人間でありまして、生身の、切れば血が出る人間でありますから、彼らのさまざまな自己実現ということも顧慮しなければいけない。

 私は、外国人労働者を受け入れる上で、国としてのメリットというか国としてのコンセプトは三つあるだろうと思う。一つは、中小企業の労働力の充足であります。今言った団塊の世代がどんどんいなくなって労働力不足になる、その労働力を充足しなければいけない、これが一つ。それから、技術の移転。同時に、日本は過去おびただしいODAを出してきているわけでありますが、この発展途上国等に対しても人材を通して日本に対しての好感度を高める。彼らが三年間の研修が終わって戻って、ああ、日本はとんでもない国だというふうに言われてしまったらば、この意味が私は半減すると思うわけであります。副大臣の御所見をお伺いしたい。

片山大臣政務官 委員の御地元同様に、私の地元には実質的な外国人労働者が大量におります。

 最近、地元で一つ事件が起こっておりまして、それは日系のブラジル人なんですが、犯罪人引き渡し条約がないんです。交通事故二件と殺人事件一件で、被害者が非常に義憤の念に駆られて署名活動をしているんですが、逮捕前に加害者が全部逃げ帰ってしまいまして、ブラジルの方で身柄の拘束もしてくれないということで逃げ得状況になっているものですから、私ども与党の方でも議連をつくりましたし、恐らく、民主党さん、連合さんの方でも署名活動をやっておりまして、そういった問題が地元で社会的摩擦として起こっております。

 他方、日系ブラジル人社会の方からはさまざまな不満が起きております。私の地元も工業地帯でございますので、日系ブラジル人だけでなくて中国人や韓国人やその他アジア人の研修生、技能実習生もたくさんおりますが、研修生、技能実習生の受け入れタイプの中で、きちっとした企業の合弁で、企業、企業で受け入れている場合は非常に少ないんですが、そうでない場合は、委員の御指摘にもありますように、社会保険の適用が実質的にされていない、つまり無保険である。

 それから、子供が学校に就学する年齢なのに、日本の教育制度のもとで就学するべきであるのにできていないというようなことがありまして、日本の社会、文化、教育、その他の制度に適用できていない。ただ、それは外国人側だけに責任があるのではなくて、日本が外国人をある程度受け入れるという選択をしたにもかかわらず、社会インフラが不十分なんじゃないかというような不満もございまして、外国人集住都市間での話し合いの場もできておりまして、今度官邸の方も外国人の問題について新しい対策会議をつくりましたし、私どもも提唱しております。

 経済財政諮問会議の方でも御採択いただきましたグローバル戦略の中でも、そういった外国人との共生社会の問題についてきっちりと対応するということを入れた上で、経済産業省としては、技能研修生の制度はもうちょっと伸ばしてもいいんじゃないか、より枠を広げていってもいいんじゃないかという方向性で対応しております。

 ですから、私、地元で毎日その問題と今戦っておりまして、官房長官の方にも御提言させていただいたこともありますので、委員の御指摘の状況は非常によくわかっているつもりでございます。

松原委員 既に次の質問の答弁までされてしまいまして、ゆっくり構えながらやっていたわけでありますが。

 この中小企業の研修生、労災保険に今実際どれぐらい入っているのか、お伺いしたい。

北畑政府参考人 お答えする前に、先ほどから研修、二段階になっていると申し上げました。最初の一年が研修制度、残りの二年が技能実習制度でございます。

 研修につきましては今の労災法上労働者という位置づけができておりませんので、最初の一年につきましては労災の適用外でございまして、これは民間保険を活用するということでございます。残りの二年間については労災法上の労働者ということで、これは労災法の適用があるということでございます。

 人数につきましては、厚生労働省の方でございまして、私ども正確な数字は把握をいたしておりません。

松原委員 厚生労働省の所管ということだけれども、外国人労働者のメリット、関係しているのは中小企業がほとんどですから、厚生労働省の所管だからうちは把握していない、これはちょっと調査不足じゃないかと思いますが、片山さん、どうですか。

桝屋委員長代理 片山政務官、的確なお答えをお願いいたします。

片山大臣政務官 労災保険につきましては、適用状況として、労災を適用すべき常用労働者になっていたら全員入っているのが当然なのでございますが、請負という形で来ている外国人労働者については、実際の把握ができておりませんで、二割とか三割とかが保険に入っていないことがあるというような地元の調査はあります。ちょっと全国調査は把握してございませんが、請負で来ている方はかなり状況は悪いというふうに聞いております。

松原委員 つまり、私は、それぞれのふるさとに戻ったときに、日本はいい国だったというふうな感想を持って帰ってもらうということは極めて大事だと思うんですね、国益上。

 であるならば、最初の一年間は研修生、少なくとも後の二年間に関しては労災保険に入るということを僕はやはり義務づけるべきだと思うんですが、御所見をお伺いしたい。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

北畑政府参考人 技能実習の方は、先ほど御答弁したとおり法律上の労働者でございますから、入ることは法律上の義務でございます。

松原委員 それの徹底を督促していただきたいと思いますが、片山さん、どうですか。

片山大臣政務官 労災につきましては、旧労働基準監督署というのですか、今の事務所の方はかなりきちっと見回って見ておりますので、まさに事後的に漏れている者以外は入っているという答えしか恐らく返ってこないと思うんですよ。

 ただ、地元の非常に厳しい、まさに、本当の小規模企業の、先ほどおっしゃっていたような三Kの現場では、実際には日本人でも労災適用を免れている例がございますので、それと同じような形ではどうしても起きてしまうと思いますが、それはきっちりと取り締まっていただくように関係省庁に伝えさせていただきたいと思います。

松原委員 次に、例えば、技能と技術という区別があります。技能と技術、どう違うか教えていただきたい。

北畑政府参考人 より高度な方が技術だというふうにしか私は認識しておりません。

 具体的な区別は、技能の方は、厚生労働省で各種の職種についてこういうものが技能者であるという制度もございますので、それに該当する人が技能者ということではないかと思います。

松原委員 厚生労働省、厚生労働省ということでありますが、厚生労働省は所管でありますが、やはり経済産業省は極めて関連を持っているので、技能と技術というのは、もう一回確認しますが、技術というのは、高度な技能を技術と言うのですか。確認します。

北畑政府参考人 厚生労働省の職業訓練法その他で技能者というのが定義されていると思います。それに該当する方が技能者であります。

 技術者に関しては、法律上の定義はないと思います。一般的には、技能者だって技術を持っているわけですから、技術者であると言っておかしくはないと思うんですけれども、技能者以外の、大学の先生であるとか研究者であるとか企業で活躍している人を通称技術者と私どもは呼んでおります。

松原委員 技能者と技術者の区別がまだよくわからないんですよ。技能者と技術者の間はどうなっているんですか。きちっと、截然と区別されているのかされていないのか。

北畑政府参考人 国内では、技能者には定義があって、職種の指定があると申し上げました。国内では、技術者の方にはそういう明確な定義はないのでありまして、一部はダブっておるかと思います。

 ただ、入国管理法上は、技術者というのは通常は大学卒以上のレベルの方というふうな書き方をしておりますので、この辺が区分の一つの基準になっているのではないかと思います。

松原委員 私の知人の工場で、プラスチックを超音波で接着する技術がある、技能ですね。これはだれにもできることではなくて、非常に三Kで、音が厳しい。三年間の研修によって初めてそれができるようになる。その技能は技術ではない。そういう場合、技能は技術に入るのかどうか、お答えいただきたい。

北畑政府参考人 先ほどからお答えしておりますように、技術者というのには明確な基準はないんです。したがって、技能者と技術者を区分するという考え方はとれてもおりませんので、今先生の例示された方は、高度な技能者であり、ある場面では技術者と呼んでも決しておかしくないんだろうと思います。

松原委員 ここが重要でして、高度な技能者は技術者と呼んでいいと。片山さん、この見解でよろしいですか。

片山大臣政務官 私も役人をやっておったものですから、技能と技術を法律で書き分けるときどうだったかなを今必死に考えていたんですけれども、技能労働、技能実習、技能検定、いずれも旧労働省関係の法律で使っている言葉でございまして、技術という言葉は非常に一般名詞になっているんですが、能の方はやはりある程度習得して資格が要るようにカテゴライズされたものを呼ぶことが多いんですよ。

 ただ、じゃ、技能という言葉を一般用語で使わないかというと、それは使わないということはないんですが、何らかの検定制度で国として資格を与える、そのかわりにある程度保護を与えるとかお墨つきを与えるとか、そういった場合に技能という言葉を使っていることが多いので、ちょっと、どちらかが高度というのは言えないと思うんですね。

 要するに、技能検定の中の技能に入っていないものでも、今先生がおっしゃったようなものは技能五輪の技能には入っていないと思いますが、当然すばらしい技術ですから、もちろん入れてもいいと思います。高度な中でもある程度カテゴライズされて能力検定的になったものを言っているような気がいたしますが、高度という考え方をなさるのでしたら、別にそういう考え方はあるかと思います。

松原委員 なぜこういう質問をしているかといえば、技能者と技術者は扱いが違うわけですよ。どう違うか教えてください。

北畑政府参考人 入国管理法上の違いがあると思いますし、会社などの実態では処遇の違いとかそういうことがあるのではないかと思います。

松原委員 入国管理法の違いはどういう違いでしょうか。

北畑政府参考人 入国管理法の技術者は、私どもが御説明しています一般的な技術者のうち、一定の要件、例えば情報処理技術者であれば一定以上の実務経験があるとか、そういうことで限定をされているということでございます。

松原委員 日本で滞留資格がどう違うか聞いているんです。

北畑政府参考人 高度専門職だったと思いますけれども、技術者という定義の中で、一定の技術、実務経験を持っている人に関しては専門家としての入国が認められるということであります。技能者に関してはそういう扱いは、技能者という定義の中ではないと思います。

松原委員 つまり、技能者は三年間で研修制度を終えるけれども、技術者は三年にこだわらない、こういうことですよね。

北畑政府参考人 たしか三年の在留を認められた後、更新が認められるということになっているかと思います。

松原委員 来た外国人労働者が熱心に仕事をすれば、さらに継続していられるというふうな一つの柔軟な体制を示すことは、技術と技能との境界線が不明確であるということも考えて、私は検討するべきだと思うんですけれども、西野さん、いかがですか。

西野副大臣 確実に、専門的に答えられないんですが、この議論を総合して私考えますに、やはり技能というのは、技能検定とかそういうものがございますし、一つのいわゆる広い範囲の技術を習得することを技能と私は今理解をしておるわけであります。

 よって、そこに、技術と技能は相伴うところもあるわけなんでございまして、では、それをさらに、滞留期間を延長するしないの問題は、それぞれの個々のケースあるいは必要な場合は大いに認めるべきではないのかな、私はそのように思っております。

松原委員 大変前向きな答弁であります。

 技能検定制度を外国人労働者は受けていますか。

北畑政府参考人 研修時の技能実習が終わった段階で技能検定を受けるということはできると思いますけれども、その資格に挑戦されるかどうかは個々人の判断ではないかと思います。

松原委員 今までの実績はありますでしょうか。

北畑政府参考人 数字は把握しておりませんけれども、実績はございます。

松原委員 この辺をやはり経済産業省はきちっと把握をするべきだ、こういうふうに私は思うわけであります。

 今、三年の年限で終わる。技術が三年で上昇していく。中小企業が単純なことだけやらせるならば関係ないんです。一定の高度な仕事をやらせるならば、三年間で技術が上がってきて、上がってきたところでさよならになってしまう。やはり五年ぐらいいてほしいという声が中小企業にあるわけでありますが、このことについて、西野副大臣、どうお考えでしょうか。

北畑政府参考人 三年間では十分な技能移転、技術移転ができない、あるいは最近の技術進歩によってより長期の研修が必要である、こういう声は私どもも聞いております。

 したがいまして、将来、この研修受け入れ制度の見直しがされるのであれば、その中で、例えばでございますけれども、期間終了後に、優秀な方につきましては再度入国を認めて、より高度な技能実習を受ける機会を設ける、こういった形での制度見直しなどについても検討が進められるべきだと経済産業省としては考えております。

松原委員 極めて重要な答弁でありますが、もうちょっと具体的に教えていただきたい。これは、大田区、品川区の中小企業の方は非常に喜ぶと思うんです、今の答弁。教えていただきたい。

北畑政府参考人 先ほど来御答弁していますけれども、研修で一年、技能実習で二年、合計三年ということなんでございますけれども、最近の技術進歩を考えると三年では十分な研修ができない、あるいは、先生から先ほど来御指摘いただいていますけれども、日本に来て研修を受けてよかったと言っていただくためには、この辺の見直しが行われる機会にはぜひ検討していただきたいと思っております。

 私どもとしては、例えば、一たん三年で帰国をされて、現地の工場等で働いて、しかし、より高度な幹部になりたい、高度な技術者になりたいという方が、日本でもう一度研修を受けたい。それは受け入れ企業にとっても非常に重要なことだということであれば、一定の条件は必要かと思いますけれども、そういう再研修、再入国の機会を設けるということは重要なことだろう。御本人にも重要なことでありますし、我が国の産業界にとっても有意義なことであろうかと思います。

 所管の厚生労働省、法務省、関係省庁とも十分相談しながら、技能実習制度が使いやすく意義のあるものになるように、私どもとしては検討を進めてまいりたいと考えております。

松原委員 実際は、日本で企業が本当にその技術力をつけさせようと思って三年やったらば、現実問題、自分の故国に戻ってそれを適用できる工場はないんですよ、それだけのソフト、ハードがある会社は。彼らの技術は野たれ死にになってしまうんですよ。このことを認識しておられるかどうか、お伺いしたい。

北畑政府参考人 そのようなことはないと思います。

 個別企業の方では、現地で再び働くというケースが多いと思いますし、それから、そうでないケースにつきましても、やはり技術を持った方がそれぞれ戻られた国の経済発展でいろいろな機会があると思いまして、日本で学んだ技術が無駄になっているという認識は持っておりません。

松原委員 答弁はそうでしょうけれども、実際はその技術を適用できる工場がない。ヒアリングしてください。私はそうだと聞いている。

 したがって、日本企業にしてみれば、三年間でずっと積み上げてきて、いよいよこれからは労働力として会社に貢献をしていただけると思うときに帰ってしまう。本人にしてみれば、三年間熟練をして、いよいよ使おうと思ったら地元、故国に戻る。しかし、彼の技術を使うその職場というものがなかなかあり得ない。これが実態であるということ。私はちょっと調査していただきたい。片山さん。

片山大臣政務官 日本に外国人労働者をどのように受け入れるか、この十数年間さまざまな政策的な検討があって、高度人材、研修・技能実習生それから日系ブラジル人、留学生、就学生という主に四つのカテゴリーがあるわけでございますが、おのおのに問題を非常に抱えております。

 まさに、日本はそれほど、言われたほどいい働き先じゃなかったと不満を持って帰ってこられる方が我が国の外交力を下げているという御指摘もあるので、それもありましたので、先ほどちょっと申し上げましたように、外国人共生社会ですね、外国人と地域との共生を、企業間、それから、これは各省非常に横にも広がっている、縦割り問題が弊害として出ておりますので、連絡会議をつくって早急に問題を解決していくというようなことをやっているわけでございます。

 経済産業省といたしましては、グローバル戦略の中で、まず留学生、就学生の方は十万人来ているけれども、決して日本に満足して帰っていないし、帰った後働き先もないということがありますので、フルブライトとまではいきませんが、帰ったら日系の現地にある企業の中でそれなりの処遇ができるような形の留学ができないかということを、今、東アジア奨学金ということで提言させていただいているところでございますし、ほかの高度人材や研修・技能実習生につきましても、本当に、日本の中で社会としてうまくインフラとして受け入れられるような社会インフラも育てながら、両にらみで上手に受け入れていくようにという提言を、産業界や地域社会とも相談しながら提言させていただきたいと考えております。

松原委員 さっき技能者と技術者の違いというのがあったんですけれども、技術者は事実上三年間に限らない。技能者は三年間。技術と技能というのは、私は技術が上で技能が下だという議論はおかしいと思うんだね。技能が下だと思うから、工業高校とか商業高校が、なかなか人気がなくなってしまう。技能者と技術者のそういう区別を僕はなくすべきだと思うんですが、どう思いますか、二階大臣。

西野副大臣 ただ、その個々の現象をとらえて、技術を習得するという段階では、やはりむしろ技術取得というよりは技能取得という方が適当かなというふうにも思いますし、習得をすればいわばそれは技術であるというふうに思いますから、広義に考えればこれはそう区別するものではないのかもしれませんが、その一現象においてはやはり区別して使われるのではないのかなというふうに思っております。

 だから、意味を余り、明らかに差があるとか区別されるという性格でとらえるべきものではないのかなというふうに思います。

松原委員 大手工場はどんどん海外に移転するもので、下請が今ばたばたと来ているわけでありますが、従来は首都圏や日本から海外へという流れが施策としてもあったわけですが、逆に今回、海外から日本に工場を戻すということに対して何らかの支援をする、大胆にそういうことも考えるべきではないかと思うんですが、御所見をお伺いしたい。

片山大臣政務官 確かに、海外生産の拡大が過度に進みますと、雇用への影響も地元経済への影響も出てくるんですけれども、企業がアジアの中でグローバルに効率的な生産ネットワークを構築することによって強くなってきた、日本企業がそれで強くなってきたという面もあります。競争力強化につながっている面もございますので、一般的に、産業高度化に沿ったものであるという限りは、それ自体を問題視して、出ていくなとか、戻ってくることに対して強烈な補助をするというようなことは、今のところ産業政策として行っていないわけでございます。

 最近では、中小企業ものづくり法の審議でも御議論いただいたように、高度な部材・素材産業の集積ですとか我が国内の労働者の技能の高さといった環境の優位性が再評価されまして、キヤノンですとかその他日本の最先端の企業が国内の設備投資をふやしているということがございまして、かなり条件のいい適地では工業用地が逼迫しているというような国内生産活用の動きが出ておりますので、そういったところを見ながら、全体として産業が高付加価値化して、我が国の国際競争力を強化する方法はどういう方法かということを考えて、今急いでおります成長戦略大綱にも盛り込んでまいりたいと考えております。

松原委員 日本の産業の空洞化ということが問題なんですよ。実際、大手企業が行ってしまいますと空洞化がどんどん起こるわけでありまして、そういった意味から、私は、そういう施策をやはり考えないといけない、日本の中の空洞化を阻止するために。

 大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 もとより、空洞化を阻止するということは私は極めて大事なことだと思っております。そして、もっと内部を充実するといいますか、国内のそれぞれの企業が充実発展できるように、工業高校等あるいは工業高専等の活用につきましても、今テストケースではありますが、ことしから、全国の工業高専の中で三十の学校を選んで、地域との間に研究テーマを設けて、経済産業省が若干の助成を行うなどやっておりますから、これが芽が出て花が開いたときにはある一定の方向が出てくるのではないか、このように期待をしておる次第であります。

松原委員 二階大臣、お戻りですから、トピックスを幾つか聞きたいと思うんですが、報道によりますと、ミズノ、靴とかつくっているミズノという大手メーカーが、瀋陽の直営店、一千二百平米、おととしの九月に開いた。瀋陽行政市とは二〇〇八年まで土地を借りる契約をしていた。ところが、四月に、香港の開発会社に土地を売却することを理由に、一方的に契約を破棄された。最初のホームページは、その後ちょっと修正しているそうでありますが、びびったんでしょう、契約の破棄は受け入れられるものではないが、まちづくりの計画の一環ということで、従わざるを得ない、これがミズノのコメントであります。その理由として、香港の開発会社にこの一千二百平米を売却すると。日本の企業が中国に出るということは、これはいろいろな意味で重要なことでありますが、こういうことが起こった。

 このことについては通告しておりませんが、大臣、いかがお考えか、御所見をお伺いします。

二階国務大臣 個別の問題でありますし、私はその事態を全く聞いておりませんので、お答えのしようもありません。後ほど、どんな状況であるか、内部で調べてみたいと思っております。

松原委員 先般、外務委員会でこれを麻生さんに質問したとき、外務省としては、事実関係を確認していろいろと検討する、こういう御答弁でありましたので、ぜひとも経済産業省でも、本当の事実関係、やはり企業は弱い立場ですから、二号店、三号店を出すということもありますので、そういった意味では、この瀋陽行政市の一方的な土地の契約の破棄について確認をしていただきたい、このように思うわけであります。

 続きまして、原油価格高騰による中小企業など国内産業への影響についてどうか、お伺いします。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 原油価格上昇が産業、企業に与えます影響につきましては、以前から、定期的にきめ細かい実態把握に努めてきております。

 四月二十八日に公表いたしました大企業に関します緊急調査によりますと、総じて見ますと、経営、収益への影響は特に深刻化しておりませんでした。他方、五月十六日に公表いたしました中小企業に関する調査、これは約千五百社が対象でございますけれども、これにおきましては、前回調査をいたしました一月に比べますと収益の圧迫に若干広がりが見られますとともに、依然として約九割の企業で価格転嫁が困難な状況が見られたところでございます。

松原委員 小笠原に行く船でTSLというのは大臣も御存じでしょうけれども、TSL計画が原油高騰を基本的な理由として打ち切られた。本当にそれが理由なのかどうかというのは、我々はこれから精査をしていかなければいけないと思っておりますが、大変にこの影響は大きいわけでありますので、影響が少ないということはあり得ないということをきちっと認識して、ウオッチをしていただきたいと思います。

 そういう中で、いわゆるエネルギーの安定供給というのは極めて重要でありますが、先般、アザデガン油田開発についてイラン国営石油会社が契約破棄を警告したとの報道がありますが、事実関係をお伺いしたい。

小平政府参考人 アザデガン油田開発は、今先生御指摘のとおり、エネルギーの安定供給確保の観点から、大変重要なプロジェクトでございます。

 他方、このアザデガン油田開発に係ります契約は、民間企業でございます国際石油開発とイラン側の間で締結されたものでございます。したがいまして、アザデガン油田開発の遂行につきましては、国際石油開発が契約にのっとって判断することが基本であるというふうに考えております。

 現在、国際石油開発は、契約に基づいて、イランによる地雷除去作業の完了を待っているところでございまして、その進捗状況を踏まえつつ、本格的な開発に向けた準備作業を進めているところでございます。

 そうした中で、イランとの間でさまざまなやりとりがございますけれども、報道のような警告については、私どもは現時点では確認をいたしておりません。

松原委員 このロイターの報道は関知していない、知らない、こういうことですね。

 しかし、これに対して安倍官房長官は、「エネルギーの安定供給の観点から重要なプロジェクトなので、従来通り推進したい」、こう言っているわけであります。内閣官房長官がこう言っているわけでありまして、経済産業省はエネルギー問題もつかさどるつかさであります。

 大臣の御所見をお伺いしたい。

二階国務大臣 今エネルギー庁長官が答弁申し上げましたように、マスコミの報道等は伺っておりますが、そのことが私はすべてではないと思っております。したがって、実情を十分精査するとともに、これは、開発を直接行っていくのは民間企業でありますから、民間企業との間も十分連携をとって対応したいと思っておりますが、基本的には、安倍官房長官が御答弁を申し上げたと同じような考えを持っております。

松原委員 イランは、アメリカが経済制裁をするかどうかということも今俎上に上がっているわけでありまして、国際社会の利害や関係に極めて重大な影響をこうむるわけでありますから、私は、一私企業のことだからということには全くならないというふうに思っておりまして、どうやって経済産業省はアシストするのか、こういったことに関して安倍さんが官房長官としてこういった談話を言いましたので、安倍官房長官とすり合わせをするなりして何らかの策を練るおつもりがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。

二階国務大臣 エネルギー問題に責任を持つ経済産業省として、それなりの対応を十分考えております。

松原委員 次に、今回、事件がいろいろとありまして、村上ファンドの村上さんが逮捕された。経済産業省の出身であります。このことに関しての二階大臣の御所見をお伺いしたい。

二階国務大臣 かつて、七、八年前まで経済産業省に籍を置いておったというのは、最近の事件で、マスコミでいろいろ報道されることを通じて承知をいたしておりますが、現在、既に司直の手に渡って、今、厳正な捜査が行われている最中でありますから、私の立場からこの問題に対するコメントはすべきではない、こう考えております。

松原委員 政府参考人として、松永総括審議官、お見えだと思いますが、人事を担当している方でありますが、同僚であった。面識があるかどうかはわかりませんが、その同僚としてどうお感じになるか。同僚として、友人としての御所見をいただきたい。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 村上氏は、旧通産省に、昭和五十八年四月から、一九九九年、平成十一年六月まで、十六年強在籍をしておりました。私も同じ時期、旧通産省に在籍をした者でございます。

 今回、証券取引法違反の容疑で逮捕されたわけでございますけれども、ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、司直の手に渡り、捜査中でございますので、私どもとしましてはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

松原委員 次に、日本の中国への円借款が再開されたということが報道されておりますが、円借款再開に対して二階大臣は、官邸会議の中で何らかの再開に向かっての前向きな御発言をなさったのかどうか、お伺いしたいと思います。

二階国務大臣 官邸の会議というのは、総理大臣が中心になって、官房長官あるいは財務大臣、外務大臣、そして経済産業大臣が集まって決定をする会議でありますが、これは内閣の基本的な方針を決めるわけでありますから、全会一致が当然であります。そういう意味では、全会一致をもって官房長官が外部に発表したとおりのことでありまして、会議の中における各閣僚の発言はそれぞれ外部で発言をしない、こういうことになっておりますので、官房長官の発言からお考えをいただければ適当であると考えております。

松原委員 実際、これで円借款再開ということになったわけでありますが、このことに対しての大臣の御所見をお伺いしたい。

二階国務大臣 けさほどの自由民主党の円借款の問題を協議する部会で最終的に決定をしたということを聞いておりますので、円借款はそのまま進んでいくものと思います。

 円借款は従来、中国との間で行っておるさまざまな長期的展望に立った問題を解決していくために行っておるわけでありまして、一時それを中断した、それを今度再開したということでありますが、それはそれで結構なことだという、今、所感といいますか感じを申し述べろということでありますから、結構なことだ、こんな程度です。

松原委員 なぜこれは中断をしたのかお伺いをしたいと思いますが、お答えできる方は。

石田政府参考人 これは三月の時点で外務省の方から関係方面に御説明をしておりますけれども、そこでは、日中関係をめぐる諸般の情勢を勘案して、しばし調整に時間がかかるので、三月以内の供与の決定を見送るというふうに承知をいたしております。

松原委員 恐らく、さまざまな案件というのが、瀋陽の官憲の突入事件、また北京の大使館の破壊事件、さらには上海の館員の自殺事件、ウィーン条約に触れると言われている三つについて中国側がいまだに何ら謝罪をしていないというふうなことを含めて、中断をしたのではないかというふうに私は認識をしております。

 中川農林水産大臣が会議後の記者会見で今回の決定はいかがなものかと言っていたと聞いておりますが、それについての所見を二階さんにお伺いしたい。

二階国務大臣 このODAの問題につきましては、先ほど申し上げました担当閣僚が会議をするわけでありますが、この日は、日中問題に関係の深い環境省の小池大臣、そして北側国土交通大臣、そして中川農林水産大臣等が御出席になって、それぞれ意見を述べられて、途中で退席をされました。その後、この問題について協議をしたわけでありますが、中川大臣から特別そこで特に強い御意見があったとは私は認識いたしておりませんが、何か新聞に出ておったようでありますが、私は、直接中川大臣からも意見を聞いておりません。

松原委員 副大臣にお伺いしますが、東シナ海のガス田協議の現状と見通しをお伺いしたい。

二階国務大臣 東シナ海のガス田の問題につきましては、第五回目の協議を先般行ったところであります。

 そこに至る道筋につきましては、当委員会におきましても再三申し述べてまいりましたので省略をいたしておきますが、その後、両国の外相会談、これは一年ぶりに開かれたということでありましたが、東シナ海の問題について、今後両国で協力の海とすべく努力をしようということで意見が一致したようであります。

 ごく最近でございますが、中国の中連部の李軍局長が私のところに参りまして、日中のもろもろの問題について意見の交換をいたしましたが、東シナ海の問題について、早期にしかも両国お互いに協調してこの問題に対応しようというのが現在の中国政府の考え方であるということを述べておられましたが、私もそういうふうに認識をいたしております。

松原委員 帝国石油は試掘の権限を持っているのですが、これに関しては、動向は何かこの段階までありますでしょうか。

二階国務大臣 帝国石油がいかなる考えを持っておられるかということは私自身も直接伺っておく必要があると思いまして、帝国石油の会長、社長においでをいただいてお話を承りましたが、やはり私たちは平和の海でなければとてもああいう場所へ試掘に出かけるというわけにはまいりません、政府間で十分協議をいただいて我々が平和のうちに試掘にかかれるようにしていただきたい、そのことを希望する、こういうことであります。

 極めて常識的な意見であろうと思いますが、その後、帝国石油がどういうふうな行動をとっておられるかということは、毎日毎日様子をうかがうわけにもまいりませんが、今のところは特段の動きはないものと思いますが、帝国石油としては、当然、試掘権を申請したわけでありますから、試掘ができる状況になれば直ちに試掘に入れるような準備はいたしておると思います。

 ただし、試掘を行う場合には、まず九州海域の漁業組合との間でやはり協議をしなくてはなりません。そのような協議を行っているとはまだ聞いてはおりません。

松原委員 試掘も、なかなか帝国石油が踏み切らない場合は、試掘の権限を、ほかの民間会社が、おれがやる、こういうふうなケースは想定されますでしょうか。

二階国務大臣 仮定の質問でございますから、帝国石油の意向も、その場合はどうするかということは聞いておりませんので、今ここで何か断定的なことをお答えするのは適当ではないと思います。

松原委員 その場合、中国が、一方において協議が決裂し、さまざまな試掘というか生産を始めた場合に、私は、今回、円借款を始めたということでありますが、これは即座に凍結をするぐらいの、やはり我々はあめとむちを外交上バーゲニングパワーとして使うべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたい。

二階国務大臣 これも仮定の御質問でありまして、まだ決裂したわけでもありません。決裂しないように、しかも、決裂しておったのを決裂しないように土俵に私たちは上げてきたわけでありますから、この土俵の中で円満な交渉が進むことを期待しておるわけであります。

 ただ、中国政府も、最近は外貨も十分持っておるようでありますから、この程度のことを、バーゲニングパワーになるかどうかというのは、これは一考を要する問題だと思っております。

松原委員 二階大臣は中小企業問題を熱心に語っているわけでありますので、私、きょうは質問しておりませんでしたが、事業承継税制の問題、相続税の軽減、農業と同じようにやるべきだ、それから、いわゆる中小企業の金融機関、これもきちっと守るべきだ、さらには、さまざまな中小企業の経営者、その二代目をどうやってつくるのか、どうやって人材を供給するのか。最初に、外国人労働者の問題をずっと取り上げてきましたが、これは三年の年限じゃ短過ぎる、やはり五年間にしてくれ、こういった声に真摯に耳を傾けていただきたいと思います。御所見をお願いしたい。

二階国務大臣 事中小企業の問題に限っては、私は、松原議員と大体意見を同じくするものでありますが、ただいまるる御指摘のあったような点、しかも、前に御質問の際にお約束しておるような点もありますから、今国会終了の時点で、私どもは、中小企業問題、改めて真剣な取り組みを行っていきたいというふうに考えております。

松原委員 ありがとうございました。終わります。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、先日参考人質疑も行われましたエネルギー問題にかかわりまして、核燃料サイクル、特に六ケ所の再処理工場がアクティブ試験に入った段階で、大臣を中心に何点か質問させていただきます。

 具体的にプルトニウムの回収が開始をされるわけですけれども、そこで、最初に原子力委員会の方に何問かお伺いします。

 原子力委員会は、電気事業者に対してプルトニウム利用計画の公表を求めてまいりました。今回、電気事業者の公表しました六ケ所再処理工場回収プルトニウム利用計画、これはお手元に配付をしました資料であります。上が表になっておりまして、下に注がついておりますけれども。表の方で、右側に「利用目的」、三つの枠がありますけれども、その真ん中に「利用量」というのがあります。「年間利用目安量」となっていますけれども、これは、各電力会社合計しますと五・五トンから六・五トンのプルトニウム、核分裂性プルトニウムということでここでは表記しているそうですけれども、利用するということが出されております。

 そこで、お聞きしますが、この六ケ所再処理工場回収プルトニウム利用計画の「年間利用目安量」について、下の注の五のところに、この「年間利用目安量」には「海外で回収されたプルトニウムの利用量が含まれることもある。」というふうに書いてあります。タイトルにもありますように、これは六ケ所再処理工場から回収をされたプルトニウムの利用計画だと思っておりましたら、「利用量」の中には海外分の回収されたプルトニウムも含まれているということになっているんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。

塩沢政府参考人 お答え申し上げます。

 今の、注の五の「海外で回収されたプルトニウムの利用量が含まれることもある。」といいますのは、先生今御指摘になられました別紙の表は、これは利用後の状況でございます。利用後におきましては、私ども、一般的には、現電力事業者は、今海外に委託をして抽出しておりますプルトニウムを利用したMOX燃料、及び国内で抽出が始まればそのプルトニウムを利用したMOX燃料、そこは、その事業の計画に従って利用するという可能性があるということで、両様の可能性があるということでこういう注をつけているというふうに認識をしております。

塩川委員 要するに、八百トンの使用済み燃料の処理をする再処理工場が動いても、回収されるプルトニウム、以前は五トン弱と言っていましたが、最近四トン強という説明になっておりますけれども、五・五から六・五トンには当然届かないわけで、ある意味では海外で再処理をしたプルトニウムを使うことが前提になっているのがこの「利用量」に出ているわけですね。

 そういう点では、私は、回収の計画ではなくて利用の計画ですから、海外分の回収されたものも含めた利用計画にしないと全体像がわからないんじゃないかと思うわけです。

 また、電気事業者のプルサーマルの実施時期を見ましても、関西電力や日本原電は〇八年度までにプルサーマルの実施の計画を一応持っています。これは地元との関係でそのまま進むわけではありませんけれども。東電以外は二〇一〇年度までに実施の計画を一応持っています。そうしますと、一二年度に六ケ所のMOX燃料の加工工場が稼働するまでは、当然のことながら海外分のプルトニウムを使用することになります。

 そこで、原子力委員会にもう一度お聞きしますけれども、このように、六ケ所の工場の回収分というのはわかるんですけれども、プルトニウムの利用計画というんですから、そもそも海外分も含めたトータルなプルトニウムの回収を前提にした利用計画ということを示してこそ、国民に対しての説明責任を果たすことになるんじゃないでしょうか。海外分を含めたプルトニウム利用計画を示す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

塩沢政府参考人 先生御承知のとおり、我が国における原子力の研究開発利用については、IAEAの保障措置及びそれに基づく国内保障措置制度の厳格な適用がなされておりまして、プルトニウム利用についても、六ケ所再処理工場におけるプルトニウム抽出を含め、平和利用に係る担保がなされているところでございます。

 したがって、国際的にも認められている十分な措置のもとで日本のプルトニウム利用活動が行われているわけでございますが、このプルトニウム利用計画の趣旨は、六ケ所再処理工場の操業に伴いまして、プルトニウムという物質が我が国国内において相当量分離回収されるということになることから、前述の平和利用の担保のための措置に加えて、我が国におけるプルトニウムが平和利用に限られていることについて透明性の一層の向上を図るという観点から、この六ケ所工場で回収されるプルトニウムの利用目的を明らかにするということが必要で、平成十五年八月に原子力委員会がそうした考え方を示したわけでございます。

 一方で、海外で保管されるプルトニウムについては、海外で保管されている限りにおいて、我が国国内で利用されるものではございません。したがって、我が国の国内におけるプルトニウム利用活動に関して疑念を生じさせるものではないというふうに考えております。

 こうしたことから、利用計画を明らかにするよう求めるのは、国内にあるプルトニウムについてで十分であるというふうに我々は考えております。

 ただし、海外で保管されているプルトニウムを利用するために、そのプルトニウムを我が国に持ち込むべく燃料加工する段階においては、その利用計画を公表することを求めております。

塩川委員 この原子力委員会の求めている利用計画というのは、平和利用目的ということに沿って、より一層そういう立場での説明責任を果たすものとして事業者に求めているということなんですけれども、しかし、プルトニウム利用計画である以上は、経済性の問題がどうなのかだとか、需給バランスがどうなのかだとか、そういう全体像を知りたいというのは当然のことだと思うんです。ですから、平和利用目的の担保のためにという観点だけではなくて、総合的に判断できるようなプルトニウム利用計画そのものが必要なんじゃないでしょうか。

 そこで、資料の二枚目、これはプルトニウムの所有量の話なんですけれども、上の方がプルトニウム所有量で、右下に合計で二十六・五トンとあります。それで、海外でも再処理をしているんだけれども、各電気事業者別にまだ割り当てをしていない、ここに「未割当てプルトニウム量」と書いてありますけれども、それが約五トンありますから、合わせて三十二トンのプルトニウムを所有しているということであります。

 下の方が、これは原燃が出しております再処理の計画ですけれども、核分裂性のプルトニウム換算ということで、二〇一一年度までの再処理数量予定が三千百九十九トンです。使用済み燃料を八百トン処理するのに対してプルトニウムが五トン弱、今四トン強という言い方をしていますから、一応うちの方では四・四トンぐらいということで換算しまして、回収予定プルトニウムが十七・六トン、およそ十八トンという量だろうなというふうに見ております。

 ですから、二〇一一年度までに合わせて五十トンのプルトニウムを日本で持つことになりますよということで、かなりの量になるわけであります。

 そこで、大臣に伺います。

 既に所有しているだけでも三十二トンということで、これだけでも、年間の利用量五・五から六・五にしてみれば、五年分に上るような在庫になっております。プルサーマルが実際に予定どおり動き出すかどうかというのは現時点で保証の限りではありませんから、今再処理工場を動かせば、さらに在庫を積み上げることになるんじゃないでしょうか。

 今再処理工場を稼働させる必要性について、経済産業省としてどのように説明をするおつもりなのか、お聞きしたいと思います。

二階国務大臣 使用済み核燃料を再処理し、回収したプルトニウム、ウランを有効利用するということは我が国の基本的な方針であります。これは、昨年、政府におきましてこれを尊重する旨閣議決定した原子力政策大綱におきましても明記されているとおりであります。

 現在最終試験を行っている六ケ所再処理工場がフル稼働した際には、年間四トン強のプルトニウムの回収が見込まれます。また、電気事業者は、二〇一〇年度までに十六基から十八基でのプルサーマル実施を目指しておりますから、年間五・五トンから六・五トンのプルトニウムの利用が見込まれております。

 このように、我が国におきましては、六ケ所再処理工場における回収量を相当程度上回るプルトニウム利用が見込まれております。したがって、海外保有分も含め、我が国の保有するプルトニウムは着実に利用されていくものと考えております。

 今後とも、安全の確保を大前提に、国内における核燃料サイクルの確立に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 私は、その点で経済性の観点というのが問われているんだと思うんです。例えば、原子力委員会の中で、原子力政策大綱の策定会議、議論が行われてまいりましたけれども、近藤駿介原子力委員長の発言として、在庫という観点があっていいんだ、「再処理工場の運転をトヨタ看板方式で再処理しなければならないというルールはどこにもない」という言い方で、経済性についてはわきに置くと言わんばかりの話になっているわけです。

 そういう観点では、本当の意味で国民に対しての説明責任を果たしたことにならないと思っております。そのことを申し上げるものです。

 その上で、再処理工場が稼働するに際して、青森県からいろいろ心配の声もあり、それに対する対策もとられているわけですけれども、お隣の岩手県からも心配の声が出されております。親潮に乗って放射性物質が流れてくるんではないかという懸念の声で、エチゼンクラゲが日本海から津軽海峡を越えて三陸まで来ている、それと同じように、再処理工場から排出される放射性物質も来るんではないかという声が、これはかなり現地では心配の声となっていると聞いております。

 ですから、去年の九月の岩手の県議会でも、三陸の海を放射能から守ることについての請願を全会一致で採択しております。

 そういう中で、原燃に、県に対し説明会を開くように求めるということなども行われて、それも踏まえて、増田県知事は説明会を開くよう原燃に要求をし、三月二十八日に久慈市と宮古市の二カ所で説明会が行われました。

 しかしながら、宮古市を初めとした沿岸自治体の六市町村の首長さんが「六ケ所再処理工場の試運転開始に対する抗議について」という文章を三月三十一日付で出しておられます。この間のアクティブ試験に向けてのいろいろな動きというのが、十分な「説明がなされるまで安全協定締結、試運転は実施すべきではないと、再三要請していたものをないがしろにされ、二十八日の説明会は岩手県内で既成事実をつくるためだったとしか考えられません。 私たちは一連の動向に遺憾の意を表すとともに、強く抗議します。 いま一度、住民を対象とした説明会を複数会場で開催するよう要請します。」と、六つの市町村の首長さんの連名でのこういった抗議文を原燃社長あてに出しております。

 そういう点でも、原燃の紋切り型の説明に大変現地の方は怒っておられるという話でした。ですから、事業者に説明責任をきちんと果たさせる必要があると思っております。

 そこで、大臣に伺いますが、住民を対象とした説明会を開いてほしい、こういう要望に国としてどうこたえるのか、お答えを聞かせてください。

二階国務大臣 私も、先般青森県に参りまして関係者の御意見を伺っておる中で、岩手県等からのいろいろな御意見につきましても、また地元新聞等も拝見をいたしておりますが、このことに関しましては、岩手県側に誠実に御説明するのが大事だということを申し上げておきましたが、その説明会はなされたものと思っております。

 その後、それ以上必要かどうか等につきましては、また県及び関係者の御意見を十分伺った上で対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 五月二日に岩手県の市長会が、原燃に対して、安全対策を求めるという要請文を出されております。その中に、国民への説明を継続的に行ってほしいという要望も市長会として出しております。この点、ぜひ国としても、原燃に対して、きちんと説明責任を果たせと改めて申し入れをしていただきたいと思っております。

 もう一点お聞きしたいんです。

 この岩手県市長会の要望にもあるんですが、「環境モニタリングの充実について」という要望も出されています。「岩手県内及び沿岸海域にモニタリングポスト等を設け、環境モニタリングを定期的に実施すること。」もちろん文科省の予算でつけるような場所もあるそうなんですけれども、やはり事業者の責務として、安全だというのであれば、その説明責任を果たすという意味での事業者の環境モニタリングというのが岩手の沿岸においても必要なんじゃないかという声がここにあるわけです。

 ですから、特に三陸の沿岸というのは、養殖漁業、栽培漁業ということで、アワビですとかあるいはワカメなどについても、品質で勝負するということで、皆さん現地で大変努力をされておられます。そういう点で、岩手県内や沿岸海域で環境モニタリングを求める要望に国としてどうこたえるのか、この点についてもお聞かせください。

広瀬政府参考人 六ケ所再処理施設が周辺環境に影響を与えないよう、国は、事業者に対して厳格な放射線の管理を義務づけるなど、安全確保に万全を期しております。

 これを受けまして、事業者は、放出する放射能量の確認を行うとともに、施設周辺の環境モニタリングを実施しております。さらに、青森県は県内の環境モニタリングを実施いたしております。これらの結果はいずれも公表されておりまして、立地県において周辺環境に問題がないことを確認することといたしております。

 立地県において、環境モニタリングを含めて十分な安全確保策が講じられておりまして、岩手県内での措置の必要性は特にないと考えております。

塩川委員 大臣にお聞きしますけれども、例えば青森県では、海水中のそういう放射性物質についての懸念もあるということで、有機結合型のトリチウムについても新たに対象としよう、こういう検討をしようという形で、魚あるいは海産物などを摂取した場合についての影響について、ないというのであれば、それをしっかりと証明できるようなデータを具体的にやはり示すということが必要だ、そういう県民の声にこたえているんだと思うんです。

 再処理工場をつくる上で参考にしたのがフランスのコジェマ社ですけれども、コジェマ社のラ・アーグ工場があるところでどうやっているのか。経産省からいただいたアレバグループのコジェマのパンフレットを見ますと、どういうふうな環境影響モニタリングを行っているかというのがちょうど書いてありまして、コジェマのラ・アーグ工場のところでは、フランス海軍も調査をやっているそうですけれども、コジェマは「沿岸から百五十キロメートルの近海ならびに三百五十キロメートルの広範囲において、海水、植物相、堆積物に関する海洋監視を遂行します(沿岸から百五十キロメートルでは五十二セットの採取)。」と、沿岸から百五十キロでそういう採取が行われている。

 大体、六ケ所工場から久慈市までが百キロぐらいで、宮古市あたりが百六十キロぐらいだそうですから、岩手県にかかるようなエリアについて、フランスにおいてはこういったモニタリングを行っているということなんです。そういう意味でも、この日本においてもしっかりと、岩手県民のそういう不安にこたえる上でのモニタリングを行うべきだ。

 これについて、きちっと原燃、事業者に政府としても物を言うということについて、大臣のお答えをいただきたいと思います。

広瀬政府参考人 今先生御指摘の放射性液体廃棄物の放出でございますが、既にこの三月から日本原燃の再処理施設のアクティブ試験が始まっております。四月の時点での放出実績が出ております。一番多いのはトリチウムでございまして、一・七掛ける十の八乗ベクレルでございます。これは、私どもが安全審査をしたことに基づきます放出管理目標値、これは一・八掛ける十の十六乗ベクレルでございまして、この八けた低い値となっており、十分管理目標値を下回っておることを確認いたしております。

二階国務大臣 技術的な、しかも科学的な専門的知見を要する問題でありますから、ただいま保安院長がお答えしたことを念頭に、また関係者からもいろいろな御意見等が寄せられておると思いますから、よく検討してみますが、結論としては、今、青森で調査を行ったこと、そして岩手の皆さんに御報告申し上げたことなどに尽きると思っております。しかし、せっかくの御意見でございますから、十分承っておきたいと思います。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十五分散会


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