第2号 平成18年10月25日(水曜日)
平成十八年十月二十五日(水曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 上田 勇君
理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君
理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君
理事 宮腰 光寛君 理事 後藤 斎君
理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君
小此木八郎君 大塚 拓君
岡部 英明君 片山さつき君
川条 志嘉君 近藤三津枝君
佐藤ゆかり君 清水清一朗君
平 将明君 谷川 弥一君
とかしきなおみ君 土井 真樹君
丹羽 秀樹君 西村 明宏君
野田 毅君 橋本 岳君
藤井 勇治君 牧原 秀樹君
増原 義剛君 三ッ林隆志君
武藤 容治君 森 英介君
安井潤一郎君 吉川 貴盛君
大畠 章宏君 太田 和美君
川端 達夫君 北神 圭朗君
細野 豪志君 三谷 光男君
柚木 道義君 鷲尾英一郎君
高木美智代君 塩川 鉄也君
武田 良太君
…………………………………
経済産業大臣 甘利 明君
内閣府副大臣 渡辺 喜美君
経済産業副大臣 山本 幸三君
経済産業副大臣 渡辺 博道君
厚生労働大臣政務官 松野 博一君
経済産業大臣政務官 高木美智代君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 谷 重男君
政府参考人
(文化庁長官官房審議官) 吉田 大輔君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務流通審議官) 松井 英生君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 西川 泰藏君
政府参考人
(経済産業省経済産業政策局長) 鈴木 隆史君
政府参考人
(経済産業省貿易経済協力局長) 石田 徹君
政府参考人
(経済産業省産業技術環境局長) 小島 康壽君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 肥塚 雅博君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官) 望月 晴文君
政府参考人
(中小企業庁長官) 石毛 博行君
政府参考人
(中小企業庁次長) 加藤 文彦君
経済産業委員会専門員 熊谷 得志君
―――――――――――――
委員の異動
十月二十五日
辞任 補欠選任
佐藤ゆかり君 とかしきなおみ君
土井 真樹君 大塚 拓君
牧原 秀樹君 安井潤一郎君
山本 明彦君 三ッ林隆志君
同日
辞任 補欠選任
大塚 拓君 土井 真樹君
とかしきなおみ君 佐藤ゆかり君
三ッ林隆志君 西村 明宏君
安井潤一郎君 牧原 秀樹君
同日
辞任 補欠選任
西村 明宏君 山本 明彦君
―――――――――――――
十月二十四日
消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
同日
新聞の特殊指定堅持に関する請願(柴山昌彦君紹介)(第二七四号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
経済産業の基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
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○上田委員長 これより会議を開きます。
経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官谷重男君、文化庁長官官房審議官吉田大輔君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君、経済産業省大臣官房商務流通審議官松井英生君、経済産業省大臣官房審議官西川泰藏君、経済産業省経済産業政策局長鈴木隆史君、経済産業省貿易経済協力局長石田徹君、経済産業省産業技術環境局長小島康壽君、経済産業省商務情報政策局長肥塚雅博君、資源エネルギー庁長官望月晴文君、中小企業庁長官石毛博行君及び中小企業庁次長加藤文彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤ゆかり君。
○佐藤(ゆ)委員 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。
本日は、安倍新政権発足後初めての経済産業委員会の一般質疑ということでございますが、その最初の質問時間をいただきましたこと、まずもって御礼を申し上げます。
安倍総理は、「美しい国、日本」の国家像の中で、未来に向かって成長するエネルギーを持ち続ける国という表現で、技術革新と改革によって成長の源泉をダイナミックに創造する経済を言葉の裏でお示しになりました。
小泉政権の構造改革が、あしき古き慣習を壊してよき伝統を残す創造的な破壊であったならば、安倍政権の改革は、残されたよき伝統の上に新たな成長の芽をつくる、そういう改革であるというふうに思っております。本日は、こうした成長の芽をつくる経済成長戦略を中心にお伺いをさせていただきたいと思います。
まず、新政権の経済成長戦略についてお伺いをいたします。
小泉政権時代から、不良債権処理に始まり、そしてさまざまな構造改革やIT化の推進へと、いろいろと供給側の改革が行われてまいりまして、この改革は新政権でも引き継がれているものと思っております。ぜひともこの路線は継続していただきたいものでございます。
その一方で、人口減少時代というものを抱えまして、人口減少時代には需要の縮小という自然な圧力がかかるわけでございますけれども、その中で供給側の改善だけが進んでしまいますと、場合によっては需給ギャップが開いて、デフレ圧力が再来しかねないような状況にもなり得るのではないかと思います。
デフレ脱却をして、財政健全化のための三%の名目経済成長率を維持するというためには、個人消費などの民需拡大もしなくてはならないと思います。このために、供給側の改善によって高く向上させるパーキャピタの労働生産性のもとで、パーキャピタ所得をきちんと増加させること、すなわち、生産性の向上に裏打ちをされた高い労働分配率を誇りを持って維持する経済を目指してこそ、人口減少時代にも成長は見込めるのではないかというふうに思うわけでございますが、この民需の喚起のルートも含めて、大臣はどのような経済成長戦略を描いておられますでしょうか、御所見をお伺いしたいと思います。
○甘利国務大臣 佐藤先生は産構審の委員もされていましたので、もう私が答弁をする内容は御承知だと思います。
サプライサイドの改革とディマンドサイドの問題、これは密接に絡んでおりまして、つまり、イノベーションが進んでいくと、そこに新しい消費が起きるということはあるわけでありますし、供給サイドが発展をしていくと、所得転嫁をされて消費力がふえるということにもつながるわけであります。携帯電話が発明される前はそういう市場はなかったわけでありますが、携帯電話が発明をされて新しい市場が広がった。もちろん、それによって余波を受けて縮小した部分もあるかとも思いますが、イノベーションが全体の消費力を、消費市場を拡大した。
それから、新しい事業が起きて、そこに新しい所得が起きると、それが消費に回る。生産性を上げることによって経済効率がよくなり、所得転嫁が起きて消費が拡大をする。
あるいは、市場そのものを広げていく、つまり経済国境を広げるという作業もあるわけであります。これがFTA、EPAでありまして、日本の物理的国境は限定をされているけれども、経済国境を広げることは可能ですから、アジアの市場を消費市場としていくということ等々、質と量で拡大をしていく。
供給側から働きかけて消費側を拡大することもあれば、消費側自身を拡大する、そういう縦、横、斜めの政策で経済規模を広げていくということになろうかと思います。
○佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。
確かに、イノベーションを基軸とした経済成長戦略は、ぜひとも引き続き取り組んでいただきたいと思います。
そして、今お伺いしました、大臣のおっしゃっておられますイノベーションの方ですが、そちらの方に質問を少し移らせていただきたいと思います。
政府の掲げるイノベーション政策で、グローバル経済の競争力の強化のためにイノベーションの加速が必要なことは間違いないと思われます。ただ、国内の規制や税制などに照らしまして、こうしたものが国際的なイコールフッティングの確保を妨げている、その結果国際競争力を阻害しているのではないかというような議論もあるとおりでございます。
例えば、情報通信技術分野の規制が市場の分断を引き起こしている。あるいは、我が国においては法人税が諸外国と比べて高い。また、減価償却税制につきましても、主要国では設備投資全額まで償却が可能でありますけれども、我が国の場合には投資額の九五%までしか認められていないというような、いろいろなことがあるわけでございます。
この点、次の政府税調の会長に阪大の本間正明教授の御就任が決定されたわけでございまして、そういう意味では、成長戦略に軸足を置いた、合致する課税論者として期待がかかるところではございますが、この国際競争力の強化につきまして、大臣も新聞等では既に前向きの御発言をされておられることと思います。ぜひ、規制改革や税制改革をどのような御方向でお進めになられるおつもりか、お伺いしたいと思います。
○山本(幸)副大臣 おっしゃるとおりでございまして、グローバル化の中で国際競争力を高めていくために、税制や規制の面でイコールフッティングという観点で考えていくことが大変大事だと思っております。
その意味で、法人関係については、私ども、まず、御指摘の減価償却制度につきまして、国際的なイコールフッティングを確保して、設備投資の拡大と、それによってイノベーションの加速化を実現したいと思っておりまして、平成十九年度税制改正におきまして、償却に要する年数を諸外国に劣らないものに見直したい、また、全額を償却可能にするということ等を内容といたします四十年ぶりの抜本的な見直しを今要求しているところでございます。何とか実現したいと思っております。
また、規制改革の面でも、そうした情報通信分野で阻害しているものがないかどうかというものを検討しておりますし、あるいは企業結合規制とか、これは公取の関係にもなりますけれども、そういうガイドラインで、国内市場だけを見て物を考えるということがございますけれども、やはり国際的な商品は国際的な観点で考えて、企業結合については見直していくというようなことを申し入れておりまして、そういうこともやりたいというように思っております。
あるいは、新しいイノベーションができて医療機器なんか出ても、その審査が非常におくれて、せっかくのイノベーションが生かせないというようなことが現実にも起こっておりますので、これはまた厚生労働省とも相談をしながら、そういうせっかくの技術革新を生かすことができるように、規制改革等に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○甘利国務大臣 具体的な施策については今山本副大臣がお答えをさせていただきましたが、先生御指摘のように、今や、国が企業を選択するという時代ではなくて、企業が国を選択するという時代になってきております。鎖国ではありませんので、経済国境、企業の選択をするエリアが、国の間の塀が下がってきて、低くなって、どこでも行けるという時代になりました。企業にとって魅力的な国であることが大事だと思いますから、そういう点では、競争相手国とのイコールフッティングをどこまで確保するか、それが大事な要素になってくると思います。
○佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。
早速でございますが、次のイノベーションについて質問させていただきたいと思います。
経済産業省では、イノベーション・スーパーハイウェイ構想というものを目下進めておられるところと思います。研究開発と市場との好循環を目指す経済産業政策でございますけれども、市場での需要動向など重要な最新情報というのは、実は、これまでは系列関係ですとか下請関係などの企業間で情報が共有されていたという仕組みがソフトに成り立っていた時代がございましたが、最近では系列関係も解消し、あるいは下請関係もなくなりつつあるというような中で、最終需要に関する重要な動向ですとか、あるいは需要動向からくるさらなる技術革新へのヒントにかかわる情報などをどうやってある意味、川上企業に伝達をしていくかということが一つ問題として挙げられると思います。
このあたり、イノベーション・スーパーハイウェイ構想の中で、今後どのようなソフトな制度構築を目指されるものなのか、御所見をお伺いしたいと思います。
○渡辺(博)副大臣 ただいま佐藤委員の方から御指摘ありましたイノベーション・スーパーハイウェイ構想についてでございますけれども、イノベーションが経済発展のために今大変必要であるということは総理の所信の中にも述べたとおりでありまして、成長に大いに貢献するイノベーションを促進するためには、科学と技術と事業をつなぐ双方向の知の流れを円滑にするということが大変重要だというふうに思います。
企業側から見ますと、市場のニーズに合わせて革新的な製品化を行うためには、大学や産業技術総合研究所等、我が省でありますけれども、こういったところが行う基礎研究を活用して、科学にさかのぼった研究を行うとともに、市場情報や異分野の技術等の多様な知の融合を進めていくことが大変重要になってきているというふうに思います。
そのために、経済産業省としましては、産学官の連携、異分野の知識、技術の融合を促す研究開発の推進、知の融合の場づくりに対する支援を通じて、研究と市場の間の好循環をつくる仕組みを構築しております。まさにこれがイノベーション・スーパーハイウェイ構想ということであります。具体的に申すならば、とりわけ双方向の流れをつくるためには、人、物、金、知恵、わざ、これが双方向で流れる視野の広い仕組みをつくっていくということが主眼でございます。
○佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。
ぜひとも、変わり行く企業間関係を反映した形で、情報化社会ですので、きちっとした情報共有の制度構築に向けても御尽力いただきたいと思います。
もう一つイノベーションについて、最後に、イノベーションを取り巻く外部環境の整備についてお伺いをしたいと思います。
少子高齢化時代というのは軽視できない足かせでもありますが、それと同時に、新たな成長のチャンスを提供しているというふうにとらえることも可能ではないかと思います。すなわち、少子高齢時代に需要拡大の見込まれる産業を重点分野として、これらを支えていくための新しい技術開発・革新などにつなげる戦略的な政策というのも有意義ではないかというふうに思われるわけでありますが、この意味で、少子高齢化時代の重点産業というのは、我が国の国内経済においてどこに模索しておられるのか。
そしてまた、例えばがん対策等の先進医療技術ですけれども、あるいは次世代知能ロボットですとか、あるいは異分野、異業種技術融合などの新しい技術分野でのイノベーションの加速のために、例えば技術移転ですとか実用化研究開発、あるいは特許、国際標準化等の、いわゆるこれらのイノベーション活動を取り巻く外部環境の整備について、どのような優先的な取り組みをされていかれるおつもりか、お伺いをしたいと思います。
○甘利国務大臣 少子高齢化社会の到来をマイナス要因としてだけとらえるのではなくて、プラス思考で、だからこそこういう事業分野が開けるのではないかという御指摘は、そのとおりだと思います。
医療や介護や福祉にどう新しい発想を持ち込んでいくか、あるいは、その分野にイノベーションをどう投入していくか、持ち込んでいくか、それは大事な視点だというふうに思っております。
日本は、ロボットというのも得意な分野でありますし、介護ロボット等々、あるいは、そう力のない人が介護をするために、ロボットスーツ等の実用化も進んでいるわけであります。あるいは、医療の分野でも、ITを導入して、より効率的に、質を下げずに医療費を削減していくか等々のトライもあるわけでございます。また、新分野では、燃料電池の開発であるとか、あるいは新しい次世代検索エンジン等々、いろいろなアイデアが出てきております。総理はよくテレワークということをお使いになります。自宅にいながらにして、つまり、女性が家事、育児をしながら仕事に従事できる、そのためのICT技術の活用も事業分野としては開けていくではないかと。いろいろな提案があるわけであります。
マイナス要因として少子高齢化をとらえるだけではなくて、プラス要因として、だからこそこういう事業分野があるではないか、こういうニーズがあるではないか、そういう発想は非常に大事だというふうに思っております。
○佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。
ぜひとも、少子高齢化時代にみんなで前向きに築き上げていけるような産業政策を行っていただきたいと思います。
今大臣からもお言葉が出ましたテレワークですけれども、少し、在宅の人口倍増計画というのも今、新政権で出ているとおりかと思いますが、それについてお話を移らせていただきたいと思います。
在宅人口倍増計画、労働市場をいわば柔軟化していく政策でございますけれども、これはまさに労働生産性を上げていく上で重要な施策であると思います。
そこで、この在宅人口倍増計画というものを実施するに当たりまして、今後、実は、社内LANシステムの自宅からのアクセスの普及等のシステム投資について、少し、経済産業政策の一環として御検討いただけないものかというような思いもございます。
実は、自宅から例えば会社員が会社の社内LANシステム等にアクセスをする場合に、いろいろなセキュリティーのクリアランスですとかシステム投資が事業者側にも必要になってくるわけでありますけれども、ただ、この社内LANシステム等のアクセスというのは、実は、労働市場を在宅人口をふやすことによって柔軟化し労働生産性を上げるというメリットのみならず、私は、これは育児休暇の促進など、そういった意味でもその横断的な効果が期待される一つのシステム投資分野ではないかというふうに考えております。
そういう意味で、非常に効率性が高いということもありまして、ぜひ、この社内LANアクセスのためのシステム投資を行う事業者などに対する優遇措置というものが検討できないものかどうか、そのあたりの可能性についてもお伺いいたしたいと思います。
○肥塚政府参考人 今大臣から、あるいは先生からもお話がありましたように、テレワークは、自由度の高い働き方で、幅広い人材に就労機会を与えるということで、私どもも期待しております。
数字を一言申し上げますと、情報産業を中心に在宅人口の増加に向けたテレワークの導入が進んでおりまして、十七年度の就業人口に占めるテレワーカーの割合は一〇・四%ということで、平成十四年度の六・一%から順調に増加しております。
今先生がお話しのとおり、ただし、事業者がテレワークを導入しますときには、機密情報の管理、情報セキュリティーの問題、それから勤務状況の管理に問題があるというふうに言われておりまして、私ども、四省庁で連絡会議をつくったり、あるいは産学官でテレワーク推進フォーラムというようなものをつくりまして、四省庁共同のガイドブックなどもつくっております。
これからも、そういう意味では、情報の管理、情報システムあるいは労働管理のあり方について検討し、勤務環境の改善あるいは生産性の向上といったメリットがあるんだということをガイドブック、いろいろな形で示していきたいと思います。
その中で、今先生からお話がありましたIT関係でございますけれども、一つは、このガイドブックの中にも書いているのでございますけれども、やはりセキュリティーの基準というものをどういうふうにこの中に入れるかというようなことを四省庁それぞれ、労働法規に関しては得意な厚生労働省、私どもは情報セキュリティーのところということでやっているんですけれども、一点はそういうことがあろうかと思っております。
それから、そういうテレワークだけではなくて、サービス産業の生産性向上という意味でもITの活用というのは非常に重要だと思っておりまして、いろいろな行動指針をつくったり経営力指標をつくったり、それから中小企業へのIT導入支援、普及というようなことに努めているわけでございますけれども、今お話しの点につきましては、今年度から導入されています新しいIT基盤税制というのが、一定のセキュリティー要件を備えますと、ITの投資に対するインセンティブでございますけれども、これが生産性の向上に役立つ、あるいはこれをもっと利用していただいてテレワークの導入に役立っていくというふうな、先ほど申し上げましたガイドライン、あるいは私どもがつくっているメリットの示し方、あるいは情報管理のあり方について考える中で、そういうことをもっと積極的に取り上げていきたいというふうに考えております。
○佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
次に、時間も迫ってまいりました、一つ、地域活性化と中小企業の活性化策についてもお伺いをぜひともさせていただきたいと思います。
安倍総理は、地域中小企業の活性化と地域間格差の是正について、頑張る地方応援プログラムというものを来年度からスタートさせるというようなことを言及されておられます。並行して経済産業省の方でも、地域資源活用企業化プログラムの創設ですとか、あるいは地域における産業集積、いわゆる産業クラスターのさらなる進化と拡大のためのネットワーク化などを既に政策として手がけておられると思いますけれども、実際に、この地域活性化策というのは、十九年度の予算要求でも経済産業政策の一環として重要な取り組みを既に始めておられることかと思います。
特に、この地域間格差の是正が今課題視されている現況を踏まえまして、地域経済と中小企業の活性化に向けた来年度の具体的な具体策の中でどのような活性化策を行われるのか、大臣のそのあたりの御決意をお伺いしたいと思います。
○甘利国務大臣 景気は引き続き拡大はしていますけれども、いま一つ実感がない、大企業はいいけれども中小企業はまだら模様、都市部はいいけれども地方は結構大変よという話が聞こえます。
地域間格差、これが無限に拡大していくということは避けなければなりません。全く同じにするということはいろいろ難しいと思いますけれども、それぞれ地域が自分の力で伸びていくための環境整備をする。
ここで大事なのは、いっときの効果ではだめだと思うんですね。公共事業型というのは、その公共事業を実施しているときはいいけれども、終わっちゃったらおしまいと。所によっては、それがあるためにかえってそのランニングコストで実は足を引っ張るなんていう声も出てくるわけであります。でありますから、そこの地域に存在する資源を見出してブラッシュアップをして、その連係プレーをする、アライアンスをするということが大事だと思います。
今までも地域産業クラスター構想というのを我が省は持っております。地域の中小企業が持っているノウハウとかアイデアを物にしていくということですよね。実用化試験をして実際の製品や商品、サービスに仕上げていくということ、それを地域の産学官連携で行っているわけであります。
ただ、これにはもう一つバージョンアップする大事な要件がありまして、それは、市場とつなげるということなんですね。いいものはできたけれども販売戦略がなってないというんじゃいけませんから、産学官連携に横ぐしを通して市場とつなげる、マーケティングという発想がなければいけません。これを導入していこうと思いますし、地域資源は、我が省だけじゃなくて、文化的なもの、歴史的な遺産、町の景観あるいは自然景観、いろいろなものがあると思います。それを地域おこしに使えないかということを各省が研ぎ澄ます感覚を持っていなきゃいけないと思うんですね。それを各省間連携をしていく、そこに例えば総務省の措置がどうきいてくるかということだと思います。
私は、閣僚懇の席上で、中小企業政策として我が省の政策からちょっとはみ出ますよと、国交省にも、あるいは農水省にも文部科学省にも、あるいは総務省にもそういう協力要請をしておりまして、既に事務レベルでの連携がスタートいたしております。これらの地域に眠っている資源を掘り起こしてブラッシュアップをして連携をとっていくということで、一回限りの振興策じゃない、持続的にその地域が繁栄をしていくその基盤をつくりたいというふうに思っております。
○佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。
ぜひとも、その地域に根差した独自色豊かな地域振興の政策を推進していただきたいというふうに思います。
時間が少し残されているようですので、もう一つだけ質問をさせていただきたいと思います。
最後に、資源関連の政策についてお伺いをしたいと思います。
昨今の中国を初めとする新興国の経済成長に伴いまして、世界の鉱物資源や金属材料などのいわゆる素原材料に対する世界需要の拡大というのが起きているわけでございます。それに伴いまして、グローバルなこういった素原材料の販路や輸出ルートが目覚ましく変わってきているという実態もあると思います。
そうした中で、我が国の戦略的分野でもあります半導体製造に欠かせませんレアメタルを一つの例にとりまして、先駆的事例として、この安定供給の確保に向けて、実際の取り組み、どのような取り組みをされておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○望月政府参考人 先生今お尋ねのレアメタルについては、資源の不足が、偏っているということ、あるいは需要が急増しているということから、大変重要な政策課題になっております。
かねてから私ども、レアメタルの備蓄であるとか、そういうことで緊急時対策については対応しております。また、このレアメタル自身の資源開発につきましては、資源機構、JOGMECと言っているんですけれども、資源機構など自身が鉱物資源の探鉱開発についての交付金を交付するとか、あるいは希少金属についての代替材料の開発をする、そういった観点からさまざまな施策を打っているところでございます。
この問題の重要性というのはますます高まっておりますので、私どもとしては、これについてさらに一層の総合的な対策に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
○佐藤(ゆ)委員 ぜひ、こういう戦略的分野での予算要求というのもしっかりと継続していただきたいと思います。
これで質問を終わらせていただきたいと思います。小泉政権の創造的な破壊から安倍政権の成長の芽の創造に向けて、ぜひとも、我が国のよき伝統を生かしながらも、グローバルな環境変化をしっかりと見据えた経済産業政策に取り組んでいただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。
○上田委員長 次に、赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
まず、甘利大臣、山本、渡辺両副大臣、高木大臣政務官、このたびの御就任、大変におめでとうございました。
特に甘利大臣におかれましては、商工族と言うと聞こえはよくないかもしれませんが、商工関係の大物議員としてこれまで御活躍もされておりましたし、満を持しての御登板ということで、たゆまない、絶えざる経済成長を続けていかなければいけない難しい時期の御就任ということで、大変その意義は大きいと思いますので、どうか、今後とも御指導いただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。
きょうは、先日の大臣のごあいさつに関する御質問ということで、きのう、率直に言うと余り時間がなかったものですから、通告は細かく書きましたし、多分役所もきのうは夜を徹して答弁も用意されているかもしれませんが、きょうは時間も限られておりますので、そんな細かいことをぎりぎり詰めるというのは次回以降、それぞれの委員会のときにということで、きょうは、これからの大きな経済産業省としての戦略というか方向性について、率直に甘利大臣の御見解というか、感想というレベルで十分なんですが、お述べいただきたい。本当は委員会じゃなくて二人で話せばいいじゃないかと言われるかもしれませんが、大臣も大変お忙しいので、こういう場じゃないとなかなか議論というか感想を述べ合うこともできないと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
実は、私、久方ぶりに経済産業委員会の所属になりました。以前、もう十年以上前に商工委員会と呼んでいたときに委員をやっておりましたが、率直に、久しぶりに経済産業省の役人の皆さんと話をさせてもらって、非常に、平たく言うと、随分元気になったなというふうに感じました。
これまで私が思っていた旧通産省というのは、恐らく、戦後復興に際しまして、まさに日本の産業界の旗振り役として、とにかく自分たちが頑張らなきゃいけないということで、大変優秀な人材も集まって、旗を振り続けて、日本の高度成長を支えてきた。
しかし、近年になって、重厚長大産業に陰りが出てきて、また一方では、規制緩和というか、民需主導というような中で構造改革をしていかなければいけないということで、その中で、なかなか経済産業省の役割というのが、率直に言ってすごく小さくなってきたのではないか。悪い言葉で言うと、どうも、優秀な人ほど、規制緩和の法律をつくって、自分がみずからベンチャーを起こして役所をやめていくとか、大学教授になられるとか選挙に出られるとか、大変優秀な人材が相当省外流出をしているんじゃないかと私はすごく率直に思っておったんですね。何となく、予算を見ても、資源エネルギー庁とか中小企業庁というのはそれなりに機能しているけれども、本体の方がどうも旗振る場を失っているのではないかということを大変心配しておるわけでございます。
一方で、歳出歳入一体改革というのがこれまで政府部内の中でいろいろある中で、どうしても、私も財務副大臣をやらせていただいておりましたが、非常に、余りおもしろい話ではなくて、切り詰める、夢のあるというより、カット、カットの話ばかりでして、どうも暗い中で、今回の経済産業省というか、前の二階大臣の多分リーダーシップのもとで人口減少下における経済成長戦略といったものを発表されたというのは、私は大変意義が大きいのではないかと。
本当に、甘利新大臣のもとでこの経済成長戦略を肉づけしていこうということが、恐らく、冒頭申し上げました、経済産業省の役人の皆さんが大変元気を取り戻している原因の一つなのかな、こう想像しているところでございます。この経済成長戦略について、また後ほど質問させていただきたいと思います。
その前に、先ほどの御答弁にも、大臣の御答弁の最後の方で出ておりましたが、景気回復についてちょっと、これは少し所管とは違うかもしれませんが、御感想を聞かせていただきたいんです。
景気については、イザナギ景気を超える景気拡大というか、長期にわたる景気回復がなされている。マクロの数字ではそういうふうに出ている。
しかし、我々政治家としては、私は神戸選出ですが、神戸市の中を歩いていて、マクロ経済的には景気は回復したとか、イザナギ景気を超えるあれだとかという話をすると石を投げられるような、何を考えて言っているんだと。景気回復を実感できているというのはなかなか言えない。もちろん、非常にもうかっている人というのは余りもうかっていると言わないという傾向もあると思いますが、大変だという声がまだまだ強い。
マクロの数字も、よく見ますと、企業部門の数字はいいし、設備投資は大変強含みだという数字が出ておりますが、やはり個人消費については、以前よりよくなったとはいえ、かなりまだまだ想定よりも低目に出ている、弱いということが、これはもう正直なところだというふうに思っております。
その中で、格差問題というのが言われているわけでございます。
私、格差問題というのはちょっとどうなのかなと。私個人としては、アメリカなんかと比べますと明らかに日本の方が格差が少ないわけなんですが、日本の中で格差、格差と言われているというのは、私、ちょっと少しその辺、疑義もあるのであります。
しかし、先ほど申し上げましたように、東京とか名古屋とかといういいところと、神戸といったら、地方都市と言われるかもしれませんが、一応政令都市ですし、神戸と比べても、それは相当、まだまだ景気回復のタイムラグがかなりある。今大臣御答弁ありましたが、地方に行くと、タウンミーティングなんかで高松とか仙台に行きましたけれども、地方に行けば行くほど、というのは、公共事業に依存している地域に行けば行くほど相当まだまだ深刻な状況が続いているというのはやはり事象としてはあると思うんですね。
あと、大企業と中小企業というのも、これも随分粗っぽい言い方でありますが、いろいろな業種でよし悪しもあると思うんですが、そういった業種の中、業種ごとのよし悪し、回復度の違いとか、その中での大企業、中小企業との違いというのも、現状は違いがある。
あと、正規、非正規。これは非正規雇用が進んだ結果、経済がよくなったという側面もあると思うんですけれども、それが固定化されるということはやはり余り麗しい状況じゃありませんし、非正規雇用とか、加えて、ニート、フリーターという就職できなかったいわゆる三十代の人たちが、そのまま置いておくと、やはりそこについて、個人消費についてはなかなか回復しないというような側面もある、私はそう認識をしておって、やはりこれを何とかしていかなければいけない。そのための恐らく経済成長戦略という位置づけだというふうには思うんです。
ちょっと御感想というか御認識を伺いたいわけですけれども、こういった、景気回復と言われながら、その景気回復の実態と、そしてそこに生まれている格差と言われる現象について、大臣の御見解並びに今後の修正というか改善の方針というか、御見解を賜りたいというふうに思います。
○甘利国務大臣 赤羽先生が本委員会に戻られたことも経済産業省のモチベーションが上がってきた要因の一つであると思いますが、確かに、戦後の復興を当時の通商産業省が支えたというのは事実だと思います。ただ、昨今は、とにかく行政は民間の邪魔をしないでくれ、それが最大の後押しだという話が随分ありますと、何もやらないことがいいのかとか、あるいは、行政が持っている民間に対する制約を全部放せば放すほど、つまり自分たちの仕事がなくなればなくなるほど世の中にはいいのかというような感覚が出てきますと、確かにモチベーションが下がってきてしまうわけであります。
ただ、通産省の歴史、経済産業省の歴史というのは、新しく国を引っ張っていってくれるリーディングインダストリーを本当に種のころから見出して、それをいかに後押ししていくかという政策は、日本の復興、発展を支えてきたんだというふうに思っておりますし、特に、本省は許認可官庁じゃありませんから、知恵を出す以外はないんですね、予算も大してありませんから。知恵の勝負の役所でありますから、そういうことにちゃんとみんなが気がつけば、頭の勝負だとなれば、当然、よし、やってやろうという気持ちにはなるはずなんであります。そのことを私は就任のあいさつで強く申し上げた次第であります。
景気回復の実感がない、私もそうなんです。大手の企業の中には、史上空前を更新というのは確かにいっぱいあります。しかし、中小企業はどうなのと。確かに中小企業の中にも、私の地元で、実は結構もうかっているんですよと言ってくる人もいますけれども、全体としては、どこの話というのは結構聞こえるわけですね。都市はいいけれども地方はだめと。
この実感がないというのは何だろうなとずっと私も思っていたんです。今月でイザナギに並んだ、来月イザナギを超えるのは間違いないと。だけれども、どこの国の話ですかという声も相変わらず聞こえてくるわけですね。
これは、期間は長いけれども厚みがないということなんですね。イザナギの場合は、実質でも一一%を超える。今回は実質で二・四ぐらいですかね。私は名目が大事だと思っているんですけれども。名目、要するに実際の数字ですよね。給料袋の中身、企業の実際の表づらの業績の数字。この名目がどうかというと、イザナギの時代は、たしか年平均ベースで一八パーを超えているんじゃないですかね。今は何か一パーですからね。それは幾ら長く続いたって実感はないと思います。ですから、経済成長戦略、経済成長戦略大綱では、名目三パーに持っていこうと。これは並み大抵のことじゃないと思いますよ。財政出動の制約のある中で、知恵と工夫で三パーまで名目を持っていこうと。そうすれば、少なくとも実感はわいてくるのではないか。
それから、今の景気は民間設備投資先行ですよね。消費にまだ本格的に火がつかない。景気の拡大というのは、やはりGDPの六割を占める消費にきちんと点火して、そこからたくましく伸びていく、ここがまだ完全にうまくいっていないんですね。その原因は、企業は収益が上がったけれども、企業の所得から家計の所得に転嫁がまだ始まったばかりです。賃金はかなり下がっていて、ようやく底打ちして反転に出てくる、これからだと思います。
正規、非正規も、正規が減って非正規がどんどんふえていった。これも底打ちをして、両方ともふえたときから、今度は、四―六では、正規が百万人ぐらいふえて、非正規は十四、五万減った。ようやくこれからだな、ここが大事だという思いがいたします。
地域では、やはり発想を変える必要があると思います。昔は、地域の落ち込みを支えるのに公共事業、補正でも公共事業が主で、一時的なカンフル剤効果はありますけれども、仕事が終わっちゃった後どうしてくれるのさという話なんですね。仕事が終わっちゃった後も引き続き地域経済を支えてくれるというやり方をしないと、単発的で終わってしまう。もう無制限にカンフル剤を打ち続けなきゃならぬということになりますから、公共事業が悪いと私は決して言いません。これは必要です。ただ、地域経済を振興させるプランのその部品としての公共事業という視点が大事だと思います。
こんなにしゃべっていていいんですか。
たびたび引き合いに出されますのが、地域資源でいうと、わかりやすいからいつもこれをみんな使うんでしょうけれども、広島の熊野町の筆ですよね。
書道なんというのは、産業として見れば衰退産業ですね。書道人口はどんどん減っているし、筆の需要は減っている。でも、その筆をほっぺたに当ててさわった人がいて、あっ、この感覚って何かに使えないのと思ったところからスタートするんですね。化粧筆への変更ですね。こんなに品質がよくて、ふぞろいでなくて、こんなの世界にどこにもないよということを思ったところから、つまり、筆というものを別な視点から見た途端に、世界の商品になるんですね。
これは、ただ物をつくるということだけじゃなくて、やはりマーケティング、つまり市場戦略ですね。どういう仕掛けをしていくか。その市場戦略のもとにブランド戦略があって、このブランドは世界一、一流のメークアップアーティストはこれを使っている。逆に言えば、これを使っていない人は二流という意識づけをしていくという戦略が必要だったわけですね。これがうまく機能して、世界の熊野筆になったんだと思うんです。
これは筆だけじゃなくて、地域資源というのは幾らでもあると思うんですよ。それを見出してブラッシュアップして、そして、ただつくるだけじゃなくて、デビューをさせていく戦略と結びつける、こういうことを地域ごとにやっていくその手助けをするということが大事だと思うんですよ。そうすると、一時的な、一時しのぎのカンフル剤ではなくて、永続的にその地域の経済を引っ張っていく要素ができるわけですから、そういうものをつくる。
これは何も我が省のことだけじゃなくていいと思うんです。うちには世界に冠たる世界遺産があるといったら、これはもう大変な地域資源ですね。ただ、ああそうで終わっちゃうと宝の持ち腐れですから、これをどういうふうに使ってやろうかという発想が大事なんです。
ですから、省庁間の連携ということは、今ほど大事なときはないと思います。基本的に経済産業省というのはお邪魔虫で、すぐよそへ出張っていくんでありますけれども、迷惑がられるんでありますが、このDNAがむしろ今は活躍をするときではないかと。ただ、断りなしに相手のうちに入っていっちゃうと申しわけないですから、お邪魔しますという仁義はちゃんと切っているところでございまして、今、省庁間連携をスタートさせております。
○赤羽委員 本当に意欲あふれる御答弁、ありがとうございます。
今言われた経済成長戦略、いろいろこういう資料をいただきまして、事務次官から本もいただいているんですが、ちょっとまだ読み切れていないので。よくできているんだろうなと。
今言われました省庁間、経済産業省からはみ出てやっていくと。知恵の勝負の役所というのはなかなかいい位置づけで、本当に誇りを持ってやっていただきたいな、こう思います。
ややもするとそこに水をかけるようなことを言って恐縮なんですけれども、今まで経済産業省とおつき合いをしてきて、商店街を活性化させるTMOというのは、私は話を聞いたとき、これは話としてはいいけれども、本当にこんなことができるのか、率直に言ってそういう発言をしたこともありますし、平沼プランという起業家支援、今回の話をしようと、きのうもずっと見ていて、イノベーションと需要の好循環云々とか書いてあるのを一生懸命読んでいたら、あれ、平成十三年五月の資料だといって、これは平沼プランのときの資料と全く同じようなことを言っていて、何か、見てちょっとトレースしたら、目標は十八万社から年間三十六万社の企業が、現状は十六万八千社に減っているみたいな、いろいろな要因があって、別にここでくさすわけじゃありませんが、要するに、ややもすると絵にかいたもちになってきた嫌いがどうも、今までの経済産業省が、いろいろないいことをやってきたんだと思いますが、そういったプランが多かったというのは甘利大臣の方がよく御存じだというふうに思っておるんですね。
ですから、これからの経済成長戦略というのは、これは読んだ限りでは、他省庁からもいろいろ出させて、まだごった煮という感じがありまして、役所も、こういう号令がかかったからそれぞれ役所として出してきて、これで言いっ放しだったらまた同じような話になってしまうなと。
ですから、今後のトレースの仕方というかフォローの仕方というのは、先ほどの御答弁にもありましたけれども、やはり一時的なものではなくて永続的なもの、カンフル剤じゃやはりしようがないわけでして、地力をつける、日本での国際競争力の向上ですとか、地域地域での、それぞれの地場での経済力の向上ということについて、ぜひ大いに知恵を発揮していただきたいというふうに思うんですね。
何か御答弁があれば。
○甘利国務大臣 私も、経済産業省と長いことつき合ってきて、この役所のいいところは、新しいことにチャレンジするモチベーションと能力は極めて高いんですね。
ただ、欠点は、一回やったのをその後もフォローして続けていくというのは余り得手としないんですね。興味がなくなっちゃうんじゃないかと思われる節があるんですね。だから、いつもいつも新しいことを打ち出すけれども、そういえば去年のあれどうなったの、だれか知っているという感じになっているところもあるんじゃないかという、これは思いですよ、反論は役所はあると思うんですけれども。
ですから、プランをぶち上げたら、それが機能しないのはどこに問題があるかというのは常時点検して、常にバージョンアップを考えていくという姿勢が大事なんだと思います。御指摘の点はしっかり踏まえてやらせていただきたいと思います。
○赤羽委員 それで、中身を全部さわれないと思いますので、まず、「国際競争力の強化」の中に、我が国に世界最高のイノベーションセンターを構築して、そのことによってアジアの発展に貢献し、アジアとともに成長すると。
当然、今、世界でマーケットとして大きくなっているのは中国を初めとするこのアジアでありますから、そことの接続をどうするか。これは、実はもう民間では大変な勢いで進んでいるわけでありますが、私、ぜひ、日本ではもう少し官民一体となって仕事をすると。経団連のミッションが行くときに、トップに経済産業大臣が団長でついたって全くおかしくない話なんですけれども、日本ではなかなかそうはいかないんですね。
私、中国について、私も中国に長く駐在をしていたことがございまして、中国というのは、近代化の歴史の中でいろいろなリスクがあると言われていた。私もそう感じていましたが、結果としては、何とかクリアしてきている。これからも、二〇〇八年か一〇年まではいいけれども、その先はどうかという悲観論を言う方もいますし、そのリスクはあると思いますが、中国国内というのは、五つぐらいのステージがあるというか、経済格差が百年分ぐらいある。上海なんかは日本の神戸とか大阪よりは全然進んでいるけれども、いまだにはだしで生活していると言うとクレームが来るかもしれませんが、それに近い生活をしているようなところ、向こうは格差がある。その格差が結構強みで、一番発展している地域がたとえバブルではじけた形になっても、それを吸収するセカンドステージがあり、サードステージがありフォースステージがありフィフスステージがある。私は、向こう五十年ぐらいは、基本的には極めて強い経済成長をしていく大マーケットだと思うんですね。
ここについては、省エネビジネスとか環境の問題も含めて、やはり官民挙げて積極的に取り組んでいただきたい。ぜひ、年内かどうか知りませんが、そういったミッションをまず経済産業大臣を団長として実行していただきたいというのが私の一つのお願いでございます。
もう一つ、経済連携協定、EPAの話。
私、党のEPA推進事務局の事務局長をやっていまして、やはりあれは、思ったんですけれども、交渉の仕方が難しいですよね。だれがリーダーシップをとっているのかわからないんですね。経済産業省も一生懸命やりたい。だけれども、一応は外務省が窓口になるけれども、各論はそれぞれ、経済産業省があったり農林水産省があったり財務省があったりとかと、各論でやるわけですね。
そうしますと、私が見ている感じを率直に言うと、なるべく自分たちの、日本の国益に反するようなものを出さない役所がよくやったみたいな評価になるというか、材料を十用意していたけれども八で済ませた、これは農水省、よくやったと。私、これって、基本的にEPAの精神と全く反するんじゃないかと思う。
私、フィリピンの担当大臣と会ったときに、何で日本はこうなんだ、フィリピンと日本というのは経済力では一対百以上差がある、それなのに、何であんなにナーバスになって細かいものまでクローズしようとするのかと。
これは、もちろん農林水産業というのは大事ですけれども、私、今のままだとなかなかこのEPAというのは進まないし、ドーハ・ラウンドも難しいと思いますし、それをやっていると、結局、中国との互恵的競争関係というか、中国はどんどんやってくる、こうなると、本当にアジアにおける云々という経済成長戦略の一つの大きな柱があっという間に吹き飛んでしまうんではないか。ですから、少々いろいろなことがあっても、総論の責任者として経済産業省がこの経済連携協定の交渉はやはり旗を振るべきじゃないか。
その中に、ぜひお願いしたいのは、今回の経済成長戦略の予算要望の中でアジアの人財資金構想というのが入っていると思うんですが、これはぜひ、今フィリピンとの例えば人の移動の中で、日本の資格を取らなければクリアできない、こちらに来られないというところがありますね。細かいことは聞きませんけれども、このアジア人財資金構想というのが確立できるならば、そういったことも柔軟に含めていただきたい。
私の言いたいのは、対中国ということを官民挙げて大臣が旗を振っていただきたいということと、EPA交渉というのは、国益を考えるとやはり経済産業省が責任を持ってリーダーシップをとっての交渉をしていただきたい。この二点について、大臣の御所見、御決意をいただければと思います。
○甘利国務大臣 中国と日本の貿易は、もはや対米を抜いて、なくてはならない存在になっているわけであります。さらに、戦略的互恵関係と、安倍総理の訪中の際に、日中首脳会談でメッセージが発せられました。つまり、お互いにとってプラスになることを戦略的に進めていこうということであります。御指摘のいろいろな問題を解決しながら前進をしていかなければならないと思います。
官民連携の話でありますが、実は、私も昔からそういうことを非常に思っておりました。まるで潔癖性のように、そばへ寄るなという感じで、日本の海外の民間企業はまさに孤軍奮闘、競争相手は政官の分厚い後押しがある、これで戦いに勝てというのかという話はしょっちゅう聞きました。
私は外務省に、大使館はもうちょっとその地の日本企業に関心を持ってほしいということを強く言いました。そうしましたら、あるとき局長が私のところに来まして、大使を赴任させる際、それも重要な項目の一つと訓示を与えて出すことにいたしましたという報告に来ましたけれども、癒着ではいけませんけれども、官民連携というのはどこでもやって戦っているわけですから、これは非常に大事だと思います。
それから、EPA、FTA交渉に経済産業省が、そして経済産業大臣がもっとリーダーシップをとれという御叱咤であります。本当にありがたいお話であります。
交渉の際に、中国のような国はトップダウンで、とにかくEPA、FTAを結ぶ、後は考えるというやり方ですから早いのでありますが、日本は積み上げ方式であります。農水省の問題が多いのでありますけれども、できるだけ農水大臣とも連携をとって、加速度をつけていきたいというふうに思っております。
○赤羽委員 どうもありがとうございます。
きょうは、本当は中小企業の支援策についても触れたかったのでございますけれども、時間がないのでこの辺で終わりにしたいと思いますが、ぜひ対外的な、対中的なことについては、くどくなりますが、もともと日中議連の幹事長もやられていたと思いますのでお詳しいと思います。ぜひ現地に乗り込んでいって、しっかりした友好関係をつくっていただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○上田委員長 次に、近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。
五年五カ月間続いた小泉政権から安倍政権にかわられまして、甘利大臣の体制になられての最初の一般質疑でございます。私も気合いを入れて質問をしたいと思います。
甘利大臣は、先ほど赤羽先生から商工族というか通だという話がございましたけれども、御経歴を見ますと、通産政務次官、自民党の商工部会長、衆院商工委員長そして大臣と、いわゆる四冠王であられます。自民党の先生を見ても、この四冠王の方というのはどれだけいるのかなと思うわけでありますが、その意味では経済産業分野に大変御造詣の深い先輩議員だと伺っておりますし、私も、経済産業分野を国会議員として一つの大事な分野といいますか、ライフワークにしたいなと思う一人でございます。このたびは民主党の経済産業政策の責任者の立場も預かりましたし、党派は違いますが、我が国の国際競争力なり産業の競争力を高めたい、こういう観点から、ぜひこれから密度の濃い国会での論戦をさせていただきたい、こう思っております。
まず最初に、大臣、大事な話がございまして、一点、冒頭から伺いたいと思うんですが、経済産業政策とは直接のかかわりはありませんが、大事な話でございます。最近、与党自民党、そして自民党の閣僚の方からも出ている我が国の核保有論議についてお伺いしたいと思います。
御存じのとおり、自民党の中川昭一政務調査会長が、十五日の民放の番組で、核実験をした北朝鮮の問題に関連して、日本の核兵器保有の必要性について議論すべきだという趣旨の発言をされております。また、麻生外務大臣も、十八日の国会の質疑において、議論しておくのも大事なことだと御答弁をされました。
こうした御発言について甘利大臣はどのようにお考えか、受けとめていらっしゃるか、また、我が国の核兵器保有について議論をすべきと甘利大臣はお考えでしょうか、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 我が国は、持たず、つくらず、持ち込まず、この非核三原則を一貫して掲げているわけであります。安倍内閣につきましても、この問題はそれで決着がついているということで総理も御発言をされておられます。
法的に言っても、原子力基本法では平和利用に限られているわけですし、法的な制約もあります。NPTに入っている以上そういうことはしてはいけないという制約がかかっているわけであります。日本は世界で唯一の被爆国であります。だからこそ、この悲惨さ、世界じゅうから核兵器を駆逐するということを声を大にして叫ばなければならないんだと思います。
日本は科学技術立国でありますから、日本は能力的にはその能力はあるけれども、あえてつくらぬ、持たない。能力のある日本がつくらないし、持つつもりはないと宣言をすることがまさに説得力があるのでありまして、能力がないものが持ちませんと言うのは、ただ外向けに言っているだけの話かとも思いますけれども、日本には技術はあるけれども、しかしやらないという宣言をするんだ、それが核兵器をこの地球上から駆逐していく大きな説得力になると思います。ですから、その種の議論もすべきではないと思います。
○近藤(洋)委員 大臣のお考え、そういった核保有の議論はすべきではないという御発言だと思います。
そこで、御確認をさせていただきたいのですが、大臣は、直前、自由民主党の政務調査会の会長代理の職につかれていたと聞いております。自由民主党政務調査会長というのは自由民主党における政策の責任者だと認識しておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。
○甘利国務大臣 党の政策の責任者でございます。
○近藤(洋)委員 そうですね。自民党のホームページから私も党の規約といいますか党則を見て、四十二条に、「党が政策として採用する議案は、政務調査会の議を経なければならない。」その政務調査会を主宰するのが政務調査会長でありますから、まさに政策の責任者であるということだろうと思います。
そこで、議会制民主主義において政府・与党は一体であります、議会制民主主義でございますから。その我が国において、この与党政策責任者の発言というのは極めて重大だと私は思うんですね。折しも、北朝鮮の事件が起きた後、海外の論調では、日本が核を保有するのではないかということが取り上げられている。我々は全くそんなことを考えていないのに取り上げられている。そういった取り上げられた後の中川政務調査会長の御発言であります。
しかも、大臣も重々御存じのとおり、この核保有の議論が出ること自体、実は我が国のエネルギー政策に対して大変な影響を与えるわけであります。我が国の核燃料サイクル事業は、不拡散体制のもとで、核を持たないという国際的な宣言のもとで許されている、ある意味で認められている。IAEAの保証も受けて、非常にクリーンなんだということを国際的に宣言した上での核燃料サイクル事業であるわけですから、この与党の政策責任者の発言は我が国のエネルギー政策にも大変大きな影響を与える、私はこう思うわけであります。
そこで大臣、所管大臣として、中川昭一政務調査会長に対して、その御発言に対して注意を喚起するなり抗議するなり、そういった行動はとられましたでしょうか。
○甘利国務大臣 中川政調会長は、彼も非核三原則は堅持するという前提で、しかし議論することはという表現に及んだようであります。その後に直ちに自民党総裁、つまり政調会長の上司たる安倍晋三総裁が、そういうことはありません、非核三原則を堅持し、その種の議論はしないということをおっしゃいました。これは政調会長の発言を否定したものだというふうに承知をいたしております。また、中川幹事長も同種の発言をされておりますので、党としての意思、総裁としての意思は政調会長には伝わっていると理解をしております。
○近藤(洋)委員 中川政務調査会長は元経済産業大臣であられるわけですね。私も、中川昭一先生は大変尊敬している議員のお一人でありますから心苦しいわけでありますけれども、経済産業大臣を経験された方がこういった発言をする、しかも、およそ責任がある政治家が、我が国のリーダーのお一人が核保有について軽々に発言するということは考えられないんですね。明らかに内閣なり与党の大きな意思が働いているのではないか、保有をする向きに前向きなのではないかという懸念を広げる結果になっている、こういうことなのであります。
さらに申し上げたいのは、麻生外務大臣がその後の十八日に、これは、今度はテレビではなくて国会の場であります。国会の場で、隣の国が核兵器を持つことになったときに、検討するのもだめ、意見交換もだめというのはいかがか、一つの考え方とは思うが、議論しておくのも大事なことだ、こうおっしゃっているんですね。もちろん非核三原則は堅持するという前段ありの上ですが、しかし、さらに議論しておくのも大事なことだ、こうおっしゃっている。
甘利大臣は、議論するべきではない、議論するということをすべきではないということを明確に今、国会でおっしゃいました。麻生大臣の国会での発言と違うんじゃないんですか。いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 私の発言は総理の発言に沿っているというふうに思います。
近藤先生おっしゃるように、日本は、原子力の平和利用に徹するということに関してお墨つきをもらっているから原子力開発が進んでいるわけであります。おっしゃるとおりです。IAEAの厳重な査察をクリアしているからこそ、いわゆる再処理から含めて、あるいは高速増殖炉の研究開発まで含めて、いわゆるフルサイクルで認められている。これは、国際的な原子力協力、GNEPという体制が今提案されて進んでいるわけでありますけれども、そのGNEPの構想の中で、核保有国以外でフルサイクルで認められているのは日本だけであります。それは、平和利用に徹するという完全なお墨つきのもとに、日本なら任せて安心というわけでありますから、この信頼を揺るがせることはあってはならないと思っております。
○近藤(洋)委員 全くおっしゃるとおりでありまして、フルサイクルができる我が国の核燃料サイクル事業、要するに、原子力政策が成り立つのは、核保有の議論など全くもってのほか、一切しないという、大臣全くおっしゃるとおりの中で認められている体制なわけですね。そして、私も全く同じ考えでありまして、我が国は唯一の被爆国として、核兵器を持たないという中で原子力の平和利用を行う、これは国際的に私はある意味で責務でもあろうかと思うわけであります。そういう観点に成り立っている我が国のエネルギー政策の中において、麻生外務大臣が国会の場で、非核三原則は堅持するという前提であるものの、議論しておくのは大事なことだと発言されたのは、私はこれは極めて問題だと思うわけであります。
これは、甘利大臣、エネルギー政策、外務大臣も、そういったGNEPなりさまざまなエネルギー関連の、まさにこれから伺いますエネルギー外交も含めて、密接不可分な閣僚なわけですね。エネルギー戦略において非常に重要な閣僚は外務大臣であります。外務大臣がそのような発言を、議論しておくのも大事なことだと言った、国会でこのように言った発言について、極めて遺憾だとお思いになりませんか。
○甘利国務大臣 外務大臣の発言の趣旨を子細に外務大臣に確認はしておりませんが、私の先ほど答弁をさせていただいた日本の基本的な考え方、これの仮に障害になるというような趣旨であるならば、これは考え方を訂正していただかなければならないというふうに思っております。
ただ、外務大臣御自身が非核三原則は厳守するという前提のもとでの発言、どういう御趣旨、いろいろと深みのある御発言をされる方でありますから、その趣旨、真意を確認しなければならないとは思っております。
○近藤(洋)委員 議論しておくのは大事なことだというのを国会の場で言ったのは、これは速記録にも残っている話でございます。その上で、今の甘利大臣の御答弁と比べれば、明らかに内閣で方針が違う、外務大臣と経済産業大臣が方針が違うと思わざるを得ません。この点は強く指摘をしておきたいと思うわけであります。
エネルギー政策について引き続きお伺いしたいと思うわけでありますが、エネルギー問題についてはさまざまな課題があるわけでございますが、特に、大臣、気になるのは資源の確保であります。
我が国は資源のない国であるわけですから、資源の確保は何としても進めなければならない。その中で、我が国とロシアの間で大きなプロジェクトが二つ進んでおります。石油天然ガスのサハリンにおきまして、二つの石油、天然ガスのプロジェクトが進められてまいりました。
この二つの計画が現在大きくつまずいております。特に、サハリン1、これは大変歴史のあるプロジェクトであり、また日本政府も運営に出資という形でかかわっているプロジェクトでございますけれども、このほど、生産予定の約六百万トンの天然ガスの全量が、これは当初、日本に輸出される計画でサハリン1は進んできたわけでありますけれども、事業主体のエクソン・モービルが日本ではなくて中国に販売する、こういう計画を打ち出したということが伝えられております。我が国がこれまで政府、官民一体となって進めてまいったサハリン1プロジェクト、これが、大きな成功の投資の果実といいますか、開発の果実が中国に移る事態になった、このことについて、大臣はこの事態をどのようにお受けとめいたしたでしょうか。
○甘利国務大臣 もう随分前になりますけれども、サハリン1のプロジェクトがスタートをいたしまして、私もエネルギー関係にかかわる議員としてぜひ見ておきたいということで、当時の奥田幹生先生と一緒にサハリン1を視察しまして、リグにおりて中に入った経験がございます。そういう思い入れがありますので、その進展度合いを大変注視しておりました。
今回、サハリン1について、中国と売買契約に向けての覚書が締結され、売買契約の前段であります、締結を目指して交渉を進めていくということだと承知をしております。ただし、その間も他の需要家との交渉は続けていくということでありますし、日本とも引き続いて続けているわけであります。ガスの方はそういうことで、石油の方は、九月にターミナルが完成をして本格的な輸出が始まった、日量二十五万バレルが送られてくるわけであります。
近藤先生も御存じだと思いますが、なぜ1の方が、日本の需要家、天然ガスを使う事業者との間で話がこじれているかといえば、パイプラインを引いてくるといっても、とてもめどが立たないではないか、LNG事業、液化の事業であるならば幾らでも買います、ところが、天然ガスパイプラインを持っていく見通しが立たないではないかということで、需要家の方は液化プロジェクトでやってほしい、供給側の方はパイプラインで送っていくというところがぶつかっちゃっているところなんであります。
サハリン1とサハリン2では、サハリン2が液化で、これはもう買い手も決まっている。ただ、後でお話が出るかと思いますが、環境問題で若干おくれているということがありますが、買い手はもうついているわけであります。1の方は、生ガスで送るということに関して、オペレーターの方と需要家の方との思惑がそれぞれ交錯をしているというところなんでございます。
私は、就任をして、確かにパイプラインというのは漁業権の問題とかなんとかもうややこしくてなかなか大変なんですね。持ってくる以上、途中の需要家というと電力ですよね、ですから、基本的にはその電力がそういうニーズを持ってくれないと、つまり、パイプラインの道すがらちゃんと買っていく人がいないと成り立たないですが、なかなかそこら辺がうまく見通しが立たない。需要家の方は、ポータビリティーのいい液化であるならばすぐに買いますよと。買いますよと言っているのに売り手との交渉が成り立たないというのは、方式をどうするか。1の方はパイプラインが得意な会社でありますし、2の方は液化が得意な会社という問題もあろうかと思います。
私自身は、就任してから、何とか液化にならないのという思いがあるんです。液化になれば問題は解決するじゃない。そんなに難しい技術でもないと思うんですね。実は、なかなかこれ、直接働きかけは難しいんです。政府が外国私企業に直接働きかけをすると、もう交渉に出てこないというようなことだってあるかもしれません。これはそういう心配もあると思います。
これは、やはりSODECOを通じて間接働きかけというのは努力はしてきているんであります。なかなか話が成り立たないというのがちょっと苦しいところなんでありまして、日本の資源戦略上、非常に大事なプロジェクトでありますし、私自身は、そういう最初にリグにおり立ったという思いもありますから、何とか物にしたいなというふうに考えているんですが、現状はそういう状態で、若干膠着をしているということであります。
○近藤(洋)委員 大臣、まさにこのままだとサハリン1は、パイプライン計画というのはいろいろコストもかかりますし、さまざまな意味で難しい部分はあるのだなと思うわけであります。
今、大臣の御答弁の方で、液化も含めて検討できないものかというお考えがございましたが、SODECOは、御案内のとおり、政府出資の会社でもあるわけで、完全に民間のプロジェクトですよと言って切り離す話では、これはもう歴史的にもサハリン1についてはそういうものではないと思っておりますし、このまま中国にガスが行くというのは、私はこれは日本の全体の天然ガスの安定供給ということからも大変問題になると思うわけであります。
あわせて、サハリン2についても、こちらの方はロシアの環境省がこれに待ったをかけて、環境問題から工事中止の命令というんでしょうかを出されて、今ロシアの政府内での作業が進んでいる。作業といいますか、ロシアの中でそういう命令が下された。ロシアの中にもいろいろな議論があるようでありますけれども、今、いずれにしろ、その部分が不透明になっている。
あわせて、このロシアの二つのサハリンのプロジェクト、そういったやり方も含めて、サハリン1の事業の見直しも含めて、相当思い切ったことを考えないと、サハリン2については純粋に民間ではありますけれども、やはりロシアがエネルギー覇権主義とも言えるような強気の姿勢を近年とっておるわけであります。いよいよ日本にも同じような形で来たなと私は受けとめているわけですけれども、政府はどこかの場面でこの二つのプロジェクトについて、それぞれ別のプロジェクトでありますけれども、サハリンのプロジェクトについて、体制なり考え方を見直すなり示すなりしないといけないのではないか。このままだと見通しが甘かったんではないかとの批判も受けるかと思うんですが、重ねていかがでしょうか、サハリン2も含めて。
○甘利国務大臣 サハリン2につきましては、ロシア側が表向きは環境問題に疑義がある、そういう指摘をしてきている。一方で、国営企業の参画をもっと拡大したいとか、あるいはコストが二倍になっていることについていろいろ主張をしていらっしゃるというところなんですね。
ロシアは資源の国家管理体制を次第に強めています。これは日本だけに対して言ってきているわけではなくて、外国も全く同様な対応をされているわけでありまして、きのうもオランダの経済大臣と話をしました。やはり、向こうもかなり頭が痛いという話をされていました。二人で話したのは、世界の経済の枠組みに入ってくる以上は、しかも法治国家である以上は、契約ということの遵守義務について、より認識を高めてもらわなきゃいけないですね、きちんと契約を交わして判こを押しながら、それがほごにされるような事態は絶対避けなきゃならない、その国の信頼性にかかわりますし、それ以降の外国投資というのはかなりちゅうちょする事態になる、これはロシアにとってもよくないですから、そこはきちんとお互い主張していかなきゃいけませんねという話。それから、ただ、向こう側の理屈にも理がありまして、それは許可全体が飛んでいるわけではなくて、幾つもある許可のうちの一つの環境部分の許可についてちょっと見直すよ、それはちゃんと環境保全をやっていないじゃないかという指摘があったわけです。
ですから、これはオペレーターとロシア側環境部局ときちんと話を詰めて、ではどこがしていないのかをちゃんと挙げてもらって、そのうちここまではこういう対処をしました、残りの未対処の部分はこれからこういう対処をする予定ですということを一項目ごとにきちんと精査をして対応方を提案していかなきゃならない。それを今やっている最中、これからロシア側が恐らく今週あたりに具体的にああだこうだということを言ってくるでしょうから、それに対する対処方をきちっとやっていくということが大事だと思います。
その上で、上がったコストの吸収の仕方とか、あるいはロシア側国営企業のシェアの問題等はそのオペレーターを中心に民民で話し合いを進めていけばいいことだと思いますので、これは政治レベルでも前大臣と在日ロシア大使との話し合いとかいろいろなことをやってきております。民間の交渉が主でありますけれども、政治的に問題があれば、それを解決するための話し合いをしていくということは今までもしてきておりますし、これからもやっていくつもりであります。
○近藤(洋)委員 契約をちゃんと守ってくれればいいわけでありますけれども、現実としてロシアがこういう行動に出てきているわけですね。だとするならば、やはりそこは、政治レベルの態度なり、国家としての姿勢というのが求められてくるんだろう。民間の企業で対処できない事態に陥る可能性があるわけですから、そこは政府としての姿勢を示すことが重要だろうということは、指摘をさせていただきたいと思うわけです。
あわせて、大臣、サハリンだけではない。中東では、大型の原油プロジェクトであるイランのアザデガン油田開発も、まことに残念ながら大きく後退をいたしております。日本側の権益が従来の七五%から一〇%に減らされて、その開発の主導権を失った、こういうことだろうと思います。
アザデガン油田開発につきましては、当委員会で我が党の同僚議員からもこれまでも、その開発計画が危ういのではないか、カントリーリスク、核開発疑惑も含めたイランの国情についての危惧、さらには開発契約の内容についての危惧を再三指摘させていただいております。その際、エネ庁側は、民間ベースの話だからと。
私は、これは民間の話だとは思わないですね。なぜなら、石油資源開発の筆頭株主は国でありますから、単純に民間だと切り離すことは全くできないプロジェクトだと思うわけであります。民間の話だからなかなか内容を申し上げられません、さらには、自主開発油田として期待しているという期待の表明のみをこの委員会でも繰り返している。結果として、この事態に陥った、こういうことであろうかと思います。
サウジアラビアのプロジェクトが終わった後のいわゆる中東の目玉プロジェクト、サハリン1、2と、そしてこのアザデガンが我が国の資源開発の三大プロジェクトだと私は認識しております。この三つのプロジェクトがともにこの時期に後退をした、さらには、大きな転換を余儀なくされている。
この事態について、重ねて、大臣、エネルギー政策に大変かかわってこられてお詳しく御見識をお持ちだと思いますので、何でこのようになってしまったのか、イランについても御見解を伺いたいと思いますし、さらに、この一〇%になった事態を受けて我が国としてはどうされるのか、お考えをお聞きしたいと思います。
○甘利国務大臣 私が就任した途端この三つの、あるいは中国の東シナ海を入れて四つの課題と直面をしているわけであります。
アザデガンの油田開発は、その規模からいっても非常に期待されるプロジェクトでありました。御承知のとおり、平成十二年の十一月に当時のハタミ大統領が来日をされました。その際に、我が国に優先交渉権が付与されて、十六年の二月に日本とイランの事業者との間で開発契約が署名されたわけであります。
現状は、核開発疑惑の国際的な要請にイラン側がこたえてくれないということで、こういう状況になっているわけであります。国際社会としては、核不拡散の大原則から、イランにその疑念を払拭する行為をちゃんとしてほしい。ところが、期限が来ても、あるいは期限を延ばしても対応がなされていないということで、資源外交上は、自主開発比率を引き上げていく大事なプロジェクトでありますから、やっていかなきゃならない。一方で、安全保障の視点からは、そういう国際的な要請を破るような行為が国としてはなかなか、なかなかというか、これはできないということの、正直板挟みに入っているわけであります。
インペックスが七五%の権益を一〇%に下げたということは、いろいろな意味があると思います。オペレーターの地位を返上したということであります。これは、民間ベースでいいますと、純粋に金融判断がつかないということです。政府系のJBICも含めて、あるいは民間の金融も含めて、極めてリスキーだと判断を金融側はしますから、金融がつかないわけであります。ですから、なかなか前に踏み出せないという民間の判断が当然あるわけであります。
しかしながら、国際的な状況下の中、民間企業として、いきなりやめたということには、それはもちろんできないわけでありまして、これは当然いろいろな事態が想定をされます。逆に、契約を交わしながら不履行ではないかという事態になるわけであります。しかし、そういう契約が実行できないような環境であるならば、なかなか前へ進めることができない。しかし、どういう状況の変化があるかないかわかりませんけれども、少なくとも話はつながっているということですね、一〇%持っているということは。なかなかこういう場で明確にお話しできない、いろいろな要素の中で、結果としては、制約の中の糸がつながれているという状況ではないかと思うのであります。
確かに、おっしゃるように、国が大株主であります。たしか二九%だと思いましたけれども、経営権をどうこうできるまでの数字にはあえてしてありません。インペックスは上場企業であります。国がインペックスに影響力を行使して、それが株主に対する不利益を与えるということになりますと、当然、上場企業でありますから、株主はその損害をどこに持っていくかという話にもなっていくのではないかと思います。
極めてセンシティブな案件でありますので、申し上げられる範囲はぎりぎりこのくらいかなというふうに思います。
○近藤(洋)委員 交渉事ですから、それは、言えること言えないことあろうかと思います。ただ、私が指摘したいのは、やはり政治は結果責任でありますから、この事態に陥っているというのは、やはりゆゆしき問題だろうと思うわけであります。
大臣、経済産業省がこの新・国家エネルギー戦略というのを前大臣の時代ですけれどもまとめられました。ここには、海外での資源開発目標、これは石油ですけれども、現在、我が国企業の権益下にある油田開発について、自主開発比率を取引ベースで今一五%となっているけれども、これを二〇三〇年、もう残すところあと二十数年しかないわけですけれども、四〇%にしたいと。倍以上にしたいという大変高い目標を経済産業省、エネ庁が掲げているわけでありますね。
こういう目標を掲げていないなら、幾つかのプロジェクトが破綻してもそれはいいでしょう。ただ、やはり自主開発比率を高める方が国益にかなうという目標を政府は立て、これは私ども民主党も同じ思いであります。そういう中で、残念ながら厳しい状況に今立ち入っている。そうなると、大臣、やはり体制面をある程度見直す時期もあるのではないか、私はこう思うわけであります。
民間企業でできること、できないことがやはりあるわけでありまして、かつて石油公団があり、いろいろな事情があって分割、こういう形になったわけです。無論、旧石油公団の体制がよかった、すべてよかったと言うつもりはありませんが、しかしながら、やはりある程度の国の関与のあり方、リスクの、危険の請け負い方、さまざまこれはあっていいのではないか、こう思うわけですね。
と同時に、やはり、かつて石油ショックのときに、第一次石油ショック、田中内閣でありましたが、通産大臣は中曽根通産大臣、あのときには、たしか三木武夫副総理が中東に飛んでいったわけですね。世界からは、油ごいだ何だ言われましたけれども、でも、副総理が中東に飛んでいって、そして資源を確保した。この姿勢が、まさに、日本が非常に厳しいんだ、だから政治が意思を出して、みずから乗り込んでいって資源を確保したんだと、私は非常に意味があったと思うんです。
その意味では、果たして資源外交というのがこれまで行われてきたのか、小泉政権下において。エネ庁からいろいろと、資料を見て、どういうことを、どういう人と会ってきたんですかというのを見ました。それなりに動かれているのはよくわかりますけれども、しかし、こういう事態になると、もちろん国会日程等はあるわけですけれども、体制面の見直しも含めて、資源外交のあり方も含めて抜本的につくりかえないと、この四〇%は到底無理ではないか、こう思うわけであります。
麻生大臣が核保有の議論が大事だなどということを言うようでは、議論も大事なんと言うような内閣では非常に危ないという懸念も思うわけでありますけれども、少なくとも、甘利大臣はこういった問題に大変お詳しいわけですから、抜本的な体制の見直しも含めた資源開発のあり方を考え直すお考えはございませんでしょうか。
○甘利国務大臣 近藤先生が石油公団のことに言及をされました。私は、きのうの閣議後会見で、石油公団に問題があった、その問題は出直し的に改革をして刷新をすべき、それはそのとおり、しかし、資源開発ということに国がかかわるということの政策まで放棄してしまうようなメッセージを与えたのは間違いだという話をしましたら、きょうの新聞には、石油公団は残すべきだというような、ちゃんとした話になっていないのであります。
当時はどういう状況だったかといいますと、もう石油の国際市場があちこちにあるんだから、買ってくればいいじゃないかという議論をされてしまったんですね。どこでも売っているんだから、自分がわざわざリスクを冒して開発する必要はない、石油公団は、どうにもならない経営をしていて、あんなものはつぶせという議論になったんです。
私は、その中身を刷新することは全く異論はありません、だけれども、資源開発に国がかかわるのを放棄するのは絶対に反対だということで、随分やったんでありますけれども、結局押し流されてしまった。資源機構というのが細々と残ったわけでありますけれども、その後は、もう自主開発比率を高めなければ、どこへ行っても買ってくる、すると足元を見られて値をつり上げられるということにしかならなくなってしまったわけであります。ですから、当時からは随分方向が転換をされたというふうに思っております。
資源開発に関して国がきちんとコミットをしていくということは、おっしゃるように非常に大事だと思います。
それで、今、資源機構というのがあるんでございますけれども、ここで、さらに国がきちっとかかわる姿勢を示すという意味でも、企業に対する出資の上限の引き上げを検討しております。現状は五〇%でありますが、七五%まで可能にするという、これは来年度予算に向けての要求をしていくということで、今、関係省庁と協議を行っているというところでございます。
○近藤(洋)委員 ぜひ、資源確保は重要な課題でございますので、そういったことで体制を見直すべきだろうと思いますし、これはやはりちょっと、規制緩和論に全部するつもりはありませんが、規制緩和なり、国の関与がなければすべていいんだという風潮は、私も是といたしません。エネルギー、資源確保については、これは国家間の競争だろう、こう思うわけであります。
そういう中で、エネルギー価格の高騰というのは我々の生活にも大変影響を与えております。原油価格の高騰は一服感がありますけれども、それでもリッター当たりのガソリン価格は百四十円台ですね。いっときに比べれば大変高いわけであります。
そういう状況の中で、やはり重要なのは、二つあると思うんですが、一つは、いわゆる省エネルギー、簡単に言えば省エネルギー。エネルギーの需要をいかに効率的にするかということだろう、使い道の見直しだと思うんですね。
そこで、何といっても、原油についていえば、やはり輸送部門だろうと思うわけです。この輸送部門について、ガソリンの消費量をいかに抑えるか、さまざまな省エネの努力をしておりますけれども、この輸送部門での取り組みというのは極めて重要だろうと思うわけであります。そう考えますと、いわゆるハイブリッドカーの普及、燃料電池車の開発、やはり輸送部門でどうやって効率的な燃料、燃費を向上させるか。もちろん、バイオマスを使うことも必要でしょう、エタノール車も必要でしょう、さまざまな手だてが必要なんですが、今、直近ですぐできるものは、やはりハイブリッドカーだと思うんですね。
ハイブリッドカーの普及率というのは、まだまだ全体の保有自動車台数から見ると非常に低い。非常に低いわけですけれども、一%も満たない普及率だろうと思うわけです。このハイブリッドカーの燃費が倍だとすれば、単純に言えば、ガソリンの使用料は半分になるわけですから、全体がハイブリッドカーになれば我が国の輸送部門の消費量は大幅に減る。もちろん、ディーゼルカー等々ありますけれども、いずれにしろ、大幅に減るわけです。
この補助政策について、経産省は、これまでさまざまな支援策を立てておりましたが、予算規模で八十八億円、いわゆる民間の方が買う場合への補助金を出してこられた。ところが、残念なことに、来年度からこれをなくす、いわゆる民間事業者の、一般の方の部分はなくすという話を聞いております。
私は、この予算措置は八十八億円なんですが、十七年ベースで。何千億円もかけて油田を開発する効果が、これは確率からいったら百に三つ開発するかどうか、成功するかわからぬ油田開発に、ある意味で油田開発は大事ですよ、エネルギー開発は重要です。でも、それにリスク、危険のあるお金を投入する経費と、たかだか数十億円のお金で普及させるという費用対効果を考えたらば、私は、このハイブリッドカーの普及というのはまだまだ、これはたった一つの例でありますけれども、エネルギー効率を高めるというさまざまな努力の中で、例えばこのハイブリッドカーなどというものの支援策というのは、まだまだやっていいんじゃないか、けちる必要は全くないんではないか、こう思うわけですが、経済産業省、いかがでしょうか。
○高木大臣政務官 ハイブリッド自動車の購入補助につきましては、来年度より、市場投入が始まったばかりの商用車に対象を重点化することとしております。当然のことながら、ハイブリッド技術は我が国が世界に誇る自動車技術であると認識をしております。このため、今後とも、税制や政策融資、また公共機関による優先調達などの支援策は継続していきたいと考えております。
また、これらに加えまして、ハイブリッド技術がより低価格で高性能になりますように、来年度から次世代バッテリー研究開発プロジェクトを開始することを予算要求しております。自動車業界や電池業界、大学などと協力して、ハイブリッド技術のさらなる強化をより総合的に図ってまいりたいと考えております。先を見て、そのようにさせていただいております。
○近藤(洋)委員 ぜひ、電池の技術というのは、政務官おっしゃったとおり、大事な技術ですから、これは進めるべきだろうと思うんですね。
ただ、同時に、まだまだハイブリッドカーは普及していないわけで、これはたった一例で申し上げておりますが、費用対効果のことを考えれば、私は、まだ一般の個人の家庭が購入する部分、残念ながら、私の地元では余り走っていませんよ、余り見ないです。東京都内だとなかなか見ますけれども、ほとんど私の地元では見ません。そういう意味では、まだまだ普及がおくれているのではないか、こう思うわけですから、指摘をさせていただきたいと思います。
あわせて、この原油、ガソリンに関連してお伺いしたいんですけれども、非常にガソリンの値段が高騰して、家計の収入を圧迫している。これは、大臣御案内のとおり、一リットル当たり約五十円の税金が、揮発油税がかかっているわけですね。車は、持って税金がかかり、保有して税金がかかり、使って税金がかかり、しかもタックス・オン・タックス、大変な重税感があるわけであります。
この揮発油税、この場でも私、実はかつて指摘をさせていただいたんですけれども、道路特定財源に使われているわけですが、これが、本四架橋分の債務処理の部分が四千五百億円余るというか浮くわけでありますね。こういった事態にかんがみて、政府では、全体的に道路特定財源を一般財源化すると。法案では、納税者の理解を得つつ一般財源化する、こう言われていますけれども、私は、およそ納税者の理解は得られないと思うんですね。
納税者の理解を得るというのであれば、税率を下げるしかないと思うんです。四千五百億円があるのならば、少なくともこの部分が浮くのであれば、この部分の税率を下げない限り、我々ドライバーは、道路をつくってもらうという理由で何とか我慢して高い税金を払っているわけです。それを使わないというのであれば、やはりこれを下げるしかないと私は確信をしているんです。
大臣、いかがでしょうか。こういうガソリン価格が大変高騰している、一般の家計も困っている。私の地元の山形県も、車は一家に四台ですから、消費量が大変多いんです。これから冬を迎えて灯油が値上がりすると、これまた大変なんです。このガソリン税を、税制のさまざまな議論がこれから本格化するんでしょうけれども、例えば暫定的に、一年限りでもいいですから、これを引き下げる。例えばガソリン税を十円なり十五円引き下げる、そして家計を助けるという政策を打ったら、甘利大臣はすばらしい、こういうふうに言われると思いますが、もし大臣がやらなければ我々民主党が提案したいと思いますけれども、そのガソリン税の引き下げについて、いかがお考えでしょうか。
○甘利国務大臣 そちら側にいたときとこちら側に来たときで制約をされるところが随分違いまして、政府としては、税率は維持する、一般財源化をする、消費者の理解を得ると。この三つはどこでうまく交わるのかなという非常に難しい縛りの中で活路を見出さなければならないというふうに、正直、本音ベースで思っておりまして、私も、政府側になる以前はいろいろ主張させていただきました。今、政府側の一員として、総理の方針に、内閣の方針に沿って知恵を出さなきゃいけないというところでございまして、税率を下げずにどう消費者の理解を得るかということでいろいろと思いをはせているというところでございます。
○近藤(洋)委員 これまで歯切れよくお話をいただいた大臣が途端に口が重くなり、非常に残念であります。大臣、やはり納税者の視点に立って考えなければいけない。政府は大蔵官僚のためにあるわけじゃないわけであります。ぜひ、納税者の視点に立ってこの問題は議論していただきたいと思います。
時間もなくなってきていますので、用意していた質問を若干飛ばさせていただきますが、資料の一だけごらんいただければと思います。委員長のお許しを得て配付させていただいております。
中小企業の状況、この右の数字でございますけれども、棒グラフで見ても、三十六万社の中小企業が減少しているわけですね、〇一年から〇四年まで。極めて厳しい経済環境にある。景気回復というのは全く中小企業においては実感ができない。この辺は、大臣、これまでの御答弁でもお話ありましたので、割愛をさせていただきたいと思いますが、ここでちょっと、制約された時間の中でぜひお伺いしたいことがございます。中小企業金融で一点のみ、商工中金でございます。
こういった中小企業の数が減っていく中で、大変厳しい事業環境の中で、やはり私は、直貸しといいますか、直接金融の公的な金融機関が果たす役割というのは引き続きあるだろうと。そういう中で、今回の行革法で商工中金は完全民営化と規定されました。一方で、政府の資料によると、株主は中小企業団体などとされ、中小企業向け融資が行われるための必要な措置はとる、こう書いているんですね。平成二十年から七年かけて完全民営化する。それまでは特別な特殊会社ですか、法律に基づいた会社だから、ある程度そういった中小企業向け融資のできる担保、制度的担保がとられると思うんです。
問題は、お伺いしたいのは、平成二十七年以降であります。平成二十七年以降、そういった措置がとれる保証というのはどこにあるんでしょうか。完全民営化するということは、政府が株主でないわけです。法律もない、株主でもない。そうだとすると、どうやって制度的な担保をとるのか。例えば、万一商工中金が上場でもしたら、およそ上場会社になったら株主のために、より株主はさまざまな株主がなるわけですから、そういうことができなくなるわけでありますし、平成二十七年以降、一体どうやって政府が現在おっしゃっていることを制度的に担保するのか、お答えいただきたいのです。
○甘利国務大臣 政府系金融機関改革に関して、私は党側でこの問題にかかわってきました。中小企業金融をどうこれからも確保していくかということで、中小企業政策の担当者としてもいろいろと意見を申し上げました。なかなか私の思いがすべては通らなかった部分は正直ありました。
商工中金を民営化するときに、一般法としての会社法でやるんだ、特殊な法律ではない、商工中金だけ切り離して特別な存在にさせないということが大前提でありまして、では、どうして中小企業系の金融機関としてこれからも存続していくようにするんですかということで、随分食い下がったわけなんですけれども、そのときに、定款に書けばいいみたいな話が実はありました。しかし、定款というのはいつだって変えられちゃうじゃないか、変えちゃって、中小企業にフォーカスを絞った金融機関としてと思っていても、変えたら何でもできることになってしまうではないかということで、一般法で設立をされる民間企業の中で、中小企業金融であるということの縛りをどうかけていくかという議論をいたしました。
会社の存立自身は、一般的な法で存立をする。その上に、どういう機関であるということを、組合法か何かですか、定款以外で中小企業金融であるということの方向性をつけていくことにしようということになったわけであります。
おっしゃるように、これがそれで上場、政府が持っている株を放すわけでありますから、それは中小企業関係者がみんな買ってくれればそのまま何の心配もないんでしょうけれども、上場していろいろな人が持つというところにどういうことが生じるか、あるいはそういうこと自身可能なのかということ等々、これは、これからビジネスモデルの設計がなされますから、そういう中でしっかり注視していきたいというふうに思っております。
○近藤(洋)委員 これは、今後も議論をさせていただきたいと思うわけでございます。
あと、あわせて、中小企業に限らず、我が国産業界にとって極めて大事な問題は、直面している重要な問題は、やはり派遣労働といいますか、非正規雇用の問題だと思うんですね。
配付させていただいた資料の二をごらんください。これは、朝日新聞の十月八日付の広告です。三菱東京UFJ銀行の金融機関のお仕事ですという求人広告。銀行窓口業務、時給千七十円。銀行窓口業務ですよ。ロビー案内業務、時給千十円、括弧、最初は九百円台ですよ。これはコンビニじゃないですよ、コンビニじゃございません。東京三菱銀行の求人案内です。かつ、支店は丸の内、神田、日本橋、小伝馬町。我が地元の米沢じゃないですよ、天下の丸の内です。天下の東京三菱銀行が、これはスタッフサービスという派遣会社ですけれども、募集されている。非正規雇用もここまで来たな、こういう感じですよね。
銀行の窓口というのは、通称テラーと呼ばれていますけれども、さまざまな事務作業でも最も正社員の代表みたいなイメージを私は持っておりましたけれども、ここが派遣になっている。しかも、ちょっとショッキングなのは、資格のところに、真ん中のところに書いてありますけれども、高卒以上、基本的なパソコン操作可能な四十代ぐらいの方、米印で未経験者大歓迎と書いてある。(発言する者あり)未経験者歓迎でございます。失礼いたしました。言い過ぎました。しかしながら、東京三菱銀行ほどの会社がこういう状況であれば、いわんやをやであります。
派遣労働は、これまで小泉政権下で非正規雇用は三百万人ふえました。先ほど、直近の数字は大臣のお話にございましたけれども、いずれにしろ非正規雇用が大変ふえた。
そこで、せっかく厚生労働省から政務官にいらっしゃっていただいていますから、お答えいただきたいんですけれども、やはり私は正規社員をふやす努力というのを政府を挙げてすべきであろうと思うんですね。そうでないと、これは日本の産業力にとっても大変マイナスですし、日本の社会構造にとっても格差社会の温床ですし、小泉政権の全く負の部分だと思うんです。全く無為無策であったと私は言わざるを得ない、この数字を見ると。東京三菱というところですら、こういうことをやらなきゃいけない状況に追い込んでしまったわけですから。
そこで、労働政策として正規雇用をふやすための思い切った施策を何かお考えでしょうか。恐縮ですが、手短に、厚生労働省、お答えください。
○松野大臣政務官 最近の状況といたしましては、正規雇用者も前年同期と比べて増加をしているところでありますが、近年、経済産業構造の変化や働く側の価値観の多様化もございまして、非正規雇用が増加の傾向にあるのは、先生の御指摘のとおりであります。
このような中で、フリーターなど若年者を中心に、低所得の非正規雇用が増加をしていることについては、将来の格差の拡大や少子化につながっていくおそれもありまして、十分な注意が必要であると考えております。
このため、特に若者につきましては、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等によりまして正社員への転換を推進し、二〇一〇年までにフリーターをピーク時の八割に減らすとともに、ハローワークにおきまして、非正社員求人については正社員求人になるよう指導するなど、正社員としての就職の支援に積極的に取り組んでおります。
正規、非正規労働者間の均衡処遇の実現に向け、法的整備を含めた検討を進めるなど、正規雇用の拡大を初め、だれもがみずからの能力や持ち味を十分に発揮できる環境の整備に努めてまいりたいと思います。
○近藤(洋)委員 職安、ハローワークでお勧めする程度では、とても正社員がふえるとは私は思えないんですね。
これは指摘だけにさせていただきたいんですけれども、大臣は労働大臣の御経験もおありになります。この問題の認識も十分お持ちだと思っております。私は、これは一種、産業政策としても徹底的に取り組むべきテーマだと思うんです。黙っていたら非正規雇用はどんどんふえる傾向にあるでしょうし、私が心配しているのは二十五歳、これからの新卒はいいですよ、若干景気がよくなった、大企業によってはなったのでしょうから、政府発表によれば。だけれども、二十五歳から三十五歳ないしは四十ちょっと手前ぐらいのこの層が、もうワーキングプアとして固定化しているんです。ここをどうするかということだと思うんですね。これは、ぜひ経済産業省としても取り組むべき課題だろうという指摘だけをさせていただいておきます。
あと時間が、最後なのであれですが、私は何も、企業に対して正規雇用を求める施策を打つということは、企業にとって長期的にはマイナスだと思わないんです。だけれども、短期的にはマイナスだと思う経営者もいるでしょう、国際競争力が大変だと。これはすぐ言いわけのように使うんですが、私は、そんなことはないと思っています。正規雇用をふやしながら国際競争力をつける道はあるし、そのフェーバー、誘導策を、呼び水のために予算を使うのであれば、これは納得が得られる、私はこう思っております。
その中で、国際競争力を高めるという観点から、公正取引委員会の委員長お見えで、お忙しいところ、ありがとうございます。
お伺いしたいのですが、日本企業はこれから合併が、会社法の改正により、三角合併も認められます。恐らく、外国企業による買収、合併、さまざまなことがこれから予想される。その中で企業の再編も予想されるわけでありますけども、現在、企業結合、合併については合併ガイドラインというものがあって、さまざまな事前チェックが行われています。これについて、私は、いわゆる二五%ルールと呼ばれているもの、さらには市場のシェア、占有率の問題だけではなくて市場の画定、国内だけで見るのではなくてアジアで見るとか、そういった市場の画定も含めて、早急に見直すべきであろうと。政府において見直し作業が進められているやに聞いておりますが、公正取引委員会委員長の、この見直しについての御見解をお伺いしたい。
○竹島政府特別補佐人 お答えいたします。
いわゆる骨太方針二〇〇六、それから、そのちょっと前に決まりました経済成長戦略大綱、ここにおいて、今、先生御指摘の企業結合に関するガイドラインの見直しということがうたわれておりまして、来年の三月、今年度中に見直しをする。もう既に関係方面からいろいろ御意見を伺っております。案がまとまればパブリックコメントに付させていただいて、期限内にまとめたいと思っております。
ポイントは三つありまして、今おっしゃった市場の画定をどうするのか。国内だけ見ていていいのかという問題。この点については、私は、商品、サービスによる、何でもかんでも世界に広げていいものではない。どこの国もそうですが、独占禁止法というのは、その企業結合によって日本の国内における競争が阻害されるかどうかということでありまして、国内市場における影響を見ずに全部世界に広げてどうだという議論は、これは通らないと思っておりますが、いずれにしても、その市場画定をどうするか。
それから、二五%というのは、いわゆるセーフ・ハーバーの範囲をもっと引き上げられないのかという、これはよく実態を見て、国際的な整合性というものも見ながら検討させていただきたい。
それから、輸入の圧力。輸入品というのをどういうふうに評価するのか。評価を公取はしているようだけれども、よくわからない面があるという御指摘もありますので、その辺ははっきりさせたい。現に、もう具体的な審査において、輸入品があったり、競合する代替品がある場合は、それも含めてちゃんと見る。
仮に、企業結合の結果、一つや二つになっても、競争力のある輸入品というものが現にあれば、それは既にもうそういうものをカウントして審査をしておるわけでございますけれども、そういったところもはっきりと示すというようなことが三つ、課題にあると思いますけれども、いずれにいたしましても、閣議決定に定められた方針どおり作業をやっていきたいと思っております。
○近藤(洋)委員 委員長、私は、企業結合、合併の審査については、基本的には事前チェックというのは果たしてどこまで必要なのかと思っているんですね。公正取引委員会が企業の経営について、その分野についてどこまでわかるのか、どこまで審査できるのか、市場についてどこまで知識を得られるのかというと、私は疑問だと思うんです。
むしろ公正取引委員会がやるべきことは、そういった不公正な取引が行われたら、そのときはけしからぬ、いかぬということで、企業分割なりなんなり、その後に命ずればいいわけで、事前の入り口では、基本的には企業にある程度自由にさせて、その後、市場がゆがんでしまった事実が発覚したら、発覚というかあらわれたら、その時点で指示を出せばいい、こう思うんです。入り口で何でもかんでもチェックするというのは、私は、この分野については事後チェック型で十分可能ではないか、こう思っております。
談合とかも含めてなんですが、これはちょっと、談合の話は時間がないので、きょうはやめますが、どうでしょう、ここの部分について、できる限り事後チェック型にする。独占禁止法の本体の見直し議論にも若干かかわる話だと思うんですけれども、独禁法の見直し議論も政府内で進められておりますから、企業結合の審査について、事前審査はやめるというお考えは、方向性というのはございませんでしょうか。いかがでしょうか。それを伺います。
○竹島政府特別補佐人 競争秩序をいかに維持していくか、そのための手段としては、いわゆる行為規制と構造規制というものがあるんだろうと思います。
カルテルや談合とか不公正な取引方法であればやった者に、当然、これは事後的にならざるを得ませんが、やめなさい、場合によって課徴金を払いなさい、こういうことで秩序を回復できるわけでございますが、企業結合の場合に同じように事後チェックにしますと、これは、やった合併に対して、やめなさい、企業分割、では、もとへ戻せ、買った株式はまた戻しなさい、こういうことを命ずる必要も出てくるわけでございますが、そういったことについて事後的にやって世の中の混乱はないのかと。私は、それは大変な混乱をもたらす。
それで、やった者が、やって、そのまま見つからなかったらそれでいいのかという問題にもなってきますので、これは洋の東西を問わず、どの国も事前、一部、イギリスとかオーストラリアは事後もあり得べしということになっていますが、大勢は事前でございます。しかしながら、当該企業がどういう場合に認められるかよくわからないというのは困りますから、きちんとそのガイドラインを示して、予見可能性といいますか透明性、そういったものをきちっと示した上で事前にチェックする、余計な社会的コストを事後において発生しないようにするというのが、私は十分に理にかなっていると思っております。
○近藤(洋)委員 時間ですので終わりますが、公取委員長、だから、できる限り事後チェック型でいい部分もあるのではないかという考え方を申し上げたわけであります。
また、なお、官製談合については、お伺いしようと思いましたが、我々民主党、かねてから法案を出しております。与党の先生方も法案を出されています。福島県、和歌山県等で官製談合が相次いでおりますから、ぜひ本委員会でもこの処置について議論を進めていきたいということだけを申し上げて、時間ですので質問を終わります。
ありがとうございました。
○上田委員長 次に、三谷光男君。
○三谷委員 民主党の三谷光男でございます。
午前中二十分という短い質問時間でございますので、早速質問に移らせていただきます。
安倍新総理は、イノベーションによる経済成長ということを強調されています。総裁選の中でもこのことをしきりにおっしゃっておられました。これは大変結構なことだというふうに思っています。先般の所信表明演説の中でも、イノベーションの力により、日本経済に新たな活力を取り入れるということを言われています。さらに続けて、イノベーションの創造に向け、医薬、工学、情報分野など分野ごとに、二〇二五年までを視野に長期の戦略指針「イノベーション25」を取りまとめ、実行するということを言われています。
このイノベーション25、聞きなれない、新たに出てきた言葉でありますけれども、どのようなものなんでしょうか。ことし六月に、経済産業省を中心に新経済成長戦略がまさにまとめられたばかりです。また、七月には閣議決定された経済成長戦略大綱がございます。どのような違いがあるんでしょうか。イノベーション25とはどういうものか、内閣府では既に作業が始まっているというふうに聞いておりますけれども、説明をしていただきたいと思います。
○谷政府参考人 お答え申し上げます。
今先生御指摘のように、イノベーション25、安倍新政権の政権公約の一つということでございまして、あす、第一回のイノベーション25戦略会議というものが開催されます。
このイノベーション25でございますけれども、まずは二段階に分けて検討を進めたいというふうに今考えておりまして、第一段階としては、イノベーションで二〇二五年の国民生活が、安全あるいは利便性の面、生活者の立場から見てですね、そういったことも含めてどうよくなるのかということをわかりやすい形でまず示すとともに、そのために目指すべきイノベーションの姿について、来年の二月末ごろを目途に取りまとめる、こういう予定でございます。先ほど申し上げましたように、産学の英知を集めたイノベーション25戦略会議、あす、第一回会合を開催いたします。
さらにその第二段階として、ここで取りまとめられました成果をもとに、総合科学技術会議等を活用して、来年の五月ないしは六月ごろを目途に、そのイノベーション実現のための政策のロードマップというものを策定する予定にしておるところでございます。
いずれにしても、そのターゲットは、二〇二五年の国民生活、これがイノベーションによってどう変わるのか、あるいは、それを実現するための長期的なその戦略指針というものを策定しようというものでございます。
○三谷委員 今の谷審議官のお話を承りますと、総理は、所信表明演説の中では「長期の戦略指針」という言葉を使われておりますけれども、どうやら、戦略指針と呼べるものなのかどうか、ちょっと疑問なところがあります。
二〇二五年にイノベーションで、要するに、こういう生活になるとかこういうことになる、そういういわばビジョンのようなものを一つ描く。そして、片方でマップをつくる。既にロードマップはあるわけですよね。工程表もあります。これ、イノベーションの創造に、そしてそれを経済成長につなげていくという意味で、果たしてこれは指針になるんでしょうか。今のお話を聞いて、私は、少し疑問と、もう一つ、心配を抱きます。
新経済成長戦略があり、また、施策として閣議決定された経済政策大綱があるわけですから、中身が、あるいは方向づけが間違っているとか、あるいはこういうことが足りないとかいうことがあるならばまだしも、むしろ、既にあるものを着実に実行、遂行して、かつイノベーションを創造して、なおかつ、さらに成長につなげていくこと自体が肝要なことであって、また新たに、十年先のために十年分の経済政策大綱があり、今度、二十年先を見越してそのビジョンを描く、それを戦略指針とするということに果たして意味があるんでしょうか。むしろ、これから遂行しようとしていることを重ねることによってあいまいにすることになりはしないかという心配の念を逆に抱きます。
こうした意味のない、意味のないと言ってしまえば大変失礼な話ですけれども、指針をつくるよりも、むしろ、新経済成長戦略に沿って具体的にこういう分野により総理として重点を置くとか、こういう分野の取り組みをさらに強化するとか、あるいは、より具体的な実施計画を策定して重点投資と着実な実行を約束する方が、よほどイノベーションによる成長を実現する上で意味のあることだと思います。
なかなかこの期待できないイノベーション25の内容はともかくといたしまして、とにもかくにも、総理は、イノベーションによる経済成長を強調はされています。経済成長戦略をまさに主務大臣として主導していくのは甘利経済産業大臣だと思います。甘利経済産業大臣に対して、新経済成長戦略並びに経済成長大綱を遂行していく上で、この中に盛り込まれている施策の実施につきまして、総理から何か特段の指示というものはありましたでしょうか。
○甘利国務大臣 私が官邸に呼ばれまして、総理から私への第一声は、経済成長戦略をしっかりお願いしますという一言であります。
総理は、成長なくして財政再建なし、成長なくして日本の未来なしということをたびたび言っておられます。財政再建の話でいいますと、歳出歳入一体改革というのが財政再建でありますけれども、その後ろ盾として健全な成長経済があることということが前提なわけです。
かつて、政府は、財政再建を放置したわけではなくて、財政再建に取り組んだ、チャレンジをした時期は何度もあります。具体的に、歳出にキャップをかけるような実行政策にトライしたこともありました。しかし、半年もしないうちに急遽方向転換になりました。それは、国際経済社会の変化というのがあったわけでありますけれども、その影響もこれあり、日本経済が失速をしました。
つまり、財政再建というのは、その下地として健全な成長経済がなければ水泡に帰するということがわかったわけでありまして、でありますから、総理は、経済成長戦略はすべての礎だということをおっしゃっているんですね。少子高齢化対策も、格差社会是正も、財政再建だけではなくて、その種の問題も、すべて健全に発展する経済基盤があってなし得るものというお話だというふうに思います。
イノベーションについてのお話でありますけれども、イノベーションは狭義のイノベーションと広義のイノベーションとあるんだと思います。私の方はどっちかというと狭義に近い方を担当する、つまり技術革新によって世の中を発展させていくということであります。広義のイノベーションは、いわゆるあらゆる分野の刷新だと思います。制度や仕組みの刷新、社会刷新、時代の要請にたえられない仕組みを刷新していくという意味でのイノベーションだというふうに理解をいたしております。
○三谷委員 今大臣おっしゃられた、総理の言葉としての成長なくして財政再建なし、成長なくして未来なしというのは、私も全く同感であります。また、総裁選の当初にも指摘をされていましたけれども、経済は余り得意ではないということが言われましたけれども、ただ、イノベーションで経済成長ということを強調されて、期待を持ったところもございました。
だけれども、先ほども申し上げましたように、ならば、もちろん細かなことに触れろという話をしているのではありません、申し上げましたとおり、例えばこういうところに重点的に力を入れていくとかいうような話というのは、本当にやる気があるならば、私は、総理といえどもあってしかるべきだというふうに思います。ただ、今の大臣のお話からすると、イノベーションで経済成長をしっかりやってくれよというのは、いわば当たり前の話であって、ちょっとがっかりしたなということを思います。
そして、話はかわりますけれども、まさにこの新たな成長を実現していくための新経済成長戦略についてでございますけれども、これは感想を申し上げますと、間違ってはいないと思うんですけれども、もっと具体的で明快なものでないといけないと思うんです。
新経済成長戦略、六月に策定をされましたけれども、大変わかりづらい。例えば、肝の部分といいますか、イノベーション・スーパーハイウェイ構想とかいうものもございますけれども、コンセプトはよく読めばわかります。あるいはほかの落とし込んだ施策等々を拝見すればわかります。しかし、それだけ読んでもわかりづらいところがあります。それは感想でありますけれども、しかし、書かれていることについては、私は同様の気持ちで、間違っていないというふうに思います。
そして、新経済成長戦略に加えて、二〇一五年までの十年間の取り組むべき施策をまとめた経済成長戦略大綱、さらに工程表もあります。着実な実施がまさに肝要だというふうに思います。ただし、全体のことを一言で言えば、研究開発に係る額というものはどうしても小粒だということが否めません。そして足りないと思います。
まず最初に、全体の話で申し上げますと、さきに、これはアメリカの話ですけれども、ブッシュ大統領がことしの一般教書演説の中で、アメリカン・コンペティティブ・イニシアチブを打ち出されました。内容としては、十年間で総額千三百六十億ドルの研究開発投資を盛り込んだものであります。着実に実施をすることと思います。
対して、我が国は、第三期科学技術基本計画で、科学技術関係予算を毎年GDPの一%を目標にし、五年間で二十五兆円の研究開発投資を打ち出していますけれども、平成十八年度の科学技術予算の総額は三兆五千七百三十三億円です。目標としている額には全然足りません。経済産業分も、これももちろん例外ではありません。
まさに先ほどの大臣が御紹介されました総理の話です。成長なくして財政再建ない、私もそう思います。財政再建は大事ではあります。大事とはいえ、一方で、未来への成長に向けて種をきちんと植えなくてはなりません。イノベーションの喚起に投資して成長を遂げなければなりません。シーリングの壁があることはわかりますけれども、この研究開発予算に係る予算はどんなことをしてもふやさなければならないと思います。
そこで、経済産業大臣、そして経産省の政府委員にもあわせてお伺いをしたいんですけれども、この研究開発投資の現状を今どのように考えておられるのか。そして、これからの取り組みに向けての意思と決意をここで示していただきたいと思います。
○小島政府参考人 これからの新経済成長を促進するための研究開発投資の方向についての御質問でございますけれども、先ほど御指摘ございましたように、本年三月には、今後五年間の政府が行う研究開発投資について総額二十五兆円とするということが、第三期科学技術基本計画で決められたわけでございます。それから、新経済成長戦略あるいは経済成長戦略大綱におきましては、産学官の研究開発に横ぐしを刺して、まさに技術が牽引するイノベーションを進めるという観点から、イノベーション・スーパーハイウェイ構想を今推進しているところでございます。
先ほど御指摘にございましたように、政府が直接行う研究開発投資は三・五、六兆円でございますが、国全体としては十七兆円の研究開発投資をしております。そして、そのうちの七割が民間企業が行っております研究開発投資でございまして、そういう民間企業が行っている研究開発、それから大学等政府が直接行っているもの、あるいはその他の、経産省でいえば産総研などが行っている公的機関を入れると、そちらが全体で三割、五兆円ぐらいを占めるわけでございますけれども、その十七兆円全体の産学官の研究開発に横ぐしを刺して、それを市場につなげるということを進めていこうというのがイノベーション・スーパーハイウェイ構想でございます。
そのために、産学官協働の新産業を創出するような革新的な技術開発や、あるいは産学官の英知を集める異分野の技術の融合とか、あるいは学際的あるいは業際的な研究の促進ということを進めることによって、国全体として質、量ともに研究開発を活性化させるような施策展開をこのイノベーション・スーパーハイウェイ構想のもとに行ってまいる所存でございます。
○甘利国務大臣 ただいま説明がありましたとおり、政府の予算を確保するということと民間の研究開発投資が進むようにすること、実は研究開発投資減税というのを提案いたしまして、党からですが、それは私が当事者でありましたけれども、アメリカ並み以上の研究開発促進体制を組もうということで、あの提案をしたわけであります。
当時、プランを組んで特命委員会に出しましたところが、財務省からの回答は満額回答以上でありまして、ちょっと驚いた感覚がありましたけれども、それだけ危機感を持っていたんだというふうに思います。
官民あわせて他の先進諸国に遜色のない体制をとって研究開発を進めていきたいというふうに思いますし、先ほどスーパーハイウェイということの構想がありました。これは、産学官連携ということは従来からやっているんでありますけれども、そこと市場とのパイプがしっかりつながっていない。いい研究はできたけれども、製品として市場にデビューをする、サービスとしてデビューをする、商品としてデビューをする、そういう道がきちっとできていないということで、産学官の連携を加速するということと、その成果を市場につなげるということをしっかりとやっていかなければならないというふうに思っております。
○三谷委員 時間が参りましたので、これで終わりますけれども、今私が申し上げたのは、もちろん、大臣おっしゃられました研究投資減税、結構なことだと思いますし、また、局長がおっしゃられた産学官連携の横ぐしという話もよくわかっております。
申し上げているのは、額が足りない、研究開発投資に係る予算の額が、絶対額が足りないというお話を申し上げているわけでございます。そのことを最後に念押しを申し上げまして、午前の質問を一たん打ち切ります。
○上田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時三分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。三谷光男君。
○三谷委員 引き続き質問をさせていただきます。
話はかわりまして、新産業創造戦略の中で示されております戦略七分野、燃料電池、情報家電、ロボット、コンテンツ、健康・福祉、そして環境・エネルギー、ビジネス支援の七分野についてですけれども、二〇一〇年で約三百兆円の生産額が期待というふうにあります。それぞれに七分野ごと施策がございます。また、予算もこの七分野については、十九年度要求ベースですけれども、新規のものも含めてそこそこに、要求ですから、ついていると言ったらおかしいですけれども、要求をされています。アクションプログラムもありますし、また工程表もございます。実行はされると思うのですが、また、実行されなければなりません。
そこから先の話なんですけれども、進捗状況の点検、あるいは成果の評価、できたのかできなかったのか、そしてさらには、こうした投資が市場の拡大にどのように、あるいはどのくらいつながったのかというところまで含めての政策評価まできちんと行ってもらいたいと思っています。行われるのでしょうか、御答弁をお願いいたします。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省が一昨年、平成十六年でございますが、策定いたしました新産業創造戦略では、戦略分野といたしまして、先生御指摘の燃料電池、情報家電、ロボット、コンテンツなど七分野を抽出したところでございます。
この戦略分野につきましては、将来の展望と政策のアクションプログラム、これをきちっと明示いたしまして、技術開発に関する予算上の支援、それから燃料電池に関する規制の見直しなど、こういう施策を行いました。今後も引き続きましてこうした施策の推進を図ることによりまして、これら戦略分野の市場規模は、現在二百兆円ございますが、二〇一〇年におきましては約三百兆円に拡大することと試算をしているところでございます。
また、これらの戦略分野につきましては、施策の進捗状況や状況の変化を踏まえて、先生御指摘のとおり、見直しをきちっと行っていきたいというふうに考えております。
本年六月に取りまとめられました新経済成長戦略におきましても、従来の新産業創造戦略に基づく新産業群の創出が位置づけられております。今後とも、これら新産業群の創出に向けて、引き続き取り組みを進めてまいりたいと思っております。
それから、先生御指摘の政策の評価の点でございますが、これは私ども、政策評価課というものをちゃんと省内につくりまして、そこら辺の予算の政策評価はきちっとやることになっております。当然、このような技術開発予算につきましてもそれは同様でございますので、しっかりやらせていただきたいというふうに考えております。
○三谷委員 政策評価の課をつくっていただいたのは、まさに評価できるところだと思います。今まで、まさに市街地活性化法などが一番の典型例ですけれども、やったらやりっ放しということがございましたので、本当にひどいものもございました。戦略七分野については、非常にわかりやすい、あるいは政策評価もしやすいところですけれども、その他の新経済成長戦略の中に盛り込まれている施策についても、ぜひとも政策評価のところまできちんと行ってもらいたいと思います。
続いて、話をかえます。
新経済成長戦略の中に示されたもう一本の柱、地域活性化戦略、その中の地域資源活用企業化プログラムについてでございますけれども、大変いい試み、いい事業だというふうに思っています。中でも、地域資源活用売れる商品づくり支援事業、大変いい試みだと思います。要求ベースで四十二億円、新規でございますけれども。ばらつきはあると思うんですけれども、一件当たり幾らぐらいの補助額の目算でしょうか。
そして、現時点でのお答えというのはなかなか難しいところもあるかもしれませんけれども、これは大変ノミネートがたくさんあることが予想をされます。この支援対象の選定、採択と申し上げましょうか、採択をどういう基準で行うおつもりなのか。毎たび申し上げることなんですけれども、その基準を今可能な限り御説明願いたいのと、できる限り明確な基準をつくっていただきたいと思います。
○石毛政府参考人 ただいま、地域資源活用企業化プログラムの中に、地域資源活用売れる商品づくりの支援事業についてのお尋ねをいただいたわけでございますけれども、これは予算で支援をしようということで要求をしておりますけれども、その中で私ども、基本的に地域の資源を活用して、それで新規性の高い商品あるいはサービス、そういうものの開発とか販売に取り組む、そういう中小企業などに対して、試作品の開発だとか、そういう費用を補助しようというものを検討しております。
当然でございますけれども、現在関係省と調整中でございますが、今のところ私どもが念頭に置いておりますのは、一件当たりで一千五百万円ぐらいの、その程度の補助金額を頭に置いております。
お尋ねの支援対象でございますけれども、当然、地域資源を活用するというのが大前提でございます。地域資源と申しますのは、産地の技術だとか、あるいは各地域にある農林水産品だとか、あるいは観光資源だとか、そういうようなものが対象として入ってくるわけでございますけれども、そういうものを活用するというのが第一。それから、先ほどもちょっと触れましたけれども、製品、サービスについて新規性が必要でございますので、そういう要素があること。それから、名前のとおり、売れる商品づくりということでございますから、事業の成立可能性、事業としてちゃんと成り立つんだ、そういうものを要件として決めていくということを今考えているところでございます。
○三谷委員 こういう基準のお話になりますと、毎たびそうなんですけれども、どうしても、ものづくりの高度化支援事業のときにもそうでございました。地域資源を活用して特定というのはこの名前のとおり当たり前のことですし、また、有効性ということは言われませんでしたけれども、新規性でありますとか有効性というのはいわば当たり前のことだと思います。売れる可能性ということが少し踏み込んだ話だと思うんですけれども、このことについても、これからまた作業を進められることと思いますけれども、やはりなるべくオープンに、明確な基準、ノミネートする企業なり、あるいはこの場合は商店かもしれません、にも大変わかりやすい、どういうものにどういう基準で競争要件が図られるのかということをなるべく明確にしていただきたいと思います。
続いて、中小企業ものづくり高度化支援事業についてお尋ねをいたします。
ものづくり基盤技術のまさに肝の部分ですけれども、研究開発支援、ノミネート、もう既に公募の締め切りは終わりましたけれども、その結果の状況について簡単に御説明をいただきたいと思います。
また、同じことを尋ねますけれども、審議のときにも同じことを問わせていただきました。採択を既にもうされましたけれども、その審議のときにもなかなか抽象的なお答えしかいただけなかったんですけれども、プライオリティーをつけて、要するに決めたわけですから、具体的な基準、ガイドラインについて御説明をいただきたいと思います。
○石毛政府参考人 お答え申し上げます。
ものづくりの基盤技術の研究開発事業についての採択でございますけれども、法律が公布されたのが四月二十六日ですけれども、その後、具体的にこの法律の対象になる事業を認定しております。それが、六月二十日に認定を開始いたしまして、八月十日に法律上の認定をしております。全部で三百九十九件でございます。
その後、同日付で予算上の支援措置についての公募をいたしまして、多分、先生がおっしゃるのはこの点だと思いますけれども、これにつきましては、八月二十三日に公募を締め切りまして、三百二十三件の申請がございました。それを外部評価委員も含めまして採択審査委員会で検討をしまして、十月二十三日に八十件採択をしております。
もう一点の、どういう基準で採択をしたのかというお尋ねでございますけれども、私ども、この事業を採択するに当たって三つの観点から評価をしております。
まず第一に、これは技術的な観点ですけれども、先ほども新規性と申しましたけれども、その技術が新規性をちゃんと持っているのかどうか。それから、研究開発の目標が、川下の企業、それを使う企業、そういう企業のニーズをきちっと踏まえているのかどうか。そういったような技術について、開発された場合に、ほかの産業への波及効果は非常に大きいものがあるのかどうか。そういったことを、この法律を具体的に実施する上で、技術高度化指針というものを十七の技術分野ごとに定めてございます。その十七の技術分野の中でそういった具体的な点を評価するということで、そういう技術的な観点の評価をまず行っております。
それから二番目に、先ほどの基準にも関係しますけれども、事業化の点でございます。この事業化を達成するために経営的な資源が十分備わっているのかどうか。その事業化の計画は本当に実現可能性が高いんだろうか。技術は開発されても事業化ができないというのでは仕方がありませんので、そういった点をきちっと評価をしている。
それから第三点目で、これは政策的観点と私ども申しておりますけれども、中小企業がそういう技術開発をすることで、みずからが努力して成長、発展していく、そういうような性格であるか。あるいは、ものづくり産業全体の発展に寄与するような要素を兼ね備えているだろうか。
そういうような三つの基準に従って審査をいたしまして、その点につきましては、公募要領の中にそういう内容であるということを明示いたしまして、それで申請を受け付けて、先ほど申し上げましたように、外部評価委員それから採択審査委員会、そういうものの審査を経て最終的に決定をしているということでございます。
○三谷委員 ありがとうございました。
採択された八十件については、こういうような形で、まさにテーマ名なり特定研究開発の内容の要約等を一覧で示していただいただけで、かなりよかったというふうに思います。今のお答えは、ある一線をどうしても越えていただけないんですけれども、これは本当に評価ができると思います。
続きまして、中小企業技術革新制度、日本版SBIRについてお尋ねをいたします。
平成十八年度の目標額で約三百七十億円。これはそのまま伺いますけれども、多いと思うか少ないと思うか、素朴に問わせていただきます。そして、十九年度の目標額は幾らなのか。そして、前にも問わせていただきましたけれども、横断的、統一的な実施体制をつくるおつもりはないんでしょうか。お答えください。
○石毛政府参考人 SBIRの金額が多いか少ないかという御質問でございます。
何に照らして多いか少ないかということになるわけですが、その尺度がないのでなかなか難しいんですけれども、私ども、この制度は平成十一年度に創設をいたしまして、その時点で百十億円でございました。それから毎年増額を図るべく努力をいたしまして、平成十八年度には三百七十億円へ増額をさせております。この制度に参加する省庁も、発足当初は五省庁であったわけですが、その後、国土交通省、環境省が参加をいたしまして、現在七省庁になっております。
三百七十億円のベースになります、そもそもどういう補助金を対象にするかという特定の補助金の数でございますけれども、平成十一年の時点で四十本でありましたけれども、それが十八年度に六十四本という形になっております。私どもも、これでもう十分だというつもりはございませんで、これは、できるだけ中小企業がそういう技術開発予算を使用できるようにしていきたいというふうに思っております。
そういうことで、各省庁への働きかけはどんなふうになっているのかというお問い合わせでございますけれども、研究開発予算、当然でございますが、各省庁がその政策目的に従って成果を上げるという目標がまず第一にございます。それに加えまして、このSBIRの制度の中では、中小企業ができるだけ研究開発予算を使えるようにする、そういう二つの目標があるわけであります。
私ども中小企業庁としましては、この二番目の目標に従って、中小企業ができるだけ使えるようにする、事業化がしやすいような予算を取り出してほしいということを各省庁に個別に働きかけをしております。
加えまして、各省庁の連絡会議というものを随時開催しておりまして、その中で、毎年度、ことしはこういう交付方針でやってくださいというような議論をしております。その結果につきましては、毎年度、閣議で、交付方針ということで統一的に決定したものを各省庁にお示しをしている、そういう状況でございます。
○三谷委員 多いか少ないかという大変素朴な問いかけをさせていただいたんですけれども、まさに圧倒的に少ないと思うからこそこういう問いかけをさせていただきました。
それは、比較がないと言うのであるならば、まさにアメリカの例を引き合いに出せばもう一目瞭然だと思います。我が国の方が、まさに、これまでにもずっと議論の中にも出てきておりますけれども、中小企業群の国際競争力を高めなければいけない。先ほどのものづくり高度化支援事業がまさにそうですけれども、これこそ、多分、初めて経済産業省が、中小企業庁ですか、打ち出した中小企業向けの産業政策らしい産業政策だと言っても言い過ぎではないと思います。
研究開発費に係る今の現状というのは、各省庁あります中小企業向けの研究開発支援の予算をただ羅列をしてまとめただけです。連絡会議があって、あいまいではあるけれども、ある程度まとまったガイドライン、方針は決めているというお話でありましたけれども、まさに目標額という呼び名がそうだと思うんですけれども、例えば予算要求をする場合に、発想を変えて、中小企業庁が主導をして、例えば、三百七十億円目標額を、これを七百億円にしないといけないというようなことを言う場合に、今の寄せ集めの目標額という呼び名のもとでの話ならば、そういう要求もできないと思うんですよ。そういう意味で、まず予算要求のところから始めるというのも考え方の一つではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
そして、時間が参りましたので、最後に経済産業大臣に、まさにアメリカのSBIRですけれども、もう御承知のとおりだと思います。一億ドル以上の研究開発予算を持つ省庁に、一定割合の金額を同プログラムへの支出を義務化するというようなことをもう二十年前からやっております。もちろん、それは事情が違うので、我が国の場合は同じようなわけにはいかないとは思いますけれども、例えば、各省庁別に研究開発費の一定割合を決めて同制度の中に組み入れるといったようなことを推し進めるお考えはないのでしょうか。
○石毛政府参考人 済みません。最初の質問の部分の、三百七十億円を七百億円にというお話をいただいたものですから、その部分についてお答えさせていただきます。
三百七十億円というような具体的な金額を決めるに際しましては、各省庁のこういう予算項目で、これぐらい中小企業向けに支出ができるのであろうというものを正確に詰めて、それを私ども書いてございます。
したがって、現実とちょっと離れて可能性のないものを数字でお示しするのはなかなか難しいかなということで、私ども、各省庁の予算をよく調べて、それで可能なところを一歩一歩前に進めている、そういう状況でございます。
○甘利国務大臣 本制度は、中小企業の技術力を高めるのに大変資する制度だと思います。日米で、片や二千億以上、片や三百数十億、格差があります。
ただ、中小企業の取り組みやすい枠組みといいますか、実用化というところ、つまり、基礎研究でない部分、中小企業が入りやすい、取っかかりやすいようなところから中小企業になるべく参画してもらうというような枠組みもございます。少しずつふやしていっていく中で、いわゆる定性的な考え方というものがどうなじむかという、これから研究をしていきたいというふうに思います。
○三谷委員 わかりました。
超過をしてしまいました。ありがとうございました。
○上田委員長 次に、鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。
本日は、このような貴重な質問をする機会をいただきましたことを、委員長、理事、そして委員各位の皆様方に深く御礼を申し上げる次第です。
今国会より、初めて経済産業委員に任命されました。きょうの質疑では、まだふなれな面もございますが、委員長、そして大臣、きょうは金融庁の方から副大臣もお呼びいただいている次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、まず初めに、二〇〇七年五月に、昨年ライブドア問題で一年先送りとなりました三角合併が解禁されるところでございます。現在のニューヨーク・ダウ、そして日本の日経平均株価の水準を見ますと、この彼我の差は約百倍となっております。その現状を考えますと、三角合併が解禁されることに伴いまして、アメリカの企業の日本企業買収が著しく促進されるのではないかと思う次第でございます。例えば、直近のデータで申し上げますと、ゼネラル・エレクトリック社と松下電器産業、この時価総額の差は約十一・六倍にも上っておる次第でございます。
と考えますと、日本の産業戦略を考える経済産業省として何らかの対策が必要だと私は思うわけでございますが、甘利大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○甘利国務大臣 実は、三角合併の議論が始まったときに、党側で、果たしてこのまま当初のスケジュールどおり行っていいものかという問題提起をしたのは私でございまして、その結果、この三角合併が一年先延ばしになったわけであります。
そのときに私は、外国のプレスから、おかしいじゃないかとかいろいろ取材が私のところに来ました。それはなぜかというと、彼らの主張は、敵対的買収じゃないんだ、ちゃんと合意が成り立って友好的買収なのに何で、つまり、不利であるならばやらなければいいんだから、それなのになぜ一年先延ばしするんだという問い合わせを随分いただきました。
私は、その後、MアンドAの公正なルールというのも企業統治委員長としてつくりましたけれども、そのときに申し上げましたのは、この十年くらいで日米の企業を比較して、同じような実力を持っている同業種の時価発行総額が随分乖離をしてきているではないかと。九四年と二〇〇五年を比べますと、九四年のときを一と基準としますと、一対三ぐらいに開いているわけであります。この背景には、所属する国の経済の違い、つまり、日本はあの低迷の中をもがいていましたし、アメリカは順調に経済成長が成った、そういうバックグラウンドが違うということも当然あるのですけれども、しかし、企業経営方針が違うじゃないかと。友好、非友好というよりも、株主にとって、九四年に一対一だった株主は、十一年後に一対三になって、つまり、三倍のお金を積まないと交換ができないというふうになってしまうじゃないかと。
そこで、そこには国力のバックグラウンドも違うけれども、会社の経営方針、つまり、アメリカの企業は利潤を株主に極力還元する、そういう姿勢だと株価は当然上がっていくはずであります。時価総額はふえていく。日本は株主の理解のもとに内部留保でもしもにこたえる。つまり、日本の株主の我慢のもとに内部留保が積み上がっている。日本の我慢のもとに積み上がったものを、我慢をしないアメリカの株主になぜ分ける必要があるんだというようなことを私はたしか言った覚えがあります。
この一年間の猶予期間というのは、企業価値は上げる、時価総額を、一緒にするとは言いませんけれども、もうちょっと株主還元をする等々、三角合併に備えて、日本の経営者が少しいろいろ考えてもらう猶予時間が必要なんじゃないでしょうかということを申し上げたのであります。それで一年ずらした。
来年の五月がいよいよスタートでありますが、当時から企業経営者には、こういう理由で一年間延ばしました、三角合併に備えて日本の企業経営者はどうあるべきかを十分考えてくださいということを申し上げたつもりでございまして、それに備えていろいろな各種準備を日本の企業経営者もしていらっしゃると思います。
○鷲尾委員 大臣の御所見、まことに私もそのとおりだと思っております。
時価総額をある意味、日米の差を是正する、あるいは防衛策を導入するということでもって猶予一年間ということでお決めになったというプロセスを今お話しいただきましたが、果たして、では、二〇〇七年五月までに、企業の防衛策の導入の状況、昨年から一年間見て、そして今後一年間を展望して、実際、企業の防衛策の導入の状況はどのようになっているのかというところは経済産業省として把握しておられるんでしょうか。
○甘利国務大臣 三角合併を一年先延ばしする間に、友好的買収ではなくて敵対的買収に対しても環境整備をしていくということで、私は党の企業統治委員長としていろいろな議論をし、提言をまとめました。また、同時並行で、経済産業省と法務省がTOBルールの整備も行ってきたわけであります。
私が公正なMアンドAルールの提言をした基本は三点ありまして、一つは、買収プロセスとか買収手法の透明性を高める、つまり、いきなり黒船来襲みたいなことにならないようにする。
そして、守る方と攻める方のフェアなバランス、一方に偏ってしまっては閉鎖的な国というふうに言われるわけでありますから、フェアバランスをとる。
そして、この点も強く主張したのでありますが、企業はだれのものかという際に、もちろん株主のものという答えが当然出てくると思いますけれども、しかし、株主のものだけではなくて、広範な利害関係人のものである、ステークホルダーにはもちろん従業員も入っていれば、取引先もあれば地域社会もあれば、広範にその企業と関係してくるもの、それら全般の利益を図るということがMアンドAの大事な視点だということで整備をしてまいったわけでありまして、その一環としてTOBルールの整備も行ったわけであります。
回りくどい説明になりましたけれども、現在でいいますと、約百六十社の上場企業がこの買収防衛策を導入しているというふうに報告を受けております。
○鷲尾委員 ありがとうございます。
この三角合併に当たりましては、経済産業省の方で税制の関係で意見を今まとめているところだと思います。この三角合併についての税制の改革というのは、大臣、どのようにすべきとお考えでしょうか。
○山本(幸)副大臣 三角合併、今度会社法の改正できちんと制度ができるわけでありますので、これに税制も整合性を合わせる必要があると考えておりまして、課税の繰り延べということになるわけでありますけれども、これは今税当局と詰めておりますけれども、税制の面でもこれがスムーズに行えるようにきちっと対応しなければいけないと考えておりまして、今主税当局と折衝しているところでございます。
○鷲尾委員 課税の繰り延べということを今お答えいただきましたが、私は、先ほどの甘利大臣の御見解からいって、三角合併を早急に解禁することが本当に日本経済にとっていいことなのかというところで、まだ考えあぐねてございます。
先ほど甘利大臣がおっしゃいました、会社はだれのものか。アメリカの方は、これは間違いなく株主のものであるということで通っているわけでございます。ところが、先ほど大臣がおっしゃいましたように、日本としては広範な利害関係者のものである、おっしゃるとおりだと思います。
このような違いがある中で、三角合併、確かに、友好的か非友好的か、非友好的であれば当然それは阻止しなければならないというふうに思いますし、友好的であっても会社に対する基本的な考え方が違う。そういう中で、では、その環境整備だけ突き進めていって本当にいいものだろうかというふうに考えます。
三角合併だけの話ではございません。今、お隣中国の元に対する切り上げ圧力というのが高まっております。今、中国の外貨準備高は日本を超えて世界一です。その世界一の外貨準備高を持つ中国が、例えば元が切り上げになった場合、これは相当な元の購買力が上がるということです。
例えば、日本が円の購買力を上げたときに何が起こったかというと、それこそバブル華やかなりしころ、アメリカの方では、例えばソニーのコロンビアの買収ですとかロックフェラーセンターの買収ですとか、さまざまな要するに企業の買いあさりが行われたわけであります。
中国が、元の切り上げが行われた場合に、要するに一さき前の日本とアメリカの関係がまた行われてしまうんじゃないかというふうに思うところもあるんです。
ですから、こういうところに対して日本としてどういう態度を示していくべきなのかというところについてもお答え願えませんでしょうか。
○甘利国務大臣 企業が買収や合併を行う、これは国内外の戦略の一つでありますから、もちろんこれは企業の判断によって行われるわけでありますけれども、相手から攻めてこられるのは完璧に防止をして、こっちから攻めていくのは自由にできるようにするというのはなかなか難しいことでございまして、これは守る方と攻める方のフェアバランスをしないとアンフェアな法制の国ということになるわけでありますし、企業の戦略としても、あそことは組みたくないということになってしまうわけでありますから、合併や買収も、これは企業価値を高めるということがその目的でありますし、高めることを通じて幅広くステークホルダーの利益を図るということでございます。
攻めるのと守るのとバランスをとりながら、日本企業が国際戦略を展開できるようにしていく、そのための環境の整備を図るというのが我々の仕事だと思っておりまして、先般のMアンドAルールの構築等、この大競争時代、大合併時代の中では比較的適切な環境整備ができたのではないかというふうに思っております。
○鷲尾委員 攻めも守るも非常に微妙なバランスの上で行わなきゃいけないということはよくわかりました。
それでは、経済産業省の方で、例えば企業側が何らかの買収防衛策を講じようというふうにしたときに、何がしかのアドバイスをするということはあったりするんでしょうか、その買収防衛策を導入することが可能であるか否かとかいうことも含めて。
○甘利国務大臣 今回の仕組みも、法務省と経産省で協議をしてつくった一種のガイドラインに従って法整備が行われてきたわけでございます。いろいろ御相談があればしっかりと対応していきたいというふうに思っております。
○鷲尾委員 相談があれば対応したいということでございましたが、ぜひ、大臣が先ほどまでおっしゃっていたバランス感覚というのを大事にしながら指導というのを行っていただけたらなというふうに思います。
特に、アメリカの方では、経営者の自己保身につながっているんじゃないかという言い方をして、結局株主に対して経営者が買収防衛策を導入できないような事例もあるわけでございまして、そこを、企業価値を上げることが目的であるというふうにさっき大臣はおっしゃっていましたけれども、その企業価値自体にも議論があることを踏まえながらの指導をしていっていただけたらなというふうに思います。
続きまして、最近、移転価格税制の適用によりまして、平成十七年度だけで約二千八百億の金額が納付されております。最近、雑誌等々でもその話題がやかましくなってきておりますが、ソニー、そして京セラ、船井電機等々、数十億から数百億円単位の追徴課税がなされるということがあるわけです。
これらの企業は、そもそも現地の国において課税され、そして適正に納付したわけで、さらに追徴課税されるというのは、いわゆる所得に対する二重課税になっているということです。
二重課税された場合は、当然、二国間協議での解決を図るということでございますが、租税条約がない国もありますし、お互いの国の力関係もあります。相互協議が不調に終われば二重課税はそのまま残されるわけでございまして、相互協議が成立したとしても、加算税というものは、調整されずに、結局残ってしまうということになっています。
これは主に国税庁の方での方針転換というのがいろいろ言われているところでございますが、経済産業省としてのこの問題に対する御認識をまずお伺いしたいというふうに思います。
○山本(幸)副大臣 御指摘のように、最近、移転価格税制について、大きな追徴課税等の案件がふえております。件数も課税額も増加しております。御指摘のとおりでございます。
これは、最近は、従来の物の価格だけの話ではなくて、国税当局と事業者の間で見解の相違が大きく出るようになっているのは、経営ノウハウとか知的財産権、その範囲についてどうとらえるかというところで、新しい意味でのビジネスがふえているということから来ているんだろうと思いますが、グローバル化が進展する中で、我が国企業の国際展開を図るためには決していいことではないというように思っておりますので、そういう問題が起こらないように、基準をきちっと透明化してもらうことが必要だと思います。
できれば、疑義があるときには事前に相談ができるということで済ましていただければ一番いいわけでありますが、実態を今見ておりますと、国税当局の方も、事前相談に応じているんですけれども、件数が余りにふえていまして、担当者が二十人ぐらいしかいないということでありまして、対応が十分にできかねているということでございますので、今私ども、国税当局とも相談しておりまして、運用の実態をしっかりと把握して透明性を図る、そして、そういう問題が生じる前に何とか解決できるようにお願いしたいということで働きかけているところでございます。
これは先生の御指摘を受けて、我々も国税当局と改めてまた早急な解決策を求めてまいりたいと思っております。
○鷲尾委員 御答弁ありがとうございます。
おっしゃるとおり、特に経営ノウハウ、いわゆる無形資産取引、これについては大変裁量の余地があるということで、各方面から裁量の余地が少なくなるようなガイドラインをつくるようにという格好で申し入れがあるわけでございまして、先ほどおっしゃっていたように、事前相談をしても結局は数年かかってしまうような事態があるのは、これは問題であろうと。
ですので、でき得るならば、もう期限を区切ってこの問題についてのガイドラインを明らかにする必要があると思います。これはもう緊急を要する問題でございますし、経済産業省としても、貿易を振興している傍ら、逆に、振興して出ていった、海外に進出していった企業が後ろから、背中からピストルで撃たれて追徴課税されるような状況は断然あってはならない状況ですので、ぜひとも、積極的に期限を区切ってガイドラインを明確化していくぞというその決意を、ちょっと大臣、お願い申し上げます。
○甘利国務大臣 御指摘を踏まえまして、しっかりと対処できるように督促をしてまいります。
○鷲尾委員 ありがとうございました。
重ね重ね申し上げますが、これについては、いわゆる資源ビジネス、例えば三菱商事さんですとか三井物産さんですとか、我が国のエネルギーの安全保障にとっても非常に重要な問題も絡んでございますので、ぜひとも、重ね重ね申し上げますが、喫緊の課題として取り組んでいただきたいと思います。
それでは、続きまして、前通常国会で成立いたしました所得税法の改正の中で、特殊支配同族会社の役員報酬、この役員報酬が損金不算入になるという法案が可決されたところでございます。
この税制の改正によって、中小企業に対してはどの程度影響があるというふうにお考えでしょうか。
○山本(幸)副大臣 この点は幾つか計算のやり方があると思いますけれども、一応私ども、出ている統計数字から見まして、基準が決められておりますので、その基準の当たるところだけを見ていくということになりますと、まず、対象法人に該当するかどうかというところで、全体の中小企業の二二%ぐらいが対象になるのではないかと考えております。それから、その中で適用除外というのがございますので、それは対象法人の大体九割だと言われておりますので、そういたしますと、中小企業約二百五十一万社掛ける二二%掛ける〇・一ということで、約五・五万社、つまり全法人の約二%ぐらいではないかと見込まれているところでございます。
○鷲尾委員 これで運用がされていくわけですけれども、実際どれぐらい影響が及ぶかというところについてはさまざまな議論があったわけでございまして、当初の思惑と逆に、違う結果になった。この場合、想定しておりますのは、影響のある企業がふえたという場合、やはりその影響の度合いを見ながらこの税に関する見直しというのももう一度していかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思いますが、大臣、この点はどういうふうに思われますでしょうか。
○甘利国務大臣 私も、党におりましたときにこの税制の議論に加わりました。実は、個人事業主の方からは、法人成りした企業と個人事業主と実態はそう変わらないところもあるのに、事業主の報酬の税制上の措置の違いがある、法人成りと同等に扱ってほしいという要望が片や出ているわけでありました。そうしたら、企業成りしている方が逆に個人事業主と同じ税制上の扱いになったということでありまして、ちょっと唐突にこの話が出てきたときに驚いた記憶がありました。
当初、相当数がこの税法の割を食うのではないかということで、急激な影響が出ないように、名実ともに法人企業としてはどちらかというと個人企業に近いのではないかというような形態にきちっと絞り込めということを、作業を随分やりまして、それで、先ほど山本副大臣が説明をさせていただいたような範囲に絞り込んだわけでございます。
対象法人要件としては、同族の関係者一グループで株式が九〇%以上保有をされている、かつ常務に従事する役員のうち同族関係者が過半数。適用除外で、所得が八百万円以下ということと、それから、所得が八百万から三千万円の場合では、かつオーナー役員給与が所得の二分の一以下であるということ等々をいろいろ織り込んできまして、先ほどの報告に、シミュレーションをするとそのぐらいの数字に絞り込まれるから過大な影響はないのではないか、つまり全法人の二%、五、六万社程度ということになったわけでございます。
実際に、どういうふうに当初もくろんだ数字と実際に影響を受ける企業数の乖離があるか、まだ実態把握をしていかなければなりませんので、その実態を把握して過大な乖離があった場合には、いろいろ見直しについての議論をしていきたいというふうに思っております。
○鷲尾委員 大臣の実態把握をするというお言葉、大変心強いのでございますが、では、実態把握をするというふうに今おっしゃっていた、その内容というのはどのようなものになりますでしょうか。
○山本(幸)副大臣 これは適用されるのが、一番最初に始まるのが来年の三月末からでございますので、そこからどれぐらいの企業がその適用になるのかということがわかってくるわけでありまして、今私も、税理士の先生方とか、いろいろ問題があるよというような話も聞いておりますので、また税理士の先生方もいろいろ指導されて、どちらが得かというような話で、数字的には対象はこれぐらいですけれども、実際にはちょっと違ってくるようなこともあろうかと思いますので、そこは、来年の三月末から適用される状況を見て、思っていた以上に大きな影響が出て困るというようなことになれば、また見直しについて業界と相談して、税当局と話をしていきたいというふうに思っています。
○鷲尾委員 どのように影響があるのかというのは、いろいろな、それこそ、ちょっと語弊がある言い方かもしれませんが、数字のつくり方というのがございます。今回、五万社から六万社という数字も、随分私もいろいろ調べて、また政府側にも資料を要求して、当時の大臣にも問い合わせした上で、政府の見解としては五万社から六万社であるということになったわけでございまして、これは、実態把握を間違ってしまうと、いわゆる日本の企業社会の八〇%から九〇%を支えていらっしゃる中小企業の皆さんに大変過重な負担が強いられるのではないかというふうに思うわけです。
実態を把握する具体的な内容というのをどういうふうにお考えなのかなと思うのでございますが、大臣、そこはいかがでございましょうか。どういう把握のやり方で、大まかでも結構です、ひとつお答えいただけたらと思います。
○石毛政府参考人 先ほどから大臣それから山本副大臣が答えていることに関係するわけですけれども、先ほど適用対象、適用除外というのを御説明したわけですけれども、恐らく企業の中には、適用対象から外れようとして役員構成を変えるとか、そういうようないろいろな実態があるんだろうと思います。そういうことをきちっと見きわめた、それを見きわめられるような形の調査が必要になってくると思います。
したがいまして、任意の調査というような形ではなかなか難しいという感じもいたします。私ども、そういう実態を把握するためには、必要に応じて財務当局とも一緒になって把握をしなければいけないんだろうというようなことではないかと思っております。
○鷲尾委員 他省庁とも連携するということでございますので、ぜひ正確な実態把握をお願いいたしたいと思います。
もう一つ質問させていただきます。
グレーゾーン金利の撤廃によりまして、まあ撤廃する方向でございます。これによりまして、大手の消費者金融から当然これは異論が出ているわけです。特例の措置も認めない方向ということでございますので、そうしますと、大手の消費者金融だけではなくて、中小の消費者金融というのも業として成り立っているわけでございまして、この中小の方の業者さんにはどのような影響があるとお考えでしょうか。
〔委員長退席、赤羽委員長代理着席〕
○渡辺(喜)副大臣 この問題は、委員御案内のように、リスクプレミアムの上限をどの程度まで認めるかということと同時に、今現在、大変な数の多重債務者がいるわけでございます。五社以上からお金を借りている多重債務者が二百三十万人とも言われていますし、その人たちの平均残高がこれまた二百三十万円という大変に高い水準になっています。さまざまな社会問題を惹起しているのは御案内のとおりでございます。
今回、自民党あるいは公明党、与党間の協議をやっていただきまして、それぞれの党において、今党内手続にかけられている案がございます。自民党では、つい先ほどでございますが、合同部会で了承されたという情報でございますけれども、確かに、二九・二%の上限金利を利息制限法のこれまた刻みを変えないレベルにまで下げるという大変ドラスチックな案でございますから、御指摘のように、中小の金融業者への影響は必至であると考えております。
しかし、どちらを優先するか。こういう膨大な多重債務者の問題を優先するか、中小業者保護を優先するかといえば、これは事は自明でございます。したがって、そういう決断のもとに今回の改正案を考えてきたところでございます。
一方、日本の金利の体系を見てみますと、これは余り議論されたことのないことかもしれません。私、ついこの間まで自民党の方におりましたので御紹介申し上げますが、例えば、縦軸にローン残高をとります。横軸に金利水準をとります。そういたしますと、日本の金融、金利体系は、大体二%前後ぐらいにでっかい山があるんですね。この山がするするするっとなくなりまして、次の山が、小さいこぶが、二〇%を超えた二三とか二五とか、こういうところにこぶが出てくるんですね。これをフタコブラクダなどと称しておりますけれども、これは自民党内の議論で、政府に入るとこういうおもしろい表現は使えないわけでございますが。
そういうやはりゆがんだ金利体系をこの際、利息制限法の中に押し込めるという形で、いわばミドルリスクテーカー、こういう層がもっと出てきてもいいんじゃないか、そういう問題認識を持って議論してまいりました。
したがって、中小業者の皆様には、貸し倒れ費用をできるだけ圧縮してもらうとか、そういった事業の再構築をぜひお考えいただきたいと思っております。
○赤羽委員長代理 鷲尾英一郎君、時間が来ておりますので、手短に。
○鷲尾委員 はい。
ありがとうございました。
当然、中小の金融業者さんは業態を縮小せざるを得ないというようなお話だったというふうに私も認識いたしました。
その陰で、当然、町の金融業者さんを利用している中小事業者の方たちもいるわけでございまして、経済産業省におかれましては、そういうある意味ドラスチックな変化があるわけでございますので、それに対する担保もしっかりとしていただきたいということを最後に申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○赤羽委員長代理 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
臨時国会最初の質疑に当たりまして、甘利大臣にぜひお伺いしたいのが、製造業における派遣、請負の問題であります。
甘利大臣御自身、この間、いろいろ記者会見や公的な場で、経済産業政策をライフワークとされておられる、そういう際に、労働の側の視点からも発言をされておられ、正規と非正規の格差の問題についても問題提起をされているというのは拝見をしております。
そういうことで、ぜひお伺いしたいと思っているんですが、資料を配付させていただいているんですけれども、一枚目に、特に今、電機メーカー、精密機器を含めて、例えば日本の経済団体の経団連役員となっている電気機器、精密機器六社の利益と従業員数の推移ということでグラフをつくってみました。折れ線グラフの方が収益ですけれども、〇二年三月の、ITバブルがはじけたときの落ち込みがありますけれども、その後、順調にといいますか、収益が拡大をしております。それに対して、棒グラフですけれども、二〇〇〇年三月のときに二十四万人、これが、〇六年三月でとりますと十八万人と大きく減少しております。
二枚目をごらんいただきたいんですが、一方で、この間、派遣法の原則自由化、製造業における解禁が行われました。そんな中で、派遣社員数及び製造業の派遣の事業所の推移のグラフですけれども、九九年十二月の派遣労働の原則自由化、〇四年三月の製造業への解禁などを見て、今現在、派遣社員数が百二十一万人。棒グラフの方が、これが派遣の事業所数ですけれども、〇四年解禁を受けて、〇四年六百十三が、〇六年では八千十六と大きく増加をしています。請負労働者数ということについて、経年での変化をとらえるデータがないんだということで、わかっているのが、〇四年のところに、上の方に丸で囲みましたが、厚労省の方の調査で、製造請負労働者が八十六万人という実態調査があるそうであります。
ここでごらんいただきましたように、大企業の収益は回復、拡大をしながら、正社員は大幅に減少し、大企業の収益の回復というのが常用雇用の拡大につながっていないという現状が今あると思います。一方、派遣社員、請負労働者の増加ということが今言われているところであります。
そこで、もう一度数字の確認といいますか現状の確認で厚生労働省に伺いますが、厚労省が行いました労働力需給制度についてのアンケートというのがあります。その中身で二点お聞きしたいんですが、請負発注者、受け入れ先の方の一事業所当たりの請負労働者、製造業についてですけれども、工場の中に受け入れている労働者数が〇二年と〇五年の調査でどういうふうに変化をしているのか。もう一点が、その請負労働者の賃金額というのがこの〇二年、〇五年、どういうふうに変化をしているのか、お答えください。
○岡崎政府参考人 今御指摘のありました労働力需給制度についてのアンケート調査によりますと、まず、請負発注者一事業所当たりの請負労働者数につきましては、平成十四年度におきましては平均九十四・四人、それから平成十七年度につきましては平均百六十九・四人でございます。
また、請負労働者の平均賃金につきましては、平成十四年度におきましては平均年収で二百六十三万一千円、それから平成十七年度につきましては平均年収で二百四十五万九千円でございます。
○塩川委員 お話にありましたように、一つの工場、事業所における請負労働者数というのが九十四人から百六十九人ですから、一・八倍に増加をしています。
一方で、請負労働者の賃金水準そのものも下がる中で、二百四十五万という話がありましたが、時給で換算しますと、この厚労省のアンケートでも、時給千円なんですよね。それもこの三年間で減少している。そうしますと、二百四十五万ということは、時給千円で換算すれば二千四百五十時間ということでいいますと、そういう点でも非常に少ない数字、少ない金額、これは残業を前提にこの年収につながっていると思います。
私のお聞きしました請負労働者の実態でも、例えば、時給千円であっても、月に一回欠勤をすると、ペナルティーということで、その時給千円を九百円にする、こんなことで、一日の欠勤が一割の給料カットにつながる。こんなことはとんでもないということで、労働組合の力もかりて撤回をさせるということなんかもありましたけれども、現場はそういう状況になっている。
ですから、若者の請負労働者の方が、今の給与水準ではとても将来の展望が見えない、結婚もできないだろう、家も持てないかもしれない。ですから、ある若者の請負労働者は、どうせおれの将来はホームレスですからと、こういうことを述べるような、若者の未来を奪うような状況というのが生まれていると思います。
ここで、参議院の予算委員会の場で、十三日でしたか、我が党の市田書記局長がこの問題を取り上げまして、そういった実情を踏まえた指摘に対し、安倍総理の方が、いわゆるワーキングプアと言われる人たちを前提に生産の現状が確立されているのであれば大変な問題だと答弁をされました。
まさに、今述べたような実態というのは、いわばワーキングプアを前提にした生産の現場、現状が成り立っているんじゃないかと率直に思うんですが、大臣の御見解を伺います。
○渡辺(博)副大臣 製造現場におきます、さまざまな産業分野において働くいわゆるワーキングプアという方々の様子については、新聞やまたテレビにおいて報道されているところでありまして、私も十分承知をしているところであります。
このようなワーキングプアと呼ばれる人々は、一般的にどのように定義するかはそれぞれ違いますが、比較的考えられるのは、給与所得が三百万円以下であって、実際にはそういう人たちが一千七百万人いる、そういった報告も聞いておりますが、こういった低所得の賃金しかもらえず、その中には非正規雇用が相当数含まれているのではないかというふうに思われております。
製造現場で働く非正規雇用の割合が拡大している背景でありますけれども、国際的なコスト競争の激化など経済産業構造の変化や働く人々の価値観の変化があるというものの、今後、将来の格差の拡大につながっていくということも考えられ、十分に注意する必要があると思います。
企業の競争力の強化という観点からしても、働く人々のやる気をいかに引き出すかということは非常に重要なことであります。非正規社員として働く人々が正規社員にチャレンジできる状況を整備していくこと、これは重要な政策課題であると認識しております。
なお、こうした人々の労働実態に関しては、労働法規に違反するような働き方であれば問題でありますけれども、既に厚生労働省においても監督の強化等に取り組まれたものと承知しております。
いずれにしましても、経産省としましては、チャレンジできる社会をつくっていく、いわゆる非正規化を固定化していかない、そういう仕組みをつくっていきたいというふうに思っております。
〔赤羽委員長代理退席、委員長着席〕
○塩川委員 質問にお答えいただいていないんですけれども、要するに、生産現場というのが、今こういった非正規、派遣や請負、特に製造業におきましてそれが非常に大きく広がっていて、そういうのが前提となった生産になっている、この点についての現状認識はどうかというのをお聞きしているんです。
例えば、この間私も調査に行きました、薄型テレビでいいますと、液晶テレビのシャープの亀山工場、四年前に四千人の工場が立ち上がりました。そういう中で、四千人のうち、正社員で三重県内の新たな雇用というのは何人かといったら、二百二十五人という答えでした。それからもう一つ、松下の方でいえばプラズマテレビ、これをつくっていますのが兵庫県の尼崎工場です。先日行きました。経営の方にお話を聞きましたら、去年の秋、八百人で立ち上がった。この工場において、兵庫県内の新たな正社員の採用というのは八百人中わずか六人だという話なんです。
ですから、大半が派遣や請負という非正規雇用になっている。その賃金水準というのも先ほども紹介したような実情ですし、派遣社員についても、常用労働者と派遣社員の給与水準を比較した厚労省の調査を見ても、ちょうど半分の水準になっているわけですね。
ですから、そういったワーキングプアを前提に生産現場が成り立っている、こういう現状について、率直に大臣としてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
○甘利国務大臣 企業にとっては、正規雇用がその生産、会社の運営を支える基幹部分だと思います。ただし、非正規雇用という存在が雇用者にとっても企業側にとっても必要ないかといえば、これは必要があるからそういうニーズが生まれてくるんだと思います。働く方にとりましても、正規雇用で拘束されない働き方が必要なときもあります。企業にとっても、正規雇用というところまで抱え込めない状況の中で戦力をふやすという必要もあろうかと思います。
問題は、この非正規雇用がずっと拡大をしていって、非正規から正規に行く道が断たれるというのはあってはならないことだと思っております。本人が非正規で働きたいという限りはもちろん非正規でいいのでありますが、いろいろ将来のことを考えて、安定雇用でありたいし、収入もきちんと確保したいという場合に、その道をきちんとつなげていかなければならないというふうに思っております。
ただ、すべてを正規雇用で拘束をするということになりますと、企業自身が国際競争に勝たなければなりません。景気が悪い状況からよくなってくるに従って、企業が自信をつけて、これならば正規雇用をふやして大丈夫というところに至った時点で非正規から正規にスムーズに行けるような仕組みをきちっとつくっておく、今もありますけれども、さらに整備をしていく必要があろうかと思っております。
○塩川委員 非正規という働き方について、働く側のニーズがあるというお話もあるんですけれども、私が聞いた中でも、請負の方なども、正規になりたいけれどもなれない。つまり、圧倒的なフリーターの方にしてみれば、正社員になりたいけれどもなれないというのが実情だというのは率直なところだと思います。
あと、確かに正社員として声のかかるような方がいます。システムエンジニアの方が派遣で入っている、うちに来てくれと。でも、断るんだと言うんですよ。なぜかといったら、正社員になったらもっと働かされて、それも何か、それこそ肩書なんかつけられると残業代ももらえなくなる、かえって非正規のままの方がまだましだと。こういう労働実態が背景にあるんじゃないか。そういう中での非正規の問題を、正社員の働かせ方の問題と同時に、非正規のあり方についての、低賃金や不安定な雇用のあり方の是正ということこそ必要だ。
そういう点で、今大臣が、この非正規が拡大をしていって、その中で正規から非正規への道が断たれるようなことがあってはならないとおっしゃったのは……(甘利国務大臣「非正規から正規」と呼ぶ)失礼。非正規から正規への道が断たれるのはあってはならないというふうにおっしゃったのは当然のことだと思います。
その点で、ちょうど労働者派遣法の九九年の改正の際、当時の労働大臣は甘利現経済産業大臣でありました。その際の審議を振り返ってお聞きしたいんですけれども、九九年の労働者派遣法の改正、私どもは括弧つきの改正で言っておりますが、派遣業務の適用対象を大きく拡大する、原則自由化する、同時に、常用代替の防止ということで、当時も、正社員を減らされてこういった派遣で置きかえるんじゃないのか、こういう懸念というのは当然質疑の中でも出されました。
ですから、その中で、大臣の答弁の中にもありましたけれども、常用代替の防止という規定というのを盛り込んでいると説明をしておられました。資料の三枚目に該当の部分の会議録をつけておきましたが、三段目のところ、傍線を引いたところが甘利大臣の答弁ですけれども、常用代替がいわゆる労働者派遣法の活性化、原則自由化によって起こってしまうのではないか、この懸念をふさいでいく、対処していくということもあわせて内容に盛り込んでいる、一年を超える雇用に関しましては派遣先に正規雇用とする努力義務を設けている、一年を超えるということでそのまま使っているところについては適切な指導、そして従わない場合には企業名の公表も当然考えてあると。この場合の企業名の公表というのは受け入れ先の公表ということの趣旨でありますけれども、そういったのがここでは書かれております。
しかし、製造業の現場がどうなっているのかということなんです。公表になっているんだろうか。先ほども紹介しました松下のプラズマテレビをつくっているのが、松下の子会社の松下プラズマディスプレイ。ここの、ビエラをつくっているところですね、最新鋭のパネル工場ですけれども、大阪の茨木工場とそれから兵庫の尼崎があります。
この間、例えば大阪の茨木工場については、昨年の五月に、請負労働者から大阪労働局に、現場で偽装請負が行われているという申告が行われ、立入調査も労働局が行って、昨年の七月、労働局の指導で松下は請負を派遣に切りかえました、偽装請負を違法派遣ということで。そうしましたら、ことしに入って、五月、つまり去年の七月から一年たたない五月の段階で、松下は派遣を請負に戻しています。請負だったのを派遣にしたのに、それをまた請負に戻す、こんなことが行われている。
同様に、尼崎工場は去年の九月に立ち上がりました。そのときは派遣労働者で入っています。それがことしの八月には、やはり去年の九月から一年たつ前の八月時点で派遣を請負に切りかえているんです。
先日、松下に行って経営側の方にお話を伺ってきましたが、労働者派遣法では一年を超えて雇用を継続する場合には受け入れ企業側に直接雇用の申し入れ義務が生じるけれども、尼崎工場として直接雇用の申し入れを派遣労働者に行ったのかというのに対しては、会社側は、行っていませんという答えでした。
ですから、製造業において、率直に言って、大臣もここで説明をされたような常用代替にならないという仕組みが機能していないんじゃないか。当時の労働大臣としてこの現状をどのように受けとめておられますか。
○甘利国務大臣 企業活動は関係法令を遵守して行うというのは当たり前のことでありまして、法令違反があれば厳正に対処するというところでございます。
要は、企業もきちんと国際競争に勝っていく、そして雇用者もハッピーというのが一番いいわけでありまして、そこの接点をどう求めていくかということだと思います。
企業側にとっては、正規雇用にしていくということは、ずっと抱えていくという、経営が悪くなってもなかなか解雇ができないというリスクを抱えるわけでありますから、そこのところを慎重にしながら正規雇用をふやしていく、その間、非正規でつないでいくということがあろうかと思います。
ただ、それがずっと定着をしてしまうのは、実態としてそういうことがあるとするならば、それは何なんだろうか。そういうところに思いをはせて抜本的な解決を図っていかなければならない。
アメリカと日本が違いますのは、アメリカは職務給でありますから、外から正規に採用する場合でも、その職務に共通した給与体系ができております。日本の場合ですと、年功賃金制でありますから、年齢が高くなってくると高い給料を払わなければならない。社内で長い間訓練されてきた社員と突然外から来る社員の待遇を全く同じにした場合に生産性が著しく落ちてしまう、そういうジレンマの中で、どういう雇用のよりよい仕組みがあるかというところでみんないろいろと葛藤しているわけでありまして、日本型雇用制度のいい点はたくさんあると思います。そういう中で、非正規が正規になっていく場合に、従来の正規とのバランスをうまくとりながら会社の生産性を落とさないような仕組みをいろいろと考えていかなければならないと思っております。
○塩川委員 労働者派遣法の法の趣旨に沿って、法の適用として、そもそも一年を超える派遣が行われれば直接雇用の申し入れ義務が生じる。現状は、同じ労働者が、看板が変わるだけなんですよ、派遣から請負に。同じように職場で働いている。実質的には派遣が継続しているような状況で、請負会社にいわば所属だけが変わる、契約の形態が変わるという状況があるのに、直接雇用の申し入れ義務が果たされないという点が、これはやはりこの仕組みそのものが機能していないと、つくられた大臣として率直にそうお考えになりませんか。
○甘利国務大臣 法の趣旨はもちろんそういうことでありますし、企業側もそういう要請に従ってぜひ対処をしてもらいたいと思います。
実態がその後どういうふうになっているのかは、厚労省の方で把握をしていると思いますので、そこはその報告を受けたいと思っております。
○塩川委員 いわば職場では今、こういう違法、脱法状態が蔓延しているという問題がありまして、偽装請負、つまり、形は請負だけれども実質は派遣という形態というのはかなり広がっている。ですから、そもそも、ことしの九月に厚生労働省が偽装請負の是正の通達を出す、これは前代未聞の初めてのことであるわけですね。それだけ事態が深刻だということを政府自身も認識しているからそういう手だてをとるわけであります。
そこで、厚労省に確認ですけれども、厚労省の行った調査アンケートの中で、本来は請負会社の労働者に対して受け入れ先の企業側は指揮命令できない、独立した事業所の請負会社ですからね。しかし、実際には指揮命令が行われているという事例がアンケートでも紹介をされていると思います。その点について、請負事業者側に聞いたものと請負労働者に聞いたものの数字を紹介してもらえますか。
○岡崎政府参考人 労働力需給制度についてのアンケート調査の結果で、それぞれのアンケートの結果でございますが、事業所の方におきましては、平成十四年度におきましては、指揮命令を必ず受けている、あるいは大体受けているというところが二六・五%、十七年度におきましては二〇・九%、若干の減少でございます。それから、労働者側の調査によりますと、平成十四年度では四四・八%がそういったような指揮命令を受けているということでございましたが、十七年度につきましては二六・五%と大分減った、こういうような状況でございます。
○塩川委員 今のお話でも、二割、三割は現実にはまだ偽装請負が残っていると。それ自体、本当に実態を反映しているかどうかということも問われると思いますけれども、現状は偽装請負がまかり通っているということが今のお話にもありました。
そういった偽装請負を行っている請負会社の代表的なのが、資料で五枚目につけましたけれども、これは参議院の予算委員会で市田が紹介をした、クリスタルグループと言われる請負人材派遣会社の大手であります。百人以上の労働者の供給を受けていた事業所というのが、松下、キヤノン、ソニー、東芝を代表として、ここに挙げられているとおりであります。
ですから、このクリスタルグループの製造請負の子会社、中核となっているのがコラボレートですけれども、そのコラボレートに今回事業停止命令が行われました。そのコラボレートが人を送っている受け入れ先というのは、ここにあるような名立たる大企業ばかりであります。
そこで聞きますが、請負事業者のコラボレートは処分を受けたわけですが、受け入れ先の、発注をした発注者企業というのは処分は受けないんですか。
○岡崎政府参考人 労働者派遣法は事業者規制でございますので、派遣元でありますコラボレートが処分の対象、こういうことでございます。受け入れの方は法律の処分の対象にはなっていない、こういう状況でございます。
○塩川委員 偽装請負をなくすつもりだったら、最もメリットを享受する受け入れ先に対して何らかの処分のあり方というのがなければ打開できないんじゃありませんか。何もないんですか。具体的に発動したことはないんですか。
○岡崎政府参考人 行政処分という形ではございませんが、先生おっしゃいますように、偽装請負の場合には、当然、発注元と請負事業者と双方に問題があるわけでございます。
労働局の監督におきましては、請負事業者とともに発注者も指導の対象にしておりまして、平成十七年度におきましては、発注者に対しまして六百六十件の監督を行いまして、三百五十八件につきまして文書による是正指導を行っております。
○塩川委員 指導はあるけれども、それ以上はないわけでしょう。処分もないわけだし。勧告とか公表とかと言いますけれども、勧告、公表した事例というのはあるんですか。
○岡崎政府参考人 文書指導したところにつきましては是正報告を受けておりますが、おっしゃるような、いわゆる行政処分になっている事案はございません。
○塩川委員 ですから、そもそも両者に問題があるわけですから、受け入れ先企業に対して厳しく対応することなしには偽装請負は是正できないわけであります。
そこで、大臣に伺いますが、先日の経済財政諮問会議の場で、御手洗経団連会長、これは十三日でしたか、議事要旨を拝見しましたら、この偽装請負問題での発言をされていたと思います。受け入れ先で指揮命令してはいけないという中に、いろいろ仕事は教えてはいけないということも入っている、現行の請負法制に無理があり過ぎる、ぜひ見直してほしいとか、今の派遣法のように三年たったら正社員にしろと硬直的にするとコストが硬直的になる、こういう発言をしているわけですけれども、キヤノン自体が、この間、宇都宮工場ですとか大分キヤノンのように偽装請負で指導が行われているわけです。労働局から昨年文書指導も行われています。
みずからが偽装請負が問われているときに偽装請負を合法化しようとする、そういう発言をすること自身が問題だと思いますけれども、大臣はそう思いませんか。
○甘利国務大臣 経済財政諮問会議での御手洗会長の発言は、請負の場合だと、指揮命令権が、受けているもとの会社に、つまり、受け入れ先ではない、送り出している会社にある、受け入れているところに関しては口を挟んではいけないと。ただし、それも、現場でのいろいろな危険の回避とか、あるいは仕事の、働く者にとっての円滑な対応等々を考えれば、一切口を出してはいかぬというのは、かえって請負会社から請負として働いている人たちにとってもいろいろ不便なんではないだろうかという素朴な疑問だけ呈されたんだと思いまして、この請負派遣の法制あるいは企業の給与体系や雇用のあり方全体に対する整合性の問題提起ではなかったかと受けとめました。
○塩川委員 製造業に来る請負派遣そのものが問題だ。そもそも、職安法四十四条の労働者供給事業の禁止、これから大きく外れている現状があるということが大問題だと思います。実態調査をきちっと行うべきだ。製造請負について実態調査を行う、この点について最後にお答えをいただいて、終わりにしたいと思います。
○岡崎政府参考人 偽装請負という状況自体については問題があるというふうに思っております。具体的な事案を把握したものにつきましてはきちっとした指導を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○塩川委員 終わります。
――――◇―――――
○上田委員長 次に、内閣提出、消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣。
―――――――――――――
消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○甘利国務大臣 消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
国民生活の安全、安心を確保することは、重要な国の責務であります。
他方、昨今、ガス瞬間湯沸かし器の事故などが明らかとなり、製品の安全性に関する国民の信頼が大きく揺らいでおります。
国民が日々の生活で用いる製品の安全性を確保するためには、事業者による安全な製品の製造、販売や消費者への情報提供、行政による安全性確保のための取り組み、消費者による製品の合理的な選択や使用など、事業者、行政、消費者それぞれが適切にその役割を果たすことが不可欠であります。
そのためには、危険性のある製品の製造、販売の防止はもちろんのこと、製品事故が起きてしまった場合には、事故に関する情報を社会全体で共有し、その再発を防止することが必要であります。このため、事業者に対する国への製品事故の報告の義務づけや、国から消費者への事故情報の迅速かつ的確な提供を図る仕組みを構築するべく、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、製造事業者または輸入事業者が重大な製品事故が生じたことを知ったときは、主務大臣に報告しなければならないこととしております。さらに、製造事業者等が報告を怠った場合は、主務大臣は、重大製品事故の情報の収集や提供のために必要な体制の整備を命ずることができることとしております。
第二に、主務大臣は、重大製品事故による危害の発生及び拡大を防止するために必要があると認めるときは、製品の名称や事故の内容等、危険の回避に資する事項を公表することとしております。
第三に、小売事業者には製造事業者等に事故情報を通知する責務があり、また、販売事業者には製造事業者等が行う製品回収等の措置に協力する責務があることを定めております。
以上が、本法律案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
○上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十一月一日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十五分散会