衆議院

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第5号 平成18年11月29日(水曜日)

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平成十八年十一月二十九日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      安次富 修君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    坂井  学君

      坂本 剛二君    清水清一朗君

      平  将明君    竹下  亘君

      谷川 弥一君    土井 真樹君

      丹羽 秀樹君    野田  毅君

      橋本  岳君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    増原 義剛君

      御法川信英君    武藤 容治君

      森  英介君    山本 明彦君

      吉川 貴盛君    吉野 正芳君

      大畠 章宏君    太田 和美君

      川端 達夫君    北神 圭朗君

      武正 公一君    細野 豪志君

      三谷 光男君    柚木 道義君

      鷲尾英一郎君    高木美智代君

      塩川 鉄也君    武田 良太君

    …………………………………

   議員           佐藤 剛男君

   議員           保岡 興治君

   議員           山本 明彦君

   議員           近藤 洋介君

   議員           長妻  昭君

   議員           原口 一博君

   議員           松本 剛明君

   議員           大口 善徳君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   総務大臣政務官      河合 常則君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  株丹 達也君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      松山 隆英君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    石毛 博行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 直良君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     坂井  学君

  片山さつき君     坂本 剛二君

  佐藤ゆかり君     御法川信英君

  野田  毅君     安次富 修君

  増原 義剛君     竹下  亘君

  山本 明彦君     吉野 正芳君

  鷲尾英一郎君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     野田  毅君

  坂井  学君     小此木八郎君

  坂本 剛二君     片山さつき君

  竹下  亘君     増原 義剛君

  御法川信英君     佐藤ゆかり君

  吉野 正芳君     山本 明彦君

  武正 公一君     鷲尾英一郎君

    ―――――――――――――

十一月二十九日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

同月二十四日

 中小業者への経営支援に関する請願(吉井英勝君紹介)(第六七二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案(保岡興治君外六名提出、第百六十四回国会衆法第七号)

 官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案(達増拓也君外五名提出、第百六十四回国会衆法第五号)


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、保岡興治君外六名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案並びに第百六十四回国会、達増拓也君外五名提出、官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。佐藤剛男君。

    ―――――――――――――

 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤(剛)議員 おはようございます。

 自由民主党及び公明党の両党共同提案の入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 現行の入札談合等関与行為防止法は、平成十五年一月から施行されており、これまでに公正取引委員会がこの法律に基づき改善措置要求を行った事例は、既に三例あります。具体的には、平成十五年一月の北海道岩見沢市発注の建設工事に関する入札談合事件、平成十六年七月の新潟県新潟市発注の建設工事に関する入札談合事件、平成十七年九月の日本道路公団発注の鋼橋上部工工事に関する入札談合事件の三件であります。このうち、道路公団の事件については、独占禁止法違反の罪により刑事告発されております。

 また、これらのほかにも、平成十八年二月に、防衛施設庁発注の建設工事をめぐる入札談合事件において、発注機関の職員が刑法の談合罪に基づき起訴される等、いわゆる官製談合事件が、国、地方問わず多く見られる状況が続いてきたところであります。

 このような状況を踏まえ、平成十七年末に、当時の小泉総理から、現行の入札談合等関与行為防止法の改革案を検討するよう指示があり、これを受けて、平成十八年一月に、自民党独禁法調査会のもとに官製談合防止法検討ワーキングチームが設置されるとともに、公明党にも同様に官製談合対策プロジェクトチームが設置され、さらに与党合同で与党官製談合防止法検討ワーキングチームが設置されて検討が開始されました。

 検討の結果、官製談合の防止を徹底するためには、発注機関の職員に対してより重い刑罰を科すこと、また、入札談合等関与行為の類型を追加すること等が適切であり、同法のより一層の強化が必要であるとの結論に達し、与党において議員立法として本法律案をまとめ、提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、法律の題名を、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律に改めるとともに、この法律の趣旨が、入札談合等関与行為を排除し、及び防止するための措置に加えて、職員による入札等の公正を害すべき行為についての罰則を定めるものである旨を明記することとしております。

 第二に、この法律の適用対象となる特定法人に、特別の法律により設立された法人のうち、国または地方公共団体が法律により、常時、発行済み株式の総数または総株主の議決権の三分の一以上に当たる株式の保有を義務づけられている会社のうち、政令で定めるものを除いたものを追加することとしております。

 第三に、入札談合等関与行為に該当する行為として、特定の入札談合等に関し、事業者等の明示または黙示の依頼を受け、またはこれらの者にみずから働きかけ、当該入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札に参加する者として特定の者を指名し、またはその他の方法により、入札談合等を幇助することを追加することとしております。

 第四に、発注機関は、入札談合等関与行為による国等の損害の有無についての調査、入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の有無等の調査及び入札談合等関与行為を行った職員に係る懲戒事由の調査について、それぞれその結果を公表しなければならないこととしております。

 第五に、発注機関の職員が、その所属する発注機関が入札等により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示することまたはその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、五年以下の懲役または二百五十万円以下の罰金に処することとしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその要旨であります。

 何とぞ、慎重審議の上、よろしくお願い申し上げます。

上田委員長 次に、近藤洋介君。

    ―――――――――――――

 官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤(洋)議員 私は、提出者を代表して、ただいま議題となりました民主党提出の官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 官製談合は、公共事業などの発注者側が談合に関与する極めて悪質性の高い行為でありますが、近年、地域経済の困難をも反映して、ますます深刻さの度合いを増しております。本年だけでも、防衛施設庁や福島県、和歌山県、宮崎県などで官製談合事件の摘発が相次ぎ、県知事までもが逮捕、起訴されております。また、防衛施設庁の談合事件では、国民の血税を組織的に私し、官僚の天下りを養う構図が明らかになっております。

 これらの国民への許しがたい背信行為である官製談合の根絶を図るため、平成十四年にいわゆる官製談合防止法の成立を見たわけでありますが、我が党としては、官製談合撤廃プロジェクトチームを設けるなど、発注者責任のさらなる厳格化を従前から主張し、昨年十月にはいち早く官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案を第百六十三回国会に提出いたしました。残念ながら同案は審査未了となり、現在に至っているわけでありますが、相次ぐ官製談合事件の発覚は、我が党の主張が裏づけられたものと考えます。

 官製談合の防止に関しては、与党からも改正法案が提出されておりますが、与党案は、重大な犯罪である官製談合に刑法で対応していないこと、発注者側が談合を黙認した場合について何ら触れられていないこと、発注担当職員の賠償責任の厳格化のために必要な規定が置かれていないことなどの点で不十分であると考えます。

 これに対して、本法律案は、刑法及び官製談合防止法等の関係する諸法律の改正を行うものであり、官製談合事件の防止の徹底を図る上で実効性にすぐれた内容となっております。

 以下、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、談合罪を目的犯でないものといたします。

 第二に、公務員の談合関与行為に対する処罰規定を設けることとし、その法定刑は、現行の談合罪のそれよりも加重して、三年以下の懲役とするとともに、罰金刑は設けないことといたします。

 第三に、公正取引委員会による改善措置要求の対象となる特定法人の範囲を拡大いたします。

 第四に、入札談合等関与行為に該当する行為として、発注者側による一定の不作為を追加いたします。

 第五に、職員の賠償責任等を厳格化するとともに、損害額について裁判所が公正取引委員会に意見を求めなければならない旨の規定を追加いたします。

 第六に、公正取引委員会と会計検査院との連携の強化を図ります。

 さらに、本法案の附則では、法律の施行後一年以内に、民営化会社の役職員による談合関与行為等の防止のための制度のあり方について検討を加え、所要の措置を講ずることを規定しております。

 以上が、本法律案の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、慎重審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

上田委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

上田委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官株丹達也君、公正取引委員会事務総局経済取引局長松山隆英君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、総務省自治行政局長藤井昭夫君、法務省刑事局長小津博司君、中小企業庁長官石毛博行君、国土交通省大臣官房審議官大森雅夫君及び国土交通省大臣官房技術審議官佐藤直良君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本明彦君。

山本(明)委員 おはようございます。自由民主党の山本明彦です。

 議員提案によります官製談合防止法の改正について質問させていただきます。

 私ごとで大変恐縮でありますが、二カ月ほど前に火の中に飛び込みまして、両手、両足、顔にやけどをいたしまして、まだ治療中であります。その中をきょうこうやって、私も提案者の一人になっておるわけでありますけれども、質問そして提案をさせていただき、この官製談合防止法をいい法案にしていきたい、そんなことできょう出席をさせていただきましたので、多少お見苦しい顔をお見せいたしますけれども、御容赦をお願いしたいというふうに思います。

 今、両提案者からもお話がございましたけれども、最近、マスコミはずっと、ほとんど連日のように、福島から始まりまして、和歌山、宮崎、自治体のトップだとか幹部職員による官製談合、こうした記事が載らない日がないぐらい、大変今世間からの批判を浴びておるところであります。

 現行の官製談合防止法は、十五年に改正、制定されたわけでありますけれども、しかし、制定されてからも、道路公団の問題だとか防衛施設庁ということで、官製談合がなかなかやはりとまらない、そうした状況にあることは、皆様方、御承知のとおりであります。やはり、公共財産でありますそうした入札におきまして、公正に入札が執行されること、そして参加する人が公明正大に、官から物を言われないような形で入札が執行できる、そうした環境をつくるということが必要である、こんなふうに考えておるところであります。

 今回、そうした意味で、自民党案も民主党案も、そうしたことをなくして公正な競争ができる、そうしたことのために法案が提出されましたので、そうした意味で両案について質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、民主党案提出の件についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回、刑罰についてでありますけれども、与党案の方は、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律という法律を改正いたしました。何を改正したかというと、まず一つは題名を改正したわけでありまして、職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰ということで、題名に追加をしたところであります。これはどういうことかといいますと、たび重なる官製談合を排除するために、現行の法律によるいわゆる組織の官製談合だけではなくて、職員個人による入札の妨害を排除する、そのためにあえて名称まで変えて今回提案させていただいたところであります。

 したがって、この改正によりまして何を変えたかといいますと、刑罰を創設させていただきました。「五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金」という形で改正をさせていただいたところであります。しかし、民主党案を拝見させていただきますと、職員の入札妨害の排除を刑法の改正によって行う、このようにしておるところであります。公務員が職務上の地位を利用して談合に関与したときは三年以下の懲役としておられるところであります。先ほど提案者からの説明があったとおりでありますけれども。

 この法の改正は、目的は何かというと、あくまでも官が関与しないということが目的だというふうに私どもは認識をしております。したがって、この官製談合防止が目的でありますので、与党案にありますように、官製談合防止法の改正、この方が目的に合っている、私どもはそのように思っておるところでありますけれども、なぜ刑法までも改正をされたのか、この点を民主党提案者にお伺いしたいと思います。

原口議員 おはようございます。

 本質的な御質問をいただきまして、山本先生におかれましては、建設の方のプロとして、あるいはその改革のプロとして前進されておられますことを、まずお礼を申し上げたいと思います。

 その上で、今の御質問に対してでございますが、現行法においても、談合に関与した職員については刑法の競売入札妨害罪の正犯、そして同法の談合罪や独禁法の不当な取引制限の罪の共犯として処罰する、これは可能です。現行の入札談合等関与行為防止法は、そのことを前提にした上で、官製談合を将来に向けて抜本的に排除し及び防止するため、発注機関による組織的な改善措置等について定めたものでございます。

 ところが、このような経緯を踏まえつつ、私たちは目的は同じですね、官製談合を防止するというのは、官製談合そのものが事業者間の公正な競争、取引を阻害する、それどころか、それに加えて、公の予算、そして発注に対する、あるいは税に対する国民の信頼を失わせる。そこで、談合に関与した公務員を重く罰し、個人の責任を厳しく追及するためには、刑法を改正し、新たに公務員談合関与罪、こういうものを創設しようというふうに考えたわけでございます。

 もともと、先生も御案内のとおり、この談合罪ができた昭和十六年、あのときは統制経済でした。統制経済で、もともと政府がお出しになった原案には目的犯として談合罪が規定されていません。つまり、「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的」という文言はなく、これを議院修正で談合罪の中に入っている。つまり、このことが、いい談合、悪い談合、そういう誤解を与える結果になっているし、談合はすべてその目的いかんにかかわらず悪いものだと、しっかりと刑法を改正して、そして抜本的な談合対策をやることが大事ではないか、このように考えたのが私たち民主党の刑法改正の根本の考えでございます。

山本(明)委員 趣旨は理解するところでありますけれども、刑法も今でも適用できるわけでありますから、適用できるものは適用していただき、やはり今回は官製談合をいかになくすかということが目的だと承知しておりますので、やはり官製談合の本法の改正という形で私どもは提案をしてきました。ぜひそういった意味でも御理解、質問者が御理解いただきたいと言っちゃおかしいんですけれども、よろしくお願いをしたいというふうに私は思います。

 先ほど、罰則を重くするというお話がございましたけれども、その中身につきまして少しお伺いしたいと思います。

 私ども与党案の方は、私どもと言っちゃいけませんね、与党案の方は、「五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金」という形になっておりまして、これはどういうことかといいますと、刑法の背任罪だとか、そして競売入札妨害罪だとか談合罪の法定刑を参考にして、重い方をとらせていただいて決めさせていただいたわけでありますが、民主案は刑法により「三年以下の懲役」ということになっております。

 したがって、与党案の方が民主党案よりも刑が重いわけであります。したがって談合の抑止効果は強いというふうに思っておりますし、さらに罰金刑も科しておるわけでありますから、そういった意味で、法の運用が大変柔軟になりまして、使い勝手のいい法律になっておる、このように考えておりますけれども、民主党提案者はこの点についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。

長妻議員 御質問にお答えをいたします。

 懲役刑は、与党案が五年以下、民主党案が三年以下ということで、確かに懲役の年数だけ見ると与党の方が重いわけでございますけれども、ここで重要なのが、罰金刑という考え方を民主党案はとっておりませんで、懲役のみということでございます。

 先ほど委員からも御指摘がございました、この法律の最大の目的というのは、公務員の皆さんに抑止効果を与えて、二度と官製談合に手を染めない、こういうことでございまして、そういう意味では、仮に罰金になった場合は、国家公務員法及び地方公務員法上、職を失うということにはなりません。懲役でありますと、執行猶予の有無を問わず、禁錮以上の刑に処せられると当該職員はその職を失う、これは法律で明記されておりますので、民主党案であれば、非常に公務員の皆さんも、これは間違いなく職を失うんだ、こういう意識が浸透するという意味で抑止効果が高いのではないか、そういう趣旨で制定をさせていただいております。

山本(明)委員 抑止効果ということでお話がございましたけれども、どちらにいたしましても、やはりいかに官製談合を起こさせないかということでありますので、民主党案も抑止効果はあるとは思いますが、何回か申し上げますように、官の抑制ということになりますと、自民党の方の官製談合防止法の方がより使いやすい法律だというふうに私は理解をしております。

 次に、入札談合行為の範囲の拡大、三類型がありましたけれども、この拡大について御質問したいと思います。

 与党案の方は今までの三類型、談合の明示的な指示、受注者への意向の表明、秘密情報の漏えい、この三つの類型にもう一つ新たな類型を加えました。どういうことかといいますと、入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札談合等を幇助する行為という四つ目を加えさせていただきました。

 今までですと、三つの類型というのはどちらかというとはっきりしておりまして、この三つの類型というのは非常にわかりやすいわけであります。ところが、やはり談合行為というのは非常にわかりにくいところもあるわけでありまして、そういった意味で、入札談合等を容易にする目的というまくら言葉はついておりますけれども、幇助する。これは、現行の規制だけでは入札妨害行為というものが摘発がなかなか困難、今言いましたようにファジーなところがありますので、困難である。そういったことで、職員がいろいろな方法で事業者が入札談合を行いやすくすることを防ぐ、そのために追加したところであります。

 民主案は、職員が入札談合等が行われる明白なおそれがあることを知りながら防止するための措置を講じない、いわゆる不作為でありますけれども、これを追加されたところであります。

 先ほど私もファジーという言い方をいたしましたけれども、非常にあいまいなところがあるんですが、しかし職員も緊張感は持たなければいけない。緊張感を持たなければいけませんが、余り心配ばかりしていて、どこかで談合をやっているぞというようなうわさが入る、うわさが入った。今回の法改正によって罰せられたらどうしようとなると、そこで、これはもう入札を延期しよう、指名がえしようというようなことがばんたび生じるおそれがあります。意識的に入札を違う第三者が妨害しようと思えばすぐできるわけであります。そうすると、すぐいろいろな電話を入れる、それによってまさに公正な競争が逆に害せられる、そういったことも考えられるというふうに思います。

 したがって、適正な業務を萎縮させてしまう、事業の進みぐあいをそこで停止させてしまう、こうしたことが起こり得ると思いますので、そういった意味で、民主党案については、厳しいという言葉が正しいかどうかわかりませんが、少し業務の進行に差しさわりがある、こう考えますけれども、いかがでしょうか。

近藤(洋)議員 山本委員の御質問にお答えいたします。

 確かに、入札談合についてはさまざまな情報が寄せられるわけです。うわさ話から確たる情報までさまざまあるわけでありますけれども、私どもの改正案で言っている趣旨は、その中でも確実な資料、根拠に基づいた場合を想定して、そういう場合、「明白なおそれがあることを知りながら」という要件を付した上で、発注者において入札談合等を防止する必要な措置をしなかった場合、これを黙認行為として入札談合等関与行為に追加したわけであります。何から何まで黙認行為に加えるというわけではありません。したがって、御質問の趣旨のような御心配には当たらないのではないか。「明白なおそれがあることを知りながら」という要件を付しているのは、そういう趣旨でございます。

 あえて付言いたしますと、やはり、国家公務員なり公務員たるもの、談合を根絶するのが職務の本質でありますから、根絶といいますか、税金の無駄遣いをさせないというのが本来業務でありますから、うわさ話でおびえるというよりは、むしろそういった黙認行為を行わないで積極的に行動していただきたい、こういう趣旨であります。

 残念ながら、実態の談合事件を見ますと、黙認をしている、上司がやっていることを知りながら、または同僚がやっていることを知りながら黙って、談合事件に発展してしまったというケースも多々あるわけでありますから、こうした問題にかんがみてこの措置を入れたということであります。

 したがいまして、その職務遂行を過度に萎縮することにはならないと判断しておりますし、繰り返すようでありますが、そもそも、入札契約事務を担当する職員は、適切な予算執行のため、会計法規を遵守して慎重に職務を遂行することが求められているわけでありますから、御指摘のような批判は当たらないものと考えております。

山本(明)委員 今たびたびお話の中に黙認という言葉が出てきました。明白な資料がありながらという話と、黙認という言葉がありましたけれども、明白な資料というのがどういったものか、よく理解できませんけれども、黙認という言葉になりますと、何が黙認か。

 今私が言いましたように、話を聞いておったけれども聞かないふりをする。先輩とか同僚とか、いろいろな人が今までやっておったことを、知っていたかいなかったかわかりませんけれども、知っていたけれども黙認する。これは、知っていたけれども黙認するのか、知っていなかったのかというのはなかなかわからないわけでありますので、そういった意味で、黙認するという言葉が出てくること自体が、やはり運用に問題が出てくるのではないか、そういった意味で申し上げたところであります。やはり、法というのはひとり歩きをしていくわけでありますし、その点はしっかりと慎重に考えて決めていかなければいけない、私はそんなふうに理解をしております。

 以上で、民主党さんへの質問は終わらせていただきます。

 次に、公正取引委員会にお伺いをさせていただきます。

 法律が制定されて以降、三案について是正措置を行ったというお話を聞いておりますけれども、その中で、平成十七年、日本道路公団に対する改善措置要求をされておりますけれども、その内容につきまして御説明をいただきたいと思います。

山田政府参考人 公正取引委員会では、旧日本道路公団が発注します鋼橋上部工工事に係る入札談合事件につきまして審査した結果、公団役員が、OBから落札予定者を選定した割りつけ表の提示を受け、その都度その内容について承認を行うとともに、OBからの要請を受け、当初一括発注が予定されていた工事の分割発注を実施させていたこと、また、OBからの要請を受け、共同企業体方式による発注基準を従来の十五億円以上から十億円以上に引き下げたこと等の行為が見られたので、これらの行為につきまして、全体として、入札談合関与行為防止法第二条第五項第一号に定める入札談合等を行わせる行為に該当し、また、公団職員が未公表の発注情報の教示を行っていたことから、同行為につきましては、同法第二条第五項第三号に定める発注に係る秘密情報の漏えいに該当すると認定いたしまして、平成十七年九月に、旧日本道路公団総裁に対しまして必要な改善措置を講じるよう求めたところでございます。

山本(明)委員 ただいま報告いただきましたけれども、今のお話の中に、いわゆる落札者の割りつけ表というんですか、OBから出された割りつけ表を承認した、そしてOBからの要請を受けて工事の分割発注を実施した、OBからの要請を受けて発注基準を変更した、そうしたことがあったので改善措置を行ったというお話がございました。

 今私が申し上げました割りつけ表の承認とか工事分割発注の実施だとか発注基準の変更、これらの行為を全体として判断して事業者に入札談合を行わせたとありますけれども、今私が申し上げましたそれぞれが、要素が単独で、それだけで談合であるとは断定できなかった、多くの要素が合わさって、合わせわざで談合と認定した、このように理解してよろしいでしょうか。

山田政府参考人 御指摘のとおり、本件につきましては、割りつけ表の承認、分割発注の実施、発注基準の変更等につきまして、これらを全体として、入札談合等関与行為防止法第二条第五項一号に該当するものとして認定したものでございます。

山本(明)委員 今回、与党案で三つの類型にもう一つ幇助を追加したわけでありますけれども、今回の与党案の法改正によりまして、今私が申し上げましたそれぞれの行為が、先ほどは合わせわざで談合として認定したということでありますけれども、今回の法改正によってそれが単独でも談合と認定されるというふうに公取としては判断しておられるかどうか、お伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答えいたします。

 今回の与党案によりまして、特定の入札談合等を容易にする目的で入札談合等を幇助する行為が入札談合等関与行為の類型に加えられますと、割りつけ表の承認でありますとか、分割発注の実施、発注基準の変更といった個々の行為が単独でも入札談合等関与行為として認定することが可能になるものと理解しております。

山本(明)委員 今お話しの中に、OBからの要請によるという言葉がございました。

 これは、まさにそれぞれが談合と認定されるというふうに私も理解をしておりますし、そのように承知をしておるところであります。しかし、分割発注だとか条件変更だとかいうことは、やはり地域振興の意味だとか地元企業の育成というような意味もあるわけであります。そうした場合に、それぞれ単独で談合と認定されますと、地域振興の意味だとか地元企業育成ということがなかなか難しくなってくる、そのようなことも予想されるわけでありますけれども、公正取引委員会としては、この点はどのように判断をされるでしょうか。

竹島政府特別補佐人 与党案では、新しく追加される四番目の行為類型につきまして、「特定の入札談合等に関し、」「入札談合等を容易にする目的で、」ということが明記されておりまして、まさに旧道路公団に見られたように、その特定の工事の談合をやりやすくするために基準を変える、分割発注をする、こういう場合には当然この新しい類型に該当するわけでございますが、そうではなくて、地元産業の育成とか、その他、まさに産業政策的な見地から、一般的な政策目的のために分割方法がいろいろ改正されるということにつきましては、これに該当しない。

 ただ、それはあらかじめ、当然透明性を持って、何のためにそういう分割方法なり入札の方法が定められているかということはオープンにされていなければいけない。個別の事業ごとに恣意的に行われるという場合には問題が生ずるおそれがありますけれども、そうでない場合には、この新しい類型の対象にはならないというふうに考えております。

山本(明)委員 よくわかりました。

 公取に対して、そういった判断をされるということであれば、私どもの法律もまさに正しい法律をつくった、そのように理解をするところであります。ありがとうございました。

 談合問題とどうしても一緒に議論されなければいけないのが、やはり入札制度だというふうに思います。官製談合であろうが一般の談合であろうが、やはり入札制度というものによって、談合がしやすくなる、ならないということは出てくると思いますので、国交省に、入札制度について、やはり一番国交省が発注業務が多いわけでありますので、いろいろな談合防止策を考えておるというふうに思いますけれども、入札制度、そしてOBの再就職、またそのほか、いろいろな切り口があると思いますけれども、談合防止策をどのように今考えておるのか、国交省から説明をいただきたいと思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 入札談合等の不正行為はあってはならないことでございます。

 国土交通省といたしましても、累次の対策を講じてまいりましたが、国土交通省直轄の鋼橋上部工事の発注に関しまして大規模な談合事件が発生したことを重く受けとめ、昨年、入札談合再発防止対策を取りまとめ、現在、その推進を図っているところでございます。

 具体的に申しますと、手続の透明性、客観性また競争性が高い一般競争入札方式を、従来の七億三千万以上の工事から、平成十七年度には三億円以上、また今年度は二億円以上の工事まで拡大をいたしております。また、二億円未満の工事につきましても、事務量などに留意しながらも積極的に試行することといたしまして、現在、着実に取り組んでいるところでございます。また、価格と品質を総合的に評価する総合評価方式につきましても、今年度は発注金額を八割超の目標とするなど、その大幅な拡充に努めているところでございます。

 さらには、指名停止措置の強化、違約金特約条項の強化といったペナルティーの強化、また再就職等の見直し、そして入札契約過程の監視強化などに取り組むことにより、談合等の不正行為の排除の徹底を図っているところでございます。

山本(明)委員 談合行為と裏腹の問題というのですか、品質の管理、やはり公共事業でありますので、我々国民の公共資産、これをやはり品質のよい公共資産を残してもらわなければ困るわけであります。

 したがいまして、今いろいろな入札制度の改善についてお話がございましたけれども、一般競争入札という話がありました。一般競争入札は、当然でありますけれども、ある点数以上であればだれが参加してもいいわけでありますから、恐らく非常に数がふえてくると思います。金額も、従前は七億三千万以上であったのが三億から二億以上、今は二億以下でも一般競争入札を採用しようとしておるというお話がございます。

 そうしますと、今申し上げましたように、品質確保、いい品質を確保していく、そのためにはどんな形で現場の監理体制をとっておるのか。そして、不良業者がこれは絶対にないということは言えないわけでありまして、公共事業の場合は、できたものを買うわけではなくて、やはり仕事を発注してからでき上がっていくわけでありますので、そうした意味で、不良業者というものはこれはどうしても排除しなければいかぬと私は思っておりますが、その点で、品質の確保をどうしているか、現場体制をどうしているのか、不良業者の排除をどうしているのか、その点をお伺いしたいと思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、公共工事の入札契約手続につきましては、その客観性と透明性の向上を図るとともに、潜在的な競争参加者の増加による競争性の向上を図る観点から、できる限り速やかに一般競争入札を拡大していく必要があると考えております。

 ただし、その一方で、先生御指摘ございましたように、一般競争入札には、不良不適格業者の排除が困難であり、施工能力に欠ける者が落札し、公共工事の質の低下をもたらすおそれがあるとか、個別の入札における競争参加資格の確認に係る事務量が大きいことなどの問題があると認識をしております。

 そこで、一般競争入札の拡大に当たりましては、これらの問題に対応するための条件整備が重要であると考えております。例えば、市場機能を活用した入札段階での審査として、入札ボンドの導入の普及にも取り組んでいるところであります。さらには、公共工事品質確保法及び同法に基づく基本方針を踏まえ、価格のみではなく、工事の品質や技術もあわせて総合的に評価する総合評価方式を拡充していくとともに、御指摘の、工事の監督についても適切に実施していく必要があると考えているところでございます。

山本(明)委員 落札結果を見て、落札率というのですか、何%という記事がよく載っております。何に対する落札率かというと、予定価格というものであるわけですけれども、予定価格というのはどういうものなのか、どうやって算定して、そしてどういう性格のものなのか、これは意外と大事なことだと私も思いますので、御説明をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 予定価格の意味でございますが、入札前にあらかじめ決定される契約金額の上限基準でございます。この限度内であれば契約が許されることとなっております。また、工事の品質確保や下請企業へのしわ寄せを生じさせないよう適正な価格とする必要がございます。

 具体的に、予定価格の積算に当たりましては、労務費、資材費、機械損料、諸経費等を工種ごとに標準的な工法を想定して積み上げ、価格を決定させていただいております。なお、積算に係る単価等につきましては、流通実態等を踏まえて地域別かつ定期的に調査し、それらの平均値や最頻値から地域ごとに決定させていただいております。

山本(明)委員 綿密にいろいろな資料をもとにして予定価格を決めておる、そう理解をさせていただきました。

 上限額というお話がございましたけれども、今私が申し上げました、どういう性格のものかということなんですけれども、これ以上では高過ぎるというような、これ以下では本当はできないはずなのかというような判断基準があると思いますけれども、上限価格という説明で、入札のときに、これ以下なら落札できる、そういう判断数字だというふうに理解をしたわけであります。

 そうしますと、二十何%、三〇%ダウンをして落札したという記事がよくあるわけでありますけれども、先ほどから言いますように、それで品質のよい公共資産ができれば、これは当然、大変いいことであります。その二〇%、三〇%ダウンをした工事というものを追跡調査しているのかどうか、その点と工事の品質との相関関係というんですか、安かろう悪かろうではこれはいかぬわけでありますから、やはり安かろうよかろうでなければいけない、そう思っておりますけれども、その点についてどのような調査をされておるのか、どんな結果が出ておるのか、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 工事の品質をあらわす一つの指標として、工事完成後に発注者がその工事の評価、採点をする工事成績評定というものがございます。この指標について、平成十五年度及び十六年度に竣工した工事、これに関する国土交通省の調査がございます。低入札工事四百二十一件、低入札でない工事八百九十一件について調査したものでございます。

 この結果に基づきますと、二点の傾向が見られます。一点は、先生御指摘のとおり、落札率が低くなるほど工事成績評定が低くなり、平均点以上の工事が減少する傾向というものが確認されております。二点目でございますが、低入札工事の工事成績評定の平均点は七十点、低入札ではない工事の平均点が七十五点と、低入札工事で平均点が五点も下回るということが確認されております。

 以上でございます。

山本(明)委員 相関関係がはっきりしておるというんですか、そういった数字が七十点と七十五点という形で出てきたというふうに理解をしております。価格競争で、少しでも安くできる、これは大変いいことですけれども、やはりダンピングで品質が悪くなる、先ほど申し上げましたように、これはやはり許されることではないというふうに思っております。

 したがって、国交省にちょっとお伺いしたいんですけれども、今のダンピング防止について方策をどのようにとってみえるのか、お伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 公共工事の発注におきましては、限られた予算の効率的な執行を図る、そのために適正な競争が行われることが重要であると考えております。

 著しい低価格による入札、受注、いわゆるダンピングにつきましては、工事の手抜きあるいは下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすく、先生御指摘のとおり、公共工事の品質確保や建設産業の健全な発展の観点からも排除すべき喫緊の課題であると私どもも認識しております。

 このため、国土交通省におきましては、従来からの取り組みに加え、去る四月、低入札価格調査対象工事につきまして、受注された業者さんの側の技術者の増員の強化、あるいは、モニターカメラの活用等による監督検査の強化、元請企業、下請企業等への緊急立入調査の実施等を内容とする重点的なダンピング対策を取りまとめ、現在、その推進を図っているところでございます。

 さらに、低入札価格調査案件が高い水準で推移している現下の情勢にかんがみ、国土交通省としても、極端な低価格による入札については、先生御指摘の公共工事の品質確保に深刻な影響を与えるおそれがあるため、追加的な対策を現在検討しているところでございます。

山本(明)委員 公共事業というんですか、建設事業と言っていいですか、非常にすそ野の広い産業であります。したがって、ダンピングが実施されますと、下請、孫請、ひ孫請、非常に多くのところにすべて波及をしていくわけでありますし、特に、いわゆる労務者も多い世界でありますので、そういった意味で、労働者のところまでしわ寄せがいく、大変影響の大きいのが公共事業でありますので、そういった点もしっかりとこれから監理をしていっていただきたいというふうに思います。

 しかし、やはり官製談合というものは絶対廃絶しなければいけないというふうに思いますから、公務員の皆さん方は力を注ぐ先を、自分がやめてからいいところへ行くために、天下りをするための談合なんというのは絶対許されません、やはり品質のいいものを、いかにより安くよりいいものを国民に提供するかという形で、公共事業に関与する職員の皆さん方は、談合も防止し、いい品質のものを提供する、こんな形でこれから励んでいただきたい、お願いいたしまして、時間が来ましたから、終了させていただきます。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 まず、今回の官製談合防止法、その実効性を高め、官製談合事案というものの発生を阻止していこう、こういった思いで、与党及び野党の議員の皆様におかれまして、今回の法改正、法案提出をいただきましたこと、まず心から敬意を表する次第でございます。

 官製談合は、言うまでもなく、市場の公正かつ自由な競争を阻害するとともに、国や地方公共団体等の公正かつ効率的な財政の執行をゆがめるものでございます。こういったことに対して、平成十四年の通常国会で現行法のいわゆる官製談合防止法が制定されたわけでございます。

 この官製談合防止法、現行法は、施行以来約三年でございますけれども、公正取引委員会によって、北海道の岩見沢市それから新潟市、また昨年は旧日本道路公団、この三件について改善措置要求が行われたということでございまして、ある意味ではこの法律の所期の目的はある程度は達せられているのかなというふうに考えておるところでございますが、さはさりながら、昨年後半からわずか一年ほどの期間で、旧日本道路公団、また新東京国際空港公団、防衛施設庁、さらには福島県や和歌山県が発注する公共工事に関して官製談合事件の摘発が相次いでおりまして、発注側についても幹部の刑事責任が追及される事態に至った。こうした状況のもと、入札談合の根絶と、とりわけ発注機関がみずから入札談合に主導的、積極的な関与をなす官製談合への実効性ある対応を求める、そういった世論は強まる一方でございます。

 公正取引委員会からも、この通常国会におきます参議院の予算委員会で我が党の山口那津男参議院議員の質問に対し、竹島公取の委員長からも、現行法も所期の目的は達せられている、しかし、さはさりながら、このところの事件を見ておりますと、残念ながらその官製談合自体をやめるという点から見ますとまだ不十分なのかなという御答弁がございました。

 その御答弁の中では、官製談合防止法自体、もう少し抑止力を高める、やはり公務員がそういうことに関与しては、これはまさに罪を犯すことになるんですよということがもっと鮮明になるようになった方がいいのかなというふうに思っておりまして、このたびの官製談合防止法の改正案がこの国会に提案されているわけでございますが、私ども、大変それを期待し、成立するように待たしていただいているところでございますとの御答弁もあったところでございます。

 そういった意味で、きょうこのように、与党、野党それぞれの法改正の立法案がこの委員会で議論されるということは、大変意味が重い議論だというふうな認識の中で、以下、中身についての御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、発注機関の職員に対する刑罰規定の創設についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 公務員に対しまして刑事事件として刑事責任を追及する場合、現在は、大別すると主として三つある。一つは独占禁止法違反の場合、またもう一つは刑法上の競争入札妨害罪の場合、もう一つは刑法上の談合罪の場合、こういった三つの場合があると承知をしております。

 これは言わずもがなでございますけれども、それぞれの代表的な事件としては、独禁法違反については先ほど言いましたいわゆる橋梁談合事件、競争入札妨害罪についてはいわゆる成田空港事件、談合罪についてはいわゆる防衛施設庁事件、こういった三つを挙げることができると思います。その中でも、旧日本道路公団の橋梁談合事件におきましては、公団の元副総裁及び元理事が独禁法違反のほか背任罪にも当たるものとして公判請求されているものと承知をしているところでございます。

 現行法を適用しての刑事摘発というものは、これに関与した公務員に対しては民間の人たちと法定刑は同じものとして基本的に扱っていくことになるわけであります。しかし、現行法、これは、背任罪も含めていろいろと事案の内容によって違法性の軽重を吟味しながら具体性を期していく、こういったあり方を考えると、私は、やはり官製談合と言われる分野において公務員を重く処罰する規定というものを創設する必要があるのではないか、こう考えるわけでございます。

 特に、繰り返しになりますが、日本道路公団の橋梁談合事件におきましては、発注機関の職員が入札談合に関与した場合、本来適正に入札等の職務を行う義務があるにもかかわらず、その職務に反して入札等の公正を害すべき行為を行ったと評価でき、高値で落札させると国等に損害を与えるのであれば、刑法上の背任罪と類似する側面を有すると思われますので、背任罪の法定刑のうち懲役が五年以下とされているということを考えると、私自身は、民主党さんから出されている三年以下の懲役という法定刑は軽過ぎるのではないか、そう考えるわけでございます。

 与党案では、発注機関職員がその職務に反し入札の公正を害すべき行為を行ったときには、恐らくこの背任罪ということを想定されてのことだと思いますが、五年以下の懲役または二百五十万円以下の罰金に処する旨の刑罰規定の創設が盛り込まれておるわけでございますけれども、このような刑罰を設けた趣旨についてお伺いをさせていただきたいと思います。

大口議員 いつも、赤羽委員、公務員のあるべき姿、行政のあるべき姿に対して非常に厳しい御提言をされておられるということで、非常に注目をしているわけでございます。

 今回、今委員御指摘の件につきましては、こういう発注機関の職員の談合関与行為、これにつきましては、今委員が御指摘されましたように、刑法九十六条の三の第一項の競売入札妨害罪、これは二年以下の懲役、それから刑法九十六条の三の第二項、談合罪の共同正犯または幇助犯等、これも二年以下の懲役、そして独禁法違反の共同正犯あるいは幇助犯、これにつきましても三年以下の懲役、こういうことであるわけです。

 先生今御指摘されました旧道路公団の場合は、これでは生ぬるい、そして、この場合、任務違背とそれから損害の発生というものが立証でき得ましたものですから、背任というものを適用して五年以下の懲役、こういう重いものを適用する、こういうことになったわけでありますけれども、そうでない場合もあるわけでございます。

 そういう点で、現行法の、要するに入札談合等関与の法律におきましても、公務員たる職員を重く罰するべき場合がある、こういうことで、今回、公務員等の職務の違背性、非違性に着目して、これをより重い刑罰で処罰する、こういう規定を新設することになったわけでございます。

 本罪は、発注者側である公務員等が本来適正に入札等の職務を行う義務があるにもかかわらず、その職務に反して入札等の公正を害する行為を行った行為、これは、委員おっしゃいましたように、刑法の背任罪と類似する側面を有する、こういうことで、背任罪の法定刑は懲役五年以下または五十万円以下の罰金とされていること、それから競売入札妨害罪や談合罪の法定刑が懲役二年以下または二百五十万円以下の罰金とされていることにかんがみまして、五年以下の懲役または二百五十万円以下の罰金、こういう法定刑にしたわけでございます。

赤羽委員 次に、入札談合等関与行為の範囲の拡大についてお尋ねをしたいと思います。

 これは、何が罪に当たるのか、こういうことを明確にするということはすごく大事なことでありますし、そういった意味での重要な視点だと思いますが、与党案では、入札談合等関与行為として、現状、三つの行為類型がございます、一つは談合の明示的な指示、二つ目には受注者に関する意向の表明、三つ目には発注に係る秘密情報の漏えい、こういった三つの行為類型に加えまして、今回、新しい類型として、入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札談合を幇助する行為、幇助行為というものを追加しておりますが、その趣旨についてまず与党提案者にお尋ねしたい。

 加えて、一方、民主党案では、与党案とは異なって、職員が入札談合等を防止するための措置を講じないことという不作為の行為を関与行為に追加しているわけでございます。ただ、これも私の個人的な印象とすると、作為義務をかえって確定しにくくなるのではないか、職員がどのような場合に罪に当たるかということを認識することが困難になると、日常業務自体、大変萎縮してしまって、円滑な事務執行に重大な支障が生じるのではないかということが懸念されるわけでありますが、こういった不作為行為の追加云々ということについて与党での検討がございますれば、そういった検討過程について、どのような議論があり、そして、最終的にこういった形での結論になったのかということについてお答えをいただきたいと思います。

大口議員 今回の入札談合等関与防止法が平成十五年の一月に施行されて以来、委員御指摘のように、三件の事例について公取が改善措置要求を行ってきたわけです。これらの事例で見られましたものは、例えば、入札談合を容易にするための事業者からの依頼に基づく指名業者への指名、それから分割発注、また割りつけ表の承認、それからジョイントベンチャーの発注基準の引き下げといったような発注方法の選定などの事業者の入札談合を幇助する行為、それのみでは、現行法の入札談合等関与行為に当てはめることは困難である。

 こういうことから、これらの行為についても改善措置要求の対象とできるように、新たな類型として入札談合等を容易にする目的でこれを幇助する行為を第二条第五項として追加する、こういうことにしたわけでございます。

 それから、民主党さんの案に、「入札談合等が行われる明白なおそれがあることを知りながら当該入札談合等を防止するための措置を講じないこと。」不作為を公正取引委員会の改善措置要求の対象となる入札談合等関与行為に追加する、こういうことを提案されている、これを承知しているわけでございます。

 このような不作為を入札談合等関与行為に含めることにつきましては、入札談合についての情報提供に、電話一本からさまざまなレベルのものが存在するわけでございまして、その信憑性について個々の職員が判断することは困難なことから、どういう場合に「知りながら」ということになるのか、そこが明確でない、こういうことは与党内でも非常に議論になりました。やはり要件をある程度明確にしないと現場の職員が困る、こういうことでございます。防止措置としても、個々の職員がどの程度のことを行えばよいか、これも明確でない。

 そういうことから、円滑な職務の執行に問題が生ずるおそれが高い、こういうことで、与党の検討過程においては民主党さんの不作為を追加することは適当でない、こう考えたわけでございます。

赤羽委員 次に、損害賠償と懲戒処分の公表についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、直接の質問じゃないんですが、官製談合が行われた場合では、その違約金条項があらかじめあることがわかっていながら、その職員が関与をしてこれをともに談合してやっているわけだから、違約金支払い義務を公務員は知りながらこれを生じさせたという責任は私は法的に免れないものと考えております。

 実際問題として、だれがその義務を履行するかというのはいろいろ難しいところもあるかと思いますが、例えばそれにかかわった違約金関係義務者というものが倒産して義務を履行できない、こういったような場合には、職員の責任というものが具体的に問われる、そういった可能性もあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。やはりこういったことを、間違いを起こした、罪を犯した、やめればそれで事が済むみたいな話というのは、事案によってはなかなか国民的な納得がいかないんではないか。

 例えば、ちょっと話が違いますが、この春、防衛施設庁の談合事件が起こったときに、防衛施設庁の職員約三千人に対してアンケート調査を行った。その結果、約四割ぐらいの人たちが官製談合防止法の内容とか職員に損害賠償の責任があり得るといったことについて知らないという結果が出てきたと。

 職員の方々にしっかりこういった自覚を持っていただくため、また当事者の対外説明責任という意味からも、きちんと損害賠償したのかしないのかとか、懲戒処分をしたのかしないのか、これを公表するというのがルール化されるのが望ましいものというふうに私は考えているわけでございます。

 この与党案ではいろいろな議論があったというふうに聞いておりますし、この点は公明党もかなり主張されたというふうに伺っておりますが、入札談合等関与行為による損害賠償及び職員の懲戒事由に係る調査結果について公表を義務づけることと最終的にはされたわけでございますが、これも、どういった議論があり、どういったことでこれが挿入されたのかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

大口議員 先生、前半の具体的な事例の方につきましては、民法七百十九条の連帯責任を負うんじゃないか、そういうふうに思います。

 後半につきまして、現行法では、公取から、入札談合等関与行為の排除のために必要な改善措置要求について、各省庁の長等が行政上の措置として、この件について調査結果または措置内容の公表、公取委員会への通知、こういうことは行われているわけでございますけれども、職員に対する損害賠償の請求、それから懲戒事由ですね、懲戒処分、これにつきましては発注機関が自主的な措置として行っている、あるいは任命権者が行っている、こういう状況でございまして、その損害賠償請求あるいは懲戒処分についての調査結果の公表については義務づけられていない、こういうことであるわけです。

 これは、竹島公取委員長も、調査結果の公表を本来であればやらなきゃいけないんですけれども、やはりこういうものを法律で義務づけるということが必要であるということを公取委員長も国会の答弁でも言っておるわけでございます。これは民主党さんの案にない与党案、公明党からも非常に強く要望されたところでございまして、今回、盛り込ませていただいたわけでございます。

 そういうことで、こういう損害賠償請求あるいは懲戒処分についても対外的に十分説明できるような対応を行うこと、これが求められている。これを発表することによりまして、やはり、公務員もあるいは特定法人の職員も襟を正していく。そういうことを、委員がアンケート調査で認識が不足しているということの警鐘を鳴らすためにもこの公表の義務づけというものが必要である、こう考えたわけでございます。

赤羽委員 私は、本当に官製談合を防止するためには、何を、どういったことをすると罪になるのか、その罪になるのかということを明確にされて、そこを犯した場合には大変な重いペナルティーが科せられるんだ、それだけ公務員というのは責任も使命も重い立場なんだということが徹底されることが、今回のこの法案、改正、成立をし、一日も早く施行されることによってそういった土壌が形成され、結果として官製談合の事案がなくなっていくということを強く期待し、与党案に賛成する立場での質問を終了させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

上田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 両案に質疑を行わせていただきます。

 まず、それぞれ提案説明でも、最近、知事の不祥事が続いていることを挙げられておりますが、何ゆえ福島、和歌山、宮崎と相次いでこうした官製談合による知事の不祥事が起きたのか、その背景について、与党そして民主党、それぞれ提出者から御見解を伺いたいと思います。

山本(明)議員 武正委員御指摘のとおり、最近、知事の官製談合が各地で連続して生じておるところでありますけれども、知事というのはやはり絶対的な、絶大な権力を持っておるところであります。

 したがいまして、いろいろなところで見られるような、例えば、自分の天下り先を確保するためとか、今までやっておったからそのまま継続したとかいうような意味の、一覧表を持ってこさせるとかいう官製談合とちょっと違いまして、新聞等によりますと、いわゆる天の声を出したと。最初の三類型にありますように、まさに自分の意思をしっかり明示した、それと、人を通して自分の意向を表明した、こういうようなのに当てはまるのかな、私はそんなふうに理解をしております。

 それだけやはり知事の責任というのは重いわけでありますが、今回、新聞の記事を見ておりますと、選挙のお礼というようなことも報道には見られるわけでありますが、選挙のお礼というのは、やはり知事としては政策で県民におこたえするのが政治家として当然の責務であるというふうに思っておりますから、そういった意味で、天の声を出すというのは、これはやはり、知事としては責任を全うできていない、選挙によってこれからまた県民の皆さん方が判断される、そんなふうに理解をしております。

原口議員 武正委員におかれましては、官製談合防止の先頭に立っていただきまして、まことにありがとうございます。

 御質問にお答えするわけでございますが、幾つか要因があるだろうなというふうに思っています。

 一つは社会的、政治的な要因でございます。特に公共調達、公共事業には、景気対策あるいは中小企業対策、そういう保護対策として使われた、そういう側面がございまして、それが地域経済の公共工事あるいは公共調達依存を招いて、そして公共工事の分配をめぐり政治的な影響力がそこで生じてきている。そのために、関係部局からの天下りあるいは知事等の天の声、それが構造的に生じているものだというふうに思われます。

 また、業界的、地域的な構造要因、これも見逃せません。例えば建設工事の施工に関しては、一次下請、二次下請と数次にわたって下請発注が行われるのが常でございますが、そういう工事施工に必要な建設資材も地元の多くの業者から供給を受ける必要があり、あるいは工事そのものも地域のコンセンサスといったものが大事になってまいります。このコンセンサスを破って独自にやれば、見せしめが働く可能性もあり、そこに一つの、知事部局を中心とした権力のピラミッドともたれ合い、こういう構造が生まれてくるというふうに思います。

 また、自由競争の徹底に対する抵抗、特に地域は今、雇用、経済面、随分格差ということが言われておりますが、厳しい状況にあり、建設業界を中心に合理化、効率化のあらしに見舞われることになれば、即雇用に悪影響が起こる、そこに一つの構造的なまた要因があるのではないかと思います。

 この知事あるいは官製談合というものは、監査機関やあるいは議会によって本来であればチェックされるはずのものでございます。そのチェックがどうしてきかないで逮捕に至るまで来たかということは、やはり、多選でありますとか、あるいは分配と依存の政治を当たり前とする、そういう古い政治の風土、そのことそのものにメスを入れなければ、地域における官製談合というのはなくならないのではないか、このような認識を持っております。

 以上です。

武正委員 ありがとうございます。

 与党から示されました見解でありますが、私は、単なる首長の責任に嫁すべき事案ではない、やはり構造的な問題があるというふうに考えております。

 地方と国の税収の比率は、国が五・五、地方が四・五、これを今五対五にということを地方六団体も求めておりますが、実際それを使う段になれば、地方が七、国が三というような、そうしたところで無駄とかあるいはさまざまな不祥事が生じている、こういう認識でございますし、談合が実は地方に多い、そしてまた、税財源の移譲をこれから進めていこう、菅総務大臣は五兆円、三位一体の改革に続いて移譲をと言っているわけでございますので、国民の税金がより多く、税源、財源、権限が地方に移されていくわけでございますので、そのときに、単なる首長の個人的な問題であるというような認識はいかがなものかなというふうに感じるわけでございます。

 また、今、民主党提出者から示されたところでございますが、バブル崩壊後、地方単独事業あるいは公共事業、さまざまな交付税による補てんということでの地方に対する国からの景気浮揚、その担い手を地方に課した、そういう経過がございます。この間、建設業者は十万社ふえておりますが、果たしてその時期はそういう経済財政政策をとるべきであったのか。本来であればその時点で、地域の経済が次なる新しい地域産業を創出するための実は転換にすべき十年ではなかったのか、こういうふうに考えるところでございます。

 また、第二点目については、やはり上部下部構造、大変重層的なこの建設業界でございます、中央のゼネコンから、それぞれの地域の建設業者、土木業者に至るまで、また地域ではJVなども利用しておりますが、そうした上部下部構造、これがやはり問題である点が第二点の御指摘でございます。

 こういったことは意を同じくするものでございますが、昨日も総務委員会では、安倍総理より、こうした官製談合、地方に対して、全国知事会で、その襟を正すように求めたということでありますが、では具体的に地方に何ができるんですかということに対しては、やはり地方自治体のチェック機能の強化、例えば議会の権能の強化あるいは監査委員も含めて、そういったことが必要であるということは安倍総理の答弁からもございました。

 ただしかし、私は、後で触れますように、取って返して、地方のことをいさめる前に、地方の襟を正す前に、国はどうなんだ、国もしっかりやっていないじゃないですかと。それは後ほど触れる随意契約の見直しも含め、それぞれが襟を正さなければならない。そういったときに、くしくもきょう、官製談合防止法、与野党両案がこうして提出、そしてまた議論に付すというのはまさに時宜を得ていると、それぞれの提出者の御尽力に敬意を表する次第でございます。

 そこで、地方自治法を改正した今回の民主党案、その改正理由を述べていただけますでしょうか。

近藤(洋)議員 武正委員にお答えいたします。

 御指摘のとおり、今回、私ども民主党案では地方自治法も改正しておるわけでございますが、その内容は、いずれにしろ官製談合というのは極めて悪質性の高い行為であり、かつ、武正委員御指摘のとおり、地域に、地方にも根差した、残念ながら根差した、横行している行為である、こういうことであります。

 こういった認識に立った上で、私ども民主党案では、官製談合等の違法行為に関する職員の責任追及に当たり、故意または重過失を要件とすることは責任の範囲を限定し過ぎているということから、重過失を過失に厳格化したわけでございます。その上で、これは当然、地方自治体においても同様に、職員の責任追及、損害賠償請求に当たって、重過失ではなくて過失に改めるべきである、同等にすべきであるということから、地方自治法、損害賠償請求の要件についても合わせて、地方も国も同等にしたということでございます。

武正委員 与党案は、こうした地方自治法の改正には触れられておりません。が、先ほどのやりとりで、単に首長の問題であるというような御認識がありましたが、私はやはり、これから税財源の移譲、これを地方に進めていく以上、それはもうそれぞれの地方自治体にお任せということではなくて、当然、国の貴重な、国民の税金を使うそれぞれの事業でございます。地方のやはりガバナンス、地方の統治、地公体の統治、内部牽制、外部監査、これをしっかりと高めることはやはり立法府としての責務というふうに考えるわけですが、与党案にこの地方自治法改正を盛り込まなかった理由をお答えいただきたいと思います。

佐藤(剛)議員 武正先生は、この法律の最初の審議のときにおきましても格別な御貢献をせられておりまして、私、当時の委員の発言を拝見、拝読いたしております。

 その中で先生主張されておられますのは、いわゆるガバナンスというか、しっかりと信頼関係を回復するということが一つ。それから、税金の効率的な使用ということを考えなきゃいかぬ。それから、先ほどの質問にもございましたけれども、この建設業というのが、特に地方において非常に大きな役割を持っているので、これについての構造改革といいますか、そういうようなものをやっておくべきだったということを御指摘されておりますし、それにはお上意識というのをなくせというようなことを、委員のお言葉で、平成十四年七月十七日、私、今見ておるのでございます。まさしくそういうことじゃないかなと思っております。

 それで、特に日本の場合は、先生もそこで指摘されていますが、お上の、お上意識というのがある。これをいかに脱却するかというのは、これは一般論として我々が考えなきゃいかぬ問題。

 有名な先生で、東京大学の法社会学、社会で法律がどのように運用されているか、法社会学と言うわけですが、その教授で川島武宜先生が建設請負業という名著を書いております。徳川時代からずっと披瀝しておるんですけれども、日本のお上意識というのがはっきりしている、契約関係が、甲と乙、いわゆる発注者と受注者との間で差があり過ぎると。言葉ではっきり言っているのは、何々すべしということで、官ですね、地方公共団体は何々すべし、いついつまでに物をつくらなきゃならぬ。それから、もし損害が、官の方の責任において何かあった場合には、何とかあるべし。すべしとあるべしとの違いがある。

 川島先生のお上意識の指摘があって、これはやはり、我々常に考えながら、こういう官製談合、官製談合という言葉は、セイというと政治みたいに見えますけれども、これは製造の方の製でございますから、あくまでも、これだけ多い地方公共団体、続発しているいろいろなケースを見ますと、やはり地方公共団体にしっかりしてもらわなきゃならない。

 その意味では、きょうの朝日新聞に出ておりますが、知事会においていよいよ官製談合の問題を取り上げまして、大阪府の太田知事とか、それから上田埼玉県知事とか、そういう方々が全国知事会の中で一つの報告書をつくる。これはいつまでにやるか、来年の一月までにやる、それをもってやると。何でやるのかというと、我々に求められているのは、一般的な談合というよりも官製談合の仕掛けをどうなくすのか。どうなくすのかということを、少しこの機会に、天下りの問題もそう、それから選挙のときの借りの問題もある、そういうしがらみ、それから業界との票との関係での癒着、そういう問題もいろいろあるんですが、そういうふうなことについて、原点に戻ってやりましょうということの、これは非常に積極的な側面だと私は思います。

 この各知事のアンケート調査をやりまして、アンケート調査の結果、どこにこの官製談合の原因があるのでしょうかと。聞いておると、いや、最初の選挙のときにいろいろな借りがありました、そういうふうなものがあったり、あるいは、単に談合のいろいろな内容等についての改善だけではなくて、例えば懲罰についてもしっかりとやる。これは、愛知県あたりは、免職か停職にしちゃう、これをことしの十二月から始めます。

 そういうことで、何か動きが変わってきておると私は理解しておりまして、そして、地方がそういうふうな形になってくるということに、今回の改正の、これは民主党、自民党も方向は同じでございますから、そういう意味において、これを速やかに審議していただき、通過をしていただいて、そして抑止力にもなり、これからの問題について、先生御指摘のいろいろな問題の解決の大きな一助になればと思っているわけでございます。

武正委員 なぜ地方自治法改正を与党案に盛り込まなかったかということには、直接お答えをいただけなかったんですが、今のことを私なりに受けとめますと、全国知事会プロジェクトチームに任せよう、こういうことだというふうに理解をいたしました。

 きょう、民主党の総務部門会議で、これは先月十月六日ですか、テレビ朝日の「スーパーモーニング」で、前回の統一地方選挙で習志野市の市長選挙、市議選の開票状況をビデオ映像で見たんですね。みんなポケットに何か紙を入れたり、ウエストポーチを持っていたり、トレーナーを腰に巻きつけたり、そして選挙立会人以外に、事務作業員以外の助役とか収入役が出入りして携帯電話をかけたり、端っこの方につい立てがあったり、こういうことを見まして、それで総務省を呼んだんですね。何ができるんだと言ったら、結局は、総務省とすれば、地方に任せています、こういう話なんですよ。

 例えば、法定受託事務で国政選挙だって地方の選管がやっているわけですからね。これは、やはり地方のことは地方でということで、我々は税源、財源をゆだねる、そしてどんどん地方のことは地方で決めてもらおう。ただ、その責任として、国は、立法府ですから、やはり法律をきちっとつくった上で地方のガバナンスを期待する。全国知事会、当然プロジェクトチームは頑張りますよ。ただ、知事からは、当然国もしっかりやってくれよ、国もみずから襟を正すと同時に、しっかりと法律をつくってくださいよ、こういう話はもう出ているわけでして、今のお答えは大変残念と言わざるを得ないのでございます。

 そこで、民主党提出者にお伺いをしたいんですが、民主党案では、予算執行責任者の、予算執行職員等の責任に関する法律を改正ということを入れておりますが、この理由をお述べいただきたいと思っております。

 先ほど、同僚委員からも防衛庁の職員のお話が出ました。では、国家公務員全体がそういった意識をすぐ持てるか、もう持つように、それぞれの任命権者、それぞれの首長、首長は民主党案ですが、それぞれの省庁の長はそれを徹底していただきたい。

 これはもう申すまでもないわけですが、ただ、予算執行職員、そういったことがあるんですね。国家公務員ですと大体十万人ぐらいいるというのが前回法案提出時の数でございました。きょうお見えの多くの国家公務員の皆さんも、予算執行職員ですよという委嘱状というか、それをもらっているわけなんです。やはりそれなりの権限があるわけなんです。会計法で言えば、それは出納責任者、そうした執行職員というのもあります。そういった役にある人たちに対してやはり何らかの関与をすべきであろう、このように考えるわけですが、先ほどのお願いをした理由、お答えいただけますでしょうか。

上田委員長 佐藤先生から補足説明、よろしいですか。

武正委員 手短に。

佐藤(剛)議員 こういうことなんですね。国の体系でやっているような、例えば国家賠償法。この法律は、国に対して故意または重過失により国に損害を与えたるものは賠償の責めに任ずると。それから、予責法もそうですけれども、みんな重過失、これが一つの相場でございます。なぜそうなのかといいますのは、過失と重過失の区別というのは非常にしにくいんですね。特に、この法律の体系というのは、重過失を過失にしますと損害賠償にかかわります。その場合の責任を考えますと、人間の一生に影響するということです。

 以上です。

近藤(洋)議員 武正委員の御質問にお答えしたいと思います。

 予算執行職員等の責任に関する法律を改正した理由という御質問でございました。委員御指摘のとおり、この談合というのは、首長だけの責任でもなく、もちろん首長の責任の場合もありますが、職員がかかわっている場合も大変多いわけであります。とりわけ国の、先ほど御指摘ありました十万人を超える予算執行職員全員については、損害賠償責任につきまして重過失をやはり過失に改めることが適当であろうということでございます。

 与党提案者の方から、重過失と過失では随分バーが違うんだという御答弁がございましたが、この議論については、さきの平成十四年の官製談合防止法の改正議論の折にも、我々民主党は重過失ではなくて過失にすべきだという法案を提出しております。

 翻って、あれから数年たったわけですが、談合がなくなったわけでもなく、むしろ悪化をしているという状況でありますから、やはり重過失という要件は余りに高い。過失という形に厳格化して、談合を徹底的に我が国から排除する、税金の無駄遣いを許さないという体制をつくる必要があろうと判断いたしまして、現在の社会情勢をかんがみても、過失に改めることが適当であろうということで改正をしたわけでございます。

武正委員 除斥期間も、これまでの三年を五年にということで、これは会計検査院法の五年と横並びということも前回も提出をしたところでありますし、また、この予責法というのはGHQの占領下の法律ということで、これについては片山元総務大臣も、そんな例えば弁償責任の転嫁のような、内部でのおかしい、例えば、上司が部下に命令して、それこそ、ここの業者を落とせとか、ここの業者にちゃんと予定価格を言えとか、そういうふうに言われたときに、いや、そういう税金を無駄遣いするようなことを私はのめません、そういうことを、上司の命令に背くということは、今の国家公務員法、地方公務員法ではできない仕組みになっている。

 それがこの法律では、もう一人、そうしたことについて、私はこれはのめないからということで、そうしたことを立証できるようであれば、その責任が転嫁できる、自分が責任を負わなくてもいい、日本の法律の中では非常にユニークな法律だと私は考えておりまして、税金の無駄遣いを根絶するにもこの予責法の活用というのは大事である、こういうふうに考えております。

 そこで、先ほど会計検査院の話も出ましたが、民主党案では、公取と会計検査院との連携を強化する、こういったところがやはり特徴になっております。公取だけではなくて、そこに会計検査院を絡ませる。もちろん、予責法と会計検査院は非常に密接な関係にある、これはもう言うまでもないわけですが。この連携強化をした規定、そして趣旨、内容についてお答えをいただけますでしょうか。

長妻議員 武正委員にお答えをいたします。

 今も運用では一部それがやられているというふうに聞いておりまして、さきの総理大臣に提出した会計検査院の報告書の情報の幾つかは公正取引委員会にも情報提供されているというふうに聞いておりますけれども、しかし、法律の規定をきちっと置く、これを徹底させるという趣旨でございまして、公正取引委員会においては、入札談合等関与行為があって、またはあったと認めるときの会計検査院への通知義務を定めております。これは、談合があった場合、往々にして会計が法令に従って適正に処理されていないという可能性が高いのではないかというふうに考えておりまして、これを義務としております。

 一方、会計検査院においても、独占禁止法違反行為の疑いがあるときの公正取引委員会への通知義務を定めておりまして、これも義務ということで、きちっと情報を交換して会計と独禁法と両方の側面から談合防止に努めていくということを厳正に処置をするということでございます。

武正委員 ありがとうございます。

 会計検査院と公取の相互の連携、通知強化、これによって、公取は、それこそ事案が発生して、その後外部から官製談合を行った発注者に対してアプローチをしていくわけでありますが、何といっても会計検査院は、予算執行なり内部の方からチェックをできるというのが、やはり独立性の高い、憲法でも保障された会計検査院の特徴。その二つの組織を連携させてこの官製談合の根絶を目指すということで理解をしたところでございます。

 そこで、会計検査院もお見えでございますが、前回もこうしたことを提案して、会計検査院の公取との連携強化ということを、ぜひ会計検査院の独立性ということを高めるためにも我々は求めたわけでございますが、あれからもう既に四年を経過しております。これだけ官製談合もふえております。改めて、会計検査院として、この公取との連携強化の規定、趣旨、内容についての御所見を伺います。

石野会計検査院当局者 公正取引委員会と会計検査院との連携についてのお話でございますが、現行の入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律におきましても、国の関係行政機関は相互に連携を図るべきだという旨の規定が置かれております。また、実際の運用におきましても、両者の間で定期的な会合を開催いたしまして情報交換を図るなど連携を図るとともに、公正取引委員会が入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律に基づく改善措置要求ということを行いましたときは、会計検査院は公正取引委員会から通知を受けております。

 両者の連携に関しまして、新たな規定を設けるまでのことはないのではないかと考えております。

武正委員 四年前と全く変わらない御答弁で、本当に残念でございます。会計検査院からの、国のお金が行っている企業への、あるいは団体への、独立行政法人へのいわゆる天下りということもあるわけでして、これはやはり、民主党が主張するように国会に会計検査院を置く、日本版GAOの必要性を改めて感じるところでございます。今、条文の、関係省庁連携を、協力しなければならない、それぞれの庁が連携強化ということではなくて、やはり第三者、それが会計検査院、公取に求められる機能であることは言うまでもないところでございます。

 また、先ほどの地方自治法改正の理由として、改めて触れておきますが、与党案では、「地方公共団体等の自主的な努力に十分配慮しなければならない。」これが前回からの法律でして、「自主的な努力に十分配慮しなければならない。」ということで四年間やってきても、またこうした事案を招いているということでありますので、やはり地方自治法改正が必要である、このように考えるところでございます。

 そこで、先ほどもお話がありました、天下りと官製談合は密接な結びつきがある、私はこのように考えるわけでございますが、既に九月十五日、中馬前大臣から、お手元の資料のような、「新たな公務員人事の方向性について」ということで、いわゆる人事院の二年天下り規制撤廃を前大臣が提案しております。私は、これはとんでもない後退であるというふうに考えるわけですが、実は、総務省がこうした人事あるいはまたそうした再就職、その全省庁の横ぐしを入れる、そうした役割が総務省に与えられているわけなんですけれども、総務省として現行の人事院の天下り規制についてどのように評価されているのか、お答えいただけますでしょうか。

河合大臣政務官 お答えいたします。

 現行の人事院による天下り規制についての評価でございますが、国家公務員法の第百三条は、在職していた機関と密接な関係にある営利企業への再就職を制限しておりまして、公務の公正な執行の確保の観点から一定の評価を果たしてきたものと思っております。

 しかしながら、これは随分前のことでございますから、公務員の再就職の問題につきましては、いろいろ御批判がなされているところでございまして、国全体における官民の人材交流、人材活用、そして公務の公正性に対する国民の信頼の確保、こういうことの観点を踏まえながら、公務員制度改革全体の議論の中で検討を行うべき課題と考えておりまして、総務省としては、勧奨退職年齢の引き上げなどにより早期退職慣行の是正を推進しながら、公務員制度改革に関しても必要な協力を行ってまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

武正委員 一定の評価はするけれども、これからのあり方は検討ということでありますが、こうした提案が出ている中で、やはり総務省としてしかるべき見解を示していくべきだと思います。

 民主党には後で一緒にお聞きをしますが、内閣府の政務官もお見えなので。この中馬前大臣の提案を読みますと、お手元に資料がありますが、要は、二年規制撤廃の前提として三つのルール、これを挙げております。

 一番目が、「自らの職務に密接に関係する企業に対して、現職国家公務員が自らの再就職の打診、依頼等を行うことを禁止する」、二番目、「再就職後の元国家公務員について、退職前一定の期間在職していた機関に対し、退職後一定の期間、就職先企業に関する契約・行政処分につき不正な働きかけを行うことを禁止する」。特にこの二番ですね。こんなことを今さら決めなきゃいけないということは、ではこれが横行しているのかということでありまして、こんなことを条件に二年規制撤廃なんてとんでもない、こういうふうに思うわけですが、内閣府政務官としての御所見を伺います。

岡下大臣政務官 武正委員にお答えいたします。

 今の三条件、三つの条件だと思いますが、御承知と思いますけれども、今二番目を取り上げていらっしゃいましたが、一番目から申し上げましょうか。

 一つ、公務員の再就職の問題を考えるに当たっては、官の人材が民に出て活躍したり、それからまた、民の経験をいたした者が官の中でその能力を発揮するなど、国全体における官民の人材交流、人材活用の重要性を十分考慮する必要がある、そして一方、再就職後の公務員の不正な行為に対しては厳正なる対処をする必要がある。一つはそうなんです。

 第二番目、中馬前行革担当大臣が提案された行為規制の導入については、公務の公正性に対する国民の信頼に疑念を生じる行為を厳しく禁止し、その違反を厳格に取り締まろうとしたものと理解をしております。

 それから、三つ目の国家公務員の再就職ルールのあり方については、中馬前大臣の試案を踏まえつつ、いわゆる天下り問題に対する批判が強いことを勘案して、公務員制度改革全体の中で総合的に検討してまいりたい、そのように思っております。

武正委員 官民の人事交流ということで進めているんですけれども、官から民へ行った方が四十人、民から官に行った方が百四十人、この三年間ですが、これしか進んでいないわけでして、きのうも総理は、官民の人事交流のために二年天下り規制撤廃をするんだということでありますが、極めて論拠として乏しいと言わざるを得ないのでございます。

 そこで、お手元の資料でございますが、これはことしの四月の行革法の折に政府が提出していただいた資料を分析した結果でございます。平成十六年度五百万以上の全省庁の発注契約、そのうちに随契の占める割合、ここでは、全省庁でいきますと七割以上が随意契約、しかも、全随意契約は一切相みつをとっていない。とても民間では考えられない、そうしたずさんな公会計が浮き彫りになったわけでございます。

 きょうは官房副長官もお見えでございます。特にその中で、公益法人との随意契約の見直し状況についてお答えをいただきたい。

 この間、六月の見直しでは、二兆一千億の随契のうち七千百六十億円を除いては見直しができた、こういうふうに言っていますが、相変わらず七千百六十億円見直しがある。そしてまた、民間企業との随意契約の見直し状況は一体進んでいるのかどうか。一般競争入札が原則である、こういったことを前総理もこの場で述べておりますし、先ほど来指摘がありますが、会計法では、あくまで一般競争入札の原則の原則外に、緊急の場合とか少額の場合とか、そういったときに指名競争入札があり、随契がある。あくまでも会計法は一般競争入札が原則でありますので、こういったことも踏まえて、官房副長官、随契の見直し状況をお答えいただけますでしょうか。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 公益法人等の随意契約につきましては、各省庁において一般競争入札が原則であるとの原点に立ち返り、国民の目線に立った徹底した見直しを行った結果、金額に関して、先生の資料は十六年度でございますが、十七年度実績では約七割を一般競争入札等の方式に移行する見直し計画を本年六月に取りまとめたところでございます。

 今後は、本見直し計画を着実に推進することによりまして、公共調達の適正化に努めていくことが重要であると考えております。

 また、民間企業との関係におきましては、民間企業などを契約の相手方とする随意契約について、そのすべてについて年内を目途に徹底した見直しを行っているところでございまして、引き続き政府を挙げて全力で取り組み、国民の理解が得られるようにする必要があると考えております。

武正委員 随意契約というのは、最初からこの一社あるいはこの一公益団体と決めて、しかも相みつもとっていない。これは官製談合のきわまった形態ではないのかな、こういうふうに認識をしますので、やはり官製談合防止法、随契も含めて当然取り組みが必要であろう、こういうふうに考えるわけでございます。

 そこで、民主党提出者には、まず一点が現行の人事院による天下り規制についての評価、二点目が、いわゆる中馬プラン、人事院の天下り規制二年撤廃について、特にこの三条件をどう考えるか、そして、今も官房副長官から答弁がありました、随意契約の見直しの必要性についてどう考えるか、これをお答えいただきたいと思います。

長妻議員 武正委員にお答えを申し上げます。

 官製談合の主たる動機というのはやはり天下り先の確保というのは、これはもう周知の事実だというふうに思っております。ここの措置が本丸だというふうに考えておりまして、まさにおっしゃるとおりだと思います。

 中馬プランの中では、先ほども御答弁がございましたけれども、二年の規制をなくしてしまう、官民交流を活発にするという美名のもと、そういうとんでもないことがなされていると考えております。

 しかし、それと引きかえに、その三条件というのも非常にざる的な話でありまして、それであれば、自分は口ききをしなくても同僚に口ききを頼むとか、幾らでも抜け道はある中、我が党といたしましては天下り規制をさらに厳しくする。二年から五年間、禁止期間を拡大する、あるいは、規制の対象とする天下り先に、特殊法人、独立行政法人、公益法人等を追加する、本省幹部の離職後十年間の再就職状況の報告を義務づける、特殊法人の役職員が天下りすることについても国家公務員と同等の規制を新設するなど、こういう厳しい天下り規制法案を国会に提出いたしたところでございます。

 そして、この随意契約でございますけれども、これは、武正委員が中心となって随意契約見直しという音頭をとっていただいたところ、政府が見直しに着手したというふうに承知をしております。

 しかし、この随意契約、政府の取り組みはまだまだ甘いということで、我が党といたしましても、随意契約等透明化法案というのを国会に提出をいたしまして、国による随意契約や指名競争入札を厳格化する、徹底的な情報公開を義務づけるということで、契約内容や、随意契約、指名競争にした理由を詳細に出す、天下りOBがいる場合はその人数も六十日以内に公表するというのを法律上の義務とする、あるいはIT調達を長期継続契約から明示的に除外する等々、今、電話代名目でIT調達、巨額の金がなされている、こういう実態もございます。

 ある意味では、この随意契約というのは、天下りの人たちを養うために、必要性の低い仕事をつくって、そこに随意的に契約をして税金を流し込む、こういう税金無駄遣いの温床の大きな一つになっておりますので、それもあわせて議論するという委員の御指摘はまさに的を射ていると思っております。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、与党、そして民主党提案によります官製談合防止法の質疑でございます。平成十四年に議員立法でこの法案ができました。残念ながら、談合列島の汚名を解消することは今できていないわけでありますが、いずれにせよ、こういう状況にかんがみまして、本委員会におきまして官製談合防止法の審議ができること、また、与党の皆様におかれましても、法案を作成されましたことに関しては心から敬意を表したいと思うわけでございますし、委員長初め関係者の皆様の御努力に、私も法案の提出者でありますけれども、この質疑ができますこと、ありがたいことだ、よいことだと思っておるわけであります。

 ただ、その基本的な思いに立ちながら、あえて冒頭、与党の提案者の方にお伺いしたいわけでありますが、この官製談合問題につきましては、平成十四年、このときもさまざまな談合事件が起きました。そういった事件を受けて議員立法で成立になったわけでありますが、その後もやはり談合事件が相次いでいる。

 私ども民主党は、独占禁止法の改正の折に、独占禁止法改正とあわせて、大きな市場である公共調達の分野について、官製談合防止法が、当時さまざまな議論があってできたけれども、実効性がなかなか上がっていない部分もあるということから、我々民主党が独占禁止法の対案を出させていただきましたけれども、その中にも附則で、官製談合防止法の見直しを一年以内にすることということを当時の民主党案の中に書かせていただきました。

 また、当時、与党の独禁調と言うのでしょうか、自民党の独占禁止法調査会の中でも、官製談合防止法について見直すべきだという意見があったやに聞いております。

 ただ、我々民主党は、独占禁止法改正を経て一年以内に、民主党の現在出させていただいております官製談合防止法案、関連法案、刑法の改正も含む法案を昨年の十月に国会に提出をいたしました。与党の方は、問題意識はあったやには聞いておりますけれども、残念ながら、法案の提出は我々におくれること約半年、そして、残念ながら、さきの国会では審議未了ということの経緯に落ちついたわけであります。

 当時のさまざまな議会、委員会の事情もあったかとは思いますが、なぜこの時期までおくれてしまったのか。考えてみますと、この一年間を見ていただけでさまざまな談合事件、特に知事さん、これから議題にさせていただきますが、地方の長にまつわる談合事件、さらには防衛施設庁の談合事件、道路公団の談合事件、大きな談合事件が何度も続いているにもかかわらず、残念ながら、この時期までおくれてしまった。

 私は、一年前にこの議論をしておれば、こうしたこともなかったのになという思いで残念な気持ちがするわけでございますが、なぜこの時期までこの法案審議ができなかったのか、与党の法案提出者にお伺いしたいと思います。

山本(明)議員 近藤議員の質問にお答えさせていただきます。

 私どもも二月二十二日に国会に上程させていただきまして、その後、私どもとしては、早く審議に入ってほしいという形で何回か理事の方にもお聞きしておりましたけれども、その途中経過として、どうしておくれてきたのかというのは承知しておりませんので、お答えできる立場にございません。よろしくお願いいたします。

近藤(洋)委員 院の運営の話ではありますが、しかし、あえて申し上げれば、自民党の中でやはりこの法案、改正への熱意が足りなかったのかなと思わざるを得ません。与党の中で公明党さんが非常にこの問題について熱心であるということで今回の議論の土俵にのったということは新聞報道で私は聞いておりますけれども、いずれにしろ、与党自民党がもっと早くこの問題、責任政党としてとらえるべきだったのではないかなというのを指摘だけさせていただきたいと思います。

 いずれにしろ、本法案は、我々民主党が法案を出させていただいて、その民主党法案に対する与党の対案だろうと思っておりますので、これからもそういうことがあっていいなと改めて思うわけでありますけれども、この件についてはもっと早くこの場で議論をさせていただく、国民の前で議論をさせていただく、それぞれの主張を展開する議論のあり方があっただろうとあえて指摘だけさせていただきたいと思うわけであります。

 さて、具体的な質問に移ろうと思うわけでありますが、最近、先ほど申し上げたとおり、地方行政のトップにかかわる官製談合の摘発が相次いでおるわけであります。残念なことでありますが、福島県、和歌山県、そして現在捜査中ではありますけれども、宮崎県でも談合事件が起きておる、こういうことであります。これらは、この三つの知事、三つといいますか、新聞報道では三県と言われておりますけれども、すべて刑法における談合罪の共犯という形で事件が摘発をされ、事件化されているわけであります。

 そこで、法務省の担当者にお伺いしたいのですけれども、これまで私が記憶に残る範囲では、もちろん談合罪というのも、例えば偽計入札妨害罪であるとか贈収賄罪とか、さまざまな官製談合事件の中でさまざまな罪で起訴されてきたわけですけれども、これほどまで、談合罪というのを積極的に活用されているのではないかという印象を受けます。特にことしに入って、この談合罪を積極的に適用されているという印象を受けるわけでありますけれども、捜査当局の姿勢が、談合罪というのは昔からあったわけでありますが、今までほとんど使われてこなかった。立件の端緒として若干使われることはあったかもしれませんが、談合罪を積極的に活用してこなかったという印象を得るわけですけれども、この一年間、大きな方針転換、捜査当局の談合罪に対する姿勢が変化をされたのかどうか、お伺いしたいのです。

小津政府参考人 お答え申し上げます。

 検察当局におきましては、従来から、この種の犯罪につきましては厳正に対処をしてまいったものと承知しているところでございます。

 近時、経済活動等に関するいわゆる構造改革が進められております中で、各種のルールに違反する行為が多発している。それに対しては、司法が適正に対処して、公正かつ健全な経済秩序の維持等を図ることが強く求められておりまして、検察当局におきましても、こういった状況を十分に認識しているものと承知しております。

近藤(洋)委員 そういった社会犯罪は重要だというふうな認識は持っているというお答えでありましたが、私が伺いたかったのは、刑法に規定されている談合罪というものの運用、これが検察当局において変化したのかということをお聞きしたかったのですが、聞いても恐らく同じ答えが出てくるとすれば、もう聞きません。

 ただ、いずれにしろ、談合罪というものを今までほとんど使われてこなかった。要するに、贈収賄なりそういったものが背景にあれば、今回の福島県にしろほかの案件にしろ、最終的に贈収賄が入ってくるものもあるわけですけれども、いずれにしろ、談合罪そのものを今までは余り使ってこなかった。それを使ってきたということは、すなわち、捜査当局においても、刑法で規定されているこの談合罪というもの、談合というものはやはり罪なんだ、これは当たり前、刑法で罪と書いているわけですけれども、罪なわけですが、運用においても積極的に対応されてきているなという思いで受けとめておるわけであります。

 そういう観点から、我々は、それは民主党法案の談合罪そのもの、刑法改正の民主党の考え方に捜査当局が乗っていただいたのか、それとも、どちらかはわかりませんが、いずれにしろ、談合罪というものをしっかり位置づけて検察当局も法の運用に当たっている、こう思うわけであります。

 そこで、改めてもう一度検察当局にお伺いしたいのですけれども、公共調達において事業者が談合すること、または公務員が談合にかかわることというのは、現在の社会状況にかんがみて反社会的な行為である、これは我々そう認識しておるわけでありますけれども、捜査当局も同じだとは思うわけでありますが、そもそも、公共調達において、よい談合と悪い談合というのはあるんですか。お伺いしたいのです。

小津政府参考人 法務当局としてということでございますけれども、もちろん、およそ談合は入札制度における公正な手続に反する行為である、このように認識しております。

近藤(洋)委員 すなわち、よい談合というものはないんだ、こういうことでありますね、基本的に。刑法では目的犯という形になっておりますが、「不正な利益を得る目的で、」ということで談合罪は規定されておりますけれども、今の御答弁を解釈すれば、目的犯であるなしにかかわらず、基本的には、談合というものは公正な調達を害する可能性があるわけだから、よい談合というのはないんだ、こういうことだろうと思うわけであります。

 そこで、公正取引委員会の委員長にも確認をしたいのですが、公正取引委員会というのは、公正な取引環境を整えるといいますか、つくるのがその使命であるわけであります。

 こうした公正取引委員会の使命といいますか、公正な取引そして経済環境を整えるという観点から、公共調達における談合は、基本的にといいますか、すべて排除すべきであると考えます。すなわち、よい談合というものはない、談合はすべからく、公正取引委員会の観点からも、公共調達における談合は、少なくとも公正な取引環境を阻害する要因になるわけであるから排除すべきであると考えますが、委員長の御見解をお伺いしたい。

竹島政府特別補佐人 独占禁止法を含めて、世界ではこれを一般名詞として競争法と言うわけでございますが、その世界においては、カルテル、談合というのは、官であるか民であるかを問わず、事情のいかんにかかわらず、これは違法なものである、当然違法であるという考え方でございますので、よい談合も悪い談合もない、談合はすべて、少なくとも競争法に関しては違反行為であるということでございます。

近藤(洋)委員 明快な御答弁、ありがとうございます。まさにそのとおりであろうかと思います。あえて、今回は官製談合の議論ですので、公共調達ということで伺いましたが、官であれ民であれ、委員長の御見解のとおりだろう、こう思うわけであります。

 そういう観点に立って、我々民主党は今法案の改正案を出しているわけでございますが、与党提案者にお伺いしたいと思います。

 今、司法当局そして公正取引委員会の見解が出たわけでありますが、与党提案者としては、よい談合もある、悪い談合もある、そういう形で二分できるものだとお考えでしょうか、それともやはり委員長の御見識と同じでしょうか、いかがでしょうか。

佐藤(剛)議員 公取委員長の見解と同じでございます。

近藤(洋)委員 その意味では、我々は同じ認識だ、こういうことだと思うわけですね。明快にお答えいただいて、ありがたいと思うわけです。

 さまざまな議論をすると、どうもやはり残念ながら、今の日本の風潮では、談合というのは必要悪だ、よい談合というのもあるんだという、この議論をするとどうしてもそういう議論が出てくるわけでありますが、やはり談合はすべからく悪である、こういう認識に立たなければいけない、こう思うわけであります。

 そうなりますと、また与党提案者に伺いたいんですが、その認識に立つと、私ども民主党が提出しておる民主党案では、刑法の談合罪を、これは今までの質疑でも答弁をさせていただきましたけれども、そもそもの談合罪制定の昭和十六年、このときには目的犯ではなかった、政府案では。ところが、国家総動員という流れの中で、国家目的というものがあるので、「不正な利益を得る目的で、」と目的犯にした、院の中で修正をした、こういうことであります。

 当時は国家総動員法の時代である、今や全く時代は変わっているわけでありますから、談合はすべからく悪だということで、目的犯を外して談合罪というものを規定する。そして、その談合にかかわった者に対して、特に公務員については、公金を扱うわけでありますから、公務員談合関与罪というものを新たに加えて、そしてより厳しい措置を科す。それは、罰金刑ではなくて懲役刑のみにするという、この民主党の考え方というものがやはり法改正の筋ではないか、正しい道ではないか。

 官製談合防止法という法律は、ここで法理論を展開してもしようがありませんが、独占禁止法と刑法のあいのこのような法律でありますから、そこに何か接ぎ木を足したように改正するのではなくて、そもそも談合は悪なんだ、日本から談合を排除するんだということから刑法を直していくという形の道筋の方が正しい法改正のあり方ではないかと思うんですが、与党の提案者の御見解をお伺いしたいと思います。

佐藤(剛)議員 近藤先生のおっしゃられるように、刑法九十六条の三の談合罪は、戦時中といいますか、昭和十六年ですか、そういう経緯をたどっていることはよくよく承知いたしております。

 そういうことを前提にして、今重要なことは、官製談合、セイというのは政治の方の政じゃなくて、先ほど申し上げたように製造の製、官が中心になって、官というのは国、地方公共団体それから特別の法人ですね、そういうものが中心となってつくられている、こういう環境をいかになくしていくか、このシステムを。これが、今我々政治家に与えられている課題なのではないか。そのことで、民主党さん、それから自公の案が幸いにもこういう、今おくれていたの何のという話はありましたが、これは、いろいろ国会における審議の状況でこういうことになったわけだろうと思いますが、今ここで、関係者が国民の前で議論をしておくということは非常に重要なことだと思います。

 それから、私は強調しなきゃいけないのは、民主党と自公の案の違い、今刑法は「二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。」こうなっているんですね。ところが、民主党の方は、その二年を三年にしますと。この三年にするというのは、今はまだ通りませんけれども、テロの関係のものがいけば自動的に上がることになります。自公の案は五年なんですね。ですから、ここの違いと、罰金というのが自民党はついているんですね、二百五十万円。「五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金」、そういうところの違いがあります。

 ここは非常に大きな点でございまして、官製談合の官を、つまり、入札関係等に従事する人、そういう官製談合法という仕組みの中でさらに個人に着目して、そういう人たちについては刑罰をきちんとする、それからさらに公表して懲戒事由にもする、損害のあれにもする、こういうふうな体系をとっておるということを申し添えたいと思っております。

近藤(洋)委員 その刑のことを伺っている、佐藤先生、そこのどちらが重いか軽いかというのは解釈の問題ですから、それはもうこの場では議論いたしません。それは、五年とただ罰金刑があるケースと、もうこれは先ほどの質疑でも我々も答弁させていただきましたので、三年のみの懲役と、どちらが重いか軽いか。

 ただ、これは、私は非常に枝葉の議論だと思っておりまして、伺いたかったのは、要は談合を、国家総動員法以来脈々と続いてきたこの談合列島日本の汚名を排除して二十一世紀型の日本をつくるのであれば、やはり談合罪というものをしっかりもう一回見据えて、もっと言えば、物によって捜査当局が、同じ罪をしながらも、片っ方は談合罪でやり、片っ方は偽計入札でやり、片っ方は独占禁止法を適用される。非常にわけがわからなくなっているんです、今。もちろん捜査当局は、それなりに考えて、その罪で摘発をされているんでしょうが、やはり、スピード違反をしたら道路交通法違反だと明確にわかるような形にした方がいい。

 そういうことから、談合罪というものをきっちり位置づけて、そして、それにかかわった公務員についてはさらに厳しく罰する、これで官製談合を防止するという考え方の方が筋道が通っているのではないか。佐藤先生は、お役人の経験もありますし、大変優秀だというのはわかっておりますから、そういうところから見て、日本の談合列島を排除するということから、民主党案の方が筋が立っているのではないですかということで御意見を伺ったわけでございます。

 さて、いずれにしろ、官製談合を排除するのは、これは恐らく与党の先生方も我々も認識は一緒だと思うんですが、この法律を一つつくっただけでとても官製談合を排除できるものではない、こう思うわけであります。さまざまな手だてが必要であろう、こう思うわけでありますが、限られた時間でありますけれども、その罰則強化を除いた、談合の改善策について議論を深めていきたいと思うわけであります。

 最初に、まず総務省の政務官、お忙しいところ来ていただいておりますが、冒頭来申し上げているとおり、最近、県知事など自治体のトップがかかわる談合事件が相続いているわけであります。地方分権、これは非常に大事なことであり、我々も非常に重要だと思っているわけですけれども、その一方で、分権の中で、知事の権限が非常に強くなる傾向にある。これはやはり、分権を進めれば当然、自治体の権能が高まり、その長たる首長の力が強まるということ、これ自体、私は否定するわけではないわけでありますけれども、ただ、一方で、大統領的な権限を持つ自治体の首長の場合、多選による権限の強大化というものが、いわゆる不正な取引さらには談合事件を生み出す要因になっているのではないかという指摘も出ているわけであります。

 そこで、総務省に見解を伺いたいのですけれども、相次ぐ知事の不祥事を受けて、とりわけ県知事、さらには政令指定都市の市長さんの多選を制限すべきではないかという見解が、これは、我々議員の中からも、さらには識者の中からも、また最近は、知事さんへのアンケートに対しても知事みずから、たしか二十を超える知事さんが多選を制限すべきではないかと答えているという新聞報道もございました。さまざまな意見が、制限すべきではないかという声も出ておりますけれども、多選の弊害について総務省はどのように認識をしておるのか。また、多選禁止の検討状況についてお伺いしたいのです。

土屋大臣政務官 お答え申し上げます。

 私自身、首長を六期やりましたので多選ということになりますものですから、この御質問についてはなかなか複雑な心境があるわけでありますが、そういう気持ちでお答えさせていただきます。

 まず、今の御質問は二つありまして、多選の弊害ということでございますが、これは総務省内での過去の議論の中では、因果関係をどう結びつけるか、定量的にできるかどうかということについて両論併記的な結論になっております。

 それから、多選の、いわゆる三選になるか四選になるかは別にして、多選の立候補制限等につきましては、それぞれ過去に何回かの議論があるわけでございますが、このたび、福島、和歌山、まあ、宮崎の話がありましたが、まだそれは特定されておりませんので、こういった事件が起きましたので、改めて総務省内に研究会を設け、今研究が始まるところでございます。十二月一日からそれぞれの専門家を集めて研究に取り組むところでございます。

近藤(洋)委員 御指摘のとおり、総務省では既に、平成十一年ですか、研究会を設けて、この多選議論について一定の報告書を出されておりますね。

 御答弁いただいたように、両論併記でということでございましたが、大変、法的にも、すなわち職業選択の自由を制限するのではないか、これについて、いや、現憲法下でも可能ではないかと、両方の意見について理論的にも分析をされております。多選禁止は可能であるという論点からは、現憲法下でも、立憲主義や民主主義、さまざまな声を聞くということの憲法の理念に照らしてもむしろ多選を制限すべきである、憲法上の理念から見ても多選を制限すべきであるという意見も出ているわけであります。

 他方で、いずれにしろ、むしろ多選の弊害を排除すべきであって、合理的な理由は十分あるんだという論拠も、その報告書を私も読ませていただきましたが、書いていますね。もちろん制限すべきでないという意見もありますけれども、十分論理的な整理はついているかと思うわけであります。そうすると、既にこの議論の整理は平成十一年の段階で終わっているんじゃないか、こう思うんですね。

 もう一度お伺いしたいんですが、十二月一日からこの研究会を開くということは、ある程度多選制限をするんだ、もう論理的な研究は終わっているわけですから、多選の制限をするんだという前提に立っての研究会なんでしょうか。お答えいただけますか。

土屋大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど直截的に御質問にお答えいたしましたので、その前提として申し上げたいと存じますが、憲法上どういうふうな理解をするのか、そしてまたそれを具体の立法政策としてどうするかということは、この問題に関しては統治権の根本にかかわることでございますので、これは基本的には国会で御議論をいただく、各政党各会派で御議論をいただく内容であって、総務省という行政の機関がやるべきことは論点整理をすべき、こういう立場である、このことを申し上げたいと存じます。

 そうしませんと、立憲の根本にかかわるようなことを一行政官庁が何か見解を出すとかそういうことになりかねませんので、そういう前提の上でお答え申し上げるわけでございますが、私どもとしては、既に何回かの過去の研究会で今近藤先生が御指摘いただきましたような議論がされた後、なおかつ並列的な見解となっているわけであります。

 これをどう受けとめるかということについては、主として国会、各政党の皆さんの御議論だと思いますが、しかし、なお引き続きこのような具体の不祥事件がさらに起こっておりますので、これを公職選挙法その他を所管する総務省としては看過できないわけでございますので、改めて、過去の議論も踏まえた上で、憲法やその他の御専門の第一人者の皆さんに御議論をいただく、こういうことになっております。したがって、総務省として最初から結論を出すとかそういうことでは全くございません。

近藤(洋)委員 御趣旨はよくわかるんですけれども、ただ、これだけさまざまな、やはり地方分権時代に即した首長のあり方ということについて相当真剣に議論しなきゃいけない時期に来ているのではないか、こう思うわけです。既に平成十一年に議論されて、これからまた質問させていただきますが、与党からも多選制限の法案が議員立法で出ているわけですね、過去において何度か、もう既に出ている。もう十分に論点整理なり、学識経験者の議論を聞くという話でしたけれども、もはや学識経験者の議論を聞く時期ではないのではないか、こう思うわけであります。

 その点で、また必要があれば伺いますが、ちょっと観点を変えて、せっかく公正取引委員会の竹島委員長に引き続きいらしていただいておりますので、竹島委員長にお伺いしたいんです。

 同じように、公正な公共調達市場をつくるという観点から、発注権者である知事が長くその座に着く、すなわち人事権も持ち、その組織を完全に把握する知事が長くその座に着くということは、その人物が土屋先生のようにいかに清潔で公正な人物であったとしても、長くその座に居続けるということは、組織論として、やはり知事の意向をおもんぱかるとか、いわゆる天の声を発生しやすい土壌を生むのではないかと考えるわけであります。

 そういう意味で、権力者が長くその座に居続けるということは、公正な市場を設ける上で阻害要因になるのではないか、少なくとも現在の事件を見ると大変大きな阻害要因になっているのではないかと思いますが、竹島委員長に御見解をお伺いしたい。

竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 多選の問題について、私の立場でお答えするのはまさに的外れといいますか、その立場ではないと思っていますが、私が大事だと思っていますのは、この官製談合防止法にしても、独禁法にしても、刑法にしてもそうでございますが、首長といえどもこの違反行為をすればきちんと罰せられるということになっているわけでございまして、そういう事件がたまたま最近は出てきているということかもしれませんけれども、私は、きちんとルールをはっきりし、それに対するペナルティーをはっきりする、それから、そういう違反事案についてきちんと情報を得て、わからずじまいにということではなくて摘発をしていく、こういったことがまず大事なことであると思います。

 環境が、また歴史的云々、日本の政治的な風土というような議論もあろうかと思いますけれども、それよりも私は、直接的には、違反行為に対して厳しく摘発をし罰するということが必要であるというふうに考えております。

近藤(洋)委員 もちろんおっしゃるとおりだと思うわけであります。そのためにさまざまな今回の法律もつくらせていただいているわけでありますけれども、しかし、他方で、首長というのは絶対権力者であるのも地方自治において現実でありますし、残念ながら、議会のチェック機能が働いているかといえばそうでもないというのが現実の姿であるわけです。

 そこで、与党の法案提出者にお伺いしたいんですが、自由民主党さんは過去、多選禁止の議員立法を提出もされております。これは昭和四十年代と伺っておりますが、随分前の話でありますが、いずれにしろ出されているということであります。与党提案者として、現在の状況にかんがみて、首長の多選禁止について法的な規制を設けることについて、談合防止の観点からでも結構ですので、御見解をお伺いしたいのですが。

山本(明)議員 ただいま近藤委員から御指摘いただきましたように、自民党としては、昭和四十二年に知事の連続四選禁止を内容とした法案を提出しておりますけれども、審議未了で廃案、平成七年に知事、指定都市市長の連続四選禁止を内容とする法案を提案しましたけれども、これもやはり審議未了で廃案、こういう結果になっております。

 現在どういうふうかといいますと、党改革実行本部におきまして、当面の措置といたしまして、選挙対策要綱を改正しまして、知事、政令指定都市の市長については、四選目以降の候補者は自民党としては公認、推薦をしない。これは決定をしております。ただ、法制化につきましては、これは小委員会を設置して今後検討する、こういったことに自民党としてはなっております。

大口議員 公明党におきましても、平成十年、一九九八年十一月に首長の多選問題につきまして原則三選までと決めており、最近でも、ことしの十一月一日に選対委員会、そして十一月二日の中央幹事会で原則三選まで、こういう形で確認をしております。

 多選につきましては、参政権、職業選択の自由という憲法上の問題、それから、全国一律で禁止をするのか、それともそういうことを条例で認めるような形にするのか、それから、知事、政令指定都市の首長と一般の市町村の首長の区別をどうするのか等々いろいろな論点がございまして、こういうものについてしっかりと検討してまいりたい、我が党としてもそう考えております。

近藤(洋)委員 自民党におかれても公明党におかれても、問題意識は十分お持ちであって、検討されている、こういうお話でございました。民主党も、既に党内では、原則三選までという推薦ルールを知事については決めて定めているわけであります。

 ただ、ここで留意しなければいけないのは、知事さんはやはり強いんですね。最初のうちはそれぞれの政党の支持を得て戦うわけですけれども、最後はオール与党になってしまうわけであります。そして最終的には、もう県民党だといって、推薦なんか要らないよといって四選、五選を果たす方も多いわけでありますね。

 したがって、党の中でのルール決めにはやはり一定の限界があるのではないか。強大な知事になればなるほど、最後は政党の力などはかりずに自前で勝ち続けるという状況も残念ながら起きている。これはこれでいいわけですが、こういうことも実態としてあるわけでありまして、やはりここは何らかの法的な措置を、この場ではないかもしれませんが、この委員会ではないとは思いますが、いずれにしろ、議論しなければいけない。官製談合防止の一つの大きなポイントであろうかと指摘をさせていただきたいと思うわけであります。

 もう一点、官製談合に直接はかかわりありませんがお伺いしたいんですが、随意契約の話でございます。

 武正委員の方からもお話がございましたが、いわゆる談合をするまでもないものが随意契約であります。競争入札であれば、官製談合という形での不公正な取引、不正な取引が行われるわけですけれども、随意契約というのはまさに、談合をするまでもない契約形態であろうかということも言えるわけであります。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、要は、公共調達における、国の調達における随意契約、これは行政改革特別委員会において我々民主党が再三にわたり指摘をさせていただきました。この結果、これは政府がこの六月に、随意契約の内容をさまざま明らかにした上で、政府が随意契約の見直し計画をまとめた。すなわち、平成十七年度実績で、このグラフに書いているとおり、二兆二千八百二十億円の随意契約があったけれども、見直しをした結果、要するに約七割が、やはり競争入札に付すべきだった、ないしは随意契約をやめるべきだった、こういう結果を政府はようやく出しているわけですね。

 さらには、これはもっと驚きなんですけれども、所管の公益法人に発注している随意契約については、全体の約九割が、これが随意契約である必要がなかったという結果が出ているわけです。驚くべき結果でありまして、要は、見直したらばこんなに競争すべきであったものだった、こういうことなわけですね。これは本当に遅きに失したんですが、やらないよりは、我々の指摘を受けてやっていただいたんだから、ぜひやってもらいたい、この線に沿って見直していただきたいと思うんですが。

 指摘したいのは、その次のページを見ていただきたいんですが、丸グラフで「金額」、いわゆる各府省の契約状況ということで、総額が、右側の丸ですが、府省の発注が七・三兆円となっております。意外に少ないんですよね、国家予算の比率を考えますと。国の予算から見ると、えっ、たった七・三兆円が、国土交通省にしろ農林省にしろ発注しているものなんですかと。実は少ない。なぜかというと、要は、補助金なりさまざまな形で地方発注があるわけです、地方の発注分がある、こういうことであります。自治体が発注している、こういうことです。

 そこで、総務省にお伺いしたいのですけれども、地方自治体が発注している随意契約、国が当然、補助金なり交付金なり、さまざまな形でお金を出しているわけですよ、三分の一補助、二分の一補助で。だけれども、発注主体は自治体である、こういうものの随意契約の状況についてどの程度把握しているのか。そして、これは国でチェックしたらこれぐらいあったわけですから、同じレベルと言っちゃあれですけれども、国レベルで見直したら、同様に見直すべき点が多々あると思うんですが、その辺の見直し作業については、総務省、どのように今進んでいるのでしょうか、お答えいただけますか。指示を出されているのかどうかでも結構ですが。

土屋大臣政務官 お答え申し上げます。

 全国千八百余の市町村並びに四十七都道府県で、それぞれ地方自治体としての権能に基づいてそれぞれの発注をするわけでございますが、これは地方自治法の規定に従って、一般競争入札あるいは随意契約、その他幾つかが地方自治法で定められているところでございます。

 したがって、それぞれの自治体がやっておりますので、現状では、それらの地方自治体から、何件どのぐらいの、今お手元にお示しいただきましたような調査は現在のところまとまっておりません。したがって、正確にお答えできないのでまことに恐縮でございますが、現在のところそういうことでございます。

 なお、御質問がありましたいわゆる助言、前は指導と言ったんですけれども、現在は対等、協力の関係で助言でありますが、今月七日付の通知において、各地方公共団体に対して、公共工事の入札、契約について、事務手続の一層の透明化、公平性の確保のために必要な改善を加えるようにという助言を出した次第でございます。

 なお、これを受けた形ではありますが、全国知事会においても、自身の取り組みとして、談合の再発防止のためのプロジェクトチームを設置し、現に改善方に取り組んでいる、こういうことでございます。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わりますが、要は、国も法令に基づいてやってきたと今まで言ってきたわけですね。予決令に基づいて随契を発注しております、こういう答弁をずっとされてきたけれども、本気になって調べて、本気になってどこまで競争入札できるかと思ったら、何と随契に適正だったのは一割しかなかった、公益法人に対しての発注は。一般的にも七割が随契である必要がなかったというのが、これは国の調査なんですね。

 国も今までは法令に基づいてやっていますと言っていたわけです。別に地方を疑うわけでは全然ありません。ただ、同様に考えれば、同じように地方における随契というのは相当問題がある。これはやはり認識すべきですし、やはり、指導でも助言でも何でもいいんですが、いずれにしろ、それは税金が入っていることでありますから、徹底的に洗い直す必要があるということだけこの場では指摘をさせていただきまして、時間ですので、質問を終わりたいと思います。

上田委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 民主党案そして与党案の官製談合防止法について、引き続き、民主党の立場から質問をさせていただきたいと思います。

 私、この問題については新参者でございまして、今までの三者とはちょっと、基本的な質問をさせていただきたいというふうに思います。

 談合というのは、先ほど話がございましたように、ややもすると、いい談合もあるんじゃないかと。特に玄人的な意見で、談合というのも、世の中、余りきれいな水の中には魚もすまないんだ、そういうのも必要じゃないかというような風土があるように思いますが、それは違う、すべて談合というのは犯罪であるという言葉もありましたし、もう一つ今までの審議で思いましたのは、官製談合の場合は、それぞれの公務員の職員だけの問題ではなくて、天下りなんかと密接につながっている組織的な犯罪を行っている場合がある。この二点が非常に強く印象にございます。

 そういう意味で、それぞれ、与党案と民主党案が出されているわけでございますが、相当に違うところもある。方向性は同一だというふうに思いますが、中身を見ると異なっている部分があるということで、きょうはその辺を明らかにしていきたいと思います。

 まず、民主党の提出者に伺いたいのは、今までも議論の中で、どっちの案がいいか、与党案がいい、民主党案がいい、それぞれの主張がございましたが、どこが与党案と違うのか、民主党提出者の立場からちょっと総合的なお話を伺いたいと思います。そして、どちらが今申し上げた談合の排除そして抑止に効果があるのか、その辺を伺いたいと思います。

原口議員 北神委員にお答え申し上げます。

 大体三つ、大きく分けて考えています。

 私たちの案は、もともと刑法の抜本改正に言及しているんです。それはなぜかというと、先ほど昭和十六年のお話がありましたけれども、目的犯になっている。政府の原案になかったものが、いつの間にか国会で修正をされて目的犯になっている。統制経済の時代に、いわゆる政府が差配をする価格形成、これについてはそもそも抜かれているんですね。

 それが証拠に、「大コンメンタール刑法」を見ますと、こう書いてあります。なぜ目的犯のところが加わったのかという理由にこう書いてあるんですね。当時、統制経済で自由な価格競争による批判も大きかった。官庁側から業者に談合を促していた。そして、談合必ずしも悪でないという考え方が強かったため、このような法改正になったんだとされているわけです。

 今や、まさに開かれた市場、自由な経済では、あり得ないことが今なお、刑法九十六条の三第二項の談合罪は、もともと官製による談合というものを抜かしているんです。そのもともとのところを正常な形に変えようというのが民主党案のまず第一点です。

 それから第二点目は、その結果として、官に甘く民に厳しい。今、地方自治体でいろいろなお金の流用と言っています。あれは流用でしょうか。本当は詐取ですよ。そこで、民間だったら即責任をとってやめさせられるはずの人たちが、会計検査院からもたくさんの不祥事の報告が官についてありますが、だれもやめない、だれも責任をとらない。こんなことではだめだということで、私たちは、民法七百九条、まさに重過失といったことまで要件にしていたのでは、それこそ官による談合の差配というのをやめさせることができない。大きな責任、大きな公共性を持つ人たちにはより大きな義務と、そしてそれを破ったときには大きなサンクションがあるんだ、この考え方が民主党案でございます。

 与党の方々も、官製談合をやめさせるということについては方向性は同じだと思いますが、しかし、刑法のもとのところが変わっていない、あるいはサンクションについても重過失というものを要件とされている。こういうところが大きな違いでございます。

 また、民主党案においては、裁判所から公正取引委員会への求意見制度を創設しています。そして、公正取引委員会と会計検査院、もともと私たち民主党は、会計検査院も、先ほどの答弁のようなことをなさるのであれば、国会の中において、立法府のコントロールのもとでしっかりと予算、決算のチェックがきくようにということを考えておりまして、その連携の強化、それから職員の損害賠償責任の厳格化、このことを規定しているところでございまして、一言で言うと、本来の官の責任をしっかりと追及できる、そういう官製談合防止の案になっているというふうに自負をしております。

北神委員 今の話でいけば、与党案より民主党案の方が官製談合に対して厳しく処置をすることができる、それは刑法の抜本的な改正の話もあると。それは、先ほど近藤委員の質疑の中で、目的の部分ですね、公正な価格を阻害する、または不正な利益を得るような目的、そういう主観的な要件が今まで現行の法律にはあったけれども、それを取っ払うという意味が、一つ大きな象徴的な部分だというふうに思います。

 もう一つ、今回の法案のスキームの中で、刑法的な部分じゃなくて、いわゆるその事前の段階だと思いますが、公正取引委員会が、そういった入札談合的関与が見受けられたときに、その改善措置を要求するという部分も一つ大きなスキームの部分だというふうに思います。これについては、民主党案は、黙認という話が先ほど山本委員の質問の中にありました。

 今までの三つの類型、一つは、まさに談合をそのまま直接に指示する。もう一つは、秘密の情報を漏えいする。もう一つは、業者を指定する、いわゆるチャンピオンを指定する。今までこの三つの類型に当たるときに、公正取引委員会が改善措置を要求することができた。そして、場合によっては、それがその役人の懲戒処分あるいは損害賠償に至る、そういった流れだというふうに思います。

 与党案の方は、その三つの類型では例えばあの道路公団のときには対応できないということで、四つ目の類型として幇助というものを入れられた。民主党案の方は、先ほど黙認という言葉がありましたけれども、この黙認というのはやや不正確な言葉で、ちょっと誤解を招くというふうに思うんですね。

 私も最初、黙認と聞くと、いじめの問題でも、いじめているのを黙認した子供も罪が重いとかいう話もありますが、これはもっと厳密な、厳格な、損害賠償にも至るような法律の話でありますので、本当にすべて黙認を対象にしていいのかというふうに私も直観的に思ったわけでございますが、よくよく見ると、民主党案は黙認という言葉を使っていなくて、一定の不作為という言葉がありますし、その一定の不作為も条件が課されているというところでございます。

 具体的に、これは民主党の法案の第二条の「定義」のところの第五項だと思いますが、その条件についてちょっと民主党提出者にお聞きしたいんです。

 まず、実際に入札談合関与を行う対象の話ですが、「契約の締結に関し権限若しくは職務上の地位に基づく影響力を有する職員の不作為」であるという条件が一つあります。これが、法律用語でちょっと抽象的なので、具体的にどの範囲を指すのか。つまり、余り広くするとこれはだれでも罪に問われるおそれがあるという懸念があると思うので、多分こういう限定をつけたと思うんですが、その点についてお伺いしたいと思います。

近藤(洋)議員 お答えいたします。

 まず、契約の締結に関し権限等を有する職員、対象の範囲はどういうことか、こういうことでございましたけれども、発注機関の入札事務を担当する者及び監督する職員を想定しているわけですけれども、実際に法令の適用に際しては、その権限、事務分掌上の権限や運用実態等を総合的に判断して適用することになるかと思うわけです。

 ただ、あえて指摘をしておきたいのは、当然に、その監督権限というのはだれかということですけれども、自治体である場合は首長、国の機関であれば大臣には包括的な権限があり、契約の締結に関し権限等を有する職員に当たると考えます。さらには、同様に副大臣、大臣政務官、さらには知事の場合は副知事も、職務上の地位に基づく影響力を有する職員に当たる場合があるだろう。担当する副知事というのはその職員に当たるのではないか、こういう形で考えております。また、この考え方は、基本的に、やはり監督の責任というのはトップはあるんだという認識で、こういう形で考えておるわけであります。

 また、「明白なおそれがあることを知りながら」ということについては、さまざまな情報があるわけですけれども、もう明らかに、そういった権能を有する者が、証拠に基づき、そして自分も目撃し等、明らかに問題があるという情報を知りながら、確実な証拠や根拠に基づいた情報が提供された場合、みずから入手した場合を想定して、「明白なおそれがあることを知りながら」という要件を付しておりますので、明確な資料、根拠に基づいた情報ということだろうなと思っております。

 ですから、ただのうわさ話を聞いただけということは、当然ながら想定をしておりません。

 以上です。

北神委員 ありがとうございます。

 この黙認という話が出てくると、当然、そういういろいろな懸念があるというのはよくわかるんですが、今のお話でわかりますように、実際対象となる職員は、入札談合に直接かかわってくる人、それとその監督責任、これはかなり、当然、いわゆる結果責任という意味で、地方公共団体だったら首長とか、国の方だったら大臣、さらにそれに準ずる者というふうに限定をしておりますし、もう一つは、明白なおそれがある、入札談合のおそれがあるということがなければならない。

 だから、単なるうわさ話とか、単に、何か談合しているようだよとか、そんなような話で動くようなことはない。そういう意味では、その懸念が払拭されるというふうに、私も聞いて安心をしているところであります。

 逆に、これは与党案の方にお聞きしたいんです。

 与党案の方は幇助ということで、幇助というものもなかなか聞きなれない言葉で、幇というのはたしかたいこもちの当て字にも使うぐらいのあれで、多分、犯罪をちょっと促して便宜を図るというような意味合いだというふうに思いますが、これは具体的に、今まで三つの類型があって、業者を指定するとか、談合を指示するとか、秘密情報を漏えいするとか、ある程度幅広い網がかかっているように思うんですが、この幇助を入れた趣旨というのはどんな意味なんでしょうか。

佐藤(剛)議員 今先生の御指摘の幇助ですが、これは、刑法理論で共同正犯、幇助、幇助罪とか、そういうふうに使う意味と御理解をいただければと思います。

 私どもの自公の案は、基本的に申し上げますと、幾つかのエッセンスがあるんです。先生御指摘しました明らかなこととか、それから、いろいろな情報が入ってくるけれどもその情報というものは本当に信憑性があるのかないのか。つまり、簡単に言えば義務とのつながりですね。義務を持つ、そういう義務ということで、きちんと不作為ができるのかどうなのか。こういうところが、私どもは議論をもちろんいたしましたが、これを四項としまして追加するのには、やはりきちんとした構成要件といいますか、そういうものが必要であるというところで、今回の提案の字句になったところであります。

北神委員 私が勉強したところ、幇助というのは、道路公団の談合のときに、分割発注をしたり、そういう分割表を、スケジュール表を提出したりして、直接どこの業者が入札しろというような明白な指示はないけれども、ある程度間接的にやっている。これについてなかなか取り締まりにくいというような問題意識があったというふうに思うんですが、私は、そういう意味では別に、幇助というのはさらにちょっとグレーゾーンを明らかにするという意味合いはあるというふうに思うんですね。

 ただ、先ほどの民主党の提出案は、またちょっと次元の違うところに網をかけていると思うんですよ。それは、例えば私の地元でもそうですし、皆さんの地元でもそういう町があると思いますが、特に田舎町なんかでは物すごい高い落札率がずっと続いている。九八%ぐらいの落札率がずっと、もう十年、二十年ぐらい続いている。こういったことに対して、余り証拠が出ていなくても、普通に考えたら、ややおかしいな、談合の可能性は非常に高いんじゃないかというふうに思うところがあるんですね。

 こういったことが、本当に、冒頭申し上げたように談合というものを排除するんだという決意があるのであれば、本当はこの辺も網をかけないといけない。そういう意味では、私は、民主党の案の方が、一定の不作為、しかも明白な証拠がある、談合しているおそれがあるということがあれば、そこは改善措置を要求して是正することができるというふうに思うんですが、この辺について民主党提出者は、こういう考え方でいいのかどうかというのをお聞きしたいというふうに思います。

長妻議員 やはり、先ほど御答弁申し上げましたように、今委員が言われましたような、非常に高い落札率がずっと続いているとか、あるいは、例えば入札、落札の結果が、特定の会社が順繰りに、きれいに順番どおり長年にわたってそれが続いているとか、やはりどう考えても、入札業務にかかわる方はプロですから、もうなれておられるので、それがもうおかしいというのが明白にわかる。

 こういう状況が外形的にも確認できたときに、それを不作為するということは、税金の無駄遣い、談合を増長する一つの大きな要因でもありますので、やはりここが最も本質的な問題だ、原因の大きな一つだと我々は考えておりまして、ここを措置しない法案というのは非常に根本的な欠陥があるんじゃないかというふうに考えております。

北神委員 私も全く同感でして、結果として談合が行われている可能性が高い場合は、やはりメスを入れていかないといけない。そして、さっき先生が言われたように、刑法の構成要件の厳格な議論でいえば、私もそこはいろいろな賛否両論があるというふうに思いますが、これは要するに、一種別個の法律でやっているわけでして、政策的な法律だと思います。

 だから、そういった意味で、いわゆる六法的な厳格な法理論ももちろん考慮に入れないといけないと思いますが、やはりこの政策目的、すなわち日本の風土の中から入札談合というものを排除する、あるいはこれから抑止する、そういった観点からいえば、先ほど長妻提出者が言われたように、九八%もずっと高い水準で高どまりして落札をされているいろいろな自治体が実際にあるわけでありますし、さっき言ったように、もう長い、十年、二十年で見たらきれいに各会社が、あるいは業者が全部仕事をちゃんともらっている、こういうのはもう明らかにメスを入れていかなければ本質的な解決にはならないというふうに思うわけであります。

 百歩譲って、では構成要件、刑法理論上それはふさわしくないとしても、この問題というのは厳然と存在するわけでありますから、そこは与党として、あるいは政府として、そこまでいきませんけれども、とりあえず与党としてどう考えているのか。こういう問題はしようがないと、実際に今与党の案が通ったとするならば、その要件にはまるようなことしか我々はやっていかないんだ、そういうことなのか、それとも、そういう問題はそういう問題で別途対応するのか、その辺をお聞きしたいと思います。

佐藤(剛)議員 先生の御指摘は、むしろ、公取委員長がおられますから、これまでの運用でやってきましたと。三つの類型でやってきたわけですね。それで、もう一つ、いろいろなケースで、これがあるとうまくいくんだというようなことの相談を私どもいろいろとしていますから。相談というのは、こういうのは大丈夫かどうだとかいうのは、私も自民党の独禁調査会の事務局長もやっていますので、そんなことでやっていますので、ちょうど委員長がおられますから、委員長から一言いただいたらいかがでしょうか。

北神委員 振られましたが、ちょっと通告も何もなかったので、もし御見解があれば。

 要は、民主党案の方が、さっき申し上げたような、結果としてこれは談合の可能性が極めて高いんじゃないか、どう見ても不自然な落札率の推移とか、あるいはもうかなり信憑性の高い談合の情報が入ってきたときとか、さらには、長期間で見て、きれいに、よくよく見たら、結果としてうまいこと談合になっているな、そういったものにもメスを入れないといけない。恐らく、幇助を入れるだけではその問題は解決できないし、現行の類型だけでは解決できない。

 その点について、仮に与党案が通ったところで、本当に運用でその辺は解決できる問題なのかどうか、お聞きしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 おっしゃっている問題点は私も十分理解していますし、いやしくも発注業務に携わる職員においては、まさに、よりよいものをより安く調達するということで、ありとあらゆる注意を働かせ、知恵を出すべきであると思います。

 しかしながら、そういう情報に接したときに不作為、何もしなかったということについて、法律上どう罰するのかということになりますと、これはほかのことでもそうだと思いますが、大変難しいところがあるし、むしろ問題は、悪いことをするのをいかに防止するかという方が先でありまして、何もしていない人に対してそれを罰するという考え方の前に、ありそうな違反行為、それに結びつくような行為をいかにきちんと構成要件を明確化した上で罰するかということがまず求められるのではないか。

 そういう意味では、観点は全く違いますが、与党案の幇助というのは、まさに、やれとは言わないんだけれども、もう事実上やってよろしいと言っているのに等しいというような、そういう行為をどう見るか。それは、グレーだからいいんだ、セーフだということでいいのか。私はそうあってはならない。

 そうすると、悪知恵を出す者がまさにそういう影響力を行使するということは大いにあり得ますし、地位によっても、そういうことは間接的に影響力を行使するということはできてくるということになってまいりますので、その壁にぶつかってしまいますから、そうじゃない、幇助の行為についても今回新たに入札関与行為であるというふうに決めるというのは実務上も十分に意味がある、こういうふうに思っております。

北神委員 今の委員長のお話は、構造的な、高い落札率とかそういう問題はその問題として認識されているけれども、なかなか法的に難しいところがあると。ただ、今言われたのは、法的に罰則とするのはどうか、それはなかなか構成要件として認められないんじゃないかということだと思います。

 これについては、誤解されているのは、いきなり刑罰にいくとか損害賠償にいくというふうにみんな解釈されるかもしれませんが、実際は違って、このスキームを見ると、仮に民主党案が通ったとして、いわゆる一定の不作為があった、それに対して公取が改善措置の要求をする、それに対して調査をして、どこまでその職員が関与していたとか、あるいは知っていたとか、どこまで、関与の度合いとか過失があるかどうか、その辺を見きわめて、そこで初めて、損害賠償の責任を問われるとか、あるいは懲戒処分を受けるとか、そういういわゆるプロセスが、過程がちゃんとあるわけですね。

 だから、類型にはまるからといって直接罰せられるというわけではないということは指摘したいというふうに思いますし、むしろ提出者から、そういう考えでいいのかどうか、今の与党の提案者あるいは公取の委員長のお話でいけば、構成要件としてなかなか厳しいんじゃないかという話があったわけでございますが、そこをお聞きしたいと思います。

原口議員 与党あるいは公取の委員長の答弁にも、少し誤解もあるなと思います。

 私たちが一番目指しているのはコンプライアンスなんですね。官という発注業者のガバナンスをどうきかすんですか、ここに焦点を当てているわけで、そのことについては、例えば、これは政治家同士の議論ですから、私たちも公職選挙法で、私たち自身がしっかりとした監督義務を負っています。それは知らなかった、末端の運動員が、あるいは組織的な運動について、選挙違反をしたということを知らなかったということはもう理由にならないですね。

 それと同じように、発注業者には高い責任を負わせるんだ、そして、見て見ぬふりを長年やってきた、あるいはその疑いのあるものについてはこれを積極的に取り締まっていきましょう、これが私たちの基本的な法の趣旨でございますので、もともとコンプライアンスをきっちりしておけば、何も業務で萎縮することもありませんし、逆に言うと、国民のあるいは県民、地方の皆さんの負託にこたえて、しっかりとした発注業務ができるものだ、そのように考えております。

 以上です。

北神委員 ありがとうございます。

 もう時間がなくなりましたので、結論めいたことを申し上げますと、今のいろいろな議論を聞いていると、民主党案の方がやはり官に厳しくやっている。特に、本当に官製談合というものを排除するのであれば、今申し上げたような、単に、何か個別の事案で職員が何か犯罪を起こした、そのとき取り締まるだけじゃなくて、構造的にこれを解決する。特に、職員が贈収賄とかいう部分もありますが、そういった部分もありますが、我々が議論しているのはむしろ組織犯罪としての官製談合であるわけでありますから、そこは政策目的にかんがみて、できるだけ厳しい民主党案の方が私はいいなということを最後に強く指摘を申し上げまして、質問を終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

上田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 午前中三時間、与党案、民主党案、いわゆる官製談合防止法の質疑をずっと席で聞かせていただきました。本当に、私は、きょうはまさに、与野党とも、いろいろな御努力を関係者の皆さんがしながら本来の立法府の役割をできたことを委員の一人として大変うれしく思いますし、ただ、いろいろなお話を与党、民主党の双方からお聞きしながら、もし次に同様のことがあれば、もっと歩み寄って、よりよい官製談合防止法を次のときにまたつくっていただければというふうに私はつくづく冒頭感じた次第でございます。

 実は、両案をいろいろ吟味する際に、海外の資料も取り寄せてみました。やはり、この官製談合防止法なるものは日本独特な法律制度だということがわかりました。

 アメリカ、ヨーロッパ、いわゆる法体系が日本と同様にしっかりしている国においては、先ほど公取の委員長も若干触れられておったように、いわゆる競争法や公共事業関連法、刑法も含めて、その中できちっと対応しているということを見きわめた中で、ただ、日本でやはり官という部分がもっと国民の皆さんから信頼をされ、襟を正していただく。午前の討議の中では、同僚議員からも、予防的なものに、ぜひもっとそれをきちっとしていくという趣旨の御答弁もございました。

 そんな中で、まず、日本に特殊的な法制度だというお話を今させていただきましたが、それぞれ、十四年の部分もそうですし、今回の改正法、いろいろ、与党案をつくる際、また民主党案をつくる際に、この官製談合なるものがどんな背景で起こっているのかということが、きちっと固まりをつくって、それに対する処方せんということで今回の修正案が出てくるというふうに思うんです。その点について、午前中の質疑とも若干ダブりますが、与党の提出者並びに民主党提出者の方に、この官製談合防止法の背景というものを、端的に御答弁をお願いしたいと冒頭思います。

佐藤(剛)議員 後藤斎委員の最初の御発言で、とにかく一歩前進しようじゃないか、そういうことなんだろうと思うんですが、全く賛成でございます。一歩前進、二歩前進、三歩前進で本件は向かうべきだと思っておりますし、今国会においては、民主党案が出て、それと対比をしながら進めていくことができるというのは、時期柄、我々選挙というものを経てきた者にとりまして、信託されました者として、非常に重要な義務だろうと思っております。

 それで、今、後藤委員がおっしゃられましたいわゆる官製談合、この官製談合をなくすというところをまず最重点に持っていかなきゃいかぬ。

 私、午前中にちょっと触れたんですけれども、このたびの知事会で、麻生知事が全国の会長をやっていらっしゃるのですが、その知事会の中にワーキングチームができたんですね、官製談合をなくす。そして、そこで言っておることが、非常にさすがだと私は思っておりましたが、こう言っているんですね。我々が、自分たち知事が社会から求められているのは、一般的な談合というより、官製談合の仕掛けをどうなくすのかということだ。官製談合の仕掛けをどうなくすのかということで、来年の一月までに報告書をまとめるということで、いろいろな官製談合がなぜできるのかということを、選挙の借りとか、あるいは業界との個別のしがらみとか、それから、いろいろな観点から、多選の問題も触れるでしょうし、それから天下りの問題も触れるでしょうし、いろいろな面で私は出てくるんじゃないか。

 そういう意味で、自公の案も、当時において、知事会、それから全国町村会、全国市長会、その御意見を聞いてまとめたものでございますが、私は、そういうふうなことが非常に重要な時期になっているんじゃないか、楽しみに来年の一月の結果を、報告を待って、そしてまた、こういう問題を国会でいろいろと取り上げていくということが重要じゃないかと思うわけでございます。委員と同じ気持ちでございます。

原口議員 後藤委員にお答えいたします。

 後藤委員におかれましては、民主党で官製談合の先頭に立っていただいて、ありがとうございます。

 官製談合の背景は、先ほども同僚議員の質問にお答えしましたが、大体四つぐらいあるだろうなと思っています。

 一つは、公共調達制度の問題。最低価格自動落札方式、予定価格の上限拘束など、著しく価格要素に偏った発注方式、そして品質や技術の評価といったことを軽視した契約制度。私たちは、品確法というのを議員立法でつくらせていただきましたが、もともとの発注制度、公共調達制度そのものに内在する問題が一つあると思います。

 もう一つは、先ほどこれも申し上げましたが、社会的、政治的な要因。やはり政治のダイナミズム、官に丸投げをし、そして官と癒着をするという古い政治がかつてございました。このことの名残、あるいは天下りと、そして政府発注、この関連といったことはやはり大きな原因であると思っています。そして、業界の、あるいは地方の、あるいは国のレベルでのチェック機能が足りないということ。それから、自由競争の徹底に対する抵抗。

 この四つを先ほど挙げさせていただきましたが、それに付言する形で、なぜ官製談合がなくなりにくいかということについてもひとつ申し上げておきたいと思います。

 一つは、やはり離脱リスクだと思います。官製談合というまさにカビのようにシステム化されている中で、個別の企業だけが、では告発をして抜けることができるかというと、なかなかそれは、直接仕事にかかわってくる場合が多くて抜けにくい。それからもう一つは、リスクに対するリターンでございまして、摘発はどれぐらいされているのか。今、私たち、与野党ともに、官製談合防止に国会は大変大きな力を尽くして、公取やいろいろな機関も検察も頑張っていただいていますが、摘発リスクに比べると、まさに事故に遭った、しようがない、事故に遭った、運が悪かった、このような言葉も聞かれるぐらい摘発リスクが低くて、そして、逆に言うと離脱リスクが高い。こういったことも官製談合の大きな背景になっている。

 官が差配をして市場をゆがめてくる、このことそのものを変えないと官製談合はなくならないというふうに思います。

後藤(斎)委員 今、佐藤議員の部分は、きょうの朝日新聞の報道にありますように、知事会の、いろいろなこれからのプロジェクトチームのあり方を見ながら考えていくというお話で、原口議員からは、四つの問題、さらに離脱リスクと個別の企業の関係も含めて、私も原口議員と全く同じ部分を持っているのですが。

 実は、この問題を考えるときに、ちょうどきょうの朝日新聞がそうなんですが、全国の知事の皆さんから、入札制度にいろいろな問題があるというふうにお答えになられた方が十人、午前中もお話があった多選という問題、これが問題だと思われている方が四人、回答がございます。それ以外に、権限が集中しているという、いわゆる大統領的な権限を知事がお持ちになっているということと、資質であるからというふうにお答えになっている方、選挙の際にいろいろなつながりがあると答えている方もかなり多く見られます。

 今、いわゆる多選という問題もいろいろな政党でもちろん議論をしておりますし、その推薦基準なるものもそういうふうな観点から出ていることも十分承知しています。むしろ、この入札という、先ほど原口議員からお話があったように、価格だけに依存をし過ぎる。要するに、一番安い価格で入札をするということは、一発勝負でありますから、どこからか情報を聞く、そして話し合いをするという、いわゆる談合という部分で一発で決められる。

 これは、先ほども冒頭申し上げたように、いろいろな国の制度を見てみますと、特にアメリカなんかも、これは後でまた公取の委員長ともお話をさせていただきますが、いわゆるダンピング、価格を引き下げることだけに我が国の入札制度、特に、これは一般競争入札になってもそうですし、現行の指名もそうなんですが、やはり価格だけを見るということが一番大きな要因。

 これは、先ほど原口議員これまた触れていただいたように、いわゆる品確法を制定しておりますが、この中にも、談合について、三条の四項で、談合や入札談合等の関与の排除の徹底という趣旨の明定が当然されておる中ではありますが、やはりアメリカなんかは、いわゆる価格をまず一番安い方、そして準ずる二、三社の方をまずテーブルにのせて、そして、技術力であるとか財務力であるとか、そういうものも含めて、三社か四社くらいから最終的に落札者を決めていくという手法にしております。

 これはもう話が先ほどもありましたが、我が国の入札制度の中でも、会計法の二十九条の六の二項の部分に、価格及びその他の条件が最も有利なものを選ぶという、いわゆる総合評価方式という契約手法が現実にもう会計法の中で明定がされております。

 これは、先ほどもアメリカの例をお話しさせていただいたように、それにある程度類似をしていると私は思うのですが、これもきのう、いろいろな省庁に御確認をしたら、国交省が一番総合評価方式による契約実績が多いということで、きょうは審議官においでいただいていますが、国交省の中で、いわゆる総合評価方式というものを、今どのくらい契約実績が全体の契約のパーセンテージも含めてあって、そして、価格だけではない、その他の条件も含めてという会計法の規定に基づく総合評価方式の入札方式を今後前に大きく進めていくのか、それともそうではないのかということも含めて、契約実績と今後の対応についてお尋ねをしたいというふうに思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 公共工事は、国民生活や経済活動の基盤となり、安全、安心に直結する社会資本を整備するものでございますが、その品質は、目的物が使用されるまで確認しにくい、受注者の能力に左右されやすいとの性格を有しております。

 このため、国土交通省におきましては、建設業者の技術力の優劣が受注の可能性に結びつく入札方式として、先生御指摘の、価格に加え、価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定する総合評価方式の積極的な導入を行っているところでございます。

 実績でございますが、地方整備局発注の直轄工事では、金額ベースで、平成十六年度は約二割、平成十七年度は約四割の工事に総合評価方式を導入いたしましたが、平成十八年度は、さらに、八割超、八割を超えるまでに拡大することを目標に現在取り組んでいるところでございます。

後藤(斎)委員 国交省では、今審議官からお答えをいただいたように、かなりの部分でこの総合評価方式が進んでいるというお話でございます。ただ、この官製談合防止法の目的は、国の公務員の方そして地方という二つが大きく当然あるわけで、地方の部分では、これは御答弁はあえてもちろん求めませんが、まだまだこの総合評価方式は進んでいないというお話を聞いております。

 私はやはり、今回はまさに、先ほど佐藤議員がお話しいただいたように、この法案の提出そして議論というものは本当に第一歩、前進をして、戻らないようにこれからきちっとチェックをしていかなきゃいけないということと、やはり、国だけではなくて地方も含めて、民主党案では地方自治法の改正も含めて今回議論をさせていただいていますが、与党案の方には地方自治法の方まで入っていないという、これは冒頭申し上げたように、もっと早く与野党できちっと議員同士でお話をし、そして委員長が提案をしていただけるような部分になれば、もっと違った形になったかなというふうに思いながらも、一点、与党の方にお聞きをしたいと思います。

 今回、特定法人の範囲の拡大ということがございます。そして、その中で、与党案ではただし書きで「政令で定めるものを除く。」というふうな規定を設けておられます。これは想定されるものが何かというので、例示は幾つか、これから政令で決めていくということになるんでしょうが、この規定をあえて設けた理由というのは何なんでしょうか。

 要するに、できるだけ幅広い中で、いわゆる官製談合の防止をしようという法の趣旨からいえば、やはり、逆に対象はできるだけ広げた方がいいというふうに私自身は考えますし、そして、その理由が具体的になれば、想定される法人がということにつながっていくと思うので、ぜひ、その理由をきちっと明示していただきたいということと、そして、どのような法律の政令の流れの中で法人がその指定をされるのかということもあわせて簡潔にお答えをいただきたいというふうに思います。

佐藤(剛)議員 ただいまの御質問でございますが、特定法人の範囲を拡大しまして、二分の一から、三分の一以上の株式を保有する義務を課せられている株式会社という書き方でございますが、膨らましたわけでございます。それは、国、地方公共団体と同様に、職員による談合への関与、これを防止する、適正な業務執行を確保する、これが根底でございます。

 その中には、その事業内容の実態にかんがみまして、この法律の適用対象とすることが必ずしも適当でないというものも含まれ得るわけでございますので、これを「政令で定めるものを除く。」ということで除外できる、そういう規定をいたしているわけでございます。

 具体的に申し上げますと、法律で、国または地方公共団体が常時三分の一以上に当たる株式の保有を義務づけられている株式会社のうち、日本電信電話株式会社、NTT及び日本郵政株式会社、この二つにつきましては、法律でホールディングカンパニー、持ち株会社となっておりまして、みずから大規模な調達を行うということは想定されておりません。この二社につきましては、「政令で定めるものを除く。」の政令によりまして適用対象から除外する。

 少々長くなりましたが、そういういきさつからでございます。

後藤(斎)委員 今、佐藤議員がお答えいただいたような例えば限定をした政令、要するに指定であれば、所期の目的は達成できると思うんですが、やはり政令で定める部分、指定される法人を広げていく可能性というものが今度は行政府の中でできることになりますよね、逆に言えば。

 だから、そこは、歯どめというものをやはりきちっと置いてもらうということが大変必要だと思うので、そこは、法律制定以降のまた国会で行政府がどのように運用するかというものはやはりきちっとチェックをしていく必要があると思いますので、その点については、ぜひ、与党だから、野党だからということではなくて、きちっと一緒にやっていただけるようにお願いをしたいので、簡潔にその点だけ。

佐藤(剛)議員 先生のおっしゃる方向で進めたいと思います。

後藤(斎)委員 民主党の提出者にお尋ねをしたいと思います。

 これも午前中に出ている部分にも関係しますが、刑法の中に公務員談合関与罪を新設、創設する規定を設けています。これは与党案でいえば、本法、官製談合防止法案の中に職員による入札等の妨害の罪の創設というふうなことと、不正行為の、害するべき行為という二つの処罰の対象をこの法律案自体に入れています。

 午前中のいろいろな議論をお聞きする中で、やはり刑法で明定をした方が、より法目的の実効性というか官製談合防止になるというお答えであったというふうに記憶をしておりますが、ぜひ、その点について、与党案との比較も含めて、この民主党案の方がより目的の達成に資するんだということだと思うんですが、その点について、確認を含めて御見解をお伺いしたいというふうに思います。

長妻議員 お答えをいたします。

 我が党案は、刑法に公務員談合関与罪というのを明記するということでございまして、そもそも、この官製談合防止法という法案は、公正取引委員会が発注機関に対して改善措置要求ということで、その組織の改善を大きな目的とした法律であると我々は考えております。それで、責任の追及はまた一つの刑法という中できちっとやっていく。午前中もございましたけれども、今、責任追及は独禁法とか、刑法でもいろいろな条文を使う、ばらばらではないかということも言われておりますので、これは一つの刑法という中で公務員の責任もきちっと追及していくということを我々は明確に規定する、捜査当局あるいは司法当局もそれを肝に銘じて当たってほしい、こういう強いメッセージも届けたいということもねらっております。

 そして、罰金刑というのを我が党案は排除しておりまして、これは、罰金刑でない場合、懲役刑の場合は国家公務員法、地方公務員法で失職をする、こういうことが明記されており、その意味でも公務員の皆様方にとっては大きな抑止効果が得られるのではないかというふうに考えております。

後藤(斎)委員 確かにそういう部分で、刑法の部分の改正というものが望ましいと私も両案を見ながら感じている次第でもございます。

 あわせて、刑法の九十六条の三の「競売等妨害」の部分の、「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、」というこの目的規定を新たに改正し、「公の競売又は入札で契約を締結するためのものに関し、」という、目的規定を民主党の案ではなくしております。

 午前も出たかもしれませんが、この部分でいえば、逆に、目的を削除すると処罰するというか罰せる範囲が広くなる。これは逆に言えば、対象を広げるということは私はある意味では、どこかに歯どめをかけながらやれば、それはそれで非常に正しい方向に行けるのではないかなとも思うんですが、この目的規定を削除し、あわせて、処罰の範囲が広範囲になり過ぎないかという問題点についてはどのようにお考えになっているでしょうか。

原口議員 お答えいたします。

 談合罪の構成要件の御質問でございますが、もともと談合は、競争を制限し、適正な予算執行を妨げるものであり、そもそも違法であります。ですから、このことからすると、これを目的犯としている、目的犯になった昭和十六年の経緯は午前中にもお話をさせていただきましたが、もともと官の差配を前提にしている目的犯の規定、これは抜本から直すべきであるというのが私たちの考え方でございます。

 なお、実際の談合は、公正な価格を害し不正な利益を得る目的で行われているケースがほとんどでございまして、逆に言うと、談合の被害の大きさに比べて摘発の方が少な過ぎる。こういう状況にかんがみると、必ずしも、この目的を削除することによって処罰範囲が無際限に広範となるというふうには考えておらないところでございます。

 御理解をよろしくお願いします。

後藤(斎)委員 あわせて、民主党案では、「談合に関与したときは、三年以下の懲役」という懲役刑だけの部分を明定されています。一方で、与党案の方では、午前中もこれは質疑にありましたが、「五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金」ということで、現行の二年を五年にしているから、むしろこちらの方が厳しくなるんだというお答えをされております。

 ただ、これは民主党の提出者からも答弁がありましたように、懲役になった公務員の方は、国家公務員法や地方公務員法の中で基本的にはおやめになるような規定で、もっとそっちの方が厳しいんだと。むしろ、懲役刑だけであると、おやめになられるという一番公務員の身分に直接かかわるところまでの処罰になるということで、民主党案の方が厳しいんだというお話で、これは佐藤議員が午前中お答えになっていた部分ですが、五年の方が長いから与党案の方が刑罰の規定は厳しくしたんだというのは、逆のことではないかなというふうに思うんです。

 なぜ、あえてこの辺で二百五十万円以下の罰金刑というものを「又は」ということで両立をさせながらというか、現行のものを生かしているということですが、それでも、やはり厳罰にするという今回の官製談合防止法の所期の目的を達成するのであれば、民主党案の方がその部分ではより予防策につながるというふうに思うんですが、その点について与党はどのようにお考えになりますでしょうか。

大口議員 委員御指摘の点は、確かに、罰金刑を入れるかどうかということは違いではあるわけですね。ただ、刑法の競売入札妨害罪、あるいは同じく刑法の談合の共同正犯あるいは幇助犯、そしてまた、独禁法におきましても懲役刑とそして罰金刑が両方あるわけでございます。刑事罰を科すに当たって、幅広く刑罰を科するという場合において、その類型あるいは情状等に合わせて、これは懲役の場合はハードルが高いですから、そういう点で罰金刑も用意したということだと思います。

 そして、公務員の処分につきましては、やはり今回、損害賠償請求とそれから懲戒処分について、調査し、そしてその処分の内容について公表する義務づけをさせていただきましたので、発注機関の公務員に対する処分がいいかげんであった場合は、これは世間から批判を浴びるわけです。そういう点で、公開義務というものを今回設けさせていただいたということも御理解いただければ、こう思っております。

後藤(斎)委員 今の大口議員のお話は、そのとおりの部分もあるんですが、ただ、今回の主目的というのはあくまでも官製談合の防止であって、いわゆる一般的な民間の談合の部分、これはやはり切り離して考えないといけない部分だと思うんです。

 そうでなければ、例えばこれも与党の、佐藤さんか大口さんかちょっとわかりませんが御答弁をお願いしたいんですが、これも午前中に議論になりました、今大口さんがおっしゃられた職員の損害賠償の部分について、いわゆる重過失のままにしてある。民主党案の方については過失まで対象を広げたということで、もともと、先ほど冒頭もお尋ねをして、佐藤先生、知事会のという部分に十二分にお答えを得ていなくて、要するに、官製談合が起こる背景についてきちっとそれを理解し、それを防ぐためにどんな制度改正にするのかというところにやはり連動していかなければいけないと思うんですね。

 ですから、これは、今大口議員がお答えをいただいたように、職員の損害賠償、与党案では現行どおりの重過失のまま、民主党案では過失まで対象を広げたということなんですが、なぜこの損害賠償の請求の部分で、与党の中でというか、与党案は現行のとおり重過失にしておるんでしょうか。

大口議員 与党案は、重過失ということで現状を維持しているわけでございますが、これは、国賠法の公務員に対する求償がやはり故意あるいは重大な過失、こういうことがありまして、その整合性ということが考えられますし、事業の円滑な執行ということからいきましても、故意あるいはそれに準ずる重大な過失を維持すべきである、こう考えておるんです。

 それで、入札談合等の関与行為自体は、独禁法に違反し、なおかつ、今回、三類型あるいはそれにプラス、四類型が加わるわけですね。大体そういう入札談合等関与行為というのは故意的なものじゃないかなと思うんですね。あるいは重過失的であるかもしれません。ですから、これで類型を加えさせていただいたということもありまして、私は、重過失を過失にすることによって職務の執行が萎縮するということも考えますと、むしろ重大な過失で維持させた方がいいのではないかな、こう思っています。

 重過失を過失にされるということによってどういう規制の強化になるのかということを、私はちょっとなかなか理解できないところがあるわけでございます。

後藤(斎)委員 大口議員、そもそもこの官製談合防止法なるものは、諸外国、特に欧米法の中にはない概念で、この法律制度を我が国ではつくっているわけですね。であればこそ、やはり厳罰にという一つの目的を持ちながら、その予防的なということを、これは与党の提出者の方も民主党の提出者の方もそこは強調されているわけです。要するに、できるだけそうならなければいい。ですから、公取が実際これを運用される際に、摘発されたのは、与党案の趣旨説明にもありましたけれども、今まで三件だということですよね。

 ですから、それはある程度厳罰にして、例えば萎縮をするというのが、何が萎縮なのかというのはよくわかりませんが、それを、むしろ談合が起こる土壌、これは談合というのが大きくあって、その中にもちろん官製談合という定義づけがあるんですが、原口議員が先ほどお話しされたことに、僕はもう幾つか考えるに、やはりいわゆる都市と地方の格差の問題も含めて、地方の中小企業は大変激烈な競争ですから、では選挙のときにそのお返しも含めて求めようと。それで知事さんも、選挙の分は何かの形で返さなきゃいけない。これはきょうの朝日の十人の方もそういうふうなお話を、丸をつけているようなんです。

 やはりそこの、今の経済の実態がどういうふうになっているのか。行き過ぎた規制というものよりも、むしろ、品質確保をしながら価格以外の要素にも目を向けてもらうという必要もあるし、中小企業の地方で本当に頑張っている、談合もせずに一生懸命やっている皆さんが、例えば技術力も財務能力も高めている中で、よく底上げをしてやるということがないと、これは未来永劫やはり行ったり来たりの議論になってしまう。

 ですから私は、きょう中小企業庁長官にも来ていただいておりますが、いわゆる官公需法という、中小企業の受注機会の確保の増大に関する方針というものを毎年経済産業省が取りまとめておりますが、やはりそういう中で、特に中小企業の皆さんにとってよくなるような環境づくりというものもあわせて、この官製談合の防止、全体の談合防止とあわせて仕事の確保みたいなものも一緒に考えていかなければ、これはいつまでたっても多分終わらない議論だというふうに私は痛切に感じます。

 ですから、この十八年度、十九年度以降の動きも含めて、やはり、受注の機会の確保というのはこういうふうな形に流れとしてなっていくよということを明確に国としても自治体としても発信をしていくということが一つですね。頑張っていけば仕事というのはこれだけうまくされますよということは、特に公共事業の世界でもやはり言っていく必要が一方であるというふうに思うんです。

 その点、中小企業庁はどんな方針でこれからお臨みになるか、お尋ねをしたいと思います。

石毛政府参考人 お答えを申し上げます。

 中小企業の官公需の受注機会の件でございますけれども、私ども、この機会を増大するという観点から、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律というものに基づきまして、毎年度、中小企業者に関する国等の契約の方針というのを閣議決定しております。それによって、中小企業者の受注機会の増大に努めているということでございます。

 もう少し具体的に、この契約方針の中で何をしているかということを申し上げますと、まず第一点、中小企業者向けの契約目標というのをそこで定めてございます。十八年度は前年度比で一%ポイント増加するということで、四七・九%ということを定めてございます。

 二番目に、国等の発注機関がきめ細やかな発注情報を提供する。これは非常に重要でございますので、そういうことを決めてございます。

 三番目に、官公需適格組合といったようなものを活用して中小企業者の受注機会の拡大を図る、そういうこと。

 それから、中小企業者が受注しやすくするということから、分離分割発注、そういったようなことの事例についてもよくお示しをして、参考にしていただいているというようなことでございます。

 あわせまして、本年度につきましては、技術力のある中小企業者については入札の機会を拡大するという観点から、そういう中小企業者の入札資格について、一定の技術力の要件を考慮する、そういう制度を入れてございます。

 私ども、いずれにしましても、そういう契約の方針が、国だけではなくて地方自治体にもしっかり伝わるように、いろいろなところで説明を行ったりパンフレットを配布したりして努力をしているところでございます。

後藤(斎)委員 公取委員長、済みません、午前中の時間調整のため、時間が若干短くなりましてお尋ねができなかったことを申しわけなく思いながら、おわびを申し上げながら、質問時間が来たので、終了させていただきます。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 官製談合防止に関する両案の質疑を通じまして、官製談合の根絶に向けての議論、質問をさせていただきたいと思っております。

 談合は、言うまでもなく、経済の効率性と真の競争力を損ない、国民生活に重大な悪影響を与え、公的機関の公正、公平性を害するとともに、税金の無駄遣いによって納税者の利益を害するものであります。その根絶のための施策を強化することは当然で、その一つとして官製談合防止法の強化はあり得ることであります。

 その際、民より官が悪いという御意見もあるわけですが、例えば、日弁連の消費者問題対策委員会の宮城弁護士の言葉をかりれば、官製談合はもちろん非難に値するが、因果関係の問題としては、官からの働きかけがあるから談合があるのではなく、談合があるから天下りも行われるということであり、官製談合防止法強化は、砂糖にアリが群がっているところを砂糖を払わずにアリをつぶす施策にすぎず、限界があるという指摘もあり、この意見にはうなずけるところがあります。

 談合、とりわけ官製談合は、官と民との癒着、業界、企業ぐるみの組織犯罪、システム犯罪ともいうべきものであって、根本的対策として、一つはやはり企業ぐるみの組織犯罪への制裁、特に大企業や法人に対するペナルティーを欧米並みに、談合が割に合わない水準にまで引き上げることですとか、あるいは、官と民との癒着、政官財の癒着構造にメスを入れる、その点で天下りの規制、企業献金の禁止が求められていると思います。そして一層の入札制度の改革、これらの対策が必要だと考えております。

 この立場から、何点かお伺いをしたいと思っております。

 最初に天下りの問題でありますけれども、政官業癒着のシステム犯罪である官製談合事件根絶のためにも天下りの規制が必要だと思います。道路公団の談合事件ですとか、また、防衛施設庁の談合事件の背景には天下り先の確保ということもあったとされております。官と業の癒着である天下りの規制の強化が必要だと思います。

 そこで、密接な関係にあるものにつくことを禁止する期間を離職後二年から例えば五年に延ばすとか、また、公益法人を経由した迂回についても規制対象とするなどの規制強化が必要ではないかと考えますが、最初、与党提出者からお答えをいただけますか。

佐藤(剛)議員 本件の問題については、むしろ、きょう御出席の政府側の方に御質問していただきたいと思います。

塩川委員 官製談合防止法の強化ということで、その官製談合の根絶に当たって天下りの規制が必要ではないかという声があるわけですから、提出者として、その根絶の立場から官製談合防止法の強化というのであれば、天下りの規制についてもふさわしい対応措置をとることが求められているのではないかということに対して真っ正面から答えるのは当然のことではないでしょうか。

 改めてお聞きします。

佐藤(剛)議員 今の件につきましては、提案者それぞれ意見を持っておるんではないかと思います。そういうことで、私の個人的意見というようなことで披瀝いたしたいと思います、せっかく今先生からの御指摘でございますので。

 これにつきましては、国とそれから地方公共団体、こういうようなものとが、法制上、いずれにしましても差があるわけでありますから、国がどういうふうにするのか、これは内閣の仕事です。それから、天下りの方の、現在は御承知のように二年というようなものの中で、非常に密着しているようなものにつきましては期間が切れているわけですが、それをどうするのか。地方公共団体の場合には、決定した場合にそれをどういう法制でやるのかとか、そういうふうな段取りが要るんじゃないかと思います。

 私は福島ですが、福島のところで今、いろいろそういう天下りの問題というのを、悩ましい事件が起きましてから、いろいろ真剣に検討しております。これについても、一年間とにかく自粛しようとか、それから県によりましては、我々の聞きました限りでは、例えば宮城等々については、再就職は禁止はしないけれども、退職後二年間は企業に有利な取り扱いを県職員に要求しないとか、いろいろこれは違うんですね。長野県の場合も違っていた。

 そういうふうなことで、再三申し上げますけれども、いよいよ知事会の中で、来年一月を目標として、この問題について、官製談合がなぜ出てくるのかということをいろいろな角度から検討するワーキングチームが立ち上がりました。それで、一月にその報告をするということのようでございますので、それをまず、その努力を注視していったらいかがかと思っているわけでございます。

 これについての、天下りの理由というのは、先生御承知のようにいろいろな観点がございます。官製談合についてもそうです。多選の禁止の問題とかいろいろな問題がありますが、それぞれを全部分析しながらやっていく課題ではないかと思います。

 以上です。

塩川委員 地方のことは地方でという話の上で、道路公団や防衛施設庁の話もありますから、その点で、国としての対応はどうかということを、規制強化が必要ではないかということについて御見識を述べられなかったのは大変残念であります。

 その点で、民主党の提出者にその点をお伺いいたします。

原口議員 私は、塩川委員と全く同じ認識を持っております。

 民主党は、既に天下り規制法案を提案しておりますが、その主な内容は、先ほど二点おっしゃいました。天下り禁止期間を離職後二年間から五年間に拡大する、それから、規制の対象とする天下り先に、特殊法人、独立行政法人、それから公益法人等を追加する、それに加えて、本省幹部、審議官級以上の離職後十年間の再就職状況の報告を義務づける、そして、特殊法人の役職員が天下ることについても国家公務員と同様の規制を新設するなどの法案をもう既に提出しています。

 官製談合の問題は、この天下りの問題にふたをしていては解決できないと思いますし、先ほど佐藤議員がお話しになりました全国知事会の検討も、我が党におりました上田知事が先頭となってやっておられることでございますので、私たちは、それを待つというものではなくて、先取りをして、しっかりと天下り規制を国会で成立させるべきだ、このように考えております。

塩川委員 この間、天下りの規制緩和の中馬プランなども出されているのは論外であるわけで、そういう点でも、規制強化と一体にした官製談合防止の取り組みが求められていると思っております。

 次に、政治献金の問題ですけれども、例えば和歌山の談合事件におきまして、その工事の参入業者から自民党の国会議員三氏に対して八百十一万円の献金が行われる。賄賂などと言われれば当然これは問題外の話でありますけれども、そもそも、公共工事を受注しているような企業から企業献金を受け取ることは税金の還流ではないかという批判もこの間厳しく行われていることでもありますし、疑いを招くような行いを慎むという点でも、我々とすれば、そもそも企業献金そのものの禁止を求めておりますが、少なくとも公共工事受注企業からの政治献金の受け取りは、これはやめるということをはっきりさせるということが、政官業癒着と言われるこういった官製談合の背景を払拭する上でも極めて重要だろうと考えております。

 その点で与党提出者からお伺いをしたいと思っております。

佐藤(剛)議員 ただいまの御質問は、官製談合事件に関しまして、公共事業を請け負っている企業からの政治献金は禁止すべきではないのかという理解のもとで答弁させていただきます。

 現在、企業、団体は我が国の社会を構成する重要な一員であります。そして、政党等に寄附を行うということは、憲法上保障されている政治活動の一環として認められております。

 したがいまして、御指摘の寄附につきましては、現行法で読みますと、公職選挙法百九十九条に、国または地方公共団体などと請負等の契約にある者は、選挙に関し寄附をしてはならないとされておりますので、この規制の枠をさらに広げまして政治活動に関する寄附まで禁止すべきであるとは考えておりません。

塩川委員 重ねて、同じ質問を民主党の提出者にお伺いいたします。

長妻議員 塩川委員にお答えをいたします。

 我が党は、天下りも政治献金の考え方も、今の自民党とは全く正反対でございまして、まさに今委員言われたように、禁止が必要であるというふうに考えておりまして、民主党は、第百六十三国会において、政治資金規正法等の一部を改正する法律案を提出いたしました。

 法律案要綱の第八には、「国又は日本郵政公社と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該契約の成立した日から当該契約の終了の日後一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない」ということで、まず、事業者側に寄附を禁止するという規定を置いております。これは地方公共団体においても同じでございます。その上で、何人も、これらに違反してされる寄附であることを知りながら、これを受けてはならないということで、政治家側の規定も置いてございます。そして、違反者は、三年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処する、公民権停止を含むということで、我々としては、単なる収支報告書の訂正、訂正ということでごまかさないような形での罰則をつけた法案を提出しております。

塩川委員 政官業癒着を断ち切る、システム犯罪を根絶する上での対策としての天下りの規制と、それから政治献金の禁止、この点についての是正策こそあわせて求められていると考えます。

 今、談合防止と同時に、一方でダンピングの問題が大問題となっております。ですから、談合はこれは根絶をする、同時に、ダンピングについてもそういったやり方を改めさせるという点で、中小建設業による地域振興、これをその談合防止と両立させるということが政治の課題であろうと考えております。

 そこで、国土交通省に伺いますが、今、公共工事の超低価格競争の影響というのがいろいろな分野であらわれてまいります。国交省の直轄工事における低入札価格調査制度、これによる調査対象件数の推移を教えていただきたいんですが、二〇〇二年度、平成十四年度以降の数字について御紹介ください。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、現在、建設業界では、深刻な過剰供給構造などを背景といたしまして熾烈な受注競争が繰り広げられております。これに伴いまして、著しい低価格による入札案件が急増しているところでございます。

 実際、地方整備局発注の直轄工事につきまして低入札価格調査制度の対象件数を見ますと、平成十四年度から平成十六年度までは、おおむね年四百件台後半で推移してまいりました。しかしながら、平成十七年度には九百四十二件と急増しております。平成十八年度上半期も同様の傾向が続いているところでございます。

塩川委員 読売新聞の一面でも大きく紹介されましたが、国交省の直轄工事で落札率が六割に届かない件数というのは非常にふえている。国交省に確認をしましたら、これは上半期の対比ですけれども、昨年度が上半期で二十件だったものが今年度は六十六件と、大きく急増しておるわけであります。

 そこで、国交省がことしの四月に通知を出されております「いわゆるダンピング受注に係る公共工事の品質確保及び下請業者へのしわ寄せの排除等の対策について」では、このように述べております。「昨今、大規模工事において低入札価格調査制度調査対象工事の増加傾向が見受けられるが、いわゆるダンピング受注については、公共工事の品質の確保に支障を及ぼしかねないだけでなく、下請けへのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながるものであり、国民の安心・安全の確保や建設業の健全な発展を阻害するものである。」と指摘をし、対応策もそこで触れておるわけであります。

 そこで、与党提出者と民主党提出者にこの点にかかわってお伺いしますが、公共調達、公共工事におけるダンピング受注の問題についてのそれぞれの現状認識と対策についての見解をお伺いしたいと思います。

佐藤(剛)議員 ダンピング問題は、これは非常に重要な課題に私はなりつつあるだろうと思っておりまして、ダンピングというのは不公正な取引、違反でございますから、これについては、この独禁法運用というのでしっかりとやっていかないと、今起き上がってきている、価額だけを重視しまして、品質とか、先生御指摘の技術の問題とかというのを考えないでいくと、地方の方にどうも活力がなかなかいかない。これは大体GDPの一割ちょっと超えるんですね、一一%ぐらいのシェアを持っていますし、雇用者それから下請、孫請、電気、設備、そういうようなことを考えていきますと、非常に重要な課題だと思うんですね。

 ですから、これは、外国の場合におきましても、ダンピング、アンチダンピングという、アメリカとの間でしょっちゅう日本もやられたりしていますけれども、犯罪なんですね。ですから、その意味において、しかと私は独禁法の運用をやっていただきたいと思っております。きょうは、委員長御出席でございますので、あえて申し上げさせていただきます。

近藤(洋)議員 ダンピングに関する認識の御質問でございますけれども、民主党としましても、この問題は非常に深刻だと受けとめております。

 不当に安い価格で受注して、その結果、応札した企業が工事を建設できないという事態にも陥るわけでございますし、最終的に我々利用者が不利益をこうむるということだろうと思っておりますし、大変な構造問題だろう、こう思っております。

 公共工事にかかわらず、例えばソフト、通信事業においても、かつて一円入札ということがございました。ですから、公共調達において、これは公共工事にかかわらず、このダンピング問題はあるであろうと思っておりますので、例えば、制度としては、これは公共工事についていえば、アメリカで採用されている入札ボンド制度、入札の資格者についてある程度事前にチェックをする制度も必要でありましょうし、さらには、入札後の不服申し立て制度、これもまだ日本の場合は未整備でありますから、そういった制度面での対応が重要であろう。もちろん、価格だけではない、先ほども質疑ありました総合評価制度の採用も重要でありましょうし、そういった意味で、公共調達のあり方全体をやはり総点検する必要があろうかと思っております。

 また、あわせて、先ほど与党の先生からもありましたけれども、これは独禁法上のいわゆる不公正な取引であります。これは、何も公共調達に限らず、一般の民間の話でもあるわけですが、不当廉売等というのと同じことであろうかと思っておりますけれども、この点については、我々民主党としましては、不公正な取引については罰則を入れるべきであろう、こういうことをかねてから主張しているところであります。

 独占禁止法の改正も現在議論が進んでいる、再来年度ですかに向けて進んでいると聞いておりますので、この独占禁止法の中で、しっかりダンピング問題について罰則を入れて対処できるような制度が、これは公共調達に限らずの話でありますが、必要であろうかと思っております。

塩川委員 ありがとうございます。

 下請業者への影響と同時に、それはストレートに建設労働者の待遇に直結をするものであります。この間、公共工事の労務単価に見ても傾向的にずっと減少する中に置かれております。それが労働条件の悪化としてあらわれているところであります。

 そこで、国土交通省に確認しますが、この労務単価の推移がこの間どのようになっているのか、その点について、簡単で結構ですから御紹介ください。

大森政府参考人 お答えいたします。

 公共工事設計労務単価は、公共事業労務費調査に基づきまして、公共工事の工事費の積算に用いるため決定しているものでございます。

 近年の公共工事設計労務単価の傾向といたしましては、五十職種の全国平均でございますが、平成十七年度の労務費調査の結果といたしまして、十八年度は一万七千二百六十二円と前年度に比較して〇・七%の減となっております。また十七年度は前年度に比較して一・八%減、十六年度は三・六%減となっているところでございます。

塩川委員 労務単価の基準額の単純平均、五十職種の単純平均で聞いた数字でも、〇二年度、四年前が一万九千百六円が今年度は一万七千二百六十二円ということで、二千円近く大きく減少しているわけであります。

 これが、官公需の関係で、実際にそのダンピングの受注でどういうふうに出てくるか。例えば、ある政令市のお話を聞きましたけれども、ある政令市が発注をした庁舎の警備業務、これはほとんど人件費だけで賄われる仕事になってくるわけですが、予定価格が一億四千四百万円に対して、落札が八千八百万円であります。これは、その県の最賃をベースに、必要な労働時間、社会保険料、警備業務に当たる研修の時間、あるいは有給休暇、こういったものを、最低限のものを足し上げただけでも一億円はかかるとされているものが八千八百万円となっている。

 つまり、官公需の受注をしたその工事が最賃以下でしか行えないという事態が現実に起こっている、この点で極めて重大だと考えています。これはあくまでも役務の話ですけれども、公共工事においても、同様に大変な労働条件に置かれている労働者がふえているのではないかと考えます。

 そこで、国土交通省に聞きますが、先ほどの通達の中でも、対策として「下請業者への適正な支払確認等のための立入調査の強化等」とあるわけですが、例えば、建設労働者への実際の支払い額が、契約上の労務費と合致しているのかいないのか、契約上の労務費から大幅に下回るような実際の賃金支払いになっていないのか、こういった点について調査を行っているんでしょうか。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、最近、国等の発注の公共工事におきまして、極端な低価格による受注が著しく増加しているところでございます。このいわゆるダンピング受注につきましては、工事の品質の確保に支障を及ぼしかねないだけでなく、下請業者へのしわ寄せ、労働条件の悪化、また安全対策の不徹底等につながり、国民の安全、安心の確保や建設業の健全な発展を阻害するおそれがあるものと考えております。

 このため、国土交通省におきましては、今般のダンピング防止対策の一環として、一定の大規模工事を対象として、元請業者や下請業者に対する立入調査を実施し、契約の締結状況、また下請代金の支払い状況等の確認を行っているところでございます。

 先生御指摘の、労働者への賃金の支払い状況でございますが、これにつきましても、賃金台帳等関係書類のチェック、また一部労働者本人への聞き取り等により、確認を行っているところでございます。

塩川委員 元請業者、下請業者への立入調査の中で、賃金台帳などの調査も行っていると聞いておりますけれども、これは、下請も一次のレベルではなくて、二次、三次、四次と、そこのところが実際には大変な状況なわけですから、その点についての調査をきちっと行うべきだと思いますが、その点、いかがですか。

大森政府参考人 お答えいたします。

 今回の調査につきましては、一次下請だけではなく、二次以下についても適宜行わせていただいているところでございます。

塩川委員 実際の調査件数がことしでも九件とかという話ですから、その点について大いに徹底の努力が求められていると思います。

 あわせて、公正取引委員会に不当廉売の監視強化の問題で伺います。

 二〇〇四年に国交省や都道府県等発注者に対し、この低入札価格調査制度の対象となった案件について情報提供を求め、調査を行い、問題となる案件については不当廉売の行政指導を行ったと聞いております。こういった取り組みは二〇〇四年でとまっているわけで、今の事態に即して同様の取り組みを実施して、不当廉売の監視強化を強めるべきだと思いますが、その点、お答えください。

竹島政府特別補佐人 公正取引委員会も限られたマンパワーではございますけれども、不当廉売問題、ダンピング問題、大変大きな社会的問題にもなっておりますので、私どももできるだけマンパワーを割きまして、不当廉売の情報の収集に努めていきたい、それに基づいて、不当廉売に該当するものについてはきちんと対処していきたいと思っております。

塩川委員 低入札価格調査制度の対象となるような案件について情報提供を国あるいは都道府県から求めて、その中身について調査を行い、指導を行っていくということが必要ではないかと聞いているんですが、その点はいかがですか。

竹島政府特別補佐人 御指摘のような仕事の仕方も含めて、これからも必要に応じてやっていきたいと思っております。

塩川委員 談合と同時にダンピング、不公正取引の、こういった不当廉売の監視強化というのもあわせて強めていただきたいと思っています。

 この談合防止とダンピング防止を両立させた入札制度改革の問題では、長野の入札制度改革というのを非常に私は関心を持って見ておりました。

 といいますのも、建設工事で、〇一年、落札率平均が九七・四%が、その後、〇四年の九月には、最低のときには六五・五%まで落札率が下がりました。これではやはり地域との実情にそぐわなくなっているのではないかという取り組みの中で、〇四年度には七六%、そして〇五年度の平均で八一・六%となっています。そこの努力というのが非常に私は関心を持っているわけですが、予定価格の事前公表を事後公表に切りかえるですとか、また低入札調査の新制度を導入する、総合評価落札方式、こういうものを導入する取り組みが行われています。あわせて、小規模企業の受注機会の確保の独自の取り組みも行ったと聞いています。

 そういう意味でも、もちろん、ここも試行錯誤の過程であって、これですべてよしとされるものでは当然ありませんけれども、談合の防止とダンピングの防止と両立をさせた入札制度の改革にこそ努力をすべきだと考えています。

 あわせて、中小業者の受注機会の増大のために、官公需法に基づく取り組みとして官公需適格組合があります。この点での経済産業省としての、官公需組合がふさわしく生かされるように、国交省やあるいは地方に働きかけることが必要だと思うんですが、その点、伺わせてください。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 先生、官公需適格組合制度についてもう十分御存じだと思いますので、その説明は省略をいたしまして、私ども、そういう組合についての中小企業庁である種の証明制度をとっております。そういう組合がより受注の機会がふえるように、実は本年度の、先ほども触れました国等の官公需についての方針の中で、地方公共団体においても官公需組合制度の一層の活用を図るということを明示してございます。それを受けまして、経済産業大臣から各都道府県知事に、書面において、この官公需適格組合制度を最大限活用していただきたいということをお伝えしております。

 あわせて、もちろん、関係各省にはそういうことを周知しているわけでございますけれども、全都道府県において、そういう各県の契約担当者それから適格組合の方にも御出席いただいて、この制度についての説明を行って、その周知徹底、そういう組合の受注が増加するように努力をしているところでございます。

塩川委員 最後に一言。

 私ども、法案について、民主党案、官製談合防止法の法対象にNTTやあるいは日本郵政会社など民営化会社を加えているという点ですとか、附則に道路公団などの民営化会社の役員の関与防止の制度のあり方を提起している点など、与党案の不十分さを補うものとして改善面もあると評価をしております。

 相次ぐ談合事件の摘発から、関与公務員に対して民間人と異なる厳罰も必要だという世論があり、その点で、その際の対応として、入札談合に関与した公務員に対する処罰規定については、現行の官製談合防止法の行政目的の枠内で、限定した行政刑罰的な延長線上に処罰規定を創設する方がより妥当ではないかというのが私どもの考えであります。

 その点を最後に述べて、質問を終わります。

上田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ提出の官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案に賛成、与党提出の入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 私ども民主党は、国民への許しがたい背信行為である官製談合の根絶を図るため、発注者責任のさらなる厳格化を従前から主張し、昨年十月には、いち早く官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案を第百六十三回特別国会に提出しました。まことに残念なことに、同案は審査未了となったわけでありますが、防衛施設庁や福島県、和歌山県、宮崎県など、その後における相次ぐ官製談合事件の発覚は、まさに我が党の主張を裏づけるものであります。

 しかるに、今年の通常国会において、民主党からの再度の法案提出に対して与党は、理念も明確でないまま、対症療法的な内容の官製談合防止法改正案を提出したのです。しかも与党は、さきの国会で民主党案のみならず与党案をも継続審査とするなど、一貫して消極的な態度に終始してきたのであります。

 そして、今回、官製談合に対する国民の批判が高まったことを受け、ようやく与党も重い腰を上げ、審議に応じたわけでありますが、当委員会での質疑で明白になったように、民主党案、与党案を比較した場合、官製談合事件の防止の徹底を図る上で、民主党案は効果の面ですぐれた内容となっております。一方、これと理念、法体系などにおいて異なる与党案には、大きな矛盾と欠陥が含まれ、官製談合の防止には不十分なものと言わざるを得ません。

 以下、主な理由を申し上げますと、第一に、民主党案では、刑法を改正し、談合罪を目的犯でないものとするとともに、公務員の談合関与行為に対する処罰規定を設けております。特に後者については、罰金刑を設けないという厳しい内容となっております。しかし、与党案は、官製談合が重大な犯罪であるにもかかわらず、刑法での対応を避け、強いメッセージを発するものとはなっておりません。

 第二に、民主党案が、入札談合等関与行為に該当する行為として、発注者側による一定の不作為を追加するのに対し、与党案では、こうした発注者側の黙認について何ら触れられておらず、官製談合のかなりの部分は野放しになったままであります。

 第三に、民主党案では、職員の賠償責任等を厳格化するとともに、損害額について、裁判所が公正取引委員会に意見を求めなければならない旨の規定を追加しておりますが、与党案にはかかる観点からの規定が置かれておらず、運用にゆだねられております。

 以上、与党案では、厳しい世論を正面から受けとめようとせず、官製談合を根絶しようという姿勢が欠けているのは明らかであります。よって、私は、民主党案に賛成し、与党案に反対すべきものと考えます。

 民主党は、今後とも、官製談合であるか否かを問わず、談合の根絶に向けて全力で取り組むことを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

上田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより採決に入ります。

 まず、第百六十四回国会、達増拓也君外五名提出、官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、第百六十四回国会、保岡興治君外六名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 ただいま議決いたしました第百六十四回国会、保岡興治君外六名提出、入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案に対し、金子善次郎君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。金子善次郎君。

金子(善)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  近年、国や地方公共団体等が行う公共事業の発注や物品等の調達に際し、いわゆる「官製談合」と称される不適正な事件の摘発が続発している。

  このような官製談合は、官公需分野における公正かつ自由な競争を官公庁自らが阻害するのみならず、国や地方公共団体等における予算の適正かつ効率的な執行を歪め、ひいては政治及び行政への国民の信頼をも損ねるものであり、入札談合等関与行為の抜本的な排除及び防止を図ることは喫緊の課題である。

  よって政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 公正取引委員会は、調査の結果、入札談合等関与行為があると認める場合において、会計検査院にこれを通知するなど相互に十分に連携協力をし、もって入札談合等関与行為の抜本的な排除及び防止に万全を期すること。

 二 入札契約の一層の改善や外部監査の積極的な活用など、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに予算の適正かつ効率的な執行に向けた地方公共団体等の取組みを促進するとともに、公共調達制度の全般的な適正化について、関係省庁間の緊密な連携を確保し、施策の円滑な実施を図ること。

 三 公共事業等の発注事務等に携わる国及び地方公共団体等の職員に対する損害賠償の請求については、国民の税金を運用・執行するという職責の重大性を踏まえ、そのあり方について更に検討を行うこと。

 四 首長の多選が、入札談合等関与行為と密接不可分な関係にまで至っている事例もあるとの指摘にかんがみ、その弊害を除去しうる方策について早急な検討を行うとともに、いわゆる天下りが、組織的な入札談合等関与行為を強く誘引している実情を踏まえ、早期退職慣行の是正など、公務員の人事任用面における対策を早急に講ずること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、塩崎内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。塩崎内閣官房長官。

塩崎国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

上田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

上田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十六分散会


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