衆議院

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第6号 平成18年12月1日(金曜日)

会議録本文へ
平成十八年十二月一日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 宮腰 光寛君

   理事 後藤  斎君 理事 近藤 洋介君

      小此木八郎君    小里 泰弘君

      越智 隆雄君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    杉田 元司君

      薗浦健太郎君    平  将明君

      土井 真樹君    長島 忠美君

      丹羽 秀樹君    橋本  岳君

      早川 忠孝君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    増原 義剛君

      武藤 容治君    森  英介君

      やまぎわ大志郎君    山本 明彦君

      吉川 貴盛君    若宮 健嗣君

      小川 淳也君    太田 和美君

      北神 圭朗君    土肥 隆一君

      細野 豪志君    三日月大造君

      三谷 光男君    柚木 道義君

      鷲尾英一郎君    高木美智代君

      塩川 鉄也君    武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   経済産業副大臣      渡辺 博道君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 森川 卓也君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    竹谷 廣之君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          石田  徹君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    石毛 博行君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            近藤 賢二君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月一日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     越智 隆雄君

  清水清一朗君     長島 忠美君

  谷川 弥一君     早川 忠孝君

  野田  毅君     やまぎわ大志郎君

  森  英介君     薗浦健太郎君

  大畠 章宏君     土肥 隆一君

  川端 達夫君     三日月大造君

  鷲尾英一郎君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     杉田 元司君

  薗浦健太郎君     森  英介君

  長島 忠美君     小里 泰弘君

  早川 忠孝君     谷川 弥一君

  やまぎわ大志郎君   野田  毅君

  小川 淳也君     鷲尾英一郎君

  土肥 隆一君     大畠 章宏君

  三日月大造君     川端 達夫君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     若宮 健嗣君

  杉田 元司君     岡部 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  若宮 健嗣君     清水清一朗君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 平成十八年十月九日、北朝鮮が核実験を実施した旨の発表を行いました。

 このような北朝鮮の行動は、我が国の平和及び安全に対する重大な脅威をもたらすものであり、断じて容認できるものではありません。政府は、北朝鮮に対し厳重に抗議し、断固として非難するとともに、諸般の情勢を総合的に勘案し、北朝鮮に対し厳格な措置をとることを決定いたしました。

 これを受け、平成十八年十月十三日の閣議において、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮からのすべての貨物の輸入を禁止するとともに、当該措置に万全を期すため、北朝鮮から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引及び輸入承認のない北朝鮮からの輸入取引に係る代金支払いを禁止する措置を講じることとしました。このうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成十八年十月十三日の閣議決定に基づき、同年十月十四日より平成十九年四月十三日までの間、北朝鮮からのすべての貨物について経済産業大臣の輸入承認義務を課す措置を講じたことに加え、北朝鮮から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

上田委員長 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、財務省大臣官房参事官森川卓也君、水産庁漁政部長竹谷廣之君、経済産業省貿易経済協力局長石田徹君、中小企業庁長官石毛博行君及び中小企業庁事業環境部長近藤賢二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田和美君。

太田(和)委員 民主党の太田和美です。

 本日、大臣の御都合もあり、トップで質問させていただくことになりましたので、まず、そもそも論からお尋ねをしたいと思います。

 従来から条約や国際的な約束に基づく制裁措置については可能でしたが、平成十六年の外為法改正によって、我が国の単独の措置をとることが可能となりました。それと同時に、これは、議員立法を共同提案した民主党、自民党、公明党の中で、とりわけ民主党が強く主張したことでありますが、我が国単独の措置については国会の承認を得なければならないこととなりました。

 今回の対北朝鮮輸入禁止措置に関する承認案件は、平成十六年の外為法が改正されて以来初めてのケースになります。その意味で、まず冒頭に、経済産業大臣そして内閣官房副長官にお尋ねをしたいと思います。

 国会承認を求めることとした外為法第十条二項の意義についてどのような所感をお持ちになられているのか、お聞かせ願います。

甘利国務大臣 いわば、単独制裁法は平成十六年に議員立法で成立をしたものでありますけれども、外為法第十条では、今般発動した北朝鮮に対する輸入禁止措置のような単独制裁措置を政府が講じた場合には、事後的に国会の承認を求めることとされております。

 これは、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要がある場合に、政府として機動的に経済制裁を発動することを確保する一方で、国権の最高機関であります国会がそうした政府の判断をチェックする、あるいは連帯して責任を負うということによりまして、国全体として力強いメッセージを制裁対象国に発することを可能とするものと認識をしております。つまり、国会が政府の判断をチェックする、そして連帯して責任を負うという考え方に基づいているものと承知をいたしております。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 外為法第十条第二項に基づいた国会の承認については、経済制裁発動に関する政府の判断の妥当性を国会が事後的に評価し、不承認の場合は当該措置を終了させ、承認の場合には国全体の意思として当該措置を実施していく姿勢を効果的に示すことができると考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 この意義については、当時の審議の中でも、今大臣からもお話がありました、経済制裁というのは一種の強制力の行使であり、その目的は我が国の意思を被制裁国に対して強要することだ、その点について重い責任を我が国は持って決断をするわけだから、当然、国権の最高機関である国会で審議をし、なぜ経済制裁を閣議決定するに至ったかということについて国民につまびらかにする、そしてその結論については、承認をするということになれば国会が連帯をして責任を負う、そしてまた、閣議、内閣のもし行き過ぎがあれば、その点についても厳しくチェックをすると、提案者であった民主党の渡辺周議員も答弁をしております。今回の関与については、まさにそういう意義があるのだと思います。

 そこで、次に移りたいと思いますが、今回、北朝鮮からの輸入を禁止するという経済制裁措置の発動要件というのは何なのか、外務副大臣お見えですので、よろしくお願いいたします。

岩屋副大臣 十月十一日に発表した今回の対北朝鮮輸入禁止措置でございますけれども、まず、北朝鮮自身が核実験を実施したというふうに言っていた、それから、気象庁が確かに普通の、通常の地震波形とは異なるものをキャッチしていた、それから、北朝鮮のこれまでのミサイル開発と合わせれば、日本の安全保障に対する脅威が増した、さらに、拉致問題についてこれまで何ら誠意ある対応を見せてこなかった、さらに、国連安保理において国際社会としての厳しい対応をとるべく議論が始まっていた。これらの情勢を総合的に勘案して、我が国の平和と安全を維持するために必要だということでこの措置を実施したということでございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 いろいろあって総合的に判断ということだと思います。しかし、制裁に至る決定打というのは何でしょうか。いろいろと積み重なってきたが、決定打は、北朝鮮による核実験実施の表明だと理解してよろしいのでしょうか。

岩屋副大臣 今申し上げたように、これまでの累次の事柄を総合的に判断した結果ですが、確かに、北朝鮮自身が核実験を実施したとみずから発表したということが契機になったことは、先生おっしゃるとおりだと思います。

太田(和)委員 決定打が核実験実施の表明であるとすれば、これはきちんと説明をしてもらわないとなりません。

 と申しますのも、経過を振り返ると、十月九日に北朝鮮が核実験の実施を宣言しました。そして、十三日に経済制裁を閣議決定いたしました。ところが、この間、北朝鮮が本当に核実験をやったのか、アメリカも含めて世界が疑問視をして確認に走ったわけです。その後、二十七日になり、官房長官が、核実験を行った蓋然性が極めて高いという記者発表を行いました。これがやはり北が核実験をしていたんだという日本政府の公式な認定だとしたなら、その後に制裁措置を発表する道も考えられたのではないかというふうに思っております。

 誤解のないように申し添えておきますが、民主党はこの間、安倍総理に対しても、拉致問題の早期解決と北朝鮮への実効ある制裁を求める申し入れを行っております。また、今日の東北アジアの情勢の中で、北が核実験をやったと宣言するだけでも大変深刻なけしからぬ事態であるということは言うまでもありませんが、しかし、国家意思を強要することで、場合によっては緊張を高めかねないのが経済制裁ですから、これは国民に筋道を立てて丁寧に説明をする責任があると思うのです。

 当事者の宣言だけで判断をし、実際に実験したかどうか確認できる前に制裁を決定するというプロセスで十分だったかどうか。副大臣、いかがでしょうか。

岩屋副大臣 先ほども申し上げましたように、これまでの拉致問題に対する北朝鮮の不誠実な対応でありますとか、ミサイル発射でありますとか、ミサイル発射のときにも一定の措置を我が国はとっているわけですけれども、そういうことの延長線上に北朝鮮の核実験の発表があった。確かに異なる波形をキャッチしたという科学的な根拠もあったということで、それらを総合的に判断してこの措置をとったということについては、国民の皆様方にも十分に御理解いただけることではないかな、こう思っております。

太田(和)委員 確認は時間がかかる、その前に国家として態度を明確にしないといけないということでしたら、北の実施宣言の後に、まず実験をやったかどうか我が国として確認がとれた段階で、以下のような制裁措置をとりますと発表するやり方もあり得たと思いますが、御指摘にとどめさせていただきます。

 では逆に、制裁を解除する要件についてお尋ねをしたいと思います。

 経済制裁も外交カードの一つであって、相手のある交渉事ですから、今の段階で明確なことを言いにくいのはわかりますが、考え方だけでもお示ししていただきたい。核実験、ミサイル、拉致問題、総合的に判断して制裁を決定したと言っているわけですが、解除も総合的に判断されるのでしょうか。余り総合的な判断を連発されると国会で審議する意味が弱まりますので、わかりやすくお願いをいたします。

岩屋副大臣 基本的には総合的に判断することになるわけでございまして、先生御承知のとおり、北朝鮮からのすべての品目の輸入の禁止措置は、十月十四日から半年間実施されることになっております。この措置を含めた一連の措置が将来どう取り扱われるかということについて、現時点では予断をすることはできません。

 これから、拉致、核、ミサイル、こういった問題について北朝鮮がどういう対応をとってくるのか。それから、六者会合の準備が今進んでおりますけれども、六者会合で北朝鮮がどういう対応をとってくるのか。そういう点を総合的にまさに判断して、決定をするということになると思います。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 次に、経済制裁の実施に伴って、経産省はどのような実施体制を組むのか。影響を受ける中小企業への支援もあるでしょうし、税関が水際でチェックをする際、輸入禁止の適用除外のケースを判断していくのも経産省の仕事になると思います。的確かつ迅速に制裁措置を実施していただきたいと思いますが、取り組み状況をお聞かせください。

石田政府参考人 今先生の方から御指摘ございました中小企業対策あるいは迂回輸入の問題でございますけれども、まず、我が国独自の措置として今回講じました輸入禁止措置につきましては、その実効性を高めるという観点にかんがえますと、近隣諸国を経由して迂回をしてくる、これを防止することは極めて重要であると考えております。

 このため、迂回輸入を隠すための原産地の虚偽表示につきまして、外為法の無承認輸入や、あるいは不正競争防止法の不正競争行為として厳しく取り締まるということにすべく、関係省庁と連携しつつ厳正に対応しているところでございます。

 また、こうした迂回輸入を適切に摘発するために、第三国からの輸入が急増しないかをよく監視する。急増するような場合には、外為法に基づいて、輸入業者に対して報告徴収を求めていくというようなこともやってまいりたいと考えております。

 一方、今回の輸入禁止措置に伴いまして、中小企業者が影響を受ける懸念があることから、そうした点への配慮といたしまして、全国六百五十一カ所に特別相談窓口を設置いたしまして、事業に関する相談に応じるとともに、政府系金融機関によるセーフティーネット貸し付け、あるいは信用保証協会によるセーフティーネット保証による支援策等により、資金供給に問題が生ずることがないように万全を尽くしてまいりたいと考えております。

太田(和)委員 時間もなくなってまいりました。一つだけ重要な点をお聞きしておきたいのですが、民主党がさきに総理に申し入れをした際も、実効ある制裁のため、第三国経由の迂回貿易、送金等についても阻止するように求めております。この迂回輸入、北が原産地であることを隠して中国からのものとして輸入する。これを阻止しないと、輸入禁止措置が意味をなさなくなる。財務省、これはどのような対策をとられているんでしょうか。簡潔にお願いいたします。

森川政府参考人 お答えいたします。

 税関といたしましては、十月十四日に実施されました北朝鮮に対する輸入禁止措置を受けまして、迂回輸入を防止するという観点から、中国等の周辺諸国からの輸入申告がありました場合には、北朝鮮からの主要な輸入品でありました水産物等、これはアサリとかマツタケとか十六品目でございますが、これらの十六品目につきまして原産地証明書の提出を求めることとしております。

 この措置につきましては、関係国である中国等の税関当局、それから原産地証明書の発給機関等に対しまして連絡を行いまして、現実に協力を得ているところでございます。

 また、過去の北朝鮮からの輸入実績等を踏まえまして、北朝鮮からの輸入が多かった品目につきまして、仕入れ書、契約書等の関係書類に基づく慎重な審査、それから貨物、そのこん包材に付された表記の確認、これらによりまして、貨物の原産地を一層厳正に確認するということにしております。

 今後とも、経済産業省等と緊密な連携を図りながら、周辺諸国からの輸入貨物に対する厳正な審査、検査を実施しまして、今般の措置の実効性の確保に努めてまいりたい、このように考えております。

太田(和)委員 時間もなくなってまいりましたので、まだまだ重要な問題もありますが、先輩議員の質問に期待をすることにいたしまして、最後に、大臣、済みません、お時間がないところで申しわけないんですが、実効ある経済制裁の実施、我が国としての決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

甘利国務大臣 このたびの北朝鮮によるミサイル発射、核実験といった一連の行為は、我が国の安全保障に対する脅威を著しく増すものでありまして、また、北東アジア及び国際社会の平和及び安全への脅威となることでありますから、断じて容認できないものであります。

 我が国といたしましては、断固たる姿勢を示すべく独自の措置を講じるとともに、国連安保理決議において、北朝鮮に対して国際社会と協調して厳しいメッセージを発出してきたところであります。

 今般、六者会合が再開される動きにありますけれども、重要なことは、北朝鮮が核兵器や弾道ミサイルの開発計画の放棄など、我が国及び国際社会が求めることについて誠意ある対応を実行するということでありまして、それが見られるまでの間は粛々と制裁措置を実施していくべきものと考えております。

 いずれにいたしましても、政府一体となりまして北朝鮮に対する断固とした措置を進めていく考えでありまして、結果として、北朝鮮が国際社会の要請を踏まえた対応をとっていくということを強く期待いたしております。

太田(和)委員 終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次に、丹羽秀樹君。

丹羽(秀)委員 おはようございます。自由民主党の丹羽秀樹でございます。

 きのうあたりから急に朝晩の冷え込みが厳しくなってまいりました。本日は、北朝鮮に対する外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について御質問させていただきます。

 まず、今回、私の考えでございますが、北朝鮮のミサイル発射や核実験について、これは北朝鮮自身が北朝鮮なりに計算して、このことによって得をすると思ってやったわけでありますから、今後このような暴挙をさせないためには、得をさせない、損をさせることが必要であると私は考えております。私は、核実験後の政府の迅速な対応に改めて敬意をあらわしたいと思っておりますが、今回の法案について、我が日本の国は二つの制裁カードを持って北朝鮮に対して毅然とした対応を行うことが必要であると考えています。

 特定船舶の寄港禁止ができる法律と外為法改正によって送金停止ができる法律、既に小泉政権の段階で日本は金融制裁を発動し、北朝鮮の大量破壊兵器と関連する疑いの強い十五団体、一個人を対象に、国内金融機関からの預金引き出しや海外送金を事実上凍結するという措置をとりました。まだもう一方は使われていない状況でありましたが、こういった送金停止というのは非常に、一過性の効果があるだけじゃなくて、持続的な効果があると思っています。そういった意味で、北朝鮮が今後心がけを改めるまでは、私はこれを続ける必要があると思います。

 また、今回の北朝鮮の核実験に対して、政府が、人と物の移動を禁止する、その手段としてすべての船の入港を禁止するという制裁措置をとったことは、非常にこれまたタイムリーであったと思います。一部に、いまだ本当に核実験をやったのかどうか確認できていないのに、時期尚早ではないかという意見もありますが、曲がりなりにも、主権国家である北朝鮮自身が核実験をやった、成功したと宣言している中で、核実験を行ったとみなして、今回の措置は国際条理的に反していないと思っています。

 その中で、北朝鮮に対する安保理決議で経済制裁が科せられたわけでありますが、これについて、実効性があるよう我が国としてもやるべきことはやっていかなければならないということは、これまた当然のことであります。北朝鮮は、この安保理決議に対して、宣戦布告とみなす、物理的手段で報復すると相変わらず厳しい言葉を吐いているわけでありますが、我が国はそれに屈することなくきちんとした対応をすべきであると思っています。

 今回の質問に対しまして、今回制裁措置を実行するに当たり、現在、北朝鮮の近隣諸国にある我が国と北朝鮮との貿易の実態についてお答えいただきたいと思います。また、さらに、制裁後の貿易額の数値の変化についてもお答えいただきたいと思います。

石田政府参考人 北朝鮮との貿易関係についてのお尋ねでございます。

 近年、日朝間の貿易と申しますのは、拉致問題を初めといたしますさまざまな問題を背景に、減少傾向にはございました。

 昨年のベースで見ますと、日朝間の輸出入は、輸出総額が六十八・八億円、これは、二〇〇二年の百六十五・五億円と比べますと五八・四%の減少ということになっております。また、輸入につきましても総額が、昨年百四十五・四億円でございますけれども、これも、二〇〇二年の数字と比べますと、二百九十四億円から五〇・五%の減少ということになっております。

 措置導入後の状況についてもお尋ねがございました。

 十月十三日に輸入禁止措置を決めまして、実際施行されましたのは翌十四日からでございますけれども、それからまだ一月半ということで余り時間の経過はないわけでございますが、最新の貿易統計で十月単月の数字が出ております。

 これで見ますと、十月単月の我が国の北朝鮮からの輸入総額は六億円、これは、前年同月比で見ますと五三%の減少ということになっておりまして、輸入をとめたということが数字の上でも反映しているかと思います。また、我が国からの北朝鮮への輸出につきましても、この十月の数字は二・六億円ということで、前年同月比六一%の減少ということになっております。

 品目別に少し内訳を見ますと、十月、輸入については、石炭が前年同月比一〇〇%減、要するにゼロになっている、それから魚介類が同四〇%減、果実・野菜が同五八%減と大幅に減少いたしております。輸出につきましても、輸送用機器が前年同月比で五九%の減、電気機械関係が同六九%減と大幅に減少しているところでございます。

丹羽(秀)委員 今回の制裁措置が北朝鮮にとって、かの国は正式な数字は公表、発表していないかもしれませんが、打撃であるということは私は間違いないと思っています。また、北朝鮮への制裁支持という点では、我が国の国内世論もある程度一致しており、時間が北朝鮮に味方することは考えにくいので、今後北朝鮮が態度を改めない限り、制裁措置を継続していくことも、先ほど大臣もおっしゃいましたが、考えなければならないと思っております。

 先ほどの貿易額と関連する質問でございますが、我が日本の国の北朝鮮との主な輸出入の品目についてお答えいただきたいと思います。

石田政府参考人 北朝鮮との貿易の主な品目でございます。

 まず、輸出につきましては、二〇〇五年のベースで見ますと、主にバス、トラックあるいは乗用車が大宗を占めます輸送用機器が三十億円、輸出総額の四三・六%を占めております。次いで、男子用衣服、スーツ等の委託加工のための原材料品としての合繊織物、あるいは毛織物や綿織物が大宗を占めております繊維関係が八・七億円で一二・六%。それから、絶縁電線とかスイッチ、ヒューズのたぐいでございますが、こういったものの関連の電気機器関係が五・五億円、八%ということになっております。

 経年的に見ますと、過去五年間でこの上位三品目には大きな変動はございませんけれども、いずれの品目もおおむね減少傾向にございます。二〇〇二年比で見ますと、輸送用機器が三六%の減、それから織物用糸・繊維製品関係が七八%減、電気機器関係が七五・三%の減ということになっております。

 他方、輸入について、同じく二〇〇五年のベースで見ますと、主な品目は、ウニ、カニ、アサリ等のいわゆる魚介類が四十・五億円で二七・九%、次いで石炭類、これは無煙炭でございますけれども、十九・三億円、一三・二%、それからマツタケ等の果実・野菜が十六・七億円で一一・五%ということになっております。

 経年的に見ますと、二〇〇二年以降、これら上位三品目のほかに、電気機器や衣類あるいは附属品といった項目が挙がっておりますけれども、無煙炭が若干増加傾向にあったことを除くと、全体として減少傾向にございまして、特に魚介類は対二〇〇二年比で七一・八%減、果実・野菜等は一二・八%の減というような状況になっております。

丹羽(秀)委員 先ほどの北朝鮮貿易額の推移等と比べましても、年々、貿易額は二〇〇一年を除いては減ってきていると思っています。この二〇〇一年は人道的支援等もございましたので、貿易額がふえたという面では仕方ないと思いますが、ただ、貿易額の中でも、輸入について、水産物の貿易額がまだ非常に多いと思っております。後ほど水産物については御質問させていただきますが。

 今回の措置について、北朝鮮と直接的な貿易や大量破壊兵器関連貨物等について、水際できちんとチェック体制はできている、そういった措置ができていると思っておりますが、北朝鮮からの迂回輸入について、経済産業省の対応をお聞かせいただきたいと思います。

石田政府参考人 迂回輸入の防止でございますが、この措置をとりました後、十月二十日に、内閣官房に北朝鮮貨物の迂回輸入の防止に係る関係省庁会議というのが立ち上がっております。こうした場などを活用いたしまして、政府内で関係省庁間の連携の強化を図りながら対応しているということでございます。

 経済産業省といたしましては、迂回輸入につきまして、第三国からの輸入が急増していないかどうかをよく監視し、急増しているような場合には、輸入業者からの報告を求めて、不審なことがないかチェックをしてまいりたいということで考えております。

 また、迂回輸入を隠ぺいするために、原産地の虚偽表示等が考えられるわけでございますけれども、こうしたことにつきましても、外為法の無承認輸入でありますとか不正競争防止法の不正競争行為として取り締まり対象になりますので、こういったことについて、税関等とも連携を図りながら厳正に対応してまいりたいというふうに考えております。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 迂回輸入について、外為法だけではなくて、関税法、JAS法と、分野は違うかもしれませんが、やはり各省庁がきちんと連携して、また連携を密にとって、しっかりとしたチェック体制をやっていくことが重要であると思っています。

 ほかの国へ行った商品がまた日本に流れてくるということは非常にチェックしづらいかもしれませんが、やはり水際できちんととめない限り、不正に迂回して入ってくる危険が非常にありますので、そういった面の体制を強化していただきますよう、何とぞよろしくお願いいたします。

 さきの十月十四日、ニューヨークで北朝鮮に対する奢侈品の供給等を防止することを決定する国連安保理決議第千七百十八号が採決されたわけでありますが、この奢侈品の品目について、品目の作成に当たる基準等を教えていただければありがたいと思います。

石田政府参考人 今般の奢侈品の輸出禁止措置でございますけれども、先生今御指摘のように、安保理決議一七一八号を履行するということでございます。

 こういう観点から、考え方につきましては、北朝鮮の一般人が日常生活において必要とするものではなく、主に北朝鮮幹部が使用する、あるいは部下らに支給すると想定される品目を、日朝間の貿易実態も考慮に入れながら選定をしたということでございます。この際、こうした考え方等につきまして、米国初め主要国と情報交換を行う等のすり合わせを行いながら最終的に決定したものでございます。

丹羽(秀)委員 我が国の奢侈品、私も二十四項目は覚えていますが、三十三項目実際ある中で、見ますと、牛肉やマグロのフィレ、キャビア・その代用品、また酒類、たばこ、香水、化粧品、さらには宝石、貴金属、映像オーディオ機器、モーターボート・ヨット、本当にさまざまな奢侈品があると思っております。この奢侈品の輸出額の総計を見ますと、これはまさに、経済貿易というよりは、むしろごく一部の階層のための貿易であるんじゃないかということも見受けられます。

 昨日、アメリカの奢侈品の品目が発表されたわけでありますが、デジタル携帯音楽プレーヤー、アイポッドとか、立ち乗り電動二輪車セグウェイなどが入っておりました。本当にごく一部の階層のための貿易であるなら、これは非常に問題があると思っています。

 ぜいたく品、奢侈品の輸出禁止は、北朝鮮の市民の生活に影響を与えない範囲で、しかし金正日体制の権力維持構造に打撃が与えられるように、よろしくお願いいたします。

 今回の北朝鮮に対する措置について、我が国の中小企業に対する経済産業省の支援対策をお聞かせいただきたいと思います。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 経済産業省といたしましては、北朝鮮からの輸入禁止措置の発動を踏まえまして、十月十三日でございますけれども、全国六百五十一カ所に特別相談窓口を設置いたしました。これは、商工会議所でございますとか商工会連合会、さらには政府系金融機関、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫といったところでございますけれども、そういったところを含めまして、相談窓口をまず設置いたしました。政府系中小企業金融三機関のセーフティーネット貸し付け、それから信用保証協会のセーフティーネット保証による支援策といったことを講ずることで、資金供給に問題が生じることがないように対策を講じたところでございます。

 少し中身を御説明させていただきますと、セーフティーネット貸し付けは、中小企業金融公庫と商工組合中央金庫では四億八千万円、国民金融公庫では四千八百万円を限度に貸し付けを受けることができるところでございます。また、セーフティーネット保証でございますけれども、これは、信用保証協会での一般の保証二億八千万円に加えまして、さらに二億八千万円までの保証を受けることができるわけでございます。

 また、こういったことを中小企業者にわかりやすく理解をしていただくために、リーフレットを二万枚つくりまして、全国で特別相談窓口を通じて配布をいたしまして、相談に応じたところでございます。

 その結果といたしまして、中小企業庁それから特別相談窓口に、十一月三十日、昨日までの段階で、八十三件の相談が寄せられておるところでございます。水産品の輸入業者、中古車、バイク、家電輸出業者等々から融資、保証についての問い合わせがあったところでございまして、こういったところに対して適切に答えながら、きめ細かい対策をしておるところでございます。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 セーフティーネットを含め、十月十三日から緊急に窓口を全国で六百五十一カ所つくっていただきました。こういったことは、本当に非常にすばらしい迅速な対応であると非常に感謝いたします。

 ただ、今のお話の中で、金融支援だけではなくて、やはり業者に対する経営に対するアドバイス、北朝鮮にだけ向くんじゃなくて、いろいろな国を向いた方がいいんじゃないか、もしくは、こういったやり方があるんじゃないか、そういった経営的なアドバイスも、ぜひとも今後そういった相談窓口で対応していただきたいと思います。

 水産物に対する質問でございますが、北朝鮮に対する輸入禁止の制裁措置によって影響を受けている水産業者というのが、特に鳥取県の境港ではあるということを聞いております。水産業者への政府の対応をまたお聞かせいただきたいと思います。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 水産関係、北朝鮮からの輸入が相当程度あるわけでございまして、近年減ってきているところでございますけれども、依然としてある程度あったわけでございます。

 そうした中で、今回の経済制裁措置によります影響の度合いでございますけれども、国内の供給量に占めます北朝鮮からの水産物の供給の割合のシェア、これは、全体として見ますとそんなに大きくはございません。したがいまして、全体としての影響というふうに考えますと、限定的というふうに考えている次第でございます。

 ただ、今委員からも御指摘いただきましたように、ベニズワイガニの加工業、これは境港を中心にございますけれども、これに関しますと、北朝鮮からの原料に依存している業者というのは一部ございまして、この方々にとりましては相当程度の影響が出ているという状況にあるわけでございます。

 それに対しまして、私どもといたしましては、まず、こういった方々に相談窓口を設けまして御相談に乗るということもやっておりますし、また、金融面の支援措置という面でも取り組んでいるところでございます。

 金融面の措置といたしましては、先ほど経済産業省の方からもお話がございました中小企業向けのセーフティーネット貸し付けがございますけれども、そのほかに、私どもの方で持っております水産加工の経営改善促進資金の制度あるいは水産加工資金という制度がございまして、運転資金それから設備資金、両面にわたりまして融資する体制をとっておりますが、その資金があるだけではなくて、今回の措置にかんがみまして、その影響の緩和措置といたしまして金利負担軽減を行おうということで、最大二%の利子助成を行って、そういった影響を受ける方々に対する対応策というものをとっている次第でございます。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 先ほどの中小企業庁の方にも言いましたが、金融支援という面で、運転資金や会社の運営資金、それだけではなくて、今回金利面でも随分と優遇していただいて、現場の漁業関係者は本当に感謝していると思いますが、やはり、経営に対するアドバイス、また漁業に対するアドバイス等も含めた対応もしていっていただかないと、今後、操業する場所が変わる、もしくは品目が変わるだけで、やはり漁場が荒らされていったりする問題もあると思います。そういったことをやっていただきたいと思います。

 そしてまた、今後、輸入禁止の影響について、適切なフォローアップを進めていただくとともに、必要に応じて追加的な措置の実施と適切な対応を講じていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 今回の件により、私は、六カ国協議が再開される可能性が多少でも出てきたのかなと思っております。さきの経済制裁が、ボクシングのボディーブローのようにじわじわと北朝鮮に対してきいてきていると思っています。

 この六カ国協議は、今後必要なプロセスのまだまだ第一歩である。日米韓の三カ国は、六カ国協議再開に当たり、北朝鮮の核放棄への具体的行動を明示するように求めていますが、北朝鮮は相変わらずの金融制裁措置の解除を優先する立場を強調したと新聞等で報道されています。北朝鮮は、先月の二十八日には、核実験を通じて米国に対する防御的措置をとったので、その地位で堂々と話ができると、核保有国の立場を改めて強調したわけでございますが、対米強硬姿勢を示したと私は思っています。

 北朝鮮は経済制裁を解除することが前提だと言っていますが、私は、その前に、例えば北朝鮮の問題とされていますにせ金、またにせたばこの製造をやめなければいけない、あるいは麻薬取引をやめる、それに伴うマネーロンダリング等をやめなければいけないと思っています。また、それをやめると同時に、世界各国がそれをやめたことを検証できるようなシステムを、世界各国が連携して築き上げていくことも重要だと思っています。

 今回の制裁決議の方は、北朝鮮が核を放棄するということで初めて制裁決議は解くわけでありますけれども、我が国が独自に行っている制裁は、核、ミサイル、拉致、これら全部を解決しなければ解かない、そういった姿勢で臨まなければ、かの国は納得しないというか、解決にならないと私は思っています。我が国の政府のそういった強硬な対応で、しっかりとした、安倍内閣も、発言できる外交をと言っております、ぜひともそういった外交もしくは経済制裁を政府がとっていただきますよう、何とぞよろしくお願いいたします。

 ちょっと、質問にはございませんが、先ほどの迂回輸入の件で御質問させていただきます。

 今回の法案によって、原産地または積載地域が北朝鮮である貨物の輸入の代金の支払いを禁止するという項目がありますが、これは例えば具体的にどういった行動をとっていらっしゃるのか、お答えいただける範囲で結構でございます。よろしくお願いします。

石田政府参考人 今先生の御質問の点は、輸入の禁止措置に伴って付随的に私どもが講じた措置でございますけれども、これは、基本的にはお金のやりとりについては財務省の所管のもとで処理されているわけでございますけれども、今先生がお話しになったのは、例えば輸入契約に基づいて代金が先払い的に払われるようなケースが時々あるわけでございます。そうしますと、輸入をとめてもお金だけ先に出ちゃっているというケースがあり得るので、そういうことがないように、そうしたこともあわせて今回停止をしたということでございます。

丹羽(秀)委員 迂回輸入の件について、迂回輸入というのは、関税法、外為法、先ほど言いましたJAS法を含め、本当にさまざまな法律があります。特に、迂回輸入でもし日本国内に入ってきた場合、入ってきたものを追っかけていくというのは非常に難しい、特に農水産物に関しては非常に難しい中で、JAS法というのが現在あります。そういった法律をきちんと、各省庁が本当に連携しないと、どんどんどんどんほかの各国から入ってくる状況もあります。

 ぜひとも各国の貿易額をきちんと、ただ、日本と北朝鮮との貿易額を見る限りそんなに、そうトータルが多いわけでもないので非常に見つけにくいことかもしれませんが、ただ、日本の我が国がそういった経済措置をとっている、そういった段階においては、やはりやるだけ当然結果を求められるわけであります。ぜひともきちんと、その迂回輸入に関して、我が国の経済産業省を含め各省庁の連携した対応をますます強く願うばかりでございます。よろしくお願いいたします。

 ちょっと質問時間が余ってしまいましたが、これで終わらせていただきます。

上田委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 本日は、このような質問の機会を与えていただきましたことを、関係の皆様方にまず御礼を申し上げます。

 早速でございますが、今回は、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について御質問させていただこうと思っております。

 冒頭、大臣が不在ということでございまして、ちょっと質問の順序を変えながら御質問させていただきたいと思っております。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 今回の措置については、中小企業対策といたしまして、先ほど来委員の先生方からも、そしてまた政府側からも御説明のあったとおり、セーフティーネット貸し付け、そしてセーフティーネット保証といった制度が設けられておりまして、また、相談窓口が六百五十一カ所にわたって設置されているということでございます。

 このうち、セーフティーネット貸し付けと呼ばれるものについては、幾つか要件があるという話を聞いております。その要件と申しますのは、北朝鮮に対する輸入禁止等の制裁措置の影響によりまして一時的に売上高や利益が減少しているものの、中長期的にはその業況が回復することが見込まれる、そういう先に対してセーフティーネットとしての貸し付けを行うという制度だそうです。

 そもそも、ある意味、北朝鮮との取引が大部分を占める企業というのは、当然これは業態を変更せざるを得ないぐらいの重要な影響があるだろう。それこそ、今六カ月間という単位ですが、取引がこの先どうなるかわからないという中で、果たして業況が中長期的に回復するかどうかの判断も、これは大変難しい判断になるのではないかなというふうに思いますが、こういう業況の回復ないし一時的に大幅に業績が低下しているというところの判断をしなければいけない一方で、これは一つ潜脱行為というものがありますから、これについてもしっかりと審査をしていかなきゃいけないというふうに考えるわけでございます。

 では、そういう厳しい審査の中で、例えば潜脱行為に対して、しないとかという意思確認をしっかりした上での、そういう行為が行われない、要するに、しっかりと内容の伴った融資がなされるために、どういうことを念頭に置きながら経済産業省として対応されていくのかということをまずもってお聞きしたいと思います。

高木大臣政務官 お答えいたします。

 今御指摘ございましたように、まず、中小企業の対応につきましては、一つは、中小公庫等の政府系中小企業金融三機関におきまして特別相談窓口を設置、またもう一つは、相当打撃を受けます中小企業に対しましては、セーフティーネット貸し付けが利用可能とする等の措置を講じたところでございます。

 他方、御指摘のとおり、こうした措置の潜脱行為を防止するために、貸し付けの審査に際しましては、相手先企業の資金使途や事業計画を確認する等、厳正な審査を行うこととしております。また、潜脱行為を行った場合には繰り上げ返済をしていただくこととしております。

 いずれにしろ、今後とも、内閣官房を中心とした関係省庁と緊密に連携をとりつつ、影響を受ける中小企業者の実情に応じた対応を行いながら、資金供給に支障の生ずることのないように万全を期してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 次の質問ですが、政務官、韓国で最近、三八六スパイ事件というのが摘発されましたが、この三八六スパイ事件というのは政務官は御存じでしょうか。

高木大臣政務官 承知しておりません。

鷲尾委員 これは、簡単に説明申し上げますと、三八六世代という方々が、盧武鉉政権の中枢に入っている要人も含めまして、非常に反米、反政府活動を若いころ行っていました、そういう人たちが、ある意味、韓国の産業界及び政界の中枢にまでいろいろいる。要人に、いろいろそういう反政府、反米活動を行っていた人たちがいたのですけれども、それが金正日の意向を受けて組織化されておったということが韓国で判明した事件でございまして、現職の政治家も金正日の朝鮮労働党の指示を受けて、韓国の中枢にいながら韓国の国家機密を北朝鮮に流していたのではないかというような事件が、実は十月の下旬に韓国の方で摘発されたという話なんです。

 何を申し上げたいかといいますと、韓国で、要するに、産業界も政界も、そういう地位にいわゆる北朝鮮のスパイが潜り込んでいたというような事件があった、では日本はどうかという話なんです。

 こういうセーフティーネット貸し付けということを行う際に当たって、例えば、そういう北朝鮮に対する、北朝鮮の意向を受けたスパイ活動等を行っているような先が、要するに、普通の真っ当な社会活動を行っているような顔をしながらセーフティーネット貸し付け窓口に来ることも考えられるわけです、当然ですが。ですから、こういう企業に対してもしっかりと、先ほど申し上げました潜脱行為か否かという問題ではなくて、これは完全にシャットアウトしなければいけない問題ですので、これについての対策も講じなきゃいけないだろう。

 そればかりではなくて、例えば反社会的組織、運動をする人たちに対しても、これは広くしっかりと網をかけなきゃいけないだろうというふうに思うのですが、これについては、やはり経済産業省だけでは対応できないんじゃないかなというふうに思う部分もあります。そのことにつきまして、例えば警察庁との連携とかも含めましていろいろな対策が考えられると思うのですが、政務官の御見解を求めたいと思います。

高木大臣政務官 中小公庫等の融資の条件といたしまして、公序良俗の観点から見て問題がある場合は資金供給の対象としない旨、明確にうたってございます。今御指摘ありましたとおり、相手先企業が犯罪行為を行っていることが明らかであるなど、政府系金融機関が資金供給を行うことが適当ではない場合には、当然、セーフティーネット貸し付けのみならず、政府系金融機関の融資の対象とはしないものと考えております。

 今御懸念のとおり、当然、警察との連携であるとか、そうした点も大事になってくると思いますので、慎重に連携をとらせていただいた上で判断をさせていただきたいと思っております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 続きまして、今度はセーフティーネット保証についてお伺いさせていただきたいと思います。

 これも、セーフティーネット保証の適用を受けるためには一つ要件がございまして、これは不況業種の指定が行われて、その不況業種の指定がある場合においてのセーフティーネット保証制度があるという話なんでございますが、この不況業種の指定というのは、お聞きいたしますと、前年度売り上げ比等、ちょっと期間を置いて観察して、それで不況であると認められた場合に指定をするという話でございますが、不況業種に指定されていない業種に属されている方々というのは、全くもってこういう制度が利用できないのかどうか。それもある意味、制度運用としては十把一からげというか画一的ではないかという気がいたすのでございますが、この点についても政務官の御答弁をお願いしたいと思います。

高木大臣政務官 まず、経済産業省といたしまして、先ほど来申し上げさせていただいておりますが、北朝鮮に対する制裁措置の影響を受けている中小企業の方々を対象としまして、全国六百五十一カ所に特別相談窓口を設置し、個別の中小企業の実情に応じて利用可能な融資・保証制度を案内するなど、きめ細やかな相談を行っております。

 まず、特別相談窓口で紹介しております具体的な支援措置としましては、業種にかかわらず広く利用可能な制度である信用保証協会の一般保証や政府系金融機関のセーフティーネット貸し付けが挙げられます。これは不況業種に指定しておらなくても広く使うことができます。これらの支援措置につきましては、中小公庫のセーフティーネット融資で四億八千万円までの貸し付けが可能であるなど、苦境に陥っている中小企業に相当程度の資金を供給することが可能となっております。

 さらにそこから、特定の不況業種に属しているなどの要件を満たす、特に厳しい状況に置かれている中小企業の方々につきましては、保証料率を引き下げるなど、通常の保証よりも有利な条件で保証を受けることができますセーフティーネット保証を利用することが可能となっております。ですので、広く制度があり、さらに、特定をしまして厳しいところにセーフティーネット保証を利用することが可能となっている、二段階でございます。

 こうした措置を活用いたしまして、引き続き、制裁措置の影響を受けている中小企業の方々の資金調達の円滑化にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 続いての質問ですが、先ほど来委員の先生方からも御質問がありましたが、中小企業者への相談窓口、これについて、六百五十一カ所設置されたという話がございました。そしてまた、現在までに八十三件の相談があったというお話でございます。また、二万枚リーフレットを刷って告知に努めているというお話がございました。

 これは通告していない質問にもなりますが、その八十三件というのは、窓口が設置されましてから現在に至るまで、例えば、その窓口に相談が来る案件がよりふえていっているのか、それともより減ってきているのか。

 要するに、当然、制裁措置をするということである程度影響がある。当初は影響がなかったのでそんなに窓口に質問がなかったけれども、最近すごくふえてきていると。それと、では逆に、最初から窓口にかなりの相談があって、現在はだんだん収束しているんじゃないか、今後はなかなかそういう問題は起こらないんじゃないか、そういうとらえ方もできると思うので、窓口に相談が来ましたよというその推移というのをひとつ教えていただきたいなというのと、先ほど、二万枚リーフレットを刷ったというお話でございますが、これは、リーフレットを刷って、大体どういうところに置いて、それこそ、相談に来られる方がぱっと見てわかるようなところに置かれているのかどうかというところもお聞きできたらなというふうに思いますが、よろしくお願いします。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、相談窓口への相談の件数でございますけれども、例えば、この制度がスタートいたしましたのが十月十四日、十三日に設置を決めまして、十四日からでございますが、その直後の一週間は二十七件、その後、十九件、十件、十二件と、そのちょうど一カ月ぐらいの間は、週に十件ちょっとぐらいの、ないしは二十件ぐらいのペースでございます。ただ、最近は、十一月に入りましてからでございますと、それぞれ、十二件、七件、三件とだんだん減ってまいりまして、やや減少傾向にあるのかな、こんなふうに思っているところでございます。

 また、リーフレット、パンフレットの件でございますけれども、これは、先ほど来御説明させていただいております全国六百五十一カ所の特別相談窓口でわかるように置かせていただいて、関係者の方に資料として配らせていただいて、これを見て、まずこのパンフレットには、どこに相談をしてほしい、どこに電話をしたら相談できますよというのが書いてございます。もちろん、どんな融資が受けられるというのも書いてあるんですが、まず電話をして相談をしていただく、ないしは来ていただいてよく相談をしていただく。こういうつもりでやらせていただいておりまして、活用していただいているもの、こんなふうに理解をしているところでございます。

鷲尾委員 どこに置いてあるんですか。

近藤政府参考人 それぞれの、今申し上げました、中小企業の政府系金融機関の窓口のところ、それから商工会議所の窓口のところ、そういったところに置かせていただいているところでございます。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 続きまして、今回の制裁措置で、奢侈品の輸出禁止という二十四品目ですね。二十四品目、奢侈品を輸出禁止措置にしますという話でございますが、この一から二十四ある項目というのはどういう点を考慮して決定がなされたのかどうかというところについてお聞きしたいと思います。

石田政府参考人 今般の奢侈品の輸出禁止措置でございますけれども、安保理決議一七一八号に基づきまして奢侈品の輸出を禁止するということが決まったわけでございます。

 具体的な範囲については各国にゆだねられたわけでございますけれども、それまでの安保理決議をめぐる交渉の経緯等から、北朝鮮の一般人が日常生活において必要とするものではなく、主に北朝鮮幹部が使用する、あるいは部下に支給すると想定されるような品目を、日朝間の貿易実態も考慮に入れながら選定いたしたものでございます。この過程で、米国を初め主要国とも情報交換等のすり合わせを行ってきております。

鷲尾委員 了解いたしました。

 では、医薬品についての話をさせていただこうかと思うんですが、先般、報道等にもありましたとおり、医薬品を輸出するに当たって、当然、それが、人道上必要と言うとあれですけれども、単に治療上に必要であるという場合もあるわけで、ところが、その医療品自体、北朝鮮においてどういう使われ方をしているのかわからないという実態もある中で、そこでちょっと、大臣おられませんので、まずもって、医薬品についてどういう貿易管理体制になっているのかというところをまずお聞きしたいと思います。

石田政府参考人 外為法のもとでは、国際的な平和及び安全を維持する観点から、大量破壊兵器関連の貨物等を輸出する場合には経済産業大臣の許可が必要だということになっております。そうした規制体系の中で、一般に医薬品と申しますのは、規制品目が輸出貿易管理令に明記されておりますリスト規制の対象にはなっていないということで、そういう意味では、常に輸出許可が必要な品目とはされておりません。

 ただ、二〇〇二年から、これは国際的な合意に基づいて始めているわけですけれども、いわゆるキャッチオール規制というものを導入いたしておりまして、このキャッチオール規制のもとでは、たとえ医薬品の輸出であっても、その貨物が大量破壊兵器の開発や製造等に用いられたり、あるいは大量破壊兵器の開発等を行っている者に向けられたものであるというような場合については、経済産業大臣の輸出許可が必要となる、こういう制度を今導入いたしております。

鷲尾委員 了解いたしました。

 それでは、今キャッチオール規制というお話がございました。このキャッチオール規制という話の中で一つ質問があるんですが、それは、国連の安保理決議一七一八号で決定された禁輸品のリスト項目というのがあるわけで、一方で、今おっしゃっていたキャッチオール規制というものがあります。それとは別に、今回、奢侈品の規制があり、また外為法上リスト規制がある。これはさまざまな規制があるわけで、国連安保理決議とこの外為法の規制についての関連をちょっとお聞きしたいなというふうに思うんです。

石田政府参考人 ただいまの御質問でございますが、安保理決議に基づいて、今回、特に輸出の面で対応しておりますのは、一つは、おっしゃられたような奢侈品についての規制、これは、今回新たに奢侈品を二十四品目決めて政令で指定することによりまして、これについては経済産業大臣の輸出許可がないと輸出ができないという形にいたしまして、それを、かつ、許可申請があった場合には許可しないということをあらかじめ宣言した、こういうことでございます。

 もう一つの安全保障関連の品目につきましては、これは、基本的に国際的なレジームで既に輸出管理対象品目というのが決まっておりまして、これを外為法のもとで輸出管理の対象品目として規制をしてきているわけでございます。

 今回、安保理決議でこうしたものについて全国連加盟国に輸出管理の徹底を要請したわけでございますけれども、その品目については、基本的には国際レジームで既に決まっていたものを引用しておるわけですけれども、ごく一部、この規制対象品目以外のものを含む部分がございます。これにつきましては、私ども日本といたしましては、キャッチオール規制のもとにおきまして、輸出に際して許可申請を必要であるものとして新たに位置づけて、仮に許可申請があった場合にはこれを許可しない運用にするということを公表いたして対応いたしているところでございます。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 それでは、大臣、お着きになりましたので、大臣に対して御答弁を求めたいというふうに思います。

 今回の輸入禁止措置を決めた閣議決定について、甘利大臣御自身はどのようにお考えになっているかというところをひとつお聞かせ願いたいなというふうに思います。

甘利国務大臣 十月九日に北朝鮮が核実験をした旨発表したことを受けまして、北朝鮮に関する諸般の事情を総合的に勘案した上で、十一日に官房長官から輸入禁止措置を含む我が国としての制裁措置を発表いたしました。

 私も内閣の一員でありますから内閣の考えと全く同じなのでありますが、こうした措置をとる背景となりましたのは、まず一点として、北朝鮮自身が核実験を実施した旨既に発表をしたことがございます。二点目といたしましては、北朝鮮のミサイル開発とあわせまして、我が国安全保障に対する脅威が倍加した、倍増したものと認識をされている点があります。また、三点目といたしましては、北朝鮮の拉致問題に対して北朝鮮側から何らの誠意ある対応も見せてもらっていないということ等があるわけでございます。

 当該措置を実施すべく、十三日に閣議決定を行いまして、同日直ちに所要の手続をとったわけでございます。

 今般の輸入禁止措置は、北朝鮮の外貨獲得能力を減殺する効果が期待できる、日本に輸出をすることによって外貨を得る、その能力を減殺する効果が期待できるものというふうに理解をしておりまして、これによりまして、北朝鮮に誠意ある対応を促していくという所存でございます。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それでは、続いての質問ですが、今回の措置というのは、当然、我が国の平和及び安全を維持するためという大前提があるのでございますが、先ほど大臣がおっしゃっていたとおり、当然、拉致問題に対してということも考慮に入れながらというお話がございました。

 私は、新潟に視察に行きましたところ、曽我ひとみさんから、北朝鮮にいる間、日本の使節団が来たときに、私たちのことにいつ気づいてくれるのか、日本の使節団が入って、そしてまた出ていくという報道は耳にしていた、いつになったら助けに来てくれるんだろうというふうな切実な思いを述べられておりました。

 日本がこのような制裁措置を行うことについては私は賛成でございますが、ただ、一点、現地にまだ生きている拉致の被害者の方々もおられるわけでございます。そういう方々に対する思いもひとつ甘利大臣から述べていただきたいなというふうに思うと同時に、このような制裁措置が金正日の、北朝鮮の国家体制にどのようなインパクトを与えられるとお考えなのかもあわせてお伺いしたいなというふうに思っております。

甘利国務大臣 今回の措置は、対北朝鮮政策、対話とそして圧力、両々相まって、北朝鮮側がきちんとテーブルにのって、日本及び国際社会が要求することに対して誠意ある対応をとっていくという措置を期待し、強く促しているわけでございます。

 今般の輸入禁止措置は、北朝鮮の核実験を契機に日本の安全に対する脅威が著しく増大した、これを踏まえて、さらには、先ほど申し上げた点を踏まえて講じたものでありますが、背景として、かねてから指摘されていますように、北朝鮮が拉致問題に対して何らの誠意ある対応を見せていないということも、申し上げましたように当然含まれているわけでございまして、拉致問題の解決に政府としては全力を挙げて取り組む、その全力の構成の一つをなしているものというふうに考えております。

 それから、今回の措置が北朝鮮の体制にどういうインパクトを与えるのかという御質問であります。

 北朝鮮に対する我が国単独の措置であります輸入禁止措置は、北朝鮮の外貨の獲得能力を、全部とは言いませんが、一定割合減殺する効果は確実に期待できるものと思います。あわせて、奢侈品の輸出規制というのを行ったわけでありますけれども、これにつきましても、主に奢侈品は北朝鮮の幹部に対しての対応を促す手段になっていると認識をしておりますから、それを食いとめるということは当然効果があるものと思っております。

 こうした措置を含めまして、国際社会と一致団結して粘り強く対処をしていくということによりまして、北朝鮮が国際社会の強い懸念と非難を真剣に受けとめまして、問題の解決に向けた対応をとっていくことを強く期待するものであります。

鷲尾委員 大臣のもっと突っ込んだ答弁をお聞きしたかったのでございますが、ちょっと時間も迫ってまいりました。最後に、ちょっと一問だけ質問させていただきたいと思います。

 先日、薬事法違反で北朝鮮系の貿易会社に強制捜査が入りました。取り扱っている医薬品が、強力モリアミンS、そして強力ネオミノファーゲンCという薬事法違反で取り扱っちゃいけない薬品だったわけでございますが、これは以前税関から輸出されていたというところであります。

 これも先ほど私が申し上げました、医薬品というのは、通常の治療に使われる場合もありますが、例えば今回の強力ネオミノファーゲンCとかいう薬品は、核実験施設に働いておられる、肝機能にちょっと障害を持ってしまう方の治療薬に使われるであろうと。そうなったときに、それは大量破壊兵器を製造するに当たって有効な物質になり得る話であります。

 この件について、こういう薬品についての今後の規制のあり方につきまして、大臣に一言御答弁を願いたいと思います。

甘利国務大臣 先生御指摘の医薬品につきましては、核不拡散を目的とする国際枠組みにおいて合意をされました輸出規制貨物リストの対象外になっております。そのために、御質問の医薬品は外為法に基づくリスト規制の対象とはなっておりませんで、常に輸出許可を要することにはなっていません。他方で、これらの医薬品が大量破壊兵器の開発であるとか製造等に用いられるおそれがある場合には、キャッチオール規制に基づきまして輸出許可が必要となります。

 北朝鮮の核開発に資する物資の輸出があってはならないと当然でありますが考えておりまして、今後とも、税関等と連携をしつつ、キャッチオール規制を厳格に実施してまいります。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 先般、その委託加工品について輸出するというような案件もございましたし、この点、経済産業省と他省庁との適時迅速な連携が必要となってくるわけでございますので、その点も最後に御指摘させていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 おはようございます。民主党の細野豪志でございます。よろしくお願いいたします。

 本日のこの委員会の議題は、北朝鮮からの日本への輸入の禁止をする措置の国会承認ということでございますが、この趣旨は、北朝鮮と日本の間の経済制裁を確実に実行し、そして国際的にそれをどう適切に反映させていくのか、そこにあると思いますので、少し範囲を広げて制裁全体について質問していきたいというふうに思っております。

 あと、五十分という少し長目の時間をいただきましたので、時間に余裕があるようであればちょっとそのテーマと離れて質問させていただきたいと思っておりますので、対応の方をよろしくお願いいたします。

 まず、せっかく官房副長官に来ていただいていますので、このたびの経済制裁全体についての効果をどういうふうに考えておられるのかということを質問したいと思います。その前提として、頭の整理も含めて、資料を持ってまいりましたので、それをちょっとごらんください。

 七月五日に北朝鮮がミサイル七発を発射して以来、私が整理をしたところでは、日本は四度経済制裁措置というものを発表しています。一回目がミサイル発射の直後、万景峰号を初めとした入港規制ということ、さらには北朝鮮の当局者の入国の禁止というのをすぐに発表いたしました。二回目が九月十九日、これは国連決議の一六九五を反映する形で禁輸制裁を十五団体、一個人に対して発表したというのが二回目。三回目が核実験の直後でございますが、十月十一日に全面的な輸入の禁止。これは今回の措置でございますが、それプラス入港禁止、さらには入国の禁止を発表し、そして、最近のものでいいますと十一月十四日、これは国連決議の一七一八に基づく奢侈品の輸出の禁止、そういうのを発表いたしました。

 これは、トータルに見て、この経済制裁全体の効果を政府としてはどういうふうに考えられているのか、またその効果を現実的に、北朝鮮に対するある意味でのこれはプレッシャーになるわけですから、それを実行するためにどういうことが必要だとお考えになっているのか、まず政府としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 まず十月十一日、政府は、北朝鮮が核実験を実施した旨を発表したことと北朝鮮のミサイル開発とをあわせ、我が国安全保障に対する脅威が倍加したものとの認識がされ、北朝鮮がさらに拉致問題に対して何ら誠意ある対応を示していないこと等、諸般の情勢を総合的に勘案いたしまして、他国に先駆け率先して厳格な措置を講じることを決定いたしました。

 これらの措置では、今御指摘がございましたように、北朝鮮の外貨獲得手段の一つとなっている北朝鮮からの輸入を禁止するとともに、北朝鮮船籍の入港を禁止いたしました。また、人的往来については、北朝鮮籍を有する者の入国は特別な事情がない限り認めないことともいたしました。

 さらに、安保理決議第一七一八号を受け、十一月十四日には奢侈品の輸出禁止等の措置を講じました。これらは、北朝鮮経済に一定の影響を与え、北朝鮮の対応を促すための手段として効果的であると考えております。

 我が国がこのような措置をとったことは、北朝鮮に対し、我が国と北朝鮮との間の諸懸案の解決に向けた断固たる意思を示すものでございまして、また、国際社会に対し国連安保理決議の実施を促す上でも意義があると考えております。

 政府としては、我が国のこうした措置や安保理決議第一七一八号等の採択を受けまして、北朝鮮が直ちに国際社会の声に耳を傾け、国際社会の責任ある一員として行動することを強く期待しているところでございます。

細野委員 下村副長官から非常に丁寧な御答弁をいただきました。

 私も、今回の一連のこの措置に関しては、矢継ぎ早に日本政府が発表いたしまして、特に他国に先駆けて、国連に先駆けて制裁を決定したということ、そういうことに関しては一定の評価ができるだろうというふうに思っています。断固たる意思という言葉がありましたが、それを日本が示すことによって、国連であるとか他国に対してもそれをさらに迫っていくという効果はあったんだろうというふうに思うんです。

 ただ一方で、実際の経済制裁の効果がどうやったら出てくるかということを考えたときに、かぎを握るのは、これは、日本は断固たる意思を示したんだけれども、やはり他国がどれぐらいそれに協力をしてくれるか、国際協調がどの程度確保されるかということにかなりよるんだろうというふうに思うんです。

 それこそ、外為法の改正をするときも、入港規制を、法案を改正するときも、毎回議論になったのは、日本だけやっても無駄じゃないか、他国をも含めてきちっと枠組みができないと意味がないのではないかということがさんざん議論になって、他国からもそういうことを言われてきたという経緯がありますので、そこがやはり私はポイントなんだろうというふうに思っています。

 その意味では、今のこの制裁の状況というのは、日本は確かに矢継ぎ早にやりましたが、まだまだ道半ばでございまして、どうやってこれを国際的に協調できるような体制に持っていくのかということについて私は大変関心を持っておりまして、その部分についての質問を少し進めさせていただきたいというふうに思います。

 まず事実関係なんですが、ですのでこれは政府委員で結構なんですが、私がおつくりをした資料の中で、十月十一日、独自制裁を発表しております。三点、主なものということで私の方で書いたんですが、まずは今回の措置、北朝鮮からの輸入の全面差しとめですが、これは日本だけがやっている措置ということでよろしいですか。二つ目、はっきり通告してなかったので申しわけないんですが、北朝鮮からの入港規制、そして北朝鮮からの人の入国、入港規制と入国規制ですね。これは豪州がやっているというふうに聞いていますが、そのほかの国でやっているところがあれば教えてください。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 まず、輸入についてでございますが、今細野先生言われましたように、これは日本だけが全面的に差しとめておる。

 それから、入港禁止につきましては、豪州もしておりますけれども、これはアメリカが既に以前から、テロ支援国家と指定した国については入港を認めないということで、北朝鮮は一九八八年以降、テロ国家、テロ支援国家と指定されていることから、アメリカには入港できないということになっております。

 それから、北朝鮮籍を持つ人の入国禁止につきましては豪州がしておるということでございます。

細野委員 ありがとうございました。

 先ほど、大臣の方からほかの委員の質問に対しまして、輸入の差しとめに関しては、外貨の獲得をある程度制限する、そういう効果があるんではないかという話がありました。それは間違いないと思います。

 ただ、北朝鮮の輸出、日本から見ると輸入、北朝鮮の輸出に占める日本の割合というのは、先ほども御答弁ありましたけれどもだんだん下がってきていて、私の知る限り、二〇〇五年でいえば、もう一〇%を割ってきている。つまり、これは金額ベースの話ですから、外貨の獲得において北朝鮮がこうむる損害が、それがそのまま反映されたとしても一〇%なんですね。これがやはり経済制裁としては、日本としてはやることはやっているんだけれども、十分かというと、これはなかなかいろいろな解釈があり得るだろうと私は思います。

 したがいまして、この制裁措置というのは独自制裁でやっているわけですが、これを、例えば北朝鮮がさらなるエスカレートした対応をした場合、さらなる制裁が必要なような場合には、国際的に展開をする、これが二国間なり多国間なり、どういう形かは状況次第だと思いますが、そういう意思を持たないと、この独自制裁には本当の意味での効果はないんではないかというふうに私は思っています。

 この点についての甘利経済産業大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 ああいう国でありますから、一国が何か一つを行えば決定的にきくということはなかなか難しいと思います。やはり、国際社会が毅然たる姿勢で対処する、その姿勢がどう伝わっていくかだと思います。

 北朝鮮の反応を見ていますと、一番きいているのはやはり金融制裁なのかなというふうに思います。これに加えて、各国が協調して次第に包囲網をとっていくということ、誠意ある対応がなければないほど、次第にその輪は厳しく、狭く、きつくなっていく、そういうことを認識させるということが大事だと思います。

 日本の単独対応で完全に決め手になるとは思ってはおりませんが、しかしそれも、次第に狭まる、強まる包囲網というその一翼を担っているんではないかと思っております。

細野委員 大臣に申し上げたのは、日本が断固たる措置をとることの政治的な意味は、このメッセージは私も十分認めています。ただ、それを本当に経済制裁として、北朝鮮が、言うならば国家として非常に変わらなければならないと思うような、そういう効果を出すためには、やはり我が国の単独にとどめるのではなくて、国際的にそれを波及させる、そういう覚悟が必要なんじゃないですかということを聞いています。

甘利国務大臣 それは委員御指摘のとおりであります。ですから、日本が走り出して、振り返ったらだれもついてこないということでは効果は半減でありますから、日本が各国に同様のことを粘り強く呼びかけていって、その必要性を説いていくという努力は、単独制裁と同等に重要なことだと思っております。

細野委員 そういう意味で、もう一つやはり考えなければならない、そういう国際的な波及をさせるという意味で一つ試金石になるのが、私は、この一七一八の経済制裁が、では各国でどの程度きちっとなされているのかということだと思うんですね。このもう既に決まったことすらできていないようでは、これは本当の意味での北朝鮮に対するプレッシャーになりませんし、今私が申し上げたような、日本が先行してやっていたことが、本当の意味でそれが国際的に反映してきたかということになれば、大いにやはり疑問符がつくわけでありますから、その点についてさらに話を伺っていきたいと思います。

 まず一点、これは外務副大臣、岩屋副大臣にお伺いしたいんですが、一七一八によりますと、ここで書かれている経済制裁については各国は三十日以内に報告をすることということになっています。三十日後ということでございますので、十一月十三日ということになるわけでございまして、もう過ぎておるんですが、日本政府として、何カ国が実際に、加盟国全体に義務が課されていますから、報告がなされていて、その内容をどういうふうに評価されているか、副大臣にお伺いします。

岩屋副大臣 先生御指摘の点、何カ国から報告があったかということですけれども、きのうまでの段階で、我が国を含めて三十カ国及び一地域から、地域というのはEUのことですけれども、報告書の提出があったものと承知をしております。

 三十カ国申し上げていると時間がないので、六カ国協議の中の北朝鮮を除く五カ国を初め三十カ国及び一地域から提出がありましたが、これはなかなか準備がまだ整っていないという国もあるんでしょうから、これからもっともっとふえていくというふうに考えております。

細野委員 副大臣ちょっと、ふえていくんではないかという予測ではなくて、どうかという評価を聞いているんですね。我が国はこの一七一八を採択したときの議長国です。しかも、イニシアチブをとってやったやったと、あれだけ、それこそ自民党内でも政府内でもそういう評価があったわけですね。いろいろな評価はありますが、そこは私どもも一定の評価をしています。

 そういう観点からすると、一七一八をこれだけ努力をしてつくって、全加盟国に課している義務が、三十カ国ということですから、全加盟国が二百近くありますからね、非常に少ない。この点について、日本政府として、きちっとやはり、どういう姿勢でこれを評価するのかということについては御答弁いただきたいと思います。

岩屋副大臣 おっしゃるとおりでございまして、できるだけ多くの国がこの動きに協調してもらわなければいけないと思っておりまして、我が国も今安保理の理事国でもございますし、安保理の舞台でも、あるいは国連全体の舞台でも、引き続き外交努力を重ねていきたい、こう思っております。

細野委員 報告がわずか三十カ国というのも、大変これは、日本としては非常に憂慮しなければならないし、行動が求められる事態だと思うんです。

 もう一つやはり本当に危機感を持つのは、実際にその三十カ国が提出をしている中身についても、日本はこれは非常に律儀にやっています、これは私も全文見ましたけれども、奢侈品のリストも出していますし、金融制裁についても出しているし、報告をされていますが、他国は、公表はされていないので見られないんですが、仄聞するところでは、途中経過を報告していたり、ブランクになっているところがあったり、そういうところが非常に多いというふうに聞いておりまして、その中身も非常に問題。

 そこで、奢侈品の話に入りたいんですが、奢侈品の輸出の規制については、8の(a)の(iii)のところで、各国の判断に任されているということですが、今の時点で奢侈品の輸出の禁止に踏み切っている国は何カ国あるか、これは経済産業省、政府委員で結構ですが。

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 実際に輸出措置を既に実施している国は日本とスイスでございます。それに加えまして、昨日、アメリカの商務省が奢侈品の暫定リストというものを公表いたしました。それで、今アメリカは、リストを完成させること並びにその実施に向けて国内手続をとり出しております。

 それから我々が承知しておりますのは、EUは、現在そのリストを作成すべく、中で調整中でございます。韓国も検討中と聞いております。

 以上でございます。

細野委員 ここから経済産業大臣にお伺いしたいんですが、このリストを作成するときに、先ほど委員会の冒頭で、アメリカなど主要国とすり合わせをした、そういう御答弁がありました。

 実は、あの前後、ちょっと私も注目しておったんですが、経済産業大臣が記者会見の中でこういう答弁をされているんですね。これは恐らく、十四日に出したのは、報告期限だったので、そこに合わせて出したということでよろしいわけですね。日本政府としては、リストをつくって、報告期限があるのでそこで出したということですね。その前後で、経済産業大臣、記者会見でこういう発表をされている。アメリカも恐らくきょうの午前中、これは十一月十四日ですね、現地時間の十三日の深夜ということですから、この安全保障理事会決議の報告目安を目指して取り組まれることだと思います。まだ全部そろっていませんが、日本や、恐らく直ちに取りまとめるであろうアメリカをガイドラインとして各国が行ってくれればよいということを記者会見でおっしゃっていますね。

 私、揚げ足をとるつもりはないので、率直に伺いたいんですが、やはりこの時点で、アメリカからは一緒に、こういうリストなんだというやりとりがあったという理解でよろしいんですね。

甘利国務大臣 詳細までは承知しておりませんが、連絡をとっていたことは事実であります。当然、各国が全部同じものということではないと思います。その国独特のものというのはそれぞれありますから、おおむねこんな感じということでは話はしていたと承知をしております。

細野委員 確認なんですが、報告義務の十四日までにアメリカも出すだろうと日本政府としてはこの時点では予測をしていた、記者会見で読む限りそういうふうに思いますが、その点はいかがでしょう。

甘利国務大臣 これは、アメリカがいつ出すかということまでは、正確に向こうからの意思表示があったかどうかは承知しておりません。ただ、私が会見で申し上げたのは、一カ月後を目途として行うので、それに向けて最終的な詰めを行っていると思うという私の一部観測で、会見、発言をいたしました。

上田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

上田委員長 速記を起こしてください。

 細野君。

細野委員 奢侈品の話をちょっと続けたいと思うんですが、タイミングは、大臣が推察をして恐らくこのぐらいに出してくるんじゃないかということでおっしゃった。残念ながら、アメリカは半月おくれてようやくきのうになって暫定リストということだったようですが、タイミングがずれています。

 あと一つは、まだリストが私の手元にないんですが、アイポッドですとかハーレーダビッドソン、ロレックス、セグウェイなど、アメリカは商品名で何かリストを提示しているような報道が一部にあります。これは事実かどうかわかりません。日本は、どちらかというとHSコードに基づいて、品目ごとに書いていまして、これは範囲が大分違う可能性が出てきているんですね。

 もちろん、それぞれの国がどういうものを輸出しているかで、それは品目がずれるのはわかるんですが、例えば、北朝鮮の幹部を本当の意味で、それこそ参ったなと思わせるためには、やはり品目においてもできるだけすり合わせる努力があってしかるべきではないかというふうに私は思います。

 そういう意味では、本当の意味で、アメリカとこの間きちっとすり合わせができていたのかどうか、この一連の経緯を見る限り、若干疑問に思わざるを得ないんですが、これは外務省に聞いた方がいいんですかね、その辺のすり合わせをどういうふうにやってこられたのか、お答えをいただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、大臣からもお話がございましたけれども、我々が作成しているリスト、案の段階から米側に我々はこういうことを考えているということ、それから米側もそういう案を、今相当変わってきておりますけれども、そういう案を我々とすり合わせをしていた状況はございます、それも相当何回もやっておりますので。それで、我々の方が先行したわけですが、その後、アメリカが現在のような案をつくって、少し我々とそごがあるようでございますけれども、その辺はちょっと、経緯は今承知しておりませんので、またアメリカと確認をしたいと思います。

 それから、リストの中身につきまして、今後さらにすり合わせをして、要すれば何らかの対応をとるというようなことも検討するような状況もあろうかなとは思っております。

細野委員 今の御答弁を聞いていると、日本が出したときまではかなり連絡をとっていたんでしょう、その後変わってきている、経緯は御存じない、この間は余りフォローしていなかった、そういう御答弁ですよね。日本は、やはり議長国で、奢侈品を一番初めに出して、この基準でいきますということである程度通知をしているのであれば、その辺ちょっと、この間のやり方というのは正直甘いのではないかというふうに思います。

 これから奢侈品のリストを各国出すわけですから、日本のこのリストというのは悪くないと思うんです。というのは、品目で出しているわけですから、高級か低級かといろいろ幅はあるんだけれども、北朝鮮であれば、この物はそれこそ所得層の高い幹部しか買わないであろうというものはすべからく入っているわけですね。この範囲でやるのが一番いいと思って出したのであれば、自信を持ってそれを各国にきちっと知らせていって、アメリカが、気がついたときには全然違う品目で出していました、商品名で出していましたということの、同じようなことがないようには、ぜひ御努力をいただきたいと思います。

 もう一つ、制裁の中身として、大臣も先ほど御答弁されましたけれども、金融制裁の話に移りたいと思います。

 この点については、日本は、この一七一八が採択される随分前、九月十九日ですね、ミサイル発射の後二カ月ほどたって、もう既に十五団体、一個人ということで金融制裁を科しています。既に金融制裁を、この一七一八のここで言う金融制裁を科している国というのは何カ国あるんでしょうか。どこが科しているんでしょうか。

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本に加えまして、アメリカと豪州でございます。(発言する者あり)

細野委員 今もちょっと同僚委員の方から出ていますが、お金に色はついていませんので、日本と豪州と米国のみがやって、当然お金というのはどこへでも行くわけですから、回り回って、このままいけば北朝鮮に資金が供給されることは大いにあり得るわけですよね。

 再度ちょっと確認したいんですが、他の国がどういう動きをしているのかということについて、日本政府としては、どういうふうに関与していて、どういう主張をしているのか、もう少しお伺いしたいと思います。

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 日米等は相当先行しているわけでございますが、ミサイルの核実験の後できましたあの決議の中に、そういう措置をとるべきであるということがきっちり書き込まれております。今現在、それに基づきまして、制裁委員会の方でリストづくりの準備をしております。それができましたら、当然のことながらそれを実施する義務はすべての国が負うことになりますので、現在、ほかの国につきましては、そのリストの作成を待っているという状況でございます。

細野委員 制裁委員会が、それぞれのさまざまな国への制裁について、北朝鮮だけではなく複数議論していて、非常に時間がかかる可能性があるんではないかという話も聞いています。

 二つお伺いしますが、一つは、日本としては、この十五団体、一個人について、これをきちっと制裁委員会として認定をするように努力をしているのかどうかということの確認が一つ。加えて、制裁委員会が、ではどの時点で結論を出すという見込みを日本政府としては持っているのかという、この二点をお伺いします。

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 一番目の御質問につきましては、我々きちっと資料を提供し、これにのっとった措置をとってもらいたいということは、もう既にいろいろなレベルで働きかけております。

 それから、いつかということにつきましては、今の時点で、二週間後であるとか三週間後であるとか、具体的なことを申し上げるような状況にはないことは御理解いただきたいと思いますが、いずれにしても、あの決議の実施はできるだけ早くやらないかぬ、それに基づいて各国も措置をとらなければならないということは決まっているわけでございますから、できるだけ早急にリストがつくられるように働きかけをしておるという状況でございます。

細野委員 外務省の話を伺っていると、日本はあらかじめ出したんだけれども、各国はリストを待っている、リストをつくる制裁委員会にできるだけ日本も資料を提供して、急いでくれということを言っている、これはいつになるかわからないわけですよね。もう既に六カ国協議の枠組みをこれからどうするかという議論が始まっていて、金融制裁をもうやめてくれという話を北朝鮮がやり出しています。まだやっていないのにやめてくれと言っているんですね、やっている国はわずか三カ国ですから。この状況を、ではどういうふうに打破するのかということについて、残念ながら、外務省から話を聞いていても、いま一つ具体的な姿が見えてこないんですね。

 大臣、ちょっと所掌外だと思うんですが、先ほど、金融制裁が一番大事であるし、一番きくのではないかというふうにおっしゃったので、私は、この安保理の制裁委員会の議論は議論でもちろんやる必要はあるのですが、リストがきちっとそろって、全部こうなったらこうですということではなくて、やはり日本として、例えばAPECの場で、もしくは二国間で、マルチでも結構ですが、何らかの国連外で、このリストに基づいて金融制裁を科せということを主張していくべきだと思います。そういうことを外務省がきちっとやっているかというと、岩屋副大臣に後ほどお伺いしますが、ちょっと疑問を持っているんです。

 一番大事だとおっしゃるなら、今の金融制裁の国際社会の情勢、そして、今の外務省の取り組みをどういうふうに評価されているか、お伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 北朝鮮側が事あるごとに金融制裁を解けとしつこく言うのは、それがきいているから言うのでありまして、現状でも相当、ボディーブロー以上になっていると思います。今の段階は、六カ国協議が始まることに向けてのぎりぎりの段階になってきています。ここでの動きというのは非常に微妙になると思います。

 つまり、向こう側に、北朝鮮側に六カ国協議を拒否する理屈を与えてはいけないということになるわけでありますし、日本側の行動を理由にして六カ国協議が持たれないということにしてしまってはいけない。各国とも制裁の検討をしながらタイミングをとっているというのは、そういう要素も入っているのかなというふうに思います。

 でありますから、これはもちろん、私がどうこう言う前に、外務大臣を中心に判断をする、あるいは政府全体で判断をすることであろうと思いますが、今慎重に対応を見きわめることが必要だというふうに思っております。

細野委員 具体的な話になると、大臣もトーンが若干慎重になりました。

 大臣がおっしゃるとおり、六カ国協議が、それこそこれが不成立、これがつくられないということになると、それはやはり、我が国としても、この問題をきちっと議論するテーブルがなくなるわけですから、問題ですね。

 ただ、今私が申し上げているのは、それぞれの国が独自に判断をしてどういうふうにするかをやっている独自制裁の話をしているわけではなくて、国連で決まった制裁をきちっとやるということを申し上げているのですね。私は、日本はやっているのですから、そこについてはやはりきちっと他国に対して求めていくことは、少なくともやった方がいいと思います。理想的にいえば、基本的には制裁がある程度出そろって、それをもって北朝鮮が出てきて、そういう困った状況の中で、ではどういうふうに北朝鮮としては今後やっていくのかという条件を解くのが一番いいわけですね。そういう状況をつくる努力を私は日本政府としてぜひしてもらいたいと思います。

 外務副大臣にちょっとお伺いしますが、今アメリカとの関係において制裁の話、あと奢侈品の話をしましたが、やはりポイントは中国だと思うのです。

 確認したいのですが、この一七一八の決まった制裁の中で、恐らく武器や大量破壊兵器の関連物資の輸出については、これはもう基準ができていますし、各国最重要だということでやっていますから、中国もやっているのでしょう。そのほかの部分を、中国は北朝鮮に対して制裁をするどの項目をやっていて、具体的に日本政府としてはどういうふうに把握をしているのか、今の時点でわかっていることを教えていただけないでしょうか。

岩屋副大臣 我が国としては、アメリカ、中国、韓国初め関係各国とこの問題については緊密に連絡、協議をしているところでございまして、先生がさっき奢侈品のお話をされましたが、中国においても今検討中だというふうに承知をいたしております。

 それから、先ほどの資金の話ですけれども、これは、細野先生は御承知のように、アメリカは大統領令で、十二団体、一個人を指定しているのですね。ただ、我が国は、それにさらに、我が国独自の情報に基づいて、三団体を追加して指定しているわけでございますが、どういう会社が北朝鮮とどういう関係にあるかというのは、それぞれの国においてかなりインテリジェンスな情報でございまして、それを公表したりするのに国内手続がそれぞれ要るということだそうでございます。したがって、ちょっと時間がかかっているということもございますが、日本としては、中国との間においても、先般は佐々江局長が行って向こうの武大偉さんとも協議をしてきましたが、累次の協議の場を通じて緊密に連携をとっている。

 中身については、まだ決まっていない事柄については申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

細野委員 この輸出の手続にしても金融制裁についても、各国の国内措置が必要だという条件は一緒なんですね。よくも悪くも日本の場合は、そういう手続が非常に煩雑で、各省庁またがって丁寧にやらなければならない国である。片や中国、非常にそういう意味での動きは速い国でありますから、あとは政治的な意思なんですね。

 累次のいろいろなところで会議においてやっているという話をされていますが、例えばAPECの場で、日中の首脳会談の機会もありました、外務大臣の議論の場もありました。そういう政治的なところで、ちょっといろいろと事前に聞いてはいるんですが、そういう奢侈品の問題や金融制裁の問題について、具体的に外務大臣なり総理から指摘をして、中国に求めることをやったのですか。これは政府委員でも結構ですが、御答弁いただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 一七一八号の実施そのものが重要であるという点については、もう何回も首脳レベル、外相レベルで確認はしております。今先生から御質問のあった一つ一つの個別の事項については、あえて確認はしておりません。

 それから、金融制裁についてちょっと一言だけ御説明させていただきますと、二種類ございます。一種類は、今まさしく安保理の決議に基づいてなされる大量破壊兵器関連の金融制裁でございます。もう一つは、いわゆる北朝鮮の不法行為、にせ札づくりであるとかマネーロンダリングに関連してとっている措置。そちらの方はアメリカは既に実施し、それから、中国、日本等も実質的に協力しておりますが、そちらの金融措置の方はあの決議の中には入っておりません。

 二種類のことが動いているということでございます。

細野委員 一七一八を尊重するというのは、これは、中国は安保理の理事国ですからね、当たり前のことを確認しているだけなんですね。

 一七一八に書いてある金融制裁の数なんてそんなにありません。奢侈品の問題と金融制裁と、あとは入国の禁止、この三項目しかないのですね。それぞれの進捗度合いについて、きちっとやはり、少なくとも総理なり外務大臣が言及することは、中国に対して当然プレッシャーにもなるし、我が国としてやっていることでありますから、何ら問題ないわけですから言うべきだと思いますね。

 外務副大臣に一言だけ最後お答えいただきたいのですが、今度東アジア・サミットがセブ島であるということも聞いております。そういう場所において、もちろん佐々江局長が実務者として一生懸命やっていらっしゃるのはわかります、有能な方だと思います。ただ、政治レベルでやはり制裁のまず足並みをそろえる。それは六カ国協議を始める前にできれば一番いいわけですから、そういうことについてきちっと日本の首脳として発言をする、これは必要だと私は思いますが、外務副大臣としてどうお考えになるか、お答えいただきたいと思います。

岩屋副大臣 先ほど甘利経産大臣からもお話ししていただきましたが、今は非常に大事な時期だと思います。やはりこの六カ国協議というものに北朝鮮を引きずり出さなければいけないし、会議はやればいいというものではなくて、やった以上は具体的な成果を上げなければいけない。北朝鮮が会議のテーブルに戻ってきて、具体的な成果を上げられるという見通しが立たないと、我が国の立場はただ会議が行われればいいということではございませんので、そのためのいろいろな折衝が行われている。

 この間のAPECでも、日米韓の間で合意をした事柄について、この間、ヒルさんが恐らく北朝鮮側にぶつけていると思いますね、ただ中身は申し上げられませんが。それを持ち帰って検討するということで、まだ会議がいつ開かれるかというめどが立っていないという状況でございますけれども、そういうこれから行われる国際会議の場においても、やはり関係各国とよく連絡をとって、プレッシャーをかけ続けるという努力を外務省としては全力でやっていきたい、こう思っております。

細野委員 具体的にここで御答弁いただくのは難しいんだと思うのでこれぐらいにとどめますけれども、私がちょっと一連の動きを見ていて一つ若干心配していることを申し上げると、一般には、日米が連携をして非常に強硬派でやってきている。六カ国協議でいえば、他の四カ国、見方によっては三カ国が非常に慎重であって、国連決議のときもそこが対立をしたし、制裁においても何かそこに溝があるやのような報道がいっぱいなされているんですが、現実的には、米国も含めて、アメリカはそれこそ、ブッシュ政権が中間選挙で敗北をして、やはりこの六カ国協議で成果を出さなければならないという非常に強いプレッシャーを感じて今交渉に臨んでいるわけですよね。では、現実的にどこで六カ国協議の枠組みが決まっているかというと、それは米中朝で、一昨日もやっていましたけれども、実務者がやって、そこで会議をしている。中国は、議長国として六カ国協議を成功させなければならない。

 今は、日米だけが強硬派でほかが慎重派ということではなくて、制裁の中身、やり方も含めて全体として見ると、そういう意味でいうと、日本がかなり最強硬派で突出してきていて、それがすべて悪いとは言いません、それはそれで役割を果たしたと思いますが、実際には、アメリカ、中国も含めて、何とか六カ国協議、ある種妥協してでもという雰囲気が出ている部分があるのではないかということを率直に日本の立場として懸念をしています。

 具体的に一つだけ指摘をすると、十月三十一日に、六カ国協議をやろうということで米中朝で決めたわけですよね。あの場所でヒル国務次官補は、金融制裁については作業部会を設置する用意があるということを北朝鮮に提示をしています。金融制裁というのはとらの子ですよね。金融制裁を強化しようなんということになるわけないわけで、当然、北朝鮮に対してどういう配慮をしていくかという話をするわけですよね。アメリカも、とらの子の金融制裁すら、作業部会をつくって北朝鮮との間で話をしようということになっている。

 この状況一つ例をとっても、やはり日本の今置かれている立場というのはかなり危ういのではないか。だからどうしろというのは非常に難しいんですが、だからこそ、先ほど来私が強調しているのは、中国なりアメリカときちっと連携をできる政治的な関係もつくって、その両国との関係を保っていかなければ、日本の立場は極めて今脆弱になりつつあるということを申し上げたかったんです。

 せっかくですので、御答弁いただければ。

岩屋副大臣 今、金融制裁のことに関する米朝のバイの作業部会のことに先生触れられましたけれども、私どもは、これは六カ国協議を再開するための条件としてアメリカがそういうふうに言っているとは理解をしておりません。アメリカもそういうつもりではないと思います。

 ただ、北朝鮮が一番気にしている事柄でございますから、では、話をする場は設けましょうということを言ったというにすぎない、作業部会を設置するというのは。何かそこで、あたかも金融制裁を解除するかのようなことを条件に北朝鮮を引っ張り出そうというふうにアメリカがしているのではないかという見方がありますが、それは全然そうではない。ただ、話をする場だけは設けましょうというのが作業部会の設置だと説明を聞いておりますし、そうあるべきだというふうに思っております。

 ただ、関係五カ国は、完全な北朝鮮の核の計画並びに兵器の廃棄を求める、北朝鮮は核兵器保有国だとは認めないということについては一致をしておりますので、今後とも関係各国としっかり連携をとってやっていきたい、こう思っております。

細野委員 私なりの懸念は伝えましたので、あとは、やはり外交をやるのは本当に政府の皆さんですから、ぜひこの点について、非常に難しい対応だと思いますが、最大限の御努力をいただきたい、最後にそのことを申し上げます。

 あと残り六、七分ありますので、簡単に、少し違うテーマなんですが、経済産業大臣にお伺いしたいと思います。

 私がずっとやってきたテーマの一つに東シナ海のガス田の問題があります。この問題、甘利大臣は先日、近藤委員への答弁だったかと思うんですが、日本が抱えているエネルギー問題が、主なものが三つある、アザデガンと、あとサハリンと、そして東シナ海だというふうにおっしゃいました。

 もう余り講釈をここで垂れる必要はないと思うんですが、この問題については、日中の間に極めて深刻な問題としてずっと存在をしてきて、もう一九六〇年代から日本の中でも、そこで試掘をしてエネルギーを開発したい、そういう要請があったにもかかわらず、日本の政府はそれについて許可を与えてこなかったという歴史があります。

 それが許可を与えられたのが去年の七月でございまして、それから一年半ほど、半ばたなざらしでこの試掘、許可は与えられているんだけれども、試掘ができないという状況が続いている。大臣から答弁をされるとすると、いや、それは民間なので、民間が自由に決めてください、政府としてはという御答弁をされがちなんですが、現実的には、あそこで民間の船が勝手に掘ることができないのはもうだれもがわかっている話です。

 では、この問題について、日本としてどういうふうに対応すべきなのか、甘利大臣、政治家としてどういうふうにお考えになっているか、お聞きをしておきたいと思います。

甘利国務大臣 許可は出しました。その際に、試掘を本当に実施する場合には、前もって政府とよく相談するよう帝国石油に求めているわけであります。

 先生御案内のとおり、では、それが実行された場合に何の支障もなく粛々と事が進むかというと、そんなことはないだろうとだれも思うわけでありまして、民間の判断でできるようになっていますけれども、それがすぐに進んでいないというところが、そういう極めて微妙な、シビアな問題が横たわっているということであります。これに関して、安全を確保すべく議員立法が提出されているということも承知をいたしております。

 ただ、私といたしましては、総理が訪中をされまして、この東シナ海を対立の海ではなくて、平和、協調、共同開発の場にしようということでは首脳間で合意ができたわけでありますから、これをできるだけ早急に具体的にしていくということが求められていると思っております。

 そのための枠組みをできるだけ早くつくりたいと思っておりまして、私からもいろいろなルートを通じて、今、そういう共同開発ならば、その枠組みを具体的にしていくための働きかけをしているというところであります。

細野委員 新しい枠組みをという答弁をされたのは非常に私にとっては関心がございまして、APECの会議の場所で日中間の首脳会談を行われて、エネルギー、環境についての大臣クラスの協議の場を設けようという話になったというふうに承知をしています。まだそこで何をやるか決まっていないそうでして、東シナ海の問題をそこでやるべきかどうか、局長級でこれだけ詰めた議論をしていますから、それをにわかにそこに持ってくることでごまかされてもいけませんから、それは議論の余地があると思います。

 ただ、私が日中のエネルギーのいろいろなフォーラムでの議論を聞いていて感じるのは、そういう会合をつくりましょうというときに必ず出てくるのが中国の環境問題。これは日本も一蓮託生ですから重要なんですが、日本のエネルギーの技術を、例えば、中国の原子力で生かしていきましょうとか、天然ガスの問題、石炭の問題、そういう問題で生かしていきましょうという枠組みが常に日中のエネルギー対話ということになっている。

 ただ、もっと日中のエネルギーの問題というのは具体的で、かなり利害も対立する。一部一致をする問題はたくさんあるわけですよね。サハリンもそうだと思いますし、それこそ、ロシアからのパイプラインの話もそうだと思います。インドネシアでもやっています。東シナ海もまさにそうです。そういうテーマを局長級という実務にゆだねるのではなくて、そこに入れるかどうかは別にして、大臣クラスのきちっとした協議の場所をつくるのが私は絶対に必要だとずっと思っていまして、甘利大臣はまさにエネルギーの専門家でいらっしゃるわけですから、大臣として御決断をされて、大臣クラスで東シナ海の問題なんかは議論できるような場をぜひつくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 最初から、具体的案件、これとこれを協議するためのこういう場をというと、なかなか乗ってこられない事情もあるかもしれません。

 全般的に、省エネだとか環境問題だとか、中国側自身が抱えている問題があります。日本の技術協力が必要、技術移転が必要な問題が多々あるわけでありますから、それを包括的に議論する閣僚級の場があればいい。そういう、お互いが必要としている、環境問題は、中国の問題は日本の問題でもありますから、双方の利害が一致することをテーマの中に抱えたり、枠組みをつくっていくということが大事だと思っておりまして、いろいろなレベルでその働きかけをしているところであります。

細野委員 相互の利害が一致をするところで議論するのは、これはいいと思うんですよ。ただ、日中のエネルギーの協議というのは、相互の利害が一致をして、当たりさわりのないところだけで終わってしまって、本当に解決しなければならない問題に、今手が届かないところが出てきているのではないかと私は思っていまして、それがあるからお互いにいいことが進まないということでは、これは意味がありませんから。

 やり方はいろいろあると思うんですよ、作業部会をつくるでもいいですし、別の場にしてもいいと思うんですが、少なくともそういう、解決が難しいテーマに関して、大臣同士がきちっと話をできるような場がこれは絶対必要だと思っていまして、そのことはぜひ御理解をいただいて、大臣としてお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 案件の審査に入る前に、一点、お伺いいたします。

 きのうも大きく報道されましたけれども、東電の原発の排水データの改ざん問題であります。

 昨日、十一月三十日に、東電柏崎刈羽原発の冷却用海水の取水時と排水時の温度差の測定値を改ざんしていたと発表しました。一号機では九四年から、四号機では二〇〇二年からデータの改ざんを続けていたわけであります。東電は、この不正な得られたデータそのものを新潟県にもそのまま伝えていた。改ざんは、発電所幹部の了承を得て行われ、最近まで続いていたということであります。そもそも、二〇〇二年の夏の東電のトラブル隠しのときにもデータ改ざんが大問題となったのに、まさにその時期に、このデータ改ざんも堂々とまかり通っていたものでありました。地元の不信をさらに拡大するものだったわけであります。

 この東電の原発における排水データ改ざん問題についての大臣の御認識を、まず最初に伺いたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、東京電力は、四年前の平成十四年に自主点検作業に係る不適切な問題が明らかになった。その後に、品質保証システムの改善を初めとする信頼回復のための取り組みを行ってきているわけではあります。こうした取り組みが行われている中で、今回、ただいま御指摘の柏崎刈羽原子力発電所の温排水に関するデータ改ざんの問題があったということは、極めて遺憾だと思っております。

 私は、これだけではなく、今までも五月雨的にいろいろな話が出てきております。そこで、電力会社による発電設備に関する一連のデータの改ざんを受けて、事務方に昨日指示をいたしまして、すべての電力会社に対して、水力、火力、原子力の設備について、このような問題がないかの総点検を行えということにいたしました。

 東京電力が、今回指示をした総点検を確実に進めて、必要な再発防止措置を講じていくように、厳正に対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 データ改ざんは極めて遺憾だ、全電力会社に対しての総点検を指示されたということですが、地元の例えば新潟日報などの一面でも大きく排水データ改ざんの問題を取り上げております。

 この中でも紹介されておりますが、例えば、新潟県知事のコメントとしても、トラブル隠しからの信頼回復の途上で再び同様の問題を起こしたことは、地域住民の信頼を大きく損なうもので、まことに遺憾と述べておりますし、また、地元の柏崎の市長も、信頼回復の途上でこんなことが判明したのは残念と述べております。地元の住民の方などは、これまでトラブルは下請の責任にされていたけれども、今回は明らかに東電の指示に行われる問題だ、こういう声も上がっておりまして、トラブル隠しが問題になった後、東電が誓ったはずの隠ぺい体質からの脱却が進んでいないということを改めて示したと思います。

 その点で、なぜこんなことになったのかということについても、具体的に経済産業省、保安院としても把握をされることに努めておられると思いますけれども、そもそも、データを改ざんせずに、温度差が、例えば言われている七度以内におさまるような仕組み、取り組みを行っておけばよかったわけですけれども、そもそも何で、そんなことを行わずに、データ改ざんの方に走ったのか、この点については、政府としてはどのように把握をされておられるでしょうか。

甘利国務大臣 全体として排出水の温度が枠内に入っている、しかし、個々の場所で〇・何度、範囲から外れた、そういうことに対する認識の甘さが一番の原因だったと思うんですね。しかも、一度隠ぺいしてしまって、なかなか言い出せないというようなことが体質としてあったんだと思いますので、私から、もうすべて洗いざらい点検せよという指示をきのう発出いたしまして、過去にさかのぼってすべて問題点を洗い出して、必要な再発防止措置をとる。そうしないと、また、今回の場合はこう対応しました、ほかの電力会社でまた別な問題が出ました、これではいつまでたっても信頼回復にならぬではないかということで、異例の措置ではあったかもしれませんが、私から全部点検せよという指示を出したというところでございます。

塩川委員 今回のデータ改ざんというのは、コンピューターのプログラムそのものを変更して、いわば自動的にその数値が下がるということを行っていたわけですね。ある意味では、そういった内容のものを県に対しても報告していたということですから、県民、国民をいわば偽装する、だまし続けることをシステム化していたということにもつながるわけで、極めて重大であります。その点でも、なぜそういうことが起こったのかという真相の解明についても、政府としても改めて強く対応を求めたいと思っております。

 その際に、これが東電の隠ぺい体質に起因をするものだということを言われておりますけれども、問題は、それに対して、政府の方が見て見ぬふりをしていなかったのか、そんなことがありはしなかったのか、いわば、こういった東電の不祥事に対して、国が何ら関与していないと断言できるのか、その点についてもお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 それはないと思います。

 ただ、東電だけにこの種の問題があったのかということは断言できませんから、ですから、同じようなことがほかでもありはしないか、そういう意味で、電力会社、沖縄含めて十電力、それから電源開発、日本原電、すべてに対して調査をするようにという指示を発出したところであります。

塩川委員 二〇〇二年のトラブル隠しのときにも、いわばひび割れの兆候があった際に、これについて事業者が報告しようと思ったら、保安院の方が、政府の方がそういうのは載せない方がいいと言われたという報道も行われました。そういう疑念も浮かばないような形を含めて、しっかりと、政府としての対応がどうだったのかについてもあわせて解明をお願いしたいと思っております。

 それでは、この承認案件について何点か伺わせていただきます。

 北朝鮮は、ことし七月のミサイル発射に続き、この十月に核実験の実施を発表しましたが、これは、安保理の決議また安保理議長声明などが世界とアジアの平和と安定の脅威として一致して反対した国際社会の意思を無視したものであり、六カ国協議あるいは日朝平壌宣言などの国際取り決めをじゅうりんする暴挙であり、我が党としてもこれに厳しく抗議をいたしたわけであります。

 我が党は、北朝鮮政府に対して、核兵器及び核兵器計画を放棄すること、即時無条件で六カ国協議に復帰することを求めてまいりました。その際に、国際社会が一致対応した協力で事を進めていく、問題の外交的、平和的な解決を進めていくという立場を堅持してこの事態に臨むことが重要だということを強調してまいりました。この見地を踏まえた日本政府としての独自の措置もあり得ると表明をしてきたところであります。

 十月十四日に、非軍事的措置によって事態の打開を目指す国連安保理制裁決議が全会一致で採択をされ、さらに、十月三十一日に、中国、北朝鮮、米国が六カ国協議再開で合意をしたと発表しました。国連安保理決議が全会一致で求めた六カ国協議への北朝鮮の即時無条件復帰と、平和的、外交的努力による問題の解決という国際社会の総意に即したものであり、これらの取り組みを歓迎するものであります。関係各国が真剣な努力を図ることを期待するものであります。

 そこで、最初に大臣に確認をさせていただきますが、今述べましたように、我が党として、二つの原則、対応が必要ではないかと。国際社会の一致協力した対応、そして平和的、外交的努力による問題の解決、こういう立場を堅持して今回の対応措置についても臨んでいく、この方向で対応措置が実施されるべきものだと考えますが、その点、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 我が国政府の対北朝鮮政策は、対話と圧力であります。対話だけで事が解決すれば、それはそれにこしたことはないと思います。しかし、歴史的事実としてそうはいかないわけでありますから、対話と圧力をコンビネーションとして国際社会の要請にこたえるということを迫っていかなければ問題は解決しない。これは日本だけではなくて国際間の共通認識だというふうに思っております。それに従って、この圧力の一環として一連の措置もとっているところであります。

塩川委員 麻生外務大臣がAPECの日米外相会談の際にも述べておりましたけれども、協調が重要だ、六カ国協議の北朝鮮以外の五者の協調の重要性ということで、この五者が一致して結束して北朝鮮に当たる、この結束を維持することが一番大事だと言っておられるのはそのとおりだと思います。

 大臣も同じ認識だと思いますが、確認をさせていただけますか。

甘利国務大臣 各国が協調して対応することが極めて大事であります。

塩川委員 また、あわせて、安保理の今回の制裁決議の中におきましても、留意点として、外交努力を強め、緊張を激化させる可能性があるいかなる行動も慎むと。この原則に沿って日本政府も対応されるものと思いますけれども、その点についても確認をさせてください。

甘利国務大臣 申し上げましたように、もろもろの対応措置、総合的に合わせわざで迫っていかなければならない。その中の構成要素として御指摘のことがあるということも、対応策の中の一つであります。

塩川委員 その点での私たちの立場を踏まえた対応として、同時に、この北朝鮮に対する制裁措置の影響を受ける方々に対して、政府としてのきめ細かな対応をとることを強調しておられます。

 日本国内の影響については、大手企業についてはいろいろ調整もされるでしょうから、ほとんど影響がないと聞いておりますけれども、中小企業あるいは一部地域に影響を及ぼすのではないかということが懸念をされております。

 その点で経産省に何点か伺いますけれども、北朝鮮からの輸入の全面禁止及び入国禁止措置に伴う影響について、主な輸入品目とその金額、また同様に、主な輸出品目とその金額について示していただけますか。

石田政府参考人 北朝鮮との貿易に関しまして、主な輸出入の品目でございますが、まず、ことしの一月から十月までの北朝鮮の輸入について見てみますと、総額が八十八・三億円ということでございます。その中で上位五品目ということで見ますと、ウニ、カニあるいはシジミといったいわゆる魚介類が二十八・八億円。アルミのインゴット、非鉄金属が十一・九億円。電気回路、絶縁ケーブルなどの電気機器類が十・八億円。無煙炭が九・三億円。それから、スーツ、男性用衣類等の衣類が八・五億円ということになっております。

 また、同じ時期の輸出でございますけれども、総額で五十億円でございます。その上位五品目を見ますと、中古のバス、トラックを中心といたしました輸送用機器が二十四・八億円。合繊、綿、毛織物のたぐいでございます織物、糸が四・九億円。絶縁電線、電気回路などの電気機器類が四・七億円。エアコン、ポンプなどの一般機械が二・四億円。それから、鉄管あるいは鉄管用の継ぎ手のような鉄鋼製品が〇・九億円ということになっております。

塩川委員 政府として、北朝鮮の制裁措置に係る相談窓口を設けておりますけれども、その窓口への中小企業者からの相談件数とその主な相談内容について、特徴を述べていただけますか。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御質問ございました相談窓口でございますけれども、今、全国の六百五十一カ所で相談窓口を十月十三日に設置いたしまして対応しておるところでございます。

 その窓口での相談実績でございますけれども、十一月三十日までに、水産品の輸入業者、それから中古車、バイク、家電等の輸出業者等々から八十三件の相談が寄せられているところでございます。

 主な内容といたしましては、どういう支援をしてもらえるのかという支援措置の内容でございますとか、中小企業のいろいろな金融それから保証といったことの制度の照会、さらには、北朝鮮との取引ができなくなったために事業転換をしたい、あるいは仕入れ先を北朝鮮からかえたい、そういうときにいろいろと相談をしたいといったような相談が大半であるというように理解をしておるところでございます。

塩川委員 あわせて農水省に伺いますが、北朝鮮産水産物の輸入禁止の影響について、その中でも、特に境港市からは、市長と水産振興協会の連名での要望書も出されていると聞いております。この境港市の水産加工業などへの影響についてお聞かせください。

竹谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 水産物の北朝鮮からの輸入、全体的に見ますと、供給量に占めるシェアは低いわけでございますので、影響は限定的と思っているわけでございます。特に、主要な品目で見ましても、ウニでありますとか、あるいはアサリでありますとかといったものにつきましても、いずれも供給量のシェアは小さいわけでございます。ですから、やはりこれは限定的と考えております。

 ただ、今委員から御指摘ございましたように、境港を中心にベニズワイガニの加工業が行われております。このベニズワイガニの供給に占める北朝鮮産の割合というのが、輸入量での割合が一割程度でございます。したがいまして、こうしたものを特に使っている事業者が多い境港におきましては相当程度の影響があるというふうに考えている次第でございます。

塩川委員 地元の日本海新聞などでも、境港市が保証料の半額助成ということでの地元水産加工業への金融支援の取り組みなどもあるそうであります。

 そこで、最後に大臣に伺いますけれども、ここにありますように、境港市と、あるいは鳥取県なども、独自の利子補給やあるいは保証料率の軽減の対策をとっておられます。こういった地方公共団体での独自の取り組みについて国もしっかり支援をしようじゃないか、これはこの問題に対する省庁連絡会議の中でも挙げられていたことだと思います。

 この点を含めて、影響を受ける方々に対し、実情に応じてきめ細かく支援を図ってまいりたいという官房長官の記者発表もございますので、中小業者への影響を緩和するために、関係各省とも連携をとった遺漏なき対応をお願いしたいと思いますが、大臣のお言葉をいただけますか。

甘利国務大臣 既に全国六百五十一カ所に特別相談窓口を設置しておりまして、政府系の中小企業金融の三機関のセーフティーネット貸し付けであるとか、あるいはセーフティーネット保証による支援策を講ずることによって、資金供給に問題が生じないよう万全を尽くしておるわけであります。あわせて、政府として、各省庁の官房長クラスを構成員とする対北朝鮮輸入禁止等に関する緊急連絡会を開催して、各省庁の対応の検討や対応状況に関する情報交換を行うなど、連携をとって対処しているところでございます。

 引き続き、きめ細かな対応に努めてまいる所存であります。

塩川委員 時間が参りました。外務省の方、申しわけありませんでした。

 以上で終わります。ありがとうございました。

上田委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。(拍手)

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

上田委員長 次回は、来る六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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