衆議院

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第9号 平成19年4月25日(水曜日)

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平成十九年四月二十五日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      小此木八郎君    大塚 高司君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      平  将明君    武田 良太君

      谷川 弥一君    土井 真樹君

      冨岡  勉君    長島 忠美君

      丹羽 秀樹君    野田  毅君

      橋本  岳君    平口  洋君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      増原 義剛君    御法川信英君

      武藤 容治君    森  英介君

      山本 明彦君    吉川 貴盛君

      大畠 章宏君    太田 和美君

      奥村 展三君    川端 達夫君

      北神 圭朗君    小宮山泰子君

      細野 豪志君    三谷 光男君

      柚木 道義君    鷲尾英一郎君

      高木美智代君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   経済産業副大臣      山本 幸三君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 正徳君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            谷口 博文君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 香川 俊介君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    岡本 佳郎君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局企画部長)         齋藤 晴美君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       松井 英生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           立岡 恒良君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           板東 一彦君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (特許庁長官)      中嶋  誠君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    石毛 博行君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    加藤 文彦君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            近藤 賢二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     御法川信英君

  片山さつき君     大塚 高司君

  清水清一朗君     平口  洋君

  谷川 弥一君     冨岡  勉君

  牧原 秀樹君     長島 忠美君

  大畠 章宏君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     片山さつき君

  冨岡  勉君     谷川 弥一君

  長島 忠美君     牧原 秀樹君

  平口  洋君     清水清一朗君

  御法川信英君     小此木八郎君

  小宮山泰子君     奥村 展三君

同日

 辞任         補欠選任

  奥村 展三君     大畠 章宏君

    ―――――――――――――

四月二十五日

 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社商工組合中央金庫法案(内閣提出第三九号)

 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社商工組合中央金庫法案及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木正徳君、金融庁総務企画局審議官谷口博文君、金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、財務省大臣官房参事官香川俊介君、国税庁課税部長岡本佳郎君、農林水産省農村振興局企画部長齋藤晴美君、経済産業省大臣官房長松永和夫君、経済産業省大臣官房商務流通審議官松井英生君、経済産業省大臣官房審議官立岡恒良君、経済産業省大臣官房審議官板東一彦君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長広瀬研吉君、特許庁長官中嶋誠君、中小企業庁長官石毛博行君、中小企業庁次長加藤文彦君、中小企業庁事業環境部長近藤賢二君及び国土交通省大臣官房審議官加藤利男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田和美君。

太田(和)委員 本日は、株式会社商工中金法、中小企業信用保険法改正案について質問をいたしますが、商工中金の法案については既に先週かなり議論が煮詰まってきているようですので、最初に何点か重要な点だけ確認させていただいた後、残りの時間を中小企業信用保険法について質問させていただきます。

 株式会社商工中金法ですが、政府出資金の国庫への返納についてお尋ねいたします。

 まず、商工中金が株式会社に転換するに際して、現在の政府出資金四千億円のうち一千億を株式として保有し、残り三千億を特別準備金に充てる、これは先週、甘利大臣の答弁としてそういう数字が挙げられました。行革事務局からは、それは甘利大臣の決意として理解するが、デューデリジェンスをしたらそれより多くなるかもしれないし少なくなるかもしれないというような答弁がありました。

 これは評価委員会の意見を聞いて、経済産業大臣と財務大臣が協議して定めることになっていると附則で定めています。評価が済んでいない、財務大臣との協議が済んでいない現在、大臣が言われるこの一千億、三千億という額は、まさしく決意なのかもしれませんが、明確におっしゃっておられますので、相当の根拠があるに違いないと思っております。まず、その根拠あるいは考え方についてお願いをいたします。

甘利国務大臣 おっしゃるように、有識者から成る評価委員会を設置しまして、そこでいろいろ御議論をいただいて、その議論を、目安といいますか一つのメルクマールとして、最終的には私と財務大臣とで決定するということに手続上なっております。

 でありますから、私が申し上げたのは、確かに決意であります。政府出資を一千億とし、特別準備金を三千億とするという振り分けが私は望ましいと思いますが、それはなぜかといいますと、現状、政府出資四千億を入れても自己資本比率というのは八・〇一ですね。国際業務の最低ラインであります。これを除きますと、たしか三・五%前後になると思います。そうすると国内基準も満たさないわけで、監督官庁からの指導が入るわけであります。

 でありますから、健全に信用力を持って運営していくためには、今の政府出資の金額が何らかの形として資本カウント、つまりティア1にカウントされて残っていかないと、どういう影響が出るかといいますと、例えば、金融債を発行する、いろいろな債券が発行できるということになっておりますが、移行期間中も、金融債を発行する際に調達金利が上がってしまって、それが貸出金利にはね返る。そうしますと、中小企業者にとっては高いお金を借りなきゃならないということになりますから、やはり信用力をしっかり持っていく。

 評価基準、ダブルAプラスという話もありましたけれども、これを下げるような民営化移行というのは決していい形ではないというふうに思っておりましたから、目安として、一千億を政府出資として置いておく、やがてこれは中小企業関係者に時間をかけて売却をしていくのでありますけれども、残りの三千億は特別準備金、つまり、配当に充てることはできない、きちんと残しておくものとして資本勘定に入れることができるということが大事だというふうに答弁させていただいたわけであります。

 おっしゃるように、これで確定しているわけでございませんで、目安としてはそういうところを目指すべきではないかというのが正確な答弁でございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 次に、特別準備金の性格についてです。

 第一に、全部株式で保有しないで、一部を特別準備金として置くというのにはどのような理由があるのでしょうか。

 第二に、特別準備金というのはどのような性質のお金なのでしょうか。これは最終的には国庫に返納する義務があるお金なんでしょうか。

 第三に、法案では、株式会社に転換した後の話として、財務内容の健全性が確保されるに至ったと認められる場合には国庫に納付することができるとあるわけですが、これはだれが判断するのでしょうか。商工中金が判断し、株主総会に諮って決めるのか、それともその判断に政府が関与することになるのか。

 第四に、財務の健全性が確保されるに至った状態とは一体どのような状態を指すのでしょうか。具体的な基準なり考えがあるのかどうか。

 以上の点についてお答えをお願いします。

山本(幸)副大臣 特別準備金は、今大臣が答えられましたように、財務基盤をしっかりとする必要がある。特に、新商工中金が、引き続き中小企業向けに金融機能を維持しなきゃいけませんので、強固な財務基盤を確立する、そのために設けられるものでございます。

 それから、移行期における国庫納付ですけれども、この決定は、これは商工中金が自主的に国庫納付することができるというようにしておりまして、商工中金の判断で、最終的には株主総会で決めるということになります。したがって、国庫納付義務というものがあるものではありません。政府が関与することはありません。

 それから、その判断基準でありますけれども、法案で、新商工中金の財務内容の健全性が向上して、その健全性が確保されるに至ったかどうかということでありまして、これは、その時々の市場状況や中小企業金融の情勢等を踏まえて具体的に決めていくことになりますので、今ここでこれという、はっきりしたことが言えませんけれども、私どものめどとしては、今、地方銀行が大体自己資本比率一一ぐらいですし、メガバンクは一二%ぐらいありますので、その辺をめどに考えていくんじゃないかと思っております。

太田(和)委員 今度は完全民営化後の話ですが、先日、三谷委員からも、完全民営化時、特別準備金は国庫に返納するかというような御質問があったと思います。これは財務省との間でまだ決まっていない話だろうと思うわけですが、先週、石毛長官からは、本来の商工中金の金融機能をちゃんと果たせるように必要な措置をとると附則に書いている、そして、法律に明示的に書いてあるわけではないけれども、特別準備金を引き続き置くというのはその一つではないかという趣旨の答弁がありました。

 この点について、大臣からも御答弁をお願いいたします。

甘利国務大臣 二十年十月に株式会社としてスタートしまして、五年から七年かけて完全民営化、つまり、政府出資の一千億分について構成員、構成員といいますか中小企業団体及び構成する中小企業者が引き受けていくということになります。三千億の特別準備金につきましては、移行期間中に返すことができる。つまり、これは商中の方が財務基盤が固まってくるに従って、返すというよりも納付ですね、借りているわけじゃないですから、納付することができる。その納付した分だけ特別準備金の額が減るわけでありますが、それはやはり財務基盤がきちんと充実をしていく、それに見合ってということになると思います。

 でありますから、完全民営化後も財務基盤がしっかり固まっていない、そういう中で納付するということは経営判断としてはあり得ないと思いますし、十分な財務基盤が固まってきたという判断がなされれば納付していくということになろうかと思いますから、そういった意味で、完全民営化後も残るという可能性は当然あると思います。

太田(和)委員 現在においては政府出資金が、そしてその転換後には特別準備金が商工中金の信用力の源になっているんだろうと思います。商中債が売れるのもそれがあるからだと思います。そこで、株式会社になって、中小企業の金融機能をしっかり果たしつつも経営の自由度を上げて経営の効率化を図る、これまでとは違う信用力をつくっていこうという話だと思います。

 一方、中小企業向けの金融機能をしっかり果たしていくということを強調すればするほど、そして私はそれをしっかり果たしてもらわないと困るという立場ですが、その性質上、株式会社商工中金はただもうかればいいということにはならないですし、経営効率化一辺倒ということにもならない。だとするなら、政府出資にかわる新たな信用力の構築は相当容易ではないと思っております。

 したがって、この特別準備金の扱いについては、転換に際しての評価と主務大臣の指示、また移行期において返納するかどうかは商工中金の自主的判断、そして、完全民営化後については、決まっていないにしても、とり得る必要な措置の中でどう扱うのか、中小企業向けの金融機能をしっかり果たすという大目的のために十分な配慮が行われるべきであることを申し上げます。これは大臣に御要望だけさせていただきます。

 次に、関連しますが、完全民営化の際、この附則に書かれている、中小企業に対する金融機能の根幹が維持されることとなるような「株主資格を制限するための措置その他必要な措置を講ずるものとする。」という場合の「その他必要な措置」という中には、今、特別準備金の問題も入るんだということでしたが、ほかにどのような問題を想定されているのでしょうか。

 そして、いつ、だれが、どこでそれを決めることになるのでしょうか。経産省、財務省、金融庁、あるいはそのときまで行革事務局があるかどうかはわかりませんが、どこかに会議をつくるのか、審議会みたいなものをつくるのかどうか、御答弁をお願いいたします。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 附則の二条で御質問の趣旨が書かれているわけですけれども、株主資格制限のほかにどのような必要な措置があり得るのかということですけれども、先日来の議論に出ておりますように、特別準備金の扱いということも一つの要素だろうし、それから、金融債の発行などというのもあるんだろうと思っております。

 ただ、そういうようなことにつきまして政府が必要な措置をとるということでございますから、政府の中で、今お挙げになった、私どもも含めた関係の機関でそういうものを合意して、法律上の措置が必要であれば、そういう政府の措置としてその法律の案を政府全体で決定をして、また国会の御審議をいただくということになると思っております。

太田(和)委員 商工中金の関係では最後の質問です。

 先ほども申し上げましたが、株式会社商工中金が、今後、民間企業として経営効率化に努力する、中小企業金融の役目を果たしながら、それでも財務内容が健全化するようぎりぎり努力する。職員一丸となってやるわけですが、財務内容がよくなったときに、そうすると、特別準備金を返さないといけなくなります。これは新たに構築される信用力がどの程度になっているのかにもよりますが、職員にとっては、頑張れば頑張るほどリスクを負うというジレンマを抱えることになります。こういう仕組みの法案だと思いますが、これで職員のモチベーションが上がるのでしょうか。大臣、お願いいたします。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、財務基盤が確立をされてくる、その余力に従って特別準備金に関して国庫納付をしていくという仕組みになっております。

 そうすると、頑張ると財務基盤を減殺することにならないか、それが職員のモチベーションを下げないかという御指摘でありますが、財務基盤の確立に従ってでありますから、財務基盤の強固さを毀損するような形で国庫納付するということはありませんし、私が見ていて商中のすばらしいところは、融資と経営指導が一体となって、再生機構のようなことまでできる、総合的なプランニングができるんですね。七十年の歴史が培ったノウハウだと思うんですけれども、それが商中の職員の誇り、プライドになっていると思うんです。我々は、よその金融機関にできない、中小企業を育てていくノウハウを持っている、事実そうだと思うんですが、それがモチベーションとして商中を支えていると思います。

 でありますから、恐らく、財務基盤が本当に強固になれば、政府からの言ってみれば応援は少しずつお返しをして、まさに自分たちの力でやっていくぞという、むしろモチベーションが高くなるという方向に働くんじゃないかと思っております。

太田(和)委員 私は、そもそもこのような形の民営化が本当に必要だったのか、基本的なところでまだまだ疑問が解消されていません。また、肝心の完全民営化されたときの話はどうなるのかもはっきりしません。

 今後、関係省庁との協議で決まるということなんでしょうが、そうした点も含めて、さらに同僚委員の質疑に期待することといたしまして、時間もありませんので、中小企業信用保険法改正案についての質問に移りたいと思います。

 平成十三年の法改正により、信用保証協会において売掛金債権担保保険が創設されたところでありますが、今回は、棚卸資産、経済産業省の資料では豚やワインが例示されておりましたが、要は、在庫も担保として追加しようということでありまして、私は、この法案は、中小企業にとっては、商工中金の法案と同様にあるいはそれ以上重要な法案ではないかというふうに思っております。

 従来の不動産や保証に偏った融資では、これからの低成長時代、もうもたないのではないか、また、不動産担保は不動産価値の上昇というマクロ成長に依存した資金調達のやり方ですし、それよりも、不動産を持たない企業、しかしこれから伸びるぞという中小企業が資金が欲しいときに調達できるよう、売掛金や在庫といった事業収益資産を活用して、資金調達できる環境を整備していこうというのがこのABLだと思います。

 経産省が行ったモデル事業のアンケートの中に、従来のように困ってから借りるというような資金繰りではなく、成長していくための攻めの運転資金調達がいつでもできるという安心感が得られたと評価する声があったとされていますが、ABLの意義というのはそういうことなのかなと感じております。

 大臣は、このABLの意義について、どのように認識されておられるでしょうか。所見をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 従来、我が国の金融機関の融資について何がまず必要かというと、不動産ありますか、土地ありますか、建物ありますかということだったんですね。これは土地神話、つまり、土地は絶対下がらないという神話に裏打ちされていたと思うんですけれども、ことし一億の価値は来年は一億一千万なり二千万になる、だから、言ってみれば取りっぱぐれはない。

 そうしますと、一番金融機関にとって大事な審査能力というのはほとんど必要ないんですね。その企業がどういう将来性を持っているか、技術力を持っているか、ポテンシャルを持っているか、あるいは経営能力を持っているか、どんな可能性があるか、本当はそこに着目をしてお金を貸すというのが金融機関の姿勢なんですけれども、そんなものは査定するだけ面倒くさい、土地があれば取りっぱぐれることはないんだからということで、言ってみれば審査部門の能力がどんどん落ちていったんですね。

 ところが、バブルが崩壊をして、土地神話が崩壊をした。持っていれば必ず上がるというものじゃなくて、下がることもあるということになったわけであります。そこで、金融機関は本来の姿に戻らざるを得なくなったんですね。目きき能力を発揮しなきゃならない。これは健全な本来の姿だと思うのであります。

 そこで、土地以外の、先ほど申し上げた企業の持っている力、加えて、不動産でない担保のあり方、動産担保について、これは評価能力が問われるわけでありますから、そこについてもしっかりと見きわめる力をつけていくという方向になっていくというのが流れだったというふうに思っております。

 ABLに関しましては、中小企業者にとっては、資金調達の範囲を従来より広げてくれるという要素があります。現時点でいいますと、金融機関は、まだそうしたノウハウ、あるいは、今までやっていないんですから、もちろん実績は不足をしております。御審議をいただいている流動資産担保融資保証制度を創設することによって、金融機関がABLへの積極的な取り組みをしてくれる、これを促す、中小企業の資金調達の多様化を支援することができるというふうに考えております。

 商工中金はノウハウがいろいろありますから野心的に踏み込んでいってくれますけれども、まだ一般の金融機関はそこまではいきませんから、そこで、保証制度をつくってこれをバックアップしていこうということであります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 一方で、経産省のアンケート調査によりますと、ABLを積極的に利用したい、あるいは利用してもいいと答えた企業は合わせて三三%にとどまっております。利用したくないという企業が六七%に上っているという現実があります。このような背景から、金融機関の担保の内訳として、保証が四〇%、信用が三七%、不動産などが一八%で、流動資産担保を含むその他担保が四%という現状にとどまっているのだろうと思います。

 これは、企業にとっては、あそこは売掛金や在庫まで担保にしてお金を借りているのか、大丈夫なんだろうかというような風評が広がる、この風評被害を懸念して消極的になっている面が大きいと思います。

 業種によっても、担保たり得ないような在庫しかない企業もあるでしょうし、また、金融機関にとってみれば、流動資産を評価するノウハウの蓄積不足や、評価業者の数が少ないこと、担保を処分するマーケットが少ないこと、あるいは法律、制度などで環境整備が不十分であることがまだまだ広がっていない原因じゃないかと感じております。

 これらの点、ABLがまだまだ広がっていない理由について、どのように認識されておるのでしょうか。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の御指摘の点にかなり近いお答えをすることになるわけでございますけれども、御案内のとおり、中小企業の持っている保有資産というものを全部合わせてみますと二百五、六十兆円の資産があるわけですけれども、その中で、売り掛け債権あるいは在庫を合わせたもので百四十兆円近くある。そういうものを考えますと、現在、民間金融機関がそういうものをベースにして融資をしている実績というのは非常に低水準にあるというふうに思っております。

 そういったようなことの原因ですけれども、これは、先ほど大臣も申し上げましたが、金融機関の側でこういう担保の評価あるいは処分ノウハウ、そういうものが不足しているんじゃないかという点。それから、先生も御指摘になりましたけれども、中小企業において売り掛け債権とか在庫とかそういうものを担保にするということになると、そこまで困っているのかというような、いわゆる風評被害といいますか、そういうものを招くんじゃないかという点。それからもう一点は、やはりABLの制度が、こういうものをやり出してまだ時間が余りたっていないものですから、認知度も非常に低いということで、なじみがないという点も非常に大きな理由だろうというふうに思っております。

太田(和)委員 そこで、今も申しました風評被害なんですが、どのようにすれば誤解を払拭できるのか、今回の在庫を担保とした融資の場合、どのような対策を考えているのでしょうか。

石毛政府参考人 風評被害ということは、まず第一に、こういったようなものを実行していただいて、その過程で、こういうものは非常に使い方として意味のあるものだということを、金融機関も含めまして、中小企業者の側でもそういう評価が蓄積されるということが重要だと思います。

 加えまして、風評被害対策そのものということで、全国の信用保証協会、五十二あるわけですけれども、そういうところを通じまして、地域の金融機関などに対して、そういう制度の趣旨の周知、それから活用促進のための啓蒙普及、そういうものに努めたいというふうに思っております。それからもう一つ、政府広報の活用ということで幅広い啓蒙普及を検討しております。

 加えまして、金融庁に設置されました金融審議会の金融分科会第二部会というのがあるわけですけれども、先日そこで、地域密着型金融に関する報告書というものを出しておりますけれども、その中でも、ABLについて推奨するということが記載をされております。

 いずれにしましても、私ども、今回創設する保証制度についての運用の段階で、中小企業者が使いやすい制度になるように、中小企業者の意見もよく聞きながら、ABLの普及に努めていきたいというふうに思っております。

太田(和)委員 流動資産を担保とした融資を、例えば何年後に何件の融資を目指すだとか、実行額幾らを目指すとか、流動資産担保保険を広げていく際の一つとしてそういった目標を設定するという考え方があります。どのようにお考えでしょうか。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来議論されていますように、今現在、ABLについての成熟度といいますか進捗が比較的未成熟の段階でございますので、今から、これぐらいの数値になるんだというような目標を掲げることはなかなか難しいというふうに思っております。

 そういう数値を掲げることよりも、先ほど申し上げましたように、まず、この制度が着実に広がっていく、そういう努力をすることが非常に重要だと思っております。中小企業者それから金融機関にとって使いやすいような制度とするように、ABLの普及に努めていきたいというふうに思っております。

 ちなみに、米国では、このABLの制度を民間の金融として活用しているわけですけれども、全体の融資の中で二割近いウエートになっていると聞いております。これも約三十年近い年月をかけてそこまで到達したという実態でございますので、私ども、余り難しい数値を立てて無理やりやるというよりも、着実にその制度が広まっていくように努力するということが重要ではないかというふうに思っております。

太田(和)委員 今回、在庫担保融資を信用保証協会で保証するということは、普及という意味では、金融機関に対して現実的なバックアップになると考えられます。国の制度で行うことの安心感もあるでしょう。その意味では、この改正案は一歩前進ではないかと思うんですが、しかし同時に、まだまだ課題は多いんだろうと思っております。

 先ほども申し上げましたが、在庫担保をどう評価するのか、普及ということを考えると、このノウハウの確立が極めて重要であることは言うまでもありません。これは新聞記事ですが、日経新聞で、経産省が動産鑑定士制度を創設するという記事が掲載されています。去年五月の記事なんですが、動産鑑定士制度の創設は、今どのような状況になっているのでしょうか。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、動産担保融資を普及させていくというためには、担保の対象になります多種多様な動産の担保価値というものを評価できるということは非常に肝要なわけでございます。

 今委員御指摘になりました昨年の新聞は、昨年三月に、私ども内部で検討をしてまいりました研究会報告で、まさにその動産評価、鑑定に関する環境整備の必要性というものを指摘したものを受けてのことかと思います。

 私どもの方で金融機関あるいは評価、処分会社との間で意見交換を重ねてまいりましたが、動産の評価、鑑定につきましては、何といいましても動産の種類が多岐多様にわたるものでございますから、士制度のような公的資格制度ありきということではなくて、まずは民間レベルにおきまして、評価手法の統一でございますとかあるいは評価専門家の育成といった課題につきまして幅広く検討するということが重要ではないかというふうに考えてございます。

 今後、こうした課題につきましては、現在設立に向けて準備を進めておりますABL協会という民間中心の機関におきまして議論していくということを予定しているところでございます。

太田(和)委員 私もかつてから地域の青年会議所に参加しておりまして、そこでは最近、コミュニティービジネスを振興させていくためのネットワークづくりに取り組み始めたところです。コミュニティービジネスは、地域を元気にするために地域のニーズにマッチした事業をローリスク・ローリターンで行う事業ですが、高齢者や女性の就労参加、地域の活性化など、我が国にとって、これからの課題を乗り越えていく意味でも、大変意義のある大きな事業ではないかと思っております。

 経産省もコミュニティビジネス支援事業というのをやっておりまして、これはいいことなんですが、十九年度で一・六億円と非常に少ないです。

 この話はまた別の機会に質問させていただきたいと思いますが、きょうはそのコミュニティービジネスの資金の話です。立ち上げ期においては、リーダーなどの私的財産に負う面が強いと言われております。しかし、事業の継続には、費用も多額になり、資金調達がやはり重要な課題になっております。担保になる不動産も少ないのが大半だと思いますし、私は、このABLが将来もっと普及してくれば、中堅中小企業だけではなく、こうしたコミュニティービジネスあるいはNPOなど、地域経済の新たな担い手が大いに活用できるのではないかと期待をしているところであります。

 そのような意味も含めまして、ABLの将来像について大臣はどのようなデザインをお持ちになっておられるのでしょうか、御見解をお願いいたします。

甘利国務大臣 現状では、ABLは商工中金が先行的に実施をしている、そして、商中以外の民間金融機関もこれに倣って対応してもらえるように、保証協会が保証をつけて民間金融機関のリスクの軽減をするという仕組みになっているわけであります。

 ただし、現状の保証協会の保証については、中小企業者がその対象でありますから、中小企業者である限りはコミュニティービジネスを構成するメンバーが対象になるわけであります。

 要は、NPO等についてABLがどう使えるかということなんですが、民間金融機関が保証協会の保証をバックにABLを取り扱っていく。そうすると、次第にノウハウがふえていきますから、単独で民間金融機関がABLに乗り出していくという道も開けてくると思います。そうしますと、中小企業者に該当しないコミュニティービジネスを構成するNPO等についても、金融機関の対象に入ってくる時代が来るのではないかというふうに思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 最後に、事業再生保証の関係について一点だけお尋ねをいたします。

 信用保証協会が保証する割合なんですが、これは関係者の意見を踏まえて今後決定される予定になっています。これは、事業再生段階にある企業への融資ですから、貸す方にとっては大変リスクが高い。金融機関とすれば、できれば信用保証協会が一〇〇%保証してほしい。しかし、一〇〇%保証ならだれでも貸せるわけですし、利子まで取るわけですから、金融機関にモラルハザードが生じる危険性がある。一方、これを仮に八割保証にすれば、今だってリスクの高い企業には貸したがらない実態なわけですから、せっかくこの制度をつくっても、金融機関が乗ってこない、利用されない可能性も出てくるわけです。

 この点について御認識を最後にお尋ねし、私の質問を終わりたいと思います。

山本(幸)副大臣 御指摘の問題、理念的にはそういうことが心配されますが、ただ、今回のこの保証の対象となるのは、法的手続を申し立てた以降に発生する債権に限られておりますので、金融機関が既存の債権を回収するために悪用するというようなことはできない枠組みにそもそもなっております。

 法的整理中の企業に対する融資というのは、いわゆる不良債権とみなされますので、金融機関も極めて慎重に対応せざるを得ません。つまり、具体的には、貸倒引当金の積み増しが必要となりますし、それから不良債権としての開示が求められる、債権管理コストが発生するという問題があるわけであります。

 この場合、たとえ一〇〇%保証ということになっても、引当金の積み増しは必要がなくなりますけれども、不良債権として開示しなければいけないとか、債権管理コストというのは依然として残るわけでありますので、そういう意味では、金融機関は十分慎重にやるという意味で、たとえ一〇〇%保証したとしてもモラルハザードということはないと考えております。

 いずれにしても、そういうことを踏まえて、関係者の意見等を踏まえて適切に決定していきたいと考えております。

太田(和)委員 ありがとうございました。

上田委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 おはようございます。民主党の小宮山泰子でございます。

 経済産業省単体というんでしょうか、それでは初めて質問をさせていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以前は中心市街地活性化法の国交との連合審査会での質問をさせていただいておりましたけれども、今回、商工中金の民営化、この関係で質問させていただけることになりました。

 こういった問題においては、地域が、そして中小企業、小規模企業、そして個人の方が加入されているということでもありますので、まず、法案の方に入って質問する前になんですが、やはり中小企業、小規模企業をめぐる、そういった状況について、景気動向についての大臣の御認識を伺っていきたいと思っております。

 閣僚発言とかいろいろ拾ってみますと、景況感というのは大分いいような、かなり前向きというような言葉が随分と出ておりますけれども、恐らく統一地方選でここにいらっしゃる議員さん方も地元にお帰りになられて、そんなにいいという話をたくさん聞いたのかというのを私自身は疑問に思います。

 自分自身も、歩いてみると、やはり、非常にその点に関しては苦しい、もしくは、もう既に高齢化等になっておりまして、個人事業の方、そろそろ店を閉めようかという方の話が逆にどんどん耳に入ってくるという状況にあって、ある意味、この中小零細企業、個人企業というのは、大企業とは違って、本当に苦しい状態や、今までのやり方ではにっちもさっちもいかないような、そういう状況に追い込まれてしまった。社会環境の変化についていけない、そういった現実が起こっているというのを実感しております。

 また、実際、経済産業省や中小企業庁から三月三十日付で発表されております中小企業景況調査によりますと、四期連続してマイナス幅が拡大とありますし、中小企業にとってはやはり、これから見ても、現実に調査をされている中小企業庁さんたちによっても、明るい状況とは言えないというのが現実だと思います。これは肌感覚だけではなく、現実にそういう数字が既に出ているということも御認識をされていらっしゃるんだと思います。

 首都圏は、そういう中でも、全国で見れば悪い方ではないとは思うんですが、私の地元であります埼玉県のことし一月から三月の景気動向調査を見てみましても、自社業界の景気について、前期に比べて〇・七ポイントだけが、たった〇・七ポイントだけが改善という数値が出ております。一ポイントにも満ておりません。好況であるは五・九%。不況であるは四六・九%。半数近くは不況であるとはっきり認識をされていらっしゃいます。

 今後の景気見通しについては、わずかな改善は確かに見られるということは理解いたしますけれども、どちらとも言えないというのが六六%、よい方向に向かうというふうに将来展望を持っている方々も八・二%というのに対して、悪い方向に向かうという数字が三倍の二五・七%という現状でありますから、中小企業にとっては、今現在、本当の意味で厳しい状態というのが続いている、もしくはさらに悪条件が重なっていくんではないかという不安の中にいることは間違いないというふうに考えております。

 大臣にお伺いいたしますけれども、中小企業白書二〇〇六年度版によりますと、中小企業は、全体の企業数に対して九九・七%、従業員数で七一%を占めています。したがいまして、中小企業関連の景気がよくなるということが日本の景気がよくなるということであると私自身は考えております。そのときに、ここの中小企業や小規模企業が景気がよくなったというふうに、皆さん、将来は明るいんだ、安定しているんだというふうに胸を張って言えるようなときが、やはり地元に帰っても安心して、いい政治をやっているねと言われるんだと思います。

 大企業関連の景気がよくなってそのうち中小企業に波及してくるという、これは都市計画や中心市街地活性化もそうかもしれません。今やっています地域活性化の、そういった問題においても、大きなところや大都市圏がよくなればそのうちに地方に波及するんだという、非常に昔ながらの発想だというふうに私は思います。

 素朴な疑問の質問なんですけれども、企業数でも従業員数でも圧倒的な割合を占める中小企業からまず元気にしていくということが、そういう方策の方が、日本の景気や将来に向けての安定した景気の成長というものが見込めるのではないかというふうに思いますが、改めて、中小企業が日本経済に大きな役割を果たしているということを考えておりますと、中小企業を元気にすることが日本経済を確実に元気にしていくことだと考えております。大臣の中小また小規模事業主に対するそういった政策に対しての思い入れや現状認識をまず伺わせてください。

甘利国務大臣 御指摘のように、現在の景況感、総じて言えば、いい方に引き続き向かっているけれども、地域のばらつきはまだまだ多い。特に中小企業にとっては、まだそう楽観的な見通しではないという点は御指摘のとおりだというふうに思っております。そして、日本の経済がここまで来ることができたということは中小企業があらばこそだという思いも、先生と私は共通をいたしております。

 各国の企業の競争力をはかるときに、やはり外国に行って指摘される、在外日本企業によって指摘されることは、優秀な中小企業があるかないかというのが大企業の競争力にとって極めて重要な要素になりますと。日本にいると、必要なパートナーとしての優秀な中小企業は幾らでも見つかります、外国に出てそれを探すのはなかなか大変だというような話も聞くわけであります。

 しかも、中小企業は、地域、地方に広くあまねく存在をしていますから、その地域の雇用を支える、その地域の経済を支える極めて重要な役割。しかも、雇用者数の七割が中小企業の雇用でありますから、中小企業に元気が出ないと、言ってみれば、日本全体の雇用者の元気が立ち上がっていかない、それも御指摘のとおりであります。

 そこで、我々がとるべきことは、まず、かつての不況期から脱するときに、伸びられるものはどんどん伸ばしていく、その牽引役をつくる、そしてその後を順次ついていけるようにする。つまり、全体が同時にどんと上がるということはなかなか難しいけれども、牽引力になってくれるところはどんどん伸ばしていって、それが後ろを引っ張っていくということにせざるを得なかったわけであります。そこで各種税制とか予算対応、政策対応をしたわけであります。

 中小企業につきましては、今国会に、先般御審議をいただきました、中小企業の振興を通じた地域経済の活性化を図るという法案を提出させていただきました。中小企業の能力と地域のポテンシャル、地域資源を活用する、あるいは中小企業のいろいろな分野に挑戦するためのファンドを設定する等々、中小企業の能力を伸ばす、それが地域経済の底上げにダイレクトにつながっていく、そのための施策を今国会にも提出させていただいているところであります。

 御指摘の、中小企業が地域経済を支える、中小企業が日本経済を支えていく根幹であるというのは、全く私も賛同するところであります。

小宮山(泰)委員 中小企業が日本経済を牽引する、そういった意味でやはり大切だということを大臣も認識していただいて、大変うれしく思いますし、また、それを本当の意味で実行していただきたい。

 それは、今いろいろな施策を見ていますと、どうしても大企業優先、また、そういったところが入る団体からの要望というのを随分と受けていらっしゃるようですし、そういった声が随分と大きくなる、声の大きい方に流れてしまっているんではないかという懸念を、与党の施策等、いろいろ方針を見ていると心配でなりません。

 結局のところ、中小企業といっても定義がありますので、この点に関しては、地方に行くと随分と大企業ということもあります。やはり多くはもっともっと小規模企業が中心になっていくんだというふうに考えますと、先ほどから、確かに力があれば融資という問題も確実かもしれませんが、日本の場合はやはり、プロジェクトファイナンスとかノンリコース型の融資等も近年はふえつつありますけれども、依然、担保とか親会社の保証とか融資基準とかが重視されたり、また、企業の経営計画や技術とかそういったものが評価されない場合というのも実際に多い。昔でしたら金融の営業さんとかがずっと回って、この社長なら信頼できるといって現場を見ていたのが、やはりそういったところから離れていってしまっているのも現実であり、それがあるからこそ、大きなところ、担保というものに、不動産担保とかそういった安易なものに走ってしまう。

 そうなると、結局のところ、資産を持っている人や大きなところ、もしくは親族や家族といったところに負担を強いていってしまっていた。それが結局のところはまた個人企業主を苦しめ、もしくは、次の代は継がせない、継ぎたくないということで衰退をするという悪循環を招いた一つの原因だと思います。これは、大きなところではなく、個人とそういった意欲あるところ、大企業も、もとはといえば小さな個人事業主から始め、ベンチャー企業であります。やはりそういった基本を、小さなところを守るということをぜひ前提にお考えいただきたいなと思います。

 それでは、中小企業信用保険法改正についての質問に入らせていただきます。

 今、ちょっと担保の関係もお話しさせていただきましたけれども、日本の融資慣行は、競売で売却できる不動産等を担保とする融資が中心となっておりまして、中小企業の場合は経営者の個人財産、また親族が連帯保証人という制度、第三者保証人となる事例が多いわけであります。また、金融機関との取引の継続性も重視されます。諸外国では日本と異なっていると理解をされております。外国の融資基準と今後の日本の融資基準というのは、やはり考えていくといろいろな意味で問題があると思っております。

 また、その点を考えないと、これから、私の埼玉県入間市、埼玉県においても、スクリューとかそういったことにおいては日本一だったり、これはかなり山の中でありますから、技術力を持っているところは世界に向けて、スペースシャトルのタイルをつくったりとかしているのも埼玉県で、これは個人経営のところだったと思いますけれども、本当に頑張っていますが、そういう意味において、やはり今後のこの融資慣行という問題、これに関してはどのような方向に向かおうとしていらっしゃるのか。

 私自身、卒業いたしましたけれども、日本青年会議所というところに入っておりまして、その中の友人たちや同じメンバーの中からよく聞いたのは、一つには、親の会社を引き継いで専務として頑張っているけれども、そこそこ夜遊ぶ金はあるんだけれども、家庭を持つまでの責任を持てるお金は、やはりいろいろな責任を負っているから、なかなかしづらいんだということも聞いたことがあります。そしてまた、再編絵巻とかそういった日本青年会議所の提言の中にも、連帯保証人、そういう制度をやめてほしいというようなことも現実にはありました。やはりこういった保証制度というものが、個人企業や、先ほど大臣がこれから中小企業やそういったところが頑張ればと言ったところの足かせになっていないのか、その点について伺わせていただければと思います。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の融資については、基本的に、不動産担保とか個人保証に過度に依存しない融資の政策を進めるんだということで、私ども、取り組んできております。

 今委員御指摘がありましたけれども、外国、とりわけアメリカなどのケースを見てみますと、そういう個人保証の関係で第三者保証はほとんどとらないという慣行になっているという話も聞いております。

 そういう中で、私ども、この第三者保証人の徴求ということをやっていきますと、経営に関係のない第三者までが取り立てを受けて連鎖倒産を引き起こすというような問題、こういうような問題が社会問題としても今取り上げられてきているというふうに認識をしております。こういうことですから、中小企業庁としましては、個人保証に過度に依存しない融資というものを積極的に推進してきております。

 政策金融機関のところをまず申し上げますと、中小企業金融公庫それから商工中金、これらの公庫につきましては、原則として、経営に関係ない第三者の個人保証は求めないという形で融資を行っております。

 それから、国民生活金融公庫、ここはより小さい企業を相手にしているわけでございますが、第三者保証人に依存しない融資を拡充するということで、委員も御案内だと思いますけれども、従来から、無担保、無保証の経営改善貸し付け、いわゆるマル経融資、それから新創業融資制度、そういうものを進めてきておりますけれども、そういうものに加えまして、第三者保証人を不要とする融資制度というものを進めてきております。平成十九年度におきましては、第三者保証人を不要とする融資制度を拡充しております。具体的には、貸付上限額が今まで一千五百万円だったものを二千万円に引き上げるというようなことをしております。

 それから、信用保証協会でございますけれども、平成十八年の四月から、原則として第三者保証人を徴求しないということを徹底しているところでございます。

 それから、民間金融機関でございますけれども、今月の五日に、先ほどもちょっと触れましたけれども、金融審議会の金融分科会第二部会のレポートが出たわけでございますけれども、「地域密着型金融の取組みについての評価と今後の対応について」、そういうものの中で、第三者保証人の徴求については弊害が多い、「個人保証に過度に依存することなく、事業価値を見極める融資手法を徹底することが重要である。」そういう旨の指摘もなされているところでございます。第三者保証人をとらない、そういう融資に民間金融機関の側でも積極的に取り組んでいただけるのではないか、そういうふうに思っております。

 中小企業庁としましては、今後とも、この保証人に過度に依存しない融資、そういうものを推進しまして、委員御指摘の中小零細企業の資金調達の円滑化に努めていきたいというふうに思っております。

小宮山(泰)委員 ぜひそういった方向づけで頑張っていただきたいと思います。

 この第三者保証をとるということによって、多くの意味で後継問題等にもつながっているんだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、そこが、逆に言えば、民間になるということで強要ができないという意味でなかなかつらいところもあると思います。これが恐らく商工中金の民営化という中においても心配の一つになるのではないかという懸念をしております。

 また、ちょっとこの法案の関係になりますけれども、埼玉県の信用保証協会の資料によりますと、ことしの二月の統計で、事故報告、三百五十一件、二十八億七千二百万円、代位弁済が三百三十三件、二十七億八千万円で、件数、金額とも前年度を上回ってきております。また、中小企業金融公庫の資料においても、代位弁済の件数は平成十五年度以降減ってはおりますけれども、代位弁済の金額は減っていません。

 信用保証協会の保険収支状況が今後悪化して保険料率が安易に引き上げられては本当に心配なことがたくさんありますので、保険料率の必要最低限の適正化というんでしょうか、こういった点に関してどういうふうに配慮をされていくのか、全国の傾向も含めて御説明をお願いいたします。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、信用保証協会の代位弁済の件数と金額でございますけれども、実は平成十四年度あたりがピークでございまして、そのときに、全国で十三万八千件、一兆二千六百億円、そういう代位弁済の件数と金額でございました。その後、景気回復を背景に、平成十五年度からは件数、金額とも減少傾向は示しております。平成十七年度のケースを見てみますと、代位弁済の方は約八万件、金額で六千九百億円となっております。十八年度ですけれども、足元の平成十九年、ことし二月までの実績でございますが、七万一千件で六千二百億円、これは、対前年同期比のベースで見ますと、件数ベースで約二・三%、金額ベースでは〇・二%の減少という形になっております。

 そういう中で、御質問の保険料率の関係でございますけれども、保険収支でございますけれども、景気回復傾向を示す中でありますから、私ども、保険料率について、これは委員も御案内だと思いますけれども、平成十四年度それから十五年度の二カ年にわたりまして保険料率を引き上げております。この引き上げた効果もございまして、十四年度について、これは赤字が六千四十八億円あったわけでございますけれども、これが徐々に改善をして、十五年度四千三百二十四億円、十六年度二千五百六十億円、十七年度千六百七十六億円、これは全部赤字でございますけれども、そういうふうに改善はしてきております。

 私どもとしましては、こうした保険料率の引き上げ、あるいは、あわせて回収効率を向上させようということで保証協会サービサーというものを設立いたしまして、そういう回収効率の向上にも努力をしております。そういうことで収支改善に努めておりまして、信用補完制度、これは持続可能な制度でなくてはいけない、一時的に何か調子よくなったけれどもそれが続かないということではいけないと思っておりますので、そういう改善には取り組んでいきたいというふうに思っております。

 保険収支につきましては、全体の景気回復の状況も、先ほど大臣から申し上げましたけれども、まだ地域間、業種間でばらつきが非常に見られるという状況でございますから、今こういうふうに少しずつ赤字は減ってきているという状況でございますけれども、決して楽観はできないというふうにも思っております。

 こういうこととあわせて、先ほど来御議論になっておりますけれども、本来の目的であるところの中小企業金融の目的というものが実現できないといけないと思っておりますので、第三者保証の問題なども含めて、そういう改善を図りながら収支の改善も努めていきたいというふうに思っております。

小宮山(泰)委員 しっかり長く御答弁、ありがとうございます。

 日常のことに関してなんですけれども、これは埼玉県の方からの国への要望の中にあった件ですけれども、中小企業が、新しい技術を持ったり、また特許を持ったりということをしていく際において、なかなか日本の場合は難しいということもよく耳にすることであります。まず、埼玉県においては、先ほどもちょっと例も挙げましたけれども、自己開発型の新しい分野で中小企業の活躍がありますが、ここで問題になるのが、特許出願の手続と手数料がこういう新しい分野では中小企業にとってなかなか難しく、障壁になっているということがございます。

 埼玉県からも特許庁など関係省庁に要望を現実にもう出しておりますけれども、中小企業育成策としてのその点の検討、また減免制度等に関しての御説明をいただけないでしょうか。

中嶋政府参考人 中小企業に係る審査請求料あるいは特許料の減免などについてのお尋ねでございますけれども、まず、埼玉県からの御要望、昨年私も拝見いたしました。そういった埼玉県を含むいろいろな関係者からの御要望を踏まえまして、昨年、この減免の対象になる中小企業の範囲を広げまして、従来、資力に乏しい法人の設立後十年以内という要件があったんですけれども、この十年以内という要件を撤廃いたしました。

 それから、従来は産業技術力強化法の対象中小企業というのがあったんですけれども、これに加えまして、昨年六月からは、新しい法律で、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律、これの認定中小企業についても対象にするといったようなところで制度の拡充を図っております。

 それから、御要望の中に、外国出願する場合の費用に対する資金的な支援についてもございました。これにつきましては、日本の場合、中小企業施策の一環として、技術のシーズを事業化していくという際に最大五百万円までの支援措置があるんですけれども、この際、それに加えまして、別枠で最高三百万円まで、補助率二分の一以内でございますけれども、国際出願に関する助成制度を加えてございます。

 いずれにしても、こういったさまざまな支援措置につきまして、今後とも、関係者からの御要望も踏まえながら、中小企業の知的財産活動の積極的な支援を行ってまいりたいと思います。

小宮山(泰)委員 丁寧に御説明、ありがとうございます。

 ただ、いろいろなメニューがあり過ぎまして、実際そこが、恐らく行政側もなかなか、これが本当にこれに当てはまるのか、このケースはこっちなのか、どこに提出していいのかわからないということもたくさんありますので、その点はきちんと整理をし、ベンチャーということは、逆に言えば大手ではないので、それ専門ではない。本来であれば特許とかそういったいろいろなことに力を入れたいときに、助成金を探す方が大変だったということにならないように、その点の情報の提供の出し方も、ぜひ各行政間や、そういった支援のセンター等ともきちんと連携をとってやっていただきたいと思います。

 また、中小企業等協同組合法が改正をされまして四月一日から施行されております。改正の内容が新会社法を横滑りで中小企業等協同組合法に適用されるというようなことでもあり、その結果、事業報告、決算書の提出期限が各中小企業組合の総会のかなり前に提出しなければならなくなったというふうに認識しております。

 従来の中小企業組合法では、事業報告書、決算の提出は通常総会の一週間前に監事に提出しておけばよかったのですが、改正によって、通常総会は決算日から二カ月以内に開催しなければなりませんので、長くても二週間という極めて限定された期間内で準備をしなければならなくなったというふうに理解しております。

 日常の業務をなげうって集中すれば可能かもしれませんけれども、事業の妨げになってしまうのではないかという不満や不安を耳にすることが多々あります。多くの中小企業協同組合は定款により決算終了後二カ月以内に総会を開催していますので、総会前の監査期間を短縮して事業報告書、決算書の提出期限を長くとれるようにしていただけないかということでありますけれども、この点に関してどういうふうな対応があるのか、法律に関してぜひ御説明ください。

岡本政府参考人 小宮山委員の御質問にお答えいたします。

 法人税法上ですけれども、法人が一定の理由により確定申告書を二カ月以内に提出することができない常況にあると認められる場合には、所轄税務署長は、その法人の申請に基づき、確定申告書の提出期限を原則として一カ月間延長することができる特例制度がございます。

 委員御指摘のように、定款において事業年度終了の日から三カ月以内に株主総会等を開催する旨を定めている法人につきましてはこの特例制度が認められることになっております。この趣旨については国税庁の法令解釈通達において明らかにしておりまして、我々もホームページに一般に公開しているところでございまして、納税者等からの税務相談などに対しても適切に対応させていただいているところでございます。

小宮山(泰)委員 この法律ではなくてほかのところに書いてあるということでありまして、中小個人企業というのは法律のための専門を置いている人たちは非常に少ないという観点からも、なかなかこういったことの情報を得られないというのも現実だと思います。

 そういう点に関して、今後どういうふうに対応されるのかもお伺いさせてください。

石毛政府参考人 ただいま国税庁から答弁のあったとおり、定款変更を条件に、通常総会の開催を決算日から三カ月以内とするということが可能だということでございますので、私どもの今回の改正組合法の周知徹底の中で、こういったことが可能であるということについてもよくよく周知をしていきたいというふうに思っております。

 監査期間の短縮につきましては、これは会社法の改正の中で私どもこの組合法に移して、必要なことでございますから、この部分の短縮は難しいと思いますので、ただし、期間が二カ月から三カ月に延びればそういうことは可能だと思いますので、そういう周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。

小宮山(泰)委員 定款を変えれば、そういう意味では変えていかれるということでありますので、これはやはり周知徹底されなければいけない。

 そして、この周知徹底の仕方が問題なんだと思います。ある特定の、そういう意味では、よく経産省や中小企業庁さんがおつき合いになっているところだけではなくてもっと広くしなければ、恐らく、九九・七%が中小企業ということを考えれば、どこかの組織に入っていない方も随分いらっしゃるんだと思います、もしくは、告知をする予定であるところ以外の団体等も含めて、もう少し頑張っていただくことがいいかと思いますので、その点は要望として出させていただきます。

 それでは、株式会社商工中金法に関して質問に入らせていただきます。

 大臣は当委員会の所信表明で、この法案について、「行政改革推進法等に従って完全民営化される商工組合中央金庫については、完全民営化までの移行期に係る商工組合中央金庫のあり方を定める法案を提出いたしました。改革の結果誕生する新しい金融機関が、中小企業者にとって真に頼れるものとなるように取り組んでいきます。」と御説明をされております。

 本法案で誕生する新しい金融機関、これは特殊会社によって、また移行期間を経てから完全民営化するということが予定されておりますが、商工中金を株式会社化し、さらに民営化することが、なぜ、中小企業にとって真に頼れるものとなるのか、どなたにでもわかるように、ぜひ御説明いただけないでしょうか。

甘利国務大臣 商工中金は、七十年の歴史の中で、いわゆる他の民間金融機関にない強みを持っている。それは、その企業の経営力をしっかり見定める目きき能力を持っている、そして融資と経営指導が一体となってその企業を育てていく。ですから、商中がてこ入れをして大きくなっていった中小企業はたくさんあるというふうに思っております。

 政府の後ろ盾があって、商中債の発行が、低コストで資金調達ができるということは、低金利で貸し出しができるということにつながっていくわけであります。この利点を生かしながら、利点を生かしながらということは、つまり、移行期間においては政府出資が残っている、移行後も、財政基盤をきちっとしながら、ノウハウを携えて中小企業金融を行う。そして、完全民営化になりますと、自由度合い、例えば子会社を持つことが一定に許される、中小企業に対するいろいろな金融サービスの自由度合いが広がっていく、そして、培ったノウハウでの信用力は引き続き武器としていくということで、民営化を通じて、商工中金の自由度合いをふやして、信用力はそのまま維持をしていくということで、中小企業の発展に資するようにぜひしていきたいというふうに思っております。

小宮山(泰)委員 多少苦しく聞こえるのは私だけでしょうか。

 大臣、今お話しになられましたけれども、民営化することによって子会社が持てる、また自由度が上がるというのは、それはリスクも持つということであります。バックグラウンドというものがあったからこそ、そして安定したということがあったからこそ、今まで信用があったということも考えられるわけで、民営化したからといってそれがイコール頼れるとか信用がつくということではない。私たち、地元でいえば、信用金庫が大分つぶれました。それは民間企業であります。そういったことを経験し、本当にそれに引きずられるようにつぶれた会社もたくさんある。そうやって考えていくと、民間にしたからといって、信用とか安心とか頼れるという言葉というのはあり得ないわけです。

 また、郵政の民営化のあの論議のときにもありましたけれども、では、民営化したら窓口が減ってしまってということを私たちは審議の中で言っておりましたけれども、現実問題、民間になったら生き残らなければいけません。ほかの会社との競争もあります。そうやって考えると、子会社を持つことができるとか自由度が上がるといった言葉の裏には、当然、利便性のある窓口とかそういったものが削られるということで、企業の生き残りや、営利を目的としなければいけない民営化というものの弊害や、そういったものも負ってしまうという危険があることは間違いがないと思います。

 だからこそ、私自身は、大臣も苦しいとは思うんですよ、行革法の一環として、ともかく何でもタイトルを民営化にぼんと変えてしまうんだというような、そういう風潮の中ですから、民営化しないとは言えないというのもわからないでもないんですが、この点に関しては非常に、実際にもっとじっくりとこの行革の絡みのときには審議をするべきだったんではないか。何が本当に民間がやるべきであって、それと違う、競争をしなくてもいい場所というのをもう少し丁寧に分けておくべきだった部分もあるのではないかと思います。

 さて、それでは民間になったときはどうなっていくのかということで伺っていきたいんですが、商工中金の人事決定の権限も今回の法改正で変わると思います。

 理事長など、現行の人事決定を拝見していますと、商工中金でどんなに長く勤めてもトップには余りなれないのではないかということ。今皆さんのお手元に配付させていただいておりますけれども、歴代理事長、本当に経産省の幹部が送り込まれるという状態になっております。これは、やはり行政としてはすばらしいと思いますし、政府系の金融機関であるならばいいかもしれません。しかし、民営化になったときに、民間のノウハウというのはどれだけお持ちなのかというのは多少疑問に思います。

 そこで、お伺いしますけれども、当法案で、株式会社商工中金の代表取締役、監査役等の決議は大臣認可となっておりますが、法案の提案理由には、「国の関与を縮小して経営の自主性を確保する措置を講ずる」とあります。今後は、天下りのあっせんの問題が今随分出ておりますけれども、こういったような横滑り人事みたいなものというのはやはりやめていくべきではないかと思いますが、いかがお考えなのか、伺います。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの特殊会社化後の商工中金の取締役でございますけれども、この法律の十九条におきまして、商工中金の経営を行うために必要な知識及び経験を有し、十分な社会的信用を有する者でなければならないというふうに規定をしております。このような方が、会社法の規定に基づきまして、民間出資者などから成る株主総会において選任されることになります。

 特に、代表取締役の選定でございますけれども、新商工中金が特殊会社であるということを踏まえまして、ほかの特殊会社と同様に、主務大臣の認可を要するということになっております。

 その認可の際でございますけれども、「政策金融改革に係る制度設計」がありますけれども、その中で、「経営責任者については、」「必要と認められる識見及び能力を有する者のうちから適材適所で選任されるものとし、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮する。」というふうに定められていますから、これに従ってしっかり対応していくということになります。

小宮山(泰)委員 時間でございます。最後に、ぜひ伺いたいと思います。

 配付資料にありましたけれども、子会社ができるといって、今も関連のところで、調査研究は財団法人商工総合研究所など、いろいろなところがやったり、いろいろ関連のところがあります。そういったところに商工中金の方が行ったり、また経産省や中小企業庁の方が入っている。こういったところが、結局のところ最終的には、今、天下り等、そういった問題が随分出ておりますけれども、こういう慣行というものですか、本体のところは確かに理事長等への天下りはなくなるかもしれませんが、そうではないところに関しても、その周辺に関しても、そういった慣行等をなくすべきだと思います。

 そういった意味で、本当の意味ですばらしい民営化をするならばしていただきたいと思いますので、この点に関して、ぜひ最後に大臣の御決意をお聞かせください。

甘利国務大臣 今の天下り問題につきましては、商中が完全に民営化されたとき、いずれにしても、民間会社が自分の企業としての能力を高めるためにどういう人材が必要かというのは自身の判断でありますし、そこは適材適所で御判断をされるものだと思っております。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。ぜひすばらしい方向に、また、中小個人企業、小規模企業が安心できる体制をこれからも頑張っていただければと思っております。また、私たちもそれに対してしっかりと意見を言っていきたいと思います。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 商工組合中央金庫法、この論点は結構出尽くしているかと思います。ただ、先週からの委員会の話を聞いておりまして、中小企業の政策は三本柱がある、一つは金融、もう一つは組織化、もう一つは研修、指導というんですか、中小企業組合の専従の金融機関としての機能というものを考えながら、中小企業組織化施策の主要なツールとして商工中金という役割があった、こういった考えで、民営化を進めていく上でこの機能をしっかりと保持していこう、こういったやりとりが主だったと思うんです。今の質問にもあったかと思うんですが、ややもすると、どうしても後ろ向きな、今の現状をどう維持するかというようなところがやりとりで、質問する側もそうですし、答弁側もそういった傾向があったのではないかと思うんです。

 私は、日本の場合、中小企業政策というのは大事であるし、さらに中小企業金融というのがより発展するというか、機能を高めるということが重要であると。ですから、完全民営化ということを一つの契機として、完全民営化後のあるべき姿というのがもう少し語られた方がいいのではないか。

 現状をどう維持するかということの話ばかりしていますと、商工中金の当事者も、そんな気迫だと、完全民営化以降、本当の意味での役割を果たせるのかどうかということも私は懸念としてありますし、完全民営化後についてどういうふうなことをイメージしていくのかというか、民営化を行う積極的な理由を経済産業省としてどうとらえているのかということを、大臣、お時間もないと思いますが、最初にお伺いします。

甘利国務大臣 今回の民営化は、国の関与を次第に小さくしていって、経営の自由度をそれに従ってどんどん大きくしていこうということであります。これまで七十年間培ってきたノウハウを武器として、中小企業金融として自由自在に頑張ってくれということなのであります。縛りを解くということであります。

 でありますから、普通の金融機関でありますから、預金資格制限を撤廃する、どこからでも預金を集めて貸し出し基盤を強化してください、貸し出しする原資を強化してくださいということもできるわけでありますし、先ほども一部答弁させていただきましたけれども、子会社保有の一部解禁、例えば保険子会社とか証券子会社とかあるいはベンチャーキャピタルとか、持てるわけであります。ベンチャーキャピタルは、言ってみれば、リスクをそこで分断して、中小企業の育成に思い切って乗り組んでいけるわけでありますし、企業化、あるいはそれが上場した、それによって、出資した金額が何倍にもなって返ってくる、そういう自由度合いをどんどん伸ばしてあげる。

 つまり、能力はあるんです、能力はある金融機関ができることを制限されていたわけでありますから、その能力を全開して開花させてあげるという意味がありますから、これは商中にとって、能力を発揮させたいと思う職員がいればいるほど、この縛りを解くということはモチベーションを上げるということにつながってくると思っております。

赤羽委員 大臣、今その関連で、私も全くそのとおりだと思うし、商工中金というのは、先ほど大臣の御答弁にもありました融資と経営指導というノウハウがある、非常に特殊な意味で強みのある金融機関だということで、これを伸ばしていく、そのための人材が必要だということです。

 私は、先ほど話もありましたが、今商工中金に経済産業省から行くとなると、局長が終わって行かれているというような現状が多いかと思いますが、もう少し若手の働き盛りの職員を、この移行期の七年間なんかはどうでしょうか、少し大量に出して、経済産業省としてのやる気を示すというようなこともぜひ、今すぐどうしろというのではないんだけれども、人材が大事だという観点で、そういった人事交流も必要なのではないか、こう思うわけであります。

 大臣、本会議にも行かなきゃいけないということなんですが、その御答弁だけいただいて。

甘利国務大臣 今後できます官民人材交流センター、前の呼び方は新人材バンクとか呼んでいましたけれども、そこを通じていろいろ人材の登用が図られるんだと思いますし、完全民営化後は、まさに株式会社商工中金の経営判断によって、どういう人材が欲しいということを判断されるんだと思います。

 いずれにいたしましても、有能な人材をしっかり今後とも補充していって、中小企業金融として大きく羽ばたいてもらえるように期待をいたしております。

赤羽委員 大臣、どうぞ、参議院の本会議に行ってください。

 次に、幾つかこれまで質疑にも出ておりますが、この移行期間のめどの五年から七年間でとられるサポートの中で、先ほどございました、四千億を三千億、一千億にするというのは大臣の御決意ということでございますが、それを決める評価委員会の設置ということで、ちょっとこれは通告はしていないんですけれども、評価委員会、有識者ということが出ておりますが、この中に中小企業関係者、そういった当事者もメンバーにぜひ入れるべきだというふうに思っておりますが、その点についてはどういうお考えでしょうか。

石毛政府参考人 評価委員会の中には中小企業の組合の関係者、代表者を含めるという方向で考えているところでございます。

赤羽委員 ぜひ、その点、よろしくお願いしたいと思います。

 あと、その三千、一千ということでいうと、一千億になるという方向のこの政府保有株の売却について、株主の資金余力を配慮しつつ、同時にまた一方で、国民の貴重な財産である商工中金の株式の価値の最大化を図るという御答弁が何回もありますが、言うはやすく、なかなかこれは難しいんじゃないか、そんな簡単なことじゃないんじゃないかなと。

 株価というのは、その動向も、予測すれば、簡単なことは、一番いいときに売れればみんな大もうけできるわけでございますし、景気のいい状況ということが考えられるんだと思うんですが、そのときにこの株主の資金余力というのをどこまで配慮するのか。

 株主の資金余力を配慮しつつ、同時に株価の最大化を図るというこの二つのことを両立させることも非常に難しいし、その最高のタイミングをとらえることも、これまたそんな簡単なことじゃないと思いますが、その点についての御認識をお聞かせいただきたいと思います。

加藤(文)政府参考人 お答えいたします。

 商工中金に係る政府保有株式につきましては、市場の動向を踏まえつつ、その縮減を図り、商工中金の株式会社化のおおむね五年後から七年後をめどとして、その全部を処分することとされております。

 処分に当たりましては、先生御指摘のとおり、一つには、株式の売却先を確保する必要があるということで、株主となる中小企業団体等の資金余力に配慮する必要がある一方で、二つ目として、国民の貴重な財産を毀損させることのないように、商工中金の株式の価値最大化にも配慮する必要があるということでございます。

 政府保有株式の処分につきましては、この両者のバランスを図りつつ、市場の動向をよく見きわめて、実務者の意見なんかも踏まえつつ、商工中金の中小企業向け金融機能が損なわれることがないように適切に進めてまいります。

赤羽委員 余り答えになっていないんです、難しい質問なのであれなんですが。要するに、結果として、そのときの売却したことに対する説明責任が果たせるようなこととしてぜひお願いをしたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、財政基盤の確立ということで、特別準備金という形で引き続き措置されていくということが重要だというやりとりがございました。

 他方、本法案によって、完全民営化後の措置について、これも何回か質問が出ておりますが、株主資格の制限その他必要な措置と書かれております。特別準備金の引き続きの措置がどうなるのかということを政府が判断するというふうになっておると思いますが、行革事務局として、その他必要な措置に特別準備金の引き続きの措置というのは含まれていると解釈してよろしいのかどうか、御見解を聞かせていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 ただいま先生御指摘の特別準備金でございますけれども、これはもう先生御案内のとおり、この特別準備金を設ける目的は、商工中金の自己資本の充実の状況その他財務内容の健全性の確保に資する、これが目的でございます。

 そのため、今回の法案におきましても、例えば利益準備金等が枯渇した場合において初めて欠損補てんに用いる、また、設置目的でございます、自己資本の充実の状況等の財務内容の健全性が確保されるに至ったと認められる場合には商工中金が自主的に国庫納付できる、そういうような規定が置かれているところでございます。

 先生から今御指摘の、完全民営化時点における特別準備金の取り扱いでございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、この特別準備金を設けた趣旨、目的がございます。また、移行期間中の商工中金の財務状況を十分に踏まえる必要があると考えておりまして、現時点で、では必要かと言われますと、まだ、移行期間中の財務状況等を踏まえる必要もございますので、断言することはできません。

 ただ、いずれにいたしましても、この財務内容の健全性が確保されるまでは、商工中金が保持できるように措置されておりまして、御懸念の点には及ばないというふうに考えております。

赤羽委員 懸念には及ばないという御答弁、ありがとうございます。

 やはり、自己資本がしっかりとしない、結局、新商工中金が貸しはがしとか貸し渋りをするような状況になってしまっては、まさに何のための民営化かということが問われると思いますので、その点は確認をしておきたいと思います。

 引き続き、平成二十年十月以降、商工中金のこれまで果たしてきた機能がどうなるのかといったことが幾つか懸念されているんですが、その中で一番やはり危機対応制度についてどうなのかということの大変懸念がございます。

 株式会社日本政策金融公庫法の附則に、指定機関として受けたものとみなすという規定がある。だから、その後、危機対応円滑化業務に協力していく、こういうことがあるんですが、具体的に、セーフティーネット融資というようなものは、災害時とかいろいろなアクシデントのときに、デフレで非常に厳しい中小企業に対して非常にその対象を柔軟にしてきたというこれまでの経緯があって、そこの連続性というのはすごく大事だと思うんですね。

 最近では北海道の竜巻ですとか鹿児島の集中豪雨、あとは企業の大型倒産なんかの危機対応に対しても、こういった対象、その対象が変わることがないのかという点が一点。

 今回、機動的な対応というのが、非常に今まで喜ばれていて、迅速に対応が可能なのかどうか。関係閣僚会議か何か開かれていろいろな段取りからするというのだと、なかなか機動的な対応をとることができないので、その点はどうなのかということ。

 そしてまた、セーフティーネット融資の貸出金利が高い水準だと、これはまた余り役に立たないのであると。

 これまで行われてきた、商工中金が果たしてきたこういったことについて、平成二十年十月以降も引き続き行われてほしいというのが中小企業の皆さんの実態の声だと思うんですが、この点について御確認させていただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 ただいま委員から三点ほど御指摘がございました。

 一つは危機対応制度、これがどういうことになるのかということでございますけれども、主務大臣は経済産業大臣、財務大臣、農林大臣でございますけれども、個別の危機に伴う被害の状況を勘案いたしまして、この危機対応の必要性を判断することになります。その際には、商工中金や日本政策投資銀行がこれまで対応してきました実績も参考にするということを考えております。

 例えば、先ほど委員から御指摘ございました北海道の佐呂間町の竜巻、これは平成十八年十一月でございます。また、鹿児島の集中豪雨、これは平成十八年、去年七月の梅雨前線のことかと思いますが、これは経済産業大臣の御判断でセーフティーネットが発動されております。そういうことも十分踏まえまして発動を決めていくということになろうかと思います。

 それから、委員御指摘の、即時性があるのか、閣僚会議が云々ということでございますけれども、関係大臣が参画する閣僚会議でございますけれども、これは例えば、危機対応制度の運用の基本方針を事前に決定するというような場合に開くとか、例えば大規模な措置、神戸・阪神大震災のような大規模なものになってきたときに徹底的に行うというときに、やはりこの関係閣僚会議を開く必要があろうかと思います。そういうような場合を想定しておりまして、すべてにわたって、例えば台風が来たからすぐ閣僚会議かということではないというふうに考えております。

 それから、この危機対応のときに、今までと同程度の条件での融資が可能かという御指摘がございました。

 融資の条件を初めとします具体的な運用は今後検討するということでございますけれども、昨日、衆議院内閣委員会におきまして、株式会社日本政策金融公庫法案の附帯決議がございました。その附帯決議をちょっと読み上げさせていただきますけれども、「これまで商工組合中央金庫、日本政策投資銀行等の政策金融機関が行ってきた危機対応と同水準の条件及び範囲の危機対応が確保され、危機時に必要な所に資金が円滑に供給されるよう必要かつ十分な財政措置等を講ずること等制度の運用に万全を尽くすこと。」とされまして、全会一致で認められたということでございます。

 したがいまして、これらの附帯決議を踏まえまして今後検討させていただくということになろうかと思います。

赤羽委員 ありがとうございました。今の内閣委員会での附帯決議、大変重要な、いい附帯決議がされたと思いますが、こういったことを実現するためには、財布がないと実現しないわけでありまして、こういった場合の危機対応業務に対して十分な財政措置が必要となると思うんです。財務省として、こういったことについての御見解をお願いします。

香川政府参考人 ただいま行革事務局の方から詳しい御説明がございましたが、危機時に必要なところに資金が円滑に供給されますよう、十分な財政措置を講じていくことが必要だと考えております。

赤羽委員 財務省としては満点に当たる答弁をしていただきまして、ありがとうございました。

 移行期間のことは今おっしゃるとおりなんですが、完全民営化後も、これはまだ今すぐ決まるということではないと思うんですが、ここの危機対応の部分というのを日本政策金融公庫だけで補っていくのかどうかということが懸念としてあると思います。この点について、中小企業庁としてどのような御認識でいるのか。

加藤(文)政府参考人 お答えいたします。

 商工中金は、先生のお話のとおり、これまで危機対応において、極めて迅速かつきめ細やかな支援に取り組んできたところでございまして、まさに中小企業者にとりまして命綱としての役割を果たしてまいりました。

 完全民営化後についてのお尋ねでございますが、昨年六月に決定されました「政策金融改革に係る制度設計」におきまして、「完全民営化後も原則として指定金融機関であることを継続するものとする。」というふうにされております。今までのノウハウ、実績を活用いたしまして、引き続き商工中金が危機対応にしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。

赤羽委員 続きまして、中小企業信用保険法についての質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどからの御質問にもあるように、中小企業金融分野におきまして、不動産担保に依存しない融資方法の確立というのが中小企業者からは早急に求められている。他方、商工中金としても、先ほどからお話が出ているABLといった先進的な手法を用いた融資が行われているというふうに承知もしております。

 先日も、商工中金にも行ってこのお話を聞かせていただきましたし、実際の問題として、ワインセラーで、ワインの在庫で融資を受けているといった事業者のところにも行ってお話を聞かせていただきました。

 今までと違って、中小企業者にとっては大変ありがたい融資制度だということと、私、そこでいろいろ話を聞いているときに、まさに中小事業者にとってもありがたい話なんですが、商工中金の、金融機関の金融マンたちにとっても、ビジネスそのものに相当コミットしないと決断できない話なんだろうなと。

 今までは、不動産ですと、公示価格なんかがあって、大して目ききということが問われずに、ある程度の担保として使えたというようなことから比べると、安易にはできない難しさもあるかもしれませんが、ビジネスがよくわかっていて、流れていくビジネスの中での担保を判断するというのは、非常におもしろいし、これからも双方にとってメリットがあるのではないか、このように思ったんです。

 まず、このABLについて、うまくいっている先進的な活用事例があれば御紹介いただきたいと思います。

加藤(文)政府参考人 商工中金は、過度に不動産担保に依存しない金融手法として、ABLの創設につきまして平成十七年度より先行的に取り組んでおりまして、ただいま現在、十九社に対しまして二十三億円の融資枠を現に設定しております。

 具体的な取り組み事例を一、二御紹介いたしますと、先生にもこの前御視察いただきました東京都のワイン輸入業者に対しまして、輸入ワインを担保として五千万円の融資枠を設定した事例がございます。

 これは、ワインの価格形成市場が確立されていること、また厳格な品質管理が行われていることに着目いたしまして、ワインを担保として活用したものでございます。この取り組みによりまして、そのワイン輸入業者にとっては、在庫負担と売り上げ回収までの資金負担に関して、資金繰り上の大きなメリットが得られております。

 もう一つ、例えば鳥取県の水産食料品製造業者に対しまして、地元の特産品でありますベニズワイガニを担保といたしまして一億円の融資枠を設定した事例がございます。これは、本年の一月に設定したものであります。

 この会社は、また徹底した品質管理をしておりまして、ベニズワイガニを活用したカニ加工品の製造を行っている会社でございます。季節によるカニ相場の変動に迅速に対応するとともに、増加運転資金に対応する新たな金融手法としてABLを活用した事例でございまして、こういう事例も含めまして、商工中金の中にはかなり専門家が育っているところでございます。

赤羽委員 このABLについての取り組みの予定がどうなのかという調査がある中で、民間の金融機関の六割が、取り組む予定なしというような御回答があった報告もされていたかと思うんですが、ぜひ商工中金がリーダーとなって、民間金融機関もきちんと取り組んでいけるような方向になるべきじゃないか、こう私は思うんです。

 まず、ちょっと今の御答弁と重なるかもしれませんが、今回新たに流動資産担保保証制度を創設することになった背景と意義について御確認をさせていただきたいと思います。

高木大臣政務官 お答えいたします。

 これまで、我が国の金融機関の融資につきましては、不動産担保に依存したものが主流でございました。こうした融資につきましては、借入金額が不動産価格に大きく左右され、中小企業が安定した資金調達を行うことが困難であること、また、金融機関の目きき能力が育ちにくく、企業の能力を見きわめた上での円滑な融資がなされなくなることといった問題がありますことが、バブル崩壊後、明らかになっております。

 他方、中小企業が保有する資産は不動産だけではなく、売り掛け債権と在庫は土地を上回る資産規模を有しておりますし、また、今御指摘ございましたとおり、金融機関が目きき能力を持って企業を審査し融資を行うことは目指すべき姿と言えるわけでございます。

 こうしたことから、経済産業省としては、中小企業の資金調達の円滑化を図るため、従前から、不動産担保や人的保証に過度に依存しない融資を推進しております。

 現在御審議いただいております本改正案におきましては、こうした取り組みの一環といたしまして平成十三年に創設された売り掛け債権担保保険を拡充いたしまして、売り掛け債権に加え、中小企業の主要な資産の一つである在庫を担保の対象に追加することといたしております。

 今回の制度改正によりまして、中小企業が有する約百四十兆円の在庫及び売り掛け債権を担保として活用した融資を推進することが可能となるわけでございます。

 こうした取り組みは、特に、不動産担保を有しないなど信用力に乏しい中小企業の資金調達に資するものと考えております。本制度を積極的に活用いたしまして、また多様化も図りながら、中小企業の資金調達環境の改善にしっかりと取り組んでまいります。

赤羽委員 ありがとうございます。

 前回の売り掛け債権の制度をつくったときにも、公明党も随分力を入れたんですが、なかなか結果としてはまだはかばかしくないという状況でございます。

 今回、その中に在庫も入れて流動資産担保保証制度というのを創設するということは、私はプラスの方向が強く出てくるというふうに期待もしておりますが、この中で、先ほど出た風評被害対策をどうするか、これは幅広く広報していくしかないというふうに思いますが、同時に、この担保処分のためのマーケットが確立されていないとか、担保処分の専門の担い手の育成ができていない。このことについて、こういった二次市場の拡大のためにABL協会の設立を検討中ということのようにも伺っておりますが、この点について、現状と見通しを御報告いただけますでしょうか。

石毛政府参考人 この制度を広めるには、風評被害対策に加えまして、御指摘のとおり、担保としてとったその在庫をどう評価して処分するのか、ガイドラインの策定とか、そういうようなことが必要になってくるわけですけれども、ABL協会はこの六月を目途に設立を予定しております。その中で、そういうガイドラインの策定だとか、それから人材育成の事業だとか、そういうものを行う予定にしております。

 こういったような取り組みを強力に進めることによりまして、生まれて間もない制度でございますけれども、しっかり広がっていくように努めていきたいというふうに思っております。

赤羽委員 ぜひそういったノウハウが蓄積されるように、私、これは結構使い勝手がいいということが認識されれば、普及はそんなに時間がかからないんじゃないかというふうに考えているわけでございますが、ただ、その一点で、この流動資産担保保証制度の普及のために、信用保証協会の保証料率の設定というのが結構重要なんじゃないか。いろいろな制度ができても、結局、帳じりを合わせると案外金目がかかって使い勝手が悪いという話になってしまうと、環境整備にとってはマイナスだというふうに考えますが、この点、保証料率の設定についてどのように考えていらっしゃるのか。

石毛政府参考人 この制度の保証料率でございますけれども、御案内のとおり、現行の売掛金債権担保保険制度を拡充するわけでございますから、この保証料率を参考にしながら、中小企業者の負担の程度がどうであるか、それから、もちろん先ほど来申し上げていますように、この信用保険制度は持続性がなくてはいけないというふうに思っておりますので、その保険制度の収支に与える影響、そういうものを勘案することになりますけれども、いずれにしましても、中小企業者にとって過度の負担にならないような適切なレベルに設定をしたいというふうに考えております。

赤羽委員 ぜひ、移行期間のめどとなっている五年から七年後、本当に日本において民間の中小企業金融というものが確立されることを強く期待し、また、この移行期間をしっかりとフォローしていただくことを強く求めまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

上田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 午後からの質問、三十分お時間をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 冒頭、先ほど大臣とエレベーターで一緒になりまして、お風邪で余り調子がすぐれないということをおっしゃっていましたので、お大事にされてください。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 午前中も質疑が行われたというふうに伺っていまして、ちょっと他の委員会の関係で十分に聞いておりませんので、多少重複する部分があったらお許しいただきたいと思いますが、本日、私の持ち時間の中で、動産担保融資、いわゆるABLの内容についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 冒頭、ABLの意義についてお伺いをさせていただこうと本来考えておったんですが、太田委員の方からも同様の質問があったということですから、早速実際の中身について御質問に入らせていただきたいと思います。

 今回、この動産担保融資、一応皆様方に資料の方も、皆さん御承知のものではありますが、お配りさせていただいております。このABL、協会も本来であればもう立ち上がっているというふうな話もあったんですが、若干それが延びていると言われるぐらい、大変注目をされている中で、実際にこのABLという制度そのものが、もちろん大企業向けということもあるんですが、とりわけ、今回の法案審議の流れの中で、中小企業にとって使い勝手のよいABL制度とするために、経済産業省としてどういった対策を講じていこうと考えているのか、お答えをいただけますでしょうか。

山本(幸)副大臣 ABLは、まさに中小企業にぜひ使っていただきたいと思っているわけであります。

 これは、中小企業の場合、不動産の担保という比率よりは、売り掛け債権とか在庫の方が土地を上回る資産規模を有しておりまして、こうした資産を担保で融資ができれば、これにこしたことはないというわけで、中小企業の資金調達の円滑化に大きく寄与すると考えております。そのためにABLをぜひ推進したいということで、今回法案を御審議いただいているわけであります。

 これを使いやすくするためには、評価等の問題がございますので、私どもとしては、金融機関や商社、評価会社等から成りますABL協会というのをこの六月をめどに設立いたしまして、動産の適切な評価に向けた環境整備等を関係者とともに図っていきたいというふうに考えております。

柚木委員 お答えいただきましたABL協会については、お配りのお手元の資料十一ページ目に簡単な概略が模式図にもなっております。

 具体的に、ABL協会も含めて、その制度の中身について、少し細かい内容も含めてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 こちらの十一ページの図を見ていただいてもおわかりになられますように、あるいは御答弁にもありましたように、協会の機能として、ビジネスマッチングであったり、評価、管理、処分、あるいは普及啓蒙とあり、また下の図をごらんいただければおわかりのように、銀行、ファイナンスカンパニー、あるいはサービス業者として先ほどの御答弁にございました評価会社、処分会社等、この連携の中で行っていくということであります。

 お伺いをしたいのは、まず、評価会社あるいは処分会社等、ABLサービス業者という部分についてであります。

 私がお伺いしている範囲では、現状としては、六社のそういった業者が金融機関等の委託を受けて動産資産の評価をしている。しかし、六社ですべての、それは豚であったりワインであったり、いろいろなあらゆる動産を評価していくという中で、サービス業者自体の整備といいますかあるいは拡大といいますか、そういったものが大変、私は今後の課題となってくると思います。

 後ほど人材育成についても伺いますが、この評価会社あるいは処分会社で、サービス業者の整備についてどういった対策を講じていかれるお考えか、御答弁をいただけますでしょうか。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 動産担保融資を進めていくためには、多種多様な動産の担保価値を評価するということで、まさにそのかぎを担う評価の機能をどうしていくかということが大変重要な問題なのは御指摘のとおりかと思います。

 現在、まだマーケットがそう大きくないということで、さほど多数の事業者がこの評価機能を行っているわけではございませんけれども、私ども、今後、動産担保融資をめぐるいろいろな課題を民間ベースで議論していただくための協会というものをつくりまして、その中で評価手法の問題でございますとか人材の問題、さらにはそういうプレーヤーの育成といったこともあわせて御議論いただいて、今後の取り組みの一助としたいというふうに考えてございます。

柚木委員 御答弁いただきました評価手法の確立、これも当然その評価会社それぞれが、統一基準のようなものも今後ガイドラインが整備されていくんだと思いますが、まさに評価会社の中において評価を担っていくその人材育成について、次にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 午前中の質疑の中でも多少触れられたように伺っておりますが、今回、動産を評価する人材ということで、動産鑑定評価士、こういう言い方が今後定着するかどうかは別といたしまして、そういった人材を育成していくというふうに伺いました。御答弁にもあったんですが、もう少し具体的に、今後どういった分野においてそういった人材を発掘し、また育成をしていくのか。

 さらには、ABL協会ということが六月に発足予定と伺いましたが、この協会が、例えば、同じ士業でいえば不動産鑑定士協会のような、いわゆる公的な性格を帯びた機関として機能するのか、あるいは、例えはあれですけれども、証券アナリスト協会のような、どちらかというと民間ベースとしてその協会が機能するのか、現段階での見通しというかあるいは基本的な方向性ということで結構ですので、御答弁いただけますでしょうか。

甘利国務大臣 不動産鑑定士に対して動産鑑定士というような制度になるかと。不動産は、種類というのはほぼ限定されていますし、その評価手法もそうむちゃくちゃ複雑怪奇じゃないと思うんですが、動産となりますと、ありとあらゆるものがあるわけですね。豚の評価からワインの評価から骨とう品の評価から、一人で全部できる、そんな動産鑑定士なんか世の中にいるんだろうかとちょっと私思うのであります。

 ですから、いきなり不動産鑑定士に対する動産鑑定士みたいなものの制度を目指すというのではなくて、まずは民間レベルにおいて、評価の専門家、それも、最初は森羅万象すべてなんかいかないと思うんですね。ある程度の分野についての専門家の育成について検討するということが重要だと思います。

 そうした観点から、今後、六月をめどに設立をされる予定のABL協会で、人材育成カリキュラムの策定を含めて具体的な人材育成の検討を行っていく。

 その先にどういう姿があるか、それぞれの分野の専門家が集まって対処できるようなチーム編成をするのか、あるいは、中にはスーパー人材でそういうことが全部できるような方が育つのか、その辺のところを見きわめて、どういうふうにしていくかを決めていくのがいいんじゃないかなというふうに思っております。

柚木委員 今、大臣から、まずは民間レベルでという形で、その方向性をお示しいただけたというふうに考えております。

 そんな中、さらにもう少し同じ中身でお伺いいたしますが、民間レベルでというのは私も望ましい方向性ではないかというふうな考えもございます。

 ただ逆に、そういった場合に、例えば、動産評価鑑定士というと、何か士業というふうなイメージも一般の方々が持ち得る。一方で、民間でということになれば、例えばその呼称が動産評価アドバイザーとか、ちょっとやわらかい言い方になることも考えられるのかなというふうに思ったりもしております。やはり今回この動産担保融資の普及には、その評価の専門家に対する信用というものも大変重要だと思いますし、一方で、民間の中でそういった普及を促進していくということも大変重要、この共存が重要なのかなというふうに私としては考えるわけでございます。

 ですから、大臣がおっしゃっていただいた方向性の中で、六月の協会発足までに、こういった信用度の点とそれからやはり民間におけるそういう普及の促進といった両方の視点というものをぜひ盛り込んでいただきたいというふうに期待をするわけでありますが、その点について、大臣、もう一言お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 六月に発足するABL協会において、そういう人材育成を図っていく。それと、もちろん信頼性、信用性がなければ、その評価自身が正しい評価かということにかかわってくるわけでありますし、ひいては融資の信頼性にかかわることでありますから、御指摘の点はよく踏まえてやるべきだと思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 続きまして、今回、この動産担保融資の普及に向けて、経産省さん、そして金融庁さんといろいろな形で連携もとりながら、すり合わせも行われながら、大変御尽力をされてこられたと伺っております。

 そこで、金融庁さんにお伺いをさせていただきたいんですが、今回、金融検査マニュアルの改定に伴い、私も手元にいただいておりますが、動産を一般担保として明記し、幾つかの、今後の自己査定基準の適正性の検証であったり、あるいは正確性の検証ということがここに明記をされているわけですが、この内容を見ると、まだ、もう少し具体性といいますか、例えば「動産担保は、確実な換価のために、適切な管理及び評価の客観性・合理性が確保されているものがこれに該当する。」その客観性であったり合理性であったり、そういった中身がこれから重要になってくるのかなというふうに考えられるのですが、今後、より普及を促進していくために、金融庁さんとしてどういった形での制度運用を考えておられるのか、御答弁いただけますでしょうか。

谷口政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お話しになりましたように、動産あるいは債権を担保とする融資というものは、不動産担保に乏しい中小企業の資金調達の多様化に資するということで、今後さらなる活用が期待されているということだと認識しております。既に金融機関の一部は積極的な取り組みを行っているということも承知をしております。

 今の検査マニュアルの関係でございますけれども、一般担保と申しますのは、従来からですが、「優良担保以外の担保で客観的な処分可能性があるもの」、このように定義をされております。したがいまして、これまでも、動産・債権担保につきまして、これを一切認められないということではなかったわけですけれども、今回、最近の動きを踏まえまして、今般の金融検査マニュアルの改定の中で、適切な管理等が行われている動産・債権担保を資産査定に当たって一般担保として取り扱うという旨を明記したわけでございます。

 今後の運用ということでございますが、金融検査の現場におきましては、この動産・債権譲渡担保融資等を検証するに当たりまして、今少しお話しになりましたように、幾つかのチェック項目、こういったものを見ていきたい。具体的には、例えば数量及び品質等が継続的にモニタリングされているかどうか、あるいは客観性、合理性のある評価方法による評価が可能であり、実際にそのように評価を得ているかどうか、こういった観点から、双方向の議論を通じて丁寧に検証してまいりたい、このように考えておるところでございます。

柚木委員 今御答弁をいただいた数量であったり品質あるいは客観性という部分で、これはまさに先ほど来経産省さんの方にお伺いをしております動産の取り扱いについてというところにかかわってくる部分でありまして、同じく経産省さんに伺いたいんですが、金融検査マニュアル上の動産の取り扱いについて、経産省としては、今回のこの改定を受けてどういった形での対応をとっていかれるのか、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 ことしの二月に金融検査マニュアルが改定をされて、適切な管理等が行われている動産担保を資産査定に当たり一般担保として取り扱う旨、規定されたわけであります。これは極めて重要な改定、前進だったと思います。つまり、動産担保がリスク債権から正常債権になるわけでありますから、これは極めて意義ある改定だと思っております。

 今後、経済産業省といたしましても、今般の改定が実効性あるものになりますように、金融庁とも緊密に連携をしまして、動産担保についての客観的な評価方法の確立を図ってまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 大臣から、連携をしてという部分、御答弁をいただきました。ここの連携の部分をうまくやっていけるかどうかというのが、今後、この動産担保融資が本当に普及していくかどうかの肝といいますか、肝心な部分になろうかと思いますので、ぜひとも、経産省さん、金融庁さんとの連携をさらに密にしていただくことをお願いして、次の質問に入りたいと思います。

 今回、いろいろな動産担保融資についての取り組み、各地で報道等も出ております。その中で、私がある報道で見たのは、これはまだ実行はされていないみたいですが、例えば、もちろん今回民営化の議論がされております商工中金さん等も含めて、自治体と地域の金融機関との連携、ABLを促すための連携というものが今後重要になってくるのかなと。

 私が報道で目にしたのは、大阪府が今年度から全国の自治体で初めて公的に保証する制度を導入し、中小企業を下支えしたいといった形での報道が出ておりまして、ただ、これはちょっとまだ実行段階に移っていないというふうなことみたいですが、しかし、やはりこういった自治体と地域の金融機関との連携というものが今後私は重要になってくると考えております。

 とりわけ、このABLについては、潜在的な市場規模として八十兆円規模というふうなことでもございますし、地銀の貸出残高が百三十五兆円ということは、大体六割ぐらいに相当するということになりますので、大変重要な部分かと思われます。

 そこで、再び金融庁さんにお伺いしたいんですが、こういった自治体の公的保証という形と地域の金融機関との連携、これもちょっとパターンを見ておりますと、後ほど商工中金さんの取り組みも伺いたいんですが、自治体と地域の金融機関がそれぞれ単独で連携をするとか、あるいは地域の金融機関が、例えば地銀さんと商工中金さんとかがそれぞれ融資を行う、そこに自治体としても公的保証を行っていくとか、幾つかのパターンも想定されるのかなと思います。

 いずれにしても、自治体と地域の金融機関との連携について、金融庁としてどういった形でそれを促していくのか、それについて御答弁をいただけますでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業に対する円滑な金融は、地域金融機関の最も重要な役割であるとまず認識してございます。このような観点から、金融庁としては地域密着型金融の一層の推進に努めてきてございます。

 今後の取り組みにつきましては、先般、金融審議会におきまして、「地域密着型金融の取組みについての評価と今後の対応について」というものが取りまとめられたところでございます。この報告書の中で、まず第一点といたしまして、御指摘のABLの活用など、事業価値を見きわめる融資手法を初めとした中小企業に適した資金供給手法の徹底を中小地域金融機関に求めることが適当としてございます。

 それから、今御指摘のありました点でございますが、第二点といたしまして、地域中小企業の再生のためには、官と民が役割分担をし、地域の諸問題の解決を図ることが有効であるとされてございまして、地域金融機関には地域経済の貢献もあわせて求めることが適当とされてございます。

 金融庁といたしましても、本報告書の内容を踏まえまして、中央、地方両レベルでの関係機関、それから関係省庁との連携強化を行うことなどを通じまして、引き続き地域密着型金融の推進を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

柚木委員 ありがとうございます。

 そういった方向性の中で少し関連してお伺いをいたしますが、商工中金さん、今回民営化の議論がなされている中で、ABLについても調べてみますと、この実績が今年度の三月時点で既に十九件、融資残高二十三億ということで、私も地元の岡山の商工中金さんからお話も伺ってまいりましたが、ABLについて大変熱心に取り組んでおられる。

 そこで、今まさに官と民との役割分担というふうなお話も御答弁にあったわけですが、この商工中金の民営化に伴って、まさに先ほどの大臣の御答弁にもお触れいただきましたように、各地でワインとか豚とか野菜等を担保としたABLを行っているという実績があるわけです。

 今回の商工中金法改正に伴って、これを契機に、例えば全国における商工中金でABLがさらに活発になっていくのかといった何らかのそういう影響があるとお考えかどうか、これはどちらに御答弁いただけますか。お願いいたします。

山本(幸)副大臣 御指摘のように、商工中金は既に先進的にこの動産担保融資制度に取り組んでおりまして、御指摘のようなケースで既に実績もございます。

 今回、株式会社化されるわけでありますが、商工中金が、そうしたノウハウをフルに活用して、引き続いて中小企業団体及び構成員に対して金融機能を担っていけるようにしたいと。そのために、今回いろいろな、預金資格制限の撤廃とか子会社保有の一部解禁とかで自由度を増す、同時にまた、財務基盤も特別準備金等でしっかりと確保するという手を打って、その上で、こうした動産担保融資制度がぜひ広く行き渡るように、しっかりとリード役を果たしていくようにしていただきたいと思っているところでありまして、そうした観点からも、我々としても期待をしているところでございます。

柚木委員 ぜひ、今回のこの法案の議論を契機に、こういった商工中金さんにおける取り組みというものが加速することを、私としても期待をしていきたいと思います。

 続きまして、このABLでございますが、アメリカでは大変大型融資が活発に行われているというふうに伺っております。

 そこで、実は私も、今回ABLについて尽力をされている、そういうサービス業者の方からもお話を伺ったんですが、アメリカ型といいますか、こういった大型案件がABL融資、主体となることで、ともすれば、中小企業に対するABLについて、具体的に手数料とかいろいろなことも考えられるわけですが、いずれにせよ何らかの悪影響が生じるのではないか、そういう心配をする声があるんです。

 大型案件が仮に想定しているよりも主体となってくるようなことになった場合についての悪影響については、経産省さんとしてはどういった認識でいらっしゃるか、あるいは、その際にどういった対処をとることが考えられるのか。御答弁いただける範囲で結構ですので、お願いいたします。

甘利国務大臣 私もアメリカでの事情はよくわからないのですが、アメリカでは大型案件が中心というお話。日本でも導入されたら、大型案件に比重が移っていって、中小企業はせっかくの制度が利用できないのではないかという御指摘だと思いますが、現状は、商工中金が、もちろん商工中金ですから、中小企業対象に始めている。それから、ABL保証ということで保証協会、これも中小企業対象になるわけでありますが、民間金融機関が始めるのを保証するということでありますから、少しずつ中小からでき上がっていくということになるんだと思います。

 民間金融機関も多分、初めてのことですから、恐る恐るですから、いきなり大型案件はできないと思うんですね。中小企業対象の小規模、中規模案件のノウハウを積んでいって、やっとそちらに足が伸ばせるかなということであると思いますので、私は、ABLが大企業に独占をされて中小企業に来ないということの心配はしていなくて、逆に、大型案件まで行くようになれば、相当この市場も成熟してくるんではないかというふうに思っております。

 もちろん、ABL協会を設立し、適切に制度運営をしていく等々、そして、先ほど来人材の育成の話もありましたけれども、しっかりと環境整備はしていきたいというふうに思っております。

柚木委員 大臣のそういった御認識のとおりになることを私も期待して見守っていきたいとは思うんですが、実際に、そうはいっても、なかなか中小企業にとって使い勝手がよくないというような場合が生じてきた場合には、ぜひこれは、経産省さんであったり、あるいはABL協会なのかもしれませんが、調整機能といいますかそういった部分をとることが今後必要な部分がひょっとしたら出てくるかもしれない。

 そうした場合はやはり、モニタリングと言うと言い過ぎなんですが、これはやはり経産省さんとしてしっかりと行っていくことも必要かと考えます。そういった意味では、そういうこともお願いをしておきたいと思います。

 時間がもう最後になりましたので、これはきょうの新聞報道で出ておりまして、資料におつけできませんでしたが、最後に一つ大臣の御認識をちょっとお伺いしておきたいんです。今回、商工中金法それから中小信用保険法の改正法案の審議がなされている中で、けさの日経新聞にこういった報道が出ているのは御存じかと思いますが、特殊法人の独法化の際の欠損穴埋めについて報道がなされております。これによって「減資繰り返す恐れも」という報道がなされております。

 そこで、一つ大臣に認識を伺っておきたい、あるいは確認をさせていただきたいのが、ちょっと質問通告になくて申しわけありませんが、お答えいただける範囲でということで、今回、国民生活金融公庫など政府系金融機関の再編に際してどういった会計処理をするのか、明確にする必要があるのではないかということが報道でもなされているわけです。既に当委員会でもし質問があったら重複して恐縮ですが、どういった会計処理をしていくのかというのを明確にすべきというところについて、大臣の御認識を、答えられる範囲で結構ですので、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 済みません。今のお話は、政府系をまとめて、まあ民営化するものもありますけれども、政策公庫にする際に、合流する際にどういう処理をするかということですね。

 これは、しっかりデューデリをして、必要なものはきちんと財務基盤を確立させていくということだというふうに思いますが、正確な査定が必要だというふうに思っています。

柚木委員 その部分、ぜひしっかりと行っていただけることをお願いして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

上田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。

 私は、商工中金民営化法案を中心に質問をしてまいります。

 今回の質疑の中で一つの大きな論点が、商工中金の完全民営化というものが、商工中金がこれまで果たしてきた、そして今後も期待をされている金融機能の強化に本当につながるのかということだろうと思っております。何のための完全民営化なのかという点が一つの論点だろうと思っておるんです。

 そのことを考える上で、大臣、歴史に学ぶといいますか、これまで、政府がここ最近行ってきたいわゆる民営化というものについて検証する必要があろうかと思っております。

 その点で、非常に一つの示唆に富む例があると私思っておりまして、それは、平成十六年十月に完全に株式を売却した、上場した旧電源開発、Jパワーの件であります。

 大臣御存じのとおり、旧電源開発は、株式の三分の二を政府、そして三分の一を電力会社が保有しておりましたけれども、全株を株式市場で売却して完全民営化を行ったわけであります。

 この結果、株主構成が大変激変をいたしました。現在、外国人の持ち株比率は、正確な直近の数字はわかりませんが、少なくとも四〇%以上、もう五割に達しているのではないか、こう報じられております。また、その中で、英国に本拠を置く外資系投資ファンドが、ある程度公表されているもので、九・九%を保有する、何と筆頭株主に躍り出ております。

 この筆頭株主は、先ごろJパワーに対して増配を要求している。現在、年六十円の配当を、百三十円、二倍以上にしてほしい、こういう要求も正式にJパワーに対して申し入れているところ、これも報じられておることでございます。

 さて大臣、大臣も、いわゆるエネルギー政策に精通をされている商工通の議員のお一人として、当時の電源開発の民営化論について、恐らく与党の議員の一人として議論にもかかわられた、こう思っておりますが、このJパワーが、民営化によって、株式の公開によって、約過半数を外国人が保有することになり、かつ、投資ファンドから増配要求をなされるといった事態を、当時の経済産業省は想定してこの公開を行ったとお考えでしょうか。いかがでしょうか。

甘利国務大臣 現状では、たしか四一%ぐらいだったと思います。そのくらいまで株主としての外国人比率が高まるかどうかを予想していたか。ある程度、優良企業とみなせば、外国株主はふえてくるであろうということは予測をしていたと思います。

 私もこの議論にはかなりかかわってきましたけれども、要は、あれは平成七年ですか、卸電力の自由化、つまり自由化を決めたというときから歩まなきゃならない道だったんだと思うんですね。

 つまり、自由化を進めるということは、ほかが参入することを認めるということでありますから、そうしますと、片や政府系の会社、片や民間の会社、もちろん果たす責任の縛りがその後も電気事業法等で残っていますけれども、国がてこ入れする会社と純粋民間の会社と、自由化して全く競争条件を平等にしていますと言えるかどうかということと向かい合わなきゃならない。ですから、平成七年に卸電力の自由化を決めた時点から、やがてここまで来なきゃいけなかったんだろうなというふうに思っております。

 株価がJパワーは随分上がってきました。これは、中身が評価されているから、外国投資家が投資をしよう、株を持とうと思っているのでありましょうし、だれも買わないなんということになっちゃうんじゃ、かえって心配だったんですけれども、みんなが買いたいと思うような会社に中身がどんどんなっているということは、それ自身は評価していいと思います。

 そして、冒頭の質問ですけれども、このくらいの比率になるかということについては、想定の、上限かもしれませんけれども、予測をしなければならなかったということだと思っております。

近藤(洋)委員 大臣、今、予測をしなければならなかった。数年前のはやり言葉かもしれません、想定の範囲内ということなのかどうかですが、恐らく、当時の電発の民営化論で、少なくとも投資ファンドが筆頭株主に躍り出る、そして配当を二倍以上ふやしてほしいということを申し入れる、今、大体四〇%の外国人持ち株比率ですが、この株主提案は、総会までに、場合によっては外国人持ち株比率がさらに、五割以上を超えている可能性もあるわけですから、これが可決する可能性もある。

 こういった事態は、少なくとも現在のJパワー経営陣は想定していなかった。平成十六年に完全に売却をして、わずか二年半余りでこういう状況になるということは、こういうファンドが電源開発にこういうことを要求してくるということは、遠い未来のこととしてはあるかなという部分はあるかもしれませんが、私は想定していなかったんだろうと思うんですね。

 それは大臣のお立場では、想定していなかったとはなかなか言えないかもしれないけれども、私は、この事実というのは大変驚きを持って見ております。

 同時に、株主の立場でいえば、投資ファンドの増配要求は正しいんですね。十年国債の利回りと比べても、Jパワーの配当利回りは低い。そうすると、当然これは、株主としての主張としては正しい主張であるわけです。ただ、その一方で、電力の安定供給ということを考えたときに、設備投資に回す分を減らして内部留保を吐き出すということが正しいのかというのは、これはまた別の議論として分かれるところであります。両方正しいわけですね。

 実際に、電力会社、旧株主だった九電力各社の受けとめ方は、Jパワーと顧客である電力会社の関係が崩れるのではないかという形で大変危惧する声が現在広がっているのを、これまた大臣御承知だと思います。注視をもって見ているというのも、これは御承知だと思います。

 私がここで指摘をしたいのは、当時、政府が完全民営化を決定したときに、電力会社が持っている株を全部放出しろと、これは閣議決定で決めているんですね。そもそも民間会社が持っていた、要するに電力会社が持っている株を放出しろと閣議決定で決めている。

 電力会社は民間会社でありますが、しかしながら、閣議決定で決められたものを拒否することはできなかったから、放出しています。当時の売り出し価格は大体二千七百円。現在、その倍以上でありますから、これは電力会社から見ると大変損をした、こういう計算でもありますし、今さらこの株を買い戻すことは、逆に言えば株主代表訴訟にたえられないという問題も出ています。電力会社側から見れば、あのとき株を持っていれば、もう少し今の状況を防げたかもしれないし、かつ、現状にも対抗できる手段があったけれども、それができない、それは閣議決定において決められたわけであります。

 大臣、ここでお伺いしたいんですが、私は、当時、一定の部分を、幾ら電力自由化とはいえ、閣議決定で民間企業の行動を縛ってしまった、促してしまった、このことは間違いではなかったのか、一部株式を保有するということはあってもよかったのではないか、完全民営化という看板にこだわり過ぎて、やや間違った判断をしたのではないかと結果として思いますが、大臣、いかがお考えですか。

甘利国務大臣 難しい御質問ですが、確かに完全民営化は何をもって完全民営化というのかと。つまり、政府が株主として関与していないということであるならば、民間電力会社が持っていても、それは完全民営化ということになりますが、ありとあらゆるくびきを解くという思いで閣議決定をされたのかは、閣議決定自身が民間企業にある行動を要請するということが適切かどうかということであるならば、私はそれはまあ余り勧められることじゃないと正直思います。民間会社が持っている株を売るか売らないかは民間会社の経営判断でありますから、勧められることかどうかと問われれば、まあそんなに勧められた話じゃないのかなと個人的には思います。

 ただ、とにかくJパワーが、政府及び公益企業が株を支配している、それから解くという意味で完全自由化ということが行われて、それに従って一般電気事業者に対して要請を行ったものであるのかなという理解であります。

近藤(洋)委員 大臣も一部おっしゃっていただいたように、僕は余り好ましいことではなかった、かつ、私は、ここが問題の本質で、要するに、完全民営化という看板にこだわり過ぎて、ちょっと余計なことをというか、大変間違いを犯したんだろう、こう思うんですね。ここは当時の政府の責任でもありますが、このJパワーの問題は今後も続いてまいりますし、また、この本筋の話ではないので、また時を改めてしっかり伺っていきたいと思いますが、少なくとも、経済産業省のあのときの判断、電力会社に閣議決定で放出させたというのは、結果として今非常に難しい状況を生んでいると思います。

 そこで大臣、その意味で、ここで商工中金の完全民営化をお伺いしたいんです。

 確認でありますが、本法案には、完全民営化後も、中小企業団体、その構成員向け金融の根幹を維持できるよう必要な措置を講ずる、この七年後の、移行期間後の完全民営化について、このように記しておるわけです。一方で、政府は七年間の移行期間で保有株式すべてを売却する、こういうふうに規定しているわけですね。

 そこでお伺いしたいのですが、中小金融の根幹を維持するということは、この経営を担保する具体的な措置として、議決権のある株式をだれもが保有できるように流通させる、すなわち、これは通常、株式を公開し上場することでありますけれども、こういうことをしないということで明確な方針なのだということを確認したいのですが、よろしいでしょうか。

甘利国務大臣 株主資格に制約をかけます。限定するということです。

近藤(洋)委員 すなわち、だれもが保有できないようになる。これは、東京証券取引所のルールが変われば別でありますが、現行では上場はできない、こういうことであります。うなずいていただきました。そのとおりだと思います。

 私は、やはり完全民営化というこの言葉に余りこだわるべきではないと基本的に思うんですね。要するに、機能をどう守るかという議論をきっちりしなければいけないわけでありまして、マーケットというのは常に都合よく動くとは限らないわけで、これはJパワーの例でやはり学ばなきゃいけないと思うんですね。資金調達では確かにメリットはある。だけれども、予想を超える落とし穴というのがある。

 上場というか株式の流通については、今、大臣から明確な御答弁もありましたから、ぜひその御答弁を信じていきたいと思うわけでありますが、ほかの分野でも、この政府系金融機関について、完全民営化というものが本当に本来の機能を果たすかということをやはり常に考えながらこの法案の運用をしていただきたいし、残念ながら、この法案では、その辺のピンどめといいますか押さえが、まだ法案の字面を読むだけでははっきりわからないという点を指摘させていただきたいと思います。ですから、慎重な審議が必要なんだろう、こう思うわけです。

 そこで、私は、その機能の中で一点お伺いしてまいりたいのですが、私は、金融機関の果たすべき公的な役割、これはさまざまあるとは思っておるんですけれども、その中で特に重要なのが、いわゆる災害とか経済事故であるとか緊急時の決済機能、信用補完、融資をどういうふうに維持するか、これが金融機関の持つ大変大きな公的な役割だろう、こう思っております。

 今回の政府系金融機関の一連の改革案の中で、政府系金融機関の効率化、全体の資金の流れを民間に流す、こういうこと自体は私も否定するものではありませんけれども、一方で、金融が果たす公の役割、この機能に穴があいてしまったら、これは本末転倒であろう、こう思うわけであります。そこで、いわゆる危機対応業務についてお伺いしたいと思います。

 今回の再編民営化の中で、政府は、商工中金から政策金融の役割を縮小させるという方針を明記する一方で、政府が新たに設立する政策金融機関、国金であるとか中小公庫などが統合される新公庫だけでは対応できない危機対応業務、短期の融資などについては、商工中金を含む民間金融機関を指定金融機関として業務に当たらせる制度を設けておる。この新公庫は指定金融機関を利子補給するであるとか、さまざまな支援をする、こういう仕組みを打ち出しております。

 そこで、行革事務当局にお伺いしたいんですが、民間金融機関の指定金融機関のイメージとして、具体的に全体として大体どのくらいの数の金融機関を想定しているのか。例えば、大手都市銀行だけなのか、地元の地方銀行も含めているのか、信用金庫も想定しているのか、大体どういったイメージなのか。また、民間銀行側が申請をするということであります。商工中金は最初から義務化というか指定されていますが、それ以外は手を挙げさせるということですが、政府としては、資格制限のようなものを設けるのか、申請すればすべて認めるということなのか、事実関係を端的にお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 ただいま先生から御指摘ございました危機対応でございますけれども、現在、御審議をお願いしております株式会社日本政策金融公庫法案におきまして、この危機対応制度について、委員から御指摘のとおりのを今盛り込んでいるところでございます。

 この指定金融機関、民間金融機関が、どの範囲の金融機関がどの程度申請するかということでございますけれども、実は、これは自主的な申請に基づきまして指定が行われるということでございまして、実際に民間金融機関が申請を行うかどうか、その判断を待つことになります。対象といたしましては、これはもう幅広く、信用金庫、信用組合等からも申請ができることにしておりますけれども、まずはその自主性を重んずるという観点から、今現在その数がどの程度かということを見込むことは、申しわけございませんけれども困難な状況でございます。

 私ども、この日本政策金融公庫法案を成立させていただきました後には、このような申請が適切に行われるように、民間金融機関に対しまして、この危機対応制度の周知徹底を図っていくということを考えているところでございます。

 なお、委員から御指摘のとおり、日本政策投資銀行、商工中金につきましては、日本政策金融公庫法案におきまして、指定金融機関の指定を受けたものとみなすという規定を法案に盛り込んでいるところでございます。

近藤(洋)委員 すなわち、この指定金融機関というのは、信金、信組も排除するものではないということですから、相当幅広く想定をしているということでありますね。限定したものではない、こういうことだろうと思います。

 そこで、大村金融担当副大臣、お忙しいところ来ていただいておりますが、お伺いしたいのですけれども、いわゆる民間金融機関というのは、銀行の健全性を示すBIS基準、自己資本比率基準の一定水準をちゃんと守るように、守らなければ早期是正措置が発動される、こういう仕組みで金融行政は行われているわけであります。すなわち、国際業務を行う銀行は八%、国内銀行は四%を下回れば金融庁による早期是正措置がそのレベルに応じて発動される、経営改善計画の提出を求められる、こういうことであろうかと思います。

 そこで、この危機対応業務に関連してなんですけれども、要するに、例えば震災が起きた、大きな危機が起きた、こういった場合、指定金融機関は、短期の貸し出しなり長期の貸し出し、資金繰りを面倒見なければいかぬ、面倒を見るというか融資を実行する。その場合、まじめに危機対応をしていけば、当然貸し倒れのリスクというのはあるわけですね。

 阪神・淡路大震災のことを思い出しても、まず水、水道、電気が困るわけですけれども、その次にはやはりキャッシュ、お金というのが必要になるわけであります。決済が必要になるわけです。そのときに一々審査だ何だということをやっていたらこれは間に合わないから、指定金融機関としては、まず資金繰りを融通しましょう、こういうことをどんどん広げていけば、当然貸し倒れのリスクも高まるわけであります。当然この制度によってある程度の支援措置は受けられるけれども、想定を超えて貸し倒れが膨らんだ、不良債権がふえた、そうなると、自己資本比率が低下することも当然想定されるわけですね。

 そこで、お伺いしたいのですが、指定金融機関が危機対応業務を行った結果、自己資本比率がその基準、国内なら四%基準、八%を下回った場合に、早期是正措置はやはりルールどおりに基本的には発動されるのでしょうか。それとも、今回の制度改正に当たって何らかの新しいルールなり運用基準というのを出されているのでしょうか、お答えください。

大村副大臣 委員御指摘のように、銀行は、預金者の信認を確保しながら預金をいただいて、そして金融仲介機能を発揮して業務を進めていくわけでございます。その際に、やはり自己資本の充実とリスクに応じた十分な財務基盤を保有するということは大変大事だということでございまして、当局としては、自己資本比率基準という基準を設けて、先ほど言われましたように国際基準が八%、国内は四%ということで、それを下回ったような場合には早期是正措置ということで、銀行の健全性というものを確保させていただいております。

 一方で、指定金融機関制度は、今般の政策金融改革におきまして、自主的な申請によってあらかじめ指定をするという制度でございます。

 お尋ねの、指定金融機関が危機対応業務を行った場合の自己資本比率規制の関係でございますけれども、一つは、まず、個々の貸し付けにつきましては指定金融機関がみずからのリスク判断で行うということになるわけでございますけれども、日本政策金融公庫法におきまして、その際には日本政策金融公庫から一定のリスク補完措置、損害補償でありますとか利子補給ということが行われるという制度になっております。したがって、そのことによりましてリスクが軽減をされるということがございます。

 そして、そういうことがある一方で、そもそも早期是正措置というのは、銀行が財務の健全性を確保することで預金者の保護を図る、預金者の保護を図り、そして金融仲介機能を発揮する中で適切にその業務を遂行していくということでございますので、今回、危機対応業務を行う場合は一定のリスクの補完措置があるということ、その一方で、当局としては、金融機関の健全性も確保して預金者の保護も図らなければならないということでございますので、今回、この危機対応業務を行った場合に早期是正措置の対象から外すということは、当局としては検討をしておりません。

近藤(洋)委員 ないということでありますね。

 そこで、経済産業大臣にお伺いしたいのですが、商工中金の自己資本比率は、先ほども議論になっているように八・〇一%、国際業務ができるぎりぎりの水準であります。

 今回の法案では、移行期間の間は危機対応をする指定機関になることが義務化されている一方で、かつ金融庁の早期是正措置の対象とならない、こういう形になっているわけであります。このことは、すなわち、危機において自己資本が低下することを恐れずに中小企業向け融資に十分に対応できるような制度にした、こういう趣旨かと思いますが、そのことの確認と、あわせて、この移行期間の後、完全民営化後も指定金融機関であり続けるのか、そして、あり続けた場合は同様に早期是正措置の対象とならない、こういう形で万全を期す予定なのか、お考えをお伺いしたい。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、移行期間中は早期是正措置の対象外であります。それが過ぎますと対象外とはならないということでありますが、一定の補完措置はありますということを、今副大臣からの答弁でありますが、それで十分かどうかということはきちんと精査をしなきゃいけないというふうに思っております。

 でありますから、この件に関しまして、つまり、移行期間後の措置に対しましては、これは、必要に応じて金融当局と議論しなきゃならないというふうに考えておりまして、平成二十年十月以降、五年から七年が完全民営化への移行期間でありますけれども、その間にきちんと詰めておかなきゃならないことだというふうに思っております。

近藤(洋)委員 私は、大村副大臣にちょっとお伺いしたいんですが、いずれにしろ、商工中金、大変格付も高い金融機関でありますが、やはり十分な対応をするためには、早期是正の対象外として指定機関になってもらっているわけですね、なるとさせるわけですね。行革事務局は、信金にもなってもらいますということを想定して、民間の活力を活用した形での危機対応業務をするというお題目を出していますが、いざやってみても、早期是正措置の対象になれば、だれが申請するんでしょうか。これが大事だと思うんですね。危機対応のときにまじめに業務を行った結果、自己資本が傷ついた場合は、やはりそれは、その対応として、当然、早期是正の対象をどうするのかという議論を整理する必要があるかと思うんです。

 後で行革事務局にもお伺いしますが、行革事務局は必要な措置をするとおっしゃっているけれども、では具体的にその予算がどの程度の規模なのか、どういうものなのか、明確に多分お答えできないと思うんですよ。お答えできないのに、どれぐらいの支援措置が受けられるかどうかもわからない、では、自分でリスクをとらなければならない、リスクをとった結果、一生懸命危機対応をした結果、早期是正の対象になりますでは、だれが民間金融機関が手を挙げることが想定できるか、こう思うんです。

 金融庁は、リレーションシップバンキングといって、地域密着型の金融の旗を振られていますね。金融機関というのは、まさに雨が降ったときに傘を差すのが金融機関ですから、地震であるとか災害であるとか経済危機というのは、まさに本人のせいではなくてどしゃ降りが降ったときです。このときに傘が差せるような制度をつくらずして何の危機対応だ、こう思うわけですが、大村副大臣、いかがでしょうか。早期是正措置の制度の運用を見直すであるとか、今回の、官から民へと政府が言うのであれば、民間がそういう業務ができるような制度的な担保を金融行政としても行うべきかと思いますが、いかがですか。

大村副大臣 今委員から、地域金融機関についてのリレーションシップバンキングにつきましてお話をいただきました。おっしゃるように、地域に根差した地域金融機関という概念を私ども今回入れさせていただいております。それは、地域の利用者の預金の安全性を確保するとともに、あわせまして、中小企業等地域への金融の仲介機能を十分発揮するということが大変大事だということを我々申し上げているわけでございます。

 したがって、今委員が言われましたように、そうした自然災害等の地域の危機的状況において、地域金融機関がみずからの健全性を維持しながら、もちろんみずからの健全性というのは大変大事でございます。それを維持しながら、その経営判断のもとで地域の利用者のニーズに積極的にこたえていくということは大変望ましいことだと思っております。

 要は、平時のときに貸しておいて、そして危機対応、危機の、緊急のときにそれを貸さないということは、やはり金融機関の社会的責任ということにおいて、そういうことではいけないのではないかという御議論が底流にあるというのはおっしゃるとおりでございます。

 したがいまして、私どもは今般、この制度につきまして、政策金融公庫の議論の中にももちろん参加をさせていただきましたが、こうした地域での危機対応について金融機関が一定の役割を果たすことは大変大事だと思います。

 ただ、その一方で、金融機関の健全性を確保するということも、多くの預金者の信認を預かっているわけでございますから、そのことも大事でございますので、私どもは、この際、今回のことについても、リスクの補完措置があるということも勘案をいたしまして、この健全性を確保するという意味で、早期是正措置の対象から外すということはいたしていないわけでございます。

 ただ、それでもって手を挙げてくる金融機関がどのくらいあるんだろうかという御指摘でございますけれども、この点につきましては、この法案が成立をした後に、申請するところが出てくるよう、適切に行われるように、行革推進事務局を中心に、民間の金融機関に対しましてこの制度の周知徹底を適切に図っていくというふうに認識をいたしておりますので、そういう点で周知徹底を図っていただいて、そして、金融機関はそういった適切な対応をしていただく、こういうことを望んでいるところでございます。

近藤(洋)委員 大村副大臣もわかっていらっしゃっておっしゃっているんだろうなと思いますけれども、みずからの判断で危機対応を金融機関がちゃんとこれまでやっていたら、金融不況がこんなに長引くはずがないわけであります。そういうことが行われていないから、まさに今のこの中小企業金融を取り巻く環境があるわけでありまして、しかも、こういう一番リスクの高いときに、かつ、高い自己資本比率規制を課せられた金融機関が貸したくても貸せないわけでありますから、貸せるような環境をつくるのがやはり金融行政としてあるべきではないか。

 また、何をもって健全性かということなんですね。そもそもBIS規制などというものは、バーゼル委員会が決めたものでありますけれども、基本的には各国の紳士協定であって、何も法的な極端な拘束力のあるものでもありません。できたそもそもの経緯のことを議論するわけではありませんが、あのバーゼル委員会を金科玉条のごとく持って、八%、四%、何で四%なんだ、何で八%なんだ、この議論を詰めたときに、その四%が本当に適正なのかというのは議論の分かれるところなんですね。それを金科玉条のごとく危機において守る、それが健全性ですというふうに言い張るのは、これは全く危機対応の議論にならないわけでありまして、かつ、そういう硬直的な金融機関をつくってしまうことは、本当の意味での健全な金融にはならないということを指摘させていただきたいと思うわけです。

 そこで、行革事務局にお伺いしたいんですが、不透明なのは、危機対応とあるけれども、そもそもこの危機の定義は一体何なのか。阪神・淡路大震災のような大型災害は当然の危機であります。しかしながら、局地的な台風も中小企業なり地域社会においては大変な危機であります。また、例えばブラックマンデーのようなものも危機でありますけれども、同時に、個別名で恐縮ですが、足利銀行が破綻しただとか、そういったところはその地域における大変な危機であります。

 こういった中小企業にとって紛れもない危機というものがあるわけですが、そういった小さなといいますか、災害の規模の大小ではなくて、やはり、その地域における企業にとって存亡を左右するようなものは押しなべて危機対応の危機であるという認識でよろしいですか。行革事務局、危機の定義をお伺いしたい。

鈴木政府参考人 御指摘の、危機対応の危機でございますけれども、これは非常に幅の広いものというふうに考えております。先生が御指摘ございました阪神大震災も、当然危機でございます。それから大型の企業倒産、また台風、地震等の災害、こういうものも危機に該当いたします。また、BSEとかそういうものも対象になります。

 先生が御指摘ございました局地的云々というところについて申し上げれば、危機は局地的であってもその被害が広範囲に拡大するような場合、例えば、鳥インフルエンザの初期におきましては、起きましたところは一カ所でございますけれども、これは全国的に波及いたしました。こういうものは危機でございます。

 それからもう一つ、危機のみならず被害も局地的である、しかしながらその被害の程度が甚大である場合、これも危機だというふうに考えております。

 私ども、政策的な必要性が高いという場合には危機というふうに主務大臣が認定される、そういうふうに考えているところでございます。

近藤(洋)委員 重ねて確認ですが、そういう御答弁だとすると、これまで商工中金、政策投資銀行など政府系金融機関が行ってきた危機対応と少なくとも同水準、または場合によってはそれ以上の対応が行われるんだということを目指して政府はこの制度設計をした、こういうことでよろしいわけですね。それに応じた予算措置をする、同水準以上の対応ができるものを確保できるということで制度設計したということでよろしいんですね、事務局。

鈴木政府参考人 危機対応の具体的な内容につきましては、今後、制度の具体的な内容につきましては検討することになりますけれども、昨日の内閣委員会におきます株式会社日本政策金融公庫法案に対する附帯決議におきましても、ちょっと読ませていただきますけれども、「これまで商工組合中央金庫、日本政策投資銀行等の政策金融機関が行ってきた危機対応と同水準の条件及び範囲の危機対応が確保され、危機時に必要な所に資金が円滑に供給されるよう必要かつ十分な財政措置等を講ずること等制度の運用に万全を尽くすこと。」という決議がなされているところでございます。

 私ども、十分この決議を尊重して、今後検討してまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 いや、附帯決議は我々がつくったものであります。伺っているのは、政府の意思を聞いているのです。制度をつくっている方々の意思を聞いているわけであります。

 ですから、ここは、鈴木審議官は大変優秀な方であるのは十分承知しておりますし、尊敬もしておりますが、これ以上鈴木審議官にお答えを求めても切ない部分もあるかもしれませんけれども、当然政府としてやはりきちっと、附帯決議を読み上げるのではなくて、制度としてどうなんだということを御答弁しなきゃ御答弁にならないんです。

 だとすると、これはやはり本来なら大臣にお伺いするしかないんです。経産大臣、今議論を聞いて御理解いただいたように、指定金融機関は、特別に商工中金のように是正措置の排除をされないわけです、適用されてしまう、今のままですと。そういう状況の中では、なかなか指定金融機関になりたくてもなれないわけであります。

 そういう中で、やはりしっかりとした予算措置なり、指定金融機関になったらちゃんとした担保をしますよということも含めて、今までと同様以上の対応はできるんだ、制度としてつくるんだ、指定金融機関に対しては支援措置を政府としてするんだということの制度設計の意思を明確に政府の閣僚の方がおっしゃっていただかないと、だれも手を挙げない。

 さらに言えば、これは他省庁の話でありますけれども、金融庁の早期是正措置のありようも含めて、この危機対応というものについてきっちり整理をしないとこれは大変なことになる、いつ地震なり災害が起きるかわからないわけでありますから。

 そういう制度も早急に整備をする必要があると思いますが、この二点、万全の措置を講ずるかどうか、これまで同様以上の措置がとれるように、政府として意思があるのかどうか、あわせて、早期是正措置の対応も含めて、制度の危機対応の見直しも含めて御検討するお考えはあるかどうか、最後に経済産業大臣にお伺いします。

甘利国務大臣 金融政策そのものは私の所管でありませんから、そこの部分までは答弁はできませんが、少なくとも商工中金を所管する大臣として、商工中金が政府系から完全民営化へ移行していく、その際にも指定金融機関として期待されるであろうし、恐らく内々の要請はあるのだと思います。

 その際には、今の自己資本の現状をきちんと確認をしてもらって、その上でちゃんと対応できるような措置をしていただくということについて、今後とも金融庁ときちんと議論をしていかなければならないと思っております。

近藤(洋)委員 まだまだ危機対応一つとっても不透明な点がある。やはり、金融の機能というのが何のためにあるのか、機能を発揮するためにどういう制度が必要なのかということに主眼を置いて議論しなければいけない。ただ民営化という言葉に惑わされて、私は民営化による効率性をすべて排除するものではありませんけれども、冒頭言ったように、やはり民営化というものは、場合によっては、必要な機能が損なわれるケースもやはりあるわけですし、Jパワーの議論を冒頭申し上げましたが、思わぬ落とし穴もあるわけでありますから、ぜひ機能ということを重視して議論する必要があるということを申し上げ、時間ですので、質問を終わりたいと思います。

上田委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 早速でありますけれども、商工中金の法案についてまず質問させていただきたいと思います。

 この商工中金の重要性については、さまざまな質疑を通じてそれぞれ委員の方から指摘をされておりまして、それは私も共通認識を持っております。その一方で、今回民営化されるわけでありますから、今までの政府系金融機関としての商工中金と、これからの民営化された後の商工中金と、おのずと性格が変わってくるわけであります。

 まず、大臣にお伺いしたいのは、民営化した後に商工中金が果たす主に中小企業金融の役割と、民間の例えば地銀であるとか信金、信組などが果たす特に中小企業における役割と、このすみ分けをどうするのか、これも一つの議論だと思うんですが、このお考えをお聞かせいただきたいと思います。

甘利国務大臣 商工中金が行ってきたことは、中小企業団体を核とした組合金融を担ってきたということですね。もちろん、その構成員の金融も担ってきたわけであります。そういう中小企業のよって立つ基盤をしっかり支えていくという性格は、しっかりこれからも持っていかなければならないというふうに思っております。

 ただ、民間金融機関になるわけでありますから、ここまでは商中が行って、ここから先は他の民間金融機関というような明確な業務のすみ分けというのはないし、できないんだと思います。

 ただ、商工中金が培ってきたノウハウを最大生かせる仕方で、とにかく中小企業金融の中核としてこれからも中小企業の繁栄を支えてもらいたいということを強く思っておりますし、そういう面での機能を十二分に果たしていってもらえるというふうに思っております。

細野委員 一番初めに御答弁されたとおり、商工中金の場合は、組合及びその構成員に対するサービスというところが、恐らく民間の、いわゆる中小企業金融をやっているようなそういう金融機関と違うところだろうと私も思うんですね。

 そこで、ちょっと一つお伺いしたいんですが、今回の法律が導入されるに当たりまして、預金資格の制限が撤廃されましたね。これは、だれでも預金をできるようになったわけでありますが、組合組織を重視してきたというところからすると、一歩外に出る形になるわけでありますが、これを撤廃した理由をお聞かせいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 融資をする資金調達手段を広げるということであります。一般の銀行でありますから、預金を広くあまねく集めることができるということでないと、腕を縛られたまま他のものと一緒に競争するということになろうかと思います。

 そこで、融資する、貸し出すための原資を幅広く集めることができるような仕組みにするということと理解をいたしております。

細野委員 商工中金は、支店が大体都道府県の主な中心都市にありますから、今は支店数も限られています。ただ、債券なども発行していますから、これは預金の制限を撤廃すると、相当顧客が、できると優良企業でもありますから、集まる可能性があると思うんですね。

 その次に必ず出てくるのが、これは私の個人的な予想ですが、貸し出しも、組合であるとか組合の構成員に限らずやりたいという要望は、私は民営化に当たっては必ず出てくると思います。株主が組合構成員、組合ですかに限定をされているのでそれはないだろう、そういう予測は、私は恐らくこの数年で外れてくるだろうというふうに思っていまして、民営化されるときにその辺の規制をどういうふうに考えられているか。必ずどこかで出てくる議論だと思いますので、今の時点での大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 貸し出し、融資対象でございますけれども、現時点で、出資組合とその構成員が対象で、それ以外の融資は全体の二割以内で、出資資格団体などに限定をしているという形になっております。

 基本的に、この考え方は維持されていくんだろうというふうに考えております。

細野委員 では伺いますが、今回の法案は移行期間の法案ですが、実際に民営化されるときには当然新たな法律をつくるわけですね。そこでも員外貸し出しはしない、組合以外には貸さないというふうに縛るという現時点でのお考えということでよろしいんでしょうか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 ただいまのは完全民営化の時点での御質問だと思うんですけれども、これは委員も御案内のとおり、附則の第二条で、引き続きこの商工中金が中小企業向けの金融機関としての機能を維持できるようにということで、必要な措置をとりますということになっているものですから、現時点でそういうことについて何か決まっているものがあるというわけではございません。

細野委員 例えば、必ずしも適切でないかもしれませんが、農協も員外貸し出しをやっていますね。現実的に、私の地元でも、田舎の方に行くと、農協の組合員以外もそれこそお金も借りているし、組合員に準ずる扱いをしている方というのはいっぱいいるわけですよね。実際、地域の名士の方がかなり農協にお金を預けて、年金を受け取ったりしています。

 では、再度確認をしますが、今の時点で予想していないということになると、そういう可能性も今の時点で否定できない、そういう逆の解釈でよろしいんでしょうか。

石毛政府参考人 今の制度をもとにして員外貸し出しのところは考えて、当然、メンバーシップ金融としての基本的な機能を維持するというところがその趣旨として入っていると思いますから、員外の部分については当然限定はあると思います。

 ただ、それについて法律で今どういうふうに言っているかということであれば、そこについては政府として必要な措置をとるということで、その段階できちっと判断をして、政府として決めていくということであると考えております。

細野委員 大臣、なぜここにこだわっているかというと、結局、これから商工中金は、民営化されたときにもうけなきゃならないわけですよね。必ず出てくるのが、いいとこ取りをどうするかという話なわけですよ。地域に組合もあって、そこで頑張っている企業もいらっしゃるでしょうけれども、例えば、その従業員の金融をやりたいというような話が出てくる可能性は大いにありますよね。組合があって、構成員があって、そこに従業員がいるわけですから。従業員以外でも、例えば、優良な顧客がいた場合に、そこからお金を預かっていると、お金を貸してくれという要望も間違いなく出てきますね。

 それはミクロの話ですが、マクロに目を転じたときには、当然、経済のいい地域と悪い地域があって、今であれば、東海地域、特に名古屋なんかは非常に景気がいいけれども、北海道であるとか東北の方に行くと非常に厳しい。

 そういう中で、どこでどういうふうな貸し出しをするかということも、これもいいとこ取りを将来的にしてくる可能性は大いにあるわけです。企業としては当然考える。それを将来的にどういうふうに縛るんですかということですね。株式で縛れませんから、法律で縛るのか、そのほかの方法を考えられているのか、それぐらいの基本的な考え方は今の時点で示さないと、民営化して、その後、七年後はどうなるかわかりませんという議論ではちょっと通用しないと思いますので、考え方をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 まず、現状でも員外貸し付けの枠はあります。二割だったなということで今確認したんですが、二割あります。ただ、運用実績は余りありません。これは、現状で員外貸し付けの枠があるという以上、政府系でなくなったときにこれがなくなるということは理論上ありませんから、これはあると思うんですね。運用上そこを満たしていくということはあろうかと思います。

 それから、どう貸出先の制約をかけていくのかということでありますが、先ほど来答弁がありますように、これから完全民営化後も必要な措置をとっていくという中で何がとれるかということだと思いますが、ある制約ができるような有効な措置を考えていくんだと思います。

 それから、株主側の組合とそれから組合員でありますから、つまり、株主からの要請には経営者はこたえなきゃならないと思います。株主の意向を無視して、自分はこっちの方がもうかりそうだからこっちに行きますよという経営判断は、これはなかなかしづらいんじゃないかと思いますから、株主の方と、それからどういう貸出先の縛りを必要な措置の中で考えていくか、両方合わせて考えれば、今の形態から全然外れた方向に行くということはないと思います。

細野委員 そこは私もちょっと考えたんですが、必ずしもそうとも言い切れないと思うんですよ。ですから、株主になって自分たちにも貸してくれということはあり得ても、自分たち以外の非優良顧客に貸すべきではないという議論は当然あるわけですよね、株主の中でも。加えて、株主は配当を当然求めますから、要するに、配当できないような非優良貸出先にどんどん貸す商工中金のあり方はどうなんだという議論は必ず出てくるわけですよ。

 ですから、株主が組合員だから、自動的に組合員以外には貸しませんよとか、厳しいところにも貸してくれますよというのはかなり楽観的過ぎると私は思っていまして、その議論は少し慎重にしっかりしていただいて、今すぐに全部答えてくださいとは申し上げませんから、私はきちっと法律で縛るべきだと思います、ある程度そこは何らかの形で。そこをしっかり書くべきだ、セーフティーネットの中に書いていませんから、そのことを申し上げておきたいと思います。

 続いて危機対応なんですが、先ほど近藤委員の方から非常に建設的な議論がありましたが、私はちょっと違う観点から一、二点質問したいと思います。

 まず、この危機対応の中で一番考えなきゃならないのが激甚災害だと思うんですが、この三年間の激甚災害で実際に融資をしている例を見ますと、国民金融公庫が千三十六件、商工中金が八十二件、中小公庫が五十八件となっていまして、金額からいっても国民金融公庫が六十二億円と一番たくさん貸しているんですね。

 今回、国民金融公庫と中小企業金融公庫は日本政策金融公庫に吸収されるわけですが、ここで書かれている、継承業務の範囲内でやるんですというんですが、確認ですが、継承業務として、政策金融公庫も、新公庫自体も、引き続き激甚災害の融資をするという理解でよろしいんですか、この記述は。

石毛政府参考人 お尋ねの激甚災に係る災害復旧貸し付けですけれども、新しい日本政策金融公庫、ここではきちっとそういう業務を行います。それから、商工中金につきましては、危機対応業務のスキームのもとでそれを実施していくという形になろうかと思います。

細野委員 そこで、私、ちょっと疑問なんですけれども、継承するというんですが、新しい政策金融公庫は一般貸し付けはやらないわけですよね。日ごろの貸し付けを中小企業にせずに、激甚災害とか危機対応のときだけ出てきて、今までと同じように圧倒的多数の激甚災害を国民金融公庫を継承してこの新しい公庫がやるんですか。そんなことできるんですか。日ごろ何をしているかわからない中小企業に対して、圧倒的多数の激甚災害の融資ができるんですか。

石毛政府参考人 政策金融公庫は、そういう特別の融資制度については、引き続き、旧国民金融公庫それから旧中小企業金融公庫の制度を保持して実行するわけですから、当然ですけれども、新しい政策金融公庫のもとでそういった融資は行うことになります。

細野委員 今、建前としてはそういうことなんだと思うんですが、繰り返しになりますけれども、日ごろおつき合いのない企業が、激甚災害のときは比較的わかりやすいかもしれないけれども、先ほど近藤委員が指摘をされたようなさまざまな危機に対して適切な融資を引き続きできるとは私は思えません。そこを、恐らくかなり大きな役割を中小企業金融公庫が担うわけでしょう。そういう枠組みじゃないんですか。

石毛政府参考人 日本政策金融公庫に移っても支店網、そういうものはきちっと維持されるわけですね、もちろん幾つか効率性の追求の観点から統合されるものもあるわけですから。したがって、支店の持っている機能、情報、そういうものは当然維持されるわけです。

 恐らく、質問は、そういう既存の持っている以上に何か出てきたら対応できるのかということも入っているのかもしれませんけれども、そういった貸付業務についても、引き続き政策金融公庫の中で、旧国民金融公庫の部分、中小企業金融公庫の部分、行うことになりますから、対応できます。

細野委員 では、確認ですが、例えば激甚災害については引き続き新しい公庫で圧倒的、九割方対応する、本当にそれでいいんですか。

石毛政府参考人 九割方かどうかという、それは表現だと思いますけれども、きちっと対応できると考えております。

細野委員 今の答弁、非常に重いと思うので、それは期待をしますが。

 片や、大臣、私が感じているのは、一般貸し付けしていないところが、激甚災害だ、危機対応だというところで出てきて、ちゃんと審査をして、当然条件を緩めるんでしょうけれども、やれるかというと、かなりそこは私は将来的には疑問があるんだろう。今は支店網もあるし、支店は維持するにしても、ある程度ノウハウを維持しているにしても、一般貸し付けをしなくなるというのは、危機対応もやりにくくなるんだろうと常識的には思います。

 そこで、私がちょっと不思議なのは、そうなると、どうしても危機対応は現場を持っている商工中金であるとか一般の金融機関に頼ることになるわけですよね。そこでBIS規制のような話も当然出てきます。なぜ、現場で対応するべき商工中金の法案には危機対応について何も書いていないんだろうか。新しい公庫の方の附則に何か書いてあるということで、それは見ましたけれども、きっちり商工中金の業務として危機対応はするんだということを書いておかないと、前段の議論と重なりますが、やはりクリームスキミングみたいな議論は全然避けて通れないと思うんですね。そこはぜひ御検討いただきたいと思うんです。

 政府系金融機関として、完全民営化しつつそういう役割を担うということを法律できちっと書くべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。これは大臣に。

甘利国務大臣 完全民営化後は、ほかの民間の金融機関と全く同じになるわけであります。でありますから、ほかの金融機関に要請するのと同じ要請を政府はするわけであります。でありますから、商中だけ危機管理対応を国の要請に従ってやるということを書きますと、これはもうその時点で完全民営化ではない。ですから、国の要請に従って民間金融機関は手を挙げてもらう、その中で真っ先に手を挙げてもらう対象として商工中金がなっているという理解だというふうに思っております。

細野委員 この数年の間にもさまざまな危機というのは、激甚災害も含めて、想定はしたくないですが、恐らく出てくるんだろうというふうに思うんですね。そこでそれぞれの金融機関がどういう対応をするのかというのは、やはり見る必要があると思います。

 完全民営化でほかと同じだとおっしゃるなら、それこそ中小企業金融公庫に、例えば員外に貸し出しちゃいけませんよとか、そんなことを課すこと自体もおかしいわけですよね。根拠法をつくるわけですね、大臣。根拠法をつくって、ほかの銀行とは違う扱いをするのであれば……。

甘利国務大臣 根拠法は、ほかの金融機関と同じなんです。会社法で設立をする、そして銀行法によって縛りをかけられるということであって、そこのベースは共通なのであります。その上に、商工中金は、株主の縛りをかけるし、そしてその貸出先は中小企業にということで、根拠法自身を株式会社商工中金法ということで民営化するときにつくるということではないのでありまして、今、移行期間でありますからこういう形にしていますが、民営化後には、それを廃止して、会社法による、他の金融機関と同じ根拠法にするということであります。だから、二階部分が違って、一階の土台は共通の法律によって設立されるものであります。

細野委員 この議論は、しばらく移行期間を見てぜひ御検討いただきたいと思います。ここで結論は求めません。

 最後、この法案に関して一点。法案には書いていない部分ですが、大臣、天下りなんです。再三質疑にもありますが、特定の公務の職歴を有する者が固定的に再任されないように配慮すると。これは、同じポジションから、毎回事務次官が天下ってくるとか、何とか局長さんが必ずここに来るとかいうことを固定しないということを言っているのであって、逆に言うと天下りを容認する書きぶりですよね。大臣、ここは、答弁の中で天下りは望ましくないというふうにおっしゃるべきだと私は思うんです。特に理事長です。

 なぜこんなことを申し上げるかというと、まずは、民間になって専門的な能力が求められるという観点から、役所の方は金融機関としてのノウハウを持っていませんよね。これは大臣も恐らくお認めになると思います。

 もう一つは、実は、私はかつて銀行の子会社の調査会社にいまして、五年間サラリーマンをやっていたんです。私は研究員でしたから、別に社長になる気はなくて、そのうち政治に出てやろうと思っていましたから別にそういうふうには思いませんでしたが、そこで出世をして、頑張って認められようという人間にとっては、親会社から社長が来るというのは物すごくモラールの低下につながるんです。頑張ろうというやる気が出ない。プロパーでも上り詰めていけば理事長になれるぞ、能力のある人が例えばヘッドハンティングで来るということはあり得るかもしれない。能力を身につければ上に上がれるよという形になっていないと、組織としてのモラールは大きく落ちます。これは多くの子会社が抱えている課題なんですよね。私も、いろいろな関係の子会社を見てきましたから、切実に感じました。

 ですから、新しく誕生する、この新しい会社では、民営化するわけですから、天下りではなくて能力主義で公募をして、その中で、どうしてもこの役所のこの人は余人をもってかえがたしということであれば議論の余地はあると思いますよ。基本的には公募によって理事長を選ぶ、それぐらいはこの書きぶりから一歩前に出ていただいて御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 いわゆる天下り問題については、官民人材交流センターに係る法律がこの国会に提出をされます。恐らく成立すると思います。そこにおいて透明性を持ってきちんとやっていただくということであります。

 完全民営化した後にだれをトップに持ってくるかはこの会社としての判断でありますし、そこに対して役所から予算と権限を駆使してあっせん云々なんということは禁止されるわけでありますから、そこは向こうの自主的な意思で、だれをトップに据えるのが適切かを判断されるというふうに思っております。

細野委員 何か大臣の御答弁を聞いていると、移行期間はもう天下りで決まりましたみたいに聞こえますね。移行期間は大臣の権限ですよね。大臣に選定権があるわけですから、その間はやはりきちっと公募をして、いい人がいればその人を見つけてついてもらおうじゃないか、それぐらい、これはきょうで最後ですから、法案質疑の中で大臣に答弁していただきたいと私は思いますよ。それが新しくできる会社の将来のためでもあると私は思いますが、その余地はないんですか。天下りでやるんですか。

甘利国務大臣 最適任の人が選ばれるというふうに思っております。

細野委員 では、プロパーもしくは民間の方が選ばれる可能性があるということでよろしいですね。

甘利国務大臣 可能性という点で発言すれば、それはもちろんゼロではないと思います。

細野委員 これ以上は水かけ論になりそうですのでやめます。

 天下りについては、もう一点。これは、通告が当日でしたのでどこまでお答えいただけるかわかりませんが、もう一方の法律、中小企業信用保険法の改正案ですが、ここで新たに信用保証協会に非常に大きな役割が与えられることになります。

 そこでお伺いしますが、この五十二個ある信用保証協会、私の知る限り、地方自治体の、特に県庁の上の方の方が相当天下っているやに承知をしておりますが、どういう状況になっているか、今お答えできる範囲で結構ですから、答弁いただきたいと思います。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 各地の信用保証協会の常勤役員でございますけれども、その専門性の観点から、地方公共団体、金融機関、信用保証協会等からの出身者が就任をしているのが多いわけでございます。

 全国で五十二の協会がございますけれども、十八年八月現在で二百四十名の常勤役員がおりますけれども、そのうち、地方公共団体出身の常勤役員は約百名ということになっております。国家公務員出身者はゼロでございます。

細野委員 トップはどうですか。

近藤政府参考人 常勤役員の内訳を少し申し上げますと、会長ないし理事長が五十二名おるわけでございますけれども、そのうちの四十九名が地方公共団体の出身である、このように理解をしております。

細野委員 大臣も、御地元で信用保証協会が果たしていらっしゃる役割についてはいかに重いかというのはおわかりになると思うんですが、信用保証協会の判断というのは企業の生き死にを決めるわけですよね。そこに天下りの人が行っている。そこに県会議員なり国会議員なりがたかっているという構図はどこにでも見られるんですが、これも、信用保証協会の役割をこれから拡大するのであれば、県庁の副知事か商工部長あたりが毎回天下っている構図は、四十九という数字は異常ですから、改めるべきだというふうに思いますが、法律を改正するに当たりまして、大臣、お考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。

甘利国務大臣 私、保証協会を見ていまして、保証協会自身に目きき能力がきちんと備わっているかどうか、このところはさらに人材をしっかり充実させる必要があるということを考えてきました。

 そういう体制、とにかく保証協会の保証がつくということは、民間金融機関がそれだけその融資にほぼ、従来であれば一〇〇%乗ってくる話であります。そうすると、民間金融機関もある程度モラルハザードが起きるということで、部分融資といいますか、一定のリスクは民間金融機関もとりなさいということになって、民間金融機関も、審査能力、目きき能力、企業の能力を見抜く力をつけなきゃいけない。保証協会も当然そうだと思いますし、何となく官業の延長として仕事を行うのではなくて、きちんと金融機関の一つとしてしっかりとした使命を果たすための人員の体制をとるべきというふうに思っております。

細野委員 今大臣の御答弁があったとおり、本当は金融機関が目ききをつくってきちっと判断すべきなんですが、日本の場合は信用保証協会がつくかつかないかで融資が決まるわけですよね。ということは、逆説的に言うと、そこに天下っている官僚の人が目ききをやっている、その最高責任者が民間の人ではなくて官僚だ、もしくは県庁のOBだということになるわけですよね。これは私は大変不健全だと思います。

 これは委員長にお願いしますが、この五十二の金融機関、信用保証協会のそれぞれの天下り状況を、具体的にどういう方が天下って会長及び理事長をやっているのかということについて委員会に資料の提出を要求したいと思いますが、お願いできますでしょうか。

上田委員長 理事会で協議します。

細野委員 理事の方にお任せをしたいと思います。

 話が天下りで、さらに法案から離れるんですが、きょうは内閣府の方から剛腕の林副大臣に来ていただきましたので、四月十三日に出ました二回目以降の再就職のあっせんに関する調査報告ですが、これは副大臣も関与されたというふうに聞いております。

 これは私、十六件というのを見て大変驚きました。すべてを聞く時間はありませんが、経済産業省が営利団体に二件、要するに、わたりのあっせんはこの二件を除くとありませんよという報告が上がっているんですが、大臣、これは経済産業省に問い合わせて二件しかないということでこういう記録が出ているんでしょうか。それとも、これは途中経過なんでしょうか。

林副大臣 剛腕の渡辺大臣のもとで働いております林でございます。

 今御指摘がありました二回目以降の再就職のあっせんに関する調査は、四月十三日付で行政改革推進本部の事務局で取りまとめさせていただいたものでございますので私の方から御答弁させていただきますが、これは、平成十六年から十八年までの三年間の期間で、各府省等において二回目以降の再就職のあっせんを行ったことが確認されたものについて、どこの法人に行ったですとか、そのうち予算権限関係にあるものという区別を含めて各府省等から回答してもらって、それを取りまとめたということでございます。

細野委員 天下りに対しては予備的調査が出ていまして、経済産業省所管のいわゆる公益法人のたぐい、そういう団体に対する天下りだけで、現在二千三百七十七人。五十五歳から六十歳ぐらいで皆さん天下りますから、そういう方々がほとんど例外なくわたりをしているというのが私が聞いている事実です。

 経済産業省の方に御答弁をお願いしますが、この間私が委員会で聞いたときには、OBになられた方々につきまして、企業、団体等から照会があった場合に、いわゆる情報提供をすることがありますという御答弁があるんですが、二件だけなんですか。そういう理解でよろしいんですか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 先般、細野委員より御質問ございまして、私の方からお答えをさせていただきました。OBに対しましても、企業、団体等から寄せられる要請を踏まえまして、これらの要請に対しまして、OBについての情報を紹介することはございますというふうにお答えいたしました。

 また、今般、行革事務局から二回目以降の再就職のあっせんに関する調査の依頼がございまして、ただいま林副大臣から御答弁ございましたけれども、これに対しまして、当省から、職員の二回目以降の再就職につきましてあっせんを行ったことが確認されたものにつきまして、その件数をお答えしたものでございます。二件ということでお答えさせていただきました。

細野委員 では、この間御答弁をされた、照会があった場合に情報提供することがありますというのは、この二件だけのことを指して御答弁をされたということですか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査に対しまして、再就職についてあっせんを行ったことが確認されたものについては二件ということでございます。

細野委員 その後こういうふうに答えられているんですね、再就職を職務として実施をしていると。職務として実施をしているのを二件だけで報告されているということは、これ以外ないということですね、職務について報告をされたわけだから。もしくは、まだ途中で、まだあるかもしれないということをおっしゃっているんですか。いずれか、お答えをください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 OBの再就職につきましての情報の提供につきましては、先般もお答えをいたしましたように、そういうことを業務として行うということで直ちに問題になるものではないというふうに承知をしております。

 それから、今後のことでございますけれども、企業、団体等から何らかの要請がございましたら、これに対してお答えをするということはあり得ると思います。

細野委員 はっきり答えてください。この二件だけなんですかということを聞いているんです。

松永政府参考人 繰り返しになりますけれども、今回の調査につきましてお答えしたことにつきましては、この二件のみでございます。

細野委員 ないと言い切れるんですか。再度お答えください。さっき、確認できたのは二件とおっしゃいましたね、現在のところ二件。

 林副大臣、もうこれでお帰りいただいて結構なんですが、これは私、調査としてはやらない方がよかったと思うんですよ、正直にちゃんと調査しないなら。わたりは現実にあるのをみんな知っているわけですから。こんなところで本音と建前を使い分けていくようじゃ、今人材バンクをつくって天下りの問題をやっているベースのデータが全く間違っていますからね。

 これは、副大臣、これでやめるならやめた方がいいと思います。これはなかったことにした方がいいと思います。やるならちゃんと調べる。このわたりの問題を人材バンクでどうするのかという議論をしなきゃならないんですから、そのベースが間違っている、これは大変なことです。剛腕の大臣がいらして敏腕の副大臣がいらっしゃるので、これはちゃんと調べるとぜひ御答弁いただきたいと思います。

林副大臣 この調査は、御案内のように、今回、先ほど甘利大臣からもお話がありました、国家公務員法の改正法案を取りまとめる過程において取り急ぎやったということでございます。数字について大臣が既に所感を述べられておるところが新聞等に出ておりますけれども、今委員がおっしゃったような御意見を大臣にしかと伝えて、今後どうしていくのかということはきちっと検討してまいりたいと思っております。

細野委員 前向きに御答弁いただけたというふうに理解をしたいと思います。

 これから行革の議論が始まりますから、この委員会でも当然何度も議論になることに間違いなくなりますし、各委員会、内閣委員会で法案質疑も始まりますので、ベースになる数字ですので、再調査をぜひお願いしておきたいと思います。

 副大臣、これで結構です。ありがとうございました。

 残り、時間が十分になったんですが、この残りの時間を使って、貿易保険の問題について少し質問をさせていただきたいというふうに思います。

 二枚資料を配っておりますので、まず大臣、それをごらんいただけますでしょうか。今、私、独法をそれぞれ調べておりまして、その中で一つ気になったこととして、この貿易保険についてございました。

 まず一枚目ですが、この貿易保険につきましては、平成十三年の三月三十一日を最後に、四月一日に独立行政法人ができています。大臣、ごらんいただいていますか。そのことによりまして、それまで経済産業省で働いていた職員が独法に行って、そこで貿易保険についての仕事をしているということです。

 当初、経済産業省の中で百七十四人でやっていたのが百八十七人になった。ふえています。さらにそれから六年たちまして、四月一日ですからほぼ現在のデータということで理解をしていただいていいと思いますが、今、経済産業省の中で貿易保険にかかわっている人数が二十七人。独法の中でやっている人の数が役員を入れて百四十六人で、合計百七十三人。この六年間で効率化を本当は独法にしてしなければならないところが、人数が一たんふえて、今、大体同水準、一人減になっているんですね。これは数字です。

 大臣、もう一つ指摘したいのはこの独法の中の給与の水準なんですが、経済産業省の本体を一〇〇とした場合に、一三四・四なんですね。一・三倍以上です。顔ぶれを見ても、独法になると、理事長を初め上の方の方は二千万ぐらい給料をもらいますし、課でやっていたときは、トップは課長さんですから、当然給与水準は上がるわけですよ。本当は独法をつくって効率化をして、民間にも開放して、民間に開放できていないというもう一つの問題もあるんですが、この今の貿易保険の現状について、大臣、どのようにお考えになるでしょうか。

甘利国務大臣 人件費については、公務員の人件費を削減していく、その延長線上に独法の縛りも当然かかっていますから、当然その枠内でやっていくことになろうかというふうに思っております。

 貿易保険を独法化していく際に、外部からの専門家を登用するという経緯もこれあったというふうに承知しておりまして、専門家でありますから、当然ある程度の給与を払わなければ来てもらえないということ等もあったのではないかというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、貿易保険、ここで資源・エネルギー新保険も開設をいたしましたし、これが日本のエネルギー戦略にも随分大きな比重を担っていくことになるわけでありますから、その意義はしっかりと受けとめてやっていきたいというふうに思っております。

細野委員 まず大臣に一つ御認識いただきたいのは、六年たって、人件費を含めて考えると実は肥大化しているということですね。ちなみに、経済産業省所管の独法は全部で十一ありますが、すべて給与水準は役人の方よりも上です。この独法のあり方は少しきっちり見ていく必要があるのではないか。肥大化しているという現実について直視すべきではないかということが一点。

 もう一点が、二枚目をごらんいただきたいんです。

 貿易保険をめぐりましては、今のところ、独立行政法人がほぼ独占的に大きな役割を果たしているんですが、もう一つ大きな役割を果たしているものとして、財団法人の貿易保険機構というのがあります。同じような名前なので、何をやっているのかなと思って関心を持ってこれを見たんですが、貿易保険機構、この財団法人のさまざまな情報などを見ると、経済産業省と独立行政法人日本貿易保険と三位一体で貿易保険をやっていますというふうに書いてあります。

 大臣、ちなみにこれは、経済産業省の方から私がいただいた資料にお金の流れと人の流れをつけたものです。まず人の流れですが、経済産業省から独立行政法人に対して、理事長、理事、監事、常勤の役員四名中三名が天下りです。十名の一般職が天下っています。経済産業省から財団法人に対して、理事長と理事二名、役員全員、常勤役員三人しかいませんから、三人とも天下りです。職員が二名天下っています。

 そして、この独立行政法人の日本貿易保険から財団法人貿易保険機構に対しては、五億一千四百万円の随意契約が行っています。ちなみに、独立法人の日本貿易保険が調査委託をしているのはここだけです、丸投げです。どういうことをしているのかというふうに見てみたんですが、右上の四角の中、これは経済産業省からいただいた資料ですが、貿易保険の引き受け支援業務、調査業務が二件あって、保険事故に関する損失発生情報のデータベース登録。四件書いてあるんですね。

 私も損害保険会社に勤めている人間をたくさん知っているものですから何人かに聞いてみましたが、一番上と一番下の業務は保険の根幹にかかわるところだ、これを外注しているのは民間の保険会社ではあり得ないという話がございました。真ん中の二件は、私は調査会社に勤めていましたからよくわかりますが、海外のデータベースにアクセスして情報をとるというのは、これはだれでもできます。今、低価格化をしています。

 こういう状況の中で、天下りが行ってお金が流れるという、この現実をまさに三位一体でやっているわけですよ。財団法人貿易保険機構の売上高に占める独法の売り上げの割合は八六%、全く一体でやっているわけですよね。もういいかげんにこういうことはやめた方がいいんじゃないか。

 大臣、この表を見て、どのようにごらんになるでしょうか。大臣にお願いします。

甘利国務大臣 貿易保険を運営していくに当たって、より効率的な運営を行うということは当然のことでありますし、独法化も基本的にはそういう趣旨で行っていったんだというふうに思っております。

 今、三者の関係に関して、非効率的な部分の御指摘が多々あったわけであります。これは、御指摘はしっかり踏まえて、より効率の上がる方向に向かって努力をしていかなければならないというふうに思っております。

 ちなみに、日本貿易保険から貿易保険機構に委託している業務、今御指摘があった部分でありますけれども、委託先選定に当たっては、今後、自動的にここを対象とするのではなくて、一般競争入札を導入することも視野に入れるということになっておりますし、そうしたことを通じて、さらなる効率化を図る予定であるというふうに承知をいたしております。

 ただいまの御指摘を受けまして、貿易保険事業の運営体制につきましてもしっかりと検証していきたいというふうに思っております。

細野委員 経済産業省で言えば、もっと大きな独法としてはNEDOとかジェトロなんかがありまして、それぞれ調べても同じようなものはあるんですね。大体、こういう独法があって、公益法人がかんでいるケースは三点セットだと私は思っていまして、一つは公費が流れるわけですよ。経済産業省から独法に対しても、これは再保ですから、カントリーリスクみたいなのが顕在化した場合はお金を出しますね、税金を。この独立行政法人から財団へは、これは委託ですから、丸投げでお金が流れています。人が流れてお金が流れる、この構図。人とお金ですね。天下りとお金。

 もう一つは、民業圧迫。私はこれは強調しておきたいと思うんです。ちなみに、これは財団法人が出しているマニュアルですが、貿易保険についてのマニュアルを全部ここが出しています。経済産業省が監修しています。これは財団法人が出す必要はない。独法はきちっとマニュアルを出して、そのままやっていることが書いてあるわけですから。要するに、ここが独占的に受託しているから、ここしか出せないから、これを出して有料で売っているわけですよね。会員企業も、ほとんど、貿易保険に加入しているところは強制的に入らされる形になっています、この財団の会員に。幾つか聞いてみましたが、例外はほとんどありませんでした。当たり前なんですよ、独占的にやっているんだから。会員に半ば強制的にならされるわけです。天下りのためにこういう組織をつくるのはそろそろやめて、私は、きれいにすべきだと思います。

 大臣、この財団のあり方、常勤の役員全員天下りですから、経済産業省お抱えの、所管だけじゃない、お抱えの財団です。こういうところをしっかり見直す。御答弁をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 財団への事業の委託についても、しっかりとした入札制度を導入していくという検討がなされていますし、それから、貿易保険自体の民間参入ということも門戸を開いているはずであります。

 ただ、私が資源外交をやっておりまして、民間に任せて相手側が信用する度合いがどれくらい高いかということを考えますと、やはり政府がある程度のコミットをしなくてはいけないということは痛切に感じました。その方法として、政府が関係している貿易保険がついていくということによって、国としての、政府としての相手側に対する発言力を担保するということもこれありますので、独法の貿易保険が貿易保険のある部分についてこれからも担当していくということは、大切なことだというふうに思っております。

細野委員 貿易保険に国がある程度関与すべきだというのは、私も大臣の意見に賛成です。だからこそ逆に、国がかまなきゃならない部分だからこそ公正にやらなきゃならない、そういう考え方からすると、これは逸脱をしていると思うんですね。

 これで終わりますが、最後に一点だけ指摘すると、この三角の構図というのは、今農水省で問題になっている緑資源機構と同じなんですよ。省庁があって、独立行政法人があって、財団がひっついていて、あちらはたまたま入札にしているから談合が起こったのであって、こんなのは随契でやっているんだから談合以上にひどいという解釈もできるわけですよ。経済産業省は随契が多いです。入札をせずに随契にしているから見えないけれども、構図は一緒。人の流れを変えない限り、私は公費の無駄遣いはなくならないと思っていまして、引き続いてこの議論はやっていきたいというふうに思っています。

 以上です。ありがとうございました。

上田委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 細野議員に引き続きまして、質疑を続けさせていただこうと思います。私の方からは、先生方、何度か質問された点、重複する部分もございますけれども、私なりの視点で質問をさせていただこうと思います。

 先ほど、細野議員の方から天下りの問題、そして独法の問題をるる質疑されたところでございますが、今、天下りの規制の問題が巷間やかましくされておるところでございますけれども、やはり行政の効率化を図るという中で独立行政法人という組織をつくったわけです。それにつきまして、省庁側の方からすれば、自分の身内を独立行政法人にしたというだけであって、その実態は全く変わっていない。身内の意識がずっと続いておるところにこの天下りが発生するわけでございますし、それについても、やはり抜本的な改革をしていかなきゃいけないというふうに思うわけでございます。

 そういう意味におきまして、今、渡辺行革担当大臣がいろいろ法案をもんでやっておるわけですけれども、それについても、民主党としても、しっかりと対案を出してやっていきたいなというふうに思っているところでございます。

 冒頭、その天下りの問題について一つ御質問させていただこうというふうに思います。

 商工中金の理事長、そして副理事長、理事、監事。これは、経産省の出身者、そして財務省の出身者。理事の方は経済産業省の出身者、監事の方が財務省の出身者。このたすきがけ人事、天下り人事になっているのはなぜなんでしょうか、これをお聞かせ願いたいと思います。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 特殊法人の役員につきましては、広く各界の有識者の中から、特殊法人の設立の目的及び業務に照らして必要と認められる識見及び能力を有する者を選任するというのが基本的な考え方でございます。

 今御指摘の商工中金の理事長、副理事長、理事、監事といったところにつきましては、中小企業政策、特に組合金融の意義に関する理解、さらには金融実務に関する知見といった観点から、高い見識及び能力を有している方に適材適所で御就任いただいていると理解をしているところでございます。

鷲尾委員 このポストというのが慣例的にずっと今まで続いておるという認識で間違いなかろうかと思いますが、こういう慣例的にポストが設けられておるというところに、やはり、先ほど答弁いただきました、有識者の中から適格性を持った方々になっていただくという検討が本当になされているのかどうかというところに疑問を感じるわけでございます。

 では、ちょっと次の質問に移りますが、商工中金の関連の公益法人に該当する法人といたしまして、財団法人の商工総合研究所というのがございますけれども、これにつきまして、退職公務員が天下りしているという実態はあるんでしょうか。

近藤政府参考人 今御指摘のございました財団法人商工総合研究所の関係についてお答えを申し上げます。

 まず、一般的に申し上げまして、法人の事業運営を円滑かつ効率的に行っていくためには、それぞれ当該法人の経営に必要な知識、経験を有する、そういう観点から適材適所で人が選ばれていると理解をしているところでございます。

 その上で、事実関係でございますけれども、御指摘の財団法人商工総合研究所につきましては、現在、非常勤の役員として、国家公務員を退職した者が三名選任をされております。その研究所におきましては、民法等適用される法令の規定に従い、業務運営上最も適切と考える者を役員として選任したものと承知をしております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 その三名の方の経歴、最終の官の名称といいますか、どういった御経歴でその地位につかれたのかというところについてもお聞かせ願えますか。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、理事長、理事二名、いずれも非常勤でございますけれども、まず理事長でございます児玉幸治、最終官職は通商産業事務次官でございます。それから、理事篠原徹、資源エネルギー庁石炭・新エネルギー部長でございます。もう一人、理事成宮治、経済産業省大臣官房審議官二国間協力担当ということでございます。

鷲尾委員 やはり、今の答弁をいただきますと、業務に対する適格性としてどこまでの検討がなされているかというところで、本当に適格性があるのかどうか。

 ついていらっしゃる方には大変失礼な言い方になりますけれども、そういうポストにいわゆる天下っているという現実がある中で、先ほど答弁、同じようにおっしゃっていただきました知識と経験に基づいて、その知識と経験に基づいてどこまで広くそういう人事について議論がなされているのか、やはり疑問があるところでございます。

 では、また、商工中金の関連会社として七社あるわけですけれども、八重洲商工株式会社初め七法人ある。この法人については、同じように、退職公務員の天下りの状況というのは、どのようになっておるんでしょうか。

近藤政府参考人 今御指摘ございました八重洲商工株式会社を初めといたしますお尋ねの七法人には、退職公務員は在籍をしておりません。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 では、天下りの事実がある商工中金及び商工総合研究所についてですけれども、退職公務員の天下りの問題というのが、民営化のプロセスに、移行期におきましても当然問題になりますでしょうし、それはるる質疑に立たれた先生方、質問なされた点ではありますけれども、さらには、民営化後にどうなっていくのかというところについても非常に疑問が残るところであります。

 今まではやはり、半官半民といいましょうか、そういう中において、有識者の中から選ぶという選定基準につきまして、もしかしたら、私が見ますところかなりの甘えというか、お題目と現実にかなりの乖離があったのではないかというふうに思うところでございます。

 これが移行期になって、現状からどのように変わっていくのか。その移行期から、さらには完全民営化の時点、それ以降におきまして、こういう退職公務員の天下り、事実としてはありますけれども、そのポストの検討という意味においてはどのように変化していくのか、どのように変化させるべきなのかということについて、大臣の御認識を問いたいと思います。

山本(幸)副大臣 新商工中金、移行期でありますけれども、それにつきまして、あるいはその関係法については、会社法等それぞれ適用される法令の規定にのっとって、最も適切と考える者が役員として選ばれることになると考えております。

 ただ、株式会社商工中金法案においては、代表取締役等の選定について主務大臣の認可を要するということがございます。その際には、「政策金融改革に係る制度設計」において、「経営責任者については、必要と認められる識見及び能力を有する者のうちから適材適所で選任されるものとし、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮する。」と定められているところでありまして、これに従ってしっかりと対応していくことになります。

 また、完全民営化された後では、これはもうそういうことがありませんので、民間会社としての商工中金が独自に判断することになるということであります。

    〔委員長退席、中山(泰)委員長代理着席〕

鷲尾委員 では、先ほど細野議員からも質問があったところですけれども、現状と移行期におきましては、そういう役員の選任、この移行期につきましても大臣が認可する、そういう法案になっておるわけでございますけれども、そういう審議を含めて、今、要するに、これは確かに、有識者の中から知識と経験、必要性に応じまして適切な者を選任しておるというふうに答弁をいただいていますけれども、これは定められたポストに順繰り順繰りに省庁から人が行っているというふうに思うような人事のあり方になっているわけでございます。

 そういう現状を見たときに、現状、批判があるわけでございます。その中で、例えば移行期に、やはりこういう批判があるからもうちょっと改善しなきゃいけないんじゃないか、そういう見解もあろうかと思いますが、大臣はどのように思われますでしょうか。

甘利国務大臣 いわゆる天下りと称される問題に関しましては、先ほどもお答えしましたが、官民の人材交流センター、いわば新人材バンクと称していたものができ上がる、今国会に提出をされるわけであります。それを通じて透明性を確保して、適切な人材が再就職をしていくというふうになるであろうと思っております。

 いずれにしましても、完全民営化された後は、企業としての株式会社商工中金が、自分の経営戦略として一番ふさわしい人材を登用していくものと思っております。

鷲尾委員 人材バンクの方で透明性が図られてというお話を大臣からいただいたんでございますが、この新人材バンク、仮に今回その法案が成立しなかった場合どうなるのかという話が一点と、透明性を確保するという話をいただきましたが、では、逆に言うと、このポストの選定人事というのは新人材バンクでの議論に限るものなのかどうか。

 先ほど、大臣、可能性としてはあり得ると非常に消極的な物のおっしゃり方をされたと思うんですけれども、そもそも、有識者の中におきまして知識、経験を有する適切な者がそういうポストにつく、その有識者というのは、それこそ細野議員も申し上げましたとおり、やはり広く人材を求めるべきであるとは思います。

 その議論の仕方、人材バンクで透明性向上を図りながら人事をしていくということは、逆にとらえますと、人材バンクでの議論しかしないんじゃないかとも受け取れるわけでございまして、ほかの議論もするかどうかというところについての大臣の御見解と、仮にですけれども、先ほど申し上げました、この新人材バンク構想が成立しなかった場合どうしていくのかというところについても、一言御見解をいただけたらと思います。

甘利国務大臣 公務員の再就職については、当然、新しい人生があってしかるべきだと思いますし、勧奨退職ということもありますから、その後自分でハローワークに行って探せというわけにもいかないわけであります。まさにこれは公務員のモチベーションにかかわることでありますから、きちんと第二の人生が、自分の能力に見合ったところで活躍ができるということは大事なことだというふうに思っております。

 その透明性を図るためには、官民人材交流センターというものができて、しかも、これは今国会に間もなく提出をされると思います、これがしっかりとした機能を果たしていく、従来指摘されていたような不透明性がない、透明性で、なおかつ公務員のモチベーションを落とさないということについて、その使命を果たしてくれるものと思っております。

 この法律が成立しなかったときはどうするのかという話でありますけれども、成立を期して提出をしておりますし、先生も当然賛成をしていただけるものと理解をしておりますが……(鷲尾委員「それはどうかわからないですけれども」と呼ぶ)ぜひ賛成をしていただきたいと思いますが、透明で公正なシステムが一日も早くでき上がることを期待しております。

鷲尾委員 大臣、この人材バンクのほかにも、やはり有識者についての議論というものも当然必要であろうと思いますが、その議論の場を人材バンクに限るということはないという認識でよろしかったでしょうか。

甘利国務大臣 つまり、それは先ほどの質問の延長線上だと理解しますが、株式会社商工中金の長に、株式会社ですから社長にどういう人が就任するか、それは適材適所でふさわしい人が就任をするということであります。

 公務員からの登用については、新しい仕組みを使って透明性を確保するということになろうと思いますし、民間登用の可能性が全くないのかという質問については、本当に適任者がいれば、そういう可能性もなくはないんだというふうに思っておりますとお答えしましたが、それについてもそのとおりであります。

鷲尾委員 公務員以外にも当然議論はする、そういう意味における答弁であったというふうに解釈したいと思います。

 先ほど大臣おっしゃったとおり、今までの議論については不透明な部分があったという話でございますから、それについての改善をなされることを我々としても期待したいところでございます。

 ただ一点、大臣の御答弁の中で、退職勧奨の中で再就職先が見つからない、ハローワークに行けというのはモチベーションにかかわるというお話がございました。これについてなんですけれども、やはり、ハローワークへ行けということについては議論があると思います。それこそ民間がかなり厳しい状況の中で、公務員の方だけ、ではそういう人材バンクみたいなもので再就職をあっせんするということがモチベーションにどれだけつながるのかどうか。

 私、最近聞き及びましたところ、若手の職員さんを含めて、天下りの議論というのは余り興味がないという話がありました。当然、それは年齢といいますか、勤続年数によって若干意識に差異がありましょうということは私も認識しておるところでございますが。

 ちょっと気になるのが、最近の日経新聞でしたか、つい先日か先々日か、朝刊に記事が出てございました。ことしの国家I種でしたか、ちょっと済みません、記憶が定かではないんですが、応募人員が前年度に対しまして一四%ぐらい減少になったという話が記事になっておりました。これは、日本国家としては大変見過ごしてはならない問題である。やはり優秀な人材を中央の行政官僚として抱え込まなきゃいけない、そういう事情もあるわけでございまして、では、そのために今度退職後の面倒を見るかどうかというところは、またちょっと別の話なのかなというふうに思った次第です。

 これは、大臣おっしゃるように、今国会で、またこれから先、審議が進められていくわけでございますから、その中でいろいろ議論させていただいて、私どもといたしましても態度を決めさせていただきたいと思うところです。

 続きまして、今回、商工中金の改正で、役員の構成といたしまして、通常の会社法が予定している機関というのを設置するという話でございますが、この代表取締役、監査役等の選任、決議が大臣の認可としておるというところの、この意味をお教えいただきたいというのが一つと、今後、完全民営化に当たっては、今、大臣が認可する、そういう法律になっているわけですけれども、これがどのように変わっていくのかというところについてお聞かせ願いたいと思います。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、新商工中金は、中小企業向けの金融を行う重要な目的を有する政府の出資を受けた特殊会社でございますので、業務遂行の適正性や経営の健全性ということを特に確保することが必要なわけでございます。

 したがいまして、新商工中金の要職に適材を得るということを確実にすることが必要不可欠でございますので、他の特殊会社と同様に、民間出資者等から成る株主総会等における代表取締役や監査役の選定等の決議を主務大臣の認可に係らしめる。さらに、選定された代表取締役が、その有する知識、経験、社会的信用等の観点から適任であるかどうかの確認を行う、こういうことを決めているわけでございます。

 また、後段の御質問の、完全民営化に当たってはどのようになっていくのか、こういう御質問でございますけれども、商工中金の完全民営化によりまして、移行期の商工中金を規定するこの法案は、きょう御審議いただいている法案は一定期間中のものでございますので、その法案が廃止をされます。そのときに、完全民営化後の商工中金には、会社法上の株式会社として銀行法等の一般の金融関係法令が適用になるということでございますので、完全民営化後の商工中金における役員の選定等につきましては、会社法、銀行法等の一般の金融関係法令に基づいて行われることが基本になると理解をしているところでございます。

鷲尾委員 それでは、国の関与として主に監理官により今まで監視がなされていたわけですけれども、それが、移行期に当たって監理官が廃止になるよという国の関与としての大きな変更点があるわけですけれども、その監理官というのは、移行期に当たって廃止されるのはなぜなのか。今までどういう業務をしていて、それが移行期だとそういう必要性がなくなるから廃止と、多分そういう理論づけになるんでしょうけれども、このことについてもお聞かせ願いたいと思います。

近藤政府参考人 現在、今御指摘のございました、まず、行政改革推進法の規定に基づきまして、商工中金が金融業を営む特殊会社としての業務の健全かつ適切な運営を確保する上で必要最小限の措置ということで、支店の設置でございますとか役員の選任、業務運営等について政府の関与の縮小を図っているところでございます。

 その中で、業務運営等について政府の関与を縮小いたしまして、経営の自主性を確保するための一つの措置といたしまして、商工中金の業務を随時監視できる権限を有する監理官という制度を廃止することにしたところでございます。

 現在は、この監理官というのは、中小企業庁でございますと金融課長という課長でございまして、私の背中の方に座っておりますけれども、財務省の担当課長と二人、任命をされているわけでございます。

 この制度を廃止いたしまして、必要な範囲内で主務大臣による監督を認めるということにとどめることで、より商工中金の独自性を生かしながら、政府の関与の縮小を図りながら活動をしていただこう、こういう趣旨でございます。

鷲尾委員 移行期ですので、その意味づけというのは非常に難しいと思いますが、特殊会社でありながら行政の関与をなくしていくというところに、私自身も非常に悩ましい。こういう改正が本当に意味があるのかどうか。翻って見て、逆に、監理官というのは今までどこまでの業務をなさっていたのかというところにもつながるわけでございまして、行政の関与をできるだけ小さくするのはいいですけれども、その本分、商工中金移行に当たっての本分というのを忘れずにこれからも業務をやっていただけたらというふうに思います。

 続いての質問をさせていただきますが、資本金について、政府出資の部分について、特別準備金へと振りかえるという話がございました。

 特別準備金を設置するその意味合いとして、どういうものが具体的に挙げられるかというのが一つと、この特別準備金というのは、政府出資のうちのかなりの額を振りかえるという、今現在はそういう設定になっておるわけですけれども、これは具体的にどれぐらいの規模になるのか。その趣旨に照らしてどれぐらいが妥当な水準と考えておるのかというところについて明らかにしていただきたいと思います。

    〔中山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

甘利国務大臣 まず、なぜ特別準備金を置くのかという御質問に関してでありますが、これは、商中の民営化に従って、財務基盤を確かなものにすることによって、格付が落ちないようにしていくということであります。格付が落ちないということは、調達コストを極小化していくということでありますし、貸し出しに向けて、中小企業に対してできるだけ有利な金融ができるようにするということであります。

 どのくらいを目途としているかという御質問でありますが、今、政府出資が四千億あります。今の状態で自己資本比率が八・〇一、唯一、国際金融を取り扱っていますけれども、そこのぎりぎりの状況でありますから、引き続き国際金融も扱うということであるならば、今の状態を最低限堅持しなきゃならないというふうに思っております。

 そうすると、一千億は政府出資で残すとするならば、残りは特別な準備金として資本勘定に組み入れることができるような措置が必要だと思っておりますから、その辺が目安だと思っております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 時間もなくなってきたので、先に進めさせていただきたいと思います。

 中小公庫と国金が統合されまして、商中の方が民営化するということでありますが、移行期、そして民営化後も含めまして、商工中金というのは金融行政とのかかわりが大分深くなってくるであろう。先ほど答弁いただいたとおり、銀行法、会社法にのっとりましての会社運営ということが、民営化されるとなされていくわけでございまして、そういう意味におきましては、中小企業を所管する中小企業庁さんと金融庁との連携というのも、これはさらに図っていかなくちゃいけないという話になってくると思います。

 この省庁間の連携というものをどういうふうに深めていくおつもりなのか、中小企業庁さんにとってもかなり重要な業務になると思いますので、この点について、具体的にどういうふうに進めていくおつもりなのかということを明らかにしていただきたいと思います。

山本(幸)副大臣 御指摘のように、新商工中金は、株式会社化を平成二十年十月からやるわけでありますが、経営の自主性が高まるということと、預金資格の制限を撤廃いたしますので、そういう意味で、会社であり、そして銀行になるわけであります。

 したがいまして、金融庁、内閣総理大臣になるのですけれども、内閣総理大臣も主務大臣として、経済産業大臣、財務大臣と共管するという形になります。したがいまして、これまでとは違って共同責任者という形に金融庁がなりますので、これはもう、金融業務についてはありとあらゆる場合に意見交換し、密接に連携をして、中小企業金融の円滑な遂行という役割を果たすべく、その責任を果たしてまいることになります。

鷲尾委員 私の前の質疑者の皆さんも恐らく質問されたことだとも思うんですけれども、特に金融秩序の維持ですとか災害時の対応でかなりの機動性が求められるわけでございます。商工中金に当たりましては、当然、中小企業に対するいろいろな融資に機動的に対応しておった。民営化されていくわけでございますけれども、さりとて、出身は政府系金融機関なわけでございますし、この部分につきまして、指定機関という制度を使って、そういう緊急融資制度を含めて対応するという制度設計になっておるんでしょうけれども、より機動的に施策を講じていくためには、やはり省庁間の連携を含めた対応というのが非常に重要になってくるわけでございます。

 この点につきまして、余り具体的にというとなかなか難しいところでございましょうから、質問はこれくらいにしておきますけれども、ぜひとも、そういう趣旨をかんがみまして行政の方を推し進めていただきたいと思うわけであります。

 商工中金を民営化するに当たりまして個人的に思いますことは、民間の融資というのは、先生方御承知のとおり、リスクプレミアムのとり方がかなりいびつな形になっております。都銀の話でいきますと、やはり不動産担保融資がかなりの割合を占めておる中で、最近は、いろいろな信用保証を含めまして、果敢に、リスクを積極的にとっていくというような融資姿勢が見られる金融機関も、まばらではありますが見えてきたという話でございますけれども、実態といたしましてはまだまだ、例えばノンバンクを子会社におさめた都銀がるるあるように、もうかっている業務についてはまねしてやってみる、あとは従来型の不動産担保融資というところが、都銀を含めた金融機関の今の利益構造であろう。

 ところが、やはり、これですと中小企業の金融というのは立ち行かないんじゃないかと思います。今回、信用保険法の改正もされるわけですけれども、いろいろな融資に対応する果敢な融資姿勢というか、欧米にとってみたら当たり前の融資姿勢がこれからの日本の金融機関にも求められるわけでありまして、リスクプレミアムの評価をしっかりとやっていくという意味におきまして、商工中金が民営化した姿というところに、やはりそういう民間の融資姿勢を引っ張っていくような、そういう意味合いもこれから商工中金には求められていくんであろうかというふうに思いたいわけでありますが、大臣、この点はどのようにお考えですか。

甘利国務大臣 現状でも商工中金は、民間金融機関が将来開発すべき商品の先行販売といいますか、そういう役割を担ってきているわけであります。それは、七十年のノウハウがあるからこそ、そういうことができるんだと思います。今回の、例えば動産担保融資に関しても先行して商工中金が取り扱う、そして、民間はすぐにはついてこれないかもしれないけれども、動産担保融資保険というものを保証協会に設定をして、それを活用していわば商品開発をしていくということをやっていくわけであります。

 完全民営化後も、ノウハウを生かして商工中金は、中小企業金融のために幅広いいわば商品設定といいますか融資設定をしていくんだろうと思いますし、それが他の民間金融機関の先導役を果たしていってくれるというふうに確信をいたしております。

鷲尾委員 大臣、ありがとうございます。これは先導役として、逆に、こういうリスクプレミアムを設定すればがんがんもうけられるんだ、こういうノウハウを持っていればがんがんもうけられるんだというところをほかの金融機関に見せつけていただいて、ぜひとも今のいびつなリスクの評価のあり方というのを是正して、本当に金融機関が世界の市場におきましてしっかりと利ざやを稼げるというような、そういう金融市場の構築に一役買っていただきたいというふうに思うわけであります。

 きょうの質問はこれで終わりにさせていただきたいと思いますが、いろいろ移行期を含めました天下りの問題はあるにせよ、完全民営化した暁には、今言った意味におきまして、金融庁と経産省の連携を図りながら、商工中金が日本の金融界を引っ張っていくというぐらいのつもりでやってもらいたい。そういうことを祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、法案に入る前に、ちょっと何点か確認をさせていただきたい点がございます。

 一点目は、先週の金曜日だったと思いますが、例の電力設備の総点検に関する評価というか、その取りまとめを踏まえて、大臣から電力事業者の幹部の方に訓示というか、なさった報道を見させていただきました。幾つか確認をしたい点は、三百十六事例、一万を超す件数が問題になり、この大臣の厳罰ではない形での処分を行ったというのは、ある意味では大岡裁きに近いという御評価と、いや、もっと厳しくすべきだったという評価が、多分二つに分かれたんではないかなと思います。私は前者だというふうには思っているんですが。

 ただ、大臣、私、この件を、以前もこれは議論になったかもしれませんが、ある意味では、これから立入検査の強化であるとか特別検査をするとかいうことになっていくような方向性が出されておりますが、一つ一番気になるのは、では、その前に人材という点で、今本当に原子力保安院だけ、もっと前にさかのぼれば、大学教育とかでその人材育成がなされているかどうか。

 過去のいろいろな数字を見させていただきますと、この十年間で、大学の少なくとも原子力工学に関する学部というか、大学も、十年前は六大学あったものが、今は一大学だけになっています。そして、在籍数も、現在では百六十六人という、これはどこまでとるかというものがあるようですが。その人材を見ると、これから本当に人的な部分を強化し、これは監視、監督をする経済産業省、保安院ということだけではなくて、実際事業を行っている電力事業者という観点から見ても、やはり人材育成というものは大学生のときからきちっとやっていかないと、これは五年、十年かかるというふうに当然思っていますし、一方で、私は昨年、機会をいただいて、フランスのアレバ社を見させていただきました。昨年度は八千人、ことし十九年度も同数くらいの新規採用の技術者の方を採るというふうな計画であります。

 十年前を考えると、電力、特に原子力に関するいろいろな出来事が起こったんですが、原子力というお仕事の中で、今、これから二十五年くらいを見ると全世界で二百くらいの原子力発電をスタートさせなければいけない、スタートしたいというものが推計ではあるようであります。

 この十年間、少なくともこの数年間よりも前の段階では、原子力産業は本当にこれから大丈夫かというようないろいろな意識もあって、人材という点では、大学の専攻の学部も大変減少し、なおかつ、在籍者の学生さんも大学院も含めて減っているという現状を見ると、この評価を、大臣が対応していただいて、事業者の方にもっときちっとやれという話をするのはもちろん結構なんですが、その前段階にある人材という点、これは後ほどの本論の商工中金にもかかわることなんですが、人をどう育てて、その人がどのような事業を国民のためにするか、やはりその視点を大切にしなければいけない。それが私はこの中には、少なくとも文字面では入っていないような感じがしているんですが、大臣、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

甘利国務大臣 今、日本の大学から原子力と名のつく学科がなくなってしまった。原子力工学科とか原子力何とか科とつけると、不人気で生徒が集まらないなんということをぼやく関係者がいらっしゃいました。これは、日本のというか世界の原子力の平和利用、原子力政策に関しては極めて不幸なことだというふうに思っております。

 日本の原子力産業は、技術力を保持して、人材を辛うじて抱えながら、国内においてもこの十年間で八基の建設を行ってきました。そういう技術力とノウハウと人材がありますからこそ、この間、アメリカと、日米の原子力協力ということにサインをしてきたわけであります。アメリカは、この三十年間原発をつくっておりませんから、実際に施工するに当たって日本の力をかりなければ事実上立ち行かないということでありまして、人材の確保がいかに大切かということは、原子力政策自身の推進を左右する重大なことであります。

 御指摘のとおり、将来にわたって、それこそ人材育成というのは即効性を持ってすぐ仕上がるということではありませんから、何年もやはりかかりますから、大学の教育の時点から原子力エネルギーの将来性というものをきちんと大学側も受けとめていただいて、そういう人材を育てていくように対応していただきたいというふうに思っております。

 また、一般的なエネルギー教育に関しましても、エネルギー基本法でも、教育現場でもエネルギー教育を行っていくべしということもきちんと書かせていただいておるわけでありますし、まず人づくりが大切だということは御指摘のとおりだと思っております。

後藤(斎)委員 今年度から、文科省と一緒に原子力分野の人材育成プログラム、四億円程度政府でも予算をつけて対応すると。ただ、これは、国がどうこうしろということも当然必要なことでありますが、やはりそこで働く人、これから働きたいという人で、そこに本当に我が国のエネルギー政策を担っているという誇りとやりがいというものがなければいけないので、これはそういう観点も含めて、またいずれ大臣は電力事業者の幹部の方とお話しする機会もあると思うので、ぜひその点も注意喚起というか、よく連携をしていただきたいというふうに思います。

 もう一点、この総点検の際にちょっと抜けている点があったのかなというふうに私は思っています。

 大臣は、総点検、総洗いざらいして過去のうみを出していくというお話をされています。ただ、実際、原子力発電は基本的には電力事業者、原電も含めてですが。ただし、火力発電や水力発電は、例えば電力会社が主体にやっている火力発電は百八十一基。それ以外の、例えば公営企業であるとか特定電気会社とか、自家発電も含むそうなんですが、これは三千百七十六発電所ございます。というのは、五%ぐらいしか火力発電は対象にしていないという点検でありました。

 あわせて、水力発電は、電力事業者が主体の部分が千二百十九件、それ以外の、例えば県とかがやっている公営企業を含めたのが五百二十。ですから、これも三割くらいが対象になっていないということで、実はこういう形でまだ、総点検といっても、すべての電力の発電所でやるという、水力、火力の発電所も含めての対象じゃないということ。

 これは大臣、前向きにこれからやっていただけるかどうかだけで結構なので、そういうすべての事業者というものを対象にして、ここまで一万件を超える件数のいろいろな過去の事故、事件が出た、それ以外にあるかどうかはやってみなければわかりませんが、ぜひこの二〇〇七年に、その部分を早いうちに決着をしてもらいたいという思いがあるんですが、その点について大臣、簡単で結構です、お答えください。

甘利国務大臣 今回の発電設備の総点検は、公益事業の担い手である一般電気事業者十社、及び原子力発電を手がけております卸電気事業者二社を対象として行ったものであります。事実を隠さずに出すようにということで、私が大臣名で、その指示だと伝わるようにしようとしたわけであります。

 他の、つまり今回行った十社以外の、恐らく卸事業者とかあるいはPPS等々の発電施設についてはどうなのかという御指摘なんだというふうに思っております。

 今回行いましたのは、公益性が極めて高い、全国を網羅している一般電気事業者と、それから卸電気では二社は大どころですよね、電発と日本原電、こういう大きい、公益に関して深くかかわっているところについて行ったわけであります。

 それ以外の電気事業者に対しましては、今後、電力会社の総点検結果に対する保安院の評価及び今後の対応について周知をするということによりまして、注意喚起を行いたいと思っております。同様の問題が生じることがないように、保安教育の徹底等について、保安院を通じて指導させていくことといたしております。

後藤(斎)委員 大臣、私は、すべてやってできるだけ国民の皆さんに、十電力会社だけではなく、やはり水力、火力というのは身近に、特に水力なんかは公営企業、県が主体でやっているのも結構多いですから、そういうところもぜひ早目にそういうものを調査もしていただきたいという、これは要望であります。

 もう一点、これは来週以降具体的に法案の審議が始まると思いますけれども、この間の二十二日の東洋町の町長選の結果、高レベル廃棄物の最終処分の文献調査、これを新しい町長さんはやらないということで、既に原子力発電環境整備機構に連絡をし、文書も含めて応募撤回を申し入れたということが報道されています。

 これはまさに原子力政策の根幹であり、これから新たにまた公募をなさって対応すべきものだというふうにも思いますが、大臣、やはりこの東洋町の件は、非常にこれから大きい課題が大臣や経産省全体に影響するのではないかな。

 確かに、住民の皆さんから見ればすぐそばにという思いがありながら、実際、国としては是が非でもどこかに最終処理場をつくっていかなきゃいけないという、この二つの課題を考えるときに、原子力政策、先ほどもちょっと人的な話をさせてもらいましたが、いかに安全で、そして人的にもそれを支える基盤があるということ、やはりたくさんの、これから公募がたくさん出るかどうかは別としても、国民の皆さんに理解をまずしてもらうということも含めて、もしかしたら足りなかったのかもしれませんし、四月二十二日の東洋町の選挙結果、これをどう、大臣がすべて評価するわけにいきませんが、それを踏まえてこれからどのような形で最終処理場の問題について対応なさっていくおつもりでしょうか。

甘利国務大臣 まず、新町長からNUMOに対して受け入れの撤回を文書で意思表示をされる、NUMOは地元の意向を尊重するということでありますから、NUMOからその旨の意思表示が我が方になされれば、私どもも、地元の意向を尊重するということで、それを認めるということになると思います。

 それから、今回の選挙結果をどう受けとめるかというお話でありますが、原子力政策に極めて理解の高かった現職田嶋町長が敗れたということは残念であります。ただ、私は会見でも申し上げましたけれども、有権者の方々が、今回の最終処分場とはどういうものであるかという正確な理解はできていなかったんだと思います。

 というのは、私は、選挙中というか選挙前に配られた、当選した方のビラというか配布書類を見ました。これはむちゃくちゃなことが書いてあります。設置する岩盤の層でも大亀裂が起こって、地球上になかったような大災害が発生するんだ、もう物すごいことになるぞというようなことが書いてあるんですね、その可能性があると書いてあるんです。それは、技術的な知識がない方があれを見たら大変なことだと思うはずですから、やはり正確に情報を提供しなきゃならないと思います。

 そういう点では、NUMOの側もあるいは国の側ももっと前の段階で、冷静に議論ができる段階に、そういう適切なデータ、情報が届くようにしていかなきゃいけなかったんじゃないかという点の反省はあります。やはり冷静に是非を議論する環境をつくっていかなきゃならないですし、そのためには正確なデータを届けるということが必要だというふうに思っております。

後藤(斎)委員 ですから、この命名も、高レベル放射性廃棄物、非常に危険性が高い、確かにもちろん危険なんですが、大臣がおっしゃるように、国民の皆さんに受け入れやすい、理解されやすい広報というか周知というのはやはり必要だと思うので、その点について次回以降からまたきちっと議論をしますが、ぜひその点についてはよく周知をお願いしたいと思います。

 次に、金融の方の話に移らせていただきます。

 この一週間も、私が地元に戻ると、特に今、地方の建設業を中心に非常に資金繰りが苦しいということでいろいろな相談を受けます。そのときに一つ、これはせんだっても御指摘をさせていただいた中小企業金融モニタリング調査、昨年十一月に金融庁さんがやられた中で、審査期間がもっと短くならないか、今、全体的に長くなった地域もあって、支店決裁だけで一カ月以上もかかった事例があると。これはまさに、運転資金というのは本当にきょうあすで必要な部分もありますから、審査期間を短縮すべきというたくさんの意見に対して、金融庁は現状を受けとめながら今後どういうふうにお取り組みになるのか。簡潔で結構ですから、お答えいただけますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 一月十九日に公表しました中小企業金融モニタリングを見ますと、審査期間につきましては、融資の相談から決定までのプロセスが迅速化しているなど、融資の際の審査期間については問題は見られない、スコアリングモデルに基づいた融資を活用するなど、審査期間の短期化への取り組みが見られるといった回答があります一方で、御指摘のように、全般的に長く、審査期間は短くなっていないという回答も見られたところであります。

 金融庁としては、中小企業に対する円滑な金融は、地域金融機関を初め金融機関の最も重要な役割であると認識しておりまして、今後とも、民間金融機関がみずからの責任と判断で適切にリスクをとって、中小企業のニーズに一層適切に対応していくことが重要であると考えております。

 審査期間につきましては、それぞれの案件によるもので、一概に申し上げることはできませんが、金融機関がみずからの責任と判断で中小企業のニーズに一層適切に対応していくことが重要であるというふうに考えてございます。

後藤(斎)委員 そういう中で、いわゆる貸し渋り、貸しはがしというのは、これは前回も御指摘をさせていただいたように、借りたい側、貸す側、この両者の部分で貸し渋り、貸しはがしという受けとめ方は違うんですが、これは前回も指摘をさせていただいた調査室の資料で、だんだん貸しはがし、貸し渋りと思っている企業の数がこの数年間で減っているのは事実であります。ただ、資本金一千万円以下の小規模の部分で、まだそういうふうに感じられている企業の方が八・五%いる。特に、それ以上の資本金の方よりも比率が大きいという指摘をさせていただきました。

 金融庁は、実際いろいろ個別にもっとお話を聞くと、追加担保を要求されたとかという話もたくさん聞くんですが、この辺の実態については、貸し渋り、貸しはがしというのはどのように今現状をとらまえていらっしゃいますでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる貸し渋り、貸しはがしとして当庁に寄せられた情報の件数につきましては、平成十四年第四・四半期には三百五十七件ございました。その後、徐々に減少し、直近の平成十八年第四・四半期につきましては三十件となっているところでございます。

 それから、中小企業に対する銀行の貸し出し態度の指標である日銀短観の貸出態度判断DIは、平成十六年六月からプラスに転じ、この後もプラスで推移しております。

 こうしたことから、中小企業側から見た金融機関の貸し出し姿勢も緩和傾向にあると認識してございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、不良債権問題への取り組みが成果を上げてきた金融機関におきましては、みずからの責任と判断で適切にリスクをとって金融仲介機能を発揮していくことが重要であるというふうに考えてございます。

後藤(斎)委員 もう一点、金融庁にお尋ねをします。

 せんだっても御指摘をさせていただいた、地域の中小企業者の方とできるだけ密接に関連をして、そういうふうな検査体制や監督の仕方をしているということで、地域密着型金融ということを打ち出して、今、リレーションバンキングというふうな言い方もするようですが、対応なさっているということはある意味では評価をします。

 ただ、四月五日に金融審議会の第二部会でおまとめになった、評価と今後の対応についてという資料も読ませていただきました。

 現状認識の中で、特に今回の商工中金法にかかわってお話をさせていただければ、まだ不動産担保や個人保証に依存している方もいて、それに過度に依存しないような融資をしなければいけないということで、現状認識、不十分な点、課題ということで掲載をされております。

 今後どうするかという点についていえば、いろいろ書いてあるんですが、「中小企業に適した資金供給手法の徹底」であるとか、「中央機関・業界団体の機能充実を通じた総合的な取組み」ということで、前向きになってはいるんですが、ただ、実態としてやはり、前回も指摘をさせていただいたような、信用組合であるとか金庫であるとか、例えば、政府系がこれから縮小して民間金融機関の役割が高くなるものの、まだまだそうなっていないというふうな指摘も先ほどの報告の別の項にもございます。

 ですから、そこを、これから金融庁として、地域との連携、例えば中小事業者ともっと、検査をするときの資金供給、融資をするときの、中小企業検査マニュアル別冊というふうなものに本当に踏み込んだ形で、実態としてもそうなるように、やはりこの評価を踏まえてやっていただきたいと思うんですが、その点についてはどのように今後取り組みに努めるのでしょうか。

山崎政府参考人 御指摘のように、四月五日の報告書におきまして、地域密着型金融のこれまでの取り組みを総括すれば、取り組み件数、金額の実数は上がっており、地域密着型金融の基本的な概念、個々の手法についても浸透してきたところではありますが、他方、事業再生や不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資等にはなお不十分な点があり、金融機関の取り組みにもばらつきが見られるといった評価がなされてございます。

 この報告書の中で、金融機関に求められる取り組みといたしまして、「ライフサイクルに応じた取引先企業の支援強化」、それから「事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法の徹底」が掲げられるところでございます。

 金融庁といたしましては、本報告書の内容を踏まえまして、監督指針の改定等を通じまして、引き続き地域密着型金融を推進し、中小企業金融の円滑化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

後藤(斎)委員 そういう中で、先ほども議論が同僚議員からもありましたが、今度、特別準備金というのが、この商工中金民営化の新しい法律の中で、どういうふうに位置づけるかという議論がありました。

 先ほども議論になっていましたように、自己資本比率の、このBIS規制の部分をどういうふうにこれから見るのかという基本的な部分は少し置いておいて、その特別準備金というものは自己資金の中に当然入るというふうに思っているんですが、その点については、どういうふうに金融庁はお考えになっていますでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の法案では、株式会社商工組合中央金庫、新商工中金の特別準備金は、法定準備金と同等のものとして株主資本の一部を構成する予定と承知してございます。したがいまして、現在の法案を前提といたしますれば、これは、自己資本の中核的な位置づけとなりますティア1資本としての適格性を有しているものというふうに考えてございます。

後藤(斎)委員 これは金融庁なのか経産省なのかちょっとあれなんですが、甘利大臣の前任者であります二階大臣が、政府系金融機関のいろいろな議論を昨年した際に、この特別準備金について、大体、今四千億の資金の中で、一千億を株に、残りの三千億を運転資金のような形で新しくスタートする金融機関が円滑に運営することができることを願って、そのような構想を固めているというふうな話を、この特別準備金について触れているんですが、この特別準備金の規模というのはどの程度になるのか、ちょっと簡潔にお答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 二階大臣の答弁の中で、一つだけ勘違いがあるのは、運転資金ではありませんで、特別準備金というのは、勝手に取り崩しができませんから、自己資本勘定にカウントされるものであります。(後藤(斎)委員「間違っていましたね。失礼しました」と呼ぶ)それは、記述が間違っているんじゃなくて、恐らく答弁が、勘違いしたんだと思っております。

 どのくらいがというのは、私なりに考えますのは、現状の政府出資をカウントして自己資本比率が八・〇一でありますから、それは維持しなきゃならない。そうすると、一千億が政府保有株式だとすると、残りは特別準備金として置いておくことが必要だということを、一応の目安になるではないかというふうに思っております。

後藤(斎)委員 金融庁に最後にお尋ねをしたいんですが、先ほど、地域とさらに連携をしてやっていくというお話がありましたが、先ほども同僚議員からお話がありましたように、商工中金、民営化の移行期間、そして民営化された以降も、いわゆる在庫担保であるとか事業再生であるとか、新しいいろいろな事業が継続をされ、預金資格の撤廃やそういう業務拡充のいろいろな対応もこの法律で決められています。やはり監督という、検査もそうなんですが、金融監督というお立場から、それがまた足かせになっていくというのは、それは自己資本比率の問題も関連してですが、監督という観点からも、やはり地域の中小企業事業者に対する金融という特別な枠組みであるという意識を持って、この検査というものも対応していただく必要があると思うんですが、その点について、ちょっと端的にお尋ねをしたいと思います。

山崎政府参考人 御指摘のように、今般の法案では、新商工中金につきましては、内閣総理大臣が主務大臣として共管することとされてございます。

 先ほど申し上げましたように、中小企業に対する円滑な金融は、地域金融機関を初め、金融機関の最も重要な役割と認識しておりまして、このような趣旨や、この法案の目的、趣旨を踏まえまして、監督上、待遇をしていきたいというふうに考えてございます。

後藤(斎)委員 金融庁、以上で結構です。

 今回この法律をいろいろ議論をさせていただいて、この法案も何度か読ませていただいたんですが、とりあえず、このフレームの部分と、先ほどもちょっと原子力でお尋ねをした人材の部分、これが、フレームだけつくっても人材だけが取り残されたらもちろんだめですし、これは、先ほど同僚議員からもお話がありましたように、指定席になったような再就職というのは私もよくない。ただ、人材を活用すべきだという点もあるのは重々承知しています。

 この法律の附則の五条に、特別準備金の国庫納付の規定があって、その準備金の金額を決めるときに、あらかじめ評価委員の意見を聞かなければならないという項がございます。

 仮に大臣が、この委員会でも繰り返し、民営化されるときに、新しい商工中金がどのような役割の、役割は基本的には現行と同じように中小企業金融に一番資する機関であるというふうなことだと思うんですが、やはり、その出資者は、これから少なくとも中小企業団体とその中小企業者というのが主体になります。その評価委員も、そういう意味では、必要な事項はこれを政令でその後定めるということになっていますが、その団体ないし中小企業者の代表というものも当然入るんだと思うんですけれども、この評価委員はどのように決めていかれて、その政令もこの法律ができたらすぐつくっていくんでしょうけれども、その際、評価委員の部分の具体的なものはどのようになっていくのか。簡単で結構ですから、ちょっと教えていただけますか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 評価委員でございますけれども、そういう特別準備金の金額の算定に際しての機能を担うわけでありますから、関係している中小企業団体等の参加と理解が不可欠であるというふうに考えております。

 評価委員は、もちろん中小企業団体だけではないわけでありまして、恐らくは、今までのこういう評価委員会の例なども参考にするわけでございますけれども、学識経験者の方々、大学教授の方とかいらっしゃると思いますけれども、実務家、公認会計士の方とか弁護士の方とか、そういうような方々で構成をしてスタートさせていくのであろうというふうに考えております。

後藤(斎)委員 この特別準備金なんですが、この額、先ほどお尋ねをして、大臣が言われたんですが、商工中金が民営化した以降も、政府の関与は当然、その時点で完全民営化というのは、せんだっての議論でも、会社法と銀行法の監督だけ受けるということだったんです。

 では大臣、一方で、今総務委員会で、公営企業金融公庫を機構にする、地方共同法人という命名、特別法でつくっているんですが、それは、実は金融庁の監督を受けないそうなんです。国の関与は基本的に、よっぽどの検査とかの若干のもの以外は、金融庁の通常の検査とかは商工中金と違って受けないんです。

 僕、よくよくこれを詰めてフレームを考えると、本当に中小企業金融というものに特化して、今までのような、財務基盤の体質の強化であるとか、そういう課題を解決するのであれば、やはり本当は現行の金庫で、政府出資が若干、それを例えば中小企業者に特化した形の、要するに公営企業と同じような特別法の体系にして対応した方がいいような感じが、きのうも若干、総務委員会の方で質疑に立たせてもらったんですが、両方を比べてみると、突き詰めていくと、株式会社にする必要性はなくて、特別法で担保をし、本当に中小企業者の、真に中小企業金融というものを担わせた方がいいというふうに私は今感じているんですが、大臣、そういうふうに思われませんか。

甘利国務大臣 商工中金の民営化というのは行革推進法の意を受けて取り組むものでありますが、どう民営化するかのときに、根拠法を持った特殊会社として民営化ということにするのか、それとも一般法に基づくのかということに関しましては、与党と政府でもけんけんがくがく議論がありました。それで、最終的に、根拠法は会社法で、銀行法等の監督下に置かれるということで、一般のいわゆる銀行と一緒にするということが結論でありました。

 ただし、それは根拠、土台の部分でありまして、その果たすべき使命について担保していくための措置は、その上に乗っかる部分でありますから、これは一般法で行うということと矛盾はしないというふうに思っております。でありますから、中小企業金融であるということの今まで果たしてきた使命を引き続き果たしていくための措置は法的対応で担保していくことになるのではないかと思います。

 商中債の発行等も含めて、そういう二階部分については何らかの措置が必要だというふうに思っております。

後藤(斎)委員 これは事務当局でも結構なんですが、五条の規定のときに、国庫納付の関連がございます。

 その際に、完全民営化、今大臣がお答えをいただいたように、やはり強固な財政基盤、きちっと中小企業向け金融が達成できるんだという視点が大切だということだと思いますけれども、やはり国庫納付との関係というものも少し整理をさせていただきたいと思うんです。

 そこの点については、強固な財政基盤の確立というものも大前提だという前提に立つと、国庫納付というのは、特別準備金を規定した五条の国庫に納付をしなければいけない、この部分というのはどういうふうに理解をしておいたらよろしいんでしょうか。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 五条の部分の、「転換後の法人が業務を円滑に遂行する上で必要がないと認められるものに相当する金額として主務大臣が定める金額を、国庫に納付しなければならない。」という形になっております。要するに、転換する前にいろいろ精査をしてみて、それで必要のないものは、業務を行う上で十分であるというようなものについては当然残すわけですけれども、そうでないものについては納付をする、そういうふうに書いているわけであります。

 そのほかに、従来からずっと御議論いただいていますように、移行期において、商工中金が財務基盤について、もう大丈夫だ、そういうようなことが起こった場合は納付ができるというような規定になっているという形でございます。それは委員の御理解のとおりでございます。

後藤(斎)委員 大臣、これはもう時間的に最後になっちゃうかもしれませんが、先ほどもちょっと御指摘をさせていただいたような部分で、附則二条二項の最後の方に、「構成員に対する金融機能の根幹が維持されることとなるよう、株主資格を制限するための措置その他必要な措置を講ずる」というふうな規定がございます。

 先ほどの議論で、本当に完全民営化になった以降もそういう機能を、中小企業向けという本来の機能を持たせるために、何らかの措置じゃなくて、これはやはり法的にというふうなことでなければならないと思うんですが、その点については、大臣いかがですか。

甘利国務大臣 何らかの措置の中に株主資格の制限も一つにあるんですけれども、かつての議論の中で、それは定款で書けばいいんだという議論が一部ありました。

 しかしそれは、定款というのはいつでも変えることができる。そうすると、民営化した後の向かうべき姿に対して担保がされないという議論がありまして、やはりもろもろの何らかの措置については法律できちんと担保していかなければいけないだろうという議論になったというふうに記憶をいたしておりまして、私自身も法的措置として何らかの措置をするというのは担保していかなければいけないというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、前回も指摘をさせてもらって、確認でありますが、やはり民営化、移行期、そして完全民営化の七年後めど、やはり商工中金が中小企業金融に、少なくとも現行の金融サービス、融資条件が厳しくなったり、危機管理ができなくなったり、危機対応ができなくなったり、そういうことであってはならない。

 少なくとも、民のいいところ、合理化をしたり、経営効率を上げたりということは、個人的な執行部体制でやるのかもしれませんが、やはり本当に中小企業者が生きるという視点で、これからの、政令をつくる際、そして、これから具体的内容を主務大臣として指導なさる際には、ぜひその点についてお願いをしたいんですが、最後に、簡潔で結構ですからお答えください。

甘利国務大臣 これからも、今までと同じようにといいますか、今まで以上に中小企業金融としてしっかりその機能を果たしてもらうべく環境整備はいたしますし、そう向かうことを期待いたしております。

後藤(斎)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 最初に、先ほど後藤委員からもありました高知県東洋町長選挙の結果について、一点大臣に伺います。

 今回、高知県の東洋町長選挙で、高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定調査に反対する候補者、沢山氏が全体の七割の得票で当選をいたしました。民意がそこに示されたわけですが、昨日の大臣の記者会見で、誤解したまま賛否を諮るとこういう結果が出ると述べておられました。そうしますと、今回の選挙結果というのは、有権者が誤った理解で投票したからだということになるわけで、これはやはり、下された民意を否定するような、あるいは軽視するような発言ではないかと率直に思いますが、大臣、お考えはいかがでしょうか。

甘利国務大臣 あの記者さんは、私の発言を正確に報道していないと思うんです。

 まず、この結果をどう受けとめますかという質問がありまして、私は、原子力政策に理解をしていただいている現町長が敗れたというのは残念に思いますと。では、その原因は何なのか、どう受けとめているかと聞かれたので、テレビのインタビューの中で極めて危険な施設だみたいな話が出ておりましたから、そこは安全な施設なんです、やはりちゃんと情報が届いていなかったということが我々の反省すべき点だと思うという話をしたのであります。

 きちんと正確な情報が届いていないで判断を下すとその人の投票行為は間違ったというか正しくない情報に左右されるという意味で言ったのでありまして、私は、出た結果のみについて尊重するからこそ、地元の意思を尊重して、地元新町長からなされる撤回の意思表示についてはそれを尊重するというふうに話をつなげていったわけであります。

塩川委員 経済産業相の記者会見がアップされておりますけれども、誤解をしたまま賛否が諮られるとこういう結果が出るという流れ、その後、後段の質問の中で、今言ったように、テレビの報道を見るとという形のお話、先ほどの後藤委員の答弁にもあった、そういう中身のお話をされたわけです。選挙ですからいろいろな宣伝物も当然出るでしょう。大臣もこの記者会見でもおっしゃっておられるように、安全性は一二〇%確保されているというような形での宣伝も当然現場ではされたことだと思います。大臣の立場で一二〇%安全だと言うのは、新たな安全神話を振りまくようなことになるのではないかという懸念を私率直に思います。

 高知新聞も紹介していますが、出直し町長選挙で真に問われたのは、核燃料サイクルの確立という国策を大義名分に、巨額な交付金と引きかえにして核廃棄物の引き受け手を募る国の手法そのものだった、こう述べているわけです。ですから、核燃サイクルの推進というのを交付金と引きかえに引き受けてほしいということを募る国の手法そのものについて、それはおかしいというのが住民の審判、有権者の下した審判だったと思うんですが、こういった今回の有権者が下した審判にこそ耳を傾けるべきではありませんか。

甘利国務大臣 今読み上げますが、これが正しい判断の源になると思われますか。いいですか。当選された町長が配布をされていたチラシや発言の内容であります。

 まずチラシです。「特に巨大な南海地震が定期的に来る室戸半島の上では、大地震による地層の断裂、地下施設の挫滅」、挫滅というのは壊滅なんですかね、「によって、地球歴史上最大規模の核暴走事故が引き起こる可能性があります。」これがチラシです。

 それで、もう一つチラシ。「一たん応募してしまうと、調査から建設、埋め立て処分の原環機構の行動に何も文句が言えません。応募すれば死の灰の受け入れをとめることができないのです。」

 これが事実ですか。これが二つともチラシとしてまかれているんですよ。ですから、正確な情報が伝わらないと正確な判断ができないと言った私の発言は間違いじゃないと思います。

塩川委員 有権者がそのビラだけで判断をしたとお考えなんですか。そうではありませんよ。国のそのやり方について問題だということが下された審判だ。ですから、橋本知事自身もこの間発言をしているように、札束でほおを張るようなやり方だ、もっと民主的で透明なルールを考えるべきだ、ここに一番の批判があるわけで、そこにこそしっかりと国が学ぶべき点があるんじゃありませんか。

 高知新聞の社説でも、これほど重大な問題が住民にほとんど知らされないうちに首長の独断で応募でき、受理される、こんな仕組みも問題が多いと。住民不在のこういうスキームこそ改めるべきだというのを私は率直に思います。その点、いかがですか。

甘利国務大臣 選挙は、候補者を選ぶ際に、候補者の政策、主張を比較してどっちにしようかと選ぶんじゃないでしょうか、普通は。ですから、このビラの主張が何の影響もなかったとは私は思いません。

 私は、民意の否定をしているわけではありません。やはり民意を諮るには本当に正確な情報を提供することが必要であって、我々はその点について反省すべき点があるんじゃないかということを言ったわけであります。

 このビラによりますと、一たん応募したら絶対断れないと書いてあるんですよ。私は、ここで何度も、次のステップに行くときには必ず民意に諮らなきゃいけない、地元が反対して次のステップへ行きませんと、議事録に載っているはずですよ。だけれども、そうではないとおっしゃって選挙をやっていらっしゃるのであります。

 ですから、こういう国の重要な施設については、その地域住民が、正確な情報で、その上でぜひ冷静に判断をしてもらいたい、これは当然のことだというふうに思っております。

塩川委員 正確な情報でということで、ですから、先ほど言いましたように、住民不在のやり方についての疑問というのが大きくあったということについても、これは民意ですから、その点については尊重されるということであろうと思いますので、ぜひ今後の対応について注視をしていきたいと思っております。

 次に、商工中金の民営化法案ですけれども、きょう、先週、あわせてずっと議論をした中で、完全民営化、これは株式会社化という形で行われるわけですけれども、私、率直に思うんですが、この完全民営化、株式会社化というんですが、そういう際に、民営化先にありきというやり方そのものにそもそも私は同意できませんけれども、協同組織金融機関のままではなぜだめなのかという点についてぜひお聞かせをいただきたいと思います。

石毛政府参考人 もう委員も十分御案内のとおりで御質問しているんだと思いますけれども、昨年の行政改革推進法の審議の中で、現在ある政策金融機関について、できるだけ国の関与を減らして、どういうふうにしていくのかという議論がずっとあったわけであります。

 そういう中で、商工中金については、平成二十年十月に特殊会社化をして、それから五年から七年の間に政府保有の株式について売却をして完全民営化を図るということを決めているものでありまして、私どもはそれに従ってこういう措置を講じているということでございます。

塩川委員 商工中金が中小企業向け金融機関として存立をする、そういう機能を発揮している。この間、それがいかにして発揮をされるかという際に、政府系という側面があるということと、私はもう一つ、協同組織の金融機関という側面が、中小企業団体、中小企業の金融機関として働くそのポイントになっていると思うんですね。ある意味では二重で中小企業向け金融機関というのが担保されるような仕組みだろうと。

 そういう際に、先ほど言ったように、民営化先にありきということについては同意できないわけですけれども、民間だというんだったら、株式会社じゃなくても、民間の金融機関で信用金庫や信用組合のような協同組織金融機関があるわけです。何で協同組織金融機関のままに残さないのかという点についてぜひお聞かせいただきたいのですが、いかがですか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 商工中金は、御指摘のとおり、政策金融機関であり、かつ、中小企業団体を構成メンバーとする、ある種、メンバーシップ金融機関と言っていいんだろうと思います。

 そういう中で、商工中金の持っている金融機能、中小企業団体及びその構成員に対する金融機能の根幹は維持していかなくてはいけないということで、今回の法律の中でもそういう手当てを講じている。具体的には、移行期においてはその株主の構成を限定している、それから、移行期終了後において完全民営化する、そういう段階においても、株主資格制限など、政府としてはそういう必要な措置を講ずるということを決めているわけでございます。

塩川委員 要するに、株式会社化をしたとしても中小企業向け金融機関としての機能を残すというふうに担保しているんだというお話でしたけれども、大臣、行革、党の方で担当されていたという話ですから、協同組織金融機関という形で民営化というか民間で担う、そういう議論というのはそもそもなかったんですか。

甘利国務大臣 私も党の方でこの議論に参加をしていましたが、私が参加した限りではそういう議論はありませんでした。

 今の形態のままでも十分に機能を果たせるじゃないか、あるいは、事実上民営化をしているんだからそれでいいではないかというような議論はかなりありました。ただ、協同組織にするという議論はなかったと思います。

塩川委員 これは当然のことながら、株式会社の場合と、現行のメンバーシップ的な形態をとっていくということであれば、税制上の面あるいは預金保険料の差が当然出てくるわけですね。この点で、預金保険料ですとかあるいは法人税、事業税、地方税などについての負担がどれだけ違うのかというのは何かちょっと試算が出ているのはありますか。

石毛政府参考人 預金保険料については差がないと承知をしておりますけれども、法人税については差はございます。ただ、もちろん、そういう差があるから組織の性格を変えるということではないと思っております。

塩川委員 政府系及び協同組織の金融機関としての優遇策が当然なくなるわけで、中小企業向けサービスの後退の懸念というのは当然生まれるわけです。民間としての自由度を拡大していろいろやるんだと言うけれども、当然のことながら、株主が中小企業団体、中小企業に、その構成員に限定されるという、法的に担保という話がありましたけれども、それについても、株式会社というのが前提ですからね。何らかの枠組みの変更のもとには当然変わるわけで、私はやはり、そもそも中小企業団体、中小企業の金融機関として存続する、機能するという点では、このメンバーシップの形態というのはそれなりに機能し得る、そういう選択肢も検討しないままでのこういった民営化の議論というのは問題があると率直に思っております。

 次に、中小企業信用保険法に関連して、部分保証、責任共有制度についてお尋ねしたいと思っております。

 これは、もともとは、経済産業省は、二〇〇二年十二月の中小企業信用保険法の改正で各信用保証制度に部分保証を入れることを可能としたと説明をしているわけです。私、このときの法案審議もしておりますけれども、そういう説明じゃなかったんですよね、当時は。

 二〇〇二年十一月六日の衆議院の経済産業委員会で、私の質問に対し、当時の平沼大臣が、これはDIP保証について部分保証するんだという説明だったわけですよね。DIP保証は、リスクが高いことから、民間金融機関にも一定のリスクを分担していただくように部分保証で対応する。今般の改正では、条文上は部分保証の対象はDIP保証に限定されていない。しかし、部分保証によっても民間金融機関からの十分な中小企業向け融資が確保されるような状況になるまでは、部分保証制度を広く導入することは、中小企業への円滑な資金供給を確保する観点から現実的ではないということでした。

 二〇〇二年の法改正で部分保証が広く入れられるように変えたというふうに最近の文書ではなっているんだけれども、当時の法改正のときの説明は、基本はDIP保証ということで法改正しているんだよという説明だったわけですね。ですから、二〇〇二年の信用保険法改正の際、部分保証の対象というのはDIP保証に限定されていたということですよね。その点、確認させてください。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 議論のやりとりは私も承知をしております、見ております。今委員の御紹介があったとおりだと思いますけれども、法律について、その当時、DIP保証だけを対象にしてその法律の改正を行ったというふうには理解はしておりません。そのほかの制度についても法律上はカバーし得る、ただし、この段階ではDIP保証に限っている、そういう趣旨であったと理解をしております。

塩川委員 あの時点でDIP保証に限定するというのが答弁なんですよ。

 あわせて、ここでの、部分保証を広く導入する前提としては、現状はそういう状況にない、だから、要するに、広く広げる法改正をやったとしてもDIP保証だけなんだという説明ですよね。部分保証を広く導入する前提として、部分保証によっても民間金融機関からの十分な中小企業向け融資が確保されるような状況であることがいわば条件だったわけですけれども、現在、民間からの中小企業向け融資が広く、中小企業、小規模事業者を含めて十分に確保されるような状況となっているのか、この点についてお聞かせください。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇二年当時の平沼経済産業大臣がそういう答弁をしているのは承知をしているわけですけれども、委員も御案内のとおり、当時の資金繰りの状況に関する調査がその後ずっと行われてきているわけですけれども、そういう中で、もちろん現在すべての中小企業が楽になったというようなことを私は申すわけではありませんけれども、金融環境も改善をし、それから、民間金融機関による中小企業向けの融資も増加に転じているということで、その資金環境は大きく変わってきているというふうに認識をしております。

塩川委員 幾つか角度を示してお聞きしたいんですが、例えば小規模事業者についてはどうかという点では、衆議院の経済産業調査室が調べた中小企業の金融動向について資料がありますけれども、小規模事業者への貸し渋りがある。資本金一千万円未満の企業では、現在も八・五%が貸し渋りを受けていると認識をしている。一千万円以上の平均は四・四%ですから、倍の規模で貸し渋りという受けとめがあるし、地域でも、大都市圏の割合は低いが、地方ほど高い傾向にあるということなんかも言われています。

 ですから、小規模事業者や、あるいは地方において貸し渋りがあるという現状認識はどうなのかということが一つ。

 中小企業白書にもありますけれども、今後の金融動向として、日銀のゼロ金利政策の解除がありましたから、そういう点でも、中小企業の資金調達が今後厳しいものになる、そういう可能性があるんじゃないのかという点。

 あと、信金、信組など、あるいは第二地銀なんかもそうでしょうけれども、不良債権処理といってもまだまだこれからだといったところで、まだまだ合併、再編などが行われる、そういうのをきっかけに貸し渋りというのは当然出てくるんじゃないのか、こういったことについては考慮がされているのか、お聞きしたいと思います。

石毛政府参考人 本件については二点あると思うんですね。今、塩川委員は景気の動向といいますか、資金繰り状況のお話をるるされたわけですけれども、本件については、そういう資金繰りが本当に大丈夫なのかという側面と、もう一つは、そもそも中小企業信用保険制度については今の制度でいいのだろうかという議論があったと認識をしております。

 塩川委員が二〇〇二年に御質問をされた後、当委員会でも本件をめぐる議論があったわけであります。そのときには、別の委員の方から、別の角度から、今のような制度ではモラルハザードを招くのではないか、一〇〇%の保証割合というのは、金融機関側の審査が非常に甘くなって問題ではないのか、自分のところはリスクがないからどんどん貸してしまうのではないか、そういう指摘があったと理解をしております。

 そういう状況を直すにはどうしたらいいのか。やはり金融機関がそれなりの経営支援を行い、現在融資をしている先が一体どういう状況になっているのかというのをきちんと把握して、経営支援を行っていくということが必要であるということだと私どもは考えております。

 あわせて申し上げますと、この点につきましては、平成十七年六月に、中小企業政策審議会の中の委員会で、責任共有制度の導入の必要性というものも提言されているところでございます。

 そういう制度的な側面を今申し上げて、この制度改正の必要性を言ったわけですけれども、景気の現状、資金繰りの現状ということについてコメントがありましたので申し上げますと、小規模企業の資金繰りの状況については、確かに中小企業全体、むしろ中規模の中小企業といいますか、そういう企業に比べれば資金繰りの状況は苦しいという状況にはなっているんだろうとは思っております。ただ、これは相対的なものであって、小規模企業においても改善傾向は当然あるということであります。

 それから、今後の不良債権処理、あるいは日銀の金融政策の変更によってどういうふうになるのかということについては、確かにその方向が厳しいものになる可能性はゼロであるということを言うつもりはございませんけれども、現時点で、私が最初に申し上げましたような視点からの、制度改正をとめるというような状況にまでなっているというふうには私は理解をしておりません。

塩川委員 小規模の資金繰りの厳しさ、相対的なものとは言いながらも、現状としても依然厳しいというのは実態だというお話です。

 あわせて制度そのものの見直しの話ですけれども、私が思うのは、信用保証制度というのは中小企業のための制度であるわけですね。ですから、もちろん金融機関のモラルハザードは問われなければいけないでしょう。しかし、そういった制度設計を変更することが中小企業の資金繰りに困難をもたらすようなことにつながるのであれば、これはやはり信用保証制度のあり方としては問題だということが言えると思います。

 ですから、何だか、中小企業の側から見ているんじゃなくて、反対側の金融機関の側から物を見るような、物を言うような形では、これは私は、本当の意味で中小企業の立場での政策が進められないと思います。

 そもそも、部分保証、責任共有制度、これによって、責任を金融機関も持つことによって中小企業金融を健全なものにするという言い方をしますけれども、部分保証、責任共有制度によって中小企業融資というのは改善をするんですか。そこが聞きたいんですけれども。

石毛政府参考人 先ほど、制度の改正の趣旨、どういう視点からということを申し上げたわけですけれども、私は、この信用保険の制度は、塩川委員も御指摘になられたように、当然、中小企業金融を助ける、円滑化を支援する、そういうものであると思っております。ただ、この制度自身が、永続性といいますか継続性がなくてはいけない、持続性がなくてはいけないということだろうと思っております。

 今の制度のように、金融機関が一〇〇%の保証を受けるというような形でやっていくことによって、むしろ、融資先の中小企業への経営支援が十分行われていない。問題は、企業への支援というのは、ただ単にお金の面の支援というだけではなくて、当然融資をする際の経営支援、ノウハウ、そういったようなことが非常に重要なわけであります。

 この委員会でも、今まで新商工中金法の議論の中で、目ききというようなことの重要性、新しくそういう事業を見出すことの重要性、そういったようなことはるる強調されているわけであります。

 ですから、そういう点を考慮してこの制度改正を行っているわけでありまして、私は、こういう制度改正によって、より中小企業の方々への融資というものは健全化していき、長い目で見ればその方がずっといいということだと思っております。

塩川委員 全部保証ですと金融機関の経営支援が十分に行われないというお話で、部分保証にすることによって金融機関も借り手に関心を持つようになるというお話なわけですけれども、例えばこの責任共有制度の問題について、金融機関の対応につき、部分保証方式か負担金方式か、どっちか選択するという話がありましたよね。

 これは、それぞれどういうもので、大体どのぐらいの割合で、どちらを金融機関は選んでいるんですか。

石毛政府参考人 今委員お尋ねの方式、二つの方式があるわけでありますけれども、一つの方式は、あらかじめ一個一個の保証案件についてその割合を決めて、例えばAという融資の案件について二対八、そういうふうにして分けるということであります。

 それからもう一つの方式は、一たん全部締めてみて、それでその融資機関の実績を見ながら算定をするわけですけれども、最終的な負担は信用保証協会の方に八割、それから民間金融機関の方に二割、そういうふうになるように算定をするという形になっております。(塩川委員「何割、どちらがどのぐらいなんですか。金融機関はどのぐらい、割合でいったら」と呼ぶ)金融機関が二割それから信用保証協会が八割というふうに申し上げました。

塩川委員 部分保証方式か負担金方式か、金融機関としてはどちらを選択しているんですか。

石毛政府参考人 私どもが今承知しているところでは、負担金方式の方が多いというふうに承知をしております。

塩川委員 負担金方式が八、九割、ほとんどだと。もともと、負担金方式というのは、やってくれというのは金融機関側から話が来たということですよね。要するに、部分保証方式というのは各債権ごとに二対八で見る、個々の中小企業を見るわけですけれども、負担金方式は丸めてなんですよ。金融機関が選んでいるのは、本気に金融機関が一つ一つの中小企業についてオンするような、そういう形で支援をするというのであれば部分保証方式を選ぶはずなのに、実態はみんな負担金方式で、丸めてマスで管理しましょうねという話ですから、私はこのとおりにいかないと率直に思います。

 それは、もう負担金方式を大半が選んでいる、そもそもこういう方式にしてくれと金融機関が注文してつくっているということ自身にあらわれているわけで、中小企業融資の改善につながらないと率直に思います。結局、制度の持続可能性という言い方での財政上の理由といいますか、中小企業政策が財政事情に従属しているということだと思います。

 そこで、個々の問題で聞きたいんですけれども、セーフティーネット保証を初めとして部分保証の適用除外の問題がありますけれども、一号から六号は適用除外ですが、七号が外されているというのはどういう理由なんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十七年六月の中小企業政策審議会の提言を踏まえまして、民間金融機関のモラルハザードを防ぐとともに借り手に対する積極的な経営支援を確保するという観点から、信用保証協会と金融機関との間で適切な責任共有を図る制度を、今議論になっております、十九年、ことしの十月から導入することになっておるわけでございます。

 その中で、中小企業の資金調達への影響を考慮いたしまして、関係者とも十分に議論を行った上で、従業員二十人以下、借入残高千二百五十万円以下、こういう小口の零細企業を対象とした保証制度でございますとか、今先生から御指摘のございました、自然災害とか取引先の倒産といったことで一時的に経営が悪化した企業向けのセーフティーネット保証などについては、当面、一〇〇%保証を継続するということにしているわけでございます。

 そのセーフティーネット保証の中で第七号というのがございまして、今先生の御指摘のとおりでございますが、これは中小企業向けの貸し出しを減少させている金融機関を指定いたしまして、当該金融機関から借り入れを行っている中小企業を対象とした制度でございます。仮に、この制度を一〇〇%保証とした場合には、中小企業向け融資を減少させている金融機関が一〇〇%保証されるということになってしまうわけでございまして、そういうことでは、金融機関の間、それからまたそれを利用する中小企業者の間での平等性が失われるという問題があるわけでございます。

 さらに、先ほど来、長官からも御説明申し上げましたように、民間金融機関の業況が回復し、中小企業の資金繰りも改善しつつあるという状況の中で、中小企業向け貸し出しを減少させている金融機関について、信用保証協会との間で適切な責任配分を行うことによって、中小企業者に対してより適切な経営指導に取り組んでいただく必要があるということで、この保証を、七号を責任共有の対象としたところでございます。

 中小企業庁といたしましては、責任共有制度の導入後も、民間金融機関が適切な責任を負担しつつ、しっかりと中小企業を支援してくれるよう努力してまいる所存でございます。

塩川委員 利用実績の多いのはこの七号で、これが部分保証の対象となることで中小企業の資金繰りに影響が出るんじゃないのかと率直に思うものです。中小企業の立場での対応こそ必要だと思います。

 それから、部分保証の導入で保証料率が下がりますという話、説明がありますけれども、一方で、金融機関が部分保証となりますと、金融機関の方の金利の上乗せの懸念というのが出てくるんじゃないのか。その辺は、実際その保証料率が下がっても金利が上がるというような形で影響が出ないのかと率直に思いますが、いかがでしょうか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 部分保証などの責任共有制度の対象になります保証につきましては、金融機関がそういう適切な責任分担を行っているということを踏まえまして、保証料率を引き下げる予定としております。

 個別の金利設定の御指摘がございましたけれども、これにつきましては、民間金融機関の経営判断のもとに行われるものであります。この保証料率の引き下げ幅以上に金利を引き上げるかどうかといった金利の見通しについては、今ここで明確に申し上げるということは難しいものと思います。

 ただ、一方、責任共有制度の対象となる融資でございますけれども、これまでのように十割ではないものの、融資額の八割については引き続き保証するものでありますから、通常の保証つきでない融資に比べて保証のあることを踏まえまして、適切に金融機関の側も対応されるんじゃないかというふうに思っております。

 私ども、いずれにしましても、この制度の導入によりまして、金融機関が保証協会と適切な責任共有を図りまして、中小企業者に対するきめ細かい経営相談への対応、それから目きき能力の活用、再生支援に対する責任ある取り組み、そういうものを通じまして、適切なリレーションシップを構築していくということを期待しているところでございます。

塩川委員 保証料率の弾力化にもありますように、中小企業を選別するような状況がありますから、そういう点での金利の方の引き上げの懸念というのは率直に思いますので、そういう点についてはぜひ監視をしていただきたいと思います。

 それから、地方自治体の取り組みとの関係なんですけれども、複数の都道府県の声として聞いていることですが、自治体が金融機関負担分の二〇%、部分保証の二〇%について損失補てんするなど、独自の緩和措置をとることは国から禁じられているという話が出ているんですけれども、それは事実でしょうか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来議論させていただいていますように、責任共有制度につきましては、原則一〇〇%保証の現行制度のもとで、民間金融機関が中小企業に対して適切な経営支援などを行うインセンティブが働かないということ、それから制度利用に係るモラルハザードが生じる懸念があることということで、この十月から責任共有制度を導入しようとしているわけでございます。

 民間金融機関の責任部分につきまして、地方自治体が損失の補てんを行うということについては、こういうもともとの責任共有制度導入の趣旨が損なわれるんではないかというふうに懸念をしております。そういうのは望ましいことではないというふうに考えております。地方自治体に対しては、今回の制度見直しに係る趣旨を踏まえた適切な対応をお願いしているところでございます。

塩川委員 損失補てんを禁じているわけじゃないんですね。

石毛政府参考人 中小企業庁として、こういう損失補てんを自治体が行うということについて、もちろん禁止をしているわけではございませんけれども、先ほど述べましたように、今回の制度の見直しの趣旨を踏まえた適切な対応をお願いしております。

 それからもう一つ、つけ加えて申し上げますと、地方自治体が行います、こういうような金融機関への損失補てん、仮に行うということになりますと、課税上の問題が発生するということなどから、金融機関がその受け入れに消極的であるというふうにも承知をしております。

塩川委員 繰り返して言いますけれども、中小企業の支援制度でありますから、そういう角度からどうなのかということが問われると思います。中小企業基本法が改定をされた際に、地方公共団体の責務ということもうたわれたわけであります。

 そういう点で、地方自治体がしっかりと独自の中小企業のための支援策をやるということであれば、それをやはり尊重するというのが国の立場だと思いますので、そういう立場で臨むことが求められていると思っております。

 あわせて、今の自治体の状況を見ますと、配付資料の一番上の資料が、自治体の中小企業貸付金及び商工費の推移であります。これは先日、後藤委員の方からも問題提起がありました。金額、合計で丸めてみましても、一九九五年度で商工費の歳出合計が五兆六千六百二十二億、貸付金が三兆九千七百二十四億、それが、九八年をピークにして、その後ずっと後退をし、二〇〇五年度には九五年度を下回る金額になっているわけです。

 私は、こういう意味でも、金融危機以前の水準よりも後退をしているわけで、自治体の制度融資の後退が今回の部分保証の導入でさらに加速するようなことになりはしないかということで、率直に懸念をするんですけれども、国も減らし地方も減らすということになりはしないか、そういう懸念についてはいかがですか。

石毛政府参考人 配付していただいたデータ、事前にいただいていなかったものですから、精密な分析ができているわけではありませんけれども、この時代の動きを見てまいりますと、何も自治体だけではなくて、通常の金融機関も含めまして、いわゆるバブル崩壊後の過程において、こういった貸付金が減少するというようなことは起こっていたんだろうというふうに思います。

 そういう中で、私どもとしては、中小企業者の方々にきちんと必要なお金が流れるように、引き続き、このたびの政策金融改革の中でも、そういう資金がきちんと流れるように注意をしていきたいというふうに思っております。

塩川委員 大臣に伺います。

 責任共有制度につきまして、日本商工会議所からも要望が出されております。「中小企業者の資金調達が阻害されるような事態が認められた場合には、本制度見直しそのものの適否も含めて、改めて検討すべき」ということで、これは「十九年度中小企業・小規模事業対策の拡充強化に関する要望」で挙げられている項目ですけれども、部分保証の導入によって信用収縮が起こるんじゃないかという懸念を踏まえた要望となっていると思います。現場に強い懸念がある証拠だと思うんです。

 そこで伺いますが、部分保証の導入で中小企業の資金調達に障害が出るような事態が生まれたら、取りやめも含めて見直すお考えはありますか。

甘利国務大臣 部分保証といっても八割ですからね、大部分保証なんですね。なぜ二割を金融機関の責任に帰するかといえば、貸している先に対して一生懸命経営指導して、立て直さなきゃというか、もっと元気にしなきゃ、しないと二割が返ってこないぞということになるのでありますから。

 今まで金融機関の問題点が指摘されていたのは、担保主義で、不動産担保をとって後は知らんぷり、取りっぱぐれがなければいいという姿勢が批判されていたのでありますから、金融機関の仕事というのは、お金を貸すだけじゃなくて、貸した先がちゃんと元気になるような経営の支援をしなきゃならない、それが本来の仕事だったんじゃないかと思うんですけれども、それをバブル期を中心に放棄してしまった。目きき能力もどんどん低下してしまった。

 そういう中で、商工中金が目きき能力を発揮して中小企業を助けてきたということでありまして、一般の金融機関にもそういうところを覚せいさせなきゃだめだ。貸した先について、貸し手責任としてちゃんと経営の応援をやってください、そうしないとあなたが損しますよという仕組みだと思うんですね。一〇〇%取りっぱぐれがないという仕組みの中だと、ぬくぬくとしてしまって、そういうところが育たないんじゃないだろうか。

 もちろん、小規模、小口のところについては、信用力がないし、そもそも金融機関が厳しいことを言うと出てきてくれないという可能性もあるかもしれないということで、一〇〇%の余地は残してあるわけであります。

 私自身は、この制度をちゃんと機能させて、金融機関が本来のあるべき姿に立ち返って、一緒に中小企業の振興、発展のために努力をしてくれる、そういう体制をぜひつくりたいというふうに思っております。

塩川委員 基本は中小企業に使いやすい制度にすることですから、そういう立場での支援策ということに尽力をすべきだということを申し上げておきます。

 最後に、中小企業関連で、中小小売店の営業を確保する上でも、大型店の出店問題がどうなっているのか、こういうことについて資料を二枚目から用意しました。

 「大型商業施設「駆け込み出店」実態調査の概要」ということで、これは全国商工団体連合会、全商連による実態調査であります。一万平米超の大型商業施設の出店計画が、二〇〇六年六月以降、三法が成立して以降、全国で八十八あって、そのうち既に計画が提出されている件数は六十七、今後計画が出される予定が二十一で、このうち、改正都市計画法では許可をされない準工業地域の立地が十、左側に「駆」と書いてあるのがそれですけれども、第二種住居地域は四、白地地域が十八、農地転用が八、合計四十、こういう感じになっているわけです。

 そこで、国土交通省と農水省に来ていただいていますから、お答えいただきたいんですが、もともと周知期間というのは法の趣旨を徹底する期間でありますから、そういう意味でも、こういうあり方というのは望ましいものではないと率直に思います。周知期間の位置づけという点についてのお話と、あわせて、この改正都市計画法に沿った運用指針を出されておりますので、そのポイントについて御説明ください。

 重ねて農水省の方に、この農振、農転の適正かつ厳格な運用ということで、ガイドライン等による周知とあります。私がこの委員会でも質問しました二十七号計画に関する省令の改正を含めて、ガイドライン等のポイントを説明していただきたいと思います。

加藤(利)政府参考人 お答えいたします。

 施行期間のことについてのお尋ねでございますが、今回の改正は、大規模集客施設の立地について制限を強化するというものでございますことから、既に土地を確保して出店準備をしている事業者については、その既得の権利の保護にも配慮をし、適切な周知期間ということで、公布の日から起算して一年六カ月を超えない範囲内において政令で定める日という施行期日が改正法の附則で定められているところでございます。

 一方、法律の公布後、新たに土地を取得して、確保して出店しよう、そういう事業者については、大規模小売店舗立地法等の手続に要する期間が最長で十二カ月を要します。したがって、その準備期間等も勘案すれば、施行までに駆け込み出店をするということは実態上難しいのではないかというふうに考えております。

 それともう一点、都市計画運用指針についてのお尋ねがございました。

 この都市計画の運用指針といいますのは、先生御案内のとおり、都市計画の決定主体は、都道府県または市町村でございます。都道府県または市町村が都市計画を使いこなす際に、この制度はどういう趣旨でできたとか、あるいはこの運用に当たってはどういう点に留意をすべきかというのを私ども技術的な助言という形でお示しをして、各都道府県なり市町村がそれぞれの地域の都市の将来像について主体的に考えて、制度運用を的確に活用するということに寄与しようというもので出しているものでございます。

 特に、今回の改正まちづくり三法の関係で、どういう手当てを私どもとっているかということでございますが、昨年の十一月に都市計画運用指針等を発出いたしまして、法改正の趣旨でございますとか、国民に対する十分な周知啓発の重要性、施行期間の考え方等について示すとともに、都市計画の提案制度ですとか広域調整手続など、今回改正した内容を含めた都市計画制度の運用のあり方について技術的助言を行ったというところでございます。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 国民に対する食料の安定供給を確保するためには、優良農地を良好な状態で確保することが極めて重要だと思っております。このため、農業振興地域制度とか農地転用許可制度に基づきまして、集団的農地とか基盤整備対象農地などの優良農地を農用地区域として定めまして、農地転用を原則として認めないこととし、計画的な土地利用を図ってきたところでございます。

 これらの制度につきまして、昨年議論がございましたまちづくり三法の国会審議における御議論も踏まえまして、その適正かつ厳格な運用を図ることとして、次に述べるような措置を講じたところでございます。

 まず一点は、昨年の七月、国交省と関係省及び都道府県等に対しまして、公共施設の整備のための農地転用を行うに当たっての農業上の土地利用の調整の徹底を行った。

 ことしの三月に、都道府県に対しまして農用地区域からの除外や転用許可に当たって、ほかに代替すべき土地がないか等の要件の一層厳格な適用について通知を発出し、農業振興地域制度に係るガイドラインを改正したところでございます。

 それから三点目は、農業振興地域の整備に関する法律施行規則第四条の四第一項第二十七号に規定する要件をすべて満たす地域の農業振興のために市町村が定めた計画、先ほど委員がおっしゃったいわゆる二十七号計画に定められた施設は、例外的に農用地区域からの除外が認められておりますが、ことし三月に本規則を改正し、本年七月一日以降、同計画の要件として、地域住民の意見を聴取したものであることを追加することといたしまして、手続の公正性、透明性の一層の向上を図ったところでございます。

塩川委員 制度の周知徹底に努めることを求めて、質問を終わります。

上田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上田委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、内閣提出、株式会社商工組合中央金庫法案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 民主党・無所属クラブを代表して、株式会社商工組合中央金庫法案に賛成の立場から討論を行います。

 民主党は、昨年の行革推進法の審議において、商工中金については、現在の形態を残しつつ株式会社化することを提案しており、商工中金の経営の自由度を高めつつ、一層、中小企業向けの金融機関として資金の円滑化を図ろうとする方向性は評価します。

 しかし、本法案は、株式会社化から数年を経て完全民営化するまでの移行期についてとりあえず定めたものにすぎず、完全民営化後の姿がどうなるのか明確に示されていません。そもそも、完全民営化とは何を指すのか、どういう姿にすることなのか、政府保有株式をすべて処分した後も株主資格を中小企業団体及びその構成員に限定し、中小企業向けの融資は引き続き行っていくとしても、本当にこのような形態の金融機関が市場でうまくやっていけるのか、激甚災害が発生した際の対応はどうするのかなど、多くの懸念があります。

 また、移行期の商工中金のあり方にも疑問があります。株式会社化された商工中金は、市場経済の中で利潤を追求することになりますが、政府から切り離されることによって、資金調達コストの上昇を招く可能性は再三指摘されています。その結果、中小企業への融資条件が厳しくなることはないのでしょうか。中小企業の資金調達に資するための金融機関が、中小企業金融の円滑化に逆行する事態になっては極めて問題です。資金調達がうまくいかなかった場合、再度政府の資金を投入する可能性もゼロではありません。

 さらに、天下りの問題は相変わらずあいまいなままです。完全民営化後、主務大臣の関与から最終的に外れるのであれば、天下りもなくなると思いますが、一方で、中小企業向け金融機関としての役割を残そうとする以上、ある程度の政府関与は受けることになります。現在の天下りポストが今後どうなるのか、政府の説明では明らかにされておらず、このままでは問題があると言わざるを得ません。

 以上、問題点は多々ございますが、民営化への流れは否定するものではありません。政府に対し、今述べた諸課題を解消することを強く求め、商工中金がより一層、中小企業者に資する金融機関となることを切に期待して、私の賛成討論といたします。(拍手)

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、株式会社商工組合中央金庫法案への反対討論を行います。

 本法案は、行政改革推進法に基づき、商工中金の完全民営化の実現に向けて国の関与を縮小していくとともに、組織転換を行うものです。

 これまで商工中金は、民間金融機関による貸し渋り、貸しはがしが横行した際にも、他の政府系金融機関である国金や中小公庫と同様に、中小企業の命綱となる役割を発揮してきました。しかし、これは、民間ではなく、政府がかかわり、中小企業の経営、資金繰りを支える協同組織であったからこそできたものであります。

 商工中金の完全民営化への道筋をつける本法案は、こうした役割を根本的に否定し、中小企業金融に悪影響を及ぼすものでしかなく、反対です。

 また、本法案が規定する移行期においても、政府保有株の売却や、税金配慮の段階的縮小、預金保険対象となるなどの新商工中金の負担がふえることとなります。負担が新たに生じることにより、金利上昇や条件の厳格化、店舗の縮小などの中小企業への影響が起こりかねません。

 今回のように、行政改革、民営化先にありきの議論は、中小企業金融支援をないがしろにする本末転倒の議論であります。中小企業基本法は、中小企業に対する資金の供給の円滑化を図るために、国が行うべき中身として、まず「政府関係金融機関の機能の強化」を掲げています。商工中金の完全民営化を進めることは、こうした国の責任を投げ捨て、重大な政策後退であります。

 以上、反対の理由を述べて、討論を終わります。

上田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、株式会社商工組合中央金庫法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、金子善次郎君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。後藤斎君。

後藤(斎)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    株式会社商工組合中央金庫法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、我が国経済産業を支える中小企業への円滑な資金供給が極めて重要であることにかんがみ、次の諸点について適切に措置すべきである。

 一 商工組合中央金庫の株式会社化・完全民営化を含めた政策金融改革の今後の具体的な実施に当たっては、経済状況の変化に即応して中小企業等の資金ニーズに十分対応しうるよう配慮するものとし、民間金融機関の活動状況も注視しつつ、関係省庁の連携の下、政府全体として遺漏無きを期すること。

 二 商工組合中央金庫の株式会社化に当たっては、商工組合中央金庫の中小企業向け金融機能を維持できるよう、基本的な資本として扱われるかたちで、政府出資のかなりの金額を特別準備金とすること。その際、商工組合中央金庫の強固な財務基盤が確立されるよう、これまで商工組合中央金庫の資本形成に貢献してきた既存の民間出資者の利益を害することのないよう留意しつつ、中小企業団体等の意見を踏まえて、具体的な金額を決定すること。

 三 商工組合中央金庫の完全民営化後においても、中小企業向け金融機能の役割が確実に果たされるよう、株主資格を中小企業団体及びその構成員に制限し、財務基盤が十分に確保されるまでの間特別準備金を有効に活用し、商工債の発行が可能となるよう、法的枠組みその他必要な措置を講ずること。

 四 政府保有株式の処分については、商工組合中央金庫の中小企業向け金融機関としての機能維持に必要な財務基盤が維持されるかたちで、株主となる中小企業団体等の資金余力や国民の貴重な財産である株式の価値最大化等に十分配慮しつつ、慎重にすすめること。

 五 危機対応について、これまで商工組合中央金庫が行ってきた危機対応と同水準の条件及び範囲での対応が確保され、中小企業者が危機時に、機動的かつ円滑に資金供給を受けられるよう、必要十分な財政措置その他所要の体制を整備すること。

 六 株式会社化された商工組合中央金庫において、完全民営化に向けた自主的な取組みの成果が最大限発揮されるよう、天下りも含めた政府関与のあり方について、その趣旨を十分尊重して対応するとともに、職員等に対する意識の醸成に努めること。また、中小企業者の利便となる新商品・新サービス開発へ向けた積極的な取り組みがなされるよう、環境整備に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利経済産業大臣。

甘利国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

上田委員長 次に、内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

上田委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国においては、供給安定性や環境適合性にすぐれている原子力発電を基幹電源として位置づけており、これを的確に推進していくため、原子力発電に伴って生じる使用済み燃料を再処理し、有用物質を回収して再び燃料として利用する核燃料サイクルを推進することを基本方針としております。この核燃料サイクルを確立するためには、再処理等の工程から発生する放射能濃度が高い放射性廃棄物等を安全かつ確実に最終処分することが必要不可欠であります。

 このため、原子力発電環境整備機構が行う最終処分の対象となる放射性廃棄物の範囲を拡大するとともに、最終処分を行う事業者に災害の防止を図るための措置を義務づけること等の措置を講ずることにより、最終処分の円滑な実施と安全の確保を図ることを目的として、本法律案を提出いたしました。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律の一部改正であります。

 原子力発電環境整備機構による最終処分の対象に、再処理等の工程で使用済み燃料等によって汚染された機器等の放射性廃棄物や、この放射性廃棄物のうち国外の再処理等で発生したものとの引きかえに国内に返還される放射性廃棄物を追加するとともに、これらの放射性廃棄物を発生させた再処理施設の設置者等に対し、その最終処分に要する費用を原子力発電環境整備機構に拠出することを義務づけることとしております。

 第二に、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部改正であります。

 国外の再処理等で発生した放射性廃棄物との引きかえに国内に返還される放射性廃棄物を最終処分の対象に追加したことに伴い、発電用原子炉の設置者が行った発電により生じた使用済み燃料の再処理等に要する費用に充てるために積み立てる積立金の金額について、その変更を可能とする規定を設けることとしております。

 第三に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正であります。

 放射能濃度が高い放射性廃棄物の最終処分を行おうとする事業者を許可に係らしめるとともに、坑道の閉鎖の際に閉鎖措置計画を定めて認可を受けなければならないこと等の安全規制を整備することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月九日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十八分散会


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