衆議院

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第11号 平成19年5月11日(金曜日)

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平成十九年五月十一日(金曜日)

    午前十時四十分開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      安次富 修君    井上 信治君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    杉田 元司君

      平  将明君    武田 良太君

      谷川 弥一君    土井 真樹君

      丹羽 秀樹君    野田  毅君

      橋本  岳君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    増原 義剛君

      御法川信英君    武藤 容治君

      森  英介君    吉川 貴盛君

      吉野 正芳君    石川 知裕君

      大畠 章宏君    太田 和美君

      川端 達夫君    北神 圭朗君

      田村 謙治君    細野 豪志君

      三谷 光男君    鷲尾英一郎君

      高木美智代君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   経済産業副大臣      渡辺 博道君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 木寺 昌人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           村田 貴司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 望月 晴文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      舟木  隆君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   薦田 康久君

   参考人

   (原子力委員会委員長)  近藤 駿介君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            鈴木 篤之君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  近藤三津枝君     杉田 元司君

  谷川 弥一君     井上 信治君

  野田  毅君     安次富 修君

  山本 明彦君     吉野 正芳君

  吉川 貴盛君     御法川信英君

  細野 豪志君     田村 謙治君

  柚木 道義君     石川 知裕君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     野田  毅君

  井上 信治君     谷川 弥一君

  杉田 元司君     近藤三津枝君

  御法川信英君     吉川 貴盛君

  吉野 正芳君     山本 明彦君

  石川 知裕君     柚木 道義君

  田村 謙治君     細野 豪志君

    ―――――――――――――

五月十日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として原子力委員会委員長近藤駿介君及び原子力安全委員会委員長鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として外務省大臣官房審議官木寺昌人君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、文部科学省大臣官房審議官村田貴司君、資源エネルギー庁長官望月晴文君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長舟木隆君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長広瀬研吉君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官薦田康久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。

赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 本件につきましては、一昨日の当委員会におきましても質疑が行われたところでございますけれども、まず冒頭、改めまして経済産業大臣に、今現状、日本が資源が乏しくて核燃料サイクルを実現する必要性というのが大変あるというのは当然の御認識だと思いますが、核燃料サイクルを推進していく方針並びに御決意について確認をさせていただきたいと思います。

甘利国務大臣 御案内のとおり、原子力発電というものは、一度燃料を装てんしますと、他の電源と違って頻繁に装てんし続ける必要がない、年単位でそのまま動くわけであります。ですから、極めて燃料供給遮断に対して強い電源であります。加えて、再処理をしますと、つまり、従来捨てていた部分をさらに燃料として再利用できる、高速増殖炉まで至ることができれば、従来の燃料を六十倍に使うということが可能になるわけでありまして、そういう点から準国産エネルギーというふうに呼ばれているわけであります。

 加えて、近年は、原子力発電が、建設時はともかくとして、運転時にCO2がゼロであるということから、地球温暖化に対して極めて有効なエネルギー源という評価が出てまいりました。つまり、エネルギーの安全保障と地球温暖化防止の二つを同時に実現させることができる電源であるという評価であります。

 ことしの三月に閣議決定をいたしましたエネルギー基本計画におきましても、国の方針として核燃料サイクルを推進するということが決められているわけであります。もちろん、原子力発電というものは安全の確保というのがすべての前提にあります。この安全確保を大前提として、国民の皆様の御理解と御協力を得つつ、核燃料サイクルを含む原子力の推進に着実に取り組んでまいります。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 今の大臣の御答弁にもありましたような状況の中で、やはり世界的にも原子力回帰の流れがある、当然そういった流れの中で、ウランの資源の獲得競争が激化しているという現状下があると思います。

 こういった資源獲得競争に関する我が国のそれこそ大方針というか大戦略が問われているというふうに思うわけでございますが、そういった状況の中で、今回、甘利大臣が民間の経済人を同行されての中央アジアの御訪問というのは、私はまさにタイムリーな御出張だというふうに思っております。今回、大変タイトなスケジュールの御出張だったと思いますが、実り多かったというマスコミ報道もございます。大臣御自身から出張についての御報告を簡単にいただければと思います。

甘利国務大臣 ウラン価格は、この七年、二〇〇〇年から二〇〇七年を比較しますと十六倍に価格が上がりました。それこそ数年前まで、ウランは幾らでもあるし、核兵器を解体した高濃度ウランを薄めていけば幾らでも使えるし、再処理・リサイクル政策をする必要すらないのではないかという意見も実はありました。

 しかしながら、解体兵器のウランがほぼ使い終わって、そして原子力発電の推進に世界のいろいろな国が方針を切りかえて、アメリカがこれから二十基、三十基つくっていく、中国が二十基あるいは四十基とも言われていますけれども、つくっていく、ロシアが二十基、あるいはアジアでも、そしてフィンランドやイギリスでも原発をつくるという方針が決定をする。世界の流れというのが、エネルギー安全保障と地球温暖化という視点を踏まえて、原子力推進にスイッチを切りかえたわけであります。そこで、極めてウラン資源調達がタイトになってくるということが既に始まっているわけであります。

 私は、かねてから、資源エネルギー戦略を民間任せではなくて国がもっと前へ進めるべきだということを就任時から会見で申し上げてきたわけであります。それを実現すべく、今回、ウズベキスタンそしてカザフスタンを訪問しました。そのときに、政府系政策執行機関とそれから民間企業を同行したわけであります。カザフでいいますと、総勢百五十名の官民合同ミッションを同行したわけであります。

 そこで、いろいろな効果がありました。両方とも親日的な国でありますけれども、両方ともウラン資源を持っている、量の度合いは違いますけれども、ある国でありまして、そこで両方を訪問したものでありますから、両方から、自分たちの国が日本とパートナーになろうという意識をそれぞれいわば競争的に持っていただいたわけでありまして、二国を同時に訪問したということは極めてよかったと思っております。そして、特にカザフスタンでは、民間企業あるいは政府系政策執行機関等々と二十四の契約を結ぶことができました。私と首相との間での覚書も含めますと二十五本になるわけであります。具体的な成果が出たわけであります。

 そして、結論として言えば、今、輸入に占めるカザフスタンからのウランの割合が一%にすぎなかったものを三割から四割を供給するという双方の意思が確認されたわけであります。

 また、日本の強みは、ウランをほぼフルサイクルで技術、施設を持っているということであります。そこで、カザフスタン側の部分的に持っているような能力と両方が一緒になることによって、まさにフルスペックでのウラン資源の活用ができるわけでありまして、そういうところもカザフスタン側にとっての日本と組むメリット、魅力だったというふうに思っております。

 そういうことで、極めて私なりに成果が上がった訪問だったというふうに評価をさせていただいているところでございます。

赤羽委員 私は、甘利経済産業担当大臣の所信表明演説に対する最初の質問のときに、ぜひ官民同行のミッションをしていただいたらどうか、このようなことをかねてから思っておりましたので、御提言させていただきました。

 それを受けてというわけではなかったと思いますが、今回、要するに、エネルギー政策に対して、今大臣の御発言にもありましたように、国が前に出る、国が前に出るという姿勢を明確にすることによって民間も、なかなか民間の出張というのは可能性が相当見えてこないと行きにくいというふうに思います。

 そこは、国がそういう意味では相当前に出て、いろいろな意味で環境を整備するという強い意思が示されるこのミッションには、逆に言うと乗りおくれてはいけないということで多分百五十名もの大型ミッションになったというふうに思っております。時を同じくして安倍総理も官民の同行ミッションもされておりますので、私は、大変よかったのではないか、ぜひ今回随分まかれた種をうまく育てていただきたいというふうにお願いするところでございます。

 冒頭の大臣の御答弁にもございましたが、三月の閣議決定されましたエネルギー基本計画の中にうたわれております原子力立国化、このことを推進しながら核燃料サイクルを実現する上では、最終処分場の確保が大変大きな重要な課題であると認識をしているわけでございます。最終処分場の確保を進める上でも、先ほど御答弁にもありましたように、高レベル放射性廃棄物等の処分の安全確保に関する国民の理解を深めるということが大前提だというふうに、私もそのように思うわけでございます。

 そこで、次の点について伺いたいと思うのです。一つ目には、高レベル放射性廃棄物等の処分場の長期的な安全性についてどのように担保をするのか。口で安全だと言っても、そういったことを信頼たり得るというふうに実感するのはなかなか、国民の中では理解が浸透されていない、こういったことについてどのように担保するのかというのが一つ。もう一点は、今回の法改正におきまして、高レベル放射性廃棄物等の処分に対する規制制度として、現行の低レベルの制度に比べて何が強化されることになるのかということを御説明いただきたいと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 高レベル放射性廃棄物等の処分につきましては、将来にわたって高レベル放射性廃棄物等の漏えいや地下水への汚染により人間環境への影響を生じさせないようにするために、地下深くの安定した地層に埋設し隔離することが重要でございます。

 第一点の高レベル放射性廃棄物等の長期的な安全性の担保につきましては、国は事業許可の際の基本設計段階の安全審査におきまして、廃棄物の収容を、粘土等の人工的なバリアと、埋設する処分地の地層による天然のバリアの組み合わせによる多重バリアにつきまして、長期にわたる放射性物質の深地層への閉じ込め性能等を厳格に審査して確認することといたしております。

 また、処分場の建設、操業段階におきましても、これらが実際の処分場において適切に実現されていることを検査等によって確認することにいたしております。さらに、閉鎖を行う際の段階におきましては、適切に坑道の埋め戻し等が行われるように確認をすることといたしております。

 これらの安全規制により、処分場の長期にわたる安全性を確保することといたしております。

 第二点の高レベル放射性廃棄物等の処分の規制制度は、現行の低レベル放射性廃棄物の処分の規制制度と比較をいたしまして、設計及び工事の方法についての認可、またその性能についての使用前検査、定期検査、さらに処分場の埋め戻しの際の閉鎖措置計画の認可とその確認などの規制を新たに加え、規制を強化することといたしております。

赤羽委員 今の御答弁の中で、処分場の埋め戻しの際の閉鎖措置計画の認可、確認というのはどのようなことをするのか、済みません、ちょっと重ねてになるかもしれませんが、御確認させていただきたいと思います。

広瀬政府参考人 処分場を埋め戻す際には、事業者に閉鎖措置計画を定めさせ、処分場の建設、操業により新たに具体的に得られたさまざまなデータや事業許可以降に得られた最新の知見を踏まえまして、処分場を埋め戻した後に十分な閉じ込め性能を有することになるかどうか等について厳格に審査して認可することといたしております。

 また、実際の埋め戻し作業が閉鎖措置計画に従って適切に行われていることについて、閉鎖の工程ごとに埋め戻し材の材料や施工の状況等を確認することといたしております。

 これらにより、長期的な安全確保に万全を期すことといたしております。

赤羽委員 わかりました。

 次に、前回の委員会でも随分質問が出たわけでございますが、東洋町の町長選挙の結果を通して、少し何点か御質問させていただきたいと思います。

 今回、この町長選の選挙の結果ということで、経済産業省からは最終処分に関する国民の皆さんのまだまだ理解の浸透度の低さということの御答弁があり、私もなかなかこういった状況の中で公募方式というのは、そのメリットというのは非常に認識はするんですが、その難しさというのを改めて感じているわけでございます。

 かといって、最終処分場の確保というのがされなければ核燃料サイクルを実現する上で前に進めることはできないわけであって、やはり手をこまねいているわけにはいかないという認識だというふうに思いますし、当然最終処分法に基づいた処分地選定のプロセスというのは私はタイムリミットがあるものだというふうに認識をしておるわけでございますが、二月二十五日の朝日新聞の記事に、原子力委員会の近藤駿介委員長のコメントとして「技術革新でより有効な処分法が出てくる可能性もあり、建設を急ぐ理由は本質的にはない。ただ、国民の理解を深める努力を続けることが大切」、このような報道がございました。

 この発言が正しいとすると、今大騒ぎをしている最終処分地をめぐる選定というのはそんなに本質的に急ぐものではないのかなというような印象を受けましたが、まずこの御発言の真意と、改めて最終処分場確保の緊急度ということについて、きょうは近藤委員長にもおいでいただいておりますので御本人から御確認をさせていただき、もし補足の必要があれば資源エネルギー庁もしくは原子力保安院の方から御答弁いただきたいと思います。

近藤参考人 お答えいたします。

 この記事にかかわる取材の際に、私は三点。

 第一には、研究開発によって、将来においては同一の発電量に対して必要な高レベル廃棄物処分場の規模を小さくできる核燃料サイクル技術が生まれる可能性はありますと。

 それから第二に、現在は処分場立地の適性を調査することについて応募をいただいているのであって、これから応募があったといたしましても、その適性を評価し、結果として残念ながらそこに建設できないということになることも覚悟するべき、そういうビジネスモデルでありますと。高レベル放射性廃棄物は少なくとも三十年から五十年程度、管理、貯蔵して発熱量がある程度下がってから処分することを念頭に置いて、今から段階的に調査や評価を重ねながら建設に至る工程を組んでいるので、処分場の建設を今すぐ開始しなければならない、そうしないと原子力発電所の運転をとめなきゃならない、そういうように誤解されないことをお願いいたしますと。

 それから三つ目として、国民の皆様に、こういう性質の事業であることを踏まえつつ、調査地点の公募に応募いただけるよう処分事業推進の意義、仕組み、そしてその処分の安全確保の考え方について御理解いただく努力を関係者が着実に行っていくことが重要としたわけでございますが、残念ながら、これをぐっと縮められまして、この三点が正しく伝わらない、誤解されかねないコメントになってしまいましたので、このことについては、事務局より口頭で遺憾の意を伝えたところでございます。

 御指摘のところ、ただいま改正案について御審議いただいています法律は、御高承のとおり、再処理によって発生する高レベル放射性廃棄物は、一定の期間冷却して、処分可能な発熱量になったところで順次地層処分することが合理的である、そういう前提で、この円滑な実施に向けて取り組むことが現世代の責任であるとして、それに要する費用も既に電気料金を通じてお支払いいただく、そういう制度とセットでこの取り組みのあり方を決めたものでございます。

 もとより、地下三百メートルより深い地層に半減期の長い放射能を有する廃棄物を処分する事業ですから、安全性、信頼性、そして経済性を確保する観点から、最新の科学的知見を取り入れる柔軟性がこの事業には極めて重要であります。

 この点から、いろいろ考えまして、当面は、安全審査と建設に約十年程度、そしてまた安全審査に必要なデータを集めるための精密調査に至る作業をトータルで十五年程度想定するのがよろしかろうということを考えたわけでございますので、その前提となる概要調査地区の選定が速やかに行われることが現世代の責任を果たす観点から重要であります。

 したがって、これは国、NUMO、それから電気事業者に全力を尽くして着実に推進していただくべきものであると考え、原子力委員会は、この基本的考え方に基づいて、関係者に対して、これまでの理解活動や、その経緯、経験の分析を多方面から行って、それに基づいてそれぞれの取り組みの改良、改善を行っていくことを求めてまいる所存でございます。

望月政府参考人 私の方からは特段、今の近藤委員長の御説明のとおりだと思いますし、時間のかかる事業ではございますけれども、やらなければいけないことがその間に多々ございますので、できるだけ早期に手続に着手していきたいということでございますので、一生懸命やりたいと思います。

赤羽委員 大変大事なテーマに対する大変大きな、大新聞の報道ですから、やはり正確度を求めるべきだ、口頭で遺憾を伝えるだけではなくて、正式に少しおかしいのではないかということをちゃんと言うべきではないかというふうに私は思っております。

 それで、長い期間のプロセスがあるわけだから、早くプロセスに入らなければいけないということであります。私は、当局としては、腹づもりとしていつまでにやるんだということをしないと、なるべく早くと言ううちはなかなか端緒につけない、本当に相当腹を決めてこの取り組みを、していただいていると思いますが、改めて取り組みを進めていただきたいということが第一点でございます。

 先ほど申し上げました、今回、公募方式というのは、いろいろな検討の中で、国が選定するということではなくて、市町村が手を挙げるということがやはり大事なんだという、そういった思いというかそのメリットというのは十分理解できるんですが、今の状況ですと、なかなかこの公募に応じる市町村がみずから手を挙げて出てくるというのは、一つも出てこない可能性もあるのではないかという危険性というか心配をするわけであります。

 市町村が手を挙げやすいような環境をつくる、安心して応募できるような環境づくりを目指す。それは、受け身ではなくて積極的に、効果的な新たな取り組みを進めるべきではないか、私はそう思うわけでございます。

 まず第一点として、今回、東洋町の町長選挙を通じて、昨年八月から現地に入って説明を展開したということでございますけれども、役所の説明を聞いていますと、自分たちはちゃんとやったんだ、こう言うんだけれども、私たち政治家からすると、では、何で選挙で負けたんだという話なんですよ。何の説明をしていたんだと。要するに、役所の説明より住民の、素人の人たちの方が説得力があったんじゃないか。やはり主張の正義というのは勝たなければ証明されないというのが我々政治家の感覚であって、こんなことをやっていたら何にも進まないんじゃないかということを心配するんですが、この一連の中でどんな教訓を得たのか、まず御確認をさせていただきたいと思います。

高木大臣政務官 今回の東洋町の選挙結果につきましては、地層処分の安全性や選定の手続等に関しまして、町民の方々に十分な御理解をいただくための取り組みが足りなかったということが原因の一つであると受けとめております。

 候補地の選定を進めるためには、御理解を深めていただくための的確な情報提供が十分に行われるかどうかということが重要でございます。やはり、これは国が積極的に出ていきまして、今後、現地で顔の見える広報活動を進めていくなど、御理解促進のための一層の取り組みの強化が必要であると考えております。

 本委員会におきましても、学校教育の連携強化などを含めまして、委員の皆様から御指摘をいただいたことを踏まえまして、準備が整い次第、五月中にも総合資源エネルギー調査会原子力部会放射性廃棄物小委員会を開きまして、検討を開始したいと考えております。

赤羽委員 この取り組みというのは、短期的な取り組みと中長期的な取り組みというのは別建てとしてあるんじゃないか。学校教育というのは国民の理解を深く浸透していくという意味では大事だというふうに思いますが、ちょっと言葉は難しいんですけれども、余りきれいごとでやっていないで、もう少ししっかりと進めていくということを何点か提案したいんです。

 今回、東洋町において、橋本県知事が、公募はまやかしで交付金でつろうとしているのは明らかだ、これも二月二十五日の朝日新聞の記事なんで正しいかどうかわかりませんけれども、知事が反対の発言をしていたというのはそれは多分明らかであって、こういった知事の発言が町民の大きな判断材料になったということは、私は影響が大きかったというふうに思うんですね。

 いずれにしても、このスキームは概要調査に入る前の段階で知事の意見を聞くことになっているわけですから、知事の理解を得られなければこのスキームは成り立たないんだというふうに思うわけです。

 ですから、今考えますと、都道府県条例とか市町村条例の段階でうちのところには入れさせないというようなことを言っている都道府県もあるわけですから、それは歴史的な経緯としていろいろなことがあるのは私も理解できますけれども、これはやはり国益に資するんだということをしっかりと役所として訴えて、まず都道府県知事会のレベルからしっかり理解していただく。国民の理解なんていいながら、一億人の国民の理解を得る前に四十七人の都道府県知事の理解も得られないんだったら、話なんか進むわけがないんですよ。知事のところの理解を得なくて市町村長なんかに行くと、過疎地域を交付金でつっているんじゃないか、こういう話になっていっちゃうんで、やはり都道府県知事からしっかりと理解を深めていただく。

 そして、都道府県条例の中で、何か私は随分虫がいいなと思うんですけれども、自分たちの発電所を抱えながら、その最終処分物は自分のところはだめだよなんというのは、歴史の経緯があったとしても、もう少しその辺は是正していただくような努力がまず必要なんではないかと思いますが、この点について、取り組み方はどうでしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 赤羽先生にまた言いわけを言うのかと言われてしまってはいかぬのですが、まず、事実の方だけ申し上げますと、各都道府県がきちっとした理解のもとに私どもの事業にある意味ではぜひ支援をしていただきたい、協力をしていただきたいということが、こういう地域における大事業をする場合の原点であろうと思いますので、そういった観点から、実は昨年七月以降、各都道府県を順次回りまして、地道な説明をやってきていることは事実でございます。現時点で約三十弱の都道府県でじっくりお話はさせていただいているわけでございます。

 ただ、私どもも、確かに事務的な説明をまずしていって、きちっと理解をしていただく、こういうことから始めておりますので、言ってみれば本事業の政治的な影響とか社会的な影響、そういうものについて知事さんが十分な御判断を的確にしていただくための活動として、今、都道府県と私どものつき合いが十分であったかどうかということについては、我々としてもじっくり反省をして考えなきゃいけないと思っております。

 御指摘の、例えば全国知事会などのような場で、公のところで大きくこれを申し上げるのがいいのか、あるいはもう少しひざ詰めでやったらいいのか、いろいろな方法はあろうかと思います。先日来、資源エネルギー調査会の小委員会で検討を開始するということも申し上げましたけれども、それと同時に、私どもなりに、やはりこういう政治、社会情勢の中でどういう運動をすることが必要なのかというのを幅広く検討もしていきたいし、御指導も賜りたいと思います。

赤羽委員 都道府県知事もそれぞれ自分たちの選挙を抱えていてなかなか難しい構造にあるので、どこかでブレークスルーしなきゃいけないんですね。それは、私はまず隗より始めよというところじゃないかと思うんですよ、行き着くところは。

 ですから、私、最後に御提案したいのは、国有地の有効利用というのを今ずっと進めているわけですね。未利用のところとか、結構あるんだと思うんです。まず国有地でみずからやるということを高らかに宣言して、そこで安全なんだということでやらないと、安全だ安全だと言っていると、そんなに安全だったら一番消費量が多い大都市でやればいいじゃないかと、当然そういう話になるわけで、だから、そういったことを払拭させようとするのであれば、私は、まずそういった国有地から、何か広大なところもあるでしょうから、選定するようなことも含めて、やはり積極的に、経済産業省として腹を据えて取り組みを始めたなということが伝わるような取り組みをお願いしたいと思うんですが、大臣、簡単に、御決意をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 広大な国有地もどこかあるんだと思いますが、その場合にも、その地域の理解は得なければなりません。それは大前提でありますが、いずれにいたしましても、先ほど来の万般にわたる御指摘を踏まえまして、さらにこの政策が加速できるように、反省すべき点はしっかりと反省をして対応していきたいというふうに思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございました。終わります。

上田委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案について質問をさせていただきます。

 ただいま赤羽委員からもるる御指摘がございましたけれども、この法律案の実質的な質疑に入る前に、甘利大臣に関して、二点私は申し上げさせていただきたいと思います。

 一つは、赤羽さんからもお話ございましたが、このたびのカザフスタンのウラン調達調印に関してでございますが、この問題は、私は党派の立場を超えて非常に評価したいと考えております。

 それは、日本のエネルギーの一番の問題点というのは何かというと、いわゆるエネルギー源が非常に希薄であるということで、こういう立場からすれば、今回、勇気を持って甘利大臣がカザフスタンを訪れて、ウランの日本の調達の三〇%という話でありましょうか、これを長期的に契約といいますか、調達を調印した。このことについては、冒頭に申し上げましたように、党派の立場を超えて率直に評価をしたいと思うところであります。

 もう一つは、これは残念ながら政府の詰めの甘さということで指摘をしなければなりません。

 今、赤羽委員からもお話ございましたが、放射性廃棄物の最終処分地を決めるに当たって、東洋町のこの件についてはまことに残念なことになりました。

 それも、ただいまからちょっと何点か申し上げさせていただきますが、この件については、政府の方の意見を聞くというよりも、原子力委員長と原子力安全委員長にも来ていただいていますので、私自身がこれは余りにもおかしいんじゃないかと思うことを、選挙のときに配られた、このことについては近藤委員からもお話がありましたが、これをちょっと読み上げさせていただきますので、率直に専門家の立場から、これはどうなんだということを御指摘いただきたい。もしも誤った情報をもとに選挙が行われて結果が出たとすれば、これは民主主義政治が否定されることなんです。ですから指摘をさせていただきたいんです。

 一つは、「その物体」、持ち込まれる物体「は五百度近い高温であり八万本もの集中貯蔵では地下での高温高圧状態によっていつ自然爆発事故が起こるか分かりません。」「地層の断裂、地下施設の挫滅によって地球歴史上最大規模の核暴走事故が引き起こる可能性があります。」こういう文書が配られて、「東洋町に死の灰はいらない!」という、非常にわかりやすいPRがされたわけであります。

 特に、陳情の部分に行きますと、「現在青森県」「に収容されているこの核廃棄物キャニスターを東洋町に搬送するのは陸上でも海上経由でもきわめて危険です。数十年から五十年間の搬送・荷揚げ・埋設作業が続く間私たちはどこに避難しておればよいのでしょうか。」というような指摘がございますが、ここら辺、事実関係を原子力安全委員長と原子力委員長、お二人に少しお伺いしたいと思います。

近藤参考人 お答えいたします。

 まず、そのチラシの内容の事実関係でございますが、処分される高レベル放射性廃棄物は、使用済み燃料の再処理により発生する廃液を溶融しているガラスに注ぎ込みまして、この溶融ガラスをキャニスターと呼ばれるステンレス製の円筒状容器に注いで冷却して固化したもの、固体としたものを三十年から五十年程度冷却、貯蔵したものを処分するということでございます。

 このガラス固化体は、既に、茨城県東海村にある再処理施設でも製造、保管されていることや、それから、青森県六ケ所村の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターには海外から返還されたものが平成七年から安全に貯蔵されていることを申し上げるまでもなく、この性状からして、固化体から放射性物質が飛散するというようなことはありません。

 また、貯蔵、冷却されたガラス固化体は、埋設された状態での表面温度が大体摂氏百度ぐらいになる程度の発熱量になったところで、作業員の放射線安全にも配慮したキャスクと呼ばれる輸送容器に収納されて処分施設に搬入されるわけでございます。このガラス固化体の輸送や埋設などの作業は厳格な安全規制のもとで行われるわけでございまして、地元の方の避難が必要な姿はとらないことになっております。

 このことに関しては、我が国でも既に、海外から返還されたガラス固化体約千三百本について、海上輸送、そして短い距離ですけれども陸上輸送も既に十二回もなされているわけでございまして、そういう実態をごらんになっていただければ、その表現は極めて不適切ということだと思います。

 最後に、現在のところ、処分場にはガラス固化体四万本以上処分することを想定してございますけれども、このガラス固化体は、一本一本、オーバーパックと呼ばれる金属製の容器に入れまして、周りを緩衝材の働きをする粘土で囲った上で、三百メートル以深の安定した地層に適当な離隔距離を置いて埋設していくということでございます。

 したがって、この状態のガラス固化体は、言ってみれば、現在冷却のために地上施設で保管されている状態と、ガラスから見ますと状態は変わらないわけでございまして、そういう意味で、物理的に考えても、ガラス固化体の貯蔵施設においてこの固化体の爆発が想定されていないように、これが爆発するとの記述は不適切と考えます。

鈴木参考人 大畠先生お尋ねの件についてお答え申し上げます。

 ここに書かれていることにつきまして、厳密にこれを評価するのはいろいろな仮定を置かなきゃいけなくて、やや込み入ってまいりますので、概数で申し上げることをお許しいただきたいと思うのですが、まず第一に、ここで「死の灰」と言っているものは、恐らく我々がいう核分裂生成物というものではないかと思います。これがエネルギーのもとになっていることは間違いないわけでございます。しかし、ここで、エネルギーが発生するもとである核分裂生成物が発生した時点で、つまり分裂現象を起こした直後で放射能を比較したのがここに書かれているようなことと思われます。

 ただ、重要なことは、ガラスの固化体にするまでには、原子炉でこういうものができてから、しばらく貯蔵し、その後ガラス状に固めて、さらにそれをある一定期間貯蔵した上、処分場が、場所が決まればそこに持ち込む、こういうプロセスを経ますので、その間に、いわゆる自然に放射能は減衰してまいります。そのことをまず最初にこのチラシとの関係でいえば考慮する必要があって、例えば、チェルノブイリの原発の死の灰の一千倍なんという表現がございますが、チェルノブイリの事故においても、原子炉にあったものがそのまま、約数パーセントから、多いものでは、ガス状のものは大部分が出たと言われていますが、そういう冷やす前の状態のものが出ていますので、これと比較する場合にも、ガラスに固められたものと比較する場合には、貯蔵期間を考慮しますと、最低数十年後の放射能で比較することが適当だ、こういうふうに思います。

 そういたしますと、私どもが大体おおよそ理解しておりますのは、数十年で少なくとも百分の一くらいには減っているだろう、こう思います。ですから、ここで言われた数字は、大ざっぱに言うと、まず百分の一ぐらいのものだと思っていただく必要があろうかなと。

 さらに、実際、処分をする場合には、ガラスに固めまして地下にそれを埋めておくわけですが、私どもは、やはりこれは潜在的な危険性が非常に高いものと思っておりまして、したがって、長期にこれをきちんと保管してもらうということが重要だと考えております。例えば、さらに千年ぐらいの保管期間を考えますと、恐らくさらに千分の一ぐらいには減るんだろう、こう思っています。したがいまして、この数字は、さらにそれの千分の一ぐらいのもの、こう思っていただけたらよろしいかと思います。

 次に、輸送の問題でありますが、これは今原子力委員会の近藤委員長からもお話がございましたので特に申し上げることはございませんけれども、この点につきましては、ガラスに固めてありますので、ガラスは高温になりますと溶けますから、溶けて流体化し外部に漏れやすくなるというようなことがないようにするために冷却する。ただ、冷却も、これは長期の冷却になりますので、何か動力源を使って冷却するというよりは、自然の対流効果を使って、冷却材、空気なら空気が自然に流れるような形に設備あるいは埋め方を設計いたしまして、そういうことで、高温になってガラスが溶けるというようなことがないようにするというのが基本だ、こういうふうに考えております。

 それから、爆発が起きる、起きないというのは、例えば原爆との関連でいえば大いに一般の方々はそういうことが心配なんだと思いますけれども、これは、エネルギーを発生する源が、原爆であるとかあるいは原子炉の中の状態に比べますと、極端に少ないといいますか、ほとんどないと言ってもいい状態ですから、そういうことは一般には考えなくてよろしいのではないか、そんなふうに思います。

 以上でございます。

大畠委員 今のお話を伺いますと、どうもこれは事実とは異なることが列記されておりまして、発行責任者が沢山保太郎さんという今回当選された方でありますが、私たち、選挙で選ばれたときに、経歴詐称なんというのは無効になっちゃうんですね。したがって、事実と違うことを書いて、それを有権者に配って、それをベースに当選するとすれば、これはまさにゆゆしきことであるし、政府の方が広報してきた広報してきたと言うけれども、こういう文書が有権者に配られて、事実と異なるようなことが配られて、それが選挙結果を左右するとすれば、これは民主主義でも何でもないんですよ。

 したがって、私は、これは甘利大臣の管轄なのかどうかもわかりませんが、このことについては政府内部で大いに反省していただいて、もうちょっとわかりやすい、あるいは、こういう事実と違うときにはきちっと、新たなものをやるとか何らかの対策をしないと、どこで手を挙げたって、同じような文書が配られたら、私だってこれを見たら、こんなことが事実だったら反対しようという話になっちゃいますよ。

 だから、私は、ここで申し上げたいことは何かというと、その町民の方とか、ここは人口三千人ぐらいの町だったですかね、そういうところを何とかしようと、その人たちだけを考えて広報しようというような拙速な話をしているからこんな話になっちゃうんで、一億二千万の国民に事実をきちっと知らせる、そしてその中から着実に最終処分地を選定しよう、そういうもうちょっとじっくりと構えた長期戦略でいかないと、どこにやったってこのような戦略では全部つぶされちゃうと私は思うんですね。

 ですから、そこについては、再度政府の方にも、改めてこのことについては体制を立て直すことが必要だということを冒頭に申し上げさせていただきたいと思うんです。

 そこで、甘利大臣にお伺いしますが、この法案の内容は、イギリスから返還されるものを七年前に制定された法律の一部に加えようという内容ですから、この改正内容については私自身は異議ありません。

 しかしながら、最終処分地決定に至る手順等については、余りにも幼稚過ぎるんですね。だから、今回の件については、赤羽委員からも指摘がございましたし、近藤委員を初め他の委員の皆さんからも御指摘がありましたが、お金で何とかつろうみたいなこそくな手段を用いないで、もっとじっくりと一億二千万の国民の皆さんにも理解いただく、知事さんにまず理解してもらわなきゃならないんじゃないかという赤羽さんからお話ありましたが、もっともなことなんです。

 私もこの七年前の法制定のときに質疑に立たせていただきましたが、知事さんが反対し、地元の首長さんが反対するところには、国はごり押ししないということは委員会の中でも明らかなんですね。したがって、この東洋町の場合には、もう最初から環境的にはほとんど適してはなかったような感じもするんです。

 甘利大臣にお伺いしたいのは、諸外国も同じような形で、最終処分地を決定するに当たって非常に慎重にやって進めているんですが、諸外国の事例と、日本の、どういう形で今回のような手順が決まってしまったのか、そして、これを反省しながら、どういう形で今後進めようとしているのか、このことについて、甘利大臣の御見解を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 諸外国でもいろいろと苦労はしておりまして、いろいろと努力の末に決定したところ、進行中のところがあります。

 具体的に申し上げますと、まず、フィンランドでは、実施主体は民間会社であります。民間会社が全国的な調査と段階的な絞り込みを行いまして、地元合意と国会承認を経まして、二〇〇一年にオルキルオトという場所に処分地が決定をいたしました。

 米国では、実施主体は連邦政府、国であります。国が、エネルギー省が全国規模の調査から絞り込みを行う。そして、二〇〇二年にユッカマウンテンに処分地を決定したわけであります。これに対しましては、地元でありますネバダ州知事から反対がありました。ありましたが、最終的に連邦議会によりまして立地が承認をされたわけであります。現在、より長期の安全性を確保するために、連邦政府が安全基準の見直しなどを進めているところであると承知をしております。

 一方、スウェーデンでは、実施主体は民間会社であります。フィンランドと同じようですね、民間会社が調査地点を選定しまして、調査を開始しました。しかしながら、やはり反対運動を受けました。このために、今度は公募方式と申し入れを両方併用して行いまして、複数地点での調査を経て、現在二つの地点での調査を実施しているところであると承知をしております。

 フランスでいいますと、商工業的行政法人というんですから独法みたいな感じですかね、これが実施主体でありますが、複数地点を選定しまして、これは公募ではなく選定したわけですね、調査を進めるということをしたところ、やはり激しい反対運動が生じまして、調査を中断いたしました。そこで、今度は公募方式に切りかえまして、公募方式によりまして、まず先行的に地下研究施設を立地させることとしまして、公募の結果、ビュールというところに研究施設が建設をされて、現在、調査が進められているというところであります。

 こういうふうに世界を見てみますと、処分地選定に向けて大変苦労しているのは日本と同じなんでありますが、各国がそれぞれの事情に応じて方法を採用している。国が決めていって了解を得る、あるいは公募をした中から選ぶ、両方の方法があるようであります。いろいろとやはり紆余曲折を経ながら取り組みが進められているということでございます。

 今後、私ども、方針としては、公募方式を選択して、この足らざる部分をしっかりと反省して補強していくという方針でいくということに変わりはありませんが、先ほど来御指摘のように、理解を得て、説明をしたというつもりでも、一方的に情報を提供したのであって、相手が納得をしたわけではないでしょう等々、いろいろ問題点はあろうかと思います。

 それはなかなか、説明して、わかりました、では、どうぞというぐあいにはいかないことはよく承知をしておりますが、いろいろな、今回の事実と違う宣伝も踏まえて、こんな宣伝がありますけれども、これはこういう点で科学的な点から全く根拠がありませんとか、そういうことも、具体事例も含めて、それが事実ではないということを示していながら、学者でなくともしっかりすとんと入るという説明の仕方をいろいろと工夫していきたいというふうに思っております。

大畠委員 学者じゃなくても理解できるように工夫していきたいというお話がございましたが、私もそのとおりだと思うんですね。安全というものは、いわゆる安心というものと背中合わせみたいな感じですが、両方ないと信頼できないんですね。

 そこで、私は前にも御指摘をさせていただきましたが、フランスで一九九一年にバタイユ法ができて、十五年間かけて、一兆円投入して、使用済み燃料の処理処分の研究と、それから国民に対する理解を進めるための施設をつくったんですね。目で見たりさわってみたりすると安心するんですよ、ああ、こんなものなのかと。

 例えば、直径が一メーターぐらいの、厚さが十一センチある、マンホールみたいなものですね、大きな鋼管、二十メーターぐらいですが、それがずらっと格納容器みたいな、体育館みたいなところで並んでいて、そこでガラス固化体の保管ですとかあるいは使用済み燃料の保管ですとか、そういう研究をしているところを一般の国民が見られるようになっているんです。

 そして、こういう形で研究者がやっていて、研究者もちゃんと来た人には説明するんですね。たたいてみると、日本の場合には時々プラスチック板なんかでつくって、モデルですがというのでコンコンとやると軽い音がしたりなんかするんですが、これは本物の鋼管を使っていますから、ああ、こんなものでつくっているのかと。その周りには粘土があって、それから岩盤の中に入りますと。これだったら最低でも数百年は大丈夫だろうなという安心感を持てる施設を持っているんですね。日本の場合どうかというと、そういうところがないんですね。

 私は、今回の公募方式は公募方式としながらも、最終処分地というのはこういうところなんです、こんな研究しているんです、そして、こんな装置の中にガラス固化体とか使用済み燃料を入れますからというような実物の、実際のものを、国民の皆さんに理解してもらうように、五億円でとか二十億円でどうのこうのじゃなくて、もっと予算を投入しないと、七年前の法案のときはたしか、二〇二〇年までに最終処分地を決定して、二〇三〇年まで十年かけて建設をして、二〇三〇年からいよいよ放射性廃棄物を埋設しますという計画で法案ができたはずなんです。しかし、その後どうかというと、どうも六十名そこそこのNUMOというところに任せ切りで、どうも安易な形で、お金で候補地を選定するというところにみんな押しつけちゃった感じがするんですね。

 私は、もう一回、甘利大臣はよくエネルギー問題は御存じですので、経済産業省、国が主体となって、国民一億二千万人みんながわかる、あるいは、少なくたって四十七都道府県の知事はそこに来てもらって、こういう形でやるんですからということで県民の皆さんにきちっと知事としても説明できるし、自分自身も理解してください、そういう形でもう一度国が再構築をして最終処分地を選定するような体制をつくらなければ、手を挙げるたびにこのチラシがまかれて、町長さんは落っこっちゃいますよ、これでは。

 だから、こういうお金で何か解決しようとする安易な手段じゃなくて、私は、国を挙げて最終処分地を決定するような環境をつくっていくことが必要だと考えておりますが、この話が一つ。

 それから、赤羽委員からもお話がありましたが、では、最終処分地で放射性廃棄物を埋設したときに、国は百年間保証するんですか、二百年保証するんですか、三百年保証するんですか、あるいは五百年、一千年、一万年、数万年保証するんですかと。そのことを考えると、せいぜい数百年、百年とか二百年だったら私たちもみんなに説明できるけれども、五百年とか一千年保証しますと言ったって、だれもそれは信頼しないだろうと。

 そういうことで、フランスなんかでも、百年とか二百年単位で保管して、そしてその後、状況を見て取り出すこともできるという管理型の埋設方式、そういうものを打ち出し始めているんですが、そこら辺も含めて、どんな形でこれから政府が進めようとしているのか、そのことについてお伺いしたいと思うんです。

舟木政府参考人 お答え申します。

 まず第一点の、高レベル放射性廃棄物の処分についての研究成果をわかりやすい形で広げていくべきだという点につきまして、日本におきましても、昭和五十年代から非常に長きにわたりまして研究開発をやってきておるところでございます。それで、この研究開発の成果は、シンポジウムでありますとかいろいろな形で発信をしてきているところでございます。

 原子力政策大綱にも示されておりますが、研究開発成果を国民、市民の理解へとつなげていく取り組みは研究者の役割として極めて重要であるというふうに認識をしておりまして、引き続き、研究開発の信頼性や品質の確保を高めるとともに、研究成果報告会といったような研究成果の発信に取り組んでいきたいと考えているところでございます。先生御指摘のフランスなんかの例も参考にしながら、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 また、最終処分場につきましてのわかりやすい説明、国が前面に出てきちんとやるということも、政府としましても、重く受けとめまして、検討してまいりたいと思っております。

 それから、フランスのいわゆる管理型処分と先生おっしゃいましたが、フランスが現在進めておりますいわゆる管理型処分と申しますか、可逆性とか回収可能性というふうな言葉も使っているようでございますが、そういう地層処分につきましては、フランスの事情に応じまして、フランスの国民の方々の一般理解を得やすくするための姿勢のあらわれではないかというふうに考えております。

 我が国においてはどうかという点につきまして、埋設から埋設場の閉鎖に至るまでの間は、万が一何らかの不測の事態が生じた場合には、必要に応じていろいろな措置を講じていくことが可能となっております。また、処分場を閉鎖した後におきましても、現在は三百年程度はモニタリングをやっていこうというようなことをNUMOがみずからの事業計画に織り込んでおりまして、国としても、そういう方向で取り組んでいくことが適当であるというふうに考えているところでございます。

 坑道自体の閉鎖につきましては、安全な封じ込めという観点から、やはり埋め戻しは必要であるというふうに考えておりますが、いずれにしましても、今申し上げましたような埋設から閉鎖に至るまでの間のいろいろな必要に応じた措置でありますとか閉鎖後の三百年程度にわたるモニタリング等々で、安全確保には万全を期していきたいと考えております。

大畠委員 今の御答弁は、いわゆる日本における放射性廃棄物の、特に高レベルも含めてですが、管理型に近い形の埋設であって、埋め戻しはしますが、百年、二百年、三百年きちっと管理をして、万が一のときには掘り出せるという意味でのお話だったんでしょうか。もう一度確認させてください。

舟木政府参考人 いわゆる埋め戻し自体は、安全を確保する、すなわち長期間にわたりまして人間の生活環境から隔離をするという意味で、必要な措置だと考えております。

 閉鎖後のモニタリングでございますが、今私どもが想定をしておりますのは、回収することが必要なような事態は起きないであろうということを前提に考えておりますが、ただ、先生御指摘のとおり、万が一モニタリングによって異常な事態が把握をされました場合には、国民の安全が第一でございますので、それを解消するために適切な措置を講じていくということでございます。

大畠委員 私は、最終処分地を受け入れるという地域の首長になった立場で少し聞いているんですね。私が例えば町長だったら、百年間この町で日本のエネルギー政策のために受け入れようじゃないか。そして百年後、また住民の人が投票して、やはりいろいろな経緯から最終処分は困るという判断のときには、いつでも取り出して、また国の方に、新たなところに移転してもらう、そういうことも少し念頭に置いておかないと、町長としては責任が持てないわけですよ、千年も二千年も一万年も。では、受け入れましょうと言ったら、こういうチラシをまかれて、また落っこっちゃいますよ。

 だから、まず、私たちは、国民が理解できるような大規模の本格的なPRといいますか、理解できるような施設と研究体制をしっかりとしいて、六十人体制のNUMOに任せるというんじゃなくて、まさに国を挙げて、この問題について国民全体に理解してもらいながら、百年とか二百年は受け入れようじゃないかということで、町民の人とか住民の人に理解してもらって受け入れる。その前提条件が百年か二百年か、そこら辺を一つのめどにして、万が一のときには取り出すこともできる、そういうことを国の方で方針を転換してもらわないと、埋め戻しちゃったら、後は異常があったときだけ取り出しますなんという形では、なかなか理解は難しいんじゃないかと。

 百年というのも長いんですよ。三百年というのは、近藤さんもこの間言っていましたけれども、徳川三百年ですから。だから、百年単位ぐらいでリサーチして、そして、そのときそのときの住民の皆さんの意見を踏まえながら、万が一というか、そういうときには取り出せる、そういう管理型の埋設方式をやはり国としても真剣に検討しないと、NUMOに任せておいて、五億円、二十億円で候補地を探しても、私はなかなか難しいと思う。みんなが理解できるような方式に、もう一度私は検討し直すべきだと思うんですが、再度ちょっとお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 現在想定しているモニタリングの考え方というものは、先ほど部長が答弁したとおりでございます。

 ただ、三百年間に一体どういう思想というか具体的な手順でモニタリングというものをするのかということについては、そういう意味ではもう少し詳細な検討というのは必要ではないかと私どもは思っておりますので、その中で、埋め戻すことは埋め戻すにしても、モニタリングの結果でどんな事態が生じたらばどうするのかということをもう少し国民の一般の方々にわかるような格好で研究をし、それを御理解いただくというような手順というものを考えていく必要があるというのは私も率直に思いますので、フランス型に直ちにするということをここで軽々に申し上げませんけれども、そういったモニタリングのあり方についてのよりわかりやすい形というのを、想定できるような形というものを明らかにしていくということは必要ではないかと思っております。

大畠委員 やっと少しわかるような話になってきましたね。

 望月長官にちょっとまたもう一つお伺いします。この際、日本も、五億円、二十億円でつるような話じゃなくて、一億二千万の国民、少なくたって四十七都道府県の知事が理解できるような施設を、実際に目で見て触れてみて、こんなものだというものを実感できるような施設を、理解する施設をお金を惜しまないできちっとつくって、もっと国民に、東洋町だって三千人ぐらいの人口だと聞いていますから、実際に見てくれ、こんなものなんだということを見てもらえば、これはまやかしなんだなというのがわかるわけですよ。

 だから、私は、やはりそういうことにエネ庁を挙げてもう取り組まなきゃいかぬ時代じゃないかと思うんですが、そのことについて、もう一度長官にお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 現時点では、先生御存じのように、岐阜県の瑞浪あるいは幌延で研究施設を現実に掘ってやっておりますけれども、そういったものも、完成すれば、できるだけいろいろな方々に、広報にも活用できるような形でしていくというのは非常に大事なことだと思います。

 ただ、そういうところでそういうものを見せればすべてが終わるということでもこれはないようでございます。実は私どものエネルギー政策における広報予算のあり方ということについて、かつても当委員会でも御議論もあったやに私も承知しておりますけれども、現時点で大変限られた予算を割り振っているわけでございます。

 そういった中で、どういうものに集中的に十分な予算を割り当ててきちっとやっていくかということも含めまして考えないと、金に糸目をつけずというのはちょっと国の方はなかなかいきませんので、本当に大事なこういう話について十分な予算を効果的に活用しながら広報していくということも、先ほど来申し上げている小委員会の一つの御意見というのもよく承りながら考えていくということではないかと思います。

大畠委員 以前の委員会でホームページ作成のために三千万円とか一億円という予算を使うのは無駄遣いだと細野議員から指摘されましたが、そういうものにお金を使うんじゃなくて、こういうところにしっかりとした予算をつけることが、いわゆるめり張りをつけた予算づけが私は必要だと思うんです。

 そこで、予算の話が出ましたが、使用済み燃料の処理処分に関する研究は大変重要でありますが、最近、研究の現場の責任者から、予算がどんどん削られちゃって十分な人材が確保できない、こういう話を聞きました。私は、確かに法人関係は、財務省からの指示とか、文部科学省、経済産業省も含めて、一律に独立行政法人の予算を少なくしようという国の背景もわからないわけじゃないんですが、こういう、これから数百年あるいはこれからの日本の国を支えるエネルギーの大変大事な部分についてはもっと配慮すべきだろう。いわゆるメタボリックシンドロームのこういうところを、おなかの余分な脂肪を減らすのと心臓の筋肉をそぐのじゃ大違いなんですよ。

 だから、私はまさに予算はめり張りをつけてやるべきだと思うんですが、最近の傾向を伺いますと、どうもそこら辺が、全体的に縮小しようというので、心臓の筋肉もおなかの脂肪も全部を一緒に落とそうというような傾向があって、非常に現場は困っているという話を聞いておるわけです。

 このことについて、経済産業省と文部科学省と財務省からそれぞれお話をいただきたいと思うんです。

渡辺(博)副大臣 今回の最終処分そしてまた再処理の問題については、大変重要な課題であることは間違いございません。そうした状況の中で、現在、予算がどういう状況であるかということで、御報告をさせていただきます。

 まず、平成十九年度の日本原子力研究開発機構予算として、一般会計の方は八百一億円、エネルギー特会から一千九十六億円、合計で一千八百九十七億円でありまして、対前年の伸び率としましては〇・六でございます。ほとんど伸びていないという状況でございます。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済み燃料を再処理いたしまして、回収されるプルトニウムやウラン等を有効活用するという高速増殖炉サイクルの推進でございますが、これは原子力委員会の原子力政策大綱の基本であると認識してございます。その推進のために、先生が御指摘になられますとおり、使用済み燃料の再処理技術の涵養でございますとか、それから放射性廃棄物の処理処分に関する研究開発の推進が不可欠だと私ども認識しています。

 例えば、個別の事例にはなりますが、日本原子力研究開発機構の東海再処理施設では、軽水炉に関する再処理の技術というものが一応確立したということもございまして、近時は、予算とか従業者、研究者が減少しているという傾向にあるということは否めないわけでございます。しかしながら、今後さらなるこの分野の研究開発をしていくという方針に従うためには、必要な人材を長期的な視点に立って確保していかなきゃならないと肝に銘じているところでございます。

 文科省といたしましても、経済産業省と連携協力しながら、厳しい財政事情の中ではあるんですけれども、原研機構におけるこれらの分野の活動が長期的な視点に立って計画的に推進することができるよう、今後とも必要な措置を講じていきたいと思っています。

 それから、もう一点申し上げさせていただきたいと思いますのは、高速増殖炉サイクルの推進というものが長期にわたる研究開発の活動であるということでございます。未来の優秀な研究者の確保という観点も必要でございますので、若い世代におけるエネルギーとか原子力に関する知識、それから理解の増進のみならず研究者の育成も重要であると認識しております。そのための措置につきましても、経済産業省と協力しながらしっかり取り組んでまいりたいと思います。

江崎大臣政務官 お答え申し上げます。

 原子力の利用に伴い発生した放射性廃棄物の安全な処理処分は、核燃料サイクルを確立する上で大変大きなかぎとなるものでございます。

 こうした認識のもとで、平成十九年度予算につきましては、財務省といたしましても、関係省庁からの要求内容を精査の上で、放射性廃棄物の処理処分に関する研究開発につきまして必要な予算措置をしたところでございます。具体的には、独法であります日本原子力研究開発機構の運営費交付金におきまして、高レベル放射性廃棄物処分技術研究開発費としまして、対前年度九億円増の八十四億円を計上したところでございます。

 今後とも、関係省庁とよく議論いたしまして、選択と集中、めり張りのきいた予算措置ということを徹底してまいりたいと思っております。

大畠委員 江崎財務大臣政務官には、財務省としてはこの件についてはコメントをしなくていいんじゃないですかという事前の話があったんですが、やはりだめだ、財務省が握っているんだからぜひ出てきて発言してほしいというので出てきていただきました。心臓の筋肉は増強しなければなりません。おなかの脂肪は、これはやはり余分なものは削らなきゃなりませんが、まさにそういうところを、現場を見ていただかないとならないのできょう来ていただいたので、その御発言を踏まえて、平成二十年度予算についてはぜひそういうものに配慮した予算編成をするように要請しておきます。

 それでは、結構でございますので、どうぞ。

 最後の質問に入りますが、最後は甘利大臣にお伺いしたいと思うんです。

 原子力研究は、国民の理解と安全第一を基本として、一つは、夢とやはり現実と両方持っていないといけないんですね。最近この十年間、原子力関係については、不幸にしてさまざまな不祥事あるいは事故が起こって、みんな元気がなくなってきています。

 しかし、やはり日本にとってあるいはアジアにとっても原子力政策というのは非常に大事なものなので、甘利大臣から、やはり未来に対する夢を原子力関係者は持てと。これは、国も電力もそれからメーカーも、原子力委員会や原子力安全委員会も、あるいは保安院なんかも含めて、お互いの信頼感を高めながらどうやって未来の展望を切り開くか、ここのところをやはり指し示すのが甘利大臣だと思いますので、信頼回復あるいは原子力政策の関係者を鼓舞する意味でも、最後になりますが、そういう甘利大臣のビジョンをお伺いしたいと思うところであります。

甘利国務大臣 日本のアニメーションの祖と言われる手塚治虫さんの「鉄腕アトム」というのは、まさに原子力が未来を開くという夢を与えてくれたアニメーションでありました。我々は、原子力エネルギーによって夢の未来が描けるという思いを共有したわけであります。

 私の中選挙区時代のある町の町議さん、原さんというんでありますけれども、その方は、その当時、生まれた子供に子力君という名前をつけました。ハラコリキ、原子力という名前でありました。それくらい、子供に夢を託すくらい原子力というのは将来を語れるエネルギーでありました。

 ところが、その後いろいろな問題が生じまして、原子力関係者は厄介なものを抱えながら何とか維持しているというような内向きの思いに至りました。しかし、大畠先生もそうでありますけれども、我々も必ず原子力は未来を開いていくエネルギーだということを信じて、つらい中でも後押しをしてきたわけであります。

 ようやっとここへ来て、実は、エネルギーの安全保障もそうであるけれども、地球環境にとってだって、原子力があらばこそ守れるんではないか。原発二基を設置する、従来型エネルギーのものと原子力発電所を入れかえる。二基入れかえるだけでCO2は日本でいえば一%下がる。つまり、今はプラスまた八%になっていますけれども、一九九〇年比マイナス六%というのは、実は二基で一%分を下げることができるというくらい極めてパワフルな環境貢献型エネルギーなんだということで、自信をしっかり持って安全を大前提に進めていく。そのために原子力立国計画というものを打ち立てて、中長期的にもぶれない政策を行っていく。

 そして、民間任せではなくて、国がまず前へ出る。そして、民間と連携をして、安全はもちろんですが、御指摘のように、安心もかち取っていく。この政策を全力で進めていきたいと思っております。

 先ほど、実際の処分場が体感できるような施設をというお話もありました。それで思い起こすのは、昔、私が政務次官のときだったと思いますが、九州の川内原発を視察しましたときに、たしかあの近所にかなり大きな何分の一スケールの原発のモデルが置いてありました。あれを見て、ああ、こうやって多重防護体制が物理的にもなされているんだなということを実感しまして、見学者が非常に多かったです。あれは原子力発電所の安心をかなり培ったと思います。

 でありますから、いろいろな見学施設の中にできるだけ、実物モデルはとても置けませんけれども、何分の一スケールかで、ガラス固化体とはこうです、それをこういう筒に入れます、この厚さはこのぐらいあります、そして粘土で覆ったものはこれです、これを三百メーターの岩盤のところにこうしますというのが見える化する、これは理屈での安全じゃなくて、やはり体感すると安心だと思いますから、そういう施設ができないものかということをふと先生の御議論で思い起こしまして、民間事業者とも協力してできないものかどうか相談していきたいと思っております。

大畠委員 時間ですから質問を終わりますが、今大臣からお話があったように、体感しないと安心は生まれないんですね。そのことをぜひしっかりやっていただきたいということと、今回も文部科学省、経済産業省、いろいろありますが、やはり国として、エネルギー省ぐらいをきちっとつくって、エネルギーについては責任体制もはっきりとさせた体制をやるということと、甘利大臣からお話があったように、この使用済み燃料の処理処分については国主導でやるということをもっと明確に出していただくことを要望しまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

上田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時一分開議

上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 きょうは、特定放射性廃棄物最終処分法の改正案について質問をいたします。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定方法についてお尋ねをいたします。

 これまでの審議の中でも、今の公募方式はもうやめた方がいいんじゃないかと選定方法の見直しについて多くの意見が出ました。選定方法の抜本的な改定が必要だということは、私ももう疑いようがないというふうに思っています。

 そこで、まず確認でございますが、経済産業省に確認をいたします。御説明をお願いします。

 この処分地の選定につきましては、NUMO、原子力発電環境整備機構がその選定について責任を担っています。これを変更するということは、閣議決定に付された最終処分計画、これを変更しなければならないということなんでしょうか。見直しはどのようにかけられるのか、教えていただきたいと思います。

舟木政府参考人 お答えいたします。

 公募方式につきましては、NUMOが応募要領の中に記載をしておるところでございまして、それに関しましては、経済産業大臣が認可をしているというものでございます。公募方式自体が法律に定められているというものではございません。

三谷委員 ごめんなさい、聞き方が少し悪かったようです。

 NUMO自体が責任を担う、これをやめるということ、変えるとするならば、これはどうなるんでしょうか。

舟木政府参考人 現在の最終処分法に規定がございますのは、NUMOが文献調査を行い、その後の概要調査、精密調査、それから処分場の建設、実際の埋設処分をNUMOが行うというふうに法律で規定をされているわけでございまして、そこのところをNUMOではない主体が行うとすれば、法律改正が必要かと思います。

三谷委員 はい、わかりました。

 先ほどもお話が出ましたけれども、高知県知事がお金をえさにつらないでくれと国にどなり込んでくる、そういう状態、そして、先般の東洋町の町長選挙は、連日、あるいは終わった後も全国的なニュースとして報道をされました。

 この最終処分地の選定について中間法人がその責任を担う、幾ら国が恒久政策で密接に絡むあるいは後ろで責任を持っているといいましても、まさにこういう今の状況では、中間法人がその選定の責任を担う、これは余りに荷が重いのではないかというふうに思います。

 そこで、先にお聞きをいたします。

 この文献調査におきまして、東洋町以外にノミネート、応募をしたところはありますでしょうか。経済産業省、教えてください。

望月政府参考人 お答えいたします。

 いろいろ、そういう希望を内々考えておられるとか、あるいは私どもにお尋ねに来たところというのはもちろんあるわけですけれども、現実に応募をしてこられたというのは、前回の東洋町のケースが初めてでございます。

三谷委員 今の長官のお話のとおり、正式にノミネートをしてきたところは東洋町のみであります。

 今のお話の中にもございましたけれども、ノミネートまでには至らなかったけれども、つまり、相談をしたい、関心を示された、そういう市町村はございますでしょうか。あるいは、幾つぐらいございますでしょうか。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 関心を示されてお問い合わせがあったり、ないしは私どもやNUMOが説明会を開いたりといったようなものは複数箇所ございますが、具体的な地名につきましては、選定過程は非常にいろいろな問題がございますので、公表は差し控えさせていただきたいと思います。

三谷委員 私も、内々聞いておりますのは十カ所程度、市町村で、そういう相談を持ちかけられた、どういう交付金があるのかという相談を持ちかけられた、あるいは尋ねてこられたところがあったというふうに聞いております。

 その中で、難しい質問ではありますけれども、関心を示したその市町村の中で、東洋町はだめになりました、今後、ノミネートしてくれる可能性のありそうな市町村はありますでしょうか。

舟木政府参考人 私どもは、この事業の必要性、安全性等々をよく説明し、できれば複数の市町村から応募を得たいと考えておりますので、今関心を示しておられるところからもぜひ応募をしていただければと考えております。

三谷委員 これは、先ほども申し上げましたけれども、率直に意見を言わせていただきます。

 これまでの審議の中でも、あるいは議論の中でも、交付額、今十億とか二十億とかいうお話でありますけれども、交付額をふやすあるいは見直す、あるいは、これは長官の御答弁の中にもございました、あるいはもっと明確にしていったら、こういう議論、答弁もございました。

 だけれども、私が思うのは、今のこの事態は、少々交付額を、十億を二十億に、二十億を二十五億にふやしたところで、応募をしていただくには大変難しい状況にあるんじゃないかというふうに思います。国民に、もちろん広報という面では正確なところを、そしてその必要性、大臣も答弁の中でもしっかり強調されています、その必要性を理解してもらうために、広報には力を入れなければいけないというふうに思います。だけれども、実際にこの状況で、東洋町のことが大々的に報道をされました、ニュースになりました、手を挙げる自治体が出てくるということはもう考えられないというふうに私は素直に思うんです。どこも手を挙げないんじゃないかというふうに思います。

 先ほどのお話で、関心を示したところは幾つかあったと。幾つかあった。こういう町長選の前だったら、あるいは事態は違うのかもしれません。だけれども、先般のまさに東洋町の町長選挙につきましては、大臣初め、あるいは関係者の方々が指摘をされておられるように、過剰な、そして誤ったプロパガンダがあったということは大変残念なことだというふうには思いますけれども、ただ、結果として、あるいは現実として、この状態で応募をしてくる、そういう勇気のある、ある意味、立派といいますか勇気のある自治体は、多分ないんじゃないかというふうに私は思います。あるいは、こうやって言葉に出せなくても、そのように思っておられる方は多いのではないかというふうに思います。

 では、この状態の中で応募をするところがなかったら、今まででも一つしかないわけですから、東洋町だけですから、ノミネートするところがなかったら、これから先どれぐらい待つことになるのか、今のやり方を変えないならばですよ。もちろん、手を挙げるところが次に出てくるまで永遠に最終処分場の選定を待つ、こういう話はありません。大臣も答弁で言われているとおり、私もそう思います。最終処分場は、原発を始めた以上、避けては通れない課題なんです。必ず探さないといけない、答えを出さざるを得ないんです。

 ということは、もう今の公募方式は、今の現実を考える限り、見直さざるを得ないというふうに思います。見直す考えはおありなのかどうか、経済産業大臣、明確なお考えをお示しください。

甘利国務大臣 私の手元に、この間も答弁しましたけれども、高レベル放射性廃棄物の処分地に関して、決定した、あるいはそういう設置に向けての作業をしているという国が六カ所あります。やはり、どっちの方式でも、こちらから決めて、ここでお願いしたいと申し入れる方式でも、あるいは公募といいますか地元から誘致してくる方式でも、それぞれみんな、やはり苦労しているんですね。

 こちらから申し入れる方式でやったけれども、反対が多くて、逆に、公募してくれという方式に切りかえたというところもあるわけなんですね。そうやって絞り込んでいって進みつつあるというところもありますから。公募方式でなくて、こちらから選定して絞り込んで申し入れるというのはみんなうまくいくのかというと、それで頓挫して、それを逆に反対の方式、日本と同じ方式にしているところもあるわけですから、これはやはり、どちらにせよ、そう簡単にいかないと思うんですね。

 そこで、先ほど来議論になっておりますけれども、やはり安全であるということを科学的に理解してもらうということ、それから、そこを科学的に理解はしたけれども、しかし、心理的にといいますか、なかなか安心ができない、その安心感をどう持ってもらうのかということについてどう努力をするかということなんですね。

 やはり、国も一緒にいろいろなことを、前へ出て説明したり、心配ないですよ、NUMOの後ろ盾にちゃんとなっていますよということを、安心をかち取っていくための手だての一つにする、いろいろあると思います。

 とにかく、今回の事案を振り返ってみれば、手続においても、それから科学的安全性についても間違った情報が流されている。そこに対して、努力はしたけれども、わかりやすい説明になっていなかった、あるいは説明する対象範囲がそれでよかったか等々、いろいろ反省しなきゃならない点はあるわけでありますから、今回、公募方式が頓挫した例の一つとして発生した、では申し入れ方式にといって、それがすぐうまくいくとは思えないんですね。

 ですから、世界じゅうの例を見ても、どちらでも、やはり壁にぶつかって、それを乗り越える努力をして理解を求めているという歴史ですから、我々としては、公募方式ということで決めて進めている以上、どういう努力が足りなかったかという点をしっかり反省して、やるべきことを考えるというのがまず第一だというふうに思っております。

三谷委員 まさに今大臣がお話しになられましたことというのはよくわかるんです。他国の例をいろいろ見ましても、先ほども大臣が御説明をされましたように、半々で、いろいろなやり方がございますね。もちろん、大臣も答弁の中でも言われましたように、私も思いますし、あるいはだれもが思います。自発的に手を挙げていただく、それが一番いい話です。だけれども、私が申し上げておりますのは、前の状況と違いますよということを申し上げております。

 今のこの状況で、あの東洋町の選挙、おっしゃるとおりです、選挙については。もう紛れもないプロパガンダが行われた。よくない話だというふうに思います。だけれども、結果として、現実として、では、これで、今大臣がお話しになられましたように、安全を科学的に理解する、知事さんが、あるいは市長さんが、町長さんが、あるいは住民の方々もそうかもしれません、頭で理解をいただいたとしても、先ほど心理的とおっしゃられましたけれども、ではノミネートしよう、手を挙げようという決断に至るというのは、これはなかなかのことだというふうに思います。

 では、逆にお伺いをしますけれども、一町だけなんですよ、今まで。応募をしたのは一町です。そして、一町のその結果が先般の結果であります。では、どれぐらい待つことになるのか。どれぐらい待って、様子を見て、先ほど大臣言われるようなお考え、やはりこれも難しいから答えは今ないわけですが、だけれども、見直して、新たな答えを出してくるというのは、どういうやり方で、いつその答えを出すんでしょうか。

望月政府参考人 先に実態のところをお答えさせていただきたいと思います。

 我々は、今回のいろいろな反省の上に経験を積んでいかなきゃいけないと思って、東洋町の話をもう少しきちっと分析すべきだと私どもは今感じているわけであります。例えば、有権者で申し上げれば、たった二千人の村の方々が選挙をしたわけでございます。言ってみれば、イエス、ノーの選挙が行われたわけですけれども、そのときに、実際、我々は本当に有権者の方々がこの問題を事実に即して判断するだけの、一人一人の方、二千人の方一人一人の方々に的確な情報をああなる前に伝えられたかということを考えると、大変な反省があるわけでございます。

 それで、リコールから選挙に入りましたときに、その方々に我々自身が、いかなるプロパガンダが行われたとしても、事実とはいえ、あれが争点になっているときに、この問題について我々が一人一人に説いて回るわけにはもはやいかなくなったわけですね、公選法等々ございますものですから。したがって、不十分なプロパガンダがきいてしまったということがあるのが、私個人で見ても非常にあるわけでございます。

 だとすれば、反省すべきは、その前にどれぐらい理解を幅広く、あるいは特定の町にでも伝えられたかという努力の問題について、我々は一番反省があるわけでございます、あんなに政治問題として選挙になる前に。そういった努力がなければ、仮に公募方式であろうが申し入れ方式であろうが、申し入れ方式でも、申し入れに対する受諾という行為が行われれば、その受諾の方はリコールが行われる可能性があるわけでございます。ですから、基本は同じところに実はあって、問題は、一人一人の村民、町民の方々がこの問題に対して本当に理解をしてくれてサポートしてくれるレベルまで我々が広報しないとうまくいかないということだと思いますので、その辺について、我々、一番反省をしたいというふうに思っているわけでございます。

 済みません、有権者の方、三千だそうでございます。申しわけありません。

甘利国務大臣 できるだけ早く総合資源エネルギー調査会の小委員会を立ち上げて、我々がたどってきた道について何が足りないかということをしっかり検証したいと思っております。

 いつまでにという話でありますけれども、なかなか何年何月までにこのめどを立てるということは難しい話でありますが、先ほど来議論が交わされていますように、手を挙げてきた時点で、一人一人の方々がこの施設の安全性やあるいは手続について正しく情報を共有していることが大事。

 それ以前に、ではNUMOとして、あるいは経済産業省として、一般的に、どこの候補地ということではなくて、この最終処分政策についてどう広報をしていくかということについても、もう少しやはり本腰を入れなければならないと思っておりますし、先ほども大畠先生の御質問の最後にお答えをさせていただきましたけれども、科学的安全性というのは、理論的に易しく説明されれば理解はするでしょうけれども、体感的安心感というのは、それではなかなか、体が理解をする、心が理解をするというところまでいかない場合がある。

 できるだけ見学者が来られるような場所に、実際にこういうものなんですと、ガラス固化体を入れる金属物ぐらいは、現物の大きさ、現物そのものじゃないですけれども、スケールは現物と同じぐらいのものを置いてもいいんじゃないのと後でアドバイスもいただきましたけれども、何分の一かのスケールの、そういうモデルを置いて、こういう感じになりますと。

 第一段階として、最終処分高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体としてこういう形状です、これが次にこういう金属の筒に入ります、それがこういう粘土でくるまれます、それがここの三百メーターの安定した地下にこうやって保管されますという手順のモデルみたいなものを置くとか、言葉での説明を超える理解をもらえるような対応をとるということも大事だと思っておりまして、その辺はNUMOやあるいは電事連にも、どういう知恵があるか、あるいはどういう工夫があるか、いろいろと協議をしていきたいというふうに思っております。

三谷委員 ちょっとコメントだけ申し上げます。時間が大分超過をしております。

 先ほどの長官の話はとてもわかるんです。そのとおりだと思います。経験をやはり積み重ねて、しっかりとそれを次の糧にしなければいけない、あるいは、的確な情報を本当に伝えられたか、これも次の糧にしていかなければならない話だと思います。だけれども、再三申し上げているように、あくまでも次にノミネートがあった場合であります。また、大臣からは、できるだけ早く小委員会を立ち上げて検証したいということもございました。

 きょうは時間がもう大分超過をしてしまいましたけれども、最後の質問になりますけれども、どうしても、高速増殖炉、FBRについてお尋ねをいたします。

 先般も、五者協議会の中間論点整理が取りまとめられて公表をされました。まず、今の現況、それから今後の実証炉建設に向けての取り組みについて、経産省並びに文科省からそれぞれ簡潔に、簡潔で結構でございます、状況の説明、今後の取り組みについての説明をお願いいたします。

望月政府参考人 二〇二五年までの実証炉の実現を目指すということで、本年度から文部科学省と共同プロジェクトで本格的な研究開発を開始するということで、両省合計で百三十億円の予算を計上いたしております。

 これより、この開発の責任と権限及びエンジニアリング機能を中核企業一社に集中するという観点から、厳正な手続を経て、本年四月に中核企業を選定いたしました。加えて、実用化研究開発が終了した後、速やかに実証段階に行くために、研究開発の終了を待つことなく、今から実証段階に向けた課題の検討を進めております。

 このため、昨年の七月から、経済産業省、文部科学省、電気事業者、メーカー及び原子力機構の関係五者による協議会を開きまして、実証段階への移行に当たっての課題の検討を行い、先ほど先生御指摘の中間取りまとめを行った上で、この論点を整理し、ロードマップを共有したところでございます。

村田政府参考人 御説明申し上げます。

 今経済産業省から御説明がありましたとおり、昨年来、文部科学省と経済産業省は、一体となってこの問題について取り組んでおります。そういう意味で、プロセスにおきましては、今経済産業省の御説明のとおりでございます。

 ただ、文部科学省といたしましては、この事業を確実に進めていくために、必要な予算を確保するだけではなくて、まず、何といっても「もんじゅ」、「もんじゅ」を運転再開いたしまして、発電プラントとしての信頼性の実証、それから、ナトリウム取り扱い技術の確立を図るということをまず第一義にやっていきたいと思っております。その上で、高速増殖炉サイクルの実用化のための研究開発を経済産業省と一体となってやっていく所存でございます。

三谷委員 甘利大臣にも、詳しい話を申し上げるまでもないと思います。先ほども大畠委員の質疑の最後に、原子力政策の夢を、未来をというような話がございました。事エネルギーの未来を切り開くと申しますか、エネルギーに関して次世代に、まさに次世代に向けて我々が責任を果たせるかどうか、これはFBRサイクルの実用化が実現できるかどうかにかかっていると言っても過言ではないと私は思います。

 ただ、かかる予算は大変膨大であります。来年度そして今年度、先ほど御説明の中に百三十億、文科省、経産省分合わせて百三十億、経産省は新規分でございます。去年から、まさにFBRサイクル実用化に向けて、大変大きな一歩を踏み出したというふうに理解しております。そして、また来年度以降、実用化、実証炉をつくるために、実現をするために百億以上の予算の増額が必要でありますし、また、あるところからは、千億を超える、五年間で約千六百億円、千七百億円、これもまた大変大きな覚悟が必要な話だと思います。

 むしろ、原子力政策に大変理解の深い甘利大臣に、実用化、実現に向けての道筋をきちんとつけていただきたいと思います。その意気込みについて、取り組みについて、お話を最後に聞かせてください。

甘利国務大臣 まさにおっしゃるように、高速増殖炉というのは、ウラン使用、夢のエネルギーであります。燃料を消費している間に、消費した以上の燃料が新しく生まれるという夢のような話。そして、高速増殖炉が完全に完成し、回っていきますと、最終処分地に回すごみの量が圧倒的に減る。しかも、半減期が超長期のものは相当数燃やせる。そうすると、最終処分場の管理年数は四、五百年で済むのではないかという話もある。夢のような話であります。

 これが、夢でなくて、着実に現実に向かって歩み出しているわけであります。二〇五〇年商業炉完成、運転開始を目指して、私としては、あらん限りの努力を投入したいというふうに思っております。

三谷委員 超過をしてしまいました。ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いをいたします。

上田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 大臣、いわゆる最終処分法の問題も含めて、ことしは、ある意味では、エネルギー問題のいろいろな転換かなという思いが実はいたします。三月末にまとめた電力の総点検もそうでありますし、せんだっての委員会でもお話をさせてもらった、電力の小売の自由化の本格的な審議がこれからまたスタートをする。あわせて、大臣が連休中に御出張いただいて成果を得たいわゆる資源外交も、これから国が主とした関与をしながらやっていくということ。

 特に今回の問題も、三法につきましても、私いろいろな方の質疑を通じて聞いている中で、大臣、ちょうど四年前に、東京電力の不祥事の中で原子力発電所がとまったことがございました。その際、当時平沼大臣でありましたが、かなりこの委員会でも議論をさせていただきました。本当のエネルギーの基本的な供給の最終責任はだれにあるのかということも含めてさせていただいたんですが、平成十四年にできたエネルギー政策基本法においても、少なくともエネルギー供給全体の責任というものはやはり国が負う、その責任者は大臣であるという私は認識であります。当時の平沼大臣も、最終的なエネルギー政策の責任はという御答弁はいただいたんですが、なかなかかみ合わなかった部分も実はございました。

 あわせて、今回の最終処分の、東洋町の選挙結果も踏まえて、いろいろな方から御質疑があったように、やはり国がもっときちっとした関与をしていかなければいけないのではないかなということで、実は法案全体も見させていただきました。

 まず、大臣、法案の具体的な中身に入る前に、エネルギー供給、要するに、需要者に対する供給というものは、もちろん電気事業法に基づいて電気事業者でありますが、供給全体の責任というものは、どなたが最終責任を負うというふうにお考えでしょうか。

甘利国務大臣 おっしゃいますように、法律上、供給責任を負うのは、第一義的には電気事業者であります。そして、その電気事業者を所管、監督し、エネルギー政策、電力政策に責任を持っているのは国でありますし、国の担当大臣は私であります。

 でありますから、第一義的には電気事業者が供給責任は負う、そして、その施策を所掌する国の担当大臣たる私が責任を負うということになります。

後藤(斎)委員 大臣、次の部分で、今回のいわゆる最終処分法の問題でありますが、それでは、今の大臣の御発言を踏まえて、この原子力の、特に高レベル放射性廃棄物の最終処分の責任というのは、どなたが最終的な責任をおとりになられるのでしょうか。

甘利国務大臣 最終処分場を設置するということはNUMOがやる仕事であります。しかし、原子力政策全体について国が所掌しているわけでありますから、その後ろ盾として国がしっかりいなければならない。NUMOに任せて傍観するということはできないわけであります。

 政策というのは、すべからく、政府がつくる政策は、一般論として政府が責任を負う。先ほどの電力の供給責任についても、事業者としての責任者は電気事業者でありますが、当然エネルギー政策として政府が全般的な責任を負う。これは何もエネルギー政策にかかわらず、すべからく、政府、国家の政策は、最終的に政府、国家が担っていかなきゃならない。そういう意味で、エネルギー担当大臣が負うと申し上げているわけであります。

 そういう意味では、NUMOが今の枠組みできちんと責任を持ってやっていくわけでありますけれども、原子力政策上、それを国家、政府は傍観するわけにはいかないということであります。

後藤(斎)委員 では大臣、この法案の幾つかの中身、特にまずフレームから入らせていただきたいと思います。

 今回、この三法、最終処分法の一部改正、再処理等積立金法の一部改正、そして原子炉等規制法の一部改正、こういう流れで、いろいろな資料はいただいております。法の組み立てもそういうふうになっているんです。

 大臣、よくよくこれ、もし私の認識が違っていたら後で御指摘いただきたいんですが、原子炉等規制法の中では、今回新たに、高レベル放射性の廃棄物を行う事業者というものを許可制の中身に加えました。ですから、加えたということは、NUMO以外の者も、基本的には、原子炉等規制法の中では事業主体になり得る形だというふうに私は理解をしました。最終処分法の中身は、大臣が先ほどお話をされましたNUMOがこの処分の責任主体であることが法律の中身の規定でもございます。あわせて、積立金の管理をする方が、資金管理センターと称して大臣が指定法人として指定をされています。

 入り口の議論として、原子炉等規制法の中でNUMO以外も事業主体になり得るという規定になっています。それで、実際の最終処分法の中でNUMOしか実質的には事業主体がないという規定になっている。要するに、入り口と出口の議論が、入り口はこう広げておいて、出口の部分では狭めてという。

 多分、平成十二年のときの時代背景を考えると、いろいろ構造改革であるとか規制緩和というか、できるだけたくさんの人に声をかけて、許可基準さえクリアすればいいというふうな流れがあったものの、七年たって基本計画をつくって、それに従ってやっているものが、東洋町の選挙結果で、それが少しかかなりかは別としても、ちょっと計画が、少し軌道修正をいずれせざるを得ないというふうな状況になったというふうに思いますが、この入り口と出口の議論で、入り口の部分では許可要件さえ合えばとりあえず幾つでも結構ですよという実質的中身になっていながら、最終処分法の方では一つのNUMOに限定されている。この入り口と出口の議論、大臣、この全体の枠組みの中でどんなふうにお考えになっていますか。

甘利国務大臣 原子力政策は、毎回申し上げますが、安全の確保が大前提であります。まさにすばらしいエネルギーでありますけれども、その大前提として安全の確保ということがあるわけであります。だとしますと、最終処分地を取り扱う事業者は、相当な原子力に対する知見を有していなければならないというふうに思います。それが国民の安全と安心を培う大前提だと思います。

 そうしてみますと、こういう原子力政策、電気事業政策に相当な知見を有する事業体でないと任すことができないということで、今の結論に至っているのではないかというふうに考えております。

後藤(斎)委員 実質的な部分では、大臣の御発言、多分そのとおりだと現時点で思うんですが、大臣、以前近藤議員が、Jパワー、電源開発の外資、外国法人の所有株式の割合が四〇%を昨年の九月末決算で超えたという話をさせていただきました。

 今回私、では、例えば電気事業者になる方、そして、NUMO以外にも最終処分の事業者の対象になる方が、もし許可要件さえクリアできればいいのかなと考えたときに、もしかしたら違うのかなというふうにいろいろ、ちょっと時間がなかったので余り詳しくは調べなかったんですが、特に大臣がおっしゃった原子力や電気、ガスも含めた安全保障等の調達という部分で、対日直接投資の部分は基本的には規制をされています。

 ただ、これは全体法の規制だけで、例えば航空輸送であるとか放送であるとか鉱業であるとか、特に鉱業法では、日本法人でなければ鉱業権の取得は不可というふうな具体的な個別法の中で規定をしています。しかしながら、電気事業法や、例えば最終処分法であるとか原子炉等規制法の部分では、その事業主体というものが、別にどこの法人でもいい、その明定は何もないわけですね。

 だから、私は、今すぐ大臣がおっしゃるように必要ではないかもしれませんが、これからの法の制度のあり方として、これはOECDの対日投資の何かルールだというふうにお聞きをしていますが、やはり、基本的には安全保障とか一番国民生活、大臣がおっしゃられた部分をきちっと踏まえれば、個別法の中への手当てというものもきちっと入れ込んでいくべきではないかなというふうに思うんですが、その点、大臣ではなくて長官でも結構ですけれども、御答弁お願いします。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 まず、原子炉等規制法という観点から見てみますと、あくまでもここのところは住民の安全を守るということから参入者に対する規制を定めているところでございまして、そういうところで、許可要件にいたしまして、具体的な計画性であるとか、あるいは技術的能力であるとか、それから経理的基礎であるとか、こういうことを確認し、そういう安全を担保するに十分であるかどうかという観点から見ているということで、必ずしも外資系かどうかということを問うているわけではございません。

 ただし、そのかわり、一たん入った者が容易にぱっとやめてしまうとかいう責任放棄ができないように、その中に、仮に事業をやめるとしても、ちゃんと後始末をしなければならないような制度もつくっておりまして、そういう点で、そういう方であっても安全は全うできるようなスキームが整えられている、そういうことでございます。

後藤(斎)委員 今のお答えの部分だと思うんですけれども、ただし、やはりこれは善意の外資とか要するに法人というものを当然前提にしているわけですね。

 ですから、本当にそれを、悪用までではないけれども、一たん出資をし、株主となってその経営を少なくともコントロールし、では実際、廃棄物であるとかいう危険性物質を国の命令、いろいろな罰金規定はありますけれども、そうでない部分にやはり流れてしまうということ、これからの部分としてやはり検討を少なくとも加えていく必要が私はあるのではないかなというふうなことで、今の部分は今の部分でもちろん了とはしますけれども、これからのあり方として、やはり大臣、そういう外資の問題であるとか、善意の第三者である部分をすべてそれでよしとするのかということよりも、少なくとも大臣とおとといお話をさせていただいた、要するに、資源外交も、もともとは石油事業団みたいな、ある意味では通産省に近い形の方がやっていたものを、そうではないという規制緩和の流れの中で民間にゆだね、そして民間だけでやはりできない、しかしながら、中国も含めた諸外国は首脳外交を通じて資源外交をすさまじく熱心にやって、いやいや、これではまずいよというふうに政府、国も経産省も御判断なさって、大臣の御登板ということに多分なったと思うんです。

 ですから、そういうもろもろの外交、海外、その国内のいろいろな問題も含めて、やはりそういう視点も持ちながら、制度は制度として、この法案が通ってからでももちろん結構なんですが、やはりそういう点も含め、大臣、検討していただく必要があると思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

甘利国務大臣 企業買収に対する安全保障の規定というのは、各国でいろいろ違うわけであります。アメリカのように、大枠で網をかぶせて、それから個別にチェックをしていくというのもあれば、業種別に、具体的にネガティブリストで挙げて、これ以外ならいい、これはだめという方式をとっているところもあります。

 日本は、とにかく、いわゆる狭義の安全保障にかかわる部分、それから国民生活の安定にかかわる部分と分けているわけでありますが、電力は、国民生活の安定にかかわる部分で対応して、特定の外国の者が一〇%以上を持つという場合には制約があるわけであります。

 電力を個別指定するか否かというような議論につきましては、基本的に、民間事業者が自由に参入できるように規制緩和がなされているわけであります。IPPもPPSも参加はできるという中で、どう取り扱っていくかという議論に当然なると思いますし、投資の自由化と安全保障との関係というすり合わせも必要だと思います。私は、今の国民生活にかかわるインフラ部分を担当しているものについてのある制約、それでしっかりチェックができるんではないかなと。

 Jパワーの問題は、今、これからどう推移をしていくかということが注目をされているところでありますけれども、今の枠の中で我々は重大な関心を持って見詰めているというところでありますし、あるいは安全保障にかかわる部分に関しても、従来その枠に入っていなかった新しい素材部分とか従来の枠組みから若干外れているものも検討をし直すとか、そういう検討が行われたわけでありますし、余り幅広く投網をかけちゃうと、また投資の不当抑制というようなそしりも免れませんので、今の検討を基本的にはよしとしているところであります。

後藤(斎)委員 大臣の現時点での御見解、お考えはわかりましたけれども、ただ、いろいろな部分がすさまじく急速に動いているという前提も含めて、審議会ではやはり幅広い形でぜひ御意見を交わしていただきたいなという、これは要望であります。

 東洋町の件についてはたくさんの委員の方からも質問が出ていますが、一点だけ私、確認をしていきたい点がございます。

 三月に資源エネルギー庁から、「高知県東洋町の文献調査への応募について」という紙を二枚紙でいただいております。その際に、二月二十八日に、高知県、徳島県議会から文献調査申請を認可しない旨の申し入れというものがこの時点で出ている。県では意思決定をある程度したということであります。その後の選挙戦の結果については、たくさんの議員がしたとおりでありますけれども。

 私、これをつくづく読み、また皆さんのお話を聞いて、多分これは長官自身もう忘れたかもしれませんが、先ほど望月長官が、たった二千人というお言葉を、私は、二千人から三千人に訂正するんではなくて、たったという言葉を訂正してくれるんだと思ったら、そうではない。多分そこに、大臣、私は意識があったんではないかなと。確かにいろいろな御苦労をなさっているのは私は認めます。ただ、それが十分だったかどうかという評価は、結果としては出なかったということだと思います。

 そして、長官は多分無意識に御発言になったかもしれませんが、私、ちょっとお聞きをしたら、やはりそのたったという意識が、もし資源エネルギー庁や大臣も含めてその無意識を持っていたら、私は多分、これから進もうとするものも、そういう意識で地域住民の皆さんの理解を得られるというのはやはり難しいと思うんです。できないと思うんです。むしろ、二千人の方を説得できずに一億二千七百万の国民が理解するわけではないということの部分を前に出しながらやはり事に当たったかどうか。

 長官も何度も、これから東洋町の話はきちっと検証し、これからに生かすというお話をいただいていますが、これは長官じゃなくても結構ですが、大臣、私はやはりそのたったという発言が慢心であると思うんですが、その点についてどう思われますか。

甘利国務大臣 恐らく長官の発言は、要するに、自分たちが反省しているわけです。何万人もいたからできませんでしたと言うなら言いわけになるけれども、二千人、三千人にできなかった怠慢を反省しているという意味に私はとらえたわけでありまして、これしか有権者がいないのにという意味ではなくて、十万人に説得できなかったら、それは物理的に仕方がないとも言えるけれども、できない数じゃないじゃないか、それをやらなかった怠慢を反省しているということだと思います。

後藤(斎)委員 そういうとり方もありますが、そうではないとり方もやはり私はできるように、私の不徳のいたすところかもしれませんが、大臣のように心を広く持つべきだと思うんです。ただ、言いたかったことは、やはり大臣が御答弁いただいたようなスタンスで、これからは、公募であり、そうでない形になるかは別としても、そうしていただきたいということであります。

 これは、先ほどのエネルギー政策基本法の中を踏まえたエネルギー基本計画の部分でも、やはりエネルギー教育というもの、特に、エネルギー教育というのは子供たちがというのがメーンで、小中学校の理科や社会やいろいろな部分で今検討が進められているという話を聞いていますが、実は私、この最終処分の話を高三の娘に、こういうのがあるんだけれどもどう思うと言ったら、お父さん、いいじゃん、いいじゃんというのはいいですよということなんですが、もっと積極的に何でできないの、でもその地域の皆さんのねという話をしたら、それも両方理解はできるんです。もう高校三年だから、国民投票が施行されればいずれ投票権は得るかもしれませんが。

 それはおいておいても、エネルギー教育の重要性というのは、やはりこの十年、二十年、特に、私は今回のこの事業は、後で最後にあれしますが、いろいろな委員会も言っているように、三百年、四百年、千年近い長いスパンの計画であり、これは、事業主体がNUMOが残るか資金管理センターが継続するかは別としても、やはり国という単位で考えなきゃいけないという中で、よく、一番古い会社はどこかというのがクイズでも出たりして、ずっと調べてみました。

 そうしたら、あの法隆寺をつくった金剛組という大阪の会社が、千五百年くらい続いて、去年か資本提携を少し、会社が大変だったのでということで、ただ、会社自体はお残りになっている。見ると、ほとんど明治、特に昭和の戦後終わってからの会社が、今、大体三十年周期で優良企業等が変化をしていくといういろいろな分析もありながら、少なくとも日本で一番古い会社が千五百年。これは本当に超古い。世界のギネスブックが世界一古いというふうにも言われていますが。

 そういう視点で考えるときに、この教育の問題、これについて、やはり文科省も今やっていただいている。そして、それに経産省も含めて協力をしながらいろいろな情報提供をしていろいろな対応をしていますが、このエネルギー教育について、現状と、これからぜひ積極的にもっとしていただきたいんですが、ちょっと時間もありませんので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

渡辺(博)副大臣 後藤委員の御指摘、まことにごもっともでございまして、長期にわたりましてかかわる大変重要な問題でありますから、したがいまして、次世代を担う子供たちにいかに教育をしていくか、大変重要であります。

 経済産業省といたしましては、学校等における原子力を含むエネルギー教育を支援するため、文部科学省と連携をいたしまして、児童生徒を対象とした副読本等の作成、配布、教師向け研修会の開催、エネルギーの専門家による授業等を実施しているところであります。

 具体的に申すならば、児童生徒への支援につきましては、副読本、小学校九万部、中学校六万、高校四万部の実績でございます。また、みずから考え発表する機会の提供ということで作文コンクールを実施してございます。三千六百名の応募の中で二十名ほど優秀な人を表彰してございます。

 また、教職員への支援ということで、指導方法の研究や研修会の開催、補助教材等の提供、それから情報誌の発行などを進めております。とりわけ、エネルギー教育の指導事例としてのイベントとか、そういったさまざまな情報誌の発行を、全国の小学校、中学校、高等学校に送付しておりまして、この情報誌は小学校には二万五千五百校に送付してございます。中学校には一万八百、高校に五千二百五十という具体的なちょっと細かい数字でありますけれども、こういったものを具体的に進めているわけであります。

 また、原子力に対する正確な理解を深めることが重要であることから、原子力発電所の立地地域と電力の消費地で小学生がともに原子力について学ぶ学習会や、次世代層を対象に全国各地で映像、実験装置等を使用した体験型イベント等を実施しているところでございます。

 今後とも、このような事業の効率的、効果的な実施に努めてまいる所存でございます。

後藤(斎)委員 大変ありがとうございます。

 文科省と連携をしながら、ぜひ積極的に、子供たち、また親も含めて、お願いをしたいと思います。

 大臣、もう時間がないんですが、最後に。

 この最終処分法の附則の十条に検討項目が制定をされております。

 十年を経過した、ですから、平成二十二年の時点で、この法律の施行状況を勘案し、必要があると認められるときには、この法律の規定に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるという規定がございます。

 大臣、やはり、今回の一連のいろいろなお話を、私だけではなく、たくさんの委員の方から質問があったように、少なくとも大臣が、最終処分は、国が直接関与している国もあれば、民間がやっている国もあると。確かに、民間がやっている国も、政府の関与とか国会の承認行為がやはり至るところで組み合わさって、国全体でやるという発想になっています。

 指定をしてしまったNUMOだけではないということは、先ほど大臣がお答えいただいたとおりなんですが、やはり、この七年間の評価、これからあと三年ありますけれども、審議会や大臣御自身のいろいろなお考えも含めて、今回委員会でいろいろな意見が出たものを踏まえて、積極的に、先ほどのこの三法の連携の仕方も含めてなんですが、ぜひ国の関与というのを、私は、千五百年か五百年か三百年かは別としても、長期にわたるという、少なくとも大前提というものが国民の皆さんには今まで十分わかっていなかったというふうに思うので、そういうことも含めて、積極的な検討を加えていただきたいと思いますが、最後にその御決意を、大臣、ぜひお願いをいたしたいと思います。

甘利国務大臣 この最終処分事業につきましては、今後とも引き続いて、民間を主体として実施しますが、一方で、国が責任を持って監督と安全規制を行う、後ろ盾にしっかりと国が立つ。なおかつ、この最終処分事業というのを着実に推進していくためには、国として、全国各地における理解活動を推進していくということに今まで以上により積極的に取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

 附則十条のお話がありました。施行から十年が経過した二十二年の時点においてということでありますが、現行法のこの施行状況を勘案して、必要に応じて検討を行いまして、適切な対応をしてまいりたいと思います。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 最終処分法案に関連して質問をいたします。

 最初に、高知県東洋町の文献調査の手続の問題について、先週も議論をさせていただきましたが、それも踏まえて、改めてお聞きしたいと思っております。

 最初に事務方の方に何点か事実関係を確認させていただきたいんですが、経過として、一月二十五日に、東洋町長がNUMOに文献調査の応募をいたしました。その上で、自治体あるいは住民からさまざまな意見が寄せられたわけであります。そういう中に、例えば、二月九日、東洋町の臨時議会で三つの案件が採択をされましたが、一つが応募反対の請願を採択し、応募反対の議会の決議を上げ、それから町長の辞職勧告決議案がいずれも採択をされる。

 これはそのとおりですね。

舟木政府参考人 そのように承知しております。

塩川委員 一月十五日までに町民の皆さんの六〇%を超える反対の署名が出されている。あわせて、周辺市町村の意見表明がどうか。例えば、高知県側の隣接の室戸市、それから北川村、これはそれぞれ、市長、村長、市議会、村議会で反対の意見表明があったと承知をしておりますし、徳島県側の隣接の海陽町も、町長、町議会が反対の表明を行っておりますし、高知県知事の反対表明、それから県議会としての、三月六日付で現状では容認しないという意見書の採択が行われ、徳島県側も、知事、県議会とも反対の意思表示をしている。

 これはそのとおりですね。

舟木政府参考人 そのように承知しております。

塩川委員 これら一連の反対の意見表明というのが、十二月から三月にかけて行われております。一月二十五日の東洋町長の文献調査の応募に対して、経済産業大臣がこの応募認可をしたのは三月二十八日でありました。

 ですから、そういう意味では、周りが全部反対を意見表明する、もちろん住民の皆さんの過半数の反対の署名も出され、町議会としての反対の決議も上がっている。いわば応援団は国だけという中で、町長がなぜ応募をしたのか。私は、やはり率直に、記者会見を含めて当時の町長がおっしゃっておられたのが、一つは国のエネルギー政策に貢献ができるということ、あわせて、町勢浮揚の絶好の機会だ、財政確保の思いだということを述べておられます。しかしながら、住民の皆さんの反対の表明と、それからあわせて周辺自治体からの反対の意思表示の中でも、町長が応募をした理由というのはその二点だと。

 私は、その上でも、特にやはりお金の面というのが極めて大きかった、これは率直に言わざるを得ないと思います。だからこそ、橋本知事などが札束でほおを張るような国のやり方がおかしいという声も上げ、そういう審判を有権者が下したということだと思います。周りがすべて反対をしていても町長だけ賛成なら文献調査の応募の認可をしお金を出すという、この国のやり方がおかしいんだという批判をやはり謙虚に受けとめるべきではありませんか。大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 何度も申し上げていますが、最終処分場をつくるまでには幾つものステップがあるわけであります。そのステップごとに理解を求める手順がある。つまり、地域の方々に判断をしてもらわなきゃならないんですね。

 文献調査というのは、まず文献で資料をそろえますと、この資料をそろえますからその判断の材料にしてくださいという、賛成、反対の判断をするためのいわばお手伝いをしているわけなんですね。今回の選挙でも、事実とかけ離れたような広報ビラがまかれた。それが先ほど来問題にされています。ということは、いろいろ資料、データが足りないんじゃないですか。そういう資料、データをそろえるお手伝いをする。正確な判断をするお手伝いをするということは、次のステップに進む判断が正確にできるようにということですから、間違った情報がインプットされたまま進んでいきなさいということの方がいいとは私は思えません。

塩川委員 事務次官の記者会見でも、誤解に基づく間違った判断という言い方がされておられますから、大臣だけではなくて、経済産業省としてそういうお考えなんだと思います。

 私は、何か誤解があるんだと言うんだけれども、そこはやはり上から物を言っているような、率直な印象を受けるわけであります。大事なことは、理解を促進する、その結果として、住民のコンセンサスなんですよ。コンセンサス、住民合意というのが一番大事なわけで、それは今回の文献調査においてもなかったんだというのが事の経過なんじゃないでしょうか。だとしたら、その時点でそこから先には進めませんねというのが本来の国のとるべき立場だということを率直に思っております。

 それと、事実とかけ離れた広報宣伝というお話がありましたけれども、大臣の言う、私のときにお答えになったあのチラシは十二月の時点のビラでありました。ですから、その後、当然のことながら、地元の方からも、国、NUMOからも反論はされておられるわけですね。そういう中で、大体十数回の説明会なども行っておりますし、ビラを三回全戸配布をする、こういうのは選挙の直前に連続して行っておるわけであります。

 そういう意味では、賛否両論ある中で、有権者の方がみずからの判断で下したのがあの選挙の結果だったということであります。その上での有権者の判断は、やはり誤解に基づくものではないと思うわけであります。

 あわせて、国の出されたチラシを拝見しましても、例えば、四月十二日に行われましたエネルギー講演会、これを踏まえて「お越しになれなかった皆様へ」というチラシを、これは主催が資源エネ庁とNUMOになっておりますけれども、このビラそのものの問い合わせ先はNUMOになっておりますけれども、御一緒になって行われたと思います、チラシを配布しておられます。そういう中で、例えば「四国では中央構造線の南の地域には明確な活断層はない」と書いてありますけれども、それはそのとおりなんでしょうか。

舟木政府参考人 私ども、そのシンポジウム等々におきましても、専門的な学識経験者の方の御意見を聞きながら広報活動を進めているところでございまして、専門的な学識経験者の方によりますれば、今先生おっしゃいましたようなことであるというふうに承知しております。

塩川委員 四国にはずっと上の方に中央構造線が走っておりますから、その南には明確な活断層はない、明確なということが入りますから、推定の活断層があるということは当然前提に置かれて言っておられるのかなと思いました。

 いろいろ調べてみましても、例えば東大出版会の方でまとめております活断層の地図を拝見しましても、ちょうど東洋町の海の向こう、海の中ですね、数キロのところに海底活断層が走っているわけです。ですから、明確に活断層があるじゃないですか。これは、事実に基づかないチラシがまかれているということじゃありませんか。

舟木政府参考人 地質的な条件としまして、陸域では空中写真の判読でございますとか、また、海域では、海上音波探査等に基づいて全国的に調査をされた文献に示されている活断層があるかどうかというのを調査しておるところでございまして、その調査によりますと、私どものパンフレットにございますような結果になっているというところでございます。

塩川委員 皆さんが参考にしておられる資料なんですよ、これは。それで、中央構造線の南に明確に、東洋町の目の前に海底活断層があるとかいてあるんですよ。まさに事実に基づかない宣伝を国が行っているということじゃありませんか。

 私が言いたいのは、東洋町民の立場に立って考えていただきたいということなんです。やはり、東洋町の皆さんにとって、これは高知の皆さん共通でしょうけれども、南海大地震、これへの懸念というのは大変強いわけですね。ですから、いつか起こるかもわからない、百年に一度起こるだろう、震度六強の地震が起こるということが言われている、それに対してどう対応するのか、どう備えるのか、こういう思いが強くある中で、地下の処分というのが本当にいいのかということを真剣に考えておられた結果だと思いますよ。

 こういう不安や疑問にこたえられなかったということであって、その選挙結果を誤解に基づく間違った判断と言うのは納得できるものではありません。

 ですから、大臣、伺いますけれども、十数回の説明会やビラの全戸配布などをやっても、一二〇%安全だという大臣の主張が理解されなかったことを真摯に受けとめるべきで、その選挙結果を、誤解によるものという趣旨の発言というのは有権者に対して失礼ではないでしょうか。ぜひとも撤回をしていただきたい。

舟木政府参考人 先ほどの活断層のお話でございますが、文献調査地区を選びます場合には、その地域の直下に活断層がないことを確認するということでございまして、さらに文献調査によってより詳しいことを調査するわけでございますので、仮に文献調査前に問題がないと判断されておった場合でも、文献調査をやった結果、やはりその直下に活断層があるといったような問題点が出てくれば、それを踏まえまして概要調査に進むかどうかというのを考えるという制度になっておるわけでございます。

甘利国務大臣 最初に、白地の状態で正確な情報が入ってくるということの時点での判断と、最初に、ある情報が刷り込まれる、事実とはかけ離れた情報が刷り込まれる、その後で事実を説明して理解いただけることとの度合いというのは、全然違うと思います。それは、我々はいろいろな場面で経験をしているわけであります。どんなに説明しても、ある情報が完全に刷り込まれた後だと聞く耳を持ってもらえないということだっていっぱいあるわけであります。

 でありますから、本当に白地の状態で、反対する人の考え方、賛成する人の考え方、その理論的根拠、それがきちんと提示されるというのが正しいやり方だというふうに思います。

 純朴な町民にとっておぞましいようなデータがインプットされれば、当然身構えてしまう、幾ら説明してもなかなかその説明を受けとめていただけないという状況は発生するんだと思います。

 私が見ましたそのビラ、あれは十二月のものだったというふうにおっしゃいました、私はいつのものか正確に確認しておりませんが、かなり早い段階じゃないかと。早い段階であればあるほど、そういうまさに有史以来あり得なかったような事態が起きる。岩盤もひびが入り、挫滅という言葉は壊滅するということですかね。だって、そんなことが起きたら、何の施設があろうとなかろうと、その町というのはもつんですかと。この町はそういう町なんですよとおっしゃっているんですよ。それが正しい情報なのかしらというふうに思うのは、私は間違いじゃないと思いますけれども。

塩川委員 マスコミも含めて事実に基づかないようなことが行われていても、選挙の結果は選挙の結果なのであります。それを含めて有権者の判断であるわけで。そういう意味でも、今言った十二月のチラシの配布が早い段階だったから刷り込まれたと。その発想自身が私はおかしいと思いますね。その後だって反論の時間は十分あるんだよという意味で私は言ったんですよ。

 早いという意味でいえば、十二月の前に、NUMOの方でも、国も参加をして住民説明会をやっているじゃないですか、勉強会を、十月、十二月と、このチラシがまかれる前に。そういう説明会、勉強会もある中でこういうチラシも出て、さらにそれに反論することが行われて、そのトータルの中での選挙結果であるわけですから、それが、誤解に基づく判断だということ自身が大問題だ。

 何よりもやはり、先ほども言ったように、南海大地震に対しての懸念の思いが大変強いわけで、やはりあの地域そのものが、海側のプレートが陸側のプレートの下に潜り込む、それで陸地そのものが、付加体と言われるように、削られた部分によって、裁断されたものをぎゅっと圧縮されてつくられたような地形だから、そういう点についての地層上の健康性などについてどうなのかについて、住民の皆さんは十分納得をされておられない。そういうことも含めての判断であるわけで、私は、この判断そのものは、事実誤認のものではない、まさに住民、町民の皆さんの自主的な判断によって生まれたものだ。

 そういう点でも、私は、安全性の問題も含めて、あと、お金のあり方、つまり札束でほおを張るような、そういうやり方が理解されなかったという二重の意味で有権者は判断を下したんだ、このことをしっかりと受けとめるべきだということを申し上げておくものであります。

 その上で、法案の中身についてお尋ねをいたします。

 代替取得のことでお尋ねするわけですが、この法案において、代替取得によって受け入れる高レベル廃棄物、これを排出した国というのは、法案上、イギリスに限定をされているんでしょうか。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の電気事業者は、これまで、イギリス及びフランスに対して再処理を委託してきております。その中で、現時点では、イギリスの再処理事業者のみが代替取得の提案を行っているところでございます。

 したがいまして、代替取得の相手国としては現時点におきましてはイギリスのみを想定して法律の案として提出を申し上げておりますが、法案としましては、それ以外の場合も含め、代替取得により返還された高レベル放射性廃棄物を計画的かつ確実に最終処分することが可能となるように措置をしているところでございます。

塩川委員 法案では限定がないということで、フランスなど、その他の国も対象となるということであります。

 そこで、重ねてお聞きしますが、外国由来の、自国由来以外の高レベル放射性廃棄物を処分のために受け入れている国というのは現在あるんでしょうか。

舟木政府参考人 私どもの方で把握をしておりますのは、例えば、イギリスから今回日本の電気事業者に対して代替取得の提案がなされておるわけでございますが、イギリスの貿易産業省の二〇〇四年に出されております報告書によりますと、イギリスに対して再処理を委託しているほかの国に対しても同様の提案をしているというふうに書いてございまして、提案している中で三分の一は、契約等の形で既に受け入れるという意思を明らかにしているとされておるところでございます。

 それで、残り三分の二でございますが、日本もこの時点では残りに入っております。したがいまして、日本を入れないで、イギリスの代替取得の提案について二〇〇四年の時点で三分の一、これはイギリスが再処理を請け負っている量的なものだと思いますが、三分の一の範囲で、既に代替取得に合意している国がある。すなわち、自分の国ではない、自分の国の使用済み燃料に由来しない高レベル放射性廃棄物を受け入れるという意思表示をしている国があるというふうに承知しております。

塩川委員 量的に三分の一の国が受け入れることを意思表明しているということですが、具体的にはどこですか。

舟木政府参考人 イギリス貿易産業省のレポートには、具体的な国名は公表されておりません。私どもも承知しておりません。

塩川委員 ということは、それが法的な整備まで踏み込んでどの程度進捗しているのかということも、当然のことながら承知をしておられないということですね。具体的に、日本のように法案までつくるというところまで進んでいる国は承知をしていないということですか。

舟木政府参考人 イギリスの貿易産業省の報告書によりますと、日本はこの時点において承諾をしていなかったわけですが、承諾をしていない理由として、日本は国内の法律がそれを受け入れることができるような形で整備をされていないので、日本はまだ承諾していないんですと書いてあるところから考えますと、この承諾をした国というのは、それを受け入れる体制がもう既に構築されている国ではないかと推測しております。

塩川委員 推測であって、確認はしておられないということでありますから、現時点でいえば、この法案が成立をすれば、外国由来の高レベル放射性廃棄物を受け入れる最初の国が日本ということになるわけであります。自国で処分のめどが立っていない、こういう高レベル廃棄物を受け入れるということ自身が、私は、極めて重大だと率直に申し上げておくものであります。

 その上で、もう一点お尋ねしたいのが、外務省に伺いますが、代替取得の対象となる高レベル放射性廃棄物が、商業用に限る、軍事用でない、民生用というんですか、そういう約束というのがイギリス政府との間にあるんでしょうか。

木寺政府参考人 塩川委員にお答え申し上げます。

 使用済み核燃料再処理後に発生いたしました低レベル放射性廃棄物と交換いたしまして我が国に返還される高レベル放射性廃棄物が民生起源かどうかにつきましては、本来、確認が必要なものではないと考えております。

 しかしながら、政府といたしましては、我が国が唯一の被爆国であるとの国民感情を踏まえまして、英国政府に対し、返還される廃棄物が民生起源であることについて確認を求めたことがございます。英国政府からは、返還される廃棄物が民生起源であることについて確認を得ております。

塩川委員 御答弁にありましたように、我が国が唯一の被爆国である、そういう国民感情を踏まえて、この事実について英国政府に確認をして民生起源であるという確認をされたということですが、その確認をされたのはいつなんでしょうか。つまり、過去分のものについての確認をされているのか、それとも、これからの代替取得に関して、日本に交換取得される高レベル放射性廃棄物に限ってということでの確認なのか、お答えをください。

木寺政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物につきまして、日本に渡されるものは民生起源である、そういう返事でございました。したがいまして、過去もこれからもという理解でございます。

塩川委員 イギリスの場合におきましては、民生用に限られているというお話でございました。では、フランスの場合はどうなのかという問題が出てまいります。

 これは確認といいますか、海外分の高レベル放射性廃棄物のガラス固化体、これについて事業所外廃棄確認申請ということが行われるということですけれども、例えば、プレスリリースで、関西電力とか東京電力がことしの一月二十四日付で「返還ガラス固化体に係る事業所外廃棄確認申請について」というものを出しております。

 その中に、輸入廃棄物の内容がどういうものかということが書かれているわけです。「高レベル放射性液体廃棄物の起源」について、「軽水炉用ウラン燃料または、軽水炉用ウラン燃料及び軽水炉用ウラン燃料以外の燃料」。ちょっとわかりにくいですけれども、要するに、軽水炉用のウラン燃料、これは、日本から持っていったものが軽水炉用のウラン燃料ですからそれでしょうけれども、そうではない、軽水炉用ウラン燃料以外の燃料もこの輸入廃棄物の高レベル放射性液体廃棄物の起源となっているというのが、関西電力のプレスリリースで出ているんですけれども、それはそういうことですね。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、軽水炉用の使用済み燃料を海外に再処理委託しておりますとともに、また、東海のガス炉からの使用済み燃料も海外に再処理を委託しております。そのようなことから、使用済み燃料の再処理から出てまいります廃棄物は、軽水炉用のもの、またその他のガス炉等からのものということではないかと考えております。

塩川委員 軽水炉でないガス炉などが入っているということは、それは、もう現在返ってきているものの中に日本以外の起源のものがありますよということですね。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 海外から我が国に返還をされる廃棄物は、基本的には日本から海外に再処理を委託したものから出てくるものだと理解をいたしております。

塩川委員 でも、商業炉で、つまり電力会社が再処理を委託している。その燃料というのは軽水炉以外があるんですか。

広瀬政府参考人 イギリスにはガス炉からの使用済み燃料、軽水炉からの使用済み燃料の再処理を委託いたしております。フランスについては、軽水炉からの使用済み燃料の再処理を委託いたしております。

塩川委員 ですから、既に返還されている高レベル放射性廃棄物には外国のものが入っているんですよ。日本の軽水炉以外のガス炉があるんですから。要するに、再処理の工程ですから、みんな一緒に入れるわけですよ、当然のことながら。入れるから、基本は、日本の取り分はこの辺ですよということでやるんでしょうけれども、まざりますから、当然のことながら、正確に言えば、日本が出したものが、その分の高レベル放射性廃棄物が戻ってくるだけではなくて、若干まざった部分で、海外分の原発などから出るようなことも入っていますよということを正確に言っているのが、電気事業者のこの文章なんだと思います。そのことを今お認めになったわけであります。

 そうしますと、イギリス以外の国の場合、イギリスの場合においては民生用に限るということを確認されておられるわけですけれども、フランスの場合、核兵器など軍事用起源の高レベル放射性廃棄物が入っていないと言えるんでしょうか。

望月政府参考人 先生の御質問が、フランスから代替取得についての申し出があったという前提であれば、私どもはこれを確認しなければいけないんですけれども、現時点で、フランスから日本に対して、そういう代替、交換でやろうという申し出はございませんし、先ほど、私どもの部長がお答え申し上げたように、今のところフランスからのそういう申し出があるという想定ではおりません。

 したがって、法律上の体系は、今後の事態に対応して、英国と限定しないで今回法律改正をお願い申し上げてはおりますけれども、例えばフランスからそういうようなお話があった場合には、外務省が今お答えになったような同様の手続をやっていただいて、その上で納得したものでやるということになろうかと思いますので、そこから先のこの仮定の話を今申し上げられても、なかなかどうするんだというお答えはしにくいかと思っております。

塩川委員 イギリスの場合というのは、もともとあそこが六〇年代から、公社から民間会社という流れの中で、民生用ですよね、あそこでやっているのは。フランスは違うわけです。そういう点でも、技術的に軍事用が除外されているという確認はできないでしょう。今言ったように、まざっているわけですから、既に。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 フランスは、海外から受託する再処理施設というのを限定しておりまして、日本へ返還される高レベル廃棄物というのは、フランスがほかの国の商業炉を対象に専用につくられたものから輸入されるということを我々承知しておりまして、そういう点で問題はないだろうというふうに思っております。

塩川委員 一昨日の細野委員の質問でも、フランス側からスワップの提案があるんじゃないかという話なんかも出されました。ですから、具体的にフランスの動きもあるんでしょう。同時に、MOX・フォー・ピースの話なんかもありましたけれども、やはり明確に、そういう点では、過去分についても切り分けというのは本当にできているのかということは私は率直に疑わざるを得ませんし、既に軍事用起源の高レベル放射性廃棄物が入っているかもしれない。その上、やはり代替取得によって核兵器起源の高レベルをさらに受け入れるなどは同意できないわけで、そういう点でも、こういうやり方については見直すべきだと私は率直に思いますが、大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 答弁申し上げましたように、きちんと、英国とのやりとりをする場合には、外交ルートを通じて確認をしておりますし、また、新たな申し出があった場合にも、きちんとその手続をして確認をするということでございます。

塩川委員 関電のにあるように、実際に軽水炉以外のものが入っているということですから、そこに軍事用のものがないということがはっきり言えるのかどうか、それがまず前提だと思うんですけれども、そういうこともはっきりさせることができない。いわば、技術的に軍事用が除外されているということは確認できないというわけですから、核兵器製造のごみも受け入れることになるような、そういうことであれば、国民的な理解は得られないと私は率直に指摘をするものであります。

 それともう一点。今回の法案では、TRU廃棄物のうち放射能レベルが比較的高いものを、第二種特定放射性廃棄物として地層処分の対象に追加をしております。このTRU廃棄物のうち地層処分の対象となるこのTRU廃棄物、この線引きは何をもってするのかということを教えていただけますか。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 このTRU廃棄物のうち地層処分となるものを区分する基準につきましては、現在、原子力安全委員会の放射性廃棄物・廃止措置専門部会におきまして検討がなされておりまして、その案がパブリックコメントに付されているところでございます。

 具体的には、放射性廃棄物中に含まれます放射性物質のうち、放射能濃度が高い、あるいは半減期が長い、あるいは地下水中を移行しやすい等の特徴を有する放射性物質が地下水に移行すること等によって、最終的に一般公衆が受ける被曝線量を評価いたしまして、これが人体に影響を与えないような十分低いレベルとなるような放射性物質の濃度を算出することによりまして、先ほどの、地層にするのか、それとももっと浅いものにするのかという線引きに使っておるというところでございます。

 経済産業省といたしましては、この原子力安全委員会が示します放射性物質のこれらの濃度基準を踏まえまして、今後、政令におきまして地層処分対象のTRU廃棄物を区分する基準を規定化していきたいと考えておるところでございます。

塩川委員 実際の検討そのものはこれからということなんでしょうけれども、方向性として出されているものとして、例えば、毒性の強いアルファ核種濃度は一定割合を超えるものであるとか、あるいは、地下水とともに移行しやすいカーボンや沃素の特定の元素、こういったものについて基準を設けて、そのレベルによって地層処分するかそうでないかという判断ということだと思うんですが、そういうことでよろしいですか。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 まさに今先生おっしゃいましたように、今のパブリックコメントに付されているものの中には、この線引きといたしまして、炭素14、あるいは今お話がございました沃素129、あるいはアルファ核種、こういうものにつきまして、一トン当たりどのぐらいのベクレル数以上のものは地層処分にすべきか、こういうような値が示されているところでございます。

塩川委員 その中で、例えば、アルファ核種については非常に毒性が強いということが言われております。TRU廃棄物の特徴が、やはり半減期が長い放射性物質を含む、これは一つ大きくありますし、あわせて、強い毒性を持つアルファ線を出すということだと思います。

 電事連が出されている小委員会の報告書の後ろに添付されている資料などを見ても、高レベル放射性廃棄物に匹敵するようなアルファ放射性物質の濃度を持つTRU廃棄物もあると承知をしています。それなのに、実際に、高レベルについては四重のバリアとかいいますけれども、ある意味ではくくってTRU廃棄物は、それこそ大きな差があるわけですね。

 しかし、一番危険性の高い部分というのは、高レベル放射性廃棄物にまさに近接をするような、そういう危険性を持つわけですから、そういうものについても、今回のように、いわば高レベル放射性廃棄物に比べて簡易なバリアの仕組みというのは、これは安全を守る立場から懸念が残るんじゃないでしょうか。

薦田政府参考人 まず、TRU廃棄物につきましては、今先生おっしゃいましたように、濃度に随分ばらつきがございます。電力サイドのデータによれば、一番高いものですと、恐らく、高レベル廃棄物の濃度といたしまして十分の一あるいは百分の一以下、高いものでもそんなものであるわけでありますが、安全規制という立場から考えた場合には、地層処分において、廃棄物を覆う人工バリアとそれを取り囲む天然バリアとの組み合わせによりまして長期安全を図るわけでありまして、この総体を評価いたしまして、安全かどうかということの妥当性を判断していくというのが安全審査でございます。

 したがいまして、安全という観点から、あるレベルをクリアするのであれば、必ずしもすべてのTRU廃棄物についてオーバーパックというようなものが必要になるというわけではないということでございます。今後、恐らく事業者は、自分たちのTRU廃棄物おのおのの性格に応じていろいろな設計をされてくると思います。それに対して、我々といたしましても、ケース・バイ・ケースで今のような審査をし、そのよしあしを判断していきたい、かように考えているところでございます。

塩川委員 話に例示されているのは、ハルとかエンドピースのようなものではないかと思うんですけれども、それよりも高い放射性濃度を持つような物質がTRU物質の中にもあるという話でしたから、そういったものは、やはり高レベル放射性廃棄物に匹敵するような処理の仕方が必要なんじゃないのか、簡易なバリアということでいいのかという点での懸念が残るわけであります。

 そういう点と、あわせて、やはり地層処分以外の選択肢も考えるべきで、原子炉などで中性子を当てて、寿命の短い放射性元素に転換をする核変換技術、こういった開発などをしっかり位置づけることも必要だ、このことを述べて、質問を終わります。

上田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案への反対討論を行います。

 政府は高レベル放射性廃棄物の地層処分を方針としていますが、この放射性廃棄物は数百年から数万年も継続する危険性を持つものであり、そのような長期間の処分は、自然条件の科学的知見は不十分であり、技術的にも未確立な方法であります。安全性について疑問視する声も出されているのが実情です。今回の改正は、プルサーマル計画を中心とする核燃料サイクルに固執をし、最終処分ありきに進めるものでしかなく、容認できるものではありません。

 反対理由の第一は、本法案が最終処分ありきに進めていくものになるだけでなく、追加する対象の取り扱いについて重大な問題を含むものだからです。

 一つは、日本の使用済み燃料を海外で再処理して生じる低レベル廃棄物を受け取る際に、自国由来でない高レベル廃棄物と交換、代替取得したものが入ります。これは、日本由来でない、外国の高レベル廃棄物を引き取り、処分する、世界にない国となるものです。我が国における最終処分場の見通しも立っていない上、核兵器生産の過程で出た放射性廃棄物さえ引き取りかねないもので、到底国民の理解を得られるものではありません。

 また、TRU廃棄物についても、どこまでが地層処分の対象になるのか、基準はまだ検討中の上、処分方法についても安全性について疑問視する声も出ているものです。

 第二の理由は、最終処分法で追加する対象費用を電気料金として国民に負担させることになりますが、核燃料サイクルで必要となる総経費を国民にきちんと示さないで、必要になれば国民に負担を求めていくというのでは、国民の納得を得られるものではないからです。また、積立金法の改正では事情の変化による調整規定を追加しますが、今回は負担減少に伴う対応と説明されていますが、今後、負担増の際にも安易に調整できるようになるもので問題です。

 第三の理由は、最終処分について閉鎖に伴う措置の規定を設けますが、この問題についてはさまざまな議論のある問題であり、拙速に枠組みをつくることは白紙委任ともなりかねないもので問題だからです。

 最後に、高知県東洋町における住民の審判に示されたように、最終処分への地域住民の合意は得られておりません。こうした結果を厳粛に受けとめるべきです。国が核燃料サイクルのスケジュールに固執し、住民の声を無視することがあってはなりません。六ケ所の本格稼働もやめるべきであります。今やるべきは、核燃料サイクルと廃棄物処分のあり方について根本から議論をすべきであり、将来の研究成果と英知を結集して慎重な検討を行うべきことです。

 このことを指摘して、討論を終わります。

上田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、金子善次郎君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。後藤斎君。

後藤(斎)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  我が国のエネルギーの安定供給確保及び地球温暖化対策に効果的に取組むに当たっては、原子力発電の着実な推進が不可欠であり、その前提となる核燃料サイクルの早期の確立が重要な要件となることにかんがみ、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じるべきである。

 一 核燃料サイクルの円滑な実施には放射性廃棄物の適切な処分が必要不可欠であること及び電力供給の最終的責任は国が有することにかんがみ、関係自治体の協力のもと、国の積極的な取組みを前提としつつ、高レベル放射性廃棄物の最終処分地が遅滞無く確実に選定されるよう、最終処分事業等に関する広報活動について早急に検討を行うこと。その際、最終処分地選定に至るスケジュール、手順を明確にし、処分に関する研究を公開するなどして広く国民の理解を得るよう努めること。

 二 安全確保に基づく国民の信頼が原子力政策遂行の根幹であることにかんがみ、今般明らかになった一連の改ざん・隠ぺい等の不正行為によって損なわれかねない原子力政策に対する信頼を回復するため、国・事業者は地元関係者を始めとする国民との間の信頼関係の構築に努めるとともに、より実効性ある検査のための制度の見直しなど原子力安全対策に万全を期すること。

 三 原子力発電の安定的な運転及び原子力産業の発展を確実なものとするとともに、我が国の技術面での国際的な貢献にも資するよう、核燃料サイクルに関する技術及び使用済燃料の再処理・放射性廃棄物の処分技術に関し、原子力発電を推進する先進諸外国と協力し、より安全な処理処分技術の確立に向けて、十分な予算の確保に努めるとともに、関係各省の連携のもと最大限の努力を傾注すること。併せて、大学等とも連携しつつ継続して人材の育成・確保に努め、原子力に関する技術・技能レベルが保持されるよう万全を期すること。

 四 現下の国際エネルギー情勢の急速な変化にかんがみ、平成二十二年における本法の見直しに当たっては、右の内容を十分踏まえて必要な措置を講じること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利経済産業大臣。

甘利国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

上田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

上田委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より六カ月間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。しかし、北朝鮮が拉致問題に対して何ら誠意ある対応を見せていないことや核問題を含む北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案し、平成十九年四月十日の閣議において、引き続き、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することとしました。このうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成十九年四月十日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より十月十三日までの間、北朝鮮からのすべての貨物について経済産業大臣の輸入承認義務を課す措置を講じたことに加え、北朝鮮から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十五分散会


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