衆議院

メインへスキップ



第13号 平成19年5月30日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年五月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    平  将明君

      谷川 弥一君    土井 真樹君

      丹羽 秀樹君    橋本  岳君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      増原 義剛君    武藤 容治君

      森  英介君    山本 明彦君

      吉川 貴盛君    大畠 章宏君

      太田 和美君    川端 達夫君

      北神 圭朗君    小宮山洋子君

      三谷 光男君    森本 哲生君

      柚木 道義君    鷲尾英一郎君

      高木美智代君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   法務副大臣        水野 賢一君

   経済産業副大臣      山本 幸三君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 谷  重男君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房独占禁止法基本問題検討室長)   土肥原 洋君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室長)            田中 孝文君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      松山 隆英君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房政策評価審議官)       高橋 英樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       松井 英生君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    加藤 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           前田 隆平君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 石野 耕也君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     森本 哲生君

同日

 辞任         補欠選任

  森本 哲生君     鷲尾英一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)(参議院送付)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官谷重男君、内閣府大臣官房独占禁止法基本問題検討室長土肥原洋君、内閣府規制改革推進室長田中孝文君、公正取引委員会事務総局経済取引局長松山隆英君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、法務省大臣官房審議官三浦守君、外務省大臣官房審議官草賀純男君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君、経済産業省大臣官房長松永和夫君、経済産業省大臣官房商務流通審議官松井英生君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、中小企業庁次長加藤文彦君、国土交通省大臣官房審議官前田隆平君及び環境省大臣官房審議官石野耕也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。

河井委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の河井克行です。

 きょうは、甘利経済産業大臣、そして山本経済産業副大臣にお出ましをいただきまして、ありがとうございます。

 私の初当選同期が渡辺副大臣なんですね。いつも理事席から前を見ていまして、大臣が答弁される横で自分の答弁の機会が与えられないということについて、何となく不満そうな顔をいつも持っているものですから、きょうはぜひ渡辺副大臣をいろいろと活用させていただこうかと思っておりましたが、オーストラリアですか、公務で出張ということでございまして、大変残念に思っております。

 大臣、渡辺副大臣が就任して六カ月以上がたちましたが、仕事ぶりをどのように評価していらっしゃいますでしょうか。

甘利国務大臣 結論から申し上げますと、極めて立派にお務めをいただいております。

 今は、オーストラリアで開催をされておりますAPECのエネルギー大臣会合、本来、私が出なければならないんですが、国会開会中でそう頻繁になかなか外に出られませんので、副大臣にお願いをしまして、私の代弁をしていただいているところであります。今までも国際会議や海外出張をたびたびしていただいておりまして、立派に務めを果たしていただいております。

河井委員 私は、役所の政治レベルは一つのチームだと思うんですね。甘利大臣を中心としていただいて、甘利チームということで、両副大臣、そして大臣政務官の高木先生また松山大臣政務官、一体となって日本の経済の発展そして国益のために、これからもしっかりといい仕事をしていただきたいと心から期待をさせていただいております。

 きょうは、いろいろと事前に通告はいたしておりますけれども、もう練達の甘利大臣でありますので、自由にいろいろと意見交換をさせていただければありがたいと存じます。

 ことしの二月に、いわゆる第二次アーミテージ・ナイ・レポートが発表をされました。前回、第一次が二〇〇〇年十月ということで、集団的自衛権の問題とか日米間の同盟の強化、随分いろいろと、当時としては、日本側にとってはかなり厳しい言い方も含めた内容でございまして、その後、その第一次のレポートがブッシュ政権の政策に多く反映されたということもありまして、今回の第二次レポートも注目をされております。

 アメリカの政府、在野、シンクタンクを全く問わず、超党派の日本のことをよく知っている皆さん、例えばジョセフ・ナイ元国防次官補、マイケル・グリーン前国家安全保障会議アジア上級部長、またカート・キャンベル元国防次官補代理、そういった人たちが英知を集めてつくったのが今回のレポートであります。

 私も今、自民党の国防部会長を仰せつかっている関係で、さきの大型連休、米国のワシントンDCに行きまして、アーミテージさんとかキャンベルさんと何度も意見交換をしてきました。

 私が今回のこの第二次レポートの一番驚いたこと、これは安全保障についての西暦二〇二〇年までのアメリカと日本との関係を規定する、提言する中身でありながら、軍事とか防衛という側面ではなくて、実は経済についての記述が一番筆頭に来て、経済関係、経済力というのが最も大きなページ数をその中で割かれていたということが驚きでもあり、アメリカというのは今そういうふうに考えているんだな、そういうふうに感じた次第であります。

 安全保障というのは、決してそういった狭い軍事とか防衛ということじゃなくて、特に日本の経済力、日本が経済力を失った暁には日米同盟自体が揺らいでいくんだ、そういう意識の裏返しだと、私はその意見交換を通じて感じた次第であります。

 安全保障といいますと、一義的には防衛省あるいは外務省という役所が中心と思われがちでありますけれども、さまざまな制約がある日本の現状の中で、特に海外で軍事力の行使というのが極めて制約されている、制限されている。私は、経済力が日本のあえて言えば武器の一つだ、ほかの国が、普通でしたら軍事力で国際社会の中でさまざまな影響力の行使ができるところを、日本はなかなかそれができない、国民の意思によってできないということでありますので、実は、経済力こそが日本の武器なんだという感じを抱いております。

 もちろん、自主的な防衛力の整備それから日米同盟の堅持といったことは必要でございますけれども、私は、そういう観点から、経済産業省は、単に商工業の振興、サービス産業の振興ということじゃなくて、志を高く持って仕事をしていただいているに違いない、そのように確信をしておりますし、甘利大臣におかれましては、新しいさまざまな戦略を矢継ぎ早に発出をしていただいておりますけれども、そういう国家安全保障という観点から、あるべき経済産業省の位置づけ、職員の皆さんの意識の改革を含めて、ぜひ指導性を発揮していっていただきたい、そのように感じております。

 冒頭、もし大臣のいろいろな意味での御所感をいただければありがたいと存じます。

甘利国務大臣 私が就任して八カ月でありますけれども、この経済産業政策の道をずっと歩んできたわけでありますから、当然そうであろうという予測をしていたことと、その予測以上だったことといろいろあります。

 予測を超えていたことは、極めて忙しい役所、私の想像を超えて忙しい役所であるということと、海外出張が外務大臣に次ぐぐらい多いということ、それから外国からの閣僚の訪問が極めて多いということであります。それは、とりもなおさず、経済産業省という名前のとおり、日本の経済全般を担っている役所であろうという思いが海外にある。もちろんそれはそのとおりなんでありますが、そこで、日本は世界第二位の経済大国ということで、経済産業省ということが真っ先に出てくるんであろうと思います。

 今、いろいろと経済連携、これは、バイの経済連携からエリアの中での経済連携がかなり進んでおります。地域の中での経済連携というのは、利害を共有するわけでありますから、軍事面とは違った形でのいわば運命共同体、安全保障にもなっているはずであります。

 そういう点から、日本は戦略的に経済外交を推進していくという必要に迫られているわけであります。資源も外交と言われますし、経済も外交と言われるわけでありますし、通商自身がまさに外交政策そのものであります。

 そういうところに日本としての中長期的な目標をしっかり定めて、それを実現していくためのロードマップをしっかり敷いて、戦略的に進めていくということが何より今日必要だというふうに痛感をいたしておりまして、それなりに私の思いを具体的な政策に落とし込んで、今それぞれ工程表をつくらんとしているところでありますし、一部具体的な成果も上がってきているところであります。

 御指摘のとおり、まさに経済産業政策が地域の安全保障、日本の安全保障と大きくかかわり合いを持つ、従来とは違った意味で非常に重要になりつつあるというふうに思っております。

河井委員 ありがとうございます。

 もう一つ、さきの連休中の訪米で感じたことは、やはりアメリカの民主党系の皆さんの鼻息が随分荒くなっているな、日本の民主党の皆さんもそれなりにしっかり頑張っていただいておりますけれども、かなり強気なんですね。それは、選挙は水ものでありますから、米国の民主党政権あるいは共和党政権、どちらが誕生するかまだ全く読めないと考えておりますけれども、日米EPAという話が、米国民主党が政権を握った暁には出てくることも可能性としてあるなという感じを私は抱きました。

 また一方では、先ほど大臣が地域のいろいろな広がりとしての連携の話をしていただきましたけれども、ASEANプラス6と日本とのEPAの話とか、相手側からボールが来て慌てふためくということではなくて、大臣おっしゃっていただいたように戦略的に、それを公にするかどうかは別として、しっかりと準備、お取り組みをしていただく。これはやはり経済産業省が中心にやっていただきませんと、なかなか話が進まないんじゃないか、私はそのように感じております。もし御所感をいただければ幸いです。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、経済連携の時代認識といたしましては、いよいよ新しいステージに世界が入りつつある、それは大消費国との経済連携にそれぞれの国が踏み出しつつあるということであります。韓国は、アメリカとのEPAの後に、直ちにEUと始めたわけであります。

 政権とのかかわり合いで私の印象を申し上げますと、アメリカは、共和党は自由貿易主義者が多い、民主党は、どちらかというと経済連携に関しては割と保守的な考え方の方が強いんではないかと思っております。

 いずれにしても、自由貿易体制が今の世界を支えているわけでありますから、多少の振れはあるにせよ、経済連携に向かって世界が大きく動き出していると思います。ただ、総合的に考えていくという必要性は当然ありますから、それが農業関係に与える影響をどう克服していくかでありますから、経済産業省の枠内だけで進めるというわけにもいきませんけれども、しかし、時代は、そういう大消費国との経済連携にいよいよ各国が踏み出すフェーズに入りつつあるなという思いはいたします。

河井委員 日本の経済力を次の世代、時代にもしっかりと堅持して、そしてより強化しなきゃいけない、それが日本が世界の中で生き残る道だということなんですけれども、現実の話をしますと、確かに製造業は世界に冠たる競争力を持っていると言われておりますが、ほかの産業分野、商業、サービス業、流通業その他、あるいは、もちろんそれ以外のいわゆる多目的な存在意義も強うございますけれども、農業、林業の国際競争力をもっと強くしなきゃいけない。

 そういう中で、今のように、いわば製造業の頑張りで、稼ぎで日本じゅうが営まれるということじゃなくて、もっといろいろな産業分野が総合力を発揮して、みんながいい意味でお金を稼ぐ、そうしていかないと、大競争時代には打ちかてないというふうに思っています。

 そこで大事なのは、日本の場合、資源は日本人です。日本人といいましょうか、この列島の上で住んでいる人間なんですね。私は、ことしの二月二十一日でしたけれども、衆議院の予算委員会で、当時の島田晴雄慶応義塾の経済学部教授を参考人としてお招きをし、意見交換、質問する機会をいただきました。労働の質を問う時代から雇用の質が大事なんだ、同じ一人の人間でも、働き方ですとか資本や設備、そして教育によって雇用の質が随分変わってくる、そういう指摘を島田教授はしていらっしゃいました。私も同感する部分が多うございました。

 この雇用の質、まだまだ日本は高められると私は思います。と同時に、労働生産性がすなわち雇用の質とも言えない、もっと違う側面もあるんじゃないかと考えておりますが、経済産業行政において、雇用の質を高めるどのようなお考えをお持ちでしょうか、お示しください。

甘利国務大臣 今、日本は人口減少社会に入っております。これはそのまま何もしないでいますと、労働力が減る、もちろん総雇用数も減っていくわけであります。そうしますと、経済成長は望み得ない。でありますから、その総数を減らさないために、労働市場に参画をしていない方にどう加わってもらうか。若者そして女性、それからリタイアした方たちにどう参画していただくか、これは量を確保する方法であります。

 もう一つ、御指摘の質を高めるということで、バージョンアップをしていくために何をするか。つまり、量を減らさない、それから質を高めてバージョンアップをしていく、もって経済成長をしっかり確保する一つの要素にしていくということが大事でありまして、この雇用の質、労働生産性を上げていくことが極めて我が国の成長にとって大事なのは御指摘のとおりであります。

 いろいろなことをやらなければいけないと思います。人材教育、人材育成の強化というのは、企業自身もそれに気がついて取り組んでおりますし、政府の政策として、人材投資の減税という制度をつくりまして、社内で人材育成に取り組むことを強化してもらう。それから、政府自身の政策として、この人材育成の機会を世の中にちりばめていくということが大事であります。

 それから、先ほど、製造業は競争力があるけれども、サービス等々、競争力がないあるいは弱い分野があるという御指摘はそのとおりでありまして、なぜ製造業に競争力があるかといえば、国際競争にいつもさらされているから、競争力をつけなければつぶれるしかないということで、血のにじむような努力を続けてきたということであります。

 サービス業は、競争にさらされる機会が少ないわけでありますから生産性が低い。そこで、GDPの七割を占めると言われているサービス業の生産性を上げるということは、いわゆる競争力のある製造業の分野の生産性を上げることよりも全体としての効果は高くなるわけでありますから、今これに取り組んでいるところであります。

 具体的に、サービス産業というのはいろいろな分野がありますから、分野ごとに事例を集める、あるいは従来型手法でない数理手法とか工学手法とか、そういうことでうまくいった事例、これをベストプラクティスとして横展開していくということ等々を考えているわけであります。

 それから、農業については私の所管ではありませんけれども、私自身の考え方は、やはり農業も競争力をつけなきゃいけない、農業は最初から競争力がないんだ、仕方ないよで済ませてはいけないと思うんですね。

 私のイメージとして、これは担当大臣ではありませんから、専門家ではありませんから、私の思いがずれているのかもしれませんけれども、今までは、まず消費を見定めて、それに向けて生産を調整して価格の堅持をしていく、あるいは補助金政策を行っていく、そうするとどうしても縮小均衡の方に向かいがちだ。人口が減ってくればそれだけ消費量は減るわけでありますから、それに合わせて生産調整をしていくということは、いわば農業という分野の経営資源を活用していないんですね。

 農地であるとか、林業でいえば山林を、つまり生産資源をフル稼働させて、うまくいくために何をするか。つまり、先に調整ありきじゃなくて、そうするとどんどん縮小していきますから、地球全体としては人口の増加に食料生産が追いつかないということはわかっているわけでありますから、それなのに資源を有効活用できないというところは、産業政策的観点からするとこれはもったいないという思いがしますから、資源をフル稼働させて、競争できるために何をするか。

 これは、規模の拡大もあるでしょうし、品質の向上もあるでしょうし、最近では、安全性をどう見える化するか。農産品は、安けりゃそれは売れるという点はありますし、おいしけりゃ売れるという点もある。最近は、絶対安全だということが確認されれば売れるという要素が加わっているわけでありますから、消費者に視覚化、見える化をするということは武器になると思いますね。

 そういう新しい要素も加えて、いわゆる経営資源をフル稼働させていくということを前提とした戦略も必要になってくるんではないかなと、専門外ながら思うところであります。

河井委員 国際競争力をしっかり磨かなくちゃいけないという今の大臣のお話だと思いますけれども、本当にそのとおりなんですね。

 では、いろいろな産業分野の中で国際競争力を一人一人の個人が磨いていくにはどうしたらいいのかという話、これはさっき質問申し上げました雇用の質の向上にもつながっていく話なんですけれども、私は、他流試合をしっかりやっていく、特にやはり国際経験、若いうちからそういうものを徹底してやっていくことしか、日本のこれからを担っていく人たち、若い人たちの将来はないと思っております。

 よく言われることですけれども、日本を代表するような、名前を言えばすぐたちどころにわかるような大きな銀行、入行しましてまず真っ先にさせられるのは地方の支店、預金集め、足を棒にしてずっと回る。もちろん、人に頭を下げることの実地訓練、それからいろいろと人間関係をしっかりつくらなくちゃいけないという実地訓練、確かに大切でありますが、なかなかすぐには海外に赴任できない。一方、同じ大学の同じゼミを卒業した人がもし日本にある外資系の金融機関に、投資、商業銀行にでも就職した暁には、すぐにマンハッタンの本部で実地で訓練をされる。

 私は、企業においても、そういうもっとダイナミックな教育の機会、訓練の機会というものをどんどんつくっていくべきだ、そうしないとこの大競争の時代に井の中のカワズになってしまうんじゃないかという危惧を実は抱いております。今回取りまとめがされましたイノベーション25の中では、人材育成戦略として、次の世代、担い手への投資の拡大というのが盛り込まれてあります。

 内閣府からも来ていただいておりますけれども、その前に、もしできましたら経済産業大臣から、そういう観点から国際的な経験を積んでいく、次の世代の教育への投資拡大、何かお考えがありましたらまずお聞かせいただきたいと存じます。

甘利国務大臣 いよいよ国際化が本格的に進んできました。いろいろな国際機関で活躍をする日本の若者もふえてきました。しかし、まだまだ経済規模に比例しているとは言えないわけであります。

 国内で完結をするということがどんどん少なくなって、地球規模で処理をされるという案件がふえてくる、あるいは国際的な連携のもとで物事が進んでくるという場面はふえてくるわけでありまして、どんどん若者が国際舞台へ出ていって立派に戦ってといいますか、活躍してくれるような、そういう環境整備は極めて重要だと思います。と同時に、世界じゅうの若い人たちが日本を魅力あるところと感じてくれるようにしていかなければならない、この双方向が大事だと思っております。

 私どもの施策としましては、人材交流を図っていくための新しい仕組みをつくりまして、アジア人財資金でありますが、これは、アジア各国から日本に留学をし、今までもそういう制度はありますけれども、ぶつ切りになってしまっているわけです。日本に留学をして、その後日本で働きたい、あるいは国に帰って国のために働く、その際、日系企業があればまずそこに就職したい、そういう連続性がないわけですね。だから、それをちゃんとつなげていくように留学と就業とを連携させることが必要だということで、留学と就業をつなげていくということも今取り組んでいるところであります。

 日本の人材、若者、国際社会を支える人材としてどう取り組んでいくか。これは文部省や外務省が中心にいろいろと図っているところでありますが、これに我が省も、実際海外で活躍している企業の培ってきた知見がありますから、これらを活用して、政府全体として御指摘の点に遺漏なきように取り組んでいく所存であります。

河井委員 今、外国の意欲にあふれた若い青年たちに日本にもっと来てしっかり学んでほしいというお話でございましたけれども、次に、外国人労働者の問題についてお話をさせていただきたいと存じます。

 先ほど大臣は、EPA、経済連携協定、どんどんこれからおつき合いする国を大きくしなきゃいけない、数をふやさなくちゃいけないと。その中で、必ず避けて通れないのがこの外国人労働者、日本がどうやっておつき合いをしていくか、受け入れていくかということだと考えております。

 そういうところからいいますと、今、日本政府の内部では、外国人労働者の受け入れについていろいろな意見があるんですね。かなり隔たりがあると言ってもいいぐらいであります。

 例えば、厚生労働省の研究会では、この制度の悪用、不当な低賃金そして単純労働従事、多くの不正の摘発ということで、外国人研修制度について、関係法令の適用除外とされている一年間の研修期間そのものを廃止して実習期間に一本化する中間報告案がまとめられました。一方で、長勢法務大臣は、あくまで私案ということでありますけれども、この技能実習制度を廃止して、専門的、技術的分野以外の単純労働者も逆に受け入れるべきだということを発表されている。経済産業省では、制度運用の適正化、厳格化で対応すべきだ、そういう考えを打ち出していらっしゃる。

 私は、あえて言えば、外国人労働者、特にこの中で指摘されております単純労働者、確かに、日本の製造業を中心とした製造の現場で対応されていることはよくわかっております。いろいろな工場とか企業も見学に行きました。ただ、いたずらにこの単純労働者の枠をふやす、完全自由化する、私は、それは日本の企業の足腰を損ないかねないことだと実は考えております。

 汗を流して、知恵を流して企業の経営者がぎりぎりぎりぎり苦労を積み重ねる上で、世界に冠たるいろいろな製品は、これまで日本企業が成功をおさめています。それと同じ作業が、確かに、こんなところできれいごとを言って、おまえに何がわかるかと言われるかもしれませんが、私は、あえてもっと苦労していただいて、もっと機械を使う、さっき大臣がおっしゃっていただいたITを使う、そういったことを真剣に考えないで、単純に単純労働者の枠をふやすということは、私はかえって、目先はいいかもしれませんが、日本の中長期の国益に本当にかなうのかな、実はそういう疑問を抱いております。

 そのあたりも含めて、大臣の御所見を伺いたいと存じます。

甘利国務大臣 私が国会議員になりまして何年かたったころ、まだ三十代のときでしたけれども、ある先輩議員から、石田博英労働大臣の功績を聞かされたことがありました。石田博英先生は、石田労政と言われているぐらい労働大臣を長く務められて、労働政策に石田ありと言われた方でした。その方が私に、それもさることながら、石田労相の最大の功績は、産業界から安い賃金の外国人単純労働の導入を競争に勝つために解禁せよと求められたことを突っぱねた、拒否したことであるということを言われたことがありました。

 産業界は、いたし方なくというか、その辺は事実関係はよくわかりませんが、その説明によりますと、みずから生産性を上げるための努力を強いられた、それが今日の日本の産業界の競争力の源泉であるということを聞かされたことがあります、事実関係は私は確認しておりませんが。

 やはり日本は高付加価値政策をとっていくしかないと思うんですね。政治の目的というのは国民生活の安定と向上でありますから、常に、去年よりもことし、ことしよりも来年、国民生活が安定し向上していくための努力をするわけでありますから、生活水準を切り下げて競争に勝つというのは本末転倒だと思います。競争に勝つのは手段であって、国民生活の安定、向上は目的であるわけでありますから、手段を目的にするために生活水準を下げるというのはとるべき姿ではない。

 だから、基本は、高付加価値化政策、生産性を上げるための努力というのが日本を強くする基本であります。ですから、安易に単純労働を労働力としてどんどん入れるということについては、私は慎重に考えるべきだと思っております。

 そもそも、日本の技術を少しずつ移転していく、そのかわり日本はもっと先の技術を開発するというのが基本姿勢でありますから、労働者を外国から受け入れた場合には、技術移転で貢献をしてあげるということが基本であります。もちろん、日本のためになるんですけれども、相手国の発展に資するような貢献という形でやっていかないといけないと思いますから、私自身も、今の政府の方針、専門的な、技術的分野の労働者の受け入れは積極的にするけれども、一方で単純労働者については慎重に対応する、この方針はそのとおりであるべきだと思っております。

河井委員 終わりになりますけれども、そういう外国人単純労働者に依存するんじゃなくて、むしろ日本の高齢者の力をもっと活用しなきゃいけない。

 ぜひ両筆頭理事にお願いしたいんですけれども、今度の委員会視察で、北海道の伊達市、ここはいいそうですよ。どこがいいかといいますと、高齢者の人材の移住を、誘致をどんどんやってきて、北海道外から毎年二百人、三百人の転入者があって、二〇〇三年には住宅地の地価上昇率がトップになった。

 高齢者をうまく誘致する、移住を促進する政策が政府の中でまだばらばらになっているんですね。その辺、経済産業省、ぜひ中心的な役割を果たしていただきたい、そのように考えまして、それが最後であります。

甘利国務大臣 御指摘の点、極めて大事なところだと思っております。しっかりと検討し、成果が上がるようにしたいと思います。

河井委員 終わります。

上田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 私は、本日、衆議院議員として大変暗く寂しい気持ちで質問に立っております。松岡利勝農林水産大臣が、先日、みずから命を絶たれました。初当選以来一貫して農業政策に取り組まれ、そしてその手腕を我が国のために発揮されるべく農林水産大臣に御就任され、その志半ばで非業の死を選ばれてしまわれました。同じ衆議院議員として、まずもって心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 また同時に、我が国の閣僚が現職のまま自殺をされた、これは明らかに異常事態であり、一個人、一議員の問題を超えまして、内閣の体制、さらには、大きく言えば国家の問題でもあろうかと思います。このような事態を二度と起こしてはいけないんだろう、そういう思いで質問をさせていただきたいと思います。

 まず、甘利大臣、松岡前農林水産大臣の自殺について、内閣の一員としてどのように受けとめていらっしゃいますか。

甘利国務大臣 一言で申し上げますれば、痛恨のきわみであります。

 松岡大臣とは、WTO交渉で私のパートナーとして二人三脚で取り組んできたわけであります。ことしに入りましても、一緒にWTOの会議に出たのは三度ぐらいでしたでしょうか。この交渉は、農水省と経済産業省がしっかりタッグを組まないと国益を守っていくことが難しい極めて大変な交渉になるわけであります。そこで、松岡大臣御自身は、今までの農政、それからこれからの農政、そのちょうど転換点に立ってその指揮をとっておられた方なんですね。どうすれば国内的に理解をしてもらいながら国際的な論調とすり合わせができるかということを、本当に針の穴に糸を通すような難しい作業に向けて彼は努力をしていました。そのことは、私が一緒にやっていてよく感じました。

 つまり、今までみたいと言うと大変に失礼な言い方なんですが、ただこれは譲れないだけだと、それは実は守れないんですね。日本が部外者で決まったことで、日本がのまなかったら、ではあなたはWTOを脱会するんですかという選択になってしまうわけですから、常に、不満であっても、インナーメンバーの中で日本の主張をして、少しでも日本の主張を入れた国際枠組みができないといけないのでありまして、そのことを一番よく知っていた交渉者でありました。

 物すごく微妙な問題、個別には申し上げられない部分がありますけれども、ありまして、そこを、本当に狭いところをすり抜けるような作業をしていました。ですから、そのことは、私が一緒にやっていましたからよくわかっているのでありますが、その人材を失うのは極めて日本にとって痛手だというふうに思っております。

 そういう国際化の中での農業はどうあるべきかという点を一番思い悩んで、よくわかっているからこそ、総理は松岡さんをこの難しい役に任命したんだというふうに思っております。

近藤(洋)委員 大臣、痛恨のきわみであるという話でありましたし、おっしゃっていただいたように、松岡大臣と二人三脚でWTO交渉にかかわってこられた。個人的にも接する機会も職務上多かったかと思うわけであります。五月にも、パリでお二人が主催する会合、G6を主催されているわけでありますね。このWTO交渉は、まさにこの六月、七月、一つの大きな局面を迎えるわけであります。

 その中で、この交渉というのは、海外の閣僚間の信頼関係といいますか、個人の関係もこれは非常に重視される。組織対組織でありますが、この話す人物は信用に足るのかどうなのか、そういった部分も含めて、極めて難しい国際交渉でありますから、個人の信頼関係も重視される、こういうふうに聞いております。ですから、我々経済産業委員会も、大臣がWTOで御出張されるということであれば、いろいろな国会の質疑があるにせよ、ぜひ頑張っていただきたい、こういうことで出ていただいているわけであります。

 そういう中で、今回の事態なわけであります。非常に私も残念であるわけでありますけれども、一方で、冷静な国際政治の現場でどう伝わるのかということを考えますと、やはりこれは紛れもなく大スキャンダルとして報じられているし、それだけの信頼を持って交渉しなければいけない、事実当たっていた方が、こういったことに追い込まれてしまったということは、やはり私は、その意味でも、人材を失ったという意味に加えて、国益を損ねることになりはしないかと非常に危惧をするわけであります。

 松岡大臣にはぜひ能力を発揮していただきたかった、こういう思いと、加えて、そういう国際交渉、国際政治の現場、事実、海外の報道を見るとやはりスキャンダルとして報じられているのを見るにつけ、そういう部分もあるのではないかと思いますが、甘利大臣はこの点についてどのようにお考えになりますか。

甘利国務大臣 今回の事態を外国の政府がどういうふうにとらえているか、正確に把握はいたしておりませんが、一つのスキャンダルとして報じているマスコミがかなりあるということは承知をいたしております。

 それ自身、交渉相手国にとって驚きであろうと思いますし、交渉相手がどういう思いを持っているのかはまだ確認は私自身しておりませんが、相当なシンパシーを感じている外国政府の関係者も多いんだと思います。いろいろな意味で衝撃を与える事件でありました。

 それが国益にとってどういう影響か。私自身は、交渉力としての有能な人間を失ってしまったということについて、ダメージがあることは偽らない事実だと思います。ただ、そのスキャンダル報道が今後の日本と他国との関係にどういう影を落とすかということは、ちょっとまだ推測はできません。

近藤(洋)委員 私は、この事実、我が国においても戦後初の事態であるわけですし、少なくとも私の知っている範囲では、G6加盟国で閣僚が現職のまま命を絶たれるということがあったかどうか、全部調べているわけではありませんが、少なくとも私は聞いたことがない事態であり、この事実一点をもっても、大変危惧をするわけであります。

 松岡前大臣におかれましては、私も質問もさせていただきましたし、農業政策に熱い思いを持たれていた。また、議員になる前も、取材を通じて何度も、大臣が当時議員としてお住まいだった高輪にお邪魔したこともございますし、そのお人柄、熱意というのは重々、私も多少は存じている者として、本当に残念で、気の毒だなという思いがあるわけであります。その気の毒だなという思いの中で、やはり、その席にとどまり続けたということも、こういった松岡前大臣を深刻な選択をしなければいけない状況にさせてしまったのではないかという声もあるわけであります。

 報道によると、周辺には、辞任の時期を悩んでいるふうでもあったということが大手紙にも報道されておりますし、鈴木宗男衆議院議員は、この件について、御自身は、ホームページさらにはインタビューで、松岡大臣は自民党国対からやめないように指導されていたとの旨の発言もされております。もしこれが事実だとすれば危機管理上も大問題ではなかったか、私はこう思うわけであります。

 大変身近にいる、そして一緒に国益を守ってきた、守ってこられている同僚の閣僚として、そういう状況について甘利大臣は把握をし、辞意を促すことがなぜできなかったのか、少なくとも総理にその旨を直言すべきではなかったのか、こう思うわけでありますが、甘利大臣はいかがですか。

甘利国務大臣 国対から云々という話は私は承知しておりませんが、自民党国対はそのことを直ちに、そういう事実はないということを、否定をしております。

 私は、彼と一緒にやっておりまして、国際交渉をやる際にはかなり意気揚々としていましたし、自分でなければできないという思いを強く持って今回のWTO交渉に臨んでおられたというふうに思っております。もともと、党内のほとんどがそう思っていますけれども、彼の印象は、強靱な精神力と交渉力の押しの強さという点であります。

 もちろん私は、一緒にやってみて、極めて思いやりのある政治家だという場面が随分ありました。私の方が先輩でありますから、交渉の際に常に私を立てて、後輩議員として先輩を立てるという場面が随分ありましたし、そういう心優しい部分、それから、日本の側に立ってくれた外国の閣僚に対して、どうやって彼の立場を守ってあげようかとか、そういう思いやりのある政治家であるということも、一緒に交渉していて、単に強気で押していくとか、そういうイメージとしての、こわもてというイメージが先行していますけれども、それだけじゃないということを二人で交渉してきて実感しただけに、物すごく残念だということと、私としては、彼自身が自分でしかこの交渉はできないというモチベーションで取り組んでいましたから、やめることを勧めるという発想はなかったです。

 大事なパートナーで、農業交渉と農業以外の交渉との連携はこういう人じゃないとなかなかできないなと思っていましたし、経済産業省と農水省の連携は極めてうまくいっておりましたから、それを、パートナーをかえること自身を勧めるという思いはありませんでしたし、彼自身が強い精神力の持ち主でありましたし、こういう事態になるということは予想だにしておりませんでした。だから、非常に驚きました。彼自身、政治家としてのこうした苦境に立ちながらも、外交交渉はきちっと乗り切っていけるだけの精神力と体力は持ち合わせているというのが私の評価でありましたので、非常に驚いて、意外なことでありました。

近藤(洋)委員 私は、亡くなられた方のことをこの議場で質問するのは大変心苦しいわけでありますが、しかしながら、御理解いただきたいのは、閣僚というのは公人中の公人であり、そして国益を背負い、責任を背負って職務に当たっている方であるから、質問させていただいているわけであります。

 言うまでもないことでありますが、自殺をされて何も解決をしないわけでありますし、その場面ではそれだけ能力を発揮されていた松岡前大臣が、他方で国内においては数々の疑惑を報じられ、かつ、直前でありますが、自分の所属する政党の幹部の方からも、責任を明確にすべきではないかとの旨の発言を受けていたわけですね。そういう状況も、客観的な状況としてやはりあったわけであります。

 自殺については、昨年は子供たちがみずから命を絶つ事件が相次ぎました。私の地元でも自殺をされた子供がおりまして、大変悲しい事件でありました。こういうことを受けて、安倍内閣では、昨年、伊吹文部科学大臣が、全国の小中学生に、自殺を思いとどまるように、こういったメッセージも発して訴えていたわけでありますね。その肝心かなめの内閣で、残念ながら自殺者が出てしまった。こういうことは、私は、やはり結果責任において内閣の態勢としてどうなのか、こういうことを感じざるを得ません。

 子供たちに、国益の話を今申し上げましたけれども、対外交渉の話もしましたが、まさに日本国じゅうに対してどういう説明をきちんとするのかということも、これはやはり公人中の公人の方が行った選択について内閣として責任がある、こう思うんです。

 そこで、副長官にお見えいただいておりますが、官房副長官は、官房長官を補佐する立場で、内閣を見ている、全体に目くばせをしているお立場だと思います。私は、正直申し上げ、総理の責任、官房長官の責任、そして副長官の責任は非常に重大だと思いますが、副長官はどうですか。どのように認識されていますか。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 本日、十二時から、地元の熊本で松岡農水大臣の密葬が行われます。心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、奥様初め御遺族の皆様方に衷心からお悔やみを申し上げたいと存じます。

 今、甘利大臣からお話があったとおりだというふうに思いますが、松岡大臣は、農林水産行政に高い見識を生かして御活躍をされておられました。松岡大臣の農政にかける情熱、行動力から、想像もできないぐらい大きな内心の苦しみがあったのだということを今になって痛感しております。道半ばでこういう形になったことについて、松岡大臣も本当に無念の気持ちであるのではないかと思いますし、また、亡くなられたことが本当に残念であるという思いでございます。

 このように、現職の閣僚の一人が命を落とされるという重みをかみしめるときに、責任回避をするわけでは当然ありませんけれども、だれのせいであるというような議論をするときではないのではないかというふうに我々は考えております。

 いずれにしても、松岡大臣の前向きに農政に邁進する姿、また、道半ばで亡くなられた大臣の遺志を継いで政策を推進していく、それが重要であり、そういう立場で全力で内閣として取り組んでまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 副長官、るる私が御説明を申し上げたとおり、これは国家の問題でもあるということなんですね。ですから、犯人捜しをしろとか、そういうつもりで言っているわけじゃないんです。内閣の戦後初の異常事態ですよ、閣僚がこういった選択をするということは。

 ですから、やり過ごせというような、私はちょっと、だれのせいで云々というその御答弁は非常に副長官、内閣のかなめとして無責任だなという気がいたしますし、それは、まさにこれから御葬儀が行われるわけでありますけれども、本当に弔意を示すのであれば、きちっとした対応をとるべきではないか、こう思うわけであります。

 さらに、残念なのは、これもどなたがどう言ったということは言いませんが、テレビ等で閣僚の方が死人に口なしというような御発言もされているわけです。これは言語道断だと私は思います。こういった同僚の閣僚からそのような発言がテレビで流れるというのは、私は考えられない。

 しかも、この件については、関連しているかどうかは別にして、大臣が非業の死を選ばれた翌日に、緑資源機構の元理事が自殺をされている。これはどういう関係があるか、全くわかりません。全くわかりませんが、そういったことも起きている。だとすると、やはり私は、この問題についてきっちりとした解明といいますか、それは責任の所在も含めて明らかにすべきだろうし、内閣は姿勢を示すべきだろう、こう思います。

 もちろん、当然職務については引き続き内閣でやっていただきたいと思うわけでありますが、それが、やはり私は、内閣総理大臣も含めて、官房副長官も含めて、きのう国会でお見送りになられた写真が下村副長官も出ておりましたけれども、ぜひその姿を形にして、責任を受けとめて内閣を統率すべきではないか。残念ながら、今の内閣はそういう状況になっていないなと思わざるを得ません。

 とりわけ、報道等で指摘をされているいわゆる政治と金の問題について、残念ながら今や御本人のお話を伺うことはもうできない。だからといって、目をつぶってやり過ごすというわけにもこれはいかないと思うわけであります。

 そこで、法務省にお伺いしたいのですが、松岡前農林大臣に対して、農林大臣に就任して以来、任意なりなんなり、御本人に対して事情聴取を行ったことはありましたか。また、近く行う旨を通知したことはございますか。お答えください。

水野副大臣 検察においては、松岡大臣について取り調べを実施したことはない、また、近く行う、呼び出すとか、そういうようなことはないというふうに承知をしております。

近藤(洋)委員 こういう状況ですから、さまざまな憶測、報道が流れるわけですから、一つ一つ確認をしなければいけない、こう思うわけであります。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、資料二をごらんいただければと思います。

 続いてお伺いしたいと思います。東京地検特捜部は、緑資源機構の官製談合事件について公正取引委員会が押収した資料を借りておりました。借りておりましたが、その一部を紛失、過って破棄しております。この資料は法務省さんから提出いただいた資料でありますけれども、この資料の二にあるとおり、この事件が、紛失が起きたのは四月でありますが、五月二十四日付で、厳重注意、訓告等の処分を行っております。

 この資料紛失、昨日聞いたところ、公正取引委員会の押収した資料を特捜部に貸し出すことはあるわけですけれども、過去何度かあるようでありますが、紛失したということは過去なかった、一度もなかったと聞いております。

 この紛失事件についてもさまざまな憶測が言われておるんですけれども、それはともかくとして、どのような内容の資料だったのか、捜査にとってどの程度重要な資料だったのか、極めて重要な資料だったという話もあるようでありますけれども、法務省、お答えいただけますか。

水野副大臣 この紛失につきましては、本当に、まことに申しわけないことだというふうにまず思っております。

 御質問の紛失、廃棄された証拠物、二十六点になるわけですけれども、その内容については、捜査機関の具体的な活動内容にかかわる事柄でございますので、まことに申しわけございませんけれども、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 現在捜査中であるからお答えできない、その趣旨は、そのお答えもわかるわけで、理解を全くしないわけではありませんが、しかし、それでは伺います。

 この資料を管理しているのは、最終的に管理しているのは、管理責任は公正取引委員会であります。公正取引委員会、同様の趣旨で、法務省によって紛失、破棄されたこの資料はどういった内容の資料だったのか。具体的にお答えできなければ、例えばどのような性質の資料だったのか、立入検査で押収した資料なのか、任意で集めた資料なのか、どのレベルの資料だったのか、せめてその程度まででもお答えいただけませんでしょうか。

山田政府参考人 今御質問のありました証拠物でございますけれども、これは公正取引委員会の犯則審査部が裁判所の発する令状、許可状に基づきまして差し押さえた証拠物でございます。

近藤(洋)委員 ですから、どのような内容のどういった証拠が失われたのかということを聞いているので、お答えいただけますか。

山田政府参考人 証拠物の具体的な内容につきましては、先ほど法務省の方からも答弁ありましたように、やはり調査事項にかかわる事項でありますので、具体的内容については差し控えさせていただければと思っております。

近藤(洋)委員 それでは公取に伺います。捜査中であるからということでお答えですね。では、捜査が終結したら公開をいたしますか。お答えください。

山田政府参考人 証拠物の収集に当たりまして、どのような対象のものを調査するか、それからどういうところから収集するか、そういう点につきましては、やはり調査の内容にかかわる事項でございます。本件にかかわらず、今後の調査にも支障があると思っておりますので、そこは差し控えさせていただければと思っております。

近藤(洋)委員 それは関係ないじゃないですか。捜査が終結したら、どのような書類だったのか公開することができるでしょう、こう言っているわけですね。今後の捜査とは関係ないですよ。ちゃんと公開すべきじゃないですか。もう一度お答えください。

山田政府参考人 先ほども申しましたように、本件の調査にかかわらず、今後の公正取引委員会の調査にも関係する事項でありますので、そこは、具体的な内容については差し控えさせていただければと思っております。

近藤(洋)委員 何でそこを隠すんですかね。ちょっと理解できないですね。

 そもそも、刑事告発をする前に公正取引委員会が東京地検特捜部に資料を貸し出すこと自体、私はちょっと異例だと思うんですよ。告発をして渡すのならわかるんだけれども、告発をする前に全部預けている。そして、その資料が、ちょっとイレギュラーな形で貸し出して、それが紛失しているんですよ。しかも、そういったさまざまな疑惑の中で、まさに、ある意味で国家機関である閣僚の方が亡くなっているわけですね。そして、調査対象であった緑資源機構の元理事も自殺をされている。

 そういうさまざまなことが起きている中で、きちんと公開すべきではないかということです。捜査が終わってからなんです。なくして知らんぷりですか。そんないいかげんな管理体制なんですか、公正取引委員会。公開すべきじゃないですか。お答えください、もう一度。

山田政府参考人 犯則審査部が収集した資料につきまして、検察当局の方と各種の情報交換なりすること自体は特に問題ないと思っております。その観点から、今回貸し出したものでございます。その貸し出しに当たりまして、公正取引委員会といたしましても、証拠物の内容の確認とか、必要な手続に基づいて貸し出したものでございます。

 その具体的な証拠物の内容でございますけれども、そこは、先ほどから申しました点と同じでございますけれども、今回多くの証拠物が紛失したことによりまして、公正取引委員会自体として、先般事案の告発をしたわけでございますけれども、その告発に今回の紛失が影響があったとは認識しておりません。

近藤(洋)委員 お答えしていないですね、局長。何でそんなしどろもどろな答えになるんですかね。

 なぜ私がこの件を指摘しているかというと、この紛失、非常にイレギュラーな紛失について、もう既に週刊誌等でも、この紛失が捜査に影響を与えたのではないか、その後の進捗に影響を与えたのではないかというような、週刊誌報道でありますけれども、されているんですね。これは大臣が自殺をされる前の時点の報道であります。直前の取材だと思うんですけれども、そういったことも報道で書かれているから、そうでないのならば、きちんと、何がなくなってこうだったのかというのを、この事の重大性にかんがみて、この程度のことをきっちり話す、説明をすることは必要なんじゃないかということで申し上げているわけであります。

 副長官、どうですかね。公正取引委員会を所管するのは内閣官房でありますから、きちっと調整をして、事件終結後しかるべく説明をするということで、政治家として指示をいただきたいのですが、いかがでしょうか。通告がなくて大変恐縮でございますが。

下村内閣官房副長官 まず、証拠物が紛失したということは、まことに遺憾なことであるというふうに思います。十二分に管理、徹底をする必要があると思います。

 また、今の内容については、これはやはり、公取また法務副大臣から答弁がございましたが、その答弁のとおりであるというふうに私も承知をいたしております。

近藤(洋)委員 やはり政治と金を透明にすることというのは極めて重要なんですね。それは重要なわけですが、それにかかわる捜査のあり方も、私は、当然、公正取引委員会はきっちり仕事をしていると思いますし、検察当局もきっちり仕事をされていると思います。ですから、こういったことについてもきちんと説明をするということがまず重要なのではないかということを指摘したいと思いますし、やはり政治の方では、政治と金を透明にするために、不透明な資金の流れの温床である官製談合を根絶することが何よりも重要であろう、そして、そのことが、今回の事態に学ぶことであろう。官製談合を根絶することが何よりも重要だ、こう思うわけであります。

 そこで、お伺いします。

 残念ながら、現政権のもとで官製談合は後を絶ちません。そこで、官製談合を根絶するために、今の法制度ではやはりまだまだ限界がある、官製談合をみずから言い出す仕組みに広げることが何よりも重要であろうと思います。民主党では、官製談合防止のための独禁法改正案として、談合情報をみずから自主的に申請した事業者に対して課徴金を減らす、現在もリーニエンシー制度がございますが、この課徴金の減免度合いをさらに広げるといった改正案を近く国会に提出する予定であります。

 現在、内閣、政府部内でも、独禁法改正について検討作業が進められておりますけれども、公取委として、談合防止のため、罰則の強化または自己申告しやすい仕組み、どうやったら自己申告をしやすいか、こういう仕組みについて何らかの検討を公取は行っていらっしゃいますか。

松山政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の、談合を根絶するために、違反行為を自主申告しやすいような課徴金減免制度の改正についてということでございますが、御案内のとおり、課徴金減免制度は、平成十七年の改正におきまして、カルテルの発見、解明を容易に進めていく、それから各企業が法令遵守体制の推進をするために自主的にその申告を行うということで導入されたものでございます。

 今御指摘のとおり、平成十七年七月から内閣官房長官のもとで開催されております独禁法基本問題懇談会におきまして、現在、課徴金制度全般につきまして御議論がされているところでございます。

 本年六月には報告書の取りまとめが予定されておりまして、その中でも当然、課徴金制度全般につきまして御議論されているわけでございます。課徴金減免制度のあり方につきましても、現在、その報告書の中で御議論されておりまして、例えば、公正取引委員会が承知していない事実についてそういうことを申告された場合に、そういうものを例えば課徴金の減額要素にすべきではないか、これはまさに課徴金減免制度の、制度の根幹にかかわる話でありますが、事後にそういうことを報告されるということと類似をしているのではないかというようなことも議論されております。

 今、そういう報告書が懇談会で御議論されているところでございますので、公正取引委員会といたしましても、懇談会の報告を踏まえまして、公正取引委員会として適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

近藤(洋)委員 御答弁の内容は、報告を踏まえて検討するということで、具体的に何をするということはお答えになっていないわけでありますが。

 私は、リーニエンシー制度を導入した、この経済産業委員会でも議論しました。大変効果を上げているんですね。ですから、やはり自主申告したらメリットがあるんだというか、談合は損なんだというのを、罰則強化も当然重要ですが、一罰百戒で、今までモグラたたきのように、これも大事なんですけれども、それだけではやはりこの談合列島は直らない、こういうことなんです。

 官房副長官に伺います。

 現行法では、一番最初に自主申告した事業者は課徴金が全額減免される仕組みになっています。ところが一方で、もう一つの、事実上の制裁である発注官庁による指名停止というのがありますね。この指名停止は行政行為でありますけれども、この指名停止では、自主申告した事業者も、一番最初に自主申告して課徴金が全額減免された事業者も、一定期間の指名停止を受けてしまうんですね。ですから、本来の趣旨では、自主申告をしてちゃんと捜査に協力したら、いい情報を、改心して上げていったらば無罪放免というのが減免制度なんですけれども、片っ方の発注官庁側では違う制度になっている。

 これはやはり対応がちぐはぐになっておって、実際、事業者の方々に話を伺うと、本当に課徴金減免制度をやって、結局指名停止を受けるんだから、果たしてどうなんだろうかと。あえて言えば、官製談合を告発するというのは、官に対する、今までの仕組みを裏切ることになるわけですね、言葉は悪いですが。そういうことに対してやはり発注官庁からまた制裁が出るというのであれば、ちょっと怖くて言えないな、こういう声も出ているんです。

 この辺を、やはり対応を統一すべきだと思うのですが、副長官、内閣のかなめとして、官製談合根絶のためにこのお考えはありませんか、いかがでしょうか。

下村内閣官房副長官 御指摘のように、公共事業は、国民の税金をもとに極めて公共性の高い社会的基盤を整備するものでありますことから、その契約の相手方には社会的な批判を受ける者でないことが求められ、一方で、公共事業の発注者としては談合行為を排除することも大変重要であるわけでございます。

 そういう観点から、今御指摘がございましたが、これらの両方の、二つの観点を考慮して、さきの改正独占禁止法の施行の際、発注官庁と公正取引委員会の連携によりまして、減免対象事業者の指名停止期間について、通常想定される期間の二分の一に短縮する措置を導入したところでもございます。

 先ほども御指摘、また公取の方でも答弁ありましたが、引き続きさらに、官房長官のもとで独禁法基本問題懇談会を開いておりまして、六月末をめどに結論を出す予定でございますが、今の二分の一を基調として、委員御指摘のことも踏まえまして、より根絶をする方法について、この懇談会でもぜひ問題提起をしていただきたいと考えております。

近藤(洋)委員 結論ということで、二分の一を基調にするということは、やはり全額減免というのはなかなか難しいという趣旨の御発言だと思うんですが、私はまずいと思いますね。

 ここまで談合事件が相次いでいるわけですから、今までの延長線ではなくて違う発想での対応が必要だろうと思いますし、我々民主党は、官製談合防止法及び独禁法改正、さらに今申し上げたような提言も含めて、今国会に法案を提出いたします。ぜひ御議論していただきたいと思いますし、さまざまな部分では、急遽法案を与党の方もつくられて、年金については一日で通すというようなこともやられているようでありますから、君子豹変すで結構ですから、我が民主党案を丸のみされるのであれば、新しい官製談合防止法、ぜひ与党の先生におかれましても、今度、近く御提案をいたしますので、当委員会で議論をいただきたいな、こう思うわけであります。

 ちょっと時間がなくなりましたので、経済政策の話について伺いたいと思います。

 副長官、法務副大臣、お忙しいところどうもありがとうございました。貴重な時間、ありがとうございました。

 それでは、経済政策、本来の話に移りたいと思うのです。

 甘利大臣、先日開催された経済財政諮問会議で、地域版の産業再生機構構想なるものが民間議員から提案をされ、安倍総理も積極的に評価して検討を指示された、こういうことだと伺っています。

 内閣府の資料によると、この地方版の産業再生機構は、民間のファンドそして国の信用保証を使って、また、報道によると預金保険が出資をしてということでありますけれども、中小企業を立て直し、新事業育成のために資金拠出や経営を指導する、こういう内容になっております。

 この資料の内容だけを見ると、今国会で、当委員会で議論した成長戦略三法案に盛り込まれた地域中小企業の協議会の強化策がありました。中央団体もつくるという話がありました。さらに、いわゆる、通称甘利ファンドといいますか、基盤機構のファンドも強化する、また、さらには地域にできているファンドも強化する等々の御答弁もありましたし、こういったことからすると、今まさに我々がやっている、当委員会で審議をして、ぜひやってほしいということで民主党も賛成をいたしましたが、この既存の政策と外見上は余り変わりがないようでありますし、一体どういったものなのか。屋上屋を重ねるようなものなのか。

 新しい地域版再生機構構想について、甘利大臣はどのように受けとめられて、どのように検討されるおつもりですか。

甘利国務大臣 今国会で成立をしていただきました仕組みは、従来四十七都道府県にあります地域の再生支援協議会のネットワークをしっかり地方組織で結んで、それぞれの機能に足らざる部分をバージョンアップして、より再生の効果を上げようというもので、多くの御理解をいただいたわけであります。

 諮問会議の席上で私が申し上げたのは、その機構、支援協議会で救えない案件はどういうものがあるかということを、まず事案を精査して、それに見合った組織にすべきではないかということを申し上げたわけであります。

 つまり、まず最初に組織論じゃなくて、拾い切れない地域再生の案件がどういう具体的なものがあるかを精査して、それに対応する最小限の規模の組織ですね、効果はもちろん最大に出なきゃいけないんですけれども、組織として新しい仕組みをつくるわけでありますから、屋上屋を重ねてはいけない。ですから、仕事の仕分けをちゃんとすることが必要ではないかということを申し上げたわけであります。

 中小企業再生支援協議会は、御承知のとおり、千八百案件のプランをつくって、千四百はもう実行に移して、残り四百が移行段階にあるわけであります。九万人の雇用を確保したというふうに、非常にいい成績を上げているわけであります。いろいろな課題がこれから議論されるんだと思います。例えば、面的な再生をどうするかとか、あるいは三セクの対応をどうするかということ等々、とにかく地域再生にとって必要な要素を全部挙げて、それで支援協議会が担当するもの、これは個々の企業の再生ですから、個々の企業の再生でない部分で何があるかということを洗い出してもらって、その必要性に見合ったがたいのものをつくるべきであろうということを申し上げました。

 これは、その点、私の発言も踏まえて、経済財政担当相のもとで少し専門家の議論をしていこうということになっております。

近藤(洋)委員 甘利大臣が諮問会議で御発言された内容は、僕は極めて真っ当だと思うんですね。

 私は、三セクを処理するのは本当に必要なのかなという気もしますし、ただ、一部報道では、五百億円出資をするとか秋の臨時国会には法案を提出するとか、次から次へと出ているんですね。ちょっとびっくりしております。きちっと議論を整理しなきゃいけないんじゃないか。

 それで、民間議員が提案しているとなっているんですが、民間議員の名前を見ると、御手洗経団連会長、そして伊藤忠商事の丹羽会長であるとか日経センターの八代さんの名前がある。そうそうたる方々が提案をしているんですね、これは。びっくりしているんですが、ただ、実際にペーパーを作成したのは多分内閣府のお役人なんだろう、こう思います。関係者はみんな知っている、だからそこまで次から次と報道されるんだろう、こう思うんですね。はっきり言って、ちょっと言葉はきついですけれども、選挙対策目当てに何か追加策を出せといって急に出てきた感もあるわけですね。まじめな議論をすると甘利大臣のような議論になるんですけれども、ちょっとそういう感じがするので、慎重にしていただきたいな、余り乱暴な議論をしちゃいけないんじゃないか、この点だけを指摘させてもらいたいと思います。

 そして、成長を考える上で、最近日銀が大変興味深い分析をしております。資料の一をちょっとごらんいただきたいんですけれども、この分析は、出典は日銀のいわゆる展望レポートからのもので、これのグラフであります。この日銀の分析によると、一の表ですけれども、要は、外国人持ち株比率の高い企業、輸出比率の高い企業ほど、要するにグローバル企業ほど、上の方ですね、上の方は外国人持ち株比率の高いところ、グローバル企業ほど生産性が向上しても賃金は抑えられている、一言で言えばこういうグラフであります。グローバル企業であればあるほど賃金は抑えられる、こういうことであります。

 時間が過ぎましたので、最後の質問にさせてもらいたいんですけれども、要は、グローバル企業になっても賃金は伸びない、人手不足感が強まっても賃金は伸びない、なぜなら配当に回るということを日銀は指摘をしている、こういうことであります。

 大臣、これまでの成長戦略路線の基本的な考え方というのは、オープンにして外国人投資家を呼び込んで、グローバル企業になって、そして輸出をふやせば企業の収益は上がり、家計やそして取引先の中小企業にも恩恵が回る、こういうロジックだった、説明だった。しかし、日銀の分析では、そのとおりにはならないよ、こういうことなんであります。

 ですから、徹底的な、ただただ成長してグローバル企業になっていけばいいんだ、それを育ててオープン、グローバルだけでは、やはり家計は豊かにならないし、中小企業も豊かにならない、こういうことが権威あるところから分析されているのだろうと思うんですね。

 そこで、大臣、本当にこの話は、最初の一般質疑のときにも申し上げたんですけれども、今からでも遅くないですからこの成長路線の考え方を改めて、そして、とにかく中小企業対策なり、取引環境を整備するであるとか、そして家計を豊かにするということに、もうちょっと発想を転換していくべきではないか。このままの路線だと、大きくなっても決して伸びない。この企業の典型例がキヤノンです。経団連会長の御手洗さんのところなんですけれども、発想を転換する必要があると思いますが、最後にその点だけお伺いして、質問を終えたいと思います。

甘利国務大臣 これは、国内市場だけですとどんどん小さくなっていきますから、縮小していきます。外に打って出なければなりません。打って出るときには競争があるわけでありますから、その競争に勝つということが必要なわけであります。国際化が進んでいきますと、株はだれでも買えるわけでありますから、外国人投資家も入ってきますし、また、そうでないと、これから伸びていく企業の資本力を増強していくということもままならないわけであります。

 外国人投資家、外国人持ち株比率が高くなってくると、日本的経営からいわゆるアメリカ型経営への要請が株主からどうしても上がってきます。株主は、当然、利益が上がれば配当を要求する。オーナーは我々だという主張であります。その辺、会社はだれのものかというところとのかかわり合いがありますけれども、株主はもちろん、当然、大事な存在であります。ただ、従業員や地域社会との共生も大事で、いわゆるステークホルダーという考え方で利益を還元してもらわないと、最終的には競争力が落ちますよということを我々は提言しているわけであります。

 これに沿って企業が、株主にももちろん配当として還元をするわけでありますけれども、従業員の給与も上げて、モチベーションを上げて、さらにその力を発揮していくという方向で取り組んで、それをもって競争力を強化していくという方向に進んでいくように、いろいろと提言をしていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 終わります。

上田委員長 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 先週金曜日には、先ほども近藤委員も触れられましたけれども、あの社会保険庁改革法案の審議の中で、消えた年金記録あるいは宙に浮いた年金記録への対処もあいまいなままに強行採決が行われました。今、衆議院は不正常な状態が続いております。

 そうした中で、また一昨日、松岡農林水産大臣がみずから命を絶たれました。現職閣僚でみずから命を絶たれたのは初めてのことであります。御冥福を心からお祈り申し上げます。

 どうして命をみずから絶たれたのかわからないままに、一昨日以来、混乱と当惑が今もなお続くこの衆議院でこうして審議が行われ、また質問をさせていただきますのは、何かいつもと異なりましてなかなか元気が出ない、沈んだ空気の中でお話をさせていただく、そういう思いがございます。しかし、与えられた機会、与えられた責務でもございますので、気持ちを引き締め直しまして、質問をさせていただきます。

 きょうは、まず天下りの話からお尋ねさせていただきます。

 今、官僚天下り規制のための公務員制度改革、新人材バンク法案が審議中であります。国家公務員の再就職、中でも経済産業省出身者の天下りの実態についてお尋ねをしたいと思います。

 きょう、ちょうど午後から審議が行われます自転車競技法、小型自動車競走法の改正、その関係法人でもあります日本自転車振興会並びに日本小型自動車振興会、この二つの関係法人の補助金交付先、監督官庁はもちろん経済産業省でありますけれども、それぞれ上位三十位までの補助金交付先団体につきまして、それぞれの振興会ごとに、その上位三十位までの交付団体への国家公務員全体の出身者の天下り、再就職をされた役員数を、常勤で何人いらっしゃるのか、そして常勤、非常勤合わせて何人いらっしゃるのか、まず分けてお尋ねをいたします。そして、そのうち経済産業省の出身者の方々が役員に就任をされている数を、これも常勤で何人いらっしゃるのか、常勤、非常勤合わせて何人いらっしゃるのか、あわせてお尋ねをいたします。経済産業省、お答えをいただきたい。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねございました日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会が行う補助事業の平成十八年度の補助金交付額上位三十団体に位置づけられました公益法人、当省認可法人について調べた結果を申し上げます。

 日本自転車振興会の補助金交付額上位三十団体、全体では役員総数五百三十八名でございますが、常勤、非常勤を合わせました国家公務員出身者総数は九十二名、うち常勤数は三十八名でございます。それから、常勤、非常勤を合わせました経済産業省出身者の総数は六十九名、うち常勤が二十七名でございます。

 続きまして、日本小型自動車振興会の補助金交付額上位三十団体につきましては、これらの三十団体で役員総数五百二十八名でございますけれども、常勤、非常勤を合わせた国家公務員出身者総数は五十一名、うち常勤者数は十七名でございます。それから、常勤、非常勤を合わせました経済産業省出身者の総数は二十八名、うち常勤が十二名でございます。

三谷委員 日本自転車振興会、国家公務員全体で常勤、非常勤合わせて九十二名、うち常勤が三十八名、経済産業省の出身者全体で六十九名、常勤が二十七名。小型自動車振興会は、経済産業省出身者全体で二十八名、うち常勤が十二名であります。

 昨年、対象公務員の範囲の拡大がございました。数としてはふえているわけでありますけれども、この対象範囲の拡大のことをしんしゃくいたしますと、これもまた先般も細野委員が指摘をされましたように、二年前とその実態はほとんど変わっておりません。報酬を伴う常勤者の数も依然これだけ、大変たくさんの国家公務員出身者、とりわけ、監督官庁が経済産業省でありますので、経済産業省出身者が依然として非常に多く再就職をされている実態がございます。

 そこで、直接これら団体に再就職をされた方々と、二度目以降に再就職された方々と、分けてお尋ねをいたします。

 経済産業省の出身者で、今数を挙げていただきましたこれら二つの関係法人の補助金交付先団体に直接に再就職をした人たちについて、経済産業省が就職のあっせん関与をしたのかどうか、あるいは、した例がこの中にあるのかどうか、経済産業省にお尋ねいたします。お答えください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますと、我が省の職員につきまして、在職中に培われました経験や能力を期待いたしまして企業や団体等から寄せられる要請を踏まえまして、当該職員につきまして企業や団体等を紹介することはございます。

 また、今、二度目、三度目、こういう御指摘もございましたけれども、同様に、職員の経験や能力を期待いたしまして企業や団体等から寄せられる要請を踏まえまして、当省のOBにつきましても、その職員に団体等を紹介することはございます。

三谷委員 同じお問いかけを、今度は、今申し上げましたこれら補助金交付先団体への二度目以降の再就職をした人たちについて、いわゆるわたりでありますけれども、経済産業省が就職のあっせん関与をしたことがあるのか、あるいは、しているのかどうか。もう一度お答えください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、私ども、そういう形で、企業や団体等からの要請を踏まえまして、当該職員にそうした情報を提供することはございます。

 ただ、先ほど製造産業局長が答えました日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会の補助金交付団体につきましては、私ども、そうした形でいわゆるあっせんを行ったかどうかということにつきましては確認できておりません。

三谷委員 確認できておりませんということは、ないというお答えでいいわけですね。確認のためにお願いします。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 確認されておりませんので、そういうことで御理解いただきたいと思います。

三谷委員 ということは、昨日もリストアップをしてお出しをいたしましたけれども、それはいずれも今挙げました二つの関係振興会に再就職をされた経済産業省出身者ばかりでありますので、それに加えてリストアップさせていただきました中小企業基盤整備機構並びに商工中金の役員に再就職をされておられる三名の方についても、これは、今、官房長がおっしゃられた、あっせん関与は確認できない、ないということはどうでしょうか。お答えください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の三名は、あるいは異なっているかもしれませんけれども、中小企業基盤機構の理事長、それから商工組合中央金庫の理事長、それから中小企業金融公庫の副総裁のことかと思いますけれども、いずれも、あっせんということで確認はされておりません。

三谷委員 先ほど松永官房長が、一般論として申し上げる、紹介することもあると。あるいは、三月二十八日の当経済産業委員会の細野委員との質疑の中でも、これもまた一般論として、OBでなられた方々について、企業、団体等から照会があった場合、私どもから情報提供として紹介等の行為をすることはあるということをお答えになられています。その後に、職務として実施することも考えてもいい、このようにもお答えをされています。もちろん、これは今は禁じられておりませんので。

 では、どういうケースでありましょうか。今、官房長がおっしゃるような、企業、団体等から、いわゆる情報提供をされた、関与をされたケースというのは、私が挙げましたこの二つの振興会に再就職をされた中にはいらっしゃらない、こういう話でございますけれども、例えばどういうケースであるのでしょうか。お答えください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 再就職のあっせんに関する調査ということで、総務省が、十九年、本年四月の上旬に発表しております。私どもも調査に報告をさせていただいておりますけれども、平成十六年から十八年、三年間の調査結果でございますけれども、私ども、合わせまして四十二名の職員につきまして再就職のあっせんを行ったという形で報告をさせていただいております。

三谷委員 わかりました。つまり、先般も、官房長がおっしゃったとおり、二度目以降の再就職をされた方々、確認できたものを各省が渡辺大臣の号令のもとに出された、その二名だけだということでございますね、今のお話、わたりについては。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 私の説明が舌足らずだったかと思いますが、今御説明いたしました四十二名といいますのは、いわゆる退職をして直ちに再就職をした人数でございます。委員御指摘の二名というのは、それでは二度目、三度目ということについての調査がございまして、それについては二名という形で御報告させていただいております。

三谷委員 四十二名というのは、よく出して、はっきり言っていただいたと思います。それでも、直接再就職をされた方々の数からいたしますと、割合としては驚くべきほど少ないというふうに思います。

 そして、今度は甘利大臣にお尋ねをいたします。

 まず、先にお尋ねをしますのは、まさにきょうもこの後、日本自転車振興会、小型自動車振興会、この二つの関係法人、そのもととなります二つの法律の改正審議がございます。まさに経済産業省が所管をする、監督をする二つの団体であります。そこにまさに、安倍総理も言われておりますけれども、予算あるいは許認可を背景とした押しつけ的なあっせん、これが天下り問題のもとなんだと。これは直接的な予算ではありませんけれども、監督権を持つ、まあ、予算のようなものだと思います。まさにお土産のように再就職をされている。そして、二年前からしても五年前からしても、その実態は変わっていない。

 今の法案のことは抜きにして、まず、この実態をどのように受けとめておられますでしょうか、その御意見を聞かせてください。

甘利国務大臣 先生も言及されましたように、総理は、予算や権限を背景にした押しつけ的なあっせんはすべきではないと。

 公務員の再就職支援というのは、当然あってしかるべきだと思いますよ。一流の民間企業は全部そういう組織を持ってやっているわけでありますし、しかも、現実問題として、勧奨退職ということと向かい合わなきゃならないわけであります。やめたら一人でハローワークに行けというわけにはいかないのでありまして、役人のモチベーションは下がりっ放しになります。国を憂う優秀な人材が集まってくれなければ、長期的には国益を損ねるわけでありますから、そこをしっかり、与野党問わず、どういうあり方がいいか、役人のモチベーションを下げずに透明な制度をつくっていくということで向かい合わなければならない課題なんですね。

 それで、人材交流センターというのをつくって、情報をしっかり共有して、その中から欲しい人材にすぐつながるようにということで今やっているわけであります。

 予算といいますと、直接、間接、予算とかかわっていないところというのは、探すのはなかなか大変になります。どれくらい強くかかわっているかということはあると思います。それを背景に押しつけ的にしたかどうかということがないように透明性を確保していくということが大事だというふうに思っております。

 そこで、日本自転車振興会それから日本小型自動車振興会、この両団体。補助金の交付に当たって、当該交付先の法人が、補助の目的となる事業を効率的、効果的に実施する観点から適切であるか否かという判断をちゃんとする。これに関して、さらに十九年度事業からは、両法人それぞれの補助事業審査・評価委員会の審議を経て、透明性、公平性を持った形で交付先を決定する。つまり、交付の意思決定と人事の関係を切り離すということで透明性を図るという努力を引き続きしていくということであります。

 今までも、予算や権限を背景として押しつけ的に行ってきたという事実はないと信じておりますが、この人材交流センターができて、それが一括透明性を持ってやっていくと、その間の官の努力としても、補助金の交付と再就職との関係を切り離していく、外から見てもそういうふうに見えるように、評価委員会で補助金交付については決めている。ですから、そこは、人事、再就職のあっせんをするから交付金が出ているというふうに見えるような誤解を与えないように、透明性を保つという努力と作業は進めてまいります。

三谷委員 今の大臣のお話を伺いますと、特にキャリアの場合は勧奨退職、いわゆる肩たたきがあるんだから、優秀な人材に入ってもらうためには仕方がないんだ、こういう話にも聞こえます。

 一方で、事前の話では、こうしたあっせん関与、表に出しているわたりの二名以外はないということをずっと、昨晩も私も言われましたので、ちょっと四十二名直接の話はびっくりしたわけでありますけれども、四十二名といっても、今も数を言っていただいたのは、私はかなり勇気の要る話だと思います。だけれども、そのまま受け取れば、ほとんどあっせん関与というのはないとしか考えようがないわけです。

 ならば、まさにこの新人材バンクの話というのは、押しつけ的なあっせんがあるから、そのあっせんの部分を、人材バンクをつくって一元管理をするという話ですけれども、あっせん関与がほとんどないんであるならば意味がないではないですか。また、そのために、先ほど大臣のお話の中にも、ハローワークに行くわけにはいかない、こういうお話がありましたけれども、私は、ハローワークに公務員の方々が行ったところで何ら問題はないと思うんです、公務員だけに、国家公務員だけに。だけれども、トヨタにしたって、全社員に向けて就職のあっせん支援をするような……(甘利国務大臣「やめてくれという人に、再就職の」と呼ぶ)どうぞ。

    〔委員長退席、金子(善)委員長代理着席〕

甘利国務大臣 勧奨退職ということが、いい悪いは別として厳としてあるわけですね。そういう中で、後は自分で考えてくださいと、民間企業はそんなことはやっていませんよ。だって、皆さん方は、民間企業の労働者に対して、労働者の権利を守れ、ちゃんと後の世話もしろということを主張されているんじゃないですか。これは官民問わず、民間準拠であるならば、同じような仕組みはつくってあげなきゃおかしいんじゃないでしょうか。

三谷委員 それは、しかし、どの企業にしたって……(甘利国務大臣「だから、官じゃだめだという理由をおっしゃってください」と呼ぶ)いや、官ではだめなのではなくて、全員に縛りをかけているわけではありませんか。そんな民間企業がありますか、大臣。

甘利国務大臣 民間企業をよく調べてください。ちゃんと一流企業は、再就職の紹介、あっせんについてできるだけ努力をしているはずですよ。それが企業としてのいい態度といいますか、アティチュードだというふうに思っております。途中でほうり出して、後は自分で探してくださいということについて、私はそれ自身がいいとは思いません。

 ただ、要するに、透明性をちゃんと図る。総理が何度も、予算とか権限を後ろ盾に、さも、これを受け入れないと予算がつかないぞというように相手に思わせるようなことはだめだとおっしゃっているんですね。

 有為な人材をちゃんと提供できるように情報を提供して、ちゃんと欲しい人と行きたい人がうまくくっつくように、出会うようにしてあげるという作業、それがいかぬということはどうなんでしょうか。透明性をちゃんと確保して、予算と権限を後ろ盾に押しつけるということではないというために、人材交流センターというものをつくって一元的にやっていこうという話ですから、悪い話ではないと思います。

三谷委員 これは考え方の違いだと思います。

 その前提の話というのは、まさにさっきも大臣が言われた勧奨退職、肩たたきの話が前提になっておりますけれども、私はあるいは私たちは、何もいつまでも同じ発想で、ピラミッド型のヒエラルキーを官僚機構が持たなければいけないというふうには思っておりません。同期の方々が最後まで、六十歳の定年までおられても、それは結構なことだというふうに思っています。そうじゃなければ有為な人材が役所の中に入ってこないとも思っておりません。そこの発想の違い、そこに尽きるのではないかと思います。

 時間が押してまいりました。一つ、先ほども近藤委員から指摘がございました。五月二十八日付で出されました、経済財政諮問会議での民間議員提案の地域力再生機構の創設についての話であります。きょうは大田担当大臣に要請をしたのですけれども、来ていただけませんでした。かわりに、大村副大臣にわざわざ来ていただきました。

 まず、大村副大臣にお尋ねをいたします。この地域力再生機構はどういう内容でしょうか。簡潔にお答えください。

大村副大臣 もう時間がありませんので簡潔に申し上げます。

 委員が御指摘のように、五月二十八日の経済財政諮問会議におきまして、民間有識者議員から、地域力再生機構の創設についての御提案をいただいたところでございます。これはその前に、四月二十日にそういった議論がありまして、それを踏まえて、民間議員からさらに踏み込んだ提案をしていただきたいということで二十八日になったわけでございます。

 その内容につきましては、これまで議論になっておりましたが、中小企業再生支援協議会というものがありまして、それに対して、地域力再生機構というのをさらに今回つくったらどうかという御提案でございます。

 中小企業ではなくて、少しそれより大き目の、売上高二十億円程度の中規模企業を対象としたらどうかという御提案でありますとか、経営人材の派遣でありますとか、民間ファンドとの連携による資金供給などもやったらどうかとか、あと、地域力再生機構では、地域金融機関なり地方自治体との連携による地域の面的再生も対象にしたらどうか、そういった提案をいただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、同日二十八日の経済財政諮問会議の最後の締めで、総理から、地域経済を再生させるために民間議員から提案があったような仕組みは必要だと思う、そして大田大臣に、調整をしていろいろな意見をまとめて具体化を進めてほしいという発言をいただいたところでございまして、今後、この総理の御指示のもとに構想の具体化について研究を深めてまいりたいというふうに考えております。

三谷委員 このペーパーの中にも書いてありますけれども、四月二十日に、会議録も読ませていただきましたけれども、突然この前段の話になっておりまして、「地域経済の再生を図り、その成長力を強化するため、地域の企業、地域金融機関、自治体が一体となった“包括戦略”が必要である」。それで具体的な提案を出す。出されたのが二十八日の、まさに今御説明をいただいた内容の話というふうに聞いております。

 これは、どういう議論があって、どういうプロセスがあってこの提案がなされたんでしょうか。地域経済の再生を図るため、総理からもちろん方向づけは今のお話のとおりあったんだろうと思います。あるいは、その成長力を強化するためにスキームを出されたわけでありますよね。例えば、ここでも審議をしておりますけれども、地方の中小事業者、地域金融機関あるいは自治体の意見とかというのは聞いたんでしょうか。

 あるいは、先ほど近藤委員は大変優しいことを言われておりましたけれども、まさにこの民間議員四人のお名前で出されております。学者の方が二名いらっしゃいますけれども、どうやらその専門家のような方もいらっしゃいませんし、あとは、御手洗経団連会長と丹羽宇一郎会長は商社の会長でありますけれども、どなたがつくられたスキームなんでしょうか。先ほどの話のように、内閣府の中でつくられたスキームなんでしょうか。お答えください。

大村副大臣 今回の五月二十八日の御提案は、民間の有識者議員からの、四名の連名の御提案ということでございます。

 この有識者議員につきましては、今委員が御指摘のように、経済問題、財政問題に大変識見がすぐれているということで、総理のブレーンとして任命をさせていただいているわけでございます。それぞれ、経済界の代表、そしてまた学界の大変優秀な学者さん等々ということでございますが、各先生方はそれぞれに、地方自治体なり、そういった関係の金融機関なり、経済界の方々からのいろいろな意見を集められてこうした御提案をされたというふうに認識をいたしております。

 さらに申し上げますと、私ども内閣府、また、これはかねてから金融担当の山本大臣とか、そういった関係の内閣府の中のいろいろな意見の中から、地域経済を面的に再生をしたらどうか、これまでの中小企業再生支援協議会でも大変大きな役割を果たしていただいた、そのことは私ども重々認識をしているわけでございますが、さらに面的な再生をしたらどうかというような意見があって、今回こういう御提案をいただいたというふうに認識をいたしております。

 したがって、これは先ほど申し上げましたように、これから内閣府、大田大臣を中心として具体化をして、よりよいものに仕上げていきたいというふうに思っております。

三谷委員 先ほどの近藤委員も触れられましたけれども、国会で経済成長戦略大綱三法が審議をされているんですよね。その中でもさまざまな議論がありました。

 もちろん閣法で出された三法でもあります。そのスキームの内容がめちゃくちゃにすばらしい、あるいは今のお話だと、私も、この経済成長戦略三法、その中身で全部十分に満たしている、すばらしい内容だ、すばらしい施策ばかりだと、まあ、逆のことを申し上げましたけれども、思いません。思いませんけれども、この内容を見る限り、何か足らないところを補足するような内容になっていますか、これは。

 拡充をしてまたさらにすばらしいものに、あるいは地域再生に資する、そういうすばらしい発想のものならいいですけれども、全く別のスキームを持ってきているわけじゃないですか。中小企業再生支援協議会だけではなく、その三法の中には関連で中小企業応援ファンド等も含まれています。

 もう一つ指摘をさせていただきます。

 これはもう本当に憤慨物だと私は思うんですけれども、まさにこのイメージ図を出されておりますけれども、この中に、国が資金調達に対する政府保証をつけるという話なんですか。これは後で御説明をください。

 今、ここでも、商工中金あるいは日本政策投資銀行を完全民営化することを初めとして政策金融改革が、既に可決したものもあり、この国会で議論もされています。私は個人的な考えで、愚かなこととまで申し上げましたけれども、でも、その愚かなことを方向づけたのは、同じ機関である経済財政諮問会議なんですよ。今度は政府保証をつけるという話なんですか。私は支離滅裂じゃないかというふうに思うんですけれども、副大臣、どうでしょうか。

    〔金子(善)委員長代理退席、委員長着席〕

大村副大臣 委員が御指摘の、お手元にあります地域力再生機構のイメージ、これも五月二十八日に、民間議員が経済財政諮問会議に御提出いただいたペーパーの一部でございます。

 これは民間議員からの提案ということでございますので、こうした点も含めて、またこれから内閣府及び関係各省庁で十分議論を深めて、具体化に向けて進めていきたいというふうに思っております。

三谷委員 新聞紙上では五百億円支援の話でありますとか、あるいは既に法案提出の話まで浮上しています。また、大田大臣の記者会見の要旨の中でも、御本人の言葉で書かれておりますけれども、総理から、民間議員から提案があったような仕組みは必要、大田大臣に調整してもらって、関係省庁がよく連携して構想の具体化を進めてほしいという発言がありました、こういうことを言われています。本当なんですか。甘利大臣はメンバーのお一人でもありますけれども、逆に、この内容で進めるんですか、今言われたように。お答えください。

甘利国務大臣 私から申し上げましたのは、先ほどもちょっと答弁しましたとおり、今国会で承認をされた仕組み、つまり地域の再生協議会をバージョンアップしていく、それで何が救えないかということをまず作業としてやっていただきたい、その上で組織を考えるべきではないかということは申し上げました。

 先ほど来御指摘がありますとおり、屋上屋を重ねるようであってはこういう組織の効率も悪いですし、そこは仕事の分担をしっかり区分けしてほしい、それから、そもそもどういうところがそういう必要性があるのかということをしっかり議論していただきたいということを申し上げた次第でありまして、大田大臣からは、きょう出された問題点をもとに議論を深めていきたい、最終的な結論を出したいということでありました。総理は、それらも踏まえて必要性については理解をするというお話でありました。ですから、その議論の先にどういうものがあるかということになろうかというふうに思っております。

三谷委員 質疑時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、このように思いつきのような形で、民間議員からよく練れていないような話がぽんぽん出ておりますと、また政策金融改革のときと同じような話にねじ曲がっていくのではないか、そういう危惧がございます。

 甘利大臣、そこのところはよく見ていただいて、進めるべき話か、だめなものはだめだということを言っていただきたい、そのことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

上田委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 失礼いたします。民主党の柚木道義でございます。

 持ち時間の中で通告に従って質問させていただきたいと思いますが、それに先立ちまして、私、現在厚生労働委員会と兼務ということで、きょうはそちらからこちらにやってきたわけですが、御承知のとおり、厚生労働の方では、与党の特別立法という形で、職権によって今委員会が立てられているという状況にあるんですが、少し甘利大臣に、厚生労働分野のことではあるんですが、経済産業の中で関連する部分もあろうかと思いますので、基本的な認識ということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の与党の特別立法の中身そのものについては、余りにも当然のことが書かれておりまして、そのことについての言及というのは私はこの場では控えますが、そもそもの前提であります、今回、御承知のとおり、年金の記録の宙に浮いた状態によって、その救済をとる。そこで問題になっておりますのが、自分が実際に今宙に浮いているけれども、ちゃんと納めたということを何らかの形で証明するということが一つの大きな論点になっております。

 そんな中、今大きく意見が分かれているのは、従来、政府、厚生労働省の方が、いろいろな通知によって、申し立てがあった場合に、そこで調査をし、実際にその記録が何らかの形で証明されれば受給に至るという形をとられているんですが、私たちの方は、これはそうではない、社保庁のミスによって今回記録の紛失ということが起きているわけであって、いわゆる立証責任、挙証責任というものは社保庁の側にあるということを申し上げているわけです。

 そこで、大臣、先日当委員会でも大変議論になりましたいわゆるガス湯沸かし器、給湯器の問題で、事故が起こった際に、買った消費者の方が実際に被害に遭われた場合に、その被害に遭われた場合の責任というのは、買った方にあるのか、それとも製造メーカーの側にあるのか、もう当然のことだと思いますが、確認の意味で御答弁いただけますでしょうか。

甘利国務大臣 誤使用が原因であれば使った側、そうでない、製品に内在する欠陥であればつくった側であります。

柚木委員 当然のことだと思われます。

 そうした場合に、仮に命を失われるとかあるいはいろいろな形で体調にふぐあいが出てきた場合に、これは、今回、いろいろな形で当然行政指導等が行われ、それに対して対処するような形で法律も改正をされたわけです。

 この場合に、その救済措置といいますか、メーカー側が、今回もそれぞれのメーカーが新聞広告等も打たれたり、直接いろいろな形で救済に当たられたと思うんです。そのいわゆる救済策というものには、当然私は、一定の期限を切っていつまでに全面回収とか、あるいは全消費者に何らかの形で広告等を使って通知をするとか、とにかく、救済策には期限ということを切るものが救済策そのものを担保するというふうに考えるんですが、救済策に対する期限が必要かあるいはそうでないかということについて、大臣、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 いろいろな個別のケースはあろうかと思います。一概に言えませんが、いついつまでにこれこれこうするという場合もあるでしょうし、恐らく国会の中の議論でも、それで終わってしまっていいのかという議論も当然出てくるし、それはケースによって、一概にすべてこうであるべきだ、なければならないということも言い切れないのかなというふうに思います。

柚木委員 まさにそのケースによるという部分は重要なところでございまして、今回、いわゆる被保険者、既に年金受給世代の方々の中で宙に浮いているところに該当する可能性の方が千九百万件にも上るということが言われております。実は、五千万件、宙に浮いている中には既に亡くなられている方も含まれているということは報道のとおりですが、実際に亡くなっていかれるわけですね。本来受給されるべき金額をいただくことなく亡くなっていかれるわけですよ。

 そうであるからこそ、まさにそういうケースに対して、一日も早く、一人でもそういう受給漏れがないように、そういう金額漏れがないように対応していくということが、当然、責任ある政府あるいは厚生労働省、社保庁としての立場と考えますが、その場合に、当然、一定の期限を設定して救済に当たる。経済産業大臣として、政府の一閣僚として、この期限を切ることに対しての認識をお答えいただけますか。

甘利国務大臣 私は私の所管に関して申し上げているのでありまして、社会保障関係の御議論はぜひ厚生労働委員会で活発な御議論をお願いしたいと思います。

柚木委員 大臣がそうおっしゃるのも無理のないところでして、まさに私たちは、その議論を徹底的に行わずして、突然にきょう、法案を職権によって提出し、しかもきょう採決というようなことがあってはならないと考えているわけでございます。

 今まさに、立証責任の問題あるいは期限設定の問題を当委員会で申し上げるべきではないんですが、いみじくも大臣が御答弁いただいたように、厚生労働委員会でしっかりやれということだと思うんですね。私は、そういったことを改めてこの大臣の御答弁で確認させていただけたというふうに思っておりまして、通告に従いまして質問に入らせていただきたいと思います。

 まず冒頭、一昨日の報道でも、これは私もヒアリングさせていただきましたが、次世代自動車・燃料イニシアティブについて、経済産業省としてこれをプレスリリースもされておると思います。

 その関係で伺いたいんですが、昨年の十二月六日の当委員会にて私から大臣に対して御質問申し上げたんですが、電気自動車などのクリーンエネルギー車の開発支援でありましたり、あるいは普及啓発のための自動車取得税の軽減措置の延長について大臣にお尋ねをし、大変前向きな御答弁をいただき、実際、それが延長されるということにもなりました。さらには、硫黄ゼロの軽油の利用促進であったり、セルロースエタノールの技術開発に関しても同様な質問をさせていただいて、これについては政務官の方からお答えいただいたと記憶しております。

 こういった中身なんですが、今回の次世代自動車・燃料イニシアティブというのは今後五年間で二千億円の予算措置がなされるというふうに、これは報道ベースでありますが、聞いております。その内訳とか積算の仕方については、昨日経産省の方から伺うと若干違う部分もあるようですが、いずれにしても、今私が申し上げましたような、昨年質疑させていただいたようなさまざまなクリーンエネルギー技術開発の取り組み、こういった中身も今回のイニシアティブの中に含まれる、つまり予算措置としても充当されるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 御案内と思いますが、次世代自動車・燃料イニシアティブというのは、私は会見等で三掛ける三掛ける三というふうに申しているのでありますが、それは三つの目標を同時達成していく。最初の三、これは、エネルギー安全保障の向上、環境保護、それから競争力強化の三つの目標を同時進行で達成する。どういう手法を通じてやるかといいますと、エンジンと燃料とインフラの三つの分野について同時に革新を図っていく。それから三番目の三、三つのキーワードは、企業間連携、各省連携、そしてベンチマーク。つまり、この三掛ける三掛ける三で行っていく、当初の三つの目標を残りの三掛ける三で達成していくということであります。

 御指摘の各種低公害車の推進については、当然これらの中の作業の一つとしてしっかりと推進をしてまいります。

柚木委員 ありがとうございます。

 今後、各取り組み、年限を切っていろいろな開発支援の補助がされている部分で、五年間の間に一たんその期限が切れるものも当然出てくるわけですが、五年間のイニシアティブの中でこの取り組み支援が引き続き継続も含めて対象となるということで今受けとめさせていただきました。

 続きまして、そういう取り組みの中で、ちょっと地元の事例ということで恐縮ですが、資料の方につけさせていただいておりますバイオマス車の開発支援、岡山県ということで、県として自動車プロジェクト推進事業という形で行われるわけです。これは当然各自治体、都道府県においてさまざまな取り組みが行われておると思いますが、今回のこのイニシアティブ、そういった各自治体の取り組み支援にも予算措置も含めて充当されるという形で考えてよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 岡山県におきましては、木材等のバイオマス資源を自動車産業に活用するバイオマス自動車プロジェクト推進事業を進めておられると承知をいたしております。我が省では、本事業のうち、製材所の端材を原料としてエタノールを製造する実証プラントについて支援をしているわけであります。

 今回取りまとめました次世代自動車・燃料イニシアティブにおきましては、木材等のセルロース系原料を用いてエタノールを製造する技術開発を推進することとしております。御指摘の実証事業はその先駆けとなるものとして重要であると考えております。

 いずれにせよ、今後ともこの実証事業の着実な推進に努めてまいります。

柚木委員 着実な推進ということで、このイニシアティブの中に含めてということでよろしいんですね。

 ちょっと時間がありますので、次の質問は確認ということで、お願いということでさせていただきたいと思います。

 バイオマスの中のバイオガソリンをめぐって、経産省さんが推進されるETBEという方式と環境省さんの方で推進されるいわゆるE3、直接か混合かという幾つかの、要は混合の過程の違いだと思いますが、ただ、その推進がそれぞれ若干力点の置き方が違う。これは、ある意味では、それがより実用性が高い、費用対効果も考えた場合にどちらなのかというのをどこかの段階で見きわめることが必要になると思うんですね。

 この報道の中にもございますように、本格生産を始めるにはそのどちらが本流になるかを見きわめる必要があるという経済界からの声もございまして、これは、今後の方向性というものをなるべく早い段階で一定のものをお示しいただくことによって、より本格的な生産普及につながっていくと思いますので、ぜひとも経産省さんと環境省さんの連携をお願いしておきたい。では、お願いします。

甘利国務大臣 うちが今ETBEに絞っているというわけじゃなくて、これは石連が石連なりのメリット、デメリットを比較してETBEだと言っているのでありまして、現段階で我が省が絞り込んでいるということではありません。

 両方ともメリット、デメリット、御案内と思いますけれども、それぞれあるわけでありますから、両方推進していって、どちらでもいい方をとれるようにしていく、あるいはある時期両方が共用で動いていくということもあろうかと思います。

柚木委員 いろいろな形での給油等の設備投資等、いろいろな問題があるんだと思いますが、今大臣おっしゃっていただいたように、両方でいくならいくでそういう整備、あるいはどこかで、一定の段階でそれを見きわめてというところが求められるのかなというふうに思います。ありがとうございました。

 それでは続きまして、安倍総理がつい先日その方針を示されておられます「美しい星へのいざない」に関しまして、幾つか質問させていただきたいと思います。

 これは、私も一通り御説明もいただきましたし、中身そのものについては大変すばらしいことが書かれているんですね。しかし、きょうの新聞各紙の報道でもさまざまな報道がございまして、例えば、きょう資料にはちょっと間に合わなかったんですが、毎日新聞さんの朝刊トップだと、温室ガスが九〇年比七・八%増、京都議定書の達成計画見直しへとあるわけですね。

 こういう現状にある中で実際に、二〇五〇年に半減という長期的なスパンの目標設定も当然あってしかるべきではございますが、もう少しそこに至るまでのロードマップを細かく、そして数値目標を設定し、期限ももう少し細かいスパンで設定をしたものをお示しいただくことが、少なくとも来年の洞爺湖サミット、そこで共同声明をまとめる、そこに向けて必要になってくるんではないのかなというふうに私は考えております。

 そこで、実際に「美しい星へのいざない」に書かれております中身に沿って少し御質問申し上げたいと思います。この中で、いわゆる数値目標を設定し、また期限を五年ぐらいのスパンで切ってお示ししていただけるものがどの程度あるのかということについて、これは環境省さんにお尋ねをしたいと思います。

石野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回、安倍総理が提唱されました新提案は、現在、人類が直面する大きな課題であります地球温暖化問題に関しまして、世界全体が一致して取り組む共通の基盤を形成するために、世界全体の温室効果ガスの排出量を削減するための長期的な戦略、それから、二〇一三年以降の温暖化対策の国際的な構築に向けた三つの原則、そして、京都議定書の目標達成を確実にするための国民運動の展開という三点について、世界に提案されたものでございます。

 環境省といたしましては、総理の陣頭指揮のもとで、関係省庁と協力をして、この提案に沿って努力を継続し、来年の洞爺湖サミットで成果が上げられるように取り組むべく、今後さまざまな機会をとらえて世界に働きかけてまいりたいと思っております。

柚木委員 今の御答弁だと、確かに数値目標、期限を設定するということは合意を得る上で大変なことだと思いますが、やはりそういったことをしっかりとホスト国の我が国が打ち出していくということが大変重要なことであるというふうに考えるわけであります。

 まさにきょうの報道においても、ASEMの外相会合でポスト京都の枠組みを整備、ここは一応一致ということになっておりますが、その議論の中ではさまざまな対立する部分もあった、しかしながら、EU議長国の外相が、国際社会は数値目標を定め、対策を前進させなければならないということで何とか一致にこぎつけたということでありますから、我が国として、ぜひそこは主体的な取り組みを行っていくことをお願いして、時間がございませんので、次の質問に進みたいと思います。

 京都議定書の目標達成に向けた国民運動の展開ということで、この「美しい星へのいざない」の中に触れられておるわけですが、その中で、先ほど新聞報道も御紹介いたしましたが、まさに京都議定書の目標達成計画を見直すというふうに言及をされておるわけです。ですから、そういった中で、具体的にどこをどう見直すのかという部分について、見通しで結構ですから、お答えいただけますでしょうか。

石野政府参考人 お答え申し上げます。

 京都議定書目標達成計画につきましては、昨年の暮れから、環境省の中央環境審議会と経済産業省の産業構造審議会の場を使いまして、現状でどこまで政策がうまく進んでいるか、どこに問題点があるのか、今後どういうふうにすれば目標達成に向けて具体的な方針がさらに強化できるかという議論を進めているところでございます。ことしの暮れまでにはその方針を出すということで、見直しを具体化してまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 では、一つ具体的に質問させていただきます。

 そういう中身の問題で、当然、ポスト京都議定書の策定に向けて、いろいろなシンクタンクなり団体なりからの提言がなされておると思いますが、一つ私がいただいている提言の中で、例えば、いわゆる産業のセクターごとにエネルギー効率指標をグローバルに設定し、一定期間内で削減を実施するようなルールが考えられるんではないかという提言がありました。

 具体的に、ことしの五月に、IEA、国際エネルギー機関の省エネへの新たな取り組み、枠組みとしてそういったものもあったり、あるいは、これはもう甘利大臣もいろいろ御尽力をされてこられていることだと思いますが、いわゆるAPPの枠組みの中で、主要業種などの分野ごとに、各国のベストプラクティスをベースとしたエネルギー効率の改善、温暖化対策に官民で取り組んでおり、セクター別アプローチが着実に進展しているというふうな提言もございます。

 こういうセクターごとの目標、効率指標、期間を設定してというようなことは、これは今後の見直しの中で考えられ得るのか、あるいは、ひょっとしたら私が不勉強で、既にそこは見通してあるのであれば、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 セメントとか鉄鋼とか、大きなセクターを六つか七つ合わせますと、世界じゅうのCO2の半分をそこで排出しているわけです。そこでエネルギーの効率を日本並みに上げますと、相当な効果が上がる。つまり、これは夢のような話じゃなくて、日本が持っている技術レベルにセクター別にみんな追いついていけば、それだけで圧倒的な効果が上がるわけであります。

 もちろん、総理の御提言の二〇五〇年半減というためには革新的な技術がそれに加わっていかなければならないわけでありますが、現実的な、すぐ手が届く効果として、セクター別のアプローチは極めて有効だというふうに思っておりますし、そういう提言が各所でなされ、共有されていきつつあるということは有意義なことだというふうに思っております。

柚木委員 大臣、ありがとうございます。

 まさにそういった視点を今後の見直しの中でも大胆に盛り込んでいただいて、現状としては今大変厳しい進捗状況だと思いますので、そのことをお願いさせていただいて、時間がございませんので、幾つかはしょって次の質問に参りたいと思います。

 水素による燃料電池コージェネの取り組み、これについて御質問を申し上げます。

 資料の二ページ目に、山口県徳山市の、最近は周南コンビナートという言い方をしますが、そちらでの取り組みをおつけしております。その図を見ていただきますと、水素フロンティア山口推進構想という形で、下半分の側を見ていただきますと、コンビナートの工場地帯において、それぞれ連携をして、いろいろな形で融通をし合っていく。副産物の水素ガスを使った燃料電池による自家発電の取り組み等も、これは上の図になってきますが、行われている。

 この図が白黒でちょっと見にくいんですが、今現状として行われているのは、下の図の方の水素燃料電池実証研究へのパイプラインの部分と、それから、上側に行って、水素タウンという、ちょうど真ん中あたりにある工場周辺住宅地における部分へのパイプラインというものが実際に今取り組みが行われていて、それ以外の工場間の融通であったり、あるいは水素ステーションの部分については、まだ実施段階にはないということでございます。

 しかしながら、このように余剰の水素ガスを活用した燃料電池、自家発電の取り組みを、これは当然、全国にこういった形でのコンビナート群というものがあるわけでございまして、そのコンビナートごとの地域特性等があるとは思いますが、いわゆる水素による燃料電池コージェネの取り組みというものを、私の地元にも水島コンビナートがあったりするんですが、他のコンビナートにおいてこれを拡充していくお考えがおありでしょうか。これは、まず環境省さんの方にお尋ねをいたします。

石野政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、平成十八年度に、環境と経済の好循環のまちモデル事業ということで、周南市におきまして、化学工場で副生された水素をパイプラインを通じて一般家庭に供給して、各家庭で発電、給湯を行うための家庭用燃料電池の整備を行ったところでございます。

 このモデル事業は、地域発の創意工夫によって、環境と経済の好循環を生み出すまちづくりの事例を発掘するということでございまして、これをモデル事業として支援していくという方針でございます。

 御指摘の事業につきまして、今後、その実施状況をしっかりと評価いたしまして、その成果を広く発信していくことで同様な取り組みが国内に広がっていくことを期待いたしております。

柚木委員 ありがとうございます。

 これは、ぜひ経産省さんの方にも、こういった連携を、例えばRINGプロジェクトのような形で、石油精製と石化とかいう形での連携もありますが、そういった産業のもう少し枠を超えた形での取り組みを、この水素を通じた連携によっての高度統合ということで行っていただくことをお願いだけしておきます。時間がありませんので、申しわけありません。

 次に、まさに甘利大臣が先頭に立って尽力をされております資源外交について少し伺いたいと思います。

 私は、常々大臣のリーダーシップに大変敬意を表しておりまして、ホームページなんかも拝見したりしているんです。そういう中ではあるんですが、少し別の角度からもこういう資源外交は必要なのではないかと。

 ことしは、総理や甘利大臣がサウジアラビア等各国産油国を歴訪され、一定の成果があったと思います。しかしながら、特にアラブの産油国では、王族が政府と石油とを支配している例も複数ございまして、これらの国との資源外交においては、総理やあるいは行政の所管大臣が御訪問をされる以外の形での何らかのいろいろな歴訪が資源外交にとっては大変効果的だという指摘を私は幾つかいただく場面がありました。

 具体的に申しますと、例えば、アラブ首長国連邦で平成十六年十一月に大統領が逝去された際に、当時総理補佐官でありました川口順子さんが弔問に訪れたんですが、そのときに、相手の受け取り方としては、男性に対して女性が来たというところも何か習慣としてどうなのかという部分もあったみたいです。

 それ以外に、やはり政治家以外の、そういう要人と申しますか、ちょっと表現に私も苦慮するんですが、そういった方が来ていただく方が実はより礼儀にかなっているというふうなことがありまして、例えば、イギリスなんかでいえば、私もちょっと文献を読んだだけなので、一応、プリンス・オブ・ウェールズというふうになったりしていまして、そういった立場の方が弔問に訪れられたりしているということで、私も余り細かいことまで申し上げるつもりもないんですが、そういう形での資源外交的な訪問ということが考え得るのかどうなのか、これは外務省さんに伺いたいんですが、お答えいただけますでしょうか。

草賀政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、総理、経済産業大臣、外務大臣あるいは副大臣等々、いろいろなレベルで資源外交を展開していると承知しております。また、民間レベルでの活動も大変大事でございますし、いろいろなことを考えてやっております。

 さっき要人というお話をいただきましたけれども、そういういわゆる政府の要人の方以外の外国の御訪問ということにつきましては、例えば憲法上とか、またいろいろな制約もございますものですから、必ずしも資源外交の観点から自由に決定できるということではございません。

 そういう制約の中にありまして、例えば、中東訪問の際に、総理が、やはり民間も大事だということで、経済ミッションを百八十名の方も伴って御訪問されたり、それから、さっき御指摘のございましたア首連、アラブ首長国連邦の大統領の逝去の際には、いろいろなことを勘案いたしまして、政府として川口補佐官を特派大使ということで派遣させていただいたというようなことがございます。

 私どもとしても、エネルギー安全保障の強化が大変大事な外交課題だというのは重々承知しておりますので、いろいろなレベルで、かついろいろな分野におきまして、引き続き幅広い視野で対応してまいりたいと存じます。

柚木委員 時間が来たので終わりますが、ずばり申しますと、外国交際を通じた形での、結果的にそれが資源外交にもつながるということは、これは宮内庁さんとぜひ御研究をいただければということをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、消費生活用製品、電気用品の安全性の問題についてお尋ねしたいと思っております。

 昨年秋の臨時国会で、消費生活用製品安全法の改正も行われまして、その際の改正のポイントの一つでもありました重大製品事故に係る公表についても一昨日公表されたところであります。こういう形で今動き出しているわけですが、あわせて、きょうの新聞報道などを見ますと、秋の臨時国会にまた消費生活用製品安全法の改正かみたいな報道もありまして、大分動きもあるところですけれども、私は、一つの事例を挙げてこの問題についてお尋ねしたいんです。

 資料でお配りしましたけれども、一枚目に、これは日本電機工業会、それからキッチン・バス工業会が新聞に掲載をしました小形キッチンユニット用電気こんろについての消費者への周知の広告であります。

 「小形キッチンユニット用電気こんろ(据付け型)をご使用のお客様へ 安全にお使い頂くためのお願い」ということで、左上の書き出しのところで、「電気こんろの上または周囲に可燃物などが置かれている状態で、身体や物がぶつかってスイッチが「入」となっていることに気付かずに外出してしまい“火災になる事故”が発生しております。」

 こういう事例についての注意喚起、これについての無償での改修の広告ですけれども、これがどういう事故なのかについて、まず最初にお伺いをしたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 ワンルームマンションなどに設置されました小形キッチンユニット用電気こんろにおきまして、狭いお部屋ですと電気こんろの前のスペースが十分に確保されていないために、人が通ったときにスイッチのつまみに体やあるいは体とこすれたものなどが触れまして電気こんろのスイッチが意図せずに入って、電源が入ってしまった場合に、たまたまこんろの近くあるいは上に紙袋などの可燃物が置いてあったため、火災等の事故に至ったものでございます。

塩川委員 ワンルームですとかアパートで、大体単身の若い方が住まわれるようなそういう賃貸の物件でこういったものが使われているわけですけれども、電気こんろ、電熱線で温めるものですけれども、これ自身、火力が少ないものですから、なかなか使い勝手がよくないということで、実際には、ひとり住まいということもあって、家事も余りしないというので利用しないことが多くなっている。そうすると、荷物置き場になっているような場所だったりもするわけですね。それが、スイッチが本当に触れただけで簡単に入ってしまいますから、当然火がつく、物置として使っているような状況で上にあるものが燃える火災というのが相次いでいる。

 ですから、資料の二枚目に東京消防庁が出しました注意喚起の文書ですけれども、昨年の十一月九日付です。

 「小形キッチンユニット用電気こんろの火災に注意! 身体などが触れ、知らぬ間にスイッチが入り火災に」「東京消防庁管内では、過去十年間に「小形キッチンユニット用電気こんろ」から五百六十七件の火災が発生し、このうち、半数以上の三百十一件がスイッチに身体や物が触れ、誤って電源が入り、付近にあった可燃物等に着火したものです。 これらの火災について、過去に関係工業会にスイッチの構造改善の要望書を提出し、スイッチの周囲にガードを設けることや、スイッチを操作面より凹ませるなどの回答を得て対処しています。しかし、関連火災は今年に入っても一向に減少していないのが現状です。」

 ということで、過去十年間の火災発生状況、次の三枚目に東京消防庁が集計をした表が出ています。一番左側が火災発生件数で、要するに、てんぷら油の火とかというんじゃなくて、誤って、つまり、こんろを使う目的がない、意図せずに火がついてしまう場合についてが括弧の中の数字です。平成八年の二十六とか平成九年の三十、ずっと見て、平成十六年の二十二、十七年の二十七、三十四ということで、要は、減少していないというのが現状だ。

 そういう中で、被害についても、全焼に至るものは幸いにもありませんが、足し合わせますと、この十年間で、半焼が二件、部分焼が百十四件、ぼやが二百二十九件、死者はありません、負傷者が合わせて四十二人という形での被害になっております。そういう点でも、東京消防庁が呼びかけしているように、現在でもこういった火災が発生をしているわけです。

 そこで、経済産業省に伺いますが、この火災発生を招くような製品についてどのような対応をしてきたのか、お伺いをしたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 一九八八年でございますけれども、このような電気こんろによります火災事故の多発を受けまして、当時の通商産業省から社団法人日本電機工業会に対しまして、このような事故の再発防止対策の検討を指示いたしました。

 この結果、社団法人日本電機工業会の事業者を中心に、今後販売する製品の改良、さらに、事故が発生している電気こんろの点検、修理、さらには、チラシやラベル等によりまして消費者への注意喚起を実施したところでございます。

 また、電気こんろのスイッチが容易に入らないような構造にするために、一九九〇年に電気用品取締法の技術基準を改正いたしました。さらに、同年、本件について事業者が連携して取り組むようにするために、社団法人日本電機工業会とキッチン・バス工業会が共同して、電気こんろに関する連絡協議会を立ち上げまして、消費者への情報提供強化を通じた対応の加速化を実施しているところでございます。

 経済産業省におきましては、事業者の点検及び修理状況を踏まえながら、事業者に対して適切な指示を行ってきたわけでございますけれども、昨年、御案内のとおり、消費生活用製品改正法の議論等々もございまして、社会の関心が非常に製品安全問題に高まったということを踏まえまして、いわゆる任意で報告されております事故の数がふえてまいりました。

 したがいまして、昨年十一月に、連絡協議会に対しまして、改めて社告を実施するように指示をするとともに、経済産業省みずからもプレス発表を行い、消費者に注意喚起を行いました。その他、テレビ放送を通じましてこのような問題を取り上げて普及啓蒙し、消費者の方々に対して注意喚起を行うように要請もいたしました。

 ところが、ことしになりましても事故がまだ起きているということで、本年五月に、当該電気こんろが、先ほど先生おっしゃいましたように主として単身者向けのワンルームマンションなどで設置されていることから、単身赴任者や学生などの入居者の入れかわりのある年度初めの時期をねらって、連絡協議会に対して、再度社告を行うように指示したところでございます。

 経済産業省といたしましては、引き続き、事業者を適切に指導するとともに、消費者への情報周知を行い、事故の再発防止に努めているところでございます。

塩川委員 現に、ちょっと触れただけでスイッチが入ってしまうような製品が出回っているわけで、それについて、経済産業省としても、この事故を起こすような昭和六十三年以前の機器について、そのこんろの点検、修理を求める、事業者として、その改修の作業を当然行ってきているわけであります。

 その点で、その改修状況がどうなっているのか、出荷台数、把握台数、改修台数がどうなっているのかをお示しください。

松井政府参考人 お答えいたします。

 本年三月末時点で、小形キッチンユニット用電気こんろ連絡協議会に属しております十二社合計の出荷台数は、五十三万四百十六台でございます。そのうち、所在が把握できている台数が三十六万二千六百六十二台でございまして、所属把握率は六八%であると聞いております。また、点検、修理を行った台数は三十一万五千二百七十八台でございまして、点検、修理率は五九%であると聞いております。

塩川委員 資料の四枚目がそれを集計したものですけれども、二十万台以上が改修に至らずということで、メーカー、事業者ごとの数値も出ております。これは経年での改修率が一番後ろの六枚目に表になっておりますけれども、松下電器産業が平成十八年度末の時点で改修率八〇%とか、日立ハウステックは六一%、松下電工が七九%というのもあります。例えば、下から二番目のサンウエーブ工業の場合ですと改修率が二四%、富士工業は一二%という形で、事業者の間でも大きな開きもあるところであります。

 当然のことながら、誤って触れればスイッチが入って火がつくといったことが、思わぬ火災にもつながり、負傷にもつながっているわけですから、こういうものについてきちんとした対応が必要なんですが、その際に、火災の事故原因がどういうものなのか、その点について認識を伺いたいんです。

 製品評価技術基盤機構、NITEにおいては、小形キッチンユニット用電気こんろの火災事故原因については製品に起因する事故としていると承知をしております。国としては、この対象の電気こんろについては製品に起因する事故と認めているのか、その点と、事業者はどう考えているのか、その二点についてお伺いしたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省及び独立行政法人製品評価技術基盤機構、いわゆるNITEにおきましては、本件事故の大部分が製品自体に問題があり、消費者の使い方も事故発生に影響したと考えております。

 事業者につきましては、電気こんろの上に紙袋などの可燃物を置いた結果火災に至っているという実態にかんがみ、消費者の誤使用が主な原因と考えている事業者も存在いたしました。しかしながら、先ほど申し上げましたように、最近の製品安全に対する社会の関心の高まりや改正消費生活用製品安全法の成立を受けまして、昨年十一月、当省からの強い指摘を受けまして、事業者も、本件を製品の問題として認識して前向きに取り組んでおります。

 なお、点検、修理の対象となっております電気こんろは一九八八年以前に設置されたものでございまして、なかなか設置場所の確認が困難となっている中で、事業者は、新聞広告の掲載やあるいは設置工事事業者との連携を通じて点検、修理の促進に努めているところでございますけれども、先生御案内のとおり、まだ進んでいないところがございますので、今後、さらに一層要請をし、改修、修理に努めていきたい、こういうふうに思っております。

塩川委員 国としては製品起因事故と判断をしている、事業者の中には消費者の誤使用というところもあったけれども、今では製品に起因する事故という認識だという話ですけれども、例えば、私どものヒアリングで、日立アプライアンスの担当の方の話では、これは四月三日の時点ですけれども、使用者の誤使用、不注意による事故と考えている、製品の欠陥ではない、現場ではこういう話になっていますよ。あるいは、日本電機工業会の担当の方に四月六日に聞いたときには、一連の電気こんろの事故は使用者の誤使用、不注意ととらえていると。

 ですから、製品の欠陥ではない、連絡協議会に加盟する各メーカーも基本的にはそういう立場だ、四月の時点でそういうふうに言っているんですけれども、その認識ではないということですね。

松井政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省といたしましては、事業者に対して、これはあくまでも製品の問題である、したがって、しっかり対応するように、こういう指導をしております。我々といたしましては、事業者の方もそういう認識に至ったものというふうに理解しておりましたが、先生御指摘のような危惧があるのであれば、再度、連絡協議会に対して強く徹底をしていきたい、こういうふうに思います。

塩川委員 事業者は製品起因事故と認めていないんですよ。ですから、そこで大きな開きがあるわけです。国としては製品起因事故だと言っている、その立場で指導していると言うんだけれども、事業者はそれを認めていないんだから。それが結果として改修率に反映しているんじゃないですか、改修のおくれという形であらわれているんじゃないか。

 私、そういうのを考えても、製品に欠陥があるとするのか、それとも消費者の誤使用、不注意とするのか、大きな違いが生まれるわけで、事業者がこういった消費者の誤使用、不注意という立場をとっている以上は、やはり政府としてしっかりとした対応をとるべきだ。大臣、ぜひ、危害防止命令などを発することを含めて、しっかりとした対応をとるべきだということを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 消安法の三十九条で、危害防止命令、回収も含めていろいろな措置をとれることになっております。ここでカイシュウが二つ出てくるんですが、修繕する方の改修と引き揚げる方の回収と両方あるんですが、事案によって、引き揚げる方の回収も含めて、発動することを別に否定しているわけではありません。

 実はこの事案を見ますと、とにかく把握台数がばらつきがあって、低いところは一七%なんですね、出荷台数に対する把握が。把握した台数を改修する、つまり修繕するということの比率はかなり高くなっていっているんです、改修はどんどん進んでいるんです。ただ、把握しているのを全部改修しても、出荷台数に比べたら相当部分は残っちゃっている、ここが問題なんですね。

 だから、改修せよといっても、把握しているものしか改修できないという事態がありますので、把握台数をふやして修繕することを進めるということが消費者に対する安全としてはやらなきゃならないことだというふうに考えております。

 そこで、出荷台数に比べて把握台数が低い、出荷した台数をできるだけ多く把握するための作業を指導しております。さっきもちょっと出ましたけれども、各事業者が抱えている保守点検要員を所在把握のための現場調査に振り向けるとか、あるいは携帯電話サイトに電気こんろの所在を調査している旨を掲載したらどうだ、あるいはNTTに登録されている電話番号先に調査のための電話をかけるとか、あるいはテレビコマーシャルにて周知すること。

 とにかく把握率を上げろということを、今までのやり方を確認しながら、それだけじゃまずいんじゃないか、こういうこともするようにという指導を今行う、これがまず何より大事だというふうに思っております。

塩川委員 事業者は製品起因事故と認めていないということと、関連火災は減少していないという東京消防庁の指摘にもあるような実態があるわけですから、今までの対応では不十分だということを前提に行うことが必要なわけです。

 この電気こんろは据えつけ型ですから、持ち歩くわけじゃないわけです。つくっている時期というのは決まっているわけです、そのワンルームマンションあるいはアパートは。そういう意味では、建築を実施した時期について全部リストアップをして、それを一つ一つシラミつぶしに当たるようなことを含めて、やればいろいろできるはずですから。

 若い人たちの将来を奪うようなこういった事故が起こらないような対応を求めるべきで、そういう点でも、例えば特におくれている事業者に対して独自の、個別の対策をとる、こういうところに危害防止命令をかけるとかも含めて、おくれているところに対する独自の対策をとるということについても一言いただいて、質問を終わりにしたいと思います。

甘利国務大臣 特に把握率がおくれているところには、どういう把握の仕方をしているのか、それでこういう把握の仕方に努力せよということをいろいろと指導していっているところでございますし、これからもやってまいります。

塩川委員 終わります。

上田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、経済産業省大臣官房政策評価審議官高橋英樹君及び経済産業省製造産業局長細野哲弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、議題となりました自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案につきまして、二十分でございますが、端的に質問させていただきたいと思います。

 三月二十九日に、参議院の経済産業委員会におきまして、この法律の審議が行われました。その際に、甘利大臣の御答弁、議事録を見させていただきました。まず、公営ギャンブルというのは刑法の賭博罪の特例として認められている、であるがゆえにきちんとした哲学に基づいて位置づけを行わなければいけない、こういう御発言がございました。そしてまた、それゆえに、公益性というものを担保し、また、地方財政の健全化に資するというものでなければいけない、それに加えて、スポーツとしての認知とレジャーとしての位置づけ、こういったものも踏まえて、それぞれの意義を確認していかなければいけない、これまたこういう御発言がございまして、私、全くそのとおりだというふうに思っておりますが、競輪とオートレースにつきまして、そういった公益性を担保し、地方財政の健全化に資するような状況にあるかどうかというと、現実は、実態としては大変厳しい状況にある。

 競輪につきましては、売り上げですか、ピーク時から五五%減。施行者の赤字も、六十一の施行者のうち二十五が赤字で、この十五年間で三十五の施行者が撤退をしている。オートレースにつきましても、ピーク時に比べると六八%の減。施行者八のうち七が赤字であって、十五年間で八の撤退。

 このような状況の中で、今回法改正をするわけですが、二〇〇二年にも法改正が行われ、ややもすると、大臣も御答弁の中にありますが、赤字を補てんするために公費を使う、結局、結果として焼け石に水になるような話になってはいけない、まさに十年、二十年先を見通して、公営ギャンブルをどう位置づけるのかと。私自身は、やはり、本当にぎりぎりの中でどうするのかということで、赤字を出したところはもう廃止にするといったところまで踏み込んだ上で、こういったことをもう一度ゼロから考え直さなければいけないのではないかというふうに、私はそう思っているということをまず冒頭申し上げておきたいと思います。

 まず、今回の法改正について、公営競技関係法人の組織形態の見直しについて御質問させていただきたいと思いますが、平成十七年十二月に閣議決定されました行政改革の重要方針で、日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会が行う業務を、指定を受けた一つの公益法人が承継することとする方針と。でありながら、なぜ今回の法改正案についてはこの点が明記をされていないのか。行政改革の中の法改正というふうに認識をしておりますが、この点について明快な御答弁、局長で結構でございますので、よろしくお願いいたします。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘がございましたように、十七年十二月の行政改革の重要方針におきましては、両法人の業務を指定を受けた一つの公益法人が承継することを基本とする旨の記述がされております。

 今般の自転車競技法等の改正に際しましては、いわゆる指定法人制度を活用することによりまして、日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会の業務について、それぞれ指定の申請を行った非営利法人が承継することとさせていただいております。

 この指定法人制度におきましては、指定を希望する法人からの申請に基づいて指定を行うこととしておりまして、自転車競技法及び小型自動車競走法に基づく指定を単一の法人が受けるというようなことを仮に法定するという場合には、両法人の根拠規定でございます両方の法律を統合するという過程をたどるのが自然だろうと思います。

 したがって、自転車競技法と自動車競走法を統合することにつきましては、法技術的には決して不可能ではございませんが、単一の指定を担保するということだけのために、競技の実態が相当違う二つの競技を一たん同一の法律の中で規定をするということになりますものですから、下部規定の調整を含めまして、改正内容が相当膨大になります。それから、これは言うまでもありませんけれども、この両競技は、この行革の趣旨とは別にルーチンとして粛々と着実に業務を行っていく必要があるわけでございまして、そういう観点からすると、こういう膨大な調整をするということにつきましては、その業務の円滑な実施等々という観点からは、少し無用の混乱を起こすんじゃないかなという議論がございました。

 したがいまして、ややテクニカルな説明で恐縮でございますけれども、法制局と法案のつくり方について御協議をさせていただいた中で、法律上は両法人の統合ということ自体は明記をいたしませんけれども、今お出しをしております案のように、競輪関係の指定法人と、それから小型自動車競走法関係の指定法人を、同一の法人を指定するということで両法人の統合を実現するというふうにさせていただいた次第でございます。

赤羽委員 今の御答弁にありますように、実態として、結果として御答弁どおりの措置がされることを強く求めるものでございます。

 一方、今回の制度改正によって、国の監督が弱まることになるのではないかという懸念の声もございます。特に、日本自転車振興会は、社団法人自転車振興会という時代に、競輪場における騒乱事件の対応が不十分であったことなどを背景に、国の監督強化と競輪の健全な運営確保を目的として、昭和三十二年の法改正で特殊法人化されたものであったという歴史があったと思います。もちろん、時代背景も随分異なっておりますが、この点について、国の監督権が弱まることになるのかどうかということ、それと、そのことについて本来の目的遂行に支障を来すことがないのかどうか、その点も確認をしたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、もともと公益法人であった日本自転車振興会については、一時期、騒擾事件がふえたということがありまして、昭和三十二年に、事業の公正と安全を確保するということを主な観点といたしまして、国の監督を強めるという意味で特殊法人化した、これは事実でございます。

 その後、確かに、五十年代半ばまでは、特に、競技の判定について不服といいますか、もめごとが結構起こっておりまして、いわゆる騒擾事件というものもある程度の数見られたわけでございますけれども、幸い、近年におきましては、判定機器の精度が相当向上した、あるいは審判の技術も相当向上したということもございまして、過去のような大規模な騒擾事件は幸いにして起こっておりません。

 したがいまして、先ほどの歴史的な経緯も勘案いたしまして、自転車振興会、それから小型自動車振興会の業務を民間に担っていただくということでも、特に競技の公正、安全な実施という観点からは問題が少ないんじゃないかというふうに考えた次第でございます。

 ただし、冒頭、委員からも御指摘ございましたように、これは、刑法の賭博罪の特例としてのギャンブル事業をきっちり遂行するという法人でございますものですから、改正法のもとでも、両法人の業務はそういう格好で、民間の格好でやっていただくということにしたわけでございますけれども、公営ギャンブル事業の公正、安全な実施を担保するに必要な業務規程等々につきましては、経済産業大臣の認可に係らしめてきっちりチェックをしていく。そういう意味で、必要な監督については担保してまいりたい、こういうふうに思っております。

赤羽委員 次に、特定活性化事業に対する交付金の還付措置のあり方について質問させていただきたいと思います。

 施行者が特定活性化事業に投資した経費につきましては、前年度に支払われた一号、二号交付金の合計額の三分の一を上限として還付する制度が、今回の法改正に盛り込まれておるわけでございます。本来、競技の収益金を社会還元することを目的としている交付金を、ある意味で目的外に流用するといった批判を招きかねないと私は少し心配をしているわけでございます。

 この特定活性化事業とは何ぞや。その範囲については経済産業省の省令に委任されているわけでございますけれども、特定活性化事業として想定している具体的な事例をやはり当委員会で明示していただきたい、こう思うわけでございます。

 こういったことというのは、そのときそのときでいろいろな理由づけがされていて、そして何年かたったら、何でこんなものがあるんだと。その当時は目的に資するということで、客層を広げるとかいろいろな理由は幾らでも山のようにできるわけでありますが、私、先ほど申し上げました競輪にしてもオートレースにしても、ここまで収益が下がってしまっているような、経営者としては落第の人たちにこういったものを任せるということは、結局、冒頭申し上げましたが、焼け石に水、余計赤字を大きくしてしまうことにつながるのではないか。

 ですから、私は、この具体的な事例を示すとともに、やはり費用対効果についても問われなければ、何か制度ができても余り、当初の目的とは違った方向に行くことが心配されるわけでありますが、この点について取り組みの御方針をお聞かせいただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、競輪事業を取り巻くビジネス環境は大変厳しいものがございます。その中で、冷静に現場を拝見しますと、制度発足以来、年月を重ねまして、多くの競輪場あるいはオートレース場が老朽化をしている。それで、新しいファン層をいかに獲得していくかということが重要でございます。すべて施設だけの問題とは限りませんけれども、一つの大きなきっかけとなるものとして、新規投資をして売り上げ減を食いとめる、そういった効果を担うというのも一つの方法かと思います。

 そういった状況を踏まえまして、これはあくまでも時限でございますけれども、法律に新たに規定を設けまして、この先五年間に限り、一定の投資、事業の活性化につながるような努力、投資については、いただいた交付金の一部を還付することを特にお認めいただくということでお願いをしておりまして、こういった効果を通じて、積極的な投資が促されて、ファンの拡大とか売り上げの増大に結びつくことを期待しておるわけでございます。

 御指摘の、ではどういうことをその対象にするのかという特定活性化事業の中身でございますけれども、これは今申し上げました趣旨でございます。しかも、ビジネス環境が非常に厳しいということで、中身については、ハード面あるいはソフト面両方から、相当弾力的かつ幅広く認めていく方針にしております。

 具体的には、競輪場、オートレース場の特別観覧席あるいはオーロラビジョンの設置などに代表されますように、いわゆる場あるいは場外車券場の施設の設置または改修、こういったものが一つ。それから、それほど大きなものではございませんけれども、自動発券機等々のいわゆる設備のたぐい、こういったものについて購入をしたりリースをしたりするときの費用、これを見る。さらに、スター選手の交歓トークショーなんかも含めていろいろな、ファンを開拓するようなソフトのイベント、こういったものについても対象にすることを想定しております。

 さらに、あくまでも、こういったギャンブル、地域との融和とかあるいは御協力をいただくというのが第一でございます。したがいまして、それぞれの場のある地域におきます地域住民の御理解を賜る、広げるという意味で、コミュニティー施設の建設、あるいは住民にいろいろ、場を開いていないときに施設を開放するとか、そういったことも含めていろいろなイベントを開催していただく。こういった費用についても還付の対象にすることを予定しております。

 おっしゃるように、これは時限とはいいましても特別な意図を持ってお返しをするわけでございますので、これをお認めするに当たっては、経済産業大臣の方にその中身を申請していただきまして、しっかり実現性とかなんかについてはチェックをした上で認定をさせていただくということを考えておりますし、もちろん、これが活用されていろいろな投資が行われた場合は、必要に応じて事後的なフォローについても勘案をしてまいりたいと思っております。

赤羽委員 大臣に申請をされ認定するときに、民間のいろいろなプロジェクトも、稟議申請をするときは、相当フィージビリティースタディーをして事業計画をつくり、それでも外れることの方が多いというような中ですから、ぜひ、同じものも、この地域ならスタンドを広げて意味があるけれども、ここならどうかということが当然あってしかるべしだと思いますので、それぞれ厳しい査定をしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 あと、次は補助事業についてなんですが、今回、日本自転車振興会と日本小型自動車振興会が一つの民間法人に継承されるものと、先ほどの御答弁があって、そうなるんだろうなということですが、現在行われている四つの補助事業はそのまま存続することとされております。

 組織の統合を行いながら、共通業務の整理統合を行わないということは、これも、ややもすると天下り先の確保、こういった批判も招きかねないというふうに思っております。まして、この補助事業というのは、国の補助金とは異なって、国会による議決ですとか会計検査院の検査を受ける必要がないということから、透明性の確保についてもさまざまな議論があるわけでございますが、この点について、お考えを御説明いただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 組織の改編だけをすればすべて事足りるということではないのはもとよりでございます。

 同じく、十七年十二月に閣議決定されました行政改革の重要方針の中でも、あわせて、事業の中身をいかにチェックしていくかという観点から、特に、外部有識者から構成される第三者委員会による助成事業を選ぶときのチェック、それから、後の評価ということについての仕組みを導入せよということが書かれておりますし、また、事業の結果については、補助事業者に対する外部監査も活用してこれを強化するということも御指摘をいただいております。

 したがいまして、こういった御指摘を踏まえまして、引き続き、両団体においては事業の透明性、公平性の担保を図っていく所存でございます。

 もちろん、第三者委員会による特に事業の評価につきましては、今般、ようやく十七年度の実施分について、初めて始めたところでございます。速やかにその中身について確定をした上でそれを公表する、あるいは公表して皆さんの御批判を仰ぐ、あるいは、その結果をまた翌年の判定に活用していくということで期待をしております。そのように有効に活用するべく関係の団体を指導してまいりたいと思っております。

赤羽委員 最後に、時間もほとんどなくなりましたので、大臣に一言、競輪、オートレースの健全な発展に向けて今後どうあるべきかということについて御質問したいと思います。

 いろいろな競技、やはりスポーツとしての認知とかレジャーとしての位置づけというのは本当に大きな課題で、先日も陸上競技、為末選手とか有名な選手が、丸の内のところで実際棒高跳びをやったりとか、五十メーター走をやるようなことも努力をされている。全く次元の違う話かもしれませんが、やはり我々、競輪、私は一度も行ったことがありませんし、オートレースも行ったことはありませんし、見たことも余りなくて、国民の認知度というのも余りにも低い。その中で、なかなか高い壁だなというふうに思うわけでありますが、大臣としてのこの点についての御所見をいただいて、私の質問を終わりにします。

甘利国務大臣 まず、スポーツとして日本選手が頑張っている。これは、アテネ・オリンピックで、チームスプリントという競技で日本の競輪選手が銀メダルを獲得した、こういうスポーツとしての認知度を上げる。それからレジャー性、それから、そもそも競輪場自身が、あるいはオートレース場が一種のテーマパークとして、来て、そこに集っておもしろいということを施行者は考えて、みんなで行きたくなるようにするにはどういう魅力を上げるか、そのためにこの補助事業をうまく使ってやっていただきたいというふうに思っております。

赤羽委員 競輪、オートレースが健全な発展ができるように、経済産業省としてもしっかり取り組みを進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、川端達夫君。

川端委員 大臣、皆さん、よろしくお願いいたします。

 今回の法改正で、特殊法人の統合と、それから民間に委託できるというふうな法改正ということでありますが、かねてからいろいろな議論がこの団体に関してはあったわけでありまして、そういう部分では、これを機に抜本的な改革が行われるように期待をしておりましたし、今も期待をしているのですが、現在の交付金方式、それから振興会経由の補助システムというものの抱える問題点が本当にこの法改正で実現するのだろうかというふうなことを若干指摘しながら、果たして実のある改革がなされるのか、議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 初めに、特に今回は競輪だけに限らせていただきますが、全体のギャンブルがそうなんですが、競輪事業も御多分に漏れず、売り上げが大きく減少してきている。そして、この事業を施行する地方公共団体の収支が非常に厳しい状況にあるということが前提になっていると思うんですけれども、たくさん聞きたいので、こちらで数字を申し上げますが、四十七場五十六団体の収支として、赤字が二十一団体、黒字が三十五団体、二十一団体の全部の赤字の合計が三十二億、アバウトですが、三十五団体の黒字が百五十八億、合計、プラスマイナスしますと百二十六億の黒字という数字として承知しているのですが、それでよろしいでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、先生御指摘のような厳しい状況にあるということについて、黒字の施行者の数あるいは赤字の施行者の数、それから団体のトータルの黒字の額、赤字の額については、御指摘のとおりでございます。

川端委員 お手元に資料を配らせていただきました。

 一枚目の上が、平成十七年度ですが、「競輪事業資金の流れ」ということで、五十六団体四十七場で、売上金が八千七百七十五億円、払戻金が六千五百八十一億円、七五%、日本自転車振興会交付金が約二百八十三億、公営企業金融公庫納付金が九十六億、施行者収入・粗利が一千八百十六億円で、開催経費二千四十一億ということで、収入が百二十六億、黒字が三十五団体、百五十八億、赤字が二十一団体、三十二億と。

 これで、自転車競技法第一条において、第一条ですから一丁目一番地でありますが、競輪の目的は、「自転車その他の機械の改良及び輸出の振興、機械工業の合理化並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に寄与するとともに、地方財政の健全化を図る」と書いてあります。そういう意味で、いわゆる機械振興や公益の増進に寄与するとともに、大きな柱として、地方財政の健全化を図るということが目的として第一条に書かれています。

 しかし、この実態でいうと、アバウトで言えば、開催している中の二十一団体は赤字である。そして、確かに黒字の部分の三十五団体は地方自治体の財政に寄与しているんだと思います。赤字は、たちまちその分をダイレクトに地方からその負担を補てんするということではありませんが、基本的には地方団体のツケとして残っている、負担になっていることは事実であります。だから実態としては、この赤字のところにおいては、第一条における「地方財政の健全化を図る」という目的は達せられていないという現状にあると思います。

 そういう中で、これはずっと続いておりまして、五年前の平成十四年の法改正で交付金の負担の猶予という制度が設けられましたが、その部分はどれぐらいの効果があったのか、そして今回、その猶予期間を三年から五年に延ばすということでありますが、そのことにおいての効果をどのように考えておられるのか、お教えください。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 前回、平成十四年の改正におきましては、交付金の金額の基準となっております売上区分の額を物価の指数にスライドさせまして見直しをする、それで実質的に施行者の交付金を納付する負担を軽減する。それと民間委託と、それから猶予をするという制度、三本が前回の改正のポイントでございました。

 このうち、まず売上区分の見直しにつきましては、これは施行者全体で平均して一割程度、中小の規模の施行者におかれましては約二割の交付金の負担が軽減されたというふうに考えております。

 民間委託につきましても、これは競輪の方で七施行者、それからオートレースで三施行者がこの制度を活用されまして、事務の包括的な委託をして経費節減に励んでおられる。

 先ほどの猶予の制度でございますけれども、この制度につきましては、十四年以降、競輪で一施行者、それからオートレースで四つの施行者がこれを活用されておりまして、既に猶予期間が終了したところもございますけれども、これらの終了した施行者においては、それまで赤字だったものが黒字に転換するというようなことで、効果が顕著にあらわれております。

 最後に、御指摘のありました、三年を五年にすることによってどうかという御指摘でございますけれども、これは、先ほど他の委員の御質問にお答えしましたけれども、積極的な投資をして行く末について見定めをするという積極対応期間を五年とるということとのバランスをとりまして、赤字の企業について、対応の選択肢を広げるための期間も同じく五年にさせていただくということで両々の対応を促進する、こういうことでございます。

川端委員 一定の効果はあったとはいえ、猶予あるいは減免でいっても限界がある。そういう意味では、やった効果は多少あるんだけれども、実は、例えば平成十八年度の撤退施行者は七。要するに七場はやめた。そして、例えば、平成十四年に改正されたわけですが、経済動向、こういうものへのファンの動きというのもあるんですが、法改正前の平成九年から平成十三年で撤退施行者数が十七、改正後の平成十四年から昨年までで十三。要するに、相変わらず減少傾向は歯どめはかかっていないという状況にあります。

 そして、猶予を三年を五年にされるということ、あるいは今回新たな還付金制度ということを提起されているんですが、猶予というのは、払うのをちょっと待ってあげる、だから黒字になったら払いなさいということであって、別にまけてもらったわけではないんです。そして、払えなかったら撤退しなさい、やめるんだったらチャラにしてあげる、払わなくていいということであって、要するに、本当に頑張って生き残っていこうということに関して効果があるんだろうかということを甚だ疑問に思う。それはなぜかと言えば、現実にやめるところは余り減っていっていない。

 それで、これは提案でありますが、赤字を出しているところを見ますと、要するに、かなりの額を納めなければならない、交付金を払うことをしなければ黒字なのにというところは山盛りあるんですね。これは、もうかったら払うんじゃなくて売り上げたら払えということですから、いわゆる売上課税ですから、そういう意味で、例えば、試算してみたんですが、赤字分だけは交付金を払わなくていいといったら、当然全部黒字になるわけですね。基本的にこういう、猶予ではなくて減免という形にもっと大胆に踏み込むべきではないか。

 これを言いますと、そういうことをするといいかげんに経営している人がそのままだらだらするんだとおっしゃるんですが、しかし、交付金が大変重い負担となって収支を圧迫しているというのが現実にあるわけです。そういう部分では、ここを抜本的に変えなければいけないのではないかというふうに思っております。後で御所見を伺いたい。

 それと同時に、今少し触れましたけれども、今度の法改正で、施行者が、競輪場、オートレース場の改修等の競輪、オートレース事業の活性化に資すると認められる事業を行った場合に、日本自転車振興会、小型自動車振興会に納めた交付金の一部を還付する制度を時限的に適用するというふうになっている。これは、さっき私、添付しました資料でいいますと、要するに、交付金ということで、振興会は、競輪では二百八十三億売り上げの中から抜いているわけですね。地方は四苦八苦してその分を負担しながら百二十六億もうけた。この地方の部分に、新たに投資するんであったら一定の額を上げますよという制度を導入される。

 私は、言葉は悪いですけれども、こういうふうに先にピンはねしておいてから、その金を握って、頑張るところに上げるよという仕組みは、時代の流れに逆行していると思うんですよ。本来、利益が出るように頑張りなさいと、利益が出たら、いわゆる上納金ですね、応分で納めてください、その間の部分はとにかく自助努力で頑張りなさいということをやればほとんどの団体が黒字でやっていけるという状況なのに、交付金があるから赤字になり、そしてその中で、交付金を握っているところから、いろいろな条件をつけて、こういうことをやるんだったら還付してあげますよという仕組みは逆ではないか。こういう仕組みをやめること。

 これは、中央と地方も一緒なんですけれども、補助金、交付金でいろいろな制限をつけ、条件をつけて、それに間に合うようなメニューをつくった者に、応じる人だけにお金を貸してあげるというのは、みずからの団体の活力をそぐということを含めて、流れが逆だと思うんですけれども、大臣の御所見を伺いたい。

甘利国務大臣 公営ギャンブルというのは、刑法の特例を設けて、本来はやってはいけないことを特別に許可してやってもいいということにしているわけでありますから、きちんと公共性が担保されていなければならない。その前提でまたお話を申し上げますが、施行者の方々から私も随分と陳情をいただきました。私もそれまで競輪場に行ったことがなかった人間で、そこでいろいろお話を伺い、売り上げの推移、益金の推移も見てきました。激減しているわけですね。

 今まで手当てしてきたけれども、私申し上げたんですけれども、交付金を極端に言えばゼロにしたとしたって、それは、刑法の特例でやっているということを考えれば交付金がゼロということはもちろん考えられないんですが、仮にそうしたって何年もつかの話じゃないんですかと、この減り方からいえば。売り上げは半分に減っているわけでありますから。つまり、魅力ある競技にする、魅力ある開催にする、魅力ある場所にするという努力をしなかったら、何をしても焼け石に水じゃないんでしょうかということを申し上げたことがあるんです。それくらい減り方が激しいわけですね。

 ですから、競輪場のイメージ、かなり殺伐としたイメージで、行ったら結構汚くて、余りもう行きたくないなというイメージを持たれちゃったら、特定のごく少数のファン以外に広がっていかない。これを拡大することが必要ですから、魅力をつけるためにどういう努力をするかということを考えてください、そのための応援はするということが先決じゃないでしょうか。交付金の金額を下げろ、下げないというやりとりだけで終始していると、例えばここで下げたとしたって、また何年か後に同じ陳情にあなた方は来られるんじゃないですかというお話をしました。

 でありますから、全体の売り上げを伸ばしていって、手元に残るお金を確保するということで努力をする、そのための施設整備やら、あるいは番組の組み方をおもしろく考えるとか、あるいはスター選手を育てるとか、いろいろなことに取り組んでくださるための交付金の還付ということを時限を切って考えていった方が抜本策につながるんではないでしょうかということを申し上げた次第であります。

川端委員 別に理屈は間違っているとは思いませんよ。ただ、その前提としていったときに、余りにも交付金の負担は高過ぎる、現状でいえば。だから、せめて交付金が、なしというのは確かに法制的に難しいということはあっても、こんなに過重でなければ何とか工夫していけるというときに、そのときに、例えば事業主が、こういう形で、自分たちの自助努力で、もっと明るく、清潔に、さわやかにというふうなことでお金が要るというときの融資の制度とか、これは基金もあるわけですから、ということの仕組みの中であったのに、新たに、まずは厳しい財布の中に手を突っ込んで、交付金だといってもらっておいたのを持って、欲しい人、上げますよという仕組みは、私はいかがなものかと思っておるということでございます。

 そういう中で、そうしたら、今言われたように、交付金は、賭博罪の適用除外の中で使っている大事なお金だというときに、二つあって、一つは、そういうものを事業者に還付するということ自体、精神に反しているのではないかというのが一つあります。そうでしょう。これはおかしいじゃないですか。趣旨がまず間違っているのではないか。これは指摘だけにさせていただきます。おかしいと思いますよ。だから、これは仕組みとして、何か握った金を離さないで何とか配ってやる権利を持っているように思えてならない。これは私の感想です。

 もう一つは、そこまでして集められたお金は、しっかりと、まさに透明で適切な選定という中のテーマで、そして有効な効果、それは国民、ファンあるいは事業者にとっても納得できるというものでなければならないのは当然のことであります。赤字でも払っているんですから、そのことは、生きたお金としてきちっと使われて、ああ、世の中の役に立っているなと。申し上げたように、みずから地方自治体がいわば負担までして払っているということが、よほどちゃんとしていなければいけないということですが、その認識は別に御異議はないと思うんですよ、あえて聞きませんが。

 その中で、まず透明性ということで、自転車振興会に基本的には交付金が流れているわけですが、今はこういう時代ですから、振興会のホームページで、ここの財務とか活動はどうなっているんだろうといろいろ調べてみたんですが、極めてわかりにくい。

 それで、この添付資料の一ページ目の下の方に、日本自転車振興会二百八十三億円というお金が入っているわけですね、グロスで。それが、中身でいうと、一号交付金・機械振興補助事業の原資百三十六億円、二号交付金・公益振興補助事業の原資百二十二億円、三号交付金・補助事業以外の業務二十四億円。

 普通だったら、日本自転車振興会の財務諸表をホームページで見れば、受けたところは振興会なんですから、ここにこれだけ入ってこういうふうに分けましたと載っているのかと思ったら、違うんです。一番下の三号交付金の二十四億円に該当するのが一般会計で載っていて、あれ、えらい少ないんやな、数字のけた間違えたんかなと思ったら、特別会計で、自転車等機械工業振興資金特別会計の中に交付金を受けて、二号交付金で、公益事業振興特別会計で受けて、そしてその中に、それぞれに役職員給与で一億一千六百四十五万円、一億四千四百九十三万円、四億八千六百七十八万円と書いてあって、これは何をやっているのかというのは、極めて不透明な感じがするんです。

 これは、どうしてこういうふうになるんですか、技術的なことですが。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、ホームページにおける情報開示の中身でございますけれども、現在、ホームページの上では、今御指摘のように一般会計あるいは特別会計も含めて、五つの会計区分それぞれについて財務諸表を掲載しております。したがいまして、一定の公開をしておるつもりでございますけれども、おわかりになりにくいと御指摘がございました、この五つなり三つのトータルのものを一覧でできないということにつきましては、確かにちょっと配慮が足りなかったかなという意味で、改善の余地があろうかと思います。

 ただ、今、後段におっしゃいました給与、人件費の件でございますけれども、これは特別会計、一般会計でそれぞれ中身が違うわけでございまして、簡単に申し上げますと、例えば、機械振興補助事業に従事する職員あるいは役員というのがいるわけでございまして、こういった、専らその会計にかかわる事業に係る人件費はそれぞれの特別会計に計上するというふうに配分をしております。

 したがいまして、そういうふうに縦割りにしているのと、それから、他方、御案内のように、では会長とか副会長とか監事はどうなんだということでございます。これは全体にかかわるわけでございますので、こういった全体の業務を行う者については、業務の金銭的なウエートについて配分をいたしまして、それぞれ三会計に分担をして計上する、ちょっとテクニカルでございますけれども、そういう計上の仕方をさせていただいております。

川端委員 大臣、資料の二ページ目の真ん中に、「日本自転車振興会役員構成」というので、役職と、最終官職がある人は最終官職ということで、会長、副会長、理事、理事、理事、理事、理事、監事までが常勤で、非常勤の監事、こういう構成になっているんですが、こういう人たち、大臣の勘として、大体年俸を幾らぐらいもらっていると思われますか。

甘利国務大臣 千数百万ですか。

川端委員 いろいろ引っ張り回しまして、なかなか教えてくれないので、給料だけ書いてあって、これに何か特別何ちゃら手当がつくとか、俸給は掛けて二割足して何とかこうとかと書いてあるのを克明に計算をしましたので、間違っているかもしれません、私が計算をしたので。会長が一千九百七十三万、副会長が一千六百二十五万、理事が一千四百三十一万、監事常勤一千二百四万、非常勤五百八十三万、合計で一億二千五百四十五万。総人件費が七億四千八百十六万。引きますと、職員百五十三名で六億二千二百七十一万、単純に一人当たりにしますと四百七万、こういう数字です。

 これは、いろいろなほかの団体とかの並びもあるのでしょうが、先ほど、交付金の使い方は透明性と適切な使途、それからその使途の効果、そして直接的にはファンや国民、そして事業主の納得ということが得られて使われるべきだというときに、この職務に対して競争の原理とかあるいは成果に対する評価とか、そういうものが何もない組織をつくったという意味でいうと、これは一度しっかりと、今回、民間になったらこれはどうなるんだろうという疑問がわくんですが、きちっと検証されなければいけないというふうに思います。

 そういう中で、例えば、この理事の中の一人が来年の一月十六日で任期満了になります。それで、採用方法を見ますと、自転車競技法十二条の九の規定に基づき、会長、副会長及び監事は経済産業大臣が任命し、理事は経済産業大臣の認可を受けて日本自転車振興会会長が任命することとなっておりますが、今回、この中の経産省OBの理事の一人の方が、一月で任期が満了になる。こういう人の後任は、実態としてどういう形で人選されるのか、今までの経過を含めて御説明をいただきたい。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 理事の任命についての法的な仕組みについては、今御指摘のとおりでございます。

 具体的な選任に当たりましては、これは一般論でございますけれども、任命ポストに求められる知識とか経験、能力等を踏まえまして、それにかなう人材を適材適所で選別、選定していくということでございます。

川端委員 まあ、これは天下り人材バンクのところで議論してもらう話なのであれなんですが、この人選に関して経済産業省は関与をされるんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど委員御指摘のとおりの法的なスキームでございます。あくまでも、例えば理事でございますと、これを選ぶのは、先ほどの適材適所という観点から会長さんが選ばれますけれども、最終的には経済産業大臣の認可でございます。したがいまして、その実態が担保されているかどうかについては、その認可の段階で関与をいたします。

川端委員 これ以上言いませんし、お答えにならないのはわかっていますからいいですけれども、事実上は天下りポストとして深くかかわっていると私は思っております。

 それで、質問なんですが、今はそういうふうに、会長、副会長、監事は法の規定で経済産業大臣が任命ということになっているんですが、今回、統合して民間の事業者が委託を受けることができるという仕組み、まだ具体的には何もないんですけれども、というときに、この人事というもの、任命云々というものはどういうふうになるんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、現行において大臣任命ということになっております会長、副会長それから監事につきましても、これは先ほどの、公営ギャンブルの業務をきっちりやっていくという観点からの適切な遂行に支障がないようにということから、すべて、今度公益法人になった場合においても、経済産業大臣の認可とさせていただいております。

川端委員 だんだん、なぜ統合して法人の資格を変えるのかがよくわからない、そうしたら同じじゃないですかということになるんですが。

 その中で、先ほど会計の部分がよくわからないと御指摘を申し上げたら、今はそうなっているという御説明でありました、人件費もそうだと。いろいろな人がかかわっているときに、役員もいろいろ担当したら、何か会長とかは人件費をあちこちばらまいた中でもらっているという、それは技術的にはしようがないんでしょうが、先ほどの御答弁からうかがえることは、要するに、大事な、本当に骨身を削って拠出した交付金、あるいはファンの夢を託して流れていった交付金が、こういう団体でこういうふうに使われていますから、皆さんよく御理解くださいねという姿勢はみじんもないということがはっきりしたということなんです。

 もう答弁は要りません。特別会計で、あるいは一般会計、普通、その団体が交付金の受け皿であるならば、そこへこれだけのお金が入って、それが仕組みとしてこういう特別会計と一般会計に分かれていますということがすっと書いてあるのが基本の基本だと思うんですが、皆さんの世界だけの会計の仕分けだけで載せているから、それは法的には何も問題ないということだけでは、基本的な認識が欠如しているというふうに思います。

 それで、今のような役員の人事権もやはり経済産業大臣が持たれるというときに、今回の法改正で統合以外に何が変わるんでしょうか。これが変わるんだと、今までいろいろ、そういう不透明であるとか使途がはっきりしないとかいうことは、閣議決定も踏まえてちゃんとやろうということが出てきました。そういうことを踏まえたときに、こういう組織改正で何が変わるんだ、今度生まれ変わってということは何なんでしょうか。

甘利国務大臣 まとめるわけでありますから、当然、スリム化がどこまでできるかを見ていかなければならないと思いますし、職員と役員の配分比率も含めて、適正、要するに、組織は余り肥大化しない、極力スリム化する、その中で効率的な運営ができるようにしていくということが大事だと思います。

 あわせて、今回の改正では、とにかく、競輪事業あるいはオートレース事業という、この公営ギャンブルの魅力を、レース自身の魅力、それから施設、設備の魅力、あるいは組まれる番組、中身の魅力、それぞれ魅力を高めていって集客を拡大していくということに資するように努力をしていきたいと思っております。

川端委員 それは今の体制でも全く同じ話でありまして、整理統合の業務の合理化というのはわかりますよ、そういうことではなくて、かねがねいろいろ指摘されている諸問題をどう解決して、透明で納得性があり、そして成果の上げられるようなお金の使い方になるシステムにするかというのが私は与えられた課題だと思いますが、今のお話では理解ができません。

 さて、そういう中で、関連して言いますと、公営でいろいろな事業を補助事業で交付してやっておられる中で、もう時間が余りありませんのではしょりますが、例えば日本自転車普及協会というのは、ここにも資料をつくりましたけれども、二ページ目に、日本自転車振興会から、一号交付金補助事業百二十四億円の中から日本自転車普及協会は二十八億円、補助事業を受けている。二号交付金補助事業で百十三億の中から二十一億受けていて、合計でいうと補助事業としては四十九億、これは自転車普及協会の中に載っておりまして、これが四つの事業に分かれておりまして、これの専門の事業部というのがある。

 この日本自転車普及協会というのは、ここから入ってくる、この一号、二号の補助金を受けてそのままその事業をやるというためだけに存続する部署があるんですよ。ということは、この交付金の行方を、閣議決定に基づいて外部委員会で選定しながら適切にやっていくんだ、評価をするんだとおっしゃるけれども、行き先でもう待ち構えていて、それを前提とする部署があって、何が選考なんだろう、もう決まりの話じゃないか。

 参考までに、その下に普及協会もずらずらと、常勤も含めて関係官僚の方、たくさんおられるなと。そして、この中で、例えば調査研究をするという業務も補助事業の中にあります、いろいろな名目で。そのテーマを選定するのに、補助事業ということで、先ほど閣議決定で、外部委員会がつくられて、そこで選定、評価をするんだと伺いますと、その評価はまだどう評価するのか決まっていないと。

 テーマを見ますと、これはたまたまここから補助された産業研究所という、いっとき話題になった産業研究所の研究テーマというのを見ますと、大きな分類として、経済社会に関する基礎的な調査研究、その中には、宇宙産業とか次世代ロボット、風力発電、ナノテクノロジー、IPブロードバンド、映像コンテンツ。それから、産業政策に関する調査研究、ポスト九・一一時代の我が国の安全保障政策、次世代ロボット、バイオマス。これは経済産業大臣がおやりになる仕事ですよ。

 そして、事業計画を見ても、えらい大上段から、るる日本の経済を憂い、安全保障を含めて、こういうことをやらないかぬと。最後に、「国等の事業との役割分担を明確にしつつ、厳正な審査を行う」。この人たちは、国と役割分担をしているんですか、こういうことに関して。

 競輪事業で上がった金をもらって補助事業をするときに、ふだん経済産業の予算で、日本の経済産業の振興、国全体でいえば、もっと科学技術の振興を含めて、いろいろなことにどういうふうに大事な国のお金をバックアップしていくかということをやっておられるときに、そことかぶらないように調整しながら、かぶらないというのを調べてみたら、補助金がかぶらないということだけだったんですが、こういうことをやることが必要なんですか。私は、必要でないと思うんです。それにわざわざ人をかけ、そして不透明だと言われたら、それをチェックし選定するための外部委員会をつくってと。余計なことですよ、こんなものは。だから、これはやめたらどうですか。私は、組織を変更するときに、こんな中身の話をわざわざいろいろテーマを募集して、下請、孫請に研究所が出してということをやめたらいいと思います。

 そしてもう一つ、もう時間がほとんどなくなりましたので、そのときに、私が今取り上げた産業研究所が何年か前に、二〇〇五年ですか、経済産業省の大臣官房企画室が十年以上前から外郭団体の研究費を流用してつくった裏金を銀行口座にプールし、歴代の同室職員の間で引き継がれていたことが関係者の話でわかった、裏金は官房の接待費などに充てられていたという報道がありました。

 そこで、お尋ねしますが、この二番目の資料の一番下に、この産業研究所への一号補助金の推移を書いてみました。平成十四年度六億六千万円、全体で七位、十五年六億二千万円、六位、十六年五億八千万円、七位、十七年五億四千万円、七位、この事件が起こって、平成十八年、十九年は申請なしでゼロ円ということであります。

 このことに関して、これはどうして申請をされなくなったのか、教えてください。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 前回、十四年の改正のときにも、川端先生から、産研の業務の中身あるいは補助金の流れについて御指摘をいただいております。

 産研につきましては、十四年以降、その前回の改正以降でございますけれども、外部有識者から成る企画委員会を別途つくりまして、これまでこの研究所が培ってまいりました産業界あるいは学識経験者あるいはほかの研究機関等のネットワークを活用しながら、いかにタイムリーなことをやっていくか、あるいはそれをだれにちゃんと担わせればいいかということでやってまいりました。

 その後、御指摘のように、一昨年の問題を受けまして、産研の業務のあり方については、その中身あるいは実施体制を含めて全体的な検討が始められております。

 したがいまして、産研におきましては、その検討のまだ過程にあるということで、十八年度及び十九年度については日自振からの補助金の申請を控えておられると承知しております。

川端委員 大臣、私は、五年前にこの産業研究所のことを取り上げたんですよ。これは下請、孫請の形だけで全部丸投げしている、インチキじゃないかと申し上げたけれども、ちゃんとやっていると怒られたんだけれども、その後、その丸投げしている中で余った金を、ここがやっているんじゃなくて、経産省の担当の官房で担当職員が金をプールしていたということが出た、大変なことですよね。それで、産業研究所は、今言われたように、もうこういう補助金をもらうのは自粛しようということになったということを今おっしゃいました。

 産業研究所でこの不祥事が起きたときの常勤の役員というのは、平成十七年ですと、理事長が常勤、所長が常勤、理事が非常勤でずっとおられまして、一人だけ常勤、通産省大臣官房文書管理官であった人が事務局長として常勤だったんですよ、この産業研究所は。この不祥事を出した、不祥事を出したこの部署は、大臣官房企画室なんですよ。

 そうしたら、大変なことであり、この団体にとっては年間七億にも満つる補助金がなくなるということが起きたといったときに、これをいかに、本当に言われるような意味のある大事な研究所であるならば、再建を図るというのに死に物狂いでやるのが理事長と所長と事務局長じゃないですか。

 何が起こったか。十八年からは経産省出身の役員はいなくなったんですよ。ゼロですよ、今は。全部民間ですよ。そして、交付金はゼロですよ。こういうことをやったから自粛してもらっているんだというふうに言われるけれども、逆ですよ、やばくなったから引き揚げて、だれもいないところには補助金はやらないということじゃないんですか。しかも、その専任の事務局長の親元がプール金をつくっていたんですよ、一定の何か処分でお茶を濁されたけれども。

 私は、こういう問題はここだけではないと。これは、このときの部分で、どういう、ほかにもあるかという調査をされたんですか。よく自治体で、プール金問題が出てきて、もうありませんと言ったらまた出てきたみたいなのは山盛りありますね。これは、これ以外はもう全くないと今確信しておられますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の企画室問題を契機といたしまして、当省といたしましてもさまざま措置を講じたわけでございます。

 その一つは、今御指摘にもございました旧企画室を十八年度に廃止したわけでございます。(川端委員「処分の話は聞いていない」と呼ぶ)はい。それから、処分も行いました。

 それと、御指摘の、ほかにないかという点につきましても、当時の大臣からの強い指示もございまして、さまざまな観点からそのようなお金がないかどうかチェックをいたしまして、そのときには若干見つかりまして、それはもう処理をしておりますけれども、それ以降は確認されておりません。

 以上でございます。

川端委員 お身内で調べられて、どういうことかよくわかりませんが、大臣、この仕組みというのは、いわゆる長年の、経産省に限らず、いろいろな役所の部分で非常に巧みにつくられたシステムですよ。そして、その中には、今批判のある天下りとか余分な組織とか、そしてわけのわからない補助金、交付金ということ、そういうものの温床になっているということは、私は事実だと思う。

 せっかくこれを統合して新たな組織にしようというときに、なぜ新しくできるところが、経済産業大臣ののりを越えて、分担しながら研究補助や何やらをしようなんという事業計画をのうのうと言うんですか。そんなことはおまえのすることじゃないということでしょう。そうしたら、お金は全部、例えば一たん国庫に入れて、大臣がきちっと管理監督する中で適切に使うということで、あとの組織は全部要らない。

 そして、競輪のいろいろな分の公益というならば、一件だけありましたけれども、これは五年前も申し上げましたけれども、今、世の中の人に自転車と言ってぱっと頭に浮かぶのは競輪じゃないですね、残念ながら。それはもっと競輪をはやらせないかぬということになり、オリンピックとかの競輪という競技はあっても、そうしたときに、何かわけのわからぬロボットや宇宙産業をやっても、やったらいかぬとは言いませんけれども、こんなお金でやる必要はなくて、例えば、自転車といえば、買い物に行く、いろいろなとき、通勤に使うというときにぱっと浮かぶのは、自転車が駅前にいっぱい放置してあるというのはだれでも思いますよ。

 そうしたら、この二百八十億のうち百億ぐらい毎年出すから全国の駅前の自転車を一掃しよう、このお金は競輪でやっているんだと言ったら、どんなにみんなが喜ぶか。そんな発想は全くなくて、ただお金をもらって何とか使い切ろうということに、そこへしがみついて飯を食っているやつがいっぱいいるというようなことに大なたを振るうべきだと思います。

 大臣の所見を伺って、終わりにします。

甘利国務大臣 ただいまいただいた御指摘を真摯に受けとめまして、私自身、この問題はさらにどういう取り組みが可能か、勉強させていただきたいと思います。

川端委員 終わります。

上田委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 北神圭朗でございます。

 川端委員に続いて、同じ交付金の問題について質問したいというふうに思います。

 私の地元も向日町競輪場というのがありまして、そこに、この質問があるということでいろいろ現場のお話を聞きに参りました。そこで、従事員の女性のパートの皆さんといろいろ話して、雇用が不安定だとか、そういった話を聞くのかなというふうに思っていましたらば、もちろんそういう話も出ましたし、大臣が先ほどおっしゃったように、やはり競輪場をもっと魅力的なところにしていって、収益事業として発展させなければならない、そういう問題意識も持っておりました。

 しかし、私、驚いたのは、やはり彼女たちは、このお金を、彼女たちの感覚でいえば、国からどんどんピンはねを取られている、それはもちろん法制的に違うところもあると思うんですが、取られて何に使われているのか、そういうところが非常に不信感があって、やはりその辺をきわめてほしいというような声が非常に強かったわけでございます。

 川端委員からもいろいろ話がありましたが、まず、そもそも論として、競輪は公営ギャンブルですよね、そして、これを国が許可しているという理由、これを一回、そもそも論で恐縮ですが、教えていただきたいと思います。

甘利国務大臣 公営競技たる競輪事業は、御指摘のとおり、特別法によりまして、国の厳格な管理のもとで、地方公共団体がその収益確保を目的とすると同時に、売り上げの一部を広く社会に還元することを前提に刑法の特例として認められているわけであります。

 具体的には、非営利を目的とする地方公共団体、地方自治体が施行者として、法律の規定に従って公正、安全な運営を行う、加えて、機械工業及び公益の振興を目的とした補助事業を実施するために、その売り上げの一部を日本自転車振興会に交付金として納付を行うという仕組みになっているわけであります。

 あくまでも刑法の特例でありますから、社会に還元をされる、その運営主体は非営利を目的とする地方自治体が行うということで特例を受けるということであります。

北神委員 社会に還元をされることがやはり目的で、それで、本来は禁止されるべき公営ギャンブルというものをやっているということですね。

 法律を見ると、自転車競技法ですか、これの条文を見ると、いわゆる交付金の目的として挙げられているのが、体育事業等の公益増進が一つ、もう一つは、地方財政を満たすということが二つ目、三つ目が、自転車等機械工業の振興だというふうにあります。

 私、最初の二つは何となくわかるんですよ。競輪というスポーツであって、体育を含む公益事業にお金を回す。二つ目も、地方財政、昔は、競輪というのはいろいろな方が来て、ある意味では地域の負担というものもあった、したがって、その負担にある程度報いるために地方財政の方に交付金を使う。この二つはわかるんですが、三つ目の自転車等機械工業の振興というのが、何で競輪からそっちに使わないといけないのかなというのが非常に不思議なんですが、これについて、どういう考えに基づいてこういうことになっているんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘の範囲でございますけれども、競輪については、最初は、自転車を用いる競技でありますので、当然のことながら、自転車産業をダイレクトに振興するという時代もございました。その後、時代の変遷等にかんがみまして、昭和三十二年に法改正をいたしましたときに、自転車をもちろん含みますけれども、機械工業までその範囲が広がった、こういう経緯でございます。もちろん、その後、先ほど御指摘になりました、いわゆるもう少し広い、体育等の公益というのも追加をされまして、これは昭和三十七年でございます。

 自転車等を含む機械工業というところでございますけれども、いわゆる経済産業省全体の業務に広げないでそこに限っているということでございますけれども、これは、同等のギャンブル競技でございます競馬あるいは競艇の例を引きますと、例えば、競馬におきましても畜産の振興、あるいは競艇におきましてはモーターボートその他の船舶に関する事業の振興というようなことに規定がなっておりまして、そういう意味では、それぞれの競技と非常に密接に関係のある産業の振興というところに限って一つの法目的を立てているということで、競輪についても同様の思想で整理をさせていただいていると思います。

北神委員 私、自転車等の自転車の部分はよくわかるんですよ。当然競輪ですから、自転車産業の振興というのは、厳密な論理的にどうなのかわからないですけれども、何となくわかる。それで、さっき言われた、競馬が畜産、これも馬で畜産だとわかるし、モーターボートが船舶だ、これもわかる。

 でも、昭和三十二年かな改正されたときに、自転車等機械工業の振興というのはかなり飛躍があると思うんです。つまり、普通、自転車等機械工業というふうにいくと、自転車というのは機械工業の一つの例示だというふうに見ると思うんですね、法律的に言えば。でも、自転車というのは機械工業に入るんですかね。入るんですか。そういう発想で全体に広がるということなんですか。これは、私は多少飛躍があると。

 つまり、大臣にも申し上げたいのは、交付金の問題は、そもそもの三つの目的の、機械工業自体も私は本当は検討し直さないといけないと思うんですよ。自転車だけに限るんだったらまだわかるんですよ。それをまたさらに飛躍していってほかの分野に広げるというのはどうなのかな、こういうところもやはり検討すべきだというふうに思います。

 これは非常に大前提の話で、まだ続けていきますが、それで今度は、日本自転車振興会にお金が上がっていって、それがいろいろな団体に補助金が、補助事業が行われる。

 それで、いわゆる自転車等機械工業の振興補助事業の一覧表、これは平成十九年度の補助事業計画一覧表というのがありますが、これは資料でまだ配っていないんですが、これを見ると、いろいろな、例えば、自転車に関する普及啓発等補助事業とか、さらに、自転車及び自転車関連施設に関する研究開発等補助事業、自転車とか自転車関連施設、これはさっきの駐輪場みたいなのも入るんでしょうが、これなんかでも研究開発に年間一億円ぐらいかけているんですよ。これ自体、こんなに気合いを入れてこんなもの研究開発をすべきなのかどうかとか、非常にこういう疑問もあるんです。

 あと、もう一つ申し上げますと、自転車に関する普及啓発補助事業、自転車について普及をしたり啓発をするという事業、これは二十一億円も使っているわけですよ。これは今申し上げた一号交付金の話で、機械工業振興補助事業として挙げられている。もう一つの、第二号交付金の公益振興補助事業の同じ十九年度の補助事業計画の一覧表を見ると、一番目に挙がっている、これは競輪認知度向上、競輪をもっと広く認知させるという事業にまた十一億円ぐらい使っている。

 それで、今申し上げた自転車に関する普及啓発と競輪認知度向上の違いも私よくわからないんですが、あえて申し上げると、恐らく、最初の自転車の普及啓発事業というのは、資料に二枚紙で配っておりますが、これについて二十一億円のお金を使っている。それで、その資料を見ていただくとわかるんですが、これは、日本自転車普及協会の事業を二つ載せておりまして、一つは平成十九年度自転車に関する普及啓発等補助事業、二番目が平成十九年度近代的自転車競技用機器のこれも普及等補助事業というのがあるんですね。

 きょうは、一つ目の自転車に関する普及啓発の話なんですが、これを見ると、一番最初に印象が強いのは、きれいに端数なしでゼロがばあっと数字が出ていて、見事な、高度な経理技術を駆使されているんだろうなというふうに推察するんですが、それはさておいて、私も、きのう、朝の十時半にこの資料をお願いして夜の十時半ぐらいにようやくもらったんですが、ですから余り深く精査をする時間がなかったんですが、それが非常に不思議だなと。こういうものも本当はどんどん深くやはり分析しないといけない、本当にどういうものに使われているのかということをきちっと見ないといけないというふうに思います。

 二つ目に印象的なのが、自転車に関する普及啓発。自転車に関する普及啓発とさっき川端委員もおっしゃいましたが、何か、自転車をもっと使いなさい、自動車というのは環境問題とかいろいろあるから自転車をもっと使うべきだとか、そういう話かなと。確かに、そういうことだったら公益につながるような事業かなというふうに思ってこれをざっと見ると、一枚目を見て、事業経費の明細がありますが、(1)競技用自転車タイヤ等の生産供給の確保推進、(2)自転車競技等に関する調査研究事業費、(3)自転車競技に関する広報。つまり、これは全部競輪の話なんですよね。

 これは私のとらえ方が間違っているんでしょうか。まず、財団法人日本自転車普及協会がやっている事業で、自転車に関する普及啓発等補助事業ということなんですが、これは、競輪の話をしているんですか、それとももっと広い、自転車そのものを環境問題とかそういった観点でもっと普及しないといけない、そういう視点なのか、どっちでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘の二十一億にかかわるところに集約をして申し上げますけれども、この自転車普及啓発の一連の事業でございますけれども、端的に申し上げれば、自転車そのもの、先ほどの環境問題も含めてでございますけれども、自転車そのものを振興する、これが一つでございます。

 それからもう一つは、先ほどの競技にかかわる調査研究とか競技に関する広報というのがございますけれども、これは要するに、自転車に親しんでもらうというところの一つのきっかけとして競輪競技というものが大きなツールになるだろうということで、こういった方途を通じたファンの拡大、それから自転車に親しんでもらうというようなことを両方やった事業でございます。

北神委員 いや、理屈はいろいろつけられると思うんですよ。でも、今二つ挙げられましたよね、最初は広い意味での自転車の普及、そして二点目は競輪を通じて自転車に親しんでもらう、これに二十一億円もかけるような話なのかは別にしまして、では、最初の自転車の普及の部分、これは私が配った資料の事業経費の明細のどこに出てくるんですか。競技の話しかないんですよね。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどの、タイヤ等の生産供給の確保、それから競技等に関する調査研究、それから広報、これが三本柱になっておりますけれども、その中身については一番から十番までございまして、いわゆる広報につきましては、競輪競技に対するイメージを良好にしてもらうということで、プレス、広報が重要だということで、インターネットの拡充、ビッグな競輪のゲームの実況中継、CFスポット、それから自転車競技普及、TOJのPR等々でございます。

北神委員 それは質問に答えていなくて、自転車競技に関する普及活動というのはよくわかるんですよ。というか、これは競輪の話しか事業費として載っていないので。最初におっしゃられた、最初の部分についてどこで手当てしているんでしょうか。

細野政府参考人 大変失礼しました。ちょっと質問を取り違えていたかもしれません。

 いわゆる調査研究の中身でございますけれども、これは、海外における自転車の先進的な利用状況を調査する話、それからこれは競輪の事業に少し関連いたしますけれども、定点観測で、競輪場に来場するファンの方々の年齢、性別などを調査する、それから顧客の満足度なんかを調査する競輪場実態調査、それからあとベンチマーク等を使いまして競輪施行者の経営力を客観的に指標化する、こういった四つの中身が調査研究の中身でございます。

北神委員 それもまた質問に答えていないんですよ。私が言っているのは、競輪の競技の話はよくわかる。というのは、これを見ると、もう全部競技の関係で補助事業を手当てしている。私が申し上げたいのは、より公益性が高いと思われるバイコロジーとか、あるいは自転車をもっと使って運動しましょうとか、そういった普及活動について、だって、これはまさにタイトル、事業名は平成十九年度自転車に関する普及啓発等補助事業であり、局長がさっき言われたように二つの意味が含まれて、競輪だけじゃない、そういう自転車そのものの普及というものも大事だ、それを目的としているというふうにおっしゃっているんですが、どう見てもこの事業経費の明細には出てこないんですよね。全部競輪に還元されちゃっているんですよ。

細野政府参考人 たびたび恐れ入ります。お答え申し上げます。

 競輪に関するところもございますが、今先生が御指摘の、一般的な自転車の利用状況あるいは乗用環境というようなものについて海外の事例なんかを調べる、これは自転車の乗用環境整備調査という項目にございまして、十九年度の啓蒙普及等補助事業の中の費目でいいますと、これで二千八百万円計上をさせていただいているところでございます。

北神委員 では、こういうことですね。事業経費明細の(2)の自転車競技等に関する調査研究事業費の中の4の自転車乗用環境整備調査、これで海外の、例えばイギリスの皆さんがちゃんと自転車に乗っておるかいな、あるいは、よくわからないんですけれども、そういう海外調査をして二千八百万円使っているということだと思うんですが、この個別の金額自体も私はいろいろ不思議な部分があって、例えば3の競輪場実態調査に一千万円使ったり、これはそれぞれ本当は精査をすべきなんですが、私も時間がなかったのでそれについてはもう何も指摘しませんが、この全体二十一億円の事業の中で、実際、一般的に自転車に親しもうじゃないか、自転車というのはいいものじゃないかという普及活動に使われているお金というのはたったの二千八百万円だ、ほとんどが競輪の話だということですね。これが、今申し上げた一号交付金の補助事業の自転車に関する普及啓発等補助事業なんですね。

 さっきも申し上げましたが、第二号交付金の公益振興補助事業の中に、一番目に十一億円使っている。一番金額が多いところで競輪認知度向上、これもまた同じ日本自転車普及協会がやっているんですよ。これが、さっきの自転車に関する普及啓発等補助事業を、一方で、第一号で二十一億円使いながら、第二号では、同じ普及協会が競輪認知度向上。括弧を見ると、「競輪の認知度向上を目的とした広報活動、調査研究事業の実施等」と。

 今私が配っているこれ、(2)自転車競技等に関する調査研究事業費、(3)自転車競技に関する広報と、何かすごい違いがあるのかもしれませんが、これを見ると全くない。そして、同じ団体である財団法人日本自転車普及協会がやっているし、金額も、合わせれば三十億円以上の金額を使っている。これは何か違いがあるんですか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 前者の方の二十一億円の内訳の大宗が広報費になっているのは事実でございます。これは、競輪を媒介にしてファンを広げていくということで、自転車に親しんでもらう。最初申し上げたとおりでございます。

 これは、特に競馬なんかのギャンブルとの比較をさせていただきますと、売り上げをいかに広げていくかというときの大きな決め手は、やはりいかに魅力を感じてもらうかということでございまして、そういう観点からいいますと、競輪は、中央競馬なんかに比べまして、ちょっとイメージチェンジあるいはそういったアピールに劣ったところがあるかなというのが率直な感じでございます。

 したがいまして、そういう意味で、先ほどの二十一億円の中身につきましては、この観点からも弊害を少しでも除去しようということで、さっき申し上げましたけれども、できるだけお茶の間にビビッドなスポーツとしての競輪を直接見ていただくということで、あるネットを買い取ったり番組を買い取ったり、こういう直接の費用にさせていただいている。

 後者の方の費用につきましては、これは認知度ということでございますので、そういった具体的な事業対応というのではなくて、もう少し広い意味での対応をさせていただくということで計上させていただいております。

北神委員 難しいね。その違いも、第二号交付金の競輪認知度向上の部分は各事業体じゃない、事業体で見ていなくて、広く競輪に関する認知度向上だと。第一号は、個別のレースということですか、個別のレースをテレビとかに出すことによって認知度を高める。これで、皆さん聞いていて、本当にこんな違いがあるのかと。

 さらに言えば、後者の認知度向上の方は、公益振興補助事業に入っているわけですよ。これをもっと正確に言えば、体育事業等公益増進に係る事業だと思うんですが、これに何で競輪認知度なんか入るんでしょうか。要するに、これが公益増進につながるんですか、競輪を普及することによって。

細野政府参考人 お答え申し上げます。

 公益につきましての目的の切り口は、先ほど来言及がございました、法の第一条に書いてございます体育ということを含めて振興を図っていく。その中で、これはほかの委員の方からも先ほど御指摘ございましたけれども、競輪もスポーツであるという観点で、スポーツ、オリンピックも含めてでございますけれども、いろいろなツールで自転車あるいは競輪の位置づけをアピールしていく。これは、スポーツの観点からも広く親しんでもらうということで、先ほどのレースそのものを直接放映する、そういう方途ではない形で認知度を向上させるということで整理をさせていただいております。

北神委員 いろいろ理屈を考えてやっておられるというふうにわかりました。私、百歩譲って、こんなに自転車に国が力を入れているというのはこの法案を勉強することによって初めて知ったんですが、そしてこのぐらいの金額の金を投入して力を入れているということがわかったんですが、例えば、このパンフレットも課長からいただいて、これも多分広報の一環だ、非常に立派なパンフレットだというふうに思います。

 しかし、仮に、自転車というのは、このぐらい力を入れて、このぐらいお金を使って、このぐらい天下りの人たち、有能な人材を使って、このぐらい力を入れないといけないんだと。私はちょっと、それはもう少し総合的に、慎重に考えるべきだというふうに思いますが、仮にそうだとしても、やはり費用対効果というのはある。

 こんなに、例えば、最初の自転車に関する普及啓発事業に毎年二十億円ぐらいのお金をつぎ込んでいますけれども、ここにいらっしゃる委員の皆さんはどうかわかりませんが、私も四十年間生きていて、一回も自転車に関して啓発された記憶がないんですよ。皆さんありますか。二十億円……(発言する者あり)まあ銀輪部隊とかありますが、いわゆる自転車普及協会が、こういうのも初めて見ました。

 要するに費用対効果ですね、どこまで、こんなにお金をつぎ込んで、仮に、自転車を普及することが本当に国家にとって大事なことで、このぐらい、二十億円ぐらいつぎ込むのは当たり前だと。私はそう思わないけれども、百歩譲ってそうだとしても、二十億円をつぎ込んで、本当に普及活動に効果があるのか、結果は出ているのかということについて、どういうふうに認識されていますでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生がお手元にお持ちの「Ring!Ring!」、これは、先ほどの御指摘がございましたいわゆるホームページでの対外的な広報あるいはPRということに非常に関係をしておりまして、そこに書いてあるところは大変多般なことが書いてあると思います。

 特に、自転車振興会がどういうところでどんなお金を使ってどんな成果を出しているか。これも実は全部リンクを張って、まさにリングリングでございますので、リンクが張られて、全部見られるようになっております。そのリンクの中身につきましては、いわゆる一般論でございますけれども、自転車は、先ほど言いましたように、自転車そのものに、日ごろの家庭での運搬機械、気軽な移動手段としての自転車の振興、あるいはスポーツとしての振興、そういったところもありますし、競輪を通じたところもございます。

 それから、まだちょっと十分にPRが行き届いていないかもしれませんけれども、いろいろ、オリンピックと言わず、日ごろ、がんの検診車なんかを公益のお金を使って整備させていただいている。検診車のおしりの方にそのマークが実はついているわけでありますが、これが日ごろ目立たなかったとすれば、やはりそういう意味で、PRが非常に下手くそなんだなということの一つの証左かもしれません。

 したがって、今度、そのリングリングをつくりましたときに、そういった目立ち方も含めて大分改善をしようとして、今順次始まったところでございますけれども、いろいろな形で啓発を我々は今させていただいております。

 まだ、先生のように、そんなこと四十年に一度も関知していないぞという御指摘があるかもしれません。そういう意味で、まだ努力が足りないというところなのかもしれませんけれども、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

北神委員 別に、もっとお金をつぎ込んで、力を入れてくれと言うつもりはないんです。要するに、これは大臣、さっきおっしゃったように、やはり深く検討していただきたいという思いで質問しているだけです。

 もう一点だけ、この関連で質問させてもらいますが、今申し上げたこういう事業をやっている財団法人日本自転車普及協会の事務所の所在地を見ると、まず三つあるんです。

 こんな三つも必要なのかというふうに思うんですが、一つ目が赤坂にある。もう一つは千代田区の北の丸公園にある。もう一つはパリ事務所というのがあるんですよ。多分、ツール・ド・フランスというのが何となく直観的に思い浮かぶんですが、パリなんかに事務所を設ける、こんな必要あるんですか。いつの間にこんな国家戦略の一環になってしまったのかというふうに思うんですが、これについてはどうお考えでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 この自転車普及協会につきましては、御指摘のように三つ事務所がございます。主たる事務所というのが、赤坂の自転車会館にございます。それから、北の丸とパリにあるのも事実でございまして、これは従たる事務所でございます。

 まず、北の丸の事務所でございますけれども、これは、御案内のとおり、科学技術館の中に存在をいたしまして、あそこに歴史的な自転車あるいは自転車一般に関する資料等を展示しております文化センターというのがございまして、これの管理に当たっているということでございまして、こういったセンターの管理と、それからセンターへお越しになる見学者の対応ということで、三名の職員が常駐してホームページの管理なんかもあわせてやっておるということでございます。

 それから、パリの事務所につきましては、御指摘のように、UCIという国際自転車競技連合というのがございます。これは、日本でもツアー・オブ・ジャパンというような全国的な競技がございまして、これについても振興のお手伝いをさせていただいておりますけれども、常に、国民に愛される自転車の振興ということで、一歩先を行っている欧州の動向についてはいろいろ文献を調べたり、あるいはこのUCIというのは、全国的なツアーについてもいろいろランキングでルールをつくっております。そういったところとのコミュニケーションによって、日本でも、ツール・ド・フランスとは言いませんけれども、それに一歩でも近づくような競技をするということのためのいろいろな準備をさせていただいております。

 なお、ここには嘱託という格好で一名常駐をさせていただいておりますけれども、邦人の方でございまして、事務所そのものは御自宅を拝借しておりますので、事務所経費は一切計上しておりません。

北神委員 わかりました。この自転車普及協会についてはこの辺でもうやめますが、これは皆さんの判断ですけれども、私もそんな深く分析をしていないんですが、どう考えてもちょっと、ここまでお金を投入して、ここまでこんな組織をつくっていってやるような話なのかどうかという疑問が浮かぶのは私は極めて自然だと。そういう意味では、今回、組織を一緒にするだけではなくて、やはりそういった事業の見直しというものを徹底的にすべきだというふうに考えるんです。

 一方で、交付金の透明性について、今回の改正法の法文上見ると、競輪振興法人、これは今申し上げた日本自転車振興会、そして日本小型自動車振興会が合体する新しい組織だというふうに思いますが、その競輪振興法人は、補助事業を公正かつ効率的に行わなければならないとか、競輪振興法人から補助を受けて事業を行う者は、許可を受けた競輪関係業務実施規程及び当該補助の目的に従って誠実に当該事業を行わなければならないといった訓示的な規定しかなされていないんですね。これでどうやって実際、透明性が担保されるのかというのをお聞きしたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘のとおり、今度の改正法におきまして、二十五条、競輪振興法人自身が公正かつ効率的にやらなくちゃいけないということとあわせて、同条の二項におきまして、ここから補助を受けて事業を行う者についても、当該事業の遂行に当たっては誠実にやらなくちゃいけない、こういうことが定められております。

 それで、実は十七年十二月の閣議決定、行革の基本方針をちょうだいいたしましたときに、組織のあり方、それから、今でいいますと日自振の事業の透明性なんかを確保するのに、第三者委員会、それから外部監査の強化、こういうことと、補助金適化法というのが今ございますけれども、そこについてもこれを準用するような仕組みを考えろということもあわせて御指摘をいただいております。

 したがいまして、今の二十五条の後に第二十六条というのがございまして、「競輪関係業務規程」というタイトルでございますけれども、この二十六条において規定がございまして、実は業務規程を定めるということになっておりますけれども、補助金適化法と同じような実効が保たれるような、そういう効果を有する規定をこの業務規程の中にちゃんと盛り込むということを想定いたしまして、これがちゃんと担保できるということを確認できた上で経済産業大臣の方で許可を与えていく、こういうことであります。

 したがいまして、この当該法人及びここから交付金を受けて事業を行う者についても、いわゆる補助金適化法の実の上がるような体制をきっちり担保していきたいと思っております。

北神委員 その業務規程の中に補助金適化法のような仕組みを盛り込むという理解でいいんですね。

 それで、さっき川端委員も言ったんですが、やはりいろいろ外部監査とか補助金適化法に倣ったような制度を導入するとか、そういう方法も一つのやり方だとは思いますが、私は最後の質問にしたいと思うんですが、これは税金の話じゃないんですよね。税金の話だったら、一般的にもっと国民の皆さんも関心を持って、ああ、自分たちの税金がこんなものに使われているのかという話になるんですが、この場合は競輪というギャンブルを通じて入ってきたお金の使い方だと。

 ただし、同じぐらい、まあ同じぐらいかどうかわかりませんが、同じぐらい重みがあるのは、さっき一番冒頭大臣に質問したように、刑法の違法性阻却事由として、公益の高いものにそのお金が使われるという理由で刑法の特例として認められているわけですよ。ですから、そういった意味で考えると、そんないろいろな仕組みを考えておられますが、本来ならば、国会で決めるような、あるいは会計検査院とかでもちゃんと見られるようなものにすべきだというふうに私は思うんですよ。

 これは、いや、今までもこうやってきたんだとかいろいろ言われるかもしれませんが、競馬の方はちゃんと国庫納付をして予算化してちゃんと国会で審議をしているわけですよね。これは、何で競馬でできていることが競輪とかあるいは小型自動車の方でできないのかということについてお聞きしたいというふうに思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 せっかくの貴重なお金をいかに有効に使うかということで、いろいろな仕組みを考えるオプションは幾つかあろうかと思います。

 競輪につきましては、賭博の特例という原則を踏まえながら、これを社会にいかに還元していくか、そのために何が一番適切かという議論をいたしまして、特に地方の、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、非営利法人である地方自治体がみずからやられ、交付金の原資になる売り上げについても、一たん手にされて、それを納付するというふうな構成になっていること等を踏まえて、現在のような方向性を想定し、そのかわり、いろいろ御心配の向きについては、先ほど申し上げた補助金適化法とか、あるいは競輪振興法人自体の透明性の確保を重ねてやっていく考えでございます。

 最後に御指摘になりました競馬との関係でございますけれども、競馬につきましては、これは特に中央競馬のことをおっしゃっていると思いますけれども、これは、競艇とか競輪と違いまして、地方公共団体がやるというのではなくて、国がみずからやる国営競馬でございます。したがいまして、そういう観点から、その収益について、あるいは売り上げの一部について直接国庫に入れるというような構成をとっておられるというふうに理解をしておりまして、そこについては、歴史的あるいは構成上の違いが原因かと思っております。

北神委員 もう時間が来ましたが、最後に大臣にお聞きしたいのは、さっき川端委員のお話にもお答えされていましたが、やはり今回の法改正では事業の部分まで踏み込むことがなかなか難しいと。川端さんの質疑でも私の質疑でも、多分ある程度は、そういう疑いの余地は十分あるんだというところはわかったというふうに思うんですが、ぜひ、今申し上げた、今特殊法人ですが、公益法人化することによって、本当にますますある意味では国会から遠くなる部分も出てくるというふうに思います。そういった意味で、ますます不透明になる。いろいろな仕掛けをつくっていますが、やはりそういう仕組みもあわせて、どういう事業に使っているかというのももちろんですが、その仕組み自体もあわせて検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 いろいろ指摘をいただいて、私も初めて知ることも多うございました。

 本来の趣旨にのっとって、きちんと事業が周辺も含めて実行されるよう、しっかり監督していきたいと思いますし、確かに、自転車競技から派生しているものでありますから、それが中心ではあろうと思いますが、それに加えて、時代の変遷で、競輪の収益から発生する費用を使った事業に関して、どういうものが適切であるか、これも見直す必要があるというのを個人的には受け取った次第であります。

北神委員 ありがとうございます。

上田委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時四分開議

上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。太田和美君。

太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。

 先輩委員の御質問で既にかなりの論点が出ておりまして、若干重複する質問もあると思いますが、お許しをいただければというふうに思います。

 私は、オートレースの方は全く御縁がありませんでしたが、競輪は近くに松戸競輪があり、小学生のころ家族と一緒にファンサービスのイベントに出かけていった記憶がございます。また、私の事務所から車で二、三分のところに競輪場があるせいか、何となく親近感もございます。

 ギャンブルはだめだとか、競輪場は怖いとか、ネガティブなイメージをお持ちの方もおられますが、私は余りそんなにかたく考えておりませんので。自転車競技はオリンピックの種目にもなっていますし、競輪を通じて自転車競技のすそ野が広がります。また、健全なエンターテインメントとして発展することにより、地域の活性化や雇用の場ができるわけですし、またNPOなどへの助成等、公益活動の増進につながればいいなと考えております。

 そこで、質問に入ります。

 既に先ほどの質問にもございましたが、まず、今回の法改正で、日本自転車振興会と日本小型自動車振興会を統合する、これは何をねらったものなのか、そして、このことによる効果はどのような形であらわれるのか、お尋ねをいたします。

甘利国務大臣 私も、今まで競馬は行ったことがあったんですが、競輪は大臣に就任して初めて平塚に行きました。イメージと違ってきれいな場所だったということで、結構楽しめたわけであります。やはり、競技をする場所をきれいな施設にする、それからオーロラビジョンでダイナミックな映像が見られたということで、まだ行かれたことがない人は、ぜひ体験をしていただければもっと好きになるのではないかというふうに思って、帰ってきたわけであります。

 お尋ねの案件でありますが、この法律案によりまして、日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会の業務を一つの公益法人が継承することとなるわけであります。それによりまして、役員を含めました総務部門、補助事業関係部門におきまして、組織の統合、合理化が図られるものと考えております。

 具体的には、役員については、日本自転車振興会の九名の役員、日本小型自動車振興会の四名の役員について一定の合理化が可能であると思っております。

 職員についてでありますが、日本自転車振興会の職員の約三分の一、日本小型自動車振興会の職員の約二分の一が総務部門、補助事業関係部門でありますから、これらの分野についても一定の合理化が可能であります。

 もちろん、雇用の不安を起こさないようにきちんとした対応をした中で、業務のコストの削減について取り組みができるんではないかというふうに思っております。

太田(和)委員 平成十七年、行革推進本部の参与会議で両組織の統合が決められたわけですが、参与会議においても、日本自転車振興会は、全く別個の競技であるオートレースと統合しても、合理化できるのは総務部門などごく一部に限られ、効果は限定的、他方、オートレースとはライバル関係として競い合う関係、統合により同一の組織で両方の振興を図ることは弊害が大きく困難であるという主張をしております。

 一方、日本小型自動車振興会でも、同じ場所で、五百メートルアスファルト走路における最高時速百五十キロの高速レースである等々、オートレースはほかの公営競技とは全く異なる、そして、日本小型自動車振興会は構造改革に向けて全力投入中である、したがって、統合はオートレース事業の活性化を阻害する、このような主張をしております。

 私は、必ずしもこの両組織の主張に十分な説得力があるとは思いませんが、それぞれが組織防衛のための主張をぶつけているという思いは禁じ得ないのですが、かといって、両組織が言っている、全く違うレースの組織を統合することでうまくいくのかという疑問は、率直に言って理解ができます。

 つまり、両組織は、総務部門の合理化などのメリットはあることは承知で、その上で、全く違う公営競技の組織が統合されると活性化を阻害すると言い切っています。組織防衛的な主張が含まれているにしても、ここまで言い切っているのだとするなら、統合するメリットは、先ほど御答弁いただきましたが、管理部門や補助金の分配業務の関係での合理化や効率化、これは当然のことといたしましても、それ以上に、統合することによってこのように両方の競技が活性化しますよというはっきりとした展望を示さないといけないのではないかと思っております。この点は今回の法案からは見えてこないのですが、お答えいただきたいと思います。

 また、今回、松戸競輪の施行者さんからもお話をお伺いいたしましたが、統合することによって競輪のお金がオートレースの方に流れてしまうのではないかという疑念をいまだに払拭できずにおられました。これは経産省として区分経理をするというお答えなんでしょうが、現場にはまだまだ統合に対する不信が残っております。このような状態のままでは、先ほど申し上げました合理化や効率化以上の統合効果、両方が活性化するという道は開きにくいのではないかという感じがいたします。

 この点を明確にすることと、あわせまして、一つ目の質問の、統合による活性化に向けた展望についても大臣からお答えを願います。

甘利国務大臣 まず、具体的な合理化の規模についてでありますが、今後、日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会において検討されていかれるというふうに承知をしておりますが、先ほど申し上げましたように、役員の部門、あるいは総務部門、補助事業関係部門、これらにつきまして一定の合理化が行われるものというふうに考えておりますし、また、そうなるべく要請をしていきたいと思っております。

 それから、両団体の統合によりまして、組織の合理化のみならず、競輪、オートレース事業の活性化も図れるのかということもお話の中にありました。

 日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会の業務を一つの公益法人が承継した場合には、競輪の振興に関する事業を行う部門とオートレースの振興に関する事業を行う部門とが、一つの団体の中で密接に連絡をとり合いながら業務を進めるということになるわけでありますが、両事業の活性化をより効果的に実施することが可能になるものと考えております。

 もちろん、両団体がいかに専門性が違うかという主張をしているというお話でありますが、その部分があることは事実であります。しかし、すべての業務を通じてその専門性に拘束をされるということはないと思いますから、そこは、共通して取り組める部分というのは幾らでもあるというふうに思っております。

 それから、いわゆるシナジー効果について申し上げますと、例えば、それぞれの競技場や場外車券売り場等におきまして競輪とオートレースの両方の車券を売れるようになるということ、それから、競輪場においてオートレースの映像が見られたり、競輪とオートレースの有名な選手が一緒にトークショーを行うなど、イベントが重層的になるということでありますし、それらを通じて新しいファン層に呼びかけることができるのではないかというふうに思っております。

 それから、両団体の統合によりまして、競輪施行者は、売り上げの多い競輪事業の収益が売り上げの少ないオートレースの収益と合算をされて、オートレース関係の方の事業に用いられるのではないかということを危惧していらっしゃるということでありますが、改正法案におきまして、競輪関係業務に係る経理とオートレース関係業務に係る経理とは区分して整理をするということを明記いたしております。御指摘の問題は生じないものというふうに考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 なかなかはっきりとした展望が示せないということはございましたが、次に、施行者の事業支援のための制度見直しが法案の第二の柱になっておりますが、これについて幾つかお尋ねをいたします。

 まず、施行者が、競輪場、オートレース場の改修等の競輪、オートレース事業の活性化に資すると認められる事業を行った場合に、日本自転車振興会、日本小型自動車振興会に納めた交付金の一部を還付する制度を五年間、時限的に設けるとのことであります。

 そこで第一に、例えば松戸競輪の場合ですと、土地と施設を含めて民間業者に経営を包括委託しております。施行者として競輪場の改修はできません。そこで、ソフト的なこと、広告、また宣伝等に力を入れたいというお考えでした。さらに、電話による投票がかなりふえてきていますので、それと連動させて、携帯電話でのレース実況を流せるというような構想も考えているというふうに聞いております。こうした事業を行った場合にも交付金の還付が行われるのかどうか。

 そして第二に、全国の競輪やオートレースでこの活性化のための事業というのは既に具体的な構想があると思うのですが、どのような事業が考えられているのか、特徴的な事例を教えていただきたいと思います。

 以上、二点お伺いいたします。

細野政府参考人 二点お尋ねをいただきました。お答えを申し上げます。

 まず、順序が逆になりますけれども、今度の交付金の還付制度によって、どういう施設が対象になるかということでございます。

 端的に申し上げます。活性化に資するいろいろなたくらみ、努力を支援申し上げたいという趣旨でございますので、特別観覧席あるいはオーロラビジョンの設置等々、いわゆる施設の設置、修繕、こういったものは当然対象になります。

 それから、発券機などのようないわゆる設備の購入あるいはそのリースにかかわる費用、これについても補助を申し上げたいと思っております。

 それから、先ほど大臣からもお話がありました、有名選手等によるトークショーを含めて、ファンを新しく呼び込むためのイベント事業、こういったものも対象になります。

 それから、地域との融和、理解促進のためのもろもろの行事でございますとか、あるいはコミュニティー施設を近接につくる、こういったものについても引き続き目配りをしてまいりたいと思います。

 御指摘の松戸競輪のような場合でございますけれども、御案内のように、松戸は松戸公産というのが施設等を保有しておりまして、かなり包括的な運用をしておられます。

 それで、実際、施行者である松戸市においては、インターネットでありますとか何かの努力をされるということも我々伺っております。これは全体の魅力度を増すための活性化事業に当然入ると思います。あえて申し上げますと、自分の持ち物ではございませんけれども、かなり継続的に長い間施設を使われるという場合には、無条件ではございませんが、一定の範囲内において、その施設の改善に資するようなものについても施行者を通じて補助ができるものと考えております。

太田(和)委員 ありがとうございました。

 この法律は、施行者が自転車振興会に交付する金額の三分の一を上限として還付するということで、必ずしも三分の一丸々還付するわけではないと思うのですが、例えば競輪場の改修など、ハード面での活性化策には三分の一の上限まで全部還付するけれども、ソフト面の施策に関しては補助率を減らしますなど、このような点に関してはどういうお考えで挑むおつもりでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今申し上げましたように、さまざまなたくらみについて御支援を申し上げようと思っておりますので、ハード、ソフトの施設それぞれについて、実態に合ったきめ細かい対応をすることが関係者に喜んでいただける方途と思っております。

 具体的には、投資対象に関して申し上げますと、広報等のソフトの投資と、例えば、追加的な効果が高い施設を直接改修するというような場合が一つのタイプとして比較できると思いますが、ハード面の追加的な効果が高い施設については、一般のソフト事業よりは少し還付率を優遇するようなことは想定されると思います。

 それから、今のは投資対象でございますけれども、規模についてもいろいろ目配りができるんじゃないかと思っております。特に、小さい施行者の方々が限られた体力の中で対応されるというようなことも考え合わせますと、比較的小さい規模の投資をされるような場合にも、そうでない場合に比べて少し高い還付率を用意させていただこうと思っております。

太田(和)委員 例えば、全国四十七の施行者が全部それぞれで活性化策を考えて、ハード、ソフト問わず事業を予定した場合、これは全部に還付する予定なのでしょうか、あるいは、還付金の総額は決まっていて、手を挙げてももらえないというところも出てくるのでしょうか。還付金の総額についてお答えを願います。

細野政府参考人 お答えをいたします。

 今御指摘がございましたように、積極的に対応しようという方におかれましては、前年度に納めた交付金の三分の一を上限ということになっております。ちなみにでございますけれども、十七年度の実績では、全競輪施行者の合計で交付金の額が二百五十四億になってございます。

 したがいまして、仮にすべての方が最大限還付を希望するというような場合においても、大体年間八十億程度の還付がなされる計算になりますし、これは五年間の時限ということになっておりますので、仮にコンスタントに八十平均でいくとすれば、四百億円前後の還付が期待できると思います。

 もちろん、今のはすべての事業者が還付を申請された場合でございまして、三分の一の個々の限度の範囲内であれば御希望の還付を申し上げることはできると思います。

太田(和)委員 これまで施行者が交付金を振興会に納めていて、そこからさまざまな補助事業が行われていたわけですが、その交付金の一部を施行者に還付するとなると、当然補助金に回る部分は減ることになります。

 一方、これまで継続的に補助を受けてきた団体にとっては、突然補助金を減らされても困るわけですし、この対策について、自転車振興会に積立金があって、これを取り崩してやっていくという構想だと聞いておりますが、還付金をつくることによる補助金への影響をどのように手当てするのかという考え方と、積立金の規模についてお伺いをいたします。

細野政府参考人 還付金の制度と規模につきましては今申し上げたとおりでございます。

 当然でございますけれども、売り上げが急激に増加をする場合ならいざ知らず、そうでなければ、当然還付分によって当該年度の交付金は減少する、少し目減りをすることになります。

 したがいまして、その補助規模を必要以上に減少させないということに主眼を置きますと、当然このための別途の財源が必要になるということでございまして、これにつきましては、これまで日本自転車振興会において積み立てられております三つの積立金の方からこれに充当することを考えておりまして、現在、その当該積み立てにあって、かつこれの取り崩しに充当できるというものについては約四百四十億円弱でございます。

太田(和)委員 そこで、少し違う角度から質問をいたします。

 従来から、施行者が売り上げのうち三・二%を日本自転車振興会に交付をする、振興会は、さまざまな団体のうち、日本自転車普及協会に巨額な補助事業を行っており、そして今度は、普及協会が個別の施行者に対して補助事業を行っていました。ぐるっと一巡しているわけですが、私は、なぜこんな仕組みがあるのか疑問に思いました。

 お尋ねしたい点は、自転車普及協会を通じて個別の施行者に対して行われた補助はどのぐらいの金額になるのでしょうか、また、どのような事業に対する補助だったのでしょうか、お願いいたします。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 自転車普及協会が競輪施行者に対して行う事業でございますけれども、十八年度の実績ベースで約二十九億円でございます。

 中身でございますけれども、具体的には、包括的な民間委託、これは前回の法改正において導入されたものでございますけれども、これを促進するという観点から、受託者が使われる発券機等の機器の新設、あるいは、やった後どれくらい効果があったんだろうということをフォローアップするための調査費用に対して助成の対象にしております。

 それから、三連単という新しいかけ方についても導入をされたわけでございますけれども、こういったものを導入するときに必要になる投票用の関連機器、あるいは場外車券売り場を新設する場合に必要となる当該機器のリース費用、こういったものについて充当させていただいております。

太田(和)委員 それでは、今回還付金の仕組みをつくることによって、自転車普及協会が行ってきた二十九億の補助事業は今後どのように変わっていくのか、お尋ねをいたします。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今申し上げました、現在の日本自転車普及協会がやっております助成事業につきましては、先ほどのような民間委託を促進するというような話も含めまして、先行的な事例をバックアップする、こういう制度でございます。

 他方、今回、還付制度を導入いたします。これについても、施行者の側でいろいろ経営改善をしていただいたり、新規の顧客を獲得するというもの、そういうことに資する投資についても対象にすると先ほどお答えをしたとおりでございます。したがいまして、結果的に、施設については共通になるものがあると思います。ただ、今度の制度は、先行事例に限らず、一定の範囲内で還付をするという制度でございます。

 したがいまして、結果的にそこで共通するものがあると考えられますので、こういった先行的な取り組みをより広くやってもらいたいという施行者の御意向もございますけれども、最終的には、実態に合わせて、その施設をどちら側の制度で見ることが適当かについては、一定の整理と検討をさせていただきたいと思っております。

太田(和)委員 それでは、次の質問に移ります。

 入場料の義務的徴収規定を廃止するという点についてお尋ねをいたします。

 これは、廃止したい競輪場は廃止できるということですが、廃止できるということなので別段構わないと思うんですけれども、百円の入場料を廃止して、そのことによってどれだけの集客効果が見込めるのか。私は余りないのではないかと思うのですが、それでもやりたいという要望が具体的にあるのでしょうか。

 ちなみに、松戸競輪さんは、廃止する考えはないということでした。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 入場料の徴収規定につきましては、今回の法改正で外すことにさせていただきました。理由は、ほかの議員の方にお答えをしたとおりでございまして、あえて、昔あったような騒擾事件なんかを心配しながらこういう制度をつくらなくてもいいのではないかというところに起因するわけでございます。

 お尋ねは、では、こういうふうにしたらどれくらい直接的効果があるかということだろうと思います。

 それぞれの場において置かれている立場がかなり違いますので、一概には言えないと思いますけれども、一般的に言いますと、今は、かけ金とは別に、法律上は五十円、実際は百円ぐらいのところが多いようでございますけれども、百円をまず払って、残りのところでかけをされるということでありますので、その分を実際のゲームのかけの方に回していただくのもまた一つのあれでございましょう。

 また、これはかねていろいろな御意見がございますけれども、騒擾の混乱を心配する余り、囲って入場料を取ることにしてブロックをしてきたというところが実は余りいい効果を及ぼしていない、非常に周りと壁をつくってしまって、いわば孤立した独特な場になってしまっているから、地域になじみが薄くなる原因になっている、こういう御指摘もあるわけでございます。

 今回この規定を取っ払うことによりまして、こういった壁についても必ずしも必要がなくなることによって、これは直接的効果じゃないかもしれませんけれども、実際のなじみを、地域の住民の方にもあるいは外から来ていただく方にも感じていただいて、結果的には、この事業に対するアプローチを質的にも量的にもふやしていただくということはあり得るかと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 大臣にお尋ねをしたいのですが、学生の車券購入制限規定を廃止するという点についてです。

 これは、学生の本分は学業であり、アルバイトをしている人もいますが、基本的には親からの仕送りや奨学金によって勉強をしている身ですので、学生も車券を買えるようにするのが適当なことなのかどうか。また一方で、同じ二十歳でも、働いていれば買えるのに学生だと買えない、学生だということをもって制限するのはおかしいのではないかという理屈もわからなくはありません。やはり、率直に言って、少し抵抗を感じざるを得ません。これは、大臣の率直な御感想をお尋ねしたいと思います。

 あわせて、この規定は、例えば入場料の廃止と同じように、各施行者がそれぞれ判断することとなるのか、それとも一律になるのか、この点を含めて御答弁をお願いいたします。

甘利国務大臣 確かに、学生の本分は勉強であるということは今も変わらないと思います。

 ただ、昔も競馬場に学生らしき人というのは結構いたんじゃないんですかね。だんだん大学進学率が上がってきまして、最近は、一回社会に出てからまた学び直して大学に帰ってくるという学び方も出てきましたし、二十で働いている人は買えるけれども二十五歳の大学生はというのも今の時代には余り合っていないかな、やはり年齢で切るというやり方がいいのであろうと思います。

 競馬の方は先行して実施していますし、モーターボートも学生制限は撤廃して年齢に一本化するんだと思いますが、こちらの方もそうすることによって、公営ギャンブルみんな統一に、学生によるということではなくて年齢によって制限をするということにそろうんだと思います。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 次に、重勝式についてお尋ねをしたいのです。つまり、同一の日の二以上のレースの勝者を全部当てるという投票方式を新設するとのことですが、これは、導入したいところはできるという理解でよろしいのでしょうか。これは一体どのような趣旨で新設されたのでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 従来、法律に基づきまして、かけ方というのは厳密に決まっておりまして、四種類に限られております。

 今回、御指摘のような内容を持つ重勝式というのを導入させていただくわけでございますけれども、これは、基本的な目的は、この法律の立て方で地方財政であるとかあるいは公益というのがありますけれども、やはりファンあっての事業でございます。したがいまして、ファンにとっても魅力度を高めるという一環で、投票の方式についてはバリエーションを高めるという一環で導入をさせていただいております。

 既に競馬においても、こういうものについて道が開かれております。

 したがいまして、今回も、先ほどの年齢制限の話と同様でございますけれども、同じような方式にさせていただいて、最終的には、各場において、これを入れたいと思う方におかれてはその判断で入れていただくということになろうかと思います。

太田(和)委員 競馬の方もこのような重勝式が取り入れられるような法改正ができたわけだと思いますが、なかなかまだそれを導入しているところはないということでございます。

 また、売り上げ不振のtotoが、totoBIGを発売したら爆発的に売れました。キャリーオーバーを認めて、五億円とか六億円とかが当たるようにいたしました。これは一種の宝くじのようなものでしょうが、私は、重勝式の新設はこういう効果をねらったのかなという感じがしております。

 しかし、例えば競輪は、作家の阿佐田哲也さんが、競輪こそギャンブルの王様と呼んだように、推理好きのファンに支えられていると思うのですが、そこまで宝くじのような車券を出すことが果たして活性化につながるのかどうか。それに、これは競輪場のコンピューターソフトを全部変えなければできないということで、費用も膨大になると聞いております。

 また、かつては二連単が主流でしたが、一着、二着、三着を着順どおりに予想する三連単が導入されてからは、三連単の売り上げが七割ぐらいを占める主力商品になっております。

 松戸競輪さんは、三連単の導入は完全に失敗だったとおっしゃっておりましたが、当たる確率が低くなったから、車券の購入単価も減るわけですし、松戸競輪のベテラン職員さんは、今まで一万円かけてきた人は千円に、千円かけてきた人は百円に、購入金額が一けた落ちたと言っておりました。その結果、売り上げも落ちてしまったと。射幸心をあおるかけ式の問題点についてどのような認識をされておられるのか、お尋ねをいたします。

甘利国務大臣 私も余り競輪、競馬は詳しくないんですけれども、馬券は今も買いますけれども、重勝式というのがあるというのは、実はこの法案を勉強して初めて知ったわけであります。

 要は、魅力的な商品ぞろえをするということが大事だと思いますが、余り商品が散ってしまって逆に売り上げが減るという心配も、確かに施行者が持っていらっしゃるというのはもっともなことだと思います。

 ある意味、やってみなければわからないところはありますけれども、ほかのレースでうまくいっているものはどんどん取り入れていく、選択肢を与えてあげる、これは、強制的にこれを導入するということではありませんし、施行者の判断でありますから、うまくいけば、みんなが相乗効果、各施行者間でもシナジー効果がありますし、その中においても、いろいろな商品立てということで、競技場の中においてもシナジー効果が出てくればいいというふうに期待をしているところであります。

太田(和)委員 重勝式は、かつて国営競馬の時代、一九五〇年代、売り上げの低かった午前中に一時導入がされました。しかし、射幸心をあおり過ぎるとの理由で六一年に廃止されました。その後、競馬法が改正され、二〇〇五年から販売が可能になったわけですが、先ほども少しお話ししましたが、いまだ実施に至っておりません。三連単の総括も含めて、本当に競輪、オートレースの活性化につながるのか、十分な検討が必要ではないかと思っております。

 そして、本当に導入するのであれば、場外でもあるいはインターネットで広く投票できるようにするのであれば、それなりにインパクトも出てくると思います。一つか二つの競輪場でやり、しかも競輪場に行かなければ買えないというような中途半端なものであれば、なかなか活性化にはつながらないのではないかというふうに思っております。

 次に、雇用の問題についてお尋ねをいたします。

 改正案では、自転車競技会の吸収合併、新設合併の規定が盛り込まれておりますが、現在七つある自転車競技会の合併が具体的に準備されていると聞いております。

 まず、この合併の目的は何なのか。そして、第十三条で、合併により消滅する自転車競技会の権利義務の全部が、合併後存続ないし新設される自転車競技会に継承されるとされておりますが、この規定は、会社法に基づく合併と同様に、自転車競技会に雇用されている職員の雇用及び労働条件について継承されると理解してよろしいのでしょうか。

細野政府参考人 お答えいたします。

 現在、全国で七つあります自転車競技会でございますけれども、御指摘のように、今回の制度改革に基づきまして、合併して一つの公益法人にすることを想定してございます。

 現在、その目的としましては、管理部門の合理化とか、あるいは、もう先生御承知かと思いますけれども、実は七つの競技会はかなり人員構成等も違っておりまして、相互に融通することによって相当大きな効果を得られるということで、人員の融通面の効率化という点でも非常に効果があるというふうに期待をしているところでございます。

 今御指摘のございました継承するということの中身でございますけれども、人員の配置等について非常にばらついておりますし、また、当然のことながら、いろいろ待遇とか諸手当なんかについてもばらつきがございますので、一定の見直しをせざるを得ないとは思います。

 ただし、現在のところ、法律の効果というのではなくて、この制度改革に伴いまして、七つの競技会が合併をするという前提でいろいろ協議をもう既に始めていると承知をしております。現在のところ、後にできます一つの公益法人においても、今の七つの法人にいらっしゃる従業員の雇用については基本的に確保されるという方向で話が進んでいると承知をしております。

太田(和)委員 時間も少なくなってきましたので、では、最後の質問に移っていきたいというふうに思っております。

 競輪が落ち込んできた要因は、いろいろ指摘されておりますが、ファンが高齢化し、少なくなってきたこと、逆に、パチンコの隆盛などもあるのでしょうが、若者が競輪場に足を向けないということもあると思います。

 松戸の施行者さんは、会社帰りの若い人向けにナイターをやっているということでした。職員さんとお話をすると、パチンコのように冷暖房をきかせた施設にしなければだめではないかとか、カップル席をつくったらどうかとか、子供を連れてこられるような施設にしたらどうか、また、レースを見ながら食事ができるスペースをつくったらどうか等々、いろいろなアイデアを持っておられるようでした。ファンの声を聞くことが最も大事ですが、ファンと近いところにいる、そういう現場の声も大事にしながら競輪の活性化を進めていってもらいたいと思っております。

 最後になりますが、大臣は、競輪の魅力とはどういうところにあると御認識をされているのでしょうか、またオートレースの魅力はどうでしょうか。その魅力を伸ばす努力をバックアップするのが経済産業の仕事だと思うわけですが、若いファンをふやすためのお考えについてお尋ねをし、私の質問を終わりたいと思います。

甘利国務大臣 私、競輪をやったことがないんですけれども、何年か前に「ギャンブルレーサー」という競輪の漫画がありまして、ただ、この「ギャンブルレーサー」の漫画のイメージは、いわゆる昔の鉢巻き締めたおっさんが集まってくるという中でのレース場の模様がよく描かれていたんです。

 私が平塚に行きましてそのイメージと全然違ったのは、若い人が来ていますし、カップルも来ていました。それから、日本選手権で優勝した選手の表彰のときに、観客席から中に入ってこられるようになっていまして、かなり近い距離で選手に声援を送るということができるようになっていました。設備も新しいですし、これは昔の抱いていたイメージとは随分違うなという感じになりました。

 やはり明るくて来やすい競技場、それから、競輪はまさに生身の人間の駆け引きですから、動物と、人間が乗っかっているんじゃなくて、人間そのものですから、そういう駆け引きの妙味ということだと思います。当日も、落車がありまして、本命選手が勝てませんでした。私も買おうかと思ったんですが、買っちゃいけないと言われたものですから買わなかったのでありますけれども。

 内容も魅力的にする、選手との距離も近くする、それから施設もきれいにする、いろいろなアイデアを競ったらいいんだというふうに思いますし、そのための、今度の法改正で還付金制度というのを、そういう魅力的なものにするためにぜひ使っていただきたいというふうに思っております。

太田(和)委員 ありがとうございました。

上田委員長 次に、橋本岳君。

橋本委員 自由民主党の橋本岳でございます。

 何でかよくわからないんですけれども、私の質問になると大変多くの方々に声援をしていただけて、ありがとうございます。しっかりと頑張っていきたいと思うわけであります。

 さて、きょうは、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案ということで質問に立たせていただきました。

 この両案の改正の背景として、二つ大きく上がっております。公営競技関係法人の事業及び組織の見直しということで、行政改革の重要方針の中で組織の見直しを行うのだということが言われ、それを受けたものであるというのが一点。それから、競輪及びオートレース事業環境の悪化というようなことが背景にあるのだということでありまして、事前に経済産業省さんからいただいた資料を拝見しますと、絵にかいたような右肩下がりのグラフが載っていて、グラフなんだから絵にかいてあるのは当たり前なんですけれども、両事業ともそういう状況にあるのだということで、それを何とかするということであるわけであります。

 もともとを考えますと、競輪にしてもオートレースにしても、要は、売り上げを上げて国民の皆様にささやかな娯楽を提供するとともに、そこの収益からいろいろな公益事業を行うのだということが基本的な目的だったわけで、売り上げが低下をしていってしまうと、要するに、売り上げでやっている公益事業そのものもどんどん縮小していくということでありますので、ぜひこの法律案で、売り上げを右肩上がりに、できるだけ角度の高い方向でがんと上げていっていただきたいな、こう思うわけでありますけれども、ぜひ大臣から、業績回復をこういうふうに行きたいのだというようなお気持ちを教えていただければとまず思っております。

甘利国務大臣 御指摘のように、競馬もモーターボートも競輪もオートレースも、全部激減していますね、売り上げが。特に競輪とオートレースは減り方がかなり激しい。競輪はピークの半分近くに減る、オートレースに至ってはピーク時の三分の一になってしまっているわけでありますから、こういう中で施行自治体がすべて黒字経営をしていくというのは本当に大変な努力を要することであります。

 とにかく売り上げを上げるということが大事でありまして、その中でどう開催経費を合理化していくかという努力が行われるわけでありますから、全体が縮小していく中でつじつまが合うようにしていくためには、これはもう不可能な努力になってしまうと思います。ですから、魅力をふやして、来場者をふやして、売り上げをふやすということが最大の課題だというふうに思っております。

 競輪・オートレース事業活性化プランというのをつくりまして、これに基づいて、いろいろな商品ぞろえの拡充とか新しいインターネット投票システムやイメージアップの広報の取り組み、あるいはスター選手を育てる、新人の有望選手が出てくるような強化等々、レース自体の魅力を向上していくということ等を通じて、業績の回復、活性化を図ってまいるつもりであります。

 ただ、私、施行者の方々が来られましたときに、とにかく施行者がどれくらい知恵を出すかということの競争になりますよと、単なる競輪場、オートレース場というのじゃなくて、自分たちの町、市は一つのテーマパークを持っているというくらいの思いでいろいろ工夫をしたらいいじゃないですか、これは民間の知恵もうんとかりて、どう魅力的なものにするかということを競い合っていただきたい、そのための支援をする制度をつくったわけですよというお話をさせていただいたわけであります。

 いろいろな民間の、その地その地にあるいい知恵を出し合っていただければというふうに思っております。

橋本委員 経済産業省というわけで、平たく言えば商売繁盛の省だと思うんですけれども、そこが主管をしている事業が右肩下がりというのは大変に景気の悪い話でございまして、やはり指導力を疑われるということにもなりかねないと思いますので、そこは大臣だけではなく皆様方のお知恵も入れて、そして各地の主催者の方々のお知恵も入れて、ぜひそうなっていただくように、引き続き御指導なりできることを取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 今回の法改正につきまして、実は、先ほど太田委員が、改正点にわたって大変地道に一つ一つ質問をされまして、大体質問され尽くしてしまったなという思いがしております。そうだからというわけではないんですけれども、ちょっと私は違う視点というか、どういう公益事業をやっているのかというところでお話を少ししたいと思っております。

 今の運営主体であります日本自転車振興会そして日本小型自動車振興会がいろいろな補助事業をしている。そこで、特に社会福祉の増進をするのだということで、その重点事業として、身体障害者補助犬の普及のための施設の整備事業及び身体障害者補助犬の普及のための調査研究又は啓発普及事業というのを項目を挙げて取り組んでおられます。

 身体障害者補助犬というのは、盲導犬であったり聴導犬であったり介護補助犬であったり、そういったたぐいの犬でありますけれども、そういう障害者の方をいろいろな形でサポートする犬を普及させるというか、そのためにこの競輪及びオートレースのお金というのも使われているのだということでありますけれども、こうしたいいことというのをぜひ伸ばしていくためにも、競輪、オートレースの売り上げというのは伸ばしていかないといけないということにつながってくるわけであります。

 今の身体障害者補助犬に関する二つの事業について、これまでどういった補助をされた実績があったのか、教えていただけませんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御質問ございました身体障害者補助犬の普及のための補助でございますけれども、日本自転車振興会の方の公益事業の一環で、全国の盲導犬協会に対して補助をさせていただいております。

 実績でございますけれども、身体障害者補助犬の普及のための施設の整備事業、これは過去五年間で六件の補助を申し上げておりまして、総額では約十二億円でございます。

 それからもう一つ、身体障害者補助犬の普及のための調査研究又は啓発普及事業というのがございまして、これは、中身は、訓練犬の適正な育成に関する調査研究、あるいは養育の飼育などの事業ということになってございます。こういったものについても、過去五年間で五件の事業について補助を差し上げておりまして、金額はちょっと小ぶりでございますけれども、五年間で約四千万円ということになってございます。

橋本委員 こういういいことをやっているんだということはぜひ続けていっていただきたいと思うし、いろいろPRもされていると思いますけれども、さらにされていけばイメージアップにもつながるんじゃないかと思うわけであります。

 今の二つの事業について、もしくはそれ以外にも恐らくかかわってくることだと思うんですけれども、今、重点事業として身体障害者補助犬の事業というのは位置づけられておりまして、そうすると、五分の四以内の補助率という大変高率な補助をしていただいています。

 その補助を受けている団体、その関係の方々から少し今回の法改正で御心配をいただいているのが、五分の四という大変高い補助率になって今ありがたいんだけれども、今回の法改正だとか、あるいはそれによって組織が見直しをされるということでそのスキームが変わってしまうのではないかというような御懸念があるわけであります。イメージからして、合理化なのだ、行革なのだというところが背景にあるわけですから、そういった思いを持たれるのも無理もないのかな、御懸念はあってもしようがないのかなと思うので、ぜひそこのところがどうなるのか、教えていただけませんでしょうか。

山本(幸)副大臣 身体障害者補助犬法案、議員立法でつくりまして、そのときの中心に私がなりまして、そして、案をつくるときには、お父様の橋本龍太郎元総理にこの補助犬法案の推進議員連盟の会長で大変お世話になりました。御一緒に盲導犬の協会を視察させていただいたり大変御指導を賜ったことを、今懐かしく思い出しております。

 今御指摘の補助事業でありますけれども、補助率五分の四以内ということで大変高いことになっておるわけでありますが、今般改正いたしますと、日本自転車振興会が行う業務について、補助金交付業務を含めて、経済産業大臣の指定を受けた公益法人が実施することになります。

 この方針については、平成十八年度から日本自転車振興会に設置いたしました外部の有識者から成る第三者委員会において決定することでありますけれども、重点事業分野の選定、補助率の割合については、特段の問題がない限り変更はしないということで、ぜひお父様の御遺志を継いでしっかりと頑張ってまいりたいと思っております。

橋本委員 ありがとうございます。(発言する者あり)それはもう満足してはいけない、もっとアップしていただければそれはいいのかもしれないんですが、なかなかそれも難しいと思いますけれども、でも、今の大変力強い御答弁をいただいて安心をするところでありますし、副大臣もそれにかかわっておられたというのは、済みません、私がちょっと不勉強でありまして、釈迦に説法のようなことをしてしまったかなと思っているところでございます。

 それで、今お話が出ました身体障害者補助犬法の法律の方であります。ちょっと話が展開していきますけれども。

 今、実は補助犬法の一部改正をしようということを、まさに、先ほどおっしゃっていた議員連盟におきまして検討しているところでございます。それは何をするのかというと、これまで公共的な建物について補助犬を連れて入るということは、ぜひ受け入れなければならないのだということになっていたわけですけれども、そこに加えて、職場などにもきちんと受け入れてもらえるような義務を課すということで、それとあと相談体制を充実させる、その二点ですけれども、改正をしようということで、今、その議連が中心となって動いているわけであります。

 事務所、事業所に対する受け入れというのは、身体障害者の方がお勤めになる上で、やはり犬も一緒に受け入れてもらえないと、実際、いろいろなことに支障を来すというような現状があり、これをぜひお願いしたいということで御要望いただいて私たちとしては活動しているわけであります。これが、議員立法で、まだ提出も何もされていない状況ではありますけれども、成立をした暁には、ぜひ政府の方々には、その法の趣旨を踏まえて御協力をいただきたいというふうに思っているところでございます。

 厚労省さんに政府参考人としてお越しをいただいておりますけれども、ぜひ、成立の暁には前向きに取り組んでいただくのだということを教えていただきたいなと思っております。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 お話にありました身体障害者補助犬法は、平成十五年から全面施行されておるわけでございますけれども、厚生労働省におきましては、身体障害者補助犬法の施行状況に関する検討会を設置いたしまして、昨年六月に報告書を取りまとめたところでございます。

 報告書におきましては、身体障害者補助犬の社会的認識の定着が必要であり、まずは実効性のある普及啓発活動に取り組むべきであるということが指摘をされております。また、その後の課題といたしまして、相談体制の整備、民間の職場や住宅での受け入れ義務化等が掲げられております。

 今般、お話がございましたように、身体障害者補助犬を推進する議員の会におかれましては、補助犬の使用者団体の御要望を踏まえ、改正案を取りまとめられたということでございます。その内容は、一つとしては、補助犬に関する苦情や相談を都道府県が受け付けることとする、二つ目といたしましては、従業員が五十六人以上の企業につきまして補助犬の受け入れを義務づけるというふうに承知しております。

 本改正案の内容は、補助犬の使用者が社会参加をする上で大変意義深いことであると考えておりまして、厚生労働省といたしましては、改正法案が成立した場合には、その趣旨を踏まえ、都道府県における相談体制の確立を支援するとともに、企業への働きかけを初め普及啓発に努めてまいります。

橋本委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思いますとともに、主管省庁ではないので、経済産業省さんがこの法律に関して何ができるかというのは、現時点では余りないんだろうと思います、厚労省さんが基本的に担当されますけれども。

 ただ、やはり企業だとか職場に関する話でございますし、厚労省さんから、例えば何かこういうのを手伝ってくれ、そういうような御要望があったりすることも後々には考えられるかと思いますので、ぜひそういったことには前向きに御対応いただきたいなと思っておりますけれども、ぜひ経産省さんから御答弁をお願いします。

高木大臣政務官 ユニバーサル社会形成を目指しますこうした取り組みは大変重要であると思っております。

 ちなみに、議連の幹事長を務めていらっしゃいますのは上田委員長、そして山本副大臣と私もその議連のメンバーでもございます、余計なことでございますが。

 身体障害者補助犬法の改正の議員立法が成立しました場合には、ただいま御指摘ありましたように、主管庁の厚生労働省によりましてその普及が行われるわけでございますが、当然のことながら、経済産業省といたしましても、その内容の重要性を受けとめさせていただき、必要に応じて、例えば商工会議所等を通じて周知徹底をするなど、協力をさせていただきたいと思っております。

橋本委員 大変心強いお言葉をいただきまして、ぜひしっかりとお願いをしたいと思っております。

 何できょうこんな話をしているかといいますと、議連メンバーの先生方もたくさんおられるわけでありますけれども、できれば今国会で、提出をさせていただきまして、厚労委員長の提案といった形でぱぱっと成立をさせていただければありがたいなと思っておりまして、委員会は違うんですけれども、御関係の先生方がおられましたら、こんな話もあって、ぜひ御協力をいただきたいと思っておる次第でございます。

 また、そういったことを振興するためにも、話をもとに戻しますと、身体障害者補助犬というものの振興のために競輪、オートレースのお金というのは使われているわけであります。何はともあれ、その売り上げが伸びないことにはそちらに回るお金も少なくなっていってしまうということでありますので、ぜひ大臣、最初に御答弁いただいたとおりでありますけれども、その業績回復というものを目指して、いろいろな形でお力を入れていただければと考えております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次回は、来る六月一日金曜日午前十一時理事会、午前十一時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.