衆議院

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第15号 平成19年6月6日(水曜日)

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平成十九年六月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君

      小此木八郎君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      鈴木 馨祐君    平  将明君

      谷川 弥一君    土井 真樹君

      丹羽 秀樹君    野田  毅君

      橋本  岳君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    増原 義剛君

      武藤 容治君    森  英介君

      吉川 貴盛君    石関 貴史君

      大畠 章宏君    太田 和美君

      川端 達夫君    北神 圭朗君

      小宮山洋子君    三谷 光男君

      柚木 道義君    高木美智代君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   文部科学副大臣      遠藤 利明君

   経済産業副大臣      渡辺 博道君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      松山 隆英君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 森川 卓也君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           板谷 憲次君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          奥田 久美君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       松井 英生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           立岡 恒良君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           板東 一彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西川 泰藏君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           内山 俊一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 望月 晴文君

   政府参考人

   (特許庁長官)      中嶋  誠君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    石毛 博行君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    加藤 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           前田 隆平君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     鈴木 馨祐君

  鷲尾英一郎君     石関 貴史君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     岡部 英明君

  石関 貴史君     鷲尾英一郎君

    ―――――――――――――

六月五日

 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)(参議院送付)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長松山隆英君、財務省大臣官房参事官森川卓也君、文部科学省大臣官房審議官板谷憲次君、厚生労働省職業能力開発局長奥田久美君、経済産業省大臣官房商務流通審議官松井英生君、経済産業省大臣官房審議官立岡恒良君、経済産業省大臣官房審議官板東一彦君、経済産業省大臣官房審議官西川泰藏君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、経済産業省製造産業局次長内山俊一君、資源エネルギー庁長官望月晴文君、特許庁長官中嶋誠君、中小企業庁長官石毛博行君、中小企業庁次長加藤文彦君及び国土交通省大臣官房審議官前田隆平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 質疑の機会をいただき、感謝を申し上げます。

 世の中にはさまざまな産業があるわけでありますけれども、それぞれの産業はそれぞれ大事な産業だと思いますが、その中で、国が主導的な役割を果たす意味があるといいますか、産業政策が求められる分野の一つに航空宇宙分野というものがあろうかと思います。最先端の技術の結晶でもあり、他の産業への波及効果も非常に大きい、また同時に、開発費が非常に巨額で民間企業にとっては大きなリスクを負う、こういうことであろうかと思います。

 アメリカの大統領であったジョン・F・ケネディ大統領が、人類を月に飛ばす、こういう形で宣言をして、あれからもう四十年以上たっているわけでありますけれども、現代は、宇宙なり航空という分野はもう夢の話ではなくて、実際の産業に非常に大きな意味を持つようになってきた、こう思うわけであります。

 そこで、まず最初に、きょうは我が国の航空宇宙分野に関する産業政策についてお伺いをしていきたい、こう思っております。

 我が国の航空宇宙産業は、戦後の空白期を経て、日の丸飛行機と呼ばれたYS11型機、そして国産エンジンのV2500、そして、日米摩擦になってしまいましたがFSX、今のF2戦闘機、そしてボーイング787の主翼という形で、段階的に、非常に着実に実績を重ねてきた、こう思うわけであります。ただ、基本的には、F2戦闘機を除いて下請の存在であって、全体をまとめる元請という分野で、少なくとも民間では、航空機産業についてはしっかりした実績をまだ持っていないと思っております。

 そういう意味で、我が国が民間航空機で元請に脱皮する、非常に注目をされているプロジェクトが現在進んでおります。

 国産の小型ジェット機、九十人乗り、七十人乗りの小型ジェット機の開発構想でありますけれども、この開発構想、平成二十年には事業化すべきかどうか判断するということと伺っておりますが、この計画が我が国の航空機産業に与える位置づけと、また全体のプロジェクトの開発総コストというんですか、ある程度、もしわかれば、現段階で経産省が把握している現状について、まず事務当局にお伺いしたいと思います。

内山政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま先生が御指摘ございましたように、三菱重工業を主体として開発中の国産小型旅客機、いわゆるMRJでございますけれども、これにつきましては、平成二十四年度中に運航を開始することを目指しております。

 事業者におきましては、来年春ごろの事業化判断に向けまして、ただいま、高性能でかつ低価格の機体を実現するために必要となる複合材成形技術あるいは空力設計技術、そういった技術開発を実施しております。それとともに、エアラインに対するマーケティング、採算性の見きわめ等の課題に取り組んでおるところでございます。

 事業化に伴う開発費の規模でございますけれども、したがいまして、採算性の見きわめ、技術開発、マーケティング、そういった課題への取り組みと並行して検討が行われておるところでございまして、現時点ではまだ未確定だというふうに聞いております。

近藤(洋)委員 来年春の事業化の判断という時期ですから、海のものとも山のものともという状況ではないと思うんですね。一説には一千数百億円開発にはかかる、二千億円かかるかどうかはわかりませんが、その程度と聞いております。航空機でありますから、それは、自動車の世界でもエンジンを開発するのに物によっては二百億、三百億、こういうことでありますから、航空機であればそれは相応の開発費がかかるんだろう、こう思うわけであります。

 この七十人乗りから九十人乗りのいわゆる小型ジェット機の需要というのは、聞くところによると、非常にこれから需要が見込まれる。三菱重工は燃費を二割ぐらい上げて日本の技術で開発するという話を伺っていますけれども、やはり同様の開発計画がブラジルなりカナダなりロシアでも進んでいると聞いております。航空機ビジネスというのは、欧州エアバス・インダストリーの例を出すまでもなく、ある意味で官民一体で進めているというのが世界標準でありますし、米国でもそうであろうと思っております。

 このMRJ計画について、政府としてどのような支援を行う覚悟があるのか。こういった、一つの大きな海外のライバル企業も事実上官民一体で進んでいる、開発費も一部負担をしているという状況にあるわけですから、日本として、具体的にどういった支援を行う覚悟があるのか。

 また、具体的な施策として、もちろん開発だけではなくて、実際、いいものをつくったらば売らなきゃいけないわけでありまして、この売るときに、例えば制度面で貿易保険の制度を見直すであるとか、そういったことも含めて、ある程度、政府の覚悟がないと、これは事業化の決定ということも進まないのではないか、こう思うわけでありますが、大臣、具体的なお考え、覚悟についてお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 三菱が開発をしている今回のいわゆるMRJでありますけれども、このクラスの航空機は、一つはエアラインの要望が相当強くなると思われるという点、それから、航空機産業自身が部材、素材等の高度化のまさに大競争の中にありますから、他産業への波及効果も極めて高いという点で、注目をすべき産業だと思っております。エアライン以外にもこのクラスはプライベートジェットの需要が随分あるんじゃないかと思うんですね。プライベートジェットは、該当する機種をエアラインに供給する中から引っぱがして持ってくるわけですから、四、五年待ちなんですね。ですから、相当な需要をカバーできるのではないかというふうに思っております。

 そこで、諸外国でも、そうした波及効果という点と航空機産業自身の発展可能性という二点から、積極的な支援を政府がしているわけであります。経済産業省といたしましても、そういう視点に立って、今後とも、計画の進捗に応じてしっかりと支援をしていきたいというふうに思っております。

 これは、御指摘の開発費、千数百億とも言われておりますが、そこを助成するということと、それからもう一点、後段の御質問にありました、つくったはいいけれども、販売、確かに、ポテンシャル、需要の潜在ニーズは大分あるけれども、実際にしっかりと、外国ではトップセールスを随分やっているわけでありますから、そこらについてどうなのかというお話でありますし、そこを支えるような、例えば貿易保険は適用すべきでないかという御指摘であります。諸外国でも貿易保険を活用した支援がなされていると承知をいたしておりますし、結論からいえば、前向きに考えていくべきだというふうに思っております。

 今回、これのクレーモデルというんですか、それを大使公邸に展示するという極めて画期的な、従来の日本の政策からは考えられないような積極的な行動がありました。私は、昔、イタリアに行きましたときに松原大使が、イタリアのドイツ大使公邸だか大使館でBMWの新車の展示会をしているんですよ、日本では考えられないんですけれども、やるべきだと思いますけれども、なかなかそこまでいかないんですよねということを何年か前に聞いたことがありました。

 私も、その国を代表する産業のPRを外務省が前面に立ってしているという場面に随分出くわしました。日本も必要だなという思いがありましたけれども、今回、MRJに関しては、ようやくそこまで、国の基幹産業を政府がバックアップするということになってきたなという思い、一種の感慨がございました。

近藤(洋)委員 大臣がおっしゃったとおり、海外ではやはり官民一体で事業を進めているんですね。

 これも大臣も十分御認識されていると思うのであれですが、先ほど申し上げたように、予算の点についても、多く出せばいい、民間のプロジェクトに政府がどこまで出すんだという批判は、それはある人はあるでしょう。しかし一方で、欧州エアバス・インダストリーは、少なくとも数千億、過去において投じ続けているわけですね。その結果、各国共同でエアバスは世界の空を飛んでいる、そして産業も伸びている、こういうことであります。

 ぜひ、この時点で具体的に、来年の春の話ですから、もう既に一部、開発については政府も多少の研究開発予算を投じておるのは私も承知しておりますけれども、来年からは恐らくけたが違ってくるのではないか、こう思うわけであります。来年度予算の話ですから、もうそろそろ、七月、八月に向けて、恐らく内部では検討を進めているかと思いますが、ざっくり言って、開発費の全体の何割程度は国で見なきゃいけないという覚悟を、具体的にもしお持ちであれば、重ねてちょっとお伺いしたいというのが一点。

 あともう一点、売る努力について、これは、私は野党でありますが、甘利大臣、非常に先般いいことをやられたなと思ってある意味で評価しておるんですが、まさに民間の企業の方々と一緒にカザフに行って、そしてウランを獲得してこられた。こういうことは、ある意味では欧米では常識であったわけですよね。商務大臣が、商務庁長官が民間のミッションと行って、そして商談をする。

 これは、一つ間違うと、見方を変えれば、何だ、これは癒着じゃないかという指摘をする人もいるかもしれない。しかしながら、そこは、国益を守るという立派な大臣であれば、そういう癒着は断ち切れるわけでありますから、立派な方がやれば問題ない、こういうことでありまして、人によってえらい変わるわけですね。

 今回の甘利大臣の、少なくとも現在の成績については、今回のカザフについては非常によくやられたな、私はこう率直に評価をしたいと思います。ですから、これは人によって大変なスキャンダルにもなりかねないし、しかし、海外においては日常茶飯事、行われているわけであります。

 何といっても、アメリカ大統領が来られたときに、昔から、それこそクライスラーの会長なりシティバンクの会長と一緒に大統領が来る、これがアメリカの常識でありますから、そこは、官民の線は線で持ちながらも、しかし、国益を抱えてビジネスをするときにはしっかりスクラムを組んでやるというのも、これはやはり世界のビジネスの常識だと思っています。

 そういった行動も含めて、政府として、売る努力ということについてとられる覚悟はあるのか、開発費はどの程度やる覚悟があるのか、あわせてお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、基本的には、民間の商売でありますから、民間が当然主体的にやっていくということは、それはそのとおりなのでありますが、国益にかかわる、産業全体にかかわるような重大なことに関して国が後ろ盾になってあげる。

 というのは、私は、海外に行きますときに、政治家になってからやることは、現地の日本企業を集めて、どういう問題があるかとかどういう悩みがあるかというのを必ず朝食会等を開いて聞くようにしています。そのときに、ずっと昔からありましたのは、連合軍に対して徒手空拳で戦っているような気持ちですと言われたんですね。これはかなり前の話ですけれども、ライバルの企業は首相や大統領から電話がかかってきます、我々は、日本大使館に支援を依頼しても、民間は余り寄らないでほしいというような姿勢があってと。

 そこで、私は外務省に対して、在外公館は現地の日本企業の支援も仕事の一つじゃないのかという話を強く申し出たことがありました。余りにも心細いということで、孤軍奮闘の戦いを連合軍としているようですというような話があったものですから、せめていろいろな意思疎通で日本の企業の後ろ盾になって、一人で戦っているというような思いをしないようにぐらいしたらどうなんだという話をしたことがあります。

 その後、何年かたって、大使が赴任するときには、現地の邦人の保護ももちろん当然でありますが、現地の日本企業の支援も仕事の一つということで出していますということに外務省も変わってきたわけであります。

 今回、先ほど申し上げましたように、MRJについて、十八日から開催をされるパリのエアショーの機会に、パリの日本大使公邸におきまして、MRJというものを世界のエアライン各社に紹介するためのレセプションを日本大使主催で開催ができる、これは画期的なことだというふうに思っております。

 それから、開発費に関してなのでありますけれども、千数百億かかるという話、具体的にまだ積算ができているわけではないと思いますが、大体先方の要望は三割ぐらいをしてほしいという思いがあるのは承知をいたしております。ただ、我が省として、日本政府として、どこまでやるかはまだ決定をしておりませんが、先方の思いは一つの基準として、どこまでやるべきか、あるいはやることができるか、検討していきたいと思っております。

近藤(洋)委員 限られた全体の予算の中での話でありますからあれですが、今回のMRJについては、日本の民間航空機産業の歴史を見ると、これから十年こういったプロジェクトは出てこない可能性もあるわけで、一つの大きなチャンスなんだろう、こういう認識で、ぜひ知恵を出して取り組んでいただきたい、こう思うわけであります。

 続いて、ロケット打ち上げビジネスについてお伺いしていきたいと思います。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、二枚目と三枚目を見ていただければと思うのです。

 お忙しい中、遠藤文部科学副大臣にお越しいただいております。打ち上げ事業については、今までJAXA、事業団による官営から民間企業に移管をされております。この分野というのも、ロケットの絵が出て、二枚目には打ち上げ実績の表が出ておりますけれども、世界各国がしのぎを削っておる分野であります。

 民間に移すことで非常に効率を上げよう、こういうこと自体は私も大変いいことだろうと思うわけでありますが、三枚目のページを見ていただくと、各国のロケット打ち上げ成功と失敗という例が出ております。

 一目してわかるのは、各国とも全部成功しているわけではありませんし、日本だけが時々失敗しているわけでもなくて、各国とも時々打ち上げというのは失敗するんだなというのがよくわかる。と同時に、ただ決定的に各国と違うのは、日本の数が極端に少ない、こういうことであります。

 打ち上げ例を見てみますと、隣のアリアンがタケノコのようににょきにょき絵が出ておりますし、ロシアのプロトンロケットに至っても、年間、大変実績を誇っている。アメリカ勢は、アトラス、デルタを足せば日本の何倍にもなるわけですし、最近目覚ましいのは中国、長征ロケットですか、大変実績を重ねている、こういうことであろうかと思います。

 この実施主体でありますけれども、実態的には、欧州はアリアンスペース社、これは官民一体の会社であり、中国は当然人民解放軍、中国政府がやっているわけでありまして、米国はNASAがやっている。ロシアはロシア宇宙庁がやっている。打ち上げ主体は、基本的にはやはり政府主体でやっているんですね。

 そういう中で民間委託を、民間に移して、さてこの激しい国際競争にどうやって勝ち抜くのか、こういうことだろうと思うんです。

 二枚目のページでありますけれども、2に、下にコスト、打ち上げ価格というのを示させていただいておりますが、それぞれ、これは単純に比較できませんけれども、日本のH2Aは大体百億円以上ということであります。アリアンロケットについては七十八億から百四十億、やや幅があるとか。ただ、びっくりするのは、中国が三十億円から八十四億円、これは随分安いな、こういうことであります。

 企業の方に聞いても、価格競争力がなかなか日本の場合はないんです、こういう話です。それはなぜないのかというと、物は非常に日本の物はいい、軽くていい、部品点数も少ないというわけですが、海外の話を聞くと、どうもさまざまな協力、政府の協力があって、営業の場合、営業価格が随分安くなっている、こういう話を聞きます。

 そこでお伺いしたいのですが、現在、ロケットの打ち上げ場、種子島宇宙センターは国のものなわけですね。国が運営している。これから民間委託になって第一号機が飛んでいくわけですけれども、その契約で、打ち上げ場の費用というのは恐らく民間会社が国に払うことになるだろうと思うわけです。

 例えば、打ち上げのオペレーションの費用、打ち上げ場のレンタル費用、航空機でいえば飛行場の使用料のようなものなんでしょうか、打ち上げ使用料というのが恐らく設定されるかと思うんですが、昨晩、事務方の方に聞くと、これが今までは大体二十億円ぐらいから三十億円ぐらいかかるんですかね、こういう話でありました。全体が一発百億円だとすると、この二十億円、三十億円というのは大変大きな額であります。

 例えば、こういった二十億円、三十億円分は、打ち上げのオペレーション費用、これはどういう費用になるかわかりませんけれども、こういった部分について、当面の間は、値引きないしは、ただというといろいろ問題があるかもしれませんけれども、契約に基づいて宇宙開発支援、飛ばす星、衛星は今のところ国が発注する星が多いわけでありますから、安定的なロケットの運用成功に資するという理屈でも何でも結構ですけれども、そういうことから、当面はこの使用料を少し値引きしてあげるということも、そういった思い切った策がないと、とてもとても海外勢と太刀打ちできないんではないか、こう思うんですが、副大臣、いかがですか。

遠藤副大臣 平成十五年にH2Aロケット六号機が失敗しましたときに、私の友人がたまたまJAXAで開発をやっていますので、何で落ちるんだと言いましたら、あれだけの少ない予算であれだけの人で、なかなか大変ですと。もっと本数を打ち上げられれば、もっと我々も確率の高いロケットを打ち上げられると。

 そんな話を聞いたときに、なるほどと実感したんですが、おかげさまで十二号機、最近は六号機からずっと成功しておりますが、それにしても、委員御指摘のように本数が少ない。それは、やはり日本のロケットの安全性、信頼性がまだそういう意味では世界的に本数の少なさも含めて高くないんだろうと思っています。

 そこで、御指摘のように、ことしの夏のSELENE、月周回衛星から民間に、三菱さんにお願いをするというふうなことになったわけであります。

 もちろん運用等は三菱さんに、民間にお願いをする。しかし、射場等の安全管理を含めて、さっき委員御指摘いただきました、百億のうち八十と二十という話がありましたが、二十億分ぐらいについては引き続き国として責任を持ってやっていかなきゃならないと思っておりますし、同時に、それだけではなくて、これからも新しい研究開発、例えばGXロケットとかそうしたものがありますから、そうした技術開発についてはしっかり国が責任を持ってこれからも担っていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひそういう方向で御検討いただきたい、こう思うわけであります。

 副大臣、大変お忙しいところ、来ていただきまして、ありがとうございました。結構でございます。

 続いて、戦闘機分野についてお伺いします。

 何といっても、航空機の世界では、やはり最も先端の技術が使われるのが防衛分野だろうかと思うわけでありますし、防衛分野で技術を開発し、製造技術を磨いて、そして民間で活用される。そして、その技術が例えば複合材であれば、ゴルフのシャフトになったりとか民生分野にどんどん使われる、コンピューターシステムしかり、こういうことだろうと。さまざまな技術がスピンオフといいますか、民間、民生分野に転用されるんだろう、こう思っておるわけであります。

 そこでお伺いしたいんですが、特殊な分野、防衛産業というのは特殊な分野ですから、やはり開発技術、製造技術の基盤をいかに維持するかということが一つ大事だろう、こう思うわけです。その観点から、次期主力戦闘機FXの調達について、副大臣、お忙しいところ来ていただいておりますので、お伺いしたいと思います。

 これは中期防衛計画の中で、第一弾として七機調達することがもう既に明記されており、政府は来年の予算要求までに、ある程度の具体的な機種選定をするということを伺っております。

 資料を配付させていただいたこの最後の四枚目のところに、FXの対象機種というのが、これは防衛省さんからいただいた資料ですけれども、現在こういったものを対象として選定作業を進めています、研究していますという話を伺っております。

 いずれにしろ、まず最初にお伺いしたいんですけれども、政府はこれまで、主力戦闘機については国内でライセンス生産をする、こういうことを基軸に置いて現在のF4もF15も基本的には、もちろん海外のものを買うわけだけれども、ライセンスで生産するということも主軸に置いてこられたかと思うんですね。

 そこでお伺いしたいんですが、今回の機種選定に当たって、ライセンス生産をするということは一つの判断の基準になられているんでしょうか。

木村副大臣 先生御指摘のように、ライセンス生産をいたしますならば、生産、修理基盤が近くに確保できる、また、航空機全体のシステムの統合化というんですか、そういうことの技術も得られるということで、国内の防衛産業の基盤、技術を維持していくという上においてはとても大切なことだろう、こう思っております。

 さて、今先生御質問の次期支援戦闘機FXについてでございますけれども、この選定に当たりましては、我が国の領空の防空の任務をいかに果たし得ることができるかという観点において、技術が進歩する中でどのような装備が必要かということで、今まだ検討をしている段階でございまして、御指摘のとおり、来年の夏の概算要求、二十一年度に着手したいと思っておりますから、来年度の概算要求までにはそれらの検討を進めていかなければならない、こう思っております。

近藤(洋)委員 副大臣、副大臣もおっしゃったとおり、これはコストだけの問題ではなくて、国防上も、ライセンス生産のメリットというのはあるかと私は思うんですね。やはり有事のときに、もしメンテナンスが必要になったときに、もちろん、一々買った国のところに輸送して果たして部品がちゃんと対応できるのか、こういうこともあろうかと思いますし、結局、幾ら性能がよくても、いざというとき使えなければ、これは全く意味がないわけですね。

 ここに出ているのは、防衛省さんの資料ですから、一定の国防上の目的を達するであろうという、一定の水準に達しているものばかりだと思うんですが、もちろん最新鋭のものもいいでしょう、しかし同時に、トータルのことというのも必要なんじゃないか。国防上の理由からも、有事のときにすぐメンテナンスできなければ意味がない、こういうことはあろうかと思います。

 もう一つ、その次のページで、これは大体どれぐらい、次期主力戦闘機のFXが調達されるのかという一つの目安としてなんですけれども、これはF2、いわゆるFSXの開発費用及び調達費用ですが、こちらの方は、九十四機調達して約一兆円。どれぐらいの値段のものを買うかによりますけれども、少なくとも次期主力戦闘機は一兆円を超えるオーダーの買い物になる。戦闘機は百五十億円から高いもので二百億円を超える、こういうわけでありますから、大変高い買い物ですよね。調達費用で一兆円かかる。

 それだけの税金を投入するのであれば、やはり、ライセンス生産すれば、そこに雇用も生まれて、そして技術も蓄積されて、さらには、受注した企業が利益を上げれば税金として戻ってくるわけですから、トータルコストの面から、そして目に見えない蓄積という面から見ても、やはり目指すべきは、ライセンス生産ができればよりよいな、こういうことだろうと思うんですね。

 私は、そういう観点から、もう来年の夏に迫っているわけですから、これだけ大きな買い物が来年の夏に迫る。他方、有力と呼ばれているF22でありますか、こちらについては米国議会が、輸出はまかりならぬ、情報も開示しないというのが今の米国の姿勢である、こういうふうに承っておりますし、そうだとすると、果たしてわざわざそれを必要とするのか。若干の性能の高さがあるならば、目をつぶっても、トータルのことを考えていくということも一つかな、こう思うのです。

 重ねて、ライセンス生産をさせろということを基軸に交渉を進めるべきかと思いますが、いかがでしょうか。もう一度お伺いしたいんですが。

木村副大臣 先生御指摘のことも頭に入れながら、選定に当たってのいろいろな検討を今進めているところでございます。

 F4の後継機が今FXでありますけれども、その後にはF15の後継の話も来ますし、技術の進歩、そして、今我が国の要素技術の研究を重ねておりますけれども、そういうものと相まって、我が国の任務が果たせるかということを踏まえて選定をしていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 副大臣、時間の関係上、甘利大臣にも、これは要望だけというか指摘だけにさせていただきたいと思います。

 このFXの選定は、私は大事だと思うんですね。同時に、やはり戦闘機の技術というのは確実に民間に生かされている。FSX、今のF2を日本が開発した、これは日米貿易摩擦にもなって大変な騒ぎになったわけでありますけれども、さまざま、その教訓というのも得たとは思うわけです。

 やはり確実にはっきりしていることは、あのFSXで主翼をつくったと聞いております。日本が設計をした。その主翼は炭素繊維複合材でつくりました。その炭素繊維複合材で、新しい素材で成形をしました。その技術がボーイング787の大きな民間の主翼の技術にそのまま使われて、そして今度の、先ほど話を伺ったMRJについても、炭素繊維複合材で機体をつくりますよと。確実にFSXのあの技術が民間に生きて、大きな事業として成り立っている、こういうことなわけですね。

 やはり、ぜひそういう観点から、政府一体で、トータルで見て高い買い物をしないように、そしてまた、産業政策上も、そうした防衛産業をきっちり位置づけて、民間にきっちり反映させる、果実を民間が得るという形にしていただきたい、こう要望しておきたいと思います。

 時間の関係上、次のテーマに移りたいと思います。防衛副大臣、お忙しいところ、ありがとうございました。

 公正取引委員会竹島委員長、海外御出張、御苦労さまでございました。

 きょう、公取委員長に来ていただいておりますが、資料の1をごらんいただければと思います。歴代公正取引委員会の委員長の在任期間を記載させていただいておりますが、竹島委員長は第十六代公正取引委員会委員長でありますが、この七月で五年の任期を終えられます。正直申し上げて、竹島委員長はこの五年間、委員長として、全体としては大変よいお仕事をされたのではないか、こう思います。

 私たち民主党は、官製談合の取り組みについて一貫して、きっちり取り組むべきだ、公正取引委員会が仕事をすべきだということを主張してまいりました。竹島時代、特に後半の公取の動きは、そうした我々の指摘を受けとめたのかどうか知りませんが、きっちりとした、一定程度はこたえていただいたのではないか、こう思うわけであります。

 個人的には、この五年間、歴代公取委員長、それぞれ立派な方々でありますけれども、私は、この後半、竹島委員長、出色の御活躍をされた。本当に御苦労さまでございました。小泉首相が行った人事では非常に数少ないよい人事であった、こう思うわけであります。

 そこで、伺いますが、委員長、この五年間を振り返って、あえて、やり残した仕事がある、委員長なりに、これは積み残したなと思われるものがあればお答えいただきたいんですが。

竹島政府特別補佐人 何か、お褒めの言葉をいただきまして恐縮に存じております。

 五年間やらせていただいて、何といっても、十七年の独禁法の改正というのが大変大きな意味を持っているのかなと。おかげさまで、その執行も所期の目的を実現しているというふうに思っておりまして、そういう意味ではよかったなと思っております。

 ただ、改正独禁法、まだ施行されて一年ちょっとでございますので、本当の意味で競争法に対する意識が日本の産業界において変わったとはまだ言い切れないと思っておりまして、その辺の意識が変わることが一番、私に限らず公正取引委員会にとって最大の職務だと思っていますので、そういう意味ではまだ道半ばであるというふうに思っております。

 具体的には、国際カルテル事件の解明ということを見てみますと、まだ日本はちょっと十分じゃない。今やっているものもございますけれども、国際カルテルの解明についてはもっと力を入れていかなければいけないというふうに思っています。

 それからもう一つは、やはり国際的な活動という意味で、及ばずながら努力させていただいておりますけれども、今や八十八カ国、全体で百を超える独占禁止法の関係機関、これはアメリカのように二つあるところもあるものですから、そういう時代になっています。

 それで、ついこの間、モスクワの年次総会に行かせていただいたわけですが、ICNというものがございまして、これはインターナショナル・コンペティション・ネットワークというものなんですが、まだできてから五年しかたっていません。当初は十六ぐらいの国で始まったんですが、今や何と八十八カ国が加盟しているということで、国際的にも競争法というのは大変重要視されて、それぞれが、若い国も活発に今活動している。

 東アジアにおいてもしかりでございまして、その中で東アジアのトップレベル会合というものも、もう既に三年やらせていただいていますが、それは及ばずながら私が言い出して、そういうものができて三年間たっておりまして、中国ももう間もなく、いわゆる日本的な包括的な競争法というものを通すのではないかと言われています。

 そんなことで、韓国はもちろんでございます、台湾、インドネシアもあり、シンガポールもありということですが、そういう意味で、国際的なかかわり、その中で連携を深めて、特に欧米との間の連携を深めて、国際カルテルの的確な摘発ということについてはしっかりやっていかなきゃいけないと思っております。

近藤(洋)委員 改正独禁法、二年の見直し、これはまだこれからあるわけでありますし、国際カルテル、そして制度のハーモナイゼーションだ、こういう話でございました。

 新聞報道ではもう再任の新聞辞令も出ているようでありまして、そうだとすると、委員長、これは十年間やられる、こういうことになるわけですね、五年、五年でありますと。委員長はまだ六十五前でありますから七十の定年まではあるので、これは、歴代公取委員長を見ると最長不倒距離になる、こういうことでありますけれども、これは国会の同意人事でありますから、内閣でそういう発令が出たら、私どももできればこの委員会でまたしっかり所信をお伺いしたい、こう思うわけであります。

 委員長がおっしゃったこの三つの課題について、きょうは一点だけお伺いします。改正独禁法の議論でございます。

 独禁法基本問題懇談会で見直しの論点が整理されておりますけれども、さきの独禁法改正の議論でも、またこの経済産業委員会でもたびたび我々も指摘をしてまいりました、民主党が指摘をしてまいりました不公正な取引に関する課徴金の導入、この件についてお伺いしたい。

 特に、悪質な不当表示、欺瞞的な取引であるとか、優越的地位の濫用への課徴金の導入、これについては、論点整理でも一つ検討の範疇になるというような論点も出ているようであります。

 あともう一つ、観点を変えて、排除型の独占につながるいわゆる不当廉売、そして差別的対価の設定、こういったものについても課徴金の対象とすべきという意見、こちらの方は、懇談会の方では、やや前向きな意見のようにお見受けしましたが、この辺について、委員長の現在のお考えをお伺いしたいのです。

竹島政府特別補佐人 二つの御質問があったわけですが、後の方から申し上げますと、すなわち、排除型の私的独占については課徴金の対象になっていないわけでございまして、これを課徴金の対象にすべきではないかという点です。

 これは私どもも前向きにそういうふうに思っております。前回の十七年の法律改正で支配型の私的独占は課徴金の対象にさせていただいたわけですが、排除型が残っております。これについては、なかなか線引きが難しいという問題もあって積み残しになっているわけですけれども、やはり見てみますと、知的財産権なんかを背景にいたしまして、市場支配的地位にある事業者がライバルを排除するとか新規参入を阻止するとかいうふうなことで、拘束条件つき取引なり、言ってみれば優越的地位の濫用的な行為をやりまして、それで自分の地位の維持強化を図るというようなことがままあるわけでございまして、業界が寡占化してくると、ますますそういうおそれが出てくるわけでございます。

 これについては、やはり競争に及ぼす影響というのは、カルテル、談合と余り違わないと私は思っていますので、これは課徴金の対象にすべきであるというふうに私も思っております。

 不公正な取引方法の中で、特に欺瞞的な顧客誘引でありますとか優越的地位の濫用についてお触れになりました。

 そもそも、不公正な取引方法というのは、一般指定というもので十六の類型があるというふうに公取が定めているわけでございますが、さて、その中で、欺瞞的とか優越的地位の濫用だけ取り出してうまく仕組めるのかというような法技術的な問題もあります。

 ただ一方で、十六、いろいろあるわけですが、その中で、懇談会の議論は、優越的地位の濫用とか欺瞞的な顧客誘引をもたらすような取引というのは、明らかに不当な利益がその業者にあるではないかということで、単純な不当廉売とは違って、不当廉売は利益があるかどうかとなると、むしろないという議論もあるわけですが、それに対して、優越的地位の濫用とか欺瞞的な広告みたいなものというのは明らかにそれでもって不当な利益があるわけだから、それを吐き出させるというのは意味があるというような御議論もありまして、せめてその二つについて前向きにというような御議論もあります。

 ただ、国会では、十七年法律改正のときに、この衆議院の経産委員会も参議院の経産委員会でも、不当廉売、優越的地位の濫用、これらについて課徴金の対象にすべきではないか、そういうことも頭に置いて検討しなさいという趣旨の附帯決議がなされているわけでございまして、法律的な問題は相変わらず残っております。

 構成要件をどうするかとか、そもそもこういうことについて独禁法でもって課徴金の対象にまでして縛ることが正常な取引を阻害しないのか、通常、正常と考えられている事業活動を余計に萎縮することはないのかというような議論もあって、アメリカやヨーロッパでは、そういうものについては独禁当局がだめだよというようなことで手を出すことはしていないわけでございまして、国際的な時代になればなるほど、余り特異なことを日本がやるということについてもいかがかなという問題もございますし、何よりも正常な取引との線引きをきちんとできるのかというような問題がございます。

 これは、なお、今月中に内閣府の基本問題懇談会の報告書が出されるようでございますが、その後、さらに各方面と議論をしていかなければ結論は得られないだろうというふうに思っております。

近藤(洋)委員 時間が参りましたので終わりますが、この排除型の私的独占についての課徴金導入、委員長、前向きな御答弁をいただきました。ぜひ、これはそのとおりやっていただきたいと思いますし、後段の優越的地位の濫用、被害はやはり相当ある、実態としてあるということなんですね。実態としてあるものにどうやって法律を組み立てるかというのは、これはやはり大事な作業だろうと思うんです。

 法的に難しいからというのはやはり理屈にならない、実態があるわけですから、それに対してやはり知恵を絞る必要があるんではないか。そういうことから、我々は、附帯決議にも載せている強い意思があるということは、ぜひ、再任されるかどうかはわかりませんが、もし再任されたのであれば、徹底的に議論させていただきたい、こう思います。

 時間ですので終わります。

上田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、お疲れさまです。民主党の後藤であります。

 大臣、お時間がないようですから、冒頭ちょっと、中小企業政策、この第百六十六通常国会も大臣といろいろな形で議論させていただきました。特に、私個人的には、やはり中小企業金融をどんな形で円滑化するかということ、その中で、個人保証の撤廃の問題や連帯保証人の廃止の問題、それが多分中小企業の経営の後押しをするというふうに今でも強く思っています。

 ただ、大臣、五月二十八日ですか、新経済成長戦略の改訂版が出て、工程表もその中に細かく記述がされておりました。

 それを見させていただいても、大臣、本当にまだ、例えば、これからの中小企業政策は、人口減少下で安定的な成長を実現して全体二%半ばの経済成長を実現するという大前提の中で、金融政策であるとか税制の問題を触れておりますが、果たしてそれだけでこれからの中小企業がもっと元気になるのかなということを考えると、いや、そうじゃないのかなというふうに私は思っています。やはり今、中小企業の現場というのは、つい先週も、私の地元では、かなり大きな地元のゼネコンが倒産をしたり、また、地場産業でもあります宝石屋さんがこの半年間で売り上げが半減をしているというふうなことも聞いています。

 そんな中で、売り上げということを中小企業で考えるときに、名目のGDPをはるかに下回る、二〇%くらい売り上げが減っているという、同志社大学の鹿野先生がそんな分析もされております。一方で、商法の最低資本金の要件も撤廃をされ、その中で、中小企業基本法というのは厳然としてメーンの法体系としてあって、本当に中小企業、特に零細の経営者の方も含めて、これからどんな形で自分たちの経営が成り立っていくのかという心配があります。

 私ども今党内で議論をしているのは、もっと大胆な発想が必要ではないかなと。特に、中小企業憲章であるとか、法人税を中小企業に対しては、以前ドイツの事例でも大臣と御議論させてもらった、例えば大企業に比べ法人税を半減するとか、そういう形で中小企業のやる気を押し出していくということ、それが今必要ではないかなというふうに考えながら議論を進めさせていただいています。

 大臣、やはり、今まだまだ中小企業の方々は大変な厳しい経営環境にあるという前提で、本当に抜本的な、大胆な施策を打ち出していく必要があると思うんですが、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 中小企業は、単に数が多いというだけではなくて、中小企業の品質、資質の高さということが日本の産業競争力につながっているわけであります。

 中小企業の活性化のためにどういう施策があるか。税制面からも取り組んでおりますが、御指摘のお話は、法人税本体を、いわゆる大企業に比べて明確に差異が生じるような引き下げをすべきではないかという御指摘であるわけでありますが、法人税本体を引き下げるということとあわせて、産業政策としては、租税特別措置での措置をいたしております。

 これは、中小企業が、ある事業革新なり経営革新なりの行動をとったときに優位が働くというようにするわけでありまして、努力をした企業もしない企業も一律に働くという延べ単の税制と、努力をしチャレンジをしていった者に対して効果が働くという合わせわざで中小企業の活力を引き出したいというふうに思っているわけであります。

 同族会社に対する留保金課税制度の撤廃であるとか、あるいは減価償却制度の抜本的見直し等々、確実に効果が上がっていると思っておりますし、これからも中小企業の那辺にそのニーズがあるかということを見きわめながら政策税制を仕組んでいきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、参議院の方に行かれるということで、どうぞ。

 ちょうど昨年の国会で中心市街地活性化法が新たに改正をされて、その中で、基本計画をつくって、コンパクトシティー、要するに、シャッター通りの町並みをもっと元気な形へ戻そうということで議論をさせていただきました。

 それからちょうど一年たちましたが、いろいろな報道やお話を聞くと、基本計画をつくって、それが総理大臣から認定されたケースは五月末までに十三件あるという話。年度トータルの予算では七十一億円のうちの三割くらいしかまだ執行がされていないという現状でありますが、何が問題なのかなと。

 当時御議論させていただいたときには、本当にメーンになってやる人材がその中にいなければいけないという、人材の話がよくありましたが、十三件という基本計画を認定された数字が多いか少ないかといえば、まだまだという感じはすごくするんですが、これからそれを当然ふやしていく、それぞれの地域の魅力、特に中心市街地の魅力を出していくということが当然必要だと思っております。

 その点について、経産省として、改正からちょうど一年たって、これから、どんな形でそれぞれの地域の、特に中心市街地の活性化ということを支援していくおつもりなのか、端的にお伺いをしたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、昨年改正されました中心市街地活性化法に基づきまして、本年二月に、富山市、青森市の中心市街地活性化基本計画が認定されました。次いで、五月二十八日には十一市が認定を受けたところでございまして、現在まで十三の基本計画が認定されております。また、既に全国で四十四の中心市街地活性化協議会が設立されておりまして、改正中心市街地活性化法を活用しようという機運が高まってきております。

 それからまた、予算の執行状況でございますけれども、これも先生御指摘のとおり、七十一億円のうち約十三億円の執行にとどまっております。具体的には、熊本県八代市におきまして、子育て施設を含む商業施設を大規模空き店舗跡地に整備する事業や、青森市におきますねぶた祭りとか、よさこい祭りなどのコラボレーションによります集客イベントへの支援を行っているところでございます。今後、認定を受けた自治体から補助制度活用の要望がたくさん出てくると思っております。

 先生御指摘のとおり、この改正中心市街地活性化法を使って地域のまちづくりを積極的に進めようということで、経産省におきましては、まちづくりに意欲的に取り組む地域に対しまして、職員や専門家の派遣を通じまして支援することに加えまして、各地で成功しているまちづくりの事例の要因分析を行いまして、集客のためのソフト面での魅力づくりを抽出して、まちづくりの秘訣を提示するとともに、やはり町の魅力を発信しなければだめでございますので、ポータルサイトの運用の取り組みも進めております。

 いずれにいたしましても、これは町ぐるみで対策を講ずるということで、割と時間がかかると思いますけれども、うまく取り組みが進めば中心市街地の活性化に大きくつながると思いますので、関係省庁と連携して、これから重点的に支援を続けていきたい、こういうふうに思っております。

後藤(斎)委員 確かに、これから改正中心市街地活性化法がメーンになって、シャッター通りが少しでもなくなればというふうに思うんですが、やはり十三件という数字がこれからふえていっても、それを点検し、その評価をきちっとするということ、局長がおっしゃったように、五年、十年たったとき、またどんな形になるのかなということが多分必要だと思います。

 区切りのいいところで、改めて現状とこれからの対応についてまたお話をお伺いしたいんです。ぜひ今回の十三件も含めてきちっと定期的に点検をしていただいて、本当に予算がきちっと執行されているのか、そして中心市街地が本当に元気になっているのかということを、ぜひ、モデルも含めて、上手にまたPRをしながら、ほかの地域も参考にできるようにしていただければというふうに思っています。

 次に、EUが新しい化学物質を規制するということで、ちょうど六月一日、先週から発効されたということであります。これは、人体や環境を有害な化学物質から守るということがメーンの目的のようでありますが、三万種類を超える既存の化学物質の登録と安全管理が企業に義務づけられるということで、これはEUの中だけではなく、我が国やアメリカなども含めて規制の対象になるというふうなことのようであります。

 これをちょっと記事で読んでいろいろ経産省にお話を聞くと、来年のちょうど六月一日から欧州化学品庁が実際のこの規制に動くということで、一年間猶予があるような感じなんですが、どんな形で我が国の産業に影響があるのかなと。規制をかければ、それに関係をする形で何らかの影響を当然受けるわけですが、なかなか影響度が見えにくいというお話もお伺いをしています。

 今グローバル経済という中で、すべての産業や国が何らかの形で連動しているということを考えれば、早目早目にやはり我が国としてもこの影響度をかんがみ、その分析をし、我が国の産業界が不測の事態に陥らないように対応すべきというふうに思うんですが、その点について我が国はどのようにこれから対応していくのか、お答えをいただければと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御質問ございましたEUの新化学物質規制、いわゆるREACHと言っているものでございますけれども、これは、EU域内のメーカーあるいは輸入者などに化学物質の安全性の評価結果を、今御指摘ありました欧州化学品庁というものが今度できるわけですが、そこに登録をさせまして、危険有害等物質について、これを使う事業者等に情報提供をするあるいは情報を伝達するということを義務づけるものでございます。

 御指摘のように、施行は本年六月からでございますけれども、本格的な運用に関しましては、欧州化学品庁自体が来年の六月以降設立されるということでございますし、危険有害等物質の指定も含めて、現時点においては、欧州委員会においてまだその運用の詳細が検討されている状況でございます。

 したがいまして、実際の影響が直ちに生ずるものではございませんけれども、REACHが運用開始の暁には、御指摘のように、大変多くの物質が対象になりますし、またEUに輸出を行う日本の川上の化学産業はもちろんでございますし、この物質を使います川中、川下の産業である電気とか電子産業あるいは自動車等々、非常に広範なサプライチェーン全体がかかわってくるということでございます。したがいまして、産業界全体として十分な取り組みをしなくてはいけないというのは御指摘のとおりだと思います。

 もちろん、本制度の人の健康と環境の保護という理念は我々も共有すべきものだと思いますけれども、輸出者たる日本の化学物質あるいはそれを含む製品の事業者に過重な負担にならないか、あるいは貿易制限的にならないかという観点から、引き続きEUの具体的な制度設計あるいは運用の実態について注視をし、必要があれば、いろいろ向こうの当局にも要請をしていくということでございます。

 あわせまして、もう一年しかございませんので、我が国の産業においても十分な準備を進める必要がございます。昨年の九月に、当省の支援のもとで、今申し上げました広範なサプライチェーンにかかわる事業者が横断的あるいは縦断的に集いまして、アーティクルマネジメント推進協議会というフォーラムを立ち上げました。ここにおいて、製品に含有される化学物質の情報伝達と開示をどうやったら効率的に無駄なくできるかというようなことで、仕組み等の検討を今進めていただいているところでございます。

 当省といたしましては、内外の状況をよく見きわめまして、特に中小企業に対して周知徹底をするとともに、必要な、産業界の自主的な活動努力をぜひ支援してまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 今局長がお答えいただいたように、特に中小企業の方々は、情報に接するには、大企業で向こうの、例えばヨーロッパに支店や営業所がある方々と違って、多分、情報量にかなり差がある。輸出をしたらそれがだめだった、そういうことにならないように、トータル的な検討も含めて、大企業だけではなくて中小企業の方々にもぜひ周知をしていただければというふうに思っています。

 続きまして、今回の国会の中でも、エネルギーの問題について何度か議論をさせていただきました。特に、私は、これからお話しするメタンハイドレートというのに何年か前から大変関心がありまして、大臣がこの間、エネルギー外交ということで、国が関与を少しずつしながらも、自主開発や相手国との安定供給について御努力をされているということについては私も非常に評価をする一人でもありますけれども、やはり何が一番大切かというのは、我が国の中で本当に自主的に自給ができる資源であればなお都合がいいということは当然だというふうに思っています。

 特に、メタンハイドレートにつきましては、日本近海の海底地層内にかなりの賦存量が見込まれている。ある統計では、我が国の年間天然ガスの消費量の百年分というふうに試算もされています。

 ただ、これはなかなか、シャーベット状で、石油みたいに穴を掘っても自噴をしないということで、その技術をどう開発するかということが必要でありますし、特に、今カナダと我が国がこのメタンハイドレートの研究開発ではかなり進んでいるということで、共同研究も含めて、二〇〇一年度からですから今七年目のフェーズ1、ちょうどことし、今カナダにおける陸上産出試験というものをやっているようでありますが、フェーズ1の最終評価が来年度、二〇〇八年度であります。その中で、フェーズ2が二〇〇九年から一一年度、ここで実際に我が国近海での産出試験の実施をし、フェーズ3が二〇一二年から商業的産出技術の整備ということであります。

 これが本当に研究開発から商業的という形になれば、我が国の自主エネルギーということでは本当に画期的なことだと思うんですが、予算の執行状況を見ますと、四十億くらいで推移をして、十六年度では六十七億ほど予算執行していますが、ぜひ私は、自主開発というよりも、自主エネルギーとしてやはりできるだけ早く、そしてできるだけ確実に商業化できるように、予算の拡充や、もし人的に必要であればその人的拡充も含めて積極的に対応すべきだというふうに思っておりますが、その点についてはどのように経済産業省はお考えでしょうか。

望月政府参考人 メタンハイドレートにつきましては、先生今おっしゃったとおりで、日本近海における国産エネルギーとして将来有望なものというふうに政府としても認識をしております。

 第一フェーズの最終段階に近づいておりますけれども、つい先般も、この三月に行いました資源調査で、具体的に今集中的にやっております東部南海トラフ海域における資源量評価をいたしましたところ、そこだけで我が国の年間の天然ガス消費量の約十四年分の一・一兆立米のものが存在するという試算結果も出たわけでございますので、こういう実態を踏まえまして、私どもは、今ちょうど先生おっしゃいましたフェーズ2、フェーズ3に向けて着実に研究開発を進めていくということが必要だろうと思います。

 この実用化に向けましては、一つの技術を確立しなきゃいけないということとともに、やはり経済性の問題がございますので、先ほど先生まさに御指摘されましたように、あれば簡単に活用できるというものではなくて、それをいかに経済的にコストに合ったものとして回収、利用できるかということが非常に大事なものであろうかと思います。

 そういった点も含めまして、今現在では、第三フェーズの最終の二〇一六年までに商業化できるような体制を整えて、その時点におけるエネルギー価格が一体どういう事態になっているかということも大いに関係をすると思いますけれども、いざというときにきちっと使えるような国産エネルギーとして私どもきちっと位置づけていきたいと思っております。

 日本とカナダが進んでいるというお話もございましたけれども、これだけ日本とカナダが一生懸命やっていることによって、近隣アジア諸国においても大変注目をされ、今、随分問い合わせも来ているところでございます。

 この辺、進んでいるところが、実際商業化することになったら逆におくれることがないように、政府としても、しっかりと予算なりなんなりの体制をつくっていくということが非常に大切ではないかと思いますので、引き続き、御支援賜りたいと思います。

後藤(斎)委員 長官、中長期的にエネルギー価格、他のエネルギー価格が多分大きく下落をするという状況では今ないのかなというふうに思います。ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。

 残り時間が少なくなりましたが、昨年のこの国会で商標法の改正が行われて、地域の団体商標の出願ができ、登録ができるようになりました。この地域ブランドというのは、地域資源活性化法も今国会で成立をしましたし、先ほどもお話をした中心市街地活性化法、いろいろな地域に根差したものが、どしどしというとおかしいですが、連携をしながら地域が元気になればいいなというふうに私は思っておるんです。

 ただ、特許の申請の状況をきのう特許庁にお尋ねをしましたら、今まで、この一年間で出願が七百二十一件、うち二百十八件が登録をされて、特に、農水産品が多いわけですが、例えば関アジ、関サバみたいなものは、私、見ても食べてもよくわからないんですね。だから、模倣されてしまって、努力してその地域に根差したブランドをつくっても、まねをされたらどうしようもなくなるなというふうに思うんですね。

 やはり、そういう努力をした部分をきちっと権利保護をしてあげるとか、そういう体制はもちろんあるわけですが、なかなか農水産品で、副大臣や政務官もいつもおいしい魚沼コシを食べているかもしれませんが、見た目ではわかりませんし、食べてみて初めてわかる。

 関アジ、関サバと普通のサバの違い、私、二つあればどちらがおいしいかくらいわかると思うんですが、大変難しいので、そういうものをどういうふうに保護しながら、あわせて、それを地域に根差して地域資源のメーンにするということは、多分合わせわざかなと思うんですが、この点について、取り組みと現状について、もう時間も来たようですが、簡潔にこれからどういうふうに対応なさるか、お尋ねします。

中嶋政府参考人 御指摘のとおり、今二百十八既に登録されております。これは、特定の事業協同組合とか農業協同組合とか漁業組合とか、ある一定の要件を満たした人に限定して、地名と商品名を組み合わせた地域の団体商標を認めるという制度でございます。ですから、それ以外の人が勝手に使ったりしますと、これは、商標法に基づいて、民事上または刑事上の措置で保護を受けられるということになります。

 ですから、もちろん、当然それぞれの当事者の方がしっかり管理することが前提ではございますけれども、それできちっと登録をされて管理されていれば、商標法に基づいて保護をされるということでございますので、ぜひ今後もこの地域団体商標制度が積極的に活用されるということを期待しております。

後藤(斎)委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次に、平将明君。

平委員 自由民主党の平将明でございます。よろしくお願いをいたします。

 まず、質問ですけれども、中小企業の資金繰りと金融の環境についてお話をさせていただきたいと思います。

 新貸金業が昨年の末に成立をいたしました。グレーゾーン金利が二年後を目途に撤廃をされるということになっているわけでありますけれども、あれから半年がたちました。法律が成立をしてすぐに、ノンバンクに対しての大銀行からの貸し出しは非常に収縮をしました。ノンバンクに対しては、早く金を返せ、銀行の側はそういう圧力を強めていったわけであります。その結果、どういうことが起きているかというと、今度は、ノンバンクが今まで貸していた事業向けの資金を絞っていく、回収に入る、こういう状況が見てとれるんだと思います。

 なぜそういう話をするかというと、私も入って四年ほど前にミドルリスクの銀行をつくりましたけれども、今もその経営を見ていますけれども、ミドルリスクの貸し出しに対する銀行の申込件数が急激にふえているんですね。もう一つは、これは非常にまずいなと思っているんですけれども、ここ一カ月から一カ月半ぐらい、デフォルト比率、いわゆるつぶれちゃったという比率が、これも急速に上昇傾向にあるんですね。

 中身を具体的に見ていくと、建設業、これはもう前からだめだったですね、建設業はちょっとデフォルト比率が高い。卸売業、これも引き続き高い水準にある。ここ最近顕著にあるのが飲食業です。飲食業のデフォルトがふえている、倒産傾向がある。あともう一つは、突然死がふえているんですね。ある日突然弁護士が介入をしましたというようなことがふえています。

 これをまた、さらに中身を見ていくと、どうして突然死をしたのか、どうして会社が立ち行かなくなったのかということを見ると、うちの銀行と並立して借りていたノンバンクからの借りかえができなくなった、そういう事情があるわけです。

 ですから、私、この法律が成立する過程の中で、ずっとその懸念を言っておりましたけれども、半年たって、ちょっとその傾向が出てきて、これがまた下がれば、デフォルト比率が下がってくれば、それにこしたことはないんですが、もしこの傾向がさらに強くなることがあるのではないか、そういう懸念を持っています。

 さらにいえば、この間の委員会の質問でもお話をさせていただきましたけれども、普通の銀行だったら、担保をとって低い利息でお金を貸すんですね、そのかわり、土地を担保にとる、第三者保証をとる、大体二%とか三%とか四%。その次のミドルという我々がやっているゾーンというのは、ほとんど今ないです。新銀行東京もちょっと今調子が悪いですし、余り担い手がいない。その次にグレーゾーンとなるんですね。ここのグレーゾーン、確かに消費者金融なんかのいろいろな社会問題がありましたから、その法律も当然意義があると思いますけれども、小さいビジネスながらリスクをとってビジネスをする人たちにとっては、意外とここを使って、意外と日常的に商売をして、継続的に事業をしていたりするんです。

 このグレーゾーンがなくなるということが決まったときに、今までの経験からいくと、グレーゾーンでお金を借りていた人たちは、ミドルがないからグレーゾーンに行かざるを得なかった、銀行からお金が借りられない、本来ならミドルの金利、五から一五でお金を借りればいいんだけれども、その担い手がいないからグレーゾーンに行った。そういうパターンもあるわけですね。

 そうすると、そのグレーゾーンの人をいわゆる経済合理性で、ミドルで救えるのは三割なんですよ。三割はミドルで救える、そういう認識を持っていたんですけれども、最近の傾向としてどういうことが起きてきたか。要は、ミドルの銀行がラストリゾートになっちゃったんですね。ここが最後のとりでになって、ここに殺到してくるわけですよ。そうすると、ミドルの銀行は、今までリスクをとってお金を貸していた。でも、ミドルの銀行でもお金が借りられなければグレーゾーンに行くことができたから、ある程度リスクがとれたんですけれども、ミドルのリスクの銀行がラストリゾートになったので、我々自身、ミドルリスクの銀行自体もデフォルト比率をコントロールしなきゃいけないですから、三割救えるなと思ったのが、三割も救えなくなってくるということですね。

 だから、グレーゾーンはなくなる、グレーゾーンがなくなって、ミドルの金融がラストリゾートになるから、ミドルもリスクがとれない、こういったことが現実に起きてきているんだと思います。

 そういった意味でいくと、金融ビッグバンをやって、BIS基準を入れて、ある日突然銀行がお金を貸してくれなくなった、借りかえに応じてくれなくなった。中小企業の側は、何が何だかわからないうちに資金繰りが破綻をしてしまったという、貸し渋り、貸しはがしのことがありましたけれども、今回は、もっと全然規模は小さいんですが、ただ、当事者は物すごく多いんですね。スモールビジネスですから、個人でやっている飲食業なんかも入りますから。ですから、また、あの二の舞が、ちょっと金額的には小さいスケールであるけれども、該当する人はかなり多くの人が該当する。そういったことが起きるのではないかというふうに思っています。多分、これは最前線の情報ですから、もうしばらくすると、皆さんの耳にも公のルートを介して入ってくるんだと思います。

 こういうことを考えれば、これは、金融庁の問題にも絡みますけれども、リアルな問題を対処しようとすると、省庁関係ない話でありまして、特に、中小企業の貸し渋り、貸しはがしの際は、当時の通産省がセーフティーネットを準備したという経緯もあります。このようなことをやはりよくウオッチして、しかるべきセーフティーネット、そういうことが起きなければ、それはそれにこしたことはありませんけれども、いざ、わっと枯れ草に燃え広がるような広がりを見せたときに、迅速にその対応ができるように、現場をよく観察をして事前に準備をしておく必要があると思いますけれども、経産省のお考えをお尋ねしたいと思います。

渡辺(博)副大臣 平委員は企業の経営もしたことがあるし、今銀行にも参画しているということで、大変トピックな現状についてのお話がございました。まさにグレーゾーン金利の廃止によってどのような影響があるかということは、大変私どもも注目しなければならない、そういう思いでおります。

 現在、いわゆる貸金業の改正によって、まずは多重債務をどうするかというところが一番の取り組むべき重要な課題でありまして、現在は、本年四月に多重債務問題改善プログラムが策定されたところでありまして、このプログラムにおきまして、まずは、多重債務者の対策として、相談体制の強化をしていく必要があるだろうということで、各地方自治体における相談体制の整備、そして強化に向けた取り組みが進められていると承知しております。

 また、中小企業に向けてのセーフティーネットという観点からいきますと、当然のことながら、先ほどのお話にありましたとおり、グレーゾーンから借りている、そういった企業の方、いわゆるスモール企業の方は大変多いというふうに私も認識をしておりますが、その実態はまだまだはっきりとしておりません。そうした中で、高金利に頼らざるを得ない、そういった状況にあった企業に対しては、早期再生や再チャレンジに取り組むことができるような支援が大変重要だというふうに思っております。

 このためには、中小企業庁としましては、政府系金融機関、信用保証協会において、本年度から創設、拡充した再生と再チャレンジを支援する融資・保証制度の活用や再チャレンジのための相談窓口の全国設置等を進めております。事業者の早期再生と再チャレンジの支援に積極的に取り組んでいく、そういう姿勢を示しているところでありますが、今の段階ではその実態についての把握がまだできておりませんが、中小企業庁としても、注視していく必要があるというふうに思っております。

平委員 再生、再チャレンジは、時間軸としては、やはり時間をかけてキャッシュフローを改善していく、その結果、バランスシートは改善してくるという話だと思いますけれども、借りかえがある日突然とまるというのは、突然来る話であります。今、大きく金融業界の動向を見ると、これは必然的に起きてくるんだろうなと。だから、セーフティーネットは発動しないにこしたことはないのですが、広がるときは速いですから、そのときに合理的な手が打てるように、よく準備をしておいていただきたいというふうに思いますし、政府系金融機関もよく現場を見ていただきたいと思います。

 あわせて、では、どうするんだという話でありますけれども、当然、セーフティーネットのようなものも用意しなきゃいけないんですが、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる現金の決済、代金の決済、六十日以内ということですけれども、要は、金融から金が入ってこなくても、支払い、売り掛け債権が早く入ってくればそれはもう同じことなんです、資金繰りから見れば。ですから、これは結構有効にきくんだと思うんです。

 今、やはり現場を見ると余り守られていないんじゃないかなという思いが強くします。これはもう既に法律があるわけですから、代金の決済の期日を徹底的に守らせるとか、それに違反をすることに対するクレームの窓口をちゃんと設置するとか、そういう形でやってくれれば、下請というジャンルに入るスモールビジネスはかなりの部分が救われると思います。

 あわせて、やはりセーフティーネット、私は、やるやらないかは別として、事前に準備が、再生、再チャレンジとは別に必要だと思いますので、意見として言わせていただきます。

 続きまして、同じく金融の話でありますけれども、日本は今開業率と廃業率が逆転をしていて、開業する方々よりも廃業する人たちが多い。そういう中でどう新しいビジネスを生み出す、そういう環境をつくっていくか、また新しく生まれた企業が急成長する際にその資金をどうやって供給をしていくかということが重要でありまして、ここ十年ぐらいの改革で、新興企業なんかも大分活用されるようになってきました。

 しかしながら、ここ数カ月、東証マザーズやジャスダックや東証ヘラクレスの極めて深刻な低迷が続いているというふうに思います。そのような中で、これからやはり経産省として、いろいろな企業を生み出していこう、そして新しい企業に成長してもらおうという中で、新興企業のこのような状況、これまた金融庁マターでもありますけれども、新しい企業をどんどん生み出し、成長させていくという視点からは、経産省としても当然これはいろいろな考えを持って金融庁と連携をして対策を立てていかなければいけないと思います。

 今の新興市場に対する認識と対策、その点についてお話をいただきたいと思います。

渡辺(博)副大臣 ただいま委員御指摘のとおり、新興市場、大変低迷をしている、そういう状況でありますが、まず、新興企業、企業の育成は経済活性化の観点から大変重要であると考えております。新興企業に資金を供給する、そういった意味においては、新興市場が大変重要な役割を果たしているというふうに認識をしております。

 一方、新興市場については、個人投資家の短期的な売買により株価変動が激しいということ、そしてまた不透明な情報開示を行う企業が存在するなど、極めて問題点が指摘されているところでもあります。

 また、新興市場の株価を見ますと、昨年の一月と比較して現在は五〇%以上も下落している、この下落が、ひいては新興企業の株式による資金調達を妨げているという点があります。さらには、銀行からの借り入れも逆に難しい、こういった状況があるわけでございます。

 したがいまして、経済産業省としましては、今後とも、このような新興企業の資金調達の状況につきまして、金融庁ともしっかりと連携しながら、実態の把握に努めていきたいというふうに思っております。

平委員 関連をしますけれども、そのような中で、新興企業が、今株価は低迷をしていますので、資本政策が計画どおりにいかないとか第三者割り当て増資がうまくいかないとか、そういうことが今現実に起きてきているんですね。そういった中で資金がショートしそうになる。

 そこで、私、非常に問題だなと思うのは、また日本の銀行の体質ですね。今、新興市場がだめですねと。そうすると、ホリエモンとかいろいろな問題もありましたけれども、全部だめというような発想で一斉に引き揚げる。これはもう、銀行のやり方が毎回同じですね。では、そこに経済合理性があれば、私も、それは預金を預かってやっているんだからしようがないかなと思いますけれども、例えば、余り詳しい事例を言うとどこだかわかってしまうので余り言えませんが、実はこういう例がありました。

 資本政策がちょっとうまくいかなかった、新興株が低迷をしているので。そこで、実は運転資金を幾らか借りたい、そうしたら、全部の銀行に断られたと言うんですね。よく見ると、そういう企業は結構資産を持っていたりするんですよ、株ですけれども。そして、その株が、例えば簿価で十億ありましたと。確かにそれは、簿価で十億あったって十億は貸せませんよ。それはデューデリしなきゃいけないけれども、でも、少なく見ても、例えば一割の価値はある、二割の価値はある。だったら、それを担保にして貸してあげればいいじゃないですか、十億あるんですから。でも、そういうのをはなから話を聞いてもらえないというようなことが起きていて、本当に、いいときは金借りてくれと言うんだけれども、ちょっと困ると一斉に、雨の日になると傘を取り上げるという体質、全く変わっていないですよ。

 担保は保全できるんですよ。ちゃんとそれは資産があるんだから。だから、一〇%でも五%でもいいですよ。それをちゃんと査定して、担保として毀損しないように、担保をとって貸してあげればいいじゃないですか。だめならそれで保全すればいいんですから。そういう視点が全く銀行は欠けているなと。本当に銀行は体質が腐っているなと私は前から思っています。全然変わっていないですね。

 ですから、きょうは金融庁を呼んでいませんけれども、経産省に文句を言ってもしようがないんだけれども、そういうことがありますから、ぜひ金融庁とよく連携をとってやってください。全然銀行は変わっていないし、反省していないですよ。これは、金融庁がいませんから、意見としてとどめておきます。

 次に、商店街の活性化についてお尋ねをしたいと思うんですが、これも国交省と関係をしてくる話になりますけれども、私の地元で、商店街、シャッター通りだとかいろいろ問題になっていますけれども、よくよく見たら、駅前に立地をしていますから、用途地域でいくと商業地域で、容積率が四〇〇とか五〇〇あったりするんですね。よく見ると、二階建てでアーケードでずっとやっているんですよ。しかしながら、不動産的な資産を活用すれば、これは立体化できるんですね。であれば、これは、変にマンションだ何だ建つと困ると言うのではなくて、積極的にパッケージとして立体化を進めて、一階は商店にしますよ、必ずビジネスをする店舗を入れます、上は高層化をする。そうすると、上に住んでいる人は顧客になるわけですよ。

 それともう一つは、不動産の開発になると、一店舗一店舗のキャッシュフローとけたが違うわけですよ。そうすると、不動産の大きな開発の中から、商店街を活性化するいろいろな資金、または附属施設を充実させる資金というのが捻出できると思うんですね。今これをばらばらにやると、商店街が本当に統一感のないばらばらな開発になっていくと思うんですが、これを商店街活性化と合わせてパッケージとして高層化をしていくんだ、それで下はきれいな店舗にしていくんだ、上はマンションにしていくんだということをやれば、私は、今、各市町村が商店街活性化政策とかいってスズメの涙の補助金を出していますけれども、それとは違う意味でかなり活性化するのではないかなと思っています。

 今見ていると、結構ばらばらな取り組みが多いんですね。ばらばらな取り組みが多い。だから、まさに駅前にある商店街のいわゆる空中権が丸々あいていますね、容積率を全然使っていませんねという、そこの資産価値に着目をした総合的な開発をすることによって商店街を活性化する、こういうのがあるんじゃないかな。これは素人考えで極めて僣越ですけれども、そういうようなことを考えているんですが、その辺について、何か御意見なり、どう思われるか、お願いします。

渡辺(博)副大臣 お答えいたします。

 今委員から御指摘があったとおり、空中権の利用というのが本当に進んでいないところ、ほとんどだというふうに思います。したがいまして、この問題につきましては、経済産業省もさることながら、国土交通省、そういった連携も必要になってまいります。

 ただ、実際に、今お話があった内容は具体的な事例がございます。実は香川県高松市の丸亀町商店街というところであります。これは地権者のコンセンサスが当然必要になってまいりますけれども、定期借地権方式を活用して市街地再開発を行う。その所有と利用を分離して、下層階を店舗に、上層階を住宅に、マンションとして土地を高度的に利用して実現し、商店街の活性化に努めた。これが具体例としてあります。実際には、十階建て、五階までは商業施設が入ります、六階から十階まではマンションという形で、これが実際に取り組んだ事例であります。

 これを実際には経済産業省としても助成をしております。戦略的中心市街地商業等活性化支援事業という支援事業でありますけれども、この事業は、それぞれの事業に対して当然査定していくわけで、三分の二の補助があります。あくまでも商業施設の関係でありますけれども、こういった形で経済産業省では支援しておるということで、今後ともこういった成功事例というものをやはり広報、宣伝していく必要があるというふうに思いまして、これをさらに全国に発信していきたい、そのように思っております。

平委員 ありがとうございます。

 私が思いつく程度のことはやっているということだと思いますけれども、でも実際に、やはりそういう活用が僕は切り札になるんだろうなという気がします。それは、多少の補助金で歳末のキャンペーンをやったとか福引をやった、それはそれで重要なことでありますけれども、限定的になりますから、やはりある程度大きな資金を入れてリニューアルをしなければいけない。そこに公的資金を使わないで民間活力でやっていく、これが基本だと思いますが、ぜひそのPRにも努めていただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、前後しますが、談合の件についてちょっとお話をしたいと思います。

 これは、質問する予定はなかったんですけれども、ちょっときのう言いましたが、きのう日経新聞に大林組の社長が辞任というのが出ていました。これは大阪府の枚方市発注工事をめぐる官製談合事件ということで、結構日経に大きく出たんですけれども、私はこれを読んでふざけた話だなと非常に憤りを感じているんです。

 どういうことかというと、この会社、ゼネコンはどこもそういう体質かどうかは知りませんが、見ると、防衛施設庁から始まって名古屋、和歌山とやって、今度は大阪の枚方、続けてやっているんですね。何度も何度も違法行為、犯罪を繰り返している。しかも、これは何ですか、役員や顧問が談合を取り仕切るトップとして君臨し、絶大な権力を振るっていた。みんな知っているわけですね。この記事は、そういうことがあっても、今までのゼネコンはみずからが逮捕、起訴された場合を除き、引責辞任するのはなかった、これは初めての事例だと言うんですね。これはとんでもない話で、犯罪組織じゃないですか、繰り返してやっている。だから、これはもう本当にとんでもない話だと思っています。

 今回は、これは刑法談合罪ですよね。刑法談合罪の適用ですから公正取引委員会ではないと思いますよ。ただ、今危惧しているのは、新興企業とかベンチャー企業に対して世の中の目というのはすごく厳しいんですよ。法令違反を一回やったら抹殺されますよ、今。それに比べて、こういうエスタブリッシュメントの企業に対して甘過ぎるんじゃないですか。会長、社長がやめたといったって、何ですか、社長は特別顧問に、会長は取締役に降格ですよ。責任をとっていないですよ。これは、私は非常に怒りを覚えます。

 これはぜひ、これは公取に聞く話かどうかわからないんですが、最初はしようがないです、最初は。こういうのはもうだめなんですよ、でも二回目をやったらこれはとんでもないという話でしょう。それで今度三回目をやったら、そんな企業はつぶさなきゃいけないですよ、と私は思います。

 小泉総理に政治は何のためにあるんですかと聞いたら、政治は正義を実現するためにあるんだと小泉総理が言っていました。

 そういうようなところでお伺いしたいのは、課徴金。この間、独占禁止法を改正したばかりですけれども、最初は幾ら、次にやったら割り増し、その次にやったらどうなっているのか。これは同じでは全然懲りないですよ。その辺の課徴金も含めて、では公取の方にお願いします。

松山政府参考人 お答えいたします。

 御案内のとおり、平成十七年の独禁法改正によりまして、過去に違反を行った事業者が十年以内に繰り返し違反を行った場合には、通常の課徴金の算定率よりも五割増しの算定率を適用するという法律改正をさせていただいたところでございまして……(発言する者あり)基本的に、一般の場合は一〇%でございますが、その場合に一五%を適用するというのが今現状なっております。

 それから今、刑事告発の件もございましたが、公正取引委員会は、独禁法違反事件に関しての刑事告発に関しての方針というのを公表しておりまして、この中で二つの基準がございまして、一つは、国民生活に広範な影響を及ぼす悪質、重大な事案というのが一つの基準でございます。もう一つが、過去に反復して違反を行っているなど、要するに、公取が行う行政処分では独禁法の目的が達成できないと考えられる事案については、積極的に刑事処分を求めて告発を行うんだという方針を明らかにしております。

 最近、公正取引委員会は、改正法施行後、し尿処理の談合事件、あるいは名古屋市の市営地下鉄の談合事件、あるいは緑資源の談合事件等で刑事告発を行っておりますが、いずれも当然こういう、過去に違反を行っているものについては厳しく処分を求めていくという方針に基づきまして行っているところでございます。

 御指摘のような算定率の見直しにつきましては、実は、これも御案内のとおりでございますが、内閣府の方におかれましての独禁法基本問題懇談会におきましても現在検討作業が行われておりまして、今月中にはその取りまとめが行われることになっております。その取りまとめ結果も踏まえまして、公正取引委員会としても検討を進めてまいりたいと考えております。

平委員 五割増しという話でしたけれども、今、民主党案は二倍という話もありましたけれども、私は五割増しは甘いと思いますよ。済みません、何か野党みたいな口調になっていますけれども、これはやはり三回やったらつぶすぐらいのことをやらなきゃだめです。

 それで、これは日経新聞、六月五日ですよ、ふざけたことが書いてありますよ。四年前に死去した大林組の大林会長は、一九四三年から四十六年間社長を、その後十四年間会長を務めたが、在任中、同社役員らが関与した談合事件に何度も肝を冷やした。その教訓からか、後継者の次男はあえて社長にせず、副社長から副会長、会長へと昇任させ、不祥事の際には経営責任が直接及ばない体制の構築に腐心した。

 ということは、談合をやるのはビジネスモデルに組み込まれているという話ですよ、これは。ふざけた話ですね。

 済みません、もう終わりますけれども、どういうことを言いたいかといったら、それは、一回はだめだ、二回やったら五割増しでもいいですよ、でも三回やったらつぶしましょうよ、こういう会社は。だって不渡りを二回やったら会社はつぶれるんですよ。だから、そういうことを考えれば、これは本当に、独占禁止法の改正がされたばかりですけれども、やはり不正義を許しちゃだめですよ。

 そういうことで、独占禁止法の議論も、これは政治家がやる話でありますけれども、私はそういう思いを持っていますので、ちょっと、大臣来られましたけれども、副大臣、最後に感想を聞いて、終わりたいと思います。

渡辺(博)副大臣 独占禁止法というのはまさに経済憲法というふうに認識しております。経済を活性化するための基本的なことをしっかりとルールにのっとってやっていくということが大前提でありまして、談合というのは許されるものではありません。

 したがって、こういったものは厳しく、まず法の執行をしていかなければならない、そういうような認識をしております。

平委員 終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 先ほどの平議員の大変熱のこもった質疑の後ということで、大変緊張しておりますが、余り追及ネタということではないので、粛々と二十分の持ち時間の中でさせていただきたいと思います。

 きょうは、アジア・ゲートウェイ構想に関連いたしまして、航空行政の中身、冒頭の項目は地方空港の関連で、その後は羽田、もちろん成田も含まれるわけですが、オープンスカイ、二十四時間化に関連した質問をさせていただきたいと思います。

 資料を皆様方にお配りしておりまして、三枚物になっております。一枚目に地元紙の報道が出ておりますので、ごらんいただきながら質疑をさせていただきたいんですが、安倍内閣がアジア・ゲートウェイ構想を打ち出しておられまして、これは当然、今後の貿易立国あるいは観光立国、さまざまな視点の中で、大変重要な構想であるということは私も承知しております。

 そういった中で、まず冒頭、地方空港の体制整備、充実についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 ゲートウェイ構想の中にも明記をされておりますように、地方空港の活性化というのも今後の大変大きな課題となっておりまして、特に離島における空港など生活に欠かせない空港も含めて、まさに生き残りをかけて各空港の活性化に努めなければならない状況にある、そのように認識をしております。

 そこで、まず国土交通省にお伺いをいたしますが、各空港も国際航路を誘致するために、いわゆるCIQ業務、税関、入管、検疫等、このCIQ業務についての体制整備というものが一つの課題というか、必要になってくるものというふうに認識をしているわけでございますが、各地方空港におけるCIQの整備について、国土交通省として、今後どういった後押しをされていくお考えであるかどうか、お伺いいたします。

前田政府参考人 先生御指摘のとおり、地方空港におきまして国際線の定期路線の開設あるいは増便、こういったものを推進するためには、税関、出入国管理、検疫、こういったいわゆるCIQ体制の整備を進めることが大変重要であると私どもも思っております。

 CIQ担当の各省庁におきましては、近年、着実にその体制の整備が進められてきているところでございますが、私ども国土交通省としましても、新規路線の開設あるいは増便の見通し、こういった情報提供を随時行いまして各省庁における体制の整備をお願いしているところでございますし、今後もそういったお願いを引き続き行っていきたい、かように考えております。

柚木委員 今おっしゃっていただきました特に情報提供、そして、それによってそれぞれ、税関であれば財務、あるいは入管であれば法務、さらには検疫であれば厚労、農林ということになるんだと思いますが、そういった部分での後押し、体制の整備、今前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。

 ぜひお願いをして、ちょっと私の地元の質問で恐縮ですが、資料の一枚目をごらんいただきたいのです。

 実は、私の地元岡山県から聞いた話でございまして、地元の五月十二日付の報道をおつけしておりますが、中国東方航空から、岡山から中国の大連、北京間の開設を中国民用航空総局の方に申請したというふうなことが発表されております。県の担当者からお聞きしたり、あるいはこの報道を見てもわかるんですが、今回の岡山県のケースを見ますと、現状としては、中国東方航空から中国民用航空総局の方に申請がなされている段階。

 これは国土交通省さんにお話をお伺いしましたらば、国際線開設の一般的手続として政府間で航空協定を結ぶとのことですが、日中間は御承知のように既に航空協定はございますので、今回は、中国の航空総局が申請を認可すれば開設に特に障害はないといった御認識でいらっしゃるということでございました。

 そこで、お伺いいたしますが、中国航空総局が認可をしたその後に、路線開設に向けた次へのステップとして、今度は当然日本側の認可が必要となります。これはぜひ国土交通省として、地方空港活性化の観点からも、積極的な対応をお願いしたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。ぜひ前向きな御答弁をお願いしたいと思います。

前田政府参考人 今の先生のお話にもございましたとおり、中国の民用航空総局の方には申請が出た模様ではございますが、まだ私どもの方には申請が出てきておりません。

 ただ、アジア・ゲートウェイ構想においても、地方空港については大いに活用すべきということが明記されたことでもございますし、この岡山―大連、北京についての路線の開設の申請がありましたら、できるだけ早期の実現に向けて努力していきたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、河井委員長代理着席〕

柚木委員 前向きな御答弁ありがとうございます。これは岡山の事例を申し上げましたが、各地方空港においても同様と思われますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 続きまして、今度は羽田空港の関係について御質問をさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、二〇一〇年十月予定の、四本目になる羽田空港の滑走路拡張ですね。この二〇一〇年十月の供用時における国際線の距離制限あるいは本数制限という言い方をちょっと私はさせていただきますが、その関係について、これは経産省、きょう大臣いらっしゃいますから大臣、そして国土交通省さんに質問させていただきたいと思います。

 資料の二ページ目をごらんいただくと、「入国旅行者受入数ランキング」ということで資料をおつけしております。

 このたびの羽田の再拡張で、伺うところによりますと、再拡張後は、現行の約三十万便から四十万便に、年間にすれば十万便、一時間当たり十便の増加が実現をするというふうに伺っておりまして、その際、国交省としては、羽田の国際線は年間三万便の増加を見込み、各エアラインあるいは相手国との調整を行い、二〇一〇年十月までに具体的な路線開設を決めるというタイムスケジュールを伺いました。

 そこで、まず甘利大臣にお伺いしたいんですが、後ほどちょっと詳しく伺うので、ここは簡単で結構なんですが、我が国のFTAあるいはEPAを積極的に推進されておられる大臣といたしまして、この羽田、あるいは成田も含めて、首都圏空港の国際化また二十四時間化のさらなる推進は必要とお考えでしょうか。端的にお答えいただければと思います。

甘利国務大臣 もちろん地域との共生ということがありますから、地域の理解をいただくということが当然前提ではありますけれども、より使い勝手のいいように、アクセスがしやすいように改善をしていくということは当然のことであろうと思っております。

柚木委員 本当に端的に、必要なことをお答えいただきまして、ありがとうございます。

 後ほどその点についてもお伺いをいたしますが、実は、国交省さんの方に伺いましたらば、今回の羽田の十万、十一万と言ってもいいかもしれませんが、増便に対しましての国際線増便三万便というのは、これは、当然国内線との兼ね合いもあったりするということで、いろいろなそれぞれの航空会社の方からのお話も伺う中で、回数制限という言い方をさせていただくとすると、三万便ということが、どこまでこの枠が必要なのかということが一点はあると思います。

 また、羽田から石垣島までのいわゆる国内最長飛行距離といいますか、この二千キロというのがいわゆる距離制限の一つの目安となっている。これは国土交通委員会などで議論が行われておることは承知しておりますが、その質疑を私もちょっと見させていただく中で、自由化といいますか、アジアのオープンスカイ化という中でのこういった、規制と申し上げていいんだと思いますが、これは今後どこまで必要かというふうに私として考えるわけです。

 そもそも、今回の滑走路拡充によって、最大十一万便まで国際線も増便可能ということになると聞いておりまして、まさにこの資料二の入国者ランキングで我が国は、中国、香港、マレーシア、タイ、シンガポール、マカオに次いでようやく七番目に出てくる状況でもございます。

 いみじくも、そういう中で、きょうはドイツのハイリゲンダム・サミットが開幕ということで、来年は我が国の洞爺湖サミットも控えているわけですが、例えばこの種の国際会議の開催においても、きょうはちょっと資料をおつけしておりませんが、日本は世界で第十三位、しかも件数は減少傾向にあるということで、これはやはりアジアにおける日本の空港の地位低下はますます顕著になってきているという認識でございます。

 そこで、これはまず甘利大臣の方にお伺いさせていただこうと思うんですが、大臣から先ほど、地域の理解を得ながらより使い勝手のいいようにということで、EPA、FTA推進に向けての空港整備が必要という御答弁をいただいたように私は認識をしておりますが、今回の回数制限あるいは距離制限について、私は、これは本来需要に任せるべきだと考えます。

 実際に、これは、三月十三日の参議院予算委員会の我が党の白眞勲議員の質問なんですが、その中で、麻生外務大臣あるいは塩崎官房長官、さらには尾身財務大臣に至るまで、皆さん方、オープンスカイ化、二十四時間化、そして国内、国際空港一体化の必要性について言及もされておられます。

 こういった観点も含めて、いま一度大臣に質問をまとめてお尋ねいたしますが、二〇一〇年十月以降の羽田空港の国際線の距離制限約二千キロあるいは本数制限三万本、これについては見直しをすべきだとお考えになられませんでしょうか。

 ちなみに、距離制限二千キロだった場合には、EPAを行っているフィリピン、シンガポール等も羽田からは行けないままということになってしまいます。これは当然国交省さんの所管でありますが、経済的振興の観点から、甘利大臣としての御見解をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 この辺はずっと質問通告をいただいておりません。国交省さんから答弁があろうかと思いますが、成田と羽田の役割分担をどうするかということ等々もあろうかと思います。いろいろな約束事もあるんだと思います。それらを踏まえて、理解をいただきながら利便性を上げていくということは、政府としては最大取り組んでいくべき課題だというふうに思っております。

柚木委員 まさに、その理解をいただきながら進めていくというところが今後の大変重要な観点になってこようかと私も思うんです。

 同じ質問を国交省さんにもお伺いいたしますが、二〇一〇年十月以降の羽田発の国際線について、距離制限と本数制限について今後見直しを検討していくお考えはおありかどうか、お答えいただけますでしょうか。

前田政府参考人 まず、再拡張後の羽田空港の国際線の回数についてでございますが、羽田空港はあくまでも国内線の基幹空港でございますので、まず将来の国内航空需要に対応するための発着枠を確保した上で、国際線の基幹空港である成田空港を補完するという観点で、年間三万回の国際旅客定期便を受け入れるということにしたわけでございます。

 今、見直しをするつもりがあるかどうかという御質問でございましたけれども、現在の時点では、将来の需要を勘案した場合には、やはり国内線をまずは優先し、成田を補完するという観点からどこまでできるかということで三万回という判断がございますが、空港拡張後において、その後の需要等を全く勘案しないのか、需要の変化、予測の変化等を全く勘案しないのか、そういうことではございません。ただ、現在の時点では、少なくとも三万回を予定しているということでございます。

 それから、距離の制限の問題でございますが、これも千九百四十七キロという、羽田から最も長距離の国内線である羽田―石垣間、これを一つの基準としております。決して規制をしているということではございませんで、羽田空港というのは国内線の拠点空港でございますので、国内線の最長距離である羽田―石垣と同じ程度の距離である国際線であれば、ある意味で国内線と同様という目安ができるのではないかということで、これを一つの目安として、その距離の基準に加えて、もちろん需要でありますとか路線の重要性というものをあわせて考慮して、羽田にふさわしい路線を近いところから検討して、最終的には今後の航空交渉で確定していきたい、かように考えております。

柚木委員 先ほど現時点ではとおっしゃられましたので、先ほどの御答弁の中にあった、需要に基づくあるいは規制ではなく基準、目安ということであれば、なおさらこれは今後の中で、冬柴国土交通大臣も、ずっとこの同様の議論が委員会の中あるいは予算委員会等でなされている中で、私のニュアンスですと、少し前向きになってこられているようなところが感じられるんですね。

 一番感じておりましたのは、公明党の高木委員が質問されたときに、今後そういうことを議論していく場合には、いわゆる自治体間との協議ということも再三触れられておりますが、ここでもう一度話し合ってやるべきだろうというふうに思うと。これまでより少しそういう観点は踏まえてということだと思いますので、ぜひ前向きな取り組みをお願いしたいと思います。

 時間が迫ってまいりまして、ちょっと駆け足で参りますが、そういった中で、今度は国際線の貨物のことについて、これは羽田なんですが、お尋ねをいたします。

 私も伺って、えっと思ったんですが、実は、現在、羽田におりる国際便の貨物を扱う税関が羽田にはなくて、国際便から貨物が着くたびに、羽田から、ちょっと私、行ったことがないんですが、千葉県の原木というところの税関にまで荷物を移動させるという非常に非効率な物流があるという状況です。

 ですから、国際貨物を扱う税関が羽田にあれば、このような非効率を防ぐと考えられるわけですが、こういう物流をスムーズに発展させようと考えるべき、まず経産省から見て、現在、羽田の国際貨物を扱う税関の場所をどう考えるかということを、もし大臣、よろしければ御答弁をいただければありがたいんですが。

甘利国務大臣 まず、国全体の戦略として、成田と羽田を効果的にどう組み合わせていくかという前提があろうかと思います。

 その上で、羽田に事実上貨物が着いたときに、その手続がやたら煩雑というか、遠隔地で行われるということは、物流効率上は適切なことではないというふうに思っております。

    〔河井委員長代理退席、委員長着席〕

柚木委員 ありがとうございます。

 まさに私も同様の認識でございまして、そこで財務省さんにお伺いしますが、この質問というのは、実は参議院予算委員会で先ほどの白議員が尾身財務大臣にさせていただいた質問でもありまして、そこで財務大臣は、「空港も港も二十四時間体制にしなければならない。もう一つは、国内空港と国際空港を一緒にしなければならない。」というふうに強い意欲を述べられているというふうに私は承知をしました。

 こういった大臣答弁を踏まえて伺いますが、羽田に四番目の滑走路ができ、少なくとも年間三万便の国際便が飛ぶ二〇一〇年十月には、国際貨物用の税関を羽田につくることを、これは国土交通省さんとも連携をしながら今後検討できないものかどうか、お答えいただけますでしょうか。

森川政府参考人 お答えいたします。

 まず、現状から御説明させていただきますと、現在、羽田空港にも東京税関の羽田出張所というのがございます。ただ、羽田空港で積みおろしされる商業貨物のかなりの部分につきましては、その貨物を取り扱う事業者、主に通関手続を行う通関業者が、主として成田空港近辺、あるいは先ほどおっしゃいました千葉県の原木に物流施設を置き、またそこに通関業務を行う拠点を置いているということから、それに対応して、成田空港近辺それから原木地区において輸出入通関を行っているというのが実態でございます。

 今後、羽田空港の国際化が進展いたしまして、羽田空港ないしその近辺に物流施設が整備されて、羽田空港での通関を行いたいという業者の需要が増加した場合には、我々といたしましても、その規模に応じた通関体制を整備するということで、円滑な通関がなされるように適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 ありがとうございます。ぜひそういった適切な対応をお願いしたいと思います。

 時間が参りましたので質問を終わりますが、ちょっと時間がなくて言及できませんでしたが、今後の羽田と成田の役割分担見直しといいますか、あるいはこれは共存共栄という視点も可能かと思われますので、このアジア・ゲートウェイ構想、中身を見ると、そこの部分がやや踏み込み不足の感もございますので、ぜひそういったところまで含めてこの構想実現をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

上田委員長 次に、太田和美君。

太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。

 本日は、外国人労働者問題、とりわけ、今政府内であり方をめぐって議論になっております外国人研修・技能実習制度についてお尋ねをいたします。

 研修・技能実習制度で日本に来る外国人は、直近で約十三万人ということであります。日本は高度人材については積極的に受け入れるけれども、それ以外については慎重に対応する、単純労働者については受け入れないというのがこれまでの政府の対応だったわけですが、現実には、日系人は特定の資格で入国するのではなく、血筋で入ってきて、就労制限もありませんから、二十七万人が自動車等大企業で派遣や請負の形で働いております。また、留学生、就学生が十六万人いて、そのうち十万人が、就学許可を得て、飲食店やコンビニ店で働いています。

 ですから、研修・技能実習生も、建前は国際貢献、つまり途上国への技術移転が制度の趣旨となっていますが、実態は、繊維、機械、金属などの中小企業、あるいは農業や食品などの分野で単純労働に従事している方が大半でございます。

 そこで、第一に、制度の建前と現実の乖離、そして第二に、これは不適正な受け入れ事例やトラブルが後を絶たないということがあります。ついせんだっても、これは五月十三日の毎日新聞ですが、青森の縫製会社の話で「中国人実習生逃走 朝八時から深夜十一時まで労働 残業手当わずか時給三百五十円」という大きな記事が掲載されておりました。

 こんな例はそれこそ枚挙にいとまがないわけでして、研修・技能実習生のうち期間途中で失踪した人は、平成十四年から十八年までの五年間で九千六百七人ということになっております。約一万人弱が失踪したということです。昨年は、私の住んでいます千葉県でも、トラブルから研修生が受け入れ団体の幹部を殺傷するという事件が起こりました。

 法務省入国管理局のまとめでは、不正行為認定機関数は、平成十八年、過去最高の二百二十九機関となりました。こうした建前と現実の乖離、そして後を絶たないトラブルと違法行為、このあたりが今般の制度見直し作業の背景にあると認識をしております。

 そこで、まず大臣にお尋ねしたいのは、五月十四日に経産省として研究会の取りまとめも出されたようですので、これまでの研修・技能実習制度をどのように評価し、そして今後どのように改革をしていくべきだとお考えなのか、お答えをください。

甘利国務大臣 外国人研修・技能実習制度は、研修・技能実習生の企業現場でのOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを通じた技術移転による国際貢献の制度、これが制度の根幹であります。その過程で受け入れ機関は彼らの技能を活用することができる仕組みとなっているわけでありまして、多くの受け入れ機関はその趣旨を踏まえて運用しておりまして、研修・技能実習生の多くは、帰国後、その経験を生かして母国のために活躍をしているというふうに聞いております。

 産業界からもこの制度は評価されておりまして、より高度な技術の習得機会の付与など、研修・技能実習生及び受け入れ企業双方にとってさらに望ましい制度に拡充をしてほしいという要望も寄せられているところであります。

 他方、御指摘のように、昨今、案件数はかなり多いという御指摘がありましたが、一部の受け入れ機関において、制度の趣旨に反して、割り増し賃金の不払いなど不適正な管理の例なども指摘をされておるわけでありまして、制度運用の適正化を図る必要があるということを認識しております。

 これらを踏まえまして、経済産業省といたしましては、先般、この制度の適正化と、それを前提とした制度の高度化を図る見直し案を提案させていただいたところでありまして、今後、よりよい制度を構築すべく、関係省庁と議論をさらに深めていきたいというふうに考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 今回、経済産業省案の最大の特徴というか、厚労省案そして法務大臣私案との大きな違いは、現行制度をほぼ維持しているところでございます。もちろん、改善策も盛り込まれていますが、現在は、不適正な受け入れ等があって、事業者の責任によって受け入れが取り消された場合、今は研修・実習生は帰国するしかありません。そうなると、本国の送り出し機関に多額の違約金を払わなければいけません。それが嫌なので、人権侵害や法令違反があっても訴え出にくい。それを訴えやすくするために、受け入れ取り消しになってもほかの企業で研修・技能実習を継続できる仕組みをつくるとか、あるいは不適正な受け入れ機関への罰則を受け入れ停止三年から五年に厳しくするとか、さらに受け入れ機関や受け入れ企業についての外部評価、審査を行う機関をつくるとか、幾つかの提案をされております。

 それにしても、厚労省は研修制度を廃止するのだと言っております。三年間、技能実習生として受け入れ、労働法規を適用するのだというのに対し、経産省は、研修一年は残す、この間は労働者ではないですから、給料ではなく月に六万から七万の手当を渡せば済みます、そして、それが終わったら二年間の技能実習というスキームは現在と変わりません。

 経産省にお聞きしたいのは、なぜ研修制度を残すのかという点です。経産省案を読みますと、技能移転による国際貢献という趣旨を取り去ってしまえば、受け入れ企業等による技能教育や生活支援は担保されない、あるいは、労働者受け入れと受け入れ側が割り切ってしまえば、低賃金労働者として酷使されるおそれがある、むしろ現実の悪用事例の制度を追認することになりかねない等々の記述があるわけですが、この点についてわかりやすく御説明をください。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもでまとめました研究会の報告と、それから厚生労働省でおまとめになった研究会の報告の差についてのお尋ねでございますけれども、私どもの認識といたしましては、厚労省でまとめられた研究会の報告におきましても、外国人技能実習制度というのが技能移転による国際協力の制度として位置づけられておりますし、その性格を今後とも維持した上で、適正化と高度化を提案しているということだと理解いたしておりまして、そういった意味では、大きな方向性においてはさほどの差はないというふうに理解をいたしてございます。

 その上で、私どもの研究会では、今委員が御指摘になられましたように、そういう提案をしているわけでございますけれども、その考え方は、基本的に技能移転による国際貢献という、目的といいますか、理念といいますか、志といいますか、そういったものを基本に据えるならば、やはり今の研修という枠組みを維持した上で、研修期間中の日本語教育をきっちりやるように政省令で担保したり、あるいは罰則で担保したり、さらには、研修生が不都合な事態に直面した場合には、それを申告できることを簡単にできるような、そういうような取り組みを進めるなり、つまり、研修の充実ということと不適正事例の排除ということを組み合わせた形でやっていくということでどうかという提言をいただいたところでございます。

 もちろん、その研究会の議論の過程におきましては、当初から労働者としていろいろな労働規制を適用してはどうかという議論もございましたけれども、やはりこの制度の本旨に立ち返って考えますならば、そういう内容の充実と適正化ということを組み合わせてはどうかということでこういう結論に立ち至った次第でございます。

 いずれにいたしましても、私どもとしては、大きな方向下においては差はないと思っています。それを実現する手段としてはいろいろあると思いますけれども、その点につきましては、今後、関係省庁間でよく議論をして、すり合わせてまいりたいというふうに考えてございます。

太田(和)委員 それでは、厚労省にお尋ねをしたいと思います。

 今、経産省から御説明のあった点について、厚労省としてはどのようにお考えでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 私どもの報告書は、五月十一日に中間報告という形でまとめられまして、発表いたしました。

 その中で、基本的な考え方につきましては、今、経産省の方からお話がございましたように、技能移転を通じた国際協力という目的は今後も維持した上で、一部に見られる劣悪な労働環境、実習環境の改善を図る、こういう意味では基本的な考え方は一致をしているというふうに認識をしているところでございます。

 そもそも、私どもの研究会が始まりましたのは、規制改革・民間開放推進会議の中で、実務研修中の研修生の法的保護を図るために必要な措置を講ずるべきである、こういう命題が与えられましたので、それに対してどういうふうにこたえていったらいいのかということで、いろいろな現状もヒアリングをしたりしながら調査をいたしました。

 そういう中で、委員御指摘がございましたように、実際には、残業ということは研修生ですのでできませんけれども、そういった実態もあるというようなこと。それから、研修手当といいますのが、生活する上で必要と認められる実費の支給というふうにしか法務省令では定められておりませんので、幾らが適当なのかといった判断が非常に難しいというようなこと等、今の状況でなかなか、研修生の保護を図るということは、いろいろな意味で制約があるということから、私どもといたしましては、現在、研修生として一年間認められているわけですけれども、この研修期間中は大きく二つに分かれるわけです。

 一つは、いわゆる座学といいますか、の部分でございます。この部分は、外から見ましても、これは明らかに座学で、労働はしていないなということがだれの目からもわかるわけですけれども、実務研修と呼ばれている部分が、実際には生産現場で製品をつくったりということをやっておりますので、その過程を見る限りはなかなか、これが在留資格である研修なのか、資格外の労働に当たるものなのかということを判断することが、特に中小零細企業の現場を見ますと非常に困難だということがございました。

 そういう中で、研修生の法的保護の実効性を確保するという観点から、私どもの考え方といたしましては、実務研修におきましては、これをやはり実習生と同様の法制のもとに置く必要があるのだろうということで、そういうふうにいたしますと、労働法制、労働基準法とか最低賃金法とか安全衛生法とか、労災保険法もですけれども、いろいろな法律の適用ができますし、それから、監督官による監督指導、申告を受け付けて監督指導をする、こういったことが可能になってまいりますので、そういう意味で、研修生の保護を図るという観点からは、研修というものを実習という形に切りかえることが、保護の観点からは最も効果的ではないかということでこういった考え方を示したわけでございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 経産省にもう一点お尋ねをしたいんですけれども、厚労省の説明資料を読むと、研修・実習生の数が日本人従業員を大きく上回り、実習生を適正に指導できる体制が確保されていない例が見られるとあります。つまり、今、本来は五%、従業員が二十人なら一人までしか受け入れられないのを、団体監理型を優遇して、従業員三人から五十人までの企業には、毎年研修生三人まで新規受け入れが可能とされております。

 そのため、例えば、一年目に三人の日本人従業員がいれば研修生を三人受け入れる、次の年、三人の研修生は技能実習生になっていますので、これが従業員にカウントされるので、最初の年にいた三人の日本人はいなくても、新たに三人の研修生が受け入れられる。そうすると、三年目には日本人なしでも六人の技能実習生と三人の研修生という職場ができます。

 こういう極端なケースも想定されるので、厚労省は受け入れ人数については今後検討するという方針です。この受け入れ人数については、経産省の案では、ペーパーに特に記述がないんですが、経産省の考え方があればお聞かせください。

立岡政府参考人 お答えいたします。

 研修生の受け入れ人数の枠につきましては、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法に基づきます法務省令及び告示で決められておりまして、その骨格は今委員が御指摘になられたとおりでございまして、原則五%なわけでございますけれども、さらに、その下の告示で、中小零細の事業者につきましては、これは規模ごとに差があるんですけれども、五十人以下の企業については三名の受け入れが、五%にかかわらず可能だ、ただし常勤職員の数を超えちゃいけない、こういうことになっているわけでございます。

 したがいまして、この制度のもとでは、今委員が御指摘になられましたように、最初は三人の常勤職員がいて、三人の研修生を受け入れて、それが実習、実習ということで、三年目には最大九人になるというのは事実でございます。

 それからまた、仮に日本人の従業員がどこかの段階、最後の段階で離職をいたしますと、御指摘のとおりの事態が生ずることになるというのは、もちろんこれは最終的には入管御当局がどういう判断、運用、解釈をされるかによりますけれども、制度上、そういうことは起こり得るというふうに認識しておる次第です。

 それで、こういう事態がどのぐらい頻発しているかについて、私ども、蔓延しているというふうには聞いてはおりませんけれども、御指摘のとおり、厚労省さんの報告で、そういう事態があるというふうな御指摘がされていることは承知をいたしております。

 確かに、こういうケースにつきましては、実習生への技能移転がしっかり行われるかという観点から見ますと大いに疑問なしとしないわけでございまして、そういう意味では、入管当局あるいは労働基準当局で把握されている実態、あるいは入管法に基づく省令、告示の解釈、運用についてもお伺いした上で、私どもといたしましては、技能移転という本旨に立ち返って、今後、全体を見直す中で、この問題についてもよく相談をしてまいりたいというふうに思ってございます。

太田(和)委員 経産省としてもこの案をぜひ盛り込んでいただきたいなというふうに思っております。

 先ほどの、研修をやめるのか残すのかという議論のポイントは、厚労省は、組織的な労務管理体制が不十分な中小企業では、労働とならないよう研修の性格を担保することは困難だという判断をして、だから研修制度をやめてしまおう、一年目から労基法を適用させよう、こういうふうに提案をしているんだと思います。

 一方、経産省は、研修をなくし、労働者として受け入れると、逆に酷使されると。不正行為の多くは、中小企業組合などが受け入れを行います団体監理型の受け入れで発生をしています。そして、研修・実習生の九五%はこうした団体監理型です。その受け入れ企業の半数以上が従業員十九人以下の零細企業であります。中小企業の労務管理能力をどう評価するのだということだと思います。

 経産省も厚労省も、我が方の案の方が研修・実習生を保護できるのだという主張であります。大変美しいんですが、私は、技能移転、国際貢献というのは、それは一部で優良なケースもあるのでしょうが、現実には、研修生、実習生を受け入れている企業の主目的は、格安の労働力ということでしかないと思っております。現場では、国際貢献というのは、そのための方便というか、イチジクの葉っぱでしかありません。

 先ほど引用しました新聞記事、実習生に逃げられた青森の縫製会社の社長さんは、「切羽詰まって研修生を受け入れた。最低賃金以上を払うのなら、彼女たちを雇わなかった」と語っております。実態はそういうことなんだと思います。

 この関連の記事によりますと、全国四十七都道府県の労働局が、研修・技能実習生を受け入れている八百六十六事業所を監督指導したところ、八割の事業所で長時間労働や基準外賃金の未払いなどの違反があったそうです。

 格安の労働力、のどから手が出るほど欲しい。だけれども、単純労働者は受け入れられないので、技能移転、国際貢献というのを表看板にする。大臣、これは裏口入学と言われても仕方がないのではないでしょうか。むしろ、中小零細企業は人手不足ですし、格安の労働力でないと国際競争に勝てない。だから、そういう外国人の労働力が必要だというのが本音だと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 あくまでも、この制度は、相手国の発展に資するような技能移転を図っていくということが建前なんですね。本当の建前化してしまっているのではないか、だったら本音でやればいいじゃないかという御指摘かもしれません。

 しかし、中小企業といえども、やはり歯を食いしばって頑張るところは頑張っていただかなければならないのでありまして、低賃金で、三K職場のことは外国人にやらせようという精神は、やはり、国際社会の中で尊敬される地位を築かなければならない日本としては、歯を食いしばってもそういう策はとるべきではないというふうに私は思っているのであります。

 建前化しつつあるという御指摘はそうなのかもしれませんが、それであっても、それを外しちゃうと、では、大っぴらに、最低賃金でどんどん外国人に嫌な仕事をやってもらおうということになってしまいますから、そこは頑張って食いとめなくちゃいけないですし、やはりきちんと日本語を学んでいただいて、技能を身につけていただいて、そして、帰って国の発展に資する人材になってもらいたい、この建前は、苦しくともやはり守っていかなきゃならないというふうに私は思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 そこでなんですが、法務省の長勢大臣が五月に私案を発表されました。私案なので法務省の事務方の皆さんは説明する立場にないということでしたので、きょうはお呼びしていないんですが、要は、受け入れの目的を国際技能移転に限定せず、国内で必要な労働力確保に資するものに転換する、受け入れ団体の許可制度を設ける、外国人就労期間は三年とし、再就労は認めない、技能実習制度は廃止し、研修制度は存置し、見直しを行うといった内容で、これから法務省に具体的に指示をして、検討を開始されるということであります。

 大臣は、この長勢私案をどのように評価されておりますか。

甘利国務大臣 先ほど来申し上げております私の危惧をまさに顕在化させてしまうのではないかと思っております。

 日本は、大企業は当然でありますけれども、中小企業といえども、やはり高付加価値化をねらっていかなきゃいけないんですね。中小企業の中でも優秀な技術を持っているところはたくさんありますから、それを製品、商品、サービスにしていく努力を怠ってはいけない。安い労働力に頼って生き残ろうとするという方向性は、私は、短期的にはそれで切り抜けられるかもしれませんけれども、中長期には無理だと思うんです。

 それに、日本人が働きたくない嫌な部分を取ってかわってやってくれというのは、国際社会のリーダーを務めなければならない日本としては、余り褒められた姿じゃないなというのが私の思いであります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 この長勢私案なんですが、裏口入学をやめようという点で、建前と現実の乖離をなくそうという点は評価できるのですが、三年で帰ってもらう短期就労制度はうまく機能するのか、また、そのことが日本の労働市場に悪影響を与えないのか等々、十分な検討がなされなければなりません。

 景気がよくなって、若者の雇用の状況もだんだんよくなっておりますが、私は、若者のニートがかえってふえていること、年長フリーターがなかなか減らないことなどを含めまして、若者の雇用問題は構造的な問題だと思っておりますので、だから、人手不足といって安易に研修・実習生を含めた外国人労働力に頼るのではなく、まず、日本人の雇用に最優先で取り組むべきだと思っております。

 しかし、現実にはこれが一番難しい点でありまして、研修生、実習生を受け入れるような職種は大体地味で、余り現実的なイメージがありません。若者が近寄りにくい仕事が多い。三Kの仕事が多い。日本人に求人広告を打っても、だれも集まらないから、研修生、実習生ということになる。しかも、その職種の賃金水準自体が低い。JITCOの自主点検結果を見ますと、研修生、実習生の受け入れが伸びている繊維や食品、農業が、とりわけ賃金水準が低いです。

 私は、これは中小零細企業だからしようがないのだろうということではなく、とりわけ国際競争力のない分野をどのようにするのか、撤退するのか、国外に移すのか、それとも改革して高度化させていくのか、そういった形での経済産業省のちゃんとした経済政策がなかったからではないでしょうか、あるいは、中小零細企業に対し、最低賃金以上をしっかり支払えるようになるような支援策を打って来なかった結果ではないかと思っております。

 そこで、質問をいたしますが、昨年六月、政府の関係副大臣でつくる外国人労働者問題に関するプロジェクトチームにおいて取りまとめを行った際、低賃金構造の業種に対する産業政策を明確化すべきであると盛り込まれておりますが、この点について、どのような検討が行われているのでしょうか。大臣、お願いします。

甘利国務大臣 まず、産業として競争力のなくなったものがどうあるべきか。これは、いろいろな施策を講じて競争力を回復できるという余地があるものは、産業政策としてしっかり取り組んでいく必要があると思います。どうやっても勝てないというものについては、それは市場から撤退せざるを得ないことになるというのはやむを得ないことかとも思います。

 引用されました繊維の関係でありますが、確かに、繊維産業の常用労働者の一人当たり年収は、他の製造業平均に比して三割下回っております。これをもってもう繊維産業はだめだとは我々思っておりませんで、国内の生産と流通における効率性をどう上げていくか、あるいは、魅力をどう付加していくかということに取り組んでおります。

 いわゆる繊維ビジョンというのを取りまとめたところでありまして、ITによる構造改革の推進とか取引慣行の改善、技術力の強化とか素材の開発力の強化、あるいは情報発信力の強化、日本ファッション・ウィークを通じて、日本がファッションという感性に関しても魅力的な地であるということをアピールする、こういうことを通じて競争力を回復する産業であるというふうに思っております。

 今後とも、競争力を失った産業が再び主役になれるような強化策について、あらゆる面から検討していきたいというふうに思っております。

太田(和)委員 例えば、鋳物、日本人の若者が来ません。私もこの間、埼玉の鋳物の現場を見させていただきましたが、だから安易に研修生、実習生に頼ってしまう、こんなことでいいのか。若者の雇用対策の観点からだけ申し上げるのではなく、日本の産業基盤、ものづくりのコアの部分で、技術、技能が継承されない、空洞化が起こる、これでいいのか。ものづくり基盤の部分で日本の若者をどのように取り込んでいくのかということも、これからの課題は残されているかと思います。

 時間が参りましたので、最後に大臣にお尋ねをしたいのですが、私は、率直に言って、外国人労働者というと、現実には、先ほども申しました、格安の労働力というイメージがあり、安易に頼ることは国内の労働市場に悪い影響を与えたり、格差がますます拡大しかねないという思いを持っております。

 しかし一方で、少子化時代、国際化、労働力不足の時代の中で、特に日系外国人や研修・実習生の実態が先行してしまっていますが、どういう形なら外国人労働力を入れてもいいのか、どういう形なら外国人労働者の権利も保護できるのか等々、慎重に検討していかなければならない時期なのかと思っております。

 外国人労働者政策を今後どのようにデザインしていくのか、大臣のイメージみたいなものがありましたら、最後にお示しをしていただきたいと思います。

甘利国務大臣 政府の方針は、専門的、技術的分野の労働者の受け入れは積極的に対応する、一方、単純労働者については、慎重に対応するというのが基本であります。

 この専門的、技術的分野の労働者につきましても、日本に留学をして、そのままその知識を生かして就職をしていく、あるいは、国に戻って、その国の復興のために技術力を発揮する、能力を発揮する、そういうシームレスな系統ができ上がっていないと思います。そこで、私は、留学から国に帰っての就業、それらが一連として結びついていくように、アジア人財資金構想というのを文科省とともに今年度から実施をするつもりであります。

 そして、研修・技能実習制度については、国際的な技能移転という制度の根幹をしっかりと守りつつ、労働法制に反するようなことがないように、きちんと体制をとっていくということであります。

太田(和)委員 ありがとうございました。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、コンビニフランチャイズの問題について質問させていただきます。

 既存の商店街振興策をしっかりやっていくというのとあわせて、社会的に一定の地位を占めるようになりましたコンビニフランチャイズ事業の健全な発展のために、加盟店の権利の確立、ルールの整備が求められていると思っております。

 そこで、最初にフランチャイズチェーンの今の規模がどうなっているのかをお尋ねしますけれども、チェーン数、店舗数、売上高、過去十年前と現在と、この推移が、小売業のうち、コンビニそれから飲食、外食業とサービス、こういう区分でお示しいただけますか。

松井政府参考人 お答えいたします。

 小売業につきましては、JFAフランチャイズチェーン統計調査の二〇〇五年度の調査によれば、三百四十四チェーン、八万五千三十五店舗がフランチャイズ形式で運営されております。売上高は約十二・八兆円でございます。一九九五年、十年前に比べまして、チェーン数で一・二六倍、店舗数で一・五三倍、売上高で一・四六倍の伸びを示しております。

 このうち、コンビニエンスストア業は、同調査で三十三チェーン、四万二千六百四十三店舗、売上高は約七・四兆円でございます。これも十年前、一九九五年に比べまして、チェーン数で約四割減少しているものの、店舗数では一・三五倍、売上高では一・四三倍と増加しております。

 次に、外食産業でございますけれども、同調査によりますと、四百六十七チェーン、五万六千八百六十五店舗がフランチャイズ形式で運営されております。売上高は約四兆円でございまして、十年前、一九九五年に比べまして、チェーン数で一・四三倍、店舗数で一・四五倍、売上高で一・三九倍の伸びを示しております。

 また、サービス業につきましては、同調査で三百三十五チェーン、九万二千五百八十九店舗がフランチャイズ形式で運営されております。売上高は約二・六兆円でございまして、十年前の一九九五年に比べまして、チェーン数で二・一倍、店舗数で一・四五倍、売上高で一・七七倍の伸びを示しております。

塩川委員 お答えいただきましたように、小売、外食、サービス、それぞれの分野で非常に大きく伸びているというのが今のフランチャイズの事業であります。

 同時に、いろいろなトラブルも起こった。特に、九〇年代の末から二〇〇〇年代の初めぐらい、二〇〇〇年を前後しまして、コンビニの契約のトラブルが社会的な問題となりました。本部の情報開示の不十分さによるトラブルですとか、高過ぎるロイヤルティー、二十四時間年中無休、こういったやり方を押しつけるような不公正取引の問題、あるいは、多店舗展開の中で強制的に閉店に追い込まれるような状況などもございました。

 我が党として、二〇〇〇年にフランチャイズ取引適正化法に関する政策提言を行いまして、それについての国会の質疑なども行ってまいりました。その後、二〇〇二年に公正取引委員会として独禁法の運用に関するガイドラインの見直しや、また、経産省として中小小売商業振興法の規則の改正などが行われました。そういう点でも、改めて大きく伸びている業界、事業として、そのトラブルをきちっと解決するということが今日求められていると思います。

 そこで、大臣に伺いますが、コンビニフランチャイズ事業の将来性についてどのようにお考えか、また現状の課題は何なのか、この点についてお尋ねいたします。

甘利国務大臣 我が国におけるフランチャイズ事業というのは、現在も着実に成長を遂げているものというふうに認識をしておりまして、このフランチャイズ事業は、加盟店にとっては、本部からすぐれた商品であるとか、あるいは経営ノウハウ等の提供が受けられる、一方で、本部にとってみますと、急速な多店舗展開が可能となる、加盟店と本部の双方にとってメリットを有しているわけであります。こうした長所が適切に生かされることによって、将来的にも産業の発展や雇用の創出に寄与するものと考えております。

 他方で、フランチャイズ契約の締結や履行に関して、加盟店と本部との間で理解が必ずしも十分でない、トラブルが発生しているという事例もあるというわけでありまして、これらが課題となっていることは事実であります。

 経済産業省といたしましては、中小小売商業振興法の適切な運用に努める、それから社団法人日本フランチャイズチェーン協会の自主的な取り組みを促すということを行っているところであります。

 さらに、フランチャイズガイドラインの適切な運用を通じた公正取引委員会との連携も図りつつ、フランチャイズ事業の健全な発展を図るということに努力をしていきたいというふうに思っております。

塩川委員 長所を生かすと同時に、課題となっている問題について解決をしていく、健全な発展を図るということです。

 資料を配付しましたけれども、先ほど経産省の方からお答えいただきましたように、一枚目、上がチェーン数、下が売上高の推移、それから二枚目の方に、上が店舗数の推移となっています。二枚目の下にコンビニ大手五社の出退店数の推移、それからあわせて三枚目に、業種別のチェーン数、店舗数、売上高の表をつけておきました。非常に幅広い分野で行われております。

 今日、FC事業の柱でありますコンビニについても、セブンイレブンが今年度初めて減益ということで、業界としての成長の岐路にあるという状況があると思います。資料の二枚目の下、出退店数の推移を見ておわかりのように、出店も大きくふえていますけれども、一方で退店も非常に多いわけですね。これはやはり売り上げが伸び悩んでということもありますし、多店舗展開の中で売り上げの伸びない店舗を強制的に閉店させるような事例などが生まれているという点でも、かつて二十年、三十年とあったコンビニがそこからなくなるということなども生まれてきているわけです。

 今、コンビニが置かれている地位を考えますと、公共サービスの提供場所になっているという面が生まれてまいりました。あわせて社会的なインフラとして機能しているわけです。お聞きしましたら、ある県では、大規模災害時に帰宅困難となった人、そういう人たちの帰宅困難者支援の拠点としてコンビニ加盟店との事前協定なども検討しているというお話などを伺っております。

 税の収納ですとかローソンなどでの郵便の集配、これはポストよりもたくさん集まっているという話ですけれども、物販収入よりも、宅配ですとか公共料金の収納などの手数料収入が上回っている。こういう点でも、公共的な役割を担うコンビニが、もうからないからといって閉店させていいのか、地域における競合シェア争いを放置していいのかということも問われているわけです。

 こういった本部による不公正取引、優越的地位の濫用など、いまだにさまざまな問題が発生している中で、健全な発展のためのルール整備が必要だと考えています。

 そこで、幾つか具体的な事例を紹介しながらお尋ねしたいと思うんですが、日本フランチャイズチェーン協会へのトラブル相談件数でも、十八年度が百四十三件ということで、この間よりもふえているという話でした。訴訟件数なども、大手コンビニ四社の合計で、〇三年度が三件、〇四年度が四件、それが〇五年度は十四件と急増しております。こういう事例というのも、いわば氷山の一角だと思っています。

 トラブル事例の一つが、契約前の金銭の支払いの問題です。中小企業庁の方でつくっています「フランチャイズ事業を始めるにあたって」というパンフレット、この冒頭のところでも、「最近の主な相談事例」というのが紹介されています。「契約前の金銭の支払い」「契約締結前に申込金を支払ったが、返還に応じてくれない。」こういう場合がある、こういうことを紹介しています。

 例えば、大阪を中心に知られるお菓子のマルシゲという事業者があります。中小企業庁に告発をされたある方の場合は、このマルシゲは、一定の説明をした後、これ以上の説明を求めるなら加盟金を払え、開業資金を振り込めと、次々とお金を払い込ませた。その後ようやく契約書を示して、その場での署名捺印を求めた。この方はその場での契約は拒否をし、数日後に契約しないと回答したそうですが、マルシゲは契約者とみなすとして、加盟金その他の返金に応じないという姿勢だったということです。

 中小企業庁に告発をした事例ですけれども、この告発を受けて中小企業庁はどのような対応をしたのか、お聞かせください。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の案件に関しましては、全国フランチャイズ加盟店協会から調査要請がございまして、それを踏まえまして、当該フランチャイズ本部について、平成十八年度に調査を予定しておりましたほかのフランチャイズの本部と合わせまして、本年の二月に中小小売商業振興法第十三条に基づく報告徴収を実施しております。

 その調査を踏まえまして、さらに詳細な報告を求めるなど、引き続きその当該事案について調査検討を行っている、そういう段階でございます。

塩川委員 ぜひ適切な対応をお願いしたいと思っております。

 今、報告徴収のお話がございました。そこでお聞きしますが、中小企業庁では、本部に対する情報開示、説明義務の確認のために、中小小売商業振興法の規定に基づいて報告徴収を継続的に実施していると聞いております。この報告徴収を継続的に実施している中身について御説明いただけますか。

石毛政府参考人 お尋ねのフランチャイズのチェーン本部についての報告徴収でございますけれども、平成十四年の制度改正以降に集中的に実施をしてきているんですけれども、規模の大きいフランチャイズ本部、それからフランチャイジー、要するに、加盟店になった、あるいはなりそうな、そういう者から個別相談のあったフランチャイズ本部、そういうものを選定しまして、毎年、一定数について報告徴収を実施しております。

 そういう調査の結果、問題があったフランチャイズ本部に対しましては改善指導を行っております。その結果、指導対象となったすべてのフランチャイズ本部について、今までのところ改善措置がなされたという状況でございます。

塩川委員 幾つぐらいの本部の報告徴収をこれまで累計で求めてきているんでしょうか。

石毛政府参考人 累計で大体八十数本部、調査をしております。

塩川委員 八十数本部ということでありました。

 お話にありましたように、加盟店などから問題のある、そういう本部について報告徴収を求める、これはぜひ大いにきちっとやっていただきたいんですけれども、数そのものが、平成十四年からでまだ八十数本部ということですけれども、フランチャイズチェーン協会の統計調査で見ましても、〇五年度、先ほどお話がありましたように、振興法の対象としている小売と、それから飲食、外食につきますと、合わせて八百強の本部があるわけですね。ですから、今のペースで行くと全部チェックするのに五十年から先にかかるような状況にあるわけで、こういうのを、きちっと報告徴収を最低限求めるというぐらいはしっかりやる必要があるわけですから、これは抜本的にこの報告徴収の件数を引き上げるということが必要ではありませんか。この点、どうでしょうか。

石毛政府参考人 報告徴収の数をもう少しふやしたらという御指摘でございますけれども、私ども、先ほど申し上げましたように、一番、何といいますか、ある種の効率性を求めて、相談があった案件、その辺のところに問題がありそうだ、そういうところに絞ってまず調査をする、それから、大きな本部についてはそれなりの影響力があるわけでございますので、そういうところから手がけてやってきたつもりでございます。

 今、確かに、もうちょっと広げたらどうかということについては、これ以上絶対ふやさないというあれでもないと思いますので、ちょっとどこまで、行政の効率性も考えながら、どうやって効果を上げるのか、考えてみたいと思います。

塩川委員 いろいろなトラブルの事例の中でも、多いのが中途解約をめぐる問題であります。この中小企業庁のパンフレットでも、「途中解約について」「経営がうまくいかないので解約を申し出たら、解約違約金を請求された。」こういう事例がトラブル相談の事例として多いということが紹介をされています。裁判となる場合も少なくありません。

 このほどさいたま地裁は、サークルKサンクスのエリア支部である東埼玉サンクスが元加盟店を相手に行った提訴、中途解約違約金六百二十二万円余を支払えという提訴に、本部側の請求を退ける判決を下しました。本部側は控訴を断念し、この判決が確定をいたしました。

 この判決では、契約してから五年以上も経過をしており、本部はロイヤルティー収入で初期投資は回収している。当該契約では、加盟店の経営の損失が続いても本部は利益を得るものとなっている。赤字経営にもかかわらず、経営の継続、不利益を強制することは公序良俗に反する。営業の自由は、その離脱を含めて、重要な基本的人権であり、中途解約違約金という契約でその権利に制限を加えるには、相当の事由が必要であると本部側の訴えを退けております。

 ですから、本来、経営不振による中途解約には違約金は請求しないと契約書に明記をさせるべきもので、一方、本部都合による中途解約には本部が賠償金を支払うのが筋だと考えます。

 そこでお尋ねしますけれども、中小小売商業振興法の規定に基づく報告徴収において、経営不振、売り上げ不振による中途解約の際の違約金支払い、こういう項目があるかどうかについて、開示事項となっているか、そういう確認というのはしておられますか。

石毛政府参考人 今お尋ねの違約金等についての項目は、開示事項ということで、この法律の対象になっているところでございます。

塩川委員 一般的な違約金、中途解約の違約金というのではなくて、経営不振による、経営不振の場合での中途解約についての解約違約金、これについての有無、ある場合にはきちっとどういう内容かを見て書かれているか、そういうことは報告徴収されておられるんですか。

石毛政府参考人 私どもは今、ただいま行っている調査につきましては、そういう理由についてまで明確にしてはございません。経営不振なのか何なのかということについてまで把握はしていないということであります。

塩川委員 そこがやはり一番問われるところで、実際には、こんな膨大な契約書、やりとりの中で、事前の情報開示などといってもそこまで目が行き届かないという際に、少なくとも、開示項目として、中途の解約についての幾つかのバリエーションに沿った対応がどうなっているのか。特に、やはり経営不振という事情に対して今トラブルになっているのが多いわけですから、そういう点をきちっと確認するというところが必要じゃないですか。それはどうですか。

石毛政府参考人 今後の調査の中で、今御指摘の点も含めまして、当然、経済の実態に合わせて改善すべきところは改善していくつもりでございます。よく検討させていただきます。

塩川委員 中途解約をめぐるトラブルとして、あるファミリーマートの加盟店のお話も紹介したいんです。

 開店から七年後に契約更新、再契約を行って、その一年後に中途解約を求めたところ、解約違約金等多額の請求をされた。この違約金の算定の基準日がスタートの開店日ではなくて契約更新日となっているために、違約金の額が非常に大きくなるといったことなんかもあった。あるいは、什器などリース物件のリース料の残金も全部上乗せをされるといった形で、要するに、本部側に都合のいい契約の内容となっている。こういったことを含めて、契約内容の適正化が求められていると思います。

 ですから、本来、経営不振による中途解約の場合の違約金はやめさせるべきですし、先ほど紹介した判決を重く受けとめた対策をぜひとも検討していただきたいと思っています。

 もう一つ、トラブル事例として紹介し、お聞きしたいのが、コンビニにおける見切り販売の制限問題についてです。

 弁当とか総菜などの売れ残り商品の販売、見切り販売について、本部から、値下げ販売せず廃棄処分しろ、こういった指導が行われる。これが本部側の収益が膨らむというからくりになっているものですから。

 こういったやり方について、公正取引委員会にお聞きしますが、独禁法のフランチャイズガイドラインで、見切り販売の制限は優越的地位の濫用に該当するとしています。しかし、こういう違法な実態が広く存在をし、残念ながら、多くの加盟店の方は、こういうことについても御存じない場合が多い。そういう意味でも、見切り販売はできるんだということをきちっと周知徹底を図っていただきたい。その点をお伺いします。

竹島政府特別補佐人 平成十四年にフランチャイズのガイドラインを改正いたしまして、今御指摘のような点も含めて、ガイドラインで公正取引委員会の考え方を明らかにしております。

 おっしゃるとおり、見切り販売を制限しておいて、それで、あとは、ロスはおまえが持てというようなことでは、独禁法上の問題が生じ得ますよということを申し上げているわけでございまして、これからも中小企業庁とよく連携を図りながら、その点についての説明が不十分であれば我々としてPRにさらに努力したいと思います。

塩川委員 要するに、一般的に、見切り販売はできますよ、それはそのとおりですということでよろしいですか。そのことだけ。

竹島政府特別補佐人 それは、個別の契約をよく見なければいけないわけで、一概に、あらゆる場合にできますと今断言するだけの情報を私は得ておりませんが、さっき申し上げたとおり、正当な理由がないのに見切り販売を制限して売れ残りとして廃棄することを余儀なくさせることを本部がした場合には、独禁法上、優越的地位の濫用に当たる場合がありますよということでございます。

塩川委員 今紹介をしましたようないろいろなトラブル事例について、ぜひきちっとした実態調査を行ってほしいというのが私の思いです。

 平成十四年の十月に経営実態調査が行われて、これは加盟店の方の調査も行っておりますから、それなりに中身としてこういう実態かというのがわかるんですけれども、これから五年もたっておりますから、現時点に立った実態調査というのをぜひお考えいただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

石毛政府参考人 先ほどの法十三条に基づく調査以外に広くどういう実態にあるかを調査すべきであるという御指摘だと思いますけれども、私たちは、そういう御意見をよく勘案して、調査を適切に実施していきたいというふうに思います。

塩川委員 そこで、こういったトラブル事例の解決のためにも、ふさわしいルールの整備が必要だと思っています。

 そういう点で、最低限の措置として、小売商業振興法で報告徴収など情報開示の義務づけなどを求めている業種というのが、小売業と飲食業に限られて、サービス業が対象になっておりません。

 その点について大臣に伺いたいと思うんですが、資料の四枚目に総合規制改革会議の規制改革推進三カ年計画の抜粋を載せておきました。

 その中に、横側に線が引いてあるところですけれども、「サービス業など小売業以外のフランチャイズに関する実態把握と情報開示を含めた制度の在り方の検討」ということで、「近年、フランチャイズ・システムを採用する企業群は、小売業だけでなく、サービス業などの幅広い産業分野に広がっているが、前述の中小小売商業振興法は、中小小売商業の振興を目的とした法律であるため、同法に定める契約締結の際の情報開示、説明義務は、小売業以外の産業分野には適用されない。 したがって、近年、小売業以外のフランチャイズ産業のウェイトが高まっている実態にもかんがみ、フランチャイズ・チェーンシステムの普及促進等による中小企業・ベンチャー企業の健全な発展を図るため、サービス業などの小売業以外のフランチャイズについては、その実態把握を十分に行い、上記の現行法制上のルールに加え、契約締結時の情報開示を含めた制度の在り方について、早急に検討する。」となっています。

 これは五年前です。この検討がどうなったのか、宿題になっているんですけれども、大臣、いかがですか。

甘利国務大臣 委員御指摘の点につきましては、私もこの質問で初めて承知をしたところでありますが、さらに実態把握をしっかりと行って、制度上の対応について関係省庁とも協議しながら検討を行いたいと思います。

塩川委員 その後の規制改革会議の報告書を見ても、検討、検討でずっと来て、今五年もたっているわけです。さらに検討というのではなくて、そろそろきちっとした措置が求められているんじゃないのか。

 今お話ししたように、小売商業振興法に基づく措置といっても、違反はしても契約の効力には影響がないという代物というのは、ザーの側、本部側も紹介しているぐらいの話ですから、実効性としてどうなのかという、不十分なものだと思います。しかし、それはそれとしてあることが、いろいろな手がかりとして、力になる部分がありますから、その点について、同じようにルールの整備を考えた際に、小売とか飲食には適用するんだけれどもサービスには適用しませんよと。これはやはりルールのあり方としてアンバランスだ、バランスを欠いているんじゃありませんか。その点は、そのようにお考えになりませんか。

甘利国務大臣 先生の御指摘はよくわかります。受けとめさせていただいて、検討させていただきたいと思います。

塩川委員 あわせて、公正取引委員会としても、ガイドラインについても、その見直しも含めて、この取引適正化のための強化策、ぜひもう一歩踏み込んでやっていただきたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 具体的な事例もよく検討させていただいた上で、ガイドラインの見直しに対しては弾力的に対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 新規参入を促すことにおいても適正なルールの整備が不可欠でありまして、本部の乱立やトラブルの発生に対応するためにも、私どもは、フランチャイズ事業は登録制にして、行政による監視と指導体制、そういうのを確立、強化することが必要だと。例えば、海外のカリフォルニアの場合におきましては、州法でフランチャイズ投資法という形で登録を義務づけている例があるそうであります。

 ぜひ、こういったフランチャイズ取引の適正化を図る法律の制定を求めると同時に、冒頭言いましたように、既存商店街の振興策と一体に大きく前進させることを求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

上田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、弁理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 弁理士法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 弁理士法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年、企業における知的財産重視の経営戦略が進展し、産業競争力強化の基盤としての知的財産制度の重要性が高まってきている中で、その専門家としての弁理士制度の充実強化を図ることが必要となってきております。

 この観点から、本法律案は、弁理士の資質の維持及び向上並びにその責任の明確化を図るとともに、知的財産に関する多様な需要にその専門職として弁理士が適確に対応するための所要の改正を行うものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、弁理士の資質の維持及び向上を図るため、弁理士試験に合格した者等に対する実務修習制度の導入及び弁理士に対する研修の定期的受講を義務化するとともに、多様な人材を確保するため、弁理士試験の一部免除制度の拡充を行います。

 第二に、業務独占資格である弁理士の責任を明確にするため、懲戒の種類の新設等を行うとともに、弁理士の名義貸しを禁止いたします。

 第三に、弁理士が有する専門的知見に対する利用者の多様な需要に対応するため、弁理士の業務範囲の拡大及び特許業務法人制度の活用に向けた指定社員制度の導入を行うとともに、弁理士に関する情報を公表するための措置を講ずることとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る八日金曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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