衆議院

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第16号 平成19年6月8日(金曜日)

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平成十九年六月八日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    平  将明君

      武田 良太君    谷川 弥一君

      土井 真樹君    丹羽 秀樹君

      野田  毅君    橋本  岳君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      増原 義剛君    御法川信英君

      武藤 容治君    森  英介君

      山本 明彦君    吉川 貴盛君

      大畠 章宏君    太田 和美君

      川端 達夫君    北神 圭朗君

      小宮山洋子君    三谷 光男君

      柚木 道義君    横山 北斗君

      高木美智代君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   経済産業副大臣      渡辺 博道君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府参考人

   (内閣官房知的財産戦略推進事務局次長)      藤田 昌宏君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          菊池 洋一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           辰野 裕一君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 吉田 大輔君

   政府参考人

   (特許庁長官)      中嶋  誠君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    村田 光司君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松井 哲夫君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     御法川信英君

  鷲尾英一郎君     横山 北斗君

同日

 辞任         補欠選任

  御法川信英君     小此木八郎君

  横山 北斗君     鷲尾英一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、弁理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房知的財産戦略推進事務局次長藤田昌宏君、法務省大臣官房司法法制部長菊池洋一君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、文部科学省大臣官房審議官辰野裕一君、文化庁長官官房審議官吉田大輔君、特許庁長官中嶋誠君、特許庁総務部長村田光司君及び中小企業庁経営支援部長松井哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤ゆかり君。

佐藤(ゆ)委員 おはようございます。自由民主党の佐藤ゆかりでございます。

 本日は、弁理士法の一部を改正する法律案につきまして、二十分間お時間をちょうだいしております。質問させていただきたいと思います。

 弁理士法につきましては、平成十二年に全面改正をいたしまして、五年後の見直し条項というのがありまして、今回見直しに至っていると理解をいたしております。この十二年の全面改正以降、弁理士の数をふやすという意味では、着実にふえてまいりました。弁理士の数、平成十二年時点で四千五百人程度いたわけでありますが、平成十八年時点では七千人強までアップしているということで、数という意味では少し実績が出てきたということであります。

 今回の五年後の見直しの改正案では、やはりポイントとなりますのは、この五年間でかなり産業界での競争構造も変わってきた、あるいはグローバル競争も出てきたということで、なお一層、知的財産権の戦略的な取得や活用において、弁理士の方々の資質を向上しながら同時に数もふやすという、ある意味、二兎を追うような目的でもありますけれども、この二つを目指すということで法改正をしていると認識をいたしております。

 そこで、まず、弁理士の方々の資質の向上あるいは数の増加でございますけれども、そもそも弁理士の方々になり得る潜在的な人材が日本の中で今どういう状況かということで、大学教育を見てみますと、最近やや気になる現象がございます。特に、最近は中学でも理科教育におきまして学力低下問題などが指摘されているとおりでありますが、弁理士の方々も、やはり技術をきちっと評価して、それを表に出して売る、売り出せるような立場の方々であるわけですけれども、そういう意味では、大学での工学部の教育、卒業者がどれだけあるかということが一つのポイントになると思います。

 そこで、許可をいただきまして、きょうは、配付資料を用意させていただいております。大学及び大学院の工学部卒業者の一覧表をごらんいただきたいと思います。

 上から三つ目の欄で「(うち工学系)」というところがあります。左側の三つのコラムが大学卒業者ですが、実数で見ますと、平成七年から平成十七年に向けまして若干ふえている。十二年から比べますと工学系の卒業者は減っているわけでありますが、大学の全卒業者数に対する割合で見ますと着実に低下傾向にあるということで、平成七年には一九・五%であったものが、平成十七年には、工学系履修者の卒業者数割合が一七・八%まで減少している。

 同時に、修士課程の大学院の卒業者で工学系に着目いたしますと、同じように比率が低下をしておりまして、平成七年の四八・五%から十七年には四二・二%まで、実数は上がりつつも、割合としてはやはり低下しているということが見られるわけでございます。

 知財立国化という政策が産業政策でもうたわれているとおりでありますが、技術評価をするための人材育成策というのをどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 知財立国を進めていくためにマンパワーの充実をしていかなければならない。質を高めて、量をしっかり確保するということであります。

 今回、弁理士になろうとする人に対して、約三カ月間程度の期間で六十時間から七十時間程度の実務実習を導入するということを考えているわけであります。弁理士に必要な技術的能力、それから実践的な業務遂行能力を修得させるということにしているわけであります。

 ここで留意しなければならないのは、質を高めるということと、そのことが大きな参入障壁になってしまってはいけないということでありますから、マンパワーを確保していく、なおかつその質も高めていく、これが両立するようにやっていかなければならないというふうに思っております。どのくらい時間をかけて質を高めていけばいいんだ。それは、かければかけるほど質は高まるのでありましょうが、それによって弁理士自身へ参入することが難しくなる、参入障壁になってしまってはいけないということであります。

 今回新たに導入をします登録前の実務修習については、申し上げましたように、実質的な参入障壁とせずに、弁理士になろうとする者に対して過度に負担にならないものとする。ですから、質も確保しつつ量もきちんと確保できるような、この最大公約数を求めて実施をしていくということでございます。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 昨日の質問取りのときに、文科省の方に最初、技術評価の人材育成策ということをお伺いしていて、きょうは御出席いただいて……。

 そうですか。甘利大臣には二番目の質問で、今の点につきましてさらに詳しくお伺いさせていただきたいと思いますので、後ほどよろしくお願い申し上げます。

辰野政府参考人 ただいま先生から御指摘ございましたように、近年の大学工学部の卒業者数は若干減少傾向にあるということは事実でございます。しかし一方で、工学部卒業後、大学院に進学してより高度な工学系の知識を身につけるという者は増加傾向にあるということでございます。

 しかしながら、このような状況を踏まえまして、各大学におきましては、工学部の魅力を高め、新しい時代のニーズに対応するために、例えば情報工学部、システム工学部等、学部の再編やカリキュラム内容の充実に積極的に取り組んでいるところでございます。

 私どもといたしましても、このような取り組みに対して、例えば現代的教育ニーズの取り組み支援プログラムというプログラムを起こしまして、特色ある取り組みに対する支援を行う。例えば、静岡大学を中心に、小中高等学校を通じたものづくり人材の育成というプログラムを出しておりますけれども、これらを採択しているということ。それから、平成十九年度からは、ものづくり技術者育成支援事業というものを新たに計上いたしまして、工学系人材の育成というものを支援しているところでございます。

 また、いわゆる知財関係に関しましては、工学部を初めといたしまして、法科大学院などの専門職大学院における知的財産に関する教育というものの充実を図っておりまして、これらにおきましては、技術開発と工業所有権、知的財産権法などの授業科目が開設される。これらの実態を調べてみますと、知財関連の授業科目が、平成十七年度には二百八十大学五百十一学部において実施されております。平成十三年度が百八十三大学二百六十二学部ということでございますので、飛躍的な拡大をしているわけでございます。

 これらの取り組みを進めることによりまして、先生御指摘のように、知財立国を支える創造性豊かな人材の育成というものに取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 今御指摘にありましたように、大学教育の事前の段階で、小中学校からものづくりに対する興味を啓発するような教育体系の整備についてもぜひとも御尽力をお願いしたいと思います。

 そこで、先ほど甘利大臣から御答弁いただきました実務修習について、今回法改正に入ります名義貸し禁止の規定との絡みで、もう一度御質問させていただきたいと思います。

 今回、名義貸しの禁止が明確化されるということでありますけれども、それによりまして、企業の発明のときのインタビューあるいは特許庁の審査官との面接等で、弁理士の方そのものがそこに同伴しなければならないということになると思います。その一方で、弁理士のいろいろな方々からお話を伺ってみますと、実は、弁理士試験に合格をして本当に明細書が書けるようになるまでに、実務経験が大体二、三年は必要であるというような御意見も伺うわけであります。

 そうしますと、今のこの実務修習では、いわゆる工業所有権に関します四法、特許法、実用新案法、意匠法、商標法のすべてを六、七十時間で実務修習という形で網羅するということが考えられているようでありますけれども、実際の訓練期間が二、三年程度必要であるという現場の声に照らしますと、時間が十分であるかどうかということが一つ懸念されるわけであります。

 仮に、六十時間程度の実務修習で、弁理士として合格をされて、名義貸し禁止というようなこともありまして、いきなり弁理士として同伴の責任を負わされるということになりますと、逆に現場が混乱する、そういうこともおそれとしてあるような気がいたします。

 そこで、実際に今回の法改正を、運用の段階に当たりまして、例えば、仮に少し弾力的な運用ということで、筆記試験の合格の後に一段階、弁理士補というような立場を設けまして、それからその間に明細書の実習を一年ぐらいかけてゆっくりと行って、その上で明細書試験を受けて、そこで弁理士として合格をしたならばフルの弁理士として御活躍いただくような弾力運用というのは考え得るかと思いますが、このあたり、いかがお考えでございますでしょうか。

甘利国務大臣 現状は、弁理士が一人のところで例えば年間四百案件を処理、これは本当にその弁理士さんが全部自分でできるのかしら、恐らく事務職員がいろいろ打ち合わせに行くわけですね。それが単なる事務打ち合わせならいわゆる名義貸しとはならないと思うんですが、具体的な中身を弁理士さんにかわって行うような、中身まですり合わせしてきて、実は弁理士は中身については任せ切りでほとんどわかっていなかったというようなことでは、これは実質上資格のない者がその作業をやっているということになってしまうんだと思うんです。

 そういうところから、名義貸しというのは、本当の純粋な名義貸しと、名義貸しではないかという疑いの濃厚なところまできちんとカバーしなきゃならないということで、弁理士が、そういう内容の詰めについてはちゃんと資格を持った者がやるということにする。そのために、資格を取って登録をして一人前の弁理士として活動する前に研修をしていくということなんであります。

 実は、実務で飛び回っている経験の深い未資格者の方が新人の弁理士より詳しいかもわかりません、そういう場合があるかもしれません。だから、そういう人はどんどん弁理士資格に挑戦してもらって、資格を取ってもらえばいいと思うんですね、そんなに詳しい事務方は。

 先ほどもちょっと触れましたけれども、長時間になればなるほど確かに質は上がっていくのでありますが、これが新たな参入障壁になってしまうと、それがためになかなか新規の弁理士がふえていかない。

 そうすると、知財戦略を国の成長の源にしていくためには相当なマンパワーが必要でありますから、これから知財の創造、保護、活用のサイクルをもっと強力に回していくということになりますと各方面でのマンパワーの充実が必要でありますから、それについていけないということになりますので、質を高めつつ数もふやしていくという、本来、二律背反になりかねないことに挑戦しているわけであります。

 そこのうまい兼ね合いとしてこのぐらいの研修時間が妥当ではないかなということで考えたわけでございまして、ぜひ今回の改正が実効性が上がるように努力をしていきたいというふうに思っております。

佐藤(ゆ)委員 大臣がおっしゃられましたように、ぜひ実効性のあるように、よろしくお願いしたいと思います。

 時間が限られまして、次のテーマ、国際競争力向上の観点から、海外出願の件にお話を移らせていただきたいと思います。二点ございます。

 一つは、中小企業も今やグローバル競争にさらされている時代にございまして、中小企業の方々にもぜひとも発明をしていただいて、それを積極的に海外でも出願をしていただきたいと思うわけでございます。昨今、アジアなどでの模倣品の問題ですとかいろいろなものが問題視されている中で、海外出願をきちっと行っていくことも大変重要なグローバル戦略の一つではないかと思います。

 そこで、中小企業あるいは地域の活性化ということで、地域ブランドの育成というような観点で、今回、発明の海外出願でどういう支援策があるかというふうに見てみますと、例えば大学発の発明の場合には、文科省の系統の支援が出願品に対して一定の補助があると聞いております。

 一方で、中小企業の発明につきましては、平成十六年前後からですか導入された、海外出願に対する補助が枠としてあると伺っておりますけれども、ただ、こちらの方は中小企業が余り活用していないという実態もあるようでございます。このあたり、さらに活用を振興するためにどのようにしたらよろしいのかということ。

 それからもう一つ、最後にお伺いいたしたいのは、海外の出願支援業務ですけれども、今回、弁理士の標榜業務として法改正で入れる方向になっております。この流れをより確実にしていくために、弁理士の資質の向上という観点からも、条約を、論文試験に以前あったものを復活させて、そしてさらに国際工業所有権に関する法務などを科目に入れて、弁理士の方々のいわゆる海外出願に対する体制強化を図るというようなことはいかがなものか、あわせて御答弁いただければと思います。

甘利国務大臣 まず、前段の御質問であります。

 中小企業に対しては、経済産業省では、従来から、研究開発型の中小企業に対する特許料金の軽減、審査請求料金、これを半額にしているわけであります。それから、先行技術調査に要する費用の補助をしているわけであります。

 外国出願する場合の費用に対する資金的な援助については、新規性の高い技術の事業化等にあわせて国際出願をする場合の助成制度というのがあるわけであります。

 これを一層活用してもらいたいということで、全中小企業出願人それから全弁理士に対して直接パンフレットを配布するなどによりまして、きめ細かい対応を講じていくということでございます。

 それから、後段の御質問、論文試験に条約とか海外の工業所有権制度に関する科目を入れるという話であります。

 御案内のとおり、平成十二年に弁理士法の全面改正をしたわけであります。条約に関する知識は短答式試験で考慮するということで、論文試験の対象外とする改正を行ったところであります。今回はそれをもとどおりに復活させよというお話だと思いますし、弁理士会からも同様な御要請はいただいてきたところであります。

 近年の弁理士試験を見ますと、この項目、つまり条約に関する問題の正答率が、低下していれば問題だと思いますけれども、実は他の出題分野と比較して低下しているとは言えない。つまり、短答式で対応して、そこの部分の質は下がっていないということであります。でありますから、産構審の弁理士制度小委員会でもこの点は御審議をいただいたわけでありますが、論文式試験に単独で条約を復活させる必要はないという結論に至ったわけであります。

 他方で、海外において知財権の取得、活用が重要となってきている中で、弁理士の国際的資質の一層の向上が求められているということも事実であります。このために、今回新たに導入する登録前実務修習それから定期的な研修の受講科目に、条約や海外の工業所有権制度に関する科目も取り入れるという方向で検討を進めているところであります。試験科目は、対応は従来のとおりでありますが、研修にその項目をしっかり入れるということで、その部分の質が低下しないように、資質向上にしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 知財の世界はやはり変化が激しい世界でもございますので、ぜひともこの法改正によって、また弾力的な運用の方も御尽力をお願いしたいと思います。

 これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

上田委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 弁理士法の改正に関する法律案につきまして、二十分間でございます、端的に御質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、今のやりとりにもちょっと重なるところでございますけれども、改めて言うまでもなく、経済のグローバル化の進展に伴いまして、特許においても、自国に加え外国にも出願するケースが増加しているわけでございますが、こうした状況の中で、企業にとって複数の特許庁に対して出願し、審査を受けなければいけないという手続面また金銭面での負担、また、国によって制度や運用の差異による不利益が存在するということもよく聞くことでございます。

 こういったことを解消するために、今回の法改正が国会に提出された。まさに、今大臣の御答弁にもございましたが、質、量ともに充実させるというのは非常に相反することでもあるわけでございますけれども、こういったことに取り組んでいくという、この法改正提出が政府を挙げての積極的な取り組みそのものだというふうに思っております。

 そういった法改正とともに、私はやはり、ほかの、イギリスですとかドイツですとか、いわゆる知財の先進国と言われるような諸国ですと、国を挙げて支えていく、それは予算面に対してもしっかりと獲得する、こういったことが本当の意味での、先ほど大臣の御答弁の中にも何回も出てきました、知財戦略を前に進めるということにつながるのではないかというふうに思いますし、弁理士会の皆さんからもそういった要望、それは、個人のじゃなくて、国としての国益にかなうという意味での要請が届いているというふうに思っております。

 そのことも踏まえまして、大臣のこれからの取り組みについての御決意と御所見を賜れればと思います。

甘利国務大臣 市場は日本だけじゃないわけですね。日本の市場は人口減少の中でいわば狭くなってくるわけでありますから、世界に向けて特許を活用していかなければならないわけであります。

 ただし、特許というのは、販売する市場ごとにちゃんと権利確保をしていかないといけない。そうすると、市場ごとに特許を申請して費用を払って権利を獲得するという作業をやっていったら膨大な手続と費用になります。でありますから、それを一つの手続で世界じゅうの市場に通用するようにするというのが我々の目指しているところであります。これが、いわゆる世界特許の実現ということになるわけであります。これに向けて、いろいろハードルがあるわけですね。

 まず、アメリカは、先発明主義ですから、これを世界の常識の先願主義にしていかなきゃならない、これは大市場でありますから。それで、基本的な素地をつくって、今度、申請するフォーマットを統一するということ。それから、審査結果をそれぞれが活用する。つまり、日本で取れた特許に関して、アメリカで申請した場合、日本の審査結果というのを活用してもらう。それによって時間と経費を軽減させていく。それから、お互いの特許はお互いが相互承認していく。その先に世界特許という最終目標があるわけであります。

 日本といたしましては、審査結果を活用して早期に審査を受けられるようにということで特許審査ハイウエーというのを標榜しておりますけれども、これを米国それから韓国との間で既に協議を開始しました。それから、英国とも七月から開始するということで合意しているところであります。

 それから、進出先の国でも同じルールで特許保護が得られるように、現在、先進国間で特許法の国際調和のための条約草案の早期合意に向けた交渉を行っているところであります。

 また、今開催をされておりますG8サミット、あるいは今週開催をされた日欧サミット等においても、首脳間でこうしたことについて認識を共有するということがなされているところでございまして、今後とも、特許審査ハイウエー等の各国間の審査協力の拡大であるとか特許法の国際調和の早期実現に向けて一層努力をしていく所存であります。

赤羽委員 今の大臣の御答弁にもありました世界特許の実現というのは、これが大変大事な視点だというふうに思いますし、ぜひ、国際協議の中で、特許審査ハイウエーというようなものをしっかりと日本のイニシアチブでというか、甘利大臣のイニシアチブで進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 今ちょっと、私、それも踏まえて、質、量ともに充実させる、実務修習をやるということはもう法改正に盛り込まれているわけでありますけれども、これだけではなくて、法改正が成った、そうすると来年度以降の予算要求もある、そういったことについて、国を挙げて、これは弁理士会の皆さんたちの予算だというとらまえ方じゃなくて、国家戦略の中の位置づけとして、予算編成についても必要があるところはしっかりと充実させていくという、この点についての御見解をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 予算編成に当たっては、量的拡大、国家予算全体の拡大というのは財政再建上難しいわけでありますから、予算の質を高めていく、つまり、めり張りをつけるということですね。時代的な要請が終わっているものはフェードアウトしていく、これから次代を担っていくのはフェードインしてきて拡大していく、その配分の強弱というのは積極的に取り組んでいくべきものだと思います。知財戦略は重要な国家戦略の一つとして日本の発展を支えていくというものでありますから、そこにはしっかりと重点配分をしていくことが基本だというふうに思っております。

 そうした考え方に従って、予算の獲得にも努力をしていきたいというふうに思っております。

赤羽委員 ぜひ、与党公明党としてもしっかりとサポートしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、先ほども質問が出ておりましたが、中小企業における知財活動の支援ということについて言及したいと思います。

 我が国の経済成長において、地域の活性化また中小企業のレベルアップというのは大変大きな課題でありまして、中小企業における知財の創造、保護、活用を促すことは極めて重要だというふうに考えておるわけでございます。

 私の地元の中小企業でも、大変開発能力のあるところ、よく訪問しますと、大変使い勝手が難しいというか、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、限られたところの開発なので、そこに特許申請をしたとしても、周辺の特許を大企業に押さえられて、結局、大変出願がしにくい。せっかくの技術が、なかなかこの特許制度を利用することができないというような実態もあるということが一つ。また、人材の問題もあって、特許出願についてのいろいろなサポートがなかなか受けられないといったような実情もございます。

 また、先ほどの大臣の御答弁にもありましたが、海外向けの特許出願に関して、私の認識では、大学等の研究機関がやる場合は減免措置があるということですけれども、中小企業の場合は私は余りないというふうに聞いていたんですが、たとえあったとしても、それは非常に使い勝手が悪いというか非常に制約されている。こういったものでございまして、例えば、アメリカでは、従業員五百名以下の中小企業ですとか個人ですとか研究機関の特許申請に関しましては、自分たちが宣言するだけで手続が半額になるといった政策もあるようでございます。

 私は、そういったこともちょっと踏まえて、やはり利用者が使いやすい、結局は、特許が申請され、先ほど言われました知財戦略の一翼を担っていただくということが大事だと思うんですね。ですから、使い勝手のよい制度を、もう少し現場の声を聞いていただいて、せっかくの減免措置があるんでしたら、そういったことについても少し工夫をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、その点についての御所見を。

甘利国務大臣 詳細は長官から答えさせますけれども、確かにアメリカの方が使い勝手がいい、中小企業というだけでほぼ利用できるようになっている。日本はいろいろ面倒くさくてなかなか寄りつきづらいという御指摘もいただいていることを承知しております。現場の声をできるだけしっかり聞いて使い勝手のいいようにしていきたいというふうに思っております。

 詳細は長官から答えさせます。

中嶋政府参考人 若干補足をさせていただきます。

 まず、中小企業向けの減免措置につきましては、手続面での負担をできるだけ簡素化するということで、昨年も見直したわけでございますけれども、実際の利用の件数の実績も上がってきておりますけれども、今後も、よく御利用される方の声を聞いて、少しでも使い勝手のいいようにさらに工夫をしていきたいと思います。それから、もちろん中小企業に対しては、そういった減免措置だけではなくて、早期審査制度とかあるいは先行技術のサーチについて国の予算で費用を補助するとかいうこともございます。

 それから、特に中小企業の方の場合ですと、特許を出願するのか、あるいは、場合によったらノウハウで保護しておいた方がいいんではないかといったような、そもそも、知財戦略といいますか、それについて相談相手が欲しいということもございます。そういった点は、中小企業の知財戦略づくりも含めて、全国で年間四千回以上の無料相談会も行っておりまして、できるだけきめ細かな御相談ができるようにというふうに思っております。

 それから、委員も御案内のとおり、昨年から、全国二千五百カ所で、いわゆる知財の駆け込み寺というところも設けまして、まずそこに行って、そこからさらに知財の専門家を御紹介させていただいて支援をさせていただくとか、あるいは、経済産業局単位でも地域の知財戦略本部も設けましてそういった活動も充実するとか、全国津々浦々の中小企業の方にも知財制度を有効に御利用いただけるように一層心がけていきたいと思っております。

赤羽委員 あと、本当は、時間があれば、特許審査の迅速化ということについても少し言及をしたかったわけでございます。

 これは、二〇〇一年の十月以降、改正がされまして、出願後審査請求を行うまでの期間、七年から三年間に短縮をされた。そのことによりまして、二〇〇四年以降、審査請求件数も大変増大をして、現在、審査順番待ち時間、相変わらず二十八カ月台だということを聞いております。まさに、このところ、大変な御努力もしていただいているという認識でありますけれども、いいことだと思いますが、イノベーションが絶え間なく生まれていることによってこういった現状がある。

 しかし、ここを何とか、やはり大きなハードルを乗り越えていただかなければいけないと思いますが、特許審査の迅速化について、政府としてどのような取り組みを進めていくのか、簡単に御答弁いただけますか。

中嶋政府参考人 端的に申しますと、今委員が御指摘になった審査請求の一時的な津波は、もう毎年のフローではピークアウトしております。ただ、ストックがまだ積み上がっておりますので、これが来年ぐらいにはピークアウトすると思いますけれども、今が一番の正念場でございます。

 それを乗り切るために、任期つき審査官の増員、既に四百人採用しましたけれども、五年間で五百人を確保する。あるいは先行技術のサーチ、民でできるものは民という形でアウトソースをふやすとか、あるいは、先ほど大臣から御答弁したように、外国の特許庁とも協力をするといったようなこと。それからさらに、産業界に対しましても、いわゆる出願件数を競うということよりも中身を、選択と集中で、あらかじめ十分サーチをしていただくとか、むしろ国際出願をふやすとかいうことも含めて、産業界とも協力しながら、少しでも早く長期的な目標である二〇一三年の十一カ月に短縮できるように努めていきたいと思っております。

赤羽委員 それでは最後に、国際化に対応した弁理士の育成についての質問に移らせていただきたいと思います。

 こういった国際化に対応した弁理士を育成しなければいけないということの中から、弁理士会の皆様から、いわゆる論文式試験の条約科目の復活といった声が出ているものだ、私はそう理解をしております。先ほど、大臣の御答弁で、以前、法改正して、論文式の中の必須科目ではなくなった、これは短答式で対応している、その質の低下は認められないという審議会の報告があり、今回も復活を見送ったということであります。それはそれで一つのプロセスだと思いますが。

 要するに、大事なことは、結論として、国際化になっていく、知財戦略を担っていける弁理士が、そういう国際化の力がどれだけあるかということが最終的に大事だと思うんです。試験科目を復活することが大事なのかどうなのかということじゃなくて、プロセスというより結果が大事だというふうに思っておりますので、ぜひ、今回の法改正の結果どうだったのか、現実はどうなのかということは非常に大事なことなので、しっかりと、また復活させることも否定せずに、念頭に入れながら、ちゃんとフォローをしていただきたいということが一つ。

 もう一つは、どうも、特許庁の方と話をしていますと、特許庁というのは国内の特許申請についての役所であります。うがった見方をすると、海外の出願については、ややもすると、それぞれの国の特許庁の仕事だというような嫌いがあるんじゃないか。ですから、どうしても、国内の出願について責任を持った話ということの中でこういったことの復活も見送られたのではないかというような誤解も生むような余地があると思うんです。

 そういうことではないというふうに思っていらっしゃると思いますし、私は、甘利大臣、この点について見識も大変深いものだというふうに理解もしておりますので、ぜひ甘利大臣のときに、知財戦略というのは、これからのアジアへのますますの経済交流拡大の中で本当に大事なことだというふうに思います。

 私は、そういった意味で、弁理士という仕事がもう少しプレーアップしなければ国益にもかなわないというふうに思っておりますので、その点も含めて、国際化に対応した弁理士、国際経済社会に通用する弁理士の育成、取り組み方の御決意を最後にお聞きして、質問を終わらせていただきたいと思います。

高木大臣政務官 今、赤羽委員よりお話ありました復活の件だけ、一点補わせていただきたいと思います。

 先ほど大臣の御答弁にもございましたとおり、そうした試験の出題方針につきましては、平成十二年に工業所有権審議会弁理士試験制度部会が取りまとめた新たな弁理士試験の具体的実施方針において示されているとおりでございます。

 しかしながら、この実施方針は受験生に必ずしも広く知られていないという御指摘もございます。受験勉強の中に位置づけて取り組むべきではないかという御指摘もあることから、条約につきましての知識や解釈力への配慮が重要であることでございます、このことを省令におきまして規定することで明確化を図ることを今予定させていただいております。

甘利国務大臣 前段の質問、今高木政務官からも答弁をさせていただきました。

 確かに、おっしゃるように、国際展開を強力にしていかなきゃならないという潮目の変更があります。それに弁理士が対応し切れるか。だから、むしろ条約とか外国法令について今まで以上にそのニーズが高まっているのではないか。その御指摘はそのとおりだと思います。

 そこで、研修項目や定期研修の中にそういうところをしっかり入れていこうと。それをしっかり検証していこうと思います。そこの資質が落ちてくるようであるならば、当然対処を考えなきゃいけないと思っております。

 それから、日本の特許庁も、国内のことだけを視野に置いていないで国際的展開を視野に置けと。それは全くおっしゃるとおりでありまして、もともと、知財戦略の提案というのは、私が党にいたころ、チームでまとめて、小泉内閣ができたときに、どうしてもこれをやってほしいということで提言をしたことがスタートになっているように思うのでありますが、それだけ思い入れがちょっと強いのでありますし、当時から公明党さんと連携をとりながら組み立ててきたという思いもあります。

 この点に関しては、与党だけじゃなくて、民主党や他党を含めて、国が一丸となって、各党一丸となって取り組んでいただいているという地合いがちゃんとできておりますから、そこで、国際展開をしていくに当たって、日本の特許庁がそのリーダシップをとっていけるように、いろいろな仕掛けと展開をしていきたいと思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございました。終わります。

上田委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 弁理士法の一部を改正する法律案でありますが、今回の法改正に当たりまして質問をさせていただきます。

 まず最初に、私たち民主党として、二〇〇〇年九月にこのような「はばたけ 知的冒険者たち 知的財産権についての二十一世紀戦略」というものを発表させていただきました。

 ちょうど、二〇〇〇年九月というのは、甘利大臣から今お話がありましたように、これからの知的財産権の戦略をどうするかという、政府の方も検討されている当時でありまして、甘利大臣が以前、自民党の知財の中心人物として、官邸に乗り込んで、日本としての国家戦略をつくるべきだということで、たしか知財の戦略本部というものを立ち上げて活動されたということを私たちも承知しております。

 当時、私どもも、この知財というのはこれからの日本が生きていく上での大変大事な基盤であるという認識で、特に、アメリカが非常に知財戦略をもって日本に反撃をし始めたのが一九八〇年代でありまして、その当時、五月雨的に安い製品をアメリカに輸出して日米の通商問題にもなったところでありますけれども、そこで、甘利大臣御存じのとおり、一九八〇年にはバイ・ドール法というので、大学の研究を知財にしようという法律ですとか、一九八五年には有名なヤング・リポートというものが発表されまして、国家戦略を定めていったわけであります。

 そういうものを受けて、私たち民主党も、「知的財産権を制する者は世界を制す」という基本に立って、幾つかの提言をさせていただきました。

 まず一つは、「知的財産権を憲法に規定せよ。」こういうふうな提案が一番最初でありまして、アメリカの憲法一条八項八号において、「議会は、著作者および発明者に対して、一定期間それぞれの著述及び発明について排他的権利を保障することにより、科学及び有用な技術の進歩の促進を図る権限を有する。」ということを米国憲法の第一条八項八号に定めるほど、アメリカとしてはこの知的財産権というものを認識してきたわけであります。

 私たちも、そういう意味で、今憲法改正の論議もされているところでありますが、こういう問題も大事でありますから、ぜひ日本としてもそのようなことを認識すべきだということを第一番目に指摘し、それから、知財の基本法というものを制定すべきだということもこの当時提言をさせていただきました。これも甘利先生を中心として具体的に行動をし始めたところでありますし、知財の専門裁判所を設置すべきだ、こういうことも提言しましたが、これも今政府の方で行ったところであります。

 日本としてはこういう基盤のもとに行動し始めていますが、まだ十分な体制には至っていないという状況でございますが、今回の法律改正については弁理士の資質向上、責任の明確化を行うという目的でやるわけでありますから、私自身も、基本的にこの改正は適正であるという認識のもとに、何点か質問をさせていただきます。

 一つは、先ほど佐藤委員からも御指摘がございましたけれども、資質向上を目指すとハードルが高くなって参入障壁になってしまうんじゃないかという大臣からの御答弁もございましたが、基本的に、ふえればいいということではなく、かといって参入障壁になっても困るんですが、基本的な条件だけは備えた弁理士の誕生というのが重要なんです。かつて文部省の方も円周率を三にしちゃったことがありますが、こんな形で弁理士をつくったら、これは大変なんです。

 したがって、諸外国はどういう形でやっているかというんですが、お手元に一枚の紙を配付させていただきました。ございますでしょうか。

 これは、イギリスとドイツの弁理士の試験制度の内容でございます。特にドイツは受験資格というものを非常に厳しくしておりまして、そういう意味では、甘利大臣の御認識からすると、これはちょっとハードルが高過ぎるんじゃないかと思われるかもしれませんが、理系大学卒業の学生には、弁理士のもとでオン・ザ・ジョブ・トレーニングの実習、裁判所での実習、地裁が二カ月、特許裁判所で六カ月、特許庁で二カ月という実習がノルマとしてかけられています。二十六カ月の実習等々を経て初めて受験資格を得る、こういうことになっています。

 日本の場合はどうかというと、こういうふうなことはないんですが、今、大体三回ぐらい試験を受けないと通らないということで、受験生の方も何人か、私、知人の息子さんで一生懸命頑張っている人がいるんですが、大変なんですね。弁理士の試験に合格するために予備校みたいなところに通って一生懸命頑張っていますが、例えばこういう制度を導入すれば、明るくとは言わないけれども、実務を経験しながら弁理士を目指すことができるということで、これも一つの、どっちみち三年ぐらいかかるんだったら、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで弁理士の事務所で働いたり、裁判所でこういうことをやらせるのも私は一考に値するんじゃないかと考えております。

 ドイツの例でございますけれども、このような実例について現在どのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

渡辺(博)副大臣 お答えいたします。

 大畠委員、知財に大変御熱心に、そして深く造詣があるということを認識しております。

 このドイツやイギリスの例、今手元で見させていただきましたけれども、ドイツにおいては、これは受験資格でございますね。そしてまた、イギリスの場合は登録資格ということで、国によってそれぞれの要件にさまざまな差があるということはまず前提にあるわけでありますけれども、いずれにしましても、実務能力、そしてまた資質向上というものを考えていきますと、大変重要な御指摘だというふうに思っております。

 現在、我が国の改正法案は、まさに弁理士登録前の実務修習制度というものを新たに導入したわけであります。かつてはこういった制度がありませんでした。したがって、登録時における実務能力を担保するということが大前提であります。また、既に弁理士になった方に対しても、その資質向上を図るために定期的に研修を受講することとなっております。こういう実務修習、そしてまた定期研修、こういったものを通じて、しっかりと能力をアップしていただきたいというふうに思っております。

 実際の制度設計につきましては、これから、例えば、実際の実務としては明細書の作成といった実務、それから弁理士倫理等について、先ほども大臣から答弁ありましたけれども、三カ月程度、時間として六十時間から七十時間の研修をスクーリングまたEラーニングによって、こういったものを実施していきたいというふうに考えておるわけであります。

 したがいまして、この問題につきましては、今後さらに内容を検討してまいりたいというふうに思っております。

大畠委員 三カ月程度、登録前にこのような研修といいますか、実務の研修制度を設けるということで、これは一歩前進なんですが、三カ月というとすぐですからね。ことしになってからもう六月ですから、あっという間に半年たってしまうので、三カ月というのは、私は、まあ、やらないよりはましなんですが、蚊がちょんちょんちょんと皮膚を突っついたような感じで終わっちゃうんじゃないか。

 だから、もしも本当に、資質の向上という意味では、今弁理士も、平成八年三千九百十六人から平成十八年七千人と倍ぐらいになったんですが、非常にこれはいいことなんですが、やはりきちっとしたことにしないと、一万人になったときに、人数が多くなれば質のいろいろな方が出るのは仕方ないかもしれませんが、やはりこれから知財立国を目指そうということであれば、弁理士という資格を持つ方はこういう方であるという、非常に社会的にも認識を新たにするような形の地位の中身を充実させていかなきゃなりませんので、私はドイツまでとは言いません、ドイツは非常に、実習二十六カ月、約二年ぐらいは実習しなさいということを試験を受ける前に規定しているわけです。どうせならば、私は、こういうことも必要なんじゃないかという感じがするんです。

 特に、最近の学生さんは実務が、実社会の経験というのが非常に少ないんですね。自分のうちでも、ふろをたいたり水くみしたりとか、昔の体験はほとんどなくて、社会体験も少ないわけですから、ぜひここら辺については、さらに今回のものをベースにより充実した内容になるように御検討をお願いしたいと考えます。

 それから、登録後の研修でございますけれども、今伺いますと、五年に一回ぐらい定期的研修受講の義務化というお話を聞いているわけでありますが、ここのところも、法律改正とかなんかが非常に頻繁に行われ始めていますし、世界の特許情勢も変わっていますから、大切なことだと思っております。

 この定期的研修受講の義務化ということでありますが、これは、どういう背景でどういう内容でやろうとしているのか、基本的な御認識をお伺いしたいと思います。

渡辺(博)副大臣 この背景は、先生御指摘のとおり、弁理士の資質の向上を常に図っていかなければならないし、時代とともに内容がかなり変化することもあります。

 したがいまして、弁理士の定期的研修というものは、日本弁理士会が実施主体となりまして、最新の知的財産制度の改正状況や技術動向等について、例えば五年間で七十時間程度の研修をスクーリングやEラーニングで実施することを想定しております。

大畠委員 そうなりますと、実務研修制度で登録前のものですとか、あるいは登録後の定期的研修というのは非常に大事な位置づけになりますね。

 そこで、今御答弁の中にもありましたように、弁理士会という話が出てまいりました。この実施主体というのは弁理士会ということになるんでしょうか。

渡辺(博)副大臣 今答弁したとおり、実施主体は弁理士会ということを想定しております。

大畠委員 そうなりますと、法律で義務づけするわけですから、いろいろお伺いしますと、この研修の導入時、準備にいろいろなものがかかると思うんです。公的な支援というのはなんでありますけれども、何らかの形で、初動のところはやはり法律で義務づけするわけですから、さあやれよというだけではなく、国が枠組みする。ですから、それなりの支援体制も必要だと思うんですが、この件についてはいかがでしょうか。

渡辺(博)副大臣 委員御指摘のとおり、枠組みは国でつくっていくわけでありまして、後やってくれというわけにはいきません。

 したがいまして、弁理士会が行う定期的研修につきましては、例えば、講師の派遣、それから教材の提供など、こういったものについて支援を検討してまいりたいというふうに思っております。

大畠委員 さらに、今お話をいただきましたが、やはり主体的に実施する母体のところと国の方でよく連携をとって、本当はこれはあんたの守備範囲じゃないか、いや、これは違いますよというので、ぽてんヒットになっても困りますから、よく守備範囲についても役割分担についても連携が必要だと思いますが、この実施に当たって、弁理士会とはどのような形で内容を詰めていくのか、そこは十分連携をとりながらやるということで理解してよろしいでしょうか。

渡辺(博)副大臣 まさに御指摘のとおり、国は国、弁理士会は弁理士会という形で別々でやっていっては、本来のこの知財の戦略的な動きができませんし、資質の向上も図れないわけでありますから、当然のことながら、弁理士会との連携を図っていくことが大変重要だというふうに思っています。

大畠委員 野球に例えるわけじゃありませんが、やはりセンターとかレフトとかライトとか、お互いに声をかけ合いながら、空間ができないように緊密な連携をとりながら有効な研修制度になるように、要望だけをさせていただきます。

 次に、ここのところに弁理士試験の免除拡大という項目がございます。短答式と論文式という二つの試験があるんですが、一部免除というところがございまして、知財に関する大学院の修了者あるいは短答式試験の既合格者、こういうところは代表的によく理解できるところであります。それから、論文式試験の一部免除についても、選択科目の既合格者、必須科目の既合格者、これも理解できるところであります。

 実は、参議院の方で既にこの法律案は審議されて通過しているところでありますが、渡辺副大臣の御答弁の中で、現在、実務面のところで免除制度というものがありますけれども、現在、弁理士の採用については、即戦力ということで択一試験を免除しておりますという話と、それから、実務修習につきましては、審査官経験者は、日常の審査、審判事務を通じた明細書の記載の仕方などの実務能力をある程度修得をしていることから、実務修習において一部の科目を免除することもあり得ます、こういうふうな御答弁をされています。

 いろいろお伺いしますと、弁理士を審査官に任用する場合と審査官が弁理士になる場合、この二つについて御答弁になったという話でありますが、もう一度その点を御確認したいと思います。

渡辺(博)副大臣 参議院の法案審議におきまして、今委員御指摘のとおりの答弁をしたわけでありますが、まず、任期つき審査官の採用について申し上げますと、この場合の試験科目の一部免除というものは、いわゆる択一式の試験を免除しているということでありまして、これは、既に弁理士の資格を持っている方に適用するものでありまして、任期つき審査官の場合は即戦力ということでこういうことを制度化しているわけであります。

 片や、これから弁理士になる方については、弁理士登録するための実務修習につきましては、原則、すべての方に実務修習を行っていただきます。ただ、審査官を経験している者は、日常の審査、審判実務を通じて明細書の記載の仕方などの実務能力をある程度修得しているということで、当該実務修習については一部の科目を免除することがあります。ただ、これは今の段階では、詳細については省令で記載をしていきたいというふうに思っているわけであります。

大畠委員 広野委員の質問は、たしか、審査官のOBの皆さんも六百七十名ほど弁理士になっている、こういうことで、審査官の云々ということではないんですが、免除することが、資質の向上ではなく、逆に不均一になってしまうのではないかという趣旨で質問しているときに渡辺副大臣から御答弁があったので、ちょっと混同していたんですが、今の御答弁でよくわかりました。

 ただし、私は、審査官だからといって弁理士の資格を有しているということではないんじゃないかと思うんですね。実は私、きのう、質問取りのときに、特許庁の皆さんがおいでになったときに、甘利大臣も民間企業におられましたけれども、皆さんは特許を持っていますか、あるいは特許申請したことがありますかと言ったら、ないと言うんです、だれも。要するに、特許明細書を書いたことがないんです。

 特許庁長官は書いたことがございますか。ちょっとお伺いします。

中嶋政府参考人 私自身は書いたことはございません。特許法とかいろいろな基準とか、勉強はしておりますけれども、本人、出願に値する発明を思いついたことがまだございませんので。将来そういうことがあれば、ぜひチャレンジしたいと思っております。

 ただ、当然ながら、特許庁の具体的な個々の審査官は、実務については非常に精通しているということでございます。

大畠委員 私は、多分甘利大臣もお持ちだと思うんですが、私も企業におるとき、半年に一件ずつ出さないと昇格しないんです、これはノルマというのはおかしいんですが。これがまた、特許庁からは、余りたくさん特許を出してくれるな、優秀な特許だけ出してくれ、こういうふうな批判にも通じているところであります。私は、この審査官の方が、多分、実務能力は十分あるから、弁理士の試験の一部免除もいいのではないかということだと思うんですが、ここのところをもう一度検討してみることが必要なんだと私は思うんです。せっかくこうやって資質の向上ということをうたっておりますし、現在、弁理士七千名のうち特許庁の審査官OBが六百七十人ということなんですね。

 ですから、その方々に不信を抱いているわけじゃないんですが、せっかく資質の向上ということをこの法律案の中でも、今回改正しようとしているんですから、ここについても、再度、本当に審査官イコール試験を免除するに値するかどうかということを、私は再検討をちょっとしておくことが必要だと思うんですが、副大臣のお考えをお伺いします。

渡辺(博)副大臣 今、特許庁長官のお話があったとおり、特許を申請したこともないという、現実はそうでありますけれども、実際の審査官は、やはり実務上、当然のことでありますけれども、極めて業務に精通しているわけでありますので、これは能力が十分あるというふうに私は理解しております。そうでないと、日本の特許制度、不信感が出てしまいますので、逆に私はそういった能力を買っているわけでありまして、御指摘でございますけれども、現行の制度でやらせていただきたいというふうに思っております。

大畠委員 ある程度理解しますが、審査するのと実際に書類を書いて申請するのではやはり違うんですね。アンパイアの方が名プレーヤーかというと、そうでもないんだよね。だから、それと同じように、審査官イコール、私も特許明細書を大分審査してもらいましたけれども、かなり詳細に指導していただきましたけれども、では、弁理士としてできるのかというと、イコールではないような感じがするんです。そこら辺はぜひ内部でさらに御検討いただきたいということを指摘させていただきます。

 そこで、佐藤委員や赤羽委員からも御指摘がされておりますが、国際競争時代における条約が論文試験から除外されていることについて、このことについては北神委員から詳細にまた質問をさせていただきますし、中小企業と知財という問題については三谷委員から質問させていただくことになっておりますので、割愛をさせていただきます。

 甘利大臣にお伺いをさせていただきますが、実はここに一枚の新聞の報道がございます。米中間の知財攻防という新聞でありますが、これはお手元に配っておりませんけれども、中国に対するアメリカのWTO提訴には日本も第三国の立場で参加すると。ただ、「中国も努力していないわけではない。北風と太陽をうまく組み合わせ、結果として一番速い方法で知財が守られるのがいい」というコメントを甘利大臣が出しておられます。

 実は、今、知財の方で問題になっておりますのは、日本国内で特許を公開すると、インターネットで見られるものですから、日本国内の特許を取っているものは、すぐ向こうで検索をして、中国国内でつくられることがあるんですね。これはもう特許侵犯でもないから堂々とつくってもいいということになっているんですが、しかし、堂々とじゃなくて、慣例とか礼儀的にはやめようというのが世界の通例なんですが、中国にはそれが通じておりません。したがって、日本で特許を取ると中国でまねされてしまうから、国内特許を出さないんだというような、出した方がいいのか出さない方がいいのか、迷っている方もいるんですね。

 ですから、この中国の模倣特許、要するに、中国でそれを模倣して中国国内で特許を取ってしまえば中国国内は特許になってしまうんですね。こんなおかしなことはないんですが、それが現実の姿なんですね。この問題に日本としてはどう対処していくのかというのが一つ。

 二つ目には、同じように、海賊版の商品なんかがかなり出回っていて、アメリカが、海賊版関係で米国の知的資産は五兆ドル、約六百兆円以上の価値が失われてしまっている、模倣品のために。こういうことで、模倣品を容認すれば米国人の職を盗んでいると批判されるという指摘がアメリカから出ていますが、日本としては、この二つの件に対してどのような形で進もうとしているのか、お伺いしたいと思います。

中嶋政府参考人 第一点目の、少し技術的な点もございますので、御説明をさせていただきます。

 今御指摘のあったように、まず日本の企業が日本で特許を取る、それが十八カ月たつと出願公開されます。これは、世界じゅうでもともと特許制度というものはそういうものでありますから、それ自体は当然のことではあるんですけれども、問題は、今御指摘のありましたように、中国の中で別の人がそれをすぐまねたような形で出願をするといったようなことが起きるのではないかという点でございます。

 もちろん、日本の企業にとって一番いいのは、日本に出願すると同時に中国にも出願する。ただ、そのときに、中国の当局が、日本を含めて海外で既に知られた公知の技術については中国として特許としては認めないという、いわゆる世界公知基準の原則というのがあるんですが、それを確立する必要がございます。今、その扱いが中国の実務の扱いではあいまいな点がございます。

 そこで、今現在、中国で、中国の特許法に当たります専利法の改正を検討しておりますので、その改正草案の検討に当たって、日本の方から積極的にいわゆる世界公知基準を明確に明文化するようにということを強く働きかけております。実際、昨年九月に、向こうから法律の担当者の専門家のミッションが来まして、特許庁あるいは日本の産業界と十分議論をいたしまして、彼らもその点については認識を深めております。そこは、引き続き強く申し入れていきたい。

 それから同時に、中国の特許庁で実際に審査に当たる人、それを日本に呼んで研修生の形で、もう十一年間で四百七十二名呼んでおりますけれども、そういう形で人材育成という面でも協力をしていきたいと思っております。

 なお、二点目で御指摘がございました、そもそも模倣品対策というか全般のことでございますけれども、これは、かねて大臣が御提唱されておる世界的な模倣品の防止の条約づくりということでございますけれども、同時に、中国に対しましては、官民合同のミッションを毎年派遣して、具体的な例を挙げながら現実的な解決策を強く要請すると同時に、いろいろな形での協力も提供するということでございます。そういった形で、マルチあるいはバイ、両方の形で模倣品対策をしっかりやっていきたいと思っております。

大畠委員 この問題はかなり深刻な課題でもありますし、ぜひ特許庁を挙げてといいますか、政府の方でも十分御認識をいただいて、対策を強化していただきたいということを要望しておきます。

 次の質問ですが、今度は、前後いたしますけれども、さきにもう既に法改正がされておりますが、侵害訴訟で弁理士が裁判所に制限つきの代理人として立てることになりましたけれども、それは訴訟補佐人と実質的にどう違うのか。

 もう一つ、弁理士には、いろいろ歴史をたずねますと、百年近く前から法廷で補佐人業務をやってきたという歴史があるそうです。したがって、弁理士試験に民事訴訟法を必須科目として追加して、全弁理士が弁護士と共同の訴訟代理ができるように、現在の付記訴訟代理権を有する弁理士には単独の訴訟代理権を付与する改革を行うべきだという御指摘もいただいているところでありますが、この二つについてお伺いをいたします。

中嶋政府参考人 若干専門的なお尋ねでございますので、お答えをさせていただきます。

 まず訴訟代理人でございますけれども、これは、依頼者から委任を受けた事件について、原則としてその訴訟事件の解決のために必要な一切の訴訟行為を行うことができるわけでございまして、依頼者から特別の委任を受ければ、反訴を提起するとか、あるいは訴えの取り下げといったようなことについても行うことができるわけでございます。

 訴訟代理人は、特段の事情のない限り、訴訟行為だけでなくて、受任した訴訟事件の処理に通常付随する事務の処理も行うことができるというふうに解されておりますので、いろいろ依頼人の相談を受けて、訴訟外の交渉とかあるいは和解などの代理ということも、それが受任した事件に通常付随する事務と認められる限りにおいては、それを行うことができるということでございます。

 他方で、補佐人でございますけれども、これは、専門技術的な知識が必要な訴訟において当事者や訴訟代理人の陳述を補足するものでございますので、補佐人の陳述というのは、当事者または訴訟代理人によって後で取り消されたりあるいは更正され得るものであるというような点が違ってまいります。

 こういう点を考えますと、弁理士が訴訟代理人として弁護士と共同で特定侵害訴訟に関与することは、その知見をより有効に活用することで利用者の利便の向上に資するものであるというふうに考えております。

 他方で、委員の第二の御質問でございますけれども、特定侵害訴訟における訴訟代理人制度につきまして、例えば弁理士試験の中で民事訴訟法などを加えていく手もあるのではないかというような御質問があったと思うのでございますけれども、弁理士資格を有することによる独占的な業務というものの本来業務は、特許などの出願についての特許庁での代理手続でございます。そういう意味からすると、民事訴訟法を弁理士試験の必須科目に加えていくということは、弁理士の本来業務に必要となる知識を考査するものではないという点からすると、適当ではないのではないかということでございます。

 ただ、いずれにしても、この特定侵害訴訟についての訴訟代理人制度につきましても、まだ制度ができてから三年でございますし、それほど代理の実績も多いわけではございません。そういうような実際の訴訟代理の状況とかあるいは利用者のニーズといったようなものを十分踏まえて、将来的に、特定侵害訴訟における弁理士の単独代理を含めた訴訟代理のあり方についての議論も、引き続き行っていくということが適当ではないかというふうに考えております。

大畠委員 基本的な現在の御認識はお伺いいたしました。

 実は、私の友人で弁護士の方が何人かいるんですが、今、弁護士さんは大忙しです。どこの弁護士事務所へ行っても、いろいろな方が来まして、何でそんなに忙しいんだといったら、隣のうちのカキの木の枝が伸びてきて邪魔だ、これを切りたい、これについて相談したいとか、隣のうちの庭木の葉が落ちてうちの庭にいつも来る、これを何とかしたいとか、普通だったら隣と話をすれば済むような話まで弁護士のところに持ち込む時代になっちゃったんですね。要するに、地域での対話というか交流がなくなって、どうしたらいいかという、御当人にすれば非常に悩ましい話かもしれませんが、第三者が聞けば、二人で話し合えばいいじゃないかという、そんなたぐいのものまで弁護士事務所に持ち込まれるという時代です。

 そういう意味では、特許問題についてはできるだけ弁理士に、弁護士さんの手を煩わせることなく、弁理士が単独でも裁判所でこういう工業関係の仕事はできるような環境を整えるように、事実関係をよく踏まえてという話なんですが、私はそろそろそういう時代に入ってきたと思うんです。

 副大臣もお戻りになりましたので、この件について、副大臣、どういうふうにお考えか、突然ですが、御所見をお伺いしたいと思います、個人的な見解でも結構ですから。

渡辺(博)副大臣 弁護士の業務というのは多岐多様でありまして、今お話がありましたとおりですが、専門的な分野というのは、例えば弁理士の仕事の内容というのは極めて専門性を有するところでありまして、将来的にはそういった考え方も必要ではないかな、私はそのように思っております。

大畠委員 率直な御答弁、ありがとうございました。やはりここで、委員会で議員同士が話をするというのはそういうことなんだと思うんですね。よく理解いたしました。

 最後の質問になりますけれども、途中幾つか割愛させていただきます。

 先ほど特許庁中嶋長官は一度も特許を出したことがないと言うんですが、それはよく理解できるんです。というのは、特許を出そうとしなければ、特許は出ませんから。

 というのは、私の知り合いの方が車に乗っていて、後部座席で足を伸ばしたいなと思ったんですよ。ところが、助手席の背が邪魔なんですね。そこで、そこに穴をあけて足を伸ばせるような仕組みの特許を取っちゃったんです。そうしたら、年間数百万円の特許料が入ってきまして、今そのお金をベースに教育財団というものを立ち上げて、プラネタリウムをつくって、小中学生を無料で、見学したい人は来てくださいというのでやっているところもあるのです。

 だから、これは周りにたくさん特許のネタがありますから、ぜひ特許庁長官時代に一個ぐらいは取っていただきますように要望しておきます。これは、その気にならないと見えないんですよね。私も会社員時代、無理やり、半年に一件出せというから特許を書いていましたけれども、そういうものがなければなかなか特許というのは書く気になりませんので、先ほどの、中嶋長官がまだ取っていないというのはよく理解しますので、今後の課題としてお願いしたいと思います。

 それから、大臣に最後にお伺いしますが、ヤング・リポート、一九八五年に特許戦略として出されましたが、日本においての特許の第一人者としての甘利大臣として、今後どういう形でこの問題に取り組むか。特に、対米、対中に対する思いを、簡単でも結構ですからお述べいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

甘利国務大臣 アメリカはレーガン時代、ヤング・レポートを機に、アンチパテントからプロパテント政策、パテント重視に変わって、それが競争力になっていったわけであります。日本も遅まきながら、与野党、志を同じゅうする議員の思いで知的財産戦略がここまで進んできたわけであります。

 これは、世界共通ルールに当然していかなければなりません。アメリカは、きょう現在まだ先発明主義でありますから、これを国際ルールにそろえる。中国は、ついこの間までは、はっきり言えばかなりやりたい放題ということを各国、世界じゅうから指摘を受けた。それが、知財というのは基本的に、国際的な、守らなきゃならない基本ルールというところに、ようやく腰が上がってきたわけですね。

 そこで、このサミットでも初めて、国際的な海賊版の防止のための条約にみんなが取り組んでいくということが合意されて、発出をされるということになったようであります。小泉総理の時代に私も、どうしても日本発でやってくれということで、ようやく、サミット三回目を迎えて、それが合意文書の中に書かれるということになったようであります。

 アメリカあるいはEUとも協調しながら、この知財途上国で大消費地国をしっかり巻き込んで、しっかりとした国際ルールにしていきたいというふうに思っております。

大畠委員 ありがとうございました。

上田委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 北神でございます。

 先ほど大畠委員から役割分担を命じられまして、試験の問題を詳細にせいという話であります。

 私も初めてきょう知ったんですが、甘利大臣はこの知財戦略について非常に詳しい、自民党の方でも中心的な役割を担われているということは大変心強いことだというふうに思います。

 私も、党の知財の勉強会の大畠会長のもとで事務局長をやっておりまして、ただそれは、大畠先生と同じで剣道をやっているということだけで、おまえ、剣道やっているんだったらいいじゃないか、事務局長やれという程度の話でありまして、そんなに専門でもないんですが、ただ、きょうは、試験の部分について先ほどいろいろな委員さんからもお話がありましたが、私もちょっとおかしいなというふうに思いますので、いろいろ議論をさせていただきたいというふうに思います。

 これは、先ほど佐藤委員からも一番最初にありましたが、要するに、弁理士の質を向上することと、時代要請があるのでたくさん人数を出していかないといけない、このバランスが非常に難しいということであると思います。これをどっちに重点を置くかという部分については、弁理士というものは今後どういう役割を担わなければならないのか、それを議論する前段としては、知的財産権の戦略というものが今どういうものであって、さらに経済成長戦略というものがその一番基礎にあるというふうに思います。

 まず、通告では二問に分けていましたが一問でお願いしたいと思うんですが、今、経済成長戦略の中で知的財産戦略というものがどういうふうに位置づけられているのか、私は非常に重要な、最も重要な部分だというふうに思うんですが、その点と、では、その知的財産戦略という中身がどういうものかということを質問したいと思います。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 近年の経済のグローバル化あるいは情報化の進展に対応しながら、日本の産業の国際競争力をいかに維持し高めていくかということの中で、技術、デザインあるいはブランドといった、いわば価値ある無形資産というものがますます重要になってきていると考えております。

 また、アニメとかあるいは漫画とか食文化などの我が国が誇るコンテンツは海外でも高い評価を受けておりまして、こうした魅力を世界に発信するということも大事だというふうに考えております。

 そうした中で、知的財産戦略の二〇〇七というものが、先週、知的財産戦略本部においてまとめられました。この推進計画の中におきましては、世界特許の実現、あるいは特許審査の迅速化、あるいは模倣品・海賊版対策の強化、文化創造国家づくり、人材の育成など多岐にわたる分野について必要な措置を掲げているところでございます。

 今後とも、世界最先端の知財立国を目指して、政府一丸となって取り組んでいければと考えております。

北神委員 コンテンツが大事だということだと思いますが、私は、前も大臣と議論させていただいたと思うんですが、経済成長戦略の、先ほど出たヤング・レポートとかそういった流れというのは、多分その二つの大きな柱というのは教育と研究開発だ、これがやはり今後の経済成長の一つの大きな政策の原動力だというふうに思っておるんです。まさに知的財産というのは、研究開発、教育にまたがる極めて今後の日本の経済成長にとって重要な部分だというふうに思っております。

 それで、そういった無形の価値あるものをこれからどんどん創造していかないといけない、つくっていかないといけない、これが日本の一つの経済の方向性だという話もありました。

 では、弁理士というのは昔からおられました。ただ、余り世の中には正直知られていない部分もあるというふうに思います。つまり、今までの役割というよりも、今後さらに大きな役割を期待されている。そういった中で、具体的に、この知財戦略二〇〇七とかそういうものを踏まえて、大臣として、弁理士というのはこれからこういうふうにあるべきだというお考えを聞きたいというふうに思います。

甘利国務大臣 北神先生と大畠先生の知財は剣道つながりだというのを初めて伺いましたが、剣道というのは集中力を高めるスポーツで、実は頭がよくなるスポーツなんだそうであります。適度に頭を刺激される。余りたたかれ過ぎちゃうとよくないらしいですけれども、そんなことはおいて。

 知財が国の成長力、活力の一番の源になっている、知財戦略というのはそこを支えていく極めて大事な戦略だと私自身思っておりますし、そういう点は先生とも思いを共有していると思います。

 そういう中で弁理士が果たしていく役割、さっき、弁護士と弁理士との関係も、大畠先生からうちの副大臣に御質問がありました。弁護士というのはオールラウンドプレーヤーであります。知財権の部分の専門家が弁理士さんでありますから、つまり、オールラウンドプレーヤーに個々の専門性を持ってもらうというのも一つの戦略であるでしょうし、専門家に能力付与をしていくというアプローチもあろうかと思います。両々相まって日本の知財戦略を確固たるものにしていきたいというふうに思っております。

 国内だけではなくて、市場は外を目指していかなきゃならないわけでありますから、大市場に向けて日本の経済の競争力を高めていく、産業の競争力を高めていくという意味で、日本の弁理士の、国際展開に向けた能力付与を前提とした活躍というものも大いに期待をいたしているところであります。

 知財戦略にとって、マンパワーの質、量の充実というのは極めて大事なことでありますから、弁護士さんからのアプローチと弁理士さんからの展開、両々相まってうまくいくものだというふうに思っております。

北神委員 ありがとうございました。僣越ながら、私も全く同じ考えで、弁理士がこれから日本の企業の国際競争力を高めるために非常に大事だと。これは今回の二〇〇七の知的財産戦略にはないんですが、昨年の二〇〇六の方に、外国の出願というものをふやしていかないといけない、今、アメリカとかヨーロッパに比べると外国出願の数が非常に少ない、したがって、国際的な保護というものが非常に希薄だ、そういったところに力を入れて国際競争力というものを高めないといけないと。

 そういう流れの中で、今までとちょっと違う流れとしては、弁理士さんはこれから、そういう意味では、外国の出願とか、あるいは条約に基づいて優先権がどうなっているかとか、そういうことをやはりよくよく知っていないといけないということだと思います。

 そういった中で、これも各委員からも話がありましたが、そして私がもう特化しろという話だったんですが、弁理士の資格試験の中で、平成十二年のときに、工業所有権の条約というものが、短答の部分には残っていますが、論文と口述試験から落ちてしまった。

 当時は、多分、規制改革委員会から言われたのかな、要するに、もっと弁理士をふやさないといけない、だからこういった、余りしち面倒くさい科目というものは落とした方がいいという議論だったというふうに思うんですが、まさに昨年、二〇〇六の知的財産戦略の中で、新たに外国出願に力を入れないといけないんだと。これはもう理にかなった話でありまして、それに異論を唱える方はいないというふうに思うんです。

 そういった意味で、これまでも話が出てきましたが、短答式というのはそんなに、見ていると、科目ごとに、五年に一回ぐらいしか出てこない。論文式の中に、毎年二問ぐらい昔は出ていたと思うんですが、やはり本格的に勉強させるのが大事だ。

 赤羽委員からも話がありましたが、別に、私は何も技術論として試験の論文の課題に絶対入れるべきだと言っているわけじゃなくて、そういう条約とか、極めて大事な、これから求められる弁理士の知識というものを勉強させないといけない。その一番のインセンティブになるのは、論文というのは論理的に考えないといけないし、論理を構成するための知識というものも相当勉強しないといけない。

 そういった意味で、論文の部分について、条約の科目を必須科目として復活すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

高木大臣政務官 お答え申し上げます。

 内容につきましては、弁理士試験の範囲等につきましては割愛をさせていただきますが、まず、短答式試験の中では、御指摘の工業所有権に関する条約につきましては毎年出題をさせていただいております。論文式にという御提案であるかと思います。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、近年の弁理士試験の正答率を調べたところ、受験者の条約に関する知識及び条約の解釈、判断のレベルは、他の出題分野と比べましても決して低下しているとは言えないという状況でございます。ただ、マル・バツ式なのか、それとももう一歩突っ込んでそこを記述させるのかという、ここのところは当然あるかと思います。こういうことも踏まえまして、産業構造審議会弁理士制度小委員会におきまして御審議いただきましたところ、論文式試験に単独で条約を復活させる必要はない、こういう結論をいただいております。

 したがいまして、御指摘ございましたとおり、平成十二年に工業所有権審議会弁理士試験制度部会が取りまとめました新たな弁理士試験の具体的実施方針、この中でもこのことは当然踏まえられているわけです。

 ただ、この実施方針は受験生に必ずしも広く知られていないという御指摘がございます。やはり、どこで一番勉強するかといいますと、窓口はまず受験勉強の範囲にきちんと位置づけて、そしてその中で個々に取り組んでいただくということが一番大事かと思います。当然、条約につきましての知識や解釈力への配慮が重要であるということから、省令におきまして規定するということで明確化を図る予定でございます。

北神委員 高木政務官のおっしゃるように、弁理士の一番勉強するのはやはり受験のときだ、今度、政省令かなんかで短答式で出題されますよということを明確化するというふうに思うんですが、これは短答式ということですよね。

高木大臣政務官 今申し上げました方針にございますのは、短答式ではなくて、論文式のこのことにつきまして規定をするということを、明確化を予定するところでございます。

北神委員 それはいいと思うんですが、私がお配りしている資料があります。三ページ目だというふうに思うんですが、弁理士法の条文、第十条と第十六条というふうに置いております。

 第十条一項に短答式による試験の科目があって、二号に今議論をしている「工業所有権に関する条約」というものが入っております。二項に、今度は論文式の方の試験の科目が触れてある。以前はここに工業所有権に関する条約というものが号で入っていた。今度政省令でやるというのは、私は、やはり法文上明確化しないと法制的におかしいと思うんですよ。

 というのは、その経緯からいっても、今までは、この第十条二項に工業所有権に関する条約というものが入っていた。さらに言えば、法制的に考えても、第十条一項二号に、短答式について、「工業所有権に関する条約」というふうに明記しておるわけですから、当然、並びとして第二項の、第二号なのか三号なのかわかりませんが、そこに明確に工業所有権に関する条約というふうに記すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

中嶋政府参考人 ちょっと技術的な点がございますので、若干補足をさせていただきます。

 弁理士試験で、条約についての解釈、判断について、それは非常に重要だということはおっしゃるとおりだと思います。

 それで、五年前のときには、論文試験に単独で条約についての解釈を聞くということよりは、短答式では引き続きもちろん条約については聞くんだけれども、論文式の方から単独の試験としては条約というのは聞けないようにする。聞くにしても、工業所有権に関する法令、つまり日本の特許法とか実用新案法とか意匠法とか商標法がございます、それについては、まさに先ほど委員がおっしゃったように、日本に出願すると同時に海外にも出願する例のPCT条約とか、つまり特許の海外の協力の条約で国際出願するとか、あるいはマドリッド協定で商標についても海外に出願するとか、そういうことがございます。

 ただ、こういう知識というのは、別に条約単独でどうとか、あるいはアメリカの商標制度がどうとかいうことよりも、日本の特許、意匠、商標を海外に出願する場合に、やはりちゃんと条約の知識が要るだろうというのが一番大事な点でございます。そういう意味で、この工業所有権に関する法令、具体的に言うと特許、意匠、商標といったような、論文式でそういう法令を聞く、その中で、それに関連する形でその条約の解釈についても聞くというような形がいいんではないかというふうに判断されたわけであります。

 ただ、今までは、その辺の扱いが審議会の方針としては示されておったんですけれども、必ずしも十分明確になっていないんではないかという御指摘もございました。

 そこで、今回、先ほど委員のお配りされた紙の中にも、十六条のところに、この法律に定めるもののほか、弁理士試験等について必要な事項は経済産業省令で定めるというのがあるものですから、そこに基づきまして、経済産業省令の方で、今申し上げたように、論文試験の工業所有権に関する法令を聞く中で、それに関連する条約についての解釈、判断についても聞くようにしようということを明確に位置づけるということを今考えております。

北神委員 私も、別に法制的な議論はいいんですけれども、結果として、今は短答式に大体、平成十八年度は全く条約に関する出題がなかった。平成十八……(発言する者あり)あったんですか。

中嶋政府参考人 念のため、誤解があるといけませんので申し添えますと、短答式につきましては、毎年必ず条約についても出題をしております。

 今、多分、御質問の趣旨は、論文式の方で、毎年というのが、それに関連するのが論文式の工業所有権の法令について出題されている場合が多いけれども、出題されていない年があったんではないかという御指摘だと思います。それは、そういう年があったことは確かに事実でございます。

 そこで、私が先ほど申しましたように、今回、省令の中で、毎年必ず工業所有権に関する出題の中で条約についての関連する解釈、判断についても出題するんだということを明示しようという趣旨でございます。

北神委員 わかりました。では、毎年出題されるという理解でいいわけですね。それでいいです。

 もう一つは、今までは国内法に絡めた条約という整理だったというふうに思うんですよ。それももちろん別に悪いとは思わないんですが、この条約というのは、パリ条約とかWTOのTRIPsとか、そういったいろいろな国際的な取り決めがあると思うんですが、国内法との絡みももちろん大事なんですが、やはりさっき申し上げた二〇〇六の知財戦略の中で外国出願の数をふやすということであれば、国内法というよりは、どうやって条約を通じて出願をふやすのかという、やはり条約そのものの勉強が極めてこれから大事になってくるというふうに思うので、毎年出題される、これはもう結構だと思います。

 ただ、その内容が、今までは、見ていると、国内法に絡めた問題であって、もう少し説明しますと、この昔の平成十三年度とか十二年度とかの試験、条約が科目として落とされる前の質問を見ると、例えば「パリ条約上の特許出願の分割について説明し、併せてわが国特許法との関係について述べよ。」とか「特許協力条約に基づく国際出願に関し、国際調査機関がとる手続上の判断及びその判断に基づく国際調査機関の手続を説明せよ。」という、大臣も冒頭おっしゃられた、これこそ、これから弁理士の一番大事な資質という部分が問われている出題だと思うんですよ。

 だから、長官にお聞きしたいのは、そういう条約そのものの質問、こういう質問は出されるんでしょうか。それとも、相変わらず国内の商標とか意匠とかに絡めたものしか出てこないのか、そこをお聞きしたいと思います。

中嶋政府参考人 条約についての質問といっても、もちろんクイズ番組ではございませんから、一般的にいろいろな条約の知識というよりは、まさに先生御指摘になっているように、日本の出願人が、単に日本の国内で意匠、実用新案、特許とか商標を取るだけではなくて、海外でもどうやったらそういう権利を取ることができるのかという観点に立って、それに関連するような知識なり判断を聞く、そういう視点が大事だと思います。

 そういう意味で、今の全体の流れとして、日本の国内における出願だけではなくて、海外の出願も積極的にというような観点、その趣旨も十分踏まえたような質問の仕方、試験問題の出し方が大事だと思います。

 と同時に、試験問題だけではなくて、先ほどから御議論になっています研修、登録前の研修にしろあるいはその後の継続研修にしろ、条約関係についてもいろいろな改正とか新しい動きもございますので、そういった点についても十分研修で知識を深めていただくということもあわせて必要かと思っております。

北神委員 これからどういう質問を出されるかという、ある程度の話を伺えたという意味では有意義だったというふうに思うんですが、普通は、そこまでやってくれるのであれば、法制的に言えば、これはもう当然第十条第二項に入れるべきだ。

 多分、さっきから話を聞いていると、審議会とかでもう決められちゃったから、皆さんの立場としてはなかなか入れられないということかもしれませんが、私の感覚では、当然これは、要するに、平成十二年の改正の前に戻すということだというふうに思うので、当然この条文に入れるべきだというふうに思うんですが、その点についてもう一度、大臣に、ちょっと通告なしで恐縮ですが、このお話を聞いていましてどういうふうに判断されるかというのをお聞きしたいというふうに思います。

甘利国務大臣 試験科目に入れれば勉強せざるを得ない、それが短答式よりも論文式に入れば、より筋道立てて理論的、論理的に理解しなきゃならない、そういう知識が必要となるから、当然もっと勉強するようになる、それはそのとおりだと思います。

 そこで、現時点で、短答式に加えて論文式で、法令の理解の中で条約をどう理解していくか。そうしますと、日本法令の中から条約がどうかかわってくるかという、法令と条約との関連とか、そういう三次元的な理解も深まってくると思うんですね。

 加えて、試験だけ一夜漬けで何とかクリアすれば後は必要ないというんじゃ、これは本当の資質向上になりません、ですから、研修の中で、実際に登録した以降の研修の中でも、そういう知識を絶やさないということで取り組んでいくということにしているわけであります。

 でありますから、法令の中から条約をどう理解するかという三次元的な理解と、登録後も研修をしていってその知識の質を落とさないということの効果をしっかり見きわめて、それで足らざるということであれば、新たにどういうことが必要かということを検討することはやぶさかでないと思います。

北神委員 ありがとうございます。

 要するに、これも試験に入れるかどうかという問題もあるんですが、ある程度、既に平成十二年の前に試験を通っておられる弁理士の方は対応できると思うんですよ、非常に条約というものをしっかりと勉強されていますからね。ただ、今後、本当にこの条約というものを余り、例えば短答式である程度わかるというふうに思われるかもしれませんが、ほとんど一年に一回、一問ぐらいしか出ない、そうしたら、普通に考えたら、効率よく受験をするんだったら、それはとりあえず捨てておこう、勉強しないということも十分受験技術としてあり得るわけですよね。

 ですから、やはりそれを本格的にやるということを、先ほど長官からも政省令で定めるという話もいただいたので、私はどうしても、これは普通に考えたら、法文上明確化すべきだというふうに思うんですが、大臣からこれからその効果を検討していただけるということですので、ぜひともよろしくお願いを申し上げて、もう一問だけさせていただきたいと思います。

 そういった意味で、試験の部分ではそういうことかもしれませんが、研修の方で、これは実務の部分だというふうに思います。この点についても、そういう条約、あるいは条約というよりも、外国の出願というもののしっかりとトレーニングを受けられるような、そういったところに集中すべきだというふうに思いますが、この修習制度の研修の内容について、そういったところに力を入れられるのかどうか、お聞きしたいというふうに思います。

中嶋政府参考人 今御質問がございました、登録前の実務研修につきましても、これは、まず一たん試験に合格した人に対してでございますけれども、弁理士として実際に働いていただくのに必要な技術的能力とか実践的な業務遂行能力を修得させるということが目的でございます。

 その中で、具体的には今後省令で詳細は決めようと思っておりますけれども、海外における知的財産権の取得、活用が大変重要になってきているという状況でございますので、そういう点もかんがみまして、工業所有権に関する条約についてのいろいろな科目といいますか項目も入れる方向で検討していきたいというふうに思っております。

 それから、当然ながら継続研修の方も、条約などもそのときそのときでまた改正がされますので、そういう点もフォローができるようにということもあわせて検討していきたいと思っております。

北神委員 ほかにもいろいろ質問したかったんですが、特に文部科学省の方にも来ていただきまして、本当に申しわけございませんが、これで質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 私も大畠委員から役割を一問仰せつかっておりますけれども、きょうは弁理士法改正の審議でありますけれども、関連をいたしまして、まず最初に、知財立国の実現に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。

 知的財産戦略本部が五月三十一日に、新たに知的財産推進計画二〇〇七を出されました。知的財産立国の実現に向けた取り組み、施策がこの中には、毎年出されておりますけれども、網羅的に盛り込まれております。この内容のことで一つお尋ねをいたします。

 第四章の「コンテンツをいかした文化創造国家づくり」、1として「世界最先端のコンテンツ大国を実現する」、「デジタルコンテンツの流通を促進する法制度や契約ルールを整備する」として、著作権等の保護などを検討し、最先端のデジタルコンテンツの流通を促進する法制度を二年以内に整備することにより、クリエーターへの還元を進め、創作活動の活性化を図るとございます。

 きょうは、文化庁から吉田審議官に来ていただいておりますけれども、これはどのような内容の法整備をお考えなんでしょうか。お答えをお願いいたします。

吉田政府参考人 御指摘のように、知財計画二〇〇七におきましては、デジタルコンテンツ流通を促進する法制度等について整備するということが盛り込まれているところでございます。

 現在、文部科学省では、文化審議会著作権分科会におきまして、このデジタルコンテンツ流通促進のための法制度等の検討をしているところでございまして、民間や有識者の意見や提案を踏まえまして、二年以内を目途といたしまして検討結果を取りまとめたいと思っております。

 その内容ということでございますけれども、これは論点が、放送番組等の過去のコンテンツの利活用方策でございますとか、あるいはグーグルなどの検索サービスの問題、あるいは各種の新しい配信サービスの位置づけ、さらに申し上げますと、ネット上で多数の者が関与いたしまして相互に著作物を利用し合いながら創作を行うという新しい形態の出現、そういった非常に多岐にわたるものがこの論点に含まれているところでございまして、今の段階で具体的なその方向性を申し上げるということについてはできない状況ではございます。

 ただ、基本的な視点といたしまして、コンテンツの創作と流通と利用、それぞれにかかわる者が適切に利益を享受できるような仕組みづくり、これを目指しまして、法制度と契約ルールの両面から検討を進めているところでございます。

三谷委員 今審議官からは、今の段階では、なかなか論点が多岐にわたっており明らかにできないというお話でございました。

 この知的財産推進計画二〇〇七がまとめられるに先立ちまして、五月二十四日の日経新聞でも報じられました。過去に放送したテレビ番組をインターネットに配信する際に現状は必要な権利者すべての許諾がなくても、使用料を払えば利用可能になる新法を二年以内に整えることを明記というふうにこの記事は書かれております。「出演者らの許諾不要に」という大きな見出しが躍っておりました。このように報じられております。

 もちろん、この中には、ここまでのことは明記されていません。今審議官のお答えもまた、論点がたくさんあって今の段階ではなかなか明らかにできない、こういうお答えでございました。

 そこで、ちょっと確認をさせていただくんですけれども、このように、ネット配信に限っていわば著作権を緩めるというような、そのための新法を整備というようなことが報じられたわけであります。実際にこういう話が中身で検討されているんでしょうか。できる限りで結構ですので、お答えをいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、著作権分科会の検討の論点といたしまして、最初に、放送番組等の過去のコンテンツの利活用方策をお一つ例として挙げさせていただきましたけれども、その中に、実演家の権利のあり方の問題というのは論点として含まれているということは確かでございます。

 ただ、先ほど御紹介がありましたような報道のように、出演者の許諾を不要にというようなことが今具体的にその方向性として出されていることではなくて、全体の議論の中で、実演家の権利も含めてどうあるべきかという議論を今させていただいているということでございます。

三谷委員 もうこれ以上は申し上げませんけれども、もちろん私も、日本発のコンテンツが海外に向けてどんどんネット配信も含めて拡大をしていくことは大変大事なことだというふうに思っています。しかし、ある特別なところだけ、いかにそれがネット配信といっても、著作権をそこで緩めるというようなこと、そこだけに認めるというのはいかがなものだろうかなということを思います。ぜひとも慎重な検討をお願いしたいというふうに思います。

 また、著作権でありますけれども、この著作権をめぐる紛争について、これは弁理士さんの話であります。

 著作権をめぐる紛争の相談業務につきまして、平成十七年末に日本弁理士会が実施したアンケートによると、著作権をめぐる紛争の相談を受けたことのある弁理士は全体の三分の一、三三%、相談を受けたことがあるのが三三%にすぎない、こういうお答えが出ています。また、日本弁理士会の東京常設特許相談室におきまして、著作権に関する相談は、全相談件数が二千六百七十三件、そのうちの八十五件と、これもまた圧倒的に少ないわけであります。

 参議院の審議の中では、池坊保子文部科学副大臣がこのように言われています。私どもは、連携をとりながら、著作権に関しては大いに弁理士の方々に活躍してもらいたい、こういうふうにお答えになられています。弁理士試験の中にも、あるところからは著作権に関することも加わりました。私も大いに弁理士さんに活躍してもらうべきだと思っています。

 弁理士会と連携をとりながら、著作権をめぐる業務について弁理士の方々に活躍してもらうため、文部科学省としてはどのような取り組みをされているんでしょうか、御説明をお願いいたします。

吉田政府参考人 御指摘のように、弁理士法の中でも弁理士さんの業務として、著作権に関しましても、裁判外紛争解決手続につきましての代理業務でございますとか、あるいは著作権に関する契約の締結に関する代理、媒介、あるいはこれらに関する相談業務といったものが位置づけられているところでございます。

 先般、私どもの池坊副大臣の方から申し上げましたとおり、文部科学省としましても、著作権関係で弁理士の皆様に活躍をしていただきたいというふうに考えておりまして、これまでにも弁理士会に対しまして、著作権法改正がございましたらば、その内容ですとか、あるいは著作権に関するいろいろな施策につきまして説明をさせていただくとともに、また弁理士会でさまざまな研修会を企画された場合には、それに対しまして講師を派遣あるいはあっせんなどの形で協力をさせていただいているところでございます。

 今後とも、各種の情報提供など、弁理士が円滑に業務が遂行できますように、弁理士会とも連携をして取り組んでいきたいと思っております。

三谷委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。

 話をかえます。

 先ほども模倣品・海賊版被害の話が出ております。中国の話も出ております。この模倣品被害、六九%は中国であります。続いて韓国、台湾が多いわけであります。この模倣品・海賊版対策についても知的財産推進計画二〇〇七の中にもしっかりと盛り込まれております。

 現在までの取り組みあるいは進捗状況について、広範な問題ではありますけれども、できるだけ整理をして御説明をお願いします。知的財産戦略本部事務局にお願いをいたします。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、模倣品・海賊版対策につきましては、先般決定された知財推進計画二〇〇七においても引き続き重要な課題として位置づけられております。

 これまで、模倣品・海賊版に関しましてさまざまな取り組みがなされてきておりますけれども、例えば、模倣品・海賊版の国内への流入を水際で防止するために関税法などを改正いたしまして、税関における水際の取り締まりの強化を図っております。

 あるいは、海外でいろいろ相談に行きたいという日本企業の方がおられたときに直ちに相談に行けるように、海外のすべての在外公館に知財の担当官を外務省の協力を得て設置いたしております。あるいは、さまざまな首脳会談あるいは国際会議の場等におきまして、そうした機会を利用して、侵害発生国や地域の政府に対する対策の働きかけも行ってきております。

 また、国内におきましては、日本の政府の一元的な相談窓口を設置したりもいたしております。

 さらに、G8サミットあるいはAPECなどの場において、模倣品・海賊版に関する合意文書が発出されるなど、関係各国との連携も図っているところでございます。

三谷委員 これはやはり一番には、模倣品・海賊版拡散防止条約、これを大目標にして、その早期の実現を目指さなければならないんですけれども、これも先ほど甘利大臣のお話の中にもございました、つい最近まではやりたい放題だった中国、その中国がまさに来年、二〇〇八年をめどといたしまして、不正競争防止法、あるいは特許、意匠に関する専利法を抜本改正するということが言われています。

 そして、我が国政府としては、中国との知的財産保護をめぐっては、まあ、アメリカはすぐにたたくのですが、対立よりもむしろ協力、養成路線をとってきました。中国政府に法制度の整備あるいは人材の育成を促してきたところがございます。

 まず、この中国の専利法の改正でありますけれども、先ほども中嶋長官のお話の中にもございました。見通しでお話ししづらいことはあろうかと思いますけれども、いい成果が今積み上がっている話の中で期待されるのかどうか。世界公知基準に見合う、我々の納得できるような、そういう法改正が進んでいるのかどうか。その見通しについて、甘利大臣に見解をお教え願いたいと思います。

甘利国務大臣 先ほどの質問とも関連しますけれども、アメリカが中国を知財違反ということでWTO提訴をしました。そのときに、日本にもいわばその共同提訴をしてほしいという働きかけがありました。我が方は、検討した結果、第三国参加ということにしたわけであります。

 これは、なぜそうしたかといいますと、中国に対して日本はキャパシティービルディングをやっているわけなんですね。つまり、制度を構築する、人材を育成すると。まだ、いわば知財途上国ですから、そこに制度やマンパワーを整備していくのに協力して、今その支援をしている最中なのであります。支援しているさなか提訴するというのはどうも若干矛盾するところがありましたので、相手に能力を付与させている最中なので、第三国参加という選択肢をしたわけであります。

 御質問の専利法の改正でありますけれども、昨年九月に中国政府と我が国の官民との間でセミナーを開催しまして、この改正法の草案段階で意見交換を行ったわけでありまして、画期的な取り組みとも言えるんだと思います。草案段階で協力して、内容の整備に向けて助言していったわけでありますから、これはいい形になるんじゃないかというふうに期待をしておりまして、これからも我が国から積極的な協力と提案を行っていきたいというふうに思っております。

 改正草案は、現在、中国の政府部内で検討中であると承知をいたしております。申し上げましたように、我が国からの提案内容も盛り込んだ形で十分な知財保護が実現される内容となるように、引き続き改正の動向を注視して、足らざるをアドバイスしていきたい、働きかけを続けていきたいというふうに思っております。

 経済産業省では、現地の知財専門家の育成への協力も行っているわけでありますが、冒頭申し上げましたように、この人材育成も行っているわけでありますけれども、一九九六年度から十一年間で実績を申し上げますと、四百七十二名の研修生の受け入れ、それから我が国からの講師の派遣等を行っているわけであります。

 これからも引き続き、中国における知的財産保護の制度整備のために、いろいろと助言、支援をしていきたいというふうに思っております。

三谷委員 今のお話を聞きまして、随分と我が国も協力をして、草案の中にもきちんと取り込んでいただいている、いい形になることが期待をされているというお話でありました。また、次の質問も答えていただきました。この路線でいいんだろうというふうに私も思います。この路線で、まさに模倣品・海賊版拡散防止条約、ここにたどり着くために進めていかなければならないというふうに思います。

 もう一つ、今度は地域中小企業に話をかえまして、地域中小企業の知的財産の活用に対する支援についてお尋ねをいたします。

 まず、知財駆け込み寺が去年から始まりました。簡単で結構であります、その活動内容はどのようなものなのか、そして今の利用状況、一年目でありますけれども、説明をしていただきたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 地域の中小企業の知的財産活用を促進するということが大変重要であるということから、昨年七月に、全国すべての商工会議所、商工会に知財駆け込み寺を設置いたしたところでございます。

 この知財駆け込み寺では、中小企業の相談内容に応じまして、知的財産に関する情報提供を行うとともに、弁理士など専門家やあるいは公的機関への取り次ぎなどを行っているところでございまして、ことしの三月末までの約九カ月の間に二千七百件強の相談を受け付けたところでございます。

 その相談内容につきましては、各種の知的財産制度の内容や支援策、あるいは知的財産の活用方法や活用戦略、あるいは知的財産の法務問題、係争問題など、多岐にわたるものとなっております。

 今後とも、地域の中小企業が知的財産を有効に活用できるように、きめ細かな支援をこの知財駆け込み寺を通じましてやっていこうと思っているところでございます。

三谷委員 今、相談件数は全国で二千七百件というお答えがございました。

 まず、これはささやかなことなんですけれども、あえてちょっと言わせていただきます。この駆け込み寺という名称ですけれども、私は、これはいかがなものかというふうに思います。駆け込み寺に行ってくださいというのは、何かそこに逃げ込んでくださいというような話になりまして、私も経産委員会にこうやって所属をさせていただきまして、地元に帰って宣伝をしておるんですけれども、なかなか言いづらいところがあります。ささいな話ではありますけれども、これから知財の活用をてこに成長を促していこうとポジティブな話をしているわけですから、やはり名称もポジティブな名称に変えていただくようにぜひとも検討をお願いしたいと思います。

 そして、全国で相談件数二千七百件ということでありましたけれども、始めて一年目であります。今、商工会、商工会議所にこの駆け込み寺を設置されているのが約二千五百カ所というふうに聞いております。一カ所平均でいったら約一件であります。もちろん、商工会議所や、県の中心部、中央に偏っているんだろうと思います。それにしても、余りにもその相談件数は、一年目といえども私は少ないと思います、そして知られていないと思います。相談したいというニーズは、さまざまな中小企業向けのアンケートを見ましても、十分あるというふうに思っています。もっと知ってもらうための努力をしていただきたいというふうに思います。これは答弁は求めません。

 中小企業の知財の活用ということで、ちょっと話をさせていただきます。

 特許を取るというのは、中小企業、特に地方の中小企業にとって非常に敷居の高い話であります。出願手続は大変煩雑でありますし、費用も高い、負担も大変大きいものがあります。年間約四十万件の特許出願のうち、中小企業からの出願はその約一割の四万件にすぎません。その一万五千件が特許登録されているということでありますけれども、我が国の事業所数の九九%はまさに中小企業であります。高い技術力、そして高い国際競争力を持つ我が国中小企業からすれば、もっと出願があってもいいのだというふうに思います。つまり、潜在的なニーズはあるんだというふうに私は思います。だけれども、敷居が高い。

 そして、一つには、どうにもならないんですけれども、弁理士さんたちの偏在のこともあります。都道府県別の弁理士さんの数は、圧倒的に東京に固まっています、そして大都市圏に偏在をしています。

 地元が広島県だから言うのではありません。これは広島県が実は一番顕著なんですけれども、平成十七年度の特許出願数でいきますと、三千六百三十五件、全国九位であります。だけれども、弁理士数でいいますと十八人しか県内にいらっしゃいません。例えば、東京は圧倒的に集中をしておりますけれども、千葉は、平成十七年度特許出願数は広島よりも少なくて三千七十五件、弁理士さんは百二人、百人以上いらっしゃるわけであります。これはどうにも、移ってくださいというわけにはいかないんですけれども。

 もちろん程度の差はございます、潜在的なニーズはあるんだと思います。だけれども、身近なところに知財のことで入り口となる、相談する弁理士さんあるいは特許事務所がないというのが、広島だけに限らず、地方の実情だというふうに思っています。

 そこで、日本弁理士会でも中小企業キャラバン隊あるいは商標キャラバン隊というのを行っておりますし、セミナー・相談会は五百回近く実施されたということでありますし、また、先ほども中嶋長官からの答弁の中にもございました、この知財駆け込み寺に加えて、弁理士さんも派遣して一年間で四千回の無料相談会を実施していますと。だけれども、これもいろいろ聞いてみますと、なかなか地方では四千回もやっているという実感が聞こえてこないんです。ぜひともこうした施策の強化をお願いしたいと思います。

 そして、最後の質問になりますけれども、中小企業の知財活用への支援策につきまして、既にこれまでの審議の中でもお答えがございました。中小企業に対して、中小企業には早期審査の実施でありますとか、あるいは先行技術調査に要する費用の補助でありますとか、研究開発型中小企業に対する料金の軽減といった措置等々、さまざまな助ける措置が講じられております。

 だけれども、足りないところであります。先ほどの北神委員からの話の中にも出ました、海外出願を促進しなければいけない、私は大事なことだと思っています。中小企業が知財をてこにして成長したい、あるいは国際競争力を強化する、そのために必要なことをさらに考えていただきたいと思うんです。国内だけじゃなくて海外においても、知財をてこに権利化をしよう、アメリカでも中国でも韓国でもヨーロッパでも特許を取得する、権利化をするその必要性が高まっています。

 大企業はいいんです。大企業でもかなりの負担になっています。だけれども、大企業はいい。十分負担できると思います。しかし、中小企業にとっては、それこそコストが高過ぎて、壁が厚過ぎて、なかなか手が届かない。使える知財を持っていても、持っている中小企業があっても、その知財を生かして、権利化をして成長したい、勝負をしたい、そういう中小企業があっても、海外で権利化したい、そのためのお金がかかり過ぎて手が出せない、そういう中小企業もございます。大学発の場合は資金も、その助成措置もあるというふうにも聞いております。

 甘利大臣にお尋ねをいたします。中小企業に対して、海外を含めて、権利を取得するためにかかる大きなお金、資金の助成措置を検討するお考えはないでしょうか。あるいは、広く、これに限らず、知財をてこにして成長しようとする中小企業をさらに助けていくための措置、今後の取り組みとして、何か考えようというようなことはありませんでしょうか。お願いします。

甘利国務大臣 中小企業が知財をてこに競争力を高めていく、あるいは海外進出をしていく、このためにてこになりやすいような環境整備を整えるということは、御指摘のように、極めて大事なことであります。

 権利をスピーディーに取得し、強力に保護し、活発に活用できる、創造、保護、活用の利便性を引き上げていくということは極めて大事なことであります。あわせて、財政力の弱い、財務基盤の弱い中小企業に、この戦略のサイクルに加わることができるように支援をしていくということは極めて重要なことであります。現状でも、外国出願する場合の費用に対する資金的な援助について、一定の枠内での支援措置はあります。

 ただ、要は、使い勝手がいいか悪いかという御指摘もいただきました。制度はあるけれども利用されていないとか、制度はあるけれども使い勝手が悪くて余り歓迎されていない、この辺の運用面でちゃんと機能するかということを検証することも大事だと思っております。

 中小企業関係団体から現状の問題点をしっかり聴取しまして、改善すべきものは引き続き改善していきたいというふうに思っております。

三谷委員 まさに、使い勝手が悪いから今なかなか使ってもらえない。あるいは、ほとんど厚みがございません。ぜひとも検討して、措置していただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 弁理士法の改正案質疑で、最初に、情報公開制度の導入に関連してお尋ねします。

 改正案に情報公開制度の導入が明記されておりますが、知的財産推進計画の二〇〇七におきましても、弁理士法改正案が成立した場合には、「ユーザーによる弁理士の選択に資する有用な情報の公表について検討を行い、二〇〇七年度中に結論を得る。」としております。

 そこでお尋ねしますが、政府として公表する有用な情報というのはどういうものなのか、具体的に御紹介ください。

中嶋政府参考人 弁理士はいわば専権業務といいますか排他的、独占的なサービスを提供する士業でございますので、特にユーザーからはそれぞれの弁理士さんについての情報が欲しい、なかんずく地方の中小・ベンチャー企業にとってはそういう声が非常に高いわけでございます。

 今回の法律改正が成立した場合には、二つの点でこの点を改善していきたいと思います。一つは、経済産業大臣と日本弁理士会が保有する弁理士に関する情報を公表していくという行き方、第二点目は、個々の弁理士にもみずからの情報提供についての努力義務を課していくということでございます。

 第一点目の経済産業大臣及び日本弁理士会の方の保有する情報でございますけれども、具体的には、私どもの保有する情報としては、ユーザーの方から見ると、個々の弁理士さんが取り扱う工業所有権の種類、つまり特許なのか意匠なのか商標なのか、そういった工業所有権の種類とか、あるいは技術分野、御専門の技術分野が機械なのか化学なのかバイオなのか、そういった技術分野についての情報が大事だと思っております。それから、日本弁理士会の方で保有されている情報としては、当然ながら、弁理士の氏名であるとか住所あるいは登録年月日などを公表することを想定しております。

 いずれにしても、具体的な公表項目とか方法は、これから詳細を詰めまして省令で決めていくことになると思いますけれども、できるだけユーザーの方にとって使い勝手のいい情報が提供されるように心がけていきたいと思っております。

塩川委員 国が公開する情報の中で、例えば弁理士の方の出願件数について、そういう実績、数として出したり、そういうお考えはおありですか。

中嶋政府参考人 これからどういう形の公表の仕方がいいかということは、いろいろ工夫が要ると思いますけれども、例えば技術分野ごとの取り扱っている件数の実績とかいったようなことも考えてみたいと思っております。

塩川委員 個人情報の関係もありますし、もともと日本弁理士会そのものがみずから処分も行うような自主的な組織でもありますから、情報公開に当たりましても、国が余り表に出るよりも、日本弁理士会としての自主的な取り組みを促していく、こういうことが重要だと思いますけれども、そういうお立場だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

中嶋政府参考人 もちろん、一義的には、日本弁理士会のお持ちの情報、それから個々の弁理士さんのお持ちの情報をできるだけ積極的に公表していただく。私どもも、特許庁として保有しているデータの中で、全体として差しさわりのないようなものについてはいろいろ公表の仕方を考えていきたいと思っております。

塩川委員 そこで、大臣に伺いますけれども、出願件数を示すということは、既に経済産業省として昨年度から実施をされておられます。弁理士事務所の技術分野別の出願件数の公表ということで、国際特許分類の八セクションごとの上位二十の事務所ですとか全技術分野の上位五十事務所の件数を公表というのがあって、ことしが二回目ということであります。

 そこで、こういった現在の件数のみによるランキングの公表ということでは、規模の大きな事務所の方が当然上に上がりますから、こういったランキングの紹介というのは、むしろ大手事務所に対して、業務の集中を加速させるような懸念が生まれはしないか。情報開示のあり方として適当なのかどうかと率直に思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

甘利国務大臣 総合的な件数で情報開示がされる。それ以外に、例えばこういう分野を取り扱っている件数、分野ごとに、専門性の問題、そして表示される。一定の順番は何らかの順番で公表しなきゃならないと思うのでありますが、そこが、件数ごとの案件で公表すると、多い順からくると、その多い方が、何というか立派な事務所と思われて、そこにより集中するではないか、大きいところはどんどん大きくなって、下の方の小さいところはどんどん取り残される、そういう御心配かと思いますが、仮に、ユーザーの立場で、私が中小企業だったとします。そうしますと、こんな大きいところだと、その他一同の扱いを受けるなと。自分が特許を取りたいというのはこういう分野で、ここに強いところで、それで、ちゃんと親切丁寧に扱ってくれる規模はどこかという選択肢も当然働くんだと思います。

 大企業と中小企業が一緒にそこの弁理士事務所にアクセスするわけでありますから、大企業と並んで中小企業が取り扱ってもらうのに、劣後に置かれるんじゃないかという心配があれば、より適正な規模のところを、親切丁寧にやってくれるような、それでいて専門性が高いということで、こういうところの方がいいんじゃないかという選択肢も当然働くと思うんですね。

 ですから、要は、ユーザーにとって、ユーザーが何を求めているかということに対して情報が適宜適切に伝わるように、これは弁理士会ともよく話をして、単に件数の扱いが多いところがどんどんどんどん多くなるだけの仕組みということにならないような知恵は出していきたいと思っております。

塩川委員 大臣も最後におっしゃられたように、出願件数の多さがイコールその弁理士の能力を示すということでは、単純にはそうではない。

 例えば、産構審の弁理士制度小委員会の報告の中でも、名義貸しの話に関連しまして紹介していますけれども、「特許事務所の弁理士一人あたりの特許出願件数をみても、最も多い事務所では、弁理士一人あたり四百五十三件という実態があり、また一人あたり二百件以上という事務所も十四事務所あり、これらの事務所においては補正書、意見書などの中間手続も考えると、実質的に補助員に代理業務を行わせていると考えざるを得ない状況にある。」と指摘をしている。

 出願件数の多さがかえって名義貸しを疑うような場合にもなり得るわけで、かえってユーザーに誤った情報を提供することにもなりかねないということにぜひ留意して対応をお願いしたいと思っております。

 次に、企業における知的財産部門の分社化の問題について伺います。

 今紹介した小委員会の報告では、「近年、企業による経営効率化に向けた取組の一環として、会社分割によって知的財産部門を別の会社として、親会社及びグループ会社の知的財産管理を一元的に行うケースや、グループ企業内の特定の会社において、知的財産管理を一元的に行うケースが増加している。」ということを指摘しております。これらの具体的な事例の紹介をお願いしたいと思います。

 あと、企業内弁理士というのが全体の何人ぐらいなのかということも、全体に占める割合も含めてお示しいただけますか。

中嶋政府参考人 今先生御指摘になりましたように、九〇年代後半以降、企業の中で各部門の採算性を明確にするといったような観点もございまして、社内の部門の分社化が進んでおります。そうした中で、知財の部門についても別会社として分社化するという例も実際ございます。

 これは、知財部門が権利取得をするという活動だけではなくて、取得した権利を、例えばほかの会社にライセンスをしていくとかいうような活動も含めて、知的財産によって自分の部門が直接的に利益を生み出すような組織に転換をしていくといったようなことを目的とする場合もあるようでございます。

 実際に、知的財産部門の全体とかあるいは一部を分社化した企業の例として、日本の中でも、これはもうオープンになっているものでございますので固有名詞を申し上げてもいいと思いますけれども、帝人株式会社とか東レ株式会社などもございますし、あるいはアメリカの企業においてもスリーエムといったようなものがございます。

 もちろん、業種、業態によって、どういう知的財産戦略とか組織体制がいいのかというのは一概には論じられませんので、企業がそれぞれのお考えで、自分の企業価値あるいは技術経営力を高める方向で社内の体制を組んでいただくことが重要だと思っております。

 それから二番目のお尋ねでございますけれども、企業内弁理士の実情でございますけれども、これは、平成十年三月末では四百二名であったところが、ことしの三月末、十九年三月末では千百三十六名と大幅に増加をしております。弁理士の全体に占めます企業内弁理士のウエートも、平成十年の一〇%から、平成十九年には一五・八%というふうに高まっております。

 これはやはり、企業における知財戦略重視の中で、企業の中の知財部門の業務を担当する者について、より深い専門知識を得るために、弁理士資格を取得する意識が高まっているということが背景にあると考えております。

塩川委員 帝人の知的財産センターなどがよく知られておりますけれども、この間急速にふえているということで、こういう会社勤務の弁理士の出願件数が出願件数の全体に占める割合というのはお示しできますか。

中嶋政府参考人 今現在、そういう集計したデータが手元にございませんので、ここでお答えすることは、申しわけございませんけれどもできません。

塩川委員 後で教えていただきたいと思います。

 その中で、先ほども出たような名義貸しの実態というのはないんでしょうか。

中嶋政府参考人 いずれにいたしましても、弁理士が本人の代理をして出してくる場合には、必ずその中身について、みずからが責任を持ってチェックをしている。もちろん、これは先ほど御議論がございましたように、自分が指導監督して補助者を使うということは当然でございますけれども、みずからが内容を理解した上で出願代理をしてくるということだと理解しておりますので、名義貸しが現にあるというふうには私どもは今のところ思っておりません。

塩川委員 代理人として知的財産管理会社の所属の弁理士の個人名を掲げているのに、審査官等とのやりとりには弁理士が出てこないで知財管理会社の社員が出てくることもあるという話も、間接的ですけれどもお聞きするんですけれども、こういう事態が起こらないように、きちんとした是正の対策というのをぜひともとっていただきたい。

 最後に、懲戒制度のあり方についてお尋ねします。

 懲戒の種類が新設をされますけれども、業務の一部についての停止処分というのは具体的にどのようなものを指すんでしょうか。また、なぜこのような種類の懲戒を導入するのかをお答えください。

中嶋政府参考人 御案内のように、特許などの出願手続というのは、ある一定の期間続くものでございます。したがって、弁理士に、例えば業務の停止の懲戒処分を行った場合には、その出願人が新たに別の弁理士の選任を強いられてしまう。とりわけ資力に乏しい個人とか中小企業にとっては、また一から別の人に自分の出願内容を理解してもらうというような大変大きな負担になります。

 特に、特許の取得手続の場合には、一定期間に特許庁との迅速なやりとりを要求される場合がございます。例えば、出願について拒絶理由通知が発出されますと、それに対する反論といいますか、意見書の提出期間は六十日以内でありますし、あるいは拒絶査定についての不服審判、これは三十日以内に提起する必要があるといったようなことでございますので、場合によっては、業務の停止が行われた結果、短期間にかわりの弁理士を探していくということが非常に困難な場合もあり得る。

 そういうことも考えまして、既存の出願人の保護を図る必要がある場合もあるだろうということで、今回、業務の一部停止という懲戒を新設したわけでございます。具体的に申しますと、二年以内の期間を定めまして新規の業務の受任は停止させる一方で、既存の業務については事案に応じて引き続き行うことができるようにするということでございます。したがいまして、これはあくまでもケース・バイ・ケースの判断でございますけれども、そういう形で、出願人の保護にも配慮した懲戒処分が可能になる場合もあるということでございます。

塩川委員 大臣に伺います。

 今のような事情についても、理解できるところが当然ございます。同時に、制度として一部停止ができることによって、従来であれば業務停止、全部停止相当の懲戒となる事案の対処が一部停止という形で結果として甘くなるんじゃないのか。

 例えば、企業内弁理士のようにユーザーと弁理士が一体のような場合が当然ありますね。企業内弁理士が問題を起こしたときに、ユーザーの権利保護といっても、そのユーザーというのはまさに弁理士と一体の企業であるわけですから。そういったことを考えると、そういう企業の不法、不正な行為に対し一部業務停止というような懲戒ということになれば、お目こぼしのようなことになりはしないのか、そういう懸念というのも覚えるわけですけれども、その対処に当たっての措置のあり方としてどうあるべきなのか、大臣のお考えをお聞かせください。

甘利国務大臣 長官から説明をさせていただきましたとおり、現行では、懲戒制度に戒告があっていきなり業務全面停止という、死刑になっちゃうわけでありますけれども、その間に、中間的な一部業務停止といういわば刑を設けるということにするわけであります。

 これは、弁理士法というのは企業内弁理士法とか企業外弁理士法というふうに分かれていませんから、弁理士全体に共通のことでどう取り扱うかということを決める法でありますけれども、特許を取得するまでリードタイムが長いということと、いろいろユーザーと弁理士とのやりとりの中で特許の権利取得をしていくという制度でありますから、途中まで交渉を知っている人が途中から突然かわっちゃったというと、ユーザーにとって極めて都合の悪い点になることもある。

 ですから、程度の度合いですよね。これは全面業務停止にふさわしいペナルティーをかけなきゃいけないというのは当然そうさせますけれども、そこまでユーザーの利便性を犠牲にして全面停止にしちゃうまでの事案かという点は考えなきゃいけないと思いますから、そこで中間的な処分を設置したわけでありまして、ただ、これは、その事案にきちんと適切に該当するかどうかというのはこれからきちんと精査をしていきたいというふうに思っております。

塩川委員 ユーザーと弁理士が一体のような企業内弁理士の状況の場合につきまして、やはりそこにきちっと、その企業の不正、不当な行為を容認するようなことにならないような懲戒のあり方についてぜひともきちんと定めていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。

上田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、弁理士法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、金子善次郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。赤羽一嘉君。

赤羽委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 なお、内容につきましては、案文の朗読をもって詳細な説明は省略とさせていただきます。

    弁理士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じるべきである。

 一 弁理士に期待される社会的役割が増大する中で、弁理士を含めた知的財産人材の育成に努めるため、公的支援も考慮しつつ、必要な措置を講じること。また、登録前実務修習については、弁理士に必要な能力を担保できるものとするよう十分措置するとともに、日本弁理士会が行う定期的義務研修については、弁理士の不断の自己研鑽を促し、弁理士の資質の維持・強化に資するよう、適切な制度設計を行うこと。

 二 弁理士試験の一部免除について、受験者の負担軽減が弁理士の資質の低下を招くことがないよう十分配慮すること。また、海外での知的財産権の戦略的な取得及び活用が重要となっている現状にかんがみ、弁理士の国際的資質を確保するよう、工業所有権に関する条約が論文試験の出題範囲に含まれることを明確にするための措置を検討すること。

 三 弁理士への信頼性を確保するため、弁理士の名義貸し禁止規定の趣旨が徹底されるよう、弁理士の補助員の業務に関するガイドラインを整備するなどの措置を講じること。併せて、弁理士に対する経済産業大臣による懲戒や日本弁理士会による処分についても、それぞれの措置の運用基準を整備すること。

 四 特定侵害訴訟代理制度における弁理士の受任等の在り方を含めた弁理士の積極的活用については、訴訟代理の状況や利用者のニーズを踏まえつつ、引き続き検討を進めること。

 五 地域において知的財産制度の積極的な活用を促進するよう、弁理士に関する情報の提供を含め、地域ブランドや地域資源の活用による地域・中小企業の活性化などの各種の取組みに、弁理士が積極的に関与しうるための施策の充実を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利経済産業大臣。

甘利国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

上田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

上田委員長 次回は、来る十五日金曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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