衆議院

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第5号 平成19年11月2日(金曜日)

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平成十九年十一月二日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 鈴木 俊一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 吉川 貴盛君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 忠彦君    江崎洋一郎君

      大村 秀章君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    柴山 昌彦君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    丹羽 秀樹君

      橋本  岳君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      安井潤一郎君   山本ともひろ君

      吉田六左エ門君    吉野 正芳君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      田名部匡代君    田村 謙治君

      牧  義夫君    三谷 光男君

      高木美智代君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   経済産業副大臣      新藤 義孝君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   外務大臣政務官      中山 泰秀君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   経済産業大臣政務官    山本 香苗君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 木曽  功君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          安達 健祐君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    岩井 良行君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二日

 辞任         補欠選任

  吉田六左エ門君    山本ともひろ君

  太田 和美君     田名部匡代君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    吉田六左エ門君

  田名部匡代君     太田 和美君

    ―――――――――――――

十一月二日

 中小自営業の女性起業家・家族従業者に対する支援の充実等に関する請願(中川正春君紹介)(第三四七号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三五三号)

 同(北神圭朗君紹介)(第三六三号)

 同(高井美穂君紹介)(第三七八号)

 同(保坂展人君紹介)(第三七九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四〇三号)

 同(太田和美君紹介)(第四三四号)

 同(楠田大蔵君紹介)(第四三五号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第四五四号)

 同(土肥隆一君紹介)(第四五五号)

 同(松木謙公君紹介)(第四五六号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第四八一号)

 同(篠原孝君紹介)(第四八二号)

 同(仲野博子君紹介)(第四八三号)

 同(横光克彦君紹介)(第四八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官河野正道君、外務省大臣官房参事官小原雅博君、文部科学省国際統括官木曽功君、経済産業省貿易経済協力局長安達健祐君及び中小企業庁次長岩井良行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠彦君。

伊藤(忠)委員 おはようございます。

 それでは、直ちに質問に入らせていただきたいと存じます。

 現在の日本と北朝鮮を取り巻く情勢に目を向けますと、先日の六者協議におきまして、北朝鮮の核放棄に向けた第二段階の措置が発表されたところでございます。しかし、依然として、我が国並びに東アジアの安全保障の脅威となる北朝鮮の核の問題は、その解決を見ているわけではございません。また、私どもの国にとって最大の懸案事項である拉致の問題は、全く進展を見ないまま残っておるわけでございます。拉致被害者の方のお気持ちを察すると、一刻も早くこの拉致問題が解決されることを期待いたす者の一人でございます。

 さて、この諸問題に関して、北朝鮮に誠意ある対応を促していくために、今日議論になっております法案についてあるわけでございますけれども、まず、昨年十月より実施している一連の制裁措置の効果について政府としてどのように評価をしておられるか、まずそれをお伺いしたいと同時に、どうも伺っておりますと、不正な迂回輸入の事案があったということでございます。こうしたことについての対策は十分に機能しているのか、そのことをまずお伺いしたいと存じます。

小原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま制裁措置の効果につきまして御質問がございましたが、我が国が実施しております対北朝鮮措置の効果に関しましては、例えば、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置によりまして、昨年十一月以降は入港実績がゼロとなっております。また、北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止措置によりまして、本年は輸入実績がこれまでゼロとなっております。

 対北朝鮮措置の北朝鮮経済全体に対する効果につきましては、これを確定的に評価することは困難でございますが、ただいま述べましたデータと北朝鮮の厳しい経済状況をあわせ考えました場合に、一定の効果を及ぼしているものと考えております。

 加えまして、北朝鮮に対する措置につきましては、その経済的効果だけでなく、政治的意義にも注目しながら、それが拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた誠意ある対応を北朝鮮から引き出すという目的に資するかとの観点から、評価、検討していくことが重要と考えております。

 いずれにいたしましても、十月九日に閣議決定を行った船舶入港禁止措置及び輸入禁止措置の六カ月の継続につきましては、北朝鮮に対し、拉致問題を含む諸懸案の解決に向けた誠意ある対応を求める我が国の立場を改めて明確にする効果があったと考えております。

安達政府参考人 迂回輸入について御質問がございました。

 我が国独自の措置である対北朝鮮輸入禁止措置については、その実効性を高める観点から、近隣諸国を経由した迂回輸入を確実に防止することが極めて重要でございます。

 こうした観点から、政府といたしましては、北朝鮮貨物の迂回輸入防止のため、関連品目、これは十六品目を対象としてございますが、近隣諸国からの貿易動向の把握に継続的に努めるとともに、税関、海上保安庁、農水省といった省庁横断的な会議を開催するなど、関係省庁間の連携を図っているところでございます。

 今御指摘にありました北朝鮮のアサリの不正輸入事案につきましては、これは中国産と偽って輸入した事案でございますが、刑事罰が確定し、及び行政制裁が科されたところでございます。

 このような関係機関の連携協力の結果、摘発されたものと考えておりますが、今後とも引き続き、対北朝鮮輸入禁止措置の実効性を確保するため、関係省庁と連携し、迂回輸入防止に努める考えでございます。

伊藤(忠)委員 せっかくこうしてこの法案を維持しておるわけでございますから、ぜひ厳格な対応をしていただきまして、これが趣旨どおりのちゃんとした影響力を及ぼしていけるように、それぞれ、つかさつかさでやっていただきたいものだというふうに思います。

 ところで、この法案の影響を受ける人たちもまた私たちの国の中にはおられます。中小企業の方々、部品だとかいろいろなものを輸入しながらやっている人たち、こういう人たちにとってみればある種非常に厄介な出来事が起こっておるわけであります。こうした人たちの声がちゃんと政府に届いて、これらの人たちに対してはきめ細かな手当てというか、相談に乗ってさしあげるということはこの法案を出していくときにも議論されたところでございますけれども、どうでしょうか、これは施行後、こうした声がどんなふうに届いて、この人たちに対してはきちっとした手当てをされておられるのかどうか。この点につきまして詳しく御報告をしていただきたいと存じます。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、今御指摘のございました、北朝鮮に対する経済制裁措置によって影響を受ける中小企業の皆様への対策といたしまして、この制裁措置発動開始の前日の平成十八年十月十三日から、全国九百四十三カ所、政府系中小企業金融機関、商工会議所などでございますけれども、特別相談窓口を設置させていただきまして、具体的には、政府系中小企業金融機関により必要な運転資金をお貸しするという内容のセーフティーネット貸し付けによる支援を実施するなど、中小企業の皆様への資金供給に問題が生ずることがないよう対応に努めてまいりました。

 その実績でございますけれども、先週末までに、この特別相談窓口に合計百十二件の御相談を寄せていただきました。今御説明申し上げました政府系中小企業金融機関から十九件、三億円を超える融資を実施させていただいております。なお、今年度、ことしの四月以降でございますけれども、御相談の件数は七件ということになってございます。

 引き続き、こうした対策を、関係機関と密接に連絡をとりつつ進めてまいる所存でございます。

伊藤(忠)委員 恐らくは、中小企業の皆さんもこの法案がいつ切れるのかなということも見ておられると思います。また六カ月延ばすということは、新しい事態に突入するわけでございますから、今伺ったところでは、どうやら中小企業も落ちついてきているようでありますけれども、引き続き、この人たちに対してのきめ細かな手当てと申しますか、説明、相談、こうしたことについてはきちっとやっていただきたいというふうに思います。

 それから、今、アメリカのヒル国務次官補が、米国政府ということになろうかと思いますが、北朝鮮をテロ支援国リストから除外するかどうかの検討をしておるというふうに漏れ伝わってきております。しかし、この拉致問題というのは私たちの国の固有の問題でございます。たとえアメリカがいかなる判断をしたとしても、私たちの国の、この制裁を含めた北朝鮮に対する問題解決を促す我々の行動はやめることはないはずだというふうに私は確信をいたしております。

 そこで、この北朝鮮に対する輸入禁止措置を継続することにつきまして、経済産業大臣の改めての御決意を伺っておきたいと存じます。

甘利国務大臣 我が国といたしましては、これまでに、六者協議などの北朝鮮との対話の努力を続けるとともに、我が国独自の措置であります輸入禁止措置及び国際連携の取り組みである安保理決議に基づく奢侈品の輸出禁止措置などを実施してきております。

 今般、北朝鮮は、寧辺の核施設の活動を停止する等、一定の措置を実施したものの、拉致問題に進展が見られないこと等、北朝鮮をめぐる諸般の事情を勘案しまして、輸入禁止措置の延長を政府として決定したものであります。

 また、並行して、制裁措置の実施により影響を受ける国内中小企業者に対して、先ほどの答弁にもありましたが、きめ細かな措置を講じてきておりまして、最近ではその影響も少なくなっていると思っております。

 今後とも、引き続き国内中小企業者への影響に配慮しながら、対話と圧力の考え方のもとに、北朝鮮に対して硬軟取りまぜた手段を活用していく所存であります。これによりまして、北朝鮮が我が国及び国際社会の要請を踏まえた誠意ある対応をとることを強く求めるものであります。

伊藤(忠)委員 ぜひ、本法案を延長させていただく以上は、この法案が具体的な成果が上げられるように、私たちは政府一体で北朝鮮に対してきちっとした働きかけをさせていただきたいものだ、こう思いますと同時に、やはり、この法案で、先ほども申し上げましたけれども、中小企業の皆さんに御迷惑がかからないようにしてまいらなければならない。ここの心配りもよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 伊藤忠彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 おはようございます。

 大臣、今もお話を聞いておって、経済制裁、まだ引き続き必要だということは十分理解ができます。ただ、経済制裁というのは、一カ国だけでは、当然、経済制裁の実効性という点では非常に弱いものでありますし、やはり、関係国、特に周辺国がまとまって対応していくということが不可欠だというふうに思っています。

 冒頭、中山政務官にも、外務省、来ていただいていますので、お尋ねをしたいのは、ちょうど一年間が国連安保理一七一八号の決議からたって、我が国の経済制裁も一年と少しが経過をしました。特に奢侈品ということでも結構でございますが、外務省からいただいた資料では、国際的に、必ずしも全国連加盟国が共同して対北朝鮮措置を同じ方向でやっているというふうにもなかなか見えない部分もあるんですが、特に中国は、例えば奢侈品の輸出禁止について不公表ということで、やっているかどうかもわからないということがきのうお聞きをした部分であります。

 特に、一年ほど前には、十カ国の、米、中、韓、豪、加、英、独、伊、仏、ロシアと、アジア主要国ということでシンガポール、フィリピン、インドネシア、ベトナムということで、フィリピン、ベトナムについては、奢侈品の輸出禁止、この国連決議一七一八に基づく部分も未実施ということであります。

 政務官、この経済措置は、今もこの主要国十カ国と、アジアもこの四カ国、この十四カ国だけが我が国以外に実施しているということで、ほかの国はどうなっているのか。あわせて、この十カ国プラスアジアの四カ国以外の部分についてはどのように現状なっているのか、簡潔で結構ですから、お尋ねしたいと思います。

中山大臣政務官 おはようございます。後藤先生、御質問ありがとうございます。

 我が国が承知しておりますところによれば、我が国を初め、米国、カナダ、欧州諸国、豪州等は、国連安保理決議第一七一八号に基づきまして、軍関連及び核、ミサイル、WMD計画関連の特定品目の輸出禁止、先生御指摘のいわゆるぜいたく品の輸出禁止等の措置を既に実施しているものと承知いたしております。

 いずれにしましても、安保理決議第一七一八号に基づく措置を実施いたしますことは国連加盟国の義務であり、また、北朝鮮に国際社会の意思を明確にする上でも重要であると考えております。

 政府といたしましては、できるだけ多くの国が同決議に基づく措置を実施することを期待しており、引き続き、各国に対し、同決議の着実な実施を働きかけていく考えでございます。

 と同時に、先生御指摘の中国に関しましても、安保理決議第一七一八号に基づく義務を履行する旨を対外的に明らかにしておりますが、先生のおっしゃるとおり、不公表という形で、具体的な措置については対外的に明らかにされていないという事実はございます。韓国は、軍関連及び核、ミサイル、WMD計画関連の特定品目の輸出禁止を実施済みでございますけれども、いわゆるぜいたく品については、現時点では輸出禁止措置を実施していないと承知いたしております。

後藤(斎)委員 大臣、今政務官がお答えをいただいたように、やはり、特に北朝鮮の隣国である韓国にしても中国にしても、本当に日本と同じ気持ちでやられているのかどうかというのが不明確でありますし、もともと経済制裁というのは、ナポレオンの大陸封鎖令から始まって、大きなものでは一九三五年の国際連盟の対イタリア制裁という部分が非常に有名な部分であるそうであります。

 特にここで大切なことは、先ほども御指摘をさせていただいた第三国との経済関係がどうなるか。要するに、第三国からの経済支援が、やはりまとまってやらないと、例えば奢侈品、日本やアメリカがだめだと言っても、韓国や中国から入ってくれば、その制裁の効力というのは、確かに明確な意思ということでは我が国の場合通用すると思うんですが、そうではなかなかなっていないということですから、これは外為法ということで、きょうはメーンで対応していますが、外務省としても、ぜひ、先ほども政務官がお答えいただいたように、やはりまとまって、たくさんの国が同じ方向性に向けてやっていくということでないと、この経済制裁の効果というのは全くないということだというふうに思います。

 これも、北朝鮮はもちろん外交関係がないわけですが、報道でしかわかりませんが、例えば、一年たって、そんなに国民生活が一年前よりも悪くなっているというふうな報道は余りなくて、後でちょっとお尋ねをしますが、日本製の自転車等が平壌の周辺を走ったりして、むしろ生活的には豊かになったという報道も一部ございます。

 この経済制裁が有効に働いているかどうかという検証も、やはり、できる範囲でともちろんこれは思いますが、していかなければいけないと思いますが、外務省、今、この経済制裁の効果について、どのようになっているのか、評価をしているのか、いや、まだまだ不十分だというふうに思っているのか。その点について、簡潔で結構ですからお願いします。

中山大臣政務官 我が国が昨年の十月十四日から実施してきております北朝鮮船舶の入港禁止の措置及び北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止の措置については、政府としては、拉致問題について具体的な進展がないことや、核問題を含む北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案した結果、十月九日、六カ月間継続をするための閣議決定を行っております。

 我が国が実施しております対北朝鮮措置の効果に関しては、例えば、北朝鮮船舶の入港禁止措置により、昨年十一月以降は入港実績がゼロとなっております。また、北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止措置により、本年は輸入実績がこれまでゼロとなっております。

 対北朝鮮措置の北朝鮮経済全体に対する効果を確定的に評価することは困難でございますが、これらのデータと北朝鮮の厳しい経済状況を合わせた場合、一定の効果を及ぼしているものと考えております。

 加えて、北朝鮮に対する措置については、その経済的効果だけではなく、その政治的意義にも着目をしながら、それが拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた誠意ある対応を北朝鮮から引き出すという目的に資するかとの観点から、評価、検討していくことが重要と考えております。

 いずれにいたしましても、十月九日に閣議決定を行った船舶入港禁止措置及び輸入禁止措置の六カ月間の継続は、北朝鮮に対し、拉致問題を含む諸懸案の解決に向けた誠意ある対応を求める我が国の立場を改めて明確にする効果があったと考えております。

後藤(斎)委員 政務官、確かにそこの部分は否定しませんし、そうだと、そこまでしか言えないということもよくお立場的にわかるんですが、先ほどもお話ししたように、もともとの経済制裁の効果というのは、それがきちっと対応されないと、やはり対話と圧力という部分で、後でお聞きをしますが、その方向性が福田内閣になって変わったというふうな話も報道でありますけれども。

 大臣、今回の継続する一番の説明は、六カ国会合では、北朝鮮は寧辺の核施設の活動停止等の一定の措置を実施したが、拉致問題について進展がないこと等、北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案し、これらの措置の継続が必要と判断ということで継続を決定しております。

 であれば、先ほどもお話がありましたように、昨日から、北朝鮮の核施設の無力化ということで、まず一段階目で米国の作業チームが入り、これからは米国以外の六カ国の専門家の方々も、年内を目途に、年内までにですか、完了を目指すということで、核の無力化の作業をしていくというふうなこと。確かに、北朝鮮情勢、少しずつか急速かという判断は別としても、動きつつあるのも事実だと思います。

 であれば、例えば、十月二十六日ですか、高村大臣が、拉致被害者の方々数人の帰国を進展とみなし、北朝鮮への経済制裁を解除する用意を表明みたいな記事が、翌日の新聞報道でかなり出ておりました。これについては、いやいや、そうではなくて、生存者全員の帰国という最終的な目標に向けてということで、官房長官も含めて、いろいろ政府の閣僚間でも意見が何か違うような報道がかなりされておりました。

 これは外務省にお聞きをした方がいいと思うんですが、では、どんな条件になれば、この経済制裁というのはなくなっていくのか。特に、きょうの新聞報道では、これは報道ですから正確かどうかは別としても、北朝鮮への制裁、安保理の奢侈品の輸出禁止の部分ですね、再検討すると韓国の外交通商相が昨日発言をされたということも含めて、どんな条件であれば経済制裁は、特に我が国のということでも結構ですから、解除をされるのか。その方向性について、これも簡潔で結構ですから、お聞きをしたいと思います。

中山大臣政務官 我が国の対北朝鮮措置に関する今後の扱いにつきましては、拉致問題を含む諸懸案に関する北朝鮮の行動等を踏まえまして検討していく方針でございます。

後藤(斎)委員 わかりました。

 甘利大臣、奢侈品の輸出は国連決議に基づいている、輸入禁止は我が国独自の制裁だということであるなら、例えば、先ほどちょっと北朝鮮の自転車の話をしましたが、これは事実だと思うんですが、報道も含めて、いろいろな部分で、昨年よりもことしの、これは北朝鮮国籍ではなくて、そうではない国籍の船を使って北朝鮮向けに自転車、特に中古の自転車だそうですけれども、かなり大量に行っているというふうな話があります。これは奢侈品でないからという話を経産省からも聞いているんですが、要するに、輸出禁止の対象ではないと。

 であるんだったら、輸入禁止では、ほかの国よりも、要するに、意思の明確化ということも含めて、もちろんプラスの経済制裁をしているわけですね、輸入の部分で。であれば、輸出の部分も、国連決議に基づく奢侈品だけではなくて、もっと重い輸出禁止措置をやはりかけるべきではないかなという議論もあると思うんです。

 先ほどもお話ししたように、経済制裁ということ自体は、海外から輸入してきた物資を欠乏させて国内的な問題を起こしていくというのがもともとの目的だという話もありますし、特にこれは継続的に続いているかどうかは間接的な貿易統計なのでわかりませんが、〇五年では、まだ日本が中国、韓国に次いで、タイと同じぐらいかな、第三番目か第四番目の北朝鮮から見れば輸入国でありましたが、〇六年になると、インドがかなりのシェアを占めて、中国、韓国に次いで第三番目のどうも輸入国に北朝鮮はなっているようであります。

 やはり、ほかの国からということを考えて、なおかつ、我が国の主体的な意思を明確化するということであれば、自転車等の問題についても、やはりもっと、国連決議に基づく奢侈品だけではなくて、もう少し強い意思表示をするという方策もあると思うんですが、その点については、実態と今後の方向性について、大臣、いかがですか。

甘利国務大臣 国連決議に基づいて共同でやる制裁と、我が国独自のものとあるわけであります。

 国連決議に基づいて行っている、大量破壊兵器の関連物は、これはもう核拡散を防止するという意味で当然のことですが、奢侈品につきましては、現状の態度を変えようとしない北朝鮮政府軍の幹部が、その求心力といいますか、全体のモチベーションを維持させるために奢侈品を使っているのではないか。もちろん、個人自身のぜいたくな生活というのもあるでしょうけれども、それを食いとめていくという意味でなされているわけであります。でありますから、奢侈品以外の自転車については対象外になっている。これをもっと全面的にやったらどうかというお話だと思います。

 我が国としては、対話と圧力ですから、対話をしながら、相手の対応によってはきつくも緩くもできる。最初から目いっぱい全部かけておいて、さらに態度が悪くなったときにそれ以上かけられないということではなくて、緩くもさらにきつくもできるという、そのアローアンスを持っているということが大事だと思いまして、そういう点から、現状で、政府、幹部、軍幹部が全体を指揮していくのに資するであろう奢侈品について共同で停止をしているということであろうと思います。

 ですから、相手の対応に従っては、これも緩くもきつくもなっていくという余地があるということであろうと思います。

後藤(斎)委員 確かに、大臣がおっしゃるように、緩くもきつくもということで、少しアローアンスを残しながらということはよくわかるんですが、四月に延長をまず半年決めて、今回また半年延長を決めると。今がある意味では、先ほどの、核施設のこれから無力化に向けての作業が進展をしたと。そこでは、外交的には、多分外務省はそういう、大臣がおっしゃったことも含めて、いや、ちゃんとしなきゃもっときつくするよと言っているのかどうかよくわかりませんが。

 もう一つ、やはり今回考えなきゃいけないと思っているのは、先ほどもお話がありましたように、経済制裁をするとき、これは制裁だけでありますが、輸出入を管理するとき、以前はIQ制度がかなりありました。それがほとんど今ない中で輸入が行われている。輸出については、経産省にお尋ねをしたら、この二年間で外為法、外国貿易法に係る規制強化の事例というのが二十六本、法令等を改めて規制を強化している。この中に今回の事案もございます。

 大臣、以前で言えば軍用品、民生品ということで、軍の技術の方がはるかに高くて、それを民生品に転換するということが、多分、二十年前か十五年前か三十年前はあって、今はそうではなくて、民生品の方がもしかして軍用転用もできるということで、今、安全保障貿易管理の仕組みというのはリスト規制とキャッチオール規制ということで、特に武器や軍用転用可能な高度技術の汎用品というのは、リスト規制をまずやって、それ以外の食料品、木材、医療、リスト規制品を除くすべてのものについてはキャッチオールということで、輸出管理を厳しくしている国を除く全地域に網をかけるということです。

 その中で、やはりこれから、これは中小企業の方をメーンにちょっとお話しさせていただければ、中小企業の方も、この委員会で何度もお話ししておるように、新しい製品をつくる、技術開発をする、国内だけのマーケットだけでなくて、海外に向けて売って利益を得なきゃいけない。そのときに、厳格にし過ぎたことで、そのインセンティブや、例えば販売コストや、人もふえるでしょうから、その輸出管理というものに対する知識を吸収したり、その書類をつくったりということで、負荷はもちろん、コストはかかるにしても、やはり、余りかけ過ぎて中小企業の、中小企業だけじゃない、日本全体の技術開発や、そういうものを抑制するようなことはない中でこれからも対応していかなきゃならない。

 特に、中小企業の方々は、たくさん人もいませんし、例えば輸出管理にかかわる制度に習熟をしながらということもやはりなかなかないという前提が当然あると思うんです、大企業と比べれば。そんな中で、必要なことは当然こういう形でしていかなきゃいけませんけれども、やはりこれからの新しいものをつくっていく、特に半導体であるとか工作機械であるとか、もしかして軍用転用可能なという部分に入るのかもしれませんが、今の安全保障の貿易管理制度、基本的にはほとんどかかってしまうということになると思うんですね。

 やはりそれはきちっと、中小企業者の技術開発や新製品の開発努力をマイナスじゃなくてプラスにするようなことを経産省全体としても考えていただく必要があると思うのですが、最後に、簡潔で結構ですから、御答弁お願いします。

甘利国務大臣 安全保障に関して、貿易管理とか投資規制を若干間口を広めてきちっと対応していくというのは国際的な流れでもあると思いますが、おっしゃいますように、経済の発展、技術開発と安全保障とのすり合わせといいますか、これは慎重に見きわめていかなきゃならないと思います。

 もちろん、大前提として、安全保障というのを経済の犠牲にしてはいけない。つまり、経済が発展する必要があるから安全保障はないがしろにしていいということには絶対してはいけないと思いますが、過度な規制が技術開発を阻んでしまう、あるいは中小企業の育っていく芽を摘んでしまう、そういうことがないように慎重に対応していきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 ぜひ、運用面も含めてお願いいたしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

東委員長 後藤斎君の質疑は終わりました。

 次に、牧義夫君。

牧委員 おはようございます。

 きょうは、経済制裁措置の継続についての承認の案件でございますけれども、限られた時間であるということ、そしてまた、いずれにせよ、私どもこの趣旨には全く賛同するものでございますから、きょうの質問者、大体同じようなことを、大体確認作業をするんだなというような感もございまして、私、ちょっと違った観点から質疑を進めさせていただきたいと思うんです。

 ちょっと先ほど来のお話を聞いておりまして、一つは、これまでのこの措置の実効性についてのお答えがございました。ただ、この実効性について、この一年間、入港がこれでゼロになりましたよとか数字を挙げられておりますけれども、数字を挙げられると同時に、それがこれからのその対話にどのように資するかということについてはしっかり追求していかなきゃいけないということもあわせてお答えになっておりますけれども、本当は、聞きたいところというのは、そこなんですよね。

 これまでの対話にどのようにこれが資することになったのか。相手がもうこれで勘弁してくださいよと言い出したのか、そうじゃないのか。そこら辺のところを、これまでの実効性についての検証という質問の中できちっとお答えをいただかないと、やはりこの国会の議論というのが薄っぺらいものになってしまうと思いますので、そういった観点から、もう一度ちょっとお答えをいただきたいと思います。

中山大臣政務官 牧先生、おはようございます。御質問ありがとうございます。

 我が国が実施しております対北朝鮮経済措置の効果に関しまして御質問を賜ったというふうに考えております。

 先ほども後藤先生の御質問にもお答えをさせていただきましたが、北朝鮮船舶の入港禁止措置により、昨年十一月以降は入港実績はゼロになっておりますと申し上げました。また、北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止措置により、本年は輸入実績はこれまでゼロとなっておりますというふうにも申し上げました。

 これプラスアルファ、しっかりとした外務省としての見解を述べよということでさらなる御指摘を賜っておりますが、先生と同じ心でもって、しっかりと相手の出方、そして外交的状況、そして国連等とのいろいろな意味での環境を精査しつつ、適宜対応していきたい、先生方の御指摘、そしてまた、政府が申しております対話と圧力という基本的な概念に基づいてしっかりと外交をやっていきたいと思います。

牧委員 決して十分な御答弁ではないと思いますけれども、要するに、結局、北朝鮮という国家が、国家として、テロ支援国家どころか、テロ国家ですよね。拉致に始まり、麻薬あるいは武器の密輸だとか人権の弾圧、もう紛れもなくテロ国家であると私は思うのです。

 そういう中で、本当の実効性を上げるためには、やはり、例えば韓国も、これまた政権がかわればどう変わってくるかわかりませんけれども、韓国のあの極端な太陽政策もしかり、またあるいは、アメリカもここへ来て、はっきり申し上げれば、やや腰砕けの感もあると私は思います。そういう中で、我が国の立場というものをそういった国に対してももうちょっとしっかり訴えていかなければ、せっかくのこういった経済的な措置も有効に働かないと私は思うんですけれども、その辺、いかがでしょうか。

中山大臣政務官 先生の御指摘の部分、私も、政務官でありますと同時に政治家でございます、先生の御指摘の意味というのはよくわかっておりますので、外務省へ帰りまして、先生からもこういった御指摘があったということを、私の方からも政治家としてしっかりと申し述べさせていただきたいと思います。

牧委員 そこら辺のところを踏まえて、しっかり今後も取り組んでいただくようにお願いを申し上げ、そしてまたちょっと、次の、角度を変えた質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっともう全然違う角度なんですけれども、一方で、我が国は紛れもない理性ある法治国家でありますから、そういった国としての取り組みをやはり忘れてはいけないと思うんですね。北朝鮮という国家の犯罪に対する制裁であって、私たちはここで、国家というものと民族というもの、ナショナリティーとエスニシティーというものを決して混同してはいけないと思うんですね。国家の犯罪に対する制裁、民族とはまた次元の違うものとして私たちはとらえなければならないと思います。

 あわせて、我が国は罪刑法定主義ですから、制裁を科すということはいいのですけれども、決められた制裁以外の私的な制裁等々、そういうものがあってはならないということも、これは当然のことだと思います。

 これからちょっと、きょう、文科省の方にも来ていただいておりますけれども、日本国内の朝鮮学校についての質問をさせていただきたいと思うんですけれども、限られた時間で、私がやや言葉足らずの質問をする中で誤解があってはいけないので、あらかじめ申し上げておけば、私は、民主党にあっても、やや右よりの人間というか、こちらにおられる吉川筆頭と同じ、同門の、立派な法務大臣のもとで政治の勉強をした者でありますし、新聞で例えれば、朝、毎、読、産経と、端的に言えば、どちらかというと産経新聞の立場にある人間ですから、そういう者がそういう立場として申し上げるのだということを御理解いただきたいと思うんですね。

 国内の朝鮮学校、これは全国にたくさんありますけれども、今非常に経営が困難に陥っているという実情がございます。その辺のところ、文科省、認識があれば、ちょっとどんな認識をお持ちか。

保坂大臣政務官 ただいま御質問賜りまして、我が国におかれる実情を大変御理解いただいて、御質問もいただいたところであります。

 たしか、実情については、はっきりと明確な状況は私ども理解しておりませんが、各種学校でもありますので、都道府県、地方自治体等が理解をされているのが現状ではなかろうかと思っています。

牧委員 多分、そういう御答弁がいただけるのだろうなとは思っておりました。

 御承知のように、これは日本の法律で定める学校法人なわけですけれども、各種学校扱いということで、私から言わせれば、小学校、中学校と日本の義務教育の部分をカバーしているんですけれども、ただ、残念ながら、今の御答弁にあったように、各種学校扱いということで、国からの助成金というものはゼロですね。一部自治体からの補助金が出ているところもありますけれども。うちの地元の愛知県なんかでいえば、一般的な一条校と言われる私学の生徒一人当たり大体十分の一ぐらいの援助しかない中で、大変厳しい経営を強いられている。

 そういう中で、今例の朝銀の破綻に伴って、学校の施設そのものが不良債権化をして、RCC等に仮差し押さえを受けているという実情が全国で散見されるんですけれども、金融庁の方、そこら辺の認識をちょっとお示しください。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、平成九年から十三年までの間に北朝鮮系の信用組合が十六組合破綻をいたしまして、この破綻に伴って、預金者等を保護するとともに、不良債権等につきましては整理回収機構、RCCが買い取って、現在回収に努めておるということでございます。

 この不良債権等の総額は一兆三千億程度ございますけれども、この中で、在日朝鮮人学校にかかわる部分につきましては、現在もちろんなお実態解明中ではございますけれども、おおむね百億円程度と承知しておりまして、いずれにしましても、これにつきましては、他の破綻しました国内金融機関に対する不良債権と同様に、国民負担の極小化という観点から、厳正な回収活動をするということでRCCから報告を受けております。

牧委員 そこで、私がぜひお願いしたいのは、もちろんその実態の解明というものもきちっとしていただかなければいけないし、例の総連の中央本部の問題も、RCC絡みでございましたね、元公安調査庁長官も絡んでの競売妨害のような話でありましたけれども、そういったことについては徹底的にやっていただきたいと思うし、仮に、もう今はないんでしょうけれども、北朝鮮に送金するような、そういった企業等も含めて、そこら辺のことはきちっとしていただきたいと私は思う一方で、やはり学校というのは学校なんですね。

 ここら辺のところをきちっとめり張りをつけていただかないと、私たちがきちっと経済制裁をして、そして、その内容についても近隣諸国及び世界に向けて理解を求めていく、きちっとアピールをしなきゃいけない一方で、私たちは国内において、理性ある法治国家として、やるべきことはきちっとやった上で、誇り高い日本人としての対応が必要であると思うし、変な憎しみの連鎖を生むようなことは、これは国益にも反すると私は思いますから、学校についてはやはりきちっとした対応をもう一度考えていただきたいと思うんですね。

 例えば、RCCが債権を押さえているところについては、やはり、そこに学校の生徒が通っているという関係で、債権の回収に当たっているとおっしゃいましたけれども、もうこれ以上先に進めない膠着状態が続いていると私は思いますし、膠着状態の中で、補助金も心もとない中で、例えば耐震、今日本の学校ですと交付金が出て耐震化の工事も進んでいますけれども、そういったこともできない中で、もし震災でもあって子供が死んだということになれば、私はそれはそれで日本の恥ずかしい部分が露呈してしまうことにもなりかねないと思いますから、そこら辺の膠着状態というのをどう解決するのか、もしお考えがあればちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

山本副大臣 牧委員の質問にお答えする前に、先ほど御発言がございまして、大分こちら寄りだという話がありました。私は愛知県の自民党の選対委員長をしておりますので、そのこともしっかりと頭の中に入れながらこれから行動していきたいと思いますので、よろしくまた御協力をいただきたいと思います。これは国会議員としての話でございます。

 今から内閣府副大臣として御答弁を申し上げたいと思います。

 今委員御指摘があった件でありますけれども、RCCの回収方針というのは、個別の回収方針を申し上げるわけにはいかないわけでありますけれども、あくまでもRCCといたしましては、関係法令とかRCCの定めました回収方針にのっとって適切に進めていくわけであります。

 ここだけですと役所の答弁になりますので、せっかく内閣府副大臣として答弁させていただきますので、今お話がありましたように、やはりそれぞれ債務者にはそれぞれの事情があるわけでありまして、そうした事情をしんしゃくしないで機械的にすべて回収していくということはRCCとしても判断しないようにしていく、私はそんなふうに判断しております。

 いろいろな事情をしんしゃくさせていただきまして、特に教育機関ということもしんしゃくさせていただきまして、これから進めていく、こんなふうに判断しておりますので、よろしく御理解いただきたいと思います。

牧委員 今、力強い御答弁をいただきました。教育機関ということも勘案してというお話でございましたので、ぜひそこら辺のところを前向きに検討していただければと思います。

 拉致問題が表面化してから、例えば朝鮮学校の生徒に対する陰湿ないじめですとかチョゴリを着た生徒のすそをカッターで切ったりとか、そういう事件があると、私は本当に日本人として恥ずかしいことだなと思うんですね。

 やはり国家と民族、日本も民族教育というのはきちっと奨励しているわけで、そこら辺のところは児童の権利条約に基づいてきちっと認めて奨励しているわけですし、今の朝鮮学校の、これは全部が全部とは言いません、私が知るところだけ、特に地元等を見ていて、もう教室に金正日の写真も飾っていません。北朝鮮籍の子供と韓国籍、韓国籍の子供が三分の一以上いるんですね。

 そういう状況ですから、しかも反日教育をしているわけではもうないわけで、そういう中で、今これからいろいろな、ブラジルの子供の教育機関の話やら、あるいはちょっと今まだ前へ進んでいないようですけれども、千葉の幕張のあたりでそういう特区をつくって、日本の学習指導要領からちょっと外れているけれども一条校として認める学校もつくろうじゃないかというような話も出ている中で、私は、学校というものは、きちっとそこら辺の配慮をして初めて私たちが誇りある日本人として世界に向けて物事を発信していけるんだな、そう思っていますので、ぜひそこら辺のところを勘案していただいて、例えばミサイルの発射をしたらどこかの自治体が北朝鮮の歌劇団の公演を中止したりとか、次元の違うところでいろいろなつまらない話が起こるということは私は余り好ましい状況じゃないと思います。

 今回この質問をさせていただく中で、やや違った観点から物を申させていただきましたけれども、本当に、拉致問題の全面解決に向けて、これからも外務省の皆さんも特に毅然たる態度で物を言えるその場を、まず国内の環境もきちっとした上で、そこら辺のところをしっかりと進めていただけますようにお願いを申し上げて、きょう、経済産業委員会で初めて質問させていただきましたけれども、大臣に何もお尋ねを申し上げなくて大変恐縮でございますので、もし今のやりとりで何か御感想があれば一言お答えをいただきたいと思いますし、こういった議論もあるんだということをぜひ内閣の一員として福田総理にもお伝えをいただければと私からお願いを申し上げ、もし一言あればお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

甘利国務大臣 世界にはたくさんの国家と民族があり、共存しているわけであります。それぞれの存在をしっかりとお互いが尊重するということが、国際社会、共存社会の中の前提であります。民族の歴史、文化、伝統に、あるいは国家の歴史、文化、伝統にお互い敬意を払うというところから、国際社会というのはスタートするというふうに考えております。

牧委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて牧義夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 甘利大臣は、先日の提案理由の中で、我が国は、平成十八年、つまり二〇〇六年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より、一度の延長措置を経て、ことし十月十三日までの間、北朝鮮からの輸入禁止等の措置を厳格に実施してまいりましたと述べられました。

 外務、経産、国交の三省の共同発表で、「北朝鮮に対する制裁措置の継続について」というこの間の文書の中で経緯が示されておりますが、二〇〇六年七月五日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受けて、「以下の措置」として、万景峰92号の入港禁止、それから我が国から北朝鮮への、国家公務員などの渡航原則見合わせ、一般市民には自粛要請ですね、それから輸出管理措置の厳格適用。それが、昨年の十月九日、北朝鮮が核実験実施発表を受けて、「以下の措置」ということで、ここから、すべての北朝鮮船舶の入港禁止と、それから、これは経産省にかかわるものですが、北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止、そして北朝鮮籍者の入国の原則禁止。こういう措置がとられてきたんだということが経緯の中で明らかにされております。

 政府が昨年十月十四日に北朝鮮からの輸入禁止等の措置をとったのは、十月九日の北朝鮮が核実験実施を発表したのを受けての措置であったし、日本共産党は、北朝鮮を対話の道に復帰させ、核問題を外交的に解決する手段として、これに賛成をしてきました。

 甘利大臣に確認しておきますが、北朝鮮からの輸入禁止等の措置、制裁措置をとった主たる理由というのは、十月九日の北朝鮮の核実験に対する対応措置であった、これは提案理由説明にあったとおりですが、そこで、そもそも、この制裁措置の理由と目的は何かということを伺います。

甘利国務大臣 御案内のとおり、我が国は、昨年十月から、北朝鮮が核実験を実施したとの発表を受けて、北朝鮮からの輸入の禁止措置等を実施してきたところでありますが、拉致問題について具体的な進展がないこと等、北朝鮮をめぐる諸般の事情を勘案し、今般、政府として輸入禁止措置等の延長を決定したところであります。

 我が国といたしましては、六者協議など北朝鮮との対話の努力を継続する一方で、これらの措置を引き続き厳格に実施することによりまして、北朝鮮に対し、拉致、核、ミサイルといった諸懸念に対して誠実に対応することを求めてまいります。

吉井委員 趣旨説明の中でもありましたように、要するに、北朝鮮が核実験実施を発表、それを受けて制裁措置をとったというのが主たる理由として説明されてきました。その後、情勢は、この分野では進んできていると思うんですね。

 外務省にも伺っておきますが、ことし二月十三日の六カ国協議で合意された共同声明では、平和的な方法によって朝鮮半島の早期の非核化を実現するという共通の目標と意思を再確認して、去る十月三日の共同声明では、初期段階の実施を確認、作業部会のコンセンサスに従って六者会合のプロセスを前進させることで一致したとして、年内に寧辺の核の三施設の無能力化と、核計画の完全申告を柱とする次の段階の措置を行うということを合意しています。

 外務省に伺っておきたいのは、この間の二つの合意をどのように評価するかという、この点について伺います。

小原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のありました二月十三日の六者会合の成果文書におきましては、共同声明の実施に向けました初期段階の措置といたしまして、北朝鮮による寧辺の核施設の活動の停止、封印、IAEA要員による検証、監視の受け入れといった非核化措置の実施が合意されました。

 また、このような初期段階の措置が実施されたことを受けまして採択されました十月三日の成果文書におきましては、北朝鮮がすべての既存の核施設を無能力化することを改めて確認した上で、本年末までの具体的な行動として、寧辺の三施設を無能力化するという第二段階の措置が明記されております。また、本年末までにすべての核計画についての完全かつ正確な申告を行うことも明記されました。

 このように、北朝鮮が初期段階の措置を実施し、第二段階の具体的な非核化措置をとることを約束したことは、意義があると考えております。

 一方、重要なことは、非核化に向けた具体的な行動が実施されることです。昨日より、米国の核専門家のチームが、無能力化の作業のために訪朝しているところでございますが、我が国といたしましては、十月の成果文書に従いまして、北朝鮮による非核化措置が実施されるように、さらに、六者会合共同声明の完全実施に向けまして前進できるよう、引き続き、アメリカを初めといたします関係国とともに努力していく考えでございます。

吉井委員 二つの合意については、意義あることという立場でいらっしゃるということがわかりました。

 それで、昨年の核実験実施発表から、ことしの核無能力化へと、六カ国の取り組みで進み出そうとしているわけですね。北朝鮮の核問題をめぐる情勢には、やはり大きな進展というものが、今、生まれてきていると思うのです。

 外務省にここで伺っておきたいのは、六カ国が協力して核無能力化に取り組んでいるわけですね。核実験実施に対してとった輸入禁止などの制裁措置の継続というのは、核無能力化を初め、国際社会、六カ国共同した取り組みが進む中では、やはり情勢の進展に即した対応にしていくべきではないか。また、制裁措置の解除の条件、要件というのは一体何なのか。そこがきちっとしなかったら、結局、外務省は動きようがないということになってくるわけですね。制裁措置の解除の条件、要件は何か、どういうふうに考えているかを伺います。

小原政府参考人 お答えいたします。

 我が国の対北朝鮮措置に関します今後の扱いにつきましては、拉致問題、それから、ただいま御指摘ございましたが、核問題を含む諸懸案に関しまして、北朝鮮が実際にどういう行動をとるかということ等を踏まえて、検討していく方針でございます。

吉井委員 そこで、甘利大臣に伺っておきますが、核の無能力化に向けた、今、国際的な共同した取り組みがずっと進んでいるときですね。二つの合意、意義あることと外務省も考えておられる、そういうところへ今、来ているわけですが、大臣として、核無能力化の国際的な共同の取り組みを、これが進んでいくようにどのように働きかけていくお考えなのか、これを伺います。

甘利国務大臣 今日まで北朝鮮は、ミサイルを発射し、そして核実験を行ったと発表し、さらに拉致問題に対して、その後誠意ある対応がなされていない。もろもろが重なって、国際社会の制裁あるいは日本独自の制裁になっているわけであります。

 この制裁は、もちろん対話と圧力でありますから話し合いもしているわけでありますけれども、制裁措置を含めて、誠意ある北朝鮮の対応を促すことにある。どういう対応が誠意ある対応か、この問題が進展しているかいないか、少なくとも従来よりは進展したという評価だと思いますが、それをどれくらい我が国政府が評価をして対応措置をとるかということは、私の判断というよりも政府全体の判断であります。

 もろもろ、諸般を勘案して、この制裁を継続することとしたということは、全体としてまだ解除をするに足るだけの誠意ある対応とまでは行っていない、核関連施設にかかわるすべての機能の無力化、私は、この無力化という言葉は最終的には廃棄だというふうに理解をしておりますけれども、そこに向けて第一歩が始まったにすぎないという理解であると思います。それらもろもろを判断して、今回の継続という判断に至ったというふうに承知をいたしております。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

東委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、いわゆる北朝鮮に対する制裁措置延長に関する承認案件について、反対討論を行います。

 我が党はこれまで、入港禁止措置と輸入禁止措置という我が国独自の北朝鮮に対する制裁措置に対して、昨年十月にこれが実施された際にも、ことし四月に延長された際にも賛成してきました。

 それは、昨年十月に行われた北朝鮮による核実験という新たな重大な事態に際し、北朝鮮を対話の道に復帰させ、核兵器問題の外交的解決を図るための手段として、日本独自の制裁措置をとる合理的な理由があるという立場からのものでありました。

 しかし、その後、北朝鮮の核問題をめぐる情勢には、大きな前向きの進展が起こっています。

 この間、北朝鮮は、ことし二月の六カ国協議で合意された初期段階の措置を実施し、十月の六カ国協議では、年末までに核施設の無能力化と核計画の完全申告を柱とする次の段階の措置を行うことに合意しています。

 このように新しい情勢が生まれているもとでは、日本独自の制裁措置を継続する合理的な理由はありません。核兵器問題の情勢が前向きに進展したにもかかわらず制裁措置を継続することは、日本政府が核問題の解決の上で、積極的な役割を果たす上での障害になりかねません。

 既に、十月四日の衆院本会議において、我が党の志位和夫委員長は、十月の六カ国協議の合意を朝鮮半島非核化への重要な一歩として歓迎するとともに、日本政府が、この枠組みの中で協力を強め、核兵器のない朝鮮半島を実現するために先頭に立つことは、北東アジアの平和と安定にとっても、日本の平和と安全にとっても急務となっていると強調しました。

 核問題、拉致問題、過去の清算問題などの諸問題を解決するためには、日朝平壌宣言の精神に立ち、包括的解決を図る立場が重要です。核問題で道理ある解決が図られるならば、拉致問題の早期解決の新しい条件が開かれることになります。

 制裁措置についても、情勢の進展に即した対応をとるべきことを指摘して、討論といたします。

東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五分散会


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