衆議院

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第6号 平成20年4月11日(金曜日)

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平成二十年四月十一日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 鈴木 俊一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 吉川 貴盛君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      あかま二郎君    井脇ノブ子君

      飯島 夕雁君    猪口 邦子君

      江崎洋一郎君    小野 次郎君

      大村 秀章君    岡部 英明君

      片山さつき君    亀岡 偉民君

      川条 志嘉君    佐藤ゆかり君

      篠田 陽介君    柴山 昌彦君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    冨岡  勉君

      永岡 桂子君    丹羽 秀樹君

      広津 素子君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      安井潤一郎君    山内 康一君

      吉田六左エ門君    吉野 正芳君

      太田 和美君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    近藤 洋介君

      下条 みつ君    田村 謙治君

      牧  義夫君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   経済産業副大臣      新藤 義孝君

   経済産業大臣政務官    荻原 健司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山崎 史郎君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         伊藤 健一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       吉田 岳志君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小風  茂君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           佐々木昭博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           小山 信温君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       塚本 和男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     勝野 龍平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大塚洋一郎君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          石田  徹君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    福水 健文君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            長尾 尚人君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     亀岡 偉民君

  近藤三津枝君     小野 次郎君

  清水清一朗君     永岡 桂子君

  橋本  岳君     冨岡  勉君

  安井潤一郎君     篠田 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     近藤三津枝君

  亀岡 偉民君     井脇ノブ子君

  篠田 陽介君     安井潤一郎君

  冨岡  勉君     山内 康一君

  永岡 桂子君     飯島 夕雁君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     あかま二郎君

  飯島 夕雁君     広津 素子君

  山内 康一君     橋本  岳君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     伊藤 忠彦君

  広津 素子君     猪口 邦子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     清水清一朗君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第三九号)

 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山崎史郎君、農林水産省大臣官房総括審議官伊藤健一君、農林水産省大臣官房技術総括審議官吉田岳志君、農林水産省大臣官房審議官小風茂君、農林水産省大臣官房審議官佐々木昭博君、農林水産省大臣官房参事官小山信温君、農林水産省総合食料局次長平尾豊徳君、農林水産技術会議事務局研究総務官塚本和男君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官勝野龍平君、経済産業省大臣官房審議官大塚洋一郎君、経済産業省産業技術環境局長石田徹君、中小企業庁長官福水健文君及び中小企業庁経営支援部長長尾尚人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷本龍哉君。

谷本委員 どうも皆さんおはようございます。自民党の谷本龍哉でございます。

 本日は、農商工連携に関連する二法案について質問をさせていただきたいというふうに思います。この法案については、自民党の経済産業部会においても非常に活発な議論をしてまいりました。質問したい議員もたくさんいたんですけれども、角が立つといけないので経済産業部会長が質問をさせていただくことになりました。

 この問題について先頭に立ってリーダーシップを発揮して頑張ってこられた甘利大臣が、本日、参議院の方の関係でしばらく不在だということで、その分、副大臣そして当局の方に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 言うまでもなく、現在、地方の経済は非常に厳しい状況が続いております。しばらく前までの、あのバブルの崩壊後の何もかもすべてが悪い、ああいう経済の状況に比べれば、よくなっている部分も確かにあります。しかしながら、それは民間主導の景気回復という中で、大手企業がある地域にどうしても限定されてくる。大手企業のない地方の経済は依然として非常に厳しい状況が続いている、こういう状態にあると思います。

 地方の経済といいますのは、当然大きな企業はありませんから、一番中心になるのは中小企業、それから農林水産業、そしてあえて言えば公共事業、これが経済をずっと支えてきたというふうに思います。しかしながら、例えば一番公共事業が多かったバブル前後の十四兆円という公共事業の中から見れば、今は七兆円前後ということで、この部分が減ってしまっている。それだけ、地方を支えるものが減っている。

 確かに、無駄な部分はしっかり省いていかなきゃいけないと思いますけれども、この公共事業の部分が支えていたという事実も現実でありますから、そこが減っているという現状を見たときに、いかなる手当てを地方にこれからしていかなきゃいけないか、そのことを我々は真剣に考えていかなければ、地方はなかなか発展していかない、こういう状況にあるのではないかというふうに思います。

 そういう中で、今までの地方であれば、国に対してもいろいろな予算を要求して、その中で、先ほど言いましたように公共事業を持ってくるというようなことがあったと思いますが、これからの時代は、ただそういうものをとりに行くということだけじゃなくて、地域にある宝物というものをしっかり見定めて、それをいかに生かしていくか、そしてまた、それに対して、政治として行政としてどう支えていくか、このことが非常に大事であるというふうに思っております。

 そういう状況の中で、このたび、経済産業省と農林水産省連携のもとでこの農商工連携というものを推進していくということは、非常に有意義なものであるというふうに思っております。

 それで冒頭、一問目として、この農商工等連携促進法案及び企業立地促進改正法案、これを提出するに至った問題意識、そして趣旨をまず説明していただきたいと思います。同時に、この二法案を一体として行うということにどのような効果があるのかを説明していただきたいと思います。

新藤副大臣 今大臣が参議院本会議中でございますので失礼をさせていただきまして、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、谷本委員、自民党の商工部会長として、この法案の作成に当たりましては非常に御協力いただきましたことを感謝申し上げたいと思います。それから、今谷本委員がお話しされたこと、まさに問題意識は私どもも共有をしております。

 そして、私たちの国の最も優先的に取り扱わなければいけない問題、それは少子高齢化、それから人口減少社会、こういったものが予測される中で、いかに持続的に経済を成長させていくか、こういう取り組みをしなければいけない、しかもそのときに、地域間や企業間のばらつきがあってはいけない、キーワードは自立である、私はそういうふうに思っているんです。

 そういう中で、やはり特に地域の景況にばらつきがある。そして、地域にはすばらしいいろいろな産業資源がある、また中小企業のネットワークがある。これを生かして、要するにそれぞれの地域の強いものを突出させる。それから、つながり力というか連携を強化しよう。そして、この二つを合わせることによって需要の拡大や販路の拡大を行っていこう。こういう中で、地域経済の支え手である農林水産業者とそれから商工業者が連携して、今までの自分たちの特徴を生かした新しい強みをつくることができないか、それが今回の農商工連携を進めていこうという発端でございます。

 今まで別々に行われていた施策、それから別々に活動していた両省が、さらに有機的に連携をさせて、今までの枠を取り払った新しい画期的な取り組みだ、このように思っているわけでございます。その中で、この農商工等連携促進法案、これは中小企業者と農林漁業者が連携して行う新商品等の開発、販売、それから促進等の取り組みを支援するということです。

 それにあわせて、農林水産関連産業の企業立地を進めよう、そして産業集積の形成を促進しよう、このための支援策を行う、これが企業立地促進法の改正法でございまして、この二つを連携させることによって相乗効果が生まれるのではないか。予算、税、それから金融、いろいろなものを総動員してこの農商工連携を根づかせていきたい、このように思っておるわけでございます。

谷本委員 新藤副大臣、ありがとうございます。

 確かに、今おっしゃられたとおり、たくさんまだ宝物は眠っていると思うんですね。日本の農林水産業における生産物といいますのは、確かに他の国に比べるとコスト等で高いという話もありますけれども、その中身といいますか質においては非常に高い評価を得ているものがたくさんありますから、それを単に農業だけじゃなくて、連携することによって、国内はもとより海外に対してもしっかり販路開拓をしていくというのは非常に大事だというふうに私も思っております。どうもありがとうございました。

 それでは、次の質問に移りたいというふうに思います。

 そういう中で、今非常に中小企業は大変だという中で、中小企業庁が中心になっていろいろな施策を今されていると思います。昨年末にも、例えば税制でも非常にいろいろな中小企業支援のための議論を活発に行いました。残念ながら、一般に余り知られていませんが、つなぎ法案の中に入っていない中小企業支援税制というのが実はたくさんありまして、それが今切れている状態で、非常に懸念している。きょうの法案には直接関係ありませんが、IT投資減税であったり人材投資減税であったり、こういうものが実は今切れている状態でありまして、私は個人的には、これを一刻も早く復活させて、全体、いろいろな政策で中小企業を支えるべきだというふうに思っております。

 そういういろいろな中小企業政策がある中で、例えば中小企業新事業活動促進法、あるいは中小企業地域資源活用促進法、こういった既存の政策というのがあると思います。これらが、今回出てきた二法案、改正案を含めた二法案との関係で、どこがどう異なるのか。あるいは、今言った新事業活動促進法それから地域資源活用促進法、この二つの法を今までやってきたと思いますけれども、その実績がどうであるのか。この二点について答えていただきたいと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、最初の新事業活動促進法でございますが、これは、異なる中小企業が連携して新しい分野に挑戦しよう、ある意味では事業拡大、第二創業、そんな趣旨でございますが、それを支援するということで、平成十七年から現在までに四百六十二件の事業計画を認定しております。昨年十二月末の時点では既に三百億円程度の売り上げが出ておるということで、非常に成功して、順調に進んでいるんじゃないかと思っております。

 また、昨年六月に施行いたしました地域資源活用法につきましては、地域の強みであります産地の技術、農林水産品、あるいは観光資源、こういうものを使って新しい商品とか新しい観光ルート、サービスをつくっていこうということで、昨年度末で三百二十八件認定しておりまして、まだ半年でございますが、着実に成果も出つつあるというふうに認識いたしております。

 それで、この二法案との違い、少し技術的な説明になりますが、まず新事業活動促進法は、先ほど申し上げましたように、既存事業とは異なる新しい分野、いわゆる第二創業のような、今までやっていなかった分野に出ていく方々を支援しようというふうなことで、農林水産業者には少し手が出しにくい、使いづらい制度になっております。

 一方、地域資源活用法につきましては、例えばITを導入して農業の生産管理を行っていこうとか、そういう農林漁業への取り組みが支援対象になっておりません。さらに、地域資源が指定されてある場所でやりなさいというふうなことが条件になっておりまして、少し課題があったというのが事実でございます。

 今回、農林水産省と全く一体になりまして、先ほど副大臣が申し上げましたように、地域経済の担い手であります農林漁業と地域の中小企業、両方の活性化を図るというふうなことで、そういう地域の限定等を設けることなく、両方がウイン・ウインの関係、そういうのができるような法案とした次第でございます。

谷本委員 福水長官、どうもありがとうございます。

 今御説明いただきましたが、中小企業庁も、中小企業支援のためのいろいろな施策をたくさんそろえられていると思います。でも、ともすると、たくさんあるとどれをどう使っていいかわからないということにもなりかねませんので、その辺は現場に対して丁寧な説明をしていただきながら、さらにすべて総合力でしっかりと中小企業の支援をしていただきたいというふうに思います。

 今、長官の方から、農林水産省と一体となってという言葉がございました。今回、まさに農商工連携促進法案の適用に当たっては、経済産業省と農林水産省が一体となって支援を行っていく、このことが一番重要なことだと思いますが、ともすれば、各省いろいろなことを今までも言われております。縦割りでなかなか連携ができないというような批判も実際今まではたくさんありました。そういう中で、今回のこの二法案を通していかに両省がその体制の整備や連携を行っていくのか、両省のそれぞれの見解を聞かせていただきたいというふうに思います。

新藤副大臣 御質問の点は非常に重要な点でございます。せっかく両方でやる法案をつくっても、現場が別々では意味がありません。

 例えば、今までですと、今回のように農商工の事業の計画の認定を受けなければならない、そうすると、その認定の窓口は、地方の農政局それから経産局と別々の窓口があるわけですね。農政側でも商工側でも、どちらに出してもいいことになっています。でも、別々の申請を出して、二つ申請を出さなきゃいけないのでは意味がありません。ですから、どちらか一つに出せば、後は役所間が連携をとって同じように事務作業が進んでいく、このような工夫をしているわけなのでございます。何よりも、ワンストップサービスといいますか、どちらに申請しても同じように進む、このことが大事だと思っております。

 そして具体的には、認定基準を定める基本方針、それから認定等に係る運用マニュアル、こういったものを農水省さんと経済産業省共同でつくっていこう、このように思っております。また、おのおのの農政局、経産局、地方の支分部局への研修、こういったものを行いまして、統一的な運用が図られるようにノウハウを蓄積していきたいというふうに思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、密接な関係をとりながらこの仕事を進めていきたい、このように思っております。

今村副大臣 昔は、食料が不足、つくってさえいればいい、売れるのを待てばいい、そういう時代でありました。しかし、昔と違って、今はいろいろなものがあるわけでございます。何をつくるか、どのようにつくるか、どのように付加価値をつけるか、そしてまたどのようにそれを販売していくか。そういった総合的な取り組みが絶対に必要な時代に今なってきました。そういう意味で、この農商工連携につきましては、これからの農業を守っていく上でも大変重要な施策であるというふうに思っております。

 連携の点につきましては、今新藤副大臣の方から申されましたので重複は避けますが、もう既に本省の方では農商工連携連絡会議等もやっておりまして、その先ぶれとして、先般は八十八のものを選んで発表もしたところでございます。

 今後は、本省での連携はもとより、地方でもしっかり連携をし、そしてまた私のところの農協等にも呼びかけをやっていく。そしてまた、農林漁業者や食品加工業者の方から成るいわゆる食料産業クラスター協議会といったもの、これが今既に全国四十九カ所に設置されているわけでございますので、みんなで力を合わせて頑張っていきたいというふうに思っております。

谷本委員 新藤副大臣、今村副大臣、どうもありがとうございます。

 今、認定の話も出ましたけれども、これはちょっと通告していたかどうかあれですが、農商工の連携というのはさまざまな形というのが考えられるというふうに思うんですけれども、それぞれ個別に見たときの認定の要件というのを説明いただければというふうに思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案におきましては、農商工等連携事業に係る基本的な要件として三つ考えてございます。

 一つは、農林漁業者と中小企業者がお互いの経営資源を活用する、双方が工夫するというのが一つ目の要件でございます。

 それから二つ目は、例えば新しい加工品でありますとか新しい販売方法でありますとか、両者にとってそういう取り組みであること。

 それから三点目が、そういう取り組みを通じまして、中小企業者の経営の向上と農林水産業者の経営の改善、両方が図られなければならないというふうなことを考えてございます。

 いずれにしましても、詳細な認定要件につきましては基本方針で規定するというふうなことになっていますので、農林水産省さんと一体となってこういう要件をつくっていきたい、また、関係審議会の意見も聞きながら、パブリックコメントも得ながら対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

谷本委員 福水長官、どうもありがとうございます。

 それでは、実際この農商工連携をしていく場合に、例えば経済産業の関係であれば各地域の商工会、商工会議所との連携、あるいは農林水産省であれば農協との連携、こういったものが不可欠になってくると思いますが、この農商工連携において、農協あるいは商工会、こういったものにどのような役割を期待されているのか、聞かせていただきたいと思います。

新藤副大臣 御指摘のように、それぞれの地域の担い手は、商工会、商工会議所また農協等だというふうに思っております。そして、商工会や農協というのは、同業の人たちのネットワークの結節点になっているということが一つだと思います。

 それからもう一つは、それぞれ商工会、農協は、各事業者に対してこれまで支援を重ねてきております。ですから、そういうノウハウをたくさん持っている、実際のノウハウをたくさんお持ちの方々がいらっしゃるということです。

 ですから、今回、この農商工連携においては、商工会や商工会議所、そして農協、これをまた一つに合わせる必要があると思っております。ですから、その意味におきまして、私どもでこれから全国三百カ所につくろうとしている地域力連携拠点、この中には、構成メンバーとして農協さんや商工会にも入っていただく。そういう地域力連携を深めるという中で、農商工連携の事業の可能性を探っていただくというようなこともやりたいと思います。

 それから、中小企業基盤機構、これが全国十カ所に支部がございますが、そこに、本当にきめ細かくお手伝いをするハンズオン支援事務局というようなものを考えているんですが、そういう中で、国の方も、農業者と商工業者との連携を心がけたい、このように思っています。

 また、今、今村副大臣の方からお答えがございましたように、農水省さんの方におきましても、食料産業クラスター協議会、これは食品メーカーと農林の生産業者との連携の場だ、こういうことでございますが、いろいろな場所を考えて連携をさせていきたい、このように思っております。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の現場でこの事業が浸透して幅広く展開されるためには、やはり農協がしっかり活動することが重要だと私ども考えております。

 農協が果たす役割としては、まず一つは、みずから農商工連携の主体となって活動する内容がございます。この場合、農協につきましては、農業者としての立場から食品メーカーと連携するというものが一つあります。それからもう一つは、農協自体が中小企業者として農家の方々と連携するということがございます。それからもう一つ重要なことでございますけれども、農協は農業者をサポートするという役回りがございます。

 そういう意味から、この事業に参画される農林漁業者のサポートをいろいろな面でしていただくというふうなことが重要だと思っておりますので、そういう三点の役回りをきちんと果たしていただこうと思っております。

 なお、これにつきましては、先ほどお話がありましたように、現場の商工会と十分連携をとっていただくというふうなことが重要だと思っておりまして、我々も商工会との連携を指導しているところでございます。

谷本委員 ありがとうございます。

 農商工連携をしていく上で、先ほど、経産省そして農林水産省、連携が非常に重要だという話もありましたが、同時に、現場での商工会、農協の連携、こういうものもやはりしっかりしていくことで連携の種をたくさんつくっていくことが非常に重要だと思いますので、その点についても十分に配慮をして行っていただきたいというふうに思います。

 今、大臣が来られました。来られてすぐで申しわけありませんが、今既にいろいろ質問もしましたので、ぜひ農商工連携にかける大臣の思いを一言述べていただきたいと思います。

甘利国務大臣 既に昨年の国会で、地域資源法であるとか、あるいは企業立地促進法を成立いただきましたし、その対象案件が非常にたくさん出てきております。

 ここで、あえて農商工連携という法案を出しましたのは、従来の法案でカバーできない部分があるということがもちろんございます。地域資源法では、農産物を加工して別な商品につくるというような部分がないといけないとか、あるいはそれが地域資源の対象になっていないといけない。農商工連携というのは、農産物そのものを新たな手法で市場にデビューさせる、そういうことまで含んで対応ができるようになっております。

 私が思いを込めていますのは、それより何より、この仕組みを通じて一次産業に携わる方々が市場というものを念頭に置いてもらう、自分がつくったものについての付加価値をどうつけるかということといつも正面に向かってほしい。そして、一次産業といえども産業でありますから、企業経営のいい点というものはどんどん取り入れるという感性をぜひ磨いていただきたい、そういう思いを込めて農水省と連携をしているわけでありまして、地域の一番の主要産業であります農林水産業が元気になるということイコール地域が元気になる、そういう思いで提案をさせていただいた次第であります。

谷本委員 甘利大臣、ありがとうございます。

 冒頭にも申し上げたんですけれども、やはり大手企業というのは地方にはありませんので、そういう意味で、農林水産業、これをいかに活性化していくかということは非常に大事だというふうに私も思います。ぜひとも、十分に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 では、次の質問に移ります。

 農商工連携の促進に当たっては、原料となる農産物の産地をいかに強化していくか、このことも非常に大事になってくるというふうに思いますが、この点についてどのように取り組むのかを説明いただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 農商工連携の取り組みを推進するためには、連携する商工業者への支援あるいは商工業者と農業者のマッチングを進めるほかに、産地側でも、商工業者のニーズに合った農産物を安定的に供給する体制を整えていくことが極めて重要であると考えております。

 農林水産省といたしましては、農産物の安定供給等に必要な加工、流通等の施設整備を支援するほか、食品産業や外食産業が求める加工業務用向けの野菜の供給を拡大するため、こうした需要に対応した新たなモデル産地に対する支援、機能性成分を多く含む新品種等を活用して新商品や新産業の創出を図るため、機能性農産物の安定供給等を行う産地の体制整備を支援するとともに、地域の給食、商工業、観光等における地場農産物の活用を進めるため、地域が一丸となった地産地消の取り組みを支援する。これらによりまして、原料農産物を生産する産地への支援について積極的に進めてまいりたいと考えております。

谷本委員 どうもありがとうございます。

 しっかり産地強化は取り組んでいただきたいと思いますし、同時に、大規模な農家だけではなくて、この農商工連携については小規模農家というものに対する支援も重要になってくると思いますが、その点についてはどのように考えられているか、御説明いただきたいと思います。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、この事業を進めるためには、全国の幅広い農林漁業者が参画していただくことが重要だと思っております。特に、小規模事業者の場合は、資金力あるいはノウハウがなかなか難しいというふうなことがありながら、一方では非常にすばらしい資源を抱えていらっしゃいます。

 そのためには、やはりこういう小規模農業者を束ねる農協が、まずそういう小規模農業者も含めた活動を促していただくというふうなことが重要でございますので、先ほども御説明させていただきましたように、農協の積極的な取り組みを促してまいりたいと思っております。

 それからもう一点、小規模事業者が集落営農組織というのをつくっていただいております。そういう意味では、この集落営農組織も本法案の対象とさせていただくということにしておりますので、そういう幾つかの手法を使って、幅広い農林漁業者が参画していただくようにしたいと思います。

谷本委員 最後の質問になりますけれども、農商工連携をこれからしっかり推進していく、その場合には、ただいろいろな案件が出てくるのを待っているという姿勢では、なかなかこれは進んでいかないんだろうというふうに思います。農水省、そして経産省一体となってこの農商工連携に取り組む中で、ある程度やはり目標を持ってそれぞれが取り組んでいかなければ、結果はなかなかついてこないんだろうというふうに思います。

 この目標に関してはどのように考えられているか、御説明いただきたいと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年施行されました地域資源につきましては、五年間で千件という目標を持っております。現時点でこの法案について幾らというのはなかなか難しい問題でございますけれども、少なくとも五百件とか千件に達するような、そういう目標を持って積極的にPRを行いまして、商工会、農協との連携、あるいは私どもと農林水産省さんとの連携を一層強化して、全国的な取り組みにしていきたいというふうに考えてございます。

谷本委員 どうもありがとうございました。

 冒頭にも申し上げましたが、地方経済は非常に今厳しい状況が続いている中で、このように少しでもそれぞれの地域で明るい芽を出していく、そういう取り組みというのが非常にこれから重要だというふうに思っております。

 今、長官からもお話がありましたけれども、しっかりと、一つでも多くの農商工連携の成功事例を出していけるように、両省力を合わせて頑張っていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

東委員長 これにて谷本龍哉君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょうは、三十分間でありますが、農商工連携関連二法案についての質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、今、日本の少子高齢化、人口減少化、また公共事業自体も相当毎年削減される、地方自治体の財政も大変厳しい、こういう大変厳しい状況下の中で、地域経済の自律的発展ができる基盤を強化していくということは大変大事なことだし喫緊の課題だということで、今回の試みはよろしいんですが、私は、ただ、これは後々ちょっとゆっくり述べますが、何となく話がきれいにでき過ぎていて、ほんまそんなにうまくいくのかな、また経済産業省得意の少し前のめりになっているんじゃないかなというような、ちょっとそういう思いがするので、その辺について確認をしたいと思います。

 まず最初に、企業立地促進法、これが昨年制定されました。まだ施行から一年たたない中ではありますが、その法改正ということが出されているんだけれども、この企業立地促進法、相当計画なんかも出ているというふうにも聞いておりますので、まず、この企業立地促進法自体の現状の状況とその評価についてお伺いをさせていただきたい。そして、どこが足らずして、一年たたずしての法改正を提出するに至ったのかということを二段階目の質問としてお答えをいただきたいと思います。事務方でも結構でございます。

勝野政府参考人 お答え申し上げます。

 企業立地促進法の施行状況につきまして、私の方から御説明申し上げます。

 昨年の六月から企業立地法を施行してございます。地元で地域活性化協議会をつくって具体的な計画をつくっていただいて、国の方に同意を求めてくるという手続でございます。

 各地域において非常に活発な取り組みが行われているわけでございまして、十九年度末までに国の方に基本計画ということで提出がございました件数は四十二道府県百八件ということで、極めて活発な取り組みが行われている、こういう状況でございます。

赤羽委員 順調に四十二道府県から百八の計画が出されているという中で、今回の法改正で新たに農業、水産関連業種や小規模企業の企業立地等に対する支援措置を追加する法改正を提出するに至った背景というか、どうも小規模企業の企業立地というのが何となくよくわからない部分もありますし、この点について、提出の背景というか意義についてお答えをいただきたいと思います。

甘利国務大臣 企業立地促進法というのは、企業であります。地域の主力産業というのは、従来からあるのは農林水産業であります。食料品製造業等の、つまり一次産業にかかわる企業、製造業、これがやはり地域振興には、一次産業にかかわっている製造業ということで地域の経済の牽引役になるし、そういう企業立地が地域に有利であると思います、現に一次産業がそこであるという中で加工業があるということはですね。

 そういう点からだと思いますけれども、農林水産関係産業に対する支援措置を拡充してほしいという要望が従来からかなり多く来ておりました。ということで、農林水産関連産業の立地を後押しするという意味で、ここを深掘りする、税制や交付税等の支援措置の拡充を行うということにしたわけであります。

 農商工連携というのは、製造業の立地よりももっと一次産業に寄って、農林水産業にかかわる者が中小企業と連携をして、一次産品の加工、新商品開発ということではなくて、一次産品そのもの自身を、新しい売り方とかアピールの仕方とかいうことも含めて市場につなげていくということまでカバーしていくという意味合いがあるわけであります。

 先ほども申し上げましたけれども、どちらかというと、経営感覚ということとはそんなに密接に絡んでいなくて済んだ一次産業、農林水産業に、ぜひ、こういう事例とか成功例を身近に感じながら、経営していくという感性を持っていただきたいというのが農商工連携にかける私の思いであります。

 ですから、従来カバーできない穴をふさぐという意味と、立地の特性から期待される製造業等については深掘りをするということ、それから、そもそも一次産業自身に経営するという感性を持ってもらいたい、そういうもろもろの思いで改正案と新法とを提出させていただいた次第であります。

赤羽委員 今の大臣の御答弁と少しかぶるかもしれませんが、企業立地促進法とは別に、先ほど中小企業庁の長官の御答弁にもありましたが、昨年、中小企業資源活用促進法というものも制定をした。これは、原材料を加工しなければいけないというような、何でそんなことをつけたのか、今になるとよくわからないな、こう思うんです。

 そういったことが出て、これも事業計画、私が知る範囲ではもうこの半年間で三百件を超えるようなものが出ている、こう聞いておりますし、また、農林水産省の方も、昨年、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律というのも制定されて、それなりの試みがされている。これも、開始後一年たたない中で、いろいろな試行錯誤の中で新しい法律が必要だということで今回出されたんだということだと思います。

 こういったことが地域産業振興策、現場に聞くと、いろいろなものが出てきて混乱が生じるとか非効率性につながるような心配ということについてはどのように考えられているのか、お答えをいただきたいと思います。

甘利国務大臣 似たような法律がいっぱい出て、出す方はわかっていても、利用する方は混乱を来すのではないか、そういう心配はあると思いますし、いろいろ組み合わせてできることもあろうと思いますが、その辺は、現場の担当者がわかりやすく説明をしようと思っております。

 地域資源法というのは、県ごとに地域資源を認定して、それを活用した新商品開発型の、いわば製造業にフォーカスを絞っているといいますか、それを行って、もちろん製造業以外に観光とかいろいろなものがありますけれども、そういう整理。それから、今度の農商工連携に関して言いますと、一次産品をそのまま活用できる。つまり、もっと言えば、農家の方に重点を、地域資源法よりは農家に視点を移しているわけでありまして、地域資源法では農林漁業の経営の改善に資する取り組みというのは含まれていない。経営の改善という一次産業本来を元気にするという視点をかなり盛り込んでいるわけです。

 では、もっと端的に、片方は物をつくってやっていく、片方は一次産業の経営改善だというふうにきれいに仕切った方がいいとおっしゃるのかもしれませんけれども、そうすると、これは経済産業省の所管ではないわけでありまして、農林水産業の経営改善ということだけでいけば、これは農林水産省の所管になるわけであります。

 それで、経営する、企業経営的に見るという感覚からすれば、少し意識が薄い関係者にそういう感覚を磨いてもらうというのは、施策として、いきなり経営改善をやりますというよりも、こうやっていくと自然によくなりますよという事例を通して、例えば経営にITをもっと導入していくとか、市場を見越したマーケティングをやろうという感覚というのは磨かれてくると思うんですね。いきなり施策だけつくって経営改善施策ですと言っても、あしたから企業経営的にやりなさいと言っても、なかなかそううまくはいかない。

 ですから、実際の商品を市場につなげていく成功事例を身近にたくさん置くことによって、さらに企業経営的な感覚というのは実感できるんではないかということだというふうに考えております。

 幾つもある政策が、混乱して政策効果を発揮できないというようなことにならないように気をつけて取り組みたいと思っております。

赤羽委員 ぜひ整理をしてというか、現場は、多分、県庁だったらどこが対応するのかなというと、経済産業振興局と農産何とか局というまた全然違う部でやるような話になるので、その辺はぜひ配慮して施策を進めていただきたい、こう思います。

 私は、今回のこの趣旨というのは非常によくわかるし、いい話だなと思うんです。ただ、私は、農業の専門家ではないんですが、一次産業にかかわる人がもっと経営意識を持つということはすごく大事だと思いますが、こういった発想が農林水産省から発せられているものならば、もう少し確かなのかな、こう思うんだけれども、どうも経済産業省から発せられていると、農林水産省も、何となく、しようがないからつき合っていくかみたいな乗りだと厳しいなと。

 私がなぜそう思っているかといいますと、日本の農業というのは根本的に欠陥があると私が思っているのは、農業は産業じゃないと思っているんです。青年が学校を出て、いいものをつくりたい、いい農産品をつくりたいといって就職するところというのはないんですよ。日本一の米をつくるためにどうするかというと、極端な話、農家の婿になるしかない。だから、ここに私は根本的な問題があると思うんです。

 やはり産業化しないと、それは、いろいろな抵抗があるのは承知で言っているし、その立場がわからず言っているかもしれないけれども、産業化していないと、どこまで行っても生産主体者が農家であったりすると、私は、このせっかくのいい企画も共倒れになっちゃうんじゃないかと。

 経済産業省というのは、ある意味じゃ、食品で話すとすれば、食品製造メーカーというのは厳然とあるわけですね。そのパートナーは、現状でいくと農協でしかないですよね。農協が農家を束ねて窓口になっている。しかし、さっき農協の役割というのを三つ農水省からお答えになっていたけれども、これを本当にやろうと思ったら、農協自体が本当に生まれ変わる気でやらないと、だって、今までほとんど何もやってきていないわけですよ。

 例えば、食品の輸入と輸出という数字を見てびっくりしたのは、輸入は八兆五千四百三十億円あるんだけれども、輸出は五千百六十一億円しかないんです。八兆円も輸入超過しているんですよ。それだけ輸出するマインドというのがないのが現状だと思います。

 ただ、日本でいうと、日本の食品製造メーカーは、私も三井物産時代にかかわっていたからあれなんだけれども、世界で一番の清潔度で、一番安全で、一番手の込んだものをつくっている。これが世界のマーケットで通用しないわけがない。だから、今回のねらいというのは非常にいいんだけれども、肝心の生産主体者の方にそういう改革をしていく気概があるのかないのかということを私は大変心配するんですね。

 だから、輸出というのを一生懸命経済産業省がやろうとしていても、農水省の傘下である農協であり農家という生産主体が相変わらず生産主体であり続けるというような感覚であると、これはなかなかうまくいかないんじゃないかなというような思いがあるものです。

 先ほど今村副大臣の御答弁の中に、日本の農業を守ると言われて、よく農業関係の議員の人は農業を守る、守ると言うんだけれども、農水省も言っているけれども、私は、今こそ攻める農政をやっていかなきゃいけないんじゃないか、口で言っていても攻める体制にはならないと思うんですよ。

 だから、本当にここは、せっかくのこの法案の提出であるし、一緒にやろうとする、小さな一歩かもしれないけれども、ぜひ大きな改革につなげていっていただきたいなと思うんですが、この点についての農水省の、今村副大臣にわざわざお越しいただいて感謝しますが、御答弁をいただきたいと思います。

今村副大臣 ただいまの赤羽委員からの御意見、まさに私も大変うなずけるところがあるわけでございます。

 先ほどの答弁でも申しましたが、昔は、日本の農業はつくればよかった、そうしたらだれかがやはり買ってくれるということでありました。しかし、今、日本の農業を取り巻く情勢は大きく変わっております。海外からもいろいろなものが入ってくる。そしてまた消費者の皆さんの志向が大いに変わりました。だから、これからはやはり消費者を見て農業も取り組まなきゃいけないということ、ここに大きく今農政の転換を図ろうとしているところでございます。

 今回の法案も、先ほど甘利大臣も言われましたとおりでございますが、既に農家の中でも、例えば、今、直売所というのがございます。そこには自分の名前を書いて売るわけですね。そうすると、やはりそこの売れ行きというのが非常にはっきりわかるわけですよ。ああ、これが売れたかと。今度は少し落ちる、どうしてかな、こういうことで問題があったよと言われると、では、それに合わせて農家もまた違う、少し改善をして売る。そういった市場との結びつきというのは非常に今強くなってきているような気もいたします。

 そういう意味では、ぜひ今後も、これから何をつくるか、どのようにまたそれに付加価値をつけていくか、そしてどのようにまたそれを販売していくかといったこと、こういったことをしっかりと農村の方に風を入れて、農家の皆さん方もこれはおもしろいなという意識を持っていただければ、私は、やはり日本の農業はまたさらに生き返るんじゃないかと。

 特に、最近はネット社会ということもございまして、ちょっとしたいいものをつくればもう全国的にこれは広がる、そういう爆発的なポテンシャリティーも持っているわけでございますので、そういったことを頭に置きながら、ぜひ今回のこの法案をまた一つの大きな推進力として、そういった農家が本当に生き生きとした農産物をつくっていけるように頑張っていきたいというふうに思っているところでございます。

赤羽委員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 農政の専門家の今村副大臣にそういう答弁をしていただくと大変心強いですし、すぐにはいかないと思いますが、日本の農政の五年後、十年後を展望して、農業に従事したいという青年も数多くいるはずなので、ぜひ、その人たちが胸を張って就職できるような産業構造にしていただきたいなと。結婚しなければ物をつくれないとか、農家に入らなければいけないというような話というのは究極的にやはり行き詰まってしまうのではないか、私はそう思います。

 日本の農産品の産業化とか輸出をふやすということになりますと、私は、国内の農産物の高付加価値化、ブランド化の推進と海外での積極的な市場開拓、この二つがやはり相当喫緊な課題になる、こう考えております。

 実は、大臣も海外に出張されたときも思われると思いますが、どこに行ってもやはり日本食というのは今、健康、ヘルシーフードということで物すごい定着している。ところが、本当の日本食レストランというのは大変高いもので、韓国の方とか、何か日本食とはちょっと違うんじゃないかという人たちがレストランをすごい数で展開している。また、外国人が来られて、お酒を飲まれる方は日本酒というのは大変おいしいと言われているけれども、海外で日本酒を飲むことというのはなかなかできないとか、せっかくの素材が生かされていないし、もっといい素材をブランド化できるというのは数多くあると思います。

 最近、イチゴの「あまおう」ですか、その話も聞かせていただいて、ああいうことというのは潜在力があると思います。しかしこれを、具体的に、潜在力があるんだと言っていても全く前に進まない話なので、私自身は、例えば、経産省でいうと海外にジェトロという拠点があるし、国土交通省的にはJNTOという観光振興の出先があります、またあと国内でも日本フードサービス協会ですか、そこに、日本食の海外普及事業をやっているようなところもある、そういったことを少しうまく絡めて取り組みを進めていかなければいけないんじゃないか。

 そこにどうやって官の取り組みができるのかというのは、難しいかとは思いますが、こういったことについて、ブランド化と海外のマーケット開拓について経済産業省と農林水産省、それぞれどのような支援を講じようとしているのか御所見をいただきたいと思います。

荻原大臣政務官 先生、先ほど来お話しのとおり、攻めの農政という上でもやはりブランド化というのは大変重要なことだと思っております。農林水産品がブランド化して付加価値の高いものを生み出していく、これは大変重要なことだと思っておりますし、そしてさらに、そのブランドを適切に管理して効率的に活用していくということも重要だと考えております。

 こうした取り組みを円滑化するために、平成十八年度から地域団体商標制度を実施しておりまして、既に農林水産品に関しましては百四十六件の登録をされているところでございます。

 さらに、こうした農林水産品を活用いたしまして、新商品等を創出する取り組みの支援策といたしまして、平成十九年度から取り組んでおります中小企業地域資源活用促進法に加えまして、今般御審議をいただいておりますこの法案を中核として、ブランド戦略、マーケティングの専門家によるきめ細やかなアドバイス、また試作品の開発、あるいは先ほどお話ありました海外を含めた展示会への出品に対する補助、低利融資あるいは設備投資減税など、さまざまな施策を総動員いたしまして支援をしていくこととしております。

 いずれにしましても、このような施策を通じまして、農林水産品のブランドの確立、またブランド力の強化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地域の農林水産物のブランド力を高めることは、その価値を内外の消費者に伝えることでございまして、農林水産業の国際競争力強化や地域活性化につながるものと認識をしております。

 そこで、農林水産省におきましては、地域の農林水産物、食品のブランド化を促進するために、地域における取り組みを支援しているところであります。

 具体的に申しますと、昨年十一月に、地域ブランド化の取り組み主体とそれを支援する人々が集まりまして有益な情報交換あるいはノウハウを交換する食と農林水産業の地域ブランド協議会を設置し、その活動を支援しているところであります。

 また、品質がよく特徴的な地域ブランドを確立するために、当該地域ブランドのコンセプトの設定から、品質、名称管理、マーケティングに至る一連のプロセスを一貫してアドバイスいたしますプロデューサーの招聘、こういったことを内容とします農林水産物・食品地域ブランド化支援事業、さらには、農商工が連携をしまして国産農林水産物を活用した新商品開発などを支援します食料産業クラスター展開事業などを実施しているところであります。

 さらに、ブランドを保護するためには、地域団体商標の取得が有効であるというふうに考えておりまして、経産省と連携をいたしまして、地域団体商標制度を含む地域ブランドに関するセミナーを各地で開催し、関係者への普及に努めているところでございます。

 なお、輸出については別途答えます。

小風政府参考人 それでは、私の方から輸出に関する取り組みについて御説明いたします。

 委員御指摘のとおり、攻めの農政の重要な柱として、平成二十五年までに農林水産物、食品の輸出額を一兆円規模にするという目標を掲げて、それに取り組んできております。

 青森のリンゴなど、日本の高品質の農林水産物は海外でも高い評価を得ております。こういう農林水産物を含む地域産品の輸出ということは、農商工連携の取り組みの中で地域活性化を図る上で重要と考えております。

 農林水産省といたしましては、官民の関係者の協力を得まして、動植物などの検疫の協議の加速化を通じた輸出環境の整備、それから品目別の戦略的な輸出促進、意欲ある農林漁業者などに対する支援、それから、お話ございました日本食、日本食材等の海外への情報発信、こういうものの取り組みを進めているところでございます。

 今後とも、こうした対策を総合的に講じまして、農林水産物の輸出の取り組みを強力に支援してまいる所存でございます。

赤羽委員 そういう農水省のお取り組みが、それをやったということで終わらなくて、ぜひ成果が出るものにつなげていただきたい。

 これは本当に大事な、農政の方が大事だと思うので、今村副大臣に一点だけ。

 新しい法律ができるんだ、新しいことが起こるんだということを徹底することは必要だと思うんですね。全中というんですかJAの全国の会合に副大臣が、新しい法律ができたんだ、これからやるんだということを、ぜひそういう機会を持つべきじゃないかと思うんですが、その点だけ、御決意を。

今村副大臣 全中には、そういう話は私の方からも重々しております。

 そして、二、三、例を申しますが、私の地元では、実は農協が中心になって、佐賀県産の佐賀牛を使ったレストラン、東京のど真ん中でやっておりますが、大変これは好評なんです。そういうことによって、全国に佐賀の農産物、牛肉等の発信をしております。それを見ますと、皆さん自信を持って取り組んでおられます。

 それから、先ほど輸出の話も出ましたが、本当に灯台もと暗しといいますか、日本の農産物のすばらしさというものは私たちが意外と知らないんです。海外に行って食べさせると、いや、こんなにいいのかというのを、よく皆さん感心していただけます。ですから、我々は、これからできるだけこれを食べていただいて、そして、うまいじゃないか、日本のこういううまいものをどんどん入れてくれという世界の皆さんのニーズをとにかく高めていくということが一兆円あるいは二兆円ということにつながっていくんじゃないか、そして、それが農村の自信につながっていくんじゃないかというふうに思っておりますので、今委員の言われたことをしっかり踏まえて取り組んでいきたいというふうに思っております。

赤羽委員 これが本当にうまくいけば、私は、観光政策にも相当プラスになるんじゃないか、こう考えております。

 ぜひ、そのことも踏まえて、最後に、経産大臣に総括的に御決意をいただきたいんですが、そのときに、ちょっと一点だけ。食品製造メーカーなんか、現場へ行きますと、おばあちゃんばかり、プラス外国人という現状なんだと思うんですね。これは、今後、今すぐにはできないにしても、五年先ぐらいを想定して、この前も言ったかと思いますが、単純作業の外国人労働者ということも少し検討していく。これは労働行政かもしれませんが、経済産業行政とも全く裏腹な話で、食品メーカーなんかとか繊維メーカーというのはこういった部分がないと日本としてはやっていけないんじゃないか。

 ですから、この農商工連携をうまくさせていくためにも、今答えを出すということよりも、そのことも検討していくということは私は必要なんじゃないかと思うんですが、その点、大臣の御見解もいただいて、この農商工連携にかかわる決意を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 農商工連携というのは、省をまたいでいろいろな知恵を合わせる、施策のコラボレーションを行うということに道を開くものであろうと思います。企業経営的感覚にはなかなかなれ親しんでこなかった分野の方々が、そういう取り組みを通じて自分のところの農林水産業の課題というものを洗い出せることになれば、それは農林水産業のいわばいろいろな意味での高度化への処方せんが描けるんだというふうに思います。

 食品産業については、そこに原料となる食材、農林水産品を持っているという強みがあるんだと思います。そこで働いている方々が高齢化をしてきている。もちろん、これからは女性と高齢者、それから職についていない若者を就業への道につなげていくということが大事なのでありますが、外国人につきましては、高度技能ということで門戸を開く、あるいは研修制度の中で位置づけているわけであります。それは送り出す方と受け取る方がきちんとした枠組みの中で行うということが前提でありますが、これからどういう形にしていくかというのは、いろいろと検討の余地があろうかと思います。そういう前提となる課題を含めて、今後とも検討されることであろうというふうに思っております。

赤羽委員 外国人労働者の問題は所管外かもしれませんが、ぜひ産業界の方からもよくヒアリングをしていただいて、前向きに御検討いただきたい。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。

 まず最初に、今回の農商工連携法案、これも地域活性化の施策の大きな一つというふうに政府は出しているんだと思いますが、もう一方で、地域力再生機構法案という法案が、これはこの委員会じゃなくて内閣委員会ですか、かかるようでありますけれども、この関係がどうなっているのか、まずその点について御説明いただけますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の地域力再生機構法案でございますが、今国会に法案を提出させていただいているところでございます。地域力再生機構が事業再生の支援を行うわけでございますが、その際には、今般の農商工等連携事業計画を含めまして、さまざまな他施策との連携を図っていくというのが大変有効な場合がございます。

 したがいまして、機構の活用を希望する事業者について、例えばこの農商工等連携事業計画の認定を受け、さまざまな施策の活用を図ることが有効、そういう場合に関しましては、事業再生上の手法の一つとしてこれを十分活用していくという形で連携を図っていくというものでございます。

古川(元)委員 山崎さんは、ここよりも、早く厚生労働省に帰ってきちんと、まず自分のもといた役所をしっかりしてもらいたいなという感じがしますけれども、今の話も役所の視点からなんですね。

 私も今回この法案を見て、この話というのは、もうちょっと中小企業とかのやっている視点で考えてみないとわからないんじゃないか。これは、あそこにお座りになっている安井先生にやっていただくのが、この法案が本当にワークするのを図る、一番いいんじゃないかなというふうに私は思いますが、きょうは、そういう視点からちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 例えば私が、地域の、田舎の方のもうからない、借金が丸抱えでどんどん積み重なっている、でもやめることのできないような、多分この地域力再生機構法の想定するような、例えば地域のバスとかタクシーとか、もうその会社以外はないみたいな、そういうのをやっている経営者だとしますね。ほかに何か産業といったら農業があるくらいかと。

 今回の農商工連携というのは、大臣、要するに新しい事業として農業とかに入っていこうとしたときにそれを支えようというものでしょう。もう今のやっている事業ではなかなか採算なんかとれないな、では、ほかにもうける口としたら農業の方に入っていこうかというようなことを考えたときに、その経営者の立場に立ったときに、今山崎さんはこちらに話があればと言いましたけれども、その経営者は本当にそこに行きますかね、機構の方に入っていきますかねと思うんですね。

 これは、機構に行ったら、当然、普通考えれば、今の経営者はまず首ですね。要するに、このままの事業で何もやらないで、というか、いろいろ考えてきたのかもしれないけれども、こういう経営状況が悪くなっている状況になっている。なれば、私が経営者だったら最初にこの再生機構に走り込もうとするかといったら、まずそうじゃないですよね。やはり何とか自分のポジションは維持できながら、生き延びる道はないか。そして、目の前にあったら、この農商工連携、ああ、何かこれは助けてくれるのか、では、こっちに行こう。普通だったらそういうふうに考えるんじゃないかと思いますけれども、山崎さん、どうですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 さまざまなケースがあると考えます。確かに先生おっしゃるとおり、例えば自分の事業をどう展開するかという点で悩みがあった場合は、当然、その事業関係で相談に行くというケースがございますし、機構の場合については、むしろ、その上過大な債務を負っているケース、そういったケースが基本的には対象になってまいりますので、いわば、そういう相談窓口というのは、さまざまなケースで当然幅広く受けとめていくということが非常に大事だと思っています。

 したがいまして、もちろん機構に来るケースもございますが、私どもに来た中でむしろ別の方がふさわしいのであれば、そちらへ我々も紹介するということになりますし、逆にほかの窓口から御紹介いただくという形で、これは相互に連携していくという形でいろいろなニーズに対応していくのではないかというふうに考えている次第でございます。

古川(元)委員 それは役所の立場なんですよね。

 私は、今言いましたけれども、そういう立場に置かれている中小企業の経営者だったら、こういうのができました、では、自分はどこに行ったらいいの、どういう施策を選んだらいいの、そうやって駆け込んでいったらどういうふうに扱われるのと。こういう法案を出しているんだったら、中小企業の経営者の立場に立ったら、いや、あなたはそういう状況だったらこういうところへ来てもらえば、こういう形で提案をされて、こういう順番で、まずは農商工連携の新事業でやってもらう、それでもだめだということになったら再生機構、そうなるのか。あるいは、まずは再生機構で、あなたにやめてもらってから、新しい経営者を立ててから、それで、事業としてこの農商工連携のこれが使えるんだったらこっちに行く。どういうふうに使われるんですか。私がこの経営者だったら、この法案と、あと再生機構、ほかにもいろいろありますけれども、どういうふうに扱われるんですか。ぜひそれを教えてください。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 さっき副大臣の方から答弁いたしましたように、農商工連携を広く普及させるという観点で、全国三百カ所に地域力連携拠点というのをつくろう、そこで農協とも連携してワンストップサービスをつくっていこうというお話をさせていただいたところでございます。地域におられる中小企業の方が何かお困りの点があれば、そのワンストップサービスのところにまずは御相談いただければ、そういう体制をつくっていきたいというふうに考えてございます。

 そこで、再生が必要ならば地域力機構に行っていただくとか、あるいは農商工連携が向いているようなことであれば、農商工連携法の仕組みを御説明して、ハンズオンできめ細かく支援していく、そういうようなことで対応していきたいというふうに考えてございます。

古川(元)委員 そうすると、再生機構というのは後に来るということですね。まず最初はそちらに行けということですね。そういう認識でいいわけですか。

甘利国務大臣 地域力連携拠点というのは、何でも相談ができるという箇所を三百カ所つくりました。経営に関する人材もそろえました。

 再生機構と再生協議会というのがありますけれども、前、中央の組織があって、それの地方版というのでできたのが再生機構。それで、再生支援協議会というのは、中小企業を専門に扱っている全国の組織が昔からあって、それを束ねる中央組織をつくったわけであります。

 ですから、再生に関しては二つできているという状態なんですが、このすみ分けは、再生支援協議会は、内科療法的に、中小企業の相談に乗って問題点を分析して処方せんを描く、再生機構の方は、どちらかというと外科療法で、規模でいえば中堅から上、それから、面的な再生と三セクを中心とするという基本的なすみ分けをしております。

 でありますから、三百カ所の相談拠点に行って、企業経営自身の問題点で処方せんを描く必要があるというときには、地域中小企業再生支援協議会の方と相談するのが順序かというふうに思っています。

古川(元)委員 大臣、いいですか、今のすみ分けというのは役所の方の視点でしょう。中小企業の経営者の人たちは、役所のそういうすみ分けなんかよりも、目の前、特に、経営がどんどんよければいいですよ、逆に言えば、この農商工連携だって、今の本業でどんどんうまくいっている人が、別にわざわざまたここまで手を出そうかと余りしないですよね、普通。大体、じゃ、これができたからやろうかというような人は、今やっているビジネスがなかなかうまくいかないから、じゃ、今度はこっちをやってみようかということでやるわけでしょう。

 中小企業のオーナーとかそういう人たちの視点からしてみたら、今はもうとにかく日々の仕事が大変なわけですから、そこを切り抜けていこうと思ったら、そんな役所の仕切りでそこは仕分けしていますというのでは、これは後の質問にもつながりますけれども、とにかくこういうのは、余りにたくさんあって、役所の方では仕分けがされているのかもしれないけれども、経営者の立場に立ったら、何が何だかわけがわからないと思うんですね。

 今の国会に出てきている法案で見ればまさにそこのところがありますが、これは今までの施策でもそうなんです。毎年毎年、今回の法案との絡みの話でも、中小企業地域資源活用促進法に基づく地域資源活用プログラム、これは昨年始まったばかりですよね。それにまた、中小企業新事業活動支援法に基づく異分野連携事業分野開拓支援事業とか、ここ数年、毎年のように似たようなのがどんどん出てきているわけですよ。

 役所からすると、中小企業対策、やっています、やっていますと。これも新しいのをやりました、これもやりましたと言いますけれども、中小企業の、日々仕事に追われ、資金繰りに追われている人たちからしてみると、それが一体、本当に自分をどう助けてくれているのか、役に立っているのか。これはどうも、中小企業の施策、それこそ地域の振興だ、産業施策だという施策の中を見ていくと、何か、役所の側がやっていますよという姿勢を見せるだけのような感じしか見えないところがあるんですね。

 本当にそれが役立っているんだったら、確かに経済状況はここのところ悪くなってきたかもしれませんが、中小企業の倒産がどんどんふえていくということは、これだけ毎年毎年新しい施策をやっているわけですから、逆に言えば、それが効果がちゃんとあるんだったら、あんなに倒産しないはずだと思うんですよね。倒産がふえても、一方で新規事業がどんどん新しくできて事業者数がどんどんふえているというような状況ならいいですよ。そういう状況でもない。新規の事業はどんどんふえていかない状況の中で、倒産する方ばかりふえている。

 これはきのう、そういう中小企業地域振興の施策にどういうものがあるのか一覧を持ってきてと言ったら、本がありますからといって、このガイドブック、大臣も見られていると思いますけれども、中小企業の人たちが読んで、これを見て、じゃ、自分はこれにアプライしようかとかそういうふうに思うかというと、大体、まず読んでいる時間がないと思うし、読んでもよくわからないんですよ。そういう人はとにかくなんでも相談ホットラインに行けばちゃんと丁寧にやってくれますよといくかというと、そう簡単でもないんですよね。

 実は先日も、例の建築基準法の、まさにあれは官製不況だと思いますけれども、それに伴って融資枠を拡大して、そのための手当てがちゃんとありますからというところに、ある私の支援者の人の企業で、仕事が入ったからと融資の申し込みに行ったら、いや、おたくは借り入れが多いですから貸せませんと言われた。要は、枠を広げたって、この状況ですからすぐ貸してくれるというわけじゃないんですよね。

 だから、何か形だけやっておけばあたかもそれで手当てをしているかのように見えていますけれども、現実にそれがワークしているかどうか。大体、そういう検証はどれくらいされているのか。さっき申し上げたような直近にできたような法律に対して、その効果はどれほど上がっているのか。それと今回の法案との関係というのはどうなっているのか。この点について、どういうふうにちゃんと分析しているんですか。

荻原大臣政務官 これまでの施策の検証、評価ということでございますけれども、今先生御指摘のように、経済産業省ではこれまでさまざまな支援策を用意、実施してきたところでございます。

 例えば、中小企業新事業活動促進法につきましては、平成十七年の施行から現在までに四百六十二件の事業を認定し、支援をしているところでございます。また、中小企業地域資源活用促進法につきましても、昨年六月の施行以降、既に三百二十八件の事業を認定し、支援をしているところでございます。

 さらには、商工会また商工会議所が中心となりまして新商品等の市場開拓などを行う取り組みに対しましても、JAPANブランド育成支援事業、これは百八件、また地域資源∞全国展開プロジェクト、これは四百四十件、こういったことを展開しているところでございます。

 このように、現在の制度は着実に実績を上げてきているところでございますけれども、中小企業新事業活動促進法につきましては、天気、天候などのリスクを踏まえた農林漁業者向けの支援措置が講じられていなかった、また、既存事業と異なる新しい事業を起こさなきゃいけない、こういうことが求められておりましたので、農林漁業者にとりましてはややハードルが高かったかなと考えております。

 さらには、中小企業地域資源活用促進法の支援対象につきまして、農林漁業経営の改善に向けた農林水産業の高度化に資する取り組みというのは含まれておりませんでした。また、新商品等の生産活動が地域資源の存在する地域でしかできなかったわけでございます。こうした御指摘が事業者また現場からありました。

 本法案では、新たな事業分野の開拓、また、事業活動地域の限定等を設けない、こういったことを行いまして、中小企業者の経営の向上のみならず、農林漁業者自体の経営の改善に資する新商品の開発等の取り組みを新たに支援したいと考えてございます。

古川(元)委員 それだったら、その法案を出すときにどうして農林漁業と入れなかったんですか。地域で産業といったら、ほとんど農林漁業ですよ。そんなこと、施行して一年もたたないとか、一年や二年たったぐらいで、わかりました、それで今回やりますと。前の法案のときに、どうしてちゃんとその中に入れられなかったんですか。

荻原大臣政務官 繰り返しになりますけれども、これまで、新しい事業を始めていく上で、やはり天気のリスク、こういうことの支援措置が講じられていなかった。また、やはり新しい……(古川(元)委員「違う。聞いているのは、どうしてそれがそのときにちゃんと、問題点というか、そのときに入っていなかったのかということです。想定可能でしょうということ」と呼ぶ)

 いずれにしても、天候のリスク、こういうことが考えられていなかった。また、やはり新しい事業を開拓しなければならなかったということが考えられて、改正をお願いしたいということでございます。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年度、企業立地法と地域資源法、もう一個で大綱三法ということで法案をつくらせていただきましたけれども、当時、地域をいかに活性化するか、地域の産品あるいは地域の伝統技術、これはもともと産地とかいろいろあるわけでございます、それから観光資源、これを活用してやろうというふうなことで、地域を活性化するためにはその地域でやってもらわなきゃいかぬ、そういう思いが非常に強くあったわけでございます。

 それを運営してみますと、産業活動というのが非常に広くなっておりまして、例えば、北海道でとれたものを熊本で加工して売りたいというような案件も具体的に出てきたものですから、それに合わせて、先ほど大臣の方が申し上げましたように、農業に企業経営の感覚を入れていきたい。例えば、農業自身IT化を進めるとか、そういうふうな課題が今回浮き彫りになりましたものですから、新たな法律をまさに農林水産省さんと一体となってやっていこう、そういうつもりで今年度出させていただいているところでございます。

古川(元)委員 今、後ろから近藤委員が言いましたけれども。

 霞が関でいえば、要は、農水省とそのときに話ができていなかったということなのかもしれませんし、それがもしできていたとしても、逆に、その前の法案を出すときに、そこまで想定できないようないいかげんな詰め方だったら出してくるべきじゃないですよ。何度も何度も似たような法案を、使う方にとってみたら、何かさっぱりわけがわからない。

 やはりそこはきちんと本来詰めてきて、今のお話にあったような話というのは、別に大臣、突然去年からことしになって北海道から熊本エリアが必要になったと、そんなことがわかったわけじゃないでしょう。そんなものはもう何年も前からわかっているわけだし、現実に農水省の中でもある程度やっているわけじゃないですか。

 要は、今まで農水省と経産省の連携が悪いと。私なんか、今回の法案は農商工連携というよりも農水省と経産省連携法案じゃないかと思うんですよ。今まで、もとは一緒だったけれども分かれると、近親憎悪で大体霞が関は仲が悪くなって、お互いに相手の領域には一歩も足を入れさせない。

 そういうことをやっているものだから、商工会、JAとかがばらばらに、農業と商業の末端の方まで。上ではまだ、けんかしながらでもお互いお向かいさんだから話もするけれども、下に行けば行くほど、地方に行けば行くほど、話もしないと。こういう状況をつくってきたのが、これは経産省の責任でもあるし農水省の責任でもあると思うんですよ。

 今回の法案というのは、そういう意味では、いわば今まで、末端の方でいえば、事業をやっている人から見れば、それは商業も農業も関係ないですよ。つくっているものが全国でもあるいは世界でも売れるんだったら、それを売りたいと思う。そこに、そんな発想がなかったというよりも、そういう発想をさせないようにしてきた役所のそういう仕組みが悪かったんだと思うんですよね。

 そういう意味では、この法案というのは、そういう農水省と経産省の今までの障壁を一歩取り除く法案じゃないかと私なんかは思っていますけれども、大臣、どうですか。

甘利国務大臣 地方に最近、道の駅というのが整備されてきまして、そこに農産物の直売所ができるんですね。そうしますと、農家のお父ちゃんとお母ちゃんの言っていること、感覚が全く別になるんですね。

 お父さんは、農業とは、いいものをこうやってつくるんだと、経験と勘によるうんちくがある。お母ちゃんの方は、消費者と接していますから、いいから売れるというんじゃないわよ、あなた。どういうところがいいかをどうセールストークで売り込むかとか、並べ方とか見ばえとかラッピングとか、そういうのが大事なのよと。お父ちゃんとお母ちゃんの言うことが全然違うんですね。お母ちゃんは市場と接しているからなんです。

 私は、農業といえども産業ですから、お父ちゃんとお母ちゃんの両方がセットになった感覚をいつも持っているということは大事なんです。というのは、日本の農産品というのは私は世界一だと思いますよ。それは厳しい消費者の目に鍛えられているわけですから。髪の毛一本落ちていて、それで全部だめになる。工業製品もそうですけれども、農産物は、おいしくて安全で安心。価格競争力という点は劣後するけれども、しかし、別のステージで戦えるじゃないかという自信を持ってもらいたいし、そういうアピールを市場に向けてする、ブランド戦略をする、そういう感覚が大事だと思うんですね。

 そういう意味では、今回、経産省と農水省がいろいろ突っ込んだ話し合いをしました。今まではできなかったはずです。なかなか、ここから先はだれの領分ということになりますし、また経産省のお邪魔虫ということになりますからね。しかし、日本の農業は、さっきから話がありますように、守るばかりじゃなくて攻めていけるんだ、攻めるターゲットはこういうところがあるということを明確にしていくという意味で意義のある法案だと思っております。

 これは、一次、二次、三次産業がコラボレートをする、それによって日本の農林水産品のよさというものを市場に向かってアピールすることを支援していくような仕組みの一つになっていると思います。完全ではないですけれども、まだこれは入り口かもしれませんけれども、少なくとも突破口は開けたんじゃないかというふうに思っております。

古川(元)委員 胸を張るというよりも、これは大臣、やはり今までの役所のあり方を反省してもらわなきゃいけないんですよ。

 大臣も行かれたと思いますけれども、私もこの前行ってきたんですけれども、徳島の上勝町、葉っぱビジネスの。つまもの。おっしゃるように、おばあちゃんたちが目の色を変えてやっていますよ。二十五年前からやっているんですよ。別に農商工連携なんて一々こんな法案を出さなくたって、やるところはもう既にやっているんです。

 逆に、そのやっている動きをいろいろと阻害していたのが、農水省と経産省とばらばらに、ここはおれのところだ、おれのところだみたいなふうで、逆にそういうことを阻害していた。まずそれを反省してもらいたいんですね。そういうことがあった、しかし、もう民間は先に進んでいる、その民間の動きを邪魔しないようにこういうことをやります、農水省と経産省も手を握るところは握ります、そういうふうに言ってもらわなきゃいかぬと思うんですよね。

 ぜひそのことを、これなんかは立派に言っていますけれども、私から見ると、現場でやっている人たちから見たら、何を今さらと。そういう思いだというふうな感じのことを申し上げたいと思います。

 せっかくきょう農水省に来ていただいていますから、限られた時間で最後にお伺いしたいと思いますが、今問題になっている食料自給率、今回の農商工連携も一つは輸出の促進というのがあると思うんですけれども、食料の自給率を国として発表している国というのは、世界で日本以外にどこがあるんですか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 食料自給率を国として公表しているのは、今のところ、韓国がカロリーベースの自給率を公表しているということを承知しておりますけれども、そのほかの国で自給率を国として公表している例としては、今のところ承知しておりません。

 こういったことは、恐らく農地がどの程度豊かにあって、自給率のことを心配する必要があるかどうかといったような事情がやはり背景にあるのではないかというふうに理解しております。

古川(元)委員 日本で自給率、自給率と言うんですけれども、意外にこれは日本固有の概念みたいなところがあります、国民負担率もそうなんですけれども。国民負担率というのも、あれは財務省でつくっているんですけれども、日本だけですからね、ああいうのをつくって言っているのは。

 それで、資料の一と二とありまして、ちょっと二の方を見ていただきたいんですけれども、食料自給率というのは、要は国内生産量を、下の国内生産から輸出を引いて輸入を足したもので割る。分母が大きければ大きいほど自給率は小さくなるわけですね、これは簡単なことでありますけれども。

 先ほど赤羽委員の御指摘でもありましたけれども、日本の場合、輸入がとてつもなく大きいかというと、一人当たりの食料輸入額でいうとそんなに多くはないんですね。何がとにかく目立っているかというと、ほとんど輸出がないんです。ですから、結局、この輸出が極めて小さいということによって自給率が非常に小さくなっているというのがあるんですね。

 だから、もし自給率を上げるということが目的であれば、輸出をどんどん促進するというのは、これは自給率アップに物すごく、数字上ですよ、そのことが本当に食料安全保障と結びつくかというのはまた別ですが、自給率を上げるということだったら、これは輸出を促進すればいいんです。

 ところが、これは資料一の方に戻っていただくと、自給率向上に向けた戦略的対応の強化という中で、輸出というのはその他の中の一項目でしかないんですね。この食料自給率の数字の出し方が、生産から輸出を引いて輸入だということを考えれば、もっとこの輸出の促進というのが自給率の向上に向けた戦略の中で大きな柱として入ってきてもおかしくないと思うんですけれども、どうしてこれがその他の一項目になっちゃっているんですか。

伊藤政府参考人 自給率の向上につきましては、お話のとおり、まずは国内の供給を拡大していくということが基本になりますけれども、当然、輸出を拡大いたしますればそれが国内生産の増加につながって自給率の向上にもつながる、我々も当然そういうふうに認識しておりまして、自給率向上の一つの重要な施策であるというように認識しております。

 今資料でお話がありましたけれども、その他という欄に位置づけられているということではございますけれども、私どもの認識としては、大変重要な施策というふうに認識しております。

古川(元)委員 役所でその他に位置づけて重要な施策と認識しているというのは、農水省だけの言葉ですか、経産省でもほかのどこの役所でも、そんな、その他に入れるのが重要なものとは普通は考えられないんですけれども。

 大臣、だからこれは、そもそも本当は、こういう数字で考えると、先ほどもちょっと御答弁ありましたけれども、食料自給率というのをこういう形で出している国自身がほとんどない、世界の中で。しかもこれが、輸出をふやせばそれで自給率が上がるという感じになる。本当にここを施策目標にしてやることがいいのかどうかというのは、やはりこれは一回内閣の中でもよく考えていただきたいことだと思うんですね。それは食料安全保障とちょっと違うんじゃないかなと思うんです。

 同時に、少なくとも、やはりこれを見ても輸出が極めて低い、少な過ぎる。だから、例えばこの法案でも農商工連携というのであれば、もっとこの部分の輸出をどれくらい、こういう法律をやるのであれば、目標を立ててこれくらい目指すくらい、やはり戦略目標値を経済産業省としては立てるぐらいのことをぜひしていただきたい。そのことをお願い申し上げまして、時間が来ましたので、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

東委員長 これにて古川元久君の質疑は終了いたしました。

 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 あと三十分でお昼でございますが、大臣、副大臣含めまして、おなかがすいたところ申しわけないんですが、いい御回答をお願いしたいというふうに思います。

 同僚議員から、いろいろな行き届いた御質問がございました、午後もございますけれども。私も幾つか聞いていまして、なるほどなと思いながら、まず一番最初に私が思うところを申し上げたいと思うんですが、この連携については非常にいいことだというふうに思います。いろいろな御批判もあったかもしれませんが、いい方向で動き出しているし、おくれたけれども、結果的に、これから頑張っていい方向になればなというふうに思っています。

 ただ、どんどん進めていろいろな問題点が出る前に、いろいろな形のフォローをしておいて、そして、結果的には七十点、八十点ぐらいのいい法案になればという希望を僕も持っている一人であります。

 まず一番最初に、質問する前に、これは我が党でも当然、僕も個人的にいいと思っているので、賛成ではないかと思うんですが、この法案が通った後に、基本方針というのがあると思うんですね。この基本方針は一体いつごろお出しになるか、まず簡単にお答えいただきたいと思います。お願いします。

    〔委員長退席、やまぎわ委員長代理着席〕

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 基本方針につきましては、もちろんできるだけ早くというのが大前提でございますが、法律上、経済産業審議会のほかにも林政審議会、農政審議会、漁業審議会、いろいろな意見を聞き、かつパブリックコメントに付して決めるというふうなことでございます。

 したがいまして、昨年の地域資源法を見てみますと、五月に法案が通りまして六月末が施行という格好になってございます。全力を挙げてそういう事務的準備をさせていただきまして、一刻も早くこれが実際に使われるような、そういう方向で取り組みたいというふうに思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 なぜ私がその部分をお聞きしたかというと、まず、認定について統一性というのが必要だと僕は思うんですよ。それはどういうことかというと、第三条に、今言ったように、基本方針を主務大臣は公表すると。認定については、四条第三項に「適切なものであること。」とだけ今書かれておりますけれども、発表する。今おっしゃったように、五月等々と。それで七月から募集するわけですね。この中にいろいろちょっと入れていっていただきたいな、こういう御要請を僕はしていきたいと思っています。

 というのは、何を下条が言いたいのかまだちょっとわからないと思うんですが、一つの事業そして支援事業に対して、お金をそれぞれ百億ずつ出していくという中で、要するに認定のバーが、例えば経産省ではその事業の認定はどんどん通しちゃえ、いいぞと言うかもしれないけれども、農林省のバーが非常に高くて、要するに両方とも認定しなきゃいけないわけでありますよね。ですから、バーの統一性が必要である。

 例えば、これは言いにくいけれども、東大と京都大学、慶応と早稲田みたいな、これはちょっと早稲田がきょうはいらっしゃるのであれですけれども、それと同じように、通ってくるルートが全く違うところで一つの事業をやるところの一番の問題は、認定のバーの高さを統一しなくちゃいかぬと思うんですよ。じゃないと、どっちかに偏った事業になりやすくなって、そっちからどんどん回しちゃえと。中小企業の連携で金が出るけれども、中小がほとんどちょっとしかなくて、農林の方がバーが低いからどんどんそこを通しちゃって、そっち側だけで認定がどんどん通っていっちゃう。そうなってきたときに、本来の趣旨とちょっと違ってきてしまうのではないかというふうに思っています。

 簡単に言えば、それぞれの省庁が連携して、先ほども省庁の連携と言っていましたけれども、バーの高さをどうやって同じようにするのか。これは、借りようとか保険をちょっとお願いしようとかという方々が今山のように、目をらんらんとしてこれを待っているわけですよね。そのときに、どっちかに偏っているんだったら、連携しないで別々の法案にした方がいいと思うのであります。

 その辺をまず一つ、基本方針に入れていただくことを前提で、長官とそれから農水の方にお聞かせいただきたいと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、基本指針の基本的要件につきましてはおよそ三点を決めていきたいというふうなことで、お互いが連携すること、あるいはお互いの経営資源を活用して新しい商品とか新しいサービス、例えば輸出をするとかITを導入する、そういうふうなことをやっていただく。それから、両者がそれぞれ経営の改善が図られなければいけない。三点目が、それぞれ工夫を凝らした取り組みをやっていただくというふうなことを入れる予定にいたしております。

 委員御指摘のように、両省間で判断基準に差が出るというようなことはしてはいけないというか、私ども毛頭する気はございませんが、先ほどから私申し上げておりますように、連携ではなくて一体のつもりでやってございます。したがいまして、受け付けも、農政局あるいは私どもの経産局、どちらに出していただいても一回で、ワンストップで終わるというふうなことを考えてございます。

 基本方針はもちろんでございますが、委員御指摘の事業計画の認定でございますとか支援措置の適用に関するものにつきましては、両省で運用マニュアルをつくりたいというふうに思っていまして、それに加えまして、ワンストップであります経産局、農政局の各担当者は既に研修に入っておりますし、法案が通りますれば、徹底した研修を進めていきたい、周知徹底を図りたいというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、お使いになる中小企業の方、農林漁業者の方が使い勝手がいいような、そういう仕組みにしていきたいと思っております。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今、中小企業庁長官の方から基本的な内容は御説明があったところでございますけれども、私ども、この法案が実効を上げるためには、やはり農林水産省と経済産業省のいずれの窓口に行きましても、ワンストップで事業者の方々に対応できるというのがまず第一だと思っております。それから、御指摘のように、そこの相談、指導内容あるいは認定に当たっての考え方がぴったり合っているというのが極めて重要だと思っております。

 そういう意味では、両省の担当部局、窓口のところがこの法案をよく理解し、趣旨、内容を頭に入れるというふうなことがまず第一でございますし、また認定の基準を統一して運用していただくというのが重要だと思っております。

 ですから、先ほど長官の方から御説明がありましたように、私ども、既に経済産業省と一緒になりまして、地方の経産局それから農政局の担当者に対して、この法案の趣旨あるいは内容について実は説明をさせていただいております。

 今後また、研修もきっちりやろうと思っていますし、認可に当たっての考え方を定めます基本方針を作成するに当たりましては、経産省の方と私ども十分連携をいたしまして、同じ考え方で基本方針を作成していきたいと思っております。また、マニュアルについてもそごがないように、私どもの方もしっかり徹底させていただきたいと思っております。

 以上でございます。

下条委員 ありがとうございます。

 これからの部分なので、それでもって基本方針もお聞きしたわけなんです。

 私も官僚であった時代も、おやじが大臣のときにちょっと数カ月やりましたけれども、省庁がかたく肩を抱き合うというのはなかなか難しい。そうしないと本当に、今言いました偏りができてしまう。それだったら連携しないで、それぞれの省庁で予算づけをしてそこで終わらせた方がいいというふうになってしまうと、せっかく皆さんが御努力なさって、画期的な連携による一つのプロジェクトをつくって、去年の秋に発表なさったこれですけれども、趣旨がちょっと薄くなってきてしまうということで、私は心配を兼ねて、今長官と次長の方からおっしゃったように、それぞれが相当研修をなさるということの中に、バーというところの部分を詰めていっていただきたいというふうに、これからの話なので期待を申して、ぜひお願いしたいというふうに思っています。

 次に、具体的に認定事業者への支援の措置についてちょっとお聞きしたいと思います。

 法案をぐっと読んでいくと、それぞれ事業者は、認定を受けると無利子貸し付けがあったり債務保証があったり、設備投資減税があったり低利融資、ある意味でてんこ盛りというか、相当がんがんに行っちゃうんだなという感じがしています。

 具体的に言うと、例えば八条に載っているのは、債務保証の保険額が例えば別枠で四億円付保になったり、新事業開拓保険なんというのは限度額が四億円、そして保険料率も少し下げてあげる。これは借りやすくなりますね。

 あと、九条には、中小企業センターから小規模企業者、創業者を対象に資金を貸し付ける部分の無利子貸し付けの限度額を二分の一から三分の二に上げる。所要資金の三分の二に上げてしまう、無利子でですね。ただ私は、これはぱっと見て、申しわけないけれども、償還期限は同じじゃないですか。たしか七年ですね。七年で限度額をがっと上げるということは、簡単に言えば、私も頭が悪いけれども、期限が同じで限度額を上げれば返す金額が毎月ふえていく。二分の一から三分の二に上げるわけですから、がっと借りた場合は、返す金額が同じよりもふえていってしまうという懸念があります。

 それから、十条から十三条、これはいろいろ、食品流通改善促進機構の債務保証があったり。でも、私は一番次のを気にしているんですが、農業改良資金、林業・木材産業改善資金、沿岸漁業改善資金というのは助成法の適用が受けられる。これもいいことなんですが、今言った農業、林業、漁業の部分というのは、今までは、簡単に言えば当該の方々に貸していたわけですよね。漁業なら漁業、林業なら林業で貸していた。中小企業も入ってきて、これは事業で認定が出たらいいぞといったときの審査が果たして、当該の方々と違った方に貸し付けるスキルのレベルがちょっと違ってくるんじゃないかと。

 何で私がこれを言うかというと、この間、三月の終わりの方に例の新銀行東京の話がありました。私も財務委員会に入っていまして、これをやれということで、都議の方々が何十人も陳情に来たのでやったんですが、あれは、はっきり言って石原さんの失敗ですよ。パリバという銀行から都庁が買って、それをやらせているわけじゃないですか。要するに、素人がやったために失敗してしまったのです。三年間で一千億、さらに四百億をまた突っ込んで、絶対そんなもの臭いですよ、僕に言わせてもらうと。三年間で一千億。それはなぜかというと、ある意味で石原さんは、ああいうノンリコース、何の担保もないところへばんばん貸しちゃって、ワンストップ、さっきワンストップという言葉が出て、そこでちょっと懸念しているんだけれども。どんどん貸すのはいいんだけれども、審査体制等、全く当該事業と違うところに、つまり中小企業というのは、簡単に言えば農林の方々より銀行から金を引っ張るのがうまいですよ。その部分の注意事項が、各審査体制のスキルアップにどういうふうに反映しているのかなという具体的な部分の僕の話であります。

 さっき言ったように、てんこ盛りですよ。無利子でいいぞ、料率を下げるぞ、かつ、期間は同じだけれども上限もどんどん上げちゃうぞといえば、毎月の返済が上がっていくんですけれども、そうすると、もっと厳しく審査しなきゃいけない。だから、一番最初に言った基本方針とちょっと相反するところがあるんですよ。基本方針は連携してどんどんやってくれや、ただバーをそろえてもらいたい。

 今の僕の質問は、今度審査とかチェック機能が追いついていかないと、結局これはどんどん突っ込んでも、申しわけないが、余りいい結果にならないかなと、ちょっとぼやっとした感じが私はしておりますので、その審査体制について、やはり今言った当該事業と違う方に貸すわけです。

 例えば、中小企業はほとんど自分で率先してやって八割で、二割ぐらいは農業関係がやって、トータルで認定を両大臣から受けたと。いざやってみたらほとんど中小なので、農業の人はわからないけれども、いいや、しようがない、貸しちゃえ、認定を受けているんだからといったときの焦げつきとかがふえる懸念が僕はちょっとあるのであります。

 その辺の整備体制はこれからという言葉が返ってくるかもしれないけれども、議事録は、私の意見として後に残るわけですね。ぜひ、そちらの審査体制の整備、対応方針をお聞かせいただきたいと思います。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の農業改良資金等、農林省が所管している林業あるいは漁業の改良資金がございます。また、食品流通改善機構が行います債務保証が対象になっておるわけでございますけれども、御指摘のように、まず農業、林業、漁業のところは、基本的には従来農林漁業者が対象になっています。それに加えまして、あと、そういう農林漁業者を組織する団体も対象にしているわけでございます。

 そこがサポートするいろいろな事業については、加工事業も含めて対象にはしているわけでございますけれども、委員御指摘のように、今度はまさに、その場に今までなかった中小企業さんが農林漁業者の連携事業をサポートしていただくための資金を供給するというふうな内容になっております。そういう意味では、また新たな視点が当然必要なわけでございます。

 私ども、今まで農林関係の融資を決定する場においては、基本的には農林漁業者の経営状況とか事業計画の妥当性とか、あるいは資金計画、返済計画等を審査するというふうなことになっております。一方、事業計画等々について本当に大丈夫かというふうなことにつきましては、例えば都道府県で農業改良資金をやっておりますけれども、その担当者だけではなくて、幅広い、金融関係者も意見を聴取してやる場を推進会議と言っておりますけれども、そういうもので審査をしていただいております。

 ですから、また今回中小企業という新たなメンバーが入りますので、そういう意味では、また今後その点も、委員御指摘のように問題がないような工夫を私ども考えて、現場の指導をさせていただきたいと思います。

    〔やまぎわ委員長代理退席、委員長着席〕

福水政府参考人 農水省さんの方からお答えがありましたように、私どもも基本的には同じような考えでございます。

 中小企業が、今現に何かのビジネスをやっておられるという方がおられて、その方は既に保険を借りられている可能性があるわけですが、そういう方が今回新たに農林漁業者と組まれて農商工連携事業を始めようというときに、先ほど御質問がありましたが、保険枠がいっぱいになっている場合に備えてこの農商工連携事業を別枠にしていこうというようなことで、法案に保険の別枠化というようなことを書いているわけでございます。

 したがいまして、これは各県の信用保証協会が担当いたしておりますけれども、ここは従来どおりの中小企業の農商工連携事業を判断しながら対応していくということになろうかと思います。

下条委員 ありがとうございます。何といいましょうか、これは老婆心という意味を言っているのでありまして、まだ始まっていないので。

 まさに今、農林さんも長官もおっしゃったけれども、違う部分に貸すということと違う方々が、私もちょっと金融機関に二十年ほどいましたので、要するに一つの会社というのはほかからも借りているんですね、いろいろな業態を持っている会社もあるし。ただ、その状況だけ、何とかの駅とか販路を広げて、こうだああだと認定を受けている。そうすると、その奥底まで読まなきゃいけない審査体制を、先ほど金融機関の方々も審査に入れてとおっしゃっていましたけれども、これは本当に焦げつきにならないように僕は祈りたいんですよ。

 ただ、これは非常に言いにくい話だけれども、民間と比べてやはり、民間は、例えば焦げついたとか貸し倒れになったらボーナスが即減りますよ、転勤です。そういうところもあって、都庁のことを余り言うとちょっとかわいそうということもあるんだけれども、担当者が全然素人でパリバにだまされたと私は思っています。そういうことにならないように、いろいろな中小企業があります。だから、林業の方々を含めて、当該者じゃない方の部分については両者がよく検討していただかないと、結果的には、認定をさっき言ったワンストップでぽんぽんとっちゃったから、もういい、あとはお墨つきだからということになっては、私は、貸し倒れ、保証の焦げつき等につながるような感じをちょっと懸念しております。

 ですから、基本方針を含めた中で、これは議論が一番必要なところです。要するに、もろ刃になりますけれども、さっきも言いましたけれどもバーはそろえる、その部分をぜひ充足していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 ちょっと時間もあるので次に移りますけれども、次は、具体的にもしこの事業がうまくいかなかったときはどうするんだ、こういう質問であります。

 それは、皆さんがつくっている第五条と第七条に認定支援事業の変更や取り消しを規定していますよね。要するに、認定した主務大臣が取り消しをしていくということでありますが、今言った審査体制の整備というのは、ある意味で、一つの事業をやるときに、農林省五千万、経産省五千万、一億出して支援した等々、それで支援してまた保証していった、半分ずつ。半分ずつ出して、ちゃんとその責任が、取り消しになったときに半分ずつの理由であればいいですよね。

 例えば、片っ方の中小企業のオーナーの社長さんが、もう金を出せなくなっちゃうし、今言ったように、傾いちゃって事業を続けられなくなっちゃった。そのときの審査ではよかった、また三年ぐらいたったらよかったが、五年ぐらいたったときにだんだんだんだん傾いてきちゃった。それで、この事業を続けられなくなったので済みませんといって、取り消しを下しましたといったときの責任の所在はどうなっているのかなと思っているんですよ。

 例えば、半々だったらいいですよね。半々の理由で取り消しにするならいいですけれども、片っ方の理由だけで取り消しになってしまったときに、今まで突っ込んでいた人たちの責任は一体どうなるんだ。例えば、保証で突っ込んでいて、保証枠はさっき言ったようにばんばんじゃないですか。僕は、これはてんこ盛りだと思うんですよ。それで無利子でしょう。いろいろな意味で収容しててんこ盛りのところに、嫌な言い方をすると、それを使っての人が僕は出てくるような気もするんですね、全部善良な性善説じゃない、性悪説もあると思うんだけれども。

 そのときの責任の分担を確かに、担保を入れているこっちだけとるのか。でも、そっちの理由じゃなくてこっちの理由だと。片っ方の農林関係の理由だったら、責任は農林にあるわけじゃないですか。でも、担保は中小にとっている。その辺の所在をきちっとしておかないと、いざばっと七月からやって、どんどん連携はいいんだけれども、その部分を本当にきちっとしておかないと、おれは悪くない、私は主人が死んじゃってもうどうしようもない、おなかが痛いだのああだ、農業を続けられない、いろいろなことが出てきたときに、はて、どうするのかなということが、実を言うと法案には載っていないんですね。

 だから、さっき一番初めになぜ私が基本方針で聞いたかというと、そこなんですよ。そこをやはりきちっとやっておかないと、結果的には、悪く言えば貸し倒れ、そこに税金の補充、無駄遣い、この三点セットになっちゃうと嫌だなという僕の懸念でございます。この辺をぜひ具体的に推し進めていっていただいて、具体的な規則をつくって具体的な責任論をつくっていかないと、私は七五出して私は二五と、七五対二五でも困っちゃうしというところですね。

 ですから、そこら辺の責任の所在を既に、認定した時点、審査の段階できちっと詰めていくことが体制的に必要である、それが最終的には、この法案によって借りる方々が大きく進歩し、そして国民の税金の焦げつきが出てこないというふうに私は思うのでありますが、この辺の方向感について、ぜひ大臣からお答えをいただきたいというふうに思います。

甘利国務大臣 基本的には、事業として認定をするまでにきめ細かい相談に応じて、いろいろな事態を想定して、事前に対処方の相談をしていくということが大事だというふうに思っております。もちろん、認定後にもきめ細かい支援を行うということであります。

 ただ案件が、この事業者とこっちと組みますよということで出てきて、書面上だけ見て、はい、オーケーというんじゃなくて、こういう点はこういうリスクがありますけれども、その点にはどう対処されますかとか、こういう点はこうした方がいいと思うがというようないろいろなアドバイスが必要だと思います。計画段階から実施に行くまで、一貫した指導とそれから支援を織りまぜて、そういう事態が発生しないようにするということがまず大事だというふうに思っております。

 では、そういう事態が発生したときにどうするのかということは、もちろん基本は、債務者がその債務に従った責任を負うということに当然なりますけれども、そういうところの責任負担割合についても、事前にいろいろとアドバイスをしていく中の項目に入っていくのではないかというふうに思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 ちょっとまだこれからなので、大臣もおっしゃりにくい部分だと思いますけれども、支援、指導はすごくいいことだと思います。先ほどもいろいろな方々から研修等ありましたけれども、責任の所在ということが最終的に、私は、大体五%ぐらいは悪くなる人もいるなと思っているんですよ、悪い状態で借りてしまうとか。借り逃げもできます。無利子です。

 ですから、そういう意味で、そこの部分は指導ではなくて審査体制のやはり重厚さというんですか、その辺が、先ほど僕が農林漁業で何であの話を出したか。実を言うと、あの辺も僕はちょっと心配なんですよ。税金の無駄遣いがないようにしたいし、これが本当に花開いてもらいたいという意味を含めて言っております。

 ただ、先ほど言いました基本方針の中に、今おっしゃった大臣の御決意をきちっと入れていただいて、これは審査の人間の整備が必要だと僕は思います。人間の整備が今まで以上に、やはり二割アップぐらいしないととても追いつけなくなって、スピード感だけ出てきてしまうと、先ほど話に出しましたけれども、新銀行東京みたいに、ノー審査でいけばいいといって貸した金の四割以上が焦げついて金が全然戻ってこない、また保証枠もばらばらになってアウトになるということになってしまう。

 そういう意味では、これは御決意を聞きましたので、これからの中で、きっとこの法案を練って通った後は、その部分を含めて、バー、審査体制、そして責任の所在の明確化を、ぜひ大臣がリーダーシップをとって経産省と農林省含めて推し進めていっていただきたいというふうに思います。

 お昼にもなりましたし時間なので以上にいたしますけれども、ぜひ推し進めていただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わりにします。ありがとうございました。

東委員長 これにて下条みつ君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。太田和美君。

太田(和)委員 民主党の太田和美です。

 本日、農商工連携促進法案並びに企業立地促進法改正法案に関して質問をいたします。

 まず初めに、昨年成立いたしました経済成長戦略大綱関連三法案のうち、中小企業地域資源活用促進法案、これは、各地域の強みである地域ブランドを活用した事業を展開するに当たって、中小企業がつくった事業計画が国に認定されればさまざまな支援策を受けられるというものでした。地域ブランドといえば第一次産業が多いわけですし、実際に現在認定を受けた事業計画は三百九件であり、そのうち、農林水産物が三分の一の百十九件を占めています。

 まず大臣にお聞きしたいのは、地域資源法案と比べて今回の法案は何がどう違うのかということです。

 また同様に、三法の一つの企業立地促進法案ですが、認定された基本計画を見ると、その多くが食品などの農林水産業関連の企業を誘致する計画になっております。

 今回の改正案では、農林漁業との関連性が高い九業種を対象に追加指定して、さらに支援措置を講じるという内容になっておりますが、印象として、いま一つすっきりしないのは、問題意識が大体同じで似たり寄ったりのものを慌ただしく提案するというのは、どのような意味があるのかということです。午前中にも似たような質問があったと思いますが、いまいち納得できないところもありますので、わかりやすく御答弁をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 昨年成立をいただいております中小企業地域資源活用法は、地域の強みであります産地の技術、農林水産品、観光資源などの地域資源を活用して新商品の開発であるとか販売開拓などを支援するものであります。

 これに対しまして、本法案は、第一次、二次、三次という産業構造の壁を越えまして、ITを活用した経営管理システム、販売手法等の企業経営を促進し、付加価値の高い事業活動を支援するものであります。

 例えば、地域資源ではない農林水産品であっても、そして加工を伴わない農林漁業経営の改善に資する取り組みであっても、また地域資源の存する地域内かどうかにかかわらず、この法律案では中小企業者と農林漁業者の取り組みを支援することといたしております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 農商工連携は、第六次産業というような呼ばれ方で、今や地域活性化のキーワードの一つにもなっておりますが、経済産業省では、この農商工連携の意義をどのようにとらえているのでしょうか。また、いつごろからその重要性を認識し、さらに、いつごろから法案化に着手したのかをお尋ねしたいと思います。

甘利国務大臣 我が国は、今、人口減少、そして少子高齢化が急速に進んでいるわけであります。そうした中におきまして、地域経済の活性化を図って地域格差の是正を図るということは、最も重要な政策課題の一つであります。こうした観点から、私の前任者であります二階前大臣のもとで取りまとめられました経済成長戦略大綱、これは、党側のカウンターパートは私も務めまして、当時は中川秀直政調会長のもとで政調会長代理をいたしておりまして、党と政府との連携をとりながらこの大綱をつくったわけでありますけれども、これにおきましても、地域資源活用プログラム等の地域活性化策が盛り込まれているわけであります。

 一昨年九月に私が経済産業大臣に就任して以来、地域資源活用促進法を具体化させるとともに、企業立地促進法をみずから提案したわけであります。昨年の夏から地域に所得と税収をもたらす地域二法を施行しまして、現在、着実な成果を上げつつあるわけであります。

 加えて、昨年十月に総理から地方再生戦略策定の指示が出されましたことを受けまして、私の陣頭指揮のもとで経済産業省としての地方経済再生策を取りまとめるべく、大臣特命プロジェクトチームというのを設置いたしました。この検討作業の中で、厳しい状況にある農山漁村の活性化を図るためには、地域の中核産業である農林漁業の活性化が重要ではないかと。

 以前から、私は、農林水産業なかんずく農業というものをどう競争力のあるものにしていくか、一人当たり耕地面積がEUの十分の一、アメリカの百分の一ということだけでもう勝てないということではなくて、いろいろな付加価値のつけ方というのはあるんだろうという認識はずっと持っておりましたけれども、これを具体的には今申し上げた時系列で策定をするということにしたわけであります。

 この結果、地域の農林漁業者と中小企業者が技術やノウハウ、そして安全、高品質な農林水産物の産出など独自の強みを持ち寄って、新たな事業展開を促進することが効果的であるということから、農商工連携二法を策定する方針を固めたということでありまして、この方針は、昨年十一月末に農林水産省と経済産業省が共同で発表を行った農商工連携施策パッケージに盛り込みまして、本法案として結実をしたところであります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 なぜ私が今このような質問をしたかといいますと、大臣自身が一昨年の十一月、去年ではないんですけれども、一昨年のときに、このような形で御答弁をされております。地域資源活用促進法を準備されているときの御答弁だと思うんですが、以下、ちょっと読み上げさせていただきたいと思います。

 どの地域でも誇れる農産品というのはあるから、それを農業という視点から見るのではなく、産業、工業という視点から見るとどうなるか、そこは農水と経産省のコラボレーションがあるじゃないか、このようにおっしゃっております。

 さらに、こう言っています。

 省庁を超えて一つの例をどんどんつくっていって、こういうことができますよということを地域に投げかけて、あなたのところだって誇れる資源があるでしょう、それを引っ張り出してブラッシュアップして、他省庁の政策と連携したらどうかということを提言していきたいというふうに思っているのでありますと大臣が答弁されております。

 一昨年の十一月の本委員会です。

 私が不思議に思うのは、少なくとも、一昨年の秋ごろから、そのような問題意識を持っておられたのであれば、昨年春に、地域資源活用促進法案や企業立地促進法案を提出したその際に、なぜ今回の内容とセットで出せなかったのかということです。

 何だか、本当は去年一遍に出せたのではないかというような印象を受けてしまうのですが、その辺は、大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 地域の資源、なかんずく農林水産品に関して経済産業省が直接施策の手助けをするということは、今までにそうそうなかったことであります。ある意味、画期的な政策だというふうに思いました。ただ、それは、地域の農林水産品を地域資源として認識して、もっと広く、従来の手法を超えて市場にアピールをしていくという最初の手だてだったと思うんです。

 私自身が思い描いていますことは、農業、農林水産業自身、まさに産業でありますから、産業の政策といいますか感覚として、活性化を政府として図るべきではないかということを農水省に投げかけたかったわけであります。

 いわゆるどんぶり勘定的な経営ではなくて、どこにどういう問題があるかということを的確に企業経営として把握して、それに対する処方せんを描いていくということに本格的に取り組んでいけば、日本の農業だって生きる道は幾らでもあるというふうにずっと思っているわけでありまして、いわゆるいいものをつくる、そこで仕事がおしまいではなくて、いいものをつくったら、それをどうやって市場につなげていくか。もっと逆な言い方をすれば、市場が求めているものを逆算してつくっていく。では、それを、ITを駆使して、その差別化というのをどう市場に訴えるかとか、いろいろな手法があると思うんですね。

 基本は、やはり一次産業であろうと二次産業であろうと三次産業であろうと経営ですから、その経営感覚を磨いていくということが大事なんだと思います。

 さっき申し上げましたけれども、道の駅で地元の農産物の直販所ができて、できてしばらく仕事をしていると、お父さんとお母さんの感覚が違ってくる。お父さんの方が、これはこうやっていいんだから、必ずこれで売れるはずだ、お母さんの方は、いや、お客さんの声を聞いたら、きれいに洗っているものよりも葉っぱがついている方が消費者のニーズに合っているのよと。そういう声を戻して生産の過程に組み込んでいく、そういう感覚が大事なんだと思うんですね。

 企業として、産業としての視点をしっかり持って、ユーザーのニーズをビビッドに把握して、そして生産段階に織り込んでいく。あるいは、むしろ、こんないいものができたんだから、市場にどういう仕掛けをして、新しいそこのマーケットを開いていくかというような感覚を持つべきではないか。

 私は、地元の農協に対して、農産物の商社たれということをいつも言っているのであります。できたものをただ引き受けて、そのまま決められたとおりに売るんじゃなくて、どういう仕掛けをしていくかということを内外に戦略を持って打って出ろということをいつも言ってきているのでありますけれども、そういう思いを少し入れることが、受け入れていただけた仕組みが、今度の農商工連携ではないかというふうに思っているわけであります。

 昨年の段階では、まだ地元の産品でいいものをうまくアピールして売っていこうよという段階なんですが、それからさらに踏み込んで、農業の将来像、経営の姿というのはどうあるべきかという意識をみんなが、政府全体として重要な産業として持っていくべきではないかということを訴えたかったというところであります。

太田(和)委員 揚げ足をとるわけではありませんが、何だか私は、次は国交省と一緒に観光資源の連携という法案も出てくるのではないかなというふうにちょっと思ってしまいます。少しだけ皮肉を言ってしまいました。済みません。

 私は、やはり昨年、現場が混乱しないように一緒に措置しておくべきだった内容だというふうに思っております。それが一年後にまた改正しますというのは、これは、内容について否定するつもりではありませんが、どうも中身よりメッセージ重視というような印象は否めないというふうに思います。

 さらに言えば、昨年成立した地域資源活用促進法の評価がまだできていないわけです。どのような成果が上がっているのか、事業計画が三百ほど認定されたとはいっても、商売として成功するかどうかはむしろこれからの話だろうと思います。筋論でいえば、昨年一気に法案化しておくか、もしくは、地域資源法の評価がきちんと検証された後に、その足らざるところを補うという形で法案化するのが本来の姿ではないのかというふうに思います。

 そこで、お尋ねしますが、地域資源法の実施状況について、評価はどのようになっているのでしょうか。どのような成功事例が出てきているのか、お答えください。そして、失敗というわけではありませんが、なかなか進展していかない例もあると思います。そこに共通している原因は何か、今後の手だては考えられるのか、わかる範囲でお答えください。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 地域資源法は、昨年六月二十九日に施行されまして、十月十二日に法施行後初めて百五十三件の計画認定を行い、委員御指摘のとおり、三月末で三百件を超える件数となってございます。

 例えば、成功しつつある例で申し上げますと、千葉県でおやりになっているわけですが、ビワという産物がございます。これを加工商品開発しまして、それと観光とを結びつけて対応しておられる事業者の方がおられます。

 あるいは、飛騨、高山市というのは家具製造で伝統の技術をお持ちのところがあるんですが、この方は、一般には家具に杉というのは使わないわけでございますが、杉を有効利用して、そこに海外のデザイナーのデザイン力を加えまして新たな家具を開発して、今アメリカの方で販売されているというふうなこと。

 あるいは、これも林業になりますが、青森県でブナという木を使って新しい照明器具のようなものをつくっておられる例がございます。これは六本木ヒルズでもう販売がされておりまして、今後売れていくことを私どもも大いに期待しているところでございます。

 認定された事業、現在三百件強あるわけでございますが、認定するだけで終わってはいけませんので、随時これはフォローしていかなきゃいかぬというふうに私どもは強く認識しております。例えば、マーケティングとかブランド戦略、こういう専門家をそこにそれぞれ派遣してきめ細やかなハンズオン支援を行ったり、あるいは、試作品ができたら展示会に出されませんかとか、そういう場合の補助金を支給したり、あるいは政府系金融機関によります低利融資とか投資減税など、いろいろな政策で引き続きフォローアップをさせていただいているところでございます。

 さらに、昨年の秋ごろからでございますが、やはり大企業の力も必要だろうというふうなことで、地域資源パートナーということで大手百貨店でありますとか旅行代理店などと組みまして、地域資源事業を側面から支援していただこう、そういうふうな事業も行っておりますし、来月になりますけれども、表参道の方に地域資源専門のいわゆるアンテナショップのようなものもつくりまして、広く販路開拓などを支援してまいりたいというふうに思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 今御答弁の中にありましたように、私自身も、何よりも認定をした後のフォローアップが一番大切だというふうに思っております。連携をしたからといって、それだけで地域が活性化するわけでもありませんし、市場に受け入れられて初めてその効果を発揮するものだというふうに思っております。

 そこで、フォローアップの一つとしてちょっと提案があるのですが、認定した事業を競わせてみて、コンクールなどを行ってみたらいかがかなというふうに思っております。審査の結果、優秀なところには経済産業大臣が表彰するとか、その審査機関を民間で中心に任せて、そうすれば、事業のPRなどでも、企業に宣伝効果が大きく役立つのではないかなというふうに思っております。こうしたこともぜひ検討していただきたいなというふうに思っております。

 次に、企業立地促進法案についても幾つかお尋ねをいたします。

 昨年六月に施行されて以降、各地域では企業立地マニフェストである基本計画の策定が進んでおります。これまでに四十二道府県の百八の計画が策定され、国の同意を受けたと聞いておりますが、現段階でこの取り組み状況についてどのように評価をしておられるのでしょうか。取り組みが進み、有力な企業の誘致が決まった例、そして百八計画の中でおくれている例もあると思うのですが、固有名詞は結構ですので、一般論として、何がネックになっているのか、把握している現状について教えてください。

荻原大臣政務官 お答えいたします。

 昨年六月の企業立地促進法の施行以来、四十二道府県から百八つの計画、今先生が御指摘のとおりでございます。これらの基本計画を合わせますと、今後五年で合計七千八百件の企業立地、そして約二十八万人の雇用の創出、そして製品出荷額また売上高はおよそ二十一兆円の増加などが見込まれているところでございます。

 現状としては、各地方自治体におきまして、企業立地促進のための取り組みとして、ワンストップサービス体制を構築したり、地方税の減免措置であるとか工場立地法の特例を制度化する動きが活発になってきていると思っております。また、誘致対象業種のニーズに即しました人材育成、こういった事業も盛んになっておりまして、地域を挙げた企業立地の支援体制づくりも進んでいると認識をしております。

 さらに、国が同意をいたしました、先ほどの百八件の基本計画で指定された地域への企業立地につきましては、都道府県知事の承認を得ました企業立地計画が本年の三月末までに五十四件となっておりまして、これは今後ますます増加する見込みとなっております。

 以上のように、法施行以来およそ十カ月経過したわけでございますけれども、このように各地域におきまして意欲的な取り組みが行われていると評価をいたしておるところでございます。なお、この計画に基づく具体的な企業立地の成果につきましては、まだ日が浅いということもありまして、今後の展開を注視したいというところであります。

 他方、景気回復がおくれている地域では、農林水産業が基幹産業となっているわけでございますけれども、これまでの本法による支援措置におきましては、農林水産関連業種の立地に対して十分ではなかった、こういうことから、今般、改正案を提出したところでございます。

 経済産業省といたしましては、引き続き地域のニーズを踏まえながら、取り組みの支援を行っていきたいと考えてございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 一部の自治体では、企業誘致に関する多額の補助金を講じておりますが、企業誘致に関する補助金競争では、財政力の弱い地域は太刀打ちできません。財政力の弱い地域であっても、企業立地を促進し地域間の格差是正が図られることが重要だと考えますが、補助金競争とならない企業立地の促進のためにどのような取り組みを行っているのか、時間も余りありませんので簡潔にお答えください。

甘利国務大臣 私は、企業立地促進法をつくります前に、財政力の弱いと言われている県の知事さんに内々に来ていただきました。議員会館に来てもらいまして、本音で言ってくれということで、そのときに、やはり財政力の弱いところは企業誘致合戦でも劣後する、そしてますます財政力が弱くなってくる、ここに光をしっかり当ててほしいという話がありました。

 そこで、私自身が、財政力指数の低い自治体に対してどうげたを履かせるというか、それができるかということを、他省庁と連携をとりまして、特に当時総務大臣だった菅総務大臣とは連携をとって、この点をしっかりフォローしてもらえないかという話をしました。

 そこで、地方交付税の減収補てん措置について、財政力指数の弱い自治体のみを対象とするということができましたし、他の厚労省関係や他省庁も含めましてそういう相談をしました結果、例えば人材育成支援等の補助金について、これは財政力であるとかあるいは有効求人倍率に配慮して採択をするという若干ハンディキャップをつけてあげるという手だてをしたわけであります。

 それとあわせて、やはり一番企業が大事なのは、税金が安いということもいいかもしれない、補助金がたくさん来るのももちろんいいんですけれども、やはり行政が真剣に対応してくれるかということなんですね。ワンストップサービス、迅速性、それから人材の供給についてどういう仕組みをつくってくれるかとか、あるいは立地した後どうフォローアップ、注視をしてくれているか、そういう行政の真剣さというか、それが物すごく企業の立地の意欲を高めるんですね。

 そこで、私なりに、ちょっと嫌みな言い方になりましたけれども、行政のたらい回し度ランキング調査というのをやったわけですね。近々、五年以内に立地した企業に対して、あなたが立地している行政についていい点、不満な点、全部書けと言って、項目を全部決めまして、それの調査を出させた。おたくの県では、自分ではいいと思っておりますけれども、進出企業側からくるとこういう点が全然対応ができていませんよとか、ここはよくやっていますよとか、それをわかるようにしました。

 ことしは、二回目は調査件数をさらにうんと広げて確度を高くしまして調査結果を発表する。本当は悪いところから発表するということが刺激的なんでしょうけれども、ちょっとやり過ぎになりますものですから、上の方のランクだけ発表して、もちろん、それ以下のものについては、どういう点が問題視されているかということを教えてあげるという調査を続けているところであります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 確かに、企業が求める要件として、大臣がおっしゃるように、行政の対応など、また人材とか用地獲得の件であったり、さまざまなことがあると思います。しかし、企業誘致で競り合った場合に、やはり決め手となるのは補助金という意識は自治体間ではまだまだ根強いようですので、このような過度な競争にならないような取り組みもぜひ進めていっていただきたいなというふうに思います。

 最後になりますが、この地域経済の活性化、地域資源活用の取り組み、私は、中身として大変結構なことだというふうに思っております。しかし、この取り組みをだれがやるのか。この種の話で一番肝心なのは、私は、地域の自立ということだというふうに思うんです。基本的には外からのお金に頼らなくても、知恵と工夫を凝らして活性化を図るんだという気概です。

 その意味でも、地域資源活用などの中小企業対策は、自治体がそれぞれの地域の特性に合わせて工夫していくのが一番適当だと思いますし、知事会の方でも、国から地方に移してほしい仕事の一つにこれを挙げていることについては、私は当然だと思っております。

 せんだって地方分権改革推進委員会が、国から地方への権限移譲について各省庁の回答状況を明らかにしました。やはりゼロ回答が多かったとの報道がありましたが、経産省もほとんどゼロ回答だと思うのですが、中でも地域資源の活用促進について、なぜこれからも国がやらなければいけないのか、改めて最後にお聞きしたいと思います。

甘利国務大臣 地方分権の原則は、その地域で完結できるものは極力そこに渡すということだと思います。完結できない、エリアをまたがるもの、あるいは全国統一規格的にスタンダードとしてやらなきゃならないところは国が責任を持つということだと思います。

 地域資源に関して言いますと、地域資源の認定は、こういうものを出したいというのは県でやっていただくわけでありますけれども、それを組み込んだ業として展開していく際に、行政区域を超えていろいろ展開しなきゃならないという場面が多々あろうかと思います。ということで、経済産業省としてきちんと対応していかなければ、あるいはアドバイスをしていかなきゃいけないという認識で対応しているということであります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 確かに有名地域ブランドならいいんですが、これから立ち上げるブランドは、国に認定された方が信用も上がり、販路が広がるという面もあるかと思います。しかし、一般に、地域資源を活用した中小企業振興策などについては、地域に密着し実情をよく知っている地方自治体が、広域連携などを組みながら、権限と財源を持ちやった方がうまくいくというふうに私自身も思っております。

 地域や事業者の創意工夫を支援する取り組みや農水省との連携は画期的で、今回の取り組みは評価できますが、これだけで本当に地域が元気になるのかという不安はぬぐえません。地域活性化のかぎはやはり権限と税源移譲だというふうに思います。これは知事会の検討状況に合わせて要望だけさせていただき、時間ですので、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて太田和美さんの質疑は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 きょうは農商工連携法案の審議でございますが、私、政治家として、個人的な話で恐縮なんですけれども、実は、経済産業政策と農業政策をライフワークにしたい、こんな思いでおるものであります。したがいまして、きょうは短い時間でありますが、そんな思いを込めて質問させていただきたい、こう思います。

 まず最初に、きょうはお忙しい中、農林水産副大臣に経済産業委員会にお越しいただいておりますけれども、今我が国には、大体総農家二百九十三万戸あるわけであります。自給的農家を除きますと約二百万戸ということでありますけれども、この生産者の方々が、果たして今、夢と誇りと希望を持って農業に従事しているとお感じになっているかどうか。いかがでしょうか、お答えいただけますか。

今村副大臣 端的に申しますと、皆さんやはり、非常に厳しいなという感触をお持ちだと思っております。しかし、中には、やはりいろいろな努力をしながら生き生きとやっておられる例もございますので、今後、世界を取り巻く食料事情、あるいは、今も申されましたが、労働力人口の高齢化が進む、そういったことを考えてまいりますと、これからしっかり取り組んでいかれる方については大いに希望を持てる職業である、また大事な仕事であるというふうに私は思っております。

近藤(洋)委員 副大臣おっしゃったとおりだと思うんですね。

 委員長のお許しを得て、資料を一枚配付させていただいております。こちらは、大卒男子初任給と生産者米価の比較表であります。昭和三十五年、大卒初任給は一万三千八十円、生産者米価は四千百六十二円だったんですね。大体三俵であれば初任給の給料に相当したわけであります。ところが、今やこの生産者米価、政府買い入れは変わりましたから単純には言えませんが、平成十八年ベースで、大卒初任給は十九万円、約二十万円弱であります。今の米価は、おおよそ一万三千円。すなわち、大卒初任給は十五倍になったけれども、米価は三倍になった。

 もっと言うと、アップ率もあるわけですけれども、米一俵は一万三千円といいますが、私も米どころ山形県の選出の議員でありますが、一万三千円とはいっても、さまざまな手数料等を引けば、農家の手取りというのは、感覚として大体一俵一万円強というのが大方のところだろう、こういうことであります。大変な下落をしているわけであります。

 単収はどうでしょう。副大臣のところは佐賀だから、立派にお米づくりされていますけれども、私のところもよくつくったって、単収十俵とれれば、これは大したものであります。なかなか難しいわけであります。

 それで計算すると、一町歩で百万円ですよね。四町歩農家というのはそうおりません、なかなかおりません。我が山形県でも、四町歩といったら、これは大変なものです。認定農家だ。だけれども、四町歩で四百万円ですよ、よくやって。三割減反だから、四町歩ある農家だって、そうとれない。ところで、四百万円は生産額ですから、ざっと言って、そこから人件費等々、燃料費を引けば、手取り二百万円ない。四町歩の農家が二百万円ない、こういうことですね、立派な農家が。

 昭和三十五年は確かに、このときは銀シャリなんという言葉もあった時代かもしれません。私の生まれる前でありますから、時代は違ったとはいえ、昭和四十五年と比べてもこれだけ米の値段が下がれば、夢も希望もない、もっと言うと絶望的な現状にあるんだろう。これが偽らざるところだと思うんです。

 副大臣、せっかくいらっしゃるので、もう一言お答えください。

 この現状はいろいろな理由があるのは私も十分承知していますが、基幹産業たる農業、特に米の例を出させていただきましたが、やはり最終的に日本の農業の問題というのは米に集約されてしまうので、あえて言えば、こうなってしまったのは、責任は政治が負うべきものじゃないかな、こう思います。副大臣、ちょっと御通告がなくてあれですけれども、御所見をいただけますか。

今村副大臣 御指摘のとおり、やはりお米というものが日本の農家の中心であったということは否めません。しかしながら、昔は米を一人大体二俵食っていた、それがもう一俵食うか食わないかということで、非常に消費が落ちてきております。そういう中で、どうしても生産過剰ということが続いてきたわけですから、米価が下がってきてしまっているわけでございまして、この需給をきちっと締めれば、私は、米価はもっと上がってしかるべきだというふうに思っている次第でございます。

 ですから、政治の面でもいろいろな手だては講じてきたわけでございますが、これからは米麦だけに頼らずに、いろいろな、野菜でありますとか、そういったところにもどんどん新しい道を開いていただいてやっていく。これは国民の要望も今また非常に強いわけですね、安全、安心等々含めまして、あるいは健康志向からも。そういったところでやっていく。

 現に専業農家で、やはり野菜の関係とかなんとかはかなりの所得を狭い面積でも上げておられますので、そういった国民の皆様方のニーズに合った農政あるいは農業が展開できるように私たちもしっかり取り組んでいきたい、応援をしていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 農政は大変難しいのは十分承知で申し上げているんですが、この場で確認をしておきたいのは、今の農業生産者、農業を取り巻く状況に夢と希望と誇りを取り戻すためには、相当な転換と腰を据えた政策をしないとおぼつかないんだろうという認識だけは持っていただきたい、こう思うわけであります。

 その上で、今回の法案についてお伺いしたいんですけれども、そういう意味においては、農林水産省と経済産業省がともに一つの法律を出したということについては私は評価をしたい、こう思うんです。先ほど来同僚議員からもいろいろ指摘がありました、遅過ぎたんじゃないか、どうだ、これは全くそうだと思います。ただ、やはりこうやってまず手を結んだということ、行為自体は評価をしたいと思うんです。

 個人的なことであれですけれども、私は昔、新聞記者をやっているときに、通産省の記者クラブにおりました。実は、そこから農水省のクラブに移ったことがあるんです。そうしたら、最初、農水省の官僚の方々からスパイじゃないかなんて言われまして、前は通産省クラブにおったんですなんて言ったら、最初はすごく冷たいんですよ。そんな雰囲気でしたね。特に新聞社が経済新聞なんていうところなものですから、おまえらはどうもいかぬな、こういうことで、おまえは経済産業省と経団連のスパイかなんてことを言われた。だけれども、そのうち半年もすると大変親しくさせていただいて、すっかり農水省のとりこになったこともあるんですが、それはともかくとしても、大変殺伐たる雰囲気があると私も個人的に感じました。

 そういう意味で、方針の転換を図るという一歩として評価したいのですが、まずこの法案の、さまざまなスキームを認定するということでありますけれども、その認定する基本指針、どういうものに基づいて事業を認定するのか、簡潔にお答えいただけますか。

荻原大臣政務官 この事業の基本的な要件といたしましては、まず一つ目は、中小企業者と農林漁業者が互いの経営資源を活用して、双方が工夫を凝らした取り組みを行うこと、二つ目が、両者にとって新たな商品またはサービスの開発や販路の開拓を行うもの、三つ目が、事業を通じて中小企業者の経営の向上及び農林漁業者の農林漁業経営の改善が実現される見込みのあるもの、これら三つを考えてございます。

 詳細な認定要件につきましては、本法案に基づく基本方針において定めることとしておるわけなんですが、これは今後、審議会またはパブリックコメント等を通じまして、幅広い御意見を伺って策定をしたいと考えてございます。

近藤(洋)委員 要は、きちんともうかるものに対して認定しますよ、こういうことだろうと思うんですね。利益が増すものに対してきちんと認定する、これは大事だと思うんです。

 そこで、甘利大臣、ちょっと質問が前後して恐縮なんですが、そういった法律を出す基本認識として、今、農家の方々は絶望的な空気に残念ながらなっているわけですが、農業、食料産業というのは、広く外食も入れれば今現在大体八十兆円産業と言われているわけです。現在としても、食料にかかわる産業というのは大変大きい。

 これは、やはり二十一世紀のある意味で根幹というか、日本にとって基幹産業、過去もそうだったけれども今後二十一世紀においてはますますその意味は大きい、この認識をまず経済産業省としてきちんと持つ必要があると私は思いますが、大臣の御認識をお答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 農業や食品製造業等のいわゆる食料産業は、国内生産額が約百兆で、就業者は千百万人、就業者総数のうちの一七%ということであります。食がなければ人類は存続ができないわけでありまして、奢侈品等あるいは電化製品はなくても死ぬことはありませんけれども、食料はなければ生存が危うくなるわけでありますから、これは必ずなければならない産業であります。

 加えて、今ほど食の安全、安心ということに対して、日本のみならず世界じゅうの消費者が関心を払っている時代はないと思いますし、これはこれからももっと大きくなっていくと思います。

 日本の市場というのは、その商品が世界に売り出すためにうまくいくかどうかをテストする市場とも言われています。それは何かというと、消費者の目が厳しいからであります。消費者の目が厳しいということは、その市場で受け入れられているものはそれだけ優秀な製品だということになるわけであります。

 食料は世界で一番安全、安心で、おいしい。ただ、価格が世界で一番競争力があるかといえばそれは違いますけれども、しかし、価格以外の部分でのよさというものをしっかりと訴えていくということが日本の農産品の戦略の一つの強みになっていくと思っておりますし、これからも農業、それから農業にまつわる食料産業というものは、まさに基幹産業であろうと思います。

 日本国内は、現状では人口減少、生産調整という時代背景がありましたけれども、しかし、世界に目を転じれば人口爆発、食料が足りないということでありますから、食料の産業としての位置づけは、これから高まることはあっても低くなることはないというふうに思っております。

近藤(洋)委員 ぜひそういう認識でこれに取り組んでいただくということだと思うんですね。

 その上で、やはり、俗な言葉ですけれども、生産者なり農業関係者に誇りを取り戻させるためには、もうける、これは大事なことだと思うんですね。もちろん、多面的な機能はあります。いわゆる農業の多面的機能は十分承知した上で、だけれども、ベース、もうけるということが大事なんだ。もうけるというのは、消費者も喜び、生産者も喜ぶから、そこで利益が出るわけですから、そのために両省の、農水省、経産省の英知を結集していただくんだろうという宣言と私は受けとめましたが、さて、この法案がその宣言にふさわしい中身か、こういうことなんだろうと思います。

 その両方の英知を総動員したということで、とりあえず予算としては、農水省百億、経済産業省百億といううたい文句、こういうことです。ただ、残念ながら、中身を見ると、今まであるメニューを継ぎはいだというところが正直なところ。ただ、これは、今の予算の中でどんどんどんどんということはなかなか難しいというのも承知しています。だから、問題は実効性なんだろうと思うんです。

 そこで、ちょっと農林水産省にお伺いしたいんですけれども、農林水産省の予算というのは、もう微に入り細に入り大変充実しておるわけです。さすが農林水産省というか、政治力を駆使してこれまでずっと、政治力というか、とってこられた。大変充実した補助金メニュー、だけれども使われていない、今までこういうことだったと思うんですね。ようやくこれを機に使われるようにしてもらいたい、こう思うわけですが、特に注目しておるのは農業改良資金助成法に基づく無利子融資であります。

 これは無利子融資で、今度、償還が十二年になる。そして、支払い猶予が五年。こんな融資、めったにないわけでありますが、これを中小企業者もできる、こういう形にこのたびなるわけですね。これは大変すばらしいことだと思うんですけれども、すばらしいというか、大変優遇された制度だ、こう思うわけでありますが、これがちゃんと宣伝をされれば殺到すると僕は思うんですね、もちろん、厳しい認定は受けるわけでしょうけれども。

 現在、この融資制度は七十億円ということですけれども、地方自治体が三分の一のお金を出す、こういうことであります。地方自治体、県も今大変厳しい状況にあるわけで、県も本当に対応できるのかということを懸念するわけでありますが、農林水産省、いかがですか。これは、もうかる事業というふうに認定されたものについて、ちゃんと対応できるものなんですか。お答えいただけますか。

小山政府参考人 お答えいたします。

 農業改良資金は、国と都道府県の貸付金を原資とした無利子資金であります。借り受け者からの償還金を繰り返し貸付財源に充てているものでございます。一方、最近の資金需要から見ますと、近年、市中金利は非常に低金利状況ということもありまして、農業改良資金の貸付実績は極めて低迷した状況にあるということでございます。

 したがいまして、本資金を貸し付ける都道府県におきましては、新たな資金需要にも十分対応し得るだけの貸付財源は用意されているものと考えております。

 いずれにいたしましても、今回の農商工の連携によります資金需要に対しましては、農業改良資金の貸し付けが円滑にできるよう適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 きちんと実効を担保していただきたい、こう思います。さまざまな補助金があるけれども自治体の都合で使えなかったというケースもあるわけで、これは融資ですから、お金はあるよ、こういうことでしょうから、あとは自治体の知事さんの意思次第、こういう御答弁だと思います。さまざまな補助金メニューがありますけれども、きちんと実効を担保していただきたいということを申し上げたいと思います。

 その上で、この法案、さまざまな助成策があるわけですけれども、この法案に盛り込まれていない連携も、やはり経済産業省、農水省、広げていただきたいと思うんですね。ちょっときつい言い方をすれば、このレベルであれば去年もできたわけです。もちろん、実態的にはなかなか、農水省がどこまで相手をしてくれたのかどうかという議論もあったかもしれないけれども、このレベルの法案だったら去年でもできた。だけれども、あえてことし出したのならば、今後、この連携をどんどんどんどん広げるんだという意思をやはり示していただきたい、こう思うわけであります。

 お伺いしたいのは二点です。一つは技術開発。

 やはりこれから、もちろん中小企業の販売事業化ということも大事でありますけれども、技術の開発という点において、農林水産省、経済産業省、それぞれ予算のメニューを持っています。ぜひ、この技術開発分野についての連携、予算措置というのを拡充すべきだろうと思いますし、あわせて、質問を重ねてお伺いしますが、農林水産省と経済産業省、それぞれ研究機関もお持ちだろう、こう思います。経産省でいえば産技研を持っているわけですね。そういった最先端の技術開発というのも、これは政府レベルの技術開発というのも、統合をあわせてやることも必要だろうと思っていますので検討してもらいたい、こう思うわけです。

 まず最初にお答えいただきたいのは、実務ベースの研究開発、民間の研究開発の支援というところでの連携を進めるべきだと思いますが、これは最初、経済産業省に答えていただきますかね。では、副大臣、お答えいただけますか。

新藤副大臣 農業を産業ととらえて、そして、いろいろなノウハウを組み合わせてさらに強化をしよう、こういう意味において、今先生の御指摘は非常に重要なところだと思っております。しかも、どんなものでも、やはり新しい技術、それからいろいろな新しいシステムを開発していくこと、イノベーションを進めていかなければならない。

 そしてその上で、私どもといたしましては、地域の産学官の共同研究開発といったものを進めようということで、地域イノベーション協創プログラム、こういったものを今年度、九十六億強の予算をつくっております。この中で、農商工連携の関係、農林水産業と商工業の技術それからノウハウを活用した産学連携、これについて、農商工枠で十億ございます。そして、これはもう既に公募を開始しておりまして、ここのところで締め切りをするところでございます。

 それからもう一つ、鉱工業系と農林水産系、こういった研究機関それから大学が連携して研究できるようになる、こういった予算につきましても農水省と連携しつつ取り組んでいるところでございまして、これも十一億強のものがあります。

 ぜひ、これをさらに拡充していきたいと思っておりますが、先生に御支援をよろしくお願いしたいと思います。

近藤(洋)委員 農水省に来ていただきましたが、ぜひ同じように、農水省は農水省であるでしょうし、頑張ってやっていただきたいということと、大事なことは、ダブりを防いで、そして、本当にこれは物になるというんだったら一本化して、どっちのメニューでやるのかは別にしても執行するということも必要でしょうし、ぜひ、そういった実務面での取り組みというのも両省連携してもらいたいと思います。

 そしてもう一つ、これは補助の話ですが、補助ではなくて政府が持っている研究機関同士が連携して、バイオ分野についての最先端の研究も両省連携で進めるという宣言を、せっかくこういう法律を出したわけですから、この法律を出すことを機に宣言されたらいいと思いますが、これも大臣、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 御指摘のように、農商工連携を推進するに当たっては、先端的な研究開発分野において関連する研究機関の両省間の連携も重要な課題であります。現状では、こうした認識のもと、我が省は産総研と呼んでおりますが、この産総研と、農水省は農研機構と呼んでいますが、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構、この農研と、研究者相互の情報交換であるとか、三十件以上の共同研究を現在まで行ってきているところであります。

 一例を挙げますと、産総研と農研機構との共同研究では、産総研が開発した植物ホルモン系発根促進剤の有効性の検証を行いまして、この成果をもとにいたしまして、産総研発のベンチャーにおきまして、発根促進剤を利用した植林用の苗木を大量に生産しまして、タイ、ベトナムに植林をするという事業を行っている。

 最近では、食品の安全性に関する議論が高まっておりますが、その中で、産総研が得意とする計測及び標準化に関する知見を活用しまして、残留農薬分析用標準物質の供給も行っているというところであります。

 今日までのこうした経験も踏まえて、我が省の産総研、そして農水省の農研機構、その連携を一層強化すべく、包括的な連携協定締結、何かEPAみたいになってきましたけれども、に向けた調整が進められていると承知をいたしております。

近藤(洋)委員 そこで、RアンドDも連携する。次に来るのは、研究開発した成果、知的財産を保護する、こういうことも大事なんですね。

 僕も、久しぶりに農業白書を、質問があるので、やっつけ仕事で、きのう夜、ちょっと読んでみましたけれども、このRアンドDの「知的財産の創造・保護・活用の取組」と農水白書にも書いています。「イノベーションの力を活用した競争力強化の取組」、まさに経済産業白書みたいなものですよ。全く同じような書き方で出ている。農水省も意識を持っているなと。この部分については、あとほかの、農水省がつくられた知的財産保護のペーパーも読みました。特許庁のペーパーかと間違うぐらい同じような問題意識を持っている、こういうことですね。

 こういった分野は、やはり知財保護というのがこれから大事になるわけで、物を輸出しているときに商標の問題もありますね。副大臣のところは佐賀牛、私のところは米沢牛ですけれども、この間新聞を見たら、松阪牛を中国企業が商標登録していたなんという記事も出ています。輸出をすればそういう問題も出てきますよね。また、遺伝子の保護とか、これは完全に、特許政策というか知財政策の話であります。

 農林水産省が問題意識を持っているのはいいわけですけれども、そういった商標登録なんか、既にもう中国にやられてしまっているわけですから、もっとこれは特許庁ときっちり連携をして、縄張りじゃなくて、特許庁のお知恵をかりますよということをやってもいいわけだし、そこは本当に垣根を越えてかちっとやるべきだろうと思います。

 この分野も、せっかくこういう法案を出すのだから、せめて条文に一行ぐらい書いていただければよかったのになと思うわけですが、農林水産省、いかがですか。

吉田政府参考人 知財分野の両省連携についての御指摘でございます。

 農林水産省といたしましては、農林水産業分野の技術、植物新品種、ブランド、こういった知的財産を積極的に、そしてまた戦略的に活用することによりまして、農林水産業の競争力強化と、そして地域の活性化につなげていくという観点から、昨年三月に、農林水産省知的財産戦略を策定いたしまして、今施策を推進しているところでございます。

 一方、御指摘のように、経済産業省さんにおかれましては、特許、商標などの知的財産行政分野に関しまして豊富な知見、経験を有しておられます。そこで、知的財産の分野において両省が連携をして、地域における知的財産の創造、保護、活用を促進することが効果的であるという認識のもとに、昨年十月、両省で連絡会議を設置いたしまして、各施策における連携も進めておるところでございます。

 ちょっと具体的に幾つか申し上げますけれども、例えば、両省の地方支分部局での連携によりまして、農林水産分野の知財保護、活用についての相談がございますが、その相談機能の強化を図りましてワンストップサービスを図る、それから、両省連携をして地方で研修を行うといったようなことを進めております。

 また、農林水産分野の知財活用データベースというのを今からつくろうとしておるわけなんですが、そのときに特許流通データベースと連携を図りたいと思っておりまして、そのシステム構成についての検討も両省で行っておるところでございます。

 また、海外の情報につきましても共有化を図る、それから、侵害の例があってそういうところに対して働きかけを行うときも両省共同して行うといったような取り組みを進めておるところでございます。

 ただ、まだ始まったばかりでございますので、今後この連携を強力に進めていきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ここは極めて重要な分野なんですね。ぜひきちんと進めていただきたい。この法案を出したのを機にそこまできちっと広げるべきなんだろう、こう思うんですね。

 大臣、まさに農林水産省と経済産業省、かつて農商工一緒の役所だったわけですね。岸信介さんという立派な政治家も輩出したわけでありますけれども、私、最近本当に思うんですけれども、何でも内閣府だと思うんです。先ほど古川議員が指摘をされましたが、最近の問題点は、内閣府が何か調整、調整と言って、現業も持たないのにわけのわからない法律を出してくるケースが最近よく見られます。これはよくないと思うんですね。何でも内閣府と、ドラえもんのポケットじゃないんですから、これはよくない。やはり現業官庁がきちんと実務ベースでやることが大事なんですね。

 その上で、もっと人材交流も、公務員制度改革も一緒です、農林水産省と経済産業省、細かなポスト、一個、二つの課長ポストの取り合いなんかではなくて、面として連携する。同じものを扱うわけですし、生産するわけですし、対外交渉も、FTAもあるわけですし、EPAもあるわけですし、人的な交流も含めて、これをせっかく出すならば、出すのはちょっとおくれましたけれどもと、それぐらいの志を持っているんですよという宣言をすべきだと思います。

 その点の人的な交流も含めた、農林水産省、経済産業省、これは経済産業省のいつもやる領空侵犯なんかじゃないんだ、農水、経産の歴史的な統合も視野に置いたものなんだというぐらいの宣言をされたらいいと思いますが、最後にその点を伺って、質問を終わりたいと思います。

甘利国務大臣 統合はともかくとして、中国に米を輸出する際には、農水、経産、外務省三省が連携で中国と交渉して、再開をさせました。

 また、亡くなった松岡大臣が、日本の農産物を輸出する戦略をつくる。その際に、日本食ブームにあやかって、本当の日本食レストランがあるんだろうか、そこをきちんとオーソライズして、そこは本物の日本の食品をちゃんと使って料理を出していますというような、ミシュランではありませんけれども、そういう位置づけを彼はしたかった。

 ただ、行政が三つ星とか二つ星とかいう認定をするのではないかということで反発が来て、うまく実を結ばなかったんだと思いますが、あれを民間のああいうレストラン格付機関みたいなものがちゃんとやって、そこは本物の、オーセンティックな食材が供給されているという、販売ともととを連携させる戦略、これは私は、実務の応援とかいう話をしたんですが、まさに経産と農水が連携して、日本の安全で品質のいい農産物を価格は高くても売っていくという、いわば日本産品販売推進戦略だったと思うんですね。だから、両省が組んで戦略をつくらなきゃいけないと思うんです。

 先ほど来話がありましたように、四町歩の田んぼで四百万の収入、経費を引いたら二百万円、これを例えば企業経営者だったらどう考えるんだろうか。四町歩の田んぼを前に、これが企業だったらどう打って出るかということを模索しなきゃならないと思うんですね。

 内、外に向けてそれに対する施策を用意していく、そういう体制をとっていくということが大事で、四百万しか売れない、これをどうやってあしたから一千万の価格につけかえるかといったって、そう簡単にいきませんし、外から入ってくるものをとめようといったって、WTO体制の中でいきません。今の許される枠組みの中でどう打って出るかということを、いろいろな知識、英知を結集して戦略を打っていかなければいけないと思うんですね。そういうことのために両省はこれからもしっかりと連携を組んでいきたいと思っております。

近藤(洋)委員 終わります。

東委員長 以上で近藤洋介君の質疑は終わりました。

 次回は、来る十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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