衆議院

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第7号 平成20年4月16日(水曜日)

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平成二十年四月十六日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 鈴木 俊一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 吉川 貴盛君

   理事 大島  敦君 理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 忠彦君    飯島 夕雁君

      上野賢一郎君    江崎洋一郎君

      大村 秀章君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      柴山 昌彦君    平  将明君

      高鳥 修一君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    長崎幸太郎君

      丹羽 秀樹君    西本 勝子君

      橋本  岳君    林   潤君

      原田 憲治君    福岡 資麿君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    吉野 正芳君

      太田 和美君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    郡  和子君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      田村 謙治君    牧  義夫君

      鷲尾英一郎君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   経済産業副大臣      新藤 義孝君

   財務大臣政務官      宮下 一郎君

   経済産業大臣政務官    荻原 健司君

   国土交通大臣政務官    山本 順三君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   木下 康司君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   中尾 武彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         伊藤 健一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       吉田 岳志君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小風  茂君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           佐々木昭博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           小山 信温君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           本川 一善君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局次長)           實重 重実君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       塚本 和男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     勝野 龍平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          鈴木 隆史君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          石田  徹君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          岡田 秀一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    福水 健文君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            長尾 尚人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 富由君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     長崎幸太郎君

  近藤三津枝君     上野賢一郎君

  丹羽 秀樹君     西本 勝子君

  安井潤一郎君     飯島 夕雁君

  吉田六左エ門君    高鳥 修一君

  三谷 光男君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     安井潤一郎君

  上野賢一郎君     林   潤君

  高鳥 修一君     吉田六左エ門君

  長崎幸太郎君     矢野 隆司君

  西本 勝子君     福岡 資麿君

  鷲尾英一郎君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  林   潤君     原田 憲治君

  福岡 資麿君     丹羽 秀樹君

  矢野 隆司君     伊藤 忠彦君

  郡  和子君     三谷 光男君

同日

 辞任         補欠選任

  原田 憲治君     近藤三津枝君

    ―――――――――――――

四月十四日

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)

 揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

同日

 悪質商法被害をなくすための割賦販売法改正を求めることに関する請願(仙谷由人君紹介)(第一五九三号)

 クレジット被害をなくすための法改正を求めることに関する請願(仙谷由人君紹介)(第一五九四号)

 同(船田元君紹介)(第一五九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第三九号)

 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官伊藤健一君、農林水産省大臣官房技術総括審議官吉田岳志君、農林水産省大臣官房審議官小風茂君、農林水産省大臣官房審議官佐々木昭博君、農林水産省大臣官房参事官小山信温君、農林水産省総合食料局次長平尾豊徳君、農林水産省生産局畜産部長本川一善君、農林水産省農村振興局次長實重重実君、農林水産技術会議事務局研究総務官塚本和男君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官勝野龍平君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、中小企業庁長官福水健文君及び中小企業庁経営支援部長長尾尚人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 さて、景気の地域間格差が拡大をしているという状況の中で、景気が低迷する地域の第一次産業の比率が高いということからも、地域経済を支える農林漁業者と中小企業者が互いの経営資源を有効に活用して共同して新商品や新サービスの開発等を行う取り組みを支援するという趣旨の今般の農商工等連携促進法案の目的は、大変評価できるものだと私も思っております。

 新藤副大臣は十一日の委員会でも、「今まで別々に行われていた施策、それから別々に活動していた両省が、さらに有機的に連携をさせて、今までの枠を取り払った新しい画期的な取り組みだ、」と御発言をなさっていらっしゃいます。そのように、農商工連携というよりも、経産省と農水省の連携の強化というか、連携を始めたというような意味合いがかなりあるんだろうというふうに思っております。

 実際のところ、平成十七年に施行の中小企業新事業活動促進法によりましても、異分野連携事業分野開拓支援、新連携支援という制度を使って農商工連携も行われているというふうに聞いているわけであります。

 今回の法律についても、両省が連携するというのは大変いいことだというふうに思っておりますが、裏返して申し上げると、ある意味ごく最近の動きだということを副大臣もおっしゃっておられるわけでありまして、画期的というよりも、おくればせながらということなのかなというイメージもあるのでございます。

 ごく最近そういった連携がようやくできるようになってきたということについては、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。

甘利国務大臣 我々政治家から見ると、何でこんなことで各省が意地を張っているんだろうと思うことが間々ありますよね、それは先生が一番よくお感じになっていらっしゃったのではないかと思うんです。

 経産省と農水省は、そうした中においても、中小企業それから農林漁業といういわば地域経済の担い手を担当している、所管しているという関係から、必要に応じて連携はとりながら活性化に取り組んできたということは言えるんじゃないかと思います。

 地域資源法では、農林水産品を活用した事業について両省共同で審査、事業認定を行っております。それから、中国に米を輸出する、これは当時の松岡農水大臣が一生懸命取り組んでいた課題でありますけれども、その際には私も協力要請をされ、当時の麻生外務大臣にも要請をされまして、三省体制で中国に働きかけまして米の輸出が実現をした。そのことを松岡農水相が閣議の席上で感謝とともに発表していたということがありました。

 今回の農商工連携の取り組みというのは、農林漁業を含めたすべての事業者が、市場というのを意識しまして、企業経営の感覚を持って事業を行っていく、そういうようないわば意識改革を起こしていくことを目指すものでありまして、そういう活動を全国レベルの取り組みとして根づかせていく。そのためには、経産、農水両省の施策を総動員する、それから、それに加えまして、我が省でいえば商工会、商工会議所、それから農水省でいえば農協、漁協といった団体も巻き込んだ取り組みとしていくことが不可欠だというふうに思っております。

 こういう認識のもとに、昨年以降、両省は従来の枠組みを超えて、従来も事に応じて連携はとったのでありますが、その枠を超えて緊密な連携をとって、一体となって施策の立案、PRに取り組んできているわけでありまして、こうした法案の成立を機に、さらに両省の垣根を越えて連携する仕組みを構築していきたいというふうに思っております。

田村(謙)委員 今の質問を事務方にもお伺いしたいんですけれども、大臣がおっしゃったことはそうだと思うんですが、ここ数年になってようやく連携を、さらに、こういった法律、こういったスキームを始めるようになったと。では、裏返して言うと、なぜもっと前、六、七年前でも十年前でも、始められなかったのかということについては、その背景としてどのような背景があるとお考えですか。

勝野政府参考人 お答え申し上げます。

 各省庁が連携を強化しなければいけなくなったという背景でございますけれども、それは、私どもが政策の対象領域としているものが各省庁の縦割りの分野からはみ出た領域にどんどんどんどん拡大しているということではなかろうかと思っているわけでございます。

 例えば、今回の農商工連携一つをとりましても、農産物の輸出という観点は従来から私ども通商産業省がメーンでやっておりましたけれども、やはり農産物の輸出というのも大きなターゲットになっている。こういった領域がどんどんどんどんいろいろな分野で拡大している。そういったことが各省庁連携の一つの大きな背景になっている。私ども、そういった時代要請も踏まえて対応していかなきゃいけない事態になっているというふうに認識しております。

田村(謙)委員 私は、先日の委員会で申し上げましたように、現在のこの自民党政権の体制においては、経産省がいろいろと領空侵犯をなさるということがまさに各省庁連携につながっているというふうに、現在においてはですよ、民主党が政権をとった場合にはちゃんと内閣の中で連携をとろうと思っていますので。それはおいておいて、大変いいことだと思っているわけです。例えば、それこそ大昔になれば通信分野、それはいろいろ戦争になってしまいましたが、最近ですと、正確には私も記憶をしておりませんけれども、社会保障分野とかはかなり早くから手がけていらっしゃったと思います。

 農業に関してはごく最近だというのは、なぜもっと農業の重要性あるいは農業輸出、確かに農業輸出というのは最近だと思いますけれども、今回の法律というのは決して、輸出品をふやそうというのは、もちろん一つではありますが、ごく一部でしかないわけでありますから、中小企業という観点から見れば、当然、食品関係、まさに農林水産業に関係する中小企業というのは昔からたくさんあるわけでありまして、その点について手がけなかったというのはやはりちょっと遅かったんじゃないかなと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

勝野政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、農水省の領域との連携をやってこなかったというわけではございません。私どもの地域経済グループは、例えば地域のイノベーションを担当しているわけでございます。これは、地域構想ということで、平成十三年度から例えば五年間で約一千億円を投入して、地域で提案公募型の技術開発を行ってございます。

 このときに、地域でございますので、地域資源を活用した研究開発というのが非常に大きなテーマになってくるわけでございまして、当然、その地域資源の中には一次産品、したがって農林漁業、これを素材とした研究開発の事例も数多くございます。そういう観点から、例えば私どもの政策を投入するということもやってございます。

 そしてまた、そういったフォーメーションをつくるときに、例えば、単に経済産業省の産業総合研究所のような機関だけではなくて、農水省のいろいろな機関もいわばそのフォーメーションの中に入って連携をとっている、こういった事例は多々ございます。

 まだ、見えなかった、見えにくかったんじゃないのかという御指摘はあるかと思いますけれども、粛々と各省庁と連携をとりながらやってきたというふうに考えてございます。

田村(謙)委員 私も正確な事実を把握はしておりません。その背景を把握しているわけではありませんので、これについてこれ以上御質問をすることはいたしませんけれども。

 もう一回だけ、やはり聞いてみます。

 やはり、農水省というのがほかの省庁に比べてさらに壁が高かったんじゃないか。もちろん、ある程度、少しずつ連携しているというのは、今もお話を聞きましたし、私も何となくは知っていますけれども、ある意味、今回の法律を初めとして、ごく最近、この数年は相当大がかりにやっていらっしゃるというようなイメージがあります、それはいい意味で。ようやくそういう大きな連携が始まったんじゃないかな。

 今までは非常に局所的であって、今回も、トータルにというわけではありませんけれども、相当大きなコンセプトに基づいて連携をする。それが今まではなかなかできなかったというのは、やはり省の壁というのが特に農水省は高かったというようなことはないんでしょうか。

勝野政府参考人 私ども、特に地域の活性化を担当している部局としては、農水省との連携というのは、これはかなり歴史的な蓄積があるというふうに認識してございます。

 一番大きな連携というのは、農村工業導入促進法という法律を農水省と一緒につくりました。これは、高度経済成長下において、地域の方からどんどんどんどん都市部へ人口流入が行われている、したがって地域を支えるという観点から、地域にこういう機関をつくっていかなきゃいけない、工業を導入しなきゃいけない、こういう背景がございました。したがって、当時、農林省と通商産業省が連携いたしまして、共管法律ということで、いわば農商工連携法というような法律が通ってございます。

 そしてまた、例えばテクノポリス等々の地域振興政策をいろいろ展開しているわけでございますけれども、そういう過程の中でも、当然、各省庁との連携、その中には農水省との連携も含まれているということでございまして、地域の活性化という観点からは、粛々とでございますけれども、連携をとってきたつもりでございます。

田村(謙)委員 わかりました。私も状況をちゃんと把握しているわけではありませんので、これ以上御質問しませんけれども、こういった連携をさらに進めていただきたいということは申し上げたいと思います。

 さて、中身について若干質問をさせていただきたいと思います。

 今回のこの農商工連携の支援というものを実際の現場の中小企業者あるいは農林漁業者に活用してもらうというのも、一方的な形ではなくて、事業者の具体的なニーズに応じた支援を行う。この法律のコンセプト自体そうだと思いますけれども、そのためには、事業者と緊密に相談を行うような窓口を設けて、さらにその施策を広報、普及、多くの方に知っていただくということが大変重要だと思うんですけれども、それについてはどのようなことを考えていらっしゃいますでしょうか。

勝野政府参考人 お答え申し上げます。

 農商工連携につきましては、四月の四日に、農林水産省と経済産業省におきまして、先進的な取り組みを農商工連携八十八選という形で取りまとめて公表いたしました。

 この事例を見ますと、例えば、酪農家とITソフト企業と機器のメーカーが連携いたしまして、牛の給餌システムをつくる。これによって、例えば給餌時間を二十分の一に削減するとか、あるいはリンゴの生産農家とセンサーメーカー、これは温度と湿度調整が必要だということで、そしてジェトロが連携して、中国とかあるいは英国にリンゴを輸出するとか、そういったいろいろな多様な取り組みがあるわけでございます。したがいまして、こういった多様な取り組みがございますので、事業者のニーズに応じて活用可能なツールを総動員する必要があるというふうに考えている次第でございます。

 したがって、経済産業省と農水省は、そういった多様なニーズに対応するために、各地域の経済産業局及び農政局にそれぞれ窓口を設置いたしました。そして、事業者のそういった相談体制をまず整備したところでございます。

 広報、普及につきましては、二月の中旬から三月の上旬までの間に全国十ブロックで、農政局及び経済産業局共催の説明会を実施したところでございます。今後につきましても、法案が成立いたしましたら、速やかにきめ細かな説明会を開催する等していきたいと思ってございます。

 具体的には、現在計画しているものを申し上げれば、例えば七月に大規模なキックオフフォーラム、これを東京国際フォーラムを借りてやりたい、農水省と連携して、共催で行いたいというふうに考えてございます。そういった全国大のフォーラムに加えて、地方でも各フォーラムを展開していくというような取り組みも考えてございます。

 また、この施策をPRするという観点からは、リーフレットを十八万部つくって大いに施策をPRしていきたいというふうに考えてございます。

 そしてまた、中小企業支援サイトがございます。そこで農商工関連のページを新たにつくりまして、大いに施策もPRしていきたい等々の対応をして、全力で施策のPR、広報に努めていきたいというふうに考えておる次第でございます。

田村(謙)委員 今PRについて御説明をいただきましたけれども、確かにいろいろ御努力なさっているということではあると思います。ただ、どこまでやるかというのは、確かに切りがない、なかなか対象となり得る者全員に周知をするというのは本当に大変だということは私も想像ができるわけでありますけれども、やはり、とにかく一人でも多くの者にそういった今回のスキームを知ってもらって、それを利用しようということを考えてもらうということは大変重要ですので、できる限りの努力をしていただきたいと思うわけでありますけれども、例えば、リーフレットをおつくりになる、リーフレットに限らずいろいろな周知するものを展開するという際に、それこそ零細企業や個人事業者も利用するような、公庫ですとかあるいは地銀や信金といったようなものにも協力をしてもらうといったようなことはお考えではないでしょうか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、どういう人が中小企業者と農林漁業者をつないでいくかというのは、非常にこの農商工連携を成功させる上でのキーになるというふうに私ども考えております。

 事業計画の作成とかその後のフォローアップ、いろいろなことがあるわけでございますので、私ども、地域力連携拠点というのを全国三百カ所につくっていこうというふうなことを現在考えているところでございます。ここには、全国で五百名ぐらいの応援コーディネーター、いわゆるつなぎ役としてそういう方々を配置し、いろいろな御相談から支援まで、一貫してワンストップでできるような仕組みをつくりたいというふうに考えてございます。

 現在、地域力連携拠点については、公募をしている最中でございますが、この中で、拠点、点だけじゃなくて、委員御指摘ありましたような面的な広がりをそれぞれの拠点が持つことも必要であろう。そういう面の中には、商工会、商工会議所はもちろんでございますが、金融機関でありますとか、あるいは県にあります公設試験場のようなところとかあるいは大学とか、もちろん農協も入りますが、そういう面を持った拠点が全国で三百カ所できるような、そんな仕組みでもってこの農商工連携事業を全体的に推進していきたいというふうに考えてございます。

田村(謙)委員 今お話しいただいた地域力連携拠点ですけれども、商工会とかいろいろ、経産省さん所管のもの以外には、金融機関とか大学とか研究機関とか、あと農協とかというふうにおっしゃっておられましたけれども、面的なというのは、コンセプトとしては大変いいことだというふうに思いますが、結局、例えば農協が一番わかりやすいと思いますけれども、農協というのも今回の地域力連携拠点になり得るということですか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 地域力連携拠点につきましては、この農商工連携に加えまして、一般の中小企業、いろいろな経営上の課題、あるいはIT化を進めるとか、いろいろな課題をお持ちでございます。そういうもろもろの課題が全体としてワンストップで相談できるような、そういうのを拠点というふうに考えておりまして、この拠点の中で農商工連携事業というのは大きな事業のうちの一つであるというふうに考えてございます。

 したがいまして、農協の方が拠点になることも十分我々は想定しておりますし、主に考えれば、拠点のパートナーといいますか、広がりを持った中で、農商工連携の部分では大いに中小企業、農林漁業者を支援していく、そんなことができればこの農商工連携が円滑に進んでいくというふうに考えています。厳密に言えば、拠点になり得ると考えております。

田村(謙)委員 そうしますと、地域力連携拠点というのはそもそもどこが、大体のイメージ、実際の具体的なイメージはわかっているつもりではあるんですけれども、所管というのは特にあるというわけではなくて、そこは経産省さんと農水省さん両方がやるということになるんですか。例えば、商工会さんとか商工会議所さんというのは経産省の所管ですよね。そこにまず拠点ができましたと。そうすると、基本的には経産省の所管になるのかなという気がするんですが、それについては両省はどのように関与するというイメージなんでしょうか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどからお答え申し上げていますように、例えば金融機関もそういう面的なつながりの中でパートナーになってくるというふうに我々は強く期待しております。

 所管でいいますと、金融機関は金融庁でございますし、農協、漁協につきましては農水省であろうというふうに思いますが、この事業のために組んでいこうということで、連携拠点の所管がどこだというふうな認識ではなくて、事業推進というその一点でお互い協力してやっていこうと。既に、農水省さんとも全中の方を通じていろいろな仕組みあるいは呼びかけを行っておりまして、そういう観点で、事業本位で進めていきたいということで考えてございます。

田村(謙)委員 私の場合、どうしても縦割りが地域に及ばないかという心配を、し過ぎなのかもしれませんけれどもしてしまったのでちょっとお伺いをしたんですけれども、今御説明いただいたように、地域力連携拠点に応援コーディネーターを五百名配置する。そうしますと、やはり、応援コーディネーターだけではないかもしれませんが、そういった今回のスキームをしっかりと把握している方が各地域力連携拠点それぞれにちゃんと配置をされるということが私は非常に重要なんだろうというふうに思うわけでありますけれども、それについてはそもそもどのように育成をして、あるいは五百名というのを確保するのかというのを御説明ください。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、各地域では、豊富な支援経験とかあるいは高い支援能力を有する方々が非常にたくさんおられます。これは、商工会、商工会議所にも経営指導員という名前で八千名ぐらいおりますし、例えば、先ほど言われました金融機関だと三十万人の職員がいる。農協も同じようでございます。あるいは、中小企業診断士初めいろいろな士の方々が地方におられます。そういう方々から五百人を各支援拠点が契約しまして、そういう方々に中心になっていただきたいというふうに考えてございます。

 さらに、これらの応援コーディネーターが豊富な経験と能力を支援機関の中の職員にも伝授して、こういうコーディネートの支援の輪を広げてまいりたいということを考えておりまして、地域において広がりのある人材育成が図られるように努めてまいりたいと考えてございます。

田村(謙)委員 イメージとしては大変いいものだなというふうに私も思っておりまして、ただ、私がまだ不勉強なところもあるかもしれませんが、まずそういう地域力連携拠点がかなり中心になると思うんですけれども、その一方で、役割分担という部分もかなり多いんだと思いますが、食料産業クラスター協議会というものがあって、さらに、より段階が違うんだと思いますけれども、あとさらに広域を見ているハンズオン支援事務局というのがあるわけですね。

 そこら辺の連携、結局いろいろできて、あとさらに今経産局と農政局とあって、本当に連携がうまくいくのかなというのは今後なんだと思いますけれども、例えば、ハンズオン支援事務局というのは広域を見ているわけですから、イメージでいうと上部に当たるような感じのような気もしますが、当然そこには経産局も農政局もあるわけで、そこら辺というのはどのように連携をしていくというイメージなんでしょうか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 ハンズオン事務局につきましては、全国、経済産業局と農政局があります各ブロックに一つずつ設置したいというふうに考えてございます。主に予算をここで確保しておりまして、販売支援とかいうふうなことになりますと、ある程度広域的な事業をやっていかなきゃいかぬ。

 中小企業者の方あるいは農林漁業者の方は、先ほども申し上げていますような地域力拠点に御相談に行かれるわけですが、具体的に支援計画をつくって、あるいは具体的にどういう売り方をしていくか、あるいはどういうブランド戦略をとっていくか、非常に具体的になりますと、どんどん専門家が必要になってきます。

 専門アドバイザーのような方が必要になってくるわけでございますが、こういう方々をハンズオン事務局にたくさんリテーン、一千名ぐらい持っておりますので、連携拠点からの話をそこにつなぎまして、適宜適切な方々を個別の事業に派遣するなり相談に応じるなりということで、ブラッシュアップ、さらに事業化そのものに進めていきたいと考えてございます。

田村(謙)委員 ありがとうございます。

 ぜひともそこら辺の連携を、実際にやってみなければわからない部分はあると思いますけれども、しっかりと連携をして、うまくいけるように仕組みをつくっていただきたいな、連携を図っていただきたいというふうに思います。

 そもそも、今回のスキームというのは、ある程度新事業を展開するというイメージがもともとあって、それについてまさにこのスキームで支援をするというようなものなのかなというふうに私は理解をしているわけです。

 そういった中で、いろいろな事例を紹介して各事業者の意識を高めていくというのはもちろんあると思うんですが、やはりいろいろな地域で実際の成功例を見てみると、先ほどお話があった八十八選でもそうなんだと思いますけれども、結局、その核になるような人がいる。それは会社の場合は一番わかりやすいわけですけれども、地域おこしの場合ですと、実は全然その産業に関係ないような人が始めて、ある意味でボランティアとかNPOでよくありますけれども、ここの業界、その関係業者を巻き込んで、それが非常に盛り上がっているという例も多々あるわけであります。

 やはりそういった人材を発掘して育成していくということも今回のスキームと同様に大変重要なんじゃないかなと私は思っているわけでありますが、そこはもちろん経産省だけの仕事じゃないとは思いますけれども、経産省さんとしては、それについてはどのようなことをお考えになっていらっしゃるでしょうか。

新藤副大臣 地域経済の活性化、とりわけ高齢化だとか過疎化の問題を抱える農山漁村地域、こういう地域の活性化のためには、やはりこの地域を何とかしてやろうという意欲ある人たち、そういう人材を発掘して育成していくことが、これはもう先生御指摘のとおり、とても重要なことだと思っております。

 そういう中で、要するに、専門家、それからもう既に事業を成功させている体現者という人たちがいます。そういう人たちの成功体験、ノウハウをまた次の人に渡していく、つないでいく、こういう意味でも人材育成を我々支援させていただきたい、このように思っているわけです。

 経産省といたしましては、まず、今年度は、村おこしに燃える若者等創出事業、こういうのを新規で予算化をさせていただいております。そして、農林水産物の地域資源と都市部のニーズをつないだ商品開発さらに販路拡大、そういったものに取り組む意欲と能力を兼ね備えた人材を育成していきたいと思っています。

 それからもう一つは、先生おっしゃいましたように、異分野からといいますか、事業者ではなかった人が燃えて自分で何か組織をつくったり団体を起こしたり、いわゆる地域の社会的な課題を解決しようということを目的に、今コミュニティービジネスという新しい組織の取り組みも始まっております。

 また、コミュニティービジネスを立ち上げるための支援であるとか、それからその経営に対する支援を行う中間支援組織というのがあります。この育成についても我々支援していきたい。今度は、コミュニティービジネスを支援する中間支援機関の人材育成事業、これは別の制度なんですけれども、こういったものの中で、ここのコミュニティービジネスの中で農商工連携をやろうとする方にも支援をしたい、いろいろなものを組み合わせて人材育成を行っていきたい、このように思っております。

田村(謙)委員 ぜひそういったことも進めていただきたいなと思います。

 こういったいろいろな分野、ほかの省庁も関係するようなことになると、余り経産省さんが先頭に立つとますます嫌われ者になるというような状況もあるのかもしれませんけれども、そこはぜひ大臣、副大臣もうまく先導をとっていただいて、いろいろな分野で地域おこしというものにもさらに力を入れていただきたいなというふうに思っています。

 先日の質問では、太田委員が、それこそ今度は観光で国土交通省さんとやったりするんじゃないのという、彼女は懸念を表明していたのかもしれませんけれども、私は個人的にはそれはそれでいいことだろうというふうに思います。

 いろいろな分野での連携、まさに省域を超えた連携というのは、地域にとっては確かにどの省かというのは関係ないことでありますので、ぜひそういった取り組みを進める中心となって今後もやっていただきたいということは重ねて申し上げたいと思います。

 さて、もう一点、今回の法律でさまざまな支援策が、たくさんのメニューがあるわけですけれども、その中心にいろいろな金融支援、政策金融支援というものが掲げられております。

 無利子貸し付けの基金の積み増しですとか、あるいは低利融資の利差補給ですとか、あるいは債務保証の保険とか、さまざま用意されていますけれども、それについて財政的にはどの程度の規模というものをイメージしていらっしゃるんでしょうか。

福水政府参考人 お答えいたします。

 この農商工関連二法案につきまして、私ども経済産業省が措置しております金融メニュー、都道府県からの小規模企業に対する無利子貸付制度、あるいは中小金融公庫等の政府系金融機関からの低利融資、あるいは信用保証協会による保証枠の拡充、それに加えまして、農水省さんからのいろいろな制度もございます。

 例えば、私どもの中小公庫の低利融資につきましては、今回の法律に基づく事業計画に沿って事業を行う者に対しまして最優遇金利での貸し付けを行うということを予定しておりまして、このような最優遇金利での貸し付けを中小公庫が行えるように、今年度において総額で百二十億円の補給金を予算措置しております。これは、農商工以外にも中小公庫はいろいろな事業に融資しておりますので、それを含めました金額でございます。

 いずれにいたしましても、この二法に基づく事業が円滑に行われますように所要の財政措置を講じているというふうに認識しておりますし、この事業の計画から認定に至るまで、きめ細かな策定支援からフォローアップまでを続けていって、この農商工連携事業が円滑に進むように万全に臨みたいというふうに考えてございます。

田村(謙)委員 今、中小公庫に関する百二十億円の補給金というお話をいただきましたけれども、実際にやってみなければわからないということなんだとは思うんですが、先日の委員会でも、どんどん施策を推進するのはいいことですけれども、要は、審査が甘くなって、結局はそれが場合によっては貸し倒れになるというような危険性もあるということは何人かの委員が指摘をして、実際、懸念をしていたことだと思うんです。

 やはりある程度歯どめというか、大体この程度の規模でというイメージがないと、要は、過剰なほどに貸し付けですとかが行われてしまうという危険性があるのではないかな、もともとある程度財政の規模というものをイメージする必要があるのではないかなというふうにも考えるんですけれども、それはいかがでしょうか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、野方図にお金を貸すというわけではございませんで、中小公庫あるいは国金にいたしましても、それぞれの健全な経営を目指して、今度十月一日から新しい仕組みに変わるわけでございますので、適宜適切にそういう融資あるいは保証等々は進めていきたいというふうに考えてございます。

田村(謙)委員 いろいろな制度があって、私もすっきり全部頭に入っていないんですけれども、都道府県が貸し付けるというものもありますよね。

 それなどというのは、枠組みをつくって、結局、その主体というのは都道府県になるわけですよね。最近、東京都で問題になっていましたけれども、もちろんそれとは全然違うのは私もわかってはいます。いろいろな枠組みを広げて、後は都道府県がそれぞれ自己責任でやってくれという枠組みですと、適宜適切にと幾ら国が思っていても、都道府県が適宜適切にやるという保証はないような気もするんですけれども、その点はいかがですか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の都道府県の件につきましては、小規模企業設備導入資金制度ということで、二分の一を貸す制度というのは現在ございますが、今回、これを三分の二にしていこうというのが法律改正事項であります。

 本事業につきましては、今から始める事業ではございませんで、既に各都道府県でやっておりまして、現在、都道府県への債権残高が九百六十億円ございます。八年で償還するという制度でございますので、一事業年度が百二十億円ぐらいの事業規模を持ってございます。

 現在、民間の金融機関がいろいろ貸し出しに頑張っているというようなこともこれあり、現在の運用状況につきましては、貸付金が年間で百億円強ぐらいの実績でここ数年進んでおります。したがいまして、受け皿であります大もとの方が九百六十億円でございますので、余裕があるということで、今年度は予算措置は特段講じておりません。

 いずれにいたしましても、都道府県もこの資金の二分の一を出している、そういう制度でございますので、都道府県の方も現在財政にいろいろな課題を抱えておる中で、都道府県においても適宜適切な対応が進んでいくというふうに私ども考えてございます。

田村(謙)委員 これは国もお金を出すんですよね。それについては、どれぐらいの規模というのは決めていらっしゃらないんですか。

福水政府参考人 お答えいたします。

 制度は、まず国が二分の一を県に無利子で貸し付ける、残り二分の一を都道府県がそこの特別会計に入れるということで原資ができるわけでございます。それが、現在一千九百二十億円が原資になっているわけでございますが、これを各小規模企業者に無利子貸し付けを行っていこうというような事業でございますので、国としては、今まで九百六十億円を長い年月の間に県の方に出してきておるという状況でございます。

田村(謙)委員 こういった施策はどんどん推進をしていただきたいというふうに重ねて申し上げますけれども、それが審査を含めて甘くならないように、そこはしっかりと見ていただいて、さらに推進をしていただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

東委員長 これにて田村謙治君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 おはようございます。民主党の北神圭朗でございます。

 引き続き、農商工連携の、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案について御質問をしたいというふうに思います。

 たくさん質問を出してしまったので、答弁の方も簡潔にお願いしたいというふうに思います。

 大臣、これは、私もなかなか難しい法案やなというふうに思いまして、理屈はよくわかるんです。農業と中小企業と連携して新しい商品を開発して、それを国が支援していくということですが、正直、制度が複雑に見えるのか、今までの法律との関係がなかなかすぐにはわからないということと、そういうことによって、利用者にとって使い勝手が非常に悪いんじゃないかというふうにも思います。そこをよく説明しないといけないということですね。

 あともう一つ、きょう質問したいのは、この法案の中核はやはりマッチングの部分じゃないか。というのは、この法案の説明の中でいろいろな成功事例を六つほど挙げられておりますが、これらも、支援があったから成功したという部分は多分ないんじゃないか。これは、既にもう自主的に中小企業と農家の方が連携をして、成功された。つまり、そういうマッチングさえうまくいけば、支援がだめということじゃないですが、それは支援があった方が促進はされると思いますが、そこの連携というものが非常に大事かな、そういう意味でマッチングについても御質問をさせていただきたいと思います。

 三つ目は、私らも制度だけ読んでいてもなかなかわかりませんので、現場の方、特に、私は京都ですので、漬物業界が非常に盛んだ、漬物はやはり農商工連携の一つの典型だということで、最近の懸念みたいなこともちょっと御質問したいということでございます。

 そういう意味でなかなか難しい法案なんで、最初に、大臣に、簡単に、できるだけわかりやすくこの法案の趣旨と期待される効果をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 企業立地促進法を出しましたときに、地域に企業を呼んでくることも大事だけれども、もう一つ大事な点は、そこに従来からある産業を元気にするということは同列に大事だという意識が私にありました。

 地方の主力産業というのは一次産業であります。これをどう元気にするかということは、要するに、農林漁業に企業経営の感覚を取り入れることをどう喚起するかということは、すごく大事だと思うんですね。ただし、いきなりITを入れてどうぞと言ったって、どう展開していくんだ、ようわからぬ。こんなことをやらなくたって農業はできるよということで大体終わっちゃうわけですね。そこで、農商工連携の八十八選を選びました。

 これは、おっしゃるように、今の施策以前に、もう既に自主的にやっていらっしゃるわけであります。農業、一次産業は二次、三次と連携するとこういうことができるという、いわばビジネスモデルがもうできているんですね。

 そういう人たちは、こう言っちゃなんですけれども、極めて意識が高い人なんです。従来の、いいものをつくれば必ず後はだれかが売ってくれるんだからというのをもっと踏み出しているんですね。そういう事例が近所にあるということは、こういうビジネスモデル感覚を磨くことなんだなということを意識してもらいたいのでそれを選んだんです。例がないと何をやっていいかよくわからぬ。ああ、なるほど、こういうことをやるんだと。

 今度は、この人たちは支援策が、なくはないんでしょうけれども、自分たちでいろいろ見つけてきたのかもしれませんけれども、いわば体系的な支援策はなくてやっているんだけれども、後発部隊は、こういうことをイメージして支援策があるんだという体感を持っていただけるんですね。そういう中で、ITを導入して効率経営をしたり、あるいはマーケティングという発想を初めて持ってもらったり、今までの範疇から飛び越えた、市場とつながるような感覚を持ってもらえると思うんです。だから先行事例というのが物すごく大事で、ああ、これが成功事例かということで、自分でも何か考えてみようと。

 確かに、おっしゃるように、中小企業と組むということが施策適用なんですよね。例えば、大手スーパーと農家が組んだらどうなのか。厳密に言えば、それだけじゃ、これは対象にならないんですね。そういう意味じゃ使い勝手がよくないという意識は私もあるんです。そこに何か、中小企業者の製造業と組んで、商品開発、製品開発に何かの知恵を凝らす、一こまかませればこれはそのまま使えるんですが、おっしゃるように、使い勝手の点で若干わかりにくい点があるかもしれません。それは、やっていく中でいろいろ問題提起をしてもらいたいなと思います。

 スタートはこれでさせていただいて、当然見直し規定はあるわけでありますから、そういう中でよりリファインした仕組みになっていくのではないか。とにかく初めて体系的に取り組む仕組みでありますから、その中から知恵と工夫と改善策を生み出していこうという思いであります。

北神委員 非常によくわかりました。趣旨、それと大臣の思いというのはよくわかりました。何となく、中小企業者と農家の連携というふうになると漠然としていたんですが、むしろ農業の方に市場というものを意識させて、経営的な発想を導入するということだというふうに思います。

 その考え方はよくわかりましたが、一つわかりにくい点は、今までの施策で、去年の地域資源活用プログラムとか、これは事務方の皆さんにお聞きしたいんですが、あるいは新連携、これは平成十七年ですか、このときにも、協調している部分が違うし、農林水産省との連携がここまで強化されてはいなかったと思いますが、皆さんにいただいた資料を見ても、今大臣がおっしゃったようなこともできるんじゃないかと。

 今の法案の簡単な資料を見ると、「地域を支える中小企業者と農林漁業者との連携により、双方の活力を取り戻し、地域経済を活性化」ということです。新連携を見ると、「異分野の中小企業が連携し、」当然この中小企業に農家も入り得るんですね、「異分野の中小企業が連携し、技術やノウハウなどの緊密な摺り合わせを通じて、新しい製品・サービスを創出しようとする新事業を支援する。」と。去年の中小企業地域資源活用プログラムを見ると、「各地域の「強み」である地域資源」、この括弧の中に農林水産品が入っているんですが、こういう「地域資源を活用した中小企業の新商品・新サービスの開発・市場化を総合的に支援。」ということで、普通にこれを読んだら、何か非常に重複しているんじゃないか、かつ、場合によっては屋上屋じゃないかと。

 それは我々が勝手に、法律を審議する人が混乱しているだけかもしれませんが、心配するのは、使う方が、今まで新連携をやってきた方とか、あるいは地域資源活用プログラムの誘いを受けた人とか、今度また新しくこういう法案が出る、そして、何か似ているようだけれども違うのかなとか、似ているけれどもわざわざ新しく出すということは何か違う制度なのかな、あるいは、今まで受けている支援がさらに拡充されるんじゃないかなとか、そういう混乱がやはり問題になる。

 つまり、この法案の目的は別に私も大賛成ですが、それをやるためにはやはり使い勝手がよくないといけないということで、さっき申し上げた今までの新連携、地域資源活用プログラムとの違いと、それぞれがどのぐらいの成果を上げてきたのかということをお聞きしたいと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 三つの違いということで、私の説明は非常に技術的になりますが、先ほど大臣が答弁申し上げましたように、企業感覚を入れて農業にITを導入するとか、そういう哲学的な違いがまず根本にございます。考え方の違いでございますね。それを実現するためには、今の法律では技術的にしにくいところがあるということで、新たな法案を出したということでございます。

 まず、最初にできました新連携につきましては、二つ以上の中小企業者、これは異分野の中小企業者が集まりまして新たな商品をつくっていこうと。例えば京都で、京都試作ネットというのがあるんですが、中小のものづくりメーカー十社ほどが集まって、新しいグループをつくって新しい受注を目指していこう、そういうふうなものをこの新連携では求めてございます。

 したがいまして、新しい商品、今までやっていなかったもの、そういうのが基本にございまして、十七年の法施行から現在まで四百六十二件を認定しております。その結果、十二月末でございますが、この事業での販売累計というのは二百八十七億円というふうなことで、我々非常に実績を上げてきているというふうに考えてございます。

 それから二つ目の御質問の地域資源の方でございますが、地域資源は、委員御指摘のありましたように、法律上、産地の技術、農林水産品、観光産業というふうなことになっています。これを使って新しい商品とかをつくっていこうということで、昨年度で三百二十八件が既に実施されておりまして、例えば、三十九件の融資実績もあるなど着々と実績が出てきているんじゃないかと思ってございます。

 この地域資源と今回の農商工連携の違いは、今回の農商工連携につきましては、大臣の方から申し上げましたように、農林漁業経営の改善というのが非常に大きな目的に入っています。

 地域資源法につきましては、そこにある農産物をどう加工するか、これは中小企業者側から見た原料になるわけでございます、それをどう加工するかということがポイントになってございまして、これにつきましては、その中小企業者一社だけで対応できるわけでございます。農林漁業者の方は主に原料供給側というふうな位置づけになろうかと思います。

 今回のは、原料供給というよりも、そういうことをすることによって農林漁業者が経営の改善が進まなきゃいかぬ、農林漁業者の経営の改善と中小企業者の効率が両方相まって物が行われていかなければならない。したがって、現にある農産物を効率よくつくってそれを売っていこうというふうな事業も今回の法案では対象にする予定になっておりまして、そういうところが大きな違いということで御説明させていただきたいと思います。

北神委員 成果の方は大体皆さんから見たら非常にうまくいっているということですが、大臣がおっしゃった、農林漁業者にビジネスマインドをもたらす、これが違うんだというところですが、今まではできなくて、今回の法案でなぜできるんですか。具体的に、新連携だって、みんな異分野で新商品を開発するというのは、そういう意味では今回の法案も同じですよね。中小企業と農林漁業が結合して新しい商品をつくる。ただ、意識を改革するのが違うんだ、どう違うんですか。

福水政府参考人 新連携と地域資源につきましては、新しい商品とか新しいサービスをつくりましょうということになっているわけでございます。

 今回の農商工連携では、例えば、今まで長芋をつくっていた、その長芋のつくり方、同じ長芋をつくるわけですが、長芋をつくる場合に、ITを導入しよう、あるいは、安全、安心のためにトレーサビリティーシステムを入れていこう、できてくるものは同じ長芋なわけでございます。

 そういう意味では、農業の経営そのものを改善していこうというのが大きな柱になっておりまして、新連携とかは、長芋をどう加工して新しい商品をつくっていこうか、今までなかったものをつくっていこうか、こういう違い。これは非常に技術的でございますが、そうすることによって、農業の方に企業感覚をどう持ってもらうか、あるいはITをどう入れていただけるか、そういうことにつなげていければというふうに考えてございます。

北神委員 では、今回の法案は、そういう農業の工夫がないと支援措置が出ないということで、それを促すということですね。わかりました。そういう違いがある。今までは別にそういうことをしなくても、支援措置は中小企業の方の工夫があればよかった、今回は両方ないといけないということですね。

 でも、それは、今までも農林水産省が独自にそういうことをやっていた措置をそのまま入れるだけですよね、基本的に、今回の法律は。

 要するに、長芋の話でいけば、長芋の改良をしたから、今まで農林水産省が独自に、経産省関係なしにそういうことに対して支援をしていたのを、今回は中小企業との連携とあわせるんだけれども、余り変わらないんですよね。今までやってきたことは、そのまま農林水産省の立場からいえばやるわけですよね。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省の方でも、事業の機械化というのは歴史的にいろいろおやりになっているというのは委員御承知のとおりだと思いますが、長芋を、ITを入れるとか機械化を進めるとかということによって、現に輸出していこうじゃないかとか、あるいは今まで売っていない、全国展開をしていこうじゃないか。

 農業経営者、ともすれば、いいものをつくれば終わり、消費者とつながりがなかったというのがありますが、その消費者とのつながりの接点を商工業者、中小企業者が入ることによりまして、農業の方々もそうすることによって、よりマーケットを意識しながら、マーケットにどう売っていくか。そのために、例えばトレーサビリティーをしっかりしなきゃいかぬ。トレーサビリティーはとにかくしっかりしましょうというだけで進めても、なかなかわかりにくいところがあるんじゃないかというふうに考えております。

 したがいまして、中小企業者と農林漁業者が一緒になって、それぞれの工夫でもってやっていくというのが非常にわかりやすい仕組みになるんじゃないかということでございます。

北神委員 ということは、では、農林漁業者に経営マインドをもたらすためには、一つは、そういう改良に対する支援措置をする、もう一つは、中小企業者との交流によってそういう意識をもたらす、そういうことですね。わかりました。

 それはそれで、やっとよくわかったんですが、今までの、例えば新連携なんか、法律をちょっと拡大すればそういう部分も当然趣旨として盛り込むことはできるんじゃないかなというふうに思うんですね。そんな別に一本にまとめる必要がないというふうに思われる方もいるかもしれませんが、やはり、使う側にとっても一つの法案にまとまっていた方がわかりやすいし、我々も当然審議する者としてその方がわかりやすい。

 これは、単に私の個人的な趣味とか思いつきじゃなくて、中小企業庁さんも現に平成十七年三月に違う法律でそういう整理統合をしている。それについて、どういう考えでやったのかお聞きしたいんですが、中小企業経営革新支援法と中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法、さらには新事業創出促進法、この三本の法律を一本化された経緯がありますが、それについてどういう目的でそういうことをしたのかお聞きしたいと思います。

長尾政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、十七年に中小企業新事業活動促進法というものを制定いたしまして、それまでありました新事業創出促進法、いわゆる中小創造法、経営革新法、この三つの法律を統合して一本の法律にしたところでございます。

 この背景でございますけれども、それぞれの法律の中に、例えば創業支援とか新事業展開支援事業がそれぞれダブった形で存在していた。したがって、それを一本にまとめた方が事業者から見ても非常にわかりやすいものになるのではないかということ。それと、新事業展開のために、新たなビジネスモデルとして新連携という異分野との連携に対する支援策を追加的に講じる、そういうことをあわせて一つの法律にしたわけでございます。

 この法律は、いわゆる業種横断的といいますか、業種一般的にどの中小企業でも、創業から経営革新、それから異分野への新事業展開、そういったような業種横断的な、どの世界でも入っていくときに、自分がどこのステージにいて、どの支援策が使えるのかということをメニューとして一括して見えるようにするために、ある意味で一般法として制定したところでございます。

北神委員 長官、今の話を聞いていると、今回の法案も、やはり少なくとも新連携とかこの辺と一体化してもいいんじゃないか。というのは、今おっしゃったように、使う側にとってもメニューに一覧性が出てくる、ばらばらじゃないということと、支援措置が重複しているから一本にまとめたということですが、今回の法案を見ると、基本的に、地域支援活用プログラム、そして新連携の支援措置をそのまま使っている。あるいは、もちろん拡充をしたりはしておりますが、基本的に同じ支援措置を流用しているということなので、それだったら一本化した方がいいんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどから御説明が不十分で申しわけございませんが、農林漁業に企業感覚をお持ちいただこうという大きな哲学の違いがございまして、それを一つの法律にしてしまうというのは余りにも基本的な考え方が違うというふうに私どもは認識しております。したがいまして、それを別個に出させていただいた、そういうふうに認識しております。

 技術的には、そのほかにも、例えば地域資源でございますと、その地域でしか加工してはいけないとか、そういう制限もあり、そういうのを踏まえまして、哲学の違いを、もともと根本的に違うものですから、それでお出しした次第でございます。

 ただし、委員御指摘のように、お使いになる方々、これは、中小企業の方々、農林漁業者の方々が使い勝手が悪いということになれば、私どもの目的とするところとは離れてしまいますので、現場の運用において、中小企業者あるいは農林漁業者の方が不安とか心配とかされないような、そういう運営を農水省さんとともに一体となって進めていきたいというふうに考えてございます。

北神委員 大臣にもお聞きしたいんですが、さっきの説明で基本的な哲学が違うというふうにおっしゃる。大臣のさっきの話で私もすとんと落ちたんですが、確かに、そういうふうに言われたら、今までのと目的が違うなというふうに思うんですが、でも、法律を見ると、基本的に、そういうことは余り書いていなくて、「地域を支える中小企業者と農林漁業者との連携により、双方の活力を取り戻し、地域経済を活性化」、これが法律上の目的になっているわけですよ。

 大臣の思いとしてあるいは隠れた目的として、農林漁業者に経営マインドを身につけさせるということかもしれないけれども、法制的にはそんなに変わらないはずですよ、新連携と地域資源活用と。だから、それを一本化した方が、さっき中小企業のほかの支援の整理統合でもあったように、利用者から見たら、一本化されてメニューに一覧性があった方がずっと使いやすいはずなので、本当はそうすべきだったんじゃないかというふうに思うんですが、大臣のそのお考えをお聞きしたいと思います。

甘利国務大臣 いわゆる新連携は、業種横断的に企業のライフステージに応じた支援策、創業をする、経営革新をする、新事業展開をする、その業種横断で企業のライフステージに応じた支援をする措置だと思うんですね。その際には、やはり新規性が高いということが求められるわけです。地域資源法の場合もいろいろな業種がありますが、その中で、農林漁業もあります。それは、従来のものじゃなくて、それを加工して、新商品開発をするという要件が加わっています。その素の、そのもの自身というところは外れているわけなんですね。

 私は、そういう素のものも含めて、いいものをつくるということと市場と結びつける感覚を一緒にしなきゃいけないと思うんです。

 これを我が省から出しているから、なかなかわかりづらいと思うんです。理想的に言えば、農水省が、従来はいいものをつくるということの政策はありますけれども、マーケットを見据えてこれをどう商売展開していくかという法律はなかったと思うんです、本当はそれを農水省がつくればわかりやすいというのでは、仕分けはよくできたと思うんです。つまり、一次産業に市場を見据えた感覚を持つ、経営革新という感覚を持つ。

 例えば同じITを使ったトレーサビリティーでも、従来の感覚からすると、消費者に安全ですよということを訴える点ですよね、商売という感覚じゃないですね、厳密に言えば。ところが、マーケットから見れば、いいものでおいしいものというのも売りだけれども、いかに安全が見えるかというのは、実は商品構成の重要な要素なんです、市場を見据えて言えば。そういう感覚で見ると、トレーサビリティーというのは安全性の見える化だけれども、これは商品としての売るための強みなんですね。

 そういう市場を見据えたブランド戦略というかマーケティングというか、そういうところにしっかりと視点を見据えている政策で、我が省から出すために、中小企業と連携するとか、この委員会で取り扱うがための工夫というのがいろいろ必要なわけでして、それゆえにわかりにくさが出たのかなというふうに思っております。

北神委員 非常に本音の話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。そういうことの方が私はわかります。

 多分、今回、一つのみそは、私の地元でも丹波地方という割と農村地帯もあるんですが、そこでもやはり農家の方々と町の商工会の方と余り仲がよくないんですね。大体皆さんの地元はそうだというふうに思うんですが、お互いちょっと距離感がある。今までも、中小企業庁さんの法律とかでは、割とそういう連携できるようになっていたけれども、実際、商工会と農業の方の、農協の青年部の人たちと交流がなかなかできないし、お互い不信感もあったりした。

 今回、大臣がおっしゃるように、農林水産省が出してきたらもっとわかりやすいのですが、これは法律は共管ですからね、農林水産省と共管にすることによって、はっきり言えば農協さんを巻き込んでいく。農協さんを巻き込んでいくと、農家の方もより出やすくなって、中小企業の人たちと連携しやすい環境になる。やはり農協さんの影響力というのは絶大なるものがありますから、農協さんが余り認めていないことを農家の人が勝手にやるというのは、なかなか肩身が狭い思いがあるというところもあるので。

 今回、ある方からいろいろそういう話も聞いたんですが、多分そこにみそがあるのかなというふうに思って、そういういきさつだということでこういう形になっているし、非常にわかりにくい部分がかえって逆に出てきているというのもやはり事実として残るんで、次にお聞きしたいのは、法律を一本化できないということであるならば、やはりPRの部分でわかりやすく説明しないといけないということです。

 パンフレットとかシンポジウムとか、そういう話はいつも出てくるんですが、今回は、やはりその辺の独特のわかりにくさを払拭しないといけない。そういう工夫はどういうことを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

新藤副大臣 私は、法律にのっとって何かをやるのではなくて、何かやりたいことがあって、それをどうやって法律で後押しするか、こういうふうに考えてみると、今まであった法律に足りないところ、また新しく生まれてきたところ、そういったものを支援できるような新しい枠組みをつくって、地域経済の活性化に向けていろいろと複合的に支援する、こういう考え方が大切ではないかな、こういうふうに思っているんです。

 そして、先生が御指摘いただきましたような、どうやって使い勝手をよくするかというのは、今これからつくる地域連携拠点だとか、それからハンズオン支援事務局、こういったものに、法律は幾つもあるけれども、地域連携拠点では従来の支援策、新連携法だとか地域資源活性化法だとか、それに加えて農商工連携のこういう政策もここで受け付けるということで、相談者がとにかくそこへ行ってワンストップで、農水省さん側の機関もあります、我々の機関もあります、そこに来ていただければ、ああ、あなたの場合はこのような制度を使ったらいかがですかという形で使い勝手をよくしたいというのは、支援する側の拠点を有機的に、複合的に活用させることによって補えるのではないか、このように思っておるんです。

北神委員 これからまた質問しようと思っていたワンストップサービスの部分で、地域力連携拠点とか、あるいは農水省の方の食料産業クラスター協議会、あるいはハンズオン事務局ですか、こういうところでわかりやすく説明するという、今、新藤副大臣のお話だったんですが、そこはきめ細かくアドバイスをしたり相談を受けたりしたらいいと思うんですが、そこに来るまでのところがやはり一つの大きなハードルだと思うんですよ。

 というのは、この前も特許の話でしましたけれども、地域の人たちがどのぐらい、農家の方も中小企業の方も、こういう法律が通って、これによってこういう支援措置があるんだと、あるいは、こういう条件で支援措置があるんだということをまず知らさないと、そもそもその拠点に来ることもないだろうし、その協議会に来ることもないということなので、そこをどうやるかがやはり問題だと思うんですね。

 そこに来る方は、まあ、口コミか何か、あるいは特別、政治家と関係があるとか、そういう人が来るというふうに思うんですよ。この法律の条文の目的どおり、やはり地域の活性化につなげるためには、広くそれを知らしめないといけない。そういう意味でのPRというのはどうされているのか、お聞きしたいと思います。

新藤副大臣 ですから、この農商工連携八十八選、こういったもので先進事例を紹介する、それを商工会、商工会議所それから農協、いろいろな関連団体に周知徹底をする、まずそこから始まると思いますね。そしてあわせて、今まさに申し上げたような農協、商工会、会議所、またいろいろな地域活動家、こういったものが参加する地域連携拠点というのを整備する。

 それから、農水省側におきましては、全国四十九カ所で食料産業クラスター、こういったものに農商工連携の機能を入れよう、こういうことで事業の掘り起こしや、それからそのお見合いの場というかマッチングを促進しよう、こういうふうにこれまでも御説明させていただきました。

 これに加えて、商工会、商工会議所が中核となって行う特産品開発を支援する、地域資源全国展開支援事業、こういったものをもう既に十八年度からやっております、商工会や商工会議所がやっております。これに農商工連携の概念も入れて、新しい事業計画を策定するための勉強会ですとか、それから、いろいろな新しい事業を支援する者に対する支援策をつくっていこう、こういったことも考えているわけでございます。

 ですから、今まである既存のいろいろな拠点に今回の農商工連携の機能を入れて、そして全体としてうまくマッチングや事業展開が進むようにしたい、こういうことだと思っております。

北神委員 新藤副大臣が最初におっしゃったように、やりたいことがあるからそれを法律でバックアップするという発想で、やはりできるだけ広く宣伝活動をしていただいて、多分、過去の法律の話を余りしない方がいいと思うので、こういうメニューがありますよということをどんどん広げていただければというふうに思います。

 あともう一つ、これは農水省さんに聞きたいのですが、今回、この法案によって認定された生産者、例えば農業でもいいんですけれども、生産者が支援を受けるというときに、例えば漬物だったら、当然今まで以上の生産をしないといけない、生産を増強しないといけないという部分も出てくると思うんです。

 そういったときに新しく補助金、これは今回の法律のスキームとは関係ない部分だと思いますが、生産をより増強しないといけない、そのときに新たに補助をもらうとかいうことが出てくると思うんです。そういうときに際して、手続を簡素化するとか、あるいは補助金をより出しやすくするとか、そういった工夫も考えておかないといけないというふうに思うんですが、そういう準備はできているんでしょうか。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、この農商工連携法案に関連しまして、二十年度でございますけれども、約百億程度の関連予算を用意させていただいております。

 これは、一つは、委員からも先ほど何回か御発言がありましたコーディネーターの育成の関係でございます。それからもう一つは、新しい商品を開発するには、やはり農業生産者のところもいろいろな工夫をしたり技術の開発が必要でございます。そういう意味では、産学官の連携によります技術開発についての支援をする予算とか、また、地域でいろいろな関係者がお集まりになって地産地消のモデルをつくられる場合の予算とかを用意させていただいております。

 こういう予算を実はこの農商工連携法案の推進とうまく結びつけて、効率的かつ効果的に運営しないといけないと私どもも思っています。

 そういう意味では、何回か御指摘がございました、窓口でもこういう予算がありますよというふうなことをきちんとPRさせていただくとか、あるいは、実際に申請なさるときも、そういうふうな予算を御紹介してうまく連携をして、場合によっては申請のお手伝いもさしあげるとかいうふうなこともしていこうと思っています。

北神委員 ぜひその辺、きめ細かい対応をしていただきたいと思います。せっかくこのスキームで生産が伸びるというときに、そこをまたさらにサポートしていただける方がこの趣旨にかなっていると思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 余り時間がなくなってきましたので、ちょっと飛ばします。

 地元の話なんですが、漬物屋さんの関係で、彼らがちょっと心配しているのは、今回の法案の話は、やはりPR不足というか、まだ成立していないからしようがないのかもしれませんが、そういう話も知らなかったということはあったんですが、彼らが言うには、そういうこともありがたい話ではあるけれども、今、ギョーザ問題とかで中国からの原材料となる農産品の輸入が非常に減っている。それはそれで食の安全の観点からはしようがないのかもしれないけれども、自分たち、京都の漬物屋さんは割と地元の野菜に頼っているんですが、全国的にはやはり中国の野菜を加工しているところも結構ある。

 私、資料にも出したんですけれども、二割ぐらいなんです。だから、全体の食料自給率からいえば、漬物業界とかはちゃんと自給率が高い分野だというふうに思うんです。でも、現場の地元の声としては、そうなってくると、やはり国産の野菜の方にみんな大転換をしている。そして、そういう中で、今までも既に農家の担い手不足とかそういった問題で食料の安定供給というものが非常に不安だ、その上に今度、中国のこの問題で輸入が激減しているから、ことしの一月、二月に入って二割ぐらい減っているんですかね、一月に一割、二月に二割ぐらい減っているんですが、それに対して非常に不安がある。だから、こういう連携をしてもどこまで野菜の安定供給が図られるのか、その辺をむしろしっかりやってほしいという声があったんですが、この点について農水省の方はどうでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 中国からの農産物輸入でございますけれども、今お話がございましたように、冷凍ギョーザ問題がありましてから輸入が大変減ってきております。これには、中国の検疫当局の方で輸出検疫を徹底してやるという体制がとられているようなことがございますし、また一方で、我が国の消費者の方がやはり中国の食品に対する買い控え傾向というのがございまして、それを懸念した商社等が輸入を控えているというような事情も背景にあろうかと思います。品目によってかなり状況は異なっておりますけれども、特に生鮮野菜等については大きく減少しているという状況でございます。

 今後の見通しでございますけれども、中国側も検疫に対する対応が地域や品目によってまた違っているといったようなこともございますし、その内容、期間等がどうなるかということの影響、また、我が国の消費者の中国産食品に対する買い控え傾向といったものがどの程度、今後どうなるかといったようなこと等で、現時点で確定的なことはなかなか申し上げられないという状況でございます。

 農林水産省としましては、こういった状況を踏まえまして、まず何よりも、加工、外食用も含めまして国内での対応をきちんと強化するということをしっかりやっていきたいと思っておりますけれども、中国からの輸入の割合が特に高い品目もいろいろございますので、我々としては、必要な輸入が確保できるように、引き続き、関係業界等とも連携をして、事実関係を把握したりして情報把握に努めていきたいというふうに考えております。

北神委員 ぜひそこをよろしくお願いしたいと思います。

 副大臣、せっかく来ていただいているので、ぜひ副大臣も認識していただくのと、大臣にもぜひ伝えてほしいのは、今回の農商工連携の法案がうまくいけば、中小企業もそうですし、農業の活性化にも非常につながる。ただ、その場合、安定供給という部分が農林業の行政そのものとしてうまくいっていなければ前提が崩れちゃうという意味で、さらにそこを強化していただきたいということをお伝えしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

今村副大臣 食の安全、安心ということは、量の確保とともに大変大きなことでございます。そういったニーズを受けまして、国内の野菜の生産につきましても、ぜひ安定的な、しかもコストの安い供給体制をつくっていく、そしてまた、あわせて、付加価値をつけてやっていくということが農家の所得向上にもつながっていくし、また地域の活性化にもつながっていくわけでございますので、そういった総合的な観点からしっかり取り組んでいきますし、そういう意味では今回の法案は大きな力を発揮するんじゃないかなというふうに期待をしているところでございます。

北神委員 力強い言葉、ありがとうございました。ぜひ大臣にもそれを伝えていただきたいというふうに思います。

 それで、もう少ししか時間がございませんので、マッチングの話をちょっとさせていただきたいと思うんです。

 この法案、マッチングが一番大事だ。これは、以前、たしか中小企業のものづくり法案ですかね、川上、川下の中小企業と大企業とのマッチングの法案が昔あったんですが、二年前かな、そのときにも話をさせてもらったんですが、昔だったら、地元の金融機関とかが非常に中小企業の面倒を見ていた。それがだんだんやはり希薄になってきた。あるいは、商社も割と中小企業を育てたりしていた。これも、やはり厳しい情勢の中でそういうことがなくなってきた。そういう意味で、マッチングというものは非常に大事になってくるというふうに思うんです。

 今回、さっきの話、地域力連携拠点、そして食料産業クラスター協議会という二つの部署でマッチングをやるということになっておるんですが、食料産業クラスター協議会というのは今まで既にあるもので、基本的に農業を中心にしたものだというふうに理解しております。

 ですから、今回、地域力連携拠点というものが非常に大事になってくると思うんですが、これがさっきの質問にもあったように公募制だ、既に公募をし始めていると。公募ということは強制力がないわけですよね。だから、極端な話を言えば、応募がゼロだったらゼロの地域も出てくる可能性もあるという、その辺がどうなっているのかなということが心配なので、さっき、既に応募し始めているという話だったので、その今の進捗状況とかその辺をお聞かせ願えればと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 地域力連携拠点、全国で二百から三百カ所ということで、今公募中でございます。締め切りが来週月曜日の二十一日というふうに設定して公募をやっております。

 ただし、我々、委員御指摘のような懸念が生じないように、公募を行うに当たりましては、早い段階から、私どもの経済産業局あるいは地方自治体を通じて、こういう事業をやりますというふうなことを万全に周知し、中小企業支援機関、これは金融機関含めてでございますが、そういうところにも幅広く情報提供をいたしております。

 したがいまして、委員御懸念のようなことが起こらないというふうに私ども考えておりますけれども、いずれにしても、そういうところでの支援能力というんですか、差が生じないように、研修等々を通じながら、全国的に、中小企業の方あるいは農林漁業の方、行かれれば同じようなサービスが受けられて満足が得られるというふうな体制づくりに努めていきたいと考えてございます。

北神委員 ぜひ偏在が生じないようにお願いをしたいと思います。

 あともう一つお聞きしたいのは、マッチングで、一つは、クラスター協議会と地域力連携拠点、この二つのところでマッチングをする。これはそれぞれ独自にやってもいいんだろうけれども、やはり、マッチングというのはできるだけ多くの情報があった方がいい。そういう意味で、その二つのところで勝手にやるんじゃなくて、お互い情報を共有し合うべきだというふうに思うんですが、その辺、クラスターはもう既にあるものですから、そこにもうノウハウも蓄積していると思います、例えばそういうのを人材交流で生かすということも考えられますし、連携をとにかく図ってほしい。

 もう一つは、私もいろいろな現場の企業の方に聞くと、マッチングで一番実績があるのはやはり金融機関だ、地元の地銀とか信金とかそういうところだと。そういうところが日本では、優越的地位の濫用とかということで金融庁の厳しい目も光っておりますから、本当だったら、欧米だったら、マッチングをするときにコンサルタントフィーみたいなものを払っていくということが慣習になっているんですが、それがなかなか定着をしない。だから、そういう意味で、今回のスキームで、金融機関からマッチングのサービスを受けたときにちゃんとそのコンサルタントフィーの補助もできるような、そういうこともあわせて考える方がいいと思うんですよ。というのは、新しく地域力拠点とかをつくるのもいいんだけれども、やはりもちはもち屋で、今までちゃんとマッチングをずっとやってきた地域の金融機関とかこの辺を活用する方が効率がいいというふうに思うので。

 その二点についてお聞きしたいと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 地域力連携拠点、先ほど申しましたように、拠点にメニューを入れる、そこには農協はもちろんですが、金融機関も入っていただきたいということで、今公募をやっておりますが、金融機関というのも明示して、入っております。地域の信金や地銀、信組さんもリレバンということをここ数年来進めておられまして、その地域で新しい事業を起こして、銀行にとっては、新規需要先を育てていくというのは非常に重要なことになっています。

 農商工に限らず、ものづくりとかいろいろな分野で、金融機関と私ども中小企業行政、一体とまではまだ言い切れませんけれども、連携は各局でもう相当やっておりますので、この農商工連携につきましても、金融機関のお力を最大限に使わせていただいて、コンサルタントフィーを払うというわけにはちょっといかぬかもわかりませんが、そういうことで進めていきたいなと。

 それから、食料品クラスターの方は既に実績がおありになります。これは連携拠点含めまして、各局で、私ども、農政局、それから地方自治体、中小企業等々、支援機関がございますので、協議会のようなものもつくって、密接な情報交換を進めまして、この農商工連携が一つでも成功事例が多くなるようなきめの細かい対応をしていきたいと考えてございます。

北神委員 マッチングこそがこの法律の根幹ですので、ぜひそこのところに力を入れていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、質問がまだたくさん残っておるんですが、終わらせていただきます。ありがとうございました。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、連日お疲れさまです。きょうは、ちょっとやりにくいところがあるんですが、大臣をメーンにお願いします。きょう大臣は体調も悪そうですから、今回の農商工連携、冒頭と最後だけお聞きをいたしたいと思います。

 ある意味では、歴史的な連携の仕組みかなというふうに評価をする部分があります。ただし、やはりこれは、同僚議員からもお話があったように、若干遅きに失したかなという感もございます。

 私も以前農林省に奉職をさせていただいた経験からいっても、当時の通産省と農林省の連携というのは、連携とはほど遠い形で、むしろ対立の構図を国内でやっていたような感じがいたします。そんな中で、この連携の法律を今審議しているというのは、私は、多分、中小企業の経営者の方、特に自営業の方々、そして農業経営者の方々、農家の方々も、本当にぎりぎりのところまで、厳しい経済的な環境になってしまった。これは、以前から、中小経営、自営業の方々のお話もさせていただいていますが、この十年近くで、自営業、個人経営の方も所得が半減をし、農家の方々も、常に国内の需給の環境で、価格が低迷をしたり、そして所得も減少し、後継者が育たない。所得が減少していることと後継者が育っていないということは、中小企業また農林業というのは、多分共通の課題があるというふうに思っています。

 この課題をどう解決するかということで、百二十七年ぶりとは言いませんが、農商務省がスタートをしたとき、当時は、言うまでもなく、農業そしてその加工業が中心になって外貨を稼ぎ、蓄積をし、そして、一九二五年まで一緒の省で、殖産興業、富国強兵という形で対応してきましたが、当時、農林省と商工省に分かれた経緯も、大臣も御案内のとおり、米の価格の下落、米が足りないという消費者と生産者のはざまに挟まれて、分割をし、農家、農業者の味方は農林省で、そうではないところが商工省という形で、一九二五年、大正の米騒動の前後に多分そういう形になったというふうに記憶をしています。

 それから戦後の部分を考えると、一時一体化をしたことはありましたけれども、それは戦時中ということで本当にイレギュラーなことでありましたけれども、今回の連携も、この法目的にあるように、少なくとも、経産省の非常に大きなウエートを持つ中小企業庁の施策と農水省の施策が連携をしながら、中小企業経営者並びに農業者の皆さん方がより発展をしていくということは大変喜ばしいと思います。

 ただ、大臣、私はこの施策を、これも同僚議員から多分何回か御質問が出ているかもしれませんが、百億、百億、両省トータルで二百億だというふうに言っても、大変申しわけないんですが、これは今までの施策の継ぎはぎと言うと、これまた大臣に大変怒られるかもしれませんし、農林省の先輩方に怒られますが、やはりパッチワークみたいな感じがしてならないんです。従来からの継続性は確かにあります。ただし、これが本当に新機軸だというものが私の目からはやはり見受けられないんです、私の目がちょっと節穴かもしれませんが。

 そういう部分で、これをどう生かすかということを、細かな質疑というか技術的な部分も含めて質疑を通じて明らかにしながら、最後に大臣にまたお尋ねをします。

 私は、ある意味で歴史的な和解だと思っているんですが、そういう部分で、この連携というものが、なぜ今、そして、その必要性を含めて、大臣が閣議の中で、農林大臣も含めて、印を押すのかサインをするのかよく知りませんけれども、きちっと閣議で決定をされたというふうに大臣自身がお考えになっているのか。まず冒頭、私が言った過去の歴史的な経緯も含めて、大臣の見解をお尋ねしたいと思います。

甘利国務大臣 まず、地域の経済状況を見ますと、月例経済報告等でいつも報告されるのは、この地域は有効求人倍率がこうであります、この地域はこうです、なぜならば、有効求人倍率が高いところは自動車産業を中心とする部品産業があるからです、有効求人倍率が悪いところは一次産業や建設業に依存しているからですという報告になるんですね。建設業は別として、一次産業があるところは地域経済が振興していかない、構造的要因でしようがないんだで終わっちゃうわけなんです。そうじゃなくて、だったら、それを元気にするという手を打たないとこれは抜本策にならないじゃないかというのが、私がずっと抱いてきた思いなんですね。

 地方というのは、一次産業、それからその原材料調達の有利性を生かした食品加工産業、そういうものが中心の地域でありまして、そういったものにどう付加価値をつけていくか。つまり、それは、生産性を上げていくということと高付加価値化をしていくということだと思うんでありますけれども、そのために新しい感覚で取り組まなきゃいけないんだという問題意識なんですね。

 経済産業省の政策というのは、いろいろな産業をどう攻めていくかという言葉がすぐつながってくるんですね。農業というと、どう守るか。こっちはどう攻めるか。農業はどう守るか。守るかということは、現状よりも少なくなるのを極力遅くするということですよね。農業を攻めるという発想がないと一次産業振興はできないし、一次産業に依存している地域振興は永遠にできないということになってしまうわけであります。

 日本の一次産品の優秀性というのは、外へ出てみるとわかりますけれども、すごく評価されているんです。日本の農産品のファンというのは物すごく多いです。もちろん、価格的に言えば高いですから、買える層というのは限定されていますけれども、しかしそれだって、六十億の人口から見れば、幾ら生産しても間に合わないだけのマーケットはあるはずなんですね。そういう視点から、農水、経産両省のコラボレーションというのはできるはずだというふうに思ったわけであります。

 まず、一次産業に携わる方々というのは、いいものをつくる勘と経験においてだれにも負けない、それは立派な感覚だと思うんです。ただ、どう業を経営していくかということについては、自分の範疇ではないと思う人が多い。そこに企業経営の感覚というものを持ち込む。それになれてもらうということ。それは、マーケットとつながるということが大事で、商業者あるいは工業者と連携することによってそういう視点が覚せいされるという点があると思うんですね。

 それで、一次、二次、三次というものをつなげる、農商工連携、つなげるというのは、攻めていくという感覚を持つということと、もちろんそのために、市場が求めるような製品、産品をつくっていく。つまり今までは、いいものをつくってさえいれば評価されるんだという感覚、これは大事ですけれども、市場が求めるものは何かという、市場からフィードバックしてそれをつくっていくという感覚も持ってもらう必要があるわけですね。

 そういうことで、一次、二次、三次産業をつなげることによって、一次産業が抱えている課題の分析を認識できると思うんです。その処方せんが描けるのではないかというのが一番の視点でありまして、だから、日本の農業というのは、守る、守るというのは何か。競争をすると劣後しちゃうからできるだけ守ってあげるんだという感覚につながっちゃうと思うんですけれども、勝てるんだ、攻めていけるんだ、そういう自信を持って、では、よさをどうやってマーケットにつないでいくかという手法を開拓しようよ、そういう感性が大事だと思ってこれを提案したわけであります。

    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕

後藤(斎)委員 私も大臣と同感で、後で技術的な課題も含めてお話をします。

 大臣、実は私も農家の次男坊で、当時私が生まれたときには多分六百万農家くらいが全国であり、それが今総農家数も半減をしている、特に農家人口という世帯も含めた人口では、一千二百万人近くから今三百万人強ですか、それも四分の一くらいになっているというふうなことであります。

 ある意味では、ここまで減少したのは、これは中小企業の個人企業という面で大臣もおっしゃられたように、企業的な視点というもの、確かにうちのおやじやおふくろを思い出しても、そういう視点があったかどうかというのを考えれば若干クエスチョンマークがつくんですが、ただし、中小企業いわゆる個人企業、自営業の部分もこの二十年間を見れば、企業数は当然減少し、そこでお勤めになっている方も減少している。冒頭私がお話をしましたように、多分同じような構造を抱えている。

 ただし、農業は農業で、中小企業の個人企業は個人企業ということで、今まで分離をされておる。これがいずれかの時代に、五年後なのか十年後かよくわかりませんが、大臣が最後におっしゃったように、統計的にもいろいろな分析をし、そしてもちろん、国内で売れるものはきちっと消費者の皆さん方に買っていただく努力、そして海外の市場に向けてもという、多分いろいろな部分で二層性、三層性の、農業や中小企業、特に自営業の皆さん方の思いがそういう方向になっていくかどうかというのが私は一番大切だと思うんです。

 大臣はこれ以上ちょっと、体調が悪そうですから少しお休みになっていただいて結構ですが、ちょっと耳だけ対応していてください。

 今回の問題が、例えば霞が関のレベルで経産省と農水省が連携をしたといっても、実際地方の農政局や経済産業局も、大臣の御指示や農水大臣の御指示であれば当然言うことは聞く。ただし、やはり先ほどもちょっと別途の話がありましたが、自治体がこれにどう絡むのかというのが、この法律の構成を見ても、基本方針を主務大臣がお決めになる、そして事業計画を従来と同じように市町村や県を通じて出してくるという仕組みは多分変わっていないですよね。

 ということは、やはり自治体、特に県の機能が非常に私は重要だと思って、これは以前中小企業庁の方にもお話をさせていただきましたが、昨年、私は、本当に地域資源活性化法というのは非常にいいプログラムであって、あれができていけば本当に農林業の方々も非常にプラスになっていくなというふうな思いをしました。

 ただし、今まで霞が関の縦割りの構図が、自治体、特に県の部分でいくと、どこの県とは申しませんが、農政部と商工部、商工観光部みたいなものはやはり別々の組織でなかなか連携がない。どちらかの担当者がよっぽど一生懸命意識を持ってやらない限り、施策のこういうのもあるよみたいな話をしながら底上げをしようという意識に、これはその個人の意識なのかどうか僕はよくわかりませんが、やはりそこの部分をきちっと連携してもらうということを、国と地方は対等だということですから、大臣や農林大臣から指導するというわけにはなかなかいかないかもしれませんが、何らかの形でそこの連携をきちっとしない限り、やはり今回のものも、絵にかいたもちとは言いませんけれども、国レベルではそれなりの人の技術やいろいろな情報や制度の連携や交流というものがあっても、現場の部分でそれをアドバイスするような方、民間のアドバイザーが確かにいるかもしれませんが、それだけではだめで、その人はやはり間接なんですね。やはり、行政組織という中で対応しなければという思いが、まだ個人の自営業者の方にも農家の方々にも多少あるんです。

 その壁というもの、境をどう取り除くかということが私は大切だと思うんですが、その点については、長官、よろしくお願いします。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 農商工連携を円滑に推進していくということで、特に事業者の方々、中小企業の方々、農林漁業者の方々に不都合なく、あるいはスムーズに本制度を活用していただきますように、この認定を初め、私ども経産局と農政局とワンストップで対応するというのは非常に重要なことでありまして、申請者がどちらかの身近な窓口に申請すれば、従来の、先生御指摘のような壁を越えて、ワンストップで責任を持って手続が進められるというようなことにしております。

 加えまして、自治体との連携というのも非常に重要だというふうに承知しています。既に、本年二月から三月にかけまして、都道府県の商工担当の職員と農政担当の職員を対象に、各地域で説明会を精力的に行ってきておりまして、十分な情報提供とか意見交換、こういうのを進めているところでございます。

 今後につきましては、この法案が成立した後になろうかと思いますが、私ども、農政局、経産局両局に加えまして、整備機構あるいは地方自治体を交えて連絡協議会のようなものを設置して、国レベルで行政の壁がなくなる、県レベルにおいても商工関係と農政関係の壁がより低くなるように、そういう意味で、支援ノウハウにつきまして情報共有を図り、政策効果を高めていきたいというふうなことを考えております。私ども経済産業省、農林水産省一緒になって、その辺非常に重要な点でございますので、対応していきたいと思っております。

後藤(斎)委員 先ほども御指摘をさせてもらったように、多分、個人の自営業者の方も農家の方も、なぜ後継者が育てられないかというのは、やはりもうからない。もうかるというのは、べらぼうにもうけるということではありませんが、やはり所得が生活するに十二分でないということで、戦後の歴史というのは、農業人口から工業やサービス業への人口移動が起こって今に至っているという。

 農林省の方から資料をいただきまして、農業所得は二〇〇五年で百二十四万円、これは全国平均です。専業農家という言い方は今しないようでありますが、主業農家の方の平均が四百十四万円ということであります。

 この原因というか、要するに所得というのは、当然、単価と収量を農作物であれば掛けて、トータルの売り上げがどうなるか、それに生産費みたいなコストを引くということで、これが総所得でも出てくるわけですけれども、この所得を上げるときに多分二つあると思うんですね。

 要するに、単価を上げること、これは出荷単価、小売単価の方は直接連動しません、上げることと、あと十アール当たりの収量、要するに総量を上げていくということだと思うんですね。

 ただし、野菜も果物も、今はお米もそうですが、短期的というか日々の需給で単価が変わってしまうというところにネックが当然あって、本当にことし一年間どれだけの収入、所得が確保できるかというのは農家の皆さんにはわからない。これは自営業の皆さん方にも、今はなかなかサービス業、お店とかは非常に厳しいですから、わからない。

 十アール当たりの例えば生産量というのを、例えば水稲であればこの三十年間で、一九七五年と二〇〇五年を比較すると、二〇〇五年が一反当たり平均で五百三十二キロということですから、三十年前よりも五十キロくらいふえているんですが、例えばナスとかリンゴとかいうのは、むしろ単収についてはほぼふえていない。

 農水省の方にこれからちょっとメーンにお尋ねをしますが、今までの農政の仕組みというのは、むしろ生産量をふやさなくても単価を上げるような施策を、米の生産調整についてもそうですし、ほかの産品についてもできるだけ、自分のところはふえた方がいいけれども、よその地域は、例えば災害があって減少した方が当然自分はもうかる。いろいろな部分がやはり地域性というものがあって、それで卸売市場みたいな地域市場というものがあって、そこで例えば青果、野菜や果物であれば値が決められたという仕組みからどう脱皮するかというのは農水省も御努力をされていますが、なかなか答えがやはり見つからないわけですね。

 ですから、例えば今国内的には食料自給率が四〇%を切り三九にカロリーベースでなっているといっても、実際、農家の皆さんから見れば、短期的な部分では、自分たちの価格が上がらない、幾ら一生懸命つくっても所得が入らない、もうやめちゃおうかと。この悪の循環なわけですね。マクロベース、国家レベルで見れば、食料自給率をもっと上げなきゃいけないよねというふうに言っても、実際そこでつくっている方々はそうは思わないわけですよ。そこのギャップをどう埋めるかということで、大臣の答えの多分一つ、私もそう思っていますけれども、輸出という解があるんだったら、それに特化をする。

 そしてもう一つ、これはこの経産委員会でも大臣に何度かお話をさせていただいていますが、バイオというエネルギーの部門で、今まで食料にしか回らなかった穀物が燃料になるという新たな答えがあるわけですね。

 でも、この輸出と燃料用の農作物をつくるという答えは、生産性というか収量が上がらないとペイしない、市場に受け入れられないというその二つがある。さっき大臣もおっしゃられたように、いいものであってもなかなかその値段も、でも、それが徐々に中国や台湾や韓国、アジアの諸国中心に所得が上がってきた。そこにやっと追いついたわけですね。

 二十年前から、私が農林省にいさせていただいたときから、輸出化ということはしようとしましたが、なかなか受け入れられなかった。当時は、干しシイタケとミカンとリンゴとナシの多分四品目くらいをどうするかということだったんです。

 でも、それが、日本だけが、これは以前にも大臣に、この十年間、国内総生産は実はやはり伸びてこなかった。OECDの中で十八番目、一人当たりの国民所得は低くなってしまった。その逆相関の部分で、アジアの諸国の所得富裕層がふえてきた。それに対して、今は高いけれども何とか売れる。でも、収量をふやしていけば、その部分は今と同じか、若干、二割、三割下げても売れていくということになるし、例えばバイオでも、さっきの米の五百キロじゃありませんけれども、今、茎の部分まで含めれば、稲穂だけじゃありませんよ、茎の部分まで含めると二トンまで収量がとれるという品種が開発できたという話を聞いています。

 まだこれがなかなか安定せずに、試験場レベルというお話なんですが、例えば、これを五トンに上げていけば、今の主食用のお米の十分の一の金額になっても、主食用と同じような所得が確保できる、農家の皆さんからいえば。そういう努力をこの収量の部分で、多分これだけバイオもできて、ちょっと品質や安全性の部分については後で触れますが、やはり量をまずふやしていこうと。

 今まで食料だと、要するに主食用、口に入る生食用というものがやはりメーンで、野菜も果物も米もいろいろなものが、いわゆる農産物というものは語られてきた。それが違った切り口が出てきたということに着目をし、私は、この施策の連携をだれとするかというマッチングをしてもらいたいと思うんです。

 それが多分、後でお聞きをしますが、事業認定、基本方針を具体的にどんな形でつくられるのか、そこの中で、事業計画に基づいて認定をどう大臣や農林大臣が一緒になさるのかというところに尽きると思うんです。限られた二百億の両省の予算ですし、今までの継続の部分が山ほどありますから、実際、真水の部分というのは多分少ないと思うんですよ。

 こういう部分をどう生かすかというのは、そういう視点も含めてだと思うんです。

 ちょっと長くなって恐縮だったんですが、農水省の方にお尋ねをしたいんですが、生産量、特にバイオの技術を極力使って生産量をふやすという技術開発についてはどこまでできているのか、お尋ねをしたいと思います。

塚本政府参考人 単収の御質問でございますけれども、農業の将来展望を開きまして、将来の国際食料需給の変動に備えるために、先ほどお話がございましたバイオマス、それからえさといった主食用以外の需要に積極的に対応する必要があると考えておるところでございます。

 我が国では、平成三年からイネゲノム研究というものを開始いたしまして、十六年にはイネゲノムの完全解読を達成いたしております。これまでに、約百の遺伝子機能の解明にも成功してきているというところでございます。

 こうしたイネゲノム研究の成果を活用しまして、今年度から新農業展開ゲノムプロジェクトを立ち上げて、国内外の食料、それから環境・エネルギー問題の解決に貢献する作物開発を行う研究を進めているところでございます。

 このプロジェクトの目標でございますけれども、米について例を挙げますと、五年後には一トンの収穫、さらに十年後には一・五トンといったことを目標に、多収米の開発に取り組んでいるところでございます。

後藤(斎)委員 済みません、今の多収米は、多収量米じゃなくて茎の部分も含めたやつですか。

塚本政府参考人 ただいま申し上げましたのは、収量としては米の部分、食べる部分で、研究としては、バイオマスなどを含めて、茎も含めて全体としてやっているということでございます。

後藤(斎)委員 ちょうどきょうの農業新聞の中に、奈良先端科学技術大学院大学のバイオサイエンス研究科の横田先生が「光合成と農業」というのを書かれておりまして、要すれば、植物が実をつけるときに環境ストレスがかかるそうなんです。遺伝子組み換えをするとその環境ストレス部分が減って、最大生産可能力の部分、要するに生産力の強化をする、単収がふえるというのがもう実験レベルでは可能になってきたという記事が実は載っておりました。

 この横田先生もお話をしているんですが、食料自給率、カロリーベースで今三九でありますが、植物バイオのレベルでは技術的に倍化、要するに自給率を数量的に倍にするのは可能だという記事で、それは、遺伝子を組み換えることで環境ストレスを減少するという技術開発に成功されたという記事で、私、非常におもしろいなと。私もいつもストレスがたまっているんですが、大臣も多分そうだと。

 やはりこういうストレス、植物もよく、おまえはきれいだね、きれいだねと花に声をかけると、ちょっと変なところもあるんですが、成長が早くなって元気よくなるという話も聞いています。

 例えば、以前の記事でありますが、米から薬品を製造するという、これは今、コレラ菌をお米の中に入れ込んでワクチンをつくる。何でお米がいいかというと、私も専門家ではありませんけれども、米はたんぱく質を安定的に保存する微小な組織がある、どこにあるのかはよくわかりませんけれども。これは、産総研の松村先生がいろいろ研究をなさっているようであります。

 工場の設備や完全制御のコストはかかるけれども、植物の薬効成分の生産効率が高いため、ほかの手法で合成するよりもコストが百分の一となる、そういう優位性を強調しているということで、これも以前同僚議員からもお話があったように、研究機関同士でもこういう新しいもの、大臣も多分花粉症だというふうにあるところからお聞きをしましたが、私も大変ひどい花粉症で、きょうはまだいい方なんですが、今、全国で二千五百万人くらいいると。

 これもちょっと農水省の方に質問通告をしていなくて、こういう対応ができたらしていただきたいんですが、お米も機能性米と称して、もう今試験場レベルでは、マウスとかでは成功して、今年度から薬事法の人体実験というのか、人に対する最後の部分。これが成功すると、花粉症が軽減するお米、要するに薬としてのお米ができる。これも五年以内だというふうにお聞きをしています。

 後で言おうと思ったんですが、時間がどんどんなくなってきますから一緒にお聞きをしてしまうと、お茶も、花粉症が軽減するお茶というのを開発されているのを御存じですか。メチル化カテキン茶というので、どこかというふうには言いませんけれども、これを飲むと花粉症緩和作用が期待されるというものがあるんですね。

 私なんかもっといいのは、やせるお米とか、言ったら笑われましたけれども、頭がよくなるお米とか、私たちが今欲しているものに品種改良であるとか、遺伝子組み換えというのはなかなか消費者の方にはすべてが今すぐイエスというふうには言えない部分が確かにあるのは承知をしていますが、やはり大臣が冒頭おっしゃられたように、需要があるところ、必要性があるところ、そこに今までの主食、要するに生食用だけということで考えていくと、なかなかそうではない。

 先ほどもお尋ねをして、そうではない方向にこれから多分農水省自体も大きく変わっていっていただけるというふうに私は確信をしていますが、ぜひそんな形での品種改良や技術開発、それを輸出や例えばバイオにも使う、そしてそれが結果として農家の方にも当然プラスになる、あわせて消費者の方にもプラスになる。

 世界が、これから中国が食料をのみ込む時代に、今もなっていますし、これからもっと進んでいくかもしれません。そういう世界の食料需給という部分を考えるときにも、私は自給率を上げるということが全然メーンではないと思っていて、技術や土地や人というものをどんな形で維持していくか、それを発展させていくかというところにやはり力点を置かなければいけないというふうに思っていますけれども、農水省の方から総括で結構ですが、だれかコメントをいただければと思います。

塚本政府参考人 先ほどの新農業展開のゲノムプロジェクトの中でも食料以外の、先ほども申し上げましたけれども、環境の浄化をするような作物とか、それからエネルギー、エタノール生産とかこういうところに役に立つような、バイオマスが非常に高いものを作物開発していこうというのがございます。

 それから、先ほど少しお話がございましたが、花粉症の関係の機能性を持ったお米ということですけれども、これについて、お話がございましたように医薬品という取り扱いということになっておりまして、先生おっしゃられたとおり、実用化段階に移行していくには人間の方で治験をする必要がございます。こういったことで、現在、パートナーとなります製薬会社、こういうところが実際に治験をしていただかなければいけないので、こういったところを募っているというような状況で、少し時間がかかるというふうに考えております。

後藤(斎)委員 わかりました。ありがとうございます。

 大臣、大臣でなくても結構なんですが、多分これから消費者の皆さんや、輸出化をしていくときに大切な視点というものは、所得を確保する前提でもあるコストをどれだけ下げていくか。

 農水省の方に資料をいただきまして、私も初めておととい拝見したんですが、食料供給コスト縮減アクションプログラムというのを平成十八年に策定をし、昨年の四月に改定をなさっています。これは大臣、ぜひ、大臣からの答弁を求めませんが、これこそがまず、私はこの農商工連携の中で、実は経産省も含めてやっていただきたいことがいっぱいあります。

 と申しますのは、生産段階でコストを下げるのも、もちろん、生産性を上げて労賃は下げること、そして原材料の資材、例えば肥料であるとか農薬であるとか、そのコストを下げること、そういうものを通じて出荷をし、そして流通段階で、当然そこで、これは燃料もそうですし、大臣にとって直接の所管ではありませんが、トラックの運賃がどうなるかということも含めての物流コスト、それと今度小売業の段階へ行って、今マイバッグみたいなことでコストを下げる努力をしていますけれども、やはり生産、流通、小売という中で、これは非常にいいことが書いてあって、五年間で二割のコストを下げよう、縮減しようという大きな目標を掲げています。

 やはり、原材料、今肥料も農薬も上がっている、海上輸送賃も非常に上がっている、トラック運賃も上がっているという中でこのアクションプランが、五年というのは多分平成二十五年か二十四年だと思うんですが、それを今問おうとはしませんけれども、やはりこのアクションプランがどう成功するかによって、輸出をするコストも安くなっていくかどうか、要するに輸出化というものが成功するかどうか、そして国内の消費者の皆さん方にも、今まで野菜や野菜の加工品も含めて中国やアジアの諸国から輸入してきたものを、そうではない仕組みを通じて、これは規格であるとか出荷時期であるとかいろいろなものがあるかもしれませんが、いわゆる総体的にこのアクションプログラムが成功するかどうかというのが非常に大切だと私は思うんです。

 その点について、私は、農水省としてぜひこれをきちっとやっていただきたいという思いを込めて、まず農水省の方から一言御答弁をお願いいたします。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の食料供給コスト縮減対策でございます。

 これは、御指摘のように、五年の間に二割を削減とする目標を設定しておりまして、取り組んでおります。

 その中身は、委員今幾つか御指摘ございましたけれども、まずは、生産段階にかかりますいろいろな管理コストあるいは資材コストを下げていこうというふうなことでございます。それからまた、流通段階、物流コストあるいは小売段階のコストがそれぞれかかっております。さらにはまた、加工段階のコストもいろいろかかっております。そういうもろもろのコストを整理いたしまして、今、私ども百八つの課題を整理しております。

 それぞれ、五年間で目標を設定しまして取り組んでおりますので、これをぜひきちんと成果あるものにして、委員御指摘のように、農業者の価格競争力あるいは所得向上につながり、また消費者からきちんと評価されるものにしていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、時間があるときで結構ですから、上の方の十何枚を読むと大体総括がわかります。ぜひごらんになっていただきたいのは、実は四ページに、重点的に取り組む課題というのがあります。

 その中で、今まで、去年の四月というのはこの連携法案、そういうものができていなかったのは当然ですが、これからの仕組みとして、例えばビニールハウスのビニールを開発するときに、もちろん農水省からのあれもありますけれども、そういう資材の部分をどうするかとか、農水省だけで解決できないのは、この中にも、関係省庁と連携した取り組みを行っていくということが明示をされているので、ぜひ私は、これは今までの省益というある意味では、別に専門家の皆さん方がそれぞれの知見の中で切磋琢磨してもらうのは、以前も大臣にお話をしたように、私は正しいと思うし、それはいいと思うんです。ただし、今はもう食料という問題はエネルギーにもなってしまう。今まで国内だけで自己完結をしたものが海外にも行く。

 私もジェトロにも三年間いさせていただきましたけれども、そこでは、当時の通産省から来た方々も建設省から来た方も仲よく私はやってきたつもりですけれども、そう思っていない人ももしかしたらいるかもしれません。それはちょっとおいておいて、やはりいろいろな部分で交流をしながら連携をするということが大切で、やはりここは、中小企業も農業も林業ももう待ったなしなんですね。

 だから、冒頭も私が、この連携法案ができたのは、もうぎりぎりまで、もうあと本当にないよ、もうこれからは前に攻めるしかないよということで大臣もお答えいただいたような部分があると僕は思うんです、実際。余り向こうを見ると後で怒られますから、こっちの方だけ見ていますけれども。

 そういうふうに私は実は思っていまして、このアクションプログラム実現のためにも、ぜひ私は、農林省にもお願いをしたいのは、この連携法案はいずれ通過をするでしょう。可決をされた以降の形になるときには経産省とも連携をして、これを五年以内というのはもう待ったなしですから。もうあっという間ですね、五年なんて。花粉症が軽減する花粉症米が、お米の形状をしているようでありますけれども、それが市場に出るのも、今、薬事法の世界に入ったというお答えでしたけれども、五年を大体めどにというお話を聞いていますので、それと同じように、やはり明るい部分を持ってやらないと、何かすごくどよんとしても嫌ですからということをぜひ農水省の方にもお願いしておきたいと思います。

 それともう一つ、今、品種改良、これは輸出化という観点ではなくて、消費者の皆さん方に特に受け入れてもらいたいという部分もあって、当然品種改良の御努力をされております。

 以前であれば、品種改良というのはお米が中心でしたが、今は、資料を見させていただきましたら、花であるとか観賞用の木というのがかなりのウエート、ほぼ八割くらいが品種改良の出願とか登録という部分になっています。

 これは、新しいもの、消費者の皆さん方に受け入れられるものをつくっていく、生産をしていくという努力は大切だと思うんですが、去年のこの経産委員会でもお話をさせていただいたように、余りにも新製品や新商品というものだけにコストをかけると、先ほどの食料供給全体のコストを削減するのと同じなんですが、やはり単価が上がってしまうわけですね。

 でも、結局残るのは、例えば新商品というのも、去年この委員会で高木当時政務官に、チョコレートの新製品が年にどのくらい出るか御存じですかという御質問をしたことがあるのですが、食料品関係だけでも五十万近くたしかあったと記憶しています。ちょっと不案内で、後で訂正があるかもしれませんが。

 品種の登録も、十八年度だけで見ても千二百あるわけです。やはり、花にしても観賞用の木にしても、確かに輸出をしていくというのは必要なのかもしれませんが、今まで関税障壁や非関税障壁で保護せざるを得なかった土地利用型の食用作物とか、そういうところに新品種というものが非常に少なくなってしまっているような、私ちょっと一覧表だけ見て恐縮なんですが、思っているんです。

 そうではなくて、これから輸出とか、例えば燃料用のバイオに用いられるようなものというのは、これは品種改良だけではなくて、ゲノムということでまた違った部分なのかもしれませんが、やはりそういうところに農水省としては技術開発やサポートというものを移していくということが必要だと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕

吉田政府参考人 最近の新品種の開発の傾向でございますが、確かに御指摘のように、種苗登録したものを見ますと、花とか野菜、こういったものが多うございます。これは、その品種に求められる特性といいますか需要といいますか、そのことから来ているのだろうと思います。

 例えば花ですと、少し色が変わっただけでも、当然これは新品種としての価値があるわけですので、そういったものを盛んに種苗会社は開発をして登録をしていく。一方、お米の場合は、そういった単純な一つの形質だけではなかなか評価されませんで、非常に品種開発が進んでおりますから、病気にも強くて品質もいいものというものが求められますので、おのずからそこで品種開発の時間といいますか、成果の上がり方が差があるということでございまして、決して食用作物の方の力を軽視しているということではございませんので、御承知おきいただきたいと思います。

後藤(斎)委員 日本の食用農作物、林業も含めてそうなんですが、確かにまだ農薬も使っていますし肥料も使っている農業体系、もちろん、それから切りかえようとする御努力については評価をしますけれども、これからの例えば輸出というものを考えるとき、国内の消費者の皆さん方に受け入れられるものをどうつくるかというときに、生産段階からの品質、安全性の確保、これは今もやられていますし、これからもぜひやっていただきたいと思います。

 あわせて、それをやはり、生産段階、流通段階、小売段階も含めてすべての部分で、世界で一番品質もよく安全性も高いよという評価をどう得ていくかということに多分かかっているというふうに私は思っています。

 いろいろ資料を、アメリカとかヨーロッパの事例を見させていただいたんですが、結論的に言って、ヨーロッパもいろいろな国が、もちろんEUという一つの固まりではありますけれども、表示というものをベースに、それが原産地の表示であったり品質がちゃんと対応しているという表示であったりということを通じて、消費者の皆さん方に受け入れられるものしか多分ない。

 ただ、生産の段階、流通の段階がどうなっているかというのはちょっとおいておいても、いわゆる日本の農業生産は、野菜も果物も米もすべてのものがそういう過程を経ているよ、製造過程も、生産過程、加工過程、流通過程も経ているよということを、私はパッケージとしてこれからどんな形でやっていけるかどうか。それが最終的に、平成二十五年に今の三千億強の農産物の輸出額が一兆円になるかどうかという目標、私は、それをもっと二兆円、三兆円にして大きく対応していかなきゃいけないというふうに思っています、それはちょっとおいておきますけれども。

 ぜひ、そんな形で、世界で一番品質もよくて安全性も高いよ、そういうブランドをやはりつくっていくべきだというふうに思うんですが、今の生産、流通の安全性、品質確保に対する取り組みとあわせてで結構ですから、お答えをいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 国産農産物、これは競争力を高めることが非常に重要でございますけれども、最近多様化しております消費者あるいは実需者のニーズに対応しまして、高品質で安全性が高い、こうした農産物を安定的に供給することが極めて重要でございます。御指摘のとおりでございます。

 農林水産省としましては、高品質な農産物の生産を進めるために、生産段階あるいは選別段階ということで、光センサー選果機などの高品質な農産物の安定供給に必要な選別、調製等の施設整備を支援する。それとともに、加工適性にすぐれた小麦や大豆、あるいはムラサキサツマイモや高リコペントマトといった機能性成分を多く含む新品種の開発、導入などを進めているところでございます。

 また、農産物の安全性を確保して消費者のニーズにこたえる農産物を供給するために、生産工程管理手法でございますGAP、これにつきまして、平成二十三年度までにおおむねすべての主要産地での導入を目指しまして、積極的に普及を図っております。

 もう一つ、有機農業推進法に基づきまして、生産、流通それから消費の各側面から、有機農業を総合的に推進していくことといたしております。

 今後とも、高品質で安全性の高い農産物を安定供給する体制が確立されますよう、各種施策を積極的に講じてまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 そのときに、冒頭もお話をさせていただいたように、農家の実際の経営者の方が育たない。これはプラスの所得がふえるというところにすぐ到達すればいいわけですけれども、それを補う期間というものがどうしても多分必要ではないかな。先ほども、技術開発の御努力でも、五年後、十年後の収量がお米も一トンになるというお話は聞かせていただきましたけれども、今現実、農業の分野、食品加工の分野でも外国人の方に、依存というまではいきませんけれども、担っていただいている部分がございます。

 特に、今外国人の方々を農業、食品加工の分野で例えば受け入れるということについては、研修という仕組みと技能実習という二つの仕組みで受け入れられ、その人たちが母国に帰り、また品質の高いものをつくっていく、それにプラスに資しているということで、実際の農業の現場も含めて、正しいことではないかなと私自身は思っています。

 これも過去の数値を見ますと、例えば農業分野でも平成十七年に六千六百人ぐらいまでふえていますし、技能実習に移る方もそのうちの半分弱の二千七百五十八人、食品製造業の研修生も一万四十八人で、そのうちの半分近くが実習生として移行申請をされているというふうなことであります。

 やはり、実際の食品加工業や農業の現場というのは、これがどこまで高まっていくかというのは、後継者がどこまで育つかという、そこの多分競争みたいなものがあるのかもしれませんが、現状ではそういう人たちに依存をするところもあるという前提で、私は、この枠を、すぐ受け入れを拡大しろとかいうことではなくて、適度な秩序を持って、特に中国産のギョーザの問題もそうですし、今、食品加工、野菜や水産加工品も含めてかなりの加工品がアジアの国から輸入をされている。では、そこの生産工程であるとか生産管理というものはどこまでできているか。十二分に対応ができていない。

 ことし、農水委員会の方が中心になってHACCP法の延長ということを対応されるようでありますけれども、やはりそことどう、今のこの農商工連携の課題、それを通じた農家の方々や消費者の方々、中小企業の方々がプラスになる、ひいてはそれが輸出化になって、もっと日本農業や日本の中小企業が底上げをする。いろいろな大きな課題の、多分節目みたいな部分がことしはあると私は思うんですね。

 そういう意味で、これから外国人の研修生、技能実習生という部分についてはぜひ前向きな部分で、食品の安全性や品質管理という先ほどお話をした部分も含めて、日本がその研修センターの方も世界でナンバーワン、アジアの中心になるんだということも含めて私は対応してもらいたいと思うんです。

 というのは、大臣、ことし、ブラジルに一九〇八年に初めて行ってから、ちょうど移民百周年になります。四月の二十八日が来て百年。当時は、日本は非常に貧しい国でした。外国に行って、日本ではできない仕事、当時、多分日本がそれを受け入れられるような経済力もなかった時代だったと思いますけれども、やはり、人もある意味では攻めていったわけですね。

 今、日系人の方はブラジルに百五十万人以上いるというお話を聞いていますけれども、今は受け入れるだけ。外に行くのは駐在員とかそういう限られた人だけという人的な交流も含めて、この実習生の方であるとか技能研修に移行する方も含めて、やはりそういう人的交流というのは制度をきちっと確立した中でやっていく、それも、積極的にそれはやっていくべきだ。

 それがひいては、安全性や品質管理の部分でも、食料の加工品を特に依存する、生産を依存する今の体制では、日本の農林省の皆さんや職場の皆さん方がそれを直接チェックするという仕組みなんかないわけですね。ですから、現場というか民間レベルでも上手に人的な交流を継続しながら対応していくということも、今の農業、食品加工業の外国人の方々の受け入れという実態を見てもやはり必要だというふうに考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

小山政府参考人 お答えいたします。

 農業、食品産業におきます外国人の研修・技能実習生の受け入れにつきましては、平成十八年度におきまして、研修生で約二万人、技能実習生では、これは移行申請者ベースになりますけれども、約九千人となっております。その結果、年々増加傾向にあるということでございます。

 今後の受け入れ拡大につきましては、技能移転を通じました国際貢献を図るという制度の趣旨を踏まえまして、送り出し国の技能移転ニーズや、あるいは国内での受け入れ体制の整備状況、そういったものを十分勘案しながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 これは大臣が直接担当された時期だと思いますけれども、やはりフィリピンやインドネシアの方々の介護士、看護師の方の受け入れもそうですが、私は、どんな形で共生をするか、これは人的な共生というものをだめだという前提なのか、それとも、あるルールは設けながらもやるのかという部分がやはり必要だと思うんです。

 確かに、大臣が冒頭お話をされたように、私は、今までの農林水産行政が決して正しい方向へすべて行ったとは思っていません。ただ、それは、ことしの分をどうするかという、やはり自然条件に大きく影響される、国内自給では足りずに、逆に輸入に頼らざるを得なかったという戦後日本の人口増加とか発展の歴史が、多分経済力も含めてあったと思います。でも、もう人口が減少する。農地は、荒廃地が三十万ヘクタールを超す。輸出化にしても三千億を超すというのは、十年、二十年前に比べれば確かに画期的なことでありますが、では、それに対する政策が集中的にできているかといえば、なかなかそういうふうにはなっていない。

 それは、先ほども御指摘をさせてもらったように、収量の問題でもありますし、流通段階のコストの問題でもありますし、それを企業的にどうするかという部分、それを役所やJAだけがやるのではなくて、流通業界の皆さん方がどんな意思でこれから国内の農産物を売っていくのか、いかないのか。

 新品種や何とかというものも、短期的な需給という、私は決して卸売市場を全体的に否定するものではありませんし、それがもっと効率的にやってもらえればいいと思っていますけれども、やはり卸売市場という市場制度があったことで、出荷時期であるとか規格であるとかいうのが、今A、B、Cなのか秀、優、劣なのかは別としても、いろいろな規格があった。その規格がある意味で画一的過ぎたことで、食品産業の皆さん方から見れば高過ぎて国内の生鮮農産物は使えないということで、野菜の加工品についても冷凍食品についても、アジアの国々にそれを依存してしまった。

 その変化というものが、農水省の皆さん方も一生懸命やってくれていますけれども、この連携法案が通った以降は、やはりいい意味で連携をしてもらいたいし、悪い意味で言えば、もっと口出しをしてもいいと僕は思うんです。本当に、農業者の皆さん方や中小企業、特に零細企業、自営業の皆さん方がどこまで生活が厳しいのかという部分がやはりわからなければいけないと僕は思う。

 いろいろなロボットの開発の技術とか、僕も初めて知ったんですが、自動ではありませんが、大根をほぼ自動に近い形で集荷ができるとか、いっぱいそういう新しい技術もできています。そういうものをどう一体的にやるのかということがなければ、この農商工連携というのが絵にかいたもちで終わってしまいます。

 私たちは、党としても、私個人もそうですけれども、一次の農業、林業、二次の加工、そして三次の小売、サービスという、一、二、三を足すか掛けるかは別としても、六次産業化というのを目指しています。それが消費者の皆さんにとってもプラスになるし、あわせて、農業者の皆さん方にとってもプラスになるし、そして世界の食料需給という環境を見たときに、その部分に影響されないような部分も当然出てくるし、バイオ燃料という地球温暖化を防止する一つの国策にも合っていくというふうに思いますが、最後に、そのすべてを含めて大臣の御所見をお伺いして、終わりたいと思います。

甘利国務大臣 御質問が広範なので、何から答えていいかよくわからないんですが、今までの質問の中でもお話がありましたとおり、農家一人当たりの耕地面積で見ると、日本はEUの十分の一、アメリカの百分の一。それだけの現状を見ると、もう絶望的なことになってしまうんですが、だとしたら、その現状を踏まえてどういう処方せんがあるか。

 できるだけ農地を集約して効率を上げる、しかし、それにも限界がある。技術革新をして、一ヘクタールの収穫を一・五にも二ヘクタールにもできるような技術開発、品種開発をしていく。あるいは、日本の利点である安全性を、単なる健康管理みたいな視点からさらに踏み越えて、その食物のセールストークに使っていく。そして、一次、二次、三次産業を連携して、市場を見据えたニーズをフィードバックさせて生産の現場に持ち込んでいく。

 今の現状をしっかり見据えて、それで、この現状の上で戦って勝っていくためにありとあらゆる知恵を集約しようという機会にこの法案がなればというふうに思っておりますし、事例集八十八選を選んだということは、実は、支援策がなくても、そういう危機意識を持っている人は既に先行事例として取り組んでいます、だから、できないはずがないという勇気を与えることにもなる。条件は、平場の条件を比べれば厳しいけれども、できないことはないし、日本は幾多の困難を乗り切れてここまで来たじゃないかというエンカレッジをすることが大事と。

 先ほど花の事例で、栽培する花を褒める、きれいだね、かわいいねといつも声をかけるといい花が咲く、そういう話を聞いたことがあります。大臣もよくやっているねと褒めていただくと、いい政策がどんどん出てくると思うのでありますけれども、今までのお話をしっかり踏まえて、これからも取り組んでいきたいと思っております。

 ありがとうございました。

後藤(斎)委員 大臣、最後にいい話をしていただきまして、ありがとうございます。

 これで終わります。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、最初、農商工連携ということですから、順番に、まず農の方をお聞きして、それから大臣に伺っていくようにしたいと思います。

 資料一をごらんいただきたいんですけれども、日本は食料自給率が一九六一年から二〇〇三年にかけて約四〇年間で半減しているわけですね。それで、この間、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、どこでも上昇しておりますが、特にイギリス、ドイツは、一時低かったんですが、農業再生に力を入れて、七〇%、八四%へと回復してきているわけです。イタリアも日本と同様に下がっているんですけれども、イタリアの場合、OECD加盟各国の中で、穀物自給率は二〇〇三年で第十八位の七三%、日本の二十六位の二八%よりも三倍ぐらい高いわけですね。

 日本はこの間、食料自給率で二分の一へということとともに、穀物自給率では三分の一に急減してしまっているというかなり深刻な事態にあるなというふうに読み取ることができると思うんですが、まず、そのことを最初に確認しておきます。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 今の自給率について委員の御指摘の数字は、御指摘のとおりでございます。

 この域内では、国情、特に農地の賦存状況の違いといったものがあるかと思いますけれども、実態はそうなっております。

吉井委員 この間、四月一日号のエコノミストでも、かなり日本の食料の、日本だけじゃありませんが、「日本が飢え死にする」ということで、食料安保について特集もしておりました。

 丸紅の柴田明夫さんが、私がちょうど、昨年の十二月のこの委員会、それからことしの予算委員会やこの委員会でも取り上げました投機資金による原油価格高騰の問題とともに、この原油価格高騰を背景にバイオマスエネルギー生産への傾斜が急速に進んで、世界の食料市場で、国家間の争奪戦に加え、エネルギー市場での争奪戦に発展する公算が大きい、これに伴い食料は、市況商品から政治商品としての性格を強めるという指摘をしております。

 原油価格の方は、昨年の早い時期、一バレル当たり六十ドルぐらいだったのが、年末に九十八ドルぐらいつけたり、年明けて百十ドル近くに上がっていったわけですね。ちょっと下がったかと思ったら、けさのニュースを見ておりましたら百十四ドルだと。

 そういう中で、原油価格も高騰しておりますけれども、シカゴの穀物市場での小麦と大豆、トウモロコシが、二〇〇六年―二〇〇七年のころの年初に比べて今どういうふうになっているのか、これを伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 小麦、トウモロコシ、大豆でございますけれども、この国際価格につきましては、一昨年の秋ぐらいから上昇が始まりまして、今大変高騰をしております。

 本年二月には小麦が、ブッシェル当たりですが十二・八ドル、そして三月には大豆が、同じくブッシェル当たり十五・四ドル、四月にはトウモロコシが六・一ドルというふうに、それらの品目すべて史上最高値を更新したという状況にございます。その後、若干下がっておりまして、今、それぞれ、九ドル、十三・三ドル、五・八ドルというのが直近の数字でありますけれども、一昨年の秋に比べますと、それぞれ、二・四倍、二・六倍、あるいは二・五倍というふうになっております。

 こういう高騰の背景でございますけれども、今お話がありましたように、穀物市場に投機資金が流入しているという要因もあるというふうに言われておりますけれども、我々としてはやはり、中国、インド等の途上国の経済発展による需要の増大、また、今御指摘になったような世界的なバイオ燃料への振り向けという、食料以外の用途に向けられるといった要因、そしてこれに加えて、豪州の二年連続の干ばつですとか地球温暖化による異常気象、気候変動の影響、そういったものも構造的にあるんじゃないかというふうに考えておりますし、こういった状況の中で、輸出国の中に輸出規制という動きも広がっているといったことも、価格の高騰の背景にあるのではないかというふうに思っております。

吉井委員 いずれにしても、シカゴ穀物市場で大体三倍に上がってきているということですが、日本はエネルギー自給率で六%を切るところへいき、それから食料自給率三九%ですから、原油、穀物、飼料作物の高騰というのは極めて深刻な問題だというふうに思うんです。

 それで、食料高騰で今食料危機が世界に拡大していますね。三十七カ国で食料危機だという事態で、これは最近のテレビ、新聞等でも紹介されておりますように、例えばチュニジアでは暴動で二人亡くなったということが、これはきょうの東京新聞も伝えておりました。エジプトではパンを買う行列の中でけんかが起こって死者が出たとか、ハイチでは首相が解任されることになりましたね。タイ、ベトナムは、おっしゃったように、輸出国だったんですけれども、しかし国内需要の増加、そっちに回すということで輸出抑制に動いてきている。

 ですから、世界の穀物消費量の伸び率というのを十年前と比べてみると、対前年比ではだんだん緩やかにはなってきているんですけれども、しかし、依然として伸びておりますし、その場合、穀物が、在庫が一体どれぐらいあって、対応できるのかということが非常に心配な問題になってまいりますが、九六年と二〇〇六年の十年間で穀物の期末在庫率はどうなっているか、これも農水省に伺っておきます。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 世界の穀物の消費量のトータルの動きでございますけれども、やはり人口の増加、あるいは所得水準の向上による需要の増大といったことで大変伸びておりまして、全体の動きとしては、期末在庫率は、消費量の増加に対して生産が追いつかないという状況のもとで低下をしてきております。

 一番最新の予測でありますけれども、二〇〇七―八年度の期末在庫率で一五・〇%ということで、これは、かつて食料危機というふうに言われました一九七〇年代初めの一五・四%をも下回る水準と今なっております。

 今御指摘のように、十年間の動きということでいいますと、やはり単年の動きは結構変動がありますけれども、十年間で、消費量の方は一三・一%増加したのに対して供給量は六・五%増加にとどまっているということから、在庫率の低下につながっているということであるかと思います。

吉井委員 九六年から九七年にかけてのときの期末在庫率二六・九%から、今おっしゃった一五%、ですから大体半分になってきているんですね。

 それで、期末在庫率は十年で大体半減ということなんですが、最近の一五%というのは、FAOの示している安全在庫水準一七から一八%を割り込んでおりますし、特に、今の地球温暖化問題、異常気象の問題というのは、これはまた別な機会にもやりたいと思っておりますけれども、異常気象などの中で干ばつがさらに広がっていくと、今既に安全在庫率を切ってしまっているんですけれども、これは、日本にとっても非常に危険水域に近づいているといいますか、危険だというシグナルがともったと考えて、この分野でかなり深刻にとらえての対応というものが必要かと思うんですが、どうでしょう。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 今申しましたように、一昨年の秋ぐらいから、こういう穀物の高騰ということが始まっております。私どもやはり、前々から、世界の食料需給はいずれ中長期的には逼迫をするということを主張してまいりましたけれども、そういう状況が近づいてきたということで、我々としては、食料安全保障という観点からそういう政策をさらに強化しなければいけないというふうに考えておりまして、そういったこともありまして、ことしの四月から、大臣官房に食料安全保障課という課も設置いたしまして、この対策にさらに強力に取り組みたいと思っております。

吉井委員 FAOの数字から見ると、国際的にも大変ですけれども、日本の穀物の方を見ていきますと、特に、米の在庫は一・四から一・五カ月分、小麦で二・三カ月分、大豆は国と民間合わせて一カ月分、飼料穀物で国と民間合わせて二カ月分ですから、世界の食料危機に世界全体が見舞われたとき、地球温暖化等が進んで異常気象などが進んできたときに、日本は外から入ってくることは余り期待できませんから、そういうときにはやはり、日本の国内の農業生産がふだんから行われていないと、入ってくるのがとまったから急に、さあ農業生産の再開だといっても、荒れてしまった耕地で直ちに生産量が上がってくるわけじゃありません。

 私は、そういう点では、今日、食料安全保障の上で、この危険水域というのは、FAOが言っている数字はよそごとじゃなくて、日本自身が大分深刻な問題だというとらえ方というものが必要だ、そういう厳しい状況に日本は置かれているんだということが認識として必要だと思うんですが、どうですか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおりかと我々も考えておりまして、やはりそのためにも、まず国内農業をきちっと強化をしていく、自給率の向上を図っていくということをまず基本に据えたいと思っております。

 その上で、やはり日本の国土を考えますと、一定の輸入というのは必要でありますので、輸入の安定的確保ということも食料安全保障上も重要な項目と思っていますので、こういった世界情勢の中で輸入を安定的に確保する対策もできるだけ講じていきたいと思っております。

 また、お話の備蓄も、やはり短期的な変動に対する備えとして非常に重要でありますので、それぞれの過去の変動の状況を踏まえた一定の国家備蓄もしているという状況でございます。

吉井委員 地球温暖化で異常気象が広がっているわけですが、気象条件に特に左右されやすい、これは農業の特性でもあります。だから、最も食料安全保障ということを考えたときに、やはり日本独自の自衛策というものを考えておかないと国民の食料の安全が守れないと思うんですね。これまで、買ってくればいいじゃないかという発想がありましたけれども、やはり食料主権というものをきちんと確立していく、このことが大事になってきます。

 そういう点では、国際的にも、世界的に飢饉、大干ばつがありますから、輸入が減ってきたときに、もともと入ってくるのが大変なんですから、国内で量的に確保をするということと、もう一つは、今日のようにそこにつけ込んでの投機資金が暴れていますから、その結果、穀物価格、飼料作物価格は高騰しているわけです。高いものを買って国民が高いものというのでは、これは日本の国民生活にとっても日本経済にとっても深刻な問題ですから、安定した価格での量的確保、二つのことをやはりきちっと考えていかなきゃいけないと思うんです。

 これについて、この二つの要請にこたえる対策をどのように進めていこうとしておられるか、伺います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、輸入の量の確保でありますけれども、今現在、中国からの輸入の減少といった問題はありますけれども、輸入自体に不安を生じている段階ではございません。

 一方で、国際価格でありますけれども、先ほど申しましたようないろいろな要因で国際価格が形成されているということで、なかなか日本にも対策といってもございませんけれども、その中で、やはり食用とバイオ燃料用との競合とか、あるいは輸出国に輸出規制の問題といった要因も入ってきておりますので、そういった問題について国際的にどう考えるのかといったような議論の提起も我々はしていきたいなというふうに考えております。

 なかなか価格の安定というのは一国では難しいわけでありますが、国際的な協力のもとでそういったことにも対処する必要があろうかと思っております。

吉井委員 これまで米輸出国だったところが国内で需要が伸びてくれば、それは国内用に回されるのは当たり前の話といったら当たり前ですから、それをこっちへ回せと言える話でもありません。

 飼料価格の高騰と遺伝子組み換え作物などの心配のない国内での豚や鶏用の飼料用米とか、あるいは乳牛、肉牛向けの稲発酵粗飼料の生産を現在の休耕田それから耕作放棄地になっているところで行っていくとすると、あるいは水田から転作した面積もありますけれども、要するに稲をつくっていないところですね、一応転作ということになっている、幾らの生産が見込めるのか、それから、それが自給率を何%高めることになっていくのか、これを伺いたいと思います。

 大きい方の数字と小さ目に見た方の数字があると思うんですが、両方伺っておきたいと思います。

本川政府参考人 御指摘の休耕田、耕作放棄地での作付でございますが、まず、これがどれぐらいあるかということでございますけれども、水田のうち、夏の間に作付をしていないいわゆる休閑地と言われるところが二十八万ヘクタールございます。それから、耕作放棄地のうち、営農再開なり保全管理ができるというふうに、可能と思われる面積が一から二万ヘクタールございまして、大体三十万ヘクタールというふうに私ども認識をしております。

 ここに飼料米なりを作付けることにつきましては、生産のための労働力の確保でありますとか、生産コストの低減等のいろいろな課題がありますが、こういうものがすべて解決をしたとして、例えば飼料米につきましては、十アール当たり、一反歩当たり十俵、六百キログラムが可能だとして、百八十万トンの飼料米の生産が可能でございます。

 それから、稲発酵粗飼料につきましては、現場で実現しております三トン程度、これは茎も葉も全部使用いたしますので、三トンぐらい飼料が得られるとして九百万トンの生産が可能だと考えております。

 そうなりましたときに、飼料自給率ないし食料自給率がどうなるかということでございますが、先ほどの飼料用米百八十万トンが飼料として利用された場合には、今飼料自給率は二五%でございますけれども、これが六ポイント上昇して三一%になります。そうしますと、今三九%の食料自給率が〇・六ポイント上昇するということになります。

 それから、稲発酵粗飼料につきましては、九百万トンを飼料として利用した場合に、飼料自給率は七ポイント上昇して三二%、それから、食料自給率については〇・九ポイント上昇するという試算になっております。

 以上でございます。

吉井委員 昨年、参議院の方でもう少し大き目の試算もやっていますね。昨年の参議院の三月八日の農水委員会の方で、このときは一〇%伸びるということもありましたけれども。

 ですから、試算の根拠とかがどういうふうに回復していくかということで、今三十八万ヘクタールの中の一、二万ヘクタールのお話だったわけですね。その三十八万をどう回復するか。きょうの東京新聞なんかの社説を見ていましても、やはりそういうところへ着目しているわけです。

 それから、水田で稲をつくっていない八十六万ヘクタールとか、これらを合わせてあらゆる努力を尽くしたときには、昨年は一〇%ぐらい高めることができるということで、お示しの内容については、農水省で試算しても一〇%だというお話でしたが、だから、小さい方は今おっしゃったんですが、大きい方の予測としては、大体どれぐらいの可能性というもの、もちろんいろいろな努力を尽くさなければいけないのですが、お考えですか。

本川政府参考人 今私が手元に昨年の数字を持っているわけではございませんが、例えば、休耕田で麦とか大豆をつくっております。これは人の口に入ってございますので、それを飼料用の稲に置きかえるということは、逆に食料自給率が下がるということになってしまいます。

 今私が申し上げましたのは、現実的に麦とか大豆とか、人の口に入るものが植わっていないところがどれぐらいあるかという前提で申し上げておりまして、残念ながら、今ちょっと私、数字は持っておりません。申しわけございません。

吉井委員 昨年の参議院の議論もそのことは当然の話でして、人が食べるものを取り上げてと、そんな話ではもちろんないわけです。

 それで、水田の復活というのは、これは米づくりの技術とノウハウというのが日本にあるわけですから、それから、稲作用の農機具もあるわけですね。新しい何か別な農作物を生産するというより、非常に安定して回復できる可能性があります。

 そこで、国土の防災対策とか、夏場の陸地の温度上昇を冷やす地球温暖化対策としても水田というのは大事ですが、国の方でも、水田の防災機能を金額ベースで試算して、その重要性というのをお考えのようですが、それは幾らと防災の方で見ていますか。

實重政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国土、自然環境の保全、それから水源の涵養、良好な景観の形成、こういったいろいろな面で水田農業を初めとする我が国の農業が有する多面的機能は、農村だけではなくて都市も含めまして、広く国民生活や国民経済の安定のために極めて重要な役割を果たすと思っております。

 その中で、この多面的機能、まさに多面的でございまして、例えば洪水を防止している機能だけをとりましても三兆五千億程度のものがございますし、また、さまざまなものがございまして、およそ八兆二千億といった機能を果たしているものと現在は試算しているところでございます。

吉井委員 今、水田の持つ洪水防止機能だけで約三兆五千億というお話がありましたけれども、これは、水田としてやっていてこそなんですね。これは、どんどん荒れていきますと、いわば三兆五千億の財産を毎年毎年失っていっているということになってしまいますから、そういう点では、やはり農業を続けてもらうこと自体が日本の防災の上でも非常に大事なことになっているということが明らかになってきていると思うんです。

 次に伺っておきたいのは、水のペットボトル、一本五百ミリリットルというのを農水省の方の地下の売店でいろいろお調べいただいたら、平均百三十七円ということだそうですが、このボトルに米を詰めたときの米の価格というのは、コシヒカリで二百十五円、ブレンド米で百五十二円、ブレンド米ですと水と余り変わらないぐらいですが、実は、生産者米価の方ですね、六十キロを一万三千円で仮に計算すると九十円ですから、ペットボトルの水に比べて米の方がはるかに安い。水をとってくるよりも、生産者の苦労というものが評価されていないということがあると思うんですが、同じペットボトルで考えますと、水は人の活動を支えるカロリーはほぼゼロキロカロリーですが、五百ccのボトル一本で水が平均百三十七円で買える。それに見合う米でいくと、コシヒカリでは二百六十五・五グラムで、その熱量は九百四十五キロカロリー、ブレンド米だったら千三百三十九キロカロリーということになってこようかと思うんですが、農水省からあらかじめいただいた資料で試算すると、大体そういうことかと思うんですが、間違いありませんね。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のような内容でございます。

吉井委員 それで、極端な話、いや、そう極端でもないんですけれども、水は、煮沸して湯冷ましにしてボトルに詰めたらほとんどただなわけですが、食料危機であっても、ペットの水の代替というのは努力してできるんですね。しかし、人間活動のエネルギー源である米の方は、これは水を飲んでも代替きかないんですね。全然、九百四十五キロカロリーとかあるいはブレンド米の千三百三十九キロカロリーというのは、水を飲んでもそのエネルギーは得られないわけですから、人間働けないわけですから、全然ペットボトルの水じゃ米の代替物にはならないということは非常にはっきりしているわけです。

 もちろん、水は人間にとって絶対必要なものですし、地球温暖化による干ばつなど、水循環を狂わせることはあってはなりませんから、それはそれでやらなきゃいけないんですが、そこで大臣に私が伺っておきたいのは、国民の側も省エネルギーその他意識を持って、そして地球温暖化対策に取り組むことももちろん大事な一つですが、国として、夏場の温度上昇を抑止する温暖化対策の面でも水田農業の持つ重要な役割、それから食料安全保障の面からも農業再生というのは、これは農水省だけじゃなくて、経産省も含めて、やはり政府挙げて取り組んでいく課題だというふうに思うんですが、お考えを伺います。

甘利国務大臣 おっしゃるように、食料がなければ人間は生きていけませんし、いかなる事態が生じても、食料供給が途絶するということがあってはならないわけであります。

 日本の農耕地は、本来フル稼働して食料生産をすべきだと思いますが、なぜそうならないかというと、つくっても生計が成り立たないから耕作放棄をするというわけであります。

 世界的に見れば、食料は、人口の増加に比べて食料生産の増加というのは追いつかない。外を見れば食料は足りないのに、内を見れば、生産調整をして、価格維持をし、生計が立つようにしなきゃならない、この矛盾をどう解決するかだと思います。

 そこで、政府を挙げてこの矛盾をどう整合性をとっていくかということになりますが、多面的機能をもちろん国際的に訴えて、農業のある種の保護政策に取り組んできてはいますけれども、WTOという枠組みの中で、国内支持については限界がある、もちろん土壌改良のような構造改善についての予算は別として、直接支持については国際的な取り組みの中で思うに任せない。とすると、市場、マーケットを見据えて、そこが求めている、ニッチな市場を見つけて、そこに合うような商品提供をしていくような農業という点も考えていかなきゃならない。これが、今回の農商工連携で提案をしている、市場を見据えて、そこが求めるような商品生産をしていく、あるいは、できたものをブランド力をつけて、価格競争では勝てないけれども、しかしブランド力で勝っていくというような戦略を構築していくということが大事だと思っております。

 そういう意味で、政府一丸となって取り組んでいくべきだと思います。

吉井委員 農商工連携なんですけれども、商工があっても農が崩れたらもともと農商工連携が成り立たないわけですから、やはり、個々の農も商も工も、それぞれに経営が成り立った上で、地域として面的にも発展していく、地域の内発的発展ですね、それが生まれるような、そういう連携が成り立つように応援するということが大事ですし、また、それに資するような取り組みが大事だと思うんです。

 最後に、基本になる農林漁業が衰退したら連携がうまくいきませんから、この点で、政府の方針で、農林漁業をどのように支えて商工と連携できるようにしていく計画というものをお考えなのか、連携できるようにする計画というものを伺っておきたいと思います。

甘利国務大臣 農林漁業の現状を見詰めて、どこにハンディキャップがあるかということを分析し、それを克服するための政策連携をしていく、その現状分析をして、そういう条件の中で、なおかつ勝ち抜いていくためにどういう政策連携があるかということで、現場もそれから本省間も連携をとっていくということがすべてだというふうに思っております。

 それにまつわるあらゆる政策を総動員するということであります。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

東委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、谷本龍哉君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。後藤斎君。

後藤(斎)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、農商工等連携による事業活動により、地域経済社会において重要な役割を果たす農林漁業及び中小企業の経営の改善を図ることが、地域経済の真の活性化及び国民経済の健全な発展に資することにかんがみ、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 農商工等連携の促進に向け、地域の自主性が最大限発揮できるよう十分配慮するとともに、全国の農林漁業者及び中小企業者に対し、類似の制度が既に数多く存在する中で混乱を生じないよう、農商工等連携事業に係る制度について広く情報の周知に努めること。また、事業者への相談窓口の設置に加え、積極的に案件の掘り起こしを図る活動などを推進し、全国の農林漁業者及び中小企業者の産業化意識の増進に努めること。

 二 農商工等連携による事業活動の推進に当たっては、事業者が事業の開始前から実施段階に至るまで必要な支援を受けることができるよう、生産から流通、販売に至る多彩な専門人材の十分な確保に努めること。

 三 関係各省は、地方局を含め相互に緊密に連携をとり、協調して認定基準の統一を図るなど事業計画の認定や支援の効率的な実施に努めるとともに、地方公共団体、中小企業基盤整備機構、食品流通構造改善促進機構、地域力連携拠点等の関係機関とのネットワークを密にすることにより、ワンストップサービスを実現し事業者の手続負担を軽減するよう配慮すること。なお、計画の認定や融資など支援措置の審査に当たり、審査対象が他の産業分野に拡大することにかんがみ、内容のチェックやきめ細かな指導を行う体制の整備に万全を期すること。

 四 本法に基づく支援に当たっては、地域ブランド認定や地域産業資源活用プログラムをはじめとする既存の地域中小企業施策の実施状況に係る評価・分析を随時行い、それら諸施策との関係性に留意しつつ、真に農林漁業者及び中小企業者の発展に資するよう、より効果的な実施に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利経済産業大臣。

甘利国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

東委員長 次に、内閣提出、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

東委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長木下康司君、財務省国際局次長中尾武彦君、経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業省経済産業政策局長鈴木隆史君、経済産業省産業技術環境局長石田徹君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、経済産業省商務情報政策局長岡田秀一君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、中小企業庁長官福水健文君、国土交通省大臣官房審議官小川富由君及び環境省大臣官房審議官谷津龍太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井潤一郎君。

安井委員 午後の一番バッターを仰せつかりました、東京ブロック比例で国会議員にさせていただきました安井潤一郎と申します。

 私は、昨年四月まで、生まれ育ちました新宿区の早稲田というところの零細小売業の集まり、商店会の会長を十五年間務めさせていただき、今は相談役というお役をいただいております。新宿区区内の商店会、その連合体、四千三百店舗で構成されております新宿区商店会連合会の現職の副会長というお役目もちょうだいさせていただいております。その現場で感じたこと、また考えたことを申し上げさせていただき、大臣のお考え、行政府としての方向性をお聞かせ願いたいと思います。

 消費者のニーズ、市場主義、消費者の利益、規制の緩和という言葉に心を動かされてきました。小なりといえども、自由主義経済の最末端を担ってきたという自負がありますので、弱いやつが負けて強いものが生き残る、どこがおかしい、こう思っていました。顧客の欲求をとらえ切れなくて何が企業だとも思いました。グローバルスタンダードを規範としなければ国際競争には勝てない、こういう言葉に大きくうなずいてまいりました。

 しかし、心動かされてきたこの言葉も、もはや最先端の指針とは言えないような気がしてなりません。石油を大量消費し、CO2を大量に排出し、環境に負荷を与える現状のライフスタイルからの転換は喫緊の課題で、これに寄与できない企業はその存在さえも否定されようとされております。

 消費者の利益、規制緩和という言葉の中で始まったタクシー業界の異業種参入は、結果としてタクシー料金の値上げになりました。値上げを招いていて何が消費者の利益か。この一点を見ても、規制の緩和は、無秩序ではなく、より明確な方向性の中にこそあるのではないかと思っております。

 この十年間、強いやつが勝って、弱いやつが負けて市場から退場するという中で現場では何が起こってきたのでしょうか。地域での雇用の場が減少し、生活保護世帯が激増し、コミュニティーの崩壊が起こり始めております。幾ら増税しても、この国の財政健全化は難しいのではないでしょうか。

 しかしながら、経済財政諮問会議がリードされているいわゆる骨太の方針には、中小企業庁が手助けをするから敗者が市場に居残るのだと読めるような方針を出されているように思います。

 政府として、地域の活性化、とりわけ商業の活性化は最重要課題だというメッセージを骨太の方針の中に盛り込んでいただけますよう御指摘申し上げ、質問に入らせていただきます。

 三月二十五日に設立総会を開催させていただいた、商店街を蘇らせる行動政策研究会、通称あきんど議連は、おかげさまで、自由民主党国会議員百六名の先生方に御入会をいただきました。それだけ各先生方の御地元で商店街に大きな問題が派生していることは理解できます。

 昨日も、第三回の総会を開き、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会、全国共同店舗連盟の皆さんにおいでいただき、現状と今後の展望、そして御要望をお聞きする、いわばヒアリングの場をつくらせていただきました。

 その中でも、お話があったのは、この十年間に、郊外の大手量販店は驚くほどの規模で出店が続いてきました。消費者の利益という金科玉条の言葉にはだれも逆らえずに来ましたが、先日の日本経済新聞には、ひとり勝ちと言われている大ショッピングセンターを経営されているイオンが百店舗を閉鎖するという記事が出ておりました。

 私は、以前から、地域としての想像を絶する規模の大ショッピングセンターには、出店規制よりも撤退規制の方が重要だと発言してきましたが、そのための網かけとしての方法もあると思っていました。なぜ撤退規制の方が重要かというと、大手量販店の無秩序とも言える出店で地域商業の構造変化が起こり、物のない地域をつくってしまうからであります。

 これから二十五年間、毎年高齢者がふえ、毎年車に乗る人が減っていくこの時代に、歩いて行けるところに物がない、そんな町をつくることになる。この記事について、大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

甘利国務大臣 少子高齢化等を背景としました国内消費の縮小であるとか国際競争の激化等、小売業を取り巻く環境は大きく変化をしているわけでありまして、大規模小売店舗の撤退あるいは業態転換、こうしたものは、このような環境変化のもとで企業経営上判断をされたものであるというふうに理解をいたしております。

 ただいま御指摘の、出店する際のマグニチュードも大きいかもしれないけれども、撤退するときの方がもっと大きいという御指摘はよく理解ができます。

 郊外に大規模な小売店、大規模小売施設ができまして、いわゆる航空母艦のような施設、それ自身、中心市街地の機能を失わせて、人の流れが変わってしまって、野原の真ん中にできたところにみんな行ってしまう。しかも、それが撤退したときには、廃墟のようなものがぽつんと残されて、治安上も問題があるというような話が出ましたときに、我が党の中心市街地活性化等の調査会でチェーンストア協会に申し入れをいたしまして、その際に、撤退する際に置き去りにしないという自主的なルールをつくっていただいたということを記憶いたしております。

 一方、今の御指摘の件は、例えば、町中の中心部で立地していたものがいきなり撤退をしてしまうと、まさに空洞化のスペースができて、それが原因でさらに町全体が空洞化してしまうという問題をはらんでいる。だから、大規模小売店というのは、出店する際も撤退する際も、まちづくり全体にかかわってくる重要な要素であるということを自覚しなければならないという御指摘だというふうに思っております。

 まちづくり三法をつくりまして、その見直しを八年ぶりくらいに行いました。見直しを行ったその原点というのは、まさに、人口減少社会の到来、それから持続的な自治財政、コミュニティーの維持といった課題を背景にいたしまして、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりというのを目指すべく行ったわけであります。

 従来型まちづくりというのは人口増加の中での施策でありましたから、町が外に発展していく中でどういうものをつくるか。これからは人口が減少でありますから、散在して生活する際には、インフラ整備その他でも物すごくコストがかかる。

 もっとコンパクトに凝縮したまちづくりをつくることによって、インフラ整備のコストあるいは維持のコストも下がるし、コンパクトでにぎわいの確保できるまちづくり、運営していくコストも適正に抑えられる。いろいろな意味で、外に向けたまちづくりから集約したまちづくりへ、方向性を全く変えて見直しを行ったわけであります。

 改正まちづくり三法を活用した中心市街地の活性化に向けた動きが今全国で始まっているわけでありますが、経済産業省といたしましても、こうした取り組みを中心に、地域商業の活性化に向けた取り組みを積極的に支援してまいりたいと思っておりますし、委員におかれましては、小売商業の現場で培ってきた知恵と経験、ノウハウをぜひ政策づくりに反映いただければというふうに思っております。

安井委員 過分な御評価をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、二年六カ月前のあの選挙、その前五年間で、日本じゅうの商店会、商工会、商工会議所さん七百カ所を視察、見学させていただくという機会を得ました。今の私の立場でいえば、大変な財産であります。

 ただ、日本じゅうの商店街のお仲間が必ずおっしゃるのが、郊外の畑のど真ん中に、イオンが、ジャスコが、どっかんとでっかいものを、山ほど金をかけてつくってくれた、おかげで駅の前はがたがただよ、こういうふうに言われます。果たしてそうなのか。私は答えました。その畑のど真ん中に雇用の場があったのか。雇用の場がなかった。ということは、そこで給料が出ているんだったら、その給料を何で自分の店に引っ張り込んでくるという気概が町場の商人から消えたんだ、こういうふうにお話をさせていただきました。

 一番最初に申し上げましたように、私は比例区でございますので、一人一人の票をそれほど考えなくてもいい、おまえたちが悪いんだ、こう言える立場で、これを今十分に使わせていただいている状況であります。自分のところに引っ張り込んでくる、ただ、イオンと同じものを置いていれば、イオンから出た給料がイオンに戻る、うちはねという、それをなぜできないのか。いわば意識の改革、これが大切だということは、大臣も常々おっしゃられていると思います。

 本来、地域コミュニティーの再生を図るためには、商店街の意識改革を促進し、個店、個人に対する支援が最重要課題だというふうに考えられております。意識改革というと、精神論、観念論を唱えることのように思われますが、内容は大変具体的なものであります。

 今、日本じゅうの商店街で交わされている会話、隣のうどん屋のおやじがもう年だから店をやめようと思うんだと言うと、何て答えるか。もう年だから店をやめよう、商売をやめちゃだめだよ、ぼけちゃうよ、こう言うんですね。でも、よく考えていただけばおわかりのように、隣でぼけ防止で商売をされたんじゃ迷惑なんであります。シャッターを閉めて人に貸さないところは退場してくれというぐらいです。

 この土地はあなたの土地だし、この建物もあなたの建物だ、しかし、この地域商店街はあなたのものではないんだ、ここで生まれて育って、ここで住んで、ここで子供を育てていただいた、我々にとってみれば感謝するというこの場を、あなたが商売をやめて、人に貸すのは面倒くさいからといってシャッターを閉めているということは、これは地域を傷つけていることなんだということを教えなければいけないのではないか。

 ただ、この部分でいうと、おれももう七十だから、せがれはサラリーマンになったし、娘は嫁に行った、今さらここに投資しても、それを回収するというのは難しい、金を借りても返せないよというのが、これが今、日本じゅうの平均的な会話であります。そこからまちづくりに資する大家さんになってくださいというふうになっていくのが、これが大事な部分なのではないかと思います。ここから、新しい血の導入、新陳代謝が起こります。

 何度も言わせていただきますが、小選挙区の先生方にこれを言えというのは無理でありまして、おまえ、おれをやめさせるのかという、その一言で声が小さくなるのは当然でございます。大臣に言っていただいたように、これは私のお役なのかなという気もするんですが、この新陳代謝、新しい血の導入、ここから、新たに起業を目指す者への支援が始まると考えております。

 支援というと、補助金目当ての施策を求めるというふうに思われますが、我々町場の商人は、今までの活動の中から、金が出ると知恵が引っ込む、そういう学習をしました。しかし、町を動かし続けるきっかけは間違いなく補助金だ、こういう学習もしてまいりました。このバランスが大切だと思っています。

 本日は、この支援の中の後継者支援についてお聞きしたいと思います。

 新しい商店街像には、物を売ったり買ったりサービスを提供するだけが商店街の仕事ではなく、地域の顧客の安全と安心、地域文化の継承も大きな仕事だと思われております。その地域に貢献したいという志を持つ若者に必要な知識と先端的な業態を教育すること、高校卒業後、大学卒業後ではなく、夏休みを利用して十五歳ぐらいから教育支援するプログラムをお考えいただけないでしょうか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地域の商店街、物を売ったり買ったりする場であるという機能に加えまして、地域の伝統でありますとか文化をはぐくむ場としての機能も果たしておるというふうに思っております。このような地域のコミュニティーの中核をなす商店街におきましても、御指摘ありましたような、経営者の高齢化の問題で後継者がなかなか見つからない、そういう課題を抱えておるというふうなことになっておりまして、地域社会にとりまして大変重要なものだと思っております。

 後継者問題につきましては、既に当委員会におきまして事業承継法を可決していただきまして、事業承継センターを全国につくったりしながら、マッチングなども進めていきたいというふうに考えております。

 それに加えまして、私ども中小企業庁といたしましては、空き店舗などを利用して試験的に商売を行う場を提供する、いわゆるチャレンジショップ、こういう事業へ支援する、そういうメニューは既に持っておるところでございまして、多くの地域でそういうメニューを御利用いただいておるというふうに思っておりますが、御提案のありました、夏休みを利用した若者の就業体験を提供する事業、これはもう多くの商店街でもやられておるというふうに認識しておりますが、具体的にどういう支援が可能なのか、今後検討してまいりたいというふうに思っております。

安井委員 ありがとうございます。

 今現状でも、中学校二年生のお子さんが五日間、地元でいわば職場体験、私どもの地域でも中学校二年生の子たちを入れているのではありますが、私たちが考えているのは、やはり、地域に貢献したい、ここで商売してみたい、サラリーマンだけが選択肢ではないんだという思いを持った子供たちに対しても選択の場を広げるというところでは、大きなうねりが出てくるのではないか、そんな気がしております。

 地域間交流、農商工連携は今期の経済産業省が行われる政策の中で大きな柱になっていると思われます。

 しかし、昨年十月十四日に私どもの地元早稲田の商店会で開店いたしましたアンテナショップの活動を見ると、商店街が障害者の就労の場、高齢者のコミュニティーの場になっております。ちなみに、従業員さんは六十五歳以上、障害者などという状況でこのアンテナショップは運営されております。もちろん、この部分について言えば、厚生労働省の管轄だというふうに思っております。

 環境省のエコポイント事業、本年から始まりました。この環境省のエコポイント事業に、アトム通貨・レジ袋使い回し大作戦が採択をされました。きょう、皆さんのお手元に資料として、御許可をいただいたのでこのような形で出させていただいたんです。

 レジ袋使い回し大作戦というのはどういうものかといいますと、一昨年の十月から、私どもの地域のお店がレジ袋の有料化を始めました。レジ袋の有料化を始めて、大きいのは五円、小さいのが三円。十月から始めるその前の月、九月のレジ袋の配布枚数は四万枚だった。このレジ袋有料化をやって何が起こったか。大きいのは五円、小さいのが三円ですというと、では、小さいのでいいわとか、大きいのとか。四万枚だったのが、十月は三万五千枚に減りました、五千枚減りました。

 ただ、これは有料化ですから、三万五千掛ける五円、三円の売り上げをつくってしまいました。売り上げを上げるためにやってきたんじゃないんだということで、十一月からレジ袋のリユース、いわば再利用であります。それぞれの御自宅に置いてあるレジ袋をどうぞ持ってきてください、持ってきていただいて、物を入れるところをサッカー台というんですが、それをサッカー台に置いて、五円、三円の有料化ですが、あそこにあるサッカー台のリユース、再利用のレジ袋は無料でありますと言いましたところ、何と十一月が八千枚になり、十二月が五千枚になりました。四万枚だったのが五千枚。

 そして、実験でしたから昨年の一月末でやめたんですが、本年、今月からスタートしたのが、レジ袋の有料化プラスアトム通貨であります。これは、御案内のように、鉄腕アトム、これのカードに、マイバッグは一ポイント、十枚持ってきたら五ポイント、こういうのをやるわけです。三十ポイントたまると、ここにあります地域通貨、エコマネーでありますアトム通貨の五十馬力、五十円分がお客様の手元に行くわけであります。これを今始めて、これが環境省のエコポイント事業に採択を受けた。

 大変御評価をいただいたものですから、御報告なんですが、来月、五月の十一日、神宮球場でのヤクルト・広島戦、ここで環境大臣がピッチャー、私がキャッチャーということで始球式をやることになりました。

 これは何かというと、ヤクルトは、もう先輩方は御案内だと思いますが、国鉄スワローズでした。それがサンケイアトムズになり、ヤクルトアトムズになって、今ヤクルトスワローズ。五月の三日から十一試合、昔の名前で出ます、ヤクルトアトムズで出ます。そのヤクルトアトムズのユニホームをチャリティーオークションにかけて、その代金をこのアトム通貨実行委員会に御寄附いただく。それだったら、エコポイント事業も通ったんだからということで、環境大臣に始球式をやっていただこうと。

 これはやはり大手ではできないんですね。地域の、いわば四百店舗の高田馬場、早稲田、こういう部分体の小さなお店がやっているからこそ、こういう状況になってきたのではないのかな、そんな思いがいたします。

 エコポイント事業は環境省の活動ですし、それから、先ほどお聞きした後継者支援等は地域教育、文部科学省の範疇であります。震災を切り口にした地域間交流がテーマの、皆さんのお手元に御許可をいただいて配付させていただいたこの「震災疎開パッケージ」、この部分については内閣府の中央防災会議、震災対策、防災。

 これは何かといいますと、年間一万五百円お支払いいただいた御家族五人、もし震災が起こったら、この五人の方たちを、ある一定期間ですが、北海道から沖縄までの商店街、地域の皆さんが、これに御加入いただいた方をお客様としてお迎えします。では震災が起こらなかったら。震災が起こらなかったら、うちにおいでと言ってくれている地域の方たちがふだん使っているもの、いわば特産品がお手元に届きますよ。どこにあるんだ、そんなの。だったら現地視察の旅。

 これが農商工連携、いわば都市と農山漁村の共生、対流、いわば観光というところにもひっかかってくるのではないか。もちろん、この部分については、中央防災会議であり、国土交通省の住宅局の仕事なのではないかと思っております。行政は縦割りだ、こう言われますが、町は縦には割れておりません。

 商店会は元気がないと言われますが、私には、何を期待されているのかわからない、そして何ができるのかがわかっていない。要するに、期待されていることがわからないのと、自分たちが何をやれるのか、その自分たちのやれることがわかっていない。だから、どう動いていいかわからないということだと思います。これはまさに経済産業省、中小企業庁も同じような状況なのではないでしょうか。

 経済産業省、中小企業庁がリーダーシップをとり各省庁を動かすことが町を動かすことになり、まさに政治だと思うのですが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 まず、環境大臣の始球式が暴投にならないことをお祈りいたします。

 もともとまちづくり法案は、私のことでありますから、まず省庁を巻き込むことから始めました。九年ぐらい前に最初につくったときには、十三省庁をまとめてつくったわけであります。

 要は、つくった後、改正した後、改正したところもいろいろ御指導いただいたと思っておりますが、各省を巻き込んで行ったわけでありますし、加えて、関係省庁の連携でいえば、防犯カメラやAED、緊急の救命装置ですか、この設置など、経産省が商店街の安全、安心の確保を通したにぎわい回復のための支援を行う一方で、環境、震災対策などの観点から他省庁が進めている施策の中でも商店街が支援の対象となっている場合もあるわけであります。

 つくる際に、コンパクトに、そしてコンビニエントに、そしてカンファタブルにという三つのCが中心でありますが、それ以外に、安心、安全とか防犯、いろいろな視点を、省庁連携できるものについては、つくる前もつくった後も連携施策を投入していきたいというふうに思っております。

安井委員 ありがとうございます。

 町は縦には割れていない。行政の縦割り、これに横ぐしを刺せるのは町なんだ、こういうふうにさんざん発言をさせていただきました。しかし、横ぐしを刺すにしても、どこに連絡をしたらいいのか。各省庁を横断した、具体的に言えば制度融資のパンフレット作成の必要性を感じますが、いかがでしょうか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 制度融資につきましてはさまざまな支援策がある、御指摘のとおりでございます。

 例えば、私ども中小企業庁の関連でも、商店街に御活用できるような融資制度というのは四つございます。中小小売商業者の設備投資資金に関する低利融資でありますとか、あるいは商工会議所、商工会でやっております、いわゆるマル経でございますね。三番目に、新たに創業企業、こういうところに無担保無保証の融資制度、こういうのもあります。それから、あるいは既に事業をやっておられる方が第二創業、事業転換とか多角化を進められる場合、そういう場合に対する低利融資等々ございますし、農商工関係で、農林水産省の関連でも、生鮮食料品等の小売業の近代化、合理化という観点での低利融資もございます。

 したがいまして、商店街の経営者の方々がどれが使いやすい制度なのかというふうな観点を、十分便利になるような観点から、私ども、農林省を初め関係各省と一緒に制度融資関連、こういうのがありますよ、こういう場合はこういうのを御利用できますよというふうなパンフレットの作成等広報活動にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

安井委員 ありがとうございます。

 先般、福水長官ともお話をさせていただいたときにも申し上げたんですが、マル経融資の状況を変えていただいた等々、行政も本当に現場の状況をよく見ていただいている、そんな思いをしております。ありがとうございます。

 委員会は違いますが、来週火曜日、四月二十二日に決算行政監視委員会で、三十分間また大臣のお話を伺わせていただくという時間をちょうだいさせていただきました。そのときには、商売で大切な三原則と言われております人、物、金。人の部分でいえば今の後継者支援というところにもなるんでしょうが、物ということでいえば、やはり新しいテクノロジーをどれだけ入れられるかということであります。

 私が経営しておりましたのは小さな小さな食料品スーパーですが、食料品スーパーがスタートしたのは実はレジスターが変わったからなんですね。ざるからレジになってスーパーマーケットができて、POSレジになってコンビニエンスストアができたということであります。パソコン、コンピューターがいいのはわかるけれども、おれはもう年だからなかなかできないよということならば、商売の武器となることをわかっていながら年ならできないというならば、負けても泣くな、こういうところであります。

 このあたりのところ、そしてまたお金のことに関して言えば、使いやすい、また使い勝手のいい融資、そして税制の問題になるのではないかと思います。重ねて、骨太の方針に地域商業が重要なんだということを盛り込んでいただけますよう御指摘申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

東委員長 これにて安井潤一郎君の質疑は終わりました。

 次に、片山さつきさん。

片山委員 G7が先週末行われたわけでございますが、国際金融市場に最も影響を与える会議でございます。

 実は、今を去ること十六年前のG7に、私、初めて政府の代表団の一員として出張しまして、女性がその辞令をもらったのは初めてだったんですね。物すごくうれしくて、はっきり言って主計官になったときよりもうれしくて、なぜ笑いが出るのかわかりませんが、その当時のG7の声明の与えた影響はすさまじかったんですよ。

 G7が声明を出すことによって、為替、金利、そして株式市場、いい方に動かさなきゃ意味がないんですね。それで、今般、二月のときもちょっとそんなようなことを申し上げたんですけれども、我が国の場合、週明け、東京市場は全面安になってしまった。そして、円高も進んで百円を切るような勢いもあった。

 G7の声明について私も見させていただいたし、担当の方には丁寧に御説明をいただいたわけで、いろいろな意味で非常に努力はされているわけですよ。ただ、各国が、財政的なあるいは国内政治的な制約を抱えてなかなか動けないということもわかるんですが、やはり共同歩調に対するメッセージがもう一歩、二歩踏み込んでいないと、そこはやはりマーケットは反応しないのかなというふうに思っておるわけで、これは為替の部分と各国の行動の部分と両方があるわけでございますが、まず第一に、今回のG7における主な成果、財務省に伺いますが、どのようにお考えか。

 さらに、米国において公的資金の金融機関への資本注入という議論がある。これは、米国において大統領選を控えて非常にコントロバーシャルな議論ですが、日本においては、過去の経験、十二兆円も投入した我が国で、最初のうちは非常に苦労したわけですが、結局、これをやらないと底が割れないということでございまして、ある程度の示唆を行ったやに聞いておりましたが、G7では日本からどのようなことを主張され、結果的にでき上がった文章としてどのような意味合いになっているのか、まずここから伺いたいと思います。お願いいたします。

中尾政府参考人 先生、どうも、G7についてお聞きいただいてありがとうございます。私も、G7、今先生がおっしゃったときに御一緒させていただいて、非常に御指導を賜ったことをよく覚えております。

 今回のG7でございますけれども、成果としては、世界経済は全体に引き続き困難な時期に直面している。特に、最近の成長率は下方修正してきておりますけれども、また、金融市場が一層の混乱を来しているような状況において持続的な成長を回復するためにどうしていったらいいのかということで、G7各国は必要に応じて、ここは声明のとおりでございますけれども、個別あるいは共同して適切な措置を講じていくということをしっかり確認しておるわけでございます。

 それから、最近の金融混乱に対する措置として、G7が一緒につくって金融庁なんかも入っておる金融安定化フォーラムというのが国際的な仕組みとしてございますけれども、そこで出しました最終報告について、迅速な実施を図っていくということで関係の協力の努力を要請し、また百日以内にこういうことをとってほしいというようなことも明確にしておるわけでございます。そういう成果があったのではないかと思います。

 それから、先生のお尋ねの第二の点でございますけれども、公的資金の投入について、これは額賀大臣が非常に御関心のあるところでございまして、九〇年代の金融危機の発生、我が国におけるいろいろな経験を踏まえて、金融機関の損失の開示がおくれて、最終的には公的資金による資本注入を行うことになってしまった。それでようやく信認が回復できたというようなことがございましたので、こういう日本の経験については、二月のG7の際、これは日本の議長で東京でやりましたけれども、ここで相当明確に言いまして、二月のG7の際には、市場の信認を回復するには、金融機関の損失を早期に確定、開示し、必要に応じて資本増強を行うことが重要であるということが明確に日本の議長のもとで入ったわけでございます。

 今回の混乱で大きな損失を出した欧米の主要金融機関は、去年の秋ぐらいからそうでございますけれども、資本注入というものについて相当一生懸命やってきておりまして、開示も特にアメリカの方では進んでおると思います。

 それから、アメリカでは、投資銀行である証券会社のベアー・スターンズをJPモルガンが買収して合併するという措置に対して、FRB、中央銀行から相当の資金支援を行うなど、実質的に公的関与を非常に強める措置が講じられているということでございまして、これなどもG7の合意に沿っているような内容ではないかと思います。

 日本からどういうことを言ってきたかということですけれども、そういうことで日本の経験を示してきてはいるわけですけれども、いろいろな対処の方法がございますので、今FRBがやったようなことも含めていろいろな公的関与の拡大の仕方ということがある中で、今回のG7でも、各国がそれぞれの状況に応じて適切に対応していく必要があるということが合意されたということでございます。

片山委員 ありがとうございました。

 実は、私、けさ欧州最大の金融機関、今欧州の金融危機の一つの焦点と言われている金融機関ですが、この名誉会長さんとブレックファストミーティングをいたしまして、今、ウイ・アー・イン・ヒストリカル・クライシスかというふうに聞いたんですよ。そのときに彼が言ったのは、クワイトシリアスではあるけれども、グローバルディザスターじゃないという認識を非常にはっきり言ったんですね。ところが、新聞紙面では、その金融機関及び二、三のところが、まだ今回の資本増強では足りないということが非常に大きく喧伝されているわけで、米と欧でかなり危機感が違うのかなということを感じたわけでございます。

 また、過去の日本の金融機関の初期の公的資金の注入の経験を引きますと、金融機関自体は民間企業ですから、公的資金の注入は初めは絶対に手を挙げません。なぜかというと、当然のことですが、金を出されたら口を出されるからですよ。

 私、当時銀行局にいたんですが、我々は何をやったかというと、奉加帳を回したんですね。非常に評判が悪かったです。しかも、資本の額は不十分、一番底が出て、二番底が出て、三番底が出て、泥沼になるという非常に悪い状況を経験して、最後の最後で終わるまでに数年間を浪費したわけですが、どうも私、深読みいたしますと、米欧の当局はこの辺がわかっているのかなということが、今回のFSFの提言も含めてG7の報告書を読むとそういう感じがするんですよ。

 なぜかというと、一時、今回のG7前には、サーキットブレーカーで時価評価をとめたらどうかというような議論まで出たんですね。これは、日本でも時価評価をおくらせるという議論を亡くなられた大原一三先生がなさって、冗談でしょう、マーケットエコノミーから退場するのと言ったんですけれども、それは一部やったんですけれども、これを、市場経済はおれたちが本家だと言っている人たちもちゃんと言うというところは、やはり似たような発想を危機になるとするのかなと思ったわけなんですが、結局、そういうことは全くなくてきっちりと厳密に時価評価する。それも百日以内にやるわけですね。といったら七月ぐらいですよね。しかも、第二次のバーゼルのコンコルダットですか、金融機関の自己資本規制を厳格にしてきちっとするというわけですよ。

 この二つをやっていったら、どう考えたって、幾つかの金融機関は第二次資本増強が必要な状況になり得ますよね。それはまたマーケットや経済にある程度のインパクトがあるとは思うんですが、その辺も含めて、金融機関側の危機意識が、対応がどうだったのかという問題と、サブプライムに始まる世界の信用不安の問題について、今回のG7では全く終わっていないと思うんですよ。

 つまり、百日規制というのを記してしまったということは、その百日規制が切れるときにどういう状況になるのかというのをある程度見ながら次の手を打っていかないと終わらないと思うんですが、ちょうどその前ぐらいに、世界信用不安の問題ということだけではないでしょうけれども、六月、G8は大阪でやる。洞爺湖はサミットですけれども、G8財務大臣会合は大阪でやるということで、このあたりの問題も踏まえて、G8財務大臣会合の議長国としての所感を政務官に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

宮下大臣政務官 お答えをいたします。

 六月に行われますG8財務大臣会合の議題につきましては、まだ詳細は固まっていないところではございますけれども、大きな柱としては、世界経済の問題、途上国を中心とする開発問題、また気候変動問題が大きな三つの柱になるのではないかなというふうに考えております。

 また、御指摘のサブプライム問題に始まります世界の信用不安等についての対応につきましても、もちろんこの世界経済の課題の中で議論されることになろうかと思いますけれども、特に大阪のG8財務大臣会合におきましては、先生御指摘の金融安定化フォーラムが四月十一日に発表しました最終報告、この実施が、特に緊急度が高いものについては百日ということでございますので、六月というとまだそのちょっと手前ではございますけれども、この最終報告の実施に係る進捗状況がどうなっているのか、これが報告されることになろうかと思っております。特に、迅速に実施すべき四項目を挙げておりますけれども、これについてフォローアップをしていくということになろうかと思います。

 こうした世界経済が直面する諸課題への対応につきまして活発な議論が行われますように、G8の財務大臣会合の議長国として最善を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

片山委員 宮下政務官、大変お忙しいところお越しいただいて、大変ありがとうございました。

 次に、関連で、為替につきまして伺いたいんですけれども、為替については、今回、プラハのG7以来七年ぶりに若干の言及があったわけでございます。一応、主要通貨について、時として急激過ぎる、急激な変動があるという文章が入ったわけですが、しょせんそこまでであったということと、その後のマーケットの動きとして余り大きな動きがなかったわけですね。

 今の状況というのは、ドル独歩安というか、ドルが丸裸状態になっている状態というか、円については、ほかのアジア通貨等も考えるとまだアンダーバリューという見方もあるわけですが、現実には、我が国経済を考えると、今の通貨レートは、我が国の経済運営にとって非常に重要というかシリアスな問題ではないかと思っております。

 そこで、今後もこのような状況が続く場合に、米国当局はよくそういう疑念をかけられるわけですが、今の状況のドルがファンダメンタルズを反映しているというふうにアメリカは本当に考えているのか。

 記者会見等では、強いドルがアメリカであるということを繰り返して言うわけですが、それに伴った行動をとっているとは思えない節があるわけでございまして、その辺について、一部では、IMFにファシリティーをつくってでもドル買い、円売り、ユーロ売りの介入を行うことによって、ドルの暴落をはっきり言って抑えるべきタイミングにいつか来るのではないかというような、それは実際に、本当に一定のレベルを超えてしまったらあり得るということを考えるわけです。

 そのあたりについて、ドル防衛に対する米国及び日本の姿勢をどのように、日本の姿勢の場合はどうであるかということですが、お伺いいたしたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、為替相場、最近急激な動きがございますけれども、アメリカの当局は米ドルについて、強いドルは米国の国益にかなうということを繰り返して表明しておるところでございまして、これを受けて、G7においても、前回の会合以降、主要通貨において時として急激な変動があり、我々はこれらが経済及び金融の安定に与える影響について懸念しているということを、今先生おっしゃったようにはっきり表明しておるわけでございます。我々は、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力するということをはっきり言っているわけでして、我が国を含めたG7として、このようなことで対応してまいりたいと思っております。

片山委員 通貨の問題は非常にお答えしにくいところをぎりぎりお答えいただいて、ありがとうございました。

 また、こういう状況になってくると、翻って、やはり日本、アジアへの期待が国際経済の中で非常に強いわけでございます。当然、米欧の方は傷んでおりますが、我が国経済も、原油の高騰、材料の高騰、円高で、かといって非常によくはないわけで、内需は相変わらず弱くて、輸出の方も、前クオーターはそうではなかったですけれども、一―三月期は恐らく下がっているのではないかと思われるわけでございます。

 四月四日に成長力強化への早期実施策というのをおまとめいただいたわけでございます。党の方からもいろいろ意見を申し上げたわけですし、二月の末には、中小企業対策の申し入れというときに、私も委員長の金子先生と一緒に官邸に行かせていただきましたが、総理も、これからの景気は目が離せないので切れ目なくやっていく話だねとおっしゃっておられましたが、今回の早期実施策の中で、経済産業省としては何が有効で何をしっかり実施していくというお考えなのかということを大臣にお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 原油、原材料高あるいは円高、サブプライム問題を中心とする米国発の世界経済の下振れリスク、こういった環境の中において国内経済をしっかりと下支えしていくということが求められているわけでありまして、先月、三月十一日に、総理から早期に具体化できる経済対策、施策を検討するように指示があったわけであります。その際に、新たな財政出動や政府による需要の積み増しは行わない、そういう前提で、経済対策、前倒しできるものについて早急に洗い出して前倒して実施するようにという指示があったわけであります。

 そこで、経済産業省といたしましては、四月四日でありますけれども、経済対策閣僚会議において決定をされた成長力強化への早期実施策に基づく我が省としての案件、例えば、地域力連携拠点の三百カ所の整備というのがありますが、これをできるだけ早急に行う。それから、中小企業の経営効率改善のためのIT経営導入という項目がございますが、これを加速する。それから、先ほど可決をいただきました農商工連携、これを、法案が通り次第迅速に進めていくために先行事例集というものを発表し、体制をとっていくということ等々、中小企業の体質強化であるとか地域経済の活性化につながる施策の実行を中心に、成長力強化に向けて万全を尽くすということを行ったわけであります。

 いかんせん、新たな財政出動があるわけではないということが前提でございますから、新味に欠けるとかいう御指摘もいただいておりますが、そういった制約の中で、できるだけ前倒しでやれる項目を洗い出したということでございます。

片山委員 ありがとうございました。

 年度末明けぎりぎりであり、かつ税法がまだ審議中ということを考えますと、本当に精いっぱいの御努力をいただいたというふうに思っておるわけです。

 いずれにしても、財政危機はあるわけで、それも過度な財政危機が我が国にはあるわけで、今後本格的な内需振興に向けた対策をつくっていく上で、財政出動の追加というのはほとんど見込めないというか、見込むのは難しいわけでございます。

 そういった中で、私ども、実は国内に余っている豊富な資金、場合によっては海外にも今過剰な流動性がございますので、これを何とか内需振興に活用できないかということを真剣に検討し始めておりまして、去る三月の末に、私どもの党の国家戦略本部の本部長は福田内閣総理大臣でありますが、に御報告した上、内需振興ナショナルプロジェクト特別委員会というのを立ち上げさせていただいたところでございます。

 こういったお話は前の金融危機のときにも若干あったんですが、それはPFIという形で一定の効果を今でも上げているわけですが、今回はそれにとどまるわけではなくて、非常に大型のパブリック・プライベート・パートナーシップですね。

 既に国内でも民間が自発的にインフラファンドのようなものを日本でも立ち上げておりますし、海外にもそういった例は多々あるわけですが、これに競争力強化であるとか地域活性化であるとか都市の再生、あるいは中央と地方の格差是正、農山漁村の振興などといった政策目的をきちっとつけた上に、いろいろなものを一つの総合的なプロジェクトといたしまして、かなり大きな規模のものにまとめ上げ、全体として各種の事業を、全体としてですね、一つ一つのものはマイナスのものもプラスのものもあっても、さらに政策を総動員し、特区などと組み合わせることによって相乗効果を上げてキャッシュフローを生み出せるのではないか、こういった絵を考え、具体的にやっていくということで委員会を立ち上げたところでございます。

 一般論として、このような豊富な資金を活用する、民間にできることは民間にで結構なんですが、往々にして、我が国の経済のビヘービアとしては、公的なものが出ていかないと民間が出ていかないことは今までもずっと経験しておりますので、大臣の御所見というか、御認識を伺えればと思います。

甘利国務大臣 内需振興という観点から、我が国の有する約千五百兆円の個人金融資産であるとか巨額の海外の資金を活用するために、官民の協力によりまして、大型のPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップの立ち上げを検討するということは意義あることだというふうに考えております。

 PPPは、公共サービスの民間開放の取り組みであり、民営化、PFI制度、指定管理者制度、アウトソーシング、市場化テスト等、幅広い取り組みを含むものであります。これを内需振興に役立てるためには、どのような魅力的なプロジェクトを見つけるかに加えまして、ファイナンス手法であるとか政府の関与のあり方等が問題となると考えられるわけであります。

 例えば、現在PFI制度を活用した事例といたしまして、埼玉県や愛知県の工業用水道事業における浄水場の施設の改築事業がございます。

 今後、官民が協力をして何を進めることができるかについて、幅広く検討を行ってまいる所存であります。

片山委員 ありがとうございました。

 経済一般、産業一般のゼネラルな立場から、今後とも御示唆、御支援をいただきたいと思います。

 もう一つ、民間にできることは民間に、官が役割を果たせることは官にで、PPPなわけですが、やはり民間の設備投資、輸出が引っ張ってきた今のところの景気なわけですが、設備投資が今回の輸出の陰りによってやや低迷するのではないかという状況が考えられるわけでございます。

 今般、アメリカにおける景気対策では、設備投資の促進の加速度償却を導入されているんですが、私が見ますところによると、我が国でも、加速度あるいは部分的な即時の償却。さらにそれに加えて、二十年度の税制改正でも党の方で大分議論をしてしっかり書き込んでいただいたわけですが、海外子会社利益の国内還流ですね。海外子会社にたまっている利益、数兆円とも言われておりますが、国内還流促進のための税制、要するに軽課ですね、受け取り配当の軽課あるいは免除を行っていただければ、かなりこれは投資や内需の拡大に資するのではないかというふうに考えておりますが、両方あわせて伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、アメリカにおきましては、景気刺激の一環といたしまして、設備投資を促進するため、一定の資産につきまして初年度に取得価額の五〇%の減価償却を認める等の措置を講じているところでございます。

 減価償却制度につきましては、我が国におきましても、平成十九年度税制改正におきまして二五〇%定率法の導入等の抜本的な見直しというものを行ったところでございます。

 さらなる加速度償却の導入につきましては、設備投資の促進によります景気拡大効果というのも当然期待される一方で、厳しい財政事情にも配慮する必要があるかと思います。このため、平成二十年度の改正におきましては、中小企業の設備投資、IT投資、省エネ投資、それから農商工連携を促進するための設備投資等の重点分野に絞りまして、特別償却等の設備投資減税の拡充、延長等の措置を講ずることとしております。

 政府といたしましては、こうした措置を盛り込んだ税制改正法案の早期の成立をぜひお願いしたいと考えているところでございます。

 それから、国内還流の点でございますけれども、平成二十年度与党の税制改正大綱におきまして、外国税額控除制度につきまして、海外子会社利益の国内還流を促進すべきであることも勘案して、そのあり方を総合的に検討するというふうにされております。

 経済産業省で実施いたしましたアンケート調査等によりますと、約半数の企業が、海外子会社から国内へ還流した資金を設備投資、研究開発に充てるというふうに回答しているところでございます。

 本件につきましては、まずは諸外国の制度、そして経済産業へ与える影響等を事務的に鋭意勉強しておるところでございます。

片山委員 ありがとうございました。米国におけるパッケージ措置では、この加速度減価償却が五十万人の雇用創出とうたっております。まあ、どう計算をしているのかわかりませんが。

 きめの細かい重点政策ごとのものもよろしいんですが、年央、年後半にかけて我が国経済がそういった状況に陥る可能性があるというときには、やはり経済産業省も含めて、経済産業省が音頭をとって、経済界とも合従して、より果断な措置をぜひ御提言いただくような検討をお願いしたいと思います。

 あと五分を切りましたので、きょうはちょっと国土交通省をお呼びいたしまして、山本政務官、本当にお忙しいところありがとうございます。

 実は今、内需及び国内成長率を云々しているいろいろな要素の中に、去年の後半から建築確認の問題があるということは、これはやはり現実として否めないわけでございまして、これは部会でも委員会でも、私自身も住宅局長さんに何回もお伺いしております。

 逐次、いろいろと進捗があることも聞いているわけなんですが、にもかかわらず、最近、全国団体からも、また私の地元の団体からもまだ不十分であるという声が上がってきておるという現実がございます。

 私は選出が静岡県でございますが、一月から二月にかけて、ようやく住宅着工の戸数が対前年度でマイナスからプラスにはなりました。確認の件数の方は、まだマイナス四%、これは全国平均でもマイナス五%ということでございます。

 この制度がそもそも始まる前には、国土交通省さんの方から、ソフトウエアが年内には、あるいはもうちょっと早い時期だったような気もするんですが、できるから大丈夫だ、現場の混乱はそんなにない、わかるよというお話があったわけでございますが、それがだんだん延びまして、今、二月にNTTデータのができたんですかね、一つ。ただ、それはまだシェアが非常に小さいと。

 これを全面更新して新しく買うと百五十万円かかるんですが、補助が出ても、建築設計事務所でそんなものはそんなに買えないのであって、ということになると、シェアが高いところのものはまだできていない、このあたりがどういうふうになるのか、どうしていただけるのかというのと、それから、構造設計の技術者自体が足りないという、これはある程度フェータルな問題があって、これでは要するにリードタイムが全然短くならないのではないのか。

 このあたりの改善策について、どのようにお考えかということを山本政務官にお伺いしたいと思います。

山本(順)大臣政務官 片山委員にお答えいたします。お呼びいただきまして、まことにありがとうございました。

 姉歯事件、構造計算偽装事件で、御案内のとおり、建築基準法改正、その中で、大臣プログラム、これを認定し直さなければならないということになりました。

 御案内のとおり、NTTデータは大臣認定されたところでございますけれども、それ以外でありますが、指定性能評価機関、これは財団法人の日本建築センターというところでございますけれども、そちらで構造計算プログラムの大臣認定に関する性能評価を受けているのは、現在四社あると承知をいたしております。

 これら四社の構造計算プログラムの開発が進むとともに、指定性能評価機関において的確に審査が行われ、国土交通大臣の認定申請がされた場合には速やかに手続を進めるように現在努力をしておるところでございます。

 なお、後段の技術者の件でございますけれども、これは担当の政府参考人が参っておりますので、そちらの方からお答えいたします。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 技術者の絶対的な不足といった点については業界の方からも多々指摘をさせていただいておりますが、平成二十年の予算において、こういう技術者の基本的な研修といったものについて取り組みたいというふうに考えております。

 また今回、姉歯事件に関しまして、建築士法の改正をいたしております。その中で、構造一級建築士という制度を、これはこの十一月の末から発足されるわけでございますが、それを目指しまして、専門家の方々の研修、これを都道府県単位で取り組んでいきたいというふうに考えております。

片山委員 もともと難しいので、なかなか即効性というのはあれなんでしょうが、今現在検討中のプログラムについてはできるだけ早い認定をお願いいたしまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございます。

東委員長 これにて片山さつきさんの質疑は終了しました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 きょうは、まず、中小企業のことについて何点か質問をさせてください。

 中小企業といっても、先般、経営承継の法律について御議論をさせていただいた際に、いろいろな中小企業があって、先ほど安井委員から商店街のお話もありましたけれども、商店街があり、ものづくりがあり、ものづくりの中でも比較的大きい会社もあったりもするんです。

 私、最近、私の知り合いの経営者の方とお話ししたときにこういう話を聞きました。ある大手の自動車会社の部品をつくっていらっしゃる会社でして、もう大分値段が安く安くなってきたものですから、廃業しようと、意を決してその大手の自動車会社の方に、もううちとしては仕事をやめたいんだということを言いに行ったそうなんです。

 そうしたところ、ちょっと待ってくれと。もう一社同じ部品をつくっているところがあって、そこがもう先に店を閉じてしまったので、おたくの会社に残っていただかないと困るので、若干その下請の値段を上げていただいたというお話がありまして、私たちの経済は、特に小さな会社、ものづくりの会社というのは非常に御苦労しているところが多いと実感をしているところなんです。

 きょうは、まず冒頭なんですけれども、副大臣、政務官の方には質問通告はしていないんですけれども、御地元でいろいろな中小企業の方、新藤さんは川口ですから鋳物、鋳物は今大分店を閉じられて、マンションが多かったりもしていると思うんです。

 そして、荻原さんのところは、これは草津ですから、多分オーストリアのノイシュティフトと姉妹都市でいらっしゃっていて、いろいろな旅館とかが非常に多くて、その辺の景気感について御地元でどういう認識を持っていらっしゃるかについて、まず冒頭、質問をさせてください。

新藤副大臣 御質問ありがとうございます。

 私どものところは、まさに中小企業そして第二次産業の割合がかつて日本一だったということでございまして、ものづくりの町を自負しております。

 そういう中で、かつて代表的なキューポラの町と言われましたけれども、鋳物工場は六百工場あったんですね。それが今、実操業で六十を切ったということでございます。しかし、その残った企業は、厳しい新陳代謝の中で、自分たちで独自の技術を持っていたりいろいろな工夫をして残ってきた強い企業でもあります。

 そういう中で、いっとき大分受注が多くて、先行きはやや明るかったんです。しかし、ここで原材料高が極めて、しかも鉄鋼だとか、鉄鋼関係、鉄鉱石ですね、こういう原材料が非常に上がったということで、今一挙にまた危機感を持っているという状況でございます。

 ですから、これから、鋳物だけでなくて製造業、いろいろな中小企業に、ここまで進んできた原材料高ですとかこういったものが非常に重くのしかかってくるのではないかな、このように私は心配をしております。

荻原大臣政務官 私の地元というのは群馬県の草津温泉ということで、今先生のお話のとおりなんです。

 草津温泉というのは、年間およそ三百万人の観光客を平均的にお迎えをさせていただいているんですけれども、ただ、だからといって、町の経済も元気がいいかと言われると、なかなかそうではないという認識を私は持っております。

 実は、私は実家が金物屋をやっておりまして、かつてはリゾート開発等もありまして、大変景気のよかった時期もあったわけなんですが、現在は、従業員さんをすべてパートというような形にもさせていただきました。また、やはり取引をさせていただいております土建業の方であるとか建設、工務店の方々の大変厳しいという話を伺っておりますし、現実問題として、商売を畳んでいるような状況もあります。

 そういう意味で、やはりなかなか地域の経済というのは大変厳しいものがあるなという認識を持っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 副大臣そして政務官ともに、御地元の経済について、これまでは頑張っていらっしゃったんですけれども、今の原材料が上がっていること等、先行きについては大分不安感を持たれているというお話かと思います。自分も同じ認識でして、前回もここの場で質問させていただいたときに、大分厳しいなという発言は大分させていただいておりました。

 もしも政策が五年ぐらい前に戻れれば、打てる政策は大分あったかなと思うんですよ。打てる政策というのは、本当に、大臣も感じていらっしゃるとおり、大きな会社の利益、一兆円利益を国に納めていただくのも本当にありがたいんですけれども、半分の五千億円ぐらいは地元に返していただくと、地元の中小企業あるいは地元の経済が活性化して、これが内需につながり、そして金利も大分上げられたのかなと思うんです。それが、ここに至るまでが、先ほど私がお話しさせていただいたとおり、大分稼いだ利益が、上流、上の大きな会社と言っては失礼なんですけれども、どうしても強いところの方に集まる傾向が多々あったのかなと。

 その反省も踏まえて、昨年の末には日本経団連の会長さんが、ことしの三月賃上げしていいよというお話はあったかと思うんですけれども、そのとき、十二月に私がそれを聞いたときには、多分これは難しいかなと思ったんです。当時の自分の景気感としては、多分、三月になると物すごく先行き不安定になってくるので、オーナー経営者だったらともかくとして、経営を委託されているサラリーマン経営者としては、なかなか株主の方に対して、従業員の給与を上げていいとまでは言えないのかなと思いまして、そうすると、大分抑えにかかってくるなというのが十二月ぐらいの自分の感覚だったんです。

 ですから、今回、三月になって、一応去年ああは言ったんだけれどもそれほど大きく報われていないなというのは、仕方がないなと思う反面、本来であれば、もう少し度胸のある経営者がいてもよかったのかなとは思っているんです。

 この時期しっかり、要は、先ほど同僚委員の方から、財政出動ができないというお話もございました。確かに、財政出動ができない中で打てる手だてとしては、本来であれば、企業の持っているある程度蓄えたものを賃金として還元することが、一つには内需を余り国に負担をかけないで上げることにつながりますし、私個人としても、これまで労働法制に大分携わってきたものですから、御批判はあったとしても、一応労働法制の歴史というのは、今から八年ぐらい前、二〇〇〇年前後というのは、私は緩くしてもよかったと思うんです、多分、甘利大臣が労働大臣を前にされていたとき。そのときは緩くしてもよかったと思うのです。

 これは、団塊の世代の皆さんのミスマッチとかアンマッチがあって、今はもう団塊の世代の皆さんは六十歳前後、当時は五十歳前後で非常に大変だったので労働法制を緩めた、私はこれに関しては仕方がないなと思ったんです。例えばワークシェアリングの話とか、あるいは派遣労働、契約労働、労働の働き方を大分緩和して皆さんが失業しないようにしていただくというのは、これは一つの時代の流れとしてはそのとおりだなと私は思うんです。

 しかしながら、今から五年ぐらい前、徐々に団塊の世代の皆さんが定年退職を迎え、会社を卒業された以降というのは、ある程度、労働法制というのは今度は締めてもいいのかなと。締めることによって若年者の賃金を上げるという方向、今二百五十万ぐらいですから、私の知り合いで大手の鉄道会社の契約社員の方がおりまして、三十代でまじめなやつなんですけれども、大体年収が二百五十万ぐらいなんです。新入社員よりも低いと言われていて、それでも一生懸命働いていらっしゃっていて、大島さん、結婚できないなんという話もあったり、このことは結構大切。

 本来であれば時代の変化を政治がしっかりと見定めながら、法制については、緩くしたり、あるいは絞るところは絞っていく、そういう流れというものが必要なのが、ちょっと思いっ切りアクセルを踏み過ぎたなと自分は実感をしておりまして、大臣についても質問通告はしていないんですけれども、その点について、御意見があったら伺わせてください。

甘利国務大臣 私は、実は、日本の伝統的な雇用形態というのをかなり評価していた政治家なんですね。終身雇用派で、年功賃金もすべてを否定すべきではないという持論の持ち主だったんです。

 当時、労働大臣のときには、物すごいプレッシャーをかけられたのは、雇用の流動性、つまり、自分がしたいというところに転職できないというのはそれが阻んでいるんだというプレッシャーが随分かかったんです。それで、労働市場から、企業側にとってみれば、必要とする人材をすぐチョイスできるように、それから、働く側の方も自分のスキルにしたがってどこへでも行けるように、マッチングがすぐできるようにやれ、それを阻んでいるのが終身雇用であり年功賃金であるというプレッシャーを相当受けていたんです。

 そして一方で、年齢制限をやめろと。ただ、これも実は年功賃金と関連をして、同一労働同一賃金というぐあいにはなかなか、年齢の高い人の方に給与をたくさん払っていますから、いかない。それゆえに、年齢制限を企業側がかけるというのは、これくらいの給料だとこの年齢の人しかうちの年功水準に従っていくと採れませんという事情があったわけですね。

 ですから、そのはざまで両方成り立つようにどうしたらいいんだろうかという思いがありました。そこで、がちがち過ぎるという終身雇用、年功賃金制を規制緩和していったという歴史だったわけであります。

 しかし、私自身は、日本の伝統的な雇用形態を全否定するのはどうしても得心がいかない。いい制度があるからこれだけ来たんだし、それがあるから日本の企業が世界に冠たる企業になってきた。つまり、愛社精神というのはやはりそこに長くいてそれが評価されることによって培われるという面もあるし、それが他社に負けない、いいものをつくろうというモチベーションになってくるし、いろいろな効果があるはずだ。

 ただし、その中で、大学あるいは高校を出た途端にもう将来が全部決まってしまう、もう身動きができない、それでも困るということで、その両立をどう図るかということをずっと悩んできた歴史でありまして、両方のよさを兼ね合わせた雇用形態があるはずだということをいつも考えている次第であります。

大島(敦)委員 大臣がおっしゃるとおり、なかなか悩むところなんですよ。

 若い人たち、これも景気変動によって、会社に対して終身雇用をとるかどうかというのは毎年毎年違いまして、多分、ことしのアンケート調査ですと、一生涯その会社という方が多かったかなと僕は記憶しているんです。ですから、結構人間はいいかげんなもので、景気がいいときにはよりいいところに行きたがり、景気が悪くて大変だなと思うと、これはもうこの会社に、しがみつくというわけじゃないんですけれども、一生この会社で働けたらいいかなとは思うところがあると思うんです。

 ただ、これも、ここは厚生労働委員会ではないので余り深くはお話はしないんですけれども、ある程度、正社員というのが非常に働き方としていいなと僕は思っているんです。先ほど国土交通省の方の住宅の問題もありました。やはり非正規社員の方はローンを借りられないわけですよ。私の友人も今非正規の物書きをやっていまして、物書きですから非正規ですよね、正社員じゃないわけですよ。そうすると、ローンを借りられないというんですよ、稼ぎがあったとしても。

 確かに同じ五百万円、例えば、二人で二百五十万円ずつ稼いで正社員で五百万円の家庭と、非正規社員で五百万円の家庭があった場合に、銀行が、家を買うのにローンを貸してくれますかといったときに、ローンを貸してくれないわけですよ、非正規社員の家庭というのは。そこでやはり住宅の投資というのも鈍ってしまうところがあるかなと思うんです。

 ですから、今、給与をある程度、大臣もおっしゃいましたが、同一価値労働同一賃金で、僕は、正社員と全くイコールにする必要はないと思うんです。それは正社員の方は、いろいろと会社の命令に応じていろいろなところに行ったり、好きな仕事でない仕事もしなくちゃいけなかったり、いろいろ制約があります。非正規の方はやはり、自分で求めて、やめたいときにはやめられるかもしれないし、ある程度限られた範囲内での仕事ということで決まっていますから。

 ただ、それが余りにも格差があり過ぎると、今の社会のように、この間も指摘させていただきました、工場の中では、余り一緒にチームワークを組めなくて、生産効率あるいは品質管理が落ちたり、接客業においても、身分格差があるとお客さんに対して接する態度というのが、なかなかうまく心温まったものにはならない。

 それで、今恐らく流通の現場では、流通の会社の皆さんも非正規社員から正社員に移行する方が非常に多くなっている。これは会社としてもメリットがあるからだと思うんです。一つには若者が減ってきたこと。もう一つには、今申し上げましたようなデメリットが大分出てきたかなというところと、労働力を囲い込まなければいけないなというふうに気づかれたのかなと思っていまして、そこのところは、国としてももう少しそちらの方向で進めていきたいなとは思っているんです。

 そうしますと、ものづくりというところは、やはりつくり込むというのが結構大切だと思っているんです。なぜこのことにこだわっているかというのは、景気動向等を私は大分今気にしておりまして、大臣も先ほどの答弁の中で景気対策について触れておりました。なかなかないと思うんですよ、これはといった景気対策は。

 ある程度需要が落ちてきた中での需要減による景気対策というのは、お金をまくということによって、財政出動とかによってある程度はカバーできる面もあると思う。前の景気後退期というのは日本国内での信用収縮でしたから、いろいろな対策を打ってもなかなか有効には機能しなかったのかなと自分は思っているんです。今、同じ局面にあると自分は判断しているんです。

 今、景気対策を自分もいろいろと考えてみたんですけれども、なかなか有効な、これはというのがないんですよ。その中で、要は、今の限定的な措置をしっかりやっていくとともに、将来に備えて、ですから、三年から四年後、五年後、世界経済がある程度上向いたときに備えて、日本の飛躍に必要とされるところはしっかり手だてを打っておく必要があるのかなと自分は思っているんです。

 これは、国内での産業もそうなんですけれども、やはり我が国としては物を外の人に買ってもらわなくちゃいけないものですから、外国の方に。ですから、ものづくりを中心に、守るべきところは守っていくということが必要かと思うので、大臣に、まずは中小企業をめぐる景気動向について、先ほど副大臣、政務官からも答弁いただいたんですけれども、大臣からももう一度答弁いただければ幸いです。

甘利国務大臣 中小企業、小規模零細を含めまして約一万九千社くらいの調査をしておりますが、中小企業の景況感でいえば、八四半期連続マイナスということでありますから、大規模も含めた全体としての感覚よりもさらに、中小企業に限って言えば足元は厳しいというふうに思っております。

大島(敦)委員 足元は厳しいという答弁がありました。

 この間、中小企業庁さんにお願いしまして、中小企業三百選ですか、中小企業庁さんが全国のさまざまな中小企業を訪問され、中小企業金融公庫の皆さんと一緒にまとめた資料だとは思うんですけれども、三社ほど皆さんと一緒に訪問させていただきまして、これは非常におもしろかった。

 おもしろかったと言っては失礼なんですけれども、自分の履歴の中ではメーカーにいたものですから、八三年から八七年までドイツに駐在していまして、技術系の事務所だったものですから、技術系の社員と一緒にドイツ語圏内を、いろいろな向こうの中堅企業をずっと訪問し続けたことがありまして、久しぶりに、我が日本の会社も結構いい会社、生き生きとした会社があるなという実感をしております。

 一社はメッキの会社で、女性の社長で、四十二歳。三十二で、お父さんがお亡くなりになったので継いだそうなんですよ。それまで履歴は結構おもしろくて、ずっとアメリカンスクールにいらっしゃって、日本の大学を出て、それからマスコミ関係のお仕事をされて、アメリカに渡って向こうでデザインの資格を取ってというときにお父さんが倒れられちゃったので、帰ってきたそうなんです。

 それまでは結構優良な会社だったんですけれども、経営者がかわることによってすべて財産を切り売りしてしまいまして、だれも引き受け手がなかったそうなんです。だれも引き受け手がなかった中で、中小企業金融公庫には大分助けられたというお話をされておりました。

 やはり、そこで崩れるか崩れないか、三十二歳の未経験の女性の方に、その人を信じて金融公庫が支えた。金融公庫としては、民間のメーン銀行がないといけないのでメーン銀行を探してくれということで、経営者の方もいろいろなきっかけがあって、今は都市銀行さんがメーン銀行だそうなんですけれども、そうやって事業の芽を摘まないということは、私は非常に大切かなと思っているんです。

 大臣として、今の日本の銀行に事業を見る目があるかどうかという点について伺いたいのです。

 よく言うわけですよ、昔の銀行家、昔のバンカーの人たちは事業を見る目があったとよく言われるじゃないですか。最近は違うと思っているんです。要は、昔というのは昭和二十年代から始まって六十年代ぐらいまで、人口が七千万から一億二千万までふえてきた過程なものですから、銀行家の人たちも、経営者を見るときに、稼いでも大丈夫だ、稼いでも妙なことはしないと。余り露骨な言い方はちょっと僕はできないので、稼いだとしてもそれをほかのことに使ってお祭り騒ぎをしないというまじめさをしっかりと見抜いていれば、おおむね会社というのは大きくなったと思うんですよ、こつこつやっていれば。

 私も、会社の出張で、今から十七、八年前に、ベトナムの開放路線、ドイモイ政策のときのハノイとホーチミンに、各公団の人たち二十人ぐらい会い続けたことがありまして、そのとき、日本の高度成長期はこんなものだなと思ったわけです。一〇%を超える成長の際はどんなことでも成功するんですよ。流通だろうが、あるいはメーカーだろうが、金融だろうが、何でもまじめにやっていれば成功するわけです。

 ですから、これまでの、通説だと自分も信じていた、銀行家の人たちが事業家を見る目があるというのは、一点においては、まじめささえ見ていればよかった時代なんですよ。今の時代は極めて大変な時代だと思っているのです。今の時代に中堅企業をしっかりと、利益を上げられて経営されている経営者は、二十年代だったら多分、日経新聞の「私の履歴書」に書けたぐらいの企業をつくれた実力があると思うんです、今の経営者の方たちは。

 その点について、銀行の事業を見る目についての大臣の御所見を、答えにくいとは思うんですけれども質問させてください。

    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕

甘利国務大臣 政府系の金融機関の中小公庫がありますけれども、このユーザー会があります。この人たちの話を聞きますと、銀行が貸してくれないときに救いの手を差し伸べてくれて、いろいろアドバイスをもらいました、それによって今日がありますとか、あるいは、それに助けられて中小公庫を卒業して、上場できるようになりましたという話を時々聞きます。

 それから、商工中金はもう完全民営化されましたけれども、まさに担保第一主義じゃなくて、経営者のまじめさとか、アイデアとか、知財も含めて企業の持っているポテンシャルとか、そういうものを必死に見きわめようという姿勢があったし、あると思います。

 翻って市中銀行でありますけれども、やはりどうしてもバブルの時代に、これは今のサブプライムと似ているようなところがあると思うんですけれども、サブプライムは住宅、バブルのころは土地ですけれども、その担保たる対象物件は未来永劫値が上がるものだという前提に融資条件が甘くなるわけですね。同じことをやっているわけです。

 そうすると、取りっぱぐれがないという前提があると、やろうとする事業を見抜くためのスタッフはそろえるだけコストがかかるということでありますから、そこがだんだんやせ細ってしまうわけでありまして、本当の金融機関というのは、無担保、無保証でもその将来性を見抜いて、あるいは欠けているものについて応援をしていって一流に仕立て上げるというのが本来の能力だと思うんですけれども、不幸なことに、バブル期を経過してそういう審査部門というものの必要性がかなり薄くなってしまった。でありますから体力が落ちた、そういう意味での。それを取り返さなきゃならないという今の時期だと思うんですね。

 でありますから、まさに金融機関の生き残りというのは、金融商品の、もちろん開発も一つでありますけれども、融資の対象の潜在能力を見きわめる力、それから、足りない部分の課題を分析してそれを補てんしていくビジネスプランといいますか、ビジネスモデルを築いていく能力だというふうに思っています。

大島(敦)委員 大臣、今おっしゃられたとおり、無担保、無保証、銀行家の方から言わせますと、預金者の方からかたい資金を預かっているので、なかなか、貸出先としてはある程度は構えなくちゃいけないというお話はよく聞くんですけれども、とはいっても、事業の将来性を見込みながらしっかり貸し付けていくことが必要だなと思うんです。ただ、銀行というのは技術系の集団じゃないものですから、技術を見る目というのが結構大切かなと思うんです。

 この間も二社、一社が埼玉県の会社なんですけれども、粉末冶金の会社で、お父様が粉末冶金の特許を開発されて独立して、本当に今、携帯電話のぶるぶる震える、ここの小さな軸受けを粉末冶金でつくられている会社とか、もう一社がプレスの会社なんですけれども、普通だと自動車部品、一々穴をあけなくちゃいけないところを、プレスでそのまま部品として成形してしまうという会社で、非常に伸びていらっしゃるわけなんです。

 そういう技術を見る目、どこに着目をして技術を見る目というのが、私たちの置かれている日本の金融機関の方には大きく欠けているなと思うんですよ。だれがそれを担うかというところが、やはり経済産業省、中小企業庁、あるいは中小企業金融公庫の方にある程度の目ききをしていただかないと困るな、そういうことをお願いしたいなとは思っているんです。

 なぜかというと、繰り返しになるんですけれども、これから厳しい時期が続いていくんです。その中で、将来の飛躍に備えた会社まで貸しはがしとか、あるいは先ほどの原料高で資金繰りが悪くなって倒産してしまったりすると、将来の飛躍に備えられないわけですよ。幅広い受け皿があってこその日本経済だと思うんです。

 ですから、その点について、先ほど中小企業三百選、僕はそのうちの一%の三社しか行っていません。委員の方もぜひ行ってみるといいと思うんですよ。これは結構おもしろいんです。私は、大体一時間、経営者の皆さんと、どうしてその会社を創業されたのかとか、ここ数年の景気がどうだとか、技術開発はどういうところに着目しているかとかお話をさせていただきまして、あと三十分ぐらいは工場見学をずっとさせていただいて、自分もメーカー出身なものですから、見ると大体私なりにわかるものですから。

 そういうことをすることによって、ぜひ頑張ってくださいというエールを送らせていただいているんですけれども、そうやって着目をしてあげることぐらいしかないのかもしれないんですけれども、三百社ではなくて、例えば千社とか二千社とか広げることによって、国としてはここに注目しているよというインデックスは持っておいてもいいのかな。

 お話を伺いましたら、中小企業三百選に入っている会社は多少金利は安いんですか、長官、いかがですか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 三百選につきましては、三百選になられた会社、私も六十社以上回っていますけれども、雇用がしやすくなったとか、社会的な認知が得られて地域での活動がしやすくなったとか、いろいろなメリットをおっしゃる方がおられます。

 銀行に対しましては、実際問題、金利が安くなる、そういう仕組みはございませんが、やはり社会的信用力が非常に高まっておりますし、技術的にもありますので、個々の話の中ではそれなりの対応がなされているのではないかというふうに私どもも思っております。

大島(敦)委員 これから三百社を、三百社は多分どの会社もすばらしい会社だと思うんです、日本のトップ三百社ですから。それを広げることによって、ある程度、将来我が国として残さなくちゃいけない、あるいは伸びるであろう産業というのは想定されていると思うんです。三千社あったとしたら、全部が全部に当たる必要はないと思うんだけれども、ある程度の目安というのは、スクリーニングをかけるというのかな、政府として着目をして、この会社はおもしろいということを皆さんに知っていただくことは必要なのかな。

 そういうファンクション、機能を持っているところがないんですよ、我が国には。ベンチャーキャピタリスト、技術系のベンチャーキャピタリストがあるかというと、多分ないと思うんです、技術評価ができて。政府だけなんですよ、どの中小企業にも訪問できるところは。これが民間の銀行とか民間のファンド会社とか民間のところだと、工場の奥までは入れてくれないわけです、ちょっとこれは秘密だからとか、ちょっとおたくと銀行取引がないからということで。

 日本全体の絵を、今、多分ことしの前半ぐらいに書いておかないといけないのかなと私は思うんです。一たんつぶしてしまったら、なかなか立ち上がれないと思うんですよ。その点について、もう一度大臣の方から、今三百選なんですけれども、そういう視点でふやしていかれたらと思うんですけれども、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 三百選というのは、まさに他の範となり得るようなすばらしさを持っている企業を選ばせていただいたわけであります。そういう模範となり得るような中小企業が他の企業の視野の範囲内にいるということは、具体的な目指すべき道、努力する課題というのが他社にも見えてくるでありましょうから、いいモデルとなるんだと思います。

 これから、水準を落とさずにさらに新たな三百なり五百なりを選定するかというのは、今検討しているんですが、数だけそろえるのはいつでもできますけれども、だめな三百社というわけじゃないですから、優秀な三百社ですから、レベルをそろえつつ、選定が可能かどうか、私は可能だと思うんですけれども、今検討中というところであります。

大島(敦)委員 自分でも、この三社だけ、一%だけなんですけれども訪問してみて、非常に久しぶりにわくわくする感じがしたものですから。

 経営者の方は結構いろいろなことを考えていて、プレスの会社は物すごくもうかっている会社で、アメリカにも支店を持たれたり、あるいは自分の技術を全部公開しちゃっているわけですよ、同業他社にも。同業他社に公開して、ある大学にお金をというのかな寄附をして、大学の中に研究所か何かもつくっていたりして、全部そこで公開している。公開することによって、逆に、自動車会社がそういう技術があるということを知ってそこから発注が来たりと。

 しかしながら、将来を考えると、技術系の会社なので、やはり経営者は技術系の方じゃないといけないのかなとか。その方というのは中学しか出ていないんですよ。十五歳からずっと職人で、そこまでワールドワイドな、世界にも活躍する会社をつくられたりして、非常におもしろいというのかな。ですから、ぜひ我が国もその三百社、レベルを落とさないで、将来、経済産業省なり我が国として必要な技術で。

 こういう話もあります。私の先輩から伺ったんですけれども、要は、ある商社の方が、何か一億円以上負債のある会社を全部負債とも引き取って、もともと真空のパッケージをつくっている、いろいろな食品の真空のパッケージを生産する会社を継いで、それの経営を引き取られて、そこから、今は太陽光発電のすべての生産設備をつくるようにまでいった。

 これは、前回の議論の中でも、事業承継、経営承継の法案の中で認定というところがあったと思うんです。こういうことができないかなと自分は思っていまして、息子だったら、あきらめておやじの債務は引き取るわけですよ、引き取らない息子も最近いるかもしれないけれども。要は、個人保証しなければいけないわけです、中小企業ですと。私が行ったぴかぴかのプレスの会社も、社長は自分で個人保証をいまだにしているというお話をしているわけですよ。

 個人保証、親族だったら、ある程度仕方がないなという気持ちになると思うんです。要は、ぴかぴかの会社、無借金であれば第三者の方に、君、お願いするよとして経営をお願いできるかもしれない。ただ、将来性はあるんだけれども、財務内容が負債があるんだ、それも含めて引き取ってくれないかといったときに、人はしり込みしてしまうのかなと思うんですよ。そうすると、経営者がいなくなって倒産してしまうということ。

 僕は、一億六千とか二億円という単位で、要は、債務を引き取るのはつらいと思う。ゼロでもいけないなと思うんです。やはり自分の金を入れないと甘くなってしまうんです。大体、私のいた鉄鋼会社でも、大分新規事業をして、一千億円以上、皆さん各社ともに損をしたんですけれども、要は、サラリーマンとしての給与、自分の金をかけないとなかなか二十四時間働かないわけなんですよ。

 それを考えると、有為な三十代、四十代、五十代で、もう自分としてはこれからはメーカーだ、この会社をぜひ経営を引き取ってやっていきたい。しかしながら、二億円の債務保証はちょっとつらいな、五千万、家一軒分ぐらいだったら自分も出資してやるよという、そのようなスキームがこれから必要になってくるのかなと思うんです。

 これからの経済が非常に大変だと僕が思うのは、サラリーマンが非常にふえたんです、私たちの社会の中で。今働いている人のうち八六%がサラリーマンなんです。平成元年は働いている人の七六%が、要は、給与所得者だったわけですよ。もうほとんど給与所得者の社会に今なっているわけです。

 その中でリスクをとってやっていこうというのは、極めて変人かもしれない、少し変わった人かもしれないけれども、そういう方にぜひやっていただくような、そういう制度、仕組みが多分これからは必要になってくると思うんですけれども、その点について、長官が答えるのか、あるいは大臣になるのか、答えていただければ幸いでございます。

    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕

福水政府参考人 お答えを申し上げます。

 事業承継の問題につきましては、先週、大分ここで議論させていただきましたが、私どものアンケートの中では、最近の事業承継の状況を見てみますと、四割が親族外の承継になっているんだというふうな御説明をさせていただきました。

 そういう方々にも事業承継資金が円滑に供給できるように、事業用資産の買い取りでありますとか株式の買い取り、あるいは経営者が交代して、特に親族以外の方になりますと信用力の低下という可能性も大いに出てきますので、そういう場合に備えて、金融機関から代表者個人も借りられるような法案の御議論をここでいただいて、可決していただいたところでございます。

 そういう総合的な政策を考える中でいろいろなケースが今後出てくるかと思っておりますので、一つ一つ検討していきたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 私たちの社会の中で、経営力を持っている方が大分少なくなっているなと思っているんです。ですから、経営力を持った方を多くつくるということが多分次の飛躍のときに大切なのかなと。

 僕は二つあると思うんです。一つには、これから続くであろう非常に景気後退期に、政策的に残すところはしっかり残す、もう一つは、経営力のある人材をこの機会に多くつくって次の飛躍に備えるということが必要かと思いますので、その点について、大臣にぜひ、そういう観点で多分お仕事されているとは思うんですけれども、そういう観点で政策を進められることについて御意見いただければ幸いです。

甘利国務大臣 世の中が不況になってくると、どうしてもみんな守りに入る。そういう中で、自分で打って出よう、つまり業を起こそうという人というのは、極めて大事な存在だと思います。

 私は仕事柄、若手経営者で自分で事業を起こして上場までさせたという人とよく歓談をする機会があるんです。

 私ははっきり言うんです。本当に尊敬をする、リスクをとって打って出るということに対して敬意を表するということをよく言うんですけれども、一つ会社をつくった人は、割と二つ目、三つ目とつくるんですね。会社をつくるコツというのが、自分で一つ苦労して、いろいろな苦労があるとよく聞きますよ、何度も何度も艱難辛苦を乗り越えてきたと。でも、一つやり遂げると二つ目は楽ですよと。

 この間会ったある経営者は、株式公開、マザーズかどこか忘れましたけれども、最短記録をつくった。つくってから三百六十何日間で株式公開をしましたと。今度は抜かれたからもっと新記録をつくるんだとか言っていましたけれども、そういう意欲のある人がどんどん出るということは、そこに雇用が発生するし、経済の活力が出てくるわけであります。

 そこで、経済産業省としては、経営塾というか、そういうアントレプレナーシップを涵養するような機会を設けて、リスクをとって挑戦をするという人が出るように、みんな、全員が守りに入っちゃったら経済は停滞しますから、そういう機会をいろいろ設けていきたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 残りが少なくなってきておりますので、今回の次に想定されるのが省エネ、今度はエネルギー関係の法案だと思うんですけれども、環境について何点か質問をさせてください。

 私は、キャップ・アンド・トレードですか、最近二つの本を読みました。ノーベル経済学賞をとったスティグリッツの「スティグリッツ教授の経済教室」と、もう一冊がグリーンスパンの「波乱の時代」、立場の違うこの二人がキャップ・アンド・トレードについて極めて懐疑的なことを書いているんですよ。多分、要はうまくいかないだろうと書いております。

 甘利大臣がこの場で時々セクター別のお話をされております。自分も鉄鋼業という出身なものですから、非常にのみ込みが早くてというのか、すとんと落ちるところがありまして、セクター別については非常にわかりやすい制度かなと思うのですよ。今回は、我が国が相手方にボールを投げたわけで、我が国が主体的に京都の次の枠組みについてボールを投げたのは非常に評価をしているところなんです。ですから、新しい枠組みをつくらなければいけない時代に来ているのかなと。

 エネルギーの値段についても、一九八〇年が一バレル四十ドルで、世界の物価上昇率をずっと掛け合わせてみると、現時点では百ドルというのがある方の理論値だそうなんですよ。ですから、ここ二十年間は、恐らく非常に原油も含めて安い資源の中で世界は繁栄してきたのかなと自分は考えているんです。これが一九八〇年にもう一回戻って枠組みが始まるかなと思っていまして、一つには、我が国にとっていい飛躍の時代かなと思うのです。

 この間は新型インフルエンザの話をさせていただいて、今後、委員会でこの御議論を継続してやっていきたいんですけれども、ヨーロッパ人、EUがセクター別に乗ってくるのは、意外と、自分のところでキャップ・アンド・トレードしてみたんだけれども、本当にうまくいくのかなというので、僕は懐疑的になっているんじゃないかと思っているんです。

 ヨーロッパ人のことだから、自分もヨーロッパ駐在をしていたものですから、本来であれば、ISOのように自分たちで排出権取引のスタンダードをつくって、このスタンダードで世界を支配しようというもくろみがあったはずなんです。だけれども、これはやってみたんだけれども、甘々の基準でキャッチボールしている分にはいいんだけれども、基準を下げてくるとなかなか業界が納得しなくて大変だなということに気づいて、日本政府のボールに対して意外と食いつきがよかったなと思っているんですけれども、その点についての御認識について伺えれば幸いです。

甘利国務大臣 言葉が通じる方とやりとりができて本当にうれしいのでありますけれども、日本はまじめな国で、どこよりも一生懸命温暖化対策をしようという意気込みがあるということをバイアスで見られないようにすることが大事なんですが、世界にとって新しい枠組みで何が大事かというと、基準点をつくることが大事なんですね。縦軸、横軸の基準点、公平な基準点をつくることが大事だ。

 一つは、では、みんながそこそこ努力をして、用意ドンとつけるスタートラインをどこに引くかという基準点、これは基準年の問題ですね。それから、もう一つの横軸をつくるとしたら、どれくらい技術なり努力なりを投入して削減できるかのポテンシャルをはかる基準値をどう見出すかというその基準点ですね、いわゆるベンチマーキングです。

 キャップ・アンド・トレードの最大の問題点は、だれがキャップをかけるの、神様はどこにいるんですかと。つまり、今までの方式だと、グランドファザリングといって、要するに実績値、既得権ですね。既得権というのは、たくさん出していた人がたくさん出す権利を、その上限を持っているということは、サボっているやつほど得という、世の中の大原則として努力が報われるということが大原則にないと、サボっているやつほど得をするといったらだれも努力はしませんから、そこで基準点をどこにするか。

 セクトラルアプローチというのは、セクター別に、どれくらいの努力をしてどれくらいの平均値になるかという基準点を探す。そうすると、基準点でやると、オーバーしているところには削減ポテンシャルがこれだけある、そのためにはどの技術を導入すればいいかというのがすぐわかるわけですね。ですから、タイムラグを引いて、いついつ、どのくらい導入していくと、どれくらい削減できるかという削減ポテンシャルがきれいに全部わかるわけでありまして、それについて不公平だという文句はだれもつけられないわけです。そういう点では、本当に完璧な手法だと思うんです。

 だから、キャップ・アンド・トレードを主張する人も、セクトラルアプローチで基準点を、ベンチマーキングを求めていくということに頼らざるを得ない。必ず日本の方式がいいと言うに決まっているんです。ただ、おっしゃるように、キャップ・アンド・トレードの商売がもう先行しちゃっていますから、そういう商売にかかわっている人たちは、これがなくなったら飯の食い種に困るじゃないかということを思うでしょうから、それで先行すると。

 だから、本当に純粋に地球のことを考えるんだったら、縦横、公平公正な基準点を見出しましょう、そのためにはこの方式がいいんじゃないですかという地道な努力をしていくしかないと思いますし、それが少しずつ認められつつあるというふうに思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。これから法案審議を通じて議論の方は深めさせていただきます。

 きょうは財務省から木下主計局次長さん、そして環境省からは谷津大臣官房審議官の方に来ていただいておりまして、きょうはまことに申しわけありません。次回にまた質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田和美さん。

太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。

 長時間の議論でお疲れだと思いますが、本日最後のバッターでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、質疑に入らせていただきます。

 せんだって、大臣所信に対する質疑の際に、私は内需拡大への取り組みが弱いのではないかという趣旨の質問をいたしましたが、きょうは、そのような問題意識の延長線上で幾つか質問させていただきたいというふうに思います。

 八六年の前川レポートでは、内需拡大の大きな柱として住宅建設の促進が挙げられておりました。当時の住宅事情の貧困さ、そして産業のすそ野の広さ、家電製品や家具の買いかえ需要の発注など、波及効果という点で住宅に着目したのは当然のことだったのだろうと思います。

 翻って、現在の日本において、これは今後、少子高齢化がますます進む中で、かつてとは違った意味で住宅政策が成長戦略の中に位置づけられなければならないと思っています。

 経産省製造産業局長の私的諮問機関である今後の住宅産業のあり方に関する研究会の報告書が、つい先日公表されました。私は、住宅といえば国土交通省だけかというふうに思っていたのですが、経産省でも住宅を取り上げているのかとちょっとびっくりいたしました。経産省として、工場生産のプレハブメーカーを対象に今まで産業政策などを展開してきたんですね。私もかつて住宅販売の仕事をしていたことがありますので、興味を持って読ませていただきました。

 この研究会を立ち上げた問題意識として内需拡大と書かれておりましたが、まず大臣にお聞きしたいのは、この内需拡大、これからの成長戦略の中で、産業政策として住宅産業をどのように位置づけ、どう伸ばしていくのかということであります。研究会で立ち上げた問題意識、総理が旗を振っておられる二百年住宅の関連も含めて、大臣からお願いしたいと思います。

甘利国務大臣 民間住宅投資というのは、二〇〇六年度でいいますと約十九兆円、これは名目GDPの三・七%を占めているわけであります。

 住宅産業は極めてすそ野が広い、材料というのは、木材から、ガラスから、繊維からあらゆるもの、それから屋根の素材、金属から、かわらからいろいろあると思いますが、大変すそ野が広い産業であります。あわせて、新しい住宅ができるのを機会に、家具を入れかえるとか家電製品を新しくしようとか、あるいは自動車も新しくしようとか、住宅自身以外の産業部門への波及効果が極めて高い産業であります。

 ただ、福田総理は、とにかくいいものを長く大事に使おうと、環境の視点からの新しい住宅のあり方というのも提言をされているわけであります。二百年住宅というんですか、いいものを長くということでありまして、大量生産、大量消費から、いいものをしっかりと補修しながら長く使っていく。

 そうすると、経済的には、どんどん新しいものと入れかわった方が経済効果は高いんじゃないかという視点もありますが、建てかえのサイクルから見ると、まだまだバックオーダーというのははるかにたくさんあるのでありますし、長い間大事に使っていくということは、修繕とかリフォーム需要も出てくるということで、引き続き経済の主要部分を担っていく産業部門であると思っております。

 我が省も住宅産業課というのを持っておりますので、しっかりとこうした視点に目配りをしながら、産業の育成をしていきたいというふうに思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 この報告書では、住宅産業の従来型のパラダイムを転換するのだとして、大きく三つの方向性を提起しております。第一に、「従来の新築販売を主な収益源とするビジネスモデルから、住宅の継続的な利用価値の向上も収益源とするモデルへの転換」、第二に、住宅関連の「業種の枠を超えた協業による効率化と付加価値向上」、そして第三に、「住宅のハードを製造販売する産業(「ハコ」の提供)からソフト面の対応も含めて住生活の価値を高める住生活提案産業(「場」の提供)への進化」ということです。

 私は、大きな方向性としては間違っていないと思います。環境のことを考えても、いつまでもスクラップ・アンド・ビルドを続けていいわけがない。古くなったからといって買いかえるというような価値観は、そろそろ変えていかなければいけない。むしろ基本は、丈夫なものをつくる、そして壊れないようにメンテナンスをしっかりやっていく。また、メンテナンスをしようと思ったら建材や部品がもうなくなっていて、買いかえた方が安上がりだということにならない仕組みをつくらなければならない、その方向性はいいと思います。

 ただ、私が疑問に思う点は、長期優良住宅は既存のものと比べてコストが二割高になるということです。幾ら、税制の優遇を少々しても、そして初期コストは上がっても、転売価格が上がるのでトータルコストを判断してくださいと言われても、これだけ国民の所得が減り、消費性向が極めて悪化している時期に、果たして国民に購買力があるのか。

 格差を是正し、可処分所得をふやしていく政策とセットであるならばまだ納得はいくんですが、政府としてそれはやっていないわけですから、私は、内需拡大といっても、二百年住宅のみではなかなか厳しいものがあるのではないか、絵にかいたもちで終わる危険性があるのではないか、このように考えているのですが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 おっしゃるとおり、良質な長寿命住宅というのは、当初の建築費はある程度高くなると予想されます。当然だと思います。

 しかし、数世代にわたって使用されたりするということ、それから、これまでの住宅よりも売却する際には高い額で売却できる、中古価格も高くなるということを通じて、長いスパンで見れば、国民の負担は軽減されるということが期待される。

 確かに、住宅購入者の立場からは、当初の建築費が上昇するということは、長期的に住居費の負担が軽減されたとしても負担になるという側面があるわけであります。

 したがいまして、住宅の長寿命化を推進するため、住宅メーカーや金融においても、長寿命住宅の価値を適正に評価して、新築住宅を購入しやすくするためのローンの整備をするなどの取り組みが期待されるわけであります。

 また、政府といたしましても、関係省庁で連携をしまして、金融、税制など住宅にかかわる政策を総合的に推進をしてまいりたいというふうに考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 この報告書は、従来のビジネスモデルの転換として三つの新しい方向を目指すのだ、そのことは方向としては大体結構です。しかし、そのために経産省として何に取り組むのか、その点についてお答えください。

荻原大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、経済産業省におきましては、あり方研究会の報告書の提言を踏まえまして、住宅部材の共通化に向けた関連業界の協議会の設置、また住宅診断サービス業界の組織化に向けた取り組みを既に開始しているところでございます。

 さらに、来年度の予算あるいは税制の検討と並行いたしまして、提言された政策を具体化してまいりたいと考えてございます。

 例えば、部材、建材に電子タグというようなものをつけましてトレーサビリティーを確保することによりまして、製品安全であるとかリサイクルにも活用する情報化、また建築材料の断熱性能表示制度、こういったことで住宅の省エネの促進など、こういう取り組みをこれからしていきたいと思いまして、迅速にまた着実に成果を上げていきたいと考えてございます。

太田(和)委員 今回の報告書では、我が国の住宅着工戸数は、昭和四十七年に百八十六万戸とピークに達し、近年、団塊ジュニアの新築購入もあって百二十万戸前後で推移してきたが、今後の少子化で二〇二〇年度には七十六万戸にまで落ち込むと予測しております。

 長い目で見れば、先ほど大臣もおっしゃったように、長期優良住宅も結構ですが、住宅の継続的な利用価値の向上というのであれば、今現時点で六百万戸も余っている中古住宅の流通市場をつくることも喫緊の課題ではないかというふうに私は思っております。

 この問題については意識を共有していただけていると思っていますが、子育て世代から高齢世代といったライフステージやそれぞれのライフスタイルに合わせて、住宅に対する要求はさまざまです。しかし、中古物件の評価が低く、リフォームをしてもそれが適正に評価されないような現在の状態では、気軽に住まいをかえるということもできません。こうしたことから、日本は住宅に対する不満が高いとも言われています。

 しかし、逆に言えば、不満があるということは新規需要があるということです。急激に新築住宅から中古住宅へと政策転換をすると内需を冷やすことにもなりかねないという懸念もありますが、リフォームの価値が適正に評価されるようになり、中古物件の価値が上がれば、住宅着工戸数が低迷する中でも、リフォームに対する需要もふえてくると思います。

 まず何よりも、国民の生活の質の向上、そしてその結果、内需の拡大につながったというような住宅政策となるように、引き続き政策展開をしていっていただきたいというふうに思います。

 問題提起だけさせていただき、次の質問に入りたいと思います。

 ここからは、サービス業におけるIT化について質問をしたいと思います。

 経済成長戦略大綱では、サービス業の生産性向上が華々しくうたわれております。私は、そのかぎとなるのはITだと思っているのですが、残念ながら、関連三法には技術革新の文字はあるものの、情報技術の活用とは書かれていないようです。

 ITという言葉が広まったのは、平成十三年、e―Japan計画ということで、当時の森首相がIT講習を行ったころかと思います。ITをイットと言ったころだと思うんですけれども。当時のIT講習は、パソコンをワープロのかわりに使うこととインターネットでホームページを見てみようというような内容で、いまだにこうした使い方しかしていない人も多いのは残念なことです。

 私の理解では、ITとはもうちょっと役に立つもので、コンピューターや通信技術を使って情報を高度化し、効率性や信頼性、顧客満足度などを高める技術であると考えています。

 サービス業は、製造業に比べ生産性が低いと言われています。製造業の生産性を上げたのは、コンピューターによる生産管理によるところが大きいと言われています。大企業の役員やシステム担当者には当たり前の言葉とも言えるERP、SCM、CRMといったシステムは、設備や人員計画の効率化、在庫の削減、顧客関係の改善をもたらしました。こういったシステムの構築には莫大な費用がかかり、なかなか中小企業への導入は進んでいないわけですが、これらは、中小企業、特に規模の小さなサービス業がシステム化に取り組むことにより、生産性を上げることができると私は思っています。

 お配りした資料の右下、「IT投資による生産性向上の相関係数」をごらんください。

 IT投資が活発な米国では、非製造業において製造業を上回る生産性向上が得られたことが示されております。一九九〇年代後半、米国においては、ITの活用により事務作業の効率化、物流や在庫の効率化によりコストを削減、また、蓄積したデータの活用により収益の増大、拡大を果たしているとのことです。

 ここでまず、e―Japan計画以来の経済産業省のIT化推進に対する取り組み、その成果についてお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、ITは、我が国経済社会の発展に大きく貢献するとともに、国民生活をより豊かに変える力を持っているなど、その果たすべき役割は極めて大きいものがあると考えております。

 政府は、平成十三年に設立されましたIT戦略本部を中心に、全省庁が連携しながらIT政策の推進に取り組んできております。

 これらの取り組みによりまして、まず世界最高水準のインターネット網が整備され、低廉な料金で利用することが可能になりました。また、電子商取引の環境整備を進めることにより、その取引規模は飛躍的に増大しております。

 企業のIT投資の拡大と、ITを活用した企業の生産性の向上にも取り組んでまいりましたが、御指摘のように、この十年程度、米国に比べまして日本のIT投資は低迷しておりまして、一層の施策の推進が必要と考えております。

 他方、国のほとんどすべての手続につきまして、電子的な申請や届け出が可能になるなど、電子政府の実現に向けて一定の成果を上げてきておりますけれども、これからは、実際の利用率の向上が求められているところであると認識しております。

 今後とも、ITの持つつながり力を徹底的に生かし、ITによる我が国企業の生産性の向上とITの利用、活用の環境整備に向けて積極的に取り組んでまいりたいと存じております。

太田(和)委員 ありがとうございます。経産省としても、いろいろな面で取り組んでおられるのかと思います。

 では実際に、中小サービス業で生産性を上げるために活用できるシステムはどのようなものがあるのかということを、少し例を挙げさせていただきたいと思います。

 例えば、業務の標準化、最適配置の問題として、運送会社のトラックの配車問題があります。トラックを何台用意して、どういうコースで荷物をどれだけ積むのかという計算です。これを手作業で行うのは大変ですし、熟練も必要です。こういうものをシステム化すれば、一定の条件のもと、最適な配車計画値が素早く作成できるようになります。

 在庫の適正化というのも生産性の向上に必要です。サービス業も、商品のほか、消耗品や貯蔵品の在庫を管理することが求められます。トヨタのかんばん方式の手法を取り入れて、病院の薬剤や器具の在庫を適正レベルに保つことで在庫費用が減ったという例もあります。これには、バーコードを使って実在庫を把握し、適正在庫を管理するというシステムが実現されています。

 また、顧客関係を改善するのにCTIというシステムがあります。これはコンピューターと電話を組み合わせたものです。問い合わせを受けるコールセンターのような業務の場合、電話がかかると同時に、コンピューターの画面に過去の問い合わせの日時や内容、対応の進捗状況が表示されます。効率化のほか、お客様にとっても、自分のことを知ってもらっているという安心感が生まれ、顧客満足度の向上にもつながります。

 このような生産性を上げるためのシステムはいろいろあるというのに、中小企業には普及しておりません。私は、こうしたシステムの普及のかぎとなるのは、導入費用を下げることと、もう一つは啓蒙活動だろうと思っております。

 米国では、パッケージソフトと呼ばれるでき合いのシステムの割合が非常に高くなっています。資料の左下をごらんいただきたいと思いますが、アメリカでは、だれでもできるように業務を標準化し、業務をシステムに合わせてきたからです。パッケージソフトは、オーダーメードのソフトに対して安く入手できます。この表では「作り込み」と書かれているところです。マイクロソフトのワード、エクセルというのは、パソコンとセット販売したから普及いたしました。会計ソフトも、それなりに需要があるから数万円くらいで買えます。

 パッケージソフトが安いのは、開発費のコストを大勢の使用者が分けて負担できるからです。しかし、最初の開発費が回収できるのかどうかわからないので、システム会社は安易にパッケージソフトの開発ができません。

 そこで、パッケージソフトの開発を支援して、中小企業がシステムの導入をしやすくするということはできないのでしょうか。

 平成十九年度までは、中小企業戦略的IT化促進事業というのがありました。平成十九年度は、製造業において行うEDI、電子データ交換を活用したシステムを構築するための事前調査研究や開発、導入にかかわる経費の一部を補助しています。同じように、中小サービス業の業務効率化に対するシステム開発に対してこのような補助事業をすることは可能ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

新藤副大臣 いい御指摘だと思います。

 まず、サービス産業の生産性向上を図るために、産学官が連携する場といたしましてサービス産業生産性協議会、こういったものが発足されております。この中で、今先生が御指摘されましたような、製造業で導入されているいわゆるかんばん方式だとかカイゼン方式、人員配置や生産管理手法のサービス産業への導入、こういったものを支援していこうという検討がなされております。また、サービスの付加価値を高めるための品質の見える化、いわゆる顧客の満足度評価みたいな、こういった指数を入れようじゃないかというようなこともここの協議会で開発しているんですね。

 あわせて、IT化につきまして、特に中小企業のIT化に対して最大の課題は、まずお金がかかるということですね、小さな企業で入れるためには。それから、ソフトウエアが複雑で高度になれば、使える人が少なくなってくるということがあります。それからさらに、会計ソフトなどはアップグレードしていかなくてはいけない。そうすると、そのときのいろいろなメンテナンスが非常に複雑で大変だということが中小企業の負担になってくるというふうに私どもは理解しております。

 ですから、中小企業のインターネットを活用したソフトウエア提供サービス、これはソフトウエア・アズ・ア・サービス、SaaSという略称にしておりますが、今年度からこれを予算化いたしまして、まず今年度、プロトタイプをつくろうということになっております。

 要するに、今までは自分の企業でやっていたことを、ネットを通してサービスプロバイダーに接続すると、今のようなソフトウエアのアップグレードだとかソフトウエアのメンテナンス、それからいろいろな専門家が自分の会社のデータを加工してくれる、こういうサービスをやろうじゃないかと。それを、例えば幾つもの企業がプロバイダーに対して、十社、百社、千社、そういうふうに活用するようになれば利用コストも下がるということで、ぜひこういったことを進めていきたい、そして中小サービス業の生産性向上のためにこれを役立てていきたい、このように思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 開発に対する支援とともに、導入に対する支援も考えられます。例えば、認定されたパッケージソフトを導入するときは、購入費の半額の補助金を出しますとかです。

 さて、補助金や減税で支援を仮にしたとします。それでも、サーバーを買ってパッケージソフトを買って導入支援や指導費を入れたら、数百万になってしまうかもしれません。でも、それ以上に効果がありますという効果が実証できればいいわけです。

 経産省として、中小零細企業、特にサービス業に対してのITの啓蒙活動というか普及にもう少し頑張っていこうというお考えがあるのかどうか、お考えをちょっとお聞きしたいと思います。

甘利国務大臣 中小企業というのは、我が国経済社会を支える重要な基盤でありますし、ITを活用して、その多くを占める中小サービス産業の成長を図っていくということは、我が国の経済活性化のために極めて重要なことであります。

 そこで、経済産業省としては、中小サービス産業がITを導入しましてその十分な活用を図ることを促進するために、中小企業IT経営力大賞の創設によりますベストプラクティスの普及に努めてまいります。また、IT経営応援隊というものを全国各地に派遣して、研修や相談事業を実施しているところであります。先ほど、新藤副大臣からもSaaSの説明がありました。このSaaSの利用促進を含めて、今後ともこれらの施策を強力に進めてまいりたいと思っております。

 こうした施策によりまして、生産性向上のために中小サービス産業がITを導入し、その力を十分に活用できるように、積極的に支援をしてまいる所存であります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 パッケージソフトをさらに使いやすくするSaaSという選択肢も生まれてきました。ソフトウエア・アズ・ア・サービスの略ですが、ソフトを自社のパソコンに置くのではなく、インターネット経由でサーバー上のソフトを利用するという考えです。一九九〇年代末にASPという名前で登場しましたが、通信のコストが高く、なかなか普及しませんでした。しかし、ここ数年、安定した高速のインターネットが安く使えるようになってきましたので、今後有望なサービスになると思います。

 業務効率化のシステムも、パッケージ化やSaaSの普及が進んでくると、中小零細企業にも相当普及すると思います。二十年後ぐらいには、日本の中小サービス業のIT化に力を入れた結果生まれ変わったのだと言われるぐらいに、力を入れていただきたい分野だというふうに思っております。

 本日は、こうした生産性を上げるためのシステムを知らない中小企業の皆さんにぜひとも本当に元気になっていただきたい、そんな思いから質疑をさせていただきました。もう一度、資料の右下のグラフを見ていただきたいんですが、日本の非製造業の相関係数がぐんと上がることを期待いたしまして、少し早いんですが、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 以上で太田和美さんの質疑は終了します。

 次回は、来る十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十九分散会


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