衆議院

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第12号 平成20年5月9日(金曜日)

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平成二十年五月九日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 鈴木 俊一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 吉川 貴盛君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 忠彦君    江崎洋一郎君

      大村 秀章君    岡部 英明君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      柴山 昌彦君    平  将明君

      谷畑  孝君    土井 真樹君

      丹羽 秀樹君    橋本  岳君

      藤井 勇治君    馬渡 龍治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      盛山 正仁君    安井潤一郎君

      山本ともひろ君   吉田六左エ門君

      吉野 正芳君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      田村 謙治君    牧  義夫君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   経済産業大臣政務官    山本 香苗君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   藤岡 文七君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            私市 光生君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            三村  亨君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           鈴木 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 望月 晴文君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    福水 健文君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    岩井 良行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 富由君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     盛山 正仁君

  佐藤ゆかり君     馬渡 龍治君

同日

 辞任         補欠選任

  馬渡 龍治君     佐藤ゆかり君

  盛山 正仁君     山本ともひろ君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    片山さつき君

    ―――――――――――――

五月九日

 悪質商法被害をなくすための割賦販売法改正を求めることに関する請願(渡辺周君紹介)(第二九〇七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 信用保証協会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)

 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、信用保証協会法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官藤岡文七君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長鵜瀞恵子君、金融庁総務企画局参事官私市光生君、金融庁総務企画局参事官三村亨君、厚生労働省職業安定局次長大槻勝啓君、経済産業省大臣官房審議官鈴木英夫君、経済産業省大臣官房審議官羽藤秀雄君、資源エネルギー庁長官望月晴文君、中小企業庁長官福水健文君、中小企業庁次長岩井良行君及び国土交通省大臣官房審議官小川富由君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水清一朗君。

清水(清)委員 自由民主党の清水清一朗でございます。

 本日は、久々に質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 盛りだくさんのテーマについて短時間での質問でございますので、つまみ食い的な質問になってしまいますが、あらかじめ御容赦いただきますように申し上げさせていただきます。

 まず第一に、今回の中小企業金融三法の改正を進めるに当たりまして、甘利大臣におかれましては強力な自負ないしは思い入れがおありではないかと存じます。この意気込みと申しますか、情熱のほどを御披瀝いただければ幸いに存じます。

甘利国務大臣 中小企業といいますと、事業所数でいえば日本の総事業所に占める割合は九九・七%、抱える従業員数でいいますと日本じゅうの全従業員数の七割を中小企業が抱えているわけでありますから、我が国経済の大宗を占めると言っても過言ではないと思います。その中小企業にとってまさに命綱と言えるものが、円滑な資金調達、金融関係であります。

 このために、従来から、担保であるとか保証人に過度に依存しない融資というものを促進する、それを目的とした流動資産担保融資保証制度の導入等、資金調達手段の多様化に取り組んできたわけであります。加えて、創業であるとかあるいは再生の局面にあるために資金調達が特に困難である中小企業者に対する支援策も講じてきたわけであります。

 今般の法改正は、これまでの取り組みに加えまして、資金繰りの一層の円滑化、地域における再生支援の強化、創業や新分野に挑戦する企業に対する支援の拡充等を行いまして、中小企業の資金調達のさらなる円滑化を図るということを目的とするものでありまして、経済産業省といたしましては、これらの施策を通じまして、引き続き、日本経済の大宗を占めるという中小企業のネックになっているといいますか、弱い部分の資金調達のさらなる円滑化を図っていくということに努めてまいりたいというふうに思っております。

清水(清)委員 ありがとうございました。

 中小企業の生産性を向上させようという件につきまして、金融面でもサポートすべしというお考えであると思います。その意味において、私どもも、実の上がるものを提供してあげたいとの御提案に同感でございます。

 さて、まず特定支払い契約保険の創設についてでございますが、取引の中で、実際には、売り掛け債権、まだまだ長いところがあるようでございます。特に呉服関係でありますとか繊維関係などには、六カ月とかあるいは十カ月というものもあるとお聞きしております。こういった業種につきましては非常にありがたい制度になるのではないかと思うわけでございます。

 現実に、納入業者と銀行等の金融機関そして支払い業者、三者契約によりまして、支払い企業の承諾を得た上で、保証協会の保証つき、そして売り掛け債権を譲渡するというスキームになると思うのでございますが、支払い企業が今現実に納入業者に対してファイナンスを行っている場合がございます。つまりは、支払い期限を短縮することの見返りに債権の額を割り引くというか減額するということが行われているわけでございますが、その取引と今回のスキームとの関係で有利なものになるかどうかについてでございます。

 現実の問題として、例えば十カ月間の売り掛け債権を六カ月経過した後に新しいスキームで金融機関に譲渡した場合、経済情勢の変化を理由に支払い企業側が返品をした場合でございますね、納入業者は売り掛け債権の譲渡かわり金に関しまして金融機関に返還を求められるということがあるのかどうか、売り掛け債権のデリバリーについてはあくまでも支払い企業と金融機関との間で処理されるということなのかどうか、お伺いしたいと思います。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般検討しております一括決済契約につきましては、支払い企業が大企業である場合が多うございますけれども、既に一括決済について行われていることがございます。

 そういうことをモデルに設計をしているわけでございますけれども、既に行われている契約におきましては、一般的に、支払い企業は、金融機関に対して支払い債務のデータを送信し、このデータに記載された金額を必ず支払わなければならないという旨の契約がなされているわけでございます。

 したがいまして、今行われている制度によりますと、先生御指摘のように、仮に支払い企業と納入企業の間で返品というようなことが起きましても、支払い企業から支払い債務の金額を受け取る、したがって、返さなくてもよいという仕組みになってございます。

 このようなことが今ございますので、今般の制度設計におきましても、こうした取引実態に倣って制度をつくりたいというふうに考えておりますので、新たにできます一括決済契約におきまして、早期現金化が現に行われてしまった後、返品ということがありましても、納入業者は金融機関に返金する必要はないという制度にしたいというふうに考えております。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 そういうことであれば、保証料を支払って減額、割引をして債権を売っても、手形のように裏書きのような責任追及はされないということでメリットがあるわけだと思います。

 そこで、次は保証協会が掛ける保険についてでございます。

 第五条によりますと、中小公庫のてん補率は七〇%、つまりは三割は免責されるというわけでございますけれども、こうなると保証協会の責任も十割責任ではないスキームが予想されるわけでございます。この点はいかがお考えか、お伺いいたします。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 保証につきましては、既に昨年十月から責任共有制度というものを導入いたしておりますが、金融機関と保証協会の適切な責任分担でもって対応していこうというふうなことで始めております。今回創設する制度につきましても、責任共有制度の対象とする、そういう方向で検討してまいりたいと考えてございます。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 では、中小企業公庫法の改正によるもう一つのスキームでございます。

 今回提出された法案によりますと、一定の基準により選別された多数の納入業者と多数の支払い業者にかかわる売り掛け債権をプールして、特別目的会社をして中小企業の売り掛け債権を短期間に現金化する、もって中小企業の資金繰りを支援する新たなスキームであると考えておりますが、少し心配な面もありますので質問をさせていただきます。

 ちょっと思い出しますと、十年前でございますけれども、平成十年には中小企業金融安定化特別保証制度が創設されました。そして、その年度に二十兆円の保証枠を使い切って、次の十一年度に新たに十兆円増額をした特別融資制度というものがあったわけでございます。実は、この制度は政策融資として必要であったことは間違いないわけでございますけれども、結果としては代位弁済が二兆五千億余り、そして中小企業保険からの補てんが一兆四千七百億円余りという結果になったわけでございます。

 今回のスキームがこのような不良債権を発生するとは思いませんけれども、しかし、集める債権、プールされる債権が多くなればなるほど、その枠が広がれば広がるほど、その扱う売り掛け債権の健全性が劣化するのではないかという心配をされるわけでございます。

 そこで、どの程度のボリュームで、どの程度の保証料率で、売り掛け債権をどの程度割引して譲り受ければ大きな損失が防げるのか、その決め手についてほかのものがあれば、その点をお伺いしたいと思います。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度がきちんと回っていくというためには、売り掛け債権が健全であるということをどのように確保するかということが非常に大きいということは、先生御指摘のとおりだろうと思います。

 その際には、持ち込まれる売掛金債権そのものの質がきちんとチェックができるかどうか、あるいは、御指摘がありましたように、持ち込んでくる金融機関が悪い売掛金債権を持ってくるような、いわゆるモラルハザードということが起きてしまわないようにするにはどうしたらいいのか、この二点が非常に大きな要因になろうかと思います。

 したがいまして、今度プール化しようといたします売掛金債権につきましては、信用力について一定の基準を明確に定めまして、その基準を満たしているかどうかということにつきまして、参加される金融機関とともに中小公庫もきちんとチェックをするという二重のチェックで売掛金債権の質の確保を図るということをやりたいと思っております。

 また、いわゆるモラルハザードを防止するという観点から、金融機関との間で適切なリスクを共有するという観点で、対象となります債権のうち、参加金融機関が最もリスクの高い部分を引き受けていただくというような仕組みも組み込んで、参加金融機関みずからが適切な審査をして協力していただくというようなことを講じていきたいというふうに考えてございます。

 そのような質のチェックがきちんとできるということをまず設計上きちんと担保いたしまして、その上で、御指摘がありました、どの程度の比率で引き受けさせていただくのか、その際の保証料等はどういうふうにさせていただきたいのかということを、今のような前提を確保しつつ検討していきたいというふうに考えておる次第でございます。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 今回は、債権をプールする特定の会社に対して、融資もできるし、そしてまた保証することもできる。優先株を買うとか、つまりは出資もできるわけでございまして、適正な制度として発足した場合には非常に強力な融資制度が新しくできるということで、心強く感じているところでございます。

 次に、保証協会による新業務の追加でございますが、これは、新株予約権の取得を保証料率の引き下げのための見返りとして考える、新しい概念を盛り込もうというものでございます。

 創業企業または新分野への挑戦企業が成功するか否か、これを判断する能力をどこに求めるかが肝要でありますけれども、当該企業が成功して株価が二倍、三倍になった場合、保証協会はこの株式譲渡益に対して納税をするんでしょうか。また、もっと言えば、譲渡益を出すことが実際何ら問題ないことなんでしょうかということをお伺いします。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の今回の新株予約権でございますけれども、技術力その他立派なものがありながら創業時点で資金繰りが苦しいという中小企業の方のために、新株予約権というものを活用して保証料率を下げるということができないかというもくろみでございます。

 この場合には、発行者が非常に仕事がうまくいきまして一定以上の成長をした場合には、先生御指摘のとおり、中小企業とか経営者に買い戻していただくという格好で、この新株予約権が一定の金額になるということでございますけれども、残念ながら、全部が全部そういう格好になるわけではない、成長されなければ新株予約権がゲインを生まないということもございます。

 したがいまして、今回の制度設計は、そういうようなことを考えまして、ある程度、お申し込みいただく参加者全体で収支が相償うような制度設計にしたいというふうに考えておりますので、基本的には、保証協会が結果として制度全体で譲渡益を得るということにはならないような仕組みにしたいと思っております。

 この場合の課税上の取り扱いにつきましては、今のように収益が出ないような形で考えますので、それを前提に税務当局とも、この取り扱いをどういうふうにさせていただければいいのかということについてきちんと御相談をさせていただきたいというふうに考えておる次第でございます。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 それでは次に、中小企業の再生についてでございますが、この点はまだ道半ばという感じがいたしております。ネックはさまざまあると思いますけれども、金融機関のメーン化がされていないというようなことも一つの理由ではないかと思われます。

 今回、保証協会が直接債権の譲り受けを受けることによって、債権者間の調整に入ることができるようになります。企業再生における任意整理の調整と支援に積極的に参加するということは、大いなる意義があると期待するものでございますけれども、このスキームについても、保証協会が再生見込みの乏しい案件を押しつけられるようなことに遭ってはならないと思うわけでございます。この点についてどのような工夫をされておるか、お伺いをさせていただきます。

山本(香)大臣政務官 保証協会の債権の譲り受けにおきまして、御指摘のことがないような形で取り組みをしてまいりたいと思っております。

 そのために、法案におきましては、まずは、譲り受ける債権は、保証協会が保証を行っている事業者にかかわるものに限定をさせていただきたいと思っております。また、保証協会によります債権の譲り受けによって再生が効果的に進められる見通しがあり、かつ、対象中小企業者の事業再生に資すると判断される場合に限って債権の譲り受けを行うこととするなど、必要な基準の整備というものを行っていく予定でございます。

 また、その上に、さらに中小企業再生支援協議会等によります再生計画の策定と連携をさせていただくことによりまして、債権の譲り受けの是非や譲り受け価格等に関する客観性また合理性、そうしたものを確保していく運用とする考えでございまして、御指摘のようなことがないような形で取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 保証協会が新たにそこに参加することによって非常に大きな動きが出てきて、どんどんどんどん進行していくということが期待されるわけで、大いに期待をしていきたいと思います。

 最後になりますが、保証協会はこれまでも中小企業の与信に必要不可欠な役割を果たしてきたことは間違いないことだと思います。ただ一方で、歴史的な経過として、都道府県単位でこれが発展してきたために、与信情報の共有化などについてなかなか進まない状況がございました。それが、反社会的な勢力が融資制度を悪用するような事態を生じてきた理由の一つであろうかと思います。

 しかも、こうした場合には、この融資が焦げつく可能性が高く、本来利用できる方たちの利用を結果的に締め出すということになってきたわけでございますので、一層の規制強化が求められるところでございます。

 今回の法改正で、こうした問題についてどのような対応を考えておられるのか、お伺いをさせていただきます。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、信用保証制度は中小企業にとりまして非常に大事な制度でございますが、残念ながら、十八年末に大規模な詐取事例を初め、さまざまな不正利用案件があるのもこれまた事実でございます。十九年六月には、犯罪対策閣僚会議幹事会におきまして、企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針というふうなものもまとめておるところでございますが、こういうものを踏まえますと、この反社会団体等によります保証協会の不正利用につきましてどう防止していくか、非常に緊急の課題になっているところでございます。

 今回、このような課題に対応するというふうなことで、各保証協会、全国に五十二個ございますが、個別に保有しております不正利用者に関する情報の一元化と管理を的確に行っていくとともに、その管理の適切さについて国がしっかりとまた監督していく、こういう仕組みをつくり出す必要があるんじゃないかと考えてございます。

 このため、この法律案におきましては、管理を行う法人の役職員にまず秘密保持義務をかけます。それから二番目に、業務のあり方につきまして業務規程の認可を行う。三番目に、報告徴収、立入検査の実施等、そういった監督の仕組みを設けていくというふうな案になってございます。

 こういうふうなことで、国の適切な監督のもとで不正利用者に関する情報を集約化して、不正利用の防止にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

清水(清)委員 ありがとうございます。

 経理あるいは財務が電子化される中で、今回のこの新しいスキームが大きな力を発揮されることを期待して、質問を終わります。ありがとうございました。

東委員長 清水清一朗君の質疑は終わりました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、議題となりました中小企業金融関連三法について、二十分間でございますけれども、質問させていただきたいと思います。

 法案の中身に入る前に、まず全体的なことに触れたいと思います。

 日本の景気に関する状況については、緩やかながら景気回復は続いている、こういうようなことを日銀は出しておりますが、一方では、中小企業の景況感に関するデータにつきましては、二〇〇六年の四月から六月期以来、八期連続マイナスが続いている、こういった厳しい状況がございます。倒産件数につきましても、昨年、平成十九年一年間で一万四千九十一件の倒産があって、これは前年度比六・四%増だ、倒産件数はふえている、その倒産している九九%は中小企業だ、こういったデータも出ておるわけでございまして、日本全体は景気回復を続けているというマクロの数字がある中で、中小企業を取り巻く環境というのは大変厳しい、こういう状況が続いているわけであります。

 そういった意味で、今回、中小企業の命綱である中小企業金融について補強がされるということは喜ばしいわけでありますが、私は、いろいろな仕組みをつくっても、現場を歩いていると、副大臣もそうだと思いますが、要するに、金融機関のマインドというんですか、貸し出そうという意欲がどれだけあるかということがやはり相当大事なのではないかというふうに考えております。

 昨年十一月下旬に全国二万社を対象とした、最近の企業活動等に関する実態調査の中で、中小企業が今後重視する融資調達方法という中で、当然これは予想されていることでありますが、地銀、信金、信組ですとか政府系金融機関、また信用保証協会を重視するという傾向があらわれておるわけでございます。これは都市銀行では中小企業の信用力等々で融資をなかなか受けられないといった状況の反映だと思います。

 しかし一方で、第二地銀ですとか信金、信組の不良債権の処理というのは大手都市銀行に比べるとまだまだ進んでいないという状況があって、その点についての懸念というのは、今回新しい制度ができてもどうなのかということ。

 もう一つ、昨年の中小企業白書を見ますと、平成十八年十二月の中小企業向け総貸出残高は二百五十六・九兆円というデータが出ているんですが、五年前の、平成十三年十二月の中小企業向け総貸出残高を見ますと、三百二・九兆円と、実に四十六兆円減少しているという数字も出ております。

 この貸出残高が減少している背景、中小企業庁としての分析はどうなのかということと、先ほど申し上げました不良債権の処理についての懸念はないのか、まずこの点について、法案に入る前に御見解を求めたいと思います。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありました中小企業白書の数字についての考え方でございますけれども、中小企業向けの貸付残高は、今御指摘の期間の中で、とりわけ平成十三年から十五年にかけて大きく減少をしたわけでございます。

 この大幅な減少の要因といたしましては、御指摘がありましたような、金融機関が不良債権処理を進めてきたということもございますし、中小企業も過剰債務の圧縮に取り組まざるを得なかったということが一つ大きくあろうかと思います。また、平成十三年以降も特に地方を中心に地価が下落を続けましたものですから、土地等に依拠する金融ということで、担保価値が低下する中で、金融機関が土地担保に依存しない貸し付けというものを十分ふやせない中で貸し付けが減ってきたという要因があったのではないかというふうに考えてございます。

 こういった状況を踏まえまして、政府といたしましては、政府系金融機関による融資や信用保証という取り組みをいたしまして、中小企業向け金融の円滑化に努力もさせていただいたわけでございます。

 こうした取り組みの成果もあったと思いますけれども、平成十六年には中小企業向け貸付残高の大幅な減少が一段落し、十八年には少しふえたということが、今御指摘がありました十三年から十八年までの動向だろうと思います。

 民間金融機関の中小企業向けの貸付残高を見ますと、その後増加をしてきたわけでございますけれども、残念ながら、昨年の九月からまた前年同月比でマイナスに転じているという実態がございます。

 また、中小企業の借入難度指数、難しいかどうかについてどう感じているかということにつきましても、過去のひどい状況に比べますと比較的良好な水準にあるものの、昨年あたりからだんだんと弱含んでいるということがございます。

 この背景には、恐らく、民間金融機関の貸し付け姿勢というものが、優良先には積極的に、そうでない場合には消極的になるというようなことがございまして、今御指摘がありました金融機関の不良債権処理の問題も含めて、民間金融機関の貸し付け態度が二極化しつつあるということが起き始めているのではないかという懸念を有してございます。

 こういったことを前提に、私ども経済産業省といたしましては、中小企業を取り巻く金融情勢を引き続き十分に注視し、機動的なセーフティーネット等の対応に加えて、信用保証その他の支援制度の拡充を図りながら、中小企業の資金調達の円滑化にこれまで以上に全力を尽くしていかなければいけないような状況にあるのではないかというふうに認識している次第でございます。

赤羽委員 副大臣にちょっと一言、同じ質問になってしまうんですが、私、地元で、神戸でそんなに元気がない地域でありますが、従来どおり融資を返済していたけれども、ことしに入って、一億円借りてたものを七千万円にしてくれと言われた、そういうような話は結構まだ根強くありまして、何か、せっかくこういった新しい法案を出して補強をするんだけれども、現実の金融機関が消極的。これは非常に微妙な問題で、要するに、いつでも、個別の話はなかなか対応できないというのが役所の話になるんですね、それは民間ですから、ビジネス同士の話だから入れないと。結局は銀行の都合のいいような形が行われてしまう。

 私はここに非常に疑問を感じている一人でありまして、アメリカのサブプライム住宅ローンの問題で、これは都銀の話ですけれども、それなりに影響を受けた、そういったオペレーションの失敗を中小企業の融資にツケを回すようなことというのは非常にモラルハザードだし、健全な中小企業を育てることはできないんじゃないか。

 私は、金融庁はきょう呼んでいないんですけれども、金融庁なんかも、もう少し、金融機関の体質をよくするということは大事なんだけれども、金融機関の体質をよくする中で中小企業がばたばた倒れてしまうというのでは話にならないわけでありまして、先ほどの岩井さんの話にもありました、平成十三年から十五年、この貸出残高が下がったというのは、まさに金融庁が絞って、銀行の健全化という名のもとに貸し出しが絞られ倒産がふえたという、どうしてもそういう連関のスキームがあって、健全に頑張っている中小企業も、やはり命綱の日々の資金繰りをとめられてしまって生きていけないというような話はあってはならないことだ。

 これは経済産業省として頑張るべきだというふうに思うんですけれども、その点について、政治家としての御感想で結構ですから、御答弁をいただければと思います。

中野副大臣 赤羽委員と認識は全く共有をいたしております。

 一部の方に言わせますと、率直に言って、金融庁不況だと言う方もございます。私たちの感からいたしましても、金融庁の検査官、遺憾だと言う人もおりますけれども、厳しい検査で、結果的に、地銀、第二地銀、信組あるいは信金、そういうところなど貸し出し姿勢が大分弱含みになっているということもよく指摘をされることでありますし、建設産業を中心にして、銀行から、金融機関から追加の担保を差し出せと言われたり、個人の資産で云々と言われたりする現実もよく聞かせていただいております。

 私たちは、やはり中小企業を健全に守っていかなければならないまさに行政組織でありますから、そういう意味で、金融庁に対しても、民間の方々から御指摘をされるようなことがないように、しっかりとその辺は申し上げていかなければならないなと改めて感じておるところでもございますし、赤羽委員から再びそういう意味での御指摘もいただきましたので、拳々服膺、しっかり頑張らせていただきたいと思います。

赤羽委員 ぜひ甘利大臣とともに強いリーダーシップを発揮して中小企業の健全育成化に御尽力いただきたい、こう思います。

 それでは、法律の中身について簡単に触れさせていただきたいと思います。

 まず、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案についてお伺いします。

 現状において、一括支払い契約というのは、金融機関が納入業者にかわって支払い企業の債務不履行リスクを負うということですから、事実上、信用力のある大企業や中小企業が主なプレーヤーと言われているわけでありまして、今回の改正案に基づいて中小企業への信用補完がされるということは、この一括支払い契約形態がさらに普及するという意味では期待される、この改正を私は高く評価しているわけでございます。

 他方、現在の信用保証制度においては、昨年の秋から責任共有制度の導入がなされているわけでございまして、今回の制度の原則からすれば、特定支払い契約に対する保証についても、協会が債務の全額を保証するというものではなくて、金融機関が一定のリスクを負担することになるということは予想されるわけでございます。金融機関が特定支払い契約の締結に消極的になるという可能性もあると考えておるんですけれども、その対策についてはどのようなことを用意されているのか、御答弁いただきたいと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、責任共有制度、昨年十月から始めさせていただいておりまして、金融機関と保証協会が適切な責任分担によりまして中小企業の積極的な経営支援を促すという趣旨で導入したものでございますが、今回の法案につきましても同制度を適用するという方向で考えてございます。

 現在、一括決済契約がされている実態は既にたくさんあるわけですが、これにつきまして見てみますと、支払い企業が大企業でありますとか、あるいは非常に立派な中堅企業、中小企業の場合でございます。この場合につきましては、金融機関が既に一〇〇%のリスクをみずからとって実施されているわけでございます。

 今回新たにこの法案でつくります制度につきましても責任共有制度の対象とする予定でございますけれども、支払い企業が中小企業である場合には、保証協会がリスクの相当程度を保証するというふうなことによりまして、現在金融機関が一〇〇%見ているわけですが、その一部を保証することによって、金融機関の姿勢を強く後押しする効果があるというふうに考えてございます。

 こうすることによりまして、この一括決済契約自身が大企業あるいは非常に優秀な中小企業だけでなくて、中小企業の世界にも広く普及していくということによって資金繰りの円滑化に寄与するということを強く期待しているわけでございます。

 なお、この制度設計に当たりましては、既に金融機関の方でこういうことをやっておられる方と十分議論をしておりますが、さらにこの制度につきまして、全国に五百以上の金融機関がございますので、十分に周知徹底して、この制度の有用性を金融機関に御理解いただいて、ひいては中小企業の方の資金繰りが円滑になるように努めていきたいというふうに考えてございます。

赤羽委員 ぜひ金融庁との連携も強くして、何か中小企業庁は前向きにやりながら金融庁が後ろ向きにやっているような話にならないように、ぜひお願いをしたいと思います。

 時間の関係もあるので、次に、信用保証協会法の一部改正について、これは事前に通告してなかったんですが、ちょっと私は懸念があるんです。

 今回、中小企業の再生支援ということで、信用保証協会に新しい業務が加わるわけですね。先ほど出ました債権譲り受け業務とかを行って債権者の整理をして再生をしやすくする。これは大変すばらしいことだとは思うんですが、信用保証協会というのは、各都道府県で相当状況が違うんじゃないか。

 その状況が違う中で、私の地元の兵庫県は、実は阪神・淡路大震災があったりして債務不履行みたいなものが随分あって、ちょっと特殊な事例かもしれませんが、非常にコンサーバティブというか、当たり前といえば当たり前かもしれませんが、地元の信用保証協会の状況を見聞きして、こういう積極的な姿勢に転じることができるのかな、こういうふうなことを非常に懸念するんですね。

 こういったことというのは、中小企業再生支援協議会についても、東京都は充実しているけれどもなかなか地方はいかないという地域のばらつきがあるという指摘があって、前回ですか、法改正なんかもしたと思いますが、この信用保証協会が、実態としては相当、もちろん地域の経済状況の違いということも反映して大きなばらつきがあるのではないか、こう思うんですけれども、その点についての対策というのはどのようなことを講じられようとしているのか、御答弁いただきたいと思います。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律改正をお願いしております新たな業務は、中小企業の再生あるいは新規創業等非常に重要な業務でございます。これがきちんと行われていくためには、今御指摘がありましたようなそれぞれの保証協会の財務の状況に係る分もございますし、また、新たな業務をきちんとやっていくためには、きちんとした人材が育って、目がきき、よいアドバイスができるというようなことも必要になってこようかと思います。率直に申し上げまして、五十二の保証協会、それぞれ置かれている状況が違いますので、財務的な状況あるいは人材の状況、区々分かれるところがあろうかと思います。

 したがいまして、今回の法律改正でも、保証業務に支障を生じない範囲内で新しい業務をやらせていただくという縛りもございますので、現実問題、五十二の協会が一度に同じように業務を始めていくということではなくて、人材面あるいは財務面の余裕のあるところが先覚的にどんどんと事業を進めていかれて、そういったよい取り組みが全国に広がっていくというふうなつながり方になっていくのではないかと思います。

 そういった経験が全国的にうまく共有できるように、あるいは御指摘がありました中小企業再生支援協議会との連携を含めて、全国的に新しい取り組みが積極的に行われていくように、私どもも十分心配りをしながら事業を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 また、今御答弁の中にありましたように、今回の中小企業事業再生について、中小企業再生支援協議会と、あと株式会社地域力再生機構と信用保証協会の業務の分担というか連携を、ぜひこの点についてもよく目配りをしながら進めていただきたい、こう思うわけでございます。

 もう時間がないんですけれども、最後に、日本の中小企業を活性化させていく、生産性を向上させていく中に、やはり海外にどんどん進出していくような流れというのも必要なのではないかと私はかねがね考えているんです。

 最近、日本の報道でもされておるところでありますが、中国の国内で日本製品のブランドが商標登録されている。例えばコシヒカリというのも中国国内で商標登録されてしまって、日本の米を輸出しようというときにコシヒカリのブランドで売れないみたいな話が出ていて、コシヒカリだけじゃなくて、相当いろいろなものが出ているというような報道があります。

 このことについて、放置されていくと、やはり日本の企業の投資意欲というのもマイナスになってしまうと思いますし、ひいては中小企業の生産性向上ということについても悪影響が出るというふうに懸念をしております。

 今回、今、胡錦濤さんが来られている中で、経済官僚の方たちも来られて、甘利大臣とも対話をされているという報道もございましたけれども、この点についての議論があったのかないのか。また、それとは別に、中国国内における商標登録の乱発ということについて、経済産業省としてどのように考えているのかということの御答弁をいただいて、質問を終わりにさせていただきたいと思います。

中野副大臣 コシヒカリのお話がございましたけれども、私の地元の宮城県、ひとめぼれ、これも既に中国では商標登録されておりまして、結果、昨年輸出をいたしましたときには、宮城の米ということで輸出せざるを得ない状況でありました。全く御指摘のとおりであります。

 お答え申し上げますが、中国において我が国のブランドが第三者によって商標出願されている問題に対しましては、まずは日本国内の利害関係者が中国において商標の先行取得あるいはまた取り消し請求の提起など、迅速に対応することが重要であります。私たち経産省としても、これを支援すべく関係省庁とも協力し対応を図ってきたところであります。

 中国では、公衆によく知られたブランドにかかわる商標については、商標出願の取り消し請求等を行うことが可能となっております。経産省としても、審判、訴訟手続や法解釈について企業等への情報提供を行っているほか、ジェトロの海外事務所に、例えば北京の事務所につきましては特許庁から出向させまして、知財の専門家を派遣いたしておりまして、個別案件の相談あるいは弁護士の紹介等を行っております。

 また、第三者による登録を避けるためには、中国において早期に商標の出願を行い、我が国のブランドを権利化しておくことが重要となります。このため、経産省としても、外国における出願手続についての情報提供や相談会、講習会などの開催を行っております。

 さらに、中国政府に対しましては、日中商標長官会合などを通じて、国内での周知性を問わず外国において著名な商標が保護されるような制度の導入など、知財保護の強化に向けた制度改善の要請をずっといたしております。また一方で、中国での商標出願の急増に対応し、迅速かつ適切な審査を実現すべく、研修生の受け入れ等も積極的に行っているところであります。

 ちなみに、中国で、商標出願でありますけれども、おととしは七十六万件、昨年は九十六万件、本当に急増であります。ちなみに、日本は十三万件ということになっております。

 なお、研修生でありますけれども、一九九六年から二〇〇七年までで延べ五百二十三名受け入れをいたしております。

 一昨日の甘利大臣と陳徳銘商務部長との会談では、御指摘の商標問題を含む知的財産権保護について、官民合同ミッションの継続的派遣を含め中国政府と協議していくことで一致をいたしております。

 経産省といたしましては、今後とも、関係省庁とも連携を図り、必要な支援をしっかり行ってまいりたいと考えております。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 十年ぶりに中国国家主席が来日されて、日中関係を本当に前進させていこうという機運が盛り上がっている中で、やはり、経済においては日中両方とも双方がウイン・ウインの関係を目指す上で、この商標登録の問題というのは、のどに刺さった骨にならないように、ぜひ経済産業大臣が先頭に立ってリーダーシップを発揮していただきますことを強くお願い申し上げまして、質問を終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川元久君。

古川(元)委員 おはようございます。民主党の古川元久でございます。

 今回かかっております法案も、中小企業の経営を資金面の方からサポートしていこう、そういう発想に立っているものだというふうに認識をしておりますが、先日の質疑でも私言及いたしたと思うんですが、どうも日本の中小企業対策というのは、やっていますよという形をいわば役所の側から言いわけのように立てているだけで、本当にそれが中小企業に役立っているのかどうか、そういう視点が欠けているのではないかという懸念を常々持っておりまして、そうした視点でもってきょうも質問をさせていただきたいと思います。

 まず、このところ中小企業の、中小企業だけじゃなくて日本経済全体がかなり先行き不透明になってきて、その中で、弱い立場にある中小企業の経営の状況は相当厳しくなってきている。原油の高騰やいろいろな要因があるというふうに言われております。そういう状況の中で、そうした状況に配慮されているのか、あるいは感覚があるのかないのかわかりませんが、ちゅうちょなく暫定税率を復活して、史上最高値というガソリン価格になっているような状況を及ぼしておりまして、ますますこれは、中小企業を中心に、今後の経済状況に相当深刻な悪影響を及ぼすのではないかというふうに私は懸念をいたしております。いわば、今回の暫定税率の復活も一種官製不況、政府による不況をつくり出すその一つのあらわれじゃないかと思います。

 官製不況といえば、やはりこれは昨年来、改正建築基準法の施行が経済に及ぼしている悪影響というものはまだ、これは収束したどころか、むしろその状況の深刻さというものがますます悪化しているのではないか、そんなふうに感じておりますけれども、国交省の方はどういうふうに認識をしておるのか、まずはその点についての御認識をお伺いしたいと思います。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 今回の建築基準法の改正に伴いまして混乱が生じまして、国民経済にも影響を与えたということにつきましては、建築行政の担当ということで心よりおわびを申し上げ、申しわけなく思っているところでございます。

 建築基準法につきましては、国民生活に不安をもたらす耐震偽装問題の再発を防止するという観点で、新しく構造計算適合性判定制度、こういうものを導入して、確認手続の厳格化を柱とする改正を行ったところでございますが、改正法の施行後、改正内容の事前周知が必ずしも十分ではなかったということで、確認手続が停滞いたしまして、建築着工が大幅に減少するという事態を招いたところでございます。

 具体的に、住宅着工戸数について御説明をさせていただきます。

 昨年七月から減少いたしまして、九月に約六万三千戸、年率換算で七十三万戸、また対前年同月比でマイナス四四%まで減少したわけでございますが、九月を底に十月以降着実に回復しております。今年二月の着工戸数約八万三千戸、年率換算で百十五万戸でございます。前年同月比でマイナス五%ということで、一月に引き続き五%台の減少幅で推移をしております。

 三月の住宅着工でございます。戸数は八万四千戸、年率換算で百九万戸ということでございます。対前年同月比で比較いたしますとマイナス一五・六ということで、下げ幅がちょっと広がっておりますけれども、三月の住宅を含みます建築物全体の着工床面積、これを見ますと前年同月比マイナス三・一%。これは、非住宅、いわゆる住宅でない建築物の着工について対前年比でプラス一五・六%ということで、ずっとマイナス基調でいったものが初めてプラスになったというような影響があり、減少幅が大幅に縮小してきているということでございまして、改正法施行後の混乱に起因する影響は解消されつつあるのではないかというふうに考えております。

 私ども、確認の円滑化に向けまして、申請側、審査側双方にきめ細やかな情報提供あるいは技術的支援をやってきたわけでございますが、これについては引き続き継続をするとともに、非常にすそ野の広い産業でございますので、幅広く経済に影響を与えているという観点から、セーフティーネットの対策など、中小企業庁さんの方でもやっていただいておりますので、関係省庁連携して今後とも施策を進めていきたいというふうに考えております。

古川(元)委員 審議官、おわび申し上げますと言いながら、何かおわびしている感じが全然ないんですよね。現場のことが本当にわかっているのかどうか。

 住宅着工のところが回復してきていると言いますけれども、大体、これだけ落ち込んだことによって、着工件数だけじゃなくて、さっき答弁でも言われていましたけれども、住宅建設がすそ野が広い、いろいろなところに影響を与えている、そういう部分もどこまで回復しているのか。単に、住宅着工の件数だけ戻ってきていれば、それでもう影響は小さくなっているという話じゃないでしょう。

 もともとこれは、国交省の方が準備もしっかりしないで、かつ拙速にやって引き起こした。それは政府の中でも、大田大臣でさえも、これは官製不況だ、そういう認識を示しているわけでしょう。そういうものについて、単に住宅着工の件数が戻ってきている、その程度で、今のを聞いたら本当にまた、建設関係やあるいはそこに従事しているような人たちから見たら、国交省は全く何もわかっていないな、そう思わざるを得ないお話だと思います。

 甘利大臣、どうですか。経産省の視点から見て、この改正建築基準法施行に伴う経済への悪影響の状況は、私は、とてもこれはおさまっていない、むしろまだまだ状況の深刻な、これまで頑張ってきたところも含めて倒れていくとか、そういう経済に対する悪影響はもっとこれから出てくるんじゃないかというふうに思っていますが、どうですか。

甘利国務大臣 国民生活にかかわる規制の強化をするということは、そういう要請にこたえてすることでありますけれども、特に国民の安全、安心にかかわる部分については迅速な対応が必要なのでありますが、今回の件に限らず、とかく、あつものに懲りてなますを吹く状態にしてはいけないと思うのであります。

 実は、この改正法が施行になりまして一番最初に、そのなますを吹く状態にならないかということの危険性を閣内で訴えたのは私でございまして、中小企業、現場を預かる行政でありますからリアルタイムでそういう情報が入ってきます。ピアレビューが必要な案件は、神奈川県は一件も許可になっていませんという情報に接しましたときに、これは大変な事態になってしまうのではないかということで、すぐ国交大臣に、実情をしっかり聴取してほしいと要請をしたわけであります。その後に、国交大臣の方から、いわゆるセーフティーネットの保証あるいは融資というのもやっていますけれども、その枠内に関係のものを至急検討して入れてほしいという要請で直ちに対処したわけであります。

 御指摘のとおり、住宅というのは大変すそ野の広い産業であります。それを構成する資材のすそ野ももちろん広いのでありますけれども、それを機会に家電製品を省エネ型に入れかえようとか、あるいは車を新しいものに買いかえようという需要を喚起する極めてすそ野の広い産業でありますだけに、景気に与える影響を非常に心配したわけであります。

 着工件数自身は、巡航速度にかなり戻ってきたというふうに思います。ただ、ピアレビューが必要な案件とか、あるいは心理的な不安感、不況感というのが払拭されていないか等々、しっかりと目配りをしていかなければならないと思っておりますし、私自身は常に心がけて、従来の水準に戻りつつあるのかを常に聴取いたしているところであります。

古川(元)委員 大臣、大企業とかはかなり、この法改正によってコストがふえた部分も何とか賄えて、それはそれなりに戻ってきた部分で、今までよりも業績が下がったとはいえ何とか保っていられるかもしれませんが、この法改正によって現実に生じているいろいろなコスト負担、これはやはり中小零細企業にとっては物すごく大きなものだというふうに考えなきゃいけないと思うんですね。

 ですから、実態の数字以上に、特に建設関係にかかわるすそ野の広い、そこにつながってくる中小零細企業の人たちの立場に立って考えてみれば、この問題は収束に向かっているどころじゃなくて、ここまでは頑張ってきたけれどももう耐えられないというような状況になりつつある、そういう相当深刻な状況だというふうな認識を持っていただかないといけないと思いますし、国交省はあんなことを言っているわけですから、国交省は自分のところのマクロの数字しか見ていないです。中小企業はどうなのか、この影響がどういうふうに及んでいて今どういう状況なのか、やはりそこはしっかり、中小企業の状況を経済産業省としてウオッチしていただきたいと思うんですね。そこのところを強くお願いしておきたいと思います。

 ちょっと具体的な話を国交省の方に聞きます。

 まさに、建築確認がおりるためには審査してもらわなきゃいけないわけなんですけれども、審査機関の問題で私の地元の関係者の人なんかに聞きますと、最近、公的機関の一次審査の窓口は、審査のハードルとかを上げたりして受け付けに極めて消極的になってきているんですね。要は、これまで以上に審査機関の責任というのが重くなりましたから、公的なところはなるたけ、受けないで済むのであれば受けないで済まそう、でも受けるのであれば相当厳しく、ちゃんとこれだけ満たしたものは受けますよと。そういうことをやっていくと、結局大手とかそういうところになっちゃうわけですね。ですから、中小のところはどうしても、民間の方に行けという形に事実上追いやられている。

 では、民間の審査機関はどうかというと、民間はやはりもうけなきゃいけないんです。そうなると、当然こちらも大企業が優先される。あるいは、お得意様優先ということになって、結局中小企業というのは民間の方に行かなきゃいけないですし、民間の中でも後回しになるというような形で、このしわ寄せの部分がどんどんどんどん中小企業の方に落ちてきている状況があるという話があるんですね。

 こういうような話というのは、経済産業省や中小企業庁の方で把握しているのかどうか、こういうこともあると思いますし、そもそも、国交省の方でそういう実態、声というのは聞いているのかどうか。そして、中小企業は審査も受けられない、次に進めないわけですから、そういうところに対して何らかの対応をするということをやっているのか、考えているのか。その点について、国交省、お聞かせください。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 もちろん、これは行政の手続でございますので、建築基準法の建築確認を行う建築主事あるいは指定確認検査機関、民間の機関でございますけれども、行政手続法、あるいは建築基準法、これは第七十七条の二十六で規定がございますが、建築確認申請があったときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく確認検査を行わなければならないということがございます。

 改正建築基準法の施行後、改正内容の事前周知が必ずしも十分でない、若干たまってしまうというような形で、待ってくださいというような形で確認手続が停滞をしたというような事例がございまして、私ども、審査体制の充実などを図って、確認審査の円滑な実施を確保するように改めて通知など周知徹底をしております。

 それで、その円滑化の一環として、どういうようなことで窓口で問題があるということについては匿名でも受け付ける苦情箱を設置いたしまして、そういうような問題が出てきたらそこに知らせるというようなことをやっておるわけでございます。平成十九年の十月一日に設置をした後、四月二十七日までに六百九十七件の苦情が寄せられております。この中に、いわゆる大企業優先ではないかというような趣旨の苦情があったかどうかということで調べたんですけれども、四月に一件ございまして、これについては、名指しをされた審査機関に対して私どもの方から通知をしております。

 また、こういう申請側と審査側でなかなか意思疎通が図れないというような懸念については、双方でやはり話し合っていただくということが有効である。また、中小の企業ということになりますと、いわゆる業界の団体であります建築士会でありますとか建築士事務所協会、そういった団体が地元にあるわけでございますので、そういったところからしっかり意見を出していただくことが有効であるというふうに考えておりまして、審査側及び設計側で構成される連絡協議会を県をベースにつくっていただきたい、それを活用して意思の疎通を図っていただきたいということで、地域の実情に応じた適正な運用のあり方について検討をお願いしております。

 今後とも、手続が円滑に行われるよう、またそういうような問題が生じないように頑張ってまいりたいと思います。

古川(元)委員 要は、そういうことであれば、現場で問題があるんだったらちゃんと意見を出してこい、そういうことですか。でも、そもそもこういう問題を起こしたのは国交省の政策のミスですよ。そういう状況がないかどうかをそちらから調べに行くというのが普通じゃないですか。自分たちで問題を起こしておいて、問題があるんだったら言ってください、言われれば対応しますよという、そんな受け身の対応で行政に対する信頼が回復できると思いますか。

 要は、今のお話でいえば、そんなに声が大きくないから、声が上がれば対応しますよ、そういうふうに認識してよろしいんですか。

小川政府参考人 現場といいますか地域ごとに、申請をする方のいろいろな御意見、あるいは私ども、技術的な支援ということで細かい取り扱いなども通知をしておりますけれども、そういう内容にそごがあるじゃないかというようなことについて、これはやはり地域地域で声を交換していただくということが非常に効果的である。これは、私ども、こちらの方から強くお願いをしてやっと実施をしていただいているところでございますけれども、審査の窓口での認識が共通化するということが非常に重要なことだというふうに思っておりますので、それを積極的に進めさせていただいているところでございます。

古川(元)委員 今回のこの問題に対応するものとして、中小企業に対する金融上の支援というのでセーフティーネット貸し付けとかセーフティーネット保証という制度がやられたんですけれども、これはきのうも、どれくらい利用されているのか、どれくらい申し込みがあって、実際にそれに対してどう対応したのか、申し込みがあってもそれが全部受けられるわけじゃないわけですから、その辺の、どれくらい依頼があって、実際に受けたのはどれぐらいか、そういう数字を出してくれという話をお願いしたんですけれども、結果的に、要するに貸し付けをしたとか保証をした件数とか金額はわかるけれども、どれくらい申し込みがあって、それに対してどれくらい応じたのかというのはないという話だったんですね。きのう、中小企業庁から回答をいただいたんですが。

 大臣、私の耳に入ってくるのは、こういう政府がやるもので、貸付枠をつくりましたとかいうのがよくあるんですよ。それをやっていると、お金を積んでいって、これ使えますよというと、何かあたかもそれで救っているように見えるんですけれども、それが実際に使われなきゃ実は何にも救われないんですね。

 かつて、私役所にいたときに、景気対策だというので住宅ローン何とかを積めとかいって、どんと金だけ積んでほとんど使われない、でも景気対策的に金額だけは積む、そういうことをよく霞が関はやるわけです。どうもこれも、いろいろ私も現場の話を聞いてみると、あっても実際にはこれでお金がおりているとか保証がついているというのが、本当にこれが中小企業の人たちのニーズに合った形でおりているのかというのはかなり疑問なんですね。

 さっきの話なんかも、私、愛知県の方の中小企業家同友会の人たちの話で聞いたんですけれども、その中小企業家同友会がこの三月にネットでアンケートをとったりしているんです。そもそも、このセーフティーネット、知っていて利用しようとした、利用したというのは九%で、知っていたが利用はしていないというのが五三%、過半数ですね。知らなかったという人が三七%。そんな数字も出てきているんですね。

 また、中を見ると、ホームページに国民生活金融公庫の特別相談窓口にこういうふうな対応があるから相談に行きなさいというので行ったんだけれども、相談は受け付けますがこの件に対しての特別な対応はありませんと言われたとかいう回答とか、セーフティーネットを利用させてもらいましたが、上限等の記載よりも借りられた金額がかなり少なく、いまだ困っています、結局銀行にやられたという感がしますとか、本当にこれが、建築基準法の改正に伴う、資金繰りを初めとして中小企業が置かれている状況にきちんと対応したものになってきているのかどうか。ありますよ、やりましたよということだけではだめだと思うんですね。

 この点、ちゃんとそういうニーズにこたえられるようになっているのか、中小企業庁はきちんと調べているんですか。実態はどうなっているんですか。教えてください。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 本件に関しましては、セーフティーネット貸し付けあるいはセーフティーネット保証という制度を実行させていただいているわけでございますけれども、昨年の十月に特別相談窓口を設置させていただきまして、全国九百四十二カ所の相談窓口を通じて、金融相談を中心に御相談に応じさせていただいているところでございます。

 昨年十月以降のセーフティーネット貸し付け・保証の実績でございますけれども、五月二日現在で一万一千二百件、二千四百二十億円の資金需要に対応させていただいているというところでございます。それの展開を見ますと、資金繁忙期と言われております月末に非常に貸し付けが多いとか、年末あるいは年度末に非常に多くなっておりまして、昨年の十二月には二千件弱、四百八十億円、本年度末、三月には二千七百件強、六百億円強の融資あるいは保証がなされているということでございまして、中小企業の資金繰り対策として一定の役割を果たしているのではないかというふうに考えております。

 御指摘の、具体的にどのような申込件数があって、どのようにお貸しをしたのかというところにつきましては、いろいろなことがございますので正確に把握は難しゅうございますけれども、九百四十二の相談窓口で一万四千五百九件相談をお受けして、最終的に貸し付け等に至ったのが一万一千百六十三件ということがございますので、お申し越しの、申し込みに対してどの程度融資実行ができたかということについては直接はお答えできませんけれども、そのような実績が残っているところでございます。

 こうしたセーフティーネット貸し付け・保証につきましては、私どもも、できるだけ多くの方、必要な方に御利用いただきたいということで広報もしてまいりましたけれども、御指摘をいただいたようなアンケートもあるようでございますので、これまで以上にこのPRに力を入れていかなければいけないというふうに考えてございます。

 なお、セーフティーネット貸し付け・保証を実施する際には、窓口で御相談をお受けした上で所要の金融審査をさせていただくということになるわけでございます。中小企業庁といたしましては、政府系金融機関や保証協会等に対しまして、窓口において、お困りの中小企業の方に親身に相談に応じること、あるいは丁寧に、迅速に対応することを求めてきておりますけれども、今後ともこうした対応の徹底を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

古川(元)委員 制度をつくって、きちんとそれが、その制度をつくった趣旨にのっとって本当に活用されているかどうか、うまくワークしているかどうか、ちゃんとチェックする必要があると思うんですね。

 私は、何件申し込みがあったのか、そういう資料を出せと言ったのに出てこなかったですよ。結局、来たのは一万一千百六十三件承諾しましたという話だけですよ。何で来ないんですか。ないんだったらいいよ、別に回答は。

 それに、合計で二千四百十八億円出ましたと言う。金額で二千四百十八億円、こんなに出たからというふうになると、何か結構やっているかなと思うかもしれませんが、中小企業にとってみたらこれは、中野副大臣うなずいていただいていますからわかると思いますけれども、大体こういうとき困るというのは、何百万とかそういう単位なんですよ。

 だから、こんなにやっていますからという話じゃなくて、本当にそういう何百万とかの需要に対してきちんとこたえられているような状況があるかどうか。実際に、もう少しきめ細かく、こんなトータルで幾らか、何件かという話じゃなくて、どういう状況でどういうふうにきちんと対応したか、そういうものまで中小企業庁の方はきちんとフォローしていかないと、現場の窓口で金融担当者が、枠がふえた、ありますよ、これがあるから借りられるんでしょうと言っても、そこの経営状況を見たらそう簡単に貸しませんよ。それに保証もつけませんよ、金融の担当者からすれば。

 いろいろその辺は、これはこういう特別な事情でつけることだから、従来であれば貸せない、保証はつけないようなものでも、今回のこの状況の中ではつけるんだという指示を相当していかないと、この中小企業対策というのは、大臣もやはり、大きな数字のところだけを見ているとすごく大きく間違えると思うんですよね。

 中小零細企業というのは本当に、日々の資金繰りから考えたらそれこそ十万、二十万、だから、わずか数億とかいっても、それはそこのもとに一体どれだけの企業がいるのかということを考えると、そういう相当ミクロの部分でのフォローをしていかないといけないんですよ。私はどうも、我が国のこれまでやってきた中小企業政策というのは、そういうミクロの部分のフォロー、政策効果のチェックというのがされていないんじゃないかと。こういう状況が、このセーフティーネット融資、保証でも貸し付けでも起きているんじゃないかと私は思うんです。

 ぜひ、そういった意味では、そういうミクロの部分でもう少ししっかりと見てもらいたい。ただ単に、保証協会から上がってきて、これだけの件数の申し込みを受諾して、これだけの金額を貸しましたよ、それで救われている、そんなふうに思ったら大間違いですよ。漏れちゃったところで本来は救うべきところもあったんじゃないか、そういう姿勢をもっと持っていただかなきゃいけない。ぜひ、そういう細かな実態の調査というものをしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 この件について最後にお伺いします。

 この改正建築基準法は、運用の弾力化とかそれだけじゃなくて、やはり早急に法律改正自体をもう一回考えるべきときに来ているんじゃないかと思いますけれども、まず国交省の方はどうですか。

小川政府参考人 今回の建築基準法の改正は、いわゆる国民生活に不安をもたらしました耐震偽装問題の再発を防止するために改正をしたということで、必要不可欠な制度の見直しであったというふうに考えております。

 しかしながら、改正内容の周知が十分でないというふうなことで混乱がございました。申請側、審査側にきめの細かい情報の提供、あるいは、必要に応じまして、扱いに関する省令などの改正も措置をしてきております。

 私どもといたしましては、引き続き、建築確認の現場の状況を的確に把握いたしまして、確認手続の円滑化、例えば審査期間を短縮化するとか、そういったことについての取り組みを継続してまいりたいと考えております。

 例えば、小さな建物でもいわゆる構造適合性判定が必要であるというような議論がございまして、私ども、例えば、大臣があらかじめ設計ルールを認定することでそういった制度の適用を省略できる図書省略認定制度というものがございますので、それを幅広く活用したらどうかというような検討も今しておるところでございます。

 また、建築関係は非常にすそ野が広く、タイムラグで影響を広範に及ぼすということがございますので、関係省庁と密接に連絡をとりまして、そういった面での情報の提供、対策も進めてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 タイムラグを伴って影響がどんどんと深刻化していくからこそ、これは早目に再改正を考えるべきじゃないかということなんですよ。

 この改正をして、結果どうなったかといったら、国民の安全といいますけれども、実際には政府の方が、役所の方が責任を問われなくてもいいような、官僚の安全を守るための法改正になっているんじゃないんですか、結果的に。そういう認識が世の中に広がっているというそれくらいの考え方を持っていかないと、ますます事態は深刻化すると私は思うんです。

 経産大臣、これは経産省の視点からも、今後このまま置いておいて、タイムラグも含めて将来に向けての悪影響も考えると、これはやはり政府としても法改正を再検討すべきときにある、そういう発言をぜひ閣議の中でしていただきたいと思いますが、いかがですか。

甘利国務大臣 当時のことを振り返ると、姉歯建築設計事務所による耐震偽装があって、震度五強で崩壊をする建物が、かかわったものの中に幾つもある、これは国民の不安を物すごく惹起したわけでありますし、あわせて、姉歯だけじゃないんじゃないか、こういうごまかしをしている設計事務所がほかにもあるんじゃないか、事実あったわけであります。その不安を払拭するために、事前に先回りしてそういうことが出ないようにする、あるいは、そんなことをするやつは厳罰に処すということの法改正をしたわけであります。あのときには、与野党挙げて、何をしておるんだという声だったと思います。その不安を払拭するための改正ということは、極めて正しい方向だったと思います。

 ただ、問題は、チェックを見逃した者についても責任を問われることを厳しくするぞということ、あるいは、構造計算プログラムのソフトの開発が予定よりかなりおくれた、おくれた分だけ許認可作業がずれ込んでくる、こういう問題があったわけですね。

 見逃した方も厳罰に処すぞという方向になってくると、何が起きたかというと、一件も許可しなければペナルティーは来ないという心理状態になってしまうわけであります。そうすると、まさに本末転倒の状況になる。それぞれ、業務を担当する者は責任を持って、リスクを持って、自分の知見をフル回転して迅速に対処するということが本来業務でありますから、その本来業務から、むしろ厳罰に処されないためには一件も許可しないことだという方に働いたとしたら、まさに本末転倒なわけであります。

 法の趣旨は正しいんだと思います。運用について、本来期待した方向でない、副作用の方向に逆に、安全を盾にして業務が進まないということになってしまった部分があろうかと思います。そこで、それをしっかりと改善する必要があると思うということで、私からもかなりきつい注文をしたわけであります。

 今、運用の改善について、国交省も省を挙げて取り組んでくれていると思いますし、巡航速度に向かってかなり収れんをしてきております。法の改正の趣旨は国民の安心、安全の構築でありますから、その趣旨は正しかったと思いますので、徹底的に運用の改善をして、担当者の過剰防衛になるようなことにならないように、しっかりと当方からも要請をしていきたいと思っております。

古川(元)委員 運用だけではちょっと対応し切れないと私は思うんですね。特に、中小企業に対する影響というのはますます今後深刻化をしてくるんじゃないか。実際、この改正によってもう相当コストが上がっているわけですよ。原材料の高騰とか原油高とか、そういうことも含めて、本当に中小の方は、お金の面も含めて相当厳しい状況になっている。そういう中ではやはり法改正までいかないと、それこそ本当に、建築関係は大手しか残らないということにだってなりかねない。これは、そういう相当深刻な問題だという認識をぜひ大臣に持っていただきたいと思います。

 時間が限られてしまっているので、次のところに行きたいと思います。

 中小企業の資金繰りについて、この問題も含めいろいろな問題が複合的になって、今相当深刻な状況になっているというふうに私は思うんですね。第二地銀、かつての第二地銀以下の特に中小の、本来であればそれぞれの地域の中小企業を支えていかなきゃいけない、そういうところの中小企業に対する貸し出し態度というのも、これはかなり厳しくなっているんじゃないかというふうに私なんかは肌で感じるんですが、その点について政府の方はどういうふうに認識をしておられますか。

私市政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業から見た銀行の貸し出し態度については日本銀行の短観がございまして、貸出態度判断DIによりますと、十九年度第四・四半期までは引き続きプラスで推移したものの、ことし、年がかわりまして水準が低下しているところでございます。

 以上でございます。

古川(元)委員 こういう答弁を聞くと、中小企業の人は目の前が真っ暗になって、もうあした会社やめようかな、そういう気になっちゃうんじゃないかと思うんですけれども。

 大臣であっても、多分地元なんかでも、中小企業の資金繰りが相当厳しくなっているという声は入ってきているんじゃないかと思うんですね。だから、これは経済産業省としても、やはり中小企業のそうした面、今回の法案ももともとそういうところに配慮してということなんでしょうけれども、現実に起きていることをまず正しくきちんと認識をする。今みたいに日銀の統計だけ見てやっているようでは、現場の中小企業の資金繰りの状況を金融庁が把握していると全く思えないわけでありますから、そうであればちゃんと、中小企業庁であれ経済産業省がきちんとそこは認識をしていかなきゃいけないわけですね。

 その中で、ちまたで言われているのが、信用保証協会が責任共有制度を導入した。そのことによって、今まで実は地域の金融機関は、特に保証さえつけばそれだけで、金融機関はリスクがないですから、貸しますよと。逆に、これで二割はリスクもとるぜと言われると、これも金融機関の中小企業に対する貸し出しに対してのいわば萎縮効果を非常に及ぼしているのではないか、そんなふうにも言われているわけですけれども、その点については、きちんとリサーチなんかしているのか、どういうふうに認識しているのか。その点、お答えいただけますか。

山本(香)大臣政務官 御存じのとおり、責任共有制度とは、金融機関と保証協会の適切な責任分担によりまして、金融機関による積極的な経営支援を促すことを趣旨とするものでございますけれども、大変いろいろな御懸念もありまして、小規模企業等には十分配慮をしなくちゃいけない。そこで、先ほどの二割じゃなくて、引き続き一〇〇%きちんと保証するということが適用される例外を設けるなどして、激変緩和の措置も講じているところでございます。

 この責任共有制度が悪影響を与えているのではないかという御指摘でございますけれども、我々としても、その点につきましては、こういうことが絶対にあってはならないということで、昨年の十月の制度導入以後、全国の保証協会また経済産業局を通じまして、動向というものを細かく注視してまいりました。これまでのところ、私も随時いろいろ話を聞いているわけなんですが、問い合わせにつきましては技術的なものが中心でありまして、この制度の導入によりまして大きな混乱が現場で生じているとは承知をしていないところであります。

 では、客観的な数値で見たらどうなのかということでありますけれども、平成十九年度末の保証債務残高というものは、対前年同期比また対前々年同期比と比べて大体同水準で推移をしておりまして、基本的にはきちんと導入されたものではないかなと認識をしております。

 しかしながら、先ほど来御指摘をいただいておりますように、資金調達、中小企業は大変厳しいものがございますので、引き続きその状況を細かくきちんと注視をしてまいりたいと思っております。

古川(元)委員 中小の金融機関、大手のメガバンクは大体再編統合は終わりましたが、実は第二地銀以下の再編統合はこれから始まっていくんですね。そういうこともあって、中小の金融機関は今まで以上に相当厳しく金融庁からも見られ、相当貸出先を選別していかなきゃいけない。

 現実に私の耳にも幾つか入ってきているので、これは全国でも相当広がっているのではないかと思うんですが、今まで何代にもわたって取引を続けてきた地域の中小の金融機関から、突然自分の債権をサービサーに売っ払った、後はサービサーと話してくれみたいな形で差し押さえを食らったりとか、そういうのを私なんか結構聞くんですね。

 こういう状況の中でこういう責任共有制度が入れば、相当それはよく注視していかないと、金融機関からすれば、一割でも二割でもリスクをとってそういう貸し出しというものはできないということになって、結局、これまでは地域の金融機関といえば、地域の長い人間的なつながりとかそういうのもあってそうした中小企業を支えていく基盤になったのが、我が身を守るということでどんどんと切り捨てが今進みつつあるような感がある中で、この責任共有制度もそうしたものをいわば加速することにもつながりかねない。

 私はそういう懸念を持っていますので、ぜひこれも、さっきのセーフティーネットの融資と同じなんですけれども、やはり数字だけじゃなくて細かく注視していって、チェックしていって、そういうものをぜひまたこの国会の場にもデータとして情報を上げていただきたい、そのことを最後にお願いして質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

東委員長 これにて古川元久君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 大臣、ちょっと金融三法に入る前に、一昨日、日中首脳会談ほか、大臣も担当の改革委員会の主任とお話をされた報道がされていましたが、戦略的互恵関係ということで前進はしたという総体的な評価はあるものの、まだまだ資源の分野ではなかなか歩み寄りというかすり合わせができなかったという報道もあります。

 特に、後でもちょっとお聞きをしますが、やはりエネルギー問題、特に資源外交も含めて、大臣は今までアフリカに出かけられたり中近東に出かけられたりということでたくさんの国で資源外交、大臣がみずからということで、これはこの委員会でも何度となく御評価をさせていただいております。

 やはりエネルギーの輸入国であり大輸出国であるという中国が、例えばレアメタルの問題についても、大臣が輸出枠の撤廃を要求されたという報道がありますけれども、それについてもなかなか首を縦に振らなかったという報道もあります。あわせて、一年間、いろいろな形で東シナ海のガス田の問題も、進捗しかけたと思ったらなかなか進まない、今回もまだ半年、一年先の将来的な課題として整理をされたという報道もあります。

 ぜひ大臣御自身のお言葉の中で、おとといの日中首脳会談、あわせて、大臣が担当大臣とお話をされた中でのこれからの全体的なアジア全体の資源、エネルギーも含めた課題をこれからどんな形で前に進めていくかということの中で、どんな御評価を持っているかということについて、冒頭、端的にお尋ねをしたいと思います。

甘利国務大臣 私は、官邸での首脳会談にも立ち会いましたが、バイ会談としては二人の大臣と会談を行ったわけであります。そのうち、資源にかかわるところは国家発展改革委員会というところが担当してきたわけであります。

 実は、先方から会談要請がありましたときに、当初はレアアースの話題は入っていなかったんであります。日本と中国との関係の資源で一番大事なのはレアアースであります。世界の産出量の圧倒的シェアを持っておるのが中国であります。

 実は、日本と中国ではレアアースの定期協議というのをやってきたんですが、このところ定期協議は全く開かれておりません。日本から定期協議の申し入れをしたんでありますけれども、ナシのつぶてでありました。私からは、事務方の事前の折衝の際に、レアアース協議をちゃんとやるということを回答しないんであるなら私は会談自身をしませんからということを申し入れておきました。

 事務方からは、うちの経済産業大臣というのは言い出したら絶対に聞かない男だということを事実言ったわけでありまして、それで、必ずこれについて私が聞くから、具体的に、やるということといつごろをめどにということを言ってもらわない限り会談は辞退をしますからということを事前に私から申し入れておきまして、私はこの点は引かないからと。その結果、レアアース協議は再開をします、年内にやりますという明確な回答が来ました。

 ただ、中国も、では何月何日ということになりますと、今行政の組織改編が中国で行われています。そういうことも落ちつかないと、責任を持った回答がなかなかできない。そこで、年内に開催するということでは先方が了解をしました。

 これは、ちょっと新聞報道とは違って、当初はテーマになかったことをこちらから入れて、回答がなければ会談を持つ意味はないでしょうということを私から強く申し入れておきましたけれども、回答が来たということであります。

 それから、レアメタルの輸出改善について云々という話が新聞に載っておりました。実は、会談時間が、前の日程が押してきまして、かなり短縮をされてしまいました。

 そこで、私の方からは、輸出の改善というのはどういうことを指すかというと、数量制限とか輸出税をかけるとかいうことをちゃんと改善することという意味なんですけれども、レアメタルの輸出改善策は世界全体の持続的な発展に資するんですよ、それは大事でしょうということを申し入れたわけであります。

 それについていろいろ議論している時間がなかったということでありまして、中国側からは、あわせて、レアアース、レアメタルの技術の向上についても必要だから、それは日本から手伝ってほしいという話があったということでありまして、私が言ったことに対して拒否をしたとか何をしたということではありません。このレアアース協議については明確に前進をしたと思っております。

 それから、ガス田の話は、これはもう事務的にはかなり限界に来ておりました。そこで、トップ会談で打開をするしかないですねということで、双方のトップ会談というのを別個に当事者間だけで行ったわけであります。通常の首脳会談の後に、当事者間のまさに首脳会談を行った。そこで必ず解決するということの意思は共有されたわけであります。それで総理から、解決のめどは立ちましたという表現をしたわけであります。

 ただ、その後、マスコミが勝手に憶測でいろいろなものを書くものでありますから、一体そんなこと、その場で決めていないじゃないかということで、若干戸惑いが起きているということでありますけれども、これから詳細を詰めていかなきゃならないということをマスコミが憶測でいろいろと書かれるものでありますから、これは今後の協議に極めて障害になってしまうということで、きょうの会見でも注意をさせていただいたところであります。

後藤(斎)委員 大臣から今直接お話をお伺いしましたけれども、大臣、この後、石油の問題もちょっと触れたいと思っているんです。

 先ほどお話をしたように、中国が大輸入国になり、資源や食料も含めて胃袋になりつつある、実際になっていますけれども。それがこれから、省エネの技術であるとか、例えば石油からガスへとか、いろいろなエネルギー転換の問題も含めて、トータルとして中国がどのような消費構造や生産構造を、例えばエネルギー資源で持っていくかとかいう問題がかなりこれから国際石油相場に与える影響というものは当然大きいです。

 大臣に何度となくお尋ねをしたように、みずから我が国だけが、例えば備蓄を放出したり価格を下げるということは、当然、大臣もいろいろな増産要請をOPECにしてあるということでされていますけれども、世界全体の需給構造がもうタイトで推移すると、百二十四ドル・バレルを超えそうになったり、一部の識者と言われている方は、もう百三十ドル目前みたいな話をなさっている。

 そんな中で、これは、厚労省の方にもきょう来ていただいていますが、四月三十日に発表なさった「原油等資源価格の高騰や円高等に伴う事業活動及び雇用面への影響について」という調査をおまとめになりました。ただ、私の感想をまず冒頭申し上げておくと、四千四百二十四社、管内の主な中小企業の方ということでヒアリングをなさっていますが、何か本当にこんなに甘い感じでいいのかなというふうに思いながらも、主体が、公共職業安定所から企業にお話を聞いたということで、賃金や雇用には影響を与えませんよと言わざるを得ないような感じもあるのかなという私なりの感想は持っています。

 まず、この調査結果について、厚労省はどのような御見解をお持ちなのか、端的で結構ですからお答えをいただけますか。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 今の議員御指摘の、私ども、四月に全国のハローワークを通じまして実施をいたしました中小企業を対象としたヒアリング結果でございますけれども、特徴的なところを申し上げますと、原油等資源価格高騰や円高等の影響によりまして、七四・一%の事業所が収益に影響があるという回答をしております。

 そのうち八八・八%の事業所が、製品原価や輸送費用の上昇、いわゆるコストアップによりまして収益に影響が出ているというふうに回答をしているところでございまして、こういった状況を見ますと、中小企業を取り巻く環境は厳しいというふうには認識をいたしておるところでございます。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、中小企業を取り巻く雇用失業情勢の変化等を注視しつつ、状況に応じまして機動的に雇用対策を実施してまいるように考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 中小企業庁長官、通告していないんですが、この結果を多分長官もお読みになったと思いますが、これについて感想はございますか。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 原油等々の問題につきましては、私どもも何度かに分けて既に調査しておりまして、私どもの調査では、約九割の中小企業の方が非常に厳しいと。それから、四半期ごとに景況調査というのを、これは二万社近くに対してやってございますが、この中でも、仕入れ単価と売り上げ単価などを比較いたしますと、それがますます厳しい状況になっているというふうな認識を持っておりまして、昨今の状況、中小企業の経営にとりまして厳しさが増しているというふうに認識いたしております。

 厚生労働省さんの調査につきましても、収益とか、比率は違いますが、非常に多くの中小企業の方々が課題をお答えになっているという意味で、我々の調査と同じような結果が出ているというふうに感じております。

後藤(斎)委員 大臣、もう何度もお話をしているのでお話をしたくなかったんですが、今回の円高局面であるとか原油高局面というのは、従来であれば、第一次石油ショックのときも第二次石油ショックのときも去年もそうですけれども、大きく違うのは、去年からことしの部分は、構造的に、例えば給与所得も伸びないし、中小企業も厳しいし、大企業の一部の輸出産業の部分なんかがかなりよかったという構図と、それがのみ込めない、価格転嫁をできないというところが多分一番大きい影響ではないかなと。

 ただし、今回、四月の部分では、四月一日から、先ほど古川委員からもお話がありましたように、暫定税率が、ガソリン、軽油が廃止をされ、そして、ガソリンが二十五円前後下がって、それが五月一日から再び上がった。これは経産省もエネ庁も一緒に価格の調査をやられているようでありますから、大体平均すると二十八円から三十円上がっている。これは地域差があるということでありますけれども。

 やはり、通常、下げ局面のときには、四月一日から在庫もあるからなかなか下がらないよと。五月一日からは、基本的には一斉に九割近くが小売価格を上げているわけですよね。私は、普通の消費者の部分で言えば、なぜ暫定税率以外の部分が一斉に上がるのかなと。当然、上げ局面ということはわかるんですが、それであれば、なぜ、安いときに、元売は上げるという通知をしておかなかったかなどと、いろいろな不思議な状況がちょっと重なっているんです。

 これは、エネ庁、長官でなくても結構なんですが、まず、小売価格に至るまでどんな価格形成、CIFが最終的に輸入価格になりますけれども、例えば先物、百二十四ドルとか百三十ドルという値段が出る、でも、一方で円高になっていて、基本的には、為替と、スポットで買っているのか、どこで買っているのかと買い方にもよるんでしょうけれども、それが輸入価格として、精製をされ、きれいにしたものを売っているわけですから、その流通過程のわかりにくさというのが、わかっているようでわからないので、端的で結構ですから、どのように小売価格というのが決まるのかというのを、長官、ちょっと教えていただけますか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 最終的な小売価格について言えば、ガソリンスタンドの、小売の現場における競争条件とか等々を反映して決まるというのは事実でございますけれども、その前提となるいろいろな諸要件について考えてみますと、基本的には元売仕切りというものが、通常、最近の状況でいえば月に一遍、月初め、あるいは月に二回ということもございますけれども、そういう格好で、元売側から値上げなり値下げなりの価格通知が行われるということでございます。

 その元売仕切りのベースになる、元売側の条件ということでございますれば、おっしゃいましたように、基本的には原油価格の調達価格を反映していくということでございますけれども、これについては原油価格そのもの、ドルベースの原油価格そのものに円ベースによる換算が行われるということでございますが、多くは前月の船積み価格というものをベースにして大体到達予想をすることを考えながら一定のフォーミュラを決めているということだと思います。

 ある元売によれば、前の月の、今度の五月一日の話については三月二十五日ぐらいから四月二十五日ぐらいまでの船積みの平均価格をベースにして、今のような計算をして行う、こういうことになっているわけでございます。

 それはもちろん元売によってそれぞれフォーミュラが違いますし、それから、先ほど申し上げましたように、元売が具体的に仕切りを決定する際にも原油コストそのものをもろに反映させるというものもございますし、それに現実の小売の市況価格というものを加味して反映させるという元売もあるわけでございまして、個々には若干違います。

 ただ、今回の元売仕切り価格の変動をよく見てみますと、やはりこれだけ大きく変動しておりますのが、原油価格の、原油代そのもののところが一番大きく変わっているわけでございますので、そこを反映して、それに若干の市況状況が決まっているということでございますから、そんなに元売間で、原油価格だけで判断するかあるいは市場価格を加味して判断するかによってそう大きな差は出ていないということだと思っております。

後藤(斎)委員 であれば、例えばすべての元売、すべてのガソリンスタンドが同じような水準で上がっても、便乗値上げというふうには言えないということで理解しておいてよろしいんでしょうか。

望月政府参考人 今回の五月の価格変動について考えれば、先生御指摘のように二十八円から三十円ぐらいの幅で各地で価格変動が起こっているわけでございますけれども、そのうちの二十五円というものは暫定税率の適用によって変わった部分があるわけでございますので、その差額の三円から数円の幅において若干の差があるということでございますので、そう全体として大きな差が出ているというわけではないと思います。

後藤(斎)委員 公取にもちょっと来ていただいておりますが、実は私、連休中にいろいろなガソリンスタンドの方々とお話をさせていただいたんですが、ほとんどのガソリンスタンド、例えば手形を切って元売から買うところも、現金で、キャッシュで払うところも、四月三十日に突然ファクスで来て、あしたから上がるよということのようだったんです。

 当然、四月の三十日、大臣も御経験されたように、ごらんになったように、たくさんの車が並んで、特にセルフなんかは十二時ぎりぎりまで、もちろんその翌日もやられたところも、据え置いて価格を対応したところもありますけれども、そうではないところがほとんどで、一日二日というのはもう本当にがらんがらんのガソリンスタンド、これは映像だけじゃなくて実際にそうだったわけですけれども。

 これは一斉に、例えばぎりぎりの日付で、当然採決されたのが三十日ということもあるんでしょうけれども、先ほど望月長官がお話をされた部分でいえば、市況の部分は、暫定税率以外の部分はわかっていたわけですね、その前に。局面として上がっていると。

 であれば、よくガソリンスタンドの経営者の方がおっしゃるんですけれども、それであれば安いときにその暫定税率の部分以外は上げてくれた方が、まだ正直言って消費者の方に受け入れやすいと。一挙に暫定税率部分と今までの、前の相場の部分を足してもらうと、ですから三十円になっちゃって売りにくい、だからおれたちこれからどうしようか、後でちょっと話は金融の方につなげますけれども、という話がすごく多かったんですね。これはもう当然長官も大臣もお聞きになっていると思います。

 これは公取の方にお伺いしますけれども、石油の元売さんからこういうふうに販売する仕方というものは、優越的地位の濫用ということには当たらないんでしょうか。

鵜瀞政府参考人 一般論として申し上げれば、元売が系列販売店に対する卸売価格を一方的に決定し、これにより系列販売店が不利益をこうむるということになる場合には、優越的地位の濫用として問題になることはあり得ると考えております。

 公正取引委員会としましては、元売の一方的な価格設定の問題について、従前から契約書の改定指導を行っているところでございます。元売の系列販売店への卸価格の設定をめぐって優越的地位の濫用の問題が生じないよう、元売からは十分な説明を行い系列販売店に納得してもらうことが重要であると考えております。

後藤(斎)委員 経産省も公取も、三月の時点でも、四月からの価格、ガソリン、軽油価格に注視をされる、五月からも注視をされるというふうなことは報道でお聞きをしています。ぜひ、ただでさえこれからガソリンスタンドというのは、これも報道によりますと、三月部分でも前年比一四%ガソリンが減ですか、軽油も一〇%減少した、年トータルでも二・五%ほど総体の需要というか消費量が減っている。

 これはある意味では構造不況の部分に当然なっていますから、例えば人件費を少なくするためにセルフにしようと思っても、何千万から数億円なんかかかるそうですから、なかなか設備投資も金融機関から貸してくれない。ますますにっちもさっちもいかなくて、廃業率も非常にガソリンスタンドは高まっているわけです。

 一方で、これも新聞を読ませてもらいますと、エクソンも含めたメジャー四社では去年一年間で三兆円利益がふえたとか、石油生産国は一兆ドルですか、ですから一〇〇兆円くらいの増益になったみたいな、いろいろあって、まさに去年のエネルギー白書で書いてある要するに所得移転というのが、本当に我が国の方から特に生産国も含めたところに移転をして、コストが上がっていく。このコストが要するに解消ができないというところが、これから金融の方に入りますけれども、では金融が貸しやすいようにしているか、今回の金融三法の改正も、新しい新株予約権とかいろいろな工夫はしているものの、これが実効性があるかどうかということだと思うんですね。

 先ほども古川委員からもお話が、お聞きをしていて、私、最近よく思うんですけれども、いわゆる都銀ないし第二地銀も含めた銀行という形態と、金庫という形態と組合、それを信用保証協会が補完をしてできるだけ融資をしやすくという、そういう形になっていますけれども、そもそも、これは大臣御経験があると思うんですが、普通であれば銀行に相談に行く、銀行がだめだったら金庫に相談に行く、金庫がだめであれば組合に相談に行く、これが多分普通の流れなんですね。

 ですから、不良債権率もいまだに組合とか金庫の方が高いというのはある意味では当たり前の話であって、いいとこ取りをある意味では銀行とか都銀はしていますから、そういうふうなことを、公的資金の注入もされた中で、不良債権比率が下がっている。

 私、つくづく思うのは、実は私、私の親族でこの間、小さなアパートを死んだおやじがつくりまして、この間それに追加の担保を入れてくれというのが何か突然来て、相談を受けたんですが、いや、そんなこと必要ないよ、なぜそんな追加の担保を今さら入れるのと。多分、それは私だけじゃなくて、多くの方が御経験をなさっていることじゃないかなと思うんです。

 そもそも、昔、信用組合というのは、県が指導監督をして監査もしてという形から、今金融庁が一体としてやられている。それがプラスになっているのかマイナスになっているかの評価も含めて、信用保証協会の保証の部分を別として、銀行、金庫、組合という目的も違った法律体系、制度体系になっていますけれども、この三層制というのはどんな形で、これから改めて役割分担を含めて、このまま進めていくのか、それともそれぞれがもっと合併をしながら財務体質を高めてということで、例えば支店を切っていく、社員の方を切っていくというあり方が正しいのか、やはりこの本質が私は問われていると思うんです。

 金融庁にきょう来ていただいていますけれども、そもそものこの三つの役割分担というのは、今後とも金融庁は、指導監督行政も含めて、この三層制の役割分担というのは今後も続けていきたいというお気持ちを政府としてお持ちなんでしょうか。

三村政府参考人 お答えいたします。

 信用金庫、信用組合といった協同組織金融機関は、そもそも中小企業、個人など一般の金融機関からは融資を受けにくい立場にある方々が構成員となり、相互扶助の理念に基づき、これらの者が必要とする資金の融通を受けられるようにすることを目的として設立されたものでございます。

 したがいまして、信用金庫、信用組合は、株式会社組織である銀行と比べて、相互扶助、非営利といった特性を有しており、法令上も取引先をみずからの地区内の中小企業等に限定をされるなど、地域の中小企業金融の重要な担い手としての役割があると認識をしております。

 そういった意味で、銀行あるいは信用金庫、信用組合といった役割分担といったものは、今後も引き続き重要ではなかろうかというふうに考えているところでございます。

後藤(斎)委員 であればこそ、例えば信用保証協会の部分で、最近は一律保証方式から、幾つかメニューがあって、その保証料率を変えていますけれども、これからも三層制でいくとしても、一番大変な経営環境になっている組合に対し会社への保険料率を変えることによって支える仕組みをつくっていかないと、地元の経営陣がかわって、社員の方も数百人おやめになって、支店もなくなっていく。

 今、金融庁もおっしゃったような、いや、組合は地域に非常に密着しているよということはよくわかるんですが、実際、自己資本比率を高めたり、財務体質を強くするというのはよくあることで、人減らしをする、賃金カットをする、これは先ほどの厚労省の調査の中でも、賃金調整や雇用調整をするというところまで厳しい雇用調整を実施した事業所はまだまだ少ないみたいな記述もありますけれども、実際、そうじゃない中でしか対応ができないということは、今回の三法も、後でちょっと、あと五分ですけれどもお聞きをしますけれども、ちょっと違うんじゃないかなと。

 三層制でいくんであれば、より地域に密着した金融機関の部分をどう支えていくかというものがまずあって対応ができなければ、私は絵にかいたもちだと思います。

 あわせて、長官で結構ですからお尋ねしたいのは、例えば、今回の信用保証協会法の改正も、新株予約とか、要するに、保証以外に余裕があったときにはしてもいいよというような法の規定ですよね、二十条で。ということは、例えば青森、長野、島根みたいな、回収がなかなかできなくて、マイナス、黒三角がついているようなところは、もともと余裕がないから、今回の法律のというか制度改正の対象にならないということになってしまわないかということを私は不安視するんですが、その二点について、あわせてで結構ですからお尋ねしたいと思います。

福水政府参考人 お答えいたします。

 信用金庫、信用組合、これは地域の金融機関として、現在でも五十兆を超える中小企業向けの貸出残高を有しておりまして、非常に重要な機関だというふうに私どもは認識しております。ただ、先生御指摘ありましたように、そういう信金や信組が疲弊して、結果として、そこにおられる中小企業者の資金調達とか経営の安定に支障が生じるというのは、非常な課題があるというふうに認識しております。

 そういう観点で、我々、金融機関が疲弊した場合、例えば金融機関が破綻した場合とか、あるいは先ほど先生から御指摘ありましたように、支店を閉鎖するとか、相当程度地域の金融機関が合理化に取り組んでいて、その結果として、当該金融機関からの借り入れが減少している中小企業、こういう方々に対しましてはセーフティーネット保証の対象にしておりまして、保険料が安くなる、その結果、保証料も安くなるというふうな対策を講じておるところでございます。

 引き続き、現場をきめ細かく注視しながら、疲弊した金融機関の影響を受ける場合ももちろん含めまして、中小企業の資金対策に万全を期していきたいというふうに考えてございます。

 それから、二点目の新しいワラントでありますとかそういう点につきましては、本来業務がおろそかになるというのは非常に問題だと思っていまして、この信用保証制度に支障を与えてはいかぬという意味で、法律上も限度を設けております。

 その結果、先ほど御指摘ありましたように、五十二全部でできるかといいますと、時間的な差が出てくる、これは我々承知しておりまして、こういう取り組みを順次始めることによって、日本全体の債権の譲り受けでありますとか、あるいはワラントでもって保証料を安くするとか、そういうものに取り組んでいきたいというように考えてございます。

後藤(斎)委員 大臣、最後になりますけれども、今回の、この金融三法を改正して、それぞれ資金繰りの支援であるとか、企業再生の支援であるとか、創業の、新分野の挑戦支援であるとか、確かに書いてあることは非常に正しいし、ぜひこうありたいと思っているんです。

 今、中小公庫で新株予約権の貸し付けというのをやられているようでありますが、実際、平成十一年から十九年まで、八年間で百四十八社に対し四十三億円の実績、これをどこまで見込むのかというのは当然あるんですが、平成十三年のときに、売り掛け債権担保融資制度をスタートさせたときも、要するに、土地と並んで売掛金や在庫があって、それをアメリカに匹敵するくらいまで持っていきたいといっても、まだトータルとして、正直言って一兆円くらいの保証実績というのはないわけですよね。

 ですから、さっきも古川委員がお話をされたように、これで本当に中小企業の皆さんが融資を受けやすくなるとかそういうことでないと、実効性がなければ本当に絵にかいたもちで、何か紙だけいっぱいつくって、何の意味もないということになってもよくないと思います。

 この新株予約権つき貸し付けというのが、今実際、八年間で四十三億円しかないものが、これからどのぐらいの部分までいくのかは別としても、やはり本当に資金繰りがしやすくなる、創業がよりしやすくなるみたいな、そういう部分をどういうふうに対応がされていくかというのが本質論であって、先ほど長官にお尋ねをしたように、地域別にすぐ一斉にスタートできるということも、なかなか五十二信用保証協会はないという話も当然のことかもしれません。

 そうであったら、やはり都市と地方の格差みたいな格差問題は全然解決しませんし、大企業と中小企業の格差も解決しないという、その本質をこれは問われていると思うんです。

 ぜひこの中小企業生産性向上プロジェクト、昨年の十一月十三日、これを改めて見させてもらって、いやあ、このままいけば本当に、非常にいいなというふうに思う中で、やはりここにあるような融資が受けられやすい環境の整備という、それも技術力や事業の将来性に応じてと、実際、まだまだ土地担保というのが八割以上であるという現実も含めて、大臣、これをどのような形で実効性ある形にしていくのか、最後にお尋ねをしたいと思います。

甘利国務大臣 中小企業にとって命綱の金融をどう使い勝手よくするかということで、問題は、不動産担保であるとか個人保証に過度に依存しない金融体制をどう培っていくか。

 今まで、売り掛け債権の担保融資、これは確かに一兆四千億ぐらいでありますし、在庫担保に関して言いますと、スタートしたばかりでありますから、恐らくまだ二、三百億だと思います。

 これをしっかりと育てていくということと同時に、あくまでも融資は融資でありますから返さなきゃならないわけであります。実際に返さなくていい現金をどう調達するかという手段として、売り掛け債権の早期現金化と。

 かつて手形取引が主流のころは、これを割り引いて、六十日、九十日の手形でもすぐ、目減りはしますけれども手元に現金が残る。ところが、手形取引が減るに従って、長いときには二カ月間くらい入ってくるお金が入ってこないし、手形であれば現金化できたものができないということになってしまったわけであります。これを早期現金化できるということは、いろいろな意味で中小企業政策に資するんだと思います。

 それから、保証協会による新株予約権の引き受けでありますけれども、創業とか、あるいは第二創業といいますか、新しい分野に出ていく。もちろん、これは出ていっても全然成果が上がらないのじゃ困るのであって、創業する場合にも第二創業する場合にも、化けてくれなきゃいけないわけですね。そういう目きき能力というのは当然必要なのでありますが、それを期待してこういう新しい仕組みをつくっていくわけであります。

 ただ、その際には、先ほど来各委員から指摘をされていますとおり、どう適切な評価をするか、いわゆる目きき能力というものがやはり問われてくるわけでありますし、あるいは一方で、売り掛け債権担保融資とか在庫担保融資をつくったときに、いわゆる風評被害、そこまであの会社はいっちゃったのということになる風評被害の方が大きくて、使いたいけれども使えないということがあった。これは資金調達手段のうちの一つで、自由に使うべきツールなんですよということをしっかり周知徹底するということも大事だと思います。

 もちろん、中小企業は、いわゆるどんぶり勘定で行っていって、何が問題かを把握できないことが問題だと言われていますけれども、IT化を進めて、零細規模の企業に至るまで、自身の問題点の把握とそれに基づく処方せんを書くということについては、地域の連携拠点というのをつくりますし、相談拠点になりますから、そこで自身の問題点を把握して解決のための処方せんを書く中で、こうした金融ツールを使って飛躍をしてもらいたいというところであります。

後藤(斎)委員 大臣、ぜひ信用保証協会の財務体質の強化も含めて、この三法の改正が中小企業者にとって使いやすい金融環境になるように要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 ちょっとオーバーぎみで、昼休みにちょっと入りますが、おなかがすいたところで恐縮でございますが、いい御答弁をお願いしたいというふうに思います。

 今回の三法については、売掛金を含めて、いろいろな意味で一歩前進しているなという感じはしています。そういう意味では、法律案としては、私個人的には一歩前に出ているなという感じはしています。売り掛け債権の早期現金化という仕組みは大変いいと僕は思っております。

 そこで、別の意味で、私は数字が好きなので、大臣ももちろん省庁のトップでございますので把握なされているとは思いますが、あえて申し上げたいと思うんです。

 まず、中小企業が倒産する原因というのは、ベストファイブを言いますと、第一位が販売不振であります、約六五%が販売不振で倒産をしました。第二位が赤字累積、これは一一%。第三位が連鎖倒産ですね、他社が倒産してと。第四位が運転資金欠乏。第五位が事業上の失敗。ずっと行きますと、一番最後の方に、実を言うと、売掛金等回収難でというのが第十位なんですね。これは、例えば百社だとすると一社以下になっちゃうんですよ、倒産原因が。

 もう一度言いますけれども、確かに売り掛け債権の現金化は悪くないと思います、早くやるのは悪くない。ただ、中小企業の倒産原因と、数字で比べてみるとちょっと乖離があるのかなという感じはしています。

 そこで、もう一つ数字がありまして、三菱UFJリサーチ&コンサルティングというのが十九年に中小企業のアンケートをした。経営が困難なときに講じた対策として、またこれをベストスリーから行くと、まず役員とか従業員の賃金カットをすぱっとする。第二位が営業、販売の強化をしていく。あとは人数、首を切っていくということですね。あとは、経営者個人の借り入れ、どっと並んでいて、これも、支払い、受け取り条件の見直しというのは、中小企業本人たちが言うには第十二位なんですね。

 もう一度言うと、倒産原因としては、売掛金等回収難というのは第十位で百社中一社以下になっちゃっている。もう一つは、では困難なときに一体何が一番自分たちはやりたかったんだというと、やはり賃金カットとか金のカット、出のカットで、支払い、受け取り条件の見直しというのは第十二位になってしまうということが現実の数字でここに出ております。

 さらに、先ほどもちょっと金融関係のいろいろな数字が出ておりましたけれども、二十人以下の中小零細企業の資金調達の構成比です。これは、短期と長期といろいろな銀行の借り入れを見ますと、ほとんど、銀行借り入れだけで考えていえば、短期は八%ぐらいしかないんですね、長期が約四分の一ぐらい借りられている。

 つまり、簡単に言えば、資金調達が、中小企業は、実を言うと、長期の方に銀行側からやらされている、言いにくい話ですけれども。これは貸し手である金融庁の話の問題ですけれども、中小企業庁と経産省としては借り手の方の話なので、これをちょっと理解しておいていただきたいと思って、あえて出しています。

 というのは、貸し手としては、借り手が貸してくれということになると、借りるんだったら、少し金利を高くするぞと。つまり、零細に金利を高くして借りさせる、それを短期でなく長期で借りさせる。実を言うと、これが長い間かかって中小企業の収益とか内部体質を圧迫しているということがこの数字で出ていると僕は思っているんですよ。この数字の中で、大臣。

 それで、私は、ここで借金体質というかこの体質を直していけるのは、やはり借り手側の指導者である中小企業庁、経産省しかないと思うんですよ。金融庁の大臣、私が大臣だったら、そんなもの、貸すのは危ないから高く貸すんだと。どこかの消費者金融と同じですね。ですから、その体質について、金融庁と連携が必要になってくるわけです。中小企業の、零細企業者の仲間そしてそのヘルパーとして経産省はそういう動きを金融庁にとっていただきたいという要請をまずしたいと僕は思うんですね。

 これは、先ほど言いましたように、本当の声が聞こえているのかなというのは、申しわけないですけれども、僕は今回の法案はいいと思うんですよ、悪くはない、一歩進んでいる、だけれども、実際に中小企業の人たちが考えている本当の要因と、もしくは何かしたいときの対策の要因としては、実を言うと全部十位以下になってしまっているというのが現実の数字に出てきていると思うんです。

 ですから、私は、今しなきゃいけないのは、中小企業、零細を助ける意味では、まずは、その人たちの真の声を、金融庁と連携してよく話し合ってもらいたいんですね。そうしないと、金融庁は銀行側の味方ですから、不良債権がふえちゃいけない、資本化率を高くしなきゃいけない等々があるのでどうしてもそっちの味方になってしまう。経産省がやはりリーダーでとってもらいたいというお願いがまず一つあります。

 時間の関係でもう一つ言います。

 もう一つは、先ほど言った販売不振が最も高い倒産理由です。約六五%、百社中六十五社がそれで倒産しているわけですね。だから、それに対してどうするかということが、実を言うと、中小企業の倒産を減らし、言いにくいんですけれども、中小企業に対して自民党はよくやったな、そういう声にこれは直でつながる話なんですよ。今の状態だと、はっきり言って、私たちが一番求めているのはやっていないじゃないか、自民党、与党はというふうになっちゃうとしたら、どっちの味方でしゃべっているのかわからないですが、まあ、そういうことなんですよ。これはあくまで、僕は数字が好きなので数字でその実情を見ていくと、そういうことになっている。

 そこで、実際に今中小企業対策は、そうはいっても中小企業庁は言うでしょう、地域力連携拠点がある、これはもうよく言われている。目玉でやっていますね。それから、中小企業・ベンチャー総合支援センターが全国に九カ所ある。アドバイスやコンサルタントをやっている。商工会や商工会議所の経営指導をやったり、いろいろやっているということはあると思うんですよ。

 だけれども、これはまた何で倒産が減らないのかというのは実際数字に出ています。例えば、白書によれば、平成十三年から十六年ぐらいまでの間に開業したのは三・五%ですね、廃業率は六・一%。廃業の方がふえているんです。ということは、廃業したかもしくはせざるを得なかったかという結果だと思うんですね。十三年から、約二万件ぐらいあったものが十八年度で一万三千、四千件、ずっと続いているわけですよ、倒産している。大臣、十九年、去年は、一日平均三十八・六社倒産しているんです。三十八・六社。

 だからこの三法をつくったというのはわかります。だけれども、本当はどうなのかというところを、また手を伸ばしてくるところはどこなのかを的確につかんでもらいたいと僕は思っているんですね。

 その中で、さらにもっと深めると、業歴三十年以上の企業の倒産の割合が増加してきている。つまり、昔は、平成九年ごろは全体の中で一四%しか倒産していなかった。ところが、十八年ではもう二六%以上になってきちゃっている。逆に、業歴が十年以下の倒産というのは、平成九年は四割近くあったんだけれども、十八年では一九%。

 つまり、この倒産の数字の中をよく見ていくと、昔からの業歴の長い中小企業ほど今の波に追っつけなくて倒産がふえちゃっている。つまり、なかなか動きが、経営者の頭もかたいんでしょう、それが数字に出てきちゃっているわけですね。

 そんなの捨てちゃえばいいじゃないかという声もあるかもしれない。それだったら、そこにわかるように、さっき言った相談業務とかいろいろありますね、地域力のものもありますけれども。まず一つは、その部分も、もうちょっと的確に、さっき言った十個の要因のうちトップツー、トップスリーに入るものに対して、対応策をもっと明確にすべきじゃないかと思います。

 ちょっと長くなっちゃったんですが、もう一度言います。

 先ほど言った、借り手側の味方である経産省、中小企業庁として、借りる中身が、どうしても金融機関としては、中小企業、零細に高いレートで長く貸して、それが長い間に企業の体力を弱めちゃっているというのが数字に出ているというのが一つ。もう一つは、大臣、今言いました、しつこいようですが、販売、その方面が最も彼らはノウハウが欲しいんですね。だから、そこの部分について、もうちょっとリカバリーをしてもらいたいな、そういう御要請をまず最初に申し上げたいと思います。いかがでございますか。

    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕

甘利国務大臣 金融機関の側からすると、安全なところにはリスクが少ないですから低利で貸す、リスクの高いところにはそれを見込んで高利で貸す、確かにこれは市場の原理原則だと思います。

 ただ、私どもが金融庁に再三申し入れをし、十分でないにせよ実現をしているのは、金融検査マニュアルでも、画一的に取り扱うなということについてですね。

 中小企業について言えば、大企業と同じような図式で当てはめると劣後するような企業であっても、経営者個人の創意、創造力あるいは熱意、責任感、これが極めて優秀だとか、アイデア豊富だとか、あるいは、今はなかなか苦しんでいるけれども花開く将来性があるとか、そういうところをしっかり見てもらわないと、画一的な対応で融資姿勢を決めていたのではとても中小企業は育ちませんよ、いわばダブルスタンダードでいいんじゃないですかということは、ずっと申し入れてきたわけでありますし、十分ではないにしてもそういう視線は金融庁にも持っていただいているところだと思います。

 それから、一番の問題点は、要は、つくったものあるいはサービスが思うように売れていかない、販売不振が一番の原因という御指摘がありました。そのとおりだと思います。幾ら内部留保を持って、いい財務体質であろうとも、次なる製品、商品がほとんど魅力のないものであれば、先行き見通しは真っ暗になるに決まっているんだと思います。

 そこで、私どもとしては、まず、問題がどこにあるかということを分析し、経営者にきちんと把握をさせる。中小企業、小規模企業の経営者の中には、うちの会社がこんなに財務状況が悪いとは知りませんでしたとか、自分の会社の状況が全然わからないで家屋敷までとられそうになってこんなに大変だったのと気がつく人がいますという話をよく聞くのでありますけれども、そういう自身の健康診断をきちんとして把握してもらって、どこが弱いかというところ、それを克服するためには何を伸ばすかという処方せんを書かなけりゃいけない。

 そこで、いいものを持ちながら、この技術を今の商品には生かし切れていませんね、あなたのところが持っているこんなにすばらしい技術をもっと生かすようにするためには、こういうふうなアレンジを商品に加えたらいいんじゃないですか、そういうようなアドバイスというのは、マーケティング等、市場を見据えた経験のもとにアドバイスができないといけないということで、今回、全国三百カ所に地域力連携拠点というのを設けたわけであります。

 ここは、従来の単なる経営指導員の域を超えて、いろいろな人材が活用できるようにする、処方せんをしっかり書けるようなスタッフをそろえる、あらゆる地域の資源とつなげていけるようにしていくということで始めるわけであります。もちろん三百拠点によって力の差というのは随分あるでしょうから、ベストプラクティスを共有することによって、ああ、この連携拠点ではまだまだこういうところが足りないなと、連携拠点自身の問題点もあわせて把握するという体制にしていきたいというふうに思っております。

    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕

下条委員 ありがとうございます。

 こういう委員会の質疑というのはそれぞれ議事録に残るわけでありまして、私は、大臣、そういう意味では本当に金融が命だと思います。中小企業が借りやすくしてやるためには、やはりよく金融庁と連絡をとってもらうことと、それから、今の地域力の整備については、私は、たまたまこれは衆議院の小選挙区の数と同じ三百でございまして、この数で本当に、毎年一万五千件、一日三十九件ですか倒産している方がカバーし切れるのかなという懸念があります。

 ただ、先ほど言いましたように、一歩というのは必要でございます。ですから、今後の対策としては、最も彼らが腹減って手を伸ばしたい、コイが一番最初に食うえさみたいなものは、やはり販売が不振だから倒産したんだ、そこでノウハウを欲しい。四割近くが、三十年以上のところがばたばたばたばた倒産しちゃっているというのは、そこの部分、中小企業が倒産する理由ということをぜひ深く刻んでいただきながら、恐らく、これから地域力連携拠点の三百カ所がいろいろ動き出すと、いろいろな目玉として、まあ、少し時間はかかると思いますけれども、その中で、ぜひそこの部分を重点的にアドバイスなんかを入れて御指導していっていただければというふうに再度お願い申し上げておきたいと思います。

 それから次に、きょうは余り時間がないので飛ばしますけれども、信用保証協会法の一部を改正する案の中の代位弁済についてちょっと触れていきたいと私は思っています。

 この部分は、例えば平成十八年の場合は、代位弁済が約八万件で六千九百億、ピークだった十四年度は十三万件で一兆から比べれば、代位弁済が少し落ちついてきたかなという感じはしますけれども、この要因というのは、結局、釈迦に説法ですけれども、平成十年の特別信用保証制度があって、これは当初二十兆枠で、十一年に十兆追加して、簡単に言えば、どんどん保証していって、ばんばん貸し出しちゃった、保証枠をつけて。長官、そうですね。終わった話ですけれども、ただ、本当のことを言っておかないといけないので。そうすると、保証金額がぼんぼんぼんぼん膨れていってということになるんですよ。

 つまり、言いにくいけれども、借りられないところも借りられちゃったかもしれないし、もしくは、本当はそこで切らなきゃいけないのに、あえて言えば、切らないで貸すことによって延命治療をしてしまって、まあ、これは人間とは違います、それによって少し延びたけれども、一気にどどどどんという倒産が来てしまった、つまり代位弁済が来てしまったということの結果ではないかなと私は思っています。

 それで、代位弁済というのは、結果的には、簡単に言えば税金が入るということですよね。そうですよね。そこで、この代位弁済について、また特別信用保証制度について、内閣府の経済社会総合研究所の分析が平成十六年に出ていて、「中小企業金融円滑化策と倒産・代位弁済の相互関係」というのが出ていまして、これは、確かに立ち直ったところもあったかもしれないけれども、反面、経営悪化した、倒産寸前の将来性のないところにまで国民の方々の税金を使って保証して、そして代位弁済に至っちゃったんじゃないか、その二つの面があるということであります。これは、実を言うと、これから始まるまた新しい保証制度を含めて、次の議論につながってくるんですが、この指摘というのは、大臣、僕は非常に重要な指摘だと思うんですよ。

 ですから、これは、今こういうふうに質疑しているのはだれもがネットで見られるわけですけれども、何か、下条、冷たいことを言っているなと思うかもしれないけれども、本当は、断ち切って、大けがをしないでよかった方もたくさんいらっしゃるんじゃないかということが内閣府の分析で出ているんですが、大臣、この辺を、これからさっき言ったものを含めてスタートするわけでありますけれども、どういうふうにお考えか、まず御見解をお聞きしたいと思います。

甘利国務大臣 この特別保証の仕組みは、最初に一兆円の枠を設定し、それが、たしか二十兆に次の時点で拡大し、さらに十兆円追加されたというふうに記憶をしておるんですが、実は、その最初の一兆の枠をつくるときに私は担当しておりました。

 そのときにはどういう事態かといいますと、金融不安で貸し渋り、貸しはがしで未曾有の事態になっていまして、中小企業は日本じゅう全部倒産するんじゃないかというようなもう大変な状況の中で、緊急措置を講じないと社会不安になるというような状況の中で、ではどういう措置があるだろうかということを、当時の我が党の幹事長と政調会長に呼ばれまして、保証協会にある特別の枠を設定して対応したら民間金融はどうなるんだろうかとかいろいろ聞かれたんですね。

 それは、民間金融は、保証協会が保証するというのであるならば、リスクを冒して当然貸し出しはしますよという話をしたことを覚えているんですが、そうしましたら、制度設計をすぐしてみろという指示がありました。そこで、駆け回って、当初、たしか一兆円だったと思いましたけれども、枠をつくりました。

 そのときに私は、どういうことになるか、つまり、代位弁済比率がどうなるか、最終的にどれくらい穴があくかということ等もいろいろ検討させたことを記憶しております。

 その際に、許容範囲で、最初の規模ですよ、おさまるんではないか、ある程度のアッパーリミットあたりでおさまるんではないか。最終的にはいろいろ、代位弁済した後に、だめになっちゃったところからも回収はできるわけでありますから、そういうことを考えると許容範囲の上限でおさまるんじゃないでしょうかというような議論があったわけであります。その後、拡大していった中で、単に延命策になってしまわないように、当然その後も配慮をしたはずであります。

 この緊急措置によって約一万社の中小企業の倒産が回避された、それから十万人の雇用が維持できたという報告を受けております。単なる延命工作だけであるならば好ましいことではない、いかなる場合にあっても、それは御指摘のとおりだと思います。

 保証協会はこれからも目きき能力をうんと増して、現状では財務状況も厳しいけれども、しかし将来性を考えれば保証し融資をするべきだという目ききをしっかりして、単なる延命保証というのを回避しつつ、伸びゆく可能性のある中小企業の資金繰りに極力困難を来さないように対処していかなければならないというふうに思っております。

 今回の、民間金融機関に一部保証リスクを肩がわりさせるということも、実は、それぞれ目きき能力を高めて、保証協会もあるいは金融機関も本来の能力をしっかりと身につけて、将来性のある企業を見抜いて育てていくという方向に金融の姿勢が転じていくということを期待しての対応であります。

下条委員 大変お答えにくい部分でございましたけれども、御丁寧にいただきまして、ありがとうございます。

 ただ、余りしつこく言うのはあれですが、難しいところなんですね。助けるか、延命か、切るかという部分です。ですから、おっしゃったように、十万人雇用、一万社というのは確かにあったかもしれないが、一方で皮肉な分析も出ているということをちょっと頭に置いていただいた中で、今目ききの部分が出たんです。

 時間の関係がありますからちょっと飛ばしますが、目ききの部分の話というのは、実を言うと、私は最も気にしている部分であります。今後の話です、起きたことはしようがない。ですから、こういう法案が出て、いろいろな改正をしていくわけです。

 実際、大臣、全国の信用保証協会の現状というのがありまして、十八年度の人員が約五千七百人なんですよ。もちろん、事務方もいらっしゃるし、いろいろな方がいらっしゃいます。

 審査部門は二千三百七十人です。これは、職員全体の四二%です。保証承諾件数は、十八年度で百十七万六千件あったんですよ。金額で十三兆七千億弱です。それはもちろん十八年度で受けた部分ですね。それ以外に累積がありますから、それを足すと、全部で三百四十六万件の件数がある。そして、残高は二十九兆二千六百億円以上。単純に計算しても、やったものと新しいものを含めて、全部のケアは一人頭千四百六十件もケアしているんですよ。そして、ちょっと細かいですが、金額にすると百二十三億四千八百五十七万円。

 私は、受けてそれを下に出しちゃえばいいじゃないかということですけれども、問題は、保証協会が一番気にしなきゃいけないのは、受けた後のフォローなんですね。そのときは審査、決裁した。しかし、その後その保証した先がどういうふうになっているかというフォローがないから、どうなのかなと。いいや、どうせ税金を入れればいいんだと。でも、基金の方は、御承知のとおり、一兆円あったのもからからになっちゃっていますよ。全部使い切っちゃっている。これは税金です。だから、私は、この部分が最も今後気をつけなくちゃいけない。

 今、私が聞いたことに対して、期せずして大臣が目ききをやる人をとおっしゃった。そこなんですよ。よく中身を調べていきますと、目ききが必要な審査部門、中小企業診断士は全国で二百人しかいないんです。二百人で二十九兆円であります。日商簿記一級の資格者はわずか三十人であります。

 私は、一生懸命やっているのはわかります。今までもいいこともあった。だけれども、実際、時間が余りないので、ワラントを含めて細かいことは言いませんが、その審査というのは、たしかさっき民間に委託するとありましたけれども、本当にこれで足りるんですか。また違う形のスルーするいろいろな案件が出てくるんじゃないかというのが、この数字だけでも、僕はちょっと。

 私も金融機関に二十年いましたけれども、千何百件を一人ではとてもじゃないですけれども抱えられない。アメリカにいたときも、せいぜい三百件ぐらいですね。土日なんか働いていたと言うとちょっといろいろ訴えられちゃうといけないので、土日は一生懸命休んでいましたけれども、発言が難しいですね、だけれども、本当にそういう意味でこれでいいのかなという感じが僕はしているんですね。ひいては、この人たちがきちっと自立して、研修そして目ききをやって、それで一回審査したものをきちっとフォローできるということがあれば、今後については少しずつよくなっていく。

 時間があと五分しかないので、もう一つつけ加えて質問しちゃいます。

 もう一つは、信用保証協会攻略サイトというのを大臣御存じですか。これは、裏サイトなんですね。要するに、全国にある信用保証協会をどうやってだますかという裏サイトが今まかり通っているわけです、中小企業、零細の中の悪い人たちに。

 悪い人にまかり通っていて、決算書類の偽造とか確定申告の偽造とかやって、返済能力があるように、裏サイトに全部事細かく書いてあるわけです。それによって保証協会の保証をまんまと入れて、ごめんなさい、バイバイと言って、どこかへトンズラしちゃったり、借りていた金をどこかへやる。代位弁済が全部かかってくる。これは、福水さんの方がよく御存じだと思います。ですから、こういうところを含めていくと、目ききの部分が今の従業員数でいいんですかという質問。

 それからもう一つは、私がちょっと、きょうは時間がないので自分で言っちゃうと、中小企業庁に保証協会で絡む不正利用の件数は何件ですかと聞いたんですよ、大臣。わからないという回答です。私は、ちょっと残念なんですね、福水さん。福水さんが悪いというんじゃないんですよ。わからないということは、これはちょっと問題かなと。わからなかったら、では、どうやってそこの部分をというところがなかなか出てこない。

 最近、四年間、五年間で千件以上マスコミに出ている不正があるんですよ、莫大な金が。要は、例えば出し手が大臣の銀行口座からお金を出すんだったら気にするじゃないですか、やはりそういう感覚も中小企業庁を含めて持ってもらいたいなということ。

 その二つ、目ききの人員の部分と、それをちょっとお答えいただきたいと思います。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、保証協会の人の問題は一番大事な課題だというふうに私どもも認識いたしております。

 現在の保証協会の中では、サポートですね、経営支援をするあるいは再生支援をする、そういう専門部署を既に設置しておりまして、いろいろな事業を行ってきております。また、創業支援関連につきましても、創業関連保証というのを十五年から始めておりますが、これは毎年七千件ぐらい全国で保証しているというようなことで、いろいろな新しいことを、いわゆる先生御指摘の目ききという点についても、努力してきておるというところでございます。

 例えば、十八年度につきましては、協会から千六百八十三名が研修に参加して、いろいろな分野で、法務から財務から経営支援からいろいろなことで研修もしておりますが、今後一層、こういう研修を充実させるというのが一点。それから二点目は、再生支援協議会、こういうところの外部の専門家との連携を強くしていく、これが第二点。それから三点目は、大臣がお答え申し上げましたが地域力連携拠点、三百カ所つくりますが、こういうところとも十分連携して保証協会自身の目きき能力についてもさらなる向上を図っていきたいと考えています。

 また特に、回収業務なんというのは非常に難しい業務なんですが、例えば回収業務につきましては、全五十二協会で共同でサービサーの会社をつくっておりまして、回収業務はここの専門会社に委託して対応していくとか、そういうふうなこともやっているところでございます。

 それから、裏サイトは、私は残念ながら見たことがないんですが、いろいろな社会的な不正利用とか、そういう課題があるというのは十分認識しておりまして、したがいまして、今回の法案の中でも、一元的に情報を集めて、またそれを還元して、先生御指摘ありましたような、どこかで借りて、そのままして、またどこか違う場所でする、こういうふうなことが起こらないように、今回、一元化する指定機関を設けて、そこで国が厳しく監督しながら、個人情報も守りながら対応していきたいというふうに考えてございます。

下条委員 ありがとうございました。

 ちょっと時間が来ちゃったので、最後に大臣の御決意をお聞きしたいんですが、今言いました陣容は、確かに研修を千六百何人やってとあるんですが、私は、はっきり言いますが、少ないと思います。もっとふやさないと、また新しく、もう基金はないですから、基金はもうからからになっちゃっているし、その部分はもうちょっと人数をふやしてあげるべきじゃないかということ。

 私は、大変残念だったのは、不正事件についてお聞きして、件数は、恐らく耳に入っているかもしれませんが把握していないということ自体が、やはりちょっと不正利用に対する準備が少し足りないのかなと。連携するのはいいんですけれども、例えば、岩手で起きたことが四国で知らないとかというのが多々あった。この辺は、やはり警察庁、金融庁含めて、三位一体が必要じゃないかなというふうに私は思っておりますが、最後にその辺の御決意をお聞きしたいと思います。

甘利国務大臣 関係各省と連携をとるというのは御指摘のとおりでありまして、これまでもやってきたつもりでありますが、これからもしっかり強化すべきところはしたいと思っております。

 それから、保証協会の目きき能力の強化について人材資源の補強をどうするかということは極めて大事でありますが、私自身は、やはり保証協会自身が自分でどうあるべきかということをしっかりとトップみずから認識することだと思うんですね。

 目きき度をしっかり上げる。実は、目きき度をはかるような尺度はないのかということを言っているのであります。これは単に代位弁済比率を下げるということだけであれば簡単なんですね、危ないときには一切保証をつけなきゃいいだけの話ですから。だけれども、これだと存在する意味がないのであります。では、どんどん来るものは受け付けろというと代位弁済比率が上がる。

 大事なことは、入り口から絞らないで来るものをちゃんと受け付けて、しかし、ちゃんと目ききをして、能力を発揮して代位弁済比率を下げる。窓口をしぼめて代位弁済比率を下げるのではなくて、窓口はちゃんとあけていながら、代位弁済比率を下げるということが大事なんだと思います。

 そういうもろもろの評価ができないか、やはり外部から評価されるということがあるべき姿を目指すということになるんだと思います。我々政治家も有権者から評価、査定されるわけでありますから、保証協会といえども、きちんと本来目的に従って能力を発揮しているか、日々研さんを積んでいるか、努力をしているか、あるいはきちんとあるべき姿を模索しているか、そういう評価が必要なんじゃないかと私は思うのであります。そういう目きき度ランキングみたいなものができないかということを個人的には思っておる次第であります。

下条委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので以上にしますが、今おっしゃった外部からのチェック、そして入り口の後のみずからの認識を高める部分について、ぜひ今後とも強い御指導をいただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間をオーバーしました。ありがとうございました。

東委員長 これにて下条みつ君の質疑は終了しました。

 次回は、来る十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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