衆議院

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第15号 平成20年5月21日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十年五月二十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 鈴木 俊一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 吉川 貴盛君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 忠彦君    江崎洋一郎君

      大村 秀章君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      柴山 昌彦君    田中 良生君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    丹羽 秀樹君

      橋本  岳君    広津 素子君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君   吉田六左エ門君

      吉野 正芳君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      園田 康博君    田村 謙治君

      牧  義夫君    三谷 光男君

      柚木 道義君    江田 康幸君

      高木美智代君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   経済産業副大臣      新藤 義孝君

   経済産業大臣政務官    山本 香苗君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          大藤 俊行君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 津曲 俊英君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橘高 公久君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            高原 一郎君

   参考人

   (一橋大学大学院法学研究科教授)         松本 恒雄君

   参考人

   (日本弁護士連合会消費者問題対策委員会副委員長) 池本 誠司君

   参考人

   (社団法人日本訪問販売協会会長)         加藤 澄一君

   参考人

   (社団法人全国消費生活相談員協会理事長)    下谷内冨士子君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     矢野 隆司君

  片山さつき君     広津 素子君

  柴山 昌彦君     木原 誠二君

  安井潤一郎君     田中 良生君

  太田 和美君     柚木 道義君

  下条 みつ君     園田 康博君

  高木美智代君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     柴山 昌彦君

  田中 良生君     安井潤一郎君

  広津 素子君     片山さつき君

  矢野 隆司君     伊藤 忠彦君

  園田 康博君     下条 みつ君

  柚木 道義君     太田 和美君

  江田 康幸君     高木美智代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府大臣官房審議官堀田繁君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長鵜瀞恵子君、金融庁総務企画局総括審議官大藤俊行君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、総務省大臣官房審議官津曲俊英君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業省大臣官房審議官橘高公久君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君及び中小企業庁事業環境部長高原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 訪問販売などの商取引でいわゆる消費者被害が拡大をしている、あるいは個別割賦購入あっせん取引などのクレジット取引が悪質な勧誘、販売行為を助長している、さまざまな現状が指摘されている中で、今回の法改正、規制強化というのは大変いい方向だろうというふうに私も思っております。

 今回のこの規制強化に限りませんけれども、例えば今回の場合、いわゆるさまざまな消費者被害が拡大をして、それに対応していくという時期が適切であったのかどうかということは、あらゆる政策について確認をしておく意味があると思っております。もちろん、今回の法改正を導入して、それをしっかりと実行していくということは大変重要なわけであります。

 例えば、今回のこの特定商取引法におきまして、いわゆる規制対象を政令で指定しているという指定商品制から、原則すべてのものに適用して一部適用除外をするという方式に今回大きく転換をするわけでありますが、それ自体、もちろんいいことであるんですけれども、もっと早くできなかったのかという思いがあるのであります。

 それは、このタイミングで原則適用に転換をした、要は、今まではせずに、当然そういう要望というのは前からあったことでありますので、それが今、ある意味で、要望している側からすれば、あるいはまさに被害を受けている方々は当然ですけれども、今回ようやくそういう転換をしていただけるということなんだと思いますが、今までしてこなかった理由、そして今回このタイミングでという、その理由を御説明ください。

新藤副大臣 これまでの特定商取引法は、消費者被害の発生に応じて規制を行う、御案内のとおり、指定商品制でございます。それは、消費者被害の多い商品、役務について政令で指定をして規制をするということでございまして、現在は五十八品目、二十一役務が指定をされているということでございます。

 しかし、これも順次ふやしてきたわけでございまして、被害が多くなったものについては、通常の民法の規定で消費者の保護を図るためには時間もかかる、またいろいろ立証責任が困難だ、こういうことで、消費者の保護を行おう、また公正な取引を促進しようということで、順次ふやしてまいりました。

 しかし、ここのところで、非常に手口が巧妙化するだとか、それから指定対象の商品や役務を巧みに抜ける、例えば排水管の清掃を規制対象としたところ、今度は水道管の洗浄をめぐるトラブルが起きる、それから土地の測量を規制対象としましたならば、今度は土地の整地や除草がトラブルになるというように、非常にすり抜けたり裏をかくような商法が出てくる。

 また、それから、従来取引されていなかったような新種の商品、役務、こういう社会の変化によりましてそういったものがふえてきたということで、指定制の見直しではなくて、要するに規制の後追いという問題が発生してしまいますので、これを抜本的に解決しようということで、いわゆる指定商品制から原則適用方式ということで、個別法で保護されるものを除くすべての商品、役務を規制しようということで今回の法改正をお願いしているということでございます。

田村(謙)委員 結局、手口が巧妙化をして法をすり抜ける、そういった行為がふえてきたからと。それは、ある意味で当然のことでありますので、より先手を打つという意味では、今まですべて、限定列挙になると結局後追いになってしまっていたということでありますから、先手を打つという意味でも当初から、当初というよりも、もっと早い時期に原則適用というふうに転換ができたんじゃないか。

 例えば、それは二年前でも三年前でもいいんですけれどもというふうに思ったりもするんですが、それは無理だったんでしょうか、より早くそういうふうに転換をするということは。

新藤副大臣 無理というよりも、今までの作業を順次やってきて、その結果として今があるわけでございまして、結果論として、もっと早くやればよかったのかということもあるかもしれませんが、現状として、私どもとしては、今までの規制をずっとやってきて消費者保護を行ってきた。その結果として、この時期に全面的にすべて原則適用方式を導入しようという結果になった。これまでの議論の積み重ねだと思っております。

田村(謙)委員 今回の転換は大変いい転換でありますので、これ以上は申し上げませんけれども、確かにマンパワーの問題を含め、役所の中にもいろいろ限界はあるんだろうというふうには思いますが、もうちょっと早くできたんじゃないかなという感じも個人的にはしております。

 それは、理屈で言うと極めて簡単な転換、大きな転換ですので、いろいろ難しいというか、今までの現状を少しずつ微修正していくのとは違いますから、それにはいろいろな障害があるのかもしれません。それこそ、例えば業界の反対というか、業界がそれをやめてくれというようなことがあって、経産省さん側がそれに配慮し過ぎたのではないかとか、そういったうがった見方もできなくはないので、そこはただ、今後しっかりとやっていただきたいということで、これ以上は申し上げません。

 さて、若干個別のことをお伺いいたしますけれども、クーリングオフの規定というのがあるわけですが、その部分的適用除外については、その適用除外の対象が多過ぎると、結局、指定制廃止の趣旨というものをある意味で無意味にしてしまうということにもなりかねないというふうに思うんです。

 ただ一方で、消費者の利便性ですとかあるいは事業の実態を考慮した適用除外措置というのは、必要な部分はあるんだろうというふうに思うんですけれども、今回の改正案ではどのようなものについて部分的適用除外措置を講じる方針なのか、教えてください。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、指定商品、指定役務制を廃止して、原則適用方式に変えるわけでございますが、今ございましたように、商品や役務の性質によりましては、クーリングオフの規定など、これを及ぼすことが、現実問題として、消費者にとりましても取引における利便性を損なったり、あるいは健全な事業を営んでいる事業者に大きな負担をかけたりする、そういうおそれがあるケースがございます。

 そこで、クーリングオフの規定などに関しまして、例えば飲食店の路上での勧誘といったようなものは、契約の締結後直ちにその全体が履行される、要は食事が提供されるということが通例でございます。

 あるいは、お葬式のように、そもそも、契約の締結後すぐにそのサービスが提供されないとかえって消費者の方の不利益になってしまうというようなケース。

 それから、生鮮食料品のように、これはちょっと置いておくと生鮮食料品でなくなるわけでございまして、そういうもので商品価値が低下してしまうといったようなものにつきましては、部分的な適用除外措置というものを講じる必要があるというふうに考えてございます。

田村(謙)委員 先ほど申し上げましたように、適用除外がとにかくどんどんふえ過ぎると、もともとの今回の原則適用という転換の趣旨を大きく損ねることになりますので、もちろん、消費者の利便性といったようなことは十分に考慮すべきだと思いますけれども、そこはできるだけうまくバランスをとりながら、しっかりと考えていただきたいというふうに思っております。

 さて、割賦販売法の方にちょっと移らせていただきます。

 今回、いわゆる個別クレジット業者に対して登録制を導入する、より経産省さんがしっかりと監視をしていくということで、それは大変いいことだというふうに私も思っております。

 また、これも先ほどの議論と同じなんですけれども、逆に言うと、今までは放置をしていた部分が相当あったわけですよね。一部登録されている業者だけを経産省は見て、残る登録されていないものについては、ある意味で関係ないというような、あえて悪く言うと無責任な対応をとっていたんじゃないかなというふうに思うんです。

 業者を登録制にするしないというのは、これもまた大変基本的な議論でありまして、消費者の被害が多々拡大をしている中で、当然、もっと早く、例えばそれだけでも先に登録制にするとかということはできたんじゃないかなというふうにも思うんですけれども、それはいかがでございましょうか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問は、現行法上、いわゆるクレジット業に関しまして、クレジットカード業の方の、包括信用購入あっせんと呼んでおりますけれども、そういったものには登録制が導入されておって、それで、一件ごとにクレジット契約を結ぶ個別の信用購入あっせんについては今回登録制を導入する、そういう法案を今御審議いただいている、その点についての御質問というふうに理解をいたしております。

 これはもともと、包括の方の、いわゆるクレジットカード業でございますけれども、こういったものについて登録制が導入されておりますのは、消費者が商品の購入などの支払いを行うために包括的に利用できるクレジットカードにつきましては、クレジットカード業者の倒産などが発生いたしますと、加盟店、クレジットの場合は三者間取引になってございますので、加盟店に対する立てかえ払い金の支払いが停止するといったことなどの取引の弊害が生じることから、不健全な財務状況の事業者を排除するために導入をしたという経緯がございます。

 一方、一件ごとに結びます、個別の商品の購入ごとにクレジット契約を締結いたします個別信用購入あっせんに関しましては、これまでは、今申し上げたような加盟店の立てかえ払いとの関係での同様な事態が生じるおそれはないというふうに考えまして、登録制の対象とはしていなかったものでございます。

 ただ一方で、もう一つの要素として消費者保護の要素があるわけでございます。クレジット取引に関します最近の苦情相談の約七割から八割は、個別信用購入あっせん、一件ごとにクレジット契約を結ぶもの、これに集中をしているわけでございますので、今回の改正におきまして、より消費者保護の観点を重視いたしまして、過剰与信防止等の義務などを課しますとともに、不適正なクレジット事業者を排除するために、個別クレジットを行う事業者につきましても登録制を導入することにした、そういう経緯と考え方でございます。

田村(謙)委員 これについて、もっと早くそうできなかったのかという思いもありますけれども、先ほどと同じ議論になってしまいましたのでもうこれ以上は申し上げませんが、ちなみに、今まで登録されている、まさに包括信用を行っているいわゆるクレジットカード会社、そういった既に登録されている業者に対して、今まで経産省さんはどのような体制で監督をしていらっしゃるのかということを教えてください。

寺坂政府参考人 現在登録をされております割賦購入あっせん業者の包括関係でございますけれども、これは三百三十九社ございます。

 こうした事業者に対します検査あるいは監督の体制といたしましては、現在は、経済産業本省におきまして二十三名、それから地方の経済産業局におきまして九十九人の体制で、他の法律の、特商法とかそういったこととの兼務もございますけれども、割賦販売法に関する検査監督を行ってきてございます。

 それで、実際の検査の件数等でございますけれども、平成十九年度の実績で申し上げますと、立入検査を六十三件、それから報告徴収に関しましては三百三十九件の実施を行っておるところでございます。

田村(謙)委員 今、現在登録されている業者三百三十九社に対してお話しのような監督検査を行っていらっしゃるということでありましたけれども、ちなみに、今度、いわゆる個別クレジット業者も登録制にすると、その登録業者というのはどれぐらいにふえる見込みでいらっしゃいますか。

寺坂政府参考人 現時点で登録制になっていないものですから正確な数字はお答えができませんけれども、一つの見込みといたしまして、五百社前後あるいは五百社を超える程度、その程度の事業者からの登録があるのではないかというふうに見ております。

田村(謙)委員 さてそこで、今度は金融庁にお伺いをしたいんです。

 いわゆるクレジットカードというのは、今、一般的に、割賦販売法の規制を受けるいわゆるショッピング枠と、あと一方で貸金業法の規制を受けるキャッシング枠というのがあって、一つの業者が金融庁と経産省さん両方の監督を受けるということになっているんだろうというふうに思うんです。いわゆる貸金業者として登録しているクレジットカード会社とか信販会社というのは、その両方から監督を受けているんだろうというふうに思いますけれども、そういう会社に対して金融庁さんがどのような体制で監督検査を行っていらっしゃるのかということを教えてください。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたように、クレジットカード会社及び信販会社のうち貸金業者として登録を受けております業者の数は、十九年三月末現在で申しますと、クレジットカード会社が百四十四社、信販会社が百三十八社ございます。

 この貸金業者の私どもの検査監督でございますが、二つ以上の都道府県内において営業所等を設置しまして事業を営んでおります業者につきましては、金融庁と財務局において検査監督を行い、また、一つの都道府県内においてのみ営業所等を設置して事業を営んでおります業者につきましては、都道府県が検査監督を行っておる、そういう体制でございます。

 この人員でございますけれども、金融庁、財務局におきましては、兼務も含めまして二百三十一名、都道府県においては三百四十八名、合計五百七十九名の体制をとりまして行っております。

 こうした体制のもと、貸金業者に対します監督行政につきましては、昨年十二月十九日に施行されました改正貸金業法に基づきまして、従前の行為規制に基づく監督のみならず、内部管理体制も含めた業務運営全般の適切性を検証するというような総合的な監督行政への移行ということをしております。

 金融庁におきましては、この改正法の趣旨を踏まえまして、貸金業者向けの総合的な監督指針といったものも策定をしまして、厳正かつ適正な監督に努めておるところでございます。その際、都道府県の監督当局とも緊密に連携をとっておるところでございます。

 また、検査につきまして申し上げますと、平成十八検査事務年度におきましては、貸金業者百七十二先に対しまして検査を実施しておりまして、そのうちクレジットカード会社への検査実績は三十件、信販会社への検査実績は二十六件でございます。

 現事務年度は十九検査事務年度でございますが、まだ年度が終了しておりませんので三月末までの件数で申し上げますと、昨年の七月から本年三月末までの間に貸金業者百三十一先に対して検査を実施しておりまして、このうちクレジットカード会社への検査実績は四十四件、信販会社への検査実績は十六件でございます。

田村(謙)委員 要は、両方の監督を受ける業者に対して、今御説明をいただいたように、検査も含めて監督をしていらっしゃるわけであります。

 実際に貸金業者登録をしているクレジットカード会社や信販会社に対して検査に入った場合に、私もそういう実務というのは詳しくは存じ上げないわけでありますけれども、結局、財務状況を含め相当調べるんだと思います。そこは、経産省さんが見る視点と違う、例えば見るものを完全に分けて見ていらっしゃるのか。そこら辺は、実際に検査に入った場合に、経産省さんの所管は完全に除外をして見るとか、そういったことが可能なのか。どういうふうに検査をしていらっしゃるんでしょうか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 実際の検査の実務におきまして、もちろん根拠法がそれぞれございますので、その根拠法に基づきまして与えられました検査監督権限に基づき検査を行います以上、まず、貸金業法の法令上の行為規制違反や、あるいは財務状況などに問題がないかどうかという点を検査するということにはなりますけれども、その過程で、もちろん、他の業法あるいは一般的な会社法等の法令違反が発見されました場合には、それぞれの所管当局なり関係先とも連絡をとりながら対処していくということになります。

 かつ、検査の出口でございます検査結果の通知、それから、ケース・バイ・ケースでございますけれども、それに引き続きます必要に応じた行政上の対応につきましては、当然それぞれの根拠法令に基づいて行う必要がございますので、金融庁において最終的に何らか行政対応をとります場合には、やはり貸金業法に基づいて行うということになろうかと思います。

田村(謙)委員 今は、両方が監督している業者に対して、金融庁さんが検査に入るときには経産省さんサイドの人も一緒に入るとか、そういうようなことというのはしていらっしゃいますか。

河野政府参考人 連携はとっておるかと思いますけれども、合同で検査ということにつきましては承知しておりません。

田村(謙)委員 要は、私が思っておりますのは、貸金業にしても、割賦販売業者、クレジットカード会社にしても、先ほどまさに経産省さんが、包括信用制度に関しては、登録業者、財務状況の不健全な業者を排除するためというふうにおっしゃっておられましたけれども、そういった視点というのは、金融庁さんでも、監督している業者に関しては、貸金業に限らずいわゆる金融機関、当然チェックをしているというか、一番基本的なことなんだろうというふうに思います。

 検査の内容においても相当共通する部分があるんじゃないかというふうに思っておりまして、要は、一元化、所轄の省庁を一つにすべきなんじゃないかというのが私の個人的な考えでございまして、その視点に立って今質問をさせていただいているわけであります。

 ちょっと後で、ちょうど消費者庁の話もありますので、その点も少し議論させていただきますが、それこそ、実際、そもそも例えば所管を全部金融庁に移すというようなことは、そういう考えについてはいかがでしょうか。

 特に私が申し上げたいのは、実際に検査監督をすることに当たって、まさに法の執行に当たって、いわゆる金融の検査監督そのものという部分が相当大きいんじゃないか。もちろん違う部分もあるとは思いますけれども、その点はいかがお考えですか。

寺坂政府参考人 検査監督の観点についてお答え申し上げます。

 先ほど来ございますように、クレジット取引、クレジット業に関しましては、いわゆる三者間取引、商品の販売、役務の提供、そういったものとの密接な関係を持っているわけでございますので、そういう商品とかサービス、それが円滑化に大きな影響を持つということで、私ども、いわゆる商一般と呼んでございますけれども、商一般を所管しております経済産業省が、商業の健全な発達あるいは一般消費者の利益保護、そういう観点から所管を今しているわけでございます。

 そういう観点から、先ほどのお話と重なりますけれども、クレジット業者の経営不振とかそういったことで加盟店あるいは消費者の方の混乱を防止するための、そういう経営の健全性の監視等を行ってきているわけでございます。

 それから、これは今回の改正案で加わる部分でもありますけれども、改正案において導入されます加盟店の勧誘行為の調査義務や、それからクレジットカード情報の保護のための措置、そういったものにつきましては、クレジット業固有の規制の遵守状況を見るということになるわけでございますので、特定商取引法に基づきまして販売業者に課せられた規制の遵守状況など、そういったものとあわせまして経済産業省が監視をしていくことが効率的であるというふうに認識をしておるところでございます。

田村(謙)委員 今御説明いただいたように、当然、銀行や貸金業者と違う部分というのがあるというのは私も理解をしておりますけれども、では、実際、ほかの国はどうなのかというのをちょっとお伺いしたいんです。

 もちろん、違う点はあっても、例えば、実際に検査する、あるいはいろいろ監督をするに当たって相当共通する部分が多いのであれば、それはもちろん銀行でも貸金業でも違う視点というのは当然あって、そこはいろいろと使い分けて金融庁さんもやっていらっしゃるんだと思います。

 ほかの国、諸外国では、基本的には、いわゆる消費者に与信をする、信用を供与するというのはかなり一元化をして監督をしているのではないかなという印象を私は持っているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

大藤政府参考人 お答えいたします。

 先生から御指摘のありました銀行業、貸金業、割賦販売業等につきまして主要国の検査監督体制について見ますと、まず米国におきましては、銀行業については連邦及び州の銀行監督当局が検査監督を行っておりまして、貸金業及び割賦販売業については州の銀行監督当局が検査監督を行っているものと承知しております。

 また、英国では、銀行業につきましては、銀行監督当局である金融サービス機構、いわゆるFSAが、貸金業及び割賦販売業につきましては公正取引庁が検査監督を行っているものと承知しております。

 さらに、ドイツ及びフランスにおきましては、銀行業、貸金業及び割賦販売業につきまして、いずれも同一の銀行監督当局、ドイツでは連邦金融監督機構、フランスでは銀行委員会が検査監督を行っているものと承知しております。

田村(謙)委員 四カ国だけ、基本的には、いつも大体諸外国を参考にする場合、英米独仏になりますので、その中でどれが多いかということになると、やはり、銀行業を含め、銀行、貸し金、割賦販売業、いわゆる消費者信用ということで、すべて一元的に監督をしているところの方が多いのではないかな。

 経産省さんサイドに立てば、イギリスの場合にはむしろ貸金業も経産省がやっているということなんだと思いますけれども、少なくともほかの国で貸金業と割賦販売業というのを分けて監督している例というのは、四カ国で見る限りは見受けられないような気がするんです。

 それというのは、やはり、私が先ほどから申し上げているように、まさに行政の効率化あるいはより監督を徹底する、例えば検査監督業務において両面から相当共通する業務が多いのであれば、それは同じ機関が行う方がより効率的だし、より多くの者をしっかりと監視できるということにつながっていくんじゃないか。

 結局今は、金融庁、財務局さんと経産省さんがばらばらにやっているというのは、そういった意味では行政の効率化には反するのではないかというふうに私は思っているんですけれども、その点については経産省さんはいかがお考えですか。

寺坂政府参考人 先ほどのお答えと繰り返しになりますけれども、クレジット取引にかかわります固有の問題といったものがございます。そういう観点からの検査監督というものも必要なわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、法律とか、いわゆるそういう共通の部分が全くゼロということではございませんけれども、その観点の違いから、実際に検査監督していく対象といいますかその内容、そういったものの違いがあるわけでございますので、私どもとしては、クレジット業に関しましては経済産業省で担当することが適切というふうに考えておるところでございます。

田村(謙)委員 まさに先ほど申し上げたように、もともと登録業者で監督をしている者に対しては、それこそ不健全な財務状況をチェックするんだと。それだけじゃないと思いますね、今おっしゃったようなこともやっていらっしゃると思いますけれども、財務状況なんというのは当然一番共通することでありますし、その会社がどういう会社で、ちゃんと、まさにコンプライアンスとかいろいろ今共通する部分はゼロではないと思いますがと。

 それは、経産省さんとしては、共通する部分よりも逆に異なる部分の方が多いんだ、諸外国で一緒にやっているというのは逆におかしいんだというお考えだということですか。

寺坂政府参考人 私ども、先ほど商一般という言葉でお答え申し上げましたけれども、その全体、商品あるいはサービス、それの円滑な流通の発達、そういう観点のものを担当といいますか所掌しているわけでございます。

 そういう意味合いにおきましては、やはり検査監督は、そういう担当をしております範囲におきまして、しっかりと財務状況あるいは加盟店の管理状況等々につきまして見ていくということが適切というふうに考えておるところでございます。

田村(謙)委員 共通する部分の方が少ないとはやはりおっしゃれないんだと思います。それは、別にほかの国もその方がいろいろ検査監督において、例えば貸金業者だけにしてもいいですけれども、貸金業者と割販業者は相当共通する部分の方が多いという判断が最初にあって、それで一緒にやっているんじゃないかなというふうに私は思いますし、まさに消費者信用という意味では同じなわけであります。

 過去の経緯から、結局日本の場合には経産省さんと金融庁さんで分かれていますけれども、それは過去のもともとの歴史がそうだからそれがベストなんだというふうには、決してそれだけで十分な理由にはなりませんし、今お話をいただいている、別に違う視点はないでしょうと私が言っているわけではありませんから、それはそれぞれの業態が若干でも違えば違う視点というのは当然出てきますけれども、それは金融庁さんで対応できないようなことなのかどうか。

 あるいは、それこそ考え方を変えて、経産省さんがかなり協力を仰ぐとか、一緒に検査を、合同で検査に入るというのかどうなのかちょっと私はわかりませんが、そういった視点からも、金融庁にある意味で委託のような形でやるとか、いろいろやり方は、より中間的なやり方を含めてあるような気がします。

 それこそ、今後登録業者がふえていく、大体五百前後、個別クレジット業者、確かに数を把握していなくてもしようがないと思いますけれども、ふえていく中で、実際、その人員、まさに体制というのは、先ほど、本省が三十名程度ですか、地方で九十九名、百名ぐらいとおっしゃっていましたけれども、その体制はどのように強化なさるのか。

 大体、今までの対象が倍以上になるわけですけれども、それに、実際いろいろな被害を受けている者というのは、消費者被害の原因となっているところというのは個別クレジット業者にも相当あるのかな、ある意味では、今まで登録していた業者よりもより悪質な業者が多い可能性もあるんじゃないかなという気がするんです。

 そういう問題意識というのは今回の法改正にもあると思うんですけれども、その体制については今後どのようにお考えなんですか。

寺坂政府参考人 今回の改正案を成立させていただいた後、その執行面、今、登録制、登録関連業務あるいは検査監督、そういったことに関しましてその体制を強化していかなければならないということは御指摘のとおりでございまして、これから人員あるいは予算面、そういった面での体制強化に向けて、関係方面への要求、お願い等々、内容の充実を図っていかなければならないと思ってございます。

 なお、先ほど五百社前後という数字を申し上げましたけれども、現在登録されておりますクレジットカード業、包括業の三百三十九社とかなり重なる部分がございますので、三百三十九に、ネットにといいますか、純粋に五百前後が加わるものではないということは補足をさせていただきたいと思います。

田村(謙)委員 当然体制は強化をしなきゃいけないんだろうというふうに思いますけれども、一方で、金融庁さんの方も、当然貸金業に対して監督強化をするという流れの中で、実際金融庁さんの人員はどんどんふえている、それは大変いいことだと思いますが、まだまだ私は足りないと思っています。

 結局、どんどんいろいろな部署に人をふやすというのはなかなか難しいですよね。それは体制強化したいとこれから要望なさるんでしょうけれども、今は定員がなかなかふやせないという状況にある中で、結局、同じ人員でやっていく中でどこまでできるのかという視点からも、私は、ほかの金融機関と一緒にしてまとめて検査をするという、ほかの国と同じような体制にした方がよりそこは徹底できるんじゃないかな。

 結局、人員をふやします、強化をしますといっても、絵にかいたもちで終わる危険性というのはかなりあると思うんですけれども、いかがでしょうか。

寺坂政府参考人 体制の強化につきましては、確かに、要は職員の数をふやす、例えば経済産業省全体でふやすことがどうかとかというのは、行政の肥大化とかさまざまな別の観点の問題があるかと思います。

 ただ、私ども、いろいろなことを、経済産業省として業務を担当しているわけでございまして、そういう中で相対的に業務の必要性が低下する、あくまでも相対論でございますけれども、そういったこと、あるいは、別の形で業務の効率化が図られるというような、そういうところとのいろいろな人員配置のあり方、そういう工夫も十分できると思っておりまして、そういうことも含めまして体制強化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

田村(謙)委員 結局、当然平行線に終わるんだろうと思いますが、今回のこの議論の延長線、延長線というか、まさに今大変首相が力を入れていらっしゃる消費者庁という話があると思います。具体的にどこまで消費者庁が業務を広げるのかというのはまさに今検討中で、まだ明らかになっていない、あくまで私も報道で知るだけでありますけれども、それこそ、今回話題になっている割販法ですとかあるいは貸金業についても対象としては検討の俎上にのっているという報道がありますが、それについてはどういう状況なんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の消費者行政の一元化に関しましてでございますけれども、政府では現在、内閣総理大臣が主宰をいたします消費者行政推進会議におきまして、消費者行政を統一的、一元的に推進するための強い権限を持つ新組織のあり方を検討いただいております。

 検討状況でございますけれども、御指摘のとおり途中段階でございますが、例えば、四月の二日に、この推進会議の座長でございます佐々木座長が論点整理をされております。その中で、新組織につきましては、安全、それから取引、表示など、消費者問題全般を対象とする。また、新組織は、窓口、執行、企画立案、総合調整、勧告の各機能をカバーする。そして、新組織は、消費者行政に関する基幹的な法律、重要性の高い法律、複数の省庁にかかわる法律等を幅広く所管するといった論点整理を行われております。

 また、四月二十三日の同会議におきまして、総理からは、消費者庁の創設に向けてという指示がございました。この中でも、先ほど座長が論点整理をされたのと基本的に同じ方向の御指示が出ているところでございます。

 具体的な法律につきましては、現在、この推進会議の御議論も踏まえながら政府部内で調整中でございまして、特に今の時点で決まっていることはございませんけれども、検討中ということでございます。

 今後、消費者行政推進会議は最終的な取りまとめを行う予定でございますけれども、この取りまとめを踏まえまして、政府といたしましては新組織の具体化を進めてまいる、そういう所存でございます。

田村(謙)委員 今まさに検討中ですので、割販法ですとか貸金業法が、貸金業法が対象になるのかどうかというのは当然答えられないんだろうというふうに思いますけれども、例えば、貸金業者、別に何でもいいんです、消費者庁が、所管になるという業界、ある業界が所管になりましたといった場合に、まさに今監督もしていくんだと。当然だと思いますけれども、その場合、監督、あるいは、例えば具体的に金融関係ですと検査とかになりますが、それを実際に実行する部隊というのは、各地方でどういうところになるんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問でございますけれども、さまざまな法律を、仮に新しい組織、仮称といたしまして消費者庁と言われておりますけれども、それが所管する場合でございます。

 これも決まってはおりませんけれども、先ほど申し上げました座長の論点整理という中で一つの考え方が示されておりまして、今地方分権の議論も出ておるわけでございますけれども、この地方分権改革の流れの中で、地方公共団体にやっていただくべきものはやっていただく。

 そして現在、各省庁の地方支分部局がおやりになっている事務に関しましては、少なくとも当面は地方支分部局の組織に対して委任をするということも活用しながら事務を進めていくのではないか、そういう論点が示されているところでございます。

田村(謙)委員 例えば、割販法が消費者庁の所管になったとすると、今おっしゃったのは地方公共団体が中心になるということなんだと思いますけれども、経産省さんから見て、実際、割販業者、クレジット会社への監督というのは、地方自治体でも十分にノウハウはあるというふうにお考えでいらっしゃいますか。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体におきましてさまざまな消費者行政を行ってきて、私どもと協力して行っているところもあります。そういう中で、割賦販売法に関しましても、もちろん体制の強化とかそういったものを図る必要性のある部分があるかと思いますけれども、そういったことの前提で、地方公共団体で執行をしていくということも可能ではないかというふうに思ってございます。

田村(謙)委員 済みません、本当によく聞き取れなかったんですけれども。ちょっともう一回、ほぼ聞き直し、実際聞き取れなかったんですが。

 地方公共団体は既にノウハウを持っているのか、そして、仮に地方自治体が、ほとんど全部自治体でやるんだ、経産省はもう関係ないということになってもそれは問題ないのか、同じことを含め、もうちょっとはっきりお話しください。

東委員長 明確に、大きな声でお願いします。

寺坂政府参考人 失礼いたしました。

 地方公共団体におきまして、まず、法律上、現在の制度上申し上げますと、割賦販売法のクレジット関係につきましては、いわゆる権限委任にはなってございません。ございませんけれども、今後の体制の強化とか、地方公共団体御自身が何らかの執行をしていくというようなことは体制の充実とかそういったことで可能かと思います。

 一方で、では、地方公共団体だけでいいのかということになりますと、これはやはり全体的な整理といいますか、調整と申しましょうか、そういう全体的な政策の方向性とか、そういったものとの兼ね合いということもございますので、地方公共団体だけでいいということではないというふうに考えています。

 そのような趣旨でございます。

    〔委員長退席、やまぎわ委員長代理着席〕

田村(謙)委員 では、ついでにお聞きしますけれども、もし消費者庁に移管された場合、やはり地方公共団体が中心に各地での検査監督を行うということになるのかもしれませんけれども、そういう場合、特に貸金業、余りに仮定が多い話ですけれども、ちゃんと十分に監督できるかどうか、その点についてはいかがですか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、もちろんこの先の制度の組み立てにもよりますのでコメントはなかなか困難ではございますが、ただ、今私どもが実際に実施しておりますことにつきまして申し上げますと、都道府県当局との連携につきましてはやはり密接に行う必要があるという考え方に基づきまして、各財務局におきましては、都道府県の監督当局と定期的に貸金業監督者会議といったものを開催いたしまして、その場で、都道府県ごとのいろいろな検査監督に当たっての手法や考え方に差が出ないように、私どもの方である程度考え方を示しながら、協調、連携をとっておるところでございます。

田村(謙)委員 消費者庁、どういう形になるかわかりませんので、これ以上の突っ込んだ議論は当然できないんですけれども、もちろん消費者の権利を重視して、それについて行政もより消費者サイドに立ってさまざまな行政を行っていくというのは大変重要なことですし、趣旨としては民主党も前から訴えていることでありますので、方向性としては同じではあるんです。

 結局、例えば今、その一つの検討の俎上にのっている割販法にしてもあるいは貸金業にしても、もちろん消費者サイドに立ってという視点は大変重要ではあっても、一方で、金融、消費者信用として、両方とも一元化すべきだというふうに私は先ほどから申し上げているわけです。

 そういった視点からしっかりと日々監督検査を行っていくという業務は大変重要、それが基本なわけでありますので、やはりそこはずっと前からやっている金融庁さんが引き続き担っていくということが、貸金業をよりしっかりと監督していくという観点に立った場合に望ましいのではないかなというふうに個人的には思っております。そして、それがひいては消費者保護になるんだろうと。

 結局、いろいろ権限の奪い合いになってしまうわけですよね。消費者庁の所管になると、例えば共管になると、まさに現場を含めていろいろ混乱が起きてくることが多いと思います。それが、それこそ丸ごと消費者庁に移ってしまうということになると、とにかく消費者被害のことだけしか考えない、ある意味でいろいろ監督の視点が偏るというか、一部、部分的になってしまうんじゃないかという懸念を私は持っています。

 その点、我々民主党の方で考えているのは、消費者庁というよりも、とにかくいろいろな各省庁から個別の法律を引っ張って所管を移す、ある意味で権限争いのようなそういう発想ではなくて、結局、あらゆる業者について消費者保護という視点を徹底していこうじゃないかと。

 例えば、それは割販法にしても、当然、別に消費者庁に移さなかったら消費者を重視しないというわけじゃないですよね。今回は、消費者のさまざまな被害というのを背景として、消費者保護という観点を非常に重視して改正をなさる。それは経産省さんでも考えていらっしゃることであるわけですので、ある意味、それを消費者庁に移したら、よりそれが徹底されるのかと。

 そこは、そんなことはありませんということは経産省さんはお答えになれないんでしょうけれども、それは今までのノウハウがあって、さらに各省庁が消費者保護という視点をより重視していく。そしてその消費者保護というのを行政全般に徹底させるためには、分野争い、縄張り争いではなくて、基本的にはあらゆる行政について消費者権利を徹底させるという、我々民主党では消費者権利擁護官というものを設置することを主張しているわけであります。

 それは、範囲を限定せずに、とにかく消費者保護のためにこうすべきだという勧告をする強力な権限を設けて、各省庁にしっかりと指示を出していくという、全体に網をかける方式にした方がより徹底をされるということを我々は訴えているわけであります。

 どなたかは別に、そこは今検討中の内閣準備室に聞いても、あるいはそれこそ各省庁に聞いても、その件については、きのうもレクで金融庁さんに、消費者庁へ移すよりも金融庁さんで引き続き担った方がいいんじゃないかと個人的に思うんだけれども、そちら側としてはどういう理由をおっしゃっているんですかということを担当の方に聞いたところ、今それは微妙な話なので何も言えませんと言われてしまって、別に私も、今回の件については個人的にそう思っておりますので、より説得的な理由をちゃんと申し上げたいという意味でお聞きしたのであって、決して金融庁の肩をいつも持っているわけではありませんので、その点は大変残念だなとは思います。

 そこは、今後ぜひとも、各省庁というか、大臣はもう退席なさいましたけれども、経産省さんの方でもしっかりと考えていただく。経産省さんというか政府・与党として、中途半端な、とにかく名前だけ、看板だけ消費者庁という名前をつくって、それで消費者を重視しているんだと単にPRに使うような中途半端な組織というのは、結局、例えば先ほども地方の実行部隊のことを申し上げましたけれども、それはこれからだということでありますし、それは、今ある組織をいかにうまく生かしながら消費者保護を考えていくのかということだと思いますので、その点は、金融庁さんも経産省さんも、そういう消費者保護という観点を十分にしっかりと認識しているんだ、これからもしっかりやっていきますということで、消費者庁に安易に移管されないように頑張っていただきたい。

 ただ、その前に、私はそもそもその二つは一元化すべきだ、少なくとも貸金業と割賦販売法ですね。さらには、国によっては金融機関全部ということで、金融全部でというのは私はいいんじゃないかと思っていますけれども、そもそも金融庁さんと経産省さんで分かれているのはおかしい、そういう問題意識は重ねて申し上げたいと思います。

 さて、若干時間があるので最後に一つだけ。

 ちょっと個別の話になるんですけれども、今度、割賦販売法の改正案の第三十条の二に、クレジット会社がまさに利用者に対してクレジットカードを交付する際に、年収、預貯金、信用購入あっせんに係る債務の状況等々を調査しなければならない、いわゆる支払い可能見込み額というのを計算すべきだと。

 そのこと自体は大変いいことだというふうに私も思っているんですけれども、預貯金というのがちょっと気になっておりまして、それこそ貸金業の方でも、実際に年収の三分の一とかそういった総額規制的なものを導入するという法改正をしたわけであります。

 そういった意味で、信用情報機関を使うというのは当然だと思いますが、年収とか預貯金まで調べるというのは、例えばイメージとして、クレジットカードを交付する際に通帳のコピーを提出するとか、そういったことまで要求をするということなんでしょうか。

    〔やまぎわ委員長代理退席、委員長着席〕

寺坂政府参考人 まず、現時点でのクレジット業者の与信審査といいますか、そういったものの実態、私どもが把握している実態でございますけれども、通常、クレジット業者は、お話ございましたような年収とか預貯金あるいは職業、年齢、その他いわゆる信用に関します要素のうち調査可能なものを基礎といたしまして、消費者の支払い能力を総合的に判断して与信を行っているというふうに認識をしてございます。

 確かに、改正法案の条文の中に預貯金という文言は入ってございますけれども、これは、今申し上げましたようなさまざまな判断要素の一つとしての例示というふうに考えてございまして、預貯金を消費者に申告させることを強制したり、その申告がないと逆に直ちにクレジット契約の締結ができなくなるといったようなことを求めているものではございません。

 改正にそういったものを入れました趣旨は、いわゆる悪質業者はそもそもそういった調査ももちろんしない、したがって、その判断もしないで、支払い能力を根拠なく過大に見積もって高額の与信を行って被害をもたらしている、そういう業者が存在するわけでございますので、年収や預貯金等といった調査事項を例示いたしまして、調査可能なものを基礎として支払い能力を判断することを求める、これを法律の条文化をした、そういう趣旨でございます。

田村(謙)委員 例示というのも、そもそも、詳細は今後詰めていくということなんでしょうけれども、例示としての預貯金、結局それは年収で、貸金業の場合にも年収というのを実際に大きな基準にしているわけで、考慮する要因として預貯金というのはわからなくはないんですが、ただ、あえて条文に載せるという意図が私にはよくわからない。

 実際、預貯金というものは必ず調べなきゃいけないというふうに、例示とは別に書いてないわけですよね。例示というか、並べてあるものはそれにすぎないんだというふうにとらえられなくもないですけれども、法律の条文の文言なわけですので、その点が過剰な、それこそ、利用者から見ても利用を妨げるような、そういったことにならないようにぜひ御配慮いただきたい。

 これに関連をして最後に一つだけ意見を申し上げると、信用情報機関にしても、我々民主党は、貸金業においても信用情報機関は全部一つに一本化すべきだということを申し上げておりましたけれども、まさに支払い可能見込み額というのを考えた場合には、それこそ、サラ金から幾ら借りているかとか、そういった情報も大変重要なわけで、それは、やはり監督を一元化するのとともに、貸金業と割販業者をですね、その信用情報機関も一元化、一つにした方が、当然そういった情報というのは一本になって、より支払い可能見込み額というものも算定しやすいというふうに私は考えておりますので、そのことを最後に主張いたしまして、質問を終わらせていただきます。

東委員長 これにて田村謙治君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 次に、本案審査のため、本日、参考人として、一橋大学大学院法学研究科教授松本恒雄君、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会副委員長池本誠司君、社団法人日本訪問販売協会会長加藤澄一君、社団法人全国消費生活相談員協会理事長下谷内冨士子さん、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず松本参考人にお願いいたします。

松本参考人 一橋大学の松本でございます。

 このような意見陳述の場を提供していただきましたことに、厚く感謝申し上げます。

 特商法及び割販法の改正案は、内容面において非常に詳細なところがございますが、細かいところにつきましては論ずることをしないで、大きな論点、骨太の点について六点ほど申し上げたいと思います。

 まず第一点ですが、今回の両法の改正は、それぞれの法律の改正といたしまして今までの中で最も大きな改正であるという点、そして、二つの法律の改正を有機的に連携することによって、クレジットを利用した高齢者への悪質商法被害の防止に努めようとしたという点で、非常に画期的な重要な内容だというふうに思います。

 二つの法律を連携してという点では、私個人的には、割賦販売法は現在のところ、いわゆる消費者向けのクレジットと事業者向けのクレジット双方を規制しておりますが、この二つはかなり質が異なるところから、両者を分離して、事業者向けクレジットにつきましては、いわばリースと一緒の枠組みで法律とするのがいいのではないか、消費者向けのクレジットにつきましては、今回二つの法律が一緒に改正されたということから明らかなように、非常に内容が絡み合っていることから、将来的には一つの法律にして、例えば消費者取引法といったような内容のものにするというのが効果的ではないかと思っております。

 第二に、今回の法改正の重要点といたしましては、すき間のない一般規制へ転換したという点でであります。

 既に、金融商品の世界におきまして、証券取引法から金融商品取引法へと改正される際に、金融商品全般について同じルールを適用するという方向に踏み出しました。

 今回の特商法、割販法ともに、指定商品、役務制を廃止して、同じ販売形態、同じ与信形態については横割りの一般規制を導入するということになったという点で、そのようなすき間のない規制へさらに一歩踏み出したということだろうと思います。

 また、クレジットにつきましても広く対象に含む定義に変えるということで、マンスリークリア式のクレジットカード払いを除くすべての第三者与信型のクレジットについて同じルールが適用されることになったという点も、大変評価したいというふうに考えております。

 第三の重要点といたしましては、これは特商法の方でございますが、過量販売を理由とした解除権という新たな民事ルールが導入されたという点であります。

 特商法、割販法ともに行政規制を中心とした法律でありますが、改正のたびに民事ルールがふえてまいりました。今回、さらに過量販売解除権が認められたということであります。

 過量販売の問題は、何も特定商取引法の対象となるタイプの勧誘方法に固有の問題ではないはずでありますから、これは、現在国民生活審議会で検討されております消費者契約法の将来における改正の際に、大いに参考になるルールだろうと考えております。

 第四点でありますが、こちらは割販法の方の問題でございます。クレジット業者について登録制度を導入した。

 従来ですと、総合割賦購入あっせん、今回の法律では包括信用購入あっせんと言われているタイプについてのみ登録制が導入されていたわけであります。従来の個品割賦購入あっせん、今回の改正案では個別信用購入あっせんについてはだれでもできるということでありました。

 その結果、どうなったかというと、貸金業規制法が貸金業法として改正をされて、貸金業者の行為ルールが非常に厳しくなってきたのに伴って、悪質貸金業者が、いわゆる消費者金融から実質的な意味でのクレジット、商品の購入や役務の購入の際の与信の方に事実上進出してきているにもかかわらず、彼らはフリーローンというふうに主張して、割賦販売法の規制の対象外であるというふうに主張して、消費生活センター等における苦情の解決に協力してくれないということがございました。

 今回の登録制の導入によりまして、このような消費者金融を主張する実質クレジット業者が存在する余地がなくなる。すなわち、登録しないでそのようなことをすれば違反行為ということになりますし、登録をすると法律を守ることをみずから宣言するということになるからでありまして、脱法行為が不可能になるという点で重要であります。

 五点目が、これも割販法でありますが、クレジット業者に、販売業者、役務提供業者といわば同様の共同責任が導入されたに近い結果になっているという点であります。

 クーリングオフが与信取引にも認められた、あるいはその他の、従来ですと特商法上の取り消し権しかなかったのが、クレジット契約そのものにも同じような民事ルールが定められたことによって、結果として既払い金の返還が可能になったということであります。

 私は、東京都の消費者被害救済委員会の委員というのを長年務めておりましたが、被害救済委員会における案件のかなりの部分が消費者とクレジット会社の間の紛争というタイプのものでありました。今回のクレジット会社の責任強化に伴って、このような案件が被害救済委員会に上ってこなくても、消費生活センター等において、あるいはそれ以前の段階で解決できるということになるかと思います。

 ヨーロッパでは、レスポンシブルレンディングとかレスポンシブルクレジットというような概念、責任のある与信というような言葉でもって社会的責任の一環として議論されているところでありまして、日本でも、この法律が改正されることによってこのような方向に一歩踏み出すことになるだろうと思います。

 さらに六点目といたしまして、貸金業法の改正と歩を一にして過剰与信についての規制が行われるようになったということでありまして、これも、貸金業と割賦販売業というのが与信として共通の面があるというところから必要なことであったと考えます。

 最後に補論でありますが、官製不況だとかあるいはコンプライアンス不況という言葉が時々言われます。

 法律規制を強化することによって経済が不況になっているのではないかということでありますが、規制の仕方が誤っていればそのようなことも可能性としてはあるわけですけれども、現在の無店舗販売あるいはクレジットに伴う問題に関しましてはむしろ逆であって、消費者が信頼できない、つまり無店舗販売をしている業者を信頼できないことから、例えば訪問販売の場合ですと、とりあえず断りなさい、勧誘を受け始めたらもう逃れられないことになるかもしれないから、良心的な業者かもしれないけれども悪質な業者かもしれない、ふたをあけてみないとわからない、事前に予防するとすれば、すべて悪質な業者であるということを前提にして接触を断らなければならないという現状があります。

 これはまさに、市場不信不況と言われているものでありまして、マーケットの規律を強化して、消費者が安心して取引ができるようなマーケットをつくれば、もっと無店舗販売の市場が伸びるし、それに伴うクレジットの市場も伸びるのではないかというふうに考えている次第であります。

 どうもありがとうございました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 次に、池本参考人にお願いいたします。

池本参考人 池本でございます。

 貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。

 改正法案に対する意見ということでレジュメを用意させていただきましたので、参考にしていただければと思います。

 今回の法改正の直接のきっかけは、三年前、埼玉県の富士見市で起きたリフォーム詐欺商法を御存じかと思います。認知症の高齢者のところに多数の業者が次々と押しかけて、必要のないリフォーム工事を何千万も契約させた、払えなくなって自宅が競売に付されたという全くひどい事件であります。そういった弱い者をねらう次々販売というのは、リフォームだけではない、布団や呉服や宝飾品や健康食品やさまざまな分野で起きている。しかも、そういう悪質、強引な商法にクレジット契約があるからこそ、支払い能力を無視して販売できるという構図があるんだ、つまりクレジットが悪質商法を助長している構図がある、そういうことが大きな社会問題になりました。

 こうした議論を踏まえて、経産省では、悪質商法そのものに対する規制、特商法と、これを助長する形になっているクレジット会社に対する規制、割賦販売法、この二つを同時並行で改正の議論をしていただきました。そして、特商法でいいますと、過量販売の解除権というような新しい規定、割販法では、クレジット会社の既払い金返還責任というような非常に重要な規定を導入していただきました。

 その意味で、全体的な評価として私たちは、今回の法改正、経産省の担当者の非常に熱心な御努力によってすばらしいものがつくられようとしている、ぜひこの国会で成立させていただきたいということをまず全体として申し上げたいと思います。

 その意味では、皆さんにぜひ審議の際確認していただきたいのは、その立法趣旨と適用が実務の中で使えるようにというところを確認していただきたいところなのですが、幾つかの規定について意見を申し上げておきます。

 まず、過量販売解除権。これは、先ほどのように次々と販売されたときに、消費者が一つ一つの契約の中身を思い出せない、そういう場合でも、客観的に不当、過当な場合には解除ができるという意味で、消費者の立証責任を軽減しているわけです。他方で、事業者側は、たくさん売ればすべて取り消される、解除されるというのではなくて、本当に必要があったんだという事情を確認できれば契約は有効だというただし書きがついておりますから、その意味では立証責任を転換している。販売業者は、本当に合理的に必要なものかどうかを注意しながら売ってくださいという、その意味ではバランスのとれた規定であるということだと思います。

 次に、クレジット契約の取り消し権ですが、これは、販売契約が不当な勧誘によって取り消されるときは、クレジット契約も一緒に取り消しができる。クレジット会社は、販売店に契約書を全部預けて一緒に勧誘をしてもらっている、契約締結をしてもらっているわけですから、不当な勧誘があった場合には、自分たちの契約もいわば連動して取り消しの対象になるという意味で、クレジット会社の過失を要件としないで取り消しとなる。逆に言えば、クレジット会社は、販売店がきちんとした販売方法をしているかどうかを事前にチェックして防止するということが求められる、こういう規定であります。

 三番目、書面交付義務とクーリングオフという規定。これも、いわば書類を預けてつくってもらっているわけだから、その書類が不備である場合は、クレジット会社も一緒にクーリングオフの不利益を受けるという意味では、書面の中身もクレジット会社があわせてチェックをしてくださいという意味であります。

 そして、今のような民事責任をクレジット会社に課すことによって、要はみずからのリスク負担のもとで取引の適正化をきちんとチェックする。これが今回の法改正の構造だと言っていいと思うんですが、それだけではなくて、行政規制、行為規制として、適正与信義務と過剰与信防止義務という規定も入っております。

 このうち適正与信義務、個々の契約を結ぶときの契約内容のチェックについては、これは訪問販売に個別式のクレジットを提供したときに絞られて、このときにはその都度チェックしなさいということですが、例えば店舗販売だとかさらに広いところまでそういう厳しい義務を課すことは難しいのではないかという議論がありました。審議会の中でも、そこまで義務を課すことは困難ではないか、しかし少なくとも、お客さんからクレーム、苦情が出ているときには、それが本当なのかどうか、販売店が問題を起こしていないかどうか、そのぐらいはチェックしてください。その意味で、苦情発生時の調査ということは、クレジット会社の責任として定めていただきたいということが業務適正化義務というところに反映されていると理解しております。そのあたりをぜひ明確にしていただきたい。

 それから、過剰与信の防止義務も、従来から、顧客の支払い能力を超える与信をしないよう努めなければならないという抽象的な規定はあったんですね。しかし、抽象的であるがために、余り実効性がなかった。あるいは、法的な責任も伴っていなかった。そこで今回は、個別支払い可能額を超える与信をしないということで、個別支払い可能額という言葉について、こういう点とこういう点は調査しなさいということをかなり具体的に定めようという方向性であります。条文にもそのことは反映されていますが、今後、政省令の中でさらに具体化することが求められます。

 この規定は、決して、ある一定の金額以上は一切与信してはならないという条文ではなくて、チェックをしなさい、チェックをして適正であればもちろん与信していいし、具体的にチェックすることで過剰与信を防止しなさいということですから、そのチェックするポイントについては具体的に定めていただくことが不可欠だろうと思います。目安を具体的にしておかなければ、総合判断だからお任せくださいということでは従来と同じになります。その意味で、こういう点はちゃんとチェックすべきだということが、最終的には政省令で決まるところではありますが、そういう方向づけについてもぜひ審議の中でも確認していただきたい。

 あと、法文上の問題ではありませんけれども、展示会商法というものについても対処を求めております。これは、審議会の報告書の中で提言されているところです。例えば、バス旅行だとか食事会だとかといって遠くへ連れ出して、帰れないような雰囲気のところで強引に販売する。それは店舗なのか訪問販売なのかということが、解釈でなかなか分かれていた。あるいは、悪質業者ほどそこをうまく脱法しているというところで、それを、本当に問題があるところは法規制の対象に加えるような検討をしていただきたいというのが審議会での議論でした。これは、今回の法文ではもちろんまだ反映されていません。政省令で審議していただくところですが、そういった方向づけについても、ぜひこの審議の中でも後押ししていただきたいというふうに思っております。

 あと、加盟店情報交換制度あるいは訪問販売協会による自主的な規制というようなこともありますし、そのあたりも大変期待しているところであります。

 最後に一つだけ申し上げます。

 今回の法改正、特にクレジット会社に非常に厳しいんじゃないかというような意見をたまに聞くことがあります。しかし、決してそうではないというところです。

 日弁連のメンバーが、この法改正の議論の過程でイギリスの消費者信用法制を調査いたしました。イギリスでは、店舗取引もクレジットカード取引も含めて、販売店が違法、不当であったときにはクレジット会社も共同責任を負うということになっているんです。非常に厳しい規制ですが、逆に、そういう規制があるからこそ、行政の窓口は消費者に対して、初めて取引をする、知らない業者と取引をするときはクレジットを使った方が安心ですよとアドバイスしているそうです。つまり、クレジット会社が加盟店をきちんとチェックしているはずだ、万一のときには補償してくれる、そう言っているんです。まさに、安心、安全を売るシステムです。そして、そのイギリスのクレジット会社は、EU諸国の中でも特に発展しているそうです。

 安心、安全を提供して、消費者がそれを利用して、お互いがメリットがある、そういう法制度をぜひ実現していただきたい。もちろん、これは将来の課題も含みますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 次に、加藤参考人にお願いいたします。

加藤参考人 私は、社団法人日本訪問販売協会の会長をしております加藤澄一でございます。訪問販売の形態で家庭用ミシンを販売しております蛇の目ミシン工業の代表取締役もしております。

 本日は、特定商取引法及び割賦販売法の改正につきまして、業界の立場から意見を述べる機会をいただきまして、大変ありがたく思っております。

 私からは、まず、今回提出されております改正法案に対する訪問販売業界としての評価と、今後の業界健全化へ向けた協会の決意のほどをお話しさせていただきますとともに、信販業界からも取引の健全化に向けた思いを託されておりますので、クレジットに関する部分も言及させていただこうと思っております。

 当協会は、一九八〇年の創立以来、訪問販売取引を適正にし、消費者利益を保護して、訪問販売事業の健全な発展に資することを目的に、業界自主規制事業や消費者啓発事業、また会員に係る消費者相談の受け付け、解決業務など、訪問販売取引が適正に行われ、消費者の信頼を得て健全に成長するよう、種々の施策を導入して実施してまいりました。

 しかし、近年、高齢者などの社会的弱者をねらう詐欺的な集団などが、消費者へのアプローチの手段として訪問販売という手法を用いるようになり、訪問販売に対する消費者の信頼が大きく損なわれる状況に至っております。

 こうした確信犯とも言える悪質事業者への指導は、特段の法的権限、拘束力を持たない我々業界団体では困難な部分も多く、また会員として取り込むことの難しさもあり、健全な事業者の営業活動にとって極めて大きな阻害要因となっております。

 今、我々業界は、悪質事業者が惹起する消費者トラブルにより失ってしまった社会的信頼を回復するために全力を注いでおります。

 法律改正の審議の席上でも、当協会からの声として、悪質事業者との差別化が図れる行政施策の実施について経済産業省へお願いをいたしました。そのための準備として、訪問販売協会も、会員管理の徹底や取り組むべき事業の拡充強化について審議会でお約束をいたしました。一つ目は、新規入会審査の厳格化と問題会員の処分の厳格化でございます。二つ目としては、会員の消費者志向経営の強化。三つ目といたしましては、消費者相談室の業務改善。これは、会員の不適正な行為等を迅速かつ広範囲に情報収集できる体制を整備するということでございます。そして最後に、消費者救済基金制度の創設でございます。

 審議会では、訪問販売に対して大変厳しい御意見をいただきましたが、そうした御指摘を踏まえまして、産業構造審議会の特定商取引小委員会では、今お話ししたような事業強化策を発表させていただきました。今回の法律改正は、そうした業界の新たな取り組みにつきまして、法的な裏づけを確保していただけるものであると理解しております。

 特に、消費者を救済する制度として創設する基金については各方面から注目を集めておりまして、協会としても、アウトサイダーとの差別化という意味におきまして極めて重要な事業になるとの認識を持っております。そのためにも、訪問販売業界と信販業界との連携によるアウトサイダー対策が早く機能することを心から期待しているところでございます。

 今後は、訪問販売の消費者信頼を取り戻すために、法改正の内容を踏まえて、以上のような具体的取り組みの一つ一つを着実に実施して、悪質な事業者をこの訪問販売の市場から排除するための体制を構築していかなければならないと思っております。そのためには、訪問販売協会に加盟している事業者が健全な事業者であるという社会的評価が必要でございます。

 これまでの、悪質な事業者を指導するために会員に取り込むという考え方から、悪質な者は会員から除名するという方向へ協会のかじ取りも大きく転換することにいたしました。これは、健全な事業を行っている多くの訪問販売事業者の切なる願いであると確信いたしております。一日も早く、多くの消費者から、訪問販売協会の会員であれば安心、安全だ、そのような評価をいただけるよう、加盟事業者への指導を徹底してまいりたいと思っております。

 次に、訪問販売等の取引の規制強化とあわせて、いわゆるクレジット取引に関係する規制強化について、割賦販売法が改正されることも関係しておりますので、信販業界における自主的な取り組み内容について御紹介させていただきます。

 社団法人全国信販協会では、個品クレジット取引に係る一部の悪質な販売業者を徹底的に排除するため、また悪質な販売行為に起因する消費者トラブルを防止するため、平成十七年より一連の対策を講じてまいりました。

 具体的には、現在の与信審査のあり方が悪質な販売勧誘行為の助長につながっていないかを確認するために、特定商取引法に関係する取引を行う加盟店に対する総点検の実施、二番目にクレジット申込書の記入徹底、三番目に商品別の与信取り扱いガイドラインの策定、四番目に高齢者に対する与信取り扱い姿勢の確認など、クレジット取引の自主的な取り組み措置を行ってきたものであります。

 これらの自主規制を徹底してきた結果、訪問販売取引等に係る高齢者に対する取り扱いは前年対比約七〇%の減少となり、また、リフォーム業者も含めた訪問販売業者等に対する加盟店総点検の結果、延べ千四百業者の加盟店契約を解除したことなど、着実にその成果はあらわれてきていると認識しております。

 次に、信販業界における今後のクレジット取引健全化に向けての対応についてであります。

 今回の特定商取引法、割賦販売法の改正において、法令による規制強化とあわせて、いわゆるクレジット業界における自主的な取り組みにより、さらなる悪質加盟店の徹底排除とともに、消費者保護に向けた一層の健全化に向けて、加盟店情報交換制度の充実を図るなど、自浄作用として機能させていくことに尽力していく所存でございます。したがいまして、法規制の適用に当たっては、厳格な運用は当然でありますが、健全な販売事業者等の活力やお客様に対する利便性の後退につながらないよう御配慮いただきたいと存じます。

 また、クレジット会社が優良かつ健全な販売業者との提携関係を促進できるよう、訪問販売業者を初め関係事業者に対する改正法の運用の徹底及び御協力についてお願いしたいと思います。

 何とぞ、今後とも業界の健全な発展のために御指導賜りますよう、この場をおかりいたしましてお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 次に、下谷内参考人にお願いいたします。

下谷内参考人 社団法人全国消費生活相談員協会の下谷内と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、このような委員会にお招きいただきまして、また意見を述べさせていただく機会を与えられましたことを深く感謝し、御礼申し上げます。

 私どもの協会は、全国の国民生活センターや、または地方自治体で消費生活相談をしている者が会員の中心になって、全国で今、会員は千九百名近く、毎日の消費生活相談を受け付けております。また、私どもは、北海道から九州まで全国に七支部を設置いたしまして、その中で、それぞれの活動とあわせまして、私どもの主な事業であります、本日の特商法と割販法に関するものでございますが、週末電話相談というのを実施いたしております。

 今現在は、東京と大阪、東京は土曜、日曜やっておりますが、関西の方におきましては日曜相談、それから、昨年の秋から北海道におきましても土曜日の午後に相談を受けるというような体制をとりまして、全国からお寄せいただきます消費者被害について、日ごろから救済活動、未然防止活動を行っている団体でございます。

 本日意見を述べさせていただく機会を得ました。私どもの相談事例を中心にお話ししていきたいと思っております。

 今回の特定商取引法と割販法の改正に当たりまして、私どもも長年期待をいたしておりましたところで、今回の改正を高く評価いたしております。ただし、何点かやはり現場の相談員といたしまして問題が残るのではないかというところを考えております。そしてまた、毎日の被害救済に当たっておりますので、ぜひこの法案を一日も早く成立できるように御審議をお願いしたいと思います。

 それでは、私どもの相談員が今一番関心を持っておりますのは、指定商品制の撤廃でございます。

 今回、非常に画期的なものといたしまして、指定商品、サービスの撤廃が盛り込まれるということに対しまして、現場の相談員といたしましては非常にうれしく思っております。利用もしやすいのではないだろうかと思っております。ただし、原則という言葉が使われているようでございまして、ネガティブリスト化がされるのではないかというふうに思っております。

 しかし、私どもが相談を受けます中にも、以前ありましたような原野商法、それで、原野商法が規制されますと今度は測量になるとかといって後追い規制をしてまいります。そういうことがないように、ぜひ原則撤廃を求めますが、ネガリスト化の中にきちんと、それぞれ今後御審議されると思いますが、お入れいただければと思っております。

 例えば、医療行為の問題がございます。エステだか医療行為なのかわからないようなところで、エステであれば特定商取引法で解決できるところでございますが、お医者様が行っていらっしゃいます二重まぶただとか隆鼻術だとか豊胸だとか包茎というものに非常に多く相談が入ってございます。そういうものもぜひ御検討いただきたいということでございます。

 それから、通信サービスの問題におきましても、特定商取引法と割販法におきましては商品の指定しかございませんので、通信サービス等には現在ございません。ぜひそこのあたりも御審議をいただければと思っております。

 それから、先ほど池本先生からもお話がありましたのですが、展示会商法とあわせまして、私どもは、今後、適正与信の調査義務も含めまして、店舗販売についてぜひ御審議いただければと思っております。

 店舗販売で、実は私どもの週末電話相談にこのようなものが入っておりました。

 雨が降っておりまして店頭で雨宿りをいたしましたら、中にあるいろいろな着物をぜひちょっとごらんになりませんかと言われて、雨も降っておりますので、誘われたまま入っていきました。入っていった方が悪いと言われればそれまでなんですけれども、やはりそこに至る、誘引された仕方というのは非常に巧妙で中に入ったのですが、その中で着物や帯を次々と着せられまして、断り切れずに契約をしてしまった。

 その後、着物の着つけができないと申し上げましたら、二十代の女性でございますので、着物着つけ教室に誘われまして、次々とまた着物を買わされた。合計三百八十万の契約をしたということなんです。二十代の方でございますので、平均的年収を考えましても、国税庁の調査によりますと二百五十万ぐらいが平均的年収でございます。三百八十万でしたらば支払える道理がないわけですね。こういうものもきちんとぜひ与信調査をされるときにはしていただければと思っております。

 それから、割賦販売におきましても大きな改正をされましたので、私ども、使いやすくなっているかとは思っておりますが、一点申し上げたいことがあります。

 マンスリークリアについては、今回は外されるように伺っております。私どもが御相談を受けた中にも、二十代の男性の方が路上でポストカードを渡されて、近くでやっているからといって展示会に勧められた。どんな絵が好きかと言われまして絵を幾つか選びましたら、とてもあなたはセンスがいい、これを買わないかということを言われたそうなんです。とてもおうちに置くような生活レベルにもないし、支払いもないからといって何回もお断りしたそうなんですが、二百五十万の絵が最終的には百万ぐらいになって、もう帰れる状態ではなかったということで、とりあえず契約をした。

 そのときに、カードを持っていますかと言われたそうです。カードならありますと言いましたらば、カードだったらどんな支払い方法もありますねということで、この方はマンスリークリアの契約をしました。マンスリークリアというのは、本人にとっては早く逃れたい一心からのものであります。

 今回御審議された中におきましても、マンスリークリアは現金払いと同じような支払い方法である、したがいまして、ボーナス払いは二カ月以上ということで今回規制されましたが、ボーナス払いだとかあるいは割賦払いのように、同じようなセールスによる誘引性がないのではないかということで、マンスリークリアというものは入らないというふうに伺っております。

 しかしながら、今申し上げましたように、この事例からも見られますように、若い方、それから高齢の方では、カードを持っているという、そのカードがどういう使い方がされるのか。例えばマンスリークリアといいましても、五十五日間後であればボーナスと余り変わらないじゃないか、そういたしますと二カ月以内になってしまいます。ぜひきちんと説明するとともに、マンスリークリアを適用から外すということはぜひ御検討を、外さないように、ボーナスと同様な取り扱いをしていただけるように、もう一度御審議をいただければと思っております。

 私どもの相談にも、以前は紙媒体であります割賦購入あっせん契約が多かったんですが、最近はカード払いのケースが非常に多くなっております。私どもが御相談を受けました週末電話相談では十七年度に一一・三%、十八年は一二・六%、十九年度は一四・七%と、毎年、翌月一括払い、ボーナス払いのカードの件数がふえております。

 これはどういうことかということをちょっと調べてみましたが、国民生活センターのPIO―NETにおきましても、毎年増加しております。現場の相談員としてどのように実感しているのかということを全国の多くの会員に問いかけましたし、また、私どもの週末電話相談の中から原因を探ってまいりました。

 そういたしますと、出会い系サイトなどの相談も多くなったのですが、前回の割賦販売法の改正で、割賦販売協会さんだとか訪問販売協会さんの御努力によりまして、加盟店管理がかなり厳しくされたというように感じております。それが個品割賦購入あっせんでなくカード利用につながったのではないかと思っております。

 したがいまして、今後、カード利用というのは、どんな方でもつくれるようになっておりますので、できればカード利用のマンスリークリアにつきまして、ぜひ御審議いただければと思っております。

 それからもう一点でございますが、総量規制の問題でございます。

 先ほど二十代の着物の方のお話をいたしましたが、とても一年間で支払えるような金額ではないわけです。今回の貸金業法の改正におきましては、総量規制といたしまして年収の三分の一ということが明記されております。今後、割賦販売法等におきましても何らか、先ほどお話もありましたように、今のところ、目安というものはありますが、基準というものが見えてきておりません。そういうところもぜひ御審議いただければいいのではないかと思っております。

 私どもは毎日、消費者の被害救済、そして未然防止、拡大防止に当たっております。一日でも早く被害の救済をされることを願ってやみません。また、適格団体として昨年十一月に認定されました団体でもございます。そういうことも含めまして、私どもは今後、未然防止、拡大防止にも力を強めてまいりたいと思います。

 今回の消契法の中でも、特商法、景品表示法が適格団体として差しとめ請求ができるように改正されました。とても私どもとしてはうれしく思っております。ぜひこの機会におきまして、一日でも早くこの法案が通りまして、被害者が安心して、安全で、そしてなおかつ公平に救済を受けられる法案ができることを願ってやみません。

 以上、ありがとうございました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤三津枝さん。

近藤(三)委員 皆様、本日はお忙しい中、参考人としてお越しくださいましてまことにありがとうございます。

 今回の特定商取引法と割賦販売法の改正は、悪質業者に厳しい網をかぶせて消費者保護に大きく踏み込むものだというふうに承知しております。本日は、それぞれ専門の先生方から、改正のポイントなどについてじっくりとお話をお伺いさせていただきたいのですが、持ち時間は二十分でございますので、かいつまんでお話を伺わせていただきたいと思います。

 先ほどからもお話が出ていますように、最近の消費者被害、高齢者や、断ることがなかなかできない、苦手な消費者をターゲットにした悪質な商法が増加しております。また、被害金額もかなりのものになっております。訪問販売業者が押しかけて言葉巧みに必要もないリフォーム工事を代金分割払いで次々と契約させる次々販売被害、また、実体のない在宅ワークを誘い文句に強引な電話勧誘、教材を代金分割払いで購入させる内職商法被害など、こんな商法もあるのかなとびっくりするほど悪質な訪問販売が手をかえ品をかえてどんどんと繰り返されているなというのが実態でございます。

 先ほど、下谷内参考人からも驚くような事例をたくさんお聞かせいただきました。実は、冒頭にこの質問をさせていただこうと思ったのですが、大変よくわかりましたので、続きまして、松本参考人にお話を伺わせていただきたいと思います。

 先ほど、レスポンシブルクレジットという観念がヨーロッパにはあるとおっしゃいましたけれども、本改正案の内容、多岐にわたり、また事業者の営業活動に重大な影響を及ぼす事項が非常に多く盛り込まれております。過去の被害実態を踏まえますと、悪質商法対策の強化はぜひとも必要だと私も考えております。しかし一方で、健全なビジネスにまで過剰な規制が及んだ場合に経済への影響を懸念する声も上がっているのも事実でございます。

 審議会では取りまとめの苦労をされたと伺っております松本参考人に、議論された際に両者のバランスについてどのように配慮されたのか、お伺いできますでしょうか。

松本参考人 先ほどの最初の私の発言のところでも述べましたように、いわゆる行政不況、コンプライアンス不況という言葉が言われておりまして、確かに、誤った過剰規制、不適切な規制がマイナスになるということは、言葉の定義上、明らかなことであります。

 しかし、これも私言いましたように、規制がなされないことによる不況といいますか、マーケットが広がらないという部分、むしろしぼんでいく部分というのをきちんと見なければならないのではないか。そして、一定のルールを定めてそれをきちんと守ってもらう。そういうマーケットができれば消費者は安心して取引に臨めるはずだし、万一トラブルがあっても、しかるべく救済を受けられる、あるいは裁判外で適切な処理がなされるような仕組みがセットされる。

 これは、訪問販売協会とかそれから割賦販売関係の協会とか、このような団体にそのような役割を務めてもらおうというのが今回の法改正の一つの趣旨ということでもありまして、ルールはルールとしてきちんと守ってもらうけれども、他方で、それが過剰にならないように、そのルールの内容についてはさまざまな意見をお出しいただきました。

 一つかなり議論になったのが再勧誘の部分であります。現在、秋田県の条例問題なんかがけさの新聞でも出ておりましたが、勧誘を受けたくないという消費者の意思と事業を行いたいという事業者の活動の自由をどのような形で、どの辺で調整するのが適当かというところ、これはかなり大きな論点でございました。

 法案といたしましては、事前にその勧誘を受けるかどうかの意思を確認すべき、これは努力義務ということでありますから、必ずしもしなければならないということではございません。

 それからもう一点としましては、勧誘は受けたくないという意思をはっきりさせている場合については勧誘してはいけないということであります。この勧誘を受けたくないという意思の表明の仕方として、どのような形で出されるのがこの法律の趣旨にのっとったものになるのかというあたりが、法律の条文そのものからは明らかにならないわけでありまして、この辺は、今後政省令をつくっていく段階あるいはガイドラインをつくっていく段階で、さらに関係者の意見を聞きながら適切なラインを定めていく必要があるんだろうというふうに考えております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 松本参考人が先ほどおっしゃったように、今回の法改正が消費者の安心、安全の心を刺激して活発なビジネスにつながりますように私も期待いたしております。

 続きまして、加藤参考人にお伺いさせていただきます。

 社団法人日本訪問販売協会では、これまでにも適正な事業活動を推進するためにさまざまな自主的な取り組みを進めてこられたというふうに私も承知しております。

 本改正案によりまして、訪問販売につきましては、再勧誘の禁止、それから過量販売の契約解除制度が導入されました。また、クレジット会社による加盟店調査も義務づけられましたが、訪問販売業者への具体的な影響の見通しはどのようなものなのか。それから業界としての対策、さらに、改正法施行に当たっての御要望などをお聞かせいただけますでしょうか。先ほど、千四百加盟業者を整理したというふうなお話もちょうだいいたしましたが、もう少し詳しくお話をいただけますでしょうか。

加藤参考人 日本訪問販売協会では、今回の施策によりまして、従来は、会員を、若干イレギュラーでも正しい訪問販売業者に教育するということを主眼にやってきましたが、今回は、訪問販売協会の会員であれば安心と安全、そんなことを認めていただけるような形で、会員会社の社員も含めまして会員の教育指導というか、そんなことに力を入れていきたいと思っております。

 また、消費者救済基金というものを設けようということを現在検討中でございます。これは、日本訪問販売協会の会員が現在三百社ぐらいあるんですが、そこの正会員に対しまして、基金を供出いたしまして、イメージ的には一億円ぐらいの基金を集めまして、会員が倒産とかいろいろなことでトラブった場合の補償をしまして、お客さんに迷惑をかけないような形をとりたいと思っております。

 それから、信販業界の関係で、先ほど何社という話はしたんですが、私はあちらの役員でもなくて、たまたま全体の形をここの委員会でお話ししていただきたいということを託された方なのでございまして、数字につきましては、先ほどお話しした数字以外はちょっと持ち合わせていませんが、訪問販売のよさを、正しい会員指導をしまして、会員であれば喜ばれる、安心と安全がいただけるような形、協会の会員をそんな形で指導してやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

 それでは、続きまして下谷内参考人にお伺いさせていただきます。

 先ほどもお話に出ましたように、国民からの消費者相談の窓口は地方自治体の消費生活センターなどですが、ここへの予算配分が年々減少しております。その結果、相談員の方々の待遇が非常によくないというふうに伺っておりますが、どのような見解をお持ちなのか。先ほどのお話ですと、土曜日、日曜日にも窓口を開設されて、非常に頑張ってくださっておるというお話を伺いましたが、実態はどのような状態になっているのか。また地方自治体の体制強化のためにどのような体制をとるべきと考えておられるのか、お聞かせください。

下谷内参考人 ありがとうございます。

 予算の削減につきましては、各自治体では年々削減をされておりまして、職員の減数もありまして、また相談業務につきましても年々ふえておりますので、非常に難しい実態ではあります。

 先ほど先生がおっしゃられましたことでございますが、週末電話相談をいたしておりますのは、自治体がやっているわけではなくて、私どもの協会が、自治体がやっていないところを補完できるのではないかということで当初設立いたしたものでございます。会員は、全国の自治体の消費生活センターの相談員もやっております。したがいまして、土曜、日曜の相談もその者たちがやっておりますが、相談の区分けにつきましては全く別なものでございます。

 相談も、毎年私どもが多く入っておりますのは、それは地方行政におきまして相談電話がなかなかつながらないとか、行政も私どもの土日相談を案内はしてくださっておりますが、電話がつながらないからといいまして地方行政へ対する苦情もあります。そこで、私どもの相談が延々と入っていくということになっております。

 それから、体制についてでございますが、今現在は、国と、小さな政府から地方分権が非常に叫ばれておりまして、そのような形で消費者行政も動いております。

 今回、新しい組織とかいろいろなことが言われておりますので、私どもといたしましては、その予算を地方の行政にすべて賄わせるというのは非常に問題だろうと思います。

 そしてまた、全国どこでも津々浦々被害に遭っていないことはないわけですね。ただ、御自分が被害に遭ったということがわからない方がいっぱいいらっしゃいます。それは、消費者被害とか訪問販売だとか、いろいろな方法の販売について、自分たちが親切に商品を購入させられているという現実で、必要もないものを買わされているということがなかなか御理解いただけない地域の方もいらっしゃいます。

 そういう方たちが、自分たちがそういう被害に遭ったということをわかるとともに、そしてまた、地方行政が全国津々浦々にそういう相談窓口があるということを周知していただくためには、地方行政だけでの予算というものは非常に難しいだろうなと思っております。

 今回の改正に際しまして私どもが強く要望いたしておりますのは、地方行政、全国の市町村に、人間が住んでいるところ、消費者が住んでいるところには必ず窓口を設置いたしまして、それを各自治体の予算で賄うのではなくて、国の方からの財源の支援、人的支援、研修等の支援をぜひお願いしたいと思っております。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

 引き続き、下谷内参考人と池本参考人、お二人にそれぞれお伺いさせていただきたいと思います。

 本改正案では、過量販売の解除制度、それから過剰与信防止のためのクレジット会社の調査義務、既払い金の返還制度の導入など、これまで懸案とされてきました消費者保護のための措置が広く盛り込まれております。

 今後、改正法を施行するに当たりまして、消費者被害の救済の実効性を確保するためには、過量販売や過剰与信防止のガイドラインなどについてどのようにあるべきとお考えなのか、また、そのほかにも改正法施行に当たりまして具体的に要望される点がありましたら、お聞かせください。

 そして、もう一つ続けてお伺いさせていただきます。

 今回の改正案の適用対象外ではあるんですが、先ほども少しお話に出ました店舗内での販売でも過量販売などの深刻な消費者被害の事例があります。先ほど出ましたが展示会商法、呼び出し監禁商法と言われるもの、このようなものがありますが、具体的な被害の実態と今後の検討課題として、こうした被害の救済のあり方についてもお話をいただけますでしょうか。

 それでは、まず池本参考人からお願いいたします。

池本参考人 池本でございます。御質問ありがとうございます。

 まず第一の質問、過量販売解除権あるいは過剰与信防止の点ですが、これは、先ほどの説明でも一言触れましたが、個々の勧誘行為の違法性を消費者側が逐一再現、証明できなくても、客観的に見て著しく過量であるという事実が存在するということを明らかにすれば救済できるという意味では、被害救済の上では非常に力になる、実効性のある規定だということを期待しております。

 問題は、客観的に数量が多ければ、すべて例外なく解除できるということではなくて、それについて販売業者の側が、特にその商品は必要性があって本人が主体的に購入したんだという事情があるときは適用を除外するという規定が入っております。これは、ある意味ではバランスをとったものとして適正だと思います。

 むしろ、そういう例外規定があるからこそ、最初の著しく過量な販売、通常必要とする量を著しく超えるという言葉の意味を、余り例外的に、それこそ布団を三十組買ったとき初めて適用されるというのではなくて、普通は買わないような過量なもの、もちろん平均を一つ超えたからだめだという意味ではありませんが、通常は買わないような、それはまともに合理的に判断すればそういうことは契約しないんじゃないかと言えるようなものについては、まずは原則的な要件が適用されるというふうな線引きをしていただきたい。

 そのかわり、例外の部分、いや、この人はこうこうこういう理由で複数買う必要があるということがあったんだということを販売業者の側が証明すれば、それは有効になる。

 いわば、原則も例外も一定の幅を持たせた、そういう活用できる規定になるのではないかというふうに思っております。

 同じように、過剰与信防止についても、個別支払い可能見込み額、その消費者にとっての支払い可能見込み額を超える与信をしてはならないというのが法の規定であります。そのときに、例えば年収の三分の一を超えたら一切与信しちゃいかぬとか、そういうような意味でとられると、これは画一的な、むしろ膠着的なものになってしまいますし、私たちもそれを望んでいるわけではありません。

 しかし、例えば、本人に自宅があるからあるいは不動産があるから与信してもいいんだということでは困るわけで、ちゃんと収入があるかどうか。収入があるといっても、年金があるんだから、例えば年金が月額でいえば十万ぐらいあるんだから五万円の支払いなら大丈夫でしょう、これでは困るわけです。生活が維持できないようでは困る。

 その意味で、生活維持に必要な一定の金額はきちんと確保した上で支払えるかどうか。生活維持といっても、例えば生活保護の最低水準でぎりぎりセーフだからいいじゃないかではやはり困るわけで、クレジットというのは、豊かな選択肢の中で生活していく、そういう消費者の選択肢を広げるものですから、無理なく払っていける一定の水準を設定して、それをきちんと見きわめた上で与信をしてください、こういうルール。

 その意味では、原則、例外、両方についても一定の幅を持たせて、結果として全体がバランスのとれたものになる。これは、政省令をつくるときにぜひ具体化していただきたいものということになります。

 二点目の、店舗での呼び出し監禁型についても、これは、現時点でこういうことまでいいというところまで弁護士会としても確定できているわけではありません。ただ、店舗での取引全部を入れるということになると、これは、特定商取引法、訪問販売の概念とも矛盾してしまいますから、やはり店舗……

東委員長 池本参考人に申し上げます。

 時間が参っておりますので、簡潔によろしくお願いいたします。

池本参考人 わかりました。

 その意味では、店舗については、呼び出して帰宅困難なような特殊な状況があるかどうか、そのあたりを少し限定していくということが必要であろうと思います。

 失礼しました。

東委員長 下谷内参考人、時間が参っておりますので、簡潔によろしくお願い申し上げます。

下谷内参考人 なるべく簡単に申し上げます。

 過量販売ということでございますが、先ほど申し上げましたように、地方のいろいろな御相談がございます。その中に、御自分がだまされていない、いい訪問販売の方が来られたといって年に二回ぐらいお会いして、お布団だとか健康食品を買われるという事例が多くございます。

 したがいまして、皆さんにお話しいたしますと、それはお宅にとって必要なものかどうかということがまず抜けております。私ども今全国で出前講座をやっておりまして、そういう事例をたくさん見聞いたしておりますので、やはり、先ほど池本参考人もおっしゃいましたように、その方がどうやって生活ができるかということ、そこについて、最初のセールスの中で十分御説明とあわせて検討していただくということが必要なのではないかと思っております。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて近藤三津枝さんの質疑は終わります。

 次に、古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。

 本日は、参考人の皆様方には、お忙しいところ、大変貴重な御意見を聞かせていただきまして、まことにありがとうございます。

 最近、政府のやることというのは、大変国民の不信を買うことばかりでありまして、今回の法案のように、参考人の皆様方すべてから、これは大変いい法案だ、ぜひ早く通してもらいたい、経済産業省もよく頑張った、そういう役所に対するお褒めの言葉を聞くというのは最近珍しいなというふうに感じております。

 そういう意味では、消費者の皆さんの、割賦販売とか訪問販売あるいはインターネット販売、そういうものに対する信頼をきちんと確立することも大事でありますが、政府に対する信頼を回復する意味でも、政府もいいことをやっているという面をきちんと示すということは大事なことではないかなと思います。そういう意味でも、この法律改正は大変大事なことだと思っております。

 また、一日も早く成立させなければいけないことはもちろんでございますが、きょう参考人の皆様方からもお話がありましたように、やはりこの法案審議の中でしっかりと確認をしていかなきゃいけない部分も多々あろうかと思います。法律だけでは書き切れない部分があります。政省令の部分に任されて、一体そこはどうなるか。

 法律というのは細部に魂が宿ると言われることもありますし、せっかく形はしっかり書かれていても、実際に運用のところになると、その法律で書かれているのとは全く違うような形の趣旨で運用されてしまったりとか、そうなっては元も子もありませんから、そこの部分をしっかり確認した上で、そういう部分が十分確認がとれたところで、法律を速やかに成立させる努力を私どももしていきたいというふうに思っております。

 その上で、きょうはせっかく参考人の皆様方がお見えでございますので、幾つかの点を御質問させていただきたいと思います。

 先ほど来から、松本参考人の方から、よく官製不況とか言われて、この法改正についても、最近三Kといって、建築基準法の改正と金融商品取引法の問題とあと貸金業法の改正、これが三K不況を生んでいると。中には、この法改正が四Kになるんじゃないか、そういう危惧を出される方もいらっしゃるわけであります。

 業界の方の加藤参考人からお伺いしても、きょうのお話を聞きますと、そういう危惧というのは杞憂かなというふうに感じますけれども、今言われている三Kは、規制を強化するということ自体が悪いというよりも、その規制強化といいますか、本来は消費者のためにという形で強化されたはずが、実はお役所の人たちの、官僚のいろいろと不必要な、いろいろ行政手続を煩雑化させたり、また場合によっては、何か問題があっても、役所はこういうふうにやりましたから責任は私たちにはありません、あとは業者です、あるいは、ここまでやったんですから責任は行政にはありませんよという、消費者保護の名のもとに、いわば官僚が責任逃れをするための、そういうような規制になっては、これは本来のあるべき姿ではない。

 今問題になって挙げられているような話の中には、どうもそういう面があるのではないか。例えば、建築基準法の改正などはそうした面がかなりいろいろな面で見えておりまして、本当に消費者の立場に立っているのか、そういうことを考えていかなければいけない。

 そういう意味では、そこの部分はきちんと私どもも、まずは、もちろんこれは、考え方も基本的な方向性も消費者の保護ということで大変に大事で、私どももやっていかなきゃいけないことだと思いますが、その点のそうした危惧というものはないか、あるいは、こうしたことだけはやめてほしいとか、そういうような視点がもし業界のお立場からあれば、加藤参考人、ぜひお聞かせいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

加藤参考人 「日本訪問販売協会のご案内」という資料がございまして、訪問販売協会は何をやっているかというのがあるんですが、ここの例えば五ページに組織があります。日本訪問販売協会の中で、ここの一番下に、事務局の中に消費者相談室というのがございまして、ここでいろいろなルートから、お客様の苦情が直接入ってくるのとか地方自治体から通じて入ってくるとか、いろいろありまして、そういうことで自浄作用はやっています。

 それから、訪問販売協会の会員の中で、右の方の主な機関で倫理審査委員会というものがございます。ここでどうしようかということで、先ほどちょっとお話ししましたが、今までは、日本訪問販売協会の会員に大勢入れまして、質が悪いのを向上させようというのが従来でございました。今度からは、この法律改正に従いまして、逆に、会員会社はいい会社だけにしようということでやっておりますよということ、そんなこともあります。

 それから、その二ページ目に、訪問販売員教育登録証とか、個々の会社だけじゃなくて、個人に対しましても、販売員に対しましても教育をしようということで、この教育証、資格証を持った販売員が訪れるといいかな、極悪なというか、悪質な業者を排除するのが必要かなと。

 全体、我々のまともな訪問販売業者も淘汰されちゃうというか、まず断ってみようから入りまして、いろいろなことになっちゃいますので、私は、厳格になりまして、協会ももっと会員を徹底して教育したり何かしながらいきますと、訪問販売協会に加盟している法人は安心してできるという形に持っていければいいかなというふうに思っております。

 訪問販売は本当に、もちろん大きくて日本訪問販売協会に入っていませんが、自動車の訪問販売もございますし、デパートの外商も一種の訪問販売業界の形だと思っていますし、なくせないものだと思っています。便利に感じている人もいっぱいいますので、いろいろなことでやはり会員の質と販売員の質を高めなきゃいかぬかな、全くそれが教育が徹底されて、今はパーフェクトではないところが、今後再度教育しなきゃいかぬかな、こう思っております。

 困ったことということは、教育をいかに徹底して、会員の企業の実際動くセールスさんのルール化というか、正しい販売をさせなきゃいかぬかなということに今後邁進しよう、こう思っております。

 以上です。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 次に、こうした消費者の方々が直接関係する、しかも、消費者の方々にとっては、自分たちの権利あるいは財産を守っていく上で大事な法律改正が行われる。しかし、これは、消費者の方がみんな、こういうことが変わったんですよということがきちんと周知徹底されないと、せっかく法律としてはあっても、それをうまく自分たちが活用できないと、宝の持ち腐れになってしまうんですね。

 ほとんどの方々は、ここで議論されているような話で、国会で議論されてどういう法律改正があったかということはなかなか知りません。まして、いろいろな悪徳商法の犠牲者になっていらっしゃるような高齢者の方とか、あるいはインターネットなんかで安易にクリックをしたみたいな若い人とか、そういう方々だと、最近は若い方は、新聞は読まない、テレビは見ない、まして役所なんかは行かない、そういう方々にこの法律改正をどう周知徹底していくか、これは、これから法律ができた後非常に大事なことだと思うんです。

 こういう冊子をつくられたりして、今加藤参考人からもお話があったように、協会の方でもそういう窓口はあけていますというんですけれども、では、どれくらいの方がそういうことを知っているのかと。

 確かに、何百万とかそういう被害とかなると、何とかしようということでいろいろな人に聞いて、いや、ここに行ったらこういう窓口があるよ、あるいはそうなのよとなりますけれども。例えば小口の、本当に数千円とか一万円あたりのとかそれくらいだと、まあ、だまされた自分が悪かったみたいな、そういうふうで泣き寝入りをしちゃう、そういう被害者の方は実は物すごく多いんじゃないのかなと思うんですね。ですから、今、表面にあらわれている被害以上に、もっと大きな被害がある。

 ですから、そういった意味では、そういう方々も含めて、きちんとちゃんと皆さんの権利はこういう形で守られているんですよと。例えば訪問販売員の人が来たら、協会の会員証持っていますかと、知っていれば聞けますよね。そして、今言われたような、そこで聞けてちゃんと出せれば、そこはまあ、とりあえずちゃんとそこのところは登録はされているんだなとわかります。しかし、多分ほとんどの人はそんな、来ましたので、あなた、協会の会員証持っていますかなんて聞く消費者はまずいないですよね。では、こういうことで、持っている人は安心ですよとどう伝えていくのか。

 この周知徹底について、これは弁護士会の中でも考えなきゃいけないような話だと思いますが、池本参考人と加藤参考人、そして下谷内参考人から、どう一人一人の消費者の方々に周知徹底していくのか、皆様方の取り組みもお伺いしたいと思いますし、あと、それを、では、行政とかに、こういうことでしてほしいと御要望があれば、ぜひここでお伝えをいただければと思います。

池本参考人 池本でございます。非常に的確な御指摘だと思います。

 国民生活センターが毎年実施している国民生活動向調査によると、消費生活の中で不満、苦情を抱えた人の中で、消費生活センターに相談するという人はわずか五%程度にとどまるそうなんですね。ほとんどが水面下なんです。

 その意味では、きょう議論しているこういう法改正の一つ一つの細かな中身を全部伝えて、それで、この場合はこうできるというところまで全部伝え切るというのは大変かもしれませんが、少なくとも不満、苦情を抱えたときには、こういう窓口があります、そこへまず相談に行くことが、自分が救われるだけではない、同じようなことが繰り返されないためにも必要なんだ、社会人として、自分だけじゃない、社会のためにも行動すべきなんだということを、まず学校教育や社会教育の中で伝えていく。

 それと、その窓口は、ではどこにあるのという、消費生活センターの電話番号や所在を徹底して広げていくというふうに、ポイントを絞ってはいかがかと思います。

加藤参考人 日本訪問販売協会といたしまして、機関誌をクオーターごとに出しております。こういう機関誌を地方公共団体とか消費者生活相談ルートとか、いろいろ出しておりまして、そちらからこちらへ回していただけるような形をぜひ期待をしております。

 以上です。

下谷内参考人 ありがとうございます。

 行政の周知とか、私どものどのような取り組み方ということでございますが、やはり消費者教育というものが一番の問題ではないかと思っております。

 したがいまして、それぞれのところにおきまして、産業界におきましても、そのような消費者教育を徹底していただくこととあわせまして、自分がどこに相談したらいいのか、何でもいいから、まず相談できる窓口があるということを周知する必要があるのではないかと思います。

 それは私どもの協会もそうでございますが、行政の中で積極的に周知をしていただくこととあわせまして、今回の法改正のことにつきましても、担当所管でありますところの経済産業省も、積極的な周知の御努力をしていただければよろしいのではないかなと思っております。

古川(元)委員 ありがとうございました。

 せっかく法律をつくって、そうした、消費者の皆さんにいろいろな、だまされたときに行動できるチャンスといいますか権利が与えられるわけでありますから、やはりそれが伝わるように、ぜひ我々も努力していきたいと思います。

 皆さんもそれぞれの場で、特に弁護士会ですね、弁護士の先生に聞きに行くって、すぐ、相談すると幾ら取られるのかなというのが頭にあって、なかなか敷居が高いんですね。やはりそういった意味では、弁護士の方とか幅広く、そういった意味での窓口を広くちゃんと受けていただくように、ぜひお願いをしたいと思います。

 時間も限られておりますが、今回の改正、私はかなり、訪問販売とかについては、そういう悪徳業者を排除して、そして先ほど池本参考人や加藤参考人からも話があったように、良質な業者がそうした販売をして、そうした訪問販売あるいはクレジットで安心した取引ができるような、そういう環境をつくっていく大きな一助になると思いますが、もう一つ、今問題になっている、そして今後ますます問題になっていくであろうのは、やはりインターネットによる取引だと思うんです。

 今回のもインターネットの取引についての若干の規制というものは入ってまいりましたが、ちょっと私が見るところでは、これだけではインターネットの取引というのについてはまだ不十分ではないかなと。訪問販売のように人が来る場合と違って、インターネットの場合、そもそも相手方は見えないし、相手方は一体どこに存在するかも、それを追いかけていくのもなかなか技術的にそう簡単ではないという状況の中で、そういう取引でだまされるような人たちというのが今後ますますふえてくるリスクというのは高いんじゃないかと思っております。

 そういう意味では、今後の課題としてでも結構なんですけれども、インターネットの取引に対する、そういう支援のあり方といいますか、そういうものについてどのようにお考えなのか、松本参考人と池本参考人、そして下谷内参考人から御意見をお伺いしたいと思います。

松本参考人 インターネットにかかわる問題というのは、取引だけに限らず、その他、有害情報だとか名誉毀損だとか多様な問題が出ております。

 ただ、インターネットの世界をどのように法律で規制をしていくのかにつきましては、表現の自由だとか通信の秘密だといった憲法上の問題等も絡んで、そう一概に、えいやとやれることではない。ただ、リアルの世界で違法なことはインターネットの世界でも違法なんだ、これは明らかでありますが、リアルの世界ではない、インターネット特有の問題をどのように対処すべきか、これが現在いろいろなところで議論されている問題でございます。

 取引の世界に関しましては、例えばインターネット上のショッピングモールというのが、リアルの世界におけるショッピングモールとか百貨店とどこが似ていてどこが違うんだというあたり、いろいろ議論がありますし、また、オークションサイトでもトラブルが起こっておりますが、リアルの世界における、例えばクリスティーズのやっておりますような、ああいう世界の名画のオークションなんかと一個百円くらいで何かやりとりしているようなオークションと相当違うわけでありまして、どのように法規制を入れていくのか、このあたりまだ決着していないことでございます。

 ただ、それぞれの関係事業者が、自分の市場を発展させるため、信頼をかち取るためにさまざまな努力をされている。大手のモール業者、大手のオークションサイト業者さん、それぞれ自主的な努力をされているし、また、そのようなインターネットの世界における取引を安心してやれるように、消費者向けのサービスを提供するような、一種のベンチャービジネスのようなものも現在育ってきておるところであります。一定の信頼マークを付与することによって消費者に安心して取引してもらおうという仕組みが幾つか動き出しておりますので、そのような自主的な取り組みがどれぐらいうまくいくかというのを現在見ているところでございます。

池本参考人 池本でございます。

 ネット取引の販売業者についての規制のあり方、方向性については、今松本参考人から御発言がありましたので、それに絡むクレジットのところについて少し私の意見を述べたいと思います。

 今回の割賦販売法改正では、いわゆる契約書型クレジット、個別式のクレジットが主たる規制対象ですが、ネット取引の場合は、カードの番号を入力してそれを使うということが多いので、個別式クレジットでは必ずしも対処できていないんですね。

 ただ、カード方式についても、今回の改正の中でも、例えば顧客の苦情に適切に対処せよというような一般的な規定はありますので、その部分をきちんと活用して、政省令の中で、ネット取引で問題が起きているようなところは、きちんとした対処というときに、顧客個人への対処だけではなくて、その販売業者をきちっと確認するということも含めた、少し広げることによって、今回の法改正の中でも少し手がかりが出てくるのではないかと考えております。

 以上です。

東委員長 下谷内参考人、時間が参っていますので、簡潔にお願い申し上げます。

下谷内参考人 今お二人の参考人がおっしゃられましたので。

 私どもでは、この十四ページに、ネットショッピングについて記載いたしております。最近はネットオークションを利用した相談が非常に入っておりまして、私どももこういう形で啓発にかかわらせていただいております。

 ただ、ここに書いてありますように、通信販売にクーリングオフの制度はありません、これは昨年つくったものでございますが。今回の改正で、通信販売につきましてもかなり規制が強化されるというふうに伺っておりますので、ネットショッピング等におきましてもそのような規制をしていただけるようにお願いしたいと思っております。

古川(元)委員 ありがとうございました。終わります。

東委員長 以上で古川元久君の質問は終わりました。

 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 こんにちは。公明党の高木美智代でございます。

 本日は、大変にお忙しい中、四人の参考人の皆様にお越しいただきまして、また、貴重な御意見を賜り、心より感謝申し上げます。また、日ごろから、皆様の消費者保護に対します御活躍につきまして、深く敬意を表するものでございます。

 私ども公明党も、昨年の五月、この法改正に関するプロジェクトチームを立ち上げまして、昨年の十一月、さまざまな方たちから、弁護士の方であるとか、また被害者の方たちから多くの御意見をちょうだいいたしまして、それを取りまとめて、甘利大臣に申し入れをさせていただいたところでございます。また、その際にも、皆様、御協力いただいた方もいらっしゃいまして、この場をおかりしまして感謝申し上げます。

 時間も迫っておりますので、簡潔に質問をさせていただきたいと思っております。

 今回のこの法改正につきましては、先ほど来多くのお話がございましたとおり、皆様が大方大変高い評価をしてくださっているということにひとつ安堵をしているところでございます。今、高齢化そしてまた核家族化、そういう大きな社会の変化の中で、こうした消費者をいかに保護していくか、大変大事な法改正であると私も思い、臨ませていただきました。

 そこで、まず一つ、これは下谷内参考人にお伺いしたいのですが、社会的弱者を守るための、多くはそれを守るための法であると思っておりますが、高齢者のことはデータにもよく出てまいります。

 私は、今、党におきまして障害者福祉についても携わっているもので確認をさせていただきたいのですが、六十歳代の相談が圧倒的に多い、しかし、その下のところの年齢層を見ますと、そこに隠れておりますのはむしろ障害者ではないかというふうに実は考えている一人でございます。それを、現場の相談に携わっていらっしゃってどのような感触をお持ちか、教えていただければと思います。

下谷内参考人 下谷内でございます。

 実は今の一番の問題でございます。ただ、私どもでもそこまで詳しい精査はいたしておりません、申しわけございませんが。

 今回、私ども出前講座をやっておりまして、昨年から障害者の方の出前講座もやらせていただいております。いろいろな機関にごあいさつに伺いますと、外に出てこない障害者の方の相談がかなりあるということで、それぞれのところにおいても窓口を設けてやっているが、それはとても行き渡らないということで、私どもに出前講座の要望がございます。

 申しわけございません、その程度で。数字的にはちょっとわかりかねます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 そこで、まず一つ、これは四人の方にお伺いしたいのですが、今回、規制の抜け穴の解消ということで、先ほど来ございましたが、不都合な商品、役務を法令で明文化しまして適用除外とするというネガティブリスト化を採用するとしております。

 この適用除外の考え方なんですけれども、今までも委員会でも多くの審議がございました。一つは、ほかの法によって消費者保護が図られている、そしてまた、特商法の行政規制になじまない、これを政省令で定めるということで、先ほど来池本参考人からも、政省令が大事だというお話がございました。消費者相談という、そこを考えますと、指定商品への該当の有無であるとか、また、いわば一たん政省令で決めた後、まず一つは、これをどのような形で考えていくのか。

 例えば、除外品リストが複雑化していきますと、結局は今までと同じ、ポジティブリストと同様の結末となってしまう、ここは大変大きく危惧されるところと思っております。まさに池本参考人は弁護士さんでいらっしゃいまして、弁護士法に基づく弁護士の役務の提供等もその範囲の中に入っております。そういうときに、例えば消費者相談を受ける、また、そうした状況によりまして、もう少し、その後必要なものは適切に見直していけるというような柔軟な対応が必要ではないかというふうに私は考えております。

 当然、今回の法改正につきましては、まず適切な指定がされること、そしてまた早期の明確化がされること、この二つが求められていると思っておりますが、今後、不都合が生じたときにも柔軟に対応できるようにしていくべきではないかと思います。この適用除外のあり方につきまして、松本参考人から順次お話を伺わせていただきたいと思います。

松本参考人 金融庁が金融商品取引法を制定するときに、金融商品ということで金融庁管下の法律すべて一元化はしなかった、投資関係だけに限定をして、そこから外れた銀行とか保険については、同じような内容のルールをその法律に入れるというやり方で、同じタイプの商品は同じルールということをしたようであります。

 したがいまして、特商法についても、他の業法があってというタイプのものについて、特商法が与えているのと同じような保護がきちんと与えられているものについては適用除外をする、あるいは、この際だから一緒に、一緒には無理かもしれないですけれども、特商法に合わせて改正をしてもらった上で適用除外するということは考えられるかとも思いますが、その当該業法を所管する官庁を丸々信用して全部投げるというのは避けるべきだろうと思います。

 特商法というのは、もともとさまざまな権限を経済産業省とか主務官庁その他に実際に与えていたわけですが、法執行が従来きちんと行われていなかったということがございます。最近は経産省も都道府県もかなり熱心にやるようになってきたわけですが、権限が与えられていても行使していない法律、主務官庁もございますから、そのあたりも精査する必要があるのではないかと思っております。

池本参考人 池本でございます。

 日弁連は二十年以上前から指定商品制廃止を訴えてきていたんですが、今回適用除外で弁護士法が名乗りを上げているということについて、実は消費者団体から、日弁連は外れるんですかという質問を受けたことがあります。

 弁護士業務の場合、例えば、警察に行って接見して、その場で受任するというふうな、事務所外で、しかもそれを経産省や警察の罰則で担保するというのはどうしてもそぐわない部分などもあります。

 そこで、言い出しっぺである弁護士会としては、特商法の規制の水準をきちんと見ながら遜色がないようにしていこうということで、従来から書面交付義務、勧誘行為規制、広告規制は一応あったんですが、その中身を今全面的に見直しをしました。それから、中途解約権がもともと民法にはあったんですが、これも契約書の中に書き込んで、不満があれば解除できるということも明確にしていこうというふうにしております。弁護士会の規則ではありますが、これは業務停止を含む行政処分の対象に係らしめている。

 その意味で、指定商品制を廃止することで消費者保護の漏れがないようにするということが不可欠だと思いますので、弁護士会としてもそういうふうにして、五月七日に理事会で承認をして、今度臨時総会を招集することになっておりますが、今後、各分野で、適用除外をするときには、やはり特商法の規制水準と比べて消費者保護に漏れがないかどうか、そこをしっかりと見きわめていく必要があると思います。

 以上です。

加藤参考人 会員企業の取り扱いの商品はすべて指定商品に入っておりまして、逆に、その除いたものを扱う悪徳業者の排除になるかなというふうに思っております。

下谷内参考人 現場の相談員といたしましては、できるだけ全部撤廃をしていただきたいという思いは強くは持っております。ただ、法案の一日も早い成立を考えますと、多少柔軟な対応も必要かなと思っております。

 できるだけ全部撤廃をしていただけるように……。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 今、お話を伺っておりまして、今後の政省令が決定をする、その後の運用につきましても、やはり情報の集約化、適時それをウオッチしていくということが大事ではないかと思います。

 この情報の集約化につきまして、例えば加藤参考人は現場で訪問販売協会の会長であられる、また、下谷内参考人については多くの相談業務に当たっていらっしゃる。例えば今、訪問販売協会におかれましても、相談事業等もスタートをしていらっしゃるというお話が先ほどございました。

 そこで出てくる事案というものがどこにどのように集約されていくのか、また、そのシステムが整っているのかどうか、そのことにつきまして、御要望そしてまた御意見がございましたら、加藤参考人また下谷内参考人からお伺いをしたいと思います。

加藤参考人 お客様の苦情につきましては、県だとか地方絡みとか政府関係とか、いろいろなところで情報交換をしておりまして、当協会だけのデータじゃなくて会員絡みのものが出てきますと、また教育をしなきゃいかぬというところへフィードバックしておりまして、情報収集につきましては訪問販売協会としてはうまくいっているかな、こういうふうに私は思っております。

下谷内参考人 情報の集約化でございますが、まず、私どもがやっております相談員協会の部分と、それから全国の国民生活センターを中心といたしましたPIO―NETでの収集と、二点あるかと思っております。

 私どもは、先ほど来申し上げておりますように、冊子にもございますように、週末電話相談、それから、毎年五月に消費者月間協賛事業といたしまして一一〇番事業をやっております。そういうものを集約いたしまして、今何が求められているかということの問題提起をしてまいっております。

 国民生活センターに集まっております相談は百万件を超えておりますが、割合的には私どもは三千から四千の少ない件数でございますが、傾向的にはほとんど変わっておりませんので、その中で当協会としては積極的に情報を開示したり、提供いたしたり、またあるいは適格消費者団体として活躍をしてまいりたいと思っております。

 システム化については、当会においてはまだなかなか不十分でございますが、国民生活センターを中心といたしましたPIO―NETについてはかなりシステム化されまして、各省庁においてもリサーチできるようになったと伺っております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 続きまして、割賦販売法の方の過剰与信の防止につきまして伺わせていただきたいと思います。

 やはりここにおきましても、政省令で今後どのようになっていくか、先ほど来お話がございましたが、買いたい人が買えないという事態は避けるべきかと私も思いますし、またなおかつ、過剰な与信をするべきではないとも思いますし、当然、個別の事情を踏まえまして行われるべきと思っております。

 そこの明確なチェックポイントをどのように設定していくか、ここで使い勝手もよくなりますし、先ほどコンプライアンス不況という話もありましたが、そこにまた陥ってしまうという危惧も、ここは一つの大きなポイントであると思っております。

 特に障害者の場合につきましては、所得が余り高くない、しかし、買いたい器具は高い、こういう状況もあります。購入したいときに買えないというのでは、これまた違うとも思います。

 私は、そこでやはりもう少し弾力的な運用ができるようなシステムづくりが必要ではないか、そういうチェックポイントであるべきではないか、このチェックポイントの設定の仕方につきましてお伺いをしたいことが一つ。

 あわせまして、ちょっと時間も迫ってきておりますので、その際に、やはり高齢者の方、障害者の方、そしてまた消費者教育ということに余り詳しくない方、そういう方につきましては、勧誘の意思の確認というふうに言われましても、意思の表示ということ自体が大変危ぶまれるケースが多くあるかと思います。意思をはっきりとあらわせない消費者の方たちをどのように保護していくかということが大事かと思っております。

 ということから、もう一つお伺いしたいのは、成年後見制度、これは今私たちも一生懸命進めようと思っているのですが、報酬の問題、そしてまた、なり手の問題、なかなか社会システムまでもう一歩高まっていかないというものがあります。しかし、そういうものをかみ合わせて考えていきませんと、せっかくいい法律はつくった、でも、いざ使うときになったらそういうところにトラブルが頻発してしまってということになったら何にもならないという、この危惧ももう一つ持っております。

 この二点につきまして、二つで大変恐縮でございますが、弾力的な運用をどのようにすればよろしいか、もう一つは、そのような成年後見制度をさらにまた使っていかなければいけない、しかしながら、なかなかシステムになり切っていない、こういう点につきまして、御意見がございましたらお伺いをしたいと思います。松本参考人から順次お願いいたします。

松本参考人 今回の割賦販売法の改正は悪質商法対策という面がかなり大きいわけですが、悪質商法ではないとしてもなお過剰与信の問題というのは残るということは事実でございますし、与信のブレーキがかかり過ぎると、本当に必要な人に信用が回らないということにもなりかねないというのも事実でございます。

 ただ、払えなくなるのがはっきりしている人に与信をするということが健全なビジネスなのかどうかという点を事業者が最終的に判断すべきだろうと思います。払えなければもう払っていただかなくて結構です、貸し倒れとして落としますということでリスクをみずから業者がとって貸すというのは、よい事業者のやり方として十分あり得るとは思うんですが、容赦なく取り立てさせていただきますということでちょっと危ない人にも貸すというのが果たしてよいことなのかどうかというところがあると思います。

 したがいまして、本当に必要としているんだけれども返済能力の点で問題視されるような人については、別途、公的機関が保証をつけるとかいった方策でもって、必要なところに必要な与信が回るような仕組みを考えるべきではないかなと思っております。中小企業向けでありますと中小企業の信用保証協会というのがございますから、そのようなもので、例えば障害者の方で本当に必要な方については公的資金でもって少し手当てをするというのが本筋じゃないかと思います。

池本参考人 第一点目は先ほどの松本参考人の意見とほぼ同旨ですが、一点だけつけ加えるとしますと、過剰与信防止についても、消費者保護に支障がないものについては適用除外するという例外規定が用意してあります。政省令を検討するときに、こういう場合は除外していいのではないかという具体案をそこへ入れ込むということでバランスがとれると思います。その具体案については、今ちょっと議論する時間がないので御容赦ください。

 それから二点目の、高齢者等あるいは障害者、成年後見制度とのリンクはどうかということです。

 実は、弁護士会や司法書士会では、成年後見等の推薦があればこちらで提供できますという名簿をつくっているんですね。しかし、必ずしも十分活用されていない。

 むしろ、この点は、消費者行政と高齢者福祉の行政がパイプをきちんとして、その高齢者の行政と私たち弁護士会や司法書士会がきちんとパイプをつくって、そうやって、必要な方には継続的なフォローをしていくという制度づくりが必要であろうと思います。

 実は、弁護士会では、高齢者と障害者の二つの委員会で合同で、今その議論を始めているところです。

加藤参考人 訪問販売協会の会員の会社には、高齢者あるいは知的障害者等のお客様から直接申し入れがあった場合にも、正常の判断ができる人というか、息子さんとか家族の同意を得なきゃいけないということを指導しております。

下谷内参考人 障害者等についてということで回答させていただきたいと思います。

 私どもの中にも、障害者とか高齢者の方の御相談が非常に多くあります。それで、信販会社とか販売会社の方は、普通に話をして理解していただいたということをおっしゃいますが、私どもが電話ででも、あるいはまたお見えになられましてお話を伺いますと、さほど時間をかけなくても、この方に販売をしても支払い能力はないんじゃないかとか、この方は実際にそういう明確な意思判断ができるのかということを感じるものが多くございます。

 そういうところも今後はチェックポイントが必要なのではないかなと思っております。はいと言ったから買うということではなくて、この方がどのような方か、話をすれば大体わかるかと思っております。

 それから、成年後見制度の関連でございますが、私どもも、今全国で、相談員を卒業しました者などがNPOなどをつくりまして、成年後見制について積極的にPRしたり、また皆がかかわっております。そういう形で、消費者問題と一緒にかかわりながら動いていけるのではないかなと思っております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて高木美智代さんの質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆さんには、大変お忙しいところありがとうございます。

 この法律というのは、被害も随分たくさん生まれてきて、そして、消費生活相談員の皆さん方が相談に乗られたり、また弁護団の皆さんも随分頑張っていただいたり、そういう中で前進させなきゃならない、そういう世論といいますか、生まれてきたことと、それから経済産業省の担当の方たちも随分頑張っていただいて、いい法律になってきたと思うわけですが、ただ、その中で幾つかのことをやはりお聞きしておきたいと私は思うんです。

 最初に、池本参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、例えばダンシングのモニター商法などは多数の被害者を出しましたけれども、公序良俗に反するということで契約無効と。それは信販会社にも接続して、信販会社に支払う必要なしということになっていきました。呉服の次々販売にしても、本当に、これでもかこれでもかというほど被害の拡大があります。

 やはり、こういうときに、本来、次々販売については、被害者の側も、最初、どこの時点から次々販売が始まったかわからない間になっているわけですから、問題になったときには次々販売の最初から救済するという、それが被害者救済という点では大事じゃないかと思うんです。ただ、一年の制限ということがかかってきますから、これは悪くすると、一年を過ぎたもの、一年以上のものは契約は正常なんだなんというようなことで開き直ったり、勝手な反対解釈でやられてしまうと、これは大変だと思うんです。

 そういうことを言わせないためにどうするかということについてのお考えを伺っておきたいと思います。

池本参考人 池本でございます。大変難しい論点だろうと思います。

 まず、次々販売について、個々の契約の勧誘方法について、再現することなく解除ができるという点では高く評価しております。

 その場合に、一番最初の一件目からすべてそれを解除できるかどうかというふうになりますと、実は、これは裏表ありまして、次々販売の中には、複数の業者で分担して次々販売しているような場合もあるわけです。

 そういう場合には、先行する業者が契約して、多数、もう既に要らなくなっている状態を知りながらその後やった場合、最後の業者は一件、二件であっても、トータルで見れば著しく過量なものだということで解除できる余地を設ける。その意味では、先行するところで過量であることを知りながら契約したものは解除できるという意味で、全体で過量である場合に限らないという意味での救済では、今回は非常に柔軟なんです。

 そのかわり、一つの業者が最初からやって、一番最初も全部解除できるかというと、今の過量販売の、著しく過量になったときからということからするとちょっと矛盾するので、最初からということは、これはなかなか入りづらいのかな。むしろそれは、一年一体のものとして評価するとなれば、この解除権とは別に、私たちが、公序良俗違反とか、ほかの法律構成で取り組んでいく必要があるのかと思います。

 二点目の、一年間の解除権という点は、実務的にいうと、一年というのはあっという間なので、本当はもっと延ばしてほしいという気持ちはあります。ただこれは、個々の契約の意思表示の瑕疵を問題にしない新たにできた解除権ですから、この期間が一年ではだめだ、この規定は反対だと言うかというと、むしろ、早く入れてほしいということの方を優先したいと思います。

 その上で、先ほど申し上げた、民事的にいっても、今回の特商法でこういう規定が入った、要するに違法評価があるんだということを手がかりにして、従来の民法上の解釈、運用を私たちが裁判の中で活用していって、本当に救済すべきものは、一年を超えているものについても、他の規定によって救済するように努力したいと思っています。

吉井委員 続いて、池本参考人にお伺いしておきたいんですけれども、加盟店についてのクレームが信販会社に来ても、早くやれば長期被害とか被害の拡大を防げるわけです。

 加盟店調査が不十分な場合、それから、銀行でもお金を貸すときはリスクをとって貸すわけですから、ちゃんと審査するわけですね、ところが過剰与信の審査も不十分であったと。こういう、加盟店調査も不十分ならば、過剰与信の審査も不十分だったという場合には、加盟店が本当に多数の被害者を生ぜしめてしまうわけですから、そういうときに、加盟店責任とともに信販会社の責任ということで、今度リンクしてとらえるという点は大事な点だと思うんです。

 ただ、個人から見ますと、次々販売はやはり、そういう点では最初から問題であったというふうになりますし、それから加盟店を見ますと、信販会社がいいかげんな扱いをやっていますと、ああ、これはいけるぞということで、さらに被害者が拡大することにつながっていきます。

 そういう点では、加盟店と信販会社の両者に責任があるということをきちっとした上で、やはり被害者救済という点で、もっと長い期間、長い債務について責任を持たせるということが、実は、信販会社の取り組みそのものをきちんとさせていく、強化させていく上でも大事な点ではないかと思うんですが、今回の規定とは必ずしも結びつかなくても、考え方として、どういうふうにお考えかということを伺っておきたいと思います。

池本参考人 池本でございます。非常に的確な御質問をいただきました。

 まず、クレジット会社の責任というときに、販売契約が不当な勧誘で取り消せるときには、これは直にクレジット契約も一緒に取り消せる、ここはもうほとんど効力は連動と評価してもいい形になっております。ただしそれは、不当勧誘行為が個々に証明できた場合という形になっております。

 それから、過量販売解除権も、直接クレジットも解除できますが、先ほど申し上げた要件の枠内です。それ以外の違法、不当なものについてクレジット会社の責任がどうかというふうになると、これは、効力が一挙に連動して解除取り消しというわけにはなかなかいかないんです。

 もう一つは、適正与信義務。加盟店の調査をし、適正な与信をせよ、不適正なものには与信をするなという条文と、それから業務適正化義務といって、顧客から苦情が来たようなとき、あるいは、顧客の契約目的に反するような契約はしないようにという条文が用意されております。

 その条文は、特商法あるいは割販法の位置づけとしては、行政処分の対象ということになっておりますが、従来、裁判例の中で、加盟店調査を怠ったときには損害賠償責任が生じ得るという判決が幾つか出始めております。その裁判例の考え方と、今回、業務適正化義務や適正与信義務の条文はまさに消費者保護のために入れた規定である、ここの立法趣旨のところをしっかり確認しておいていただければ、現在の裁判実務の中でもそれが非常に有効に活用できるのではないかと私たちは期待しております。

吉井委員 松本参考人にもお伺いしたいと思うんですけれども、次々販売等による被害、本当に、個人にとってもそうですけれども、社会的被害としても広がっているものです。

 これについて、最初からなのかどこからなのかはともかくとして、一年の制限ということでとりあえず始まるにしても、それはかなり広く救済され、そのこと自体が、信販会社等の与信についてもきちんとした仕事をしていくというインセンティブを与えるといいますか、そういうものになっていくことにつながるのではないかという点についての松本参考人のお考えも伺っておきたいと思います。

松本参考人 次々販売、一つの業者の特定の販売員がやる場合、同じ業者の別の販売員がやってきてやる場合、それから別の業者の場合と、いろいろございます。

 特に、別の業者がやってくる場合は、これはもうまた別の、顧客名簿の漏えいという個人情報保護法上の問題も含まれていることでありますし、同じ社の人間で同じ人間がやる場合、あるいは別の人間がやる場合につきましても、その当該訪問販売事業者の社員管理といいましょうかがきちんとしていないということでありますから、先ほどから出ておりますような、クレジット会社からの与信を打ち切られるとか、あるいは、訪問販売協会の会員であれば、そういう事業者は、会員として処分を受けるという制裁を受けることによって、長期的には淘汰されていくことになるんだろうと思います。

 ただ、では、当該事件において被害に遭ってしまった人の、個別事件における救済はどうなるんだということが最後に残るわけですが、ここは、池本参考人がおっしゃったように、特商法でカバーできる部分というのは限られている。となると、あとは、消費者契約法という、より一般的な法律の方に受け皿をつくるか、あるいは民法の中に受け皿をつくるかということしかないわけであります。

 消費者契約法の方の改正については、現在審議会の方で議論しておりますから、ここにもう少し一般的な受け皿をつくる。例えば、一九九〇年代にオランダで民法を全面改正したときに、状況の濫用によって契約を締結させた場合はそれは取り消せるんだという規定が入って、非常に画期的だと言われております。高齢者が判断力が落ちていることを利用されて契約させられたような場合、これが典型的な状況の濫用というものでありますが、そういったような一般的な規定を消費者契約法に設ける。

 あるいは民法の方ですと、損害賠償を請求するためには、不法行為という非常に一般的で柔軟な条項がございますから、ここの中に、先ほど池本参考人がおっしゃったような、行政法的な意味の義務違反もやはり不法行為になるんだというふうに解釈をつないでいく形で、金銭的な賠償を払わざるを得ないというふうにするといったような形が考えられますが、ここはもう民事救済の方になってまいりますので、弁護士さんあるいは消費生活センターの相談員の方がどれぐらいそういう線で頑張って解決に乗り出されるかということになるかと思います。

吉井委員 次に、池本参考人に伺っておきたいんですけれども、呉服の次々販売などでもそうですが、立派な営業店舗、ビルの中とかあるいはショッピングセンターの中のテナントとして入って、そこでそういう行為が行われて被害が生まれております。

 そういう点では、店舗取引による被害の現状というものと、改正法執行の上で、形は店舗取引であったとしてもこの法が生かされる道をどう開くかという、そのことについてのお考えを伺いたいと思います。

池本参考人 池本でございます。

 今回の改正の議論の位置づけとしては、展示会商法に対する対策ということ、法の全体の中では、店舗取引部分の中で特商法的な考え方をどう及ぼすかという論点になるかと思います。

 展示会商法と呼ばれる中には二通りパターンがあります。

 仮設の、公的な会場なりホテルを借りて一日だけやるというのであれば、これは訪問販売の概念に取り込むことが最初からできるんですが、例えば一週間とか数日間開けば、継続的な販売設備だということで、これは特商法に現在は入っていないんです。やはりそれが、ある程度の期間といっても、責任の所在がはっきりしないものについては特商法に取り込むべきだということが、議論の第一のポイントです。

 それから、第二のポイントは、御質問いただきましたように、一応、常設の店舗を場所として使っている、これを取り込めないかということなんですが、これは実は、現在の規定の中でも、アポイントメントセールス、キャッチセールスという二つの概念、販売目的を隠して呼び込む、あるいは路上などで呼びとめてそのまま連れていく、こういう、その場所への呼び込み方によっては、それが店舗の中であっても特商法の規制対象にするという、特定顧客という概念が用意されております。

 後者の部分については、展示会商法の場合は、一応、商品を販売するということは伝わっているので、キャッチ、アポイントには直接は当たらないのですが、私が先ほど少し発言したのは、展示会商法で誘い込み、しかも囲い込み販売をする、しかもそれがなかなか帰れないような状況を利用しているというふうな、その誘い込み方や勧誘している場所の特徴によっては、外形的に店舗であってもむしろ特商法の範疇に入れるべきだ、こういう議論が必要であろうかと思います。このあたりは、政省令、ガイドラインの議論の中でぜひ生かしていきたいというふうに思います。

吉井委員 次に、下谷内参考人にお伺いしたいと思います。

 今、二〇〇五年の販売方法別の相談件数と販売信用取引という、これは国民生活センターの資料を見ておりましても、店舗販売の総相談件数が三万五千件を超える中で、九千六百三十九件が販売信用による相談だということが示されておりますし、それから、訪問販売の十万三千件を超える中で、やはり販売信用の相談が四万六千件を超えている、四万六千四百六十五件ですか。ですから、それらのかなり多くのものを、相談員の皆さんに頑張って対応していただいている。

 その中の幾つかのものは、弁護士の皆さんと協力して、弁護団を組んで取り組んだりとか、いろいろなことが生まれてきたと思うんです。それだけに、この信販相談、訪問販売であれ店舗販売の相談であれ、販売信用についてどういうふうな特徴的な事例が見られるかということについて御紹介いただければというふうに思うんです。

 それから、時間が迫ってまいりましたからあわせてお伺いしておきたいのは、先ほども悪徳商法の広がりをお聞かせいただきましたが、二つ目に伺っておきたいのは、スピリチュアル商法ですね。

 例えば、どことは言いませんが、テレビ番組で、霊がついているとかさまよっているとかなんとかいって繰り返しやっていますと、おどしといいますか、マインドコントロールにかかりやすい状況をつくりますし、そこへ、新聞でも紹介されております高島易断だとか神世界とか、そういった霊感商法が入ってくるとなりますと、それが、高額のものを要求して、まさかそこまでいきなり信販と結びついているということは必ずしもないんでしょうけれども、新たな悪徳商法の広がりによって被害が拡大していっているというのが現実じゃないかと思うんです。

 そういう現状を踏まえて、それを実際に現場で解決していただいている皆さんの現場の力といいますか、現場力をどのように強めていくのか、そういった点について最後にお伺いをしたいと思います。

下谷内参考人 まず最初の販売信用につきましての事例ということでございますが、先ほどちょっとお話し申し上げましたのですが、二十代の方が呉服をたくさん買ったというものもありました。販売信用というのは、ショッピングクレジットやカードを使ったものを規定いたしております。

 今回私どもが申し上げますのは、一一〇番だとか週末電話相談の中でやっておりますので、それも非常に多くなっております。最近は、カードを持っていますかというのが非常に多くお声もかかっておりますので、今後ますますふえるのではないかなというふうに思っております。

 それから、霊感商法の件についてでございますが、いっとき、以前は霊感商法も現金でというのもございましたのですが、昭和五十五年以降の、非常に大きな問題となりました霊感商法のときにも、そのときから既にクレジットを組ませているものが非常に多うございました。ただ、信仰の自由とかいろいろなことを言われまして、なかなか表に出づらいということがあって、周りの方だとか御家族の方、どうも変な人が入っているということでしかありませんでした。

 今後ますます、カードを持っているかということが非常に言われておりますので、多くなるのではないかなと懸念いたしております。

吉井委員 どうもありがとうございました。

東委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 本日は、特定商取引法の改正、そして割賦販売法の改正ということで質疑に立たせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 また、ふだん私は厚生労働委員会に所属をさせていただいているところでありますけれども、今般、この割賦販売法等の改正案につきまして質問の機会をいただきまして、委員長初め与党、野党の皆様方、理事の皆様方には感謝申し上げたいというふうに思っております。

 そしてまた、私がこの質問に立たせていただく意義といいますか意味は、恐らく、昨年の十月からになりますけれども、私ども民主党の中でも人権・消費者調査会というものを立ち上げさせていただきまして、さまざまな消費者行政にかかわる議論をしていかなければならないというところもございまして、私自身もその調査会の事務局長という立場で立たせていただいているところでございますので、どうぞ大臣におかれましても、消費者行政に関する議論を少しさせていただいた上で、この法律案の審議の中身に入らせていただきたいというふうに思っております。

 総理が、消費者行政の一元化、いわゆる消費者庁なる構想をぶち上げてから、今消費者行政推進会議の中で議論をされているということで私自身も承知をさせていただいているところでございます。

 そして、その消費者庁の役割につきましては、消費者行政全般を担うまず司令塔である、あるいは関係法令、権限、人員を移管し、そして強い勧告権を持つ組織となるべきである、あるいは地方を含めた相談窓口の一元化などという方針を挙げられているように聞き及んでいるわけであります。

 そこに際しまして、私自身も、消費者行政の一元化というものは、内閣の中あるいは行政権の中におきましては、いわば当然の流れで行われるものになっていくのかなと。すなわち、私自身も消費者問題に携わらせていただいてから、消費者行政に関する問題というものは、ありとあらゆる問題が山積をいたしておりまして、その中で、昨年からことしにかけまして、今厚生労働委員会、先ほど厚生労働委員会に所属をしているというふうに申し上げましたけれども、中国製のギョーザの問題も起き、さまざまな観点からこれに取り組んでいかなければならない、問題解決に向けて取り組んでいかなければならないという部分がございました。

 そういった面では、いわゆる今の内閣の中のさまざまな、そういう各省庁に分かれている、俗に言うところの縦割り行政という指摘があるわけでございますけれども、その縦割りの部分を取っ払って、やはり国民一般あるいは消費者にはその縦割り的なものは通用しないわけでございますし、また相談窓口の一元化というものは、当然に行っていかなければならないのではないかというふうに考えているわけでございます。

 そこで、まず最初に大臣にお伺いをさせていただきたいと思っておりますけれども、消費者行政の一元化あるいは消費者行政全般にかかわる大臣の姿勢といいますかお取り組みのほど、ぜひお聞かせをいただきたいと思っております。

甘利国務大臣 国民の安全、安心を確保するということは、内閣全体の重要な政策課題であるということを認識いたしております。

 経済産業省といたしましては、さきの臨時国会で消費生活用製品安全法それから電気用品安全法、この二法の改正を行いました。そして、今国会に現在、特定商取引法そして割賦販売法の改正案を御審議いただいているところであります。国民の安全、安心を確保するという観点から、施策の立案、実施などに最大限努めてきたところであります。

 お尋ねの、消費者行政の一元化についてでありますが、現在政府部内で、どういう形が一番消費者利便に資するか、安全行政に資するかということで議論をしているところであります。経済産業省としての考え方というのは、もともと事業者というのは消費者と対立概念でとらえるというのではなくて、産業政策と消費者保護とを密接に連携させるということで実効性を上げることができると考えてきたわけでありますし、現在もそう思っているわけであります。

 つまり、今御審議いただいております法改正は、まじめにやっている者のふりをして、法の網をかいくぐって一もうけしようとたくらむ人たち、捕まったらさっさと撤退をして、また別な形で何か考えるというやからであります。会社を畳まないで永続的に事業をしようとするところは、消費者の信頼をもらえないと継続的な営業はできないわけでありますが、それが日本の企業の原点、消費者の信頼をどうやってかち得るかということによって会社の存続が決まるというわけでありますから、基本的に、消費者をいかにだまくらかして一時的に利益を上げるかという考え方とは全く別なところであります。

 でありますから、基本的に、事業者と消費者というのは、対立する構図、敵対する構図ではなくて、密接に連携をする、信頼をする関係をどう構築するかという考え方で私どもはやっているわけであります。

 消費者行政を強化するためには、従来から言われていますように、縦割りの弊害をいかに排除するか、幅広い分野について、必要な情報が収集をされて迅速に対応ができるということも極めて重要なことであります。そういうもろもろの観点から、私どもとしても政府部内で議論を行っているところであります。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 そこで、今大臣からも縦割り行政の弊害というお言葉がございまして、消費者行政を一元化していく際には、午前中の議論にもちょっとあったわけでございますけれども、恐らく経済産業省の中のさまざまな部分というものも、そこの対象に入ってくる可能性が極めて高いというのもあるわけでございます。

 しかしながら、では一方で、本当にそういう形を政府部内でつくり上げることができるのか。リスク評価あるいはリスク管理という部分で、さまざまな各省庁にまたがっている権限あるいは法体系の中で、それを所管する各省庁を横断的に行うことができるのかといったら、私自身はちょっと難しいのではないかなという気がいたしております。

 したがって、そういった面からいきますと、確かにそれをやらないよりは、極めて、一元化をしていく方向性というものは行っていく必要がある。しかしながら、その一方で、ただ単にそれだけで完全なすき間のない消費者行政を政府部内でつくり上げることができるかというと、残念ながら少し難しいのではないか。一つの法律ができ、そしてもう一つの法律ができれば、その間には必ずどこかですき間ができてしまうというのは、いわば経験則から申し上げても、そういったことが起こり得るというのは過言ではない。

 であれば、いわば内部での統一と同時に、今私ども民主党の中でも議論はさせていただいているわけでありますけれども、むしろ外、外といっても憲法上の規定はございますので、行政の中からリスク管理を行う、あるいは評価を行うということ。それから、そこからさらに外からの、外といっても、国民あるいは消費者との間に入って、行政あるいは事業者との間をあっせん、あるいは是正勧告権限というものも持たせるような形の組織というものも一方では考えられるのではないか。この二つが兼ね備わっていけば、しっかりとした消費者の権利擁護という部分は、私どもの国民生活の中、我が国における消費者行政というものは、きちっとつくり上げていけるのではないかというふうに思っておるところでございます。

 この点につきましては、きょうの法案の中身とは少し外に出るところもございますので、そういった意味では、またいずれ大臣とも、そういう話をどこかでさせていただければありがたいというふうに思っておるところでございます。

 さて、今般の特定商取引法と割賦販売法の改正案についてであります。

 今回の法律案は、午前中の参考人の質疑等々の中にもございましたけれども、珍しくと言ったら大変失礼かもしれませんが、今の内閣あるいは政府から出されてきている法案の中では大変評価の高い法律であった、失礼だったら大変お許しをいただきたいと思いますが、私自身もそういう印象を受けさせていただいております。

 今回、この法律の作成段階において、恐らく経済産業省内の方々の御努力というのも大変なものがあったのではないかというふうに私自身も受けとめさせていただいているところでございまして、よくここまでつくっていただいた。しかしながら、若干、まだまだもう一歩というところがありますので、その点は、これからの質疑、あるいは法律が策定されてからのガイドライン、政省令といったものの中で、しっかりとその方向性を見出していかなければならないのではないかというふうに思っております。

 リフォーム詐欺、次々販売等々、悪質商法が大変大きな社会問題として出されてきている。例を出したら切りがないぐらいのものでございますし、また、これは私自身の体験から申し上げてもいいのかもしれませんけれども、もう二十年ぐらい前になるでしょうか、私もまだいたいけな純粋無垢の学生時代がありまして、そのときに、いわばある店舗の中で大変な絵画を売りつけられそうな状況にまでなった。

 あのときも、私自身は何か断るにも断れないというような状況もあって、ずっと次から次へと絵画を見せられて、そしてなおかつ担当者がかわって次から次へと説明に来る。そして、気づいたら、私以外の客はだれもいなくなってしまった。そういう状況の中で、断るに断れないという形になって、ここは早く逃げ出したいと思いつつもなかなか逃げ出せなかった。でも、最後の方には意を決して、お金がないと言ってすぐ駆け出して出た思い出がありまして、本当にあのときにひっかからなくてよかったなというふうに思っておる次第でございます。

 そういった意味では、今般の特定商取引法、割賦販売法、そのときにきちっとこの法律があれば、私自身ももっと毅然たる態度で断りをすることができたのかなというふうに思っておる次第でございます。

 今般のこの法律の中で、まず最初に確認をさせていただきたいと思います。

 展示会商法に対する規制という部分でございますけれども、いわゆる展示会商法に関しましては、既に一部が対象に含まれているという解釈であるというふうに伺わせていただいているわけでありますけれども、今後、この展示会商法を取り締まるための店舗、いわゆる法律上は営業所等というふうになっておりますけれども、この解釈というものをどのように行っていくのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

山本(香)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 いわゆる展示会商法につきましては、御指摘のとおり、既に一部が特商法の適用対象となっております。しかしながら、その網をかいくぐってというか、昨今の消費者被害におきましては、展示会の開催期間を長く持つことによりまして規制を逃れる事業者というものが大変多く見られているところであります。

 ですので、通常の、例えば百貨店などの物産展など問題のない一般的な取引に十分配慮をしながらも、関係規定の内容を見直して、展示会商法に対する特商法の適用範囲を拡大する方向で検討をさせていただいております。

 具体的には、御指摘の店舗、いわゆる法律上は訪問販売の定義規定におけます営業所等の解釈につきまして、実態をよく見せていただいた上で、商品等の販売期間を適切な範囲で、現在の解釈よりも延長するなどの措置を検討していきたいと思っております。

園田(康)委員 当然、少しでも、店舗を構えてそして売るというような形が見受けられれば、もちろんそこで適用をどんどんしていっていただきたいというふうに思っておりますし、先ほど大臣のお言葉にもありましたけれども、次から次へと手を変え品を変えという形の悪質商法が出てくるところでございますので、なるべく最初に規制をかけるということであるならば、過度の規制というものは確かに私もまずい状況があると思っておりますけれども、しかしながら、網をくぐらせないためには、包括的な規制の中から行っていくという形を考えていきたいというふうに思っておりますので、この営業所等の考え方に対しても、どうぞ拡大する方向で取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 さらに今回、特商法の関係で、現行法でいきますと十七条でしょうか、訪問販売における再勧誘の禁止という規定が盛り込まれております。訪問販売の勧誘につきましては、ここで書かれているところでいきますと、相手方の勧誘を受ける意思があることを確認するように、今回努力義務規定という形になった次第でございますけれども、まず相手方の意思確認の方法というものはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

寺坂政府参考人 この規定に関しましては、消費者の勧誘を受ける意思があるということを確認する、そういう努力義務規定でございますので、例えば、今話を聞いていただけますかといったような問いかけを事業者の側がされた場合に、消費者の方から、はいとか、あるいは話を聞くことは構いませんとか、そういった意思があることの意思表示を明示的に受けることを想定しているものでございます。

園田(康)委員 明示的にというのは、恐らく相対してというところであろうというふうに思っておりますけれども、その際に今度、契約を締結しない意思表示をした者に対する再勧誘の禁止という形で、一定のガイドラインというものが今後考えられるというふうに読み込んでいるわけでありますけれども、それは一体どのような形を想定されておられるのか。また、同規定においてはどのような運用がなされていくのかということでございます。

 例えば、禁止規定を置くという形になったときに、特定商品に対する拒否であるといった場合、一つの項目がまず出てきた、その類似商品の名前がちょっと変わったであるとか何々パートツーとか、そういった類似商品のようなものまで勧誘の適用対象とするかというところもありましょう。

 また、同一世帯の場合。例えば、最初は一つの家庭に訪ねていった。その場合にお子さんが出られた、あるいは息子さんが出られたというときに、その方はいわば結構ですよというふうに一たん断られた。その次に訪問をしていったときにそこの祖父母の方が出てきたといった場合、そういった家族関係の中においても、息子さんは確かに明示的にセールスを断った、勧誘を断った。しかしながら、その家族の方に対してやった場合なども想定されるのではないかというふうに思っております。

 また、再勧誘の期間。行った、そして、そこから例えば半年なら半年がたった、あるいは一年たった。そうしたら、また勧誘しに再度その家庭に訪問した場合に、それがこの規定として当てはまるかどうかというのが、今後のガイドライン、禁止項目の中に入ってくるのかなというふうに想定はされるわけですけれども、どういったことを考えていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 再勧誘の禁止規定に関しまして、ガイドラインにおきまして、契約を拒否する意思の表示のあり方、あるいは勧誘を禁止される社会通念上妥当な期間など、法律の運用の考え方を明らかにするということが大切かと思ってございます。これは、通達や解釈集などの形で検討をしてまいりたいというふうには考えてございます。

 ただ一方で、悪質業者との関係でいきますと、ここまでは大丈夫ということと、それからちょっとすれすれをねらうとか、そういう問題も現実的にはまたあるわけでございまして、どういう形で通達、解釈集などを示すのかというのは、関係の方々、消費者、事業者、あるいは事業の実態もございますので、よくそういったものをお伺いしながら検討してまいりたいと考えてございます。

 今、幾つか具体的に御指摘がございました類似商品のケースでございます。

 この規定に関しましては、契約を締結しない旨の意思を表示した契約単位でその効果が及ぶというふうに考えてございます。したがいまして、消費者が契約を拒否した商品とかあるいはサービス、そういったものと同一の内容であると判断されるものにつきましては、これはやはり、まさに再勧誘になっているわけでございますから、再度の勧誘は禁止されることになります。類似というのはどの範囲でいうかとか、そういうのはなかなか難しい点でございますけれども、基本的な考え方はそういうことでございます。

 それから、二つ目の例示でございます。

 一つの家庭に御家族でお住みになっているわけですけれども、契約を締結しない旨の意思表示をした方に対する勧誘の禁止でございますから、契約の主体はやはり特定の個人であるというふうに考えるのが適当かと思ってございます。ですから、同居家族は同じじゃないかという議論は一方であるかと思いますけれども、しかし、やはり別の人格、別の個人というようなことでございますので、同居の御家族といいましても、そこは、異なる契約主体と考えるのが適当なのではないかということでございます。

 ただ、現実的に、同じ家に何度も行くといったようなことに関しましては、例えば拒否を示した、そういう意思表示をした同じ個人が対応する可能性が高いわけでございますから、これはやはり事業者の方が十分に注意して、ある種の社会常識といいますか一般常識で判断する話でございますけれども、事業者の方がそこはしっかり注意をするということがまず大前提ではないかと思っております。

 それから三つ目の、具体的な点で御指摘ございました禁止の期間、一度断られたらいつまで行っちゃいけないのかという議論、これもあるかと思います。

 一度拒否を表示されたものと同じ内容の契約でありましても、これはやはり商品とかサービスの性質、そういったもの等の絡みが出てくるかと思います。やはり社会通念上、これは商品によっておのずと期間が違うと思いますけれども、相当な期間が経過した場合は勧誘が行える。別の言い方をしますと、一度断られたら未来永劫行っちゃいけないのかというと、なかなかそういうことにはならないんだろうとは思います。

 その期間といたしましては、商品、サービスの内容にもよりますけれども、例えば季節性のあるものにつきますと、その季節性がどういう変わり目かというのがありますが、日本は四季があるということで考えますと、変わり目でありますと三カ月というのが一つの目安、これは商品とかサービスの内容によります。そういうことがあるかと思いますし、通常の商品の場合は六カ月か一年。そういったものは、やはり一つの常識なのではないかと思っています。

 いずれにいたしましても、最初に申し上げましたように、こういった期間の考え方も含めまして、消費者、事業者あるいは学識経験者の方々などの御意見を伺いながら、ガイドラインとしてまとめていきたいというふうに考えております。

園田(康)委員 社会通念上ということでありますので、それぞれの商品あるいは季節等々でいろいろな類似が考えられるであろうというふうに思っております。できるだけ多くの事例を集めていただきながら、大体このぐらいの目安だよというような形は明示をしていただけるように御努力をお願い申し上げたいというふうに思っております。

 そしてその際に、再勧誘の禁止規定にもし違反した場合は行政処分が行われるという形になっていくわけでありますけれども、どのような処分とともに、例えば通常の業務停止命令といった場合は、再勧誘を何回やっただとか、あるいは、そのグループの中で何人以上やったとか、被害の状況がどのぐらいになっただとか、そういった違反行為の程度の部分がさらに議論になってくるのではないかというふうに思っておるわけでありますけれども、その点の目安もあれば、お伺いをしておきたいと思います。

寺坂政府参考人 再勧誘禁止規定に違反した場合は、罰則ということではなくて、御指摘ございましたような指示とか業務停止命令とか、まずはそういう行政処分の対象となるわけでございます。

 その場合の運用でございますが、これも例示で申し上げますけれども、消費者と事業者との間の意思疎通の単純な行き違いとかそういった場合を想定しているわけではもちろんございませんで、そうした再勧誘の禁止にもかかわらず何度も勧誘に訪れるといった行為が反復的、組織的に行われていたのかどうか、そういったようなものなども勘案しながら、購入者等の利益が害されるおそれのあると認められる場合に行政処分の対象になるというふうに考えているところでございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 そして今回、この特商法の改正の中でちょっと一点気になっていることがあるんですけれども、威迫して困惑させる勧誘を禁止されておられます。これは不実告知や事実の不告知の場合とは異なりまして、この威迫困惑には被害救済のための取り消し権が付与されていないわけでございますけれども、これはどういった理由から、今回この取り消し権が付与されていないという形になったのか、お伺いをしたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 不実告知や重要事項の不告知で誤認をいたしまして、正確な情報を認識しないままに契約をいたしました消費者は、その誤認に気がつくまで、不本意な契約を締結してしまったということが認識できないと思ってございます。したがいまして、契約締結後短期間は無条件に解約ができるいわゆるクーリングオフ規定とは別に契約の取り消し権を付与した。クーリングオフ期間というのは限定されてございます。そういう意味で、契約の取り消し権を付与いたしております。

 これに対しまして、御指摘がございました威迫困惑、そういったことによりまして不本意な契約を締結させられた消費者の方の場合は、販売業者がその場から退去していなくなれば、威迫を受けている状況がその時点で解消はされるわけでございます。そういったこともありますので、クーリングオフを行うということが可能と思われます。そういうことで、契約の取り消し権は付与をしていないということでございます。

 ただ、クーリングオフの行使が可能な期間、訪問販売の場合八日間でございますけれども、ずっと困惑状態が続くような深刻な威迫行為を受けたような場合、これは民法の強迫に関する規定がございます。そういったものが使えるのではないかと思います。

 それから、退去してほしい、ここからもう帰ってくれといったようなことを言ってもなかなか事業者が退去しないといったようなことで、消費者の方が困惑して契約を締結した場合には、別途消費者契約法がございまして、消費者契約法に基づいて取り消しをすることが可能ではないかというふうに考えてございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 ということで、今回の特商法ではありませんけれども、民法上の規定あるいは消費者契約法の規定によって取り消しをすることも可能であるし、また、これは損害賠償の請求の対象に当然なり得るというふうに考えてもよろしいでしょうかね。

寺坂政府参考人 そのように考えてございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 そしてさらに、過量販売の禁止規定の部分でございます。

 今回、訪問販売によって、日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品、役務を購入する契約を締結した場合ということで、購入者等はこれを解除することができるという規定でございます。

 この通常必要とされる分量と、それから著しく超える、その具体的な判断基準というものは何か、もう既にお持ちでしょうか。お伺いをしたいと思います。

寺坂政府参考人 通常必要とされる分量を著しく超えるということでございますので、ちょっと買い過ぎたとか多少購入をし過ぎた、そういう程度ではなくて、日常生活において、一般の方であればまれにしか購入しないような分量の場合が該当する、これは考え方でございます。

 個別の事例におきましては、これはまさに商品やサービスの性質とか機能、あるいは購入される側、消費者サイドの家族構成とか人数、そういったものによって違いが出てくるわけでございまして、個々に判断するということになるとは思いますけれども、考え方としては、そういったことの事情を勘案しながら判断されていくものというふうに考えてございます。

園田(康)委員 もう少し詰めていただければと、この点は要望をさせていただきたいと思います。

 また、行使期間は契約締結の日から一年以内でしょうか。販売業者あるいは与信業者は解除に伴う違約金等の請求ができないということで、これは一年以内にということでありますけれども、午前中の参考人の方からも、この部分はもう少し長目にやってくれればという要望も出されていたわけでございますので、その点もあわせて、今後の議論というものを行っていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので先を急がせていただきまして、割賦販売法の改正の方に移らせていただきます。

 まず最初に、割賦販売法の定義に関して、これまでは二カ月以上かつ三回以上というふうに分けて代金を受領する契約を対象としてまいりましたけれども、今般の改正案においては二カ月以上という形で、それ以降に支払う場合のすべてを規制対象とされておられる。

 その際に、ただ、マンスリークリア方式、翌月一括払いでありますけれども、この部分が除外をされたというところがございます。この点についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。お伺いをいたします。

橘高政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのございましたマンスリークリア、お示しのように、いわゆる翌月に一括払いということで、実際にカードを使われてから比較的近い時期におきまして一括してお払いになるというものでございます。

 これにつきましては、使った側の意識としても、それが、長い期間にわたって分割で、一回ずつの支払いが安くなるというようなものでは当然ございませんものですから、早晩、近い将来にまとめて払わないといけないという意味におきましては、その場で現金で財布からお支払いになるのと感覚的には近い部分があろうかと存じます。

 また、実際の利用におきましても、クレジットカードは大変多数の方々がいろいろな場面で小まめに気軽にお使いになるわけでございますけれども、結果といたしまして、クレジットカード利用の大半がこのマンスリークリアという形になっておるのが現状でございます。

 したがいまして、まず問題点という観点から見ますと、今回の法改正の大きな要因といいましょうか背景でございます、悪質な業者が分割払いということをいわば強い誘引として、一回ずつの支払いが抑えられますという口上書で取り込んでしまうというような観点からの問題は、論理的には起きにくい面がございます。

 また、今申しましたように、さまざまな場面で比較的少額のケースで気軽にお使いになっておられるという、便利だからという面での特徴もございます。したがいまして、いろいろな問題に巻き込まれた、多額の損害が発生したというような意味でのトラブルは、余り我々の耳にもまとまって達しておるわけではございません。もちろん、全くこういうところについても問題がないかどうかということは、引き続き見ていく必要があるわけでございます。

 いずれにしましても、現在の状況からしますと、通常の消費者が割と頻繁にお使いになる少額の日常的な取引につきまして、今回のような包括的な厳しい規制をかけていくということに伴いまして、むしろ利便性の問題とかあるいは円滑な経済取引に与える影響とか、そういうことについてもよく考えていかなければならないのではないかという配慮が今回の判断の背景にございます。

園田(康)委員 そのお考えは大変よくわかるわけでございます。

 ただ、一点だけ、やはり午前中の消費生活センター相談員の方々からの代表者の御意見にもございました。売りに来たときに、そのときは何とかその場を逃れたいという思いでついつい、ついついというか、クレジットでマンスリークリア方式を使って、そこを契約でいったというような事例も、少しずつではあるけれども相談としてはある、事例としては確実にあるわけでございますので、その点では、今後、この部分も少し議論としては検討をしていかなければならないのではないかというふうに思っておるところでございます。

 ただし、先ほど審議官がおっしゃいましたように、利便性等々も兼ね合わせて考えていかなければいけないわけでございますので、その点は難しい議論にはなっていくだろうというふうに思うわけでありますが、なるべくその部分も対象となる、あるいは運用的な面で対象になっていくような部分も少し考えてはいかがかというふうに思っておるところでございます。

 そしてさらに、既払い金の返還請求の話にちょっと移らせていただきたいというふうに思うわけでございます。

 今回、既払い金の返還規定を設けたというものは、私も、大変画期的なことであるし、また今般の改正案の目玉の一つにはなってきたというふうに思っておりますけれども、これを導入した法の趣旨というものをまずお聞かせいただきたいと思います。

新藤副大臣 訪問販売等の悪質商法に関する苦情相談の四割に個別クレジットが利用されている、こういう実態があるわけでございます。

 この背景といたしまして、クレジット契約が成立すれば、販売業者が代金回収のリスクを負うことなく代金が受け取れる、訪問販売等において販売業者が無責任かつ悪質な勧誘行為を行う誘引性が強く働くこと、こういうことが販売業者の悪質な勧誘行為を助長しているという側面があるのではないかと理解をしておるわけなんです。

 個別のクレジット業者は、一連のクレジット取引から利益を得ておりますので、また、個別の商品ごとに与信を行う際に、加盟店の勧誘行為の調査を行うことにより消費者トラブルを防止する立場にあります。

 このため、悪質商法を助長する与信を防止するために、消費者の立証負担の軽減の視点も十分に踏まえて、加盟店調査に当たっての個別クレジット業者の過失を問うことなく、これは言いかえれば、消費者の立証責任を問うことなくクレジット契約の取り消しを認めることとしよう、この既払い金返還責任を導入しよう、このように思ったわけでございます。

園田(康)委員 いわば立証責任の転換というところは、本当に画期的なことであったというふうに私も評価をさせていただきたいと思っております。

 そして、その既払い金の返還請求の対象といたしまして、今回は、訪問販売等で個品割賦購入あっせんが利用された際不適正勧誘が行われた場合に限定をされておられるということでございますけれども、最初に私も申し上げたんですけれども、これは店舗販売まで拡大することというのは考えられないでしょうか。その点の検討はどのような形で考えておられますでしょうか。お伺いいたしたいと思います。

寺坂政府参考人 個別の信用購入あっせんに係ります消費者の相談件数のうち、その約七割から八割が訪問販売などに集中している、そういう実態がございます。

 これはなぜかというふうに考えますに、やはり訪問販売等の取引の性格があるわけでございまして、不意にやってこられて、そういう不意打ち性や取引の複雑性が高い訪問販売などの取引におきましては、消費者の自由な意思表示が困難になりがち、そういったことがあるのではないかというふうに考えてございます。

 一方、店舗販売と言われておるものにつきましては、まずは消費者が自発的に取引をしようという思いで開始をするわけでございまして、消費者トラブルというものも、訪問販売などのように集中をしていないということから考えますと、健全な取引に対する過剰な介入というような観点もあるわけでございまして、今回は既払い金返還請求の対象とはしてございません。

 ただ、個別クレジット業者を今回登録制ということにいたしますので、店舗販売の場合でございましても、消費者からの苦情の適切な処理を義務づけるということにしてございますから、これによって、個別クレジット業者にきちんと消費者トラブルへの対応を行わせる、そういう仕組みになっているというふうに考えてございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 ただ、やはり店舗販売におきましても、これはちょっと古いデータでありますけれども、二〇〇五年度でも四万件近くは苦情という形で、相談件数、被害があるわけでございます。これを多いと見るか少ないと見るかということではありますけれども、ただ、こういったところでもまだまだ被害の実態というものはあるという状況からすれば、もう一歩進める努力も今後お願いを申し上げておきたいというふうに思っております。

 最後になりますけれども、ちょっと質問だけさせていただきます。

 違法収益の剥奪についてでありますけれども、不正取引等で不当に利得した収益に関して、特定商取引法においては、違反行為による違法収益の剥奪の法制度を今後構築していく必要があるのではないかと私は考えているわけでありますけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。

寺坂政府参考人 いわゆる違法収益の剥奪制度につきましては、特定商取引法の分野にとどまらず、一般的な消費者の救済制度としてそういうことを考えていいのではないか、そういう御提案があるということは承知はしてございます。

 ただ、こういう一般的な制度でございまして、被害者の個々の損害賠償請求権等との関係、あるいは剥奪した収益の分配手法、日本の法制度全体との関係、そういったものも含めた慎重な検討が必要である問題というふうに理解してございまして、消費者法制全体の問題として十分な議論をしていく必要があるものと認識してございます。

園田(康)委員 ありがとうございました。

 引き続き、この件につきましては、皆さんと一緒に考えて推進をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

東委員長 これにて園田康博君の質問は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、特定商取引法、割賦販売法の改正案の質疑でありますが、質疑の時間をいただき、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。

 大変な大改正でありまして、私も、経産委員会、議席を預かって一貫してこの委員会に所属をさせていただいておるんですが、この法律、法案資料、三点セットを立てて立つ法律というのは珍しいんですね、経済産業省の法律の中では。意外に薄い法律が多いんです。これは大改正の法律であります。先ほど来、内容についても同僚議員から質問がありましたが、文案も大変な思想の転換をされた、分量だけではなくて中身についても大変分厚い改正をされておる、こう思います。

 私も、この改正の方向性については基本的には賛同するものでありますが、その認識に立ちながらも、さまざまな点についてお伺いしていきたいと思います。

 まず大臣、先ほども同僚の古川元久議員から指摘がございましたが、いわゆる三K不況ですか、建築基準法、貸金業法、金融商品取引法を代表例にした、いわゆる官製不況が広がっているという指摘が各方面からされております。特に建築基準法についてはこの委員会でもいろいろな点からお伺いをしてまいりましたが、こうした官製不況という指摘について、要するに、新しい法改正に伴って不況が起きてしまったというこの指摘を大臣はお認めになるかどうか。

 そして、私は、官製不況と呼ばれるような事態に陥ったその背景は、先ほどの古川議員とも重なりますけれども、基本的には、経済取引の実態を踏まえずに法律を運用してしまった、いわゆる役所の感度の鈍さがあると思うんですね。法律そのものというよりは役所の感度の鈍さがあったんだろうと考えますが、大臣は、この見方についてどうお考えか。

 二点、お伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 建築基準法の改正とか貸金業法の改正、それから金融商品取引法の改正、それぞれ規制を変更するわけでありますが、その必要性というのは、広く国民からの声を受けてなされたものだというふうに思っております。

 ただ、こうしたいわば規制強化が経済に与える影響というのはしっかりとシミュレーションしていかなければならないですし、被害者を救おうとするためのものが新しい被害者をもっと出したということであれば意味のないことになってしまうわけであります。

 もちろん、建築基準法も耐震偽装問題の再発防止、貸金業法でいえば多重債務者対策、それから金融商品取引法でいえば投資者保護という必要性で行われたわけでありますから、法律改正自身は正しい趣旨によって行われたんだと思います。

 ただ、御指摘のように、一人の被害者も出さないぞという思い入れのもとに運用に取り組んだ場合に、その姿勢自身はいいんですけれども、まさにあつものに懲りてなますを吹く状態が蔓延してしまうと、法律が本来期待していることを超えて善良な市民に被害を与えてしまうということになろうかと思いますから、運用の点については、その辺のところをしっかりと把握しながら、法の目的、趣旨、それから善良な消費者に対する副作用を与えないようにしっかりと検証しながら、法の目的を果たしていくということが大事だと思います。

 建築基準法でも、一時、私の地元でも、ピアレビューが必要な案件が一件も許可がおりないという事態がありました。間違いをなくすには、一つも許可しなければ間違いの出ようがないというようなことに行き着いてしまうと大変なことになるわけであります。

 私も、法の趣旨はしっかりと踏まえながら、問題のない案件がスムーズに許可がおりるようなそういう工夫をしっかりしてほしいという要請はしたわけでありますけれども、御指摘の点はしっかりと踏まえて、規制強化法の際には、その目的がきちんと発揮され、それから、それによって副作用が起きないように、善良な市民が被害を受けることがないようにしっかりと目配り、気配りをしていかなければならないというふうに思っております。

近藤(洋)委員 その点については、大臣のおっしゃるとおりだと思うんですね。私なりの表現でいえば、その運用のまずさというのは、やはり感度の鈍さ、経済取引、実際の建築基準法についてもそういうことだったんだろうと思いますし、建築基準法の問題は、改正の拙速なる施行による影響というのはまだ完全に、私の地元などでは払拭し切れていないなと思っておりますし、そういう事例も聞きます。

 これだけの大改正の法律であります。本特商法なり割販法の改正案は大改正であるわけですから、先ほども同僚議員が指摘をされましたが、四Kと言われないように、経済産業省は生きた経済の現場の役所でありますから、その運用に当たってはぜひ気をつけていただきたい、こう思うわけであります。

 具体的にお伺いしたいんです。

 その運用なんですけれども、三条の二、いわゆる再勧誘禁止規定であります。これはもう質問が出た部分もあろうかと思いますが、私も、大事な点なので確認をしたいんです。

 要は、私も、地元で戸別訪問というか支持者のお宅を訪問して歩く、週末はその日に当てることが多いんですが、大概のお宅にはセールスお断りというステッカーが張ってあるんですね。これは大概のお宅ですよ、ほとんどそのステッカーが張ってあります。この場合は、もはやセールスお断りという意思が表明されているから、その家には訪問できない、こういうことになるのかどうか、お答えいただきたいと思うんです。

寺坂政府参考人 今回、改正案で御提案しております規定は、拒否の意思を示した消費者に対して再度の勧誘が相当の期間禁止されるということでございますから、そういう禁止効果を発生させる意思というものは、その契約を締結する意思がないことを明確に示すものでなければならないと考えてございます。

 ですから、今御指摘がございましたステッカー、いわゆるステッカー規制とかそういったことを言われているわけでございますけれども、消費者が事業者に相対してお断りということを直接伝えることが原則と考えてございますので、訪問販売お断りといったような一般的なステッカーにつきましては、その意思をどなたが示しているかというその意思の表示主体、それから、いつまでかとか、あるいはどの時点でそれを出されたかという表示の時期、そういったものが不明確でございます。かつ、どの事業者に対して拒否、お断りと言っているのかといったようなところも特定されない、そういう点があるわけでございますので、いわゆるステッカーにつきましては、今回の規定におけます拒否の意思の表示方法には当たらないというふうに考えているところでございます。

近藤(洋)委員 なるほど。そうすると、張り紙などの場合は、直筆で、何月何日、私これこれは何とか会社のあなたさんの訪問は受け付けませんからやめてください、こういうことがぴしっと書いてある張り紙だったらば、それも相対ではないからどうかわかりませんが、その辺の運用はともかく、いずれにしろ、セールスお断りは対象にならない、こういうことですね。済みません、ちょっと細かいことなんですけれども、明確な張り紙は拒否の意思になるんですか。

寺坂政府参考人 契約を締結する意思がないということを明確に示すものでなければならないというのは原則でございますので、今は忙しいというような、その時点でその勧誘を受けることを欲しない、そういう意思表示は締結しない旨の意思表示には当たらないし、買う気はないとかいった、その契約の意思がないことをそういう形で明示的に示さなければならない。

 それで、今張り紙ということでございましたけれども、まず意思を示す方法は、やはり相対して直接伝えるということが原則だと考えてございます。ですから、インターホンとか玄関口で、消費者の方が販売事業者の方などに相対して直接伝えるということが該当すると考えてございます。

 今先生が具体例でお示しございました、張り紙に書いてというのは、どういうふうな書き方をしているかとかいろいろなケースがあろうかと思いますので、それがマルかバツかとか、そういうのを今この段階でお答えするのは御容赦願いたいと思いますけれども、基本は、相対して直接伝えるということが原則ではないかというふうに考えてございます。

近藤(洋)委員 ちょっと細かいことを聞きまして、済みません。

 ただ、事ほどさように、難しいんですね、この意思表示がどういう意思表示なのかというのを定義するのは。

 要するに、例えば自動車販売、私も地元でディーラーの方に聞きますと、契約しません、私は車を買いませんよと明確に意思を表示する人の方が少ないというわけですよ。それはそうですね。車の話をしながら、いや、最近ちょっと、うちのかみさんがパートをやめてねとか、買わないとは言っていない。ちょっと家の収入が少なくなったみたいな話だとか、子供の車の何か変わってねとか。

 要するに、買いたいんだけれども、車は欲しいんだけれども、ちょっと阻害要因があるんだよねというような言い方で断りの意思を伝える。ほんの微妙なニュアンスですよね。そのニュアンスの変化を見て、セールスマンは伺うわけですよね。ニュアンスの変化、ちょっと緩んだなとか。最近かみさんも何か機嫌いいんだよなんてことを聞くと、機嫌いいんだよが何かゴーサインだとか、そういうこともあろうかと思うんですよ。

 実際の取引というのはそうですね。特に自動車のディーラーなどというのはそういうことであって、はっきり拒絶する方がむしろまれだと思うんですね。相対では言うけれども、では、その主体が果たして、財布を持っているのは奥さんなのか、じいちゃんなのか、ばあちゃんなのか、本人なのかわからぬとか、この辺はどういった言い回しになるのか。大変細かい話ですけれども、大事な話だと思うんです。こういったものについて役所としては研究をされているんですか。

寺坂政府参考人 言い回しといいますか、あるいは文章の書き方とか、これはまさに個別に判断をしていかなきゃいけないところがあるかと思います。

 先ほどの文章の例で申し上げますと、例えば口をきくことが不自由な方とか難しい方とか、そういう方もいらっしゃるわけでございまして、そういう意味合いから申し上げますと、先ほど来申し上げているようなかなり特定された形で文章で表示されました場合には、拒否の意思を表示したというふうに該当すると言えるケースも少なからずあるのではないかというふうに考えてございます。

近藤(洋)委員 あわせて伺います。

 意思確認に関する努力義務が事業者に課せられていますね。そうすると、確認の努力義務というのはどこまで求められるのか、どのレベルまで求められるのか、御答弁をいただけますか。努力義務を怠ったというのはどういうことなのか、お答えいただけますでしょうか。

寺坂政府参考人 勧誘を受ける意思があるということを確認する、そういう努力義務でございますので、今お話を聞いていただけますか、少し時間をかしてくださいといったような形での問いかけに対して、明示的に、はいとか、構いません、お聞きしましょうとか、そういった形での承諾の意思表示を受けるということが確認ということになる、そういう形を想定しているものでございます。

近藤(洋)委員 いずれにしろ、私は、これはそれぞれの品目と商品で違う部分というのもあろうかと思うんですね。

 先ほど審議官も御答弁されましたけれども、ガイドラインをつくります、こういう話でありましたが、この法律だけだと一体どういうものなのか、まじめな事業者であればあるほど不安になる部分もあろうかと思うんですね。

 私は、緩く運用しろと言うつもりは全くないのであります。しかし、まじめな事業者が、しかもそれぞれの営業努力の中で、要するに経済の取引というのは基本的には原則自由というこの大原則の中で、それは不届き者は徹底的に対処するということは当然だと思うんですけれども、しかし、先ほどのあつものに懲りてではないですけれども、まじめな事業者がきちんと安心して事業ができるような道しるべというのは必要だと思います。

 具体的なガイドラインの策定というのは、どのような形で、いつまでに何業種を対象に、何か業種というよりは業態別に策定するやに事前に伺いましたが、どういう形式のガイドラインを、いつまでにどういった形で示されるのか、お答えをいただけますでしょうか。

新藤副大臣 先生がおっしゃるとおり、要するに、善良な事業者、それから、まさにこういうセールストーク、そういう中で、お客さんとの関係において営業努力を行う、この関係を否定するものではないということです。ただ、悪質な意図を持った取引については消費者の保護を図らなければならない、御案内のとおりでございます。

 再勧誘を制限する規定の導入は、まさにそういう善良な事業者の方に混乱を招かないようにガイドラインというものを策定していきたい、そしてこの規制内容の明確化を図りたいということでございます。

 この内容は、今お話のございましたような、契約を締結しない旨の意思を表示したに該当するのはどのような場合なのか、それから、一度断られた後に再び勧誘できるようになるのにはどのぐらいの期間を考えればいいのか、こういったようなことについて明確にしなくてはならないと思っております。

 そして、そのガイドラインの原案には、やはり消費者、事業者、それから学識経験者等々から御意見をいただきまして、今回の法律を成立させていただいたという前提で、改正法の施行、これがまた施行期日がございますから、その期間までに十分な周知を図るように、まずガイドラインを作成すること。それから、原案をパブリックコメントにかけたい、こういうようなものがありますから、早い時期にガイドラインを作成して、周知を図りながら実現を図っていこう、こういうことでございます。

 そしてまた、その内容は、一つ一つの業種になると幾つもガイドラインをつくることになります。ですから、基本は包括的なガイドラインにいたします。そして、その中で個別の商品や業界のそういう実態をとらえて例示していきたい、こういうことで考えております。

近藤(洋)委員 この特商法の改正というのは、方向としては本当にこういう方向でいいと私も思うんです。ただ、考えようによっては、ちょっと意地悪な言い方をすると、経済産業省の権限は大変幅広く広がるんですね、この法律の運用次第では。あらゆる面談の商取引が、訪問販売の取引についてすべてこの法律で仕切るわけですから。あとは民法だというわけですね。

 ちょっと例がいいかは別にして、私は民主党という政党に所属していますけれども、民主党という政党が例えば訪問しながらグッズを売ったとしますね。そのグッズを売った商取引については、この特商法の規制にひっかかるわけですね。例えば政党であるとか宗教団体とか、そういった公のものがいろいろな取引をする場合もあるわけですね。それも、この法律にかかるんですね。運用次第でいろいろなものに、あらゆるものが経済産業省所管ですということで、実は運用次第ではさまざまなことができるものなんですね。

 ですから、私は、悪徳な業者を徹底的に排除するということは必要だと思うんですけれども、施行期日までは日があるわけですから、改めて確認でございますけれども、これはちょっと通告がないのでどなたからでもいいんですけれども、一つは、やはり民間の声をきちんと聞いて、自主規制というものをちゃんと反映するような運用にまずはすべきだろうという視点と、そして、きちんとガイドラインというものもつくった上で、何でもかんでも対象にするという運用は当然当局においては控えられると思いますけれども、その辺のバランスというのは、法の運用者のバランスというのは非常に大事な法律だと思いますが、御答弁いただけますでしょうか。

新藤副大臣 それは、おっしゃるとおりのことだと思います。

 ですから、あくまで消費者の保護を図るということ、それから健全な事業者の経済活動を制限しない、これは両立させなければいけないわけで、このガイドラインの策定は、専門の方、また消費者の方、いろいろな方々からの御意見を幅広くいただいて、そして、早い時期に原案をつくりながら、いろいろな方々からのコメントをいただいて、より納得できるようなものにしていかなければならないし、ガイドラインをずっときちっとチェックしていかなくてはならないだろう、これはおっしゃるとおりのことですし、私どももそれに取り組んでまいりたい、このように思います。

近藤(洋)委員 ぜひそういうことでよろしくお願いしたいと思います。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいております。

 資料の一枚目をごらんいただければと思います。先ほど来も議論に出ている消費者庁でありますけれども、政府において現在検討されている消費者庁への移管が検討されている主な法律と現行の所管官庁、読売新聞のまとめによる一覧表でございます。

 これは、いろいろな新聞社がそれぞれの取材をもとに書いておりますが、この中で、調整中の法律の中に経済産業省のさまざまな法律もあります。そして、この大改正をした二本の法律も、特商法と割販法も調整中の法律、こういうことになっております。

 報道によると、今週中にも閣僚間の折衝が行われると聞いておりますが、大臣、これはそういう方向で調整中ということでありますけれども、その大臣折衝、大臣としてはどのようなスタンスでこの二法の移管について臨まれるのか、お答えいただけますか。

甘利国務大臣 特商法、割販法につきましては、国民の安全、安心を確保することが内閣全体の重要な政策課題であるという認識のもとに、経済産業省ならではの抜本的な改正となるよう総力を投入して改正案を策定して、今御審議をいただいているところであります。

 消費者行政の実効性を上げるということは、いかに現場の行政としっかり連携をとりながら、実態把握をし、業界指導をし、あるいは業界規制をし、実を上げていくかということが問われるわけであります。

 そうした中で、なそうとすることが余計な副作用を生んでしまっていて、善良な国民の消費経済にかかわる阻害要因にならない、その間合いが難しいところでありますし、行政運営について、法律が期待しないような過度な規制となって通常の経済活動まで阻害してしまってはいけない。

 先ほど来申し上げていますけれども、生産者と消費者というのは、あるいは商品、サービスを提供する者と消費者というのは、基本的に対立する構図ではなくて双方の信頼関係を築くものでありまして、そういう中にふらちな者が出るのをどうやって排除するかということなのでありまして、ふらちな者を排除することが善良な関係まで排除してしまったら、これは法律としてはあるいは運用としては極めて適切さを欠くということになります。

 その辺のことがきちんと反映されるような仕組みになるということが大事でありまして、私は、この時点で結論がこうですということを申し上げるつもりはありませんけれども、そういう消費者の安心、安全行政、それから利便性の推進、これがきちんと両立をして進んでいくためにどういう体制が必要か、消費者行政をより強化するとしたらどういう体制が必要かという視点でしっかりと考えるように事務方には言っているわけであります。

 まだ事務折衝の段階でありまして、どの部分を大臣折衝するかというところまで来ておりません。しっかりと事務方の折衝の状況を把握しながら、私としての対応を図っていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 御答弁ぶりからすると、これはこれからだということでありますけれども、大臣の御答弁を精緻に、ちゃんと耳を澄ませて聞けば、それは全部一つにすることが必ずしも連携、きちんと現場が反映される仕組みではないのではないかというふうに私は受けとめさせていただきたいと思います。

 公正取引委員会、景品表示法について、この報道によると、移管が確実視されている、こういうふうに分類をされておりますが、もう既にそういった事務折衝の段階で、この景品表示法については新しい消費者庁なるものに移管される、こういうことで今進んでいるんでしょうか。

鵜瀞政府参考人 四月二十三日の消費者行政推進会議での消費者庁の創設に向けた総理の御発言等を踏まえて、消費者関連法の移管等について政府内において調整が行われているところでございますので、本件に関する公正取引委員会の見解につきましては、回答を差し控えさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 これまた鵜瀞部長がそう言わなきゃいけない気持ちも私も理解いたします。なぜならば、公正取引委員会は、消費者庁ができる議論の過程で公正取引委員会こそ消費者関連法を集約すべしだ、こういう提言を政府部内でしてきたんですね。公正取引委員会は全く違うことを言ってきたんですよ。それと違う、全く真逆で、いやいや、我々がやると言っていたのがとられちゃった、こういう今非常に厳しい立場に追われておって、それはどちらがいいか私はこの場では申し上げません。

 いずれにしろ、法律をくっつけたりはがしたりという今回の政府のことが本当に消費者のためになるのかなと。私は、むしろ公取にまとめた方がある意味では効率的かなという気すら、この点においては公取の応援団になりたいなという思いすら持っていたんですけれども、今政府が行われていることは、その違うことをやられている。大変、参考人の心中お察し申し上げたい、こう思います。

 法律の継ぎはぎというのは、もうこれは同僚議員が質問されたので指摘だけにしたいと思いますけれども、巨大官庁をつくって消費者行政ができるなどという単純なものではない、こう思っております。

 その意味で、資料の三枚目を見ていただきたいんですけれども、むしろやるべきことは現場を強化することなんだろう。頭でっかちの中央官庁を組織するよりは、現場、消費者の足元を、消費者の方々がどういったことに困られているのかということを、消費者行政に携わる事務官、きょうも参考人で来ていただきましたけれども、こういった方々の人員をどうやってふやすのか、こういうことだろうと思うんですね。

 この表は各県別の表でありますけれども、この九年間で総人員が四割ほど減っております。そして、都道府県別の人員を見ても、ある意味で地方の格差と言ってもいいんだと思うのですね。もちろん大消費地東京に多いのはわかりますが、やはり県別の職員数、随分差があります。そういった意味で、全国すべての都道府県において人が減っている、この現場の状況で、頭だけ大きくして一体何をするんだろうか、こういう気がするわけですが、これは内閣官房でしょうか内閣府でしょうか、どちらか。このような、消費者庁を創設するより前に足元の人員を復活させることの方がよっぽど大事だと思いますが、いかがですか。

松山政府参考人 近藤先生の御質問にお答えいたします。

 巨大な組織を中央につくることが優先されるべきではないという御指摘かと思いますけれども、四月二十三日の消費者行政推進会議におきまして、福田総理が示された消費者庁の創設に向けてという方針と申しますか、御発言のまとめがございますけれども、その中でも、行政の肥大化を避けること、地方の消費者行政の強化を図ること、この二点につきましては総理も非常に強調をされているところでございます。

 少し具体に申し上げますと、先ほど来御議論のあります法律に関しましては、消費者に身近な問題を取り扱う法律は、消費者庁に移管することとしというふうにおっしゃっているわけですけれども、あわせまして、消費者庁の設置に当たっては、この消費者庁というのは仮称でございますけれども、消費者庁の設置に当たっては、行政の肥大化との批判を招かぬよう、各府省から機構、定員を振りかえることを原則とするとされ、また、機動的で賢い組織としていくべきであるということをおっしゃっております。

 それから、地方の消費者行政の強化に関しましては、消費者庁の創設とあわせまして、地方の消費者行政の強化に向けて、地方の窓口の一元化、関連行政機関の情報の集約などを進めるために、法的な措置を含めて抜本的な対策を講ずることとする。また、あわせまして、地方分権を基本としつつ、地方の消費者行政の立て直し、強化のために、当面、国が講ずべき支援策のあり方について検討する、そういう御発言をされているところでございます。

 今後、消費者行政推進会議でございますけれども、こういう総理の御発言も踏まえまして取りまとめを行う予定でございます。それを受けまして、政府としては、新しい組織の形態等につきまして検討を進めていく、そういう予定でございます。

近藤(洋)委員 室長、では、さらにお伺いしたいんですが、機動的で賢い組織とおっしゃいました。よくわからないんですけれども、一つの例で、この特商法と割販法が消費者庁に移管したとしましょう。そうしたら、当然、経済産業省の商務流通グループの原課の人たちは消費者庁に移るんじゃないんですか。例えば公取当局の景品表示法が移ったら、あわせてその原課の人たちは消費者庁に移るんじゃないんですか。何人かで、原課の人たちは移さないでそのままで、機動的、賢い制度とやらをつくられるんですか。どうなるんですか。

松山政府参考人 ただいまの御質問でございますけれども、具体的な法律の、どういう形でどういうふうに消費者庁、仮称でございますが、移管をするかというところまでなかなか詰まっておりません。先ほど大臣から御答弁ありましたように、これから大臣レベルでも御議論いただくわけでございます。

 それはそういう状況でございますけれども、一般論として申し上げますと、中央レベル、政府レベルの組織につきましては、先ほど御説明をすればよかったんですが、法律の移管が行われる際には、その部分を直接ないし間接に御担当されている組織、定員等については基本的に移管をしていただく、移しかえるという考え方になっているわけでございますけれども、そのプロセスで、新規にいろいろな組織ですとか定員というのをふやしていくのではなしに、今ある霞が関の組織や定員の中で工夫をしていくという趣旨で総理もおっしゃっているというふうに思います。

 それからもう一つ、地方組織の問題もあろうかと思います。当然、各省庁、それぞれの法律を執行されるときに、地方組織それから地方公共団体ももちろん協力関係にあるわけでございます。そういう意味で、地方の組織に関しましては、地方分権改革というのが一つまた進んでおりますので、そうした動きも踏まえながら、かつ、各省庁が現在地方支分部局でおやりになっている仕事が仮に消費者庁に移管されるような状況におきましては、各省庁の地方組織に対しまして業務を委任するというようなことを検討していく必要がある、そのような議論がされているところでございます。

近藤(洋)委員 それはそうですね。法律が移管すれば人もついてくる、こういうことだと思うんです。ですから、これだけの法律、二十本とすれば、それだけを所管する、そのことを称して私なりに巨大な官庁と申し上げたんです。

 橋本行革は私は一定の評価をしたいという人間なんですが、さはさりながら、この場でも何度も申し上げましたけれども、いろいろ組織をいじったときのあつれきであるとか調整だとか、その内部調整にかかる霞が関の徒労感みたいなものを見てきているものですから、明確な効果もわからないのに、何でまたこんな継ぎはぎをするのかというのは、私は全く理解に苦しむ次第であります。

 地方は強化するという御答弁でありました。ぜひこの悲惨な状況を正していただきたい。まずそれをやってから中央のことを考えるのが筋だろうと思います。

 もう一つあわせて伺いたいんですが、地方と都市部の格差、地方と中央の消費者の格差でいえば、団体訴権が法律において今回認められているわけでありますが、認定された適格消費者団体というのは、基本的には大都市に集中しております。東京、大阪、京都、広島等でありますけれども、大きなところに、団体訴権が認められている適格消費者団体、わずか一けた台でありますけれども、そこだけである。

 地方の消費者はそういった意味からも置き去りにされるという懸念を持ちますが、この適格要件をある程度地方においては緩和するなりなんなりということも必要かと思いますが、いかがでしょうか。これは内閣府です。

堀田政府参考人 先生御案内のように、適格消費者団体というのは、差しとめ請求権という非常に強い権利を付与される存在でございます。この権利は消費者被害の未然防止、拡大防止のために適切に行使されるべきものであるというふうに考えております。

 したがいまして、認定要件ですけれども、そのような差しとめ請求権を付与されるにふさわしい団体は一体どういうものかといった観点から定められるべきでございまして、消費者契約法では、目的、活動実績、体制、業務規程、それから理事の事業者からの独立性、あるいは経理的な基礎といった認定要件を定めております。

 先生御指摘のように、現在のところ五団体ということでございますけれども、我々が聞いておるところによりますと、北海道とか青森とか、西でいいますと大分県とか、そういったところで適格消費者団体に関心を持っている団体がございます。したがいまして、施行されてから、去年の六月からまだ半年強ということで、今後、もう少し運用状況を見ながら判断していきたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ地方の団体にもそういった道が開くように、もちろん、それは不適格な団体を認めても仕方がないわけですけれども、ぜひ行政としてもそういう目で見ていただきたい、こう思うわけであります。

 最後の質問ですが、資料の二をごらんいただければと思うんですけれども、消費者の保護というのは極めて重要です。だけれども、同時に忘れてはいけないのは、私も消費者ですけれども、やはり消費者の自立を促すような、そういった制度なり工夫というのも大事だと思うんですね。

 この表は、電通総研が世界各国の機関と共同で実施した世界価値観調査二〇〇五ということですけれども、日本人のお上依存度はトップクラス、こういうことであります。国民皆が安心して暮らせるよう国はもっと責任を持つべきと考える人の割合は、ロシアに次いで世界二位、七一%。英国三〇%台、スウェーデン三三%と比べても非常に高い。このポイントは二〇〇〇年と比べて急増しているんですね。日本は六五%だったのがぐんと伸びて七一%になった、急速に日本人がお上依存になっているという調査なんですね。

 考えてみると、例えば暴れん坊将軍とか水戸黄門、遠山の金さん、大岡越前、時代劇のヒーローはみんな官であります。現代の官僚の方々はなかなか、いろいろイバラの道かもしれませんが、昔の時代劇の世界では、お役人が印籠を出して、ははあと、こういうことを見て国民はみんな、なるほどと言って留飲を下げている。悪い商売は何とか屋、民間を懲らしめる越前裁きが共感を受けるということから見ても、お上依存度は国民意識としてこのところ非常に高くなっている。不況だからという理由もあるでしょう。

 だけれども、大臣、やはり、こういう法律はこういう法律で大事だと思いますけれども、あわせて判断能力や情報収集能力に欠けてしまう立場の弱い方々に対しては、さまざまな形で、後見人制度をつくるとか、いろいろ切り分けて保護するということはあっていいと思います。情報の非対称性を補ってあげるというような制度は必要だと思うんですけれども、あわせて消費者の自立を促すような制度というのも今後より重要かと思います。

 ちょっと抽象的な質問で恐縮ですけれども、最後にこの点を聞いて終わりたいと思います。

甘利国務大臣 消費者は何も知らずとも、裸でいて、すべての被害から行政が守ってくれるとしたら、巨大な行政組織をつくらなければいけないですし、日本人が海外に行ったときにもろに標的にされるということになります。ですから、行政は行政としての消費者被害防止の策はきちっと講ずる、同時に、消費者も賢い消費者にならなければならない、自立した消費者にならなければならないということももう一方で考えなければならないことだというふうに思っております。

 消費者の自衛能力を高めるということも大事なことでありまして、この消費者と事業者との情報格差を埋めるためのいろいろな情報提供措置ということは行っておるわけでありますし、消費生活センターの相談員であるとか司法の専門家の助けを得ながら、消費者が自身でみずからの被害を回復することができるような環境整備、これも重要なことであるというふうに考えておるわけであります。

 今回の改正では、これまでのクーリングオフ制度に加えまして、いわゆる過量販売契約の解除制度を新設するとともに、虚偽の説明で結ばされた契約等に伴う個別クレジットに関しましては、既に消費者がクレジット業者に支払ってしまったいわゆる既払い金を取り戻すことのできる制度も新設したわけであります。民事ルールの導入ということで、行政がカバーして被害を減らすということと、それから消費者が自分自身でいろいろな手だてをとれるということとあわせて、消費者の自立と賢い消費者の育成に向けて環境整備をしていくというところでございます。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。

東委員長 以上で近藤洋介君の質疑は終わりました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、改正法案に入る前に、二、三ちょっとお尋ねをしておきたい点がございます。

 一点目は、中国の四川大地震からちょうどきょうで九日目になります。この間、国際緊急援助隊、昨日は医療チームが派遣をされ、いろいろな御活躍をなさっているようでありますし、きょうの報道でも、国際緊急援助隊、生存者の発見をするということには至らなかったようでありますが、その非常に整然とした中での行動が中国国内でも大きなプラスの評価を受けているという報道がございました。

 その中で、中国には我が国企業がたくさん、大企業、中小企業、現地で生産をし、また雇用という点でも中国の方々に仕事をしていただいて、いろいろな活動をなさっています。大臣、これは通告をしていないんですが、今把握している中で結構であります。邦人のいろいろな被害やこれからの復旧、さらにはいろいろな影響がこれから我が国自体にも出てくると思いますが、その点について、簡潔で結構ですから、御答弁をお願いしたいと思います。

甘利国務大臣 邦人に関する被害につきましては、個人と企業について、企業に関しては私ども、邦人に関しては外務省が情報収集に努めているところでありますが、重大な被害はないというふうに承知をいたしております。

 企業関係に関しましては、一部生産をとめたところもありますけれども、直ちに通常復旧をしているところがほとんどのようであります。

 それから、中国はレアメタルの生産地、日本はレアアースの九割を中国からの輸入に依存しているわけでありますので、その辺の深刻な被害があるかどうかも調査しているわけでありますけれども、被災地の四川省は、レアアースやアンチモンであるとかタングステン等についての生産の拠点ということでもないようでありますし、そうした鉱物資源の供給に支障を及ぼすというような影響も基本的にはないというふうに承知をいたしております。

 いずれにしても、関係する情報の収集に引き続き鋭意努めていきたいと思っております。

    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕

後藤(斎)委員 確かに、直接的には今大臣がお答えをいただいた部分だと思うんですが、ロンドンの金属取引所では、地震が発生してから、国際相場がその対象品目について上がっているという報道もございます。あわせて、四川では、中国の中でも豚を非常に生産している地域だというふうにお聞きをしておりまして、特に地震で七十九万頭の豚が死亡をして、これから、ただでさえその前の四月も、今中国、穀物価格も当然国際相場に連動して上がっているようでありますけれども、四月だけでも六〇%以上上がっていたものが多分さらに価格が上がっていく。そういう中国国内の要因が、いずれ我が国にも時間差を置いて多分影響してくるというふうに思うんですね。

 後でちょっとこれもお尋ねをしたいんですが、経産省が所管をしている金や石油とか、エネルギー関係ですね、そういう相場物も、いわゆるファンドの影響がいろいろ高いと言われていたもの、ある意味では、レアメタルは全部上場というか相場に乗っているものでもありませんけれども、そういうものは、やはり大臣が今まで資源外交という形でいろいろな御苦労をされてきた。当然、ストックやリサイクルという部分も合わせわざで、国内産業に影響がないような形でこれからももっと元気よくなってもらいたいということで大臣やってきたんです。

 それがやはり、あれだけ大きな資源大国であり、先ほど大臣が触れていただいたように、レアメタルの特にマンガン、亜鉛ということでは非常に生産量も大きいということ、あわせて、いずれ復旧するときに、今度集中的にやはり需要というものが出てくるといういろいろなことがこれから関連をしてくるので、この地震の問題、我が国だけの問題ではありませんけれども、いずれ時間差を置いていろいろな影響が出てくる。それをまた未然に防ぐというのが、大臣の責任を持ったお立場であるということをぜひ強く要望しておきたいと思います。

 もう一点なんですが、大臣、先般の十三日ですか、道路特定財源等に関する関係閣僚会議というメンバーにおなりになっている。なぜなのかなというふうに内閣府にいろいろお聞きをしたら、これは、三月の末の暫定税率が切れるかどうかというときに、ガソリン、軽油価格の問題について、このときは非公式というか、閣議了解はされていなかったようでありますけれども、この関係閣僚の中に大臣が入っていたという流れで入っていたというようなことの御説明を受けました。

 官房長官が十六日、先週金曜日のブリーフィングの中で、すべての関係大臣がこの道路の問題について御発言なさったということで、大臣の閣議後の記者会見の議事概要を拝見させていただいたんですが、大臣からは一言もお触れになっていなかったので、どんな内容をこの関係閣僚会議でお話しになられたのか、ちょっと御説明をお願いしたいと思います。

甘利国務大臣 会見でこちらから発表するほどの発言もしておりませんでしたので、あえて触れませんでした。

 私からはどういう発言をしたかといいますと、閣議決定の道路特定財源等に関する基本方針に基づいて、内閣の一員としてしっかり取り組んでまいりますという程度のことしか発言をしておりませんで、そのときの発言が表に出ても、別に特段びっくりするような内容ではなかったわけでございます。

 今後とも、与野党協議の動向も踏まえながら、基本方針がきちっと書いてありますから、この六項目の閣議決定された基本方針の具体化に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 三月の末に、四月一日から暫定税率が廃止になるかどうかという議論をこの委員会でもさせていただいたときに、大臣からは、ガソリンスタンドの皆さんにも影響のない形でやるという趣旨の御発言をなさったというふうに記憶をしています。これは、四月の、五月一日から復活するかどうかというときにも同趣旨のお話でありました。

 この一カ月半以上の道路特定財源、暫定税率にかかわる問題をガソリン、軽油で議論した際、私たちがいわゆる戻し税みたいな提言をして、それは一顧だにされなかったんですが、検討はしていただいて結論は出なかったんですが、やはりまだガソリンスタンドの皆さんは結構困っていらっしゃるわけですね。ゴールデンウイークの一番需要期に、その前にはたくさん売れたようでありますけれども、それ以降ガソリンスタンドは非常に閑散としている。セルフにしようと思っても、設備投資、なかなか銀行もお金を貸してくれない。

 そういう中での議論というのは、多分この関係閣僚会議でも、大臣の方からいろいろこれから御発言をしていかなければいけないし、また受益と負担ということで、特定財源であったからこそ、暫定税率を維持していていいという今までの基本方針というのが政府全体であったはずなんですね。それが来年度からそうではなくなるという閣議決定を、先ほど大臣が御発言したように、五月十三日にしたのは事実ですし、これは拝見はさせていただいております。大臣も積極的にこれから関係をしていく部分があるというふうに思うんですが、その部分について、大臣の今のお気持ちについて少し御披露していただけないでしょうか。

甘利国務大臣 五月十三日の道路特定財源等に関する基本方針の閣議決定を受けて、五月十六日に第一回道路特定財源等に関する関係閣僚会議というのが開催されたわけであります。極めて短い時間でありました。

 ここでは、この六項目の基本方針に関して、それぞれの関係閣僚からの発言があったわけであります。要するに、道路特定財源を抜本的に改正していくということに関して、具体的にどうするという項目が六項目書いてあるわけであります。この方針に従って、私どもは、スムーズにこの閣議決定要旨が具体化していくように取り組んでいきますという決意をそれぞれが表明したわけであります。

 ガソリンスタンドの問題は、この六項目の直接の、これは予算をこれからどう使っていくかということが主でありますが、先般の事案に関しての混乱については、直接発言をすべき場ではなかったわけでありますので発言はしておりませんが、別の閣僚懇の場で、混乱を最小限にするための措置についての私どもの考え方については述べさせていただきました。

 戻し税論議も、民主党を初め我が党の中でもそういう主張もありましたし、そういう御要請も受けたことがございます。あらゆる要請案件について検討はしてみました。その結果、先般とったような措置に落ちついたわけであります。これは、経済産業省だけではなくて、財務省との協議等も通じましてああいう結論に至ったわけであります。

 基金で対応をする、スタンド対策はそれが主でありましたけれども、それで実態を見て、現状の枠で対処できない場合には、何らか積み増すような方法も含めて検討するということを追加で発表したわけであります。

 その後、混乱が、あるいは被害が、影響がどうであったかということを今調査しておりまして、従来の枠組みで足りるものかあるいは足りないものか、もし足りないものであるならば、先般追加策として申し上げたように対処していきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、最後におっしゃっていただいたように、この五月十三日の閣議決定でも五番目の項目で、確かに、国の政策決定の大きな変化の中で地方税収が一カ月減収したというのは事実であります。逆に言えば、ガソリンスタンドの方々も同じような形で、国の政策決定の変更で大きな影響を受けたこともあるので、今大臣がおっしゃったように、きちっとした精査をしていただきながら、頑張っているガソリンスタンドの経営者の方々に悪影響がないように、ぜひ御配慮をお願いしたいと思います。

 たまたまこの委員会でも、いわゆるファンド資金、投機的資金が穀物価格やガソリン国際相場を上げているということで、きのうもいろいろ経産省の方々とお話をしたら、白書も最終的に整理をしておって、九十ドルベースだと、大体六十ドルが実勢で、記憶が間違いなければ三十ドルがいわゆる投機的な部分だというふうなお話もお聞きをして、大体三割かなと。きょう、百二十九ドルくらいになっていますから、三分の一、四十ドルくらいがそういう影響があるのかどうか、ちょっと分析は十分ではありませんが。

 やはり国際エネルギー、特に石油ということに限定しても結構なんですが、いわゆるファンドの資金が相場上昇に影響を与えているのは、大臣もこの委員会でもイエスということでお話をされています。ただし、国際協調をしてファンドの投機的な資金が全くなくなればいいということはなかなか今の世の中できませんから、それをどうきちっとした形で適正な部分にしていくかということが必要だと思うんですね。

 せんだって、アメリカでは議会で、商品先物取引の規制強化、相場操縦の部分で罰金の上限を十倍、現行十万ドルということが百万ドルまで引き上げて、相場操縦の部分について規制を強化する、それによってヘッジファンドの抑制をしていこうという意思のようであります。

 私どもの日本でも、商品取引所法という部分で、これは農水省との共管の部分も物によって当然ありますけれども、その中でも相場操縦の部分については、現行では商品取引所法の百十六条、相場操縦をすると五年以下の懲役または五百万円以下の罰金ということが規定をされているようであります。

 やはり我が国でも、投機的な資金の行き過ぎた部分を、規制という表現が正しいかどうか、抑制というのか適正というのか、適正なのかもしれませんけれども、米国議会と同じようなことも政府としても考えていく必要性があるのかなと。

 もう百三十ドル目前ということ、これを冷やすには、本当に消費国、これはOPECも含めた生産国にも、やはり従来以上にきちっとした意思を伝え、いずれ、大臣がいつもお答えになっているように、省エネということで、できるだけ石油を使わない、脱石油社会に産業構造もしていかなきゃいけないということはわかるんですが、短期的、今できる措置として、商品取引所法の相場操縦の部分の罰則強化ということも、きちっとやはり政府の中でも検討していただきたいと思うんですが、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 ファンドに対する規制を語りますときに、不正に対しては厳罰に処すということは、これは何はばかることなくできるわけでありますから、アメリカも相場操縦という不正については厳罰に処すということであります。

 我が国も、商品取引所法において、相場操縦等の不正な取引を禁止して、これに罰則を科すということはしておるわけであります。ただ、非常に難しいのは、不正な行為でない、単にファンドの投機行動について一部情報開示をせよというような話はあるわけでありますが、これを世界共通のルールで、ある程度制御をするということがなかなか難しいという現実問題はあるわけであります。

 商品取引所法についてさらに、どういう不正に対して罰則を強化するか、あるいは商品取引所自身のあり方についてどうあるべきか。国際競争力のある、そして信頼性が高い市場の構築を目指していくということでありますが、これは商品取引所分科会等の場で多面的に検討を進めているところであります。その際に、市場の情報開示、先ほど申し上げましたけれども、不正な取引の監視等についても、議論の一つとして検討が行われていくものと考えております。

 今、市場に向かう投機資金というのは三百兆と言われていますけれども、オイルマネー等の増大を見越すと、五年以内にこれが一千兆円になる。要は、資金は豊富にありますけれども、向かう先が本当に限定されている。投資の場が充実をしていかないということで、特定の取引市場に向かうということでありまして、それが経済活動に適正に反映をされていくという形であるならばいいんでありますけれども、単に投機が投機を呼ぶということになりますと、石油の先物市場が現物価格をリードするという現状のようなものが別の市場でも発生してしまう。

 特に、CO2の排出権を取引するというような市場ができた場合に、世界を流れる膨大な資金をどううまい流れにしていくのかということが大事だと思います。一つ間違いますと、それこそ六年で六倍に上がった原油価格のように、数年で何倍にもなって、予見性がないようなCO2の取引相場になってしまう。これは、企業としては、経費として計上する見通しが全く立たなくなるおそれがある。企業経営の見通しが立たなくなるというおそれもありますから、そういう点で、市場とファンドとの関係がよりよい関係になるために、世界じゅうにどういう知恵があるかということは、これからいろいろ考えていかなければならない課題だというふうに思っております。

後藤(斎)委員 では、法律の中身に入りたいと思います。

 今回、先ほど近藤委員からもお話がありましたように、大改正ということで法律の中身も非常に盛りだくさんでありますけれども、大きく変化をしたものは、ある意味では、今までの部分が限定列挙方式から、今回の法改正で原則適用方式、何でも網をかぶせるよという形だというふうに承知をしています。

 ただし、そのときに、飲食店、マッサージのキャッチセールス、生鮮食料品、葬儀などを一部除くということが規定をされていますが、この抜くものの、ある意味ではガイドラインというか基準を、どういうふうにこれから整理をきちっとしていくかということが大変必要だというふうに思っています。特に生鮮食料品というのは、どれが生鮮食料品なのかというのは定義によっても、賞味期限があれば生鮮なのかどうかということも含めて、これから農水省と連携しながら詰めていくという話をお聞きしていますが、その辺のガイドラインというか基準についてどのようにお考えなのか、経産省の方にお尋ねをしたいと思います。

寺坂政府参考人 指定商品制、指定役務制から原則適用方式に転換するということに伴いまして、クーリングオフの規定など、これにつきましてはただいま幾つか例示がございましたが、取引における消費者の利便性を損なったり、現在健全な事業を営んでいる事業者に大きな事務的な、結果的に経済的な御負担をかけたり、そういうおそれがあるために、部分的な適用除外措置を講ずる必要があると考えておるところでございます。

 その場合のガイドラインの決め方、何を適用除外にしていくのかといったようなことにつきましては、先ほど訪問販売の関係でもございましたけれども、事業者の方の取引の実態、それから関係省庁の御意見、一方で消費者のサイドの御意見、さらには学識経験者等々、ある種第三者的な立場でごらんになっておられる方々、いろいろな方々の御意見を伺いながら、混乱の生じない、悪質業者をどう排除していくのかという観点からのガイドラインの検討をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

後藤(斎)委員 確かに、これから時間をかけて詰めていく部分なのかもしれませんが、もう一点ちょっとお尋ねをしたいんです。

 私、実は時々通販で物を買うんですが、これは三千円なのか五千円なのかという基準、安いものについてもクーリングオフの適用除外になりますね。実は、三千円くらいのものだと、例えば一週間だけだと千八百円ですよと、ついつい申し込んじゃって、なかなか効果もないしすぐやめちゃうんですけれども、また終わるころになると大体送りつけてくるというか来るんですよね。

 基本的には、今回の法改正でも通販の返品については、返還費用、要するに返品にかかるコストは原則として消費者負担ということですから、どちらの方が高いかということで、そのバランスが、例えば返品費用、コストの方が高ければ、そのまま置いておいて、飲みたくないけれども飲んじゃおうとか、食べたくなくても食べちゃおうとかいうのが出てくるのではないか。

 今、ちょっと審議官にお聞きをしたように、要するに今度部分適用除外という形にしたのとあわせて、金額によってクーリングオフの適用かどうかというのは変わりますよね。そこの返品のコストを、例えば通販の場合は消費者サイド、要するに自己負担で返さなきゃいけないというコストとのバランスというものもやはり考えて、議論をしていただかなきゃいけないと思うんですが、その点についてはどんなお考えを持っていますでしょうか。

寺坂政府参考人 クーリングオフの適用除外と申しますか、部分的な適用除外の一つの類型として、金額基準として三千円以下というものがあるのは御指摘のとおりでございます。

 これは、消費者被害と申しましょうか、被害の程度それから取引の実態、そういったものも考えて三千円という一種の基準を設けているわけでございます。

 返品の費用とのバランス、あるいは事業者がそういったことを悪用するといいますか、そういった事例というのは恐らく具体的にあるものとは思いますけれども、金額の方はまさに金額で適用除外ということで、午前中から幾つか例示で挙げているようなものにつきましては、これはこれでまさに取引の対象の物というようなことで、部分的な適用除外というふうに整理をしているものと考えてございます。

後藤(斎)委員 審議官、今ちょっと私がお話をしたように、この三千円の部分に上手に、それ以下とか、例えば一週間は申し込むとその半額ですよ、過ぎると三千円ですよとか、そこの基準を数字的に設ければ設けるほど、それを上手に、悪い言葉で言えば悪用、いい言葉で言えば非常に賢く、やはり買ってもらうように、購入するインセンティブを働かせるような形にすると思うんです。

 例えば、これは非常に問題になって今回の法改正でかなり厳しくなる、要するにクレジットの個別審査なのか、包括審査で、事前に銀行口座に幾らお金があって、ちゃんと定期収入があるかみたいなもので審査を受けた上で月々、上限が当然ありますけれども、クレジットカードを使うのかという部分と、大型の、例えば車を買うとか家のローンを契約するとか、いわゆる個別審査の部分でやられているものの方がこの何年かで非常に、特に高齢者を中心に悪い影響があったわけですよね。

 ですから、その部分では、これは質問通告を全然していないので申しわけないんですが、いわゆる個別審査のクレジット方式をすべて包括方式のクレジットカードのように、きちっとした会社からでないとクレジットは使えないよという、要するに個別クレジット方式というものをなくしてしまうということはできないんですか。

寺坂政府参考人 個別クレジット方式の取引形態というのは、カードを使う取引、包括クレジットと呼んでおりますけれども、そういったものとの比較で申し上げますと、金額の高いものについてクレジット利用がされるというケースが多いと理解をしています。自動車ローンとかそういったものが典型だと思ってございます。

 包括のクレジットカードの場合は、支払い能力との関係、与信審査、そういったものを経て利用の限度額というものを設けるのが通常でございます。

 したがって、その意味合いからいきますと、金額の高いものについてのクレジット取引、これは健全な取引という面では、消費者にとっても事業者にとっても非常に利便性の高いものでございますので、そういった意味で、個別クレジット取引そのものをなくしてしまうというのは、やはり利便性を損なうという問題があるのではないかというふうに考えております。

 そういう意味で、総合クレジット、包括クレジットと個別クレジットは、やはりおのずと性格の違うものではないかというふうに考えてございます。

 それからなお、先ほどクーリングオフの規定でちょっと誤解を与えるお答えをしたかもわかりませんけれども、先生が通信販売の関係での例示をなされました。

 通信販売そのものについてはそもそもクーリングオフの規定がございませんので、部分的な適用除外というのは、そういった意味では訪問販売とかそういったものに当たるものでございます。通信販売の場合は、先生も御指摘になりました、送料の負担をどうするか、そういう返品のルールの明確化を今回図ることにしたものでございます。失礼いたしました。

後藤(斎)委員 この委員会でも私は何度か、宝飾というか宝石関係のお話をさせていただきました。

 実は、今局長が言ったことと全然逆の話なんですが、宝石は今、特に山梨なんかは、ダイヤであるとか金であるとか色石であるとか、原料を海外から輸入して、それを加工して、東京の卸であるとか、卸屋さんが東京の小売店とか名古屋、大阪、そういうところに売るわけですね。

 それだけではなかなか十二分な利益が得られない場合も多いので、なおかつお客さんをもう少し広げようということで、経産省さんからも山梨の宝飾関係は協会として展示会の助成を受けてという部分で、クレジットの貸金業法も改正をされて非常に厳しくなっていて、報道によると、二割なのか三割なのかは別としても、この数年間でクレジットの与信審査を厳しくした。全体が、いや、クレジットはだめだよというふうな感じになってくる。

 その中にたまたま宝飾とか呉服みたいなものがあったらしいんですけれども、今マーケットの規模が、以前からお話ししているように非常に急速に小さくなっていまして、そういう中でどういうふうにしたらいいかというので私はいろいろなお話を聞いていく中で、健全な業者であればいいよと大臣や審議官たちがおっしゃっても、実際のクレジット会社、信販会社が、いやいや、宝石というのはこれからも将来性がないし、例えば過剰与信みたいなものの手口で一番ひっかかりやすい部分だみたいなイメージを持つと、やはりその審査ではねられる。例えば、それが三十万のものなのか五十万のものなのか、非常に高額で百万するのかというのは別としても、何十万単位だとほとんどはねられるケースがこの一年間非常にふえているんですね。

 先ほど大臣もおっしゃっていただいたように、規制を強化する部分はいいんです。ただ、それは、悪質な業者は取り締まる、そうでない業者には努力に応じた商売が、契約がきちっとできるというところまでいくかどうかというのは、今回の法改正がある意味では行き過ぎて、机上の空論では、いや、大丈夫だよ、審議官も課長も大臣もいいよと言っても、実際クレジット会社で最終的に判こを押すかどうかというときに、そうではないという意識が強いと、やはり消費者行政の方が大切だよね、やはり経産省からにらまれたくないよということになれば、萎縮してしまう。

 そこのバランスをどうするかというのが、実は山梨の地場産業の宝石という中でも非常に大きな課題なんです。その点について、大臣、今回の法改正と中小企業、そういう地場産業の育成というバランスをどのように考えていけばよろしいでしょうか。

    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕

甘利国務大臣 過剰与信にならないようにということは、対象商品によっての差別ではなくて、支払い能力をちゃんと査定して、それに基づいて与信を与えているかということだと思うんです。宝石だから与えない、布団だから与えるということではなくて、その人がそれの支払いをし得るだけの状況にあるかということをきちんと精査する必要があるし、それがちゃんとなされるような指導をしていくための法整備だというふうに考えております。

 地域における中小企業の振興については、我が省の第一義的な使命でありますし、今度三百十六カ所手が挙がったわけでありますが、地域力連携拠点を中心に、その地域周辺に散在する行政や民間の経営資源をフル稼働して、中小企業が持ち込むアイデアを具体的な形にしていく。そのための支援体制はもう既にとっておりますし、近々にもスタートをしますので、これを活用して対処していただくということでございます。

後藤(斎)委員 大臣がおっしゃっていることは非常によくわかりますし、そうあってほしいと思うんですが、実際テレビや新聞で、何とか山岡とかいろいろなところがそういう押しつけ販売みたいなことをした。最近でも報道で、カニの送りつけ販売みたいなことをやっていると。それも、電話一本入れて、甘利さんのお宅ですか、カニはお好きですか、はいと言ったら送ってくるみたいなことのようであります。

 それが実際あると、正直言って、今カニのイメージが非常に悪いんですよね。よく新聞の広告でも、カニや何かをいろいろな種類で一万円とか九千八百円とか、ちゃんとした業者さんがいるにもかかわらず、そういうふうに不届きな業者がいると、その業全体がやはり悪いイメージに見られてしまう。ひいては、それがクレジット会社で、いやいや、今社会的に問題になっているし、何かあったら嫌だなとやはり萎縮するのが普通ですよね。

 だから、僕は、先ほど審議官がおっしゃった解釈通達をどこまで細かくつくるのかわかりませんし、今度余り細かくし過ぎると、例えば、周知をする周知をすると言うじゃないですか。午前中、参考人の方にお話を直接聞けなかったんですが、例えば訪問販売協会であるとか消費者団体の皆さんであるとか、経産省、経産局、県、市町村、自治体の職員の方、そのくらいは、ある意味では非常に知識もあるし、多分今回の法改正でも、かなり細かいことや分厚いものでも、解釈通達を送ればそれはわかるかもしれません。

 ただ、四千万世帯以上の一億二千八百万人、今回の法改正の一番対象である高齢者、情報も少ない、そして体力的、精神的にも若い方よりもそうではない状況にある、そこに対するものをどうするかというのが前提にある中で、要するに周知徹底をするといっても、例えばパンフレットは二十円か三十円でできるかもしれませんが、それを四千万世帯に郵送したら何百億もかかっちゃいますし、回覧板で回せばそれでいいのかといってもまた違います。市町村の役場の受付によく置いてありますけれども、置けばいいというものでも多分ないでしょうし、よく役所が言う、インターネットに載っていますよと言えば済むものでもないでしょう。

 実際、どういうふうな困ったことがあったらということも含めて、今回の法改正の趣旨を一番末端であるすべての消費者の方々にどう伝えるか。そのための体制を、自治体も含めてどういうふうな体制にするかということが最後はやはり問われなければいけないと思うんです。

 私もこれを全部読ませてもらって、正直言って、すべて頭に一回で入らないんですよね。要するに、最近はよく、クーリングオフが何日かというのはグッズを買うと書いてありますから、それに従って送りつければ二度三度は来ませんけれども、先ほどお話ししたように、例えば健康食品みたいなものであれば、二週間で切れてしまえば、実際継続的にやはり来るんですよ。私、経験者ですから。多分、大臣も経験なさったことがあると思います。

 ということをすべての方にわからせた上でというよりも、むしろ私は、個別のクレジットを全部やめろということを別に言いたかったわけじゃないんです。やはり、少ない、業という営んでいる方の方を、経産省が法律に基づいてきちっと指導していく。すべての消費者の方が今回の法改正をわかって、おまえら、これを使えと言っても、そんなことは実際無理なんですよ。

 だから、その仕組みというのを、さっきの消費者庁の一元化というものも一つの行政課題かもしれませんけれども、そうではなくて、今生活をし、それを使って実際被害を受けるかもしれない。一方で、売るのを御商売になさっている人たちに、どう健全な形で、仕事をしてもうけて税金を納めてもらうか。見方によっては非常に矛盾をする点があるかもしれませんけれども、やはりそこを含めて経産省が、消費者行政と産業行政の両輪だというふうに大臣はいつもおっしゃっていますけれども、そのバランスをどうとるか。

 いつもは業の部分ですから対象者も少ないかもしれませんが、今回の法改正は一億二千八百万人の国民すべてだという中で、今回の法改正の趣旨をどんな形でわかりやすくきちっとお伝えするかということについて、時間がそろそろ来そうですから、大臣、最後にまとめて御決意のほどをお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 産業振興というものと消費者保護というものは、見方によっては相反する、対立するものという見方をする方もいらっしゃると思いますが、私どもの取り組みは、対立をしていくものではなくて、むしろ両者が密接に連携することによってその実効性を上げていくものだというふうに思っておりますし、消費者からの苦情がいい製品を育てていくというふうに考えておるわけであります。

 ただ、いずれにしても、法律による規制と事業者の自主的な取り組みというのは、相互にバランスよく講じていくことが重要だというふうに考えております。

 今回の法改正に当たりましては、経済産業省としては、適切な周知広報活動であるとかガイドラインによる規制内容の明確化等を通じて、消費者側と産業側双方にとってわかりやすい、不安のない消費者政策を展開するということを目指しておりまして、消費者保護と産業振興の密接な連携を達成する、これを通じてよりよい製品、よりよいサービスを提供者側も開発していくということに努められるようにしていきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、この両法は、基本的にはこの十年間でかなりの回数改正をいたしました。今回が大改正ということでありますけれども、先ほどの例えば三千円というルールであるとか適用除外をする業種が出てくるとか、そういうことで必ずまた来年か再来年改正をするのではなくて、大臣が最後にお答えをいただいたように、やはりきちっと、悪いやつは徹底的に排除をする、そうでないところはみたいなことでないと、変わった途端、周知をするためにいろいろな行政コストが広告宣伝で、必要な部分かもしれませんが、かかっているということは、今の時代には非常になじまないということを御提言だけしておいて、お答えは結構ですから、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終了しました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。最後になりましたが、よろしくお願い申し上げます。

 本題に入る前に、信用保証協会の話をちょっとさせていただきたいと思います。通告はさせていただいておりますが、先週の信用保証協会法の審議のときにやればよかったんですが、私の地元から聞いたお話であります。

 中小企業が信用保証協会の制度融資を受けた、二十年間ぐらいの融資である。当然、融資をしてもらった金融機関からも連帯保証というものは代表者がなった、そして信用保証協会の方でも保証したということになっておるんですが、これが途中で何らかの理由で代表者が代がわりをしたりすると、二十年間の長期融資ですから、ずっとオーナー企業じゃない限り、そこはいろいろ変動があり得るということを考えれば、そこで当然代表者もかわり得る。

 かわったんだけれども、金融機関の方は、当然もう一回保証審査というものはするけれども、ちゃんと保証審査さえ通れば保証人の変更というものはいいよと言ったんだけれども、一方で、地元は京都なんですが、保証協会に聞くと、そういうことはまかりならぬ、名義変更というか保証人の変更というのはだめだということを言われたというんです。

 これは、特に二十年間の制度融資ですから、代表者がかわったり保証人がかわるということは当然あり得る話だし、行政的というか法律的にもそういうのを想定すべきだというふうに思うんですが、これについて当局の方はどういうふうにお考えか、お聞きしたいと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 代表者が変更になった場合に保証人を変更するといったようなことがございましたときに、変更に応じている保証協会などにおきましても、新しい保証人の保証能力でございますとか、あるいは当該中小企業の直近の状況などにつきまして十分な審査を行った上で、変更の適否というものを判断しているというふうに承知をいたしております。

 御指摘のようなケースでございますけれども、こういった観点から、そういう委員御指摘のような実態を十分精査させていただきまして、中小企業者のニーズにできる限り対応するということといたしまして、画一的な運用ではなくて、きめ細かく対応していくように指導してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

北神委員 実態の調査をぜひお願いしたいと思います。

 きのう、部課の方からいろいろお話を伺って、当然、信用保証協会というのは地域によって非常に特色があると。例えば、東京の方では最近、割と柔軟にそういう保証人の変更というものを運用上やっている、京都の方はやや硬直的だという話も伺ったんです。

 画一的に全部一緒にするというのはなかなか難しいと思いますが、中小企業庁さんの方でこの法律を預かっていて、信用保証協会に対する監督権限も検査の権限もあるわけですから、何も個別の陳情についてこうしてくれとかそういう話でなくて、運用の基準というものをやはり柔軟にしていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。

 もう一点だけ、この点について。

 ちょっとこっちの推測ですが、昨年の十月ごろに、信用保証協会の保証率が一〇〇%から八〇%になった。この改正の趣旨はよくわかるんですが、要するに、京都の信用保証協会というのは保証人の変更については条件変更じゃない、東京の場合は条件変更で保証人をかえることはできる。でも、京都の場合は、条件変更じゃなくて借りかえをしないといけないということを言われたと。

 借りかえになると、当然、新規の融資の取り扱いになりますから、もしかしたら、信用保証協会が一〇〇%保証するんじゃなくて八〇%の保証で済んで、その方が自分たちも楽かなという発想もあるのかなという気もするし、それも勘ぐりで、単に面倒くさいからとか、そういう理由ではねつけているのかもしれません。

 いずれにせよ、そこはぜひ実態調査をして、またぜひ御報告をしていただければありがたいというふうに思います。

 それでは、本題の方に入りたいと思います。

 この法案は、もう皆さん質問の中でも大体評価をしていると思いますし、きょうの参考人も、今回の改正というものは非常に踏み込んだものであると。私が聞いているのでは、みんな大体評価をしていることだというふうに思います。

 きょうも何回も質疑に出てきた問題について、特に大臣の見解を伺いたいのは、消費者庁の、また消費者庁で恐縮なんですが、福田総理がうたっている消費者庁の問題について、考え方についてちょっと整理をしていきたいというふうに思います。

 この福田総理の話は、さっき近藤委員からありましたように、巨大な官庁をつくったからといって消費者保護が必ずしも徹底されないんだ、これはそのとおりだというふうに思います。

 まず、室長の方から、今特に私が問題にしたいのは、新聞の報道等によると、それぞれの既存の省庁から、消費者保護の部分だけ法律を引っぺがして、それを消費者庁の中に集中させるということでありますが、この点についての検討はどのような状況になっているのか、教えていただきたいと思います。

松山政府参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。

 消費者庁、仮称でございますけれども、ここがどういう法律を所管すべきかという議論が現状どうなっているかということでございますけれども、四月二十三日に開催されました第六回の消費者行政推進会議、こちらの方で、消費者庁が所管すべき法律に関しまして、福田総理の方から、消費者に身近な問題を取り扱う法律は消費者庁に移管することとし、その他の関連法についても、消費者庁が強い勧告権を持つ司令塔として関与できるようにするというようなお考えが示されたわけでございます。

 現在、政府部内で具体化のための議論を行っているところでございます。また、今後閣僚レベルでも御検討いただくということになろうかと思いますけれども、この消費者に身近な法律というのが具体的にどういうことかということにつきまして、今まさにいろいろな議論をさせていただいている、そういう状況でございます。

北神委員 つまり、私も余りこれは勉強していなかったので今知ったんですが、福田総理がもう初めから、そういう指示の中で、それぞれ消費者保護に関する権限というものを消費者庁に持ってくるようにという指示があったという今室長からのお話でありました。

 ここの部分について、いろいろ本当は議論があっていいと思うんですね。これは自民党の中の話なので、私らもとやかく言うつもりはないんですが、これがそもそも、本当に消費者保護にとっていいのかどうかという論点があると思うんですね。

 室長にもう一回お伺いしたいのは、福田総理は、そのように、要するに消費者庁に消費者保護に関する権限、恐らく監督権限とかを全部集中させるべきだというこの根底にある考え方というのはどういう、なぜこういう方法で消費者保護がより図れるのか。それについてのお考えが、福田総理のお考えだと思うんですが、わかれば教えていただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者行政推進会議でございますけれども、この会議は、二月の初めに設置が閣議決定されまして、二月十二日に第一回の会合を開きまして、先ほど申し上げました総理からの御発言、御指示がございましたのは四月二十三日の第六回ということで、この消費者行政推進会議での御議論も踏まえられて、総理がそういう方針をお示しになったということかと考えております。

 その背景にどういうお考えがあるのかということは、私も必ずしも直接そういう形で伺ったわけではございませんけれども、恐らく、消費者に身近な法律、これを今相談しているところでございますけれども、そういったものを消費者庁に集めていくということによりまして、例えば、幾つかの法律の間で責任関係が非常に難しいといいますか、ぽてんヒットになるようなケースというのもございます。

 そういう場合であっても、消費者庁がそういう部分について一括して権限を持っているという形になることによって、責任の所在と申しますか、消費者庁というのはそういう問題について必ず責任を持っているという意味で、責任の所在が明確化するといったようなこと。申し上げたことと関連しますが、漏れのない対応というのが可能になるのではないかというようなこと。それから、隣接分野とのルールの統一化というようなことで、幾つかの法律によって分かれている、区々にルールづくりが行われているような場合において、その統一化を進めていくことがやりやすいのではないか。

 そういった御議論がございまして、そうしたことも踏まえての御指示ということであろうかと考えております。

北神委員 六回目の議論の中で福田総理がそういう考えを出されたということですが、今話を聞いていると、独立の機関にそういう権限を持っていく二つの理由があって、一つは、責任の所在を明確化する。これは要するに、いろいろな各省庁に消費者保護が分かれていると、そのはざまに入るような問題というものにだれも責任をとらなくなるから、消費者庁に全部集めたら、願わくば、そういうところもちゃんと補ってくれるだろう、消費者保護に関するすべての監督責任を消費者庁に持っていくということが一つ。

 もう一つは、隣接分野。これから質問しようと思うんですが、いろいろな、商品先物みたいなものがある、一方ではデリバティブ商品みたいなものがあって、もちろん実物的な面もあるし金融先物的な面もあるから、先物的な面からいえば、同じようなルールに本当は処すべきだという考えがあるけれども、経済産業省、農水省と金融庁で分かれている、分かれていたらその統一的なルールがなされないということなんです。

 この二点については、そうかなというふうにも思います。一方で、別にわざわざつくらなくても、そういうはざまの部分についてはちゃんとどこかの省庁に責任を持たせて担当させたらいいと思うし、もう一つの統一的なルールの話も、この後また質問しますけれども、経済産業省、農水省と金融庁がちゃんと同じルールにしたらいいだけの話で、必ずしも、これで論理必然で消費者庁に持っていく必要はないというふうに私は思うんですね。

 これは室長に何かがたがた言っても気の毒だというふうに思いますが、私も前にこの委員会で議論させていただいたこともあるんですが、もう一つ、触れなかった理由として利益相反の問題がある。

 これは大臣もさっき後藤さんとの質疑の中で最後に触れられていましたが、要するに、産業育成を預かっている経済産業省が同時に消費者保護なんかできるのかと。当然、業界の肩を持つだろうから、例えばパロマでも瞬間湯沸かし器がこんな事故を引き起こしている、こういうことをできるだけ隠ぺいしたい、こういうものがばれたら、自分たちの業績が、ましてや社会の批判に当たって、彼らの信用も落ちて業績が落ちる。

 ですから、少なくとも短期的な視野、超短期的な視野でいけば、そういうものは隠ぺいした方が合理的だというふうに思う場合もあるし、それが合理的じゃないといっても、非合理的な人間は世の中にたくさんいるわけですから、必ずしも合理的に行動しない。こういうところでその利益相反というものが生じるから、産業育成のところから引き離して、ここは消費者保護と分離をすべきだ。こういう考えは出されたんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の今の御指摘の点でございますけれども、議論としては、確かにそういう議論は消費者行政推進会議にもございます。

 ただ他方で、もちろん、経済産業省を初めといたしまして、各産業所管のそれぞれの役所におきまして、その所管に係る消費者行政ということで、産業の振興だけではなしにと申しますか、むしろ消費者保護をきちんと行っていくことが当該産業の発展につながるんだという視点でもって、消費者行政にも非常に力を入れていただいている、そういう認識もございます。

 他方、消費者庁につきましても、消費者庁、仮称でございますけれども、それが消費者のことだけを考えてやるのがいいんだということでも必ずしもない。

 したがいまして、そのバランス、各省ももちろん両方考えておられる、消費者庁というものも恐らく両方考えるんですけれども、その最初に出てくる目的と申しますか、そういったところがおのずと違ってくる、そんなことかと思います。

 それから、先ほどの御質問に関連して、ちょっと補足させていただきますと、この新しい機関に委員御指摘のようにすべての権限を集めるという考え方で申し上げているわけでは必ずしもございませんで、消費者行政に関連する法律というのはたくさんあるわけでございます。そうした中で、特に消費者行政に非常に関係がある、そういうものについて、また法律によっては業行政的な、かなりそういう色彩の強い部分というのをあわせ持っている法律というのも当然ございますので、そうしたことも十分に見ながら調整をさせていただくという状況でございます。

北神委員 よくわからないんですね。室長も大変苦しい立場だというふうに思いますが、今言われたように、すべての消費者関連の権限を集めないのであれば、冒頭におっしゃられた、責任関係を明確化する話とか統一のルールを設けるということが崩れてしまうわけですから、そこを本当に目的にするのであれば、やはりこれは全部持ってこないと意味がないわけですよ。そこでまたつまみ食いをして、ところどころ何か違う省庁に行っているとか、そこに穴があくわけですから、冒頭おっしゃったような理由というものがもう崩れてしまう。

 利益相反についても、室長を責めているんじゃないですよ、室長は取りまとめ役で大変な板挟みに遭っているというふうに思いますが、利益相反についても、いや、そういう考えもあるし、やはり産業育成と消費者保護が一体となっている方がむしろ消費者保護に一生懸命になるから、その方がいいという、これは両論併記みたいになっているわけですが、そうであるならば、ますます既存の省庁からわざわざ権限を引っぺがす必要はないということになるんですよ。

 ですから、この辺が、要するにまだ議論しているということでよろしいんでしょうか。この辺について整理がなされていないような気がして、それは単にまだ検討中だからなのか、それとも本質的にみんな混乱をしているのか、そこについて、ちょっと伺いたいと思います。

松山政府参考人 ちょっと明快でなかったかもしれませんけれども、現在、私は内閣官房の立場でございますけれども、各省と具体的な御相談、調整と申しますか、やらせていただいている渦中であることは、そのとおりでございます。

 それで、総理の御指示の中にありますように、消費者に身近な法律、これの解釈につきまして、この法律は具体的に非常に身近な法律なのかどうかというところを特に今議論させていただいています。

 そういったところで、ゼロか一というものでは必ずしもなくて、大体、いろいろな法律、ゼロと一のどこかの間にあるわけでございますので、今、消費者に身近であるというところが非常に強い法律とそうでない法律、そういったものをいろいろ議論させていただいている、そういう状況でございます。

北神委員 でも、これは五月の末ですよね、結論を出されるのは。今月末ですよね、基本的に。そういうことで、きょうはもう二十一日ですか、それならもう一週間ぐらいしかない。それでもまだこんなに考え方が、矛盾というか両論併記の状態だということは、どうされるのかなというふうに思うんです。

 要は、私も正直わからないんですよ。この問題は、正解というものがなかなか見出せないから難しいんだと思うんです。

 そこで大臣に伺いたいのは、今の話ではよくわからないんですけれども、恐らく、利益相反というものが根底にあって、それでわざわざ各省庁から法律を引っぺがすということになって、総理の言う、消費者に身近なというのは、ほとんど意味がわからないんですね。消費者保護に関連する法律であればわかりますけれども、消費者に身近なというと、かなり範囲が広くなって、何がどういう基準なのかよくわからないのが正直なところです。

 そこはもう、消費者保護に関係する権限を各省庁から集めるということについて、いろいろ話がありましたが、恐らく、根本の理由というのは、私は察するに、あるいはみんな無意識に思っているのは、利益相反の問題だというふうに思うんですが、そこについて、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

甘利国務大臣 消費者の利害と生産者の利害はぶつかるものだという考え方は、私は、どうなのかと思います。消費者の信頼を得ない生産者は淘汰されていきます。それが市場の原理であります。消費者の信頼をかち得たものが製品の力になるわけであります。特に、日本は安全文化に厳しい国でありますから、ここをなおざりにした事業者は生き残っていけないと思います。最初から消費者をだまそうとしている事業者は別でありまして、これは排除していかなきゃいけないのであります。

 きのうでしたか、参議院の経済産業委員会で、原子力の商業炉と研究炉の現場でどっちが緊張感があるかというような議論が若干出たことがあります。実は、商業炉でいえば、何か一つ間違ったことがあれば、運転が停止になるわけでありますし、会社がつぶれかねないわけであります。ですから、消費者と接触をしているところについてはより緊張感が高いわけなんでありますね。

 それをちゃんととらえなければいけないと思うんです。消費者と生産者が対立する構図ではなくて、相互に好循環でいい商品、サービスを提供していくという関係が成り立っていかないといいものができないんだと思うんです。そこで政府も、単に屋上屋を重ねるとかあるいは巨大官庁をつくるなんということは毛頭考えていないと思いますし、そういう考えは国民に支持をされないと思うのであります。

 そこで、どう整理をするかという問題が残るのは、例えば、技術というものがわからないと規制はできないんですね。製品安全等について言えば、技術がわからないところに規制はできないわけですね。それから、原課で接触していないと指導はできないわけですよね。ですから、そこのところをどういうふうに図っていくか。

 消費者の安全、安心に係る情報を一元的に収集して、それをかかわるものがみんな共有するということは大事ですし、消費者の安全、安心に対してきちんと施策が迅速に打てるという体制をとることが大事なんでありまして、そういう視点からどうあるべきかということを考えていくということだと思うんです。

 消費者の安全、安心に係る法律を全部集めて、それに対して全部原課を集めるということになりますと、まさに巨大官庁ができ上がってしまうわけでありますし、巨大官庁をつくるわけでない、屋上屋を重ねるわけでない。その上で、消費者の安全、安心情報がきちんと一元的に集まり、共有でき、対策が迅速に打てるというあり方はどうあるべきか。

 ITの時代でありますから、いろいろ情報を共有し、いろいろな指示、指導するというやり方にもいろいろ効率的な方法はとれるんだと思います。そこで、関係者が知恵を集めるということが大事だというふうに思っております。

北神委員 大臣のおっしゃったことはよくわかりました。経済産業省に監督権限を残す理由、監督権限というか消費者安全に関する権限を残す理由として、まず一つは、利益相反というのはない方がいい、生産者も消費者も一緒で消費者の信用を得られないと企業も発展しないし利益も得られないということで、もう一つは、技術がわからないと製品安全も図れないとか、現場がわからないと指導もできない。この点については、一種、消費者保護を実際に実行するときの効率論というか効果論の話だと思うんですね。この二点が多分あるというふうに思います。

 最初の利益相反というのは、これはなかなか難しくて、大臣がおっしゃることは一つの理想だと思いますし、経営哲学としてはそういう考えというのはよくわかるんですが、さっき申し上げたように、実際、みんな人間というのは、そういう哲学を必ずしも持っていない人たちもいるし、持っていたとしても、一瞬のパニックの状態で非常に非合理的な行動をとってしまう。だから、こういう意味では、どうしてもそういうところに魔が差すというか、そういうところで結局利益相反というのは生じるという可能性はやはり否めない。したがって、米国とか英国とかを見ていると、やはり独立した消費者監視機能を持った官庁というものがあるというふうに思うんですね。

 ただ、後者の効果論、効率論は、これはもう反論の余地がない。やはり現場を知っている方が、実際に消費者保護を貫徹するための指導をするとかそういうときには、やはり現場を持っていた方が全然強い。遠いところにいて独立しているとなかなか実態がわからなくて、特に、法律なんかを所管することになると、当然、法律改正とかもしないといけない。そうしたら、経済産業省さんに一々合い議というか折衝して、どうですか、現場はこれでいけますかとか、いろいろ、本当に逐一やるのであれば別でしょうけれども、そんなことをやっていたら、そもそも引き離す理由というものがないということになってしまう。

 そういう意味で、利益相反の部分は残るけれども、効率論からいえば、やはり権限は現場の官庁に持たせた方がいいというふうに私も思います。

 もう一つあるのは、これは形而上学的な話で申しわけないんですけれども、要は、現場を持っている官庁の方が言うことを聞かせられるんだ。あめとむちを使って、いろいろ指導とかして、いろいろな嫌がらせとかも含めてやって、ちょっとおまえ、本当に言うことを聞かないとひどい目に遭うぞと。それが、何か消費者庁みたいな新興の役所がとやかく言っても、適当にあしらっていたらいいやというようなことにもなりかねない。

 それも効率論の方に入ると思うんですが、この点については、私は、今の自由化の流れの中で、基本的には事前規制というのはやめて、できるだけルールというものを透明化、精緻化して、それを事後規制できっちり監視して、問題があれば罰則をかけるという、今本当はその流れのはずですから、そういう意味では、余りその面を強調すべきではないし、むしろ、はしの上げおろしみたいなことを事前にやるということはやはり問題になる。

 そういうことでいけば、室長、これもぜひ議論に反映していただきたいのは、利益相反の話は、そういうことでなかなか難しい、でも、効率論とか効果でいけば、やはり現場の監督が持っている方がいい、こういう議論はなされたことはあるんですか、今までの議論の中で。

松山政府参考人 ただいまの御指摘でございますけれども、消費者行政推進会議の現場では、具体的にそのような御議論まではなされておりませんが、委員の間で非公式の会合も持たせていただいていますので、そういうところでは、御指摘のような点についても、こういったところはメリット、デメリットの対比からいってどうなのかというような議論は当然ございます。

北神委員 事務局としては当然その議論の整理をするわけですよね。そうしたら、メリット、デメリットとかいろいろ出すわけですよね。そのときに、やはりこういう論点も入れるべきじゃないですか。

松山政府参考人 御指摘のような点も、委員のまさにさまざまな御議論、そうしたものも踏まえながら、それから先ほど御紹介をいたしました総理の御指示も踏まえながら、各省庁と御相談をさせていただく案と申しましょうか、そういったものをだんだん具体化していっている、そういう状況でございます。

北神委員 そういう中で、大臣に伺いたいのは、さっき私も簡単にメリット、デメリットと言ったけれども、福田総理はもう既に方針を出しちゃっている。そこを、解釈によって骨抜きにできるのかどうかわかりませんが、消費者に身近な法律を全部、全部というかかなりの部分、大事な部分を持っていく。だから、経済産業省でいえば、きょう審議されている法案とか、こういうものも全部持っていかれることになるし、消費者安全製品法ですか、ちょっと名前を忘れましたけれども、そういうものも全部。これは消費者保護には物すごく根幹的な法律ばかりだと思うんですよ、経済産業省が持っているのは。

 役所の権限争いは、こんな話は別に私はどうでもいいと思っているんですが、そこで果たして本当に消費者庁が、現場感覚、当面はみんな、恐らく大量異動するわけですよ、植民地化するわけですよ。長年の霞が関の省庁のその攻防を見ていると、大体そういうパターンになっているわけですよ。新しい省庁をつくっても、みんなどうせ経産省の一部の人たちが行って植民地化する。それを防ぐために、金融庁みたいに片道切符で、もう帰ってきちゃだめだよということにすることも一つの案だと思いますが、そういうことになる。同じ人たちが単に何か看板をかえて、建物をかえるだけで、ほとんどその意味が私にはわからないわけですね。

 そういう中で、大臣は非常に苦しい立場だと思うんですが、これから閣僚級の議論をされるという話が今室長からもありましたが、総理大臣のおっしゃっていることは、なかなか、真っ向から大臣の考え方と矛盾すると思うんですよ。彼は、総理大臣は、そういう権限を全部引っぺがしてやるべきだ、福田総理はどこまで詳細に考えているのかわかりませんが、恐らくその方が消費者保護を図れると。大臣は、いやいや、ちゃんと現場を知っているそれぞれの役所がやった方が、ずっとそれは消費者のためのことを実行できるんだと。この辺は、やはり相当考え方に隔たりがあると言わざるを得ない。

 こういう中で大臣としてはどういうふうに対応されるのか、ぜひ伺いたいと思います。

甘利国務大臣 今、事務的に細かい詰めをやっているところでありまして、大臣折衝に上がってくる項目が何であるのか、まだ詰め切れないという状況であります。

 消費者の安全、安心を確立していく、そのために今回の法改正をやっているわけでありますけれども、その目的がより効率的に迅速に的確に実行できるというその体制であるならば、私はどんな体制でも賛成はいたします。反対はいたしません。省益があるから云々ということは考えておりません。ただ、でき上がったものがかえって消費者にとって不都合になった、新聞の字面は、ニュースの字面は、ワイドショーの字面はいいけれども、実効性が上がらなかったということになっては困るんだと考えているのであります。

 ですから、消費者の保護、消費者の安全に向けて極めて効果を発揮するために、それぞれの所管官庁と消費者庁とのどういう役割分担がいいか、機能分化がいいか、あるいは連携をとる、あるいは共管するとか、いろいろな手法を効率よく組み合わせて最少の費用で最大の効果が上がるということを求めていきたいと思っておりますし、そういう視点からのみ大臣折衝があれば議論をしたいと思っております。

北神委員 細部の議論を詰めている段階だと言われますけれども、やはり大方針のところで相当隔たりがあるので、そこを私も決して閣僚不一致とかそういうしようもないことを言うつもりはないんですが、そこは本当におっしゃるように、やはり消費者保護にとってどっちがいいのかという議論を堂々と正面切ってやっていただきたいというふうに思います。

 それと、民主党も実はこういう案を今検討中でありまして、民主党の案は、まだ完全に決まっていないし、私も詳細わかりませんが、大枠からいえば、それぞれの既存の役所には法律とか権限はそのまま残す。そこは効果論、効率論をクリアする。一方で利益相反の部分がやはり問題があるので、そこについては独立の、役所か何かわかりませんが、そこで消費者情報というものを集めて勧告をする、そこで利益相反の問題をできるだけ解決する。

 そこで、勧告だけじゃ実効力がないとか、そういう問題がいろいろあると思いますが、そこはいろいろ方法があると思うんですね。最後には訴訟する権限を与えるとか、あるいは、公表したらやはり役所も動かざるを得ない、企業も従わざるを得ない、そういう情報公開を通じてやるとか、手段はいろいろあると思うんです。

 基本的にこの方が、さっき言った利益相反の問題と効率論、効果論の問題、両方を一番クリアできるんじゃないかというふうに思って、大臣のさっきの答弁でも、割と最後の方、消費者情報の話をされていましたので、恐らくその辺は同じなのかなというふうに思うんです。

 別に民主党の案に賛成、反対じゃなくて、今私が申し上げたような考え方についてはどういうふうにお考えか、伺いたいと思います。

甘利国務大臣 なぜ総理が消費者庁をつくるという、いわば一つの危機感を持たれたかといいますと、所管がはっきりしなくて中間点に落ちたぽてんヒットみたいなものはどうするんだということ、もたらされた情報に対して迅速に対処できない部分があるとしたらどうするんだということと、それから情報の共有がちゃんとできているか。

 それぞれ関連する情報がありますけれども、国民生活センター、この委員会でも議論になりまして、私から当時の高市大臣に強く申し入れしましたけれども、それぞれIT技術で結んで各省で情報の共有ができるようにする。どこか一つが握っちゃっていて外へ出さないというんじゃなくて、関係する情報は全部の所管庁で瞬時に共有できるというPIO―NETとの接続、これはできたわけであります。

 情報を一元的に把握し、共有し、迅速に対処策が打てる、このためにどうするかということが大事でありまして、今の先生のお話は、私も詳細に伺っているわけではないので軽々な返答はできませんけれども、お考えの一つかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、できるだけ最少の費用で、国民負担がないようにして効果が上がるように、それから、今まで指摘されていた不備、総理の危惧が排除できるように知恵を絞って協議をしていきたいというふうに思っております。

北神委員 ありがとうございます。

 室長も大変だと思いますが、やはりまとめ役ですから、その辺は少なくともいろいろな議論ができるように整理はしていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間が早いんですが、もう質問を終わりたいというふうに思います。ありがとうございます。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十三日金曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十八分散会


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