衆議院

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第2号 平成20年11月14日(金曜日)

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平成二十年十一月十四日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 忠彦君    江渡 聡徳君

      遠藤 宣彦君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      新藤 義孝君    平  将明君

      谷畑  孝君    土井 真樹君

      中野  清君    長島 忠美君

      橋本  岳君    林  幹雄君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山本 明彦君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      田村 謙治君    牧  義夫君

      松原  仁君    三谷 光男君

      横山 北斗君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            居戸 利明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 永長 正士君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            岡田 秀一君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          藤田 昌宏君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     薦田 康久君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 富由君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            城野  功君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     伊藤 忠彦君

  木挽  司君     遠藤 宣彦君

  高村 正彦君     江渡 聡徳君

  清水清一朗君     長島 忠美君

  太田 和美君     松原  仁君

  牧  義夫君     横山 北斗君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     小此木八郎君

  江渡 聡徳君     高村 正彦君

  遠藤 宣彦君     木挽  司君

  長島 忠美君     清水清一朗君

  松原  仁君     太田 和美君

  横山 北斗君     牧  義夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官梅溪健児君、金融庁総務企画局参事官居戸利明君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、資源エネルギー庁長官石田徹君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長薦田康久君、中小企業庁長官長谷川榮一君及び国土交通省大臣官房審議官小川富由君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は一般質疑の機会をいただきまして、委員長、そして理事の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 我が国の国政は、残念ながら、二代にわたって内閣総理大臣がその政権を投げ出した異常事態に陥ったわけでありますから、本来であれば、衆議院は国民の審判を仰いで、その上で、厳しい環境下にある我が国経済の立て直しについて国会として政策を決定するのが憲政の常道であろうか、こう思います。麻生首相は、残念ながら、こうした憲政の常道を無視されまして、まずは景気だ、こう主張をされております。

 そこで、本日は、麻生内閣の重要経済閣僚であられる二階経済産業大臣に、麻生内閣が進めようとされている景気対策なるものが果たして適切なのかどうかについて伺ってまいりたい、こう思います。

 私も、この八月以降、これは与党の先生方も同様かと思いますが、地元を歩き、丹念にさまざまな方々のお話を伺ってまいりました。共通しているのは、これはもう業種を問わず、建設業であれ農業であれ商業であれ製造業であれ、大変先行きが見えなくなった、厳しいということであります。特にこの十月以降、米国の金融危機、そして我が国の株価の下落、このことをきっかけに、一気に先行き不透明感が増している、こういうことだろうと思います。

 そこで、まず最初に大臣にお伺いしたいのですが、二階大臣は、我が国の景気、経済の状況について、足元の〇八年度の例えば実質経済成長率をどのように認識されておるのか。政府は七月時点での見通しというのを示されておりますけれども、もちろん、予算編成を控えて、十二月に正式に、今議論されている最中、こういうことは認識しておりますが、経済閣僚として、どのようにこの〇八年度の例えば実質経済成長率を認識されておられるのか、また、〇九年度の実質経済成長率の見通しについてどのように認識をされているのか、お答えいただきたいと思います。

二階国務大臣 我が国の経済は、御案内のように、米国発の金融不安の高まり、さらに米国、欧州における景気の下振れ懸念などから、まことに厳しい状況に置かれております。

 最近、日本銀行等が公表しました我が国の経済の見通しは、こうした厳しい状況をそのまま反映した極めて慎重なものとなっておることは承知をいたしております。

 〇八年度、〇九年度の具体的な成長率の見通しにつきましては、生活対策に係る補正予算、税制改正の内容に加えて、今後公表される経済指標等を踏まえて、本年末に、御承知のとおり経済対策閣僚会議が行われますので、その了承を得て、政府としてお示しする予定になっております。

 いずれにしましても、このような厳しい経済情勢であるときだからこそ、私たち経済産業省としては、生活対策、さらに新経済成長戦略、これを速やかに実行に移し、我が国の実体経済に活力を与えてまいりたいと考えておるものであります。

近藤(洋)委員 大臣もお触れになられたように、先般、日銀政策委員が見通しをそれぞれ出されております。

 委員長のお許しを得て、提出資料の一枚目をごらんいただければと思うんですが、そちらの方に日銀政策委員の大方の見通しというのを示させていただいております。

 実質GDP、二〇〇八年度、これは七月時点ではプラス一・二%を見ておったのが、現時点では〇・一からプラス〇・二、間をとってプラス〇・一と大幅に下がっておるわけであります。また、二〇〇九年度についても、七月時点は一・五だったものが〇・六、こういう形で大幅に下方修正されておるわけであります。

 基本的にこれは、二〇〇八年度、前半戦はそこそこ行ったのでしょうけれども、特に後半、十―十二そして一―三、ここが実質マイナスになるわけでありまして、ならすと〇・一ということですから、前半は若干プラスだとしても後半はマイナス、こういうことだろうと思うんですね。ですから、十―十二、一―三はマイナス、マイナスという四半期が続いて、そして来年の前半も基本的にはマイナス、四半期はマイナス、マイナスということであって、よくて二〇〇九年度の後半からようやくプラスに行くのかなというのが実態であって、今まさに大変厳しい状況になっている。

 ゼロ成長というか、マイナス成長もあり得るんじゃないか、こういう状況だと思いますし、来年度も、これはプラス〇・六、こういうことでありますけれども、これは、とりわけ中小企業の状況を見ると、とてもとてもプラスということは見通せないのではないか、こういう危機感を持っておるのですが、もう一度、そういった危機感というものについては共有しているということで、大臣、よろしいんでしょうか。

二階国務大臣 ただいま近藤議員から御意見を開陳されましたが、私も今の状況は極めて厳しいという認識を持っております。私ども、新経済成長戦略におきましても、今後、一五年までを想定しまして、年平均二・二%でずっと進んでいけばという経済の将来の展望を描いておるわけでありますが、今日は、今御指摘にありましたような極めて厳しい状況にあるということは、もう論ずるまでもない状況であります。

 しかし、私たちは、あくまでも我が国の経済を成長路線に引っ張っていくことこそ経済産業省の大きな役割でありますので、我々は粘り強く、イノベーションの活用や、あるいは今御指摘の中小企業の皆さんにも活力を与えるというために、いち早く保証枠の拡大等を決定して、今懸命に取り組んでおるところでありますが、保証業務もだんだん軌道に乗ってまいりまして、最近では随分多くの皆様が全国の各店舗においでをいただいております。昨日だけで保証は二百億を超えました。

 そういう状況もありますが、それは一方では、そうした大勢の皆さんがおいでになるということは、それほど厳しい状況であるということを物語っていると同時に、我々はそうしたことに対していち早く対応をしておるということにもなるわけですが、ぜひこの際、中小企業の皆さんにも頑張っていただいて、我々、今近藤議員が言われたような成長路線の方に向かっていく、まさに日はまた上るというところへ行くために何をすればいいか、何をしなければならないか、中小企業の皆さんや事業をやっておられる皆さんの立場に立って、しっかりした対応をしていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 大臣、やはり資金繰りというのは何よりも重要であるわけでありますから、この保証枠を拡大したということは時宜を得た政策だろうと思いますし、ぜひ大臣も、各経産局に指示を出されたという話を聞いておりますけれども、きちんと対応するように指示を出していただきたい、このように思うわけであります。

 また同時に、こういう非常に厳しい状況の中で、足元の止血措置というのは極めて重要、こういう認識を共通に持った上で、ただやはり、私、ここであえてどうしても指摘をしなきゃいかぬのは、あえて申し上げると、これまでの、この数年間続いてきた、いわゆる上げ潮系と言うと失礼になるかもしれませんが、小泉・竹中政策というのは、私なりに解釈をすると、とにかく企業の競争力を強化する、企業の競争力を強化して輸出をふやす、そして輸出をふやして企業の収益力を高める、企業の収益力を高めて、その結果として、その果実が中小企業なり賃金という形で反映されて成長率が高まるよ、こういうことだと思うんですね。成長力強化というのを主眼に置いてこられてきた。これは裏を返せば外需依存であって、国内民需というのはややわきに置いてこられた、こういうことだろうと思うんですね。

 お許しをいただいた資料の五枚目をちょっとごらんいただければ、このことが如実にあらわれているんですが、この五枚目の上の表でありますが、実質GDPの表の棒グラフ、それぞれの寄与度というのが出ております。実質GDPの成長への寄与度、〇七年から、上の白抜きの外需のところが非常に多くなっているわけです。その一方で、国内民需の比率が特にこの〇七年から急に減っている。これは、ある意味で小泉・竹中政策がここで結実したというふうに言ってもいいのかもしれませんが、これまでは国内民需というのが主だったものが、非常に外需の比率がぐっと大きくなってきているわけです。

 一方で、公的需要、すなわち公共事業ですね、これはずっとここのところマイナス、マイナス、マイナス、こういう形になっておる。これは公共事業を減らしてきているわけですから当然こうなるわけでありますが、要は、こういう外需依存の構造に明らかになったわけであります。これ自体は私は全面的に否定するつもりはありませんが、ポイントは、今、アメリカ発の経済危機で、この手法が完全に今度は通用しなくなったということだと思うんですね。

 アメリカも経済が低迷している。ヨーロッパもだめだ。そしてアジアも同時に厳しくなる。こうなると、完全に外需依存では無理だ、内需依存だ、こういう形に、内需依存に転換をしなければいけないということだろうと思うんです。

 同時に、そのことはすなわち、企業の競争力を高めるということを主眼に置いてきたこれまでの政策ではなくて、いわゆる経済学用語で言うと、私も素人ですが、いわゆるサプライサイド系ではなくて、需要をどうやってふやすんだ、国内の需要をどうやってふやすんですかという政策に思い切って変えないと、これはどう考えたって、今の日本の経済の状況を脱することはできない。

 すなわち、これまでの上げ潮系の政策を基本的に、全面的に否定して、経済政策的にはですね、切りかえないと、この日本経済の局面を脱すことはできないと認識しておりますが、大臣はこの政策転換の必要性についてどのようにお考えですか。

二階国務大臣 昨今の我が国経済は、御案内のように、輸出関連産業を中心に極めて厳しい状況に置かれております。急激な円高の負の側面であります。このため、円高による原材料価格等の下落というメリットをまた一方に生かせるように、国際競争力を強化するとともに、内需を拡大することで持続的な成長を図るということは、御指摘のとおり重要なことであります。

 こうしたことから、経済産業省としては、サービス産業等、内需中心の産業の高付加価値化について努力をしてまいりたいと思っております。また、省エネ、新エネ関連の設備投資を促進すること、これも重要なテーマだと思っております。内需の拡大と低炭素社会の実現に取り組んでいく新しい道、方策を考えてまいりたいと思います。

 これらの取り組みを通じて、二十一世紀にふさわしい、中長期的な展望に立った産業構造の構築を目指してまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 大臣の御答弁、全くそのとおりだと思うんですね。

 問題は、二階大臣は恐らく閣僚の中でも、そういったことを御理解いただける感覚を持った方だ、こういうふうに思うわけですが、ただ一方で、そういう二階大臣の思いと、では、政府が今回というか、麻生総理が打ち出した生活対策ですかがそういった趣旨にどこまで沿っておるのかということだと思うんですね。

 この生活対策、私もいろいろ読みました。中も見ました。この中で、いろいろなことを書いておりますけれども、いわゆる一丁目一番地というか、この生活対策の中で麻生総理が、記者会見でもこれがと言って打ち出された政策は、いわゆる生活支援定額給付金であります。

 まず最初にお伺いしたいんですが、今、経済政策として、二階大臣が御答弁をいただいたように、日本の、我が国の持続的成長をしっかりとしたものにするために内需を広げなきゃいかぬという御発言でございましたけれども、この生活対策で、内閣府にお伺いしたいんですが、この政策を実現すれば、我が国の例えばGDP、潜在成長率二%、これがこの政策によって実際実現できるんですか。どのように試算をされてこれを打ち出されているのか、内閣府、お答えいただきたい。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の生活対策では、家計への緊急支援として、議員御指摘の総額二兆円を限度とする定額給付金、それから子育て応援特別手当等を支給するとともに、六十万人規模の雇用下支え強化を図ることといたしております。これらは、家計可処分所得の増加を通じて消費を下支えする効果が期待されます。

 また、住宅ローン減税の延長、拡充、容積率緩和などにより住宅投資の活性化を図るとともに、省エネ・新エネ設備投資減税、中小企業対策税制などにより設備投資を促進することといたしております。こうした施策は、新規の国内民間需要と雇用を生み出し、経済の体質を転換することにより、自律的な内需拡大に支えられた確実な経済成長の実現に資するものと考えております。

 この対策によりましてGDPをどれぐらい押し上げるかという御指摘でございましたが、さまざまな施策が盛り込まれておりますし、それぞれにつきましての予算措置あるいは税制等の具体的内容が現時点ではまだ決定されておりません。したがいまして、これらの対策の具体的な経済効果を現時点でお示しすることは難しいと考えております。

近藤(洋)委員 これは、二次補正を今国会で出す出さないという議論もありましたし、どうやら出さないようでありますけれども、ただ、総理があれだけ力を込めて発表されたものですから、この政策を実現すればこれぐらいの成長が見込まれるんだ程度のことはきちんと言わないと、憲政の常道を外してまでも、まずは景気だとおっしゃって出したものでしょうから、これは役所として当然、ある程度これぐらいの価値があるものなんだ、効果があるんだということをちゃんと国民に示さないと示しがつかぬのではないですか。全体でもう一度、計算できないということなんですか。計算できないということなのか。

 あと、せめて、では、二兆円ですか、この生活支援金でどれぐらいGDPを下支えして劇的に上げることができるのか、お答えいただきたいと思います。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の生活対策につきましては、税制措置を除きまして、国費で五兆円程度の規模になります。事業規模にいたしましては、二十六・九兆円の規模になるものと考えております。こういった施策によりまして、内需の拡大には効果があるものと考えております。

 御指摘の定額給付金のところでございますが、これは、二兆円を実施した場合の効果ということで、内閣府の方でマクロ計量モデルの乗数を用いて試算いたしますと、今後一年程度では実質GDPを〇・一%程度押し上げる効果があると試算いたしております。

近藤(洋)委員 全体の数字はわからぬ、ただ、この生活支援給付金、こちらでは〇・一%、こういうことですね。〇・一%というのは随分寂しい数字だな、こう思うんですね。

 私は、この二兆円の生活支援金、これはいろいろな議論があって、政府の中でもいまだに迷走をされて、いろいろな意見が出ているようでありますけれども、この辺からしてどうも、一体何物なんだろうという感想がぬぐえないんですけれども、これは私なりに解釈すると、実質的には一年限りの消費税の引き下げに等しいと思っているんですよ。

 要するに、二兆円というのは大体消費税一%分ですから、一年限りの消費税一%引き下げなんだろうと。高額所得は外すとかなんとか、いろいろな議論がありますけれども、これはなかなか、そう容易だとは思いませんので、ここは高額所得のことを法律的に外さない、全員が受け取れるという前提に立ちますと、基本的には、消費税の一%、今年度限りの引き下げに等しいことなんだろう、こう思います。

 ここは、ポイントは、消費税の一年限りの引き下げだとすると、経済政策的には、ここの問題は、麻生総理は何と三年後には消費税を増税するということをおっしゃっているんですね、その可能性をおっしゃっているわけです。消費税を増税、税としては上げるということを言っておきながら今一年下げる、これは非常にぶれている政策なんですね。政策的にぶれている、非常にぶれているんですね。

 こういうぶれというのは、はっきり言って、内需拡大、消費の拡大という観点からすると、逆に消費拡大にはつながらないんですね。さまざまな識者がもう既に出していますけれども、はっきり言って、この二兆円を還元されても、将来消費税が上がるということをアナウンスされた時点で消費の拡大効果にはつながらない、これは明らかなんですね。

 こういう政策のぶれ、消費税を一%下げて、また三年後には消費税を五%上げて、一〇%か何かわかりませんが、する、こういうことは逆に、経済政策的に、内需拡大という観点から考えると逆効果なんじゃないか、私はこう思うんですが、大臣、どのようにお考えですか。

二階国務大臣 生活対策における生活支援定額給付金については、先ほど来御答弁を申し上げているところでありますが、生活者の不安ということに対してきめ細かく対応していこうというものであって、対策に盛り込まれた雇用下支え強化等の施策とあわせて、消費の拡大につながっていくものと私は考えております。

 政府は、現在の厳しい経済情勢を踏まえて、先ほど来総理の方針についての御意見が開陳されましたが、日本経済は全治三年、この基本認識のもとに、当面は私どもは景気回復を最優先に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 世界経済が減速する中で、景気の先行きにはリスクも当然ありますが、経済産業省としては、生活対策やさきの新経済成長戦略二〇〇八を迅速かつ着実に実施することに取り組むことによって、実体経済の活力を高めて、できるだけ早い機会に日本経済を回復軌道に乗せるように取り組んでいきたいと考えております。

 なお、将来、委員御指摘にありましたように、消費税問題でありますが、消費税を上げる目的は、上げるとすればその目的は、国、地方を通じて持続可能な社会保障制度を構築して、国民の将来への安心を確かなものにすること、我々はそのところに焦点を当てて考えていかなくてはならないと思っております。

 ただ、私としては、麻生総理が述べられておりますように、大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上でということでありますが、私はまさに、経済状況をよく見きわめて判断すべきものであるというふうに考えておる次第であります。

近藤(洋)委員 大臣、せっかくの御答弁でありますけれども、私は、やはりこれは消費拡大にはつながらないんだと思うんですね。これは、大臣、消費税は下げたけれども、つながらないんです。なぜか。やはり三年後の消費税上げを言ってしまった時点で、これは完全に経済政策としてミスをしたんです。ミスをされたんですよ。そこは明らかにミスをされた。

 なぜならば、消費税を数年後に上げるということをおっしゃるのであれば、それはやはり社会保障を充実するためだ、こういうことだとは思うんです。これは、私どももその思いというのは理解できます。社会保障を充実するんだとするならば、二兆円をそういう形で還付するならば、むしろその二兆円を使って医療費の削減を穴埋めするだとか、社会保障費に使うんだったらばわかるんですよ。だけれども、一%だけ下げて、そして、あえて言います、一年限り、これは永続的に消費税をずっと下げ続けるのならいいんですよ、制度として。下げないで、一年だけ消費税をこうやって、そしてまた上げるというのは、私は、これは消費にとってマイナスでしかないのではないかということなんですね。

 ぜひ、これは、大臣、有権者の方に聞かれれば一番わかりますよ。そんなことではだまされないという有権者がいかに多いか、物を買うという人がどれだけおるかということですね。

 そういうことでするなら、もうちょっときちっとお考えをされたいと思いますし、もう一点、あえて言います。では、三年後に消費税を上げるというその経済状況というのは、あえて伺いますけれども、どういう状況だと大臣はお考えですか。どういう条件がそろえば日本経済は回復したというふうにおっしゃれるんですか。

二階国務大臣 日本経済の回復のための指数は何かといって、これだという指数があるわけではありませんが、全体的に、社会の状況、そしてそのときの雇用の問題あるいは経済情勢全体を見きわめて判断することになるわけでありますが、私は、三年後にそういう条件が整った場合という意味の総理の発言であって、三年後に必ず上げるということを約束したわけでも何でもないと思うんです。

 ですから、私どもは景気回復に全力を尽くしますが、それでも三年たってその状況が、国民の皆さんから見ても景気回復が成った、お互いに生活が幾らかはほのぼのした感じを持つことができるようになったという御判断がいただけるような状況でなければ、私は、消費税にそこで手をつけるというのには時期尚早ではないかというふうに思っております。

近藤(洋)委員 この議論は、それぞれの委員会、予算委員会等でも展開されるでしょうからまた、こう思いますが、私は、大臣、消費をふやすということ、そして内需をふやすということしか日本の経済の生き残る道はない、このように確信していますし、中小企業にとってもそれしかないと思っているわけです。ですから、そのための政策に資するものは何なのかという観点からずっときょう議論させていただいているんですね。今回の給付金はそのためにはプラスにならないと思っているから指摘をさせていただいている、こう思っています。

 二枚目の資料をごらんいただければと思うんですけれども、実際に可処分所得というのはずっと減り続けているわけです。これは本当に、これまでの竹中・小泉政策の中で可処分所得は減り続けているというのは統計的にも明らかであります。

 こういう状況の中で、大臣が経団連に対して賃上げを要請した、これ自体は、私は大変意味のあることだ、こう思います。ベースアップ、賃上げこそ、今本当に大事なことというか求められていることであります。そういう形で、福田総理が行かれて、そしてまた二階大臣が先般経団連側に賃上げの御要請をされたということ自体は、大変正しいといいますか意味のあることだと思います。

 しかし問題は、この生活対策にも、経済界に要請というのはこちらの文章にも書いていますけれども、具体的にどのように実行させる今後のプログラムをお持ちなのか、お答えいただけますでしょうか。

二階国務大臣 資源高の今日の背景と、そして一方家計への負担が大変高まっておる、そういう中で、何とか賃金の引き上げということを経団連のメンバーの皆様に御配慮願いたいという、これはあくまでも私どもは、希望といいますか、こうあってほしいということは申し上げられますが、賃上げそのものについては当然経営者側の、あるいはまた労働組合の皆さんとの話し合いの上でお決めになることですから、これ以上我々は立ち入ったことを申し上げることはできないわけでありますが、国際的な金融危機やそれに伴う世界経済の急速な悪化、このような状況の中で、政府として何ができるかということを真剣に考えながら、経済界の皆さんの御理解を得たいというふうに思っております。

 そして、ただいまの、おまえは御手洗会長を初めそういう方々のところへ行ってきたことはよかったけれどもその後はどうなっているんだ、こういうお尋ねであろうと思いますが、私は、機会あるごとに、経済界の皆様にも経済界の現在の実情というものも伺いつつお願いは続けておるわけでありますが、今後とも、経済界の皆様に対し、きょうのような御議論を踏まえて対処していきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 総理も行かれて要請をされ、そして担当大臣も行かれた、こういうことでありますから、やはりそれなりの決意を持って要請をされたんだろう、こう思います。

 大臣がおっしゃるとおり、それ以上法的に何ができるというわけでもないわけでありまして、ポイントはただ、大事なことなんだというメッセージを伝えられた、これ自体は私は大変いいことだと思います、評価をしたいと思いますが、だとすると、賃上げがしやすいような環境を、法整備も含めてさまざまな条件を政府としてつくってあげる、こういうことなんだろうと思います。

 そこで、一つは、今大臣も御答弁されましたけれども、石油製品、資源高、今まであったわけですけれども、これが急に、投機資金もなくなって、逃げて、今資源価格が下がっておるわけです。円高は確かに輸出にとってはマイナスだけれども、逆に言うと、内需主導の国をつくろうとすると円高はメリットになるわけで、ポイントは、資源が安くなっていることと、そして円高のメリットをいかに瞬時に反映できる日本の体制にするかということが極めて重要だろう、こう思うわけであります。

 まさにそういった、資料のこちら三枚目にも、石油製品の推移ということで、これは非常な勢いで今下がっています。

 ドバイの原油価格が十月平均でも四十一円下がり、レギュラーガソリンも四十八円下がり、こういうことでありますが、ぜひ、こういう製品の価格の下落がきちんと取引に反映されるように、これは経済産業省としても公正取引委員会と連携をして、円高のメリットも含めて、為替のメリットも含めて反映できるような体制、注視すべきだと考えますが、経産省、いかがでしょうか。

吉川副大臣 私からお答えをさせていただきたいと存じます。

 ただいまの近藤議員の指摘、まことにそのとおりだと存じておりまして、原油価格の下落や円高を反映いたしまして、ガソリンなどの石油製品の価格につきましては、十週以上にわたりまして今連続して下落をいたしております。

 今後とも、原油価格の下落や円高が消費者に適切に還元されますように、石油製品の価格や需給動向などを注意深く監視してまいりたいと存じております。

 需給が逼迫をいたしまして、供給に関しましてさらに価格が高上がりすることのないように、安定供給に万全を期すよう、元売各社にも常に要請をいたしておるところでもございます。

 さらに、万が一競争制限的な行為があるとすれば、これは今御指摘をいただきましたように、公正取引委員会とも連携をいたしまして厳正に対処をしていく所存でございます。

近藤(洋)委員 ぜひしっかりと対応していただきたい、このように思います。

 また、こういう景気の停滞局面になりますと、中小企業に対して、いわゆる下請いじめ的なことが多発をするおそれがあるわけであります。我々民主党としては、そういった下請いじめ防止法というのも制定をしていこうではないかということで、法案を近く提出する考えであります。

 公正取引委員会の竹島委員長にお忙しいところ来ていただいておりますけれども、こういった中小企業に対する下請いじめ的なことが多発する、また、優越的地位の濫用が行われる可能性も懸念されるわけであります。ぜひ公正取引委員会としても、こういう景気の停滞局面だからこそ注視すべきだろう、こう思います。

 あわせて、賃金ですね、最低賃金を守って中小企業が仕事をしているのに、そしてちゃんとした経営もしているのに、元請が最低賃金割れをして、そうしないと仕事をとらせないぞというようなことは、私は不公正な取引だと思うんですね。やはり、賃金をちゃんと支払って、最低賃金を守っているんだ、守っているということは遵法しているわけですから、遵法行為をしているところを切るような行為というのはやはりやっちゃいかぬことだろう、こう思うわけですね。

 そういうことも含めて、公正取引委員会として、この不公正な取引、優越的地位の濫用について、こういう局面だからこそ厳正に対処すべきかと思いますが、公正取引委員会、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 先生御指摘のとおりだと思っております。

 現に、下請取引に関しまして不満なりこういうことがあるということで、公正取引委員会に対して情報提供もふえておりますので、我々も、今月、これはたまたま下請取引適正化推進月間ということで、全国五十以上の町で講習会とか説明会とかやって、特に下請の方々が泣き寝入りすることなく、公正取引委員会なり中小企業庁にその実態を報告していただくように働きかけをしております。

 そういうことで、法の執行においても下請法に関しては厳正にやっていきたいと思っておりますし、それだけの実績も、例えば下請代金の減額をしたという場合に、それはもとに戻しなさいという金額も、もう二十億円をたしか超えているはずでございまして、それなりの実績を上げております。

 それからもう一点、最低賃金のお話ございましたが、労働基準監督局なり監督署、こちらの方でそちらのことはチェックをしておられると思いますが、最低賃金も守られないような企業の場合は恐らく下請いじめもやっているであろうということが蓋然性として予測されますので、そういう情報は公正取引委員会にもお寄せいただくような関係省庁の情報のネットワークをつくることになっておりまして、私どもも、そのルートからの下請いじめ的なことについての情報が寄せられることを期待しております。

 いずれにいたしましても、下請はもちろんでございますが、それ以外の、いわゆる大規模小売業者による納入業者いじめという問題は後を絶っておりませんので、厳しくなれば厳しくなるほどそういう弱い者に対するしわが寄せられるということになりますので、納入業者いじめについてもきちっと厳正に対処していきたい。今までも十件以上の排除命令を出しておりますが、優越的地位の濫用ということについても、下請に限らず、独禁法の適用については積極的にやっていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ、委員長、公正取引委員会、また中小企業庁、関係各省と情報を密にして取り組んでいただきたいと思います。

 あともう一点、金融ですね。こういう局面になると、やはり貸しはがし、貸し渋り、経済産業省の方で保証枠をしっかりとっているわけですけれども、一方で銀行というのは、金融機関というのは、中小企業からするとただでさえ優越的な地位にあるわけであります。この優越的な地位を使って押しつけ販売、名前は伏せますけれども、大手の銀行で手広くやって、公正取引委員会が摘発をしたケースもあるわけです。こういう局面になればなるほどこういうことが出てくる可能性もあるので、なお、とりわけ金融機関についても注視をしていただきたいと思いますが、一言よろしくお願いします。

竹島政府特別補佐人 御指摘の点もおっしゃるとおりでございまして、過去、金融機関がこういうことをやると優越的地位の濫用に当たりますよということで、具体的なケースも挙げてガイドライン的なものを示しておりまして、全銀協等を通じましてその会員に対して周知をしております。

 それから、今御指摘のありました、三年ほど前になりますが、某メガバンクにおいて、中小企業が望まない金利スワップという商品の購入をいわば余儀なくさせるというようなことがありまして、これも優越的地位の濫用だということで事件として取り扱ったということもございました。

 おっしゃるとおり、こういうふうに厳しくなってまいりますと、いろいろな意味で歩積み両建て的なこともあり得ますでしょうし、金融機関がその地位を利用して不当な不利益を借り手の方に与えるということがなされないように、きちっと、注意喚起のみならず法の執行もやっていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ、しっかりした対応を要請したいと思います。

 もう一点、景気対策でありますけれども、二階大臣がつくられた新経済成長戦略、それぞれいいことも書かれているかと私も思います。この中で、特にこういう局面で大事だなと思うのは、内需という観点からいくと、住宅、新エネルギー、こういう部分だろうと思うんですね。とりわけ新太陽光発電ですね。

 せっかくきょう国土交通省に来ていただいているので、太陽光発電の住宅、省エネ住宅の普及に向けて、ローン減税、また金利の拡大について、生活対策で若干書いているのはわかります、ただ、もっと広げたらいいと思うんですね。特に、太陽光発電とか省エネ住宅についてはさらなる拡大をされたらいいかと思うんです。とりわけ金利について、旧公庫の〇・三%の支援というのがあるという話は聞きましたが、さらなる拡充も含めてここは思い切ってやられたらどうかと思いますし、そういった支援策について、まず国土交通省の対応をお伺いしたい、こう思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 住宅投資は内需の柱ということで、現在の経済状況を考えてみますと、投資の活性化というのは極めて重要でございます。特に、CO2の削減などということを考えますと、先生御指摘のような住宅の省エネ性能を向上させることは重要な課題だというふうに考えております。

 まず、住宅金融支援機構の方での住宅ローン証券化支援事業、その中で、いわゆる省エネ性能などにすぐれた住宅について金利を優遇する、これは当初五年間〇・三%の引き下げでございます。そういう優良住宅取得支援制度というのがございますが、これは八月のいわゆる安心実現のための緊急総合対策の中で要件緩和、それから事業量の拡大を行ったということでございます。今般の生活対策、これを踏まえまして、省エネ性能に配慮した既存住宅、いわゆる既存ストックの活性化ということを観点にいたしまして、新たに支援制度の対象に追加をしたいということでお願いをしております。

 また、税制改正でございますけれども、今回、八月の当初要望におきましては、一定の省エネ住宅につきまして、控除対象の借入限度額、いわゆる限度額を一般住宅より引き上げるということで要望しております。ただ、今回、新たな経済対策で打ち出されました生活対策という中で非常に住宅減税の考え方が出ておりますので、改めて要望内容を今検討しているところでございます。

 このほかに、新しい技術開発、これは太陽光発電などと住宅建築とのタイアップということも含めてでございますが、そういう技術開発に対する、民間に対する助成というものも実施をしておりますので、こういう施策を推進することで住宅投資の活性化を進めてまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 国交省、住宅については、去年のことを言うとちょっと気の毒かもしれませんが、建築基準法という前科があるわけですから、これで相当国内の景気を冷え込ませたということが、国交省が意図したと思うつもりはありませんけれども、結果としてこういうことになったわけですから、逆にここは汚名挽回ということで、もうちょっと、もっとさらに拡大してもいいんじゃないか。特に金利を、省エネ、太陽光住宅などというのは、もう住宅ローン金利、〇・三などと言わずに一%ぐらい、期間限定で、五年ぐらいは下げてあげるんだというぐらいのことをしないと、こういう局面ですからなかなか買えませんよ。思い切ったことをぜひやるべきであろう。これは金利が一番ききますから、ぜひ検討していただきたいと思います。

 あと、経済産業省、ここの四番目の資料にも、太陽光発電の導入目標で福田総理が、総理がかわっちゃったのでこれはもうオシャカだと言われればそれまでですけれども、そうではないと思うんですね。福田総理の発言では、導入量を二〇年までに現在の十倍、二〇三〇年には四十倍を目標とすると。これは当時の総理がおっしゃっているわけです。これは恐らく麻生さんも引き継がれているんだろう、こういうふうに確信したいわけですけれども、経済産業省として、国土交通省の施策とあわせて、太陽光についてどのように広げるお考えなのか。

 あわせて、いわゆる次世代自動車、ハイブリッド。これも、今車が本当に売れなくて、四十年ぶりの低水準、こういうことです。ディーラーの方に聞くと、本当に悲鳴を上げています。だからこそ、やはりこの次世代自動車、ハイブリッド、プラグインハイブリッド等々、あとはディーゼル、こういったものに対して思い切った助成を広げてさらに拡大するということがどうしても必要なんだろう、こういう時期だからこそ必要だろう、こう思いますが、あわせてお答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。どちらでも結構です。

高市副大臣 ありがとうございます。

 太陽光発電につきましては、これも、普及を進めるために来年度税制でも要求をいたしております。ローンを組んだ場合、ローンを組まない場合、いろいろございますけれども、両方で普及が進むようにといった姿を目指していきたいと思っております。

 それから、今国会で成立しました補正予算の中で住宅用太陽光発電に係る補助事業を盛り込みましたので、しっかりと市場拡大をしていきたい、安全を前提に進めていきたいと思っております。

 それから、次世代自動車ですけれども、来年度はいよいよ電気自動車とプラグインハイブリッド車の市場投入が予定されております。これも、近藤委員が指摘された内需の拡大にも一定の寄与があると思います。自動車そのものとともに、やはり充電装置を設置していきますので効果があると思いますし、省エネ、環境問題にも大いに寄与するものでございますので、これに関しましては引き続き、税制優遇とそれから導入補助という形で支援をしていきたいと思います。

 あと、蓄電池、これが非常に技術的にかぎになりますので、低コスト化、それからさらに高性能化するための技術開発をいたしております。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて近藤洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 大臣には、二年ぶりのごぶさたでありまして、平素御指導いただきまして、ありがとうございます。

 大臣、先般の大臣の所信、ごあいさつの中にもありますけれども、現下の厳しい経済状況のもとということで、いろいろな施策を講じていくという強い決意はあるんですが、政府でも、景気が悪い、消費が低迷している、特に月例経済報告なんかでは、例えば弱含みとか弱まっているとか、非常に定義がしにくい、判断がしにくいような表現を使いながら、それをエコノミストの方々がまた評価をしていろいろな分析をしているんですが、さきの十月三十日も生活対策ということで発表をしていますが、もう一度、大臣、現在の日本経済の現状についてどのような御認識をお持ちになられるのか、まず冒頭お伺いをしたいと思います。

二階国務大臣 バブル崩壊の後に長い低迷が続いたわけでございます。しかしながら、持続的に景気回復の道をかなり順調に歩んでおったわけでありますが、現在、米国発の金融不安によって厳しい局面に立たされておりますが、先行きにおきましても、今御指摘のように、当面は下向きの動きが続くおそれがあると考えております。

 このような厳しい経済情勢であるからこそ、私どもは生活対策を速やかに実行し、同時に我が国の実体経済に活力を与えてまいりたい。この考えから、中小企業に対する融資あるいは保証という問題についても、むしろ私どもの側から積極的に各機関を通じて中小企業の皆様に呼びかけているところでありますが、ようやくその我々の考えも行き届いてまいりまして、昨日に至っては、今までの申込件数よりもはるかに多い件数が寄せられております。

 我々は、こうした中小企業の皆さんの毎日の御苦労にも積極的に対応していけるように、先般、各局の代表者を招いて、それぞれ地域ごとの情勢を聴取したところでありますが、この先、私ども、副大臣、政務官、私自身も含めて総動員をして、全国各地の局にもみずから足を運んで、現場の皆さんあるいはまた中小企業の代表の皆さん等々、お目にかかって実情等を把握し、そうしたことに対して、少しでもこの経済が、中小企業の皆さんのお仕事が順調にいくように努力を重ねていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、今、十月三十日の生活対策の話にお触れになりましたが、生活対策を拝見させていただいて、もちろんいい部分も確かにあると思います。

 この「五つの基本視点」という中に、特に今までの経済成長戦略には余りなかった部分で、「「内需主導型経済成長」への移行を後押しする」という大きな視点がございます。確かに、経済の体質の転換、日本経済の底力の発揮という点については、私ももちろんそうだと思うんです。

 やはりここが、例えばこの新経済成長戦略についても、さきの大臣の御発言で触れておるんですが、ここにある新経済成長戦略改定の三つの柱というこの部分が、例えば、後ほども触れますけれども、資源価格高騰による我が国経済の負担増大というものが、ある意味では資源価格、特に石油も含めて価格が下落をしてきたというふうなことで、やはり少し視点が違う部分も出てきたのかなという中で、冒頭もう一つお伺いしたいのは、この生活対策の中にある自律的な内需主導型経済成長への移行の後押しという点について、これをどう実現するかということについて、大臣の御見解、端的で結構ですから教えてください。

二階国務大臣 新経済成長戦略についてお触れいただきましたが、小泉内閣のときに出させていただいた新経済成長戦略と、このたびの新経済成長戦略二〇〇八改訂版というものとの間に少し方針の違いがあるのではないかというお尋ねでございました。

 私は、ちょうど八月の初めに福田内閣で経済産業大臣を拝命いたしました際に、小泉内閣の当時に発表させていただいている新経済成長戦略のあのころの経済的な背景がさま変わりをしておるという状態、つまり、原油の値上がりあるいは各種の価格の高騰等で企業の関係者の皆さんの大変な御苦労を見ておるときに、これでは、我々が当初に描いた経済成長戦略というその名前のとおり展開をしていくことはとても難しいというふうに判断をし、ここでもう一度この成長戦略を改めて見直して、反省すべきところは反省し、出直すところは出直す、新たな視点はまたこれを加えて対応しようということで、ちょうど五十日ぐらいかかりましたが、関係者総動員をして成長戦略の改定に取り組んだわけでございますが、我々は、この内需の重要性という問題に関しましては、改定前と改定の後とではそんなに認識が変わっておるわけではありません。

 したがって、今すぐ我々が描いておるような成長率で進んでいくということは申し上げかねる状況でありますが、二〇一五年を目標にして二・二%程度の成長に達するように、イノベーションの活用、あるいはまた、先ほど御指摘のありました原材料価格の下落ということ、円高のメリット、これも十分生かしながら我々は新たな成長への道を探っていきたい、そして努力を重ねていきたい、このように考えておる次第であります。

後藤(斎)委員 イノベーションとか、そういう新しい技術開発が日本経済成長の本当に大きな下支えになるし、それがなくてはならないというふうに思うんですが、いわゆる定額給付金で、今いろいろな報道も含めて閣内が揺れているというふうな話も聞いておりますが、たくさんの経済産業政策、資源外交もありますし、中小企業対策もありますし、たくさんありますけれども、大臣、二兆円あったらどのような予算執行を中心にお考えになりますか。

二階国務大臣 私どもの経済産業省へ今新たに自由に二兆円を使えといえば、ああすればいい、こうすればいいということは、それは即座にそういうことに対応できる案が出てまいります。しかし、これは政治でございますから、全体で取り組んでいかなきゃいけない問題でございますし、今この段階における御家庭の皆さんの御心配、また、めいっておるような気持ちに対して、幾らかでも元気をつけて、明るい方向に歩んでいただくためにということで編み出した案であろうと思うわけであります。

 私の同僚なんかも、街頭演説とか街頭でビラなどを配っておりますと、自民党の政策の中に気に入らないこともあるが、しかし、あの給付金はいつくれるんですか、あれはいつ配付されるんですか、そういう声が極めて多いということ。私は、恐らく民主党の先生方にもそういうことを要求される方々もおられるんじゃないかと思いますが、もう今ではこれが必ずそれぞれの御家庭に、やり方はいろいろあろうと思うんです、これから市町村に任されたわけですから、配付の仕方がいろいろあろうと思いますが、もう配付されるであろうということをみんながもう承知しておるわけでありますから、これはこれで最初の方針どおりお進めいただく。

 経済産業省は、今せっかくの御提案をいただいたんですが、二兆円の夢をしっかり見ながら、いつの日かそういうことが実現できるように努力をしていきたいと思います。

後藤(斎)委員 この定額給付金なるものが、大臣がお話しされるように、もちろん、いただけるものはいただきたいというのは、これは普通の感情だと思います。

 であれば、大臣、本当に、先ほど大臣が前提条件としてお話をされた、政治の課題として今何をやるべきかと。本当に、これからの技術革新や中小企業対策をもっとやはりきちっとやれという声の方が高いと私は思うんです。市町村長の皆さん方も、ほとんどがやはり、否定的と言うと語弊があるかもしれませんが、懐疑的な方も、意見もたくさんございます。

 ですから、そこの部分が、皆さんが心配なさっているのは、いや、もっと税の執行の仕方としたら違う道があるだろうというのを、大臣だって本当はおわかりになっているにもかかわらず、あえてそういうふうにおっしゃっていると私は思っているんですが。

 そうすると、では、自発的な辞退でしたか、大臣は、高額所得者かどうかよくわかりませんけれども、ルールに従って、自発的には返納というかもらわないという意思表示をなさいますか。

二階国務大臣 私は家庭でそんなにワンマンでもありませんから、このことは恐らく家族に与えられたものであろうと思いますから、よく家族と相談をして対処したいと思いますが、基本的には私は返納すべきかな、こう思っております。

後藤(斎)委員 大臣、やはり、ここは大臣の今までの御見識や経歴の中で、先ほど二兆円全部を経産省で使うかどうかというのは別としても、それを大臣折衝の中で、きちっとした目的、そして効果というものを見計らってやるべきだというふうに私はぜひ強く要望しておきたいと思います。

 もう一点。先ほども、近藤議員もお話をされていましたけれども、私は、中小企業がこれから年末に向けて、確かにいろいろな制度拡充や新しい形で中小企業を支援する仕組みはできたものの、それが本当に、中小企業の方々が、融資がしやすくなったり、では一息つけて、年末は少なくとも年を越せるような形になって、来年に向けて頑張れるというふうな形になっていけるかどうかというそのフォローアップを、この生活対策の中に入ったものも含めてやはり考えていかなければいけない、大臣も当然同じ考えだと思うのです。

 中小企業金融の話は、大臣の後の甘利大臣、前大臣とももう何度となくお話をしましたが、大臣、今回のこの生活対策の中の信用保証枠のまたのさらなる拡充も含めて、これで十分だというふうにお考えですか。

二階国務大臣 今、信用保証枠を拡大し、その具体的な手続等が始まったばかりでございますが、最初のころは、四千件の関係者の皆さんが、北海道から九州までの各支店等においでになってお話し合いをなさった。だんだんとスムーズに手続が進むようになってまいりましたが、先ほども申し上げましたとおり、昨日で、おいでになった方が三千件、そして二百億の融資が決定したというふうなことになっておりますが、今御指摘にありましたように、本当に末端までうまく機能しておるか、あるいは政府の考え方が中小企業経営の皆さんに対して届いておるかということに対しては、絶えず目配りをしていきたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、私ども、副大臣、政務官、私自身も、我々の出先の局に対して、みずから出向いて、意見交換、そして何が足りないか。

 例えば、きょうの新聞によりますと、東京のどこかの区で余りにも大勢殺到して、きょうは、もう話し合い、今の手続はきょうこの時間ではちょっと一時中断をさせていただきますというふうな張り紙を張ってやっておったようですが、これはやはりシフトしてもらって、今中小企業のこの問題で区役所だとかあるいは県とか市町村へお尋ねに来られることは当然なんですから、このことに対してどう対応するかということで、人手が足りなければそこへ人手を回すというくらいのことは、これはそれぞれの地域でも対応していただかなきゃならぬ、こう思っておりますが、あらゆる関係者の協力を得ながら、全力を尽くしてフォローアップをしていきたいと思っています。

後藤(斎)委員 やはり、大臣もあいさつの中で触れていますように、金融庁との連携というものが本当に必要だと思うんですね。

 今まではやはり金融庁の中小企業検査マニュアルの審査基準が余りに厳し過ぎた、どこまで要件緩和をすれば適正になるかどうかは、きちっと議論をすべき点はもちろんあるんですが、実際、金融機関が、私も実は三カ月くらい前に、夏、経験をしたんですが、住宅ローンが急に、ローンを上げろ、〇・五%上げないと追加担保しろみたいな話があって、そのまま受け入れざるを得なかったということが私の母親のケースでありまして、そういう中小企業の経営者の方も今たくさんいらっしゃるはずなんですね。

 これからの新規の貸し付けもそうですし、今までのストックの部分での金利という問題も含めて、両面からきちっとウオッチをしていただく。そのときにやはり、前甘利大臣も金融担当大臣とよく話をするという話はしてくれたんですが、中小企業庁長官から十月の二十八日付で金融庁の監督局長に対して要請書は出しておるようでありますけれども、大臣から例えば金融担当大臣に、事務的にもこういう話をしているけれどもさらにきちっと連携してやってくれという話はされておりますか。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

二階国務大臣 今のお話でございますが、当然、私どもの方で融資の面で懸命の努力をしたとて、結局は銀行の方で、金融庁がどう言うからとか、金融庁の方からこういう通達が来ておるからとか、それから、よく世間で聞く話ですが、取り立てに行くときには、金融庁から言われているからこれ以上貸せないとか言って、いつも金融庁が悪者になって、何か金融庁が政府の方針と逆の方向を行っているみたいなことを言う人がおります。

 私は中川大臣とも十分話し合って、先般も、信用保証協会の全国の理事長を招集した日も、金融庁の監督局長にその場に同席をしてもらって、そして、私の方から各理事長さんたちにこういう方針でいくんだからという話をしました後に、金融庁からも意見を述べていただきました。そして、金融庁としても、経産大臣が今言われたとおりの方針で、我々も政府として一体になって進んでいくんだ、そういう旨のごあいさつをいただいたわけであります。

 中川大臣ともしょっちゅう顔を合わせるたびに話し合っておるわけですが、きのうも実は、アメリカに出発の前でありましたが話す機会がありましたので、最近はどうですかと。

 いわゆる苦情の手紙がたくさん金融庁へも来るわけでございます。金融庁へ来た手紙の中に、私どもの中小企業庁が扱わなきゃいけない保証枠等の問題について等の御意見も含んだような手紙もたくさんまじっておるわけです。私どもの中小企業庁の方へも、金融庁へ申し上げなきゃいかぬようなことがこっちに入っておる。これはこれでお互いに交換しようじゃないかという話をして、私の方へ来た金融庁の問題は中川大臣のところへ届ける、中川さんの方からは私どもの担当の分野は届けていただく。両々相まって、私どもは、水も漏らさぬような構えで対応して、中小企業の皆さんが少しでも痛みを乗り越えて頑張っていけるような状況をつくっていきたい。

 これは、ただお役所仕事と言われるようなことではなくて、借り手の皆さんの気持ちに立って懸命の努力をしたい、このことを約束しておきたいと思います。

後藤(斎)委員 きょう金融庁にもおいでをいただいていますが、今大臣が御発言をされたように、文書一枚、協会の会長さんにもお話をされたようでありますけれども、やはりきちっと、本当に制度の改正の趣旨、年を越す、緊急融資的なものも含めて、今まで批判をされたようなことが繰り返しありましたけれども、そういうふうにならないように、ぜひそれぞれの金融機関に指導監督を徹底していただきたいんですが、簡潔で結構ですから御発言をお願いします。

居戸政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業に対する円滑な資金供給は民間金融機関の最も重要な役割の一つであると認識をしております。

 金融庁としては、こういう基本的考え方に基づきまして、現下の経済情勢のもとで厳しい状況に直面する中小企業に対する金融の円滑化に向け、中小企業庁とも連携しつつ、さまざまな施策を講じているところでございます。

 今後とも、今二階大臣からお話のありましたような考え方で、しっかり連携をとってやってまいりたいと思います。

後藤(斎)委員 大臣、ちょっと話を急に別のところにかえますけれども、今、円高、輸出企業にとっては大変だ、でも輸入をする際には当然プラスに働く。先ほども大臣は円高の効果ということについて触れられましたが、石油も含めて、いわゆる資源価格というものも下落をしているという中で、どうメリットを企業経営、消費者の利益に資するかということの中で、いろいろな施策があります。

 やはり、今一番消費者心理が落ち込んでいる。私は、一万二千円、二万円の部分で、決して、ゼロではありませんけれども、大きくプラスに転じることは絶対にないというふうに思っていますけれども、そういう中で、昔、プラザ合意のすぐ後の円高のときには、円高差益をどう還元するか、これは政府を挙げてやったことがございました。今回の日本経済の、もちろん、円高というものがマイナスに働く部分、プラスに働く部分、あるエコノミストの方の分析によりますと、円高で効果を受ける産業の方が雇用人口も含めて多いという分析もございます。

 先ほど大臣は、新経済成長戦略の改定という中で、以前、甘利大臣と議論をさせていただいたときには、いわゆる外需という部分が内需よりもより重要であろう、縮む日本経済と成長するアジア、この連携をどうするかという視点も含めて発言があったのですが、やはり、これからの家計や企業経営に円高、資源が安くなっているということをどう生かすかという視点が、私はまだ大臣のこの間の御発言の中では非常に弱いような感じがするんですが、その点について、時々刻々価格ももちろん変動し、為替も変動していますが、現状についての大臣の御見解、簡潔で結構ですから教えてください。

二階国務大臣 確かに、御指摘のように、円高のメリットもあれば、またその逆の場合もあるわけでありますが、この円高をもって私どもが対応しなきゃいけないのは、資源の確保ということに対して思い切った手を打っていかなくてはならないというふうにまず考えております。そして、輸出産業の分野の方々の今日の御苦労というのは大変なものでありますから、こうしたことに対してどう緩和していくかということも考え、円高、円安両々相まっての対策を講じていかなくてはならない。

 そこで、私どもは、この際、まずアジアに重点を置いて対応していかなくてはならない。さきに進めておりましたアジアのいわゆる東アジア・アセアン経済研究センターというものを、六月の三日に立ち上がったわけでございますが、これを中心にして、今アジア各国との連携を図るべく努力を重ねておるところであります。今度のAPECの会合等を通じてもそうした関係の皆さんとも意見調整をしたいというふうに思っておりますが、我が国としては、円高による、このものを一つのチャンスと心得て諸般の対応を打っていきたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 大臣、もう一つ、先ほど大臣は人材というお話もされました。特に、今回の、百年に一度か全治三年かは別としても、大変企業経営が厳しい環境にあることは事実であります。そして、内定取り消しという、来年卒業、例えば大学四年生の方、高校三年生とか、内定があったにもかかわらず取り消しをされているという事例が大変多くなっているという話を私は聞いています。

 まだ新卒の方であればあと三月まで頑張っていくんでしょうけれども、やはり大臣、一回決めたものが取り消されるというのは、これは若い人たちの心理から見れば本当に困ったなという、その困った感しかないはずなんですね。

 私、今の非正規雇用やワーキングプアと言われる問題も含めて、これからの内需主導という、大臣も繰り返しおっしゃられたように、私もそうだと思うんですけれども、やはりそれには安定した所得と、例えばそれが伸びるという夢と、企業のために頑張っていくという、若い人たちがこれから、中小、大企業という規模とかいうものを問わず、非常に大切な部分ではないかなと。

 一時期、ニート、フリーターと言われた、非常に早い時期には、いやいや、多様な働き方があっていいんだというふうなことの方が強かったんですが、今はそうじゃない。ワーキングプアみたいな問題も含めて、それが将来の不安や今の不安や本当に社会的な問題になっている。

 内定取り消しもそうだと私は思うんですね。やはり、若い方たちが大学を卒業する、高校を卒業して社会に出るというときに、本当に元気よく、その会社のために頑張っていこう、会社がよくなれば自分たちも精神的だけじゃなくて経済的にも豊かになれるよという希望というか夢がなければだめだし、そういう意味では、戦後の日本がつくり上げた終身雇用が完全にこれからすぐ復活できるとは私は思っていませんけれども、やはりその終身雇用的な要素というものを企業経営の中にももう一度取り戻してもらいたいと思いますし、これは、中小企業の経営者はオーナーみたいな形で、そういう部分は家族を中心とした形であるんでしょうけれども、大臣、やはりそれをきちっとした形でメッセージを出すということが今本当にもう一度必要な時代になっていると私は思うんです。

 ですから、それはすぐ短期的な政策ということでなくて、それに向けてやはり経済産業省全体で取り組んでいただく。もちろん採用、内定取り消しは厚労大臣が所管かもしれませんけれども、そうではなくて、産業という中で、そこに働く人として地域をよくする、ひいては個人消費がよくなり内需主導型の日本経済の成長があるということを、私は心の底からそう思うんですけれども、大臣、その点を含めて、終身雇用的な雇用というものについての復活というか再生というか、そういうものに向けてどういうふうにお考えなのか、簡潔で結構ですからお答えください。

二階国務大臣 今御指摘の内定取り消しという問題についての思いは、私、議員と同じような受けとめ方をいたしております。

 若い人たちが希望に胸を膨らましていよいよというときに内定されている企業から取り消しの通知をもらったときのショックというものは、これはもうお互いに想像できるわけでありまして、この件に関しましては、私どもの役所としましても、それが法律でどうだとかこうだとかという以前に、関係の方面とよく連携をとって、このようなことに対してできるだけ抑制をしてもらいたいという考え、希望を伝えたいと思います。

 同時に、最近の終身雇用に対しての調査でありますが、終身雇用を支持するという方々がふえてきておることは議員も御承知のとおりでございます。この状況を踏まえて、経済産業省としては、少し長期的な展望に立って、人材の質を高めていくというためにどういう支援を行っていくかということをよく研究、検討してみたいと思いますし、当然厚生労働省ともこの問題については打ち合わせをしながら取り組んでいきたいと思っております。

 いずれにしましても、前向きに対処をしたいということをお伝えしておきたいと思います。

後藤(斎)委員 大臣、ぜひそういう積極的な視点からよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ。大臣のごあいさつの中にメタンハイドレートの話を明示していただきました。私はもう一番初めのときから、本当にこれはすごいことだし、ある意味ではもっと加速をするべきだという論点をずっと持っています。

 先ほどもお話をした、二兆円あったら、少なくとも、来年度の予算が研究開発費として、フェーズ2に入るようでありますけれども、四十五億円という予算計上のようであります。それを例えば倍増、三倍増する中でやはりできるだけ前倒しするということができないのかどうか。大臣、それはぜひ考えていただきたいんです。

 担当の方からいろいろお話を聞くと、やはり相手方の国の共同研究の課題もあるし、予算の枠組みもあるし、なおかつ一番大変なのは、これは前も原子力の部分でお話をさせていただいたように、資源開発の大学、大学院というものが今本当に少なくなってしまって、研究者の人材が確保できないという現状もあるようであります。

 ぜひそれはこれからの将来に向けて、私、本当に夢があるし、夢だけじゃなくて現実の問題として、少なくとも百年間安心というような、要するに、エネルギー自給率というのは本当に数%というのがずっと今までの私たちの感覚でありましたけれども、それがそうではなくて何十%とかにふえていくみたいなことはエネルギー安全保障の問題からも非常に大切なことなので、このフェーズ2に向けて、実用化に向けて、二〇一八年という、十年後というのはいいんですけれども、やはりそれをもっと、予算的な手当て、人材の点も含めて前倒しをしていくという強い決意をぜひ大臣にしていただいて、事務方に指示をしていただきたいと思うんです。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

二階国務大臣 大変力強い激励をいただきまして、まさに我が意を得たりというふうな思いをいたします。

 というのは、原油の値上がり等、我々の国の中でどんなに一生懸命汗水垂らして働いたとて、原油がことしの夏以前のころのようにどんどん上がっていってしまうと、みんな原油の生産の国の方へ行ってしまうわけでありますから、我々自身で何かできないものだろうかということを思うわけでありますが、幸いにしてメタンハイドレートは私たちにまさに希望の灯をともしてくれた、こう思っております。

 ただし、今お話にもありましたとおり、これを、予算を多くつぎ込めば、それだけ開発を加速化できるかどうかということも考えてみなければならないと思っております。そして、文部科学省がこの問題の中心になって今までおやりをいただいておりますが、もっとこれを経済産業省のエネルギー庁と文部科学省との方で連携を密にして対応して、一日も早くこれを実用化できる方向を考えていかなくてはならない。

 なぜそういうことを思うかというと、私の知る範囲においては、今議員御指摘のように、日本のエネルギーの百年分はあるだろうということを言われておりますし、今一応、経済産業省の中でも百年分ということになっておるんですが、文部科学省の技術の専門家の意見の中には、二百年分あります、こう言われる方もおられます。

 そこで、いろいろなところで、このメタンハイドレートという話は聞いたことはあるが見たことがない、青いきれいな火だということを聞くが、一遍見せてみろと言われることがしばしばあるんです。私は、火の問題、火力の問題ですから安全性を確保しなきゃなりませんが、できれば経済産業省の中庭ででもこれを燃やしてみて、そして先生方にも見てもらって、なるほど、こういうものかということをごらんいただくような、そういう場面もつくっていかなきゃならぬと、けさほど、私は経済産業省の担当者にそういうことを話したところであります。

 どうかこれからも、これこそ与野党超えてみんなで対応していただいて、これがしっかりしておると新たにバーゲニングパワーとなって、中東で石油の交渉をする場合でも、いろいろな対外交渉をする場合でも、これは非常に大きな力になるわけですし、恐らく、無公害ということで評価は高いと思います。

 こういう面で、今おっしゃるように、十年も先でどうだということを言うだけではなくて、これは関係者は安全を読んでおりますから、三年先にできますよなんて言うわけにもまいりませんから、まあやっておりますが、私は、十年もかからず実用化する時代が必ず来る、その方向にもっと力を注いでいかなくてはならない、そういう思いでございます。今、そういう激励をいただきまして、我々はそういう方向に真剣な取り組みをしたいと思っております。

後藤(斎)委員 時間が来たようです。大臣、幾つか次回に残したいと思うんですけれども、今お話をされた、仮に予算の問題であれば、やはりこの一年間で石油価格、天然ガス価格が上がったことで家計も企業もどれだけ負担増になったかということから考えれば、四十五億円なのか、第一フェーズで使った二百数十億円なのかは別としても、私は、やはり定額給付金なるものは大きく見直したり、いろいろな知恵を出しながら、そこにこれからの国家として、国民として安定的なエネルギー確保ということに資するのであれば、やはりそういう使い方をぜひ大臣にしていただきたいと思うんです。

 それを強く要望して、時間が来ましたので質問を終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より、三度の延長措置を経て、平成二十年十月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。しかし、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合、国際連合安全保障理事会等における国際社会の動き等、その後の我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、平成二十年十月十日の閣議におきまして、引き続き、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することとしました。このうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第であります。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十年十月十日の閣議決定に基づき、同年十月十四日より平成二十一年四月十三日までの間、北朝鮮からのすべての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたことに加え、北朝鮮から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

東委員長 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官小原雅博君、財務省大臣官房審議官永長正士君、経済産業省通商政策局長岡田秀一君、経済産業省貿易経済協力局長藤田昌宏君、中小企業庁長官長谷川榮一君及び海上保安庁警備救難部長城野功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 先ほど、我が党の後藤委員との間でメタンハイドレートの議論がありまして、私がこの問題に入る前に触れますと、やはりメタンハイドレートというのは極めて重要であろうと思っております。それが実用化するには大変にお金がかかるということでありますが、百年分、二百年分ということが事実であるとするならば、これは本当に日本のエネルギー資源として極めて重要なものでありますから、これが開発されると、そのことによって商売が、売り上げが減ると思うような関係があるかもしれませんが、乗り越えて、それは国益ということでぜひとも頑張っていただきたいというふうに思います。

 さて、ただいま議題となっております、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件ということでありますが、こういった法的な部分において重要なのはその哲学であります。

 まず冒頭、これは哲学のことですから当然お答えいただけると思っておりますが、この法律は何を目的としてつくられたものか、大臣にお伺いをいたします。

二階国務大臣 我が国が実施をいたしております北朝鮮への措置の効果、目的でありますが、例えば、我が国は北朝鮮にとってその輸出のうちの約一〇%を占める第三位の輸出先でありましたが、輸入の全面禁止措置により、昨年以降は輸入実績がゼロとなっています。加えて、北朝鮮に対する措置につきましては、その経済的効果だけではなくて、政治的意義にも着目しながら、それが諸懸案の解決に資することに大いに役立つのではないかという視点が重要であると考えております。

 今般、延長の承認をお願いしております輸入の全面禁止措置も、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた具体的な行動を北朝鮮側に求める我が国の立場を明確にするという意義を有しておると思います。それが、この延長をすることが適切であると考えているわけであります。

松原委員 そこをもう少しかみ砕いてまた御説明をいただきたいわけでありますが、要するに、我が国のこの外為法による貿易の規制によって、北朝鮮から日本への輸入は事実上ゼロというかストップをしている、こういったこともありますし、輸出に関しては規制がかかっているわけでありますが、このことによってどういうことが効果として上げられるのかですね。それは、何によって、拉致、また核、ミサイルというこの問題に関して、北朝鮮が日本側にどういう状況になれば譲歩すると思って我々はこの制裁を発動しているかという、基本的な部分の、これは当然あるわけでありますが、そこについて、大臣個人の思いといいますか、それをお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 松原議員がこの問題、いわゆる拉致問題等について、今日まで先頭に立って御努力をいただいていることは承知をいたしております。私どもも、この問題の早期解決を願わない国民はいないのと同じように、一日も早い解決をどうすればいいかということを考えるものであります。

 たまたま私も経済産業大臣を拝命し、今御提案を申し上げた法律の御審議をいただく立場に立ったわけでありますが、今松原議員から個人としてどう思うかというお話でございます。私も、個人として、この制裁が、果たして我々の思いと同じように、きちんと相手国に伝わって、そして相手国に対して、我々が願うような効力を発しておるのかどうかということに対しては、日ごろから、禁止措置はしておるが、一向に北朝鮮側の交渉の譲歩というものが見受けられないのではないかという思いを私自身は持っておりました。

 しかし、今、当面は、この法律を預かる立場でございますから、まずはこの法律を成立させることが一番重要な使命でありますが、同時に、あの被害をお受けになっておられる多くの御家族や御親族の皆さんの思いを思うときに、何かもっとしっかりした交渉、しっかりした対応ができないものかという思いは個人的には持っております。

松原委員 まさに重要な御発言であったというふうに思っております。なぜこの制裁が我々の思うような効果を発揮していないのか、これは極めて重要な、我々は考えなければいけない。

 つまり、この制裁発動によって、本来であれば、北側が制裁を解除してもらわないと困る。したがって、拉致に関しても、例えば再調査委員会を速やかに立ち上げるとか、速やかに真相を明らかにする。例えば生存者はだれです、例えば従来死亡したというふうに言明していた人の、これは生きております、そういった正直な態度に、北朝鮮が言わないと、それが北朝鮮にとってはもう厳しい環境なんだと。つまり、それぐらいに制裁が北朝鮮にきくことによって、相手はある意味では譲歩するということだと思うんです。

 そこで、私はお伺いしたいわけでありますが、これは哲学の部分から発した議論なので、大臣にお答えいただきたいんですが、実は、北朝鮮が全く困らない理由というのが幾つかあるだろうと思っております。

 先般、六カ国協議というのが開催をされたことは大臣御案内のとおりでありますが、その場において、六カ国の中において、北朝鮮の核の無能力化という問題、通告に入っておりませんので。核の無能力化という問題で、それに対して、核の無能力化をすることに対する返礼として、ギブ・アンド・テークというんですか、約百万トンの重油供給支援が行われるという合意がなされたことは御存じだと思います。

 この六カ国協議において、百万トンの重油供給支援の合意が行われるときに、日本はその合意に対して反対をしたのか。これは外務省に、事実上のことですから、お伺いしましょう。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の北朝鮮に対します経済、エネルギー支援でございますが、これにつきましては、日本といたしましては、北朝鮮の核問題を前進させることも重要であるという観点から、二〇〇七年二月及び十月の成果文書の採択を支持いたしました。しかし、その際我が国は、拉致問題を含む日朝関係で進展が得られない限り、経済、エネルギー支援には参加しない考えを明確にしておりまして、この点については各国の理解を得ております。

 まさに拉致問題、これは我が国として非常に重要でございますので、この前進、さらには核問題の前進、こういうことで我々としては、六者会合の成果文書の採択を支持する一方で、拉致問題を含む日朝関係の進展が得られない限りは、経済、エネルギー支援に参加しないという考え方を明確にして、各国の理解を得たという我が国の政策を明確にしてきているというところでございます。

松原委員 この間、別の委員会でお伺いしたときは、支持も不支持もないような発言だったんですが、その採択は支持したんですか。もう一回確認します。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま採択を支持したというのは、これは成果文書、六者会合の成果文書でございます。ただいま委員が御指摘になりました、重油百万トン相当の経済、エネルギー支援に関しまして豪州等とアメリカが協議を行っているというこの点については、承知をしております。日本といたしましては、核問題で前進が得られることは、拉致問題を含む日朝関係に前向きの影響を与えるということは期待されます。

 いずれにしましても、この問題につきまして、つまり六者会合参加国以外の国の支援の参加につきまして、現時点では何ら決定されていないということでございます。

松原委員 大臣、これはこういうことなんですね。結局、百万トンを六カ国の北朝鮮以外の国が、中国、アメリカ、ロシア、韓国、恐らく日本もというので、二十万トン掛ける五なんですよ。今報道ベースでされていることは、その中で、ニュージーランドとかオーストラリアは、言ってみれば日本の二十万トン分を、日本は拉致が解決しない限り支援をしないから、肩がわりをします、こういう議論なんです。

 私は、日本が拉致問題の解決をするときに、今制裁を発動しているわけですよ、さまざまな。制裁を発動する日本が、北朝鮮に対する重油支援に対して、それに反対をしなかったということは、これは日本のスタンスとしては極めて矛盾したものになると思うんですね。

 つまり、さっき申し上げたように、我々の制裁は、北朝鮮が、物資が入ってこないとか、そういうふうな外為によって日本からのいいものが入らなくなったとか、例えばアメリカはかつてバンコ・デルタ・アジアをやりましたが、そういうことによって困ったと。困ったから、核もミサイルも拉致も譲歩しましょうというのが、基本的な話だと思うんですよね。

 ところが、重油支援をするというときに反対をしないということは、本気で制裁をするならば、それも、我が国は一国であっても、我が国固有の拉致の問題を含めて考えれば、また国内的には制裁を科しているんだから、反対しますというふうに言うのが筋だと思うんです。これは大臣が内閣の一員ということでお伺いしているわけでありますが、そこで反対していなくて制裁をしたところで、北朝鮮側は、その制裁の効力も含め、政治的なおどしに全くなっていない、政治的なプレッシャーに全くならないと思うんですが、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 私としては、今の御質問に対して個人としての感想を述べることはできるかもしれませんが、まさに仰せのとおり、内閣の一員として、今政府で交渉に当たっておるわけでありますし、それから、交渉に当たる立場の代表が、そこで国益を判断し、周囲の情勢を見渡して結論を出して、今六カ国の協議等に対して対応されておるわけでありますから、私の方から今、こうすればいいとかこうした方がいいとかということに対しての発言は控えておきたいと思います。

松原委員 先ほど大臣が、なかなか思うような効果が上がっていないと、これはもうだれもが感じている部分です。その理由は、日本の制裁が本気ではない、本気でもうどこまでも、これがだめだったらさらにあるぞということではなくて、言ってみれば、六カ国協議の中では重油支援に反対していないじゃないか、自分たちはとりあえず拉致があって、つまりそれは北側から見れば、国内の世論に対して配慮して言っているのであって、国際的に打って出るというならば、それはそこで反対と。ただ、六カ国から日本がその外に外れない限りは多数決ですから、我々もそこには理解を示さざるを得ないけれども、しかし、反対ということを一言言うのが、やはり一つの国として北朝鮮に対する制裁を発動する側の姿であろうと私は思っております。

 高市副大臣、このことは一般論的に高市さんも御興味があると思いますので、高市さんからも答弁をいただきたい。

高市副大臣 私は、この場に答弁に立つ場合、日本国政府の一員として立つことになります。日本国政府の対外交渉の窓口、つまり、国家としての意思を伝えるのは外務省が窓口であるかと思いますので、私の個人の見解をここで申し上げることを差し控えたいと思っております。

 ただ、これまでも日本国政府は、拉致は許さないということで、現在の状況の中でやれる限りのことをやってきた。これからまた状況を見きわめながら、ベストな選択をしていくということになるかと思います。

松原委員 それでは、これまた外務省の方に聞くのもなかなか答弁しづらいかもしれませんけれども、この議論は、六カ国で百万トンの議論が出てきたときに、外務省の中で、これに対しては反対するべきだ、そんな議論というのはあったんですか。全くそういう議論もなく、もうこれは六カ国で決まることですから、我々は、日本としてはその中で二十万トンは今負担できませんということでいこうというふうに決めたのか、いや、六カ国のこの意思決定は日本の制裁の効果を極めて希薄にするから反対しようという議論があったのか。それだけ経緯を教えてください。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御質問の点でございますが、これはさまざまな状況を考慮しながら我々検討しております。

 二点だけ申し上げれば、一つは、豪州等の六者会合参加国以外の国が支援に参加するということになっても、この機会にそれらの国からも、拉致問題を含めまして北朝鮮側に対して一層の働きかけを行うことになっていくというふうに考えておりまして、いずれにせよ、こうした形で関係国と緊密に連携をしていくということが一つございます。

 それからもう一点は、北朝鮮が核施設の無能力化等の措置をとるということは、我が国の安全保障上も重要であって、経済、エネルギー支援をどの国が負担するかということが日朝関係に影響を与えるということではないというふうに考えておりまして、六者会合プロセスが前進することが日朝関係にも前向きな影響を及ぼすものと考えております。

松原委員 オーストラリア、ニュージーランドが二十万トンを仮に出した場合に、拉致のことを理解したら出さないですよ。北朝鮮に対して経済制裁を日本がやっていて、拉致で譲歩を求めるために、日本はある意味では悪者というか強硬にやっているわけですよ。その日本の立場を理解したら、では私がかわりに二十万トン出しましょうというのは論理的にあり得ない。だから、そういう論理的にあり得ないうそを言っちゃいけませんよ。

 それからもう一点、今いろいろなことをやって、これから北朝鮮は核をなくすだろうといいますが、あなたに聞いても答えられないと思いますが、北朝鮮は今回のこのことで本当に核開発をやめると思いますか。お伺いしたい。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、我々は米国ほか関係国と連携をしながら、無能力化のプロセスを前に進めるために努力しているところでございまして、そういった目標のために引き続き六者会合のプロセスも動かしていくということだろうと思います。

松原委員 クリントン時代に、有名なKEDO軽水炉建設が行われて、たしか日本もあれは三百億か四百億出していますよね、かなり出していますよね。これが中止された経緯というのは、皆さん御案内のとおり、二〇〇二年にアメリカのケリー国務次官補が北朝鮮を訪問したときに、ウラン濃縮をやっていますよと北朝鮮が言った。事実上核開発をやめるということの引きかえとしてKEDO建設やさまざまな支援が行われたにもかかわらず、北は、もらうものはもらって、しかし核兵器の開発は続けていましたよ、ウラン濃縮はやっていましたよと。これが原因でKEDOの建設は中止したというふうに言われていますけれども、違いますか、外務省。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 一九九三年当時でございますが、北朝鮮はNPTからの脱退を表明し、IAEA保障措置協定の遵守を拒否するなど、朝鮮半島情勢が極めて危機的な状況にございました。そうした中で、米朝間の合意された枠組み及び同枠組みの実施のためのKEDOの設立によってそうした危機的状況がひとまず回避され、KEDOによる軽水炉プロジェクトの実施は、その後の地域の平和と安定の維持に一定の役割を果たしたと認識しております。

 しかしながら、KEDOが、北朝鮮との供給協定に基づき、北朝鮮が核開発の分野で一定の措置をとることを条件に軽水炉プロジェクトを実施したにもかかわらず、北朝鮮は供給協定に定められた措置を履行せず、同協定に違反する形で核開発を続けていたことが明らかになったことから、KEDOとしては軽水炉プロジェクトを終了せざるを得ない状況となったということでございます。そうした認識でございます。

 したがって、こうした結果となったことのすべての責任は北朝鮮側にあるというふうに認識しております。

松原委員 要するに、うそをついたということですよ。核開発をやめます、したがってKEDOをやってください、エネルギー支援をやってくださいと。今回と同じですよ。一度だまされて二度だまされるというか。

 だから今回、ブッシュさんは当初、不可逆的、検証可能というすさまじいハードルを上げたんだけれども、最後はクリストファー・ヒルさんが折れに折れてハードルを下げまくって、北朝鮮がだめよと言った施設は中を見ませんと。ここまで言って合意してしまうという中でこういった北朝鮮に対する援助がなされるというのは、はっきり言えば、アメリカ政府は、口に出して言わないけれども、北朝鮮の核保有を暗黙で認めたというふうに言う人もいるし、それはアメリカの政府高官も言っていますよ。私もそう思う。

 だからそれは、外務省はわかった上で言っていると思うけれども、そういう本音の部分で議論したら、北がこれで核を放棄する、では、前回放棄しなかったのが何で今回放棄するんだと。うそを全くついたことがない国家だってうそをつくかもしれないけれども、前歴ありですよ。それを、ハードルをこんなに下げて、核をやめると考える方がよっぽど世間知らずと言わざるを得ない。はっきり言ったところで答弁できないだろうから、本当にどうしようもないね、これは。

 したがって、核開発はこれで続くし、拉致は進展しないという、日本外交のまさに敗北だと私は申し上げたいわけであります。

 そうした中で、きょうのこのいわゆる外為の問題について申し上げたいのでありますが、輸出入量の推移、その内訳についてお伺いいたします。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、日本の輸入につきましては、全面的にこの措置によって禁止をしておりますので、ゼロになってございます。

 それから、輸出につきましても、大量破壊兵器の関係の品目あるいは奢侈品について輸出をとめておりますので、大幅に減少をしているところでございます。

松原委員 輸出の中で家電製品、電気製品というのが多いんですが、ここには、例えばクーラーとか冷蔵庫とか、こういうのは入っているんですか。

藤田政府参考人 ちょっと今、細かい内訳がございませんけれども、いわゆる家電製品の中に定義としてはそういうものは入り得ると思います。

松原委員 輸出入量の推移と言ったんだから、中身もちょっと、事前に言っているんだからそれぐらい調べてもらわないと困るんだけれども。

 つまり、奢侈品と言われているものは二十四品目ありますが、これ以外のものはすべからく輸出されている、こういうことでいいんですか。

藤田政府参考人 失礼しました。

 輸出の内訳を少し御紹介申し上げますと、ことしの一月から九月の中身でございますけれども、輸送用の機器が八千九百万ほど、それから電気機器が六千二百万ほど、一般機械が五千四百万等々となってございます。

松原委員 その具体的な中身はどういうものか教えてください。

藤田政府参考人 いわゆる電気機器でございますので、いろいろな家電製品のようなものも含まれていると思われます。

松原委員 北朝鮮の方々の中で、電化製品でクーラーとか冷蔵庫とか、これを使う人はどういう立場の人だと思いますか、お伺いしたい。

藤田政府参考人 なかなか一概に申し上げにくいところがあるかと存じますけれども、いわゆる北朝鮮の指導層の方々しか使わないであろうようなものをいわゆる奢侈品として二十四品目指定させていただいたわけでございます。

松原委員 質問は違うんですよ。

 冷蔵庫とかクーラーとかこういうものは、奢侈品の二十四項目に入っていないけれども、どういう人が使いますかと。北朝鮮の特権階級と言われる方々ではない、いわゆる一般の人が、冷蔵庫とかクーラーとかを使いますか、こう聞いているんですよ。

藤田政府参考人 なかなか一概には申し上げにくいかと存じます。

松原委員 あり得ないけれども、マグロのフィレとか牛肉とか、これは一般の人も食べられますよ、食べようと思えば、物理的に。ところが、電気が行かないような家で冷蔵庫やクーラーを使ってもしようがない、停電ばかりしているような家で。だから、クーラーとか冷蔵庫が輸出されているとすれば、それは奢侈品以上に特権階級に行くものではないかと言っていますが、答弁できますか。

藤田政府参考人 奢侈品を選ぶに当たっての判断基準についてのお尋ねかと存じますけれども、私ども判断の基準といたしまして、一般人が日常生活において必要とするものではなく、北朝鮮幹部が使用する、あるいは部下らに支給することが想定される品目ということを念頭に置いてございますが、その選定に当たりましては、関係各国との意見交換なども行い、あるいは日朝間の貿易の実態なども考慮しつつ二十四品目を指定したところでございます。

松原委員 今後、二十四品目に、今言った家電製品の冷蔵庫やクーラーを入れる予定はありますか。

藤田政府参考人 品目につきましては、今後、実態に照らして、もし必要があるということであれば随時見直しをすることになるかと思います。

松原委員 なかなか、庶民感覚を持っていたらもうちょっとはっきり言うと思うんですが。

 大臣、どうですか。北朝鮮の国家、報道で大体大臣も知っていると思うんですが、クーラーとか冷蔵庫を特権階級じゃない一般の人が使うと思いますか。大臣、率直にお答えいただきたい。

二階国務大臣 私は数年前に一度だけ北朝鮮へ行ったことがありますが、松原先生のように北朝鮮の事情にそんなに詳しいわけではありません。

 今の御質問に対して、どういう階級が使っているだろうかというのは、これはまた、およそこちらから当て推量でお答えするわけにもまいりませんので、よく今後研究をしておきます。

松原委員 大臣、研究するということは、今後、二十四品目にプラス幾つかあるかもしれない、それを研究する、こういう認識でよろしいですね。

二階国務大臣 先ほどの松原議員の質問に対して研究しておく、こういうことで、今追加なさった質問について答えたわけではありません。

松原委員 よくわからないんですけれども。

 要するに、二十四品目の奢侈品に該当するかどうかということを私は聞いているわけですよ。そうしたら大臣は、それは研究しますと。そういうものがそうなのかどうかよくわからないから研究します、こう今おっしゃったから、では、研究した結果、当然奢侈品に入る可能性がありますね、こういうふうに私は申し上げたわけであります。

二階国務大臣 研究した結果、改めて御報告を申し上げます。

松原委員 これは検討するということですよ、大臣が研究して報告すると言えば。

 それははっきり言って、北朝鮮で一般の人は、電気も来ないような、電気が時々切れたりする、停電の時間の方が長いような地域において、クーラーや冷蔵庫を、持っても十分に機能しないし、持てるはずがないですよ、率直に言って、基本的に。(発言する者あり)それはわからないけれども、基本的にそういう認識を持ってしかるべきだと思うんです。

 では、冷蔵庫は奢侈品じゃなくて自動車は奢侈品だ、これはどういうことですか。自動車だって必要かもしれないという議論があるじゃないですか。お伺いしたい。

藤田政府参考人 自動車につきましては、今の北朝鮮の経済状況等に照らして、いわゆる奢侈品というものに該当するのではないかというふうに判断をしたところでございます。

松原委員 余り明快な、自動車はだめでクーラーはいいというふうな議論になかなかならないんで、ここはやはり一律奢侈品にするべきだというふうに僕は思います。

 次に、輸入は全面禁止をしたわけでありますが、輸出を全面禁止にしなかった理由に関してお伺いしたい。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年の十月に、北朝鮮の外貨獲得を困難にするという効果を得るために、輸入については全面禁止の措置を講じました。

 御指摘のとおり、輸出については全面的な禁止措置は講じておりませんけれども、我が国の北朝鮮措置については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合、国連安保理等における国際社会の動き等を踏まえ、総合的に判断されたものというふうに承知をしております。

松原委員 輸入は全面禁止だけれども輸出禁止がないというのも、いろいろな理由で説明するんだろうけれども、その理由というのは、恐らく一つ一つ議論すれば論破できる理由だと思うんですよ。きょうは時間がないのでそこまでしませんが。

 そうした中で、奢侈品は今二十四品目だけれども、今後、ふえる可能性というのはあるんですか、奢侈品の数をふやす可能性は。大臣。

藤田政府参考人 現状においてはそういう検討には入っておりません。

松原委員 大臣、どうですか。やはりそれは考えていないということですか。

二階国務大臣 奢侈品の輸出禁止の措置につきましては、国連安保理の決議の一七一八号を受けて、先ほどから議員が御指摘になっておるように、北朝鮮の一般人が日常の生活においてほとんど必要なものではない、北朝鮮の一部の人たちが使用する、あるいはそういう人たちが他に支給すると想定されるような品目を対象として今日まで実施しておるわけでありますが、今これに対して、改めてこれを拡大するとかその検討に入るとかという予定はございません。

松原委員 奢侈品というのは、じゅうたんとか入っているんですよ、腕時計とか。じゅうたんとクーラーで、クーラーはいいけれども、じゅうたんはだめだと。これも何でだという理由はよくわからない。一般の人は、寒い北朝鮮の冬、じゅうたんの方が必要なんじゃないかという気がするし、これはやはり見直しをぜひ検討してくださいよ。

 そうした中で、北朝鮮のミサイルまたは大量破壊兵器計画に関連すると認められる者として、十五団体、一個人に対しての外為の制裁がなされていますが、これはどのような根拠で指定されたのか、お伺いいたします。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問の国連安保理決議の一六九五でございますが、北朝鮮に対しまして、ミサイル関連活動の停止や六者会合への即時無条件の復帰等を求めるとともに、すべての国連加盟国に対し、北朝鮮のミサイルまたは大量破壊兵器計画に関連する資金の移転防止等を求めております。

 日本といたしましては、この安保理決議を踏まえまして、資金移転の防止措置の対象者につきまして関係省庁間で検討いたしました。また、外国政府より得られた情報及び我が国がこれまでに入手した情報、こういったものを総合的に勘案いたしまして、北朝鮮のミサイルまたは大量破壊兵器計画に関連すると認められたこの十五団体、一個人を本措置の対象者として指定した次第でございます。

松原委員 これは、海外からの情報以外に、国内で特定した者は、この十五団体、一個人にありますか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 日本独自の情報ということでございますが、過去の北朝鮮向け不正輸出事件に係る日本独自の情報等も活用して検討を行った結果、このうち三団体を指定いたしました。

松原委員 法的に他の団体、個人を指定することは今後可能ですか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 今後日本が、その新たな情報ということが得られますれば、北朝鮮のミサイルまたは大量破壊兵器計画に関連すると認められる団体または個人が特定されるということになりました場合には、これを追加指定するということになると思います。

松原委員 次に、安保理事会の決議の大量破壊兵器計画と無関係の外為法上の事柄によって特定して、外為法上、安保理決議によるミサイル、核関連以外でも金融規制をかけることは法的にできるかどうか、お伺いしたいと思います。

永長政府参考人 お答え申し上げます。

 安保理決議等があった場合の場合と、それから今御指摘かと思いますが、同じ外為法でございますけれども十条というのがございまして、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があると認められるとき、これは別途の措置がとれます。

松原委員 可能だということですね。

 次に、北朝鮮に寄港した、またする船舶の入港禁止というのは可能かどうかをお伺いしたい。

城野政府参考人 お答え申し上げます。

 仮に北朝鮮に寄港した船舶について我が国の入港を禁止するということにした場合は、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律に基づき、我が国への入港前に海上保安庁に通報されます船舶保安情報におきまして過去十港の寄港地を記載することになってございます。その中で北朝鮮に寄港したことがあると認めた場合には、所要の措置をとって、可能であるというふうに考えております。

 ただ一方で、すべての船舶に対して船舶保安情報に虚偽の寄港地が記載されているか否かということを確認するということは困難でございます。

松原委員 時間が参りましたので、最後に大臣にお伺いしますが、実際はなかなか制裁の効果というのは限定的であると。それはさっき言った重油の百万トン支援もそうでありますし、今細かく詰めていけば、我が国がやっている輸出に関する奢侈品の規制も本当に効果が上がっているかどうか、私は極めて疑問だろうというふうに思っておりますし、それだけではなくて、例えば他の人的往来も、きょうは余り触れませんでしたが、事実上自由に往来できるのが実態であろうと。当局者という概念規定も、またそれに適用する部分ではほとんど網にかからないということでありますから、厳格な制裁を機能させればそれはそれで有効であろうかと思いますが、それだけではまだ不足していると思っております。

 そうした中で、例えば官房長官や官房副長官漆間さんあたりは追加制裁、それも効果のある追加制裁が必要である、こういうことを言明しておられるわけでありますが、大臣も、効果があるのかどうか非常に疑問を感じているという先ほど御所見がありましたので、追加制裁というものは極めて必要ではないかと官房長官も副官房長官も言っておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 事態の成り行きを見定めて、私どもは、漆間副長官が何を言ったか存じませんが、内閣一体となって判断をしたいと思います。

松原委員 もう時間なので、漆間さんからは、二階大臣は、追加制裁が必要だけれどもちょっとこれはという、そういう具体的な話はないんですか。

二階国務大臣 後々あるかもしれませんが、きょう現在は承っておりません。

松原委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

東委員長 これにて松原仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、最初、外務省に伺っておきますが、この六カ月間の延長の間に、北朝鮮との間で何回の交渉、外交的取り組みを行ったのか、これをまず伺っておきたいと思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 日朝間では、六月及び八月に実務者協議を開催いたしました。もちろん、その間にも、北京にございます我が方大使館を通じましていろいろな働きかけを行ってきております。

 六月の日朝実務者協議では、北朝鮮側が従来拉致問題は解決済みだと言っておりましたが、この立場を変更いたしまして、拉致問題の解決に向けた具体的行動を今後とるための調査を実施することを約束しております。

 また、八月の日朝実務者協議では、北朝鮮側による拉致問題に関する調査の目的や具体的態様等について突っ込んだやりとりを行いまして、その結果として、北朝鮮が権限のある調査委員会を立ち上げて調査を開始する、これと同時に、日本側としても、人的往来及び航空チャーター便の規制解除を行うということを表明しております。

 他方では、その後、九月四日夜には、北朝鮮側から、日本の新政権がこうした実務者協議の合意事項にどう対応するかということを見きわめるまで調査開始を見合わせることとしたというふうな連絡がございました。こうしたやりとりを踏まえまして、日本側からは、先ほど申しましたように、麻生政権発足後も北京の大使館ルートを通じまして、北朝鮮側に対しまして、調査委員会の早期立ち上げ及び調査の開始ということを求めてきておりますが、これまでのところ、北朝鮮側から調査をするといった連絡はございません。

吉井委員 私、この制裁措置の期間を延長しているということだけじゃなしに、やはりその間に日本政府としては外交的努力をどれだけどんどんやっていくのかということが非常に大事なことだというふうに思うんです。

 そういうことをやはりやるべきだということを申し上げた上で、もう一つ聞いておきたいことは、今、アメリカ発金融危機で世界じゅうの国民が、また経済が非常に打撃を受けております。そういう中で、途上国の北朝鮮の経済が今どういう状況になっているのかについて、つかんでおられるところを伺っておきたいと思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮でございますが、従来から非常に厳しい閉鎖体制をしいております。したがいまして、今般の金融危機が北朝鮮経済にいかなる影響を及ぼしているのかということにつきましては、必ずしも明らかでございません。

 その上であえて申し上げれば、北朝鮮は、日本や欧米諸国と比べまして国際金融システムとのかかわりが薄いと考えられておりまして、そうしたことで考えれば、今般の金融危機、これが北朝鮮経済に直接的な影響を及ぼしている可能性は低いと思われます。

 他方で、今御質問ございました北朝鮮の経済状況でございますが、これは、北朝鮮内部においては、従来から、経済事情あるいは食料事情が厳しいということは国際社会においても広く指摘されております。したがいまして、今般の金融危機にかかわらず、北朝鮮経済は依然として厳しいというふうに見ております。

吉井委員 次に、この金融危機の問題については、金融サミットに財務・金融大臣が臨まれますけれども、昨年のハイリゲンダム・サミットでは、日本政府はドイツ政府が提案した投機マネー規制の提案に反対したわけですね。洞爺湖サミットでは投機マネー規制を議題に上げておりませんが、あしたからの金融サミットで、金融ばくちの規制と実体経済への被害除去対策についてどういう具体的な対策を提案するつもりなのか、こちらは財務省に伺っておきます。

 それと、時間が余りありませんから、大臣への質問時間がなくなったらいかぬから、先にあわせて二階大臣にも伺っておきたいと思うんです。

 今、世界の多くの国が貧困にあえいでいる中で、例えばリーマン・ブラザーズのCEOは、一人で七年間に四百八十七億円の報酬を取ってきましたね。金融ばくちに失敗したら税金で面倒を見てもらう、このことに世界じゅうの人々が今怒っているときですね。G20では、ブラジルのルラ大統領も、投機家が過大な利益を上げ、今我々がその失敗の代償を払っているということで、非常に怒りの演説をしておりました。

 リーマン・ブラザーズの破綻など、投機マネーによる金融ばくち中心のカジノ資本主義が破綻したわけですが、昨年、ことしと、サミットで日本政府は投機資金の規制に反対しましたが、しかし、経産省の通商白書、それからエネルギー白書などでも、サブプライムローンから引き揚げた投機マネーが原油や穀物市場に流れて、最高時には昨年春ごろの二倍を超えるぐらい高騰したことが出ておりますが、これが原材料や輸送コストの高騰を引き起こし、それから、これと連動した円高も加わって、今、金融バブルが破綻して、円高もあり、銀行の貸し渋り、貸しはがしというのは非常に激しいものになって、中小企業を苦しめております。

 ですから、日本でも発展途上国でも、金融ばくちの結果として国民が非常に苦しめられているときなんですが、来週APECに大臣は行かれますが、この投機マネーの規制ということと、それから実体経済への悪影響をどう断ち切るか、このことについてどういう基本的姿勢で臨んでいかれるのかというこの二点について、財務省の後、大臣の方から伺っておきたいと思います。

永長政府参考人 お答え申し上げます。

 週末の首脳会合におきましてはさまざまな御議論があろうと思いますが、御質問の金融市場の監視、規制策についてお答え申し上げます。

 去る十月三十日の記者会見におきまして、総理から主に三つの点を主張してまいるということでございました。一つが、金融機関を監督、規制する際の国際協調、これをいかに構築するか、これはいわゆるヘッジファンドとの取引に関しますリスク管理のチェック体制、情報の交換、こういったものも含まれます。さらには格付会社の問題、それから会計基準のあり方、こういった点についての議論をしたいと総理がおっしゃっておられました。

二階国務大臣 来週、今御指摘のような、ペルーのリマでアジア太平洋の二十一の国・地域が参加して閣僚会議が開催されるわけでありますが、国会のお許しが得られれば、私も来週火曜日から出発したいというふうに思っております。

 今、吉井議員からのお尋ねでありますが、今回のAPECでは、金融危機や食料、燃料価格の高騰に直面する世界経済についての議論が行われることは当然のことだと思っております。特に今回は、世界金融危機への対応が求められる中でありますが、金融の安定に向けた取り組みはもちろん、実体経済の活性化を図っていくことが重要であるわけであります。

 そこで、とりわけ我が国としては、保護主義の台頭を防ぐ、自由で開かれた貿易・投資体制の維持発展について、今日までお互いに懸命の努力を続けてきたわけでありますから、ここで、今議員御指摘のような、この要因、原因によってもたらされた結果、世界じゅうが保護主義の台頭を許すというふうなことはあってはならないわけでありますから、ここは力強く頑張ってまいらなくてはならないと思っております。

 今回のことで、特に麻生総理が昨日御発言の内容について一部新聞に報道されておりますが、IMFに対して必要な支援を行うというために、最大一千億ドルの資金融通を行う用意がある旨公表しておりますが、我々は、そうしたことを中心にして、日本がどのように貢献するかということが大事だと思います。基本的に、今、吉井議員から御指摘のありましたように、世界じゅう、何の罪もないような人たちが投機マネーのおかげによって言いあらわせないほどの御苦労に直面しているわけですし、我が国の中小企業の皆さんが本当に、いよいよ年末を控えて、この年の暮れをどうして越えるかということに大変御苦心をいただいておるこの姿を見るときに、私どもは、そうしたことを十分念頭に入れて、APECの会合においても日本の主張を続けてまいりたいというふうに思っております。

吉井委員 もう時間が参りましたので終わりますが、大臣の記者会見の中でも、投機筋のような法外な利益を得ている人たちもおり、これを放置しておくのは策がなさ過ぎるという、かねてより御意見もありましたので、そういう立場で臨んでいただきたいと思います。

 それから、IMFについても、この間の会議でもそうですが、かつてのタイ・バーツの危機など、発展途上国に対してIMFが、融資はするけれども、しかし内政干渉があって非常にひどいというのが経済を混乱させましたから、IMFのあり方をどう変えるかということが今国際的にも途上国から提起されているときですから、そういう立場でぜひ臨んでいただきたいということを申し上げまして、時間が参りましたので、終わります。

東委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、本承認案件に反対の討論を行います。

 そもそも、北朝鮮籍船舶の入港禁止及び輸入禁止という二つの制裁措置は、二〇〇六年十月の北朝鮮による核実験を契機としてとられた日本独自の措置であります。その目的は、北朝鮮を対話の道に復帰させ、核問題の外交的解決を図るための手段として実施するというものでありました。ですから、我が党は、当初、これらの措置に賛成し、二〇〇七年四月の措置延長にも賛成しました。

 その後、二〇〇七年十月の措置延長の際に、我が党は、核問題をめぐる情勢が、関係国間の粘り強い協議を通じて前向きになってきているにもかかわらず、制裁措置を継続することは、日本政府が核問題解決で積極的役割を果たす上での障害になりかねないことを指摘し、以来、こうした措置の継続に反対の立場をとってきました。

 この間、核問題をめぐって米朝両国政府が、核開発計画の検証方法について、申告した全核施設に加え、未申告の核施設への立ち入りも相互の合意のもとで進めることなどで合意し、米国政府は北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除する動きがありました。この動きが、朝鮮半島の非核化を目指す六カ国協議の合意を実施し、北朝鮮の核兵器完全放棄につながることを強く期待するものであります。

 核問題が、その解決に向けて道理ある形で進展するなら、それは、日朝間の懸案である拉致問題の解決についても、その進展を促す新しい条件となり得ます。

 日本共産党は、日朝両国政府に対して、日朝平壌宣言に基づき、核、拉致、過去の清算を含む日朝間の諸懸案の包括的解決を目指す努力を図ることを求めるものです。

 同時に、今、日本政府に求められるのは、六カ国協議で確認された行動対行動の原則に従い、意見が一致した事項について段階的に実施するという方法に基づき、諸懸案の包括的解決を目指す主体的な外交戦略を持ち、事態の前向きの打開に当たることです。この点で、米国政府は、圧力一辺倒から転換し、行動対行動、段階的解決という原則に立った外交戦略を持ち、事態を一歩前進させました。これは注目に値するものであり、こうした動向を注意深く見ていくことが大事なことだと考えております。

 以上を指摘して、討論を終わります。

東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

東委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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